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海未「それが歪んだ形だとしても」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/06/02(木) 21:29:11.50 ID:kUGaY8DM0
微エロ。
シリアスです。
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/06/02(木) 21:32:14.66 ID:+XWxXTQ+O
ことり「穂乃果ちゃんのことが好きです!ことりと、付き合ってください!!」
穂乃果「……はい、喜んで……///」
二人しかいない教室。
薄い扉を挟んだその向こう。
私の大切な幼なじみが、私の尊敬する親友が……私の大事な仲間のことりが……私の大切な幼なじみで、私の尊敬する親友で……私の愛した穂乃果と結ばれた。
一つの愛が生まれた歓喜の瞬間を見たとき、こんなにも心が空っぽになるとは思いませんでした。
二人は私に一番に付き合い始めたことを伝えてくれるでしょうか?
私と変わらず仲良くしてくれるでしょうか?
私は二人に気を遣わなければいけませんね。
……などと、現実から目を背けたように的はずれなことを思い。
嬉しさも、切なさも、悲しさも、喜びも、寂しさも……全てを汚ならしくかき混ぜたような重さだけを感じて、私はその場を離れました。
穂乃果……
ことり……
穂乃果……
ことり……
穂乃果……
私は……
嗚呼……この世に神様がいるのなら、どうか……私のこの思いを消してはいただけないでしょうか……
胸を締め付けるこの痛みを……拭い去ってはいただけないでしょうか……
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/06/02(木) 22:02:53.22 ID:+XWxXTQ+O
――――――――
次の日、いつも通りに二人と登校前の待ち合わせ。
いつも通り、私が一番早くに到着しました。
そして、いつもとは違う……ことりと穂乃果が一緒に来ました。
固くお互いの手を繋ぎながら。
――――――――
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/06/02(木) 23:13:59.93 ID:+XWxXTQ+O
ことり「……ビックリ……した?」
海未「え、ええ。まあ……そうですね……。なんと言いますか、おめでとうございます……?で、いいんでしょうか……?」
穂乃果「いやぁ♪照れるなあ……///」
海未「……ふぅ、そんなニヤついた顔では、すぐにみんなに知れ渡ることでしょうね」
ことり「とりあえずμ'sのみんなには伝えておこうかなって。でも、やっぱり一番最初に海未ちゃんに伝えないとって、穂乃果ちゃんが」
穂乃果「なんたって、海未ちゃんは最っ高の幼なじみだからねっ!」
ズキッ
海未「……ありがとうございます、穂乃果。改めて、二人とも……おめでとうございます」ニコッ
穂乃果「ありがとうっ!」
ことり「ありがとう///」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/06/02(木) 23:14:53.20 ID:+XWxXTQ+O
――――――――
告白はどちらからですか?
……知っています。
きっかけはなんだったのですか?
……想像がつきます。
もう、口付けは済ませたのですか?
……知りたくありません。
私は深く聞かず、口を結び、幸せそうに手を繋ぐ二人を静かに見つめました。
そんな下世話な質問をして苦しむのは、きっと私の方なのですから。
――――――――
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/06/03(金) 00:03:45.78 ID:fs9zJvp6O
絵里「ハラショー!!穂乃果とことりが!?」
希「おー♪おめでとう♪」
にこ「アイドルは恋愛禁止!……って怒鳴るのもヤボよね。でも、アイドルとして、節度ある交際を心がけなさ――――」
穂乃果「こーとりちゃーん♪」モッギュー
ことり「やーんっ♪」モッギュー
にこ「聞きなさいよ!!」
希「んふふ〜♪ではでは〜♪」
絵里「馴れ初めなんかね〜、詳しく聞いちゃおうかしらね〜♪」
ことり「ふぇっ!?は、恥ずかしいよぉ〜///」
穂乃果「エヘヘ〜///」
にこ「うわ、全力でニヤけてるわね……」
海未「知らぬ仲でなし、なにを照れているのですか……まったく」
海未「……………………」
海未「……ああ、ちょっと失礼します。喉が渇いたので、なにか飲み物でも買ってきます」
穂乃果「あ、私も行くー」
海未「穂乃果の分も買ってきてあげますよ。その間、根掘り葉掘り聞かれてしまいなさい」
穂乃果「うえぇ!?」
海未「……では」
絵里「観念しなさーい♪」
ことり「だ……」
ことほの「だれかたすけてぇ〜!」
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/06/03(金) 00:43:51.91 ID:fs9zJvp6O
――――――――
ダメですね……私は……
気を抜いたとたん、笑顔が崩れそうになってしまう。
二人が結ばれて、喜ばしいのはもちろん本心です。
共に同じ時間を過ごし、思いを募らせた……かけがえの無い友人。
喜ばしくないはずがありません。
だからこそ……
素直に二人を祝福出来ない自分が、とてつもなく嫌な存在に感じました。
このやり場の無い思いは、いったいどうすればいいのでしょう。
と、そんなやるせなく歩を進めていた私の耳に届いた――――
好きなの――――
という、甘く情熱的な言葉。
――――――――
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/06/03(金) 02:14:59.62 ID:pXvNtNsJ0
初っ端からいい感じにドロドロしてるね
期待してる
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/06/03(金) 08:35:53.25 ID:fs9zJvp6O
真姫「……………………」
凛「……………………」
真姫「……………………好きなの、凛。……あなたのことが好き。お願い、私と……付き合って」
凛「……………………うん///」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/06/03(金) 09:00:45.45 ID:fs9zJvp6O
――――――――
間女のように物陰に隠れ、初々しく言葉を交わす一年生二人を見て、盗み見を懺悔しながらも私は昨日の出来事と重ね合わせました。
リフレインする光景。
告白した側とされた側。
紅潮した頬も、気恥ずかしそうに泳ぐ視線も。
そんな二人を見てしまい、希望と絶望が入り交じったような表情の花陽も。
全てが昨日を思い返させる。
私もきっと、あんな顔をしていたのでしょう。
形容し難い感情を塗りたくった、仮面のような顔を。
ふと花陽と目が合うと、花陽はなんとも切ない微笑みを浮かべました。
笑みを作る気にもなれずに、私は音も無く……気配も無く、そっとその場から姿を消しました。
――――――――
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/06/03(金) 09:25:33.48 ID:fs9zJvp6O
ピッ
ガコン
海未「………………これ、炭酸じゃないですか……。何故こんなものを……」
海未「……こう何度も告白の現場を目撃するとは、天文的な確率ではないですか……歌詞の一つや二つ出来てしまいそうですね」
海未「………………真姫と凛が……」
???「ビックリ……した?」
海未「……………………花陽」
花陽「エヘヘ……」
海未「…………そうですね。多少、驚きました。が、今はそうでもありません。人が人を好きになるのに、理由は要りませんから。それがたとえ、友人同士だとしても」
花陽「そうだよね……」
海未「……………………つかぬことを伺います」
花陽「うん……」
海未「……凛のことが、好きでしたか?」
花陽「……………………なんで?」
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/06/03(金) 09:58:24.12 ID:fs9zJvp6O
――――――――
昨日の私と、同じ顔をしていましたから。
――――――――
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/06/03(金) 13:12:22.57 ID:fs9zJvp6O
海未「いえ。別に、なんとなくです」
花陽「海未ちゃんでもそんなこと言うんだ。ちょっと、意外。……うん、好きだった」
花陽「大好きだった。……ううん、大好きだよ」
花陽「子どものときからずっと一緒に遊んで、一番の仲良しで、私が一番……凛ちゃんのこと好きなんだって……凛ちゃんもきっと、私のことが一番好きなんだって……勝手に……そう思ってた……」
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/06/03(金) 13:25:45.33 ID:fs9zJvp6O
――――――――
同じです。
花陽……
私も、そう思っていました。
誰に言われるでもなく、どちらかが切り出すわけでもなく、いつしか自然と交際の始まるような……そんなことあるはずもないのに。
約束したわけでもないというのに。
ただ勇気が出なかっただけの言い訳は、湯水のように溢れ出てきました。
――――――――
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/06/03(金) 14:03:09.33 ID:fs9zJvp6O
花陽「真姫ちゃんが凛ちゃんに告白したときね、私……嬉しかったんだよ?私の大好きな二人が付き合うことになって、とっても嬉しかったの……でもね……やっぱり、ちょっぴり寂しくて……泣きそうになっちゃった」
海未「……………………」
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/06/03(金) 15:04:34.60 ID:fs9zJvp6O
――――――――
私もです。
だけど、泣くに泣けなかった。
それはあの二人を否定することになるのですから。
何故私でないのですかと。
何故横から拐うようなことをするのですかと。
私だけのものなのに。
そんなことを言う資格も思う権利も、誰にも有りはしないのに。
花陽を見れば、今にも泣きそうに身体を小さく震えていました。
スカートの裾をギュッと握って。
告白の瞬間を見ちゃうなんて、二人に悪かったかな……アハハ……
取り繕った笑顔を見るのが、心苦しくなりました。
だから――――――――
私は――――――――
――――――――
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/06/03(金) 19:45:27.42 ID:fs9zJvp6O
海未「……泣くことが出来ないなら、せめてその憂いは、私が片棒を担ぐことで楽にはなりませんか?」
花陽「……海未……ちゃん?」
海未「花陽……穂乃果とことりも、付き合うことになりました」
花陽「穂乃果ちゃんと……ことりちゃんが……?」
海未「ええ。……花陽、私も同じです。思い続けた愛しい人が、大切な友人と交際することとなり、どこか寂寥感のようなものを抱いています」
海未「けして憎くはないのです。それでこの先、関係が崩れることを望むはずもなく、関係を崩すこともしたくはない。無論、二人を愛憎故に傷付けることなどもっての外です。ですが……このやり場の無い思いは、一人で抱え込むにはツラいのです。張り裂けそうに脈打つ鼓動も、耳の奥でつんざくような耳鳴りも……私は花陽の苦しみを、花陽は私の苦しみを、お互いに少しずつ分けあうというのはどうでしょう」
花陽「……どういう……こと?」
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/06/03(金) 19:46:12.78 ID:fs9zJvp6O
――――――――
どうやら神様は無く、いたのは……冷たい血の流れた悪魔だったようです。
――――――――
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/06/03(金) 19:50:59.48 ID:fs9zJvp6O
海未「花陽、私と付き合ってはみませんか?」
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/06/03(金) 21:04:37.07 ID:fs9zJvp6O
――――――――
腕を引き、身体を抱きしめ、耳元で甘く囁き、頬を撫で、目を見つめ、唇を重ねる。
唇を離すと、今度は花陽から唇を重ねてきました。
これが返事だと言わんばかりに。
なんの感動も無い……それは花陽も同じ。
なんと滑稽な。
なんと醜悪な。
そう思うのも無理はないでしょう。
お互いに、欠けたものを埋めるためだけの共依存。
誰でもいい。
花陽である必要も、私である必要も皆無。
ただ、都合が良かっただけのこと。
穂乃果と凛の代替品として。
恋愛という、光より眩しく、炎よりも熱い、何よりも尊い感情の一片も、ここには有りはしなかったのですから。
――――――――
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