姫菜「ちょっと! 結衣も優美子もそれ、私に対しての当てつけ!?」

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1 : ◆3pCIhha3Cw [saga]:2017/12/09(土) 20:00:01.27 ID:ggw/p3vQ0
 講義を終えてあとは帰るだけ。大学へ進学してアパートで一人暮らしを始め、何の柵もない俺はポテイトとコーラを貪りながらグータラ過ごしてやるぜ!
 いや、俺の場合はもちろんコーラではなくマッ缶だがな!
 とはいかないか。そもそも家事をやってくれるのが兄ではなく妹の小町だ。両親の不在が多い中、二人だけで暮らしてるようなものだがそんな過ごし方はさせないだろうし俺が甘えてもキモいだけだ。それ以前に外面も内面変わらない俺があのフードを被りながらそんな真似をしてもやはりキモいだけだ。
 それにしてもあの兄は社畜として働きながら掃除洗濯炊事、そして妹の世話を行う中々にすごい。まさに専業主夫としても活躍できる人物だ。
 そう考えるとやはり俺に専業主夫は無理なので近い将来はただの社畜になるしかないだろう。

「あっ、ヒッキー! こっちこっちー」

 高校時代からの付き合いである由比ヶ浜結衣が元気に手を振りながら俺を呼ぶ。それはちょっと目立つかなーって。
 普段はおバカなところもある由比ヶ浜だが奉仕部の三人で協力しながら勉学に励み無事、俺と同じ大学へ進学をした。
 その卒業時、由比ヶ浜に告白された。彼女の気持ちは十分わかる。総武高入学時に起きたあの出来事から数えると三年越しの想いもあるだろう。ましてや優しくて可愛い女の子だ。しかもスタイル抜群、ってそれは関係ないか。
 今更由比ヶ浜が罰ゲームや俺を引っ掛ける為に告白すると思えないしそれは流石に失礼すぎる。
 だがその告白は俺は受け入れなかった。俺自身、中学時代に告白して振られてバラされた事が尾を引いてるのだろうか、今一つ受け入れる気にはなれなかった。
 なので友達付き合いから始めないか、とこれまたヘタれな返答をしてしまうが由比ヶ浜としてはとっくに俺の事を友達のように思ってたので拍子抜け感じでむしろ怒られてしまった。それでもここから次の関係に発展していくかもしれないので友達付き合いを続けている。

「そう言えばさー、久しぶりにゆきのんからメール来たんだよ!」
「ほーん」
2 : ◆3pCIhha3Cw [saga]:2017/12/09(土) 20:01:10.27 ID:ggw/p3vQ0
 雪ノ下はあのプロムでの出来事から更に色々あり、母親から認められて卒業時には再度海外へ留学した。将来はその経験を生かし、父親の仕事を継ぐのかもしれない。
 そして今の大学からの編入という形で陽乃さんも一緒に行ってしまった。
 確かあの母親の意向で陽乃さんは現在の大学に入ったはずだがあの姉妹と母親で決めた事らしい。
 ともかく雪ノ下家の人物とは高校卒業時に疎遠になるが俺達のような一般庶民がああまで関わったのが珍しい位だろう。

「どうだ? あの姉妹は仲良くやってるのか?」
「うん、ほら」

 由比ヶ浜は一つの画像を俺に見せる。そこには眩しいくらいの笑顔の陽乃さんと肩に手を回されてる事に若干鬱陶しく感じているようだが満更でもない表情で微笑んでる雪ノ下が写っていた。

「まだまだ俺達比企谷兄妹には敵わないな」
「そこで対抗するとかおかしいし! それにヒッキーはただのシスコンじゃん!」
「ばっか、シスコンなのはあの人も同じだぞ?」

 とは言っても陽乃さんの場合は性格や家庭の事情もあってどこかしら歪んでるかもしれない。
 そういえば結局、雪ノ下の連絡先は知らないままだったな。由比ヶ浜に聞くわけにはいかないが俺の方から何も聞かなくても由比ヶ浜が雪ノ下の近況は教えてくれるだろう。

「何してるんー」
3 : ◆3pCIhha3Cw [saga]:2017/12/09(土) 20:02:02.82 ID:ggw/p3vQ0
 続いて三浦優美子がやって来た。彼女も同じ大学だ。
 三浦は少し前に失恋し、一緒にそのフォローをして欲しいと由比ヶ浜に頼まれたのだった。三浦から見れば俺なんぞは捻くれてる以前にキモいだけでリア充でもイケメンでもなく、大した存在ではなかった。
 だがその三浦と長々とした愚痴を聞かされたり俺へのダメ出し、パシリ程度な荷物持ちをされたりと総武高時代にはなかった一定の付き合いが出来た。
 ちなみに失恋の相手は由比ヶ浜ですら知らない。三浦が付き合って振られる相手となれば一人しかいないようなものだがそれすらも答えてくれないようだ。

「あ、優美子。ほら、これゆきのんと陽乃さん」
「ふーん」

 興味がなさそうにも雪ノ下と陽乃さんの画像を見るが三浦にとってあまりいい思い出はないだろう。
 勝ってるのはある一部分だけである。ましてや姉の方は勝ってる部分が同等かそれ以上、って関係ないな。ともかく陽乃さんは雪ノ下以上に面識がない。興味ないのは当然か。

「それでさー、今日はカラオケ行きたいんだけど」
「うん! いいよー」
「ヒキオ、あんたもだから」

 これで本日の行き先は決まりだ。何度か屁理屈を捏ねながら拒否した事があるが獄炎の女王様の前では無駄だった。
 その言い訳の一つとして海老名さんを誘えばいいのでは? と言ったりもしたが彼女は別の大学に進学してから三浦と由比ヶ浜とも疎遠になったそうだ。
 もっとも海老名さんの場合は大学内のサークルかなにかで同じ趣味で愚腐腐言ってる友人でも見つけて仲良くやっていそうな気もするが。
4 : ◆3pCIhha3Cw [saga]:2017/12/09(土) 20:03:02.30 ID:ggw/p3vQ0

 そしてカラオケボックスにてノリノリで歌う由比ヶ浜も三浦もテンションが高い。俺はその盛り上げ役にすぎないがウェーイウェーイ、と騒ぐこともないのでその役もロクに勤まらないだろう。
 奉仕部に入部後はそうでもないが総武高入学時は運悪く事故に遭い、親友やグループの形成にも出遅れ、ボッチになってしまった。もっとも俺の場合、事故があってもなくてもボッチだろうが今更その事を悔やむつもりはない。
 だが、大学入学時に知り合いやそれ以上の縁がある三浦と由比ヶ浜がいるお陰で中々賑やかな日々を過ごしている。
 こんな状況を陽乃さんが見たら奉仕部の面子で雪ノ下から三浦に変わっただけ、と嘲笑されるかもしれない。
 仮に三浦が陽乃さんに噛みついたとしても勝てるビジョンが一切思い付かないし雪ノ下以上に打ちのめされるだろう。
 それでもこうして三人でいるのは楽しい。
 いずれはこの関係に終止符は打たれるだろうがそれまでの間はちょっとしたリア充気分を満喫したい。

「思ったんだけどさー、あんた達って付き合わないの?」

 と思いきや三浦がこの関係に楔を入れるような事を言ってきた。
 その意図はわからない。三浦はかつてのトップカーストグループにてその関係が好きだと言っていた。なのでこの関係を気に入らなければこんな事は言わないはずだ。

「えっ!? えーっと......あたしとヒッキーは付き合いの長い友達っていうか......あはは......」

 由比ヶ浜は苦笑いしながら言う。三浦は由比ヶ浜が俺に告白した事は知らないので答えとしては妥当だろう。

「ほら、ヒキオ。この結衣の胸見て何とも思わない?」
「ちょ、んっ、やめてよー」
「てか、結衣。また大きくなったん?」
「そ、そんなの知らないもん!」
5 : ◆3pCIhha3Cw [saga]:2017/12/09(土) 20:04:01.17 ID:ggw/p3vQ0
 三浦は由比ヶ浜の胸に触れてくる。何とも思わないわけがない。万乳引力には逆らえないんだぞ! てか三浦も似たようなもんじゃね?
 いや、胸の大きい小さいは関係ないか。

「と、とにかくあたしとヒッキーは友達なの!」
「ふーん」
 
 由比ヶ浜は三浦の手を振り払うと冷めた返事をして俺の方に近づいてくる。てか近すぎじゃないっすか? そのまま俺の隣に座り、肩も寄せ、魅惑的な笑みを浮かべてくる。
 やばい、三浦の付けてる香水のせいか変な気分になってしまいそうだ。

「じゃあヒキオ、あーしと付き合おっか?」
「なっ!?」

 これまた驚愕な発言だ。由比ヶ浜も驚くが俺としては真に受けるつもりはない。
 俺と由比ヶ浜の仲に発破を掛けるというつもりだろうか、三浦と付き合いが出来たとはいえ、俺に好意を持つようには到底見えない。

「マ、マジ?」
「マジ」
「失恋の反動で」
「それはない。あんたとそいつで比べる事は絶対しない」
「俺ってキモいんだろ?」
「でもヒキオといると意外と楽しいんだよねー。まだダサいとこあるけどその辺はあーしがちゃんとコーディネートするし」
「そうやって貢がされそうな気が」
「今まで色んなとこ連れ回したけど一円でもせびった事あった?」
6 : ◆3pCIhha3Cw [saga]:2017/12/09(土) 20:05:01.90 ID:ggw/p3vQ0
 三浦は俺の突っ込みに一つ一つキッパリと言い返す。確かに荷物持ちのような事はされたが全て三浦の買い物な為、その付き合いで俺が三浦にお金を出したことは一切なかった。
 そして反論する度に三浦が近づいてくる。あれ? なんか柔らかいものが当たってるような?

「ヒキオ......」

 そして目を閉じ、顔を近づけてくる。このままだとキスをされそうになるので突き飛ばしたり抵抗すればいいのだが......。

「ダ、ダメ!!」

 勿論そうはならなかった。由比ヶ浜がもう片方から俺の腕を抱き付き、三浦とのキスを阻止する。これはこれで安心するが三浦と同様な柔らかいものが強烈にめり込んでくる。
 ちょ、それヤバくないっすか?

「ちょっと結衣ー、あーしとヒキオの仲を邪魔しないでくんない?」
「そ、そんなんじゃないし! ていうかヒッキーも困ってるって言うか......」
「結衣はヒキオと友達じゃん。むしろ応援して欲しいんだけど」
「うぅー......」

 言葉に詰まる由比ヶ浜に対し、俺も擁護してやりたいがこの場合どうすればいいかわからない。てか見た目的にはこの状況は両手に花?

「やだ......」
「なんか言った? そういうはっきりしない態度がイラっとするって前に言わなかったっけ?」
7 : ◆3pCIhha3Cw [saga]:2017/12/09(土) 20:06:01.08 ID:ggw/p3vQ0
 由比ヶ浜は呟くように声を絞り出す。と同時に抱きついてる腕にもより一層力がこもる。
 三浦も挑発するような発言だ。確か雪ノ下と一緒に昼食をとるとかで揉めた時にもこんな事を言った気がする。

「やだ! やっぱり友達とかやだ! ヒッキー! あたし、ヒッキーの事大好き! ヒッキーと付き合いたい!!」

 それは由比ヶ浜の心からの叫びだった。嬉しいには違いないがやっぱり照れてしまう。
 茶化すつもりはないがここが防音設備が整ってるカラオケボックスでなけば俺と三浦以外にも聞こえてしまい、由比ヶ浜自身も恥ずかしい思いをするのではないだろうか。

「うぅ......ぐすっ、二人ともごめん......な、泣いて同情誘うとかじゃないけど、ひくっ......でもあたし、ほんとにヒッキーの事が......」

 感情が爆発してしまい、由比ヶ浜はボロボロと涙を流してしまう。
 卑怯ともずるいとは思わない。由比ヶ浜の気持ちを知りながら俺が友達から始めないか、だなんて半端な事を言うからこうなるのだ。

「いいよ、ちゃんと結衣がヒキオを好きなのがあーしにも伝わったし」

 三浦は宥めるような口調で由比ヶ浜を諭す。こんな時に失礼だがキツい性格の三浦には中々そぐわないようにも見えるが優美子という名前からすると相応しい場面ではないだろうか。

「でもごめん、あーしもヒキオの事が好きなんだよね」
「ええっ!」
8 : ◆3pCIhha3Cw [saga]:2017/12/09(土) 20:07:01.56 ID:ggw/p3vQ0
 と思いきや、由比ヶ浜に対抗するかのように三浦も俺のもう片方の腕に組み付く。
 ちょ......。両方から大きくて柔らかいものがむにゅって食い込んでるんですけど!

「こういう場合ってあたしの事応援するって場面じゃないかなーって」
「はぁ? そんなの知らないし」
「それに優美子、失恋して間もないし......」
「それも関係ないし。むしろ同じ失敗はしないつもりだから。ちなみにそいつとは手を繋ぎはしたけどキスもセックスもなかったから」
「セセ、セック......って優美子! なに言ってんの!?」
「まだお子ちゃまな結衣ちゃんに関係ない事だし」
「お子ちゃ......! そんな事ないもん! あたしこの中で一番年上だし!」

 二人は俺を挟みながら口論する。やはり三浦の方が優勢だ。
 てか、由比ヶ浜さんや。誕生月が早いからって年上ってのはちょっと残念だぞ。ついでに言えば俺は三浦の誕生日は知らないが今の話から六月以前ではない事が推察できる。
 それよりもまず、この争いを止めなくては。

「二人ともまずは俺を挟んで喧嘩はやめっ......」

 拘束されてるに等しい両腕を解こうとすると必然的にそのめり込んでるものが動いてしまう。思わず、二の腕を動かして服の上からとはいえ、柔らかいものを動かしてみる。

「すけべ」
「えっち」
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