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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十八輪目】

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453 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/05(日) 22:05:55.18 ID:nz4BH5tXo

カツン、カツンと松葉づえを鳴らしながら

巧く歩けない天乃にとっては長い廊下を進む

車椅子を使うほうが良いと若葉は言ったが、リハビリの為にもと断ったのだ

天乃「はぁ……ふぅ」

松葉杖を壁に立てかけて、息を吐く

他の患者が通ることのない特別な通路は静かで

天乃のため息すらもうるさく聞こえる

だからだろう、万が一に備えて同行していた若葉は不安そうに眉を顰めた

若葉「やはり、車椅子の方が良かったんじゃないか?」

天乃「あら。私のことお姫様抱っこしたくはないの?」

若葉「それとこれとは関係ないだろう」

天乃「帰りは……そうして貰えると嬉しいなって話よ」

にっこりと笑って見せる天乃に

若葉は呆れた表情で「まったく」と笑った

若葉「そんなことを言う余裕があるなら大丈夫だな」

天乃「冗談じゃないのに……良いわよ。千景に頼むから」

若葉「千景は流石にお姫様抱っこはしないと思うぞ」
454 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/05(日) 22:50:13.02 ID:nz4BH5tXo

天乃「そう? 案外、頼めばやってくれると思うけど」

若葉「説得する必要があるだろう」

じゃないとやって貰えないぞ。と

若葉は松葉杖を手に取って、天乃へと手渡す

天乃「何とかなるわよ。今の話だって聞いてるだろうし」

若葉「……聞いてるだろうな」

精霊として千景ともつながっている若葉は、

どこからともなく聞こえる私は絶対にやらないわ。という

断固たる意志の元にある拒絶を聞きながら、苦笑する

でもなんだかんだやってくれるだろうと思っていることは、伝えない

天乃のお願いという甘えは中々に、断れないのだ

若葉「ともかく、あと少しだ。頑張れ」

天乃「ん」

カツン……と、小さな音がする

まったく動かない左足

地に足ついての支えにすらならない分歩きにくいが

それでも何とか進んでいく

若葉「……無理はするなよ」

天乃「園子にさせる無理はこれくらいじゃ済まないもの……大丈夫」

笑う天乃の額に浮かぶ汗は、尋常ではなかった
455 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/05(日) 23:27:45.38 ID:nz4BH5tXo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば少し早い時間から

園子との交渉


天乃「だっこして?」

千景「嫌よ」

天乃「お願い」

千景「嫌って言ってるでしょう?」

天乃「……お願い」ギュッ

千景「あぁもう……なんで私なのよ」
456 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/05(日) 23:39:07.35 ID:uiB99AZyO
乙
わがまま久遠さん可愛いなぁ
あと松葉杖と聞いて変身出来なくなった某鬼隊長を思い出した
457 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/06(月) 00:51:02.52 ID:59RTAXzWO
乙
杖で歩けるまでになったのか
458 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/06(月) 20:13:59.36 ID:wyFHEP+no

では少しだけ
459 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/06(月) 20:16:44.81 ID:lUBLaJgYO
よしきた
460 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/06(月) 20:35:32.96 ID:wyFHEP+no

友奈「くっ……久遠先輩!?」

病室に入ってすぐに、友奈の声が響く

松葉杖の音が聞こえていたのだろう

友奈や東郷はベッドから降りようとしているし、

這い出そうとして失敗した手が見えているベッドもある

天乃「久しぶり……かな?」

友奈「久しぶりじゃないですっ!」

はにかんで見せる天乃と、

怒ったように声を張り上げる友奈

転げ落ちる勢いで出てきた友奈は急いで天乃の体を支えるために手を出す

自分の体のことよりも天乃を気遣ってしまったのだろう

祟りによる熱すぎる体温は天乃へと伝わっていく

天乃「……汗びっしょりね」

友奈「久遠先輩ほどじゃないですよ」

天乃「そう?」

友奈「そうです」

動いたわけじゃないので。と

友奈は笑みを見せる

それが気丈に振舞っているものだと天乃は分かっていても口にしない

友奈も同じだからだ
461 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/06(月) 20:55:18.38 ID:wyFHEP+no

友奈「ごめんなさい、久遠先輩から来ることになっちゃって」

天乃「ううん、気にしなくていいから」

友奈「……もう歩けるんですね」

天乃「ちょっと、無理をすることになるけどね」

まだ、完全に自由になっていない身体

無理をしなければ歩けないわけだけれど

多少の無理は、リハビリにも必要だから。と、天乃は苦笑する

拭いてもぬぐいきれない汗は疲れもあるが、苦しさから来るものもあるだろう

天乃「今日はちょっと、園子……と、みんなに話があってきたのよ」

夏凜「園子……?」

天乃「ええ、園子は話せる?」

天乃が以前使っていた窓際のベッド

その対面にいる園子の部分だけがカーテンに遮られていて

念のため、問いかける

園子「……大丈夫だよ〜」

天乃「大丈夫そうには、感じられないんだけど」

園子「ちょっと、疲れちゃってるだけなんよ」

笑い交じりの声

でも、疲弊しているのが分かってしまう弱弱しい声だった
462 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/06(月) 21:18:25.18 ID:wyFHEP+no

友奈に支えられながら、園子のベッドへと近づいてカーテンを開く

疲れ切った園子の笑顔は辛さが目に見えていて

浮かべられている笑顔が、それをより強調させる

園子「天さん……動けるようになってよかった」

天乃「本当にね」

左足は不能だけれど

松葉杖を使えば歩くことが出来る

時期に松葉づえに慣れて、体もちゃんと取り戻せて

今日みたいな苦労はしなくて済むようになる

天乃「でも、貴女達が寝込んでいたら、ダメなのよ」

園子「えへへ……天さんの手、気持ち良い」

天乃「冷たい?」

園子「うん……ひんやり柔らかマシュマロだねぇ」

天乃「そう、じゃぁもう少し触っててあげる」

天乃の体温が多少低いのもあるかもしれないが

園子の体温が、熱すぎる

そのことを口にはせずに、額に触れて

滲む生ぬるい汗を指で拭って、前髪を少しだけ避ける

天乃「話、聞ける?」

園子「そうしててくれたら、頑張って聞くんよ」
463 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/06(月) 21:53:51.88 ID:wyFHEP+no

天乃「あんまり無理されても困るけど……」

優しくなでながら、後ろの友奈に目を向ける

友奈は風のベッドの近くの椅子に座って、

夏凜たちはベッドで体を起こして、天乃たちの方に注目する

問題はあるが、大丈夫

そんなみんなの頑張りに天乃は頷く

天乃「力を分ける件だけど、まずは園子だけにやろうと思ってるの」

東郷「それは試す。と言うことですか?」

天乃「その通りよ」

樹「私達じゃダメなんですか?」

一番苦しそうな園子

それよりは自分たちにするほうが良い

そう考えているであろう樹に、天乃は首を振る

天乃「一番影響が大きいからこそ、園子じゃないとダメなのよ」

園子「一番悪い人が大丈夫なら、そうじゃない人は大丈夫。だからだよね」

天乃「……ええ」
464 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/06(月) 22:05:49.40 ID:wyFHEP+no

実験台にされると分かっていても、笑顔の園子

天乃は申し訳ないという表情は見せずに答える

天乃「正直、祟りの影響も大きいから予想がつかないのよ」

次に何が起こるか分からない

でも、力を与えたことによる悪影響があっても困る

だから、一人だけ……園子に試すのだと、

天乃は自分の考えを説明する

危険だ。という呟きこそ漏れたが

それが必要なことであり、

現状での最善策なのだと、誰もが咎めない

園子「私は良いよ〜……大変そうだけど、でも、打開するためには必要なことだから」

風「あたし達じゃダメ……か」

夏凜「少し貰った私達では到底役に立たないわね」

友奈「園ちゃん、大丈夫?」

園子「なせば大抵、なんとかな〜る」

にこっと、園子は笑う

みんなは委ねるつもりで、園子はやる気

天乃「……やっぱり、誰も止めはしないのね」

分かっていた結果を前にして

天乃は嬉しいなどとは、思えなかった
465 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/06(月) 22:11:34.15 ID:wyFHEP+no

では、少し早いですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


園子(ようやく、ようやくなんよ)ドキドキ

園子(ここまで長かった……本当に、長かった)

天乃「顔紅いし、熱も上がってきてるわ。やっぱり止めましょうか?」

園子「え〜……犯すよ?」ニコッ

天乃「えっ?」


夏凜「東郷がうつったんじゃないの? あれ」

東郷「人を病気みたいに言わないで」
466 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/06(月) 22:16:30.18 ID:lUBLaJgYO
乙
ついに園子にも濃厚なラブシーン来るか…?
物語的にも愛の力で乗り越えて欲しい場面ではあるけど
467 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/07(火) 01:58:50.22 ID:koZaMp4tO
乙
おまけの寸止めで笑った
468 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/07(火) 22:23:11.79 ID:sLyIjrFqo

すみませんが本日はお休みとさせていただきます
明日は出来れば通常時間から
469 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/07(火) 22:29:37.84 ID:5Pe2y/DUO
了解ですー
470 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/08(水) 08:11:04.99 ID:7IhP/EbEO
乙
祟りの一件がどうにかなってもまだ神婚の話が残ってるんだよな…
471 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/08(水) 20:56:26.90 ID:aIq9U3Y6o

では少しだけ
472 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/08(水) 20:59:53.76 ID:2kb8NEBx0
いえす
473 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/08(水) 21:14:28.08 ID:aIq9U3Y6o

夏凜「嬉しくなさそうね」

天乃「……ちょっと、複雑」

天乃は深刻なことではないことを示すかのように苦笑する

みんなが協力的なことは、喜ぶべきだし

ありがたいことではある

だが、それが危険なことであればあるほど、

喜ぶことは難しい

若葉達を還すか否かで話し合ったこともあって、

みんながただすべてを頷いてくれるわけではないということは良く分かっている

考えたうえでのものだと分かっている

でも、それでもやっぱり……嬉しいとは言いにくかった

天乃「もちろん、みんなの為にって手を貸してくれることはありがたいのだけど」

園子「天さん、罪悪感は……要らないんよ」

天乃「うん、分かってる」

弱弱しい園子の頬に触れたまま、微笑む

せっかくの厚意

それに対して罪悪感を抱いていては、

その思いを足蹴にするようなものだ
474 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/08(水) 21:32:26.54 ID:aIq9U3Y6o

天乃「だから、複雑なんだけどね」

罪悪感を抱くつもりはないけれど、

天乃自身の心に嘘をつかないのであれば素直に喜べない

天乃「………」

祟りの件

それに対して、天乃が打とうと考えていた手の一つ

園子の体を借りての力の譲渡のテストは、話した

でももう一つ、話すべきことがある

神婚をする。という大切なこと

当然ではあるが、神様と本当に結婚するわけじゃない

あくまで、バーテックスの親玉を引き摺り出すための手段

でも、失敗したら神婚は成立する

天乃を犠牲に人類は神の眷族となって

永遠の安寧を得ることが出来る……ことになってしまう

それは勇者部にとってはあってはならないことだ
475 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/08(水) 22:00:29.78 ID:aIq9U3Y6o

友奈「久遠先輩、どうかしたんですか?」

天乃「ちょっと、考え事をね」

友奈「祟りのことですか?」

天乃「ええ」

祟りのことについて。と言うこと自体は嘘じゃないから、

友奈は少し誤魔化した答えであることには、気付かない

困った用意、ぎゅっと胸元に手を宛がう

見せられないほどに穢れてしまった身体

それを見せてしまったらどれほど憤るだろうか

どれほどの無理をさせる決心をさせてしまうのか

その不安が、痛み以上に重く、友奈に息を飲ませる

風「祟りのことって、力を分ける以外に何かできることがあるの?」

樹「もしかして、力を分けるのって聞かされてた以上に負荷がかかるとかですか?」

天乃「ううん、あれ以上ではないはずよ」

天乃自身の力を消耗するため

酷く弱るということはすでに勇者部のみんなに伝わっている

多少の誤差はあるけれど

それ以上に酷いとなると死すら覚悟しなくてはならないため

そこまでではないはずだと、天乃は言う
476 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/08(水) 22:18:44.21 ID:aIq9U3Y6o

東郷「そのっちのことが心配ですか?」

天乃「かなりの負担をかけちゃうもの……心肺だわ。凄く」

逃げているわけではない

ただ、聞かれていることに答えているだけ

答えながら、考える

今すぐに神婚のことを打ち明けるべきか

少し、時期を見計らってから……

そう、せめて、園子が精神的にまで追い詰められないように

力の譲渡が無事に終えられるまでは話さないでおくか

体調の万全を期すのであれば、後者であるべきだが

時間的猶予を考えるのであれば、今すぐ話すべきかもしれない

どちらも、悪いとは言えないが……

生命の危機に直結する力の譲渡のことを考慮すべきではと、天乃は思う


1、今は話さない
2、実は、神婚を考えているの


↓2
477 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/08(水) 22:20:19.38 ID:RGQ/Kx0O0
2
478 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/08(水) 22:20:48.47 ID:8gxoy0tqO
2
479 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/08(水) 22:32:43.25 ID:aIq9U3Y6o

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


天乃「実は、神婚を考えているの」

風「……そういえば、まだ冷えるから薪が欲しかったのよねぇ」

東郷「あれ使えば暫く持ちそうですよ、風先輩」

樹「束にするのは私がやりますね」

友奈「わーっ! ちょっと落ち着こう? ねっ? ねっ!?」
480 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/08(水) 22:41:54.60 ID:qy1q/sEYO
乙
祟りの実験と神婚とでお互いに命懸けになるんだよなぁ
特に久遠さんは身体の酷使っぷりが…
481 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/09(木) 02:27:11.47 ID:XfqphzXsO
乙
神婚がいつになるかはわかんないけどその時までに勇者部が復調してないとって考えるとやっぱり園子に頑張ってもらうよりほかないよなあ
482 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/09(木) 20:35:51.64 ID:kx1UFWWwo

では少しだけ
483 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/09(木) 20:43:15.42 ID:bLDHPEGRO
よっしゃー
484 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/09(木) 20:53:59.58 ID:kx1UFWWwo

天乃「こんな時に申し訳ないとは思うのだけどもう一つ相談があるの」

東郷「申し訳ないなんてそんなことありません」

友奈「そうですよっ久遠先輩っ」

ありがとうと言いたいけれど

言えなくて、天乃は笑ってごまかす

友奈の優しい心を感じる表情

それを曇らせてしまうことが、申し訳なくて。

天乃「実は、神婚をしようと思ってるの」

東郷「神前式のことですか?」

天乃「ううん、違うわ」

教会式とは違う、日本の挙式

それではないかと上げた東郷の言葉を否定する

息を飲んで、真正面の園子を見る

二年前からの付き合いだからか

大赦の奥深くに居たからだろうか

園子は察しているような表情だった

天乃「神様……神樹様と結婚をするの」
485 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/09(木) 21:34:33.18 ID:kx1UFWWwo

風「神様と結婚……?」

天乃「ええ」

樹「どういうことですか? どうして……」

東郷「大赦ですか?」

また、余計なことを。

強い憤りを感じさせる東郷のつぶやき

大赦が原因であると断定しているかのような鋭い瞳

満開のことや、園子のこと

奉火祭の件などいろいろありすぎたのだろう

東郷にとって、大赦は忌むべき組織でしかないのかもしれない

東郷「……また、またですか」

天乃「強制されたわけじゃないわよ。東郷」

東郷「誰かのためだという言葉は、久遠先輩にとっての強制です!」

夏凜「それには同意するけど、天乃だって単に自分一人の犠牲で済むなら。って考えてるわけじゃないんじゃない?」

今までとは違う

犠牲になろうとしているわけじゃない

そう確信しているような夏凜の言葉

東郷は不機嫌さを隠しきれていないながらも

ぐっと引き下がって首を振る
486 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/09(木) 21:53:34.95 ID:kx1UFWWwo

夏凜「私たちが反対することくらい、天乃は分かってる」

友奈「そう、だよね」

園子「……そうだねぇ」

今の天乃であれば

勇者としての力の有無に関わらず押し込むことが出来る

比較的非力である樹でさえ、天乃を抑えることは出来るだろう

そんな状態でありながら、止められると分かっていることを相談してきたのだ

考えなしに承諾したわけじゃないはずだ

園子「天さんには天さんの考えがある。それも、今までとは違う、ちゃんとみんなが幸せになるための考え」

天乃「それは買い被りすぎだわ」

園子「そうかな〜?」

天乃「そうよ。だって、必ずって、約束はできないもの」

これは博打だ

天乃自身の命と、人類の在り方をかけた博打

もしも失敗をしたら、天乃は本当に神様と結婚してしまうし、それだけではすまない

天乃「失敗したら、私は死ぬわ。神樹様に魂を持っていかれちゃうの」

東郷「なっ……そ、そんな反対ですっ!」

幸せになるためであるのだとしても

また、命を失わせてしまうようなことなんて、させたくない
487 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/09(木) 22:16:26.92 ID:kx1UFWWwo

東郷「そのっちに力を渡して、私達にも力を渡して……その状態でやるんですよね?」

神婚ですべてにかたがつくのであれば、

園子に無理をしてもらう必要はない

それをやるということは、少なくとも神婚はみんなに力を分け与えた後になる

つまり、天乃の神婚は万全な状態では行われない可能性が非常に高い

神婚が生命力を削って行われるのであれば

与えられる猶予は限りなく短いだろう

そんなの、許せるわけがない

東郷「久遠先輩にやらせるくらいなら、私がやります」

天乃「東郷、それは――」

東郷「私は勇者であり巫女でもある……神婚を行う価値があるはずです」

沙織「それは無理だよ」

どこにいたのか。

おもむろに姿を見せた沙織の無情な一言が続く

沙織「これは神託で選ばれたことなんだ。久遠さん以外の何者にも、代わることは出来ないよ」
488 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/09(木) 22:17:13.56 ID:kx1UFWWwo

では途中ですがここまでとさせていただきます
明日は恐らくお休みになるかと思います

再開は明後日、通常時間から
489 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/09(木) 22:37:08.60 ID:bLDHPEGRO
乙
あくまで天の神に対する囮としての神婚だが…
この説得にはかなり骨が折れそうだな
490 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/10(金) 01:48:31.90 ID:CTKXsf3uO
乙
本人たちの結婚式もまだだからなあ
491 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/11(土) 20:40:13.08 ID:gGyv6LMqo

では少しずつ
492 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/11(土) 20:46:57.12 ID:tOnJFh74O
やったぜ
493 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/11(土) 21:23:45.36 ID:gGyv6LMqo

東郷「神託……ッ!」

歯ぎしりさえ聞こえそうな、憤った東郷の声

神託と言う抗えない強制力を提示されたからだ

神託が天乃でなければだめだという以上

それ以外のなにかでは成立させられない

奉火祭のように、巫女か東郷か。

そんな選択はなく、天乃が持っていかれてしまう

そして、天の神ではなく神樹様

祟りのように勇者達を苦しめるようなことはないだろうけれど

加護を与えてはくれなくなってしまうかもしれない

もしそうなのであれば……

友奈「久遠先輩、それ以外に出来ることはないんですか?」

苛立ちを見せる東郷を一瞥し、友奈は天乃へと問う

東郷を鎮めるためには、

神婚を止めるにせよ止めないにせよ

納得させられる何かが必要だから。

友奈「夏凜ちゃんが言ってたけど……ただ犠牲になるだけじゃない考えがあるんですよね?」
494 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/11(土) 21:43:44.66 ID:gGyv6LMqo

東郷「久遠先輩が死んじゃうのよ? それを――」

友奈「うん……でも、だから。じゃないかな」

友奈は、難しいことは言えないよ。と前置きをすると

困ったように、はにかむ

自分の考えがあっているかどうか、不安なのだろう

そんな友奈に、園子は軽く頷く

園子「……教えて、ゆーゆ」

友奈「う、うん」

東郷「………」

友奈「犠牲になるつもりがない久遠先輩が、犠牲になるかもしれないことをしようとしてる」

それってね。と、友奈は天乃を見る

追い込まれていると、分かったからだろう

無理をさせたくはなかった天乃に無理をさせてしまうことになっているからだろう

少しだけ、唇を噛むのが見えた

友奈「それをするだけの理由があるんだと思う。もちろん、誰も犠牲にならないためだよ?」
495 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/11(土) 22:08:00.51 ID:gGyv6LMqo

東郷「でもっ」

夏凜「東郷。あんたが天乃に無理をさせたくないって思ってるのは、分かってるわよ」

こういう議論の場で

天乃の考えに対しての反論を述べて、反感を買う

それも覚悟をしてのことだ

天乃のためを思ってのことだ

嫌われるのだとしても、少しでも天乃の為になるのであれば、為すことが出来る

そういう人だと、夏凜は思っている

夏凜「でも、そうせざるを得ない状況なんでしょ?」

天乃「……私の本心を言えば、神様となんてお見合いすらもしたくないわ」

風「天乃、神樹様嫌いだったしね」

天乃「ええ」

お見合いが嫌なのだ

結婚だって当然、避けられるならば絶対に避けていることだ

それでも神婚を行うのには、

みんなが言ったように理由があって。

天乃「それでも私が神婚をするのは親玉を引き摺りだすためよ」
496 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/11(土) 22:28:14.64 ID:gGyv6LMqo

天乃「神婚をするなんてなったら、天の神は何が何でもぶち壊しに来るでしょうね」

人類を神の眷族とすることに怒り狂うか

天乃という極上の贄を持っていかれることに怒り狂うか

それとも、両方か

だが、来ることだけは確実

天乃「みんなには、その親玉を討伐して欲しいの」

園子「親玉を倒せば、祟りも、神樹様の寿命の問題も何とかなるかもしれないからね」

東郷「そんなこと……」

沙織「東郷さんは、出来ない?」

東郷「久遠先輩が無理をしなくてもできるかもしれないじゃないですか」

祟りの件だって

天乃の力を得られれ葉時間を稼ぐことが出来る

そうするれ葉、戦う力を得られるし

親玉を引きずり出すような何かだってなせるはず

天乃の話は早計だと、東郷は切り返した
497 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/11(土) 22:31:54.12 ID:tOnJFh74O
東郷さん粘るなぁ
498 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/11(土) 23:35:16.44 ID:gGyv6LMqo

東郷「久遠先輩の力を借りて、祟りに抗えば出てきてくれるかもしれません」

樹「それは、そうかもしれないですけど……」

風「それまで神樹様の寿命が持たないかもしれないわよ」

夏凜「神樹様の力が本当になくなったら、私達も戦えない」

亡くなることがなかったとしても

消耗しすぎて、勇者に回すような余裕がなくなってしまうかもしれない

時間はないが、余力もないのだ

どちらかがあるのならばまだ、方法があったかもしれない

しかし、ないのが現実

東郷「下手に待って、余計に追い込まれるのを避けたい……ですか」

天乃「ええ」

東郷「………」

それでも何とかする手立てはないのか

それを考え、見つけられなかったのだろう

苦悶の表情を浮かべた東郷は目を伏せる

東郷「だからって、久遠先輩にこれ以上無理をさせるなんて」

嫌だ。

そんなの、許せない

なにより、そうせざるを得ないような状況に追い込まれるような

自分の未熟さが、許せない

握りしめる拳は、食い込む爪は

痛覚を乗り越えて、血を滲ませる

東郷「……その神婚、止める手立てはあるんですか?」
499 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/12(日) 00:14:05.42 ID:wCpd/gjyo

では途中ですがここまでとさせていただきます
明日は出来ればお昼ごろから
500 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/12(日) 00:15:05.40 ID:w+ZuArZK0
おっつー!
501 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/12(日) 00:22:18.04 ID:pHIDoJXJO
乙
東郷さん…普段猥談とかしてる分こういう時は真面目で優しい子なんだなぁと
502 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/12(日) 02:45:25.27 ID:OxMigkcAO
乙
とにかく早めに早めに行動しなくちゃいけない状況なのか…
503 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/12(日) 15:04:12.13 ID:wCpd/gjyo

では少しずつ
504 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/12(日) 15:12:30.41 ID:OluJCppOO
かもーん
505 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/12(日) 15:26:46.33 ID:wCpd/gjyo

東郷「人と人との結婚じゃないんです。ちょっと待った。なんて言って簡単に止められるものではないと思います」

それこそ、祟りのような何かがあってもおかしくない

いまさら何を言っているのだと

反対意見なんて跳ね除けられて結婚させられてしまうかもしれない

新郎が、その友人が、その親が

ふざけるなと阻むのとはわけが違う

東郷「仮に陽動が上手く行き、倒せたとしても久遠先輩が消えてしまうという結果は免れ得ないのでは?」

天乃「そうね。神婚を中断させられるかどうかは、分からない」

東郷「やっぱり……」

神樹様に対する信仰心はこの世界規模で考えれば非常に厚く

天乃一人の命か、神樹様による存続かを考えれば

圧倒的に後者である

人類は神樹様の存続から、天乃を手放すことは出来ない

神樹様がそう考えるかもしれない

東郷「神樹様が、そうしなくていいと納得できるだけの証明が必要になります」

沙織「東郷さんは、それが無理だって?」

東郷「神樹様の今までを考えれば、生半可なものではいわゆる曲解されたような結果になるだけかと」
506 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/12(日) 16:00:14.27 ID:wCpd/gjyo

東郷の一言に、沙織は反論を飲み込む

静まり返った病室に誰かの吐息

誰かが動いて、布の擦れる音

東郷は自分の発言による沈黙を吸って、吐く

銀の死によって与えられた力

それはとても強い力ではあったし

それ自体は悪いものではなかったと東郷自身も思う

だが、人ならざる者へとさせてしまう力など、

結局、銀を失った東郷たちが望んだものなんかではなくて。

東郷「人類の救済だってそう、きっと神婚によって訪れるのは人ではなくなった何かが蔓延る世界なんだと思います」

風「東郷はどっちも認められないのね」

友奈「人じゃなくなっちゃう世界も、久遠先輩がいなくなっちゃう世界も……私も嫌だよ」

友奈の悲痛さを感じる声に

東郷はぐっと眉を顰めて、友奈を視界から外す

東郷「久遠先輩、神婚を確実に止める手はありますか? 誰も、何も、変らずにです」
507 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/12(日) 16:43:13.20 ID:wCpd/gjyo

天乃「そう詰め寄られると、困っちゃうわね」

止める手立ては考えられていないに等しい

行き当たりばったりだ

だが、東郷はそんな曖昧な考えを許しはしない

神樹様はそんな考えではまさしく望まない結果を生み出してしまうことだろう

天乃「それについては、九尾にも具体的な答えは用意できなかった」

東郷が問題にしていることは、

九尾も問題点としてすでに上げてくれていることだった

神婚を行うとして、それの中断が行えるのかどうか

それに対して九尾が出したのは、

人類はもう守って貰う必要がないということを、神樹様に示す。ということだった

天乃「ただ、守る必要がないって神樹様に示せば良いかもしれないって」

夏凜「だったらそれは、私たちがやって見せるしかない」

東郷「どうやって?」

夏凜「どうやるもこうやるもないわよ。私達は今まで通りに、奪おうとするやつから、守るだけ」
508 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/12(日) 17:17:33.81 ID:wCpd/gjyo

樹「でもきっと、いままでとおりじゃ、ダメなんだと思います」

今まで通りで良いのなら、

ここに来るまでに話は終わっているはずだ

神樹様の寿命が尽きそうになっているという話が出たときに、

この問題は片付いているはずなのだ

そうならないのは、それだけではだめだからだ

沙織「神樹様の説得かぁ」

園子「それは多分、天さんにしかできないことなんよ」

天乃「……私にしか?」

園子「うん、天さんにしか」

弱弱しく

けれども力強く笑みを浮かべて見せた園子は、

小さな手で、天乃の細腕を握る

園子「過去と未来の架け橋……すべてを紡いできた、久遠天乃が、すべきこと」

天乃「私なんかに、人類の言葉を託すなんてどうかしてるんじゃないの?」

困った笑みを浮かべ、天乃は茶化したように言う

全人類の思いを、神授嫌いの自分一人に任せていいのか

普通なら、駄目だろうけれど

夏凜「最も神に近づくアンタがダメなら、ほかの誰にもできないんじゃない?」
509 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/12(日) 18:13:26.32 ID:wCpd/gjyo

言葉を通じ合わせることのできない神と人

その相容れない存在が、交わる

交わろうとする、特別な時間

きっと、最も近づくことで

純粋で穢れのない想いがぶつかり、重なることだろう

友奈「沢山のことを経験した久遠先輩だから、こそです」

樹「久遠先輩じゃないと、ダメだと思います」

西暦の魂に触れ、従えて

現代の人類の触れ、その善悪を経験して

色々なことを考え、ここまで生きて

これからも生きていこうとしている

沙織「……久遠さんなら、神樹様の考えを変えられるだけの想いを伝えられるはず」

天乃「………」

東郷「久遠先輩……出来ますか? 出来ませんか?」

反論ではなく、問う

天乃がそれを、成し遂げることが出来るのかどうか


1、もちろん、成し遂げるわ
2、みんなが、力を貸してくれるなら
3、分からないけど、でも、やるしかないわ
4、できるできないじゃないわ。やるのよ

↓2
510 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/12(日) 18:16:06.12 ID:OluJCppOO
1
511 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/12(日) 18:17:15.06 ID:W9SQQtht0
2
512 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/12(日) 19:00:22.65 ID:wCpd/gjyo

天乃「そうね……」

園子を見て、友奈を見て、風を見て

東郷を見て、樹を見て、沙織を見て、夏凜を見て

また、園子へと戻っていく

不安だし、怖い

絶対に大丈夫だなんて安心感は得られない

でも、それでも

みんながいるのなら。

天乃「みんなが、力を貸してくれるなら」

樹「当然です」

友奈「もちろんですっ」

風「最後まで、付き合うわよ」

夏凜「言われなくても」

園子「ずっとも〜」

東郷「……ずっとも」

園子の伸びた手にくっつけるように

東郷は自分の右手を伸ばす

東郷「久遠先輩、絶対ですよ」
513 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/12(日) 19:15:33.46 ID:wCpd/gjyo

東郷は振り絞るように言って、息を吐く

本心では、嫌だ

でも、どうしようもない懸けるしかない

だからせめてと、東郷は目を瞑る

東郷「……分かりました。神婚、してください」

天乃「ごめんね」

東郷「本当ですよ」

こっちはまだ結婚してないのに。

明らかに不満そうにする東郷を、友奈は宥める笑みを浮かべる

仕方がないことだと分かっていても

神樹様に先を越されてしまうのが、嫌で。

でも、それを言っても仕方がない

だから、飲み込む

園子「全部終わったら、ちゃんと……してくれないとダメなんよ」

風「神様との結婚するんだから、あたし達とも、ね」

天乃「そうね、本当はみんなとするだけのはずだった」
514 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/12(日) 19:39:51.62 ID:wCpd/gjyo

まだみんなの家の説得

そのすべてを完了しているわけでもないのに

神様との結婚を先にするなんて本当、何なのかと思う

こんなことしてる場合じゃないのにと思う

でも、そうしなければ説得はできなくなってしまう

結婚は出来なくなってしまう

だから、やるのだ

天乃「……私たちの将来の為に」

夏凜「私たちの平和の為に」

東郷「私たちの日常の為に」

やりたくないことから逃げるのではなく

やりたくないことにも手を出して……何とかする

天乃「成し遂げましょう、私達で」

覚悟を決め、希望を抱き、将来を願う

天乃のいつもと変わらないトーンの言葉

ほんのり笑い混じりの日常感

みんなは意気込んだ返事をすることはなく

そっと自分の胸に手を当てて、自分の思いを確かめ頷く

天乃「世界を勝ち取るわよ」

「「「「「「「おーっ」」」」」」」」

文化祭のような、体育祭のような

そんなのりで

みんなの声が、病院に響いた
515 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/12(日) 20:03:38.53 ID:wCpd/gjyo

√ 2月2日目 夜 (病院) ※金曜日


01〜10
11〜20 夏凜
21〜30
31〜40
41〜50 東郷
51〜60
61〜70
71〜80 悪いこと 
81〜90
91〜00 若葉


↓1のコンマ
516 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/12(日) 20:04:27.63 ID:OluJCppOO
あ
517 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/12(日) 21:03:55.38 ID:wCpd/gjyo

√ 2月2日目 夜 (病院) ※金曜日


みんながいた夕暮れ時の病室から

独りぼっちの窓のない病室へと戻った天乃は

ベッドに横になったまま、息を吐く

天乃「……園子に力を渡すためにも、体を何とかしないと」

回復は順調で

園子一人に力を与える程度であれば何とかなるかもしれない

けれど、松葉杖での歩行だけで疲労困憊してしまうのでは、

先が思いやられてしまう

天乃「とはいっても、寝ていれば戻ってくるわけでもないのよね」

今ある体力分は戻るだろうけれど

それ以上にはなってくれない

運動するべきだけど、出来るのはリハビリ程度

無理をすれば死にかねない

勇者としての力を使えばいいけれど

力を渡すときには使えない
518 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/12(日) 21:24:34.15 ID:wCpd/gjyo

天乃「弱いって……いやね」

出来ることが制限されるだけでなく

出来ることの中でもまた更に制限が付けられる

天乃「弱くてもできることはある。でも、強くなければ出来ないことがある」

だからお姉ちゃんは強くなりたいの。

天乃がまだ小学生のころ、姉の晴海は空手の大会で優勝した

でも、それでも満足せずに鍛錬に励み、より強くなろうと別の武術まで手を付けていく

そんな姿を見て、どうしてそこまでするのかを聞いた時に言われた言葉

天乃「お姉ちゃんはずっと、こんなだったのかな」

何をするにしても、弱さを感じる

もっとできることがあるのではないか

もっと別の方法があったのではないか

そう、悩んで……

満足する結果は一度も得られていないのかもしれない
519 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/12(日) 21:55:14.29 ID:wCpd/gjyo

天乃「……きっと、私が強ければもっと方法があった」

神婚なんて手段を選ばなくても

みんなに親玉を倒して貰うなんて危ないことをさせなくても

何か、解決するすべはあったはず

天乃「でも、出来ない」

弱くなってしまったから

追い込まれてしまったから

だから……みんなの力を借りることにした

一人の力では不十分でも

みんなの力を合わせれば何とか出来る

天乃「一人じゃないから、大丈夫」

みんなで世界を取り返す

そう決めたし、出来ると信じている

だから悩んでなんていられないと

天乃は心を強くする


1、精霊組
2、イベント判定
3、お休み

↓2
520 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/12(日) 21:56:45.48 ID:QOiT6nmu0
3
521 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/12(日) 21:57:16.28 ID:hCCLVCxiO
2
522 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/12(日) 22:10:21.60 ID:wCpd/gjyo

01〜10 友奈
11〜20 夏凜
21〜30 樹
31〜40 東郷
41〜50 風
51〜60 千景
61〜70 球子
71〜80 若葉 
81〜90 沙織
91〜00 歌野


↓1のコンマ
523 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/12(日) 22:12:39.09 ID:JMlLFVZS0
む
524 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/12(日) 22:13:11.03 ID:hCCLVCxiO
あ
525 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/12(日) 22:35:55.66 ID:wCpd/gjyo

では少し早いですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「私も結婚したいわ」

風「全部終わったらねー」

友奈「終わらせよう……頑張って」

園子「ふぁいとっ、お〜」


樹「恋人たちの逆位置」ペラッ

樹「……でも、大丈夫。踏み込むことは間違いじゃない」
526 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/12(日) 22:47:03.98 ID:hCCLVCxiO
乙
久遠さん込みでの勇者部の一致団結ならこの逆境でも乗り越えられると信じたいな
あと久遠さんの神樹様嫌い設定久々に見た気がする…お互いに向き合うことができるのだろうか
527 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/13(月) 01:59:46.14 ID:tWkt+9fQO
乙
まずは園子ひいては勇者部を復活させるところからだな
528 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/13(月) 12:37:14.91 ID:5UOL8dRTO
乙
昔の強くて格好いい久遠さんが見られなくなってきたのは寂しい反面、弱体化したからこそより多くのものを得た感じがして物語的にはそれが正解なのかも
529 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/13(月) 20:50:10.87 ID:4+OsOF3Zo

では少しだけ
530 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/13(月) 20:51:32.34 ID:l46ZjDc3O
あいよー
531 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/13(月) 21:32:01.18 ID:4+OsOF3Zo

天乃「………」

病室の外から聞こえる小さな足音

ゆっくりとした歩みは、

出来る限り気付かれまいとしているからだろう

天乃「……夜這い?」

それはないと首を振る

天乃もそうだが、みんなにもそんな余裕がない

耳を澄ます

ゆっくりで、静か、小さな足音

ちょっとだけ、不安を感じる

片耳を失ったことで鋭敏になった聴覚で感じ取る

天乃「友奈、かしら」

東郷の線も考えたが

東郷ならもう少し大胆だし、静かだ

足音に不安は混じらない

天乃「ん」

きゅっと足とが止む

病室の扉に何かが触れて

コンコンッと、微妙な音が病室に流れ込んできた
532 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/13(月) 21:57:35.44 ID:4+OsOF3Zo

天乃が返事する前に、病室の扉が開く

友奈「……久遠先輩?」

みんながいる病室と違って

天乃一人の病室では遮るためのカーテンを閉めてはおらず

ひょっこりと壁際から顔を覗かせた友奈はベッドに天乃がいるのを確認して、ぐっと息を飲む

友奈「久遠先輩?」

さっきよりも小さく、囁くように

天乃が寝ているかどうかを確かめようと声をかけ、

数秒間待って、ベッドへと近づく

天乃「…………」

友奈「……寝て、ますか?」

寝ていたら帰るのか

それとも、何かしようと言うのか

来客用の椅子に座ったりせずに、友奈は天乃の顔を覗く


1、……なぁに?
2、寝たふり
3、「んっ友奈……やめて……」という寝言


↓2
533 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/13(月) 21:59:18.68 ID:l46ZjDc3O
1
534 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/13(月) 22:02:43.20 ID:VAKfFhx00
3
535 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/13(月) 22:25:37.30 ID:4+OsOF3Zo

天乃「んっ……」

友奈「っ」

寝返りを打つ

友奈に顔が見えないように背を向けて、

もう一度寝返りを打って友奈の方を向く

うなされているのかもしれない

友奈の心にそんな不安を感じさせて、隙を作る

そして

天乃「んっ友奈……やめて……」

友奈「!?」

艶っぽい声を漏らす

口元に手を当てて、

布団を少しだけ、跳ね除けて

びくっと身体を震わせる

天乃「やっ……んっ……」

友奈「ぇっ? えっ!?」

天乃「はぁっ……はぁ……んっ」

友奈「……っ」
536 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/13(月) 22:46:02.99 ID:4+OsOF3Zo

天乃「……zzz」

友奈「お、落ち着いた?」

少し上ずった声で友奈は問いかける

変に色っぽい声を漏らしていた天乃だけれど

大人しくなって、一安心だと友奈は胸を撫で下ろす

友奈「………」

どくんっどくんっとうるさい心音

ちょっぴり温まってしまったせいか、ほんのり汗ばむ

天乃「んっ」

友奈「!」

天乃「友奈……っ」

そこに友奈がいるような素振りで、布団を抱く

顔を埋めて、抱きしめて

布団に押し殺されたくぐもった声を漏らす

天乃「ゆっるして……っぁ……」

友奈「ゆ、夢の中の私はなにしてるんだろう……」

ごくりと喉を鳴らすのがはっきりと聞こえた
537 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/13(月) 22:48:46.47 ID:4+OsOF3Zo

01〜10
11〜20 久遠先輩が悪い
21〜30
31〜40
41〜50
51〜60 久遠先輩が悪い
61〜70
71〜80
81〜90 久遠先輩がいけない
91〜00


↓1のコンマ
538 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/13(月) 22:50:31.68 ID:l46ZjDc3O
あ
539 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/13(月) 23:02:48.39 ID:4+OsOF3Zo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「いって、行くのよ友奈ちゃんっ」グッ

東郷「誘ってるに決まってるわ、大丈夫、行ってっ」

東郷「何をためらってるの……」

東郷「その手を伸ばして、さぁ、さぁっ!」


風「落ち着け」
540 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/13(月) 23:12:10.46 ID:l46ZjDc3O
乙
またもや友奈ちゃん役得イベントが…
久遠さんもようやく悪戯できるぐらい心に余裕ができたんだなぁ
541 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/13(月) 23:38:22.05 ID:LUTi0IHXO
乙
こうなると余裕出てきた感じがするな
今まではイチャイチャすら出来なかったし
542 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/14(火) 02:17:25.86 ID:q10rGkt5O
乙
久しぶりに久遠さんの誘い受け見たわ
やっちゃえ友奈ちゃん
543 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/14(火) 21:34:04.70 ID:DGvCZdEjo

では少しだけ
544 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/14(火) 21:37:56.40 ID:yVV+ZitSO
よしきた
545 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/14(火) 21:56:19.72 ID:DGvCZdEjo

友奈「………」

そっと右手を伸ばす

摘まむような広がりの小さな手は

ゆっくりと広がって、天乃の頬まで数センチのところで、止まる

友奈「……だめ、だよね」

天乃「んんっ……」

友奈「気に、なるけど」

右手を引き戻して、左手で抑え込む

今ここにいるのはお忍びで

天乃は体が治ったばかりで余裕がない

ちょっと気を惹かれたからって悪戯をするのは

それこそ、忍びない

友奈「………」

なら、どうしてここに来たんだろう

何もしないのに

何もできないのに。
546 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/14(火) 22:12:46.35 ID:DGvCZdEjo

友奈「さっき、言っておけば良かった」

一緒に行っていいですか。と

一緒にいてくれませんか。と

そうすれば、手を出すこともできたのにと、ちょっとだけ後悔する

友奈「なんで、来ちゃったんだろう」

病室に来てくれた時は嬉しさが勝ってしまっていたのだろうか

夜になってだんだんと静けさに包まれていく中で

冷めていく体に心がついていくことが出来なかったのかもしれない

いや……違う。

友奈「っ」

神婚すると言う話で決まった

バーテックスの親玉を呼び出すその作戦は効果がある分かなりのリスクがある

それ自体に反対をする気はないが、

病室から去っていく姿が不安になったのだ

そのまま世界が樹海に包まれて

離れ離れになってしまうような不安を感じたのだ
547 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/14(火) 22:35:51.89 ID:DGvCZdEjo

友奈「……そんなこと、ないけど」

天乃の艶っぽい声もそうだが

何より、寝返りを打てているというのが、ほほえましくさえ感じる

今までは寝返りを打ちたくても不自由な身体では寝返りなんて打てるはずもなく

とても窮屈そうで

傍に居る誰かが体を動かしてあげる必要さえあったのだから。

友奈「久遠先輩」

天乃「すぅ……すー……」

友奈「久遠先輩がいてくれて、良かったです」

友奈や勇者部にとって、

天乃がいるのは当たり前のことだけれど、

もしも天乃がいなかったら。

長く会えなくて、祟りに冒されて、不安になった心で考えてしまったこと。

首を振る

そうっと、近づく

きし……っと、手をついたベッドが軋む

強く嗅がなくても天乃の匂いが強く感じられる距離

総毛立つ感覚とはまた違う、全身に迸るぬくもりのある感覚

友奈「……ごめんなさい」

一言謝って、唇――ではなく、頬にキスをする

友奈には、それが精一杯の行為だった
548 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/14(火) 22:50:50.81 ID:DGvCZdEjo

天乃「んっ……」

友奈「ぁっ」

天乃「………」

さっきまでとは違う反応を見せた天乃を見て

起こしてしまったのではと、友奈は後退りする

人によっては逃げることも、隠れることもするだろうけれど

友奈にはそんなことできなくて

友奈「久遠、先輩?」

じっと見つめて、声をかける

起こしてしまったらそうしようと思うのに

声をかけてしまったのは、

無意識なのか、思いがあっての事なのか

天乃「………」

寝たふりをしたのだ

このまま起きない方がいいような気もするけれど……

1、起きる
2、起きない


↓2
549 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/14(火) 22:55:44.00 ID:yVV+ZitSO
1
550 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/14(火) 22:57:19.74 ID:tOYgsuLK0
1
551 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/05/14(火) 23:05:24.65 ID:DGvCZdEjo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



友奈「もしも久遠先輩がいなかったら」

友奈「祟りはどうなってたんだろう」

友奈「神樹様は誰をお嫁さんにしようとしたんだろう」

友奈「私達は、どうしてたんだろう」

友奈「……その悩みのほとんどを、久遠先輩が抱えてくれてるんだよね」
552 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/05/14(火) 23:13:34.73 ID:yVV+ZitSO
乙
悪ふざけしてたのが申し訳なくなるくらいシリアスな友奈ちゃんだったな…
ここはちゃんと反応して励ましてあげたい
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