冬馬「……笑ってはいけないジュピター?」

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110 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/26(火) 21:44:04.81 ID:SShpg/hAO

咲「ナマ足魅惑のマーメイド!」

冬馬「ナマ足魅惑のマーメイド!」

咲「にゃんにゃんサキちゃん、サキにゃんにゃん!」

冬馬「にゃんにゃんサキちゃん、サキにゃんにゃん!」

咲「壊して直して分かってるのに!」

冬馬「壊して直して分かってるのに!」

咲「それがあたしの性格だから!」

冬馬「それがあたしの性格だから!」

咲「もどかしい気持ちであやふやなままで!」

冬馬「もどかしい気持ちであやふやなままで!」

咲「とうまはこの後タイキック!」

冬馬「とうまはこの後タイキック! …………ん?」


 デデーン 冬馬タイキックー


冬馬「!?」




咲「はーい。パピッとタイキックの時間だよー☆」

冬馬「………っはああああああっっ!!??」

冬馬「いやっ、だっ! ムリムリムリムリムリムリムリ!!!!」

冬馬「それだけは無理!! いくらなんでもこんな筋肉アーマー装備した野郎共からタイキックとか死ぬ! ケツが弾け飛ぶ!!」

タイツ男達「…………」

冬馬「元自衛官にメダリストだぞ!? オリンピックだぞ!? 世界レベルだぞ!?」

冬馬「マジで! 死ぬから! 俺の! ケツが! 壊れる! 壊れちゃう!!」

翔太「っふ……ど、どんだけ往生際悪いの冬馬君……」フルフル…

北斗「みっともないぞ冬馬。俺達のリーダーならそれぐらい覚悟を決めて受け入れろ」

冬馬「お前ら他人事だと思って高みの見物決め込んでんじゃねえぞ!! 下手して痔にでもなったらどうしてくれんだ!!」

北斗「地主アイドルか。新しいね」

翔太「イケるイケる。新規ファン開拓出来る」

冬馬「出来ねえよ!! 出来たとしてもぜってぇ二丁目系だよ!!」
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/26(火) 21:57:03.16 ID:dzIsx4lw0
ヘーイ!
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/26(火) 23:11:10.74 ID:Sav1AF0/o
予想できた流れなのにワロタ
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/26(火) 23:34:13.72 ID:2kEi6C3y0

細かいとは思うけど巻緒は「冬馬くん」な
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/27(水) 00:40:41.66 ID:mdXZLc/AO
>>113
oh……やってしまった……申し訳ない

あと>>109の台詞も
×冬馬「美味しく、美味しく、美味しくなあれ!!」
○咲「美味しく、美味しく、美味しくなあれ!!」

でした、すみません
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/27(水) 00:48:08.51 ID:mdXZLc/AO

咲「待って待って。なんだか勘違いしてるみたいだけどタイキックするのはあたしだよ?」

冬馬「……えっ?」

咲「だからそっちのバット持ってる人たちじゃなくてあたしがとうまにキックするの」

冬馬「…………ああ、なんだ。そういうことならまあ……」

翔太「えー、なーんだ。つまんないの」

北斗「冬馬のリアクションって面白いのにね」

冬馬「てめえらほんと今度まとめて筋肉バスターかけてやるからな……」ビキビキッ

巻緒「あ、ちょうど荘一郎さんのケーキも来ましたよ」

東雲「お待たせしました。本日のスイーツはザッハトルテです」コトッ

翔太「わあ、これも美味しそうだなあ」

北斗「ああ。デコレーションも可愛らしいね。女性と一緒に来たら喜ばれそうだ」

冬馬「俺にも……俺にもメシ……メシをくれ……」

巻緒「元気出して下さい冬馬くん、これさえ終わればホントに食べられますよ!」

咲「そうだよ〜」

冬馬「うぐぅ……」

東雲「あ、そうそう天ヶ瀬さん」

冬馬「はい?」

東雲「一応補足説明しておきますと水嶋さんは我々の中で一番強いですので」

冬馬「……は?」

東雲「水嶋さんは私達より強いです」

冬馬「……メンタル的な意味で?」

東雲「フィジカル的な意味で」

冬馬「」

咲「よっし、それじゃあいっくよー?」スタンッ スタンッ

冬馬「……えっ? いやいや待ってくれよ。どういう……えっ?」





咲「―――ッシャア!! ラッシャオラァッッ!!!! いくぞおらぁっ!!」パンパンッ

冬馬「…………え?」
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/27(水) 00:53:17.64 ID:siUT+pnHo
そう言えばアスランをガチでビビらせてたな
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/27(水) 00:56:58.10 ID:mdXZLc/AO

 気付いた時には水嶋咲は冬馬から数メートル程の距離を取り、グッと足裏で床を力強く踏みしめていた。

 かと思えばもう既に次の瞬間には彼(?)の膝はまるでバネのように……その身体全体を弾丸が如く加速させている。


 脚力×スピード×体重=破壊力。


 助走を付け、勢いの上乗せられた獅子の猛攻はもはやなんぴとにも止められはしない。


 ―――それは蹴りと言うにはあまりにも強過ぎた。強く、速く、重く、そして大雑把すぎた。

 それは正に鉄塊だった。

 細く小柄な彼(?)の身体の一体どこにそれだけの力が秘められていたのか?
 それは誰にも分からない。あるいは本人にすら理解出来ていないかもしれない。

 冬馬が知り得たのはただその鍛え抜かれた鋼の肉体が彼(?)自身の限界をも超え……

 音すらも置き去りにするかと思われる程の俊敏さをもって己のケツに迫ってくるということだけ―――ッ!











   ズ ド ン ッ ! !



冬馬「          」




 寸分の狂いもなく冬馬のケツのド真ん中ストレートに突き刺さった鋭い蹴りは、一拍遅れて哀れな彼に断末魔の絶叫を上げさせた…………

118 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/27(水) 01:41:03.13 ID:mdXZLc/AO






冬馬「………………」死〜ん…

翔太「……これほんとに死んでないよね? 大丈夫だよね? なんかピクリともしないんだけど」

北斗「流石に俺もここまでとは思わなかった」

咲「あははー、ごめんね。ちょっと気合い入れて強く蹴り過ぎちゃったかも。てへぺろっ☆」

巻緒「ナイスキックだったよサキちゃん!」

東雲「……本当に水嶋さんは何者なんでしょうか」

翔太「おーい、冬馬くーん。大丈夫ー? 生きてるー?」ツンツン

北斗「冬馬、起きろ。せっかくの料理が冷めるぞ」

冬馬「がっ……うぅ、おえっ……」ヨロッ…

翔太「おー。立ち上がった」

北斗「それでこそジュピターのリーダーだ」

冬馬「お、まえら……ぐおお……痛ぇぇぇ……」プルプルプルッ…

巻緒「なんだか力石戦のジョーみたいでカッコイイです冬馬くん!」

咲「文字通り燃え尽きてるね!」

東雲「いえ、どちらかというと力石の方なのでは……?」

冬馬「クッソが…………完全復活だオラァッ!!」ガバッ!

翔太「おお〜」パチパチ

北斗「おお〜」パチパチ

咲「おお〜」パチパチ

巻緒「おお〜」パチパチ

東雲「おお〜」パチパチ

タイツ男達「…………」パチパチ


冬馬「はあはあ……うっしゃ、これでやっとメシが食えるぜ!」

翔太「よかったね。まあもう大分冷めちゃってるけど。ザッハトルテ美味しい」モグモグ

北斗「美味しいよね」モグモグ

冬馬「割と本気で今ジュピターの解散考えてるぞ俺」
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/27(水) 02:07:25.46 ID:mdXZLc/AO

東雲「あ、ところで先程の天ヶ瀬さんの呪文のくだりをこちらに録音してあるんですけど」

冬馬「……あ?」

東雲「折角ですからゆっくり食事しながらでいいのでみんなで聞きましょうか」

冬馬「……いや、何言って……は?」

翔太「へー、いいねいいね! 聞こう聞こう」

北斗「うん。なんだか楽しそうだ」

冬馬「な、なんでそんなことを……」

東雲「いい記念になるかと思いまして」

冬馬「だからなんの記念だよ!?」

東雲「ポチッとな」ピッ




冬馬『……美味しくなあれ、パピパピきゅん……』

冬馬『………美味しく美味しく美味しくなあれ!』

冬馬『フワフワたまごは山形産!』

冬馬『新鮮トマトは熊本産!』

冬馬『おせちもいいけどカレーもね!』

冬馬『シックス・センスはブルース・ウィリス!』


冬馬「………………」

翔太「……改めて聞くと訳分かんないねコレ。冬馬君の口からきゅんとか出てくる時点で面白いけど」

北斗「冬馬ってほんと美味しいキャラしてるよね」

冬馬「お前にだけは言われたくない」

咲「あたしは魔法の呪文って素敵だと思うんだけどな〜」

巻緒「サキちゃん魔法少女とか好きだもんね」


冬馬『3時のおやつは鳩サブレ!』

冬馬『お猿のお尻は真っ赤っか!』

冬馬『ナマ足魅惑のマーメイド!』

冬馬『にゃんにゃんサキちゃん、サキにゃんにゃん!』

冬馬「……」

冬馬『おせちもいいけどカレーも……シックス・センスはブルース……』

冬馬「……ん?」

冬馬『おせ……シックス……』



冬馬『おせックス!!』

 デデーン 北斗、翔太、アウトー
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/27(水) 02:20:18.38 ID:mdXZLc/AO

冬馬『おせックス! サキちゃんとおせックス!!』


冬馬『3時のおやつはサキちゃん!』


冬馬『サキちゃんとにゃんにゃん! ナマ足メイドサキちゃんとにゃんにゃん!』


冬馬『もどかしい気持ちでにゃんにゃん! あやふやなままでにゃんにゃん!』


冬馬『お猿のお尻は鳩サブレ!』


冬馬『とうまのお尻はタイカレー!』


冬馬『とうまのお尻からカレー!』


冬馬『新鮮カレーはお尻から!』


冬馬『とうまの魅惑のナマ足せックス!』


冬馬『とうまのお尻は真っ赤っか!』


冬馬『とうまのフワフワお尻はせックス!!』



冬馬「やめろぉぉぉおおおおおおお!!!!!!」

翔太「ひぃっ、ひーっ! あはっ、あははははっ! あっはっはっはっはっ!!」ゲラゲラゲラ

北斗「……っ! ……っっ!」ドンドンッ!

冬馬「うわあああああああああ!!!!!」
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/27(水) 06:51:35.07 ID:w458OSlhO
単語のチョイスはこの為かww
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/27(水) 10:11:22.92 ID:NALw2Jf30
笑いすぎて過呼吸なりかけたw
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/27(水) 15:08:24.44 ID:mdXZLc/AO

冬馬『とうまのお尻壊してせックス!!』


冬馬『直してせックス!! 壊してせックス!!』


冬馬『それがとうまの性だから!!』


冬馬『とうまのカレーは熊本産!!』


冬馬『とうまのお尻からナマカレー!!』


冬馬『とうまはこの後鳩サブレせックス!!』


冬馬『とうまのお尻美味しくなあれ!!』




冬馬「もういい!!!! もういいから!!!! やめろ!!!! マジで!!!! 止めろ!!!!」

翔太「ふぁーーーーーwwwwww」バンバンバンッ!

北斗「あはははははははっ!! あっはっはっは!!」ゲラゲラゲラ

翔太「ヒィーーーーーwwwwww」ケラケラケラ

北斗「ンフッ、フフフッ、フフフフフッ、ンフフフフフッ……!」プルプルプルッ…

冬馬「笑い過ぎだろお前ら!!!!!!」







 バチーンッ!

北斗・翔太「男ケツッッ!!!!」
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/27(水) 15:15:22.17 ID:mdXZLc/AO

翔太「……っはー。笑った笑った。ありがとう冬馬君。冬馬君のおかげでなんか生きる希望が湧いてきたよ」

冬馬「……」

北斗「世の中の大抵の辛いことなんて所詮は笑いの前に吹き飛ばされてしまう程度の瑣末なことなんだと教えられたよ」

冬馬「……」

翔太「これから3ヶ月はこのネタだけでごはん食べられるよ僕」

冬馬「……」

北斗「ジュピターの一員としてずっと冬馬に付いて来てよかった。今、俺は心からそう感じてるよ」

冬馬「……」

咲「とうまって結構ヘヴィーな趣味の人だったんだね。知らなかった」

東雲「闇が深いですね」

咲「でもごめんね。あたしはあくまで自分らしく生きるためにこの恰好をしてるだけだから……とうまの気持ちには応えてあげられないかな」

巻緒「冬馬くんドンマイです! 大丈夫、きっといつかは冬馬くんの趣味を分かってくれる人だって現れますよ! 来世に期待して待ちましょう!」

翔太「というか鳩サブレセックスってどういうプレイなの? マニアック過ぎるでしょ」

北斗「人の趣味にとやかく口を出す気はないけど……流石にそこまでディープな性的嗜好はアイドルとして問題だと思うぞ」

冬馬「ねえよ、そんな趣味!!!!」
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/27(水) 17:58:15.13 ID:mdXZLc/AO

巻緒「まあまあ冬馬くん。そう怒鳴ってばかりいたら余計に体力を消耗しちゃいますよ?」

冬馬「主にあんたらのせいなんだけど」

東雲「タイキックも済んだことですし、遅くなりましたがどうぞ本当に召し上がって下さい。
   うちの料理は冷めても美味しいですよ」

冬馬「……いや……だって……これ」

翔太「ほら、カレー風味だよ冬馬君。カレー風味」

北斗「冬馬の大好きなカレー風味だぞ。思う存分腹一杯食べなよ」

冬馬「…………」

巻緒「冬馬くん?」

冬馬「…………食べたくない」

咲「えー!? せっかく頑張ってとうま達のために作ったのにー!」

巻緒「すいません、お気に召してもらえなかったですか……?」

冬馬「…………食べたくない!!!!」

翔太「冬馬君、子供みたいなワガママ言ってないで食べなよ。お腹空いてるんでしょ? 冬馬君のカレーだよ?」

北斗「ああ、冬馬のカレーだ」

冬馬「カレーカレー連呼すんじゃねえよ!!」

東雲「……調理に携わる者としてお残しは許しまへんで?」ギラッ

冬馬「ぐぬっ……!」

咲「ほらほら、なんならあたしがあーんってしてあげるから」

巻緒「さあ、勇気を出して食べましょう? 冬馬くん」

冬馬「ちくしょう……ちくしょう……」グスッ
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/27(水) 18:07:30.68 ID:mdXZLc/AO

 カランコロンッ…

巻緒「……あれ。新しいお客さんかな?」

咲「はいはーい! いらっしゃいませ、何名様で……」


神谷「ああ、よかった。無事に帰ってこれた」

あずさ「あらあら〜。お洒落なお店ですね〜」ヒョコッ

東雲「え?」

翔太「あ、あずささんだ」

北斗「ほんとだ」

冬馬「……まーた765の奴かよ……」ハァ

咲「ええええっ! ほんとに765プロのあずささん!? うそ、本物!?」

あずさ「あら?」


神谷幸広
http://imepic.jp/20160727/621850
同上。カフェパレのオーナー兼ギャルソン。旅行好きだがとんでもない方向音痴
また幽霊が苦手、勉強が出来ないなど見た目に反して実は案外ポンコツ


咲「やっぱり本当の本当にあずささんだ! わあ、やっぱり実物って超キレイ〜!
  それにスタイルもパピッと抜群! ウェスト細ーい! 髪もサラサラ〜!!」キャッキャッ

あずさ「あらあら、うふふ」

咲「キャー! 生あらあらうふふだーっ!!」

巻緒「お帰りなさい神谷さん! でも一体どうしたんですか? そちらの方は?」

神谷「ただいま。いやあ、それが実は例の通りまた迷ってたんだが……。ついさっき同じ状況の彼女に道を尋ねられてね」

あずさ「すみません。事務所に向かうために少し前に一度プロデューサーさんに迎えに来てはもらったんですけど」

あずさ「コンビニに寄るために一旦車を降ろしてもらったらその間にまた迷子になってしまって……」

冬馬「たかがコンビニ行くだけで迷子って……」

あずさ「慌てて連絡しようと思ったらあいにく携帯の充電が切れてしまったの。
    それでたまたま近くにいたこの方に道をお尋ねしたんです」
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/27(水) 18:13:58.82 ID:mdXZLc/AO

東雲「よりによって一番頼んではいけない相手に……」

北斗「でもそれでよくここまで辿り着けましたね?」

神谷「それがそれまで散々迷ってたのが、なぜか彼女と歩き始めてからはまったく方向を間違えることなくすぐに店まで着けたんだ」

冬馬「…………すげえ! マイナスとマイナスが掛け合わされてプラスになった!!」

翔太「それ以上に的確な言葉が見つからないね」

東雲「というかそれなら神谷のの方の携帯で連絡を取ればよかったんじゃ?」

神谷「……あっ!」

あずさ「……あっ!」

冬馬「天然は掛け合わせてもそのまま倍になっただけか……」

巻緒「でもすごいですよ! こんな偶然ってあるんですね! もしかしたらこれって運命なんじゃないですか!?」

咲「えっ! かみや、あずささんと結婚するの!?」

神谷「ええっ!?」

東雲「ふむ。まあこちらとしても神谷の迷子癖が改善されるのなら願ったり叶ったりではありますけど」

神谷「おいおい……」

あずさ「あらあら、そう言っていただけるのはありがたいですけど……」

あずさ「残念ながら今の私は765プロのみんなやファンの皆さんのことが一番大事ですから」

あずさ「確かにいつかは女として誰か一人だけのお嫁さんにはなってみたいけれど
    今はまだ応援してくれる大勢の人達にとってのアイドル三浦あずさでいたいかしら……ふふっ」

咲「あずささん……カッコイイ……」
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/27(水) 18:20:49.86 ID:mdXZLc/AO

冬馬「……いや、でもあんたってそもそも運命の人を見つけるとかなんとかいう理由でアイドルになったんじゃなかったか?」

あずさ「それとこれとは話が別です」キッパリ

冬馬「えっ」

あずさ「別です」

冬馬「……」

北斗「別かあ。別なら仕方ないな」

翔太「別なら仕方ないね」

冬馬「ええ……」

あずさ「それに運命の人候補はもう既に見つけてたり……なーんて。ふふっ、うふふっ」

冬馬「……あのプロデューサーほんといつか刺されねえかなあ」

神谷「俺も結婚とかは全然考えてないよ。正直、俺には放浪癖があるから仮に所帯を持ったら相手の女性に迷惑をかけてしまいそうだし」

巻緒「そんな、神谷さんならそれでも結婚したいっていう女性はいっぱいいると思いますよ?
   あっ、そうだ! なら同じ旅行好きの女の人を探してみたらどうですか?」

神谷「はは、ありがとう。まあでもメキシコで追い剥ぎに遭った時みたいに危険な事件に遭遇する可能性もあるからな。
   そういうことに相手を巻き込んでしまうわけにもいかないよ」

東雲「それが賢明な判断でしょうね」

咲「じゃあじゃあ、かみやはまだ結婚しない? これからもあたし達とずっと一緒にカフェパレやってくれる?」

神谷「ああ、もちろん」

咲「よかったあ〜」ホッ

あずさ「うふふ、いい話ね〜」
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/27(水) 18:40:43.98 ID:mdXZLc/AO

咲「……あっ! あのあの! あたし実はずっと前から765プロのファンで……あずささんの歌も大好きなんです!!」

咲「特にラブリが好きで……すっごくすっごく可愛い曲で、ほんとに何回も何回も聴いてて……」

咲「あっ、もちろん主演の映画も見に行きました! だからその、もしよかったらサインとかって……」モジモジ…

あずさ「まあ、嬉しいわ〜。もちろん喜んで」ニコッ

咲「きゃーっ! やったっ!」ピョンッ

あずさ「私はどちらかというと男性のファンの方が多いから女の子のファンって結構貴重なの。ありがたいわ」

咲「えへへ……」テレッ

巻緒「よかったねサキちゃん!」

冬馬「…………女の子?」

翔太「そこはツッコまなくていいよ。面倒臭いから」

北斗「2人ともとても可愛らしくて微笑ましいね」

冬馬「……というかなんだこの無駄に和気藹々とした空気は」

翔太「いいことじゃん、平和で」

冬馬「だって1人だけタイキックされた上に勝手な性癖まで捏造された俺の立場は?」

翔太「逆に冬馬君に立場あった時あるの?」

北斗「ないよね」

冬馬「なんでだよ! 俺リーダーやぞ! ジュピターのリーダーやぞ!!」

あずさ「よく分かりませんけどいいじゃないですか。
    そちらはちょうど2周年でこれからますます盛り上がっていく時でしょう〜?」

あずさ「私たちなんて既に11年選手で……最近はシンデレラの子たちに押され気味なところもあるし……」ショボ〜ン…

翔太「そういうギリギリかつ生々しいメタ発言はやめてほんと……」

北斗「大丈夫です、シンデレラの方にもあなたの中の人は生きてます。
   それに11年も長くコンテンツが続いていること自体が既にとんでもなく素晴らしい偉業なんですよ」

冬馬「いいだろ別にあんたらにはプラチナスターズあるんだから」

あずさ「……皆さんぜひ買って下さいね〜!」

翔太「露骨に宣伝したよこの人」

北斗「そんなちゃっかりしたところも魅力的ですよ」

冬馬「言っとくが俺らの方だって虎牙道とAltessimoのCD出たんだからな!! ナメんなよ!!」
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/27(水) 23:20:12.90 ID:p3odmmYzO
HOT LIMITになったりそばかすになったりワロタ
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/28(木) 13:02:34.82 ID:n7h8a1Ul0
お尻からカレー系列が最高に酷い(誉め言葉)
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/28(木) 17:03:54.22 ID:Gb59FRDAO

神谷「なんだか俺のいない間に随分盛り上がってたみたいだな」

東雲「天ヶ瀬さん的には盛り下がってたという方が正しいですけどね」

神谷「しかし結婚か。俺も仕事でならやったことはあるけど」

東雲「そういえば神谷は一度式場のプロモーション撮影で新郎役は経験していたんでしたね」

神谷「うん」

あずさ「あの〜、ところで私はこの後どうすれば……」

東雲「ああすいません、気が利きませんで。私からそちらのプロデューサーさんに連絡しましょう。
   迎えを待つ間、あなたもどうぞうちのケーキと紅茶でも召し上がっていって下さい」

あずさ「まあ、それはありがとうございます助かります〜。楽しみだわ〜。
    私、甘いものには目がないものですから……あら?」ガサゴソ

咲「どうしたの?」

あずさ「いえ、今私の鞄の中を見たら何か封筒が……」ピラッ

巻緒「封筒?」

あずさ「私は知らないですし、多分車に乗っている間にプロデューサーさんが入れたものだと思うんですけど」

咲「えっ、ってことはもしかしてあずささん宛てのラブレターなんじゃ!?」

あずさ「えええっ!? ま、まあまあそんな……どうしましょう〜?」オロオロ…

冬馬「オロオロしてる割にはすっげー笑顔だな」

あずさ「……ん? いえ、よく見たらプロデューサーさんの字で“北斗へ”って書いてありますね」

北斗「……俺ですか?」

咲「え゛っ、じゃあまさかほくとへのラブレターなの!?」

東雲「なんでやねん」

あずさ「……どうぞ」スッ

北斗「は、はあ……」

翔太「さっきまで笑顔だったのが途端に今にも舌打ちしそうな顔に変わったね」

冬馬「なんだなんだ。何が入ってた?」

北斗「待って、えーっと……」カサッ

翔太「なになに?」




北斗「…………黒井社長と秘書さんが×××してる写真入ってた」

冬馬・翔太「ブフォッ…!」


 デデーン 冬馬、翔太、アウトー
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/28(木) 17:09:30.53 ID:Gb59FRDAO

冬馬「オッサン……ッ!! っだあああああっっ!!!!」

 バチーンッ!

翔太「無事に結ばれたんだね、よかったね……あ痛ったあああああ!!??」

 バチーンッ!


北斗「……」

翔太「いたたた……ねえ北斗君、それ僕にもちゃんと見せてよ」

北斗「……いや、悪いけどこれはちょっと未成年には見せられないやつだ」

冬馬「どんだけだよ……っつかあのプロデューサー全然本来の自分の仕事に戻ってねえじゃねーか」


<ようこそ〜Cafe Paradeへ〜♪ 最高のパーティーが始まるから〜♪

神谷「……ん? なんだ? 着信音?」

咲「んっ、あたしのスマホだ……誰だろ? ああっ、アスランからだ!」

巻緒「アスランさんから?」

咲「はい、もしもし! もーっ! アスラン何やってるの? こっちは……え、なに?」


咲「……ドラゴンが息を吹き返した? え、なんの話?」


咲「瀕死のドラゴンが死の淵から生還したって……だからなんの……は? よかった? え、ドラゴン蘇ったのに?」


咲「意味分かん……あっ、アスラン!? しばらくこっちに付き添うから店には戻れないって、だからどこに……アスラン? アスラーン!?」





冬馬「……向こうも一命はとりとめたみたいだな」

翔太「こっちもおめでたいね」

北斗「少なくとも黒井社長と龍的にはめでたくはないと思う」
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/28(木) 19:29:58.06 ID:Gb59FRDAO


 ――カフェパレ 店の前

翔太「んん〜っ! ここはここで疲れたけど、とりあえずごはんは食べられてよかったー。お腹いっぱい!」

北斗「最後に神谷さんが淹れてくれた紅茶も美味しかったね」

冬馬「俺は結局あんま食えなかった……」ゲッソリ

翔太「……ん? ねえ、2人とも見て。なんか向こうの方に……」

冬馬「あん?」



大吾「―――!」ペチャクチャ

一希「―――!」ペチャクチャ


兜大吾
http://imepic.jp/20160728/674480
F-LAGSのメンバーの1人。広島出身の六代目。好きなものは「はなまる笑顔」

九十九一希
http://imepic.jp/20160728/674490
同上。元々は小説家である父親のゴーストライターをしていた
読書好きでもあるが趣味はキャンプな意外とアウトドア派



北斗「F-LAGSの2人だね」

冬馬「……次はあいつらかよ」

翔太「なんかスマホ持ってウロウロしてるけど」

北斗「どう見てもポケモンGOやってるよね」
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/28(木) 19:36:43.87 ID:Gb59FRDAO

大吾「ふーむ。案外見つからんもんじゃのぉ〜」テクテク

一希「……ああ」テクテク

大吾「また場所を移って探してみるのも手じゃが……どうする先生?」

一希「……どうするか。しかしなかなか奥が深いな……このポケモンRYOは」


 ザワッ…!!

通行人1「……なに? ポケモンRYO?」ヒソヒソ

通行人2「今絶対ポケモンRYOって聞こえたよな?」ヒソヒソ

通行人3「ああ。それにあの2人……涼ちんと同じF-LAGSの……」ヒソヒソ

 ザワザワザワッ…


通行人1「ということは……ポケモンRYOは……現実?」

通行人2「つまり……涼ちんのポケットモンスター(意味深)をゲット出来るゲームってことか!?」

通行人3「な、なんだってー!?」

通行人1「やらなきゃ(使命感)」



一希「……あ。見つけたぞ」

大吾「おっ、ほんとか先生! なんじゃなんじゃ? なにを見つけた?」

一希「……タマタマとディルドだ。いや、違った。ディグダだった」


 デデーン 全員アウトー





冬馬「……クソがッ! こんな雑過ぎるド直球なネタで……!! んがあっ!!!!」

 バチーンッ!

翔太「なんかだんだん下ネタが露骨になってきてる気がする……ぎゃんっ!!??」

 バチーンッ!

北斗「みんな歩きスマホはしないようにね……ちゃお゛っ!!??」

 バチーンッ!
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/29(金) 09:46:56.08 ID:GQr69How0
涼ちんのディrグダはダグトリオか…
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/29(金) 19:33:16.40 ID:kuCzE/6H0
3つ棒あったところで穴の方はどうするんですかねぇ……
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/29(金) 19:57:50.57 ID:NA0Gk0bAO


山村「皆さん、お昼ごはんはしっかり食べましたか? まだまだ午後は長いですからね、体力を付けることは大事ですよ」テクテク

冬馬「……ほんとどこからともなく現れるなあんた」

翔太「そろそろ賢君のあだ名をニコニコクソメガネにしようかと考えてるレベルだよ」チッ

山村「仮にも国民的弟アイドルと言われてる人がしちゃいけない顔してますよ、翔太くん。
   さて、ところで次は皆しゃ……皆さんにですね」

翔太「また噛んだし……」

冬馬「鬼畜キャラでいくのかポンコツキャラでいくのかはっきりしろよ」

北斗「もう新ジャンル:鬼畜系ポンコツでいいんじゃない?」

山村「皆さんにはこの近くのスタジオで収録見学をしてもらいます!」

冬馬「……見学?」

山村「はい。今ちょうどうちの事務所のアイドル達がお仕事中なので
   ジュピターの3人には是非その様子をじっくり観察して、先輩の立場に甘えきってたるんだ我が身を振り返り、しっかり反省していただきたいと」

翔太「その設定まだ生きてたの?」

北斗「そういえば当初はなんかそんな感じの話だったね」

冬馬「ただの社長とプロデューサーの気まぐれってぶっちゃけてただろあんた」

山村「正直に言わせてもらえば……あなた達にはフレッシュさが足りないんです!」

冬馬「はあ……?」

山村「フレッシュさ、要するに若々しさですね。ジュピターにはその部分が圧倒的に足りていないんですよ」

北斗「そうなの?」

冬馬「どう考えても適当ぶっこいてるだけだろ」

山村「良く言うならジュピターは既に完成され過ぎているんです。
   ぼく達315プロのコンセプトは“理由(ワケ)あってアイドル”ですよね?」

翔太「そうだね」
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/29(金) 20:06:06.74 ID:NA0Gk0bAO

山村「ですからうちのプロダクションに所属しているのは元々は違う職業を持ち、その前職から転身してアイドルになった……」

山村「いわば完全に素人の状態からこの仕事を始めた人達がほとんどなわけです」

冬馬「……まあそれはそうだけど」

山村「そんな中であなた達ジュピターは前職もアイドル。
   確かに場数を踏んでいる分、あなた達はアイドルとしては全体的にレベルが高いです」

山村「歌もダンスもサービス精神も一定以上のクオリティを持ち合わせていることは事実です」

翔太「なんか誉められてるっぽいよ」

北斗「素直に喜べないのは何故なんだろうな」

山村「けれどファンの皆さんが求めているのは必ずしもそれだけではないはずなんですよ」

冬馬「? どういうことだよ?」

山村「みんながアイドルという存在に求めているのは初々しさ、ゼロから始まって少しずつ成長していく姿だと思うんです」

山村「初めから完成されている必要なんてない、逆に親が子を見守るように自分達の手でアイドルの卵を育て上げていく……」

山村「言わば“ワシが育てた”的カタルシスをこそファンは求めているんじゃないでしょうか?」

山村「その点においてジュピターにはそういった伸びしろがやや欠けているんですよ」

北斗「……なんか本当にそれっぽい理由こじつけてきたね」

冬馬「何言ってんだ、俺達だって今もちゃんと成長し続けてるっつーの」

翔太「それに僕たちって315プロ内でも平均年齢は低い方だよね? むしろ将来性は抜群だと思うんだけど」

北斗「まあうちには平均年齢28.3歳の教師ユニットとかいるからね」
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/29(金) 20:15:06.42 ID:NA0Gk0bAO

山村「甘いですよ。うちにはもっと若々しく、もっと初々しい全員が小学生というユニットが存在するでしょ?」

冬馬「……あー。なるほど、もふもふえんか」

山村「おまけに向こうも元子役だったりキッズモデルだったりと芸歴、プロ意識の高さ、共にジュピターに引けは取りません」

北斗「それは確かにすごいことだよね。俺なんて小学生の頃は女の子のことしか考えてなかったし」

冬馬「それは今もだろ」

翔太「僕は遊ぶことしか考えてなかったな〜」

山村「つまりそういうことです。フレッシュさとガッツ溢れる彼らの仕事ぶりを見て
   みんなも初心に返って新しくいろいろなことを学びましょう!」

冬馬「……いまいち納得いかねえけど、まあ他の奴らの仕事を外から見る機会ってのは確かに貴重かもな」

北斗「やっとアイドルとしてそれらしい企画になってきたね」

翔太「まあ今はお腹も膨れて機嫌いいし、僕はそれで構わないよ。
   もふもふえんの子達には前に共演した時助けてもらった恩もあるし」

山村「それではさっそくスタジオの方へ向かいましょう! 皆さん、ぼくの後に付いて来て下さいね」テクテク

冬馬「……はいはい」テクテク

北斗(白鳥)「この格好で大道を歩き回るのか……」テクテク

翔太「そこは今更だよ北斗君」テクテク

タイツ男達「…………」ゾロゾロ…

141 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/29(金) 21:40:34.37 ID:NA0Gk0bAO






 ――某テレビ局 撮影スタジオ


司会「テレビの前のいい子のみんなー! こんにちはー!」

司会「おかあさんとおとうさんと酒と泪と男と女と部屋とワイシャツと私と俺とお前と大五郎の時間だよーっ!」

司会「大人気な楽しいクイズに挑戦! のこのコーナー、今日はスタジオにとっても可愛くて元気いっぱいなアイドルのみんなに来てもらってるよ!」

司会「みんなは一体何問正解出来るかな? 一緒に考えてみてね!」

司会「それじゃあクイズに回答してくれるみんな、元気にごあいさつと自己紹介してくれるかなー?」

志狼「おう! 橘志狼、11歳だ! ミニマムビッグなオレ様の活躍をよーく見てろよな! よろしく!」


橘志狼
http://imepic.jp/20160729/746780
小学生3人組ショタユニットもふもふえんに所属
将来は世界で活躍するダンサーになってお台場に自由の女神ぐらい大きな自分の像を立てさせることが夢なやんちゃ系ショタ


直央「岡村直央、11歳です。えっと、えっと……い、一生懸命がんばるのでよろしくお願いします!」


岡村直央
http://imepic.jp/20160729/746790
同上。元々子役で声優経験もある気弱系ショタ
メガネキャラだがアイドル衣装の時は外していることが多い
母親がジュピターのファンで本人も憧れている


かのん「姫野かのん、9歳だよ! ちちんぷいぷい、ジャスティスキュートッ★ よろしくねっ♪」


姫野かのん
同上。父親がファッションデザイナーであり、そのモデルをやっている
可愛くてキラキラしたものが好きなあざとい系ショタ
実は315プロ内でも上位レベルで闇が深い


柏木「柏木翼、24歳です! よろしくお願いします! カレーは飲み物です!」


 デデーン 全員アウトー
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/29(金) 21:43:35.43 ID:NA0Gk0bAO
>>141
ミスった……修正↓
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/29(金) 21:48:00.66 ID:NA0Gk0bAO






 ――某テレビ局 撮影スタジオ


司会「テレビの前のいい子のみんなー! こんにちはー!」

司会「おかあさんとおとうさんと酒と泪と男と女と部屋とワイシャツと私と俺とお前と大五郎の時間だよーっ!」

司会「大人気の楽しいクイズに挑戦! のこのコーナー、今日はスタジオにとっても可愛くて元気いっぱいなアイドルのみんなに来てもらってるよ!」

司会「みんなは一体何問正解出来るかな? 一緒に考えてみてね!」

司会「それじゃあクイズに回答してくれるみんな、元気にごあいさつと自己紹介してくれるかなー?」

志狼「おう! 橘志狼、11歳だ! ミニマムビッグなオレ様の活躍をよーく見てろよな! よろしく!」


橘志狼
http://imepic.jp/20160729/746780
小学生3人組ショタユニットもふもふえんに所属
将来は世界で活躍するダンサーになってお台場に自由の女神ぐらい大きな自分の像を立てさせることが夢なやんちゃ系ショタ


直央「岡村直央、11歳です。えっと、えっと……い、一生懸命がんばるのでよろしくお願いします!」


岡村直央
http://imepic.jp/20160729/746790
同上。元々子役で声優経験もある気弱系ショタ。母親がジュピターのファンで本人も憧れている


かのん「姫野かのん、9歳だよ! ちちんぷいぷい、ジャスティスキュートッ★ よろしくねっ♪」


姫野かのん
http://imepic.jp/20160729/746791
同上。父親がファッションデザイナーであり、そのモデルをやっている
可愛くてキラキラしたものが好きなあざとい系ショタ
実は315プロ内でも上位レベルで闇が深い


柏木「柏木翼、24歳です! よろしくお願いします! カレーは飲み物です!」


 デデーン 全員アウトー
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/29(金) 22:15:45.06 ID:NA0Gk0bAO

柏木翼
http://imepic.jp/20160729/746800
桜庭薫と同じDRAMATIC STARSに所属。元パイロット候補生。大食い、大柄で大らかなその性格から大型犬と称されている


司会「うんうんっ! みんな大きな声でごあいさつありがとう!
   じゃあさっそくお楽しみのクイズのコーナーいってみよう!」

全員「はーい!!」





冬馬「……なんでだよ……なんであんなに違和感がねえんだ……へぶしっっ!!!!」

 バチーンッ!

翔太「カレーは飲み物て……んぎぃっ!!!!」

 バチーンッ!

北斗「24歳にフレッシュさで負けてる俺達って一体……ごあっ!!??」

 バチーンッ!



山村「年齢を重ねてもいつまでも子供のような純粋さを持ち続けている人もいるってことですよ。
   芸能界の闇に飲まれて汚れてしまったあなた達とは違うんです。見習って下さい」

冬馬「あんた本気で今度ぶん殴るからな」
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/29(金) 22:30:19.23 ID:NA0Gk0bAO

司会「私が問題を出すからみんなは手元のフリップに考えた答えを書いてね!
   さてさて第1問、いっくよー! じゃじゃんっ!」

司会「アイドルグループジュピターのメンバー、伊集院北斗くんの嫌いな食べ物は?
   さあ、最初からなかなか難しいけどみんな分かるかなー?」

志狼「えーっ! そんなの分かるわけねーだろー! ったく……」カキカキ…

直央「えーっと、なんだったっけ。確か……」カキカキ…

かのん「えへへ、かのんは知ってるよ♪ このくらいトーゼンでしょ!」カキカキ…

柏木「うーん、うーん……これかな……いや、やっぱりこっち……」カキカキ…



翔太「……しかもなんかこっちに飛び火してくるっぽいね」

北斗「俺か……」

冬馬「別にこの問題自体は普通だけど……一番ガチに考えてんのが柏木さんって……」





司会「さあ、みんな答えは書けたかな?」

全員「はいっ!!」

司会「はーい、いいお返事! じゃあお姉さんの方に向けて全員いっせいにフリップを見せてね〜!」

志狼「ふふーんっ! ズバリこれだろっ!!」クルッ

志狼の答え『セロリ』


直央「た、多分これで合ってると思います……」クルッ

直央の答え『キウイ』


柏木「これですよね!!」クルッ

翼の回答「サザエの黒くて苦いところ」


かのん「違うよー、これだよ!」クルッ

かのんの回答『世知辛いこの世の中に存在する全ての苦味』


 デデーン 全員アウトー
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/30(土) 00:07:42.75 ID:zMcBl8iAO

冬馬「あいつぜってぇ9歳じゃねえだろ!! あいつぜってぇ9歳じゃねえだろ!! どああっ!!??」

 バチーンッ!

翔太「なんかよく分かんないけどごめんなさいって言いたくなるね……だあっ!!!!」

 バチーンッ!

北斗「かのんさん……っ!! ぐあっ!!??」

 バチーンッ!


山村「流石かのんくん、深い回答ですね」

翔太「深いっていうかエグいんだけど……」


司会「正解は直央くんのキウイでした! うーん、かのんくんは惜しかったね〜」

直央「やった、合ってた……!」

志狼「ちぇーっ、なんだよ。つまんねーのー」

かのん「ええ〜! 絶対かのんの答えの方が正解なのに〜! むぅ〜」

柏木「かのんくんが惜しいならオレの答えも惜しいですよね! ね! そうですよね!!」




冬馬「それだけはねえよ」

北斗「むしろサザエはあの部分が一番美味しいんじゃないか」

翔太「子供向けのクイズ番組でどんだけ食い下がるの翼さん……」

山村「あの何事にも全力投球な姿勢こそが今のジュピターに足りていないものなんですよ。
   子供向けだからってナメた態度で臨むなんて許されません。見習って下さい」

冬馬「もうマジで黙ってろよあんたは」
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/30(土) 00:16:28.70 ID:zMcBl8iAO

司会「それでは続いて第2問! 今度はアイドルグループジュピターのリーダー、あま……あま……あまなんとかくんに関する問題です!」


冬馬「おい」

翔太「もはやこのネタもお約束中のお約束になったね」

北斗「感慨深いな」

冬馬「なんでだよ、普通に覚えやすい名前だろ……?」



司会「鬼ヶ島羅刹くんの彼女いない歴は一体何年でしょうか? さあみんな、これはサービス問題だから分かるよね〜?」

志狼「なーんだ、そんなの楽勝じゃん。どうせならもっとビッグなオレにふさわしい問題にしてくれよな〜」カキカキ…

直央「よ、よかったあ。今度は簡単な問題で……」カキカキ…

かのん「今回はみんな揃って正解だねっ♪」カキカキ…

柏木「よーし、今度こそ……!」カキカキ…




冬馬「……………………」

翔太「……冬馬君、言っちゃなんだけど世間的な認識すらこれってアイドルとして本気で致命傷だと思うよ」

北斗「ある意味フレッシュで初々しいのは事実だな」

山村「そういう意味では汚れてないってことですからね」

冬馬「うるせえよ!!!!!」





司会「みんな答えは書けたかなー? じゃあまたいっせいにフリップを見せてね!」

志狼「うっし、これだ!!」クルッ

志狼の回答『イコール年齢』


直央「これですね」クルッ

直央の回答『イコール年齢』


かのん「これだよね〜♪」クルッ

かのんの回答『イコール年齢』


柏木「これです!!」クルッ

翼の回答『空気嫁がいる』


 デデーン 全員アウトー
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/30(土) 00:25:23.11 ID:zMcBl8iAO

冬馬「確実にあの人の方がアウトだろ!!!! ダメだろこれは!!!! マジで!!!! カメラ止めろ!!!!! ぬがっ!!??」

 バチーンッ!

翔太「……まさかここに来てこんなとんでもない核弾頭が現れるとは……痛っづっ!!!!」

 バチーンッ!

北斗「あんなキラッキラした澄んだ瞳で……ばうっ!!!!」

 バチーンッ!



志狼「……? 空気嫁? なんだそれ」

直央「空気の……お嫁さん? 架空の存在ってことかな?」

かのん「妖精さんの恋人がいるの?」

柏木「いえ、どっちかというと冬馬くんの方が魔法使いですね!!」

志狼「えっ、とうまって魔法使えんの!? スゲー!!」

直央「わあ、さすがジュピターは違うなあ。カッコイイです……!」

かのん「ふーん。でもそのお嫁さんって具体的にはどういう人?」

柏木「具体的に言うと穴が開いてて膨らませる感じです!!」

志狼「穴……ドーナツ?」

直央「風船?」

かのん「……気球?」

柏木「感覚的にはそんな感じですね!! ギルティです!!」



冬馬「あんたが一番ギルティだよ!!!!」

翔太「実際のとこどうなの? 冬馬君。空気嫁いるの?」

冬馬「いるわけねーだろ、流石にそこまで堕ちてねーよ!!」

北斗「でもフィギュアのパンツは覗いてるんだろ?」

冬馬「………………覗いてない!!」

山村「重傷ですね」
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/30(土) 11:36:35.42 ID:7aFBNPFK0
柏木さんェ…
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/30(土) 14:11:18.49 ID:sLubdMh9o
???「どうせ白」
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/30(土) 21:12:37.55 ID:zMcBl8iAO

柏木「大丈夫です冬馬くん!! オレにも彼女はいないですから!! 仲間ですね!!」

冬馬「それでフォローのつもりか?」

柏木「でもオレはデッカイです!!!!」

冬馬「なにが!!??」

柏木「カマトトぶらないで下さい! 本当は分かってるくせに!」キッ!

冬馬「あんた本当になんなんだよ!?」


志狼「? でっかい?」

直央「大きい、ですか?」

かのん「おっきいの? なんのこと?」

柏木「それはですね……」

冬馬「おいやめろ!! あんた小学生相手になに言うつもりだよ!?」

柏木「もちろん身長ですよ」

冬馬「……えっ」


志狼「あー。確かにつばさはデッカイよなー。まっ、その内オレが抜かすけど!」

直央「182センチですよね。それに手も足もみんなおっきくて……いいなあ、憧れちゃいます!」

かのん「おまけに器も大きいよね」

志狼「とうまと違ってちょっとやそっとじゃキレないしな!」

柏木「あはは。すいません、デカくて。無駄に場所取っちゃって邪魔ですよね。頭もよくぶつけるしほんと不便で不便で」

冬馬「………………」




冬馬「なんでだ……絶対おかしいのは向こうのはずなのになんでこっちの心の方が汚れてるみたいな気にさせられるんだ……」

山村「実際汚れてるからじゃないですか?」

冬馬「いい加減にしねえとその口縫い付けるぞ」

北斗「確かにデカいと不便なことは多いんだよね」←180センチ

翔太「……」←163センチ
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/30(土) 21:24:31.97 ID:zMcBl8iAO

司会「はいはい、みんな勝手に騒がないー! 正解はもふもふえんのみんなのイコール年齢でした!」

もふもふ「わーい!」

柏木「あれぇ? なんでだろう、外しちゃいました」

冬馬「当たり前だ」


司会「さて、続けて第3問目はアイドルグループジュピターのメンバー、御手洗翔太くんの問題だよ!」

翔太「……うわ、来たよ」

司会「あざといキャラ作りと高い身体能力で有名な翔太くんですが
   その翔太くんが唯一出来ないスポーツはなんでしょう? さあみんな、これは分かるかなー?」

志狼「おっ、これは知ってるぜ! へへっ、正解はもらったー!」カキカキ…

直央「ボクもこれなら……」カキカキ…

かのん「うん、かのん達にはジュピターと一緒にテーマパークで海賊のCM撮影やった時のことがあるもんね〜♪」カキカキ…

柏木「ええ? えっとえっと、なんだっけ……どうしよう……」カキカキ…




翔太「……あざといキャラ作りのくだり要る?」

冬馬「いるだろ」

北斗「まあそこが翔太の売りのひとつだから」

山村「プロ根性があるって意味ではいいことだと思います」

翔太「言っとくけど僕は素でこれなだけだからね?」




司会「答えは書けたかな? うん、じゃあみんないっせいにフリップをどうぞ!」

志狼「おっし、これ!!」クルッ

志狼の回答『水泳。カナヅチだから』


直央「こ、この答えは自信アリです!」クルッ

直央の回答『水泳』


かのん「これですー」クルッ

かのんの回答『スイミング』


柏木「これだと思います!」クルッ

翼の回答『夜の社交ダンス』


 デデーン 冬馬、北斗、アウトー
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/30(土) 21:35:46.38 ID:zMcBl8iAO

冬馬「この人ほんと絶好調だな……ずあっ!!??」

 バチーンッ!

北斗「ドラスタってこんな人達だったっけ……? あぐっ!!?」

 バチーンッ!


翔太「……いや、ちょっ……は? なに言ってんの……?」

志狼「? しょうたはダンス得意だよな?」

直央「うん。ボクたちの事務所の中でもトップクラスだよね」

かのん「社交ダンス……1人でやるダンスなら得意だけど2人でやるダンスは苦手ってこと?」

柏木「かのんくん鋭いですね!! その通りです!!」

翔太「その通りじゃねーよ」

北斗「翔太、口調口調」

冬馬「さっそく作ったキャラが崩れ落ちてんぞ」

山村「まあ翔太くんは翼さんと違って小さいですしね」

翔太「ぶち殺すぞクソメガネ」

柏木「あと翔太くんは被ってるって聞いたんですけど本当ですか!?」

翔太「はっ!?」

冬馬「ゴフッ!」

 デデーン 冬馬アウトー


翔太「なに笑ってんだ冬馬コラァ!!!!!」

冬馬「くくくっ……こ、こんなもん笑うに決まってんだろ……ガファッ!!??」

 バチーンッ!


柏木「大丈夫です翔太くん!! 中学生なら被ってても全然普通です!! 大丈夫です!!」

翔太「」

冬馬「っふ……だ、だよな。中学生なら別に被っててもおかしくねえよ。気にすんなって」

北斗「そうだね。翔太はまだ中学生だからね。被っててもそれはしょうがないよ。まったく気に病む必要はないさ」

柏木「むしろ翔太くんのファン層の大きいお兄さんお姉さん的には大歓喜な情報だと思います!!!!」

翔太「翼さんはマジで黙ってて!!!!」
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/30(土) 21:43:01.14 ID:zMcBl8iAO

志狼「??? 被ってる……?」

直央「どういうことだろう……ああ、確かにフードの付いてる服はよく着てるよね。あと帽子もよく被ってるし」

かのん「もしかしてしょうたくんもきぐるみ好きなの? かのんと一緒だね!」

翔太「お願いだから君たちは喋らないで……」

柏木「本当のところどうなんですか翔太くん!! 被ってるんですか!?」

翔太「だからなんの話!?」

冬馬「そりゃナニの話だろ」

翔太「……」バキィッ!

冬馬「痛ぇぇぇ!? 暴力反対!! 暴力反対!!」

柏木「え? いえ、ですから猫被ってるって聞いたんですけど……」

志狼「あ、それは被ってる」

かのん「被ってるよね」

直央「ご、ごめんなさい。ボクも被ってると思います」

冬馬「被ってるよな」

北斗「被ってるね」

山村「被ってますね」

翔太「被ってない!!!! どっちも被ってない!!!!」
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/31(日) 00:12:17.54 ID:o1uVKeBoo
ドラスタの破壊力ヤベェな
あ、てんてるには期待してないんで
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/31(日) 11:25:11.45 ID:2gzh+3sSO
今度余計なことを言うと口を縫い合わすぞ
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/31(日) 12:07:53.82 ID:6rilsjSAO

北斗「翔太がここまで必死になる姿なんて珍しいな。貴重だね」

冬馬「お前には普段散々からかわれてる分の恨みがあるからな。いい気味だ」

翔太「いいの!! 僕は!! 可愛いから!! それでいいの!! すべて許されるの!!」

山村「自分に甘い人だなあ」

柏木「ゆとり教育の弊害ですね!」

かのん「えー。でもはっきり言ってしょうたくんってそんなに可愛くはないと思う」

翔太「………………は?」

かのん「それよりもー、かのんの方がずーっとカワイイと思うの」

翔太「……」

かのん「だってしょうたくんってヘンな髪型だしー、アイドル衣装に付いてるあの謎のモコモコも便座カバーみたいでヘンだしー」

翔太「……」

かのん「しかも名前までトイレだもん。絶対かのんの方がカワイイよねー?」

翔太「おいコラ表出ろやクソガキ」ガタッ

 デデーン 冬馬、北斗、アウトー


冬馬「お前なあ……9歳の子供相手に……んなあっ!?」

 バチーンッ!

北斗「流石にそれは大人気無いよ翔太……ぐえっ!?」

 バチーンッ!


かのん「しろうくんとなおくんもそう思うよね?」

志狼「んー? まー、かのんの方が若い分ピチピチだしなー。おしゃれにもすっげー詳しいし」

直央「えっと……ボ、ボクも同じユニットとしてかのんくんの方に味方したいと……。
   あっ、で、でもしょうたくんもすごく可愛いと思います!」

かのん「ほらほら、3対1だよ〜」

翔太「………このジャリガキ、本気で芸能界の闇見せてやろうか?
   一からその身体に上下関係叩き込んで奥歯ガタガタいわせてやろうか? あ?」ゴゴゴゴゴ…
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/31(日) 12:21:00.43 ID:6rilsjSAO

冬馬「だから小学生相手にムキになるなって……」

北斗「冬馬はあんまり人のこと言えないと思うけどね。ほら翔太、そんなに怒らないで。
   いいじゃないか、翔太のことを好きなファンだってたくさんいるんだから」

翔太「……は? なに言ってんの?」

翔太「僕は生まれた時から姉3人にずっと蝶よ花よとちやほやされ
   末っ子の特権をフルに利用してどんなワガママもひたすら泣き落としですべて強引に押し通し」

翔太「常に可愛い可愛い翔太が一番と溺愛され持ち上げられ最高にヌルい環境で散々甘やかされて育った自他共に認めるゆとりの権化たる男だよ……?」

冬馬「とんだクソ野郎じゃねーか」

山村「ゲスの極みですね」

翔太「いつだって僕が弟キャラ界で一番可愛くてカッコよくて最高なんだよ。年下? 後輩? 小学生?
   関係ないね。出る杭は全て片っ端から正々堂々叩き潰すのみだよ」

冬馬「いや、お前は可愛くねえよ」

翔太「はあああああ!?」

冬馬「見た目はともかく中身があざと過ぎるからな翔太は。すぐ人にイタズラ仕掛けてきやがるし」

翔太「違うよ! それはアレだよ! 親愛の裏返しだよ! ただのツンデレだよ!」

冬馬「無理矢理ゴリ押ししてる時点でそれはもはやツンデレでもなんでもねえよ。ルイズと沢近に謝れよ」

翔太「そんなことない!! 北斗君、絶対僕の方が可愛いよね!?」

北斗「ん? まあ少なくとも俺からしたら翔太の方が可愛いよ。既に翔太は俺にとっては本当の弟みたいなものだからな」

翔太「北斗君……!」ウルッ

冬馬「だーからそうやってお前がすぐ甘やかすから付け上がるんだっつーのに……」

翔太「そうだよねっ! 僕が一番だよねっ! やっぱり北斗君だけはいつだって僕の味方だよ〜!」

北斗「俺達はもはや運命共同体だからね。当然のことを言ったまでだよ」

翔太「……えへへっ♪ ありがとう北斗君! だーいすきっ!」

北斗「ふふっ!」


 デデーン 北斗、翔太、アウトー


北斗・翔太「!?」

冬馬「アホだろお前ら」





 バチーンッ!

北斗・翔太「アリスッ!!!!」
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/31(日) 12:25:47.29 ID:rsKRgMDPo
ルイズと沢近って微妙に古いツンデレだなwwwwww
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/31(日) 14:18:45.95 ID:ewt02EQn0
古いツンデレってか最近のはツンデレを間違って使ってるキャラしかいないし
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/31(日) 23:45:00.99 ID:ebQN1y+jo
てんてるのハードルが上がっていくな
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/08/01(月) 01:25:10.09 ID:SIEFtGlso
酷いSSだ、もっとやれ!
あまとうと語り合いたいね
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/01(月) 21:24:57.44 ID:ib8z3oKAO

翔太「痛い……ふんっ、でもこれで僕の方が可愛いってことが証明されたね! あの北斗君の証言だよ? これはガチ!!」

かのん「でもそれ無理矢理言わせただけだよね。同じグループゆえのただの同情票っていうか」

翔太「あ?」

かのん「第一そういう必死過ぎるところがまずもう全然可愛くないもん。
    しょせんは作った紛い物のキャラなんて砂上の楼閣、あと数年もして今の容姿すら失ったら終わりだと思う」

翔太「おいチビガキ、本気で沈めるぞ」




冬馬「……なあ、あいつ本当に小学生か? 真剣に怖いんだけど。
   俺なんてあの頃はマジでサッカーと給食の牛乳争奪戦のことしか考えてなかったぞ?」

北斗「わかめごはんの日とかテンション上がったよね」

冬馬「……え、お前給食食ってたのかよ?」

北斗「冬馬は一体俺のことをなんだと思ってるんだ」

山村「北斗くんの小学生時代ってまるで想像出来ないですよね」

冬馬「なんだ、てっきりお前は生まれた時から既に今の姿だったのかと思ってたぜ」

北斗「俺の母親はどれだけ出産頑張ったんだ」
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/01(月) 21:29:07.31 ID:ib8z3oKAO

司会「はーい、はーい、みんな静かにー! 答えはまたもふもふえんのみんなの水泳でした!
   直央くんはここまでなんと全問正解! すごいね〜」

直央「えへへ……」

志狼「なんだよー、結局またなおが一番かよー」

かのん「でもかのん達も1つ間違えただけだよ! 人生設計は間違えてないしね!」

柏木「えー!? オレの答えじゃダメなんですかぁ!?」



翔太「当たり前でしょ」

冬馬「……ぶっちゃけ直央が一番素直で純粋で可愛いよな」

山村「キッズアイドル界の良心ですね」

北斗「割と本気で9歳でアレは闇が深すぎると思う」

柏木「あっ、なるほど分かりました!! つまり翔太くんは夜もカナヅチってことですね!?」

翔太「なんで何でもかんでもそっち系に繋げようとするの? なにこれイジメ?」

柏木「でも人間って不思議ですよね! だって生まれる前はみんな父親の××××の中でおたまじゃくしとして泳いでたのに、生まれてからは泳げなくなっちゃう人もいるなんて!!」

冬馬「ほんといい加減にしとけよあんた」
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/01(月) 21:41:24.82 ID:ib8z3oKAO

司会「それじゃあ次が最後の問題です! ラストはジュピター全体に関するクイズ!
   とっても難しい問題だけど果たして直央くんは見事パーフェクトを穫れるのでしょうか!?」

直央「が、がんばります!」

北斗「まだ続くのか……」

冬馬「……これでやっと終わると考えようぜ。これさえ終わればこの地獄から解放されるんだ」






司会「2010年9月18日(土)に突如巻き起こり、世間を震撼させた例の……」

冬馬「ちょっと待て」

北斗「これはまずい」

翔太「カメラ止めて、マジで」

司会「……はい?」


司会「えっと、なにか私まずいこと口走ってしまったでしょうか……?」

冬馬「むしろまずさしかねえんだけど」

北斗「可愛い顔してとんでもないこと言いますね司会さん」

翔太「本当の核弾頭はこっちのお姉さんだったよ」

司会「えーっと……ちょっとよく分からないですけど、もしかしてこれはそちらの事務所的にはNGという感じで?」

冬馬「うちの事務所とか関係なくNGだよ」

北斗「どうしてわざわざそんなギリギリのところを攻めようとするんだ……」

司会「申し訳ありません……じゃあ仕方ないので出題部分は飛ばして答えだけ言っちゃいますね!!」

翔太「いや、なんで?」

司会「正解は『可能性を生み出しただけでアウトなんだよ』でしたー!!」

冬馬「やめろ!! おい!!!!」


 デデーン ジュピターの存在自体がアウトー


冬馬「うっせえよ!!!!!」
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/01(月) 21:47:53.11 ID:ib8z3oKAO

司会「これは……本当にとっても難しい問題ですよね……悲しい、事件でした……」

翔太「難しいってそっちの意味!?」

山村「でもこの件がなかったらそもそも315プロ自体が存在していなかったかもしれないんですし」

冬馬「……いや……まあ、それは……」

柏木「そうですよ! ジュピターの皆さんにはオレ、本当に感謝してます!!」

翔太「……」

直央「は、はい。ボクもジュピターのみんなのことすっごく尊敬してますし……。
   それにボクのお母さんもいつもジュピターかっこいいって言ってます! 元気出して下さい!」

北斗「……岡村君」


志狼「そーそー、いじってもらえてる時点で全然オイシイじゃん。気にすんなって!」

冬馬「志狼……」


かのん「かのんもそう思うー。なんだかんだでジュピターが可能性を生み出してくれたおかげでかのん達だって今ここにいられるんだもん」

翔太「クソガキ……」



司会「なんかいい話でまとまりましたね!! めでたしめでたし!!」

冬馬「あんたいい性格してんな」

北斗「俺はそういう女性も好きだけどね……」

翔太「……ああもう本気で帰りたい。帰ってシンゴジラ見に行きたい」
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/02(火) 10:39:47.54 ID:EK1vDlSS0
あれは哀しい騒動だった…(遠くを見詰める目)
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/02(火) 20:24:36.80 ID:V/E1TQrAO

冬馬「そういやシンゴジラって評判いいらしいな。俺も今度見に行くか」

翔太「連れてってくれるの? じゃあキャラメルポップコーンも奢って」

冬馬「一人で行けボケ。あとシンエヴァはどうなってんだよシンエヴァは。なにがQだよ」

北斗「俺はQはQで楽しめたけど……」

冬馬「あと俺がエヴァに求めてんのはヤマトじゃねえから。ヴンダーとかどうでもいいから、もっとエヴァが暴れてるところ見せろよ」

翔太「僕はアスカ派だからシンには期待してるよ」

冬馬「ざけんなよ、惣流はともかく俺は式波は認めてねえぞ。
   安易にデレ過ぎなんだよ式波は。あと誰がなんと言おうが一番は綾波だから」

北斗「まあ綾波は綾波で破で安易にデレてたけどね」

冬馬「いいんだよポカ波は可愛いから。あー俺も味噌汁作ってもらいてえ」

北斗「みんなはもっとミサトさんとリツコさんの大人の女の魅力に気付くべきだと思う」

冬馬「流石に四十路の方はちょっと……」

翔太「あれだけシンジ君に頼りまくってたのに何もしないでとか言っちゃう人とオネエ化した人はちょっと……」

北斗「よーし、戦争だ」



司会「はいはい、ヒロイン論争も大概にして、じゃあ番組の最後はいつものお歌のコーナーだよ!
   今日はなんとゲストに豪華な人も呼んでます! みんな大好きな歌のお姉さんだよー!!」

冬馬「……歌の……お姉さん……?」

翔太「まさか……」

北斗「この流れは非常に危険だぞ……」








千早「どうも、板のお姉さんです」

 デデーン 全員アウトー
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/02(火) 20:31:43.65 ID:V/E1TQrAO

志狼「あっ! 板の姉ちゃんだ!」

直央「わあ、板のお姉さん!」

かのん「わーい、板のお姉さんだ〜!」

柏木「板のお姉さん!」

千早「こんにちは。歌のお姉さん改め、まな板のお姉さんこと如月千早です」キリッ

志狼「ほんとだ! すげーまな板じゃん! かなりまな板だよコレ! まな板にしようぜ!」

千早「フフ……」



翔太「……だからなんで千早さんはそんなに嬉しそうなの……あだあっ!!??」

 バチーンッ!

冬馬「あいつのあの笑いに賭ける情熱は一体どこからやって来るんだよ……ぐおあっ!!?」

 バチーンッ!

北斗「……心のずっと奥の方じゃない? あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」

 バチーンッ!


山村「流石765プロ。あなた達とは気合いと覚悟の度合いが段違いですね。見習って下さい」

冬馬「そんな覚悟いらねえよ……」


千早「それではさっそく聴いて下さい。如月千早で『目が逢う瞬間』」

冬馬「だから歌わなくていいっつーのに……」

千早「……」スゥーッ…







千早「目と目が逢う 瞬間 無乳だと気付いたー♪」

冬馬「……まあどうせそんなとこだろうと思った」
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/02(火) 20:39:52.36 ID:V/E1TQrAO

千早「あなたは今どんな気持ちでいるの?」

冬馬「いたたまれない気持ちだよ」


千早「戻れない胸板だと 分かっているけど……」

冬馬「大丈夫だって。まだこれからだってお前は。もっと頑張れよ。諦めんなよ」


千早「少しだけこのまま瞳 そらさないで〜♪」

冬馬「いや、やっぱ無理。全力で逸らす」

翔太「……冬馬君、いちいち冷静なツッコミ入れるのやめようよ」

北斗「正直冬馬の余計なツッコミのせいで笑っちゃってる部分が大いにあるからね」


千早「たくさんの乳の波 あの人にだけは分かる♪」

冬馬「まあそりゃ分かるだろ。山脈の連なりの中に一つだけ谷があるんだから」


千早「つないだ胸の強さ あの頃のパイが今動き出すの♪」

冬馬「なあ、自分で自分の名曲ぶっ壊して楽しいか?」


千早「Ah〜揺れない気持ち Ah〜奪ってほしい♪」

冬馬「だから無いものは奪えないだろ無いものは」

北斗「冬馬、それ以上は本気で千早ちゃんのファンに刺されるぞ」

翔太「いい加減その自分から全力で喧嘩売りに行くスタイル改めなよ冬馬君。そんなんだからすぐ業界に敵作るんだよ」



千早「目と目が逢う 瞬間 無乳だと気付いた〜♪」


千早「あなたは今どんな気持ちでいるの?」


千早「戻れない胸板だと 分かっているけど 少しだけこのまま瞳 そらさないで〜♪」


千早「……ありがとうございました」ペコリ
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/02(火) 20:55:56.76 ID:V/E1TQrAO

志狼「おー! スゲー!」パチパチ

直央「とっても上手くて感動しました! すごいです!」パチパチ

かのん「お姉さんお歌上手〜! どうやったらそんなに上手に歌えるの?」パチパチ

柏木「流石歌姫と呼ばれる人ですね! こんなところで貴重な生歌が聴けるなんて……オレ、アイドルになってよかったです!
   オレもあなたくらい上手くなれるようもっと頑張ります!」パチパチ

千早「いえ、そんな……私なんてまだまだです」




冬馬「……なんであいつらはあんなに普通でいられるんだ?」

山村「その常に平常心を保っていられる精神力の強さがあなた達と他のアイドル達との格の違いなんですよ。見習って下さい」

冬馬「とりあえずそれ言っときゃいいと思ってんじゃねえぞ」

翔太「まあでも実際千早さんは本当に歌唱力高いよね。持ち歌もみんないい曲だし。羨ましいよ」

北斗「確かによく考えたら彼女の歌を間近で聴ける機会なんて光栄だよね」

冬馬「お前らだんだん感覚麻痺してきてねえか? あいつのせいで俺ら何回もケツ叩かれてんだぞ?」

北斗「千早ちゃんの歌のためなら俺は悪魔にでも余裕でケツを差し出すよ」

翔太「その言い方は誤解を招きそうだからやめて」

冬馬「真っ当に歌ってくれんならまだいいんだけどな……」
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/02(火) 22:32:09.98 ID:hRNgGbkSO
まな板にしようぜ!
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/02(火) 23:04:30.75 ID:V/E1TQrAO

かのん「あっ、そうだ! ねーねーお姉さん!」

千早「はい?」

かのん「お姉さんはかのんとしょうたくん、どっちの方が可愛いと思う? どっちの方が国民的弟キャラの座にふさわしい?」

翔太「!」ピクッ

北斗「あ、その話題まだ引っ張るんだ」

翔太「……」

千早「……そうね。ここは弟ソムリエたる私が公平な判断を下すべき時ね」

冬馬「なんだよ弟ソムリエって」

柏木「ソムリエっていい響きですよね! なんだかお腹が空いてきました!」

山村「かのんくんには妹がいるから正確にはお兄さんなんですけどね」


千早「……うーん」ジッ

かのん「やっぱりかのんの方だよね〜?」キャピッ

翔太「何言ってんの、僕に決まってるでしょ」

千早「…………」ジーッ

北斗「……なんなんだろう、このカオスな状況」


千早「…………違うわ」フルフル…

かのん「えっ?」

翔太「……ん?」


千早「違う……どっちも違う……ッ! こんなの優じゃない! 全然優じゃないわ……ッ!!」

冬馬「ヤベェ、なんか変なスイッチ入った」

千早「優は……優はもっと名前の通り優しくて……絵を描くのが上手くて……純粋で……」

千早「素直で……可愛くて……こんなあざとさの塊みたいな不純な存在じゃない……ッ!!」

冬馬「不純な存在だとよ」

翔太「…………」

かのん「…………」


千早「優……私を置いて一体どこへ行ってしまったの……」

冬馬「お前がどこへ行っちまったんだよ」

北斗「だからそういう無駄なツッコミを入れるな」


直央「あ、あの……」

千早「……え?」
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/02(火) 23:16:14.55 ID:V/E1TQrAO

直央「えと……その、う、上手く言えないですけど、そんなに落ち込まないで下さい!
   あっ、ボクなんかが偉そうなこと言える立場じゃ全然ないけど……」

千早「……」

直央「でも、あの、事情はよく分からないですけど……きっとお姉さんの弟さんも今頃天国でお姉さんのこと優しく見守ってくれてると思います!」

千早「……」

直央「だってお姉さんは本当にとっても歌が上手で……テレビでもいっぱい活躍してますし……。
   だから、えっと……弟さんにとっても絶対自慢のお姉さんだと思うんです」

千早「……」

直央「……元気出して下さい。それくらいのことしかボクには言えないけど……」

千早「…………優!!」ガシッ

直央「えっ」

千早「あなたこそ優! まさしく優だわ!!」

直央「えっえっ」

千早「その心優しいところ……あと黒髪! それと、えーっと……黒髪!」

冬馬「その部分だけかよ」

千早「優……こんなところにいたのね……」ジワッ

直央「あの、ボクは優さんという人じゃ……」

千早「いいえ、あなたは優よ。優だわ。優に決まってる。絶対優よ」

冬馬「無理矢理過ぎんだろ」

直央「ち、違います! ボクは岡村直央っていいます。優さんという人じゃありません」

千早「……!」


千早「そう……そうね。優はもう……いない……。身代わりを求めても虚しいだけ……。
   だって優の代わりなんて誰にも務まらないのだから……」

翔太「……こういう時どんな顔すればいいか分かんないんだけど」

北斗「……泣けばいいと思うよ」





 バターンッ!!

春香「千早ちゃん……!!」

千早「…………春香!?」

冬馬「あ、天海来た」
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/02(火) 23:33:26.99 ID:V/E1TQrAO

春香「千早ちゃん……」ツカツカツカ…

千早「や……やめて。来ないで……」

春香「……千早ちゃん」ツカツカ

千早「……いやっ! 今の私を春香に見られたくない! こんな、こんな弱くて醜い私を……!」

春香「千早ちゃん」ギュッ

千早「あっ……」

春香「……うん。辛かったよね。でももう大丈夫だよ千早ちゃん。私はいつだって千早ちゃんの味方だよ」ナデナデ

千早「……」

春香「確かに優くんはもういないかもしれない……けど、私や765プロのみんなやプロデューサーさんはずっとずーっと千早ちゃんと一緒だもん」

千早「……だって……だって!」

春香「……私は我慢とか背伸びしてもカッコつけた千早ちゃんが好き……大好き。
   だからそんな悲しい顔しないで。一人で泣かないで」

千早「……でもっ!」

春香「ううん。ごめんね。やっぱり泣いたっていいよ。千早ちゃんが寂しい時は私が必ず側にいる。
   千早ちゃんが泣き止むまでずっと側にいるから……」

千早「……はる、か……」

春香「だから……だからお願い。そんなに自分を追い詰めないで。
   千早ちゃんがあんまり辛い顔してるとこっちまで胸が苦しくなっちゃうよ」ギュウッ

千早「……」





冬馬「……俺達は一体何を見せられているんだ」

山村「はるちはわっほいですね」

春香「さあ、顔を上げて? 千早ちゃん」

千早「……ぐすっ。ええ」ゴシゴシ

春香「そして戻ろう……輝いたあのステージへ!!」

千早「春香……!!」
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/03(水) 01:25:17.68 ID:HsIYeWdAO

春香「ふふ……さ、行こう。千早ちゃん」

千早「そうね……春香。ふふっ」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

春香「じゃあお邪魔しました。千早ちゃん、せっかくだから何か食べて帰ろうか?」

千早「ええ。春香は何が食べたい?」

春香「千早ちゃんの好きなものを私も食べたいな。千早ちゃんが美味しそうに食べてる姿を見てるのが幸せだから」

千早「もう、春香ったら……」

春香「えへへ……」

千早「うふふ……」

 スタスタスタ… バタンッ!


冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」


冬馬「……なんか普通に帰ったぞあいつら」

翔太「そうだね。普通に帰ったね」

北斗「普通だね」

冬馬「如月はともかく天海は何一つ面白いこととか言わないまま帰ったぞ」

翔太「そうだね。普通だったね」

北斗「……普通、だね」

冬馬「なんか最終的にオチとかなくただイチャついてただけだったぞあいつら」

翔太「そうだね。イチャついてただけだったね」

北斗「……イチャついてただけ、だね」

冬馬「……あいつ来た意味あるか?」

翔太「……特にないね」

北斗「……ないよね」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」


木星「フフッ……ww」

 デデーン 全員アウトー
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/03(水) 01:41:37.50 ID:HsIYeWdAO

冬馬「………フェイントかけてきてんじゃねえよ!! ぐあっ!!??」

 バチーンッ!

翔太「何もなくて笑わされるってどういうことなの……い゛あっ!!??」

 バチーンッ!

北斗「コスパ最強じゃないか……がああっ!!??」

 バチーンッ!


山村「自らは動かずとも見事敵を陥落させる。流石メインヒロインの貫禄ですね」

翔太「それ絶対違う……」



 ガチャッ!

春香「そうそう、冬馬くん! ごめんね言い忘れてた!」

冬馬「……あ?」

春香「その765パーカーすごくよく似合ってるよ! なんか秋葉原にいそう!」グッ!

冬馬「やかましい!!!!」


司会「それじゃあ今日の放送はここまでだよ! クイズの優勝者は直央くん! おめでとう! みんな来週のこの番組もお楽しみにね〜♪」

志狼「絶対見てくれよな!」

直央「さ、さようなら!」

かのん「ばいばーい!」

柏木「また見て下さいね〜!」

冬馬「こんなもん放送出来ないに決まってんだろ」

178 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/03(水) 22:16:28.67 ID:HsIYeWdAO



 ――某テレビ局前

山村「皆さん、もふもふえんのみんなと翼さんの仕事姿を見て新しくいろんなことは学べましたか?」

冬馬「学べるわけねえだろ。何一つ参考にすべきものがなかったわ」

北斗「……一応反面教師という意味では勉強になったかな」

翔太「とりあえず直央ちゃんと志狼君はともかくあのクソチビだけはいつか絶対潰す」

冬馬「お前もチビだろ」

北斗「中2で163センチだからそんな小さいわけでもないんだけどね」

山村「はいはい、勝手なお喋りはしないで下さいね。
   さて、それでは先刻まではみんなにはアイドルとしての勉強をしていただきました……が、今度は本当の勉強をしてもらいます!」

冬馬「……は? 本当の勉強?」

山村「ええ。学生の本分はなんといっても勉強ですからね。いくら芸能人だからといってそちらには手を抜いていいという理由にはなりません」

山村「忙しいスケジュールの合間を縫ってそれでも文武を両立しようとする真面目な姿にこそファンの皆さんは深く感銘を受け、さらに応援したいという気持ちになってくれるはずです」

翔太「えー!? そんなの関係ないよー! なんでわざわざ学校以外のところで勉強なんかしなくちゃなんないのー?」

山村「そういう世の中に対する甘えが翔太くんのような純粋培養のゆとりを日々日本の現代社会に生み出しているんですよ」

北斗「まあ確かに勉強はしておくに越したことはないかもしれないけど……」
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/03(水) 22:20:12.18 ID:HsIYeWdAO

山村「それにあまりに勉強が出来ないとその内生粋のアホアイドルとして
   某番組の抜き打ちテストでWBT(ワールドバカ冬馬)の不名誉な称号を与えられる可能性も無きにしも非ずですよ?」

冬馬「ぐっ……それは嫌だ……」

山村「そうなってしまわないためにも手遅れにならない今の段階からきっちり教養を身に付けていきましょう。
   きっと皆さんの将来に役立つ知識が得られるはずですよ!」

北斗「……得られないと思うけど既に反論するのも面倒臭くなってきたよ」

山村「それじゃあこの先にある進学塾に皆さん専用の席を用意してもらっているのでさっそく移動しましょうか!」

冬馬「……そこまでやるのか。マジでそのための金は一体どこから捻り出してんだよ」

翔太「塾とか僕がこの世で歯医者の次にもっとも嫌いな場所だよ……」
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/03(水) 22:24:45.52 ID:HsIYeWdAO


 ――某進学塾 教室

山村「到着しましたね。ではぼくはここで一度失礼します。授業が終わったらまた迎えに来ますので」

冬馬「……あんた本当自分にとって都合の悪い部分は見事に回避していくな」

山村「みんなはしっかり勉強してこの講習が終わった後は是非一皮剥けたアイドルになって出てきて下さいね! 特に翔太くん!」

翔太「……なんで僕だけ強調したの」

山村「一皮剥けた大人になって下さいね!!」

翔太「だからなんで2回言うの!?」

冬馬「剥けてないからだろ?」

翔太「ほんとに後で冬馬君は殺す。絶対殺す。3回殺す」

北斗「まあまあ……」

山村「頑張って下さいね〜!」

 スタスタスタ… バタンッ!


冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/03(水) 22:34:02.90 ID:HsIYeWdAO

冬馬「はあ……いい加減怒る気力すらなくなってきたぜ……」

翔太「喉痛い。お尻も痛い。何より心が痛い」

北斗「かつてここまで翔太が精神にダメージを負わされたことがあっただろうか」

冬馬「しかし勉強を教えるとなると……やっぱあの人達だよな」

北斗「うん。S.E.Mの3人だよね多分。全員元教師からアイドルになった人達だし」

翔太「もしくは玄武さん辺り?」

冬馬「ああ、あいつは全国模試全科目1位とかいう化け物だからな。夜神月かよ」

翔太「でも正直僕そのレベルの授業には付いていける自信ないんだけど……」

冬馬「俺だってねえよ……」






 ガラッ!!

四季「ッウェーーーーーーイ!!!! みんな元気っすかぁー!?
   オレは今日も全力全開、ウルトラハイパーイイ感じ! ガンガン盛り上げてこーぜー! イェイ!!」


 デデーン 全員アウトー




四季「お待たせしましたスゴいヤツ! 伊瀬谷四季参上ってね!
   バリバリ最強ナンバーワン、テッペン目指して正義の使者やっちゃうぜー!?」


伊瀬谷四季
http://imepic.jp/20160803/772710
現役男子高校生5人組バンドアイドルユニットHigh×Jokerのボーカル担当
見た目と言動は完全にチャラ男だがアイドル活動に対する姿勢は真面目
ちなみに第2回315プロ総選挙では1位を獲得している
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/03(水) 22:41:15.26 ID:HsIYeWdAO

冬馬「……なんでだ……なんでよりによってこいつなんだよ……あ゛あっ!!!!」

 バチーンッ!

翔太「断言する。学校の勉強に関してだけはこの人に教えられることは絶対何一つたりともない……メメタァッ!!??」

 バチーンッ!

北斗「そもそも俺20歳なのに高校生から勉強教わるって……ふぐぅっ!!??」

 バチーンッ!


四季「いやー、しっかし今日もマジガチアッチィっすね! 太陽っちがリアル本気出し過ぎっすよー!
   マジもうちょいボリューム絞ってこーぜー? クールビズクールビズー!」

四季「ノー温暖化、ノーライフ! ……ん? なんか違う? まーいいや! とにかくバッチバチにアゲてくぜー!!」



冬馬「……やべえ。既にこのテンションに耐えられる自信がねえ」

翔太「僕も大食いだけど、ただでさえ疲れてる時にこれはケーキワンホール食べた後に口の中に無理矢理ジャンボシュークリームぶち込まれるが如き苦行だよ……」

北斗「卯月君なら普通に喜びそうだけどね……」

四季「なんすかなんすかー? みんなテンションバリ低過ぎっすよー!
   もしかしてオレウザいっすか? エモい系っすか? でも空気なんて読まないぜ!」

四季「みんなももっとデッカくハジケていきましょーよ! ラブ&ピースっす!! イェーイ!!」


翔太「……確実にこれは僕より向こうの方がゆとり度高いでしょ。流石にあそこまで酷くないよ僕は」

冬馬「五十歩百歩だろ」



四季「ハーイ、そんじゃ全員静粛にお願いするっすー! ちなみにオレの担当は国語、古典っすよ!
   今日は清少納言の枕草子についてガンガン教えていくっすー!」

冬馬「……ん?」

翔太「……あれ?」

北斗「……え?」
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/03(水) 22:52:01.24 ID:HsIYeWdAO

四季「えー、まずは清少納言についての簡単な人物像から説明するっす。
   存命だったのは平安時代、今から約1000年くらい昔っすね」

四季「その時代に活躍した女流作家で一条天皇の妃である中宮定子に女房、要するに教育係として仕えてた人っす」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

四季「この定子っちに清っちはすごく可愛がられてたことで有名で、清っちの方も自分の随筆……今で言うエッセイっすね」

四季「そのエッセイに『うちの定子様マジすごい! めっちゃ高貴な身分の人なのに私なんかにも超優しい!
   しかもまだ若いのにハイパー才女で美少女! 定子様マジサイコー!』的なベタ褒めしてる記述を残してるっす。相思相愛っすね」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

四季「その記述が書かれてるのがさっき言った枕草子っす。一説にはこの随筆は定子っちに見せるために書かれたと言われてるっすね」

四季「だから全体的に『こんなことがありましたよねー』『あれが可愛いと私は思うんです』的な女子会のガールズトークをブログやツイッターにまとめたみたいな感じの内容なんっす」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

四季「具体的には『定子様の着物の着方がマジガチイケてる! 派手に着飾るんじゃなく、さり気なく見せるファッションが超オシャレ!』とか」

四季「『ロリショタ可愛い! ロリショタ最強! パッツン前髪と萌え袖がたまんない!』的な話題があるっすね」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/03(水) 22:57:09.01 ID:HsIYeWdAO

四季「身近な人やものに萌えを見出して愛でる。まさに“いとをかし”の精神が全面に出ているこの随筆は女性的な感性に満ち溢れた名著っす」

四季「現代の日本のオタク文化にも通ずる部分があるっすよね。
   今なお多くの研究者達に愛される、オレらにとっても非常に興味深い古典の金字塔というわけっす!!」

冬馬「…………すげえ……すげえ分かりやすい! なんだコレ!! どうした四季!!」

翔太「どういうことなの……意味が分からない……こんなの絶対おかしいよ……」

北斗「宇宙の法則が乱れている……」


四季「ハイ、ちなみにここで1つ問題っすよー!
   この清っちにはガッチガチにアツいライバルがいたことでもよく知られてるっすが、そのライバルとは一体誰でしょーか! 冬馬っち、答えて下さいっす!」

冬馬「え? ……紫式部だろ?」

四季「さっすが冬馬っち! スーパーパーフェクトな解答サンキュー! その通り、清っちと同時期に活躍した紫式部っす!」

冬馬「………なんだ……なんなんだ。この限りなくウゼェのに何故か妙に嬉しくなってくる不思議な感じ」

北斗「褒めて伸ばすのは教育の基本だからね。褒め上手な人は教え上手という証拠だ」

翔太「なんでこんなプロ教師並みの技術持ち合わせてるの四季さん……」
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/03(水) 23:10:01.18 ID:HsIYeWdAO

四季「この式部っちは彰子の女房として仕えてた人っすね。世界最古の長編小説と言われる源氏物語を書いた作者っす」

四季「んで、清っちは漢文が得意で本人もそのことに自信を持ってたんすけど、当時は漢文は男が学ぶものとされてたんっす」

四季「つまり女の人がそういう知識をひけらかすのは生意気だと考えられてたわけっすね」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

四季「式部っちはそこんとこおカタい人だったんで実際はめっちゃ頭良いのに謙遜しちゃうタイプだったっす。
   けど、逆に清っちはガンガン自分を出してくタイプだったわけっすね」

四季「残念ながらトーゼン2人の相性は超絶に最悪っすよね。
   結局式部っちはそんな清っちにブチギレで『偉そうに漢文知識鼻にかけて高尚ぶってんじゃねーよこのドグサレ女!』と悪口書いたりしてるっす」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

四季「まあでもそういうどこまでもパネェ負けん気の強さが彼女に源氏物語を書かせるパワーを与えたわけっすからね!
   これはオレたちもアイドルとして今後見習っていくべきバイタリティの高さだと思うっす!!」

四季「そんなわけで簡単にではあるっすけどこれで清っち自身の説明は終わりっす!
   みんなここまでは大丈夫っすか? このビッグウェーブにノれないヤツはドンドン置いてっちゃうぜー!」

冬馬「……やべえ。ここまで笑いが一つしか起こってねえのに今日確実に一番充実してるぞ俺」

翔太「今すっごくナチュラルに四季さんを尊敬してるよ僕」

北斗「まさかこんなミラクルが起こるとは……」
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/03(水) 23:16:08.02 ID:IJ8DbKCi0
実際テンションはともかく古文の授業が面白い先生ってこんな感じの噛み砕きまくって話ししてくれてから授業してくれる先生だよね
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/04(木) 14:44:59.68 ID:jcx0Bo8i0
古文って今も昔も日本人は変わってないって所を教えられると楽しくなるよね
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/04(木) 20:41:12.41 ID:QjfBghDAO

四季「ハイハーイ! そんじゃあここからは本題の文章そのものを読んでいくっすよ! みんな準備はいいっすかー?」

四季「枕草子はなんといってもその冒頭の書き出しが有名っすからね!
   このホワイトボードに原文が書かれた紙を貼るんで、その後にオレが現代語訳して解説していくっす!」

冬馬「……おお」

翔太「……どうしよう、なんか僕勉強って楽しい気がしてきたよ!」

北斗「俺も中高生時代に帰ったみたいで懐かしいな。ワクワクするね」

四季「枕草子の出だしは春夏秋冬それぞれの季節でどの時間帯が一番イイ感じか清っちが自分語りしてる内容っすよ!」

四季「全部説明すると長くなっちゃうんで今日のところはひとまず春についての解説をしていくっす! よいしょっと……」ペタッ

四季「ハイ、コレ! 清っちの清っちによる清っちのための春考察っすね!」バンッ!


 『春はあけぼの。やうやうしろくなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる』


四季「みんなご存知、“春はあけぼの”。あけぼのっていうのは夜明けのことっす」

四季「暗い夜が明けて太陽っちが昇り始める頃、向こうに見える山の端っこ、要は空とくっついてる部分がだんだん白くなってくると」

四季「少し明るくなって雲っちが紫っぽい色に変わり
   細く横に流れてる様子が1日の内で一番サイコーって清っちは言ってるわけっすね!」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

四季「確かに明け方って空気も澄んでるし静かでなんとなくそういうキレーな情景が浮かんでくる感じがするっす!」

四季「今から1000年も前のとっくに死んでる人が書いた文なのに現代に生きてるオレらにも共感出来る……」

四季「その頃のリアルな様子なんて実際には分かんないっすけど
   なんかどことなくちゃんと今と当時が繋がってる感があって感慨深いっすよね!」

冬馬「はー……」

翔太「……ねえ、この人本当に四季さん? 偽物じゃないよね? いっそ怖くなってきた」

北斗「ゆとりだのさとりだの言われてるけど今の日本も捨てたもんじゃないね」
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/04(木) 20:43:46.94 ID:QjfBghDAO

四季「ところでこの文章を読んで雰囲気的になんか気付いたことはないっすか? ここは女性の心理に詳しい北斗っち、どうぞ!」

北斗「ん、俺? うーん、そうだな……すごくハッキリ言い切ってるよね。
   彼女は自分のこの意見にとても強い確信を持っているという感じが出てるかな」

四季「イェーイ! 北斗っち、マジサイコーイケてるっす! まさしくその通り!!」

四季「清っちは『個人的には私はこう思う』っていう消極的な言い方はしてないんすよね」

四季「『春はあけぼのなの! 絶対コレが一番に決まってるの!』っていう自信満々な断言をしてるんすよ」

四季「そのところから清っちはそれだけ式部っちに負けず劣らず気性が激しくてとにかくキッパリハッキリしたアグレッシブな女の人だったことが窺えるっす!」

四季「式部っちが表面上はしおらしく無知な振りをしてた姿とは本当に対照的っすよね!」

四季「悪い言い方をすれば頑固で思い込みの激しい自己チューな部分も感じられるかも?
   枕草子には自慢話がとにかく多いんで、そこんとこが清っちは性格悪いとか言われたりもするゆえんっすね」

四季「でもそんなトコも含めてなんだか人間臭くて今も昔も人ってのは変わんねーなーってのが分かってくるっすよね!」

冬馬「……すげえ。さっきまでの自分達が恥ずかしくなってくるレベル」

翔太「ホントだよ……何が空気嫁に夜の社交ダンスだよ……馬鹿じゃないの僕たち……」

北斗「まあそれは主に柏木さんのせいだけど……」
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/04(木) 20:46:41.76 ID:QjfBghDAO

四季「けどそんな気の強さとは裏腹に情景描写そのものは繊細で目線が細やかっす。日本的な感性の香りってヤツがするっすね!」

四季「枕草子には暗い話ってほとんどないんすよ。とにかく明るく華やかな宮中の様子が延々描かれてるっす」

四季「じゃあ実際その通りの暮らしを清っち達はしてたのか? 答えはノーっす!
   ホントのとこはすっげードロドロした部分も大いにあったっす」

四季「自分の娘を天皇っちに嫁がせればその子供を次の天皇候補に出来るわけっすからね。
   やっぱそういう権力争いも日々絶えなかったわけっすよ」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

四季「つまり清っちは敢えてその手の暗い部分は書かなかったんす。
   定子っちをヘコませないためにひたすら楽しい話で盛り上げようとしたと」

四季「清っちの自分の主人に対する一途な想いとプライドが垣間見えるっすよね!」

四季「事実、定子っちは若くして難産で亡くなっちゃってるんすけど、清っちはそれにショックを受けてその後キッパリ宮仕えからは引退してるっす」

四季「さっきは清っちと式部っちはライバルって言ったっすけど、清っちの方が式部っちをどう思ってたかって資料は残ってないんすね」

四季「清っちが引退した時期と式部っちが彰子っちに仕えるためにやって来た時期も入れ違いなんで、ぶっちゃけこの2人は直接対峙したわけではないんすよ」

冬馬「ほおお……」

翔太「為になる〜」

北斗「なんかもう普通に感心しちゃってるな……」
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/04(木) 20:54:06.41 ID:QjfBghDAO

四季「さーて、んじゃここらで日本の文学を語るにあたって今度は外側からも見ていきましょーよ!」

冬馬「外側?」

四季「外側、要するに諸外国から見た日本ってことっすね。
   内側からだけじゃなく外からも俯瞰して覗いてみることで見えてくるものもあると思うんすよ!」

翔太「なるほどねー」

四季「“黄金の国ジパング”って言葉はみんな聞いたことあるっすよね?」

冬馬「あるある」

北斗「響き的にカッコイイよね」

四季「13世紀にマルコ・ポーロが東方見聞録で紹介したことで知られてるっすけど、まーその内容はガバガバっす。
   日本人は食人族とか書かれてたりね。そもそもジパングは日本のことじゃない説もあるっすし」

四季「要はまだまだ昔は西洋の方じゃ日本はワケ分かんない謎の国とされてたってことっす」

翔太「うんうん」

冬馬「航海時代とかロマンあっていいよな。やっぱり海賊は男にとって永遠の夢だぜ」

北斗「冬馬はそういうの大好きだよね」

四季「あと日本と言えばやっぱ江戸時代の鎖国っすよね。ガチ引きこもりっす。日本人シャイ過ぎっす。
   オランダと中国以外とは交易しねーよってイキっちゃったわけっすね!」

四季「とはいえ実際は朝鮮とか琉球とも関わってたんで、言っちゃえばハンパなヤンキーみたいなもんっす!」

四季「でもそんな風にA.T.フィールド全開で引きこもられちゃったら、遠い国の外国人からしたら日本は相変わらず意味不明な島って認識のままっすよね?」

冬馬「だよなあ」

翔太「日本ってヘンな国なのかな?」

北斗「まあどこの国にも変なとこはあるけどね」
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/04(木) 21:08:29.52 ID:QjfBghDAO

四季「だーけーどー! そんな謎の国である当時の日本が出てくる貴重な文献として世界的に超有名な小説がヨーロッパで書かれてるんすよ!
   これはなんだか分かるっすか? ヒントは旅行っす!」

翔太「えー? なんだろ……」

冬馬「分かんねえ……」

北斗「……ガリバー旅行記?」

四季「オッケーイ!! 北斗っちマジマジマックス冴えてるぅー!!」

四季「そうっす、ガリバー旅行記っす! 18世紀にアイルランドの作家ジョナサン・スウィフトによって書かれた架空の旅行記っすね!」

冬馬「あー。なんかガキん時に絵本で読んだ記憶はあるな」

四季「そーそー、なんとなく絵本とかで読んでみんな童話的なイメージがあるかもしんないっすけど……」

四季「実はこの小説はイギリス批判とか政治批判とか、すっげーキョーレツな風刺が込められたバリバリブラックな話なんすよ!」

翔太「え、そうなの?」

四季「そうっす! 主人公のガリバーが小人の国や巨人の国に流れついちゃってなんやかんやみたいな楽しいファンタジーな内容だと思ったら大間違いっすよ!」

四季「とんでもなく最凶のキレ味を持った超絶問題作っす! マジスウィフトガチヤベーっす! イッちゃってるっす!」

北斗「ああ……確かに彼は人間嫌いだったっていうのは聞いたことあるな」

四季「ガリバー旅行記にはラピュータっていう空を飛ぶ島も出てくるんすよ。天空の城ラピュタの元ネタっすね!」

冬馬「ほー」

翔太「そうだったんだ〜」

四季「で、そのラピュータの次にガリバーが行く島が日本なんっす。
   1709年にガリバーは日本に上陸して江戸から長崎まで旅行したってことになってるんすよ」

四季「ちなみに踏み絵の話とか日本人の乗った海賊船の話なんかも出てくるっす!」
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/04(木) 21:15:51.23 ID:QjfBghDAO

四季「つまり基本的に架空の国を旅する話の中で日本だけが唯一実在する国として登場するわけっすね。
   1709年っていうのは江戸幕府将軍、徳川綱吉が亡くなった年っす!」

四季「さてさて、じゃあこの綱吉っちが出したメガ奇妙キテレツな政策と言えばー? 翔太っちどうっすか?」

翔太「え? えーっと、アレだよね。犬のやつ」

四季「グーッド!! 生類憐れみの令、お犬様マンセーの時代っすね!!」

四季「綱吉っちが亡くなったのは2月でガリバーが日本を訪れたのはその後の5月なんで、実はその時点で既に生類憐れみの令は廃止されてるんすけどね」

四季「でも日本にはまだまだ動物マンセーの風潮は残ってたわけっす!」

四季「その動物様サイコーな当時の日本の空気を元ネタにしたんじゃないか? って言われてるのが次に話すフウイヌム編っすよ!」

四季「この小説の最後にガリバーはそのフウイヌムっていう理想的な統治のされている国に行くわけっすけど」

四季「そこではなんと生物カーストの一番上に立ってるのが馬で、逆に人間が家畜として扱われてるって設定なんっすよ!」

冬馬「へええ……」

翔太「ふーん。知らなかった!」

北斗「古典って面白いなあ」

四季「まあ正確にはあくまで建て前上はヤフーっていうフィクションの生き物ってことにはなってるんすけどね」

四季「でも明らかに人間がモデルの生き物っす。
   そのヤフーが家畜扱いされ、反対に馬が覇権を握ってる国がサイコーの理想郷として描かれている……」

四季「つまりスウィフトは人間はとかく醜くてどうしようもない存在だと。
   いっつも争ったり僻んだりしてばっかのしょーもない生き物だと考えてたわけっす」
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/04(木) 21:24:04.87 ID:QjfBghDAO

四季「これは清っちの時代の権力争いとも通底してるっすよね。
   同じことが常にいつの世もどこの国でも繰り返されてるってことっす」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

四季「さらにこれは猿の惑星とか藤子・F・不二雄先生のミノタウロスの皿なんかとも共通するテーマっすね。
   立場を入れ替えてみることで皮肉を浮き彫りにする、逆転の発想っす!」

冬馬「……リアルにびっくりするくらいめちゃくちゃ勉強になってるんだけど。なにこれ、ハイパーパネェ」

翔太「マジガチアツいね」

北斗「ウルトラスーパーデラックスにあげぽよだよ」

四季「そんで肝心のガリバー旅行記の具体的なその描写なんすけど」

冬馬「おう。なんだなんだ?」ワクワク

翔太「なになに?」ワクワク

北斗「気になるね」


四季「……とにかくウンコ! ひたすらウンコ! ハイパーウンコ! 隙あらばウンコ!
   マジそこかしこにウンコだらけの完全スカトロ小説っす!!」

冬馬「…………は?」

翔太「ウ、ウンコ……?」

北斗「ウンコ……」

四季「ウンコっす!!」

冬馬「……ウンコ……」

翔太「……」

北斗「……」

四季「……」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」


四季「ウンコ!!!!」

 デデーン 全員アウトー




冬馬「……ああ、チクショウ……高校生にもなってウンコで笑っちまった……。
   なんか自分自身に失望してるんだけど……あがっ!!??」

 バチーンッ!

翔太「なんでウンコって単語はこんなに無駄に面白くて魅惑的なんだろうね……いったあー!!??」

 バチーンッ!

北斗「小学生時代に既に一生分は笑ってるはずなのに大人になってもやっぱりウンコで笑ってしまうのは何故なんだろうな……ヤッダーバァァァ!!??」

 バチーンッ!
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/04(木) 21:44:47.48 ID:QjfBghDAO

四季「よーするに人間は糞尿垂れ流してばかりの文字通りクソみたいな存在だと!
   馬の糞ほどの価値もないくだらない生物だと!」

四季「人間なんてただのウンコ製造機に過ぎないとスウィフトは考えてたんすね。
   スウィっち、人間に絶望し過ぎっす。マジ人類補完計画発動5秒前っすよ……」

冬馬「ヤベェな……」

翔太「ゲンドウ並みのメンタリティじゃん……」

北斗「旧劇のトラウマが蘇るね……」

四季「ちなみにこのヤフーは今から60年前に日本で書かれた伝説のガチグロSM小説家畜人ヤプーのモデルにもなってるっすよ」

冬馬「SMって……」

翔太「……それはどういう話なの?」

四季「ハイパー上級者ドM野郎向けのポルノ本っすね!! SFに見せかけたレベルマックスな調教物語っす!!」

冬馬「ええ……」

翔太「……なんかいらない情報まで増えてる……」

北斗「……俺、一応それ読んでみたことあるよ。キツ過ぎて途中で断念したけど」

冬馬「うわ、お前ドMだったのかよ……引くわー」

翔太「流石にそれは僕もドン引きだよ。失望しました、北斗君のファンやめます」

北斗「だから途中でギブアップしたんだって……」

四季「まー最終的に何が言いたいかというと、そんな感じで枕草子から始まって源氏物語に東方見聞録にガリバーに徳川綱吉に家畜人ヤプーに……と
   いろんなものを紐付けて調べていくと覚えやすいし同時に古典も歴史も文学も学べて超お得ってことっすね!!」

冬馬「おお……おおおお……なんか……なんかスゲェ! 俺でもちょっと頭良くなった気がする!!」

翔太「うんうんっ! 僕にも勉強楽しめる脳ミソがあったんじゃないかって思えてきたよ!」

北斗「これだけの知識よく持ってるよね。すごいよ。伊瀬谷君はこういうのっていつもどうやって調べてるの?」

四季「丸暗記っす!!」

冬馬「……ん?」
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/04(木) 22:20:48.36 ID:QjfBghDAO

四季「ただの一夜漬けっす!! 今日のためにプロデューサーちゃんが用意してくれた資料徹夜で暗記してきただけっす!!」

冬馬「……おい!!」

四季「ぶっちゃけオレ、古典とか興味ないっす!! 歴史も興味ないっす!! 読書嫌いっす!!」

四季「過去のこととか正直どーでもよくないっすか? それより今と未来を見つめた方が絶対有意義だと思うんすよオレ!!」

四季「そもそも清っちとかリア友でも何でもない全然知らない人っすし!!」

北斗「それはそうだけども。それはそうだけども」

四季「なんかフレンドリーに清っちとか呼んじゃったけど、清っちの方だってぜってぇ誰だよコイツって思ってるはずっす!!」

四季「知らねえよこんなチャラいピンクメガネ、馴れ馴れしく私のこと話してんじゃねーよって思ってるだろうし!!」

翔太「いや……まあ。そりゃ確かに僕たちも知らないけど……」

四季「あとオレは犬よりネコっち派なんで! そこんトコは譲れねーっす! 綱吉っちとかクソ食らえっすね!!」

冬馬「……さっきまでの充実してたと思ってた時間はなんだったんだ……」

翔太「ある意味今日一番貴重な時間をドブに捨てたよ……」

四季「それとオレは人間嫌いじゃないんで! スウィっちとかまったく共感出来ないっす!
   マジガチ何様なんすか? スウィっちって。ネガ入り過ぎっすよ! もっとポジティブにアゲてけなかったんすかね?」

冬馬「お前……」

四季「ついでにスカトロも全然興味ないっすし! ウンコとかマジどーでもいいっす!
   なんすかウンコって! ウンコで笑っていいのは小学生までっすよ!!」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

四季「じゃあそんなわけなんで! オレの授業はこれで終わりっす! お疲れっした!! あー肩凝ったー!」ゴキッ

四季「無い頭使ったら甘いもんが欲しくなったっすねー。帰りにあめちゃんでも買ってくかな〜」スタスタスタ…

四季「んじゃ! ジュピターのみんな、バイバイシュー☆ この後も頑張って下さいねー!」

 ガラッ! バタンッ!


冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/04(木) 22:22:22.71 ID:E9jusbO00
……いやそれだけ丸暗記出来たら東大でも通るわ!
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/04(木) 22:29:05.09 ID:jcx0Bo8i0
アイドルだからねドラマの台本覚えるノリでやってたんじゃない?
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/04(木) 22:32:08.75 ID:E9jusbO00
まあ本人は勉強のやる気なさそうだから確かに暗記力意味ないけどね
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/05(金) 00:10:31.86 ID:l84lQbjIo
一人でやってたのにものすごく濃密だったわ
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/05(金) 06:12:24.46 ID:AxhtWvNSO
ナチュラルにディスったな
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/05(金) 07:40:13.48 ID:ZEyVMwfoo
うんこで笑ってケツしばかれるアイドル達がいるらしい…
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/08/05(金) 10:35:16.86 ID:4ux6LFZP0
チンコもウンコに並んで子供にウケる魔法の単語
マンコは変な空気になるから一部のみ笑う
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/07(日) 17:48:27.42 ID:d6uxs5NAO

冬馬「……なあ」

北斗「……なに?」

冬馬「……アイドルがウンコで笑うのってアウトか?」

翔太「……セーフかアウトかで言ったらアウトじゃない?」

冬馬「……マジで?」

翔太「少なくとも僕と冬馬君はまだしも北斗君はキャラ的にダメでしょ。ファンの女の子たちドン引きだよ」

北斗「でも俺平成版ドクタースランプで育った世代だし……あいつはあいつは顔デカいで笑ってた子供だったし……」

冬馬「ふざけんなよ、俺はアラレちゃん音頭しか認めてねえぞ」

翔太「冬馬君ってほんと懐古厨だよね」

北斗「典型的な面倒臭いオタクだな」

翔太「自分だって平成生まれのクセにね」

冬馬「うるせえよ。うる星やつらかお前らは」

翔太「え?」

北斗「え?」

冬馬「ごめん」

翔太「冬馬君のカレー……」ボソッ

冬馬「やめろ」

翔太「っていうかさ。一晩で丸暗記って普通にすごくない? なんであれで勉強出来ないの?」

北斗「あれだけの記憶力があるなら普通に出来るはずだよね」

冬馬「その能力をもっと別のところに生かせよあいつは」

翔太「ああもう、せっかく四季さんはあの無駄メガネや医者メガネとは違うと思ったのにとんだメガネだったよ。これだからメガネは」

冬馬「メガネそのものに罪はねえだろ」

北斗「メガネ否定は岡村君まで否定することになるぞ」
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/07(日) 17:55:33.33 ID:d6uxs5NAO

翔太「そういえば北斗君はそのなんとかヤプーってやつ読んだんでしょ? 結局どういうストーリーなの?」

北斗「俺も最初の方しか読んでないから分からないけど……確か女性が絶対的な権力を握ってて男はその奴隷にされてるっていう世界観だったよ。
   なんか肉体改造されて人間椅子にされたりしてたかな」

冬馬「うわあ……」

翔太「うええ……」

冬馬「っつーか一夜漬けってことはあいつ絶対部分部分で適当に誤魔化して間違えたこと言ってるぞ……」

翔太「……結局どこまでが正しくてどこが間違ってるの……? 分かんなくなってきた……」

冬馬「もう頭の中にウンコしか残ってねえ……」

北斗「なんかドヤ顔で綺麗な情景が浮かぶとか共感出来るとか言ってたけど絶対そんなの思い浮かんでないし共感もしてないよね」

冬馬「下手したら本気で太陽は西から昇って東に沈むと思ってんじゃねえかあいつ」

翔太「なんだっけ、ガリバーがラピュタで……ああもういいや」

北斗「まあそこは翔太がこれから自分で調べてみたらいいんじゃない?
   彼自身は適当に喋ってただけだろうけど、実際いろんなことを調べて学んでみるのはいいことだよ」

翔太「えー……やだ、面倒臭い。もう何見てもウンコとSMとメガネしか浮かんでこないし」

冬馬「勉強とかクソだな」ペッ

北斗「せっかく芽生え始めた勉学に対する意欲の萌芽が一瞬で摘み取られたな……」
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/07(日) 18:04:57.42 ID:d6uxs5NAO

翔太「まあそれにジブリの最高傑作は千と千尋だしね」

冬馬「何言ってんだ、もののけ姫で結論出てるから」

北斗「まあまあ、ここは間を取って紅の豚ってことでいいじゃないか。カッコイイってこういうことだし」

冬馬「は? じゃあ聞くけどお前ポルコに掘られてもいいのかよ?
   いくら中身がイケメンでも流石に豚に処女はやれねえわ。その点俺はアシタカにならケツを押し通られてもいい」

翔太「まあアシタカの方は冬馬君のケツなんか押し通りたくないだろうけどね」

北斗「確かにアシタカはカッコイイ。それは認める。
   でもいくらなんでもカヤからもらった首飾りをサンにあげてしまうのはどうなんだ?」

冬馬「いいんだよ、フンドシ穿いててもイケメンなんだぞアシタカは」

北斗「いいや、一番はポルコだ。ロリコンに見せかけて彼は最終的にはちゃんとジーナさん選んでるからね。しっかり貫き通してるから」

翔太「そんなこと言ったらハクなんて最初から最後までずっと千尋一筋だよ。
   迷ってすらいないよ。やっぱり千と千尋がナンバーワンだね」

冬馬「でもあいつ川じゃん。おかっぱだし」

翔太「おかっぱの何が悪いのさ。イケメンにしか似合わない選ばれし者の髪型だよ。
   ハクかブチャラティかイザークくらいしか許されないよ」

冬馬「民間人のシャトル撃ち落とした上にラクシズに寝返った奴のどこがイケメンなんだよ。
   ブチャラティ先輩と並べていいレベルの存在じゃねえわ。他が酷いせいで相対的に許されてるだけだろあいつ」

北斗「まあでもイザークにはシホがいる時点で勝ち組だよね」

翔太「そういえば北斗君ってディアッカに似てない?」

冬馬「言われてみれば……」





 ガラッ!

麗「し、失礼する……」

 デデーン 全員アウトー


麗「……えっ?」
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/07(日) 18:43:49.07 ID:SmGHEFQ0O
レスは時事を取り込んでゆくスタイル
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/07(日) 22:43:52.12 ID:d6uxs5NAO

神楽麗
http://imepic.jp/20160807/618270
元ヴァイオリニスト。2人組アイドルユニットAltessimoに所属
犬と馬が好きで真面目な中性的クラシック系アイドル


麗「……何故今わたしは笑われたのだろうか……ごく一般的に入ってきただけなのだが……」

翔太「……ハク様! リアルハク様来た!!」

冬馬「ハク様!」

北斗「ハク様!」

麗「えっ」

翔太「ハク様ハク様! わたしのことは?」

麗「え? え?」

翔太「わたしのことは?」

麗「……ハク様と呼べ?」

翔太「ハク様!!」

冬馬「ハク様!!」

北斗「ハク様!!」

麗「……わたしはどう反応すればいいのだろう」

翔太「ごめんね、気にしないで。そんなことより来たのが麗さんってことはやっぱり……」

麗「ん、ああ。わたしの担当は音楽だ。今日はみなさんにショパンについて解説していきたいと思う」

冬馬「……おお! これはマジで期待出来そうだぞ!!」

翔太「しかも音楽って北斗君も得意な分野じゃん! 北斗君はずっとピアノやってたもんね!」

北斗「うん。今度こそまともな授業が受けられそうだ」

麗「しかし申し訳ないのだが、みなさんには最初にひとつ謝っておかなければならないことがある」

冬馬「ん? なんだ?」

麗「……すまない。本当は今日ここには都築さんも来る予定になっていたのだが……」

翔太「なにかあったの?」

麗「……直前になってまたフラフラとどこかへ消えてしまった」

翔太「ああ、うん。そこは最初から大体分かってた」

冬馬「まああの人はそういう人だろ」

北斗「基本省エネに生きてる人だからね……」
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/07(日) 23:47:43.14 ID:d6uxs5NAO

麗「本当に申し訳ない……。ま、まあここは気を取り直して本題の授業の方に入ってゆこうと思う!
  ……っと、その前に一度アウト分があったな」

木星「あっ……」




 バチーンッ!

木星「めそっ!!」


麗「それでは改めて話してゆこう。フレデリック・ショパンは19世紀に活躍したポーランド出身の作曲家だ。
  39歳という若さで亡くなっているがその生涯には200曲以上もの作品を残している」

麗「ロマン派の彼の紡ぐその音色の類いまれな美しさはピアノの詩人とも呼ばれるほどだ」

麗「英雄ポロネーズ、幻想即興曲、葬送行進曲、ノクターン、革命、黒鍵、蝶々、木枯らしなどが特に有名だな。
  わたしの好きな子犬のワルツも彼の作品だ」

冬馬「ふむふむ」

翔太「四季さんと違って麗さんの言うことは本当に素直に信じられるね!」

北斗「いいよねショパン。俺も大好きだよ」

麗「それから別れの曲というのもある。これはみなさんも聴いたことがあると思うのだがどうだろうか?」

冬馬「あー……タイトルだけなら分かるけどどんな曲だったっけ?」

翔太「えーっと、どうだろ」

麗「うむ。それでは分かりやすいように少しそこにあるピアノで弾いてみようと思う。
  わたしの専門はヴァイオリンなので拙い演奏で聞き苦しいかもしれないが……」

翔太「いやいやいや、全然そんなことないって。僕なんて猫ふんじゃったも弾けないし」

冬馬「塾なのになんでピアノ置いてあんのかと思ったらそういうことか」

北斗「神楽君のピアノが聴けるなんて嬉しいね」

麗「いえ、そんな大したものではないのだが……。では」スッ


 タンタンタタターン タタタターン タタタターンタ タタタタターン♪
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