【咲-saki-】咲「麻雀学園?」【安価】

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1 : ◆TZolALn9r2 :2018/01/08(月) 09:30:44.56 ID:ri9NxStsO

咲「ここは……」ウーン

頭がズキズキする。

「到着したのよー!起きるのよー!」ジャンジャン

銅鑼の音が寝起きの頭に鳴り響く。

咲「ううっ……」ムニャムニャ

「いい加減起きるのー!」

目をうっすら開けると、目の前に女の人が立っていた。

由子「そんなんじゃ今日からの学園生活が思いやられるのよー……15分後に所長からの訓示があるから身だしなみを整えておくのー」

そう言い残して、女が部屋から出た。

改めて部屋を見渡すと、高校の教室ほどの広さの窓のない部屋。扉は女が出ていった1つだけだった。

泉「のんきなやっちゃな〜」

そして1人だけ、私と同い年くらいの、見知らぬ高校の制服を着た女の子が部屋にいた。

泉「ウチ、二条。二条泉や。あんたと同じ新入園者やな。よろしゅう頼むで。あんたは?」

咲「私、咲……ええっと……宮永、咲です」

泉「国はどこや?見たところ、東京言葉話しとるみたいやけど」

咲「ええっと……」

頭がぼんやりする。記憶が曖昧だ。
2 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/08(月) 09:32:26.80 ID:ri9NxStsO

泉「ウチは大阪やねん。地元で二条泉言うたらそこそこ名、通ってるで。ウチ、全国の猛者と勝負したくてこの学園来たんや。アンタもここに入園するって事はそこそこ打てるんやろ?」

咲「打つ?」

由子「準備ができたのよー、早く部屋出るのー」

慌ただしく、私達2人は部屋から出され、『所長室』と書かれた部屋に通された。

由子「今月の入園希望者2名、連れてきました!」

「どうぞ」

由子「粗相のないようにするのー所長は怖いのよー」ボソッ

咲「はぁ」
3 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/08(月) 09:35:58.23 ID:ri9NxStsO

由子「それでは失礼します!」ガチャ

広い部屋に10人程の職員が直立不動で立ち、その奥の席に黒い軍服を着たこの部屋の主が座っていた。

異様な緊張感に、思わず唾を飲み込む。

赤阪「おっ、おぉ〜〜遠路はるばるよ〜来たなぁ!咲ちゃんに、泉ちゃん!」

泉「ホッ……なんや、気さくな人やん」

赤阪「ウチ、この麻雀学園の責任者の赤阪郁乃や〜〜2人ともこれから新しい環境で、麻雀を打つことになるんやけど、困ったことあったらなんでも相談して〜〜」

赤阪「ここ麻雀学園はご存知、麻雀の専門的で高度な教育をモットーにしているんやけど〜〜何より大事なのは仲間との絆や〜〜」

赤阪「それにいち早く目をつけた前任の善野所長は全寮制をこの学園に導入して、麻雀学園は日本屈指の麻雀高等教育機関として認知され、世界的にも有名な数多くの雀士を排出してきたんや〜〜」

赤阪「多いときは、毎月の入園希望者が100人を超えて、選抜試験なんてのもやってた時代もあるんやで〜」

赤阪「ま、今は時代の波に飲まれて、たった2人しか入園希望者がおらんけど〜〜決してウチが所長になったせいではないので、そこのところ勘違いしないように〜〜」

赤阪「2人共、おばさんの長話は嫌やろ〜〜、これにて訓示終了〜〜真瀬ちゃん、この2人、早く園内に案内しといて〜〜」ニコニコ

由子「はい!それじゃあふたりとも、こっちについてくるのよー」

泉「はーい、咲、優しそうな人で助かったなぁ〜〜正直、ずっと怖い人想像してたけど」

咲(なんだろ……所長さんの……二条さんは気がついていないのかな……あの禍々しいオーラ……)
4 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/08(月) 09:37:38.77 ID:ri9NxStsO

案内人に連れられ、私たちは廊下を延々と歩いた。迷路のような作り。階段を登って下って、10分ほどで私たちは入り口についた。

屋内に大きな門があった。「麻雀学園」という看板が横に設えられていた。

由子「改めて自己紹介するのよー。私の名前は真瀬由子、この学園であなた達の教育係を担当するのー」

由子「この門の先は、あなた達と同じく、麻雀を極めんと日々研鑽に励む同志が約100人、昼夜を問わず麻雀に励んでいるのよー」

由子「寮は大きく3つにわけられて、あなた達は第1舎に入寮するのーこの第1舎の責任者が私なのよー」

泉「せんせー質問がありまーす」

由子「なーに?」

泉「その第1舎ってのは、1番レベルの高い寮ってことですかー?」

由子「そういう訳ではないのよー便宜上1、2、3で番号を振っているけど、数字の序列はないのよー」

由子「序列は麻雀でつけるのよー毎月、寮対抗で麻雀大会を開いてるのーそこで決めるのよー」

由子「それじゃあこの門の先が麻雀学園なのー歓迎するのよーお二人ともー」

二条さんは希望に満ち溢れた顔をしていた。でも、私は恐ろしい不吉な予感に襲われていた。

ギギギ……バタン。

門が閉じた。この先に私の……がいる。
5 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/08(月) 09:39:27.24 ID:ri9NxStsO

門を超えた直後に小さな部屋に通され、そこで服を脱ぐよう命令された。

由子「脱いだらそこに四つん這いになるのー」

泉「は?嫌やわ、なんでそんな」

由子「命令なのよー」

泉「っ……!!ウチ、帰る!訴えたるからな、覚えとき!」

由子「仕方ないのよー……ロン!」パンッ

泉「へ?」ドサッ

1撃で二条さんは吹き飛ばされ、床にうずくまった。

咲(今、真瀬さんが一瞬、銃を撃ったように見えたけど……そんな道具は持っていないのに……)

泉「はぁ……はぁ……あんた、ウチの体に、何した!」ガタガタ

由子「いまのは1000点。それでも生身の体には大きな負担になるのー」

由子「あんまり手荒い真似はしたくないのー外からイカサマの道具を持ち込まれると、私の責任になるから困るのよーだから事前に調べておくのー」

由子「咲はどうするー?とりあえずウチは泉に教育せなあかんから、先に済ませてくれると助かるんやけどー」

最初、私はこの人のことを優しい近所のお姉ちゃんくらいに思っていた。でも、この人は慣れている。二条さんを撃つとき、一切の躊躇いがなかった。暴力に慣れた人間は、怖い。

↓1
@裸でよつん這いになる
A断る
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/08(月) 09:40:11.12 ID:TJ6ftfQMO
1
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/08(月) 09:40:39.02 ID:LcJxZ7x90
1
8 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/08(月) 11:16:52.95 ID:/8qtvwvzO

咲「はい……」ヌギヌギ

暴力を躊躇わない指導教官。この学園は私が想像していたとおり、危険な香りがする。

泉「咲……!あんたにプライドってモンはないのか!」

この部屋には真瀬さんだけでなく、職員が5人程。いくら二条さんと私が暴れても、腕っ節ではかなわないだろうし、先程真瀬さんが見せた奇妙な技の正体も掴めない。

これからの学園生活のことを考えると、逆らわないのが吉だ。

私は裸になって、服を床においた。

由子「ふーん……綺麗な体なのよー、おい」クイ

真瀬さんが顎を出すと、他の職員が私の制服を床から拾い上げた。

由子「それじゃあ四つん這いになって、お尻を天井に突き上げるのよー犬のようにー」

咲「ううっ……」

由子「従順な子犬には優しくするのー」ズブリ

咲「あっ!」
9 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/08(月) 13:14:40.17 ID:/8qtvwvzO

指を、股の奥に入れられた。ビリっと敏感な粘膜をえぐる痛みが私を襲う。

由子「処女なのよー」

時間にして数秒。それでも痛みは引かない。

由子「一応お尻も見ておくのー。咲、力を抜くのよー」

咲「えっ……あぁ〜〜……」

そのまま、お尻の穴に指を入れられ、奥を撫でるように探られた。

由子「異物なしなのー。一応口の中チェックしておいてーそれじゃあ咲、この扉の向こうに服を用意しているから、晴れて歓迎するのよー、麻雀学園へようこそ……!」

二条さんはあっけに取られていた。これじゃあまるで刑務所だ。私は恥ずかしさに顔を真赤にして、逃げるように部屋を出た。

別室で待つこと30分。

目を真っ赤に腫らした裸の二条さんが出てきた。股の間から、血がタラタラ流れている。

指で無理やり奥の奥まで執拗に探られたのだろうか。

ホッと胸をなでおろした。抵抗したら、私も同じ目にあっていたかもしれない。

由子「それじゃあ気を取り直して寮を案内するのー」
10 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/08(月) 13:47:07.72 ID:/8qtvwvzO

泉「ううっ……!なんや、ここは……!」

二条さんは、学園内の風景を見て絶句していた。

鉄条網付きのコンクリートの高い壁で囲まれ、監視塔まで付き、各塔の上には2人ほどの兵隊が睨みを利かしている。

由子「あそこが校庭なのよー」

宿舎から壁までの広い空間は、校庭と称されたが、それは学校のグラウンドではない。

何人かの学生が、畑を耕していた。

由子「ここは基本的に自給自足が大原則よー秋には美味しいサツマイモやじゃがいもがたくさん収穫されるのよー農作物をみんなで作ることで絆の力を高めるのよー」

泉「何が絆や……!こんなの体のいい強制労働……!ウチは麻雀できると聞いて、この学園に来たのに…!」カタカタ

由子「二人が今回入寮するのは第1舎なのー。第1舎は現在、25名の雀士が日々切磋琢磨して麻雀を打っているのよーそれじゃあ麻雀室に案内するのよー」

真瀬さんは私達を木造の古い建物の中に案内した。
11 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/08(月) 13:48:12.24 ID:/8qtvwvzO

由子「ここが麻雀部屋やー」

泉「ええっと、確か25人おるって言うたよな?」

由子「……そういや、昨日事故で1人卒園したらしいから、24人かもー」

泉「そういう問題ちゃうわ!なんで雀卓が1個なんや!って話や!それに誰もおらんやん、何やっとんねん、麻雀学園!」

由子「それには説明が必要なのー第1舎は第1-3舎のうち最弱の寮だからなのよー」

由子「麻雀学園はその名の通り、概ねすべてのことが麻雀で決まるのー基本的には寮内では仲良くしてもらうんやけどそれじゃあ競争心が育まれないってことでー」

由子「各寮対抗で毎週末に麻雀大会があるのよー。そこでその週の寮の予算を分け合ってるのー」

由子「雀卓を維持するのにも、毎日のご飯を食べるにも予算がいるのよー」

由子「こと、お金という意味では第1舎は最低ランク…!満足に麻雀もできず、毎日畑ばかり耕している日々なのー」

由子「それでは二人を仲間たちのもとに紹介するのよー」

12 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/08(月) 13:49:37.75 ID:/8qtvwvzO

真瀬さんが集合をかけると、校庭に20数名の第1舎の学友が集合した。

皆、ねずみ色の作業着を着て顔に生気がなかった。

由子「注目!今日からみんなの仲間になる二条泉ちゃんと宮永咲ちゃんなのよー」

由子「ここ数週間の第1舎の麻雀成績は最低……!日々の暮らしにも困窮するほど、ということで赤阪所長特別のはからいで強力な新戦力の投入なのよー」

由子「ほら、自己紹介するのー」バシッ

泉「は、はい!二条泉、大阪から来ました、これでもインターミドルではトップの成績を残してるんでー皆さんの力になれると思いますーよろしくおねがいしますー」

ざわ……ざわ……

咲「宮永咲です。ううぅ……よろしくお願いします」ペッコリン

ざわ…ざわ…

由子「ほな、仲良くしてあげてー。それじゃあ二人はオリエンテーションの続きで、残りのものは各々の作業に戻るのよー」

その後、私たちは日が暮れるまでこの寮の掟について真瀬さんからレクチャーを受けた。

13 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/08(月) 15:27:09.66 ID:effSVUWt0
期待
14 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/08(月) 20:19:56.47 ID:oR7ei4jBO

由子「……というわけで、寮には規則がいっぱいなのよー規則を破るときつい罰が待ってるから気をつけるのー」

由子「それじゃあ二人を部屋に案内するのー。泉ちゃんは1-C部屋で、咲ちゃんは1-A部屋なのよー」

寮生は4-5人の大部屋で寝食を共にする。

由子「それじゃあ咲ちゃんはこの部屋やからー仲良くするのよー」

3人ほどの女子学生が私の方をじっと見ていた。

由子「というわけで、和ちゃん、よろしくなのよー。咲ちゃんとってもいい子なのよー」

和「……」

咲「宮永咲です、みなさんよろしくおねがいします」ペッコリン

咲(わわっ、おっぱい大きい子だな〜〜……髪もこんな環境なのにつやつやしていて……)

これが私と和ちゃんの出会いだった。和ちゃんは無表情でジロッと私の眼を見ていた。

憧「私、新子憧。よろしくね〜〜一応この部屋の副長」

穏乃「私、高鴨穏乃!わからないことあったら何でも聞いてよ!」

咲(意外と、アットホーム……なんだ……)

和「よろしくおねがいしますね、咲さん」ニコッ
15 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/08(月) 20:21:11.42 ID:oR7ei4jBO

晩御飯の時間まで、私は部屋の隅っこで、様子を伺っていた。

人見知りの私から話を切り出せる訳もなく、他の3人は各々本を読んだりメイクをしたり、筋トレしたり好き勝手な事をしていたから。

部屋に配膳があり、食事が始まった。

和「それでは、頂きます」

憧「いただきまーす」

穏乃「いただきます」チラッ

配膳は3人分だけ。

憧「突然だったし、ごめんねー宮永さん。事前に申請しないとご飯来ないのよー。来週から宮永さんの分も申請しておくからー」

3人とも白米に塩鮭、お味噌汁に肉じゃが、ほうれん草のおひたし、と質素ではあるもなかなか美味しそうなご飯を食べている。

あとで知ったことだ。原村さんは第1舎の寮長で、この部屋の室長。この寮の予算配分などに関して権限を持っているため、ここの食事は特別らしい。他の部屋は白米無しで芋の煮付け+ごぼうまたは白菜の日々のようだ。

咲(……今日は昼からご飯たべてないしお腹へったな……)グルル…

咲(お腹鳴っちゃった、恥ずかしいよぅ……///)

穏乃「……」チラチラ

咲(どうしよ……誰かにご飯、分けて貰おうかな……)

↓1
@和にお願いする
A憧にお願いする
B穏乃にお願いする
C武士は食わねど高楊枝にする
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/08(月) 20:22:41.71 ID:kDQ1rynmo
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/08(月) 20:26:52.78 ID:K3UZ7zjEo
きついけど 4
18 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/08(月) 20:38:29.69 ID:oR7ei4jBO

咲(でもおかしいよ……いくら私が入園するのが突然わかったからといって)

咲(ご飯を用意していないなんて)

憧「うーん、このわかめの味噌汁美味しいなぁー」モグモグ

咲「ううっ」ゴクッ

穏乃「……」チラッ

和「……」モグモグ

咲(ここは我慢……物乞いみたいなことする必要なんてない!)

ピロリン!精神力が1アップした!

★ステータス★
雀力 1/10 精神力 2/10 体力 5/5

和「ごちそうさまでした」

咲(結局食事抜き……お腹減ったよぉ)

憧(ふーん、ご飯いらないんだ……)

和「憧。明日から宮永さんの分の食事も、真瀬先生に言って用意して上げてくださいね」

憧「はーい」

咲「ありがとう、原村さん」

和「お気になさらずに」

憧「チッ……」
19 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/08(月) 20:52:41.71 ID:oR7ei4jBO

夜……

麻雀学園の消灯時間は21時。

電気が消えると、鉄格子付きの窓の外から差し込むのは、月の光だけである。

耳を澄ますと遠くで波の音が聞こえる……

ここは何処か、私は思いを馳せる。

眠れやしなかった。私がここに来た意味。3年前にこの学園に入ってから連絡が取れなくなった姉の消息を辿るため。

明日から戦いの日々が始まる。今日はそれに備えて、眠らなきゃ……


次の日。

真瀬「朝なのよー!」ジャンジャン

廊下でけたたましく鳴る銅鑼の音で目が覚めた。

まだ外は薄暗い。時計は朝4時25分を指している……

咲「ふぁぁ…」ムニャムニャ

憧「新入りはお寝坊さんねぇ」テキパキ

穏乃「宮永さん!早く布団から出て!布団畳んで着替えて5分後に校庭集合だよ!」

咲「ふぁぁい……」モゾモゾ
20 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/08(月) 21:16:54.23 ID:oR7ei4jBO
麻雀学園の朝は早い。

4時30分に校庭に集合して、朝の体操のあと、早朝のランニング。

私は夕ご飯抜きだったので、ヘロヘロだった。

合計10kmのランニングのあとは6時まで休憩。当然、早く走れる人の方がゆっくり休めるわけで、私がランニングを終えたのは時間ギリギリ。

ヘトヘトになりながら、朝ごはんのための食堂へ向かう。

朝ごはんは、打って変わって質素で、食パン1枚に芋煮だった。

食事を終えると、6時45分から仕事が始まる。

穏乃「じゃ、私達の畑はここだから。一緒に頑張ろうよ、宮永さん」

まずは穏乃さんに畑仕事を教わる。

穏乃「ダメダメ、もっと鍬振り上げないと。あと、こういう硬い岩あったらあっちに避けておいて」

朝方の仕事はまだいい。太陽が登った日中からの畑仕事は地獄だった。

咲「ふひぃ〜〜もう腕上がりません……」ゼーゼー

穏乃「宮永さん、頑張って!辛いの最初だけだから」

咲「もうっ……だめっ」フラフラ

穏乃「ふー……じゃあちょっと早めに休憩する?」
21 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/08(月) 21:17:25.15 ID:oR7ei4jBO

穏乃「はい、水」

咲「ありがとうござます」ゴキュゴキュ

日陰で小休憩だ。まだ時間は11時前。もう体が悲鳴を上げている。

咲「勝手に休憩して……怒られないんですか?」

穏乃「ずっと監視してる訳じゃないし、一応自由時間に自主的に私達が畑耕しているって形になってるから、いいんですよ」

咲「あれ?原村さんと新子さんは?」

穏乃「あの二人は免除。寮長と副長ってことでーー各室長も畑仕事は免除されてるよー」

咲「じゃあ、私が来るまで穏乃さんが一人で、畑耕していたんですか…?」

部屋毎に耕すべき畑の面積の割合がある。原村さんの部屋の畑は他の部屋より当然小さかったが、それでも一人で耕すには広すぎる。

穏乃「まー趣味みたいなもんだよ。あっ、あと昨日はごめんっ!」

咲「え?」
22 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/08(月) 21:27:46.37 ID:oR7ei4jBO

穏乃「憧のバカが、意地悪しちゃって……夕ご飯抜きで、さ」

咲「いえ、いいんですよ……何も高鴨さんが謝らなくても」

穏乃「でも我慢したのは立派だったよ。私だったらぶん殴ってたなー」

咲「あはは……」

穏乃「じゃあ私、畑仕事の続きやるから!落ち着くまでそこで休んでなよ」

咲「あのっ……ありがとう……ございます」ペコリ

穏乃「困ったときはお互い様……でも宮永さん。ここで長生きするにはコツがいる。大きな流れに乗ること。流れに逆らったら溺れてしまう。どんな理不尽も、静かに耐えるんだ。そうすればいつか目が出るから、さ……」

高鴨さんはそんなことを言い残して、畑仕事に戻っていった。
23 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/08(月) 21:34:55.31 ID:oR7ei4jBO

真瀬「新入園者を歓迎して、今日のお昼ごはんはおにぎりなのよー!」

校庭で泥だらけの寮生の間で歓声が沸いた。

妹尾「うまっ……白米とかいつぶりだろ……うまうまっ……」モグモグ

文堂「くぅ〜〜!甘いっ……お米ってこんなに甘かったんだぁー!」ポロポロ

咲(塩おにぎり1個でこの喜び……でも気持ちはわかるかも……空きっ腹に程よい甘塩のおにぎりは犯罪的……!犯罪的な美味しさだよっ……!)

校庭では寮生たちがそれぞれおにぎりに舌鼓を打ちながら、休憩していた。

そんななか、私はおにぎりに手をつけようとせず、うずくまっている一人に目がいった。

泉「…………」

咲「二条、さん……」

24 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/08(月) 21:45:33.16 ID:oR7ei4jBO

泉「咲ぃ〜〜」

泉「ここ、もういややわっ……!お家、帰りたいっ…!」

泉「聞いてや、ひどいねん、うちの部屋……夕ご飯も用意してもらえず……」

泉「そのことに文句言うても、シカト決め込んで……」

泉「で、消灯してから……」カタカタ

泉「……やばいねん、ウチの部屋……」カタカタ

咲「何があったんですか?」

泉「……」カタカタ

二条さんは青ざめていた。

泉「軽く、リンチされたねん。生意気や言うて、腹殴られるわ、背中踏まれるわ……これ以上は口にも出せんわ……」カタカタ

泉「咲のところは大丈夫かいな?」
25 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/08(月) 21:49:02.62 ID:oR7ei4jBO

原村さんも高鴨さんも少なくともそういうことをするタイプには見えない。

泉「当たりやな……1-A室言うたら、原村寮長のところやん……やっぱ優しいんやなぁ」

泉「ウチのとこの室長、大星言うんやけど、あら、頭のネジ2本くらいトンでるで……絶対人、ピーしたことある」カタカタ

泉「どないしよ、咲ぃ〜〜……ウチ、あんなとこいたら1週間以内に死ぬ……」

泉「なあ咲、一緒に逃げへん?」

咲「逃げるって言ってもどうやって……」

見渡すかぎり、高い壁で囲まれ、とても逃げられそうな雰囲気はない。

泉「アホ!大脱走ちゃうねん、脱獄しようって訳やない……オリエンテーションの時あったやん、退寮申請っての……あの紙捨ててないやろ?リンチされたし、理由は十分やん、こんなん大問題やで、今時相撲部屋かて暴力にうるさいんやぞ」

泉「一緒に逃げよう、咲。こんなとこおっても麻雀なんて強くなれっこないわ」

↓1
@話に乗る
A断る
B真瀬さんに報告する
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/08(月) 21:50:06.06 ID:HXhg216/o
2
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/08(月) 21:50:11.69 ID:zcu/rJd4O
3
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/08(月) 21:50:45.56 ID:kDQ1rynmo
そもそも逃げられる気がしない
29 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/08(月) 22:00:13.74 ID:oR7ei4jBO

誰が乗るか……!見え見えの泥船……!

それに私にはここに来た目的があるッ!

咲「ごめん、二条さん。私はここに残る」ヨッコイショ

泉「でも咲ぃ〜〜……」

咲「辛いことはたくさんあるだろうけど、お互い頑張ろうよ!どうしても困ったら、また相談してくれていいから、さ。愚痴聞くくらいなら私にだって出来るから……」

ピロリン!精神力が1アップした!

★ステータス★
雀力 1/10 精神力 3/10 体力 5/5

午後も畑仕事。16時まで休憩をはさみながらひたすら畑を耕した。

聞いた話では、第1舎は獲得予算が少ないせいで、毎年食事はこの畑で取れた芋で賄っているらしい。今の私達の食事は昨年収穫した芋の残りのようだ……
30 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/08(月) 22:23:30.53 ID:oR7ei4jBO

和「それではいただきます」

憧「いただきまーす」

18時。夕ご飯の時間だ。

今日のご飯はヒレカツ定食。ホカホカの白米に、揚げたてのカツ。シャキシャキのキャベツに、瑞々しいプチトマトまで載っている。それにデザートにはケーキ!

憧「今日は、咲の歓迎会だから、和が特別サービスだって!」

咲「あのっ……これ、いいんですか?」

聞いた話では、他の部屋は毎日芋煮らしい。

和「今日は特別ですよ。咲さんの歓迎会ですから」

今頃、二条さんのところもこういう特別食が振る舞われているのだろうか。

穏乃「宮永さん、食べなよ。冷えちゃうよ」モグモグ

咲「……はい」

咲(旨いっ……!労働の後に、この肉は染みるっ……アミノ酸が全身に広がっていくのがわかるよっ…!)

咲(いい肉使ってるなぁ〜〜!)

31 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/08(月) 22:37:08.25 ID:oR7ei4jBO
憧「ウチの寮、畑だけじゃなくて、豚も育ててるのよ。そこの黒豚。自分たちで育てて、食べる豚は格別よね〜」

咲「普段、新子さんは牧場の方で豚の世話をしているんですか?」

憧「は?そんなの1-D部屋の仕事じゃん」

和「でも、憧は家畜小屋の責任者なんですよ。だから、今日も一番いいお肉が手に入りました」

あとで知った話だ。新子さんが管理している家畜小屋の肉は、私達第1舎の人間の口に入ることはない。肉は概ね他の寮に輸出され、原村さん達は利益を得ているらしい。だから、夕食も他の寮の給食を自費で購入している。

こんなふるまい、他の部屋から見たら顰蹙ものだけれども、原村さんは麻雀が強く、第1舎の家畜小屋の利権や畑の利権など麻雀で獲得し、他の寮との交易で利益を上げている。

職員にも賄賂を渡し、この寮の女王として君臨している彼女に対して他の部屋は不満こそあれ、表立っては逆らえないのだ。

新子さんと高鴨さんは原村さんの側近らしく、特に新子さんは原村さんのそばに常にいる。

この部屋に入れたメリットは非常に大きく、例えば休憩時間などに新入りは大抵、先輩にいじめられ、理不尽な仕打ちを受けるのだけれども(二条さんみたいに)、私はそういうのとは無縁で、他の部屋からの攻撃は一切ない。

生意気な二条さんは、毎日激しいいじめにあって、随分と精神がやられてしまっているようだ。

それを横目に私は精一杯畑を耕した。

しかし麻雀学園と言いながら、私達が牌を握れる機会は

この1週間、一度もなかった。
32 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/08(月) 23:20:57.66 ID:oR7ei4jBO

しかし、転機は突然訪れた。

夕食後の自由時間。私は部屋でウトウトしながら過ごしていた。

気がつくと、原村さんと新子さんがいない。

穏乃「明日は、各寮対抗の麻雀大会だから、室長会議だよ」

高鴨さんが教えてくれた。

各寮の代表者が、麻雀学園の中央にある試合場に集まり、卓を囲む日。

勝負の模様はテレビで全寮生に中継され、その週の予算や各々の資産を賭けての5半荘の勝負。

ここで勝利しなければ、食べるものにも困窮する。

穏乃「ウチは弱っちいからねー……昔は雀卓とかもいっぱいあったんだけど、負けが込んで今じゃ1個しか雀卓ないし、食事も困るようになって、畑仕事ばかりしてる。だから、ますます弱くなるって悪循環なんだよ」

咲「原村さんで勝てないんだ……」

穏乃「いやいや、和は勝つよ。ウチの学園のトップランカーの1人だし。でもこの勝負は団体戦で、さらに言えば同じ選手は2週間続けて登録できない仕組みなの」

33 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/08(月) 23:23:45.54 ID:oR7ei4jBO

憧「ただいまーいやー、疲れた疲れた」

穏乃「おつかれさん」

咲「お疲れ様です」

和「今日の会議は長引きましたね」

憧「1-Cの大星、うるさいっちゅーの!こっちは各部屋の事情を考慮してバランスよく決めてるのに」

和「まあまあ、憧。あっ、こちら、オーダーです」

原村さんが見せたオーダー表を見て、私は驚いた。

先鋒 片岡(室長)
次鋒 文堂
中堅 岡橋
副将 原村(室長)
大将 宮永

咲「あの……これって、私が大将……ですか?」

和「ええ。咲さん。期待していますよ。私達の寮は基本的に新入寮生の実力を測るため、まずは試合に出てもらいますので。二条さんは来週ですね」

穏乃「……」

この寮対抗麻雀大会の話を聞いたとき。私が試合に出れるのは当分先だと思っていた。

お姉ちゃんは、同じ寮にいない。でも、私が強くなれば、そこでお姉ちゃんと会える。お姉ちゃんと卓で語り合える。私はそのためにここに来たんだ!

手が震えるのがわかる。こんなに早くチャンスが来るなんて。早く牌を握りたい。早く、麻雀がしたい!
34 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/08(月) 23:27:58.30 ID:oR7ei4jBO

試合当日。選手控室の空気はひりついていた。

先鋒の片岡さんが2着につけ、回した貯金は次鋒で大きく失われ、さらに中堅も手酷いミスが重なり10万点あった点数は4万点近くまで減っていた。

初瀬「うっ……ううっ……」ポロポロ

中堅の岡橋さんは、ひと目も憚らず泣いていた。

控室はお通夜みたいな雰囲気。

3つの寮の代表者と、調整役の職員サイド、今日は真瀬さんが5半荘を打ち、40万点分の予算を分け合う。

職員側は概ね10万点前後でフィニッシュするため、3つのチームでの点の奪い合い。

ここまでのところ、圧倒的に強いのは第3舎の面々だった。

文堂「さすが第3班。先鋒辻垣内に中堅竹井は流石に安定していますね。副将の江口セーラはウチの寮長に対するメタでしょうか」

優希「第2班の副将の船久保も侮れない相手だじょ。和ちゃんオカルト相手にはめっぽう強いけど、デジタルや流れ論者相手には大勝ちできないんだじぇ」

文堂「今月はなんとか8万点はほしいですね……」

優希「だじぇ…」

4万点スタートで始まった副将戦だが、原村さんはやはり強かった。ジリ貧の状況から粘って跳満を連発し、7万5000点近くまで収支を戻してフィニッシュ。

それから大将戦のコールがかかった。

ここまでお姉ちゃんは出場していない。まさか、こんなに早く……胸が高鳴る。

和「それでは咲さん。あとは頼みます」

和ちゃんとハイタッチを交わして、私は勝負の卓へ向かった。
35 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/08(月) 23:33:25.47 ID:oR7ei4jBO


向かった先に、姉はいなかった。

由子「咲ちゃん初参加なのーご祝儀ルールでいいかなのよー」

憩「ええですよーぅ」 第2舎 寮長 荒川憩 学園ランキング第2位

竜華「まあええやろ」 第3舎 3-C室長 清水谷竜華 学園ランキング第6位

咲「ご祝儀ルール?」 第1舎 1-A室員 宮永咲 学園ランキング 圏外

由子「初参加特典なのー。和了れば咲ちゃんだけ点数倍付けなのよー。全くただのご祝儀なのー」

咲(ハンデをくれるって訳ですか……)

竜華「なつかしいなーウチも昔、ガチガチに緊張しとったねん。ま、咲ちゃんリラックスリラックス。負けても余裕あるんやろ、第1舎は」

憩「警戒ですよーぅ、新人をいきなりこの卓に付かせるとか、何かあるかもしれませんよーぅ」

咲(オーラでわかる……!この三人、相当打てる……!でも、私だって、麻雀にはそこそこ自信があるんだ!)

★ステータス★
雀力 1/10 精神力 3/10 体力 5/5

咲は怯まなかった。

由子(なかなかいいオーラ発してるのよー咲ちゃんも……でも和ちゃんも人が悪い……この卓は心だけで勝てるほど甘くないのよーせめて雀力5は必要やねーまともに打つには……)

↓1
勝敗コンマ
ゾロ目:プラマイゼロ
他:コンマ分敗北
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/08(月) 23:34:56.87 ID:aTHP14gUO
はい
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/08(月) 23:35:23.44 ID:kDQ1rynmo
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/08(月) 23:40:29.10 ID:MD0xoTKkO
逝ったな
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/08(月) 23:50:44.86 ID:HXhg216/o
惜しいしその下はゾロだしコワイわ
40 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/08(月) 23:52:22.54 ID:oR7ei4jBO

憩「ロン。24000。」

竜華「ロン!12000やな〜〜ごっつあんですー」

竜華「ツモ。8000-4000。あっ、咲ちゃんごめんなぁ、親っかぶりで」

憩「ロン。3900ですよーぅ」

憩「ロン。7700ですよーぅ」

瞬く間に溶ける貯金……!わずか1半荘で咲は87000点を失った……

由子「はい、ツモ。500-300。今日はここらへんにしておくのよー」

咲「う、嘘……」カタカタ

憩「なんや、ただの初心者やんーこんなんボーナスステージですよーぅ」

竜華「咲ちゃん高い授業料になったなーぁ。この卓に付くにはまだ早いで……麻雀は奥が深い……ウチら、ここで極めるために修行してるねん……」

87000点を失い、咲のチームの合計収支は-12000点であった。

咲「……」カタカタ

震えが止まらない。3人と卓を囲んでいる間、ずっと寒気が止まらなかった。

精神力が-1になった。体力が-1になった。

強者との対戦経験を積み、雀力が+1になった。

★ステータス★
雀力 2/10 精神力 2/10 体力 4/5
41 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/09(火) 00:12:36.67 ID:5RlcUHpgO

控室に帰ると誰もいなかった。

私は、寮に帰ることができず、ずっと控室の脇のトイレで吐いていた。

泣き疲れた頃、真瀬さんが来て、追い出されるように第1舎に帰った……


和「……」

寮内の講堂に、第1舎の寮生全員が咲の帰りを待っていた。

重苦しい空気。

大星「どう落とし前つけるの?」

咲が戻ると、2-Cの室長の大星淡が声を荒げた。

咲「あ、あうぅ」

初瀬「前代未聞だよ、前代未聞!マイナス8万点超えなんて!それで10万点切って、借金!?」

初瀬「ただでさえ、ウチの台所事情は苦しいのに!」

咲「……」カタカタ

莉子「明日から食費の支給もないしー……昨年の備蓄食料で食いつなぐしか……」

泉「また芋の日々ですか……」

南浦「芋も貴重品……1日2食に制限しないと」

ざわ……ざわ……

思わず、原村さんの方を見た。原村さんは中央の席で腕を組んで目を瞑っている。
42 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/09(火) 00:17:03.80 ID:5RlcUHpgO

由暉子「皆さんのお気持ちはわかりますが、まずは総括が先ではないでしょうか?」

2-Bの室長の真屋さんが、紛糾する場を収めた。

皆の注目が私に集まる。チームの大将として、敗戦の弁を述べろということだろう。

泣き疲れて、涙も枯れていた。感情が麻痺していたのは、少し私に有利に働いた。

冷静に考えられる。いくら原村さんの部屋で庇護があるとはいえ、このままじゃ私の立場は明日から最悪なものになるだろう。見えない形での嫌がらせに加えて、職員の目の届かない建物の影での暴力沙汰は日常茶飯事だ。

咲(でも落ち着いて考えると、負けたのは確かに私だけど、初心者を大将に据えた方に問題が)

咲(前日の室長会議で決めたっていうけど、誰が私を大将に押したんだろ……)

咲(こんなの、私のせいじゃなくて、そいつに責任があるんじゃ)

大星「……」イライラ

咲(ここで私の取る1手は……これだ!)

↓1
@泣きながら土下座で謝る。 精神力-1 体力+1
A淡々と反省を述べる。 精神力+1 体力-1
B私を任命した人間が悪い!と責任転嫁する。 精神力+2
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/09(火) 00:20:50.21 ID:boTfRYsp0
1
44 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/09(火) 00:39:16.62 ID:5RlcUHpgO

咲「ううっ……」

この場を収めるにはこの方法しか思いつかなかった。

床に膝をついて、辺りを見渡した。私に対する激しい怒りのオーラが、少し和らいだのがわかった。

多分、皆わかっている。本当に悪いのは私じゃあない。

あの卓に、新人が付いて勝てるわけがないのだ。

それを分かっていて、大将に命じた人間が一番悪い。そんなのみんな分かりきっている。

でも、その人物に怒りを向ける事ができないから、仕方なく私に怒りを向けているんだ。

唇を噛みながら床を見た。

屈辱。恥辱。そして私の中に激しい怒りの炎が静かに灯った。

咲「申し訳ありませんでした」

頭を床に擦り付け、敗北を謝罪した。自然と涙がこぼれた。

咲「うっ……ううっ……」

★ステータス★
雀力 2/10 精神力 1/10 体力 5/5

10分。15分。それくらい長い沈黙。講堂には私の嗚咽だけが響いている。

淡「頭上げなよ、咲」

大星さんが口を開いた。

淡「正直、咲一人に謝らせても何も解決してないんだよねー」

皆の、怒りのオーラが和らいでいた。
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