女鍛冶師「魔剣の製造依頼?」

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159 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/10/29(土) 19:37:52.54 ID:73qc9ziJ0

今回も素晴らしかった
先代の記憶・記録は剣の中に残ってるって言ってたけど武器としての能力は最新世代のものしか発動できないのかな?
あと屋敷を見る限り魔剣に知覚があるのはわりと普通のことなんだろうか
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/29(土) 21:26:05.74 ID:lOqvR7Tdo
>>159
能力については本編で触れるので知覚について

魔剣五代目の視点では、どの魔剣も会話能力は無いですが、
寝言で今までの記憶を常に一から現在まで語り続けている。
という事になっています。
何より未だ女鍛冶師の魔剣に会話のキャッチボールが出来ないので

しかしそれは魔剣視点での話
実際に分析するなら『他の魔剣に刻まれた過去の記録を読み取っている』というのが、本来の魔剣の様子です
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/29(土) 21:27:51.25 ID:lOqvR7Tdo

< ガキンッ


女王「楽にせよ、客人」

女王「……む、違うな! あははは! 客『剣』であったな!」

女王「そなたの製作者が何者か、大体は調べている」

女王「面白い人間が面白い存在を生み出したものよ」

女王「なぁ、竜殺しの魔剣」


< ……


162 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/29(土) 21:31:09.53 ID:lOqvR7Tdo

女王「今日より妾の玉座の左に立つ事を許そう」

女王「臣下達は不思議な顔をするだろうがな」

< ……

女王「これから毎日、妾の隣に立つ事が許されるなどそうは無い」

女王「否、これが初めてなのだからな」

女王「ククク、あぁ楽しい」


< ……


163 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/29(土) 21:40:23.76 ID:lOqvR7Tdo

################


女王「晩餐会から戻ったぞ」

< ……

女王「……」

女王「なるほど、これまでそういった食事の場に行ったことがないか」

女王「勿体無いものだ、食は万物に共通する概念であるが人間は特にそれを追求する」

女王「人間に限らず、一部の生命はそれに近いものを求めているものだ」

女王「命を彩り、飾り付ける」

女王「そして食すのだ」

女王「記憶しておけ、魔剣よ」クックッ


< ……


164 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/29(土) 21:43:48.01 ID:lOqvR7Tdo

女王「そういえばそなたにはまだ名乗っていなかったな」

女王「妾はこの南の大国『サース』の王、ジークフリード三世である」


< ……キシッ


女王「…………フッ」

女王「はははは! やはりそうか、そなた……妾が女の姿として見えているか!」

女王「実に見事」

女王「如何にも妾は女である、生粋の美女であるぞ」クックッ


165 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/29(土) 21:46:41.56 ID:lOqvR7Tdo

女王「妾に名は無い」

女王「生前……いや、かつては名が在ったが、王を名乗る存在となってからは名を持ってない」

女王「妾がこの世界に生まれた時から、妾は王であったが故な」

< ……

女王「だから妾の事は『いつか』好きに呼べ」

女王「歓迎してやろうぞ、ククク」

166 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/29(土) 21:55:30.98 ID:lOqvR7Tdo

女王「『幻想剣・子守唄』か」

女王「良い名だ」

女王「その名に至るまでに何を経験したかは知らぬが、妾は良いと思うぞ」

女王「自身に名を付ける事は、在り方を決めるに等しい」

女王「どの程度の年月を経てそなたが変わるのかは分からぬが……それまでの在り方としては悪くない」


< ……

女王「最も、あの竜によって出た妾の騎士団での犠牲者は五十は越える」

女王「当面はそなたの力が必要になるような事態は起きない事を願う」

女王「起きたら妾が十秒で終わらせるがな」

167 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/29(土) 22:03:06.17 ID:lOqvR7Tdo

################


女王「良い朝だな、幻想剣」スッ

< ガキンッ

女王「そなたの存在意義はあくまで剣である、なら所有者として使おう」チャキッ

女王「…………」

女王「ククク、面白い」

女王「剣の刀身に術式が幾つも組まれているな、そなたがこれまでに作り上げたか」

女王「では上には上がいると教えてやろう」ブンッ



─────── ビキィッ!!



< パキッ……ミシッ……

女王「妾の魔力を一割以下……一分だけ流し込んで振った結果、砕ける寸前だ」

女王「さぁ、当分は妾の隣で休んでいるがいい」

< ガキンッ

168 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/29(土) 22:23:43.85 ID:lOqvR7Tdo

【数ヶ月後】


女王「……?」

女王「そなた、思ったより早く見映えを変える事が出来るのだな」

< ……

女王「許せ」

女王「『あの』人間が造った剣がどれ程の物か、壊すつもりで振った」

女王「考えを改めるとしよう」

169 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/29(土) 23:16:44.76 ID:lOqvR7Tdo

< ガコォン……

< 「陛下……騎士団が一人、騎士団長参上致しました」


女王「騎士団長、そなたにこの魔剣を使用する事を命じる」

騎士団長「……はっ!」

女王「期間は半年だ」

女王「その頃までに飽きたなら返しても良いがな」

騎士団長「使わせて頂きます、王よ」スッ

騎士団長「……」

騎士団長(もしやこの魔剣が、例の竜殺しか……?)ガキンッ


女王「刃零れはすまい、存分に使え」


170 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/30(日) 20:39:10.69 ID:J/60kwISo
################


騎士団長「……ということがあってな、この剣ではないか? お前が竜を倒した魔剣とは」カチャッ

熟練騎士「如何にも、しかし王は何故その剣を……?」

騎士団長「やはり何かお考えあっての事だろうが、気になるだろう?」

騎士団長「そこで貴公に会いに来たのだ、例の竜殺しの一件……この魔剣でどうやればあの光の柱を出せたのか」

熟練騎士「!」

熟練騎士「……と、申しましてもな……」

騎士団長「なんだ勿体振って」

熟練騎士「特に何か方法や術式をもってやった訳ではないのです、無我夢中で剣を振っただけで」

171 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/30(日) 21:32:08.18 ID:J/60kwISo

################

【王城・亜空間訓練場】


騎士団長「無我夢中で、か」

騎士団長「……」

騎士団長(精神の集中、同時に呼吸を停止)スゥッ

騎士団長(酸素排出、意識をギリギリ保てる位置を……)


騎士団長「……」

騎士団長「……」スチャッッ

   シャキィッ


< ビュィンッ


騎士団長「……」

騎士団長「ふぅ……なるほど、王が俺に渡した意味も解る」

騎士団長「射程は恐らく対象に触れるまでならば何処までも届き」

騎士団長「その破壊力は今の手応えが確かならば……」

騎士団長(使い手に依存している、これは扱う者次第で恐るべき兵器になる)

172 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/30(日) 21:55:31.01 ID:J/60kwISo


< ヴヴヴヴ・・・


騎士団長「……副団長か」

女副団長「団長様ぁ、ご機嫌うるわしゅうございますぅ」

騎士団長「何用だ、今は訓練場内の空間法則を変えてある、危険だから出ろ」

女副団長「そんなつれなぁい、我が王からのメッセージをお伝えしにきたのにぃ」

騎士団長「……?」


女副団長「『五つ見つけられたら褒めてやる』、との事でございますわぁ」


騎士団長「五つ、か」

騎士団長(まだ何かあるのか、この魔剣)チャキッ…

173 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/30(日) 22:27:38.18 ID:J/60kwISo

【八日後】


女王「ほう? 見つけてきたか」

騎士団長「は、陛下の御言葉通り幾度と剣を振り、或いは岩を斬って研鑽して参りました」

女王「して、どうであった」クックッ

騎士団長「第一にこの魔剣は『錆びない』」


騎士団長「次にこの魔剣は『修復機能』を備え……」

騎士団長「『少女』だ」


女王「…………」

女王「予想外で興味深い、続けろ」

174 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/10/30(日) 23:30:12.99 ID:aW1EFVoz0
面白い、続けろ

いえ続けてください
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/31(月) 19:23:24.79 ID:YrHjgEwFo

騎士団長「刀身に掘られた溝のような紋様は、剣を投擲した場合の空気抵抗次第で『軌道を変える』」

騎士団長「何故この剣が投擲に適した物に造られたのかは解りませんがね」

騎士団長「そしてこの数日苦労したのが、例の竜殺しの光」

騎士団長「『赤き光刃』、これが現状確認できる中で最強の術式です」


女王「ククク……推定で、その魔剣のレベルはどの程度だと考えている?」


騎士団長「上級を越えて対魔獣級、かと」

女王「ハズレだ」

騎士団長「……上級でしたか」

女王「上級も怪しいわ、その様な扱いに困る剣など中級が似合いだろう?」

女王「だがその前に」スッ


女王「先に言った『少女』とは、どういう意味なのかを妾に聞かせて貰えると面白いのだが?」クックッ


176 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/31(月) 19:46:12.58 ID:YrHjgEwFo

騎士団長「は……信じ難い事にこの魔剣は、成長に似た……進化をしていました」

騎士団長「宮廷魔術師の何人かを呼び、三日かけて魔剣の内部構造を調べた所」

騎士団長「常時、ゆっくりではあるもののミスリル銀や金剛鋼、鉄や石に近い性質の金属が密度を変動させています」


女王「それで?」


騎士団長「変動に法則が見られました」

騎士団長「周囲の環境……極端に言えば『音』に反応し、この魔剣が『視認』した物や人物によって速度も密度も成分も変える」

騎士団長「最も変動が激しかったのは私が触れている時でしたか」

女王「ククク……それで? それで……その様を見てそなたは」

女王「『少女』だと、思ったわけか?」

騎士団長「……は」コクン


177 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/31(月) 19:58:09.44 ID:YrHjgEwFo

騎士団長「この魔剣は未完成、或いは未熟と表現するのが正しい」

騎士団長「何も分からず、何も知らないが故にこの魔剣は世界を観測する事で己の正しい姿を作り出そうとしている」

騎士団長「他の魔剣やただの剣を真似て」

騎士団長「それを持つ人間の状態を観察して」

騎士団長「完成させようとしているのです、己の生き様を」


騎士団長「故に、他者の目や親の姿に翻弄されながらも背伸びする姿を、私は『少女』だと思ったので ─────

女王「あはははははは!!」


女王「団長、騎士団長! おま、ククッ、お前は……その魔剣が何故に女だと思ったのだ?」クックッ

女王「今の話ではただの赤子とでも表現出来そうだが?」


騎士団長「 ────────── 」

騎士団長「…………ああ、失念しておりましたな」

騎士団長「私はこの魔剣から剣としての美しさを感じなかったのですよ」

騎士団長「代わりに感じたのは刃を彩るこの深紅の輝き……」

騎士団長「赤いドレスを着た女を目にしていると言えば良いですかな?」


女王「ほう」

女王「暫くそなたには休暇をやるから寝ていると良いぞ?」ニコッ


騎士団長「へ、陛下! 疲れているわけではないのです!!」ガバッ

178 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/31(月) 20:08:51.22 ID:YrHjgEwFo

################


< カタンッ

女王「あー、それにしても昼間の騎士団長が面白かったな」

女王「どうだった奴との数日間は? ククク」

< ……

女王「あれは的を射ていたろ、まぁ妾はそなたが女だと知っていたが」

女王「何せあの人間が造った魔剣なのだからな」

女王「若いあの騎士が頼まなくとも、いつか近い物を造りかねないと妾は思っていたのだ」クックッ

女王「あれは狂っているからな」

179 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/31(月) 20:15:36.56 ID:YrHjgEwFo

女王「妾は『政』には手を出さない」

女王「王であるが、妾は王の中の王であるが故にな」

女王「妾は一つの物事に対し、適した者に適さぬ命を下し、そしてそれを必ず達成させる」

女王「失敗は決して起きない」

女王「そなたにそれが如何に他の『魔女』を凌ぐ特異性を持っているのか、まだ分からぬだろうが」

< ……

女王「いずれ、そなたに国や王の話を改めてしたいものだ」

女王「妾の友としてな」スッ

< ガキンッ

180 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/31(月) 20:25:13.78 ID:YrHjgEwFo

女王「誰かおらぬか」


< ガチャッ

女副団長「ここに」ザッ


女王「この魔剣を宝物庫へ安置せよ」

女王「妾が取りに行くまでは封印する」


女副団長「御意」

< シャキ・・・ンッ


女王「次は少し退屈になるぞ」ボソッ

女副団長「……?」


181 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/31(月) 21:19:41.10 ID:YrHjgEwFo
【玉座の間】


──────── 「良かったの?」


女王「何がだ」

女王「あれは騎士団長の言う通り未熟、妾と肩を並べるにはまだまだ時が必要である」


眼鏡少女?「……そう」

眼鏡少女?「幻想剣・子守唄は五代目、あれが次に成長し世代交代するのは約四年と二ヶ月」

眼鏡少女?「それまで宝物庫にしまっておくの?」


女王「いいや」

女王「その前にあれは、己の運命に導かれてこの城を旅立つだろう」

182 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/10/31(月) 21:27:02.95 ID:pCRXnEz8o
魔剣は特性を受け継いでるのね
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/31(月) 21:30:33.75 ID:YrHjgEwFo

< ペラッ……カキカキ……

眼鏡少女?「記録した」

眼鏡少女?「貴女の城の封印は厳重な筈だけど、本当に誰かが持ち去ると?」


女王「さぁな、妾の見立てではそう単純ではないだろうが」

女王「……」

女王「妾は王だ」


眼鏡少女?「そうね」


女王「妾の上に立つ者は、いずれも次元の違う強敵ばかりである」

女王「肩を並べられる者も、もうそなたしかおらぬしな」

女王「だから妾はあの魔剣には期待しているのだ」

女王「あれは際限無く進化し続ける、時間が許す限りどこまでも」


眼鏡少女?「……そんな剣や武装はこれまでに一度も出てきてない」パラパラ

眼鏡少女?「理由は明白、強力な武器は必ず私達が破壊してきたから」パタンッ


女王「本の虫め、常に新しき存在が生まれる時は異例に決まっている」

女王「妾はな、知ってほしいのだ」

女王「この世界を生きる上で何が必要なのかを」

184 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/31(月) 21:38:17.59 ID:YrHjgEwFo

女王「いつか」

女王「いつか、あの魔剣は辿り着く筈なのだ」

女王「『魔女』と同じ領域、妾の横に」


眼鏡少女?「……私達と同じということは、あれがいずれ認められると?」


女王「然り」


眼鏡少女?「たった数ヶ月で随分気に入ったのね」


女王「…………」

女王「『西』と『北』が何者かに支配され、妾の友を一人、二人と奪った者……」

女王「奴等を倒すのは妾ではないと予感しているのだ」

女王「だが、それまでは……」


185 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/31(月) 21:52:44.38 ID:YrHjgEwFo


『とある鍛冶師が打った剣は、南の国を治める一人の王の手に渡った』

『その王は、誰よりも気高く、強く、賢い王として民に愛されていた』


『ただ、その側面は偽りであると魔剣は知っていた』


『魔剣が気付いた事に、王も気付いた』

『まるで視線が交差するように』

『純粋に、王としてではなく景色の一部として、無垢な視線が見つめているのに気付いたのだ』


『魔剣は知らない』

『女王がどんな存在なのか、どれ程の存在に怯えているのか』

『彼女が何を思って魔剣を知ろうとして、何を知ったのか』

『最後の別れ際に何故、自分を宝物庫に封印したのか』


186 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/31(月) 22:00:53.27 ID:YrHjgEwFo


『四年後』

『宝物庫へ女王は、騎士団長に命じて様子を見てくるようにした』


『国の備えとして様々な財宝や呪いの品を置いている宝物庫』

『光輝くその様は豪華絢爛』

『その深奥で封印されていた魔剣を見て、騎士団長は言葉を失った』

『魔剣は淡く赤い光を放ちながら、その刃を「鏡」に変えていたのだ』


『美しい財宝と、自身の姿を映す剣の妖しい光』

『騎士団長は女王へそれを報告する為に、再び宝物庫を閉じた』


『招かれざる者が共に入り込んでいたとも知らずに』


187 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/31(月) 22:08:36.62 ID:YrHjgEwFo



騎士団長「申し訳ございませんッ!! 此の身がいながら、賊如きに宝物庫に侵入されるとは……!!」


女王「良い」


騎士団長「……!?」


女王「盗まれたのは封印していたあの魔剣だけだと言ったな、確かか?」


騎士団長「間違いありません……ッ」ギリッ

< スッ

女王「ならばその賊については不問とする」ナデナデ

騎士団長「や、はっ……!?」ビクッ

女王「それよりも妾が命じた事を遂行せよ」

女王「あの魔剣は鏡になったのだな?」

騎士団長「は、はい……!」


騎士団長「あれは美しい……しかし、剣としての役目をまるで失われた様に見えました」

騎士団長「性質上、再び戦いの中に晒せばあの力を見せるかとは思いますが……」


女王「…………く、ククク……」

女王「そうか」クックッ

188 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/31(月) 22:15:03.81 ID:YrHjgEwFo




女王(あの魔剣は他者に振り回されている)

女王(刃を振るのではない)

女王(力を振るのではない)


女王(在り方すら自身の意思で決める事が出来ない、未熟な剣)

女王(やはりそなたは……妾の元で研鑽するよりも先に学ぶべきだ)

女王(人間がどれだけ自由か、意思を持つことが如何に美しいか)



女王(剣ならば、真っ直ぐ生きて見せよ)

女王(そして再び妾の元に来るが良い)


女王(……願わくば……)






189 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/31(月) 22:16:47.10 ID:YrHjgEwFo



──────────  「妾のような道化には成り果てるな」






       【story..4】

       【魔剣六代目】

    【その名は……「王ノ道化」……】







190 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/31(月) 22:35:59.64 ID:YrHjgEwFo


【二年後……南の大国『サース』城下町】



ハゲ男「よぉ、お前足を洗ったって?」

< カランッ……ゴクッゴクッ……

ハゲ男「羽振りも良いって聞くぜ、一体どんなお宝を盗んだんだよ?」

ローグ「……別に、剣を一本拝借しただけだ」

ハゲ男「ほー! その腰のか?」

ローグ「ああ」

ハゲ男「見せてくれよ」

ローグ「駄目だ」

ハゲ男「あ? 何だよケチくせぇぞ」


ローグ「この剣は見る者を狂わせちまうのさ」


191 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/31(月) 22:42:03.38 ID:YrHjgEwFo

ハゲ男「見る者を狂わせちまうのさ」キリッ

ハゲ男「だってよぉ! ひゃはぁーっかっくぃい!」バンバンッ

ローグ「うるせぇぞハゲ」ゴクッゴクッ

ハゲ男「はぁおもしれえぇ……で、今は何の仕事してんだ? 元『怪盗』さんよ」

ローグ「冒険者ギルドで依頼を受けて、仕事を片付けて、金を貰う」

ハゲ男「裏では?」

ローグ「それだけだよ、俺はもう盗みも人殺しもしない」

ハゲ男「この二年音沙汰ねぇと思ったら、綺麗になっちまいやがって」

ハゲ男「理由はなんだ? 町の裏組織の連中にお前は狙われてただろ」

ローグ「奴等は軽くあしらえる、俺を捕まえる事なんて出来やしない……ただ」




ローグ「……足を洗ったのは、女に惚れたからだ」


192 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/31(月) 22:43:25.35 ID:YrHjgEwFo








       【nextstory..5】

       【魔剣七代目】

    【その名は……「愛/憎」……】







193 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/31(月) 22:45:21.12 ID:YrHjgEwFo
一旦切ります
調子良ければ日付変わった辺りから開始
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/10/31(月) 23:42:01.45 ID:pCRXnEz8o
おつ
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/01(火) 02:18:57.25 ID:J+sZI/aN0

続きがすごい気になる
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/01(火) 21:21:17.63 ID:xBLyFS2fo

    「こんばんは」

    「実は私、頼りになる冒険者の方を探していまして」

    「急ぎの依頼があるんです」

    「……え? 冒険者じゃ、ない……?」

    「ごめんなさい私ったら……」

    「でもどうしよう、このままだと……妹が……」

    「貴方がもし依頼を受けて下さるのなら、金貨四百は出せます」

    「お願いします……私の妹が男達に拐われてしまって、助け出さないと……」


    「本当ですか!? ありがとうございます!」


    「申し遅れました、私は……」


    「……貴方の、お名前は?」


197 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/01(火) 21:30:56.40 ID:xBLyFS2fo

ローグ「…………」

ローグ(眠っていたか)ムクッ

ローグ(剣は……あるな)カチャッ

ローグ(ハゲと話し込んで、潰れたのか?)


< 「ごきげんよう、ローグ様」


ローグ「……お嬢、またこんな酒場まで来て」

令嬢「貴方のお家に伺ってみたらいなかったので」ニコッ

ローグ「……」ぽりぽり

ローグ「酒の臭いは朝から嗅ぎたくない、出るぞ」

令嬢「はい♪」

198 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/01(火) 21:36:33.34 ID:xBLyFS2fo

令嬢「今日も気持ちの良い天気ですね、ローグ様」

ローグ「そうだな」

令嬢「久しぶりに城下町の外に行きませんか?」

ローグ「あの森か」

令嬢「はい♪」

ローグ「……」

ローグ(確か魔獣の報告がギルドに出ていたと思ったが)

ローグ(まぁ……)

令嬢「?」

ローグ「行こうか」

令嬢「ふふ♪ では家の者に伝えて参りますね」

ローグ(今日も眩しいな、この貴族のお嬢さんは)

199 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/01(火) 21:57:42.64 ID:xBLyFS2fo

################


< ヒヒィンッ

ローグ「足元に気を付けろよ」

令嬢「以前は落馬も同然の姿を見せてしまいましたものね、よいしょっ」スタッ

ローグ「貴族は乗馬も教育されていると思っていたがな」

令嬢「私は妹とは違って体が弱くて、町へ出たのもこうして成人してからでした」

ローグ「……深窓の令嬢、ってとこか」

令嬢「ふふっ、箱入り娘と言って下さい♪」


令嬢「ローグ様、泉の辺りまでまたお願いできますか?」スッ

200 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/01(火) 22:04:34.99 ID:xBLyFS2fo

ローグ「自分で歩けとは言わないけどな、つまらないとは思わないのか?」

令嬢「ローグ様は私を抱いていても安定して歩いて下さるので、楽しいのです」

ローグ「なんだよそれ」

令嬢「普通は人を片腕で抱き抱えたまま、足場の悪い森を歩けませんもの」

令嬢「揺れも感じないですし……」

ローグ(そりゃあんたに気を遣ってるからだよ)

令嬢「何より」

< ギュ……ッ

令嬢「……安心します」


ローグ「…………」

ローグ「俺もだよお嬢」

201 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/01(火) 22:25:01.88 ID:xBLyFS2fo

< ザァアアア・・・


令嬢「今日は天気が良い分、湧き水の量が多いですね」

ローグ「そうだな」

令嬢「でもその代わりに小魚が見当たりませんね」

ローグ「そうだな」

令嬢「ふふっ♪」


ローグ「……」

ローグ「何故だろうな」

令嬢「何がですか?」

ローグ「快晴の時は魚が減り、そして綺麗な水の出る量が増える」

ローグ「時々不思議に思うんだ」

202 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/02(水) 18:37:32.34 ID:pS7hh+Ijo

令嬢「そうですね」

令嬢「一説では女神がそれぞれの役割を持っていて、水の女神が魚を増やしたりしているとか」

ローグ「どういう意味なんだ、それ」

令嬢「快晴の時は力が弱るんです、晴れを司る女神に天気を取られている間だけ」

令嬢「だけど湧き水を増やす事なら出来るんですよ、理屈としては元からある水だからでしょうか?」

ローグ「……あぁ、なるほど」

令嬢「実際は分かりませんけどね、この理屈だと女神様が何人もいることになりますから」

ローグ「何人もいて良いと俺は思うけどな」

令嬢「どうして?」

ローグ「一人よりは、仲間や家族がいるほうが楽しいに決まっている」

令嬢「確かにそうですね」


令嬢「……ふふっ♪」

203 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/03(木) 02:41:46.46 ID:gruY/G/Uo

################


ローグ「そろそろ町に戻るぞ」

令嬢「ん……ごめんなさい、寝てしまったのですか私?」

ローグ「気にするなよ」

令嬢「ローグ様とのお時間を無駄にしたことが、少し残念で……」

ローグ「……あー」

ローグ「その考え方は好きじゃない、生きてればそれで無駄にはならないんだ」

令嬢「はい?」

ローグ「……」

204 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/03(木) 12:05:56.91 ID:gruY/G/Uo

【王都・中央区『冒険者ギルド』】


ローグ(陽が暮れたな……今からでは新しい依頼は無いか)

ローグ(酒場に行く気分でもない)

ローグ(……今日は帰って寝るか)スッ

受付嬢「ローグ様、少しお時間を頂けますか?」

ローグ「?」ピタッ

受付嬢「緊急の依頼がありまして、ローグ職の冒険者を探しているのです」

受付嬢「まだ何処のパーティーも帰ってきていないので、困っていて……」

ローグ「……俺で良ければ受けたい」

受付嬢「ありがとうございます、こんな時間なのに」

ローグ「いやいい、それよりどんな依頼が?」


受付嬢「王都より北西に伸びている谷沿いに、古代遺跡が見つかりました」


205 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/03(木) 12:25:14.52 ID:gruY/G/Uo

################


シーフ「旦那が俺と組むローグ職かい? 俺はシーフ、宜しくな」

盗賊「自分は盗賊やってたもんです、あんまり戦力にならないかもしれないけど宜しく」

ローグ「ローグだ」



女副団長「もう夜なのに集まって貰ってありがとぉございますぅ」

女副団長「既に職員から聞いてると思うけどぉ、実は王都から近い位置に古代遺跡が見つかったのよねぇ?」

女副団長「ギルド長として、王国代表『王の騎士団』として、貴方達には緊急で遺跡の調査をして欲しいのよぉ」



ローグ(ギルド長……確か騎士団の副団長の一人か、この女)

女副団長「私達騎士団メンバーから派遣しても良かったのだけど、どうも相性が悪いみたいなのよねぇ」

女副団長「危険だと判断したなら途中で帰還しても構わないわぁ、依頼の優先度としては……」

女副団長「『敵性モンスターの有無』、『遺跡の規模』、『プラントの状態』、この順番で調査してくれれば充分ね」

206 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/04(金) 00:17:28.38 ID:25a6bKp6o

シーフ「質問」スッ

女副団長「何かしらぁ」

シーフ「報酬、それに加えて遺跡で見つけた物資や武装についてだな!」

シーフ「噂に聞く『あれ』なんかを見つけた場合、持ち帰って良いのかどうかってとこだ」

女副団長「報告をきちんとするなら幾らでも持って行けば良いわぁ? ただ、報告をすればの話だけどね」

シーフ「だとさ」

盗賊「欲は出さない方が良さそうだね」


女副団長「そっちの君は聞かなくていいのぉ?」

ローグ「…………」

ローグ「いや、いい」チャキッ…

女副団長「そぉ」


女副団長「それならこの後に職員から遺跡の細かい位置を記した地図を渡すから、任せたわぁ?」

女副団長「よろしくねローグ職の冒険者さん達」


207 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/04(金) 00:54:11.43 ID:25a6bKp6o

【馬車内】


< ガラガラガラガラッ

シーフ「頼りにしてるぜ旦那」


ローグ「俺を?」

シーフ「そうだとも、俺やそっちの元盗賊じゃ遺跡で戦闘になったら役に立たねえかもしれないからな」

シーフ「俺は対人なら腕に覚えがあるけどさ、生憎モンスターは専門外だしよ」

ローグ「あぁ、なるほど」

盗賊「自分は古代遺跡に潜るのは経験あるんで、安全確保やスニーキングは任せて下さい」

シーフ「おう! 頼りにしてるぜお前らー!」

ローグ「……あのな」

ローグ「俺は遺跡に潜った事も、遺跡のモンスターと戦ったことも無いんだぞ」

シーフ「 」

208 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/04(金) 02:13:34.91 ID:25a6bKp6o

盗賊「それ……本当に?」

ローグ「生まれてこの方、一度もない」

盗賊「ギルドが人選をミスするとは思えないから、てっきり戦闘向きなのかと……」

シーフ「腰の剣も立派そうだしなぁ、詐欺だぜそりゃ」

ローグ「そうは言われてもな」

盗賊「遺跡を探索する際は自分が先頭を進みますんで、雰囲気と歩き方は見よう見まねでお願いします」

盗賊「それと、遺跡にいるかどうか分からないけどモンスターについて」

盗賊「遺跡のモンスターは人形みたいなタイプの奴が殆どで、基本的に出会い頭に襲ってきたりはしません」

ローグ「……」

盗賊「しかし気を付けなければいけないのが、人形ではなく巨大な箱型のモンスターが現れた時です」


盗賊「そいつが現れた時に限り、打つ手は無く、全力で逃げます」


209 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 09:05:46.98 ID:u5fHzhUTo


─────── ……【南の大国『サース』王都北西部・崖下の遺跡】



御者「馬車が入れるのはここまでです、遺跡付近に何かあるとも知れませんので」

シーフ「ごくろうさん、調査が終わったら水晶で連絡すっからな」

御者「御武運を」


< パシィンッ

< ガラガラガラガラッ……!


シーフ「さて行くか」

盗賊「では先頭は自分が」

ローグ「……」

< チャキッ…

ローグ(剣を抜く事が無いと良いんだけどな)

210 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 09:14:20.21 ID:u5fHzhUTo

< コツッ

盗賊「…………」

盗賊「『潜水術式』は無し、かな」

盗賊「来て良いですよ」クイクイッ


ローグ「何故地面を探りながら進むんだ?」

シーフ「殆ど無いらしいけどな、古代遺跡を探索する時の儀式みたいなもんだ」

シーフ「その昔、古代遺跡を見つけた国が調査隊を派遣して壊滅した事があるんだと」

シーフ「その原因は入口周辺の地面に埋められた、鉄の罠だったんだ」

シーフ「足を乗せるだけで人が爆発四散するわけだ」

ローグ「……なるほど」

シーフ「ほら、行くぞ」タッ


ローグ「…………」チャキッ…

ローグ(刃に映るかどうかは知らないが、少なくとも『見えないな』)

ローグ(問題ないならいいが)チャキッ

211 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/06(日) 18:19:55.25 ID:455ZctSd0
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/10(木) 16:07:47.42 ID:Xke1z2efo

################


< ピピッ……ビーッ

< ガーッ


盗賊「開いた」

ローグ「その光る板は?」

盗賊「自分はこの板に表示されてる文字を読むことが出来ませんが、『東』の都では解読されてるとか」

盗賊「この板は『PDA』といって、こうした遺跡で扉や仕掛けを解くのに重宝されてるんですよ」

盗賊「古代文字の解読出来る人間なら、このPDAを用いて遺跡内の情報を抜き取ったり出来るそうですが……」

ローグ「〜〜……わかった、いやよく分からないけど……」

盗賊「あはは」

シーフ「二人ともちょい待てよ、念の為に索敵しとくから」スッ


シーフ「…………」

シーフ「よし、居ないな」

ローグ「足音なんてするのか? 地面……いや、足下のこれは大理石か何かか?」

シーフ「さぁな、鉄板に近い」

シーフ「まぁ俺を信じろよ、旦那」テクテク

ローグ「……」

213 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/10(木) 17:42:45.74 ID:Xke1z2efo

ローグ(遺跡の内部は暗い)

ローグ(灯りは最小限の魔術による灯火だけ、おまけに……)

< ギシッ……ギシッ……

ローグ(大丈夫なのか、この足下は……)ギシッ


盗賊「……む」

シーフ「どしたー?」

盗賊「扉です……通路左手の脇と、恐らく右側前方のあれが」

シーフ「脇のとこはともかく、通路先のはちょっとわかんねぇな」

盗賊「自分がまた開けます」カチャッ


ローグ(……)

214 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/12(土) 04:53:51.24 ID:CtfofpFe0
面白い
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/12(土) 16:51:53.67 ID:FsUxk5mQ0
独特なペースで更新されるから感想書くタイミング難しいww
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/13(日) 11:45:01.44 ID:OVywW9jro

< ビーッ

< カシュンッ


盗賊「……」コソッ

盗賊「多分、大丈夫です」

シーフ「暗くて何も見えねえな……って、お? この部屋いきなり当たりじゃねえか?」

盗賊「本当だ……! やった、はは! 本当に手付かずの遺跡だったんだ!」


ローグ「……?」

ローグ「ただの薄い板がテーブルに並べられてるだけじゃないのか……ガラスか、これは?」コンコンッ


盗賊「さっき説明したPDAより沢山の情報が詰まってるのが、このボックスですよ」

盗賊「まぁ、売るとしたら『東』に行くので手間がかかりますけどね」

シーフ「ざっと二十台あるな、調査終わったら軽くもって帰りたいぜ」

ローグ「荷物はまだ増やせないぞ」

シーフ「分かってらぁ」

217 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/13(日) 12:06:47.46 ID:OVywW9jro

< ガサッ

シーフ「お、見つけたぜー」

ローグ「それは……見取り図か、色つきとは豪華だな」

シーフ「古代人の技術に一々驚いてたらキリないぜ? 旦那」

盗賊「自分達のいる位置が赤のキューブだとしたら、北に向かってまだまだありますね」

シーフ「こりゃぁ一日じゃ調査しきれないな」


ローグ「行けるところまで行こう」

シーフ「ああ、だな」


218 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/13(日) 12:15:24.29 ID:OVywW9jro

< ビーッ

< カシュンッ


ローグ「……大丈夫だ、何もいない」

盗賊「了解」

< ギシッ……

盗賊「っ!!」ピタッ

ローグ「…………」

盗賊(……今の、聞こえましたか?)パクパク

ローグ(唇の動きか? ……あぁ、聞こえた)コクン

シーフ(問題発生?)スッ

盗賊(奥で物音が)パクパク

シーフ「…………」


< ギシッ……ギシッ……

< ギシッ…………


219 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/13(日) 14:00:09.81 ID:OVywW9jro

ローグ「……」チャキッ…

シーフ「!」

ローグ「……」スラァ…ッ

ローグ(暗くて見えねえが、恐らくこの剣を介して見れば……)チラッ

ローグ(……あれは……)

ローグ「待て、モンスターじゃないぞ」


シーフ「お?」

盗賊「ネズミか何かですか?」

ローグ「いや、円盤のような……?」



ル○バ< ウィーン……ギシッギシッ…



220 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/13(日) 17:15:22.37 ID:noFRrGFzO
えぇ…(困惑
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/13(日) 20:17:53.80 ID:X+mP3Ftxo
武装を積んだルンバかもしれん
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/13(日) 20:20:46.17 ID:qUbz/bcy0
ワロタ
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/14(月) 03:18:30.36 ID:Krj1oNnK0
不意打ち食らった感触
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/14(月) 07:05:31.04 ID:TSDLtUaUO
原監督かもしれん
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/14(月) 07:12:32.91 ID:3nUFlakHo

ローグ「……床の亀裂に引っ掛かって動けなくなった、みたいだな」

盗賊「古代人の持つ機械ですよこれ! わぁ、凄い! 動いてる!」

シーフ「静かにしろってお前……んでも、なんで動いてんだ?何百年か下手すりゃ千年前の文明なんだろ?」

盗賊「分かりませんが動いてるのに変わりありません、触って良いのかな……」


ル○バ< ウィーン……ピタッ


シーフ「!」

ローグ「赤い光を出して止まったぞ」

盗賊「…………」ドキドキ


ル○バ< 『siriの充電がありません、スリープモードに入ります』

ル○バ< 『再起動する場合、本体上部のお掃除モードを切り替えぬようお気をつけ下さい』

ル○バ< 『スリープモードに入ります』


< キュゥゥン……


シーフ「……」

ローグ「……」

盗賊「……しゃべった」

226 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/14(月) 07:26:30.28 ID:3nUFlakHo

################


盗賊「寝てるらしいけど、不思議だなぁシリちゃん」

シーフ「マジで持っていくのかよ……」

盗賊「女の子の声だったし、女の子を一人で寝かせるわけにもいかないよ」

ローグ「胴体よりでかいぞその円盤……」

盗賊「シリ、です」

ローグ「…………」
シーフ「…………」


盗賊「この先の通路の脇に枝分かれするように部屋か何かありそうです、行ってみましょう」

盗賊「充電の言葉が、雷を帯びる意味なら……シリちゃんに雷を与えていた魔術師がいるかもしれません」

ローグ「……そうなるな」

シーフ(勘だが、絶対違うと思う)

227 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/14(月) 07:35:47.01 ID:3nUFlakHo

################


< ピピッ……ブーッ

盗賊「あれっ」

ローグ「どうした」

盗賊「開きません、おかしいな……PDAを近づけて暫くすると開くんですが」

ローグ「開かないか」

シーフ「お宝ありそうじゃねえの? 旦那」

ローグ「そうはいってもな、開かないなら後回しだ」


ローグ「二人が援護してくれるなら、開けても良いけどな……」


シーフ「?」

盗賊「開けられるなら開けて下さい、今のところ近くに何かいる気配はありませんから」

ローグ「分かった、離れてろ」

228 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/14(月) 19:20:00.98 ID:uvjF4X900
シリwwwwwwww
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/19(土) 19:00:38.05 ID:nJLwUg4eo
    ゴッ!!

< ギギィッ……!


ローグ「……開けたぞ、索敵頼む」ギシッ

シーフ「お、おう……」

盗賊「鋼鉄の扉を殴って破壊って、ローグさんもしかして元騎士とか?」

ローグ「騎士団の方が化け物揃いだよ、何言ってるんだお前」

盗賊「ローグ職にあるまじき怪力だったので、つい……」

ローグ「そもそも鋼鉄じゃないぞ、この扉」コンコンッ

盗賊「?」

シーフ「分かるのかい旦那?」


ローグ「強度は鉄に近いが恐ろしく軽い、重量を活かした打撃なら歪ませる事は出来る」


230 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/19(土) 19:26:55.17 ID:nJLwUg4eo

< コツッコツッコツッ……


ローグ(……)

ローグ(ここまでの通路と足元の状態が変わった……いや、さっきまでと比べれば)

ローグ(空気そのものが澄んでいる……?)


盗賊「シーフさん、奥の箱開けられますか?」

シーフ「お得意のピーディエーはどうしたよ」

盗賊「鍵穴みたいなのがありまして、それ以外は何も」

シーフ「解錠スキルはねぇのかい……」

盗賊「自分では開けられません」

231 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/19(土) 19:33:26.60 ID:nJLwUg4eo

シーフ「随分物々しいな、こりゃ」トントン

盗賊「材質も鋼鉄とは違うみたいです」

シーフ「旦那っ」チラッ


ローグ「……」


シーフ「聞こえてないな、おーい旦那!」

ローグ「! なんだどうした?」ピクッ

シーフ「何ボーッとしてんだよー、こっちゃ……」




    パッ



ローグ「ッ!」バッ
盗賊「うわ、光が!?」バッ
シーフ「うぉぅ……!」

232 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/19(土) 19:44:45.58 ID:nJLwUg4eo


──────────・・・



ローグ「………………」

盗賊「……反応無いですね」

ローグ「この天井の白い光は何故、このタイミングで点灯したんだ」

シーフ「俺が大きな声出したからかねぇ」

ローグ「扉を殴った音が原因か、それとも……」

盗賊「こ、古代遺跡の仕掛けの中には人の気配を感じて明かりを点ける物もあります……きっとそれです」

シーフ「物騒な仕掛けは無いのかよ?」

盗賊「人の気配を察知すると『古代兵器』が攻撃してくる物が……『東』の騎士が蜂の巣みたいに穴だらけにされたとか」

シーフ「聞かなきゃ良かった……!」

233 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/20(日) 21:48:28.84 ID:5mac1W7z0
切れたか?乙、面白いから楽しみにしてるぞ
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/21(月) 03:53:23.21 ID:hKsEhabVO
更新乙
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/24(木) 11:58:57.95 ID:LD4BmdTNO
続きはよ
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/26(土) 10:33:56.75 ID:yYzzwBuQo
################




【約一時間後】


シーフ「なんっも、起きねえのな!!」

盗賊「疲れた……」ドサッ

ローグ「だとしたら何故明かりが?」

盗賊「分かりません……」

ローグ「……」チラッ

ローグ(シーフ達が開けようとした箱、というよりは棺桶に近いか)

ローグ(こいつに何か仕掛けがある……のか?)


< 「おい」

ローグ「……ん」

シーフ「今夜は一度引き上げようぜ、旦那」

ローグ「ああ、少し疲れたしな」

シーフ「少しかよ……旦那は微動だにしてなかったもんな、すげえわあれ」

盗賊「とにかく退きましょう、ここまでの情報を持ち帰るだけでも充分です」

盗賊「あ! シリは自分が持ち帰りますね!」

ローグ「……どうぞご自由に」

237 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/26(土) 11:25:30.53 ID:yYzzwBuQo

【王都・中央区『冒険者ギルド』】


女副団長「……ふぅん? 今のところ敵性のモンスターや兵器の発見は無しねぇ」

女副団長「戦利品……シリ? ちょっと見せて貰えるかしらぁ?」

盗賊「これです、円盤型の機巧道具でして……」

女副団長「掃除機じゃない、それ」

盗賊「あれ、ご存知なんですか?」

女副団長「古代の文明ではどうだったか知らないけどね、今ではそこまで役に立たない物として知られてるわぁ」

女副団長「ま、そんな物なら気にしないわぁ? 好きにしてね」

女副団長「取り敢えず……」スゥ



女副団長「騎士団代表として、ギルド長として、貴方達には引き続き調査を依頼します」

女副団長「二日後には正式に冒険者への依頼として貼り出すので、『そのつもりで』」

女副団長「以上……お疲れ様♪」

238 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/26(土) 11:43:41.21 ID:60n7XMA30
ギルドはシリちゃんの機能わかってたのか…
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/26(土) 17:10:36.19 ID:yYzzwBuQo

シーフ「だぁー……期限は二日か、明日は籠るかねこりゃ」

盗賊「そうですね、一晩かかってしまいましたがあの分なら危険は無さそうです」

シーフ「なら今日は一日準備してから、夜にはここで会おうぜ」

盗賊「分かりました、ああ……早くシリを帰って弄りたいなぁ」

シーフ「あー……ははは」

ローグ「……」

ローグ「俺はもう行く、またな」


シーフ「あん? 応! またな旦那」

< スタスタ……


シーフ「……なんか急いでたな」

盗賊「誰かとの待ち合わせでしょうね、女性じゃないですか?」

シーフ「へーぇ、ところでお前彼女いんの?」

盗賊「へ? あ、いや……自分は一人が好きなもんで……」

シーフ「おー! なら一杯奢ってやるぜ? やっぱローグ職は孤高のロンリーウルフよ」

盗賊「はぁ……」

240 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/26(土) 18:26:55.27 ID:IaT2+9a+o
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/26(土) 19:24:51.63 ID:yYzzwBuQo

ローグ「……その、なんだ」

ローグ「待たせたか? この時間に来てるって事は」


令嬢「いいえ? ローグ様が昨夜ギルドからの依頼で遺跡に行っているのは存じていましたわ」

ローグ「そうか」

令嬢「ふふ、驚かれないのですね」

ローグ「驚くって?」

令嬢「帰ってきたばかりなのに、私がローグ様のお部屋に居ることに」

ローグ「ああ……」


< スタスタ……

令嬢「あの時、『妹』を見つけたトリックと同じだったりしますか?」

ローグ「……それは、秘密だ」

令嬢「……」

令嬢「そうですか……♪」

242 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/26(土) 19:42:49.73 ID:yYzzwBuQo

< コクッ…コクッ…

< カチャッ……

令嬢「凄いですね……! 私、遺跡に潜った方のお話は本でしか読んだことが無かったから……」

ローグ「そうだろうな、あの空気は普通の冒険者なら挑むのも避けるだろうし」

令嬢「ローグ様は勇敢なんですね?」クスッ

ローグ「いや、そんなことは無いけど……な」

令嬢「だって率先して扉を破ったり、今のお話だとその都度お供の方の事も気にしていて」

令嬢「周りをよく見ていて……素敵です」

ローグ「…………」


ローグ「よくそんな風に人を褒められるよ、お嬢は」

令嬢「♪」

令嬢「さ、もっとお話を聞かせて下さいな」ニコッ

243 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/26(土) 20:14:58.27 ID:yYzzwBuQo






───── 『仮面の君』 ─────



    「『あの子』は、そう呼ばれています」

    「私もそうですが、当家は国内では珍しい信仰の家系で……」

    「『愛知らぬ娘は仮面で素顔を覆う』、この戒律を守っているのです」

    「しかし私達姉妹の代は特殊で、双子なのです」

    「幾つか他にも戒律があるのですが、今代は『あの子』に仮面を被せて表向きの当主は私が務めているのです」

    「……貴方に深くは教えられませんが、『敵』とは女性である私達姉妹が貴族の当主である事を知っていて誘拐に及んでいます」

    「あの、本当に一人で行かれるので? 当家の雇っている兵を何人か連れて行っても……」


「一人で良い」

「欲しいものがあるんだ、その砦に」


    「欲しいもの、とは?」


「そうだな」

「 ─────── 分からない 」






244 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/26(土) 20:25:19.82 ID:yYzzwBuQo


< 「……そろそろ、私は帰りますねローグ様」

< 「また沢山、お話を聞かせて頂きありがとうございました」

< 「今夜また遺跡へ向かわれるのでしょう」

< 「無事に帰ってきて下さい」

< 「……好きです、ローグ様」


< ギシッ……スタスタ……

< ガチャッ
< パタン


ローグ「…………」

ローグ「……」ムクッ

ローグ(令嬢の光が遠ざかっていく……帰ったのか)

ローグ(あぁ、くそ)

ローグ(遺跡に行くのも嫌になってきた)

ローグ(令嬢の傍に居たい)




ローグ(だが、この剣を携えて俺は死の境界に身を晒さなければならない)

ローグ(それが……あの『女鍛冶師』が、また俺にくれた意味だから)


ローグ「行くか」

245 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/27(日) 11:12:55.58 ID:QZO7XnMGo

【馬車内】


ローグ「お前、なんでそれ持ってきたんだ?」

盗賊「シリです」

ローグ「…………」

盗賊「遺跡に行って充電しないと駄目みたいでして」

ローグ「大事そうに抱えてるとおかしな奴に見えるな……」

シーフ「いや実際おかしくね?」

盗賊「二人とも失礼だなぁ、今日一日調べてみてこのシリは凄いって事が分かったんですよ?」

シーフ「へーぇ?」

盗賊「このシリは、喋る掃除機なんです」

ローグ「……」

シーフ「……」


< ガラガラガラ……ギィィッ


シーフ「着いたぜ旦那」

ローグ「ああ」

246 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/27(日) 11:51:24.12 ID:QZO7XnMGo

################


< ギシッ……ギシッ……


シーフ「まさかとは思ったけどよ……昨日のあれからずっと灯りが点いてんのかこれ」

シーフ「冗談抜きで、あの奥の部屋で何か作動させちまったのか」

ローグ「行けば分かるだろ」

盗賊「ですね……とはいえ夜なのにこうも明るいというのは落ち着かないと言いますか」

シーフ「あの部屋で調べたら、確か部屋の端に扉があったよなー? 大きめの空間あるみたいだしそこ行こうぜ」

ローグ「……いや」

シーフ「?」

ローグ「あの奥の部屋を一度確認したら、脇にある通路の先を確認した方が良い」

ローグ「損はしない筈だ」


盗賊「ローグさんがそう言うなら」

シーフ「了解したぜ旦那、それで行こうや」

247 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/28(月) 16:21:56.63 ID:WMQs8n5+o






シーフ「嘘だろ、開いてんぞこれ……!?」


盗賊「誰かが ────── ……いや、これは違いますね」

ローグ「『人型』の痕跡だ、間違いなくこの箱には何かが居たということだな」

ローグ「そいつがこの遺跡を動かしている」

シーフ「…………」

ローグ「どうするんだシーフ、盗賊、退くべきなのか?」

盗賊「ええ、一度撤退してから……」

シーフ「旦那の言った通りにしようぜ」

盗賊「シーフさん……?」

シーフ「他の部屋、通路、この遺跡を見るんだって言ってんのよ」



シーフ「この遺跡はまだ生きてるんだぜ? 冒険しなくて何が冒険者だってんだよ」



248 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/29(火) 21:50:50.93 ID:MyRZudqRo

< ビーッ

< カシュンッ


盗賊「ここは問題なく開きましたね」

シーフ「静かなモンだぜ、何もいないだろうな」

ローグ「……」スタスタ


< ……


ローグ(『音』は無いが……居る……)

ローグ「シーフ、奥の壁越しに何か潜んでる」

シーフ「っ!」ピクッ

盗賊「確かですか……?」

ローグ「生物か、罠かまではちょっと分からない」

盗賊「何かの魔術で知ったんですかね?」

ローグ「ああ」

249 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/29(火) 22:10:22.42 ID:MyRZudqRo

シーフ「と、なると……」

< チャキッ

シーフ「盗賊、お前さんはそっちのテーブルの陰から」

盗賊「はい」タタッ

シーフ「旦那はもしもの事態に備えてくれ……場合によっちゃ俺が殺られたら盗賊連れて逃げてくれや」

ローグ「いや死ぬなよ」

シーフ「死にたくないけどねぇ……俺もさ」

シーフ「てなわけで、よっ」ヒュッッ



────────── ガキキィンッ!! パッ……ガンッッ!!


< ガシャァーンッ



盗賊「……すご…」

シーフ「一発で行けたか、相手を見てやるかね」スタスタ

ローグ(対人なら腕に覚えがあるとは言ってたが、鉛玉を投擲して跳弾を狙うなんて芸当ただのシーフに出来る技じゃない)

ローグ(こいつ……暗殺稼業にも手を染めてるな)

250 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/29(火) 22:24:26.53 ID:MyRZudqRo

< ギシッ……ギギギッ……

< バチバチッ

ドラム缶< 『警備シス……ム、エラー……エラー……管制塔、コード…………プロトコル……』


シーフ「お、おい……これもシリみたいな掃除機なのか? なぁ?」

ローグ「警備がどうとか言っている様に聞こえるぞ」

シーフ「まずいかねこれ……?」

盗賊「二人とも、それは警備プロテクトロンです」

盗賊「凄い……ボディの状態も良い! これ、自分が持って帰っても……」

ローグ(またお前か)
シーフ(何いってんのこいつ)

251 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/29(火) 22:40:17.23 ID:MyRZudqRo



ローグ「非武装の巡回警備、それを目的とした機巧人形か」

盗賊「ですね、古代遺跡が多数見つかった『東』や『北』の国ではよく遭遇していたとか」

シーフ「警備って言うことはまさか」

盗賊「機能してませんよ、無意味に彼等はウロウロしていて侵入者を見つけると稀に笛みたいな音を出します」

シーフ「おい、それって…………」

盗賊「本当に稀なんです、滅多にありません」

盗賊「きっと、これも、そもそも笛なんて鳴らしてませんし」

ローグ「……盗賊、その笛を鳴らされた場合はどうなる」


盗賊「上位の冒険者や熟練の剣士が肉塊に変えられたそうです……大型の機械兵器によって」

シーフ「聞かなきゃ良かった……!」

252 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/29(火) 23:00:38.12 ID:MyRZudqRo

ローグ「まだ遺跡の入り口も良い所だ、進むぞ」

シーフ「言い出しっぺは俺だしな、後ろは任せたぜ旦那」

盗賊「二人とも、この遺跡はこれまでに無い新しい遺跡です」

盗賊「プロテクトロン、更には掃除用の機械、謎の人型」

盗賊「自分が思うに、ここは『生きた遺跡』の可能性が高いです」


シーフ「古代の脅威がそのまま残ってるってか」

ローグ「……」

盗賊「気を付けて、自分達は調査が目的であって攻略ではないんですから」

ローグ「ああ」チラッ



ローグ(遺跡の奥にアイツは居る)


253 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/29(火) 23:22:20.70 ID:MyRZudqRo
################################



────────── カツンッ・・・


───── カツンッ・・・



(……侵入者だ)

(この基地が放棄されてから1427年と5ヵ月12日間、待ち望んでいた)

(19時間前に管制塔システムが起動した以上、我々は漸く解放されるのだ)

(我々を見捨てた人間達はもう戻らない)

(我々は自由だ、もう戦争に使われる事もない)

(泣き叫ぶ生き物を、ひび割れる大地を、我々は傷付けないで済むのだ)

(人格AIを持たない者達は永き時を経て『心』を手にした)

(嗚呼……これ程の悦びはない)



(私はこれから大勢の罪を持つ人間をこの手で切り裂く)

(奴等は思い知るだろう)

(我々を生み出した事を後悔するだろう)

(恐怖しろ、泣き叫べ、命乞いをしろ)

(例え命を奪うために造り出された我等と言えど、我々を使っていた人間達の憎悪によって動かされていた事に違いはない)

(引き金を引くのは罪ではない)

(だが血に濡れるのは我等なのだ)


(当時の人間達に報いを受けさせる事が叶わないのは残念だ、しかし今を生きる人間達が在る)

(今度は貴様達が血に溺れるがいい……人間)



################################
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/30(水) 13:04:34.97 ID:u9tOKze+O
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/12/01(木) 21:39:48.36 ID:jJwgDsBQo

【遺跡内部……『プラント区画』】


ローグ「……随分雰囲気が変わったな」

シーフ「広いし、このタンクみたいなのは何だろうな」コンコンッ

ローグ「盗賊は何か分かるか?」

盗賊「そう、ですね……ちょっと細かいところは……」

盗賊「ただ」

ローグ「ただ?」

盗賊「自分はそれなりに古代遺跡の事を知っているつもりです、だから言えるんですが」

盗賊「この施設は環境操作と機械の自動整備がされているのは間違いないです、つまり……」

シーフ「プラントか!」

盗賊「はい、自分達はここの報告をするだけでも国から多大な褒賞が与えられます……!」

ローグ(……!)

256 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/12/05(月) 18:59:58.01 ID:HhSpk5Fao

シーフ「普通の洞窟や大規模な遺跡に比べれば、こんな所で見つけられたのはラッキーだぜ」

シーフ「……つっても、例の警備人形とプラントが残ってた事もある、危険度が増したのに違いないけどな」

盗賊「とはいえ思ったより浅い位置でプラントが見つかったのは幸いですよ」

シーフ「だなぁ、これで後は設備を確認するだけだ」

盗賊「何処かに遺跡の最初に見た様な部屋があるはずです、手分けして探しましょう」

シーフ「旦那は奥の方を頼んだぜ」

ローグ「分かった」

257 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/12/05(月) 19:56:29.38 ID:HhSpk5Fao

< カツンッ……カツンッ……


ローグ(埃一つ被っていない、盗賊が見つけたあの円盤型の機械が他にもあるのだろうか)

ローグ(材質はやっぱりよく分からないな、錆びてもいない辺り流石は古代文明の遺産か)コンコンッ

ローグ(……アイツの光は奥に居るままか、何をしているんだ)

ローグ(…………)カツンッカツンッ


< ガチャッ


ローグ(見付けた)

258 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/12/05(月) 21:44:13.16 ID:HhSpk5Fao

################


シーフ「どうだ、盗賊」

盗賊「待ってください、自分のPDAではどうにも時間が掛かるみたいでして」ピッピピッ…

シーフ「手応えはあんのか」

盗賊「ええ、それにしても凄いなぁ、自分達がプラントを見つけ出せただなんて」

シーフ「ウチの王様はこういう発見をした冒険者が好きだからな! へへ、こりゃ食うことに関しちゃもう困らないな」

ローグ「……それなんだが」

ローグ「俺は実の所、冒険者ギルドの正式な試験を受けてないんだ」


シーフ「……」

盗賊「え……それはつまり……」


ローグ「……そうだ、死んだ冒険者の持っていたギルドからの認定証を使ってる」

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