田井中律誕生日記念SS2016(must was the 2014)

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143 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/12(金) 21:20:10.77 ID:Hh3tvLiko
 何の事?と、紬の言葉を反復した唯が問い掛けている。
紬は曖昧な笑みを浮かべただけで答えなかったが、梓には既知の話だった。
ティータイム用の茶請けを摘み食いする紬に、偶然にも出会してしまった事がある。
実際の所は、紬が食べている場面を直接目にした訳ではない。
だが、梓の出現に慌てている紬を不審に思って問い質した所、
摘み食いの事実を白状されたのだった。

 紬が隠れて摘み食いしていると可愛く思え、唯が食べ物に執着していると卑しく思える。
口に出せば唯がまた文句を言うに違いないので、気付いても梓は黙っていた。
恥じらいや気品の違いが齎す差異だと教えた所で、唯が自省する事はないだろうから。

「ほら、前見て下さい。信号が変わりますよ」

 代わりに、信号が青に変わる事を告げてやった。
信号が変わる兆しは、自動車の流れを見ていれば分かる。

 それでも律に恋人が居る予兆を感じ取る事は出来なかった。
自分達のうち、澪を含めた誰一人も、だ。

 横断歩道を渡り終えた直後に、ワールドポーターズの入口が構えている。
幾つもある入口の一つであり、そしてまた、
施設内のウォッチスポットへ向かう道順も複数あるのだろう。
辿る全ての先で同じ解答の用意された阿弥陀籤のようだと、梓は思った。

*

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