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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十五輪目】
- 3 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/16(月) 22:31:58.04 ID:3asXnbEXo
-
天乃「それならぜひ参加させてもらうわ」
「良かったぁ、天乃ちゃんは子供にも好かれやすそうだから助かるわ」
天乃「スタッフとしては働かないわよ?」
「大丈夫大丈夫、いてくれるだけで多分大丈夫だから」
頼りにされてしまっているのは気のせいではないだろう。
自分ではほとんど何もできないからと否定する天乃だったが、
看護師としては天乃の存在がそこにあるだけで充分らしく
子供たちにとっての保育士のような存在足り得るとでも考えているのかもしれない
天乃「私、そこまでの母性はないと思うわ」
「天乃ちゃんは天乃ちゃんが思うよりも魅力十分よ。少しは自信持つべきだと思うの」
天乃「自身がないとは言わないけど……」
「私って魅力的な女よ。とか言っても嫌味にはならなそうな感じあるし」
天乃「夏凜に言ったら呆れられるわね」
魅力的な女を自称していないが、
似たようなことを自慢げに言う勇者部の某部長
それに対する夏凜の対応を思い出した天乃は笑みを浮かべて首を振る
天乃「それで、私は何に参加するの?」
「一通り参加できるわよ」
天乃「お菓子とかお話とか、勇者部でよくやっていることね」
「そうなの? そう言えば、勇者部の話を聞いたことあるかも……」
- 4 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/16(月) 22:46:34.22 ID:3asXnbEXo
-
思い返そうと唸った女性看護師は、
そうそう。小さい子が特にね。と笑顔を浮かべて切り出す
「勇者部のおねーちゃん達はいないのー? って」
天乃「そこまで人気があるとは思わなかったわ」
小さい子供……特に幼稚園などで演劇や本の読み聞かせ、紙芝居を行ったり、
人通りの多い商店街などでの掃除の手伝いや、個人店の軽いお手伝い
猫や犬などの探しやお祭りなどのイベントのお手伝いなど多岐にわたって出向いているため顔が知られているのは当然だが……
「子供は基本的に遊んでくれる人が好きだからねぇ」
天乃「友奈が人気ありそうだわ。あと、風」
もちろん、樹たちもだが
特に同年代のようにはしゃいで遊びまわってくれそうな二人に対しては
より一層の好意が向けられているのだろうと天乃は思う
「勇者部って凄いわねぇ」
天乃「ええ。勇者だもの」
最近は依頼を行うこともほとんどできなくなってしまっており
たくさんの人を不安にさせてしまっているのかもしれないと考え、天乃は少し困った表情を浮かべる
元々車椅子の自分や東郷が出張れないのは仕方がないと割り切られるとしても
快活な友奈達がまったく出てこないというのがより不安をあおってしまっているだろう
天乃「……年末年始は巫女さんの真似事でもするしかないかしら」
「え?」
天乃「こっちの話」
- 5 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/16(月) 22:53:46.76 ID:3asXnbEXo
-
「それじゃぁ、お昼ごろになったら迎えに来るわね」
天乃「ごめんなさい、よろしくお願いします」
「いいのよ。誘ったのは私だもの」
病室のドアが閉じ、一人が減った瞬間、一人が増える
若葉「……ハロウィンか」
女性看護師が病室を出て行ったのと入れ替わるようにして
どこからともなく姿を現した若葉は安堵したような
しかし、どこか申し訳なさを感じる表情を浮かべていた
天乃「若葉たちもこっそり参加する?」
若葉「そうだな……問題なければ紛れ込もうか……ふふっ、一種の怪談話だな」
いないはずの人がいる。10人しかいないのに数えると11人いる
そんなよくある怪談話のようだと苦笑する若葉は、
不意に笑みをかき消して「天乃」と名を呼ぶ
若葉「すまないな、本当は別の――」
天乃「良いわよ。もとはと言えば私が原因なんだもの」
ハロウィンのイベントを勇者部で行って楽しもう
そんな話も今の状況ではなかったことにするしかない
文化祭も、ハロウィンも
次から次へと楽しむはずの行事の約束を反故にしてしまうことを詫びる若葉に
天乃は優しく笑みを浮かべる
天乃「否定は、しないでね」
若葉「……嫌な命令だな」
天乃「じゃないと貴女、自分の力不足だって言い出すでしょう?」
優しい笑みから困った表情へ
緩やかに切り替えた天乃はふとため息をついて
天乃「そういうのって、結構面倒なのよ」
若葉「天乃が言うべきことじゃないぞ。まったく」
天乃「ふふっ、自覚したんだな? と、言いなさい」
若葉「威張るところじゃないな」
- 6 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/16(月) 23:12:05.33 ID:3asXnbEXo
-
茶化すように威張って見せる天乃の笑みに若葉は手を焼かせる子供へと向けるような
呆れつつも元気のよさを喜ぶ笑みを浮かべて、考えを切り替える
ハロウィンを行おうという約束
それを反故にしてしまった罪悪感を持ち出しすぎると
かえって天乃に嫌な思いをさせてしまうからだ
若葉「大分調子も良さそうで何よりだ。一時はどうなることかと思ったが……」
天乃「夏凜たちのおかげでね」
若葉「ああ、彼女たちには本当感謝しているよ」
千景の暴走を止めてくれたり、
万事休すな状況でも諦めない心を持っていてくれて
若葉たちが消えることで天乃の体の不可を取り除くという、
ハイリスクハイリターンな方法をとらずに、自分たちを賭けてくれた
感謝してもしきれないと若葉は心の中に思って
若葉「夏凜達だが、順調に穢れが抜けてきているから11月上旬にも元通りになれるはずだ」
天乃「本当?」
若葉「順調に行けばだが……戦いは行っていないし、問題ないだろう」
推測ではあるがほぼ断定しても良いという若葉に
天乃は少しだけ期待しておくわね。と
少しではない満面の笑みを浮かべていて
若葉「少しだけだぞ」
若葉は祈る
彼女達に何も起こらないようにと
入れ替わるように、天乃へと不幸が訪れないようにと。
- 7 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/16(月) 23:13:30.81 ID:3asXnbEXo
-
√ 10月14日目 昼(病院) ※日曜日
01〜10
11〜20 友奈
21〜30
31〜40
41〜50 千景
51〜60
61〜70 風
71〜80
81〜90 九尾
91〜00
↓1のコンマ
- 8 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/16(月) 23:13:43.56 ID:p4UHI+VfO
- あ
- 9 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/16(月) 23:21:44.02 ID:3asXnbEXo
-
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
ちょっとしたハロウィンイベント
- 10 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/16(月) 23:23:24.49 ID:p4UHI+VfO
- 乙
もうそろそろ久遠さんも元気になるかな
- 11 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/16(月) 23:27:02.58 ID:1Mjd3BeFO
- 乙
シリアス展開が長かった分みんなで楽しめるイベントにしたいな
あと11月になったらいよいよ完全体の園子様とか解禁されるのだろうか
- 12 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/17(火) 19:44:41.31 ID:4KJgfLw5O
- よく考えたら園子完治してもえっち出来ないのか
普通に不憫
- 13 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/17(火) 20:48:20.31 ID:DaDVhS+YO
- 友奈と東郷さんの時みたいに園子が受けならまだいけるのでは
- 14 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/17(火) 22:12:47.92 ID:9Sk08Heoo
-
では少しだけ
- 15 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/17(火) 22:16:43.83 ID:vlKgfkPYO
- かもん
- 16 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/17(火) 22:20:39.34 ID:9Sk08Heoo
-
√ 10月14日目 昼(病院) ※日曜日
病院で行われるハロウィンの催しは
外などで行われているものよりも規模は小さい
だが、子供たちにとってはそれでも退屈な入院生活を楽しませてくれる一つの催しなのだろう
会場となっている広い部屋ではたくさんの子供たちが集まっていた
天乃「賑やかね」
「子供たちはこういう催し物は好きなんですよ」
天乃「ふふっ、確かにね」
幼稚園などで演劇を行う際も
テレビでやるようなヒーローもののものではなくても
子供たちはとても楽しんでくれる
男の子だけでなく、女の子もだ
樹「あっ、久遠先輩っ」
天乃「あらっ」
かけられた声に目を向けると、
帽子だけのものではあるが、細やかな仮装をした樹がタロットカードを片手に近づいてきた
樹「来てくれたんですね」
天乃「ええ、身体の調子も良いし。せっかくのお誘いだもの」
樹「良かったです。元気になってくれて」
嬉しそうに言う樹は昨夜に見せていた影のない笑みを浮かべていて
天乃もつられて笑みを浮かべる
- 17 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/17(火) 22:38:22.26 ID:9Sk08Heoo
-
天乃「樹は魔女の仮装よね? 全身じゃないのは残念だけど……かわいいわ」
樹「えへへ……」
照れ臭そうに頬を染めて幅広の唾を摘まんで深めに被った樹は
帽子の影から目を覗かせて、それでですね。と口を開く
樹「私は占いをやってるんですっ」
天乃「樹の占いは良く当たるって人気だものね」
樹「それほどでもないですけど」
そう答える樹の背後、
樹がさっきまで占いをやっていたであろう場所では何人かの子供―全員女の子―が集まっていて
その内容は聞くまでもなく、明白だった
天乃「恋占いね……ふふつ、私の運命の相手も占ってもらっちゃおうかしら」
樹「久遠先輩にはもういますよ?」
天乃「そうね。そうだけど……」
楽し気に笑った天乃は「そうなんだけど」ともう一度繰り返して、
帽子の隠れた樹の顔をしたから見上げて
天乃「私がいるじゃないですかって、言わないのね」
樹「っ!」
天乃「ふふっ、かわいい」
樹「か、からかわないでくださいっ」
飛ぶように後ろへと引き下がって声を上げる樹
その愛らしさを喜ばしそうに言う天乃へと樹はちょっぴり目を細める
天乃の運命の相手は自分ではなく夏凜だと思っているのだ
しかし、天乃はその視線に気づいていないのか笑顔で
天乃「私としては、貴女達みんなが運命の相手だと思ってるのよ?」
- 18 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/17(火) 22:50:15.78 ID:9Sk08Heoo
-
誰か一人欠けていてはここまでこれなかったかもしれない
ここまで来れていたとしても、誰かが欠けていたかもしれない
あるいは、ここまで生きていたいと
そんな願いを持つことはなかったかもしれない
だからこそ、天乃は思う
天乃「勝手に。だけどね」
樹「やっぱり、久遠先輩は久遠先輩ですね」
天乃「どういう意味か気になるんだけど――」
「お姉ちゃんお姉ちゃん、まだー?」
天乃「樹お姉ちゃんはまず、その子たちの相手をしてあげないとね」
樹「久遠先輩にお姉ちゃんって呼ばれるとなんだか照れちゃいます」
かわいらしく照れ笑いを浮かべる樹が子供たちに引っ張られ、占いへと戻っていくのを見送った天乃は
部屋の片隅で男の子を集める女性へと目を向ける
樹の占いや、折り紙でのかぼちゃやお化けなどの折り方など
いくつかの催しがある中の一つ
樹とは違って完全に魔女の衣装を着こんだ女性
光をきれいに反射させる輝きは美しく
魔女と言われても信じられるような姿
その女の人は子供たちに一定以上離れるように言うと、両手を合わせて離す
その瞬間――ボッっと小さな爆発のような音が鳴り、
女の人の手と手の中心に赤い光が輝いていた
子供たちの歓声と称賛
手品だなんだと楽しそうに聞こえる声を向けられる女性は
浮かぶ火の玉を右手の平に乗せて、くくくっと、悪戯っぽく笑う
九尾「南瓜提灯というものを知っておるじゃろう? これはそれの元になった光。どうじゃ、美しかろう?」
- 19 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/17(火) 23:12:31.32 ID:9Sk08Heoo
-
「すげーっ、どうやったの!」
「手品だよ手品」
「糸でつるしてるんだよ」
「でも糸なら燃えちゃうよー?」
九尾「くふふっ、妾は魔女じゃ。魔法を使ったのじゃよ」
そう言った九尾は
掌の上で踊る火の玉を手で包むと、ぎゅっと握り込んで
「やけどしちゃう!」
九尾「普通ならするが、魔法ではせぬ」
傷一つない掌を子供たちへと見せた九尾は
その手のひらを握ったりもんだり突いたり
何か隠しているのではないかと調べる子供たちの背後から感じる視線に気づき、
にこやかに笑う
九尾「眠り姫ではないか」
天乃「何してるの……貴女」
天乃が近づくと子供たちは九尾から離れ
九尾が出した火の謎について話し合いを始める
手品説を押す者
魔法を信じる者
子供たちにとっては楽しい催し物のようで
九尾はそんな子供たちを横目に答える
九尾「催し物には派手さが足りぬと思うてのう。ちょいと協力してやっているだけじゃ」
天乃「協力って……」
九尾「狐火を見せるだけじゃ。危害はない」
- 20 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/17(火) 23:33:21.54 ID:9Sk08Heoo
-
念のために離れるようにと指示していたし、
火力は最小限ですぐに消したことからも
それは解ってはいるのだが
九尾が自発的に行っているのが少し、気掛かりなのだ
九尾「何もせぬ。安心しておれ」
天乃「それは良いのよ。それは……」
気にはなるが
天乃が無意味な犠牲を好まない以上
天乃が元気になっている今余計なことはしないはずだ
それを天乃も分かっているからか、
悩まし気な表情を浮かべながら頷く
天乃「それで? なんで狐火なの? 南瓜提灯の元の光って言ってたけど」
九尾「正しくはあの光を現したのが南瓜提灯じゃな」
そう言った九尾はもう一度狐火を出すと、
狐火を代替として見せつつウィルオウィスプとジャック・オー・ランタンについての話をする
謎の光について話し合っていた子供たちも
九尾の披露する怪談にも似たお話は好みだったらしく、静かに耳を傾けていた
九尾「だから、これがもとになった。というように話したわけじゃ」
最後の最後でもう一度小さな火を出して、かき消す
九尾のパフォーマンスに子供たちは大喜びだった
1、風を探す
2、ねぇ、どうして貴女が西洋の文化に詳しいの?
3、あまりやりすぎないようにね?
4、友奈達のところに行く
5、夏凜のところに行く
↓2
- 21 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/17(火) 23:34:22.30 ID:4KJgfLw5O
- 4
- 22 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/17(火) 23:34:49.59 ID:n2SwkBQy0
- 4
- 23 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/17(火) 23:35:17.67 ID:vlKgfkPYO
- 5
- 24 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/17(火) 23:49:00.46 ID:9Sk08Heoo
-
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
天乃「トリッ――」
東郷「お菓子はありません!」バンッ
天乃「っ!?」
友奈「えっと、あ……えーっと……にょ、女体盛り? ならここに!」
天乃「東郷」チラッ
東郷「え、冤罪です!」
樹(この前パソコンで見つけたやつだ……)
- 25 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/17(火) 23:49:36.86 ID:4KJgfLw5O
- 乙
アリだな
- 26 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/17(火) 23:55:03.41 ID:vlKgfkPYO
- 乙
魔女っ子いっつんかわいい
あとなんだかんだ言って九尾もハロウィンをエンジョイしてるな
- 27 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/18(水) 09:19:51.25 ID:+yLrHe9AO
- 乙
久遠さんは平気で運命の相手と言えてしまうから久遠さんなんだよなぁ
嬉しいに決まってるじゃんこんなの
- 28 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/18(水) 14:31:22.11 ID:VEc1A2YIo
- 友奈達の部屋に行くなんて…お菓子(て)貰いに行くのかな?
- 29 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/18(水) 22:28:04.68 ID:hO1hKVbZo
-
では少しだけ
- 30 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/18(水) 22:29:24.25 ID:QGdSxFExO
- ほいさ
- 31 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/18(水) 22:36:47.81 ID:hO1hKVbZo
-
天乃「友奈達は……来てないのね」
「そのようですね。やはり、身体の症状的に出歩くのは難しいのかもしれません」
いつ、どこで、
何が起きてしまうのか、何をしてしまうのか
自分の理性だけではどうしようもない状況の友奈達は
病室から出ることは出来るかもしれないが、出てくる気にはなれないのだろう
見知らぬ人の前で高ぶって淫らな行為に没頭してしまう。
そんなことになったら、友奈達は二度と表を歩けないと思うかもしれない
それなら……と
天乃は考えて看護師の女性へと声をかける
天乃「友奈達のところに行きましょう」
「え……本気ですか?」
天乃「大丈夫よ。襲われたりするわけではないし……」
「ですが」
天乃「あのお菓子も持って行ってあげたいわ」
「…………」
忠告しようとしても受けようとしない天乃を見つめていた女性は、
どうしても行くのだろうと半ば諦めた様子で肩を落とし、お菓子を配る同僚のもとへと天乃を連れていく
- 32 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/18(水) 22:44:08.05 ID:hO1hKVbZo
-
天乃「あと二人分頂けないかしら」
「二人分?」
天乃「病室から出られない二人にも渡してあげたいのよ。駄目かしら?」
車椅子の少女の必然的な上目遣いを前に、
パンプキンパイを配る女性看護師は困ったように天乃の担当看護師へと目を向けて、
特に遮る様子もなくお願いします。と、むしろ求めてくるのを確認して笑みを浮かべる
子供に対しての、優しい笑顔だ
「お友達の分ね、はい。どうぞ」
子供に対するようなゆったりとした明るい言い方と、渡し方
この場での儀礼のようなものなのだろうが、
天乃は受け取ったお菓子の包みをじっと見つめてから、
渡す係の女性へと目を向ける
天乃「友達じゃないわ。恋人よ」
「えっ?」
天乃「恋人」
最初こそ驚いた女性だったが、
天乃の平常な物言いに冗談だと考えたのか、
ただ好意があるだけの相手だと考えたのか
冗談に乗っかったような笑みをこぼして「そうなのね」とつぶやく
「貴女みたいな子に好かれるくらいなんだから凄くいい子なのね」
天乃「ええ」
きっとよく分かっていないだろう女性に天乃は満面の笑みを浮かべて首肯すると
天乃「とても可愛い女の子よ」
「!?」
驚く女性を横目に、天乃は看護師の女性にお願いして
友奈達の病室へと向かうことにした
- 33 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/18(水) 22:55:16.41 ID:hO1hKVbZo
-
「あの、本当に行くの?」
天乃「デジャヴュを感じるわね」
「……………」
もうすでにハロウィンの会場を出て友奈達の病室へと向かって数分
あと少しでたどり着くというところになって、女性看護師は引き止めるような言葉をまた切り出す
前回、粗相をしてしまったということもあって、
やはり、心のどこかで怯えてしまうのだ
冗談でいざというときは天乃に責任を取ってもらうなどということを言ったが……
流石にそれを本当のことにするわけにはいかない
「天乃ちゃん、エッチな事をする為に行くの?」
天乃「それも半分くらい目的ではあるわ。もちろん、場合によってだけど」
看護師は知らないが、
友奈達が淫らな行為を行いたい衝動に駆られてしまう原因は穢れにあり、
それを早急に消してしまうために天乃は淫らな行為を行う
だからこそ、友奈達が昨日のような状態ではないのならば行う必要はない
天乃は会場でもらったパンプキンパイの入った包みを掲げて見せると
せっかくのハロウィンだから。と、笑みを浮かべる
天乃「少しでも共有したいって気持ちの方が強いわ」
文化祭を一緒にできなかったからこそ
その気持ちも余計に強いのかもしれない
- 34 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/18(水) 23:05:13.32 ID:hO1hKVbZo
-
天乃は全く戻ってきていないが、
友奈に関しては味覚の回復も少しずつではあるが順調に進んでいるだろうし、
味の感じられるお菓子を食べさせてあげたいという気持ちもある
本来なら、東郷の牡丹餅が優先的なのかもしれないが。
今はこの状況だ、ないものは出せない
いっそ作ってあげてもいいけれど。と思いつつ
味覚のない自分にはそれは無理だと考え直して、
天乃「貴女がどうしても駄目だというのなら、引き返しても良いわ」
「いいの?」
天乃「これは私の我儘だもの。ある意味で、貴女は被害者だから」
無理強いはしない
どうしても駄目、どうしてもいやだというのなら仕方がない
そう割り切って言う天乃の声に耳を傾け、足を止めた看護師の女性は
少しだけ躊躇いながら……また足を前へへと進めて
「するときは、部屋から出ていくからね」
天乃「……混ざっても良いのよ?」
「だーめ。中学生の女の子とエッチで盛り上がれるようになっちゃったら結婚できなくなっちゃう」
なるようになれ
そう言いたげな声色で適当に笑って見せる看護師は、
責任を取ってもらえるならそれでもいいけど。と、冗談ぽく、半分の本気を呟いた
- 35 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/18(水) 23:07:16.74 ID:hO1hKVbZo
-
01〜10
11〜20 白熱中
21〜30
31〜40
41〜50 ガンガン行こうぜ
51〜60
61〜70
71〜80 くんずほぐれつ
81〜90
91〜00 たのしいぷろれす
↓1のコンマ
※空白は通常
- 36 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/18(水) 23:09:38.52 ID:UPYxhXaxO
- あ
- 37 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/18(水) 23:09:41.49 ID:QGdSxFExO
- あ
- 38 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/18(水) 23:15:44.75 ID:hO1hKVbZo
-
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から行う予定ですが
もしかしたらお休みになるかもしれません
友奈「とりっくおあとりーと!」
天乃「はいどうぞ。じゃぁ、友奈」
友奈「はい?」
天乃「トリックオアトリート!」
友奈「ええっ!?」
東郷(子供が二人に見えるわ)
- 39 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/18(水) 23:20:07.13 ID:3uSBw7SMO
- 乙
かわいい
- 40 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/18(水) 23:26:08.32 ID:QGdSxFExO
- 乙
友奈ちゃんたちがそんなに発情しやすいことを考えると襲うことを踏みとどまった夏凜ちゃんの精神力って相当凄かったんだな
- 41 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/19(木) 06:49:48.45 ID:ThpC6YesO
- 乙
陽乃さんの血を引いてるからな
久遠さんが楽しんでるだけで日常は尊いわ
- 42 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/19(木) 19:32:51.43 ID:3agj7SemO
- 夏凜に関しては軽めの友奈たちがアレなの考えると適度に汚れ抜けてくるこれからなんじゃないの?
- 43 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/20(金) 21:35:47.84 ID:W5MFq/zzo
-
では少しだけ
- 44 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/20(金) 21:39:36.82 ID:W5MFq/zzo
-
天乃「友奈ー? 東郷ー?」
病室の扉を軽く叩いて、まずは声をかける
もしも万が一淫らな行為をしていた場合、大きなノックは驚かせてしまうし
訪問者がだれか分からないとどうするべきかに迷いが生じてしまうからだ
もちろん、
天乃だから関係なく没頭してても良いとは考えないだろうが。
天乃「は――」
返事がなく、もう一度声をかけようとしたところで扉が開いて
風を巻き起こしながら、何か白い物体が飛び出す
友奈「ばあっ!」
「っ」
驚いた……わけではなく。
おそらくは病室内の白いカーテンを被っただけのオバケに車椅子がぶつからないようにと身を引いたのだろう
車椅子が揺れたのを体に感じて言葉が一歩後退りした隙に、
オバケ―明らかに友奈―は白い手を差し出す
友奈「トリックオアトリートっ!」
天乃「あるわよ」
友奈「とりーと?」
天乃「ええ」
明らかに友奈だと
そう確信してにやりと笑みを浮かべた天乃は、
パンプキンパイの入った包みをちらつかせながら、口を開く
天乃「でも、幽霊はお菓子を食べられないから駄目よ。食べ物を粗末には出来ないわ」
友奈「食べられますっ」
案の定、自分でずるりと布を引きずり剥いで勢い有り余る様子で宣言する友奈が姿を現して
天乃はより一層悪戯っ子の笑みへと深めていく
- 45 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/20(金) 21:43:52.38 ID:W5MFq/zzo
-
天乃「知ってる? ハロウィンでは仮装をしないでお菓子を食べると自分自身がオバケのお菓子にされちゃうらしいわ」
友奈「えぇっ!?」
天乃「嘘よ」
友奈「久遠先輩っ」
本気にしちゃったじゃないですか。と
本気には見えない可愛らしい抗議の声を耳にして天乃は苦笑する
完全に穢れが抜けきったわけではないが、
若葉が言ったように本当に問題ないのだろう
顔色も、声色も何も問題なさそうな友奈を認めた天乃は貰ってきた包みを差し出す
天乃「はい。パンプキンパイよ」
友奈「わーい」
昨日の件に関しての負い目も抱えている可能性が少なからずあったが、その心配は要らないらしい
天乃はおばけの仮装を忘れて喜ぶ友奈をほほえましく見つめて、小さく息をつく
天乃「友奈、中に入ってもいい?」
友奈「あ、はいっ。大丈夫です」
受け取った包みの中をまじまじと眺める友奈に声をかけ、病室の中へと入っていくと、
昨日のような淫猥なにおいは微塵も感じなかった
ただ、窓が開いているというだけではない
おそらくだが、朝からさほど没頭することがなかったがゆえだろう
東郷「友奈ちゃん、仮装はやめちゃったのね」
友奈「幽霊だとお菓子は食べられないって久遠先輩が……」
東郷「そういう時は悪戯するって、言ってなかった?」
友奈「あっ……」
東郷「もう、友奈ちゃんったら」
友奈「えへへ」
- 46 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/20(金) 22:06:06.93 ID:W5MFq/zzo
-
天乃「調子は良さそうね」
東郷「昨日、久遠先輩お相手して貰えたからだと思います」
天乃「あながち冗談とも言えないのよね、それ」
力を有している天乃が行うことで、
東郷達の体に宿った穢れが多少なりにも天乃の方に引き寄せられるような形で
通常よりも多く抜けた。という可能性もあり得なくはない
もちろん、正確なことは不明だが。
天乃「ところで、座敷童さんは洋菓子でも大丈夫かしら?」
東郷「仮装しているつもりはないんですが……快く頂きます」
天乃「艶がかった長い黒髪に、陶器みたいに白く神々しい肌の日本人形の方がよかったかしら」
東郷「久遠先輩だって髪色以外は同じですよ……南瓜包みですか」
天乃の冗談に苦笑いを浮かべながら、東郷は差し出された包みを受け取って開封する
東郷は和食を好み、お菓子に関しても和菓子を好むという徹底ぶりを見せているが、
だからと言って一切口にしないというわけでもない
東郷「ん……おいしい。南瓜がまったりとした甘さで程よく溶けてくれてしつこくないのがありがたいわ」
天乃「喉にも配慮してあるんでしょうね。きっと」
東郷「病院で出されるものですから、そうかもしれません……ところで久遠先輩」
天乃「なに?」
呼びかけ、天乃のことを調べるように見つめた東郷は、
わざとらしく人差し指を立てて
東郷「久遠先輩は西洋版座敷童とかどうでしょう?」
天乃「私の身長的な意味で? うん? トリックしちゃう?」
東郷「そ、そこまでは言っていませんが」
半ば本気で悪戯を仕掛けようとしているように身を乗り出す天乃に、
東郷は慌てて答えを返して、否定する
……身長的に。と思ったのは事実だったが。
- 47 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/20(金) 22:24:23.21 ID:W5MFq/zzo
-
友奈「このパンプキンパイおいしいですっ」
天乃「そう。良かった」
一時は味覚が完全になくなってしまっていたからか、
味覚はむしろ敏感に反応しているのだろう。
入院患者に合わせて控えめに味付けされているであろうパンプキンパイも
友奈はとてもうれしそうに、美味しそうに頬張る
天乃「ふふっ」
天乃は味覚がない
だから食べてもなにも感じない
しかし、友奈が美味しそうに食べているのを見ていると
美味しいのだろう。ということだけは解るし
何となくではあるが、味が感じられるような気分に浸ることができる
まだみんなに味覚のことを秘密にしていた際に、
とても重宝していた日常の要素だ
天乃「あら」
友奈「?」
天乃「…………」
美味しそうに食べる分、口元についてしまったパイのひと欠片に気づく
1、教えてあげる
2、とってあげる
3、トリック・オア・トリートする
↓2
- 48 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/20(金) 22:33:22.53 ID:AvqZFRL0O
- 今日早いな
安価なら3で
- 49 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/20(金) 22:39:21.34 ID:hSVqUCE+O
- 3
- 50 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/20(金) 22:46:34.91 ID:W5MFq/zzo
-
中途半端になるので、本日はここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
天乃「トリックオアトリート!」
友奈「!?」
東郷「久遠先輩の悪戯、私、気になります!」
風「嫌な予感しかしない」
樹「占いの結果は……うん、なんでもない」
- 51 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/20(金) 22:52:12.69 ID:sXx3KpcVO
- 乙
トリックオアトリートするとかいう謎の動詞
私、気になります!
- 52 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/20(金) 22:55:45.37 ID:hSVqUCE+O
- 乙
数日前まで生きるか死ぬかの瀬戸際だったとは思えないぐらい平和だなぁ…
- 53 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/20(金) 23:45:41.17 ID:AvqZFRL0O
- 乙
久遠さんは清涼剤だからね
久遠さんが元気だと空気が全然違う
- 54 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/21(土) 09:34:23.73 ID:vq/dQIO3O
- 友奈ちゃんかわ
日常描写を大切にしてた一期みたいな感じで尊い
二期は尺があれとはいえ終始追い込まれててなぁ…
- 55 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/21(土) 22:00:27.74 ID:cIp87YE+o
-
では少しだけ
- 56 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/21(土) 22:02:37.45 ID:7heUg+/UO
- よしきた
- 57 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/21(土) 22:03:03.47 ID:cIp87YE+o
-
天乃「そう言えば、オバケの仮装をしていたんだもの。友奈は当然ハロウィンだってわかっていたのよね?」
友奈「はいっ、本当はもうちょっと色んなこともしたかったんですけど……出来なくて」
天乃「それでカーテンを使って仮装してたのね」
友奈「えへへ……だから前が見えなくてちょっと危なかったです」
パンプキンパイを美味しそうに食べる友奈はちょっとだけ手を休めて
少し困ったように笑みを浮かべる
ドアの直前ではなく、ベッドからかぶっていったのだろう
それは確かに危ないと注意して
天乃「それなら、友奈」
友奈「はい?」
天乃「トリック・オア・トリート」
友奈「えっ」
天乃「お菓子がないなら悪戯させて貰うわ」
嘘をついたり隠し事が苦手な友奈が驚きを露わにしたことにお菓子がないことを確信して
にっこりと。
天乃はちょっぴりの悪戯心を含んだ笑みを浮かべる
友奈「う……」
天乃「ハロウィンだって分っていたんだもの。あるでしょう?」
友奈「それは……その〜」
ちらりと自分の手元、
天乃が渡したパンプキンパイへと友奈が目を向けた瞬間に
天乃は「あら?」と、わざとらしく声を漏らす
天乃「私があげたお菓子をそのままというのは、無しよ?」
友奈「うぅ……」
小さく声を漏らした友奈は残念そうに口をすぼめて、
観念したのだろう「持ってないです」と答える
- 58 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/21(土) 22:24:55.48 ID:cIp87YE+o
-
友奈「……優しい悪戯にしてください」
天乃「そう求められると、少し優しくない悪戯をしたくなっちゃうわね」
友奈「そ、それならきつい悪戯をお願いしますっ」
天乃「言質を取ったわ」
友奈「あぅっ」
やってしまったと友奈が悲し気に声を漏らしたのを一瞥して、
天乃は「もちろん優しくするわよ」とほほ笑む
悪戯と言っても、流石に嫌がるようなことをする気はない
ハロウィンという楽しいイベントを壊すようなことはしたくないのだ
友奈「うぅ……どんとこいですっ!」
覚悟を決め、宣言する
そんな友奈に酷いことをすることはないだろうと、
隣のベッドに横になっている東郷はほのぼのとした笑みを浮かべながら見守る
その、前で。
天乃「ん」
友奈「っ!」
友奈の頬に、キスをする。
ついてしまった小さなお菓子の欠片を吸い取るように
優しくふわりと触れ合うような感覚で。
天乃「頬にお菓子がついてたから……ちょっとした悪戯よ? 優しかったでしょ?」
- 59 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/21(土) 22:45:34.38 ID:cIp87YE+o
-
友奈「あっ、えっ」
本人にとっては
そう、【天乃にとっては】ほんの些細な悪戯が成功したことを喜ぶ無邪気な笑みの傍ら
呆然と声を漏らした友奈は見る見るうちに顔を赤く染め上げて行って、
パンプキンパイを食べるための小さなフォークを手から落とす
友奈「く、久遠先輩……っ!?」
天乃「うん?」
友奈「え、あ、い、今……今ッ!」
天乃「ほっぺにお菓子がついてたから取ってあげたのよ。口で」
にっこりと。
それはもう、悪意も悪戯心もない純真無垢な笑みを浮かべる天乃に
友奈は言うべき言葉を見失って「うーっ」と声を漏らして触れられた頬に手を宛がう
まったく意識していなかった不意を突いた頬へのキス
それが悪戯だというのなら、確かに大成功だったのだ
友奈「そんなのずるいです……」
天乃「嫌だった?」
友奈「そういうわけじゃ! た、ただ……ただ、その、全然そう言うつもりなかったので」
天乃が感じていないのに自分だけ感じている気恥ずかしさという温度差
その気にさせるだけさせてくるという天乃の本質を感じさせられた気がして
友奈は高鳴る胸に手を宛がう
友奈「……凄く、驚いちゃって」
- 60 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/21(土) 22:59:52.45 ID:cIp87YE+o
-
東郷「……久遠先輩」
天乃「なに?」
東郷「私の頬にも――」
天乃「唇しかついてないじゃない」
東郷「唇がついていますが」
それじゃただのキスになるじゃない。
そう困ったように言う天乃に、東郷は「つければいいんですか?」と
食い下がって問う
もちろん、わざとつけても意味はない
無意識に付けてしまっていた友奈だからこそ
天乃も悪戯としてそれを行ったのだから
天乃「解ってたら悪戯にならないわ。残念ね」
東郷「つまり後ろから押し倒さないと驚かないってことですね」
天乃「それは前からでも十分なサプライズだわ」
友奈「……ん」
友奈はさっきまでとは打って変わって小さく切り出して丁寧に口へと運ぶ
零れないよう、落とさないよう、口周りに付かないよう気を付けて。
そんな友奈を認めて、天乃はちょっぴり申し訳なさげに眉を顰める
天乃「ちょっと驚かせすぎちゃったわね。ごめんね」
友奈「いえ、その、なんというか……」
いうべきかと悩んだ友奈は、
どうせ黙っていても仕方がないのだからと考えたのだろう
天乃を真っ直ぐ見つめて、答える
友奈「さっきので、ちょっとだけスイッチ入っちゃったかな〜……なんて」
- 61 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/21(土) 23:04:29.03 ID:cIp87YE+o
-
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
風「あーそうだった。こういうやつだったーっ!」
沙織「最近、色々あって忘れてたけど久遠さんはこういうところあるよね」
園子「私のことも忘れてるよね〜」
園子「あれ〜? お嫁さんじゃなかったかなぁ〜?」
園子「ん〜? 病んじゃっても良いかな? そろそろ」ニコッ
夏凜「少し落ち着きなさい。ね?」
- 62 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/21(土) 23:09:55.78 ID:7heUg+/UO
- 乙
久遠さんの悪戯好きなところを久々に見れて嬉しい
そしてそのっちは治ったら久遠さんに激しいこと要求しそうだ…
- 63 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/21(土) 23:16:20.40 ID:hssURrNV0
- 乙
ええい!園子のいちゃいちゃはまだか!
- 64 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/22(日) 08:45:36.02 ID:JHPxQ7DnO
- その気にさせるだけさせる天乃の本質とかいう誘い受けの鑑
そういえば久遠さんってこういう子だったわ
- 65 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/22(日) 22:04:34.03 ID:ZAVZ6+Qco
-
では少しだけ
- 66 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/22(日) 22:07:23.56 ID:hrYBnCP7O
- おk
- 67 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/22(日) 22:08:25.72 ID:ZAVZ6+Qco
-
天乃「それは……ちょっと軽率だったわね」
友奈「い、いえっ、そんな。多分、穢れが関係なくてもドキドキしちゃってたと思うので」
意識的に行っていても恥ずかしいと思うことはあるが、
ある程度心の準備が出来ている分、余裕はあるのだ
だが、さっきみたいに不意を突かれてしまうと
心に余裕はないし、動揺もより酷く
そしてなにより、それに対しての本当の意味での素の部分が垣間見えてしまう
穢れによる影響で多少なりと誇張されてしまうが、根本的な部分は何も変わらない
友奈「……柔らかくて、ちょっとだけ潤ってて、久遠先輩の匂いがして」
天乃「そんな感想言わなくて良いからっ」
友奈「無意識だったから、じわじわ感じて、キスされたんだって思ったら熱くなっちゃって」
天乃「うん、うんっ、分かった。分かったからっ」
ちょっとやめて。と、制止する天乃に構わず友奈は呟く
吐露して熱を吐き出していかないと、
真っ赤な茹でダコになってしまいそうで
唇の触れた頬を手で押さえながら、友奈は言う
友奈「好きな人と握った手を洗いたくないって言う気持ちが少しだけ分かった気がします」
天乃「お願いだからちゃんと洗ってね?」
友奈「えへへ、久遠先輩とはいつも出来るのでちゃんと洗いますけど、でも、この感覚が無くなってほしくないなぁって思うんですよ」
東郷「洗っても思い出は消えないのに、消えちゃう気がするのね。解るわ友奈ちゃん」
- 68 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/22(日) 22:19:13.41 ID:ZAVZ6+Qco
-
天乃「そういうものなのねぇ」
東郷「見事な悪戯だったと思います。友奈ちゃんの可愛さも割り増しだったわ」
友奈「うぅ……」
東郷「私の可愛いところも見てみたくないですか?」
天乃「貴女も十分可愛いわよ。下手なことしなくても」
東郷「率直に褒められると純粋に気恥ずかしさを覚えますね……」
冗談に対して本心の笑みで答えられてはどうしようもないと
東郷はほんのりと赤みがかった表情で頷いて呟く
天乃は責められることに弱いが、
こと攻めることに関しては、意識的よりも無意識的にする方が強かったりもするのだ
もちろん無意識、ゆえに無自覚で本人はそうと思っていないのだが。
友奈「恋愛は羞恥心が無くては成り立たない。けれど、無いほうが良い時もある……」
東郷さん言ってたよね。と
友奈はいつかの東郷との会話を思い出して、
初耳である天乃は困惑したように東郷へと目を向ける
東郷「確かに言ったわね。多少の恥じらいがあってこそ一つ一つの仕草により愛らしさが芽生える」
けれど。と、続けて
東郷「羞恥心だけでは、想い一つも伝えることが出来なくなってしまうから」
恋をしている中で、そう思ったんですと語った東郷は
改めて自論を語るのはなんだかむず痒く感じますねと気恥ずかしげな笑みを浮かべる
天乃「でも解らなくは無いわよ? 恥ずかしがって口にしなかったり行動しなかったりすると何も出来ない何にもならないもの」
東郷の意見に同調して見せた天乃は、それにね? と、まだ頬の赤い友奈を一瞥しながら微笑んでみせる
それに気づいた友奈はまた、頬を赤らめて目を逸らす
その仕草に、天乃はより一層深い笑みを浮かべて
天乃「恥らう姿って、可愛くてドキドキするわよね」
友奈「からかってる笑い方じゃないですかっ!」
- 69 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/22(日) 22:44:16.10 ID:ZAVZ6+Qco
-
小さく笑い声を零した瞬間、少しだけムッとした友奈が抗議の声を上げる
ちょっぴり怒った―可愛らしさしかないが―というアクセントに天乃は驚いたふりをしてみせながら、
解ってきてるじゃない。と、茶化したように笑う
友奈「えへへ、そうです……じゃないですっ。ごまかされないですっ」
天乃「あら残念」
友奈「むぅっ」
断固講義しますとでも言いたげに頬を膨らませる友奈を一瞥した天乃は、
困ったものだわ。と、残念そうに息をつく。
それだけで友奈が不安そうにするのを視界の端に捉えて、やっぱり友奈は友奈なのだと思う
天乃「友奈をからかったのは本当だけど、謝るのは嫌だわ」
だって。と続ける
天乃「友奈を可愛いと思ったことは事実だもの」
友奈「久遠先輩は……」
天乃「なあに?」
友奈「っ」
目を向けられて、目を逸らす
淫らな行為をしているわけではないのに
それ以上に感じる胸の高鳴り
それはきっと純粋に天乃に好意があって、その天乃から心が弾むことを言われたからだ
冗談と本心の入り混じる天乃の言葉
けれど不思議と、疑うような気持ちはどこにもなかった
友奈「……やっぱり、ずるいです」
- 70 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/22(日) 22:45:43.72 ID:ZAVZ6+Qco
-
√ 10月14日目 夕(病院) ※日曜日
01〜10
11〜20 風
21〜30
31〜40 夏凜
41〜50 若葉
51〜60
61〜70
71〜80 千景
81〜90
91〜00 園子
↓1のコンマ
- 71 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/22(日) 22:45:58.62 ID:XRAqFbX4O
- あ
- 72 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/22(日) 22:58:25.95 ID:ZAVZ6+Qco
-
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
東郷「……」カタカタカタ
【急募】彼女に可愛いと言われる方法【言われたい】
園子「……」カタカタカタ
【会いたい】彼女に会いに来てもらう方法【入院中】
風「あんたら何やってんの?」
- 73 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/22(日) 23:02:48.31 ID:XRAqFbX4O
- 乙
かわいい
- 74 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/22(日) 23:05:29.05 ID:hrYBnCP7O
- 乙
年上の余裕を見せつけていく久遠さん
そんな久遠さんにムラムラしている鷲尾組…というかよく見たら園子様体治ってるじゃないかw
- 75 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/23(月) 06:30:49.25 ID:oiarvp57O
- 乙
可愛い尊い
もうずっとこんな感じで日常続けて年越しして結婚ENDで良くない?
- 76 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/23(月) 22:11:12.04 ID:SoxxUxIoo
-
では少しだけ
- 77 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/23(月) 22:12:08.11 ID:VOG6PdmoO
- あいよー
- 78 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/23(月) 22:22:02.94 ID:SoxxUxIoo
-
√ 10月14日目 夕(病院) ※日曜日
楽しかった時間も過ぎていき、夕方になった病室
まだ一人部屋の天乃は、
少し前まで聞こえていた友奈達の声に浸るように目を瞑る
明るい声、元気な声
喜んだり、ちょっぴり怒ったり
感情の注がれた愛おしい音色
味わったからこそ失ったときの寂しさが増してしまう
もちろん、聞こうと思えば聞くことができるのだ
尾を引くようなことでもないのだが。
天乃「……んー」
来月になればまた、みんながだんだんと集まっていく
そう考え、ふと思い出したように引き出しから一枚の紙を取り出す
第一希望から第三希望までの空欄のある学校への提出物
天乃「進路希望調査票……来月末だったわよね」
本来なら10月末に提出の予定を、
天乃の身体的問題等を考慮したうえで11月末で構わないと言われたものだ
しかし……
天乃「私、来月に登校できる保証ないのよね」
それならそれでまた担任の先生が来てくれるのだろうが、
本当の問題は全く考えられていないということだ
天乃「全部結婚で埋めたら怒られるかしら?」
- 79 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/23(月) 22:36:41.15 ID:SoxxUxIoo
-
1に結婚、2に永久就職、3に主婦
指で文字をなぞって書いていく
沙織はきっと「真面目だね」と、大真面目にふざけたことを言うだろうし、
風はきっと、手伝うから高校行かない? と誘ってくる
担任ももう少ししっかり考えるべきだというはずだ
体のことを考えて進学を辞退するのは勿体ないと。
だが、天乃には子供もいる。
それを踏まえて考えるのならば、
数少ないものではあるが、通信制の高校という手段もなくはない
やはり、天乃とは状況が変わってくるが、
四肢のどこかが不自由であったり、
皮膚などの病気等で外出を控えるべきだと判断されている子供、
それ以外にも多岐にわたって様々な理由が感がえられるが、
そういう子供が利用する高校だ
天乃「車椅子に、子供。悪くない判断ではあるのよね」
みんなも否定はしないだろうし、
進学し、学生を続けることを喜ぶ声は多いだろう
だからといって、そうするとはまだ決めきれない
体の調子が良くなったとはいえ、
いつ崩れてしまうのかが分からない現状、簡単には決められないのだ
天乃「難しいわよね……」
子供を産んでからどうなるのかが、問題だろう
- 80 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/23(月) 22:52:49.77 ID:SoxxUxIoo
-
本格的に相談するべきだと天乃は考えて、思わず苦笑する
夏凜にしたところで、
あんたの進路なんだから好きにしなさいよ。と、言われてしまう姿があまりにも容易に想像できてしまったからだ
そしてきっと、こういうのだろうと。
あんたはあんたがしたいことをしたら良い。私達はどうせ、好き好んでそれを追っかけるんだから
天乃「……したいこと、ね」
では沙織に聞いたらどうだろうか?
そう思い、出てくる答えは身を乗り出しての「結婚しよう」だったが、
そういいつつも真剣に考えてくれるのだと天乃は思う
夏凜が考えてくれないというわけではないけれど
夏凜とはまた別の寄り添い方で考えてくれるのだ
天乃「来月末だからまだ、考える時間はあるけど」
だからと言って後回しにし続けていい話題ではない
ほかにも考えるべきことがある以上
考える時間があるのならばさっさと考えてしまうべきだろう
進路希望調査に関して言えば
とりあえずの予定を書けば良いだけなのだから
- 81 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/23(月) 23:09:19.01 ID:SoxxUxIoo
-
天乃「正直、進路よりも悩むべき若葉たちのこともあるし……」
それを除けば、子供の名前を考えるべきというのもある
考えることはたくさんあるのだと一人、病室でため息を吐いた天乃は
進路希望調査票をすぐ横の棚へと置き、
ベッドのリモコンを使って起こしていた体を寝かせて、布団を少しだけ引き上げる
ベッドの力なしには体を起こすのも寝かせるのも多少の労力を必要とする今
人の手の借りられない状況を選ぶということに、
天乃は少しだけ、抵抗を感じていた
天乃「甘えすぎるのが毒だと分かってはいるんだけどね」
そう簡単に捨てられることでもないと、天乃は困ったように苦笑いを浮かべる
1、九尾を呼ぶ
2、若葉を呼ぶ
3、沙織を呼ぶ
4、夏凜に会いに行く
5、風達に会いに行く(園子同中)
6、千景を呼ぶ
↓2
- 82 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/23(月) 23:10:02.83 ID:+QgtIKoZO
- 3
- 83 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/23(月) 23:11:36.05 ID:VOG6PdmoO
- 3
- 84 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/23(月) 23:21:16.07 ID:SoxxUxIoo
-
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
沙織「久遠さん一人きりの部屋に呼ばれた!」
千景「そう」
沙織「二人きりになる状況に呼ばれた!」
千景「そう」
沙織「これはもうセッ――」
千景「さっさと行きなさい」
- 85 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/23(月) 23:23:57.74 ID:+QgtIKoZO
- 乙
さおりんキスくらいならいいのよ?
- 86 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/23(月) 23:28:46.29 ID:VOG6PdmoO
- 乙
さおりん久々に出番がきたな
久遠さんに寝込みを襲われた時の分を発散するチャンスでは?
- 87 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/24(火) 22:04:45.73 ID:E/cz96w9o
-
では少しだけ
- 88 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/24(火) 22:06:42.20 ID:falV9X6SO
- かもん
- 89 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/24(火) 22:24:07.46 ID:E/cz96w9o
-
沙織「ご指名いただきました、沙織です」
天乃「何のおふざけなの? それは」
他人行儀……というよりは、
何処か営業めいた会釈をして姿勢正しく近くの椅子に腰かけた沙織に、
天乃は怪訝そうな表情で問う
仮装をしているわけではない沙織がハロウィンをしているとも思えない
ならば、何なのか。
気遣っているのか。
その考えを遮るように、沙織が答える
沙織「久遠さんの病室に呼ばれたから、こうした方がいいと思って」
天乃「どうして?」
沙織「どうしてって……これは所謂あれだよね? デリヘルだよね?」
天乃「うん、意味は分からないけど絶対に違うとだけは断言できると思う」
体もきれいにして準備満タンなのにーと、
悲し気に呟く沙織を一瞥して、ため息をつく
変わらない沙織の平常運転
呆れるべきか喜ぶべきか、持て余した言葉を飲み込む
- 90 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/24(火) 22:49:43.40 ID:E/cz96w9o
-
沙織「だったら、それのこと?」
そう言い、指さされた棚の上
名前しか記入されていな進路希望調査票へと目を向ける
風もそうだが、
沙織も同学年というだけでなく、同じクラスの一人
当然同じ教師から同じ紙を貰っているだろうし
一番の親友―言われたかは定かではないが―の立場として
担任から何かを託されている可能性も無きにしも非ずだったのだが。
ちらりと目を向けて見えた沙織は言伝を思い出すようなそぶりなどみじんも見せずに「そうだねぇ」と呟く
沙織「久遠さんの好きでいいんじゃないかなって思うよ。もちろん、進学にせよ就職にせよ、主婦にせよ。ね」
天乃「そうはいっても」
沙織「誰かに迷惑をかけちゃうかもしれない?」
まだ何も言いきってはいない
だが、沙織は天乃が何を言うのかわかり切っているかのように遮って
沙織「それならこうしよう。久遠さんはあたし達と結婚して主婦になる。そして家でのんびり子育てする」
天乃「……家事のほとんどできないわよ?」
沙織「でも久遠さん中華料理だけは問題なく作れなかったっけ?」
掃除はあれでも洗濯は出来る
念願のマイホームは東郷邸のようなバリアフリー重視の家にしたらいい
沙織は次から次へと、語っていく
- 91 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/24(火) 23:20:03.42 ID:E/cz96w9o
-
沙織「あたし的には、久遠さんさえよければそれで行きたいと思ってる」
むしろ個人的にはその路線しか考えていなかった。と
沙織はお茶らけた笑みを浮かべながら言う
……嘘だ
天乃が真剣な悩みを抱えているとき
沙織は真面目な時もふざけている時もあるが
必ず、真剣に考えてくれているのだ
だから、嘘だと天乃は思う
結婚して主婦のような立場で生活するという天乃の生き方を考えたことがではなく、
それしか考えていなかった。という点だ
沙織はほかのことも考えている
だが、天乃が誰かの迷惑になるだろうからと考えているから
それ以外のことを言わないのだ
天乃「…………」
1、進路のことは後でも良いわ。それより若葉たちのことなんだけど
2、沙織のご両親は? 経歴に厳しいんじゃない?
3、学校に関しては通信制も視野に入れてるわ。その場合、沙織とは別になっちゃうけど
4、本当はどう考えてるの?
↓2
- 92 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/24(火) 23:21:03.07 ID:pawLkJ1PO
- 4
- 93 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/24(火) 23:21:50.83 ID:gJRY9Q5B0
- 4
- 94 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/24(火) 23:34:28.80 ID:E/cz96w9o
-
ではここまでとさせていただきます
明日はおそらくですがお休みを頂くことになるかと思います
沙織「あたしの本心? それはもちろん、久遠さんの嫁かな」
沙織「別に夫役に不満があるわけじゃないんだけど」
沙織「でもやっぱり女の子として好きな人の子供が産みたいなぁって言う欲望があるわけで」
沙織「そこで思ったんだけど、敏感なところを擦り合わせて気持ち良くなれば」
沙織「久遠さんの甘い蜜が掛かって受精できたりしないかな。愛があれば出来そうじゃないかな?」
天乃「沙織、貴女疲れてるのよ」
- 95 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/24(火) 23:37:21.84 ID:pawLkJ1PO
- 乙
新婚初夜はどうなるんだろう
8人相手は無理だな
- 96 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/24(火) 23:42:27.46 ID:falV9X6SO
- 乙
本編とは裏腹に東郷せんせー並にレベル高いさおりん
この際だからえっちさせて落ち着かせてもいいんじゃないかな
- 97 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/25(水) 06:35:47.82 ID:Wz9iUNTlO
- 乙
新婚初夜8人相手とかリンカーンじゃないか…
そしてさおりんと東郷せんせーのレベル=>>1という事実
- 98 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/25(水) 14:27:07.66 ID:POigZEQBo
- あれだけエッチ描写書いても色々出てくるんだから二人以上だよ
- 99 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/26(木) 22:31:57.71 ID:Fb1cLYZRo
-
では少しだけ
- 100 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/26(木) 22:32:47.42 ID:4+f46IK5O
- やったぜ
- 101 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/26(木) 22:42:49.03 ID:Fb1cLYZRo
-
天乃「本当は、どう考えているの?」
沙織は本当の考えを隠した。
だからそれは聞かないべきなのかもしれないが、
天乃は関せずに問う
沙織が本来の考えを話さなかったのは、
結局、天乃の為に話さない方がいいと考えたと思うからだ
沙織の視線が天乃へと向く
何も言わない無言の視線
天乃もまた、促すように黙ったまま目を向けると
沙織は「そうだなぁ」と諦めたように呟く
沙織「本当のことを言うと、久遠さんには進学してほしいって思うよ」
周りへの迷惑を考えて進学しない。
そう考えている天乃をよけいに考えさせるかもしれないと思ったのだろう
沙織は我儘だけどね。と前置きして
沙織「久遠さん、人とかかわるの好きだよね。というか、人が好きだよね」
天乃「それは」
沙織「でも、勇者としての責務とかで久遠さんって中学校生活のほとんどを満足に楽しめなかったでしょ?」
今月に行われた文化祭だってそうだ
結局、一番大切な日に体調を崩して参加できずに終わってしまった
沙織「だから、楽しんでもらいたいなぁって思うんだ」
天乃「……でも、私はこんな体だから」
沙織「だから周りの負担になる。そう考えると思ったから、そう考えてるだろうから、あまり言わない方がいいかなとも思ったんだけどね」
沙織はちょっぴり悲し気に言うと、
でも聞かれたからには本当に考えたことを全部言っちゃうからね
後から文句言われても何も聞かないし知らないからね。
聞いたのは久遠さんなんだからね。と
言葉のバリケードを瞬時に組み立てて天乃に押し迫っていく
- 102 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/04/26(木) 23:00:12.50 ID:Fb1cLYZRo
-
沙織「こほんっ。久遠さんは誰かの負担になるのが嫌だって考えてるけど、そんな人はまず出てこないから大丈夫だよ」
天乃「どうして?」
沙織「あたしが久遠さんと同じ学校に行くからだよ。むしろその他の高校に興味はないね。ノー久遠さんノーライフ」
もちろん冗談じゃないよ? と天乃が何も言わずとも答えた沙織は、
だから誰の負担にもなることはないんだよ。と、飄々とした笑みを浮かべる
一見ふざけているようにも思えるが、表情は至って真面目なもので。
沙織「だって、やりたくないなら久遠さんに力を貸す必要はないんだもん。おい、クラス委員長。久遠の世話をやれ。なんていう指示なんてまずない」
天乃「…………」
沙織「そう。だから久遠さんに近づいてくるというか、その手を貸してくれるのは負担と思わない人達。あたし達のように好意ある人だけ」
もちろん、場合によってはあたしが引き剥がすこともあり得るけれど。と
こればかりは冗談だったのだろう、
苦笑をこぼした沙織はすぐにそれはともかくと切り上げた
沙織「もしあたし一人じゃ人数的に不安だって言うなら、話せば乃木さんたちも入学させてくれるんじゃないかな」
天乃「九尾が?」
沙織「大赦が。多少反感は買うかもしれないけど、今以上に買うこともないだろうし」
天乃「……自覚はしてるつもりだったのだけど」
精霊。
それも西暦の勇者を学校に入学させるという我侭を通してなお
これ以上反感を買うことがないという久遠天乃の評価に
天乃は思わず顔をしかめたが、大して、沙織はそれはそうだよ。と笑う
沙織「今を生きてる子で数えれば、巫女1人に勇者7人も1人で囲ってるんだよ? 将来を考えればふざけんなって言いたいんだと思う」
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