姉「私の妹が可愛すぎる」

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102 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/02(金) 22:31:24.09 ID:uB8eKRTz0
妹『はーい?』




部屋のドアをノックすると、妹ちゃんが応えた。
ちょっとだけドアを開けて、中を覗き込む。




姉「ちょっと話があるんだけど、いいかな?」

妹「あ、お姉ちゃん。 別にいいけど、どうかしたの?」




中に入って、ベッドの縁に腰掛ける。




姉「うん。 そろそろ話しておかなきゃって思って」

妹「?」

姉「私が大学を受験したこと、知ってるでしょ?」

妹「うん」

姉「でも、どこ受けたかは言ってなかったよね」

妹「うん。 教えてくれなかったもん」

姉「あのね……私さ、妹ちゃんの近くにいたら、きっと我慢できなくなる時が来ちゃうと思うの」

妹「……」

姉「だからね……距離を取った方がいいのかなって、思って。 留学することにしたんだ。 明日行くの」

妹「……そうなんだ」




机に肘をついて、妹ちゃんは応えた。
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/02(金) 22:32:19.41 ID:uB8eKRTz0
姉「あんまりびっくりしない?」

妹「なんとなく……遠くに行っちゃうんだろうなって、思ってたから」




寂しそうに、妹ちゃんが呟く。




姉「そっか……」

妹「いつ、帰ってくるの?」

姉「……わかんない」

妹「というか、帰ってくるの?」

姉「それも……わかんない」

妹「……ん、そっか。 どうしてすぐに教えてくれなかったのか、訊いてもいい?」

姉「引きとめられちゃったら断れる自信がなかったから……」

妹「今は?」

姉「今はもう、行くしか道がないから」




妹ちゃんが座っている回転イスを回転させて、こっちに向けた。




妹「……うん、わかった。 応援してる」

姉「……うん。 じゃあ」

妹「うん」




妹ちゃんの部屋を出る。
……ずっと、妹ちゃんの顔を直視できなかった。
直視できなかったけど……辛そうな顔を、寂しそうな顔をしていたのはわかった。




姉「妹ちゃん……」




ドアに寄りかかって、呟く。
部屋の中から……微かに、嗚咽が聞こえた。
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/02(金) 22:33:03.65 ID:uB8eKRTz0
―――――――――――――――――――――――




母「気を付けるのよ。 向こうは何があるかわからないんだから」

姉「うん」

母「こまめに連絡を寄越してね。 心配になっちゃうから」

姉「うん、するよ」




翌日。
私たちは、朝早くに空港に向かった。




母「……お母さん、ちょっとお手洗いに行ってくるわね」

姉「うん」




お母さんが、背を向けて立ち去っていく。




妹「……」




ずっと俯いて何も言わなかった妹ちゃんが、ようやく顔を上げた。
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/02(金) 22:36:45.19 ID:uB8eKRTz0
妹「……本当に、行っちゃうんだね」

姉「……ごめんね」

妹「ううん、謝らないで。 こうなるって、どこかでわかってたことだから」




飛行機の搭乗を促すアナウンスが流れる。
私が乗る、飛行機の。




姉「……行かないと。 お父さんとお母さんによろしくね」

妹「うん」

姉「じゃあ……」




言いよどむ。
別れの言葉を。




姉「……さよなら、妹ちゃん」




それでも、言った。
自分の気持ちに、決別するために。




妹「……わたしは、絶対にサヨナラなんて言わないよ」

姉「妹ちゃん……」

妹「行ってらっしゃい、お姉ちゃん。 あっちでも頑張ってね」




笑って、妹ちゃんは言った。
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/02(金) 22:38:42.22 ID:uB8eKRTz0
姉「……うん、行ってきます」




手を振り合って、背を向けて搭乗口に向かう。
不意に、後ろから抱きしめられた。




姉「……妹ちゃん?」

妹「……ごめんなさい、お姉ちゃん。 今だけ、ちょっとだけ……許して……」

姉「……」




嗚咽交じりに、妹ちゃんが懇願した。
けれどその嗚咽もすぐに止んで、妹ちゃんの体は私から離れた。




妹「ぐすっ……うん、ありがとう。 これで、わたしも頑張れるよ」

姉「……妹ちゃん」




振り向いて、妹ちゃんの目を見つめる。




姉「大好き……だったよ、妹ちゃん」

妹「……わたしも、大好きだったよ、お姉ちゃん」
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/02(金) 22:42:12.86 ID:uB8eKRTz0
続きはまたのちほど
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/02(金) 23:51:16.77 ID:LEZtTDx6O
続きあるんか
ハッピーエンドキボンヌ
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/03(土) 00:03:34.16 ID:Bwl1+0IB0
せやな、幸せになってほしい
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/03(土) 00:35:40.05 ID:QQ76Yolo0
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――――――――――

――




姉「彼は言った、愛している、と……あー、終わったー!!」




パソコンのキーを打ち、マウスを操作してファイルを保存する。
イギリスに来て、もう数年が経った。
その間に私は卒業して、そのままイギリスで翻訳家として英語の本や論文を日本語に翻訳したりその逆だったりするお仕事に就いた。




姉「ん〜〜っっ……コーヒーでも飲も……」




キッチンに向かう前に、郵便物のチェック。
メールボックスを見たら、チラシと……白い封筒が入っていた。




姉「?」




差出人、無し。
宛名、無し。
切手も貼られていないから、おそらく直接投函したのだろう。
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/03(土) 00:36:39.58 ID:QQ76Yolo0
姉「なんだろ……」




のり付けされた封を開いて、中身を確認する。
紙切れが一枚だけ、入っていた。




姉「これは……チケット?」




入っていたのは、日時と、場所と、座席だけが書かれたチケットだった。
この場所……コンサートホールは何度か行ったことがあるけど、何のチケットなのか書かれていない。
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/03(土) 00:37:33.72 ID:QQ76Yolo0
姉「なんじゃこりゃ……ん?」




チケットの裏を確認してみると、黒のボールペンでこう書かれていた。




『To dear my sister』




『大好きなお姉ちゃんへ』。
どきりと、胸が高鳴った。
忘れかけていた……いや、心の奥底にしまっておいた感情が、蘇ってくる。




姉「妹ちゃん……?」




思わず、外に出て周囲を見回す。
日が暮れかかった街並みが在るだけ。




姉「……」




この日は空けておこう。
そう、思った。
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/03(土) 00:38:32.82 ID:QQ76Yolo0
―――――――――――――――――――――――




チケットに記載されている日当日。
国内ではそこそこ大きなコンサートホールに、私はやって来た。
受付の人にチケットを見せると、控室に行くように言われた。




姉「控室……ここかな」




控室であろうドアの前に立つ。
ネームプレートには……妹ちゃんの名前がある。
深呼吸をして、ドアをノック。




『はい?』




英語で、応えられる。
この声……やっぱり……。
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/03(土) 00:39:57.00 ID:QQ76Yolo0
姉『……チケットを見せたら、ここに来るように言われた者です』




英語で返す。
ドアの向こうでばたばたと音が鳴ってから、勢いよくドアが開いた。
綺麗なドレスに身を包んだ女性が……妹ちゃんが、立っていた。




妹「……っっ!!」

姉「わっ」




勢いよく抱きついてくる。




妹「おねえちゃんっ……」

姉「妹ちゃん……」




抱きしめ合ったまま、控室に入る。
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/03(土) 00:41:46.36 ID:QQ76Yolo0
妹「やっと……やっと会えた……」

姉「……どうして、ここに?」

妹「ぐすんっ……わたしね、ピアニストになったんだよ」




しゃくりあげながら、妹ちゃんは答えた。




姉「えっ、ピアニスト!?」

妹「うん……ピアニストになれたら、海外に行けるかもって……お姉ちゃんのところに行けるかもって、思って……」

姉「えっ……」

妹「言ったもん……さよならは言わないって、わたしも頑張るからって……」




あのときから……妹ちゃんは、決めてたんだ。
ここで、イギリスで再会してみせるって。
それを……本当に叶えたんだ……。




妹「今日のコンサートが終わったら、お誘いを受けてるイギリスの楽団に入ろうと思うの。 ……お姉ちゃんには、もう大切な人とかできちゃった?」

姉「……ううん、もう、ずっと前にできたっきりだよ」

妹「……そっか」




涙を流したまま、妹ちゃんが微笑む。
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/03(土) 00:42:18.69 ID:QQ76Yolo0
妹「ここなら、疎まれることなんかないよね……?」

姉「うん、私たちを知ってる人はいないから、きっと……」

妹「じゃあ、じゃあ……一緒に、いてもいいよね……?」




上目づかいで、妹ちゃんが私に尋ねる。
本当に、予想外の展開だった。
まさかここで、妹ちゃんに会えるなんて。
ここ数年間、ただ私と一緒になるためだけに頑張ってきてたなんて。
すっごく嬉しくて、泣きそうで。




姉「当たり前だよ、妹ちゃん……こんなところまで追いかけられちゃったら、もう逃げられないじゃん……」

妹「えへへ……」




空白の時間を埋めあうように、私たちは抱きしめ合って。
それから指を絡めて、キスを交わした。
もう絶対に離れないって、想いを込めて。
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/03(土) 00:42:57.29 ID:QQ76Yolo0
おわりです、ありがとうございました。
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/03(土) 00:48:06.54 ID:vj+236R6O
おつ
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/03(土) 01:04:08.81 ID:tXgV4fGQ0
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/03(土) 01:31:06.62 ID:77n60XPgO
乙乙〜
久しぶりに良い百合だった
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/03(土) 02:07:13.36 ID:6YDspnlqO
幼馴染が息してない
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/03(土) 12:50:15.77 ID:lDxLk4h3O
おつ
幼なじみは祝福して送り出したと脳内保管してる
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/07(水) 16:29:10.10 ID:shNooaYKO

すばらしい
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/08(木) 23:51:05.26 ID:BzrI7vyn0
toとdearは一緒に使わないんじゃないかと空気を読まずに
すごくよかった乙
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