俺「アライさんパーク?」

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331 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 19:39:12.19 ID:2b7jK1AR0
ジョン「これだけ言っても、理解しないか。」

アライちゃんEN2-1「いいかげんうそはやめるのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-2「はやくおかーしゃんをつれてくるのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-3「アライしゃんたちのおかーしゃんをかえすのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-4「そうなのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-5「はやくするのりゃ!」フゥー

ジョン「まぁ、君たちが否定してもここにはオーディエンスがいるからね。」

ジョン「さて、皆さん! このアライちゃん達が試合内容の講義をしていますが!」

ジョン「この試合に不正は無かったと思う方は、拍手をお願いします!」

ジョンが会場に拍手を求めた。

ジョンの言う通り、確かに不正は無かった。
俺は素直に拍手をした。
周りからも拍手が聞こえた。

パチパチパチパチパチパチパチパチ
パチパチパチパチパチパチパチパチ
パチパチパチパチパチパチパチパチ
パチパチパチパチパチパチパチパチ
パチパチパチパチパチパチパチパチ

ジョン「おーっと、満場一致で不正は無かったということですね!」

アライちゃんEN2-1「うそつきなのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-2「そんなはずないのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-3「アライしゃんはりゃまされないのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-4「ありえないのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-5「うそばっかなのりゃ!」フゥー

観客の意見を聞いてもアライちゃん達は納得していなかった。
332 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 19:41:13.05 ID:2b7jK1AR0
これには、ジョンも溜め息しか出ない様子だ。

ジョン「仕方ないですね。」

ジョン「では、試合を控えている他のアライさん一家に話を聞いてみましょうか。」

アライちゃんEN2-1「そんなのきくまでもないのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-2「そうなのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-3「おかーしゃんをかえせぇ!」フゥー
アライちゃんEN2-4「はやくしないとズタズタにしてやるのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-5「いいかげんにするのりゃ!」フゥー

ジョンがどこかに合図を送っていた。
すると、スタッフらしき人物が3人出てきて、それぞれのアライさんにマイクを向けていた。

ジョン「では、順番に話を聞いていきましょう。」

アライさんEN3-1「試合? そんなことよりもお腹がすいたのだ!」フゥー

アライちゃんEN3-1「なにかたべさせるのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN3-2「はやくよういするのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN3-3「おなかがクークーなのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN3-4「さっきのしろいのをたべたいのりゃ!」フゥー

アライさんEN4-1「今、アライさんは忙しいのだ!」キーキー

アライしゃんEN4-1「ここからぬけだすためにいそがしいのら!」キーキー
アライしゃんEN4-2「このいた、かたいのら!」キーキー
アライしゃんEN4-3「つめがいたくなってきたのら!」キーキー
アライしゃんEN4-4「しまいのきずなはこんなことではこわれないのら!」キーキー
アライしゃんEN4-5「もっとこうげきするのら!」キーキー

挑戦者のアライさんは自分のことしか考えていなかったようで、話にならなかった。

俺「つか、4番目のアライさん一家、脱出を企ててるみたいだったけど、いいのか?」

友人「どうせ抜け出せないから、気にするだけ無駄だよ。」

友人の言う通り、ジョンやスタッフも4番目のアライさん一家がやっていることはスルーのようだ。

そして、最後にチャンピオンに話を聞くだけとなった。

ジョン「では、最後にチャンピオンに話を聞いてみましょう。」

アライさんCP1「アライさんは見ていたのだ。あそこで倒れているアライさんは、文句を言っているチビ達のアライさんなのだ。」

アライしゃんCP1「アライしゃんもみていたのら。」
アライしゃんCP2「おかーしゃんのゆーとおりなのら。」
アライしゃんCP3「じぶんのおやがわからないなんて、バカなのら!」キャッキャッ
アライしゃんCP4「じぶんのおやをひていするなんてさいてーなのら。」
アライしゃんCP5「すくいようがないのら。」

どうやら、チャンピオンのアライさん一家は試合をしっかり見ていたようだった。

ジョン「さて、観客とチャンピオンから証言を頂きました!」

アライちゃんEN2-1「ありえないのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-2「むこーなのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-3「あれがおかーしゃんなわけないのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-4「ふざけてないれ、おかーしゃんをかえせぇ!」フゥー
アライちゃんEN2-5「うそつきなのりゃ!」フゥー

これだけのやり取りをしても納得をしていないアライちゃん達だった。

俺「グダグダだな。」

友人「まぁ、毎回始めはこんな感じだよ。」

俺「そうなのか?」

友人「だって、ルールを理解してるのなんて、チャンピオン以外にいないからな。」

俺「なるほどね。」

毎回こんなやり取りをしているのかと思うと、ジョンは大変だな。
ジョンが自らこの持ち場を希望したのか、ちょっと気になった。
333 : ◆sUA3cfRxvJjG [sage]:2018/07/31(火) 19:42:10.93 ID:2b7jK1AR0
一旦ここまで
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/31(火) 20:03:51.52 ID:2iQ8iQ/gO
乙です。
敗北者家族にどんな罰ゲームが待っているのだろうか…
335 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 21:56:45.09 ID:2b7jK1AR0
ジョン「というわけで、罰ゲーーーーームッ!!」

アライちゃんの言い分を聞き流して、罰ゲームのコールが入った。

ワァーーーーーーーーーー!!

会場は、大いに盛り上がっていた。

ジョン「装置、カモン!」

ウィーーーーーン

敗者のアライちゃんがいる檻の四隅から何かが出てきた。

何かの口みたいだけど、何が出るんだろう?

ジョン「放水!」

バーーーーーッ

ジョンの一言で、檻の中に水が流れ込んだ。

アライちゃんEN2-1「へんなのがながれてきたのりゃ!」ビクン
アライちゃんEN2-2「おい! とめるのりゃ!」バンバン
アライちゃんEN2-3「に、にげるのりゃ!」ヨチヨチ
アライちゃんEN2-4「おかーしゃーん!」ヨチヨチ
アライちゃんEN2-5「たすけるのりゃ!」バンバン

アライちゃんは逃げ惑っていたが、すぐに水に飲み込まれてしまった。
その様子は、会場上部のモニターに映し出されていた。
336 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 21:58:03.48 ID:2b7jK1AR0
俺「なぁ、あれって水漏れしないのか?」

友人「あれって、強化プラスチックのことか?」

俺「そう、それ。」

友人「罰ゲームに関しては水責めが通例だし、そこらへんの対策はちゃんと出来てるみたいだぞ。」

友人「なにより、今まで『水漏れした』なんて話は聞いたこと無いしな。」

俺「なるほどねぇ。」

友人「使うからには、流石に検証してるでしょうよ。」

俺「それもそうか。」

モニターに視線を戻すと、放水は止まっていた。

よく見ると、アライちゃんの足が付くか付かないかぐらいの水が注がれていた。
337 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 21:58:47.87 ID:2b7jK1AR0
アライちゃんEN2-1「わぷっ! みて、な、たすけ、のりゃ!」バチャバチャ
アライちゃんEN2-2「いき、でき、のりゃ!」バチャバチャ
アライちゃんEN2-3「おか、しゃ、たす、け、のりゃ!」バチャバチャ
アライちゃんEN2-4「がはっ!」バチャバチャ
アライちゃんEN2-5「しず、のりゃ!」バチャバチャ

アライちゃん達は中央付近に集まっていた。
四隅から水が流れこんで来たからかな?

すると、1匹のアライちゃんが他のアライちゃんの上に乗っかった。

アライちゃんEN2-1「アライしゃんがたすかるために、からだをはるのりゃ!」ガバッ
アライちゃんEN2-4「おね、しゃ、やめ、いき、でき!」バチャバチャ

1匹が乗った途端、他のアライちゃんも真似しだした。

アライちゃんEN2-2「アライしゃんも、まねするのりゃ!」ガバッ
アライちゃんEN2-5「のっちゃ、ダメ、な!」バチャバチャ
アライちゃんEN2-3「アラ、しゃ、も、のる、のりゃ!」バチャバチャ

どうやら、1匹乗り損ねたようだった。

アライちゃんEN2-1「なんとかたすかったのりゃ!」ハァハァ
アライちゃんEN2-4「おね、しゃ、どく、の、りゃ!」バチャバチャ
アライちゃんEN2-3「アラ、しゃ、も、のせ、の、りゃ!」バチャバチャ
アライちゃんEN2-2「おまえまでのったらダメなのりゃ!」ゲシゲシ
アライちゃんEN2-5「ガホッ! も、つか、のりゃ!」バチャバチャ

まるで蜘蛛の糸を再現しているかのような光景だった。
とはいえ、この場にお釈迦様はいないけど。
338 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 22:01:27.98 ID:2b7jK1AR0
俺「なぁ、これっていつまで見なきゃならないんだ?」

友人「全員が溺死するまでだな。」

俺「苦痛だな。」

友人「その時間を楽しみにして来てる奴らもいるんだよな。」

俺は周りを見渡した。

ワァーーーーーーーーーー!!

周りからの歓声はすごかった。
早くくたばれだの、もっとやれだの、中々過激だった。

俺「異常な光景だな。」

友人「ほら、プロレスとかボクシングとかの格闘技を見る感覚だよ。」

俺「いや、スポーツ見ないし。」

友人「そういえばそうだったな。」

俺「ったく、何が楽しいんだかな。」

友人「人それぞれ、ってやつだよ。」

そんな会話をしながらも俺はモニターを見ていた。
俺も周りも大概なのかもしれないな。
339 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 22:03:08.60 ID:2b7jK1AR0
さて、足場にされたアライちゃんの様子が変わり始めた。
どんどん弱弱しくなって、バタつくことも少なくなってきた。

アライちゃんEN2-4「...」
アライちゃんEN2-1「いもーと、しっかりするのりゃ!」シッポブンブン
アライちゃんEN2-5「...」
アライちゃんEN2-2「このままだと、バチャバチャのなかにはいっちゃうのりゃ!」シッポブンブン
アライちゃんEN2-3「つ、わぷっ! かれ、の、りゃ!」バチャバチャ

足場にされたアライちゃんはもうダメなのかもしれないな。
そう思っていたら、そのアライちゃん達がどんどん沈み始めた。

アライちゃんEN2-1「またバチャバチャのなかにもどるのりゃ!」バチャバチャ
アライちゃんEN2-2「こうなったら、べつのいもーとをあしばにするのりゃ!」バチャバチャ
アライちゃんEN2-3「! やめ、の、りゃ!」バチャバチャ

足場にされた2匹のアライちゃんは底に沈み、再び水の中で暴れだしたアライちゃん。
今度は、休むことなく手を動かしている妹を足場にしようとしているようだ。

自分だけ生き残ろうと必死の様子だ。
340 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 22:07:55.47 ID:2b7jK1AR0
俺「あのアライちゃん達、『水』というものを知らないのかな?」

友人「たぶん、まだ教えてもらえてないんだろうね。」

俺「まだ?」

友人「アライさんも子供を産む以上、生きていくための術を子供たちに教えるんだよ。」

俺「そこは俺達を変わらないな。」

友人「甚だ迷惑だけどな。」

友人としては実害を被っているのだから、そう思うのは当然かもしれない。

俺「さっき産まれたばかりかも、って推測してたけど、そこが関係してるのか。」

友人「そうだろうね。」

俺「もしかしたら見たことすらなかったり?」

友人「見たことあるなら、流石に知ってるはずだけどな。」

友人「もしかしたら、まだ離乳出来てなかったのかもな。」

俺「なるほどな。」

離乳前で巣から出たことのないアライちゃん、ってことなら納得がいきそうだな。

俺「水のことをバチャバチャって表現してるのは、そう聞こえるからかな?」

友人「教えてもらってないことをどう表現するのか、それはそいつら次第だけどな。」
341 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 22:08:26.57 ID:2b7jK1AR0
モニターに目を戻すと、足場にされるアライちゃんを決めるために必死に争っていた。

アライちゃんEN2-1「いも、とは、おね、しゃん、のため、から、はる、のりゃ!」バチャバチャ
アライちゃんEN2-2「おね、しゃ、は、いも、とのた、から、はる、のりゃ!」バチャバチャ
アライちゃんEN2-3「さっき、らくし、から、こん、は、アラ、しゃ、の、ばん!」バチャバチャ

生き残ったアライちゃんは、そこに沈んだ妹を蹴っては浮かんで、蹴っては浮かんでを繰り返していた。
342 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 22:10:32.07 ID:2b7jK1AR0
俺「そもそも、沈んだ奴らの上に立てば良くないか?」

友人「さっきも言ったけど、離乳前のアライちゃんっぽいから、まだ立つことを知らないんだよ。」

俺「そうなのか?」

友人「あぁ、立つにはまだ体が発達して無さ過ぎる。」

俺「命の危険を感じて覚醒して立てるようになる、とかは?」

友人「ゲームのやり過ぎだ。」

友人「そもそも、浅瀬で溺れたハイハイの赤ちゃんが命の危険を感じて立つような事、あると思うか?」

俺「無い、だろうな。」

友人「まぁ、例えがあれだったけど、筋力的にありえないんだよ。」

俺「なら、泳ぎは?」

友人「そもそも教えてもらえなければ、泳げないだろ。」

俺「まぁ、そうなんだけどさ、浮くぐらいは出来ないのかな?」

友人「それも教えてもらわないと出来ないだろ。」

友人「そういうのが出来ないから、アライちゃんはあんな感じでパニくってるんだろ。」

俺「そっか。」
343 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 22:11:00.59 ID:2b7jK1AR0
アライちゃんEN2-2「やったのりゃ!」ハァハァ

アライちゃんの歓喜の声が聞こえたため、モニターに目を戻した。

アライちゃんEN2-2「しまいをうつくしいきずなのりゃ!」ハァハァ
アライちゃんEN2-1「おま、うえか、ろく、のりゃ!」バチャバチャ
アライちゃんEN2-3「おね、しゃ、ずる、の!」バチャバチャ

どうやら、2匹を足場にして1匹が上に乗るという方法をとったみたいだ。
344 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 22:11:54.25 ID:2b7jK1AR0
俺「つか、姉妹を犠牲にしてる時点で『美しい絆』なんて無いだろ。」

友人「あいつ等はあれで美しいつもりなんだよ。」

俺「何だかなぁ。」

とはいえ、あれもすぐに限界が来る。
あのアライちゃんは使える足場をすべて失ったとき、どうするんだろうか?

多分、1匹でギャーギャー言いながらパニくるんだろうな。
345 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 22:16:05.40 ID:2b7jK1AR0
そういえば、ジョンがまた静かな気がする。
ジョンの姿を探すと、なにやら回りのスタッフに指示を出していた。
しかも、ステージ中央では勝者であるはずのアライさんが倒れている。

俺「あれ!? あのアライさん勝ったはずなのに倒れてる!」

俺は思わず身を乗り出してしまった。

友人「まぁ、落ち着け。」

俺「お、おぅ。」

友人に宥められ、俺は席に座った。

友人「あれは麻酔銃で眠ってるだけだ。」

俺「そうなのか?」

友人「罰ゲームをモニターに映して観客の気をそっちに集中させてるうちに、次の準備をするんだよ。」

俺「それがあれか?」

俺はステージを指して確認した。

友人「そうだよ。まず、勝者のアライさんを麻酔銃で眠らせて、その子供が入った檻に再度ガスを投入する。」

友人「そんでもって、ステージのアライさんを檻の中に運搬する、ってわけだ。」

俺「じゃあ、その時に敗者のアライさんも運び出すのか?」

友人「ほら、あれ。」

友人が指した先にはブルーシートに包まれた「何か」が運び出されていた。

友人「あれが敗者のアライさんだよ。」

俺「あんな方法で運び出すのか。」

友人「ここはまだ機械化が進んでないから、大体人力なんだよ。」

俺「敗者を運び出したり勝者を眠らせたりで、大変なんだな。」

友人「スタッフの作業のおかげでこのショーが成り立ってるんだよ。」

ジョンを含めたスタッフも大変な思いをしてるんだな。

次の準備のために動き回るスタッフからモニターに目を戻し、再度アライちゃんの悪足掻きを見ることにした。
346 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 22:16:41.61 ID:2b7jK1AR0
アライちゃんEN2-2「いもーとがつかえなくなったのりゃ!」シッポブンブン
アライちゃんEN2-1「こい、アラ、しゃ、の、うえ、から、この!」バチャバチャ
アライちゃんEN2-3「...」

どうやら、何にも捕まることが出来ず、絶えず手を動かしていたアライちゃんは力尽きてしまったようだ。
徐々に体が沈みつつある。

残されたのは2匹。

さて、ここからどうするのか。
347 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 22:32:14.98 ID:2b7jK1AR0
アライちゃんEN2-1「いい、かげん、する、のりゃ!」グイ
アライちゃんEN2-2「のりゃ!?」ザブーン

足場にされていたアライちゃんは、上で振られていた尻尾をタイミングよく掴んだ。
そして、前転するような形で上のアライちゃんを巻き込み、水の中へ引きずり込んだ。

アライちゃんEN2-2「な、なに、す、る、のりゃ!」バチャバチャ
アライちゃんEN2-1「おま、え、わる、のりゃ!」バチャバチャ

元の溺れかけの状態に戻った2匹は、喧嘩をし始めた。

アライちゃんEN2-1「おま、え、こう、して、や、のりゃ!」バチャバチャ
アライちゃんEN2-2「や、め、のりゃ!」バチャバチャ

足場にされていたアライちゃんは手を動かす勢いで、上に乗っていたアライちゃんに攻撃をし始めた。

アライちゃんEN2-2「この、こっち、こう、して、や、のりゃ!」バチャバチャ
アライちゃんEN2-1「くっ! いも、と、ゆるさ、な、のりゃ!」バチャバチャ

2匹の攻撃が激しさを増していく。
しかし、そんなことをしていれば体力は削られてしまう。

アライちゃんEN2-1「も、らめ、な、のりゃ。」バチャバチャ
アライちゃんEN2-2「アラ、しゃ、も、つか、れ、のりゃ。」バチャバチャ

2匹の周りがうっすらと赤くなりながら、手の動きが弱まってきた。

アライちゃんEN2-1「...」
アライちゃんEN2-2「...」

そして、2匹は動かなくなってしまった。
348 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 22:40:05.16 ID:2b7jK1AR0
ジョン「フィニーーーーーッシュ!!」

檻の中が静かになったタイミングで、ジョンが終了の合図を出した。

ステージの周辺を見ると、既に他のスタッフは撤収した後のようだった。

アライさんEN1-1「すぅー... すぅー...」

アライちゃんEN1-1「しゅぅー... しゅぅー...」
アライちゃんEN1-2「しゅぅー... しゅぅー...」
アライちゃんEN1-3「しゅぅー... しゅぅー...」
アライちゃんEN1-4「しゅぅー... しゅぅー...」

しっかりと、勝者のアライさん一家も檻に収められていた。

ジョン「さぁ、1回戦目から苦情が入ってしまいましたが、いつものことですね!」

ジョン「敗者のアライさん一家にはしっかりと罰ゲームを受けてもらいました!」

ジョン「皆さん!! 見て頂いたように、我々は不正をしていません!」

ジョン「公平な勝負を提供する! それが『アライファイト』なのです!!」

ワァーーーーーーーーーー!!

ジョン「さぁ、次の第2試合の準備といきましょう!」
349 : ◆sUA3cfRxvJjG [sage]:2018/07/31(火) 22:40:40.54 ID:2b7jK1AR0
今日はここまで。

第2試合は、8月中にあげます。

スマソ
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/31(火) 22:42:22.23 ID:LdITsrIr0
乙です!更新待ってます!
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/31(火) 23:52:02.19 ID:G/xYU6qE0
乙乙
アライちゃん達がもがく姿好き
352 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/01(水) 09:36:34.00 ID:R4f1BhKpO
353 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/08/19(日) 18:26:45.97 ID:C6zsAaNm0
ジョン「さぁ、次の第2試合の準備といきましょう!」

第1試合と同じように、3番目と4番目のアライさん一家の檻に催眠ガスが投入され、スタッフによる試合の準備が進められていた。

俺はふと、あることが気になった。

俺「なぁ、罰ゲームのアライちゃんはあのままなのか?」

先程、罰ゲームを受けたアライちゃんの檻には水が満たされたままになっていた。
また、沈んだアライちゃん3匹、うつ伏せで浮かんだままのアライちゃん2匹もそのままだった。

友人「そうだな...、あれが片付けられるとしたらチャンピオンが決まって、今回の『アライファイト』が終わった後だろうな。」

俺「すぐに片付ければ良くないか?」

友人「すぐに片付けたら、ちゃんと死んだかどうか分からないだろ?」

俺「どういうことだ?」

友人「仮に、アライちゃん達が死んだフリをしている可能性も否定できないからな。」

俺「いやいや、体力的に無理があるんじゃないか?」

友人「例えばの話だよ。」

友人「さっき罰ゲームを受けたアライちゃん達はともかく、野生で十分に教育されて潜水訓練を受けていたアライちゃんは息止めが長く出来るはずだからな。」

俺「そんなのがいるのか?」

友人「いない、とは言い切れないな。」

友人「野生のアライさんで、川を生活圏にしている場合は魚を捕ったりするときにそういうこともするらしいしな。」

友人「そういう意味だと、あの3番目のアライさん一家は気になるところだな。」

俺「えーっと、確か『とある村の畑を荒らし続けた』とか言ってたっけ?」

友人「そう、その村の近くに川があった場合、そういう訓練もしている可能性があるからな。」

俺「畑に飽き足らず、川も汚染していた、と。」

友人「あくまで可能性の話だけどな。」

俺「なるほどね。」

友人「ま、3番目の一家に関しては実際分からないとして、話を戻すと、あの水入りの檻はしっかりと罰をする意味で最後まで残してるんだよ。」

俺「いろいろと考えられてるんだな。」

そうこうしている内に、次の試合の準備が出来たようだった。
354 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/08/19(日) 18:27:34.82 ID:C6zsAaNm0
ステージには、眠った状態のアライさんが2匹。

アライさんEN3-1「すぅー... すぅー...」

アライさんEN4-1「すぅー... すぅー...」

そして、それぞれの檻にはアライさんの子供が眠っていた。

アライちゃんEN3-1「しゅぅー... しゅぅー...」
アライちゃんEN3-2「しゅぅー... しゅぅー...」
アライちゃんEN3-3「しゅぅー... しゅぅー...」
アライちゃんEN3-4「しゅぅー... しゅぅー...」

アライしゃんEN4-1「しゅぅー... しゅぅー...」
アライしゃんEN4-2「しゅぅー... しゅぅー...」
アライしゃんEN4-3「しゅぅー... しゅぅー...」
アライしゃんEN4-4「しゅぅー... しゅぅー...」
アライしゃんEN4-5「しゅぅー... しゅぅー...」

こうして、静かに第2試合の幕が上がり、時間のカウントが始まった。
355 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/08/19(日) 18:28:30.86 ID:C6zsAaNm0
しかし、開始から5分経っても、どちらのアライさんも起きる気配が無い。
しかも、檻の中の子供たちも眠ったままだ。

ちなみに、先程の試合に勝ったアライさんはどうやら目を覚ましたようだ。

アライさんEN1-1「ん、んー! よく寝たのだ。」ノビー

だが、その子供たちはまだ寝ているようだった。

アライちゃんEN1-1「しゅぅー... しゅぅー...」
アライちゃんEN1-2「しゅぅー... しゅぅー...」
アライちゃんEN1-3「しゅぅー... しゅぅー...」
アライちゃんEN1-4「しゅぅー... しゅぅー...」

俺「まだ起きないな。」

友人「そうだな。」

俺「催眠ガスの投入量ってどうやって決まってるんだ?」

友人「一応、これくらいの大きさにはこれくらいの量を投入すると何分後に起きる、みたいな指標はあるみたいだけどな。」

俺「一応はあるんだ。」

友人「でも、一家単位になると数や大きさによって量が変わってくるのは当然として、細かいところまで計算してるわけにはいかないしな。」

友人「まぁ、研究所とかだったらデータ採りのために正確な量を投入したりするんだろうけど。」

俺「つーことは、指標からざっくりとした量を投入してるのか?」

友人「そうだろうね。」

俺「適当だなぁ。」

こうしている間にも残り時間は減っていく。
タイマーを見ると、残り時間は8分を切っていた。
356 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/08/19(日) 18:30:43.83 ID:C6zsAaNm0
その時だった。

アライさんEN4-1「ん、ん〜...」モゾモゾ

片方のアライさんが起きるような気配を見せていた。

アライさんEN3-1「ん〜? 何なのだ...」モゾモゾ

どうやら、もう片方のアライさんも起きそうな兆しがあった。

そして、両者共に目を覚まし、大きく伸びをし、手の甲で顔をこすりながら、目を合わせた。
その姿は、まるで合わせ鏡のようだった。

アライさんEN4-1「ん〜、お前は何なのだ?」

アライさんEN3-1「お前こそ何なのだ?」

何だか間抜けな声の掛け合いをしていた2匹のアライさん。
次の瞬間、目を見開いて急に立ち上がったのだった。

アライさんEN3-1「そうだ! お前を倒さないといけないのだ!」

アライさんEN4-1「倒されるのはお前のほうなのだ!」

ようやく現状が理解できたのか、戦闘体勢に入るアライさん。
この時、残り時間は5分になろうとしていた。
357 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/08/19(日) 18:31:46.38 ID:C6zsAaNm0
友人「ようやくか。」

俺「つーか、起きるの遅くないか?」

友人「確かに遅い。 遅すぎて、周りも盛り上がっちゃいないな。」

確かに、周りから歓声があまり聞こえない。
溜め息や失笑が多く聞こえるくらいだ。

友人「こりゃ、引き分けかな。」

俺「さすがに5分じゃ決着は付かないか?」

友人「武器を持ってるんだったらいけるんだろうけど、無理だろうな。」

俺「仮にさ、決着がつかなかった場合は引き分けになるとして、その場合はどうなるんだ?」

友人「ま、それはお楽しみ、ということでね。」

俺にとっては楽しみもあったものじゃない。
だんだん感覚が麻痺しているとはいえ、目の前で死ぬのはさすがに勘弁だ。
358 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/08/19(日) 18:32:36.95 ID:C6zsAaNm0
さて、ステージのアライさんはというと、お互いに引っ掻きあっていた。
そして、戦っているアライさんの子供たちはというと、眠ったままだった。

俺「あっちはあっちで、起きないんだな。」

友人「あっち、って?」

俺「檻に残ってる子供たちのことだよ。」

友人「あぁ、それね。」

友人「まぁ、あれに関しては罰ゲームのときにしか注目されないし、今起きなくても問題ないからね。」

俺「眠った状態で罰ゲーム、何てことあるのか?」

友人「それはあるな。」

友人「眠った状態から水を浴びせられて、パニくって溺れ死ぬ感じかな?」

俺「なんか嫌だな、それ。」

友人「見てる分には楽しいけどな。」

俺「さすがに俺はその域には、なれないな。」
359 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/08/19(日) 18:33:57.33 ID:C6zsAaNm0
残り2分を切ろうとしていたときだった。

アライしゃんEN4-1「うーん...」

片方のアライさん一家の子供たちが起きようとしていた。
脱出を企てようとしていた方だ。

アライしゃんEN4-1「うーん...」
アライしゃんEN4-2「あれぇ?」
アライしゃんEN4-3「アライしゃんたち、ねてたのりゃ?」
アライしゃんEN4-4「よくねたのりゃ...」
アライしゃんEN4-5「しゅぅー... しゅぅー...」

全員は起きなかったようだが、周りをキョロキョロしていた。

アライしゃんEN4-1「おかーさんがいないのら!?」
アライしゃんEN4-2「ろこにいったのら!?」
アライしゃんEN4-3「おかーさんらけ、にげちゃったのら!?」
アライしゃんEN4-4「だとしたら、にげみちがろこかにあるのら!」
アライしゃんEN4-5「しゅぅー... しゅぅー...」

バンバン

檻の強化プラスチックを叩き始めたアライしゃん達。
そして、ステージに面した壁に来たときにアライさんの姿を発見した。

アライしゃんEN4-3「おかーさんがあそこにいたのら!」
アライしゃんEN4-1「ほんとなのら!」
アライしゃんEN4-2「おかーさん、ろーやってそこにいったのら!」
アライしゃんEN4-4「おかーさんらけ、ずるいのら!」
アライしゃんEN4-5「しゅぅー... しゅぅー...」

しかし、肝心のアライさんは子供たちの様子に気付くことも無く、ただ戦い続けていた。
360 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/08/19(日) 18:34:44.87 ID:C6zsAaNm0
アライさんEN3-1「そこなのだ!」ヒュッ

アライさんEN4-1「ぐっ!」

相手の引っ掻き攻撃を腕で受け止めるアライさん。

アライさんEN3-1「アライさんのターンは終わらないのだ!」

更なる攻撃をするために相手が間合いを詰めて来る。

アライさんEN4-1「隙がありすぎなのだ!」ヒュッ

先程防いだ腕とは逆の腕からカウンターを繰り出すアライさん。

アライさんEN3-1「イタッ!」

相手は思わず、後ろに下がったようだ。

アライさんEN4-1「今なのだ!」

アライさんの攻防が繰り広げられている中、子供たちは必死に声を荒げていた。

アライしゃんEN4-1「おかーさん、アライさんたちをたすけるのら!」バンバン
アライしゃんEN4-2「ろーしてむしするのら!」バンバン
アライしゃんEN4-3「おかーさん、おかーさん!」バンバン
アライしゃんEN4-4「むしするなぁ!」バンバン
アライしゃんEN4-5「しゅぅー... しゅぅー...」

子供たちの声が届いていないのか、戦いに没頭するアライさんだったが、

ビーーーーーーーーーーッ

ジョン「そこまで!」

無常にも終了の合図が鳴り響くのだった。
361 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/08/19(日) 18:35:56.89 ID:C6zsAaNm0
一旦ここまで

結果はお察しでw
罰ゲームパートは、8月中に上げれるように頑張ります。
362 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/19(日) 21:37:55.75 ID:+FoY7Igb0
乙でした
罰ゲーム楽しみです
363 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/19(日) 21:39:44.25 ID:21JZhq2To
乙乙
2家族の結末や如何に!?
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/09/01(土) 06:30:19.71 ID:IZeIAl+ro
続きが見たいのだ!
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/03(木) 18:58:52.91 ID:46NZjaLu0
続きはまだなのだ?
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