看護兵「性欲処理?手でよろしければやりますが」傭兵「マジか」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/09(木) 22:00:21.99 ID:2fZqYD6/0
看護兵「容体に異常はなし…… と」

傭兵「こりゃ感染症になって良かったな。アンタみたいなきれいな人に手でしてもらえるとは」

看護兵「そんな筈ないでしょう?卑猥な冗談はおやめなさい」

傭兵「アイアイ、マム」

看護兵「いいですか?私がこの野戦病院にいるのは、祖国のために戦ってくれている貴方方の治療のため」

傭兵「でなきゃこんなとこいないってか」

看護兵「イエス、サー。さて、自覚症状…… 何か変わったところは?」

傭兵「腹減った。もっと食わせろ」

看護兵「今食べた分以上はあげられません」

傭兵「空きっ腹じゃ治るもんも治ンねーよ」

看護兵「レーションなら少々ありますが」

傭兵「へへっ、持ってんじゃねーか…… もそもそ」
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/09(木) 22:05:51.69 ID:2fZqYD6/0
看護兵「感染症の治療が終わったとはいえ、体力が落ちています。食べすぎは良くないのですが」

傭兵「もそもそ…… 何言ってんだ、体力が落ちてる時こそ食って食いまくって回復すんだよ」

看護兵「そんなことでは治りません」

傭兵「アイアイ、マム」

看護兵「まったく……」

傭兵「もそもそ…… うーん、不味くはないけど美味くもない。複雑な味だよなァ」

看護兵「そろそろ行きますね」

傭兵「うい、次来る時ももっとレーション用意しといてくれや」

看護兵「駄目」

傭兵「ちぇっ」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/09(木) 22:10:17.02 ID:2fZqYD6/0
―――
――


傭兵「世話ンなったな」

看護兵「まったくです。もうここには来ないように」

傭兵「アイアイ、マム。しかしアンタらも物好きだね」

看護兵「はて」

傭兵「正規の軍人ならともかく俺みたいな傭兵までぼったくらずに治療してくれちゃって」

看護兵「当然です。我が国のために侵略国と戦ってくれているのですから」

傭兵「いやいや、金のためだよ?」

看護兵「お金のためならそれこそ侵略国側に行ってもよかった筈です。それでも貴方はこちら側で戦ってくれた」

傭兵「なるほど、そういう解釈ね」

看護兵「ですが、貴方は我が国の兵士ではありませんから、これ以上戦い続ける必要はありません」

傭兵「戦う必要ねぇ…… そうしないと金がもらえないんだが」

看護兵「命あっての物種です。しばらく内地で静養するように」

傭兵「う〜い」

看護兵「では、他の患者もいるので私はこれで」

傭兵「じゃあな〜」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/09(木) 22:25:10.03 ID:2fZqYD6/0



―――――
―――


傭兵「よぉ」

看護兵「……一週間ほど前に出て行かれた筈ですが」

傭兵「ほれ、今度は腹のこっち側を撃ち抜かれた。とりあえず焼いて塞いだけども」

看護兵「重傷じゃないですか!」

傭兵「あ、やっぱりそう?いやぁ、正直もう立ってらんないのよね」

看護兵「先生!センセーイ!!」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/09(木) 22:45:27.75 ID:2fZqYD6/0
―――
――


看護兵「……はぁ」

傭兵「ため息つくと幸せが逃げるらしいぜ」

看護兵「お黙りなさい」

傭兵「アイアイ、マム」

看護兵「はぁ…… 何してるんですか貴方は」

傭兵「いやね、ちょいとま戦線が崩れたもんで持ち直すまで前に突っ走って頑張ってたらこんなことに」

看護兵「それ以前の話です!内地に行って静養するってことだったでしょう!!」

傭兵「いやぁ、そんなことしてたら戦線維持も大変になるぜ?それに……」

看護兵「それに?」

傭兵「またケガしてもアンタに診てもらえるならいいかな〜なんて」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/09(木) 22:51:03.97 ID:2fZqYD6/0
看護兵「そんな軽い気持ちで…… 命を危険に晒したと」

傭兵「いやぁ、軽い気持ちじゃないぜ?わりと真剣だったりする」

看護兵「そういう意味ではありません」

傭兵「そうか、脈なしか」

看護兵「脈ならありますが?そうですね、わかりやすいところでいうと手首のこの辺り」

傭兵「わざと言ってんだろ」

看護兵「ええ、それで何か変わったところは?」

傭兵「傷口が疼く」

看護兵「当たり前です。焼いて塞いだと仰ってましたが全然ダメでしたしね」

傭兵「マジか」

看護兵「マジです」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/09(木) 22:55:40.37 ID:2fZqYD6/0
看護兵「さて、何かご要望などは?」

傭兵「腹減った」

看護兵「はい、レーション」

傭兵「テンキュー」

看護兵「ちなみにそれは本来私の非常食です」

傭兵「マジか」

看護兵「なので、そんなには上げられません」

傭兵「アイアイ、マム…… あとさ」

看護兵「はい」

傭兵「性欲処理って頼める?」

看護兵「それだけの元気が有ればひとまず大丈夫です。私はこれで」

傭兵「ちぇ〜」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/09(木) 23:00:46.21 ID:2fZqYD6/0



傭兵「――――ふっ、ふっ、ふっ……」

看護兵「……はぁ」

傭兵「ふっ、ふっ……っと、アンタか。特に変わったところはないぜ」

看護兵「変わってます。傷口を塞ぎ直してまだ2日、腕立てなんてしてる場合ですか」

傭兵「いや、これ以上寝転がってたら身体がナマっちまうわ」

看護兵「それで傷口開いても診ませんよ」

傭兵「その辺はちゃんと見極めてるっての」

看護兵「これだけ元気なら大丈夫ですね」

傭兵「おう、だからこっちの方も元気でビンビン!せいy」

看護兵「やりません。それこそ傷口が開きます」

傭兵「あらま……」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/11/09(木) 23:06:02.63 ID:6e/VgPIoo
傭兵に人としての魅力がない
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/09(木) 23:06:25.76 ID:2fZqYD6/0



看護兵「――――失礼します」

傭兵「よぉ」

看護兵「元気そうですね、容体に異常なし。それでは」

傭兵「マジか」



傭兵「おーい……」



傭兵「マジか」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/09(木) 23:11:13.39 ID:2fZqYD6/0



看護兵「――――失礼します」

傭兵「よぉ」

看護兵「元気そうですね、容体に異常なし。それでは」

傭兵「マジか」



傭兵「おーい……」



傭兵「マジか」




看護兵「――――失礼します」

傭兵「よぉ」

看護兵「何か変わったところは?」

傭兵「今日は聞いてくれるんだな」

看護兵「貴方が珍しくベッドに寝てましたので」

傭兵「じゃあ今度からアンタの気配がしたらベッドで寝てるようにするわ」

看護兵「そうですか。何かあります?」

傭兵「そうさな…… 時間ある?」

看護兵「少しだけなら。でも出来るだけ手短にお願いします」

傭兵「じゃあ」

看護兵「性欲処理ならしませんよ?」

傭兵「マジか、じゃなくて」

傭兵「なんでアンタここで働いてんだ?」

看護兵「以前言ったと思いますが」

傭兵「ああ、あれな。聞いた聞いた」

看護兵「そうですよね。それではこれで」

傭兵「ちょい待ちちょい待ち、そうじゃねぇんだよ」

看護兵「はい?」

傭兵「確かアンタ祖国のため戦うヤツらを治療するためって言ってたが、それじゃここはキツいんじゃねーかなって」

看護兵「キツい?」

傭兵「なんせここで治療を受けた奴らは重症でもない限りまた俺みたいに戦場に行く」

傭兵「そんでまたケガするか、いっそ死ぬかだ。治療の甲斐ってもんがないんじゃねーの?」

看護兵「危険手当の額が魅力的なんです」

傭兵「あ、そぉーう」

看護兵「では」

傭兵「う〜い……」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/09(木) 23:15:57.21 ID:2fZqYD6/0
傭兵「なんでアンタここで働いてんだ?」

看護兵「以前言ったと思いますが」

傭兵「ああ、あれな。聞いた聞いた」

看護兵「そうですよね。それではこれで」

傭兵「ちょい待ちちょい待ち、そうじゃねぇんだよ」

看護兵「はい?」

傭兵「確かアンタ祖国のため戦うヤツらを治療するためって言ってたが、それじゃここはキツいんじゃねーかなって」

看護兵「キツい?」

傭兵「なんせここで治療を受けた奴らは重症でもない限りまた俺みたいに戦場に行く」

傭兵「そんでまたケガするか、いっそ死ぬかだ。治療の甲斐ってもんがないんじゃねーの?」

看護兵「危険手当の額が魅力的なんです」

傭兵「あ、そぉーう」

看護兵「では」

傭兵「う〜い……」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/09(木) 23:21:25.37 ID:2fZqYD6/0



看護兵「――――失礼しま…なんで包帯外してるんですか」

傭兵「ん、治ったから」

看護兵「治ったってそんなわけ…うそ、塞がってる……」

傭兵「慣れてるからな」

看護兵「慣れたからどうにかなるものでもありません…… 不可思議な」

傭兵「ま、これで傷口開く心配もないし元気もあるしでここらで一発、性欲処理をば」

看護兵「しません」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/09(木) 23:25:23.35 ID:2fZqYD6/0
―――
――


看護兵「もうここには来ないように、と言うより戦場に来ないように」

傭兵「無理難題を仰る」

看護兵「お金が手に入らないと仰いますか」

傭兵「そゆことよ」

看護兵「では、私がこれで貴方を傭兵として雇います」

傭兵「わお」

看護兵「依頼内容は負傷兵の護衛です。内地の設備が整った病院まで彼らを安全に連れて行って下さい」

傭兵「アイアイ、マム」

看護兵「まだ依頼内容は全てお話してませんが」

傭兵「続けて」

看護兵「無事に彼らを送り届けたら貴方はそのまま静養するように、以上が依頼内容です」

傭兵「アイアイ、マム」

看護兵「では、私はこれで」

傭兵「う〜い…… 危険手当が魅力的って言う娘がこんなことに金を使うかね?」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/11/09(木) 23:26:13.77 ID:2fZqYD6/0
つづく
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/11/09(木) 23:38:49.81 ID:cZZ835Jfo
アイアイwwwwwマムwwwwwwwwwwっうぇwwwwwwwwwwwww
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 00:06:03.49 ID:vCtPUscZo
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 02:28:06.45 ID:lbL4gtKwo
あのね、ふざけてんだろうけどね
陸の上でアイアイはないわ
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 07:04:04.53 ID:OonLuXuIO
ないわ(キリッ
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 09:34:22.74 ID:Zd8/vE75o
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 12:56:32.03 ID:/nVGJ1ZrO
アイアイマムのたびにフルメタのマデューカス中佐が出てきて困っております
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 17:41:49.86 ID:0NjFbVWQo
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 21:59:55.55 ID:VvVaWvtT0
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―――


看護兵「……で、なぜ貴方はまたここにいるんですか?」

傭兵「いや、ケガしたわけじゃないぜ。静養が終わったからまた前線に向かってるところ」

看護兵「そんなわけないでしょう」

傭兵「いやぁ、ちゃんと静養したよ。たっぷり一日」

看護兵「静養期間も指定するべきでしたか」

傭兵「傭兵雇う時はそこら辺ちゃんとしなきゃ駄目だぜ?」

看護兵「ご忠告どうも。出来れば貴方を雇った時に聞きたかったですが」

傭兵「はっはっは」

看護兵「もう諦めました。どうぞ前線にお行きください」

傭兵「ん、そーかい」

看護兵「で、す、が!金輪際こちらには来ないでください」

傭兵「ふむ、俺に[ピーーー]と仰られる」

看護兵「ええ、いっそのこと」

傭兵「マジか」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/10(金) 22:00:47.18 ID:VvVaWvtT0
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―――


看護兵「……で、なぜ貴方はまたここにいるんですか?」

傭兵「いや、ケガしたわけじゃないぜ。静養が終わったからまた前線に向かってるところ」

看護兵「そんなわけないでしょう」

傭兵「いやぁ、ちゃんと静養したよ。たっぷり一日」

看護兵「静養期間も指定するべきでしたか」

傭兵「傭兵雇う時はそこら辺ちゃんとしなきゃ駄目だぜ?」

看護兵「ご忠告どうも。出来れば貴方を雇った時に聞きたかったですが」

傭兵「はっはっは」

看護兵「もう諦めました。どうぞ前線にお行きください」

傭兵「ん、そーかい」

看護兵「で、す、が!金輪際こちらには来ないでください」

傭兵「ふむ、俺に死ねと仰られる」

看護兵「ええ、いっそのこと」

傭兵「マジか」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/10(金) 22:05:03.09 ID:VvVaWvtT0
看護兵「ご存じかとは思いますが、治療には多大な時間・労力・金銭が消費されます」

傭兵「うい」

看護兵「そして貴方はその治療をかれこれ何回受けられましたか?」

傭兵「はっはっは」

看護兵「……はぁ、というわけでこれ以上貴方を治療するのは割に合わないと判断しました」

傭兵「ふむ」

看護兵「絶対に無傷か、死ぬかの二択です。ケガしてこちらに来る選択肢はありません」

傭兵「マジか」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/10(金) 22:10:08.80 ID:VvVaWvtT0
―――
――


傭兵「よぉ」

看護兵「私の話を聞いていませんでしたか?いえ、それは今に始まったことじゃないですね」

傭兵「まぁな」

看護兵「まぁな、じゃありません。ここにはもう金輪際……」

傭兵「そういうわけにはいかねぇんだ。今回はツレを背負ってきた」

負傷兵「う、ぐ……」

看護兵「それを先に言いなさい!」
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/10(金) 22:15:40.18 ID:VvVaWvtT0
担架「――――」

看護兵「あちらの方は!?」

傭兵「あれはいい」

看護兵「いいわけないでしょう!」

傭兵「おい、待てって!」

看護兵「う……」

傭兵「……もう、手遅れだ」

看護兵「この方は…… 以前……」

傭兵「家に帰れるのがタグだけじゃかわいそうだと思ってな。ここまで連れてきた」

看護兵「……くっ」

傭兵「…………」

看護兵「……負傷した方々はこちらへ!動けない方はどなたかここまで連れてきてあげてください!!」

傭兵「了解だ」
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/10(金) 22:20:32.38 ID:VvVaWvtT0



看護兵「――――ふぅ」

傭兵「人心地ついた感じかい?」

看護兵「ええ、まぁ」

傭兵「ちょいとくすねたコーヒーだけど飲むか?」

看護兵「どこからくすねたんですか…… まぁ、いただきます」

傭兵「あいよ…… ん」

看護兵「ありがとうございます……」

看護兵「ふぅ…… 前線に戻らなくていいんですか?」

傭兵「明日でも間に合う」

看護兵「そうですか」

傭兵「……なぁ、やっぱりここはキツいんじゃないか?」

看護兵「前線に最も近い野戦病院なんてこれぐらい当たり前でしょう?」

傭兵「いや、それと違くて前に言ったあの話」

看護兵「はて」

傭兵「兵士の治療のためにここにいるって話」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/10(金) 22:25:20.63 ID:VvVaWvtT0
看護兵「またその話ですか。危険手当の実入りが大きいからです」

傭兵「だったらなんであんな辛そうな顔したんだよ」

看護兵「それは…… 死人は治療できませんので手当がつかないからです」

傭兵「そんな理由じゃないだろよ」

看護兵「……余計なお世話です」

傭兵「いっつも余計なお世話を焼かれてる俺の気持ちもわかってくれたかい?」

看護兵「余計なお世話ってなんですか。私は貴方の今後のことを心配して……」

傭兵「そ、俺もアンタの今後の心配をしてるだけ」

看護兵「……はぁ」

傭兵「働くのは別にここじゃなくてもいいだろ?儲けは減るだろうが」

看護兵「いいえ、それを抜きにしても私はここがいいんです」

傭兵「ここがぁ?」

看護兵「ええ、少し昔話になりますが」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/10(金) 22:30:13.87 ID:VvVaWvtT0
看護兵「私には年の離れた兄がいました」

看護兵「兄は兵士でした。そして立派に戦っていました」

看護兵「そんなある日、兄は足に傷を負ってしまいました」

看護兵「大したケガではなく治療さえしっかり受けられればまた前線に復帰できるとのことでした」

看護兵「ですが、当時の野戦病院は衛生環境が悪く他にもいろいろな問題がありました」

看護兵「そんな状況でしたから、兄も運悪く感染症にかかり命を落としてしまいました」

看護兵「兄の同僚から聞きました。兄は最後まで『どうせ死ぬなら戦って死にたかった』と」

傭兵「…………」

看護兵「だから私はここに来たんです。野戦病院の問題を取り除き戦場以外での死を取り除くために」

看護兵「どうせ死ぬのなら兄のように戦いの中で死にたかったと嘆く兵士を治療するために」

看護兵「兄とは逆に戦地での死を望まない兵士を治療し内地に送り届けるために」

看護兵「ですが、やはり治療した兵士が戦死するのは…… 辛いんです」

看護兵「ですから…… ですから私は、貴方にも……」

傭兵「う〜ん…… ご心配痛み入る。でも、聞けない話だな」
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/10(金) 22:35:43.71 ID:VvVaWvtT0
看護兵「そうですか。それっぽいお話と涙を見せれば貴方も戦場から離れてくれるかと思ったのですが」

傭兵「作り話に嘘泣きかよ」

看護兵「ええ、とてもベタなお話だったでしょう?」

傭兵「まーな」

看護兵「私がここにいるのは危険手当のためです。で、貴方は?どうして戦場を離れないのですか?」

傭兵「金のため」

看護兵「ベタですね。私に金より命を取れと言っておきながら貴方も同じじゃないですか」

傭兵「ああ、でもそれだけじゃねぇよ」

看護兵「はて」

傭兵「フッ、君に会うため、さ」

看護兵「……重大な精神疾患をお持ちのようですね」

傭兵「そう、俺は重度の精神病…… つまりは恋煩い。首ったけなのさ、君にね!」

看護兵「ごめんなさい」

傭兵「その答えが以外が聞きたかった」

看護兵「それとここには精神科医の心得を持ってる人はいません。ですので、治療は内地でお受けください」

傭兵「相変わらず脈なしか」

看護兵「脈ならありますよ。わかりやすいところだと」

傭兵「もうええわい……」



看護兵『――――変な人』
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 22:39:01.66 ID:iu2WYZ0SO
アーイアイアーイアイ
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/10(金) 22:40:17.54 ID:VvVaWvtT0
―――
――


看護兵「今回は何ですか?」

傭兵「アンタに会いに来た」

看護兵「そうですか、会えてよかったですね」

傭兵「うい」

看護兵「それでは私はこれで」

傭兵「マジか、もうちょっと話そうぜ」

看護兵「暇ではありませんので。貴方も何か他の用件があって来たんでしょう?」

傭兵「いや、ホントにアンタに会いに来ただけ」

看護兵「……マジですか」

傭兵「マジよ」

看護兵「呆れた……」

傭兵「いやぁ、なんかふと会いたくなって」

看護兵「そんなことで前線を離れていいんですか?内地で静養するようにとの言いつけも守らずに乗り込んでいった大好きな前線を」

傭兵「うん、どうにも今会っとかなきゃって感じがしてな」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/10(金) 22:45:36.44 ID:VvVaWvtT0
看護兵「……何かあったんですか?」

傭兵「敵の攻めてくる動きが鈍くなってきた。しかしそれがどうにもきな臭い」

看護兵「……撤退する気ですか?」

傭兵「わからん」

看護兵「そうですか」

傭兵「……なぁ」

看護兵「はい」

傭兵「ギュッとしていい?」

看護兵「……性欲処理は頼まないんですね」

傭兵「頼んでいいの?」

看護兵「いいわけないでしょう?ただこういう場合、貴方が性欲処理とレーションの要求以外のことを言ってくるのは想定外でしたので」

傭兵「さいですか。で、ギュッとはしていいの?」

看護兵「……衛生面での問題があります。いちいち消毒しなければなりませんので」

傭兵「さいですか……」

看護兵「……ですが」
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/10(金) 22:50:14.85 ID:VvVaWvtT0
傭兵「ですが?」

看護兵「……握手程度であれば、吝かではありません」

傭兵「じゃあ、握手で」

看護兵「……はい」

傭兵「…………」

看護兵「…………」

傭兵「……じゃあ、行くわ」

看護兵「そうですか、どうかご無事で」

傭兵「嬉しいねぇ、心配してくれるんだ」

看護兵「いいえ、貴方が負傷しても治療するつもりはないと言外に伝えたまでです」

傭兵「マジか」

看護兵「生きていたければ無傷でいるか、ここを離れるかのどちらかです」

傭兵「……まぁ、弾に当たらんように頑張るわ。じゃあな」



看護兵『――――本当に、変な人』
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/10(金) 22:55:37.71 ID:VvVaWvtT0
―――
――


看護兵「また、ですか……」

傭兵「ああ、こいつらを頼む」

看護兵「重傷者は…… いないみたいですね」

傭兵「不幸中の幸いってやつかね」

看護兵「負傷される方がどんどん増えてきていますが、一体前線で何が?」

傭兵「どうも前線がなかなか押し上げられないことに業を煮やして奴さん、虎の子の部隊を送り込んできたらしい」

看護兵「道理で……」

傭兵「攻めあぐねて侵略を諦めてくれるのが一番だったんだが…… そうはならなかった」

看護兵「戦争はより激しさを増すと?」

傭兵「ああ、危険手当が目当てとか言ってたがそろそろここまで押されるかもしれねぇ。そろそろ退いちゃどうだい?」

看護兵「いえ、まだまだここに残って稼がせてもらいます」

傭兵「命あっての物種だろ?」

看護兵「お金があっての一生です」

傭兵「へいへい……」
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/10(金) 23:00:38.99 ID:VvVaWvtT0
看護兵「ですが、ご忠告はありがたく。先生に掛け合ってもらって負傷兵の回収部隊を派遣していただくようお願いします」

傭兵「うん、それがいいや」

看護兵「で、そういう貴方はここを離れないのですか?」

傭兵「アンタがここに残るって言うなら俺も残るさ」

看護兵「私は関係ないでしょう」

傭兵「この前言ったじゃない、アンタに会うためにここにいるんだよ」

看護兵「……では、貴方を傭兵として」

傭兵「おっと、金を積まれたからって傭兵が依頼をすんなりと受けるなんて思うな。幾ら積まれたって気乗りのしねぇ依頼は拒否するもんだ」

看護兵「はぁ」

傭兵「ま、その回収部隊が来たらアンタも退がるんだぜ?」

看護兵「言われなくてもそうします。患者がいないのなら手当は出ませんから」

傭兵「確かに」

看護兵「それにしても、先日はまるで今生の別れのようなことを仰っていたような気がするんですが」

傭兵「うん、何か早とちりした気がするわ」
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/10(金) 23:20:38.59 ID:VvVaWvtT0
―――
――


負傷兵「ぐぁぁ…… ああっ……!」

傭兵「回収できた奴はこれで最後だ」

看護兵「了解しました」

傭兵「じゃあ、戻るわ」

看護兵「ちょっと!血が出てるじゃないですか!!」

傭兵「あぁ、ここか?カスリ傷だよこんなもん」

看護兵「動かないで!消毒しますから」

傭兵「うひ〜、染みるぅ〜」

看護兵「とりあえずの応急処置です、しばらくはじっとしていてください!」

傭兵「そういうわけにはいかないねェ」

看護兵「この期に及んで貴方はまだそんなこと……」

傭兵「そういうアンタもこの期に及んでまだここにいるとはな」

看護兵「ええ、ギリギリまでここにいますよ。最後まで残っていれば勲章とか頂けそうですし」

傭兵「貴殿の類稀なる奉仕精神に感謝と畏敬の念を込めて、ってか?」

看護兵「イエス、サー」

伝令兵「で、ででででんれぇぇーーーい!!」

従軍医「どうしたのか!?」

伝令兵「前線、突破されました!間もなくここまで敵が押し寄せてきます!!」

従軍医「なにぃっ!?」
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/10(金) 23:26:01.77 ID:VvVaWvtT0
伝令兵「先生方は一刻も早くここを撤退してください!!」

看護兵「で、ですがここにはまだ動けない大勢の患者が!!」

尉官「仕方ありません、今いる者で連れて行けるだけ連れて行きましょう」

看護兵「そんなっ……」

従軍医「司令部からの伝達によると既にこちらに回収部隊が来ている筈…… もう少しだけ待ってはくれまいか!」

尉官「時間が有りません!正規の軍人ならまだしも民間からの協力者である先生方を死なせるわけにはまいりません!!」

看護兵「それなら、条約があるはずで」

尉官「条約を守るような連中なら戦争などそもそも仕掛けてきませんよ!さぁ、早く!!」

看護兵「ですがっ……」

傭兵「……要するに、連中の進軍を食い止めて時間を稼げばいいんですな?」

尉官「戦線突破の勢いに乗っている連中だ、容易くはいかんぞ?」
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