おくさまはおきつねさま

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33 : ◆hs5MwVGbLE [saga]:2017/11/18(土) 20:22:43.21 ID:8h1RBcBe0


なうろうでぃんぐ……

(-ω-)
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/11/19(日) 02:55:10.12 ID:r99UeO1ro
えっち
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/11/19(日) 07:20:23.38 ID:0JeITjK5o
乙
36 : ◆hs5MwVGbLE [saga]:2017/11/20(月) 00:03:53.77 ID:A9Sw+MVr0


やっと本日の業務が終わった。窓の外はすっかり暗くなっている。

「お先に失礼します」

「おう! お疲れ様」

外に出て腕時計に目をやると時刻はもう二十時を回っていた。

(今日も遅くなっちゃったな)

繁忙期は残業で毎日が忙しくて困る。

疲労のたまった身体で本日のお供物を買いに走る。疲れてるけど、急がないと……

(早く買って帰らないと店閉まるし)



まこもが、寂しがる。




37 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 00:04:41.96 ID:A9Sw+MVr0





『だんなさまはおつかれさま』






38 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 00:06:00.84 ID:A9Sw+MVr0
「ただいま」

玄関に入るとまこもが襖をあけて顔を出した。そのまま出てきてこちらまで歩いてくる。とうとう僕の目の前まで来ると彼女は腕を伸ばして僕にもたれかかってきた。

「んぎゅ」

「うわ」

「……おかえりなさい、です」

抱きついてのお出迎え。僕が遅くなったときはいつもこうだ。忙しくなると彼女と一緒の時間が減ってしまう反面、こういうご褒美があった。
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 00:06:39.98 ID:A9Sw+MVr0
靴を脱ぎながら彼女の頭をなでる。触れて安心したのか垂れていた尻尾が揺れた。僕と一緒に暮らした時間なんてまだ社に一人でいたときの何百分の何千分の一にも満たないはずなのに、おきつねさまは寂しがりやだった。

普段はこっちから抱きつけば拒むくせに、なんともまあわがままなことだろうか。でも僕は彼女を拒んだりしない。

そっと、まこもの背に手を……

「おなかがすきました」

「あ。そっか、そうだよな」

まこもはそういうと手渡す前に僕が持っていた袋をかっさらっていった。餌を確保した野生動物のように僕にはもう用済みと部屋の中に戻っていく。

「あ、ちょっ……」

パタンと閉じた襖から吹いた風は冷たかった。

「はぁ……」

業務を失敗したときよりも、上司に叱られたときよりも沈んだ気持ちになった。

(泣いていいか?)

まこもではない別の神様に、なんともいえない行き場のない哀しみを漏らす許しを乞いた。
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 00:08:18.05 ID:A9Sw+MVr0
……………………


風呂を上がって布団を敷くとどっと疲れが来る。義務付けられた一日の動きから解放されたその身体は「今日はもういいよね」と休息を求めてきた。

(ああ、もういい)

今夜はもう何か食べる気すら起きない。

「疲れてるんですか?」

いつもより早めに横になった俺をまこもが覗き込んだ。

「まあな」

「疲れてるときは甘いものがいいんですよ」

(何をおばあちゃんみたいなことを)

もしかしたら実年齢的には間違ってないのかもしれないが……。

「だからあなたにはこれをあげます」

「ん?」

まこもが手のひらを開くとそこにはぶどう味の飴玉があった。

「今日駄菓子屋で買ってきました。りんご味はわたしのです」

彼女は社に住んでいたときよく賽銭を握りしめて耳と尾を隠し、近所の駄菓子屋に通っていたのだという。本日も一人で出歩いていたようだ。
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 00:09:05.23 ID:A9Sw+MVr0
(わざわざ、俺のために?)

おそらく違う。二つ買ったのは多分たまたまで、僕にその内の一個を渡そうと思ったのも多分気まぐれだ。それでも、少しでも気を使ってくれたなら嬉しかった。

「ありがとな」

僕がぶどう味の飴玉を手に取るとまこもはりんご味を自分の口に放り込んだ。

(ただ……)

いや、本当にどっちでもいいのだが僕はどちらかといえばぶどう味よりかはりんご味の方が好きだ。

「もごもご……どうひたんれふか?」

「いや、りんご味の方がよかったかな〜……とか」
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 00:09:54.24 ID:A9Sw+MVr0
「ふぇぇ、もう口に入れちゃいまひたよ」

まこもの頬が内側の飴玉に押されてころころと膨らむ。その仕草が子どもっぽくてなんとなくかわいい。

いけない。そういえば今日は全然まこもに触れていない。帰ってきたときも甘えてきたのは一瞬だけだったし……

「もうふこひはやく言ってくらはいよ」

限りなく性欲に近いまこも不足の欲求不満が僕の疲れていたはずの身体を釣り上げてその背中を押した。

「ん、んむっ!?」

布団から出てまこもの腕を掴んで引き寄せると彼女の唇を舐める。舌先で彼女の口をこじ開けてりんご味の口内を犯した。

「んんっ! ちゅっ……れろ……」

まこもが困惑している隙に彼女の飴玉を舌ですくって奪うと僕は彼女の腕から手を離し、また布団に潜り込んだ。
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 00:11:05.60 ID:A9Sw+MVr0
「ぷはっ……も、もぅ! いきなりなにするんですかぁ!……ってあれ?」

転んだまま舐めていると喉に詰まらせる可能性があるため僕は舐めることなく飴玉を噛み砕いた。りんご味が割れる音にまこもの狐耳が動く。

「ああー! わたしの飴玉取りましたね!?」

「ごちそーさん。これは返すよ」

残されたぶどう味の方をまこもの手のひらに置いた。

「うぅ〜……」

「どうかしたか?」

「な、なんでもありません」

そういいつつもまこもはぶどう味を手のひらで見つめるばかりで食べようとしない。
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 00:11:50.18 ID:A9Sw+MVr0
「食べないのか?」

「……もういいです。こちらも差し上げます」

まこもは押し付けるように飴玉を突き返してきた。

「え? いいのか?」

「でも次はちゃんと舐めてください」

(もっと味わって食えってことか)

僕は再び起き上がると飴玉を開封して口に入れた。今度はちゃんと口内で転がす。ぶどうのすっぱい感じ……久しぶりに味わうと案外悪くない。

疲れた身体で感じる酸味とそれに隠れた糖の甘さは、今のまこもと同じ味がした。
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 00:12:35.00 ID:A9Sw+MVr0
(やっぱりなんだかんだ言っても僕のこと、少しは気にかけてくれてるのかね)

近いような遠いような……追いかけたら逃げちゃうから、捕まえたら壊してしまうから……僕はしばらく腰を据えることにした。

(できるだけ、な)

……できてないけど。
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 00:13:31.17 ID:A9Sw+MVr0
追えば向こうからも寄ってきてくれるなら一番楽なんだけど

(そんな夢みたいな話は……)

俯くとできる影、見つめると広がりその闇は深みを増す。

影がどんどん大きくなって……大きくなって……え……?

(大きく……)

見上げると目の前にまこもが立っていた。とても、近い。

まこもが僕の前に座ると視線は真逆になった。僕が彼女を見下ろして、彼女が僕を見上げている。

(なんか顔紅い?)

「さっきのりんご味、おいしかったですか?」

「え、おいひかった、けど」

(なんで今さらりんご味の話なんて)

歯で砕いた飴玉の欠片は当然ながらもうすべて飲み込んでしまった。普通ならさっきの飴玉の味より、今の舐めている飴玉の味の感想を聞きそうなものだが。
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 00:14:35.05 ID:A9Sw+MVr0
「そう……ですか」

まこもは視線を下にそらすと人差し指で自分の薄い下唇を触った。

(話が見えてこない)

なぜ、彼女はこんな近くに寄ってきてくれたのだろう。

(飴だけじゃ止まらなくなるぞ)

……なんて、また僕の中の狼が嗤う。


「察してくださいよ」

頭にクエスチョンマークを浮かべながら飴を転がす僕にまこもは呟いた。

(察すって、一体何を……)
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 00:15:33.09 ID:A9Sw+MVr0





『こんなに寄ってきたなら、いいんじゃない?』




同じことの繰り返しだった。

(だってこんな状況)

近づいてきた照れ顔の女の子が「察して」って

(そういうことじゃないの?)

って、思ってしまうのは……

「まふっ……あ、あの、えっと……」

(当たり前でしょ)



と、狼の心がまこも巣穴に引き込んだ。




49 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 00:17:25.81 ID:A9Sw+MVr0

「はわわ」


コロ、コロ……


飴玉が歯に当たる音が、あらゆる音を誤魔化すのに役に立った。心臓の音、気まずい無言をさらに追い詰める、時計の秒針の音。

なんで気まずいって、僕だって我慢し……ようとしていたわけだし、でも結局こうなってしまったし、これが本当に正解なのかも分からないし。

「ふ、ふせーかいですっ」

怒られた。また、悪者にされた。こんなの不平等、理不尽だ。

「……半分」

(半分?)

まだこの後の僕の行動によっては正解にもなり得るってことなのか?

50 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 00:18:19.55 ID:A9Sw+MVr0
「……だって、ズルいじゃないですか」

(ズルいのはお前の方だろ)

と声に出してツッコミたくなったがまだ何の話なのか分からないので心にとめる。

「あなただけ二つとも食べてしまうのは」

(は?)

「いや、れもほへは……」

「でもわたしだけ普通に食べてしまうのはもっとズルいです」

「んへ?」

「……そんなのわたしだけ恥ずかしいじゃないですか。だからあなたのお口のそれ、わたしにください」
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 00:19:05.68 ID:A9Sw+MVr0
(あ……そういうこと)

それならお安い御用だと、布団の中で抱きかかえたまま彼女に口づけする。

(なんだ。追いかけ続けてたら案外いいことあるじゃん)

「んむっ、ちゅぅ……」

(にしてももう一度する方が恥ずかしいんじゃないのか?)

閉じた瞳の下を桃色に染めたまこもを薄目で見ながらそう思った。
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 00:19:44.19 ID:A9Sw+MVr0

「んちゅ、ちゅっ……れろ……れろ……」


……カラン


口の中のぶどう味が遠ざかる。最後に僕の舌を離れていくそれは、一番甘く感じた。


53 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 00:20:30.71 ID:A9Sw+MVr0
「ん、は……」

「おいしいか?」

「えへへ……あなたの味がしまふ」

「え……」

自分の顔全体が、まっかに照っていくのが分かった。

(確かに、これは恥ずかしい……かも)


顔を見られたくなくて焦ってまこもを抱きしめた。

「きゃんっ……」

疲れはまこもの優しさに触れたからか、どこかに吹き飛んでいった。
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 00:21:36.61 ID:A9Sw+MVr0


「あのさ、まこも」

でもなんとなく僕は知っていた。多分

「こうしてるだけで、疲れなんてのは消えるんだよ」

「……それではわたしがつかれてしまいますよ」

(へ)

「……どきどきして、つかれてしまいます」



凄く、まこもの顔が見たい。でも、きっと今は相打ちだ。



55 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 00:22:16.64 ID:A9Sw+MVr0
「じゃあ疲れて」

「……お供物を増やしてください」

「いいよ。何がいい?」

「ではおあげを一枚」

「おあげって、ただの油揚げ?」

「そうです」

「そんなんでいいのか?」

「おあげのお味噌汁はおいしいんです。わたしの得意料理の一つですよ」

「そっか……じゃあ買ってきたら作ってよ」





「毎日、さ」





56 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 00:23:28.48 ID:A9Sw+MVr0



なうろうでぃんぐ……

(-ω-)
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/11/20(月) 07:07:54.09 ID:hkgztrEQo
おつおつ
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/11/20(月) 07:08:24.58 ID:hkgztrEQo
おつおつ
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/11/20(月) 09:35:20.02 ID:7QSSUpMjo
始まりがレイプだから素直にイチャイチャとしては読めないな…
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 22:40:25.67 ID:fwAKQtYr0
……声が聞こえる。

「……さい」

聞きなれた女の子の声だ。

「……ください」

まこもか?

「……起きてください」

「んぅ? ……まこ、も?」
61 : ◆hs5MwVGbLE [saga]:2017/11/21(火) 22:41:05.39 ID:fwAKQtYr0
暗闇の中、小さな両手に身体を揺さぶられて目が覚めた。はっきりしない意識の中枕元に置いてあった端末を手にとって電源を入れる。

(まぶし……)

片目だけ開けて確認した時刻は深夜の二時。こんな時間に一体どうしたと言うのだろう。幸い今日は休日だけど、だからこそ眠らせて欲しいという気にもなる。

「すみません、こんな時間に……」

一応申し訳ないという気持ちはあるようだ。彼女の遠慮がちな感情を垂れた狐耳で観測した。

「どうしたんだ?」

「ええっと」

まこもは指先どうしをくっつけたり離したりしながら僕に聞こえるであろうギリギリの声で口を開けた。

「せ、せっちんに……ついてきてくれませんか?」
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 22:41:36.22 ID:fwAKQtYr0





『おといれはおひとりさまで』





63 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 22:42:25.20 ID:fwAKQtYr0
「さっき怖い夢を見たんです。お口の大きなおばけがぐわーって……きいてますか?」

呆れて言葉を失った僕の意識は再び夢の中に帰ろうとしていた。

「寝ちゃだめですよ〜! 死んでしまいますよ〜!?」

(なんでだよ)

雪山に遭難したわけじゃあるまいし。

「死なないって。トイレくらい一人で行けよ。��おとな�≠ネんだろ?」

「うぬぬ……」

視界を閉ざしたので彼女の表情は分からないがこれはかなり効果があったらしい。十秒ほど黙り込んだまこもだったが、結局一人で行くことにしたのか立ち上がると襖の方へと歩いて行った。

「もういいです! ひとりでもだいじょーぶですっ! おとなですから!」
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 22:43:12.76 ID:fwAKQtYr0
(よかったよかった)

これでまた眠れ……

「……いいんですか」

「んあ?」

襖の開く音がしないので半目でまこもの方を見ると彼女は両手で自分の股間を押さえて足踏みをしながら聞いてきた。

「もし廊下におばけが出てきたらわたし食べられちゃいますよ!?」

「んじゃもう漏らせばいいだろ」

「ひどい!」
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 22:44:02.80 ID:fwAKQtYr0
まこもはどたどた和室の畳を響かせながら僕の枕元まで戻ってきた。また彼女の両手で激しく身体が揺られる。

「お願いしますよぉ……おとなだってかみさまだって夜が怖いときがあるんですよぉ……」

「はぁ、分かったよ」

僕は渋々布団から上体を起こした。硬くなった身体を両腕を上げて伸ばすとついでのように欠伸がもれる。

まだ眠たいがこのまま隣で騒がれたらどの道もう眠れそうにない。

「ふごっ……なんだよ」

あいた僕の上半身にまこもが飛び込んだ。

「えへへ。ありがとうございます」

ほぼ反射的に彼女の頭をなでてしまう。そのまま背中もさすってあげたくなってしまったところをなんとか踏みとどまった。

(くっ、こいつはまたそうやって自分が都合のいいときだけ……)

まこもは知っているのだ。こうして自分からくっつけば必ず僕が優しくしてしまうことを。


66 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 22:44:36.82 ID:fwAKQtYr0
このままでは全てにおいて負けた気がしてしまうので両手で彼女の横腹を持って揉むと彼女はビクつきながら僕から離れた。

「んひゃっ……にゃ、にゃにするんですかっ! もれちゃいそうでしたよ!」

「ほら、さっさと行くぞ」

「ま、まってくださいよぉ」

わざと彼女を置いていくように足早に襖まで歩いていくとまこもが慌てて追いかけてきた。




67 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 22:45:22.92 ID:fwAKQtYr0
……………………


「この家の廊下ってなんか寒いですよね。本当におばけが出ちゃいそうですよ」

(そういう季節なだけだろ)

和室を出るまでは手を繋いでいただけだったが廊下を出た瞬間まこもは僕の片腕を抱いた。どれだけ怖がりなのだろうか。

(だいたいおばけなんているわけないだろ)

テレビ番組でやってる心霊スポット系の企画なんかも全部やらせに決まってる。


68 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 22:46:27.06 ID:fwAKQtYr0
というかこんな何もない民家よりまこもがもともといた社の方がよっぽど……

(ん?)

そこで気がついた。僕はおばけが信じられないなんて、言えた立場なのだろうか。

「足、冷たいですね……」

となりで震えながら僕の腕を抱く女の子は、狐の耳と尻尾が生えている。彼女は自分のことをかみさまだと豪語するが、正直僕からすればそんな不安定な概念は妖怪や幽霊なんかとなんら変わらないわけで……

そう思うとそんな彼女の言う��おばけ�≠ニいう存在は普通の子どもが口にするそれと一線を画しているような気がした。彼女は、見たことあるのかもしれない。




本物のおばけを。




69 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 22:47:37.19 ID:fwAKQtYr0

恐怖とは信憑性に比例するものだ。

例えば柵のない高い場所を歩くときに感じる恐怖は『落ちればどうにかなってしまうかもしれない』ということを知っていることが大元だ。

高さの度合いにもよるが下に安全なクッションなどがあることを知っていればその恐怖はいくらか軽減される。無にもなり得るだろう。

心霊スポットも雑に言ってしまえば同じ、本当に心の底から出るかもしれないと思っている人とそうでない人とが感じている恐怖は段違いだ。


(となるのまこもの言う『おばけがでそう』は……)


僕は今、前者だった。
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 22:48:22.18 ID:fwAKQtYr0

そうなるとここは自宅のはずなのに一躍お化け屋敷に早変わりだ。

「ふぇ?」

「怖いなら、もっと寄ってもいいぞ」

「あ、ありがとぅ……ございましゅ……」

僕らは身を寄せ合って廊下を進む。まるで遊園地のアトラクションだ。自宅デートとはこういうもののことを言うのだろうか……いや、新手すぎる。

やっとトイレの扉の前に着く。ここまでたった数メートルの話。一分するかしないかの話。笑えてくるのは恐怖のせいか、馬鹿馬鹿しさのせいか。
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 22:49:16.66 ID:fwAKQtYr0

「……ここでまっててくださいね?」

まこもは僕を扉の前に立たせてトイレに入った。

(早く終わらせてくれよな)

なんとなく、先ほど歩いてきた道のりを眺める。

(廊下って、こんな長かったか?)

気のせいだろうけど、気のせいだとしても、今はなんだか心霊現象が


起こりそうで……


「あの!」

「わっ!」

いきなりトイレの扉が内側から開く。


72 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 22:49:58.57 ID:fwAKQtYr0

「……指で耳栓しててくださいね?」

「……分かってるよ」

僕はぶっきらぼうに両耳を人差し指でふさいだ。

「ちゃんとそこにいてくださいね?」

眠気と謎の恐怖と『そんなことを言っている暇があるのなら早く終わらせて欲しい』という苛立ちが混ざり合って虫の居所が悪くなった僕は、念を押すまこもの声を耳栓しているのをいいことに聞こえないふりをした。

僕からの返事を五秒ほど待ったまこもだったが諦めたのかトイレの扉は再び閉ざされた。

73 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 22:50:53.59 ID:fwAKQtYr0
(このまま一人で布団に帰ってやろうか)

泣きべそをかいて朝までここから動けなくなるまこもが頭に浮かんだ。

(さすがに可哀想か)

しかし何か仕返しをしないと落ち着かないのも心理だ。

指を、耳から離していく。

(聴いてやろうか)

まこもから排出される、水音を。

(ん?)

……勃っていた。もしかして僕は変態なのだろうか。

そんな事実が腑に落ちないのでやっぱり耳栓をする。今度は手のひらで、軽く耳を覆った。
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 22:51:38.05 ID:fwAKQtYr0

しばらくすると無音だった廊下に水音が木霊する。

流水は水面と衝突して含みのある音を奏でた。目を閉じると透明に薄黄色が浸透して染まっていく景色が見える。

水音が止まった後ちり紙が引き出され破れる音がした。次に、紙と何かが擦れる微かな音。

……別に、耳をすませているわけではない。所詮は一つ屋根の狭い廊下だ。そんなものはここに立っていたら塞いでいたって嫌でも耳に入ってくる。



よって僕は、変態ではない。



75 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 22:52:09.43 ID:fwAKQtYr0

最後に激しく水の流れる音、これで終わり。やっと解放される。

「……いますか?」

「いるよ」

まこもはトイレから出てくると何かを警戒するように廊下を見渡した。

(だから、何も出てきやしないって)

……多分。


76 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 22:53:56.63 ID:fwAKQtYr0
……………………


僕が布団の中に入るとまこもも同じ布団に入り込んできた。

「また怖い夢を見るといけないので……ぎゅってしてくれませんか?」

おきつねさまは、本当に僕を利用するのが得意なお方だ。悔しいが追い出すと泣いてしまいそうなので抱きしめてその背中をさすってあげる。

「んっ……ゅ……」

胸に頭が押し付けられる。もしかしたら僕の高まる鼓動を人より大きなその耳が拾っているかもしれない。だとしたら、恥ずかしい。
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 22:54:47.83 ID:fwAKQtYr0


こうする度に高まる体温の熱に当てられてか彼女を想う気持ちは膨張していく一方だ。この気持ちは一体どこまで膨らむのか、その限界を知らない。

本当は、彼女の前も触りたくなる。口づけしたくなる。……繋がりたくなる。

でも今はそれら全てをぎゅっと胸にしまい込んで、まこもを優しく愛でる。


78 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 22:55:25.41 ID:fwAKQtYr0


「起きてたらいいんじゃないか」

「ふぇ?」

「起きてたら、夢を見ることもないだろ。僕も一緒に起きててあげるからさ」

さっきまでは眠気があったが廊下に立たされている内に睡魔の方が眠ってしまった。

それにこの際、もう少しこのままでいたい。見返りも多少なら求めても罰は当たらないだろう。

「本当ですか? でも何をして起きておきましょう。このままなでられていますと、その……気持ちよくて眠ってしまいそうで……」

それを聞いて思わず、なでる手を止めた。

「んにゅ?」

悟られたかもしれない。眠って欲しくないことを。


79 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 22:56:05.48 ID:fwAKQtYr0

「しりとりでもするか」

「しりとりですか。いいですね〜」

「まこもからでいいぞ」

「ではお言葉に甘えて……りんご」

「ごりら」

「ら……らっぱ!」


……かわいい



80 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 22:57:02.70 ID:fwAKQtYr0


「パンツ」

「つめ!」

純粋に遊びを楽しむ姿がかわいい。

「めだか」

「めだかですか。うーんと……かりんとう!」

少し悩む素振りがかわいい。

「梅」

「梅……め、め、めんことか!」

彼女をできるだけ傷つけたくない僕としてはこの一つ一つが致命的で驚異的だった。一巡する度に胸にしまい込んだ想いがえぐり出されそうになる。

(めんこ……こ……)

81 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 22:59:24.28 ID:fwAKQtYr0




「……交尾」

(あ)

引きずり出されてしまった。


82 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 23:05:58.26 ID:fwAKQtYr0


「ふぇ? こ、こー……あ、そ、そうですねぇ……ここここーびなので……次は『び』ですよね。えーっと、えーっと……」

困り果てた顔が、かわいい

から……

(もっと困らせたい)

そう思った手は

「び、び……びぅ!? んひゃっ!?」


彼女の尻尾をとった。

83 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 23:07:23.52 ID:fwAKQtYr0


「ふぁっ……ぁ……なんれ……」

一瞬でトロ顔だ。

「ちょっと心配になったんだ。さっきのおしっこ、ちゃんとトイレでふいたのか?」

「んぁ……ぅ……ふきました……よ……?」

僕はまだ尻尾の付け根から手を離していない。

「あの場所にいるのが怖くて適当にふいたんじゃないのか?」

「しょんなこと……」

「だったらさ、おしりこっちに向けて見せてみろよ。しっかりふけてるか見てやるから」

「え……しょれは……」

まだ、尻尾を刺激し続ける。

(そろそろか?)

「わ、わかり……まひた……」


自然と、頬が緩んでしまう。


84 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 23:08:44.09 ID:fwAKQtYr0

「うぅ……こう、れふか?」

まこもは僕と一緒に起き上がると敷布団の上で四つん這いになった。
さっきまで触られていた尻尾が僕を誘うように艶かしく揺られている。

襦袢を捲ると見るべき場所は透明の糸を垂らして雄を受け入れる準備をしていた。

「……拭けてない。しっかり拭かないとかぶれるぞ」

彼女のそこを広げると広がった隙間からまた新たな分泌液が溢れてメスの匂いを放つ。
それを鼻から通すと磁力で引き寄せられた相方のように僕のオスが反応を示した。
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 23:09:44.15 ID:fwAKQtYr0


「あっ、ふぁ……」

口をつけて蜜を舐めとる。舌を痺れさせるようなしょっぱくて苦い一口、幼い場所から出たそれは大人の味だった。

初めてアルコールを口にした感覚に似ている。決して美味いとは言えないが舐める度に何故か口に馴染んでいく。

「拭いても拭いてもキリがないな」

「ら、らってしょれ……おしっこじゃ……」

「おしっこじゃないならなんなんだ?」

また尻尾を掴む。この行為はまこもを精神的に追い詰める効果もあった。

「ぅ……えっち……」

「なんだって?」

「えっちなときに……でちゃうおつゆで、す……」

まこもの切なげな視線と合う。『もうやめて欲しい』『もっとして欲しい』彼女の顔はどちらにでも取れた。

しかしどうしても今は、自分の都合のいい方にとってしまう。

「キリないからさ、おさまるまで、栓しような」


86 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 23:16:44.98 ID:fwAKQtYr0

考えたことがある。彼女の一番の弱点は尻尾だが、その弱点の位置には意味があるのではないだろうか。

(例えば、交尾するときに自然と刺激される位置にあるとか……)

引き寄せられたオスを沈めていく。お互いから分泌された粘液どうしが絡み合って結合部の隙間から泡がたつ。

半分まで挿れたところで腰を一気に沈めると驚くほどスムーズに勃起は肉壺に滑り込んだ。

「あ゛ぁんっ」

奥にぶつかった瞬間まこもは僕の枕を抱きしめて痙攣した。

(やっぱり……)

彼女にとってこの体勢は、恐らく一番子作りに適していた。

87 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 23:17:25.44 ID:fwAKQtYr0
「ぁ……フッ……フッ……」

まこもは枕に噛み付いて快感を抑え込む。彼女の鼻が僕の臭いのするであろう枕に埋もれている。あんなところで荒い呼吸をしたら、僕は彼女の鼻腔まで犯してしまう。

「ぅー……うー……」

前から、後ろから、彼女を支配する。

小ぶりで丸みのある臀部を抑えて、腰を前へ前へ押していく。
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 23:19:02.55 ID:fwAKQtYr0


「はふっ……あっ、あぅ、んぁあっ」

ときおり尻尾を掴みながら子宮付近を突き続けると急激に膣壁が縮小し、それだけで射精しそうになる。

「やっ……わふっ……ふっ……」

「まこも……イッてる?」

「わからないれふ……あたま……ふわふわして……」

「……女の子ってさ、中に出されたとき気持ちいいほどデキちゃうんだって」

「ふ、ぇ……?」

「だからさ、今出したら……絶対……」

「っ〜〜!」

出まかせの興奮剤は想像以上に効いていた。彼女にも、僕にも。



89 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 23:20:02.12 ID:fwAKQtYr0

痛いほど締め付けられる、絞り出すために。さらに膨らんでいく、大量に放出するために。

(種、付け……したい)

「ひぃっ……あっ……んっ……」

両手を広げて布団に着くと力任せに腰を押し付けた。先穴にぴったりと吸い付く子宮口付近に先走りを塗り込む。

「っ……ふぃぁ……」

交尾の中、その膣内で行われるさらに小さな性行。

……耕した土に、小さな空間を広げていく。

「まこも……っ!」

種を、植えるため……

(孕めっ)
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 23:21:48.97 ID:fwAKQtYr0


「あっ……ああぁっ……びゅーびゅー……きてゆ……」


ドクンッ……ドクンッ……


僕の心臓と連動している。命の鼓動と連動して、そこに新しい命をふきこんでいく。その営みが、腰が溶かされそうなほど、熱くて……気持ちいい。

「はー……はー……あったかぃ……れふ……」
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 23:22:34.01 ID:fwAKQtYr0

引き抜いて布団に倒れこむ。まこもの隙間から僕が刻み込んだ証が気泡を割りながら垂れていくのが見えた。

「えっちなおつゆ……おさまりましたか?」

振り向いたまこもは倒れた僕を覗き込んだ。仰向けに寝返りをうつと彼女の逆さの顔と目があう。

「……どうだろ」

「もぅ」

(だってなんか別の垂れてきてるし)
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 23:23:11.98 ID:fwAKQtYr0

「……美形ですね」

まだ紅い顔のまこもが小さく呟いた。

「そんなことはないだろ」

また泣かれるかと思った。怒られるかと思った。しかし最初に言われたのは意外にも下手なお世辞だった。本当にそんなことはない。

「次『い』ですよ」

(え、しりとりってまだ続いてたのか。ってか『美形』ってそういうことかよ)

やっぱり下手なお世辞だった。

93 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 23:24:36.33 ID:fwAKQtYr0

「じゃあ椅子」
「好きです」

(え)

狙っていたのかそれとも今思いついただけなのか、一秒もせずに帰ってきた。

「は……えと……僕も……」

「知っていますよ。前も聞きました」

彼女の両手が僕の輪郭を包む。

襖の隙間から朝焼けの青が差し込む。浮かぶ彼女の顔は確かにいつものまこもだった。それは間違いない。そのはずなのだが……

(まこもってこんな大人っぽい顔もできたのか)

それとも、自分がまだ子どもなのか。
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 23:25:40.57 ID:fwAKQtYr0



「優しくしてくれるあなたが好きです。えっちになっちゃうあなたは……ちょっぴりこわい、ですけど……やっぱり好きです」

まこもは僕と並んで横になった。

「ふふっ、次は『き』ですよ」

まこもが額を当てて笑う。鼻先どうしも当たる。そのまま、影を一つにしていく。
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 23:26:36.70 ID:fwAKQtYr0


この時期の早朝は誰でも温もりが恋しくなる。それは寝ても寝なくても変わらない。

「れ、ろ……ちゅりゅ……」

恋しいものは目の前にあった。大切に抱えると服が掴まれる。身を寄せあえば僕らはどちらもそれが手に入った。

「むっ……はっ、次は『す』だけど、まだ続けるか?」

「……しゅき」

「あ、同じのは……いいか……」

僕もまた同じことをするだけだ。

「んちゅ……れろ……ちゅっ……しゅき……」



眠くなるまで。


96 : ◆hs5MwVGbLE [saga]:2017/11/21(火) 23:27:12.79 ID:fwAKQtYr0
なうろうでぃんぐ

(-ω-)
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/11/22(水) 06:55:28.70 ID:b9yeq5t0o
乙
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/11/25(土) 09:26:40.50 ID:4lx88PIWO
このなうろうでぃんぐなんだっけな…座椅子か
99 : ◆hs5MwVGbLE [saga]:2017/11/27(月) 12:08:09.71 ID:6TdKgm8c0
>>98

座椅子の>>1です

またスレに来ていただきありがとうございます

m(-ω-)m
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:09:37.54 ID:6TdKgm8c0
「ゴホッ、ゴホッ……あーだる」



朝の話だった。

布団から体を起こすと外側からは鳥肌の立つような寒さ、脳の内側からは熱の塊が閉じ込められているような熱さを感じた。

出勤のために這うように布団を出たが立ち上がることすらままならずにそのまま畳に突っ伏した。

僕の異変に気がついたまこもが棚から体温計を持ってきてくれた。

測った結果は三十八度八分。出勤を断念した僕は勤務先に連絡をいれ、本日は休息を取ることにした。
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:10:16.27 ID:6TdKgm8c0





『おかゆはごちそうさま』




102 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:10:54.77 ID:6TdKgm8c0

「大丈夫ですか?」

「こんなのたいしたことないって。ゴホッ」

と言っても朝はマスクをつけたまま布団の中でずっと寝たきりだった。そうこうしている内に昼が来る。

致命的なのは朝から何も食べていないはずなのに食欲が全くわかないことだった。これでは薬も飲めそうにない。

「大丈夫そうには見えませんが」

(でもまこもに心配かけたくないし)
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:11:35.84 ID:6TdKgm8c0
「食欲はありますか?」

(ぐぬ)

一番最初に痛いところをつかれた。

「……ない」

「重症ですね……でも何も食べないのはもっと身体を壊してしまいますよ」

「ゴホ……そうだな」

「おかゆ作ってきますね」

まこもはそう言い残すと枕元を離れ和室を出て行った。

104 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:12:12.50 ID:6TdKgm8c0



ーーパタンッ



独りになった音がした。ぼやけてはっきりしない意識で天井の木目を見つめる。

そのまま、眼だけを動かして天井の端から端を見渡す。

(……広いな)

誰もいない空間に漂っていた空気が、僕を中心に渦巻くようにしてまとわりついた。


孤独。


その空気の名前だった。
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:12:43.48 ID:6TdKgm8c0
まこもがここに来る前も僕は独り身だったはずなのに、いつだってそいつは僕の中にいたはずなのに。

「……っ。あれ?」

なぜか目頭が熱くなるほどそれを感じたのは初めてだった。

心細い。

衰弱していたのは身体だけではなかった。目を閉じると塩味の液体が枕を濡らす。広すぎる空間から逃げたくなってもう一度夢行きの切符を握りこもうとした。しかし、冷めたおかゆを口にするのはごめんだ。
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:13:40.51 ID:6TdKgm8c0

(まこも、早く帰ってこねーかなー)

無性に彼女に会いたくなった。

伸ばした膝を折り曲げる。しかし痺れていて立ち上がるまでには至らない。幼稚な行動に出ようとした己に対する恥ずかしさばかりが募って頭をかきむしった。

(そんなに会いたいのか?)

黙り込む身体に言い訳をする。

(別に、待ってたらおかゆは来るし)

ではなぜ脚に力を入れようとしたのか。

(腹が減ってきたからだ。朝から何も食べていないわけだし)

「な?」

目線を下に己の胃袋との対話を試みる。

が……腹の虫はもどかしいほど静かだった。

107 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:14:16.24 ID:6TdKgm8c0

「あーくそっ」

仕方ないので暗示をかけてみる。

(僕は腹が減っている腹が減っている腹が減っている)

「僕は腹が減っている!!」

声に出してみるとかなり減ってきた気がした。言霊は偉大だ。

108 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:14:53.02 ID:6TdKgm8c0

「……おなか空いてたんですね」

「あ」

襖に目をやるとお盆を持ったまこもが少し驚いた顔で出入り口に立っていた。

「いや、これはえっと……違うんだ……」

何も考えずに否定すると重ね掛けた暗示は何処かへ飛んでいった。せっかくわいた微量の食欲がまた限りなく0に近くなる。

(う、何やってるんだ僕は)

「もう少し早く持ってくるべきでしたね。すみません」

(またなくなっちゃったけど)

しかしせっかく彼女が作ってくれたものを無駄にはできないので力を入れて上体を起こす。ひんやりとした寒気がまた首筋をなぞった。
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:15:39.68 ID:6TdKgm8c0

まこもはもう一度僕の枕元に座るとお盆の上の器と匙をとっておかゆをすくった。

「ふー、ふー……」

匙の上で湯気立つおかゆに小さく口先をとがらせてまこもが息を吹きかける。

「はい、どーぞ……」

彼女は柔らかく微笑むと僕の口元にその匙を持ってきた。まだ、食欲はない。

(でも)

彼女が直接息を吹きかけたその一口にはなんともいえない魅力が感じられた。匙の上にはまだ彼女から出た何かが乗っているような気がして、それにつられて口を開ける。

「もぐ……むぐ……」

柔らかく煮崩された米粒を口に含むと優しい塩味が口内に広がった。
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:16:45.30 ID:6TdKgm8c0
「どうですか?」

それを舌と歯でかみしめながら、ついでに彼女が吹きかけたものも喉に通していく。

「おい、しい……」

それは、まこもが僕に与えてくれた一口だった。自分ですくった匙からではない。確かな優しさを含んだ僕以外からの、僕のための一口。

「えへへ、よかったです。……ってええ!? なっ、大丈夫ですか! どこか痛みますか!?」

風邪にやられて何もかもが麻痺している。手足も、ぼーっとする頭も、ついでに涙腺も……

「いや大丈夫。なんか、すごくおいしくて……」

「泣くほどですか? やっぱりものすごくおなかが減ってたんですねぇ。おなかがすいているときは何でもおいしく感じられますから」

「まこもが作ってくれたからだよ」

恥ずかしくて、風邪よりも寒気のするセリフ。でも簡単に口を出た。

「ふぇ、え……あ……ありがとぅ、ございまふ……」

無理やり休むことになる上、手足の自由が利かずゆとりのある時間を生かせるわけでもない現状を朝は不幸だと呪ったが今はなんとなく

(たまにはこういうのも悪くないな)

そう思った。
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:17:26.76 ID:6TdKgm8c0

「さあーどんどんたべましょー!」

「ちょっ、待てって……」

「はいどうぞ!」

「あ、あむ」

照れ隠しかまこもは急に張り切りだすと、おかゆを匙に取っては僕の口に押し込むのを絶え間なく繰り返し始めた。

「はい!」

「あむあむ……」

「はい!」

「もぐ……ゴホッ! ゴホッ!」

「あ! あわわすみません……」


112 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:18:12.18 ID:6TdKgm8c0
彼女に渡された湯飲みから水を飲んで一息つく。

「ハァ、はぁ、ふぅ」

「すごいですね。最初は食欲がないといっていたのに堂々の完食です」

まこもは米粒一つない器を嬉しそうに僕に見せた。

「……ごちそうさま」

「お粗末様でした! これ、お薬です」

彼女が引き出しから取ってきてくれた風邪薬を飲むと僕は再び横になった。
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:18:48.03 ID:6TdKgm8c0

「これでまた安静にしていれば確実に良くなりますよ」

まこもは器と湯飲みをお盆に乗せると立ち上がった。

「わたしはこれを片付けてきます。何かあったらまた呼んでくださいね」

(え……)


114 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:19:20.55 ID:6TdKgm8c0


『また行ってしまうのか』


そんな寂しさから、遠ざかるまこもの足首を掴んだ。

「へ?」

僕は何をしているんだろう。彼女はきっと、お盆を置いて食器を洗えばまたここに戻ってきてくれる。

分かっているはずなのに……そんな短い時間ですら彼女のいないこの部屋は酸素のない空間に放られたように息苦しいのではないかと思ってしまう。

人間ではない不安定な存在の彼女は僕の視界から外れるとフッと、その姿を消してしまうのではないかと……

僕にはまだ、彼女の存在が夢に見えていた。


115 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:19:59.50 ID:6TdKgm8c0

「あの……」

困惑した表情で見下ろされる。早く、この手を離さないと……

「何か、あったんですか?」

もし何かあったら。

(お前は側にいてくれるのか?)

「……あった」

適当に呟いた。するとまこもはその場に座り込んでお盆を畳に置き、片手を僕の額に乗せた。

「確かにまだ熱いですね。近くにいた方がいいですか?」

��今�*lの額が熱い理由に風邪の影響なんてきっと半分くらいしかない。
まだ片思いな気さえするこの焦がれた心臓が、限りなく悪戯に近い純情を燃やしてまこもを繋ぎ止めたがる。
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:21:11.12 ID:6TdKgm8c0

「手、握っててほしい」

「こうですか?」

小さな二つの温もりが、僕の手を包む。

「ありがと」

「……くすっ」

「な、なんで笑うんだよ」

「だってあなたが珍しく弱々しいので」

いつからか忘れてしまったが、僕はずっと彼女の微笑みに依存している。もし彼女が消えてしまったら、僕は死んでしまうのではないだろうか。

「……それが人間なんだよ」

また言い訳をする。弱いのは��人間�≠ナはなく��僕自身�≠セというのに。

「ごめん」

「ふぇ?」

謝って大人ぶってみた。自分がただの我がままで幼稚な人間ではないことを証明するために。

「近くにいたら僕が治ったってうつしちゃうかもしれないだろ?」

それが矛盾を生んでただの面倒なやつに成り下がるのには気づかないフリをした。


117 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:21:48.20 ID:6TdKgm8c0

「うつしてください」

「は」

「わたしにうつして治る風邪なら、わたしにうつしちゃってください」

ずいと顔が寄せられる。

「だって、あなたは今日ずっと辛そうな顔してます。あなたのそんな顔を見るのはわたしも辛いんです」

そう言うとまこもは目を閉じた。


118 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:22:23.94 ID:6TdKgm8c0

「さぁ、はやく……」

僕があとほんのわずか頭を上げてしまえば彼女と重なる距離。そんな近くに最愛の人の唇がある。

……吸い込まれそうになる。

けど

「駄目だって」

「んにゅらっ」

僕は手のひらでまこもの顔を突き返した。

「まこもが風邪ひいたら今度はまこもが辛そうな顔になるだろ。そんなの、僕が辛い」
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:22:56.63 ID:6TdKgm8c0

「でも、まだ何かさせてくださいっ」

握られる手の力が強まる。

責任を感じてしまう。僕が下手に引き止めてしまったから、結局彼女を心配させてしまっている。

「わたしを信じてくれる人を救えないなんて、かみさま失格ですから……」

(あ)

いつから彼女に依存していたのか思い出した。今思えば最初からだ。

本当に最初の最初から。まこもをここに連れてきた日よりも前、彼女と初めて出会った日から、僕は彼女に依存していたのだ。


120 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:23:52.09 ID:6TdKgm8c0
…………


かなり口調の強い女上司に毎日仕事を駄目出しされる日々の中で、僕は病んでいた。

誰でもいいからすがれる人が欲しかった。でも、僕には愚痴を言い合える友人や仕事仲間すら存在しなかった。

そんなある日擦り切れかけていた心が見つけた。誰が管理しているのかも分からないような、もう捨てられているのと同じような社を。

足が勝手にそこに向かっていくのを感じた。神にでも頼ろうと思った。

そのときだけ本気で信じた。神の存在を。
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:24:38.02 ID:6TdKgm8c0
信じて賽銭を投げ込むと、背広姿のまま座り込み視界を強く閉じて拝んだ。『僕を救ってください』と。他の人がその場にいたらその姿は実に滑稽に見えたかもしれない。

するとかみさまが、そこに姿を現した。

頭に違和感を感じて目を開けると小さな女の子が僕の頭を撫でている。優しい手つきだった。

「わたしにはこれくらいのことしかできませんが……許してくださいね」

あどけなく不安定で柔らかい声、しかし全てを包み込むような寛容な手のひら。

抱きしめた。末期だと思った。でもそこに温もりがあったからすがった。

「まふっ!? わたしが見えてるんですか!? 見えないようにしてたつもりなんですけどね……ってあれ? だ、だいじょーぶですか?」


涙を流しながら。




122 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:25:51.55 ID:6TdKgm8c0
………………

「ありがとな。その気持ちだけで嬉しいって。手握っててくれたら、もう、寝るから……」

「あ、それでは膝枕なんてどうですか?」

「膝枕?」

まこもが膝に僕の頭を乗せてなでているのを想像すると初めて会った日の記憶がフラッシュバックする。

「……いいって。恥ずかしい」

「まあまあそう言わずに」

まこもが僕の頭の下から枕を引っこ抜くと後頭部が敷布団にぶつかる。

「いてっ」

それでもおかまいなしといった具合にまこもは僕の頭を持って自分の正座した膝に乗せた。

「どうですか? 安心しますか?」

さっきまで広いと感じていた天井は半分に隠され、そこがまこもの顔に埋められる。そのことに少しばかり感動した僕はしばらく無言でじっと彼女を見つめていた。



123 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:26:33.95 ID:6TdKgm8c0

「う、うーん……ずっと見られてると思うと、ちょっと恥ずかしいですね」

まこもは垂れた耳で照れ隠しに笑った。

「自爆するなよ……」

「は、はやく寝てください」

「眠れなくなったよ」

「え〜、さっきまでもう寝るって言ってたじゃないですか〜」

(だって……まこもの真下でずっと寝顔晒しながら寝るなんて)

そんなの、心臓がうるさくて眠れない。



124 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:27:14.60 ID:6TdKgm8c0

「では子守唄を唄ってさしあげましょう。きっと眠れますよ」

「子守唄なら子供に唄ってくれ」

「むぅ……今近くにお子さまはいないじゃないですか」

「いるけど」

「ふぇ? どこですか?」

「ここに」

繋いだまこもの手を握り返す。

「あぅ。そーゆーのひどいと思います。傷つきました」

「だってまこもって耳と尻尾以外人間の小学生と変わらないし」

「でもおとななんですぅ! かみさまは人間さんより成長が早い変わりに止まるのも早いんですぅ!」

「ふーん」

初耳だ。長い時を人類の信仰心と寄り添うために、身体が弱い子どもの時代を早く終え、後の老化を停止させてしまっているのか。
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:28:06.56 ID:6TdKgm8c0

「……あなたはどうなんですか?」

「何が?」

まこもと繋がれていた手が解かれていく。離れた手は布団に隠れた下半身に潜り込みある場所をプッシュした。

「ま、まこも……?」

困惑しつつも刺激に反応するソレをまこもが親指と人差し指を使ってつまみ出していく。

「……子どもなわたしに、いつもこーふんしちゃってるんですか?」

「それは……」

「わたしはおとななんです」

いつもより若干強気な表情を見上げる。それでも隠しきれない恥じらいは彼女の顔色に出ていた。

無理をしている。一目で分かった。

しかし扱かれる僕のソレは大人ぶる彼女に屈していく。

「……おとなのわたしにこーふんしてくださぃ」


126 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:28:48.05 ID:6TdKgm8c0
また内側が熱をもってきた。もしかしたら風邪が盛り返してきたせいかもしれない。むしろ、そうであって欲しいとさえ願う。

短く息が切れていく。

「まこも……やば……ぃ……って……」

盛られた熱はズボンと下着をずらされて掛け布団すら窮屈そうに持ち上げた。
さっきまで僕と繋がれていたまこもの手のひらは人肌の温もりを程よく秘めていて、それが快感を内側から溶かしていく。

「わたしのこと……おとなってみとめてくれますか?」

「ハァッ……ァ……ハァッ……」

溶かされた快感が管を通って外を出ようとしている。思考の鈍った脳内を桃色の波が支配し始めた。

だらしなく口をあけて呼吸をする僕は喋れなくなるほど呑み込まれていた。
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:29:21.17 ID:6TdKgm8c0

「返事がないですね」

僕の口横を伝う涎をまこもは鼓膜にべったりと張り付くような音を立てて舐めとった。

「分かってもらえないみたいなので……おとなちゅーしちゃいますね……」

小さな舌が伸ばされて僕の口内に入ってくる。まだ唇同士は密着していない。舌と舌がお互いの呼吸を乗せて唾液を混ぜながら絡んでいく。

「んっ……れっ……ちゅぅっ……」

まこもが僕の舌を吸うと前にでた彼女の唇が自然と押し付けられていった。

「ちゅるっ……」

口を口で蓋される。その内側で尚も続く、舌と舌の絡み合い。唾液に混ざっていろんなものが吸い上げられていく。より快楽に溺れるほど身体全体が癒されていくような気がした。


128 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:29:51.53 ID:6TdKgm8c0

(もう……だめた……)

脚から感覚がなくなる。瞬間、僕の頭は真っ白になった。

(ん゛んっ)

腰が短く痙攣する。舌が絡むたびに脈打つソレは熱を漏らした。

僕が漏らした液体をまこもは手のひらで包んで受け止めると僕から顔を離してそれを舐めとった。
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:31:02.11 ID:6TdKgm8c0



(おとな……か……)

「じゅるっ……ぺちゅ……んっ……」

恍惚とした表情で手のひらを舐める彼女はおとなというより……

「えへへ……本当にうつしてしまったときは、あなたがわたしを看病してくださいね」

妖艶な女狐に見えた。


130 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:31:31.46 ID:6TdKgm8c0

……………………

「むぎゅー」

「そんなにくっついたらますますうつるって……共倒れしたら大変だろ?」

「だからわたしがあなたのお布団代わりになってあげます。あったかくしてはやく治しましょー」

「暑い」

「ひどい!」

「……まこものせい」

「だからお身体をふいてあげたじゃないですか」

「そういう問題じゃないだろ」

「……ふふっ。冷めないうちに寝てしまいましょう」

「……ああ、おやすみ」
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:32:03.62 ID:6TdKgm8c0

……………………

「こんっ! こんっ!」

「言わんこっちゃない」

次の日の朝、僕の体調はまこものおかげですっかり良くなったがそれと引き換えに彼女は酷く咳き込んでいた。

「うー……さむいです……」

「はぁ」




今度は僕が、布団だな。





132 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 12:33:36.51 ID:6TdKgm8c0
なうろうでぃんぐ

(-ω-)
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