マリオ「最近、テニスやパーティーにゴルフばかりで…何かを忘れているような」

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2 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/06(土) 03:43:29.82 ID:jgCSYo4N0

マリオ「なぁ、ここの勘定は」

ルイージ「やだなぁ兄さん、来る時に言ったじゃん
     ここは僕持ちだって」


マリオ「…」






マリオ「払うのは構わないが…払えるのか?」

マリオ(俺達は"しがない配管工"…そんなに収入は無かっ…た?
    気がするんだが)


ルイージ「この前のゴルフ大会での賞金があるじゃないか!」

マリオ「ルイージ」


ルイージ「なんだい兄さん」






マリオ「前にも似たような事を言わなかったか? 三日前ぐらいに」


マリオ「この前はピーチ姫やヨッシーを誘っての登山だったが
    その時も代金はお前持ちだった、その前やもっと前だって…」


マリオ「俺はここ最近"配管工としての仕事"をしてない気がするんだ
    賞金があっても流石におかしいと思うんだ
    そんな収入どこにあったんだ?」


ルイージ「あー、実は兄さんには黙ってたんだけど前に宝くじが
     大当たりしちゃってそれでコインに困ってないんだよ」

マリオ「そうなのか?」

ルイージ「そうだよ」



コトっ


キノピオ「此方、ご注文のメニューになります」


ルイージ「さ、パスタも来たみたいだし、冷めないうちに頂こう」

マリオ(…)



―――
――




カランカラン

キノピオ「またのお越しを」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/06(土) 03:43:57.26 ID:jgCSYo4N0
ルイージ「そうそう、兄さん!実はさぁ今度また新しいテニス大会が
     開かれるんだよ、しかも賞金はなんと500コイン!」

ルイージ「こりゃ出るっきゃないっしょ!」

マリオ「…ん?ああ」


ルイージ「…ふぅ、上の空だね?」

マリオ「すまんな、こうして暇人の俺を誘ってくれたのに」

ルイージ「イイってイイって、我等が英雄スーパーマリオ様を
     お連れして歩いてるんだぜ
     僕だって街の若いお嬢さん方からキャーキャー言われたいさ」

ルイージ「僕は兄さんを利用してる、だからこれでトントンだ
     悪く思う必要性なんて何処にもないね」



マリオ(…えい…ゆう?)



マリオ「なぁ、弟よ」

ルイージ「はいはい?」




マリオ「俺って、さ…いつから英雄になったんだっけ?」




ルイージ「うーん? そんなの決まってんじゃん
     テニスやゴルフで数々のメダルやトロフィーの獲得
     王国に蔓延したウイルスの感染者を治した名医
     あ、あと街で評判のクッキー屋さんも営んでたじゃあないか」


マリオ「…"それだけ"だったか?」


ルイージ「そだよ、そんだけだね!」


「マリオさーん」


マリオ「ん?」

ヨッシー「いやぁ、お久しぶりですねぇ!」

ルイージ「うおっヨッシー!ヨッシーじゃないか!」

ヨッシー「いやぁ、どうもどうも、久しぶりに実家からキノコ王国へ
     遊びに来ましてね、あっ、これお土産のクッキーです」

ルイージ「おぉ、タイムリー! そしてヨッシー、今更だけど僕だけ
     名前呼ばないとかひどいんでない?」

ヨッシー「あっすいません、その、茂みの色と似てて、なんていうか
     マリオさんの姿しか…」

ルイージ「へぇへぇ、僕は緑の人ですよ」

ヨッシー「そういえばルイージさん!新しいカートの発注「ヨッシー!」


マリオ「カートの発注?なんだソレは」

ルイージ「え? あ、あー、実はテニスとは別で
     レーシング大会があるんだよ」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/06(土) 03:44:38.10 ID:jgCSYo4N0

マリオ「それは参加自由なのか?」

ルイージ「まぁ、ね」チラ


ヨッシー「あ、はい…参加はできますよ」


マリオ「俺には黙ってたのか?」

ルイージ「ごめん、僕さ、ホラ、兄さんと比べると影も薄いしさ
     何やっても勝てないからね…たまには人気者になりたいって
     それで兄さんに黙ってたんだよ」

マリオ「お前にはお前でいい所もあるし、お前のファンだっているだろ」

ルイージ「うん、ごめん兄さん」

マリオ「構わんさ、ところで、そのレーシングなんだが


     その…俺も参加しちゃ駄目か?」


ヨッシー ルイージ「えっ!」


マリオ「いや、お前の考えも分からんでもない、嫌なら良いんだ」


マリオ(レーシング大会、それに"出てたような気がする"
    それはすごく刺激的でまるで**してた頃を…)




マリオ(…?
           "**"してた頃? 何をしてたんだ?)


ルイージ「…」

マリオ「駄目か?」


ルイージ「…いーよ、はぁー、僕のカッコいい姿でファンを獲得しよう
     作戦もオジャンか」


マリオ「さっき、カートの発注って言ってたが
    カートは各自で用意するのか?」

ルイージ「うん、手続きとかは城の方でやってるよ」

マリオ「行ってみても良いか?」

ルイージ「どうぞどうぞ!兄さんがやりたいなら僕は止めないからね」

マリオ「すまない」ダッ







ヨッシー「行っちゃいましたね」

ルイージ「ああ、行っちまったな…」


ヨッシー「ごめんなさいルイージさん、僕が軽率な発言したから」

ルイージ「いいさ、遅かれ早かれ、こうなったさ」



ルイージ「…たまには忘れさせてあげたかったなぁ」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/06(土) 03:45:08.37 ID:jgCSYo4N0

キノコ王国城門前にて


キノじい「おお!これはこれはマリオ殿!

マリオ「どうもキノじい」

キノじい「本日はどのようなご用件で?」

マリオ「近々カートによるレーシングが行われるらしいじゃないか
    それの手続きが城でできると聞いてな」


キノじい「…左様ですか、ええ、承っております、案内いたしましょう」



コツコツ…

マリオ(…)

マリオ「なぁ、キノじい」

キノじい「はい?」


マリオ「この城って改装したりってしたか?」

キノじい「ほっほっほ、お分かりですか!」

マリオ「ああ、…なんだか前に来た時と内装が違う気がするんだ」

マリオ(それも"何度も変わった"ような気がする)


キノじい「この城も古くからある城ですからな
     人も建築物も同じですじゃ、時が経てば老いてやがては
     脆くなるのです」


マリオ「そうか」

キノじい「そうです」


ガチャ  ギィ…


キノじい「此方で手続きは行えます、ささ…どうぞ、机とペンを
     お使いくだされ」


マリオ「ああ」


ガチャ   バタン



キノじい「ふぅ…」


「じい…どうでしたか?」


キノじい「いえ、まだ思い出されてはいないようです姫」


ピーチ「そうですか…」

キノじい「また新しい大会やパーティーを企画しましょうか?」

ピーチ「お願いします」

ピーチ「あと、クッパ城にも使いの者を遣わせましょう」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/06(土) 03:46:03.83 ID:jgCSYo4N0
―――
――



カラン…!カラン…!


ヨッシー「すいませんねぇ奢ってもらっちゃって」チュー

ルイージ「ん、構やしないさ」



ヨッシー「…あれから、もう随分長い時間が経ったものですよね」

ルイージ「ああ、そうだね」







ヨッシー「今でも信じられませんよ
     マリオさんが身体を鍛えるトレーニング中に事故で
     頭を打ったなんて…」


ルイージ「…」





ルイージ「なぁ、ヨッシー
            "僕達は人間だ"」



ルイージ「スーパードラゴンの君やキノピオ達は長生きするだろう?」

ヨッシー「…はい」

ルイージ「でもね? 僕達は違うんだ」

ルイージ「普通に生まれてきて、普通に生きて、そして、老いていく…」


ルイージ「僕達は周りの人よりも生まれつき才能があったさ
     それこそ金メダリストも吃驚なヤツがさ」

ルイージ「テニスやゴルフ、果てはカートが大破するような
     過酷なレースでも堂々トップで
     未知のウイルスを撃退できるカプセルを出せる名医にもなり」

ルイージ「誰からも賞賛されたさ」


ヨッシー「…」


ルイージ「でもね、…やっぱり"人はどこまで行っても人でしかない"
     老いには勝つことができないのさ」

ルイージ「現に兄さんは『俺は以前に比べて衰えた』そう言ってたんだ」

ヨッシー「ええ、それは聴いています、昔は水中に何時間潜水してても
     高い所から落ちても平気だったけど、最近は辛くなったって」


ルイージ「そうだね…確か、"ピーチ姫が絵の中に閉じ込められた時"かな
     あの時ぐらいから兄さんは身体能力が落ちたかもって…」

ルイージ「脳みそにせよ、身体の筋肉にせよ、人体は使わなければ
     廃れていく」





ルイージ「いつしか兄さんは四六時中にトレーニングに励むようになった
     それこそ、碌な食事も睡眠も一切取らないで…」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/06(土) 03:46:54.34 ID:jgCSYo4N0

ルイージ「酷い時は地面に倒れててさ
     顔も蒼白で目の焦点も丸っきり合っちゃいない」

ルイージ「なんで、そこまでするのかも訊いた
     そしたらなんて答えたと思う?」


ヨッシー「『俺がいなくなったら誰が姫を救うんだ?』ですか?」


ルイージ「うん、正確には国民…いや困ってる人なら誰でもだね」




ルイージ「根っからの正義漢だよ、それも頭に馬鹿を幾つ付けたって
     足りっこない、真性の馬鹿だよ」

ヨッシー「オマケに冒険野郎?」


ルイージ「そー、そー、人助けもあるけど、過酷な冒険にチャレンジして
     己の限界を確かめたいor超えたいって考えもあるのさ
     ギネスブックも裸足で逃げ出すレベルの挑戦者だよ」




ルイージ「それでいて致命的なまでに"鈍感"な人だ」


ヨッシー「ええ、分かります」

ヨッシー「僕もルイージさんもキノじい、ピーチ姫…
     皆がマリオさんを心から心配しているというのに」

ルイージ「身近な人…好意を抱いてる人、同じ血を分けた身内
     誰もが英雄を心配してるのに気付かないで
     ひたすら無限の可能性を追い続ける……」

ルイージ「本当にどうしようもないくらい"鈍感"な人だよ」




ルイージ「僕はね、正直言って頭打った兄さんが
     冒険の事をケロッと忘れちゃった事を喜んでるのさ」

ヨッシー「それは、多分ピーチ姫も同じでしょうね」


ルイージ「きっと思い出せば、また無茶をする…
     だから僕に限らず皆が兄さんを休ませたいんだ」

ヨッシー「連日のように多額の賞金付きのスポーツ大会やパーティー
     すごい額の国家予算が使われているんですよね?」

ルイージ「ああ、ピーチ姫には頭が上がらないね、あっ、ウェイターさん
     スッキリドリンクとキノコケーキ追加で」


ルイージ「たった一人の人間の為だけに国家予算がガバガバ使われて
     でも市民は怒りさえしない」

ヨッシー「それだけマリオさんは皆に愛される英雄<ヒーロー>なんですよ」


ルイージ「…弟として鼻が高いよ」


ヨッシー「はっはっは、確かにルイージさん達は
     言葉通り鼻が高いですものね!」

ルイージ「ちょっ、うまいこと言ったつもりかい!?
     もうこれ以上、奢らないよ!?」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/06(土) 03:47:59.28 ID:jgCSYo4N0

―――
――



ゴボゴボ…っ ゴボゴボ…っ


キノピオ「…ふぅ、相変わらず此処は暑いなぁ」



ノコノコ「止まれっ!この先はクッパ大王様の居城であらせられるぞ!」

クリボー「この先を征くは偉大なる帝王に謁見を許されし者のみっ!」

テレサ「ヌシのような下々の者を帝の前にお連れするなど不敬そのものっ
    煮え滾る地獄の業火に身を焼かれたく無ければ早々に
    立ち去るが良いっ!」


       バァーン!





キノピオ「…」

ノコノコ「…」
クリボー「…」
テレサ「…」フフン





キノピオ「…えー、今日もピーチ姫からのお手紙をお届けに来ました」

ノコノコ「あっ、ども、お疲れさんです」

テレサ「ふっ、隣国の遣いよ、よくぞ業火の道を潜りぬけたな
    褒めてつかわそうぞ」
  訳(私達のお城はマグマの中心に建設されてますからね
    辛い暑さの中、遠くから来ていただきありがとうございます!)

クリボー「大した持て成しはできませんが冷水でも飲んできませんか?
     あっ、ウチの実家で取れた くりくりマロン食べます?」


キノピオ「ははは、ありがとうございます
     …あの口上は必ず言わなきゃ駄目なんですか?」



ノコノコ「あー、私共の方も仕事ですからね…」」

クリボー「誰か来るたびにあの長ったらしい台詞言わなきゃならないのは
     辛いッスよねー」


テレサ「我等が主が下した役割、故に真っ当する事こそ生きがいなり」
   (クッパ様が直々に下さったお仕事ですし
    私は特に不満はありませんよ? 今の仕事にやりがいがあって
    誇りも持っていますからね!)


キノピオ「では、此方がピーチ姫からのお手紙になります」


ノコノコ「あいよ、しっかり受け取ったよ」

クリボー「マグマに落としたりしないようにちゃんと届けるよ」

テレサ「天駆ける身を持つ我が行くとしよう、同胞よ!ここで待て」
   (空を飛べる私が届けておきますので、先輩達は引き続き
    門番のお仕事をしててください!)
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/06(土) 03:50:09.86 ID:jgCSYo4N0

【クッパ城:城主の間】


「むぅ…」

「クッパ様、おやつをお持ちしました!」

クッパ「そこに置いておけ」

カメック「ははぁっ」


ぺらっ ぺらっ


カメック「あのう、クッパ様」

クッパ「なんだ」

カメック「失礼ですが、ここ最近トレーニングをなされておりませんが
     宜しいのですか?」

クッパ「構わん」

カメック「はぁ…現在、キノコ王国とは協定を結んでおります
     今、この瞬間にも身体を鍛えておけばマリオにも――」


      ガ シ ャ ン !


クッパ「その必要は無い!」

カメック「は、はい、申し訳ありませんでしたっ
      失礼致します!」


どたどたどた…バタン


クッパ「…」


クッパ「フン、今の内に身体を鍛えろだと?」

クッパ「マリオが本調子で無い、この間に差をつけろだと?」

クッパ「バカモノめ…っ! ワガハイはクッパ大王だぞ
    誇り高きカメ一族の王だぞ!」



クッパ「…」



クッパ「それでマリオに勝利しても得られるものは栄光ではないのだ」

クッパ「残るものは虚しさだけではないか…」


トントン

クッパ「入れ!」


テレサ「主よ!隣国からの文をお持ちした!」
   (キノコ王国からのお手紙を持ってきました、どうぞ)

クッパ「うむ!確かに受け取った」

クッパ(・・・ふむ、カートレースが予定より早く開催される・・・か)

クッパ「ご苦労だった、戻っても良いぞ」

テレサ「お言葉に甘え戻らせて頂く!主よ
    あまり職務に気を張詰めぬよう懇願いたす」
   (失礼致します、クッパ様、最近、顔色があまり優れませんよ?
    お仕事も大事かもしれませんが無理はなさらないでくださいね)
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/06(土) 03:50:51.36 ID:jgCSYo4N0

「クッパ様、クッパ様!」トントン

クッパ「入れ!」


ノコヤン「ははぁ!」

クッパ「ノコヤンか…例の件か?」

ノコヤン「はっ!そうであります!」

クッパ「…今は、誰もおらん、話せ」

ノコヤン「では…兼ねてよりクッパ様が懸念なされていた事態ことですが
     場内に一部、現状に満足しない者達がいます」

ノコヤン「マリオが戦えない今こそ、クッパ軍団が先手を取るべきだと
     主張する過激派が少なからずいる事は間違いありません!」

クッパ「やれやれ、情けないことだ!」

ノコヤン「…かつて我軍の者は皆クッパ様へ
     絶対の忠義を誓っておりました
     ですが、最近の若者は如何せん忠義の足らん者もおり…」

クッパ「そういう事を聴きたいのではない
    ワガハイは今度開催予定のレースでソイツ等が邪魔をしないか
    聴きたいのだ!」

ノコヤン「それは、まだ判りません…クッパ様、恐れながら進言致します
     過激派の一部は顔が割れています
     今からでも罰すべきではないでしょうか?」




クッパ「断る」



クッパ「例え、裏切りを考えようと部下であることに変わりは無い」

ノコヤン「…ふふ、野暮な事をお尋ねしましたな
     このノコヤン、クッパ様へのご理解が足りなかったようです」

クッパ「構わん、それよりも引き続き調査を続けるのだぞ」

ノコヤン「はっ!」

ガチャ…バタン


クッパ「…ふぅ」


クッパ(…部下を纏める事が出来んとはワガハイも衰えたのかもしれんな
        互いに齢は取りたくないものだな、マリオよ!)




―――
――



キノピオ「やっぱりドルピック島のピンナパークで遊んだ事が
     一番の思い出ですかね」

クリボー「自分は家族旅行でゴロツキタウンに行ったことッスよ
     おっかないのに絡まれて、忘れられない思い出だったッス…」

ノコノコ「暗いなぁ、あっ私はマメーリア王国に遊びに行った時ですわ」

テレサ「同胞よ、戻ったぞ…隣国の遣いと何を語り合っているか!」
    (ただいま戻りました〜、あれ?皆さん何を話してるんですか)
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/06(土) 03:51:43.33 ID:jgCSYo4N0

キノピオ「あっテレサさん、おかえりなさい」

クリボー「おう、今、皆で思い出に残る旅行について語り合ってたんだ」

ノコノコ「有給取れたら、何処かに行ってみようと思うし
     皆の話を参考にしようって事で」

テレサ「旅の思い出語りか、フッ我も僅かならが力添えさせて貰おうか」
   (あっ!それ良いですねぇ〜、私もお話して良いでしょうか
    参考になるか分かりませんが)


キノピオ「どうぞ、どうぞ」

テレサ「我の印象に残る景色、それは天高き、雲海の王国也
    宿の寝具は言葉のままに天にも昇る夢心地よ!
    ソナタ等を極楽浄土へ誘う事も違いないだろう」
   (一番、思い出深いのはマシュマロ王国ですね
    あそこの名物は夢枕じゃないでしょうか?
    寝心地も良いですし、おススメですよ)


クリボー「ああ、それ良いかもなぁ」

ノコノコ「ゆったりとした眠りには就きたいですからな」

キノピオ「そうですねぇ、あっ、僕はそろそろ帰りますね」


クリボー「おう、お疲れさん、土産にいくつか饅頭でも持ってきなよ」

キノピオ「何から何まで、すいません」

クリボー「良いってことよ」

テレサ「遣いの者よ、せめてもの情けだ我が道中、付き添おうぞ!」
   (あのう、宜しければ見送り致しましょうか?)

キノピオ「あははは、ありがとうございますテレサさん
     でも大丈夫ですよ、これでもお城勤めですからね
     女の子に送ってもらうなんて悪いですよ」

テレサ「そうか、ならば致し方あるまい」
   (あぅ…、そうですか、道中気をつけてくださいね…)


キノピオ「それでは、さようなら!」




クリボー「おう、また来いよ!」
ノコノコ「お達者で!」

テレサ「…」ショボン



クリボー「しっかし、平和だよなぁ」

ノコノコ「基本、ピーチ姫攫わなきゃ私共も争いなんてしませんからね」


クリボー「…なぁ、不謹慎かもしんねぇけど、その」


クリボー「やっぱ、ルイージさん達にゃあ悪いけどよォ
     マリオさんの記憶は戻らねぇ方が良いんじゃねぇッスか?」

ノコノコ「このまま協定が続くからか?」

クリボー「そりゃあ、闘いは俺達クッパ軍団の"生きがい"だし
     なにより"誇り"でもある」

クリボー「けど、今のままってのも悪くねぇかなって思うんッスよ」

ノコノコ「…私には なんとも言えませんね」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/06(土) 03:52:40.30 ID:jgCSYo4N0

ノコノコ「君の主張も分からなくは無い」

ノコノコ「だが私は断然、マリオ殿には記憶を取り戻して欲しいと思う」

クリボー「…そうッスか」

ノコノコ「君も私も…無論クッパ様も
      皆、マリオ殿とは数年来の付き合いだ」

ノコノコ「何度も、拳を交えたからな何となく分かるのだ」

クリボー「拳を交えたって言うか、俺らが一方的に踏みつけられただけ
     だったッスけどね」

ノコノコ「水は射さんでください、…まぁ、マリオ殿は"無限の可能性"を
     求める挑戦者です、クッパ様はクッパ様でそんなマリオ殿を
      ご自分のお力で倒したいとお考えのお方」

クリボー「根っからの武人って奴ッスか」

ノコノコ「私も堂々と正面から闘いたい"好敵手"
     そういう認識である事に変わりはありません」


ノコノコ(ただ…
        だからこそ"英雄"には英気を養って貰いたい
      クッパ様ならそう、お考えになる筈だ)


クリボー「ハァ、お前はマリオさんが記憶を戻す事に"肯定派"なのな」

ノコノコ「君は"否定派"のようですね…勘違いして欲しくありませんが
     私は別に平和が嫌いという訳ではありませんよ?
     マリオ殿の記憶が戻るまではこの平和を楽しみたいソレに
     変わりはありません」

クリボー「ふぅん」









テレサ「隣国の遣いよ…大丈夫なのだろうな」
   (キノピオさん…大丈夫かなぁ)








クリボー「俺、この協定が終わったらキノコを殴ってやろうと思うんだ」

ノコノコ「奇遇ですね、それについては全力で同意します」



―――
――



ヨッシー「ルイージさん、僕は一旦
     カートの調整もありますし島に帰りますね」

ルイージ「うん、船で往復四時間だろ、君も大変だなぁ」

ヨッシー「はっはっは、慣れっこですよ!慣れっこ!」

ルイージ「気をつけて帰るんだよ」

ヨッシー「はい!」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/06(土) 03:57:14.25 ID:jgCSYo4N0
*********************************


            今回は此処まで!


        機を見計らって徐々に引っ越し予定


*********************************
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/06(土) 04:24:13.59 ID:g6vgeNZT0
こちらのお引越しが先ですか 乙です
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/06(土) 10:31:32.30 ID:2bZYWhfxo
どっかで見たことある乙
16 :ゲリラ再開 [saga]:2017/05/06(土) 23:57:43.49 ID:jgCSYo4N0

ルイージ(僕もカートの調整にでも行くかなぁ…ん?)スタスタ…


キノピオ「あっ、ルイージさん!こんにちは」トテトテ

ルイージ「おや、そういう君はよくクッパ城に遣いに行く
     キノピオじゃあないか」

キノピオ「分かりますか! 嬉しいですね、僕達って皆
     似たような顔だから区別が付かないって言われるので」


ルイージ(本当に嬉しそうだね…)


キノピオ「ルイージさん達以外で僕の違いが判るのなんて
     クリボーさん達くらいで」

ルイージ「ああ、クッパ城の門番の人達だね、確かノコノコ君
     それにテレサさんだっけ?」

キノピオ「ええ、…今でも嘘の様に思えますよ、一年近く前まで
     争ってたのに、こうして協定を組んで
     皆で笑いあって…」


ルイージ「そうだねぇ」



ルイージ(兄さんが…"英雄が戦えなくなった事で平和になる"、か
     皮肉っちゃ皮肉だよなぁ)



「…ん   …さん   ……ルイージさん!」


ルイージ「ん!? なんだい?」


キノピオ「どうしたんですか?眉を八の字にして俯いてましたよ?」

ルイージ「あー、あー、あー、ちょっと考え事をしていたんだよ
     そんなことより、盛り上がる話でもしようじゃあないか!」

キノピオ「盛り上がるような話題ですか?」

ルイージ「そ、そ、例えば…そうだな、女の子、女の子の話とかどう!」

キノピオ「女の人ですか? 僕、そういう話題は疎いですし…」

ルイージ「あっはっは、何を馬鹿な事を!
     君、結構モテモテだって噂は聴いてるぞ!
     いやぁ、もう憎いね〜このこの!」

キノピオ「ご冗談を!僕みたいな背の小さい奴を好きになる人なんて
     居るわけないじゃないですか!」アハハ


ルイージ「…結構街で働き者だってご婦人の皆様から評判だよ?」

キノピオ「僕なんかより働き者は沢山いますよ?
     たまたま僕が噂の中心になっただけじゃないですか」

ルイージ「此間、若いお嬢さんにお手紙貰ってなかったっけ?
     ハートのシール付きの奴」

キノピオ「ええ、僕みたいなチンチクリンになんて
     罰ゲームは関心しませんよね…」


ルイージ「…クッパ城のテレサさんは?」


キノピオ「…? なんで其処でテレサさんの名前が出るんですか?」

ルイージ「あー、なんかもういいや」
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/06(土) 23:58:40.12 ID:jgCSYo4N0

ルイージ(やれやれ…
     君は、もう少し人の考えを読めるようになると良いけどね)

コツコツ…


キノピオ「ここでお別れですね」

ルイージ「うん…そういえば、君はレース大会に出る予定かい?
     テニスには出るらしいけど」


キノピオ「はい!一応キノピオ代表選手として出る事になりました!
      選出方法はくじ引きでしたけどね…」

ルイージ「経緯はともあれ、そうなれば当日はライバル同士って事だね
     お互いにベストを尽くそうじゃあないか!」

キノピオ「もちろんです!」

ルイージ「良い返事だね!それじゃ、僕は元気なライバル達を倒せるよう
     特製のカートの調整に行かせて貰うよ、またね!」

キノピオ「はい!」


コツコツ…


ルイージ(さぁてと…博士に会いに行かなきゃなぁ…)


―――
――


オヤ・マー「来たかね、ルイージくん」


ルイージ「どうも博士、頼んでいたカートの調子はどうですか?」

オヤ・マー「フェッ、フェッ、フェッ!うむ、実に良い出来じゃぞ
      かつて君も使ったオバキュームと同じ動力を
      使っておるでのぅ」

ルイージ「懐かしいですね
     あの時はお化け屋敷とも知らずに
     豪邸が当たったと浮かれたもんですからね」

ルイージ「最終的に、あの時の財宝で念願の豪邸を購入できましたが」

オヤ・マー「しっかし、その屋敷も売り払ってしまったんじゃろう?
      ちと、勿体無い気もするがのう?」

ルイージ「まぁ、別荘はあっても使わなければ
     何の意味もありませんからね」


オヤ・マー「あの豪邸を売り払った金で
      お兄さん達を楽させとるんじゃろう?」

ルイージ「兄さんの為に国家予算が使われるのは嬉しい反面
     申し訳なさもありますからね
     元々、あって無いような別荘です」

ルイージ「有効に活用できた、そう考えれば良いんですよ」

オヤ・マー「確か、登山じゃったり、ちょっとした旅行だったかのう」

ルイージ「ええ、兄さんにはゴルフ大会の賞金だとか宝くじが当たったと
     言ってあるので」

オヤ・マー「ふむ、そうか」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/06(土) 23:58:47.16 ID:wssFhaj/O
懐かしい
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/06(土) 23:59:27.63 ID:jgCSYo4N0

オヤ・マー「さて、時にルイージくん、君はお兄さんの記憶が戻る事を
      快くは思っていないのだったね?」

ルイージ「僕に限ったことじゃあありませんよ、大半の人がそうです」


オヤ・マー「"大半"…つまりは少なからず戻ったほうが良いと考える者も
      おるのじゃろうなぁ」


ルイージ「…」

オヤ・マー「のう、ルイージくん、君の一番好きな事はなんじゃ?」

ルイージ「どうしたんですか?突然」


オヤ・マー「わしは当然、お化けの研究や発明じゃな、コレがあってこそ
      わしはわしといえるからのう」フェッ、フェッ




オヤ・マー「…君やピーチ姫達はマリオくんが冒険を
      忘れたままにして、平穏な日々を過ごさせる事が善い…
      そう考えておる」

オヤ・マー「じゃがのう、自分の"生きがい"や"誇り"を忘れて過ごす一生
      果たしてソレは"幸せ"な日々と呼べるか?」




ルイージ「…」




オヤ・マー「君等は"善い"と思う事でもそれが"相手にとっての善い"とは
      限らんのだよ」

オヤ・マー「本当の意味で彼を理解しておるのは
      案外"好敵手"なのかもしれぬ」


ルイージ「…はぁ、クッパですか」


オヤ・マー「わしがお化けや発明を追い求めるのと同じじゃよ
      マリオくんは己の限界を突き破る事を…
      クッパは信念を持ち、マリオくんの打倒を夢見る」

オヤ・マー「老人のお節介かもしれんがのう
      姫様にお伝えなさい、『過保護はあまり良くない』との」

ルイージ「えぇ、伝えときますよ」


オヤ・マー「それと、じゃ」

ルイージ「まだ、何かあるんですか?」


オヤ・マー「さっき、マリオくんの記憶が戻る事を望んでいる者と
      望まぬ者が居ると言ったのう」

オヤ・マー「薄々感付いておるじゃろう、どちらの側にも良からぬ考えの
      者が居る」

ルイージ「今の兄さんは戦えない…それが切欠で協定が結ばれ一時的な
     平和になっている」



オヤ・マー「うむ、"記憶が戻らん間に事を起こそう"と思う者
      逆にこの"平和を永遠に続かせたいと手段を選ばん者"
      …ちと、面倒な話を小耳に挟む、十分に気をつけるのじゃ」
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/07(日) 00:00:25.06 ID:8XDJEZV60
―――
――


ルイージ(『過保護はあまり良くない』、か…)


ルイージ(僕らやピーチ姫が間違ってるのかな?)






「ガッハッハ!随分としけた面してるじゃあねーか、ルイージ!」





 オヤ・マー博士のラボからの帰り道
豪快な笑い声と共に名を呼ばれ振り向けば、そこには…


ルイージ「暇そうだね…ワリオ」ハァ

ワリオ「オイオイ、俺様の何処見て暇だと思うんだ!」

ルイージ「…じゃ、訊くけどさ、ここで何をしてるんだい?」

ワリオ「アァ〜?何ってしてるって? 金儲けだよ!」

ルイージ「両手に持ってるスコップと肥料でかい?」


ワリオ「おおともよ! いいか?今、俺様は非っ常に機嫌が良いからな
    特別教えてやろう」

ワリオ「これはある情報筋から仕入れたんだがよォ!世界のどっかに
    光る地面があんだよ
    そこに金を埋めりゃあ金のなる木ができんだぜ!」



ルイージ(うわぁ、すごくガセっぽい…)


ルイージ「そ、そう、それはすごいねー」

ワリオ「おう!んでよォ、俺様がその情報屋から買い取った地図によれば
    この辺りの筈なんだがよ」

ルイージ「あのさ、他人のやり方に口を挟むのは良かないと思うけど
     言わせて貰って良い?
     そんな事より、真面目に働いたほうが良いと思うよ、僕は…」

ワリオ「ハァ〜?何言ってんだ!タダ金を地面に埋めるだけで億万長者だ
    額に汗して働くなんざぁ、やってらんねぇだろォ!」


ルイージ「あー、うん、そうだね、じゃあ僕帰るから、頑張ってね」


ワリオ「待て待て、此処で出会ったのもなんかの縁じゃあないの
    ちょっと手伝ってくんねぇか?
    成功報酬はちゃんと払うからよォ!(儲けの9分の1ぐらい)」

ルイージ「ワルイージでも誘いなよ、僕も忙しいから」



ワリオ「…ケッ、なぁ〜にが忙しいだ!
      どうせお兄ちゃんのお世話だろうがよォ!」


ルイージ「…悪いかい?」


ワリオ「俺に言わせりゃあなぁ…
    てめぇ等のやり方なんざぁ"独善"よッ!気にいらねぇぜ!」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/07(日) 00:01:37.30 ID:8XDJEZV60

ワリオ「あー、どっこいしょっと」ドスッ

ワリオ「ずっと荷物持って歩いてたからな、腰が痛くて堪んねぇぜ」

ルイージ「君の言い方は気に入らないよ
     僕やピーチ姫のやっている事が"独善"だって?」


ワリオ「おう!そうだぜ、つーか独善じゃなきゃ、なんだってんだい?」



ルイージ「僕達は兄さんの為にやってるんだよ!
      今のは訂正してよ、流石の僕だって怒るよ!」







ワリオ「ソレだよ!ソレ! そこんとこが"独善"だっつってんのよ」






ルイージ「どういう意味さ?」


ワリオ「…」ゴソゴソ   キュポンッ

ワリオ「作業の途中で飲もうと思ってた酒だ、ちょいと早いが
    積もる話もするわけだぁ、まっ一杯やろうじゃねーか」トクトクッ

ワリオ「ホレ、結構良い酒だぜ、飲めよ」

ルイージ「僕はお酒は飲まないよ…」

ワリオ「んだよ、つれねー奴だなぁ」グイッ


ルイージ「それで…今のはどういう意味なんだい?」


ワリオ「お前よォ、『兄さんの為にやってるんだよ!』って言ったが
    それは"マリオ本人がお願いしたのか?"」

ワリオ「アイツが事故って頭空っぽになりました、それはわぁってらぁ
    んで、身内のお前やピーチが心配すんのも百歩譲って理解しよう


      だがな、アイツに何も教えず、ただ庇護するってだけなのは
     気に食わねぇな!」

ルイージ「君も『過保護はあまり良くない』って事を言いたいのかい?」

ワリオ「…ヒック、まぁ大雑把にいやぁ、そだな」


ワリオ「お前、…いや、お前だけじゃあねぇな
     ピーチもヨッシーもだ、ドイツもコイツも今のアイツの目を
    よぉーく見てんのか?あぁん?」







ワリオ「あんな…、あんな"死んじまったような目ぇ"したマリオは
     マリオなんかじゃあねぇよ」ヒック


ルイージ「…」
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/07(日) 00:07:02.74 ID:8XDJEZV60

ワリオ「てめぇ等が良かれと思ってやってることは
    マリオ自身の尊厳が無ぇんだよ」

ワリオ「本気でアイツの為を思ってんならよォ、何を忘れているかとか
    それを説明して、その上でアイツがどうしたいのかを訊いてだ
     …まずはそれからだろうがよォ」グビッ


ルイージ「…君の意見は参考までにさせて貰うよ、じゃあね」


ワリオ「おうおう、話はまだ終わってねぇぞ、大体だ、お前はなぁヒック
    いつもオドオドしやがってヒック 周りばっかヒック」



枯れ木に向かって説教するワリオを置いてルイージは帰宅した…
    



―――
――



ルイージ「ただいま、兄さん」

マリオ「ああ」ペラッ


ルイージ「お、今日の朝刊じゃないか!」

マリオ「郵便受けに入っていた、今日はまだ見てなかったからな」

ルイージ「面白そうな記事はあったかい?」


マリオ「んー」



・遭難した考古学者のチャールズ氏、遺跡研究チームのクリスチーヌ氏に
 救助される


・大富豪ブッキー氏がマルガリータ夫人との結婚記念を祝して
 メリー・マリー村で盛大なパーティーを開く模様


・海賊ブラックシュガー団、脱獄!?国内に衝撃走る


・サラサ・ランドのデイジー姫、マメーリア王国へ緊急訪問
 警備体制の強化に付き交通機関に遅れが…?




マリオ「これといって面白そうな記事は無い、な…」

ルイージ「そっかぁ」


マリオ「…」

ルイージ「…」


マリオ「ルイージ、何かあったのか?」


ルイージ「へっ!?」

マリオ「いつもより口数が少ないじゃないか、…どうした?」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/07(日) 00:12:45.21 ID:8XDJEZV60

ルイージ「あ、あー、今日は少し疲れちゃったかなぁって
     レース用のカートのエンジンの調整が予想以上に大変でさぁ」


マリオ「そうか」ペラッ


ルイージ「そうそう」


マリオ「…」ペラッ

ルイージ「…」

ルイージ「…」チラッ

マリオ「…俺に何か言いたいのか?」

ルイージ「…いや、別にそういうんじゃあないよ」

マリオ「お前が何を思っているかは解らん、だが言いたい事は正直に
    言うべきだと思うぞ」





ルイージ「…その、さ
        兄さんは今の生活ってどう思ってるの」




マリオ「…? 今の生活だと?」


ルイージ「普通に暮らして、たまに配管工としての依頼があって
     そんでその賃金で生活してく今の生活だよ…」


マリオ「別段何も思わないさ、収入は少ないがそれなりに
    充実した毎日だと俺は思う」

マリオ「ただ…」

ルイージ「ただ?」

マリオ「…去年ぐらいか、俺が"下水管の修理中に頭を打った、らしいな"
    その頃からずっと違和感がある」


マリオ「ずっと"大切な物を忘れてる"ような感覚でな
     特にそれが最近強くてな」





マリオ「寝ても覚めて、ソレばかり考えてしまって他の事が頭に入らない
    お前やピーチ姫、ヨッシーと遊びに行ったり
    美味い物を食べたりしてる時だってそうだった」


マリオ「最近、何をやっても満たされない
     何をしても面白いとか楽しいって思えないんだ…」


ルイージ「…」

マリオ「どう言えば良いんだろうな…抜け殻みたいに生きてるような
         "生きてて楽しくない"っていうかな…」


ルイージ「兄さん、それは言いっこ無しだ
      生きてる事をつまらないとか言わないでくれ
     僕やヨッシー、それに姫だって哀しむ」

マリオ「…ああ、すまんな」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/07(日) 00:22:14.86 ID:8XDJEZV60
*********************************


          今回は此処まで!



         [以前書いた事]


    ルイージ達はマリオが記憶を失ったのは

    配管修理中のトラブルが原因と嘘をついています





  当然、ながらマリオは自分がトレーニングをしていた事

  "何のために自身の肉体を鍛えていた"のかも、本当の原因も




 知らずに日々(他者はマリオが楽しんでくれてる、っと勝手に思い込んでる)
     【無意味な人生】を 送り続けてます





      "幸せの価値観"は人それぞれなのです…





  ほんとうの しあわせは そのひとにしか りかいできない 。



*********************************
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/07(日) 00:48:09.90 ID:Clos6dfD0
懐かしいな。確かレースでキノピオ辺りが事故ったところまでは読んでた記憶がある。ぜひ完結させてください
26 :>>25 ありがとうございます、必ず完結してみせますので…! [saga]:2017/05/09(火) 21:22:51.50 ID:62Mg6pkT0

ルイージ「…兄さん、あのさ
            兄さんは――」


ルイージ「…」


ルイージ「…ごめん、やっぱさ、なんでもないや」


マリオ「…?」


ルイージ「ちょっと外でラケットの素振りでもやってくるよ!
      テニス大会は明後日だしね!」


マリオ「もう、陽も落ちてしまうぞ」

ルイージ「いいの、いいの!そうでもしなきゃ
     我等がスーパーマリオ様にはとても敵わないからね」ドタドタ


マリオ「…ふぅ、忙しないなぁ…」

マリオ「…」

マリオ(今の生活…、か)

マリオ(どうして、"楽しくない"って感じるのだろうな
    決して悪い物では無い筈なのに)

マリオ(…俺の思い過ごしか? 以前よりルイージやヨッシー、姫達が
    何処か遠くに感じるような気がする)

マリオ(何か、俺に"隠し事"でもしてるような、他所他所しさを感じる)


マリオ(…、いや、止そう
     身内を疑うなんてな、俺も疲れてるのかな?)













       ‐ 僕はどうしたいんだろうか?  —

ルイージ「…」


『君等は"善い"と思う事でもそれが
 "相手にとっての善い"とは限らんのだよ』

『てめぇ等のやり方なんざぁ"独善"よッ!気にいらねぇぜ!』

『あんな"死んじまったような目ぇ"したマリオは
   マリオなんかじゃあねぇよ』




ルイージ(僕達のやり方は兄さんの尊厳を無視している…か)

ルイージ(家族として知らせない方が"正しい"僕はそう思ってた)

ルイージ(でも実際は違うのだろうか…)



ルイージ(…)



ルイージ(…決めた、テニス大会だ、大会に日にピーチ姫に相談しよう
       ヨッシーも他の皆も来る筈だ、もう一度皆で話し合おう!)
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/09(火) 21:25:40.17 ID:62Mg6pkT0
―――
――


ザアァ… ザアァ…

「ンン〜!いいねぇ、この波の音…やっぱ俺達は海に出てこそよ」
「ははは、同感だぜ!」
「おい、静かにしろい、キャプテンが来るぞ・・・!」


「此処だ、此処で良いから降ろしてくれ」

「あら、此処でイイの?」

「構わねぇさ、それより迎えの日は分かってるよな」

「ええ、確かに"明後日"、此処で"あんた等"を迎えに来ればいいのね」

「そうだ…、俺の荷物を寄越してくれ」

「はいはい、お前達、お客さんが下船するよ! 荷物をお返し!」



「…へっへっへ、ありがとよキャプテン・シロップ」


シロップ「にしても、"あんた等"も変な奴等だね、こんな雪山で
     降ろして欲しいだなんてさ、オマケに…
     なんだい、その荷物は?

       アタシにゃ唯の"枕"にしか見えないけどねぇ」


「"枕"が変わるとイイ夢見れないんでね…俺達は」

シロップ「ふぅ〜ん、まぁなんでもイイんだけどね」

「"明後日"はちゃんと迎えに来いよ」

シロップ「もちろんさ、"あんた等"を雪山まで送迎する、それっぽっちの
     お駄賃でアタシ等は豚小屋から出れたんだ、喜んでやるわよ」

「何事も、世の中助け合いだからなぁ、ギブ&テイクさ」

シロップ「助け合いねぇ〜、これからデカイ事やろうって奴が
     よく言うもんだ」

「はっはっは、じゃあな船長、また明後日に会おうぜ!」



「やっとあの連中ともオサラバですわ」
「キャプテン、これからどうしやすかい?」


シロップ「そうだねぇ、デンプーのランプを探す前に近場の民間船でも
     襲って酒盛りと行こうじゃあないの」ジュルリ


「おおー!流石キャプテン」
「最高ッスよ!」
「酒だ酒だ!」
「金目のモンを奪い盗ってやろうぜ!」


シロップ「うふふ、選り取り見取りと行こうか」


シロップ(ランプを手に入れたら、あのギザヒゲにリベンジを挑むのも
     悪くないわねぇ)





シロップ(にしても…物騒な連中だったわねぇ)

シロップ(アタシ等も人の事言えた義理じゃあないけど、さぁ…)

28 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/09(火) 21:31:14.39 ID:62Mg6pkT0




































シロップ(   流石は"クッパ軍団"と言った所ね

        協定を組んで平和、平和と謳っておきながら

      影で本格的な戦争に向けて再軍備をしてるなんてねぇ)





























ザザァン……っ
          ザザァァン…っ



 小さな波風に揺られ、海賊船【ティーカップ号】は錨<イカリ>をあげる…
穏やかな磯の香りをその身に受け、乗組員は大海原へと還っていく


"穏やか"と言う言葉とは全く以って不釣り合いな客人を下ろして…
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/10(水) 00:05:41.83 ID:YKGKvuE90


 テニス大会当日、…TVじゃ降水確率は7割強と報道されたが
気象予報士の予測に反して空は今だに曇り空なだけであった



       スパンッ!



「ゲームセット!勝者【ルイージ選手】」

  ワァー ワァー カッコイイ マリオサーン! キャールイージサーン! エッマリオジャナイノ!?

ルイージ「イエーイ!皆さん、ご声援ありがとうございますっ!」

マリオ「ようルイージ…次で決勝進出だな」

ルイージ「そうだね!しっかし、僕は運がイイねぇ〜
      なんてったってくじ引きの結果此処まで兄さんと1戦も
     当たらなかったんだから
     こりゃあ"流れ"が僕に来てますよ」

マリオ「ちっと大袈裟に喜び過ぎじゃないか?」

ルイージ「チッチッチ、僕にとって今大会最大の強敵は
     スーパーマリオって訳でね、大袈裟でもなんでもないさ!」



ルイージ「決勝で叩きのめしてやるから覚悟しなよ…っ!」グッ

マリオ「ふっ…無論だ!俺もハナっから本気で行かせて貰う」




スタスタ…
           スタスタ…





ルイージ「…はぁ〜」ドスン

ルイージ「あんな事言ったけど、自身無いねこりゃ…」


ヨッシー「地べたに座り込んでどうしたんですか?」


ルイージ「いやね、これはアレだよアレ、ちょっと床に座って精神統一を
     してるだけなのさ」

ヨッシー「はいはい」

ヨッシー「それで、最近"流れ"が来てらっしゃるルイージさん
     僕に何の御用ですか?」

ルイージ「なんだい、聴いてたのか」

ヨッシー「チラッとですけどね」


ルイージ「…」


ルイージ「今の兄さんの顔、君には"どんな風に見えた"」


ヨッシー「マリオさんの顔ですか…?」

ヨッシー「……そう、ですね」


ヨッシー「すごく、生き生きとした顔、でしたね」


ヨッシー「まるで冒険してた頃のような
     どんな逆境も勇敢に立ち向かっていく…そんな意思が見える」

30 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/10(水) 00:13:32.16 ID:YKGKvuE90

ルイージ「…」


ルイージ「そ、か…やっぱ、そう見えちゃうのか…」ポリポリ



ルイージ「ちょっと前にワリオや色んな人に言われた事があってね
     僕は、さ…色々と考えたんだ」

ルイージ「何が兄さんの幸せなのかって事を
     この先、どうしてくのがベストなのかを」

ルイージ「さっきの顔、決勝戦で僕と戦うって時に見せた顔は
     君の言う通りだ、長く見せてくれなかった生き生きとした顔」

ルイージ「きっと、本能みたいなモンなんだろうね
     強敵と闘う感覚…記憶に無くても身体はソレを覚えている」



ルイージ「僕は、…この大会終わったら姫達に相談するんだ
       兄さんに真実を打ち明けるべきなのかもしれないって」



ヨッシー「ルイージさん…」











ヨッシー「自分で自分の事"強敵"とか言っちゃうのはどうかと思います」

ルイージ「ちょ!? そこぉ!? 今、僕シリアスだったよね!?
     思いっきしシリアスな話してたよねぇ!?」


ヨッシー「冗談はさておきルイージさんは
     マリオさんに真実を打ち明けたいんですね?」

ルイージ「あの人は…何時だって僕の目標だった、超えるべき壁だった
     身内として家族には死んで欲しくないって気持ちとは別に
     目標に消えてもらいたくないって考えが少なからずあったさ」

ルイージ「いつかは、日陰者でも永遠の2番手でもない
     本当の意味で追いつきたい追い越したい気持ちがある」


ルイージ「そう考えてたら、なんとなく
      …うん、単に解った気になっただけかもしれないけど
     クッパ達の気持ちが少しだけ分かった気がするんだよ」


ヨッシー「…」

ルイージ「身内だから守りたい、家族だから助けたい」

ルイージ「そう言いつつも、僕は心のどっかじゃあ
     そんな自分勝手なエゴで兄さんを庇護してたんだって思った」


ルイージ「嫌な人間だろう?」


ヨッシー「僕にはなんとも言えませんね」

ヨッシー「人間は感情の生き物です」

ヨッシー「純粋な善意もあればそういう利己的な面のある少し歪な善意も
     あります、"人間ならあって当然"なんですよルイージさん」

ヨッシー「僕は別にルイージさんを軽蔑したりしませんよ?
     むしろ真っ当な人間らしさを見て安心してますもの」

ルイージ「そうかい?」

ヨッシー「そうですよ!ルイージさんは少しネガティブ過ぎるんですよ」
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/10(水) 00:15:39.43 ID:YKGKvuE90

ルイージ「ふふ、君に励まされるとはね」

ヨッシー「ルイージさんが落ち込み過ぎるとネガティブゾーンが
     発動しますからねぇ、皆、ふっとびますよ」

ルイージ「え、酷くね?」

ヨッシー「はっはっは、冗句ですよ冗句!」

ヨッシー「それよりも、もうすぐ試合始まっちゃいますよ?
     行かなくて良いんですか?」

ルイージ「へ?……うおっ!?本当だ!」ダッ


ヨッシー(頑張ってくださいよルイージさん…)




ルイージ「ヨッシー!」クルッ


ヨッシー「?」


ルイージ「そのさ!本当にありがとうね!」クルッ ダッ


ヨッシー(…)

ヨッシー「ふふ、私は外の出店でも回りますかねぇ」トテトテ


―――
――



マリオ「…来たか、ルイージ」

ルイージ「もちのろんだね!あー、あー、おほん
      観客席の皆様ーっ!皆のスーパースタールイージさんの
     ご登場です!!さぁ、さぁ熱いご声援をお掛けくださいィ!」


 ウォー ワァー  ルイ-ジ! ルイージ! ミドリノヒゲ! ルイージ!


ルイージ「ん〜!良いね、このファンの声援を受けて僕が兄さんを倒す!
     そして、此処に新たなNEWヒーロー誕生ッ!みたいな感じに
     なっちゃう訳だ、燃えるねぇ〜!」

マリオ「おっと、悪いがそういう訳にはいかんぞ?
     俺にも兄としてのプライドがあるんでな、お前には負けんさ」


      ゴゴゴゴゴ…

                ドドドドド…


ルイージ「たまには弟に勝ちを譲ってくれても良いんだぜ?」

マリオ「俺は大人気ないんだよ、諦めろ」


 二人はテニスコートに立つ、丁度ぽつぽつと小さな水滴も濁り空から
 落ち始めましたが、試合をする上での問題は一切ありませんでした


ルイージ(超えるべき人…僕の目標…っ!)

ルイージ「兄さん!勝たせてもらうよ!」

マリオ「来いッ!」

           スパンッッ!!
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/10(水) 00:17:09.54 ID:YKGKvuE90
―――
――


ワアァァァーーー  


ヨッシー「おや? 会場が盛り上がりましたねぇ、始まりましたか」パク

ヨッシー「あ、店員さん、この人形焼おみやげにもう一箱くださいな」

ヘイホー「イイヨー」つ【人形焼ヘイホー(カスタードクリーム)】

ヨッシー「はい、御代です」

ヘイホー「マイドー」

ヨッシー「いやぁ、本当に美味しいですねぇ、粒餡もいいですが
     クリームも美味!ヘイホーそっくりな見た目も
     食欲をそそられますねぇ!」ジュルリ

ヘイホー「ナニ コノ オキャク コワイヨー」ガタガタ

ヨッシー「ん?あれは…」










テレサ「フハハハハ!隣国の遣いよ!中々の健闘ぶりであったぞ!」
   (試合見てましたよキノピオさん!お疲れ様です)


キノピオ「ははは…一回戦目でルイージさんと当たっちゃって
     負けちゃいましたけどね…やっぱり情けないですよね」


テレサ「結果に拘るなどと具の骨頂…結果を求めたという過程こそが
    至高の心理であろう」
    (ううん!そんなことありません!キノピオさんは頑張りました
     勝ち負けなんかより、一生懸命戦った事が大事ですよ)

キノピオ「そういって貰えると嬉しいですね…」

テレサ「時に隣国の遣いよ…」
   (あのう…キノピオさん)

テレサ「我、自らの魔力を以ってして、命への捧げ物を作ったのだが
    今だ、誰の体内へも捧げておらぬ、毒見をする勇気はあるか?
    …無理強いはせぬがな!」
   (今日、お弁当を作ってきたんですけど
    その…私が味見しただけで、誰も食べてないんです
    他人の感想が欲しいので食べてもらえませんか?
    あっ…無理ならいいです!)


キノピオ「へぇ、テレサさん、お弁当を作ったんですか?
     僕なんかで良ければ喜んで食べますよ」ニコ


テレサ「う、うむ!そうか!」
   (あ、あう…///)










【物陰】
 クリボー「裏山死ねッ!!!」




ヨッシー「君は何をやっているんですか?」
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/10(水) 00:20:39.34 ID:YKGKvuE90

クリボー「うおおお!?」ビクゥ

ヨッシー「いやいや、そんな露骨に驚かなくてもいいじゃないですかー」

クリボー「あ、いや、なんつーか俺は基本的にアンタさんには
     良い思い出が無いッスからね・・・」

ヨッシー「大丈夫、大丈夫、食べたりなんてしませんよ!
      ヨッシー ウソ ツカナイ」パクパク

クリボー「ヘイホーにくりそつな人形焼
     食いながら言われても説得力無いッス」

ヨッシー「時にクリボー君はどうして此処に来てるんですか?」

クリボー「ああ、テニス大会の出店の手伝いッスね!
     この辺の屋台なんかはうち等クッパ軍団が経営してるんで」

ヨッシー「おお!そうでしたかぁ!ご馳走様でした!」

クリボー「…その様子だと
     もう何軒か屋台の物を全部食い尽くしたっぽいッスね」

ヨッシー「ボム兵さんトコのたこ焼きやジュゲムさんのわたあめ
     あっ、無論、ハンマーブロスのチョコバナナも頂きました」

クリボー「売れ残りは無さそうッスね!」

ヨッシー「はっはっは、次はパックンフラワーさんトコの…おや?」

クリボー「? どうかしたんですかい?」


ヨッシー「あー、いえね、そういえばクッパ軍団の皆さんって全員此処に
     来てるんですか?」

クリボー「あー、その"予定"でしたわ…」

ヨッシー「"予定"…?」

クリボー「なんか、数名、屋台の手伝いに来れない連中が居るらしくて」

ヨッシー「"来れない"というのは何故ですか?」

クリボー「さぁ? 有給使って旅行って奴や体調不良で来てないのが
     多いって聴いてるッス、俺もサボりてーッス」

ヨッシー「ふぅむ、どうりで屋台の数が少ないと思いましたよ…
      クッパ軍団を全軍総動員させれば飲食店も
     この倍、いや3倍になった筈…ぐぬぬ」

クリボー「食うことしか無いんスか?」

ヨッシー「まぁ、いいでしょう私は引き続き
      出店のはしごをするとしましょう」

クリボー「飲食店以外も見て行って欲しいッス!」

ヨッシー「…ふぅ、仕方ありませんね…」

ヨッシー「ではワンワンのケーキ早食いショーでも観ましょうか?」

クリボー「ワンワンからケーキを取り上げないようにお願いします!」










―――
――


「やっと、掘り当てたな」
「ああ、後は氷を溶かすだけだ」
「お楽しみはこれからだなぁ…ハッハッハ!」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/10(水) 00:27:52.61 ID:YKGKvuE90

「傷つけん様に気をつけて運べよ?"コイツ等"は大事な戦力になるんだ」

「「了解です!」」




「さて、お前達、よくぞワシについて来てくれた!」

「…かつてワシ等には誇りがあった、栄光のクッパ軍団の一員として
 また、武を重んずる戦士としての誇りがあった!」

「闘いこそが全て、勝利の余韻、戦士を称える名声こそが
 ワシ等の人生そのものと呼べた!」


「…だが、それは過去の話よ!ワシ等の主君クッパ様にはかつての覇気は
 無く、ただ堕ちたとしか言いようが無い!」

「諸君!
  故にこれは決して主君への謀反に非ず!
   かつての…クッパ軍団の輝かしき黄金時代を取り戻す為の行為!」

「我等が主にあるべき姿に戻っていただく為の行為であるッッ!」




「「「「うおおぉぉぉぉっ!」」」」





「全ては主君の為! 全てはクッパ軍団の輝かしき栄光と覇権の為!」


「その為ならば、ワシのような"老兵"であろうと
  この身を粉にしてでも…最後まで闘い抜く事を宣言するッッッ!!」


「クッパ軍団、万歳! クッパ軍団に栄光あれッ!」


ウォー!    ウォー!  ウォー! バンザーイ!


「諸君!、あの忘れえぬ日々を取り戻す為に!
    今一度、諸君の力を貸していただきたい!」




ウオオオォォォォォー!   ウオオオォォォォォー!   ウオオオォォォォォー!



(…これで、ワシの長きに渡る"夢"を取り戻せる…っ!)


(これは決して謀反では無い、ワシの行動は全て名誉の為
  全ては絶対の忠義から来る物、今一度…
 クッパ軍団の力を知らしめて見せましょうぞ!)




―――
――


マリオ「はぁッ!」smash!


      スパンッ!


ルイージ「ぐっ!?」
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/10(水) 00:30:09.83 ID:YKGKvuE90

「ゲームセット!勝者【マリオ選手】」


ルイージ(…っ!負けたか!)


ルイージ「兄さん…!イイ試合だったよ!」

マリオ「それは俺の台詞だ
    さっきのショットは打ち返されたらどうしようと考えた程だ」

ルイージ「そう言って貰えるとは光栄かな、さて…
     あとは表彰式でカメラマンの前でピースして終わりだね!」

マリオ「そうだな」

ルイージ「はは、まだ時間もあるし、僕はちょっと水でも飲んでくるよ
     喉カラカラじゃあ、インタビューの時に僕の美声を
     聴かせらんないからねぇ!」

マリオ「はっはっは、相変わらずだな!」

ルイージ「そんじゃ僕はちょっと失礼しちゃうよ〜!」スタスタ




ルイージ(…)スタスタ

ルイージ(…はぁ、やっぱり遠く及ばないなぁ)トボトボ


ヨッシー「イイ試合でしたね〜」サクサク


ルイージ「やぁ、ヨッシー…負けた僕を励ましにでも来たのかい?」

ヨッシー「まぁ、そんなトコですね、あっ、パックンサブレ食べます?」

ルイージ「はは…一枚貰おうかな」サクッ

ヨッシー「どうぞどうぞ」サクサク


ヨッシー「で、どうです?」

ルイージ「え?突然、何?」


ヨッシー「マリオさんですよ、マリオさん
     やっぱり、活き活きとしてましたか?」

ルイージ「ああ、あんな感じで誰かと競ったりしてる時が一番
     輝いて見えるよ、自宅でのんびりしてる時よりも
     姫達と遊びに行くときよりも一番、ね」

ヨッシー「何が正しいかなんて、誰にも分からない
     良かれと思ってやった事が失敗だったり
     やらない事が失敗に繋がりもします」

ヨッシー「"自分が"正しいと思う事が正解なんですよ
     さっきの試合で本来のマリオさんの生き方に戻す方が良しと
     感じたならそれで"正解"なんですよ」

ルイージ「…そうだね

       …弟として心から家族を心配している、できるなら
     また命に関わる無茶させないのがベストだと考えたさ」

ルイージ「でも…ワリオが言う通りなのかもしれないな
      今の兄さんは本当の意味で生きてないのかもって」



ルイージ「僕が間違ってたのかもしれないってさ」





ヨッシー「…間違ったなら直していけば良いんですよ」

ヨッシー「"違ったなら直す"それが人間ですもの」
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/10(水) 00:54:30.37 ID:YKGKvuE90

ルイージ「やれやれ…なんだか最近、君には色々と愚痴を零したり
     悩みを相談してばかりな気がするよ」

ヨッシー「同じ緑色のよしみって奴ですよ!
     まぁ、そこら辺の茂みの色と同化してしまう程
     緑が似合う、ルイージさんには適いませんけど」

ルイージ「ちょ!それ褒めてるんだよねぇ!?
     貶めてるんじゃなくて!?」

ヨッシー「ルイージさん、そろそろ表彰式じゃないですか?
     こんな床で油なんか売ってて良いんですか?」

ルイージ「へ?あっ、もうこんな時間じゃん!」

ルイージ「なんか釈然としないけど僕は失礼させてもらうよ!」ダッ



ヨッシー「ふぅ…忙しないですねぇ」

ヨッシー「おや?」



チャールズ「――」



ヨッシー「つかぬ事をお伺いしますが考古学者のチャールズさんですか」

チャールズ「うん?そうですが君は…えっと誰でしたかな?」

ヨッシー「初対面で失礼します
     僕はヨースター島から来たヨッシーです」

ヨッシー「マリオさんと面識があるお方と聴いていたものでして
     お声を掛けた次第です」

チャールズ「ああ、そうでしたか」

ヨッシー「チャールズさんもテニス観戦でしょうか?」

チャールズ「ええ、以前雪山で酷い目に遭いましてな
      気分転換も兼ねてのテニス観戦です」

ヨッシー「酷い目?」


チャールズ「はい、私はご存知かもしれませんが考古学を専門としており
      雪山を探索中に遭難してしまったのです」

チャールズ「私はどうにか、ゴロツキタウンから来た遺跡研究チームに
      救助され事なきを得ましたが…いやはや」

ヨッシー「それは災難でしたねぇ…」

チャールズ「はぁ、気分転換も兼ねて大会を見に来たのですが
      どうにも運が無いというか…私が行った食べ物の出店が
      全て売り切れていたり、踏んだり蹴ったりですな」

ヨッシー「それは災難ですね」


チャールズ「この分じゃ、雪山の埋蔵物も誰かに
      発見されてるかもしれません…」

ヨッシー「…?雪山の埋蔵物ですか?」



チャールズ「ええ、科学の進歩と言いますか
      少し前にあの雪山の地中深くに金属が埋まってると
      判明したんですよ」
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/10(水) 02:02:15.42 ID:YKGKvuE90

ヨッシー「金属が埋まっている…というとお宝があるという事ですかね」


チャールズ「それを調べるのが私の仕事ですよ!」キラキラ


ヨッシー「は、はぁ、すごく目を輝かせますね?」

チャールズ「ロマンが埋まってるのです!夢が埋まっているのですよ?」

チャールズ「年甲斐も無く興奮してしまいますよ!」


チャールズ「まぁ、発掘できませんでしたが…」

ヨッシー「ま、まぁまぁ、それで埋まってるお宝が何かとか解ったり
     するんでしょうか?」


チャールズ「…そうですな、調べた情報を元にすると
      山に大昔の王様が埋蔵金を埋めたと言う情報はありませんが
      何十年だか前に空から何かが降ってきたという話があると」


ヨッシー「"何か"ですか?」

チャールズ「ええ、あの雪山はあまり人が寄らない所でして詳しくは
      解りませんが、情報を整理すると宇宙からの鉱物が
      あるのでは言う見方もあります、ロマンに溢れてますな!」

ヨッシー「そ、そうですねぇ」

チャールズ「そう、そうロマンと言えば―――」


      クドクド   アレガ アアデ   スバラシイ ト

ヨッシー(…な、長い!)


チャールズ「という訳です!」


ヨッシー「そ、そうですねぇ〜、では僕はこの辺で―」
チャールズ「あー、言い忘れてました!」


ヨッシー「ま、まだあるんですかぁ?」

チャールズ「ええ、これを語らずして何が考古学者と言えましょうか!」

チャールズ「そんな訳で、マリオくんが私にくれたグツグツ火山の―」


ヨッシー(ダレカタスケテェー)


―――
――



「船に発掘した物を積み込む作業完了いたしました!」

シロップ「はぁ…大したもんだよアンタ等」

「キャプテン・シロップもう出航しても構わんよ」

シロップ「アタシ等の船にこんなモン乗せて欲しくは無いんだけどね
     まぁ、良いわ…お前達、船をお出し!」




(ワシ等が発掘した"コイツ等"…以前クッパ城で見たのと同じじゃ
  コイツ等の脅威はワシも知っておる…存分に働いて貰おうか!)
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/10(水) 02:03:36.70 ID:YKGKvuE90





          氷から発掘された"彼等"…

    彼等は"昔"キノコ王国へやって来た事がありました…

"彼等"は災厄でした、"彼等"と"彼等の指導者"は遥か彼方から来たのです

ですが"昔"の英雄<ヒーロー>と"今"の英雄<ヒーロー>の"4人"が災厄から国を救い

      キノコ王国に平和が訪れたと思われました




         これは【過去からの忘れ物】…




"彼等の指導者"を倒し、"鎮魂歌を奏でる姉"をも絶ち、最後は"涙の雨"で

       全てを洗い流し、終わらせた筈でした…



              しかし



まだ、終わってはいなかったのです、"彼等"はまだ"残って"いたのです

     "彼等"は隕石のように地表へ墜ちていきました

  日の光も当たらない凍てつく大地に埋もれるように墜ちました

   洗い流すための"涙の雨"も氷に埋もれた"彼等"までは届かず

          "彼等"は生き永らえたのでした


  そして、時は流れた今、氷に覆われ動けずにいた"彼等"は動き出す

       再び、この国に災厄をばら撒く為に!


      そう、これは【過去からの贈り物】です




    今、災厄達は再びキノコ王国に彼等は姿を現すのでした!


39 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/10(水) 03:51:04.13 ID:YKGKvuE90
*********************************


           今回は此処まで!


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40 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/12(金) 22:28:48.87 ID:W+IczPcH0

「キャプテン、次はこの地点に向かってくれ」

シロップ「んー?、なんだい此処は昔の合戦所じゃないか」

「ああ、此処にはワシ等の"忘れ物"があるんでなソレを取りに行きたい」

シロップ「…言っとくけどこの船にはこれ以上荷物は乗せらんないよ」

「構わん、アレはデカ過ぎて船に乗り切らんさ」

シロップ「まぁ良いわ…地図を見た限り、早くて二日は掛かる良いね?」

「応、ワシ等はちと早いが眠りに就かせてもらうぞ」


ガチャ…ギィ


(さて、今日も良い夢が見れるかのう?この"枕"は手放せんわい)


―――
――



ルイージ「――以上が僕の意見です」


ピーチ「…」
キノじい「…」

ヨッシー「最終的な判断はピーチ姫がお決めになることです
     現状維持か、それとも話してしまうのか」


ピーチ「…」

ピーチ「私に、少しだけ時間をください」

ルイージ「…どうぞ」

ピーチ「ありがとうございます」


ヨッシー「僕とルイージさんは部屋の外でお待ちします
     答えがお決まりになりましたら呼んで下さい」ガチャ




ピーチ「…キノじい」

キノじい「はい」


ピーチ「私は…酷く高慢な女性なのでしょうね」

ピーチ「今まで、マリオを苦しめたくない、そんな私情で国の財を使い」

ピーチ「あまつさえ彼を苦しめていた事にも気付いていなかった」

ピーチ「国の代表ともあろう者がこれでは――」


キノじい「姫」


キノじい「お言葉ですが言わせて頂きます
     姫が今しがた仰る通り、確かに姫の行いは民を導く者として
     善いとは言い難いものです」

ピーチ「そう、ですよね…」

キノじい「国の英雄<ヒーロー>の為、国税を使った
     一見聞こえは良いでしょうが…言い換えれば
     "一人の異性の為に民の血税を使った"とも言えましょう…
     それでは暴君君主と同じ振る舞いです」
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/12(金) 22:30:12.62 ID:W+IczPcH0


ピーチ「…はい」


キノじい「…」


キノじい「姫様、今から言う事は老人の戯言ですじゃ
     聞き流してくれても構いませぬ」

ピーチ「…?」


キノじい「私は姫が生まれた時よりお世話をさせて頂きました」

キノじい「姫は覚えておいででしょうか?その昔、キノコ王国に
     "ゲドンコ"達がやってきた事を?」


ピーチ「ええ」


キノじい「…あれはまるで…悪い夢を見ているようで…
     老いた今でも鮮明に思い出せますぞ」

キノじい「あの時は民は無論、私自身も何度ここまでか…と諦めかけたか
     分かりませぬ、ですが…
     姫だけはこの身に代えてもお守りしようと誓っておりました」



キノじい「妻子を持たない私にとって
     姫は目に入れても痛くない我が娘同然の存在でしたからな」



ピーチ「じい…」


キノじい「姫の行いは確かに国のトップとしてあってはならぬ事
     それを承知の上で私は今日まで黙認致しました…」

キノじい「この国の代表であられる以前に姫は一人の人間…いえ女性です
     ならばこのキノじいに姫の想いを否定できましょうか?」

キノじい「確かに間違ったかもしれませぬ、ならば
     ここからは間違わなければ良いのです」

キノじい「国民も英雄たるマリオ殿を愛し、また姫の事も同じく愛して
     おられます、故に国税が使われる事にも異を唱えませぬ」


キノじい「国民が納得した上での政策ならば、それは暴君の政に非ず
     姫が自身を高慢な女性と思うのは早計ではありませぬかな?」



ピーチ「…ごめんなさい」ポロポロ



キノじい「…涙をお拭きなされ、姫には笑顔が似合います」

ピーチ「…っ、…っ、はい…はい…」ポロポロ



キノじい「ルイージ殿、ヨッシー殿、どうぞ、お入りください!」


ガチャ…っ!


ルイージ「はい」
ヨッシー「お心はお決まりですか?」

ピーチ「…はい」



ピーチ「今度のレース大会終了直後…最後に…
      最後に盛大なパーティーを開き
            …マリオに真実を打ち明けます」
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/12(金) 22:31:57.72 ID:W+IczPcH0

ルイージ「ピーチ姫…申し訳ありませんでした」
ヨッシー「辛い苦悩の末、ご決断感謝いたします…」


ピーチ「マリオは…今マリオはどちらに?」

ルイージ「兄さんは先に家に帰らせています」


ピーチ「そうですか…じい」

キノじい「はい」

ピーチ「テニス大会の後処理があるのは分かります、ですがパーティーの
    手配の方をお願いします」


キノじい「ええ、英雄<ヒーロー>の為…最後の休息
      壮大なパーティーに仕立て上げようではありませんか!」





 この日、マリオを除く殆どのキノコ王国国民にパーティーの話
   知らされるのは直ぐの事でした…多くのキノピオ達は
          準備のために大忙しです

 "キノコ王国がクッパ軍団と協定を組んで続いたこの一年近くの平和"

     その最後を締めくくるのは壮大なパーティーです


  英雄<ヒーロー>が全てを思い出せば、再び戦いは始まるのでしょう…
          だからこそのパーティーです


マリオもクッパも キノピオもクリボー達も…ヨッシーやヘイホーだって
皆そうです、"敵味方なんて関係ない"のです

        誰も彼もが争いなんてしない世界
   皆が手を繋いで、笑いあって同じ空間に存在していられる…

     【英雄<マリオ>が大事な事を忘れてしまった世界】

【テニスやゴルフにパーティーばかりで大切な何かを忘れていた世界】

でも…きっと、そう…そんな世界も決して悪いものでは無かったでしょう

 たとえ明日には互いに争いあう世界だとしても
この時間はかけがえの無いものに変わりは無いはずです

 "冒険を思い出す"前に壮大なパーティーにしようではありませんか!

  フィナーレを飾るまで…! 時計の針が0時を過ぎるまでの間…!

 誰一人として笑顔を絶やさない、そんな素敵な魔法の時間を紡ごう!


=================================


キノピオ「というわけで来ていただけますか?」

テレサ「闇を統べる我を誘おうとはな!良かろう!
    同胞達と共に貴様等の宴に参加してやろうではないか!」
    (は、はい、こんな私なんかで良ければパーティーに
     駆けつけます、先輩達も行きますよね?)

クリボー「イイッスね!(この機に俺も彼女作りたい!)」

ノコノコ「ふむ、有給はまだ残ってましたかな…」ウーム


キノピオ「あっ、そういえば皆さん、この辺で良い音楽家に
     心辺りはありませんか?」


クリボー「ん?なんで」


キノピオ「パーティーの準備にあたって最高の音楽家をご招待しようと
     決まりまして」
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/12(金) 22:33:41.27 ID:W+IczPcH0

ノコノコ「最高の音楽家ですか…私はそういうのは疎いものでして」

クリボー「なんかこう、バンドとか良いんじゃないッスか?こうエレキ
     とかドラムでドジャ〜ンっ!みたいな?」

テレサ「我は英知を司る仙人の住まう湖にて悩める作曲家を
    推させてもらおうか!彼奴ならば納得のいく音色を奏でる筈」
   (そうですねぇ、ケロケロ湖のキノコフスキー先生なんてどうです
    オーケストラー調の音楽とか雰囲気が出て良いかなーって)




「ガッハッハ、なんだか金の匂いがするじゃねーか!」





「「「「あっ!」」」」


ワリオ「俺だよ!ワリオだよ!」

クリボー「ワリオさんじゃねーッスか」

キノピオ「どうしたんですか?手にスコップと肥料なんか持って?」


ワリオ「…あー、気にすんな、これはちょっと事業に失敗しただけだ」

キノピオ「…?はぁ、分かりました…」

ワリオ「んな事よりよォ、お前等良いバンドメンバー探してんだって?」

ワリオ「実はよ、知ってんだぜ…安い料金でかなりの質の高い公演を
    やってくれるメンバーをよォ!」

キノピオ「えっ、本当ですか!?」


ワリオ「おうおう!本当本当!んでよ、紹介してやっても良いんだが
    紹介料を払って欲しいのよ分かる?」

キノピオ「え、…えぇ、はい、音楽家の方を雇うのに500コインまで
     使って良いと…」

ワリオ「よォ〜しなら、話は早い紹介料で50コイン、更に俺がソイツ等に
    話付けてやろう!交渉、その他諸々でプラス300コインだぜ!」

ノコノコ「それは横暴ではないか?」


ワリオ「オイオイ、言っとくがこいつぁかなり良心的な金額だぜ!
    合計350コイン、この国じゃ何処探しても400コインが良いとこ
    こォ〜んな最高の取引は早々ねぇぞ!」

キノピオ「う〜ん、分かりました…何だかんだでワリオさん人を見る目は
     ありそうですし」

ワリオ「へへ、毎度!」コイーン








ピポパ…とぅるるるるん、とぅるるるるん!


ガチャ

ワリオ「あっ、もしもし、俺俺、俺だよワリオだよ!」

ワリオ「実はいい話があんだよ…」

―――
――
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/12(金) 22:35:08.55 ID:W+IczPcH0



ワリオ「という訳で、この日にパーティーあるからな
    おたくらに来て貰いたいって訳だ」

ワリオ「『ボンゴ』『エレキギター』『サキソホン』『トロンボーン』
    それに『トライアングル』…おたくらのバンドなら最高に舞台を
    盛り上げられるだろ?」

ワリオ「んん?報酬?心配すんなってちゃんと
    良質なバナナ用意しとくから、じゃあな!」



    こうしてパーティーの準備は着々と進んでいくのでした


 誰もが笑い合える世界、魔法の時間が始まるのはもうすぐの事でした





           そしてパーティーの前日…
       つまり、カートレースが開催される一日前



クッパ「全軍!明日一日お前達に暇を出す、城の事は良い
    存分に明日と言う日を楽しめ!」

ノコノコ「ほっ、有給を使わずにパーティーに行けそうですね」

テレサ「…♪」フフーン
   (こっちのリボンをつけて行こうかなぁ)




ワリオ「さぁて、出店はどうすっかなぁ…」

ヨッシー「食べれるお店なら何でもいいですよ!」




ルイージ「兄さん」

マリオ「ああ、エンジンの調整に行くとしようか」

ルイージ(…明日…全部、明日なんだな)




ピーチ(………マリオ)

キノじい「姫様、夜風にあまり当たるの…」


   皆がそれぞれの想いを持ち明日を迎えようとしていたのでした

  夢のような時間…もしかしたら最後かもしれない夢になるかも、と


「…明日だ、ワシ等の悲願達成の為に…!」

「ゲヒャ…」






ゲドンコ星人「ゲヒャヒャヒャヒャヒャ…ッ!」


    …願わくば、最後に見る夢は悪夢でない事を祈りましょう
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/13(土) 00:13:00.24 ID:NHasEHyQ0
*   *  *  *  *  *  *  *  *  *   *

*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

*   *  *  *  *  *  *  *  *  *   *



ジュゲム「さぁ皆様!ついにレース大会の日がやって参りましたぁ!」


ジュゲム「実況は私、カメラマン兼司会進行を勤めさせていただく
     ジュゲムでございます!いやぁ、久々のレース実況で
     なにやら気分が高潮する次第です!」


ジュゲム「レース会場周辺の観客席はほぼ満席外には着々と出店の屋台が
     立っていきます!」




カメック「おーい!そっちの機材はこっちだ!」

ハンマーブロスs「「「「うぃーっす!」」」」


   ワッセ ホイサ   ワッセ ホイサ


            エッサ  ホイサ   エッサ ホイサ


       ヘイホー  ヘイホー




ジュゲム「いやぁ、活気に満ちていますねぇ〜
     さて、もうじき選手達が来る頃です!
     インタビューの方へ移りましょう!」


―――
――




   「――さて、もうじき選手達が来る頃です!
     インタビューの方へ移りましょう!」




「ねぇねぇ、もうすぐ始まるってよ?」

「僕達も会場の方に行かないの?」

「慌てる出ないわ!…バンドメンバーは最後と決まっておろう!」



「もう…頑固だなぁ、クランキーは」


クランキー・コング「フン、おぬし等若いもんはまるで分かっとらん!」

クランキー「良いか!昔から締めの"おおとり"は
      遅れてやってくるもんじゃ」


「うわぁ、クランキーの長そうな話が始まるよ」ボソボソ

「に、逃げよっか?」ボソボソ



クランキー「これッ!聴いとるのか!馬鹿ザル共!」


「うへっ!やっべぇ…オイラ、こんなトコまで来てお説教は嫌だよ」

「クランキー!ほら、バナナ食べようよ…!船旅で疲れたしさ!」
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/13(土) 00:24:50.09 ID:NHasEHyQ0

クランキー「誤魔化すでないわ!…と言いたい所じゃが
      確かに、我々は長旅で疲れとる」


クランキー「今日のライブの為、英気を存分に養うのも良かろう!」



「イエーーーーーイ!」
「やったね!」



クランキー「今夜はこの国の住人をモンキーラップの虜に
      してやろうではないか」


「あっ、クランキー、テレビの音量上げてよ、選手入場が始まるみたい」

クランキー「年寄りにやらせるでないわ!」ピッ

「そう言いつつ、やってくれるクランキー優しいぃっ!」





ジュゲム「えー、画面をご覧の皆様、選手入場です!」


ジュゲム「まず一番手は、クッパ軍団よりドッスン選手です!
     自分の重みに耐えられる専用マシンを使用しており――」

―――
――




【ふるぅつ じゅぅす 屋さん】


ヨッシー「ん〜!トロピカルですねぇ」

ワリオ「おい!味わうのは良いけどよ!ちゃんとジュースにしろよ!」

ヨッシー「分かってますよ〜もぅっ!」


ワリオ「ったく…」


ヨッシー「ワリオさんは出場しないんですか?」

ワリオ「あぁん?」


ヨッシー「賞金でるんですよ!賞金!」

ワリオ「…けっ!あぁ〜んな端金なんぞより、ここでフルーツジュースを
    売った方がコイン稼げると思ったんだよォ!」

ワリオ「最近、暑ぃしよォ、現に客の入りだって良い方だろ」



ヨッシー「この戦いに水を差したくないとかですかね?」



ワリオ「ハァ?」

ヨッシー「今日は、あのルイージを初め
     多くの人がマリオさんに真実を教えようとしている」

ヨッシー「今日くらいは無粋な事せず、純粋に見守りたいとか?」
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/13(土) 00:29:06.14 ID:NHasEHyQ0

ワリオ「…」


ワリオ「…ケッ」


ワリオ「マリオの野郎共がどうなろうと俺の知ったこっちゃあねぇよ!」

ワリオ「…」


ワリオ「ただ、周りの人間が一人の野郎中心にアレやこれや
    理由つけて、依存したり…自堕落的だったりよォ」

ワリオ「そういうのは好かねぇんだよ俺は…」

ワリオ「この国の頭、お花畑な住人がどんだけ意識改革できんのか
    見てやろうって気もあんのよ」



ヨッシー「…ふぅ、不っ器用ですねぇ」



ワリオ「あぁ!?」

ヨッシー「ワリオさん、そういうの巷で"つんでれ"って言うんですよ」


ワリオ「ケッ!てめーは食えねぇ野郎だぜ!」


ヨッシー「はっはっは!確かに僕は食べれませんよ!
     むしろ、僕は食べる側ですからねぇ!!」


ワリオ「うるせえ!上手い事言ったつもりか!」



「すいませーん、ドルピック島風トロピカルジュースくださーい!」


ワリオ「あっ、はい!ただいま」ニコニコ


ヨッシー「商売人の鑑だなぁ…」ジュース ジャー



―――
――



【クッパ城…の玉座】


     シーン…


クッパ「…」



クッパ「この城、誰もいないと静かなモノだな…」


 部下は全員、今日のお祭り事へ行かせるため
 門番から…自分のちょっとしたお世話係、小間使い、経理担当から
 次期クッパ軍の長になるであろうクッパJrもカメックババに頼み
 祭りへ行かせた…

 今、誰一人いない城内でクッパは座りなれた椅子に座り

 テレビ中継を通しレース大会の中継を見ていた…


クッパ「…フン、偶には独りも良きもの、か」

 誇り高き城主はただ独り…好敵手<トモ>の姿を見るだけであった…
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/13(土) 00:31:08.06 ID:NHasEHyQ0

ジュゲム「――以上を持ちまして開会式を終了とします」


ジュゲム「それでは選手の皆様行きますよ!!!!!」





               3






「ねぇ、クランキーはやっぱり、マリオが勝つと思う?」

クランキー「そうじゃのう、断言はできんが有力候補じゃろうて」

「TVで見るのも良いけど、オイラは会場に直接行って見たかったなぁ
 …ディクシーを誘ってデートみたいな感じでさ」ボソ








               2






ヨッシー「お、走り出しますねぇ!」

ワリオ「…」


ヨッシー「ワリオさ「ラジオの音量デカくしたけりゃ勝手にしな!」


ヨッシー「なんだかんだで、ワリオさんも興味あるんじゃないですかー」

ワリオ「ケッ!」







              1








クッパ「…」




クッパ「どんな事であろうとお前を倒すのは我輩だ
             ……敗北は許さんぞ、マリオ!」




             GO!!
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/13(土) 00:32:24.74 ID:NHasEHyQ0

轟音…っ!


ランプから発せられる光がグリーンからレッドへと移り変わる


           刹那の瞬間ッ!


各選手は各々の愛機に火を点す!
ある者は勝利の栄冠を獲るために、ある者は己の生き様の為
そして、ある者は超えるべき目標を超すために…エンジンに火を点す!

胸の内にある情熱と変わらぬ熱を…っ!

執念の炎を…っ!


乗り手の熱意をそのまま注ぎ込むように選手達は機体のフットペダルと
強く踏み込み、ハンドルを切る

その刻から"唯の無機質な鉄塊"であるマシン達は
"無機質な鉄塊"ではなくなるのだ、情熱と言う名の火は

          愛機へと燃え移るのだから…っ!





 ワアアアアアアアアアアアアァァァァァァ!!!!


ジュゲム「スタートです!
         各選手、一斉にスタートいたしましたァ―ー!」


彼らの熱が会場に伝染する
観客は無論、司会兼進行係であるジュゲムでさえも熱に浮かされるのだ




  BUROOOOOOOOOOO O O !  !  !   !

―表向きキノコ王国とクッパ軍の協定を記念したレースキノカメ杯…―
―今大会は国が用意したレースを3週した者が栄冠を掴むという到って―
 ―シンプルな大会、道中に選手の行く手を阻む障害があるものの―
―そのどれもが、過去に行われたレースのように機体が大破するような―
―過酷な物ではない、従って【選手の安全は絶対に保障された大会】だ―



ルイージ(なんとか、スタートダッシュは切れたけど…)


ルイージ(…"やっぱり"としか言いようがないね!)キッ!



―サイドミラーを見てルイージは思う、後続には数十台の車両の群れ…―
 ―スタートダッシュ時に一気に群れから飛び出せなかった集団だ―
―レース用の車道故にそれなりに横幅はあるものの、流石に何十台と―
―機体があれば、我先に我先にと道の奪い合い、先に行かせないように―
  ―ワザと後続車両の道を塞ぐような蛇行運転を図る者など…―

―ハッキリ言って、醜い争いの渦中であり、初めの一歩で如何にして―
 ―この集団を抜けられるか…この時点でも勝敗が大きく別れるのだ―





マリオ「…」



  ―サイドミラーではなく、前方を見据える、"やっぱり"居た…―



―ある意味で予想通り、"壁"は…"超えるべき者"は
               ルイージの前を独走するッ!―
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/13(土) 00:33:51.33 ID:NHasEHyQ0

ジュゲム「会場の皆様、モニターをご覧ください!」


ピッ!


ジュゲム「えー、現在の上位5位ですがトップは…
     マリオ選手!マリオ選手です!続いてキャサリン選手の機体と
     ワルイージ選手の機体です、丁度並行して走行しておりますが
     僅かにキャサリン選手がリードしております!」


ジュゲム「そして4位は何と以外ッ!!キノピオ選手だァー!」




クリボー「おおぅ!やるじゃねーッスか!」

ノコノコ「ふむ、彼の機体は確か、極限まで邪魔なパーツを取っ払って
     加速性を高めた物でしたね…」

クリボー「あーでも、それって結構ヤバイんじゃね?
      重量が無い分、カーブとか減速しなきゃ事故っちまうかも
     それに、カロンみたいにスッカスッカな骨マシーンなんて
     他の選手に追突でもされたら…なぁ?」







テレサ「フッ!音速の貴公子を極める為には必要な犠牲よ!奴もそれを
    承知した上で奔るのだからな!
    我等は奴の生還を黙って見届ける、ただソレだけよッ!」

   (はわわわ、!た、確かに加速性を高める為には多少の危険は
    あるってキノピオさんも言ってましたけど…
    『僕は絶対に大丈夫だ』っていってました!
    信じましょう!…私達にできるのはそれだけです!)




クリボー「おめぇは一体、何処の味方なんだよ…」(リア充もげろ!)


ノコノコ「愛の力ですなぁ」しみじみ



ジュゲム「上位5名は依然変わらず速度を上げており、後続の集団から
     ますます距離を離して行きます!
     まるでキノコによるブーストでも掛かっているかの如し
     驚きの速度です!」





ピーチ「…」ギュッ

キノじい「…姫、不安なお気持ちは分かりますが今大会は
     マシンが大破するような障害物は無く
     万が一の為にも各地に医療スタッフが派遣されております」

キノじい「ご安心くだされ…」


ピーチ「はい…」


ピーチ(…)





ピーチ(キノじいはこう言っているのに…この胸騒ぎは一体?)ギュッ
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/13(土) 01:44:15.66 ID:NHasEHyQ0

―レース開幕から5分が過ぎようとしていた、僅か5分、しかし…
  時速100キロ越えで走る彼らは相当な距離を走行している事になる―



ルイージ「ん?あれは…」



―今大会は障害物がある、選手にはただそれだけを教え、具体的な内容は
一切知らせない、無いようによってはソレを逆手に取られかねないからだ
     


 ―周囲に建築物は一切無く、平坦な道が延々と続くかと思われた―



―しかし! 変化は訪れる…!

―それは【穴】だッ!


―道のど真ん中から、端っこまで幾つもの【穴】が無数に空いている―



   ―こういう時、経験が物を言うとは良く言った物だ…―
―ルイージは【穴】を見てすぐにピンと来た、大きさ、造り…それらが―
    ―あれは【何の穴】であるかすぐに悟らせたのである…―




ルイージ「やれやれ、鬼が出るか蛇が出るか…それとも土竜かな?」


   ―土竜<モグラ>…記憶を失う前の兄と何度も冒険をした…―
―そして、幾度と無く見てきた存在の内の一匹なんだろうとルイージは―
―予見する、穴の大きさ的に車輪を取られ、身動きが取れない事態は―
  ―ない筈である、唯一の心配事はただそれぐらいであった…―







マリオ(…なんだ、この【穴】は…?)


   ―弟と違い、"冒険の記憶"が無いマリオには分からない…―

―それが、何の【穴】であるか、…此処が勝負の分かれ目になるだろう―


マリオ「…単にデコボコで走行し辛い道という訳ではなさそうだな」


―そう言いつつも、速度は決して緩めない…っ!
 警戒はすれど、後ろのライバル達を前に行かせるつもりは微塵も無い―



そして…っ!

            トップは"穴の直前"までたどり着く!




ボコンッ!!




マリオ「!!」


チョロプー「ピィーーーーーー!!」

52 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/13(土) 03:08:52.96 ID:NHasEHyQ0
*********************************


           今回は此処まで!


  ※またしてもミス

 >>46でヨッシーがルイージをさん付けじゃなく呼び捨てにしてますが

   前回同様さんをつけ忘れただけです

   決してヨッシーがルイージを舐めてるわけじゃないです、はい

*********************************
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/13(土) 09:09:37.25 ID:0JILbNWx0

R板にあるっていうことはグロまたはエロがあるっていうこと?
このマリオは擦れているからピーチ姫とアンアンを期待
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/13(土) 13:33:59.72 ID:Dj4ufkXpO
キノコでよがる幽霊のイチャラブっくすに決まってるだろ言わせんな
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/15(月) 00:10:36.83 ID:Lr13U2H40

       ―跳びだしたのはチョロプーだった…っ!―


マリオ「ぐっ!」ギュルルルル!


 ―咄嗟の判断、ハンドルを全力で切り、車体は勢いよくスピンする―

―それによりチョロプーはマリオの顔に跳びつけず
 車体に取り付く事となるのだが…車体全体に掛かる強烈なGと遠心力―


  ―それによって、彼はすぐさま、跳ね飛ばされる結果となる―





ブウウウウゥゥゥンン!!

               ギュウウウウンンン!!!

マリオ「ちぃッ抜かされたかっ!」





―直線上に向かっていた車体の運動エネルギーは回転と共に乱れ…
    結果として後方のライバル達に機会を与えてしまったのだ!―




減速…っ! この僅かな出来事でトップは順位を2つ落とす…っ!

 キャサリン、ワルイージの順にマリオを追い抜きそして…っ!



キノピオ「…!マリオさん」

ルイージ「勝たせてもらうぜ…兄さんっ!」


 加速特化型の機体が英雄の隣に並ぶ!背後にはもう一人の英雄

キノピオ&ルイージ「「うおおおおおお!!」」


―二人は思う、英雄<マリオ>が、決して勝てないと思えた敵が…!
  最大の対戦相手が今!何の幸運か自分達の前に"堕ちて"きたと―



マリオ「…ふぅ」

マリオ「どうも勘違いしてたな
    最大のライバルはお前達四人じゃなかった」

             ―しかし…―








マリオ「俺にとってのライバルとは他でもない"俺"だったな…

            俺の…俺の"慢心"こそが最大の敵だ…っ!」





これは断じて幸運などでは無い…眠れる獅子が目覚める瞬間だったのだ
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/15(月) 00:11:58.55 ID:U7LWXsGg0
>マリオ「俺にとってのライバルとは他でもない"俺"だったな…

            俺の…俺の"慢心"こそが最大の敵だ…っ!」




急にジョジョぽい台詞言い出したぞ。この配管工野郎
57 :ゲリラ再開 [saga]:2017/05/15(月) 00:18:22.35 ID:Lr13U2H40

―穴だらけの道、当然だが先ほどのように穴にはチョロプーが潜む
  ただし、全ての穴という訳ではない、当然ながらダミーの穴もある―


マリオ「フンッ」ガッ


     ―フットペダルを踏み込み速度を上げるマリオ―
―同じくマリオに並び走行していたキノピオもフットペダルを踏み込み―
    ―両者共に機体を加速させるッ!…ルイージを除き―


マリオ「…」
キノピオ「…っ!」



―結果は…

      キノピオの圧勝であった!


 元より彼の機体は不要なパーツを全て抜き取り加速性に特化させた機
 この手のパワー比べならば彼が勝利するのは白明の理であった










…そう、これが"ただの相手"ならば、だ!―



ルイージ(キノピオ、勝ちを焦ったね…)


―遠ざかっていく二人の背を見つめるルイージはキノピオの敗北を思う―


―――
――


キノピオ「…うっ!」グンッ

マリオ「…」


  ―両者は機体の出せる可能な限りの最大加速で道を突っ切る―
―マリオとの差は一向に開いていく、キノピオが前へ、そして段々と―
―豆粒みたいな見えたトップと2位の背が大きくなってくる…しかし!―



キノピオ(…ま、まだだ!相手はマリオさんだぞ!
      此処で速度を緩めれば…きっと抜かれる!!)




 彼は知っている、"スーパーマリオ"という人物が今までどれ程の奇跡を
起こしてきたのかを…

 かつて、幾度と無く自国の姫を攫った大王と戦い生還してみせた男

 かつて、"武器世界"より訪れた侵略者達を倒した男

 宇宙人タタンガの撃破、怪力ワリオからマリオランドの奪還
 ドルピック島での事件解決、ゴロツキタウンの地下に眠る"女王"討伐
 マメーリア王国の件、過去から帰れなくなった姫の救出
 …そしてダークスターの事

 例を挙げたら限りが無い…それ程の男なのだ
 "そんな男だと分かっている"だからこそキノピオは速度を緩めない

 否ッッ!緩めなかったのだ!それが敗北に繋がると気付かずに!
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/15(月) 00:21:56.94 ID:Lr13U2H40




     ガコンッ!





キノピオ「!?」


      ―…一瞬、彼は自分の状況が飲み込めなかった―

―身体に衝撃が走り、視界がぶれる、そして感じるのは奇妙な浮遊感―

―それもその筈だ…何せ




       彼の機体は横軸に一回転しながら宙を舞ったのだから…




キノピオ「ぅぁ……
        うわああああああぁぁぁぁぁっっ!!!!」



  ―彼の機体の加速性は余分な重量を取り払った事にもよる―
 ―しかし、その分、操作性の悪い物となっており、カーブの際にも―
     ―早目にハンドルを切る必要があったのだ…―

無論、彼だってこのピーキーな機体に慣れるため練習はしていた
 だが彼は"マリオ"というあまりにも大きな存在のプレッシャーに負けた
速度を緩める事なく、突き進み彼の車輪、車体は"穴の上"を通過した


キノピオもマリオもチョロプーの事を危惧し、可能な限り穴を避けていた

もう一度言うが、キノピオの機体はかなりピーキーな性能
 加速すればするほど、ハンドルを切るタイミングはズレる…
穴の真上を通過していると気付かなくなるほどに…


英雄は素人にはまず不可能な加速をしつつ、穴を見事に避け続け
同じくキノピオもそれを実行してはいた、だが…焦りのあまり彼は
操縦ミスを犯し、よりにもよってチョロプーの潜む穴の上を通った

もしも、これが並みの速度で走る機体ならば、飛び跳ねたチョロプーは
キノピオの顔にでも張り付く程度だっただろう…


だが、チョロプーが地表から飛び出すよりも速く
 通過しようとする加速性だ…堅い地層の岩盤を掘りながら飛び出す程の
彼等の力はそのままキノピオの車体を下から突き上げる形になり…!



キノピオ「―ああああああぁぁぁぁぁ!!」



   ガ シ ャ ァ ア ア ア  ア ア ン !



最低限の重さがあれば、宙を舞うことも無かったろうに…


そのまま横軸回転をしながらスッ飛ぶ時速数百キロの弾丸と化した機体は
トップと2位の付近に墜落、爆散…まるでトゲゾーの甲羅でも投げた様だ

キノピオは幸運にも席から跳ね飛ばされて茂みへ…


ルイージ「…さて、行くか」


遠くで起きた爆発、立ち上る黒煙を確認し、ようやくルイージは
フットペダルを踏み込み加速する…
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/15(月) 00:25:26.15 ID:Lr13U2H40

【会場・観客席】






     ガ シ ャ ァ ア ア ア  ア ア ン !





ピーチ「じい!早く救護班を!」ガタッ

キノじい「ひ、姫!落ち着いてください」

ピーチ「あのような光景を見たのです、落ち着いてなどいられません!」

キノじい「ただいま、救護班が向かっておられますじゃ!」



ピーチ「…っ」

キノじい「…お気持ちは痛いほど分かります
     今大会は参加者の安全を考えておりました…
     ですが、あれは我々の予想を上回る異例の事態だったのです」


ピーチ「…ごめんなさい」


キノじい「…謝るのはこのじいの方です…」

ピーチ「…」

ピーチ(マリオ…どうかご無事で…)








ジュゲム「あーっと!?キノピオ選手の機体が大破、炎上したァーッ!」



テレサ「隣国の遣い!?」
   (キノピオさん!?)


クリボー「うおぉっ!?リア充爆発しろとは思ってたけど
     こんなんアリかよ!?」オロオロ

ノコノコ「二人とも落ち着きなさい、キノピオ君なら茂みに落ちただろう
     死んではいませんよ」

クリボー「いや、そうだけどよ!気の合うダチ公が
     あんな事になってんスよ!落ち着けってのは無理だってっ!」




  ノコノコ「此処で私達が慌てた所で何か事態が変わりますか?」



クリボー「ぐっ、それ言われちゃ、ぐぅの音も出ないッス…」





テレサ「約束されし時の運は…自らの手で掴み、変え行く物なり」
   (…だったら"行きましょう"、私達が事態を変える為に…)
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/15(月) 00:42:07.57 ID:Lr13U2H40


クリボー「へっ?」
ノコノコ「テレサ君?」







テレサ「此処で大いなる時を無駄にして何となる?
    口論に時を欠くなら、戦友の下へ駆けつけるのが道理だろう?」

  訳(ノコノコ先輩の言う通り、此処で慌ててても何も変わりません
    なら助けに行きましょうよっ!
    クリボー先輩だってなんだかんだでキノピオさんとお友達でしょ
    お喋りしてる暇があるなら、私達がどうにかしましょうよっ!)





ノコノコ「…やれやれ、テレサ君、君は強い女性ですね」

クリボー「確かにそりゃあ、そうだけどよォ
     どうすりゃ良いんだよ…
     こっからかなり距離あんぞ?車でもあれば話は変わっけど…」




















       ヨッシー「お困りのようですねぇ?」ヌッ









クリボー「ギャアアアアアアア!?!?出たああああぁ!?」

テレサ「しょ!?食人蜥蜴ッ!?」
   (ヨ、ヨッシーさん!?いやああぁぁぁっ!卵投げないでぇ!?)




ノコノコ「あっ、どうもヨッシーさん」ペコリッ

ヨッシー「やぁ、ノコノコさん
     この間はカメカメハーブティーのギフトを送ってもらって
     ありがとうございますね」





クリボー「ゼェ…ゼェ… と、突然出てこないでくださいよォ〜
     心臓に悪いッスから…」


テレサ「わ、我等を驚愕させようとは新緑の鱗を持つ竜よ…」
   (そ、そうですよヨッシーさぁん…)
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/15(月) 00:47:39.87 ID:Lr13U2H40


クリボー「つーか、あんた等なんか妙に親しげじゃないッスか?」





ノコノコ「ああ、私達はよく文通してますからね」

ヨッシー「ええ、ノコノコさんからはクッキーに合う茶葉を
     頂いてますね、代わりに此方からお菓子や果物を送りますが」




クリボー「えっ?なにその、裏話的な話、初耳なんスけど?」



ノコノコ「まぁ、仕事と関係ないプライベートな話ですし」


テレサ「貴公ッ!何の目論見あって我等に接触したッ!」
   (あのう…私達に何か御用でしょうか?)オドオド



ヨッシー「移動手段が欲しいと言ってましたね?
           よければ私のカートをお貸ししますよ?」


クリボー「えっ、マジで!?」

ヨッシー「はいっ!…本当は私も参加して1位は無理としても
     ベスト4までに入れば賞金で世界食べ歩き旅行に
     行けると思ってましたが」


ヨッシー「この大会は大事な大会ですからね…地味なルイージさん含め
     その他の人に華を持たせようと辞退したんですよ」


ノコノコ「つまり、調整したカートがあるものの、それは手持ち沙汰に
     なっているということですかな?」

ヨッシー「ええ、クリボー君達に特別に貸してあげます!
      ただ、その代わり…」







    ワリオ「オイ、どうだ!売り上げは上がったか?」







ヨッシー「…ウチの商品を大量に買ってくれませんかね?」ハァ…

ノコノコ「…あー、そういう事ですか」


ヨッシー「フルーツジュースの売り上げが良すぎるもので
     こうして屋台から観客席まで立ち歩きで販売に来てるんですよ
     私のカートをお貸しするので売り上げ向上にご協力を」



クリボー「どんだけ買えばいいんスか?」



ヨッシー「えー、ざっと100名様分買っていただければ…」



クリボー「ちょっ…!」
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/15(月) 01:02:40.49 ID:Lr13U2H40


ヨッシー「確かにアレな交渉だとは思いますよ?
     でも、それだけ払えば私のカートは"無期限"、しかも壊しても
     修理費その他の請求は一切しません」


ヨッシー「まぁ…新車を購入するような物と思っていただければ…」




 -どうせ私のお古をチェーンナップしただけの物ですし、と-
  -スーパードラゴンのヨッシーは車体のキーを見せます-


ノコノコ「…はぁ、分かりました」


ノコノコ「ただし、今現金での持ち合わせはありません」


ノコノコ「ですのでクレジットでお願いしますよ?」


ヨッシー「…私が言うのも何ですが、良いんですね?」





ノコノコ「私も、キノピオ君…友達の安否が心配ですからね」ニコ



テレサ「同士よ!」
   (ノコノコ先輩…)

クリボー「…あんた、漢だよ」



―――
――




ヨッシー「此方になります」



  -ヨッシーに案内されついて来たテレサ、クリボー、ノコノコは-
    -友達の下へ行こうとヨッシーのカートを受け取ります…-
 -本来、レース大会に参加する予定だった為、それは会場に納車され-
      -いつでも発進可能な状態になっていました…-


-ヨッシーの卵を連想させる白と緑の水玉模様…ガッチリとした
  やや大型の機体、四輪駆動で見るからにパワー重視といったカート-


-キノピオのカートが加速性に優れた機体なら、これは急斜面の山道
  車輪を取られやすい湿地帯や浜辺の走行に特化したタイプだろう-



クリボー「おおっ!?かっけー!!」


テレサ&ノコノコ「「えっ?」」



-緑と白の水玉模様…お世辞にもお洒落なデザインとは言えない
            どちらかといえばお茶目なデザインである-


ヨッシー「さっすが、クリボー君、センスが分かりますね〜」




ノコノコ「…あー、とりあえず行きましょうか?」
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/15(月) 01:24:13.18 ID:Lr13U2H40


ノコノコ「では私が運転しますので」


- 一人乗りというより、二人乗りが可能な大型車にノコノコ
              後ろにクリボー、テレサがしがみ付く-



- 迷わずノコノコが運転席に乗り込んだがこれには理由がある -

  まず、このカートはヨッシー専用に調整されており、当然ながら
 シートの位置、ハンドルの高さ、フットペダルの場所もヨッシー専用…





要は、短身のクリボーではアクセル、ブレーキが踏めても
 ハンドルを操作できないわけだ…



テレサに至っては論外、ハンドルは持てても
       脚が無いからアクセルが踏めない

 (念力で動かせる【キングテレサ】という例外はあるが…)


これ等の理由で二人は運転免許が取れない
 体格的にも条件を満たすのはノコノコだけであった…




ノコノコ「行きますよ?」





 BUROOOOOOOOOOO O O !  !  !   !





 - 今ッ!三匹のクッパ城門番隊が親友の為に会場を飛び立った…!-






―――
――




救護班A「ぅぐ…」ドサッ


救護班B「こ、此方、キノコ王国医療スタッフ…き、緊急じた―」


ゴスッ!     ドサッ…



「おっと…通信はやめてくれよワシ等も事を起こす前に
  面倒な事になるのは嫌じゃからのう?」




ゲドンコ星人「ゲヒャヒャ・・・」
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/15(月) 01:40:10.18 ID:Lr13U2H40
*********************************


           今回は此処まで!



            [前にも書いた事]

―そのどれもが、過去に行われたレースのように機体が大破するような―
―過酷な物ではない、従って【選手の安全は絶対に保障された大会】だ―

>安全な大会とは一体なんだったのか…



マリオ世界の物価は作品によって違うので

ノコノコがクレジット払いで購入したジュース1杯1コインとは限らない


※100人分は飲み切れないのでクッパ城宛で
 郵送してもらう事にしました


  …関係ないけどあの世界の食べ物はマジで美味しそうだから困る
 【ふっかつドリンク】とか【ヨッシーのクッキー】とか味が気になる

*********************************
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/15(月) 07:19:00.64 ID:PUTArFv4o
マメーリアと物価違うとかの設定あったしね
絶対安全なんて振りだよ振り!
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/15(月) 08:56:32.39 ID:aQK1yhOyO
おつ
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/16(火) 21:27:58.92 ID:ibXpSCDs0



ワルイージ「へっ、ようやくチョロプー群を抜けたか!」




熱烈なトップ争いで1位の地位についたのは意外にもワルイージだった


彼とキャサリンはマリオを追い抜いた後、1位の座を賭けて競っていたが
突如、後方より飛んできた来た機体の爆発に巻き込まれた


ワルイージ(まさか、こんな早くに使うとは思わなかったぜ・・・)



彼専用にチェーンアップされた機体の動力部には特注製の仕掛けがある

"一時的にエンジンを暴走寸前までフル稼働させ爆発的な加速力を生む"
そのようなギミックがあるのだ!
 その速さは【ダッシュキノコ】三つ分に相当するっ!



ワルイージ「…チッ、意図的にエンジンを暴走させるから
      あまり使いたくはねぇが無かったが
      アレはしゃーねぇぜ…」


博打好きのワルイージだからこそこんな無理のある装置がつけられている
もっとも・・・今回ばかりは彼の命知らずな性格がつけた機能が
結果的に彼を救ったのだが…



現在トップ争いをするのは3機のマシン・・・



すなわち


1位のワルイージ
2位のマリオ

そして…まだ薄らとしか見えていない緑の影…



キャサリンの機体はキノピオ機の爆発に巻き込まれ炎上
咄嗟の判断で機から降りてリタイアの形となった



マリオ「…次は山道か」


マリオ(…ッ!)ズキッ

マリオ(くそっ!さっきのモグラを見てからまた頭痛がしやがる…)


何処かでアレを見た気がする、だが何処でかが思い出せない

平坦な道から進む度に傾度の増す山道の急カーブも寸分違わない
完璧なコーナーリングで曲がりきる


無駄の無い、僅かな動作で大幅に曲がるでもなく、着実に1位との距離を
埋めていく英雄

彼の機体はキノピオやワルイージ達と違い何の改造も施されていない


つまりッッ!

完全にドライバーの素の技量だけで1位争いの場に居たのだっ!

68 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/16(火) 21:33:29.69 ID:ibXpSCDs0

なだらかな斜面から徐々に傾度は増加していく
 風に揺れる芝生の小波が見えなくなる頃には目に映る世界は…


マリオ「ガードレールがあるから転落の恐れは無いが…
    ここでの障害物は勘弁してほしいな」チラッ



レース用という事もあり少し広めの車道

ガードレールの先は奈落の底である



マリオ「…こんな谷底、マントやしっぽが無けりゃお陀仏…っ!」


不意に声に出した"単語"…




          【マント】?


          【しっぽ】?




自分は何を言っているのだ?


"しっぽ"とは何のことだ?何の動物の尻尾だ?

"マント"だと…?あのヒラヒラした布きれの"マント"?



なぜ、それが無ければお陀仏だというのだ?




マリオ「っ!くそ!俺は一体どうしたって言うんだっ!!」




【最近、テニスやゴルフにパーティーばかりで何かを忘れている】
その忘れている事柄はすごく大事な事だった

そして、時々頭の中に浮かんでは消えるおぼろげな映像<ヴィジョン>…

喉まで出かかって、もう少しで記憶に掛っている霧が晴れるという所で
消えていくソレ等にマリオは苛立ちを隠し切れないのだ


マリオ「…今は、目の前に集中する、ただそれだけだ」


頭痛と胃の中にあるモヤモヤとした感情と戦いながらも
目の前を走る男を見据える



まだ戦いは終わってなどいないのだからッッ!!






―――
――



ルイージ「見えてきたぞ、兄さんと!…顎長男」

超えるべき目標…と
事あるごとに喧嘩を売って来るうっとおしい男にルイ―ジが声を漏らす
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/16(火) 21:46:59.48 ID:ibXpSCDs0

以前からワルイージはルイージ…というよりもマリオブラザーズに対して
対抗心を燃やす男であった

テニス大会G・C杯においても彼は優勝の際、トロフィー片手に
わざわざルイージに自慢しに来たのだ
当のルイージは心底どうでも良いと言った顔で軽くあしらったが…
(マリオもクッパも出場しなかったのだからある意味勝って当然である)



ただ…長い顎と悪人面であることを除けば意外とマメな一面もある男

そんな努力家でもある


ルイージ「あの男の事だ、機体に仕掛けの一つや二つはあっても良い筈」

何にしてもルイージにとってこれは好機だった
1位と2位の差は最初こそ開いていたがドライバーの腕によって
その差はほぼ無いものとされていた

マリオはすぐにワルイージの後ろにつく

だがワルイージも簡単に抜かされる程の間抜けではない



マリオ「もらった!」

ワルイージ「させっかよ!」ギャギャッ!


マリオ(チッ!進路妨害め…!)


英雄は加速させて紫の機を追い抜こうとする

だが相手はそれを見逃さない


相手はハンドルを切り、左右へ動く


マリオの進路を塞ぐようにであるッ!





ハンドルを右へ切って走れば前方の機体も追い抜かれまいと右へ移動
逆に左へ向かえば奴もまた進路を妨害する

牽制…ッ!

フェイントを掛けてもそれを見抜き巧みにマリオをトップへは行かせない


マリオ「やってくれるな!」



仮にマリオが追い抜けたとしてもワルイージには"加速装置"がある
抜かれれば、また抜き返し、道を阻む…!

イタチごっこも良いところである


そんな小競り合いが続けば、トップと2位の速度も落ち
ルイージが彼らに近づけるのもまた必然



ルイージ「利用させてもらうぜ!」


段々と姿が大きく見えてくる2機の機体にルイージは追い上げを掛ける!
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/16(火) 21:49:40.24 ID:ibXpSCDs0

三機の距離差もほぼ無いに等しい状態となった頃、変化は訪れる

マリオ「むっ!」

ワルイージ「あぁん?」

ルイージ「トンネルだね・・・」


暗いトンネルの中へと差し掛かる…!



中はまるで夜中の森のように暗く、明かりはせいぜい頼りなく輝く
非常灯の明かりだけである

元々、誰も使わなかった廃止予定の山道を急遽、改装したような物
今、3人は自機に備え付けられたライトのみが頼るべき"目"である


マリオ(ぬぅ…これでは!)

ワルイージ(チィ・・・!おとなしく安全運転を心がけるか!)


ライトで多少前方が見えはするが、それでも不安定な道先に変わりはなく
マリオも先頭の男を追い抜こうと思えば追い抜ける

…追突が原因で機体が大破する可能性を完全に無視すればの話だが

ワルイージもワルイージで後方よりマリオが追い抜きを掛ける可能性を
考えざるを得ない

後ろからのライトで相手の位置はおぼろげにわかるが…

向こうがライトを消せばどうだ?

完全に位置は解らなくなり

左右どちらから抜けるか分からなくなる



ワルイージにせよ、マリオにせよライト一つ消すか否かで
相手から自分の位置を悟らせにくい状況は作れる






 BUROOOOOOOOOOO O O !  !  !   !


 BUROOOOOOOOOOO O O !  !  !   !


 BUROOOOOOOOOOO O O !  !  !   !


三機のエンジン音が暗闇の中で喚く

依然として動かない順位!

停滞するそれぞれの関係・・・!


ルイージ「…!出口か!」


微かに暗いトンネル内に光が入り込む

ルイージの目先の光景は…
トップを走るワルイージ、そして彼から少し右後方にマリオ…


ルイージ「…!賭けに出るか!」
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/16(火) 21:51:43.71 ID:ibXpSCDs0



一か八かの賭け・・・それは…!




ルイージ「はぁあ!」


一気にフットペダルを踏み込み追い上げの加速を行う!


マリオ「なっ!」
ワルイージ「あんだとぉ!?」


ワルイージとマリオ・・・この二人が今やっていることは
"追い抜かれぬように進路を阻む" "前方の相手を追い抜く"この二つ

先程も言ったようにマリオが右側へ寄って走ればワルイージも
追い抜きを阻止すべく右へ

逆に左に行けば奴もまた左側へと沿って走行する





ルイージ(…"察して"くれよ…兄さんっ!)





…ならば"両側から攻めれば良いのだ"


ワルイージから見て右側にマリオ!
そして左側からルイージが急加速で追い抜きを仕掛けるッッ!


右か左か進路妨害をしてやれるのは当然一人であり
必然的にマリオかルイージのどちらかはトップへと躍り出る

そしてどちらか一方が前へ出てしまえばいつまでもイタチごっこなど
している場合ではなくなる、何が何でも1位に戻るため
ワルイージはあれやこれやと苦労する事になる

残った双子の片割れを妨害してる暇など無いほどに、だ…



マリオ「…そういうことか!ルイージ!!」


これは一種の賭け、どちらか一人しか進めないなら当然マリオをトップに
戻し、ルイージは3位のままで終わるという
兄に打ち勝とうとする弟にとって皮肉な結末にもなり得る…ッ!


全ては…



ルイージ「奴<ワルイージ>次第だッ!」



ワルイージ「ぐぅっ…っそぉ…」



ワルイージ「くそぉ!くそぉぉ!クソクソぉ!ドクソ野郎がァ!」



ルイージの思惑に気が付きワルイージは吼える

72 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/16(火) 21:56:29.92 ID:ibXpSCDs0

ワルイージ(畜生!どうすりゃあイイってんだ!)

記憶があろうと無かろうと決して変わらないモノは存在する…




        ―双子の英雄<マリオブラザーズ>―



彼らの警戒すべき点はそのコンビネーションにある・・・!

長年の付き合いだからこそ、お互いの思惑が理解できる


かつて大魔王クッパを…!

マメ―リアで暗躍するゲラゲモーナ一味を…!

宇宙から舞い降りてきたゲドンコを打倒した時だってそうだ!



"この二人だからできる事"



人はこれを次のように呼んだ・・・ッ!




  【ブラザーアタック】と…ッ!





ルイージ「うおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」

マリオ「っっつああああああああああぁぁ!!!」


左から猛接近の弟
右は隙あらばワルイージを追い抜く姿勢の兄!


そこには記憶の有無など関係ないッ!


マクラノ島での【ジェットボード】やクッパの体内を冒険した時の
【はね〜るメット】や【ぶんしんタルたいほう】さらに言えば
幾多もの敵を蹴散らした【あちこちウィンドウ】…


今、ここに歴戦の兄弟が牙を向くッ!!



ワルイージ(っざけんな、記憶喪失野郎め!
      こんな時だけ息ピッタリの連携してんじゃねぇよ!!)


 BUROOOOOOOOOOO O O !  !  !   !



ワルイージ(チィ!どうするよ!?マリオかルイージか…!)

抜かれるのは最早確定的…ならばどちらがトップへ行く事を許すかだ


ルイージ「貰ったァぁぁぁぁぁ!!」

ワルイージ「やらせるわきゃねぇえだろうがぁ!!!」


ギュゥウウウウンン



ワルイージはハンドルを大きく切る
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/16(火) 21:58:26.12 ID:ibXpSCDs0










        マリオ「…前へは俺が行かせてもらう・・・」





栄光の1位へ舞い戻ったのは兄であった


ワルイージは(苦肉の策だか)記憶喪失であるマリオを前へ行かせた
本調子でない英雄など恐るるに足らない

いざとなれば加速装置で横に並ぶことはできる…


そこで彼は警戒すべき相手をルイージ一人と定める



ワルイージ「残念だったなァ!緑の弟よォ!!」


ルイージ「ぐっ・・・」


ルイージ(僕は……
        賭けに負けたのか…!)


奴はマリオの先行を許し、ルイージの行く手を阻む…

ルイージにとって皮肉な結末で終わったのだ…





マリオ「むっ!トンネルを抜けるか!」


暗いトンネルを抜け、初めに拝むのは日の光だ…
時間にして7〜8分だったのかもしれない
それでも闇に目を慣らしていた彼らの目を眩ませるには十分すぎる

マリオ「…今なら地中から飛び出すモグラが
        サングラスを掛ける理由も頷けるな」


穴だらけの地点で飛び出してきた"チョロプー"達の出で立ちを思い出す
彼らがサングラスを掛ける真の理由が何かは知らないが
マリオはそんな皮肉めいた事を呟き、機体の速度を上げる


此処から先は下り道だ…


―――
――



マリオ等が白熱とした戦いを繰り広げる頃、所変わってチョロプー群…


「あいたた…」ヨロ…


「…僕のマシーン、壊れちゃったなぁ…」


真っ白な頭に赤い斑点模様…機体が爆散する前に投げ飛ばされた
キノピオその人だった…

キノピオ「はぁ〜これで、僕もリタイアかぁ…」
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/16(火) 22:26:47.75 ID:ibXpSCDs0



      「あらぁ…でも、恰好良かったわよん♪」



キノピオ「えへへ、そう言ってもらえるとすごく嬉しい…って!?」



がさっ・・・


茂みの奥から姿を現す声の主

頭に特徴的な大き目のリボン
トカゲ等の爬虫類に見られるような長い尻尾
ピンク…というよりかは小豆色に近い体色に真っ白なお腹
大き目な瞳と大きな口

そして長い睫にアイシャドーを塗った目元がチャームポイント


そう…彼女(?)は!



キノピオ「キャサリンさん!」


キャサリン「あらぁん、キャ・ッ・シ・ーって呼んで♪」


キノピオの機体の爆発に自機を巻き込まれワルイージとのトップ争いから
惜しくも身を引く事を余儀なくされた彼女(・・・彼?)であった


キャサリン「キノちゃんも中々恰好良かったわよ?
       ヨッシーちゃんには劣るけどね」


パチンっ、とウインクをしながらキノピオの健闘ぶりを讃える
キャサリンにキノピオは照れる


キノピオ「あはは…ありがとうございます!」

キャサリン「機体は壊れちゃったけど…お迎えって来るのかしら?」

キノピオ「ええ、こんな事になっちゃったし…たぶん医療スタッフの方も
     一緒に来てくれるとは思うんですけどね…」


ガス欠やタイヤのパンク等でリタイアするしかない参加者が出た時に備え
ある程度、国のスタッフが動けるようにはしている
 機体が爆発するというのは想定外だっただろうが…

まぁ、なんにしても迎えが来るまで二人は此処で
暇を持て余す事になるだろう


キノピオ「そういえばキャサリンさんは
      どうして大会に参加なさったんです?」

キャサリン「いやぁ〜ん、それを乙女に訊いちゃう?」クネクネ

彼女(オカマ…?)は体をくねらせて照れくさそうに語ってくれた
優勝は無理でも入賞入りを果たし
その賞金でヨッシーとデートに行こうとしていた、と…

キャサリン「ほらぁ、ヨッシーちゃんってモリモリ食べるじゃない?
      だからお金がたくさん欲しくて…」

キノピオ「はぁ…そうですねぇ」


つまるところ、この恐竜族は思い人(?)とのデートの資金稼ぎの為に
参加していたらしい、そして惚気(?)話を延々と暫く聴かされた後…



キャサリン「・・・あらん?何か聴こえるわね…エンジン音?」ピクッ

75 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/16(火) 22:41:19.23 ID:ibXpSCDs0


      roooo……


   キノピオ「…!キノコ王国の救護班ですかね!」





        rooooooo………!





   キャサリン「…いえ、ちょっと待ちなさい…これ…」







   キャサリン「普通の車のエンジン音じゃないわよ…」



  恐竜族のキャサリンは自慢の耳で音を聞き分ける

   キャサリンの口調は気づけばゆったりとした物では無くなっていた




    ROOOOOOOOOOO O O !  !  !   !





    遠い向こうから近づいてくる"車体"が見える…


    そして…その"車体"に掲げられている"旗"をキノピオは見るッ!





   キノピオ「あっ!? あの旗は…! あの"国旗"は…!」



   キャサリン「あれは…!車じゃないわ!あれは…!!」



GOROOOOOOOOOOO O O !  !  !   !




 キャサリン「あれは…! "戦車" だわッッ!!!」




通常のカートの何倍もの出力を持つエンジンが高らかに轟音を響かせ
【戦争の為の兵器】が地を走って行くッ!


 その機体は…!







          "旧"クッパ帝国軍の国旗を掲げて…ッッ!!


76 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/16(火) 22:52:28.98 ID:TUv+xrOS0
キャサリンのあれは意識していたものかよwwwww
77 :>>76 YES [saga]:2017/05/17(水) 00:38:55.36 ID:ScQ5jS2d0




            キノピオ「せ!?せせせ、戦車!?」





立ち上る土煙、辺りに唸る轟音…遠目に見えていたシルエットは徐々に
近く、大きく、より鮮明に見えてくる

鋼鉄製の車輪…ゴム製の履帯

しかし、装甲の殆どは木材…ベニヤ板のようなモノ
丸太を縄で括りつけて縛ったかのようなモノを使用しており
金属の光沢が目立つのは車両の先端に設備された砲塔を初め
上層部のハッチ等の一部の部分であった





 それは、まるで…"敗戦し大破した戦車"を乏しい資材で辛うじて
走行できるように応急処置をしたかのような…
 言ってしまえば急ごしらえな見てくれであった




キャサリン「な、なによ!なんなのよアレッ!」



肉眼で捉えられるだけでも10両…小型の戦車が6
残りは砲が2門以上の大型だ



キノピオ「わ、分かりません!!あ、いや、分かりますけど…
     でも理解できません!!」

キャサリン「キノちゃん、どういう事…!」


キノピオ「え、えっと…まず、あの戦車なんですが僕はアレが
     何処の軍のモノなのか分かるんです
        でも、それはありえない事で…」


突然の兵器の登場に驚きを隠せず、同様するキノピオ
彼にキャサリンは落ち着いて説明するように諭す


キノピオ「は、はい…まず、あれは"旧"クッパ軍のモノなんです」

キャサリン「クッパ軍…? じゃあアレってクッパ大王の戦車?
      協定条約はどうなってるのよぉ?」


キノピオ「…  "旧" クッパ軍です…」





 "旧"

 わざわざ、【旧】という所を強調するキノピオは話を続ける


キノピオ「あの武装…あれは今から【10年以上前の武装】なんですよ!」

キャサリン「?…??」

キノピオ「昔…ピーチ姫がクッパに攫われて、マリオさんが
     ルイージさんと共に姫を救出しに向かった時に使われた…

      今はもう、全て廃棄された筈の兵器なんです!」


キノピオ「ありえないんですよ!
     とっくの昔に全部スクラップになった筈なのに…!!」
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/17(水) 01:45:03.57 ID:ScQ5jS2d0

             …そうです


         これは【過去からの忘れ物】…





「前方に人影を確認ッ!キノコ王国の住人と…?恐竜族でしょうか?
 ピンク色のスーパードラゴンと思わしき者がッ!!」


「……ワシ等の前に現れるとは運がないのう」ハァ…




       かつて、戦う事を誰よりも生きがいとし

      闘争本能を誰よりも誇りとした者達が居た…




「如何いたしますか…?」


「…」



          そう、"彼ら"は帰って来た…




「…」


「ふむ、景気付けにはよいかもしれんのう…」











            「構わん、撃て」












  【過去からの贈り物】は…災厄"達"はキノコ王国に帰って来た…!









  ズ ド オ オ オ オ オ オ ォォ ォ ォ ォ  ォ ォン

79 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/17(水) 01:46:32.47 ID:ScQ5jS2d0

―――
――



 BUROOOOOOOOOOO O O !  !  !   !



クリボー「な、なぁ、…もうちょい詰められないッスかねぇ?」

ノコノコ「無茶言わないでください、これでも詰めている方です」


キノコ王国の城門を抜ける事、数分…
機体から投げ出されたキノピオの元へ向かう3匹は
レースの実況モニターでも見た平坦な道を走っていた…


道中、此処からトップへ躍り出るのは無理だと悟り
リタイアする選手をちらほらと見かける…


最早、他に走る者が居ない車道はただっ広く、それでいて空いている
高速道路となんら変わらない


ノコノコ「元々、2人乗りの機体に無理矢理3人乗ってるんですよ?
     …それにレディに窮屈な思いをさせるのですか?」


テレサ「同士よ…我に気を遣う必要は無いぞ?」
   (あのぅ…私は別に大丈夫ですよ?)


クリボー「ぐっ…それを言われちゃあなぁ…男が廃るっつーか…」


ノコノコ「なら、我慢ですな」


クリボー「…ハァ、そうッスね」








 roooo……




クリボー「あん?」




 rooooooo………!




クリボー「なんか聴こえるような?」


ノコノコ「…?そうですか?私は何も…っ!?」



       キキィィー―――−ッ!!



クリボー「おわああぁぁぁぁー―――っ!?」
テレサ「!?何事!?」


80 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/17(水) 01:56:42.41 ID:ScQ5jS2d0


 急ブレーキを掛けられた事で慣性の法則に従い乗っていた三匹は身体が
前のめりになり、シートベルトをしていたノコノコはともかく
 彼に捕まっていたクリボー、そしてテレサは
危うく車体から跳ね飛ばされそうになった



クリボー「なにすんスか!?あぶっねぇなぁ・・・」





ノコノコ「・・・」





ノコノコ「クリボー君、私は疲れているのかな?」


クリボー「ハァ?いきなり何を訳わかんない・・・―――」






青ざめた瞳、見つめる先には彼らクッパ軍にとって懐かしいモノがある





クリボー「・・・マジかよオイ」


テレサ「・・・戦車」





【7匹の子クッパ達】


その昔、クッパ帝国軍はピーチ姫を攫った後、子クッパ七人衆
すなわち【ラリー】【モートン】【ウェンディ】【イギー】【ロイ】
【レミー 】【ルドウィッグ】等が世界各国の国王から魔法の杖を奪い
王達の姿を動物に変え政府の動きを止めるなど本格的な世界侵攻を図った


もっともソレはマリオブラザーズの活躍により失敗に終わったのだが…




今、ノコノコ達の眼差しの先にはその時代の産物があるッッ!!



木製の装甲、スパナを投げる【プー】達の潜む鉄製のハッチ
コストパフォーマンスと生産性のみを重視し、旋回しない砲塔を用いた
自走砲に近い創りの戦車等は確かに過去のクッパ軍のモノであった!



クリボー「ど、どどどどいうことッスかぁ〜!?」




突如、目の前に現れた過去からの贈り物


さぞ混乱した事だろう、大戦時代の旧式戦車が平和な時代に出現する

戦車がタイムスリップでもしてきたかのようである

81 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/17(水) 02:02:08.72 ID:ScQ5jS2d0


キリキリッ  ガシャンッ!


テレサ「! 砲が我等を狙っているぞ!」
    (せ、先輩!!砲門が私達に…っ!)


ノコノコ「ッ!」グッ



GYUROOOOOOOOoooooooo…!!!!!



予測不可能な事態に陥り、呆けていた彼は後輩の声でハッと我に返り
アクセルを強く踏み込む

刹那…! 機体のマフラーは排気ガスを噴出し
車輪は土埃を上げてその場から発つ



クリボー「のわあああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!」

ノコノコ「くっ!振り落とされないようにしっかり掴まってください!」

クリボー「む、無茶言うなああああぁぁぁあああぎゃあああああ!?」


テレサ「うっ…」グッ



彼らがその場から直ぐに発った後だった…







 先程までノコノコ達が居た場に砲弾が着弾し
       黒煙立ち上るクレーターを築き上げたのは…



クリボー「うううううう撃ってキタアァァァァ!?」


一発目の砲弾が放たれ、それを合図としたかのように二発目、三発目と
矢継ぎ早に戦車の群れは砲弾を打ち始める



クリボー「何!何!なんなの!なんなワケ!?何で俺等狙われてんの!」

ノコノコ「そんな事、私だって知りませんよ!!」


跳んでくる火薬の塊を避ける為にブレーキ、アクセルを交互に踏み分け
ハンドルを大航海時代の船長が面舵、取り舵と舵を取るように
命一杯に動かしていく…

故に彼らはジェットコースターの比ではない強力なGに晒される



       ズドオオオオオォォォォン!!



クリボー「ぎにゃああああああああぁぁぁぁぁ!? 今当たりかけた!
     死ぬ死ぬ!誰かヘルプウウウウウウゥゥ!?」


ノコノコ「煩いですよ!!黙ってください!」

82 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/17(水) 02:08:45.96 ID:ScQ5jS2d0
*********************************


           今回は此処まで!



            [前にも書いた事]



 今回出た【戦車】


>木製の装甲、スパナを投げる【プー】達の潜む鉄製のハッチ
>コストパフォーマンスと生産性のみを重視し、旋回しない砲塔を用いた
>自走砲に近い創りの戦車等は確かに過去のクッパ軍のモノであった!



    SFC時代のゲーム【マリオ3】のworld8

    つまり暗黒の国に登場した戦車ですね…



 砲から火が出るタイプや砲弾、キラー、ボム兵など
 バリュエーション豊富(?)な戦車が多く出てきますね

*********************************
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/17(水) 04:07:43.83 ID:AV5ENM1A0

前のにも書いたけどSFのマリオカートとかマリオコレクションぐらいしかマリオをやったことないのでこの戦車は本当にストライク
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/17(水) 17:56:42.14 ID:qRNGb5B5o
こっちに引っ越してたのね乙
85 :>>83 ありがとうございます [saga]:2017/05/17(水) 21:09:03.42 ID:ScQ5jS2d0




     ズドオオオオオォォォォン!!



                ズドオオオオオォォォォン!!




轟音唸り、黒煙が立ち上る大地

自分達目掛けて向こうに敵意があるのは明らかだった




クリボー「どうすんの!?どうするんよコレ!?
      このまんまじゃ俺達いつか吹っ飛ばされるっスよ!!」

ノコノコ「くっ…それは分かりますがっ!」グッ



フットペダルを交互に踏み分けハンドルを切る
この動作のみで飛んでくる砲弾を避け続けるノコノコは友人の言葉に
"この後をどうするか"答えを返せずにいる


向こうは戦闘を想定して創られた兵器

対して此方は非武装の競技用の車両…避ける以外に何ができようか?
こういう時に「ジリ貧」という言葉が浮ぶのだろう



ノコノコ「…相手は事もあろうに旧クッパ軍の戦車を使っています」

ノコノコ「問題は…アレを使っている連中が何者かです」



可能性として考えられるのは3点

・自分達は知らされていないが上層部の判断



 クッパが協定で「お互い仲良くしましょうね」と油断させ
その間にキノコ王国を攻め落とすという策を練っていた


個人的にこれはありえないと彼は考える

まず、ピーチ姫を攫っていない…
彼女を捕らえる前に行動を起こすのはクッパらしくない

マリオブラザーズを頼みの綱とし、国防能力があまり高くは無いとはいえ
そんな事をすれば国が警戒態勢を敷く筈だ

攫う前に姫は厳重警備体制の中へ避難させる
(屈強な兵隊揃いのクッパ軍団ならわけなく蹴散らせるが)そこまで
何も考えない程、彼等の使える主君は無能ではない


クッパは内政はともかく戦<イクサ>に関しては頭が回る御仁だ


それにクッパ軍である自分達を攻撃する意図が掴めない…


とすれば消去法で残り2点である可能性がある

すなわち…
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/17(水) 21:16:43.49 ID:ScQ5jS2d0




   ノコノコ「…テロリスト、ですかねっ!」キッ!




キノコ王国でもクッパ軍団でも無い全くの第3勢力
それが何処で拾ったかしらないが戦車の残骸を回収して
戦闘行為を行っている…



そう考えたッ!




…いや、…本当は"そう思いたかっただけ"

2点の内、ノコノコは可能性の低い方を選びたかった



―――信じたくなかったんだ…




お互い信頼しあっていたと思っていた同じクッパ軍団の仲間が
謀反を起こし、あまつさえ苦楽を共にした仲間の自分達を
吹っ飛ばそうとしているなどと考えたくなかったのだ…



…テロリストである可能性が低い事には当然理由がある

戦車の残骸はマリオ達と闘争を繰り広げた古戦場にあった残骸
ゴミ捨て場の瓦礫を10年分掘り起こしていくなどすれば幾つかは見つかる



それだけならまだ第3勢力の存在と決め付けられるが
あれを修復したとなれば、"旧クッパ軍"時代から所属している技術士
もしくは設計図等のどちらかが必要だ


少なくとも、あの現役時代から現代までのそのままの状態で来たような
復元を見る限りには…




そして如何に簡単な創りとは言え、運用方法を熟知するとなれば
それなりに訓練期間も要する

戦車等が何年前に復元されたか、はたまた昨日今日で直されたかは
知らないが、砲弾を数発撃てるぐらいには
乗りなれた乗員が乗っているのは間違いない


クリボー「…な、なぁ…テロリストって…言うけどよ…ありゃあ…」


テレサ「…同士よ、我等は思考を止めるべきにあらず
    我等の前に立ちはだかる者は何人たりても敵である筈なのだが」
    (ノコノコ先輩…考えたくはありませんが
      あの戦車に乗っている人達は…クッパ軍の人なのでは?)


ノコノコ「…」



ノコノコ(分かっていますよ…、分かってはいるんですよ)


 可能性の低い方とは別の可能性…この協定中に
我らが仕える主君の意に背き、あまつさえ苦楽を共にした同志さえも討つ

 どのような事情か何がどうしてそうなったかさえ分からない
だが、襲ってきたのは紛れも無い"仲間"達…一番否定したい可能性だった
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/17(水) 21:24:33.95 ID:ScQ5jS2d0


ノコノコ「…クリボー君、君とは長い付き合いだから訊いて置きたい」



ノコノコ「私達は今、旧クッパ軍の兵器を使いクッパ様の名誉を
      貶めようとしている"テロリスト"達に狙われています」


ノコノコ「私達の取れる選択は2つ」




―――"テロリスト"
       半ば家族同然のような同胞達が襲ってきたとは言わない




ノコノコ「このまま、砲弾をどうにか避け続け
             この場から撤退…もしくは」






   ドドドドドドドドド…!

             ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…!











   ノコノコ「私達とクッパ様の名誉の為…っ!
                アレを大破する事ですっ!」







クリボー「た、戦うっていうのかよ…ッ!相手は戦車だぜオイ!」


ノコノコ「…君が嫌だというなら私は全力で君達を安全地帯まで逃がす」




ノコノコ「そして、再び戻ってアレを止めます」



クリボー「…ノコノコ」



後輩のテレサ、そして自分と違いサボることなく門番として勤務した
旧知の友を見る…


   ――目には決意の色が見えた

   一度、この目をすると相手がマリオだろうとルイージだろうと
   問題無く吶喊していくのは彼がよく知っていた…







クリボー「…汚ねぇッスよ」
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/17(水) 21:25:59.22 ID:mDCUrmtw0
かっこいいけど、見た目を想像すると……
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/17(水) 21:26:23.08 ID:ScQ5jS2d0


クリボー「あんたぁ、マジに汚ねぇ…」



クリボー「マジで卑怯過ぎッス」



ノコノコ「…」

テレサ「……っ!」オロオロ



クリボー「仲間を逃がして、自分だけ戻って突撃とか…」

クリボー「そんなんモン
      ベタな少年漫画ならそいつぁ死亡フラグじゃねーッスか」




クリボー「俺、自分でも酷いヘタレだって自覚はあるッス」

クリボー「けどよ、そんな事言われて『はい、逃げます』って
      なんつーか、"男が廃る"っつーか…」










クリボー「俺はヘタレッスよ…でもね、ダチ公見捨てて尻尾巻く程
      糞野郎じゃねーッスよ!!!」












ノコノコ「そう言ってくれると思ってました」ニッコリ


クリボー「うわぁ…最高に汚ねぇ…」


ノコノコ「それで、テレサ君、君はどうする?
      レディーは逃げても良いと思いますよ?」



テレサ「わ、我とて誇り高き軍の一員!それに隣国の遣いを見ずに
     帰るなど片腹痛いわ!」
    (わ、私もお手伝いしますっ!キ、キノピオさんだって
      見つけていませんしっ!)




ノコノコ「ふふ、では行きましょうか…!」



 ズ ド オ オ オ オ オ オ ォォ ォ ォ ォ  ォ ォン !



戦車の発砲音を背景に彼等はお互いの顔を見る


ああ、自分達は良い友人に恵まれた…

久しく忘れていた感覚、共に力を合わせ共通の強敵へと立ち向かう感触
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/17(水) 21:43:26.23 ID:ScQ5jS2d0



    【クッパ軍門番3人衆 VS "旧"クッパ軍】・・・ッ!




ノコノコ「ふんっ!」グッッ!


GYUROOOOOOOOoooooooo…!!!!!



クリボー「ぬおおおおぉぉぉぉっ!?」ガクンッ!


勢いよく踏みつけるアクセル
もう何度体験したか…急加速で身体が後ろへと仰け反りそうになるのを
堪え、3匹の門番を乗せた機体が突っ込んでいく






―ノコノコ『良いですか?作戦は大まかに言ってしまえば
       一台でも構いませんので戦車の無力化、奪取です』


―クリボー『簡単に言ってくれますねぇオイ!?』


―テレサ『…どうするのだ?』


―ノコノコ『知っての通り、あの戦車は【プー】がマリオさんを
       迎撃する為のハッチがついています』


―ノコノコ『あそこから内部へ入り込み一台奪う
       その為にはクリボー君、君が要となります』


―クリボー『のわっ!?あっぶねぇ…!また砲弾が真横に落ちたっ…って
      俺ッスかぁ〜!?』


―ノコノコ『ある条件が揃ったらあの戦車のすぐ傍まで接近します
       そしたらこの中で身軽な君が戦車へ飛び乗る事』


―ノコノコ『浮遊が可能なテレサ君が適任では?と
       考えるかもしれませんが
       君でなければ駄目な理由がある、それは――』







クリボー「マジにこんなん巧くやれるんですかねぇ…」



自他認めるヘタレ筆頭の彼…ノコノコにああは言ったモノの
やはり怖いモノは怖い…


自然と身体は震えだす…


クリボー(今、相当な速度で走ってるよな…)


クリボー(こんで飛び乗るのに失敗したら俺…)…ゴクッ!


母なる大地にその身を打ち、全身打撲程度では
済まない怪我を負うのは間違いない

91 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/17(水) 22:15:57.00 ID:ScQ5jS2d0


クリボー「ええいっ!ままよ!!」


涙を堪え、唾を飲み込み覚悟を決める
  腐っても彼はクッパ軍の一員だ…っ!


―――
――


「戦車長!向こう側が此方に突っ込んできます!」

「なんだと…!? おい、指揮官殿はなんと!?」

「少々お待ちください…!……電報が届きました!
  『ワシ等は本隊と合流しキノコ城へ向かう、1両残してはいく
     おぬし等で確実に仕留めよ』との伝令であります!」


「そうか!ならば撃てぃっ!」


「「「「了解<サー! イエッサー!>」」」」


―――
――


  GOROOOOOOOOOOO O O !  !  !   !



ノコノコ(…! 2両残して殆どが…っ!)


丁度、自分達が目掛けている車両とそのすぐ傍の1両を残し
散開するように道をそれてこの場を離れる戦車部隊

ノコノコ等を無視し、そのまま整備の行き届いた道から王国への突撃
そしてあえて迂回させ、反対側やまた別の方面から国へ攻め込む進み方


一点から攻めるではなく、東西南北あらゆる方面から攻める事で
国民ならびピーチ姫の脱出ルート防ぎつつ四方八方から侵攻するにより
相手国家を混乱させる一種の心理戦である…



キリキリッ  ガシャンッ!


テレサ「せ、先輩!!ノコノコ先輩!砲が!!」


距離を詰め、その状態で砲門が此方を向く
これにはテレサが素を出してしまう程だ




ノコノコ「まだです!まだ!距離を詰めて…っ!」



ノコノコ(後少し…っ!)

92 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/17(水) 22:21:07.47 ID:ScQ5jS2d0


小型戦車6両の内の2両が残るハイウェイ…

自軍の兵器だったからこそ欠点は分かる、あの砲門は旋回しない砲塔を
用いた 自走砲に近い創り…

故に戦車には攻撃パターンが2、3点しかない
敵に接近し、そのまま相手を轢殺…
上部ハッチから【プー】がスパナを投げる、砲塔による発砲…


欠点とはすなわち、機体の懐に潜り込む事である…!

履帯で踏み潰される事さえ注意していれば、真正面でなく真横に居れば
然程、脅威でもないし
 その位置でなら砲に狙い撃ちされる事はなく、車両のすぐ下では
【プー】達にとっても死角となり、仮に気付かれていても
スパナを当てづらいのだ


それに…





―――
――


「せ、戦車長殿!奴等、此方に接近してきます!」

「うろたえるな!非武装の機体に何ができる!」

「で、ですがこれ以上接近されては同士も援護ができなくなります!」

「ぐ、ならば早く撃て!この距離では外すまい!」

―――
――





それに…

    懐に接近すればもう1両の戦車に撃たれる事もなくなる
 同士討ちで戦車を破壊してしまう事になりえるからだ




  ズ ド オ オ オ オ オ オ ォォ ォ ォ ォ  ォ ォン !








   ノコノコ「来たッ!今です!テレサ君!」



     テレサ「…っ!はぁあっ!!!」




 放たれた砲弾は真っ直ぐノコノコたちへと向かっていく、そう!
この至近距離では外しようが無い!直撃は確実であったァ!!!


  だが…!






   スウゥゥゥゥ…・ ・ ―― ‐
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/17(水) 22:25:37.70 ID:ScQ5jS2d0



「せ、戦車長!あ、相手が…!」

「ば、馬鹿な…!」

「き、き、き…」パクパク…











  「 消 え た だ と お お おお オォ ォォ!?!?」











【アイテム:テレサ】

 一定時間、ライバルに姿を認識できなくさせ、なおかつ
 緑甲羅、赤甲羅、バナナの皮、その他の攻撃を受け付けない









  ドオオオオオオオォォォォォン!!

放たれた砲弾は門番3人衆に直撃する筈だった…ッ!!


しかし、直撃の寸前で3人は姿を消す…否ッッッ!




  テレサの念力により彼等に当たる筈だった砲弾は透過したのだッ!

後方で黒煙を上げ地にクレーターを創る!しかし門番3人衆は生きている

 姿は見えずともエンジン音が聞こえるのだッ!



「お、落ち着け!テレサだ!テレサの力を使っているだけに過ぎん!
  砲弾を用意しろ!奴等が現れたらぶち込め!」

「せ、戦車長!砲弾が1つ無くなってます!」

「な、なにィ!?」



【アイテム:テレサ】

 追加効果としてライバルの持っているアイテムを奪う効果がある



テレサ「…ぁ、ぅ」グッタリ
ノコノコ「…お疲れ様です、後は彼に任せましょう…」



ノコノコは友人を見据える、今、敵から奪った
     火薬の塊を持ち飛び移らんとする勇姿を…ッ!
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/17(水) 22:27:19.87 ID:ScQ5jS2d0
*********************************


           今回は此処まで!



           [前にも書いた事]



>懐に入れば大丈夫

戦車は実際車輪に触れててもダメージを受けませんからね…

横スクロールのステージだから放置してればゲームオーバー(轢殺)
それを注意すれば真っ直ぐにしか飛ばない砲弾や【プー】は脅威じゃない

精々、たまに戦車から飛び出すボム兵くらいですね…あのステージ





  マリオカートで赤甲羅3つをテレサに奪われた時の悔しさは異常

*********************************
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/05/19(金) 08:42:38.55 ID:h6ok4AZjO
お疲れ
どういう意図があってこっちに移ったかは分からんが(グロ描写?)これからも応援してる
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/19(金) 21:21:53.13 ID:vVU7xdY70


 徐々に3人の乗った機体は戦車へと近づく

この時、既にノコノコの策通り戦車からの砲撃は無くなっていた!



唯でさえ姿を認識できなくなった3人(仮に位置を特定できても透過…)
姿を現した頃には相手の懐に飛び込んだ状態、同士討ちを恐れ
もう1両からの援護射撃は来ないだろう






   クリボー「…つ、ついに来ちまった…」ゴクッ




生唾を飲み込む

武者震いが止らない

冷汗が滝のように流れ出す





ノコノコ「クリボー君!飛び移るんだ!」

テレサ「せ、せんぱい…」コホッ



クリボー「…っ! う、うおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!」ダッ!



かつてクッパ軍団がある男に乗っ取られた事があった
【マメーリア王国】で暗躍し、後に姿を眩ませていた人物
自称天才科学者【ゲラコビッツ】の手によって…


その時に彼も捕らえられ【エクボンの森】の牢へ幽閉された



クリボー(や、やってやる!俺だってクッパ軍なんだ!)



半ば野ざらし、誰の目にも止らぬ森の奥深くで救いを待った時に
主君が解放してくれた事、共に戦った日々は今だって忘れない…そう!




     あの時のように!彼は奮い立ち跳んだッ!




クリボー「うああああああぁぁぁぁ!やっぱ怖えええぇぇぇぇぇ!!」



以前ならば主君が発破をかける為に背中に火炎を吹きかけた事だろう
あの時は本当によく跳んだものだ…



       ヒュウウゥゥゥ…


            ガ ン  ッッ  !!




クリボー「あでっ!?」
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/19(金) 21:26:11.55 ID:vVU7xdY70


クリボー「いっつ〜…でも、なんとか飛び乗れたッス」


 敵から奪った火薬の塊も落としてはいない
彼の姿はテレサの効力でまだ敵には見えない…きっと戦車内部では
見えない何かが降ってきたと騒いでいるだろう




―――
――


「なんだ!今の音は!」

「て、敵です!敵が飛び乗ってきました!」


「総員!武器を持――」



戦車長が乗組員に指示を出した頃にはもう遅い
上部ハッチが開かれクリボーが突入する!

ご丁重に火気厳禁の砲弾まで抱え込んで――




クリボー「動くんじゃねーッスよ!!
      動いたらコイツをブン投げる!っしたらドカンだぞ!」





「ぐっ…!」



クリボー「っ…あんた…!」



乗員を彼は当然見た、どれも全て見知った顔だった…
予測はしていたが"やはりそうだった"、と認識し
彼は内心で落胆する



そして彼等を指揮する【戦車長】の顔を見る



クリボー「どういうことだよ?なんでこんな事すんだよ!」



クリボー「【ブーメランブロス】…!」



ブーメランブロス「…」


クリボー「おい!黙んなよ!なんだってこんなワケわかんねぇ事…!」



ブーメランブロス「栄光のクッパ軍を再興するためだ!」

クリボー「ハァ!?再興!?お前何言ってんだよ!」



ブーメランブロス「我々は覇気を失くしてしまわれた
          クッパ様の目を覚ます為に"指揮官殿"に従った!」


ブーメランブロス「全ては栄光を取り戻す為だ!」
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/19(金) 21:38:33.93 ID:vVU7xdY70

 【戦車長】こと、ブーメランブロスは沈黙を破り、語り出す
徐々に語気を荒げ、雄々しく…息巻くように言葉を紡ぐのだ



ブーメランブロス「なぁ!お前だって同じクッパ軍団なら分かるだろ!」


ブーメランブロス「かつてマリオ達と戦っていた俺達は輝いていた!」


ブーメランブロス「なのにッ!…なのに、だ…ッ!」




彼は…『過ぎ去った栄光』を思い出しながら唇を噛み締める
そしてクリボーへ言うのだった


ブーメランブロス「時が経つにつれて、俺達は…戦場へ出なくなった」


ブーメランブロス「俺だけじゃないッ!俺の仲間も!みんな、みんな!
          戦いを誇りに想い、日々闘争していた俺達がだ!」


ある時は雪と氷に覆われた地で
  ある時は照り付く太陽の下、砂漠のど真ん中でだって戦った


互いに傷つけあい、痛み、苦しみもした



だが…そんなモノは後になって「良い思い出だった」と笑い飛ばせる程
その"瞬間が誇らしかった"…


 自分達は尊敬すべき漢の為に戦い、好敵手と呼べる強者と戦った

そんな"誇り"を持っていた…




ブーメランブロス「俺が最後に戦ったのが何時だか分かるか?」


ブーメランブロス「ルドウィック様達と共に各国を攻めた時を最後に
          俺は戦場から姿を消した…」



ブーメランブロス「兵舎の隅で新人達に在りし日の武勇伝を語り
          またいつかクッパ様の為に戦える、そう信じて
          長い月日を待ち続けて!」








ブーメランブロス「気付けば俺はいい歳したジジイだ…
           自慢の武器はカビ臭い武器庫で埃にまみれ…」







ブーメランブロス「俺は!俺達は"埃"にまみれたかったんじゃない!
           "誇り"の中で生きて居たかったんだ!」

ブーメランブロス「お前なら分かるだろ!?なぁ!?」




クリボー「…わかんねぇッスよ」
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/19(金) 21:42:05.75 ID:vVU7xdY70

 初めてクリボーが戦場に出た時は青臭い小僧と周りに言われた
中でも目の前のブーメランブロスは自分の何倍も生きてた年長者で
自分が馬鹿やるたびに自分を叱ってくれた


ある種の親心みたいなモノだったのかもしれない…


他の兵もいい歳したオッサンばっかで
 青二才だった彼は同僚のノコノコとくだらない話をしてよく笑っていた


クリボー「俺よォ、いつも説教ばっかのあんた等は好きじゃなかったッス
     けど…"いつかはこうなりてぇ"って思える男だと思ってた」


クリボー「矛盾してんのはわぁってる
      先輩面して、聴く側にしちゃ迷惑な…でもちゃんと後輩の事
      考えてくれるオッサンになりてぇって…」



クリボー「それが…なんでこんなテロ紛いな事すんだよ…」




クリボー「栄光? 誇り? そりゃ確かに良いもんだよ…
     けど、こんな風に今の平和をぶっ壊してまで欲しいのかよ…」





      ブーメランブロス「…俺にとっては今の世界は生き辛いんだ」





ブーメランブロス「毎日、テニスやゴルフにパーティばかり…          
         ああ、そうさ!誰もが手を繋いで平和を謳歌する!」


ブーメランブロス「そりゃ、最高に幸せだろうよ、誰一人傷つかないんだ
          でも…そんな世界がやって来て
          暗い物陰の隅に押しやられる奴等はどうだ?」



ブーメランブロス「初めは【アイツは強かった】と敵の心に
         印象を残せる程、華々しく戦った
         だが、時代が流れてしだいに誰からも忘れ去られて」




ブーメランブロス「俺は…そんなの嫌だ、誰だって良いから
          俺達が居た事を記録して欲しいんだ
          俺達の名前を覚えていて欲しいんだよ!」





なんとも言えない気持ちだった…


目の前の口うるさい年上は、クリボーの憧れだ

…確かに気持ちは分からなくなかった、時が経つにつれて彼等が
前線に立たされなくなって、落ちぶれていく姿

もし自分がそんな立場なら認められただろうか?


ブーメランブロス達の"指揮官殿"とやらが
何を考えて行動しているかは分からない…その指揮官も同じなのだろうか

100 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/19(金) 21:45:26.28 ID:vVU7xdY70


クリボー「おっさん…もうやめようぜ、な?」



ブーメランブロス「…」



クリボー「こいつぁ…この戦車はまだ何処も襲ってないわけじゃん?
      いや、確かに俺らに向かって発砲はしたけどよォ」


クリボー「でもよ? まだキノコ王国には侵攻してねぇじゃんか!
      まだ引き返せるッスよ!!」




彼が目の前の元上司…そしてどれもこれも見知った顔ばかりの乗組員を
見渡しながら言う




クリボー「今なら!今ならまだ引き返せる!俺らだって
      此処であった事を黙ってっから!
       無かった事にすっから!だからさァ!」






 「クリボー君、それは流石に厳しいかと思いますよ」カンカン…





クリボー「…ノコノコ」




ノコノコ「…っと、ご無沙汰しておりますブーメランブロス教官殿」



戦車のハッチが開き、鉄梯子を降りてくる友人は次のように口を開く



ノコノコ「…仮に我々が口を閉じていても
      "指揮官殿"とやらが教官殿達が今作戦に参加していたと
      口を開けば懲罰は免れません…」


ブーメランブロス「あぁ…わかってるよ」


ノコノコ「このままでは、どうあがいても何かしらの罰は免れません」



ノコノコ「…そこで私からある提案、いえ交渉をしたいのです」

ブーメランブロス「言ってみろ」










ノコノコ「今作戦の最大責任者たる"指揮官殿"とやらが
      どのような人物なのか」


ノコノコ「私たちに"その情報を売って"いただけませんか?」
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/05/19(金) 21:51:54.42 ID:vVU7xdY70

クリボー「おいおい…」
ブーメランブロス「…ほう?」


  ザワザワ…
               オイオイ…



ノコノコ「先も申し上げたように…どの道、教官殿
     ひいてはこの車両の乗組員皆さんの罰は免れません…」


ノコノコ「ですが、此処で起死回生の策です」




ノコノコ「簡単に言ってしまえば…」



・ クッパ軍内部に元から怪しい動きを働く一派が居た

・ "クッパに誰よりも誠実な忠臣"であるブーメランブロス等が気付く

・ 反クッパ勢力のテロリストに"加入するフリ"をして情報を探っていた


と、言う筋書きを作ってしまえば良いとの事だった




初めからクーデターなど起こす気は更々無く、むしろ阻止すべく動いた
という事にして自分達はそれを裏付ける証人になれば良いと

 相手が何か喚きだしたり証拠を突きつけようとも
全ては欺く為の発言でした!とでも言い後は知らぬ存ぜぬを通す



ノコノコ「悪くない提案だと思いますが?
       元より、軍内部の不審な動きは噂されてましたし
      その一派を見破ったと言っても多少は信憑性もあるかと」



クッパ軍内部に不審な動きがあるという噂は以前からあった
 事実としてクッパがノコヤン等、信頼の置ける腹心達に動きを探らせ
疑わしきを見張るように指示を出していた程だ

 尤も…時代が進むに連れ、人員の増加に伴い
最古参から新人兵までの生活の保障など

気がつけばクッパ一個人だけでは
手に余る程の軍勢に"なり過ぎて"しまったが故に
全員の動きまでは把握しきれなかった

(今でこそエリート3人組と呼ばれる親衛隊も
   過去にゲラコビッツに寝返る事態があった程だ…)




ブーメランブロス「…俺に"指揮官殿"を
         今の俺たちを導いてくれた御方を売れと言うか?」



ノコノコ「…教官殿自身は良いかもしれません、ですが」




ノコノコ「この車両の乗組員はどうなさるおつもりで?」チラッ



「せ、戦車長」
「…ぅ、うぁ…」
「っ!」
「…お、俺たちの処遇…!!」
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