Pの姉妹はトレーナー!【アイドルマスターシンデレラガールズ】

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291 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/20(土) 05:35:03.97 ID:B48ucm8nO
終わるだなんてまたまたご冗談を
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/20(土) 17:12:18.88 ID:N+nkNi0cO
まだ6人中4人も残ってますぜ!?

それにハーレムルートと二股ルートもありますぜ!?
293 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 22:38:52.67 ID:/XJTWmdk0
『青木明』

明「遅いよー」

珍しくもジャージではなく私服を着こなす明姉ちゃんは会って早々、俺に文句を言ってきた。

詠「ごめん。だって仕事……」

明「無いって言ってたじゃん!」

詠「急に入ったんだって」

社会人ならこういうこともあるだろう。
先方からの突然の電話で、ありがたいことにポジパの営業が功を奏したのだ。

しかしながら、『今日はこれから空いてますか?』という一言で俺の予定は後ろ倒しになっていく。

ちなみにこの言葉を無下にすると次に『この話は無かったことに……』と言われるのがオチだ。

そういうわけで、明姉ちゃんとお出かけの予定も三時間ほど後ろに遅らせてもらい、結局19時待ち合わせとなってしまった。
294 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 22:39:25.81 ID:/XJTWmdk0
明「今度埋め合わせよ!」

詠「だから、ごめんって。これから忙しいから難しいよ」

ぷぅっと膨れる明姉ちゃんだが、時間が惜しいのか俺の腕を取って夜の街に二人、紛れていく。

明「今日はどこに連れてってくれるの?」

詠「まあ近くのショッピングモールでいいかな?」

明「味気無いわねー」

詠「いいでしょ別に」

明「まあいいよー。詠と二人きりだし!」

そう言ってぎゅっと距離を詰める。
腕にしがみつくように密着してくる明姉ちゃんに女を感じて、ドキッと高鳴る。

彼女の私服姿は珍しく、改めて見ると可愛い。
花柄のワンピにロングのブーツ、腰丈のトップスは内側がもこもこしてて暖かそうだ。

首には去年俺が贈ったネックレスを身に着けていた。
当時は『こんなの着けるタイミング無いわよ〜』なんて笑っていたが、今まで大事にしくれていたみたいだ。ちょっと嬉しい。

普段はしないようなメイクもして、めかしこんでいる彼女はいつになく色気もあるように感じられる。
295 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 22:40:19.70 ID:/XJTWmdk0
詠「あ、あの、姉ちゃんさ」

明「ん、どうしたの?」

詠「何て言うか今日、可愛いね。服も似合ってて良い……です」

街灯に照らされる彼女の顔は次第に赤みを帯びていく。
多分寒いからってだけでも無いだろう。むしろ俺は今暑いくらいだ。

明「え、あ、その……あ、ありがと……」

そんな初心な反応を見せてくれる明姉ちゃん。
照れてる彼女を見るとこちらまで照れてしまうので止めてほしい。
と思ったが、先に照れたのは俺だった。

詠「それも、嬉しいよ……やっぱ姉ちゃんに良く似合うね」

俺は明姉ちゃんの首のネックレスを指して言ったのだが、これも失敗だ。
自分で言って恥ずかしくなる。

明「えへへ……そうかな? せっかくだから着けてみたの」

照れくさそうに笑う明姉ちゃん。
この日、何かが変わりそうだと俺の中でちょっとした鐘が鳴ったのだった。
296 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 22:40:57.43 ID:/XJTWmdk0
……十数分電車を乗り継ぎ、さらに歩くこと数分。

目的のショッピングモールまでたどり着いた。
食品、医薬品、アパレル、雑貨、本、家電、旅行代理、眼鏡、楽器、ファンシーグッズ、スポーツ、ゲームセンター、レストラン、映画館などなど、何でもござれな青木家(両親除く)の行きつけである。

デートするのも、何か買いに来るのも、大体ここで事足りてしまったりするのだ。

確かに明姉ちゃんの言った通り見慣れた場所でのデートはちょっと味気無いのだが、今はイルミネーションが施され、ここからも目の前にある駅前広場では椅子に腰かけながらその作品群を一望できる。

冬にうってつけなデートスポットでもあるのだ。

遠出するなら、海の側の煌びやかな街でもいいのだが、時間が押してしまったものだから、ここで妥協するしかない。

詠「着きましたー」

明「いつもの場所ねー」

詠「贅沢は敵です」
297 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 22:41:24.72 ID:/XJTWmdk0
明「もう! 誰のせいでこんなことになったと思ってるの?」

詠「はい、すみません」

明「まったく……」

詠「まあ、明姉ちゃんも楽しめるでしょ?」

明姉ちゃんは大きくを溜息を吐いて、まあねと答える。
次にキッと俺に振り返ると、人差し指をピッと立てて俺の前に突き出した。

詠「な、何?」

明「今は姉ちゃん禁止!」

詠「えーっと……明?」

俺がそう言うと明姉ちゃんは、満足そうに笑みを浮かべて頷いた。

明「私は今詠の恋人なんだから」

そう言って彼女はまた俺の腕にしがみつく。
傍から見たらカップルそのものだろうなぁ、とドキドキするのを隠すため考えつつ、俺たちはショッピングモールに入ったのだった。
298 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 22:42:00.10 ID:/XJTWmdk0
歩いていると、意外にもカップルが多く目に付いた。
本日、クリスマス・イブ・イブであるのだが、クリスマス二日前から盛況なのだ。

俺も仕事があって恐らく早く帰れない社畜の一人。
今のうちに楽しんでおこう。

幸い明日はお休みだ。
今日の振り替え休日的な感じである。
しかし明姉ちゃんは明日仕事があるため、日程を今日に合わせるしかないのだった。

とまあそんなことはさておいて、腕を組みながら歩いていると明姉ちゃんの動きが止まる。
それに合わせて俺も動きを止めて彼女を見てみると、その視線はショーケースに釘付けという感じだ。

どうやら心惹かれるような服に出会ったらしい。

詠「それ、可愛いね」

俺もそれを見て率直な感想を述べる。
しかし明姉ちゃんにしてはちょっと幼さの残るようなふんわりとしたコーディネートだが、どうだろう?

俺は無神経にも彼女とそのコーデを交互に見比べてみる。

明「ちょっと止めてよ」

苦笑しつつ、ぺしっと俺の肩を軽くたたく明姉ちゃん。
299 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 22:42:41.81 ID:/XJTWmdk0
詠「いや、こういう明姉……明って見たことないし、想像したら意外と似合うんじゃないかって思うけど……」

明「そ、そうかな?」

詠「うん、試着してみたら?」

そう言うと明姉ちゃんは、うーん……と考える。

明「じゃあそうするわね」

そう言って嬉しそうにはにかんだ。

それからお店に入って店員さんに言って試着する。

明姉ちゃんは案内された試着室に入り、シャッとカーテンを閉めるが、思い付いたようにそこから顔だけ覗かせて『覗かないでね』と悪戯っぽく言った。

詠「うーん、どうだろ? 今日の明、一段と可愛いから分かんないよ?」

明「ば、ばかっ!」

何の気無しで答えた俺を丸い目で見つめて、かぁっと頬を紅潮させる明姉ちゃんは、勢いよくカーテンを閉め直す。

口元がちょっとニヤついてたのを俺は見逃さない。
してやったりと軽く笑ってしまうが、改めて今日の姉ちゃん可愛いなと思ってしまうのだった。
300 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 22:43:10.59 ID:/XJTWmdk0
俺がスマホをイジイジし始めて少し経った頃、明姉ちゃんは再びカーテンを開けてちょいちょい、と手招きして俺を呼ぶ。

詠「どうしたの?」

見せるのならカーテン開けちゃえばいいのに。
俺がそう考えていると、明姉ちゃんが少しばかり自信無さげに眉を顰める。
俺は明姉ちゃんの掴むカーテンをぐいっと開ける。

明「わっ!? ちょっと!」

そこにはふんわりとした衣服で身を包むいつもよりも幼いコーデで可愛らしい明姉ちゃんがいた。
可愛らしいミニの下から覗く防寒対策であろうタイツが何やら艶やかなギャップを演出している。

上半身もふんわりフリフリないつも着ないような、彼女が恥ずかしく思ってるファッションは俺には新鮮で、可愛らしく思えた。

明姉ちゃんは自分自身を抱くように服を隠して、恨めしそうに一瞬俺を睨むが、観念したようにがっくりと項垂れる。
301 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 22:43:38.60 ID:/XJTWmdk0
明「はぁ……。鏡見てあんまり似合わないってことくらい私でも分かるから」

詠「え? いや、すごく可愛いと思うけど……明がそう思うんなら……」

明「はい? 今、なんて?」

詠「だから可愛いって」

明「本当に?」

詠「本当だよ」

そんなやり取りを何回もして、俺は『可愛い』と言うのもさすがに恥ずかしくなってきてしまった。

明姉ちゃんも笑顔で嬉しそうではあるが、顔を火照らせているのを見るとやっぱり恥ずかしいんじゃなかろうか。

明「本当かなー? 嘘じゃなくって?」

詠「しつこいってば」

顔を近づけて聞いてくる姉ちゃんに対して、俺はそっぽを向いて答える。
302 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 22:44:22.17 ID:/XJTWmdk0
明「えへへ……」

詠「ちょっ……何さ?」

急に抱き付いてくる姉ちゃん。
俺は身体を引き気味にして、彼女の肩を軽く押し返す。

可愛すぎて勃起したナニが当たっちゃいますから。

詠「どうする? 買ってく?」

俺はホカホカの頭を冷やすために話題を変える。

明姉ちゃんは自分の服装を試着室の姿見で確認すると、もう一度俺に振り向いた。

明「うーん、詠が可愛いって言ってくれるのは嬉しいんだけど、やっぱり私には似合わないかな? まだ慶ちゃんの方が可愛げあるよ」

そうかな……とは思うけど、姉ちゃんたちにはロリータ系のファッションよりはシックな大人コーデの方が合うような気がするのは俺も同意だ。

慶ちゃんならきっと可愛く着こなせそうではあるな。
何て言うか、四人とも顔は似てるんだけどね。
303 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 22:44:50.89 ID:/XJTWmdk0
ただ、このギャップにはグッとくる。
きっとそれで外を歩いたって人目を惹くだろう。

後でこっそり買っておこうと思ったのだった。

ショップを出て俺たちはレストランで食事を済ませ、外の広場へ。

複数のツリーに施されたイルミネーション。
周囲の壁や手すりにもそういった電飾が施されており、俺達はベンチに座ってほぅ……と白い吐息を吐きながらそれらを見入っていた。

明「綺麗よね」

詠「うん」

明「そこは『明の方が綺麗だよ』とか無いの?」

詠「普通自分で言うか?」

明「別にいいじゃない」

姉ちゃんはふいっと顔を背けて照れ隠しをする。
暗がりの中に彩られたイルミネーションが照らす姉ちゃんの横顔。
物静かでどことなく儚さを帯びた物憂げな表情と、潤んだ瞳に俺は心臓を跳ねさせる。

その様子からは、これからのことを見据えるような、あるいは一歩前に踏み出すのを恐れるような不安が感じられる。

彼女の考えることは分かる。
きっと俺のことで悩んでるんだと思う。
304 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 22:45:24.37 ID:/XJTWmdk0
彼女はこの恋に真剣だ。
今日以外のやり取りでもそのことは十分に伝わってきているし、俺も無下に扱うことはできない。

この半年ほど前にそんな彼女の本気を知ってしまったからには俺も本気の気持ちで返さねばならないのだ。

そして俺の出す答えは既に決まっている。

ベンチに座って何も言わずに白い息を吐くだけの俺達だったが、俺は着けていた手袋を外すと、彼女の手袋の上からその手を握った。

ちら、と彼女がこちらを窺う。
ゆっくりと俺の手をどかしてから手袋を外すと、彼女もまた素手で俺の手を握り返した。

こてん、と肩に乗っかる頭。
小柄で、それだけの仕草が可愛らしい。

お互いに頭を寄せ、どちらからともなく、視線を向け合う。
徐々に顔の距離は近くなっていき、外にいるにもかかわらず、唇を重ね合った。

軽く触れあうだけのキスをして、すぐに離す。
手を握る力は強くなっていた。
305 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 22:46:09.87 ID:/XJTWmdk0
詠「明、好きだ」

俺は告白していた。

彼女は恍惚な表情を見せたが、すぐに破顔した。

明「えー、ヤりたいだけじゃないの?」

明姉ちゃんは茶化してそんなことを言う。

詠「だったら既に誰かと関係持ってるよ」

明「本当に持ってるんじゃないでしょうね?」

失言だったみたいだ。
俺はそんなことあるわけないと否定する。未遂はあるけれど。

明「でも、詠が本気だって言うんなら私は嬉しいな」

詠「あのさ、キスと告白してこんなにドキドキするの久しぶりなんだけど……」

俺がそう暴露すると、明姉ちゃんはどれどれ、と俺の胸に耳を当てる。

明「あっ、凄い……」

彼女が耳を当てて密着することでさらに大きく鼓動が騒ぎ出す。
306 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 22:46:48.71 ID:/XJTWmdk0
詠「分かったでしょ?」

明「うん……」

明姉ちゃんはしばらくその体勢のまま動かない。

明「でも、何だろう。すごく落ち着くわ」

詠「あ、ああ、そう? そろそろ離れてもらってもいいかな?」

明「えっ? ちょっと、詠はもう私の彼氏ってことでいいんでしょ?」

詠「や、そうなんだけど。さすがに周りに見られて恥ずかしい……」

俺が言うと、気が付いた明姉ちゃんもさっとたたずまいを整える。

明「そういうのはもっと早く言いなさいよ」

詠「姉ちゃんが大胆なんだよ」

お互いに憎まれ口を叩いて、くすくすと笑い合う。

電飾の光彩ももう目には飛び込んでこないまま、目の前にいる彼女のさまざまな色の光を吸い込んだ瞳に吸い込まれそうになる。

見惚れていると、明姉ちゃんはさっきよりも深く口付けをしてきた。
不意に交わされたそれに為す術も無く、いや、何も抵抗する必要は無く身を委ね、人目も気にせずたっぷり数秒交わした後、彼女の顔をはっきりと認識する。

明「これからよろしくね」

明姉ちゃんはにっこりと満面の笑みと朱に染まる頬を見せたのだった。

『青木明』 終わり
307 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 22:47:40.53 ID:/XJTWmdk0
『明アフター』

相変わらず俺は四姉妹と暮らしている。
もちろん彼女たちに俺と明姉ちゃんの関係は認めてもらっているのだが、職場からも近いし、仕事が安定するまでということで、未だに住んでいる。

他の姉ちゃんたちも、慶ちゃんも、俺のことを諦めると言ってそれぞれ新しい出会いを探している最中である。

とは言いつつも、意外と親しい様子で男性と話をする彼女たちを見たことがあるので、その点は意外と早く解決しそうだ。

ただし、家の中で俺と明姉ちゃんがイチャイチャすることはほとんど無い。
他の姉妹にやめろと言われており、イチャイチャを目撃すると超不機嫌になっちゃうからである。

つまり、デートに出かけているこの時間がイチャイチャし放題のタイムなのである。

明「詠〜、この後どこ行く?」

詠「うーん、たまには二人きりでゆっくりしたいよね」

と俺が言うのも、二人きりになれる時は大体外に出かける時だけであり、あっちへ行ったりこっちへ行ったりでデートを満喫するわけだが、たまには自宅のソファで二人ゆったり微睡むのもありかなーと思ったりする。

そう思っての俺からの提案である。

明姉ちゃんもその考えには概ね賛成らしく、二人で何もしないような時間を過ごしたいと思ってるらしい。
308 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 22:48:31.75 ID:/XJTWmdk0
詠「じゃあさ、これから旅館行こうよ」

明「え、今から?」

詠「そう。姉ちゃん、明日も休みでしょ? 温泉入って、姉ちゃんとだらだら過ごしたいな」

明「まあ、詠がそれでいいって言うならいいわよ」

あっという間に旅行が決まり、その日の内にお出かけとなる。

一旦家に帰って宿を調べて、良さそうな所に電話を掛ける。
運良く部屋が空いており予約を済ませると、早速荷物を纏めて出立した。

電車に二時間ほど揺られて、着いた場所は自然豊かな観光地。

結局、一通り観光するあたり、自分たちは結構アクティブなんだなと再認識する。

陽が落ちる頃、宿に着いて、女将さんに部屋に案内される。
その女性の年齢も若く綺麗な方だった。
名刺を取り出しそうになったが、横の明姉ちゃんに睨まれて、名刺入れをスッと戻す。

値段は多少張るが、サービスが良く、価格よりも得したと思えるほどだ。
平日ということもありお客さんも少ない。

それに温泉には混浴もあり、明姉ちゃんと二人で貸し切り状態だった。

詠「ふぃ〜……落ち着くなぁ」

明「本当、良いところだねぇ」

二人で露天の温泉にに浸かる。
もちろん、身体にタオルを巻いて隠しているが、俺は明姉ちゃんが見せる柔和でキメ細かな肌に思わず見惚れてしまう。
309 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 22:49:49.92 ID:/XJTWmdk0
明「ん? 何見てんの?」

詠「や、別に……」

明「ふーん」

明姉ちゃんは特に咎めるようなこともせず、彼女自身は自然体だ。

俺はまたも彼女を盗み見る。
肌はしっとりと湯気で濡れ、じんわりと滲む汗が髪の根を徐々に濡らす。

鎖骨の窪みが汗や蒸気の受け皿になってほんのりと艶めかしさを醸し出し、艶やかに紅潮する頬に視線は吸い込まれ、同じように綺麗な桃色の唇にも目を奪われる。

ゴクリと生唾を飲み込んだのと同時に、明姉ちゃんはこちらに微笑みかけてくる。

明「何か意識してない?」

困ったように、呆れたように、あるいは嬉しそうに彼女は首を傾げて問いかける。

詠「……してる。姉ちゃん綺麗だし可愛いし」

嘘をついても仕方ない。
俺は素直に彼女に今の気持ちを話した。
310 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 22:51:11.22 ID:/XJTWmdk0
姉ちゃんは少し驚いた様子であったが、すぐに表情を綻ばせて俺に抱き付いてくる。

明「ありがとっ! 詠も今すっごく可愛いよ」

詠「やめて、可愛くないから……」

布の上からだけどおっぱいが当たってることを意識せずにはいられない。
思わず勃起してしまいそうだ。

姉ちゃんいい匂いするし……。

明「ねぇ」

不意に彼女は呟く。

明「上がろ?」

詠「へ、まだそんなに浸かってないだろ?」

混浴風呂に入ってからまだ数分しか経っておらず、満喫したというにはいささか物足りない。

明姉ちゃんは顔をさらに近づけてきて、

明「何かすごく興奮してきちゃったのよ……」

ドキッとしたとか、そんな乙女チックなものでは断じてなく、ただ一瞬で勃起した。
311 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 22:52:03.89 ID:/XJTWmdk0
頬や額に張り付く髪も、いつもより荒々しい吐息も、俺を見上げるその仕草も、彼女の全てが俺の理性を殺しにかかっているかのようだ。

明「あはっ、勃った」

俺のタオルの盛り上がりを見て、恍惚な表情でありながら笑顔な姉ちゃん。
片手で俺の陰茎をいじりながら、もう片方の手で顔を押さえられ、キスされる。

詠「ちょ、姉ちゃん……」

解放されたタイミングで、困るよ、というニュアンスを込めてそう言う。

明「続きは戻ってからしよ?」

そう言って彼女は女性風呂へと戻る。

詠「な、勝手なやつ……」

彼女の背に向けて恨み言を放つが艶めかしい背中は離れていき、扉の向こうへと消えていった。

詠「俺はしばらく戻れないぞ……」

俺は痛むくらい膨らんだ自分の股間を見てがっくりと肩を落としたのだった。

しばらくして何とか勃起も治まった俺はもう一度身体を洗い、部屋へと戻る。

明「遅いよー」

満面の笑みの明姉ちゃんの横にはすでに布団が敷いてある。
312 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 22:53:02.32 ID:/XJTWmdk0
詠「や、遅いよって言われても、姉ちゃんのせいだからな?」

明「ずっと興奮しちゃってた?」

からかうように尋ねてくる彼女を相手に俺は口を噤む。
その通りだから言い当てられて恥ずかしい。

明「私もすごい興奮してたのよ?」

姉ちゃんが、そう言って布団の上に横になる。
ちらっと着物がはだけており、艶やかな肩が見えている。
風呂上がりの上気した身体から漂う色香は筆舌に尽くしがたい。

胸の谷間も着物からちらりと見え、俺はまた唾を飲んだ。

明姉ちゃんはおもむろに自分の股に手を突っ込んで、くちゅくちゅ、という水音を部屋に響かせながら息を荒げる。
顔を真っ赤にさせ、目はトロンとだらしない。

明「ほら、すっごく興奮してるの」

股に突っ込んだ手を引き戻して俺に見せつける。
照明の光が彼女の指の液体を反射して、輝きを放つ。

彼女の指先から液が垂れるのと同時に俺は彼女に抱き付いていたと思う。
313 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 22:54:00.93 ID:/XJTWmdk0
息を荒げて、一心不乱にキスをした。
舌を入れたり、上下の唇を吸ったり、とにかく一分以上にわたってキスをし続けていた。

すっかりはだけた着物を雑に脱がせて、下着も付けてなかった胸が露になる。スレンダーな割にはそれなりにふくらみのある胸。

多分パンツも履いてない。そう思うとさらに興奮した。

自分も下着を脱いで、お互い裸に着物だけを雑に着てるというマニアックなシチュエーション。
興奮しないわけが無かった。

俺は舌を這わせ、彼女の耳、首、胸へと降りてくる。

明「ん……あっ……はぁ、はぁ……あんっ! ……んぅ」

彼女から嬌声が聞こえ始める。
乳首を舐めると小さな喘ぎ声と、気持ちいい、という言葉が耳に入る。

舌で転がしたり、ついばむように吸ったり、指で弾いたりすると、きゅっきゅっと力が入るのを何だか愛おしく感じる。

明「やば、私すっごく興奮してる……! 詠っ!」

そう言って直後、彼女は俺の下から強く抱きしめてくると、密着してキスを何度も何度も求めてきた。
314 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 22:54:34.23 ID:/XJTWmdk0
俺はそれに応える。
何度激しくキスをしても堪らないほどに彼女の熱は収まらない。

明「あむっ……ちゅ、くちゅ、ちゅ……んっ……んむっ……ちゅ……」

しまいにはお互いの位置がくるりと逆転して明姉ちゃんは足を絡ませ、手を俺の頭に回し、強く押し付けるようにキスを繰り返す。

さらには腰を振って、俺の陰茎と彼女の陰核が擦り合う刺激が延々と続く。

気持ちよくて頭がぼうっとする。
亀頭への刺激で自然と力が入る。

姉ちゃんも陰核への刺激で、時折ビクッと痙攣する。
しばらくお互いがビクビクと痙攣し合う中、不意にぬるりとした感じが陰茎を襲う。

手を使わず器用に挿入されたようだ。
密着した状態、繰り返される貪るようなキス、刺激を求めて振り続けられる腰は変わらない。

ただ、より強くなった刺激が二人の腰回りを支配する。
315 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 22:55:09.65 ID:/XJTWmdk0
俺も次第に突き上げるように腰を振る。

明「あうっ! だめっ! 嘘ッ、気持ちいい!! あ、あっんっああっ……!!!!」

嬌声が大きくなる。
そのまま何度も何度も突き上げて、徐々にそのスピードも増していくと、加速度的に彼女の喘ぎ声もその量を増やしていく。

明「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」

明姉ちゃんは言葉にならないような声を発して、大きく痙攣を繰り返す。
俺が動き始めてから早々に姉ちゃんはイッてしまった。

明「はぁ……はぁ……あっ! またっ!? 今、イッたばっかで……うぁっ! あっあっ……!!」

それでも俺は止まることなく数回突き上げると、姉ちゃんはまた強く痙攣した。

明「ちょっ……早っ! 待って! まっ……!! あぁっ!! だっ……めっ!! あぅ……いっ……くぅ……〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」

騎乗位から突き続け、ぐてっとする姉ちゃんを支えるように対面座位へと体位を変えて、腰を振る。

力が抜けたように俺に身を預ける明姉ちゃんだったが、すぐに膣内への刺激に耐えられなくなって、強く俺に抱き付いてきた。

明「きゃあああああっ!! 〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」

叫んだかと思えばまた声にならない喘ぎ声で喉を枯らし、痙攣のせいでまた腰を動かす。
対面座位でも姉ちゃんは強く性的興奮を覚えるようで、自発的にしがみついたり、キスしたりを繰り返していた。
316 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 22:56:05.68 ID:/XJTWmdk0
詠「もっと甘えていいよ。ほら、明」

そんな言葉をかけると、膣肉がペニスをきゅぅっと締めてくる。

そうして痙攣する姉ちゃんは勝手に前後する腰に抗えず、だらしない顔をしてイキっぱなしだ。
イキっぱなしと分かるのは、膣肉が時間を置くことなく忙しなく蠢いているのがハッキリと感じられるからだ。

耳に息を吹き掛けたり、舐めたりしてあげるとさらに大きくビクビクする。

明「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」

詠「気持ちいいの?」

明「いいっ……! きもちいっ……!!」

俺は陰茎を抜かないまま、彼女を寝かして正常位に体位を移す。
お互いの両手を貝殻合わせに繋いで、ぎゅっぎゅっと腰を打ち付ける。

俺も次第に射精しそうな感覚に陥ってきて、腰を振る速度も上がる。
姉ちゃんも痙攣が治まらないままずっとセックスしているので、俺の下から腰を本能のままに振っているようだ。

詠「姉ちゃん、イキそうっ!!」

明「あぁっ!! 一緒にっ! あぅっ!! あ、あ、あああああっ!!!!」

二人の動きが一瞬止まる。
俺は小さな喘ぎ声と共に射精する。
彼女の中でわずかに腰がヒクついて、凄まじい幸福感と満足感の余韻に浸る。
317 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 22:56:32.80 ID:/XJTWmdk0
姉ちゃんも腰のヒクつきが止まらない。
気持ちい、幸せ、という言葉を繰り返して満面の笑みを俺に向ける。

しばらくして抜いた膣穴から白濁液がつつと流れる。
明姉ちゃんはちょん、とその液に触れて指先で弄んだ。

明「えへへ……子供出来ちゃうわね」

汗でしっとりと濡れた布団の上で、変わらない笑顔のまま彼女は挑発的にそう言ってみせた。

詠「姉ちゃん、気持ちよかった……」

明「私も……でも詠やりすぎ。イキすぎて疲れちゃったわ」

詠「それは、ごめん。でも着物着ながらってのも何かすげぇ興奮して……」

明「それも……そうだけど……」

お互いに気恥ずかしくなって、しばらく沈黙する。

明「でもすっごく気持ちよかった……」

それを破るのは恍惚な表情を浮かべて頬に手を当てる明姉ちゃん。

明「だから、また連れてってね?」

妖しく輝く彼女の瞳。
それを新鮮に感じるのだった。

『明アフター』 終わり
318 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 22:57:04.77 ID:/XJTWmdk0
『青木聖』

ここの所、聖姉ちゃんの様子がおかしい。
というのも俺に実害があるわけでなく、全くの逆だからである。

夜這いされた日以来、十分に積極的だった姉ちゃんは見る影もなく、今ではちょっかいをかけてくることも少ない。

俺としては、やっとのことで常識を手に入れてくれた聖姉ちゃんを称賛したい気持ちでいっぱいなのだが、気味悪く思ってしまう自分もいる。

まあ深くは考えずに、きっと反省したんだろう、という程度に考えることにしている。

そうして今夜も業務が終われば聖姉ちゃんが事務室までやって来る。

聖「詠、仕事が終わったなのなら一緒に帰らないか?」

こんな風に大人しくなったのだ。

積極的じゃないか、だって?
いやいや、積極的と言っても当社比と注意書きが付きそうなものではあるだろう。

以前なんかは業務中にハグは当たり前で、隙あらばキスに耳舐め、股間を弄ってきたりもしたのだから堪ったものではない。

それさえなければ尊敬できる先生と称される姉が次女の聖なのだ。
曰く、厳しいながらも時には優しく、いつも凛々しく、カッコいい……ブラコンですべてを台無しにしている人間、との評価である。
319 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 22:57:42.37 ID:/XJTWmdk0
酷い言われよう。
そのせいで俺に向けられる視線も何だか奇怪なものが多かった気がする。

そんな姉がブラコンという大きな鳴りを潜めたことによって、またしても噂に尾ひれどころか翼やらその他諸々やらが付いていき、ついに義弟とデキちゃっただとか、逆に義弟にフラれただとか、こちらも散々な言われようだ。

しかし、まあ俺は姉ちゃんが落ち着いてくれたことで接しやすくなっていたのも確かだし、頼ることも増えるようになったと思う。

以前は何されるか分からないのが怖くて、頼れなかったんだけどね。

詠「うん、ちょうど終わったから帰ろうか」

というわけで俺も彼女の提案を断ることはあまり無いのだった。

詠「姉ちゃん変わった?」

俺は帰り道、そんなことを聞いてみる。
聖姉ちゃんはしばらくキョトンとしていたが、俺の顔を覗き込むようにしてニッと笑う。
これはからかう時の顔だな、と思いつつも久しぶりに見たその表情に思わずドキッとしてしまう。

聖「そう思うか?」

詠「あー、や、どうだろう?」

聖「まあお前が変わったと思うんなら変わったんだろうな」
320 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 22:58:27.66 ID:/XJTWmdk0
詠「そうかもね」

聖「でもな、詠」

詠「ん?」

聖「お前を好きなのは変わってないぞ」

じっと目を合わせてから微笑む姉ちゃん。
しばらく目が離せない俺は頭が、かぁっ……と熱を帯びて、心音が胸から直接耳に響いてくるのを感じた。

詠「そ、そっか……ありがと」

俺は曖昧にお礼を返すことしかできなくて、そんな自分を情けなく思った。

そういう言いたいことをハッキリと言う男らしい一面も、また彼女の人気に拍車をかけ始めている。

そうして変わり始めたある日、社内のカフェテラスで聖姉ちゃんを見つけた。
聖姉ちゃんがカフェにいるのは珍しい。

俺は声を掛けようと思ったのだが視界を少しずらすと見知らぬ男が彼女の向かいに座っている。

何か談笑しているようで親し気な雰囲気が伝わってくる。

詠「だ、誰……?」

俺は酷く動揺した。
あんな男知らないし、姉ちゃんが男の人と親しそうに話すのも初めて見たかもしれない。
321 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 22:58:58.87 ID:/XJTWmdk0
俺は結局、黙ってその場を離れた。
一体誰なんだ……。

もちろん午後の業務は全く集中できないで蓮さんに叱られたり、葉月さんに心配されたりして、俺の悩みを話すことにした。

詠「実は……姉の聖が知らない男の人と親しげに話してるのを見て、何か……」

それから、うーん、と唸ってしまって言葉を紡げない。
話を聞いてくれた二人はキョトンとした視線を俺に向ける。

蓮「それってよぉ……」

葉月「あれですよね……」

二人はお互いに顔を見合わせて、一瞬のうちに破顔した。

え? 何その反応?
ていうか、あれって何ですか? やっぱりそういう関係なんですか?

そう考えると、悶々とした思いは一層強くなって感情がごちゃごちゃと複雑に渦巻いていくようだ。

蓮「まあ、そんな落ち込みなさんな」

葉月「そうですよ。気になるなら直接聞いてみればいいじゃないですか」

二人ともやけに嬉しそうですね。
俺はこんな思いをしてるっていうのに……。酷い先輩たちだ。
322 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 22:59:33.70 ID:/XJTWmdk0
蓮「葉月の言う通りだな。聞けばすべてが解決すると思うぞ」

詠「そりゃそうですよ。だって聞いたらどんな関係か分かるんですから」

葉月「あはは……。多分、それだけじゃないと思うんですけどね」

詠「はい? それってどういう……」

尋ねようとする俺を蓮さんが遮った。

蓮「ストップ。これ以上は俺達じゃなくて本人に聞け。いや、聞くべきだ」

葉月「きっと悪いことにはならないと思いますよ」

そう言って先輩たちはこの話を終わりにした。
俺としてはまだ心残りが多く、先輩たちのことを少しだけ頼りなく感じた。

どこか放心状態で終業を迎える。
蓮さんに声を掛けられてそのことに気が付いたのだが、同時に進捗状況が悪いことにも気が付いた。

詠「ぐえぇ……」

蓮「どうした?」

詠「全然進んでないです……」

蓮「ふーん。残業、頑張れよ」
323 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 23:00:00.32 ID:/XJTWmdk0
蓮さんは俺のことなど全く気にしていない様子で、ポンと肩を叩いてそう言い残す。

蓮「それと、さっさとお姉さんのこと解決させとけ」

事務所の冷蔵庫から346印のスタミナドリンクを取り出して俺のデスクにトン、と置いてくれた。
派手なスーツを着た美人の事務員さんがよく差し入れしてくれるものだ。

無関心だと思っていたが、蓮さんなりに心配してくれているらしい。

蓮さんが帰って一時間程経過し、俺はようやく自分が満足できる所まで仕事を進められた。
ちなみに葉月さんは蓮さんよりも早くご帰宅なさっている。

あとはこのメールを送信して終わり……。
というところで、カチャリ、と事務所のドアが遠慮がちに開けられる。

蓮さんが忘れ物でもしたのかと思ったが、違った。

聖「詠、いるか?」

詠「聖姉ちゃん!?」

驚きのあまり声が上ずる。

聖「な、何だ?」

詠「あ、いや、何でもないけど……。どうしたの?」
324 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 23:00:44.77 ID:/XJTWmdk0
聖「どうしたって、お前が呼んだんだろう?」

詠「はい?」

俺は呼んでないですけど。

聖「渋谷から詠が呼んでると言われたのだが……」

蓮さん、余計なことを……。
しかしながら手間が省けたし、これで聞くしかなくなったわけで、蓮さんには感謝するべきなのかもしれない。
おそらくこのままグダグダ時間が過ぎていっただけだろうし、蓮さんもそれを危惧したのだろう。

詠「とりあえず、一緒に帰ろうよ。このメール送ったら終わりだからさ」

聖「お前から一緒に帰ろうだなんて、珍しいな」

詠「まあ、たまにはね」

聖「そうか」

聖姉ちゃんはニヤッとやらしい笑みを浮かべて近づいてきたと思ったら、まだ座ってる俺の後ろからぎゅぅっと抱き付いて、彼女は自分の頬を俺の頬に密着させてくる。
325 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 23:01:10.76 ID:/XJTWmdk0
聖「どういう風の吹きまわしだ?」

詠「ちょ、姉ちゃん、やめて!」

聖姉ちゃんの顔がすぐ横にある。
柔い頬がぴっとりと密着する感触が心地いいが、同時に恥ずかしい。
かぁっと自身の身体が、熱を帯びていくのが分かる。

聖「おや?」

若干の静寂に漂う、ドキドキという自分の心音がけたたましい。

聖「緊張してるのか?」

詠「……」

何も言えなかった。
事実、緊張していた。

聖姉ちゃんに魅力を感じるし、こんなに密着されたら動くどころか、生唾を飲み込むことさえできない。

聖「詠?」

徐々に心配そうに俺の顔を覗き込む聖姉ちゃん。
どうして、こういうことには疎いんだと説教の一つでもしたくなる。
326 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 23:01:40.15 ID:/XJTWmdk0
そうして選択した俺の行動は自分でも少し意外に思えるものだった。

聖「んむっ……!」

覗き込む彼女の顔に自分の顔を近づけてお互いの唇を重ねる。
もちろん積極的な彼女からではない。

キスした瞬間、彼女は驚き目を見開いていたが、すぐにそれを閉じて俺に身を委ねているようだった。

十数秒という短いようで長い時間。

顔を離して彼女の様子を見てみると、糸を引いた唾液が彼女の口元につつと張り付き、耳まで紅潮し、とろんと蕩けた目元の表情は色っぽい。

自分の劣情を全て聖姉ちゃんにぶつけたいという気持ちを抑えて、俺は彼女に向き合いって彼女の肩をしっかりと掴み、真っ直ぐに目を見た。

交わる視線、その瞬間にピリッとしたものが全身を駆け巡ったような気がした。

詠「好きだ」

気付いた時にはそんな言葉が口から出ていた。

聖「私も」

彼女の泣きそうで、嬉しそうで、艶っぽいような、初めて見るその表情を俺は一生忘れないだろう。

『青木聖』 終わり
327 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 23:02:14.40 ID:/XJTWmdk0
『聖アフター』

詠「姉ちゃん、今してもいい?」

これは告った直後の俺の言葉だ。
ちなみに会社での出来事である。

これが非常識なことだと重々承知ではあるが、本能には逆らえないのです。

聖「うん、いいよ」

いつになく恥じらいを浮かべるその表情に興奮した俺は遠慮することも無く、彼女の唇を貪るようにして何度もキスをした。

聖「あむっ、んちゅ……ちゅっ……んぅ……んむっ……」

ここは会社なのだが、俺達はお構いなしに接吻をする。
もう夜の十時を回っており、誰の気配もしていないので結構油断しているのかもしれない。

聖「ちゅぅっ……はむっ……ちゅ、ちゅ……んぅっ! 詠っ!」

聖姉ちゃんは俺の名前を何度も呼んでは、その度にキスを重ねる。
328 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 23:02:53.21 ID:/XJTWmdk0
熱は徐々にその温度を増していく。
俺の姉ちゃんの肩を抱く力は強くなる。
その手を腰に回し、さらに強く抱きしめる。

また数秒程続けていると聖姉ちゃんからぐっと押し返される感覚で俺はいったん彼女との距離をとる。

聖「ちょっと痛い」

咎めるわけでもなく、頬を朱に染めて困ったように笑う姉ちゃんが儚げで、俺の胸も痛む。

詠「ご、ごめん……」

聖「いや、そんなに落ち込まなくても……」

彼女はくすくすと笑って、こちらに顔を寄せる。
俺を見上げてゆっくりと目を瞑り、少しだけ口を尖らせる。

彼女の求める顔が愛おしいが、同時に躊躇いを覚える。
いつもと違って無理に迫ってこない聖姉ちゃんが別人に見える。

自分からキスすることもあまりないので、その点についても恥ずかしく思う。

心臓の鼓動は数段早くなったが、俺は姉ちゃんの唇に自分の唇を重ねた。
覚悟を決めて、さっとキスしてすぐ離す。

聖姉ちゃんはパチリと眼を開けると、にへらっと無防備な笑みを浮かべた。
329 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 23:03:24.74 ID:/XJTWmdk0
聖「何だか照れくさいな……」

きゅぅと心臓を締め付けられるような感覚に眩暈を覚えたが、ぐっとこらえる。

俺は彼女の顎に指を添えて、その親指で唇をなぞる。
あ、と艶めかしい声を発する聖姉ちゃんは再び瞑目する。

詠「姉ちゃん、可愛いよ」

そう言ってまたキスをした時、俺はもう止まれないと分かった。
片手は彼女の肩に掛け、空いたもう一方の手で彼女の胸を服の上から触れる。

下着、シャツ、セーターと着こむ聖姉ちゃんの胸はその衣服の感触に阻まれていたが、彼女の息はだんだんと荒くなる。

俺はしばらく服の上から彼女の胸を弄り、今度はセーターとシャツの下に手を突っ込んで下着の上からその程よい大きさの乳房を揉む。

下から手全体で包むように優しく触り、時折柔らかなそれに指を沈める。

その間もキスをし続けてお互いの唾液を交換するのも忘れていない。
むしろそちらが俺たちにとってのメインで、聖姉ちゃんも夢中になって舌を動かしているくらいだ。

詠「姉ちゃん」

十分に愛し合った俺たちは一度唇を離す。
330 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 23:03:51.76 ID:/XJTWmdk0
彼女に語り掛けて、セーターとシャツを脱がす。
幸い部屋は暖房が効いており、異性交遊の真っ只中ということもあって下着姿でも若干汗が滲む程度には暖かい。

俺もスーツを脱いで椅子に掛ける。
ネクタイを外して無造作にデスクに置き、ワイシャツのボタンも緩めた。

さらにしばらくキスの続きをする。
胸もさっきまでと同じく、撫でるように触って焦らす。

聖「あんっ……ふっ……ん、ちゅ……あっ……」

いつの間にか俺は彼女の下着をはだけさせており、時折乳首を指で弄る。
聖姉ちゃんの嬌声が事務室に響いて、どことなく覚える背徳感をスパイスに感度も鋭敏になっていく。

聖「あうぅ……詠ぃ……そこ、だめだって……」

つー、と舌を彼女の耳まで這わせて息を吹きかけながら耳を愛撫する。
これが姉ちゃんにはお気に入りみたいで、脚をかくかくと震わせて、俺に強くしがみつく。

詠「どうしたの? 震えてるよ?」

聖「あぁっ……あっ、あっあっあっあぅ…………!」

構わずに彼女を攻めると、膝が崩れ腰をがくがくと震わせて痙攣する。
断続的にびくっびくっと震わせて前のめりに俺に体重を乗せる。
331 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 23:04:19.39 ID:/XJTWmdk0
聖「あっ……はぁ……はぁ…………」

だいぶ息を切らした彼女であったが、その熱は途切れることなく再びキスを求めてくる。
それに応えながらも、俺は彼女の衣服を全て脱がして応接室に移動した。

詠「姉ちゃん、こっち」

応接室のソファに押し倒し、彼女の身体に愛撫する。
聖姉ちゃんの乳首や脇腹、臍の周囲、太腿の内側を強く吸うと彼女の身体に強く力が入って時折跳ねるようだ。

股に指をなぞらせると、小さく嬌声を発し身体を強張らせる。

聖「きゃっ! ああああああっ!!」

数分の間で身体を跳ねる回数は二桁を越える。
声を我慢しないで叫ぶ聖姉ちゃんは汗をびっしょりと流して息遣いも荒い。

詠「姉ちゃん、もう入れてもいい?」

ぐっしょりと濡れた股間から滴る愛液を彼女に見せつけて恥ずかしがる様子を楽しみつつ、彼女の返事も待たずに俺は自分の陰茎を彼女の膣に当てがった。

聖「うぐぅ……!」

それを入れようとすると、姉ちゃんの身体には力が入って少し苦しそうだ。
そういえば姉ちゃん処女だった。
332 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 23:04:49.13 ID:/XJTWmdk0
詠「力を抜いて」

優しく語りかけてキスで気を紛らわせ、ソファの上で彼女の処女は喪失した。

聖「痛っ……!」

詠「大丈夫?」

聖「ん、ちょっと痛いけど、動いてくれる方が嬉しいかも……」

詠「わかった、じゃあ動くね」

そう言って俺はゆっくりと腰を動かして、姉ちゃんの膣内をペニスで擦る。
しばらくして苦悶の表情から艶っぽいそれへと変化していく。

聖「あ、気持ちいい……」

初めてで、正常位にも関わらず、自分から腰を振り始める聖姉ちゃんはやっぱりかなりスケベだと思う。

喘ぎ声を漏らし、嬌声は大きくなり、いやらしく乱れる。

聖「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」

そうして絶頂を迎えるたび痙攣で腰を振り続けているので、また絶頂を迎え、また腰がビクビクと痙攣し……とその繰り返しだ。
333 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 23:05:39.64 ID:/XJTWmdk0
彼女の膣内は狭く、俺もこんなに激しくされたらすぐに射精感が高まってくる。

詠「……イキそう」

聖「私もっ! ……〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」

って姉ちゃんは何度もオーガズム達してるじゃん。
と言う間もなく俺も彼女の中で射精してしまう。

精子は最初の一発を勢いよく出してから、あと4、5回ほど、残りを絞るようにぴゅっぴゅっと発射される。

聖「あはっ、いっぱい出た?」

詠「はぁ……はぁ……いっぱい出た」

お互いに息を切らす。
姉ちゃんは恍惚の表情で幸せそうに微笑んでいる。

聖「もっと〜」

彼女も疲れて余韻に浸ってるかと思えば、全くそんなことはなく、また腰を振り始めて好き勝手にイッてしまう。

口をだらしなく開けて、涎を垂らしながらもふにゃりと笑む顔はやはり幸せそうで、次に苦悶の表情を浮かべるのは俺の方だった。
334 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 23:06:40.86 ID:/XJTWmdk0
射精したばかりで鋭敏どころか擦れた刺激で失神しそうなほどの俺は、先ほどの姉ちゃんと同じように勝手に腰を揺らしてしまう。

聖「そんなに私の気持ちよかったか?」

オーガズムに慣れてきたのか、だいぶ余裕のできた彼女は挑発するように俺に語り掛ける。
とは言いつつも彼女もかなりイッてるようで、膣の内壁がうねうねと蠢いているのを常に感じる。

その度に俺も腰がビクついて、締め付けられる感触に気を失いそうになる。
実際、意識は若干朦朧としていた。

詠「あぅ……やばい、何か出る……出そう……」

聖「私の中にぶちまけるのか?」

恍惚な表情は崩さずに意地の悪い笑みを浮かべて、俺が離れないように俺の身体の下から上半身を押さえながらも、腰を振るスピードを上げてパンパンと音を響かせる。

詠「やばいって! 出るっ!! うあぁぁぁっ!!!!」

射精とは違う、不思議な快感に襲われて俺は尿が出たような感覚を味わうが、段違いの気持ちよさに戸惑わざるを得なかった。

聖「あっ! ……何か液体出てきた? おしっこ?」

姉ちゃんも小さく震える。軽くイッたみたいだ。
だが、彼女は俺が漏らしたことに興味津々なようで、精子と一緒に流れてくる透明な液体を確認すると悶絶する俺の陰茎を握って、さらにしこしこ動かしてきた。
335 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 23:07:14.34 ID:/XJTWmdk0
聖「何を出したんだ〜?」

心底楽しそうな姉ちゃんからは、最近身に着けたと思われた淑やかさが一切消えて、性欲の権化のような彼女が戻ってきた。

聖「ほら、姉ちゃんにもう一度見せてみろ」

詠「わあああぁぁぁっ!! ストップ!! やめてっ!! 無理だからっ!!!! 〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」

そんな俺の制止の声も聞くはずなどなく、またしても射精や放尿とは違った快感に襲われ、透明な液体を彼女の顔や身体にぶちまけた。

聖「ふふふ……。まだいっぱい出るじゃないか。詠のその反応もすごく興奮するぞ」

その後は完全に姉ちゃんに主導権を握られ、膣内でもう一発、精子と透明の液体を出された。
後で調べたが、射精の直後に手を止めず刺激を続けると噴き出す液体で、男の潮吹きとも言われてるらしい。

女の人に潮吹きさせられたと思うと、何だかとても恥ずかしく、しばらく悶えることになるのだった。
ちなみにその行為は聖姉ちゃんのお気に入りとなるのだが、それはまた別のお話。

十二時近くの応接室でとりあえず下着を付けた俺と聖姉ちゃん。
会社内でヤッてしまったことに不安と罪悪感とちょっぴり興奮を覚える。
隣の事務室に移動し、衣服を適当に着る。

詠「帰ろうか」

聖「そうだな」

お互い賢者タイムか……。
と思ったが聖姉ちゃんはそうでもないらしい。
336 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 23:08:10.48 ID:/XJTWmdk0
聖「キス」

詠「んっ」

彼女の要望に応えて、イチャコラしながら帰路に着く。

詠「ところでさ」

聖「何だ?」

詠「昼にカフェテラスで話してた男の人って誰?」

俺が彼女の顔を見ずに言う。

聖「……」

彼女はきっと目を丸くしてこちらを見てるだろう。
そして次の瞬間にはニヤニヤしてるに違いない。だから本人に聞きたくなかったのだ。

聖「あれ、詠くん、焼きもちか?」

詠「……そ、そうかも」

姉ちゃんに馬鹿にされながらも、その男性は別の会社のプロデューサーで、アイドルのレッスンを見てくれないかという依頼だったということを教えてくれた。
姉ちゃん曰く受けてもいいけど断ったとのことだ。

聖「私には詠のいる所が一番だからな」

そう語った姉ちゃんの顔はいつになく無邪気で、そしていつになく大人びていた。

余談だが、翌日、応接室で変な匂いがすると話題になった。
あげく、その翌週、俺と姉ちゃんの行為がバレたのはこれまた別のお話。

『聖アフター』 終わり
337 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/20(土) 23:10:23.23 ID:/XJTWmdk0
中断します。
残り二人。明日の更新で終わると思います。
338 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:14:43.96 ID:M/4VaMYQ0
『青木慶』

346プロダクション、社内。

詠「世間は休みでも俺は仕事〜♪」

「その悲壮漂う歌、やめてもらえるかしら?」

トレーニングウェアを着こなすモデル体型の女性が俺につっかかる。

詠「おー、お久しぶりです」

彼女は服部瞳子さん。
俺がマネージャー時代にマネジメントしていたアイドルだ。

プロデューサーになった今ではあまり接点も無く、たまに飲みに行くくらいだ。

彼女は数年前にもアイドルをやっていたらしく、一度引退した経歴を持つ。
現在、復帰して活動中であるが、復帰までの経緯は分からない。

詠「瞳子さんもお仕事ですか?」

俺が何の気なしにそう尋ねると、彼女はつまらなそうに溜息を吐く。

瞳子「いいえ、自主トレよ」

詠「精が出ますね」
339 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:15:12.02 ID:M/4VaMYQ0
瞳子「年齢はアイドルにとってハンデなの。だから努力しないといけないのよ」

詠「俺、瞳子さんのそういうストイックな所、好きですよ」

自然とそんな言葉が出る。
口説こうと思って言ったセリフではないのは恐らく周知だろう。

瞳子「そう? ありがとう」

とまあ、こんな風に大人な対応でいなされるのだ。
クールな対応もかっこいい。

これが一年間、アイドルとマネージャーとして培ってきた関係である。
まあ、ちょっと仲が良い程度の関係だろう。
ちなみに瞳子さん以外にも何人かそういう関係の人がいる。

瞳子「それより貴方、最近大変そうじゃない」

詠「そうですか? いつも通りですよ」

瞳子「違う違う。何か、青木詠モテ期突入だって噂になってるわよ」

ああ、そっち……。
340 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:15:54.85 ID:M/4VaMYQ0
瞳子「まさかその相手がうら若き女子高生と義理の姉妹だなんて……」

詠「ちょっと! 何で引いてるんですか……」

瞳子「いや、まさか姉妹だけでなくうちの若いアイドルまでたぶらかしてるとは思わないじゃない?」

詠「自分で言うのもあれですけどね、俺、あんまり悪くないと思います」

瞳子「あのね、嫌われたくないからって周囲に愛嬌を振りまくこと自体が悪いこともあるのよ? 突っぱねるときは突っぱねなきゃ」

詠「はぁ、それが一度挫折して復活した教訓系アイドルのお言葉ですか」

瞳子「何?」

ワントーン落ちた声音。瞳子さんが俺を睨む。
嫌味なことを言った自覚がある俺は飄々とした態度で肩を竦めた。

瞳子「どんな呼ばれ方されたって構わないけど」

彼女はすぐに思い直したようで、一つ溜息を吐くだけに留めていた。
お互いに多少気の許せる相手ということもあって、軽口は叩き合っても無駄な争いはあまりしないのだ。
341 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:16:21.95 ID:M/4VaMYQ0
瞳子「そういえば妹の慶ちゃんもトレーニングルームにいたわよ」

詠「ああ、慶ちゃんはよく利用するんですよ。姉ちゃんも週に二回くらいでプログラム組んだりしてるみたいですし」

瞳子「確かにやってるわね。一般の人も参加可能だとか」

詠「そうですよ。慶ちゃんもたまにトレーナーとして参加してます」

瞳子「へぇ、姉妹のことに詳しいじゃない」

詠「や、そんな顔で言われても」

瞳子「あら、顔に出てたかしら、貴方がシスコンだって」

詠「出てましたよ。ていうか、もう言っちゃってるじゃないですか」

瞳子「否定はしないのね」

詠「ええ、重症なのは自他共に認めてます」

瞳子さんはまたしても引き気味に顔を顰めた。
そんな瞳子さんは無視して、最近運動なんてしてなかったことを思い出す。

詠「俺も久しぶりに行ってみよう」

瞳子さんはレッスンルームを借りているらしいので、ダンスの練習をするのだと意気込んでいた。
復帰してから相変わらずの努力家で、そんな瞳子さんを内心で応援した。
342 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:16:49.45 ID:M/4VaMYQ0
それから三十分後くらいに自分のロッカーに常備してあるトレーニングウェアに着替えて、息抜きがてらトレーニングルームへと向かう。

346プロダクションはアイドル事業の他にも様々な事業を抱えている。
つまり何が言いたいかというと、この会社は大きいのだ。
その分様々な施設も存在し、またここに所属している者はそれらを特別価格で利用できる。

アルバイトの慶ちゃんも多分に漏れず、しっかりとその恩恵を受けられる。

さて、俺がトレーニングルームへ行くと意外や意外、所属のアイドルや社員、それに一般客も多く利用しているではないか。

何となく出遅れた気分になる俺の顔をひょっこりと覗き込んでくる女の子がいる。

慶「おにーちゃん! 珍しいね」

妹の慶ちゃんだ。
さっき瞳子さんが、妹がいると言っていたが、まだいるとは思わなかった。

詠「おー、慶ちゃん。まあ久しぶりに身体動かしたくなってね」

慶「そうなんだ。よかったら私がレクチャーしてあげようか?」

詠「姉ちゃんたちから教わったの?」

慶「やー、何となくかな? ここで働き始めてから健康とか運動とかいろいろ勉強してるし、そういうのお兄ちゃんで試そうかなって」

詠「実験台かよ」

慶「そういうことー」
343 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:17:32.77 ID:M/4VaMYQ0
実験と言ってるにもかかわらず、彼女は悪びれることなく笑顔を浮かべる。
俺も何から始めていいか分からないのでとりあえず慶ちゃんにお願いすることにした。

詠「好きに始めちゃっていいの?」

慶「え、ダメだよお兄ちゃん。まずは準備運動しないと」

詠「あ、ああ、準備運動ね。大事だよね」

頷く俺に向けられる慶ちゃんのじとーっとした視線が少しばかり痛い。

慶「もう、お兄ちゃん、準備も無しに急に激しい運動したら身体壊しちゃうから気を付けてよね。お仕事に支障が出るどころか日常生活に支障が出るよ」

慶ちゃんは何だかそれっぽいことを語り始める。
こうして見ると、アルバイトとは言えどもやはりしっかりトレーナーさんやってるんだなと実感してしまう。

彼女の成長を嬉しく思う反面、どこか寂しくもある。

慶「運動するにも、その人の目的に合わせた適度な量が必要になってくるの。この量は多くても少なくてもダメだからね」

詠「まあ、そのくらいは俺でも分かる」

慶「じゃあまずはストレッチしよ!」

慶ちゃんの話もそこそこに、早速実践しながらその都度教えてもらう。

準備運動はラジオ体操レベルの簡単な体操と、ストレッチ、補助付きで柔軟。
344 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:18:39.78 ID:M/4VaMYQ0
慶「ねえ、お兄ちゃん」

それらを一通りこなすのだが、またしても呆れたような視線が向けられる。

詠「な、何……?」

慶「それ、ふざけてるの?」

詠「ばっ、バカ言え……これで……精一杯だ……」

慶「絶対嘘だよ。だって手が足首に届くか届かないかくらいの柔軟なんて私見たことないもん」

いや『見たことないもん』じゃなくてさ……。
自分でも分かっていたことなのだが、俺はこのように嘘だと思われるほど体が固い。

慶「私が後ろから押してあげる」

そう言って慶ちゃんは俺の後ろに回って、両手で肩甲骨辺りを押してくる。

詠「あ、ちょっと、待って……痛っ! まっ! あだだだだだっ……!」

慶「え、嘘でしょ?」

力を弱める慶ちゃん。
後ろから覗き込んでくる彼女の顔は、やはりありえないといったような表情だ。

慶「まだ全然強く押してないよ」

それから慶ちゃんに手伝ってもらいながら、時間をかけて柔軟運動をする。
345 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:19:23.33 ID:M/4VaMYQ0
脚を開いた時、慶ちゃんは呆れを通り越してもはや笑っていた。

慶「あはははは……! ……じゃあお兄ちゃん、私が脚広げて開脚のお手伝いするね!」

と言うと、彼女は俺の両手を掴んでぐいっと引っ張るのと同時に自身の足裏を俺のふくらはぎあたりに押し付けてそのまま開脚を試みる。
当然、俺の股関節もどんどん広がっていくわけだ。

詠「ちょ、待って! 痛い! 痛い痛い痛いっ!! ごめんなさいっ!」

情けなくも、悶絶することしかできないのであった。

その時に盗み見た慶ちゃんの顔ときたらおぞましいもので、俺の苦しむ姿を見てニッコリ笑顔、時折見せる嗜虐の表情が次女である聖姉ちゃんの性格を彷彿とさせた。

慶「もうちょっと頑張ろうお兄ちゃん!」

詠「無理っ!」

トレーニングルームに響き渡る絶叫に部屋中の人間から熱い視線を送られ、居心地も悪くなる。

ようやく解放されて、何だかもう運動する気になれなくなってしまったり……。

詠「疲れた……」

慶「ご、ごめんね。やり過ぎた……」

慶ちゃんも反省しているものの、柔軟はまだ終わらない。
足裏をくっ付けて、股関節を解す運動でも、膝を背後から思い切り押さえつけられて痛かった。

しかも密着してくるものだから、背中に当たる胸の感触に意識がいくし、俺の表情を盗み見ては嗜虐的な笑みを浮かべてるのもばっちりチェックした。
346 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:20:05.58 ID:M/4VaMYQ0
顔を近づけて耳に息吹きかけたりして反応を楽しむ彼女はサディスティックな才能があると思いました。

詠「もう終わりにしよう」

慶「え、ええ〜! 本格的に運動するのはこれからなのに!?」

詠「いや、痛かったし疲れたし、もう今日はいいや」

慶「そっか、何かごめんね?」

本当だよ! と言いたいところだけど、ここはぐっとこらえる。

詠「いや、こっちこそ悪いね。せっかく教えてくれるってことだったのに」

うん、とにかくこれで逃げられる。
もう慶ちゃんと一緒に準備運動しちゃダメだ。

慶「じゃあまた来週やろうね」

詠「え?」

ホッとしていた俺にトンデモな提案をしてくる慶ちゃん。
一般的にトンデモではないが、俺としてはトンデモなのだ。

詠「や、大体わかったから今度からは一人でいいよ」

慶「やっぱお兄ちゃん、私に教えてもらうの鬱陶しかったの?」
347 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:20:32.46 ID:M/4VaMYQ0
悲しそうに尋ねてくる慶ちゃんに本当のことは言えない……。
俺は首を横に振った。

詠「ううん、全然そんなことないよ。やっぱり慶ちゃんに教えてもらいたいなー」

そう言った瞬間、慶ちゃんの悲しそうな顔はどこへやら。
その言葉を待ってましたとばかりに明るい顔をして、次週も約束を取り付けられてしまった。

慶「約束破ったらだめだよー」

喜々として帰っていった慶ちゃんであった。
翌日、股関節が痛くなったのは言うまでもないのだが、それとは別に噂が流れ始める。

蓮「おう、詠」

詠「おはようございます」

蓮「ところで、妹と付き合い始めたんだってな」

詠「は? 何ですかそれ?」

蓮「何ですかって、昨日トレーニングルームでお前と慶ちゃんがめっちゃイチャついてたっていう情報を聞いたんだが」
348 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:21:14.32 ID:M/4VaMYQ0
詠「あ」

思い当たるというか、昨日のことなんてそのことしか憶えていないのだが、まさか他人から見たらあれが恋人同士のイチャイチャに見えるとは……。

俺からしてみれば兄妹の戯れ程度にしか思えないんだけど……。
それにあの柔軟はマジで痛かったんだぞ。
きっとあれを喰らえばそんな甘酸っぱい一ページにすらならないと断言できよう。

とそんな噂が一人歩きを始めても、俺と慶ちゃんは特に気にすることなく毎週トレーニングルームに一緒に通うことになった。

相変わらず柔軟は辛いが、一緒に運動するのは楽しい。
達成感もあるし、身体を動かすのは健康的だし、何となく体型も引き締まって見える。

慶「おー、お兄ちゃん、ちょっとたくましくなったんじゃない?」

パチパチと小さく拍手をして、慶ちゃんも嬉しそうにしてくれている。

詠「そうか? あんまり実感は沸かないけどね」

慶「うん、かっこいいよ!」

屈託なく笑う彼女。思わず一歩後退る。

慶「どうしたの?」

詠「いや、別に……」

慶「ふーん、変なの」
349 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:21:41.21 ID:M/4VaMYQ0
それから数日が過ぎ、再びトレーニングルームで待ち合わせる日。
特に遅い時間というわけでもないのに、なぜか部屋には慶ちゃん以外誰もいない。

詠「あれ、今日少ないね」

慶「うん、少ないっていうか貸し切り状態……」

詠「マジ!? ラッキーだなぁ」

慶「そだね、珍しい」

詠「じゃあ、早速……」

俺は気が付いた。
誰もいないということは今、慶ちゃんと二人っきりだということだ。

それに慶ちゃんの様子も、いつもの溌溂とした様子とは違ってどこかよそよそしいような……。

詠「……は、始めようか」

慶「あ、うん……」

完全に慶ちゃんのことを意識してしまってる。
二人切りの静かな状況。

柔軟を始めるのだが、補助の時にお互いの身体のあちこちが密着して、その度に小さく吐息を漏らし、そして息を呑む。

バレリーナみたいに柔らかい慶ちゃんの柔軟に付き合うことも無いので、彼女のその様子をじっと見るだけなのだが、身体を前に倒すときに正面から見える胸の谷間がとても性的だ。
350 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:22:14.40 ID:M/4VaMYQ0
慶「ちょ、ちょっと、どこ見てるの〜」

たはは、と笑って茶化したように誤魔化して見せていたが、隠しきれていない恥じらいのせいでより二人でいるこの状況を強く意識してしまう。

詠「ご、ごめん……」

慶「……えっち」

ぼそっと呟くように言って、後は黙り込んでしまう。
不意にパッと立ち上がる慶ちゃん。

慶「ほら、お兄ちゃん。後ろから押してあげる」

その柔軟はさっきもやったのに、と俺はキョトンとしてしまったが、言い出せる雰囲気でもなかったのでもう一度同じ柔軟を繰り返した。

いつもは強く押して隠されたSっぷりを発揮するのに、今回はとても優しい。
彼女の整っていて美しい顔が俺のすぐ隣にあって、静かな部屋の中、すぐ隣で彼女の息遣いがハッキリと聞こえる。

後から押されるというよりも、次第に後ろから体重を預けられるといった方が表現としては近い。

腕を後ろから前に回され、優しく抱きしめられた。
急に暴れ出す自分の心臓。

その音にもう一つ重なったのは彼女の心音。
俺と同じくらい早く鼓動するそれを聞いて愛おしさを覚えた。
351 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:22:41.40 ID:M/4VaMYQ0
ゆっくりと彼女に振り返る。

切なそうな面持ちで彼女も俺を見返している。

見つめ合って、ゆっくりとゆっくりと、お互いがお互いを焦らすように顔を近づける。
見つめ合ってから数十秒ほどして、ちょん、と俺の唇が彼女の唇に触れた。

触れた唇を少しだけ離して言葉を紡ぐ。

詠「愛してる」

それだけで十分な気がした。
慶ちゃんは目尻に涙を浮かべると、何も言わないで俺にキスをした。

慶「末永くよろしくお願いします」

ようやく顔を離した彼女の一言を聞いて俺はどこかホッとした気分になるのだった。

『青木慶』 終わり
352 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:23:11.10 ID:M/4VaMYQ0
『慶アフター』

明「またぁ……?」

明姉ちゃんの呆れた声で起きるのはここ数日では毎日の出来事だ。

詠「むぉ…………おはよう」

そんな明姉ちゃんの心中をまるで無視する俺の挨拶も慣れたものである。

姉ちゃんが呆れる原因となるのは、俺のベッドに潜り込んですやすやと寝息を立てる慶ちゃんに他ならない。

慶ちゃんと付き合っていると言っても、俺のルーティーンが変わる事も無く毎朝明姉ちゃんのランニングに付き合ってるわけだが、一つだけ変わったことといえば、こうして慶ちゃんが毎日のようにベッドに潜り込んでくることだ。

いや、『潜り込んでくる』というのは正しくない。
昨夜も俺が起きてる間に彼女は俺の部屋に入ってきたのだから。

つまり付き合い始めてから毎晩一緒に寝てるということになる。

明「さっさと服着なさいよ……」

そして、姉ちゃんが呆れる最大の要因は、俺と慶ちゃんが毎日全裸でベッドに入ってることだ。
353 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:23:46.91 ID:M/4VaMYQ0
明「またやったの? 懲りないわね……」

と言って溜息を吐く。
最初見られたときは俺も酷く焦ったし、明姉ちゃんにも軽く説教をされたが、それが続くとお互いに慣れてしまうものなのだ。

明「部屋に入った時、ちょっとアレな匂いすると思ったけど……全く、鬱になりそうよ」

また溜息を吐く明姉ちゃん。

詠「ちょっと待ってて、すぐ用意する」

明「はいはい、三十分以内でよろしくね」

ここ数日で明姉ちゃんはスルースキルを磨いているご様子だった。
少しだけ目の下に浮かぶ隈が気になるが特に変わった様子も無い。

ランニングが終わってシャワーを浴びる。
その後、朝食とお弁当を作るのも大体俺の日課となっているので、テキパキとそれらを終える。

浴室から出てきたくらいで麗姉ちゃん、聖姉ちゃんが起きていることが多い。
いつもと変わらない麗姉ちゃんに対して、聖姉ちゃんも少しだけ隈が目立つようになってきた気がする。
354 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:24:15.27 ID:M/4VaMYQ0
詠「おはよう。ご飯できてるよ。お弁当そこね」

麗「ああ、いつも助かる」

詠「麗姉ちゃんも洗濯物干してくれて助かるよ」

麗「このくらいはな」

詠「聖姉ちゃん、ちゃんと寝てる? ちょっと疲れてるように見えるけど」

聖「お前な、慶とエッチする時の音が大きいぞ」

麗「それは私も気になってたところだ」

詠「え、マジ? ごめん、気を付ける」

聖「ヤるならラブホに行ってくれ……と言っても今日もどうせヤるんだろう。この性欲魔人め」

とか言いつつ聖姉ちゃんこそ、その音を聞いてオナニーしてるのを俺は知ってるぞ。
なんて言ったら恐ろしいことになりそうなので言わない。

麗「まあ付き合いたてでお互いに熱く愛し合うのも分かるが、私たちが寝てるということも忘れてはダメだからな?」

詠「うん、慶ちゃんにも言っとくよ」

俺は了承する。
彼女たちに迷惑を掛けないように、というのも忘れてはいけない。

一緒に住んでいる間はやはりそういう気を遣わないといけないのだ。
355 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:24:46.50 ID:M/4VaMYQ0
そんなこんなで姉ちゃんたちは先に出勤していき、慶ちゃんと二人きりの一時間ができる。

慶「おはよう、お兄ちゃん」

詠「おはよう」

すでに起きており、ある程度登校の準備をしていたようだ。

慶「おに〜ちゃ〜ん」

猫撫で声を出して俺に甘えるように首に手を回して、背伸びをする。
んー、とキス待ちの顔を向けてくるためだ。

俺はそれに応えて、軽くちゅっとすると、慶ちゃんは満足そうに笑った。

慶「もっと〜」

という彼女のおねだりから、ちゅっ、ちゅっ、と何度も軽いキスを重ねる。

慶「えへへ〜」

最後に抱き付いてくるまでが二人きりの時のセットになっているようだ。

慶「勃っちゃった?」

小悪魔のような瞳と笑みでそう問いかけてくる。
俺が「そりゃそうだ」と肯定すると、「どれどれ〜?」と服の上から股間を擦ってくる。
356 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:25:15.01 ID:M/4VaMYQ0
この子、付き合い始めてタガが外れるようなむっつりちゃんだったらしい、というのは付き合い始めた翌日に知った。

慶「本当だぁ」

俺の勃起したペニスを触って認めると、嬉しそうに微笑む。
俺はなぜかその笑顔が大好きで、ガッチガチに勃起した陰茎がドクドクと脈打つのをはっきりと感じるのだ。

それから慶ちゃんはズボンとパンツを脱がすと躊躇なくそれを握り、咥え、刺激する。
一生懸命な彼女から気持ちよくしてあげたいという気持ちが伝わってきて興奮が加速する。

それをされると大体、一、二分で射精してしまう。
俺は彼女の口内に射精する。

慶ちゃんは、んべ、と舌に乗っけた精子を見せてからごくっと飲み込んだ。
ちょっと顔を顰める彼女を優しく撫でると、彼女は恍惚な表情を浮かべる。

その精子を飲み込んだ口で俺にキスをする。
自分の精子の匂いに顔を顰めつつも、頭が少しクラッとするような感覚がそれなりに病みつきだ。

加えて、そんな俺の表情を見た慶ちゃん。
隠れSな彼女の、快楽に歪んだ笑みがまた興奮する要因になったりする。

……俺は断じてMじゃないです。
357 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:25:54.48 ID:M/4VaMYQ0
慶「……したくなっちゃった」

もちろん俺が射精しておしまいというわけもなく、彼女のおねだりはまだ終わらないのだ。

俺の部屋に入り、彼女をベッドに押し倒す。
切なそうな、ともすれば物欲しそうにも見える朱に染まった顔で見つめられると、理性のタガが外れそうだ。

詠「時間無いのになぁ」

なんてぼやきもするが、時間が無くてもやる。

彼女に覆いかぶさってキスをする。
さっきみたいな軽いものではなく、深く繋がるためのディープキス。

上唇を咥えて、下唇を咥えて、時折舌を軽く絡めて、いやらしく音を立てる。
それを丁寧に繰り返す。

一分ほどキスを楽しんで、顔を離す。
その過程で最後に離れたのは彼女の舌と俺の舌だ。
お互いの舌先が距離を開けても、離れたくないと言わんばかりに唾液が糸を引いていた。

俺は彼女が着ていた上着を脱がし、インナーを捲る。
引き締まった身体と、艶のある健康的な柔肌が露になる。

そんな彼女の身体をついばむように吸う。
ちゅっちゅっと音を立てながら、腰、胸、鎖骨と愛撫し、再び胸、腰へと戻る。

慶「んっ……あっ……はぁ、はぁ……んぁっ!」

358 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:26:28.14 ID:M/4VaMYQ0
ところどころで身体がピクッと可愛らしく反応する。
感じてる表情は19歳の女の子と思えないくらいに官能的だった。

ズボンを脱がして太腿を撫で、吸うように愛撫する。

ふと彼女の下着を見てみるとそこは丸く染みになっている程度ではなく、びっしょりと濡れていた。

下着を脱がして、勃起した彼女の陰核を優しく擦ると大きく腰を跳ねさせ、喘ぐ。

しばらくそのあたりを触って、愛液を溢れさせる。
その後、指を膣に突っ込んでゆっくりと動かし、喘ぎ声が止まらなくなってきたところでさらに激しく膣内をかき混ぜた。

慶「あっ! やっ! だめっ! イクッ! イクッ!! 〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」

先ほどまでも腰を浮かせて、ぼたぼたと流していた愛液を今度は勢いよく吹き出させた。
ぷしっ、とベッドにぶちまけてなお、だらだらとそれを膣から垂れ流す。

詠「慶ちゃん、えっろいなぁ」

慶「あぅ……やだぁ……」

恥ずかしそうに顔を覆う彼女が愛おしくて、ぐいっと腰を持ち上げてすぐに自分のペニスを入れた。

慶「あぁぅっ!!」

慶ちゃんは短い喘ぎ声を部屋に響かせる。

俺は挿入したまま彼女を持ち上げる。
陰茎は、俺にしがみつく彼女の膣に深く刺さり、降りてきた子宮に届く。
359 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:27:06.25 ID:M/4VaMYQ0
そのまま彼女の臀部を鷲掴み、前後、上下に揺らしながら、自分も腰を彼女の腰に打ち付けるように運動する。

慶「なっ! 何これっ!! お兄ちゃんっ!! 気持ちい! 気持ちいよっ!!」

彼女自身もしがみつきながら腰を動かして積極的に快楽を貪る。

慶「〜〜〜〜っ! 〜〜〜〜っ! 〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」

気が付けば、慶ちゃんは言葉にならない声を発して何度も絶頂していた。

がっちりしがみついてがくがくと震え続ける彼女を優しくベッドに下ろす。

四つん這いになって腰をひくつかせている彼女の膣に後ろから陰茎を挿入した。

慶「ひゃあああぁぁぁっ!!!!」

ぎゅうっと彼女の膣が俺のペニスを締め付ける。
どうやら入れただけでオーガズムに達したようだ。

俺は彼女がイッてる最中だろうが、お構いなしに腰を動かしてパンパンと音を鳴らすほどピストン運動をする。

彼女の両の二の腕を掴み、動き続ける。
上体を起こした彼女の胸は激しく揺れて、さらに情欲をそそる。

またしても大きく絶頂する慶ちゃん。
俺は一旦動きを止めて、後ろから手を回し綺麗な胸に触れる。

密着して抱きしめるような体勢で胸を揉み、彼女の耳を舐める。
ビクビクと痙攣する彼女は嬌声をあげて身をよじり、キスを求めてくるのだ。
360 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:27:35.83 ID:M/4VaMYQ0
耳から口へ、舌を這わせて激しくキスをする。
周りが見えていないような慶ちゃんの激しさは野性的で、同時に官能的だった。

そして俺がまた動き出すと、耐えられないといった風にキスを止め、喘ぎ声を上げ続ける。

慶「〜〜〜〜っ! イッ……く……!! 〜〜〜〜〜〜〜〜っ!! ……ま……た……イッ! 〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」

うねうねと蠢き続ける膣内は、慶ちゃんがイキ続けていることを暗に示す。
それは俺の陰茎をどんどん搾り、刺激し、やがて射精寸前の痙攣が自身の身体を覆う。

詠「あっ、慶ちゃん、イキそ……」

慶「イッ……!! ああああぁぁっ!! 〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!! 〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」

声が届いているのか、届いていないのか分からないくらい彼女は喘ぎ、お互いに絶頂する。

慶ちゃんはぐったりとうつ伏せになる。
俺は彼女に覆いかぶさったまま、まだ勃起している陰茎を抜かないで射精の余韻に浸っていた。

しばらくして俺はペニスを抜き、彼女の上から退こうと身体を持ち上げる。
不意に慶ちゃんは仰向けになり、四つん這い状態の俺に向き直った。

すっと抱き付いてきて、引き寄せられる。
再びキスをしてきた。

彼女は器用に、くるっと俺との体勢を入れ替えた。
俺のマウントを取った彼女は甘えるようにしがみつき、何度も何度もキスをする。

慶「もっかいしたいな〜……えへへ……」

照れ笑いの彼女のおねだりに理性など保てるはずもなく、もう一回したところ、二人仲良く遅刻しましたとさ。

『慶アフター』 終わり
361 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:28:01.97 ID:M/4VaMYQ0
『青木麗』

詠「麗姉ちゃん、おはよう」

麗「おはよう」

これは青木家の朝の一コマ。
ランニングから帰った俺がキッチンに向かうと、すでにエプロン姿の麗姉ちゃんが食事の用意をしてくれていた。

彼女の服は基本的にスポーツウェアやジャージなどの簡易な服装とでも言うべきだろうか。
トレーナーである麗姉ちゃんはオシャレというものから割と縁遠いのだ。

しかしながら、その簡易的な服装の上から纏うエプロン姿というのはどことなく背徳感が漂う。
ある種、裸エプロンに近いニュアンスではなかろうかと思うが、姉ちゃんの均整の取れたプロポーションや美しい肢体も相まって、かなり官能的に映るのだ。

しかもハーフパンツからチラ見えしているスパッツが一部のマニアにはたまらない。
そして、どうやらその一部のマニアの中に自分も当てはまっているらしい。

詠「あー、姉ちゃん、寒くない?」

パッと見て寒そうな格好だ。
冬は明けたけれども、まだ気温が高いわけではないので半袖半ズボンの姉ちゃんの体温が気になるところである。

麗「いや、暖房も効いているし特に問題無いな」

姉ちゃんはこちらも向かずに、さらっと答えて、玉子焼きをひっくり返す。
362 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:36:14.80 ID:M/4VaMYQ0
詠「ていうか、その寒そうな格好で行くの?」

俺が指摘すると、彼女はちらりとこちらを窺った。
まさか、と軽く破顔して首を横に振る。

麗「いや、さすがに外は冷えるだろう?」

詠「まあね、ちょっと寒かったよ」

麗「上に何か羽織っていくよ」

詠「そう」

何か手伝おうかと思って台所に進もうとしたが、廊下に繋がる後ろの扉が開く。

明「麗ちゃん、おはよう」

明姉ちゃんが浴室から上がってきた。
今日は何だかやけに早い気がするが、時計を見ると普段と変わらなかったので気のせいだと分かった。

麗「ああ、おはよう。詠もシャワーを浴びてきたらどうだ?」

詠「あ、うん、手伝わなくて平気?」

問うと、麗姉ちゃんはその場でくるりとキッチン周りを見回す。
363 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:36:43.87 ID:M/4VaMYQ0
麗「もう手伝うことはないと思うが……」

思案顔をする姉ちゃんは凛々しくて綺麗だ。
やがて呆けた顔で俺に向き直って、快活な笑顔を浮かべた。

麗「うん、詠もシャワーを浴びてくるといい。ありがとう」

詠「お、おう……りょーかい」

ちょっと暖房が効きすぎてるのか、顔が熱い。
少しばかり汗もかいてきたので、姉ちゃんの言う通りさっさとシャワーを浴びるとしよう。

移動してる間も服を脱いで洗濯機に突っ込んでる間も、麗姉ちゃんの格好が脳裏に焼き付いていたのか、離れない。

ダメだ、ダメだ。純粋に動きやすい格好をしてるだけの麗姉ちゃんを性的に見ちゃダメだって……。

頭ではそう考えても身体は正直で、海綿体に血が集まって、しっかりと勃起した。
さっきまでランニングで昇華してたのに……。
俺の性癖ちょっと特殊すぎるのでは……?

そうして自分で自分を咎めつつも、やはり治まらないものは治まらない。

しかたなく、風呂場で自分のモノをしごくのだった。
いや、実際のところ仕方ないなどという表現は嘘だ。

はっきり言うと、麗姉ちゃんのことを思い浮かべてオナニーした。
あんなエロい格好するから……。
などと思って、麗姉ちゃんに責任転嫁とも、八つ当たりとも言い難い理不尽なことを考えたりもした。
364 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:37:09.61 ID:M/4VaMYQ0
詠「うっ……はぁ……はぁ……」

自分の手に付着した白濁液は、にちゃあ、と纏わりつく。
うわ、結構出たな……。昨日もオナニーしたのに。

俺は我に返るとシャワーを出して、陰茎と手、それに床に付いている精子を流す。

快感の後に湧いてくるのは、ずっしりとした虚無感と少しばかりの罪悪感だった。

それでも麗姉ちゃんのことを思い浮かべると、また俺の股間は熱を持ち始める。

詠「いや、違う違う! こういう時は円周率!? 素数!?」

必死に別のことを考えて、何とか勃起しないように耐え忍ぶ。
ていうか、抜いた直後でまた勃起して、それを鎮めるためにまたオナニーしてって調子だと、一生オナニーすることになっちゃいますよ……。

自分の並みならぬ性欲が恐ろしい。
そしてそのおかずにしてしまった麗姉ちゃんに合わせる顔が……。

とは言いつつも同棲している時点で顔を合わせないというわけにはいかないし、でも姉ちゃんに嫌われたくないなぁ。

結局、仕事のことを一生懸命考えることで勃起が治まることが判明した。
恐るべし仕事人間だと思わなくもないが、真面目に働いてる証拠なのだ。

服を着て居間に戻ると、慶ちゃん以外がすでに食卓を囲んでいた。
365 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:37:36.18 ID:M/4VaMYQ0
詠「おはよう」

聖「おはよう」

麗「さ、詠も食べろ」

詠「あ、うん……」

麗姉ちゃんはさすがにエプロンを脱いでいた。
だが半袖半ズボンの薄着には変わりなく、寒暖の感覚は大丈夫なのかと心配になる。

詠「いただきます」

とりあえず麗姉ちゃんの正面が空いていたので、そこに座って食事をいただく。
黙々と食べる麗姉ちゃんが時折視界に映る。

不意に麗姉ちゃんとぱっちり目が合った。

むぐむぐ、ごくりと食事を飲み込んだ彼女は見つめ合ったままで俺に尋ねる。

麗「どうした? 私におかしいところでもあるのか?」

キョトンとした様子で麗姉ちゃんは尋ねてくる。

詠「……」

俺が何も言わないでいると、彼女は熱でもあるのか? と立ち上がって、ずいっと顔を寄せる。
前かがみになった彼女の、シャツの中が良く見える。ちなみにグレーのスポーツブラ。
366 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:38:12.98 ID:M/4VaMYQ0
胸が揺れないように両脇から締めるタイプのそれは、麗姉ちゃんの大きめの胸をぎゅっと寄せて大きな谷間を作っている。

詠「……!」

すぐに麗姉ちゃんの顔に視線を逸らして、彼女と目を合わせるのだが、傾げた小首は可愛らしく、実年齢よりも若々しく見える上にとても魅力的だ。

吸い込まれそうになった瞳から、艶やかな桜色の唇へ視線が降りる。
ごくりと生唾を飲んだのは、キスをしたら……と考えたからではないはずだ。
邪な気持ちは抱いてないはずである。

麗「顔が赤いし、やっぱり熱があるんじゃないか?」

詠「や、大丈夫!」

麗「ちょっとおでこ出してみろ」

詠「!!」

こっちまで来て麗姉ちゃんはぴったりと俺のおでこに彼女のおでこをくっ付けた。

麗「特に熱は無いだろう……どうしたんだ?」

詠「や、何でもないんだって! 本当に大丈夫だからっ!」

麗「ならいいんだが……」

心配しながら彼女は食べ終わった自身の食器を片付ける。
367 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:38:43.20 ID:M/4VaMYQ0
突然、ゾッとした悪寒に襲われる。
すごい睨まれているような……と思い、振り向いてみる。

明「……」
聖「……」

すごい睨まれている。
じーっという効果音が聞こえてきそうだ。

詠「ごちそうさま!」

耐えきれずすぐに食事を終えて、ばっと立ち上がる。

明姉ちゃんと聖姉ちゃんの射殺すような視線は絶えず俺に向けられているかと思いきや、俺が立ち上がってすぐに外れた。

聖「詠は何でテント張ってるんだ?」

詠「は? 何だよさっきから睨んできたり……」

明「いや、詠、それ……」

明姉ちゃんが小馬鹿にしたように指を差して指摘してくる。

詠「だから、何?」

指差したあたりをきょろきょろと見渡してみるが特に変わった様子はない。
しばらく探していると突然聖姉ちゃんが俺の股間をぎゅぅっと触ってきた。
368 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:40:52.70 ID:M/4VaMYQ0
詠「うわあぁぁ!? 何っ!? ナニッ!?」

明「聖ちゃん最低……」

聖「詠、自分が勃起してるのに気が付いてなかったのか?」

言われてみれば、確かに思い切りテント張ってますねこれ。

詠「いいから手をどけろ変態」

俺が素っ気なくそう言うと、聖姉ちゃんはムッとしつつもその手を収める。

聖「まさか姉さんに欲情するとはな……」

明「悔しいわね」

詠「ちょっと二人とも何言ってるか分からないんだけど……?」

会話が噛み合わないなぁ。聖姉ちゃんとはいつも嚙み合わないけど。

明「自分でも気が付いてないってこと?」

聖「鈍感どころの話ではないな」

詠「???」

二人は大きく溜息を吐くと、食器を片付けてさっさと居間を出ていった。
出勤の準備に取り掛かるのだろう。
残された俺はぽかんと佇む他ないのだった。
369 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:41:21.90 ID:M/4VaMYQ0
もやもやとした心持ちで出勤する。

おはようございます、と同僚が挨拶をくれるので、それに答えて自分の部署まで向かった。
それから昼休憩まであっという間に時間は過ぎる。

蓮「今日はいつもより浮かない顔してるな」

葉月「何か悩んでます?」

詠「いや、葉月さん、ここのところ俺が悩んでない日ってありました?」

修羅場の渦中に絶賛飛び込み中の俺にそれ以上の悩みなんて無い。
むしろ仕事がそのことをしばらく忘れさせてくれるくらいである。

蓮「まあ飯でも食おうぜ」

詠「そうですね」

葉月「今日もお弁当ですか?」

詠「ええ、今日は姉の麗が作ってくれました」

そう言って鞄を開けるが、見当たらない。

詠「あれ?」

蓮「どうした?」

ごそごそと、鞄の中の物を全部出しひっくり返してみたがやはり何も無いみたいだ。
これはお弁当を忘れた可能性が……。というか忘れた。
370 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:41:50.27 ID:M/4VaMYQ0
詠「家に置いて来ちゃった……」

がっくりと項垂れる。
せっかく作ってくれたのに忘れるなんてのは、忘れた方はもちろん、作った方にとっても悲しいことなのである。

蓮「あれま……」

葉月「それは……残念なことですね……」

先輩も少し困ったような表情で俺を励ましてくれた。

蓮「忘れちまった物はしかたない。食堂行くか」

トンと俺の肩を叩いて蓮さんが言った。
彼のことだから奢ってくれるのだろうけど、それも申し訳ない気がする。

俺がちょっと渋っていると、不意に扉が開く。
入ってきたのは慶ちゃんで、その手にはお弁当を持っていた。

慶「お兄ちゃん、忘れ物だよー」

詠「え、慶ちゃん。どうして?」

慶「今日は休講! それでお兄ちゃんのお弁当あったから届けに来たんだ」

蓮「お、良かったな。いい妹で」

詠「ありがとう慶ちゃん!」

慶「いいよいいよ。今度お礼してね」

慶ちゃんは得意げに微笑み、蓮さんと葉月さんに『いつも兄がお世話になってます』と一礼して去って行った。
371 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:42:23.46 ID:M/4VaMYQ0
葉月「慶ちゃん、可愛いし良い子ですよね」

詠「そうですね。自慢の妹ですよ。最近は生活が乱れてますけど……」

生活態度については大学生なので、しかたないとは思う。俺もそうだったし。
ただ彼女を見ていると、あの頃の俺も姉ちゃんたちを心配させてたんだなと実感することができるのだ。

そんな物思いに耽っているところ、入れ替わるようにして事務所に入ってきたのは麗姉ちゃんだ。

詠「えっ!? 姉ちゃん、な、何でいるの……?」

彼女の存在を認めた俺はなぜだか酷く動揺した。
がたた、と二、三歩軽く後退り、デスクの書類を数枚落とす。

麗「ああ、詠、一緒にご飯でも食べないか? 私もちょうど昼休憩なのでな。……しかし、そんなに慌ててどうした?」

ちらっと蓮さんの方を見やると、ははーん、とどこか納得したような顔をしている。
次いで、葉月さんは、あらあら、といった風にどこか余裕のある眼差しで俺を微笑ましく見つめていた。

詠「……いや、何でもない! 何だっけ? ご飯食べるって? うん、いいよ。いいですよね、蓮さん」

俺が蓮さんに許可を取ろうと話を振ったところ、彼は肩を竦めて答えるのだ。
372 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:42:56.77 ID:M/4VaMYQ0
蓮「いや、たまにはお姉さんと食べるといい。俺は葉月と食うからさ」

葉月「そうですね。二人きり水入らずというのも大事だと思います。積もる話もあるでしょう」

いや、積もる話はありませんよ! いつも夜は家で一緒に過ごしてますよ!

麗「先約だったか? すまないな」

蓮「いや、別にいいですよ」

葉月「応接室が空いてますから、頑張ってくださいね」

麗「? はぁ……ありがとう」

麗姉ちゃんは二人を訝し気に見て、曖昧に返事をするがしっかりとお礼を言う。
結局、俺は先輩の圧力もかかり麗姉ちゃんと二人で応接室で食事をすることにした。

それにしても、ここの応接室って仕事であまり使われてないなぁ。
応接室とは名ばかりのフリースペースと化しているような気がする。

いや、そんなことはどうでもいい。
今は麗姉ちゃんと二人きりというこの状況が問題なのだ。

彼女の服装は家の時とはまた違う。
室内用のシューズ。
下にはウィンドブレーカーを履いており、上はジャージという姿。
少し暑いのだろうか、じんわりと滲む汗で髪の毛が額やこめかみにぴとりとくっついている。

やんわりと朱に染めた頬も手伝って、普段よりも艶めかしく映る。
彼女の顔をまともに見れない。
373 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:43:34.72 ID:M/4VaMYQ0
麗「どうだ?」

詠「ん、美味しいよ」

麗「そうか、ありがとう。だがそうではなくて、決められそうか? という意味だ」

麗姉ちゃんは姉妹の中でも、プライベートではどちらかというと寡黙な方で、言葉足らずな点があったりもする。

しかし、この言いづらそうな雰囲気から察するに、おそらく俺が6人の告白を保留にしている件だろう。

詠「……あと、ちょっと待ってほしいんだ」

俺も言うのを少し躊躇ってから、姉ちゃんにそう伝えた。

麗「そうか」

それからしばらく黙々と食事をする。
心許している麗姉ちゃんとの時間なのにどこか気まずく、もやもやした感情が渦巻く。
沈黙を破ろうとしても何と言えばいいのか分からず、口を開けど言葉が出ない。

麗「私は」

そんな中、静かに口を開いたのは麗姉ちゃんの方だった。

麗「詠のことが好きだが、一番歳が上でもう三十歳近い。詠のことを考えると……いや、私を彼女候補に入れているとは思えないが、せめて選択肢を減らして、詠の負担を減らしたいと思う。だから、私は諦めるよ……」

詠「は?」

麗姉ちゃんの言ったことに思考が追い付かない。
俺のために自分が諦めるって何だよ。言ってる意味が分からない。
374 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:44:22.37 ID:M/4VaMYQ0
それにそんな弱気な彼女を見るのは初めてで、苦しくなる。
横に座っている彼女を見ても、その横顔はやはり初めて見る表情で、目尻に浮かべた涙は零れ落ちて頬を伝っていた。

俺のお腹の奥がじわーっとなって、胸の辺りが震えるような感覚に陥った。

麗「詠には幸せになってほしい。お前がうちに引き取られてからずっとそう思ってたし、そのことだけを考えて生きてきた。だから私のために詠が苦しんでるのは……」

詠「うるさいっ!!」

俺は自分を抑えきれずに、彼女に怒鳴りつける。
麗姉ちゃんはビクッと肩を振るわせて驚きの表情で俺を見る。

詠「俺がよければ姉ちゃんはどうなってもいいのか? 俺は嫌だよ。俺だって他のみんなの幸せを願ってるし、自分のせいで姉ちゃんたちが辛い思いしてるのも知ってるけど……」

考えがまとまらず、言ってることも支離滅裂で、自分の感情をそのままぶつけるなんてひどく醜いことのように思えるのだが、それでも言わなきゃいけなかった。

詠「麗姉ちゃんがそんなこと言うなよ……」

誰よりも頑張ってる彼女が自分を否定している姿を見るのが悔しかった。
そんなの許せなかったのかもしれない。

同時に何で俺がこんなに熱くなっているのかもすぐに分かって、心が握り潰されて弾けたようだ。
全身にパッとした明るい感情が駆け巡ったように目の前が明るくなって、直後に明姉ちゃんの『自分でも気が付いてない』って言った意味に合点がいく。

そしてまたその直後、真っ暗にフェードアウトするような寒々しい感覚が全身を襲う。
それは自分へ好意を向けてくれた彼女たちの期待を裏切ることに対する後ろめたさに他ならなかった。
375 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:44:58.20 ID:M/4VaMYQ0
けれど、今は何よりも伝えなければならないことがある。

詠「俺は麗姉ちゃんが好きだ」

驚くほど自然に出た言葉は麗姉ちゃんの涙を止めるなんてできず、余計に泣かせてしまうことになった。

麗「うぅ……ぐすっ……ご、ごめん……こんな、情け……ないの……」

俺は泣きじゃくる麗姉ちゃんの肩を抱き寄せてキスをした。
さっき食べたお弁当の唐揚げの味がした。

お昼休憩は終わり姉ちゃんと手を繋いで応接室から出ると、ちょうど事務所に入ってきた蓮さんと葉月さんがぎょっとした様子でこちらを窺ってきた。

慌ててパッと手を離したので少し訝しく思われたのだろうが、それよりも麗姉ちゃんの様子がいつもと違うのに先輩たちは気が付いたようだ。

確かに麗姉ちゃんの少し赤くなった目を見れば、彼女が泣いた後だというのはすぐに察することができるだろう。

葉月「詠くん……?」

静かに問う葉月さんは返答次第じゃ、怒りますと暗に訴えているようだ。

俺は麗姉ちゃんの肩を抱き寄せてくっつく。
376 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:45:25.65 ID:M/4VaMYQ0
詠「俺たち付き合うことになりました」

笑顔で宣言した。

麗「え、詠っ!?」

蓮「はぁ!?」

葉月「ええっ!?」

三者三様、またしても驚いた表情を見せる。

詠「じゃあ姉ちゃん行ってらっしゃい。また後で」

軽く頭を撫でて、送り出す。
ぽーっとした表情だった彼女はしばらくすると、ハッとした様子でドアに向かう。

麗「じゃ、じゃあ、また後で……」

彼女は控えめに手を上げてちょこちょこと振ると、事務所を出ていった。

蓮「ま、そういうことだよなぁ……」

葉月「詳しく話を聞かせてください!」

納得した様子の蓮さんと、目を爛々と輝かせる葉月さんに迫られて事の顛末を話すと同時に、妹さんを振ることになるという旨を伝えた。
377 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:45:53.61 ID:M/4VaMYQ0
蓮「ま、しかたねぇわな」

葉月「二人の恋路を止めることはできませんからね」

蓮「それにしても、あんな麗さん初めて見たな」

葉月「ええ、何と言うか……とても素敵でした」

心のつっかえが取れたようにすっきりした俺であった。
そして終業後、麗姉ちゃんとの帰り道。

麗「あの後、アイドル達に質問攻めされて大変だったぞ」

詠「泣かせてごめんって……」

姉ちゃんが勝手に泣いた気がしなくもないが……。

麗「特に瑞樹と楓がしつこくってな……それに心もぐいぐい来るし……」

話してる内容に対してその表情は輝いている。
俺はこの先ずっと彼女と歩んでいく決意を心に秘めつつ、手を取った。

麗「……聞いてるか?」

強く手を握り返す彼女は俺の顔を覗き込んで微笑んだ。

『青木麗』 終わり
378 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:58:41.94 ID:M/4VaMYQ0
『麗アフター』

詠「久しぶりだね、帰ってくるの」

麗「そうだな」

俺と麗姉ちゃんは今栃木に来ています。
両親に結婚報告ということで実家に帰省中なのである。

閑散とした風景にぽつりと建つ大きな邸宅。
長い年月が経過しているであろう古びた木造家屋の引き戸を開ける。
カラカラと懐かしい音を響かせて開いた戸の先にはだだっ広い玄関があり、きちんと整頓された下駄箱の靴はあまり生活感が無いようだ。

詠「ただいまー」
麗「ただいま」

母「あらあら、お帰りなさい」

二人して挨拶をすると、玄関先にて居間からやって来た母さんが出迎えてくれる。

母「二人だけ?」

麗「まあ……報告することがあって」

母「え、何何? 結婚の話かしら?」

こんな時に勘の鋭いのが母親だ。
しかしながら母自身も冗談で言ったらしく、麗姉ちゃんが恥ずかしそうに押し黙ると何かを察したように首をゆっくりと縦に振っていた。
379 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:59:15.38 ID:M/4VaMYQ0
母「とりあえず上がりなさい」

詠「うん、そうだね。ほら姉ちゃん……」

麗「あ、ああ……」

とりあえず一泊する予定なので、昔それぞれの個室として扱っていた部屋を借りて荷物を置く。

リビングはその広さの割にきちんと整頓されており、俺が住んでいたころよりも清潔な様子だと感じた。

父「おう、お帰り」

リビング中央のソファに座って寛ぎながらテレビを見る父さんが、こちらを一瞥して言った。

俺と姉ちゃんは挨拶を返して、二人特に居場所も無くボケっと突っ立ていた。

父「座ったらどうだ?」

素っ気ない父の言に頷き、姉ちゃんはリビングの食卓に着く。
俺は台所へ行き、何やら夕食の準備をしている母さんの手伝いをする。

母「あら、詠は優しいねぇ。子供の頃からいっつも家事手伝ってくれてたよねぇ」

詠「そうだっけ?」

母「どうせ今でも聖や慶の世話でもしてるんでしょう」

そう言ってふぅっと溜息を吐く。
あんまり甘やかしてはいけないのだろうとは思うのだが、彼女たちが家事手伝いに疎いのだからしかたがない。
380 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 19:59:43.37 ID:M/4VaMYQ0
詠「いやいや、俺が何もしなくても聖姉ちゃんも慶ちゃんも自分のことは自分でしっかりできるよ」

……多分。
慶ちゃんは朝弱くて微妙な所ではあるが、聖姉ちゃんはしっかりできるだろう。
いやしかし、以前デイトレードで大損したという話を聞いたような……。まあ、生活習慣とは特に関係無いからその話はいいか。

そうしてゆったりと過ぎ行くと思われた実家での時間は、気が付けば父母と麗姉ちゃん、俺という四人で夕食を終えた。

しばらくテレビを見ていたが、俺が大事な話があると切り出して、テレビの電源も切った。

四人で囲んでいた食卓にピリッとした空気が流れて、直後、父さんが厳かに口を開く。

父「それで大事な話って何だ?」

母さんはある程度分かっているのだろう。
暢気にお茶を啜り、お茶請けに手を出している。

詠「俺、麗姉ちゃんと結婚します」

父「そうか。おめでとう」
母「おめでとー」

そう言うと父さんはテレビのリモコンを手に取ってまた電源を入れた。

……は? 終わり!?

あまりの呆気なさに俺と姉ちゃんは呆然と両親を交互に見るだけだ。
381 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 20:00:10.10 ID:M/4VaMYQ0
父「式はいつ上げるんだ?」

詠「や、それはまだ決まってない」

父「決まったらまた連絡してくれ」

母「それにしても詠が麗を選ぶなんてねぇ、てっきり歳の近い明かと思ったけど」

母さんよ、麗姉ちゃんの前でそういったことを言うのはデリカシーに欠けるのでは、と思い横の麗姉ちゃんの顔を見てみると、やはり少し面白くなさそうな表情をしていた。

詠「俺、麗姉ちゃんを愛してるから」

母「そう」

とにかく二人の反応は塩で、すっかりピリリとした空気は鳴りを潜めて俺たちは毒を抜かれてしまったような気分でいるのだった。

両親は早い時間に寝て、俺と姉ちゃんも部屋に戻る。
別々の部屋で寝るつもりだったが、母さんが『一緒に寝たら?』と言うので、そうすることにした。

麗「なんだか意外だったというか……」

詠「うん、何か言われると思ったよね」

風呂から上がり、安堵したというよりかは拍子抜けした俺たちはベッドに腰かけて話し合う。

結婚報告の後は他の三姉妹について聞かれただけだし、そんなに心配していなさそうな様子だった。

麗「気が抜けてしまった」

姉ちゃんは、ふぅ、と安堵の溜息を吐いてこてりと俺の肩に頭を預けて寄り添った。
こんな風に甘える姉ちゃんは少し珍しい。
俺はドキドキするのを誤魔化すように身振り手振りを少し交えて会話を続ける。
382 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 20:00:40.03 ID:M/4VaMYQ0
詠「でもさ、よかったよ。反対されるとかじゃなくって」

麗「まあな。いつ詠が誰とくっつくか楽しんでたみたいだったなからな」

詠「趣味悪いよなぁ」

麗「まったくだ」

詠「でも安心した」

麗「ああ、私もだ」

ぴとっと二人寄り添い合ったまま沈黙が訪れる。
右肩に乗せられた感触と熱がとても心地良く、同時に強く意識してしまう。

麗「詠、いいか?」

その言葉に振り向けば、ぽやっとした彼女の瞳が色っぽく、何を求められているかが一目でわかった。

唇と唇を軽くくっ付ける。
顔を離すと麗姉ちゃんは相好を崩し、俺もつられて笑んでしまう。

それから軽く触れるだけのキスを4、5回繰り返した。
俺は彼女を押し倒して、好き勝手に何度もキスをする。

どんどんとエスカレート、ヒートアップしていく自分の気持ちをありのまま、彼女にぶつけていく。

お互いの唇を重ねる時は次第に長くなり、また深くなる。
舌で彼女の口内を犯し、上下の唇を食べるように、自分の唇で挟む。

舌を吸うと、彼女が俺の背に回した腕に力が入り、離そうとすると今度は麗姉ちゃんの方から逃がすまいと追いかけるようにキスをしてくる。

彼女の口内の天井を舌で擦ると、より身体が強張るのだ。
383 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 20:01:06.83 ID:M/4VaMYQ0
服の上から自分のガチガチに固まった陰茎を姉ちゃんの股間に擦り付ける。
俺は自制が効かず、一心不乱に腰を動かしキスをしていた。

麗「あむっ……ちゅ、ちゅっ、んっ……ふぁっ…………!!」

麗姉ちゃんは不意に大きく身体が強張ったかと思うと、ビクビクッと腰を震えさせる。

詠「イッちゃった?」

俺が彼女の目をじっと見て悪戯っぽく聞くと、彼女はふいっと視線を横に向けて恥ずかしそうに黙りこくった。
片腕で真っ赤になった顔を軽く隠して、控えめに頷く姉ちゃん。
その返答のしかたが可愛くてたまらない。

無理矢理腕をどかした俺はより削られた理性の元、さっきの続きとばかりに激しいキスを重ねる。

麗「あっ! ん……ちゅ……ちゅぱ……んむっ……あんっ……!!」

両腕を押さえつけて身動きの取れない姉ちゃんは抵抗するどころか、脚で俺の臀部あたりを挟むと自ら股間をペニスに擦り付けてくる。

それからまた数十秒経つと、がくがくと腰を痙攣させて強く抱き付いてくる。

詠「またイッちゃった?」

これを聞くのが結構楽しい。
麗姉ちゃんの反応はやはり恥ずかしそうにするばかりで、いつも堂々としてる彼女とはまた違った一面が見れて愛おしい。

麗「はぁ……はぁ…………」

荒い息をどうにか落ち着かせて、彼女は起き上がる。
とん、と優しく俺を押し返し、今度は馬乗りにされた。
384 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 20:01:39.84 ID:M/4VaMYQ0
麗「詠ばっかり好きにして……」

火照って上気した顔。
とろんと蕩けた眼が俺を射抜く。

さっき俺がしたようなキス。
深く深く繋がろうと舌は侵入し、懸命に口内を探る。
天井を擦られるのがくすぐったいような気持ちいいような感覚で、ついつい力が入ってしまう。

小さく痙攣し始めた俺を見て、満足そうな笑みで顔を歪める麗姉ちゃん。
いったん顔を離すと再びキスしたのは首だ。
ちぅ〜、と思い切り吸い、ポッと吸盤が離れたような音がする。

ゾクゾクとするそれは気持ちよく、全身が強張りプルプルと震えてしまうほどだった。
しばらく首を愛撫し、俺の息も絶え絶えとなったところに追い打ちを掛けるように耳を蹂躙する。

ふぅ、と吐息を優しく漏らしたかと思えば、つつ、と舌先を耳に当て、エスカレートすれば甘噛みし、耳元で音を立てるようにキスをされる。
ちゅ、ちゅ、という音を耳のすぐそばで立てられるたびに、身体が跳ねてしまう。

やめて、と口にするものの、内心ではやめないでほしい願う。
裏腹な気持ちが伝わったかどうか知らないが、麗姉ちゃんはやめることはなかった。

麗「詠、可愛いな……ふふっ……」

と耳元で囁かれ、軽く失神しそうになるが、耳に舌をねじ込まれてかき回される快感によって意識を引き戻されるのだった。

男なのに喘ぐ、という情けない姿を晒しながら麗姉ちゃんに十分に弄ばれる。
ようやく両耳の凌辱が終わるが、ビクビクと痙攣が治まらなくて、俺は動けないでいた。

麗姉ちゃんの嗜虐的な笑みが俺の視界に映ったかと思うと、今度は服をはだけさせられる。
ぐいー、と服を捲り上げられて臍、乳首と順に晒す。
385 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 20:02:16.99 ID:M/4VaMYQ0
つつ、と指でお腹や脇腹をなぞられてまた俺は痙攣せざるを得なかった。
小さく喘ぎ声を発してしまい、羞恥と快感でどうしようもないほどに興奮してしまう。

それから軽く指で乳首を摘ままれ、もう片方の乳首も舌で遊ばれ吸いあげられる。
またしても快楽に襲われる。くすぐったいのが気持ちいい。

上の服は脱がされ、股間にも彼女の手は伸ばされた。

ぎゅ、ぎゅ、と程よく刺激を与えられる。
上にも下にも意識がいってしまったその瞬間に身体が跳ねる。

麗「またビクッてしてる」

悪戯っぽい顔をして姉ちゃんは俺のズボンとパンツを脱がした。
パンツについていたカウパー液の染みを、彼女は俺に向けて見せつけた。

麗「こんなにパンツ濡らしてどうしたんだ? 耳を舐められて、乳首を吸われて、興奮してるのか?」

そう問われて、また軽く失神しそうになった。
恥ずかしさと姉ちゃんの官能的な視線が俺の尊厳と理性を突き揺らして壊そうとしてくる。

カウパーが溢れガチガチに硬くなった陰茎を手で握り上下に動かす。
情けなくも声を我慢できない。

イキそうになって腰が勝手に浮いてくるのを見た姉ちゃんはいったん止め、反り返る程に勃起したちんこを口に含んで、じゅぽじゅぽといやらしい音を立てる。

手こきからフェラに変わり、いったん収まった射精感が再び込み上げてくると、姉ちゃんはまた休み、今度は亀頭を指で擦る。

カリを二本の指で挟むようにして撫でまわし、しこしこと扱かずに指先で亀頭を撫で続ける。
386 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 20:02:50.98 ID:M/4VaMYQ0
これが寸止めされた感覚とはまた違って、手こきやフェラの何倍もの刺激を受けているのにまったく射精する気配が無いのだ。

ただ、さっきよりも強い快感に襲われながら射精することができないという気持ち悪さが俺を狂わせそうなほどだった。

詠「ふぅっ……ぐっうぅ……あっ……うっ……ああああああっ!!」

必死に抑えてた声が我慢できなくなって大きく漏れてしまった。
慌てて口を手で押えるが、喉の奥から勝手に発声されてしまう。

ようやく手を止める麗姉ちゃんは、だらだらと漏れ出ているカウパーを舌で舐めとり、ペニス全体を口に含むフェラをして吸い取った。

ちゅぽっと音を立てて離されたそれは、勢いよく俺のお腹を叩く。
それほどガチガチに硬くなっており、暴発寸前なほど膨れていた。

麗「入れるぞ?」

朦朧とした意識の俺にそう告げて、彼女は俺の上に跨り、ガッチガチの陰茎を自身の膣内に導いた。

麗「ん、んぅ……」

艶めかしい声とともにすんなりと俺のモノを受け入れる。
しかし中は締まっており、彼女が上下するたびに搾り取られるような感覚に襲われる。

麗「あっ……あんっ……あ……いっ……きもちいっ……」

腰の振りはだんだん激しくなり、俺も早いうちに限界を迎える。

詠「うぁ! 姉ちゃんっ! やば……も……無理…………〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」

さっきまで溜めに溜めた快感をぶちまけるように射精する。
姉ちゃんが優しく抱きしめてくれる。一回じゃ治まらない射精のようで、びくっびくっと震えるたびに精巣から白濁液を搾り出す。
十数回ほど精子を搾り出し、ようやく治まる。
387 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 20:03:27.16 ID:M/4VaMYQ0
麗「……すごいいっぱい出たな」

恍惚な表情を浮かべて彼女はペニスを抜くと、どろぉっと粘性の高い白濁液が膣内から溢れ出した。

抜いたペニスは再び俺のお腹を叩いた。

麗姉ちゃんはそれを見て、にまーっとした笑顔を浮かべるとちんぽを一舐めしてもう一度自分の膣に挿入させる。

詠「待って……」

なんていう俺の制止を、スイッチの入った麗姉ちゃんが聞いてくれるはずもなく、陰茎はずぶりと締め上げられる。

麗「私、まだイッてない」

そう言って彼女は好き勝手に動き始める。
さらに反応の薄くなってきた俺を再起動させるため、姉ちゃんはキスをはじめ、耳舐め、乳首舐めなど全身にリップサービスを施してくれる。

詠「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」

言葉にならない声で俺は痙攣を続ける。
麗姉ちゃんの愛撫は愛があって気持ちが良くて、気を失いそうになる。

麗姉ちゃんの嗜虐に歪んだ表情が艶めかしく美しい。
そして先ほどあれだけ出したのに、すぐに射精しそうな感覚に襲われる。

麗「うぅん……いいっ……! 詠っ! 私も……イキそうだ…………あっ! あっ!」

詠「いっ……! 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

姉ちゃんに言われて俺も決壊したように、二回目の射精をあっけなくしてしまう。

麗「あ、あ、あ、あ……〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」

同じタイミングで姉ちゃんも大きく痙攣する。
ぶるぶるっと震えてとろーっと呆けた顔を晒しながら、俺に密着する。
388 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 20:03:55.39 ID:M/4VaMYQ0
お互いに息を荒げ、強く跳ねる心臓の音が俺から彼女の身体に伝わり、そして彼女から俺の身体に伝わる。

このまま眠ってしまいたいほどの充足感と多幸感に包み込まれる。

麗「……詠、大丈夫か?」

しばらくして落ち着いた彼女が俺に尋ねる。

詠「ん、何とか……」

正直に言ってアラサー女性の性欲はすごい。
俺がだいぶ攻められたというのもあるけど、麗姉ちゃんはそれでもまだ物足りなそうな表情をしているのだから。

以前『今日は麗姉ちゃんの好きにしていいよ』と言ったことがあったが、その時は夜明けまで寝かせてくれなかった。

詠「まだ、する?」

麗「いいのか?」

俺のこういう部分はちょっと甘いのかもしれない。
彼女の満足していないという表情を見ると、やはり満足するまでしてほしいと思ってしまうのだ。

俺が頷くと、麗姉ちゃんはまた小悪魔みたいな笑みを浮かべた。
結局、セックスは翌朝まで続いた。

俺達が起きた時、両親はすでに起きており、朝食も用意されていた。

詠「いただきます」

うぅ、寝不足でまだ頭がぼんやりする。
珈琲を一口啜る。

母「あんたたち、子作りはほどほどにしなさいね」

さりげなく答えた母さんの言葉に俺と麗姉ちゃんは噴き出したのだった。

『麗アフター』 終わり
389 : ◆Xx4o45zWU. [saga]:2018/01/21(日) 20:05:51.14 ID:M/4VaMYQ0
全編終了です。
読んでくださった方、ありがとうございます。

感想や質問等あればどうぞ。

明日の夜にHTML依頼出します。
390 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/22(月) 05:03:24.47 ID:KfOItP6P0
おっつおっつ
ポジパはPに恋はしなかったのかね?
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