【R-18】春の訪れ。

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1 : ◆rW0AlyRPYU [saga]:2017/04/15(土) 15:09:43.18 ID:tWGyrXt50
このSSはR-18要素を含みます。
皆様からのコメントはモチベーションに繋がりますので、ぜひよろしくお願い致します。
2 : ◆rW0AlyRPYU [saga]:2017/04/15(土) 15:10:11.71 ID:tWGyrXt50
春。

四月より私は学校の先生になります。

きっかけはほんの小さな憧れ。

学校の先生が羨ましかったからです。

生徒の質問に答えるあの姿。

先生は光り輝いて見えました。

ここだけの話。

「せんせいはなんでもしってるの?」

なんて。

質問をしたこともあります。あ、内緒ですよ?

まぁとにかく。

私はそんな光り輝く先生に憧れて先生を志しました。

もちろんその道は生半可な気持ちではダメでした。

次第に難しくなっていく授業内容。

ついていくのに必死で、お勉強、お勉強、お勉強。
3 : ◆rW0AlyRPYU [saga]:2017/04/15(土) 15:10:39.84 ID:tWGyrXt50
学校でも家でも、高校の通学に使う電車の中でも。

ずーっとお勉強をしていました。

......あ、無理のない範囲です!

ご飯も睡眠も、部活もやっていました。

ずーっと勉強というのは語弊がありました。

ここに謝罪申し上げます。

まぁ程々に、人一倍努力しました。

明確な目標が決まっているからこそ。

中学校に通う当時の私は大学を決めていました。

なかなかいないですよね、大学まで決めるなんて。

でも、私はそれだけ必死でした。

私が教壇の上で輝けるその姿を待ち焦がれて。

他でもない私がずっと待っていました。

だから。

先生になれると決まったときは嬉しかったです。

思わず羽目を外しちゃいました。

あまり得意ではないお酒を無理矢理飲んで。

次の日に頭が酷く痛かったのは今でも忘れてません。
4 : ◆rW0AlyRPYU [saga]:2017/04/15(土) 15:11:08.76 ID:tWGyrXt50

ぼんやりと、つまらない私を振り返ったところで。

ようやく始まります。

とてもとても、希望に満ち溢れた────




────私と可愛い生徒のお話が。

5 : ◆rW0AlyRPYU [saga]:2017/04/15(土) 15:11:41.27 ID:tWGyrXt50

「私の名前は宮永綾音と申します」

私が青春時代を過ごした高校は黒板だったけれど。

この学校の板書はホワイトボードのようで。

黒のペンで真っ白な板に書き慣れた名前を書き綴る。

うん、我ながら綺麗な字で書けた。

書き終えると、改めて前を向く私。

目の前には約30名の男子生徒。

全員が、男子生徒である。

偶然に偶然が重なって、とかではなく。

なるべくして、このクラス構成となった。

なぜならこの学校は男子校だから。

育ち盛りな男の子の学び舎。

私は、男子高校に赴任したのです。

「大学を卒業後、そのままこの学校に来ました」

ありがたいことに声がかかったのです。

もしよければ我が校に来ませんか、と。

招かれては断れないし、至極恐縮なことで。

私は二つ返事で引き受けさせて貰いました。
6 : ◆rW0AlyRPYU [saga]:2017/04/15(土) 15:12:07.51 ID:tWGyrXt50

「なので未熟な点が多々あると思いますが」

いんたーねっとを使っていっぱい調べた。

新任の先生が心得ておくべきこと、とか。

自己紹介は家で練習したから大丈夫。

今のところは完璧なはずです。

でも、これから先、慌ててしまうことがあるだろう。

初めてで慣れないことが続くのだから。

「どうぞよろしくお願い致します」

私は深々と頭を下げた。

彼らは私に教わる立場であり。

彼らは私の失敗を見守る立場でもあるのだから。

次の瞬間、盛大な拍手が私の耳に届く。

頭を上げ、辺りを見渡すと。

「......ありがとう、ございます」

それだけでもう泣きそうになってしまいます。

だって暖かい光景が広がっているのですから。

よかった、と思えた。

この学校に、このクラスを請け負えて、よかった。
7 : ◆rW0AlyRPYU [saga]:2017/04/15(土) 15:12:59.36 ID:tWGyrXt50

私が再びお礼の言葉と共に頭を下げると、

「せんせー、質問いいですかー?」

と。

さっそく私に興味を持ってくれた子が。

この後で質問を受け付けようと思っていたのに。

質問がゼロの時のために心の準備をしておいたのに。

ありがたく、質問をしてくれた。

「はい、どうぞ」

私は名前も分からぬ子に、質問の許可を与える。

「趣味はなんですかー?」

ありきたりな質問。

もちろん、考えてきていますとも。

ありきたりな質問に対して、ありきたりな回答で。

「料理、とか好きです。あくまで趣味の範囲ですが」

そう私が答えると、ちょっとした歓声が湧き上がる。

今度作って来てよ、とか。

何が得意なの、とか。

私に興味を持ってくれているようで、何よりです。

でも、少しだけプレッシャーかもしれません。

興味と期待に応えられるか、どうか。

数々の声が上がる中、一際大きい声が上がりました。
8 : ◆rW0AlyRPYU [saga]:2017/04/15(土) 15:13:27.08 ID:tWGyrXt50

「先生、僕からもいいですか? 質問」

さっきの子とは別の子が、質問をしてくれました。

もちろん私は許可を出します。

「先生は彼氏とかいるんですかー?」

す、少しだけ予想外でした。

出会い頭にプライベートに突っ込んでくるとは。

ふふ、でも私は割り切っているので答えます。

清廉潔白のこの身を主張します。

「残念ながら、お付き合いしている人はいません」

また、声が上がります。

ざわざわとした空気。

男の子らしい話題に、男の子らしい反応。

思わず笑みが溢れてしまいます。

「告白されたことはあるんですかー?」

「の、ノーコメントで!」

咄嗟のことで声を大きくしてしまいました。

そこはあまり触れて欲しくなかったものですので。

「告白されたことあるに決まってんだろ」

「あんなに美人なんだぜ」

「黒髪ロングの眼鏡とかよー」

「しかもスーツをピシっと着て、黒のタイツで」

「k....にゅ....で、色も白くて」

「...ろ...像でしか見たことないぜ」

耳を澄ませば、様々な声が聞こえてきました。

後ろの席の子達の話は聞こえなかったけれど。
9 : ◆rW0AlyRPYU [saga]:2017/04/15(土) 15:13:55.44 ID:tWGyrXt50

褒めてくれているようで、曖昧な気持ちになります。

嬉しいような、でも少しからかわれているような。

私は苦笑いを浮かべながら。

ざわつきが収まるを待ちました。

待つといってもそれほど長い時間ではなく。

ほんの10秒程度の短時間です。

静まってきた頃合いで、

「他に質問ある子、いますか?」

私の問い掛けに、何人かの生徒が反応を見せます。

手を挙げてくれた4名。

右側の席から順に、指名していきます。

「なんの質問でもいいですかー?」

「はい、なんでもお答えします」

「怒ったりしないですか?」

「怒りません。あまりにもしつこい質問とか以外は」

「じゃあ......先生の胸は何カップですか?」

「っ!?」

ガタッと私は教壇の上を一歩下がります。

誰だってそうなると思います。

そんな質問を急にされたら。

数秒間、脳内の思考が停止しました。
10 : ◆rW0AlyRPYU [saga]:2017/04/15(土) 15:14:35.92 ID:tWGyrXt50

しかしすぐに復帰した私は、

「こ、答えないとダメ......かな?」

苦笑いを浮かべながら聞いてみます。

もし彼が答えろ、と言ったら答えましょう。

可愛い生徒からの質問なのですから。

それに......男子高校生なら、それくらいは。

うん、一応私は女性だし、彼は男の子だし。

気になって貰えているのは、嬉しいことなのかな......。

健全な年頃の男の子なら、尚更。

「答えて貰えると嬉しいかなーって」

うんうん、と同調して頷く彼の周りの生徒。

それは次第に広がり。

気が付けば全員の熱い眼差しが私に突き刺さる。

「じ、Gカップ......です?」

どうしてか疑問形で。

私は正直に答えた。

我ながら、バカなことをした。

自嘲する私と、一層に大きく歓声をあげる生徒君。

なんともこの空間に居難い空気に圧倒される。

「つ、次の質問! は、何かな......?」

少しだけ声を大きくして残りの3人に聞いてみる。
11 : ◆rW0AlyRPYU [saga]:2017/04/15(土) 15:15:03.13 ID:tWGyrXt50

しかし返ってきたのは、

「もう知れたので大丈夫です」

という声が3つ。

つまり質問のある4人が全員、同じ質問内容だった。

そういう訳で、より一層気まずくなってしまった。

はぁ...。どうなることやら、この教師生活。

期待に胸を膨らませていた私は何処かへ。

いつしか不安でいっぱいな、私でした。


12 : ◆rW0AlyRPYU [saga]:2017/04/15(土) 15:15:45.45 ID:tWGyrXt50

「最初の挨拶は如何でしたかな、宮永先生」

初日は午前中だけで生徒さん達は帰宅。

昼食を終え、職員室の机で書類に目を通していた時。

いかにも。

といった雰囲気の男性が声をかけてきました。

「あ...教頭先生。まぁまぁ上手に出来たと思います」

若干目を逸らし気味に言ったのは。

つまり、自分でも思う節があったということです。

「男の子が考えていることは分かりませんから...」

そう付け加えると教頭先生は、

「はっはっは。先生は思いつめ過ぎですよ」

わざとらしく笑ってみせました。

「思いつめ過ぎ、とは?」

「いやなに。簡単なことですよ」

「...?」

「男子高校生は一桁の足し算より単純な生き物です」

「は、はい」
13 : ◆rW0AlyRPYU [saga]:2017/04/15(土) 15:16:26.89 ID:tWGyrXt50

「思いつめず、適当にやってみてはどうでしょうか」

「......」

適当に。

その一言は私の胸の奥に大きな傷として残った。

精一杯、勉学に励む生徒の裏で。

そんな風に思っていたのか、と。

悲しく、哀しく、可哀想。

私は。

私だけでも、絶対に。

生徒と一緒に歩んで、ゴールである卒業まで。

心身ともに生徒達と一緒に在り続けることを。

ここに誓いました。

14 : ◆rW0AlyRPYU [saga]:2017/04/15(土) 15:17:02.72 ID:tWGyrXt50

二日目の朝、私は校門に立っていました。

晴々しく登校してくる生徒に、挨拶をするために。

「おはようございます」

挨拶を返してくれるのは半々といったところ。

少し残念だけれど、こんなものでしょう。

むしろ半分の生徒が挨拶を返してくれただけでも。

私は恵まれているのかもしれない。

「おい、あれ...」

「あれが噂の......?」

「見ろよ、めっちゃky...にゅ...だろ?」

「...ってるとしか思えないよな」

校門を通り過ぎ、昇降口に向かう彼らの話し声。

見たところ新二年生でしょうか。

どこか初々しさを残しつつ、先輩らしい姿。

一年も通えば慣れ親しんだ足取りで歩いています。

会話の内容は聞こえませんでしたが、仲が良さそう。

なによりです。

せっかくの高校生活ですからね。

学業と両立して楽しんでいただきたいものです。
15 : ◆rW0AlyRPYU [saga]:2017/04/15(土) 15:17:37.82 ID:tWGyrXt50

と、そんなところで。

朝の職員会議10分前になりました。

ここより後に来た人と挨拶できないのは心苦しい。

けれど、私も先生としての仕事を全うしなければ。

早速問題が起きたとかの報告が無ければいいけれど。




16 : ◆rW0AlyRPYU [saga]:2017/04/15(土) 15:18:10.86 ID:tWGyrXt50

結果から言ってしまえば朝の会議は特別何事もなく。

今日の予定を一通り説明されて、終わった。

具体的には学校案内のスケジュール。

私のクラスは二時間目にあるらしいです。

つまりそれまでに色々と済ませておかなければ。

具体的には、

「......このくらいかな」

学校での注意や行事。

そして明日から始まる授業についての説明。

私自身が数年前に席について聞いていたことの数々。

共学と男子校ではかなりの差があると思ったけれど。

案外そうでもなく、普通なことばかりでした。

「じゃあ次は......」

思ったよりもみんなが静かに聞いてくれたおかげで。

半分以上も時間が余ってしまいました。

となると、やっぱりアレかなぁ。
17 : ◆rW0AlyRPYU [saga]:2017/04/15(土) 15:18:38.92 ID:tWGyrXt50

「みんなの自己紹介の時間に、する?」

定番でしょう。

二年生や三年生はともかく。

新一年生のみんなは。

前後の席の人の名前すら分からないのですから。

しかし気が進まない人もいるでしょう。

私だってそうでしたから。

今でこそ出来るけれど、中学高校の頃は。

人前に出て話すことを苦手としていました。

でもやらないといけません。

もしかしたら自己紹介がきっかけになるかも。

「お名前と出身中学、あとは趣味とか」

もちろん名前も学校も覚えれないはずです。

でも共通の趣味を持った『誰』を見つけてくれれば。

あとは、改めて個人同士で自己紹介してくれるはず。

「じゃあ......申し訳ないけど、前から。お願いします」

私の呼び声に、出席番号一番の方が教壇に立つ。

私は、入れ替わるように後ろへと下がった。
18 : ◆rW0AlyRPYU [saga]:2017/04/15(土) 15:19:18.12 ID:tWGyrXt50

そして始まる自己紹介。

一人一人の趣味を聴き漏らさず。

尚且つ、ノートにメモを取っていく。

今年度が終わる頃には。

個人のページが文字でいっぱいになってるはずです。

「じゃあ次。二番の方」

一人当たり三十秒程度。

少し短めだけれど、最初は誰でもこんなもの。

私だって...ううん、十五秒くらいだったかもしれない。

「次。三番の方」



19 : ◆rW0AlyRPYU [saga]:2017/04/15(土) 15:19:55.91 ID:tWGyrXt50

次々と、自己紹介が終わっていく。

自己紹介だけでなく。

この一時間目も終わりを迎える。

そして二時間目。

生徒たちが引率の先生に学校案内を受けている間。

私は、私自身の人生史に残る一人の男性と出会う。

時には私を困らせ。

時には私を泣かせ。

時には私を笑わせ。

時には私を虐め。

時には私を犯し。

時には私を恥辱し。

時には私を凌辱をし。

ある時は、私を優しく抱きしめてくれた。

そんな素敵な男性に。


20 : ◆rW0AlyRPYU [saga]:2017/04/15(土) 15:20:32.42 ID:tWGyrXt50

二時間目。

私は教師人生初めての休みの時間でした。

本来なら職員室に居るべきだと思います。

でも、気になったので許可を得て出てきました。

私が興味を持ったのは、授業風景です。

教室の扉のガラス張りになっている部分。

そこから覗ける新鮮な授業風景。

たまーに授業中に廊下を歩いて回る先生。

それを今からやろうというわけです。

二年生と三年生は早速授業。

学校案内を受けている生徒と出くわさないように。

慎重に廊下を見て回ります。

あ。

あれは...数学かな?

数字使ってるもんね。

難易度が急激に上がることを知っているからこそ。

今のうちに基礎をしっかり学んでおくと便利だよ。

と、授業中の彼らに言い出せるはずもなく。
21 : ◆rW0AlyRPYU [saga]:2017/04/15(土) 15:21:06.59 ID:tWGyrXt50

私は道なりに廊下を進んでいると、

「あれ...」

ふと見てみた外。

制服姿の人影があります。

今は授業中のはずなのに...。

これは先生として、見逃せません。

私は予定を中断し、外へと向かった。



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