提督「……辞めたい」

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1 :水源+α :2019/02/27(水) 22:36:35.66 ID:xMIAKMMXO
着任後から一年間が経ったある日、提督は鎮守府近くの病院の病室に居た。誰かに階段から突き落とされた結果、骨折してしまったのだ。 犯人は以前として見つかっていないものの、艦娘の誰かというのは明らか。といっても一年間もの間、前任のせいもあり、艦娘達から酷い風評被害を受け、無視や陰口、暴力等が日常的に行われていたのでいつかこうなるとは提督も分かっては居た。これまで落ちぶれていた艦娘達の為に尽力してきた提督だったが、ついにこの事件がきっかけで愛想を尽かしてしまう。


 不意に、そんな弱音を病室のベッドの上で吐き出しまった。
 これまで色々なことを、見舞いに来てくれた一人の艦娘である大和と話し込んでいたが、俺は一通り会話が終わると、自然と口からそんな弱音を溢していたのだ。

 何かにすがるような思いだった。会話が終わった後に訪れた静寂が、元々疲弊しきって極限まで心細くなった心をさらに寂しくさせたのだろうか。

大和「……提督」

 俺の言葉に、大和が先程までの会話で淑やかに微笑んでいた表情を暗くさせる。

提督「……いや。ごめん。今のは、ちょっとした冗談って奴だ。……まだ二十二才という若輩者が、しかも提督の立場に立っているというのに、こんな弱音を吐くわけにはいかない。……だから、今の言葉は無かったことにしてくれ」

 やはり病室に居ると心細くなるのだろう。普段はこんな弱音は吐かなかった筈なのに、こうして無意識に吐いてしまった。気も滅入っている。

 普段の大和は俺のことを凄く思いやってくれる艦娘だ。だから、そんな俺のちっぽけな命令もいつも通り聞き入れ、俺が弱音を吐いたことを流してくれるだろう──そう思ったが、

大和「……無理です」
2 :水源+α :2019/02/27(水) 22:41:18.30 ID:xMIAKMMXO
提督「──」

 今日の──いや、今の大和はそうではなかった。

大和「……提督は私達艦娘の為に、もの凄く頑張ってくれました。あれほど前任によって落ちぶれていた横須賀鎮守府は、提督の尽力によって今はすっかり栄光ある横須賀鎮守府に、いやそれ以上のものへと成長を遂げています」

提督「……そうらしいな」

大和「なのに、なのに……私や武蔵、陸奥さん、翔鶴さん以外の艦娘達は……提督に酷い扱いをしました」

 怒りを腹に抑え込んでいるかのように、静かに大和は語る。

大和「……誰も見向きもしませんでした。誰も提督の努力を認めませんでした……そして──」

提督「お、おい大和」

大和「──誰もが提督の存在を否定しましたッ!!」
3 :水源+α :2019/02/27(水) 22:45:09.87 ID:xMIAKMMXO
 これまで怒りを沸々と溜め込んでいたのだろうか。普段は俺の前ではこれほど声を荒らげることはなかった大和が初めて怒りを露にした。

大和「提督は無茶しすぎです! 今まで無視を始めとした酷い扱いされているにも関わらず提督は何も言わずに甘んじて受け続けています! しかも今回のような人間の力の数倍はある艦娘達から暴力を振るわれても執務を続け、挙げ句には懲りずに交友を持とうと近付いて……また暴力を受けて!」

提督「……すまん」

大和「しかも今回に至っては暴力の範疇を超えて階段から突き落とされたんですよ!? 頭を打って死んでも……こうして助かった今で後遺症があってもおかしくなかったんですよッ……!」

提督「……」

大和「……私は。そして武蔵や陸奥さんや翔鶴さんだって今回のことを知ったとき……どんなに心配したかっ……」

提督「や、大和……本当に申し訳ない。あ、ああ……ここにティッシュが」

大和「私がこうして涙を流してるのは誰のせいなんですかっ……ティッシュなんて取らなくて良いんです! 今は私の話に集中してください!」

提督「……分かった」
4 :水源+α :2019/02/27(水) 22:47:23.02 ID:xMIAKMMXO
少し休憩タイム。
5 :水源+α :2019/02/27(水) 22:49:36.33 ID:xMIAKMMXO
再開します
6 :水源+α :2019/02/27(水) 22:50:15.60 ID:xMIAKMMXO
ここまでで何か質問するある人いますか?
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2019/02/27(水) 22:50:45.71 ID:UAUKIcw20
(休憩終わるの)早くありません?
8 :水源ふにα :2019/02/27(水) 22:51:25.81 ID:xMIAKMMXO
書き殴りたい気分なんですよ…遠い目
9 :水源+α :2019/02/27(水) 22:52:06.42 ID:xMIAKMMXO
あ、ここで一応シリアス注意です。
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/27(水) 22:54:47.30 ID:/1pAnmiuO
コテじゃなくて酉付けたら?
それとあんまり雑談挟まない方がいいよ荒らされるし
11 :水源+α :2019/02/27(水) 22:54:53.68 ID:xMIAKMMXO
投下します
12 :水源+α :2019/02/27(水) 22:55:46.16 ID:xMIAKMMXO
大和「……先程、提督が私に本音を呟いてくれる前、正直迷っていました。鎮守府にこのまま残り私達と共に護国の鬼として戦って欲しいと言うか。それか鎮守府から出て、違う余生を送って欲しいと言うのかを」

提督「……俺は、提督だ。だからこれからも戦k「ですがもうひとつの考えが浮かびました」……ぇ」

大和「──もう私は……あなたに無理をさせたくありませんっ」

提督「大和……」

大和「思えば、着任から今までで、初めて提督の本音を聞けることが出来ました。……普段は私達が心配しても、苦笑するだけでしたから」

 そこで依然として涙を流しながら、大和は淋しく微笑する。

大和「初めて私に溢してくれた本音が……なんでこんなものなのでしょうか。なんでこんなにも、互いを心苦しくさせるものになってしまったのでしょうか?」

提督「……それは、」

 大和は言い淀んだ提督を見た後、涙を袖で拭い、普段のような確りとした雰囲気になった。
13 :水源+α :2019/02/27(水) 22:59:43.55 ID:xMIAKMMXO
大和「……提督。もう良いのです。提督は何も悪くないんです。提督は、あの娘達が過去から脱け出せるように尽力しました。そして、その結果がこの現状なんです。全てはあの娘達をあのようにしてしまった前任のせいもありますが、多くはそれらの暗い過去からすがり付いて脱け出せない、弱いあの娘達のせいです。目に余る行為を犯してきたんです。





……ですから私はあの娘達の解体処分を希望します」

提督「……大和。自分が今何を言っているのか理解できてるのか?」

大和「はい。味方を……戦友を、死刑に処して下さい。……今回を含めて今までのようなあの娘達の行いは、上官に対する暴力や命令違反という、立派な軍規違犯であると同時に、法律上裁かれるべき犯罪行為にもなります。それに……もしも他の方が今の提督のような立場になったとしたら、精神的な疾患に必ずと言っていいほど陥り、即刻自殺もしてしまうことでしょう。今の提督はそれほど酷い扱いを受けてるんです……前任の後に着任したのがあなたでなければ、他の方が今のような状況になり、自殺という犠牲者になっていたことも容易に想像が出来ます。……私でもあのように扱われれば気が狂いそうになると思います。正直提督がいつか自殺してしまうのではないかと気が気でありませんでした」

提督「……いや、それは結果論で他の奴でも自殺はしn「提督ッ!!」──っ」
14 :水源+α :2019/02/27(水) 23:02:01.66 ID:xMIAKMMXO
大和「……提督。どうか自覚してください。これまでの提督は端から見ればどれほどの酷い扱いを受けていたという事実を……そして、提督の自己犠牲を見て心が張り裂けそうになるほど心配している人がいるということを」

提督「……」

大和「もっと御自愛下さい。提督は少々自己評価が低すぎます。世間から見てもあなたはとても素晴らしい提督です。そして尊重に値する人間でもあるんです。確かに指揮した多くの艦娘があなたの力を認めませんでした。しかし、少なくとも私──大和。武蔵、陸奥さんや翔鶴さんはあなたのことを誰よりも認めてます」

提督「そう、か」

大和「そうです」

提督「……」

大和「提督は軍を辞めますか?」

提督「──いや、まだ続けたいと思っている」

大和「ではもう一度やり直しましょう。現在の横須賀鎮守府の多くの艦娘を解体処分で一新して、新生横須賀鎮守府に生まれ変わらせましょう」

 強い意志を持った瞳で告げてくる大和の言葉に心が揺れた。

提督「……」
15 :水源+α :2019/02/27(水) 23:06:59.12 ID:xMIAKMMXO
undefined
16 :水源+α :2019/02/27(水) 23:07:59.12 ID:xMIAKMMXO
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17 :水源+α :2019/02/27(水) 23:08:29.97 ID:xMIAKMMXO
あら、文字数制限かな?
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/27(水) 23:08:56.10 ID:CncKCzqrO
たぶんそう
19 :水源+α :2019/02/27(水) 23:09:49.23 ID:xMIAKMMXO
 確かに。大和の言う通りかもしれない。今のままでは、今回の階段から突き落とされた以上のことをされ、どんどんとエスカレートしていくと思う。挙げ句には俺の命も……


 なれば現在横須賀鎮守府に所属して、俺に反抗的な態度を取る多くの艦娘達を解体処分して、新しい艦娘を建造で増やし、艦隊を一新すれば良いのではないか。
 今まで俺にして来たような目に余る態度をする艦娘が他の鎮守府に異動させたとしても上手くやっていけるわけがない。
 実際、今横須賀鎮守府に所属している艦娘の多くが一緒に前任の悪虐非道な振る舞いを耐え抜いたことで生まれた仲間意識による強い絆で結ばれている。その為絶対に離れたがらないので、他の鎮守府での戦闘で連携がとれずに力をを発揮できないとも予想がつく。

 だからこそ解体処分して、新規に着任した艦娘を最初から育成すれば良いのではないだろうか。

 
 大和からの提案に、今まで散々揺れ動いてきた心が融解し始める。
20 :水源+α :2019/02/27(水) 23:12:00.02 ID:xMIAKMMXO
──何をしたって又、裏切られるだけだ

(そんなことはない。いつか……きっと)


──もう疲れただろ? あいつらがお前に死んでほしいと思ってるように、きっとお前も心の底ではあいつらに死んでほしいと思い始めてるはずだ

(違っ……)

──なんでそこまであいつらに拘るんだ。あんな奴等、唯のバケモノだ。お前も散々身を以て体験したじゃねえか。そうだろう?

(……うるさい)

──お前がいくら手を差し伸べたって変わろうともせずに悲劇のヒロインぶってるクソアマ達を救う義理なんてあんのか?

(……黙れ)

──お前がこれまで頑張ってきても、結局何も過去から進展してねぇ。大和が言った通り、あいつらは弱いんだ。そんな奴等に、重要拠点である横須賀鎮守府を守らせるのか?

(……)

──もう諦めろ。横須賀鎮守府はここ一年間、ほぼお前だけの力で建て直してきたんだ。対して勝手に出撃して、勝手に遠征して、資材も勝手に減らし、報告書さえ出さずにお前と妖精さん達が苦労して直した入渠場で暢気に傷と汗を流してるような奴等だぞ?

(…………)



──あいつらを解体しろ。そうすればお前の功績も認められるようになって、昇進すr

(──黙れッ!)
21 :水源+α :2019/02/27(水) 23:14:50.59 ID:xMIAKMMXO
 これまで艦娘にされてきたことが一瞬のうちに、走馬灯のように流れた。
 溜め込んできた怒りや哀しみ、妬み等で蝕んでいた心の闇がここに来て大きくなっている。

 
 (俺は……あいつらを)






提督「……大和の言いたいことは分かった」

大和「……提督!」

 やっと分かってくれた。そのような嬉々とした表情を浮かべたが、次の俺の言葉で、大和は又その顔を涼しくする。

提督「──だがダメだ。解体処分は受け入れられない」

 例えその心の殆どが艦娘への憎悪に蝕んでしまっていても、俺の一番大事な心の根っこは生き続けている。
 それは俺の信念であり夢でもある。


大和「……何故ですか」

提督「俺は横須賀鎮守府に着任する前に元帥から、ある命令を仰せつかっていた」

大和「それは、一体?」

提督「横須賀鎮守府を救ってやってくれ。とな」
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2019/02/27(水) 23:15:11.99 ID:UAUKIcw20
改行制限や文字数制限は、必須フィールド(書き込みに使うこの欄)の下にある所に表示されますよ
最大6000バイト 最大85行って書いてあるところです。これがマイナスになると『undefined』になっちゃいます
23 :水源+α :2019/02/27(水) 23:16:53.75 ID:xMIAKMMXO
22<<成る程、ありがとうこざいます。にしても指が疲れてきたゾ
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage ]:2019/02/27(水) 23:17:01.04 ID:h00/+aWso
あとついでにメル欄にsagaを入れておくと良いぞい
25 :水源+α [saga]:2019/02/27(水) 23:18:44.92 ID:xMIAKMMXO
こんな感じか。色々とありがとうございます。
さて、再開しますか。
26 :水源+α [saga]:2019/02/27(水) 23:21:16.75 ID:xMIAKMMXO
大和「……しかし!」

提督「ああ! わかってる。そうした結果がこの有り様だ」

大和「ではどうして「俺がバカだからだ」……え?」

提督「あいつらは、心にそれはそれは深い傷を負っている。前任の独裁的な統制によって身も心も汚された」

大和「はい」

提督「勿論、お前だってそうだ」

大和「……はい」

提督「あいつらは来る日も来る日も俺なんかがされているような生温いものなんか目じゃないほどのことをされ続けた。俺は……ここ一年間ずっと耐え忍んで来て、あいつらの痛みを充分に理解できたんだ。いや、そう簡単に理解できたなんて言ってはいけない。それほどのことをあいつらは俺と同じように耐え忍んできたから、今日まで俺も耐え忍んだんだと思う」

大和「……」
27 :水源+α [saga]:2019/02/27(水) 23:22:05.24 ID:xMIAKMMXO
大和「……しかし!」

提督「ああ! わかってる。そうした結果がこの有り様だ」

大和「ではどうして「俺がバカだからだ」……え?」

提督「あいつらは、心にそれはそれは深い傷を負っている。前任の独裁的な統制によって身も心も汚された」

大和「はい」

提督「勿論、お前だってそうだ」

大和「……はい」

提督「あいつらは来る日も来る日も俺なんかがされているような生温いものなんか目じゃないほどのことをされ続けた。俺は……ここ一年間ずっと耐え忍んで来て、あいつらの痛みを充分に理解できたんだ。いや、そう簡単に理解できたなんて言ってはいけない。それほどのことをあいつらは俺と同じように耐え忍んできたから、今日まで俺も耐え忍んだんだと思う」

大和「……」
28 :水源+ :2019/02/27(水) 23:22:45.79 ID:xMIAKMMXO
すまん連投しちまった。眠い
29 :水源+α [saga]:2019/02/27(水) 23:23:28.52 ID:xMIAKMMXO
提督「憎悪の対象が目の前に無抵抗で突然現れたとしたら、やり場のない怒りを俺もあいつらと同じようにしてぶつけていたと思う。大和」

大和「はい」

提督「……俺が憎いか?」

大和「提督」

提督「なんだ?」

大和「金輪際そのようなことを言葉にしないで下さい。流石に私も……怒ります」

提督「……すまん。だがこれだけは分かってほしい大和」

大和「……はい」

提督「誰もがお前のように心を切り替えられるわけじゃないんだ。……お前のように強くなんかない」

大和「わ、私は弱いですよ……提督があの時来なければ、私の精神は今のように立ち直ってません」

提督「そうだ。俺もこれまで耐え忍んでこれたのはお前が居たお陰なんだ。お前が俺を精神的な支柱とするように、俺もお前を精神的な支柱とした。だからお前はここまで立ち直り、俺もここまで頑張ってこれた。だがあいつらの場合は違う。俺たちのように精神的な支柱が姉妹に居たとしても、その精神的な支柱が今にも崩れそうになってるんだ。──つまり、あいつらには希望を持てる存在が居ないということだ」

大和「──!」
30 :水源+α [saga]:2019/02/27(水) 23:26:27.28 ID:xMIAKMMXO
提督「さっきお前が話した、暗い過去から脱け出せない弱いあいつらが悪いという話だが、確かにお前の言う通りだとは思う。だが、一番の原因はあいつらの周辺に希望をもてるきっかけがないことだと、俺は思う」

大和「……」

提督「だから俺は……あいつらを解体処分したくない。生きる希望を持たせてやりたいんだ。救いたいんだ。大和、心配してくれてありがとう。でも大丈夫だ。これからも俺は横須賀鎮守府の為に尽力したいと思っている。これは元帥からの命令であり、一年間を通しても変わらない、彼女達とぶつかり合って益々叶えたいと思った俺の夢でもある」

大和「提督の、夢」
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2019/02/27(水) 23:28:47.04 ID:UAUKIcw20
書き忘れてましたけど、スマホとかだと20〜30行くらいしか改行できないのでご注意を
32 :水源+α [saga]:2019/02/27(水) 23:29:24.49 ID:xMIAKMMXO
提督「そうだ。俺の夢だ。だからこれからもよろしく頼む。こんな懲りないバカ野郎だがな」

大和「……そんなバカ野郎だなんて」

提督「それに、もう心を鬼にして仲間を解体処分して下さいなんて言うな。お前が傷付くだけだろうが」

大和「っ! ……もしかして、気付いてたんですか?」ウルウル

提督「バカ。一年間も一緒に居るんだ。お前は心優しい性格してるのは重々理解してる」

大和「てい、とくっ……」グスッ

提督「ほら。泣くなよ実際俺の方が今骨折して泣きたいっていうのに」ナデナデ

大和「だって……だってぇ」ボロボロ

提督「はは。たまに子供っぽくなるよな」ナデナデ

大和「! 提督だっていつでも子供っぽいじゃないですか!」///

提督「撫でられて言われても説得力がないぞ」ナデナデ

大和「なっ!/// 離してください」ブンブン

提督「おっと」バッ

大和「ぁ」
33 :水源+α [saga]:2019/02/27(水) 23:30:39.81 ID:xMIAKMMXO
提督「ん? どうした」

大和「……なんでもありません」

提督「そうか。……まあ、とはいっても現状が危険なままなのは変わりないな」

大和「そうですね。ですからこれからは交代制で提督の護衛に付くことにしました」グスッ

 涙をハンカチで拭いながらも、そう告げてきた大和に思わず聞き返す。

提督「え? いつ決まったんだ?」

大和「もしも提督が解体処分もせずに又鎮守府に戻ってくるケースも考えて、事前に私と武蔵、陸奥さん、翔鶴さんで取り決めたことです。……ですがもしものケースではなく本当に適用することになりそうですね」
34 :水源 [saga]:2019/02/27(水) 23:32:22.71 ID:xMIAKMMXO
眠い。後二、三回投下したら明日に持ち越します。
35 :水源+α [saga]:2019/02/27(水) 23:34:11.33 ID:xMIAKMMXO
提督「そうなのか……俺としても、今まではお前らも側に付かせようとはしなかったが今回のことを考えると付けざるを得ない状況だと思うが、……迷惑じゃないか?」

大和「ですから提督は自己評価が低過ぎます! これは個人的な理由を外したとしても提督をお守りするという艦娘としては当たり前の対応ですからね? 私達に迷惑だとか迷惑じゃないとかそういう次元の話では無いんですよ!」ムスッ
36 :水源+α [saga]:2019/02/27(水) 23:36:14.96 ID:xMIAKMMXO
提督「……そうか。すまん」

大和「それで提督。これからも今までのようにあの娘達と接していくんですか?」

提督「……いや。流石にもう無理だと思ってる。不必要に親しみを持って接していくことはもうしない。実際、生きる希望は自分で見つけるものだし、無理に俺がお前みたくあいつらの精神的な支柱にならなくても良いと思う。突き落とされる少し前の鎮守府は俺が居ないところでは、頼み込んで支給した娯楽品を楽しんで居たようだったし、料理も美味そうに食べていたようだ。だから皆の心で徐々に鎮守府に帰ってくる理由も出来ていると思っている」

大和「ではどうするおつもりで?」

提督「それはもう決まってるだろう──」









提督「基本不干渉。要は事務以外の会話はしない。流石に俺も、あいつらには愛想が尽きかけている。あいつらに何か生きる希望を持たせて真っ当な人生を送らせるという夢は達成するが、もう友好関係を結ぶのは諦めようと思う」
37 :水源+α [saga]:2019/02/27(水) 23:38:17.02 ID:xMIAKMMXO
ここで一段落。まだ投下して欲しい人が多く居たら続けます
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2019/02/27(水) 23:40:13.19 ID:UAUKIcw20
お疲れ様でした
結末が気になるので、最後までよろしくお願いします
39 :水源+α [saga]:2019/02/27(水) 23:44:05.29 ID:xMIAKMMXO
実はここでは初投稿なんで色々と分からないんですよね。
スレ一覧の勢い?は800台乗ってますけどこれどういうことなんですかね?
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/27(水) 23:51:30.77 ID:/v8wea67O
ひとまずは乙でした
>>39
勢いは「ここは多くの書き込みがあって、色んな人が見てますよ」って一つの証みたいなものだから、多いほど良い
スレ立てた当日で800はかなり良い方だけど、次の日には100前後になることが多い。4〜5日たっても50〜100あったら誇っても良いレベル
逆に誰も書き込まず見られなくなるとすぐに0.1とかになる
41 :水源+α [saga]:2019/02/27(水) 23:59:05.50 ID:xMIAKMMXO
>>40
え…嬉しいです。日々の鬱憤を文字にして書き殴っただけなのにそんなに見てくれるなんて
42 :水源+α [saga]:2019/02/28(木) 00:03:23.03 ID:R/eA80b2O
ならその期待に応えないとですね。
やっぱりもうちょっとだけ投下しますね。
次レスから行きます。
43 :水源+α [saga]:2019/02/28(木) 00:05:38.82 ID:R/eA80b2O
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

一方その頃、鎮守府の執務室では





金剛「ハア……なんでワタシが執務室に行かないとならナイノー」

金剛(高級な紅茶カップなんて本当にあるデショウカネ?)

ガチャ

シーン

金剛「……そういえば確か、誰かに階段で突き落とされて入院中デシタネ」

金剛(まあ、ワタシ的にはどうでも良いことネ。さっさと妹達と更にゴージャスなティーパーティーするために見つけないとデスネ)

金剛「棚には何も置いてないネ……」

金剛(だとしたら机かもしれないネ)

金剛「この大きな引き出しに……あ、あったネ。──?」

金剛「ここ、なんかおかしいデスネ」

 ガコ

 パカ

金剛「……ダイヤリー?」

金剛(日記……よネ?)

金剛「……」

金剛(……もしかしたらシークレットシートかもしれないネ)



ペラッ



金剛「──」
44 :水源+α [saga]:2019/02/28(木) 00:08:20.78 ID:R/eA80b2O
○月△日 天気は曇り

 今日は曇りで、近くの泊地から嵐の恐れありという連絡を受けたので、大事を取って休みにした。朝礼では相変わらず嫌われているようだ。着任してから二ヶ月経つが未だに俺と艦娘達との関係の間に深い溝がある。どうにかしなければならない問題だが、皆はそれほどのことを前任されたのだろう。ここは俺が耐えなければならない時だ。

 皆に今日の活動は休みだということを知らせると、皿やコップなどが投げつけられた。どうやら皆は働きすぎると手当てを出費しなければならないので、態と手当てを減らすために短い間隔で休日を強要していると思っているらしい。

 短い間隔で休日を設けてるのは皆の体の疲弊を癒してもらうためと英気を養ってもらうためという意図があるのだが、皆は必要ないのだろうか。特に潜水艦達の疲弊は相当だと思うのだが。

 それは置いておこう。
 投げられた皿等が頭に当たり、少したんこぶが出来て朝礼は終了した。執務室で大和に心配されたが、これからこのようなことがエスカレートすると思うので今のうちにある程度の耐性は付けておかないと体が持たない。と返したら微妙な顔をされた。いつも心配をかけてすまない大和。

 そういえば金剛姉妹は紅茶好きとか大和に話されたことがあった。それもお茶会を開いて和気藹々としているのだそうだ。艦娘達との関係を進ませる為にも、これを利用する……というのは言い方が悪いが、良好な上下関係を成立させる為にも、この話を聞き流すことは出来ない。そう考えて、俺は先ず早々に執務を終わらせて金剛姉妹と仲良くなるために紅茶カップを買いに出掛けた。
 が、しかし。高級な紅茶カップを買ったら財布が随分と寂しくなってしまった。そういえば艦娘達の給料に俺の給料の三割くらい当ててた気がする。所得税もなんやかんやあるので、これは結構痛手だったが、金剛姉妹と仲良くなれるのなら問題ない出費だと思う。
45 :水源+α [saga ]:2019/02/28(木) 00:10:08.16 ID:R/eA80b2O
金剛「……なんデスカこれは。こんなのまるで……ウソっ」

金剛(しかもこの紅茶カップ……それに)

金剛「ウソデス! こんなの、アイツじゃない! 違う! ワタシは……っ」

 ペラ
46 :水源+α [saga]:2019/02/28(木) 00:12:24.14 ID:R/eA80b2O
 ○月×日 天気は雨


 天気は雨。土砂降りだ。朝礼ではまた休日と伝え、やはりいろんなものを投げつけられた反応だったが、心のなかではやっぱり昨日休日にして遠征しなくてよかったと思った。

 彼女達が沈むことはあってはならない。彼女達には前任によって潰されてきた喜怒哀楽が出来る人生を歩んでもらはなければならない。仲間達と清々しい朝を迎え、仲間達と一緒に美味い飯を食って下らない話をして、共に目標を達成して、時に喜び、ぶつかり合い、哀しみ、そして生きていて楽しいと思ってほしい。だからそれまで、俺は絶対に誰も轟沈させやしない。

 終戦まで、絶対誰も死なせない
47 :水源+α [saga]:2019/02/28(木) 00:13:45.99 ID:R/eA80b2O
金剛「……ウソデス。ぜったいありえないデスっ。アイツがこんなこと書くわけが……っ」

ペラ
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/28(木) 00:15:09.09 ID:QX6hRXgdO
気が変わるのかな?
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/28(木) 00:17:50.95 ID:BxKUwm/y0
>>40
へー勢いってそういうシステムなんですね
50 :水源+α [saga]:2019/02/28(木) 00:18:58.49 ID:R/eA80b2O
○月△×日 天気は晴れ

 

 早速、金剛姉妹の噂のお茶会を覗いてみた。扉の隙間から覗いて見ると本当に和気藹々としていた。

 そして同時に羨ましいと思った。俺には兄弟が居ない。小さい頃からこういう家族ながらの温かな雰囲気を感じられるのは父や母、お祖父さん、お祖母さんと一緒に居るときぐらいなものだった。しかし、その全員が深海の奴等の襲撃によって亡くなり、今や天涯孤独の身だ。
 だから、この雰囲気が羨ましかった。本当に輝いて見えた。

 あの後は結局覗いていたのが見つかり、主に金剛と比叡から殴られたり蹴られたりした。まあ覗いてたのが悪かったし、別にここで愚痴を書くつもりもないが、毎日こういう理由もなくサンドバッグにされるのは理不尽でならないと俺は思う。

 それでも俺は例え上官への暴力という軍規違反を犯しているあいつらを本部には報告しない。あいつらは真っ当な人生を歩むべきだ。
 そういえばもうすぐで監察官が来るんだった。明日の朝礼では厳しく監察官のいる間は暴力をしないように言っておこう。でないとやらかしかねないからな。
 いつか俺もあのお茶会に参加したいな。でも今のままでは叶わない夢。

 願わくば、艦娘と良好な関係を結べるように。ここで神に静かに願っておこう。 
金剛。邪魔して悪かった。いつの日か分かり合えたらその時は俺も……
51 :水源+α [saga]:2019/02/28(木) 00:24:37.34 ID:R/eA80b2O
金剛 「っ……」ポロポロ

日記 ポタポタ

金剛(ワタシは……わ、たしは……)

金剛「……」バッ ガチャ


金剛(──……テイトク!)タッタッタッタ
52 :水源+α [saga]:2019/02/28(木) 00:25:46.49 ID:R/eA80b2O
よし。やり遂げた。何とか。明日に持ち越します。お疲れ様でした。眠い、死ぬ
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/28(木) 00:26:58.36 ID:cpwoamLUO
おつー
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2019/02/28(木) 00:27:18.81 ID:/KkhMlLA0
お疲れ様でした
55 :水源+α [saga]:2019/02/28(木) 00:27:31.57 ID:R/eA80b2O
この先が気になる方は出来る限りのこれまでの感想とか誤字報告とか色々残しておくと嬉しいです。モチベ上がるので
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/28(木) 00:54:39.98 ID:p2tfdBMxo

これから艦娘達が提督とどう接するのか楽しみ
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/28(木) 01:20:38.33 ID:/LAzQYQGo
似たようなss結構見たことあるけどこういう展開全然飽きない
楽しみにしてる失踪だけはしないでくれ
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/28(木) 07:49:44.24 ID:FsTh0bRwo
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/28(木) 12:49:09.13 ID:qF3Txuma0
まだ序盤だからわからんけど多分好き
見てるから完走してくれよー
60 :水源+α [saga]:2019/02/28(木) 16:14:58.89 ID:1MPaqioEO
学校から帰ってきたので、続きを書こうか迷ってるんですけどもうちょっと人が居る時間に書いた方が良いんですかね?
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/28(木) 16:35:07.70 ID:6C5qgHSHO
安価スレでなければ時間帯は気にしないでいいよ
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/28(木) 17:45:38.90 ID:ds0BoG76O
いつでも良いから続きはよ
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/28(木) 23:21:38.20 ID:bOploGWyO
完走してくれよ
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/01(金) 01:00:51.66 ID:ZL9qIjGuo
普通に続きが気になる
頑張ってくれ
65 :水源+α [saga]:2019/03/01(金) 05:50:14.83 ID:Dmw+c3z90
さて。では再開していきます。
66 :水源+α [saga]:2019/03/01(金) 05:51:28.46 ID:Dmw+c3z90
書きためたものを一気に放出するので、リクエストには対応できません。ご了承下さい
67 :水源+α [saga]:2019/03/01(金) 05:53:40.07 ID:Dmw+c3z90
それから、オリジナルのキャラクターを入れたので、そこも承知でお願いします
68 :水源+α [saga]:2019/03/01(金) 05:55:26.26 ID:Dmw+c3z90
第二話 提督の復帰
69 :水源+α [saga]:2019/03/01(金) 05:56:18.45 ID:Dmw+c3z90
 階段から突き落とされて入院した数ヵ月後。骨折した部位も完治し、懸命に続けていたリハビリの甲斐もあって以前のように歩けるようになった。
 家族は居ないので、入院中は基本独りで過ごすことになると思っていたが、度々大和と翔鶴が見舞いに来てくれたので、そこまで寂しさとかは気にはしなかった。
 それに俺のことを知ってか、士官学校以来に会ってなかった元提督候補生──つまり今俺と一緒に一線で艦娘の指揮を執っている他の提督達も見舞いに来てくれたことがあるので退屈もしなかった。

 そうして今、明日で退院するので病室を退く準備を終わらせてから、本を読んで時間を潰していると


???「──うーっす」

提督「……? なんだ。お前か清二(せいじ)」
70 :水源+α [saga]:2019/03/01(金) 05:58:03.45 ID:Dmw+c3z90
一通り片付けられた病室の扉を開け、そこに居たのは提督の証である純白の軍服を着て、軍帽を片手に人懐っこそうな笑顔を浮かべる坊主頭の青年だった。

清二「よ。何読んでんだ?」

提督「純文学だ。恋愛小説だな」

清二「へえ。お前には似合わないな」

提督「そりゃお互い様だぞ坊主」

 宮原 清二。俺が提督候補生として士官学校で学んでいたときの同期だ。
 成績は結構下の方だったが、艦隊運営の腕はずっとずば抜けていた。今じゃその腕を見込められ、舞鶴鎮守府の提督補佐として活躍しているらしい。
71 :水源+α [saga]:2019/03/01(金) 06:00:03.02 ID:Dmw+c3z90
清二「坊主は今関係無いだろが母ちゃん」

提督「母ちゃん言うな」

清二「え〜? 今更本業隠すなよ。昔お前の部屋に勉強教えて貰いにきたときは俺らに良く夜食振る舞ってくれたじゃねえか」

提督「……それぐらいで母ちゃん呼ばわりは止めろと言ってるだろうが。あんぐらい誰でも簡単に作れるって言うのに」

???「──ふふ。そのやり取り懐かしいですね。……又、やってるんですか?」
72 :水源+α [saga]:2019/03/01(金) 06:00:54.86 ID:Dmw+c3z90
提督「ん? ──あ、お前もしかして新島(にいじま)……だよな?」

新島「はい。お久し振りですね。西野くん」

清二「あ、そうだったな。新島が来てるんだったわ。言うの忘れてた」

提督「おいおい……」

新島「すみません。宮原くんが早く言わないから、つい。待てませんでした」

 そう悪戯な笑みを浮かべる新島に対して清二は

清二「いやすまん。本当はもうちょっと御膳立てしてから登場させるつもりだったんだがなー」

 と頭を掻きながら苦笑した。

新島「本当ですよ全く。……これは後で反省文、十枚ですね」

清二「ファッ……!?」
73 :水源+α [saga]:2019/03/01(金) 06:01:29.13 ID:Dmw+c3z90
 ──清二の後から入ってきた、清二と同じように純白の軍服を着た女性の名前は新島 楓(かえで)という。こいつも厳しい訓練を一緒に乗り越えてきた俺の同期だ。
 女子でありながら成績も実技も常にトップをひた走っていた。こと指揮能力についてはその当時誰も右に出る者ははなく、試験的に艦娘を貸し出されて行われた演習では、未踏の無敗の記録を保持している。
 それに、黒いショートカットという綺麗で清楚な髪型で顔も整っているので、多くの士官候補生並びに提督候補生からの人望もあった。勿論今も人望はあるが、当時の男だらけの士官学校の時の比ではない。
74 :水源+α [saga]:2019/03/01(金) 06:02:46.00 ID:Dmw+c3z90
提督「相変わらずナイス支援だな新島」

新島「それはありがとうございます。あ、勿論冗談ですからね」

清二「……そ、そうか良かった。当時はやることなすこと本気だったから今もてっきりそうなんじゃないかとな」

新島「ああ。確かにそんな頃もありました。……懐かしいですね。でも卒業する頃にはもう今の感じでしたよね? 西野くん」

提督「いや俺に聞かれても……まあ確かに、出会った当初とはまるで印象は変わったけどな」

新島「まあ、あの頃は私も若かったんですよ」

提督「何言ってんだよ。今も充分若いだろうが」

清二「そうだぜ。まだピッチピチのお姉さんじゃねえかよ」

新島「ふふ。それもそうですね」

 清二のセクハラ紛いの発言も今やこの三人では恒例となっているので、新島は特に気にもせずに微笑んで応えている。
75 :水源+α [saga]:2019/03/01(金) 06:03:53.64 ID:Dmw+c3z90
 因みに新島が俺のことを西野くんと呼んでいるのは、俺の名前が西野 真之(さねゆき)だからだ。同期からは普通に西野やら真之やらで呼ばれるのが専らだが、ここには居ない一人の同期から『さねっち』という愛称で呼ばれている。

提督「それにしても、二人とも最近はどうなんだ? 上手く行ってるのか?」

清二「俺は順調に提督街道を突き進んでるぜ。この頃艦隊指揮も任せられるようになって、地位も提督補佐兼参謀になってる。もうジャンプの主人公並の成り上がりようだわ」

提督「へえ……やれば出来るじゃねえか。ジャンプの主人公は流石に言い過ぎだけど、作戦参謀は中々良い経験させてもらってるんじゃないか?」

清二「まあな。何も舞鶴の提督さんが言うにはあともうちょっと、だそうだ」
76 :水源+α [saga]:2019/03/01(金) 06:05:02.20 ID:Dmw+c3z90
提督「あともうちょっと、か。……新島」

新島「……はい」

 清二の言葉から俺と新島は、あともうちょっとの理由を察することができた。

提督・新島(……絶対セクハラ紛いの言動が問題で昇進が先送りされてるよな)(女性にとって少々近寄りがたい性格なのが難点ですね……)

清二「ん? どうした二人とも。悟り開いたか? ムハンマドか?」

提督「違ぇよ。イスラム教の布教なんてするか。……ま、あともうちょっとって言われたけど、今のお前じゃもう少し長くなりそうだなと思っただけだ」

新島「……同じく、です」

清二「うっわ相変わらずひっでえなお前ら。良いし。その内抜かしてやるし」

提督「そうかよ。じゃあ俺は一足先に執務室でコーラとポテチを嗜みながら高見の見物でもしてますかね」

新島「宮原くんには何だか、絶対に負けたくありません。……下手すれば私の人生の最大の屈辱になります」

清二「西野。お前は取り敢えずウザい。そして新島。お前は取り敢えず酷い。もう泣きそうだぜ」
77 :水源+α [saga]:2019/03/01(金) 06:06:18.35 ID:Dmw+c3z90
新島「はあ……泣かないでくださいよ。塩水がこぼれてしまうじゃないですか」

提督「ついでに米もな」

清二「俺は塩むすびじゃねえよ! 坊主=おにぎりみたいな定理を造らないでいただきたい」

新島「宮原くん。残念ながら、既にその定理はとある芸人の力により、あの三平方の定理並に世間では浸透してしまっています。もう手遅れです」

清二「……ふざけんな! 芸人、許すまじ!」

提督「新島。清二はどうやらマジで許してくれるらしいぞ」

新島「マジですか? ありがとうございます」

清二「もう煩い! こうなったら見返してやる。……というか俺をイジるときだけお前ら本当に息ピッタリだな」
78 :水源+α [saga]:2019/03/01(金) 06:08:01.73 ID:Dmw+c3z90
提督「──それで新島の方はどうなんだ?」新島「私も呉の方ですが、宮原くんと同じような感じですね」


清二は「……もう良い。俺ぁ不貞寝する」

 ついにスルーされたことに清二のライフはゼロになったようで、俺のベッドに顔を埋めてしまった。

新島「提督の補佐をしつつ、作戦の立案や指揮を参謀として任されています」

 不貞寝する行動さえもスルーする新島に容赦ないなと思いつつ、苦笑して応えた。

提督「新島も提督まであと一歩のところまで近付いてるな。……清二、新島。取り敢えず二人とも、ここまでお疲れs「──おうっ!」……反応が早えよ清二」

新島「ふふ。本当に単純なんですから。……私たちが目指すべき提督である西野くんからそう言われると、何だかやっと一段落着いた気がしますね」

提督「そうか?」
79 :水源+α [saga]:2019/03/01(金) 06:09:21.28 ID:Dmw+c3z90
新島「ふふ。本当に単純なんですから。……私たちが目指すべき提督である西野くんからそう言われると、何だかやっと一段落着いた気がしますね」

提督「そうか?」

清二「確かに言われてみれば。誉められるには誉められるんだけど、やっぱり周囲の皆は何処か忙しないからなぁ……」

新島「同感です。確かに本心から功績を讃えてくれているのでしょうけど、まだ周囲の皆さんからは壁があるように思えて釈然としないんですよね。……まあ、私達はどうやら、若くして提督の才能を遺憾なく発揮する『稀代の卵』と世間から呼ばれているらしいですし、注目されているのは分かりますが……」
80 :水源+α [saga]:2019/03/01(金) 06:10:23.58 ID:Dmw+c3z90
清二「そうそう。なんか誉められてるのにあんまり嬉しくないんだよな。昔俺をバカにしてた知り合いとかも急に連絡寄越してきて誉めちぎってくるし。なんというか……」

新島・清二「「気持ち悪いんだよな(ですよね)」」

提督「……成程。分かる気がしないでもない」

清二「そんなときに、こう……同期のお前から労われると、ああ〜……ってなるんだよ。分かるか?」

提督「いや……ちょっと分かった気がしたけど、やっぱり分からなかった」

新島「つまり、西野くんのような自分達が目指すべき提督でありながらも、本音を遠慮なく言い合える仲の人に労われた方が、真実味があって本当に自分が頑張ってきたということを実感できる……ということですね」クスッ

清二「そう! それだ」

提督「…………なんか、恥ずかしいな」
81 :水源+α [saga]:2019/03/01(金) 06:11:40.09 ID:Dmw+c3z90
新島「ふふ。……実は私も、です。普段は軽口ばかりでこうして本心をさらけ出すことは滅多にしませんからね。特に宮原くんに至っては普段はぶつかり合ってる相手に本心を言ってしまったも同然ですから、恥ずかしさは二倍ですね」

清二「お、おいおい……お前ら顔赤らめてんぞ。可愛いな〜!」

提督「自己紹介すんな」

清二「……うっせぇ! あそろそろ彼女とデートなんだまたなっ!」

 勝手に自滅して顔を更に赤らめた清二は、慌ただしく病室を後にする。

新島「あらら。今日は有給でこの後予定がないとここに来る前に豪語していたのにも関わらずに行ってしまいましたね」

提督「新島さんよ。それ以上は止めたげて」

新島「おっと。口が滑ってしまいました。この話はここだけの話ですよ?」

提督「もうその約束ごと全く意味がないんだよな。……というかあいつが一番恥ずかしがってんじゃねえか」
82 :水源+α [saga]:2019/03/01(金) 06:13:45.38 ID:Dmw+c3z90
新島「ふふふっ。間違いありません」

提督「まあ、又会ったときにでも、一応俺を頼りにしてくれた礼でも言っておくか」

新島「そうしてください。多分ですが、西野くんから礼を言われた後の数日間の宮原くんは、恥ずかしさを悟られないように普段以上に突っかかってこようとしてくるはずですから、受けて立ってやってください」ニコッ

提督「……お前本当に容赦ねえな。普通そういうことは逆に悟ってやらないんだよ」

新島「おっと。口が思いの外滑ってしまったようです。この話は忘れてください?」

提督「ごめんもう忘れられなくなったわ。次会うときちょっと気まずくなったらどうすんだ」

新島「その時はいつも通りに軽口を叩き合い、そしていつも通りにそこに私が現れて、いつも通りに愉しげに三人で牽制し合えばいつも通りなって済む話ですよ」クスッ

提督「……そうだな」
83 :水源+α [saga]:2019/03/01(金) 06:15:07.71 ID:Dmw+c3z90
新島「それでは私もここら辺でお暇させていただきます。……一年ぶりの再会とは思えないほど話が弾みました。楽しかったです」

提督「こちらこそありがとうな。次は三人……いや、次はあいつも含めて四人で又駄弁ろうな」

新島「はい。お元気で」

提督「またな」



ガララ 

ガチャン




新島「やっぱり……西野くんは、西野くんでしたね」

新島(……次は提督同士、二人きりで……だなんて言えませんでしたけど、彼の元気な姿だけでも見れて良かったです。そして又、次に出会う日まで頑張れそうですね)

新島「必ず又会いに来ます。西野くん」

 それから彼女は手に持っていた軍帽を深く被り、歩いて遠ざかっていく彼の病室を背にして、独りでに綺麗に微笑んだのだった。
84 :水源+α [saga]:2019/03/01(金) 06:16:03.02 ID:Dmw+c3z90
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆



大和「──提督。お迎えに上がりました」

提督「ああ。ありがとう大和。早速行くか」

大和「はい」

 同期達の突然の再会が会った日の翌朝。
 純白の軍服を確りと着て荷物とともに外に出ると、朝一の大和の華々しい笑顔が出迎えてくれた。
 病院前まで態々迎えに来たらしく、黒い高級車が停まっていた。
85 :水源+α [saga]:2019/03/01(金) 06:17:02.41 ID:Dmw+c3z90
 高級車のシートに大和と共に座ること一時間。大和とは情報交換を行っていた。



大和「──以上が提督が不在中の鎮守府の様子でした」

提督「……」

 そして今大和から聞かされた情報に、俺は少々困惑している最中である。話し手である大和さえも自分が伝えた情報に理解が追い付いていない様子だった。

提督「それは……本当、なのか?」

 思わず真偽を問い質してしまう。それほど、大和から聞かされた俺が不在中の鎮守府の様子が様変わりしていたのだ。

大和「……はい。全て本当のことです。身近で見ている側である私や武蔵他二人の秘書艦も同様に、くまなく一ヶ月間鎮守府を監視しておりましたが、本当に唯信じられない現実としか言い様がない光景でした」

提督「──」

 絶句する。
86 :水源+α [saga]:2019/03/01(金) 06:17:58.49 ID:Dmw+c3z90
 目の前の大和がこの期に及んで嘘を吐くとは到底思えない。いや、大和は普段から信頼しているし、これまでの言動の全てが信用に足る艦娘であると証明している。しかしそんな信頼を寄せている大和を疑ってしまうほど、俺が今聞かされた『提督が不在中の鎮守府の様子』についての内容が衝撃的なものだった。

 大和からの話によれば、これまで不定期に自分達のタイミングで出撃や遠征をしていた多くの艦娘達が、俺が入院した後日を境に、きちんと割り当てられたローテーションで出撃をする艦娘が増えていったらしい。しかも最初の発端はあれほど俺に嫌悪感を露にしていた戦艦、それも金剛型というのだから驚きだ。
 お茶会を興味本意で覗いていたのが見つかり、暴力を受けて以来、主に金剛と比叡から悪口や暴力を振るわれていた。
 
 それなのに。どうして金剛型が率先して適切な行動を取るのだろうか。あれほど俺を嫌い、俺を否定し、率先して行っているらしい俺が立案した出撃と遠征のローテーション表を皆の前で破り捨てたこともあったというのに。

 分からない。なぜだ。
87 :水源+α [saga]:2019/03/01(金) 06:19:24.40 ID:Dmw+c3z90
 それにまだあった。
 前任が退任し俺が着任した直後素行を著しく悪化させた一部の艦娘達がどうやら気持ち悪いほど大人しくなっているらしい。そいつらは勿論俺に暴力や嫌がらせを行っていた奴等だ。満潮、霞、曙、五十鈴、摩耶、能代だった気がする。大人しくなった時期も金剛型が精力的に活動し始めた時期と一致するとの話だが、一体何があったのだろうか。
 大和も流石に気になったようで直接、「何故急に大人しくなったのか」と単刀直入に聞いてみたらしい。
 すると帰ってくる答えは誰もが口を揃えて「償い」だと言ったとのこと。

提督(償いか……)

 彼女らが償いたい相手。それはどう考えても俺のことだと思うが、どうして今更そのような行動に出たのか俺は先ずそれが知りたい。

 又大和によれば全体的に活動は活発ではあるが、雰囲気はお通夜ぐらいに暗いらしい。
88 :水源+α [saga]:2019/03/01(金) 06:20:17.08 ID:Dmw+c3z90
提督「一体何が起こってるんだ?」

大和「すみません。この現象の原因ついては未だに解明が出来ていません。聞き込みするにしても、前々から提督側についてた私達ですから不審がられる可能性があるので……なんとも」

提督「そうか……」

提督(……とにかく。これはどの道にしろ、早急に鎮守府へ帰らなければならないな)

提督「運転手さん。急用が出来ました。横須賀鎮守府へ急いでください」

運転手「……は、はい。分かりました」


提督「大和」

大和「……はい」

提督「嫌な予感がする。着いたら直ぐに執務室へ行き、状況を確認次第講堂に皆を集めて緊急集会を開くからそのつもりで居てくれ」

大和「はい!」
89 :水源+α [saga]:2019/03/01(金) 06:21:26.52 ID:Dmw+c3z90
以上で第二話閉幕となります。お疲れ様でした。お仕事や学校、頑張っていきまっしょい
90 :水源+α [saga]:2019/03/01(金) 06:22:14.74 ID:Dmw+c3z90
読み終わった方は感想などをお願いします。
91 :水源+α [saga]:2019/03/01(金) 06:24:00.31 ID:Dmw+c3z90
明日の夜七時から八時に第三話艦娘の本心を投下していきます。是非気軽にお越しくださいませ
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