小林オペラ「この裁判…絶対に逆転して見せる!」

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2 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 18:41:03.93 ID:Wu3x7vqR0
紅白テントの下で、大勢の観客が一糸に一輪車でまたがる少女に熱狂し、光り輝く幻の人影に幻惑されながら全員が一点を見つめる。

虎を従わせる少女、関節がどんな方向にも自由自在に曲がる少女。針の先の上でも平らな地面に立つが如く豪人な平衡感覚を持つ少女。

そして、その中心には球体に入った全身が漆黒を纏う団長と思わしき少女が居た。

彼女達はサーカス団。トイズを用いて人々を幻惑し、熱狂させるエンターテナーと呼ばれる者達である。

球体の少女は、球体からすり抜けるように現れると、身にまといし黒きオーラのように迫力のある声で彼女らを囲む観客に宣言した。

「今、再び我らの庭の光が闇に囲われ、光が打ち勝つ時、諸君らは奇跡の少女を見るであろう!」

漆黒の少女の言葉は、誰ひとりとして意味を理解しようとはしていない。だが、誰もが少女の言葉に熱狂し歓声をあげた。

少女が微笑むと、テントの中の証明が消え、闇が広がる。

大きな音と、機械が軋む音。そして、二人の少女の悲鳴。

何事かと騒ぐ者が現れる度、騒ぎが大きくなる。

そして、光が闇に打ち勝ち、テントの中を照らした後の光景は――

機械に魅惑な光を発す大きな”矢”が突き刺さり、中に居た奇跡の少女は

機械の歯車と起動部の歯車に巻き込まれ、破裂した水風船のように皮が伸び中身が流れ出て臓物が歯車を巻きつける。

少女達は叫ぶ。漆黒の少女はその光景を目を見開かせ硬直する。

その歯車の前には、二人の少女が立っていた。

一人は”弓”を持ち、一人は”盾”を持っていた。

二人の全身は血と肉片にまみれていて、まるで歯車の臓物の中から現れたようであった……。



外伝【悲劇と意志から生まれし戦士達】
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 18:41:31.71 ID:Wu3x7vqR0

小林(…ホームズ探偵学院に戻ってから、慌ただしい毎日が続く)

小林(アンリエット会長の指示による教師としての活動。それが僕があの事務所で寝泊まりをする条件の一つとなっていた)

小林(とりあえず、ここ当分ホテルで過ごしても問題ないくらいには金があったので拒否をしようとすれば、ミルキィホームズの皆には全力で反対され)

小林(アンリエット会長までもが、涙ぐみながら今の学院の現状の惨状をわざとらしく語り、僕の逃げ道を必死に塞いだ)

小林(…という事が起こったので、僕は今、多くの生徒を連れて課外授業をする為にある施設に居る)

小林(まぁ、何て事のないレジャー施設のようなもので、ホームズ探偵学院が購入した古い屋敷の中…)
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/09(水) 18:41:45.15 ID:mt4Wnehu0
なぜこっち?グロやエロあるのか?
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 18:41:58.19 ID:Wu3x7vqR0


【ホームズ探偵学院 課外館 12月01日 午前10時30分】


小林「はい。と言う訳で皆さんには、この屋敷の出口を見つけてもらいます」

小林(そこで、協力して脱出するというある種、ゲームみたいなものをする為の施設だ)

シャロ「はい!!やりましょう先生!」

ネロ「へへーん!僕達には小林がいるから、脱出なんてすぐだよね!」

コ―デリア「教官!もしもの時は…お力を貸して下さい!」

エリー「え…ええと……」

小林「…君達、やる前から僕に頼ろうとする魂胆がまる見えだけど、僕は関われないよ」

小林「だって僕は、この講義の当事者だからね」

シャロ「そ…そうだったですー…」ガク

ネロ「まぁ、そんなに落ち込む事も無いんじゃない?脱出するだけなら、エリー一人に任せればいいしさ」

コ―デリア「そうね…。エリーのトイズさえあれば、二秒で脱出できるわ!」

エリー「え……えええええ!!?」

小林「…トイズの使用も禁止されてるよ」

ネロ「え!?何だって小林!それじゃぁ僕達は…」

ネロ「どうやってこの屋敷から脱出しろっていうのさ!」ダンッ

小林「だから、それを考える授業なんだよ!?これは!」ガーン

生徒A「…ミルキィホームズが、どれだけ小林オペラに依存していたか分かるわねぇ」

根津「……俺、あいつらと同じチームじゃなくて良かった…」

小林(ううぅ…彼女達の評判がどんどん悪くなっていく…)
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 18:42:30.19 ID:Wu3x7vqR0

コ―デリア「…確かに、私達は教官に頼りっきりな気がするわね」

エリー「…………・」シュン

シャロ「ううぅ…だって」

シャロ「…先生がいれば、私達は何だってできるんだもん…」シュン

ネロ「美味しいご飯だって食べられるし、事件だってアッサリ解決できるんだもんね」

ネロ「あーんな事件や、こーんな事件だって、怪盗やサイコパスまでみーんな」

小林「…君達。僕に頼りっぱなしでは立派な探偵になんてなれやしないよ?」

小林「ちゃんと自分達だけの力で、この試練を乗り越えてくれたら…僕も嬉しいな」ニコッ

ネロ「!」

エリー「!///」

シャロ「…先生」

コ―デリア「…分かりました教官」

ダンッ!

コーデリア「皆!今こそミルキィホームズの真の力を見せる時よ!」

コーデリア「教官に良い所を見せて、私達も立派に成長している事を思い知らせてやりましょう!」

「「「おー!!」」おっ…おー…」

小林(ううん…何だか、出会った時より頭が軽くなっているような気が…)

小林(そんで僕は…出会った時より頭が痛くなっているような気が…)

シャロ「それじゃぁ始めましょう!」

ネロ「うんうん、僕達の着眼点と推理を披露した」

エリー「み…みんなで力を合わせて」

コーデリア「ミルキィホームズの論理と推理の実験劇場!」ドーン

小林(…何だろう。何故だか凄く嫌な予感がする…)
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 18:43:01.82 ID:Wu3x7vqR0


【推理開始】 The game is afoot!

Topic1
→ここはどこか

シャロ「…場所は古びた洋館。しかし掃除が行き届いています!」

エリー「ここで…まるで誰かがまだ住んでいるかのようです…」

小林「!」

ネロ「おおっと!その様子だと図星みたいだね小林!」

コーデリア「そう…ここはかつで誰かが住んでいた洋館…」

カシャッ

シャロ「この洋館のご主人は誰か…それを見極めるポイントは”机の上の写真立て”です!」

小林「?」

シャロ「その写真の中の人物こそ…この洋館の持ち主に関係する証拠です!」ピーン

コーデリア「写真の中に写っているのは身体だけ…頭から上は破り捨てられている…。つまり被害者なのよ」

ネロ「この館の中では殺人事件があったって事さぁ!!」ババーン

小林「…え」

小林「ぇぇぇええええええええ!!!!?」ガガーン

カシャッ

シャロ「それを物語っている証拠は…壁にかかった”しゃれこうべの飾り”です!」

小林「?」

エリー「は…話しの…流れだと、この骸骨は…殺された主人のもの…」

コーデリア「つまり、ここは殺人事件が起こった呪われた洋館なのよ!!」ビシィー!!

Topic1
→ここはどこか

Conclusion
→殺人事件のあった洋館

8 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 18:43:37.01 ID:Wu3x7vqR0


Topic2
→出口はどこか


ネロ「しかしあくまで目的は脱出…つまり、ここからどう出るか…」

シャロ「文字通り鍵となるのは、”しゃれこうべの周りにある動物の首”です!」

小林「!」

ネロ「酷い、動物虐待だ!…って、思ったけど、どうやら本物の動物を使っているわけじゃ無くて彫刻だからまぁ良いかな」

カシャ

ネロ「でもこの動物達の首の用途は分かったよ。これは…主人への”伴い”なんだ」

小林「?」

コーデリア「殺された主人の無念を晴らす為に…せめて寂しくないように動物の彫刻を並べたのよ」

カシャッ

シャロ「つまり!この動物に囲まれた主人の骨を成仏させれば」

シャロ「私達は!この洋館の呪いから解放されて脱出できるのですー!!」ババーン

小林「………」

コーデリア「それじゃぁ皆!早速お経を唱えるわよ!!」

「「「おー!!」」お…おー…/////」


Topic2
→出口はどこか

Conclusion
→呪いを解けば現れる

シャロ「以上!」

ネロ「ミルキィホームズの」

コーデリア「名推理でした!」

エリー「………でした」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 18:44:26.08 ID:Wu3x7vqR0


小林「………」

根津「………」

「………」

シャロ「なーむあーみだー」チーン

コーデリアー「なーむあーみだー」チーン

ネロ「なんーみょーほーれん」チーン

エリー「観自在菩薩・行深般若波羅蜜多時、照見五蘊皆空、度一切苦厄…」ブツブツ…

根津「…なぁ、こいつら何してんの?」

小林「…どうやら」

小林「自分達の推理に凄く…自信を持っているみたいだね…」スタスタ

小林「あの…ちょっと良いかな?君達」

シャロ「なーむあーみ…あっ、はい先生!どうしたんですか!?」

ネロ「もー小林!折角良い所までいったのに邪魔しないでよ!」

小林「うん…あのね?とりあえず、いくつか言わせてもらいたいんだけど…」

小林「この屋敷では、過去にも殺人事件が起こったっていう事実はない」

シャロ「え」

小林「…そもそも、そんな所を講義に使ったりはしない」

コーデリア「えっ」

小林「一応、学院が購入したわけだからね?」

ネロ「……そ、それじゃぁ…」

シャロ「私達は!どうやってここから脱出すれば良いんですか!?」ガーン

小林「だからそれを考え……」

エリー「う…ううぅ…」シューン

コーデリア「また…私達はやってしまったのね…」ショボーン

ネロ「うぅ…折角、答えにたどり着いたと思ったのになぁ…」シュ〜ン…

シャロ「う…ううぅ……」

シャロ「…やっぱり私達は、ダメダメホームズ…なんですかぁ…」ショボボーン…

小林「うっ…」

小林(しまった!落ち込ませちゃったか?)
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 18:44:53.69 ID:Wu3x7vqR0

小林「い、いやでも、決して着眼点は悪くなかったよ」

コーデリア「!」

小林「寧ろ、あとおしい所まで来ていた」

ネロ「!」

小林「もう一度推理すれば、きっと正解にたどり着けると思う」

エリー「!」

小林「だから、諦めずにもう一度推理するんだ」

小林「すれば、絶対に正解にたどり着ける筈だから」

シャロ「………」

シャロ「はい!!分かりました先生!!」

ネロ「よーし!後もう少しだ!もう一度推理するぞー!」

「「「おー!!」」」

小林(…ふふ。元気があるのは良い事だ)

小林(さて…。彼女達がズレている着眼点と推理を、そぉっと入れ替えないと)

小林(今度こそ、大泣きしてしまうかもしれないな…彼女達が)

11 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 18:45:45.77 ID:Wu3x7vqR0

【検討開始】 Hold it Ther Milky Holms.

Topic1
→ここはどこか

Conclusion
→殺人事件のあった洋館

シャロ「…場所は古びた洋館。しかし掃除が行き届いています!」

エリー「ここで…まるで誰かがまだ住んでいるかのようです…」

小林「!」

ネロ「おおっと!その様子だと図星みたいだね小林!」

コーデリア「そう…ここはかつで誰かが住んでいた洋館…」

カシャッ

シャロ「この洋館のご主人は誰か…それを見極めるポイントは”机の上の写真立て”です!」

小林「?」



バァーンッ!



小林(…少なくとも、この洋館の住民は写真立ての人物とは関係無い)

小林(彼女達はおそらく、僕の目線の先を見て判断したのだろう)

小林(そのあたりは評価するべき所かもしれないな。でも、着眼点がズレているようだ)


小林オペラの本当の目線の先は?

→【写真立て】

→【経費書】

→【シャーロックホームズの冒険】
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 18:47:03.16 ID:Wu3x7vqR0


→【経費書】


小林「ここだっ!」ビシッ

小林「この主人が誰か…その確実たる証拠はこの”経費書”だね」

シャロ「えっ?」

コーデリア「そう!この経費書に書かれた人物の名前さえ調べれば…この館の主人が分かるはず!」

コーデリア「経費書の中の人物の名前は…アンリエット・ミステール!!」

シャロ「ぇぇぇええええええ!!!?」ガガガーン

ネロ「じゃ…じゃぁ!この館はアンリエット会長が住んでるって事!?小林!」

小林「う、うん…。一応、アンリエット会長が持ち主だね」

カッ

コーデリア「しかし、そうなれば写真の中の人物は何ものなのか」

シャロ「その写真の中の人物こそ…過去にこの洋館で怒った事件による証拠です!」ピーン

コーデリア「写真の中に写っているのは身体だけ…頭から上は破り捨てられている…。つまり被害者なのよ」

ネロ「この館の中では殺人事件があったって事さぁ!!」ババーン

小林「…え」

小林「ぇぇぇええええええええ!!!!?」ガガーン

カシャッ

シャロ「それを物語っている証拠は…壁にかかった”しゃれこうべの飾り”です!」

小林「?」



バァーンッ!!



小林(…驚いたな)

小林(まさか、館の主人が生きている人間と分かっても、また殺人事件を押してくるとは…)

小林(てかそもそも、君達推理を曲げる気なんて一切無いじゃないか…!)

小林(…記録に無いと言ってるのに、どうにも殺人事件が起こっていると思いたいみたいだけど…ハッキリ言った方が良いな…)


殺人事件を全面否定するものは?

→【しゃれこうべの飾り】

→【しゃれこうべの値札】

→【二十里先生の自画像】
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 18:47:33.40 ID:Wu3x7vqR0
しばらくお待ちください…
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 18:54:27.55 ID:Wu3x7vqR0


→【しゃれこうべの値札】


小林「ここだっ!」ビシッ

小林「――それを物語っている証拠は、壁にかかった”しゃれこうべの値札”だ!」

シャロ「ええっ!?」ガーン

ネロ「そう!このホームセンターと丁寧に書かれた値札は剥がし忘れを示すものはただ一つ!」

コーデリア「このしゃれこうべはただの飾りであり、事件とは関係がない…」

エリー「つまりっ!」

カッ

エリー「この館では…殺人事件なんて起きていなかったのです!」

小林(良かった…!ようやくスタート地点に戻ってこれた…!)

コーデリア「つまり!」

ネロ「ここはアンリエット会長が所有する、講義の為だけの館という訳だったのさ!」ダァーン

シャロ「…ううぅ、何だか私…ボロボロにされた気がします…」


Topic1
→ここはどこか

Conclusion
→殺人事件のあった洋館×
  →アンリエット会長所有の洋館○
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 18:55:04.73 ID:Wu3x7vqR0

Topic2
→出口はどこか

Conclusion
→呪いを解けば現れる



ネロ「しかしあくまで目的は脱出…つまり、ここからどう出るか…」

シャロ「文字通り鍵となるのは、”しゃれこうべの周りにある動物の首”です!」

小林「!」

ネロ「酷い、動物虐待だ!…って、思ったけど、どうやら本物の動物を使っているわけじゃ無くて彫刻だからまぁ良いかな」

カシャ

ネロ「でもこの動物達の首の用途は分かったよ。これは…主人への”伴い”なんだ」

小林「?」



バァーンッ!



小林(皆…まだ写真立ての男が死んでいると思っているのか…?)

小林(その写真の人物は…僕なんだけど……)

小林(…しかし、この動物達の首が脱出の鍵となっているのは間違っていない)

小林(後は、それに気がつけるよう手助けしないと)


動物達の首と関係する部屋に在るものは?

→【机の上の写真立て】

→【しゃれこうべの値札】

→【二十里先生の自画像】

→【経費書】
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/09(水) 18:56:47.21 ID:mt4Wnehu0
まるで大逆転裁判の「論理と推理の実験劇場」だな
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 18:57:15.43 ID:Wu3x7vqR0


→【机の上の写真立て】

小林「はいっ!」ビシッ

小林「その通り、この動物達の首の用途は…”脱出の鍵”だ」

小林「君達が先ほど指摘した、”机の上の写真立て”と大いに関係するね」

ネロ「!つまり……」

シャロ「やっぱり、殺人事件は起こってたんですね!」ダンッ

小林「えっ」

カシャッ

シャロ「つまり!この動物に囲まれた主人の骨を成仏させれば」

シャロ「私達は!この洋館の呪いから解放されて脱出できるのですー!!」ババーン

小林「………」



バァーンッ



小林(しまった…!また、元の位置に戻ってしまった!)

小林(…しかし、これが過ぎれば後少しだ)

小林(頑張れ僕…頑張れ、僕!!)ダンッ!


写真立ての写真と関係するものは?

→【しゃれこうべの飾り】

→【二十里先生の自画像】

→【経費書】
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 18:59:15.46 ID:Wu3x7vqR0

→【しゃれこうべの飾り】

小林「ここだ!!」

小林「最初に話した通り、この授業は着眼点と推理を養うためのものだ」

小林「ここは初心者用。つまり、そこまで難しくないどころか子供だましの正解が隠されている」

小林「しかし、それは謎を見極める為の試験と言ってもいい」

ネロ「…つまり?」

エリー「あっ…!」ピコーン

小林「…どうやら、エルキュールは分かったみたいだね」

エリー「…はい。まず、写真が示しているのは文字通りの”脱出の鍵”で…」スタスタ

エリー「まず…偽物のしゃれこうべを…外して……」カポッ

シャロ「きゃぁ!?エリーさん!?」ガーン

エリー「…さすがに、写真立てにはしゃれこうべを頭部に…はめこめないから…」

エリー「二十里先生の自画像の頭に…はめこめば…」カポッ

コーデリア「…えっ?」

シャロ「ぴっ…ピッタリはまって…」

ゴゴゴゴゴゴゴ…

ネロ「額が…開いた!」ガガーン

生徒A「…!」

根津「うっ…嘘だろ?」

小林「そう、これこそが……」

小林「この部屋の、謎の答えだ!」ダァーンッ!

Topic2
→出口はどこか

Conclusion
→呪いを解けば現れる×
  →謎を解けば現れる○


【推理完了】 Elementary!
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 18:59:59.71 ID:Wu3x7vqR0


生徒A「………」

生徒B「………」

根津「………」

シャロ「…… やっ」

シャロ「やりましたエリーさん!私達、一番乗りです!」

ネロ「そうだよ!よくやったよエリー!」

コーデリア「ミルキィホームズ復活!です!」

エリー「え?えっ!?え、ええと…あの」

小林「…うん。君達も、良い推理だったよ」

エリー「!」カァァ////

小林(そして僕も、結構頑張ったよ…)

根津「…う、嘘だろ?」

生徒B「ミルキィホームズが、一番乗り…?」

生徒A「……」ムゥ

シャロ「よぉーし!それじゃぁこのまま外に出て、いっぱいご馳走食べましょう!」

ネロ「うん!勿論、小林の金で!!」

ダダダダダダダダ

シャロ「……えっ!?」
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:00:48.44 ID:Wu3x7vqR0

コーデリア「こっ…ここは」

エリー「と…扉と廊下が…いっぱい…」

小林「…そう、今回の授業はあの”部屋”からの脱出ではなくて、この”洋館”からの脱出」

小林「さっきのは、そのスタート地点って所かな」

ネロ「そ…それじゃぁ…」

シャロ「まだ…謎はいっぱいあるんですか」

小林「うん。何せ、一つの講義につき50分だからね」

小林「さっきので15分経ったから、後35分って所かな」

コーデリア「ええええ!?」ガガーン

ネロ「そんなっ!?短すぎるよ!」

小林(予定では、もっと早くに解ける予定だったからなぁ…)

シャロ「大丈夫です!だって私達には、先生が居るんですから!」

生徒A「!」

コーデリア「そうね!教官が居れば洋館の脱出なんて――」

ガシッ

生徒A「小林先生!私達の推理も聞いてください!」

生徒B「いえ!私の方から!」

小林「うっうわっ!」グラッ

ネロ「! ちょっと!何僕の小林に抱きついてるのさ!」

生徒A「うるさい!アンタ達ばっかり小林先生に構ってズルイわよ!」

生徒B「小林先生独占禁止法です!」

シャロ「そんなっ!?私達の先生なのに!」

21 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:01:32.55 ID:Wu3x7vqR0

コーデリア「きょっ…教官から離れなさい!!」

エリー「離れ…て…!!」

生徒A「今はアンタ達の先生じゃないでしょ!?私達の先生よ!」

生徒B「独り占めは禁止です!!」

ネロ「このー!離れろー!!」

根津「…………」スタスタスタ

小林(ね…根津くんが心底冷めた目で一人で捜査に向かった!)

ネロ「離れろー!」

シャロ「離れてー!」

コーデリア「離れなさい!」

エリー「離…れて…!」

生徒A「独占ー!!」

生徒B「禁止ー!!」

小林「あの!君達!早く捜査しないと時間が―――」

「「「「「「先生(小林、小林さん、教官)は黙っててください!!」」」」」」

小林「えええええええ!?」

ネロ「離れろー!」

シャロ「離れてー!」

コーデリア「離れなさい!」

エリー「離…れて…!」

生徒A「独占ー!!」

生徒B「禁止ー!!」

小林(……これは)

小林(講義が終わる前に…終わるんだろうか?)
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:02:08.20 ID:Wu3x7vqR0


【ホームズ探偵学院 12月01日 午後0時20分】

小林「……はぁ」

姫百合「どうしたんですか?ため息なんてついて」

小林「ああ、いや…先ほどの講義がちょっと、大変でね…」

小林「結局、根津くん一人だけしか合格できなかったんだ…」

姫百合「それは…ちょっと、想像できない大変さがあったのでしょうね」

小林「ははは…まぁね」

小林(…僕がホームズ探偵学院の教師に赴任してから数か月)

小林(そこまで高くなかったクラスの平均点が、一昨日の小テストで大躍進にまで至り、優秀な生徒ばかりになった)

小林(根津くんもあまり成績がよろしくなかったみたいだけど、今ではそれがとても信じられない程に成績が伸び今ではクラスのトップになっている)

小林(僕が担当している”彼女達”も、成績は少しずつではあるが上がっている…のだが)

小林(…それでも、ぶっちぎりの”最下位”である事は否めない…)

姫百合「…しかし、小林さんが教師に赴任して学院の講義の質が上がったのは事実です」

姫百合「私達指揮クラスの講義は、ほとんどが小林さんの真似ごとを行うだけの講義ばかりでしたが…」

姫百合「…小林さんが赴任してから、それが全て撤廃され、今では指揮に必要な観察力と指揮力の向上が主の内容になっています」

小林「うん…さすがに、人の真似ごとだけでは指揮なんて絶対できないからね」

小林(そもそも、そんな当然の事すら分からなかったのだろうか…)

小林「…とりあえず次は科学の講義だから、一度事務所に戻って書類を捜すよ」

姫百合「あ、私も一時間程休憩があるので、そこでお昼ご飯を食べようかと」

小林(…手にぶらさげてる紙袋か。…チリドッグかな?)

小林「それじゃぁ、一緒に事務所に入ろうか」ガチャッ

姫百合「はい。……!?………っ!!?」

小林「?………っ!!?」

姫百合「………っ!?」

小林「………!!!?」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:03:01.16 ID:Wu3x7vqR0

小林(事務所の扉を開けて、目の前に広がったのは……)

姫百合「……なっ」

姫百合「何ですか!?これは!!」ガーン

小林(大量の白い羽と……机の上に強く刺さった)

小林(巨大な…光り輝く矢だった…!)

小林「しゅ…襲撃か…!?」

姫百合「…とりあえず、捜査をしましょう」

小林「!」

姫百合「まだ、どこかに居るかもしれません。…犯人が!」ダダダダ

小林「……捜査」

小林(それも…そうだけど、それ以上に…)

小林(僕は…、一体何に巻き込まれてるんだ?)
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:03:36.10 ID:Wu3x7vqR0


→【白い羽】


小林(この白い羽…どうやら、鶏や鳩のような鳥類のものではない)

小林(……トイズか?)

小林「姫百合くん。この羽に向かって強制終了のトイズを使ってみてくれないか?」

姫百合「え?…はい。分かりました」

ティロン♪

ジュッ

姫百合「!…消えた…!」

小林「…間違いない。これはトイズで生まれた副産物だ」

小林(…しかし、一体何の目的で?僕の事務所にこんな事を…)
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:04:09.36 ID:Wu3x7vqR0

→【矢】

小林(この光る矢…どこかで見たような…)

小林「…あれ?」

小林(これは…トイズじゃないぞ?ただの矢に発光塗料を塗っただけだ)

小林(一体…どういう意味だ?)

小林「…ん?」

小林「この矢…良く見たら手紙が結ばれている」

姫百合「!」

証拠品@【矢文】をファイルに書き込んだ!
<発光塗料を塗られた矢と一緒に結ばれていた手紙。筆跡から強い念を感じる>

小林「どれ、これは…一体」ピラッ

ダァアンッ

シャロ「せっ……先生!先生ぇえ!!先生ぇえええ!!!」バンッ

コーデリア「大変…とても大変なんです!!教官!」バンッ

ネロ「小林!ねぇ助けて!勿論助けてくれるでしょ!?小林!?」バンッ

エリー「小林……さん…!」ウルウル

小林「うっうわ!どうしたんだ君達!?」

シャロ「一大事です!大変なことが起こったんですよ!大変な事が!」

姫百合「大変な事というと…事務所が羽だらけになっている事と何か関係が…」

ネロ「そんなものどうでもいいんだよ!そんな事よりもこっちが大事だよ!」ダンッ

小林(…この異様な光景すら、どうでもいいと切り捨てるとは…)

小林「…一体、何が起こったんだ?」

シャロ「捕まったんです!!」

小林「………誰が?」

シャロ「私達の後輩の…カズミちゃんと!アリスちゃんが!!」

コーデリア「殺人罪の容疑で…捕まってしまったんです!!」ダンッ

小林「…………え」

小林「ぇぇぇぇええええええええ!!!?」ガガーン

26 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:04:39.96 ID:Wu3x7vqR0

→【フェザーズ】


小林「…一体、何が起こったんだ?」

シャロ「あの!サーカスで!テントで!観客席で!ワーって楽しんでて!暗くなって!」

ネロ「明るくなって!血まみれになって!フェザーズの二人がトイズで!歯車で!そして!」

小林「うん。落ちついてから話してみようか。ほら、深呼吸して」

シャロ「…は…はい……。すぅ…はぁ…」

ネロ「…………」

小林「…それで、一体何が起こったのかな?」

コーデリア「……」

コーデリア「…教官は、”漆黒の魔法団”というサーカスがあるのを、知っていますか?」

小林「え?ああ、確か…最近CMでもよくやってるね」

小林「確か、黒い羽が飛び舞うサーカスなんだっけ?見るたび掃除が大変そうだなと思って――」

ネロ「…二人は、そのサーカスのチケットが取れたってはしゃいでいて、今日見に行ってたんだ」

エリー「学院側にも…休むって報告していたから…間違いなく……」

シャロ「…事件は、奇跡の少女の項が始まった時に起こりました…。一瞬、暗闇になったと思ったら…」

コーデリア「…再び明るくなった後、歯車に巻き込まれてぐちゃぐちゃになった被害者の前には……」

コーデリア「…フェザーズの二人が、血まみれの姿でトイズを発動させたまま立っていたのよ…」

小林「………」

姫百合「………!?」

ネロ「…そんで、歯車にはカズミのトイズの象徴である光る矢が突き刺さっていて」

ネロ「それが決定的の証拠となり、今は二人仲良く留置所に居るよ」

姫百合「……いっ…一体」

姫百合「何が起こったっていうんですか!?まるで意味が分かりませんよ!」ダンッ

ネロ「僕だって分からないよ!?」
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:05:59.64 ID:Wu3x7vqR0

小林「……どうやら」

小林「まず、被告人である彼女達にも話を聞く必要がありそうだね」

シャロ「!」

小林「ひとまず、彼女達の居る留置所まで向かうとしようか」

コーデリア「教官…!」

小林「よし!それじゃぁ、君達の中でフェザーズの二人が収監されている留置所の場所を知っている人は?」

シャロ「はい!分かりません!」

コーデリア「分かりません!」

ネロ「僕も!話を聞いただけだから!」

エリー「私も……分かりません…!!」

小林「………」

姫百合「…こんな、堂々と連ねて言う団体、初めて見ましたよ…」

小林「……(参ったな)」

小林(何か、この部屋にあったもので手掛かりになりそうなものは無かったかな…?)
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:06:42.89 ID:Wu3x7vqR0


→証拠品@【矢文】を突きつける


小林(…そういえば、この手紙をまだまともに読んでなかったな)

小林(どれ、ちょっと読んでみるか…)ペラ


小林オペラ殿

 我、匿名での手紙に大変失礼致す。

 我の目的は、横浜第二留置所で震える明神川 アリスの救出であり
 
 明神川 アリスの弁護をお願いし、ここに記す。

 我が望むのは完膚なきまでの勝利であり、それ以外のものを得れば

 我は貴公を永遠の闇へと招待し、現世の地を二度と踏めない身体となるだろう。



小林「……え?」

シャロ「…あ!これは!」

コーデリア「横浜第二留置所…!そこに二人が居るのね!」

姫百合「……………」

シャロ「それじゃぁ早速横浜第二留置所に向かいましょう!」

姫百合「いっいや!ちょっと待って下さい皆さん!」

ネロ「なんだよヒメ!僕達は今すぐでも二人を助けなきゃいけないんだ!」

姫百合「あの、怪しいと思わないんですか!?この羽まみれの部屋に、謎の光る矢!それに結ばれていたんですよ!?」

シャロ「怪しくありません!」ドンッ

姫百合「そんな訳が無いでしょう!?」

小林「…彼女達にも、何か考えがあるんだと思う」

姫百合「!?」

小林「ひとまず、情報はこれだけしかない。いや、神津に聞けばもうちょっと分かるんだけど…」

姫百合「じゃぁ、それで良いんじゃないですか…?」

コーデリア「良くないわ!今すぐにで行かないと…面会時間が終わってしまうのよ!」

姫百合「それは…そうですが…」

小林「…とりあえず、行ってみましょう。第二留置所」

姫百合「!」

小林「この筆跡から見て、冗談や詐欺の意志は一切感じられない」

小林「ただ…強く委ねる意志だけが感じられる。それは、内容から見ても明らかだ」

小林「…それに、僕は彼女達…いや、少なくとも明神川アリスくんの弁護をしなければ、殺されてしまうだろうしね」

シャロ「はい!殺されない為にも…」

コーデリア「行きましょう!横浜第二留置所へ!」ダッ

小林(…まだ、僕には、事件の概要が見えていない)

小林(一体誰が殺されたのか、何故、サーカスで殺人が起こったのか。そして…)

小林(…何故、彼女達がその場に立っていたのか)

小林(その為にも、まずは情報が必要だ)

小林(謎を解く為の…一つでも多くの情報が!)
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:07:25.40 ID:Wu3x7vqR0

【横浜第二留置所 同日 某時刻】


シャロ「ううぅ…こんな暗い所にカズミちゃんとアリスちゃんが…」

ネロ「ここは、何度来ても慣れないよね」

姫百合「…そう、ですね。慣れたくもない…所です」

小林「……(殺人罪を犯した者だけが入る留置所)」

小林(その環境がどれほど劣悪か、あまり想像したくない所だな…)

ガチャッ  ギィィィィ……

シャロ「あっ!カズミちゃんとアリスちゃんが入ってきました!」

ネロ「!」

エリー「!」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:07:53.62 ID:Wu3x7vqR0


カズミ「……」

アリス「………」


小林「……ど、どう…も?」

小林(やっぱり、想像以上に沈んでるな…)

カズミ「……がう…です……」

小林「……え?」

バンッ!!

カズミ「違うんです!私じゃないんです!」

カズミ「私達!殺してない!殺人なんてしてないんです!!」ダンダン

カズミ「本当に!本当…暗闇の後に気付いたらあそこに立っていただけなんです!!」バンバンバン

カズミ「信じてくださいミルキィホームズさん!刑事さん!検事さん!!」

カズミ「うぇえええええええええん!!!」ビィイイイイイイ

小林(いっ…一気に騒がしくなった!)

ダンッ!

シャロ「信じます!信じますよカズミちゃん!アリスちゃん!!」

ネロ「僕達は、その為にここに来たんだからね!」

コーデリア「私達が来たからには、もう安心よ!」

アリス「…………」

カズミ「うっ…うぅ…み…皆……」フルフル

カズミ「うぇぇえええええええええん!!!!!」ビィイイイイイ

小林(再発した…)
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:10:50.73 ID:Wu3x7vqR0

→【事件の事】

小林「…その、事件の事を聞いても良いかな?」

カズミ「?ええと…この人誰ですか?シャーロックさん」

シャロ「ふっふっふ…何を隠そう、先生こそ!カズミちゃんやアリスちゃんを弁護してくれる…」

ネロ「僕達の教官であり、過去に小林少年として名を轟かせ――」

エリー「今でも多くの難事件…サイコパス事件も解決に導いて…くれた…!」

コーデリア「名探偵小林オペラ!教官なのよ!」

アリス「!!!」

カズミ「…え」

カズミ「ぇぇぇえええええええ!?」ガガーン

ダンッ

カズミ「小林オペラって…あの、小林オペラ!?」

カズミ「14歳で多くの難事件を解決し!ミルキィホームズの教官として現れ、育て上げた…あの!?」

小林「う、うん…。それで、間違いない…かな?」

シャロ「その先生が!カズミちゃんとアリスちゃんの弁護になってくれるんです!良かったね!カズミちゃん!」

カズミ「うん!!もう、こうなったら無敵じゃん!私達、完璧に無罪じゃん!勝訴じゃん!」

カズミ「そうと考えたら、お祝いはどこで――」

小林「あの、信頼してくれるのは嬉しいけど…まずは、事件の事について、話してもらえるかな?」

カズミ「おっと!そうだった!…でも」

カズミ「…私達、あんまりよく知らないんですよね…」

小林「えっ」

カズミ「抽選でペアチケットが当たって…ウキウキの時にキラキラしたステージ、そこで繰り広げられる奇跡の数々…」

カズミ「そしてメインイベントである”奇跡の少女”が始まった時…突然の暗転」

カズミ「真っ暗で何が起こったのか全く分からず、気づけばトイズ発動してて身体が血まみれ」

カズミ「…そして一分待たないうちに拘束されて、さ、殺人罪の逮捕状が…」

カズミ「う…うぇ…うぇええええええええええん!!!!」ビィイイイイイイイ

小林(ううん…相当恐ろしい目にあったんだろうな…)
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:11:31.63 ID:Wu3x7vqR0


→【サーカス漆黒の魔法団】

ネロ「でも、凄い倍率が高いサーカスだって噂だよ?ここ」

コーデリア「大相撲の席を取るより難しいって…よく取れたわね。ここのチケット」

カズミ「うん……私達、もっと倍率が高い”トイズ席”のチケットを狙ったんだけど…」

シャロ「トイズ席?」キョトン

エリー「…トイズを持っている人専用の席…です…」

小林「本来は、トイズ専用のチケットは一般より割高になっている事が多いけど…」

ネロ「ええ!?」ガーン

小林「このサーカスでは、トイズ席と一緒に”トイズ割”っていうのがあるな…」

カズミ「そう!トイズを持っている人だけ安くなるんだよ!」ババーン

アリス「………」

カズミ「そのせいか倍率が20倍くらいにもなってたんだんけど、さすが私の運!抽選で席が当たっちゃってさー!」

姫百合「そのせいで、殺人容疑で捕まってしまったのですね」

カズミ「……う…うぅ……」

カズミ「うぇぇえええん!!うぇええええええええん!!!」ビィィイイイイ!!

姫百合「ああ!ご、ごめんなさい!」アタフタ

小林(…相当ショックだったんだな。感情が極度に不安定だ…)

アリス「………」

小林(しかし…隣の子は何も言わないどころか、僕に目を合わせようともしない…)


→証拠品A【抽選チケット】を証拠ファイルに収めた!
<トイズ割とトイズ席の番号が書かれている。二人のトイズの用途も併記されている。>

33 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:12:56.62 ID:Wu3x7vqR0

→【弁護】

シャロ「それじゃぁカズミちゃん!アリスちゃん!先生に弁護、お願いしちゃいましょう!!」

カズミ「うん!するする!だって、私はやってないんだもん!」

ネロ「こりゃぁ、意外と簡単に勝訴できるかもね。で、依頼費の事なんだけど――」

カズミ「うっ――」

コーデリア「ネロ!…大丈夫よ。教官だって鬼じゃないんだから、私達の後輩にまでお金は取らないわ」

コーデリア「…多少の生活費以上は」

カズミ「ううぅっ!!」ガガーン

小林「それ、君達がお金欲しいだけだよね!?後輩から金を巻き上げようとしてるよね!?」

カズミ「…お土産代がまるまる残っているから…それで何とか…なりますか?」ズーン

小林「…そんな事しなくても、初回は普通にお金取らないから大丈夫だよ」

カズミ「ほっ本当ですか!?」キラキラキラ

シャロ「勿論!可愛い後輩さんからお金なんて取るわけ無いじゃないですか!」

姫百合「少なくとも二人は取ろうとしてたみたいですけどね」

ネロ「………」

コーデリア「………」

カズミ「やったぁ!それじゃぁぜひ!是非今回はお願いします小林オペラさん!!私達の無罪を――」

アリス「あのっ!」

シャロ「!」

エリー「!」

小林(…は、初めて喋った…)
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:14:02.78 ID:Wu3x7vqR0

コーデリア「…どうか、したの?」

アリス「……いや…です」

小林「…え?」

アリス「……私……」

アリス「小林オペラに……弁護されたく…ありません」

カズミ「………えっ」

シャロ「えっ」

ネロ「えっ」

コーデリア「えっ」

エリー「えっ」

カズミ「……ぇぇぇええええええええええ!!!?」ガガガーン

ガシッ

カズミ「どっどういう事アリス!?小林オペラさんに頼めば、私達の無罪は保障されるんだよ!?」ブンブンブン

アリス「あうあうあうあうあうあう」グワングワングワン

シャロ「カズミちゃん!アリスちゃんの肩を離して!」

パッ

アリス「………」フラフラ

アリス「……私の事は、弁護しなくても…結構です」

アリス「カズミちゃんの事だけ…弁護…してあげてください…」キッ

小林「!」

小林(何だ…?この、眼差しは…)

小林(彼女の目から…明らかな”敵意”を感じる…)
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:15:03.00 ID:Wu3x7vqR0

→【弁護拒否】

カズミ「アリス…どういう事なの?」

アリス「………」

カズミ「どうして、そんなに小林オペラさんの弁護を嫌がるの!?」

アリス「…カズミちゃんには…関係無い事だよ」フルフル

アリス「とにかく私は…小林オペラの弁護は受けたくないよ…」

カズミ「でも!」

シャロ「そうですよ!先生がアリスちゃんを助けなかったら…!」

コーデリア「カズミちゃんは一人ぼっちになってしまうのよ!?」

小林「………」

ネロ「ねぇ、小林も何か言ってやってよ!」

小林「……仮に、君が僕の弁護を受けなかったとしても」

小林「僕が裁判でやる事は、真実を追求する事だ」

アリス「………」

小林「だから、僕は君の弁護を受けようが、受けまいが、君がやっていないのなら、それも証明する」

小林「それでも、僕は君の弁護を受けなくても良い。それでも良いのかい?」

アリス「…なら」

アリス「余計に、私が頼まなくても良いんじゃない…ですか?」

小林「………」

小林「今のは、君がこの事件について隠してる事がないかの確認だ」

カズミ「!」

小林「騙してるようで済まないが、あえてもう一度問わせてもらう」

小林「君は、今回の件で殺人を犯していないんだね?」

アリス「………」

アリス「…私達は、誰も、殺していません…」

小林「…それだけ聞けば、十分です」ニコッ

小林「行こう君たち。まずは現場の調査からだ」スタスタスタ

シャロ「あっ!待ってください先生ー!!」

ネロ「………」ムスッ

コーデリア「待ってください!教官」

エリー「あ、あの…その……」オロオロ

アリス「………」

エリー「しっ…失礼…します…!」バッ

ドタン  バタン

36 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:15:30.65 ID:Wu3x7vqR0


アリス「………」

カズミ「…ねぇアリス?」

カズミ「小林オペラに、一体何の恨みがあるの?」

アリス「………」

アリス「カズミちゃんには…関係ないよ…」

37 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:16:19.48 ID:Wu3x7vqR0

【漆黒の魔法団テント 同日 某時刻】


小林(…ここが、事件現場の中…か)

小林(もうすでに、何人もの鑑識が来てるみたいだな)

ネロ「…………」

エリー「………」

小林(…後、間違いじゃなければみんなの空気も重い…)

シャロ「え。あの、ええと……」

シャロ「…調査!調査しましょう調査!」ドンッ

コーデリア「そっそうね!あっ教官!ここに落ちてるカニパンの袋なんか怪しいんじゃないですか!?」ガサッ

小林「…それは、間違いなく事件には関係ないゴミだね」

コーデリア「…うう」

小林「あっ!で、でも!細かいところも調べる意識は素晴らしいと思うよ僕は!」

シャロ「そのとおりです!どんな細かい証拠品になりえそうなものも見逃さずに、どんどん調べていきましょう!!」ズザザ

小林「シャーロックの言う通り。僕たちもコーデリアを見習って調査を…あっ!シャーロック駄目だ!立ち入り禁止のテープの中は警察の許可が――」

「コラァアアア!!アンタ達何やってんのよぉ!!」

「あー!ココロちゃーん!!」

「ココロちゃん言うな…って!それどころじゃない!とっととそっから出なさいよぉ―!!」

小林「………」

姫百合「…無鉄砲なのも、考えものですね」

小林(…そういえば、まだ彼女達は今日の講義を全部受け終えてないんだよな…?)

小林(学院に返してこようかな…?)

ネロ「駄目だよ。小林も科学の講義すっぽかしてここに来てるんだからね」

小林「はは…それを言われたら、何も言えないな…後、できれば心を読まないでくれるかな?」
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:17:21.83 ID:Wu3x7vqR0


小衣「ほら!とっとと出て行きなさい!ここからは神奈川県警の管轄よ!シッシ!」

シャロ「そんな!私達だってカズミちゃんの弁護するんです!」

小衣「そんなもの知ったことか!捜査の邪魔よ!シッシッシ!!」

ネロ「なんだとー!?そっちだって!怪盗対策のクセに、勝手に乗り出してるくせに!」

小衣「はんっ!小衣は警視の付き添いよ!」ババーン

次子「小衣”達”…だろ」

平乃「…仕事が増えるのも、あまり良い事でもありませんけどね…」

咲「ああー…だるい。なんで怪盗対策の私らがサイコパス殺人の事件なんかぁー…」グデー

小衣「うっさい!小衣が警視に無理言って参加させて貰ってるんだから!もっとありたがりなさい!!」

次子「だからってなんでアタシらまで…」

平乃「…被害者の遺体を見たとき、朝食を戻しそうになりました…」

咲「ありゃぁ相当凄かったよねー。今後、あれ以上にエグい遺体なんて遭遇すらしたくないもんだけどー」

小衣「うくぅっ!!」ギクッ

小衣「………」

小衣「あっあんな遺体なんて!警察に入れば何度だって見るんだから!慣れよ慣れ!私はもうなれたわ!」

小林「ちょっと待ってください。被害者の遺体って…」

姫百合「…今回、そんなに酷いんですか?」

咲「酷いなんてもんじゃないよ」カタカタ

咲「恐らく、神奈川県で最も最悪な死に方した被害者って感じー?」バッ

小林「っ!!!!!」

シャロ「うっ…うわぁああああああ!!!」ガガガーン

コーデリア「きゃぁあああああああ!!!!」ガガガガーン

姫百合「うわぁああ!?」ガーン

ネロ「なっ…何…この……!?」

エリー「」

バタン

シャロ「エッエリーさんが白目むいて倒れました!!」

コーデリア「きゃぁああああああああああ!!!!!」

小衣「ええい黙りなさい!静粛!静粛に!!」ダンダン
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:18:08.83 ID:Wu3x7vqR0

小林「………これは」

平乃「酷い…ですよね」

次子「…今日の夕飯、絶対食えねえよな」


→証拠品B【現場写真】を証拠ファイルの収めた!
〈二つの歯車に巻き込まれ、体は引きちぎれバラバラになり被害者の顔もろともトイズの矢が突き刺さっている〉


次子「ううぅ…もう、とうがらしが食えないじゃねえかよ」

咲「見事に真っ赤っかーだもんね」

コーデリア「」

バタン

シャロ「今度はコーデリアさんが倒れました!」

姫百合「遺体が更に増えていきますね」

小林「死んでないからね?」

次子「…それで?調べるのか?ここ」

小林「…ええ。むしろ、調べなければ何も始まらないのですが」

平乃「ううん…警視は今、目撃者と関係者に話を聞いていますけど」

平乃「わざわざ聞かなくても、特時操作権限が探偵にはありますからね」

小衣「ちょっと!?小衣が言う前に何を言っているの!?」

次子「何かを行ってくるから、先手で言ってやったまでだろ?」

小衣「なによ!リーダーは小衣なんだからねムキィー!!」

小林(…G4も大変なんだな)
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:19:10.37 ID:Wu3x7vqR0

→【事件の概要】

小林(…そういえば、警察側の人間なら事件について知っているはずだ)

小林(依頼人も彼女達も、この事件については全然知らないからな…)

小林「…聞きたい事があるんだけど、話を聞いてもいいかな?」

次子「おっ?答えられる範囲までなら良いぞ」

小林「…今回の事件についてのあらましを教えて欲しいんだ」

平乃「………」

咲「………」

小衣「なんで探偵なんかに情報を共有させなくちゃいけないのよ!!そんなもん却下に決ま痛たたたたたた!!」ギュゥゥウウウ

次子「はいはーい。黙ってような小衣ー」

姫百合「…銭形警部。皆さんの顔が一瞬強ばりましたけれど」

姫百合「何か、答えにくい事でもあるんですか?」

次子「ん?いや。警察側は結構シンプルに捉えてるぞ」

平乃「被害者は丸尾椿(15)死因は写真の通り歯車に巻き込まれての失血死」

次子「そこらへんは検死が仕事するまでそれ以上の事は分からないけど、歯車についての情報はすでにある」

次子「奇跡の少女の回で使われる筈だった機械の一つらしい。どう使うのかは今警視が聞いてるんだけど」

咲「んで、警察側は歯車の前に立っていた常盤 カズミと明神川 アリスを緊急拘束して起訴。翌日には裁判が行われるってわけー」

シャロ「前に立っていただけで逮捕なんですか!?」

次子「いや、もっと色々理由があるぞ」

次子「まず、発見されたときは二人共血まみれで前に立ってたんだけど」

平乃「その血についてさっき科学班が結果を出したのですが…間違いなく被害者のものでした」

ネロ「う…」

咲「無残な遺体の前で血まみれで立っていて、尚且つトイズが発動した状態なんて…」

咲「怪しくない訳無いって感じー」

シャロ「でっでも!動機がありません!」

シャロ「カズミちゃんとアリスちゃんには、その人を殺す動機が…」

次子「だから、それを調べてる最中ってわけさ」

平乃「今のところ、私達が考えても彼女達が犯人と考えて異論はありませんし…」

平乃「目撃者も多数。しかも全員が彼女達が犯人だと証言しています」

小衣「はん!今回はアンタ達の悪あがきも、効果が出ることないわね」

シャロ「そっ、そんな〜ココロちゃん〜」

小衣「ココロちゃん言うな!」

小林(…やっぱり、警察もこれ以上の情報がまだ無いのか…)

小林(しばらく調査を待ってから、神津の報告を待つか…)
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:20:43.93 ID:Wu3x7vqR0


→【漆黒の魔法団】

小林「この、漆黒の魔法団っていうサーカスの団員は何人なんですか?」

次子「ん?確か、今警視が話を聞いてる最中なんだけどな」

平乃「確か…、4人で経営している団体だとは聞いています」

小林「4人…」

シャロ「あっ!私達ミルキィホームズと同じ人数です!」

次子「その内の一人が殺されたんだけどな」

シャロ「…あう」

小林「なるほど。それで、その人たちに話を聞くことはできますか?」

平乃「できない事はありませんが…」

小衣「はん!警視が話を聞けば事件なんて解決するんだから、何度も言ってるけど探偵なんて必要ないのよ」

小衣「わかったらとっとと家に帰りなさい!捜査の邪魔よ!」

小林「…僕たちは被告人の弁護士だって先ほど言った筈なんだけど」

小衣「私達は現場に怪しい人物が寄ってこないか見張ってろって警視に言われてんのよ!」ビシッ

小衣「だから私の仕事の全うのために!アンタ達はとっとと気絶してる二人を担いで家に帰――「待て」」


神津「…やはり、来たか小林」


小林「神津!」

小衣「けっ…警視!」ビクッ

神津「…あの二人が明日の裁判の被告として出頭すると耳に挟んでから、予感はしていたが…」

神津「お前、謎に頭を突っ込みすぎじゃないのか?」ギロッ

小衣「そうですよね!警視もそう思いますよね!」

小衣「ほら!警視がそう言ってるんだからとっとと帰「小衣」」

小衣「はいはーい!何ですか警視ー!!」クルクル

神津「黙っていろ」

小衣「えっ……」ピタッ

神津「…お前の事だ。俺に情報を聞き出すつもりだろう」

小林「まぁ、そうしてくれるとありがたいかな」

神津「特時操作権限には逆えん。やむを得ないが最低限の情報なら――」

小衣「まっ…待ってください警視!」ガシッ

神津「………」

小衣「ココロは!ココロは怪しい奴を追い出そうとしただけd「聞こえなかったのか?」」

神津「黙って捜査をしていろと言ったのだ俺は」

小衣「…………」

小衣「……はい」ショボーン…

小林(…何だかこれも、様式美みたいになってきたな)
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:21:29.23 ID:Wu3x7vqR0

神津「それで、何を聞くつもりだ?お前は」

神津「検察側が何を考えているかくらいはG4に聞いていると思うが…」

小林「ああ、(やっぱり、神津にはかなわないな…)」

小林「そうだな、ええと、何から聞こうか…」

バッタァーン!!

小林「!?」

姫百合「えっ!?」

ネロ「わぁ!?」

シャロ「きゃぁあああ!!!」

???「………」

小林(…て、天井から黒い格好した人が落ちてきた!?)ガーン

???「………」

次子「…お、おい?動かねえぞ?」

???「………」

???「漆黒なる堕天使よ、我に回復術を與たまへ…」ブツブツ

姫百合「なっ…何かブツブツ言い始めましたが」

???「さぁ目覚めよ…漆黒の悪魔よ!!」ガバァッ

シャロ「わぁああ!!」ガガーン

ネロ「ぎゃぁああ!!?」ガガーン

平乃「こっ今度は起き上がりました!?」

???「……きゃう!!」バターン

小林(…と思ったら、勢い余って後ろに倒れた…)

???「あ…ううぅ…」グデー

姫百合「…あの、大丈夫ですか?」

???「…無論。少数の時の砂が落ちるのを待てば、我の魔力は蓄えられる」

姫百合「はぁ…え?今なんて?」

小衣「…つべこべ変な事言ってないで、とっとと起きなさい!」グイッ

???「ああ!時の砂を動かしてはならぬ!動かしてはならぬ!!」ブンブン

小衣「何言ってるのか分からないのよアンタ!!」ウガァッ!!

小林(…何なんだ?この人は)
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:22:44.06 ID:Wu3x7vqR0


→【自己紹介】


小林「その…初めまして。私の名前は…小林オペラと申します」

???「………」

小林「ええと…あの、貴方は…誰ですか?」

???「………我が名を世界樹の記憶に記すというのか」

小林「………はい?」

???「よかろう。ならば世界樹の精に伝えておけ。我が名は漆黒の魔術師(ダークシュタインズ)だと!!」ビシィー!!

小林「……え?ダーク…シュタインさん?」

ダークシュタイン「うむ!!それが我が真名である!!」ドドーン

小林「……神津」

神津「なんだ」

小林「まさかと思うが、この人が今回の事件の担当検事なのか?」

神津「そんな訳が無いだろう」

神津「こいつは今回の事件の目撃者であり、このサーカス団の団長であり、名前は花輪小百合(14)だそうだ」

小百合「なぁっ!!?」ガガーン

小林「ああ、花輪さん…」

シャロ「何だか、お金持ちみたいな名前です!」

小百合「きっ貴様ら…!我が禁忌をそれ以上語ると災いが降りかかるぞ!!」ムキー!!

姫百合「言い回しが遠まわしすぎて、何を言いたいのかよく分かりません」

神津「…控え室に不在だったから、後回しにするつもりだったが」

神津「ちょうど良かった、今までどこに居たのかも兼ねて詳しい話を聞かせてもらおうか」

小百合「…クックック。良いだろう」

小百合「我の鎮魂歌を聞きたいか…ならば、その許可をくれてやる!」ドーン

44 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:23:29.99 ID:Wu3x7vqR0

→【鎮魂歌】

神津「まず、先ほどまで何をしていた?」

平乃「屋上から落ちてきましたよね…?」

小百合「愚問。我はこの世界の神であり、天界からの堕天使である」

小百合「我を堕天した空の民の邪気に当てられ、敗北しただけに過ぎぬ!!」ドドーン

シャーロック「うーん…やっぱり!何を言っているのか分かりません!」

姫百合「翻訳機があれば良いんですが…」

咲「駄目、中二病の翻訳機使っても意味が全く分かんないって感じな事に」ブンブン

小林(そんな翻訳機があるのか…)

ネロ「……天井にある照明を見てたんじゃないの?」

小林「え?」

ネロ「だってほら、あそこの照明おかしいじゃん」

小林「……あっ!本当だ」

姫百合「何か、影ができてますね」

神津「…鑑識。あの影について一応調べてみてくれ」

鑑識A「はっ!了解しました神津警視!」ダダダダダダ

小百合「うむ!我が無念をどうか晴らしてくれ!」

小林「…凄いねネロ。彼女の言っている事が分かるのかい?」

シャロ「ええ!?そうなんですかネロ!」

ネロ「いや、さすがに言ってる意味までは分からないよ。でも」

ネロ「僕のトイズを使えば、ある程度の感情は読めるし。それと合わせればかろうじて分かるって感じかな」

小林「それは……とても助かる能力だね」

シャロ「それじゃぁ!どんどん聞いちゃいましょう!!」
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:24:17.80 ID:Wu3x7vqR0

小林「そうだね。それじゃぁ…」

小林「…事件当時、君は被害者の近くに居たと思うけど…」

小百合「!」

小林「一体、何が起こったのか。…分かった事だけ教えてくれないかな?」

小百合「………」

小林「…………」

小百合「……」

小林「…あの?」

小百合「……存ぜぬ」

小林「え?」

小百合「存ぜぬ!存ぜぬ!存ぜぬ!存ぜぬ!!」ダンダンダンダン

小林「うわぁ!」ビクッ

小百合「そのような事!私が聞きたいよ!漆黒の闇の中で、何故我が友が殺されなくちゃいけないんですか!?」ジワ…

小百合「酷い…酷いよ!悪の光を宿いし矢と盾を持つゴドムとソドラよ!地獄の業火に焼かれるが良い!!」ポロポロポロポロ

小林(ちゅっ中二病と素の言葉が混ざってカオスな事になっている!)

シャロ「カズミちゃんとアリスちゃんは人殺しなんてしません!」ダンッ

ネロ「そうだ!だからそれを踏まえた上でもう一度情報を――」

小百合「黙れ!!」

小百合「何があろうと、我は悪魔の使いゴドムとソドラを許さぬ!!正当以上の裁きを受けるがいい!!」ダンッ!

姫百合「…ゴドムとソドラって、地名なんですけど」

小林(…どうやら)

小林(この子は、フェザーズの二人を完全に殺人犯だと思っているらしいな…)
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:25:20.45 ID:Wu3x7vqR0


→【歯車】


神津「……先ほどの二人に話を聞いても、企業秘密だと団長に聞いてくれと言われたのだが」

神津「あの歯車の仕組みと用途を教えて欲しい。調査に必要だからな」

小百合「…………」

小百合「………あの機械は、奇跡の少女の力を増幅する為にある」

次子「……うん?」

小百合「歯車が合わさり、因果が回れば奇跡は集い、奇跡の少女は神となり現れる」

小百合「これが、あの歯車の全てだ!」ドドーン

小衣「………」

神津「………」

姫百合「…あの、何一つとしてわからないんですが」

小林「…ネロ、お願いできるかな?」

ネロ「えっ!?ううーん…じゃぁ、スニッカーズ10本」

小林「そう来たか。…帰りに買ってあげるから」

ネロ「やりぃ!…ええと、あの歯車の中には人が入れるスペースがあって」

ネロ「その中に入れば、被害者のトイズの力が増幅される…って事を言ってるよ。詳しくは実物を見ないとわからないけど」

小百合「おお!我が絖翠なる天空の言語がわかるのか!」キラキラ

小林「…神津、その機械は今、どこに?」

神津「今は遺体解剖班に回している。事件が終わるまで引き剥がすわけにもいかず、検査は難航しているようだが」

次子「うわぁ…想像すると気の毒としか言えねぇな…くわばらくわばら」

小百合「………」

小林(…黙ってしまった。当然か)

小林(彼女にとっては、大切な友人の事なんだからな…)
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:29:19.84 ID:Wu3x7vqR0
鑑識A「警視!照明の中の、電球の中にあると思われます!」

鑑識B「外して、調査しますか!?」

神津「…そうだな。調査班に要請してくれ」

鑑識A「了解です!」

小林「…電球の、中?」

神津「…俺達が確認できるのは、明日の裁判の事だろう」

神津「電球を分解するのには、時間がかかるからな」

小林(…叩き壊せば良いんじゃないかな)


神津「…さて、まだ聞きたい事はあるだろうが、時間が無い」

神津「花輪小百合。これから明日の裁判に向けて神奈川県警にまで来て欲しい。同行は願えるか?」

小林「!」

小百合「…愚問だ」

小百合「我が友のマナを奪った悪魔を打ち倒せるのなら…手段は問わん!!」キッ

小林「まっ待ってください!まだ、僕たちも聞きたい事が――」

小衣「はん!黙りなさいアンタ達は明日の裁判の事だけを考えれば良いのよ!」

小百合「……裁判?」

平乃「ええ。あの人達は明日、被告人の弁護士として弁護席に立ちます」

咲「今まで何度も依頼人を無罪にしてきた、かなーり優秀な弁護士…いや、探偵だからねー」

小百合「………」

次子「いや、でも今回は分かんないぞ?なにせ、今回は特例で――」

小百合「―悪魔の使いよ!!」ダンッ

小林「!」

小百合「危うい所であった…、まさか、ゴドムとソドラの使者が我の元に騙し入りしてくるとは」

小百合「…だが、我は騙されんぞ。今回の裁判…我は証言してやる」

小百合「貴様の仕える悪魔が、絶対的に不利になる証言をなっ!!!!」キッ

小林「………」

姫百合「なっ…何を言い出すんですか!?」
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:29:54.80 ID:Wu3x7vqR0

ネロ「…まさかと思うけど、証言席で偽証するつもりじゃないよね?」

小百合「否!!…我は真実の名の元で、どのような手を使っても貴様の仕える悪魔を敗訴かせてくれる!!」

小百合「原罪から逃げられると思うな!!私の…私の親友を…!!」

次子「分かった分かった。続きは署で聞くから。な?」ズルズル

小百合「明日を楽しみにしていろ!このっ……殺人鬼!!バーカ!バーカ!!」ポロポロポロ


…・………


シャロ「………」

ネロ「………」

姫百合「…完全に、嫌われてしまいましたね」

小林(…まぁ、無理もない…か)

小林「…彼女の為にも、この事件の真犯人を見つけましょう」

小林(こんな…誰も幸せにならない事件を…)

シャロ「……!」

シャロ「はい!それじゃぁ他の人にも話を聞いていきましょう!」

姫百合「そうですね。確か、他に二人ほど団員が居た筈です」

小林「その二人は、どこに居るのかな?」

平乃「はい。確かその二人はまだ控室の方に居ると思います」

平乃「先ほどの小百合さんに比べたら、まだ話ができる方なので安心してください」

小林「はは。それを聞いて安心しました」

小林(フェザーズの名前を聞いて、また発狂したりしないよな?)

シャロ「それじゃぁ早速行きましょう!!控室へ!」
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:30:21.74 ID:Wu3x7vqR0


【控室 同日 某時刻】



シャロ「………」

ネロ「………」

姫百合「………」

小林「………(な、なんだ?)」

小林(何なんだ?この…地獄絵図は?)

????「………」グデー

???「………」ボー…

小林(部屋は散乱していて、そして団員らしき二人は……)

小林(一人はソファで白眼を向いて気絶。そして一人は鉄の傘をさしたまま立ちつくしている…)

???「………」

小林「…あの」

???「………」

小林「…ちょっとお話、よろしいでしょうか?」

???「………」ニコッ

???「…はい。勿論よろこんで」

???「まずは、何から話しましょうか?やはり、この事件の概要ですよね?」

???「私が知り得る情報は多くありませんが、大丈夫です。喜んで協力します」

小林「それも…そうなんですが…」

????「…………」グデー

小林「そちらの、ソファで白目を向いてる娘は、一体どうなさったんですか?」

???「…………」

???「それは、事件とは関係ありませんわ」ニコッ

小林(関係なくても、少し…いや、かなり気になるんだよなぁ…)

50 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:31:08.61 ID:Wu3x7vqR0

→【事件について】


小林「お初にお目にかかります。僕は、小林オペラを申します」

???「…あら、貴方が殺人鬼の弁護士さん?」

小林「!」

姫百合「!」

シャロ「カッカズミちゃんとアリスちゃんは殺人なんてしていません!!」

ネロ「そーだそーだ!」

???「…まぁ、それはどうだか分かりませんが」

???「私も、一体誰が犯人なのかまだ分かっていませんからね」ニコッ

小林「………はぁ」

叶「私の名前は、つげ叶(17)と申します。今後、お見知りおきを」ペコッ

叶「そして、このソファの上でグッタリしているのが」

????「…………」

叶「…私どもの仲間、ねこ千衣(15)と申します」

小林「…………(ねこ?)」

叶「はい、”根子”です。不思議な苗字ですわね」

シャロ「へぇ!この人、ねこって名前なんですか!でも、とてもネコには見えません!」

ネロ「確かに、ネコというよりリスって感じの顔と体つきだよね。食われる方の」

叶「そうですわね。よく、私のネジシキも餌と勘違いして襲う時が何度も」

小林(…ネジシキ?)
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:31:48.50 ID:Wu3x7vqR0

姫百合「…それでは、事件当時の話を聞かせてもらっても?」

叶「…ええ。それは構いませんが…」

叶「私も、お客様以上の情報は持ち合わせていないかもしれませんわ。なにせ、一瞬の暗闇の間に全てが終わっていたのですもの」

小林(…つまり、小百合さんとフェザーズの二人と同じ情報しか持っていないという事か)

小林「…ちなみに、あの歯車と被害者は照明が切れた間に現れたのですよね?」

叶「ええ」

小林「なら、それを運んだ人とかが居るんじゃないんですか?あれを、運ぶ役割の人は――」

叶「それは、ワタクシどもの団長様ですわね」

小林「えっ?」

叶「いえ、正しくはあの機械、下に車輪がついていて、リモコン等を使えば動かす事ができるのです」

叶「そのリモコンを持っているのが、私どもの団長、小百合様なのでございます」

小林(…あの、黒い衣装を纏った女の子か…)

小林(リモコンなんて、そんな話聞いてなかったんだけどな…)
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:32:25.90 ID:Wu3x7vqR0


→【被害者について】


小林「…仲間である団員が死去した事は、心中お察しします」

叶「…………」

小林「ですが、できれば教え願えますか?被害者がどのような人物だったのか」

叶「………分かりました」

叶「このサーカス団は、元々小百合様の一人芝居劇だったのです」

シャロ「えっ!?」

叶「その芝居劇を見た私達が、それに感銘し小百合様の下につくことを願ったのです」

姫百合「それは…。入団するのになかなか手間取りそうですね。何せ、言葉が――」

叶「いえ、小百合様はすんなり私達を入団させてくれました」

姫百合「え?」

叶「最初は何を言われたのか分からなかったのか、冗談かどうかと色々と言われましたが、私達の意思をちゃんと伝えた所、急に泣き出しましてね」

叶「その日から、私達は漆黒の魔法団の団員になったのです」

小林(寂しかったのか…)

叶「…被害者である丸尾椿様は、その中でも特に小百合様と仲が宜しかったのです」

叶「小百合様も心底楽しそうにお仕事をするようになり、椿様も当初の心情からかなり変わったと思います」

小林「…当初の心情?」

叶「……成長、という意味です」

小林「………(なんだ?今のは…)」

小林(今、何かしらの違和感が――)

53 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:33:27.08 ID:Wu3x7vqR0

コーデリア「こっ…これは!一体どういう事なのですか教官!?」

小林「ん?…あ、コーデリア!」

シャロ「コーデリアさん!目を覚ましたんですね!」

エリー「…あ、あの…。これは…一体何が」

叶「…………」

叶「…今回の事件には、関係の無い事なので――」

コーデリア「そうはいきません!この狂った状況である以上、私達の出番です!」

シャロ「おおー!そうですね!こういう時こそ!探偵の出番です!」

小林「…今やる事は、一つでも多くの情報を集める事――」

ネロ「何言ってるんだよ小林ー!こんな状況で情報が頭の中に入るわけないじゃん!」

小林「……(ようやく慣れ初めて来た所だったんだけどな…)」

叶「………何をなさるつもりで?」

シャロ「今から、ここで何が起こったのか推理するんです!」

ネロ「僕たちの、”論理と推理の実験劇場”でね!」
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:33:55.22 ID:Wu3x7vqR0


【推理開始】 The game is afoot!

Topic1
→何が起こったのか

カシャッ

コーデリア「物が散乱した部屋。この状況から推理するのは至難の技ですが…」

コーデリア「ソファで白目を剥いて気絶している…その状況を把握する鍵は、貴方の鉄の傘です!」

叶「!」

シャロ「傘が鉄なら、どんなものだって防げます!槍だって矢だって。つまり!」

ネロ「この気絶した女の子の状況は、頭の上の”トロフィー”が示しているのさ!」

叶「?」

シャロ「もぉ!ネロ!私の台詞の横取りー!!」プンプン

カシャッ

コーデリア「この部屋の荒れ具合。そして鉄の傘。それらが示すのは、鉄の傘についた傷です!」ビシッ

叶「!」

エリー「かっ傘が…傷つくのは…ただ…一つ…」

カッ

シャロ「その答えは!床に散乱した”物”達です!」

叶「?」

ネロ「そう!この控え室では、不条理な事が行われていた…」

コーデリア「とても信じられない事ですが、この状況を説明する言葉はただ一つ!」

コーデリア「この部屋で、雨ではなく”物”が降ってきたのです!!」バァーン

姫百合「………」


Topic1
→何が起こったか

Conclusion
→控え室に物の雨が落ちてきた
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:34:39.59 ID:Wu3x7vqR0


Topic2
→気絶した団員

カシャッ

ネロ「となると、この気絶した団員はどうして白目を剥いて気絶しているのか」

シャロ「それは、さっき頭の上のトロフィーが示しているって言いませんでした?」

ネロ「他にも全身の関節が有り得ない方向に曲がっているのを見る限り、全身に物を受けたみたいだね」

クルクルクル

コーデリア「そう!この団員は”頭を強く打って”気絶しているのよ!」

叶「!」

ネロ「おっと!目を逸らしたね。つまり――君が関係してるって事だよね?」

叶「………」

カシャッ

シャロ「そう、被害者は貴方の”傘に弾かれて頭の上にトロフィー”が落ちた事により気絶したんです!」

叶「?」

ネロ「空から物が落ちてくる。それはさぞ驚いた事だろうね。でも、例え故意じゃないとしても、傘の所為で団員を傷つけてしまったのは事実」

カシャッ

エリー「…これは、貴方のトイズに…関係していますよね?」

叶「!」

クルクルクル

シャロ「そうです!更に、貴方のトイズの能力を示している証拠品だってあります!」

シャロ「貴方のトイズを示しているのは…その大きな”鉄の傘”です!!」

叶「?」

コーデリア「勿論、その傘自体がトイズの能力とは言わないわ。貴方のトイズは…」

コーデリア「見て分かる通り、空から物が落ちてくるトイズなのです!!」ババーン!!

叶「………」

ネロ「その傘を見るに、自分の都合じゃない場合でも発動するに違いないよね」

シャロ「そう!貴方は勝手に鳴ったトイズで発動した後、落ちてくる物を傘で防いでいて…」

シャロ「その傘で弾かれたトロフィーが!団員さんにあたってしまったのです!!」



Topic2
→気絶した団員

Conclusion
→叶のトイズの巻き添え


シャロ「以上!」

ネロ「ミルキィホームズの」

コーデリア「名推理でした!」

エリー「………でした」
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:35:34.36 ID:Wu3x7vqR0


小林「………」

姫百合「…………」

シャロ「ほら先生!何してるんですか!早く机の下に隠れてください!」イソイソ

ネロ「そうだよ!さっきの推理聞いたろ!?この控え室には物が落ちてくるんだから!!」イソイソ

叶「……あの」

叶「それ…本気で言ってるんですか?」

コーデリア「なんですって!?私達の推理を宛にしないの!?」

叶「いえ、だって…私のトイズは何も無い所から物を発生させません」

シャロ「えっ」

叶「私は調教師ですのよ?サーカスで飼育しているタイガーとかライオンを教育する為に居るのです」

叶「私の能力も、それにちなんだものですのよ」ニコッ

シャロ「…………」

ネロ「………」

コーデリア「そ…そんな。本当にもしそうだったら…」

コーデリア「私達の推理が、根本から覆されちゃうじゃない!」ガッ

コーデリア「ああうううう…頭打った…」ヒリヒリ

小林(…やれやれ)

シャロ「ううう…また、外しちゃいました…」ショボーン

ネロ「…今度は自信あったんだけどなぁ」ブツブツ

姫百合「本気で言ってるんですか?突拍子も無さすぎです」

エリー「……クスン」

小林「…皆。そんなに落ち込む事はないよ」

小林「推理なんて間違えての繰り返しなんだ。間違えても何度も推理をすれば、真実に確実に近づく」

シャロ「!」

小林「だから諦めずに、もう一度推理をしてみよう。今度は僕も参加するから」

シャロ「…はい!!」ニパー

ネロ「よぉし!それじゃぁもう一回だ!」

コーデリア「何度間違えたって繰り返してやります!」

小林(…さて、コッソリ推理を入れ替えて正しい答えにしないとな…)

姫百合「…小林さんも大変ですね」
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:36:18.77 ID:Wu3x7vqR0

【検討開始】 Hold it Ther Milky Holms.

Topic1
→何が起こったか

Conclusion
→控え室に物の雨が落ちてきた

カシャッ

コーデリア「物が散乱した部屋。この状況から推理するのは至難の技ですが…」

コーデリア「ソファで白目を剥いて気絶している…その状況を把握する鍵は、貴方の鉄の傘です!」

叶「!」

シャロ「傘が鉄なら、どんなものだって防げます!槍だって矢だって。つまり!」

ネロ「この気絶した女の子の状況は、頭の上の”トロフィー”が示しているのさ!」

叶「?」



バァーンッ



姫百合「どうやら皆さんは、頭の上にトロフィーが落ちてきたと思いたいみたいですね」

小林「はは。まぁ、気絶する理由にしては王道だからね」

小林「しかし、外傷がほとんど無いみたいだし、頭にはたんこぶがあるけど場所的に恐らく違う」

小林「一度、気絶した団員の周りを調べてみよう」


【団員が気絶した理由は?】

→【頭の上のトロフィー】

→【床に散乱した物】

→【手に持ったアルバム】
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:38:19.73 ID:Wu3x7vqR0


→【手に持ったアルバム】を選ぶ

小林「はい!!」

小林「この団員が気絶した状況は、手に持った”アルバム”が示している!」

ネロ「…あっ!よく見たらこのアルバム、二つの穴が空いてるよ!」

シャロ「…これ、もしかすると歯型ですか!?」

叶「…!」

コーデリア「はっ!まさか…このアルバムは」

コーデリア「何者かが、噛んでいた可能性が高い!!」

姫百合「…いや、そりゃぁ歯型がついてるんですからね?」

カシャッ

コーデリア「…分かりました。このアルバムの惨状、それらが示すのは、鉄の傘についた傷です!」ビシッ

叶「!」

エリー「かっ傘が…傷つくのは…ただ…一つ…」

カッ

シャロ「その答えは!床に散乱した”物”達です!」

叶「?」



バァーンッ



姫百合「…まだ、空から物が落ちてきたと思っているんですかね?」

姫百合「トイズの犯行じゃない以上、絶対に不可能だって言うのに…」

小林「はは…彼女達、意外と頑固だからね」

小林「推理自体は柔軟すぎて変な形になっちゃうんだけど…」

姫百合「…アルバムに歯型がついていて、鉄の傘にも傷がついている以上」

姫百合「原因はわかりやすく、一つしかありません」

小林「…その通り。まずはこの部屋をくまなく探索してみよう」


【傘が傷ついた原因は?】

→【床に散乱した物】

→【手に持ったアルバム】

→【猛獣の檻】

→【灰皿】
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:39:25.83 ID:Wu3x7vqR0


→【猛獣の檻】

小林「はいっ!!」

小林「傘が傷ついた原因、それは、”檻に入れられた猛獣”ですね!」

シャロ「はい!…って、わぁああああ!!猛獣だぁあああ!!!」ガビーン

コーデリア「きやぁああああ!!!」ビクゥーン!!

エリー「」

バタン

シャロ「えっエリーさんがまた白目剥いて倒れました!」

叶「白目死体が二人に増えてしまいましたわね」

小林「いえ、死んでませんからね?」

姫百合「…アルバムの歯型、物が散乱した床。そしてその鉄の傘も全て…」

姫百合「この、猛獣が暴れた事による所為だったのです!!」バァーン

シャロ「ぇぇえええええ!?」ガガーン

コーデリア「ひっ…ヒメちゃんに最期持って行かれちゃった…」


Topic1
→何が起こったか

Conclusion
→控え室に物の雨が落ちてきた×
         →猛獣が暴れていた○
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:42:01.08 ID:Wu3x7vqR0

Topic2
→気絶した団員

Conclusion
→叶のトイズの巻き添え



カシャッ

ネロ「となると、この気絶した団員はどうして白目を剥いて気絶しているのか」

シャロ「それは、さっき頭の上のトロフィーが示しているって言いませんでした?」

ネロ「…いや、その説はついさっき小林に叩き潰されたよ」

クルクルクル

コーデリア「そう!この団員は”頭を強く打って”気絶しているのよ!」

叶「!」

ネロ「おっと!目を逸らしたね。つまり――君が関係してるって事だよね?」

ネロ「檻に入れられた猛獣くんじゃなくて、君がね」

叶「………」

カシャッ

シャロ「そう、被害者は貴方の”傘に弾かれて頭の上にトロフィー”が落ちた事により気絶したんです!」

叶「?」



バァーンッ



姫百合「…あの、シャーロックさんは忘れているのでしょうか?それとも、まだ理解していないんでしょうか?」

姫百合「先ほどは、猛獣が暴れた後だって照明した後なのに…」

小林「ま、まぁ。猛獣が暴れてトロフィーが落ちてきたって事もあり得るから」

小林「さて、本当は何が原因なのか、これもちょっと調べてみようか」


【団員が気絶した原因は?】

→【頭の上のトロフィー】

→【外れた右足】

→【鉄の傘】

→【猛獣の檻】
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:45:39.37 ID:Wu3x7vqR0

→【外れた右足】

小林「これだっ!!」

小林「そう、団員の気絶は猛獣の檻の中にある”外れた右足”が示している!」

シャロ「!」

ネロ「!」

コーデリア「!」

シャロ「きゃぁああああ!!!」

ネロ「うわぁあああああ!!!」

コーデリア「」

バタリ

シャロ「こっ今度はコーデリアさんが白目を剥いて気絶しました!」

小林「――この団員の右足が外れている以上、義足、ですね?」

叶「………」

小林「恐らく、檻の中の猛獣が義足を外してしまったのでしょう」

カシャッ

姫百合「この団員は、義足が外れたショックで気絶した。という事ですか?」

小林「いや、自分の身体の事で。欠損したならともかく、元から無かったものを取られて気絶するとは考えにくい」

小林「そして、彼女は自分のトイズが関係しているとも言っていた」

叶「…………」

カシャッ

小林「貴方のトイズの能力を示す証拠品は、この部屋にある」

小林「それは――これです!」


【つげ叶のトイズを示すものは?】

→【猛獣の欠けた歯】

→【鉄の傘】

→【アルバム】
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:46:22.05 ID:Wu3x7vqR0

→【猛獣の欠けた歯】を突きつける


小林「これだっ!!」

カシャッ

小林「貴方のトイズは、この散乱した物の中に紛れ込んでいる猛獣の欠けた歯ですね?」

叶「!!」

小林「その鉄の傘、その傘も本当はトイズの力で普通の傘を鉄にしただけにすぎない…」

ジジジ…   フッ

小林「どうやら、効力切れのようです」

叶「………」 バッサバッサ

小林「貴方の持つトイズは、物を一つだけ硬化させる能力――」

小林「…そう、貴方は咄嗟に傘を硬化させ、猛獣を檻の中に入れようと奮闘した――」

小林「その時に傘を振り回した所為で、被害者は頭を打ったのです!!」ドドンッ

小林「よほど大きく振り回したのでしょう。衝突で義足が檻の中に吹っ飛んでしまうほどに!」

叶「……うっ…」

叶「きゃぁあああああああああ!!」ガガガガーン!



Topic2
→気絶した団員

Conclusion
→叶のトイズの巻き添え×→○



【推理完了】 Elementary!
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:47:04.59 ID:Wu3x7vqR0


小林「………とまぁ、真実を明らかにしましたけど」

小林「ようするに、不幸な事故だったみたいですね。ご愁傷様です」

叶「…とても、お恥ずかしい限りで」ウウゥ…

コーデリア「」

エリー「」

姫百合「あの、この人たちどうしましょうか?また気絶しちゃったんですけど」

ネロ「今日一日の事、覚えてるかな?」

小林「…それで、そちらに居る猛獣なんですけど。その子が檻から一度出ちゃったんですか?」

叶「いえ、そもそもまだ檻に戻していなかったので、戻そうとしたのですが…」

叶「ねこ様が持っていたアルバムを、その…噛んでしまいまして、大事な物だと分かっていたものですから、すぐにトイズを使用したのですが」

叶「歯が欠けてしまった事によって…ネジシキが暴れてしまって、部屋が…その、滅茶苦茶に」

小林(ネジシキって、あの猛獣の名前だったのか…)

ネロ「…何だかネジシキが可哀想に見えてきた」

シャロ「そうですよね。大事な歯が欠けてしまったんですよね…」

叶「いえ、ねこ様の大事な物を傷つけたのですから、少しは反省して貰わないと」

ネジシキ「…………」

小林(…相当絞られたのか、ネジシキくんも凄く大人しいな)

ねこ「………」

ねこ「ん…んおお…」モゾモゾ

小林「!」

ねこ「んな…お、おお…あれ?」ボリボリ

叶「あら、お目覚めでしょうかねこ様」ニコッ

ねこ「あれ?…右足が、無いなぁ?」

小林「えっと、ああ、ネジシキくんの檻の中に――」

ねこ「おっとぉ!ネジシキくん、それはエサじゃないよぉ!」ヒュンッ カンッ!

ネロ「!?」

シャロ「!?」

姫百合「!?」

小林(ぎ…義足が一瞬で元の位置に戻った!)

ねこ「ふぅー危ない危ない。噛み砕かれたら洒落にならない所だった」
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:47:50.68 ID:Wu3x7vqR0

小林「…あ、あの?ねこ…さんで宜しいですか?」

ねこ「…ん?」

ねこ「おおー!また警察の人かな?だから何度も言っている通り、私達は知りません!!」バーン

小林「いや、警察じゃないんだけど…僕は、その、被告人の弁護士をしている…」

ねこ「弁護士?」

姫百合「ちょっと!?小林さん!」

小林「……あっ!」

小林(そうだ…殺されたのは、ここの団員の一人だったんだ!)

小林(また、気分を悪くされたら…情報提供の拒否なんか――)

ねこ「弁護紙って、何?何かの書類?書くの?」

叶「…………」

小林「………」

ネロ「………」

シャロ「弁護士を知らないんですか?それじゃぁ教えてあげます!先生はフェザーズの二人のムグッ」パフッ

姫百合「…それで、今回の事件の事について、何か知ってる事を教えて欲しいのですが」

ねこ「事件?…あー!実はこの部屋はね!あそこに居るネジシキが私のアルバムを――」

小林「いや、それは既に分かっているので大丈夫です」

ねこ「ええ!?嘘ぉ!普通はこんなに滅茶苦茶だったら分からないよね!?」

ねこ「…あれ?そういえば私も分からないや。どうして気絶してたんだっけ?」

叶「…コホン」

姫百合「…失礼ですが、頭が若干弱い人のようですね」

小林(…こう言ったら、なんだけど)

小林(あまり、情報に期待できそうにないな…)
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:48:38.32 ID:Wu3x7vqR0


→【アルバム】


小林(…事件の事をいきなり聞いても、恐らく有力な情報は出てこないだろう)

小林「そちらのアルバムは、貴方の物ですか?」

ねこ「…ん?」

ねこ「ああ!これ?私の一生が全て記載されている大事な大事な思い出だよ!」ドーン

小林「ええ。まぁ…アルバムですしね」

ねこ「えっとねー、これが一昨日公演した後の打ち上げでー!これが皆で海に行った時のでー!」

小林「…ああ、ええと、とても楽しそうな写真ですね」

ねこ「それでこれが着替えてる時の花輪ちゃんの全裸を激写した写真――」

小林「うわぁっ!…いっいや、いや。そういうプライパシーに関わるものは遠慮しておきます…」ソッポムキ

ネロ「……」ジー

シャロ「……」ジー

ねこ「そうなの?レアなのに。後、これが皆でバーベキューした時のでー!んでこれが怪盗帝国からのお誘いの手紙でー」

小林「!?」

ねこ「後、これが打ち上げでブッフェ行った時のでー、これもブッフェ行った時のでー、これも――」

小林「ちょっ…ちょっと待ってください!怪盗帝国から!?お誘いの手紙が来たんですか!?」

ねこ「ん?そうだよ。誘われたのは花輪ちゃんだけど」

姫百合「そ、それで…、花輪さんは誘いに乗ったんですか?」

ねこ「あれ?どうだったっけ…ねぇ!つげちゃん!」

叶「…さぁ、私も聞いてないので分かりません」

小林「…あ、あの、もうちょっと詳しく見せて貰っても良いかな?それ」

ねこ「ん?いいよ!でも思い出だから後で返して!」

小林「は…はぁ」


→証拠ファイルC【怪盗帝国からの手紙】を証拠ファイルの収めた!
〈花輪小百合を怪盗に誘う旨が書かれている。送り主は怪盗帝国〉


ネロ「ね、ねぇ小林。…これって」

小林「…うん。間違いない怪盗帝国のものだ」

小林(中身は、確かに怪盗帝国からの誘いのものだ。…トリックと演出の魅せ方に才能を感じたとの事らしい)

小林(…というか、スカウトもやっていたのか怪盗帝国…)

シャロ「…先生。団長さんはもしかして、怪盗帝国の誘いに乗っちゃったんでしょうか?」

小林「それは分からないけど、…もし、あの団長が怪盗という裏の顔を持っているとしたら…」

姫百合「…あの団長が、より一層怪しくなりますね…」

小林(…どうやら)

小林(…この殺人事件、相当闇が深いようだ)
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:49:47.33 ID:Wu3x7vqR0

→【ねこのトイズ】

小林「…僕たちは、まだ団員全員のトイズの能力を把握していません」

叶「はぁ」

小林「なので、良ければ教えて貰えませんか?つげさんのトイズは分かっているのですが…」

ねこ「ん?何?何の話?」

叶「…どうやら、この弁護士様は、私達の事をご存知で無いみたいなのです」

姫百合「………」

ねこ「え!?私達、すっごく有名になったと思ったんだけどなぁ…」ポリポリ

ねこ「…まぁいいや!教えちゃおう!まず私の名前はねこ千衣って言って…」

叶「名前の方は、もう既に存じていると思いますわ」

ねこ「あれそうなの?そんなのチラシを見ればすぐ分かるもんじゃない?」

小林「…チラシ?」

シャロ「あっ!ここに一枚だけありましたよ漆黒の魔法団のチラシ!」ピラッ

姫百合「どれ…あ、名前の横にトイズの名前が書かれてますね」



→証拠D【漆黒の魔法団のチラシ】

【名前の横にトイズの能力が書かれている。花輪小百合は黒い羽を散蒔く、つげ叶は何でも一つ硬化する、丸尾椿はテレポート、ねこ千衣は触れた物を自由に動かせる】



小林「…被害者はテレポートが出来たんですか」

叶「ええ。…そのような能力を持っていた筈なのに、このような事件が起こってしまって…」

小林「いえ、現場は暗くなった時に行われたと聞いているので、トイズを用いても逃げるのは――」

シャロ「先生!それでもカズミちゃんとアリスちゃんは――」ムッス!

小林「う、うん。僕もそれは、ちゃんと信じているから」

小林(…そうだ)

小林(被害者はテレポートが出来た。なのに現場から逃げられず歯車に巻き込まれて絶命した…)

小林(…何か、理由があったのか?)
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:50:54.91 ID:Wu3x7vqR0


→【被害者について】


小林「…貴方達の団員だった、丸尾椿さんの話を伺いたいのですが」

ねこ「おっ!団長さんのマブダチだね!?」

叶「私達の仲間でもあります」

小林「その仲間である丸尾椿さんなのですが、最初は三人一緒に団長である花輪小百合さんに弟子入りしたのでしたよね?」

ねこ「その時の事はよく覚えてるよ!すっごく泣いて喜んでたの花輪ちゃん!」

叶「…団長さんと出会った時は、私達ともども運命だと思っておりました」

叶「丸尾椿もその一人で、…彼女は団長様とは波長が合ったのでしょう。次第に親友と呼べる程になっていましたわ」

小林(あの言動と波長が合ったのか…会話を想像するのが怖いな)

ねこ「…最初はねー。私達の中でも当初の目的が私の次に強い子だったんだけど」

ねこ「そんなの忘れちゃったように、今では団長さんの右腕になるほどに仲良くなっちゃったんだよねー!」

姫百合「…先ほどから思っていたのですが、当初の目的とは何ですか?」

姫百合「話を聞く限り、団長さんと関わるのが目的であっても、仲良くする気が無かったように聞こえるのですが」

叶「それは当然でしょう。私達は団長様の技術に惚れて入団したのです」

叶「師弟の関係。それが当初私達が考えていた目的ですわ」

シャロ「それでも!仲良くなっちゃったのなら嬉しい事ですよね!」ニコニコ

ねこ「ん。まぁ、そうなのかなー?」ポリポリ

小林「…………(何だろう)」

小林(先ほどの叶さんの言っていた事、表面だけの事しか感じ取れなかったような…)

68 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:52:41.03 ID:Wu3x7vqR0


バターン!


北芝「…よぉし、残りの証人はここね」

神津「むやみに動かないよう指示をしたからな」

シャロ「…あっ!」

小林「きっ…北芝検事!」

ネロ「またお前かぁ!今回の裁判もケチョンケチョンにしてや――」

北芝「邪魔」ゴッ

ネロ「ゴハッ!」クルクル

小林「ネロ!?」ガーン

カッ

北芝「アンタ達が、残りの被害者の関係者よね?」

叶「………」

ねこ「ん?被害者ってなんだ?調味料?」

神津「…………」

北芝「これより、アンタ達は被告人常盤 カズミと明神川 アリスの殺人罪を立証させる為の証人として明日の裁判に召喚されるわ」

北芝「丸尾椿を殺した、殺人鬼としてね」

ねこ「……!?」

叶「………」

北芝「…しかし、きったない部屋ね。掃除が行き届いてないの?」

コーデリア「」

シャロ「ちょっと北芝検事さん!コーデリアさんを踏まないでください!!」

北芝「ん?…おーおーこれは済まなかったわね。床が散らかりすぎてて分からなかったわぁ」

北芝「じゃぁ、こっちに移動するわね」ダンッ

エルキュール「きゅぅっ!」

小林「今度はエルキュールを踏んだ!!」

ネロ「ちょっと!いくらなんでもやって良い事と悪い事があるでしょうよ!!」

北芝「そんなの知った事じゃないわ!そもそもなんでこの二人が散らかった床の上で寝そべってんのよ!!!」

姫百合「それは―――…ごもっともな意見ですけど…」

北芝「とにかく!この二人は明日の証言台に立つ手続きをしてもらうわ。こっちに来なさい!!」

ねこ「………」

69 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:54:03.14 ID:Wu3x7vqR0

叶「…どうやら、お話できるのはここまでのようです」

小林「…ええ、そのようですね」

神津「詳しい話は、明日の裁判で語られる」

小林「……」

神津「特時操作権限と言えど、司法には逆らえないのは分かっているな?」

北芝「へへーん!神津くんの言う通りなんだから!」フンスッ

神津「…だが、最低限の情報提供は義務付けられているのも確かだ」

神津「被害者の解剖記録と、凶器の写真の発行は完了した」

小林「!」

神津「裁判に出る前に、目を通しておく事だな」


→証拠D【丸尾椿(15)の解剖記録】
〈歯車による圧死もしくは失血死。死亡推定時刻は不明。顔にはトイズにより発生した矢が貫かれている〉


→証拠E【奇跡の少女の歯車】
〈一人の人間なら容易く圧死させることも可能な歯車。全方位の写真が送付されている。血まみれだが人が一人入れるスペースがあったようだ〉


小林(…死亡推定時刻が、不明!?)

神津「遺体の損傷が激しすぎの故、解剖班が最終的に下した決断だ」

神津「頭部にも、巨大な矢による損傷が酷すぎるのと、現場で起こった状況を考えれば不明でも問題無いとの考えで――」

北芝「神津くん!それ以上敵に情報を教えちゃ駄目よ!」

シャロ「誰が敵ですか!」ドーン

ネロ「こっちには特時操作権限があるんだぞ!」ドーン

姫百合「…私達が敵側だと思われそうな言い方はやめてください」

北芝「…はん!まぁ、でもどうせ無駄だろうけど」

北芝「明日は、司法の実験も兼ねた”特殊裁判”なのだからね」

小林(……特殊裁判?)
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:54:45.65 ID:Wu3x7vqR0

北芝「ふっふっふ…覚悟しなさいよ小林オペラ。今回の裁判は、敵は私だけじゃないのよ」

北芝「今回の事件、観客席に座っていた者だけが選ばれた”陪審員6人”という私の頼もしい仲間が居るんだから」

小林「…陪審員」

小林「つまり、裁判長一人が決定権を持つわけでは無いのですね」

北芝「その通りよ!今回はあのヒゲだけを騙せても、善良な一般市民である陪審人は騙せないんだから!!」ドドーン

北芝「せいぜい数の暴力に負けて、依頼人を処刑台に送ってやりなさい!あーっはっはっはっは!!!」

ネロ「なんだよ小林に勝った事無いくせにー!!」

シャロ「カズミちゃんとアリスちゃんはヤっていません!陪審員さんなんて、先生の力で蹴散らせてみせます!!」ドーン

姫百合「いや、陪審員蹴散らしちゃ駄目ですよ」

小林「…それに、陪審員は正当な判決を促すものであって」

小林「別に検察側の頼もしい仲間っていうわけではないですよね?」

北芝「…それはどうかしらね」

小林「…え?」

北芝「先ほど陪審員の話を聞いてきたけど、全員間違いなくあの二人を殺人犯扱いしている者ばかりよ」

シャロ「!!」

北芝「つまり、開廷する前から結果が見えているようなもんよ!せいぜい頑張りなさい。ま、どうせ負け戦だろうけどね!」ドドン

北芝「アァーッハッハッハッハッハッハ!!」ゲラゲラゲラ

小林「………」

北芝「…さて、それじゃぁさっさと行くわよ!ちゃんと有力な情報を喋りなさいよね!明日の裁判でも!」

ねこ「………」

叶「………」

神津「…陪審員が現れた事により、検察側と弁護側には対立する目的がもう一つ現れた」

神津「それは、陪審員を納得させる証拠品と証言を証明する事だ」

小林「…!」

神津「検察側は、被告人二人が殺人をした事実を証明する」

神津「弁護側のやることは、その対照的だ」

小林「………」

神津「せいぜい、目的を見失わないことだな」スタスタスタ

「それじゃぁ一緒に向かいましょう神津くーん!」  「離れて歩いてください。北芝検事」

小林「………」

ネロ「クッソーあのクソガキ検事め!神津と一緒に歩いてた事を明智警部補にバラしてやる!!」ムッキー!

姫百合「…やめてあげましょう。神奈川県警が荒れてしまいます」

シャロ「…ううう。でも、どうしましょう…」
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:55:18.46 ID:Wu3x7vqR0

小林「…神津の言った通り、僕たちがやることは陪審員が来ても変わらないよ」

小林「フェザーズの二人を、最後まで信じれば良いんだ」

シャロ「!」

ネロ「!」

小林(そうだ…。やることは変わりない)

小林(僕が行う事は、依頼人をどんな時でも心の底から信じる事だ)

小林(…しかし、)

小林(僕は証明できるのか…?現場に居た目撃者に対して、しかも6人の一般人に…)

姫百合「……あれ」

シャロ「どうしたんですか?ヒメちゃん」

姫百合「さっきの人、アルバムを置いていっちゃいましたよ。しかも開いたまま」

小林「ああ、相当ショックだったんだろうね。団員が殺された事が――」ピラッ

小林「………っ!!?」ガタッ

シャロ「えっ!?どうしたんですか先生!」

小林「……い、いや、これ……」

シャロ「…これ?」ピラッ

シャロ「ええと、あっ!これ6年前のサーカスのチラシです!」

ネロ「本当だ。…ただ、漆黒の魔法団とは違うみたいだけど」

小林「…………」

姫百合「…あの、小林さん。どうしたんですか?」
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:56:10.77 ID:Wu3x7vqR0


小林「……(6年前)」

小林(メディアにも引っ張りだこで、ブームを引き起こしたサーカス団”ドイサース”があった…)

小林(その団長はある日、団員全員を解雇してワンマンショーが開催された)

小林(…悲劇は、そこから始まった)

小林(団長がある機械に入ると、機械は大爆発を起こしテントの中に居た大勢の観客の命を奪った…)

小林(瓦礫となったテントの中から遺書が見つかり、内容は大勢の人間を巻き添えにして自殺すると言った内容だった…)

小林(共用される不服な仕事に、自由のない演出。細かい事のバッシングや同業者の嫌がらせ等、そういった事への復讐の告白も書かれていた)

小林(…団長は、壊れてしまっていたのだ…)



シャロ「………」

ネロ「………」

姫百合「………」

小林(僕は、そのような過去があった事を全員に話した)

シャロ「…こっこれが、その…団長さんの大規模自殺があった公演日のチラシなんですか…?」

小林「ああ、間違いない」

姫百合「そっそれじゃぁ、どうしてそんなものがアルバムの中に…!?」

小林「それは…まだ、分からない」

小林「しかし、彼女達にはまだ僕たちに隠している事実があるのは明らかだ」


→証拠F【アルバム】を証拠ファイルに収めた!
〈団員達の思い出の全てが、この中に詰まっている。最初のページにはドイサースの大規模自殺があった公演日のチラシが挟まっている〉


小林「…だが、もう今日は彼女達の話を聞くことができない」

小林「全ては…明日の裁判に持ち越しだ」

ネロ「………この過去の事件と、今回の事件、本当に関係あるの?」

小林「それも…今はまだ分からない」

小林(しかし、彼女達が隠しているのは、それだけじゃない)

小林(漆黒の魔法団の団長に憧れて入ったというのも…何か、違和感があった)

小林(…一体)

小林(この事件の裏には…何が隠されているって言うんだ?)
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:56:44.08 ID:Wu3x7vqR0

シャロ「あっ!あと…コーデリアさんとエリーさん!」

コーデリア「」

エリー「」

シャロ「二人も目を覚まさないのですが、どうしましょう!」ツンツン

小林「うん…それは、担いで歩くしかないよね」

ネロ「ええー?二人共僕たちより重いんだよ?小林が担いでよ」

小林「うん……んんっ!?」ギクッ

シャロ「そうです!先生は男の人ですし、私達よりずっと力持ちです!」

ネロ「エリーが起きていれば何とかなったんだろうけど、今はエリーも気を失ってるからね」

小林「えっええええっ!?いや、でも!僕は、その、男だし、」

シャロ「そうです!男の人です!」

小林「うんそう!だから!さすがに、女の人を担いで歩くというのは、その……」

姫百合「…何を考えてるんですか?」ジトー

小林「え”っ…いや、やましいことは無いんだけど…!さすがに!ヤバイんじゃないかなって!」アタフタ

小林「しかもその…二人だし」

ネロ「あー!小林もコーデリアとエリーの事重いって思ってるんだぁー!!」

小林「いや、そういう訳じゃ…」

ネロ「コーデリア、起きてそれを知ったらショック受けるだろうなー!!エリーも泣きだすだろうなー!酷いなー小林は!」

小林「だから、そういう事じゃ…」

姫百合「……はぁ」

ガラガラ

姫百合「部屋の隅に、台車がありました。これに乗せて運びましょう」

シャロ「ヒメちゃん!ナイスアイディアです!」

ネロ「えー、ちょっとヒメ、もう少しだけ空気読んでよー」ブーブー

小林「…ネロ、君分かってて僕をいじってたね?」

姫百合「年頃の女性といえど、さすがに二人は小林さんの負担が大きいので、これが一番良手だと思います」

ネロ「…まぁいいか。小林、僕が気絶したら、その時はちゃんと背負ってね」ニヤニヤ

小林「はは…。考えておくよ」
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:57:21.84 ID:Wu3x7vqR0


【ホームズ探偵学院前 同日 某時刻】


ガラガラガラガラ

シャロ「うーん…戻って来ちゃいましたね」

ネロ「あんまり、有効な証拠品も見つかってないし」

姫百合「…このままで、明日の裁判は大丈夫なんでしょうか?」

小林「…う〜ん、陪審員とかも出てきちゃったからなぁ」

シャロ「先生!先生がそんな弱気になっちゃダメです!」ドンッ

ネロ「そうだよ!ただでさえ僕たちも不安だってのに!」ドンッ

小林(…ちょっと軽めに発言しただけなのに、凄いバッシングされた…)

姫百合「ま…まぁまぁ、小林さんなら大丈夫ですよ」

姫百合「今までに何度も、依頼人を冤罪から救ってくれたんですし」

シャロ「それは……その通りです!」

ネロ「うん!今までどおりに弁護すれば、フェザーズの二人の冤罪も晴れるのは間違いないしね!小林!」

小林「はは…うん。そうだね」

小林(陪審員が居るから、今まで通りとはいかないんだけどなぁ)

小林(…だから、戦略を少し変えないと。フェザーズの二人の印象を良くする必要もある)

小林(そのためにも二人の話をもう少し聞いていきたいのだけど…)

小林「…ん?」

???「………」

小林「学園の前に、誰かが居るな」

シャロ「…あっ!」

小林「シャーロック、君の知り合いかい?」

シャロ「いえ、でも確か…、アリスちゃんのお兄さんです!」

小林「アリスくんの…”お兄さん”?」
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:57:54.63 ID:Wu3x7vqR0

シオン「………」

シオン「…」ズカズカズカ

ネロ「うわ、こっちに近づいてくるよ?」ササッ

シャロ「きゃぁ!凄い怖い顔です!」ササッ

姫百合「…あの、お二人共。年下の後輩の後ろに隠れるなんて情けないと思わないのですか?」

シオン「………」ピタッ

小林「……あの、僕に何か用でしょうか?」

シオン「…………」

シオン「…貴方が、小林オペラですか?」

小林「え?…はい。そうですけど」

シオン「―っ!」ガシッ

小林「!」グイッ

ネロ「襟首!?」

シャロ「せっ先生を離してください!」

シオン「…話が違うじゃないか…!」グググ

小林「…え?」

シオン「貴方は…!僕のアリスを弁護するんじゃなかったのか!?」

姫百合「!」

ネロ「ちゃんとするよ!…確かに一人しか弁護依頼受けなかったけど」

シオン「さっき、アリスに聞いたら…小林オペラの弁護は受けていないと!一体、何をしていたんだお前らは!」ギリギリ

姫百合「…先ほどの私達の事務所を荒らしたのは、貴方ですか!?」

シオン「そうだ!だが、今はそれは関係無い!」

姫百合「関係あります!掃除してください!」

小林(そういう問題なのか…)
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:58:21.53 ID:Wu3x7vqR0

シオン「…このままアリスだけ弁護されずに殺人犯扱いされるのは絶対に許されない事だ!アリスの弁護を受けないというのなら…今ここで――」

小林「…アリスくんからは、弁護を断られてしまったのです」

シオン「!」

小林「身に覚えはありませんが、…彼女は僕に強い敵意を抱いているように見えました」

シャロ「はい!まるでいつものアリスちゃんじゃないみたいでした!」

小林「一体、彼女は僕に何の憎悪を抱いているのですか?その問題を解決しない限り、彼女は絶対に僕の弁護を受けないと思います」

シオン「くっ……」

小林「…もし、彼女の弁護を取り付けたいのであれば、分かって居る事を話してください」

シオン「…………」

シオン「…そうか。やっぱり、まだあの事を…」

小林「…あの事?」

シオン「…分かった。話そう。アリスが君に敵意を向ける理由。それに心当たりがある」

小林「!」

シャロ「いっ一体それはどういう事ですか!?」

シオン「…まず、一つ大前提として話しておきたいのは」

シオン「僕の…いや、祖父にあたる人物は、…名のある怪盗だった」

小林「…!」

姫百合「!」

シャロ「ええ!?」

ネロ「……」

シオン「…貴方も知っている名でしょう、何せ…」

シオン「祖父は、貴方と対峙して負けてから、行方不明なのですから」

小林「………」
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 19:59:03.49 ID:Wu3x7vqR0

シオン「祖父の通り名は、怪盗ジュエル・ザ・ファントム」

シオン「過去の怪盗Lと、同じくらいに強大な怪盗だったと聞く」

小林「…はい。確かに覚えています。怪盗J・ファントム」

小林「一度は追い詰めたものの、逃げられてしまった怪盗の一人です。…その後のことは、情報がなく僕も行方を追っているのですが…」

シオン「…アリスは、君のせいで祖父を失ったと思い込んでいるようだ」

シャロ「…!」

シオン「祖父は、怪盗以外の普段は、家族想いで人格者であった。…当然、アリスも俺も祖父に対しては良い思い出しかない」

シオン「…かくいう僕も、そんな祖父を追い詰め僕たちから取り上げた貴方のことは好かない」

小林「………」

シオン「…だが、貴方の弁護実績はどんな依頼者も無罪判決を勝ち取っているのは事実…」

シオン「僕にとっても苦渋の選択だが、だからこそどうしても貴方に弁護をしてもらいたいんだ!!」ダンッ

小林「………」

シオン「………頼む」

シオン「僕の妹を……、アリスを…!助けてくれ……!!」ガクッ

小林「………」

小林「………分かりました」

ネロ「!」

小林「その覚悟を、前向きに受け取っても良いのなら」

小林「是非、貴方の妹であるアリスくんを弁護させていただきます」
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 20:01:01.82 ID:Wu3x7vqR0

シオン「……!」

姫百合「…そもそも、本当にフェザーズの二人が殺人を犯していないのなら」

姫百合「真実を明らかにするだけで、無罪も同然なんですけどね」

シャロ「その通りです!何度も言っていますが、フェザーズの二人が人を殺すなんて事しません!」

ネロ「だからさ、もうちょっと妹を信じてあげなよ。小林は弁護するのは二の次で、真実を明かすのがあくまで第一なんだからさ」

シオン「…………」

シオン「…どうやら、僕は貴方をほんのちょっぴり誤認していたようだ」フッ

小林(ほんのちょっぴりか…)

スタッ

シオン「明日はよろしくお願いします。…小林”先生”」

小林「ええ。あなたも妹さんを信じてあげてください」

小林「やっていないと信じているのなら、僕がそれを証明してみせますから」ニコッ

シャロ「はい!カズミちゃんとアリスちゃんは殺っていません!」

ネロ「それさえ分かれば、後は楽勝さ!」

コーデリア「」

エリー「」

姫百合「……ええ、その通りですね」
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 20:01:57.22 ID:Wu3x7vqR0


小林(そして、今日の捜査はこれで終わった)

小林(後は、警察側が捜査している情報がハッキリするまで待つしかない)

小林(…恐らく、もう裁判に出るまで僕たちは何もできないだろう)

小林(そして僕は思い知らされる事になる。この裁判、この事件は…)

小林(….僕たちが思っている以上に、残酷で強大な憎悪と闇が、裏に隠れている事を…)

小林(…その事件の闇に、対面した時)

小林(僕たちは歪んだ戦士の姿を見ることになる…)



つづく
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/09(水) 20:02:00.12 ID:8ZqgzGVSo
つまんね>>1中学生か?
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 20:02:33.19 ID:Wu3x7vqR0
探偵編終わり。
次は裁判編やります。しばらくお待ちください
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/09(水) 20:06:36.94 ID:Wu3x7vqR0
証拠品整理

証拠品@【矢文】
<発光塗料を塗られた矢と一緒に結ばれていた手紙。筆跡から強い念を感じる>


→証拠品A【抽選チケット】
<トイズ割とトイズ席の番号が書かれている。二人のトイズの用途も併記されている。>



→証拠品B【現場写真】
〈二つの歯車に巻き込まれ、体は引きちぎれバラバラになり被害者の顔もろともトイズの矢が突き刺さっている〉


→証拠ファイルC【怪盗帝国からの手紙】
〈花輪小百合を怪盗に誘う旨が書かれている。送り主は怪盗帝国〉


→証拠D【漆黒の魔法団のチラシ】

【名前の横にトイズの能力が書かれている。花輪小百合は黒い羽を散蒔く、つげ叶は何でも一つ硬化する、丸尾椿はテレポート、ねこ千衣は触れた物を自由に動かせる】

→証拠E【丸尾椿(15)の解剖記録】
〈歯車による圧死もしくは失血死。死亡推定時刻は不明。顔にはトイズにより発生した矢が貫かれている〉


→証拠F【奇跡の少女の歯車】
〈一人の人間なら容易く圧死させることも可能な歯車。全方位の写真が送付されている。血まみれだが人が一人入れるスペースがあったようだ〉

→証拠G【アルバム】
〈団員達の思い出の全てが、この中に詰まっている。最初のページにはドイサースの大規模自殺があった公演日のチラシが挟まっている〉

83 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/09(水) 20:11:47.38 ID:OX8IV0k/o
また見れるとはおもわなかった
期待
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/09(水) 20:35:58.81 ID:mt4Wnehu0
なんでこっちなんだろう?少なくてもグロ要素はないのに
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/09(水) 22:18:06.00 ID:geC0R7yco
復活ktkr
本家ホームズも出てる大逆転裁判要素もあるとは、ええのう
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/08/12(土) 01:50:36.13 ID:OLLu19Aq0
個人的キャラのイメージ

ダークシュタインさん



ねこ



一部を硬くする人


87 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/12(土) 04:44:02.89 ID:Y3ykNaqZo
さっき気づいて追いついた
また先生の活躍が見られてうれしい
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/08/21(月) 22:21:09.80 ID:coNdreQ70
今日の深夜、もしくは明日の夜に投下予定です。
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/08/21(月) 23:26:48.19 ID:coNdreQ70
投下します
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:27:32.32 ID:coNdreQ70
【横浜裁判所 第二控え室  12月02日 午前11時45分】


小林(…うぅ、ついに来てしまったな…殺人事件の裁判)

小林(いつ来ても、この空気は慣れないな…)

小林「…しかし、陪審員か…」

小林(平等で民主主義な判決を目的とした制度。…の筈なんだけど)

小林(何故だろう。物凄く嫌な予感しかしない)

シャロ「……先生!」ズイッ

小林「ん?…うわぁ!シャーロック!顔が近い!」ビクッ

シャロ「だって、何度呼んでも返事してくれないじゃないですか!」ムッ

小林「…え?ああ、さっきから呼んでいたのかい?」

小林「その、それは…ごめん」

コーデリア「…今日は、私達の大事な後輩、フェザーズの無実を証明する裁判ですが…」

コーデリア「いつもの事ながら、こちらが有利になる証拠品がほとんどありませんね…」

小林「まぁ、うん。いつもの事ながら…ね」

姫百合「まぁ、本当にいつもの事ですけどね」

ネロ「…いつもの事だから、気にしなくても良いんだけど…」チラッ

カズミ「………」ツーン

アリス「………」ツーン

エリー「あのお二人は…いつもの様子じゃ…ありません」
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:28:12.84 ID:coNdreQ70

カズミ「…あっ!小林オペラさん!」パァッ

カズミ「今日一日!よろしくお願いします!」ペコッ

小林「う、うん…。君達の無罪を証明できるよう、全力を尽くすよ」

カズミ「はいっ!」

アリス「………」ツーン

コーデリア「…ところで、どうしたの?」

コーデリア「さっきから、お互い喧嘩してるようにも見えるんだけど…」

カズミ「…喧嘩?」

カズミ「喧嘩だってしますよ!そりゃぁ!」ダンッ

カズミ「小林さんが!私達を無償で!もう無償で弁護してくれるっていうのに!断固として小林さんに対してあんな態度!」

カズミ「もう!口だって聞いてやらないんだから!!」プン プン

アリス「………」

小林(…随分仲の良い喧嘩だな)

シャロ「…で、でも!でも!アリスちゃんのお兄ちゃんは小林さんにお願いしてくれたよ!?」

アリス「…!」

コーデリア「ええ!…ええ!?そうなの!?」ガビーン

ネロ「そうそう。「ウチのアリスを助けてくれー」って言ってたよ。何なら言質だってあるし」

小林「録音していたの…?」

アリス「……」

カズミ「…シオンさんも、そう言ってたの?」

シャロ「はい!アリスちゃんの事も聞きました!」

姫百合「お爺さん、名のある怪盗だったみたいですね」

アリス「………」

シャロ「お兄さんだって応援してくれてるんだから、アリスちゃんも先生に――」

アリス「余計な事を…しないでください!」ダンッ

シャロ「!?」

アリス「……」ツーン

小林(…どうやら、想像以上に傷が深いようだな…)

シャロ「ううぅ…先生、どうしましょう」
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:28:41.80 ID:coNdreQ70

小林「……6年前、僕は確かに怪盗J・ファントムを追い詰めた」

小林「その事に関しては、僕も謝る理由が無いから、どうにもならない」

アリス「………」

小林「それに、僕は捕まえてすらいない。し、彼は行方不明だ」

小林「…少し酷い言い方だけど、今回の事件に関係ない事まで面倒は見られないよ…」

ネロ「………」

姫百合「…………」

カズミ「…そんな必要ありませんよ。小林さん」

カズミ「だって、アリスのおじいちゃんが捕まったのは自業自得なんですから!」ムキー!

小林「いや、捕まってはいないんだけどね?」

カズミ「そんな事を、こんな状況でもズルズル持ってくるなんて女々しすぎだし鬱陶しい!」

アリス「!」

アリス「カズミちゃんには分からないよ!…私の、気持ちなんか!」

カズミ「なんだとー!!」プン プン

アリス「ムッスー!!」プリプリ

カズミ「フンッ!」プイ

アリス「フンッ!」プイ

小林(…口を聞かないんじゃなかったのか?)

エリー「ううぅ…どうしよう…?」

シャロ「…そうだ!マリネちゃんの事務所の隣の空き地に私の秘密農園があります!」ピコーン

シャロ「ちょっと今から仲直りの為に私の野菜を――」

係官「弁護人!被告人!開廷の時間が迫っています!」

係官「今すぐ入廷するように!」

シャロ「あ…ああうううぅ…」オロオロ

カズミ「………」ツーン

アリス「………」ツーン

コーデリア「どっ…どうしましょう…教官」

小林「…今は、こっちの方が大事だ」

小林「彼女達は今、殺人容疑がかけられているんだからね」

シャロ「そっ…!…それもそうです…けど……」

小林(…でも、どうでも良いというわけでは無い…んだよなぁ)

小林(殺人容疑に陪審員に複数の証人…弁護側に不利な証拠…)

小林(…大丈夫だ。やれる。だって、二人を信じれば――)

小林(真実を明らかにすれば、二人の無実も明らかになる筈だっ――!!)ドンッ
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:29:15.80 ID:coNdreQ70


【横浜裁判所  第一法廷室】



カッ!!

裁判長「これより、常盤 カズミと明神川 アリスの裁判を始めます」

裁判長「弁護側、検察側、準備はよろしいですか?」

小林「弁護側、準備完了しております」

北芝「検事側、準備完了しているわ」

裁判長「…分かりました」

裁判長「今回の裁判は、更なる正当な判決を目的に陪審員制度を採用しています」

裁判長「選ばれた6人の陪審員よ、罪を裁く覚悟は持ち合わせていますか?」


1号「ダー!!ソ連の星将軍の空の下、軍法会議を今こそ開廷する!!」バババババババババ!!

2号「はい。ソフィアちゃんの準備が完了しているのでしてー」ニコニコ

3号「…三分二十二秒の遅れがあります。早急に判決に移る事を推奨致します」ペラペラ

4号「ハイ。ワタクシニホンゴ。ワカリマセン」

5号「勿論じゃぁああ!!山本ぉ!!貴様の命もこれまでぇ!!覚悟しろぉお!!」ゴゴゴゴゴ

6号「電波を受信しています。ピコピコ。ローディングローディング…ローディング完了しましたぁー」ピコピコピコ


裁判長「……分かりました」

裁判長「それでは検察側は、今回の事件のあらましを…」

小林「ちょっと!!」
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:30:09.60 ID:coNdreQ70

小林「あの…正気ですかっ!?」バンッ

北芝「…言いたい事は分かるわ。弁護人」

北芝「それでは、今回の事件は至ってシンプル――」

小林「異議あり!!」

小林「いやあの…本当にやるんですか!?この陪審員で!?本気で!?」

裁判長「…陪審員は、司法が厳正なチェックの下に選ばれています」

ネロ「嘘だっ!!」

裁判長「確かに、ちょっぴり個性豊かな人たちですが、判決に関しては問題ないでしょう」

北芝「そういう事。ちょっぴり個性がついてるくらいで騒ぎ過ぎなのよ」

3号「弁護側は自乗してください。貴方のせいで私のスケジュールが5分遅れです。今すぐその口を閉じなさい」ペラペラ

1号「往生際が悪いぞ弁護側よ!ヤーは既に覚悟を決めている!ヴィも軍人なら覚悟を決めろ!!」ガチャンッ カチャッ カチャッ カチャッ

5号「もう逃げられんぞ…山本ぉおおおお!!!」ゴオオオオオオ

4号「ワタクシ、ニホンゴワカリマセン」

6号「スタートボタンを押してください。スタートボタンを押してください」フラフラ

小林(…いや!これは絶対にちょっぴりでは済まされない人選だっ!!)

姫百合「…小林さん、私、今すぐ帰りたいです」

カンッ

裁判長「…それでは、気を取り直して」

裁判長「検察側は、事件のいきさつを証言してください」

北芝「…了解したわ」
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:31:14.53 ID:coNdreQ70

北芝「今回の事件は、漆黒の魔法団というサーカスの公演の最中に行われた」

北芝「一度照明が消された後、再び点灯した。その後に観客の全員が目撃しているわ」

北芝「歯車に巻き込まれ、トイズにより発生した矢に貫かれ絶命している被害者を」

小林「…ほとんどの人が、これ以上の情報を知り得ませんでしたが」

北芝「ええ。それでも私達は被告人が殺人を犯した事を立証できるわ」

シャロ「…!」

北芝「まず、被害者の遺体の顔には常磐アリスのトイズである矢が貫かれていた」

北芝「更に、被告人以外に被害者の血液を浴びた者がいない」

北芝「そしてもう一つ、これは、天井の照明の電球の中にあったものだけど、分かるかしら?」カラッ…

小林「……これは、何ですか?」

北芝「…電気を消して、トイズ可視機を使用すると…」パチン

パッ

小林「!!」

裁判長「何と…!二本糸が直線で壁や障害物を通り抜けていますぞ!」

北芝「これは、トイズにより発生した物質に反応する特殊な糸よ」

姫百合「…!」

北芝「人間の眼球を用いた裏世界の商品だから、持っている者は限られている」

北芝「まず、トイズを持たない人間は使う事がない。更に、この糸はテントのある観客席に繋がっていた」

小林「……まさか」

北芝「そう、被告人の席…その下よっ!!」ドドンッ

小林「うっ…」

小林「うぉおおおおおおおおおおお!!!?」ガガーン
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:32:07.15 ID:coNdreQ70

裁判長「…何と、被告人の席に、そんなものが…」

北芝「この球体は、その糸の中間点だと言う事が分かったわ」

北芝「被告人は、この糸を使い、自分の持つ矢と盾のトイズに引っかけ、被害者の元へと移動した…」

北芝「…つまり」

ダンッ!

北芝「この殺人を行える者は、被告人二人以外に存在しない!!」

北芝「それは、この隠されていた特殊糸により明らかよ!!」

小林「ぐ…ぐぅぅ…」

小林(…まさか…そんなものが…!)

→証拠H【トイズ糸】を証拠ファイルに収めた!
<トイズにより発生した物質に反応し、糸に沿って移動する事ができる。が、物質が無ければ何もできない>


裁判長「…なるほど。分かりました」

裁判長「確かに、これで被告人が怪しいという事実は浮き彫りになりましたな」

裁判長「…では、次に検察側は最初の証人――」

「待った!!!」

1号「――裁判長!!我々の決議は今!確定された!」

2号「うん。こんなにも犯人が明らかななんだから、ソフィアちゃんの意志を尊重するね」

3号「やれやれ、ようやく判決に移れますか」パタン

小林「…え?」

6号「ピピピー。電波を受信中。被告人は有罪ー」ピコピコ

5号「山本ぉぉお!!ワシはなぁ!最初から貴様がクロだと分かっていたぁああ!!」バシーン

4号「ワタクシ、ニホンゴガ、ワカリマセン」

コーデリア「えっ…?えっ!?」

姫百合「あ…アンタ達まさか!?」

ダンッ!

小林「ちょっ…ちょっと待って下さい!まだ、最初の証人すら――」

1号「不要だ!時間の無駄だ!これより、我々の最終決議を開示する!!」ガッチャンッ!
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:32:34.85 ID:coNdreQ70

1号「有罪!」ボッ

2号「有罪」ボッ

3号「有罪」ボッ

4号「ユーザイ」ボッ

5号「有罪ぃい!!!」ボッ

6号「ピコーン、有罪」ボッ

ボシュボシュボシュボシュボシュボシュ

ギギギギギ…

ガタァァァァァン…!
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:33:28.81 ID:coNdreQ70

小林「……えっ」

小林「ぇぇぇぇぇぇええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!???」ガガガガガーン!

裁判長「…これは、前代未聞です」

裁判長「まさか、証人が現れる前に判決が下されてしまうとは…」

小林「異議あり!!」

姫百合「異議あり!!!!」

姫百合「こんなの!認められるわけがありません!まだ、何の議論もしていないのに判決なんて!!」

ネロ「そうだそうだ!こんなの認めるかあー!!!」

コーデリア「弁護側は!やり直しを要求します!!」ダンダン

北芝「…どうやら陪審員達はそう考えでないみたいよ」

北芝「裁判を開くまでの事ですらない。ですって」ハンッ

ダンッ

小林「…冗談じゃありません。こんなもの…審議ですらない!!」

小林「弁護側は!ただいまの判決を断固拒否致します!!」

1号「何だと!?軍事裁判の最終判決を受け入れぬというのかっ!?」ガッチャンッ

1号「甘えるなぁ!!貴様も極刑だ極刑ぃいい!!」バババババババババ

5号「ワシは貴様を絶対に許さんぞ山本おおお!!」ダンダンダン

姫百合「…小林さん。あの陪審員達は危険です。特に1号さんと5号さん」

小林「うん。それは…見れば分かるよ」

カンッ

裁判長「…確かに、まだ、何の議論もしていない上での判決は決議に欠けます」

裁判長「しかし、陪審員の判決も無碍にする事はできません」

シャロ「そっ…そんな…」ガタガタ

裁判長「…ですので、弁護側には”最終弁論”の権利を与えたいと思います」

小林「………」

小林「最終弁論…ですか?」
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:34:04.41 ID:coNdreQ70

裁判長「はい。今から陪審員が下した評決の理由と根拠を証言して頂きます」

裁判長「それを聞いたうえで、弁護側は弁論し評決を覆す事ができれば」

裁判長「――この審議を続けるものとします」

北芝「はん!そもそもこの陪審員達は全員もれなく被告人を疑ってるのよ?」

北芝「判決を覆す事なんて無理なのに、そんなもの本当にやるつもりなのかしら?」

裁判長「…確かに、前にも何度か陪審員制度を取り入れた裁判はありますが」

裁判長「最終弁論を成功させた前例はありませんね」

エリー「そっ…そんな…!」

小林「…………」

小林(成功した前例がない、最終弁論…か)

小林(もし、これを受けなければ…フェザーズの二人は問答無用で有罪判決を受けてしまう)

小林(そんなもの…許してなるものか!)カッ

小林「……分かりました」

ダンッ!

小林「弁護側は、最終弁論の権利を主張します!!」

シャロ「!!」

ネロ「!!」

コーデリア「!!」

エリー「!!」

姫百合「こ…小林さん!本気ですか!?」

小林「…元より、これしか手は無いんだ」

小林「それに、まだ裁判は始まってすらいない。つまり、まだ陪審員も詳しい事は分かっていない!」

小林「だから、絶対にここで終わらせてはいけないんだ!!」ダンッ!!

裁判長「…分かりました」

裁判長「それでは!これより最終弁論を行うものとする!!」

裁判長「陪審員は答えてください。被告人の有罪を確定する理由と根拠を!!」
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:34:38.17 ID:coNdreQ70


【陪審論告】

〜陪審員の主張〜


1号「被害者を殺せる可能性を持つのは奴ら二人しかいない!!これは軍事裁判にかけるまでも無い!!」ババババババババ

2号「私はソフィアちゃんの言う事に従うだけでしてー」ニコニコ

3号「判決を急いでいるのです。犯人が被告人なら早急に判決を下すまでです」ペラペラペラ

4号「ワタクシ、ニホンゴ。ワカリマセン」

5号「犯人は山本じゃぁ!!奴は絶対にクロなんじゃぁああああ!!」ゴゴゴゴゴゴ

6号「電波を受信したのです。有罪だと受信したから有罪なのです」ピコピコ







小林(うわぁ…見事に主張がバラバラだ…)

姫百合「…そもそも、事件の事を全く理解していない人が何人かいますよね?」

小林「こんな判決で裁判を終わらせるわけにはいかないな…」

コーデリア「その通りです!その気持ちを奴らにぶつけて、説得してやりましょう!」ダンッ

シャロ「私達の熱い気持ちで!二人の無罪を主張するのです!!」

小林「…いや、それだけだと、ちょっと厳しい」

シャロ「え!?」

エリー「…どういう、事ですか?」

小林「一度出した評決の後に被告人の無罪を信じている僕達の言葉を彼らが耳を傾けるとは考えられない」

小林「おそらく、皆が頑張って説得だけしても逆効果になるだろう」

シャロ「そっ…そんな。それじゃぁ…」

ネロ「どうしろっていうのさ!理不尽すぎるよ!」

小林「うん。本当にね。今までの裁判の中でも今のこの瞬間が一番の理不尽だと思うよ僕も」

小林「こういう時に一番効果が期待できるのは、”陪審員達の言葉”なんだ」

エリー「言葉…ですか?」

小林「そう。だから僕達が今することは説得ではなく、彼らの理由と根拠をよく聞く事だ」

小林「その中に、彼らの評決を覆す鍵が必ず存在する。…フェザーズの無実を信じるなら、絶対にね」

カンッ!

裁判長「それではこれより、≪最終弁論≫に入ります」

裁判長「証言台へ移動の上、明確な”反証”を述べてください」

小林「……はい。了解です」
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/08/21(月) 23:35:06.03 ID:coNdreQ70

【弁論開始】


1号「被害者を殺せる可能性を持つのは奴ら二人しかいない!!これは軍事裁判にかけるまでも無い!!」ババババババババ


小林「待った!」

小林「なら、他に被害者を殺害できた人物が居れば、評決を変えてくれますか?」

1号「…どういうつもりだ?」

小林「確かに今のところは被害者を殺害できたのは被告人だけだと思われるかもしれません」

小林「しかし!審議はまだ始まってすらいないのです!」ダンッ

1号「はんっ!審議など始める必要すらないわ!!」ガッチャン

1号「ナーシ(私達)は観客席に居たのだからなぁ!!これ以上の裁判などするだけ無駄だぁ!!」バババババババババババ

小林「うわぁ!…ほっ法廷内で発砲しないでください!!」ビクッ!

1号「はんっ!この国はいつもそうだ!銃を持ちこむだけで違法だの犯罪だの!!」ガッチャン

1号「だから私が止むなく持っているのはなんだと思う?偽物だ!!」

1号「実弾が打てない虚しさを、偽物で我慢するしか無いのだぁあ!!」ババババババババ

小林「いえ、そういう訳ではなく、というか偽物でも法廷内での発砲は…」

1号「この国はいつもそうだ!偽物でも危険だから駄目とか人に向けては駄目だの!!」ガッチャン

1号「だから私が泣く泣く撃ってるのは何だと思う!?マシュマロだっ!!」

1号「プラスチックすら撃てないこの国の現状に涙するしか無いのだぁ!!!」バババババババババ

小林(この人も人の話を聞かないな…)

シャロ「あっ本当です!あの娘が撃った銃弾、柔らかくて甘い!」モグモグ

ネロ「こりゃぁ、もっともっと撃って貰った方が良いかもね!」モグモグ

小林「…落ちてるマシュマロを食べてはいけません」
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