冬馬「……笑ってはいけないジュピター?」

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149 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/30(土) 11:36:35.42 ID:7aFBNPFK0
柏木さんェ…
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/30(土) 14:11:18.49 ID:sLubdMh9o
???「どうせ白」
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/30(土) 21:12:37.55 ID:zMcBl8iAO

柏木「大丈夫です冬馬くん!! オレにも彼女はいないですから!! 仲間ですね!!」

冬馬「それでフォローのつもりか?」

柏木「でもオレはデッカイです!!!!」

冬馬「なにが!!??」

柏木「カマトトぶらないで下さい! 本当は分かってるくせに!」キッ!

冬馬「あんた本当になんなんだよ!?」


志狼「? でっかい?」

直央「大きい、ですか?」

かのん「おっきいの? なんのこと?」

柏木「それはですね……」

冬馬「おいやめろ!! あんた小学生相手になに言うつもりだよ!?」

柏木「もちろん身長ですよ」

冬馬「……えっ」


志狼「あー。確かにつばさはデッカイよなー。まっ、その内オレが抜かすけど!」

直央「182センチですよね。それに手も足もみんなおっきくて……いいなあ、憧れちゃいます!」

かのん「おまけに器も大きいよね」

志狼「とうまと違ってちょっとやそっとじゃキレないしな!」

柏木「あはは。すいません、デカくて。無駄に場所取っちゃって邪魔ですよね。頭もよくぶつけるしほんと不便で不便で」

冬馬「………………」




冬馬「なんでだ……絶対おかしいのは向こうのはずなのになんでこっちの心の方が汚れてるみたいな気にさせられるんだ……」

山村「実際汚れてるからじゃないですか?」

冬馬「いい加減にしねえとその口縫い付けるぞ」

北斗「確かにデカいと不便なことは多いんだよね」←180センチ

翔太「……」←163センチ
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/30(土) 21:24:31.97 ID:zMcBl8iAO

司会「はいはい、みんな勝手に騒がないー! 正解はもふもふえんのみんなのイコール年齢でした!」

もふもふ「わーい!」

柏木「あれぇ? なんでだろう、外しちゃいました」

冬馬「当たり前だ」


司会「さて、続けて第3問目はアイドルグループジュピターのメンバー、御手洗翔太くんの問題だよ!」

翔太「……うわ、来たよ」

司会「あざといキャラ作りと高い身体能力で有名な翔太くんですが
   その翔太くんが唯一出来ないスポーツはなんでしょう? さあみんな、これは分かるかなー?」

志狼「おっ、これは知ってるぜ! へへっ、正解はもらったー!」カキカキ…

直央「ボクもこれなら……」カキカキ…

かのん「うん、かのん達にはジュピターと一緒にテーマパークで海賊のCM撮影やった時のことがあるもんね〜♪」カキカキ…

柏木「ええ? えっとえっと、なんだっけ……どうしよう……」カキカキ…




翔太「……あざといキャラ作りのくだり要る?」

冬馬「いるだろ」

北斗「まあそこが翔太の売りのひとつだから」

山村「プロ根性があるって意味ではいいことだと思います」

翔太「言っとくけど僕は素でこれなだけだからね?」




司会「答えは書けたかな? うん、じゃあみんないっせいにフリップをどうぞ!」

志狼「おっし、これ!!」クルッ

志狼の回答『水泳。カナヅチだから』


直央「こ、この答えは自信アリです!」クルッ

直央の回答『水泳』


かのん「これですー」クルッ

かのんの回答『スイミング』


柏木「これだと思います!」クルッ

翼の回答『夜の社交ダンス』


 デデーン 冬馬、北斗、アウトー
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/30(土) 21:35:46.38 ID:zMcBl8iAO

冬馬「この人ほんと絶好調だな……ずあっ!!??」

 バチーンッ!

北斗「ドラスタってこんな人達だったっけ……? あぐっ!!?」

 バチーンッ!


翔太「……いや、ちょっ……は? なに言ってんの……?」

志狼「? しょうたはダンス得意だよな?」

直央「うん。ボクたちの事務所の中でもトップクラスだよね」

かのん「社交ダンス……1人でやるダンスなら得意だけど2人でやるダンスは苦手ってこと?」

柏木「かのんくん鋭いですね!! その通りです!!」

翔太「その通りじゃねーよ」

北斗「翔太、口調口調」

冬馬「さっそく作ったキャラが崩れ落ちてんぞ」

山村「まあ翔太くんは翼さんと違って小さいですしね」

翔太「ぶち殺すぞクソメガネ」

柏木「あと翔太くんは被ってるって聞いたんですけど本当ですか!?」

翔太「はっ!?」

冬馬「ゴフッ!」

 デデーン 冬馬アウトー


翔太「なに笑ってんだ冬馬コラァ!!!!!」

冬馬「くくくっ……こ、こんなもん笑うに決まってんだろ……ガファッ!!??」

 バチーンッ!


柏木「大丈夫です翔太くん!! 中学生なら被ってても全然普通です!! 大丈夫です!!」

翔太「」

冬馬「っふ……だ、だよな。中学生なら別に被っててもおかしくねえよ。気にすんなって」

北斗「そうだね。翔太はまだ中学生だからね。被っててもそれはしょうがないよ。まったく気に病む必要はないさ」

柏木「むしろ翔太くんのファン層の大きいお兄さんお姉さん的には大歓喜な情報だと思います!!!!」

翔太「翼さんはマジで黙ってて!!!!」
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/30(土) 21:43:01.14 ID:zMcBl8iAO

志狼「??? 被ってる……?」

直央「どういうことだろう……ああ、確かにフードの付いてる服はよく着てるよね。あと帽子もよく被ってるし」

かのん「もしかしてしょうたくんもきぐるみ好きなの? かのんと一緒だね!」

翔太「お願いだから君たちは喋らないで……」

柏木「本当のところどうなんですか翔太くん!! 被ってるんですか!?」

翔太「だからなんの話!?」

冬馬「そりゃナニの話だろ」

翔太「……」バキィッ!

冬馬「痛ぇぇぇ!? 暴力反対!! 暴力反対!!」

柏木「え? いえ、ですから猫被ってるって聞いたんですけど……」

志狼「あ、それは被ってる」

かのん「被ってるよね」

直央「ご、ごめんなさい。ボクも被ってると思います」

冬馬「被ってるよな」

北斗「被ってるね」

山村「被ってますね」

翔太「被ってない!!!! どっちも被ってない!!!!」
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/31(日) 00:12:17.54 ID:o1uVKeBoo
ドラスタの破壊力ヤベェな
あ、てんてるには期待してないんで
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/31(日) 11:25:11.45 ID:2gzh+3sSO
今度余計なことを言うと口を縫い合わすぞ
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/31(日) 12:07:53.82 ID:6rilsjSAO

北斗「翔太がここまで必死になる姿なんて珍しいな。貴重だね」

冬馬「お前には普段散々からかわれてる分の恨みがあるからな。いい気味だ」

翔太「いいの!! 僕は!! 可愛いから!! それでいいの!! すべて許されるの!!」

山村「自分に甘い人だなあ」

柏木「ゆとり教育の弊害ですね!」

かのん「えー。でもはっきり言ってしょうたくんってそんなに可愛くはないと思う」

翔太「………………は?」

かのん「それよりもー、かのんの方がずーっとカワイイと思うの」

翔太「……」

かのん「だってしょうたくんってヘンな髪型だしー、アイドル衣装に付いてるあの謎のモコモコも便座カバーみたいでヘンだしー」

翔太「……」

かのん「しかも名前までトイレだもん。絶対かのんの方がカワイイよねー?」

翔太「おいコラ表出ろやクソガキ」ガタッ

 デデーン 冬馬、北斗、アウトー


冬馬「お前なあ……9歳の子供相手に……んなあっ!?」

 バチーンッ!

北斗「流石にそれは大人気無いよ翔太……ぐえっ!?」

 バチーンッ!


かのん「しろうくんとなおくんもそう思うよね?」

志狼「んー? まー、かのんの方が若い分ピチピチだしなー。おしゃれにもすっげー詳しいし」

直央「えっと……ボ、ボクも同じユニットとしてかのんくんの方に味方したいと……。
   あっ、で、でもしょうたくんもすごく可愛いと思います!」

かのん「ほらほら、3対1だよ〜」

翔太「………このジャリガキ、本気で芸能界の闇見せてやろうか?
   一からその身体に上下関係叩き込んで奥歯ガタガタいわせてやろうか? あ?」ゴゴゴゴゴ…
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/31(日) 12:21:00.43 ID:6rilsjSAO

冬馬「だから小学生相手にムキになるなって……」

北斗「冬馬はあんまり人のこと言えないと思うけどね。ほら翔太、そんなに怒らないで。
   いいじゃないか、翔太のことを好きなファンだってたくさんいるんだから」

翔太「……は? なに言ってんの?」

翔太「僕は生まれた時から姉3人にずっと蝶よ花よとちやほやされ
   末っ子の特権をフルに利用してどんなワガママもひたすら泣き落としですべて強引に押し通し」

翔太「常に可愛い可愛い翔太が一番と溺愛され持ち上げられ最高にヌルい環境で散々甘やかされて育った自他共に認めるゆとりの権化たる男だよ……?」

冬馬「とんだクソ野郎じゃねーか」

山村「ゲスの極みですね」

翔太「いつだって僕が弟キャラ界で一番可愛くてカッコよくて最高なんだよ。年下? 後輩? 小学生?
   関係ないね。出る杭は全て片っ端から正々堂々叩き潰すのみだよ」

冬馬「いや、お前は可愛くねえよ」

翔太「はあああああ!?」

冬馬「見た目はともかく中身があざと過ぎるからな翔太は。すぐ人にイタズラ仕掛けてきやがるし」

翔太「違うよ! それはアレだよ! 親愛の裏返しだよ! ただのツンデレだよ!」

冬馬「無理矢理ゴリ押ししてる時点でそれはもはやツンデレでもなんでもねえよ。ルイズと沢近に謝れよ」

翔太「そんなことない!! 北斗君、絶対僕の方が可愛いよね!?」

北斗「ん? まあ少なくとも俺からしたら翔太の方が可愛いよ。既に翔太は俺にとっては本当の弟みたいなものだからな」

翔太「北斗君……!」ウルッ

冬馬「だーからそうやってお前がすぐ甘やかすから付け上がるんだっつーのに……」

翔太「そうだよねっ! 僕が一番だよねっ! やっぱり北斗君だけはいつだって僕の味方だよ〜!」

北斗「俺達はもはや運命共同体だからね。当然のことを言ったまでだよ」

翔太「……えへへっ♪ ありがとう北斗君! だーいすきっ!」

北斗「ふふっ!」


 デデーン 北斗、翔太、アウトー


北斗・翔太「!?」

冬馬「アホだろお前ら」





 バチーンッ!

北斗・翔太「アリスッ!!!!」
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/31(日) 12:25:47.29 ID:rsKRgMDPo
ルイズと沢近って微妙に古いツンデレだなwwwwww
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/31(日) 14:18:45.95 ID:ewt02EQn0
古いツンデレってか最近のはツンデレを間違って使ってるキャラしかいないし
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/31(日) 23:45:00.99 ID:ebQN1y+jo
てんてるのハードルが上がっていくな
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/08/01(月) 01:25:10.09 ID:SIEFtGlso
酷いSSだ、もっとやれ!
あまとうと語り合いたいね
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/01(月) 21:24:57.44 ID:ib8z3oKAO

翔太「痛い……ふんっ、でもこれで僕の方が可愛いってことが証明されたね! あの北斗君の証言だよ? これはガチ!!」

かのん「でもそれ無理矢理言わせただけだよね。同じグループゆえのただの同情票っていうか」

翔太「あ?」

かのん「第一そういう必死過ぎるところがまずもう全然可愛くないもん。
    しょせんは作った紛い物のキャラなんて砂上の楼閣、あと数年もして今の容姿すら失ったら終わりだと思う」

翔太「おいチビガキ、本気で沈めるぞ」




冬馬「……なあ、あいつ本当に小学生か? 真剣に怖いんだけど。
   俺なんてあの頃はマジでサッカーと給食の牛乳争奪戦のことしか考えてなかったぞ?」

北斗「わかめごはんの日とかテンション上がったよね」

冬馬「……え、お前給食食ってたのかよ?」

北斗「冬馬は一体俺のことをなんだと思ってるんだ」

山村「北斗くんの小学生時代ってまるで想像出来ないですよね」

冬馬「なんだ、てっきりお前は生まれた時から既に今の姿だったのかと思ってたぜ」

北斗「俺の母親はどれだけ出産頑張ったんだ」
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/01(月) 21:29:07.31 ID:ib8z3oKAO

司会「はーい、はーい、みんな静かにー! 答えはまたもふもふえんのみんなの水泳でした!
   直央くんはここまでなんと全問正解! すごいね〜」

直央「えへへ……」

志狼「なんだよー、結局またなおが一番かよー」

かのん「でもかのん達も1つ間違えただけだよ! 人生設計は間違えてないしね!」

柏木「えー!? オレの答えじゃダメなんですかぁ!?」



翔太「当たり前でしょ」

冬馬「……ぶっちゃけ直央が一番素直で純粋で可愛いよな」

山村「キッズアイドル界の良心ですね」

北斗「割と本気で9歳でアレは闇が深すぎると思う」

柏木「あっ、なるほど分かりました!! つまり翔太くんは夜もカナヅチってことですね!?」

翔太「なんで何でもかんでもそっち系に繋げようとするの? なにこれイジメ?」

柏木「でも人間って不思議ですよね! だって生まれる前はみんな父親の××××の中でおたまじゃくしとして泳いでたのに、生まれてからは泳げなくなっちゃう人もいるなんて!!」

冬馬「ほんといい加減にしとけよあんた」
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/01(月) 21:41:24.82 ID:ib8z3oKAO

司会「それじゃあ次が最後の問題です! ラストはジュピター全体に関するクイズ!
   とっても難しい問題だけど果たして直央くんは見事パーフェクトを穫れるのでしょうか!?」

直央「が、がんばります!」

北斗「まだ続くのか……」

冬馬「……これでやっと終わると考えようぜ。これさえ終わればこの地獄から解放されるんだ」






司会「2010年9月18日(土)に突如巻き起こり、世間を震撼させた例の……」

冬馬「ちょっと待て」

北斗「これはまずい」

翔太「カメラ止めて、マジで」

司会「……はい?」


司会「えっと、なにか私まずいこと口走ってしまったでしょうか……?」

冬馬「むしろまずさしかねえんだけど」

北斗「可愛い顔してとんでもないこと言いますね司会さん」

翔太「本当の核弾頭はこっちのお姉さんだったよ」

司会「えーっと……ちょっとよく分からないですけど、もしかしてこれはそちらの事務所的にはNGという感じで?」

冬馬「うちの事務所とか関係なくNGだよ」

北斗「どうしてわざわざそんなギリギリのところを攻めようとするんだ……」

司会「申し訳ありません……じゃあ仕方ないので出題部分は飛ばして答えだけ言っちゃいますね!!」

翔太「いや、なんで?」

司会「正解は『可能性を生み出しただけでアウトなんだよ』でしたー!!」

冬馬「やめろ!! おい!!!!」


 デデーン ジュピターの存在自体がアウトー


冬馬「うっせえよ!!!!!」
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/01(月) 21:47:53.11 ID:ib8z3oKAO

司会「これは……本当にとっても難しい問題ですよね……悲しい、事件でした……」

翔太「難しいってそっちの意味!?」

山村「でもこの件がなかったらそもそも315プロ自体が存在していなかったかもしれないんですし」

冬馬「……いや……まあ、それは……」

柏木「そうですよ! ジュピターの皆さんにはオレ、本当に感謝してます!!」

翔太「……」

直央「は、はい。ボクもジュピターのみんなのことすっごく尊敬してますし……。
   それにボクのお母さんもいつもジュピターかっこいいって言ってます! 元気出して下さい!」

北斗「……岡村君」


志狼「そーそー、いじってもらえてる時点で全然オイシイじゃん。気にすんなって!」

冬馬「志狼……」


かのん「かのんもそう思うー。なんだかんだでジュピターが可能性を生み出してくれたおかげでかのん達だって今ここにいられるんだもん」

翔太「クソガキ……」



司会「なんかいい話でまとまりましたね!! めでたしめでたし!!」

冬馬「あんたいい性格してんな」

北斗「俺はそういう女性も好きだけどね……」

翔太「……ああもう本気で帰りたい。帰ってシンゴジラ見に行きたい」
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/02(火) 10:39:47.54 ID:EK1vDlSS0
あれは哀しい騒動だった…(遠くを見詰める目)
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/02(火) 20:24:36.80 ID:V/E1TQrAO

冬馬「そういやシンゴジラって評判いいらしいな。俺も今度見に行くか」

翔太「連れてってくれるの? じゃあキャラメルポップコーンも奢って」

冬馬「一人で行けボケ。あとシンエヴァはどうなってんだよシンエヴァは。なにがQだよ」

北斗「俺はQはQで楽しめたけど……」

冬馬「あと俺がエヴァに求めてんのはヤマトじゃねえから。ヴンダーとかどうでもいいから、もっとエヴァが暴れてるところ見せろよ」

翔太「僕はアスカ派だからシンには期待してるよ」

冬馬「ざけんなよ、惣流はともかく俺は式波は認めてねえぞ。
   安易にデレ過ぎなんだよ式波は。あと誰がなんと言おうが一番は綾波だから」

北斗「まあ綾波は綾波で破で安易にデレてたけどね」

冬馬「いいんだよポカ波は可愛いから。あー俺も味噌汁作ってもらいてえ」

北斗「みんなはもっとミサトさんとリツコさんの大人の女の魅力に気付くべきだと思う」

冬馬「流石に四十路の方はちょっと……」

翔太「あれだけシンジ君に頼りまくってたのに何もしないでとか言っちゃう人とオネエ化した人はちょっと……」

北斗「よーし、戦争だ」



司会「はいはい、ヒロイン論争も大概にして、じゃあ番組の最後はいつものお歌のコーナーだよ!
   今日はなんとゲストに豪華な人も呼んでます! みんな大好きな歌のお姉さんだよー!!」

冬馬「……歌の……お姉さん……?」

翔太「まさか……」

北斗「この流れは非常に危険だぞ……」








千早「どうも、板のお姉さんです」

 デデーン 全員アウトー
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/02(火) 20:31:43.65 ID:V/E1TQrAO

志狼「あっ! 板の姉ちゃんだ!」

直央「わあ、板のお姉さん!」

かのん「わーい、板のお姉さんだ〜!」

柏木「板のお姉さん!」

千早「こんにちは。歌のお姉さん改め、まな板のお姉さんこと如月千早です」キリッ

志狼「ほんとだ! すげーまな板じゃん! かなりまな板だよコレ! まな板にしようぜ!」

千早「フフ……」



翔太「……だからなんで千早さんはそんなに嬉しそうなの……あだあっ!!??」

 バチーンッ!

冬馬「あいつのあの笑いに賭ける情熱は一体どこからやって来るんだよ……ぐおあっ!!?」

 バチーンッ!

北斗「……心のずっと奥の方じゃない? あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」

 バチーンッ!


山村「流石765プロ。あなた達とは気合いと覚悟の度合いが段違いですね。見習って下さい」

冬馬「そんな覚悟いらねえよ……」


千早「それではさっそく聴いて下さい。如月千早で『目が逢う瞬間』」

冬馬「だから歌わなくていいっつーのに……」

千早「……」スゥーッ…







千早「目と目が逢う 瞬間 無乳だと気付いたー♪」

冬馬「……まあどうせそんなとこだろうと思った」
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/02(火) 20:39:52.36 ID:V/E1TQrAO

千早「あなたは今どんな気持ちでいるの?」

冬馬「いたたまれない気持ちだよ」


千早「戻れない胸板だと 分かっているけど……」

冬馬「大丈夫だって。まだこれからだってお前は。もっと頑張れよ。諦めんなよ」


千早「少しだけこのまま瞳 そらさないで〜♪」

冬馬「いや、やっぱ無理。全力で逸らす」

翔太「……冬馬君、いちいち冷静なツッコミ入れるのやめようよ」

北斗「正直冬馬の余計なツッコミのせいで笑っちゃってる部分が大いにあるからね」


千早「たくさんの乳の波 あの人にだけは分かる♪」

冬馬「まあそりゃ分かるだろ。山脈の連なりの中に一つだけ谷があるんだから」


千早「つないだ胸の強さ あの頃のパイが今動き出すの♪」

冬馬「なあ、自分で自分の名曲ぶっ壊して楽しいか?」


千早「Ah〜揺れない気持ち Ah〜奪ってほしい♪」

冬馬「だから無いものは奪えないだろ無いものは」

北斗「冬馬、それ以上は本気で千早ちゃんのファンに刺されるぞ」

翔太「いい加減その自分から全力で喧嘩売りに行くスタイル改めなよ冬馬君。そんなんだからすぐ業界に敵作るんだよ」



千早「目と目が逢う 瞬間 無乳だと気付いた〜♪」


千早「あなたは今どんな気持ちでいるの?」


千早「戻れない胸板だと 分かっているけど 少しだけこのまま瞳 そらさないで〜♪」


千早「……ありがとうございました」ペコリ
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/02(火) 20:55:56.76 ID:V/E1TQrAO

志狼「おー! スゲー!」パチパチ

直央「とっても上手くて感動しました! すごいです!」パチパチ

かのん「お姉さんお歌上手〜! どうやったらそんなに上手に歌えるの?」パチパチ

柏木「流石歌姫と呼ばれる人ですね! こんなところで貴重な生歌が聴けるなんて……オレ、アイドルになってよかったです!
   オレもあなたくらい上手くなれるようもっと頑張ります!」パチパチ

千早「いえ、そんな……私なんてまだまだです」




冬馬「……なんであいつらはあんなに普通でいられるんだ?」

山村「その常に平常心を保っていられる精神力の強さがあなた達と他のアイドル達との格の違いなんですよ。見習って下さい」

冬馬「とりあえずそれ言っときゃいいと思ってんじゃねえぞ」

翔太「まあでも実際千早さんは本当に歌唱力高いよね。持ち歌もみんないい曲だし。羨ましいよ」

北斗「確かによく考えたら彼女の歌を間近で聴ける機会なんて光栄だよね」

冬馬「お前らだんだん感覚麻痺してきてねえか? あいつのせいで俺ら何回もケツ叩かれてんだぞ?」

北斗「千早ちゃんの歌のためなら俺は悪魔にでも余裕でケツを差し出すよ」

翔太「その言い方は誤解を招きそうだからやめて」

冬馬「真っ当に歌ってくれんならまだいいんだけどな……」
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/02(火) 22:32:09.98 ID:hRNgGbkSO
まな板にしようぜ!
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/02(火) 23:04:30.75 ID:V/E1TQrAO

かのん「あっ、そうだ! ねーねーお姉さん!」

千早「はい?」

かのん「お姉さんはかのんとしょうたくん、どっちの方が可愛いと思う? どっちの方が国民的弟キャラの座にふさわしい?」

翔太「!」ピクッ

北斗「あ、その話題まだ引っ張るんだ」

翔太「……」

千早「……そうね。ここは弟ソムリエたる私が公平な判断を下すべき時ね」

冬馬「なんだよ弟ソムリエって」

柏木「ソムリエっていい響きですよね! なんだかお腹が空いてきました!」

山村「かのんくんには妹がいるから正確にはお兄さんなんですけどね」


千早「……うーん」ジッ

かのん「やっぱりかのんの方だよね〜?」キャピッ

翔太「何言ってんの、僕に決まってるでしょ」

千早「…………」ジーッ

北斗「……なんなんだろう、このカオスな状況」


千早「…………違うわ」フルフル…

かのん「えっ?」

翔太「……ん?」


千早「違う……どっちも違う……ッ! こんなの優じゃない! 全然優じゃないわ……ッ!!」

冬馬「ヤベェ、なんか変なスイッチ入った」

千早「優は……優はもっと名前の通り優しくて……絵を描くのが上手くて……純粋で……」

千早「素直で……可愛くて……こんなあざとさの塊みたいな不純な存在じゃない……ッ!!」

冬馬「不純な存在だとよ」

翔太「…………」

かのん「…………」


千早「優……私を置いて一体どこへ行ってしまったの……」

冬馬「お前がどこへ行っちまったんだよ」

北斗「だからそういう無駄なツッコミを入れるな」


直央「あ、あの……」

千早「……え?」
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/02(火) 23:16:14.55 ID:V/E1TQrAO

直央「えと……その、う、上手く言えないですけど、そんなに落ち込まないで下さい!
   あっ、ボクなんかが偉そうなこと言える立場じゃ全然ないけど……」

千早「……」

直央「でも、あの、事情はよく分からないですけど……きっとお姉さんの弟さんも今頃天国でお姉さんのこと優しく見守ってくれてると思います!」

千早「……」

直央「だってお姉さんは本当にとっても歌が上手で……テレビでもいっぱい活躍してますし……。
   だから、えっと……弟さんにとっても絶対自慢のお姉さんだと思うんです」

千早「……」

直央「……元気出して下さい。それくらいのことしかボクには言えないけど……」

千早「…………優!!」ガシッ

直央「えっ」

千早「あなたこそ優! まさしく優だわ!!」

直央「えっえっ」

千早「その心優しいところ……あと黒髪! それと、えーっと……黒髪!」

冬馬「その部分だけかよ」

千早「優……こんなところにいたのね……」ジワッ

直央「あの、ボクは優さんという人じゃ……」

千早「いいえ、あなたは優よ。優だわ。優に決まってる。絶対優よ」

冬馬「無理矢理過ぎんだろ」

直央「ち、違います! ボクは岡村直央っていいます。優さんという人じゃありません」

千早「……!」


千早「そう……そうね。優はもう……いない……。身代わりを求めても虚しいだけ……。
   だって優の代わりなんて誰にも務まらないのだから……」

翔太「……こういう時どんな顔すればいいか分かんないんだけど」

北斗「……泣けばいいと思うよ」





 バターンッ!!

春香「千早ちゃん……!!」

千早「…………春香!?」

冬馬「あ、天海来た」
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/02(火) 23:33:26.99 ID:V/E1TQrAO

春香「千早ちゃん……」ツカツカツカ…

千早「や……やめて。来ないで……」

春香「……千早ちゃん」ツカツカ

千早「……いやっ! 今の私を春香に見られたくない! こんな、こんな弱くて醜い私を……!」

春香「千早ちゃん」ギュッ

千早「あっ……」

春香「……うん。辛かったよね。でももう大丈夫だよ千早ちゃん。私はいつだって千早ちゃんの味方だよ」ナデナデ

千早「……」

春香「確かに優くんはもういないかもしれない……けど、私や765プロのみんなやプロデューサーさんはずっとずーっと千早ちゃんと一緒だもん」

千早「……だって……だって!」

春香「……私は我慢とか背伸びしてもカッコつけた千早ちゃんが好き……大好き。
   だからそんな悲しい顔しないで。一人で泣かないで」

千早「……でもっ!」

春香「ううん。ごめんね。やっぱり泣いたっていいよ。千早ちゃんが寂しい時は私が必ず側にいる。
   千早ちゃんが泣き止むまでずっと側にいるから……」

千早「……はる、か……」

春香「だから……だからお願い。そんなに自分を追い詰めないで。
   千早ちゃんがあんまり辛い顔してるとこっちまで胸が苦しくなっちゃうよ」ギュウッ

千早「……」





冬馬「……俺達は一体何を見せられているんだ」

山村「はるちはわっほいですね」

春香「さあ、顔を上げて? 千早ちゃん」

千早「……ぐすっ。ええ」ゴシゴシ

春香「そして戻ろう……輝いたあのステージへ!!」

千早「春香……!!」
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/03(水) 01:25:17.68 ID:HsIYeWdAO

春香「ふふ……さ、行こう。千早ちゃん」

千早「そうね……春香。ふふっ」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

春香「じゃあお邪魔しました。千早ちゃん、せっかくだから何か食べて帰ろうか?」

千早「ええ。春香は何が食べたい?」

春香「千早ちゃんの好きなものを私も食べたいな。千早ちゃんが美味しそうに食べてる姿を見てるのが幸せだから」

千早「もう、春香ったら……」

春香「えへへ……」

千早「うふふ……」

 スタスタスタ… バタンッ!


冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」


冬馬「……なんか普通に帰ったぞあいつら」

翔太「そうだね。普通に帰ったね」

北斗「普通だね」

冬馬「如月はともかく天海は何一つ面白いこととか言わないまま帰ったぞ」

翔太「そうだね。普通だったね」

北斗「……普通、だね」

冬馬「なんか最終的にオチとかなくただイチャついてただけだったぞあいつら」

翔太「そうだね。イチャついてただけだったね」

北斗「……イチャついてただけ、だね」

冬馬「……あいつ来た意味あるか?」

翔太「……特にないね」

北斗「……ないよね」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」


木星「フフッ……ww」

 デデーン 全員アウトー
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/03(水) 01:41:37.50 ID:HsIYeWdAO

冬馬「………フェイントかけてきてんじゃねえよ!! ぐあっ!!??」

 バチーンッ!

翔太「何もなくて笑わされるってどういうことなの……い゛あっ!!??」

 バチーンッ!

北斗「コスパ最強じゃないか……がああっ!!??」

 バチーンッ!


山村「自らは動かずとも見事敵を陥落させる。流石メインヒロインの貫禄ですね」

翔太「それ絶対違う……」



 ガチャッ!

春香「そうそう、冬馬くん! ごめんね言い忘れてた!」

冬馬「……あ?」

春香「その765パーカーすごくよく似合ってるよ! なんか秋葉原にいそう!」グッ!

冬馬「やかましい!!!!」


司会「それじゃあ今日の放送はここまでだよ! クイズの優勝者は直央くん! おめでとう! みんな来週のこの番組もお楽しみにね〜♪」

志狼「絶対見てくれよな!」

直央「さ、さようなら!」

かのん「ばいばーい!」

柏木「また見て下さいね〜!」

冬馬「こんなもん放送出来ないに決まってんだろ」

178 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/03(水) 22:16:28.67 ID:HsIYeWdAO



 ――某テレビ局前

山村「皆さん、もふもふえんのみんなと翼さんの仕事姿を見て新しくいろんなことは学べましたか?」

冬馬「学べるわけねえだろ。何一つ参考にすべきものがなかったわ」

北斗「……一応反面教師という意味では勉強になったかな」

翔太「とりあえず直央ちゃんと志狼君はともかくあのクソチビだけはいつか絶対潰す」

冬馬「お前もチビだろ」

北斗「中2で163センチだからそんな小さいわけでもないんだけどね」

山村「はいはい、勝手なお喋りはしないで下さいね。
   さて、それでは先刻まではみんなにはアイドルとしての勉強をしていただきました……が、今度は本当の勉強をしてもらいます!」

冬馬「……は? 本当の勉強?」

山村「ええ。学生の本分はなんといっても勉強ですからね。いくら芸能人だからといってそちらには手を抜いていいという理由にはなりません」

山村「忙しいスケジュールの合間を縫ってそれでも文武を両立しようとする真面目な姿にこそファンの皆さんは深く感銘を受け、さらに応援したいという気持ちになってくれるはずです」

翔太「えー!? そんなの関係ないよー! なんでわざわざ学校以外のところで勉強なんかしなくちゃなんないのー?」

山村「そういう世の中に対する甘えが翔太くんのような純粋培養のゆとりを日々日本の現代社会に生み出しているんですよ」

北斗「まあ確かに勉強はしておくに越したことはないかもしれないけど……」
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/03(水) 22:20:12.18 ID:HsIYeWdAO

山村「それにあまりに勉強が出来ないとその内生粋のアホアイドルとして
   某番組の抜き打ちテストでWBT(ワールドバカ冬馬)の不名誉な称号を与えられる可能性も無きにしも非ずですよ?」

冬馬「ぐっ……それは嫌だ……」

山村「そうなってしまわないためにも手遅れにならない今の段階からきっちり教養を身に付けていきましょう。
   きっと皆さんの将来に役立つ知識が得られるはずですよ!」

北斗「……得られないと思うけど既に反論するのも面倒臭くなってきたよ」

山村「それじゃあこの先にある進学塾に皆さん専用の席を用意してもらっているのでさっそく移動しましょうか!」

冬馬「……そこまでやるのか。マジでそのための金は一体どこから捻り出してんだよ」

翔太「塾とか僕がこの世で歯医者の次にもっとも嫌いな場所だよ……」
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/03(水) 22:24:45.52 ID:HsIYeWdAO


 ――某進学塾 教室

山村「到着しましたね。ではぼくはここで一度失礼します。授業が終わったらまた迎えに来ますので」

冬馬「……あんた本当自分にとって都合の悪い部分は見事に回避していくな」

山村「みんなはしっかり勉強してこの講習が終わった後は是非一皮剥けたアイドルになって出てきて下さいね! 特に翔太くん!」

翔太「……なんで僕だけ強調したの」

山村「一皮剥けた大人になって下さいね!!」

翔太「だからなんで2回言うの!?」

冬馬「剥けてないからだろ?」

翔太「ほんとに後で冬馬君は殺す。絶対殺す。3回殺す」

北斗「まあまあ……」

山村「頑張って下さいね〜!」

 スタスタスタ… バタンッ!


冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/03(水) 22:34:02.90 ID:HsIYeWdAO

冬馬「はあ……いい加減怒る気力すらなくなってきたぜ……」

翔太「喉痛い。お尻も痛い。何より心が痛い」

北斗「かつてここまで翔太が精神にダメージを負わされたことがあっただろうか」

冬馬「しかし勉強を教えるとなると……やっぱあの人達だよな」

北斗「うん。S.E.Mの3人だよね多分。全員元教師からアイドルになった人達だし」

翔太「もしくは玄武さん辺り?」

冬馬「ああ、あいつは全国模試全科目1位とかいう化け物だからな。夜神月かよ」

翔太「でも正直僕そのレベルの授業には付いていける自信ないんだけど……」

冬馬「俺だってねえよ……」






 ガラッ!!

四季「ッウェーーーーーーイ!!!! みんな元気っすかぁー!?
   オレは今日も全力全開、ウルトラハイパーイイ感じ! ガンガン盛り上げてこーぜー! イェイ!!」


 デデーン 全員アウトー




四季「お待たせしましたスゴいヤツ! 伊瀬谷四季参上ってね!
   バリバリ最強ナンバーワン、テッペン目指して正義の使者やっちゃうぜー!?」


伊瀬谷四季
http://imepic.jp/20160803/772710
現役男子高校生5人組バンドアイドルユニットHigh×Jokerのボーカル担当
見た目と言動は完全にチャラ男だがアイドル活動に対する姿勢は真面目
ちなみに第2回315プロ総選挙では1位を獲得している
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/03(水) 22:41:15.26 ID:HsIYeWdAO

冬馬「……なんでだ……なんでよりによってこいつなんだよ……あ゛あっ!!!!」

 バチーンッ!

翔太「断言する。学校の勉強に関してだけはこの人に教えられることは絶対何一つたりともない……メメタァッ!!??」

 バチーンッ!

北斗「そもそも俺20歳なのに高校生から勉強教わるって……ふぐぅっ!!??」

 バチーンッ!


四季「いやー、しっかし今日もマジガチアッチィっすね! 太陽っちがリアル本気出し過ぎっすよー!
   マジもうちょいボリューム絞ってこーぜー? クールビズクールビズー!」

四季「ノー温暖化、ノーライフ! ……ん? なんか違う? まーいいや! とにかくバッチバチにアゲてくぜー!!」



冬馬「……やべえ。既にこのテンションに耐えられる自信がねえ」

翔太「僕も大食いだけど、ただでさえ疲れてる時にこれはケーキワンホール食べた後に口の中に無理矢理ジャンボシュークリームぶち込まれるが如き苦行だよ……」

北斗「卯月君なら普通に喜びそうだけどね……」

四季「なんすかなんすかー? みんなテンションバリ低過ぎっすよー!
   もしかしてオレウザいっすか? エモい系っすか? でも空気なんて読まないぜ!」

四季「みんなももっとデッカくハジケていきましょーよ! ラブ&ピースっす!! イェーイ!!」


翔太「……確実にこれは僕より向こうの方がゆとり度高いでしょ。流石にあそこまで酷くないよ僕は」

冬馬「五十歩百歩だろ」



四季「ハーイ、そんじゃ全員静粛にお願いするっすー! ちなみにオレの担当は国語、古典っすよ!
   今日は清少納言の枕草子についてガンガン教えていくっすー!」

冬馬「……ん?」

翔太「……あれ?」

北斗「……え?」
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/03(水) 22:52:01.24 ID:HsIYeWdAO

四季「えー、まずは清少納言についての簡単な人物像から説明するっす。
   存命だったのは平安時代、今から約1000年くらい昔っすね」

四季「その時代に活躍した女流作家で一条天皇の妃である中宮定子に女房、要するに教育係として仕えてた人っす」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

四季「この定子っちに清っちはすごく可愛がられてたことで有名で、清っちの方も自分の随筆……今で言うエッセイっすね」

四季「そのエッセイに『うちの定子様マジすごい! めっちゃ高貴な身分の人なのに私なんかにも超優しい!
   しかもまだ若いのにハイパー才女で美少女! 定子様マジサイコー!』的なベタ褒めしてる記述を残してるっす。相思相愛っすね」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

四季「その記述が書かれてるのがさっき言った枕草子っす。一説にはこの随筆は定子っちに見せるために書かれたと言われてるっすね」

四季「だから全体的に『こんなことがありましたよねー』『あれが可愛いと私は思うんです』的な女子会のガールズトークをブログやツイッターにまとめたみたいな感じの内容なんっす」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

四季「具体的には『定子様の着物の着方がマジガチイケてる! 派手に着飾るんじゃなく、さり気なく見せるファッションが超オシャレ!』とか」

四季「『ロリショタ可愛い! ロリショタ最強! パッツン前髪と萌え袖がたまんない!』的な話題があるっすね」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/03(水) 22:57:09.01 ID:HsIYeWdAO

四季「身近な人やものに萌えを見出して愛でる。まさに“いとをかし”の精神が全面に出ているこの随筆は女性的な感性に満ち溢れた名著っす」

四季「現代の日本のオタク文化にも通ずる部分があるっすよね。
   今なお多くの研究者達に愛される、オレらにとっても非常に興味深い古典の金字塔というわけっす!!」

冬馬「…………すげえ……すげえ分かりやすい! なんだコレ!! どうした四季!!」

翔太「どういうことなの……意味が分からない……こんなの絶対おかしいよ……」

北斗「宇宙の法則が乱れている……」


四季「ハイ、ちなみにここで1つ問題っすよー!
   この清っちにはガッチガチにアツいライバルがいたことでもよく知られてるっすが、そのライバルとは一体誰でしょーか! 冬馬っち、答えて下さいっす!」

冬馬「え? ……紫式部だろ?」

四季「さっすが冬馬っち! スーパーパーフェクトな解答サンキュー! その通り、清っちと同時期に活躍した紫式部っす!」

冬馬「………なんだ……なんなんだ。この限りなくウゼェのに何故か妙に嬉しくなってくる不思議な感じ」

北斗「褒めて伸ばすのは教育の基本だからね。褒め上手な人は教え上手という証拠だ」

翔太「なんでこんなプロ教師並みの技術持ち合わせてるの四季さん……」
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/03(水) 23:10:01.18 ID:HsIYeWdAO

四季「この式部っちは彰子の女房として仕えてた人っすね。世界最古の長編小説と言われる源氏物語を書いた作者っす」

四季「んで、清っちは漢文が得意で本人もそのことに自信を持ってたんすけど、当時は漢文は男が学ぶものとされてたんっす」

四季「つまり女の人がそういう知識をひけらかすのは生意気だと考えられてたわけっすね」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

四季「式部っちはそこんとこおカタい人だったんで実際はめっちゃ頭良いのに謙遜しちゃうタイプだったっす。
   けど、逆に清っちはガンガン自分を出してくタイプだったわけっすね」

四季「残念ながらトーゼン2人の相性は超絶に最悪っすよね。
   結局式部っちはそんな清っちにブチギレで『偉そうに漢文知識鼻にかけて高尚ぶってんじゃねーよこのドグサレ女!』と悪口書いたりしてるっす」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

四季「まあでもそういうどこまでもパネェ負けん気の強さが彼女に源氏物語を書かせるパワーを与えたわけっすからね!
   これはオレたちもアイドルとして今後見習っていくべきバイタリティの高さだと思うっす!!」

四季「そんなわけで簡単にではあるっすけどこれで清っち自身の説明は終わりっす!
   みんなここまでは大丈夫っすか? このビッグウェーブにノれないヤツはドンドン置いてっちゃうぜー!」

冬馬「……やべえ。ここまで笑いが一つしか起こってねえのに今日確実に一番充実してるぞ俺」

翔太「今すっごくナチュラルに四季さんを尊敬してるよ僕」

北斗「まさかこんなミラクルが起こるとは……」
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/03(水) 23:16:08.02 ID:IJ8DbKCi0
実際テンションはともかく古文の授業が面白い先生ってこんな感じの噛み砕きまくって話ししてくれてから授業してくれる先生だよね
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/04(木) 14:44:59.68 ID:jcx0Bo8i0
古文って今も昔も日本人は変わってないって所を教えられると楽しくなるよね
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/04(木) 20:41:12.41 ID:QjfBghDAO

四季「ハイハーイ! そんじゃあここからは本題の文章そのものを読んでいくっすよ! みんな準備はいいっすかー?」

四季「枕草子はなんといってもその冒頭の書き出しが有名っすからね!
   このホワイトボードに原文が書かれた紙を貼るんで、その後にオレが現代語訳して解説していくっす!」

冬馬「……おお」

翔太「……どうしよう、なんか僕勉強って楽しい気がしてきたよ!」

北斗「俺も中高生時代に帰ったみたいで懐かしいな。ワクワクするね」

四季「枕草子の出だしは春夏秋冬それぞれの季節でどの時間帯が一番イイ感じか清っちが自分語りしてる内容っすよ!」

四季「全部説明すると長くなっちゃうんで今日のところはひとまず春についての解説をしていくっす! よいしょっと……」ペタッ

四季「ハイ、コレ! 清っちの清っちによる清っちのための春考察っすね!」バンッ!


 『春はあけぼの。やうやうしろくなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる』


四季「みんなご存知、“春はあけぼの”。あけぼのっていうのは夜明けのことっす」

四季「暗い夜が明けて太陽っちが昇り始める頃、向こうに見える山の端っこ、要は空とくっついてる部分がだんだん白くなってくると」

四季「少し明るくなって雲っちが紫っぽい色に変わり
   細く横に流れてる様子が1日の内で一番サイコーって清っちは言ってるわけっすね!」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

四季「確かに明け方って空気も澄んでるし静かでなんとなくそういうキレーな情景が浮かんでくる感じがするっす!」

四季「今から1000年も前のとっくに死んでる人が書いた文なのに現代に生きてるオレらにも共感出来る……」

四季「その頃のリアルな様子なんて実際には分かんないっすけど
   なんかどことなくちゃんと今と当時が繋がってる感があって感慨深いっすよね!」

冬馬「はー……」

翔太「……ねえ、この人本当に四季さん? 偽物じゃないよね? いっそ怖くなってきた」

北斗「ゆとりだのさとりだの言われてるけど今の日本も捨てたもんじゃないね」
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/04(木) 20:43:46.94 ID:QjfBghDAO

四季「ところでこの文章を読んで雰囲気的になんか気付いたことはないっすか? ここは女性の心理に詳しい北斗っち、どうぞ!」

北斗「ん、俺? うーん、そうだな……すごくハッキリ言い切ってるよね。
   彼女は自分のこの意見にとても強い確信を持っているという感じが出てるかな」

四季「イェーイ! 北斗っち、マジサイコーイケてるっす! まさしくその通り!!」

四季「清っちは『個人的には私はこう思う』っていう消極的な言い方はしてないんすよね」

四季「『春はあけぼのなの! 絶対コレが一番に決まってるの!』っていう自信満々な断言をしてるんすよ」

四季「そのところから清っちはそれだけ式部っちに負けず劣らず気性が激しくてとにかくキッパリハッキリしたアグレッシブな女の人だったことが窺えるっす!」

四季「式部っちが表面上はしおらしく無知な振りをしてた姿とは本当に対照的っすよね!」

四季「悪い言い方をすれば頑固で思い込みの激しい自己チューな部分も感じられるかも?
   枕草子には自慢話がとにかく多いんで、そこんとこが清っちは性格悪いとか言われたりもするゆえんっすね」

四季「でもそんなトコも含めてなんだか人間臭くて今も昔も人ってのは変わんねーなーってのが分かってくるっすよね!」

冬馬「……すげえ。さっきまでの自分達が恥ずかしくなってくるレベル」

翔太「ホントだよ……何が空気嫁に夜の社交ダンスだよ……馬鹿じゃないの僕たち……」

北斗「まあそれは主に柏木さんのせいだけど……」
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/04(木) 20:46:41.76 ID:QjfBghDAO

四季「けどそんな気の強さとは裏腹に情景描写そのものは繊細で目線が細やかっす。日本的な感性の香りってヤツがするっすね!」

四季「枕草子には暗い話ってほとんどないんすよ。とにかく明るく華やかな宮中の様子が延々描かれてるっす」

四季「じゃあ実際その通りの暮らしを清っち達はしてたのか? 答えはノーっす!
   ホントのとこはすっげードロドロした部分も大いにあったっす」

四季「自分の娘を天皇っちに嫁がせればその子供を次の天皇候補に出来るわけっすからね。
   やっぱそういう権力争いも日々絶えなかったわけっすよ」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

四季「つまり清っちは敢えてその手の暗い部分は書かなかったんす。
   定子っちをヘコませないためにひたすら楽しい話で盛り上げようとしたと」

四季「清っちの自分の主人に対する一途な想いとプライドが垣間見えるっすよね!」

四季「事実、定子っちは若くして難産で亡くなっちゃってるんすけど、清っちはそれにショックを受けてその後キッパリ宮仕えからは引退してるっす」

四季「さっきは清っちと式部っちはライバルって言ったっすけど、清っちの方が式部っちをどう思ってたかって資料は残ってないんすね」

四季「清っちが引退した時期と式部っちが彰子っちに仕えるためにやって来た時期も入れ違いなんで、ぶっちゃけこの2人は直接対峙したわけではないんすよ」

冬馬「ほおお……」

翔太「為になる〜」

北斗「なんかもう普通に感心しちゃってるな……」
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/04(木) 20:54:06.41 ID:QjfBghDAO

四季「さーて、んじゃここらで日本の文学を語るにあたって今度は外側からも見ていきましょーよ!」

冬馬「外側?」

四季「外側、要するに諸外国から見た日本ってことっすね。
   内側からだけじゃなく外からも俯瞰して覗いてみることで見えてくるものもあると思うんすよ!」

翔太「なるほどねー」

四季「“黄金の国ジパング”って言葉はみんな聞いたことあるっすよね?」

冬馬「あるある」

北斗「響き的にカッコイイよね」

四季「13世紀にマルコ・ポーロが東方見聞録で紹介したことで知られてるっすけど、まーその内容はガバガバっす。
   日本人は食人族とか書かれてたりね。そもそもジパングは日本のことじゃない説もあるっすし」

四季「要はまだまだ昔は西洋の方じゃ日本はワケ分かんない謎の国とされてたってことっす」

翔太「うんうん」

冬馬「航海時代とかロマンあっていいよな。やっぱり海賊は男にとって永遠の夢だぜ」

北斗「冬馬はそういうの大好きだよね」

四季「あと日本と言えばやっぱ江戸時代の鎖国っすよね。ガチ引きこもりっす。日本人シャイ過ぎっす。
   オランダと中国以外とは交易しねーよってイキっちゃったわけっすね!」

四季「とはいえ実際は朝鮮とか琉球とも関わってたんで、言っちゃえばハンパなヤンキーみたいなもんっす!」

四季「でもそんな風にA.T.フィールド全開で引きこもられちゃったら、遠い国の外国人からしたら日本は相変わらず意味不明な島って認識のままっすよね?」

冬馬「だよなあ」

翔太「日本ってヘンな国なのかな?」

北斗「まあどこの国にも変なとこはあるけどね」
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/04(木) 21:08:29.52 ID:QjfBghDAO

四季「だーけーどー! そんな謎の国である当時の日本が出てくる貴重な文献として世界的に超有名な小説がヨーロッパで書かれてるんすよ!
   これはなんだか分かるっすか? ヒントは旅行っす!」

翔太「えー? なんだろ……」

冬馬「分かんねえ……」

北斗「……ガリバー旅行記?」

四季「オッケーイ!! 北斗っちマジマジマックス冴えてるぅー!!」

四季「そうっす、ガリバー旅行記っす! 18世紀にアイルランドの作家ジョナサン・スウィフトによって書かれた架空の旅行記っすね!」

冬馬「あー。なんかガキん時に絵本で読んだ記憶はあるな」

四季「そーそー、なんとなく絵本とかで読んでみんな童話的なイメージがあるかもしんないっすけど……」

四季「実はこの小説はイギリス批判とか政治批判とか、すっげーキョーレツな風刺が込められたバリバリブラックな話なんすよ!」

翔太「え、そうなの?」

四季「そうっす! 主人公のガリバーが小人の国や巨人の国に流れついちゃってなんやかんやみたいな楽しいファンタジーな内容だと思ったら大間違いっすよ!」

四季「とんでもなく最凶のキレ味を持った超絶問題作っす! マジスウィフトガチヤベーっす! イッちゃってるっす!」

北斗「ああ……確かに彼は人間嫌いだったっていうのは聞いたことあるな」

四季「ガリバー旅行記にはラピュータっていう空を飛ぶ島も出てくるんすよ。天空の城ラピュタの元ネタっすね!」

冬馬「ほー」

翔太「そうだったんだ〜」

四季「で、そのラピュータの次にガリバーが行く島が日本なんっす。
   1709年にガリバーは日本に上陸して江戸から長崎まで旅行したってことになってるんすよ」

四季「ちなみに踏み絵の話とか日本人の乗った海賊船の話なんかも出てくるっす!」
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/04(木) 21:15:51.23 ID:QjfBghDAO

四季「つまり基本的に架空の国を旅する話の中で日本だけが唯一実在する国として登場するわけっすね。
   1709年っていうのは江戸幕府将軍、徳川綱吉が亡くなった年っす!」

四季「さてさて、じゃあこの綱吉っちが出したメガ奇妙キテレツな政策と言えばー? 翔太っちどうっすか?」

翔太「え? えーっと、アレだよね。犬のやつ」

四季「グーッド!! 生類憐れみの令、お犬様マンセーの時代っすね!!」

四季「綱吉っちが亡くなったのは2月でガリバーが日本を訪れたのはその後の5月なんで、実はその時点で既に生類憐れみの令は廃止されてるんすけどね」

四季「でも日本にはまだまだ動物マンセーの風潮は残ってたわけっす!」

四季「その動物様サイコーな当時の日本の空気を元ネタにしたんじゃないか? って言われてるのが次に話すフウイヌム編っすよ!」

四季「この小説の最後にガリバーはそのフウイヌムっていう理想的な統治のされている国に行くわけっすけど」

四季「そこではなんと生物カーストの一番上に立ってるのが馬で、逆に人間が家畜として扱われてるって設定なんっすよ!」

冬馬「へええ……」

翔太「ふーん。知らなかった!」

北斗「古典って面白いなあ」

四季「まあ正確にはあくまで建て前上はヤフーっていうフィクションの生き物ってことにはなってるんすけどね」

四季「でも明らかに人間がモデルの生き物っす。
   そのヤフーが家畜扱いされ、反対に馬が覇権を握ってる国がサイコーの理想郷として描かれている……」

四季「つまりスウィフトは人間はとかく醜くてどうしようもない存在だと。
   いっつも争ったり僻んだりしてばっかのしょーもない生き物だと考えてたわけっす」
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/04(木) 21:24:04.87 ID:QjfBghDAO

四季「これは清っちの時代の権力争いとも通底してるっすよね。
   同じことが常にいつの世もどこの国でも繰り返されてるってことっす」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

四季「さらにこれは猿の惑星とか藤子・F・不二雄先生のミノタウロスの皿なんかとも共通するテーマっすね。
   立場を入れ替えてみることで皮肉を浮き彫りにする、逆転の発想っす!」

冬馬「……リアルにびっくりするくらいめちゃくちゃ勉強になってるんだけど。なにこれ、ハイパーパネェ」

翔太「マジガチアツいね」

北斗「ウルトラスーパーデラックスにあげぽよだよ」

四季「そんで肝心のガリバー旅行記の具体的なその描写なんすけど」

冬馬「おう。なんだなんだ?」ワクワク

翔太「なになに?」ワクワク

北斗「気になるね」


四季「……とにかくウンコ! ひたすらウンコ! ハイパーウンコ! 隙あらばウンコ!
   マジそこかしこにウンコだらけの完全スカトロ小説っす!!」

冬馬「…………は?」

翔太「ウ、ウンコ……?」

北斗「ウンコ……」

四季「ウンコっす!!」

冬馬「……ウンコ……」

翔太「……」

北斗「……」

四季「……」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」


四季「ウンコ!!!!」

 デデーン 全員アウトー




冬馬「……ああ、チクショウ……高校生にもなってウンコで笑っちまった……。
   なんか自分自身に失望してるんだけど……あがっ!!??」

 バチーンッ!

翔太「なんでウンコって単語はこんなに無駄に面白くて魅惑的なんだろうね……いったあー!!??」

 バチーンッ!

北斗「小学生時代に既に一生分は笑ってるはずなのに大人になってもやっぱりウンコで笑ってしまうのは何故なんだろうな……ヤッダーバァァァ!!??」

 バチーンッ!
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/04(木) 21:44:47.48 ID:QjfBghDAO

四季「よーするに人間は糞尿垂れ流してばかりの文字通りクソみたいな存在だと!
   馬の糞ほどの価値もないくだらない生物だと!」

四季「人間なんてただのウンコ製造機に過ぎないとスウィフトは考えてたんすね。
   スウィっち、人間に絶望し過ぎっす。マジ人類補完計画発動5秒前っすよ……」

冬馬「ヤベェな……」

翔太「ゲンドウ並みのメンタリティじゃん……」

北斗「旧劇のトラウマが蘇るね……」

四季「ちなみにこのヤフーは今から60年前に日本で書かれた伝説のガチグロSM小説家畜人ヤプーのモデルにもなってるっすよ」

冬馬「SMって……」

翔太「……それはどういう話なの?」

四季「ハイパー上級者ドM野郎向けのポルノ本っすね!! SFに見せかけたレベルマックスな調教物語っす!!」

冬馬「ええ……」

翔太「……なんかいらない情報まで増えてる……」

北斗「……俺、一応それ読んでみたことあるよ。キツ過ぎて途中で断念したけど」

冬馬「うわ、お前ドMだったのかよ……引くわー」

翔太「流石にそれは僕もドン引きだよ。失望しました、北斗君のファンやめます」

北斗「だから途中でギブアップしたんだって……」

四季「まー最終的に何が言いたいかというと、そんな感じで枕草子から始まって源氏物語に東方見聞録にガリバーに徳川綱吉に家畜人ヤプーに……と
   いろんなものを紐付けて調べていくと覚えやすいし同時に古典も歴史も文学も学べて超お得ってことっすね!!」

冬馬「おお……おおおお……なんか……なんかスゲェ! 俺でもちょっと頭良くなった気がする!!」

翔太「うんうんっ! 僕にも勉強楽しめる脳ミソがあったんじゃないかって思えてきたよ!」

北斗「これだけの知識よく持ってるよね。すごいよ。伊瀬谷君はこういうのっていつもどうやって調べてるの?」

四季「丸暗記っす!!」

冬馬「……ん?」
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/04(木) 22:20:48.36 ID:QjfBghDAO

四季「ただの一夜漬けっす!! 今日のためにプロデューサーちゃんが用意してくれた資料徹夜で暗記してきただけっす!!」

冬馬「……おい!!」

四季「ぶっちゃけオレ、古典とか興味ないっす!! 歴史も興味ないっす!! 読書嫌いっす!!」

四季「過去のこととか正直どーでもよくないっすか? それより今と未来を見つめた方が絶対有意義だと思うんすよオレ!!」

四季「そもそも清っちとかリア友でも何でもない全然知らない人っすし!!」

北斗「それはそうだけども。それはそうだけども」

四季「なんかフレンドリーに清っちとか呼んじゃったけど、清っちの方だってぜってぇ誰だよコイツって思ってるはずっす!!」

四季「知らねえよこんなチャラいピンクメガネ、馴れ馴れしく私のこと話してんじゃねーよって思ってるだろうし!!」

翔太「いや……まあ。そりゃ確かに僕たちも知らないけど……」

四季「あとオレは犬よりネコっち派なんで! そこんトコは譲れねーっす! 綱吉っちとかクソ食らえっすね!!」

冬馬「……さっきまでの充実してたと思ってた時間はなんだったんだ……」

翔太「ある意味今日一番貴重な時間をドブに捨てたよ……」

四季「それとオレは人間嫌いじゃないんで! スウィっちとかまったく共感出来ないっす!
   マジガチ何様なんすか? スウィっちって。ネガ入り過ぎっすよ! もっとポジティブにアゲてけなかったんすかね?」

冬馬「お前……」

四季「ついでにスカトロも全然興味ないっすし! ウンコとかマジどーでもいいっす!
   なんすかウンコって! ウンコで笑っていいのは小学生までっすよ!!」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

四季「じゃあそんなわけなんで! オレの授業はこれで終わりっす! お疲れっした!! あー肩凝ったー!」ゴキッ

四季「無い頭使ったら甘いもんが欲しくなったっすねー。帰りにあめちゃんでも買ってくかな〜」スタスタスタ…

四季「んじゃ! ジュピターのみんな、バイバイシュー☆ この後も頑張って下さいねー!」

 ガラッ! バタンッ!


冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/04(木) 22:22:22.71 ID:E9jusbO00
……いやそれだけ丸暗記出来たら東大でも通るわ!
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/04(木) 22:29:05.09 ID:jcx0Bo8i0
アイドルだからねドラマの台本覚えるノリでやってたんじゃない?
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/04(木) 22:32:08.75 ID:E9jusbO00
まあ本人は勉強のやる気なさそうだから確かに暗記力意味ないけどね
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/05(金) 00:10:31.86 ID:l84lQbjIo
一人でやってたのにものすごく濃密だったわ
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/05(金) 06:12:24.46 ID:AxhtWvNSO
ナチュラルにディスったな
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/05(金) 07:40:13.48 ID:ZEyVMwfoo
うんこで笑ってケツしばかれるアイドル達がいるらしい…
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/08/05(金) 10:35:16.86 ID:4ux6LFZP0
チンコもウンコに並んで子供にウケる魔法の単語
マンコは変な空気になるから一部のみ笑う
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/07(日) 17:48:27.42 ID:d6uxs5NAO

冬馬「……なあ」

北斗「……なに?」

冬馬「……アイドルがウンコで笑うのってアウトか?」

翔太「……セーフかアウトかで言ったらアウトじゃない?」

冬馬「……マジで?」

翔太「少なくとも僕と冬馬君はまだしも北斗君はキャラ的にダメでしょ。ファンの女の子たちドン引きだよ」

北斗「でも俺平成版ドクタースランプで育った世代だし……あいつはあいつは顔デカいで笑ってた子供だったし……」

冬馬「ふざけんなよ、俺はアラレちゃん音頭しか認めてねえぞ」

翔太「冬馬君ってほんと懐古厨だよね」

北斗「典型的な面倒臭いオタクだな」

翔太「自分だって平成生まれのクセにね」

冬馬「うるせえよ。うる星やつらかお前らは」

翔太「え?」

北斗「え?」

冬馬「ごめん」

翔太「冬馬君のカレー……」ボソッ

冬馬「やめろ」

翔太「っていうかさ。一晩で丸暗記って普通にすごくない? なんであれで勉強出来ないの?」

北斗「あれだけの記憶力があるなら普通に出来るはずだよね」

冬馬「その能力をもっと別のところに生かせよあいつは」

翔太「ああもう、せっかく四季さんはあの無駄メガネや医者メガネとは違うと思ったのにとんだメガネだったよ。これだからメガネは」

冬馬「メガネそのものに罪はねえだろ」

北斗「メガネ否定は岡村君まで否定することになるぞ」
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/07(日) 17:55:33.33 ID:d6uxs5NAO

翔太「そういえば北斗君はそのなんとかヤプーってやつ読んだんでしょ? 結局どういうストーリーなの?」

北斗「俺も最初の方しか読んでないから分からないけど……確か女性が絶対的な権力を握ってて男はその奴隷にされてるっていう世界観だったよ。
   なんか肉体改造されて人間椅子にされたりしてたかな」

冬馬「うわあ……」

翔太「うええ……」

冬馬「っつーか一夜漬けってことはあいつ絶対部分部分で適当に誤魔化して間違えたこと言ってるぞ……」

翔太「……結局どこまでが正しくてどこが間違ってるの……? 分かんなくなってきた……」

冬馬「もう頭の中にウンコしか残ってねえ……」

北斗「なんかドヤ顔で綺麗な情景が浮かぶとか共感出来るとか言ってたけど絶対そんなの思い浮かんでないし共感もしてないよね」

冬馬「下手したら本気で太陽は西から昇って東に沈むと思ってんじゃねえかあいつ」

翔太「なんだっけ、ガリバーがラピュタで……ああもういいや」

北斗「まあそこは翔太がこれから自分で調べてみたらいいんじゃない?
   彼自身は適当に喋ってただけだろうけど、実際いろんなことを調べて学んでみるのはいいことだよ」

翔太「えー……やだ、面倒臭い。もう何見てもウンコとSMとメガネしか浮かんでこないし」

冬馬「勉強とかクソだな」ペッ

北斗「せっかく芽生え始めた勉学に対する意欲の萌芽が一瞬で摘み取られたな……」
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/07(日) 18:04:57.42 ID:d6uxs5NAO

翔太「まあそれにジブリの最高傑作は千と千尋だしね」

冬馬「何言ってんだ、もののけ姫で結論出てるから」

北斗「まあまあ、ここは間を取って紅の豚ってことでいいじゃないか。カッコイイってこういうことだし」

冬馬「は? じゃあ聞くけどお前ポルコに掘られてもいいのかよ?
   いくら中身がイケメンでも流石に豚に処女はやれねえわ。その点俺はアシタカにならケツを押し通られてもいい」

翔太「まあアシタカの方は冬馬君のケツなんか押し通りたくないだろうけどね」

北斗「確かにアシタカはカッコイイ。それは認める。
   でもいくらなんでもカヤからもらった首飾りをサンにあげてしまうのはどうなんだ?」

冬馬「いいんだよ、フンドシ穿いててもイケメンなんだぞアシタカは」

北斗「いいや、一番はポルコだ。ロリコンに見せかけて彼は最終的にはちゃんとジーナさん選んでるからね。しっかり貫き通してるから」

翔太「そんなこと言ったらハクなんて最初から最後までずっと千尋一筋だよ。
   迷ってすらいないよ。やっぱり千と千尋がナンバーワンだね」

冬馬「でもあいつ川じゃん。おかっぱだし」

翔太「おかっぱの何が悪いのさ。イケメンにしか似合わない選ばれし者の髪型だよ。
   ハクかブチャラティかイザークくらいしか許されないよ」

冬馬「民間人のシャトル撃ち落とした上にラクシズに寝返った奴のどこがイケメンなんだよ。
   ブチャラティ先輩と並べていいレベルの存在じゃねえわ。他が酷いせいで相対的に許されてるだけだろあいつ」

北斗「まあでもイザークにはシホがいる時点で勝ち組だよね」

翔太「そういえば北斗君ってディアッカに似てない?」

冬馬「言われてみれば……」





 ガラッ!

麗「し、失礼する……」

 デデーン 全員アウトー


麗「……えっ?」
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/07(日) 18:43:49.07 ID:SmGHEFQ0O
レスは時事を取り込んでゆくスタイル
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/07(日) 22:43:52.12 ID:d6uxs5NAO

神楽麗
http://imepic.jp/20160807/618270
元ヴァイオリニスト。2人組アイドルユニットAltessimoに所属
犬と馬が好きで真面目な中性的クラシック系アイドル


麗「……何故今わたしは笑われたのだろうか……ごく一般的に入ってきただけなのだが……」

翔太「……ハク様! リアルハク様来た!!」

冬馬「ハク様!」

北斗「ハク様!」

麗「えっ」

翔太「ハク様ハク様! わたしのことは?」

麗「え? え?」

翔太「わたしのことは?」

麗「……ハク様と呼べ?」

翔太「ハク様!!」

冬馬「ハク様!!」

北斗「ハク様!!」

麗「……わたしはどう反応すればいいのだろう」

翔太「ごめんね、気にしないで。そんなことより来たのが麗さんってことはやっぱり……」

麗「ん、ああ。わたしの担当は音楽だ。今日はみなさんにショパンについて解説していきたいと思う」

冬馬「……おお! これはマジで期待出来そうだぞ!!」

翔太「しかも音楽って北斗君も得意な分野じゃん! 北斗君はずっとピアノやってたもんね!」

北斗「うん。今度こそまともな授業が受けられそうだ」

麗「しかし申し訳ないのだが、みなさんには最初にひとつ謝っておかなければならないことがある」

冬馬「ん? なんだ?」

麗「……すまない。本当は今日ここには都築さんも来る予定になっていたのだが……」

翔太「なにかあったの?」

麗「……直前になってまたフラフラとどこかへ消えてしまった」

翔太「ああ、うん。そこは最初から大体分かってた」

冬馬「まああの人はそういう人だろ」

北斗「基本省エネに生きてる人だからね……」
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/07(日) 23:47:43.14 ID:d6uxs5NAO

麗「本当に申し訳ない……。ま、まあここは気を取り直して本題の授業の方に入ってゆこうと思う!
  ……っと、その前に一度アウト分があったな」

木星「あっ……」




 バチーンッ!

木星「めそっ!!」


麗「それでは改めて話してゆこう。フレデリック・ショパンは19世紀に活躍したポーランド出身の作曲家だ。
  39歳という若さで亡くなっているがその生涯には200曲以上もの作品を残している」

麗「ロマン派の彼の紡ぐその音色の類いまれな美しさはピアノの詩人とも呼ばれるほどだ」

麗「英雄ポロネーズ、幻想即興曲、葬送行進曲、ノクターン、革命、黒鍵、蝶々、木枯らしなどが特に有名だな。
  わたしの好きな子犬のワルツも彼の作品だ」

冬馬「ふむふむ」

翔太「四季さんと違って麗さんの言うことは本当に素直に信じられるね!」

北斗「いいよねショパン。俺も大好きだよ」

麗「それから別れの曲というのもある。これはみなさんも聴いたことがあると思うのだがどうだろうか?」

冬馬「あー……タイトルだけなら分かるけどどんな曲だったっけ?」

翔太「えーっと、どうだろ」

麗「うむ。それでは分かりやすいように少しそこにあるピアノで弾いてみようと思う。
  わたしの専門はヴァイオリンなので拙い演奏で聞き苦しいかもしれないが……」

翔太「いやいやいや、全然そんなことないって。僕なんて猫ふんじゃったも弾けないし」

冬馬「塾なのになんでピアノ置いてあんのかと思ったらそういうことか」

北斗「神楽君のピアノが聴けるなんて嬉しいね」

麗「いえ、そんな大したものではないのだが……。では」スッ


 タンタンタタターン タタタターン タタタターンタ タタタタターン♪
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/07(日) 23:53:57.31 ID:d6uxs5NAO

冬馬「おっ、これなら俺でも聴いたことあるぜ」

翔太「僕も僕も。なんか悲しい感じの曲だよね」

麗「今弾いたのは触りの部分だけだがこれが別れの曲だ。正式名称はエチュード10の3ホ長調。
  エチュードというのは練習曲という意味で、ショパン22歳の時の作品だ」

冬馬「22歳!? すげえな、今の北斗とほとんど変わんねえ歳で作ってんのか」

翔太「天才っているもんだね〜」

北斗「本当に美しい旋律だよね。惚れ惚れするよ」

麗「彼は家族や友人に恵まれ比較的幸福な少年期をワルシャワで送ったが、その後はウィーンやパリなどを転々としている。
  当時のポーランドというのはとにかく激動の時代だったのだ」

麗「国力が弱まりロシアに支配され、独立を目指して起こした蜂起も鎮圧されてしまった」

麗「またフランスでも7月革命などが起こり、そうした近隣の国の影響も大きく……」

麗「結局祖国への想いが人一倍強かったショパンだが20歳で音楽家としての大成を願った周囲の後押しもあり国を出る決意をした後
  死ぬまで二度と故郷の地を踏むことは出来なかった」

翔太「自分の生まれ育った国に帰れなかったの? なんか可哀想だね」

冬馬「映画のターミナルみたいだな」

北斗「トム・ハンクスのやつだよね」

麗「そんな彼のポーランドに対する郷愁の念が込められているのがこの別れの曲だ」

翔太「ああ〜、なるほどね。だからなんか寂しい感じの曲なんだ」
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/08(月) 00:04:34.20 ID:SST7danAO

麗「ちなみに日本では別れの曲という名前で広く知られているが
  実はこれは1934年にドイツで作られたショパンの自伝的映画が翌年日本で公開された際に付けられた邦題だ」

翔太「へー! そうなんだ!」

冬馬「今から80年以上前か……まだ俺の婆ちゃんも生まれてねえな」

麗「海外では悲しみ、親しみなどの名称で呼ばれることが多い。
  またショパンは同じく作曲家であるフランツ・リストとも親しかったことで有名だ」

冬馬「リスト……それも名前だけなら聞いたことあるけど」

北斗「リストはとにかく難しいんだよね」

麗「ああ、彼の曲は大変難易度が高いことで知られ、超絶技巧と呼ばれている。
  プロのピアニストですらなかなか弾きこなせないほどで、今でも史上最高のピアニストとの呼び声も高い」

麗「さらに付け加えると彼は女性にもとてもモテたそうだ」

翔太「……なんかラノベの俺TUEEE系主人公みたいなスペックだね」

冬馬「俺そういうのスゲー腹立つわ。死ねばいいのに。あ、もう死んでた」

翔太「まんま北斗君じゃん、リストって」

北斗「いやいやいやいや、俺なんてとても彼の足下にも及ばないよ」
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/08(月) 00:51:22.21 ID:SST7danAO

麗「それからショパンはジョルジュ・サンドという男装の作家と大恋愛をしたことでも知られている」

冬馬「……男装? そんな昔に男装趣味の女なんていたのか」

翔太「真さんみたいな感じ?」

北斗「真ちゃんはとても女の子らしい子だけどね」

麗「ジョルジュ・サンドというのはペンネームで本名はオーロール・デュパンという。
  代表作には愛の妖精などがあるな。彼女はとても社交的な人物でサロン……上流階級者たちの集いの場にも頻繁に出入りしていた」

麗「そのため非常に交友関係が広く、あのバルザックも彼女のことは高く評価している」

翔太「バルザック? 誰それ?」

麗「ゴリオ爺さんや谷間の百合などを書いたフランスの文豪だ。
  彼は非常に毒舌なことで知られるが彼女に対する点は甘く、ベアトリクスという自身の小説の中にサンドをモデルにした登場人物も出している」

麗「それだけサンドという女性が人を魅了せずに置かない才気に溢れる人物だったということだろう」

冬馬「ほほう……」

麗「当時は女性はその能力を家庭内で発揮すべき、つまり良妻賢母であることを求められた」

麗「そんな中でズボンを穿き、破天荒な振る舞いをする彼女はバルザックのような例外を除き、多くの人々から大変な批判を受けたそうだ」

北斗「俺はそういう型破りな女性ってすごく好きだけどなあ。もしその時代に生きてたら是非彼女と恋をしてみたかったね」
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/08(月) 01:08:28.43 ID:SST7danAO

麗「先ほどのリストの紹介でショパンとサンドは出会ったのだが、彼も当初は彼女に対していい感情は持っていなかったらしい」

麗「『なんという感じの悪い女だ、本当に女性なのかどうかすら疑わしい』というような感想を漏らしている」

翔太「そこから恋愛に発展したの? 第一印象最悪なとこから始まるとかラブコメの王道じゃん。少女漫画?」

麗「もっとも26歳で出会い、その後恋仲になってから9年ほど続いた彼らの関係もショパンの死の2年前、37歳の時に解消し2人は破局している」

翔太「えー!? なんで? 漫画だったらそのままサンド大勝利コースだよね?」

冬馬「まあでも真中も最後は東城じゃなくて西野選んでるしな。なんで東城じゃダメだったんだよ。ふざけんなよ」

北斗「東城は行動するのが遅過ぎたんだ……仕方なかったんだよ。それに西野は可愛くて健気な良い子だからな」

翔太「あれにはさつき派の僕も激おこだよ」

麗「……その話はよく分からないが、とにかくサンドとショパンは最終的には決別している」

冬馬「なんで上手くいかなかったんだ?」

麗「真実は当の本人たちにしか分からないだろうが……つまるところ性質的に彼らは正反対だったのだろうな」

麗「気難しく病弱で生涯結核に悩まされた繊細なショパンに対し、サンドは非常にストイックで潔癖な人物だったらしい」

麗「また一説にはサンドはその……ふ、不感症だったのではないかとも言われている」

翔太「不感症!!」

冬馬「不感症!!」

麗「……」カァ〜ッ…
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/08(月) 02:21:48.99 ID:oIQ3hKJrO
不感症!!
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/08(月) 02:45:57.22 ID:SST7danAO

翔太「不感症だって冬馬君!! 不感症!!」

冬馬「不感症!! 不感症か!!」

北斗「不感症かあ……」

麗「……ゴホンッ! と、とにかく!
  そんな繊細な青年であったショパンと男勝りなサンドとでは食い違ってしまう部分が大いにあったのだろうと推察される」

麗「またサンドには既に2人の子供がいたのだが親子関係が良くなかったらしいな。
  そんなサンドの娘の肩をショパンが持ったことで恋仲に決定的な亀裂が入ったとも言われている」

麗「批判も多かったサンドとショパンの関係は人々からの好奇の目に晒された。
  その人目を避けるためとショパンの療養も兼ねて2人はひと冬の間マジョルカ島に滞在している」

麗「サンドは非常にまめまめしくショパンの看病をしたそうだが……
  介護を続ける内に恋人というよりももはや看護士のような気持ちになっていったようだな」

麗「彼はサンドにとって既に手のかかる自分の息子の1人のように思えてきてしまったのだろう」

麗「ショパンの方も女性としての愛情や癒やしを求めていたサンドが自身の情熱に応じてくれず
  だんだんつれない態度に変わっていったことに不満を抱いていたと……」

冬馬「なるほど!! つまりショパンは欲求不満だったわけか!!」

翔太「なるほどね!! そういうことか!!」

北斗「納得の理由だな」

麗「ああもうっ!! 敢えてぼかした言い方をしたのだからそこは深くツッコまないでくれっ!!」

冬馬「深く突っ込む!!」

翔太「深く突っ込む!!」

麗「〜〜〜〜っ!!」
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/08(月) 03:22:03.68 ID:+4VyuNSro
深く突っ込む!!
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/08/08(月) 12:59:39.76 ID:Wvx8Mr0+0
ウンコチンコを卒業して「つっこむ」に反応する中学男子にクラスアップしたな
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/09(火) 17:20:09.51 ID:Qdz5VhWAO

翔太「深く突っ込むだって冬馬君!! 深く突っ込む!!」

冬馬「深く突っ込む!! 深く突っ込むか!!」

翔太「ところで深く突っ込むってどういうこと!?」

冬馬「バカヤロウ、そんなもん俺が知ってるはずねえだろ!! 知ってたら今頃もっと薔薇色の人生送ってるわ!!」

翔太「それもそうだね!!」

冬馬・翔太「あっはっはっはっは!!」

 デデーン 冬馬、翔太、アウトー




冬馬・翔太「エンッッ!!!!」

 バチーンッ!



麗「……どうもわたしはあの2人のノリには付いてゆける気がしないのだが」

北斗「それで正しいんだ。間違っても君はあんな風にはなっちゃいけないぞ。お兄さんとの約束だ」

麗「……はあ。もういい。ではここまでを踏まえて次はみなさんに実践的にピアノを教えてゆこうと思う」

翔太「ええ〜? 僕ショパンなんか絶対弾けないよ〜!」

冬馬「俺も……」

麗「いや、ここはまずもっと簡単な曲から始めよう。みなさんも知っているだろう、カエルの……」

翔太「あ、分かった。カエルの合唱ね」

冬馬「……なんか一気に難易度下がったな。幼稚園児かよ。もしかして俺らナメられてんのか?
   ショパン全然関係ねえし。え、それとももしかして関係あんの?」

北斗「いや、カエルの合唱は確かドイツの民謡だったはずだよ」

麗「まったく無関係というわけでもない。
  ショパンも16歳の時にドイツ民謡スイスの少年を主題にした変奏曲を作っているからな」

翔太「16歳で? へえ〜」

麗「また幼い頃から聞き馴染んでいた祖国ポーランドの民謡も彼は非常に愛していた」

麗「それに日本の国家である君が代もドイツ人の作曲家フランツ・エッケルトが現在の形に編曲しているからな」

冬馬「ほー」

麗「それでは最初にまずはわたしが一度弾いてみよう。カエルの……」

翔太「はいはい、カエルの合……」

麗「ヤドクガエルの合唱だ」

 デデーン 全員アウトー
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/09(火) 17:28:38.16 ID:Qdz5VhWAO

冬馬「………結局お前もそっち系のネタで来るのかよ!! だああああっっ!!??」

 バチーンッ!

翔太「このネタが分かる自分がイヤだ……んぎゃっ!!??」

 バチーンッ!

北斗「ほんとだよ……ぐあああっっ!!!!」

 バチーンッ!



麗「……ところでこのヤドクガエルとはなんだ?
  いや、そういう生物がいること自体は知っているのだが……確か鮮やかな体色と強い毒を持つ南米産のカエルだとか……」

北斗「知らなくていい。君は一生知らなくていいから。そのままの清い君でいてくれ」

麗「あとカンナビ……」

冬馬「やめてくれ。本当にやめてくれ」

麗「ぐじら4ご……」

翔太「やめて。本当にやめて」

麗「……? どうも要領を得ないな……まあいい。とりあえず早速このカエール……いや、ヤドクガエールの合唱を」

翔太「言い直さなくていいから……」

麗「みなさんにヤドクガエってもらう」

冬馬「動詞にするな」

麗「全員でヤドクガエろう」

北斗「やめて」

麗「ヤドクガエ……」



 ガラッ!

四季「ちーっす! あっ、いたいた! 麗っちー!」ブンブン

麗「……伊瀬谷?」

冬馬「……なんで戻ってきてんだあいつ」
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/09(火) 17:42:22.14 ID:ElpllBCAo
何かと思ったら闇がふかかった
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/09(火) 19:54:53.00 ID:9eP8z6p+O
どういうことなの……?
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/09(火) 20:33:51.35 ID:Qdz5VhWAO

四季「いやー、そういや麗っちもここ来てるんだったってこと忘れてたっすよ! メンゴメンゴ! 横槍メンゴ☆」

四季「しっかしさっきからホント太陽っちがマジサンシャインっすよね! 全然さりげなくないし!
   ギンギラギンに全開でメガアッチィからアイスでも食って帰ろうかと思ってるんすけど麗っちも一緒にどーかなって!」

麗「えっ。わ、わたしもか……?」



冬馬「どんだけフリーダムだよあいつ」

翔太「いいなあ、僕もアイス食べたい……」

北斗「ぬ〜べ〜といいギンギラギンにさりげなくといい、何故彼は現役高校生なのにそんなことは知っているんだろう……」


麗「いや……しかし、わたしはまだ……」チラッチラッ

四季「あー、どうしよっかなー! 今日は奮発してトリプル頼んじゃおっかなー!」

麗「……? トリプル? アイススケートの話だったのか?」

四季「あれっ、麗っち31知らないんすか!? メガウマっすよ!
   まあもうチャレンジ・ザ・トリプルは終わっちゃってるっすけど! オレ的にはやっぱポッピングシャワーが一番っすね!!」

麗「チャレンジ……? シャワー……??」

四季「あと初心者はコーンよりカップの方がオススメっす!!」

麗「……よく分からないが……わたしのような若者文化に疎い人間がそのようなところへ行ってもきっと店側に迷惑をかけてしまうだけだろう」

四季「いやいやいや、なに言ってんの! ジイさんじゃないんすから! そんなのただの慣れっすよ慣れ!
   誰だって最初は素人っす! ってか注文の仕方くらいオレが教えるし!」
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/09(火) 20:44:06.45 ID:Qdz5VhWAO

麗「う、む……そうか。しかし伊瀬谷は何故そこまでわたしに親切にしてくれるのだ?
  わたしのような者といてもつまらないだろうに……」

四季「ええ? だってオレらもうズッ友っしょ?
   あれ、それとももしかしてそう思ってたのオレだけ!? うわ、ガチハズかしーっす!」

麗「ずっとも? ずっともとはなんだ?」

四季「ずっと友達って意味っすよ!」

麗「………友達!!」キュピーン!


麗「行く!! 行くぞ!! わたしは行く!!」ガタタッ!

四季「おっ、さっすが麗っち! メガマックスノリいいっすね! んじゃさっそくハイパーアゲてシューゲキしちゃおうぜー!」

麗「おお! ハイパーにアゲるぞわたしは! 友達だからな!!」

四季「そうっす、友達っす! ほら言うじゃないっすか、人類みんな穴兄弟って! まー清っちはダチじゃないっすけど!!」

麗「ああ! 穴兄弟だ! 意味は知らないが! 友達だからな!!」

四季「穴兄弟っす!!」

麗「穴兄弟だ!!」

 デデーン 全員アウトー




冬馬「……なんなんだよこのノリ……っつーかいきなりテンション上がり過ぎだろ……なばっっ!!??」

 バチーンッ!

翔太「まあ麗さんこれまでずっと友達いなかったみたいだから……いっづっっ!!!!」

 バチーンッ!

北斗「泣けてくるな……ごあっっ!!??」

 バチーンッ!



麗「それではすまないがわたしはこれで失礼させてもらう!!」

四季「そんじゃジュピターのみんな、改めてバイシューっす! どうもー☆」ペコッ

冬馬「ああ、もういいからさっさと帰れ」

翔太「四季さんって限りなくウザいけど、この天井知らずなコミュ力の高さだけは本気で尊敬するよ」

北斗「A.T.フィールドとかまったくないよね」
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/09(火) 23:59:09.55 ID:4ikjNvpSO
蛇口の穴兄弟
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/10(水) 10:27:28.51 ID:uikg9YzG0
麗くん的には夕凪とかネムネムだな(お世話になってる感)
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/11(木) 09:29:18.16 ID:hLSWcKk8o
見てる人も大概闇が深くて草
てかそもそもネタの意味が分かったってことはつまりそういうことじゃないか
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/11(木) 11:41:38.84 ID:jOomhHC/O
分からない俺に解説プリーズ
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/11(木) 16:39:50.60 ID:N8X96Ui5O
祭典関係だよ
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/11(木) 20:27:01.76 ID:MPLJFElR0
涼ちんや咲さんで使わなかった事に良識を感じる。
冬馬はともかく、翔太は反応しちゃ不味いだろ。
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/12(金) 00:00:54.26 ID:ZID9Wbcao
わからない人はお父さんに聞いてみよう
……わかっちゃうお父さんは嫌だな
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/13(土) 00:50:28.41 ID:yT5c6DYAO

<麗っちはどのアイスにするっすか?

<よく分からないが何でも食べるぞわたしは! 友達だからな!

<穴兄弟っすからね!!

<ああ! 穴兄弟だからだ!!



冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

冬馬「……はあ。ひとまずうるせえのはこれでやっと去ったな」

翔太「そうだね。まあまだ油断は出来ないかもしれないけど」

北斗「この授業っていつまで続くんだろうね」

冬馬「とりあえずもう国語だのショパンだの小難しいのはいらねえわ。体育でいいだろ体育で。ドッジボールやろうぜ」

翔太「でもそういう体育会系の人となると多分漣さんとかタケルさんとか悠介さんたち辺りが来るよ」

冬馬「あー……タケルと蒼井兄弟はともかく牙崎さんは面倒臭そうだな……」

北斗「ぶっちゃけ冬馬って俺様キャラとかいって売り出してるけど今じゃ完全に牙崎君にその座奪われてるよね」

翔太「もうただの俺様(笑)だよね。名前に牙が入ってる時点で最初から漣さんの勝ちは決まってたんだよ。
   今の牙の抜けた冬馬君なんてただのツンデレツッコミキャラでしかないもん」

冬馬「うっせえよ。んなこと言ったら北斗なんてアイドル王子とか言われてるけどウチの事務所にはガチ王子いんじゃねえか」

北斗「……つくづく315プロってなんなんだろうな」

翔太「アイドル……アイドルってなんだろう」

冬馬「そんなことより今は……」



 ガラッ!

冬馬「ん?」

握野「……」スタスタ…

冬馬「……あー。次は握野さんか……」

翔太「……今度こそ本当にまともそうな人材だけどどうせまた酷いんでしょ?」フンッ

北斗「そろそろ本格的に翔太の性格が荒み始めてるな……」


握野英雄
http://imepic.jp/20160812/631420
信玄ニキと同じFRAMEに所属。元警察官。悪人顔で誤解されやすいが本人自身は子供好きな優しい性格
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/13(土) 01:04:01.39 ID:yT5c6DYAO

握野「……」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

握野「……」

 シーン…

木星「……?」


握野「……あー。悪い。ここでみんなにはひとつ非常に残念な知らせがある」

冬馬「……は?」

翔太「えー……なんなのもう……やめてよ……」

北斗「なんか妙に暗い顔してるけど……」

握野「実は……その、先刻、嘆かわしいことに某所で悪質な事案が発生した。
   よって急遽今からその謝罪会見を執り行いたいと思う」

冬馬「はあ? 事案って……」

翔太「なに? 何の話? 翼さんがまたなんかやらかしたの?」

北斗「さあ……」

冬馬「っつーか授業の方はどうなったんだよ。これは一体何の授業なんスか?」

握野「……強いて言うなら現代社会っすかね。ある意味今の日本社会の闇の深さを知るいい機会にはなると思う」

握野「みんなはこの件を反面教師にしてくれぐれもああいう人間には決してならないよう、お天道様に顔向け出来る立派な大人になって欲しい」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

握野「……じゃあ入ってきてくれ」

冬馬「……なんなんだよ一体」



 ガラッ!

咲「……」スタスタ…

翔太「あ、咲さん」

神谷「……」ゾロゾロ

巻緒「……」ゾロゾロ

東雲「……」ゾロゾロ

北斗「カフェパレの他の人達まで……?」

あずさ「……」テクテク

冬馬「……なんだなんだ。三浦あずさもいるぞ」

765P「……」スタスタ…

翔太「……最後は765のお兄さん……? どういうこと……?」
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/13(土) 01:14:51.38 ID:yT5c6DYAO

握野「……うん。これで全員揃ったな。じゃあさっそく始めてくれ」

765P「……はい」スッ

咲「……」

神谷「……」

巻緒「……」

東雲「……」

あずさ「……」


翔太「……ちょっと待って。咲さん……765のお兄さん……謝罪会見……これって……」

冬馬「まさか……」

北斗「これは……」




765P「えー。今回、俺、世界のナムピーは笑ってはいけないジュピター企画中に男の娘であり
     メイドである水嶋咲さんにセクハラをかまし、不快な思いをさせてしまい深く謝罪致します」

 デデーン 全員アウトー



765P「……まず俺が咲サイドがセクハラだと訴える行為を働いた経緯を説明しますと
     迷子になったあずささんを彼らのカフェまで迎えに行った際、そこで運命的な出会いを果たしてしまったことが主な原因です」

765P「メイドとして一生懸命働く咲の姿……揺れるツインテール、首筋にうっすら滲む汗、眩しい笑顔、白く輝くニーハイソックス、絶対領域……」

765P「そういったものを初めて間近に目の当たりにして、つい俺の中のリビドーが強く反応してしまったことは事実であります」
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/13(土) 01:35:02.36 ID:yT5c6DYAO

765P「具体的にその状況を述べると客席まで料理を運んでいる咲が後ろを向いた際
     その可愛らしいヒップがいやらしく動いたもので俺はそこで『アラっ』と思ってしまい、ついお尻を触ろうとしてしまいました……」

765P「企画前に読んだ薄い本では男の娘は即堕ちしていたのです」

765P「俺が咲さんのお尻を触ろうとしてしまったことは紛れもない事実であります。
     しかし男の娘×メイドという組み合わせといえば一般的にどスケベなイメージがあるということも事実であります」

765P「よって、ここは一つ喧嘩両成敗ということで水に流して頂けないかと思っている所存でございます……」

咲「違うもん……っ!! あたしどスケベなんかじゃないもんっ!! あたしはただ可愛いものが大好きなだけで……っ!!」ガタッ!

巻緒「サキちゃん……!」

神谷「咲……」

あずさ「……プロデューサーさん」

東雲「……そんないい加減な理由ではこちらはとても納得出来ませんね。
   言い逃れがしたいのならばもっとちゃんとした言い分をお聞かせ願えますか?」

765P「……ではまず謝罪の前になぜ俺があのような行動をとってしまったのか? その経緯を説明させて頂きます」

765P「その理由の一端には先日のニコ生があります。
     そこで発表された涼ちんのCVを三瓶さんが続投されるという朗報についテンションが上がりに上がってしまい……」

765P「俺の中で基本3ヶ月周期にやってくる男の娘ブームが今回、早めにやってきてしまったことも原因のひとつであることは否めません」

765P「あ、あと九十九君、大吾君、もふもふえん、Legendersも声帯実装おめでとう」
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/13(土) 01:54:57.25 ID:yT5c6DYAO

765P「……まあとにかくそんなわけで現在、俺の中で『わぁい!』な気持ちが膨れに膨れ上がってしまったことは致し方ないことかと思われます」

765P「さらに付け加えるならば俺はモバマスではCuPを担当しています。
     そして一般的にCuPはホモというのは周知の事実であります」

765P「ですから咲のエッチなメイド姿を目の当たりにした俺に『アラ、いいですねえ』の波が何度も押し寄せて来ちゃったことは仕方のないことであり」

765P「決して罪悪感があった訳ではないので、示談という形で穏便に処理して頂きたいと思っている所存であります」

神谷「………ふざけるなッ!!」ガタッ!

神谷「咲は……咲は今泣いているんだ!!」

咲「あたし……あたしっ……!」グスッ

巻緒「サキちゃんっ!」

東雲「……反省の色無し、と。話になりませんね」

あずさ「プロデューサーさん……見損ないました!! どうしてその子なんですか!? 私じゃダメだったんですか!?」

765P「違います!! 俺はあずささんだって大好きです!! おっぱい大好きです!! 
     癒し系お姉さん大好きです!! でもそれとこれとは話が別なんだ!!」

765P「俺は米が好きです! 炊きたてのふっくらごはんは大好きなんです!
     でもたまにはパンを食べたくなる時だってある! そういうことなんですよ……!!」

765P「確かに和食は美味しい! アジの開きも出汁巻き卵も味噌汁も大好きだ!!
     でも時にはメロンパンやピザやラーメンやクリームシチューをたらふく食べたくなる日もあるでしょう!?」

765P「洋食や中華の誘惑に負ける日だってある!! これは言わばただの生理現象なんだ……!!」

北斗「……確かメロンパンとクリームシチューは日本発祥だったはずだけど」
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/13(土) 13:45:37.25 ID:Z72ljB6SO
俺もセクハラしたい
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/14(日) 01:11:44.56 ID:3RszBIIA0
このPは駄目すぎる。誰か律子さん呼んできて……
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/14(日) 08:13:13.39 ID:ZHlRP4cAO

765P「そもそもが男だとか女だとかそんなのは些細な問題なんですよ!! 可愛いは正義なんです!!」

765P「女が女の子を、男が男の娘を好きになって何が悪い!? はるちはもゆきまこもひびたかもすべて美しいじゃないか!!
     人が人を愛するということに何も変わりはないじゃないですか……ッ!!」

765P「確かにおっぱいは素晴らしい!! 柔らかくたわわに実ったおっぱいは最高だ!!
     でもだからといってつるぺたに価値がないなどという道理は断じてない!!」

765P「俺は千早の胸も男の娘の胸も等しく至高のものだと思っています!! おっぱいに貴賤なんかないんです!!」

765P「むしろ男の娘は無いしあるのが前提なんだからそこがいいんだろうが!!
     見た目は女の子に見紛う可愛さなのに脱がせた時に初めて分かる『あっ、やっぱり女の子とは違うんだ……』感がサイコーなんだよ!!!!」

765P「だからこそ尻!! 男の娘は尻なんです!! 確かに尻と言えば貴音、貴音と言えば尻、それは揺るぎのない事実ではある!!」

765P「だけどそんな女性らしい丸みを帯びたパンパンの大きな尻も素晴らしいが男の娘のキュッと締まった控えめお尻もまたマーヴェラスだ!!
     この頃流行りの男の娘!! お尻の小さな男の娘!! 実にいいじゃないか!!」

765P「あと『貧乳キャラはそれを恥らってる姿がいいんだろ、恥じらいのない貧乳はクソ』とか言う奴いるけど違うだろ!!
     恥じらいのない貧乳だってそれはそれでアリだろうが!!!!」
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/14(日) 08:21:30.59 ID:ZHlRP4cAO

765P「何故みんな性別だとか恥じらいだとかそういうおっぱいに付随する余分なものにばかりこだわるんだ!!
     おっぱいはおっぱいとしてただそこにあるだけなのに!!」

765P「目の前におっぱいという山があるから登る!! それだけなんですよ!! 例えそれが山じゃなく谷だとしても!!」

765P「アラアラ、いいですねえ!! 右も左もいいですねえ!! 上から下までいいですねえ!!
     この精神ッ!! この精神こそが重要なんです!! ああ!! 大好きだッ!!」ドンッ!


冬馬「あんたは好きでも当の女の方はドン引きだと思うぞ」

翔太「一番おっぱいにこだわってるの765のお兄さんだよね」

北斗「まあどんな女性もみんなそれぞれ素晴らしいっていうのには同意するけど……俺は男の娘属性はないからなあ」

冬馬「っつか恥じらいはめちゃくちゃ大事だろ。そこは譲れねえよ。
   恥じらいとジェラシーのない管理人さんなんか管理人さんじゃねえ」

翔太「まあ一番はこずえちゃんなんだけどね」

北斗「全員魅力的で一番なんか決められないけど強いて言うなら俺は朱美さんがいいなあ」

765P「とにかく!! 俺が男の娘という存在に劣情を催すのはごく普通な自然の摂理であり!! 何もやましいことではないということです!!!!」

握野「……言いたいことはそれで全部か?」

765P「……はい」

握野「ではここで全員にケツを……いや、決をとる。この一件、Alice or Guiltyか各々が判決を下してくれ」

握野「まずはアリスだと思う人間。挙手を頼む」

全員「…………」

 シーン……

握野「ではギルティだと思う人」

全員「…………」スッ

握野「……決まりだな」

765P「!?」
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/14(日) 08:45:50.08 ID:ZHlRP4cAO

765P「ちょ、待ってくれ!! だから俺は何も悪くなっ……!」

 デデーン 765P、人としてアウトー







 ガラッ!!

律子「らっしゃああああああああッッッ!!!!!」バキィッ!!

765P「げぶふぉぉぉっっ!!??」

冬馬「あ、メガネ女来た」



律子「っしゃあ!! ッシャオラッ!! 反省しろコラァッ!!」バキッ! ドゴッ!

765P「おうっ!! ばうっ!! あいたー!?」

律子「あなたは!! 人として!! 恥ずかしく!! ないんですかッ!!」ドコッ! ゴキッ!

765P「ぶふぉっ! ぐぼふぉっ!」

律子「何が男の娘ですか!! 何が尻ですか!! この!! ド変態がッッ!!!!」ガッ!

冬馬「……少なくとも男の娘に関してはあんたも人のこと言えねえだろ。いとこ的な意味で」


律子「おらあっ!! 次は逆エビ反り固めからの腕ひしぎ十字固めじゃあああああああああ!!!!!!」ギリギリギリギリッ…!

765P「あ゛あ゛ああああああああああ!!!!!!」ビクンビクンビクンッ

律子「自分の過ち分かってんのかコラァッ!! よそ様の事務所の子にまで迷惑かけて!! 真面目に仕事しろやっ!!
   テメェの下半身の中身より重要なもんがいっぱい溜まってんですよこっちには!!!!」メキメキメキッ!

765P「ぐあああああああああ!!!!!」

あずさ「……あ、あの律子さん……いくらなんでもそこまでしなくても……」オロオロ…

咲「そ、そうだよ。あたしも別にそこまで気にしてないし……っていうかこれ最初からそういう台本……」

律子「あ゛ん?」ギロッ!

あずさ「ひぃっ!」

咲「ひぃっ!」

律子「あなた達は黙ってて下さい」ゴゴゴゴゴゴ…

あずさ「ひゃいっ!」

咲「ひゃいっ!」
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/14(日) 09:07:20.70 ID:ZHlRP4cAO

765P「ゲフッ、ちょ、律子……マジで死ぬ……死ぬから……」

律子「……普段のプロデューサー殿の勤務態度の積み重ねがこの事態を招いているんですよ……?」

765P「ごめんなさい!! ごめんなさい!! もうしません!! これからは真面目に仕事しますから!!」

律子「その程度じゃ全然足りてないんじゃボケェッ!! ッシャア!!
   まだまだ行くぞオラァッ!!!! 己の日頃の行いを悔い改めろオラァ!!!!」ゴキャァッ!!

765P「あああああああああああッッッ!!!!!!」







翔太「……なんか僕、なんだかんだであの2人が一番お似合いな気がする」

冬馬「まあ秋月ならいつあいつが暴走しても楽勝で止められるだろうしな」

北斗「彼女に身体密着させて関節技かけてもらえるなんてご褒美以外の何物でもないじゃないか」

冬馬「お前やっぱドM入ってるだろ」

握野「傍観してるとこ悪いっすけど、冬馬さん達もさっきのアウト分あるっすからね?」

木星「……………………」








 バチーンッ!

木星「いっぱいいっぱいッ!!!!」

242 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/14(日) 09:34:13.28 ID:ZHlRP4cAO




 ――某進学塾前

山村「皆さんお疲れ様です。勉強の方はどうでしたか? しっかり大事な知識は身に付けられましたか?」

冬馬「……とりあえずああいう人間にだけはなっちゃいけねえってことはよく分かった」

翔太「もういっそ本気で英雄さんに手錠かけてもらってブタ箱ぶち込んどいた方がよかったんじゃないの? あの人」

北斗「でもあれでプロデューサーとしては本当に敏腕だからね」

冬馬「世の中間違ってるな……」

山村「それでは時間が惜しいのでさっさと次の場所へ移動しましょうか!」

冬馬「……マジでまだ続くのかよ……勘弁しろよ……」

翔太「これまでの人生の中でこれほど絶望したことはないよ……ああ、お尻痛い……」

北斗「……それで今度は一体どこへ連れてく気なんだ?」

山村「ええ、今度は……」



 ジュピターの受難はまだまだこんなものでは終わらない……!!
 この先の彼らには一体どんな罠が待ち受けているのか?
 彼らのケツと自尊心の安全は保たれるのか? アイドルとは一体なんなのか?
 そもそも彼らは本当にアイドルなのか?
 それは誰にも分からない……


 ―――続く

243 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/14(日) 09:37:27.94 ID:ZHlRP4cAO
とりあえずここで一旦区切ります
次スレはまたその内立てます、読んでくれた方ありがとうございました
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/14(日) 10:37:43.35 ID:0wPyFfA0o
一旦乙
笑わせてもらったよー
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/14(日) 10:41:31.73 ID:9xTcc08Oo
なんて酷いSSなんだ……

続編楽しみに待ってます
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/14(日) 13:12:27.36 ID:V9JHl/lF0
乙ヘーイ!
企画が終わる頃には、3人のケツがお姫ちん並みに腫れ上がってそうだな…
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/14(日) 13:58:39.02 ID:Cre6DdAs0
おつおつ、続きも待ってる
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/15(月) 09:51:52.67 ID:EKTGKj6SO
男の娘はいいゾ
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