他の閲覧方法【
専用ブラウザ
ガラケー版リーダー
スマホ版リーダー
BBS2ch
DAT
】
↓
VIP Service
SS速報R
更新
検索
全部
最新50
【バンドリ】燐子「異世界で冒険……?」【安価】
Check
Tweet
304 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/04(金) 06:55:20.60 ID:4Vmphw8O0
待ってます
305 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/09/12(土) 23:39:22.01 ID:GfYgW3020
まってます
306 :
◆g5daB11lKU
[sage saga]:2020/10/01(木) 12:38:52.60 ID:Mo2QML35O
選択 『ラン』
シチュの方も把握しました
彼女、トヤマさんなら前のわたしのことも人づてでしか聞いていないだろうから、大丈夫……だよね? それにトヤマさん自身のことも知っておきたい。今回の合宿で協力をこぎつけられなければ、彼女はまた旅に出てしまうことになるのだからせめて顔を覚えてもらわないと。
リンコ「あの……わたし、トヤマさんと……組みます」
ユキナ「……大丈夫なの? 無難にサヨやアコにしておけば……」
サヨ「いえ、いい選択かもしれません」
アコ「サヨさん、どういうことですか?」
イマイさんと話しているトヤマさん、ミタケさんと少し離れ、わたし達は作戦会議。心配そうにするアコちゃんとユキナさんに対し、ヒカワさんは感心した様子で頷く。
サヨ「トヤマさんなら前のシロガネさんのことも知らないでしょうし、イマイさん、ミタケさんと比べればやりやすい筈です。
それに……勇者という肩書きに反応していましたし、私達のことを印象付けたりするにはシロガネさんが一番だと思います」
ユキナ「なるほど、確かにそうね。加えて、前の世界の記憶がどうすれば手に入るのかも分からないから――」
アコ「勇者のりんりんに任せた方が良さそう、ってことですね!」
……確かに。わたしが勇者だと聞いた時の反応が頭から抜けていた。これで余計にトヤマさんと組む理由が増えたというわけだ。
顎に指を当て思案顔をしていたユキナさんは、一度コクリと頷き視線をわたしへ向ける。
307 :
◆g5daB11lKU
[sage saga]:2020/10/01(木) 12:39:28.80 ID:Mo2QML35O
ユキナ「リンコ、任せていいかしら」
リンコ「はい……頑張ります……」
ユキナさんに何かを任せられる。プレッシャーでもあるけれど、喜びの方が大きくて。わたしは握りこぶしに力を込めて首を縦に振る。そこへイマイさんがミタケさん、トヤマさんを連れてタイミングよくやって来た。
リサ「4人とも、話し合い終わった? こっちはランが――」
ラン「シロカネさん、あたしが調子見てあげますよ」
リサ「あはは。ランがリンコとやりたいってさ」
ラン「別にやりたいってわけでは。……まぁ、いいですけど」
ツンとした態度でそっぽを向くミタケさん。そんな彼女にイマイさんはどこか嬉しげだ。
わたしを指名……。ミタケさんはわたしに疑いを持ってそうだし、今は避けてたきたいところ。やはりここは話し合った通り……。
ユキナ「それについてだけど、ごめんなさい。リンコはトヤマさんと組んでもらうことにしたわ」
リサ「あ、そうなの? まぁリンコは魔法使い寄りだし、そっちの方がいいのかも。ランもそれでいい?」
ラン「……まあ」
不服そうだけど、ミタケさんも了承。そっぽ向いたまま頷き、ちらりとわたしを見る。
ラン「調子、取り戻してくださいよ、シロカネさん」
紫色の瞳にまっすぐ見つめられ、痛いところを突かれたわたしはドキッとしてしまう。うう……やっぱり不審に思われてるみたい……。
308 :
◆g5daB11lKU
[sage saga]:2020/10/01(木) 12:39:57.69 ID:Mo2QML35O
リンコ「えっと……メテオはしないように……努力します」
ラン「……そういうことにしておきます」
助け舟を待つのは疑いを深めるだけ。頭をフル回転させてなんとかわたしが答えると、ミタケさんは肩を竦めた。
あえて見逃されたような台詞である。これはますます、今回の合宿で感覚を掴まなければならなくなってしまった。元から命懸けの戦いではあるのだけど、こうして疑いを向けられるとどうしても焦ってしまう。
息苦しさを感じ、深く呼吸をするわたし。すると、隣にいたアコちゃんがわたしの手を握る。
アコ「りんりん、落ち着いて。大丈夫だよ、前のりんりんと今のりんりん、見た目も性格もすごくそっくりだし」
リンコ「うん……。ありがとう、アコちゃん……」
わたしの気持ちに気づいての励まし。アコちゃんの笑顔を見ていると、やっぱり落ち着く。柔らかい髪の毛を撫でてお礼を告げると、彼女はくすぐったそうに笑う。
ラン「……仲、いいですよね」
アコ「ふふーん、りんりんのパートナーだからね!」
ラン「え? すごい年の差……」
アコ「そ、そんなに開いてないから!」
多分身長で見られてるのかな……。二人のやり取りを眺め、微笑ましさに笑顔を浮かべる。
さっきまで感じていた不安はもう無くなっていた。アコちゃんはやっぱり頼りになるなぁ。
309 :
◆g5daB11lKU
[sage saga]:2020/10/01(木) 12:40:30.70 ID:Mo2QML35O
○
カスミ「えっと、私を選んでくれてありがとう、リンコさん」
それからロッジを出て、川を超えた先。みんなと別れ、わたし達のチームはキャンプ場の一番奥へ向かうことになった。魔法も使うだろうし、せっかくの機会だ。スペースは広めの方がいいだろう。
リンコ「いえ……こちらこそ、協力してもらって……」
カスミ「あぁ、それはいいんです! あの勇者様に会えてすっごく嬉しいですから!」
気が抜けているのか、それとも意図的なのか、トヤマさんの淑やかオーラはその輝きを潜め、今は前の世界とほぼ同じ状態。私の前、背中からも分かるくらいはしゃいだ歩き方で、ぴょこぴょこ跳ねる。
リンコ「『あの』……というと……?」
カスミ「――えっ? それはそのー、世界を救っている偉い人に会えて、ってことで」
なんだか歯切れが悪い。様子の変わり様に首を傾げていると、前を行く彼女が不意に立ち止まる。よく見ればいつの間にか目的地に到着していた。
くるっと振り向いたトヤマさんは、頬をほんのり赤くさせて決心したかのような表情で口を開く。
310 :
◆g5daB11lKU
[sage saga]:2020/10/01(木) 12:41:01.56 ID:Mo2QML35O
カスミ「それと、生えてる女の人に会えたから、つい嬉しくて……」
リンコ「生え……? ――えっ!?」
一瞬何のことか分からなかったけど、表情から察した。
つまりトヤマさんもわたしに付いているアレが生えているのだろう。
なるほど、わたしが勇者と聞いた時の反応はそれが理由か。勇者にアレがあるのは有名、みたい。……街の人たちはそんな素振りは見せないんだけど、恥ずかしい。
……ということは、まさか。
リンコ「……セタさんは、パートナー……ですか?」
カスミ「……」コクリ
一緒に旅をしているトヤマさんとセタさんが肉体関係を……。ウシゴメさんやウエハラさんが聞いたら卒倒しそう……。
リンコ「……」
トヤマさんとセタさんの絡み……。いけない、想像したら反応しちゃいそう。
カスミ「だからそういうことも相談したりできたら嬉しいなぁ、って」
リンコ「な、なるほど……そういうことなら……」
この世界ではわたしとトヤマさんのような人は少数派なのだろう。わたしも転生初日は混乱したし、相談したい気持ちはよく分かる。
わたしも今現在ですらアコちゃん、ツルマキさん、マルヤマさんと関係を持っているし、続いていくだろうから、そっち関連の情報が欲しいところ。拒む理由はない。
311 :
◆g5daB11lKU
[sage saga]:2020/10/01(木) 12:41:37.42 ID:Mo2QML35O
カスミ「本当ですかっ? わー、嬉しいなぁ!」
打ち解ける、印象付けることは成功、とみていいかな。ニコニコと笑うトヤマさんは可愛らしくはしゃいで、ストレートに嬉しさを口にする。こういうところ、アコちゃんに似てるなぁ。
カスミ「――っと、着きましたね。この辺りでどうです?」
リンコ「……大丈夫、そうです」
ヒカワさんに聞いた道を進んでいくと、開けた場所に出る。そこは周りを森で囲まれた、円形の広場みたいになっていた。ここでなら存分に特訓できることだろう。
とりあえず中心へ。トヤマさんと少し距離を開いて向き合い、わたしは口を開く。
リンコ「あの……トヤマさんは……魔法を使うとき、どうしています……?」
カスミ「えっ?」
リンコ「い、一応……参考に……」
カスミ「んーと……あ、そうだっ。詠唱も魔力の込め方も大事ですけど、やっぱり魔法はイメージですね」
リンコ「イメージ……」
イメージ。勿論大切なことなのだろうけど、いまいちピンとこなかった。メテオを発動した時はイメージなんて全然していなかったから。
カスミ「どんな魔法を発動させるのか、どんな効果を発揮させるのか、どんな力加減でどう動かすのか。その具体的なイメージが魔法のクオリティに関わりますから。
詠唱もそのイメージの補助を果たしていて、力加減に効果、魔力の動かし方――簡単に言えば、一つのイメージを普遍化させたものです」
……なるほど。つまり詠唱は答えの決まっている方程式のようなもので、プログラミングされたものを実行しているにすぎない、と。大まかに言えばそうなのだろう。
そしてその実行にはマシンの力――唱える人のスペックと、コードを打ち込む人の力量と必要なものと不要なものを見極める柔軟さが大きくかかわる。
さらにいえば、イメージと実力さえあれば詠唱無しでもあらゆる魔法を創り出し、唱えることができるのだろう。
312 :
◆g5daB11lKU
[sage saga]:2020/10/01(木) 12:42:16.38 ID:Mo2QML35O
わたしが『メテオ』という響きだけで、それを唱えてしまったように。
カスミ「――って、感じですね。どうですっ?」
リンコ「すごく……分かりやすかったです……」
分かりやすい説明に、普遍化、なんて前の世界のトヤマさんから出てくるとは思えない言葉。記憶の有る無しをまじまじと感じるけれど、この説明は有り難かった。
詠唱は魔法の安定性を高める。そしてイメージさえ掴めていれば詠唱無しでも発動できる。
シラサギさんやイマイさんには聞けなかった、初歩中の初歩……の理論なのだろう。
うん……このことを知った今なら、もっとうまく魔法を扱えそう。
カスミ「よかったー。私、感覚的なところが多くて。リンコさんに伝わったなら安心です!」
リンコ「ありがとうございました……。えっと……」
カスミ「修行、ですよね。何します?」
魔法を使う練習をしたい、と率直に言えば怪しまれてしまうかもしれないから……なんとか、わたしの状況がバレないような言い回しで……。
リンコ「……お互いに魔法の質を確かめませんか? 何事も基礎が大切ですから……唱えて、確認を」
カスミ「……」
リンコ「……」ダラダラ
黙り込むトヤマさんに、冷や汗をかくわたし。さ、流石に魔法が得意な勇者が言うようなことじゃなかったかな……? 気まずい沈黙は数秒続き、
カスミ「なるほど! いいですね!」
ぱあっと明るい笑顔を浮かべるトヤマさんに、胸を撫で下ろす。微塵も怪しむ様子が無いところに、元の世界の面影を感じてしまう。
313 :
◆g5daB11lKU
[saga]:2020/10/01(木) 12:44:15.56 ID:Mo2QML35O
カスミ「分かりましたっ。それじゃあ順番に」
リンコ「はい……。わたしはこの参考書から、魔法を選びますね……」
事前にヒカワさんから渡されていた本を、持ってきていた鞄から取り出す。
各属性の初級中級上級――幅広い魔法について記された物で、詠唱や効果その他細かいこともよく分かる優れもの、らしい。物凄く分厚くて、わたしの鞄の中をほぼ占領してしまっているのだけど。
カスミ「はいっ。私も見せてもらっていいですか?」
リンコ「……はい」
本を開いて、練習によさそうな魔法を探す。
異世界のわたしはユキナさんやアコちゃんの話によると、ほぼ属性を問わずに攻撃、補助と幅広い魔法を唱えられ、特に得意だったのが火の魔法だったらしい。
唯一苦手なのが回復系統の魔法。元々才能の要素が大きい分野なのもあって、わたしは簡単な怪我を時間をかけて回復する程度しか使えなかった、とか。
けれど唱えられる魔法の属性が1、2種類なのがこの世界の一般的な魔法使い。それを考えるとちょっと回復ができないだけで、属性を選ばず魔法を唱えられた勇者は別格の存在と言えるだろう。
わたしに別格と呼ばれるだけの実力があるといいけれど……。
リンコ「えっと……とりあえず手始めに……」
1 攻撃魔法
2 補助魔法
3 いかがわしい魔法
↓1、2、3 なんの魔法を練習する? 一つ選択
(初期リンコの習得する魔法となります。攻撃魔法が選ばれなかった場合は、一つ自動的に覚えます。魔法名や効果も記載可)
【遅れてまことにすみません!
今回の更新分はここまでです】
314 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/10/01(木) 15:29:22.55 ID:te4rJVMw0
2 ドラゴンクレスト
対象に魔翌力で作り出した竜を象る兜を装備させる。この兜を装備しているものは攻撃翌力と防御力が上がる。ただし、軽度のバーサク状態になる。
一度魔法掛けると術者が倒れても魔翌力に込めた分は持続するほか、対象者が魔翌力を注ぐことで効果を延長できる。
315 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/10/01(木) 16:44:00.46 ID:dsXWajZqO
乙
待ってました
316 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/10/01(木) 21:38:18.74 ID:d6brKttrO
乙
317 :
◆g5daB11lKU
[sage saga]:2020/10/01(木) 22:49:23.28 ID:DlzbD0sQ0
【ありがとうございます。
魔法、一つ採用です。
>>313
の魔法練習に関する安価はまだ2つ募集してますので、是非とも】
318 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/10/01(木) 23:35:11.12 ID:VJbMZuYf0
1 ダークストーム
闇の風を巻き起こし相手を切り裂く
対人間様の魔法で魔物や魔族への効果は薄い
319 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/10/01(木) 23:41:38.96 ID:pXK7Appq0
2(3?) ギャンブルヒール
大回復をする。運が悪いと爆発したり発情したりする
320 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/10/01(木) 23:45:55.58 ID:BEtRcpNzO
3 クンタクルミレワ
対象 自分自身
効果 胸から母乳が出る 母乳には魔翌力が含まれており魔翌力が多いほど質の良い母乳になる 当然母乳になった分の魔翌力は減る
321 :
◆g5daB11lKU
[sage saga]:2020/10/01(木) 23:55:13.81 ID:DlzbD0sQ0
【魔法どもです。はみ出たものも全て採用しますねー
続きを書き始めるので、明日以降投稿になるかと】
322 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/10/18(日) 19:30:40.61 ID:sgJ/BIEyO
次はいつかな?
323 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/11/01(日) 18:00:19.15 ID:5Pqq2w920
待ってマース
324 :
◆g5daB11lKU
[sage saga]:2020/11/18(水) 03:57:43.11 ID:YLWrvyHK0
習得魔法更新
ドラゴンクレスト
>>314
ダークストーム
>>318
ギャンブルヒール
>>319
クンタクルミレワ
>>320
メテオ
リンコ「手始めに……これを……」
ドラゴンクレスト。火属性補助魔法の上級と記されている魔法だ。これを唱えられるなら、わたしもそれなりな実力を持っているということ。逆に言えば、以前の勇者ならこれくらいは簡単に唱えられていた筈だ。
カスミ「おぉー。これを手始め、なんて。流石リンコ先輩」
リンコ「相手がいる時しか練習できませんから……」
本の説明をしっかり読んで、詠唱の呪文を覚える。これでイメージも発動の手順もしっかり記憶できた。後は細かなコントロールだけ。
リンコ「……トヤマさん、いきますよ……?」
カスミ「はい! 一応武器を置いといて……離れて……よし。大丈夫ですよ!」
凶暴化する可能性を考慮したのだろう。武器の杖や荷物を置いて、それらから距離を取るトヤマさん。元気よく手を振る彼女へ頷いて、わたしは詠唱をはじめる。
リンコ「――」ブツブツ
集中、イメージ……。本に載っていた魔法の効果を詠唱に乗せて再現する……。
呪文によって魔力が身体から抜かれていくのが分かる。それがわたしの前で練られ、形になり、そして――
325 :
◆g5daB11lKU
[sage saga]:2020/11/18(水) 03:58:20.58 ID:YLWrvyHK0
リンコ「……ドラゴンクレスト!」
完成する。わたしは叫び、手を前方のトヤマさんへとかざす。すると光が収束し、フードを外した彼女の頭の上に竜の頭部を模した兜が現れる。
赤く輝く、半透明のそれはまさしく本で見た通り……いや、ちょっと細かいところに模様が入ってたりするかな……? デザインが微妙に違うのは、わたしのイメージが影響しているのだろう。
カスミ「おお! すごいです、リンコ先輩! 魔力がぐおーっと」
効果も上々なようだ。ぴょんぴょんとテンション高めに跳ねる彼女を見て、ひとまず安心する。
攻撃魔力と防御の向上。魔法使いにはうってつけの補助魔法だろう。
カスミ「――ただ、やっぱり暴れたくなりますね」
勿論、便利で強力な魔法には代価も存在する。笑顔のまま若干の狂気を目に滲ませ、トヤマさんは手にしている杖をブンブンと振り回す。
強化と少しの暴走効果。魔法を唱える程度には頭が働くけれど、理性が薄まるらしい。
カスミ「と、とりあえず木に魔法を試し打ち……あ」
杖をピタッと止めたトヤマさんが危ないセリフを口にした瞬間、タイミングよく頭上の兜が消える。……魔力を少なめにしておいてよかった。
326 :
◆g5daB11lKU
[sage saga]:2020/11/18(水) 03:59:15.83 ID:YLWrvyHK0
リンコ「成功、したみたいですけど……トヤマさん、大丈夫ですか……?」
カスミ「はい! ちょっと暴走しちゃいましたね」
フードを被り、恥ずかしそうにトヤマさんが笑う。本の通りの効果がしっかり現れ、消えた。これなら使用しても問題ないだろう。
使うタイミングを間違えたりしたら、大変なことになりそうだから、そこは気をつけておこう。
カスミ「じゃあ次……あ。リクエストいいですか?」
再び本を開き集合するわたし達。次はトヤマさんの番。本を彼女に差し出そうとすると、彼女は右手をピンと挙げた。
リンコ「リクエスト……?」
カスミ「せっかくなんで、魔法が得意な勇者様の腕前を見てみたいです!」
リンコ「それでいいなら……わたしは構いませんけど……」
むしろ魔法に慣れていないわたしには助かる話。1つ目は無事成功させたことだし、ここでレパートリーを少しでも増やしておきたいところだ。
わたしが答えると、トヤマさんは張り切った様子で渡された本をパラパラと開く。そしてとあるページで手を止めた。
カスミ「それじゃあ……闇の魔法をお願いします! 私、闇の魔法って唱えられなくて。見てみたいんです」
リンコ「はい……やってみます」
唱える前にその頁へしっかり目を通す。
ダークストーム。闇の風を巻き起こして相手を切り裂く中級闇魔法。その起源は魔物が使っていた魔法のようで、それを人間も唱えられるようアレンジしたものらしい。
人間に効果が高い反面、魔物や魔族への効果は薄い。わたしが覚えても、これを使うタイミングがあるのかは分からない。が、何事も挑戦。やってみて損はない筈。
327 :
◆g5daB11lKU
[sage saga]:2020/11/18(水) 03:59:47.59 ID:YLWrvyHK0
リンコ「……いきます」
トヤマさんから離れ、詠唱を始める。
闇の旋風……アコちゃんが好きそうな魔法。人を切り裂く闇の力――悪人を無力化させるくらいの力加減で、やりすぎずに……。
リンコ「ダークストーム!」
杖を前に。直後、わたしの前方に小規模の風が吹く。吹き荒ぶ紫色の旋風は空を裂き、地面に痕を残して消滅する。
人に当たった時どうなるか。それは分からないけれど、とりあえずは成功していそうだ。
リンコ「……どうですか?」
カスミ「――すっごいです! リンコ先輩って闇の魔法もいつも唱えてるんですかっ?」
リンコ「そんなことは……ないですけど……」
キラキラと紫色の瞳を輝かせて、素早くわたしの前へやって来るトヤマさん。
予想外に大げさなくらい褒められ、わたしは戸惑ってしまう。トヤマさんの魔法のレベルによるけど、彼女から見てわたしの魔法は絶賛するくらいの腕前、なのかな。
初めて唱えた魔法で、おそらく経験者のトヤマさんに褒められた。わたしにも少しは魔法の才能があるのだと思ってもいいのだろう。
……わたし、ではなくて『勇者のリンコ』の才能をそのまま引き継いでいるだけなのかもしれないけど。
328 :
◆g5daB11lKU
[sage saga]:2020/11/18(水) 04:00:21.09 ID:YLWrvyHK0
カスミ「……勇者様? どうしました?」
リンコ「あ……なんでも、ないです……」
カスミ「そうですか? んーと……次はどの魔法にしてもらおうかなー」
あ、次もわたしなんだ……。
リンコ「それなら……これ、唱えてみたいです……」
本をめくり、とある回復魔法を指差す。
勇者が苦手としていた回復魔法。けれどこのギャンブルヒールならば、簡単な難易度で大きな回復を期待できる。確率で小規模な爆発をしたり、発情したりとデメリットはあるのだけど。
それでも、成功するまで唱えられる余裕があるなら有用な魔法だと思うのだ。
カスミ「ギャンブルヒール……? 面白そうですね!」
リンコ「はい……。唱えられれば、回復が使えますから……」
カスミ「回復かぁ。光属性と水属性くらいでしか唱えられませんからね。リンコ先輩はその属性が唱えられなかったり?」
リンコ「いえ……。回復が苦手なだけで……」
カスミ「じゃあイメージの方ですね。よし、練習しましょう!」
本を鞄に。また彼女は少し離れて、ばっちこいと手を広げる。爆発したり発情したりする危険性を考えてるのかな……? 少し心配になるけど……。
329 :
◆g5daB11lKU
[sage saga]:2020/11/18(水) 04:00:53.89 ID:YLWrvyHK0
リンコ「えいっ……! ギャンブルヒール……!」
遠慮せずトヤマさんの胸を借りることに。詠唱自体は問題なく、本のように光が放たれトヤマさんの周囲を回り、消える。
本によるとこの後、3通りの効果からランダムに魔法が発動するようだ。
リンコ「……」
発動する……ようだけど、シーンと静寂が数秒続く。緊張した面持ちのトヤマさんは棒立ちのままで、少ししてゆっくり首を傾げた。
カスミ「あのー……もしかして成功ですか?」
リンコ「……みたいです」
おそらく、回復が発動したから何も無いのだろう。なんだかハズレみたいなリアクションをしてしまうわたし達。すると突然、トヤマさんがバッと手を広げた。
何も言わずとも分かる。彼女が何を求めているのか。わたしは一度コクリと頷いて、杖をかざした。
リンコ「えいっ」ハツドウ
途端、ボンッと小さな破裂音。前をしっかり見ていたわたしには、何が起こったのか分かった。トヤマさんの前方、風船が割れたような小規模な爆発が起こり、彼女の身体を少量の魔力が叩きつけたのだ。
威力はゲーム序盤の雑魚敵――スライムの体当たりくらいだろうけど、音に驚いたところを魔力に叩かれたトヤマさんは綺麗に後ろ向きに倒れた。
カスミ「ナ、ナイス爆発……先輩」ヘヘヘ
何が彼女をここまでさせたのか……よく分からない。
330 :
◆g5daB11lKU
[sage saga]:2020/11/18(水) 04:01:21.46 ID:YLWrvyHK0
○
また本を開いてしばらく。とあるページでトヤマさんが大きな声を上げた。
カスミ「あっ! 私これがいいと思います!」
またわたしへのリクエスト……。けれど後輩の望みを聞くのも、やぶさかではない。キラキラした目で彼女が指差す魔法を見てみる。 『クンタクルミレワ』。
対象は自分自身で、唱えた者の胸から母乳が出るようになるらしい。その母乳には魔力が込められており、身体に宿る魔力の量が多いほど質のよいものになるようだ。
元は孤児の世話であったり、母乳のでない母親が赤子を育てるため開発された魔法なのだが、今は性生活の充実に利用されることが多く――
リンコ「……」
よく見るとこの辺りのページ、それ系の魔法が多かった。避妊だったり、お尻の洗浄だったり、感度云々、真面目な文章なのに内容が完全に十八禁である。
リンコ「……あの、この手の魔法って……普通に、使われてたり……?」
カスミ「風俗でも、普通の家庭でも使ってますよ? ……リンコ先輩はアコと使わないんですか?」
ワクワク。そんな擬音が出てきそうな表情で、トヤマさんが詰め寄る。この世界のトヤマさんはその手の話に興味津々みたい。前の世界じゃ話題に上がることもなかったのに。
リンコ「えっと……あまり……」
カスミ「お、おぉー……子作りしちゃってるんですね……」
リンコ「っ!?」
一方わたしはその話題にあまり耐性が無いみたいだ。知る顔から出てきた聞き慣れない台詞に、顔が赤くなるのが分かった。
子作り……それはそうなんだけど、実際言われると罪悪感が……。って、今のセリフは元の世界に置き換えるとゴムを使ってない宣言みたいなもの……? き、気をつけないと。
331 :
◆g5daB11lKU
[sage saga]:2020/11/18(水) 04:02:28.46 ID:YLWrvyHK0
リンコ「そ、それはともかく……っ。どうしてこの魔法を……?」
カスミ「え? それはですね」
あっさりと、苦し紛れの誤魔化しに乗ってくれるトヤマさん。彼女はにっこりと笑って言う。
カスミ「リンコ先輩から母乳が出たら……最強じゃないですか?」
リンコ「……」
何一つ理解はできなかった。
何も答えず真顔でいるわたしを見て、大体察したのだろう。トヤマさんは続ける。
カスミ「じゃあパートナーの……アコの母乳と聞いて、どうです?」
リンコ「……!!」
脳内にピシャーンと電流のようにイメージが走る。小柄でまだまだあどけないアコちゃんの、ぷっくらとした膨らみから流れる白濁液。それを見て恥じらうアコちゃんに、わたしを誘うように微笑むアコちゃんに、母性全開で微笑みアコちゃんにエトセトラ……。
そのワードを聞いた途端に、妄想が頭の中にあふれる。な、なるほど……母乳なんて考えたこともないけれど、なんかイイ……ような気が……。
リンコ「でも……わたしが対象で需要が……」
カスミ「いいえ……アコもリンコ先輩と同じように思ってるんですよ!」バーン
リンコ「……そ、そうなんですか……?」
アコちゃんも? そ、そうなのかな……?
でもわたしとアコちゃんはパートナー。恋人みたいなものだし、そういう興味があるのは当然のこと……なのかもしれない。あれだけエッチなことに積極的なアコちゃんを知っていると否定はできない。
リンコ「……分かりました。やってみます……」
カスミ「はいっ。――あ、唱えてみるだけでいいですからね」
リンコ「……はい」
目を閉じて集中。これまでの魔法よりも難易度は低いから、いつも通りやれば問題なく唱えられるだろう。短めの詠唱を終え、わたしは自分の身体にかすかな違和感を覚える。
↓1 リンコのソレの効果は……。 一つ選択
1 普通においしいだけ
2 魔力も傷も回復するエリクサー的な
3 催淫、感度上昇
332 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/11/18(水) 10:20:35.82 ID:ry2GS70v0
3
333 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2020/12/08(火) 14:17:29.43 ID:youM5v510
お待ちしてます
334 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
:2021/05/27(木) 08:21:07.01 ID:oznZPDcfO
待ってます
335 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
:2021/12/12(日) 17:43:08.19 ID:3tqupDL4O
あげ
247.41 KB
Speed:0.1
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
VIPService!]
↑
VIP Service
SS速報R
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
新着レスを表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
書き込み後にスレをトップに移動しません
特殊変換を無効
本文を赤くします
本文を蒼くします
本文をピンクにします
本文を緑にします
本文を紫にします
256ビットSSL暗号化送信っぽいです
最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!
(http://fsmから始まる
ひらめアップローダ
からの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)
スポンサードリンク
Check
Tweet
荒巻@中の人 ★
VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By
http://www.toshinari.net/
@Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)