俺「アライさんパーク?」

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130 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/14(土) 20:17:47.81 ID:Hnszr5rKO
乙。あの後、アライちゃん達は前の話のように丸ノコギリで両断されたのでしょうか?
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/14(土) 23:27:00.13 ID:d1JmgGgH0

俺も気になった、穴に落ちたコバエはどう殺処分されたんだろう?
132 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/15(日) 00:07:21.94 ID:mOOBgrAu0
>>130 >>131

それについては、いつか公開します。
今は、俺視点でエリア紹介をしていくため、それが終わったらになると思います。
133 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/16(月) 23:10:01.20 ID:ddLGa8nC0
<アライ引き>

俺はゲームセンターに似合わない物を見つけてしまった。

俺『なぁ、ここってお祭り会場だっけ?』

友人『あぁ、あれか。』

お祭りでよく見かける、紐を引っ張って景品を吊り上げる屋台のゲームが、そこに置いてあった。

俺『小さい頃に、祭りに行ったらやってたなぁ。』

友人『千本引き、ここではあんまり人気無いんだよな。』

あれって、そういう名前だったのか。

友人『見てみる?』

俺は頷き、中を覗いてみた。

俺『中は暗いな。』

友人『これ、始めるときに明かりがつくんだよ。』

うっすらとだが、中にはアライちゃんが5匹、穴から頭だけを出している状態であることが分かった。
頭の辺りから紐が見えたので、よく見てみると首にそれらが掛けられていた。
すると、アライちゃんがこちらに気付いた。

アライちゃんC1「ここから、りゃすのりゃ!!」ジタバタ
アライちゃんC2「おかーしゃーん!!」ジタバタ
アライちゃんC3「ぴぃ!! みつかったのりゃ!!」ビクッ
アライちゃんC4「も、もう、おわりなのりゃ...」ブルブル
アライちゃんC5「のりゃ!! のりゃ!!」ジタバタ

アライちゃんの反応が怖くなり、中の観察はそこで切り上げた。
ふと、装置の手前を見てみると、10本の紐が飛び出ていた。

俺『紐が多くないか?』

友人『全部引くわけじゃないからな。』

俺『そうなのか。』

友人『チャンスは5回。』

俺『5回全部空ぶることもあれば、5回全部吊り上げることもある、ってわけね。』

俺は、ふと浮かんだ疑問を口にした。

俺『あれ、抜け出したりしないのか?』

俺はアライちゃんを指差し、友人に尋ねた。

友人『あぁ、あれは体と手をバンドで固定されてるから、出てこないぞ。』

俺『ふぅーん。』

俺は離れた位置から、中の様子を伺った。

アライちゃんC1「はやく、りゃすのりゃ!!」ジタバタ
アライちゃんC2「りょーして、たしゅけにきてくれないのりゃ!!」ジタバタ
アライちゃんC3「も、もう、おちまいなのりゃ...」ブルブル
アライちゃんC4「ちにたくないのりゃ...」ブルブル
アライちゃんC5「のりゃ!! のりゃ!!」ジタバタ

アライちゃんが思い思いのことを口にしていた。

友人『やってみるか?』

俺はその問い掛けに頷いた。
頷いたのはいいが、内心はすべて外れてほしい、という思いで一杯だった。

友人『無理だと思ったら、すぐに変われよ。』
134 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/16(月) 23:11:32.35 ID:ddLGa8nC0
友人はそう言うと、設備の前に立ち、会員証をかざした。

ピッ

『ヨウコソ、タノシンデイッテネ』

無機質な音声とともに、装置内が明るくなった。

アライちゃんC1「いったい、りゃれなのりゃ?」キョロキョロ
アライちゃんC2「あかりゅくなったのりゃ!」ビクッ
アライちゃんC3「いきたいのりゃ...」ブルブル
アライちゃんC4「あがっちゃ、だめなのりゃ...」ブルブル
アライちゃんC5「のりゃ!! のりゃ!!」ジタバタ

『イッポンメヲ、エランデネ』

機械音声のガイドが流れた。

友人『1本目が重要だからな。』

俺は慎重に紐を選び、1本目を引いてみた。

俺『感触が重いな。』

中を見てみたが、アライちゃんに変化は無かった。

友人『もっと引っ張ってみないと、分からないぞ。』

友人のアドバイス通りに引っ張り続けてみたが、やはり反応は無かった。

アライちゃんC1「なにやってるのりゃ?」キョトン
アライちゃんC2「そこのひとしゃん、たしゅけてほちいのりゃ!」ジタバタ
アライちゃんC3「もう、やめりゅのりゃ...」ブルブル
アライちゃんC4「りゃめなのりゃ...」ブルブル
アライちゃんC5「のりゃ!! のりゃりゃ!!」ジタバタ

しばらくすると、紐に青のマークが見えた。

友人『これは外れだな。』

俺『そうなのか?』

友人『紐にこういうマークが見えたら、外れなんだよ。』

俺『掃除機みたいだな。』

友人『今の時代はコードレスが多いから、そのネタ、分からないやつもいるかもな。』

友人は俺から紐を奪い取ると、横にあった縛り口に紐を結び始めた。

俺『それは?』

友人『一応、選んだ紐をそのままにしておくためのものかな?』

友人は手慣れた様子で、紐を結んだ。

友人『そのまんまだと、紐が中に戻っちゃうからな。』

俺『ハズレが何だか重かったんだけど、それと関係あるのか?』

友人『外れには、アライちゃんと同じくらいの重りがついているからだよ。』

つまり、引っ張っていても中の反応が分からなければ、どちらか分からないというわけか。
これで、当たる確率が上がってしまった。
135 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/16(月) 23:14:27.48 ID:ddLGa8nC0
『ニホンメヲ、エランデネ』

俺は何も考えずに、2本目を選んで引っ張った。
今度も感触が重かった。

すると、中から反応があった。

アライちゃんC2「きゅ、きゅびが、きゅりゅちい、のりゃ!」ジタバタ

アライちゃんC1「りょうしたのりゃ!?」ビクッ
アライちゃんC3「はじまったのりゃ...」ブルブル
アライちゃんC4「たしゅけてほちいのりゃーーーーー!!」ビエーン
アライちゃんC5「のりゃりゃ!! のりゃりゃ!!」フゥー

少しずつ紐を引っ張っていく。
左から2番目のアライちゃんが少しずつ上に上がっていく。

アライちゃんC2「も、やめ、ほち、こっ!」ジタバタ

アライちゃんC1「おりてくるのりゃ!」
アライちゃんC3「のりゃ...」ブルブル
アライちゃんC4「のりゃーーーーーん!!」ビエーン
アライちゃんC5「のりゃりゃ!! のりゃりゃ!!」フゥー

アライちゃんは手が使えないため、体を必死に動かして逃れようとしていた。

そして、紐を引っ張り続けていると、先ほどと同じように紐から赤のマークが見えた。
俺は紐を持ったままの状態で固まってしまった。

友人『それを貸せ!』

友人はそれを奪い取ると、縛り口に紐を結んだ。

アライちゃんC2「お...」ピクピク

アライちゃんC1「へんじをすりゅのりゃ!」アセアセ
アライちゃんC3「のりゃ...」ブルブル
アライちゃんC4「のりゃーーーーーん!!」ビエーン
アライちゃんC5「のりゃ!! のりゃりゃ!!」ジタバタ

俺は自分の手を見た。
アライちゃんが暴れていた感触がこの手に残っている気がした。
136 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/16(月) 23:17:19.18 ID:ddLGa8nC0
『サンボンメヲ、エランデネ』

俺はすぐに紐を引っ張ることが出来なかった。

友人『手を見つめて、どうかしたか?』

友人が心配してか、話しかけてきた。

俺『アライちゃんの、感触が...、暴れてる感触が、ここに残ってるんだ...。』

俺の手は震えていた。

友人『おかしいな。そういうのが伝わらないような設計になってる、って聞いたことあったんだけどな。』

俺『すまん。続きは無理だ。』

俺は震える手を見つめながら、ギブアップを宣言した。

友人『まぁ、慣れてないとそんなもんだよな。』

友人はそういうと、紐に手を伸ばした。

友人『残りは俺がやってやるよ。』

そして、俺よりも速いスピードで引っ張り出した。

アライちゃんC4「のべ!!」グン

アライちゃんC1「あぁ、あいつもあがっていくのりゃ!」ビクッ
アライちゃんC3「のりゃ...」ブルブル
アライちゃんC5「のりゃ!! のりゃりゃ!!」ジタバタ

そして、紐を手際よく引き出すと、縛り口に紐を結んだ。

友人『こんなもんか。』

アライちゃんC2「...」シーン
アライちゃんC4「...」シーン

アライちゃんC1「りょうしたのりゃ!」
アライちゃんC3「のりゃ...」ブルブル
アライちゃんC5「のりゃりゃ!! のりゃりゃ!!」フゥー

俺が引き当てたアライちゃんは涎を垂らし、すでに反応は無かった。
そして、友人が引き当てたアライちゃんは口から血を流していた。
下を見ると、赤い破片が落ちていた。

おそらく、急に引き上げられたせいで、舌を噛み切ってしまったのだろう。

俺『お前、容赦ないな。』

友人『こういう運ゲーは好きじゃないから、早く終わらせたいんだよ。』
137 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/16(月) 23:20:10.39 ID:ddLGa8nC0
『ヨンホンメヲ、エランデネ』

友人『さて、どうしようかね。』

友人は紐を見つめ、どうしようか悩んでいるようだった。

いや、違う。
友人は、紐を選ぶ「振り」をしながら、アライちゃんの方をチラチラと確認しているように見える。
俺は、アライちゃんの方を見た。

アライちゃんC2「...」シーン
アライちゃんC4「...」シーン

アライちゃんC1「あれをひっぱられたら、あいつらみたいになっちゃうのりゃ!」ブルブル
アライちゃんC3「のりゃーーーーーん!!」ビエーン
アライちゃんC5「のりゃりゃ、のりゃりゃ、のりゃのりゃ!!」ブルブル

残されたアライちゃんは、上に吊るされて死んでいるアライちゃんとこちらの様子を交互に見ながら、怯えた様子だった。

俺『お、おい、お前!?』

俺は、思わず友人の肩に手をかけた。

友人『このゲームの本番は、ここからなんだよ。』

友人はこちらが何を聞きたいのか分かっているのか、どこか楽しそうだった。

友人『このゲームの真意は、アライちゃんを吊り上げていって、残されたアライちゃんたちに恐怖を植え付ける、ってことなんだよ。』

俺『恐怖を?』

友人『そう、いつ死ぬか分からない恐怖の中、怯え続けてその時をただただ待つ、ってわけ。』

俺『これ考えた奴、エグ過ぎだろ...』

俺は、思わず自分の頭を押さえた。

友人『開始時のことを覚えているか?』

友人の問いかけに、俺は頭を横に振った。

友人『ほら、始めから威勢のいい奴と、怯えてた奴がいただろ?』

そう言われると、そのようなことがあったような気がする。
俺は首を縦に振った。

友人『つまり、怯えてた奴は前からいて、このゲームのことを理解していたのさ。』

そこで、俺はようやく気付いた。

俺『それで、威勢のいい奴はセッティングされたばかりだから、状況が掴めていなかった、と。』

友人『そういうこと。』

友人はそう言うと、引っ張り出す紐を選び取った。

友人『こいつを引っ張るぞ!』

友人は、アライちゃんに聞こえるような声で宣言をした。

アライちゃんC1「まつのりゃ!」ブルブル
アライちゃんC3「のりゃーーーーーん!!」ビエーン
アライちゃんC5「のりゃ、のりゃ!!」ブルブル

友人『さぁて、どうなるのかね!?』

友人は、アライちゃんの声を無視して、紐を引っ張り出した。

しかし、これはハズレだったようだ。
紐から青のマークが見えた。

友人『ちぇっ、ハズレか。』

友人は縛り口に紐を結び、元の位置に立った。
138 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/16(月) 23:21:52.51 ID:ddLGa8nC0
『ゴホンメヲ、エランデネ』

友人『さぁ、最後の時だ。』

アライちゃんC1「のりゃーーーーーん!!」ビエーン
アライちゃんC3「のりゃーーーーーん!!」ビエーン
アライちゃんC5「のりゃーーーーーん!!」ビエーン

残されたアライちゃんは、ただ泣き叫ぶだけだった。

そんなアライちゃんを見ながら、友人は紐を選んだ。

友人『イッツ、ショータイム!』

アライちゃんC1「のりゃーーーーーーーーーーん!!!!」ビエーン
アライちゃんC3「のりゃーーーーーーーーーーん!!!!」ビエーン
アライちゃんC5「のりゃーーーーーーーーーーん!!!!」ビエーン

無駄に友人のテンションが高い。
そして、アライちゃんの泣き声も大きくなった気がする。

俺は、その空気についていけず、ただそれを眺めているだけだった。

友人が紐を引っ張り出した。
すると、中の様子が慌ただしくなった。

アライちゃんC1「なん、あら、しゃ!」ジタバタ

アライちゃんC3「たすかったのりゃ?」キョトン
アライちゃんC5「のりゃ!?」ビクッ

友人『最後は当たりか。』

友人は紐を最後まで引っ張り出し、縛り口に結んだ。

アライちゃんC1「は、しゅ...」ピクピク

アライちゃんC3「また、いきのこったのりゃ...」プルプル
アライちゃんC5「のりゃーーーーーん!!」ビエーン

『サイゴマデアソンデクレテ、アリガトウ』

機械音声がゲーム終了を告げていた。
139 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/16(月) 23:23:36.33 ID:ddLGa8nC0
友人『まぁ、こんな感じ。』

俺『後味が悪いゲームだな。』

俺たちが装置から離れると、どこから出てきたのか、カーテンが装置の周りを覆った。
よく見ると、俺が気付いていなかっただけで、カーテンレールが始めからあったようだ。

俺『あれは何だ?』

友人『係員が次の仕込みをしているんだよ。』

俺『他の奴みたいに自動化は出来ないのか?』

友人『よく分からんが、難しいみたいだぞ。』

俺『効率が良くないな。』

友人『それが人気のない原因だったりするんだよな。』

俺たちはそんな会話をしながら、次のゲームを探して場所を移った。
140 : ◆/87jeglEwfUL :2018/04/16(月) 23:25:12.82 ID:ddLGa8nC0
今回はここまで。

次回は、提案していただいたゲームの中から、2つをこのエリアに加えようと思います。

ある程度、私のアレンジが入るため、希望通りにならない可能性があります。
ご了承ください。
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/16(月) 23:35:30.85 ID:9oE7ikQb0
乙です
提案した中からのゲームが出てくるのか
何が来るんだろう?
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/16(月) 23:42:15.25 ID:+8QghpzN0
乙です
僕の案が通ると嬉しいけど、何であれ楽しみです
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/18(水) 00:03:06.78 ID:C4UFvbkJ0
乙です
あえて全滅させない、かと言って取り逃がしたわけじゃない、っていうのは凄くいい
144 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/19(木) 22:43:39.39 ID:1sz2s3uR0
<アライドラム>

俺『そういえばさ。』

友人『ん?』

俺『ここって、【ゲーセンエリア】だったよな?』

友人『そうだけど?』

俺は気になっていた疑問を口にした。

俺『さすがに、音ゲーって無いんだな。』

友人『あるぞ。』

俺『ないわ、って、あるんかい!?』

友人『うぉ!?』

俺はガラにもなく、ツッコミを入れてしまった。

俺『あ、すまん。』

友人『い、いや、珍しいな...』

友人は、俺の反応に驚いていた様子だった。

友人『まぁ、いいや。』

友人は気を取り直すと、とある方向を指差した。

友人『あれだよ。』

友人が指差す方を見てみた。

アライパンチの時のような縦長の画面の前に、5つの筒があった。
3つの筒が手前にあり、2つの筒が奥にあった。

奥の筒に関しては、手前の筒より高さがあった。
手前の筒も3つのうち、真ん中が他よりも大きい気がする。
あと、足元を見るとペダルもある。

俺『あれって何だ?』

友人『アライドラムだよ。』

俺『洗濯機?』

友人『音ゲーだ、って言ってんのに、何で家電製品が出てくんだよ。』

俺『楽器の方は馴染みが無いからな。』

友人『大半の奴は馴染みが無いだろうよ。』

俺たちはそんな他愛もない会話をしながら、そちらの方へ歩いて行った。
145 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/19(木) 22:48:05.80 ID:1sz2s3uR0
俺『ペダルってどう使うんだ?』

友人『まぁ、見てろ、って。』

友人は席に座ると、ペダルを踏んだ。
すると、それに連動するように、筒の手前にあった叩く部分が、筒を叩くように可動した。
どうやら、筒は叩く部分に合わせて穴が空いていた。

よく見ると、ペダルの真下にボタンのようなものがあり、それが押されると叩く部分が反応して叩く仕組みになっているみたいだ。

俺『また面倒な仕組みだな。』

俺はこの機構を見て、疑問に思ったことを口にした。

俺『何で、ペダルの叩く部分を、筒の下を通す形で設計しなかったんだ?』

友人『これな、筒の下からアライさんがセットされる仕組みなんだよ。』

つまり、アライさんの頭をドラムのように叩く、ってことか。

友人『お前が言った仕組みだと、スムーズな装填が出来ないだろ?』

確かに、終わったら係員が来て取り換えをしなければいけない手間がありそうだな。

俺『技術の無駄遣い...』

友人『そんなこと言うなって。』

そして、俺は新しい疑問が浮かんだ。

俺『つか、どうやって叩かれたかの判定をするんだ?』

音ゲーの場合、リズム通りに叩けているか判断する必要がある。
アライさんがドラムになる場合、スティックに判定があるのか?

友人『それはな、アライさんの足元に判定があるんだよ。』

俺『まさか、アライさんを叩いた衝撃でその判定をどうにかするのか?』

友人『衝撃ではないけど、まぁ、近いかな?』

俺は、どういうことなのか、と首をかしげた。

友人『アライさんの土台が押し込み式になっていて、それがある程度押し込まれると判定される仕組みなんだ。』

友人は広げた左手を床に見立てているのか、右手の人差し指でそれを押すような動作をしていた。

俺『だけど、アライさんが飛び跳ねたりしたらどうするんだ?』

友人『それも考えて、アライさんの足は土台と固定されてるよ。』

俺『手は?』

友人『他のゲームと同じで、バンドで体と固定されてるよ。』

ゲームを楽しんでもらうための前準備はしっかりしてるわけか。

友人『まぁ、アライさんを通じて土台を押し込まないといけないから、結構強めに叩かないと判定してくれないんだよ。』

何だか、アライさんの末路が目に見えた。

俺『グロいな。』

友人『その反面、反応が面白いんだけどな。』
146 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/19(木) 22:50:12.50 ID:1sz2s3uR0
友人『まぁ、見てろ、って。』

友人はそういうと、会員証をかざした。

ピッ

『ヨウコソ、タノシンデイッテネ』

いつも通りの無機質な音声が流れた。

ウィーン

すると、筒の下からアライさんたちがせり出してきた。
どうやら、この床下にアライさんの補充場所があるみたいだな。

アライさんD1「このっ、解放するのだ!」クネクネ
アライちゃんD1「ほりょけないのりゃ!」クネクネ
アライちゃんD2「りゃれか、たしゅけるのりゃ!」クネクネ
アライちゃんD3「からりゃがいたいのりゃ!」クネクネ
アライちゃんD4「のりゃーーーーーーん!!」ビエーン

アライさんたちが筒に収まった。

手前の大きい筒にはアライさんが入って、他の小さいのにはアライちゃんが入る仕組みか。
でも、アライさんたちは統一して同じ方向を見ていない。
アライさんは画面の方を、手前のアライちゃんはアライさんの方を、奥のアライちゃんはプレイヤーの方を見ている。

アライさんD1「チ、チビ達!?」キョロキョロ
アライちゃんD1「おかーしゃん!?」ビクッ
アライちゃんD2「おかーしゃん、たしゅけてほちいのりゃ!」クネクネ
アライちゃんD3「はやくするのりゃ!」クネクネ
アライちゃんD4「のりゃーーーーーーん!!」ビエーン

どうやら、あのアライさんたちは一家のようだな。

アライさんD1「手が自由に動かないのだ!」クネクネ
アライちゃんD1「はやくするのりゃ!」クネクネ
アライちゃんD2「アライしゃんのききなのりゃ!」クネクネ
アライちゃんD3「あしもうごかないのりゃ!」クネクネ
アライちゃんD4「のりゃーーーーーーん!!」ビエーン

『キョクヲエランデネ』

俺『ちなみに、何曲やるんだ?』

友人『アライさんの耐久上、1回だな。』

アライさんD1「そこに誰かいるのだ!?」キョロキョロ
アライちゃんD1「あ、よこにひとしゃんがいるのりゃ!」クネクネ
アライちゃんD2「おい、アライしゃんをたすけるのりゃ!」クネクネ
アライちゃんD3「ひとしゃんがもってるながいのはなんなのりゃ?」キョトン
アライちゃんD4「のりゃーーーーーーん!!」ビエーン

アライさんは背中を向けているから、こちらの様子が分からないみたいだな。
で、手前のアライちゃんは顔を横に向けて、必死に助けるように命令している。

友人『手前のアライちゃんを叩くことで選択、ペダルを踏むことで決定、って扱いだな。』
147 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/19(木) 22:51:49.29 ID:1sz2s3uR0
友人はそう言うと、アライちゃんの頭をスティックで叩き始めた。

アライちゃんD1「あっ、ぐっ、えっ、ぴっ、」ビクンビクン

アライさんD1「チビ! しっかりするのだ!」クネクネ
アライちゃんD2「おねーちゃん、だいじょうぶなのりゃ!?」クネクネ
アライちゃんD3「ひとしゃん、もうやめるのりゃ!」ブルブル
アライちゃんD4「のりゃーーーーーーん!!」ビエーン

友人『あ、行き過ぎた。』

アライちゃんD2「のっ、べっ、」ビクンビクン

アライさんD1「あぁ、こっちのチビも、しっかりするのだ!」クネクネ
アライちゃんD3「こわいのりゃ!」ブルブル
アライちゃんD4「のりゃーーーーーーん!!」ビエーン

友人『よし、これだな。』

友人は曲が決まったのか、ペダルに足を乗せて踏み込んだ。

ズン

アライさんD1「ぐえっ!」ゴホッ

アライちゃんD1「あ...」ピクピク
アライちゃんD2「の...」ピクピク
アライちゃんD3「おかーしゃん!?」ビクッ
アライちゃんD4「のりゃーーーーーーん!!」ビエーン

筒に穴が空いていたのは、ペダルを踏んだ時にアライさんのお腹を叩くためのようだな。
接地面が小さいから、衝撃がヤバそうだけど。
148 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/19(木) 22:53:00.80 ID:1sz2s3uR0
『ナンイドヲエランデネ』

初期設定は「ふつう」なのか。
左に「かんたん」、右に「むずかしい」「おに」があるな。

友人は、アライちゃんの頭をスティックで叩いた。

アライちゃんD2「ほっ、えっ!」ビクンビクン

アライさんD1「お腹が痛いのだ!」クネクネ
アライちゃんD1「お、か...」ピクピク
アライちゃんD3「もうやめるのりゃ!」ブルブル
アライちゃんD4「のりゃーーーーーーん!!」ビエーン

友人は「おに」で演奏するみたいだな。

ズン

アライさんD1「ぐえっ!」ゴホッ

アライちゃんD1「しゃ...」ピクピク
アライちゃんD2「も...」ピクピク
アライちゃんD3「もういやなのりゃ!」ブルブル
アライちゃんD4「のりゃーーーーーーん!!」ビエーン

俺『この時点で、だいぶエグいな...』

友人『こっからだよ。』

『レッツ、プレイ』
149 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/19(木) 22:55:23.14 ID:1sz2s3uR0
曲が始まった。

友人は、落ちてくるマークに合わせて、アライさん一家を叩き始めた。

アライさんD1「いっ、かっ、ぐぇっ、ごっ、だっ、」ビクンビクン
アライちゃんD1「しゃっ、んっ、ぴっ、げっ、はっ、」ビクンビクン
アライちゃんD2「あっ、ぐっ、えっ、ぴっ、ほっ、」ビクンビクン
アライちゃんD3「ひっ、やっ、おっ、げっ、ばっ、」ビクンビクン
アライちゃんD4「のっ、りゃっ、りゃっ、りゃっ、りゃっ、」ビクンビクン

さすがは「おに」だな。
叩く数が多い。

でも、友人はそれをノーミスでこなしていく。

アライさんD1「こっ、にっ、ぐぇっ、げぇっ、はっ、」ビクンビクン
アライちゃんD1「たっ、しゅっ、のっ、ぴっ、しゃっ、」ビクンビクン
アライちゃんD2「おっ、えっ、のっ、いっ、けっ、」ビクンビクン
アライちゃんD3「りっ、りゃっ、けっ、もっ、やっ、」ビクンビクン
アライちゃんD4「のっ、りゃっ、りゃっ、りゃっ、りゃっ、」ビクンビクン
150 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/19(木) 22:59:27.44 ID:1sz2s3uR0
確かこいつ、高校時代に「軽音部」に入ってドラムを担当していた、って言ってたっけな。

しかも、運動神経も悪くない、って話だし。
小、中と「バスケ部」って話だったよな?
今でも、休日は朝にランニングを欠かさずにしてるみたいだし。

頭もいい方で、高校の模試は全国50位以内に入ってた、って聞いたことがある。
たしか、国語は全国1位を取ったことがある、っていうのも人伝で聞いたぞ。

で、顔もイケメンだろ?

文武両道、才色兼備、ってまさにこいつのことだな。
しかも、こんだけの才能を自慢しないのがスゲェよな。
人が噂程度に話してたのを確認したら、その時に認めてたっけ。

あいつ曰く、自慢することでもないから黙ってた、だったし。
すげぇわ。

でも、何で彼女がいないんだろうな。
不思議だわ。
151 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/19(木) 23:00:44.97 ID:1sz2s3uR0
友人『っし、と。』

あ、友人のことを考えてたら、曲が終わってた。

『セイセキハッピョウ』

画面に、スコアが映し出される。
結果は、ノーミスだった。

友人『いやぁ、腕は鈍ってないみたいだな。』

俺『すげぇな。』

俺は視界の端に入り込んできたアライさん一家が気になり、そっちを見てみた。

俺『うっ!』

想像以上だった。

アライさんD1「の...」ピクピク
アライちゃんD1「...」シーン
アライちゃんD2「...」シーン
アライちゃんD3「...」シーン
アライちゃんD4「...」シーン

アライさんは辛うじて意識があるものの、全員頭が割れて脳髄が飛び出していた。
しかも、目や鼻、口からは血を流していた。

吐きそうになったが、辛うじて踏みとどまった。

俺『これは、キツイな...』

友人『まぁ、初めての奴にはキツいかもな。』

友人はスティックを台に戻すと、俺の背中をさすった。

俺『ここに、いる奴らは、猟奇、的な、奴ら、ばかりな、のか?』

俺は途切れ途切れになりながらも、友人に尋ねてみた。

友人『そうじゃなきゃ、こんなところに来ないだろうな。』

俺『そっか...』

俺の気分が回復するまで、しばらく休むことにした。
152 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/19(木) 23:03:16.12 ID:1sz2s3uR0
今回はここまで

>>85 のアイディアをドラムに変えて、書きました。
直接触るのは抵抗があったので...
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/19(木) 23:18:46.07 ID:NhfJh9QIo

宝石娘は時限とかVIPとか課金圧モリモリでヤバそうですね
お花に戻ります
154 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/19(木) 23:33:15.63 ID:1sz2s3uR0
>>153
???
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/20(金) 10:41:16.00 ID:B9i3nI170
乙です。次のゲームも楽しみです
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/20(金) 13:00:29.87 ID:uSxjaMjGO
乙。採用ありがとう
思ってたより血なまぐさくなってて素晴らしい
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/20(金) 15:18:28.33 ID:+uJCMl1d0
やべえリズムゲームだな・・・乙
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/20(金) 17:43:31.26 ID:6ipkOf6SO
乙 面白いアイディアだった
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/20(金) 18:00:57.06 ID:sg5BY9IoO
曲選ぶとこすき
160 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/21(土) 23:43:55.46 ID:QUC7E5240
<アライハンマー>

俺の気分が回復するのを待ったのち、俺たちは移動を再開していた。

俺『あれはかなりヤバかったな。』

友人『まぁ、初めてだし、仕方ないわな。』

俺の中には、まだアライさんを「ヒト」として見ている感覚があるのかもしれない。
そのためか、まだ受け付けられなかった。

俺『流石にあれ以上のグロはねぇよな。』

友人『えぇっと...、んー、あるな。』

俺『マジか...』

友人『えぇーっと、あ! あれだ。』

友人が指差す先には、まだ見たことのないものがあった。
俺たちは、そこを目指して歩き出した。
161 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/21(土) 23:44:55.19 ID:QUC7E5240
友人『そうそう、これこれ。』

辿り着いた先には、ハンマーが用意されていた。
そして、「PUSH」と書かれた円柱のものがある。

俺『このハンマーで、ここを叩くのか?』

友人『正解。』

俺『こんなの見たことないな。』

俺は、周りを見渡してみた。

叩く場所の奥には、筒が横方向に10本立てられていた。
厳密にいえば、四角柱かな?

筒の裏に回り込んでみると、丸鋸が用意されているのが分かった。
ただ、安全のためか、そこまで立ち入ることが出来ないようになっていた。

丸鋸の半径は、筒の直径と同じくらいになっているみたいだ。

俺『で、これ何?』

友人『ハンマーゲームだよ。 知らない?』

俺は首を横に振った。

友人『ハンマーで叩いた力によって、丸鋸が筒を切断する仕組み。』

俺『てことは、この筒にはアライさんがセットされるってわけか...』

友人『そういうこと。』

友人はそう言うと、設備の前に立った。

俺『やるんだ...』

友人『百聞は一見に如かず、ってね。』

俺『はいはい。』
162 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/21(土) 23:48:25.45 ID:QUC7E5240
ピッ

『ヨウコソ、タノシンデイッテネ』

何だろう?
この機械音を聞くと、苛立つようになってきたぞ。

それが何でなのかは分からないけど。

ウィーン

筒の中からアライさんが出てくるかのように、セットされた。
どうやら、これもセッティングの部屋が下にあるようだ。

アライさんE1「は、離すのだ!」クネクネ
アライさんE2「チビに会わせるのだ!」クネクネ
アライさんE3「手が動かせないのだ!」クネクネ
アライさんE4「アライさんの危機なのだ!」クネクネ
アライさんE5「どうしてこんな目に合わなければいけないのだ!」クネクネ
アライさんE6「アライさんを元の場所に返すのだ!」クネクネ
アライさんE7「アライさんを閉じ込めるなんて、酷いのだ!」クネクネ
アライさんE8「誰か、アライさんを助けるのだ!」クネクネ
アライさんE9「チビーーー!!」クネクネ
アライさんE10「ア、アライさんがたくさんいるのだ!」ビクッ

出てきたアライさんは丸鋸がある方向、プレイヤーから見て左側、を見ていた。

俺『何だか、体をクネらせてるんだが。』

友人『あぁ、これな、足を固定されえてるから、こんな動きになるんだよ。』

俺『そういえば、アライドラムの時もそうだったか。』

『チャレンジカイシダヨ』

俺『そう言えば、これは何回やるんだよ。』

友人『1回だな。』

俺は少ないな、と思ってしまったのと同時に、そう考えてしまった嫌悪感にも襲われた。

アライさんE1「そこに誰かいるのだ!?」クネクネ
アライさんE2「ここからじゃ見えないのだ!」クネクネ
アライさんE3「どうにもならないのだ!」クネクネ
アライさんE4「お前たち、うるさいのだ!」クネクネ
アライさんE5「手が動けば、どうにかなるのだ!」クネクネ
アライさんE6「横にヒトがいるのだ!」クネクネ
アライさんE7「おい、そこのヒト! アライさんを助けるのだ!」クネクネ
アライさんE8「早くするのだ!」クネクネ
アライさんE9「チビ達に会わせるのだ!!」クネクネ
アライさんE10「誰でもいいから、助けるのだ!」クネクネ

アライさんたちはこちらに気付いたようで、思い思いに言葉を発していた。
163 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/21(土) 23:49:31.48 ID:QUC7E5240
友人『それじゃあ、行くぞ。』

友人はそれを無視して、ハンマーを担ぎ上げた。

友人『おっりゃ!』

ブゥン

ガン

友人が振り下ろしたハンマーが「PUSH」と書かれた円柱にヒットした。

プン プン プン プン プン プン プン プン

それに反応するようにアライさんの入った筒の上部が光った。
全部で8か所光っている。

アライさんE1「何か、光っているのだ!」ビクッ
アライさんE2「何が起きたのだ!?」ビクッ
アライさんE3「これは、アライさんを称える光に違いないのだ!」ピカピカガイジガオ
アライさんE4「称える、ってどういう意味なのだ!?」キョトン
アライさんE5「そんなことどうでもいいのだ!」クネクネ
アライさんE6「どうして、ヒトは助けてくれないのだ!?」クネクネ
アライさんE7「早く、アライさんを助けるのだ!」クネクネ
アライさんE8「何で光ってるのだ!?」ビクッ
アライさんE9「ここは光ってないのだ!」クネクネ
アライさんE10「何が起きているのだ!?」クネクネ

キュイィィィン

やがて、丸鋸が回り始めた。

俺『あぁ、またグロいことが始まるのか...』

友人『嫌なら、後ろを向いてろよ。』

俺『いや、それは無理だな。』

なぜなら、後ろにはアライキャッチャーが見えるからだ。
しかも誰かがプレイ中のようだ。

あっちも十分見ていられない代物だ。

どっちがマシとか、考えたくない。
164 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/21(土) 23:50:56.72 ID:QUC7E5240
アライさんE1「ぎゃあああぁあぁぁぁぁぁぁ!!!」ビクンビクン

俺が考え事をしている間に、切断が始まっているようだった。

アライさんE2「何が、ぎゃあああぁあぁぁぁぁぁぁ!!!」ビクンビクン
アライさんE3「いきなり叫んで、どえぇぇぇえぇぇえぇぇぇ!!!」ビクンビクン
アライさんE4「アライさんの質問に答え、ぎゅるるるるるるるるぅぅるるぅぅう!!!」ビクンビクン
アライさんE5「お前たち、さっきからうるさ、あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁ!!!」ビクンビクン
アライさんE6「おい、早くアライさんをたすけるの、だあああぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁ!!!」ビクンビクン
アライさんE7「何なのだ!? 前のアライさんたちが叫んでこわ、ぎいいいぃぃいぃぃぃいぃぃいぃ!!!」ビクンビクン
アライさんE8「何が起きているのだ!? 分からないのだ! もうここ、があああぁぁぁぁぁぁぁぁっぁっぁぁぁ!!!」ビクンビクン
アライさんE9「いきなり叫んでどうしたのだ!?」ビクッ
アライさんE10「どうしたのだ!? 何が起きているのだ!?」ビクッ

光っていた場所までのアライさんが全て切断されたようだ。

筒をよく見ると、足元が見えるようになっていた。
切断されていないアライさんの足元を見ると、友人の言う通り、足が固定されているのが分かった。

一方、切断されたアライさんの方を見てみると、足元が真っ赤に染まり、どういう状況なのかが分からなかった。
だが、所々に真っ赤に染まった手のようなものが落ちている。
そう言うことなんだな、と深く考えないように努めた。

アライさんE1「ぎゃあああぁあぁぁぁぁぁぁ!!!」ビクンビクン
アライさんE2「はあああぁあぁぁぁぁぁぁ!!!」ビクンビクン
アライさんE3「いぃぃぃぃたいぃぃぃぃぃぃぃいぃぃ!!!」ビクンビクン
アライさんE4「ぎゅるるるるるるるるぅぅるるぅぅう!!!」ビクンビクン
アライさんE5「あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁ!!!」ビクンビクン
アライさんE6「だあああぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁ!!!」ビクンビクン
アライさんE7「ひいいいぃぃいぃぃぃいぃぃいぃ!!!」ビクンビクン
アライさんE8「はあああぁぁぁぁぁぁぁぁっぁっぁぁぁ!!!」ビクンビクン
アライさんE9「もう、許してほしいのだ!」ビエーン
アライさんE10「何でもするから、アライさんを助けてほしいのだ!」ビエーン

切断されたアライさんは、激しい断末魔を発し、痛みに苦しんでいるようだった。
そして、残されたアライさんはその状況に恐怖し、命乞いをしていた。

『アソンデクレテアリガトウ』

ウィーン

あの機械音と共に、アライさんたちは下がっていった。
下がっていくときも、あの叫び声を発していたのが強烈だった。

『バイバイ、マタネ』
165 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/21(土) 23:54:09.30 ID:QUC7E5240
俺『そういえば、何で1回だけだったんだ?』

俺は疑問に思ったことを聞いてみた。

友人『あれな、メンテが大変らしくて、プレイ回数1回に下げたんだと。』

俺『そうなんだ。』

俺から聞いておきながら、素っ気ない返事をしてしまった。

友人『で、どうだったよ?』

俺『俺、今日は眠れないかもしれない。』

友人『どうして?』

俺『あの断末魔が衝撃的過ぎた。』

俺のテンションは、最低値に達していた。

友人『一旦、ここから出るか。』

俺『案内は終わりか?』

友人『このエリアのアトラクションは一通り見せたからな。』

俺『そうなんだ。』

俺たちは外に出ることにした。
166 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/21(土) 23:54:53.89 ID:QUC7E5240
外に出てきた俺たちは、無線機と耳栓を外した。

俺「外に出てくると、中の声は聞こえないんだな。」

友人「まぁ、防音になってるからな。」

俺は、今まで疑問に思っていたことを聞いてみることにした。

俺「お前、ここのことについて詳しすぎじゃね?」

友人は少し考えたのち、こう話した。

友人「アライさんの引き渡し時に、色々と話を聞いたりしてたからかな。」

俺「あ、そ。」

友人「少し休んだら、別のエリアに移動するか。」

俺「だったら、軽めのものがいいな。」

友人「オッケー。」

俺たちは休憩所に向かうことにした。
167 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/22(日) 00:02:52.71 ID:9+VtQWBm0
今回はここまで。

今回のは、>>88 の案を改良して書き上げました。
168 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/22(日) 00:03:30.25 ID:9+VtQWBm0
提案していただいた、他のものについて少し触れておきます。

>>79
競馬ゲームは、似たようなものを他のエリアで使う予定だったため、カットしました。
メダルゲームは仕組みが色々と大変そうだったので、カットしました。

>>80 >>82
格闘ゲームは、コストとか仕組みが大変そうだったため、カットしました。

>>81
このアイディアは別のエリアで使用させていただこうと思います。

>>83
これもコスト面や係員の負担のことを考えて、カットしました。

>>84 >>87
これらは、当初の案から別のエリアで使用する予定だったため、カットしました。
169 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/22(日) 00:05:12.67 ID:9+VtQWBm0
これにて、【ゲーセンエリア】の紹介は終了です。

今回書いたゲームの中で、どれをやってみたいと思いましたか?

<今回のゲーム一覧>
アライバスケ
アライ叩き
アライキャッチャー
アライホッケー
アライパンチ
アライピンボール
アライハンマー
アライドラム
アライ引き
170 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/22(日) 00:06:52.37 ID:9+VtQWBm0
あと、次のエリア紹介はどこがいいですか?

スポーツエリア
レーシングエリア
ショーエリア
ふれあい広場
フードコート

時間を設けて、意見の多かったエリアから紹介しようと思います。
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/22(日) 00:13:29.61 ID:ydOEg77yO
乙です
ふれあい広場に一票!
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/22(日) 00:20:27.22 ID:ubNm0cgCo
1匹をじっくり丁寧に痛めつけるのはどれだろ
ふれあい広場かな
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/22(日) 00:42:27.37 ID:itef/GTOo
ショーエリアで
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/22(日) 00:58:09.52 ID:1QJsIVclO
>>170
触れあい広場かな?
可愛いアライちゃんたちと触れあえると想像すると心が癒されるよ
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/22(日) 02:36:36.49 ID:ifnKZg/q0
乙です。パンチゲームと今回のハンマーはやってみたいですね
次はふれあい広場を見てみたいです
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/22(日) 20:35:49.89 ID:e8ivKJlg0
>>169
どれもやってみたいです

>>170
これもどのエリアも見てみたいので、お任せします

いやぁ〜アラ虐派たちの楽園過ぎだなアライパーク
実際に行ってみてアライさんを楽しく遊んでみたい、乙です
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/22(日) 20:40:10.24 ID:e8ivKJlg0
>>169
どれもやってみたいです

>>170
これもどのエリアも見てみたいのでお任せしますが、
フードコートはやっぱり、アラジビ料理を振舞うコーナーかな?

いやぁ〜アラ虐派たちの楽園過ぎだなアライパーク
実際に行ってみてアライさんを楽しく遊んでみたい、乙です
178 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/23(月) 22:56:18.86 ID:Uf1Ahb3y0
GWに入る前ぐらいまでをアンケート期間にしようと思いますが、長いですか?
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/23(月) 23:08:18.75 ID:Ue2tkPyz0
いや、その辺は作者さんの自由で良いと思う
色々とネタを充実したいのなら一定の期間は休んでも良いですし
180 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/24(火) 23:08:12.97 ID:xwmkodjS0
一先ず、4/25(水) 23:59 までアンケートを受け付けます。
それを元に次の話を書きます。

よろしくお願いします。
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/24(火) 23:31:54.90 ID:GJtni+Jn0
キャッチャーやアライ引きみたいな精神的に追い詰める系がとても良かったです!
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/26(木) 00:06:31.10 ID:HhXzmw22o
次はふれあいで決定か……?
183 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/26(木) 19:44:59.61 ID:BqcN3xYo0
次回のエリアは、【ふれあい広場】でいきます。

【スポーツエリア】って意見が無くて、意外でした。
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/26(木) 22:06:48.38 ID:7LFmCm7Z0
今までの催し物がスポーツ要素があったからなあ・・・
ある意味予想がつかないのがふれあい広場
185 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/29(日) 00:32:42.21 ID:mYpfqk/J0
休憩所でリフレッシュした俺たちは、新たなエリアに移動していた。

俺「今度はどのエリアに行くんだ?」

友人「次は【ふれあい広場】かな?」

俺「なぁ、あれと触れ合うって正気か?」

友人「ま、行けば分かるさ。」

俺は一抹の不安を抱えながら、【ふれあい広場】へ向かった。
186 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/29(日) 00:34:27.28 ID:mYpfqk/J0
俺「意外に人がいる...」

まだ【ふれあい広場】の入り口にもかかわらず、結構な人が集まっていた。
俺はさすがに、人の多さに驚いた。

友人「そんなに驚くことか?」

俺「そりゃ、そうだろ。」

俺はパンフレットを開き、ある場所を指さした。

俺「『ここでは、色んな方法でアライさんの駆除を体験できます。』って書いておきながら、触れ合う、って矛盾してないか?」

友人「まぁ、落ち着けって。」

俺「あ、あぁ、スマン...」

友人「大丈夫か?」

俺「いや、まぁ...、ある程度は。」
187 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/29(日) 00:35:52.02 ID:mYpfqk/J0
友人はこちらの顔色を窺いつつ、口を開いた。

友人「確かに、俺みたいに『アライさんは完全悪』って思ってる『アラ虐派』の奴がいるのは事実だ。」

友人「でもな、『アラ虐派』でもなければ、『アラ信派』でもない奴がいるのも事実なんだよ。」

俺「それって、どんな派閥なんだ?」

友人「それは、」

???「『調和派』だね。」

突然、後ろから声がかけられた。
俺は思わず後ろを振り返った。

そこには見知らぬ男性が立っていた。
歳は俺たちよりも上なのは分かるが、30代半ばといったところか。
188 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/29(日) 00:37:46.78 ID:mYpfqk/J0
???「久しぶりだな、タク坊。」

友人「カズにぃ、久しぶり。」

どうやら、友人の顔見知りのようだ。
突然の展開に俺はついていけなかった。

カズ「タク坊、この子は誰なんだ?」

友人「あぁ、こいつは俺の友人の、シキです。」

俺「どうも...」

俺は軽く会釈をした。

カズ「おぉ、きみがシキ君か。 タク坊からはそれとなく、話は聞いていてね。」

俺「は、はぁ...」

俺は戸惑いながらも、何とか会話を続けようとした。

カズ「にしても、何でそんな話をしていたんだ?」

友人「シキはニュースとか全然見ないんで、アライさんの知識もほとんど無いんですよ。」

友人は大げさに、手を広げたようなポーズで呆れて見せた。

俺「まぁ、アライさんに限らず、世間的な事を知らないんですけどね。」

友人「完全にインドアなんで、ゲームや漫画といった系だけは強いんですけど。」

簡単にではあるが、俺の情報をカズさんに伝えた。

カズ「そうなんだね。」

カズさんは深くまでは追及してこなかった。

カズ「なら、さっきの続きは私から説明させてもらってもいいかな?」

友人「大丈夫ですよ。」

友人から承諾をもらったカズさんは、俺に対して話をしてきた。

カズ「『調和派』というのはね、理解しあえるアライさんだけを保護して、それ以外のアライさんは排除しよう、といった考えを持つ人たちのことさ。」

俺「それって、何か意味がありますか?」

カズ「まぁ、『アラ虐派』と『アラ信派』の対立は根深いものだから、それの妥協案として『協調派』が生まれたんだと思ってるよ。」

友人「【ふれあい広場】ってのは、その『協調派』の考えを取り入れた試験運用の場、ってわけ。」

俺「なるほど、ねぇ。」

白と黒をはっきりさせよう、とはしない考え方なわけか。
189 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/29(日) 00:39:49.01 ID:mYpfqk/J0
カズ「アライさんのことをよく知らない、とのことだけど、現状でいいんだ。」

カズ「君はアライさんのことをどうするべきか、みたいなことを考えていたりする?」

カズさんは俺に質問をしてきた。

俺「いえ、まだ何とも...、うん、言えないですかね。 全然分かってないんで。」

カズ「そっか...」

そういうカズさんの言葉は、寂しさに似た何かしらの感情があった。
俺にはそれがよく分からなかった。

友人「そういえば、カズにぃはどうしてここにいるの?」

カズ「あぁ、それはアライさんを大量に捕獲したもんだから、処分がてら、ってところかな。」

友人「こういうところ好きじゃないのにね。」

カズ「やっぱり、ハンターの資格持ちとしては、自らの手で処分することに意義があるとは思ってるよ。」

カズ「ただ、資金的なことを考えると、時々はこっちを利用してしまうかな?」

俺は、そこで疑問に思ったことを口にした。

俺「持ってく場所によって、もらえるお金が違うんですか?」

カズ「そうなんだよ。 ここだと生きたアライさんが貴重だから高値で引き取ってくれるんだよ。」

友人「ハンターを続けるには、色々と金がかかるもんさ。」

俺「そうなんだ。」

カズ「あ、ごめん。」

カズさんは腕時計を見ながら、そう言葉にした。

カズ「そろそろ戻らないと、カミさんが怒り出すかも。」

友人「でしたら、また話を聞かせてください。」

カズ「いいよ。 それじゃ、またね。」

カズさんはそういうと、手を振りながらその場から立ち去った。
友人はそれを手を振り返して見送り、俺はただ眺めているだけだった。
190 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/29(日) 00:41:33.67 ID:mYpfqk/J0
カズさんの姿が見えなくなった頃、友人は口を開いた。

友人「どうだった?」

俺「何だか、優しそうな人ではあったな。」

友人の質問に、俺は答えた。
そして、カズさんと出会ってから気になっていたことを尋ね返した。

俺「つか、あの人との関係は何なんだ?」

友人「カズにぃは、俺の仇をとってくれた人だよ。」

俺は友人の返事に言葉を失った。

俺「...すまん。」

それが、俺が返せる最大の言葉だった。

友人「気にすんな。」

友人は、微笑みながらそう返してきた。

友人「あの人に弟子入りする形で、俺もハンターになったんだよ。」

俺「弟子入り?」

友人「そう、俺が無理やり頼み込んで、教えてくれてるのさ。」

俺「そうだったんだな。」

友人「ま、この話はまた今度してやるさ。」

友人「さ、行こうぜ。」

俺たちは、目の前にある施設に入っていった。
191 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/29(日) 00:42:20.39 ID:mYpfqk/J0
とりあえず、今回はここまで。

次回は【ふれあい広場】の内部を書いていこうと思います。
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/29(日) 02:49:04.64 ID:iT4/mHK90
乙、カズさんは友人の師でもあるのか
こらからアライさんと触れ合えるのが楽しみ
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/29(日) 03:03:28.02 ID:Vr2DJvy90
乙です
広場の人達が各々どのような“ふれあい”をしているのか、次回が楽しみです
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/29(日) 08:35:48.56 ID:DszUVUIco
生きたアライさんは貴重だったのか
195 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/01(火) 22:27:40.92 ID:2OdjSwdu0
<アライちゃんのふれあいコーナー>

俺「ここが入り口か。」

友人「ここは意外に人気コーナーなんだよ。」

俺「そうなんだ。」

俺は辺りを見回した。

俺「あれ?」

俺は入り口横に立て看板があるのを見つけた。
そして、何が書いてあるか確認するため、そこへ近づいていった。


ふれあいコーナーにおける注意事項

一.当コーナーは、火気厳禁です。
一.当コーナーは、危険物の持ち込みは禁止です。
一.当コーナーに入っていただく前に金属探知機があります。該当品を身に着けている場合は、事前に入り口横のロッカーに預けてください。
一.当コーナーでは、暴力行為は禁止です。そのような行為を楽しみたい方は別エリアへの移動をお願いします。
一.指定された食べ物以外は与えないで下さい。
一.他のお客様のご迷惑となる行為はお止め下さい。
一.係員の指示には、必ず従って下さい。
一.その他、マナーの向上にご協力下さい。

以上のことをお守りいただきますよう、ご協力をお願いします。


俺が注意事項を読んでいると、後ろから声がかかった。

友人「要するに、他人に迷惑かけんなよ、ってことさ。」

俺「まぁ、普通のことが書いてあるだけだな。」

友人「ちなみに、財布とかもアウトだから。」

俺は簡単にセルフチェックを実施した。
ズボンのポケットに財布が入っている以外は特には無い...

俺「そういえば、ベルトは?」

友人「係員がボディチェックして、問題なければベルトはOKだな。」

俺は、面倒だな、と思ってしまった。

友人「とりあえず、飛行機の搭乗ゲートの感覚でいいよ。」

俺「まず、飛行機に乗ったことがないよ。」

友人「意外だな。」

俺「誰もが乗ったことあるわけじゃないんだから。」

友人「国内線は? 北海道とか。」

俺「俺の人生で行ったことがある日本の最北端は、栃木だよ。」

友人「それはスマンかったな。」

一先ず、俺たちはロッカーに荷物を預けて、ゲートを通った。
案の定、ベルトが反応したため、ボディチェックを念入りに受けた後、中に入っていった。
196 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/01(火) 22:28:21.93 ID:2OdjSwdu0
内部については、今書いてます。

今日中に上げれないかも...
ご了承ください。
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/02(水) 02:13:16.13 ID:2KqkLXYk0
乙です。気長に待ってます
198 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 20:56:26.25 ID:fP1dLGro0
前回の続きを書いていきます。
なので、タイトルは省略します。
199 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 20:56:57.56 ID:fP1dLGro0
 のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!!
 のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!!
 のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!!
 のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!!
 のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!!
 のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!!
 のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!!

 ヨチヨチヨチコスリコスリヨチヨチヨチヨチクッチャクッチャヨチヨチコスリコスリヨチヨチヨチヨチヨチヨチシッポフリフリフリフリフリフリヨチヨチヨチヨチコスリコスリコスリコスリコスリコスリコスリコスリヨチヨチ
 ヨチヨチヨチクッチャクッチャヨチヨチコスリコスリコスリコスリコスリコスリヨチヨチクッチャクッチャヨチヨチヨチシッポフリフリフリフリフリフリヨチヨチヨチヨチコスリコスリコスリコスリコスリコスリヨチヨチヨチ
 ヨチヨチシッポフリフリフリフリフリフリヨチヨチヨチコスリコスリコスリコスリコスリコスリコスリコスリクッチャクッチャヨチヨチヨチクッチャクッチャヨチヨチヨチヨチコスリコスリコスリコスリヨチヨチヨチヨチヨチ

頭がおかしくなりそうだった。

ふれあいコーナーの広さとしては、学校の体育館ほどであった。
その中に、アライちゃんが50匹以上はいるような気がする。
とりあえず、蠢いていて気持ち悪かった。

俺「気が狂いそう...」

友人「俺もだ。」

俺「なら、何故来たんだよ。」

友人「いや、お前は痛めつける系が苦手そうだったから、ここなら大丈夫かと思って。」

俺「お前は俺をどうしたいんだ?」

友人「まぁ、お前がアライさんにどんな感情を抱いているのか、っていうのを知りたい、っていうのが発端だけど。」

友人も悪気があって連れてきているわけではないことは分かっていた。
そもそも、この中を案内してくれ、って言ったのは自分なんだし。
要は、自業自得、ってやつだな。

とは言え、この空間は異常で耐えられそうにない。
200 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 20:58:00.13 ID:fP1dLGro0
女性客1「キャー!! カワイイー!!」パシャパシャ
女性客2「こっちを見てー!!」パシャパシャ

アライちゃんF12「のりゃりゃりゃりゃ! アライしゃんをかわいくしゃつえいしゅるのりゃ!!」
アライちゃんF25「アライしゃんのほうが、かわいいにきまってるのりゃ!!」

とある客は、アライちゃんをカメラ撮影をしていた。
つか、スマホの持ち込みはいいのか?

男性客1「おぉー! ご飯を食べたぞ。」

アライちゃんF33「おいちいのりゃ! もっとよこちゅのりゃ!」クッチャクッチャ
アライちゃんF14「アライしゃんも、もっとたえたいのりゃ!」クッチャクッチャ

とある客は、アライちゃんを餌付けしていた。
どうやら、ふれあいコーナーの隅に無料のエサが置いてあるようだ。
1ヵ所だけじゃないみたいだな。

高さは、アライちゃんが飛びかかっても届かないように設定されているようだ。

女性客3「この子、賢いわね。」パンパン
男性客2「お、これはすごいな。」パンパン

アライちゃんF35「アライしゃんのしっぽのりゃんす、すごいのりゃ?」シッポフリフリ
アライちゃんF49「このちっぽのりゃんしゅれ、ひとしゃんをメロメロにしゅるのりゃ!」シッポフリフリ

とある客は手を叩き、それに合わせてアライちゃんが尻尾を振っていた。
どうやら、ダンスのつもりらしい。
201 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 21:00:00.54 ID:fP1dLGro0
いろんな場所で、いろんな客が、いろんなアライちゃんと戯れていた。

俺「触れ合い方は千差万別、ってことだな。」

友人「注意事項にも書いてあったように、暴力行為は禁止されているからな。」

俺「もし、それをやった場合は?」

友人「業務妨害罪で逮捕されるな。」

俺「ここって、秘密の場所じゃなかったのか?」

友人「噂だと、裏で色々と繋がっているみたいだぞ。」

 のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!!
 のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!!
 のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!!
 のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!!
 のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!!
 のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!!
 のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!!

 ヨチヨチコスリコスリコスリコスリコスリコスリコスリコスリヨチヨチヨチヨチヨチコスリコスリヨチヨチヨチヨチクッチャクッチャヨチヨチコスリコスリヨチヨチヨチヨチヨチヨチシッポフリフリフリフリフリフリヨチヨチ
 ヨチヨチコスリコスリコスリコスリコスリコスリヨチヨチヨチヨチヨチヨチクッチャクッチャヨチヨチコスリコスリコスリコスリコスリコスリヨチヨチクッチャクッチャヨチヨチヨチシッポフリフリフリフリフリフリヨチヨチ
 ヨチヨチコスリコスリコスリコスリヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチシッポフリフリフリフリフリフリヨチヨチヨチコスリコスリコスリコスリコスリコスリコスリコスリクッチャクッチャヨチヨチヨチクッチャクッチャヨチヨチ

幸い、ここがうるさいこともあって、友人との話は他の人には聞かれていないようだった。

俺「...意外に怖い場所なんだな。」

友人「ルールさえ守っていれば、問題ないさ。」
202 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 21:01:01.47 ID:fP1dLGro0
その時だった。
ズボンを引っ張られる感覚があった。

俺「何だ?」

俺は足元を見た。

アライちゃんF59「うゆ? ひとしゃん、どうしたのりゃ?」キョトン

足元にアライちゃんがいた。
大量に見れば蠢いて気持ち悪かったが、1匹だけならそうでもない印象を受けた。

よく見ると、額に「59」と書かれていた。

俺「この額のは何だ?」

俺はしゃがんで、アライちゃんの額を触った。

友人「これな、識別番号のようなものさ。」

俺がしゃがんだのを見て、友人もしゃがんで説明をしてくれた。

俺「これ、書いたものじゃないな。」

アライちゃんF59「くしゅぐったいのりゃ!!」ケラケラ

友人「まぁ、焼き印だからな。」

俺「マジか。」

そこで俺は気付いたことがあった。
俺の手を払いのけようとしているアライちゃんの手を見たところ、親指以外の指が無かった。

俺「指が無いな。」

アライちゃんF59「これ、わるいひとしゃんにとられちゃったのりゃ...」ウルウル

友人「客に危害を加えないようにするための処置ってやつさ。」

友人が説明してくれる中、疑問に思ったことがあった。

俺「そういえば、お前ってこの場所って大丈夫なのか?」

そう、『アライさんは完全悪』といった人間だ。
このコーナーは相当堪えているに違いない。

友人「まぁ、確かにイライラしてるよ。 でも、別エリアで憂さ晴らしが出来る、って考えたら、多少の我慢はできるさ。」

友人はアライちゃんをじっと見つめながら、そう言った。

アライちゃんF59「ひとしゃん、イライラしてるのりゃ?」

アライちゃんF59「だったら、アライしゃんのしっぽのリャンスをみて、げんきをりゃすのりゃ!」キャッキャッ

そう言うと、アライちゃんは向きを変えてこちらに尻尾を向けた。

アライちゃんF59「のりゃ♪ のりゃ♪ のりゃ♪ のりゃ♪ のりゃ♪ のりゃりゃ♪」シッポフリフリ

その様子を見て、俺はメトロノームしか出てこなかった。
いや、向きが逆か。
203 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 21:02:30.28 ID:fP1dLGro0
俺「ここって、これだけなのか?」

友人「いや、ここはとっておきがあるのさ。」

友人は不敵な笑みを浮かべたが、俺には意味が分からなかった。

その時だった。

男性客3「いってーーーーー!!」

突然、男の叫び声が聞こえてきた。

アライちゃんF55「アライしゃんは、ヒトなんかとなれあわないのりゃ!! はやく、おててをかえすのりゃ!!」フゥー

どうやら、アライちゃんに噛みつかれたようだ。

ピーーーーーーーーーーッ

突然、会場内に鳴り響く笛の音。

『ミナサン チュウオウニ オアツマリ クダサイ』

あの機械音声が響き渡った。

『アライチャンヲ チカクノ コンベアニ ノセテ クダサイ』

気付くと、中央に透明な何かに覆われた、部屋のようなものが現れていた。
そして、周りで触れ合っていた客が一斉にベルトコンベアにアライちゃんたちを乗せていた。
向かう先は、中央の部屋の前のようだ。

つか、どこからコンベアや部屋が出てきたんだよ。
原理が分からないぞ。

アライちゃんF59「のりゃ!? なにがおきるのりゃ!?」ブルブル

突然のことに、アライちゃんは驚いていた。

友人「すぐに分かるよ。 いってらっしゃい。」

友人はアライちゃんをつまみ上げると、素早くコンベアに乗せた。

アライちゃんF59「のりゃーーーーー!?」

アライちゃんは叫び声と共に、運ばれていった。

友人「じゃ、俺たちも行くか。」

俺は友人に言われるがままに、中央部へと向かった。
204 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 21:03:40.66 ID:fP1dLGro0
一旦ここまで。
続きは、少々お待ちを...
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/02(水) 21:40:23.46 ID:AxM8X8WsO

F55は今までよく生きてこられましたね…
206 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 23:22:17.34 ID:fP1dLGro0
>>203

そこに辿り着くと、部屋の周りを囲うようにアライちゃんが並んでいた。
しかも、中央の部屋を見るように頭を固定されている。

アライちゃんF1「もうみたくないのりゃ!!」ジタバタ
アライちゃんF20「いやぁーーーーー!!」ジタバタ
アライちゃんF59「こわいのりゃーーーーーー!!」ビエーン
アライちゃんF38「なんなのりゃ?」キョトン
アライちゃんF31「な、なにがはじまるのりゃ?」ビクビク
アライちゃんF12「これいじょう、ひどいことをしないでほしいのりゃ!!」ジタバタ
アライちゃんF6「たすかりたいのりゃ...」ビクビク
アライちゃんF47「のりゃーーーーーん!!」ビエーン
アライちゃんF42「アライしゃんをはなすのりゃ!!」ジタバタ
アライちゃんF14「うるさいのしゃ!! しずかにするのりゃ!!」フゥー

泣き叫ぶものもいれば、怒りに狂うものがいたり、表情は様々だった。

俺たちは、ちょうど見やすい位置が空いていたので、そこで見ることにした。

すると、中央の部屋の上にスポットライトが集中した。

???「レディーーース、エーーーンドゥ、ジェントルメーーーン!!」

そこには、スーツを身に纏った男がいた。
スーツはラメが入っているのか、キラキラして鬱陶しかった。

???「さぁさぁさぁ!! エックスがお送りする、特別ショーのお時間です!!」

自らをエックスと名乗る男は、この場で「特別ショー」を行うようだ。

俺「なんでここで?」

友人「まぁ、見てれば分かるよ。」

友人に言われるまま、中央の部屋を見た。

エックス「今回協力してくれるのは、全部で3匹だーーー!!」

ウオォーーーーーーーーーー

エックスがそう言うと、周りから歓声が上がった。

アライちゃんたちの一部分は、何が起こっているか分からない様子であった。
207 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 23:28:37.13 ID:fP1dLGro0
エックス「まずは、ナンバーーー、フィフティーーー、フゥァーーーイブ!!」

エックスがそう言うと、並べられたアライちゃんの後ろから人がやってきた。
着ているポロシャツには、ASPの文字があった。
「(A)アライ (S)さん (P)パーク」ってことか?
つまり、係員、ってことか?

そんなことに気を取られてるうちに、額に「55」と焼き印の押されたアライちゃんは縛り上げられていた。

アライちゃんF55「なんなのりゃ!! はなすのりゃ!!」ジタバタ

エックス「次に、ナンバーーー、エーーーイトゥッ!!」

アライちゃんF8「ぴぃぃぃぃーーーーー!!」ジタバタ

このアライちゃんも他の係員の手によって縛り上げられた。

エックス「最後は、ナンバーーー、トゥウェンティーーー、トゥーーー!!」

アライちゃんF22「ア、アライしゃんはなにもわるいことしてないのりゃ!!」ジタバタ

最後に読み上げられたアライちゃんも縛り上げられてしまった。
そして縛り上げられたアライちゃんたちは、滑車を使ってエックスの近くまで連れていかれた。

エックス「さぁ、これからこのアライちゃん達には、私のショーに協力してもらいましょう!」

そう言ったエックスだったが、突然周りを見渡し始めた。

エックス「そうそう、忘れていましたね。 さらに協力してくれるものをお呼びしよう!」

パチン

わざとらしい演技の後、エックスが指を鳴らすと中央の部屋の下から何かがせり出してきた。

 グオォー...

あのタテガミは...間違いない。
百獣の王と呼ばれている、ライオンだ。

エックス「ここにアライちゃんを投入します!」

 ゴアァー!!

エックスの声と共に、ライオンが吠えた。

エックス「果たして、アライちゃんたちは無事に生きて帰ることが出来るのでしょうか!?」

ウオォーーーーーーーーーー

エックスの進行にまた歓声が上がった。

俺「つか、そんなことできるのか?」

友人「見てりゃ分かる、って。」
208 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 23:32:47.19 ID:fP1dLGro0
俺が友人に尋ねている間も、進行は続いていた。

エックス「それでは、投入する前にここに呼ばれたアライちゃんたちを紹介しよう!!」

エックス「まずは、こいつだーーー!!」

エックスは吊り上げられた内の1匹のロープを掴んだ。

アライちゃんF55「はなせーーー!! はなすのりゃーーー!!」ジタバタ

エックス「こいつは今しがた、客の手を噛んだ大、悪、人、だーーー!!」

そう言うと、エックスはロープから手を離し、別のアライちゃんのロープを掴んだ。

アライちゃんF8「のりゃーーーーー!! のりゃーーーーーん!!」ジタバタ

エックス「こいつは、ここに来てから客と遊ぼうとせずに、会場の隅で丸くなっていたチキン野郎だーーー!!」

俺「野郎、って雄じゃないだろ。」

俺は思わず、気になったことを口にした。

友人「まぁ、そこは雰囲気っていうか?」

エックスの進行は続く。
エックスは先ほど同様、ロープから手を離して最後のアライちゃんのロープを掴んだ。

エックス「最後にこいつの紹介だ!!

エックス「こいつは、餌のある台の付近から動かなかった怠け者だーーー!!」

アライちゃんF22「おろすのりゃーーーーー!! おーーーーーろーーーーーせーーーーー!!」ジタバタ

エックスの紹介が一通り終わると、エックスは手を広げた。

エックス「さぁ、ゲームを始めよう!!」

エックスを乗せた足場が下がり、アライちゃんも一緒に下がっていった。

エックス「この中央の台にアライちゃんを乗せます!!」

エックスに気を取られていたため気づかなかったが、部屋の中央に円形のステージがあった。
円形のステージは、4本の柱によって支えられているようだった。

エックス「10分間だぁ!! この台の上で待つことが出来れば、君たちは元の生活に戻ることが出来るぞーーー!!」

エックスはそう言いながら、アライちゃんをロープから解放して、台の上に乗せていった。

アライちゃんF55「なんで、こんなことをしないといけないのりゃ!!」フゥー
アライちゃんF8「のりゃーーーーーん!!」ビエーン
アライちゃんF22「のりゃりゃりゃりゃ... たいへんなことになったのりゃ...」ビクビク

エックス「それでは、ゲームスタート!!」

アライちゃんからの苦情を無視して、エックスはゲームを始めた。

ビーーーーーーーーーーッ
209 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 23:34:39.41 ID:fP1dLGro0
台の上に放置されたアライちゃんが3匹と、台の下にライオンが1匹。
台の上は観客から見ることが出来ない高さのため、俺たち、観客はカメラ越しに様子を見ていた。

アライちゃんF55「なんで、こんなことをしないといけないのりゃ!!」フゥー
アライちゃんF8「のりゃーーーーーん!!」ビエーン
アライちゃんF22「のりゃりゃりゃりゃ... たいへんなことになったのりゃ...」ビクビク

3匹は台の上から一歩も動いていなかった。

俺「これ、台から動かなければ終わりじゃないかな?」

友人「それで済むんだったら、このショーの意味が無いわな。」

俺「意味?」

友人「間引きだよ。 あと、見せつけだな。」

俺「なんだそりゃ?」

その時だった。

 ゴゥ

ライオンが軽く唸り声をあげた。

アライちゃんF8「のりゃーーーーーん!!」ビエーン
アライちゃんF55「したのやつが、うるさいのりゃ!!」フゥー
アライちゃんF22「うるさいとおもうなら、たおしにいけばいいのりゃ...」ビクビク
アライちゃんF55「おまえがたおしにいけばいいのりゃ!!」フゥー
アライちゃんF22「ア、アライしゃんは、べつにうるさいとおもって、な、ない、のりゃ...」ビクビク
アライちゃんF8「のりゃーーーーーん!!」ビエーン

言い寄るアライちゃんと言い寄られるアライちゃん、そして、会話に入っていかないアライちゃんの構図が出来上がっていた。

アライちゃんF22「じぶんからいかないのは、こわいからなのりゃ...?」ビクビク
アライちゃんF55「べつにこわがってないのりゃ!! いいがかりはやめるのりゃ!!」フゥー
アライちゃんF22「だ、だ、だったら、だったら!! アライしゃんをつかわずに、じぶんでいけばいいのりゃ!!」フゥー

言い寄られていた方が、とうとうキレたようだ。

アライちゃんF22「そうやって、イケイケいうのはこわがってるしょうこなのりゃ!! このよわむしが!!」フゥー
アライちゃんF55「ア、アライしゃんはよわむしじゃないのりゃ!! むてきなのりゃ!!」フゥー

とうとう、睨み合って一触即発の状況だな。

アライちゃんF22「もうがまんのげんかいなのりゃ!!」フゥー
アライちゃんF55「かえりうちにしてやるのりゃ!!」フゥー

ヨチヨチヨチヨチ

ポカポカポカポカ

俺「あぁ、殴り合いに発展したか。」

友人「といっても、威力は知れてるんだけどな。」

アライちゃんF22「のりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ!!」
アライちゃんF55「のりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ!!」
210 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 23:35:23.50 ID:fP1dLGro0
台の上で、アライちゃんが殴り合いの泥仕合を繰り広げているときだった。

 グワァー

ライオンが台に手を掛けた。
その途端、台がゆっくりと倒れ始めた。

アライちゃんF8「のりゃ!?」ビクッ
アライちゃんF22「のりゃ!?」ビクッ
アライちゃんF55「のりゃ!?」ビクッ

そして、完全に崩れてしまった。

俺「あれって、固定されてなかったのか。」

友人「さぁ、ここからだぜ。」

友人が指さす先には、崩れた台から投げ出されたアライちゃんがいた。
そこは、ライオンがすぐに手を出せる高さだった。

俺「そういうことか。」

友人「そう、ライオンのお食事タイムってわけ。」
211 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 23:37:00.80 ID:fP1dLGro0
アライちゃんF8「のりゃーーーーーん!!」ビエーン

ライオンは、泣き叫んでいるアライちゃんの元へと向かった。

アライちゃんF8「のりゃーーーーーん!! のりゃ...、」

アライちゃんはようやく自分の元へ向かってくる影に気が付いた。

アライちゃんF8「のりゃ?」キョトン

プシャ

その瞬間、アライちゃんの上半身はライオンに喰われていた。
そして、ライオンはそのまま口の中でそれを噛み砕いた。

アライちゃんF22「あ、あぁ、あいつのところにきてしまったのりゃ...」ブルブル
アライちゃんF55「なんなのりゃ、あいつは!?」ビクッ

ライオンは残りの2匹に目をくれることなく、残りの体を食べ尽くした。

俺「な、なぁ...、あれ、えーっと、ア、アライちゃんって、あーっと、骨まで、んー、食え、るのか?」

俺はパニック状態になっていた。

友人「確か、幼獣の時はまだ骨が柔らかいから、あぁいった肉食獣は問題なく食べれる、んだと。」

俺「へ、へぇー...。」

俺はそう言うのが精一杯だった。
212 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 23:37:51.51 ID:fP1dLGro0
ライオンは顔を血で染めながら、残ったアライちゃんの方を見た。

アライちゃんF22「のりゃ!! に、にげるのりゃ!!」ヨチヨチ
アライちゃんF55「アライしゃんもにげるのりゃ!!」ヨチヨチ

2匹は別々の方向へ逃げていった。
そして、ライオンは次のターゲットに向かっていった。

アライちゃんF22「のりゃーーーーー!! きちゃダメなのりゃ!!」ヨチヨチ

アライちゃんF55「ア、アライしゃんはたすかったのりゃ!!」ハァハァ

必死に逃げるアライちゃん。

アライちゃんF22「のりゃーーーーー!!」ヨチヨチ

アライちゃんF22「げぶっ!!」ヨチヨチ

しかし、ライオンとの体格差、歩行速度などから、すぐに捕まってしまった。
アライちゃんはライオンに腰を抑えられる形になっていた。

アライちゃんF22「ア、アライしゃんをみのがし、げえぇえぇぇぇぇぇーーーーー!!」ビクンビクン

ライオンはアライちゃんの背中に噛みつき、そのまま噛み千切ったのだった。

アライちゃんF22「ア、アラ、アー...」バタバタビクンビクンバタバタビクンビクンビクンビクン

アライちゃんは目が虚ろになり、口からは涎を垂らしていた。
そして、ライオンはアライちゃんの様子など構うことなく、食べ進めていった。

しばらくすると、そこには血痕だけ残されており、他は何も残されていなかった。
213 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 23:38:34.67 ID:fP1dLGro0
そしてライオンは残りのアライちゃんへ目を移すのだった。

アライちゃんF55「のりゃ!! に、にげるのりゃ!!」ヨチヨチ

アライちゃんが逃げる動作に移ったその時だった。

ビーーーーーーーーーーッ

エックス「ゲーム、しゅーーーーーりょーーーーー!!」

ブザー音と共に、エックスが叫んだ。

その声を聞いたライオンは歩みを止めたのだった。

俺「ライオンを躾けてあるのか。」

友人「そうでないと、ショーが成り立たないからな。」

俺「あのライオン、すげぇな!」
214 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 23:40:14.27 ID:fP1dLGro0
俺たちがそんな会話をしているとき、エックスの進行は続いていた。

エックス「さぁ、10分が経過したぞ!!」

アライちゃんF55「は、はやくアライしゃんをたすけるのりゃ!!」ジタバタ

アライちゃんがエックスに助けを求めていたが、エックスは助けるような素振りを見せなかった。

エックス「あれぇー? アライちゃんは、ルールを聞いてなかったのかなぁ?」

アライちゃんF55「その、じっぷん、ってやつまでいきのこればたすけてくれる、っていったのりゃ!!」ジタバタ

エックス「確かに言ったね。」

アライちゃんF55「うそつきなのりゃ!!」フゥー

エックス「あれぇ? 何か忘れてないかなぁー?」
215 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 23:40:58.82 ID:fP1dLGro0





エックス「私は、『台の上で』10分間耐えたら、って言ったんだけどなぁー。」




216 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 23:41:58.74 ID:fP1dLGro0
確かに、エックスはそう言った。
そして台が崩れたことによって、アライちゃんは投げ出された。

エックス「台の上にいないんだから、アライちゃんは敗者になるんだよねぇ。」

エックスは不敵な笑みを浮かべ、そう言い放った。

投げ出されたとはいえ、土台となっていた所は壊れずに残っている。
つまり、投げ出された後にライオンに喰われないよう、そこへ戻っていれば勝者になっていたのだ。
217 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 23:44:28.81 ID:fP1dLGro0
パチン

エックスが指を鳴らした。
その音に反応して、ライオンがアライちゃんに向かっていった。

アライちゃんF55「そんなの、インチキなのりゃ!! やりなおすのりゃ!!」フゥー

アライちゃんは必死にエックスに向かって抗議をしていた。

エックス「それはいいとして、後ろは大丈夫かい?」

アライちゃんF55「うしろ? うしろになにがあるのりゃ?」クルッ

振り返ったアライちゃんの目の前には、ライオンが迫っていた。

アライちゃんF55「のりゃーーーーー!! ぐぇぁぁぁえぁえぁぇあぇあぇ!!」ビクンビクン

アライちゃんは逃げることもできず、ライオンに噛みつかれた。
そして、ライオンは容赦なくアライちゃんのお腹を噛み千切ったのだった。

アライちゃんF55「やべ、あーーーーー!! やべびゅのあーーーーー」バタバタビクンビクンバタバタビクンビクンビクンビクン

アライちゃんの抵抗も虚しく、ライオンは食べ進めていった。

アライちゃんF55「や...、え...」バタバタビクンビクンバタバタビクンビクンビクンビクン

徐々にアライちゃんの動きは弱くなり、ライオンはそれを完食したのだった。
218 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 23:45:23.52 ID:fP1dLGro0
その様子を目の前で、しかも、目をそらすことさえ許されなかった、残りのアライちゃんたち。

エックス「そこで見ていた、アライちゃんたち!! よーく、聞いてな!!」

エックス「今の不良品みたいに、ヒトと、ちゃんと交流できない愚か者は、この子のエサになってもらうからね!!」

 グワァー

エックスの説明に合わせて、ライオンが吠えた。
219 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 23:49:00.09 ID:fP1dLGro0
俺「ちょっと離れようぜ。」

友人「いいよ。」

ショーが終わったようだったので、俺たちはその場を離れた。

俺「『協調派』の意味が分かったよ。」

俺は、友人にそう言った。

友人「聞かせてみ?」

俺「つまり、人間に媚を売ってる分には助けてやるけど、反抗したり無関心だった奴は殺処分、ってわけだな。」

友人「そう言うこと。」

俺「で、処刑シーンを何度も見せつけて、こうなりたくなければ言うこと聞けよ、って見せつけるわけか。」

そう、友人はショーが始まった時に、これを「見せつけ」と言っていた。

俺「恐怖政治だな。」

友人「多分、処分された奴は入ってきて間もない奴だったんだろうな。」

俺は友人の言葉に疑問を持った。

俺「あれ? 番号が若くなかったか?」

友人「必ずしも通し、ってわけじゃないんだよ。 穴が空いたら、その番号の穴埋めをしなくちゃいけないからな。」

俺「だとしたら、あの中でどれが古参か分からないな。」

友人「んなもん、知らなくていいんだよ。」
220 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 23:51:42.83 ID:fP1dLGro0
俺「もう、出ようぜ。」

友人「分かった。」

俺たちは出口に向かって歩いていた。
その時だった。

アライちゃんF43『アライしゃんをたすけるのりゃ!!』ドンドン

透明なボウルのようなものに閉じ込められているアライちゃんを発見した。

俺「なんだありゃ?」

友人「見てくか?」

俺たちはそのアライちゃんへと向かっていった。
221 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/03(木) 00:01:08.31 ID:LMHvHkui0
アライちゃんF43『そこのヒト、あらいしゃんをたすけるのりゃ!!』ドンドン

俺「閉じ込められてるのか?」

友人は何かに気付いた様子だった。

友人「あれだよ。」

友人が指さした先には、茶色いものがあった。
つまり、排泄物だ。

俺「うわっ、気持ち悪っ...」

アライちゃんF43『なっ!! きもちわるくないのりゃ!!』ドンドン

アライちゃんは怒った様子で抗議していた。

友人「ここな、アライちゃん専用のルール、ってあるんだよ。」

友人はアライちゃんのことを無視して、話を進めた。

俺「ルールって?」

友人「このエリア内で、決められた場所以外では排泄禁止、ってね。」

俺「トイレみたいのがあるのか?」

友人「そうなんだよ。 で、ペナルティがこれってわけ。」

友人は、アライちゃんを指さした。

アライちゃんF43『いいかげん、たすけるのりゃ!!』ドンドン

友人「ペナルティとして、自分が出したものをキレイにしないといけないんだ。」

友人は尚もアライちゃんを無視して、話を進めた。

俺「キレイに、ってどうするんだよ。」

友人「食べる、それ以外の方法は無いわな。」

俺は軽く想像しただけで吐きそうになった。

友人「それをしなかったら餓死するだけだし、してもただただ臭いだけだから殺処分だな。」

俺「それ、未来無いんだな。」

友人「粗相をした段階で、未来は無いんだよ。」

アライちゃんF43『こらーーーーー!! むしするなーーーーー!!』ドンドン

友人「さて、外に出ようぜ。」

俺「あぁ、分かった。」

こうして、俺たちはふれあいコーナーから出ていった。
222 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/03(木) 00:03:20.58 ID:LMHvHkui0
友人「しっかり手を洗えよ。」

俺「なら、こんなコーナー作るなよ。」

俺たちは、ふれあいコーナーを出てすぐのところにある手洗い場で、手を消毒した。

アライさんと触れ合って手を洗う、なんて、皮肉だな、と俺は思った。
223 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/03(木) 00:04:34.61 ID:LMHvHkui0
今回はここまで。
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/03(木) 00:13:02.26 ID:ruLy3UXQO
乙です
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/03(木) 00:31:49.85 ID:eHCJH//Y0
おつ
結構な勢いでアラ虐して消費してるように見えるけど、それでも追いつけないくらい生まれてるんだろうか
それともこれのおかげで絶滅へ進みつつあるのだろうか
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/03(木) 00:38:44.49 ID:oB3ztX/Zo
おつ
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/03(木) 01:33:23.38 ID:NSAdWr+z0
乙です。こういう見せしめのショーは楽しいですね。次回も楽しみです
たしかに野生の捕獲だけじゃこういう施設を賄えるか疑問だけど、事情をより鮮明に明かされる時はくるのかな?
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/03(木) 10:10:25.33 ID:ILgLm7otO
流石に50匹蠢いてるのは気持ち悪いな
限度ってもんがある
229 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/04(金) 00:07:03.24 ID:zTHMQKl40
【ふれあい広場】はもう1ヵ所紹介する内容があるので、それが終わったら次のエリアに進みます。
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