淫魔の国と、こどもの日

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415 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/06/30(土) 02:40:22.32 ID:Au+5k+YW0
本編終了
ひとまず私は眠ります……

おまけを少し予定してはおりますが、起きてから……
416 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/30(土) 02:43:03.48 ID:zpssdweR0
乙!
ギップリャァァァ
417 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/30(土) 03:01:07.53 ID:PzVCRzo10
何という可愛らしい理由。
418 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/30(土) 03:23:13.34 ID:A57qKWFDo
乙!とても良かった、おまけも楽しみにしとる
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/30(土) 07:58:12.26 ID:QvLVAymSO
あらかわいい
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/30(土) 11:22:11.81 ID:5l2dPgB7o
ロリとするんじゃないかと期待してすみませんでした
421 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/06/30(土) 11:53:21.86 ID:7KmVsIpG0
おねショタじゃなく、おにロリかと思ったゾ
422 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/30(土) 19:18:16.98 ID:zd0M3GrM0
可愛さのボルテージMAXこえてんじゃん
423 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/01(日) 06:39:55.11 ID:oyHifgiE0
おはようございます

調子良ければ、今夜あたりにおまけ編ひとつ目を投下いたします
三〜四個落としてHTML依頼、と予定しております
424 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/01(日) 11:05:00.54 ID:8Q4YOZW4o
わーい
425 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [Sage]:2018/07/01(日) 14:46:00.65 ID:BBxd2KVlO
あのワルキューレ惚れ薬でも盛られたんだろうか
426 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/01(日) 22:24:15.23 ID:qEwuW1Vwo
淫紋あるから
427 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/02(月) 05:45:13.96 ID:MA+N9ZpW0
月曜の最悪な朝に投下開始します

サキュバスBのおまけ編になります
428 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/02(月) 05:45:58.03 ID:MA+N9ZpW0

*****

あの若返りの騒動から数日経つと、頭が冷えてきた。
天界の仔豚を食べた事で思いのままの姿――――ほんの少し未練を抱いていた、子供の頃の姿へ変わったことに始まる。
歩幅に慣れず、子供の姿のために酒も供してもらえないあの切なさを越えられたと思えば、次は――――招かれざる客の登場だ。
天界の戦乙女“ワルキューレ”の侵入。
一時はどうなる事かと思えたものの、最終的に彼女の僅かばかりの信頼を得て、事情を話して元に戻る方法を教えてもらえた。

勇者「――――のは、いいが……」

その間――――ずっと、おちょくられてばかりだった。
堕女神は心配し寄り添っていてくれたし、サキュバスAには本音はどうあれ、ずっとからかわれ通しだった。
サキュバスCに至っては顔を合わせた瞬間に爆笑され、ナイトメアには鼻で笑われ。
そして城下町の狐女将は薄々分かっていながら勇者をかどわかし――――今でも夢に見るような、忘れられない毛並みの九尾で弄ばれた。

そして、何よりも。

勇者「……何してる、サキュバスB」

浴場でお姉さん風を吹かせながら、文字通りの“悪戯”を働いてきた彼女だ。
サキュバスBは、今――――――
429 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/02(月) 05:46:34.90 ID:MA+N9ZpW0

サキュバスB「え。……っと……ですね……」

勇者「…………仕事中だ」

サキュバスB「あ、ははっ……ですよね……」

乾いた笑いとともに、サキュバスBはぽりぽりと頭を掻く。
数日前の勇者よりほんの少し背が高く、それでも十分に稚気に満ちた姿に似合わない実った肢体を持つ淫魔は、今。
執務室の机に向かう勇者の左手側にある補助机の上にぺたりと腰を下ろしていた。
そこから、短ズボンの裾からスラリと伸びた脚を見せつけるように何度も組み替え、
扇情するように開いて見せて――――“誘惑”の仕草を試みていた。

サキュバスB「い、いや……陛下、元に戻れてよかったですねーっ、て……えへっ……」

勇者「わざわざどうもありがとう。仕事中だ」

サキュバスB「…………」

勇者「もう一度言う。仕事中だ」

サキュバスB「あの、怒って――――」

勇者「仕事中」

サキュバスB「う……!」
430 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/02(月) 05:47:11.25 ID:MA+N9ZpW0

数分前から、こうしたやり取りが続く。
堕女神が今は席を外し、そこへサキュバスBが入室してきてから、ずっと。
ちょろちょろと動き回り、気まずさを誤魔化すようにしながら機嫌を窺うのだ。

子供の姿へ変わってしまっていた時……勇者は著しく淫魔のフェロモンへの抵抗が弱くなってしまっていた。
大浴場で入浴していた折にサキュバスBが訪れ、その場で弄ばれ、たっぷりと搾り取られ、弱々しさを愉しむように、眼前の少年の正体を分かっていながら。

その一件はしばらく忘れられていたし、終えた直後に彼女へ“鉄拳制裁”も下した。
更にはその後のドタバタにより、風化しかけていたが――――今になって彼女に罪悪感が芽生えたのか、この調子なのだ。

勇者「……フー…………」

サキュバスB「っ……う、うぅ……」

わざとらしく溜め息をついて、サキュバスBへ視線を向けないよう努める。
実のところ、そこまで機嫌を損ねてなどいない。
ただ――――そっけない振りをして、彼女を困らせてやるだけのつもりだった。
ほんの少しだけ焦らしてから、“怒ってない”と、“気にしなくていい。少し休憩にしようか”と、声をかけてやる予定だった。

しかし。

――――突如、ぱさっ、と軽い布が床へ落ちる乾いた音が左耳へ入り込んできた。
431 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/02(月) 05:47:38.68 ID:MA+N9ZpW0

勇者(…………え?)

サキュバスB「……ぅ……!」

ちらり、と眼だけを動かし、あくまで正面から顔をできるだけ逸らさずに物音の正体を確かめる。
見えたのは片膝を軽く立てて補助机へ腰かけ、蒼いほっそりとした脚線と、裸足の爪先。
机の真下へ落ちた、ふたつの衣類。
しかし上衣は着たままであり、床へ無造作に落ちていたのはサキュバスBがたった今まで穿いていたショートパンツと、その中身――――下着だ。

勇者(……何、して……)

サキュバスB「へ、陛下ー……こっち、見て……くださいよぅ」

勇者「…………っ」

呼びかけられ、思わず顔を向け……直視した。
机に腰かけて右膝を立てかすかに外側へ曲げ、左脚はぷらぷらと投げ出し、手は腰の後ろへついて体を支えていた。
蒼い肌は羞恥に染まってところどころ淡い紫へ浮き立ち、生まれたままの姿の下半身が、その秘部を差し出すようにほぼ顔の高さにあった。
そうしている彼女の顔は熱に浮かされたように恍惚として、かすかな期待を込めながら、口を閉じてにこりと笑っている。
432 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/02(月) 05:48:34.53 ID:MA+N9ZpW0

*****

サキュバスB(ど、どうしようどうしようどうしよう……!ぬ、脱い、じゃった……!こんなところで……陛下、忙しい……のに……!)

挑むような姿で、横顔へ向けて机に腰かけながら股間を曝け出しながら――――彼女の思考は加速と過熱の一途を辿る。
そっけなさを恐れるあまり、突飛な行動へ出てしまい――――もはや取り返しがつかない事に踏み込んでしまった。

サキュバスB(……!?ちょ、どうして見ないんですか……!こ、こんなのって……ないですよ……!)

それなのに、彼は。勇者は、ほんの一瞥だけすると再び正面へ向き直る。
羽ペンを片手に書面へ目を落とし、手近にあった年鑑を開き――――まるで、そんな必死の淫魔など存在しないかのように振る舞う。

サキュバスB「陛下ー……ほ、ほら……み、見て……ください。わ、わたしの……サキュバスBの、お、おま○こ……ですよ〜……」

右膝を立て、左脚はぷらぷらと下げ、その姿勢のまま右手を秘部へ這わせると――――指先で、“そこ”を割り開いて見せつける。
にゅぱぁ、と開いた淡い桃色の秘裂と、密やかな興奮に糸を引く粘膜と、ひくひくと蠢く尿口を見せても――――彼は、無関心。

サキュバスB(……っや、やば……これ、恥ずかしい……っ!恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!死ん、じゃ、う……!!)

かっと頭に血が昇り、視界は熱く目の奥に涙の気配が昇ってきて、同時に心臓がきゅっと冷える感覚が襲う。
こうして誘いをかけているのに彼はまったく目もくれずに正面を向いたまま――――挙句の果てには、書類の束をとんとんと叩いて揃える始末だ。
433 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/02(月) 05:49:29.20 ID:MA+N9ZpW0

サキュバスB「ほらぁ……み、見てくれないん、ですか……?お姉ちゃんの――――」

勇者「……」

視線は向けないまま、彼は目の前にある書面に睨めっこをしたままだ。
すぐ左手、手の届くところに詳らかにされている光景を無きものとしているように、羽ペンが走る。
その間にも――――じわりと滲んできた粘性の蜜が、指先でほころばせていた秘花から垂れ、
黒く沈んだ色合いの机の天板へ、さらに深く黒い沁みを創った。

ただ誘惑を試みているだけなのに、そうまでカラダが昂ぶっているのは、異常さからくるものだ。
普段なら、サキュバスBは生来の生真面目さの故に、彼の仕事を妨げる事はない。
今日に限っては、素っ気なくする彼への負い目があった故に、もう禊は済んでいるにも関わらず引きずってしまい――――こう、なった。

大人の姿に戻った彼に、サキュバスの淫気の誘惑は通じない。
まして“魔眼”が完全に退化し失われてしまったサキュバスBでは、情欲にせめて訴えかける以外の術はない。

それが拍車となってしまい、今――――彼女は引っ込みがつかなくなり、下半身を涼しくさせたまま、
机の上で脚をくねらせながらただ彼の横顔を見つめるしかなくなった。
434 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/02(月) 05:50:02.40 ID:MA+N9ZpW0

サキュバスB(う、うぅぅ……いつ、まで……こんな事……は、恥ずかしいよ……!)

日はまだ鋭く差し込み、昼食の時間ですらない。
そんな、燦々と照りつける執務室で、サキュバスBは羞恥に耐えながら、自分の首を締め続けていく。
割り開いていた整った指先にもあふれた蜜が触れて、恥丘に擦れた指が、にちり、と粘性の音を響かせた。
その音を彼は確かに聞いたか、ぴくり、とこめかみと耳介が揺れる。
しかし、それでも――――視線だけは、ずっと、前だ。

サキュバスB「くぅんっ……!へ、陛下ぁ……っ!」

勇者「…………」

素っ気なく、しかし――――反応していない訳ではない彼の横顔へ向け、サキュバスBの指はいつしか、羞恥心を忘れないまま、それでも蠢く。
潤う指先は、寂しさの吐露。
身体の震えは、いつまで経っても“目”を合わせてくれない彼への哀願。
ぱくぱくと震え開く秘花と蕾は、溺れておぼつかない呼吸。

“そこ”を通して、訴えかける気持ちが折れかけ――――ちゅぷちゅぷとまさぐり、
開かせていた指を止め、真っ赤に粘膜を充血させた秘部を閉じようと。
邪魔をした事を詫びて、執務室を出よう、と腰を浮かせかけた時。

勇者「――――――続けろ」

先ほどまでずっと背けられていた顔が、息のかかる距離で。
頬杖を突きながら、サキュバスBの股座を見ていた。
435 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/02(月) 05:50:44.91 ID:MA+N9ZpW0

サキュバスB「え、……え……」

勇者「……見ろ、と言ったのはお前じゃないか。続けろ」

サキュバスB「うっ……は、はい……いひぃっ……!」

再び、ぐっと脚を開き――――机の上に蛙のように両脚を立てる。
外側へ向けて膝を開く格好となり、もはや指で割り開くまでもなく内腿――――内転筋によって外へ引っ張られ
露に濡れた果肉が開き、曝け出された。

彼はそこを見つめたまま――――真顔を崩さず、左手で頬杖を突きながら動かない。
息がかかり、彼には生ぬるく立ち上る媚香が嗅ぎ取れる、口淫の間合い。

それなのに、どちらからも触れ合う事無く――――ただ、視線と微かな吐息だけがサキュバスBの差し出す秘部に突き刺さる。
その視線はどんな愛撫よりも今は敏感に感じ取れて――――ぴくり、と震えるたびに、
とろとろと花蜜がこぼれ、その様すらも赤裸々に覗き込まれる。

机の上に零れる蜜も、その度にほころび広がる、肉襞の底までも。
――――その下にひっそりとある、流れた蜜を受けて暗く光る桃色の蕾までも。

サキュバスB(や、だ……ぁ……どうして、黙ってるんですかぁ……!恥ずかしい、こんなの……恥ずかしいのにぃ……!)

勇者「……脚を閉じるな」

サキュバスB「は……い……」

勇者「どうしたいんだ」

サキュバスB「ふ、ぇ……?」
436 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/02(月) 05:51:11.99 ID:MA+N9ZpW0

勇者「何を――――どうしたいんだ。どうして、こんな事をした?」

サキュバスB「えっ……と……」

そうあらためて訊ねられると――――サキュバスBは、答えに窮した。
もう、済んだ事なのに……何の贖罪のためか、どう償えばいいのかも、考えるほどに分からなくなったから。
いや、そもそも――――そんなものが、果たして動機だったのかすらも。

サキュバスB(…………あれ。おかしいな……何で、こんな事してたんだっけ……)

勇者「……脚、閉じるな」

サキュバスB「きゃっ!?……そ、そこに話しかけないでくださいよ!」

勇者「ああ、間違えた。ひくひくしてたから……こっちが、口かと」

サキュバスB(も、もう……!……あ、……そっ……か……)

思えば、数週間。
一度も――――。

サキュバスB「……へ、陛下。……えっと……ですね……お天気も、いいですし……じゃ、なくて……えと……」

単純な。
生真面目すぎて考え込み、考え込んだせいで忘れかけていた、種の欲求。


サキュバスB「……おさぼり、えっち……しちゃい、ません?」
437 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/02(月) 05:51:50.38 ID:MA+N9ZpW0

*****

サキュバスB「あ、あのっ!?ほ、ホントにこんな、ところで……するん、ですか……!?あ、ぶっ……ひやぁぁっ!」

いくつも、場所はあったのに。
椅子に座った彼に跨り、向かい合い腰を動かす。あるいは背中を預ける。
正面にある大机に手をつき、腰を突き上げて背後から衝かれる。机に仰向けに寝そべり、向き合いながら貫かれる。
壁に押し付け、体を持ち上げられながら。あるいは――――床の上でか。

だが舞台はその、どれでもない。
サキュバスBがずっと腰を下ろし、扇情的に――――仕草だけを見れば淫魔そのもののように、扇情的に踊りかけていた左手の小さめの机の上。
その天板は奥行きが足りない。
サキュバスBが後ろへ身を倒せば尻と腰、そして背中の下部……肋骨に護られていない部分までしか、預けられない。
身体の小さい彼女ですら、とてもその身を横たえる事のできない、頼りない狭さの“寝台”へと変わる。

サキュバスB「うああぁっ!?お、落ちっ……落ちます、って……!」

勇者「分かってるよ。……掴まれ、ほら」

必死に背筋で踏ん張りながら、少しでも支えになる面を増やすべく――――天板の手前ギリギリまで
秘部を突き出していたサキュバスBへ両手が差し出される。
掻き泳ぐようにサキュバスBは彼の手を掴むと、彼もまた、サキュバスBの手を握る。

そこまでして、ようやく姿勢は安定した。

だが、離せば――――無論、真っ逆さまに机の向こう側へ落ちる。
438 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/02(月) 05:52:19.82 ID:MA+N9ZpW0

サキュバスB「な、なんで……?危ないですって、こんな……」

勇者「離さなければいい」

サキュバスB「で、ですから……せめて、そっちの大きい机の方で……んぎっ!?」

必死に突き出していた秘部へ、久しく迎えていない逞しく反り返ったそれの、硬い亀頭の感触を覚える。
瞬間、洪水していた蜜はそれへまとわりつき、涎をまぶすようにぬめぬめと黒光る“槍”を光らせる。

サキュバスB「待っ、て……ほ、ほんとに……このまま……!?」

勇者「誘ったのは誰だ?……ほら、しっかり掴め。もっと上の方だ」

あと少し力を込めれば、間もなく肉棒はサキュバスBを貫く。
否、ただあてがう今でさえ、ゆっくりと沈められている最中だった。
ずぬ、ずぬ、と……傍目に見れば止まっているような。じっくりと開花していく様のように、こうしている間にも飲み込まれて行く。

だが、もし亀頭の“返し”を飲み込んでしまえば――――そこから先は、すぐだ。
一息で文字通り衝き抜かれ、真っ直ぐにサキュバスBを机の向こう側へと押し出すだろう。

サキュバスB「う、ぃっ……ちょ、入っ……入って、きてるじゃないですかぁ……!止まって……待って、待ってくださいってば……あふぅっ……!」

握っていた手をほどき、綱を引き寄せる動きでサキュバスBの手は上り、彼の上腕へ文字通り縋りつく。
その間にもこじ開けて侵入してくる肉の破城槌の熱にぴくぴくと体を揺すりながら、
シャツの袖ごと断崖絶壁の命綱を握るようにぎちりと握り締める。

――――亀頭が呑み込まれ、容赦ない突風のような突き上げがサキュバスBを襲ったのは、直後の事だ。
439 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/02(月) 05:53:08.47 ID:MA+N9ZpW0

サキュバスB「うくっ……!お、ち○ちん……入って、きまし……たぁ……!」

背中のほとんどを空中へ投げ出したまま、何の支えもない状態で、
掴んだ上腕と踏ん張る脚、そして締め付ける“肉”で彼へ縋りつくしかない。

それなのに彼は手で支えてなどくれず――――そればかりか。
のけ反ってなお高く主張する乳房を包む上衣を、優しく解いていく。
気付けば、黄金の瞳は懇願に揺れて――――抗議の声を上げかけた。

サキュバスB「陛下、ちょっ、胸……むね、なんて……!」

勇者「ほら、慌てるな。緩むな。落ちるぞ」

サキュバスB「そんな、ふ、ふひぃっ……!やん、やめ……お、落ち……落ちるぅっ!落ちちゃいます、からぁっ!!」

ずん、ずん、と――――容赦のない動きで彼はサキュバスBの秘肉の洞を抉る。
みっちりと膣内が広げられる感触は、今日は特に鋭く感じられる。
じんじんと響く熱は痛みのようで――――それ故に、“サキュバス”の快感神経を喜ばせる。

サキュバスB「う、ひっ……そんな、思いきり動かないでぇ……!お願い、です、からぁっ……」

ずぷり、ずぷ、ぬちゅ、ぎちっ……。
頼りない“舞台”から上半身をほとんどはみ出させ、突かれるごとに力の抜けて離しかける腕のせいで
幾度もぞっとするような浮遊感を味わいながら――――送り込まれる熱と快楽を鋭敏に感じる。
440 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/02(月) 05:53:38.93 ID:MA+N9ZpW0

ぎちぎちと締め付ける括約筋。
身体が浮きあがるたびに強張る内転筋。
浮遊感の恐怖で粟立つ肌の触覚。
必死で彼の腰、太腿を挟み込む脚。
それらすべてで縋りついているのに、彼が支えてくれているのは、自然と持ち上がってしまった乳首を摘まみとる指先だけ。
更にはその指まで蠢かされているせいで、幾度も身体が脱力して跳ねあがり――――そのたび、緩んでしまう。

サキュバスB「ひ、いぃっ……乳首、そんな転がさないでくださっ……だめ、力、抜け、ふひゃあぁぁぁっ……!」

勇者「大丈夫だ、離さなっ……く、ぐっ……そん、なに……締め、るな……っ!」

サキュバスB「し、しかたないじゃ……陛、下がぁ……そんな、深くっ……!」

勇者「っ、引っ、張る、な……っ!」

サキュバスB「んきゅぅぅっ……!ふ、深っ……お、奥にぃ、こんっ、って……ぇ……」

強く袖を引いた拍子に彼の体勢が崩れ、その勢いで亀頭がサキュバスBの奥の行き止まり――――子宮口へ軽くキスをした。
前方へ崩れかけた彼が机へ手をつき、慌てて離れようとすればそれは深く激しいストロークの抽挿へと変わり――――
再び縋るように、サキュバスBが袖を引き寄せ、肉の孔深くへ迎え入れる。

――――再び、つんのめりながら、サキュバスBの子宮口を叩いて。
441 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/02(月) 05:54:26.61 ID:MA+N9ZpW0

サキュバスB「きゃあんっ……!そん、な、深く、……う、動いちゃ……っ!!」

勇者「お前が引っ張るからだろうが! っ……ちょ、おい……くっ!!」

サキュバスB「あふぅ、ん……もっと、もっと……激しく、してぇ……」

勇者「待て、離せ、離、おい!待て、ってば……!」

サキュバスBは――――久しぶりの、奥まで深く貫く剛直に気をやり、浮かされたように腰をくねらせる。
その支えない背中を激しくえび反らせて、たぷん、たぷん、とその小さな肉体に見合わない豊乳を揺らし
――気付けばその手は彼の上腕から肩口、胸元、首の後ろにまで伸びて。

今身を置いている場所の不確かさを忘れるように、金色の目を深く潤ませて、
締まりを忘れた口もとからは重力に従って唾液がまっすぐに頬を垂れ落ち、床に沁みを作る。

サキュバスB「あ、あぁんっ……う、動いちゃうぅ……腰、勝手にぃ……き、もちいぃぃ……♪」

かくん、かくん、と腰を使い乱れる姿にもはや説得は応じない。
ごりごりと膣壁を抉られる鋭敏な感覚、駆動させた括約筋にそうされた快楽が、サキュバスBを蕩かせ、魔を目覚めさせた。

勇者「っ……あ、ぐっ……離、せ……出るっ……!」

サキュバスB「え……?ふふっ……いいですよー。わたしのおま○こに、お精子……ぜんぶ出しちゃってくださぁい。全部、ごくごく、しちゃいますから……」

勇者「そう、じゃなっ……う、っくっ……イ……っ!」

がくん、がくん、と引きずり込んでいくような抽挿の前後動は、終焉を迎えた。
頼りない机に釘付けにされたままだったサキュバスBの膣奥深くで白濁は炸裂し、数週間ぶりのそれが、彼女の子宮を精液袋へ変える。
ぴたりと突き合わせ合った亀頭と子宮口から、溢れんばかりのそれを注ぎ込まれる淫魔の至高の刻。
ずるり、と勢いを失った肉棒が抜け落ちる。
彼も、サキュバスBも虚脱し全身の力が抜け、心地良い疲労感を分け合い――――そして、“緩む”。

勇者「う、あああっ……」

サキュバスB「んふっ……きもちよかったですか?……わたしも、きもちよくしてくれて……ありが……っっ!?」

442 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/02(月) 05:55:05.59 ID:MA+N9ZpW0

サキュバスBには、重力に引かれて宙を舞う浮遊感と、見つめていた彼の顔と天井がぐるんと一回りする光景。
彼にもまた、ぐんっ、と前方へでんぐり返しをさせられるような浮遊感と、サキュバスBの強張る恐怖の表情。

両者はそのまま、机を乗り越え一回転するようにもんどり打ち、机の奥側へ頭から投げ出されていった。

サキュバスB「っい、た……あれ、いた、く、ない…………?」

勇者「ぐっ……はっ……!」

サキュバスB「陛下!?」

本来ならば二人とも組み合いながら、頭を打つはずだったところ。
彼は。勇者は、サキュバスBを抱き、かばいながら受け身を取り――――背骨を軋ませながら床へ落ち、クッション代わりになったのだ。

勇者「大丈夫、か……。ケガ、して、ないか……?」

サキュバスB「ごっ……ごめんなさい、ごめんなさい陛下!私……」

勇者「お前が、謝る事じゃ……げほっ……」

サキュバスB「…………ごめんなさい……」


*****

勇者(……どうして、サキュバスBとしたら……いつも、オチがつくんだ?)

背中へ走る打撲の痛みに耐え、消えていくのを待つ間。
勇者はただ、白濁と蜜に汚れたズボンを上げながら、息を整えながら、そうして一人ごちた。




443 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/02(月) 05:57:09.93 ID:MA+N9ZpW0
おまけ短編、ひとつめ終了です。

予定はワルキューレのをひとつ。
ナイトメアのをひとつ。

サッカー日本戦の後のテンション次第であとひとつ書くかどうか……


では、また後ほど。
会社なんぞ燃えてしまえばいいんだ
444 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/02(月) 06:52:50.01 ID:AWGftKPH0
朝からなんて素晴らしいものを…

さて、学校行くか。
445 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/02(月) 07:14:27.24 ID:FddzG3Wwo
お疲れ様です
446 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/07/02(月) 07:31:30.71 ID:1oIEML0h0
Aをください…Aを…
447 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/02(月) 08:33:26.99 ID:FLHB6zpMO
乙!
メア編期待してる!
448 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/02(月) 11:47:50.27 ID:dioOapSQo
えっちです!!
449 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/02(月) 12:42:01.82 ID:9A45h47YO
全く素晴らしい文章で大好きです…
所でBと勇者が盛ってた体位は対面…??
我童貞也理解不能性行為体位
450 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/02(月) 18:41:31.72 ID:GDCTG+NSO
なんだかんだ言いつつ服従するC
451 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/02(月) 20:22:37.66 ID:ol4Yf1KW0
乙!
城下町の顔馴染みに会ってみたいな
また書店娘とお茶しばいてまったりしたり
452 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/02(月) 21:12:29.44 ID:LcleiQQ3O
乙です

>>412-414後のIfで、元に戻った勇者が幼い姿の堕女神の可愛らしさにやられて激しく暴走してしまい、その激しさ故に満足してしまい堕女神が元に戻れなくなるとかを
453 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/05(木) 00:57:08.68 ID:fDwyqQH00
始めます、おまけ二つ目
ナイトメア編
454 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/05(木) 00:57:44.61 ID:fDwyqQH00

*****

ワルキューレの来訪の日に風穴が空いた厩舎の屋根。
間に合わせでさせた修理が終わって、ワルキューレが去り……正式な修復が終わったと告げられたその晩、勇者は出向いた。
片手にランプを下げて出ていった彼は、やがて辿りつくと――――掲げて、あの日とうってかわって静かな夜を頂く厩の屋根へ目を凝らす。
ランプと星明り、薄雲越しの月光を頼りに見るものの補修した箇所は、無事だった場所と遜色なく塞がっていた。

勇者「……そういえば、久しぶりだな。あの日以来か、ここに来るのも」

ワルキューレとサキュバスAの乱闘騒ぎ……蓋を開けて見ればサキュバスAの危なげない勝利で終わった、あの晩以来だった。
大人の姿に戻る事ができてから、初めて訪れたそこには、“主”がいる。

白金色の髪を持つ幼女の姿と、気品ある白毛の牝馬の姿を行き来する夢魔、ナイトメア。

まるで何を考えているのか掴めず、片言のつれない口調で喋るかと思えば含蓄のある言葉を吐く事もある。
人間の姿をしてはいても、人間の営みにあまり興味を持つこともないようで、姿を問わずいつもこの馬房の藁の上で気ままに過ごす。
特に馬の姿の時は、人間の言葉が分からないフリをして呑気に飼い葉を食んでいる事まである。
眠たげで気だるい表情に呆れたような眼差しを宿す、王を王とも思わない、見た目と矛盾して可愛げのない夢魔の少女だ。
455 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/05(木) 00:58:46.08 ID:fDwyqQH00

勇者「ナイトメア。……起きてるか?」

ナイトメア「かえれ」

勇者「え」

いつもいる馬房の中を、ランプを片手に覗き込めばすぐにその姿が見えた。
寝藁を積み上げたベッドの上に鎮座し、相変わらず感情の読めない瞳を、まるで来訪を予期していたように馬房の入口へ向けていて視線がぶつかる。

ナイトメア「なにしにきた。あそんでやらないぞ」

勇者「いや……屋根が直ったと聞いて様子を見に来ただけだ。……それと、お前も」

ナイトメア「……まにあってる。かえれ」

藁のベッドの上で片膝を立て、まくれ上がったぼろぼろの貫頭衣から雪のように白い脚を惜しげもなく、
更にはその付け根にある場所までさらけ出す彼女に、恥じらいなどない。
もつれ、はね、ところどころ藁の付着した白金髪は、反して艶は整っているため――――更に、この場にふさわしくない存在感がある。

ナイトメア「おみやげは?」

勇者「……ほら」
456 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/05(木) 00:59:13.43 ID:fDwyqQH00

外套に隠して来た三本の人参を柵越しに見せると彼女は立ち上がり、重たい足音を響かせながら横柄に近づき、受け取った。
ナイトメアは二つの姿を持つが――――体重は、変わらない。
この少女の姿の時でさえ成馬の体重と、魔物ならではの馬力を封じ込めている。
四頭立ての馬車を片手で引く事すら、彼女はできるのだ。

勇者「……なぁ。あの時……どうして、ワルキューレに反応しなかったんだ?見えてただろ」

ナイトメア「あぁ、あれ。……かてたからいいでしょ」

勇者「それは、結果はそうだけど……」

ナイトメア「……馬にたたかわせるの、よくない。どうして、やらなかった?」

勇者「…………うん」

ナイトメア「“うん”じゃないが」

あの状態で雷撃を放てば、先手は取れただろう。
雷速を避ける事はできず――――かつて人界の女神に与えられた雷の力なら、天界の眷族すら打てたのも間違いない。
だが、それは――――躊躇われた。
457 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/05(木) 00:59:49.16 ID:fDwyqQH00

ひとつは、相応の反撃を予測された事。
ふたつは、――――勝算もあればこそ、躊躇われたからだ。

人の世を救った力で、天界の存在を打つ事へ。
その抵抗が、サキュバスAに乱入される直前まであったし……彼女が来てくれた事を、その点でも感謝した。

ナイトメア「……それに、ひとのいえ、こわした。おまえのせいだ」

勇者「お前、って……約束どおりあの仔豚は引き取らせただろ、ワルキューレに!それにあれはサキュバスAが……!」

ナイトメア「そのまえにわたしのいえ、こわした。……ぶたのめんどうみてあげたのに。やね、こわした。ねるのじゃました。さいていだ」

勇者「う……!」

人参の二本目をたいらげ、ごりごりと咀嚼しながらナイトメアは一息に言い放つ。
足取りはすでに柵越しの勇者から離れ、先ほどまで寝ていた藁のベッドの上にぼふっ、と身をうつ伏せに投げ出す。
勢いでまくれ上がった裾も意に介さず、眩しい脚の付け根にある、年頃にしてはややむっちりとした、安産型の尻周りをさらけ出して。
足の裏は、汚れてはいても傷一つなく――――拭けば輝くような、若々しい張りがある。

ナイトメア「……でも、これでねむれる。おみやげありがとう。かえれ」

勇者へ尻を向けたまま、うつ伏せの姿で行儀悪く残りの人参を噛み砕き、脚はぱたぱたと落ち着きなく跳ねる。
一瞥もしないその態度はいよいよ不遜であり、言葉はもはや邪険そのものへと変わった。

気付けば、勇者は――――柵を音もなく飛び越え、馬房の中にいた。
458 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/05(木) 01:00:24.35 ID:fDwyqQH00

*****

ナイトメア「?……なんだ、ひとのへやに……わっ!?」

食べかすを散らしながら、ナイトメアは驚きの声を上げた。
それは、今まで少なくともこの姿で受けた事のない衝撃だったから。
まくれ上がった貫頭衣の裾を、さらにまくり上げて――――勇者は、その尻へ手を伸ばしていた。
数日前までの己とそう変わりない肉体の姿。
なのに、ナイトメアは――――勇者とも、堕女神とも違う、歳に似つかわしくないむっちりと張った尻を持つ。

ナイトメア「なん、の……まねだ……?」

勇者「……何だと思う?」

ナイトメア「ふざけろ。やめ……ひゃひっ……!?」

右手でナイトメアの右脚を掴みながら、左手は、尻叩きでもするようにまくり上げた衣の裾から、さわさわと豊かな尻たぶを撫でていた。
その手触りはさながら、吸い付くような、水を含ませた麺麭生地の塊。
もしくは、水をこなれて柔軟な革袋へ詰めた時のような――――ぶるん、と揺れる極上の、充足感を覚えるものだ。

勇者「声を出したな?」

ナイトメア「……でてない」

勇者「えっ……?」

ナイトメア「だしてない。声なんかぜったいだしてない」

勇者「……そう来たか。なら……」
459 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/05(木) 01:01:14.43 ID:fDwyqQH00

むにむにと指の埋まるような尻肉の感触を愉しみながら、力なく垂れる細い右脚をふにふにと揉みほぐす。
たっぷりと筋繊維の詰まったふくらはぎ、太腿は吸い付くような弾力に満ちており――――ずぶずぶと指先を沈め、マッサージするように揉んでいくと。

ナイトメア「ふ、ひゃはっ……やめ、ろ……くすぐ、ったい……ひひっ……!」

彼女の、ぶっきらぼうな声が微かに弾んだ。
その間も左手は絶えず尻を揉みほぐし、外側へ尻肉を遊ばせるたびに、その深い肉の奥に隠された
祠のような桃色の菊門がきゅっ、と窄まる様子が覗けた。
更にはその下、ぴちと閉じた縦一線もわなわなと蠢いて、じわじわと、馬房外の床へ置いたランプの灯を照り返す“汁”が沁み出すのが知れた。

ナイトメア「っ、ふ、ふっ……よ、せ……おこる、ぞ……!」

口ではそう言いながらも、ナイトメアに暴れる様子はない。
蹴れば勇者を突き離せるのに、そうする事はなく、むしろ――――脚をピンと伸ばして、ふっくらとした尻を好き放題に揉まれながらも抵抗はしなかった。

ナイトメア「んっ……ふっ……ふぅっ……」

ふくらはぎの筋肉をやわやわとほぐされるのが心地良いのか――――漏れ出す声には、甘さすら漂う。
しかし顔は藁山に突っ伏してしまっていて、表情は窺い知れない。
弾む声だけが、彼女の今の感情を知らせた。
460 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/05(木) 01:02:09.82 ID:fDwyqQH00

ナイトメア「っ……よせ、って……いって、いる……!」

数分もそうして、脚のマッサージを織り交ぜながら無防備の円い尻を波打たせるように揉みほぐすうちに、膝の裏にまで雫は一筋、下りてきた。
さらりとした手触りの透明な蜜をすくい、舐め取ってみても、淫魔達のそれと遜色なく、むしろほのかに楓の蜜のように甘い。
獣臭の類もなく、そもそも、この馬房ですら籠もるような畜舎の匂いはしない。
干し草と藁、そして木の香りが包み込む……良いように年経た、木造の建屋の馴染んだ香りだ。

ナイトメア「いまっ……なにか、なめたな……!はなせ、はなせ、っていってる!」

口ではそう強がるが、もがく様子はなく、微かに身じろぎするだけで顔も上げない。
藁山に突っ伏したままのくぐもった抗議は、先ほどまでの甘やかな喘ぎの残滓が失せていなかった。

吸い付くような、掌を貼り付かせられる広さのふっくらとした尻を両手で割り開く。
そこはもはや微かな光ですら見て取れるほどに蜜に濡れて光り、毛の一本もない割れ筋と、
小さな蕾が、冷ややかな外気に触れ強張るようにきゅっと窄まった。

ナイトメア「っ……まさ、か……まさか、おまえっ!……やめっ……!」

ナイトメアがこうまで取り乱す様を、初めて見た。
その事実が、いつの間にか――――滾らせて、いた。

取り出したそれを、ぴたりと、濡れて艶めく一筋の入り口へ押し当てる。
覗かせていた桃色の肉を押し返しながら、亀頭の先が卑裂を左右へ掻き分け、
ぐじゅ、と湿り気のある響きを房内へ――――不思議なほどに高く響かせた。
ナイトメアの身体はその瞬間に震え、しかし抵抗する事無く、小刻みな呼吸とともにただ受け入れていく。
461 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/05(木) 01:02:40.38 ID:fDwyqQH00

ナイトメア「っ……ふーっ……!ふーっ……!」

ぎちぎちと銜え込む小さな卑裂へ欲望を食い込ませる光景は、事のほか、猟奇に近いものになった。
彼女の手首ほどもあるそれはすんなりと入り、半ばまでがあっさり埋められた。
むっちりと質量のある似合わない桃尻に赤みが差し、苦し気なナイトメアの呼吸が房内を満たす。

勇者「……苦しかったか?」

ナイトメア「う、るさい……!やめろ、へん、た……くぁっ!?」

勇者「っう……」

言葉を遮るようにずるん、と引き抜くと抵抗がある。
肉襞が吸い付き、未熟な幼形の膣内にそぐわない刺激が肉茎をねぶった。
特に亀頭の裏側、筋の部分へ肉襞が吸い付き――――思わず、勇者の腰を引きつらせる、一瞬の快感が走った。
それを――――気付けばもう一度味わうべく、再び腰を突き動かしていた。

寝そべり、息を漏らしながら……それでいて、全く抵抗しないナイトメアの身体へ向けて。
462 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/05(木) 01:03:12.45 ID:fDwyqQH00

ナイトメア「っ……んっ……く、っ……!ひ……!お、ぅ……!」

勇者「……声っ……我慢、しなくて、いい……!」

ナイトメア「し、て、ない……きっ、ぃ……ひぃんっ……!」

ぱつん、ぱつん、と尻肉深くまで抉る抽挿の淫律が厩に響く。
ナイトメアの小さな体、小さな肉穴は勇者のそれを銜え込み、熱くうねるような快感を奏で合っていた。
深く突き込み、感じるのはナイトメアの身体の芯の熱さと、狭さ、子宮口を持ち上げ叩きつける乱暴な征服感だけではない。
ナイトメアの人間態に封じ込められた、勇者の五倍以上はある体重故に生み出される、密度の濃い締まりと肉襞の密集。
それは、まるで――――重質量の巨星に引き寄せられる流星のような誘因力を産み出す。

ナイトメア「かんじて、ない……んぃ、ひぃぃぃっ……!」

勇者「今……」

ナイトメア「だ、だしてない……!声なんか、だして、ないっ……かんじて、ない!」

勇者「どんな嘘だ……!」

ナイトメア「うるさいうるさい!ひっ……、ん、あぁっ!そこ、はっ……」
463 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/05(木) 01:03:55.60 ID:fDwyqQH00

みっちりと詰まった尻の割れ目にちんまりと窄まり、開きを繰り返す擂り鉢がある。
抽挿に合わせて動くそれを捉え、右手の小指先をあてがい――――たっぷりと吐き出された蜜をガイドに、つぷり、と沈み込ませた。

ナイトメア「ひっ……!へ、へんたいへんたい!やめろ、お、おぉぅっ、……ひ、やあぁぁぁっ!」

ふたつめの関節まで沈み込ませ、膣側へ軽く曲げると、腸壁と膣壁を隔てた男根へ行き当たる。
そのまま、挟み込むように指先で腸内を掻いてやるごとにナイトメアは卑猥な呻きを上げ、よがる。

ナイトメア「う、ぁ、やめっ……おし、り……かり、かり……するな、ぁ……へんたいっ……へんたいぃ……っ!」

顔を伏せたまま、荒い息とともにつく稚拙な悪態は、もはや懇願だった。
何が何でも顔を見せまいと。
快感に喘ぐ声を必死に噛み殺しながら、最後のプライドだけは守り通すべくの、必死の抑制。
それは――――皮肉な事に、強く封じ込めれば封じ込めるほど、昂ぶっていくと知らずに。

ナイトメア「ん、く、あぁっ……!奥、やめっ……ひぃっ……ずんずん、する……なぁ……!きもち、よく、なんか……んいぃっ……!」

勇者「……無理するなよ。声、出てる、ぞ……っ!」

ナイトメア「だ、だしてないっ……こえ、なんか、あぁぁひゃぁっ!出てない、出て、なぃぃっ……!」
464 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/05(木) 01:04:28.35 ID:fDwyqQH00

滑稽なほどの強情とともに、ナイトメアは藁山へ爪を立て、脚をピンと伸ばし、床へ踏ん張りを利かせるも……叶わず、空を掻く。
小さな尻穴を解錠するようにこじ開けられ、前の穴を“男性”に抉り穿たれながら、必死で足掻く。
それが連れてくる快楽を必死で迎え撃とうとするように、己の声として出ている“メス”の喘ぎを否定し、足掻く。

だが、それは無駄な抵抗そのものだった。
ナイトメアの肉厚の尻肉を打つ快音は段々と速まり、終着点へと彼女を導こうとしていた。

ナイトメア「あ、くぅんっ……きゅ、ひぃっ……!だ、だす……な……だしたらっ……おま、えっ……!」

勇者「出したらっ……どう、する」

ナイトメア「っ……や、め……う、うるさいっ……かんじてない!きもち、よくな……ひんっ!ひ、ぃぃっ……!なか、……っ……」

言葉がどう続くのか、勇者には結局分からなかった。
“出すな”か。それとも――――“出して”か。

しかし、抽挿を繰り返すうちにナイトメアの膣内はきゅんきゅんとうねり、引き締まり、その間隔は段々と狭まってきた。
小指を銜え込む尻孔も吸盤のように離そうとはせず、迎え入れた指先をしゃぶるように腸内はうねる。


――――そして。


465 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/05(木) 01:05:05.28 ID:fDwyqQH00

ナイトメア「あぅ、ひっ……い、ぃぃぃっ!い、クっ……イ、くぅぅっ……ぅ!」

びくん、びくびく、びくんっ……と小さな体を揺り動かし、彼女はとうとう顔も向けぬまま、“メス”の高みへ達した。
膣肉はきりきりと引き絞られ、子宮口は亀頭の尖端にぴたりと張りつき――――吸い込むように蠢いているのが伝わった。
かねてよりせり上がりかけていた精液の塊は、詰まってしまいそうなほどの勢いで我先に精道を駆け巡り、
肉茎を破裂させてしまいそうな圧力とともに子宮を目指す。
そして――――ナイトメアの肉体の芯深くで、白い花が散る。

ナイトメア「ぐ、ぅっ……!あ、あつっ……おなか、あつ、いぃぃっ……!だす、な……!だすな、だすなぁっ……ださ、ないで……!ださない、でぇ……!」

しかし、勢いのついた精子の群れは留まら無い。
昏い背徳感に後押しされた白濁は留まるところを知らず、ナイトメアの小さな子宮をびちゃびちゃと穢していった。

十数秒後、ようやく射精の波が止まり――――肉茎を引き抜く。

ナイトメア「う、あっ……ひゅ、いぃぃ……あふっ……ふ、えぇぇ……!」

藁の上にうつ伏せ、臀部をされるがまま差し出す姿で彼女は脱力し、声にならない喘ぎを絞り出す事しかできない。
脱力した体は小刻みに揺れては、犯されていた膣孔からだらりと呑み切れなかった精液を吐き出し、その上にある蕾も引き攣れて動く。
幾度も叩きつけられた白い円尻は真っ赤に色づき、下肢は足首に至るまで紅潮していた。

ナイトメア「しんじ、られ、な……わた、し…………っ」


そして、ぷつり、と――――ナイトメアは気を失うように眠りに落ちた。



466 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/05(木) 01:05:31.63 ID:fDwyqQH00

*****

後日。
厩の一件が何とはなしに気まずいまま、誰にも告白できないままだった。
ナイトメアは誰にも漏らさなかったようで誰からも咎められる事はない。
サキュバスAなら何かに気付いてチクリと言ってきてもおかしくはない。
でなければ、地下牢のポチなら気付いているかもしれないが――――あの義理堅いローパーなら、やはり黙っているだろう。

悶々としたまま、秘密を抱える事に耐え切れなくなり――――とうとう、勇者は厩を再び訪ねた。
あの爛れたような情事から、三日を数えての事だった。

勇者「…………」

ナイトメア「……なにしにきた」

扉の前に来るまでは蹄の音が聴こえていたのに、馬房の前へやってきてから見つけたのは、白金髪の少女の姿。
彼女はいつものように、何もなかったかのように、壁際に寝そべって、いつもの呆れたような冷たい眼を勇者へ向けていた。

勇者「……怒ってるのか?」

ナイトメア「…………しらない」
467 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/05(木) 01:06:30.19 ID:fDwyqQH00

ナイトメアは、あの日の事を誰にも知らせていない。
勇者もまた、誰にも言えず、問われず――――今に至った。
相変わらず彼女はじっとりと呆れたような眼のままで、何を考えているのか掴めない。

ナイトメア「……わたしは、ねむい。ひるね、する」

勇者「あ、ああ……そうか、邪魔した」

ナイトメア「……もういちど、いう。わたし……ねる」

勇者「?……ああ、だから……分かったって」

踵を返しかけ、二度言われた事を怪訝に思い再び振り返ると、そこにはあの日のように。
藁山に突っ伏すようにナイトメアが寝そべり、細身の矮躯に似つかわしくない安産体型の尻をぷりん、と突き出していた。
裾はあと少しめくるだけで、その奥に隠したものをさらけ出すだろう。

しばらく固まっていると――――ナイトメアが体をわずかに起こし、ちらりと流し目で勇者を見た。

ナイトメア「……ねむいな。もう……おきないな。なにかあっても、きっとおきないかもしれない。こまった。……ねむいから、なにされてもわからない、かも、しれない」

勇者(…………なるほど、あくまで、そういう……)

ナイトメア「っ……もう、ねる。なにもされないと、いい。でも……ねてたら、わからない」

それだけ言って、夢魔の少女は再び藁に顔を埋める。
顔の代わりに、露わの太腿と薄衣越しの尻を熱く染めて。

――――――ほんのわずかな期待とともに、寝入った振りをして。




468 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/05(木) 01:11:29.70 ID:fDwyqQH00
短編ふたつめ終了です

>>446
展開次第で絡むかもしれません

>>447
待たせたな

>>448
え っ ち だ よ

>>449
対面です

>>450
絶対にイヤなのに最終的にはノってくれるタイプです

>>451
それもまた良し……けれど、おまけではあくまで今回少な目だったエロを補充したい

>>452
事案はちょっと……


さて、次回は週末までに
というか本編終えたんだからさっさと短編を落としてHTML依頼を出すべきかもしれないけど
一年に一回ペースなんだから、どうせならゆっくり長くやっていくのも悪くないかもしれない
どうせ既に長引いてしまっているんだしさ


それでは、また
469 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 03:44:25.62 ID:3JZOhJkro
獣姦DA!
470 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 07:09:58.80 ID:U4PW9X3YO
メアちゃんかわいいんじゃぁ〜乙乙
471 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 07:35:35.71 ID:rUGlMW2RO
や っ た ぜ ! !

メアかわいいんじゃ^
472 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/07/05(木) 08:35:07.47 ID:0ijNFPkh0
ナイトメアがますます好きになった。
流石に馬のままではしないよな…
473 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [Sage]:2018/07/05(木) 14:10:06.39 ID:dQ3ig/4MO
イッた拍子に変身解けなくてよかったな...
さぞかしシュールな絵になっただろうけど
474 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 17:03:34.35 ID:BGag51CL0
乙!
メアちゃん、相変わらず素直じゃねぇなww
475 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 22:33:47.39 ID:pKkxiw0co

寝たふりした際に手を出さないと、凄くチラチラ見てきそう

>>468
ナイトメアも(隣王女も)事案じゃないですかね?
476 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 22:42:43.80 ID:IUx78zJm0
デレるメアちゃんも見てみたいねー
477 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 01:40:03.32 ID:r4G2C90No
>>475
隣は幼女体型が完成形だけど、堕女神は幼女体型が完成形じゃない、この差じゃね?
478 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 20:17:03.87 ID:5JdsZeoho
くっ殺待ち(全裸)
479 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/08(日) 00:34:24.09 ID:4Xnn6X4s0
オレが本当のくっ殺のやり方を教えてやる
480 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/08(日) 00:35:21.41 ID:4Xnn6X4s0

*****

ワルキューレ(……いや、考えてみれば……どうなのだ、この状況)

居場所と遠く離れた魔界の一国で、あらためて戦乙女は己が身の現況を嘆いた。
天界から人間界へ降りたとき、うっかり、英霊と神々をもてなすための食撰に振る舞われる無尽の仔豚を一頭、逃してしまった。
厳密には、勝手についてきてしまった事になるが――――その事に気付いたのは、用を済ませて天界へ戻ってからの事だった。

戦乙女のひとりから“仔豚が一頭どこにもいない”と聞かされ探していても見つけられず、
もしや、と足跡を辿れば――――それは、人間界へ降りた時に開いた“扉”の場所で途切れていた。

慌ててもう一度降り立ち、付近をくまなく探してみても見つけられず。
途方に暮れていれば、天界の存在とも、人間の魔法ともつかない魔力の気配を感じた。
縋る気持ちで向かえば、そこには閉じかけた“魔の扉”が開かれていた。
それと、仔豚の足跡と匂いが続いている事にも気付けた。

そして、逡巡しながらも彼女は飛びこむ。
戦乙女が遍く賜っていた、白鳥へ姿を変える羽衣をまとい、せめて、姿を隠して。

それから。

――――飛びこんだ先は淫魔達の国で、今に至ると。
481 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/08(日) 00:36:15.29 ID:4Xnn6X4s0

ワルキューレ(そもそも、何なのだ……あの淫魔。あの蹴り……あの重さは……)

畜舎へ人間の男児を幽閉していると誤解したところ
現れた淫魔のひとりに蹴り上げられ、防ぎはしたものの畜舎の屋根を突き破りながら天高く吹き飛ばされた。

胸甲を突き抜け、背骨まで揺らがし、内臓を震わせる一撃は、彼女がこれまでに受けた事のない文字通りの衝撃だった。
それは――――

ワルキューレ「っん、くっ……!」

あれから丸一日が経つ今でさえ深く呼吸を吸い込めば、ぎくりと痛み胸が詰まるほどだ。

ワルキューレ(それに、あの隙の無さ。……淫魔とは、淫蕩に耽るだけの種族であったのではないのか?)

戦乙女の槍捌きに追従してくる、尖鋭した尾の速さもまた異常。
盾として、目くらましの幕として、処刑刃としてはためく自在の翼も。
ゆったりと淫らに動くようでいて、果たして誘い込まれているのかと疑うばかりの身のこなしも。
彼女はおかしな淫紋の呪いしかとうとう見せなかったものの――――おそらくは魔術までも高次に扱いこなすのだ。

ワルキューレ(……よもや。この国の、淫魔……。皆が、あれほど……強いのか?)

敗北の事実すら遠ざかるほどの、恐ろしい推論に彼女は頭を悩ませるばかりだ。
用意された寝室の、天界に勝るとも劣らない上質な寝心地に眠気を覚えてはいても、それは緩慢だった。

調度品も悪趣味では無くむしろ地味。
槍や武具を預けられる架台もあり、枕の下に短剣は忍ばせるものの、警戒すべき罠の類いは見うけられない。
だからこそ。
あくまで侵入者である自分へのおかしな厚遇が、むしろ警戒を解かせてくれない。

だが、それでも。

疲れは、眠気を覚えさせる。
瞼は、それに――――逆らえなかった。
482 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/08(日) 00:36:44.01 ID:4Xnn6X4s0

*****

夜半、鼻腔をくすぐる葡萄酒にも似た香りに目が覚める。
頬、首を撫でる空気は暖かく、微風がまどろみを侵した。

ワルキューレ(……ん、少し……眠って、しまったか)

肩に覚えていたかすかな凝りは解れて、頭もすっきりと冴えた。
段々と重みを減らしていく瞼に誘われ、身を横たえたまま視線を動かすと――――そこは、“違う”。

ワルキューレ「何っ……?こ、ここは何だ……!」

上質ではあれど、天蓋もなく簡素なベッドに寝ていたはずだった。
それなのに、首を動かし、視線を走らせてみれば――――さながら、後宮の寝室。
広いベッドの上、幾重にも人目を忍ばせるように天蓋に差し渡された純白の薄いカーテンが走る。
さながらそこは、繭の中。
芋虫が軽やかに舞う蝶に姿を変える、揺り籠。

室内であるというのに幾重もの“繭糸”のとばりは風に揺れるように動く。
さふ、さふ、と擦れ合い立てる音は眠りを誘うように軽く、故に――――ワルキューレにとっては不気味そのものだ。
そしてもう一つ、変化に気付く。

ワルキューレ(っ……わ、私の……この、姿は……!?)
483 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/08(日) 00:37:21.18 ID:4Xnn6X4s0

胸甲と腰鎧を外し、用意された、しっかりとした寝間着で就寝したはずだった。
それなのに、首を起こして体を見ると一変していた。
垂れ下がるカーテンより、更に薄い――――その下にある素肌が素通しに透けてしまうほどの薄衣だ。
丈は太ももを隠さないどころか――――かすかに身じろぎするだけで、更にその上。
秘さねばならない処までもさらけ出してしまうほどに短い。
更には下着の感覚も無い事に気付き、思わずワルキューレは擦り合わせるように心細く脚を閉じた。
胸の頂点に揺れる桃色までも透けて見え、背けようと首を動かせば、更に。

その首に巻きつく感触と、そこから繋がる細い鎖の音を確かに聞いた。

ワルキューレ「く、首輪……!?どうして、いつの間に!?」

肌を隠さぬ薄衣を下着もなく着せられ、首には自由を奪った事を意味する首輪と、鎖。
身体はまるで夢の中で泳ぎ走るようなおぼつかなさと、四肢の重さのせいで身動きが取れない。

ワルキューレ(っ、落ち、つけ……落ち着け。ここは……そう、私の、短剣は……)

息を整え、身体の力を振るい立たせて右手を枕の下へ差し伸ばそうとした時に、気付く。
寝そべる自身の、左側、頭近くにいる気配。

ワルキューレ「っ!」

――――淫魔の、気配を。

サキュバスA「……もしも私がこんなに優しい美人でないのなら、貴女は今ごろ……喉を五回は裂かれていたわよ?」
484 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/08(日) 00:38:12.28 ID:4Xnn6X4s0

ワルキューレ「き、さ……ま……!」

ぎり、と歯噛みして睨みつけた先にはベッドに腰を下ろす、一糸まとわぬサキュバスAの背がおぼろげに映っていた。
首を動かす事すら億劫な重さのため、かすかに見える蒼い肌色と声しか――――判断材料が手に入らなかった。

ワルキューレ「何だ……!何を、した!」

サキュバスA「何も。……ナニかをするのは、これからでしてよ?」

ワルキューレ「どういうつもりだ」

サキュバスA「ふふ……せっかく訪れてくれたのですもの。……ほんの一口だけ、齧ってからお帰りになられては如何かと」

ひゅる、と身を翻す蛇のような動きで淫魔は振り返り、その蒼肌をくねらせ、絡みつくように戦乙女へ皮膚を擦りつける。

眩しくもしなやかに鍛えられた白い脚線を、蒼く妖しく閃く脚が、蔓草のように巻き取り、ゆるやかに開かせていく。
決して脚を開くまいと抵抗するも虚しく、ワルキューレが内股に擦り合わせていた両脚は離れていき、
閉じさせぬようにとサキュバスAの膝が楔となって太ももの間の繋がりを引き離した。
485 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/08(日) 00:38:47.19 ID:4Xnn6X4s0

ワルキューレ「くっ……嫌っ、だ……やめ、ろ……!」

懸命に閉じていた脚の間に感じる涼しさは、ワルキューレの喉に懇願をもたらした。
もはやそこを外気と隔てるものはない。露わにされてしまった。
純潔の兆を残したままの其処を――――淫魔に絡め取られた姿のまま、さらけ出していた。

枕元の下を探ろうとした左手は、サキュバスAに優しく掴まれただけでもう動かせない。
力を込められてなどいないのに、元より痺れたように重い左手は、それだけでもう身動きがとれなくなった。
そしてワルキューレは、気付く。
この寝台は、今――――供犠の聖所、贄を捧げる祭壇。
垂れ下がる白布のカーテンは、虫を蝶へ変える“繭”であると同時に……絡め取った蝶を決して逃がさぬ、蜘蛛の餌場だと。

この帳の中で、蝶へと創り変えられる。
そして、蝶のまま――――糸に巻かれ、内から融かされ、啜られる。
苦痛もなく、恐怖すらなく、慈悲もなく。
ここは、逃れられない淫魔の領域。
理解した時、ワルキューレは顔を引きつらせ、その澄み渡っていた瞳は揺れ、力の籠められない四肢を再び動かそうとしても。

サキュバスA「暴れてはいけないわ。……どの道、無理よ。もう貴女は逃げられないのだから」

腿の間に割り込まされていた膝が、更に上へと――――敏感な内腿を撫でるように滑りながら、上がってきた。
ぐっ、と抑えられた手首はびくとも動かせず、残るサキュバスAの左手は、薄衣越しの戦乙女のへそ周りを円を描くように指先で触れた。
486 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/08(日) 00:39:32.97 ID:4Xnn6X4s0

ワルキューレ「ひ、ぁっ……!」

サキュバスA「ふふ……鍛えているのかしら。こんな風に、優しく触れられるのは初めて?」

ワルキューレ「くっ……、ふ、触れるな……!おぞましい……っ!」

しなやかに鍛えられた腹は、それでも浮き出るほどの腹筋に覆われてはいない。
くびれたウエストは、柔らかな白肌が取り巻いているものの、指で押せば、その皮下に封じた腹筋の存在を感じ取れる仕上がりだ。
更にサキュバスAは指先を遊ばせ、腹の正中を徐々に尺取り虫のように這い上がらせ――鳩尾の上で止まる。

そこから上には、戦乙女の双丘がある。
仰向けのままでも主張を失わない双丘は苦し気な呼吸のたびにふるふると揺れ動く。
透ける桃色の突端は薄衣との摩擦、この状況への密やかな背徳の興奮と、恐怖によってか。
――――生地を持ち上げ、蕾と化していた。

サキュバスA「あら。……悦んでいただけているのかしら。それとも……怖い?貴女の乳首……もう、こんなに膨らんで……」

ワルキューレ「黙れっ……!そんな、筈、が……!っ……きゃっ!」

サキュバスAが、短く、吐息の塊を乳首へぶつけた。
ほんのそれだけで、ワルキューレの身体はぴくりと跳ねて、乳首の先から光が駆け巡るような快感とともに、打ち震えた。

ワルキューレ(っ、何だ……今の……!私の、声……なのか……?)
487 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/08(日) 00:40:15.40 ID:4Xnn6X4s0

サキュバスA「さてさて……じっくりと貴女の身体を塗り替えてしまうのも悪くないけれど。生憎さま、時間は貴重ですわね。
         ……単なる“試戯”なれば、早々に味わいを教えて差し上げねばなりませんもの。……素晴らしさを」

ワルキューレ「何をっ……ひ、やめろっ……そこ、はっ……くはぅっ!」

ぐちり、と湿った音が“蜘蛛の巣の寝床”へ響く。
閉じられぬよう割り開かれていたワルキューレの脚の隙間を登り、まさしく仔蜘蛛の這い上るようにサキュバスAの手が走る。
内股の薄く敏感な肌をなぞりながら、無防備の聖所を侵すように中指を差し伸ばして其処へ触れる。

ワルキューレ「は、ぁっ……!嫌っ……触る、な……!貴様っ……殺すぞ……!」

サキュバスA「それは怖いわ。……なら、殺される前に済ませてしまいましょうか?」

ワルキューレ「あ、ひゃっ、あぁっ……ゆび、動かす……なぁっ……!」

くちくち、ぬる、ぬる、と――――あくまで入り口を焦らすよう、淫魔の指先が執拗に蠢き、
戦乙女の奥にある快楽の束がざわめき、今まで触れた事のない禁断の感覚を開かせていく。
自らの意思で触れた事すらないそこを――――よりにもよって、“淫魔”に組み敷かれ、もがく事すら許されないまま蹂躙されていく。
488 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/08(日) 00:40:52.74 ID:4Xnn6X4s0

更に、サキュバスAはワルキューレの口もとへ、口づけの間合いを保ったまま、じっと顔を覗き込み続ける。
揺れて潤むワルキューレの視界に映るのは、妖しく光る紫水晶のような瞳。

――――淫魔が持つと伝え聞く、“魔眼”の魅了。
それを想起し、逃れようとしても――――首すら、動かせない。
手首を抑えつけていたサキュバスAの右手は、いつの間にか、首輪から生える鎖を捕まえていたからだ。
じっと、眼を覗き込まれたまま。
荒く、甘く、糖蜜の海が時化るような甘えた吐息を――――淫魔は、くんくんと鼻を鳴らして吸い込み愉悦する。

ワルキューレ「んっ……ひ、ひゃっ……あんっ……」

サキュバスA「んふふっ……だいぶ、素直になってきたじゃないの。そうよ……明日になれば、帰らなければならないのだもの。何も考えず……溶けてしまいなさい」

聖所には今も、冒涜するような淫魔の手が侵蝕している。
結界が解かれる時を待ち徘徊する魔物のように。
淫魔の指は、執拗に、執拗に、味見をするように――――ワルキューレの秘部を、嘗めていた。

漏れ出す喘ぎを、ワルキューレはどこか遠い、他人事のような心地で聞いていた。
489 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/08(日) 00:41:31.47 ID:4Xnn6X4s0

薄衣を持ち上げ、ぴんと立った乳首がはっきりと見て取れて、そのいやらしさに言葉を失う。
自らの肉体がそんな反応を見せていた事など、無かったのに。
薄衣越しの乳首、痛々しいほどに尖り昂ぶるそこを淫魔は触れてはくれない。
息すらかけず、淫魔の肩口へ無意識に背を逸らして乳首を擦りつけようとしても、躱された。
その様子を愉しむように、淫魔はただ、ただ――――寝顔を覗き込むのと同じように、甘くふやけた戦乙女の
唾液をしまっておく事すらできなくなった痴態の表情をただ、薄笑いとともに覗いていた。

ワルキューレ「あ、あぁぁぅっ……!ひぃっ……く、ぅぅんっ……!」

ワルキューレの閉じられない口から漏れる甘い吐息を嗅ぎ、サキュバスAは吸気に合わせて自らの吐息を送り込む。
淫魔の吐息を吸い込むごとに、ワルキューレの背筋はぞくぞくと震えて――――力の入らない指先が、頼りなくシーツを握り締めてしわを作る。

ワルキューレ(っ……あれ、……これ、は……誰の、声……だ……?)

かすかに意識を取り戻せたのも束の間。
今度は――――股間から立ち上る快楽の奔流が、再びワルキューレの意識を押し流して行く。

だが、その奔流は――――唐突に、せき止められる。
490 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/08(日) 00:42:45.01 ID:4Xnn6X4s0

ワルキューレ「えっ……?」

サキュバスA「……こういう時は、懇願するものでしてよ。……ほら、ご覧なさい」

顔を離した淫魔が、視線で差した先は――――蹂躙されていた、ワルキューレの淫部。
そこから、ぬらり、と幾条もの愛液の糸を引いて現れた、蒼肌の魔手だ。
指先は、水飴に浸したようにべっとりと濡れて、泡立ちさえしながら光る。
更に、見せつけるように淫魔は、その指先をぐちゅぐちゅと擦り合わせ、雫をこぼし落とした。
その量を、その淫らな光景を見て――――ワルキューレの恥辱に耐えながら潤んだ瞳から、遂に一筋、こぼれ落ちる。

ワルキューレ「……せ……っ――――」

サキュバスA「何か、言ったかしら?」

だらしなく開いた脚の間からシーツに“地図”を作り、薄衣の上に乳首を尖らせたまま。
ワルキューレは眼から雫をこぼし、所在なく揺れる唇を必死に引き締め、虚空を見つめた。
今しがたまで快楽に喘ぎ、溺れ、苦悶していた事実を必死に遠ざけながら自らを再び律するべく試みる。

だが。

だが――――消えて、くれない。
昂ぶり、火のついた己が身の禁断の燈明が――――消えては、くれない。


ワルキューレ「……殺、せっ……もう……私、を――――ない……で……くれ……」

491 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/08(日) 00:43:12.52 ID:4Xnn6X4s0

――――敗北より、死より受け入れがたい淫辱の刻。
――――かねて恐れるまでもなく、考えさえしなかったものが、戦乙女を襲っていた。
――――死は、相手に懇願するものではない。
――――それでも、願わずにはいられなかった。
――――どうあっても、此処から……逃れたい、と。

サキュバスA「ふむ。……少々虐めすぎたかしら。それじゃ――――次で、終わりにしてあげるわ」

ワルキューレ(……え…………)

サキュバスA「そのような事ですので――――どうぞ」

ワルキューレは、もう一人の気配に気付く。
それは、まるで幻影のように唐突に。
ベッドの上に座っていた、人間の男だった。

年の頃は、青年と言っていい。
しかし、細身ながら鍛えられた肉体にはいくつもの傷が刻み込まれ――――その戦いの日々を雄弁に語る。
その表情は、昨日に畜舎で出会った子供に似てはいるが――――精悍かつ優しい、整った顔立ちのものだ。

サキュバスA「……見える?ほら……貴女の痴態を見て、あんなに立派に……ふふっ」

ワルキューレ「っ……うぅ……!」
492 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/08(日) 00:43:40.44 ID:4Xnn6X4s0

裸身の立像のように立つ男へ向け、ワルキューレは首輪を引かれながら、体を起こされた。
細いはずの鎖が、ワルキューレの脱力した体を頸で支え、その身体を――――ふわふわと起き上がらせた。
自然、目の前には隆々と反り立つ、男のモノが突きつけられた。

ワルキューレ(いや、だ……こんな、もの……近づけ、る、な……イヤ……っ)

血管の浮き立つそれへ、嫌悪感を覚え――――その質量と、咽返るような雄の存在感に気圧された。
堪え切れぬほど濃密な匂いが、鼻の奥にまで飛びこんで来る。
心に湧いたのは、嫌悪感、ただそれだけ……の、はずだった。

サキュバスA「フフっ……そんなに匂いを嗅いで。我慢できないのかしら?」

ワルキューレ「んっ……は、ふ……ふ、ぅぅんっ……!」

何故、そこまで匂いを、存在を感じ取れたのか――――ワルキューレは気付く。
それは、至極単純に。
単純に――――鼻先を突きつけるように、“嗅いで”いたからだ。

ワルキューレ「は、っ……はっ、ふぅ……♪」

サキュバスA「……行儀の悪い事。まったく――――もっと、きちんと仕込んで差し上げるには時間が足らないようね」

ワルキューレ(嘘だ……嘘、だ……こんなの……嗅いで、なんか……いない……)
493 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/08(日) 00:44:14.46 ID:4Xnn6X4s0

いくら否定しても、事実は変わらない。
ワルキューレは。
高貴だったはずの戦乙女は、流れる金髪を汗だくで振り乱し、白肌を紅潮させ、前傾する体を支えてぺたりと座る犬のようなポーズで。

――――瞳の奥を濁らせながら、男のモノの放散する匂いを、必死に嗅ぎ取っていた。

サキュバスA「ご挨拶をなさい」

ワルキューレ(挨、拶……っだと……?)

サキュバスA「……口づけでしょう?そんな事、分かるでしょう。まぁ、でも……身体はずいぶんと正直になったかしら」

ワルキューレ(何……そん、なの……いや、だ……やめ……)

必死に押し留まろうとする心に反し、彼女の恍惚の表情は、段々と――――段々と。

ワルキューレ「はっ……はっ……♪……ご、あい……さつ……口、づけ……」

段々と、尖らせた唇は――――その黒光る切っ先へと吸い寄せられていく。
意識が引き剥がされ、俯瞰するように、ワルキューレは――――ただ、見ているだけしか、できなかった。

ワルキューレ(いや、嫌だ……やめ……やめて、くれ……!)

やがて。

――――ちゅ――――と、

服従の口づけを交わす、自らの姿を認めた時。


意識は、暗黒へと沈んでいった。

494 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/08(日) 00:44:43.62 ID:4Xnn6X4s0

*****

ワルキューレ「っあああぁぁぁぁぁっ――――!?」

がばっ、と起き上がった場所は、昨晩に目を閉じたのと同じ部屋だ。
淫魔の居城と思えぬほど落ち着き整頓された客間、そのベッドは簡素の一言に尽きる。
垂れ下がる繭糸のような幾重ものカーテンも、心細い雪原のような広さもない。
葡萄酒を暖めたような香も漂ってはいないし、己以外の何者かがいた残り香もなかった。

ワルキューレ「っ、何だ……何だ、あれはっ……?」

びっしょりとかいた汗を拭いながらベッドから立ち上がると、すっかり朝を迎えていた事に気付く。
慌てて見回せば、脱いだ武具も、服も眠りにつくまでのまま置かれており、夢中で感じた身体の重さもなく。
そして――――腹部に覚えていた、鈍い打撃の痛みも、泡のように失せていた。

彼女は、慌てて着替えて、武具とブーツを身に着けていく。
がしゃがしゃと慌ただしく鳴る音は、さながら戦場の朝のように響き渡り、のどかな小鳥の声と不釣り合いに混じる。

彼女は、しかし――――未だ、気付かない。

シーツと下着に滲み、べっとりと濡れた――――“夢の置き土産”の蜜に。
495 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/08(日) 00:45:24.23 ID:4Xnn6X4s0

*****

――――――――

ワルキューレ「ふざけるなよ、貴様、ふざけるな!私に何をした!!」

サキュバスA「あら、怖ぁい。暴力はいけないのよ?」

ワルキューレ「貴様っ……!」

サキュバスA「どうしたのかしら。落ち着きなさいと言っているの。……何かあった?」

ワルキューレ「……!」

飛び起き、城内で“淫魔”の姿を見つけた瞬間、歯止めは聞かなくなり――――掴みかかり、問い詰める。
あの夢の中に出てきた淫魔は間違いようもなく、サキュバスAだったから。
本来なら、夢で起きた事を現実で当人に問い詰めるなどバカげている。
だが、ここは淫魔の国。
そして、彼女は淫魔なのだ。

サキュバスA「…………続きは、また今度ね?今度は……夢ではなく」

ワルキューレ「っ……貴様、やはり……!」

勇者「落ち着け。何が……」

幾分か冷えた頭を働かせ、聴き慣れぬ声のもとへ、目を向ける。
そこには――――
496 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/08(日) 00:47:12.16 ID:4Xnn6X4s0

ワルキューレ「……あっ……ぅ……!うぅ……!」

勇者「?俺が、どうか……」

夢の中で、服従の口づけを交わした――――紛れもない、あの人間の男がいた。
どこか虚ろだった夢中の表情とは違い、血の気の通う表情に困惑を浮かべ、サキュバスAへ掴みかかるワルキューレをなだめていた。
更に、追い討ちをかけるようにサキュバスAは、ひそひそと耳打ちする。

サキュバスA「……“試戯”は、あそこまで。……私達は、夜毎――――あの恵みを頂いておりますのよ。……羨ましいかしら?
         何度も、何度も、繰り返し……とろとろ、とろとろ、飲み切れないほどに……フフッ」

囁きの内容に、ぼぅっと顔が赤くなり、勢いを削がれる。
更に、すぐ近くに夢の中の、あの男がじっと見つめている事実。
胸ぐらを掴んでいた手に、やがて力が入らなくなり、力無く垂れた。

ワルキューレ「う、うるさい、何でも無い!元に戻れたのなら私は帰る!世話になった!」


そう、一息に言い残して彼女は走り去る。
赤面する顔と、意識してしまった瞬間から止まない胸の高鳴りと、――――今にも再び燃え広がりそうな、身体の芯にくすぶる火を抑えこむように。

――――――天界へ帰ってからも、数日の間。

――――――彼女の悶々とするばかりの気分は、晴れる事がなかった。





497 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/08(日) 00:51:04.88 ID:4Xnn6X4s0
おまけ三つめ終了です

あと一つ、何か落として終わりにしましょう
まだ決めあぐねている……
では、火曜日あたり、多分

>>473
ギャグになってしまう

>>474
だからこそ貴重

>>475
聞こえない
何も聞こえない

>>476
傷つけないようもがいたり、暴れたりしないよう必死でこらえるあたり充分にデレてはいるのです
498 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 02:06:29.41 ID:9cxds+Oh0


暴れてたらナニがもげてるだろうし

しかしこりゃワルキューレが堕天するのは時間の 問題ですかねぇ
499 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 02:16:23.16 ID:b/IIorEH0
乙!
いつか見た、サキュAの"サキュバスらしい"尋問を思い出した
500 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/07/08(日) 10:14:51.60 ID:EOapPrI40
Aを…どうかAを…もう2ヶ月彼女を待ってるんだ…
501 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/07/08(日) 23:37:05.67 ID:+MC6v35o0
ワルキューレの奇行に乞うご期待ってか
502 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/07/09(月) 00:38:08.63 ID:MLfcZQZ5O
狐女将キボン
503 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/07/10(火) 08:14:15.72 ID:RTFRo/l70
最後は搾り取られたい
504 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/13(金) 01:08:55.87 ID:+0CLZbpp0
お待たせ
まだ火曜日だ、いいね?

最後のおまけ短編投下いたしますー
505 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/13(金) 01:10:32.15 ID:+0CLZbpp0

*****

今日もまた、寝物語を読み終えた。
ほどよくやってきた眠気を逃さぬよう、銀細工の栞を挟み、ランプの灯を静かに消し、窓から差す月光を頼りに机を離れ、ベッドまでの道のりを歩く。
外からはまだ、宵越しの酒を交わす声が遠くに聴こえる。

とうに寝てしまった母を起こさぬよう、そっと歩き、ベッドへ身を横たえた彼女の肌は、月光に映えて白い。
多くの同族のような青色の肌は持たず、翼もなく、短い尾と角だけを残した彼女の種族は、弱い。
多くの同族のような瞬発力や筋力、魔力も持たず、更には寿命自体も――――無論人間と比べればずっと長いが、
淫魔族の中では短命の部類に入る。
寒さにも暑さにも弱く皮膚も過敏で抵抗力も弱いため、いつも肌の露出は少なく抑えねばならない。

人と比べてすら弱く、寿命しか秀でているところのない――――そんな、種族だった。

人界へ行けば一人では戻ってこられない。
隣国の淫魔でさえ、往復できる程度の魔力はあるのに――――彼女の種族は、人界から戻ってくる魔力が残らない。

そんな種族の宿命を担う、淫魔の国の書店の一人娘は――――寝物語の風景を心へ浮かべながら、しめやかに眠った。
506 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/13(金) 01:10:58.96 ID:+0CLZbpp0

*****

書店主娘「はぁ……。人間界、どんな所……なんだろうなぁ」

翌朝、店を開いてからも寝物語の余韻は薄らぐことがない。
ぼんやりとした顔立ちの母に似ない切れ長の眼を持つ、落ち着きある風貌でまめな性格の彼女は、殊更に人間界への関心が深い。
生まれて一度も見た事のない人間の世界、そこに広がる無限の情景は夢想するしかできない。
人界の最果てに広がる光のカーテン、炎を噴き上げる山。
何も、かも――――書物を通してしか知る事ができないものだ。

母に訊いても、要領を得ない。
人間界に行った事は確実にあるはずなのに、まるでその事には無頓着だ。

全くもって満たされる事のないまま、彼女は人界について記した本を追う。
たまに、つい最近になって許された人界行きから帰ってきた淫魔が持ち込んだ本を買いつけながら。
人間達の天文学、生物学、魔法学、占術、流行りの娯楽小説、――――無論、最も多いのは艶本だ。

そんな彼女、書店主娘がかねて淡く想っているのは、生まれて初めて見た、人間。
――――今はこの国の王となった、勇者の事だった。
507 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/13(金) 01:11:33.60 ID:+0CLZbpp0

書店主娘(……色々、お話、聞きたいんだけど。無理だよね。お忙しいだろうし……)

それを恋心と呼ぶのか、あるいは憧憬なのかどうかも彼女には分からない。
彼と直に話したいと思っても、その場、機会が無い。
実際には酒場にこっそりと来る事もあるがその度に彼女は後日それを知る事になるし、そもそも酒場そのものへあまり出向かない。
かといって“王”に会いに行けるような城への用事もなく、出会って交わせた言葉はすべて偶然によるものだった。

思い悩む間にも、書店主娘は窓の外、花曇りの憂鬱な空をちらりと見て浅く溜め息をつく。

書店主娘「……はぁ」

書店主「なぁに、どうしたの〜?お腹すいたかしら?」

書店主娘「いや、今さっき朝ごはん食べたでしょ……お母さん」

書店主「おやつにする?」

書店主娘「おやつもまだ入らないってば……。する事ないし、天気も悪いし……」

書店主「そうねぇ。それじゃ……お店はお願いね。私はおうちのほう掃除するわ」

書店主娘「はーい」
508 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/13(金) 01:12:00.03 ID:+0CLZbpp0

*****

ほの暗く変わっていく曇天を見守りながら、湿気を含んだ空気でまとまりを欠く髪を梳かしていると、扉が開いた。
どっしりとした絹の装束を色とりどりに何枚にも合わせて重厚に着込んだ、黒髪の美女だった。
開けた扉から彼女のすぐ傍を通って流れて来る風は涼しく乾いて感じられるような、息を呑む優艶な美貌を持つ魔性だ。

書店主娘「いらっしゃいませ。狐女将さん」

狐女将「うむ。……久しいのぅ。済まぬが、冷やしコーヒーを一杯いただこうかの」

書店主娘「はい。……お好きな席へどうぞ」

と、声をかけるまでもなく狐女将は窓辺のテーブル席へ座り、小脇に抱えて入ってきた書物を卓上へ下ろす。
数分して、氷を浮かべたグラスになみなみと注がれたコーヒー、ミルクと砂糖の小瓶を手に書店主娘がやってきて、卓上の書物を見つめた。

書店主娘「お待たせいたしました。あれ、その……本、って?」

狐女将「人間界へ少し立ち寄っての。手土産じゃ、そなたへのな。店に出すも良いし、そなたが読むも構わん」

書店主の、起きてからずっと濁り憂鬱だった眼が輝きを放つ。
手土産、と称した書物はどれも真新しい装丁で、聞いた事のない――――おそらくは人界で最近出版されたものに違いなかったからだ。
509 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/13(金) 01:13:37.69 ID:+0CLZbpp0

書店主娘「い、いいんですか!?」

狐女将「良い良い。……それにしてものぅ。千年前とは大違いじゃったな。今はもう、“世界を甲羅に載せて歩く亀がいる”など信じてはおらんようじゃ」

書店主娘「……あの、千年前にはいたんですか?それは……流石に……」

狐女将「ふむ、流石に信じていた者はおらなんだか」

書店主娘「見せていただいても良いですか?……伝記が多いですね。“飛行船開発秘話”。……人間界には、空を飛べる船があるんですか?」

狐女将「そのようじゃな。流石に見る事は叶わんかったが、いずれ乗ってもみたいもの。まぁ、妾も此度はただ降りただけじゃ。
      本どもは、そこを偶然通った商人から買い受けたのじゃ」

書店主娘「す、姿を見られちゃったんですか!?」

狐女将「かどわかす気分でも無かったでな。それに、あのような腹の突き出た……。
      妾はもっと、こう……嗅ぐだけで満ち足りる可愛げのある童が良いわ。
      ……でなくば骨身が軋むほどに抱かれ、厭らしく哭かされ、狂い合うてみたいものじゃ」

書店主娘「……聞こえません。何も聞きませんでした。……それにしても真新しい本ばっかり……本当によろしいのでしょうか?」

狐女将「構わん、妾はもう読んだしの。……それに、巷に書物が溢れるも道理。人の世は、またしても“魔王”との戦を制した。
      兵どもの物語はこれより増え、語り継がれるであろうよ」
510 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/13(金) 01:14:03.85 ID:+0CLZbpp0

――――――コーヒーを飲み終えると、狐女将は雨のちらつかぬ内にと、さっさと出てしまった。
飲み干すまでの間に語ったのは、いくつかのこの国の近況。
とりわけ、今は――――話半分に聞いていた流言についてだ。
曰く、“王”は幼い男の子の姿へ変わってしまい、今もって、戻る手立てを探していると。
そんな荒唐無稽を確かめるためだけに城へ向かってみよう、とも思えないのが彼女の奥ゆかしさだった。

だが、それより今は――――厚みを増した灰色の雲にも目もくれず、没頭するものがあった。

記された人々の物語を読むごとに、瑞々しい感動が胸中に押し寄せてくるのを彼女は味わう。
文章の一節一節を味わい、噛み締め、そこに綴られた物語は、人間界の近況に他ならない。
読み進むごとに、没頭すればするほどに、知らず知らずの眠気は彼女を蝕んでいた。
こくん、こくん、と首が傾き、瞼はとろとろと重くなる。

しかし、まだ――――読んでいたい。
そう思っても、彼女は読んだはずの文章へ何度も、何度も、目を滑らせてしまった。
意識を取り戻す、文字を追う、眠気に落ちる。
その繰り返しを続けるうちに、だんだんと傾く首は深くなる。
微睡みはやがて、沼のように深くなり――――彼女を眠り姫へ変えるのに、そう長くはかからなかった。

入り口に面したカウンターで、しとしとと降るささやかな雨の音に耳を傾けてしまっていたのも拍車をかけた。
机に突っ伏すように切れ長の目を閉じて、細い寝息を立て、心地良い午睡へ彼女は落ちた。
511 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/13(金) 01:14:30.51 ID:+0CLZbpp0

*****

書店主娘「っ……い、け……ない……寝ちゃった……みたい……」

どれだけ眠ったか分からぬ頃――――扉が開かれ、鈴の音と足音で目を覚ます。
眠気で重い身体を起こしても、そこには誰の姿もない。
確かに扉の開く音が聴こえたはずなのに、誰もなく――――しかし、扉近くの床は濡れていた。

書店主娘「え……?どなたか……いらっしゃってるんですか?」

濡れた足跡は、確かにある。
だがカウンターから店内を見渡しても、そこには人影がない。
奥の書架にまでは濡れた足跡は続いておらず――――彼女の表情に緊張が走る。

書店主娘「ど、どなたか!?いるんですか?」

ごん、ごん、と――――ふと正面、カウンターの向かいから確かに足音が二つ響く。
だがそこには誰もいない。

書店主娘「ひっ……」

がたん、と音を立てて立ち上がると――――今まで見えなかったカウンターの対面、死角になっていた場所に何者かの姿を見つける。
見えたのは、かすかに濡れた髪と、背負う小剣。

勇者「待ってくれ。……俺だ。驚かせてごめん。落ち着いてくれ」
512 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/13(金) 01:14:56.84 ID:+0CLZbpp0

*****

書店主娘「まさか……本当、だったんですか?陛下が……」

勇者「ああ、見ての通り。……何が起こったんだか」

書店主娘「……正直に申しますと、単なる悪い噂かと……ごめんなさい」

勇者「いや、一夜明けたら子供になってたなんて、すんなり信じられないだろ。気にしなくていい。それより……なにか……」

書店主娘「あ、はい。何か、暖かいものでも……」

勇者「頼む、それと……この身体だと、あまり苦いものは受け付けないみたいだ」

小雨に降られて頭を濡らした少年は、この国の王と名乗った。
市井を賑わす噂の通り、彼は本当に――――何らかの要因で、子供の姿に変わってしまったのだ。
腰に穿いて歩けたはずの小剣は、背追わねば持ち歩けない。
森の賢人達から贈られた襤褸切れのように変わり果てた外套は、まるで旅をして今ここへ迷い込んだような雰囲気を醸し出していた。

そんな彼を迎え、濡れた髪を拭うための布巾を差し出し、書店主娘は暖かい飲み物を供しようと、席を外した。
513 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/13(金) 01:16:01.06 ID:+0CLZbpp0

二人目、そして意外すぎた来客者のために入れたホットチョコレートを手に戻ると
その少年は一人目の来客者が置いていった書物の一冊を手に取り、ぱらぱらと頁をめくっていた。
序文程度しかまだ記されていないはずの頁を、さぞ嬉しそうに、懐かしむように。
――――誰かと、再会したかのように。

書店主娘(……ああ。そういえば……そう、なのでした。この方は……)

そこに綴られているのは、もと在った世界の物語。
救った世界で何が行われていたのか。
ともに世界を生きた人々の物語と、“その後”が綴られているに違いないのだ。

書店主娘「……どなたか、ご存知の方がお書きになった本でしたか?」

勇者「あ……っと、すまない。つい――――いや、直接は知らない人だ。だけど、まぁ。……この本に書かれてる、“飛行船”には乗った事がある」

書店主娘「えっ……!ど、どんな乗り心地でした……!?」

勇者「いや、といっても……空の旅をゆっくりと楽しめた訳じゃなかった。でも、……”この世界に生まれてよかった”、と思ったよ」

そう言うと、勇者は一度本を置き、卓上に遠ざけてからホットチョコレートのカップを取り、冷ましながらゆっくりと口をつけた。
514 : ◆1UOAiS.xYWtC [saga]:2018/07/13(金) 01:16:39.96 ID:+0CLZbpp0

――――不思議な事に、書店主娘に幾度か彼と会った時の緊張感はなかった。
姿が少年だから、気張らずに済むという事もあるが――――何より、共通の話題が今はある。

勇者「……いきなり来て、すまない。ただ……少し、気分を変えたかった。酒場にはしばらく行けないし、
    淫具店なんかもっと行けない。落ち着けそうな場所がここしか思い付かなくて……」

書店主娘「いえ、光栄です。……大したおもてなしもできませんが、ごゆるりとなさってください。雨もまだ、もう少し続きそうですから……」

勇者「すまない。それで……この本は?」

書店主娘「はい。そちらは、狐女将様から譲っていただきました。……陛下、如何なさいました?」

勇者「い、いや……別に、うん。……懐かしいな、本当に懐かしい。そうか。……きっと、みんな元気なのか」

不倒の拳豪の生涯を綴った伝記、飛行船開発に苦心したある夫妻の幼年期からの手記、いくつもの民話と噂話をまとめ上げたものまである。
中には、牢獄で出会った不敵な怪盗との壁越しの語らいを面白おかしく詩にしたものまで。

それは、きっと――――彼にとっては、己がその世界で送った生涯の、後日談だったのだ。
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