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木村夏樹のむきだし
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1 :
◆ao.kz0hS/Q
[saga]:2017/02/25(土) 21:45:12.09 ID:CYpm3u/s0
18禁かつ若干倒錯的なシーンを含んでおりますのでご注意ください
2 :
◆ao.kz0hS/Q
[saga]:2017/02/25(土) 21:46:42.91 ID:CYpm3u/s0
◆◇◆◇◆◇◆
尾骶骨にヤスリをかけられたような強い疼きに全身が粟立った。
腹部をえぐる異物感に堪えきれず、呻き声が口の端から零れ出る。
腰を掴む手の力加減も、お尻に打ち付けられる汗でネト付いた贅肉だらけの腹の感触も、荒々しい息遣いも、すべてが不快だった。もう何度も経験してきたことなのだけれど、慣れることはなく不快なものはやっぱり不快なまま。
とはいえそれを表情に出さず、わざとらしくない程度に好まれる反応を演技するぐらいの余裕は持てるようになっている。
お尻をえぐられるリズムに合わせて甲高い声を上げてあげると、腰を掴む手の力が強まるのがわかった。単調にならないようにいくつものパターンの喘ぎ声を使い分け、組み合わせることがポイントだ。
数十回以上めちゃくちゃに突き入れられた後、引き抜かれ、身体の向きを変えられ、今度は前から入れられる。
ボクよりも二回りは大きな体のいい歳したオジサンが、母親に縋りつくように抱き着いてくるのは気色悪いことこの上ない。
でもそんな嫌悪感をおくびにも出さず脂ぎった禿げ頭を抱いて、耳元で震えるように喘いであげた。
そうするとこの豚が喜ぶことを知っていたから。
ドロリとした喜悦と欲望に濁った目玉がボクの唇を見ていたので、口を薄く開いてあげると案の定むしゃぶりついてきた。
酷い口臭に頭がクラクラしながらも、恋人にするように舌を絡め、吸い付いて、精一杯サービスする。
するとほどなく本物の豚みたいな叫び声を上げながら果ててしまったので、身体を震わせている間ずっと抱きしめながら頭を撫でてあげた。
腸内にまき散らされる汚液の熱さに鳥肌を立たせながらじっとしていると、ヘソのあたりに冷やりとした感覚があることに気付く。どうやらというかやっぱりというか、ボクもいつの間にか射精してしまっていたらしい。
同じ男に犯され強制的に射精させられてしまう、という屈辱にはいつになっても慣れることが出来なさそうだ。
それでも…。
それでも、自分が担当する子たちをこんな悲惨な目に遭わせるくらいなら、自分がその役目を喜んで引き受けてやるんだと決意を改める。
3 :
◆ao.kz0hS/Q
[saga]:2017/02/25(土) 21:47:53.77 ID:CYpm3u/s0
なんてことはない、弱小プロダクションの出る杭が打たれないためにはそれなりの後ろ盾がいるという、この業界では当たり前の話。
いやひょっとすると、後ろ盾がなければそもそもスタートラインに立つことさえ不可能なのかもしれない。
それをボクなんかが月に何度か特別な接待をするだけで、とある企業の庇護を受けることができる…ボクが少し我慢するだけで素敵なあの子たちの夢の役に立てるんだ…そこに考える余地なんてなかった。
僕がこの人に見初められたのは全くの偶然だったのだけれど、接待の打診されたとき、子どものころからコンプレックスでしかなかった自分の女々しい容姿に初めて感謝した。
まったく、世の中には色んな性癖の人がいるものだ。
ボクの能力ではもう他にやりようはなかったし、後悔もしていないけれど…プロデューサーのボクが枕をしているだなんてあの子たちが知ったらどう思うだろうかと、ぼんやりとした頭が何度も繰り返してきた詮無い思考に捕らわれた。
やっぱり軽蔑されるのだろうか…それとも、プロダクションから出て行ってしまう…?
それは単なる想像だけれど、胸を切り裂かれるような辛い気持ちが湧いてくる。
でももしかしたら、彼女なら…彼女だけは…『アンタ、ロックだな!』なん労ってくれるかもしれないと、自分に都合の良い妄想で胸の痛みを誤魔化した。
ささやかな現実逃避が再び動き始めた豚に邪魔をされ、獣臭立ち込めるホテルの一室に意識が引き戻される。
その動きは疲労もあってか一回目ほどの激しさはなかったので、さりげなく甘く優しい言葉を耳元で呟いてあげた。
すると豚はたちまちに元気を取り戻し、またボクの平らな胸にしゃぶりつきながら激しく腰を動かし始める。
その豚の夢中さにボクは確かな手応えを感じていた。
たぶん、あともう少し…。
4 :
◆ao.kz0hS/Q
[saga]:2017/02/25(土) 21:49:47.70 ID:CYpm3u/s0
◆◇◆◇◆◇◆
ぎゅいーーーん、と最後に愛器をかき鳴らしたタイミングで白色の照明はOFFられて、足元を照らすブルーとパープルの光だけが残った。
演奏も歌もばっちり。ライブ演出もリハ通り。
ただ一つのマイナス点は、アタシの相棒がステージが暗転してからずっとこっちに視線を送ってきていること。
おいおい、違うだろ?
カメラが切り替わるまではじっとしてなきゃ、カッコつかないぜ?
相棒がどんな表情をしてるかは見なくても想像がついた。きっと、目をキラキラ輝かせて満面の笑みに決まってる。
無理もないか! 誰でも知ってるゴールデンタイムの音楽番組に出演できたんだから!
しかも完璧なパフォーマンスで演れたんだからな!
かく言うアタシも顔がニヤケそうになるのを抑えるのがやっとだ。
笑いを堪えられなくなる一瞬前、やっとスタジオの隅からOKのサインが出て、それとほぼ同時に胸にドスンと衝撃が走った。
「なつきち〜〜〜!うわぁ〜〜〜ん!」
相棒、だりーこと多田李衣菜がアタシの胸にダイブを決め、ギターごと抱きしめられちまった。
「ははっ、イイ音だったぜ、だりー!」
「なつきち〜〜!やったよぉ〜〜!うわぁ〜〜ん!」
「おいおい、まだ収録は残ってるんだから…な、泣くなって…」
少し前から急に仕事が増えてきたとはいえ、まだまだ駆け出しのアタシたちにとってはこの番組はかなりの大舞台だった。それを無事成功させた安堵からか、だりーはみっともなく流れる涙を止めようともしない。
清々しいぐらいのその真っすぐさに危うくアタシまでもらい泣きしそうになり、慌てて天井を見上げる。
数回の瞬きで目の潤みを紛らわせてから客席を見渡せば、今度は一曲のためだけに観覧しに来てくれたコアなファンたちの優しい視線に気付いちまって、もう諦めた。
いつまでもこのステージに立っていたいのは山々だが、また雛壇に戻って画面の奥から存在感をアピールするという仕事が残っている。
「最高だぜ! サンキューな!!」
アタシたちを取り囲むすべてに対しての感謝を叫んでから、だりーを引きずる様にして元のスタジオへ戻った。
5 :
◆ao.kz0hS/Q
[saga]:2017/02/25(土) 21:51:45.75 ID:CYpm3u/s0
―――
――
―
収録後、出演者たちがそそくさと楽屋へ向かう中、アタシとだりーはスタジオの端でセットを眺めながら立ち尽くしていた。
「私たちがこれに出てたなんて…夢みたい…」
「あぁ…いや、今日からはこれがアタシたちのリアルだな…。もっとアガって行くぜ?」
「なつきち……うんっ!」
そんなルーキー感まる出しのアタシたちの背後から聞きなれた声を掛けられる。
「夏樹ちゃん!李衣菜ちゃん!お疲れ様〜!」
女にしてはちょっとハスキーな、だが男にしては高すぎる声に呼ばれて振り向いてみれば、小さな姿がこちらにぱたぱたと駆け寄ってくる。
「あっ! Pさん! どうでしたか!? 私たちの歌は」
「完璧だったよ〜! ようやくここまで…ぐすっ…これでやっとふ、二人を…日本中に知ってもらえる……うぅぅっ」
「はぁ〜〜〜アンタまで泣くんじゃねーよ!」
「わぷっ」
走ってくるなり泣きべそをかき始めたのがアタシとだりーのプロデューサーだ。
その頭をとりあえずガシガシと撫でると子犬っぽい呻き声を出したのが面白くて、つい髪がぼさぼさになるまで続けちまった。
身長はだりーと同じくらい。体つきは細く、頬はつきたての餅みたいに白くて柔らかそう。
アタシのよりもキューティクルに溢れたサラサラの頭髪は念入りにぼさぼさにしてやっても、頭を一振りすれば元通りになる。
前髪の下から覗くクリクリの瞳はビー玉みたいに澄んでいて、縁取る睫毛はマスカラ要らず。
いわゆる女子力の塊みたいな存在だが…オッパイは無い。
当然だ、なんせ男なんだから。
10人中7人が女だと誤認するようなコイツがアタシたちのプロデューサー。
チワワみたいにちっちゃくてキャンキャン鳴いて、女の子みたいな可愛い男がアタシたちのプロデューサーなんだ。
あぁ、10人中の残りの3人は美少女って言うんじゃないかな。
「ほーら、シャキッとしろ」
「んもう! 夏樹ちゃんはいつもボクをからかうんだから! ボクの方が年上なんだよ!?」
「ははっ、わかったわかった」
20代半ばのオトナの男が頬を膨らまして抗議するのはどうなんだ?と内心思いつつ、いつものように軽くいなしてから改めてお互いを労い合う。
「でもホントにすごいよ! ウチみたいな小さいプロダクションのアイドルが出演できたなんて!」
だりーが思い出したようにPさんの両手を掴み、ブンブンと上下に振り回して喜びを目いっぱい表現する。
「わ、わ…っ!」
「Pさんすごい…ホントに…すごい…っ!」
こうして子犬みたいな二人が手を取り合っているとやっぱり女子のダチ同士にしか見えない。
だりーのあまりの喜びぶりに戸惑いながらもPさんは嬉しそうだ。
6 :
◆ao.kz0hS/Q
[saga]:2017/02/25(土) 21:53:45.58 ID:CYpm3u/s0
また涙目になりそうになっているだりーの瞳にははっきりとした尊敬と信頼の情。
いや、それだけでなく…
「……っ」
ずきり、と不意に胸が痛み、息を飲んだ。
何故か最近この三人でいるときによく感じる切ない痛みだった。原因は…不明。
「は、ははっ…たしかに、アタシらをこの番組にねじ込むたぁアンタにしちゃいい仕事だったぜ! いったいどんな魔法を使ったんだい?」
二人ともアタシのことは見ちゃいなかったが、妙に居たたまれない気分になってしまい取り繕うように冗談を飛ばす。
「そ…れは……っ」
「ん?」
「Pさん…?」
冗談には冗談で返してくれりゃいいのに、何やら気まずそうな顔で言い淀むPさん。
そして一呼吸置いて笑顔を作って…
「それはもちろん…夏樹ちゃんと李衣菜ちゃんの実りょ」
「P〜くぅ〜ん♪ まだここにいたんだね♪ 探しちゃったよぉ♪」
Pさんが喋り始めたところで、三人以外の声がねっとりと響いた。
「え? あっ…○○社長……っ!?」
○○社長と呼ばれた男がドスドスと足音を立てながらPさんの背後から近づいてくる。
Pさんのすぐ後ろにまで近づいてきたソイツはPさんの肩に親しそうに両手を置き、肩もみをするように指を動かし始めた。
いつの間にか、だりーはPさんの手を放しアタシの背後にまで下がっていた。
デカい…。身長は180センチ以上あるだろうか? しかも肥満体形だから、優にPさん二人分、ひょっとすると三人分近い体重があるかもしれない。この二人が並ぶと、まんま大人と子供にしか見えなかった。
「お…おせわになって、おります…○○社長…」
「はぁい♪ お世話してますぅ〜〜♪ んふふ♪」
「突然いらっしゃって…どうされたんですか…?」
「それがねぇ〜♪ 急にねぇ〜Pくんと、打ち合わせ、しないといけないことができてね〜♪ わざわざやって来たんだよぉ〜♪」
「っ…そ、そうですか…ご足労いただき申し訳ございません…」
7 :
◆ao.kz0hS/Q
[saga]:2017/02/25(土) 21:55:25.26 ID:CYpm3u/s0
二人は明らかに初対面ではないのに、Pさんはこれ以上ないくらいに狼狽しているように見えた。でもアタシは呑気に、どうしても苦手な相手ってのはいるからなぁ、だなんて考えていた。なんか、その、見た感じちょっとアレな人だしな…。
「あぁ〜♪ この子たちがPくんのアイドルかぁ〜♪」
「あ、はい…。こちら木村夏樹と多田李衣菜です…」
紹介されてしまったので、アタシとだりーは簡単に自己紹介をした。
そしてPさんが大男の紹介をする。
「こちらはね…○○社長。この番組のスポンサーでもある〇〇会社の社長でいらっしゃる方だよ」
○○会社といえば元はベンチャー発祥で急成長した会社だったか。
最近ゴールデンタイムにCMを打っているのをよく見かける。アタシらみたいな零細プロダクションもあれば、こんな景気の良いところもあるのかと呆れたものだ。
「うわっ、すごっ! Pさんそんな偉い人とトモダチなんだっ!」
「トモダチって…だりーおまえな…」
「トモダチ、ねぇ……んふふ♪ そうなんだよぉ♪ ワタシとPくんはトモダチなんだ♪ それもとってもナカのイイ…ね♪」
「っ……」
シャチョーさんは言いながら今度はPさんの肩と背中を撫で回していた。
仲が良いのは結構だが…正直イロイロとキツイ光景だった。いやまぁ、トモダチってんならこれくらい普通なのかもしれないけど…?
「へぇ〜〜♪ ほぉ〜〜♪ この子たちがねぇ〜〜♪ へぇ〜〜♪」
腫れぼったい瞼の下のくすんだ光がアタシとだりーを見据える。
それは遠慮って言葉知らないのかって問い詰めたくなるような粘ついた視線で、背後のだりーが極微かな悲鳴を漏らしたほどだった。
あぁ…わかった…。アタシ、コイツ駄目だ。
値踏みする視線ってのはこれまで何度も浴びてきたが、コイツのはぶっちぎりで不快だった。
人を商品として、いや、金になるかどうかでしか見ていないのを隠そうともしない失礼さ…。
「ふ〜ん♪ まぁいいや♪ 二人ともPくんによぉ〜〜く感謝するんだよぉ♪」
「あ?」
「○○社長…それは…っ」
「うんうん、分かってるって♪」
Pさんにはもちろんいつだって感謝している。テメエに言われるまでもなくな。
コイツは人を苛立たせる才能でもあるんだろうか…。
危うくガンを付けてしまいそうになったが、なんとかそれは抑えられたはずだ。…たぶん。
そういえば、だらしない腹が動くたびに、口から空気の抜ける間抜けな音が鳴って……その毎二秒後に鼻が獣臭さを捉えて……ゲェ〜〜そういうことかよ〜〜!
そこまで気付いてしまうと、後はもうひたすらに気持ち悪く、今にも肺が腐ってきそうな気分だった。
それはだりーも同じだったようで鼻をしきりに擦りながら完全に委縮して、怯える小動物みたいになっていた。
「あー……アタシらはそろそろ楽屋に…」
「うん…そうだね…。二人はもう着替えに行っておいで。ボクは○○社長と…う、打ち合わせがあるから…。二人は先に帰っておいてくれたらいいから…」
そう言ったPさんを残して、アタシとだりーはありがたく楽屋へ下がらせてもらうことにした。
シャチョーさんはPさんの肩に手を回したまま、スタジオのセットの裏の方へ向かっていくように見えた。隅っこでちょっと打ち合わせするだけなのかな?
それにしてもプロデューサーってのはあーいう人間とも仲良くしないとダメなんだな。
ったく、Pさんには頭上がんねーぜ。
8 :
◆ao.kz0hS/Q
[saga]:2017/02/25(土) 21:56:31.35 ID:CYpm3u/s0
―――
――
―
「さてと…………あ」
他の出演者への挨拶もそこそこに楽屋で着替えを済ませ、だりーと別れた。
だりーは電車で、アタシはバイクで帰宅する。そのつもりだったのだが。
駐車場に停めた愛馬にまたがったところで、今日買ったレコードを事務所に置いてきてしまったことを思い出した。
大舞台を終えた今夜ほど新しいレコードに針を落とすのに相応しい夜はない。とてもじゃないが明日まで待てなかった。
でももう夜の報道番組が始まりそうな時間だから、事務所に残っている人はいないかもしれない。
「しかたねーな。Pさんに鍵もらいに行くか…」
あのブ男にまた会うことになるかもしれないのは心底ゲンナリだが、今のアタシのロック魂はそんなのでは止まらない。
駐車場から引き返し、何食わぬ顔でスタジオへ入り込んだ。
廊下とスタジオを仕切るドアは音もなく開きそして閉じた。
照明のほとんど落ちたスタジオからはやはりスタッフの姿も消えていて、静まり返っている。
セットの裏、Pさんとブ男が向かった先にだけ光が点いているようだった。
それにボソボソという微かな声も聞こえてくるから、まだ打ち合わせは終わっていないのだろう。
そういえば偉いシャチョーさんとの打ち合わせを遮ることになるのだから、どう声を掛けるべきか考え、ふと立ち止まった。
すると丁度そのとき…
んぐぅ……っ
セットの向こうから妙な音が微かに響いてきた。
それは小型犬の鳴き声みたいで…もっといえばどこかチワワっぽさのある声で…良く知った音色を含んだ声だった。
だりーほどじゃないがアタシも耳の良さには自信がある…間違えるはずがない…。
それはPさんのだとすぐにわかった。
しかし、わからない…。
どうすればそんな声が出るのか…。
なんで打ち合わせ中にそんな声を出す必要があるのか…。
アタシは知らず生唾を飲み込んでいた。
嫌な予感がする…。
今日の本番前の数倍心臓が強く脈打っている。
近づかない方が良い…。
肺が硬直しているように感じる。
今夜の新譜は諦めればいいだけの話なのに、それでも脚はヨタヨタと前へ進んでいく。
Pさんの肩を撫でていたあの男のいやらしい手つきが脳裡をよぎる…。
いや、これはちょっとした確認だ。
なんでもないってことをこっそり確認するだけ。
大丈夫。
きっとちょっと噎せたとか…それだけのことさ。
そんなこと…あるわけ…ないんだから…。
ここで引き返し何も知らないままでいるべきだったのか、それとも知るべきだったのか。
どちらにすべきだったのかなんて、そのときに分かるわけはなかったし、ずーっと後で振り返ったとしても結局は答えは出ないのかもしれない。
これは知っちまったアタシのお話…。
カッコ悪くて、情けなくて、どうしようもないお話だ…。
9 :
◆ao.kz0hS/Q
[saga]:2017/02/25(土) 21:57:48.50 ID:CYpm3u/s0
気付けば直線距離で5mくらいの距離にまで近づいていた。
もちろん無防備に体を晒しているわけじゃない。アタシと二人の間にはセットのスペアか何かが置かれていて、それが丁度いい壁になっていた。もっとも、光があるのは二人の側にだけだったから、よっぽど大胆に物陰から体を出さない限り気付かれることはなさそうに思えたが。
セットの陰に身を隠したまま、左目だけを覗かせると、コンテナケースに腰を下ろしているブ男が正面から見えた。
そして…。
「っ!?」
あぁ…ちくしょう…Pさんは…あぁ……ブ男の前で床に跪いてアタシに背中を見せている…。
両手をブ男の腿に置いて…ちくしょう!ちくしょう!ちくしょう…頭を上下に動かして……。
アタシは…まだ何も見ていない…。Pさんがブ男の前で跪いているのを後ろから見ただけだ…。
でも…でも!
その体勢が意味するところが分からない程、アタシもガキじゃない…。
男同士だっていう否定条件も、Pさんの容姿のことを思い出すと気休めにもならない。
この状況にどうにか別の理屈をつけようと、ショートしっぱなしの脳をフル回転させたところで何も浮かんでこない。
そうこうするうちに有無を言わさぬ答え合わせを押し付けられる。
「あ゛ぁ゛〜〜♪ Pきゅんのオクチ最高だよぉぉ♪ ほらっ…もっと…おぉぉう♪ 奥まで咥えて…んほぉぉ♪」
「んぶっ!? んんんっ! ぐぷうう゛う゛っ!」
ブ男のグローブみたいな手がPさんの小さな頭を掴み、自分の股間に抑えつけると、やられたPさんの背中がこの距離でも分かるぐらいに大きく震えた。
自分の股間の前でPさんの頭をボールを扱うみたいな手軽さで好き放題にシェイクするブ男…あぁぁぁぁ!
なんだ!なんなんだこれは!?
アタシの頭の中で誰かが意味不明のシャウトを叫び散らしている。
アタシの頭蓋骨がスピーカーにでもなっているんじゃないかってぐらいに頭がグワングワン。
そのくせもうよせばいいのに、アタシの目ん玉はPさんの上下に弄ばれる後頭部を瞬きも忘れて見続けている。
目が離せない。いや、頭が動かせない。いやいや、体の動かし方を忘れてしまったらしい。
「ん゛ん゛ん゛っ!! げぼっ!ごぼぉっ!」
「あらぁ? ごめんねぇPきゅん♪ 突っ込みすぎちゃったぁ?」
「げほっ! んぐげほっ!んっ……はぁーーっ! はぁー、はぁ、はぁ……」
おかしなところまでナニカをつっこまれ噎せたPさんは激しく咳き込んだ後、顔をナニカから逸らすように俯き、ぐったりと呼吸を繰り返す。
ブ男はまたPさんの頭を掴んでナニさせようとしたが、Pさんはまるでイヤイヤをするように小さく首を横に振った。
10 :
◆ao.kz0hS/Q
[saga]:2017/02/25(土) 21:59:39.92 ID:CYpm3u/s0
「んん〜? なに? どしたの〜?」
「んっ…はぁ…はぁ……はぁ…」
「Pきゅん、もしかしてまだ拗ねてるの〜? だから今日急に来たのはごめんって〜♪」
「……はぁ…はぁ…」
「もう〜♪ 怒んないでってばぁ〜♪ 今日だってちゃんとテレビに出してあげたし、演奏の順番だって悪くなかったでしょ?」
「……」
ブ男のちょっとひっかかる言い回し…それを聞いたPさんは俯けていた顔をようやく上げた。
出して…あげた…?
今日…? テレビ…演奏…順番…?
あぁ…ヤバい…寒気がしてきやがった…頭が、足元がフラフラする…。
「んもう♪ Pきゅんはワガママさんだなぁ〜♪ じゃあサービス♪ まだペンディングにしてたんだけど、今度のCM…Pきゅんのアイドル使っちゃおう♪」
「っ……!」
あああああああ……だっ、だめだ…気分が……。
「他の候補もいるんだけどね、社長権限で俺がごり押ししちゃう♪ だ・か・ら……ね?」
Pさんがブ男の顔を見上げた後、Pさんが…Pさんが…!
ブ男の前で膝をつき直して…ああああああああ!!!
嘘だ!やめろ!やめてくれ!!!!
「○○社長…いつも…お仕事を恵んで下さって…本当に…ありがとうございます…っ」
手を…床に…頭を…下げて………。
「やっ、違うって〜♪ そういう意味じゃないよぉ〜♪ 俺とPきゅんのナカじゃないかぁ♪ そんなのより…こっち♪ ね?」
「…………はい。……ぇぁぁぁむっ」
「ほぉおおおおお♪ きたっ♪ Pきゅんのオクチ♪」
「んぷっ…はぁぁんっちゅ…んぶっ……じゅるるるるっ」
「あぁっ!あああっ! やっぱり♪ Pきゅんだけだよぉ♪ 女は…クソだ!」
「んんんっ!? ふむぐうぅぅう!?」
「嫁は外で遊びまわって…キャバで貢いでも愛想笑いばっかしやがって! 買ってんのにぬるいプレイしやがって!」
「ぐむうううううっ!? ふぐうぅぅうっ!?」
「Pきゅんとこのアイドルだって…この俺を汚物を見るような目で!見やがって…! クソっ!クソっ!クソがぁっ!」
「ぐぼぉぉ……っ!!! んぼう゛う゛っ!?」
「はぁ!!はぁ!! 男なのに! こんなに可愛いくて! 俺のことを受け入れてくれる! Pきゅんんん〜〜〜♪」
「ん〜〜゛〜゛〜゛〜゛っ!!」
「お゛お゛お゛っ!! きたきたぁっ!! イグよぉぉぉ?ねぇイグよぉぉぉん? 全部飲んでねぇ〜〜♪」
「………!! ……っ!!!」
ウォォオオオ〜〜〜〜イグ〜〜〜〜
もう限界だった。
味わったことのない恐怖にカラダの芯までビビらされたアタシは、本能が命じるままに踵を返し逃げ出した。
転ぶことも壁にぶつかることもなくスタジオの無音扉をくぐることが出来たのはほとんど奇跡だったと思う。
11 :
◆ao.kz0hS/Q
[saga]:2017/02/25(土) 22:00:24.73 ID:CYpm3u/s0
豚の叫び声も聞こえない、照明の付いた正常な空間に戻ったその瞬間、無意識が押し止めてくれていたモノが逆流してきた。
「う゛っ゛!!??」
口を両手で押さえて近くのトイレに駆け込んだまでは良かったが、個室に入る余裕はなく洗面器にしがみつく。
「う゛えぇぇええええええ゛え゛え゛え゛!!!」
びたびたびた、と威勢の良い音を立ててアタシの口から黄土色の滝が流れた。
膝は震え、立っているのがやっと。
一歩も動くことが出来ないまま、胃の中が空になるまでゲロりまくった。
「はぁーーーっ!はぁーーーっ!ぐっ…はぁっ!はぁ、はぁ」
数分間悶え苦しみ、やっと落ち着いたところで口を漱いて口の中のザリザリした残留物を吐き出した。
目の前の鏡の中のアタシは自慢のリーゼントヘアがみっともなく散らかり、目と鼻と額から一杯に汁を垂れ流している。
あまりの情けなさに、逆に笑えてきてしまう。
「は……はは……これでも数時間前まで…アイドルとしてテレビに…………っ!」
そして思い出してしまった。
アタシたちが今日テレビで歌を披露できたのは何故だったのか。
最近良い仕事が増えてき始めたのは何故だったのか。
ダレがナニをしていたからなのか。
「う゛っ゛!! お゛お゛お゛っ!! お゛え゛え゛え゛〜〜〜っ!」
もう出せるものなんて何も残っていないのに、胃が収縮を止めない。
「はぁぁっ!あ゛ぁ゛ぁ゛っ! もう…でねぇよぉ…カンベンしてくれぇ………う゛っ゛! お゛え゛え゛え゛っ!」
嘔吐感だけが延々と続く…出そうにも何も出せない、いつまでも出し終わらない、だからカラダはいつまでも出そうとし続ける…地獄だった。
「はぁ゛〜゛〜゛、はぁ゛〜゛〜゛、はぁ゛〜゛〜゛」
一体どれだけの時間そうしていたかわからないが、限界だと100回ぐらい思った頃にやっと胃の動きが収まってきた。
その頃には喉はガラガラ…たぶん胃液で灼けた所為だろう。
意外なことに時計を見てみればだりーと別れてからまだ一時間ほどしか経っていなかった。
覚束ない足取りでどうにか駐車場にたどり着き、バイクに跨って人心地。
ところどころバグっていた体の感覚が、慣れ親しんだエンジンの鼓動で解されて正常に戻っていくように感じた。
ヘッドライトの向かう先はアタシのアパートじゃなく……。
12 :
◆ao.kz0hS/Q
[saga]:2017/02/25(土) 22:01:19.60 ID:CYpm3u/s0
―――
――
―
アタシたちの事務所が入るビルの入り口を少し通り過ぎたところで道端にバイクを停め、事務所の入っている階を眺めると窓ガラスは暗い。
アイツはまだ帰ってきていないようなので、バイクシートに腰かけながら待つことにした。
「さむ……………」
もう季節的には春だが、夜になればライダースを着ていても寒い。
だけどそのときのアタシには澄んだ冷気がカラダを清めてくれているような気がして、寧ろ心地いいくらいだった。
ひょっとしたら今日はもう事務所に帰ってこないのかもしれないとも考えたが、かといってアパートに帰ったとしても眠れるとは思えなかったので構わない。
人通りは疎ら、行き交う車はほとんどなく、時折風に吹かれた街路樹がざあざあと葉音を鳴らすだけ…。
何かを考えるには絶好の環境だろう。
アタシには考えるべきことがたくさんあるはずなのに…何一つ考えるということが出来なかった。
それなのに、頭の奥は冴えわたっているように冷たく…その冷たさは脳みそに夜風が直接吹きつけられているようにも感じられた。
見るともなしに、聞くともなしに、ひたすら待つ。
聞き覚えのあるエキゾーストノートを捉えた頃には、全身の骨が軋むほどに身体はガチガチ。
それから数分して事務所に光が灯ったことを確認したアタシはシートから腰を上げた。
13 :
◆ao.kz0hS/Q
[saga]:2017/02/25(土) 22:02:28.48 ID:CYpm3u/s0
―――
――
―
ぎぃぃぃ
ウチの事務所のドアはボロいから開けると絶対に音がする。
「えっ…だ、誰……っ?」
奥からの怯えるような声は予想通りだったが、それに応えることはしないまま、まっすぐと声のした方へ向かう。
パーティションを越えると、自分のデスクから立ち上がりこちらを注視しているアイツの姿が目に入った。
「あ、あれ…? 夏樹…ちゃん…?」
緊張していたPの表情が一気に柔らかい…いつもの笑顔に変わる。
「こんな時間にどうしたの? 忘れ物?」
子犬みたいにPが駆け寄ってくるのを見て、アタシの足はピタリと止まってしまった。
実のところ…アタシは何のためにここに来たのか、そしてこれから何を言おうとしているのか、自分でも分かっていなかった。いや、決められていなかったという方が近いか…。
アタシのハートはあっちやこっちへでたらめに動いて、気持ちの整理なんて全くできていない。
いつもの調子で近づいてくるPを戦々恐々とただ凝視する。
「え…夏樹ちゃん、目腫れてない…? それに唇も紫っぽい…?」
「………っ」
Pが目を細めてアタシの唇を覗き込むように見たそのとき、揺れたPの頭髪から匂ってくるものがあった。
20台の男にしては甘さのある爽やかな匂いと…油っぽさのあるツンとした汗臭さ…。
これまでもどっちの匂いもPから感じたことはあった。
ツンとした汗臭さを感じるのは決まって今みたいな夜で…そのときにはいくらPが女っぽくても一日働けば男臭くなったりもするんだなって思ってた…。
でも…今考えるとPを臭く感じたのは決まって、Pとアタシたちが分かれて仕事をした後に落ち合った場合だったような…。
いや、今ははっきりと分かる…。
Pから感じたことのある男臭さは…あの豚男のものだったんだ…。
Pはずっと今日みたいなことを続けていたんだ……。
「わっ…ほっぺた冷たい! 夏樹ちゃんもしかしてずっと外にいたのっ? あぁもう、こんなに冷やして…」
「ぁ………」
頬に何か温かいものを感じて意識を目の前に戻すと、Pがいつもの気安さでアタシの顔に手を差し伸べていた。
温かい、Pの、手…。
そのPの手はさっきまで…!
「……るな……」
「え…? 夏樹ちゃん?」
凍えた頬を溶かすようなPの手の温かさに言いようのないヌメリを感じてしまう…。
触れられている部分からドロドロの何かおぞましいモノが皮膚に滲み込んでいく気がして、全身が総毛立つ。
その粘つきに絡めとられ、アタシの胸の中で揺れ続けていたメトロノームがついに止まった。
「さわるな゛……っ」
「夏樹ちゃん…声が…」
瞬間、また胃が蠢き出す予感があって、それだけはもう御免だと無理矢理抑え込むように腹に力を入れて、拒絶を繰り返す。
「アタ゛シにさ゛る゛な゛っ!!」
「ぁ…っ!?」
ダミ声の叫びと一緒にPの手を力いっぱい払いのけると胃の動きは止められた。
14 :
◆ao.kz0hS/Q
[saga]:2017/02/25(土) 22:03:48.01 ID:CYpm3u/s0
「夏樹ちゃん…? 喉、どうしたの…?」
手を乱暴に払いのけられたPは、それでもアタシに心配そうな目を向けてきている。
でもアタシの喉が潰れているなんてことは今は全然重要じゃないから、Pの疑問に答えることはしない。
「な゛ぁ…いつ…から…なんだ…?」
「え? なに? なんの話…?」
「いつからな゛んだよぉ゛…?」
「えぇぇ…な、夏樹ちゃん…一体どうしたの…?」
要領を得ないPに苛立ち、アタシはこれまでの仕事を早送りで思い返した。
Pと出会い、だりーと出会い、レッスンと失敗の日々があって、ゴキゲンな楽曲を作り出して、小さなハコなら満員にできるくらいになって…。
「……ま゛さか…」
音楽やってる誰もが夢見る夏のフェス…。アタシらの仕事の質が決定的に変わったのはそれに出てからだった…。その出演者の枠に入れたのは幸運と…実力だと思っていて…それはアタシの誇りだったんだが…。
「なぁ…ま゛さか…あ゛のフェス゛から…なのか…? あの時から…アンタは……あんなことを……?」
Pの瞳を真っすぐに見つめた。そのときのアタシは縋るような懇願するような表情だったと思う。どうかそれは違っていてくれと祈っていた。
「ぇ………いや………なつき…ちゃん…?」
Pの顔が…きょとんとしているだけだったPの表情が…強張っていた…。
まるで、何か思い当たる節があるっていうか、聞かれたくないことを聞かれてしまったっていうような…そんな顔…。
それだけでもう十分すぎるぐらいの答えたっだ。
「な…なんの…こと…? 夏樹ちゃん…?」
作り笑いを浮かべてシラを切るつもりらしいPを今度はしっかりと睨みつけ、言い放つ。
「い゛つからあ゛の社長と寝てるのかって話だよっ!!」
「っ!!??」
Pの顔が見る見るうちに青くなっていく。目は泳いで、唇はフルフルと震えて、肩をブルブル震わせて、ただでさえ小さいのに余計に小さく見える。
「ど………どうして…知ってる…の?」
「ン゛な゛ことはどうでもいいだろうがぁぁっ!!!」
「うわぁっ!?」
Pのふざけた言葉に耐えかねて胸倉に掴みかかると、Pは足をもつれさせ後ろに転び、アタシはそのままPの腹に馬乗りになった。
「はぁ゛〜〜はぁ゛〜〜ふ、ふざけんな゛…よ…オマエ…ふざけんな゛よ゛…っ!」
「ぅ…いつつ……」
アタシは胸倉を放さず、鼻先が擦れそうなくらいの至近距離でPの両目を睨みつける。
アタシとだりーが掴んできた成功が端から端から穢れていく…。
アタシとだりーの立っていたステージがどす黒い沼地だったことに戦慄する…。
築いてきたプライドがズタボロに崩されていく…。
「オマエ゛……な゛にやって゛んだよぉぉっ!!」
「ぅっ…な、つきちゃん……っ!」
これまでの人生、まぁ言う程長く生きてもないが、こんなにも憎しみを持って人を見たことはなかった…。
憎しみ…こりゃあ最悪の感情だ…。身体はワナワナ震えるし、動悸はしてくるし、気を抜いたら狂って叫んじまいそうになる。
15 :
◆ao.kz0hS/Q
[saga]:2017/02/25(土) 22:06:04.84 ID:CYpm3u/s0
「夏樹ちゃん…は…はなしを…」
「う゛るせぇぇぇぇえ゛え゛っ!!」
PはPで今にも死ぬんじゃないかってくらい泣きそうな顔してるし…泣きたいのはこっちだってのに…。
「は…………はは…くくっ……ははは……ひゃははははっ………」
「な、夏樹ちゃん…?」
何かのメーターが一周して大笑い。からっからに乾いた笑いが腹の底から溢れてきた。
「ははは……そうか…アタシの思い違いだったわけだ……くふふふっ…最近売れて゛きた゛と゛…ファンが増えて゛きたと思ってたのも……そうか…全部アンタのおかげか……はははっ………」
「ち、違う…それはちがうよぉ……」
「ははは…なにが?」
「確かにあのフェス以来、お仕事が増えてきたのは…○○社長に…お、お願いしたからだけど…っ! でもっ、それはただのきっかけなんだよ…!」
「はぁ?」
「そのきっかけを活かして…チャンスをモノにして…ファンを増やしてこれたのは…夏樹ちゃんと李衣菜ちゃんだったからなんだよ!」
これまで見たことのない必死な顔にアタシは思わず息を呑む。
「だっ、だったら゛…っ! そんな゛…枕なんてことしなくても゛…いつかは…頑張ってれば…いつかはここまで来れたんじゃないのかよ゛…っ!?」
「ぁ……ぅ…ごめん…ごめんね……」
「は? なんだよ?」
「ウチみたいな小さなプロダクションじゃ…いや違うね…ボクじゃだめだったんだよ…」
そのときPは笑ったように見えた…。でもそれが笑っていたはずがない。だって同時にボロボロと大粒の涙を流していたんだから。
「ぼ、ボクの力じゃ…きっかけを作ってあげることさえできなかったんだ…ボクには小さな仕事しか…そんなのをいくら続けたって、
せいぜい小さなライブハウスが埋められるくらい…そんなんじゃスターにはなれないんだよ…」
「そ…んなの…やってみなきゃ…わかんないだろ…」
「ボクは…っ! 初めて…夏樹ちゃんの歌を聴いたその時から…夏樹ちゃんが……夏樹ちゃんがスターになるための手助けをしたいって………。
でもボクが役に立つにはもう…これしか方法がなかったんだ……。ごめん…ボクの勝手で…ごめん…夏樹ちゃん…」
「は………んだよ、それ……」
スターになるにはアタシのロックだけじゃダメで、アイドルなんてやって…でもアイドルもやってみれば案外悪くなくて…アタシは…ハートがロックならアイドルでもなんでも良くて…。
でも、こんなことを足掛かりにするだなんて……!そんなの全然…っ!
何もすぐに売れなくたって良かったんだ…。少しづつで良いから実力で…自分たちのロックと音楽でチャンスを掴んで、ファンを増やしていけば良かったのに…。
いや…。
そうなるはずだったんだ…。
そうなるはずだったんだよ!!
それを…コイツは……っ!
16 :
◆ao.kz0hS/Q
[saga]:2017/02/25(土) 22:07:47.34 ID:CYpm3u/s0
「ぅぐっ…! な、なつき…ちゃ……か、は……っ!」
それなのにコイツは!
頼んでもいないのに、あんな手段を使って!
アタシとだりーの音楽に泥を塗るようなことをしやがった!
アタシとだりーでちゃんとやっていけるはずだったのに!
「…ぅ…ぁ……くる…し……!」
コイツが悪いんだ…。
コイツが全部悪い…。
あんな汚いモノ見せられて…死ぬほどゲロ吐いて…プライドを傷つけられて…アタシはなんて可哀想なんだ…まったく…。
「……な、つ………たっ…す……け……」
別にPをどうこうしようってわけじゃない。
ちょうど近くに細い首があったから掴んでみただけ。
アタシの苦しみをちょっとでもわからせてやろうっていう、茶目っ気さ。
そしたらPの奴、目を見開いて、口を鯉みたいにパクパクさせて…本当に良い反応しやがるから、アタシもつい調子に乗って少しずつ手の力を強くしてしまう。
男のくせにこんな華奢な首しやがって、本気で力を籠めたら折れてしまいそうだ…。
顔は真っ赤、目も虚ろになってきたのを見て、流石にブレーキ。それと同時に頭の中のぐちゃぐちゃも落ち着いてきた。
そこで気付いた。
小さいけど妙な異物感…。
尻の下にさっきまでなかった筈の何かが現れていたことに気付いたんだ。
アタシはPの腹というよりかは股間辺りに乗っかっていた。
そこに突然現れた何か硬い棒状のモノ…。
「は……? アンタ…冗談だろ……」
「かはっ! はぁ゛ー゛ー゛ー゛っ、はぁ゛ーーーっ、はぁーーーっ!」
このときのアタシの心情はなんだったろうか?
呆れ? 悲しさ? 失望? 怒り? 一番近かったのはたぶん、悔しさだ。
「はぁーー、はぁーー、はぁーー」
Pはぷるぷる震えながら怯えるような目でアタシを見ていた。
なんなんだコイツは…。
首を絞められて股間をおっ立てて…なんなんだこのド変態は…。
豚男に進んで犯されに行って、土下座して、女のアタシに簡単に組み敷かれて、抵抗もできず殺されそうになって…。
こんなヘタレが男だと…いや、自分と同じ人間だと思えなかった。
そんなに奴にずっとプロデュースされていたことがたまらなく悔しい。
「はは…なんだよ…この硬いのはよ……」
「ぁ…いや…これは…っ!」
尻に感じる硬さは少しずつ存在感を増している。
そこで…アタシの心に魔が差した。
もしこれがあの豚男みたいな奴だったら話は別だが、コイツは見てくれだけは美少女…。
その美少女の股間にどんなモノがぶら下がっているのか、なんの気の迷いか分からないが、アタシは純粋に興味をそそられてしまったんだ。
「…くくっ……見せてみろよ」
「な…待っ! やめて……っ!」
アタシは腰を上げ身体をPの横にずらして、そのベルトに手を掛けた。
Pは慌ててそのアタシの手を掴もうとするが…。
「さわるなっ!!!」
「っ!」
一喝してやるとPの手はピタリと止まった。
そんでまるで飼い主に叱られた小型犬みたいに、色んな気持ちが綯交ぜになってそうなつぶらな瞳でアタシを見つめてくる。
憐れを通り越して滑稽ですらある。
17 :
◆ao.kz0hS/Q
[saga]:2017/02/25(土) 22:09:27.73 ID:CYpm3u/s0
「あの豚に触った汚い手で…アタシに…触るんじゃない……!」
「ぅ………ぅぅぅ〜〜っ」
「そうだ…オマエはそうやってじっとしてりゃいいんだ……何もするなよ…」
怒鳴ってPを自分の言いなりにすることは妙な快感があった。
アタシがしようとしていることも、このドス黒い昂ぶりも、決してカッコいいモノなんかじゃないし、絶対に人に言えるモノでもない。
でも、だからってそれがどうした。
相手はコイツ…この変態だ…。
こんな奴に人と同じ人権なんて、ない。あるわけがない。
だからアタシが良心の呵責を感じる理由も…ない。
「よい…しょっと!」
「んわぁぁあっ!?」
ベルトのバックルを外し、スラックスのジッパーを開け、スラックスとトランクスを一気にずり下げる。
勢いよくブルンと現れた肉の棒は、Pの腹と同じきめ細やかな白い肌に覆われていた。
その綺麗な艶肌は触り心地が良さそうに見えて、サイズが近いこともあってか赤ん坊の腕を連想してしまう。
「はは……アンタらしく可愛らしいヤツじゃん…」
「んあっ!? やっ…っ!?」
長さは十数センチぐらいだろうか。
どうやらホーケーというヤツらしく、先端の皮の開き口から桃色の肉がチラ見していた。
そして何より…。
「え……あれ…あはっ! アンタ、毛は!? 生えてないの?」
「やぁぁぁぁ〜〜〜っ!」
Pの股間には毛が一切生えていなかった。
男も女と同じように、というか女よりもモサモサに生えているものだと思っていたが…?
ま、こんな女みたいな奴だし…?
「み、みないでよぉっ!」
「オイ、隠すなって。はははっ! 聞いてんだろ? 答えろよ」
Pが手で覆って隠そうとするのを手首を掴んで邪魔をして、この可愛らしい不毛地帯の理由を問い質す。
「ぅ……ぅぅぅっ…○○社長が……ツルツルにしろって……」
「………は?」
だけど、その返答はアタシの期待とは違った。
アタシはてっきりPの体質かなんかだと思っていたのに…。なんで豚野郎の趣味を知らされなくちゃならないんだろうか…。
不意打ちで汚物を見せられたようなもので、一瞬だけ穏やかになりかけていた気持ちがこれまで以上に黒く燃え上がっていく。
「ぎゃんっ!」
手が汚れるとかそんなことはどうでもよくなって、力いっぱいPのアレを握ってやると、Pが面白い鳴き声を出した。
「ははっ! ……こうするんだっけかっ!」
「あうぅぅっ!? やっ! やぁぁぁ〜〜っ!!」
そして握ったままガシガシと上下に何度かシゴいてやると皮が剥けたらしくテカテカのピンク色が顔を出している。
その後も、力任せにシェイクしてやろうとしたら…。
「痛っ!」
「おっと…悪い」
腰をびくつかせてPが痛みを訴えたので、手の動きを止めてPを見ると、Pと目が合った。
18 :
◆ao.kz0hS/Q
[saga]:2017/02/25(土) 22:10:56.97 ID:CYpm3u/s0
「もうやめてぇぇ…お願い…こんなことはもう……っ」
Pの泣き願を向けられるとハラの奥がジクリと甘痒く疼いて、アタシは顔がいやらしく歪んでいくのを止められなかった。
そこで手の中のPが脈打つとアタシの心臓もでっかく跳ねて、頭のてっぺんから指先までが気持ちよく痺れるっていう関係性に気付く。
気付いちまったらもう止められなかった。
「やぁぁぁっ! もっ…やめ……んんんっ!!」
「わかってるって! はぁ、はぁ…痛くしなけりゃいいんだろ…っ!」
「ちがっ……おねが…いぃぃっ! んあぁ…はぁぁっ!」
手の平と指で撫でるように優しく扱くやり方に変えると、途端にPの声が甘くなる。
それを聴くとアタシの胸の甘いズキズキは天井知らずに大きくなっていく。
アタシはもっとズキズキしたくて、Pのナニに刺激を与えるのに夢中になった。
アタシに触るなっていう言いつけを律儀に守って、胸の前で祈るように手を組んで、恥辱に泣きながら喘いでいるPの姿は、正直にいうと堪らなく可愛く見えて、堪らなくイライラして、アタシの手の動きはより一層入念になる。
「はぁ、はぁ…はは…アンタは…本当に……ははははっ…サイテーだな…っ!」
「あぁぁぁっ! だめぇぇぇ! おねがい夏樹ちゃん…も、もう…やめてぇぇぇっ!」
「え、なに? どうなんの? なぁ!? どうなんの!? あははははっ!」
「ぅぅうぅっ! はぅぅぁああっ! んああぁぁん…!」
Pの腰がカクカクと動き始める。その動きはアタシの手から逃げようとしているようにも、もっと欲しがっているようにも見えた。
気付けばPの先端から何かヌルっとした汁が出ていて手が汚れている。
でも何故か…ド変態で穢れたPの汚い汁のはずなのに…別にそんなに不快じゃなくて…。
そのヌメリも使いながらPを可愛がってやり始めると、当然Pのナニもテラテラとし始めて、その卑猥さにアタシの胸がまたズクンと痛む。
「はぁぁぁぁっ!! やぁぁぁぁあああっ!!」
肉棒はもう破裂寸前の風船みたいにパンパンに張って、Pの腰の動きと鳴き声は動物じみてきている。
そして…。
「んああっ!!!」
一瞬だけ全身を硬直させ、直後腰が痙攣し始めるのと同時に、Pのピストルから白い弾が飛び出した。
「んああっ! はぁうぅぅっ!!」
「うわっ! すご……」
それは確かにドピュだとかビュルルだとかって擬音を付けるのに相応しい勢いだった。
床に寝そべり、ほとんど真上に向けていたナニから噴射されたソレは一メートルは飛び上がったんじゃないだろうか。
そのほとんどはPの太もも辺りに降り注いだけど、いくらかはPのスラックスを汚し、そしてほんの少しはアタシの指を汚した。
19 :
◆ao.kz0hS/Q
[saga]:2017/02/25(土) 22:12:10.69 ID:CYpm3u/s0
「ぅ……ぅぅぅ…ぅぅぅ〜〜〜〜〜ぐす……っ」
出すものを出し終わり、Pのピストルがデリンジャーになった頃、Pは股間をまる出しにしたまま両手で顔を覆ってさめざめと泣き始める。
「はっ………情けないヤツ」
「うぅぅ…っ! ……ふぐっ! ……ひっく!」
Pのワイシャツに手の汚れを擦り付けると、Pは何をされたのかわかったらしく、泣き声を大きくした。
静かな事務所にPのすすり泣きだけがさめざめと響く。
アタシを駆り立てていた激しい衝動は急激に冷え込んで、その反動からか重く深い倦怠感と、我を失ってしまっていた自分自身への嫌悪感を覚え、自然とため息が漏れた。
「はぁ〜〜〜………死にたい………」
「ふぇ…?」
耳ざとくそれを聞いていたらしいPが気の抜けた声を出し、情けない顔をさらに歪めていく。
「ぁぁ…夏樹ちゃん…そんなこと…死ぬだなんて…ふぐっ……言わないでぇぇぇ…っ! だめぇぇ! 死んだらお終いだよぉぉ…っ!」
「うわっ!? こ、こらっ、離れろ…っ!」
「ボクのことが気持ち悪いなら…うぅぅっ! ひっく……べ、別のプロダクションに移籍できるようにするから…っ! だから…死なないでぇぇぇ〜〜〜っ」
「はぁぁ!? 死ぬわけないだ…ろっ!」
「んあぁっ!?」
急にゾンビみたいに這いつくばりながら縋りついてきたPにビビッて、慌ててデコを押して引き離す。
「本気なわけないだろ……はぁ……アンタ、いつまで丸出しにしてるんだよ…」
「あっ! あぅ…恥ずかしい……」
ヨタヨタと立ち上がりトランクスとスラックスを穿き直すP。
「ぅぅ…濡れてて気持ち悪いよぉ……」
そんなこと知るか。そう胸の中でツッコむとまた一段とダルさが増したような気がした。
「………バカバカしい」
こんなナヨナヨしたヤツのことで、これ以上悩むのが馬鹿らしくなってきた。
ついでにあの豚のことももう思い出したくない。
かといって別のプロダクションへ行って心機一転やり直すという気にはなれそうにない。
それに手段はどうあれ、スターへの道が朧気にも見えている今の環境のことを思い返すと……ロックの欠片もない現実的な判断を下してしまう自分に嫌気が差す。
吐きまくって、怒鳴り散らして、Pをイジメた挙句、結局アタシが選ぶのは現状維持だった…。
もし…。
もしも、だりーだったならどんな選択をするのだろうかという考えが頭をよぎった。
ひょっとするとだりーならこんなクソッタレな現実を前にしても、アタシには思いもつかない真っすぐで、強くて、ロックな道を選ぶんじゃないか…? と、そこまで考えて妄想を振り払う。
いくらなんでもだりーにはこんな汚いモノ見せたくない。
「事務所は辞めない…アンタも…好きにしな」
「え…夏樹…ちゃん…?」
「これまで通りよろしくってことさ…。はは…カッコ悪くて死にたくなるな…」
「ぁ、夏樹ちゃん…っ!」
Pが呼ぶのにも構わず事務所のドアへ向かい、外へ出る。
外の寒さはさっきよりも厳しくなっているように感じられた。
だりーはもう寝ている頃だろうか…?
早く明日が来てほしい…。
無性にだりーに会いたかった。
20 :
◆ao.kz0hS/Q
[saga]:2017/02/25(土) 22:13:56.10 ID:CYpm3u/s0
◆◇◆◇◆◇◆
「ふぁぁぁ〜〜ねむい〜〜」
結局昨日はメッセージの着信音が鳴りやまなくて、みんなに返信してたら睡眠不足になっちゃった。
やっぱりあの音楽番組に出たらそうなるよね〜〜。
アイドルやってるのを知ってた学校の友達からはもちろん、顔を知ってるだけだった人からも(あ、そういえばどこから私のID知ったんだろ…? ま、いいや! これも有名税ってヤツかなっ♪)アイドル頑張ってねって言ってもらっちゃったり。
そうなると返信の文章にも力が入るってもんですよ!
やっぱりファンは大事にしないとね!
「ファン…ファンかぁ……へへっ!」
低空飛行の期間は長かったけど、少し前から大きなお仕事も増えてきてなんだかいい感じ!
昨日までは知る人ぞ知るアイドルユニットって感じだったけど…え、来てる?
もしかして私たちの時代来てる!?
昨日の歌番組出演で更に火がついちゃう!?
「うっひょー! アイドルリーナ! 新章かいま……あ」
道行く人の冷たい視線…。
そういえば通勤時間の街中だった〜〜。
うひゃ〜〜!
「……ごほんっ…さ、さ〜急がなきゃなぁ〜〜」
振り上げかけた手を下ろして、その場からエスケープ!
向かうのは学校じゃなくて事務所。
お昼前に音楽雑誌の記者さんからの取材を受けるんだとか。
今日学校へ行けばきっと皆にスター扱いされたんだろうけど、お仕事なら仕方ないよね。かなり残念だけど!
事務所のドアを開ける前に深呼吸。
途中からちょっと小走りだったけど、髪ぼさぼさになってないかなぁ…。
うん…たぶん大丈夫…よし!
「おはよーございまーす!」
ギィギィ鳴るドアを開けながら、誰に向けるでもない元気な挨拶を一発。
目が合った事務員さんに改めて挨拶しつつ事務所の奥へ。
パーティションからひょっこりと顔半分を出して覗くと…あ、やっぱりもう来てる♪
でもさっきの私の挨拶は聞こえていなかったみたいで、パソコンを見つめてお仕事続行中。
もう一度髪に手櫛をかけて、パーティションから身体を出した。
「おはようございます、P−さんっ♪」
昨日のテレビのお仕事を取って来てくれた偉大な私のプロデューサーに、精一杯の元気を籠めて挨拶する。
するとPさんの瞳がこっちを向いて…。
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