【安価とコンマ】退廃ファンタジー

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222 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/26(火) 20:44:41.17 ID:kadq3g0v0
スピカ《知恵》310
《???》?+38
《???》《体力》0


スピカの放った斬撃は二匹目のウル上位種も見事肉片に変えて見せた。

「な、何とかなった」

目の前に転がる二匹分の死体。

その毛皮や地面に吸われる血潮にはいまだ紫電が火花を上げている。

今まで出会ってきたモンスターも大概不思議な生体をしていたが、雷を纏う生き物などおとぎ話の中でしか見たことなかった。

それを、自分が殺したのだ。

麻痺で感覚が鈍くなっているせいかもしれないが、実感が薄かった。


《???》を倒したのでステータスを開示します。


【名前】ウル・シ
《体力》110
―――――――
《膂力》80 
《知恵》50
《防御》80
《精神》50
―――――――
【紫電の牙】《膂力》でダメージを与えると《麻痺》80を付与
223 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/26(火) 20:58:04.39 ID:kadq3g0v0
スピカはバレッド探しを再開した。

森の泉に出たところでスピカが追ってきた足跡は途絶えていた。

その代わり、血痕が道を作って続いていた。

泉の周囲は不気味なほど静まり返っている。

森全体が身を潜めているようだった。

スピカは覚悟を決めて先へ進んだ。

01〜89 バレッドを見つける
90〜99 《???》と遭遇
ゾロはボーナス ボーナスの内容を書いてくれたら参考にできます。
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 21:03:08.35 ID:N1HnN9AsO
見つけるぜ!
225 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/26(火) 21:43:53.16 ID:kadq3g0v0
血痕を追ってゆくと、さらに二手に分かれていた。

一つはさらなる森の奥へ。もう一つは傍の木のウロへ。

どちらかがバレッドのもので、どちらかが昨日の追手のものだとスピカは察した。

(バレッドさんでありますように)

ゾロ目の数字に祈り、剣を構えてウロを覗いた。

「バレッドさん!」

そこにいたのはバレッドだった。

迷彩のフードをかぶり、魔道具の銃を持った男。

彼は、ウロの中で壁に背を持たれて座っていた。

「な、お前は……」

バレッドはウロを覗いてきたのがスピカだと分かると、驚愕の表情を浮かべていた。

それで初めて見えたのだが、フードの下の顔は銀髪蒼眼で整った顔の青年だった。

バレッドはウロの入り口に立ち止まったままのスピカをつかんでウロに引き入れた。
226 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/26(火) 21:44:54.91 ID:kadq3g0v0
なぜこんなところに来た。いや、なぜここに来れた」

詰問するバレッドに、スピカはここに来るまでの経緯を話した。

アンカー・コンマ―の加護のこと。

バレッドに協力者になってもらおうと探したこと。

今朝の施しがなかったという話を聞いて急いで助けに来たこと。

それらを全て話し終わったとき、バレッドは苦々しそうな顔をしていた。

「……そうか、俺の未熟が原因なんだな」

「自分を責めないでください。私が昨日あんな場所にいたことだって原因なんです」

スピカとバレッド、両名とも性根が善人であり自己犠牲的な部分があるために、責任の追い合いが続いた。

俺が、私が、俺が、私が、さすがに生産性がないと思ったのか、バレッドが話題を転換した。

「この話は後にしよう。それより、まずはスラムに帰らないと」

「バレッドさん、動けますか?」

「心配するな、血は止めた。一晩休んで気力も戻った。行けるさ」


神の加護を受けたスピカと実力者のバレッド。

二人は協力し合い、無事森を抜け、スラムに帰ってきた。
227 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/26(火) 21:46:10.65 ID:kadq3g0v0
スピカはひとまず拠点に帰ってきた。

バレッドも今夜はスピカの拠点に匿ってもらうことにしたようだ。

拠点に戻ると、アンカー・コンマ―のシンボルが赤熱していた。

「バレッドさんすみません。アンカー・コンマ―様に祈らないといけないので」

「あ、ああ、俺のことは気にするな」

バレッドに一言断りを入れると、スピカはシンボルの前に跪き、手を合わせ、ゾロ目の数字に祈った。





スピカのステータスを更新します。
今回は《魔力》と【スキル】を追加します。


【名前】スピカ
《体力》644
《魔力》安価↓1コンマ一の位
―――――――
《膂力》114+安価↓2
《知恵》219+安価↓3
《防御》122+安価↓4
《精神》189+安価↓5
―――――――
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 21:47:16.64 ID:N1HnN9AsO
魔翌力…MP的なやつか
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 21:49:36.63 ID:tGlCD8vZO
無事に帰れて何より
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 21:56:17.08 ID:1LX4qXoDO
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 22:00:08.84 ID:hCeL36z3o
せや
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 22:05:33.79 ID:pyiHYp+qO
うん
233 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/26(火) 22:16:00.94 ID:kadq3g0v0
スピカに向かう力の放流。

二度目だがやはり苦しいほど熱い。

「大丈夫なのか?」

「気に、しないでください」

心配するバレッドを止め、スピカはアンカー・コンマ―の力を受け入れた。

【名前】スピカ
《体力》778
《魔力》4
―――――――
《膂力》177
《知恵》227
《防御》206
《精神》168
―――――――


前回はこれで終わりだったが、今回はシンボルの赤熱が収まることはなく、さらなる力をスピカに与えた。
234 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/26(火) 22:18:10.49 ID:kadq3g0v0

スキルの説明
 
《魔力》を消費して特殊な選択肢を増やします。
 
《魔力》の消費はどのスキルも「1」です。
 
スキルの効果はステータスを参照します。
 
レアリティによって効果の上限が変わります。
 
相手が対抗してくる場合、スキルはコンマで判定します。その場合判定に使う値はステータスの元の値です。
 
☆1(レア度1)の場合(ステータスの半分の値を参照)


 

【パワースマッシュ】☆1
スピカの《膂力》50の半分だけ相手の《体力》を減らす。
対抗手段《防御》
 
相手が無防備なら判定なし、相手の《体力》を25減らす。
対抗してきたら判定あり、相手の《防御》を、自分の《膂力》に安価ででたコンマを加えた数字が越えたら成功
自動成功、自動失敗もあり得る。
 
 
その他スキルの例
 
【マインドバリア】
《精神》の半分を《膂力》に乗せる。(常時ではない)
 
【サーチ】
《知恵》の半分で周囲の敵の情報を完全に暴く
対抗手段《精神》
 
【ヒール】
《知恵》の半分で誰か一人の《体力》を回復する
対抗手段《防御》《精神》
 
【バインド】
《知恵》の半分で敵を《麻痺》にする。
対抗手段《防御》
 
 
レア度1のテンプレート
 
【スキル名】☆1
《ステータスのどれか》の半分
対抗手段

235 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 22:18:22.71 ID:tGlCD8vZO
精神だけ減ってるぅ!?
236 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/26(火) 22:19:54.80 ID:kadq3g0v0
失礼しました。

【名前】スピカ
《体力》778
《魔力》4
―――――――
《膂力》177
《知恵》227
《防御》206
《精神》268
―――――――
237 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/26(火) 22:26:55.45 ID:kadq3g0v0
今日はスキルを募集して終わりたいと思います。

安価↓1−5

テンプこっち使ってください
 
【スキル名】☆1
【効果】《》の半分で
【演出・エフェクト】任意
【対抗手段】


五つの内二つを安価で採用させていただこうと思います。
強すぎたりしたらこちらで調整するので、いろいろ出してくれると嬉しいです。
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 22:50:48.55 ID:ylxs0GMTO
【スキル名】キュアー☆1
【効果】《知恵》の半分で誰か一人の状態異常の強度を減らす。また強度を超えた分だけ《体力》も回復させる
【演出・エフェクト】治療対象の身体が淡い水色の光に包まれる
【対抗手段】 《精神》
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 22:55:50.50 ID:pyiHYp+qO
【スキル名】エクリプス
【効果】《精神》の半分の数値分未満のダメージを受けたとき、
ダメージを無効にし、そのダメージ分だけ自分の体力を回復する
【演出・エフェクト】身体から皆既日食の際に視認できるコロナのようなオーラが浮かび上がる
【対抗手段】《精神》
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/27(水) 00:02:38.29 ID:wp6QzQMi0
【スキル名】☆1 穿撃
【効果】《膂力》の半分のダメージを追加で与える。突きに適した武器でなければ(杖や斧など)、威力は0になる。
【演出・エフェクト】顔の前に武器を掲げ、構えを取り、力を込めて強烈な突きを繰り出す。
【対抗手段】《防御》

対象の《防御》の半分だけ、ダメージを減少させる。
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/27(水) 00:20:12.37 ID:dDtZnXj+O
【スキル名】
シルバーヴェイル☆1
【効果】
敵の攻撃時、《精神》の半分を防御判定値に加える。その後の判定の攻防値で勝っていた場合、その差の半分のダメージを相手に与える
【演出・エフェクト】揺らめく銀の燐光を全身に纏わせ、襲ってきた相手に魔翌力障壁による反撃を行う
【対抗手段】
《知恵》
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/27(水) 07:32:08.52 ID:rO7aaqdiO
【アコーダンス】☆1
【効果】自分の《知恵》の半分が、対象の《知恵》の数値を上回っている場合に発動できる。
対象の《体力》《魔翌力》以外のステータスをすべて、対象の《知恵》と同じ数値にする。
効果は長続きしない。
【演出・エフェクト】対象の頭上に水の波紋のようなエフェクトが現れたのち、対象の網膜に無秩序な幾何学模様が描かれる。
【対抗手段】《精神》
243 : ◆GsFNmlQwPk [sage]:2019/02/28(木) 00:23:11.68 ID:Imx6Gam70
すみません。今日はスキルだけ決定します。

安価↓1、2コンマ 被ったら一個下にずらします

01〜20【キュアー】
21〜40【エクリプス】
41〜60【穿撃】
61〜80【シルヴァーヴェイル】
81〜00【アコーダンス】
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/28(木) 00:34:49.05 ID:BCtFeM0H0
えい
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/28(木) 00:41:41.47 ID:q9AE9XkDO
はい
246 : ◆GsFNmlQwPk [sage]:2019/02/28(木) 23:09:11.50 ID:Imx6Gam70
夜遅いですが少し再開です。
【キュアー】の設定を少し変更させていただきました。





【キュアー】☆1
【効果】《知恵》の半分で誰か一人の体力を回復する。状態異常を回復する場合強度を超えた分だけ《体力》も回復させる。

【穿撃】☆1
【効果】《膂力》の半分のダメージを追加で与える。突きに適した武器でなければ(杖や斧など)、威力は0になる。


祈りを捧げるスピカの体に、今までとは別の力が宿った。

(これが……、【スキル】……)

急な力の増加はスピカの体にひどい負担をかけた。

スピカはスキルの存在を感じ取りながら気絶するように眠った。

247 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/28(木) 23:10:27.24 ID:Imx6Gam70
翌朝、スピカは太陽が昇る前に起きた。

(また強くなってる)

【ジョブ】が宿ってまだ三日目。だというのにスピカの体は当初とは比べ物にならないほど強大な力を手にしていた。

おもむろに転がっていた石を拾い摘まみ上げる。

別に普通だ。石を持った感覚も、硬いという感触も。

スピカが力を籠めると石は容易く粉々になった。

(力加減とか、間違えないようにしないとなぁ)

もし子供たちの手を握ったとき、うっかり力いっぱい握ってしまったら大変だ。

幸いこれまでと同じ感覚で体を動かせば、【ジョブ】を得る前と同じ力加減で体を動かせる。

今は、その先の力が発揮できることに気を付けていれば何とか普通に過ごせそうだった。
248 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/28(木) 23:11:01.24 ID:Imx6Gam70
スピカの拠点ではバレッドが寝ていた。

呼吸が深く少し頬をつついたくらいでは身じろぎもしない。

昨日は大丈夫と言っていたが、空元気だったのだろう。

結局彼は太陽が顔を出し、配給へ向かう時間になっても起き上がらなかった。

さっそく手に入れたスキルの【キュアー】を使い、バレッドの傷を治した。

それでも彼が目を覚まさないのは、単純な気力、体力の回復が出来ていないからなのだろう。

森で怪我を負った彼は、痛みと警戒で満足に寝ていないはずだ。

今の彼に必要なのは十分な睡眠だった。

スピカは子供たちを連れて配給へ行き、今日は子供たちともゴミ捨て場に行かず拠点に帰ってきた。
249 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/28(木) 23:13:24.45 ID:Imx6Gam70

スピカは、彼が起き上がるのを待って協力者になって欲しいと改めて相談を持ち掛けてもいい。
バレッドが眠っている間に他の協力者候補の下へ向かってもいい。

安価↓1
・バレッドを仲間にする(バレッドは起き上がり仲間になります)
・ほかの仲間候補に接触する

安価↓1がバレッドを仲間にするを選んだ場合
安価↓2−3
賛成
反対(別の行動を提示する)

反対が一人でも反対意見を優先します
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/28(木) 23:17:40.20 ID:DApsfXhq0
ほかの仲間候補に接触する
251 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/28(木) 23:53:44.27 ID:Imx6Gam70
「スピカちゃん、この兄さんだれ?」

「んー、有名人だよ。バレッドさん」

「バレッドって、あの義賊のバレッド!?」

「そ、ちょっと怪我してるからお休みしてるの」

「へえ、こんな顔してたんだ」

スピカの拠点に来ていた年長の子供が、バレッドの顔をまじまじと見て感心していた。

「……くっ、ここは」

すっかり寝入っていたはずのバレッドが体を起こした。

「バレッドさん、無理をしないほうがいいです」

「いや、大丈夫だ。それより水をくれないか?」

スピカから受け取った水で喉を潤すと、バレッドはスピカを見て申し訳なさそうな顔をした。

「……昨日の、協力者になるって話だが」

「はい」
252 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/28(木) 23:54:17.09 ID:Imx6Gam70
バレッドは協力者になることを渋った。

というのも、自分はスラムの悪党に命を狙われている立場であり、協力者となればスピカや子供たちを危険にさらしてしまうかもしれない、と。

きっと自分より協力者にふさわしい人間がいるはずだから先にそちらをあたってくれ、と。

「どうしても協力者が見つからなくて、もう俺しかいないとなったら依頼所のカウンターに座る男にこれを渡してくれ。俺につながるはずだ」

そういうと、バレッドは一つの弾丸を取り出してスピカに渡した。

バレッドの扱う特殊な銃専用の弾丸だ。

バレッドはフードをかぶると外を警戒しながらスピカの拠点を去ってしまった。

(仕方がない、のかな)
253 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/02/28(木) 23:56:57.29 ID:Imx6Gam70

※これ以降いつでもバレッドを仲間にできます

※「療養のために寝ているバレッドを放って仲間探し」という展開はスピカの性格に合っていないと思ったので、少し展開を変えました。

スピカはどの仲間候補に接触しますか?
安価↓1
ウィリアム(仲間にするために手切れ金を工面する)
クリシゥス
アラン
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/01(金) 00:01:00.80 ID:LeoDJhcP0
次はクリシゥスで
255 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/01(金) 00:02:51.03 ID:xr3ZtthB0
次はクリシゥス編ですね。
今日はここまでにさせていただきます。短くてすみません。
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/01(金) 00:18:51.65 ID:9ddG/T/FO
おつかれ
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/02(土) 18:24:40.45 ID:fckY2jJqO
おっ、大丈夫か大丈夫か
258 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/03(日) 23:32:35.45 ID:uwpivsG+0
毎度おなじみ夜中の再開です。
>>257心配してくれてアトザマス。昨日はお出かけしてました。


今回も協力者を得られなかった。

となると仲間候補は後二人だが。

「クリシゥスさん、かな」

二人の内、スピカが選んだのはクリシゥスだった。

理由は単純に、アランが子供だからだ。

スピカは自身のことを完全に棚に上げてクリシゥスを探した。




スピカは依頼所で彼を見つけた。

相変わらず顔立ちは整っているのに威圧的な印象だ。

獲物のサーベルを整備している途中だからか余計に彼の周りの空気が張って見える。

以前依頼の件で多少親密になったとはいえ、スピカはまだ彼に声を掛けるのが少し怖かった。



依頼所でクリシゥスを見つけたスピカ。
冷静だが守銭奴の彼を協力者に引き入れるには交渉が重要だ。
スピカは誠心誠意思いを伝えてもいいし、一度ビジネスライクな関係を気づいてもいい。
勿論交渉しない手もある。

自由安価↓1
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/03(日) 23:41:46.66 ID:2IQkf3g/O
誠心誠意思いを伝えたあと、あえてビジネスライクなお話へ移り交渉しようと試みる
両方が不可能なら、思いを伝える方のみで
260 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/04(月) 23:40:57.65 ID:xR7l5TFY0
昨日は寝落ちしてすみませんでした。それと、安価は思いを伝えるのみを採用させていただきました。







スピカはクリシゥスがサーベルの点検を終わらせたタイミングを見計らって声を掛けた。

「おはようございます。クリシゥスさん」

「ああ、スピカか。どうした? 割のいい話でもあるのか?」

「割のいい話、ではないと思いますけど、クリシゥスさんにお話があるんです」

「……まあ聞いてやる」

「ありがとうございます! あの、実は私、【ジョブ】が宿りまして……」

「ちょっと待て」

「はい?」

「場所を変えるぞ」

「は、はい」
261 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/04(月) 23:41:41.44 ID:xR7l5TFY0
スピカはクリシゥスに連れられてスラムでも人気のない場所に来た。

「ここならいいだろ、続きを聞かせてもらおうか」

クリシゥスに促されたので、スピカは要件を包み隠さず話した。

魔力も纏って見せ、スピカが【ジョブ】を持っているという確かな証拠も見せた。

全てを聞き終わったとき、クリシゥスはひどい頭痛に襲われているような顔をしていた。

「お前、それはもう誰かに話したのか?」

「はい、ウィリアムさんとバレッドさんに」

「……そうか」

(あのお人よしどもなら少なくとも言いふらされることはなさそうだな)

「あの、何か言いましたか」

「いや、なんでもない。少し考えさせてくれ」
262 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/04(月) 23:42:12.10 ID:xR7l5TFY0
クリシゥスはスピカの提案について思案する様子を見せて、頭の中では別の算段を巡らせていた。

(この話を知っているのが全員お人好しでよかった)

(出なけりゃ今頃、甘い言葉に騙されて【ジョブ】だけ取られていたな)

クリシゥスが話を整理した限り、スピカは『誰に【ジョブ】を宿らせるか決める権利』を持っている。

これは今のスラムどころか、塔の中で暮らす人間ですら持っていない、つまりスラムの住人にとっては無限の価値を持つ権利だ。

生まれつき【ジョブ】を持っている塔の中の人類近縁種はともかく、生まれてこの方【ジョブ】がないというだけで虐げられてきたスラムの住民にとっては喉から手が出るほど欲しいはず。

現在スラムで幅を利かせている集団のボスでさえ、これまでの稼ぎをなげうって【ジョブ】を買うだろう。

(適当に協力するふりをして【ジョブ】だけもらっちまうか?)

少し魔が差したクリシゥスだが、すぐに冷静になり考え直した。
263 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/04(月) 23:42:43.04 ID:xR7l5TFY0
(いや、いくらスピカに相手を選ばせるにしても、神がそんなヘマをするはずがない)

(もしスピカが俺を選んだとしても、神に選ばれないなんて可能性は十分にありうる)

(だが、素直にスピカの協力者になったとしても、慈善事業なんて俺に耐えられるか?)

【ジョブ】を得て稼ぐ手段と言えば、なんといっても自然界へ赴き命がけの冒険をして価値のある品を持ち帰ること。

しかし、スピカに協力するとなれば、その稼ぎのいくつかは無償の奉仕に当てられることになる。

そんな未来を許容できるか。

クリシゥスは自身は葛藤した。スピカのまっすぐな目を睨むように見つめる。

(スピカをシンボルにしてビジネスができるか?)

スラムでは貧民区崩れの【ジョブ】持ちがお山のボスをやりながら金を稼いでいる組織もある。

そのうちの一つを手中に収めて、規模を拡大してゆけば結構な金が稼げる。

スピカのやろうとしていることにだってかなりの金と組織力が必要になるはずだ。

自分はお金の稼げるポジションにつき、スピカはスラムで縄張りを手に入れて生活環境の改善が見込める。

相互利益のある話だ。

クリシゥスの腹は決まった。
264 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/04(月) 23:43:30.21 ID:xR7l5TFY0
「スピカ、協力者になってもいいんだが、一つ頼みがある」

「はい! なんでしょう!」

スピカはクリシゥスの返事が色よい咆哮に進んでいると感じて、声を弾ませた。

もうすでに二人には渋い返事をもらっている。この際条件の一つや二つ喜んで飲み込むつもりだった。

「俺が”協力者になったら”、最初は俺とこの辺のスラムを縄張りに収めて欲しい」

「縄張り、ですか? でも、そんなのどうやれば」

「この辺を縄張りにしているのは貧民区崩れの【ジョブ】もち、ハンプトって男だ。奴を、まあ、追い出す」

「それは、人と戦うってことですよね……」

「ああ。だが、これはスラムのためだ。依頼所の異常な手数料も、弱者を追いやるような区画整理も全部奴の采配だ」

「ちょっと、考えます」
265 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/04(月) 23:48:10.85 ID:xR7l5TFY0

クリシゥスは仲間になってくれるようだが、その条件としてスピカは人に【ジョブ】の力を向けなければならない。今までは相手がモンスターだったが、人となれば覚悟がいる。
スピカはクリシゥスを協力者に選んでもいいし、別の仲間候補に接触してもいい。

安価↓1
・クリシゥスの提案に乗る。
・別の仲間候補を当たる。
・その他自由 (交渉の仕方を変えてみる。もっと欲しい情報がある、など)

※「クリシゥスの提案に乗る」場合、クリシゥスが仲間で決定するので、追加安価↓2,3の「賛成」が必要になります。
※追加安価が出た場合↓2、3の方はスピカがどんな行動をとるか安価↓1の選択から選んで書いてください





それと本日の更新は以上です。執筆速度はやくなりたしん。
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/05(火) 00:19:15.14 ID:n+pyqI/80
スピカにとってはかなりきつい条件な気がするし
とりあえず保留してアランにも声かけよう
全員の条件把握しておきたいし
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/05(火) 00:25:02.46 ID:4zZLWTf4O
だね。やっぱり大人は欲しいところだがアランを見にいって
緩々ならアラン、程々だったらお金貯めるor毛皮でウィリアムが妥当か?
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/05(火) 00:38:58.51 ID:bj7gz7RRO
ウィリアムは確かにスピカの能力を補う為にも仲間に欲しいよね
でも条件厳しめだし無理せず遠距離攻撃できるバレッドを仲間にしてもう一人仲間増やせるようになったらウィリアムの為にお金か獣狩りするのもありかもね
269 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/06(水) 00:34:24.09 ID:OfpG8PvX0
スピカは思い悩んだ。

いかに相手が【ジョブ】持ちと言っても、人に剣を向ける。

そんな自分を想像して、スピカは背筋が震えた。

「すみませんクリシゥスさん。この話、いったん保留にさせてくれませんか?」

「……怖気づいたか?」

「……はい。私から話を持ち掛けたのに、申し訳ありません」

「そうか」
270 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/06(水) 00:35:04.55 ID:OfpG8PvX0
クリシゥスは内心舌打ちした。もっと慎重になるべきだったと。

彼はスピカの真性のお人よしを侮っていた。その良心の奴隷ともいえるほどの甘さを。

自分の失敗だ。これ以上粘るのは得策でないと気持ちを切り替える。

クリシゥスの目的は金であって【ジョブ】の獲得ではない。

スピカとのつながりを絶たなければ金を稼ぐ手段はある。

「俺は構わないが、スピカはどうする。ウィリアムやバレッドは頼りづらいんだろう?」

「はい、なのでアランを訪ねてみようと思います」

クリシゥスもアランという名は知っていた。ハンプトの縄張りでは最も大きな孤児グループのリーダーだ。

疑り深いアランはハンプト組織とつながりを持っていないし、同じ孤児のリーダーを務めているスピカには協力的だ。

事情があって協力を断ることはあっても、【ジョブ】の話を吹聴することはないだろう。
271 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/06(水) 00:35:32.96 ID:OfpG8PvX0
「アランか。まあアイツは真面目だからな」

スピカは自身の優柔不断な態度にクリシゥスが気を悪くするのでは心配したが、そうで内容で安心した。

しかし、次にクリシゥスは険しい雰囲気を纏った。

「スピカ、俺から二つ警告だ」

「なんでしょう?」

「まず、【ジョブ】の話をする人間はちゃんと選べ。口が堅くて、善人、それが条件だ」

「はい」

スピカはしっかり頷いた。そうしてきたつもりだし、今協力を頼もうとしている人はクリシゥスを含めてそういう人だと信じている。
272 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/06(水) 00:36:16.76 ID:OfpG8PvX0
「それと、スピカが理想を実現したいなら、おそらく俺の言ったようなことをしないといけない日が来る。自分ができないと思ったら俺を頼れ」

「助けてくれるんですか?」

二つ目の忠告はスピカにとってかなり厳しいものだった。

不安げに声を震わせて聞くと、クリシゥスはいたって真面目な様子で答えた。

「金と条件次第だ」

スピカは一瞬思考停止した後、「ふふっ」と笑ってしまった。

クリシゥスの頼りになるお兄さんのような言葉と、アコギな断言がスピカには特別おかしく感じられた。

「クリシゥスさんって、少し変わってますよね」

今度はクリシゥスが驚く番だった。

さっきまで緊張の面持ちで話していたちんちくりんが急に悪戯っぽい笑みを浮かべたのだ。

しかもクリシゥスにとっては報酬は払われてしかるべきもの。

当然の権利。常識。

変わっているのはスピカの方で、そのへんてこな物差しで測られて「変わっている」と言われても腑に落ちない気分だった。
273 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/06(水) 00:36:42.35 ID:OfpG8PvX0
「お時間を取らせてしまい申し訳ありませんでした」

「ああ、気にするな」

スピカはクリシゥスと別れ、アランを訪ねることにした。

結局最後の協力者候補までめぐることになってしまったが、仕方のないと。

元より簡単に協力者を得られるとは思っていないし、その程度で諦める気持ちはない。

アランは彼の拠点に行けばすぐに見つかった。

彼の拠点はかつて使われていたであろう乗り物の残骸だ。

四角い箱がいくつも連結した乗り物が横転したり地面に埋まったりしている。

そんな場所を根城にしている。
274 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/06(水) 00:37:16.35 ID:OfpG8PvX0
「アラン君、少し相談があるんだけど、いいかな?」

「スピカ。なんだ?」

スピカはクリシゥスの警告もあったので、アランを乗り物の影に連れ込んで小声で事情を話した。

さすがに前に三人同じことを話しているので、かなり要領よく伝えられたはずだ。

だが、アランは苦々しい顔をした。

「提案には乗りたいところだけど、難しいな」

「ど、どうして?」

スピカは最後の一人にも快い返事をもらえず、少なからず動揺した。

「実は、最近新しいメンバーを迎え入れたんだが、そいつら病気で弱ってるんだ。今、俺がグループを離れるわけにはいかない」
275 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/06(水) 00:37:42.44 ID:OfpG8PvX0
なんでも、アランの新メンバーは孤児の中でも相当低い立場にいたようで、スラムの境界線を少し越えた場所での生活を余儀なくされていたという。

そのせいで汚染魔力を浴びてしまい、俗にいう「人外病」にかかってしまったという。

人外病とは汚染魔力の影響で体をあらゆる不調が襲う病だ。

末期には感染者の見た目が奇形化することや、【ジョブ】を持たない人類近縁種がかかりやすいため、人外病などと言われている。

「浄化薬が買えたらすぐに治るけど、んな金はねえからな。いいもの食わせて少しづつ汚染魔力を吐き出させないといけない」

だから、スピカの協力はできない。

アランはきっぱりい切った。

スピカはアランが仲間思いだということを知っていたし、そうでなくても目を見たら決意が固いことなんて一目瞭然だ。

「その、浄化薬はいくらするの?」

「100マナ。でも、素材を持ち寄ればもっと安くなったはず」

「そう、なんだ……」
276 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/06(水) 00:47:34.81 ID:OfpG8PvX0

アランを協力者に引き入れるためには浄化薬を買って汚染魔力に侵された子供たちを治してあげないといけない。
スピカは薬のために尽力してもいいし、別の協力者候補を当たってもいい。
自由安価↓1




見返して気づいたのですが>>259がゾロ目だったので、ボーナス入れようと思います。

ゾロ目ボーナスをどう使いたいか。
確定仲間、【スキル】習得、ステータス更新安価など
自分が書けそうなものを採用させてもらおうと思います。
安価↓2、3、4

3/5分の更新は以上です。おやさい。
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/06(水) 00:59:33.17 ID:3z6HK7ZPO
仲間集めを一度保留
依頼所に行き、100マナを貯める(ウィリアムorアラン)に向いた依頼をいくつか目星をつける
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/06(水) 01:07:09.54 ID:adpStbx+O
確定仲間ってウィリアムでもできる?
問題の手切れ金に関しては、誤ってゴミ捨て場に落ちたらしい金貨の入った袋を運良く偶然拾えたとか
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/06(水) 01:08:39.31 ID:qBNgzcFT0
乙です
現状だとバレッドしか仲間に出来ないしね一旦保留が妥当かな
出来るだけ早く仲間が欲しいからはぐれメタル的なレアなボーナスモンスターが一体はぐれて境界線の近くに紛れ込んでるとかどうかな?
あと質問もしも100マナ貯めるの厳しそうなら仮にバレッド仲間にするとするじゃん?
そのあとも仲間が増やせる感じ?
仮に増やせたら最大パーティー人数は何人まで?
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/06(水) 14:38:35.41 ID:8mPlQo+C0
ゾロボーナスが仲間確定に使えるならウィリアムの引き込みかな
ウィリアム入れば大人の戦力でクエストこなし易い→マナが溜まりやすい、装備や環境整えやすいで他の候補の条件や孤児の面倒とか色々楽になるだろうし
281 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/08(金) 00:46:04.33 ID:B/0qCgUg0

>>278,>>279
確定仲間でウィリアムもありです。
それと今回は四人の中で選んでいますが、次回は新しく安価しようか今の四人の誰かにしようかは未定です。
282 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/08(金) 00:46:45.60 ID:B/0qCgUg0
「力になれなくてわるいな」

「ううん、仕方ないもんね」

スピカはアランと別れると、その足で依頼所へ向かった。

アランの浄化薬やウィリアムの手切れ金100マナを稼げるような依頼がないか目星をつけるためだ。

(神様からたくさん力を頂いたんだから、きっと難しい依頼だってこなせるはず)

ほどなくして依頼所にいた。

中に入ると、この前とは様子が違った。

昨日ゴミ拾いをしている最中に遠目に見た貧民区の三人がいたからだ。

「なあ、いいだろ? この依頼受けさせてよ」

「昨日はちゃんと私たちだけでウルが倒せたわ」

「二人がかりで一匹倒しただけだ」

彼らは周囲の迷惑そうな顔に全く気にした様子も見せずに、依頼所の中で言い争っていた。
283 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/08(金) 00:47:21.81 ID:B/0qCgUg0
「おい、喧嘩なら外でやれ」

受付の男の言葉を皮切りに、依頼所内の【ジョブ】なし探索者たちが貧民区の三人を囲み始めた。

「んだよ、やんのか?」

「『人外』のくせに、生意気」

「やめろお前ら」

多人数に囲まれていきり立った男女二人を、付き添いの大人が押しとどめる。

「騒がせて悪かったな。すぐに出てゆく」

そういうと付き添いは問答無用でエレタマとウルの討伐依頼を受けて、入り口に立つスピカの横を通り過ぎて行った。

「どけよ」

「わっ……」

後に続いて男女二人もわざわざスピカを押しのけて出て行った。
284 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/08(金) 00:52:23.65 ID:B/0qCgUg0
嵐が去り弛緩した空気の依頼所の中。

お互い災難だったな、とねぎらい合う雰囲気が漂う中にスピカもいた。

被害者同士という共通意識だろうか。

変な受け入れられ方をしたスピカは、以前よりも落ち着いて依頼を見ることができた。

(100マナ稼げそうな依頼は、二つかな……)

【シュギョクの討伐】
(難易度3)70マナ

【ヤマヌの毛皮調達】
(難易度3)70マナ


スピカはどちらかの依頼を受けてもいいし、両方でもいい。
今日は依頼を見るだけで他にやりたいことを優先してもいい。
自由安価↓1


更新以上です。おやさい。
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/08(金) 07:05:13.06 ID:/Vku6x2H0
ヤマヌの毛皮調達
286 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/10(日) 21:16:11.25 ID:abcjZhl50
お久です。再開します。


スピカが依頼を受けようか否か迷っていると、唐突に心臓が大きく脈打った。

ウル・シと戦ったときに感じた全身の血が沸騰するような感覚。

圧倒的な全能感。

以前は突然のことで驚き拒んでしまったが、今度はその感覚を受け入れた。

今、客観的にスピカを見ている者がいたら、その碧の瞳が深紅に染まっていると気付けるだろう。

赤くなった視界の中で、スピカは依頼を眺めていた。

いや、俯瞰していた。

(この依頼を受ければいい……)

それは直感的であったが、同時に確信もしていた。

自分はこの選択を選べばいい。

そうしたら運命はすべて自分に都合よく転がる、と。

287 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/10(日) 21:17:08.49 ID:abcjZhl50
あの不思議な感覚はどれだけ受け入れても永続できるものではないようで、視界は元に戻り、世界を俯瞰するような全能感も冷めてしまった。

「ふぅ……」

癖になりそうな感覚が過ぎ去り、スピカは一抹の寂しさを覚えながらも落ち着いた。

スピカは【ヤマヌの毛皮調達】という依頼を受けることにした。

理屈ではない。

これでいいのだ。

スピカは依頼の書かれた板の下に自身の名前を炭で記入した。

ちらりと受付の男の様子を伺ったが、彼はスピカに思いとどまらせようとするわけでもなく、嘲笑するでもない。

スピカどこかほっとしながら依頼所を出た。



不思議な確信をもって依頼を受けたスピカは、このまま依頼遂行のために森へ赴いてもいいし、他にやりたいことがあるならそれを優先してもいい。

自由安価↓1,2 

288 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/10(日) 21:24:34.46 ID:8jxUpBa2O
ゴミ捨て場に装備品や道具がないか確認してから向かう
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/10(日) 21:38:19.93 ID:gYNHV8iu0
ヤマヌと周囲の危険なことについて情報収集しておくとか(時間があるなら)
290 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/10(日) 22:08:59.33 ID:abcjZhl50
スピカはゴミ捨て場に向かうことにした。

あわよくば装備や有用な道具が落ちていないか期待して。

すでに昼下がりとあり、ゴミ捨て場にいる人影はまばらだった。

仕事のある者はそちらへ行き、そうでない者は朝と夜の配給だけで生きられるように活動を自粛している時間なのだ。

(そういえば、今日はご飯食べられなかったな)

朝の配給に行かなかったためいつもよりお腹がすいていたが、スラムで食事が出来ないなんて珍しいことでもなかった。

スピカは慣れた動きでゴミをあさった。
291 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/10(日) 22:09:29.20 ID:abcjZhl50

自由安価↓1,2 何を見つけられたか。武器、防具、アイテム、日用品、なんでも

・テンプレ
【名前】
【効果】
【フレーバーテキスト】任意

・コンマ判定
01〜50 使い物にならない
51〜90 粗悪品(レア度1)
91〜00 普通(レア度2)

レア度での能力値の調整はこちらで行うので、

【効果】《精神》を上げる
【効果】《体力》を回復する

みたいな書き方でお願いします。
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/10(日) 22:21:04.06 ID:8jxUpBa2O
【名前】未開封の携帯食
【効果】体力を回復させる
古の文明の産物。不思議な包装により中身の食糧が傷むことがない
もそもそとしているが、栄養は豊富。疲れ傷ついた身体も元気になることだろう
塔の住民はさらに味を選ぶらしいが、これは何味なのだろうか?
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/10(日) 22:36:04.26 ID:tCiOQctuO
【名前】黒蝶貝の念珠
【効果】《精神》《知恵》を上げる
108個の小さな黒蝶貝で出来た珠に、糸を通し輪にした法具
本来ならば、珠の一つ一つが濡羽色の煌きを放ち、見惚れるような艷やかさを持つ
状態が良ければそれなりの値段で売れそう
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/10(日) 22:38:19.33 ID:tCiOQctuO
あちゃあ…どっちも駄目みたいですね
295 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/10(日) 23:34:27.59 ID:abcjZhl50
ゴミ捨て場でスピカがこれだと思って拾ったものは2つ。

一つは見たこともない銀の梱包をされた携帯食料だった。

おそらく魔導文明期の道具なのだろう。

そう思い拾い上げて開封してみると、中身は一目でダメになっていると察せられる状態だった。

きっと製造段階で欠陥のあった商品なのだろう。

2つ目は射干玉の珠が連なった一種の装飾品だった。

拾い上げたところ、糸が切れていたらしく、黒い珠は泥で作った団子のように崩れてしまった。

前の持ち主が酷使し、形状を保てなくなっていたのだろう。

「使えるなら捨てるわけないよね、こんないい品物」

スピカは一種の納得を経て今日のごみ漁りを断念した。
296 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/10(日) 23:35:13.41 ID:abcjZhl50
次に、スピカはヤマヌに関しての情報を集めることにした。

スピカはヤマヌに関してまるで無知だ。

ヤマヌを知らなければ倒すことも叶わない。

そういった情報を教えてくれる人と言えばまず最初にクリシゥスが頭に浮かんだ。

しかし、彼がただで情報を提供してくれるとは思えなかった。

たった数回の交流しかないが、その部分に間違いはないだろう。

となると、身近で自然界に詳しそうな人物と言えば一人しか思いつかなかった。

「ウィリアムさん。少しお聞きしたいことがあるんですけど、いま大丈夫ですか?」

「構わない」
297 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/10(日) 23:36:40.95 ID:abcjZhl50
今日も自然界との境界を警邏していたウィリアムに付き添い、話を持ち掛けてみる。

「ヤマヌって、知っています?」

そう聞くと、ウィリアムは黙ってしまった。

口をもごもごと動かし、言葉を選んでいる様子だった。

その態度はヤマヌについて知っていると言っているようなものだった。

「教えてください」

スピカは強く迫った。

その際、スピカの瞳が一瞬深紅に輝き、ウィリアムはそれを見てしまった。

「知っている。この前俺のボスが欲しがっているという毛皮の話があったろう。それはヤマヌの毛皮のことだ」

「もっと詳しく」

「ヤマヌは森の深層にいる。ウルよりも大きく美しい黒の毛並みの持った二首の獣だ。森の深層にはシュギョクも出るという。気を付けたほうがいいだろう」
298 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/10(日) 23:37:11.66 ID:abcjZhl50
「ありがとうございます」

「……っは!? お、れは何か、言ったか」

「? 懇切丁寧に教えてくれたじゃないですか」

「なんてことだ。変に頭がぼーっとして……。いいかスピカ、間違ってもヤマヌと戦おうとするんじゃない。たとえ【ジョブ】を持っていたとしてもだ」

どこか様子のおかしいいウィリアムに促され、スピカはスラムの中に帰されてしまった。

どっちにしても今日は時間がない。

今から森に向かったとしてもすぐに火が落ちてしまうだろう。

明日、森の深層に向かことに決めて拠点に帰った。
299 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/10(日) 23:37:55.38 ID:abcjZhl50
次の日。

ちゃんと配給も貰い、子供たちの面倒を見ながらのごみ漁りも済ませたスピカは、剣とナイフを携え、外套を羽織り、指にアクセサリを付けて出発の準備を整えた。

「スピカちゃんまたお出かけかー?」

「うん。夕方には帰ってくるからいい子にしてるんだよ」

「わかってるよー」

腰にくっついてくる子供の頭を撫でてスピカは森へ向かった。


スピカの森でのイベント 自由安価↓1
累計コンマ100で深層到達
コンマ30以下は問答無用で戦闘
ゾロはボーナス
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/10(日) 23:48:40.58 ID:sy0zvy+NO
森を散策している変わり者の人と出会った
301 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/11(月) 00:25:24.59 ID:GBYWrvKW0
スピカが森を駆けていると、前方に気配を感じた。

《ウル》の探るような気配とも、《エレタマ》の無機質な敵意とも違う。

距離を置いて速度を落とし、気配の正体を探りながら近づく。

「人……?」

森の中で、男がふらふらと無防備に突っ立っていた。

周囲を警戒している様子もなく、何かを探している様子もない。

装備を身に着けているわけでもない。

子供のスピカが言うのもなんだが、森に似つかわしくない人物だ。

スピカが近寄って声を掛けてみた。

「何をしているんですか?」

「ん? 僕は森を散策しているんだ。この美しい世界、スラムの退廃的な景色と比べたらまるで楽園だ」

男はうっとりと目を細め、熱のこもった吐息を漏らし、近くに実っていた木の実を愛おしそうにつまんだ。

その木の実は表面に強酸性の毒をもっているようで、男の手は焼けただれているのだが、彼が気にした様子はない。

(この人、人外病なんだ……)

おそらくスラムに居場所がなく、自然界に追いやられた結果汚染魔力に当てられたのだろう。



スピカはこの狂った男を助ける手段を持ち合わせている。
《魔力》を1消費して、【キュアー】を唱えてやればいいのだ。
スピカはこの男を助けてもいいし、無視して奥に進んでもいい。
安価↓1
302 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/11(月) 00:30:02.11 ID:GBYWrvKW0

今日はもう遅いのでおやすみなさい。お付き合いどもでした。
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/11(月) 00:30:14.82 ID:uZ8VMxpEO
あえて見捨てる
難易度高い依頼で他人に構ってられる程の余裕はまだないし、こういった決断を今のうちから覚悟させる意味もこめて
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/11(月) 08:41:07.20 ID:z8Nn+5pGO
ここでの選択が後々に響いてきそうだな
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/11(月) 20:57:49.34 ID:cfEJ+vjg0
癒したところで、居場所になってあげられるような財政じゃ無いしね……
306 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/11(月) 21:48:01.99 ID:GBYWrvKW0
スピカは男に【キュアー】をかけて正気に戻すことを思いついた。

スキルを使ったことがないので確証はないが、神から授かったなのだから試す価値はある。

手をかざした。

魔力を込め、水色の光が手のひらに集まる。

ふと、指にはめた指輪がぬらりと光った。

——俺のことは見捨てたのに

「……っ!」

誰かにそう言われた気がした。

手のひらに集めた癒しの光が消える。

(……この先どんな危険が待っているかわからないし、この人だって、狂っていたほうが幸せかもしれない)

スピカは力なく手を下げた。
307 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/11(月) 21:50:04.46 ID:GBYWrvKW0
今、この男の人を助けられないのは自身の力不足が原因だ。

なぜなら、スピカがヤマヌを楽々倒せて、何度もスキルを唱えられて、スラムにこの男の居場所を作ってあげられる力があれば、保身を考えずにすべて解決できるからだ。

スピカに無限の力があれば助けられた。

ばかばかしい、荒唐無稽、そう笑うかもしれないが、スピカはそうありたいと思っているし、だからこそ力を求めている。

だから今は助けない。

自然界で優しさは甘さと同義。

スピカは森の奥へ向けて駆けだした。

(でも、本当にこれでいいのかな)

スピカの胸の中にはしこりが残った。



スピカの森でのイベント 自由安価↓1
累計コンマ100で深層到達(現在58)
コンマ30以下は問答無用で戦闘
ゾロはボーナス

308 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/11(月) 21:53:30.11 ID:16g/pnn20
スピカのそっくりの幻が現れる
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/11(月) 21:54:51.95 ID:2Ds5Hk+DO
何故か男がスピカについていく
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/11(月) 22:13:30.76 ID:z8Nn+5pGO
ナイスゾロ目
311 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/11(月) 22:16:45.82 ID:GBYWrvKW0

森の深層を目指して走っていたスピカだが、視界の端にあるものを捉え、急旋回しそちらへ向かった。

(きっと見間違いのはず……)

自分が見たものを信じられず、内心で呟く。

スピカがたどり着いたのは森の開けた場所だった。

何かの祠が中央に据えられており、穢れを知らぬ白い花が一面を埋めている。

毎度思うことだが、その危険度とは裏腹に、森の中には美しい場所が多い。

純白の花園の中、祠の前に人影は立っていた。

「う、そ」

スピカは思わず口元を抑えた。

なぜなら、その人影はスピカそっくりの見た目をしていたからだ。

埃に汚れた白銀の髪、翠玉を思わせる瞳、華奢な体。

まさに瓜二つ。

だがどこか現実味がなく、今のスピカとも少し違うような気がした。

これも自然界の悪戯だろうか。

もう一人のスピカは、スピカに微笑みかけて来た。


ゾロ目なのでボーナスです。
安価↓
【1】ステータス成長安価
【2】スキル獲得
【3】レア度3装備・アイテム獲得
【4】その他

得票2で決めます。【4】に投票する場合はどんなボーナスがいいかも書いてください。
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/11(月) 22:25:12.45 ID:z8Nn+5pGO
2
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/11(月) 22:26:01.82 ID:/XOWX774O
1
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/11(月) 22:32:06.37 ID:FFZ8V5AM0
2
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/11(月) 22:32:15.30 ID:ICffp3ox0
1
316 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/11(月) 22:44:01.58 ID:GBYWrvKW0
スキル安価↓1

スキルのルール>>234


テンプレ
【スキル名】
【レア度】コンマ 01〜50で☆1、51〜00で☆2
【効果】《ステータスのどれか》で判定。なにをどうする?
【演出・エフェクト】任意
【対抗手段】 ステータスのどれか。対抗表に沿わなくてもいい。


強すぎたり弱すぎたりした場合はこちらで調整させていただくかもです。
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/11(月) 23:28:10.75 ID:h7vX78jkO
前のシルバーヴェイルでもOK?
駄目なら安価した
318 : ◆GsFNmlQwPk [saga]:2019/03/11(月) 23:59:04.22 ID:GBYWrvKW0
シルバーヴェイルありです。コンマ75なので☆2の強さには変更させてもらいます。

今日はここまで。お付き合いアトザマス。


今後スキルや装備の獲得はある程度ランダムにしようと思うので、常時募集をかけたいと思います。
一人何個書いてくれても構いません。
寧ろ多いならそれだけ嬉しいまである。



スキルテンプレ
【スキル名】
【レア度】都度コンマ判定
【効果】
【演出・エフェクト】任意
【対抗手段】

アイテムテンプレ
【名前】
【レア度】都度コンマ判定
【分類】武器、防具、道具など
【効果】
【フレーバーテキスト】


効果の調整はコンマで判定したレア度に合わせてこちらで調整するので、どんな効果でもとりあえず書いてみてください。
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/12(火) 00:01:47.46 ID:isugsJWHO
おつ
安価が来るのを待ってたらきりが無いもんな…
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/12(火) 00:11:54.15 ID:isugsJWHO
【ハイトルク】(スキル)
【効果】《知恵》を参照。任意の相手の《膂力》《防御》にそれぞれ《知恵》の半分を上乗せする
【演出・エフェクト】効果適用中、揺らめく赤いオーラを纏うようになり、若干好戦的になる
【対抗手段】《精神》
321 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/12(火) 00:52:33.12 ID:VsQLKu1oO

【名前】馴染む大枝
【レア度】
【分類】武器(杖)
【効果】 知恵を増加
【フレーバーテキスト】
樹海の巨木から折れた枝らしい。ただの枝の筈なのだが、自然界の産物故に魔翌力を宿している
捻り曲がったフォルムはそのまま杖に見えてしまうほどであり、硬さも申し分ない
このままでもいいが、宝玉などをつければさらに立派なものになるだろう

【名前】硬い葉っぱ
【レア度】
【分類】防具
【効果】 防御と精神を増加
【フレーバーテキスト】
その名の通り葉っぱとは思えない強度を誇る、大樹の葉っぱ
魔翌力により本体から離れてなお翠緑色を保っており、飾って眺めてるだけでもなんとなく落ち着く
しかし折角鉄板並の硬さなのだ。思い切って盾にしてしまおう

【名前】まんまるイチゴ
【レア度】
【分類】道具
【効果】 体力と魔翌力を回復
【フレーバーテキスト】
自然界には危険な植物が多いが、その逆も然り。これは後者、自然界が人類にもたらした恩恵
一口頬張れば、芳醇な香りが口一杯に広がりその日の疲れを吹き飛ばしてくれるだろう
さらに高値で取引もされるなどいいことだらけだが、大きすぎて大量には持ち歩けないのが難点
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