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中野三玖「だっかんじぇらしー」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/12(水) 21:50:44.65 ID:6DnlY60f0
五等分の花嫁のss。R18。
中野二乃「こんすいれいぷ」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1543718702/
の続きです。
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/12(水) 21:51:46.28 ID:6DnlY60f0
「あ、上杉さん。ここでしたか」
「お、おお。四葉か」
珍しくバイトも家庭教師の予定も入っていない一日だったので、一人学校の図書室にこもって勉強していた。ここ最近、自分のためだけに使える時間がぐっと減っていたので、こういう機会は無駄に出来ない。また、勉学に精を出している間は、思考を一点のみに集中できるのでありがたかった。私事だが、近頃は色々なことに巻き込まれ過ぎて、頭がパンク寸前なのだ。
そんな最中の来客は、はっきり言ってしまえば望ましいものではなかった。しかし、ここに来るからにはその目的は読書か勉学なので、文句を言うわけにもいかない。
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/12(水) 21:52:23.17 ID:6DnlY60f0
「隣、良いですか?」
「なんだ、今日は家庭教師の日じゃないけど」
「個人的に教えてもらいたいことがあって。先生に聞いても良く分からなかったので、困ったときの上杉さん頼みです」
「……なら、仕方ない」
「この数学の問題なんですが」
「ぶほっ!」
「上杉さん?!」
「……気にするな。続けてくれ」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/12(水) 21:53:19.91 ID:6DnlY60f0
ノートを広げた先に待っていたのは、ちょっと前にとある生徒からも質問を受けた問い。説明用の作図のあとで意識を失ったのは、まだ記憶に新しい。それと同時に、非常に生々しい情事の記憶も呼び覚まされてしまって、ばれないように前かがみになった。
「点Hの扱いが全然分からなくて。ここの曲線と点Hの関係が大事なのはぼやーっと理解できるんですけど、でもそうすると、H以外のことが考えられなくなって困るんです」
「分かった。一回黙ってくれ」
「へ?」
「いや、教えるモードに入るから。それまで静かに」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/12(水) 22:14:09.40 ID:6DnlY60f0
おちょくっているのかこいつは。えっちえっち連呼しやがって。まさか二乃や三玖が喋ったなんてことはないと思うけれど、それでも気になるものは気になるのだ。こちらの反応を見て遊んでいるのではあるまいな。
ただでさえ同じ顔だからやりづらいのに、絶妙に行為を連想させるワードを叩き込まないで欲しいものだ。こんな時間から悶々とさせられてもどうしようもない。
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/12(水) 22:15:03.79 ID:6DnlY60f0
「……よし、ペン出せ。どこから分からなくなっているのかを確認するためにも、解答の過程を一から追いかけるぞ」
無心だ無心。直接関係のない四葉相手にムキになっても意味がない。とにかく落ち着いて教えて、もう一度自分だけの穏やかな時間を確保しよう。スムーズにこなすことが、ゆくゆくは俺のためになる。
…………けれど。
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/12(水) 22:17:32.82 ID:6DnlY60f0
「上杉さん、この式はどうして出てくるんでしたっけ?」
「あー、えっと、それはだな……。やべ、途中式抜けてる……」
「お疲れでした?」
「いや、待ってくれ。まだギアが上がってないだけだから。ここから本調子に戻す」
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/12(水) 22:18:03.27 ID:6DnlY60f0
なかなかどうして上手く行かない。いや、原因は間違いなく分かっているのだけれど、それを認めてしまうことがどうにも恥ずかしく思えて、踏ん切りがつけられないのだ。
俺は同世代の男子とは違って、性欲なんかに支配されるような意志薄弱な人間じゃない。それを誇りのように思ってこの数年勉学に励んできたというのに、一度童貞を捨てただけでこのザマだなどと、どうしてもプライドが許さないのだ。
これまでは、あらゆる欲を理性で制御してきたつもりだった。だから今さら、一時の快楽に流されるなんてことがあってはならない。ならないのだから――
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/12(水) 22:18:32.88 ID:6DnlY60f0
「上杉さん、なんだか顔が赤いみたいですよ?」
「……知恵熱」
――四葉の体に二乃の裸体を重ねてしまったなんて言い出せるわけもなく、ぷいっとそっぽを向いた。五つ子はこういうところで作用してくるのかと、心の中で悪態を吐く。性格的には全然違う癖に、まったく同じ体つきだなんて、たちが悪いにもほどがあるだろう。
俺の渋るような返答を聞いた四葉は何かしらの思案を経てから、ぽんっと手を打った。いかにも、『妙案を思いつきました!』みたいな顔で。
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/12(水) 23:21:40.23 ID:6DnlY60f0
「おい」
「じっとしててくださいねー」
ずずいっと顔を寄せてくる四葉。端整な顔立ちだなあなんて思っている余裕はなく、脳裏をよぎるのは、この前強引に二乃に唇を奪われた時のこと。……え? そんな素振りなんて一切見せてなかったってのに、まさか四葉もなのか……?
「そこまで変わらないので問題はなさそうです」
「…………お前の体温が高いだけだ」
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/12(水) 23:23:29.99 ID:6DnlY60f0
おでこ同士をぴったりくっつけて、熱の計り合いをしているつもりらしい。正月の時と言い、こいつは他人との距離感の取り方がバグっているとしか思えなかった。やり方なんて、他にいくらでも選べそうなものなのに。
「じゃあ、体調に異常がないのが判明したところで、続きをしましょうか。あんまりお時間を取らせてもいけないですし」
「……ああ、さっさと理解してくれ」
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/12(水) 23:24:04.22 ID:6DnlY60f0
どっと気疲れが押し寄せてきて、そのまま肩を落とす。勘弁してくれよ、ほんと。
しかし、朗らかに笑っている四葉の顔を見るとどうにも毒気を抜かれてしまってダメだった。ご姉妹の中で一番単純なようでいて、実のところ最も良く分からないのがこいつかもしれない。
その後二十分くらいの悪戦苦闘の末、なんとか四葉から「納得しました」との言葉を引き出すことに成功した。お辞儀をした後で元気よく走り去っていく彼女の後姿を脱力しながら眺めた後で、俺もようやく自分自身のテキストを開き直す。気を抜いていると、また思い出してしまいそうだ。
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/12/13(木) 18:04:36.21 ID:o2aDNtYAo
期待Max
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/13(木) 20:37:27.91 ID:wXoZOq/r0
行くぜ
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/13(木) 20:38:18.78 ID:wXoZOq/r0
ノートを広げた先に待っていたのは、ちょっと前にとある生徒からも質問を受けた問い。説明用の作図のあとで意識を失ったのは、まだ記憶に新しい。それと同時に、非常に生々しい情事の記憶も呼び覚まされてしまって、ばれないように前かがみになった。
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/13(木) 20:38:48.52 ID:wXoZOq/r0
「点Hの扱いが全然分からなくて。ここの曲線と点Hの関係が大事なのはぼやーっと理解できるんですけど、でもそうすると、H以外のことが考えられなくなって困るんです」
「分かった。一回黙ってくれ」
「へ?」
「いや、教えるモードに入るから。それまで静かに」
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/13(木) 20:39:17.48 ID:wXoZOq/r0
おちょくっているのかこいつは。えっちえっち連呼しやがって。まさか二乃や三玖が喋ったなんてことはないと思うけれど、それでも気になるものは気になるのだ。こちらの反応を見て遊んでいるのではあるまいな。
ただでさえ同じ顔だからやりづらいのに、絶妙に行為を連想させるワードを叩き込まないで欲しいものだ。こんな時間から悶々とさせられてもどうしようもない。
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/13(木) 20:39:47.25 ID:wXoZOq/r0
「……よし、ペン出せ。どこから分からなくなっているのかを確認するためにも、解答の過程を一から追いかけるぞ」
無心だ無心。直接関係のない四葉相手にムキになっても意味がない。とにかく落ち着いて教えて、もう一度自分だけの穏やかな時間を確保しよう。スムーズにこなすことが、ゆくゆくは俺のためになる。
…………けれど。
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/13(木) 20:40:13.82 ID:wXoZOq/r0
「上杉さん、この式はどうして出てくるんでしたっけ?」
「あー、えっと、それはだな……。やべ、途中式抜けてる……」
「お疲れでした?」
「いや、待ってくれ。まだギアが上がってないだけだから。ここから本調子に戻す」
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/13(木) 20:40:43.56 ID:wXoZOq/r0
なかなかどうして上手く行かない。いや、原因は間違いなく分かっているのだけれど、それを認めてしまうことがどうにも恥ずかしく思えて、踏ん切りがつけられないのだ。
俺は同世代の男子とは違って、性欲なんかに支配されるような意志薄弱な人間じゃない。それを誇りのように思ってこの数年勉学に励んできたというのに、一度童貞を捨てただけでこのザマだなどと、どうしてもプライドが許さないのだ。
これまでは、あらゆる欲を理性で制御してきたつもりだった。だから今さら、一時の快楽に流されるなんてことがあってはならない。ならないのだから――
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/13(木) 20:41:13.65 ID:wXoZOq/r0
「上杉さん、なんだか顔が赤いみたいですよ?」
「……知恵熱」
――四葉の体に二乃の裸体を重ねてしまったなんて言い出せるわけもなく、ぷいっとそっぽを向いた。五つ子はこういうところで作用してくるのかと、心の中で悪態を吐く。性格的には全然違う癖に、まったく同じ体つきだなんて、たちが悪いにもほどがあるだろう。
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/13(木) 20:41:43.59 ID:wXoZOq/r0
俺の渋るような返答を聞いた四葉は何かしらの思案を経てから、ぽんっと手を打った。いかにも、『妙案を思いつきました!』みたいな顔で。
「おい」
「じっとしててくださいねー」
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/13(木) 20:42:11.42 ID:wXoZOq/r0
ずずいっと顔を寄せてくる四葉。端整な顔立ちだなあなんて思っている余裕はなく、脳裏をよぎるのは、この前強引に二乃に唇を奪われた時のこと。……え? そんな素振りなんて一切見せてなかったってのに、まさか四葉もなのか……?
「そこまで変わらないので問題はなさそうです」
「…………お前の体温が高いだけだ」
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/13(木) 20:42:45.03 ID:wXoZOq/r0
おでこ同士をぴったりくっつけて、熱の計り合いをしているつもりらしい。正月の時と言い、こいつは他人との距離感の取り方がバグっているとしか思えなかった。やり方なんて、他にいくらでも選べそうなものなのに。
「じゃあ、体調に異常がないのが判明したところで、続きをしましょうか。あんまりお時間を取らせてもいけないですし」
「……ああ、さっさと理解してくれ」
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/13(木) 20:43:16.51 ID:wXoZOq/r0
どっと気疲れが押し寄せてきて、そのまま肩を落とす。勘弁してくれよ、ほんと。
しかし、朗らかに笑っている四葉の顔を見るとどうにも毒気を抜かれてしまってダメだった。ご姉妹の中で一番単純なようでいて、実のところ最も良く分からないのがこいつかもしれない。
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/13(木) 20:43:44.46 ID:wXoZOq/r0
その後二十分くらいの悪戦苦闘の末、なんとか四葉から「納得しました」との言葉を引き出すことに成功した。お辞儀をした後で元気よく走り去っていく彼女の後姿を脱力しながら眺めた後で、俺もようやく自分自身のテキストを開き直す。気を抜いていると、また思い出してしまいそうだ。
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/13(木) 20:44:14.35 ID:wXoZOq/r0
そこから二時間程度鉛筆をノートに走らせて、外が暗くなったのを理由に帰宅を決めた。重たくなった肩をぐるぐる回すと、関節がばきぼきと嫌な音を奏でた。
ここでふと、俺にしてはかなり珍しいことに、ケータイを見てみることにした。もしかしたららいはにお使いの催促をされている可能性がある。
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/13(木) 20:44:51.85 ID:wXoZOq/r0
「……おっと」
即座に『見なかったことにする』という選択肢が浮かんできたが、それは否定。今の俺が置かれている立場上、下手な手は打てなかった。
『六時に校門で』とのメール。送り主は三玖。現在時刻は六時半なので、間違いなく遅刻していることになる。
「…………」
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/13(木) 20:45:17.84 ID:wXoZOq/r0
冷や汗がつーっと背中を流れた。この前の一件は三玖に協力を仰ぐことによって、一応のところは穏便に片付いた。……いや、三玖からは一ミリも穏やかじゃないお願いをされたけど。
別に、脅しをかけられたわけではない。……が、無視していいわけもないだろう。あれをバラされてしまうと、俺が半年と少しの期間をかけて積み上げた信用がパァだ。たとえ実情が『薬を使った二乃に襲われた』ってことでも、姉妹間にかなり大きな亀裂が入りかねないのは事実。
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/13(木) 20:45:46.09 ID:wXoZOq/r0
とにかく、行くだけ行ってみよう。待っていればそこで謝れるし、いなかったら電話をかければいい。俺がケータイに触らない人間だというのは三玖も知っているので、きちんと説明すれば温情をかけてもらうことも可能だろう。
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/13(木) 20:46:13.79 ID:wXoZOq/r0
そんなわけで、ガラにもなく駆け足で図書室を出る。たらたら歩いて近寄って来られても説得力に欠けるだろうから、こういうポーズをとることも大切だ。元から体力はスカスカだから、階段の上り下りで息はきちんと上がってくれるだろう。
あれこれと策略を巡らせながら、薄暗い昇降口で上靴を履き替える。照明くらいつけてくれよと思ったが、節約を掲げられては言い返す口がない。
自分の靴箱をなかなか探し当てられずに慌てる。こういう時はかえってゆっくり動いた方が上手く行くものだが、猶予も余裕も持っていない身なので、そんな楽な構えではいられなかった。この間にも言い訳を複数パターン考えて万一に備える必要があったし、そもそも三玖がまだ待っている確証もない。下手をしたら、あいつらの家を訪ねる必要性も生まれ得る。
今、どうしてもそれだけは避けたかった。流石に現場に戻って平静を装い続けられる自信はなく、光速で馬脚を露すのが目に見えている。二乃とはあれっきりまともな会話もなく、ただジトジトした視線を向けられるだけになってしまっているし、とにもかくにもあの家はまずいのだ。
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/13(木) 20:47:12.90 ID:wXoZOq/r0
急げ急げと指差しで下駄箱をなぞって、可能な限り早くオーダーを達成しようとするも、やっぱり靴は見つからなかった。列を間違えているのではとも考えたが、どうやらその線は薄そうだし。
「うおっ!」
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/13(木) 20:47:43.81 ID:wXoZOq/r0
肩を落としていると、横合いから網膜を焼かんばかりの光が襲ってきた。ぴかぴかと俺を照らす光源は良く見ればスマートフォンのようで、誰がこんな悪戯を……とそいつの腕を引っ掴む。
下手人は男だろうと想像していたのに、手首は思いのほか細かった。突然の明暗変化に視力が付いてこれていないので顔は分からないが、もしかして女子か、こいつ。
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/13(木) 20:49:00.88 ID:wXoZOq/r0
「なにすん……おい?」
思考に意識を削がれて気を抜いていると、今度は逆に俺の体が引っ張られた。突然のことなので踏ん張りがきかず、そのまま引きずられるように昇降口の端の方まで連れて行かれる。そこでどうにか足を止めると、ようやく犯人様の顔が拝めた。
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/13(木) 20:49:36.59 ID:wXoZOq/r0
「逃げないようにって靴を隠しておいたんだけど、普通に遅刻しただけなんだね」
「…………」
「静かにしてね、フータロー。ここ、先生も来るから」
「……三玖」
俺の鎖骨あたりから感じる妙に硬い感触は、きっと三玖のトレードマークであるヘッドフォンなのだろう。それよりもまず問題なのが、なぜヘッドフォンがぶつかるくらいまでこいつが密着してきているのかということだ。
もちろん、そんな具合なので、胸やら足やらもくっついている。感触は数日前のものと酷似していて、やっぱりこいつらは五つ子なんだなと思い知らされた……のは良いものの。
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/13(木) 20:50:16.43 ID:wXoZOq/r0
「おい」
「……すん」
「三玖」
「……すんすん」
「なぜ嗅ぐ」
当の三玖本人は俺の首あたりに顔をうずめて、ただ深呼吸を繰り返すだけ。それも、どう考えたって匂いを嗅いでいるとしか思えない仕草で。
こんな調子なので、会話もままならない。まともな返事をしてくれない三玖に根気強く問いかけ続け五分程度経ってから、ようやく彼女は俺に取り合ってくれた。
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/13(木) 20:51:05.33 ID:wXoZOq/r0
「この前約束したでしょ?」
「……この前とは?」
「フータローが二乃とイチャイチャしてた時」
「別にイチャイチャは……」
「じゃあ、二乃と何度もえっちしてた時」
「…………」
それに関しては否定できる手札を持っていないので黙るしかない。ぶっちゃけなんの間違いも存在しないただの事実だし。
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/13(木) 20:51:35.29 ID:wXoZOq/r0
「私がなんて言ったか覚えてるよね?」
「……私ともしてって」
「そう。伝えたからにはフータローから言い出してくれるんだろうなーと思ってたのに、いつまで経っても知らんぷりなんだもん」
「ジョークの可能性もあるだろ……ちょっとは」
「ジョークに初めてを賭ける女の子なんていない」
「…………」
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/13(木) 20:52:29.35 ID:wXoZOq/r0
いきなりの処女宣言に怯む。……ま、まあ、この歳ならなんら不思議なことではないし、俺だってちょっと前まで童貞だったわけだけど。
しかし、どんな論法を使えば『私とセックスしろ』に繋がるのか毛頭分からない。そこは姉妹に先を越されたくなかった……みたいな、俺には理解しようもない感情でも絡んでいるのだろうか。
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/13(木) 20:52:56.50 ID:wXoZOq/r0
「二人っきりになれる時間も場所も全然見つからなくて、だからこそ、フータローは私のために今日一日をフリーにしてくれたのかと思ったのに」
「……だからメールを?」
「そう。こうなったらこっちから行こうって」
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/13(木) 20:53:22.81 ID:wXoZOq/r0
外から生徒の声がして、咄嗟に二人で近くの自販機の影に体を隠す。柱と筐体とが上手く密集していて、この暗がりならじっとしている限り見つかることはなさそうだ。……いや、そもそもなんで俺が隠れなきゃならんのだとは思うけど、三玖の三玖らしからぬ俊敏な動きに釣られてしまった。
尻もちをついた俺の上に覆いかぶさるような姿勢をとった三玖は、どうにも先ほどから呼吸の調子がおかしい。浅く早く、矢継ぎ早に酸素の入れ替えを行っている。
「なんだお前、体調でも悪いんじゃないのか?」
「ううん、違うよ」
「にしたっておかしいだろ。どこか体壊して……」
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/13(木) 20:53:50.73 ID:wXoZOq/r0
と、ここで俺は一つの大きな違和感に気付く。こちらに三玖が体重を預けてきているのでそのたわわに実った二つの果実の感触がダイレクトに
伝わってくるのは当たり前と言われれば当たり前なのだが、それにしたってどうにも様子がおかしいように思えるのだ。
こんなのは一切自慢できることじゃないが、五つ子全員羞恥心の概念がガバガバなので、そのやたらとデカい胸を押し付けられたことはこれまでにも多々あった。なんならちょっと前には布一枚噛ませることなくダイレクトに触る羽目になったりもした。……で、その経験から鑑みて、今の状況はどうにも……。
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/13(木) 20:54:25.54 ID:wXoZOq/r0
「気づいた? フータローにしては察しが良い」
「正気かお前。母親が草葉の陰で号泣してるぞ絶対」
「……これくらいで驚いてると、後から腰を抜かすことになるかも」
ものすごく悪い予感に体中が警報を鳴らし始める。いや、というのも、こいつ下着つけてないんだ。どう考えてもブラなしで生活できるような生半可なサイズじゃないのに。これまで何度も感じていたワイヤーの硬さがまるでない。
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/13(木) 20:55:19.87 ID:wXoZOq/r0
「待て待て待て! お前まさかここでするつもりじゃないだろうな?!」
「……? じゃあ他にどこでするの? フータローのおうち?」
「それは流石に勘弁だが……。いや、そうじゃなくてももっと……」
「でも、フータロー、ちゃんとえっちな気分になってるじゃん」
「……それは生理現象で」
「嬉しいな。私でもちゃんと興奮してくれるんだ」
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2018/12/13(木) 20:56:02.66 ID:wXoZOq/r0
今日はここまで
46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/12/13(木) 21:11:39.24 ID:o2aDNtYAo
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