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Pの姉妹はトレーナー!【アイドルマスターシンデレラガールズ】
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215 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/06(土) 00:12:42.63 ID:0SC9hSRk0
中断します。
お話の本筋はここでいったんお終いです。
これから個別ルートに入るのでしばしの間お付き合いの程よろしくお願いします。
すぐに再開して、少しだけ投稿します。
216 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/06(土) 00:13:38.66 ID:0SC9hSRk0
『島村卯月』
しばらく経過し、俺は卯月ちゃんとの約束の日を迎えた。
遊園地に連れて行ってください!
という彼女のお願いを叶えることにしていたのだった。
今回、学校のテストで平均点から脱した彼女は大幅に成績を上げて、俺との遊園地デートを所望したのである。
詠「って早く来すぎたかな……」
デートの待ち合わせ時間は朝の九時に駅前ということだったのだが、今は八時だ。
男なら早く行くべきだとの麗姉ちゃんからのお達しで俺は早めに行くことにしたのだった。
卯月「うぅ……早く来すぎちゃったかも……」
そんな小さな声に振り返ってみれば、数メートルくらい離れた場所に見覚えのある女の子が普段よりも一層おめかしをしていてそわそわと落ち着きなく突っ立っていた。
こちらには気が付いてないようで、しばらく様子を見ているとスマホを片手に何か悩んでいる様子だ。
これはあれだな。
早く着いたことを俺に連絡するか迷ってるとか……?
いや、そんな急かすような子じゃない。
ただ俺と連絡取ろうとしてるってところか?
もしかしたら葉月さんにデート時の振舞い方を聞いているかもしれない。
217 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/06(土) 00:14:21.02 ID:0SC9hSRk0
葉月『今日は卯月ちゃんのことよろしくお願いします』
俺のスマホに着信が来たと思いきや、葉月さんからのメッセージだ。
詠『はい、卯月ちゃんと楽しい思い出作ります』
と返信。
しばらくして、ハートたっぷりのスタンプが葉月さんから送信された。
楽しんで、ということなんだろうか。
しばらくして卯月ちゃんが頭を抱え始めてしまったので、俺は彼女の横にさりげなく移動する。
詠「おはよ」
卯月「ひゃああっ!?」
詠「うおっ!」
卯月「え、えええ、詠さん!? び、びっくりしましたぁ……」
詠「ごめん、驚かすつもりはなかったんだ」
卯月「い、いえ、私も驚いちゃって、すみません」
詠「や、いいってば。それより卯月ちゃんも早く来てたんだ。奇遇だね」
卯月「あ、はい。詠さん、早く来そうだなって思って」
218 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/06(土) 00:15:05.52 ID:0SC9hSRk0
詠「そう? 俺、そんなしっかりしてないよ」
卯月「そんなことないですよ!」
詠「そっかな……?」
卯月「そうですよ」
詠「……」
卯月「……」
間が持たない。
ここは早いところ移動しちゃって遊園地に行こう。
けっこうアトラクションも充実してるし朝から行っても回り切れるか怪しいくらいなので、早く来たのは正解だったかもしれない。
それに今日は休日ということもあって混雑予想なのだ。
詠「じゃあ行く?」
卯月「はい」
こくん、と控えめに頷く卯月ちゃん。
事務所で見るときは基本すっぴんの彼女であるが、今日はナチュラルメイクで女性らしさをより強く感じる。
すっぴんでも可愛いのに、これは…………破壊力があるなぁ。
219 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/06(土) 00:16:12.40 ID:0SC9hSRk0
詠「……きょ、今日さ!」
卯月「は、はいっ!」
詠「卯月ちゃん、その、可愛いね。……や、いつも可愛いんだけど、何て言うか普段よりもたくさん可愛い……」
何恥ずかしいこと言ってるんだ俺は……。
ていうかたくさん可愛いって何だよ。日本語変だろ。
つい口にしてしまったけど気持ち悪いって思われないだろうか。
卯月「え? あ、う、えっと、ありがとうございます……えへへっ」
照れたように笑って顔を赤らめる。
その後も口をもにょらせて、にへらっと無防備な笑顔を見せ続けている卯月ちゃん。
卯月「詠さんも、その、私服似合ってます……」
詠「あはは、ありがと。じゃあ行こうか」
俺は乾いた笑いで誤魔化して、片手を差し出す。
詠「手、繋ごう。デートなんだし」
卯月「あ、は、はい……」
おずおずと握る手は柔らかく、俺の手汗と彼女のわずかな手汗がしっとりと絡み合って、彼女が不快にならないかちょっと気になりながらも、それでもしっかりと握ってくれた彼女に応えるように俺もぎゅっと握り返した。
220 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/06(土) 00:17:14.71 ID:0SC9hSRk0
卯月「指……」
彼女が小さく吐息を漏らすような声量で言った。
聞き取るのがやっとだったが俺は続く言葉を待つ
彼女はふっと息を吐いて一呼吸置くと、若干前を歩く俺を見上げる。
瞳は妖しく濡れていて、化粧のせいで普段とは違う輝きを放つ柔肌に魅せられる。
吸い込まれそうだと思った。彼女の瞳にだけでなく、その全身に自分の身を持っていかれそうに感じた。
卯月「絡めてもいいですか」
一瞬ではなく、数舜の間、俺は息をすることすら忘れそうになる程思考が停止しそうになった。
俺をそこから回復させたのもまた彼女の言葉であった。
卯月「だ、だめですか?」
懇願するような、悲壮すら漂わせた声音に俺は何も言えずに、ただ彼女の望むままに応えてあげた。
卯月「わっ……ありがとうございます」
優しい笑顔。自身の喜びであるはずなのに、慈愛に溢れたような眼差しで、むしろ俺が彼女とこうして手を繋ぎたかったのではないかと思わされる。
俺はすっかり喋り方を忘れたように、首を縦か横に振ることしかできなかった。
221 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/06(土) 00:21:19.91 ID:0SC9hSRk0
中断します。導入こんな感じです。
あと5人分のシチュエーションを考えるのが地味に難しいですね。
222 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/01/06(土) 10:57:32.73 ID:e5jJntAt0
めっちゃいいです…
これってオムニバス形式にするの?
それとも全部話が繋がっている感じ?
223 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/01/07(日) 02:42:24.61 ID:yUAR8hVSo
おつー
224 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/07(日) 22:40:24.07 ID:ZfRiWLFG0
電車で移動するのだが、全部俺持ち。
卯月ちゃんはお小遣いを葉月さんや、お母さんから貰っていたらしいのだが、俺が全部出すと言って譲らず、結局卯月ちゃんが折れた。
詠「デートなら、俺に全部払わせて」
そう言ったのが決め手だったろうか。
というか高校生に払わせたくない。
あと俺が卯月ちゃんに尽くしたい。
彼女は遠慮がちな所があるから、こういう時くらいは甘やかしたい。
そう思うと、彼女が俺に告白したり時に大胆に迫ってくるのはとても珍しいことなのではないかと思ってしまう。
普段、大人しい子には何と言うか父性がくすぐられるのだろうか?
子供いないから分からんけど……。
電車の中でも手を繋いだまま、席に座って目的地まで向かう。
詠「それにしても遊園地なんて久しぶりに行くなぁ」
卯月「そうなんですか?」
詠「まあね、実家が栃木だったし、家族も多いし、あんまり連れてってもらえなかったんだよね」
卯月「じゃあ今日はいっぱい思い出作れるといいですね!」
225 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/07(日) 22:41:17.84 ID:ZfRiWLFG0
卯月「じゃあ明日もまた会えますか?」
詠「うん、明日また会えるよね」
とか言って二人でくすくす笑い合う。
次の停車駅で、ちらと車内のテレビに目を向けると目的の駅までまだ7駅ある。
出ていく客と、乗り込む客が綺麗な流れで入れ替わると、車内に点々とした。
その中に老齢と見えるご婦人がいらっしゃったので俺はパッと席を立つ。
隣の卯月ちゃんも席を立ち、俺と目を合わせた。
困ったように破顔する卯月ちゃん。
俺もきっと同じような顔をしていたのだろう。
詠「代わろうと思って」
と言うと卯月ちゃんも頷いて「私もです」とはにかんだ。
なぜか二人でおばあちゃんに席を譲って目的地まで立ったまま過ごすのだった。
詠「卯月ちゃん、優しいんだね」
卯月「私はそんな……詠さんこそ優しいです」
226 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/07(日) 22:42:15.35 ID:ZfRiWLFG0
そうやってバカップルみたいにお互いを褒め合うが、このやり取りをすること自体何だか恥ずかしくなり、卯月ちゃんは顔を赤らめそっぽを向いてしまう。
俺も彼女とは反対の方に視線を逸らし、頬を掻く。
何だか急に彼女を愛おしく感じた。
遊ばせていた手が不意に彼女の手に触れる。
びっくりしてすぐに離れて、手探るようにまた触れる。
触れたり離れたりを数回繰り返してどちらともなく手を繋いだ。
チラチラと視線を合わせたかと思うと、ぱっと逸らす。
それも何回か繰り返して、ようやく見つめ合うのに抵抗が無くなった。
話も振れば返してくれるので、俺は年甲斐も無くドキドキしながら会話を楽しんだ。
車内で十数分くらいして目的地へ。
受付で入場券を買い、遊園地の入り口をくぐって様々なアトラクション、ショップ、マスコットキャラクターを目にしつつ、片手にパンフ、もう片手で彼女の手を引いた。
詠「いろいろあるねー。どれ乗る?」
卯月「詠さんはどれがいいですか?」
詠「俺はいいって、卯月ちゃんに合わせるよ」
卯月「そ、そんな……私も詠さんに合わせますよ」
227 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/07(日) 22:42:57.61 ID:ZfRiWLFG0
あー、そういえば卯月ちゃんって遠慮がちな子だった。
ここは俺がリードしつつも彼女の気持ちを汲んでどういう行動をすべきか考えないと……とは言ってもきっと卯月ちゃんのことだから、このままでも楽しいですなんて言うんだろうな。
彼女は自分優先というよりは他人優先だから。
そういや、俺は姉ちゃんたち優先だったし、麗姉ちゃん以外は自分優先だったから卯月ちゃんみたいな子とお出かけって新鮮だ。
俺の理想の彼女像に近いから逆にどうすりゃいいのか分からん。
詠「うーん、じゃあまずあれに乗ろう。ジェットコースター」
卯月「はい!」
詠「絶叫系苦手?」
卯月「大好きですっ!」
うん、満面の笑み。
まあ苦手だったら遊園地行こうなんて言わないよな、多分。
並ぶこと30分。
ようやく俺たちの順番まで回ってきた。
それにしても待ち時間がそこそこ長いということもあって、並んでる間も楽しませるための工夫がアナウンスや装飾、壁や天井にまで施されていて、会話のネタも尽きない。
卯月ちゃんは今緊張の面持ちだ。
228 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/07(日) 22:43:31.03 ID:ZfRiWLFG0
詠「だ、大丈夫?」
卯月「はい。でも自分の番が来るって思うと緊張しちゃって……楽しみなのと半分半分っていう感じです」
詠「あー、それ何かわかるかも。乗る前の緊張感ってあるよね」
卯月「そうなんですよ! 前の人の悲鳴が聞こえてくると私も何だか怖くなってきちゃって……」
詠「やっぱ苦手なんじゃない?」
卯月「そ、そんなことありません。乗った後は楽しかったーってなるんです」
詠「そっか」
「何名様ですか?」
キャストに案内されて人数を聞かれる。
詠「二人です」
「ではこちらにどうぞ!」
卯月「一番前ですね!」
詠「ラッキー、なのかな? 前と後ろどっちが良いんだろう?」
卯月「私、前の方がお得な感じします!」
そんなことを言いながら俺たちはアトラクションに乗り込む。
着席後、バーを下ろして、キャストさんが安全確認を行う。
229 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/07(日) 22:44:32.91 ID:ZfRiWLFG0
それが終わるとキャストさんの前口上が始まる。
「それでは、行ってらっしゃーい!」
という挨拶と共に手を振って見送るキャストさん。
卯月ちゃんも笑顔で手を振り返している姿が可愛かった。
カタカタ、とレールの上を登っていく無機質な音が俺の耳から入り、緊張感を与えてくる。
隣の卯月ちゃんを見てみると、それはもう青褪めた表情で本当は苦手なんじゃなかろうかとまた思ってしまうのと同時に、そんな彼女の姿が可笑しくってつい笑ってしまう。
卯月「ど、どうしたんですか?」
詠「いや、卯月ちゃんが今まで見たことない顔してて……」
卯月「……本当は怖いんです〜」
今更、泣き言を漏らす卯月ちゃん。
詠「あはは、もう落ちちゃうよ……」
すでに乗り物はレールの頂点に達しており、俺はもうどうすることもできなかった。
卯月「きゃあああぁぁぁぁ!!」
落ちていく。
そこそこの高度で上から下まで二秒間。
ぎゅうっと俺の手を握る卯月ちゃんのせいで、落ちていくドキドキを倍で感じる。
目を開けられない落下中の出来事。
彼女の行動は故意なのか判断できないが、俺は彼女の行動があざとさ溢れる故意による行動でもいいと思った。
そのとても長く感じる二秒間、確かに俺は落ちていった。いや、俺たちは落ちていた。
最初の大きな下りを抜けた後も俺たちはコースターの速さに振り回されて、強く手を握り合っていた。
230 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/07(日) 22:45:22.60 ID:ZfRiWLFG0
「おかえりなさーい!」
キャストのお出迎えでアトラクションは終了を告げる。
俺は乗り物から降り、卯月ちゃんもよろよろと立ち上がる。
安定とはいえない乗り物から降りるとき、俺は彼女に手を差し伸べ、彼女もその手を取ってくれる。
目尻に涙を浮かべながらも楽しそうに笑顔を浮かべる卯月ちゃん。
詠「大丈夫?」
卯月「はい、楽しかったです!」
詠「俺も楽しかった! 次はどこ行こう?」
この時すでに手を握っていることに何の抵抗はもちろん、違和感も恥ずかしさも無く、初めからこうすべきだったんだとさえ思った。
卯月「あ、詠さん、写真撮られてますよ!」
詠「未来のトップアイドルの写真なんかレアだなよぁ。買ってこう」
よく見もせずに即買い。
この卯月ちゃんも見たことない表情をしていて、新たな一面を垣間見た嬉しさと彼女の可愛らしさを認識できた喜びで満ちる。
231 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/07(日) 22:46:45.76 ID:ZfRiWLFG0
卯月「わ、私、変な顔してます……」
詠「そう? とっても可愛いと思うよ」
卯月「え〜? 詠さん、お世辞はいいですよぉ」
とは言いつつも嬉しそうに身をよじる卯月ちゃん。
お世辞ではないんだけどなぁ、と俺も少し身をよじりたくなるようなもどかしい気持ちになった。
卯月「詠さんは落ち着いてますよね。というより、いつも……落ち着いてはないですね。いつもではなかったです」
恐らく義姉との絡みを思い出して言い直したのだろう。
そういうことはもう忘れてしまってもいいのですが……。
大事そうに記念写真を抱えて次に向かったのはお化け屋敷。
卯月「わ、私、怖いの苦手です〜……」
詠「そう、じゃあ別の所行く?」
卯月「並びます」
何でやねん! ってツッコみたくなったが、ここは口を噤む。
さっきもそうだったが、怖いけど楽しいみたいな。
232 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/07(日) 22:47:31.56 ID:ZfRiWLFG0
要はスリルを楽しんでいるのだろう。俺もそういうことあります。
大して得意でもないホラーゲームやったり、姉ちゃんも怖いのにホラー映画見て夜中に泣きついてきたり。
卯月「怖いけど、楽しいんですよね。出た後、結局、楽しかったーってなるんです!」
やっぱりそうみたい。
詠「あと怖いもの見たさとかね」
激辛頼むときの心理みたいな……。
『激辛!』って書いてあると試したくなるあれ。
今回は『激辛!』じゃなくて『最恐!』って書いてあったからどのくらい怖いのか試したくなるよね。
卯月「わかります!」
そんで入ってみたはいいものの、結構長くて、スムーズに行っても15分はかかるらしく、卯月ちゃんは度々悲鳴を上げて終始俺の腕にピッタリ付いていた。
驚くポイントがあるたびにぎゅうっと強く腕にしがみついたり、俺の身体に顔を埋めたりしてきて、俺の心臓も酷く暴れていた。
卯月「こ、怖かったです〜」
出てきてからの一言目。
言いつつもしがみついてるものだから、いろんな人に恐らく負の感情を宿したであろう眼差しで睨まれた。
233 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/07(日) 22:48:39.20 ID:ZfRiWLFG0
やっぱ卯月ちゃん可愛いから、俺じゃ釣り合わんのかも。
なんて劣等感を覚えてしまうけど、それは彼女に失礼だろうなと思い直す。
こんな自分でも彼女は選んでくれたのだ。
今さら自分の否定をすることは行為を抱いてくれた卯月ちゃんたちの否定と同義なのだろう。
…………。
やっぱ、ちょっと自惚れてるかも。
詠「俺も怖かった〜。でも卯月ちゃんがもっと怖がるから途中から守んなきゃって思っちゃったよ」
そぅ言うと卯月ちゃんはキョトンと呆けたが、それは一瞬で、すぐに破顔した。
卯月「これからも守ってほしいです……」
詠「めっちゃ守る!」
やばい、そんなこと言われたら即答しちゃうよ、俺。
だってお兄さんだもん。
卯月「やった!」
可愛くガッツポーズするの禁止。
ってすごく言いたい。何それ、何なの?
もはや俺誰状態で、こんなにテンション上がったというか、感情値高まってるのは我ながら珍しい。
234 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/07(日) 22:49:42.46 ID:ZfRiWLFG0
それからも今までに無いくらいの感情の揺さぶりを多く経験するような時間を過ごした。
昼食を取り、他のアトラクションにも乗り、パレードを見て、あっという間に夜。
観覧車に乗ったのはいつ以来だったか。
もう終わりだな、という感覚が俺を支配する。
詠「……」
卯月「……」
お互いに無言の時間が続く。
チラチラと卯月ちゃんを窺ったり、卯月ちゃんが俺のことをチラチラ見たりするが、目が合うとパッと視線を逸らしてしまう。
お互いがお互いを意識する気まずい雰囲気がゴンドラの中に漂い始めた。
何か言わないと……とも思ったが、別に必要ないとも感じていた。
俺は結局何も言わずにいたが、彼女がすっと俺の隣に移動する。
俺が置いていた手に彼女は手を重ね、きゅっと弱く握った。
詠「夜景、綺麗だね」
卯月「はい」
詠「今日楽しかったよ」
卯月「私もです」
詠「……」
卯月「……」
235 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/07(日) 22:50:57.26 ID:ZfRiWLFG0
再び訪れる沈黙。
俺は今日だけで卯月ちゃんの色んな表情を見て、彼女に強く惹かれた。
何も言わずに頂点を通過しようとするゴンドラ。
卯月「詠さん」
卯月ちゃんが不意に俺の名前を呼んだ。
振り向く俺、卯月ちゃんの顔がすぐ近くにあり、俺の唇が彼女の唇に触れた。
音も無く口付けし、音も無く離れる。
ただ彼女の唇の柔らかい感触と、鼻腔を刺激する甘い香りだけが残った。
いじらしく微笑む彼女を前にして俺は何も言わなかった。いや、言えなかった。
彼女もすっかり黙りこくってしまい、ただ俺の肩に寄りかかるだけだった。
ゴンドラはそのまま一周して、キャストのお姉さんにお帰りなさいと言われるまでそのままだった。
降りてからも卯月ちゃんはぎゅうっと手を握り、身体を寄せてくる。
俺は彼女を引き寄せることも突き放すこともせずに、その辺のベンチに座ろうと提案した。
黙ってうなずいた彼女を見て、腰かける。
彼女はまだ話さない。
俺も何も話さない。
236 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/07(日) 22:52:04.65 ID:ZfRiWLFG0
返事を急かしてはいけないという想い。
返事を早まってはいけないという想い。
それらが俺たちを臆病にさせていたのだと思う。
パーク上空に花火がいくつも上がっていた。
そんなデートから数週間が経過し、俺は確実に変わっていた。
卯月ちゃんを目で追うことが自覚するほどに多くなった。
その様子を見たからだと思う。
姉ちゃんたちや凛ちゃんは徐々に俺との距離を適切な感覚で保つようになった。
つまりはあまり積極的に迫ってこなくなったのだ。
卯月「おはようございます!」
彼女自身も俺との距離を開けたのだと思う。
あのデートの日が過ぎてからそう感じる。
詠「おはよう」
表面上は至って冷静に挨拶をするが、目を合わせられなくなっていた。
卯月ちゃんはユニットのメンバーと事務所のソファで談笑しているのだが、俺は彼女の方につい視線を移してしまっているということが増えていた。
237 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/07(日) 22:52:43.44 ID:ZfRiWLFG0
そして彼女と目が合うと、視線を逸らす。
やはり目を合わせられない。
詠「……」
やっぱそうなんだ。
いつもいつも、卯月ちゃんのことが頭から離れない。
彼女との思い出がぐるぐると視界の端で見えているみたいに忘れられない。
仕事だって手に付かない。
蓮「どしたー?」
葉月「最近、ぼーっとしてること多いですよね?」
詠「あ、はい……いえ、大丈夫です」
葉月さんと蓮さんが顔を見合わせて肩を竦める。
そうしてさらに数日が過ぎた頃。
俺は卯月ちゃんを呼び出していた。
レッスンが終わった後、事務所の応接室に彼女はやって来た。
応接室は今勉強で使う事もないし、先輩たちはすでにお帰りのご様子。
卯月「えっと、お話って何ですか?」
詠「だいぶ前に受けた告白について」
そう切り出すと卯月ちゃんは泣きそうな顔をした。
そんな顔してほしくない俺は心底慌てたが、言葉が出なかった。
238 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/07(日) 22:53:33.05 ID:ZfRiWLFG0
卯月「そ、それって最近、凛ちゃんやお姉さんたちを呼び出してたことと関係ありますよね?」
詠「うん、ま、まあ、あるっちゃあるかな?」
卯月「やっぱ私じゃダメだったんですね……」
ん? ちょっと待て、何でそうなる!
詠「ち、違う違う! 俺、卯月ちゃんのことが好きだから付き合ってほしいっていう話……」
どんどん尻すぼみになっていく俺の声。
驚いた表情の卯月ちゃんも次第に目に涙を浮かべていく。
詠「まだ卯月ちゃんの気持ちが変わってないなら、返事は遅くなっちゃったけど俺と結婚を前提に付き合ってほしい」
卯月ちゃんはダムが決壊したようにわんわん泣いてしまう。
詠「え、ごめんね! 泣かないで! ごめんね!」
アタフタと完全にパニックになってしまう俺は慌てて彼女の隣に座って肩に腕を回してさすった。
卯月「わ、私こそ、ごめんなさいぃ〜!」
急に謝られて俺も訳が分からなくなってきた。
しばらく隣同士で支え合うと、卯月ちゃんは落ち着いてきたようでぽつぽつと話してくれた。
239 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/07(日) 22:54:21.59 ID:ZfRiWLFG0
卯月「私、詠さんに呼び出された時、断られるんじゃないかって思って……」
詠「いやいや、そんなわけないよ。他のみんなに悪いとは思ったけど、俺は卯月ちゃんと付き合うからって言って、断ったんだ」
そう言うと卯月ちゃんは余計にぐすぐす泣いてしまって、俺はあたふたとする他ない。
卯月「私、嫌な人だぁ……他の人が不幸なのに、それでも私、今すごく嬉しいんです」
泣き笑う。
彼女が負い目を感じることはない。
原因は俺にあって、壊したのも紛うことなく俺なのだ。
他の女性との関係はもう進展しないが、俺は卯月ちゃんに決めたから、それを曲げる気なんて毛頭無い。
詠「ごめんね。俺が自己嫌悪させるようなこと聞かせちゃったから……」
引き寄せて抱きしめる。
華奢な身体は見た目に違わず軽く、崩れてしまいそうなほどに柔らかい。
彼女もまた抱きしめ返してくれた。
こんなにドキドキして、幸せになれるものなのかと俺は改めて感じる。
久しくまともな恋愛なんてしていなかった。
このままこの時が永遠になればいいとさえ思ったのだが、そうは問屋が卸さないと応接室の扉が勢い良く開いた。
240 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/07(日) 22:55:49.16 ID:ZfRiWLFG0
聖「いつまで抱きしめ合ってんるんだ! こ、ここ、このロリコン!!」
俺と卯月ちゃんの間に割って入って無理矢理引き離した聖姉ちゃん。
邪魔すんな! って言いたい。
詠「邪魔すんな!」
まあ、言うんですけどね。
明「卯月ちゃんと付き合うことになっても、私たち姉弟なのよねー」
明姉ちゃんも入って来たかと思えば、麗姉ちゃん、慶ちゃんも後ろから続いてきた。
慶「お兄ちゃんが卯月ちゃんと結婚したら、卯月ちゃんは私のお姉ちゃんかぁ……年下の義姉……うん悪くない! というかむしろ私に妹ができると言っても過言ではない!?」
麗「島村妹よ。お前面倒な男を捕まえたぞ」
そんな中、卯月ちゃんに絡む我が家の長女。
麗「あいつの目が移らんようにしっかり手綱を引かなければな」
卯月ちゃんは麗姉ちゃんの話を聞くと、血相を変えながら、俺を心配そうな眼で見る。
聖「ほら、私とももっとイチャイチャしたいだろ? 高校生はやめておけ、性に開放的な私にすべきだ。考え直すんだ、詠」
241 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/07(日) 22:56:26.74 ID:ZfRiWLFG0
ベタベタベタベタ、と引っ付いてきてはキスを迫ろうとする聖姉ちゃんを何とか引き離そうと奮闘する。
この処女、諦めが悪い!
そして男の欲望に訴えかけてくるようなやり口は、さすがに姑息だ。
詠「やめろ、聖姉ちゃん!」
聖「いいだろ減るもんじゃないし!」
詠「俺はもう卯月ちゃん一筋って決めたんだよ!」
聖「それとこれとは話が別だろう! やりたい時は私を使えって話だ!」
詠「別じゃない! こいつ頭おかしい! 姉ちゃん、見てないで何とかしてくれ!」
麗「いや、残念ながら我々も聖と同じ意見だ」
明「そういうことよ」
慶「やりたくなったら何時でも言ってね?」
いいから新しい恋を見つけてくれよ……。
我が姉妹ながら今後が心配である。
卯月「お義姉さん! やめてください!」
卯月ちゃんが突然そう叫ぶと、姉たちを押しのけて俺に飛び込むように抱き付いた。
一瞬見つめ合う。
242 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/07(日) 22:57:53.94 ID:ZfRiWLFG0
いつもの一歩引いたような彼女はどこにもおらず、凛々しい眼差しで俺を見ていたのは印象に深く、この光景を一生忘れないだろうと思った。
次の瞬間彼女からの熱いキス。
姉たちが見ている前で積極的に舌を絡めて、周囲に見せつけるように……いや、彼女に限って見せつけようとは思っていないだろう。
俺の顔のすぐそばで、目を閉じて、音を立てながらキスをする卯月ちゃん。
ちゅ、ちゅぱ、れろ、ちぅ、ちゅ、ちゅる……。
俺にとって永遠のように感じられた濃厚なキスは、やはり気付かぬうちに終わっていた。
口を離して至近距離で見つめ合う。
卯月ちゃんは口回りを濡らして、頬を上気させ、潤んだ瞳を携えており、恍惚とした表情をしていた。
俺が理性を失うには十分であったが、彼女を押し倒そうとしたところで周りの状況も視界に入ってきた。
顔を赤くさせて興味津々、まじまじと俺たちの様子を息を飲んで見ていた姉妹たちだ。
すぐさま我に返ると卯月ちゃんに軽くキスして、頭を撫でる。
卯月「詠さん、私、いつでもいいですよ……」
相変わらず恍惚とした表情で周囲が見えていない様子の卯月ちゃんだったが、俺は彼女の肩を掴んで制す。
詠「ま、待って卯月ちゃん。俺、キミとは清いお付き合いをしたいって思ってるから……これから先はアイドル活動が上手く行ったら……ね?」
麗「きき、清いって、今の濃厚な、キキキ、キスを清いと言うのか!?」
詠「…………キスはセーフ!」
243 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/07(日) 22:58:28.23 ID:ZfRiWLFG0
聖「何だそれは!?」
明「男らしくないわよっ!」
慶「卯月ちゃん、えっちぃ……」
おい最後ぼそっと言ったのが聞こえたぞ……。
卯月「じゃあ……」
そんなことはどうでもいいとばかりに俺だけを見つめて口を開く卯月ちゃん。
対面で俺の首に再び手を回し、座り直してそのまま密着する。
一回軽くキスをしてから俺の肩に頬を置くようにしてさらに強く抱きしめてくるのがわかった。
卯月「……もっとキスしたいです」
耳元で囁くように言う卯月ちゃん。
首の辺りから胸のあたりまで一気にぞわわっとした震えが駆け巡り俺もつい強く抱きしめてしまった。
しかし、俺はありったけの理性で踏み止まる。
詠「ごめん、これ以上やったら最後までやっちゃうから、ダメだ……」
彼女の目を見てそう言った。
卯月ちゃんは残念そうにも、安堵にも似た顔を見せて、はにかんだように微笑んだ。
卯月「……私、詠さんを好きになって良かったです」
少しだけ間を置いてそう言った彼女はとびきりの笑顔を見せてくれた。
『島村卯月』終わり
244 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/07(日) 23:10:40.95 ID:ZfRiWLFG0
中断します。以下中書き。
卯月編終了ですが、
がっつりR-18のアフターエピソードも用意してるのでもうちょっと続きます。
>>222
オムニバスです。
時系列は繋がっていますが、それ以降はそれぞれのIFルートとしてお読みください。
それではお疲れ様でした。
今後も気になった書き込みは拾っていくかもしれません。
245 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/07(日) 23:16:03.45 ID:ZfRiWLFG0
>>244
の補足
>>時系列は繋がっていますが、それ以降はそれぞれのIFルートとしてお読みください。
この文章の『それ』以降とは
>>214
までの『お話の本筋』以降ということを指しています。失礼しました。
246 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/01/08(月) 00:45:17.50 ID:Z3ISlOF2o
おつー
247 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/18(木) 20:38:28.14 ID:B9iILSOY0
『卯月アフター』
卯月「私、誕生日のお祝いは詠さんとの初夜が良いなぁ」
付き合って三年。
アイドルは引退したがタレントとしてまだ活躍する大学生の卯月ちゃんはそう言った。
俺は飲んでいた珈琲を噴き出して、心配されたが、彼女からそういう話題を振ってくるとは思ってなかったのだ。
卯月「大丈夫ですか?」
詠「うん、大丈夫。それより、初夜って……エッチするってことでいいの?」
卯月「そ、そうですよ? キスだけでも全然いいんですけど……詠さんが一人で、その、やってるのが申し訳なくて……」
詠「いやいや、それは俺が決めたことだから気にしないでよ。ていうか成人したら俺も手出すつもりだったし……」
卯月「え、そうだったんですか?」
詠「いや、そりゃあね? 俺だって卯月ちゃんとエッチしたいもんなぁ」
卯月「あ、あはは……そ、そんなエッチエッチって言わないでくださいよぉ」
詠「でも卯月ちゃんからそんなこと言ってくれるなんて嬉しいなぁ」
248 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/18(木) 20:39:10.71 ID:B9iILSOY0
卯月「本当は私がどれだけアピールしてもなかなか手出してくれないから不安だったりして……」
詠「え?」
卯月「な、何でもないですよ!」
詠「ごめん、バッチリ聞こえちゃったから」
卯月ちゃんはみるみるうちに顔を真っ赤にさせていく。
その様子が可愛くて、彼女を抱き寄せると有無を言わさずキスをする。
卯月「ちゅっ……んっ……」
軽いキスから始めて、徐々に深く熱いキスへ。
とろんと蕩けた表情になる卯月ちゃん。
俺もギンギンになった息子を鎮めるために、この後一人で抜くのだが、卯月ちゃんも隠れてオナニーしてるのを俺は知っている。
しかし今日は彼女の二十歳の誕生日。
彼女を抱えてベッドへ向かった。
249 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/18(木) 20:40:00.89 ID:B9iILSOY0
卯月「ま、まだお昼ですよ?」
詠「今日まで我慢してたんだよ? もう我慢できない」
卯月「この後お出かけしますし……」
詠「まだ時間あるから大丈夫」
卯月「でも……」
詠「怖い?」
卯月「……ちょっと」
詠「キスしよ」
そう言うと黙って目を閉じる卯月ちゃん。
ベッドに寝かせた彼女の顔に自分の顔を近づけて唇を重ねる。
卯月「んっ……ちゅ……」
彼女の身体を部屋着の上から弄る。
彼女の身体を撫でると時折、ぴく、ぴく、と可愛らしい反応が窺える。
詠「起きて」
そう言うと、彼女は頬を紅潮させたまま、上体を起こす。
250 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/18(木) 20:41:18.16 ID:B9iILSOY0
俺は彼女の服に手を掛けて、脱がせた。
可愛らしい清楚な下着と、きめ細やかで透き通るような肌を露にさせる。
腰に触れると、あっ、と小さく喘ぐ。
かと思えば、ふふっ、と笑顔を見せる。ちょっとくすぐったいのかもしれない。
耳や首、鎖骨あたりにキスしたり、舐めたりしながら腰やお腹回りを擦る。
徐々に息も荒くなっていき、卯月ちゃんは激しくキスを求める。
卯月「詠さん! もっとぉ……もっとぉ、キスして!」
唾液と唾液が厭らしく混ざり合い、官能的に音を立てる。
それが卯月ちゃんの口の端を濡らし、それを舌で舐めとる彼女はとても妖艶に映る。
俺の手は彼女の下着の下に入り込み、柔らかい胸に触れる。
手の平全体で包み込んで、優しく、時に強く揉んだ。
卯月「はっ……ふっ……ふあぁっ!」
乳首を弾いたり、摘まんだりすると、声を我慢した吐息が漏れるが、我慢できない時にちゃんと声を上げてくれるのが愛おしい。
俺は彼女の下の服と下着も脱がすと、全身を曝け出した彼女の股に手を掛けた。
251 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/18(木) 20:41:48.77 ID:B9iILSOY0
卯月「あうぅ……くすぐったいです……」
詠「そ、そう?」
彼女の中は、音を立てられるくらいに濡れていて、俺の指をすんなりと受け入れた。
卯月「あっ……!」
小さな喘ぎ声と共に、ぴくんと跳ねる彼女の身体。
卯月「ふあぁっ! ……ダメっ! 詠さんっ!」
俺は興奮冷め止まないまま、卯月ちゃんの制止の言葉を聞かずになおも彼女の中で指を掻きまわし続けた。
卯月「ああぅ……! あっ! あっ! きゃああぁぁ!!」
詠「はぁ……はぁ……イッた?」
卯月ちゃんは甲高い声を上げると、腰を小刻みにかくかくと震わせて荒く息を切らしていた。
詠「どうだった?」
卯月「き、聞かないでください……」
顔は真っ赤に茹で上がり、じんわりと滲む汗が彼女の肢体や髪を艶めかしく照らし出す。
252 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/18(木) 20:42:47.96 ID:B9iILSOY0
すぐ後に「すごく気持ちかったです」と聞こえるか聞こえないかくらいの大きさで声に出す。
きっと本人は聞こえてないと思ってるのであろうが、俺にはバッチリ聞こえてます。
詠「自分でするより良かったんだ」
そう耳元で囁くと、また一度跳ねた卯月ちゃんの身体。
卯月「意地悪言わないでください」
優しい声音と視線に、咎めるような意味合いはもちろん含まれない。
むしろ、いじらしく言う彼女に愛おしさと興奮を覚えてしまうほどであった。
横になったまま卯月ちゃんは俺に抱き付き、自分から何度もキスをしてきた。
長いキスと短いキスを何度も繰り返して、ようやくお互いの顔を離す。
詠「卯月ちゃんとセックスしたい」
卯月「私も……その、したいです」
自分のズボンに手を掛けて、下着も脱ぐ。
卯月ちゃんがじっと見てる中で自分の勃起した陰茎を見せるのは何となく恥ずかしかった。
253 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/18(木) 20:43:18.00 ID:B9iILSOY0
ゴムを付けて、卯月ちゃんを押し倒す。
彼女は抵抗なくベッドに仰向けになりもじもじと恥ずかしそうにしている。
卯月「あの、私、初めてで……」
気にしていたのはそんなことだ。
俺は別に初めてでも初めてじゃなくても構わない。
詠「大丈夫、任せて……目を閉じて、力を抜いて」
俺がそう言うと、卯月ちゃんはすぅっと目を閉じて、少しリラックスした。
閉じていた股をゆっくり開かせそこにペニスをあてがう。
彼女の身体に再び力が入る。
俺はキスしたり、胸を触ったり、なるべく痛みが和らぐようにと考えながら、いよいよ彼女の膣に自分のを挿入した。
膜を突き破る感覚。
ぎゅっと抱き付くそれに合わせて目を強く閉じて、ぎゅっと抱きしめてくる。
卯月「んぅ……ううぅ……」
254 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/18(木) 20:44:08.49 ID:B9iILSOY0
少し苦しそうに呻く卯月ちゃんは、その気を紛らわそうと積極的にキスをせがむ。
ぴちゃぴちゃとやらしく音を立てるそのキスは、いつもの卯月ちゃんからはあまり想像できないくらいに積極的だった。
詠「動くよ?」
卯月「は、はい……」
俺はゆっくりと腰を動かす。
ゆっくりと抜く時に、きゅうぅと締め付ける感触が俺の陰茎を刺激する。
徐々に早くすると、最初こそ苦しそうだった呻き声は、次第に甘美な嬌声に変わってきた。
卯月「あっ、あっ、何これ……気持ちいっ! あっ! ふあぁっ!!」
詠「卯月ちゃん、俺も気持ちいよ」
卯月「詠さんの、気持ちいっ!」
詠「はぁ……卯月ちゃんの中、はぁ……すっごい締まる」
卯月「あぁっ! あっ……あっ……だめっ! やっ! 気持ちい! 詠さんっ!」
詠「俺もだめかも、もう出そう……」
卯月「あ、あぅ、んっ……〜〜〜〜〜〜っ!!」
卯月ちゃんは声にならない声を発しながら、ビクビクと痙攣をする。
彼女の脚がぎゅぅっと俺の腰を挟み、腕も俺の首に回してぐっと強く抱き付いている。
255 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/18(木) 20:44:56.24 ID:B9iILSOY0
詠「うっ……」
彼女の痙攣と同時に俺も射精する。
包み込まれてるような安心感と同時に絶頂する幸福感で、快楽も凄まじかった。
二人してしばらく息を切らしながら抱き合った。
…………。
ようやく落ち着いてシャワーを浴びる。
二人でシャワーも実は付き合ってから初めてのことである。
彼女のシャワー姿を生で見て息子が大きくなってしまうのはしかたないと思います。
チラチラと気にして、ちょっと恥ずかしそうにする卯月ちゃんも可愛い。
卯月「詠さん」
詠「うん?」
卯月「……また、します?」
俺のペニスを優しく触って、見上げてくる。
自分の心臓が大きく跳ねて心停止するかと思うくらいに驚いたし、興奮した。
今すぐにでも襲いかかって、めちゃくちゃに犯してやりたい。
しかし、さっきしたばかりというのもあって、やりたがりな俺の身体とは裏腹に、理性の糸はプッツンしなかった。
詠「これから誕生日お祝いしなきゃだから、今はちょっと……」
卯月「あ、そ、そうですよね!」
詠「ん? もしかして、卯月ちゃんがしたかった?」
256 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/18(木) 20:45:41.19 ID:B9iILSOY0
卯月「ふぇっ!? ……い、いえいえ、全然そんなことなくて、詠さんのがそのアレだったので……」
詠「そうなの? 俺とはもうしたくなくなった?」
卯月「その聞き方はずるいですよ。いじわるです!」
ぷくっと膨れる卯月ちゃんも、あまり見ない表情だ。可愛い。
卯月「実は、私がしたかったりして……」
詠「そうなんだ?」
卯月「き、聞こえてました?」
詠「うん」
かぁ、と赤くなる卯月ちゃん。
毎回、独り言が聞こえないと思ってるみたいだ。
俺の近くで言ってるやつは全部聞こえてるんだけど。
詠「俺は卯月ちゃんの誕生日もちゃんとお祝いしたいから、セックスは今夜しようね」
卯月「は、はい……」
もじもじと可愛らしい反応をする卯月ちゃんだったが、この日の夜は人が変わったくらいに情熱的だった。
それはまた別のお話。
『卯月アフター』 終わり
257 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/18(木) 20:46:52.98 ID:B9iILSOY0
『渋谷凛』
ポジパのミニライブから数週間が経過し、本日、凛ちゃんからの指令メールが届いた。
指令メールというのはいわゆる皮肉で、実際は先日に行われたらしい学校の定期テストで学年三十位以内に入れたら俺が何でも言うことを聞くという権利を彼女に与え、彼女はそれを行使しただけだ。
メールの内容は『明日の朝十時、私の家に集合。花屋さんだよ』
詠「おい、これはいきなりお家デートってことか?」
ちょっと凛ちゃん、脇甘すぎない?
お兄さん心配しちゃうんだけど……。
しかも花屋って、彼女の実家では?
まあ何回も通ってるからお母さまと顔見知りではあるけどさ。
うーん、今回は前回まで気軽に訪問してた時と訳が違うぞ。
俺はとりあえず『自宅デート? それはハードル高くないかな? 俺、彼氏じゃないしさ』って送っておいた。
ぶーっぶーっ……! 返信早いな。まだ一分経ったかどうかだけど。
258 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/18(木) 20:48:02.06 ID:B9iILSOY0
『詠さん、何でも言うこと聞くって言ったよね。これで二回はぐらかされた。嘘つきだね。いいから私の家に来てね。』
『嘘つきだね』の一文がすごい心に刺さるのです。
俺はがっくりと頭を垂れながら『はい。すみませんでした。行かせていただきます。』とお返事させていただくのであった。
その後、凛ちゃんが送ってきたメールにはにっこり笑った絵文字がただ一つ。
俺はちょっと笑ってしまった。
結局翌日の朝、いつもと変わらぬルーティンを終えた後、私服で凛ちゃんの実家である花屋の前に来ている。
凛「あ、詠さん、おはよう。早いね、5分前行動?」
詠「おはよう。できるだけ時間通りに行こうと思ったら5分前になったよ」
凛「さすがだね。じゃあ早速上がってよ」
詠「ちょっと待って」
凛「何?」
詠「本当に凛ちゃんの部屋に上がっていいの?」
凛「え、今更何言ってんの?」
259 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/18(木) 20:48:42.53 ID:B9iILSOY0
キョトンとした顔で凛ちゃんが言う。
いやいや、ちょっと待ってほしい。
女子高生の部屋に社会人の男が招かれる。
いやいや、それはおかしいでしょうよ。
一体、何をするというわけ?
というかその……怪しくありませんか?
そんなのがバレたら、俺が世間様から向けられる視線って、犯罪者に向けられるそれと同じになるよね?
詠「あのさ、やっぱまずいと思うんだけど……」
凛「私、詠さんのこと大好きだから問題無いよ。問題があるとしたら詠さんが私のこと愛してないからじゃない? 愛してくれたら問題無いよ」
一理ある……のか?
俺は確かに体裁ばっか気にしているが、彼女を心の底から好きになれば色んな壁を突き破れるのだろうか。
それにしても凛ちゃんは本当に吹っ切れたというか……。
以前は睨んでくるばかりで嫌われてるかと思った。
260 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/18(木) 20:49:21.74 ID:B9iILSOY0
でもよくよく考えれば、俺にスカウトされたのに、実の兄にプロデュースされ始めたら話が違うもんだと言って俺のこと嫌うよな。
自分で言って納得して、悲しくなってしまった。
詠「まあ、たまにはいいか……」
凛ちゃんにあてられて俺も少し吹っ切れたかもしれない。
お店の奥へ入り、階段を上って二階へ。
とある部屋の扉には、花のあしらわれた掛札が掛けられており、その札にローマ字で『Rin』と書かれている。どうやら凛ちゃんの部屋らしい。
凛「ん、どうぞ」
詠「お邪魔します」
一人部屋にしてはやや広め、片付けも十分にされており、快適に過ごせそうな空間だ。
お花の良い香りも漂ってくる。何ていう花か知らないけど。
凛「好きなとこに座って」
詠「あ、うん、じゃあ、ベッドに座っていい?」
凛「いいよ」
261 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/18(木) 20:49:57.40 ID:B9iILSOY0
ぽふっと、ふんわりしたベッドで、これもいい香りを漂わせている。
凛ちゃんと目が合う。
緊張して背筋がピッと伸びてしまう。凛ちゃんはそんな俺の様子を微笑ましく見つめていた。
凛「ちょっと待ってて」
そして、そう言うと凛ちゃんは部屋を出て行ってしまう。
俺一人が女子高生の部屋に取り残されて、どうしたもんか。
何だか最近はいろいろあって疲れた、なんて考える。こんな状況にも若干戸惑っているし。
俺は今一人ということもあって、ベッドに倒れこんだ。
壁際に設置されてるベッドに倒れこみ、壁と自分の頭がスレスレの位置だ。
トントンと控えめな足音が聞こえてきて、俺は慌てて姿勢を正す。
凛ちゃんは部屋の前で立ち止まったようだ。
凛「詠さん、悪いけど開けてもらえないかな」
詠「あ、はい」
そう言われて俺は素直に扉を開けた。
262 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/18(木) 20:50:34.84 ID:B9iILSOY0
凛ちゃんはお菓子の並んだお皿と飲み物の入ったコップが二つ乗った、お盆を両手で持っており、確かにこれでは扉を開けられない。
凛「ありがと」
詠「いえ、こちらこそお気遣いなく……」
凛「ふふっ、社交辞令?」
詠「いや、上がっておいておもてなしされるのが少し申し訳なく……」
凛「私が呼んだんだし、気にしないでよ」
詠「あー、うん。ありがとう」
凛「ん、そういう言葉の方が嬉しいかな」
微笑んだ凛ちゃんが部屋に入り、小さなテーブルにお盆を置いた。
俺は扉を閉めて、再びベッドに座る。
凛「はい、どうぞ、詠さん」
言われて差し出された珈琲の入ったカップを受け取る。
263 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/18(木) 20:51:13.96 ID:B9iILSOY0
詠「ありがとう」
凛「珈琲でよかったかな?」
詠「うん、珈琲好き」
凛「私は?」
詠「凛ちゃんも好きだよ」
流れで聞いてきたのだろう。
俺は特に疑問に思う事も無くそう返すと、彼女は大きく溜息を吐いた。
凛「詠さん、そういうの色んな女の子に言ってるんでしょ? 一体何人の女の子を勘違いさせたの?」
詠「え……」
いきなりお説教されて、面食らってしまった。
凛「多分、私じゃなくてお姉さんたちや卯月に言われても同じこと言うんだろうね」
詠「……ごめん」
図星過ぎて参ってしまった。
多分、姉ちゃんたちや卯月ちゃんに言われても同じように返すだろう。
それに担当アイドルに同じように言われても、同じように返してしまうはずだ。
264 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/18(木) 20:52:00.73 ID:B9iILSOY0
凛「だから今は私だけを特別に見て」
彼女の柔らかな両手で顔を押さえられて、目と目を合わせられる。
俺が数回首を縦に振ると、彼女は優しい笑顔を見せて俺に寄りかかるような形で隣に座った。
詠「凛ちゃん……」
俺の左肩に寄りかかる凛ちゃん。
そして俺の左手は彼女の肩に手を掛けようかというところで宙を彷徨っていた。
凛「抱いてもいいよ。左手、余ってるんじゃない?」
彼女は男の理性を崩すのが上手い。
今すぐに押し倒したい衝動を抑えて、彼女の肩を抱き寄せる。
少し強く引き寄せてしまったかもしれない。
俺の心臓がうるさくて、こめかみの近くもガンガン響いてくる。
凛「……詠さんはさ」
詠「うん?」
凛「どうして私をスカウトしたの?」
詠「……何となく、かな? 直感だったけど、そん時は『原石見つけた』って思ったよ」
凛「ふーん」
265 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/18(木) 20:52:48.12 ID:B9iILSOY0
詠「まさか蓮さんの妹とは思わなかったし、俺がプロデュース出来ないのも残念だったけどさ……」
凛「だよね。兄妹の方がプロデュースするのに向いてるって訳分かんないし……」
詠「凛ちゃんもさ、何でスカウトを引き受けてくれる気になったの? 最初は嫌がってたじゃないか」
凛「何でだろうね。最初は本当に嫌だったけど、どこかの誰かがしつこく誘ってくるからかな? そんな人の熱意に色々心を打たれちゃったみたい」
詠「あはは……」
凛「まあやりたいことも別に無かったし、お母さんも勧めてくれたし、兄貴もそういうところで働いてるって知ってたから多少興味もあったのかも」
詠「そっか」
凛「でも一番の理由は……」
凛ちゃんは顔を上げて俺を見る。
名前の通り凛とした瞳に吸い込まれそうだ。
凛「詠さんの近くにいられるから」
気が付いたら俺は彼女を抱きしめていた。
266 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/18(木) 20:53:29.74 ID:B9iILSOY0
凛「あっ」
漏れる吐息を肌で感じて、我に返り慌てて距離を取る。
詠「ご、ごめん! いや、今のはそう邪な意味じゃなくて……」
必死で言い訳する自分がぎこちなくて、恥ずかしくてどうしようもない。
凛「ふふっ! あはははは……!」
急に笑い出す凛ちゃんは本当に可笑しいそうで、俺は呆然として何も言えなくなった。
凛「ううん、詠さんでもそういう気持ちになるんだなぁって」
詠「ま、まあ男だし……これでも結構お誘いはお断りできないタイプなんだよ」
凛「それって邪な意味じゃない?」
詠「……そういうのもあるかも」
凛「かも? 私が隣に座ってから胸がすっごい音してたけど」
詠「き、聞こえてたんだ」
凛「まあね……おかげでこっちも恥ずかしかったよ」
詠「ははは……」
力なく笑うけど、それでもまた心臓の鼓動は速くなっていく。
267 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/18(木) 20:54:34.83 ID:B9iILSOY0
凛「また聞こえる」
詠「ちょ、聞くの禁止で」
凛「無理」
近付いて来る凛ちゃん。
彼女は俺の横まで移動すると、ベッドの上にぺたりと座ってから俺の胸に頭を預けてきた。
緊張と、あとよく分からない感情で心臓が元気になるのに身体は言うことを聞いてくれなくなる。
不意に凛ちゃんは俺の両腕を引っ張って、背中からベッドに倒れこむ。
俺はつられて、彼女に覆いかぶさるような格好になってしまい動けない。
退こうと思ったが、それよりも早く凛ちゃんの両手が俺の後頭部に回って引き寄せられる。
俺もきっとそれを望んでいて、すぐに退かなかったのだと思う。
唇が重なり合って、俺の後頭部に置かれた彼女の両手はさらに深く俺を抱く。
十秒以上のキスはとても長い。
脳味噌が蕩けそうな感覚は、きっと理性が融けていくのと同じだ。
俺は彼女の胸に手を掛け……ようとして止めた。
口を離して、覆いかぶさっていた体勢を元に戻す。
268 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/18(木) 20:55:24.11 ID:B9iILSOY0
凛「詠さん?」
詠「ごめん、凛ちゃん」
凛「……やっぱり、私じゃ、だめ?」
彼女の声は震えていた。
ぎゅうっと歯を食いしばって、への字に曲がりそうになる口元を見せまいと強がっている様子が窺える。
詠「ダメ、じゃないんだ。むしろダメじゃないからこそ、なし崩しは止めたい」
凛「私、勇気出して! 詠さんに告白して! こんなにアピールして! いつでも私のこと好きにできるのに!」
ぽろぽろと涙を流す凛ちゃんの口を今度は俺から塞いだ。
詠「泣かしてごめん。あと、好きでいてくれてありがとう。こんな俺でも、君のことを好きになっていいかな?」
そう言うと、凛ちゃんは俺の胸に飛び込んで顔を見せないように埋めていた。
凛「当然じゃん……」
擦れた声の彼女の頭を黙って撫でる。
269 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/18(木) 20:55:56.47 ID:B9iILSOY0
彼女が泣き止むと、俺は自分の膝の上に彼女を対面で座らせた。
詠「凛ちゃんが好きだ。もう凛ちゃん以外誰も映らない」
凛「私も詠さんが好き」
そう言い合って、何度も何度もキスをする。
自分でも信じられないと思ったが、こんなに一瞬で誰かに心を奪われるってことがあるのだと自覚するのだ。
凛「詠さん……」
紅潮しきった凛ちゃんの顔。
彼女の視線は下に向けられ、俺の股間を見つめていた。
凛「今日、うちの親居ないんだけど……」
詠「女の子にそんなこと言わせてこう言うのは申し訳ないんだけど……」
凛「うん、分かった。そういうところも好き」
蕩けた表情は微睡んでるようにも見えて、魅力も増して可愛い。
270 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/18(木) 20:56:23.19 ID:B9iILSOY0
凛「うん、今はゆっくりでいいかな。最近、ちょっと早足だったから」
詠「そうだね。凛ちゃんが大学出たら結婚しよう」
凛「将来のこと考えすぎ、あと何年かかるの?」
詠「ストレートで行ったら七年かな?」
七年か……。
この関係が続くかどうかも分からないのに無責任なこと言ってるかも。
凛「心配しすぎ、私は詠さん以外眼中に無いから安心してよ」
詠「いや、確かにそっちの心配もあるけど……」
凛「他の人の方に振り向いたりなんかさせてあげないから、安心して」
彼女はとても察しが良い。
俺は一言、よろしくお願いします、と言って彼女の頬に触れたのだった。
『渋谷凛』 終わり
271 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/18(木) 21:02:42.13 ID:B9iILSOY0
中断します。
そしてお待たせしました。
……いや別に期間もそんなに空いてないし待ってた人もいないのでやっぱり撤回します。
こんな感じでR要素もあーるよ。なんてね。
272 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/19(金) 22:55:43.76 ID:jqUK4oZY0
『凛アフター』
唐突だが、ここで346プロダクションのアイドル事情について他プロとの比較をしてみようと思う。
うちの抱えるアイドルは総勢180名を越え、その中で毎年総選挙が行われる。
トップになったものはシンデレラガールと呼ばれ、一気に注目を浴びることになるし、いろんなメディアから引っ張りっだこだ。
それに346プロダクションは人気アイドルを何人も輩出しており、かつての961プロや765プロ、それに人気男性アイドルを多く輩出している315プロとも肩を並べている。
まあこれは俺の見解ではあるが、過言ではないと思う。
つまり何が言いたいかというと、346プロのトップ、シンデレラガールに輝いたものは実質アイドル界のトップだと思う。
俺が一年目の時にスカウトしたアイドル渋谷凛ちゃん。
最初の内は兄である渋谷蓮さんにプロデュースされていたが、俺が四年目の時にプロデュースの権利を譲ってくれた。
しかしながらユニット解散でということにはならず、ユニット単位で見るときは蓮さん。
彼女がソロで活動するときは俺、と少しばかりややこしいプロデュース方法だった。
もちろん、俺は未央、茜、藍子の三人の面倒も見ており、プロデュース対象が四人に増えただけである。
273 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/19(金) 22:56:11.27 ID:jqUK4oZY0
そして凛ちゃんは着々と知名度を伸ばしていき、去年シンデレラガールに輝いた。
その半年後に引退発表。
凛「女性としての幸せを歩んでいきたいと思います」
というのは記者会見時の彼女のコメント。
それからさらに半年、スケジュールがパンパンに詰まった多忙の日々を過ごして彼女は芸能界を引退した。
凛ちゃんのスケジュール帳を繰ってみて、次の月のページが真っ白だった光景は今でも印象深い。
そんな彼女も今では優秀な学生で、二人で暮らすには少し広めのマンションで俺と暮らしている。
実はここの所、彼女と上手くいってないような気がする。
セックスレスも数週間続いて、俺はやりたいのだけど、同棲しているのに彼女と時間が合わないことも多くて、先に寝ちゃったり、寝られちゃったり。
会話も少しばかり減ってきたように思える。同棲してるのに……。
今日あたりにでも旅行に行かないかと誘ってみよう。
274 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/19(金) 22:56:36.28 ID:jqUK4oZY0
本日は俺の方が早い帰りのようだった。
学生で、遅い時間に帰ってくるのは心配だ。
連絡を入れてもあまり返事がこないし……。
そう思っていると、インターホンが幾度も鳴り響いた。
画面を見ると、二人の女子学生に両肩を抱えられた凛ちゃんの姿が
詠「ど、どうしたのっ!?」
『す、すみません。飲み会で潰れちゃって……』
酒に溺れる渋谷凛。
彼女は引退したとはいえ、有名人には変わらないから世間が知ったらネタにされるぞ。
とにもかくにも、こんな姿の凛ちゃんを見るのは初めてだったから、マンションのオートロックを解錠すると、慌てて家を飛び出した。
冬の寒い時期ではあったが、そんなことも気にしてられず薄めの部屋着、そして裸足で外に出ていた。
階段で急いで一階に降り、マンション入り口に行くと二人に抱えられた凛ちゃんがぐったりとしている。
詠「凛ちゃん! 大丈夫!?」
……じゃなさそうだ。
アル中とかやめてくれよ。怖すぎる。救急車呼ぶか?
275 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/19(金) 22:57:32.05 ID:jqUK4oZY0
俺までそんな感じでパニックになった。
凛「んぁ、詠さんだぁ……」
何とか意識があるみたいでホッとした。
俺は急いで凛ちゃんを引き取り、彼女の身体を支えながら強く抱きしめた。
凛「すぅ……」
抱きしめられてるのにも関わらず、静かに寝息を立て始める凛ちゃん。
全体重を俺に預けているようで、安心したし、こう抱きしめるのが久しぶりで嬉しくもあった。
詠「よかったぁ……アル中ってわけじゃないんですね」
「はい、途中途中で眠ってただけです」
詠「でも、どうしてこんなになるまで飲んじゃったんだよ……」
「あれ、彼氏さんがどうのこうの言ってましたよ?」
「お兄さん、浮気してるんじゃないですか?」
凛の学友二人に問われて、俺も素っ頓狂な声を上げた。
276 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/19(金) 22:58:08.28 ID:jqUK4oZY0
詠「何ですかそれ、身に覚えがないんですけど」
「え? だってこの前女の人と一緒に歩いてたとか……」
「女性と二人で食事に行っていたとか……」
…………。
それ仕事だ。営業で必要なやつだ。
アイドルから誘われた時はアフターケアと思って付き合ってたし、重役との食事でご機嫌取りをしていたり……。
詠「あー、何か誤解されてるみたいですね。俺なんかてっきり歳の差もあるし、本当は別れたいんじゃないかって覚悟してたくらいですけど」
「いやいや、あんなに惚気られたら……ねぇ」
「そうですよ。最初はグチグチ言ってましたけどそれでも『愛してる』って何回も言ってましたよ?」
そっか、そういえば面と向かってお互いの愛を確かめ合ったのはいつだったかを正確に憶えていない。
そういう言葉を直接聞きたい。
そして俺も言いたい。凛ちゃんが好きだから。
俺は凛ちゃんの学友二人に感謝を述べて、凛ちゃんを抱っこして階段を上る。
抱える分には問題無いけど、階段を三階分上っていくとなるとさすがに足腰に応える。
彼女を部屋のベッドまで運んで横に寝かせる。
277 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/19(金) 22:58:48.80 ID:jqUK4oZY0
ぼさぼさに乱れた髪はアイドル時代じゃ考えられない。
彼女がズボラというわけではないが、こんな油断した姿を見せるのは珍しい。
いや、俺は毎日見ているのか。
凛「詠さん……」
詠「ん、どうしたの?」
彼女の横に座って考えていた俺は彼女に振り返る。
しかし、凛ちゃんは寝息を立てているだけで起きるような気配は無かった。
俺を呼んだのはただの寝言だった。
横になった彼女の髪を梳く。
見た目はぼさぼさだが、髪質は艶があり、その手にさらっと通った。
愛おしく思って、寝てる彼女の頬にキスをする。
詠「酒臭い……」
そう呟いて笑ってしまう。
詠「愛してるよ凛ちゃん」
見つめたまま、彼女に言う。
聞いているはずもなく、少し寂しい、虚しい感覚に襲われる。
起きてる時に改めて言おう。
278 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/19(金) 22:59:27.19 ID:jqUK4oZY0
翌日になって。
凛「あれ、私……頭イタッ!」
凛「何時!?」
凛「やばっ、講義始まって……!」
詠「……」
凛「え、詠さん? 何でこんな所で寝てるの?」
凛「詠さん、起きて、風邪引くよ」
揺さぶられるような感覚が次第に大きくなって、俺は自分が寝てしまっていたことに気が付いた。
詠「凛ちゃん」
凛「詠さん、風邪引くって」
凛ちゃんが昨日の姿のまま、ベッドから起きて俺の身体を揺さぶっていたようだ。
俺は愛おしさが込み上げてきて、いつの間にか彼女を抱きしめていた。
279 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/19(金) 22:59:54.00 ID:jqUK4oZY0
凛「どっ、どうしたの!?」
詠「愛してる」
凛「あ……」
慌てふためいていた彼女の動きが止まる。
というか、こんなに慌てるのも珍しい。いつもは俺が慌てさせられてたっけ。
凛「あ……頭痛い……」
台無しだった。
今日は祝日、三連休なので彼女もお休みなのだが、講義が……とか言ってるし。
詠「昨日、飲みすぎだよ。お友達がわざわざ送ってくれたんだよ? あと今日は祝日でお休みじゃないの?」
凛「あ、そうだった」
というか、俺の心を込めた一言はあえなくスルーされてしまったようだ。
まあいいか、彼女に愛情を伝えることはいつだって出来る。
詠「今日から三日はゆっくりしなよ。俺もちょうど三連休だし、久しぶりに二人きりで過ごそう。でも今日はお風呂入って、歯磨きして、寝た方がいいかもしれないね。頭痛いんでしょ?」
凛「……うん、ありがとう」
そう言う彼女は、頬を紅潮させて恥じらいを見せつつも、嬉しそうに笑むのだった。
結局彼女はパジャマ姿になって昼過ぎまで寝ていた。
280 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/19(金) 23:01:15.27 ID:jqUK4oZY0
凛「おはよう……」
詠「おはよう」
まだ眠そうな眼をこすって、うーん、と伸びをした。
その動きに合わせて見た目もこふわのパジャマの下の部分から、ちらりとキメ細かな肌を覗かせる。
詠「よく眠れた?」
凛「うん、おかげさまで」
彼女は少しだけぼさっとした髪の毛先を指先でいじる。
俺の方をチラチラ窺いながら、恥ずかしそうに身をよじらせている。
詠「ど、どうしたの?」
そんな彼女の気にあてられて俺もわずかに動揺してしまった。
凛「あのさ……」
詠「うん」
凛「昨日の夜、愛してるって言ったよね?」
詠「へ?」
素っ頓狂な声が出てしまった。
あの言葉は別にスルーされていたわけではなかったのか。
281 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/19(金) 23:01:45.32 ID:jqUK4oZY0
詠「え、まあ、うん、言った」
そんなことを昼過ぎに面と向かって言われるのは恥ずかしい。
しかしながら、俺も昨日聞かされたことと自分の仕事のことをそれぞれ伝えて、誤解を正してもらおうと彼女と話し合った。
結局俺たちに足りなかったのは会話だったらしい。
一緒に暮らすうちに何となく距離が縮まってると思い込んでいたみたいだ。
物理的な距離は縮まっても、心の距離は開いていって、言いたいことも言えずに疑心暗鬼になってしまっていたようなのである。
俺としても、嫌われたのではないかと不安になっていたところであった。
凛「詠さん、仕事だからしょうがないけど、私にも話してほしいな」
詠「うん、ごめん。隠すつもりは無かったんだけど、凛ちゃんも同業だったし、理解してくれてるって勘違いしてた」
凛「そうだね、私も理解してるつもりだったけど実際詠さんが女の人と歩いてるの見た時、頭真っ白になっちゃったよ」
詠「俺も凛ちゃんの帰りが遅いときはすごく心配だった」
凛「ごめん、私も連絡するべきだった」
そう。それでもお互い何も言わなかった。
だから俺は言葉にしなきゃいけないんだと思った。
282 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/19(金) 23:02:15.05 ID:jqUK4oZY0
詠「俺が愛してるのは凛ちゃんだけだから」
そう言って抱きしめる。
凛「私も詠さん以外いらない」
抱きしめ返してくる凛ちゃん。
その日の夜は二人で出かけた。
食事をしに街へと出て、家に帰っただけだが……。
久しぶりに二人で一緒に寝る。
同じベッドに入り、同じ布団に包まる。
……多分、俺も凛ちゃんも今は同じ気持ちでいる。
凛「詠さん……」
彼女が俺の耳元でぼそっと語りかけてくる。
俺は彼女に顔を向け、視線だけでどうしたの? と尋ねた。
凛ちゃんは少し逡巡した後、俺の眼を真っ直ぐ見る。
暗い中でもはっきりと見える凛と澄んだ吸い込まれそうな瞳。
凛「しよ……?」
その一言は凛ちゃんのおねだりだ。
俺は彼女の口を塞いだ。
283 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/19(金) 23:03:52.18 ID:jqUK4oZY0
ベッドの中でお互い横になりながら何度も何度も唇を重ねる。
凛ちゃんの吐息は次第に荒くなっていき、瞼がとろんと蕩ける様に官能的に垂れる。
凛ちゃんはエッチなスイッチが入るなり、その行為が激しくなる。
横になっていた彼女だったが、起き上がり俺に跨ると、全身を密着させるようにしてさらに接吻を続ける。
舌を入れて、絡めて、強く抱きしめながら……。
俺の全身を離さない。
俺が勃起したと凛ちゃんに知られると、彼女は膝で衣服の上からそれを撫でる。
優しく撫でたり、強く撫でたり、器用な足の使い方をする。
どちらかというと気の強い彼女はベッドの上でも強い立場で、大体いつも俺が攻められるような状況である。
彼女は俺の衣服を脱がすと、舌を這わせる。
片手で乳首を摘ままれ、弄られる。
俺がびくっと震えると、彼女はとても満足そうに恍惚な表情を見せるのだ。
凛「ふふっ……詠さん、力入ってるね」
耳を舐められ、首筋を吸われ、乳首を甘噛みされ、ズボンとパンツを同時に一気に脱がされる。
凛「わ、詠さんやる気満々だ」
口元をもにょりと歪ませて嬉しそうなのを隠そうとする彼女。
284 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/19(金) 23:04:36.75 ID:jqUK4oZY0
詠「嬉しそうだね」
凛「ふぇ? ……ベ、別にそんなことないけど」
キッとした眼差しで俺を見る凛ちゃん。
けれど口元は依然として緩んでおり、可愛いばかりで迫力は無い。
凛「そんなこと言ってるとすぐ射精させちゃうよ?」
そう言って彼女は俺の膨れ上がったペニスを口に含んだ。
顔を上下に動かし、時折舌で裏筋を舐めたり、カリを歯で優しくこすったり……。
詠「凛ちゃん」
凛「ふぁい?」
何? と聞いているのだろう。
彼女は陰茎を口に含んだまま返事をする。
詠「……入れたい」
俺がそう言うと、にまーっと無邪気に可愛らしく笑む彼女の表情。
凛「ふふっ! どうしよっかな〜?」
なんて言ったりして楽しそうだ。
詠「お願い」
凛「しょうがないなぁ」
285 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/19(金) 23:05:26.39 ID:jqUK4oZY0
火照った顔の彼女は下の服を脱ぐ。そのまま下着も脱ぐ。
跨る彼女の秘部に俺の一物が当たっている。
そして彼女は俺の目の前に今脱いだ下着を見せつけてきた。
凛「見て、私、詠さんの弄っただけでこんなにびちょびちょになっちゃったんだよ?」
暗くて正直よく分からないのだが、その言動に興奮した。
凛「あ、今詠さんのおちんぽピクってした」
そう言う彼女の表情は楽し気だ。
凛「慌てなくてもすぐ入れてあげるから」
上体を起こした凛ちゃんは腰を振って彼女の股間と俺の股間を何度か擦り合わせ、そのまますっと膣内に俺のペニスは吸い込まれるように入った。
凛「んっ……んっ……」
彼女が好きなように動いてしばらくすると、小さく喘ぎ声を上げ始める。
暑くなってきたのか、凛ちゃんは上のパジャマと下着も脱いで、適当にベッドに放る。
俺は成長した彼女の胸を手で包み、指先で乳首を弾いたりすると、凛ちゃんはより大きな嬌声を出して身をよじらせる。
286 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/19(金) 23:06:21.19 ID:jqUK4oZY0
凛「あっ! あぅ、んんぅ……ふっ……うぁ……っ! イクッ……!!」
そう一言叫んだ直後彼女の腰がピクピクと数回痙攣する。
挿入したまま、ぐったりと俺の胸に倒れこむ。
ビクッビクッ……ビク……ビク…………ビク…………。
そんな風に痙攣の間隔がだんだん空いていき、落ち着いたところで凛ちゃんは俺を見て顔を近づけてくる。
やらしい音を立てて何度もキスをした後、凛ちゃんが唇を離さないまま、また腰を振ってきた。
凛「ふっ……ん……ちゅっ……ちゅぱっ……んっ……」
数秒どころか、数十秒、キスしたままのセックスが続く。
俺は彼女が愛おしいのと同時に、自分の興奮も抑えることができず、凛ちゃん騎乗のまま下から突き上げるように腰を振る。
凛「きゃっ! ……うぁ! あっ……あっあっ!! だめっ!! イクッ! ……イクッ! ……イクッ!!」
良いところに当たってるのか、堪らずにキスしていた口を離して俺のピストンに身を委ねるようにしがみついてきた。
彼女の手にも力が入り、再び痙攣。
そしてキス。
それを何度も何度も繰り返した。
凛ちゃんが絶頂して、キスをして、という行為を七回は繰り返したと思う。
287 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/19(金) 23:06:54.28 ID:jqUK4oZY0
そのくらいで俺もようやく射精しそうという感覚に襲われた。
暗くてあまり見えないが、顔をこれでもかというくらい紅潮させているだろう凛ちゃん。
そんな彼女の膣内に陰茎を突っ込んだまま対面座位、そして正常位へと体位を変える。
凛「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」
これ以上は限界だと言わんばかりに、焦点が合っていないであろう瞳孔と、だらしなく開いた口、蕩け切った表情を俺に見せて、声にならない声を上げていた。
詠「凛ちゃん、可愛いよ。大好きだ。愛してる」
耳元でそう声をかけるたびに、キュンキュンと膣の中がうねるのを感じる。
俗に言うイキっぱなしという状態だ。
これを体験するのは三回目に彼女とセックスした時以来だったかな。
俺のペニスを無意識に刺激してくるその状態は、彼女を満足させてあげられてるという充足感と自分も彼女と一緒にイキたいという焦燥感を駆り立てる。
ずっとこのまま彼女をイカせ続けたいだなんていう傲慢な考え。
そのせいで股間に集まってくる気持ちよさに思わず自分の振る腰が止まった。
ここで出したら終わってしまうのが何だか勿体なく感じられるのだ。
しかし俺の動きが止まっても凛ちゃんの膣内がうねって刺激してくる。
凛「詠……さん……。イッて、いいよ。私の中で出して……」
そう言って彼女は四肢を使って俺にがっちり抱き着くと、正常位で自分が下にいるのに器用に腰を振る。
288 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/19(金) 23:07:27.86 ID:jqUK4oZY0
凛「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!」
自分から動き始めて数秒程度で彼女は絶頂した。
だが動きを緩めることはない。
痙攣した勢いでなおも腰を振り続ける。
詠「うあっ! やばいっ! 凛ちゃんっ! ……ぐぅっ!!」
彼女の激しい下からの攻めで俺はあっけなく射精した。
彼女の中に大量の精子が流れ込む。
凛「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
お互いに動けなくなったまま息を切らす。
凛「……あはっ、嬉しいな」
先に口を開けたのは凛ちゃんだった。
凛「詠さんの精子、いっぱい入ってきた。気持ちよかった?」
詠「うん、すごくよかった」
凛「ふふっ、私も今までで一番気持ちよかった」
そのまま何回か優しくキスをしながらペニスを抜いた。
彼女の膣からドロリとしたものが流れ出てきて、できちゃったかな? と問う。
289 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/19(金) 23:08:01.91 ID:jqUK4oZY0
凛「今日、安全日。私まだ学生だからね」
詠「そうだよね。ごめん、実は俺、妊娠させる勢いだった」
凛「あははっ、詠さん気が早いよ」
彼女はくすくす笑って俺を見つめる。
そのまなざしを向ける彼女は可愛くて、愛おしくて、やっぱり凛ちゃんのことが大好きだって改めて思った。
後片付けもしないで、二人でもう一度布団に包まり寝ようと思ったのだが、凛ちゃんがまた俺の身体をあちこち触り弄ってきた。
チラッと彼女の方を向いてまだ起きてるよ、と伝える。
凛ちゃんは視線を泳がせて、もじもじとして、ようやく恥ずかしそうに口を開いた。
凛「もっかいしよ……?」
どうやら今日は寝られないみたいだ。
『凛アフター』 終わり
290 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/19(金) 23:11:14.97 ID:jqUK4oZY0
中断します。
そろそろ終わりが見えてきましたので近いうちに完結すると思います。
291 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/01/20(土) 05:35:03.97 ID:B48ucm8nO
終わるだなんてまたまたご冗談を
292 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/01/20(土) 17:12:18.88 ID:N+nkNi0cO
まだ6人中4人も残ってますぜ!?
それにハーレムルートと二股ルートもありますぜ!?
293 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/20(土) 22:38:52.67 ID:/XJTWmdk0
『青木明』
明「遅いよー」
珍しくもジャージではなく私服を着こなす明姉ちゃんは会って早々、俺に文句を言ってきた。
詠「ごめん。だって仕事……」
明「無いって言ってたじゃん!」
詠「急に入ったんだって」
社会人ならこういうこともあるだろう。
先方からの突然の電話で、ありがたいことにポジパの営業が功を奏したのだ。
しかしながら、『今日はこれから空いてますか?』という一言で俺の予定は後ろ倒しになっていく。
ちなみにこの言葉を無下にすると次に『この話は無かったことに……』と言われるのがオチだ。
そういうわけで、明姉ちゃんとお出かけの予定も三時間ほど後ろに遅らせてもらい、結局19時待ち合わせとなってしまった。
294 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/20(土) 22:39:25.81 ID:/XJTWmdk0
明「今度埋め合わせよ!」
詠「だから、ごめんって。これから忙しいから難しいよ」
ぷぅっと膨れる明姉ちゃんだが、時間が惜しいのか俺の腕を取って夜の街に二人、紛れていく。
明「今日はどこに連れてってくれるの?」
詠「まあ近くのショッピングモールでいいかな?」
明「味気無いわねー」
詠「いいでしょ別に」
明「まあいいよー。詠と二人きりだし!」
そう言ってぎゅっと距離を詰める。
腕にしがみつくように密着してくる明姉ちゃんに女を感じて、ドキッと高鳴る。
彼女の私服姿は珍しく、改めて見ると可愛い。
花柄のワンピにロングのブーツ、腰丈のトップスは内側がもこもこしてて暖かそうだ。
首には去年俺が贈ったネックレスを身に着けていた。
当時は『こんなの着けるタイミング無いわよ〜』なんて笑っていたが、今まで大事にしくれていたみたいだ。ちょっと嬉しい。
普段はしないようなメイクもして、めかしこんでいる彼女はいつになく色気もあるように感じられる。
295 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/20(土) 22:40:19.70 ID:/XJTWmdk0
詠「あ、あの、姉ちゃんさ」
明「ん、どうしたの?」
詠「何て言うか今日、可愛いね。服も似合ってて良い……です」
街灯に照らされる彼女の顔は次第に赤みを帯びていく。
多分寒いからってだけでも無いだろう。むしろ俺は今暑いくらいだ。
明「え、あ、その……あ、ありがと……」
そんな初心な反応を見せてくれる明姉ちゃん。
照れてる彼女を見るとこちらまで照れてしまうので止めてほしい。
と思ったが、先に照れたのは俺だった。
詠「それも、嬉しいよ……やっぱ姉ちゃんに良く似合うね」
俺は明姉ちゃんの首のネックレスを指して言ったのだが、これも失敗だ。
自分で言って恥ずかしくなる。
明「えへへ……そうかな? せっかくだから着けてみたの」
照れくさそうに笑う明姉ちゃん。
この日、何かが変わりそうだと俺の中でちょっとした鐘が鳴ったのだった。
296 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/20(土) 22:40:57.43 ID:/XJTWmdk0
……十数分電車を乗り継ぎ、さらに歩くこと数分。
目的のショッピングモールまでたどり着いた。
食品、医薬品、アパレル、雑貨、本、家電、旅行代理、眼鏡、楽器、ファンシーグッズ、スポーツ、ゲームセンター、レストラン、映画館などなど、何でもござれな青木家(両親除く)の行きつけである。
デートするのも、何か買いに来るのも、大体ここで事足りてしまったりするのだ。
確かに明姉ちゃんの言った通り見慣れた場所でのデートはちょっと味気無いのだが、今はイルミネーションが施され、ここからも目の前にある駅前広場では椅子に腰かけながらその作品群を一望できる。
冬にうってつけなデートスポットでもあるのだ。
遠出するなら、海の側の煌びやかな街でもいいのだが、時間が押してしまったものだから、ここで妥協するしかない。
詠「着きましたー」
明「いつもの場所ねー」
詠「贅沢は敵です」
297 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/20(土) 22:41:24.72 ID:/XJTWmdk0
明「もう! 誰のせいでこんなことになったと思ってるの?」
詠「はい、すみません」
明「まったく……」
詠「まあ、明姉ちゃんも楽しめるでしょ?」
明姉ちゃんは大きくを溜息を吐いて、まあねと答える。
次にキッと俺に振り返ると、人差し指をピッと立てて俺の前に突き出した。
詠「な、何?」
明「今は姉ちゃん禁止!」
詠「えーっと……明?」
俺がそう言うと明姉ちゃんは、満足そうに笑みを浮かべて頷いた。
明「私は今詠の恋人なんだから」
そう言って彼女はまた俺の腕にしがみつく。
傍から見たらカップルそのものだろうなぁ、とドキドキするのを隠すため考えつつ、俺たちはショッピングモールに入ったのだった。
298 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/20(土) 22:42:00.10 ID:/XJTWmdk0
歩いていると、意外にもカップルが多く目に付いた。
本日、クリスマス・イブ・イブであるのだが、クリスマス二日前から盛況なのだ。
俺も仕事があって恐らく早く帰れない社畜の一人。
今のうちに楽しんでおこう。
幸い明日はお休みだ。
今日の振り替え休日的な感じである。
しかし明姉ちゃんは明日仕事があるため、日程を今日に合わせるしかないのだった。
とまあそんなことはさておいて、腕を組みながら歩いていると明姉ちゃんの動きが止まる。
それに合わせて俺も動きを止めて彼女を見てみると、その視線はショーケースに釘付けという感じだ。
どうやら心惹かれるような服に出会ったらしい。
詠「それ、可愛いね」
俺もそれを見て率直な感想を述べる。
しかし明姉ちゃんにしてはちょっと幼さの残るようなふんわりとしたコーディネートだが、どうだろう?
俺は無神経にも彼女とそのコーデを交互に見比べてみる。
明「ちょっと止めてよ」
苦笑しつつ、ぺしっと俺の肩を軽くたたく明姉ちゃん。
299 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/20(土) 22:42:41.81 ID:/XJTWmdk0
詠「いや、こういう明姉……明って見たことないし、想像したら意外と似合うんじゃないかって思うけど……」
明「そ、そうかな?」
詠「うん、試着してみたら?」
そう言うと明姉ちゃんは、うーん……と考える。
明「じゃあそうするわね」
そう言って嬉しそうにはにかんだ。
それからお店に入って店員さんに言って試着する。
明姉ちゃんは案内された試着室に入り、シャッとカーテンを閉めるが、思い付いたようにそこから顔だけ覗かせて『覗かないでね』と悪戯っぽく言った。
詠「うーん、どうだろ? 今日の明、一段と可愛いから分かんないよ?」
明「ば、ばかっ!」
何の気無しで答えた俺を丸い目で見つめて、かぁっと頬を紅潮させる明姉ちゃんは、勢いよくカーテンを閉め直す。
口元がちょっとニヤついてたのを俺は見逃さない。
してやったりと軽く笑ってしまうが、改めて今日の姉ちゃん可愛いなと思ってしまうのだった。
300 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/20(土) 22:43:10.59 ID:/XJTWmdk0
俺がスマホをイジイジし始めて少し経った頃、明姉ちゃんは再びカーテンを開けてちょいちょい、と手招きして俺を呼ぶ。
詠「どうしたの?」
見せるのならカーテン開けちゃえばいいのに。
俺がそう考えていると、明姉ちゃんが少しばかり自信無さげに眉を顰める。
俺は明姉ちゃんの掴むカーテンをぐいっと開ける。
明「わっ!? ちょっと!」
そこにはふんわりとした衣服で身を包むいつもよりも幼いコーデで可愛らしい明姉ちゃんがいた。
可愛らしいミニの下から覗く防寒対策であろうタイツが何やら艶やかなギャップを演出している。
上半身もふんわりフリフリないつも着ないような、彼女が恥ずかしく思ってるファッションは俺には新鮮で、可愛らしく思えた。
明姉ちゃんは自分自身を抱くように服を隠して、恨めしそうに一瞬俺を睨むが、観念したようにがっくりと項垂れる。
301 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/20(土) 22:43:38.60 ID:/XJTWmdk0
明「はぁ……。鏡見てあんまり似合わないってことくらい私でも分かるから」
詠「え? いや、すごく可愛いと思うけど……明がそう思うんなら……」
明「はい? 今、なんて?」
詠「だから可愛いって」
明「本当に?」
詠「本当だよ」
そんなやり取りを何回もして、俺は『可愛い』と言うのもさすがに恥ずかしくなってきてしまった。
明姉ちゃんも笑顔で嬉しそうではあるが、顔を火照らせているのを見るとやっぱり恥ずかしいんじゃなかろうか。
明「本当かなー? 嘘じゃなくって?」
詠「しつこいってば」
顔を近づけて聞いてくる姉ちゃんに対して、俺はそっぽを向いて答える。
302 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/20(土) 22:44:22.17 ID:/XJTWmdk0
明「えへへ……」
詠「ちょっ……何さ?」
急に抱き付いてくる姉ちゃん。
俺は身体を引き気味にして、彼女の肩を軽く押し返す。
可愛すぎて勃起したナニが当たっちゃいますから。
詠「どうする? 買ってく?」
俺はホカホカの頭を冷やすために話題を変える。
明姉ちゃんは自分の服装を試着室の姿見で確認すると、もう一度俺に振り向いた。
明「うーん、詠が可愛いって言ってくれるのは嬉しいんだけど、やっぱり私には似合わないかな? まだ慶ちゃんの方が可愛げあるよ」
そうかな……とは思うけど、姉ちゃんたちにはロリータ系のファッションよりはシックな大人コーデの方が合うような気がするのは俺も同意だ。
慶ちゃんならきっと可愛く着こなせそうではあるな。
何て言うか、四人とも顔は似てるんだけどね。
303 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/20(土) 22:44:50.89 ID:/XJTWmdk0
ただ、このギャップにはグッとくる。
きっとそれで外を歩いたって人目を惹くだろう。
後でこっそり買っておこうと思ったのだった。
ショップを出て俺たちはレストランで食事を済ませ、外の広場へ。
複数のツリーに施されたイルミネーション。
周囲の壁や手すりにもそういった電飾が施されており、俺達はベンチに座ってほぅ……と白い吐息を吐きながらそれらを見入っていた。
明「綺麗よね」
詠「うん」
明「そこは『明の方が綺麗だよ』とか無いの?」
詠「普通自分で言うか?」
明「別にいいじゃない」
姉ちゃんはふいっと顔を背けて照れ隠しをする。
暗がりの中に彩られたイルミネーションが照らす姉ちゃんの横顔。
物静かでどことなく儚さを帯びた物憂げな表情と、潤んだ瞳に俺は心臓を跳ねさせる。
その様子からは、これからのことを見据えるような、あるいは一歩前に踏み出すのを恐れるような不安が感じられる。
彼女の考えることは分かる。
きっと俺のことで悩んでるんだと思う。
304 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/20(土) 22:45:24.37 ID:/XJTWmdk0
彼女はこの恋に真剣だ。
今日以外のやり取りでもそのことは十分に伝わってきているし、俺も無下に扱うことはできない。
この半年ほど前にそんな彼女の本気を知ってしまったからには俺も本気の気持ちで返さねばならないのだ。
そして俺の出す答えは既に決まっている。
ベンチに座って何も言わずに白い息を吐くだけの俺達だったが、俺は着けていた手袋を外すと、彼女の手袋の上からその手を握った。
ちら、と彼女がこちらを窺う。
ゆっくりと俺の手をどかしてから手袋を外すと、彼女もまた素手で俺の手を握り返した。
こてん、と肩に乗っかる頭。
小柄で、それだけの仕草が可愛らしい。
お互いに頭を寄せ、どちらからともなく、視線を向け合う。
徐々に顔の距離は近くなっていき、外にいるにもかかわらず、唇を重ね合った。
軽く触れあうだけのキスをして、すぐに離す。
手を握る力は強くなっていた。
305 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/20(土) 22:46:09.87 ID:/XJTWmdk0
詠「明、好きだ」
俺は告白していた。
彼女は恍惚な表情を見せたが、すぐに破顔した。
明「えー、ヤりたいだけじゃないの?」
明姉ちゃんは茶化してそんなことを言う。
詠「だったら既に誰かと関係持ってるよ」
明「本当に持ってるんじゃないでしょうね?」
失言だったみたいだ。
俺はそんなことあるわけないと否定する。未遂はあるけれど。
明「でも、詠が本気だって言うんなら私は嬉しいな」
詠「あのさ、キスと告白してこんなにドキドキするの久しぶりなんだけど……」
俺がそう暴露すると、明姉ちゃんはどれどれ、と俺の胸に耳を当てる。
明「あっ、凄い……」
彼女が耳を当てて密着することでさらに大きく鼓動が騒ぎ出す。
306 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/20(土) 22:46:48.71 ID:/XJTWmdk0
詠「分かったでしょ?」
明「うん……」
明姉ちゃんはしばらくその体勢のまま動かない。
明「でも、何だろう。すごく落ち着くわ」
詠「あ、ああ、そう? そろそろ離れてもらってもいいかな?」
明「えっ? ちょっと、詠はもう私の彼氏ってことでいいんでしょ?」
詠「や、そうなんだけど。さすがに周りに見られて恥ずかしい……」
俺が言うと、気が付いた明姉ちゃんもさっとたたずまいを整える。
明「そういうのはもっと早く言いなさいよ」
詠「姉ちゃんが大胆なんだよ」
お互いに憎まれ口を叩いて、くすくすと笑い合う。
電飾の光彩ももう目には飛び込んでこないまま、目の前にいる彼女のさまざまな色の光を吸い込んだ瞳に吸い込まれそうになる。
見惚れていると、明姉ちゃんはさっきよりも深く口付けをしてきた。
不意に交わされたそれに為す術も無く、いや、何も抵抗する必要は無く身を委ね、人目も気にせずたっぷり数秒交わした後、彼女の顔をはっきりと認識する。
明「これからよろしくね」
明姉ちゃんはにっこりと満面の笑みと朱に染まる頬を見せたのだった。
『青木明』 終わり
307 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/20(土) 22:47:40.53 ID:/XJTWmdk0
『明アフター』
相変わらず俺は四姉妹と暮らしている。
もちろん彼女たちに俺と明姉ちゃんの関係は認めてもらっているのだが、職場からも近いし、仕事が安定するまでということで、未だに住んでいる。
他の姉ちゃんたちも、慶ちゃんも、俺のことを諦めると言ってそれぞれ新しい出会いを探している最中である。
とは言いつつも、意外と親しい様子で男性と話をする彼女たちを見たことがあるので、その点は意外と早く解決しそうだ。
ただし、家の中で俺と明姉ちゃんがイチャイチャすることはほとんど無い。
他の姉妹にやめろと言われており、イチャイチャを目撃すると超不機嫌になっちゃうからである。
つまり、デートに出かけているこの時間がイチャイチャし放題のタイムなのである。
明「詠〜、この後どこ行く?」
詠「うーん、たまには二人きりでゆっくりしたいよね」
と俺が言うのも、二人きりになれる時は大体外に出かける時だけであり、あっちへ行ったりこっちへ行ったりでデートを満喫するわけだが、たまには自宅のソファで二人ゆったり微睡むのもありかなーと思ったりする。
そう思っての俺からの提案である。
明姉ちゃんもその考えには概ね賛成らしく、二人で何もしないような時間を過ごしたいと思ってるらしい。
308 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/20(土) 22:48:31.75 ID:/XJTWmdk0
詠「じゃあさ、これから旅館行こうよ」
明「え、今から?」
詠「そう。姉ちゃん、明日も休みでしょ? 温泉入って、姉ちゃんとだらだら過ごしたいな」
明「まあ、詠がそれでいいって言うならいいわよ」
あっという間に旅行が決まり、その日の内にお出かけとなる。
一旦家に帰って宿を調べて、良さそうな所に電話を掛ける。
運良く部屋が空いており予約を済ませると、早速荷物を纏めて出立した。
電車に二時間ほど揺られて、着いた場所は自然豊かな観光地。
結局、一通り観光するあたり、自分たちは結構アクティブなんだなと再認識する。
陽が落ちる頃、宿に着いて、女将さんに部屋に案内される。
その女性の年齢も若く綺麗な方だった。
名刺を取り出しそうになったが、横の明姉ちゃんに睨まれて、名刺入れをスッと戻す。
値段は多少張るが、サービスが良く、価格よりも得したと思えるほどだ。
平日ということもありお客さんも少ない。
それに温泉には混浴もあり、明姉ちゃんと二人で貸し切り状態だった。
詠「ふぃ〜……落ち着くなぁ」
明「本当、良いところだねぇ」
二人で露天の温泉にに浸かる。
もちろん、身体にタオルを巻いて隠しているが、俺は明姉ちゃんが見せる柔和でキメ細かな肌に思わず見惚れてしまう。
309 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/20(土) 22:49:49.92 ID:/XJTWmdk0
明「ん? 何見てんの?」
詠「や、別に……」
明「ふーん」
明姉ちゃんは特に咎めるようなこともせず、彼女自身は自然体だ。
俺はまたも彼女を盗み見る。
肌はしっとりと湯気で濡れ、じんわりと滲む汗が髪の根を徐々に濡らす。
鎖骨の窪みが汗や蒸気の受け皿になってほんのりと艶めかしさを醸し出し、艶やかに紅潮する頬に視線は吸い込まれ、同じように綺麗な桃色の唇にも目を奪われる。
ゴクリと生唾を飲み込んだのと同時に、明姉ちゃんはこちらに微笑みかけてくる。
明「何か意識してない?」
困ったように、呆れたように、あるいは嬉しそうに彼女は首を傾げて問いかける。
詠「……してる。姉ちゃん綺麗だし可愛いし」
嘘をついても仕方ない。
俺は素直に彼女に今の気持ちを話した。
310 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/20(土) 22:51:11.22 ID:/XJTWmdk0
姉ちゃんは少し驚いた様子であったが、すぐに表情を綻ばせて俺に抱き付いてくる。
明「ありがとっ! 詠も今すっごく可愛いよ」
詠「やめて、可愛くないから……」
布の上からだけどおっぱいが当たってることを意識せずにはいられない。
思わず勃起してしまいそうだ。
姉ちゃんいい匂いするし……。
明「ねぇ」
不意に彼女は呟く。
明「上がろ?」
詠「へ、まだそんなに浸かってないだろ?」
混浴風呂に入ってからまだ数分しか経っておらず、満喫したというにはいささか物足りない。
明姉ちゃんは顔をさらに近づけてきて、
明「何かすごく興奮してきちゃったのよ……」
ドキッとしたとか、そんな乙女チックなものでは断じてなく、ただ一瞬で勃起した。
311 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/20(土) 22:52:03.89 ID:/XJTWmdk0
頬や額に張り付く髪も、いつもより荒々しい吐息も、俺を見上げるその仕草も、彼女の全てが俺の理性を殺しにかかっているかのようだ。
明「あはっ、勃った」
俺のタオルの盛り上がりを見て、恍惚な表情でありながら笑顔な姉ちゃん。
片手で俺の陰茎をいじりながら、もう片方の手で顔を押さえられ、キスされる。
詠「ちょ、姉ちゃん……」
解放されたタイミングで、困るよ、というニュアンスを込めてそう言う。
明「続きは戻ってからしよ?」
そう言って彼女は女性風呂へと戻る。
詠「な、勝手なやつ……」
彼女の背に向けて恨み言を放つが艶めかしい背中は離れていき、扉の向こうへと消えていった。
詠「俺はしばらく戻れないぞ……」
俺は痛むくらい膨らんだ自分の股間を見てがっくりと肩を落としたのだった。
しばらくして何とか勃起も治まった俺はもう一度身体を洗い、部屋へと戻る。
明「遅いよー」
満面の笑みの明姉ちゃんの横にはすでに布団が敷いてある。
312 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/20(土) 22:53:02.32 ID:/XJTWmdk0
詠「や、遅いよって言われても、姉ちゃんのせいだからな?」
明「ずっと興奮しちゃってた?」
からかうように尋ねてくる彼女を相手に俺は口を噤む。
その通りだから言い当てられて恥ずかしい。
明「私もすごい興奮してたのよ?」
姉ちゃんが、そう言って布団の上に横になる。
ちらっと着物がはだけており、艶やかな肩が見えている。
風呂上がりの上気した身体から漂う色香は筆舌に尽くしがたい。
胸の谷間も着物からちらりと見え、俺はまた唾を飲んだ。
明姉ちゃんはおもむろに自分の股に手を突っ込んで、くちゅくちゅ、という水音を部屋に響かせながら息を荒げる。
顔を真っ赤にさせ、目はトロンとだらしない。
明「ほら、すっごく興奮してるの」
股に突っ込んだ手を引き戻して俺に見せつける。
照明の光が彼女の指の液体を反射して、輝きを放つ。
彼女の指先から液が垂れるのと同時に俺は彼女に抱き付いていたと思う。
313 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/20(土) 22:54:00.93 ID:/XJTWmdk0
息を荒げて、一心不乱にキスをした。
舌を入れたり、上下の唇を吸ったり、とにかく一分以上にわたってキスをし続けていた。
すっかりはだけた着物を雑に脱がせて、下着も付けてなかった胸が露になる。スレンダーな割にはそれなりにふくらみのある胸。
多分パンツも履いてない。そう思うとさらに興奮した。
自分も下着を脱いで、お互い裸に着物だけを雑に着てるというマニアックなシチュエーション。
興奮しないわけが無かった。
俺は舌を這わせ、彼女の耳、首、胸へと降りてくる。
明「ん……あっ……はぁ、はぁ……あんっ! ……んぅ」
彼女から嬌声が聞こえ始める。
乳首を舐めると小さな喘ぎ声と、気持ちいい、という言葉が耳に入る。
舌で転がしたり、ついばむように吸ったり、指で弾いたりすると、きゅっきゅっと力が入るのを何だか愛おしく感じる。
明「やば、私すっごく興奮してる……! 詠っ!」
そう言って直後、彼女は俺の下から強く抱きしめてくると、密着してキスを何度も何度も求めてきた。
314 :
◆Xx4o45zWU.
[saga]:2018/01/20(土) 22:54:34.23 ID:/XJTWmdk0
俺はそれに応える。
何度激しくキスをしても堪らないほどに彼女の熱は収まらない。
明「あむっ……ちゅ、くちゅ、ちゅ……んっ……んむっ……ちゅ……」
しまいにはお互いの位置がくるりと逆転して明姉ちゃんは足を絡ませ、手を俺の頭に回し、強く押し付けるようにキスを繰り返す。
さらには腰を振って、俺の陰茎と彼女の陰核が擦り合う刺激が延々と続く。
気持ちよくて頭がぼうっとする。
亀頭への刺激で自然と力が入る。
姉ちゃんも陰核への刺激で、時折ビクッと痙攣する。
しばらくお互いがビクビクと痙攣し合う中、不意にぬるりとした感じが陰茎を襲う。
手を使わず器用に挿入されたようだ。
密着した状態、繰り返される貪るようなキス、刺激を求めて振り続けられる腰は変わらない。
ただ、より強くなった刺激が二人の腰回りを支配する。
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