提督「艦娘が二千万特攻すれば、この戦争は勝てる」

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239 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:27:31.95 ID:M6pbJlgp0
青葉「あ……天龍さん。新入りにウザがられてたんだ……」

提督「なあ、矢矧。お前は優秀だな」

矢矧「え……」

提督「クソでカスで、役立たずしかいない、速成教育しか受けていないのに、
飲み込みも早い。なにより、死ぬ気の闘志が宿っている」

矢矧「それは、みんな同じでしょ」

提督「賢いな、お前は。だから、わかるな。しばらく天龍がなにかいっても、適当に聞いておいてくれ」

矢矧「……わかったわ。提督……あなたの頑張り、艦娘たちも褒めているから……失礼します」

バタン
240 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:27:58.77 ID:M6pbJlgp0
=また翌日・練兵場脇=

天龍「……」

提督「今日は、のんびりしているんだな」

天龍「ああ、桜のつぼみも大きくなったと思ってな」

提督「もう、咲く頃だな。花見をしている時間もないが」

天龍「前の鎮守府……南洋で桜なんてなかった。でも、この季節に提督が花見だってやってくれて……」

提督「あの頃は、敵も少なかったからな。戦局もまだよかった」

天龍「桜が咲いたら、またあの時にいたヤツらに会えるかな」

提督「会えるさ……笑って会えるように、十分養生して、また任務で手柄を挙げるんだな」
241 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:28:28.00 ID:M6pbJlgp0
天龍「おい提督……グワ」

提督「おい、いきなり上官の胸ぐらを……って、お前、泣いて……」

天龍「わかってるんだ……わかってるんだ……左手で胸ぐらを掴むのが、精いっぱい。
もう、右手は動かないし感覚までなくなっちまった。寮から、起き上がって、ここまで歩くのも必死なんだ……」

提督「だから、養生をしろ。役立たずの艦娘は用がない。さっさと治せ」

天龍「お仕着せの言葉を使うなよ……わかってるんだ。もう、俺も……桜の花のほうになるんだって……
でも、でもよぉ……。あいつらは、無様でも腰抜けでも、海の上で散ったんだ。なのに、俺は、こんな
陸の上で、布団をかぶって、みんなに見られながら……そんなんじゃ、アイツらに顔向けできないだろう!!」
242 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:29:03.06 ID:M6pbJlgp0
提督「……」

天龍「頼む、頼むよ!俺に、俺に、命令してくれよ!出撃させてくれよ!敵に、体当たりして、
俺も散るから!一番大きい敵に!華々しく散るから、俺を、俺を出撃させろ、出撃させろよぉおおおお!!!」

提督「すまん、どんなに博打みたいな命令をするとしても、可能性ゼロのは……できない」

天龍「なんでだよ、なんで……出撃させてくれよ。あの、あの深海鶴棲姫壊が……
毎日、夢に出てくるんだ……笑ってるんだ。俺を腰抜けだって……そんなんで、
そんなんで、わあああああああ!!!」

青葉「司令官、天龍さん……」

提督「……すまない。天龍を部屋に連れて行ってくれ」
243 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:29:35.30 ID:M6pbJlgp0
=翌日・早朝=

バタン

明石「た、大変です!提督。艤装が、艤装がひとつなくなってます!」

青葉「ええ!……っと、全裸でした」

提督「っと、と、誰だ。誰のがなくなっている?」

明石「天龍さんのやつです」

提督「ほかに装備できるヤツは? 新入りの龍田が持ち出したんじゃないのか?」

明石「すぐに確かめましたが、部屋で寝てました」

提督「保管状況は?」

明石「通常通りです。弾薬も詰めて、いつでも出撃できる状態に……。
いま、北上さんたちも起こして、探してもらってます」

バタン

北上「提督……天龍が部屋にいないんだ。それで、机に、これが……」

提督「封筒か、開けるぞ」
244 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:30:29.11 ID:M6pbJlgp0
提督、艤装を勝手に持ち出して悪いな。やっぱり、このままベッドの上で終わるんじゃ、
俺の艦娘としての生き様に合わないと思う。

ずっと、深海鶴棲姫壊の笑い声も聞こえるし、いい死に方なんてできないだろう。
それに、あの世にいっても龍田に笑われちまう。

ほかの死んでいったやつらにも顔向けができない。
だから、俺は俺なりの決着をつけようと思う。

あの、龍田を殺した深海鶴棲姫壊がどこにいるかわからない。
でも、とりあえず出撃すれば、どこかでヤツと相まみえることができると思う。

こうやって、筆を持っているだけで、あちこちが傷む。浮いているのもやっとだから、
どこまでできるかわからない。だけど、やらなきゃいけないと思う。

今まで、輸送とかばっかりで、あんまり役にも立たなかった。
なのに、生意気なことばかり言って悪かった。
最後まで迷惑をかけて、本当にすまない。
迷惑ついでに、ひとつ頼む。龍田の位牌、ちゃんと供養してくれ。

明石、艤装を勝手に持ち出してすまない。
弾薬も勝手に使うけど、帳簿は大淀がうまく誤魔化してくれると思う。よろしく頼む。

青葉、提督のをしゃぶってばかりじゃなく、ちゃんと訓練しろよ。

北上、駆逐艦をしごいてるばかりじゃなく、少しは優しくしてやれ。

金剛、もうちょっと日本語を話せるようになれ。まだ語尾がおかしいぞ。

鳳翔さん、ごはん美味しかったよ。

じゃあ、みんなも華々しく散る日を、向こうから祈ってるから。
この戦争、絶対に勝ってくれ、勝ってくれよな。

天龍
245 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:30:58.82 ID:M6pbJlgp0
提督「バカ野郎が……命令違反に、勝手に戦闘しやがって……軍法会議ものだ、お前は」

北上「ほんと、最低の艦娘だよ、ほんとに……」

金剛「人の言葉遣いのことを、いってる場合じゃないデース」

青葉「おっぱい大きい割に、未通女のくせに……」

明石「こんな手紙で謝られても……」

コンコン

大淀「……提督」

提督「なにか電文でも?」

大淀「いえ、ちゃんと帳簿は辻褄が合いますからニコッ」

青葉「そのまま、天龍さんの消息はようとしてしれませんでした」
246 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:31:25.00 ID:M6pbJlgp0
=数日後=

青葉「……位牌、どうします?」

提督「棚のそこ、ちょっと片付けて、置いておこう……それより、ちょっとこい」

青葉「ん?って、司令官……昼間からは久しぶり……ん……」

提督「……」

青葉「ああ、司令官が私のこと、ギューってしたりするのは……
前はいつだったかな……そう、いよいよ玉砕を覚悟した時のこと……」

提督「なあ、青葉」

青葉「はい、司令官」

提督「いよいよ、南西諸島で決戦が始まってる……」

青葉「ええ」

提督「もっと、艦娘が死ぬ。俺が命令して、出撃させて、死ぬ」

青葉「みんな、覚悟の上です。国のために、みんなのために」

提督「だから、散ったやつらにはもう会えないぞ。俺は地獄にいくから」

青葉「大丈夫、私も地獄のほうに行きますから」

提督「ついてきたら、また殴るぞ」

青葉「殴ってもいいですよ。また、オシッコ漏らして臭いですよ」

提督「それは、困るな」

青葉「んっはは、はははは!!」

提督「……街に出るか。映画館、空襲でも焼け残ったから、賑わってるらしい」

青葉「ええ、裏口から、こっそり行きましょうか」
247 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 04:34:05.24 ID:M6pbJlgp0
今回はここまでです。
まだ、艦娘たちの散華は始まったばかりです。

続いては
次に出撃する艦娘を選ぶか、矢矧編のいずれかをやろうと思っています。

次に出撃して欲しい艦娘の名前、あるいは矢矧で安価をお願いします。

>>254
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 04:40:38.51 ID:gZCrPDlr0
長門
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 05:15:25.24 ID:Kb2uIQfn0
衣笠
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 07:12:49.59 ID:bsXqxCEd0
加速
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 07:15:47.69 ID:bsXqxCEd0
加速
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 07:21:31.41 ID:MaFG9lf2o
秋雲
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 07:40:33.85 ID:bsXqxCEd0
加速
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 07:41:01.45 ID:bsXqxCEd0
弥生
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 07:53:41.76 ID:eDBzy3Jm0
流石に自分で加速した直後に踏むのはどうかと >>1の安価指定が遠すぎるのもあるが
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 08:22:26.12 ID:ntZuz5ApO
伊19
257 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/20(日) 11:31:30.01 ID:M6pbJlgp0
大淀「失礼します。弥生さんより入電。奄美大島の東を通過。このまま、沖縄方面へ向かうとのことです」

提督「わかった、改めて健闘を祈ってくれ」

青葉「結局、弥生さんの笑う顔って見たことなかったですね」

提督「最後くらいは、笑って散って欲しいものだけどな」

青葉「でも、駆逐艦一隻で……」

提督「各鎮守府から、五月雨式に攻撃を仕掛けるというのが方針だそうだ。大部隊を出しても、発見されて全滅する可能性が高い」

青葉「運よく、くぐり抜けることができれば……ってことですか」
258 : ◆6ae5KZVV.rp/ :2019/01/20(日) 11:32:12.53 ID:M6pbJlgp0
提督「敵を眠らせないのが、一番の目的だな。既に敵部隊は、沖縄本島に攻撃を仕掛けている。
一日でも長く、敵を釘付けにしなくちゃならない」

青葉「やっぱり、決戦は本土ですかねー」

提督「そうだな。そうまでしても、勝てるなら……いや、そこまで粘れば、この戦争は勝てる」

大淀「別鎮守府より入電です。弥生さん、遭遇した敵PT小鬼群に突入。
一群を撃破したと認むとのことです」

青葉「まあまあ……ですか?」

提督「たいした戦果だな。ゼロよりは、いくらかマシだ……」
259 : ◆6ae5KZVV.rp/ :2019/01/20(日) 11:33:54.05 ID:M6pbJlgp0
というわけで、一言も本人が話すことなく終焉。
次第に、追い詰められている戦争の行方は?

では、次なる出撃は?

>>261
>>265
>>266
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 12:24:00.89 ID:H52ZkbHno
妙高
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 12:27:50.29 ID:bsXqxCEd0
五月雨
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 12:29:19.20 ID:JU2CI4WDO
鈴谷
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 12:36:09.40 ID:hs4xDFnf0
またID:bsXqxCEd0かよ
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 12:36:10.00 ID:8KFyCY300
武蔵
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 12:37:20.68 ID:JU2CI4WDO
鈴谷
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 12:37:41.71 ID:LnEDavgo0
瑞鶴
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2019/01/20(日) 20:30:21.05 ID:uwXi9bSw0
リョナスキーの被害者たち

朝潮・春雨・電 → 朝潮・電を生贄に春雨がエリレ×3、フラタ×2、戦艦棲姫撃破の大戦果
加賀・翔鶴 → 戦果らしきものはワ級×1のみ、ほぼ無駄死に。赤城と瑞鶴がとばっちりで糞まみれで殴り合い
霞・満潮 → 出撃すらしないまま霞は火だるま、満潮が達磨に。二人「「シニタクナイー」」北上「はよ死ね」ドン
曙・松輪・大井・大和・Jervis → ぜ、全滅!?5隻の艦娘が!?何の戦果も無しにか!?
如月・五十鈴 → 如月は人も殺せず自殺、五十鈴は人殺して発狂、集積地棲姫に特攻(大破炎上で撃破確実ではない)
天龍 → 戦闘の後遺症でほとんど動けない・助からない、命令待ってたんじゃ陸で死ぬことになるから無断出撃
弥生 → これから毎時間特攻させようぜ作戦で単騎出撃、作戦の甲斐あってかうぜー小物の群れを撃破
五月雨・鈴谷・五航戦のウンコ食わされた奴 → 鈴谷はやめてくれぇ

俺はここまでのようだ
268 : ◆6ae5KZVV.rp/ :2019/01/22(火) 22:05:28.01 ID:rWdArlc+0
=執務室=

青葉「今日も相変わらず、出撃は続いています」

トントン

大淀「提督。本日の戦果を確認。五月雨さん、チ級flagshipに突入。至近で爆発。戦果は不明です」

提督「至近か、惜しかったな。鈴谷は?」

大淀「それが……」
269 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:06:07.37 ID:rWdArlc+0
提督「どうした?」

大淀「ええと、機関故障のため引き返してます。まもなく到着……工廠へ」

提督「機関故障だと?」

大淀「ままあることですから……」

提督「とはいえ、水盃まで交わしてるんだ……ちょっと工廠にいってくる」
270 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:06:34.88 ID:rWdArlc+0
=工廠=

鈴谷「提督じゃん。チーッス!」

明石「……!!」

提督「……」

青葉「この緊張感は?」

明石「提督!申し訳ありません。私の整備ミスです」

青葉「わ、明石さん先制して土下座」

鈴谷「あ、ナニ?えっと鈴谷も謝ったほうがよさげ?」

提督「故障の原因は?」

明石「機関部の部品がいくつか不具合を起こしています。その……以前の部品より相当精度が落ちていて」

鈴谷「あ、鈴谷が悪いんじゃなかったんだ」

提督「修理にかかる時間は?」

明石「部品の予備がありません。呉に発注をかけるか。あるいは、自作するしか」
271 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:07:04.54 ID:rWdArlc+0
提督「そうか……で、鈴谷」

鈴谷「ほぉう!は、はい!」

提督「五月雨は、立派な最期だったそうだぞ」

鈴谷「う、うん……ごめん提督。信じて貰えないかもしれないけど、私も悔しいんだ。
まさか、死ぬ気だったのに、また戻ってくるなんて」

提督「仕方ない。国のために散れなかったのが残念だな。今日はもういい。
戻って明日から改めて訓練に参加しろ。おって、出撃する良き日もあるだろう……下がってよろしい」

鈴谷「あっざーっす!提督、やっぱりイイ男だねえ。次回、出撃したら、
本当に見事に散ってみせるからね。鈴谷にお任せ!」
272 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:07:32.31 ID:rWdArlc+0
トコトコトコ

提督「部品の精度は仕方ない。北上や金剛からも、指摘されている」

明石「すみません。整備時にもっと気をつけます……夕張さんがいないもので、どうしても私だけでは」

提督「まだ入院中だが、回復はしているそうだ。そろそろ無理にでも退院させようと思っている」

青葉「司令官、あんまり怒らないんですね」

提督「俺が罰を与えるような話じゃないしな……」

青葉「ん……ああ!じゃ、青葉ちょっと様子を見てきます」
273 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:08:04.68 ID:rWdArlc+0
=重巡寮=

鈴谷「……というわけで、みんなに見送ってもらったのに、戻ってきました。
えへへ、またしばらくよろしく−!!」

最上「……」

三隈「……」

熊野「……」

鈴谷「あれ、みんなどうしたの? 鈴谷が戻ってきて驚いてる?」

最上「そうじゃないさ」

三隈「わからないのかしら?」

熊野「わからせてあげましょうか?」

鈴谷「なに、みんな? なんなの? ちょ、なんで腕を縛るの? ちょ、痛い!」
274 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:08:33.38 ID:rWdArlc+0
最上「ボクは思うんだけど、機関が故障するってのはさ」

三隈「精神がたるんでるからですわ!」

熊野「大和魂があれば、故障などありえませんわ!!」

最上「顔はダメだよ、尻からいこうか」

三隈「海軍精神注入棒で……」

熊野「あら、私のは大東亜戦争勝ち抜き棒ですわ」

最上「どっちでもいいから、思い切り頼むよ。ボクが押さえてるからさ」
275 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:09:06.87 ID:rWdArlc+0
=深夜・工廠裏=

青葉「というわけで、鈴谷さんお尻が真っ赤になって、寝ることもできないのか、
うつぶせでシクシク泣いてました」

北上「まあ、それくらいですんだならいいんじゃないかなあ」

金剛「また、出撃させるデース」

提督「すぐには無理だな。一度死ぬ気だった心が折れたら、なかなか戻らん。
今後も、機関故障の可能性などを考えて、対策を練らないとな」

明石「とにかく、部品の精度が……」

青葉「で、まだまだ出撃は続くんですよね?」

提督「そうだが……いくら全軍特攻といっても、可能性の低い出撃は避けたいんだよな。
燃料は無駄になる。俺も上から叱責される」

北上「提督も辛い仕事だねえ」
276 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:09:45.36 ID:rWdArlc+0
金剛「戦況は、どうなってるデスカー?」

提督「ああ、大淀が入手した情報だが。ここだけの話、呉鎮守府の大和も出撃して沈んだらしい」

北上「えー、うちのと違って練度も最高。装備も最高だったよね」

提督「沖縄に突入し、弾が尽きるまで敵を砲撃せよということだったそうだが、
奄美大島にもたどり着かなかったそうだ」

北上「いよいよまずいねえ……」

金剛「まずいデース」

提督「それでも、やらざるを得まい。うちも最低一隻は、沖縄まで到達させろと命令が来た」

北上「やれる?」

金剛「望みは薄いネー」

提督「それでもやってみなくちゃわからん……夜襲でなんとかならないものかと思ってる」

青葉「誰に、行かせます?」
277 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:10:14.54 ID:rWdArlc+0
=翌日・執務室=

瑞鶴「提督さん……なに?作戦?」

提督「そうだ。本日、深夜に出撃。九州沿岸にて待機の後、明日深夜、沖縄に特攻してもらいたい」

瑞鶴「提督さん……うん……。解ってる」

提督「幸いにもまだ時間はある。身の回りの整理をするように」

瑞鶴「うん……お願いいいかな?」

提督「なんだ?」

瑞鶴「誰にも私が出撃することはいわないで。見送りもいらない。
ああ、艤装を装備するから明石さんはいなきゃだめだけど」

提督「それは、どうしてだ?」

瑞鶴「見送られたら、きっと里心がついて……う、う、う……」

青葉「あれ、瑞鶴さん泣き始めちゃった」
278 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:10:54.24 ID:rWdArlc+0
瑞鶴「怖いもの、死ぬのは。どんなに覚悟を決めても。それは、誰だって……
提督さんだって一緒でしょ。だから、一人でいかせて……う、うっ……」

提督「僅かな期間とはいえ、仲間もいるだろう」

瑞鶴「だから、私はちょっと旅に出ているだけ……またすぐに会えるから……
そう思って……くれる……だけで……え、ひ、ぐ、ぐずっ……」

提督「わかった。では、本日、夕刻に工廠へ。これが命令書だ」

瑞鶴「ぐ、ぐずっ、ありがと……提督さん……笑って死ぬから……安心して……
期待してて……ありがと、さよなら」
279 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:11:36.78 ID:rWdArlc+0
バタン

青葉「いいんですか?」

提督「あんなに泣かれちゃ……いえないよな」

青葉「赤城さんにだけでも、伝えては? こないだの一件以来、
毎日、二人で泣きながら慰めあってたようですし」

提督「……本人が伝えるなといってるんだから、伝えてはいかんよ」

青葉「それはそうですけど……」

提督「なあ、お前が秘書艦になってから、どれくらい沈んだっけ」

青葉「かれこれ、100隻に近いと思いますよ。毎日、深海棲艦とドンパチやってることもありましたし」

提督「つらいな提督稼業は。こうして、命令して。あとは、戦果の報告を待ってるだけ」

青葉「だから、秘書艦とかケッコンカッコカリとか、そんな制度があるんじゃないですか。
発狂したり自殺した提督の話もよく聞きましたし」

提督「ケッコンカッコカリか……そう、引き出しに……青葉、お前、この指輪欲しいのか?」

青葉「え、え、え?司令官……いいんですか?青葉に、その、それって……」

提督「……や、やめた。女房ヅラでもされそうだ」

青葉「ですよね……司令官と私の関係なんて所詮は戦争中だけのものですものね」

提督「そうだな……」
280 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:12:06.72 ID:rWdArlc+0
=工廠=

瑞鶴「これが特攻用の艤装。いい感じじゃない」

明石「このまま出撃するんですか、ホントに」

瑞鶴「だから、湿っぽいのはちょっとね。みんなによろしくね」

青葉「瑞鶴さん……」

瑞鶴「あれ、来なくていいっていったのに」

青葉「そうもいきませんよ。これ、のり巻きです。鳳翔さんにお願いして」

瑞鶴「やだ、ありがとね! こんなにされたら……え、ひ、ぐ、ぐずっ……」

青葉「瑞鶴さん、泣かないでいいですよ。青葉なんて、毎日笑ってますから」
281 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:12:34.88 ID:rWdArlc+0
瑞鶴「あなたは、明るすぎるのよ」

青葉「そりゃ、毎日、提督の横で艦娘がさくりさくりと死んでいくのを見てますからねー」

瑞鶴「ふん、なんなのあの提督さん。艦娘になって、ウンチまで食わされるとは、
あの世にいったら仕返しをしてやるんだから……え、ひ、ぐ、ぐずっ……」

明石「泣かない、泣かない」

瑞鶴「だって、艦娘試験を受けて、空母になったけど、実戦なんかなくて……
それが、情けなくて……うわーん!」

青葉「安心して下さい!この特攻に成功すれば、瑞鶴さんの艦娘としての人生は幸せだったって」

瑞鶴「う、う、う、でも……不安なの……たどり着けるハズがないよぉ……」

青葉「大丈夫、ちゃんと願えば必ず、先に散った仲間たちが敵の前まで案内してくれますよ」

瑞鶴「う、う、うん、ありがとね……」

明石「そろそろ時間ですね」

瑞鶴「うん。本当にさようなら……空母瑞鶴、抜錨します!」
282 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:13:05.19 ID:rWdArlc+0
=翌日、深夜・通信室=

大淀「あ、提督ご苦労様です」

提督「午後10時。そろそろ、瑞鶴が突入する時間のはずだ」

大淀「奄美大島付近は予定通りに通過。ですので、もう到着していなくては……」

……
………
…………
……………
………………

提督「失敗か……?」
283 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:13:38.54 ID:rWdArlc+0
大淀「おそらくは……っと、お待ち下さい。通信入ります」

瑞鶴「もしもーし、お待たせ!2211五航戦、瑞鶴出撃よ」

提督「到達したか!」

瑞鶴「当たり前じゃない。瑞鶴には幸運の女神がついていてくれるんだから!
うん、目の前に大物もいっぱい、いい感じじゃない……では、突入します!」

大淀「健闘を祈ります……っと、通信切れました」

提督「だめか? どうなんだ?」

大淀「待って下さい……周波数を。え、なに。深海棲艦の通信が混乱してます……平文で交信してる」

青葉「司令官、電話です。呉から」

提督「こんな時間に。はい……え、なるほど。陸軍部隊より巨大な爆発を確認と……了解しました」

大淀「深海棲艦の通信が混乱してます。飛行場姫・港湾水鬼が撃沈。周辺にも被害が発生している模様です」

提督「やったか……」

青葉「よかった……」
284 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:14:05.32 ID:rWdArlc+0
=翌日・食堂=

最上「瑞鶴さん、やったんだって」

三隈「さすがは腐っても空母ですわ」

熊野「私たちも続きますわ」

鈴谷「……」

提督「今日も、ここは、飯がどんぶりいっぱいあっていいな……と、赤城の前が開いてるのか。座るぞ」

赤城「モグモグモググ……ピタッ」

提督「どうした。食堂は敬礼不要だ、続けていいぞ?」
285 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:14:40.10 ID:rWdArlc+0
ガタ……ツカツカ

提督「どうした?」

青葉「ちょ、赤城さん……」

ボコッ

最上「見た?」

三隈「赤城さん、提督の顔を……」

ザワザワザワザワ

赤城「加賀さん、翔鶴さん、そして、瑞鶴さんまで……なんで……別れの言葉も……」

青葉「……赤城さん、目に涙がいっぱい……で、でも!赤城さん、上官に反抗するんですか?」
286 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:15:10.43 ID:rWdArlc+0
提督「……はあっ、痛え……っと、気がすんだか?」

赤城「……!」

提督「瑞鶴が望んだことだ。死に際に、里心のついた乙女みたいな顔ができるかよ……飯を食え」

ムシャムシャムシャムシャ

赤城「……くっ……頂きます」

ムシャムシャムシャムシャ
ムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャ
ムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャ
ムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャ
287 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:15:37.20 ID:rWdArlc+0
青葉「赤城さん、泣きながら食べてる。おかわりまでして……どんぶりから涙が……」

青葉「そう、死んだ仲間のぶんまで食べてやる。それが、私たちにできる精一杯の供養……
そう、そうなんですよね? 司令官?」

ムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャ
ムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャ
ムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャ
ムシャムシャムシャムシャ

提督・赤城「ごちそうさま!」
288 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/01/22(火) 22:17:04.06 ID:rWdArlc+0
今日はここまでです。
さて、次の安価ですが

・矢矧編
・鳳翔編
・提督戦死編
・新たな出撃編

のいずれかでいきます。新たな出撃の場合は艦娘の名前を

では安価

>>292
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/01/22(火) 22:37:56.96 ID:BjOkHFh40
ksk
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/22(火) 22:39:10.05 ID:N4LLVWpDO
ksk
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/22(火) 22:40:13.39 ID:WsGk0WDY0
ksk
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/22(火) 22:40:38.25 ID:u51/b/gPO
伊58
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/23(水) 01:54:17.66 ID:yf1a7k7qO
でっちはアレ詰んだ組だなあ……
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 21:28:51.65 ID:MMp2N1Fl0
>>293今回はでっちが回天に乗る方だからセーフ
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/25(金) 09:15:54.03 ID:AzH4BpaBO
(全然セーフじゃ)ないです
296 : ◆6ae5KZVV.rp/ :2019/02/08(金) 00:44:23.26 ID:plqhzIVP0
=執務室=

青葉「その日もまた、事件から始まりました」

トントン

北上「提督ぅ。また、頭の痛いことが起きちゃったよぉ」

提督「この非常時、頭が痛いことしかないけれどな、なんだ」

北上「58がさあ、夕べから姿が見えないんだよぉ」

青葉「今、午前11時。点呼の時もですか?」

北上「うん、無断外出かと思って、ヤキを入れなきゃなあと思ったんだけど、
それにしても帰ってくるの遅いよねえ」

提督「そうだな」

青葉「脱走……ですか? 早速、捜索の手配を」

提督「まあ待て、まだ内々に処理できる範疇だ。同室は19だったな」

北上「いま、金剛が呼びにいってるよ」
297 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/02/08(金) 00:45:11.41 ID:plqhzIVP0
……しばらくして

提督「で、夕べは部屋にも戻らなかったんだな」

伊19「そうなのねー。いつものことだと思っていたのねー」

青葉「このところ、訓練後は夕食もとらずに姿を消していたと」

伊19「また、悪い病気かと思って。もう気にするのをやめてたのねー」

提督「身上書によると、お前らは同期なんだな」

伊19「そうなのねー」

提督「ただ、同期というだけの付き合いではないように見えるが?」

北上「うんうん、同期にしては腐れ縁な感じが漂ってるものねえ」

伊19「ああ、提督はなんでもお見通しなのねー」

提督「手がかりになるかもしれない。そこから聞こうか?」

伊19「最近じゃ、ありがちな話なの。私も58も、深海棲艦に家も家族も焼かれて、
夜の街で身体を売って暮らしてたのね。その時からの付き合いなのね」

北上「泣かせるねえ」

伊19「58は、あの商売はほんと向いてなかったのね。惚れっぽくて
……何度も悪いヒモに騙されて、せっかく貯めたお金も全部持っていかれてばかりだったのね。
だから、今回もきっと男に騙されていると思うのね」

提督「なにか、そんな心当たりはあったのか」

伊19「もう、しょっちゅうだから、艦娘になってまたかと思ってたのね。
休日に、街に出た時に運命の出会いがあったとか、ぽろっと話していたけど。
私に怒られると思ったのか、あんまり話さなかったの……もっと、警戒しておけばよかったの……」

提督「男の心当たりは?」

伊19「まったくわからないの」

提督「……ひとまず街で探すか。大淀、しばらくこのことは伏せておくように。
今日は訓練はなしだ。座学ということにしておけ」

北上「ってことは、アタシらが出動だね」

提督「そういうことだ。拳銃は装備するように」

青葉「拳銃だけでいいですか?」

提督「ちょっと、不安だな……青葉、そこの棚を空けてくれ」

青葉「ここですか? よいしょ」

提督「モーゼルもぶら下げておけば十分だろう」

金剛「こんなに何挺もどうしたんですカー?」

提督「大陸で馬賊とやり合ってた時の戦利品だ。そこいらの装備品よりもよっぽど頼りになるぞ。行こう」
298 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/02/08(金) 00:45:41.17 ID:plqhzIVP0
=闇市=

青葉「というわけで、闇市にやってきたわけですが。こんな戦況なのに、
なんでもあるところにはあるもの。賑わってますねえ」

提督「鎮守府の倉庫からも、明石に横流しさせてるが、どんどん値上がりしているしな」

青葉「そんなことまで……大丈夫です?」

提督「バレないようにやるんだ。例えば、煙草は箱ごとだとバレる。
中身を何本かずつ抜いていってだな……」

北上「提督ぅー、色々聞いてきたよ」

提督「なにか成果はあったか?」

北上「この奥の飲み屋あたりで、ちょくちょく58を見かけたってヤツがいるんだけど」

提督「もう、開店している時間か。いってみるか」

コソッ……

伊58「あれは、提督でち……見つかると大変でち」

伊58「あの人と待ち合わせの時間まで、隠れてないといけないでち
……」

伊58「みんなには申し訳ないけど、ゴーヤは艦娘をやめるでち。
あの人と戦争が終わるまで、どこかに隠れて暮らすでち」

タタタタ……
299 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/02/08(金) 00:46:17.32 ID:plqhzIVP0
=歓楽街=

北上「ここは賑やかだねえ……ほんと酒も食い物もあるところには、あるもんだねえ」

金剛「っと、この店ですネー」

ガラッ

女将「いらっしゃ……あら、海軍さん? まだ日も暮れてないけど、ごくろうさま」

提督「……」

女将「艦娘さんも一緒とは景気いいわね。なんにする? 非常時だしお酒しかないけどさ」

提督「……58」

女将「?」

提督「58だ……」

女将「ちょっと、飲まない客には用はないよ。これから客も来るんだし」
300 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/02/08(金) 00:46:55.97 ID:plqhzIVP0
提督「伊五十八。潜水艦だ。この街じゃ、うちの鎮守府にしかこないだろ。ここに何度も来てるだろ」

女将「そりゃ、客は色々来ますよ。艦娘さんだって時々はねえ」

提督「男が一緒だったろ」

女将「そんな……客のことなんて、いちいち」

提督「艦娘が男にぶら下がってるんだ。気にしなくても目にはつくだろ」

女将「そんなこといわれてもねえ……」

提督「……知ってるな」

女将「知っててもいわないさ。私しゃ口は固いからね」
301 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/02/08(金) 00:47:34.85 ID:plqhzIVP0
提督「青葉!」

青葉「はい、司令官」

提督「外に出て、入口を見張れ」

青葉「了解です」

ガラガラ……ピシャッ

提督「北上、金剛!」

北上「うん」

提督「始めろ」

金剛「イエース」

女将「な、なにするんだい。海軍だからって、うちの店で勝手に……グボっ……」

提督「女将……五十女ってとこか。一億玉砕も近いが、まだ命は惜しいだろ」

金剛「この一升瓶、なかなかいいお酒デース……よいしょ」

女将「なに、店のものを勝手に……うう、ゴクゴク、うぐ、ごぼ、ごぼ、ごぼぼぼ……」

北上「あーあ、こぼしちゃって……このご時世に、酒を無駄にするなんてねえ……ドガッ」

スパー

提督「ちゃんと気持ちよくしてやれ、枯れ木でもまだ女だしな……」

ドガボゴゴス……
……
……
……
302 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/02/08(金) 00:48:34.00 ID:plqhzIVP0
提督「どうだ、なにか話したくなったか?」

女将「…………なにを…………なにを…………お前ら海軍なんかに。
旦那は兵隊に取られて、大陸で死んじまった。
二人の娘は、海軍に取られて、艦娘になったっていったきり…………
紙切れ一枚が届いただけで、骨も帰って来なかったよ…………
あの潜水艦の娘っ子だって、艦娘になりたかったわけじゃないのに…………」

提督「なりたいかどうかは、問題じゃないんだ…………北上」

北上「はいよ」

ドガボゴゴス……

女将「殺すなら、殺せよ。なにが提督だい。単なる娘たちを殺して、
温々と椅子に座ってるだけじゃないか…………返せ、旦那を、うちの娘を返しておくれよぉ!!!!」

ガラガラガラ…………

提督「青葉、開けるなと!」

青葉「司令官、それが…………」

?「あ、提督さんでしたか。これは失礼。実は、そちらにもお訪ねしようと思っていたところで」

提督「あなたは?」

?「これは、失敬。わたくし、特別高等係のものです」

提督「ああ、特高の方ですか。ちょっと取り込み中なのですが」

特高「いえね。手配中の者が、このあたりに潜んでいるということで内偵を進めていたんですが、
どうもオタクの伊58さんと一緒にいたという情報が入りましてね」

提督「…………どんな男です?」

特高「戦争前からアカで知られてた画家なんですがね。
召集されて大陸にいっておったんですが、昨年、負傷して帰ってきましたね。
以来、あちこちに出没してはしょうこりもなく戦争反対を唱えていたとかで。
なんですかな、ここの女将も一味らしいんですな」

提督「なるほど、写真はありますかな?」

特高「ええ、これです」

提督「ふーん…………。ん…………北上」

北上「ん? あ、ああ…………阿吽が通じる女って貴重だよ、提督ぅ」

特高「…………なにを?」

北上「恥は外に出したくないんだ。ごめんね ズガーン」

特高「…………ガクッ」

提督「金剛、頼む」

金剛「問題ないデース ズガーン」

女将「…………お前ら…………単なる人殺し…………ガクッ」

青葉「で、それぞれに、この拳銃を握らせるわけですね」

提督「早く。俺たちは、たまたま居合わせた客だ」

北上「で、どこを探すのさ」

金剛「この街から出るなら、汽車…………ううん、山道…………」

提督「艤装がなくとも艦娘だ。海から小舟だ」

青葉「間違いないですか?」

提督「それでダメなら、脱走扱いにするさ」
303 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/02/08(金) 00:49:27.71 ID:plqhzIVP0
=海岸=

伊58「すっかり日も暮れたでち。でも、これなら見つからないでち」

伊58「あの岩場の向こうの小屋に…………あの人と舟が」

伊58「半年、半年でも、どこか無人島かどこかに隠れているでち。
それまでには戦争は終わるって、あの人はいってたでち…………」

ガサッ…………

提督「…………遅かったな」

伊58「!!!」

提督「そりゃ、ここなら見つからないと思うよな。海に慣れていないとわからないしな」

北上「でもねー、アタシら海岸のどこになにがあるか。
隠れる場所とかもみんな知ってるんだ。いつ戦場になるかわからないしさ」

伊58「そんな、そんな…………お見通しだったでち…………?」

青葉「ゴーヤさん、帰りましょ。司令官も今なら、脱走扱いにしないっていってくれてますし」

伊58「そんな。ダメでち、あの人と約束してるでち…………」

提督「あの人…………?」

金剛「もう、あの男はいないデース」

伊58「そんなの嘘でち。ここで待ってて、二人で一緒にいくと話あったでち!」

提督「58! お前はなんなんだ、そのあたりの小娘なのか?」

伊58「…………58は艦娘でち。でも、もう艦娘を止めると決めたでち」

提督「既に散った戦友たちを裏切ってもか?」
304 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/02/08(金) 00:50:04.46 ID:plqhzIVP0
伊58「そうじゃないでち。こんな戦争はもう終わりでち。死ぬのは無駄でち…………
そう、あの人が教えてくれたでち」

提督「そんなのは、みんな臆病者の言い訳にすぎない」

伊58「そんなことないでち。あの小屋に、あの人がいるでちね?提督たちが捕まえているでちね? 
ゴーヤは、いくでち!」

タタタ…………バタン

伊58「お待たせでち。どこ、どこにいるでち? ゴーヤが助けるでち」

青葉「ゴーヤさん。あの人はもう…………」

伊58「どこ、いないでち。提督、どこに連れて行ったでちか?」

北上「もう、駅から汽車に乗ってるよ」

伊58「どういうことでち?」

金剛「さっさと、この街から出ていけとお金をあげたデース」

北上「100円やったら、目の色が変わってたねえ」

提督「喜んで、駅に向かったぞ」

青葉「ゴーヤさん。あの…………」

伊58「…………ゴーヤ、また男に騙されたでちか?」

青葉「あの…………そういうことです」

伊58「また、また騙されたでち。貯金も渡したのに、また騙されたでち。騙されたでち。
あは、あはは…………あはは…………うわーーーん!!!」

青葉「さ、ゴーヤさん。帰りましょ。みんな待ってますよ」

伊58「う、う、う、ごめんでち。ゴーヤ、また騙されたでち…………」

青葉「大丈夫です。大丈夫ですよ」

伊58「う、う、う…………」

青葉「じゃ、司令官」

提督「ああ、ちょっと野暮用を済ませていく。先に帰っていてくれ」
305 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/02/08(金) 00:51:05.02 ID:plqhzIVP0
=深夜・海岸=

ザブーン

提督「ここからで、大丈夫か?」

北上「ああ、問題ないねー」

金剛「持ち物は焚き火でみんな燃やしたし、ここは潮の流れが複雑だから二度と浮いてこないデース」

北上「浮くとしたら、九州あたりまで流れてからだね」

青葉「司令官、お疲れ様です」

提督「ああ、58はどうだった?」

青葉「19さんが、一緒にいて慰めてるから、大丈夫じゃないかと。
でも、司令官…………どうして、ホントことを話さなかったんです?」

提督「どうせ、明日はない身だ。ひとつくらい、思い出があってもよいじゃないか」

青葉「司令官の思い出はなんですか?」

提督「そんな簡単に話せることは、思い出じゃないな…………」
306 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/02/08(金) 00:53:20.91 ID:plqhzIVP0
これで伊58の巻は、ひとまずおしまいです。まだ特攻してないですが。

さて、次なんですが

・提督戦死編
・矢矧編
・鳳翔編
・新たな艦娘の出撃編

のいずれかでいきます。
提督、あるいは艦娘の名前で

>>311
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/08(金) 02:13:23.95 ID:MAhOotYMO
安価先過ぎない?というか今回やたら提督優しいな(感覚麻痺)
308 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/08(金) 08:38:52.78 ID:pRGMYXd+O
遠い
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/08(金) 08:41:48.58 ID:pRGMYXd+O
Ksk
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/08(金) 08:42:24.23 ID:pRGMYXd+O
鳳翔編
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/08(金) 09:00:19.32 ID:yIweYzrDO
312 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/02/08(金) 11:00:12.16 ID:plqhzIVP0
了解しました。では、鳳翔編でいきます。
313 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/02/08(金) 22:01:49.38 ID:plqhzIVP0
間宮「よろしいでしょうか?」

青葉「あれ、間宮さんが執務室にって珍しい」

提督「なにか用か。いや、用がないと来ないな。見ての通り、次の作戦準備の真っ最中だが、まず話を聞こうか」

間宮「はい。あの、鳳翔さんのことなんですが」

提督「鳳翔のこと? なにか問題でもあるのか」

間宮「ええ、あの、申し訳ないのですが厨房から外して頂きたいのですが…………」

提督「厨房から?」

間宮「ええ、よそじゃのほほんとやってるところもあるかもしれません。
でも、一日約200人分を3回。それに夜食もつくってるわけじゃないですか。
本当に、裏では必死なんです。でも、鳳翔さん、戦傷のせいで、
とにかく動きが遅くて。はっきりいって作業の邪魔なんです」

提督「そんなに邪魔か」

間宮「申し訳ありません。鳳翔さんが前の鎮守府から提督と一緒の古参だということはわかってます。
それに身体のことも。ただ、毎日の食事のことを考えると、一緒に作業するのはしんどいです。
平時ならともかく、現在の状況で、作業分担とか考えている暇もありませんし。
私と伊良湖さんの二人のほうが、きちんと回ります」

提督「わかった。女同士の諍いとかがあるわけじゃないんだな」

間宮「そんなことはありません。むしろ、申し訳なくて」

提督「知っての通り、決戦に向けて準備が進んでいる現在、
使い物にならなくなった艦娘も行き場がないのが現状だ。
とりあえずと思ってまかしていたが。作業のことは、こちらで分担を見直して命令するようにしよう」

間宮「ありがとうございます。では…………」
314 : ◆6ae5KZVV.rp/ :2019/02/08(金) 22:02:57.27 ID:plqhzIVP0
バタン

提督「…………実際のところ、鳳翔の働きぶりはどうだ?」

青葉「うーん、今の間宮さんは、また気遣いする性格だから古参の鳳翔さんを立ててますけど。
鳳翔さんも厨房の作業は辛そうですね」

提督「そんなにか」

青葉「間宮さんも気を遣い過ぎなんですよね。鍋釜の世話とか、仕事している感じの
あるところを鳳翔さんにお願いしてるから。
鳳翔さん、戦傷のせいで艦娘とはいえ体力は人間の並み以下くらいですしねえ」

提督「さすがに、ゴミ捨てとか掃除とか雑用をとはいいにくいわけか」

青葉「気を遣うタチだと、古参にそんなこといえないでしょう」

提督「わかった。ひとまず、今の作戦準備が終わったら、俺から鳳翔に話をしよう」

青葉「りょーかいです。で、次の作戦も特攻ですね」

提督「ああ、近く沖縄の陸軍が総攻撃をかける。これを支援するための特攻だ。
また多くの艦娘に散って貰わないといかんな」

青葉「…………グスッ」

提督「どうした?」

青葉「いえ。どうせ大半は、また敵の姿も見ずに轟沈させられるんですよね。
それがわかっててどんどん送り出さなきゃならないなんて考えていると、
あんまりに…………みじめで…………みじめすぎて…………
身体がヘンに興奮しちゃって…………もう、すごく濡れます、ホラ」

提督「人のこともいえないが、難儀な身体だな」

青葉「前の鎮守府から、どれだけ殺して来たんでしたっけ。涙で枕を濡らすよりも、
股間を濡らさなきゃやってられないです。ほら、指、糸引いてますよ。夜まで待てないし、今のうちに…………」

提督「まだ午前中だ。誰が来るかわからないぞ。大淀も書類を持ってくるし」

青葉「大淀さんだったら、全然構わないですよ。ほら、青葉、もう下だけ脱いじゃってますし〜」

提督「昼間にじっくり見るのも久しぶりだが、この非常時に随分とムチムチした身体だな」

青葉「ま、これが決戦仕様ってやつですよ。司令官は座ってていいですよ。青葉が上に乗りますから」

……
…………
………………

青葉「ほら、司令官も乗り気だったじゃないですか。
中に出しちゃった挙げ句に、口でお掃除してあげたら、もう一回だなんて」

提督「そういうこともある。続きは夜だ。空襲がなかったらな。服も髪もさっさと直せ」

青葉「はいはーい」
315 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/02/08(金) 22:03:45.37 ID:plqhzIVP0
=食堂=

ガチャーン

鳳翔「あ、すみません。お皿が」

間宮「あ、大丈夫です。いいんですよ」

伊良湖「あ、鳳翔さん。私やりますから、ほら、えっと、交代の時間ですよ。ほら、休憩へどーぞ。休憩へ」

鳳翔「でも、これから夕食と夜食の準備も」

間宮「大丈夫ですって、あとは配膳だけですから」

鳳翔「そうですか。ありがとうございます。じゃあ、休憩にいきますね」

ヒョコヒョコ

北上「鳳翔さん、今週、お皿割ったの3回目」

金剛「老いたというヤツですネー」

青葉「あの、鳳翔さんが…………」

提督「明石、天龍みたいなことはないんだろうな」

明石「はい、天龍さんと違って、ちゃんと治りつつはあります。
でも、手とか足の動きは、元に戻らないんじゃないかと」

青葉「鳳翔さん、働きすぎだったから」

北上「スゴかったねえ。どこの鎮守府でも鳳翔といえば<居酒屋鳳翔>とかいわれる存在。
二線級以下の旧式艦で鎮守府での雑用が主な仕事とかいわれていたのに」

金剛「鬼のようだったデース。出撃すれば表情一つ変えずに、次々と敵を屠って。
いつも背中に鬼が見えてましたヨー」

青葉「帰ってきた直後とか、たまに殺気がそのままで、思わず土下座しそうになりましたしね」

明石「微笑みながら殺気を放ってるから、本気で怖いんですよね」

提督「それも、もう昔の話か…………」
316 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/02/08(金) 22:04:50.07 ID:plqhzIVP0
=深夜・弓道場=

提督「青葉のやつ、先に寝てしまったのに、散歩に出てみたら…………」

ヒョコヒョコ

鳳翔「まだまだ…………でも、昨日よりは…………」

キリキリ…………ヒュンッ

鳳翔「まだ、弓を引く力が…………。もっと、もっと訓練をしなくては…………」

提督「身体は動かないのに、あの殺気がまた…………」ガサッ

鳳翔「提督…………?」

提督「あ、うん。えっと夜食のおにぎりがあるんだが、茶でもわかしてくれないか」

モグモグ

鳳翔「お恥ずかしいところをお見せしてしまって」

提督「かまわん。決戦が近いんだ。訓練はいくらでもしておけばいい。
それより、あまり無理をしてはまた病院へ逆戻りだ。艦娘病院もベッドが足りなくて、治療も適当だというぞ」

鳳翔「大丈夫です。自分の身体のことは、自分で管理していますから」

提督「それに、ポンコツになった艦娘を出撃させるようなことはしない。
食堂も大変なようだから、もうちょっと楽な仕事を与えるつもりだ。ゆっくりと養生をしてくれ」

鳳翔「この戦局で、養生なんて。それに、備えは必要でしょう。
ここの艦娘は、ほとんどが特攻の訓練ばかりしている見習いさんばっかり。
敵艦隊が来たら、大変なことになりますよ」

317 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/02/08(金) 22:05:46.01 ID:plqhzIVP0
提督「そんな、いくらなんでも内地にここまで…………」

鳳翔「前の鎮守府でもあったでしょう。まだ前線が遙か向こうだった時に敵が侵入してきて」

提督「まだ、青葉もいない頃だったな。姫級までいて…………。
お前が最先頭で艦隊に突入して、なんとか守り抜いたな」

鳳翔「この戦局ですもの。また、やつらはやってきますよ。
もう、あんな戦いはできないですけど、盾の代わりくらいにはなれますから。それに…………」

提督「それに…………?」

鳳翔「天龍さんの無念も晴らしてあげないと。ほら、あの深海鶴棲姫-壊…………
きっと酒の肴にしてますよ。龍田さんのアレとかを…………」

提督「だろうな。頭蓋骨やらを土産だと、家族に送っているようなやつらだ。
でもな、そのことは忘れろ。今は決戦のことだけ考えていればいいんだ」

鳳翔「そうはいきませんわ。故郷の街も、去年の深海棲艦の襲撃で、
跡形もなく焼かれて。艦娘になる前の私を知る人は一人もいなくなってしまいました。
だったら、艦娘として生きた証をなにか立てないと自分が納得できません。
特攻が無理なら、ほかの形でお役に立ってね」

提督「勝手にしろ。ただし無駄死には許さん」

鳳翔「もちろんです。私も青葉さんの次くらいには、提督のおそばにいたいですから」

提督「物好きだな、お前も」
318 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/02/08(金) 22:06:19.08 ID:plqhzIVP0
=数日後=

大淀「て、提督!緊急電です。敵艦隊多数、豊後水道を抜け北上中!!」

提督「ホントに来やがったか。どうなってるんだ、この戦争は」

大淀「各鎮守府ともに、敵の来寇に対処せよとのことです。
敵の目的は特攻部隊の殲滅と推測。こちらに来る可能性は十分にあります」

青葉「なんか、投げっぱなしな命令…………」

大淀「総員に艤装を身につけ待機は連絡しました。命令をお願いします」

提督「ろくに経験のないヤツらばかりだ。出撃して迎え撃つのは無理だろう。陸戦で迎え撃つ」

大淀「では、地図を…………。この鎮守府のある入江に入るには、
この半島と小島の間を通るわけですが、ここに?」

提督「そうだ。かねてより塹壕などを準備してあるはずだが」

大淀「万端です、直ちに配置を」

提督「部隊をふたつに分けて、現場指揮は北上と金剛。ま、ほかにはいないしな」

大淀「司令部はどこへ?」

提督「後ろの山へ登るか。ここじゃあ、見通しも悪い」
319 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/02/08(金) 22:06:57.95 ID:plqhzIVP0
=頂上=

提督「というわけで、敵が見えるまで待機だ。間宮と伊良湖は、
おにぎりの準備。鳳翔さんは、そうだなタクワンを切っていてくれ」

青葉「日が暮れる前に来てくれるといいんですけどね。夜戦はしんどいですし」

提督「来るだろう。堂々と瀬戸内海まで進撃してくるヤツだ」

大淀「提督、あれを」

提督「来たか」

大淀「なかなか手強そうですね。レ級×3とタ級×2と…………て、提督、あれは…………」

提督「…………!!」

青葉「深海鶴棲姫-壊? それに、あいつは…………肩にぶら下げているのは…………
と、鳳翔さん。双眼鏡、引っ張らないで」

鳳翔「龍田さんの…………」

提督「落ち着け。あーもしもし、北上に金剛。新米どもに撃たしても弾はあたらん。ギリギリまで待て」

北上「あいよー」

金剛「イエース、1000? 1500?」

提督「500だ。どんなに撃たれても絶対に撃つな。ちゃんと見つからないように隠れてろ」

北上「辛いねえ」

金剛「当たった運が悪いネー」

大淀「敵艦発砲。敵機、来ます!」
320 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/02/08(金) 22:07:24.36 ID:plqhzIVP0
ヒュルルルルルル…………ドォオオン

大淀「距離2000…………やっぱり半島と小島には砲撃しますね」

提督「盲撃ちしてるだけだ、隠れていればわからん」

北上「当たりませんよーに」

金剛「たまらない緊張感ネー」

提督「この、反撃までを待つ緊張感…………久しぶりだなあ」

青葉「提督、陸軍じゃないから、突撃じゃないですよ」

大淀「距離1500」

ヒュルルルルルル…………ドォオオン

グエ、ギャー、ギギギギギ…………

北上「まだまだ…………」

金剛「痛がってるヤツの口を塞いでクダサーイ」

大淀「距離1000。敵機、鎮守府に爆撃」

明石「あー、工廠も建て直しか」

大淀「距離800…………」

ドォオオン

北上「!」

金剛「撃ったのは誰デース?」

提督「くそ、バレたぞ」
321 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/02/08(金) 22:07:59.55 ID:plqhzIVP0
ヒュルルルルルル…………ドォオオン
ヒュルルルルルル…………ドォオオン
ヒュルルルルルル…………ドォオオン

北上「ダメだよ提督、バレちゃったよ!」

金剛「このままだと、狙い撃ちされマース」

大淀「どうします提督、下げますか? 次の防衛線は…………」

提督「突撃…………」

大淀「は?」

提督「聞こえないのか、北上に金剛、突撃だ。距離約700。避けながら走れ、突撃!」

北上「はいよ。生きて帰ったらパンツでもあげるよ」

金剛「私もデース」

ワーワーワーワーワーワー

提督「くっそ、いの一番に駆け出すヤツと逃げてるヤツがいる…………青葉、ちゃんと記録しておけ」

シネーコンニャロチクショー…………

北上「はあ、はあ、はあ…………だいぶやっつけたけど…………」

金剛「深海鶴棲姫-壊は流石に手強いネー」

北上「大破しちゃったし、もう、無理かな」

金剛「私もデース。天龍にも龍田にも、あの世で大きい顔できないデース…………」

提督「くっそ、随伴艦は沈めたのに涼しい顔を…………青葉、大淀、行け」

青葉「了解ですぅ」

大淀「仕方ないですね。間に合えばいいけど…………誰かいないの?」

明石「無理です。新米共もみんな満身創痍…………あれ? あれは? ねえ、提督、あれは?」

提督「鳳翔…………」

青葉「え、いつの間に?」

鳳翔「ふふ、ごめんなさいね。勝手にさせて頂きますね」

北上「そんな、鳳翔さん」

金剛「イタタタ…………その身体じゃ…………」

鳳翔「弓は無理でしたけど…………矢は弓がなくても痛いんですよ…………」

北上「鳳翔さん…………」

金剛「と、特攻?」

鳳翔「じゃあ、提督。また、いつかどこかで…………」

提督「馬鹿が…………」

深海鶴棲姫-壊「Fuck!Fuck!Fuck!JAAAAAAAPPPPP!!!!!!」
322 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/02/08(金) 22:08:33.05 ID:plqhzIVP0
=数日後、工廠病院=

提督「どいつもこいつも入院しやがって、後片付けもままならんよ」

大淀「とはいえ、北上さんと金剛さんの活躍で轟沈はゼロだったわけですから、大戦果です」

提督「おかげで、総攻撃には参加できずだ。かなり悪評になってる」

青葉「しかし、鳳翔さんの鬼を久しぶりに見ましたね。差し違えたとばかり」

提督「大爆発した深海鶴棲姫-壊の煙の中から、また悪い足を引きずりながら歩いてきて、
上陸してから倒れるとは…………」

バタン

北上「やあ提督ぅ」

金剛「さすがに、久しぶりの大破は痛いですネー」

提督「なかなか死ねない艦娘だな、お前らも」

鳳翔「そうですね、散り損ないました。また、先に散った皆さんに笑われますね」

提督「まだ、散らなくていい。これから、死に場所はいくらでも出てくる」

鳳翔「それと、提督。これ…………」

青葉「龍田さんのアレ?」

鳳翔「もう、出撃は無理かも知れないですけど、これを取り戻せましたから」

提督「くそ、命令違反だぞ。誰が出撃しろっていった…………」

北上「まあまあ、提督。ほら、これ」

提督「なんだこれは?」

金剛「私と北上のパンツですネー。青葉が相手してくれない夜につかってくだサーイ」

青葉「二人とも…………こんなのはいて出撃してたんですね」

鳳翔「あら、私もいつもは…………」
323 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/02/08(金) 22:09:40.87 ID:plqhzIVP0
鳳翔編はここまでになります。
では、次ですが

・提督戦死編
・矢矧編
・新たな艦娘の出撃編

のいずれかでいきます。
提督、あるいは艦娘の名前で

>>324
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/08(金) 22:13:33.56 ID:MAhOotYMO
きよしも
325 : ◆6ae5KZVV.rp/ :2019/02/08(金) 22:33:56.99 ID:plqhzIVP0
えっと、>>1の鎮守府に清霜がいないもので、ここは安価でいきます。

=執務室=

提督「と、この惨状だが、一隻でも特攻に参加させろということだ」

北上「なら清霜がいいんじゃないかな」

青葉「清霜さんですか? 清霜さんは >>326 な艦娘ですよ」

提督「訓練の成績は?」

金剛「うーん >>328
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2019/02/08(金) 22:41:34.04 ID:P5hVVoG/0
豪胆
327 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/08(金) 22:45:50.61 ID:ccWGkI1VO
踏み台
328 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/08(金) 22:47:22.80 ID:Fyk9/bYJ0
いまいち
329 : ◆6ae5KZVV.rp/ [s]:2019/02/08(金) 22:52:24.36 ID:plqhzIVP0
提督「豪胆なのに、成績がイマイチとかどういうことなんだ」

北上「本番で成功すればいいからって、頭の中で訓練してるって言い張るんだよね」

金剛「戦艦は、いざという時にならないと出ていかないものだといってマース」

青葉「態度が大きいだけで、足りない人…………?」

提督「特攻させて、成功すると思うか? せっかくだから華々しく散らしてやりたいものだ」

北上「そもそも敵の防御がどんどん強化されてるから………… >>331 という結果になるんじゃないかな」

提督「お前らもベテランだろう。なにか、成功率を上げる方法はないのか?」

金剛「>>333




330 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2019/02/08(金) 22:56:12.94 ID:P5hVVoG/0
良くて無駄死に
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/08(金) 23:10:06.20 ID:iKQSzxiB0
332 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/08(金) 23:12:50.19 ID:96k2FdeKo
蜂の巣
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/08(金) 23:15:24.25 ID:SsmgMhZro
少しでも速度が上がるように爆弾だけ巻いて全裸武装なし
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2019/02/08(金) 23:19:19.18 ID:P5hVVoG/0
ぶっちゃけ超兵器無しだと黒い布かぶって夜間迷彩くらいしかなくね

それか人海戦術
335 : ◆6ae5KZVV.rp/ :2019/02/08(金) 23:23:22.48 ID:plqhzIVP0
提督「無駄死には避けたい。全裸だと速度は速くなるんじゃないのか?」

北上「いや、一応、この服は装甲も兼ねてるんだよね」

金剛「全裸だと、至近弾でも痛くて動けなくなるよ」

青葉「艦娘学校で、そんな訓練もありましたね…………懐かしい」

大淀「さすがに、大本営も許可しないと思いますし。彼女らも羞恥心というものが」

提督「やってみる価値はあるだろう。清霜は、艦娘になる前はなにをやってたんだ?」

大淀「履歴書によると >>335 ですね」

提督「説得する方法はなにかあるか? ほら、うまい理屈をだな」

青葉「>>337 とかいいんじゃないですか?」

336 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/08(金) 23:24:45.47 ID:iKQSzxiB0
人間大砲作戦なんてどうやろか、砲弾の代わりに艦娘詰めて敵の第一陣の先にぶっぱすんだよ

途中で巻き付けた爆弾暴発したり、発射と同時に肉片バラバラになったり
海面に運良く落下したとしてそっから生きてるかとか進めるかとかそもそも空中で蜂の巣じゃねってなるけど知らん
337 : ◆6ae5KZVV.rp/ [sage saga]:2019/02/08(金) 23:28:35.80 ID:plqhzIVP0
あ、安価間違えてました。
>>338
>>339

338 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/08(金) 23:31:22.90 ID:dfQmHIGEO
普通に小学生してた
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