【安価・コンマ】戦闘破壊学園ダンゲロス 肆【R-18】

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14 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/02/09(木) 03:01:11.71 ID:dnrE8Irb0
>>13
乙、前から読んでたから今回も応援してる
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/02/09(木) 03:16:20.18 ID:11cYaLOPO
【名前】 桃山 百合華(ももや まゆりか)
【性別】 女
【学年】 1
【性格】 女好き、レズ
【見た目・所持品(武器含む)】 ピンクの髪色をしている。学校の制服を着ている
【能力名】 百合の楽園(レズハーレム)
【能力原理】 相手が男の場合女体化させる事が出来る
女を抱くとその女を奴隷にできる
【備考】 ただただ女性が好き、男には興味がない、幼さが残る童顔
16 :クソ長い [sage]:2017/02/09(木) 03:16:30.13 ID:9L9SgHoRO
【名前】電堂 猛太(でんどう もうた)
【性別】男
【学年】1
【性格】機械の様にクールに、が心情だが実際は煮え切らないハーフボイルド 口調は抑揚なく淡々と喋る感じ
【見た目・所持品(武器含む)】ツンツン尖った金髪、後頭部から刺さった大きなネジが額から突き出て角の様になっている、身長は2m程あり私服でも学ランを愛用、両肩にネジ付きショルダーアーマーを装備
左袖の下にはその巨体も支えられる強度の電動ワイヤーフックガンを仕込んであり、右袖の下には電動高周波ブレードを装備、コンセントプラグが付いたベルト(名:ダイナモドライバー)を巻き付けている
【能力名】充電鬼(じゅうでんき)
【能力原理】生命力を電気に、電気を生命力に転換する能力
自身の生命力を転換した電気を放出して感電させたり、相手に浴びせた電気を生命力に戻し癒すことが出来る。
その逆も可能で接触した相手の生命力を電気に変え吸い取ったり、ベルトのプラグをコンセントに刺して得た電気で回復できる。
腕に装備した機械はこの能力で動かす
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/02/09(木) 07:26:28.84 ID:F8Bs+OV6O
【名前】笑形(えみなり) ニコ
【性別】女?
【学年】?1
【性格】?平和主義
【見た目・所持品(武器含む)】
聖女のような微笑みを『何があっても』浮かべ、けして負の感情を見せないプラス思考。大人びた体型をしており巨乳。過去に強姦されたため非処女。?
【能力名】破顔一生(はがんいっしょう)?
【能力原理】?
両親からの性的虐待、小学校から現在まで続く陰湿ないじめの末に彼女は思った。『自分も皆も笑顔ならどんなに酷い事が起こっても幸せな思い出になるのでは?』と。
彼女が笑っている間、パーソナルスペースに【笑顔ウィルス】をばらまき、感染した者は笑顔になる。
なお、時間経過で食事睡眠呼吸が出来なくなるまで悪化し、絶命する。(本人はその事実を知らない)
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/02/09(木) 09:23:37.24 ID:OoAGS+mB0
【名前】石紙 鋏(いしがみ はさみ)
【性別】男
【学年】3
【性格】昭和の番長漫画の如き熱血漢。深い慈しみの心を持ついい奴だが、口調が凄く暑苦しい
【見た目・所持品(武器含む)】応援団風の白い学ラン
「ジャンケン命」と書かれた幟を常に背負っている
【能力名】じゃんけん勝負!(ロック・ペーパー・アンド・シザーズ)
【能力原理】名指しした相手にジャンケン一発勝負を強制させる
勝てば相手に致命傷を与えることができるが、負けると自身が致命傷を負う(あいこの場合は何も起こらない)
同じ相手に勝負を挑めるのは一日一度のみ
【備考】ジャンケンに全てを捧げてきたジャンケンマニア
ジャンケンを絶対視しており、ジャンケンの結果で己の取る行動すら決める
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/02/09(木) 11:20:51.75 ID:73PwbEpt0
【名前】坂上 空(さかがみ そら)
【性別】女
【学年】 2
【性格】おっとりしてるが 常にHなことを考えておりどう相手にやられたいか考えている
【見た目・所持品(武器含む)】緑の着物とかんざしをしている爆乳。着物に仕込み刀、かんざしには毒が塗ってある。
【能力名】色欲毒染(しきよくどくせん)
【能力原理】
性的に興奮すると毒の空気を身体から巻くことができる。軽い段階だと痺れて動けなくなる。絶頂寸前になると猛毒で相手が絶命するほど。
【備考】人に触られるとすぐに感じてしまう。男女問わずHなことをされたい願望がある。
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/02/09(木) 12:16:09.78 ID:hmo0WymWO
【名前】 天ヶ瀬 神流(あまがせ かんな)
【性別】 女性
【学年】 2年
【性格】 明るくて優しい、包容力がある女性
【見た目・所持品(武器含む)】 平均的な身長。黒髪ポニーテール。巨乳。
校則通りなきっちりとした制服姿。
【能力名】 天使の抱擁
【能力原理】 彼女と性交することにより、心身ともに健全化させる能力。神流と触れ合うことで、神流に母性や癒しを感じ、神流に甘えつつ性交したいという欲求を引き出す。それは老若男女例外ない。また相手を性交可能な程度に健康体にする。相手が男性の場合は中だしさせることにより、女性の場合は神流の秘所に創造した光の棒を相手の秘所に挿入し、相手の絶頂と同時に光を解き放つことで能力が完全に発動。
どんな病気や怪我をしている人でも完全な健康体になり、悪人も改心させる。
【備考】 能力に対して恥ずかしいという思いはあるが、それ以上に人を癒し、救いたいという思いが強い
21 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/09(木) 15:07:28.10 ID:dZzWFId+o
※協力ありがとうございます

※では次に番長グループの魔人を作ってください

※番長は>>1が決めます

↓1〜8【番長グループ陣営魔人】
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/02/09(木) 15:58:01.14 ID:XiWkxRgZ0
名前 左 蛇野 (ひだり じゃの)
性別 男性
性格 根に持つタイプで嫉妬深い 極度の左手フェチ
学年 3年生

見た目 所持品 ポリ袋を被っている以外は普通の男性
左ポケットにはカッターナイフがしまってある

『能力名』左手強奪

能力原理
相手の左手を奪う事ができる能力
どんな能力だろうが邪魔されず必ず奪う事ができる

また人間以外にも人形の物なら左手を奪う事も可能
ちなみに左手を奪われると激しい痛みが永続する


備考
左手を奪う事に罪悪感は無く、邪魔しようものなら全身ズタズタに引き裂こうとする

こんな感じでいいですかね?
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/02/09(木) 17:28:10.96 ID:lsb5LsNiO

【名前】鷲乃(わしの)マァク
【性別】?男
【学年】?3
【性格】スポーツマンシップに溢れる好青年。
【見た目・所持品(武器含む)】?
細マッチョなスポーツマン。背中のリュックには折りたたみ式自転車やフック付きのロープなど運動に必要な道具がなんでもある。

【能力名】リポビタンDay
【能力原理】?
『ファイットオオオ!』という掛け声に対して『イッパアアアツ!』という返しをした者の能力にプラス補正を、返さなかった者にはマイナス補正を与える能力。
補正は一回使用すると無くなる。掛け直し可能。
自分も補正は掛けられるが、身体能力が向上するのみ。マイナス補正は無い。
【備考】
殺しもセックスも『スポーツの一種』と認識しているため忌避や抵抗感は全くない。
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/02/09(木) 17:46:09.67 ID:73PwbEpt0
【名前】 八神 神(やがみ じん)
【性別】男
【学年】 3
【性格】寡黙。
【見た目・所持品(武器含む)】
180p。漆黒の鎧を着ている。普段は1メートルの片手剣で戦うが本気になると背中に背負ってる黒い長剣で戦う。

【能力名】一閃の極み(いっせんのきわみ)
【能力原理】相手の持っている武器や防具が壊れ裸になる
【備考】元々強いが強さを求め闇に手を染めた。女性は絶対にあやめないかわりに性奴隷にすることにしている
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/02/09(木) 17:54:01.92 ID:lsb5LsNiO
【名前】主 公人(あるじ まさと)
【性別】男
【学年】1
【性格】自称『普通の学生』
【見た目・所持品(武器含む)】
地味で、普通で、これといって特徴が無いのが特徴
【能力名】D・K・N(どうして・こう・なった)
【能力原理】
攻撃されると認識した瞬間発動
1回避方法を思い付くが攻撃してきた者と性的接触事故を起こす
2近くにいる者に助けて貰うが性的接触事故を起こす。
3かわせない。現実は非情。
のいずれかの結果に行き着く

1、2が発動した場合、性的な接触事故を起こされた相手は同性異性関係なく主 公人に対して徐々に好意を抱く
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/09(木) 18:52:21.90 ID:wGKM8q3I0
【名前】 蟒蛇 噛奈 (うわばみ かみな)
【性別】 女
【学年】 2
【性格】 天邪鬼
【見た目・所持品(武器含む)】おいしいお水()が入ったスキットルを所持
【能力名】 陶源郷
【能力原理】 周囲の人間を酔わせる
【備考】 エロい
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/02/09(木) 19:09:16.67 ID:dnrE8Irb0
【名前】 透坂 愛衣(とうさか めい)
【性別】 ♀
【学年】 2
【性格】 何に関しても無関心、無表情。但し、許容範囲以上の出来事が起こると取り乱す
【見た目・所持品(武器含む)】学校指定の制服を着ている。白い髪のショート
【能力名】 透明化
【能力原理】自らの姿を透明にできる
【備考】 服は透明にならない為能力を使う時は全裸
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/02/09(木) 19:10:11.49 ID:I34dZCRtO
【名前】喜瀬市 結羽(きせいち ゆう)
【性別】女
【学年】3
【性格】面倒臭がりの放任主義 楽が出来ればそれでいい
【見た目・所持品(武器含む)】ピンク髪で前髪で片目が隠れている、小学生位にしか見えない体格。
服は着脱が面倒なので下着と靴下しか着ない、移動時はデカイリュックの中に入り誰かに背負ってもらう
【能力名】あとはまかせた
【能力原理】自分や自身の所有物へのダメージや能力の効果、責務やストレスや義務を全て他者に押し付ける。
【備考】下の世話から夜のお相手まで、尽くしてくれる相手を随時募集中
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/02/09(木) 19:13:29.16 ID:Bib+4GL2O
【名前】
【性別】男
【学年】2
【性格】悲観的
【見た目・所持品(武器含む)】間違った忍者
【能力名】影法師
【能力原理】自信の影を細分化して使い魔にする
影に戦闘能力はないが実体がないためあらゆる干渉を受けず弱点は光のみ
最大で100体まで分割した影が見聞きした情報をリアルタイムで把握する
影と自身の位置を入れ換えることも可能
【備考】本人は強い

30 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/02/09(木) 19:18:58.78 ID:Bib+4GL2O
>>29すいません名前射れ忘れました
【名前】火紅昭二(かべにしょうじ)
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/02/09(木) 19:33:31.69 ID:2qpXNSBtO
【名前】神原智人
【性別】男
【学年】3
【性格】賢い外道
【見た目・所持品(武器含む)】
盗聴器や盗撮カメラ、睡眠薬
目付きの悪い冴えない見た目
【能力名】電波少年
【能力原理】時間は個人差があるが一定時間、一定範囲内にいる人間を洗脳しいいなりにする
【備考】性癖が歪んでおり女を征服したい願望がある

32 : ◆CL1iRwui3LOt [sage]:2017/02/09(木) 23:19:31.69 ID:dZzWFId+o
>>22
※集計するとき処理が大変なので他の投稿のようにテンプレの脇に文字を打ってくれると助かります
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/02/10(金) 20:10:58.71 ID:5KXpk1HA0
集計中?
34 : ◆CL1iRwui3LOt :2017/02/18(土) 19:45:08.45 ID:ICUTXC9do
※では始めて行きます
35 : ◆CL1iRwui3LOt :2017/02/18(土) 20:09:33.63 ID:ICUTXC9do
二月。

私立希望崎学園。

昼時を過ぎ、普段であれば昼食を求め購買へ向かうなどする一般生徒達の話声が聞こえるはずだが、今日に限っては違う。

日曜日でもないのに人気の無い校舎は、不気味さを感じさせる。

何があったのか。何が始まろうというのだろうか。

これからハルマゲドンが始まるのだ。


ハルマゲドン――所謂学園内抗争。


これから魔人率いる二陣営が、どちらかが全滅するまで戦うルール無用の戦いが始まるのだ。

いずれの陣営にも属さない生徒は既に自宅待機を命ぜられ、その侵入を許されない。
戦いに一度巻き込まれたならば、例え魔人の力を持たぬ者でも無事に生きては帰れないだろう。

物々しい空気の中、物語は静かに始まろうとしていた。
36 : ◆CL1iRwui3LOt :2017/02/18(土) 20:48:07.47 ID:ICUTXC9do
生徒会室では机を囲み、数人の構成員が会議を行っていた。

「早蕨さん――早蕨風花さん、起きなさい」

鼻ちょうちんを膨らまし船を漕いでいた早蕨風花の肩を揺らしたのは、生徒会長 黒染 莉央 だった。

風花の意識はまだ半分ほど夢の世界に置き去りにされたままらしい。はぇい起きてまぁす、と間抜けな声を上げながら手を上げそれに答えた。

「早蕨さん、ハルマゲドンは始まっているの。貴方のお母さまは、こういう時は居眠りするものだと教えたのだろうけど今は起きて私の話を聞きなさい」

黒染の優しい声で、且つ高圧的に風花を見下ろす。

だって長い話ってつまんないんだもーん、と口をとがらせる風花を無視し、彼女は話を続けた。

「蟒蛇噛奈率いる番長グループは依然動きは無いようです。未だ拠点である通称『番長小屋』の中で打ち合わせを行っているか、こちらが来るのを待っているのか」

「石紙君、番長グループの情報は?」

黒染は隣に座る白い学生服の男子を見た。
その男子はまるで芝居のように大げさに立ち上がり、報告を始めた。

「現在、分かっている所で今この学園敷地内に居ると思われる生徒は、まず番長の蟒蛇噛奈、左蛇野、鷲野マァク、主公人の4名だけだ。後は分からない。
恐らくは他の奴らは、授業にロクに顔を出していない生徒或いは学園外部の者と考えられる。それについては現在調査中。分かり次第速やかにお伝えしよう」
37 : ◆CL1iRwui3LOt :2017/02/18(土) 21:11:45.82 ID:ICUTXC9do
「能力は?」

「蟒蛇については既に知ってはいるだろうが周囲の者を泥酔状態にする能力。左蛇野――彼についても説明はいらないだろう」

「ああ――」

黒染は深く刻まれた眉間の皺をさらに寄せ、目を瞑った。

左蛇野――とは最近学園を賑わす問題生徒だ。

左は左手マニアだった。性別問わず左手を愛し、左手に精通し、左手に関しては右に いや、左に出る者はいない重度の偏愛者であった。
それだけならまだ変わり者で済む。ここからが問題だった。

彼は魔人。しかも「相手の左腕を奪う」能力を持っていた。

この能力を乱用し、気に入った左手を持つ人の左腕を奪いまくっていたのだ。

厄介なことに彼の能力は、他の能力の影響を受けない性質があり、標的にされた者は逃げることはおろか例え能力を無効化する魔人であってもこの効果を打ち消すことはほぼ不可能。
更に、能力によって腕を奪われた者には、腕を奪われたことによる生理学的な痛みの他に、能力性の激しい疼痛を伴う為、能力にさらされた者にはこの上ない激しい苦痛を強いられる

死者も多数出ているため生徒会では早めに対処しておきたかったのだが、能力の性質上迂闊に近づくこともできないでいた。

そんな彼が番長グループに在籍していた事実は、生徒会にとって好都合なことに他ならない。

ハルマゲドンは校長の宣言によって発令される学校公認の殺し合い。

合法的に左を殺せる。

今回のハルマゲドンはそのような意味合いも持っていたのだった。

「鷲野マァクについては何らかの身体強化能力。主公人については現在調査中だ。以上、報告を終わる」

白学生服の男子は大げさに椅子に座った。
38 : ◆CL1iRwui3LOt :2017/02/18(土) 21:12:12.88 ID:ICUTXC9do
※休憩
39 : ◆CL1iRwui3LOt :2017/02/18(土) 22:54:55.79 ID:ICUTXC9do
※続けます
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/02/18(土) 23:05:05.72 ID:pie1YqaX0
待ってた
41 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/18(土) 23:20:40.46 ID:ICUTXC9do
その後、暫く続く沈黙。

迂闊に手出しできない相手がいる上に、今回の番長グループは不明な点が多い。
室内に重苦しい空気が立ち込めた。

「はーい! はい、はい、はーい」

そんな空気を読めぬ者が一人。
風花が子供のように手を上げた。

「はいは一回で結構。どうしたのですか、早蕨さん」

ため息交じりに黒染が風花を見た。

「あのねあのね。私、思ったの。もうね、逆にバーッとこっちから攻めたらどうかなーって。だってね、話つまんないし。バーッと」

「ええ? あのね、早蕨さん――」

余りに突拍子もない意見に黒染は目まいを覚えた。しかし――

「早蕨先輩の考えに賛成だ」

そう言ったのは金髪頭に時代錯誤な学ラン姿の巨漢――電堂猛太だった。

「相手の出方を窺っていても時間は過ぎるだけ。合理的な判断だと思えんね。一度こちらで突いてみるのも策だと思うが。それに――」

「『番長グループの全滅』というのは何も『皆殺し』という意味だけではないだろ?」

電堂はパチンと指を鳴らし、火花を起こして見せた。
42 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/18(土) 23:33:14.90 ID:ICUTXC9do
黒染はそれを聞いて、一間置いた後、大きく頷いた。

「えぇ……そういうことね。分かったわ。『先んずれば人を制す』。動くなら私達から――」

「行きましょう」

おお、と室内に小さな歓声が湧き起った。
学園の秩序を重んじる生徒会役員とは言え、彼らは血気盛んな若き魔人達。
己の能力を使いたく、その言葉を待っていた者もいた。

「と、なれば。桃山さん、天ヶ瀬さん」

「「はい」」

黒染の呼びかけに二人の女子生徒が立つ。
一人はピンク色の髪をした童顔の少女。
もう一人は黒髪をポニーテールにした女子生徒。彼女たちの能力にはとある共通点があった。

「貴方達の力、貸してくれますね」

「「はい!」」
43 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/18(土) 23:59:59.57 ID:ICUTXC9do
決まってしまえば、事は全て円滑に回り始める。黒染は周囲の役員に次々と指示を出し始めた。

「番長グループが新校舎内に侵入された際のマニュアルは読んでいますね。警戒を怠らず――」

彼女が特に気にしていたのは校内の防衛内容についてだった。

何故か――。

それは黒染莉央彼女自身が番長グループ討伐隊として参加し、前線に立とうとしているからであった。

指揮官たる生徒会長が何故前線に立ち戦わねばならないのか。
それは、今回のハルマゲドンの切り札とも言える桃山と天ヶ瀬を護衛するのに自分の能力が必要だと判断したからだ。

「別動隊として校舎外見回りの笑形さんと、グラウンド周回警備の坂上さんを出動させました。私たちもそろそろ行きましょう」

黒染、早蕨、桃山、電堂、石紙、天ヶ瀬らは生徒会室を後にし、別動隊の後を追う。

未だ姿を見せない番長グループの巣に自ら足を踏み入れ、その隠された姿を暴こうというのだ。

この判断が吉と出るか、凶と出るか。今はまだ誰も知らない。


まだ見ぬ敵を屠るべく皆が前を向き、勇ましく歩く中、風花は退屈そうに欠伸をしながらふわふわとその後ろを漂っていた。
生徒会室から番長グループの根城まで、距離にしておよそ六キロメートルはある。
それを歩いていくことは彼女にとって「楽しくないこと」であった。
44 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/19(日) 00:31:40.00 ID:ecA+sa6No
黒染は自分の背後でふわふわと浮かび遊ぶ風花を見、眉をひそめた。
彼女は正直なところ、風花の存在を良くは思っていない。
強気で余裕ぶろうと努力している彼女にとって、自分のペースを崩してくる風花の存在は頭痛の種そのもの。

品行方正に程遠く、思慮に欠け、やることなすこと支離滅裂。
まるで小さい子供を見ているようであった。

今回のハルマゲドンにおける役員招集を受け、風花が生徒会室に現れたのは今回含めて三回目。

彼女の活躍ぶりに期待はしていない。

この番長グループ討伐隊への起用も、風花の無能ぶりを生徒会長自身の目で確かめる為でもあった。

これでダメダメだったらクビにしちゃおうそうしよう、とか考えているのだ。


【コンマ下一桁判定:遭遇判定】
09:?
87:?
65:?
43:笑形ニコ
21:坂上空
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/02/19(日) 00:34:07.42 ID:gAG4qpQCo
ぽい
46 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/19(日) 02:33:22.41 ID:ecA+sa6No
一行がちょうどグラウンドへ到着した時、一人の緑色の着物に身を包んだ女子生徒が見えた。
生徒会役員が一人、坂上空であった。

空は一行の存在に気が付くと、何やら嬉しそうにしながらこちらへ向かって駆け寄って来た。

「あ、会長さんだぁ。どうも、お疲れ様です」

空は黒染に向かって深々と頭を下げた。
頭を下げた時、着物の胸元から帯やさらしを巻いても抑えることができなかった豊満な胸の谷間が無防備にも露わになる。
それを見た男性陣と桃山は密かに鼻の穴を膨らまし、各々偶然を装い三度四度それを眺めていた。

「坂上さん、無事のようですね」

「あ、はい。おかげさまで今日もおいしく朝ご飯を食べて元気に登校しました、はい」

「え、えぇ。そうだったの。まぁ、げ、元気が一番ですからね。それは良かったわ」

「うんうん。会長さんもお元気そうで何よりですーでもね、聞いてくださいよ会長さん。今日ったらうちのお母さんがね――」

黒染は閉口した。空はこの状況下で、生徒会長と世間話としゃれこむつもりなのだ。

まったく私の周りの奴らと来たら――黒染の余裕の笑みを浮かべたこめかみにはうっすらと青筋が立っていた。
47 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/19(日) 02:33:56.64 ID:ecA+sa6No
※中断
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/02/19(日) 08:23:06.53 ID:CAgaU/Uko
おつ
49 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/21(火) 00:39:19.22 ID:WCGqAgwZo
※では再開
50 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/21(火) 01:11:00.59 ID:WCGqAgwZo
それから十分、取り留めの無い話は続いた。

初めの内、うんうんと相槌を打っていた会長だったが五分を過ぎたあたりから目尻が痙攣を始めた。
限界はとうに超えていたのだ。

異変に気が付いた電堂が「会長さん、そろそろ行こうぜ」と言って話を中断させたことで何とかことなきを得たが、もう少し放置していたらどうなったことやら。

当の空本人はと言うと、会話の相手を風花に変えてまた取り留めない世間話を続けていた。
二人は以前より親友であり、昼休みになると空き教室に集まり、一緒にお弁当を食べる間柄にあった。

「ふーかちゃんこれから番長小屋行くのー?」

空はコンビニにアイスとか買いに行くのか聞くような感覚で風花に尋ねた。
すると風花も

「そだよー、空ちんも行く?」

と軽く返す。
まるで危機感を感じていない。殺し合いの渦中にいる魔人とは思えない会話だ。

これがゆとり脳か――

黒染を落ち着かせていた電堂は、傍目にそれを見、戦慄した。
51 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/21(火) 02:19:03.43 ID:WCGqAgwZo
「ごめんね、ふーかちゃん。ウチはねー、いけないんだー」

空はすまなそうに手を合わせた。

「えーなんでなんでー。空ちんも行こうよー」

「ごめんねー。ウチ、能力使うとみんな殺しちゃうからー。いわゆる即死系ってやつー」

何――?

電堂と桃山―― 一年生の生徒会役員らは耳を疑った。
あのおっとりした彼女が即死能力を持つ魔人には見えなかった。
電堂の視線に気が付いた石紙はその疑問に答えた。

「ああ――坂上クンは毒を発生させ、最悪相手を即死させかねない能力を持っている」

「そうだ。彼女がたまにエロ話を振って来る時があるだろう? その時何か身体に異変はなかったか?」

そういえば――電堂は思い出す。
生徒会に入ってすぐ、生徒会で役員が集まり、前年度の書類を整理している時のこと。空が突然――

『電堂くん最近オナニーいつした? 何回した? 床ズリ? 皮ズリ? 王道を往く手コキ?』

と聞いてきたことがある。上気したような表情でだ。
何だこの人は急に、と笑ってごまかそうとしたその時、電堂の鼻から血が滝のように流れて来たのだ。
流血は鼻だけに留まらず、目から耳から血が溢れ止まらない。
記憶があるのはそこまで。
保健室で目覚めてからは体調に変化が特段なかった為、電堂自身今まで「女の子にエッチな質問されると男ってこうなるのかー」程度にしか受け止めていなかった。

ハッとした電堂を見て、石紙は大きく頷く。

「そうだ。性的な興奮……それが彼女の『色欲毒染』のスイッチだ。あの時だって俺達が坂上クンから君を離さなければ死ぬところだったのだぞ」

「ちなみに『色欲毒染』は範囲が広い。同じ生徒会室にいた僕らもそれなりのダメージを受けた。あれは……いつ発動するか分からない爆弾のようなものだ」

「今回、彼女に単独行動させているのはそういう訳だ」

「できればこの話は生徒会内に留めるように。他の生徒は坂上クンが魔人だということは知っているが無差別即死能力を持つことを知る者は少ない」

「これは生徒会が彼女をスカウトした時に決めたことだ。俺達生徒会は生徒を守る義務がある。殺し合いの状況で言えるセリフではないことは自覚しているが」

幾ら希望崎学園が一般的に世間の差別を受けやすい魔人に対して寛容な校風だからといって、即死能力を持つ魔人と知って好き好んで近づく者は少ない。
思春期学生にとって性欲は生物学上仕方のないこと。人並みにそれがあるということは、むしろ健全と言っても良い。
坂上空の能力は性欲が引き金となる。加えて彼女は性への関心が人並み以上に高い。

中学時代に魔人へと覚醒した彼女は、自分の能力によってその生活に暗い影を落としていたことは言うまでもない。

そんな彼女に手を差し伸べたのが生徒会だった。

能力にコンプレックスを持つ者、個性をうまく発揮できず苦しむ者、そんな生徒の自己肯定感を養う為、生徒会はよく「はぐれ魔人」をスカウトしていた。
その活動を始めた者こそが生徒会副会長 石紙鋏だった。

石紙の話を聞く電堂もその一人であった。
機械のようにクールな自分を演じるあまりクラス内で孤立し、不貞腐れていたところ彼に声をかけられたのだ。



一行は空と別れ、彼女とは別ルートで番長グループの拠点へと向かった。
電堂は石紙の後ろを歩く。
石紙の背中に、電堂は強い尊敬の念を抱いていた。

石紙先輩――
俺はアンタに感謝してる。アンタがいなけりゃ今頃俺は不良にすらなれねェ半端者で終わっていた。
この力、生徒会に貸すぜ。たまに暑苦しく行くのもいいかもな。

白い学ランに背負う「ジャンケン命」と書かれた幟が雄々しく風に揺れた。
52 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/21(火) 02:21:03.01 ID:WCGqAgwZo
※中断。少なくてごめんなさい

【番長Gのターン:コンマ下一桁判定】
098:?
765:?
4321:?
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/02/21(火) 02:42:41.81 ID:qxYH4uXBo
54 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/23(木) 00:42:53.86 ID:YpDEkZSWo
※続けましょう
55 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/23(木) 01:05:13.02 ID:YpDEkZSWo
番長グループ拠点。通称番長小屋。
生徒会陣営、黒染莉央率いる討伐隊はこの場所を目指し進軍している。
沈黙を続ける番長グループはここに集結し、待ち伏せているに違いないとみての行動だった。

実際、その予想は外れていた。

番長含めた主力陣は既にここを去っていたのだ。


【コンマ下一桁判定:遭遇判定】
0:黒染莉央(生徒会長)&早蕨風花&桃山百合華&電堂猛太&石紙鋏&天ヶ瀬神流
987:笑形ニコ
6:坂上空
543:?
21:?
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/02/23(木) 01:12:17.21 ID:25QkxEDB0
ぬっ
57 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/23(木) 01:48:09.06 ID:YpDEkZSWo
その時、朗らかな笑い声が小屋へと近づいてきた。

「いやぁー、八神君が忘れ物をするなんて珍しいこともあるもんだなあ」

と、森の奥から奇妙な4人組が現れた。
この主は、細マッチョな好青年。背中には巨大なリュックが二つ背負われていた。
一つは折り畳み式の自転車やフック付きロープが見える。もう一つは何か生き物でも入っているのかもぞもぞと蠢いていた。

「ハンケチを忘れるとは一生の不覚」

小さく低い声で呟いたのは漆黒の鎧を着た騎士。
どうやら彼が忘れ物をした張本人のようだ。

その後ろにはポリ袋で顔を覆った男子生徒とこれといった特徴の無い男子生徒が着く。

彼らには緊張感と呼ばれるものはなく、余裕すら感じさせた。

言わずもがな彼らが番長グループの魔人だ。
58 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/23(木) 02:44:16.74 ID:YpDEkZSWo
 鎧騎士――八神神が小屋の中にハンカチを取りに行っている間、他の三人は入口付近で敵が来ないか見張りを行っていた。

 細マッチョの魔人――鷲野マァクは入口の前に立ち、辺りを見回していた。
 スンと彼は鼻を鳴らす。

 そして虚空へ向かって話し出した。

「生徒会は?」

 すると驚くべきことに女の声で答えが帰って来た。

「まだ見ていない。昭二先輩からも連絡なし」

「へぇ、そうかい。見張りご苦労様。持ち場に戻っていいよ」

「ええ」

 空気が揺れ、虚空の向こう側にある気配が消えた。
 会話はそれだけだった。他の仲間はマァクが誰かと話していたことさえ気づいていなかった。
59 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/23(木) 03:10:23.14 ID:YpDEkZSWo
「見つかった。すまん、時間を取らせた。行こう」

赤紫色の花が刺繍されたレースのハンカチを片手に八神が戻ってくると、四人は小屋を後にした。

辺りは再び静かになり、木々を抜ける風の音だけが響いた。

一見、小屋はもぬけの殻であり、外に関してもやはり誰もいないことが分かる。
しかし、目をよく凝らしてみると何かに気付くだろう。

ここには息を殺して潜む誰かがいると。
60 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/23(木) 03:12:33.35 ID:YpDEkZSWo
※中断。進行遅くてごめんなさい

【生徒会(仲間)のターン:直下コンマ下一桁判定】
098765:笑形ニコ
4321:坂上空
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/02/23(木) 04:37:46.22 ID:ROFuvett0
はい
62 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/23(木) 19:25:23.99 ID:RxNoqiXmo
※続けます
63 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/23(木) 19:44:11.82 ID:RxNoqiXmo
 黒染一行が番長小屋のある森へと消えてから、遅れること数分。
坂上空も後を追い走る。

 彼女の能力は他の魔人と比べ強すぎた。その為、仲間と行動することは許されず、一人で行動することを義務付けられていた。

 先ほど、空は早蕨に

「一人で居るのってさびしくないの? 大丈夫?」

と聞かれた時

「平気平気。ウチはこういうの慣れてるから!」

と元気に答えた。しかし、これは強がりだった。
戦場で一人きり、何時、どこから、どのように、何人現れるか分からない敵に怯え続けなければいけないのだから「慣れている」というのは嘘になる。。
生徒会に入ってから魔人との戦闘を行う機会が幾度かあったが、この独特な空気に慣れることはない。

 だからと言って逃げ出すわけにもいけない。
こんな時にはどうすれば良いのか。彼女はそんな不安を一時でも忘れる方法を知っていた。

とにかく――エッチなことを考え続ければよいのだ。


【遭遇判定:直下コンマ下一桁判定】
0:黒染莉央&早蕨風花&桃山百合華&電堂猛太&石紙鋏&天ヶ瀬神流
987:笑形ニコ
6543:?
2:鷲乃マァク&喜瀬市 結羽&八神神&主公人&左蛇野
1:透坂 愛衣
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/02/23(木) 19:46:06.48 ID:irO9ra8Uo
どや?
65 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/23(木) 20:12:50.67 ID:RxNoqiXmo
 そんな時、道の向こうに見覚えのある顔を見つけた。
生徒会役員1年生の笑形ニコだ。いつも、どんな時でも笑顔を絶やさない彼女の顔を忘れるはずはない。

 彼女はいつだって笑顔だった。聖女のような微笑みは何があっても崩れない。
今年の春のこと、空は、新入生である桃山百合華と笑形と共に生徒会室内に溜まった私物(主に石紙がどこからか持ち込んだじゃんけん関連の書籍)を整理していた時――

いくら魔人といえど、数百冊にもなる厚い専門書を女子が新校舎最上階にある生徒会室からゴミ捨て場へ往復するのはキツく、面倒なことであった。
新年度で他の業務に追われる中、空が面倒そうに本の山を眺めていたところ、笑形はその業務を全て自分に任せてくださいと進言してきたのだ。

「それは……助かるけど。ケッコー辛いよ? みんなでやった方が――」

空は心配げに笑形を見るが

「楽勝です!」

と、力こぶを見せて笑って見せたのだ。

――彼女がそういうのなら大丈夫なのだろう。空は笑形の進言通り、この本の山脈の処分を任せることにした。
笑形は両手に紙ひもで縛った専門書を抱え、下の階へと降りて行った。
66 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/23(木) 20:37:46.86 ID:RxNoqiXmo
それから数分後のことである。

大きな物音と女生徒の甲高い悲鳴に空達生徒会役員は何事かと、現場へ急行した。

一階、階段下。そこには多数の本の山に埋もれ、俯せに倒れる笑形の姿があった。顔の下には血溜まりが広がっていた。

悲鳴の主である女生徒によると、笑形は踊り場からきりもみ回転をしながら本と共に降って来たそうだ。
他の階の階段側にいた生徒達からも同様の証言があり、どうやら笑形は最上階踊り場で本に気を取られ、階段を踏み外しゴロゴロと一階まで転がり落ちてしまったらしい。

倒れ伏しうんともすんとも言わない彼女に対して生徒会の反応は様々であった。

ただただ右往左往するだけの空と桃山。泣きながら自分が生徒会室を私物化しなければと懺悔する石紙。
「こいつァ……ヘヴィだぜ」と惨状から視線を逸らす電堂。

そんな中で冷ややかな反応をしていたのが生徒会長黒染だった。彼女は現場を見た後、「馬鹿な子ですね」と鼻で笑い、さっさと生徒会室へ戻ってしまった。
黒染は魔人の耐久力を知っていた。魔人に覚醒した者は基本的に常人を超える身体能力と耐久力を持ち、転落程度で死ぬことはなかろうと考えていたのだ。

実際その通りであり、それから一分と無く笑形は意識を取り戻した。

心配し、駆け寄る空に彼女は顔を向けた。
前歯が欠け、割けた額と鼻から夥しく血を垂れ流していた。が、そんな状況にも関わらず彼女は笑顔だった。

その余りにも間抜けな笑顔に、場にいた全員はホッとしつられて笑い出してしまう。


――その笑顔に不気味さを感じたのは空だけだったらしい。
67 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/23(木) 21:02:21.28 ID:RxNoqiXmo
後日、空は、変わらない笑顔の理由が気になり笑形本人に聞くことにした。

 その答えは案外簡単なものだった。

「わたしには……みんなを笑顔にする力があるみたいなんです。それでね先輩、思ったんです――わたしがずっと笑ってさえいればみんなだって笑顔になるんじゃないかな?」

「――わたしもみんなも笑顔ならどんな酷い事が起こっても、それさえも幸せな思い出になるんじゃないかな?」

「実際、この間階段から盛大に落っこちた時の話……これだって今じゃ笑い話ですよ。あははっ」

これを聞いて、全てのことを肯定的に捉えることのできる笑形を空は素直に尊敬した。

究極の自己犠牲とも取れるその価値観を持つに至った経緯を空は知らない。だが、経緯はどうであれ年下ながら彼女のポジティブさは空自身にはない物であり、見習うべきだと思えたのだ。


作戦中の私語は厳禁だ。
遠くで哨戒行動をする笑形に空は小さく手を振った。

笑形はすぐにそれに気付き、笑顔で手を振り返してくれた。
68 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/23(木) 21:18:21.68 ID:RxNoqiXmo
【主人公組のターン(遭遇判定):直下コンマ下一桁判定】
0:坂上空
98:笑形ニコ
76543:?
2:鷲乃マァク&喜瀬市 結羽&八神神&主公人&左蛇野
1:透坂 愛衣
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/02/23(木) 21:19:03.29 ID:qs+dSJ17O
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/02/23(木) 21:19:08.57 ID:OG6BaKilO
71 : ◆/pGpqLF5ew [saga]:2017/02/23(木) 21:52:14.09 ID:25QkxEDB0
あ、本当ですね
申しわけないですが連取りはお止め下さい
再安価↓1です
72 : ◆/pGpqLF5ew [sage]:2017/02/23(木) 21:53:04.11 ID:25QkxEDB0
eすみませんら誤爆です
申しわけない、、、
73 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/23(木) 22:28:25.65 ID:RxNoqiXmo
 森を行く途中――

「会長さーんあっちにニコちゃんいたよー声かけようよー」

「笑形さんですって――」

早蕨の言葉を聞き、黒染は血相を変えて

「今すぐここを離れましょう」

と言った。

「えー、なんでー」

またもや口を尖らせて聞いてくる早蕨。

「何でもですッ! 早く行きましょう! 皆さんも着いて来てください!」

その声にいつもの余裕さは感じられなかった。

 訳も分からぬまま一年生と二年生らは黒染と石紙に着いて行った。
何故、彼女たちは笑形から逃げるようにその場を離れなければいけないのか。その原因は笑形の能力にあるのだが、それはまた別の機会に知ることとなるだろう。
74 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/23(木) 22:29:49.67 ID:RxNoqiXmo
【番長グループのターン:直下コンマ下一桁判定】
0987:?
654:鷲乃マァク&喜瀬市 結羽&八神 神&主 公人&左 蛇野
321:透坂 愛衣
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/02/23(木) 22:32:06.46 ID:waJsqvMQ0
ララララ
76 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/24(金) 00:19:23.62 ID:UkqVfcr0o
 鷲野マァクを始めとした番長グループ幹部によって編成される対生徒会魔人部隊。
彼らは生徒会の到着を待ちながら、遅めの昼食を取ることにした。
 各々が持参の弁当箱を広げる中

「あの――」

と、おずおずと話を切り出したのは地味で普通な男子、1年生の主公人だった。しかし「あのぉ」と言ったきり次の言葉がなかなか出てこない。

「何だい?」

マァクが尋ねる。

「あの……ですね」

「僕……正直、戦える気がしません」

主にとって、このハルマゲドンに参加することに関しての大義名分が明らかに欠けていた。
何となく前#ヤ長グループにいた彼は蟒蛇の口車に乗せられ、何か分からないけど何となくかっこいいからという理由で血判状に印を押し、何となくハルマゲドンに参加していた。
数日前までは蟒蛇の言う通り、希望崎に巣食う憎き独裁集団である生徒会を滅ぼし、新たな学園を造る支柱となるつもり満々であった。
今日になってからというもの自分が殺される妄想に憑りつかれ、怖くて仕方がない。
自分の周りの空気に流されやすい性格をこれ程恨んだことは無かった。
その不安さが言葉になって今、現れているという訳だ。

 それを聞いた、マァクは笑いながら主の背中を叩いた。あまりの勢いに彼は「ぐぇ」と悲鳴を上げる。

「アッハハハハ……実に初々しい不安感だね、主君! 君さ、魔人同士の戦闘に参加するのは初めてかい?」

「え、えぇ。小競り合いしてるのはよく見ますけど……実際自分が殺し合いに参加するなんてのは――」

「そうかいそうかい。アッハハハハ……じゃあさ、こう考えたらどうだい? 自分がこれからやることは『スポーツ』なんだって」

「えっ」

「ハルマゲドンだってルールがある。ルールに則って運営される身体を使った行為がスポーツならハルマゲドンだってスポーツの一つさ!」

主は頭痛がしてきた。
77 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/24(金) 00:49:18.83 ID:UkqVfcr0o
「逃げたければ逃げても良いのだぞ」

低く唸るような声で八神は言った。以外にも持参した弁当は手作りのキャラ弁であった。

「ハルマゲドン中、正門前には魔人警官が銃を持って立っている。そこを抜けようものなら問答無用で撃ち殺されるだろうがな」

八神はそう付け加えた。

どっちみち逃げ場はないのだ。主はとにかく自分だけは無事でありますようにと今まで信じてもいなかった神に祈った。

【遭遇判定:直下コンマ下一桁判定】
09876:?
5:透坂 愛衣
43:黒染莉央&早蕨風花&桃山百合華&電堂猛太&石紙鋏&天ヶ瀬神流
2:笑形ニコ
1:坂上空
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/02/24(金) 00:51:40.83 ID:33/pPEhWO
ほい
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/02/24(金) 00:51:45.63 ID:MvbvZ6/d0
えい
80 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/24(金) 00:58:37.36 ID:UkqVfcr0o
※休憩

>>72
※お気になさらず。参加ありがとう
81 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/24(金) 14:01:48.84 ID:LwovRpIFo
※再開します
82 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/24(金) 14:21:50.54 ID:LwovRpIFo
その時――

「こんな所でピクニックとは呑気なものですわね」

草むらを掻き分け、黒染ら討伐隊一行が現れた。

完全に油断しきっていた主は腰を抜かす。

「ひえええッ、せ、生徒会だァ!」

「逃げても無駄です。ここから半径二〇メートルは電流の流れるワイヤーで包囲されています。無暗に動こうものなら感電死する可能性も――」

生徒会一行は十分程前の時点で、昼食を取る番長グループを既に発見。
電堂の装備する電動ワイヤーガンでワイヤーを張り巡らし、罠をしかけて置いてから彼らの前に姿を現したのだ。

「今ならまだ貴方達はやり直しが効きます。投降すれば……私が校長に直談判をして助命嘆願をしましょう」

黒染はそう呼びかけるが

「小賢しいマネを。貴様らに生かされるくらいならここで果てる方が良い」

八神は好戦止む無し腰に提げた鞘から片手剣を抜き、構えた。
83 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/24(金) 14:33:33.08 ID:LwovRpIFo
「左君!」

 マァクがポリ袋を頭に被った青年――左蛇野に指示を出した。
左は食べかけの棒状の栄養食を箱にしまい、左ポケットからカッターナイフを取り出した。
左は袋の中でガサガサと笑いをこぼした。

「ねえ、鷲野ォ。誰のをもらっても良いんだろ?」

「ああ。構わないよ」

「やった。やったやったやったぞ。今日は最高の一日になりそうだァァ」

マァクの許可を得た左は、生徒会役員を見やり、指をさす。
すると――

「ど、れ、に、し、よ、う、か、な」

と歌い始める。順番に指さしていき、最後に止まったのは――

【直下コンマ下一桁判定】
098:早蕨風花(死亡&GAME OVER)
765:桃山百合華(死亡)
4321:電堂猛太(死亡)
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/02/24(金) 14:39:42.77 ID:zCbVOL8fO
もう死者が出るのか…どうなる
85 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/24(金) 14:57:39.37 ID:LwovRpIFo
桃山百合華だった。

「ピンク色の髪の子! 君に決めた!」

その瞬間。左以外の番長グループを含む周りにいる全ての者は、金縛りに会ったような感覚に襲われた。
意識はあるのに動けない。そんな感じだ。

左はゆっくりと歩きながら、桃山に近づいていく。
この間、誰も左を遠ざけることも邪魔することもできない。

左は身動きの取れない桃山の左手にそっと触れ、語りだす。

「嗚呼……いい匂いだ。いい匂い……。女の子特有の花のような香りだ。うっとりしちゃうね」

「……僕はね、左手が大好きなんだ。愛している。あ、愛しているの君じゃなく左手だからね。勘違いしないで。嗚呼、綺麗な爪だね、よく磨かれている。大事にされていた左手なんだねえ」

桃山は声も出せず、ただ眼だけで左を追い、青ざめた顔で彼を見つめていた。

「右利きの人にとって左手は日常で使う頻度は少ないからぞんざいに扱われがちだけど……良いねえ、幸せな左手だ」

「ま、これからその左手は僕の物なんだけど」

その言葉を最後に左は左手を大きく振り上げる。
ザクリ。カッターナイフを桃山の左手首に突き立てた。
86 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/24(金) 15:15:16.94 ID:LwovRpIFo
「――ァぁあああああッ」

桃山の声にならない声が森に響いた。

悲鳴を上げようが何をしようが左のカッターナイフを動かす手は止まらない。

「骨まで挿入ったァ!」

ナイフが橈骨まで達した音を聞くと、今度はナイフを鋸よろしくギコギコと引き始めた。
左のポリ袋は返り血で赤く汚れる。しかしそれを拭うこともなく、行為は続いた。

 左蛇野の能力『左手強奪』は、左手があるもの(物・者)であれば必ずそれを奪う事ができる能力である。
彼が左手を奪う行為を行っている間は何人たりと邪魔させない。
左手を奪う間は、誰にも邪魔されず、自由で救われてなければいけない。独りで、静かで、豊かで、そんな環境面を重んじながら凶行に及びたい彼ならではの能力原理であった。
87 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/24(金) 15:32:30.51 ID:LwovRpIFo
桃山の左手が切断され終わった頃。
彼女は口端に泡を付け絶命していた。苦悶の表情は痛みに抗いながらも、耐えきれなかったことを意味していた。

「よしよし」

と左は制服の尻ポケットに血に染まった桃山の手をしまった所でようやく金縛りは溶けた。

凶行を目の当たりにした早蕨や天ヶ瀬ら女子は、嘔吐する。

「ク、ソォォッ! 貴様ッ左ッ! よくもッ!」

怒りに震える石紙は飛びかかるのを堪え、一歩前へ、鷲乃らの元へ戻ろうとする左を呼び止めた。
振り返った彼に拳を突き出し叫ぶ。

「じゃんけんをしろッ! 俺とッ!」
88 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/24(金) 16:24:33.96 ID:LwovRpIFo
「左蛇野……俺と……じゃんけんをしろ!」

「何を言っているんだ?」

鷲乃は困惑し、石紙を見る。
確かに仲間が殺されたこの状況で、その仲間を殺した相手にじゃんけんをしようと持ち掛けるとは正気の沙汰とは思えない。常識的な反応ではない。
しかし、魔人の場合! そのめちゃくちゃな状況があり得てしまうのだ!

「良いだろう」

左は快くそれを受け入れ拳を突き出した。

「何故だ! 左君! 君がそれを聞き入れる必要は――」

何故こんなにも簡単にその申し出を受け入れたか全く分からない。
しかし鷲乃は先の言葉を言いかけた所で気付く。
まさか――
生徒会副会長、石紙鋏の能力は――「じゃんけんを強制する能力」?

いや、それだけなら今このタイミングで発動する必要もない。この能力の真髄はじゃんけんの結果によって左右される『何か』にあるのだろう。
それとも、じゃんけんで隙を作っている間に誰かが左を攻撃してくるのか。

色々考えてから鷲乃は更に気づく。

身体が動かない。
じゃんけんを妨害しようと考えた途端身体が言うことを聞かなくなったのだ。
鷲乃は笑顔のまま舌打ちをした。あれはまるで――

左と同じタイプの能力ではないか!

石紙はいつもそうして来たかのように、じゃんけんのレギュレーションを説明し、『試合』を開始した。

「コールは『最初はグー』から。あいこ時の再勝負判定は無しとする! 良いな!」

「では行くぞ!」

「「最初はグー!」」

「「じゃんけん――」」

↓1【石紙が出したのは――:コンマ下一桁判定】
098:グー
7654:チョキ
321:パー

↓2【左が出したのは――:コンマ下一桁判定】
098:グー
7654:チョキ
321:パー
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/02/24(金) 16:35:43.98 ID:Cngo4KvKO
ぽい
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/02/24(金) 16:39:31.63 ID:mE9gbbU20
うぇーい
91 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/24(金) 17:02:08.41 ID:LwovRpIFo
 石紙鋏の能力『じゃんけん勝負!(ロック・ペーパー・アンド・シザーズ)』は、名指しした相手にじゃんけんを強制させる能力。
更に勝てば相手に致命傷を与えることができ、負けると自身が致命傷を負う。

じゃんけんとは即ち武道である。石紙はじゃんけん好きが高じて、じゃんけんという遊びの中にある競技性と精神性に魅力を見出した。

そんな彼がある日妄想したのは、武道として大成したじゃんけんの姿であった。

世界に数多ある手遊びの一つに甘んじている今のじゃんけんを憂い、輝かしい武道としてのじゃんけんを妄想したのだ。

それが彼を魔人に覚醒させる!

彼の妄想したじゃんけんのあるべき姿を相手に強制させる能力に目覚めたのである。

武道であるからには勝敗は分かりやすい方が良い。
負けた者は吹っ飛び、瀕死になるくらいが丁度いい。スポーツ漫画とかでもそういう描写あるもんな!
そんな経緯でこの能力は存在しているのだ。


そして結果は――
石紙がグーを出し
左がパーを出した。

結果は石紙の負け。

石紙は左から発せられたじゃんけんのオーラに吹き飛ばされ、瀕死の重傷を負い倒れた。
92 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/24(金) 17:13:38.99 ID:LwovRpIFo
※休憩
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/02/24(金) 21:02:02.46 ID:vQUX9v3So
奇襲掛けといて二人もやられてんじゃんよ
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/02/25(土) 08:08:04.31 ID:GfbUYS5ro
左腕の人強すぎる
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/02/25(土) 10:37:51.19 ID:QD+jaq0kO
能力の都合上あり得る事だったとはいえ
自分から強制させといて即堕ち2コマの如き負けるのは草
96 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/28(火) 16:12:44.34 ID:2Xmo4T52o
※続けます
97 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/28(火) 16:27:53.63 ID:2Xmo4T52o
「馬鹿! 生き急ぎすぎよ!」

黒染は石紙を叱責した。
石紙の能力は強力であると同時に、不確定要素が多い。
激情に駆られ、能力を迂闊にも発動し自滅することは自陣営を不利に追い込むということ。
とは言え、黒染は彼をこれ以上責めることはしなかった。

仲間が殺され、気が立っているのは彼女とて同じ。
彼が出ていなければ彼女が飛び出していたところだった。

とにかく今はこの不利な状況を打破することが先だ。

「早蕨さん! 能力の発動を許可します!」

黒染は早蕨に合図をした。

↓1【どうする?】
1:発動しない
2:『嵐の女王(テンペスター)』発動! ※精神力を1〜3まで任意の数消費選択してください
3:『嵐の女王(テンペスター)』最大出力で発動! ※精神力を4消費します
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/02/28(火) 16:46:13.34 ID:wVfV1lya0
3
99 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/28(火) 17:16:18.44 ID:2Xmo4T52o
早蕨は黒染の合図に黙って頷いた。

 『嵐の女王(テンペスター)』――早蕨の持つ能力の名である。
この能力は、彼女の『認識』する風を自由に操るというものであり、用途も様々。
彼女の幼少期憧れたピーターパンのように「風に乗る」ことで空中を自由に移動したり、
カマイタチを発生させ、攻撃に転用することが可能である。

「なんだこの風は!」

八神が近くの大木を盾に叫んだ。
番長グループ魔人らに不自然なほど局地的な追い風、暴風が襲い掛かっているのだ。
彼らは風を前に目を開けることすら難しく、攻撃ができない。
早蕨は「嵐の女王」で風を起こし、敵の身動きを封じたのだ。

「よくやりました早蕨さん! では皆さん、行きますよ!」

黒染の号令に、電堂、天ヶ瀬が攻撃準備を始める。
「嵐の女王」の効果は生徒会役員らにも適用されていた。
早蕨の認識により、彼らの周りには都合よく風が吹かない!

その時である。

「いやいやいや……ちょっと待ってよ。ちょっと待って。その能力はフェアじゃないなあ」

鷲野マァクが生徒会の前に立ちはだかる。
彼には何故か「嵐の女王」が効いていないようだった。
生徒会陣営に一瞬動揺が走った。しかし――

「怯むな! 行くぞ!」

その理由はともかくと電堂らは番長グループに飛びかかった!

【戦闘判定:直下コンマ下一桁判定】
098765:生徒会陣営の攻撃!
4321:鷲野マァクの攻撃!

【補正】
【人数補正】+2
【生徒会陣営:遭遇ボーナス(坂上空・笑形ニコ)】+2
【番長G:遭遇ボーナス(透坂愛衣)】-1
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/02/28(火) 17:27:29.78 ID:wVfV1lya0
いぇーい
101 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/28(火) 17:59:56.42 ID:2Xmo4T52o
しかし、鷲乃独りで到底敵う相手では無かった。

生徒会陣営は倒すのに面倒そうな鷲乃を無視し、他の魔人を攻撃し始めた。

 まず、黒染が八神の前に立ち、攻撃をしかける。
巨大な鎧騎士と小柄な黒いパーカー姿の少女。対格差は歴然であるが、体術能力含め彼女は八神より上回っていた。

黒染の打撃は鎧を容易にへこませる程の力を持つ。
一発、拳を撃ち込まれる度、八神は後退し、兜の中で血を吐いた。

八神は攻撃を防ごうと剣を縦に構えるが、その動きを取ろうとする度、「嵐の女王」の邪魔が入り上手く動けない。

【ダメージ判定:直下コンマ下一桁判定】
0:8(八神死亡)
987:7(八神死亡)
654:6(八神死亡)
321:5(八神瀕死)
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/02/28(火) 18:03:05.57 ID:yfUoxMx7O
103 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/28(火) 18:38:42.20 ID:2Xmo4T52o
「ぐあッ!?」

その言葉を最後に八神の姿が消えた。

「八神君!」

鷲乃は彼を探すがどこにも見当たらなかった。

あの瞬間、彼はどこに消えたのか。



彼は黒染の攻撃に耐えつつ、一歩また一歩と後退して行った。

「ぐあッ!?」

また一歩下がった、その時であった。
ガクリと足を踏み外したような感覚が八神を襲った。
しかしおかしい。辺りは風は強いが視界良好。引っかかる場所などどこにも――

あった!

八神の足下に巨大な黒い穴が広がっていたのだ!
黒い穴は、彼を阻む風とはまた違った力を伴い、彼自身を吸い込もうとゴゴと唸りを上げる。
片足が穴にはまってしまった。穴から足を抜こうと動かすが、引っ張られる力の方が強い。
身体を動かせば動かすほど穴に吸い込まれていくようだ。


やめろ。この我をどこに連れて行こうとするのだ。離れろ! 離れろ! あれは……あの穴は一体何なのだ――!


『ダークホール』である。
黒染莉央の『漆黒の闇』は、自分以外の全てを物理法則を無視し暗黒世界に放り込む『ダークホール』を生成する能力。
黒染は、八神の逃げ込んだ先にダークホールを生成していたのだ。

八神は助けを叫ぼうと声を出したが、既にその全身は闇の中に在り、音さえもその中に飲み込まれていた。

八神神――行方不明。
104 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/28(火) 19:04:45.28 ID:2Xmo4T52o
電堂は左の元へ向かう。
右袖の下から電動高周波ブレードを伸ばし、それを素早く振り下ろした。

「桃山と石紙先輩の仇! 死んで償え!」

左は風にも負けず、桃山から奪った左手を愛でていた所に攻撃を受け、死亡。
首を切断されたものの、奪った左手は執念深く握られ離すことは無かった。
105 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/02/28(火) 19:34:34.69 ID:2Xmo4T52o
※中断。次回エロ
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/04(土) 13:32:15.92 ID:QeZl8JzHo

楽しみに待ってるよー
107 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/03/12(日) 15:00:32.15 ID:iRzl2bbCo
※続けます
108 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/03/12(日) 15:36:33.57 ID:iRzl2bbCo
追い詰められた主は最早発狂寸前であった。

能力を使わない戦闘においては番長を上回る力を持つ八神、学園を恐怖に陥れた左の二人がやられた。

殺されるとしたら――次は自分。

能力を使う余裕など無く、無我夢中で逃げるがとうとう追い詰められてしまった。


今更ながら主は思う。

――付く陣営を間違えた!

そもそも自分が番長グループに入る必要など無かったのだ。断ることもできた。
何故それをしなかった?
自分を責めた所でもうどうにもならない。


目の前にはポニーテールの女子生徒会役員が立つ。
彼女の名前を主は知っていた。

「天ヶ瀬 神流」

生徒会役員2年の彼女の名前は、男子の話の中――特にエロい話をする際、よく出てくる。

平均的な身長、黒髪ポニーテール、制服は校則通り着こなす。そして巨乳。
性格は極めて明るく、しかしうるさくはない。
先日行われた体育祭では生徒全員にスポーツドリンクを手渡ししていた。
ドリンクを渡す際の笑顔は常に誰にでも向けられ、「頑張ってね!」と手を握られた童貞男子は卒倒ものだった。

健全な可愛らしさが彼女にはあったのだ。
それがなんかエロいと1年男子の中では評判であった。

そんな彼女が今、自分を恐らく殺すべく目の前に立っている。


(あ、俺、殺されるんだ、これから。うわあ嫌だなあ痛いんだろうなあ。左先輩とか首もげちゃってたし、嫌だなあ怖いなあ。あ、能力出せば――)

(あームリ、精神がムリだもん。出しても多分殺されるし、今冷静なのも逆にそういうやつだし。とにかくムリ。足も動かないしおしっこもちょっと出てる)


主は諦めて、目を瞑り、「天ヶ瀬先輩になら殺されるのもちょっとアリかな」とその時≠待った。
109 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/03/12(日) 15:54:48.08 ID:iRzl2bbCo
顔に柔らかな感触、両肩に温もりを感じ、主は目を開いた。

目の前に花の香りがいっぱいに広がった。
彼は本能的に自分が今どこに居るのかを理解した。

(今――俺――おっぱいに居る!)

腰を抜かした主を天ヶ瀬は殺すでもなく優しく抱きしめていたのだ。

理解はした。
しかし混乱は消えない。
主は天ヶ瀬の柔らかく大きな胸に顔をうずめながら考えた。

何故、俺を殺さない?

だが、その考えも

「怖かったね。ごめんね。でも……これが私たちの仕事だから……ごめんね」

と耳元で囁かれたことで、その憂いを帯びた吐息交じりの声の中に溶けていった。
110 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/03/12(日) 16:13:04.59 ID:iRzl2bbCo
「俺……殺されるの……? これから……あなたに……天ヶ瀬先輩に……」

恐怖と妙な安心感の混じった虚ろな目で主は尋ねる。自分の命はやっぱり惜しいのだ。

それに天ヶ瀬は優しく答えた。

「ううん。大丈夫だよ。殺さないよ――」

殺さない。
その言葉を聞き、主は涙を流し安堵した。自分の命は安全な場所に置かれた。
俺は殺されない。

不安と恐怖から解放されたからか、主はいよいよ大声を上げて泣き出した。

それに勃起していた。フル勃起だった。

当然のことである。
自然の理。動物の本能。自らの死が迫る時、種族保存をすべく性欲が飛躍的に向上するのだ。

天ヶ瀬はよしよしと主の頭を撫で、そのまま手を彼の制服のズボンへ伸ばす。
そして布越しからも分かる怒張したモノを優しく擦った。主はビクリと身体をのけぞらせる。
突然始まった愛撫に最初驚きはしたものの、それを拒むことはなかった。

主は天ヶ瀬とセックスする気満々だったのだ!
111 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/03/12(日) 16:50:40.33 ID:iRzl2bbCo
「ううん。大丈夫だよ。殺さないよ」
この言葉には続きがあった。

「――貴方に利用価値があるから」


黒染が、桃山と天ヶ瀬を討伐隊として呼んだ理由。
それは彼女たちは強力な洗脳能力≠持つからである。
利用価値のある者であれば洗脳して番長グループから生徒会陣営へ寝返らせる。
それさえできれば、学園に流れる血を少なく済ませることができる。
これが狙いだった。

しかし、彼女らのみで番長グループの元へ走らせる訳にはいかない。

桃山の女性のみ≠自分の虜にする「百合の楽園(レズハーレム)」。

そして天ヶ瀬の「天使の抱擁」。

これらの能力行使には性行為をしなければならない。
当たり前だが行為中、攻撃に晒される危険がある。

彼女たちを守る為、攻防に長けた能力を持つ黒染が生徒会室を出なければならないのはこの為であった。
更に言えば彼女が内心嫌っている早蕨をわざわざ呼んだのも、彼女の防衛力に目を付けてのことだった。


天ヶ瀬が主とセックスしている間、邪魔は許さない。
黒染、早蕨に守られながら行為は恙無く進む。
112 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/03/12(日) 18:27:52.43 ID:iRzl2bbCo
ひくひくと震える主の一物は天ヶ瀬の手の中。
その先端からは透明な液体が溢れ、彼女の指を伝う。

「だしたいよお」

主は自分の中で込み上げて来る子種を手の中にブチ撒けてしまいたいと言う。
が、それはさせない。

「だーめっ」

天ヶ瀬は、主が射精しないよう根本を指でキツく絞めた。
そして――

「それを出すのはね……ここ」

膝丈のスカートを捲り、その奥の濡れぼそった下着のさらに奥を指した。
能力を完遂させるには彼女の膣内で射精をしてもらう必要がある。外で出されるのは困るのだ。

「じゃあ……しぇ、しぇんぱぃ……おれ……おれ……いれたい。挿りぇたいよォッ!」

言われるがまま主は餌をねだる猫のように甘えた声を出す。

「いいよ。おいで」

すると天ヶ瀬は下着をずらした。
そのまま挿入しやすいよう秘部を指で開き誘導すると、彼のモノはにゅぶにゅぶと水音を立てその中へ吸い込まれていった。


それもこれも「天使の抱擁」の効果である。
現在の彼は自分の意志で性行為を行っていると認識≠オている。
が、そうではない。まず、彼女に抱きしめられた時点で主がこうなることは決まっていた。
天ヶ瀬と触れ合うことで、彼女に対して母性や癒しを感じ、性交したいと思わせるまでがこの能力なのだ。

彼女に能力を行使されるまで憔悴しきっていた彼がここまで身体を動かすことが出来るようになったのも能力によるものだった。

そんなことはいざ知らず、腰を振る男の姿があった。
113 : ◆CL1iRwui3LOt [saga]:2017/03/12(日) 18:47:10.63 ID:iRzl2bbCo
(憧れの先輩とっ)

(俺! エッチしてる!!)

(見たかケンジ! マコト! ユウタ!)

(俺! あの天ヶ瀬先輩とセックス――)

天ヶ瀬の膣内(奥)に自分の一物を深く突き刺したその瞬間に果てたのだ。

三こすり半。

主は早漏であった。
散々射精を止められ限界であったという点から考えれば仕方のない事だが。

主は己の不甲斐なさと天ヶ瀬と思わぬところでセックスできた幸福感、イッた時の快感と共に意識を失ったのであった。

天ヶ瀬は、しな垂れかかった主の耳元で

「いっぱいビューって出せたね。良かったね。これからキミも私たちの仲間だよ」

と激励する。

主はその甘い声に意識を取り戻した後、もう一度射精し、「あぁァゥっ!」と叫び再び意識を失った。

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