提督「艦娘が二千万特攻すれば、この戦争は勝てる」

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204 : ◆6ae5KZVV.rp/ :2019/01/19(土) 02:47:44.15 ID:gndTVisS0
北上「ったく、経験のないヤツらはきれい事ばっか。
こっちだって、捕虜になったヤツらはもっと酷いことをされてるんだ」

金剛「そうそう、ホント敵のヤツらは鬼畜ネー。許せないことをいくつも思い出すデース」

大淀「生きたまま解体されたり……」

北上「救出にいったら、マワされてズタズタに切り裂かれているのもいたねえ」

金剛「木に吊されてるのもいたデース」

如月「だからって、こっちも同じになんて……」

五十鈴「できない。それは戦争じゃない……艦娘のやることじゃない……」
205 : ◆6ae5KZVV.rp/ :2019/01/19(土) 02:48:15.19 ID:gndTVisS0
北上「やるんだよ、命令だ」

金剛「命令違反は、非国民と同じデース。故郷の家族にも顔向けできないヨー」

如月「……そんな、家族に……」

北上「命令違反で処分されたって……故郷でもすぐ話は広まってどうなると思う?」

金剛「もう、道も歩けないし、配給だってなくなりマース」

大淀「……ですから、さっさと終わらせてくれませんか?」

如月「……」

五十鈴「……んっ」
206 : ◆6ae5KZVV.rp/ :2019/01/19(土) 02:48:45.38 ID:gndTVisS0
如月「私…私……」

五十鈴「あんた……ダメよ、そんなの……」

如月「私……どうしても……できません。ごめんなさい……
私、ドジでノロマな……艦娘です……(刃は首に……)」

ブッシャアアーーーーー

北上「ああ〜」

金剛「はああ」

大淀「ふう……」

五十鈴「如月ぃいいいいいいいいいい!!!」

ピクピクピク………

北上「血、飛び散っちゃったな」

金剛「片付けが面倒デース」

五十鈴「そんな、そんな。なんなの……いま、艦娘が。仲間が目の前で……」

北上「はあ?」

金剛「そんなの、もう何百人も見てるデース」

大淀「もっと酷いのをたくさん見ましたね」

北上「で、お前はどーすんの?」

金剛「自害なら、それでもよいですヨー」

大淀「艦娘の恥として、長く記録されますけどね」
207 : ◆6ae5KZVV.rp/ :2019/01/19(土) 02:49:17.39 ID:gndTVisS0
五十鈴「そんな、そんな、そんな……」

北上「はやく!決めろ!」

金剛「敵は、待ってくれたりしないヨー!!」

五十鈴「うわ、うわ、うわ、うわーーーーー、
うわあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

ブシュグシャドス……

……………………………………
………………………………
…………………………
……………………
…………………
………………
…………
……
208 : ◆6ae5KZVV.rp/ :2019/01/19(土) 02:49:45.98 ID:gndTVisS0
北上「はい、よくできました」

金剛「汚い生首ネー、ヘドが出るよ」

大淀「んふふ、最後まで泣き叫んで、必死でしたね」

五十鈴「はあ、はあ、はあ……」

北上「おめでとう、五十鈴ちゃーん。これで、一人前の艦娘……」

五十鈴「んっふ、ふ、ふふふ……いつでも準備万全よ……五十鈴に任せて……五十鈴に任せておきなさい……五十鈴には丸見えよ……」

金剛「いい眼になったデース」

大淀「危険なほどにですね」

北上「よかったね、いつでも出撃できそうだね」

五十鈴「もちろんよ……えへへ、うふふ……明日にでも出撃……できる? 
敵艦もろとも……吹き飛んであげるわ……」

金剛「っと、こちらが斬られそうな雰囲気デース」

大淀「明日の出撃を提督に提案しましょう……」
209 : ◆6ae5KZVV.rp/ :2019/01/19(土) 02:50:11.46 ID:gndTVisS0
=翌日・鎮守府=

提督「いい具合に仕上がったものだなあ」

青葉「でも、なんで青葉は参加できなかったんです?」

北上「だって、またパンツに手を突っ込んで笑ったりするでしょ?また、提督に殴られるよ?」

青葉「確かに、否定できません」

金剛「で、どちらに出撃したネー?」

提督「南西諸島方面……そろそろ、なにか結果が出るはずだ」
210 : ◆6ae5KZVV.rp/ :2019/01/19(土) 02:50:38.58 ID:gndTVisS0
コンコン

大淀「電文です。○○鎮守府の部隊が、××島沖にて五十鈴と思しき特攻を確認。集積地棲姫に攻撃を敢行。敵は大破炎上、沈没したものと認む……とのことです」

青葉「あら、存外にいい成果ですね」

金剛「訓練の成果が出たネー」

提督「とはいえ、これで戦局が挽回されるわけじゃないのがな……」

ザザザ−

ラジオ「空襲警報……西部軍管区情報……午後3時20分。
敵の編隊60機は国東半島上空にあって、北へ進んでいます……」

ウウウウーウウウー

提督「ほら、真っ昼間から空襲だ……防空壕へいく」

青葉「昼間から本土上空だなんて……」
211 : ◆6ae5KZVV.rp/ :2019/01/19(土) 02:53:53.16 ID:gndTVisS0
いかがでしょう。
なんとか如月と五十鈴と両方を使ってみました。
戦果はあがっているようですが、相変わらず戦局は厳しい……。

さて、次なんですが

・新たな艦娘の出撃
・矢矧編
・入院していた艦娘の復帰
・間宮VS鳳翔の諍い

このいずれかを書こうかと思っています。
よって、

・新たに出撃させたい艦娘
・矢矧
・入院してた艦娘の復帰(沈まない枠)
・間宮+鳳翔

いずれかを書いて下さい

>>219
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/19(土) 03:33:04.39 ID:sDo4IL57o


復帰 ヴェールヌイ
だって不死鳥だもの
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/19(土) 03:38:43.81 ID:QrbgV4vq0
出撃枠で比叡

響、電見送るとき食堂いたような
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/19(土) 07:49:42.38 ID:mHRLmLaE0
矢矧編
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/19(土) 09:17:41.72 ID:kXLMNZHYO
加速
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/19(土) 09:18:28.06 ID:kXLMNZHYO
加速
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/19(土) 09:22:15.18 ID:aQzzEfGUo
加速
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/19(土) 09:23:56.89 ID:dwRFMWTDO
加速
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/19(土) 09:26:48.12 ID:kXLMNZHYO
天龍
ガチ怖で超強い
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/19(土) 09:27:42.83 ID:kXLMNZHYO
あ、復帰枠です
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/19(土) 09:28:17.15 ID:8w03C8o90
鈴谷
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2019/01/19(土) 22:51:41.91 ID:Bkpx1pABO
死亡艦娘リスト

朝潮・春雨・電 → 朝潮・電を生贄に春雨がエリレ×3、フラタ×2、戦艦棲姫撃破の大戦果
加賀・翔鶴 → 戦果らしきものはワ級×1のみ、ほぼ無駄死に。赤城と瑞鶴がとばっちりで糞まみれで殴り愛
霞・満潮 → 出撃すらしないまま霞は火だるま、満潮が達磨に。二人「「シニタクナイー」」北上「はよ死ね」ドン
曙・松輪・大井・大和・Jervis → ぜ、全滅!?5隻の艦娘が!?何の戦果も無しにか!?
如月・五十鈴 → 如月は人も殺せず自殺、五十鈴は人殺して発狂、集積地棲姫に特攻(大破炎上で撃破確実ではない)
てんちゃん → 怖い
223 : ◆6ae5KZVV.rp/ :2019/01/20(日) 04:19:14.39 ID:M6pbJlgp0
大淀「提督、入院していた天龍さんの退院許可が出ました。先に、書類が届いているので確認をお願いしますね」

青葉「ようやく天龍さん復帰ですか。なんだかんだといっても強いですからね。黙っておけばいいのに……フフ、怖いか……とか自分でいうから台無しですけど」

提督「そうだな……うん」

青葉「でも龍田さんは残念でしたね。二人でいつも敵を屠って、死ぬ時は一緒よ、だったのに」

提督「補充された龍田は、同じ顔でもやっぱり違うな」

青葉「そうですね。あんなに、血塗れになって楽しそうに敵を屠ることができる艦娘なんて、そうそういませんから」

提督「そうだな……」

青葉「あれ、珍しく司令官が書類を真面目に読んでる……?」

提督「青葉……小腹が空いた、食堂にいってくる」

青葉「お昼も食べたのに、まだ2時ですよ?」
224 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:19:44.06 ID:M6pbJlgp0
=食堂=

提督「鳳翔さん、いるか?」

鳳翔「はい、提督。どうしました。甘い物はまだ間宮さんが仕込み中ですが……」

提督「いや、いいんだ。ちょっと一緒に休憩してくれ」

鳳翔「はい、どうしたんですか」
225 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:20:29.33 ID:M6pbJlgp0
=裏庭=

鳳翔「どうしたのかしら、珍しい」

ヒョコヒョコヒョコ

提督「煙草、失礼するよ」

スパー

提督「足は、どんな感じだ?」

鳳翔「まだ、痛みますけど。前ほどじゃありません」

提督「ほかはどうだ?」

鳳翔「時々、傷が痛みますけど、もう慣れましたから」

提督「目とか耳は?」

鳳翔「おかげさまで、ようやく回復してきました。明石さんは、こちらは治療すればなんとか直ると……」
226 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:21:00.11 ID:M6pbJlgp0
提督「すまないな。前は“居酒屋鳳翔”とか面白半分にいってたのに、それが本業になっちまうなんて」

鳳翔「いえ、解体されなかっただけ幸せです。解体されても、帰るところもありませんから」

提督「性能は正規空母に劣るとはいえ、鉄底海峡でも活躍……
金剛が飛行場棲姫にトドメをさせたのも、鳳翔さんのおかげだったな」

鳳翔「あの頃は、ホントに物資もなければ艦娘も少なくて……」

提督「今は、艦娘も増えたが、みんな入れ替わって。そう、次から次へと、さっさと沈んで」

鳳翔「みんな、魂になって故郷に戻ってるはずですから」

提督「もう、俺も……ここしか、戻れるところはありゃしない」
227 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:21:29.02 ID:M6pbJlgp0
鳳翔「今日は……どうされたんです?」

提督「天龍が退院する。明日にも、こっちに到着する予定だ」

鳳翔「まあ、それはよかった。あの、少しばかりでしたら、お赤飯はつくれますよ」

提督「それは、ありがたいな……」

鳳翔「なのに、なんで……」

提督「……」

鳳翔「あ……」

提督「……」

スパー

鳳翔「ねえ、提督」

提督「ん……?」

鳳翔「世間から見れば、私たちは最低の艦娘と最低の鎮守府ですけど……」

提督「そうだな。新入りを次々と沈めて……」

鳳翔「それでも、自分たちの居場所はここだと思ってるんです……」

提督「よせやい」
228 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:21:57.59 ID:M6pbJlgp0
=翌日・執務室=

大淀「天龍さん、到着しました。只今より、当鎮守府の配属になります」

天龍「オレの名は天龍。フフフ、怖いか?」

北上「やあ、お帰り〜」

金剛「入院長かったデース、太りました?」

青葉「じゃ、まずは記念に一枚」

提督「よく帰ってきてくれた。まあ、今日のところは休んで身体を慣らしてくれ」
229 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:22:26.15 ID:M6pbJlgp0
天龍「そうも言ってられないぜ、特攻が始まってるんだろ。俺を外すなよ……」

ヒョコヒョコヒョコ……ドタン

青葉「足を引きずって歩いて……転んだ?」

天龍「いててて、悪いな。ずっとベッドで寝ていたからな」

北上「鈍ってるねえ」

金剛「駆逐艦に笑われるデ……」
230 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:22:53.01 ID:M6pbJlgp0
青葉「天龍さん……」

北上「右手……」

金剛「ブラブラして、動いてないデス……」

天龍「ああ、たいしたことないんだ。ちょっと鈍ってるだけで。ま、すぐに動くようにな……ウウッ」

提督「どこか痛むのか?」

天龍「いやいや、大したことないんだ。それより、俺の任務はなんだ? 
もう輸送任務もないんだろ。なら、特攻か?それとも駆逐艦どもをビシバシとしごくほうか?」

提督「追って説明する。まず、ここの空気に慣れろ。決戦のための鎮守府だから空気も違うのでな」
231 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:23:25.62 ID:M6pbJlgp0
天龍「そうか……あ、そうだ。ほら、これ。入院してる時にさ、坊主に頼んで、
龍田の位牌をつくってもらったんだ。長い付き合いだったし、いくら同じ顔のがいても、
忘れちゃ可哀想だしな。提督、預かっておいてくれないか?」

提督「お前が持っているほうがいいだろ。幸いにも個室だ。ちゃんと供養してやれ。ほら、青葉、線香もあったろ」

青葉「は、はい。ここの引き出しに……」

提督「じゃ、それを持って、寮まで案内してやれ……じゃ、よろしく頼むぞ」
232 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:23:51.32 ID:M6pbJlgp0
=夜・工廠裏=

スパー

北上「はあ、やっぱり煙草を吸うのは、ここが落ち着くねえ」

提督「新入りどもは、ここには来ないからな」

金剛「で、提督。あれはどういうことネー?」

提督「……」

金剛「大淀も黙ってたけど。明石はわかってるね」

明石「それは……まあ……」
233 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:24:33.40 ID:M6pbJlgp0
青葉「寮までの間、なにもないところで何度も転けるし……痛そうだし……それに、目も……」

北上「障害も鳳翔さんくらいかと思ってたら、違うじゃない」

金剛「天龍は、前の鎮守府からずっと仲間デース。隠しごとはダメデース」

明石「私の見立てだと……」

提督「いや、俺が話そう……」

明石「……ん」
234 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:25:08.64 ID:M6pbJlgp0
スパー

提督「見ての通り。回復の状態は悪い。それにどんどん悪くなってる。
呉の病院も、もう余命幾ばくもないから、退院をさせると。ベッドは、回復が望める艦娘に使いたいと……」

北上「どういうこと?」

金剛「艦娘は入渠とか、高速修復材でなんとかなるんじゃないノー?」

明石「それも、限度というものがあります」

提督「もう、前の鎮守府でも輸送に出撃にと、龍田と一緒に、コキ使ってた。
結果、ガタが来ていたところに大破……。お前らがなんとか内地まで曳航してくれたわけだが……」

明石「すぐに、入渠すればなんとかなったかも知れませんが……
内地まで、敵を避けながら随分と時間を食いましたし」

青葉「天龍さん、大破してるのに、まだ敵に向かっていこうとしてましたよ」
235 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:25:35.93 ID:M6pbJlgp0
提督「龍田の頭の上のアレ、敵から取り戻そうとしてな。あんなの、いくらでも工廠にあるのに……」

青葉「龍田さんを沈めた、あの深海鶴棲姫壊……」

北上「で、どれくらい持ちそうなの?」

明石「……はっきりいって、一ヶ月か二ヶ月……どんどん悪くなると思います」

提督「ここまで俺たちが生き延びることができたのも、幾分かは、アイツのおかげだ。
したいようにさせてやれ……」

金剛「イエース!とは、いいにくいデース……」
236 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:26:04.65 ID:M6pbJlgp0
=翌日・食堂=

青葉「あれ、天龍さん? 軽巡とか駆逐艦を集めて?」

天龍「というわけで、駆逐艦を率いていた俺は、覚悟を決めてレ級めがけて一直線で斬り込んだんだ。
ヤツもあっけに取られて、がら空きのところを、袈裟懸けで一刀両断……お、青葉!」

青葉「天龍さん。昨日は調子が悪そうだったのに、大丈夫ですか?」

天龍「あはは、退院したんだ。早く、任務に復帰したくてさ。それで、この新入りどもに、
戦訓を教えてやってるんだ。特に、ほら、新しい龍田!お前の先輩はもっとキリっとしてたぞぉ、あはは!」

龍田「……」

青葉「まだ、病み上がりなんだから、大事にしてくださいね」
237 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:26:34.28 ID:M6pbJlgp0
=また翌日・訓練場=

天龍「そうじゃないなあ。もっと、ズッバーっと避けて、グッサーっと斬り込む!
そうじゃないなあ!ああ、ちょっと、身体が本調子になったら、見本を見せてやるんだけどなあ。
ああ、ほら、そうじゃなくて……」

北上「座って、ずっと大声だけど……」

金剛「脂汗を流しているのは見逃さないデース」

=またまた翌日=

天龍「そうじゃない、そうじゃない。艤装は、もっと早く装備する方法が……」
238 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:27:02.47 ID:M6pbJlgp0
=二週間後、執務室=

トントン

矢矧「よろしいでしょうか?」

青葉「あれ、矢矧さん、なんの用だろう」

提督「どうぞ、出撃命令はまだ出てないぞ?」

矢矧「いえ、あの……私のようなものが差し出かも知れないけど……天龍さんのことなの」

提督「どうした?」

矢矧「正直、困ってるの。食堂にいけば、かつての戦いのこと。訓練中も……
あの、私たちは体当たり攻撃にすべてを注いでるわけでしょ。天龍さんのいうことは、
古いし……無駄だと思うわ」

提督「……」
239 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:27:31.95 ID:M6pbJlgp0
青葉「あ……天龍さん。新入りにウザがられてたんだ……」

提督「なあ、矢矧。お前は優秀だな」

矢矧「え……」

提督「クソでカスで、役立たずしかいない、速成教育しか受けていないのに、
飲み込みも早い。なにより、死ぬ気の闘志が宿っている」

矢矧「それは、みんな同じでしょ」

提督「賢いな、お前は。だから、わかるな。しばらく天龍がなにかいっても、適当に聞いておいてくれ」

矢矧「……わかったわ。提督……あなたの頑張り、艦娘たちも褒めているから……失礼します」

バタン
240 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:27:58.77 ID:M6pbJlgp0
=また翌日・練兵場脇=

天龍「……」

提督「今日は、のんびりしているんだな」

天龍「ああ、桜のつぼみも大きくなったと思ってな」

提督「もう、咲く頃だな。花見をしている時間もないが」

天龍「前の鎮守府……南洋で桜なんてなかった。でも、この季節に提督が花見だってやってくれて……」

提督「あの頃は、敵も少なかったからな。戦局もまだよかった」

天龍「桜が咲いたら、またあの時にいたヤツらに会えるかな」

提督「会えるさ……笑って会えるように、十分養生して、また任務で手柄を挙げるんだな」
241 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:28:28.00 ID:M6pbJlgp0
天龍「おい提督……グワ」

提督「おい、いきなり上官の胸ぐらを……って、お前、泣いて……」

天龍「わかってるんだ……わかってるんだ……左手で胸ぐらを掴むのが、精いっぱい。
もう、右手は動かないし感覚までなくなっちまった。寮から、起き上がって、ここまで歩くのも必死なんだ……」

提督「だから、養生をしろ。役立たずの艦娘は用がない。さっさと治せ」

天龍「お仕着せの言葉を使うなよ……わかってるんだ。もう、俺も……桜の花のほうになるんだって……
でも、でもよぉ……。あいつらは、無様でも腰抜けでも、海の上で散ったんだ。なのに、俺は、こんな
陸の上で、布団をかぶって、みんなに見られながら……そんなんじゃ、アイツらに顔向けできないだろう!!」
242 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:29:03.06 ID:M6pbJlgp0
提督「……」

天龍「頼む、頼むよ!俺に、俺に、命令してくれよ!出撃させてくれよ!敵に、体当たりして、
俺も散るから!一番大きい敵に!華々しく散るから、俺を、俺を出撃させろ、出撃させろよぉおおおお!!!」

提督「すまん、どんなに博打みたいな命令をするとしても、可能性ゼロのは……できない」

天龍「なんでだよ、なんで……出撃させてくれよ。あの、あの深海鶴棲姫壊が……
毎日、夢に出てくるんだ……笑ってるんだ。俺を腰抜けだって……そんなんで、
そんなんで、わあああああああ!!!」

青葉「司令官、天龍さん……」

提督「……すまない。天龍を部屋に連れて行ってくれ」
243 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:29:35.30 ID:M6pbJlgp0
=翌日・早朝=

バタン

明石「た、大変です!提督。艤装が、艤装がひとつなくなってます!」

青葉「ええ!……っと、全裸でした」

提督「っと、と、誰だ。誰のがなくなっている?」

明石「天龍さんのやつです」

提督「ほかに装備できるヤツは? 新入りの龍田が持ち出したんじゃないのか?」

明石「すぐに確かめましたが、部屋で寝てました」

提督「保管状況は?」

明石「通常通りです。弾薬も詰めて、いつでも出撃できる状態に……。
いま、北上さんたちも起こして、探してもらってます」

バタン

北上「提督……天龍が部屋にいないんだ。それで、机に、これが……」

提督「封筒か、開けるぞ」
244 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:30:29.11 ID:M6pbJlgp0
提督、艤装を勝手に持ち出して悪いな。やっぱり、このままベッドの上で終わるんじゃ、
俺の艦娘としての生き様に合わないと思う。

ずっと、深海鶴棲姫壊の笑い声も聞こえるし、いい死に方なんてできないだろう。
それに、あの世にいっても龍田に笑われちまう。

ほかの死んでいったやつらにも顔向けができない。
だから、俺は俺なりの決着をつけようと思う。

あの、龍田を殺した深海鶴棲姫壊がどこにいるかわからない。
でも、とりあえず出撃すれば、どこかでヤツと相まみえることができると思う。

こうやって、筆を持っているだけで、あちこちが傷む。浮いているのもやっとだから、
どこまでできるかわからない。だけど、やらなきゃいけないと思う。

今まで、輸送とかばっかりで、あんまり役にも立たなかった。
なのに、生意気なことばかり言って悪かった。
最後まで迷惑をかけて、本当にすまない。
迷惑ついでに、ひとつ頼む。龍田の位牌、ちゃんと供養してくれ。

明石、艤装を勝手に持ち出してすまない。
弾薬も勝手に使うけど、帳簿は大淀がうまく誤魔化してくれると思う。よろしく頼む。

青葉、提督のをしゃぶってばかりじゃなく、ちゃんと訓練しろよ。

北上、駆逐艦をしごいてるばかりじゃなく、少しは優しくしてやれ。

金剛、もうちょっと日本語を話せるようになれ。まだ語尾がおかしいぞ。

鳳翔さん、ごはん美味しかったよ。

じゃあ、みんなも華々しく散る日を、向こうから祈ってるから。
この戦争、絶対に勝ってくれ、勝ってくれよな。

天龍
245 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:30:58.82 ID:M6pbJlgp0
提督「バカ野郎が……命令違反に、勝手に戦闘しやがって……軍法会議ものだ、お前は」

北上「ほんと、最低の艦娘だよ、ほんとに……」

金剛「人の言葉遣いのことを、いってる場合じゃないデース」

青葉「おっぱい大きい割に、未通女のくせに……」

明石「こんな手紙で謝られても……」

コンコン

大淀「……提督」

提督「なにか電文でも?」

大淀「いえ、ちゃんと帳簿は辻褄が合いますからニコッ」

青葉「そのまま、天龍さんの消息はようとしてしれませんでした」
246 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:31:25.00 ID:M6pbJlgp0
=数日後=

青葉「……位牌、どうします?」

提督「棚のそこ、ちょっと片付けて、置いておこう……それより、ちょっとこい」

青葉「ん?って、司令官……昼間からは久しぶり……ん……」

提督「……」

青葉「ああ、司令官が私のこと、ギューってしたりするのは……
前はいつだったかな……そう、いよいよ玉砕を覚悟した時のこと……」

提督「なあ、青葉」

青葉「はい、司令官」

提督「いよいよ、南西諸島で決戦が始まってる……」

青葉「ええ」

提督「もっと、艦娘が死ぬ。俺が命令して、出撃させて、死ぬ」

青葉「みんな、覚悟の上です。国のために、みんなのために」

提督「だから、散ったやつらにはもう会えないぞ。俺は地獄にいくから」

青葉「大丈夫、私も地獄のほうに行きますから」

提督「ついてきたら、また殴るぞ」

青葉「殴ってもいいですよ。また、オシッコ漏らして臭いですよ」

提督「それは、困るな」

青葉「んっはは、はははは!!」

提督「……街に出るか。映画館、空襲でも焼け残ったから、賑わってるらしい」

青葉「ええ、裏口から、こっそり行きましょうか」
247 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:34:05.24 ID:M6pbJlgp0
今回はここまでです。
まだ、艦娘たちの散華は始まったばかりです。

続いては
次に出撃する艦娘を選ぶか、矢矧編のいずれかをやろうと思っています。

次に出撃して欲しい艦娘の名前、あるいは矢矧で安価をお願いします。

>>254
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 04:40:38.51 ID:gZCrPDlr0
長門
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 05:15:25.24 ID:Kb2uIQfn0
衣笠
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 07:12:49.59 ID:bsXqxCEd0
加速
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 07:15:47.69 ID:bsXqxCEd0
加速
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 07:21:31.41 ID:MaFG9lf2o
秋雲
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 07:40:33.85 ID:bsXqxCEd0
加速
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 07:41:01.45 ID:bsXqxCEd0
弥生
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 07:53:41.76 ID:eDBzy3Jm0
流石に自分で加速した直後に踏むのはどうかと >>1の安価指定が遠すぎるのもあるが
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 08:22:26.12 ID:ntZuz5ApO
伊19
257 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 11:31:30.01 ID:M6pbJlgp0
大淀「失礼します。弥生さんより入電。奄美大島の東を通過。このまま、沖縄方面へ向かうとのことです」

提督「わかった、改めて健闘を祈ってくれ」

青葉「結局、弥生さんの笑う顔って見たことなかったですね」

提督「最後くらいは、笑って散って欲しいものだけどな」

青葉「でも、駆逐艦一隻で……」

提督「各鎮守府から、五月雨式に攻撃を仕掛けるというのが方針だそうだ。大部隊を出しても、発見されて全滅する可能性が高い」

青葉「運よく、くぐり抜けることができれば……ってことですか」
258 : ◆6ae5KZVV.rp/ :2019/01/20(日) 11:32:12.53 ID:M6pbJlgp0
提督「敵を眠らせないのが、一番の目的だな。既に敵部隊は、沖縄本島に攻撃を仕掛けている。
一日でも長く、敵を釘付けにしなくちゃならない」

青葉「やっぱり、決戦は本土ですかねー」

提督「そうだな。そうまでしても、勝てるなら……いや、そこまで粘れば、この戦争は勝てる」

大淀「別鎮守府より入電です。弥生さん、遭遇した敵PT小鬼群に突入。
一群を撃破したと認むとのことです」

青葉「まあまあ……ですか?」

提督「たいした戦果だな。ゼロよりは、いくらかマシだ……」
259 : ◆6ae5KZVV.rp/ :2019/01/20(日) 11:33:54.05 ID:M6pbJlgp0
というわけで、一言も本人が話すことなく終焉。
次第に、追い詰められている戦争の行方は?

では、次なる出撃は?

>>261
>>265
>>266
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 12:24:00.89 ID:H52ZkbHno
妙高
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 12:27:50.29 ID:bsXqxCEd0
五月雨
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 12:29:19.20 ID:JU2CI4WDO
鈴谷
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 12:36:09.40 ID:hs4xDFnf0
またID:bsXqxCEd0かよ
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 12:36:10.00 ID:8KFyCY300
武蔵
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 12:37:20.68 ID:JU2CI4WDO
鈴谷
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 12:37:41.71 ID:LnEDavgo0
瑞鶴
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2019/01/20(日) 20:30:21.05 ID:uwXi9bSw0
リョナスキーの被害者たち

朝潮・春雨・電 → 朝潮・電を生贄に春雨がエリレ×3、フラタ×2、戦艦棲姫撃破の大戦果
加賀・翔鶴 → 戦果らしきものはワ級×1のみ、ほぼ無駄死に。赤城と瑞鶴がとばっちりで糞まみれで殴り合い
霞・満潮 → 出撃すらしないまま霞は火だるま、満潮が達磨に。二人「「シニタクナイー」」北上「はよ死ね」ドン
曙・松輪・大井・大和・Jervis → ぜ、全滅!?5隻の艦娘が!?何の戦果も無しにか!?
如月・五十鈴 → 如月は人も殺せず自殺、五十鈴は人殺して発狂、集積地棲姫に特攻(大破炎上で撃破確実ではない)
天龍 → 戦闘の後遺症でほとんど動けない・助からない、命令待ってたんじゃ陸で死ぬことになるから無断出撃
弥生 → これから毎時間特攻させようぜ作戦で単騎出撃、作戦の甲斐あってかうぜー小物の群れを撃破
五月雨・鈴谷・五航戦のウンコ食わされた奴 → 鈴谷はやめてくれぇ

俺はここまでのようだ
268 : ◆6ae5KZVV.rp/ :2019/01/22(火) 22:05:28.01 ID:rWdArlc+0
=執務室=

青葉「今日も相変わらず、出撃は続いています」

トントン

大淀「提督。本日の戦果を確認。五月雨さん、チ級flagshipに突入。至近で爆発。戦果は不明です」

提督「至近か、惜しかったな。鈴谷は?」

大淀「それが……」
269 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:06:07.37 ID:rWdArlc+0
提督「どうした?」

大淀「ええと、機関故障のため引き返してます。まもなく到着……工廠へ」

提督「機関故障だと?」

大淀「ままあることですから……」

提督「とはいえ、水盃まで交わしてるんだ……ちょっと工廠にいってくる」
270 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:06:34.88 ID:rWdArlc+0
=工廠=

鈴谷「提督じゃん。チーッス!」

明石「……!!」

提督「……」

青葉「この緊張感は?」

明石「提督!申し訳ありません。私の整備ミスです」

青葉「わ、明石さん先制して土下座」

鈴谷「あ、ナニ?えっと鈴谷も謝ったほうがよさげ?」

提督「故障の原因は?」

明石「機関部の部品がいくつか不具合を起こしています。その……以前の部品より相当精度が落ちていて」

鈴谷「あ、鈴谷が悪いんじゃなかったんだ」

提督「修理にかかる時間は?」

明石「部品の予備がありません。呉に発注をかけるか。あるいは、自作するしか」
271 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:07:04.54 ID:rWdArlc+0
提督「そうか……で、鈴谷」

鈴谷「ほぉう!は、はい!」

提督「五月雨は、立派な最期だったそうだぞ」

鈴谷「う、うん……ごめん提督。信じて貰えないかもしれないけど、私も悔しいんだ。
まさか、死ぬ気だったのに、また戻ってくるなんて」

提督「仕方ない。国のために散れなかったのが残念だな。今日はもういい。
戻って明日から改めて訓練に参加しろ。おって、出撃する良き日もあるだろう……下がってよろしい」

鈴谷「あっざーっす!提督、やっぱりイイ男だねえ。次回、出撃したら、
本当に見事に散ってみせるからね。鈴谷にお任せ!」
272 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:07:32.31 ID:rWdArlc+0
トコトコトコ

提督「部品の精度は仕方ない。北上や金剛からも、指摘されている」

明石「すみません。整備時にもっと気をつけます……夕張さんがいないもので、どうしても私だけでは」

提督「まだ入院中だが、回復はしているそうだ。そろそろ無理にでも退院させようと思っている」

青葉「司令官、あんまり怒らないんですね」

提督「俺が罰を与えるような話じゃないしな……」

青葉「ん……ああ!じゃ、青葉ちょっと様子を見てきます」
273 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:08:04.68 ID:rWdArlc+0
=重巡寮=

鈴谷「……というわけで、みんなに見送ってもらったのに、戻ってきました。
えへへ、またしばらくよろしく−!!」

最上「……」

三隈「……」

熊野「……」

鈴谷「あれ、みんなどうしたの? 鈴谷が戻ってきて驚いてる?」

最上「そうじゃないさ」

三隈「わからないのかしら?」

熊野「わからせてあげましょうか?」

鈴谷「なに、みんな? なんなの? ちょ、なんで腕を縛るの? ちょ、痛い!」
274 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:08:33.38 ID:rWdArlc+0
最上「ボクは思うんだけど、機関が故障するってのはさ」

三隈「精神がたるんでるからですわ!」

熊野「大和魂があれば、故障などありえませんわ!!」

最上「顔はダメだよ、尻からいこうか」

三隈「海軍精神注入棒で……」

熊野「あら、私のは大東亜戦争勝ち抜き棒ですわ」

最上「どっちでもいいから、思い切り頼むよ。ボクが押さえてるからさ」
275 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:09:06.87 ID:rWdArlc+0
=深夜・工廠裏=

青葉「というわけで、鈴谷さんお尻が真っ赤になって、寝ることもできないのか、
うつぶせでシクシク泣いてました」

北上「まあ、それくらいですんだならいいんじゃないかなあ」

金剛「また、出撃させるデース」

提督「すぐには無理だな。一度死ぬ気だった心が折れたら、なかなか戻らん。
今後も、機関故障の可能性などを考えて、対策を練らないとな」

明石「とにかく、部品の精度が……」

青葉「で、まだまだ出撃は続くんですよね?」

提督「そうだが……いくら全軍特攻といっても、可能性の低い出撃は避けたいんだよな。
燃料は無駄になる。俺も上から叱責される」

北上「提督も辛い仕事だねえ」
276 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:09:45.36 ID:rWdArlc+0
金剛「戦況は、どうなってるデスカー?」

提督「ああ、大淀が入手した情報だが。ここだけの話、呉鎮守府の大和も出撃して沈んだらしい」

北上「えー、うちのと違って練度も最高。装備も最高だったよね」

提督「沖縄に突入し、弾が尽きるまで敵を砲撃せよということだったそうだが、
奄美大島にもたどり着かなかったそうだ」

北上「いよいよまずいねえ……」

金剛「まずいデース」

提督「それでも、やらざるを得まい。うちも最低一隻は、沖縄まで到達させろと命令が来た」

北上「やれる?」

金剛「望みは薄いネー」

提督「それでもやってみなくちゃわからん……夜襲でなんとかならないものかと思ってる」

青葉「誰に、行かせます?」
277 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:10:14.54 ID:rWdArlc+0
=翌日・執務室=

瑞鶴「提督さん……なに?作戦?」

提督「そうだ。本日、深夜に出撃。九州沿岸にて待機の後、明日深夜、沖縄に特攻してもらいたい」

瑞鶴「提督さん……うん……。解ってる」

提督「幸いにもまだ時間はある。身の回りの整理をするように」

瑞鶴「うん……お願いいいかな?」

提督「なんだ?」

瑞鶴「誰にも私が出撃することはいわないで。見送りもいらない。
ああ、艤装を装備するから明石さんはいなきゃだめだけど」

提督「それは、どうしてだ?」

瑞鶴「見送られたら、きっと里心がついて……う、う、う……」

青葉「あれ、瑞鶴さん泣き始めちゃった」
278 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:10:54.24 ID:rWdArlc+0
瑞鶴「怖いもの、死ぬのは。どんなに覚悟を決めても。それは、誰だって……
提督さんだって一緒でしょ。だから、一人でいかせて……う、うっ……」

提督「僅かな期間とはいえ、仲間もいるだろう」

瑞鶴「だから、私はちょっと旅に出ているだけ……またすぐに会えるから……
そう思って……くれる……だけで……え、ひ、ぐ、ぐずっ……」

提督「わかった。では、本日、夕刻に工廠へ。これが命令書だ」

瑞鶴「ぐ、ぐずっ、ありがと……提督さん……笑って死ぬから……安心して……
期待してて……ありがと、さよなら」
279 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:11:36.78 ID:rWdArlc+0
バタン

青葉「いいんですか?」

提督「あんなに泣かれちゃ……いえないよな」

青葉「赤城さんにだけでも、伝えては? こないだの一件以来、
毎日、二人で泣きながら慰めあってたようですし」

提督「……本人が伝えるなといってるんだから、伝えてはいかんよ」

青葉「それはそうですけど……」

提督「なあ、お前が秘書艦になってから、どれくらい沈んだっけ」

青葉「かれこれ、100隻に近いと思いますよ。毎日、深海棲艦とドンパチやってることもありましたし」

提督「つらいな提督稼業は。こうして、命令して。あとは、戦果の報告を待ってるだけ」

青葉「だから、秘書艦とかケッコンカッコカリとか、そんな制度があるんじゃないですか。
発狂したり自殺した提督の話もよく聞きましたし」

提督「ケッコンカッコカリか……そう、引き出しに……青葉、お前、この指輪欲しいのか?」

青葉「え、え、え?司令官……いいんですか?青葉に、その、それって……」

提督「……や、やめた。女房ヅラでもされそうだ」

青葉「ですよね……司令官と私の関係なんて所詮は戦争中だけのものですものね」

提督「そうだな……」
280 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:12:06.72 ID:rWdArlc+0
=工廠=

瑞鶴「これが特攻用の艤装。いい感じじゃない」

明石「このまま出撃するんですか、ホントに」

瑞鶴「だから、湿っぽいのはちょっとね。みんなによろしくね」

青葉「瑞鶴さん……」

瑞鶴「あれ、来なくていいっていったのに」

青葉「そうもいきませんよ。これ、のり巻きです。鳳翔さんにお願いして」

瑞鶴「やだ、ありがとね! こんなにされたら……え、ひ、ぐ、ぐずっ……」

青葉「瑞鶴さん、泣かないでいいですよ。青葉なんて、毎日笑ってますから」
281 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:12:34.88 ID:rWdArlc+0
瑞鶴「あなたは、明るすぎるのよ」

青葉「そりゃ、毎日、提督の横で艦娘がさくりさくりと死んでいくのを見てますからねー」

瑞鶴「ふん、なんなのあの提督さん。艦娘になって、ウンチまで食わされるとは、
あの世にいったら仕返しをしてやるんだから……え、ひ、ぐ、ぐずっ……」

明石「泣かない、泣かない」

瑞鶴「だって、艦娘試験を受けて、空母になったけど、実戦なんかなくて……
それが、情けなくて……うわーん!」

青葉「安心して下さい!この特攻に成功すれば、瑞鶴さんの艦娘としての人生は幸せだったって」

瑞鶴「う、う、う、でも……不安なの……たどり着けるハズがないよぉ……」

青葉「大丈夫、ちゃんと願えば必ず、先に散った仲間たちが敵の前まで案内してくれますよ」

瑞鶴「う、う、うん、ありがとね……」

明石「そろそろ時間ですね」

瑞鶴「うん。本当にさようなら……空母瑞鶴、抜錨します!」
282 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:13:05.19 ID:rWdArlc+0
=翌日、深夜・通信室=

大淀「あ、提督ご苦労様です」

提督「午後10時。そろそろ、瑞鶴が突入する時間のはずだ」

大淀「奄美大島付近は予定通りに通過。ですので、もう到着していなくては……」

……
………
…………
……………
………………

提督「失敗か……?」
283 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:13:38.54 ID:rWdArlc+0
大淀「おそらくは……っと、お待ち下さい。通信入ります」

瑞鶴「もしもーし、お待たせ!2211五航戦、瑞鶴出撃よ」

提督「到達したか!」

瑞鶴「当たり前じゃない。瑞鶴には幸運の女神がついていてくれるんだから!
うん、目の前に大物もいっぱい、いい感じじゃない……では、突入します!」

大淀「健闘を祈ります……っと、通信切れました」

提督「だめか? どうなんだ?」

大淀「待って下さい……周波数を。え、なに。深海棲艦の通信が混乱してます……平文で交信してる」

青葉「司令官、電話です。呉から」

提督「こんな時間に。はい……え、なるほど。陸軍部隊より巨大な爆発を確認と……了解しました」

大淀「深海棲艦の通信が混乱してます。飛行場姫・港湾水鬼が撃沈。周辺にも被害が発生している模様です」

提督「やったか……」

青葉「よかった……」
284 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:14:05.32 ID:rWdArlc+0
=翌日・食堂=

最上「瑞鶴さん、やったんだって」

三隈「さすがは腐っても空母ですわ」

熊野「私たちも続きますわ」

鈴谷「……」

提督「今日も、ここは、飯がどんぶりいっぱいあっていいな……と、赤城の前が開いてるのか。座るぞ」

赤城「モグモグモググ……ピタッ」

提督「どうした。食堂は敬礼不要だ、続けていいぞ?」
285 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:14:40.10 ID:rWdArlc+0
ガタ……ツカツカ

提督「どうした?」

青葉「ちょ、赤城さん……」

ボコッ

最上「見た?」

三隈「赤城さん、提督の顔を……」

ザワザワザワザワ

赤城「加賀さん、翔鶴さん、そして、瑞鶴さんまで……なんで……別れの言葉も……」

青葉「……赤城さん、目に涙がいっぱい……で、でも!赤城さん、上官に反抗するんですか?」
286 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:15:10.43 ID:rWdArlc+0
提督「……はあっ、痛え……っと、気がすんだか?」

赤城「……!」

提督「瑞鶴が望んだことだ。死に際に、里心のついた乙女みたいな顔ができるかよ……飯を食え」

ムシャムシャムシャムシャ

赤城「……くっ……頂きます」

ムシャムシャムシャムシャ
ムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャ
ムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャ
ムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャ
287 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:15:37.20 ID:rWdArlc+0
青葉「赤城さん、泣きながら食べてる。おかわりまでして……どんぶりから涙が……」

青葉「そう、死んだ仲間のぶんまで食べてやる。それが、私たちにできる精一杯の供養……
そう、そうなんですよね? 司令官?」

ムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャ
ムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャ
ムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャ
ムシャムシャムシャムシャ

提督・赤城「ごちそうさま!」
288 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:17:04.06 ID:rWdArlc+0
今日はここまでです。
さて、次の安価ですが

・矢矧編
・鳳翔編
・提督戦死編
・新たな出撃編

のいずれかでいきます。新たな出撃の場合は艦娘の名前を

では安価

>>292
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/01/22(火) 22:37:56.96 ID:BjOkHFh40
ksk
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/22(火) 22:39:10.05 ID:N4LLVWpDO
ksk
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/22(火) 22:40:13.39 ID:WsGk0WDY0
ksk
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/22(火) 22:40:38.25 ID:u51/b/gPO
伊58
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/23(水) 01:54:17.66 ID:yf1a7k7qO
でっちはアレ詰んだ組だなあ……
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 21:28:51.65 ID:MMp2N1Fl0
>>293今回はでっちが回天に乗る方だからセーフ
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/25(金) 09:15:54.03 ID:AzH4BpaBO
(全然セーフじゃ)ないです
296 : ◆6ae5KZVV.rp/ :2019/02/08(金) 00:44:23.26 ID:plqhzIVP0
=執務室=

青葉「その日もまた、事件から始まりました」

トントン

北上「提督ぅ。また、頭の痛いことが起きちゃったよぉ」

提督「この非常時、頭が痛いことしかないけれどな、なんだ」

北上「58がさあ、夕べから姿が見えないんだよぉ」

青葉「今、午前11時。点呼の時もですか?」

北上「うん、無断外出かと思って、ヤキを入れなきゃなあと思ったんだけど、
それにしても帰ってくるの遅いよねえ」

提督「そうだな」

青葉「脱走……ですか? 早速、捜索の手配を」

提督「まあ待て、まだ内々に処理できる範疇だ。同室は19だったな」

北上「いま、金剛が呼びにいってるよ」
297 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/02/08(金) 00:45:11.41 ID:plqhzIVP0
……しばらくして

提督「で、夕べは部屋にも戻らなかったんだな」

伊19「そうなのねー。いつものことだと思っていたのねー」

青葉「このところ、訓練後は夕食もとらずに姿を消していたと」

伊19「また、悪い病気かと思って。もう気にするのをやめてたのねー」

提督「身上書によると、お前らは同期なんだな」

伊19「そうなのねー」

提督「ただ、同期というだけの付き合いではないように見えるが?」

北上「うんうん、同期にしては腐れ縁な感じが漂ってるものねえ」

伊19「ああ、提督はなんでもお見通しなのねー」

提督「手がかりになるかもしれない。そこから聞こうか?」

伊19「最近じゃ、ありがちな話なの。私も58も、深海棲艦に家も家族も焼かれて、
夜の街で身体を売って暮らしてたのね。その時からの付き合いなのね」

北上「泣かせるねえ」

伊19「58は、あの商売はほんと向いてなかったのね。惚れっぽくて
……何度も悪いヒモに騙されて、せっかく貯めたお金も全部持っていかれてばかりだったのね。
だから、今回もきっと男に騙されていると思うのね」

提督「なにか、そんな心当たりはあったのか」

伊19「もう、しょっちゅうだから、艦娘になってまたかと思ってたのね。
休日に、街に出た時に運命の出会いがあったとか、ぽろっと話していたけど。
私に怒られると思ったのか、あんまり話さなかったの……もっと、警戒しておけばよかったの……」

提督「男の心当たりは?」

伊19「まったくわからないの」

提督「……ひとまず街で探すか。大淀、しばらくこのことは伏せておくように。
今日は訓練はなしだ。座学ということにしておけ」

北上「ってことは、アタシらが出動だね」

提督「そういうことだ。拳銃は装備するように」

青葉「拳銃だけでいいですか?」

提督「ちょっと、不安だな……青葉、そこの棚を空けてくれ」

青葉「ここですか? よいしょ」

提督「モーゼルもぶら下げておけば十分だろう」

金剛「こんなに何挺もどうしたんですカー?」

提督「大陸で馬賊とやり合ってた時の戦利品だ。そこいらの装備品よりもよっぽど頼りになるぞ。行こう」
298 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/02/08(金) 00:45:41.17 ID:plqhzIVP0
=闇市=

青葉「というわけで、闇市にやってきたわけですが。こんな戦況なのに、
なんでもあるところにはあるもの。賑わってますねえ」

提督「鎮守府の倉庫からも、明石に横流しさせてるが、どんどん値上がりしているしな」

青葉「そんなことまで……大丈夫です?」

提督「バレないようにやるんだ。例えば、煙草は箱ごとだとバレる。
中身を何本かずつ抜いていってだな……」

北上「提督ぅー、色々聞いてきたよ」

提督「なにか成果はあったか?」

北上「この奥の飲み屋あたりで、ちょくちょく58を見かけたってヤツがいるんだけど」

提督「もう、開店している時間か。いってみるか」

コソッ……

伊58「あれは、提督でち……見つかると大変でち」

伊58「あの人と待ち合わせの時間まで、隠れてないといけないでち
……」

伊58「みんなには申し訳ないけど、ゴーヤは艦娘をやめるでち。
あの人と戦争が終わるまで、どこかに隠れて暮らすでち」

タタタタ……
299 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/02/08(金) 00:46:17.32 ID:plqhzIVP0
=歓楽街=

北上「ここは賑やかだねえ……ほんと酒も食い物もあるところには、あるもんだねえ」

金剛「っと、この店ですネー」

ガラッ

女将「いらっしゃ……あら、海軍さん? まだ日も暮れてないけど、ごくろうさま」

提督「……」

女将「艦娘さんも一緒とは景気いいわね。なんにする? 非常時だしお酒しかないけどさ」

提督「……58」

女将「?」

提督「58だ……」

女将「ちょっと、飲まない客には用はないよ。これから客も来るんだし」
300 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/02/08(金) 00:46:55.97 ID:plqhzIVP0
提督「伊五十八。潜水艦だ。この街じゃ、うちの鎮守府にしかこないだろ。ここに何度も来てるだろ」

女将「そりゃ、客は色々来ますよ。艦娘さんだって時々はねえ」

提督「男が一緒だったろ」

女将「そんな……客のことなんて、いちいち」

提督「艦娘が男にぶら下がってるんだ。気にしなくても目にはつくだろ」

女将「そんなこといわれてもねえ……」

提督「……知ってるな」

女将「知っててもいわないさ。私しゃ口は固いからね」
301 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/02/08(金) 00:47:34.85 ID:plqhzIVP0
提督「青葉!」

青葉「はい、司令官」

提督「外に出て、入口を見張れ」

青葉「了解です」

ガラガラ……ピシャッ

提督「北上、金剛!」

北上「うん」

提督「始めろ」

金剛「イエース」

女将「な、なにするんだい。海軍だからって、うちの店で勝手に……グボっ……」

提督「女将……五十女ってとこか。一億玉砕も近いが、まだ命は惜しいだろ」

金剛「この一升瓶、なかなかいいお酒デース……よいしょ」

女将「なに、店のものを勝手に……うう、ゴクゴク、うぐ、ごぼ、ごぼ、ごぼぼぼ……」

北上「あーあ、こぼしちゃって……このご時世に、酒を無駄にするなんてねえ……ドガッ」

スパー

提督「ちゃんと気持ちよくしてやれ、枯れ木でもまだ女だしな……」

ドガボゴゴス……
……
……
……
302 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/02/08(金) 00:48:34.00 ID:plqhzIVP0
提督「どうだ、なにか話したくなったか?」

女将「…………なにを…………なにを…………お前ら海軍なんかに。
旦那は兵隊に取られて、大陸で死んじまった。
二人の娘は、海軍に取られて、艦娘になったっていったきり…………
紙切れ一枚が届いただけで、骨も帰って来なかったよ…………
あの潜水艦の娘っ子だって、艦娘になりたかったわけじゃないのに…………」

提督「なりたいかどうかは、問題じゃないんだ…………北上」

北上「はいよ」

ドガボゴゴス……

女将「殺すなら、殺せよ。なにが提督だい。単なる娘たちを殺して、
温々と椅子に座ってるだけじゃないか…………返せ、旦那を、うちの娘を返しておくれよぉ!!!!」

ガラガラガラ…………

提督「青葉、開けるなと!」

青葉「司令官、それが…………」

?「あ、提督さんでしたか。これは失礼。実は、そちらにもお訪ねしようと思っていたところで」

提督「あなたは?」

?「これは、失敬。わたくし、特別高等係のものです」

提督「ああ、特高の方ですか。ちょっと取り込み中なのですが」

特高「いえね。手配中の者が、このあたりに潜んでいるということで内偵を進めていたんですが、
どうもオタクの伊58さんと一緒にいたという情報が入りましてね」

提督「…………どんな男です?」

特高「戦争前からアカで知られてた画家なんですがね。
召集されて大陸にいっておったんですが、昨年、負傷して帰ってきましたね。
以来、あちこちに出没してはしょうこりもなく戦争反対を唱えていたとかで。
なんですかな、ここの女将も一味らしいんですな」

提督「なるほど、写真はありますかな?」

特高「ええ、これです」

提督「ふーん…………。ん…………北上」

北上「ん? あ、ああ…………阿吽が通じる女って貴重だよ、提督ぅ」

特高「…………なにを?」

北上「恥は外に出したくないんだ。ごめんね ズガーン」

特高「…………ガクッ」

提督「金剛、頼む」

金剛「問題ないデース ズガーン」

女将「…………お前ら…………単なる人殺し…………ガクッ」

青葉「で、それぞれに、この拳銃を握らせるわけですね」

提督「早く。俺たちは、たまたま居合わせた客だ」

北上「で、どこを探すのさ」

金剛「この街から出るなら、汽車…………ううん、山道…………」

提督「艤装がなくとも艦娘だ。海から小舟だ」

青葉「間違いないですか?」

提督「それでダメなら、脱走扱いにするさ」
303 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/02/08(金) 00:49:27.71 ID:plqhzIVP0
=海岸=

伊58「すっかり日も暮れたでち。でも、これなら見つからないでち」

伊58「あの岩場の向こうの小屋に…………あの人と舟が」

伊58「半年、半年でも、どこか無人島かどこかに隠れているでち。
それまでには戦争は終わるって、あの人はいってたでち…………」

ガサッ…………

提督「…………遅かったな」

伊58「!!!」

提督「そりゃ、ここなら見つからないと思うよな。海に慣れていないとわからないしな」

北上「でもねー、アタシら海岸のどこになにがあるか。
隠れる場所とかもみんな知ってるんだ。いつ戦場になるかわからないしさ」

伊58「そんな、そんな…………お見通しだったでち…………?」

青葉「ゴーヤさん、帰りましょ。司令官も今なら、脱走扱いにしないっていってくれてますし」

伊58「そんな。ダメでち、あの人と約束してるでち…………」

提督「あの人…………?」

金剛「もう、あの男はいないデース」

伊58「そんなの嘘でち。ここで待ってて、二人で一緒にいくと話あったでち!」

提督「58! お前はなんなんだ、そのあたりの小娘なのか?」

伊58「…………58は艦娘でち。でも、もう艦娘を止めると決めたでち」

提督「既に散った戦友たちを裏切ってもか?」
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