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1 :
◆mZYQsYPte.
[sage saga]:2016/06/30(木) 19:00:11.22 ID:GUujIImdo
夜 海洋連合 トラック泊地環礁内
中間棲姫「貴女、一匹見たら五十匹居ると思えというか……もう感心しちゃうわ」
駆逐棲姫「わ、私をゴキブリみたいに言わないで下さい! 攻撃です!」
中間棲姫「はいはい。無駄無駄」クスクス
爆弾、砲撃、雷撃の雨も彼女には届かない。放たれた何もかもが目標到達前に運動エネルギーを失っていく。
駆逐棲姫「……第七位の艤装作った奴は軍事法廷で死刑確定です」
中間棲姫「無敵でごめんなさいね」
空間の重力を操り上下左右から相手に叩きつければ防御の手段は転じて攻撃となった。
駆逐棲姫「あぎぎぎががががががあああああ」
戦闘は終わり再び静かな海が訪れる。
燃え盛る島と月明かりによって海上はいつになく明るかった。
中間棲姫「さすがにちょっと疲れたわね」
中間棲姫「交代しましょうか?」
中間棲姫「まだ良いわよ」
中間棲姫「分かりました。なら偵察機を出して索敵お願いします」
中間棲姫「了解〜」
〜〜〜〜〜〜
中間棲姫「見事に全島燃えてるわ。飛行場も同じくよ。自爆装置を使ったみたい」
中間棲姫「……トラック司令部の方は全員死亡、ですか」
中間棲姫「これで生きてたら氷河期でも生き残れるわよ。あ、倉庫も見たけど、どうも機密保持は完了してたわ。私たちは余計なお世話だったかしら」
中間棲姫「トラックの皆さんは気持ちの良い方々でしたね」
中間棲姫「? そうね。人間にしては珍しく」
中間棲姫「はい。本当に良い人ばかりが死んでいきます」
中間棲姫「……ちょっと貴女、なにこれ。えっ、何考えてるのよ」
中間棲姫「やっと気付いたんですか」クスクス
中間棲姫「あーもう! やられた! ジェットの機密保持なんて最初から嘘だったのね!」
中間棲姫「はい。八位の気持ちを動かすにはこれくらいしないと駄目でしょう」
中間棲姫「いいの?」
中間棲姫「ちょっぴり死ぬ確率が高いだけですよ」
中間棲姫「少しでも後悔するのなら死んでは駄目よ。死ねば後悔もできないんだからね」
中間棲姫「扉から情報が流れ込んでくれば何もかもが曖昧になります」
中間棲姫「……」
中間棲姫「仮に因果律から恣意的に欲しい情報を取り出せたとして、確かに死の悲しみを癒やすことも出来るでしょう。ですがその行為は繰り返す内にこの世界で自分が成してきたささやかな喜びさえも消していきます」
中間棲姫「……忘れてたわ」
中間棲姫「そんなことさせるものですか」
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/06/30(木) 19:05:17.29 ID:GUujIImdo
中間棲姫「貴女ってほんと、保守で懐古で頑固な馬鹿女だったわ。そういえば」
中間棲姫「そんな照れます」テヘ
中間棲姫「1inchも褒めてないから!」
中間棲姫「扉など、絶対に開かせるわけにはいきません」
中間棲姫「私は良いと思うけど? それはそれで素敵な世界になりそうじゃない?」
中間棲姫「私は絶対に嫌です」
中間棲姫「もー、そんなに怒らないでよ。冗談だってば冗談」
中間棲姫「はいはい。じゃあ八位を探しに行きますからね」
中間棲姫「はーい」
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/06/30(木) 19:07:32.66 ID:GUujIImdo
夜 海洋連合 トラック泊地環礁内
空母水鬼「……姫様、来るよ」
空母棲姫「……」
姿を見せた敵は月を背にし、その逆光で表情までは見えないが爛々と輝く真っ赤な目だけは確実にこちらを見つめていた。
自分は大勢の味方を引き連れている筈なのに、自分の計算が正しければこの相手に負ける筈はないのに……
何故これ程に目の前の相手が恐ろしいのか第八位は自分でも分からなかった。
中間棲姫「こんばんは」
空母棲姫「……こんばんは」
中間棲姫「第三位が死んだみたいね」
空母棲姫「貴女が殺したの」
中間棲姫「ちょっと、そんな言いがかりしないで頂戴」
空母棲姫「……そうね。関係無かった。第三位はもう死んだし、艦娘である貴女はお父様から確保命令が出ていない」
中間棲姫「要するに第三位を誰が殺したか今は興味も無いしどのみち私も[
ピーーー
]ってわけ。自分で聞いておいて随分寂しいこと言うのね〜?」
空母棲姫「投降の意思を最後にもう一度だけ確かめておくわ」
中間棲姫「私は命が惜しいからそれも良いと思ってるんだけどね」
空母棲姫「…………?」
中間棲姫「もう一人の私は大妖精のやろうとしていることが我慢ならないんだって」クスクス
空母棲姫「撃ちなさい」
空母水鬼「攻撃開始!」
中間棲姫「やーね。まるで私が一人で喋って精神分裂症みたいじゃない」
第八位の後ろに控えていた大型艦の砲門が一斉に火を吹いた。
目標に直撃するコースを飛行している筈の砲弾は徐々に失速し最終的に空中で停止する。
地球の物理法則を捻じ曲げる程に強力な反重力デバイスを備えた艤装、それと相対した者が何度となく直面した現象である
要は縮小再生産、焼きまわし、使い回し……我々も既に何度も目にしたことのあるものだ。
中間棲姫「これじゃ私には届かないわよ。知ってると思ってたけど」
空母棲姫「……そうかしら?」
中間棲姫「?」
空母棲姫「続けなさい」
空母水鬼「第二、第三! 連続斉射!」
中間棲姫が性懲りもなく、と判断したのは時期尚早だった。
中間棲姫「またさっきと…………あら」
砲弾の動きがおかしい。運動エネルギーを全て殺した筈なのに止まらない。
中間棲姫「きゃっ!?」
それは何年ぶりかの至近弾だった。
水面が砲弾による爆発でうねり、巨大な水柱によって海水が天高く突き上がる。
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/06/30(木) 19:10:47.31 ID:GUujIImdo
中間棲姫(大丈夫ですか!?)
中間棲姫「ちょ、ちょっとびっくりしただけよ。今のは私の対応ミス?」
中間棲姫(いえ、計算は0.001秒前に済んでいました。何も問題は無かった筈です)
中間棲姫「そうよね。ならなんで」
グラーフ「ワフ! ワフ!」
中間棲姫「どうしたのよグラーフ。上に何が……なるほどね」
艤装からの上を見ろとの言葉に仰ぎ見れば、そこには最新鋭の艦載機が並んでいた。
空母棲姫「反重力デバイスは貴女だけの専売特許じゃ無い」
中間棲姫「私がねじ曲げた空間に艦載機のデバイスで干渉して影響を与えてたわけね。そりゃ計算が狂うわけよ」
空母棲姫「貴女の技は見た目は派手だけれど……その中身は細かい計算処理の積み重ねでしかないことは、もう知っている」
中間棲姫「やーね。でしかないって結構大変なのよこれ」ケラケラ
空母棲姫「ここまでは警告よ。貴女がもう無敵じゃないことはよく分かったでしょう。降伏しなさい」
中間棲姫「お・こ・と・わ・り」
空母棲姫「……分からないの? このまま続ければ貴女、死ぬわよ」
中間棲姫「命はいつか滅ぶものよ」
空母棲姫「何を拘っているの! 意地を張っているなら考え直しなさい!」
第七位と呼ばれる者は目を瞑り、一呼吸おいて再び会話を再開した。
中間棲姫「無責任な言い方をすると私の命を貴女に託します」
それは先程とはまるで違う、柔らかい物腰で何もかもを受け入れるかのような優しい声に変わっていた。
空母棲姫「意味が分からないわ」
中間棲姫「貴女は優しい。だからその道を進んでは駄目ですよ」
空母棲姫「意味が分からないと言っている! 貴女は死んでも蘇ることが出来ないのよ!?」
空母水鬼(姫様……)
中間棲姫「……」
空母棲姫「裏切り者となった貴女の魂がこちら側へ呼び戻されることはない! 深海棲艦が死を超越する時代が来ようとしているのに……何故そんな……!?」
中間棲姫「死を超越する時代など、虚無と同じです」
空母棲姫「言葉遊びをしないで目の前の現実を見なさい!」
中間棲姫「見えています。反重力デバイスに艤装の力が無効化され、きっと私は砲弾の雨の中で死ぬのでしょう」
空母棲姫「それが怖くないの」
中間棲姫「フネとして一度死んでいる筈なのに膝が震えるほど怖いですよ」
空母棲姫「なら黙って私についてきなさい。……決して悪いようにはしないから」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/06/30(木) 19:14:15.78 ID:GUujIImdo
中間棲姫「ごめんなさい。それは出来ません」
空母棲姫「……私への嫌がらせなのよね」
中間棲姫「そんなつもりは微塵も。命を賭したお願いと言って貰いたいですね」
空母棲姫「盲目に、ただお父様の兵器として生きる道を選んだ私を馬鹿にしてるんでしょ!」
空母棲姫「そうよ。貴女は私と違う。貴女は道具でない自分に誇りを持ち、その気持を守りたいから意地を張って死のうとしてるのよ」
中間棲姫「そう見えますか?」
空母棲姫「ええ!! でなければ貴女の行動の意味が通らない!!!」
中間棲姫「実は私、艦娘だった頃に貴女と戦ってるんです」
空母棲姫「…………」
中間棲姫「ガダルカナル基地を必死に奪還しようと人間がもがいていた時、南方の海で」
空母棲姫「……貴女、あそこに居たの」
中間棲姫「神出鬼没の空母遊撃部隊。率いていたのは貴女とそこの副官さんですよね」
空母水鬼「もしかして沈んだお友達も居たりしたの。それで姫様が憎いとか?」
中間棲姫「いいえ。ちっとも憎くはありません。あれは戦いでしたから。……それに私の周りには兵器ばかりで悲しいとも思いませんでした」
空母棲姫「貴女も兵器じゃない」
中間棲姫「私は第四管区の赤城です。自分の心に従い判断だって出来ます。ただの兵器なんかじゃありません」
空母棲姫「その意味不明な精神論が私と貴女の対話を難しくしているのだけど」
中間棲姫「兵器であるという単純明瞭な理に従った結果、ほとんどの艦娘は何も感じない命令に従うだけの鉄くずに変わりました。そうでない可能性もあったのに」
空母棲姫「だから私には貴女が言っていることが分からないの!! 私にそんな意味不明の可能性を押し付けないで!!」
中間棲姫「いいえ。押し付けます。だって貴女は今、自分を殺そうとしている」
空母棲姫「なんでそんな目で私を見るの……もっと怖がりなさいよ、命乞いしなさいよ」
中間棲姫「……」
空母棲姫「そんな優しい目で私を見つめないで……」
中間棲姫「貴女の誇りは兵器という存在に対してでなく自分自身と戦友に向けられたものですよ。それに気付いてるんじゃないですか」
空母棲姫「同じことよ」
中間棲姫「違います。最初はそうだったかもしれませんが、もう違います」
空母棲姫「貴女と話していると胸が……苦しくなってくる」
中間棲姫「今の貴女は誇りを捨てて自分を殺そうとしているから苦しいんです。貴女はまだ戻れます」
空母棲姫「違うのは貴女よ!!! 私の、道は! この先にあるの!!」
中間棲姫「…………」
空母棲姫「私は甘さを捨てて一人前の兵器になるの。生まれた意義を、意味をこの身を持って証明するの!」
中間棲姫「その意義はもうただの呪いですよ」
空母棲姫「そうよ、呪いよ。何が悪いのかしら。肉体を持ちこの世に顕現した瞬間から私たちは呪われているのよ。仕方ないじゃない。そう生きるしか無いんだから!」
空母棲姫「貴女たち艦娘だって同じじゃない。呪われて呪われて、人間からは忌み嫌われて、それでも人間のために戦う運命を義務付けられて二度も三度も沈められて」
空母棲姫「物好きなんてもんじゃ無いわね。それでも戦い続けるなんて頭がイカれてる!」
中間棲姫「貴女が今日殺して回ったのはそんな運命を乗り越えようとした者たちですよ」
空母棲姫「じ、自分の運命に逆らうからそうなるのよ! 弱い者には存在する権利すら無いわ!」
中間棲姫「なるほど。そうかもしれませんね。歴史は強者の作るものですから」
6 :
◆mZYQsYPte.
[saga sage]:2016/06/30(木) 19:19:50.93 ID:GUujIImdo
空母棲姫「……もう良いでしょう。降伏しなさい」
中間棲姫「八位」
空母棲姫「……何かしら」
中間棲姫「私たちは呪われている、確かにそうです。兵器として産み落とされ兵器として滅ぶことを決められています」
中間棲姫「弱者に生きる権利は無い……これもそうかもしれません。呪いと怨嗟で作り上げてきた世界に私たちは生きています。決して公平でも公正でもないこの世界に」
中間棲姫「それを変えてみたいと、存在への呪いの無い未来を願うことは罪でしょうか」
空母棲姫「願うことは罪ではないわ。弱いことが罪なのよ」
中間棲姫「強さ弱さを価値基準に置く世界で貴女は幸せになれるのですか。羨ましいですね。私はそんな世界を生きたいとも守りたいとも思いません」
空母棲姫「いつまでも戯言を!!! 砲撃準備!」
中間棲姫「貴女はそうやって、第三位までただ弱かったと切り捨てることが出来るのですか」
空母棲姫「……ッ!!」
中間棲姫「私、あいつのこと好きになれなかったのよね。高慢ちきだし性格悪いし、序列を盾に好き放題するし。けど、大妖精への想いは本物だった」
中間棲姫「しかし大妖精は彼女を軽んじていました。きっと彼女は一度沈んだ存在を復元したものなのでしょう」
中間棲姫「でも失敗した」
中間棲姫「そう。だから日向という鍵を使って因果律に手を出そうとしている」
中間棲姫「ほんと、よくやるわよね〜。ま、推測でしか無いんだけど」
空母棲姫(艦娘と深海棲艦の意識が同時に存在しているの……?)
中間棲姫「私たちはきっと変わることが出来ます」
中間棲姫「一人の男はそれを信じて、信じられた艦娘はそれに応えて変わっていったわ」
中間妖精「だから私たちは貴女を信じます」
空母棲姫「……無責任なこと言わないで」
中間棲姫「貴女は自分自身の進むべき道について迷っている」
中間棲姫「きっと第三位のことも引っ掛かってるのね。この子友達居なさそうだし」ケラケラ
中間棲姫「こら」
空母水鬼「……七位様の言う通りだよ。大妖精様が第三位様をいじめて泣かせたんだ。姫様、それチョー気にしてて」
空母棲姫「……」
空母水鬼「姫様、後で私に怒ってもいいけどさ。もし、もし迷ってるならもう一度考えなおして欲しい!」
中間棲姫「その通りです。呪いを生んでいるその妖精に……従った果てに、貴女の望むものはあるの」
空母棲姫「…………私は」
離島棲鬼「勿論ありますわ。一斉射撃開始」
中間棲姫「……あ〜あ索敵失敗し――――」
7 :
◆mZYQsYPte.
[saga sage]:2016/06/30(木) 19:22:34.14 ID:GUujIImdo
交信で七位の声が聞こえたのはここまでだった。
突如現れたブレインの命令に従い、待機していた深海棲艦が砲撃を再開しその砲音で何もかもが塗り潰される。
水柱と砲弾煙により中間棲姫の安否は不明だったが、爆発が起こるということは効果的な攻撃が与えられている、つまり相手の反重力デバイスによる戦法を相殺していることと同義だった。
斉射が終わると静寂が訪れた。
空母水鬼「な、何して……」
離島棲鬼「敵を攻撃しただけですが? ねぇ第八位様?」
空母棲姫「勝手に!!」
激情に駆られ私は無意識の内に離島棲鬼の胸元を掴んでいた。
離島棲鬼「何ですかこの手は」
空母棲姫「……少し驚いただけよ。私の前で独断専行はやめなさい」パッ
離島棲鬼「敵はなるべく早く叩くことをお勧めしますわ」
空母棲姫「貴女ごときに言われずとも分かっています!」
離島棲鬼「なら良いのですが?」クスクス
深海棲艦の索敵レーダーは感覚に依存する。
そのため物理法則を超えて長距離からの探知が可能となるのだが感覚故の弱点もある。
離島棲鬼「おしゃべりに集中する余り私の接近を見逃すなんて……仮にもミッドウェーを任された者としてどうなのでしょうね」
水柱が収まったとき、中間棲姫は水面に倒れていた。
中間棲姫「……直撃弾は久しぶりですね」
中間棲姫「そうね……貴女がお腹に大穴開けた時以来じゃないかしら」
中間棲姫「そうかも……しれません」
先ほど八位たちと喋っていた時よりも遥かにか細い、弱々しい声。
ふらつきながらもなんとか立ち上がり周囲の状況を確認する。
中間棲姫「生体リンクが切れてますね……まさか」
中間棲姫「ちょっと……グラーフ、返事しなさいよ」
グラーフ「……」
彼女たちの良き下僕は上半分の殆どを失い息絶えていた。
中間棲姫「……私たちより先に逝くなんて親不孝です」ポロポロ
中間棲姫「やめなさいよ。貴女が泣くと……貴女の目は私の目でもあるんだから」ポロポロ
中間棲姫「……自分に対して強がらなくても良いんじゃないですか?」
中間棲姫「ああそうよ、悪かったわね。私だって悲しくて泣くことくらいあるんだから」
中間棲姫「グラーフ………………今までありがとうございました」
中間棲姫「……貴方のことは絶対忘れないわ」
主人たちの別れの言葉聞くと、まるでそれを待っていたかのようなタイミングで艤装は浮力を失い海中へと姿を消した。
8 :
◆mZYQsYPte.
[saga sage]:2016/06/30(木) 19:24:15.71 ID:GUujIImdo
中間棲姫「命懸けの博打は失敗。……覚悟してたけどやっぱり死ぬのは痛いわね」
中間棲姫「それすら感じなくなった時に何もかも終わります」
中間棲姫「馬鹿女的には、この痛みが次に繋がるのかしら」
中間棲姫「どうなんでしょう。分かりません」
中間棲姫「そこは繋がるって言って励ましてよ。私、死ぬのちょっと怖いんだから」
中間棲姫「自分で自分を励ますのって虚しいの極地だと思うのですが?」
中間棲姫「たしかにね」ケラケラ
中間棲姫「あー……失敗しました」
中間棲姫「今更死にたくないなんて言っても無駄よ。次の斉射で確実に死ぬんだから」
中間棲姫「約束を忘れていました」
中間棲姫「……あ〜その約束? 実は私も今それ思い出したのよね」
中間棲姫「どうしますか?」
中間棲姫「こういうのは代役を立てるに限るわ」
中間棲姫「なるほど。その手がありましたか」
離島棲鬼「さぁ第八位様、斉射の号令を」
空母棲姫「斉射は無しよ。相手は艤装を失い無力化された。確保するわ」
離島棲鬼「大妖精様は敵の裏切り者を許しますが味方の裏切り者は別です。ましてや今度の第七位は元艦娘……確保したところで死んだほうが楽な拷問の上、殺されますよ」
空母棲姫「そんなことは……」
離島棲鬼「させないとでもおっしゃるおつもりですか? 大妖精様の意思に逆らうとでも?」
空母棲姫「…………」
離島棲鬼「さぁ! さぁ! さぁ!」
空母水鬼「こんな奴の言うこと聞く必要無いよ! 七位様を確保しよう!」
離島棲鬼「黙りなさい小娘!! それでも誇り高き大妖精様の眷属か!?」
空母水鬼「ひうっ」ビクッ
空母棲姫「やめなさい。二人共」
離島棲鬼「……私の姫様が蘇るには大妖精様の世界が実現するしか無いのです」
空母水鬼「第三位を、蘇らせる……」
離島棲鬼「もう一度あの方にお仕えするまで私は死ねない! それで今度こそ守ってみせる! 実現するためならどんな敵だって倒してみせる!!」
空母棲姫「……」
離島棲鬼「さぁ八位様! 撃って下さい! ここで撃てなければこの先も反逆者に対して後れをとります。今、眷属の長たる姫のお覚悟を見せて下さい!」
空母棲姫「……」
離島棲鬼「同志として大妖精様の築く新しい時代へ進みましょう。大妖精様への忠誠を見せて、私に貴女を信じさせて下さい。私の姫様のためにも……お願いします……」
空母棲姫「…………っ」
眉間にシワが寄っていると自分でも分かった。
空母棲姫「……撃てっ!」
9 :
◆mZYQsYPte.
[saga sage]:2016/06/30(木) 19:25:12.99 ID:GUujIImdo
中間棲姫「黒い月出してブイブイ言わせてた時期が懐かしいわね」
中間棲姫「それ、表現が古いですって」クスクス
中間棲姫「もー……別に古くても良いじゃない」
中間棲姫「黒い月はもう出せませんけど、海面にほら」
指差した先の海面には満月がくっきりと映っていた。
中間棲姫「なによー、最後まで微妙なこと言って。ちっともロマンチックじゃ無いんだから!」
中間棲姫「はいはい。思えば貴女にもお世話になりました」
中間棲姫「はい話のすり替え〜」
中間棲姫「来世では友達として会いたいものです」
中間棲姫「次は私が別個体の雄になって孕ませてあげるわね。ふっふっふ。今度こそ全身征服してやるんだから」
中間棲姫「死ぬ直前に本性が出ると言いますが……これは自分でも凹みますね」
中間棲姫「どぅいぅ意味かしら」
中間棲姫「自分で考えて下さい。あーもう。人が月が云々言ってロマンチックに〆ようと努力してるのに貴女ときたら雄になって孕ませるだの征服だの……ああもう、アホくさい。やってられません」
中間棲姫「あ、アホ!? 最後の最後でアホで終わり?!」
中間棲姫「……ま、楽しみに待ってますから征服しに来て下さい」
中間棲姫「そうそう。素直にそう言っときゃ良いのよ」
中間棲姫「さよならは言いませんからね」
中間棲姫「一度死んだくらいで終わる縁じゃ無さそうだもの」
中間棲姫「次はもう少しナウい感じのセンスを磨いといてください」
中間棲姫「……お互いに、磨く必要がありそうね」
中間棲姫「頑張りまし―――――
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