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淫魔の国と、こどもの日
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248 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/01(金) 13:08:33.85 ID:KaBcPINpo
mixiとかまだ生きてたのか…
249 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/01(金) 16:05:47.43 ID:K9rtyi72O
珍しいルートだねぇ
250 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/01(金) 22:36:27.79 ID:fIQh43W5o
夏休みじゃないだけ静かでいいな
251 :
◆1UOAiS.xYWtC
[saga]:2018/06/03(日) 00:07:23.16 ID:2NPOjsgs0
会社 燃えろ
かなり空いたが投下しますー
252 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/03(日) 00:09:40.25 ID:2NPOjsgs0
*****
勇者「サキュバスC……結局、笑うだけ笑って帰ったな」
今朝、堕女神までああなってしまった事を彼女は笑えるだけ笑い――――やがて想像以上に重苦しくなった事に耐えかね、帰ってしまったのだ。
それほどまで堕女神は事態を重く受け止め、必死で何かする事で気を紛らわせていた。
そんな彼女とは裏腹に、勇者はこの姿にだいぶ順応する。
疲れはするが体力の回復が驚くほど早く、普段の姿よりも元気なほどだ。
子供の特性なのか、したたかにぶつけた脛の腫れももう完全に引いており、触れても痛むことはない。
城内ですれ違う者達も聞いたか、慣れたか、それとも触れぬよう意識しているのか――――誰も、驚かない。
それもそれで寂しく思わなくもないが、現状、生活に不便はない。
相変わらず執務室の机は高く、大食堂の椅子も高く、シャツとズボンはともかく羽織るガウンのサイズがない。
勇者は今、就寝前に城内を練り歩いていた。
どうしてもまだ眠気が下りてこず、すとんと寝る事が出来た昨晩とは違う。
狐の女将に疲れを文字通り“抜き取られた”せいなのか――――とぼんやり考えながらの、ささやかな夜の散歩だった。
253 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/03(日) 00:10:48.03 ID:2NPOjsgs0
夜の冷え込みを少し防げれば、と身に着けていたのは、“あの日”に身に着けていた、“あの日々”の思い出の品。
魔王との決戦で更に擦り切れて無残に成り果てたからこそ今羽織るのに丁度いい丈の。
淫魔の国へと繋がったあの日、身に着けていた物の一つ――――“勇者のマント”だった。
糸ひとつひとつまでが魔力を帯びて丹念に織られ、霊薬に浸し、秘奥の染料で染め抜いた逸品で、
その強靭さは鎧にすら匹敵し、なおかつ薄く、羽のように軽い。
数々の戦いを経るたび、少しずつでも傷はつき、その輝きも薄れていった。
しかし、それでも魔法の外套は――――最終決戦にて“魔王”の攻撃すら防いでみせたのだ。
最後の力を振り絞るように、勇者の身を守ってくれたからこそ……魔王への最後の一撃を放つ体力を、残させてくれたのだ。
魔力も何もかもを使い果たした“ぼろきれ”となって、今もそのマントは、この国で勇者の眠る時いつも、クローゼットの隅に畳んでおかれていた。
勇者はたまに、それを広げて――――偲ぶ。
大人の姿の足首までも隠せた丈は、魔王の爪牙により裂けて、子供の姿の腰までしか残らない。
だからこそ皮肉なことに……ちょうど今、よい具合なのだ。
勇者「……使い方が荒くて悪かったな。許せよ」
254 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/03(日) 00:11:34.65 ID:2NPOjsgs0
更に、静まり返った城の中を歩く。
夢魔の絵画を並べた回廊は、まるで――――魔王の城のような威圧感だった。
もっともここは魔界であり、淫魔の王族の居城なのだから間違いではない。
油断をすれば絵画の中から魔物が、亡霊が現れるのが“向こう”ではお決まりだったが、この城でそれはない。
角と翼と尾を持つ魔族と出くわしてもそれは敵ではなく、地下牢に巣食う“触手”の主もまた同じく敵ではない。
厩にいる夢魔の牝馬も、会いに行けばイヤそうな顔をするだろうが――――襲ってはこない。
それが、自分の墓標となったはずの“城”との違いだった。
勇者「ん……」
そろそろ部屋へ戻るか、と踵を返したとき、中庭へ繋がる扉の向こうに月光を吸い込むような黒い人影が見えた。
今の自分とそう変わらない背丈の人影は夜風に吹かれながらぼうっと佇んでいるようで、影だけが認識できた。
だが、それだけで情報は充分で……すぐに、誰なのか理解できた。
255 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/03(日) 00:12:05.03 ID:2NPOjsgs0
勇者「寒くないのか?何を……」
堕女神「あ……。いえ、何でもありません」
後ろ姿を覆い隠していたのは、長さを残したままの彼女の髪だ。
元から長かった髪は、そのまま背丈が縮んでしまったおかげで、引きずるほどに。
今朝の時点では編み込み、結い上げていたが、今はまっすぐに足もとまで下ろされている。
バルコニーの手すりにもたれるように庭園を覗き込み……空にある満月にも見向きもせず、ただ黄昏ているだけに見えた。
勇者「……ぷっ」
堕女神「陛下?」
勇者「い、や……昨日まで……ははっ。逆転されてたのになぁ。背丈……また元通りだ」
堕女神「ええ。……また、貴方を見上げてしまいますね」
勇者「……不満?」
堕女神「いえ。落ち着きます」
256 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/03(日) 00:12:31.68 ID:2NPOjsgs0
勇者「俺もだ。……なんでこうなったんだろうな」
堕女神「一応、サキュバスAから報告は受けましたが……どうすればよいのやら」
勇者「全く。何がなんだか……ともあれ、病気じゃないのは分かった。なら解く方法が必ずある」
堕女神「はい。……陛下。我が儘を申しても?」
勇者「ん。……何だ」
堕女神「折角です。ちょうど、良い月も出ている事ですし……少し、歩いてはいただけませんか?」
勇者「……先に言うな」
庭草を踏み締め、石畳を蹴り、眠気を呼び戻すようにしばし庭を歩く。
どちらも縮んでしまったからこそ“いつもどおり”の差で歩く二人の刻。
ときおり勇者は隣を見て、何度見ても信じられない――――小さな少女の姿に変わってしまった彼女を見ては苦笑する。
もはや、笑うしかない。
こうなってしまった以上、一晩や二晩寝たところで治らないのだから。
257 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/03(日) 00:13:00.35 ID:2NPOjsgs0
夜が深まるにつれ、空気は段々と冷たく澄んでゆく。
いつともなく、どちらともなく繋いでいた手は、それでなおも冷たい。
外套を着込んでいる勇者ですら冷えるのだから、肩口から先を露わにするドレス姿の彼女はなおの事だ。
勇者「……中、入ろう。冷えてきたし、もう寝よう」
堕女神「…………あ、の」
手を引いて城内へ戻ろうとするも堕女神の歩みは一瞬止まり、振り返ると彼女は俯き、唇を震わせていた。
こういう表情をする時、彼女は必ず――――何かを迷っているのだ。
堕女神「そ、その……些か……不謹慎かも、とも……」
勇者「分かってる」
もう、彼女の言葉を待つ必要はない。
そっと手を引けば、彼女はそれ以上踏みとどまらずに庭園を歩いていた時と同じ歩調でついてくる。
未だ掴めない歩幅を、確かめながら。
引かれる手を、頼りにするように。
258 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/03(日) 00:19:32.65 ID:2NPOjsgs0
投下終了
実際サキュバスは生やす事ができたとしてもあまり使わないんじゃねぇかね
というかサキュバスにあんな物体を生やすなんて冒涜だ
ではまた明日か明後日
明日か明後日!絶対!
259 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/03(日) 00:21:48.12 ID:zXtZn8oao
お疲れ様です
260 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage saga]:2018/06/03(日) 01:05:43.45 ID:LbfwbVXi0
乙
美しい肢体のサキュバスにバベルの塔など不要
261 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/03(日) 01:11:33.99 ID:UUSPqmw+0
乙
262 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/03(日) 02:23:36.99 ID:Y3a7AtxC0
乙!
このしんみりした雰囲気や空気感、良いなぁ。
263 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[Sage]:2018/06/03(日) 03:21:52.15 ID:WRKIKzoy0
ロリショタキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
264 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/03(日) 08:25:28.13 ID:iCxc183W0
魔法使いや僧侶とのエッチもいずれ見たい
265 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/03(日) 13:16:57.72 ID:BlmpW4MYo
そこはあくまで過去だからいい気が……
266 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/03(日) 23:40:12.70 ID:NvKnuJ940
蛇足
267 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/04(月) 00:56:35.80 ID:4vITcl3l0
まぁでも勇者の仲間の後日談辺りはあってもいいな
無かったことにされてる天界の話もしかり
268 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/04(月) 03:01:37.61 ID:164qAO77o
作者の好きにしてくれ
269 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/04(月) 07:31:47.98 ID:Umy049DYO
作者はサキュバスだから焦らしプレイが得意なんだ…全裸で静かに待ってようぜ!
270 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/04(月) 13:45:44.77 ID:WBOF/HgF0
乙
一作目でもそうだが過去の哀愁?が感じられるシーンがすごい好き
271 :
◆1UOAiS.xYWtC
[saga]:2018/06/04(月) 23:46:17.55 ID:8cby2wIa0
今夜の分を始めます
またしても書いてて犯罪感がひっでぇ……
272 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/04(月) 23:47:09.90 ID:8cby2wIa0
*****
辿る道のり、ふだんの倍かかる時間の後に――――いつもの、ように。
勇者「……何だか……」
サイドテーブルに置かれていた水を一口飲み込んでようやく潤したばかりの喉が、すぐに、乾く。
不釣り合いなほど大きなベッドに並んで腰かける姿は、さながら留守中の両親の寝室に忍び込んだ兄妹と呼べた。
三人、四人で絡み合うように夜を明かす事さえできる豪奢なベッドは、たとえ二人いるとはいえ子供では余りある。
その上で思いきり飛び跳ねても頭をぶつける心配がないほど高い寝台も。
神殿の屋根のように、遠かった。
勇者(――――何だか……)
ちらりと横を向けば、いつもと違い落ち着かない様子で――――どうすればよいのか必死に考え込むような堕女神がいた。
少女の年頃に遡った事で、むしろ……触れがたい美貌は、濃縮された。
黒い眼、赤い瞳はさらに丸くぱっちりと開いて――――夜行する獣の仔のような、あどけない誘引力まで宿していた。
元より細やかな肌理を持っていた肌は、更に縮まり――――見える柔肌が、一枚の継ぎ目ない白磁にすら見えるほどだ。
それは、決して――――人たる身で触れてはならない輝きだ。
ただ見る事すら、神官の長にしか許されない領域の存在だ。
見つめていると、やがて小さな女神は困惑したように唇に隙間を作り、白く、小さな前歯を覗かせて小首をかしげるように振り向く。
273 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/04(月) 23:48:26.77 ID:8cby2wIa0
堕女神「……どうか、なされたのですか?」
勇者「いや。ちょっと……気圧されて……」
考えられないほど。
普段とは。そして、さっき手を取り合っていた時を思い出しても考えられないほど。
勇者は――――緊張を露わにしてしまっていた。
こうして間近で、誰に邪魔される事も無く見れば見るほど……罪悪感すら覚えるほどに、今の堕女神は可憐だったから。
艶気を振り撒く大人の姿ではないからこそ、触れがたく、怖気を振るうような神性の存在感が際立つのだ。
堕女神「陛下。あの外套……身に着けられたのですね」
勇者「……ん、あ……」
堕女神「僭越ではありますが、あの外套は……私が、洗わせていただきました。もう……一年は経つのですね。……そして、驚きました」
勇者「堕女神が?……驚いた?」
堕女神「……いえ、感じ入ったというべきなのでしょうか。あの外套を織った者達の、祈りを」
274 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/04(月) 23:49:41.40 ID:8cby2wIa0
“勇者のマント”を織るためには、とある森に生息する特殊な虫が必要だった。
その森を守るべく立ち向かった勇敢な戦士達と勇者一行は協力し、魔王の軍団を返り討ちに遭わせた。
虫が吐いた糸を精製するためには更に時間がかかり、織り合わせる間には呪文を唱え続けなければならず、不休の仕事だったという。
霊薬を抽出して浸し、魔法の染料で染めて――――最後には、森の神殿での儀式を行う必要まであった。
“勇者”へ渡す、たった一枚のマントのために。
男たちは戦い、子ども達が虫を集め、女達は糸をつくり、身を削り――――“祈り”を込めた。
“魔の王へ挑み、世を救う者に木々の御魂の護りあれ”と。
堕女神は、何もかもが擦り切れ、役目を果たしたマントにそれでも残っていたものを確かに感じ取ったと。
勇者「……怒られるかな、こんなにしちまった。……っ!」
そうとまで想われていた事をあらためて知り、聖剣までも折ってしまった自分の物持ちの悪さに申し訳なく思った時。
――――ふ、と頬に触れる微かなものを感じ取る。
275 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/04(月) 23:51:06.08 ID:8cby2wIa0
撫でられたのではない。
風ではない。
髪が頬を掻いたのでもない。
堕女神「……っ……く」
勇者「堕女神?今……」
もう一度振り向いてみれば……堕女神が必死に口もとを抑え、もう片手でドレスの裾を握り締めて、垂れた髪で横顔を隠すように何かを堪えていた。
しゃくり上げる音も聞こえない以上、それは――――嗚咽ではない。笑いであるはずもない。
となれば。
堕女神「……ど、どう……した、事でしょうか……。ただ、頬に……」
勇者「頬に?」
堕女神「頬に、した……だけ、なのに……顔が、熱くて……止まりません……」
276 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/04(月) 23:51:49.39 ID:8cby2wIa0
*****
やがて、戯れるように抱き合い、雪原の如き広いベッドの上で堕女神を仰向けにさせる。
長い黒髪が墨をこぼしたようにシーツに広がり、堕女神がゆっくりと目を閉じた。
呼吸でかすかに上下するなだらかな胸は、その薄さゆえ胸の高鳴りも、見て取れた。
穏やかに閉じて見えた目は震えるように皺を作りながら強く瞑り、眉間にも浅く皺が走る。
期待、もしくは怯えるような――――その時を待つ供犠のように。
覆いかぶさるように。
ゆっくりと、その身を重ね合わせながら……同じく今は軽い矮躯へ還った勇者が、“少女神”の警戒を解きほぐすようにゆっくりと頬を撫でた。
堕女神「っ……!」
手に吸い付くように柔らかい頬に触れると彼女は竦むように反応を返し、震える。
真っ白いシーツの上で、影のように広がる濡れ羽色の持ち主は薄目を開くと――――緊張のあまり潤んだ瞳から、涙の粒を眦に膨らませた。
堕女神「あ――――」
勇者は、いつものように。
数え切れぬほどしてきたそれと同じだけの“想い”を込めて唇を寄せる。
277 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/04(月) 23:53:06.51 ID:8cby2wIa0
堕女神「んっ……はぅ……ふ……っ!」
数日前の夜とは違う――――“等しい”口づけだった。
勇者の唇に、柔らかく、暖かく血の通った……小さな唇が重なる。
ほのかに湿った唇を、同じく唇で塞ぎ、押し上げると粘膜は突っ張り――――ただの、キスをしているだけの圧力で破れてしまいそうな頼りなさだった。
漏れだす吐息はいつに増して熱く、甘酸っぱさを増した小粒の苺のような香りをまとい、口の中を満たす。
堕女神「む、ふ……っちゅ、ぷふぅ……ひゃ……っ!」
更に、微かにすぼめて開いた唇の隙間から舌を滑り込ませると、
途端に更に濃密な果実の呼気が押し寄せ……噎せ返るような甘さで、意識が振り動かされた。
心地良い弾力を宿す唇は、唾液を帯びてぬるぬると滑らかに舌を迎え入れる。
堕女神の唇の裏を舐るごとに彼女はぴくりと震え、その心地に狩り取られそうな意識を保つべく爪先に力を込め、膝をゆっくりと立ててシーツを掻いた。
ぬめるように湿った水音と、くぐもった喘ぎと、媚態の混じった吐息。
熟した者同士が奏でるはずの、“夜”の淫律だった。
だがそれを発するのは、ほんの小さな少年と、少女。
不釣り合いなほど広いベッドの上で、まるで――――大人達の目を忍んで重ねる悪淫だ。
決して許される事は無い、自分達のしている事の重さを分かっていない戯れのように。
何でもない無邪気な戯れが、やがて――――本能に後押され、好奇心に突き動かされ、
無知ゆえに純前の快楽へと開眼してしまう、“禁断の遊び”の光景だった。
278 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/04(月) 23:54:59.17 ID:8cby2wIa0
堕女神「はっ……あ……!あ、貴方の……舌……きもひ……い……ふひゃぁっ……!」
鼻先を幾度も突き合わせて、少女は喘ぐ。
自らも前歯の隙間から舌を差し出し、自らの前歯と舌の間で抑えこむように“少年”の舌のざらつきを舐めとり、繕うようにと。
勇者はそれを抗わず、振りほどかず舌先を蠢かせ、彼女のすっかり小さく、細く、きっしりと整い生えそろった下顎の歯を、犬歯から犬歯までなぞった。
磨き上げた宝石のようにつるつるとなめらかな舌触りにより、互いを快感が繋ぎとめる。
堕女神「はふっ……!ひ、……っも……も、っと……っもっと……!」
必死に瞑る目尻から流れる涙が、堕女神の昂ぶりを代弁する。
もはや彼女の背筋はちりちりに、灼けるように昂ぶりきってしまっていた。
それはほんの数日の間だったのに、溜まってしまっていた感情によってだ。
――――“ヒト”の子を、もう一度抱き締めたい。
かつて掛けた願いは叶ってから、ずっと――――想っていたから。
――――どんな姿であれど、“彼”は、“彼”だ。
――――私の、想いは変わらない。
――――でも、やはり。
――――肌の限り、吐息の限り、心の、限り。
――――“求め合いたい”。
279 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/04(月) 23:57:08.34 ID:8cby2wIa0
今夜の投下終了です
七割の確率で明日また会いましょう
ではー
280 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/05(火) 01:25:01.44 ID:BVU7kgG3O
乙
残りの3割は今からと言うことだな
281 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/05(火) 01:28:57.82 ID:IJqgWq5V0
乙ー
ちびっ子同士が求めあってるのも、どちゃくそエロい
282 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/05(火) 13:06:41.86 ID:jngyvxym0
なんてえっちなこどもなのだ
283 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/05(火) 14:11:01.37 ID:vjiZxZnso
ちびっこ繋がりでわt…ナイトメアちゃんを乙乙
284 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/05(火) 14:50:37.53 ID:0iplxfnD0
くそほどシコい
285 :
◆1UOAiS.xYWtC
[saga]:2018/06/07(木) 00:00:08.36 ID:DV4BlFTo0
いかん、考えすぎて思考がうまく滑らんかった
投下開始
286 :
◆1UOAiS.xYWtC
[saga]:2018/06/07(木) 00:00:49.01 ID:DV4BlFTo0
*****
小さな唇、短い舌、細い歯の奏でる水音は一時止んだ。
上体を起こし、後ろから堕女神を支える形で細い肩を抱き締めると
髪をかきわけて覗けた首筋は白く透き通り、暗闇の中で輝きを放ってすら見えた。
普段はち切れんばかりの双子の果実を支え、ぴっちりと首にまでかかり覆い隠しているドレスの胸元は、今もなお忠実だった。
だが、そこに主張はなく、下腹、腹から一直線に首まで続く起伏のない平坦がある。
堕女神「くぅぅ、んっ……!あぁ……っ!」
脇腹から沿い、両手をするりと服の下へ滑り込ませると堕女神はくすぐったさに身を捩り、吐息を放つ。
汗ばんだ肌は生地の舌で手にもちもちと吸い付き、空けさせられた隙間からは閉じ込められていた、甘く熟した果実のような汗の芳香が漏れた。
堕女神「っふぅ……!や、あ……むね、は……やめ……て……!」
勇者「どうして?」
堕女神「それ、は…………恥ずかしい……ので……」
勇者「……小さいからか?」
堕女神「……楽しく、ない……でしょう……?」
287 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/07(木) 00:02:00.70 ID:DV4BlFTo0
弱々しい独白を打ち消すように、勇者は服の中に手を更に潜らせる。
土中を進む生き物の痕跡のように黒絹のドレスの前面の布地が盛り上がり、
ゆとりを作りながら――――ふたつの手が、ふたつの“頂”へ伸びていく。
堕女神「ひっい…………!」
布地の中で、かすかな手触りの違う箇所を見つけた。
尖ってはいない。
決して目立たない、押せば引っ込むような、出たばかりの芽のような頼りなさを指先に感じた。
平坦な胸の、その中心の“輪”と思しき部分は周辺の肌と比べてもややなめらかで、指先だからこそ感じ取れる違いがあった。
絞り込み、探り当てると――――今しがた一瞬だけ触れた、平原に芽吹いたささやかな“芽”をどうにか見つけ出した。
堕女神「や、ぁ……!だめ、やめ、て……と……ふあぁぅっ!」
摘み取るようにきゅっ、と摘まむと、普段よりも敏感な反応を返し、電流を受けたように堕女神の体が震えた。
堕女神「っ……!う、ぁっ……ひぃぃ……!」
勇者「……硬くなってきた。もう、すぐ分かるな」
288 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/07(木) 00:02:40.90 ID:DV4BlFTo0
こりこりと人差し指と中指で摘まみ、転がすと――――小さな“芽”はむくむくと起きて、硬さを増していく。
小さな突起は胸の布地越しにも分かるほど硬く尖り、その萌芽を示す。
堕女神は縋るように勇者の手首を掴もうとするが、それすらおぼつかずに宙を掻いた。
その袖を掴む事ができても、すぐに――――胸に走る感覚に身震いし、離してしまう。
指が埋まるほどの質量はなくとも、その感度は変わらず、否……それ以上に鋭敏化していた。
ドレスの中に隠していた未発達の“種”を芽吹かせられ、地表を持ち上げるように。
春の萌芽のように、小さな堕女神の“乳首”が、浮かび上がらされていく。
堕女神「は、ぁぁ……!もう……やめ……!む、胸……が……熱くて……溶け、そうで……ふぁぁぁ!」
こり、こり、こり、と――――見えない乳首を摘まみ回し、すぐに肋骨を感じてしまうほど薄い胸を撫でると彼女は震え、
うなじから立ち上る香りに汗のそれが混じる。
勇者は掌にかいた汗を擦り込み、ぐち、ぐちっ、と段々と湿り気を帯びたものに変わりゆく音を愉しみながら、
麺麭生地を捏ねるように弄び続ける。
涸れた息のような喘ぎが漏らすのは苦悶ではなく。
再び、堕女神の体が、“女”へと変わっていく過程だ。
少女の姿に変わってしまってなお、悦びを改めて思い出すように。
やがて、勇者の右手が脇のからするすると抜かれる。
その手が向かったのは――――――
289 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/07(木) 00:03:24.34 ID:DV4BlFTo0
堕女神「きゃはっ……!?」
腰骨近くまで深く切れ込んだスカート部分のスリットから、堕女神の秘部へ指先を差し伸ばす。
だが、思っていた手触りとは違い――――ほんの一瞬、ぴくり、とたじろぐように指先が振れた。
想定したのは滑らかな手触りの下着の感触。
だが指先が捉えたのは、直に触れた人肌ほどの蜜液の筋。
そして熱く膨らんだ、むき出しの柔肌。
勇者「堕女神……まさか、今日、一日……」
堕女神「……はい」
答える彼女の顔は、勇者からは見えない。
だが、うなじを燃え上がらせるように赤く染めているのを見れば歴然だった。
彼女はひどく羞恥を覚え、今にも消えてしまいたい、と――――そう思っているように口を噤む。
勇者はそんな彼女を愛おしむように――――
堕女神「ひあっ……!」
再び、下肢のスリットから指を差し入れ直し……まっすぐに、そこへ向かう。
肌理細かく吸い付くような内腿を撫でるたびに堕女神は甘い声を漏らし、くったりと脱力し、体重を真後ろの勇者へ預け、しなだれかかっていく。
張り詰めた内腿の皮膚をなぞり上げ、数度往復させる後……人差し指の先が、隠れて見えない彼女の“そこ”を突く。
290 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/07(木) 00:03:50.78 ID:DV4BlFTo0
堕女神「んふ、あぁぁっ……!」
漏れ出した清水の粒を突き弾き、とうとう、その裂け目を探り当てた。
ぴっちりと閉じた裂け目は、軽く指先で上下になぞれば――――縦一筋の線である事が掴めた。
じわりと濡れている事も容易に掴めて、打ち震えるそこは、臆病な生き物にも似た愛らしさすら感じたほどに。
堕女神「あふっ……!そん、な……こす、ら……ないで……くださ……ぁっ……!」
勇者「……まだ、そんな……何も」
堕女神「変、です……!こんな、びん、かんに……あぁんっ……」
愛撫と呼べるほどの愛撫は行っていない。
熱く火照る秘肉の裂け目を、上下に――――撫でるように指先を行き来させているだけだ。
爪の先すら侵入させてなどいない。
上に行きついたところにある小さな鞘入りの“豆”にも触れていない。
下にある、彼女が密やかに覚えた快楽の薔薇にも触れていない。
とろとろと溢れてくる蜜液が、勇者と同じく――――鋭敏になってしまった神経を物語る。
291 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/07(木) 00:04:44.72 ID:DV4BlFTo0
*****
堕女神「……あ……むふっ……ぷちゅ……っは、ぷ……っ」
勇者「……っ!」
次は、堕女神から――――勇者へ。
見慣れない大きさ、形へ変わってしまったそれを眺めてから、彼女はおずおずと、薄桃の唇を開き、
同じく血色良い桃色の亀頭を覗かせた、“茎”を、震えながら含んでいく。
平素のそれとはくらべものにならないほど小さく幼い茎なのに、今は堕女神もまた少女の現身へと変じているため――――奇しくも、釣り合う。
小さな茎と、小さな唇は、普段この部屋で交わし合う“大人”の刻と同じ比率の、唇に収め切れない口淫をなぞる。
ずるり、ずるり、と堕女神が収められたのは、肉茎の中ほどまでだ。
続けば喉奥にまで迫るため、少女の顔が赤らみ、一度止まる。
そこで――――彼女は、口の中で舌を蠢かせると、皮に包まれた裏筋をなぞり上げる。
堕女神「ん、ぷぁ……!ふふっ……この御姿になられても……貴方のお悦びになる処は、お変わりないようで……」
直に触れると、ほどよい刺激ではなく痛みにすら感じる亀頭、その裏筋へ彼女は続けるように、皮越しに舐め上げる。
舌で舐め上げ、同時に唇を締めながら引き抜く。
彼女の唾液にまみれ淡く銀色に光る茎が、やがてもう一度吸い込まれ、裏筋から精液の道まで舐め下される。
いつもと、まるで変わらない。
堕女神が、勇者のためだけに自ら施す――――慈しむような口技が、あった。
292 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/07(木) 00:05:11.72 ID:DV4BlFTo0
堕女神「はふっ……ちゅ、じゅぷっ……んくっ……! ふるえ、て……ます……貴方の……」
亀頭へかかる皮を下ろさぬように。
多く吸い込み、隠す事のないように。
唇の圧力を精妙に捉え、堕女神は、この姿の勇者へ初めて施す“女神の口づけ”に神経を傾ける。
触れれば痛みを感じるような敏感な亀頭へ、触れぬように。
熱と呼気を受けて震えるそこを、包み隠させぬように。
少しでも長くの間、自らの口の中で、暖かさと、吐息を感じていてくれるように。
皮の中でだんだんとエラを張り、良く知る姿に近づく亀頭を皮越しになぞりながら、“少女”は奉仕する。
それは、密やかな戯れを重ねるうちに行きついてしまった、“堕楽”の光景そのものだ。
目を盗み重ねるうちに、やがて邪淫の果てへ堕ちてしまった少女の姿、そのものだ。
そう。
そう――――見えはしても。彼女は今、満ち足りていた。
“求め合う”という至上の快楽を、叶え合っていたから。
293 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/07(木) 00:05:45.58 ID:DV4BlFTo0
堕女神(……あ、ぁ……貴方の……モノ、が……私の、くち、犯して……)
咽返るような剛直も、反りもない。
雄の昂ぶりもない。
今、飴を含むだけでいっぱいになってしまうような口の中に感じるのは皮膚のなめらかな舌触りだけだ。
堕女神(ですが……私……貴方の、……好、き……もっと……もっと、舐め、たい……です……)
姿も、形も、関係なかった。
“それ”が、彼のモノであるという事だけで――――充分だったのだ。
幾度も含み、幾度も吐き出させ、幾度も――――飲み干した。
幾度も迎え入れ、幾度も突き抉られ、幾度も――――満たした。
堕女神(き、っと……私の、中は……もう、貴方の形を覚えてしまって、いるのでしょう……か)
だから、きっと――――今も。
今も、自分の中は――――今の彼を、待っているはずだ。
堕女神「もう、耐えられません。陛下」
昂ぶり、膨らんだ肉茎をゆっくりと抜き出し、懇願とともに呟く。
堕女神「――――……下さい……」
294 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/07(木) 00:07:15.64 ID:DV4BlFTo0
今夜の投下は終了です
では、また次回
295 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/07(木) 00:17:46.82 ID:+zSZDJy40
乙!
めっちゃドキドキしてきた
296 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
:2018/06/07(木) 03:29:17.56 ID:xsWXIdWE0
いい・・・
297 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/07(木) 15:27:40.31 ID:YcRizmtVO
eros……
298 :
◆1UOAiS.xYWtC
[saga]:2018/06/09(土) 23:56:35.05 ID:3S1batlM0
申し訳ねぇ、時間かけて書き過ぎた……開始します
299 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/09(土) 23:59:46.02 ID:3S1batlM0
*****
堕女神「それでは……よろしい、でしょうか……?」
勇者「ん……。無理、しないで……くれよ」
堕女神「いいえ、無理など……。早く……貴方を、感じたくて……」
選んだ姿勢は、堕女神が“上”となり、跨る体位だった。
横たわり、見上げれば――――腰を浮かせて膝立ちの姿勢を取る彼女が、狙いを定めるように腰を拙くくねらせる。
その体は、いつにもまして細く――――子供の力でさえ、強く抱き締めれば折れてしまうようだ。
起伏ないなめらかな雪原のような体、普段は二つの丘があった場所にはぴんと立つ桜色の芽吹きが、それぞれひとつ。
指先でなければ摘み取る事すらできない小さな乳首は、それでも充血し、固くしこり、息をするごとに上下していた。
勇者「うっ……!」
かすかに露出した亀頭に刺激を覚え、声が意図せず漏れた。
そこは、二つの柔肉の狭間、ぴたりと閉じた聖所の門扉。
300 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/10(日) 00:00:47.90 ID:3iiTHLlv0
そこで、ずっと浮かべていた疑問――――ややすれば無粋になるかもしれぬと思いながらも、勇者は口を開く。
勇者「……なぁ。……姿がそうなった、って事は……もしかして、その……」
堕女神「……えぇ。もしかすると。私は、また……痛むのかも、しれません」
いびつな、あるはずのない“若返り”とはいえ、かねてより勇者はこの夜の間ずっと想いを巡らせていた。
堕女神の体が少女のものになったのであれば――――“純潔”もまた、取り戻されていたのではないかと。
そうなのなら、彼女は貫かれれば、再び破瓜の痛みを味わうのではないかと。
堕女神「でも……私は構いません。だって、貴方に……また――――――」
くす、と微笑む彼女の表情は今の姿で浮かべれば、さながら、ませた子供のような、淡い眩しさを持つ。
堕女神「貴方に、また――――“初めて”を、教えていただけるのですから」
勇者「…………」
堕女神「怖くない訳ではないのです。……でも、また、貴方とひとつになれたあの夜を思い出せるのなら。私は……」
301 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/10(日) 00:01:35.49 ID:3iiTHLlv0
堕女神の左手が小枝のような指先で、淑やかに閉じた肉を人差し指と中指で割り開いた。
肉の抵抗は虚しく、その奥に秘められていた小さな尿口、膣口をひとところに纏めた、彼岸の桜の色に染まった粘膜が、細く開いていた。
指ですらもきつく咥え締めるだろう。
もし彼女の純潔が残っていなかったとしても、こなれていない交わりになるだろう。
それでも、彼女は――――そう言って、手さぐりに、皮に包まれた肉茎を飲み込むべく
ゆっくり亀頭を探りながら、少しずつ、少しずつ――――腰を落としていく。
堕女神「んっ……はぁ、ぁ……!」
蜜液に濡れた柔肉が、ゆっくりと――――皮越しの亀頭に貼り付き、その皮を扱き下ろすように剥き出させながら、受け入れていく。
充分に吐き出していた“果汁”のおかげで、摩擦は少ない。
しかし、懸念していた通り……今、子どもの物へ変わってしまった肉茎にすら、その中は狭く、きつい。
勇者「ふ、ぁっ……熱っ……くぅ……!な、中……が……」
堕女神「っ……く、はぁぁ……入って……わたしの、中に……貴方が、いっぱいに……!」
飲み込まれゆくごとに堕女神の体は段々と脱力していき――――震える膝はやがてベッドの上に屈し、
かろうじて手をついて姿勢を保つ有り様だった。
惚けたように紅潮する堕女神の顔は、こぼれ落ちる寸前の涙を湛えていた。
閉じられない唇から落ちた唾液の糸が勇者の胸に落ち、窓から差す月光を弾いて光る。
302 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/10(日) 00:02:08.13 ID:3iiTHLlv0
勇者「……大丈夫か、痛く……ないか?」
差し伸ばした手で彼女の頬を撫でると、逆に……その暖かさが、掌を撫でるように心地良かった。
堕女神「……はい。大丈夫です。……このまま、ずっと……奥、まで……っ!」
ぎちぎちに詰まった柔肉の粒が、勇者自身を迎え入れ、奥へ奥へと導いていく。
その途上、あの結ばれた夜に感じた――――純潔を千切る感触はない。
あの日に感じた、彼女の中を引き裂く感触は、なかった。
蕩けて落ちそうな目を見張り、“繋がり”を見ていても……彼女の内から滴る血は、こぼれない。
未発達の肉孔が、同じく成熟しない肉茎をぐいぐいと呑み込み、根元まで――――飲み込んでいく。
堕女神「は、あぁぅぅぅっ……!陛下、の……もの、が……わたしの、奥に……ぃ……!」
勇者「……あ、あぁ……。平気、か……?」
堕女神「はい……。でも……うれしい、です」
勇者「え……?」
堕女神「あなた、に……私を、捧げた事……。なかった、事に……されて、なくて……」
303 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/10(日) 00:02:38.48 ID:3iiTHLlv0
接合からは、一滴の血すら流れない。
ただ、彼女の深部に滾る熱情が、頼りなく、しかし確かに硬く今も脈打つ肉茎へ火を入れるように伝わってくるだけだった。
堕女神「貴方の……熱い……。ぴく、ぴく……震えて……私の中に……いっぱい、っ広、げ、て……んふぁっ!」
彼女が俯き、その深部に迫る肉の浸食に打ち震えると――――肩の向こうに黒翼のように背負われていた髪が
ひと房、ひと房、と落ちてシーツに触れて、音を立てた。
降り積もった雪の上へ恐る恐るに足跡をつけるように――――さく、さく、さふ、さふ、と。
その内、分かれた何条かの髪が勇者の胸の上へ届くと――――くすぐったさもまた、届く。
流れる墨のような髪の帳の中、堕女神はゆっくりと、しかし確実に――――“降りて”くる。
小さな膣口をこじ開ける感触は、未だこなれない。
破瓜の痛みはなくとも、圧し広げられる感覚だけはあるのか――――彼女の呼吸は細く、小刻みなものだ。
堕女神「あ、はぁぁ……っもっと、ぉ……っ!」
304 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/10(日) 00:04:48.58 ID:3iiTHLlv0
気が逸るのか――――八割までを飲み込んだ段階で、堕女神は、かすかにだが腰を浮かせ、再びゆっくり落とす。
強く咥え込まれていた肉茎もその時だけは微かに緩まり、上下に扱かれた。
その中にある捉えて離さない強い締めとは違い、彼女の腰の動きは小さく、か弱い。
くい、くい、と――――渡した板切れの上へ跨り、這って進むようなささやかな、虫の歩みのような上下動だ。
だが、腰を振り動かすごとに彼女の喉からは吐息が漏れ、やがて――――甘やかな呻きへと変わる。
堕女神「は、ぁぁんっ……!こ、れ……気持ち、よすぎ……て……おかし、く……」
まるで、机の角へ擦り合わせるような。
慰めを覚えたての少女がそうするような――――小刻みな騎乗位のまま、彼女は呻き、甘え、――――それでも止む事無く、腰をくねらせ続ける。
少女の姿、子供の鋭敏な感覚に玩弄されるように、堕女神は悶える。
いつしか、その銜え込みが根元まで到達している事にも気付かずに。
やがて、自然――――未発達の膣肉に扱き下ろされた亀頭は、彼女の奥へ口づけする。
堕女神「ひ、いぃぃんっ!お、くぅっ……!」
深く銜え込まれた拍子に、とうとう小さな亀頭が、小さな子宮口へ到達したのを勇者は感じた。
ぷちゅん、と――――見えない肉の洞の奥で、亀頭へ円らに張りつくような接吻が施された。
その感覚は不意打ちのものであり、勇者もまた、彼女がのけ反ったのに合わせて肉茎を震わせ、背筋を鋭く駆け巡る快感に怯えた。
305 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/10(日) 00:05:22.81 ID:3iiTHLlv0
勇者「くうぅっ……!」
堕女神「あ、あぁ……貴方の、……嬉しい……」
深奥で口づけを交わしながら、堕女神は天蓋を仰ぐように反った背を再び前へ倒し、まっすぐに勇者へ顔を向ける。
表情には快楽でも歓喜でもなく、“安堵”が浮かんでいた。
唇は緩み、緊張していた目元もほどけるように涙を一筋落として――――。
堕女神「……いつもと、同、じ……貴方と……繋がって……」
勇者「……堕女神」
更に、彼女の身体は深く前傾してゆく。
勇者の体へ向け、倒れ込むように身を預けると――――この“変化”によって初めて得られた、新しい感覚を互いに覚える。
勇者「あ……」
豊かな双丘がないから――――抱き合えば、その肌が余すところなく一体に感じられた。
乳首も、乳房も、腹部も、下腹も。
互いの鼓動を伝え合えて……ぴったりと張りつき、繋がり合い、やがて、唇も――――
306 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/10(日) 00:07:09.52 ID:3iiTHLlv0
堕女神「はふっ……!む、んふぅ……!ちゅ、はっ……!」
唇を重ね合い、舌をゆだね合う。
胸も、腹も、胴体の肌を張り合わせるように密着させた深い抱擁。
乳首が擦れ合い、心臓を心臓で感じ合い、汗ばんだ腹部を突き合わせ合う。
そして――――“男”と“女”として、深くで繋がり合う。
少年と少女の禁断の戯れは、互いを溶かし合い、溶け合う、どこまでも無垢で混じりけのない禁域へと至る。
もはや、どこからどこまでが自分のカラダなのか――――それさえ両者は曖昧だった。
堕女神(ん、……もう……わたし……い……く……?)
彼女は、ようやく気付く。
既にその最奥には精が放たれ――――白濁が、拙い腰振りに合わせて吐き出されている事に。
それでも勇者のソレは未だ萎えず、硬さを保ったまま、繋がり続けていた。
堕女神(……奥……あたた、か……陛下の……きもち、いい……)
小さな子宮の中を、暖かな液体がどろどろと満たしていく。
疼き、震えながら満ちていく子宮の暖かさに、蕩かされるように。
ふ、と――――堕女神は、糸紡ぎのように長く、細く続く絶頂とともに眠った。
307 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/10(日) 00:08:36.50 ID:3iiTHLlv0
今夜の分、投下終了いたします
これでだいたい七割弱というところでしょうか
それでは
308 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/10(日) 00:36:19.68 ID:naECQvBSo
お疲れ様です
309 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/10(日) 01:57:21.58 ID:Xs+t1PH20
乙!
310 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/11(月) 13:31:46.78 ID:C/NPhI5jo
おつ!
311 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/13(水) 23:05:34.95 ID:OJMDy9A40
こんばんは
順次投下開始いたします
312 :
◆1UOAiS.xYWtC
[saga]:2018/06/13(水) 23:06:04.02 ID:OJMDy9A40
*****
数日しても、相変わらず体格は戻らない。
淫魔の国の奇病を患った時とは違い、戻る兆しがまるでない。
堕女神が解呪を試みても、魔術呪術の類いではないようで――――まるで効き目がない。
ならばと魔法薬を煎じてみても、その苦みに胃がひっくり返りそうな思いをして終わりだった。
そうしているうちに、皮肉にも体は段々と慣れていってしまい――――今となっては、以前と遜色なく動き回る事ができるようになった。
もはや階段でつんのめる事もなく、段差の大きさにも慣れて、目を閉じていても昇降できる。
その一方、堕女神はまだ身体の小ささに不慣れなのか――――転びこそせずとも、危うい足取りがまだ残る。
サキュバスBが姉に見えるほどの体躯にもどかしさを感じるのか、口数も少し減った。
喜々として“いじり”を加えようとしたサキュバスCすら気を遣って黙ったほどだ。
313 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/13(水) 23:06:57.62 ID:OJMDy9A40
勇者「……もどかしい」
サキュバスB「んぇ……?何です陛下、いきなり。どうしました?おっぱい触ります?」
勇者「触らない。……普段言わないだろう、お前。そういう事」
サキュバスB「そうですかね?……いや、反省します。どうも……調子が狂ってるのかも」
屋外の洗濯場で洗い替えのシーツを干している彼女へ、聞かせるでも無くぼやく。
するとサキュバスBは時折振り返りながらも、手を止めずに次々と物干しのロープに洗濯物を引っ掛けていく。
燦々と輝く日は、暗く沈んだ勇者の顔とは違い、明るく昼前の城を照らし出していた。
勇者「……はぁ、もどかしい」
サキュバスB「さっきから言っていますけど……何がです?何かあったんですか?お姉ちゃんで良ければ聞きますよ」
勇者「……大した事じゃないんだ」
サキュバスB「みんなそう言いますよー。……不安、なんですか?」
勇者「ああ、もちろんそれもある。だけど……」
サキュバスB「だけど?」
勇者「酒が飲みたいんだ」
314 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/13(水) 23:07:53.46 ID:OJMDy9A40
サキュバスB「うっわあ……」
勇者「……堕女神も。サキュバスAも。どれだけ言っても出してくれない。サキュバスCにいたっては『坊やはミルクだろ?』と鼻で笑いやがる」
サキュバスB「……Cちゃん、使ってみたかったセリフなんでしょうかね?」
勇者「そればかりか、『おうちで大人しくしてろ、無料ミルクサーバー』だとよ」
サキュバスB「うわっ……。ひど。……で、何でわたしに?」
勇者「もう、お前に頼むしか……」
サキュバスB「いや、堕女神さまとAちゃんが駄目ならわたしも駄目ですよ。今は子供なんですし……御控えになられたほうが」
勇者「別に飲んだくれたいとは言ってない。……このままだと怖い。自分が大人だった事すら忘れそうだ。頭がおかしくなる」
サキュバスB「……マジメですよね、陛下。でもお酒飲めたら大人、っていうのがすでに子供っぽい考えと言いますか……」
勇者「お前に言われると死ぬほど腹が立つな」
サキュバスB「……というか、陛下ってそんなにお酒好きだったんですか?」
勇者「……いや、元々は。弱くはないけど、好きじゃなかった」
315 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/13(水) 23:08:35.10 ID:OJMDy9A40
酒には、いつも思い出がある。
人間界で、“僧侶”と“魔法使い”と交わした安宿の、安物の葡萄酒での乾杯。
“戦士”を迎えた地での、数樽を空けた麦酒のひと時。
草原の騎兵達とは馬乳酒を過ごして、氷の諸島の戦士達とは蜂蜜酒とホットワイン。
巨人達の国と噂されていた、人々も馬も全てが巨体だった国では無味無臭の、火がつくほどキツい蒸留酒を。
呪われた島へ行くために無茶を通してくれた武装船の乗組員とは、揺れる甲板の上で糖蜜を利かせた強い酒を酌み交わした。
冒険の旅は――――世界の人々と語り合い、杯を交わし合う旅だったからだ。
人間界を偲べる数少ない手段のひとつが、“酒”なのだ。
サキュバスB「なるほど。……ともかくお酒はダメです」
勇者「ここまで話聞いておいて……?」
サキュバスB「ダメなものはダメです。……それはそれとして。陛下。覚えてますか?……お風呂場で、訊いたの」
勇者「風呂場……。ああ、覚えてる」
彼女から、もし訊ねられるなら――――という体で聞いた、問いかけ。
否――――思い遣りだ。
316 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/13(水) 23:09:07.76 ID:OJMDy9A40
魔王を討ち、人の世界に留まるのをやめようと思った最期の時。
その時――――“さみしく、なかったか”。
“大切な人に、お別れをきちんと言えたのか”。
“食べたいものは、あったのか”。
“憧れていた事はあったか”。
勇者「――――寂しくは、なかったな。だって、俺は……あの時。魔王城の崩れる時。一人じゃ、なかったんだ」
サキュバスB「……そうなんですか?」
勇者「二つ目。……結局、お別れを言えたのは仲間にだけだったな」
崩れる城の中で、最後に話せたのは三人の仲間達だけ。
勇者「……でも仲間に話せなくても、敵だから開ける心だってあった。意外と、すっきりしてたよ。あの時は」
317 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/13(水) 23:10:06.12 ID:OJMDy9A40
サキュバスB「……とりあえず、そろそろ戻りましょっか。わたしもお仕事終わっちゃいましたし……何か甘いものでも作ります?」
勇者「絶対に遠慮する」
サキュバスB「ひどっ!?」
勇者「酷いのはお前だ。この間……お前が取り分けただけのケーキの味が変わったんだぞ。どういう事なんだ、あれは。何をした」
サキュバスB「分かりませんよ!ただ普通に切ってお皿へ分けただけなのに……あんな酷い……うぷっ」
勇者「どうしてただ切るだけでマズくなるんだ……意味が分からないぞ。何の能力だ」
サキュバスB「う、ぐっ……。そ、それはそうと!陛下、お聞きになりましたか?また、今度は城下街で……真っ白い羽根が落ちてたそうですね」
勇者「何?」
慌てて矛先を逸らした彼女の言及は、思いのほか――――関心を惹いた。
この国に、白い、それなりに大きな羽根を持つ生き物はいない。
サキュバスAが拾ってきたそれは、大型の鳥でなければ持てないサイズのものだ。
淫魔の国に決して落ちないはずの白い羽根。
勇者「……穏やかじゃないな。仕方ない、堕女神のもとへ戻るよ」
サキュバスB「それじゃ、行きましょう。あ、後で差し入れに」
勇者「いらんっての!」
サキュバスB「それとも出し入れの方がいいですかね?やだなぁ、おませさん」
勇者「…………」
318 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/13(水) 23:11:24.75 ID:OJMDy9A40
サキュバスAのみならず、ここ数日ではサキュバスBすらこの調子だ。
舞いあがっているのか何なのか、からかわれる事があまりに多い。
そんなところもまた、一刻も早く元の姿に戻りたいと思う原因の一端だが――――。
――――方法が、分からない。
酒の味も忘れかけ、膝小僧に風を受ける短ズボンの穿き心地にも慣れてきた。
目線が低くなってしまっているせいで、城の内外を行き来する淫魔達の腰の高さになり、必然的に、見えてしまうのだ。
彼女らの張り詰めた太もも、スカートを持ち上げて生えた尻尾、くびれて腰骨と筋肉が艶めかしく浮いた腰。
わざとらしく、あてつけがましく、ふりふりと振って歩く柔尻まで。
時にはわざわざスカートをめくって悪戯っぽく見せつける者までいた。
そんな、慣れたくもない“慣れ”の日々が続いて。
唐突に――――それは、訪れた。
319 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/13(水) 23:12:55.57 ID:OJMDy9A40
今夜の繋ぎ分投下終了です
ではまた次回
320 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/13(水) 23:24:30.98 ID:M6q2UcDQo
お疲れ様です
321 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
:2018/06/13(水) 23:25:35.62 ID:iqcE7sm+0
やはりシリアスパートも良い・・・
人間界で酌み交わした酒からどんな国だったのか見えてくるらへんが好きです
322 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/14(木) 00:14:10.04 ID:h47CZgGP0
乙!
サキュBとの小気味よい軽口が新鮮でした
「切り分けたケーキの味が変わる」には草
323 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[Sage]:2018/06/18(月) 09:19:03.01 ID:N+R16MMRO
作者多忙なんだな...(・ω・`)
324 :
◆1UOAiS.xYWtC
[saga]:2018/06/18(月) 22:46:41.32 ID:xNoOLc570
申し訳ない
推敲修正に加え、書き溜めをちょっとやりたくて長引いてしまった
あと5〜6回分ぐらいの投下で今回の本編を閉じましょう
本編はな
325 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/18(月) 22:47:53.12 ID:xNoOLc570
*****
ちょうど、変化から二週間目の夜中の事だった。
夜中、散歩の一環として眠気を呼ぼうと運動を兼ねて歩いていた時。
ふだんは城内、出ても中庭に面したテラスに出て夜の締まった空気を吸うだけだったのに――――今日は、違った。
城下の酒場から預かった、あの“仔豚”が気にかかったのだ。
間違いなく勇者の胃に入り、堕女神と淫魔二人の酒宴の肴にもなったというのに、依然として満足な五体を宿している、無尽の肉を供する豚。
あれ以来、特にその周りへ変化は起きていない。
だが、聞けば――――実際に、城の淫魔がその豚から肉を切り取っても、翌朝には本当に元に戻っていたという。
その肉が、現在の勇者と堕女神へ影響を与えたかは分からずとも――――その異常性は、とても捨て置けるものではなかった。
魔法を使えるでも無く言葉を話せもしない、しかし無限に再生する豚。
それを無視など、できるはずもなく。
326 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/18(月) 22:49:16.08 ID:xNoOLc570
勇者「……よ」
ナイトメア「またきた。……ひまくそ国王」
勇者「……相変わらず口悪いな」
ナイトメア「さしいれぐらい持ってこい。なついてほしく、ないか」
厩舎に入れば、すぐに出迎えてくれたのはこの厩の主。
房のひとつに高く積み上げた寝藁の上に仰向けに身体を投げ出して――――ずぶずぶと大きく沈ませて寝そべったまま、
顔も向けずに辛辣な言葉を浴びせかけられる。
勇者「あの豚は?」
ナイトメア「いまはおくのへや。……いそうろう、ふやすな。せまい」
勇者「いや、狭くはないだろ……」
ナイトメア「……わたしのたてがみ、かじる。ぬけた。とてもいたい」
勇者「……遊んでやってるのか」
ナイトメア「たまに。何しにきた」
勇者「様子を見に来ただけだよ、寝る前に。何か変わった事はあったか?」
327 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/18(月) 22:50:09.37 ID:xNoOLc570
そう訊ねると、突如ナイトメアの体が藁山の上で反転し、転げ落ちるように身を投げ出して降りる。
直後――――その小さく細い体の着地とは思えないほどの重い音とともに、厩が揺れた。
ナイトメア「なにか、じゃない。なきごえがうるさくて寝れない。かまれる。なんとかしろ」
勇者「それに対しては、その……」
ナイトメア「やくそくしろ。今、ここで。しろ。……するんだ。しろ」
立ち上がりながら恨みがましく見つめる気迫に押され、返事をするでもなく――――つい、頷く。
奥の馬房から物音に混じり、喉を低く鳴らすような鳴き声がようやく聴こえた。
ナイトメア「あいつ、さっさとハムにしろ。ソーセージでもいい」
勇者「しても元通りになるぞ、きっと」
ナイトメア「なら、ずっと焼きっぱなしにしておけばいい」
勇者「地獄か……?」
ナイトメア「やつにじごくをみせてやる。ぶたのようになけ」
幼女の姿のまま、そら恐ろしい台詞を吐いてしまう彼女へいささか戦慄するとともに――――その仔豚がいるという、奥の馬房を目指す。
328 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/18(月) 22:50:38.87 ID:xNoOLc570
果たして、そこには……今しがたの地獄の責め苦の相談を聞いていなかったように、仔豚一頭には広い房の片隅に“闖入者”の姿がある。
一番低くに差し渡した柵がわりの馬栓棒の真下を、その気になればくぐりぬけられるだろう。
本来は馬を止めて置くための馬房であり、仔豚を入れてはおけない。
恐ろしい牢名主までいるというのに――――当の豚は、先ほどの物音で目が覚めたか、鼻をふごふごと鳴らしながら馬房の中をうろつき回る。
勇者「……見れば見るほど、普通の豚だよな」
その肉を削り取ったというのに、豚はピンピンとして――――毛艶も整い、健康そのもので今もいる。
勇者と堕女神に降りかかった災難と関係があるのかどうかは、未だ怪しい。
試しにもう一度捌いて食べてみようと思いはしたものの、何か別の事が起きるという懸念のため、却下となった。
最後の確証が持てないままいくら調べても、“再生する”という特性以外は何も掴めない。
無論、淫魔の国にこんな動物は存在しない。
まさしく――――降ってわいたように現れた、“謎の豚”なのだ。
329 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/18(月) 22:51:15.37 ID:xNoOLc570
二本渡した柵がわりの棒を飛び越え、馬房の中へ踏み入る。
獣臭は感じず、むしろ涼やかだった。
敷かれた寝藁を踏み締め、近寄れば仔豚は警戒もせず、むしろ“撫でろ”とでも言うように近づいてきた。
それを見て――――勇者は、思い出した事もある。
勇者「……何だ?人慣れしてるな、お前」
警戒せず、積極的に寄ってくる。
サキュバスCに対してすらこの仔豚は物怖じせず、鼻面を、体をこすりつけていた。
それはすなわち――――この仔豚には、飼い主がいるという事に他ならない。
警戒心のなさは、野性の世界で生きていたものではない証明だった。
だが、この仔豚は淫魔の国、少なくともその周辺界隈に生息する生物ではない。
勇者は膝立ちのまま、適当に撫でてやりながら――――その身体を探ってみる。
もしも畜主がいるとすれば、どこかに焼き印が施してあるかもしれない。
ひと通りは調べてあり、今さら見つかる訳もあるまいが――――せめて、何か手がかりでもあればと。
当然ながら焼き印などなく、目印がわりの毛刈りもなく、蹄の手入れは多少荒れているが……これは、淫魔の国へ来てからのものだろう。
故郷の村にいた頃。
隣家の豚の世話を手伝っていた頃の事を思い出すうち――――自然と、懐かしくなった。
330 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/18(月) 22:51:45.67 ID:xNoOLc570
父の木槌の音に返事をするように混じる、庭へ放した鶏の声。
何も起こらない、何にも脅かされない、何も無い日々をただ安穏と送っていた、“勇者じゃない日々”の事が。
故郷に残した父母と妹、星々を眺めながら、必ず戻ると約束した幼馴染。
サキュバスBの言ったとおり――――お別れは、言えなかった。
出立の朝も、村の皆が目を覚まさぬうち、太陽がようやく顔を覗かせた時間に、誰も起こさずに発った。
別れは言えず、送り出す言葉も聞けず。
ただ――――朝焼けに染まる村へ背を向け、滲み波立つ視界に赤い灯を受けて、“勇者”として世界へ向かった。
勇者「遠くに、来たんだな」
ぽつりと呟くその言葉は、目の前の迷い仔豚へ。
農民から勇者へ、そして淫魔の国の王になった――――自身と、その両方へ向けてのものだ。
問いかけの意味など知るはずもない仔豚は小首を傾げ、ぷきゅっ、と喉を鳴らして――――ぷい、と離れると寝床へ体を横たえ、眠った。
勇者「本当に……懐かしい、なぁ。……っ?」
331 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/18(月) 22:52:28.64 ID:xNoOLc570
そう、独白すると――――右側。すなわち厩舎の廊下、柵棒をすり抜けるように、風とともにこぼれおちて掌を撫でたものに気付く。
勇者「……これは」
薄暗い馬房の中で、それでもはっきりと見て取れたのは――――灯火を弾くように光る白銀の羽根だ。
さながら大剣のような形にぴんと張り詰めた、白鳥の風切り羽根。
それがひとつ、ふたつ。
サキュバスAが見つけて渡してきたものではない。それは今、執務室にあるはずだ。
それとともに馬房の外に、今まで覚えのないような気配が感じられた。
その気配に色を付けるとするのならば寂しげに燻された白銀。
黒でも、紫でもなく。尖り、鈍った、使い込まれた武具のような曇った白銀の気配。
曇天の下で流血とともにひとり立つ孤高の英雄――――そんな光景を幻視するかのようだった。
加えて、確かに――――静かに、細い息遣いがある。
ゆっくり、ゆっくりと、視線を先導させるように首を回して振り向く。
そこにいる者は、確実に……この城の者ではないから。
???「――――そこで、何をしている?」
誰何する声は、誰のものでもない。
まして、この城、この国の王へ向けるものではない。
332 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/18(月) 22:53:33.05 ID:xNoOLc570
勇者「…………い」
???「いつから、ここにいるのだ?」
返そうとした言葉を遮られ――――訊こうとした事を、訊かれた。
その“何者か”のなりは、異様なものだ。
足を固めるのは、素肌を覗かせながら脛までかかる革のブーツ。
少し上がれば眩しい太ももを大胆に覗かせた白のスカートを腰のベルトで止め、
左腰に留めた鉄輪にむき出しの直剣が鞘代わりに鍔を掛けるように差されている。
袖なしの胸甲は光沢ある緑に輝き、細い肩を覆う肩当てもまた同様。
そこから伸びる二の腕は暗闇の中でもはっきり見えるほどに白く艶めき、指先にいたるまで隙が無い。
右手に持つ槍もまた研ぎ抜かれており――――業物である事は疑いようもなく
そればかりか、人間界で目にした如何なる名槍ですら叶わない神秘のような輝きを持つ。
???「……淫魔め。人間の子と豚を同じ檻へ処すか。何という事か」
白磁の如き肌をもつ顔は、どこか愁いを帯びた、それでいて、したたかな美しさを帯びた女のものだ。
そして、羽根の正体――――肩に掛けた白鳥の羽衣が、虚空へ流れる長い栗毛を浮き立たせていた。
???「心配はいらない。私に任せよ。……怖がらずとも良い。私はワルキューレ。其方を、無事に連れだしてみせよう」
333 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/18(月) 22:55:28.94 ID:xNoOLc570
今夜分を投下終了でございます
いくらなんでも五日は空け過ぎだぜ自分……
では、ひとまずまた明日お会いしましょう
334 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/18(月) 23:09:09.25 ID:iDBoS90V0
乙!
急展開きた
335 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/18(月) 23:17:52.05 ID:P3IASCJ/0
おっつおっつ。
主よ、「本編は」と言ったな。
楽しみにしてます。
336 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[Sage]:2018/06/18(月) 23:46:54.33 ID:8XAcHzHn0
ワルキューレ本編登場キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
337 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/18(月) 23:57:48.14 ID:iTQa5o4n0
無かったことにされたワルキューレ?
338 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/19(火) 00:20:42.53 ID:MjfQL8Z7O
ワルキューレさんの勘違いとドジっ娘属性にポンコツパワーをぶち撒けてるのに凛々しい美人感好き乙
339 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/19(火) 00:36:37.54 ID:rOxNxJlqO
ナイトメアかわいい。
マジで好き。
340 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/19(火) 01:03:32.60 ID:99pFhSrqo
ワルキューレ!?
341 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/19(火) 12:40:22.11 ID:EM0OY/zjO
『勇者に負けた』ワルキューレか、『新たな』ワルキューレかで、天魔大戦が発生しかねないな・・・。
342 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
:2018/06/19(火) 14:10:10.76 ID:DM2HL4180
異常性を持った仔豚・・・確保、収容、保護
343 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/19(火) 23:16:09.54 ID:iDptxh1+o
オブジェクトクラスは?
344 :
◆1UOAiS.xYWtC
[saga]:2018/06/19(火) 23:31:53.64 ID:yeC697wZ0
こんばんは
予定通り今日の分を始めましょう
345 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/19(火) 23:33:29.43 ID:yeC697wZ0
勇者「何……で……ここ、に?」
羽衣からこぼれ落ちる白羽は、厩舎の中に弱く吹き込む風に運ばれる。
堂々たる立ち姿は、人間界で伝え聞いた戦乙女の伝説、そのものだ。
氷の島々に生きた男達が心に描き、その“迎え”が来ると信じて戦った――――麗しの介添達。
よもや目に出来るとは思えなかった。
ましてや、この淫魔の国で――――。
ワルキューレ「気にする事では無い。子供。それより、今はここから逃げる事だ。君と、もうひとつ……“それ”もだ」
房内にいる、もうひとつの生き物に鋭い視線が注がれる。
寝息を立てたばかりの仔豚は、彼女の気配にも動じずに眠りこけたままだ。
勇者「……こいつを?」
ワルキューレ「我らが許より逃げ出してしまったのだ。どこをどう通ったかは分からんが、そもそも天界から何故こんな……まぁ、それは良いか」
勇者「天……」
346 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/19(火) 23:35:03.11 ID:yeC697wZ0
ワルキューレ「それにしても、まぁ……随分と肝の据わる子もいたものだ。将来が有望だな。さて、いつまでもこうしてはいられないな。
この畜舎から逃げるぞ。牛馬と同じ扱いとは……酷い事をする」
勇者「待った。馬……?女の子がいなかった?」
ワルキューレ「……ふむ?君とその豚、それと……あぁ、白馬が一頭いたか。良い毛並みをしていた。
特に私を見ても何も……。ともかく、子など他にいないぞ」
勇者(……あの野郎……!)
心中で呟くと、あてつけのように“馬”の鼻息が聴こえた。
この状況でなおも無関心を貫く違和感もあったが――――それより今は、情報を引き出す事が先決と考えられた、が。
ワルキューレ「さぁ。淫魔どもに気付かれる前に発つぞ。心配はいらん。私が人界へ送ろう」
彼女はあくまで早々にここを去る気のようであり、柵棒も音を立てぬようすでに外されていた。
呼びかけられた仔豚は“主人”の姿を認めて、引っ込んでいた片隅から出てその足もとをうろついている。
347 :
◆1UOAiS.xYWtC
[sagesaga]:2018/06/19(火) 23:36:50.93 ID:yeC697wZ0
この、異界からの侵入者に対するに――――剣は持ってきていない。
雷を射掛ければあるいは通じるかもしれないが、相応の反撃があるはずだ。
いつまで経っても馬房から出ようとしない勇者を見て、段々とワルキューレは訝し気な表情へと移っていき、
槍の石突で木の床を穿つようにしながら手招きしていた。
ワルキューレ「どうしたというのだ……。よもや、淫魔に何かの魔術でも掛けられたか」
何よりまずい事に、この戦乙女は慮る声こそかけてきているが……その実、一瞬たりとも警戒を解いていない。
疑いをかけられている訳ではないだろうに――――それでもなお、不用意に動けばその槍がいつ閃くものか読めない。
声を出す、口笛を吹く、雷を一発鳴らす。
どう動いても制圧されるだろう。
何より今は、無力な子供の姿であるというのが――――最も大きい。
ワルキューレ「さぁ。……人間界に帰してやる。ここにいる事が君の本懐ではあるまい」
しびれを切らしたように、彼女に手を差し伸べられた。
その時――――勇者の脳裏を過るものがあった。
世界を跨ぐ選択を問われた、“勇者”の最後の日。
ワルキューレ「……いい加減にしろ、何をためらう?人間だろう、君は」
あの時、答えた言葉は。
勇者「……行かない。俺はここにいる」
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