Pの姉妹はトレーナー!【アイドルマスターシンデレラガールズ】

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122 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/18(月) 12:36:41.92 ID:suI/ujXf0
十時を回ったあたり、さあ帰ろうと立ち上がったのと同時に、またしてもドアが開かれた。

麗「詠……と渋谷と島村の、妹か」

麗姉ちゃんが、予想通りだなといった風に表情を緩める。

詠「あれ、どうしたの?」

麗「いや、さっきレッスンが終わったのだが、詠がまだ残ってると聞いてな。一緒に帰ろうと思ったのだ」

詠「そっか。ちょうどこれから二人を車で送るところなんだ」

麗「そうか、なら私も同行しよう」

詠「了解」

麗「二人もよろしく頼む」

凛「は、はい……」
卯月「こ、こちらこそよろしくお願いします!」

麗姉ちゃんは妙に威圧感あるからなぁ。二人とも緊張しちゃってるみたいだ。

そうして昨日と同じく車に三人を乗せて送っていく。
123 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/18(月) 12:37:38.04 ID:suI/ujXf0
凛ちゃんの家の前では、やっぱり彼女の母がお出迎えしていた。
挨拶をすると、にこにこと返してくれる。

凛ちゃんと俺を交互に見て、うふふっ、と嬉しそうに笑っていた。

凛「な、何?」

凛母「何でも〜?」

凛ちゃんは、面倒くさいな……と言わんばかりに表情を歪める。
こちらを窺うように、ちらりと視線を彷徨わせて俺と目が合う。
俺は相好を崩して見せるが、それも歪だったと思う。

かっ、と凛ちゃんの耳から頬まで赤く染まり、恥ずかしそうに俯いた。

凛「ば、バイバイ……」

彼女は控えめにちょこっと手を振ると、慌てたのか、もつれた足取りで花屋の奥に引っ込んでしまう。

凛ちゃんのお母さんは、ごめんなさいね、と言ってにこやかに笑った。

俺がもう一度花屋の奥に目を向けると、凛ちゃんが顔を出してこちらを見ている。
自分の母親と俺が話すのが気になるのだろうか。

俺は覗いてる凛ちゃんに小さく手を振って応えると、彼女もまた小さく振り返した。

そして再び凛ちゃんのお母さんに頭を下げ、車へと戻る。
124 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/18(月) 12:38:33.15 ID:suI/ujXf0
次は卯月ちゃんの家。
こちらも昨日と同様、葉月さんが玄関から出て待っていた。

葉月「詠くん、今日もお疲れさまでした。卯月ちゃんのことありがとうございます」

葉月さんのお礼に倣って、卯月ちゃんも頭を下げる。

詠「いえ、大したことはしてないですよ」

二人の笑顔を見ると、俺も自然に笑みがこぼれる。

葉月「卯月ちゃんのこと気に入ったら、ぜひお嫁さんにどうぞ!」

卯月「お、お姉ちゃん!?」

やめてよー! と両手を振って葉月さんを止める卯月ちゃん。

頭のてっぺんから鎖骨あたりまで真っ赤にさせた卯月ちゃんは、ぐるぐると混乱したような瞳と不安げな表情を俺に向けた。

詠「あはは……私にはもったいない気もしますけど……」

葉月「そんなこと無いですよ。ね、卯月ちゃん?」

卯月ちゃんはカクカクとしたロボットみたいな動きで何回も頷いた。
125 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/18(月) 12:39:19.10 ID:suI/ujXf0
卯月「逆に、無個性の私にはもったいないくらいです……」

詠「無個性なんてことありませんよ。美味しいお菓子も作れますし、私にも気遣ってくれて優しいですし、それに笑顔も素敵ですし……」

卯月「あ、あ、あ、ありがとうございますっ!」

すごい勢いで彼女は頭を下げる。
俺が彼女の良いところを挙げると、とても驚いていたように口をパクパクさせていた。

卯月ちゃんは顔を上げると、おやすみなさい! と言って足早に家に入ってしまった。

扉を閉められる前に俺もなんとか、おやすみなさいと声を掛けることができた。

葉月さんとも挨拶をして、車に戻る。

麗「本当にみんな詠のことが好きなんだな」

運転席に戻ったら麗姉ちゃんにそんなことを言われた。

詠「え、そ、そう?」

麗「お前は鈍いよな」

詠「そんなこと無いから」

麗「いや、あるだろう……」

社用車を返した帰り道、麗姉ちゃんと並んで歩く。

街灯にぼんやりと照らされる麗姉ちゃんを盗み見る。
126 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/18(月) 12:40:22.41 ID:suI/ujXf0
正面をキリっと見据え、凛々しく美しい瞳。
ほのかに朱に染めた頬と、柔らかい笑み。
下ろした髪は女性らしく、だが、正しい姿勢は男らしい。

しかし麗姉ちゃん。前は見上げてたように思うけど、今は見下ろすほどに身長差が開いているのか。

麗「どうした? さっきからこっちを見て」

詠「あ、気付いてたの?」

麗「まあな」

詠「そう。別に理由は無いけど……」

俺は顔を逸らした。

麗「そうか」

麗姉ちゃんはただ一言、そう言った。
彼女は今喜色だろうと思わせるような声色だった。

俺は気が付けば彼女の手を取っていた。

麗「……おい」

訝し気に俺を見つめるが、振り解こうとはしなかった。
127 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/18(月) 12:40:58.51 ID:suI/ujXf0
詠「……手、繋いでもいい?」

そう言うと、麗姉ちゃんはきょとんとした後、空いてる手で口を押さえて控えめに笑い出した。

麗「ふふっ……繋いでから言うのか?」

詠「そういうこともある」

麗「でも急にどうした? お姉ちゃんに甘えたくなっちゃったか?」

詠「……そうかも」

麗「可愛いやつだな! だったら存分に甘やかしてやる!」

うりゃー!! と言わんばかりに俺は抱き寄せられ、がしがしと頭を撫でられる。
ヘッドロックされてるみたいになっているが、気にならない。

むしろ心地よく、懐かしい気分なのだ。

ほどなくして麗姉ちゃんから解放された俺。
そこから家までは手を繋いで帰ったのだった。

「「ただいまー」」

玄関のドアを開けて、そう声をかけると、居間の方からバタバタと騒がしい足音が聞こえてきた。
128 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/18(月) 12:42:16.38 ID:suI/ujXf0
慶「お帰りお兄ちゃん!」

抱きつかんばかりの勢いで俺の前までやってきた。

詠「お、おう……ただいま」

慶「麗ちゃんもお帰りなさい」

麗「ああ、私はついでか?」

麗姉ちゃんが呆れたような視線を慶ちゃんに向けると、そんなことないよぉ、と言ってヘラヘラ笑って誤魔化していた。

詠「あれ、他の二人は?」

慶「明ちゃんはリビングにいるよ。聖ちゃんは寝ちゃった」

詠「そうか」

聖姉ちゃんがまだ早い時間に寝てしまうのは珍しいと思った。

慶「ていうか、いつまで手繋いでるの?」

詠「あ」

俺は慌てて力を抜いたが、麗姉ちゃんはがっちりと握ったままだった。

麗「別にいいだろう? それとも慶、嫉妬してるのか?」

そう言われた慶ちゃんは顔を赤らめて、むすっとした表情で麗姉ちゃんを見た。
129 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/18(月) 12:43:09.04 ID:suI/ujXf0
慶「嫉妬ってほどじゃないけど……何か妬ける」

ふいっと麗姉ちゃんから顔を逸らして、俺の方をちらちらと見ている。

詠「どうした?」

彼女の答えは聞けなかったが、空いてる右手をとられる。
そこに俺の意思なんか無く、ぐいぐいと引っ張られた。
靴を放るように脱ぎ捨て、ずかずかと居間まで連れていかれた。

詠「ちょっと慶ちゃん」

玄関ではやれやれと、いつの間に手を離した麗姉ちゃんが、俺の靴を整理していた。

明「お帰り〜」

のんびりとした調子で、ソファにてくつろぐ明姉ちゃん。

ただいま、なんて言う暇も無くソファ――明姉ちゃんの隣――に座らせられる。

明「どうしたのよ?」

訝し気な様子で俺と慶ちゃんに問う明姉ちゃん。こっちが聞きたい。

詠「いや、わからん……」

かろうじて、何が起こってるか分からないことを伝えられた。

そんなことはお構いなしに、慶ちゃんは俺に跨ると、俺の顔を押さえて向かい合うように固定される。
130 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/18(月) 12:43:56.24 ID:suI/ujXf0
詠「だから――」

――どうしたんだ? と問う直前に、俺の口は慶ちゃんの口に塞がれた。

詠「!?」

合わせるような軽い接吻から、何度も求めるようなものへとその質は変わり、果てには舌を入れて快楽に身を任せるような激しいキス。

突然のことであったのと、激しさを増すごとに力が抜けていく感覚に、俺は抵抗することができなかった。次第に官能的になっていく感情。

明「こ、こら!!」

まずは驚き、呆然としていた明姉ちゃんが我に返って止めに入る。

麗「慶っ!」

次にリビングに入って現状を把握した麗姉ちゃんが駆け寄ってくる。

二人は慌てて俺から慶ちゃんを引き離した。

明「あんたってば、油断も隙も無いわね、本当に!」

慶「てへ、ちょっと気持ちよくなっちゃって……」

麗「まったく……」

てへ、じゃないよ。
俺だって下が大変なことになっちゃったんですけど……。
131 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/18(月) 12:44:36.93 ID:suI/ujXf0
明「詠もなんで抵抗しないのさ!」

詠「や、急に襲われたら無理だぞ、多分」

麗姉ちゃんは呆れたのだろう、溜め息を吐く。

麗「アプローチは自由とは言ったが、そういうことはお互いの合意の上でやるべきではないのか?」

慶「お兄ちゃん……イヤだった?」

うわ、こっすい。上目遣いで甘えるような視線を向けられ、耳に優しい猫撫で声を聞かされれば嫌とは言えない。

詠「嫌じゃないけどさ……」

ついつい妹に対して甘くしてしまう。

慶「これで合意の上だね!」

明「ずるい!」

麗「詠も慶に甘いんじゃないか?」

詠「そうかも」

少しだけ怒られる。
132 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/18(月) 12:45:26.95 ID:suI/ujXf0
明「なら私もしていいよね!?」

明姉ちゃんが突然そんなこと言いだした。

詠「ちょっと落ち着いて」

明「そうじゃなきゃ不公平よね?」

詠「本当に待って、今されたら我慢できるか分からん」

明「しなくていいわ! 最後までしよう!」

この子目が血走っていらっしゃる。
暴走している明姉ちゃんを何とかしてなだめる。

麗「こら、明も何言ってるんだ。落ち着け」

最後の良心である麗姉ちゃん。

麗「姉の私が先だろ」

そんなことはありませんでした。

結局、俺は姉二人にキスすることでようやく解放されるのだった。
133 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/18(月) 12:46:27.94 ID:suI/ujXf0
詠「やばい」

部屋に戻った俺は沈んだ気持ちでそう呟いた。

何がやばいのか、それはもう明白で、ここ二日で姉妹――というか我が家――の貞操観念みたいなものが著しく変化してしまったらしい。

とにかくやばい。

義理とはいえ、何年も同じ家屋で過ごしてきた姉妹に発情するのもやばいのだが、そんな彼女たちが特に気にすることもなく俺を襲ってくるということがやばい。
それを嫌だと思ってない俺もやばい。

つまりは常識的な思考が麻痺しつつあるということが、俺に危機感を抱かせていた。

自分で言うのもなんだが、俺は硬派な男である……はずだ。
しかし信じられないことに、たった二日で軟派な人間へと早変わりしてしまったではないか。

そんな急激な変化に困惑している。
当然、卯月ちゃんや凛ちゃんに後ろめたいという気持ちが拭い切れずにいるのだった。

詠「とりあえず風呂」

気分転換という意味も込め、次に何をするかをわざわざ口に出す。

廊下に出て数歩離れたところにある洗面所。風呂場には誰も入ってないらしい。
というのも暗闇が如実に示してくれていた。
134 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/18(月) 12:47:46.97 ID:suI/ujXf0
上を脱いで下を脱ぐ。
下着を脱ぐ際、陰部に若干の引っ掛かりを与えて俺は少し顔を顰めた。
ぺちりと下腹をたたくモノ。

詠「変態だな」

戒めるように、あるいは忌々しく独り言を呟いた。

入浴中、俺は先の出来事を反芻していた。仕事のことを考えようと目を閉じるが、どうにも姉妹たちの積極的な姿がその思考を妨げる。
結果、俺は勃起したり萎縮したりを繰り返して悶々と苦悩した。
何度か自分の陰茎を握ってはみたものの、なかなか扱くことができない。
やはり姉妹をネタにして……というのは罪悪感が凄まじい。
結局一発も射精せずに風呂から上がる。

普段なら俺は風呂を上がって裸のまますぐに歯を磨くのだが、今日は、いや、おそらく今後もそんなことはしないだろう。
姉妹に性的な目で見られることを怖いと思ってしまった。
もちろん自分も彼女たちで興奮するし、性的な目で見ることもある。
だが襲ったことはない。

今日、無理やり接吻されたとき、ちょっと怖かった。それは襲われた人間にしか分からないものなんだろうと思った。

なので自室で俺は服を着てからまた洗面所に戻ることにした。

寝る準備はつつがなく整い、俺は二十三時を回ったあたりで就寝する。

次に目を覚ますのは五時半くらいだろうか……。
と思っていたのだが、人為的に起こされるような感覚で飛び起きた。
明らかに不十分だという睡眠の感覚であったが、もう一度眠りにつくには状態が異常であることに気が付いた。
135 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/18(月) 12:49:02.80 ID:suI/ujXf0
中断します。
次回がっつりR要素入るのでお気を付け下さい。
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/18(月) 15:09:16.93 ID:D+wFQPYRO
わっふるわっふる
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/18(月) 21:28:22.57 ID:3nRH+43D0
トレーナー四姉妹の奴は珍しいし期待
138 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/20(水) 22:09:25.48 ID:XpHju3a80
詠「な、何やってんの?」

聖「夜這い」

一点の曇りもなく、迷いなく、淀みなく、清々しく、聖姉ちゃんは言い切った。
彼女が早く寝た理由だが、聞かずともわかったような気がする。

詠「ちょっと、服は?」

聖「もう脱いだが?」

何を今更……とでも言いたげに小首を可愛らしく傾げて見せている。

詠「何やってんだ!」

聖「だから夜這いだ!」

小声で怒る俺に、何故かキレる聖姉ちゃん。

聖「ちょっと黙ってろ」

詠「何を……うわっ……」

驚いて声が出たのも束の間、呼気が荒く漏れ出る俺の口は聖姉ちゃんの口で塞がれたのだから。

彼女の口は俺の唇を覆うように、あるいは食らうように包み込んで離さない。
目が慣れてきた頃にようやく聖姉ちゃんの顔が遠ざかる。

外から入り込むわずかな光が、唾液で濡れた姉ちゃんの唇を、艶めかしく照らし出す。
139 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/20(水) 22:10:29.58 ID:XpHju3a80
ありったけの火薬を詰め込んだかのような心臓は、俺の全身に隈なく血を巡らせる。

どっくん、どっくん、と文字通り頭に血が昇り何かを言おうと口を開けるが、言葉が紡がれることはない。
それを発するための口ごと聖姉ちゃんが食べてしまった。

姉ちゃんの舌が俺の舌に絡み付き、入念に唾液を交換させている。
貪るように求めるため、時折、歯がカチカチと音を立てて騒ぎ出す。
歯に響く不快感は絶妙な快感の香辛料へと変わる。

お互いにどんどん息が荒くなり、ついに抱きしめ合う。強く、強く。
決して華奢なわけではなく、健康的で引き締まった細身と、女性特有の柔らかさ、出るところは出ている肉付きの良さなど、それらは俺の理性を失わせるには十分すぎる要素だった。

詠「聖姉ちゃんっ!」

聖「詠、来て」

俺は上体を起こすと、聖姉ちゃんを自分の腿に乗せて、抱きしめ合ったまま接吻を続ける。
それから押し倒し、聖姉ちゃんに愛撫する。
俺の舌は聖姉ちゃんの口を離れて、首筋をなぞるように幾度も往復し、次に耳を犯す。

聖姉ちゃんの左耳を甘噛みしたり、舌を入れたりする度に、彼女の口から甘い吐息と淫らな喘ぎ声が漏れる。さらに身体を、ぴくっ、ぴくっ、と小さく震わせ始める。

聖「うぁっ……あっあっ……詠っ……詠ぃ!」

声が一層大きくなる。
耳元で発せられるそれが、俺にさらなる嗜虐心を与えた。
140 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/20(水) 22:11:24.40 ID:XpHju3a80
俺の右手は彼女の左手と指を絡めて繋ぎ合わせているので、空いた左手で彼女の身体に触れる。
右耳を優しく触り、時に強く握り、柔らかな頬をなぞり、唇を触わる。

姉ちゃんは俺の指を赤子のように舐めて、吸う。指先からぞわぞわとした感触を受ける。
口内の天井を指で優しく撫でてやると、言葉にならない喘ぎ声と、びく、びく、と震える身体で応えてくれる。

俺は姉ちゃんの口に突っ込んでた指を引き抜くと、自分の口に入れる。
その様子をまざまざと見せつけた。

聖姉ちゃんの紅潮しきった顔、汗でしっとりと張り付いた髪、目じりに浮かべた涙。
彼女は自分の口に入ってたものが義弟の口に入るのを認めると、羞恥と驚きで複雑に歪んだ表情を見せた後、潤んだ瞳を逸らした

俺はいつもとは違う見慣れぬ聖姉ちゃんに、大いに興奮していた。
普段の大きな態度や、下ネタを恥ずかしげもなく口にする下品な姉はどこにもなく、しおらしさや羞恥心があるばかりだ。

聖「ふぅっ……ふあぁぁっ……!!」

愛撫を続けると、先ほどよりも大きく痙攣する聖姉ちゃん。

詠「ダメだよ、聖姉ちゃん……声、我慢しなきゃ、止めちゃうよ」

聖「嫌だっ! 止めないで……続けて……最後まで……」

詠「じゃあ、ちゃんと我慢して?」

聖「うん……」

俺はこの時、嗜虐心に満ち満ちていたに違いなかった。というのも後から冷静になって考えればという話なのだが……。
141 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/20(水) 22:13:22.49 ID:XpHju3a80
こくりと頷く聖姉ちゃん。素直な返事は珍しい。それだけで可愛らしく、愛おしい。

俺は愛撫を再開した。
またキスをして、今度は下へ。
鎖骨を左の人差し指で撫で、舌を胸に這わせる。
脇を厭らしく触った後、双丘の突起に触れぬように、指と舌で何度も円を描いた。

必死に漏れ出る声を押さえようとしている聖姉ちゃんが可愛くてついつい虐めたくなってしまう。

ぴくぴくと腰が浮き沈みを繰り返してるのに気づき、俺は一度間を置いて彼女の乳首をきゅっと摘まんだ。

聖「ああああっ! ……っ!!」

慌てて、両手で自分の口を押さえる聖姉ちゃん。
懇願するような涙目になっていて、俺の腹辺りにびりびりと電撃が走っていくような、奇妙な快感に襲われる。
思わず口端が吊り上がってしまいそうだ。

詠「聖姉ちゃん……」

聖「違う、違うんだ……止めないで……」

俺の服を無造作に鷲掴みにしている。

詠「しょうがないな。じゃあ声出ないようにしてあげる」

相変わらず胸を掌で撫で、先を指で転がす。
彼女の声は、俺が口を塞ぐことで、漏れ出るのを防いだ。
代わりに、ぴちゃぴちゃと淫靡な音を立てる。
142 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/20(水) 22:20:04.04 ID:XpHju3a80
俺は息を荒げて、彼女の腹を撫でてさらに下に手を這わせる。
陰部に触れないままさらに下、太腿に手を這わせ、臀部を弄る。
指を割れ目の中心まで近づけるが決して触れない。

俺は聖姉ちゃんの唇や舌の動き、微妙に変化する表情で彼女の反応を窺いながら、それに興奮しているのを自覚していた。

聖「はぁっ……はぁっ……! もう、我慢できないぃ……詠ぃ……」

聖姉ちゃんは目の端からは涙を、口の端からは涎を、それぞれ流して、くしゃっとさせた顔で縋ってくる。

詠「聖姉ちゃんっ!!」

もう一度、抱きしめる。今度は優しく。

聖「詠っ!!」

彼女も俺の首に手を回したまま、さらに身を寄せる。

一旦、聖姉ちゃん距離を離し、俺は下の寝間着と下着を順に脱いだ。
暗がりの中で、血液を集中させて激しく勃起した陰茎を剝き出しにした。

聖姉ちゃんは一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに恍惚とした瞳を向けて俺の陰部に手を伸ばす。
143 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/20(水) 22:20:34.34 ID:XpHju3a80
ぴとりと、鈴口に触れる指先。それだけで絶頂してしまいそうな快感に襲われる。
続いて、恐る恐る指先で、つつ、と裏筋を経て陰嚢までなぞった。

聖「き、気持ちいいのか?」

詠「ま、まあ……」

無邪気に聞いてくる聖姉ちゃんに、恥ずかしがりながら俺はそう返事した。
聖姉ちゃんはさっきとはうって変わって、にま〜っとした笑みを浮かべる。

聖「そうか、そうか」

喜色満面。それからも――これは? これは? と触っては気持ちいいかどうかを尋ねてくる。正直に言うと、恥ずかしい。

聖「なあ、舐めたら気持ちいいのだろう?」

普段の調子を取り戻したように挑発的な微笑み。
しかし顔は真っ赤で、舐めることに対して若干の躊躇いと期待感が見え隠れしている。

詠「そ、それは……上手な人は、まあそうだけど……」

俺も童貞ではない。経験人数は少ないが、愛撫の技術に個人差があるのは確かだ。

てか、聖姉ちゃん処女っぽいな。
初めてにこだわってたのが何となくわかった気がした。
というか初めてのくせにキスは上手いな。
144 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/20(水) 22:21:07.50 ID:XpHju3a80
俺があれこれ考えていると聖姉ちゃんは意を決したようで、舌先でちろちろとソフトクリームみたいに舐め始めた。
どこで知識を得たのか、亀頭にキスするわ、睾丸を吸うわ、舌の先と腹をうまく使い分けるわ、挙句には亀頭を頬張って厭らしい音を立てながら顔を動かし始めるわ……。
どうやら天性のエロ女らしい。
歯を立てられると思ったが別にそんなこともなく、今までで一番気持ちいいほどだった。

聖「ほお? ひおひぃ?」

竿を口に入れたまま喋るものだから、ちゃんと言えてない。
――どう? 気持ちい? と聞いているのだと思う。

詠「うん、やばい……」

刻々と慣れてきたのだろう。
どんどん早くリズミカルになる聖姉ちゃんの前戯。

詠「姉ちゃん、もう、入れたい」

我慢できなくなって俺は覚悟も適当に、ただ自分の性欲に従ってそう言った。

聖「ああ、私も……してほしい」

俺は聖姉ちゃんの陰部に手を触れ、陰唇を広げて指を挿入する。
くちゃ、くちゃ、と姦濫な音を立てると同時に、姉ちゃんが声を押し殺せず、時折、大きく声を上げる。
145 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/20(水) 22:21:56.53 ID:XpHju3a80
姉ちゃんの快感が強い部分がどこか反応を窺いながら、膣の中に指を這わせる。
人差し指で狭いそれを押し広げ、逆の指で陰核を刺激する。
そのたびに彼女の身体に力が入り、一定の間隔で絶叫と共に大きく身体が跳ねる。

聖「もう……止めっ……あ、ああああああっ!!」

初めてにもかかわらず、もう何度目かの絶頂。これは才能があるなぁ、と我ながら阿保らしい感想を抱いた。

詠「ほら、もう、びっちょびちょだ」

聖「言うなぁ……」

またしても泣きべそをかいて聖姉ちゃんがしおらしくなった。可愛い。

詠「入れるね」

聖姉ちゃんはこくりと頷く。

俺は聖姉ちゃんを自分の方に引き寄せて……。

――部屋のドアが勢いよく開いた。
俺と聖姉ちゃんはびくっと震えて固まった。
146 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/20(水) 22:22:51.04 ID:XpHju3a80
ぱちんと小気味よい音と同時にLEDに光が灯った。
眩しくて、ちょっと目が痛くなる。

明姉ちゃんと慶ちゃんがずかずかと足音を立てて近づいてくるのを半目で捉えた。
そして俺と聖姉ちゃんを引き離す。

聖「な、何をする!」

明「バカじゃないの!? 変態!!」

聖姉ちゃんは絶句。――へ、変態? と目を白黒させている。

慶「お兄ちゃん、早く服着て」

悪寒がするほど酷く冷たい声だった。

詠「はい」

食い気味に俺は返事をして、脱ぎ散らかしてあったパンツと寝間着を素早く着た。
俺と、おそらく、聖姉ちゃんは大興奮し、裸で一線越えようとしてた姿を見られ、死ぬほど恥ずかしい思いをしたのだが、他の姉妹にそんなことはまるで関係無い。

麗「説明してもらおうか?」

基本的に温厚な麗姉ちゃんが憤慨してるとわかる状況。これはまずい。
俺はすっかり冷めてしまったようで、自分の息子も萎縮しきってしまっている。
147 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/20(水) 22:32:14.63 ID:XpHju3a80
聖姉ちゃんもさぞ居心地悪いだろうと一瞥すると、未だに興奮冷めやらぬといった面持ちで恍惚とした眼差しを俺に送ってきた。
この姉、本当に才能有り余ってるらしい。
毎日、レッスンやらトレーニングやらで発散してるのではないのですか? と呆れてしまうものだった。

聖「せめて、最後までやらせてくれ!」

往生際が悪いとはこのことか。
若干息も荒いまま、後生だ! と頼み込んでいる姿は我が姉ながら滑稽であった。
先ほどまで、自分も欲望に飲まれてあのような姿をしていたと思うと胸が痛い。

詠「聖姉ちゃん、もう無理だよ。俺もう勃起してないし」

明「何言ってるのよ!?」

明姉ちゃんがいきり立つ。

慶「二人とも、咎められてるんだから自重しようよ」

呆れたように末妹に注意される兄と姉。
148 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/20(水) 22:32:54.16 ID:XpHju3a80
聖「詠、思い出せさっきのことを……私が口でしてあげただろ? 気持ちよかっただろ?」

舌をちろっと出して俺に伝えんとする聖姉ちゃんは懲りないやつなのだ。
その爆弾発言に絶叫で応じる明姉ちゃんと慶ちゃん。麗姉ちゃんだけ、額に手を当てて、やれやれと呆れている。
かくいう俺はそのことを思い出して沸々と性的欲求がぶり返してきたのだった。

慶「あ! お兄ちゃん何……ぉち……勃ててんの!?」

途中のセリフはもごもごとしてて聞き取りづらかったが慶ちゃんはそう言って俺を責める。

詠「あ、いや、これは……」

聖姉ちゃんと最後までヤリたいなんて言えないんだけど……。

麗「というか避妊もせずにヤル気だったのか?」

詠「あ、そういえば……」

聖「気持ち良すぎて忘れてた……」

聖姉ちゃんのその言葉で、明姉ちゃんと慶ちゃんが顔を真っ赤に爆発させる。

明「どんだけ夢中だったのよ……」

慶「聖ちゃんずるいっ!」

夢中だったのは認めるが、ずるいってなんだ。
149 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/20(水) 22:35:37.83 ID:XpHju3a80
聖「しかし、何故バレたんだ?」

麗「お前たちがうるさいからだ」

明「本当に最低!」

その後もぎゃーぎゃーと言い合いが続いたが、すでに早朝と言えるほど、陽が部屋に差し込んでいた。

あんま寝てねぇ……。

それぞれが落ち着きを取り戻し、居間に移ると、家族会議が始まったのだった。

麗「まず、どうして聖は夜中に起きて詠の部屋に?」

聖「夜中なら誰にも邪魔されずに詠と既成事実作れると思ったからだが……」

麗「だが? だが、なんだ?」

逆接で文末を締めた聖姉ちゃんだったが、それが麗姉ちゃんの気に障ったようだ。
再度問い返す麗姉ちゃんの威圧感は半端じゃない。
これには、さしもの聖姉ちゃんも萎縮してしまう。

聖「……いいえ、既成事実を作ろうと思いました」

ふぅっ、と馬鹿馬鹿しいと言わんばかりに一息吐くと、麗姉ちゃんは次に俺を見る。
150 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/20(水) 22:38:06.44 ID:XpHju3a80
麗「詠も何で誘いに乗ったんだ?」

詠「キスされたら我慢できなくなりました」

俺は俺で自分に正直に答えてみる。

麗「私たちとしたときは大丈夫だったように見えたが?」

詠「いや、大丈夫じゃないって言ったよ」

それが聖姉ちゃんの時にタガが外れたってだけなのだ。

詠「それにけっこう、うん……」

麗「何だ?」

俺は言うのを少し躊躇ったが、姉ちゃんに促されて口を開く。

詠「……溜まってました、はい」

何週間か自慰行為してないので性欲に流されてしまったというのが特に要因としては大きい気がする。

しかし家で自慰行為できるのは皆がいない時、と限られるので、なかなかタイミングが合わないというものだ。

部屋でできればいいのだが、結構な頻度で姉妹の誰かが入ってくるので、落ち着いて自慰行為できない。
151 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/20(水) 22:38:36.27 ID:XpHju3a80
聖「私に言えばいつでも抜いてやるって言ってるだろう」

麗「聖、ちょっと黙れ」

明「勝手に発言しないで」

慶「変態レイプ魔」

姉妹三人により聖姉ちゃん一蹴。
慶ちゃんのそれは単なる悪口だね。なかなか酷い言い草である。否定はしないが……。
聖姉ちゃんは俯いて口を噤んだ。

麗「それで詠はどうしたいんだ?」

詠「どうしたいって、どういうこと?」

麗「誰かを選んでもないのに、そういう関係になるのは嫌だと、否定してたはずだったが……」

そうでした。
ごめんね。性欲には勝てなかったよ。

詠「すみません。みんな魅力的過ぎて、我慢が難しかったみたいです」

聖「つまり私に一番魅力を感じたということだな」
152 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/20(水) 22:52:30.01 ID:XpHju3a80
笑顔でうんうんと頷く聖姉ちゃん。
ヘイトを溜めるのが随分とお上手になった模様。

詠「いや、ムラムラした状態であんな迫り方されたら聖姉ちゃんじゃなくても多分、ヤッてた」

慶「だってさー」

からからと笑う慶ちゃんは、心底愉快そうだった。

それを聞いて、うっ、と怯む聖姉ちゃんは俺と慶ちゃんを、じとっ、と睨む。

明「ていうか、それって、誰でもよかったってことよね?」

少しキレ気味に俺に聞いてきたのは明姉ちゃん。

詠「いや、誰でもってわけじゃないけど……」

そこでぱっと浮かんだ顔が数名。

詠「姉ちゃんたちと慶ちゃんなら間違いなく……あと凛ちゃんと卯月ちゃんでもヤバかったかも」

聖「好意を寄せられてるからって調子に乗りすぎじゃないか?」

明「あんたが言うな」
153 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/20(水) 22:53:16.02 ID:XpHju3a80
俺は姉妹の会話を聞きながら、先ほど浮かんだ数人の恍惚とした表情を思い浮かべていた。
やはり聖姉ちゃんとの行為が尾を引いているのか、他の子ならどういう表情をするのかと考えてしまった。

勃った。もう限界。

詠「ちょっとトイレ行っていい?」

恥を忍んでトイレで抜こう。
行ってらっしゃいと麗姉ちゃんに許可をもらい席を立つ。

四姉妹の視線が俺の股間に集中してた気がするが、それは思い過ごしというやつだろう。

トイレに入り、鍵をすぐに閉めてズボンとパンツを一緒に下ろした。

詠「……」

その頃には聖姉ちゃんとの行為を思い出していて、過去最高レベルでギンギンになっていた。

俺は立ったまま自分の陰茎を握り、上下にしこしこ動かす。
不完全燃焼ということもあって、すぐに射精しそうな感覚が襲ってくる。
154 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/20(水) 22:53:44.97 ID:XpHju3a80
カラカラと、左手でトイレットペーパーを大量に手に取り、無造作に引きちぎる。
全身が震えてきて、自分の息が荒くなっていくのがわかる。

詠「うっ……はぁ……はぁ……」

大きく息を吐きながら、初めての性行為で射精した時と同じような快感を味わい、余韻に浸った。

詠「今までで一番凄いかも」

息を荒げたままそう呟くと、扉越しに、がたっ、と不自然な音が聞こえた。

詠「……」

これは聞き耳を立ててる。
その現場を押さえるために俺はあえて演技をすることにした。

詠「やば、全然治まんない」

独り言を外に聞こえるように言いながら、トイレットペーパーで白濁色の粘液体を拭き取って水に沈める。

詠「もう一回、出すか」

俺はそう言いながらパンツとズボンを履き直す。
扉越しに生唾を飲み込む音が確かに聞こえた。むっつり性欲魔人共め。
155 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/20(水) 22:54:28.79 ID:XpHju3a80
詠「よし……」

俺は一つ気合を入れて鍵を解錠してすぐにドアを開けた。
ごつっ、と鈍い音。続いて、いったー! と姉妹の悲鳴が聞こえて扉の脇から廊下を確認すると、バタバタと倒れた四姉妹が引き攣った笑みでこちらを見ていた。

詠「おい、こういうのが嫌だから、俺の性欲が溜まるんだよ」

俺がトイレから出て見下ろしながら言うと、彼女たちも立ち上がり、汗を流しながらも不敵に笑ってみせていた。

明「へ、へー。みんなが使うトイレでオナニーするんだ?」

慶「パブリックスペースで、す、するんだー」

動揺しているが、こいつらまるで反省してない。それどころか、俺のせいにしやがる。

麗「す、すまない」

素直に謝った麗姉ちゃんは許す。

詠「聖姉ちゃんも何か言えよ」

聖「これが詠の精子の匂い」

いつの間にか入れ替わりでトイレに入っていた聖姉ちゃんは、恍惚の表情を浮かべながらそんなことを呟いていた。

便器の前で深呼吸する姉の姿は、変態以外の何者でも無かった。
156 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/20(水) 22:54:57.71 ID:XpHju3a80
詠「聖姉ちゃん、いや変態、出ろ」

聖「出る!? 詠のどこから何が出るって!?」

何をどう聞き間違えたのか、変態という言葉はスルーで食い気味に俺に迫ってきた。

聖「手伝うぞ!」

詠「いいから!」

力づくで姉を追い出して、流していなかったトイレの水を流す。

聖姉ちゃんは残念そうな顔で流れていくトイレットペーパーを……うん、見てなかった。見てなかったってことにしよう。

詠「俺もう寝る。次は邪魔しないで」

賢者になって落ち着いたら、疲れてしまった。
自分の部屋に戻って布団を被り、すぐに眠気に従った。

次に起きたのは七時を回ったあたりだった。

詠「あ、ランニング」

ウェアに着替えて居間に行くと、麗姉ちゃんがすでに朝食を作っていた。
157 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/20(水) 22:55:59.49 ID:XpHju3a80
中断します。
今さらですが、コレジャナイ……という感想は一切受け付けておりません。
158 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/20(水) 23:20:14.15 ID:XpHju3a80
それとまずいことに書き溜めが半分を切りました。
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/21(木) 00:45:23.00 ID:9hwIL/o8o
本番あく
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/21(木) 01:12:26.02 ID:lBlKDUrko
やりたいようにやりきってくれい
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/21(木) 03:12:30.26 ID:12RTdJV+o
おつー
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/22(金) 11:16:47.00 ID:nXDak78RO
おう、ポジパ参戦あくするんだよ
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/24(日) 12:01:46.23 ID:apdC8oUHO
大丈夫、コレです

聖姉ちゃんはどうしてこうなっちゃったの...?
164 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/26(火) 00:17:23.09 ID:8bTA9fL70
食卓を囲んでいるのは彼女の他に聖姉ちゃんと明姉ちゃん。
慶ちゃんは相変わらず朝に弱いみたいだ。

詠「おはよう」

「「「おはよう」」」

三人の声が重なる。

詠「早いね」

麗「お前がいつもより遅いんだ」

明「まあ昨日、誰かさんのせいで全然眠れなかったみたいだし?」

聖「まったく、そいつはけしからんやつだな」

明「聖ちゃんのことでしょ!?」

憤慨する明姉ちゃんを、まあまあ、と笑っていなす聖姉ちゃん。
明姉ちゃんは呆れ半分、半眼で聖姉ちゃんを睨んでから、俺にその顔を向けた。
165 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/26(火) 00:18:05.94 ID:8bTA9fL70
明「詠、今日はランニングお休み」

詠「ん、わかった」

俺は適当に返事をして食卓の席に着いた。

詠「いただきます」

玉子焼き、焼き鮭、味噌汁、白米、おひたし、などと少し凝った和風の朝食。
俺は箸を玉子焼きに伸ばす。

詠「美味しい。麗姉ちゃんが?」

麗「ああ、それだけでよく分かったな」

そう言いつつも麗姉ちゃんは、特に驚いたり、嬉しそうにするということもなく、味噌汁を啜っていた。

詠「まあね」

俺も彼女に倣って味噌汁を啜る。

詠「それより、ごめん」

麗「何がだ?」

詠「起きるの遅くなって……朝食も任せちゃって……」
166 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/26(火) 00:18:45.53 ID:8bTA9fL70
麗姉ちゃんは急に立ち上がって俺の目の前まで来ると、コツン、と俺の頭に拳を落とした。

麗「気にしすぎだ。姉ちゃんはそんなに頼りないか?」

目を白黒させる俺に麗姉ちゃんがそう言い放った。

詠「そんなこと……すっげー頼りになる」

麗「いつからか、詠は人に甘えることを忘れてしまったようだな」

麗姉ちゃんに、ぎゅうっ、と抱きしめられる。

麗「昨日みたいに、いっぱい甘えてごらん。私は精一杯応えてやるからな」

詠「ん、ありがと」

聖「私は……?」

明「ダメに決まってるじゃない」

両手の指をうずうずとさせて聖姉ちゃんが俺に詰め寄るが、明姉ちゃんがそれをブロック。

慶「おはよー」

慶ちゃんも、なぜか早めに起きて、俺が起こす手間は省けた。
167 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/26(火) 00:19:28.22 ID:8bTA9fL70
詠「今日は早いね」

慶「一限あるし、まあ、たまにはね」

と、頬をかいて視線を逸らす。

姉妹たちはそれぞれ出勤、登校の準備を終えて玄関は混雑し始める。
俺は彼女たちの見送り。
自分もあと一時間程度で家を出るが、何となくそうすることにした。

詠「行ってらっしゃい」

麗「ああ、行ってくる」

麗姉ちゃんは俺に近づいて、その柔らかな手で優しく頬に触れると、彼女の唇を俺の唇に重ねた。
ふわっとした柔らかな感触と、ふわっと漂う色香のような――何とも表現しづらい――ものが、俺の脳内に鋭敏に伝わってくる。

麗姉ちゃんはすぐに唇を離すと、何も言わずに微笑んで外へ出た。

聖姉ちゃんや明姉ちゃんも同じように俺に口付けしてから出ていく。

慶「お兄ちゃーん、行ってきます!」

ぴょん、と勢いよく抱き付いてくる慶ちゃんは、唇を食べるように接吻をして離れると、にぱ〜、と快活に笑った。
168 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/26(火) 00:20:23.72 ID:8bTA9fL70
詠「お、おう。行ってらっしゃい」

勃起するので本当にやめてほしい。
本格的に、姉妹たちのことを女性として意識するようになってしまったらしい。

詠「すっげぇ、抜きたい」

家事は珍しく彼女たちがやってくれたみたいなので俺はやることが無かったが、この時間に自慰でも……。

ほとんど開き直った自分の心は少しばかりの罪悪感をリードで引っ張ってはいたが、結局自室で性欲をぶちまけた。

さっきの唇の感触を、あるいは昨日の聖姉ちゃんとの行為を思い出しながら扱いたアレからは、昨日と同じくらいの量の白濁液が飛び出した。
169 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/26(火) 00:21:02.64 ID:8bTA9fL70
俺が会社に着いたのは十時を少し回った頃。
社内は特に変わりなく、蓮さん、葉月さんと挨拶を交わして書類の整理に移る。

蓮「詠、今日も来るのか?」

蓮さんは昨日の、(普段は)クールなベテランのトレーナーである青木聖がデレデレで義理の弟に襲いかかるという、事件が起こってからその後の様子が気になるらしい。

詠「さあ、どうでしょう?」

あまり知られたくない俺は言葉を濁す。

葉月「あれから何もなかったんですか?」

聞き耳を立てていた葉月さん。彼女も気になっていたようだ。

詠「……えっと、少しばかり生活の乱れを感じます」

正直に意見を述べると、どういう意味だ!? と二人から突っ込みが飛んでくる。

蓮「ということは一線越えたのか?」

詠「いえ、ギリギリセーフです」

葉月「ギリギリ!? それはもうアウトだと思うんですけど……」

そうです。多分アウトですね。
170 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/26(火) 00:21:38.04 ID:8bTA9fL70
そんな感じで仕事をしながら、あれこれ問答を繰り返していた。

蓮さんや葉月さんにはある程度喋ってしまっても構わないと俺も思っている。

蓮「あー、こりゃ凛が聞いたら悲しむぞ」

葉月「卯月ちゃんもですね」

詠「すみません」

蓮「や、まあ、いいんだけどよ。ただ、身内だし、俺は凛を贔屓することにはなるからな?」

葉月「蓮くんと同じく、私も卯月ちゃんの応援しますよ!」

二人とも自分の妹の話になると少し誇らし気である。

葉月「ただ、詠くんが選んだことには文句を言うつもりはありませんよ」

蓮「そういうこと。自分でしっかり決めるべきだろ、こういうことはさ」

詠「そう……ですね」

自分が流されやすいのは黙ってた方がいいのだろうか……。
171 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/26(火) 00:22:24.61 ID:8bTA9fL70
仕事を続けて、気が付けば十四時。
我が姉は唐突にやってくる。

聖「詠いるか?」

蓮さんと葉月さんの注目を浴びながら聖姉ちゃん登場。

ちょっと二人とも、玩具が来た! みたいな顔しないでください。
そんなワクワクしたような二人に軽く会釈して聖姉ちゃんは綺麗な足取りで俺のデスクにやってきた。

詠「どうしたの?」

聖「休憩中だ」

詠「俺に用?」

聖「冷たいな。会いに来ただけだぞ」

詠「や、昨日俺にあんなことしといてさ」

聖「あ、ああ……夜のことはすまん」

違くって! 昨日の夜じゃなくて、昨日の昼!

ちらっと先輩二人を窺うと……ほら! すっごいにやにやしてる!
これは、また弄られるんだろうな。
172 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/26(火) 00:24:13.33 ID:8bTA9fL70
詠「外であんまベタベタするのは無しだよ?」

聖「家ではいいのか!?」

詠「常識の範囲内でなら」

聖「私の常識でいいか?」

これは嫌な予感しかしない。

詠「ダメ。家でもキス無し、ハグ無し」

聖「キスは今朝したし、ハグもいいだろ!」

今朝のは不意打ちだからノーカンだよノーカン。
内心でそう思っておく。

詠「キスはあれでおしまい。手なら繋ぐよ」

聖「ケチ!」

詠「うん?」

昨日襲ってきたのは貴女だよね? という気持ちを込めて視線を送る。
聖姉ちゃんは、うっ、と怯むと納得いってないような表情で俺を睨む。
173 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/26(火) 00:24:53.89 ID:8bTA9fL70
聖「お前はそうやって弄ぶんだな?」

詠「人聞きの悪いことを! もし弄んでたら姉妹全員と退廃的な生活を過ごしてるよ」

うんうんと頷く蓮さん。最低だ、と訴えるような眼で見てくる葉月さん。
というか、会話を聞かれていることが、今更ながら恥ずかしい。

そしてドン引きの姉。

聖「お前、何というか、そんなやつだったのか……」

詠「いや、弄んでないんだからいいでしょ別に。それとも弟離れする気になった?」

聖「それとこれとは話は別だろう!」

彼女自身、下ネタは好きで自分はヤリたいのに性にだらしないやつは嫌い、というよく分からない女性である。
これが俗に言う処女ビッチというやつか。
そう思ったけど、俺に対しては性に関してオープンすぎるというか……。
つまり、限定ビッチ? ……まあ何でもいいや。

あれこれやり取りをして聖姉ちゃんは戻っていった。
174 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/26(火) 00:25:51.14 ID:8bTA9fL70
詠「すみません、お見苦しいところを……」

蓮「愛されてるのな」

蓮さんが唖然としながら言う。義理とはいえ、姉弟で先ほどの話をしていたのが驚きのようだ。

葉月「というか、キスとかハグって何ですか?」

葉月さんは別に知りたくないけど、と聞こえそうな様子で尋ねてきた。

詠「そのまんまの意味です」

葉月「はあ……」

曖昧な返事でげんなりと返すのが彼女の精一杯のようだ。

葉月「蓮くんは凛ちゃんとそういうことできますか?」

蓮「いや、考えたこともないし、想像もできない。てかキモイだろ」

葉月「ですよね」

葉月さんは男の兄弟いないじゃないですかー。なんて言えるはずもなく。

蓮「でも詠の場合、義理だからなぁ」

蓮さんはフォローをしてくれる。
175 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/26(火) 00:27:51.74 ID:8bTA9fL70
葉月「何年来の姉弟なんでしょうか?」

詠「彼女たちとは十年くらいですかね」

葉月「そんなに長いのに恋愛感情に発展したんですか?」

蓮「まあ、今まで何もなかったのが不思議だと思おうぜ」

詠「いえ、恋愛感情はだいぶ前からあったと言ってましたよ」

蓮「お前が鈍感なだけか」

葉月「好きな子とかいなかったんですか?」

詠「学生時代に他の女性とお付き合いしたんですけど、何というか、なぜか上手くいきませんでしたね」

蓮「あー、多分お姉さんたちのせいだろうな」

葉月「詠くんシスコンですからねー」

そんな感じの話、昨日も聞いたんですけど。
というか付き合ってすぐにエッチだけはしたなんて言えない。

詠「シスコンは認めますけど、姉ちゃんは関係ないですよ」

蓮「お前、自分から告ったことないだろ」

詠「何で分かったんですか?」

この人エスパーだ、なんて思ったりした。
176 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/26(火) 00:28:46.20 ID:8bTA9fL70
葉月「それは詠くん、流されやすそうだし、告白されて付き合って結局普段と変わらずに家族優先にして振られちゃうって感じですかね?」

俺の質問に答えたのは、なぜか葉月さんで、彼女の言ってることも大方合っていた。
あれ? エスパーが二人。

蓮「想像できるなぁ……なるほど、それで恋愛に臆病って感じか」

葉月「だから答えを引き延ばしにしてるんですね」

詠「ええ、まあ、そういうことです。『好き』なんて言われて、適当に流されて付き合ったものの、結局、一月で別れてしまいましたからね。もうそういうのはウンザリなんですよ」

童貞は捨てましたけど。
にしても、思い出したくないなぁ……。

『私とはセックスできれば、それでいいんでしょ? 性欲の捌け口だけにされるのは嫌』

とは唯一の元カノの言だ。
確かにデートらしいものはしてなかった気がする。姉ちゃんと予定が……とか言って彼女に対して真摯な態度ではなかったんだ。
今となっては遅いが、今となって分かったことでもある。

彼女とは特別な存在。
その認識が弱かった。姉妹と同列に考えていたわけだから。

このまま結婚するんだろうなー、とか適当に考えてた当時の自分が恥ずかしい。
できるわけがないし、できても続くわけがないのだった。

ちなみにセックスと言えば、彼女と別れた後にサークルの行事とかで一夜限りのお付き合いということも何度かあったな……。ちょっとした黒歴史になりそうな気がする。
177 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/26(火) 00:29:49.36 ID:8bTA9fL70
詠「さっさと付き合った方がいいのかな……?」

デスクを見ながらぼそりと呟く。
アイドルのスケジュールをチェックしようとホワイトボードを見ると、ぎょっとした顔の先輩二人と目が合った。

詠「な、何ですか?」

蓮「何ですか……じゃねえよ!」

葉月「誰と付き合うおつもりで!?」

詠「えぇ……」

食いつき良すぎるでしょこの人たち……。
というか二人も結婚について考えた方がいいと思いますけどね。

二人に攻められたじたじしていると、ようやく事務所に数名のアイドルが入ってくる。

未央「おーっすプロデューサー!」

茜「プロデューサー元気ですかーーーー!! 私は、元気っですっ!!」

藍子「こんにちは、詠さん」

我がポジパの面々だ。
これにて質問攻めの流れはぶった切られた。
178 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/26(火) 00:30:41.02 ID:8bTA9fL70
詠「や、こんちはー。助かったよ。やっぱ俺の愛しのアイドルちゃんたちだー」

未央「へへっ、プロデューサーの愛しの未央ちゃんだよー」

茜「愛と気合と元気があれば何でもできますからね!!」

藍子「詠さん……」

ノリノリでリアクションを取ってくれるのは未央ちゃんと茜ちゃん。
藍子ちゃんは何故か物悲しげな表情で首を横に振った。本当に何故だ。

藍子「そんなことばっかり言ってると、また誰か勘違いさせちゃいますよ?」

詠「え、勘違いって何?」

呆れたような眼差しで俺を見て溜息を吐く藍子ちゃん。
そのまま俺の横まで来ると、フッと軽く笑って柔和かつ優し気な雰囲気で俺の横を通り過ぎていった。

ちょっと今の何!? 藍子ちゃーん!?

葉月「詠くん、聞いてます?」

蓮「というか付き合うとしたら誰なんだ?」

く、しつこい。
解放されたと思ったらされてなかった。

詠「うーん、誰か一人にしろって言われてもすぐには……」
179 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/26(火) 00:31:21.50 ID:8bTA9fL70
蓮「じゃあ、お前が一番タイプなやつで選べばいいんじゃないか?」

詠「うーん、タイプですか……」

一番俺の好みの顔は……卯月ちゃんなんだけど……笑顔がたまらないし、可愛い。
でも姉ちゃんたちや凛ちゃんを傷付けたくない。
っていうのはきっと俺のエゴなだけ……。
誰かを選ばなきゃみんな辛いだろうし……。

ああ、ハーレム系の主人公って凄いんだなぁ……。あんなにいろんな人から好意を向けられて、悪気なんて微塵も無くのらりくらりと躱すんだからさ。

あれ? それって最低じゃない? 好きって言ってんのに伝わってないってことでしょ?
そのうえ自分は罪悪感も無いと……。悪意すら感じる。

という人間に俺は片足を突っ込んでいるというのか……。悲しい。

まずはこの状況を認めて受け入れないとダメってことだ。
そして他の女の子との接触もなるべく避ける。

さて、ハーレムを早々にぶち壊そう。

そんな決意をした日の夜。

蓮「お疲れさん。そんじゃ詠、凛のことよろしく」

葉月「お疲れ様でした。卯月ちゃんのこともよろしくお願いしますね」

詠「はい、お疲れ様です。テストは明日からですので、これでおしまいですよ」
180 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/26(火) 00:31:53.29 ID:8bTA9fL70
蓮「あ、そう。残念だったな凛。最終日だからって迷惑かけんなよ?」

凛「う、うるさいな。早く帰ったら?」

蓮「愛しの詠の前なのにそんなこと言うなよ」

頬を赤く染め、苛立った様子で蓮さんを睨む凛ちゃんだったけど、俺のことを指摘されるとさらに顔を真っ赤にさせてうぐっと、言葉を詰まらせる。

葉月「卯月ちゃんもお勉強しっかりね。点数伸びなかったら詠くんに申し訳ないし……でも最後の日だし、しっかりと彼のハートを射止めなさい!」

ビシッと人差し指を卯月ちゃんに向けてご指導ご鞭撻を怠らない葉月さん。
俺はもうこの人のキャラがどうなってるのか全く分からない。

卯月「お、お姉ちゃん! 恥ずかしいからやめて! 詠さん、こんな姉でごめんなさい!」

対して卯月ちゃんはお姉さんに、わっと文句を言うと、俺に振り返ってぺこぺこと頭を下げていた。

詠「はは……」

もう笑えばいいと思いました。

けれどもやるべきことは全力でとりかかる。

俺達は応接室に移動して勉強を始める。
181 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/26(火) 00:32:36.28 ID:8bTA9fL70
詠「そうそう。卯月ちゃん、数学かなりできるようになりましたね! ちゃんと復習してるんですね、偉いです! 教えた甲斐があります」

卯月「えへへ……詠さんのおかげです!」

今日は何だかいつもより距離が近い卯月ちゃん。
ふわっとした癖っ気の長髪から、これまたふわっとしたいい匂いが俺の鼻腔をくすぐった。

卯月「あれ、詠さんどうしたんですか?」

多分、顔が赤くなったのだろう。
自分でも分かるほどに顔が熱くなっている。

詠「いえ、何でもないです」

ふいっと顔を背けた先には、じぃっと見つめてくる凛ちゃん。
ムスッとした表情に吸い込まれそうな瞳、何だか責められている気がしてしかたがない。

詠「凛ちゃん……?」

凛「別に?」

まだ何も言ってないよ!
好意を持たれてる相手二人から板挟みにされてるのって息苦しい。

詠「あ、あの、凛ちゃん……わからない所ありませんか?」

凛「別に」

いやぁ、きついっす。
突き放すのも突き放されるのもきつい小心者の俺はいったいどうすればいいんでしょうか。
182 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/26(火) 00:33:59.96 ID:8bTA9fL70
がっくりと項垂れるが卯月ちゃんも勉強に集中し始めてこちらを見ていない。

しかたないのでしばらく二人の様子を見ているが、特に勉強に躓くこともなく手持無沙汰になってきてしまう。

どうしようかなんて思っていたら、応接室の扉が開いて慶ちゃんが顔を覗かせる。

慶「やっほ、卯月ちゃん、凛ちゃん、お兄ちゃん」

卯月「あ、こんばんは!」

凛「こんばんは」

詠「よ、てかまた来たの?」

慶「あ、酷いんだ! せっかくこんなに可愛い妹が来たって言うのにさ! それはそれとして、お兄ちゃんがいたいけな華のJKにいかがわしいことをしてないかチェックしに来たんだよ?」

詠「しないってば」

俺への信頼薄すぎるだろ。

慶「ちなみにお姉ちゃんたちはJKの若さという武器に為すすべもなく勝手にダメージを受けてお帰りになられましたー」

詠「あ、そう」

本当どうでもいいけど、姉さんたちの悔しがってる様子が目に浮かぶな。特に麗姉さんはアラサーだし、もしかしたら婚期に余裕無いかもしれない。
183 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/26(火) 00:35:03.14 ID:8bTA9fL70
慶「ま、実を言うといかがわしい云々は建前で、この子たちがお兄ちゃんにアプローチしてないか心配だというのが我が家の総意なのです」

卯月「ええっ!?」

凛「は、はぁ!?」

詠「ははは、慶ちゃんや聖姉さんじゃあるまいし」

慶「何だとおぅ!」

そう言って卯月ちゃんと凛ちゃんがいるのも気にせず、ソファに座る俺にダイブしてくる慶ちゃん。
そのままの勢いでちゅっちゅしてくるのはやめてほしい。
JKが見てるのでさらに恥ずかしい。

詠「こら、やめ……んむっ!」

慶ちゃんが音を立てながら俺の唇にキスをする。
ついばんだり、舐めたり、吸ったりしてまるで音を鳴らして遊んでるかのように俺の唇を弄ぶ。

慶「えー? 兄妹なんだからいいじゃーん。あ、もしかして汗臭い? さっきまでレッスンしてて汗かいちゃったし……」

俺の太腿に跨って向かい合う姿勢で急に何乙女な反応してんだと思う。
近い。さっきまで汗かいてたとは思えないほどいい匂いするんですけど……。
いつものお風呂上がりのフローラルな感じじゃないけど、女の子の汗ってこんないい匂いなの? なんかえっちだ。
184 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/26(火) 00:35:41.27 ID:8bTA9fL70
詠「や、べつ、べべ、別に臭くないですけど、ですけど?」

慶「あはは、動揺しすぎー」

凛「慶さん!」

卯月「ダメ〜!」

卯月ちゃんと凛ちゃんは二人がかりで慶ちゃんを俺から引き剥がそうとするが、慶ちゃんも負けじと俺にしがみついて抵抗している。

慶「やだぁっ!」

にこにこ笑ってるのは彼女たちに対する余裕の笑みか……。
とにかく楽しそうだ。

慶「んぉっ!?」

いきなり、素っ頓狂な声を上げる慶ちゃんだったが、みるみるうちに顔が赤くなって俺の太腿をズボンの上から触る。

慶ちゃんが声を上げた拍子に卯月ちゃんも凛ちゃんも何事かと手を止めてしまった。

慶ちゃんの手が腿から股間へと徐々に移動していき、突起にちょこっと触れると、むふっとゲスっぽい笑いを浮かべて見せた。
185 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/26(火) 00:36:31.00 ID:8bTA9fL70
詠「慶ちゃん! ここ事務所だからっ!」

俺の慌てっぷりにびくりと驚くアイドル二人。
彼女たちの純情を汚したくはない……。

慶「お兄ちゃんさぁ……」

詠「待てって!」

慶「勃起してるね?」

詠「わあああああ! してないしてないしてないしてにゃぁぁああ!!」

慶「ほら、卯月ちゃん、凛ちゃん見て?」

詠「いい加減にしろって!」

卯月ちゃんも凛ちゃんも完全に動きを止めて、慶ちゃんを取り押さえるのを止めてしまったようだ。

俺はすぐさま慶ちゃんを引き離そうとするが、ぎゅっとしがみついたまま俺の後部へと器用に移動すると、ぐいっと両手を後ろで捕まえられ、上半身の動きが取れなくなる。

慶「ほら、卯月ちゃん、凛ちゃん、触ってみていいよ? 妹の私が特別に許可しちゃう!」

詠「許可するなっ! 二人とも駄目だから!」

おろおろとする二人、欲求と俺の言葉の板挟みに葛藤しているようだ。
186 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/26(火) 00:37:14.64 ID:8bTA9fL70
慶「本当はお兄ちゃん溜まってて、触ってほしいんだよ。ほら、あんまり抵抗しないでしょ?実は昨夜も聖ちゃんに迫られてセッ〇スしそうになったんだから!」

こいつぅ……べらべらと本当のことを話しやがって!
あら、アイドル二人は頭の上から首まで真っ赤にさせちゃって、初心な反応をしていらっしゃって、可愛らしいこと。
ごめんね! 俺のせいで汚れちゃうね!

凛「ご、ごめん詠さん……」

最初に動いたのは凛ちゃんだった。
恐る恐るかと思いきや、結構思い切ってぎゅむっとズボンの上から俺の陰部を触りましたとさ。やっばい、背徳感とか罪悪感とかいろいろあるけど、それらがいい感じでミックスされてて、気持ちいい。

いやいや、とにかく言い訳無しに気持ちいいかも。
昨日抜いたのにすぐに復活するからダメだこりゃ……。

じゃなくて! 流されちゃダメだろ! 何とか止めさせないと……。

凛「硬い。骨……みたいかな?」

卯月「り、凛ちゃん……」

凛「卯月も触って、みる?」

相変わらず真っ赤っかな卯月ちゃんはこくこくと頷いて、恐る恐る手を伸ばす。
187 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/26(火) 00:37:46.43 ID:8bTA9fL70
詠「待ってください卯月ちゃん。流されちゃダメです。学校のテストで良い成績だったら私にできることなら何でもしますから、今は我慢してください」

卯月「な、何でも……」

ゴクリと生唾を飲む卯月ちゃん。意外とむっつりなのか?

卯月「で、でででで、デートでもいいんですかっ!?」

と思いきや華も恥じらうJKらしく、要求してくることが俺的に何段階かランクダウンしたので助かった。

凛「詠さん、私は?」

詠「凛ちゃん、触りましたよね?」

凛「ノーカンってことで……」

詠「でも触り……」

凛「すみません、無かったことにしてください」

ソファに座る俺の横で頭を下げる凛ちゃん。そこまでするのか……と俺は困惑してしまったが、土下座しそうな勢いすら見せていたので、俺はしかたないなーと言って凛ちゃんに顔を上げるように促す。

詠「じゃあ凛ちゃんは学年で30番以内を取ってください。そしたら何でも言うこと聞きますよ?」

凛「言ったからね。約束だからね」
188 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/26(火) 00:38:38.47 ID:8bTA9fL70
これでもかというほど念を押すように問い詰めてくる凛ちゃん。
そんなに必死にならなくても……と思わなくも無いが、それよりもなんて効果覿面なのだろうか。
俺が条件出して何でも言うこと聞くよと言っただけでこんなにあっさり引き下がるなんて……。

慶「あれ? 何さ、つまんないなぁ……」

詠「おい慶ちゃん、そろそろ離せ。もう一生口聞いてやらんぞ? あと、俺の部屋に入るの禁止にするし、起こすのもやめるし、ていうかもう接触するの禁止」

慶「わー、ごめんなさい! 調子に乗りすぎました! もうしません! 許してください!」

詠「うん。ていうか、女子高生とこんなことしてるのばれたら俺即行クビで刑務所行きになるし、慶ちゃんたちとも事務所でいかがわしいことしたら俺すっごい処分くらうから止めてね?」

慶「むぅ……」

膨れてないでマジでお願いします。
俺もそうだけど、姉ちゃんたちは後先考えない所あるから怖いんだよな……。まだ常識があるのは麗姉ちゃんくらいだよ。

詠「本当みんなも勘弁してよ? 俺この仕事まだ辞めたくないよ」

ちょっと汚いけど、みんなも辞めてほしくないでしょ? というニュアンスを含めているつもりだ。相手の好意を利用しているようで罪悪感に襲われる。

卯月ちゃんも凛ちゃんも俺に謝ると、本当に申し訳なさそうにしょぼんとしていた。
189 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/26(火) 00:39:30.93 ID:8bTA9fL70
詠「慶ちゃんも……ね?」

慶「うん、わかった」

聞き訳が良くてお兄ちゃん嬉しい。でもトラブルを作らないのがお兄ちゃん一番嬉しいから、今度からは大人しくしてほしい。

俺のすごい釣り竿も、ナニも釣れないものだから次第に張りが収まっていった。

慶「じゃあ続きは帰ってからでいいよ……」

詠「ぶふっ……!!」

噴き出して思い切り咳き込んじゃったじゃないか。
何言ってんだこの義妹は……。

詠「しない! この子たちの前で変なこと言うな! 本当にごめんねバカな妹で!」

慶「私は本気だよぉ。お兄ちゃんの性処理するよ?」

夜のテンションだからなのか分からないが、下ネタ全開の慶ちゃんのせいで卯月ちゃんと凛ちゃんは耳を真っ赤にして俯いてしまってる。

詠「いらない。一人でできるし……じゃなくて、変なこと言うなって!」

慶「聖ちゃんとは……」

詠「いや、いいからもう帰れって。卯月ちゃんと凛ちゃん、勉強するから。それに女子高生に聞かせる話じゃないだろ」

俺は慶ちゃんの言葉を遮った。
何のつもりか分からないが、俺から慶ちゃんに対する好感度はすこぶる低下してるんですけど。
190 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/26(火) 00:40:08.05 ID:8bTA9fL70
慶「そうかな私は興味あったけど」

詠「あっそ、俺は興味無い」

卯月「勉強、続けましょう?」

凛「詠さん、ここ分からないから教えて」

二人はすでに勉強する気満々で凛ちゃんも珍しく分からないところを教えてほしいと言ってくれた。

詠「あ、もちろんいいよ。ちょっと見せて……あー、じゃヒントあげる。この場合分けまではいい感じ。後はこの式とこの式を比較してみて? 同じグラフに書いてみて視覚化するといいよ」

凛「ん……あ、そっか。この二式は接点無いんだね」

詠「そうそう。もう答え出たね、流石凛ちゃん」

凛「ん、ご褒美は?」

詠「へ? ご褒美?」

ずいっと頭を向けてくる凛ちゃん。
な、なんかたまーに大胆だよなこの子と思いながら、彼女の頭に触れる。
サラサラの長髪を梳くように指先で撫でてやると、目を細めて俺の方に身を寄せる。
続いて髪の流れる方向に沿って手全体で撫でる。
凛ちゃんは甘えるように俺の胸に頭を、ぽす、と乗せて上目を使って微笑んだ。

何だこの子。ちょー可愛いんですけど……。
いつものクールっぽい感じとのギャップが堪らないんですけど……。
191 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2017/12/26(火) 01:03:03.73 ID:8bTA9fL70
中断します。メリクリですね。
なぜ私は聖なる夜にこんな駄文を投稿しているのか……。
皆さんはいかがお過ごしでしょうか?

ポジパは残念ながらこの作品ではPにこれ以上接近することはありません。
実はこれとは別にエロ展開を無しにしたCEROA版を執筆しております。
そちらは姉妹が登場しつつも、ポジパメインでアイドルとプロデューサーの恋愛青春群像活劇的な感じで話を展開しています。
まだまだ書き溜めも無く、投稿予定も全くありませんが、今書いてるお話が終わってまた何かssを書きたくなったら、
そちらを完結及び投稿しようかなぁと思っております。

>>163
エロコメ的な展開に向いてる性格の方が扱いやすかったってところですね。
それと四姉妹の中で『実は下ネタを一番言いそう』なイメージだったので。
完全に偏見ですね。ベテラントレーナーファンの皆さん、すみません。
でもちょっぴり変態でエッチな聖姉ちゃんを好きになってくれたら幸いです。

中書きが長くなりました。
完結までまだ時間がかかると思いますが、今後ともよろしくお願いします。
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/26(火) 19:15:29.68 ID:c/EZcvmU0
タイトルもトレーナー姉妹なわけで、姉妹が幸せにエロが見られれば満足よ。
193 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/03(水) 23:26:48.73 ID:8Si6LoR40
詠「って、こらこら、テストで30番以内だったらご褒美でしょう?」

あっぶねー。甘やかすところだったわ。

凛「そうだった。詠さん、急にタメ口になったから距離近くなったなって思ってつい……」

あ、そういえばすっかり敬語が抜けちゃって……まあ物理的に距離が近くなれば抜けもするか。
抜けるってそういう意味じゃありませんからね! って誰に言い訳してるのか俺は……。

というか、つい……、じゃないよ。

凛ちゃんは少し名残惜しそうに俺から離れる。
勉強に戻る前に、俺のズボンに視線を移したのはきっと気のせいだ。
その時の舌打ちしたのはどういうこと? 俺の聞き間違い? きっと俺の聞き間違いに違いない。

華も恥じらうJKが股間の膨らみ具合を見て、不満そうに舌打ちするわけないもんね!

俺が戦慄していると、凛ちゃんの逆側から顔を覗かせる卯月ちゃん。

卯月「詠さん! 私もこれ分かりました! はい!」

問題を解いた答えが書いてるノートじゃなくて、先に頭を出してくるのはどうなのでしょうか。
194 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/03(水) 23:27:32.25 ID:8Si6LoR40
詠「あ、うん、まずノート見せてね?」

ぽん、と出された頭に手を置いて彼女のノートを受け取るためにもう片方の手を差し出した。
卯月ちゃんは恥ずかしそうに身をよじらせて、おずおずとノートを差し出す。

詠「はい……あれ、答えが違う……」

卯月「え、そんな……」

や、そんな落ち込まなくても……。

詠「うん、うん……でも大丈夫だよ、解き方は合ってるからね。多分途中で計算ミスしてるだけだし、落ち込まないで」

よしよしと頭を撫でる。
卯月ちゃんは、ほんわかとした表情になった。
目を蕩けさせたような表情にも見えたけれど、きっと見間違いに違いない。

慶「ちょっとー、お兄ちゃん?」

何、その責めるような目は……。
やめてくれよ。

もともとはお前のせいだぞ?
変な風に手を出してくるから……。
彼女たちのタガを緩くしたのは慶ちゃんだからね?
195 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/03(水) 23:27:59.41 ID:8Si6LoR40
詠「慶ちゃん、帰らないの?」

慶「もう遅い時間なのに、一人で帰らせる気? それにお兄ちゃんが何か変なことしないか、その逆の監視も兼ねて残ることにしたよ」

詠「はあ……わかった。けど……」

慶「わかってるよー。もう大人しくしてるから!」

慶ちゃんはそう言うと向かいのソファに座ってスマホをタスタスサッサッと動かし始めた。

俺のスマホからテロリロリン♪と鳴るところから、どうやら俺にメッセージを送っているのだろうか。

詠「あ、ごめんね」

自分のせいで勉強中の二人の集中力を欠かせてしまったことを謝って、サイレントマナーにするためスマホを鞄から取り出す。

機器をパッパッと操作して、サイレントマナーにする。
その間にもどんどんメッセが更新されていく。
何だ何だ……と10秒に1メッセ程の勢いで来る通知に困惑しながらアプリをチェックすると、『青木姉妹(兄弟)』と記されたグループの未読メッセージを表す数字が増えていく。
196 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/03(水) 23:29:05.06 ID:8Si6LoR40
『青木姉妹(兄弟)』

慶『お兄ちゃん、卯月ちゃん、凛ちゃんで勉強会なう』
慶『お兄ちゃんデレデレしてる』

聖『けしからん』

麗『そのくらいいいだろう別に』

聖『ダメ』
聖『島村妹も渋谷妹も詠のことが好きなのを姉さんは知らないのか?』

麗『知ってるが、私たちは家で会えるからな』

明『まあ問題無いってことじゃない?』

聖『甘い』
聖『甘すぎる』
聖『そんなんだから未だに結婚できないんじゃないか?』

麗『家に帰ったら憶えておけよ?』

慶『聖ちゃん煽り方上手すぎて引く』

聖『引くって何だ』
聖『?』

明『デリカシーゼロ女ってことじゃない?』
197 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/03(水) 23:29:57.47 ID:8Si6LoR40
聖『私は帰ったら姉さんの餌食になるが、明は帰ったら私のストレス解消に付き合ってもらおう』

明『やだよ』
明『じゃあ帰ってこないで』

聖『もう家に向かってる』

麗『歩きスマホはやめろ』

聖『早速突っかかってくる』

慶『笑』
慶『それは被害妄想じゃない?』
慶『歩きスマホは本当に危ないから気を付けてね』

明『ていうか、これ詠も見てない?』
明『既読4になってる』

慶『またお兄ちゃん卯月ちゃんの頭撫でてる』

明『は?』
明『何それ』

聖『ロリコンしね』

麗『犯罪はやめてくれよ。頼むから』

詠『誤解です』
198 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/03(水) 23:30:51.31 ID:8Si6LoR40
慶『何か、問題に正解するたびに撫でてる』
慶『ご褒美だって』
慶『お兄ちゃんマジキモイ』

明『きも』

聖『しね』

麗『気持ち悪い』

詠『二人がやってって言うから』

明『凛ちゃんにも同じことやってるって自白したよ』

聖(蔑んだ目のスタンプ)

麗『言葉も出ない』

詠『勉強に戻ります』
詠『慶ちゃん、実況するのやめて』

慶(難聴系猫のスタンプ)

麗『慶、続けて』

聖(睨みを利かせてるスタンプ)

明『やめたら私のストレスは慶ちゃんに向かうわね』

慶(OKとジェスチャーしている猫のスタンプ)

俺はそこでスマホを置き、二人の勉強に集中した。
正解したら頭よしよしのご褒美は無しにしてもらい、そういったことが姉たちに筒抜けになってることを伝えた。
199 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/03(水) 23:31:24.50 ID:8Si6LoR40
勉強が終わり、二人を家まで送ったのだが、慶ちゃんは帰路に着くとずっとグチグチと文句を言い、帰ってからも姉妹たちに素っ気なくされたり、愚痴を言われたり、居心地が悪かった。

一体、俺の今後の生活はどうなっていくのだろうか……。

時は流れてテスト明け。

茜「いや〜! 全然ダメでした!!」

未央「私も!」

藍子「すみません、プロデューサー……」

詠「あはは……ま、次回頑張ろうね。進学するつもりならなおさら頑張ろうね」

藍子ちゃんは各教科平均以上という普段のゆるふわからは想像できない成績の良さだったのだが、残った二人はそれは酷かったらしい。
未央ちゃんは一年だし、まだ挽回の余地はあるのだが、茜ちゃんは目も当てられないだとか……。
直前に勉強してもあまり効果は無いよなぁ……。
藍子ちゃんは何故か自責の念に駆られてる。貴女のせいじゃないよ。

卯月ちゃんと凛ちゃんはまだ来ていないが、テスト期間中も勉強のために応接室に残り俺と勉強をしていた。
初日の科目が難しかったらしく、それはもう残りの日数は死に物狂いで頑張っていたのだが、結果はどうだったのだろうか。
200 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/03(水) 23:32:08.69 ID:8Si6LoR40
詠「さ、切り替えて明日のライブに向けて準備しよう。みんなは本番大丈夫?」

ポジパの三人に尋ねると、こちらも元気よく返してくれた。

未央「バッチリだよ! みんなを笑顔にしちゃうからねっ!」

茜「本番って言う響きがもう熱いですよねっ!!」

藍子「はい、任せてください」

詠「頼もしいなぁ。勉強もしっかりやろうね」

未央「うっ、プロデューサー、今日は説教キツイね〜」

詠「何言ってんのさ。何事にも全力に取り組む! それこそがポジティブ、そしてパッションだよ」

茜「確かに! プロデューサーいいこと言いました!」

詠「でしょう?」

藍子「私たちもライブだけじゃなく、いろんな仕事にもっと積極的にアプローチしないといけないんですね」

詠「そだよー。そんじゃ最後のレッスン行っておいで」

そうして俺は彼女たちを送り出す。

今日のレッスン担当は聖姉ちゃんだったはず。
俺の担当アイドルユニットってこともあって、歌とダンスを合わせた総合レッスンは厳しく指導していたようだが、彼女たちは筋が良いと言ってたっけ。特に茜ちゃん。
藍子ちゃんはもっと頑張らないとダメって言われてたけど、最近はそういうこと聞かないな。
201 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/03(水) 23:32:48.10 ID:8Si6LoR40
俺も明日の段取りをチェックしたり、各方面にも確認のやり取りをしたり大変だ。
CDを現地販売して、その場で彼女たちから受け渡し、お客さんと握手してちょこっと会話したりするだろう。
トラブルが無いように気を付けないと……。

あれこれ考えていると卯月ちゃん所属のユニット、ピンクチェックスクールと凛ちゃん所属のユニット、トライアドプリムスの面々が事務所に姿を見せる。

加蓮「やっほープロデューサー」

蓮「おう」

奈緒「よっす、プロデューサー」

蓮「よっすー」

凛「詠さん、こんにちは」

詠「こんにちはー」

蓮「おい、担当プロデューサーである俺への挨拶は?」

凛「は? 兄貴なんだし、別にいらないでしょ?」

蓮「親しい仲にも礼儀ありっつってな……」

凛「はいはい、こんにちは」

蓮「何だ、急に素直だと気持ち悪いな」

凛「うざ……ていうか別にそんな親しくないし」

蓮「まあ、そうかもな。でも家族だろ」

凛「知ってる? 兄妹って一番近い他人って言われることもあるんだよ?」
202 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/03(水) 23:33:33.43 ID:8Si6LoR40
加蓮「うわ、いつになくキツイね凛」

蓮「もう詠にしか眼中に無いって感じだしな」

奈緒「そんなに好きなんだな……何か羨ましいかも」

加蓮「あれ、奈緒ってば意外と乙女チックだよね」

奈緒「いいだろ別にっ! アニメも好きだけど少女漫画も結構好きなんだからな」

加蓮「あはは、乙女チックなのと少女漫画好きなのは関係無いと思う」

蓮「そうだな。少女漫画好きが乙女チックって完全に俺と一緒の発想だぞ」

奈緒「え、プロデューサーも同じなんだ……」

蓮「ああ、まあな」

奈緒「ふーん、一緒ねぇ……」

加蓮「やっぱ奈緒って乙女チックだよねー」

そんなやり取りを聞きながら俺は明日の計画に再び目を通していたのだが、いつの間にか凛ちゃんが俺の隣に立っている。
逆の横には卯月ちゃん。

卯月「詠さん、こんにちは!」

詠「あ、こんにちはー。二人ともどうしたの?」
203 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/03(水) 23:34:20.48 ID:8Si6LoR40
凛「詠さん、見て」
卯月「私もどうですか?」

二人が取り出したのは一枚の紙切れだった。
その細長い紙には数字がいくつも並べられており、数字の上部には科目名が書かれていた。
一番端には順位が書いてあり、凛ちゃんはその欄に『27/355』、卯月ちゃんは『89/468』。
なかなか上位に位置しているようだった。
さらに前回との比較もあり、順位はそれぞれ『40↑』、『144↑』と書かれている。

詠「おー、中間からどのくらい上がったかも書いてあるんだ。二人とも大幅アップかな?」

卯月「じゃあ……」
凛「約束」

にこにこ笑顔の卯月ちゃんとギラギラした瞳の凛ちゃん。
そうでした。何でも言うこと聞くってやつ忘れてた。

詠「俺の出来る範囲でお願いします」

卯月「じゃあ、今度一緒にお出かけしましょう! 遊園地行きたいです!」

えー、何この子。ちょー可愛い。
そんなのいくらでも付き合っちゃうんですけど!

詠「うん、いいよ。じゃあいつ行くか後で決めよう」

卯月「はい!」

詠「凛ちゃんは?」

凛「私と結婚」

詠「は?」

えー、何この子。ちょー怖い。
いやマジでちょっと待て。
204 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/03(水) 23:35:12.71 ID:8Si6LoR40
詠「ごめん、それは無理!」

凛「何でも言うこと聞くって」

詠「言ったけど! 言ったけど! そんなお願いされるとは思ってなかったというか……もっと卯月ちゃんみたいなデートかと思ったんだけど……違うの?」

凛「結婚して」

いやいや、ていうかまだ年齢的にも結婚できないよね?
それに結婚決めるの早いよ。大学出てからでもよくない?
それにアイドルとしてまだ咲き誇ってないよ?

詠「やっぱダメ! ダメ! 結婚は無し! 婚約もダメ! もうちょっと現実的にお願いします」

凛「結婚は現実的じゃないの?」

小首を可愛らしく傾げてもダメ!
上目づかいで尋ねてもダメ!

詠「全然現実的じゃないよ! 俺の気持ちも考えて」

凛「しょうがないなぁ……」

えー、そんなに大仰に溜息吐かれても……なんか俺が悪いみたいだし。
205 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/03(水) 23:35:55.41 ID:8Si6LoR40
凛「じゃあ考えとくから後で言うね」

詠「うん、わかった。でも既成事実を作るようなことは無しね。そういうのは応じないからね」

凛「……チッ」

今舌打ちした! あっぶねー、良かった釘差しといて。
最近になって大胆過ぎるよ凛ちゃん……。
デートコースにしれっとラブホテルとか入れかねないよな。
しかもそれで捕まるの俺なんだよな。

蓮「詠よ、お前そんな約束したのか……」

詠「すみません……」

葉月「だから卯月ちゃん、いつもより頑張ってたんですね」

俺はゆっくりと床に膝を付けた。

蓮「いや、土下座はしようとしなくていいんだが、何と言うかご愁傷様……。俺も凛がそこまでお前にベタ惚れとは思わなんだ。もはや病的だな」

だったら何とかまともな子に戻してくださいお義兄さん。

葉月「詠くん大変かもしれないですけど、卯月ちゃんのことよろしくお願いしますね」

こっちは安心だなぁ……。

恐らく、姉たちに強引に行けば意外と行けるとか聞かされてしまったのだろうか。
確かに俺は流されやすいし、相手のことを考えるとあんまりノーとは言えないイエスマンだけど、さすがに断ることも覚えていかないと、まずそうだぞ。
206 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/03(水) 23:36:24.30 ID:8Si6LoR40
中断します。
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/04(木) 02:20:57.01 ID:OvVXk97io
おつおつ
208 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/06(土) 00:04:39.31 ID:0SC9hSRk0
そんなこんなで翌日。

詠「おはようみんな、今日は頑張ろう」

茜「頑張りましょーーーーっ!!!!」

未央「お、おー……」
藍子「は、はいっ……」

やっぱり小さい会場といえど初ライブだし緊張するよね。
茜ちゃんの心臓だけでなく、毛細血管にも毛が生えたような人は珍しいはずだよね。

詠「二人とも茜ちゃんを……全部とは言わないからちょっとは見習おう?」

未央「って言われても……」

藍子「無理ですよ〜……」

詠「うん、知ってる」

茜「何やってるんですか皆さん!! 未央ちゃん、藍子ちゃん! 張り切っていきましょう!!」

ところで今日の茜ちゃんは何か一段と気合が入っているな。
良いムードメーカーになってくれてるんだろう。
209 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/06(土) 00:05:39.23 ID:0SC9hSRk0
詠「茜ちゃん、今日はさらに元気が良くて安心したよ。歌もダンスも二人を引っ張って行ってあげて!」

茜「……」

ん? 何で何も言わないの? 聞こえなかったのか?

詠「茜ちゃん」

ぽん、と肩を叩くとビックゥ! と上下に大きく身体を震わせてこちらを向く。
そんな彼女の額からはあ汗が滝のごとく流れ、瞳は右と左を行ったり来たりしている。

詠「おーい、一段と声がでかかったのって、実は緊張から?」

茜「じ、じじじ、実はそうなんですっ!!!!」

そうなんですかっ!!
これは参ったな、よく見たら茜ちゃんもガッチガチに身体固まっちゃって歩くのもぎこちない。

詠「困ったな。まあ大丈夫、大丈夫。最初のステージなんだから別に失敗してもいいし、あれだよ。別に今日のお客さん、お金払ってる人いないからさ。ただの売り込み。宣伝だよ」

というわけなのでわまり深く考えずに楽しんでもらおうと思ったのだが、どうも緊張感が高まってしまって、それどころでは無さそうだ。

詠「うーん、しかたない」

本番まであんまり時間が無いのだがちょっと電話でもかけてみよう。
210 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/06(土) 00:06:28.91 ID:0SC9hSRk0
俺が繋いだ先は明姉ちゃん。

明『どうしたの詠? 担当アイドルの初ライブで緊張しちゃった?』

詠「あー、まあね。というわけで彼女たちに助言お願いします」

明『はい? 詠じゃないの!?』

詠「どうして俺が緊張するって思ったんだ……」

明『た、確かにそうね……。だけどそう言われてもなぁ』

詠「見事緊張が解けたら、ケーキでも買ってくよ」

明『ケーキは要らないわ。その代わり私とお出かけね?』

詠「お出かけ……?」

明『そう。このライブ終わったらちょっとお休み貰えるんでしょ?』

何で知ってんだよ。

明『はい、じゃあ電話替わって』

詠「あ、うん。でも変な所に連れ回すのはやめてよ」

明『わかってるわよ』

本当かよ? とは思いながらもとりあえずは彼女を信じるしかないか。
211 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/06(土) 00:07:29.02 ID:0SC9hSRk0
詠「未央ちゃん、電話だよ」

未央「え、え、こんな時にいったい誰なのさ〜」

困惑し、緊張の面持ちで電話を受け取る未央ちゃん。

明『未央ちゃん?』

未央「え、トレーナーさん?」

明『はい、三女の明です。あなたたちのプロデューサーの義姉です』

未央ちゃんが俺を見る。
ああ、そういえばこいつの姉妹ってトレーナーさんだった、と言わんばかりの意外そうな眼差しが突き刺さる。

明『未央ちゃん、今までやって来たことを思い出してください。貴方達ならできます。ほら昨日の厳しそうなトレーナーも言ってませんでしたか?』

未央「え、何て……?」

明『「バッチリだ」って』

未央「あ」

明『自慢じゃないんですけど、うちの姉、長女と次女なんですけどね? 二人がバッチリっていう評価をすることは珍しいんです。だから自信持っていいですよ。というか自信持ってください。じゃないと姉に本番に弱いやつだって思われますから』

未央「は、はい! 頑張ります!」

明『後、ライブ成功したらプロデューサーもご褒美を用意してくれてるみたいですから楽しみにしてください』

未央ちゃんは緊張の面持ちが解けて少し笑みを浮かべた表情だ。
どうやら効果があったらしい。
212 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/06(土) 00:08:11.50 ID:0SC9hSRk0
その後、茜ちゃん、藍子ちゃんも同じように電話をして、自分の調子を取り戻す。

詠「おー、何か明姉ちゃんのおかげでみんなの顔も良くなった。ありがとう」

明『そうでしょう? 約束通り今度私に付き合ってね。あと、終わったら美味しいもの食べさせてあげなさいよ』

詠「わかったわかった。本当ありがとうね」

明『ん、じゃあね』

詠「うん」

通話を切って彼女たちに向き直る。

詠「どうだ。師匠からのお言葉は」

未央「ははぁ……ありがたき幸せ」

詠「それはちょっと違うと思う」

藍子「でも元気出ました! 緊張も和らぎましたし」

茜「私も私らしく張り切っていきます!!」
213 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/06(土) 00:08:39.60 ID:0SC9hSRk0
よかった、よかった。
これもみんな明姉ちゃんのおかげだな。
ていうか俺しっかりしなきゃだめだ。姉ちゃんに頼ってばっか。

ということもあり、ライブは無事に成功した。

「ありがとうございました! ポジティブパッションでした!」

拍手がぱちぱちと鳴りやまぬ中、散っていくお客さんたちであったが、歌を聞いていた人の中にはCDを買ってくれる人もいらっしゃったようだ。

「歌良かったよ」

未央「あ、ありがとうございます!」

「ありがとう。元気もらっちゃった」

茜「こちらこそありがとうございますっ!!」

「応援するからねー」

藍子「ありがとうございます」

オレンジ色の衣装に身を包んで客に応じるポジパの三人。
小規模の中にしてはよくやった方だろう。

詠「お疲れさまー」

お疲れさまです! と三者三様の挨拶を頂いて、各関係者にも挨拶回りをした。
214 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/06(土) 00:09:14.33 ID:0SC9hSRk0
全てが終わって、時間は八時を回る。
着替えを済まして、いったん事務所に戻る。
俺は書類を整理し終え、ぐぐいっと伸びをする。

彼女たちは待ってくれたみたいで、未央ちゃんが「遅いよー」と言いながら俺の腕を引っ張る。

未央「今日は成功だったよね!」

藍子「頑張った自分たちにご褒美が欲しいです」

茜「美味しいもの食べに連れてってくれるんですよね!!」

明姉ちゃんが余計なことを言ったようだ。
と多少思いつつも、俺は快く彼女たちを連れ出すのだった。

まだ彼女たちとのスタートを切ったばかり、これからもよろしく、と握手を交わすのだった。

215 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/06(土) 00:12:42.63 ID:0SC9hSRk0
中断します。
お話の本筋はここでいったんお終いです。
これから個別ルートに入るのでしばしの間お付き合いの程よろしくお願いします。

すぐに再開して、少しだけ投稿します。
216 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/06(土) 00:13:38.66 ID:0SC9hSRk0
『島村卯月』

しばらく経過し、俺は卯月ちゃんとの約束の日を迎えた。

遊園地に連れて行ってください!
という彼女のお願いを叶えることにしていたのだった。
今回、学校のテストで平均点から脱した彼女は大幅に成績を上げて、俺との遊園地デートを所望したのである。

詠「って早く来すぎたかな……」

デートの待ち合わせ時間は朝の九時に駅前ということだったのだが、今は八時だ。
男なら早く行くべきだとの麗姉ちゃんからのお達しで俺は早めに行くことにしたのだった。

卯月「うぅ……早く来すぎちゃったかも……」

そんな小さな声に振り返ってみれば、数メートルくらい離れた場所に見覚えのある女の子が普段よりも一層おめかしをしていてそわそわと落ち着きなく突っ立っていた。

こちらには気が付いてないようで、しばらく様子を見ているとスマホを片手に何か悩んでいる様子だ。
これはあれだな。
早く着いたことを俺に連絡するか迷ってるとか……?
いや、そんな急かすような子じゃない。
ただ俺と連絡取ろうとしてるってところか?

もしかしたら葉月さんにデート時の振舞い方を聞いているかもしれない。
217 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/06(土) 00:14:21.02 ID:0SC9hSRk0
葉月『今日は卯月ちゃんのことよろしくお願いします』

俺のスマホに着信が来たと思いきや、葉月さんからのメッセージだ。

詠『はい、卯月ちゃんと楽しい思い出作ります』

と返信。
しばらくして、ハートたっぷりのスタンプが葉月さんから送信された。
楽しんで、ということなんだろうか。

しばらくして卯月ちゃんが頭を抱え始めてしまったので、俺は彼女の横にさりげなく移動する。

詠「おはよ」

卯月「ひゃああっ!?」

詠「うおっ!」

卯月「え、えええ、詠さん!? び、びっくりしましたぁ……」

詠「ごめん、驚かすつもりはなかったんだ」

卯月「い、いえ、私も驚いちゃって、すみません」

詠「や、いいってば。それより卯月ちゃんも早く来てたんだ。奇遇だね」

卯月「あ、はい。詠さん、早く来そうだなって思って」
218 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/06(土) 00:15:05.52 ID:0SC9hSRk0
詠「そう? 俺、そんなしっかりしてないよ」

卯月「そんなことないですよ!」

詠「そっかな……?」

卯月「そうですよ」

詠「……」

卯月「……」

間が持たない。
ここは早いところ移動しちゃって遊園地に行こう。
けっこうアトラクションも充実してるし朝から行っても回り切れるか怪しいくらいなので、早く来たのは正解だったかもしれない。
それに今日は休日ということもあって混雑予想なのだ。

詠「じゃあ行く?」

卯月「はい」

こくん、と控えめに頷く卯月ちゃん。
事務所で見るときは基本すっぴんの彼女であるが、今日はナチュラルメイクで女性らしさをより強く感じる。
すっぴんでも可愛いのに、これは…………破壊力があるなぁ。
219 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/06(土) 00:16:12.40 ID:0SC9hSRk0
詠「……きょ、今日さ!」

卯月「は、はいっ!」

詠「卯月ちゃん、その、可愛いね。……や、いつも可愛いんだけど、何て言うか普段よりもたくさん可愛い……」

何恥ずかしいこと言ってるんだ俺は……。
ていうかたくさん可愛いって何だよ。日本語変だろ。
つい口にしてしまったけど気持ち悪いって思われないだろうか。

卯月「え? あ、う、えっと、ありがとうございます……えへへっ」

照れたように笑って顔を赤らめる。
その後も口をもにょらせて、にへらっと無防備な笑顔を見せ続けている卯月ちゃん。

卯月「詠さんも、その、私服似合ってます……」

詠「あはは、ありがと。じゃあ行こうか」

俺は乾いた笑いで誤魔化して、片手を差し出す。

詠「手、繋ごう。デートなんだし」

卯月「あ、は、はい……」

おずおずと握る手は柔らかく、俺の手汗と彼女のわずかな手汗がしっとりと絡み合って、彼女が不快にならないかちょっと気になりながらも、それでもしっかりと握ってくれた彼女に応えるように俺もぎゅっと握り返した。
220 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/06(土) 00:17:14.71 ID:0SC9hSRk0
卯月「指……」

彼女が小さく吐息を漏らすような声量で言った。
聞き取るのがやっとだったが俺は続く言葉を待つ

彼女はふっと息を吐いて一呼吸置くと、若干前を歩く俺を見上げる。
瞳は妖しく濡れていて、化粧のせいで普段とは違う輝きを放つ柔肌に魅せられる。
吸い込まれそうだと思った。彼女の瞳にだけでなく、その全身に自分の身を持っていかれそうに感じた。

卯月「絡めてもいいですか」

一瞬ではなく、数舜の間、俺は息をすることすら忘れそうになる程思考が停止しそうになった。
俺をそこから回復させたのもまた彼女の言葉であった。

卯月「だ、だめですか?」

懇願するような、悲壮すら漂わせた声音に俺は何も言えずに、ただ彼女の望むままに応えてあげた。

卯月「わっ……ありがとうございます」

優しい笑顔。自身の喜びであるはずなのに、慈愛に溢れたような眼差しで、むしろ俺が彼女とこうして手を繋ぎたかったのではないかと思わされる。

俺はすっかり喋り方を忘れたように、首を縦か横に振ることしかできなかった。
221 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/06(土) 00:21:19.91 ID:0SC9hSRk0
中断します。導入こんな感じです。
あと5人分のシチュエーションを考えるのが地味に難しいですね。
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