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とあるシリーズ(禁書目録&超電磁砲)SS雑談スレpart20

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780 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:21:47.53 ID:3OJgtAFD0
https://syosetu.org/novel/56774/88.html
御坂美琴と一方通行B 戦いは未だ終わらず 千疋百目C 救いの手 木葉桜十五夜と扼ヶ淵埋娥@ 白の思惑

 交錯する『力』と『力』。
 ぶつかり合う『世界』と『世界』。
 塗り潰し合う『色』と『色』。
 ひょっとしたらそれだけで世界は簡単に終わるのかもしれない。そう思えるほどに莫大な『力』がぶつかり合っている。
 音はなく、光はなく、認識できずともただそこに確かにある『力』。
 御坂も一方通行アクセラレータもただその『力』をぶつけあっているのだ。
「hilywe世ybviqx界oiur操作bvbpo」
「「――――――――――――――――――――――――――――――――――――――」」
 質の高い力と量の多い力が互いを攻撃しあう。先ほどの交錯では勝敗は量の側、つまり御坂の側に傾いた。
 では、今回はどうだろうか?
「―――――――――――ッッッ!!!!!」
 今回の交錯では勝敗は一方通行アクセラレータの側に傾いた。
 理由としては主に二つ。
 まず一つ。一方通行アクセラレータは既に世界を操るその力が起こす事象を目撃していたという事。
 目撃したという事は理論や理屈がわからなくともその『チカラ』が起こす結果だけで分かるという事だ。一方通行アクセラレータほどの頭脳を持つ人間からすれば結果から逆算して過程を導き出すことはそう難しくない。
 そして二つ。一方通行アクセラレータの持っている超能力チカラがベクトル操作だという事。
 この世のほとんどのものはベクトルが存在する。ベクトルが存在しないモノなんてそうそう存在しない。そして、それは世界にも同じことだ。
 重・な・り・合・っ・た・位・相・に・だ・っ・て・重・な・る・と・い・う・事・象・が・存・在・す・る・以・上・ベ・ク・ト・ル・が・存・在・す・る・。
 重なるという事は上下の関係があるということ。上下の関係があるということはベクトルがあるという事。
 そしてベクトルがあるのならば一方通行アクセラレータはそれを操れる。一方通行アクセラレータの超能力はベクトル操作。その根本にあるモノも手伝って一方通行アクセラレータの操る『力』は、『力』を得てから間もなく、その『力』がどんなものなのか正確には理解していないのにもかかわらずかなりの質にあった。
 だから今回の交錯は一方通行アクセラレータが勝った。
 これで一勝一敗。文字だけを見れば戦績は互角である。
 文字だけを見れば、だが。
「hilywe世ybviqx界oiur操作bvbpo!!!」
「「――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!!!」」
 ぶつかり合う『力』。その中に隠された思い。秘められた真実と偽りで塗り固められた人生。
 同じ『力』を持つ者同士の戦いの中で、同列にあるはずの存在でも、やはり勝っているのは一方通行アクセラレータだ。一度ずつ攻撃を通したが、通った攻撃の具合は一方通行アクセラレータの方がはるかに大きい。
 このまま戦っていけば順当に一方通行アクセラレータが勝つだろう。
 やはり、質を主とするものと量を主とするモノの戦いは質を持つモノに天秤が傾く。量を用意するのならば十や百ではなく万ぐらいの量を用意しないと一方通行アクセラレータには対抗できないだろう。
 二対一の現状では御坂の方が不利だ。
「「――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――」」
 このままでは負ける。そう御坂は思う。働かない思考の中でもそんな考えが浮かぶ。『敗北』という二文字が脳裏をよぎり、よぎる。
 方法を変えてこの状況を変えなければならない。『敗北』から『勝利』に結果を変えるために。
 現在の戦いは互いの『力』をぶつけ合い、互いの『色』で『世界』を染め上げる合戦だ。そしてこのままその戦い方を続ければ先に御坂の方が力尽きる。長期戦闘とは消耗戦とニアリーイコールなのだ。
 だから、短期決戦を挑むしかない。
 ザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザ
 と、
 御坂の姿がさらに変化する。
 Phase5.1からPhase5.12とでも呼べる姿にわずかだけ変化する。
 進化し深化し神化する。
 その『しんか』は果たして御坂にどんな影響を与えているのだろうか。
 いい影響か悪い影響なのか。もう戻れないところまできてしまったのか。
 わからないし、わからなくていい。
 そんなことはもうどうでもいい。
「―――――――――――――――――――――――――――――」
 構えて、かまえた。
 拳を握る。
 強く、硬く。
 掌に『力』を握ってそれをぶつける。無理やりの強引な攻撃だが、仕方がない。
 それしか方法が思いつかないのだから。
 いや、思いつけないのだから。
 ぐっと足に力を入れて走る。奔る。
 遠距離戦から近距離戦への切り替え、それで『勝つ』。勝って見せる。
 走り出す御坂。
 もしかしたら、その意志が一方通行アクセラレータにも伝わったのだろうか?
 御坂美琴が駆けだしたのと同じタイミングで一方通行アクセラレータも御坂に向かって駆けだした。
「「―――――――――――――――――――」」
 縮まる距離と接近する身体。
 
 そして二人が接触する直前に、
 
 互いの瞳の中に互いの過去を見た。
「yiviuleruhfihgsitkgofukrhkgeuingn――――――ッッッ!!!!!」
「――――――――――――――――――――――ッッッ!!!!!」
 
 それは
 
 もしかしたら、
 
 最初で最後の
 
 分かり合えるチャンスだったのかもしれない。
 

781 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:22:46.92 ID:3OJgtAFD0
崩落開始から10分ほどが経過し、ようやく地下下水道の崩落は終わった。
「……………はぁ」
 安心からか思わず百目の身体が崩れ落ちる。危なかった。ギリギリだった。何度か死ぬかと思った。
 砕いて作った穴の中でやっと百目は安心できる時間を手に入れた。その時間はわずかかもしれないが少なくとも死の危険から離れることが出来た。それがわかっただけでもこの状況を思考する余裕が出てくる。
「……………………さて」
 どうやって脱出するかを考える。作った穴の入り口は崩落した地下下水道のコンクリートで埋まってしまっている。それをどうにか掘り起こすか、それとも別ルートを作るかしなければ脱出は不可能であろう。
 崩落の音が止んだとはいえいまだ崩落の危険性があるのは変わらない。そして白井と共に脱出しなければならない現状別ルートを作るのはかなりの危険性を感じてしまう。どちらの選択肢をとるべきかと言えば、どちらかといえば少しずつ掘り起こして脱出したほうがいいように思える。
「やりますか」
 危険なのは変わらないが酸素や食料等の問題もあり早急に脱出しなければならない。多少の危険性には目を瞑つむるべきだろう。
 本当の本当の本当に危なくなったら緊急装置ベイルアウトを使えばいい。だれにも頼らずこの崩落をしのぎ切ったのだ。切られることはないだろう。
 目の前に乱雑に置かれた瓦礫をみやる。単純に殴ったり蹴ったり動かしたりすればそれだけでこの瓦礫は崩れ落ち、穴の中に入ってくるだろう。現在ですらギリギリの均衡によって瓦礫は積み重なっているのだから。
 故に膨大な数のパズルを組み上げるかのように慎重かつ大胆に行動しなければならない。落ち着いて、積極的に動かなくてはならない。
「すぅ――――――」
 覚悟を決めて、百目は積み重なった瓦礫を取り除く作業に入
 
 ることは出来なかった。
 
 百目がアクションを起こす前に別の人間がアクションを起こしたからだ。
 
「………こ………れ………、――――――は」
 
 すべてがすべて消えていた。
 何もかもが一切合切消失していた。
 全部、全部、全部なくなってしまった。
 
 目・の・前・に・あ・っ・た・は・ず・の・瓦・礫・の・山・が・い・つ・の・間・に・か・消・失・し・た・。
 
 目をつぶったことも、目を逸らすこともしていない。瞬きすら行えないような刹那の時間の間でいつの間にか目の前が更地になっていた。
 ドクンッ!!!と百目の心臓がひどく高まる。
 緊張によって全身が無意識にこわばってしまう。
 知っている。知っている。知っている。知っている。しっている。しっている。しっている。
 百目はこの意味不明な現象をしっている。
 
 シッテイル。
 
「ここにいましたか」
 
 
 
 
 声が、き、こ、、、、、、、、?、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、えeeEEE//-eえeeEeEEEEEEEEEeeeeeeeeeeeeえええええええええええええええええええええええええええええええええええええeeeeeEEEEEEEEEEEEeeeeeeeeeeeetetettttttttetteeetてえててttttetetetettetてててtttttってえててえええええええええええええええ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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「あぁ、そういえば拘束リミッターを外したままでしたね」
 
 薄れゆく意識の中でそんな声が聞こえた。
782 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:23:26.80 ID:3OJgtAFD0
 木葉桜十五夜。
 最強原石、風紀委員本部セントラルジャッジメント最後の切り札、委員長の懐刀、意思無き人形、正義の尖兵等様々な二つ名を持つ、
 風紀委員本部セントラルジャッジメント最強にして最高の存在である。
 別格であり別位であり位階の違う『人間』。
 『神』を引きずり降ろせる『力』を保持する、存在の領域からして違う『人間』。
 普段十五夜は自らの『力』に十の拘束リミッターをかけている。その十の拘束リミッターは十五夜の力を制限するのと同時に、十五夜の存在を制限していた。
 『神』がこの世界に降りてくれば世界の容量の問題で世界がたやすく壊れてしまうように、十五夜も自らの存在に制限をかけていなければ人類や生命体に対する影響が大きすぎる。間近に接近しただけで意志の弱い人間なら自殺しかねないほどの存在感が十五夜にはあるのだ。
 それは正しすぎるからでも間違いすぎているからでも眩しすぎるからでも暗すぎるからでもない。
 単純に『力』が強すぎるのだ。
 力にあてられる、と言い換えてもいいかもしれない。殺・さ・れ・る・前・に・死・の・う・な・ん・て・考・え・が・浮・か・ぶ・ほ・ど・十・五・夜・は・強・す・ぎ・た・。
 そんな思いが人を自殺に走らせる。
 だから、百目は気絶した。
 百目だから、気絶で済んだ。
 仮にこれが百目ではなくただの一般人だったら十五夜の前には死体の山が気付かれているだろう。風紀委員本部セントラルジャッジメント序列ランキング10位、千疋百目だからこそ、その心の強さが百目を自殺させず気絶で済ませた。
 それを十五夜もきちんと認識している。
「………………まさか、白井黒子のことも守っているとは」
 穴の奥で横たわる白井のことを見て十五夜は意外そうにうなずいた。
 百目が白井を守る理由は本来なら無かった。存在しなかった。
 だってそうだろう?百目が崩落する地下下水道を脱出するためにはどう考えても白井は邪魔だ。理屈だっていろいろ考えても可能性的に考えれば百目一人で既定のルートを、又は既定では無いルートを通って地上にいった方が助かる確率は高い。
 なのに百目は白井を助けた。自らの危険性も顧かえりみずに。
 99パーセント目的を達成できなくなるであろう緊急装置ベイルアウトの使用すら検討に入れて。
 その理由は、
「世界物語キャラクターストーリー理論。宿敵ライバル……ですか。悪の組織の大幹部である私には縁のない話ですが…………まさか中心点がずれているんですか?」
 呟いて、呟いて、
 十五夜に声がかかる。
「夜五十十五夜」
 振り返る。
「なんのようでしょうか?」
 上条を背負っている無傷の埋娥が十五夜に声をかけてきた。埋娥の身体は地下下水道の崩落に巻き込まれたにもかかわらず怪我一つしていない。そして気絶している上条の身体も同じように傷の一つもなく、怪我の一つもしていなかった。
 抱えた上条を十五夜のそばに投げ捨てて、埋娥は言う。
「だ・ん・な・オ・リ・ナ・シ・の・人・の・あ・が・で・ま・こ・ど・は・れ・こ・局・結・?」
「さ・ぁ・、わ・か・り・ま・せ・ん・よ・。委・員・長・に・隠・し・事・が・多・い・の・は・い・つ・も・の・こ・と・で・し・ょ・う・。私・が・始・ま・り・の・領・域・に・侵・入・し・た・の・だ・っ・て・本・当・に・予・想・外・だ・っ・た・の・か・ど・う・か・……」
 結局のところ十五夜とて白白白のことを完全に理解しているのではないのだ。
 いや、誰も白のことを真の意味で理解などできない。
 風紀委員本部セントラルジャッジメント委員長白白白。風紀委員本部セントラルジャッジメントに所属する誰よりも弱くありながら、誰も持たない強さですべてを従える本物の怪物を理解することなど、誰にも不可能なのだから。
 なぜなら、白とその他の生物はわずかな例外を除いて、
 
 見・え・て・い・る・景・色・が・違・う・の・だ・か・ら・。
 



位相にベクトルが存在するかは明示されていませんが、重なっているという事は上下関係がありベクトルが存在する、と私は解釈しました。
いうまでもなく、独自設定です。
783 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:23:58.92 ID:3OJgtAFD0
https://syosetu.org/novel/56774/89.html
御坂美琴と一方通行C 幸せとシアワセ

 
 ザザ
 
 ×××××は外で遊ぶことが好きだった。
 小学生である×××××は同年代の友人たちとサッカーをして遊ぶのが大好きだった。
 そして、今日も×××××は公園でサッカーをしていた。
「いっけぇ!××君!!!」
 友人が出したどんぴしゃりなタイミングのパスを右のつま先で軽くボールをタッチすることで絶妙な弾みを起こし自らの前に落とす。前方にいるディフェンダーは三人だけ。フォワードの×××××がこの三人を抜かすことが出来れば、あとはキーパーとの一対一だ。
 ×××××のテクニックを駆使すればキーパーと一対一の状況ならまず負けない。だから、キーパーとの一対一に持ち込むためにまずは前方の三人を避けないと。
「絶対に止めろおおおおおおお!!!!!」
 子供同士の遊びにしては少々大袈裟な声を上げて敵キーパーが味方ディフェンダーを鼓舞する。だが無駄だ。スポーツの実力差というものは一長一短では縮まらない。
 まず向かってきた一人目。×××××は一人目のディフェンダーを避けるように一度ボールを右前に出した。
 ボールの勢いはかなり速い。このままの速度でボールが転がれば×××××がボールに追いつくよりも早く、一人目のディフェンダーがボールに触れるだろう。
「っっっ!!!」
 一人目のディフェンダーは全力で走って自らの前に転がってきたボールに足をのばす。このサッカーですでに×××××は2点も取っている。いくら遊びといえどもさすがに×××××の敵チームは悔しかった。
 だから、焦りが出たのだろうか。
 一人目のディフェンダーは勢いよくボールに足先を触れてしまった。幼い一人目のディフェンダーにボールを足先でトラップするような技術はなかったのに。
「あっ」
 足先に触れたボールが予想以上に弾んでしまう。そして、触れたボールはそのままの勢いで走ってきた×××××の足元に収まってしまった。
「っ」
 急いで態勢を立て直し、×××××の進路上に立ちふさがろうとする一人目のディフェンダー。その横を余裕の表情で×××××は通り過ぎる。
 
 ザザザザザザザザ
 
 残るディフェンダーは二人。
「行かせるかっ!」
「行かせないよっ!」
 一人一人で当たっては突破されると思ったのだろう。残った二人のディフェンダーはそれぞれ右前と左前から一斉に攻撃を仕掛けてきた。進行方向をふさがれた×××××はさすがに今の勢いのまま前に進むことは出来ない。
 とっさに左右を見て誰かにボールをパスできないかを考える。そして、すぐにその考えを否定した。
 ここまでボールを運んできたのはまぎれもなく×××××の技術のおかげだ。今更誰かを頼ったところで状況が好転するとは思えない。
 ならば、と×××××は一度停止した。
「「――――――っっっ!!!」」
 ×××××のその行動に好機を見出した二人のディフェンダーが一気に距離を詰めてくる。さしもの×××××も極近距離から二人がかりでボールを求められては防ぎきれるかわからない。
 だから、×××××は二人のディフェンダーと自分自身の距離が二人のディフェンダーはギリギリボールに触れられず、自分自身はボールにワンタッチだけできる絶妙なタイミングになるまで待ってから行動を起こした。
「「なっ!!!」」
 驚愕の声が被った。
 距離とタイミングがそろう絶妙な位置で×××××は一度ボールを止め、つま先をボールの下にもぐらせて一気に上にあげる。
 ボールは二人のディフェンダーの頭上を通りその後ろに転がった。
「っっっ!!!」
「くっ!」
 振り返るがもう遅い。
 追いすがるがもう間に合わない。
 自らの上を行くボールに視線を送りながらも動けない二人のディフェンダーを置いて、×××××は一気にボールの落下予測地点にかけた。
 落ちてきたボールを足元で弾ませてトラップする。
 
 さぁ、これザザザでキーザザザザザパーと一ザ対一ザザザザザだ。
 
「こいよ……っ!!!」
 自らを鼓舞する敵キーパーを前に×××××は冷静に足を運ぶ。不意を突かれたディフェンダーが戻ってくるまでそれほど時間はないだろう。すばやくボールをゴールに叩きこまなければならない。
 さっさっさっ、と前にボールをけり出しながらまたぐようにしてボールの上に足を走らせた。
 シザース。
 そう言われるフェイント技術の一つである。
「あっ」
 高速のフェイントに引っかかって体が傾いてしまった敵キーパーに、もはや×××××を止める術はない。いとも簡単に敵キーパーを避けた×××××はそのままの勢いでボールをゴールに叩きこんだ。
 味方側から歓声が上がる。
 敵側から残念そうな声が上がる。
 そう声を背に受け×××××は味方の陣地に戻った。
 仲間に近寄れらもみくちゃにされる。
「よっしゃあ!さすが××だぜ。もうこれで三点目じゃんかよ!!!……あぁ、なんだっけ?三点目って確か特別な言葉があったよな?ボウリングのストライク、みたいな?」
「ハットトリック」
「そうそれだ!ハットトリックなんて超すげぇぜ!お前らもそう思うだろ!!!」
 まったくだ、すごいすごい、さすがだぜ、かっこいい。
 誰でも思いつくような美辞麗句を心の底から言う味方チームの人間に×××××は微笑んだ。×××××からしたら全然たいしたことをしているわけでは無い。なのに褒められるなんてなんだかむずがゆい。
「よっしゃあお前ら!もう十点位取ってやろうぜぇ!」
 気合を入れる見方を前に自然と×××××も微笑む。
 
 ザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザ
 
784 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:24:38.62 ID:3OJgtAFD0
あぁ、楽しいなぁ。
 本当に幸せだ。
 こんないつもの日常がずっと続けばいいのに。
 こんな幸福な世界がずっと変わらなければいいのに。
 これからも、
 いつまでも、
 ずっと、永久に、永遠に、
 戦いなんてしたくないんだ。
 誰も殺したくなんてないんだ。
 友人が欲しいだけなんだ。
(……?)
 戦い?殺したくない?友達が欲しい?
 何を言っているんだ?
 友達なら隣にいてサッカーをしているだろう。
 戦いとか殺し合いとかこの国で起こるわけがないだろう。
 平凡な少年の×××××はそんな非日常とは無縁なのだから。
「おーい。何してんだよ××!早く来いよ!」
 ボーとしていた××は味方から声をかけられて正気を取り戻し前線へとかけていく。胸に巣食った疑問はいつの間にか消えていた。
 だから、
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 真・実・か・ら・目・を・逸・ら・し・て・一方通行アクセラレータは・幸・せ・な・世・界・を・甘・受・し・た・。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ぇ様……姉様」
 自らを呼ぶ声が聞こえる。
 罪を犯した御坂を呼ぶ声が聞こえる。
「姉様……お姉様!!!」
 瞳を開ける。開けざるを得ない。
 だって、その呼び方をする人はたった一人しかいない。
 もうたった一人しかいない。
 あの子とはもう、会えない。会わない。
「もうっ、大丈夫ですの?お姉様?」
 
 瞳・を・開・け・た・先・に・立・っ・て・い・た・の・は・白・井・黒・子・だ・っ・た・。
 
 
785 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/22(日) 22:24:42.00 ID:ExYQ4hEPo
また荒らし来たよ
786 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:25:17.79 ID:3OJgtAFD0
「……ぁ」
 白井黒子が、
「えっと大丈夫ですか?御坂さん」
 初春飾利が、
「急にボーとしてどうしたんですか?御坂さん」
 佐天涙子が、
 いた。
 
 
「………………………………………………」
 
 
  ■た■。
 
 
「お姉様……?」
 心配そうに白井が声をかけてくる。そこには純粋に他者を案じる意志があって、ただ心配だと不安だという思いがいたわしいほどに伝わってきた。
「ごめん黒子。ちょっとボーとしちゃって」
 先ほどまで考えていたことが何だったのかもはや御坂は思い出せなかった。重要なことのように思えて、でも思い出せないという事は重要なことでは無いように思えて、御坂はもう思い出せなかった。
「もうっ、しっかりしてくださいよー、御坂さん。これからみんなで枝先さんの所にお見舞いに行くんですから〜」
「まぁまぁ佐天さん。御坂さんだって疲れてるんですから」
 歩きながらもボーとした御坂を気づかうように佐天が冗談気味に御坂を責め初春がそれをたしなめる。佐天と初春の二人からも白井と同じように純粋に他者を案じる意志があって、ただ心配だと不安だという思いが伝わってきた
 
 
  いた■。
 
 
「ごめんごめん。それで何の話だったっけ?」
「枝先さんの調子はどうなのかっていう話ですわ、お姉様」
 呆れるように白井が先ほどまでの会話の内容を伝える。そこにはいまだ心配の色があったが、さすがに白井はここで御坂を問い詰めるような人間では無い。
「あぁ、そういえばそうだったわね。それでどうなの、春上さん?」
 御坂は自らがボーとしていた事実をごまかすかのように春上に問いを投げかけた。
「うん。絆理ちゃんなら今はもう完全に落ち着いてるみたい。お医者さんも安心していいって」
「そう、……ならとりあえずは一安心ね」
 ほっとして御坂は一つうなずいた。御坂のほかにも、白井も初春も佐天も安心するようにうなずく。結局みんな心配していたのだ。なんだかんだで体晶のファーストサンプルに関わる事件が無事に収束し、枝先絆理が助かったのだとしても、やはりその無事な姿を見聞きするまで安心はできなかった。
 だがそれも枝先のもとに足しげく通っている春上が枝先の無事を保証することである程度は解消された。
「正直、ほっとしましたわ」
「うん。一応無事だとは知ってたけど、やっぱり心配だったしね」
 
 
  いたい。
 
 
「でも、やっぱり絆理ちゃんもずっと一人で病室にいると暇だから、皆が来てくれて喜ぶと思うの。あれで絆理ちゃん寂しがり屋さんだから」
「確かにそうですね。なんといっても春上さんが精神感応テレパスを使う時だけは精神感応テレパスの強度が上がるくらいの寂しがり屋さんですから」
 茶化したように初春が言う。
 
 
  いたいたいたいたいいt。
 
 
 出会ってからの時間は短いがその関係性は竹馬の友といってもいい位に親しい。あえて過去を何でもないように言うことで気にしていないし、気にしなくていいと言外に示すこともできる。
 とはいっても初春は狙ってそれをやっているわけではなのだが。
「本当にそうなの。だから皆が来れば絶対に喜ぶの」
「ふっふふーん。そのためにわざわざ常盤台の超絶高級ケーキも買ったんだしね。これで喜ばないはずはなーーーい!」
 
 
  いたいいたいたいいたいたいたたたたtttttaaaaaa。
 
 
 はりきった調子で佐天が手に持つ袋を掲げる。中に白い直方体の箱が入ったそれは常盤台の超高級ケーキ店のケーキが入った枝先へのお土産だった。
 一個数千円するかしないかという超高級品を惜しみなく買えてしまうことで、御坂や白井という常盤台生の財力が見え隠れする。
「私もこんな高級ケーキ初めて見ました。御坂さんたちはいつもこんな美味しいものを食べてるんですか?」
「いや、さすがにそんな頻繁に食べてるわけじゃないわよ」
「そうですわ、初春。そんな頻繁に食べたらただでさえ増えていく体重が大変なことに……っ!ああ恐ろしいですわ!」
 わざとらしく両腕で身体を抱えるようなしぐさをして震える白井。
「そんな大げさな……。あっ、そういえばなんですけど」
 唐突に、何か思い出したかのように、嬉し気かつ得意げにに佐天は自分の得意分野を語った。
「ケーキといえば最近ネットで見た都市伝説に……こんな話が」
 御坂達五人はそんな風に何でもないようなことを語りながら。枝先絆理のいる病院へと歩いて行った。
 はたから見てしまえば、彼女達ほど親友といっていい存在はないだろう。打算では無い協力と策謀の関わらない信頼とただ純粋な親愛を共有する彼女達の仲を裂ける人なんてきっといないのだから。
 
 
 
 
 
 
            
  いたいたいたいあうあいあたいあたいあたいいたいたいたいあうあいあたいあたいあたいあたいあたいたいあたたいあたいたいたいたいいたいいたいあたいあたいたいあたたいあたいたいたいたいいたいいたい痛い痛い痛いイタイいたいイタイイタイイタイ痛い痛い痛い遺体痛い遺体遺体遺体遺体遺体いたい痛い遺体遺体痛い痛い遺体痛い痛い痛い痛い遺体遺体遺体遺体遺体遺体遺体遺体痛い痛い痛い痛い痛いいたいたたいたいたいいたいたいたいいたい遺体遺体遺体遺体痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いいたいたたいたいたいいたいたいたいいたい遺体イタイイタイタイイタイイタイイタイイあいたいいいいいいいいいいいいいいいいぃぃぃいイイイイイイィィッィィィッィィィィィィィィ!!!!!!!!!!
 
      
 
 
 多・少・の・違・和・感・を・抱・え・な・が・ら・も・御・坂・美・琴・は・幸・せ・な・世・界・を・享・受・し・た・。
787 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:26:26.77 ID:3OJgtAFD0
https://syosetu.org/novel/56774/90.html
御坂美琴@ 罪人はここにいた

 しばらく五人で談笑しながら道を歩いて、御坂達は絆理のいる病院に辿り着いた。その後、絆理に面会するための許可を受付で求めた御坂達は、無事に面会の許可をもらい絆理のいる病室に向かっていた。
 いくつもの扉を超えて御坂達は絆理のいる病室の前へとたどり着く。
 そして、春上が絆理の病室の扉を開けた。
「こんにちは。絆理ちゃん」
 長い間身体を動かせなかったことで衰えた手の筋力を手の中のボールを使って鍛えていた絆理が、それに気づいてうれしそうな声を上げる。
「あぁ、衿衣ちゃん。――――――どうしたの?」
 扉を開けただけで病室の中に入らない春上を見て絆理が不思議そうな声を上げる。いつもならすぐに入ってくるのに、という疑問が見え隠れした。
 それを見て『ふふふん』と機嫌よさそうに春上の顔がにやける。
「「「「こんにちは(ですの)!!!」」」」
 扉が完全に開いて御坂達四人が姿を現した。
「みんなぁ!!!」
 春上だけではなく友人である御坂達が姿を見せたことに絆理の顔もにやける。それを見て御坂達も自然に笑顔になった。
 そして、佐天が持っている袋を掲げて絆理に差し出した。
「常盤台の超絶美味しいケーキを買ってきたんで、みんなで一緒に食べましょう!」
「うん!!!」
 入院生活で食事制限をされていた絆理は本当にうれしそうにうなずいた。
 
 
 
 
 
 
 
 その後しばらくケーキを食べながら会話を楽しんでいた六人だが御坂の飲み物を買いに行こう!という提案に白井と初春と佐天の三人が引っ張り出され、病室に絆理と春上の二人が残ることになった。
「それで、結局何なんですか」
 唐突に理由もわからず外に連れ出された佐天は御坂に疑問をぶつける。まさか本当にジュースを買いに行くだけのようで外にでたわけではあるまい。それだったら何も四人で出る必要はないのだから。御坂と白井の二人、もっと言えば御坂一人でもよかったはずだ。
「まぁまぁ、まずはジュースを」
「あっ」
 佐天の疑問に説明を返そうとした御坂の声を初春が遮った。
「ん?」
 向かって左側のガラス壁の向こうを見て声を上げた初春につられるようにして、御坂達三人もガラス壁の向こうを見やる。
 そこには病を克服するために、日常生活に戻るためにリハビリをしている少年少女がいた。
 
 
 ふっ、と。
 
 
 その光景を見て、御坂の胸の内に思い浮かぶものがあった。
 
 
 
 
「あ・っ・………………」
 
 
 
 自らと瓜二つの少女が全身を破裂させてしん
 
 
 
 思い出すな、と御坂の心が叫ぶ。
 
『君のDNAマップを提供してもらえないだろうか?』
 
 思い出すな、と御坂の心が叫ぶ。
 
『やはりお姉さまは実験の関係者ではないのですね』
 
 思い出してはならない、と御坂の心が叫ぶ。
 
『お姉さまから頂いた初めてのプレゼントですから』
 
 思い出したらもう後戻りはできない。
 
『オマエ、オリジナルかァ』
 
 今なら、まだ、幸せでいられる。
 
『俺に挑もうと思う事すら許さねえほどの絶対的なチカラ。『無敵レベルシックス』が欲しーンだよ。オマエも超能力者レベルファイブなら分かンだろ?』
 
 今なら、まだ、戻れる。
788 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:27:29.80 ID:3OJgtAFD0
『一方通行アクセラレータだ。ヨロシク』
 
 まだ、まだ、まだ、まだ、まだ、まだ。
 
『借り物の身体に借り物の心。単価にして一八万円の実験動物ですから』
 
 まだ、戻れる。
 
『結局、コイツは私に殺されるために生まれてきたんだ、ってね』
 
 内なる御坂がそんなことをささやく。
 
『帰したわ。アンタとはサシで勝負したいしね。超電磁砲レールガン』
 
 だが、
 
『計画というのが絶対能力進化レベルシックスシフト計画を指すのなら予定通り進行中です、とミサカは答えます』
 
 だけど、
 
『それがこの街の治安を脅かすなら、たとえお姉様が相手でも』
 
 
 
 
 
 
 
「い・い・え・」
 
 
 
 
 
 
 だから御坂美琴は否定する。
 
 
「もう……」
 
 
 不快すぎる。
 
 
「そんなことはもう……」
 
 
 煩わずらわしい。
 
 
「こんな幸せは……」
 
 
 邪魔だ。
 
 
「どうでもいいのよ」
 
 
 こいつらはもはや纏まとわりつく障害にすぎない。
 
 
「お姉様?」
「御坂さん?」
 
 
 だから、
 
 
 
 [ピーーー]よ、塵ゴミがっ!!!
 
 
 
 
 躊躇いなど一寸も存在しなかった。
 躊躇など刹那すら感じなかった。
 
 
 
 ただ、電流で親友邪魔者を薙ぎ払った。
 
 
789 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:28:45.24 ID:3OJgtAFD0
「ぎ、ぎがぁあああぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
「お姉様何をッッッ!!!」
 
 
 
 
 これが幻覚なのか、過去の風景を見せられているのか、なんらかの能力によるものなのか、それとも本当の現実なのかはわからない。
 わからなくていい。
 どうでもいい。
 どうでも、いい。
 そんなことは本当にどうでもいい。
 春上衿衣とかいうたいしたことない能力者も枝先絆理とかいう弱いだけの人間も佐天涙子とかいう無能な無能力者レベルゼロも初春飾利とかいうハッキングしかとりえのない愚図も白井黒子とかいう煩うるさいだけのルームメイトも、
 何もかもどうでもいいしどうでもいい。
 大事じゃない。
 馬鹿らしい。
 こんなことで時間を浪費するなんて。
 あぁ、なんて馬鹿さ加減。
 無能だ。無能無能無能無能無能。馬鹿屑塵ゴミ塵ちり阿保愚図無能愚劣最底辺能無し愚昧節穴盲目。
 一番大事なことを忘れて、都合よく忘却して、幸せな夢を見て、
 許されるのかそんなこと。許されていいのかそんなこと。
 
 
 いいわけないだろうがっっっ!!!!!
 

 
790 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:29:31.11 ID:3OJgtAFD0
しねシネしネシね四ね師音獅根四ネシ禰[ピーーー]シ音四ね4寝シ根4ね4ね4ネ死ネシネ死音しねしねしね死ネシネ[ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー]シネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネしねしねしねしね[ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー]しねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしね死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 
 自死しろ屑が!!!
 何様のつもりなの塵屑ごみくずが!!!
 馬鹿でのろまで愚鈍で頭も足りない永遠の餓鬼風情が調子に乗ってんじゃないわよッッッ!!!!!
 いつになったら成長するのよ!?
 いつになったら成長できるのよ!?
 いつまで餓鬼のままなのよッ!?
 力チカラちから力力力力力アアアアアァァァァ!!!!!
 間違えてんじゃないわよ!
 違えてんじゃないわよ!
 勘違いしてんじゃないわよ!!!
 私は、
 私が、
 ワタシがッ、
 ワタシがワタシがワタシがワタシがワタシがワタシがワタシがワタシがワタシがワタシがワタシがワタシがワタシがワタシがワタシがワタシがワタシがワタシガワタシガワタシガワタシガワタシガワタシガワタシガワタシガワタシガワタシガワタシガワタシガワタシガワタシガワタシガワタシガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 誰でもないワタシがッッッ!!!
 ワタシがッッッ!!!
 助けないとイケナいんでショうガ!!!
 シアワセ?
 シアワセ?
 シアワセ?
 何よそれは?
 安穏とした平穏を、甘受し享受し与えられたままでいろって?
 平凡で価値のある日常をみのきのままに感じればいいって?
 
 
 
 ふざけるなっっっ!!!!!
 
 
 
791 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/22(日) 22:29:45.86 ID:ExYQ4hEPo
別のとこでやってくれよ
ここは人様の文章コピペするとこじゃないぞ
792 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:30:05.24 ID:3OJgtAFD0
ふざけるなふざけるなふざけるなふざけてんじゃないわよっっっ!!!
 許さない。許せない。許せるわけがない。そんなことが、そんなことを許していいわけがない。
 責任とか私のせいとかそういうのじゃない。もちろんそれもあるけどそれだけじゃない。
 言葉を交わした。行動をともにした。触れ合った。助け合いをした。
 思い出せる。
 鮮明に明瞭に何一つ欠けることなく思い出せる。
 その日々を、その毎日を、その楽しさを、その人を、
 覚えてる。
 覚えている。
 
 木の下に佇たたずむその姿も一緒に木の上から降りられなくなった猫を助けたことも意味不明な返答に思わず怒鳴ってしまったことも踏み台になって木の上の猫をキャッチした姿も踏み台として蹴られたことも猫のためにスカートをまくり上げていた姿も自分のクローンであることを肯定した発言も発言を無視されて思わず声を荒げたことも一緒にただでアイスクリームを食べたこともそのアイスクリームを横取りされたことも喫茶店で温かい紅茶を飲んだこともその喫茶店の客に双子だと間違われたことも橋の上でガチャガチャでとったゲコ太の缶バッジをあげたこともそのゲコ太の缶バッジのセンスを貶けなされたことも別れの挨拶をさせてしまったことも壊れたゴーグルが道に置かれていた様も地雷が爆発したような爆音も上から列車のようなもので圧殺されたその姿も一方通行アクセラレータに殺されそうになった時に干渉して一方通行アクセラレータを止めてくれたことも上■と話しているときに割り込むようにはなしかけられたこともその後手を引いて上■から引き離したことも実験の中止を否定されたことも思わずその存在を否定してしまったことも。
 
 ワタシハオボエテイル。
 
 あなたがいる。あなたが見てる。あなたを見てる。あなたがいてくれる。
 だから戦える。だから俯かない。だから泣かない。だから生きられる。だから笑える。だから乗り越えられる。
 そばにいてほしい。そばにいてくれてほしい。そばにいたい。
 一緒に共に、一所に友に。
 永遠と、永久に、永久とわに、ずっと、
 
  いたい。 イタイ。
 
 あいたい。アイタイ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
         
 
 
 
『合格』
 
 
『予測通りとはいえ、やはり君こそがこの物語の主人公ヒーローにふさわしい』
 
 
 
 さぁ、終わりを始めよう。
 
『せいぜい頑張ってくれ主人公ヒーロー』
 
 この世界という名の物語の
 
『信じているぞ』
 
 終わりを。
 
『君なら勝てる、と』
 



本来ならもっともっと幸せで不幸で絶望的な展開にする予定だったのですが、さすがに助長が過ぎるかなと思ったので、短めにまとめました。
793 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:30:54.24 ID:3OJgtAFD0
https://syosetu.org/novel/56774/91.html
91 / 178
決着まであと8話前後!!!


御坂美琴と一方通行D 御坂美琴と一方通行

 幸せから抜け出すことはそう簡単なことでは無い。
 それがどれだけあり得なくて、起こりえないことだったとしても人は幸せが目の前にあれば縋ってしまう。
 両親を失った子供、恋人を亡くした男、世界の終わりを見た魔術師、変えられない絶対を認識した愚者。
 絶望が深ければ深いほど、人は夢シアワセに縋すがる。
 精神の均衡を保つために。見たくない現実から目を逸らすために。もう努力したくないと嘆いているから。
 安易な幸せに、目の前にあるシアワセに縋ってしまう。
 心が弱いという人がいるかもしれない。心が脆もろいという人がいるかもしれない。
 でも違う。違うのだ。
 幸せというものは毒だ。麻薬だ。甘美で芳醇で爽快で愉快な味わったら抜け出せない底なし沼だ。嵌ってしまったら、味わってしまったら、ずぶずぶと深く深く沈んでいってしまう罠なのだ。
 幸福シアワセになりたいというのは生物が求める根源的欲求の一つだ。その欲求を求めるのは生命体なら当然のことであり、当然の行動だ。逃れられないし、逃れる意味がない。
 完全に完成された完璧で完結な理想郷。求めてやまない桃源。
 手放すなど、擲なげうつなど、抛かなぐり捨てるなど、打ち捨てるなど、取り捨てるなど、切り捨てるなど、打っ棄うっちゃるなどありえない。
 しあわせそれを求めて生きている。金を稼ぐのも権力を手に入れるのも暴力を鍛えるのも突き詰めれば幸せのためだ。
 幸福。幸せ。理想。幸い。幸。福徳。果報。
 
 人生はそのためだけにある。
 
 だから、偽りとはいえ夢シアワセを捨てられた御坂美琴と夢幸せに浸って抜けられなかった一方通行アクセラレータでは勝敗は見えていた。
 満身創痍の身体でありながら力を振り絞って戦い合う二人の戦いの勝敗は見えていた。
 なぜなら、
 ボロボロの状態で、拮抗する同種の『力』がぶつかり合う戦いで最後にモノをいうのは、知力でも、体力でも、財力でも、暴力でも、学力でも、活力でも、火力でも、眼力でも、脚力でも、握力でも、腕力でも、金力でも、才力でも、材力でも、識力でも、実力でも、主力でも、資力でも、政治力でも、戦闘力でも、戦力でも、走力でも、足力でも、聴力でも、臂力ひりょくでも、富力でも、武力でも、智力でも、能力でも、脳力でも、判断力でも、兵力でも、魅力でも、膂力りょりょくでもなく。
 気力であり、精神力であり、胆力であり、意志力であり、意思力であり、忍耐力であり、心力であり、精力であり、魄力はくりょくなのだから。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 気がつけば、御坂は操車場にいた。
「……………………ぁ」
 先ほどまで見ていた光景はなんだったのだろうか。枝■■■がいて、■■■衣がいて、■天■子がいて、初■■利がいて、■井黒■がいた?あの風景。過去の光景というにはあまりにも矛盾点が多すぎた。
 ■■の病室を訪ねた時にケーキを持っていたのは■天ではなく初■だったし、道中であんな会話をした覚えはない。ならば、あの風景は何だったのだろうか?
 幻覚と断じるにはあまりにも現実的過ぎて、幻想と確定させるにはあまりにもリアルだった。だが、現実というにはありえない光景で、リアル感満載であるが故にどこか空虚。シアワセだったその夢嘘はいったいなんだったのだろうか。
「がっ、ぐッ!ゴハッ―――ゲフ、ぐッッッ!!!――――――くぅ……っっっ……ぁ」
 唐突に喉の奥に感じた異物感。その異物を吐き出すかのように御坂はおもいっきり咳きこんだ。
 吐瀉物を吐くように喉をふるわせ、窒息しそうなほど喉に詰まっている異物を口から外に出す。
 地面に異物が吐き出され、赫く染まった。
「ぅぁ、ぎ、ぎゅぎぃッ……。がッ!かっ……っ」
 体中がイタイ。全身が痛い。
 耐えられないほどの痛み。体中を毒針で刺されたような痛み。一方通行アクセラレータとの戦闘によって生じた痛みだけではなく、もっと心の奥底に響く痛みがあった。
 身体の痛みなどせいぜい四肢欠損程度だ。千切れかかった足、すり傷と切り傷だらけの全身、折れかかった腕、視力のなくなった右目、燃えた髪の毛、その程度だ。御坂美琴なら問題なく行動可能の怪我でしかない。
 それよりも、響く痛みは心の痛みだ。
 わずかでも幸せに浸かってしまったことによる痛みだ。
「ふっ……――――――ざ、けっ!!!」
 あぁ。
 あぁ!
 あぁ!!!
「ふ、ッざけてんじゃ――――――ないわよッッッ!!!!!」
 一瞬でも、一時でもあの光景を見入った自分自身が憎かった。
 目的を忘れて、信念を捻じ曲げられて、都合のいい夢を見た自分が心底憎かった。
 ふざけるな。ふざけるな。ふざけるな。
 オマエいったい何様のつもりだ。妹一人救えないで、妹一万人を殺したくせに一体全体何様だ。
 不幸になれ、というわけでは無い。
 幸せになるな、という事では無い。
 優先順位を間違えるなということだ。
 数式としての不等号再設定しろ。御坂美琴>妹達シスターズでは間違ってもない。妹達シスターズ>御坂美琴という不等号を成り立たせなければならないのだ。
 でなければ一体なんのためにここにいるのかわからないだろうが。
 何のために■井黒■達日常を捨てる決意をしたのかわからないだろうが!!!
 認識を確かめろ。誰のためかもう一度考えろ。
 この胸に刻んだ誓いは、
 
 絶対に果たさなくてはならない贖罪の証なのだから。
794 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:31:30.84 ID:3OJgtAFD0
「ふざけんなふざけんなふざけんなふざけんな」
 怒りのあまり、御坂は周囲の状況を忘れていた。憎しみのあまり、御坂は現在の情勢を忘れていた。
 
 戦いは、
 
 ま・だ・終・わ・っ・て・な・ど・い・な・い・!!!!!
 
 
 
「オマエがふざけンなよ」
 
 
 
 声が聞こえたその瞬間だった。
 俯いた顔をあげるその直前に、
 
 
 バギッッッ!!!と御坂の腹に一方通行アクセラレータの血みどろの膝が食い込んだ。
 
「ぼ、ごァ……?」
 
 忘れていた。
 終わったと勘違いしていた。
 油断していた。
 まだ何も、
 何も終わってなどいないのに。
 
「アハァ、スットライクゥてかあああぁぁぁぁァァァァァァァ!!!!!」
 
 バギリ、と御坂の腹から不気味な音が鳴り響いた。どんなに軽く見積もったとしても絶対に肋骨が折れている。腹に当たった一方通行アクセラレータの足の一撃はベクトル操作能力が使われていることもあり、いともたやすく御坂のことをふっとばした。
「ば、ぐっ、があああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
 悲鳴を上げたのは蹴られた痛みのよるものではなく単なる反射だ。痛くはないがふっとばされれば悲鳴の一つや二つ上げるモノだろう。
 腹に入った一撃もたいしたことはない。せいぜい肋骨がいくつか折れて、内臓の一部が若干機能停止した具合だ。もしかしたら折れた肋骨が心臓に突き刺さったりしているかもしれないが、現状戦ううえではたいして問題では無い。そんな何日も何時間も戦うわけでは無いのだから。
「死っ、ねええエェェェェェ!!!!!!!」
 ふっとばされた御坂に向かってベクトル操作で速度を増した一方通行アクセラレータが追いすがる。空中にいる御坂は身体ごとぶつかってこようとする一方通行アクセラレータを避ける手段が存在しない。
 いや、もちろん磁力を使って無理やり身体を動かすことは出来るが、それをしても前と同じようにベクトル操作能力と磁力操作能力ではベクトル操作能力の方が移動スピードが速いので逃れられないのだ。
 だからといって迎撃することなどできようはずもない。空中にいる今、御坂の能力では一方通行アクセラレータとの接触を回避することは不可能だ。
 故に、痛み分けを選んだ。
「っ――――――がっ!!!」
「いぃ……ぎ、ぐぅぅぅぅ!!!」
 一方通行アクセラレータはその身体全体を使って御坂への攻撃を行った。回避されたら今までの行動の全てが無駄になってしまう。だから、手とか足とかそういった身体の一部分を使うのではなく体全体を使った攻撃をした。
 単純に点の攻撃と面の攻撃はどちらが当たりやすいかという話だ。当然面の方が当たりやすい。故に、一方通行アクセラレータは身体全体で御坂にぶち当たった。
 接触の瞬間、御坂の身体の電気信号を逆流させるようなベクトル操作攻撃をした。
 対して、御坂も一方通行アクセラレータに対して攻撃を仕掛けた。
 といっても御坂は単純に電流と砂鉄を放っただけだ。これだけ長い時間戦い続けていても一方通行アクセラレータは初期に負った切断された腕の怪我からの大量出血死を防ぐための血液循環は続けている。
 だから、血液を循環させていることによって普通なら凝固してもおかしくないはずの血は未だに新鮮のままに体の中をめぐっている。前はその血液を通して一方通行アクセラレータの身体に電流を流した。
 それは決定打にならなかった。電流が体内に入っても対応された
 ならば砂鉄を血流に混ぜてしまえばどうだ?
 体内を循環する血液の中に異物を混ぜ込んでしまえばどうだ?
 その攻撃は、その攻撃なら、決定打になるのでは……?
 そんな皮算用が御坂の中にあった。
「――――――ぁ。――――――が……ッ…………」
 互いの攻撃の結果は、互いに傷ついたというものだった。
 怪我の具合は全く違ったが。
 
 御坂美琴が軽傷だったのに対し、一方通行アクセラレータはそれなりの怪我を負った。
 
「ごっ、が…………ッッッ…………」
 
 原因はただ一つ。判断力と思考力の差。
 御坂は一方通行アクセラレータに対して有効な戦術をとった。砂鉄を血流の中に混ぜる。これは有効な戦術だった。
 一方通行アクセラレータは御坂に対して有効な戦術をとれなかった。体内の電気信号を操って御坂を[ピーーー]。これは最上級の電撃使いエレクトロマスターである御坂にとってはほとんど無意味のことだったのだ。
 最上級の電撃使いエレクトロマスターなら当然自らの体内を流れる電気信号位操ることはできる。『電気』信号なのだから当然だ。
 御坂が一方通行アクセラレータのことを失念して腹に膝蹴りを一発もらったように、一方通行アクセラレータも御坂が電気信号を操れることを失念してしまっていたのだ。
 御坂が一方通行アクセラレータのことを失念した理由は簡単だ。怒りとか後悔とかでぐちゃぐちゃになった感情が自分がいまどうしていたのかということを忘れさせたから。
 では、なぜ一方通行アクセラレータは御坂が電気信号を操れることを失念してしまったのか? 
(や、べェっ……あンまり、長く持たねェぞ。クソガァ…………)
795 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:32:00.80 ID:3OJgtAFD0
 余裕を演じているが実際のところ一方通行アクセラレータは限界だった。体力精神力ともにとうの昔に限界を超えていた。今まではそれを、特に尽きた体力をベクトル操作能力によってごまかしてきたが、『空白の主』達完全に格上の存在との邂逅によりそのベクトル操作能力を支えていた基盤となる精神力も底をつきつつあった。
 体力精神力ともに限界となり、思考力も鈍り始め、判断力すら正常に機能しなくなった。だから、超能力者レベルファイブの電撃使いエレクトロマスター相手に電気信号を操作するなどという軽挙な行動に出てしまったのだ。
 だがそれも仕方ない。御坂とは違って一方通行アクセラレータはずっと独りで戦ってきたのだ。疲れ果てても仕方ない。
(く、っ……そたれ、ガァ…………ッッッ!!!後、90秒持つか持たねェかって――――――所か……………)
 90秒。一分半。どれだけ長く見積もってもそれ以上は戦闘行動を継続できないと一方通行アクセラレータは判断する。御坂とは違い、もう数時間も一人で戦い続けている一方通行アクセラレータは体力、精神力ともに本当に限界を迎えていたから。
 後90秒以内に御坂を殺せなくてはこちらが死ぬ。一方通行アクセラレータは本能的にそれを察知した。
 カウンターで待っていることはもうできない。積極的に動いて殺さなくてはならない。じゃないと、負ける。敗北する。しぬ。死ぬ。シヌ。
 視線を上げる。視線が交錯する。
 そして、双方ともに、
 駆けだした。
 
「ッ――――――ぉぉぉぉおおおおおオオオオオオオオオオオ!!!!!!!」
「ヵ――――――ぁぁぁぁあああああアアアアアアアアアアア!!!!!!!」
 
 
 
 
 人・に・戻・っ・た・二・人・の・戦・い・は・最・終・番・へ・と・突・入・し・た・。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ――――――一方通行アクセラレータ戦闘不能まで、残り90秒一分半。
 
 
796 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:34:35.76 ID:3OJgtAFD0
https://syosetu.org/novel/56774/92.html
92 / 178
へ?感想数が減った……?

初めての体験に何気にショックを受けてしまいました……。


御坂美琴と一方通行E 終わりの始まり

「――――――ぐっ、…………っあッッッ!!!………………………ぎゅぃ…………………………ぁ…………」
 傷ついた体は赤黒い血を流す。
「ごがァッ!!!ば、ぎゅく…………げ、か――――――――――――」
 接触する身体から流れ出た血液は地面を赫く汚す。
「げ、ごぐッ!!!ば、がっ……おぐぃぃぃぃぃぃィィィイイイイイ!!!!!」
 壊れた心は傷だらけの身体に呼応するように悲鳴を上げる。
 地は割れ空は裂きあたりは崩壊の一途をたどっていた。
 激化する戦闘行為。もうとっくに二人の身体は限界を迎えているはずなのに、いったいその闘争心はどこから生まれてくるのだろうか。
 例え、ベクトル操作で、電気操作で、体内を駆け巡る痛みを無視できたとしても死へ向かう己の身体を自覚できないわけがないのに。
 死。
 死だ。
 無意識ながらも魔術を使用した影響で全身の血管が爆発し息も絶え絶えとなった一方通行アクセラレータとシアワセを否定した影響で精神が崩壊寸前の御坂美琴。
 ともに『神』から『人』へと戻ったとはいえその身体と心に刻まれた傷が治るわけでは無い。重傷は重傷であり、死傷は死傷だ。放っておけば超能力者レベルファイブとはいえ一時間持たないだろう。
 病院に今すぐ駆け込み緊急手術を執り行うべきである。
 それでも戦っているのはここで負けることが出来ないから。
 勝たなければならない理由があるから。
 頂点の強さを手に入れて幸せになることを夢見る一方通行アクセラレータ。妹達シスターズを助けるために一方通行アクセラレータを殺さなければならない御坂美琴。
 理論立てて説明すればそういうことだが、この二人はもはや自分がなぜ戦っているのかも忘却してしまっているのかもしれない。
「ご、ばっ!!!が、ぎ!!!っ、ぉぉあああああああああ」
 戦う理由に縋る時点で人は弱くなる。戦う理由を求める時点で人は弱くなる。
 誰かのために戦う人は弱くなる。守るために戦う人は強くなる。
 戦いたいから戦う。戦わなければいけないから戦う。
 目的があり、理想があり、欲求があり、守りたい人がいる。
 戦力の上下というモノは人によって最適解が違う。
 守るために戦った方が強い人もいれば、守るために戦えば弱くなる人もいる。理由が無ければ戦えない人もいれば、戦い自体が理由になる人もいる。
 誰かのためという免罪符。自分のためという免罪符。
 他を、個を、己を、別を。求め、縋り、抱きしめ、狂う。
 人。
 人間。
 人類。
 だとすれば、なんとこの種は愚かで、愛おしいのか。
「が、ごっ!!!……っい、ぐぁっ!く、……ま――――――モるッッッ!!!!!」
 決意の証を声に出す。
 守る。
 護る。
 まもる。
(もう、誰も)
 本心だった。その思いは本当に本心から、
(ワタシ以外の誰も、失いたく、ないッッッ!!!)
 狂っていた。
 自分本位の逆の考え方。他を第一として考えるその思考回路。これを狂っていると言わないでなんというのか。天秤が他者と自分で他者の方に傾く。その在り方は人間の在り方では無い。
 ある種機械的で、圧倒的な主人公ヒーローさ。
 もはやその考えは人間では無い。
 生物としてどう考えてもおかしい。
 なぜなら、普通生物というのは究極的にまで突き詰めれば他人よりも自分を優先する存在のはずだから。
「ごばァッッッ!!!べ、っぉ……が……ご、っぁ……――――――勝、つッッッ!!!!!」
 決意の証を声に出す。
 勝つ。
 克つ
 かつ。
(俺がっ、……オレは)
 本心だった。その願いは本当に本心から、
(学園都市最強の超能力者レベルファイブだろうがッッッ!!!!!)
 純粋に清純だった。汚泥おでいにまみれながらも、汚物をかけながらもなお保たれたその清純さ。
 幸せになりたい。
 幸福幸せになりたい。
 満たされたい。シアワセになりたい。
 御坂とは真逆のその考え。すべてを犠牲にしこやしにしても、それでもなお幸せになりたい。どこまでも自分本位でそれゆえに何よりも人間らしいあり方。普通は人間という生物はだれしも一方通行アクセラレータのように自分中心の考えを抱くのだ。
 例外はない。
 
 ヒ・ー・ロ・ー・を・除・い・て・。
 
 そう、ヒーローだけは例外だ。ヒーローはこの世で唯一他者を第一に考え行動することが出来る。
 救済者ヒーロー、上条当麻。彼は自分よりも他人を優先して考える傾向がある。魔導書図書館Index-Librorum-Prohibitorumインデックスを救う際には明らかに危険とわかっていながらも竜王の殺息ドラゴンブレスを真っ向から受けとめた。
 いかに右腕に対異能特化の能力幻想殺しイマジンブレイカーが宿っているとはいえそう簡単にできる行為では無い。腕が折れる可能性も、身体が消滅する可能性も決して低くなかったのだから。
 それでも立ち向かったのは自己よりも他者に救いを与える救済者ヒーローの性質があるからだ。
 上条当麻の自身に対する優先順位は低い。低すぎるほどに低い。
 だからインデックスを救うために躊躇なく己の身を危険にさらせた。
 
 そして、
 
 主人公ヒーロー、御坂美琴。
797 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:35:21.98 ID:3OJgtAFD0
こ・の・物・語・の・主・人・公・で・あ・る・御・坂・美・琴・も・自・分・よ・り・も・妹・を・優・先・す・る・ヒ・ー・ロ・ー・だ・っ・た・。
 
(失いたくない)
 この極限状況だからこそ御坂は思う。
 ミサカ9982号を殺したのは御坂だ。そこからさらにミサカ10031号までの49人の『人間』を殺したのも御坂だ。そして、ミサカ00001号からミサカ9981号までを殺したのも御坂だ。
(これ以上もう、失いたくないっ)
 合計1万と31人の『人間』が御坂のせいで死んだ。御坂が殺した。これは一生をかけて償わなければならない罪だ。どんな罰だってこの罪の前には色あせる。
 幸せにしなければならない。
 幸せにならなければならないのだ妹達シスターズは。
(い・く・ら・で・も・替・え・が・き・く・と・し・て・も・こ・れ・以・上・も・う・失・い・た・く・な・い・ッッッ!!!!!)
 拳を振るい、電流を放ち、砂鉄を操作し、電磁波で探査し、コンテナをぶつけ、雷を落とし、叫ぶ。
 届かないなら届かせる。敵わないなら叶わせる。今日、この操車場で、一方通行アクセラレータを、確実に、ころす。
 全身を血塗れにしている一方通行アクセラレータは、いくらベクトル操作能力を持っているとしてもそう長く戦えないはずだ。いくらなんでも、どう贔屓目ひいきめに見てもダメージを負い過ぎている。
 絶対に限界は来ているはずなのだ。
 その証拠に。
「っお、ぉぉぉおおおおおおお!!!!!――――――はぁっ、…………はぁっ!!!」
 息が荒い。
 呼吸が乱れている。
 それは限界が近い証。それは限界が来ている印。
 このままいけば先に一方通行アクセラレータの方が自滅する、そう御坂は無意識ながらも思ってしまった。
 一方通行アクセラレータの方が先に自滅する。私が何もしなくてもしばらく耐えれば、積極的に攻めなくても勝てる、とそんな考えがわずかに、無意識レベルで浮かんでしまった。
 そんな甘い考えは油断を生むというのに、その余裕は絶対に、例え無意識レベルでも存在してはいけないのに。
 忘れてはならない。この戦いは互いの存在全てをかけているのだ。
 にもかかわらず、
 そもそも大前提として御坂は一つの可能性を忘れていた。
 
 すなわち、偽装という考えが。
 
(――――――あと、53秒。十分だぜェ。クソッたれ)
 手はうった。方針は立てた。方法論は確立した。勝利までの道筋は描き切った。
 今できる最高の演技。今できる最強の攻撃。
 後は、それを、放つだけ。
 御坂美琴と一方通行アクセラレータは互いに何度もすれ違いあった。その関係性が今やっと交錯する。交錯し、工作されたその関係がやっと終結する。
 
 仮に、
 
 この世界が、
 
 作者誰かによって描かれた、
 
 一つの物語であり、
 
 その結末が、
 
 多数の読者を楽しませるものであるのならば、
 
 
 
 
 
 きっと、
 
 
 
 
 
 もう、
 
 
 
 
 
 結末はとっくに決まっていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「か、ひっ…………はぁ、はっ――――――ヒュァ、ヒュう」
 限界だった。本当に限界だった。これ以上は持たない。体力が持たない。尽きる。尽きてしまう。精も根も尽き果ててしまう。
(つ……ぎ……――――――っ)
 思考がまとまらない。でもどうするべきかわかる。勝つためのロジックは組み立ててきた。そのためだけに人を捨てた。
手に入れる。入れて見せる。欲しいものは全部残さず奪いつくして喰い尽す。
 だから、進め。動け。前に出ろ。
 
 ここが分水嶺ぶんすいれい。天下分け目の分水嶺。
 
798 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:36:08.73 ID:3OJgtAFD0
 神から人へ戻った御坂と一方通行アクセラレータが戦闘を開始してから62秒後。唐突に二人は大きな距離をとった。
 
「「―――――――――――――――――――――――――――――――――…………………………………………………………………………………………」」
 
 二人は直感していた。
 きっと本当に本当の意味でこの交錯が最後の戦闘になると。数時間にもわたって戦い続けてきた戦いが終わると。
 
「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」
 
 一方通行アクセラレータの身体は既に満身創痍以上といってもいい。まずわかりやすい外傷として右腕の消失。全身に擦過傷プラス切り傷。右目、左足、左腕、眼窩がんか、内臓器官の6割、左耳、右耳、頭皮、手足の爪の内12個、指6本、思考能力、逃走本能、精神状態、判断力、すべて疾患有り。血塗れの血みどろ、五体不満足で死に体
 対して御坂美琴の身体の状態はあ・り・得・な・い・こ・と・に・ほ・と・ん・ど・軽・症・と・い・っ・て・も・い・い・も・の・だ・っ・た・。めだつ外傷といえば、せいぜい全身の擦過傷と切り傷だけ。それにしたって血管が爆散したような状態の一方通行アクセラレータほどではない。
 怪我は確かに、千切れかかった足、折れかかった腕、視力のなくなった右目、燃えた髪の毛と多岐にわたるがそれだけ。こんな長時間命がけの戦闘を行ったにしてはあまりに軽症すぎる。
 一方通行アクセラレータのようにベクトル操作能力を持っていない御坂がこの程度の傷でいられるわけがないのに。
 
「「―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――」」
 
 タイミングは同時だった。
 明確な合図はなかった。
 この場の誰もが狂っていた。
 
 二人は駆けだした。
 
 
 
 御・坂・は・後・ろ・に・、一・方・通・行・は・前・に・。
 
 
 
「――――――っ!!!」
 予想外の動きをしたわけではない。むしろ当然だ。御坂は一方通行アクセラレータが体力を消費していることを分かっている。なら、逃げに周るのは至極当然の理。ここでぶつかり合わない選択肢をとるのはあまりにも常識的な選択。
 故に当然一方通行アクセラレータもその行動を予期していた。
「シイイィィィィィィィィッッッ!!!!!」
 腕を振り、風を操り、御坂に向かって飛ばす。といっても飛ばした風の軌道は御坂に直撃するものでは無い。直撃軌道というモノは避けてしまえばそれで終わりである。故に、一方通行アクセラレータは御坂の行動を制限するように、御坂の体の左右に向かって風を放った。
「ッッッ!!!!!」
 不可視の風の攻撃を肌で感じた御坂は一瞬一方通行アクセラレータの後方へと視線をやった。そしてさらにさがる速度を上げる。
(これ……な、ら……)
 トン、と。あるいはストン、と御坂は大きく地を蹴って後方に突き進んだ。目に見える一方通行アクセラレータの移動速度から逆算すれば御坂が一方通行アクセラレータに追いつかれることはない。
 さすがの一方通行アクセラレータも疲れ果てている。殺し合いの始まったころのような機動力は発揮できていない。対して、御坂は違う。妹達シスターズのいる御坂はいまだ8割ほどの力を発揮できている。故に、現在の一方通行アクセラレータから逃げることが出来
 
 て・い・る・よ・う・に・見・え・た・。
 
「っ、ぉ」
 距離が詰まる。計算よりも早く、演算よりもずっと近くに一方通行アクセラレータが近づく。その理由は酷く単純で、とても当たり前の理論。
 偽装。
 一方通行アクセラレータは自らの体力の消費具合を偽装して御坂に『これ以上の速度は出せない』と思い込ませた。ただがむしゃらに腕を振るい、足を回していたころの一方通行アクセラレータとは違う。
 明確な思考、思想、目的、目指すべきものがある。モチベーションが違う。
 つまる距離と近づく狂気を前に御坂はあきらめたように嗤った。
 
 そして、
 
 そして、
 
 そして、
 
 
「ぁ」
 
 
 ドブリ、と漆黒の大地に立った一方通行アクセラレータのその腕が御坂の心臓がある部分を貫いた。
 
 御坂は一方通行アクセラレータの一撃を避けなかった。
 
 
 だから、これで決着がついた。
 
 勝利が確定した。
 
 
 終わった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 ――――――一方通行アクセラレータ戦闘不能まで、残り18秒。
 



そういえばこの小説、原作別の総文字数ランキングで一ページ目に乗っていました。まだ一章終わってないのに。
799 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:37:49.65 ID:3OJgtAFD0
禁書蹂躙のためにオリキャラの設定を20万文字書いた超大作だぁ
800 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:39:17.72 ID:3OJgtAFD0
https://syosetu.org/novel/56774/93.html
御坂美琴と一方通行F もう一人の襲撃者

 ドブリ、と心臓を貫き御坂の体の反対側まで貫いた一方通行アクセラレータの腕を御坂はただ客観的にみていた。
 明確な終わりを実感できた。この体に宿る唯一の命が尽き果てていくのを自覚できた。
「ァ、かっ!!!ごっ、がハ…………」
 血液と吐瀉物が入り混じったものが口から吐き出される。それこそ御坂の生命が終わる証であり、この場の勝者が一方通行アクセラレータに決まった瞬間だった。
「――――――――――――――――――――――――――――」
 胸を貫いたその勢いのままに一方通行アクセラレータは御坂の体内に存在するあらゆるモノを逆流させる。血液は当然として細胞や筋繊維、シナプスに生体電流すらも逆にした。
 当然、生体電流の逆流は電撃使いエレクトロマスターである御坂に及ぼす影響は皆無といっていいが、その他の逆にされたものは等しく御坂の身体を蹂躙じゅうりんした。
「っ、がっ――――――こ、れっれで……」
 何か、御坂の口から言葉が零こぼれ落ちる。
 だがもはや御坂にできることはない。心の臓を貫かれ、全身を逆にさせられた御坂に出来ることなどない。後一瞬、ほんの刹那の間に御坂は死体となり果てるだろう。
 断言できる。
 胸を、身体を、心臓を貫かれ、血流を、細胞を、筋繊維を、シナプスを、生体電流を逆にされた御坂が一方通行アクセラレータに出来ることはもはやない。
 絶対に確約できる。
 この場の天秤は一方通行アクセラレータに傾いた。この傾きがさらに揺れることなど決してない。
 御坂は死ぬ。
 御坂は死亡する。
 御坂にできることはもはや何もない。
 死ぬシヌしぬ。
 その命を散らし、死ぬ。
 
 
 
 そう、
 
 
 
 
 
 御・坂・は・負・け・た・の・だ・。
 
 
 御・坂・は・、負・け・た・。
 
 
 御・坂・は・!!!!!!!
 
 
 
 
 
 
 襲撃はあまりにも唐突だった。
 その一撃はあまりにも突然に一方通行アクセラレータに向かって放たれた。
 
 
 ズドンッッッ!!!!!という音が聞こえた。
 
 
 空間を光が裂いた。
 雷速で、その一撃は一方通行アクセラレータに向かっていった。
 一方通行アクセラレータの右腕は消失しているので使えない。一方通行アクセラレータの左腕は御坂を貫いていて使えない。一方通行アクセラレータの左足は地面に立つために使われていて使えない。一方通行アクセラレータの右足なら使え、
 
 ガギイイイイィィィッッッッッ!!!!!
 
 地・面・が・沈・ん・だ・。
(ッッッ!!!??)
 驚きではなく予想外の事態への混乱が思考をよぎった。まるで狙いすましたかのように一方通行アクセラレータの立っている地面が沈んだ。
 なぜ、と理由を考えることもなく一方通行アクセラレータの頭脳はその現象への回答を導き出した。一方通行アクセラレータは既に一度この現象を体感していたのだ。
 土と入れ替わった砂鉄のせいで立っている地面が沈んだ。その単純明快な事実を一方通行アクセラレータの頭脳はいとも簡単に導きだした。
 思い出されるのはあの時の光景。御坂との最初の交錯。
(――――――――――――)
 そう、あの時も御坂は砂鉄を使って一方通行アクセラレータの足元を沈めてきた。今回もそれと全く同じだった。
 御坂が一方通行アクセラレータから離れるように下がったのは逃げるためでは無い。一方通行アクセラレータの足場を崩し、も・う・一・人・の攻撃を確実に一方通行アクセラレータに当てるためだ。
 策は成った。
 罠に嵌はめた。
 右腕、左足、左腕、右足。一方通行アクセラレータの四肢はすべてもう一人の一撃に対して対処不可能になった。
 故に、
 だから、
 
 キイイイイィィイィイイィィィイイイイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィっっっ!!!!!!!!!!
 
 い・と・も・簡・単・に・も・う・一・人・の・そ・の・一・撃・は・反・射・さ・れ・た・。
 
「予想してなかったと」
 左腕に貫かれて死亡した御坂は通じると思っていたのだろうか?
 こんな幼稚で簡単な一撃が、成長した一方通行アクセラレータに本気で通用すると思っていたのだろうか?
 だとしたら、
 舐めるな、と一方通行アクセラレータは言いたかった。
「予想してなかったと、本気の本気で思ってたのかァ?オマエは」
 砂鉄による姿勢崩し。あぁ確かに有効だったさ。戦闘当初の一方通行アクセラレータなら有効だった。間違いなくもう一人による一撃は当たっていた。
 
801 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/22(日) 22:39:34.96 ID:Jz1WqMsUo
ここはそういうスレじゃないぞ
802 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:40:39.04 ID:3OJgtAFD0
 御坂が一方通行アクセラレータから離れるように下がったのは逃げるためでは無い。一方通行アクセラレータの足場を崩し、も・う・一・人・の攻撃を確実に一方通行アクセラレータに当てるためだ。
 策は成った。
 罠に嵌はめた。
 右腕、左足、左腕、右足。一方通行アクセラレータの四肢はすべてもう一人の一撃に対して対処不可能になった。
 故に、
 だから、
 
 キイイイイィィイィイイィィィイイイイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィっっっ!!!!!!!!!!
 
 い・と・も・簡・単・に・も・う・一・人・の・そ・の・一・撃・は・反・射・さ・れ・た・。
 
「予想してなかったと」
 左腕に貫かれて死亡した御坂は通じると思っていたのだろうか?
 こんな幼稚で簡単な一撃が、成長した一方通行アクセラレータに本気で通用すると思っていたのだろうか?
 だとしたら、
 舐めるな、と一方通行アクセラレータは言いたかった。
「予想してなかったと、本気の本気で思ってたのかァ?オマエは」
 砂鉄による姿勢崩し。あぁ確かに有効だったさ。戦闘当初の一方通行アクセラレータなら有効だった。間違いなくもう一人による一撃は当たっていた。
 だが、もう一度言うが舐めるな。学園都市超能力者レベルファイブ第一位一方通行アクセラレータを舐めるな。
 一方通行アクセラレータは気付いていた。気が付いていたのだ。
 も・う・一・人・、こ・の・操・車・場・に・御・坂・の・協・力・者・が・存・在・す・る・こ・と・に・!!!
「だとしたら」
 左腕は御坂を貫いているから使えない。右腕はそもそも今の一方通行アクセラレータにはないので使えない。左足は身体を立たせるために使用中で使えない。右足は砂鉄によってバランスを崩されたせいで使えない。
 左腕は御坂を貫いているから使えない。右腕はそもそも今の一方通行アクセラレータにはないので使えない。左足は身体を立たせるために使用中で使えない。右足は砂鉄によってバランスを崩されたせいで使えない。
 
 だがそれはすべて、もう一人の襲撃者の一撃を四肢を使って防ぐ場合だ。
 
 五体の全てを使って防ぐのであれば体のバランスが崩れようと関係ない。
 もう一人の襲撃者の一撃は御坂の連携だった。御坂が態勢を崩させ、その後襲撃者が一方通行アクセラレータの千切れた右腕の断面を狙って攻撃を加える。意識をシンクロさせているからできる完全で完璧なコンビネーションだった。
 そこに一方通行アクセラレータが行動を起こさなければきっとその一撃は決まっていた。
「だとしたら、なァ」
 一方通行アクセラレータが起こした行動は簡単なモノだった。自らの力、といっても今は疲れのせいもあって演算能力は低下し、最低限の『反射』と少しのベクトル操作しかできないが、その力を使用し地面と接触している左足で大地を爆散させただけだった。
 地面を爆散させたことによって一方通行アクセラレータの態勢はさらに崩れ、もう一人の襲撃者による一撃は右腕の断面ではなく『反射』の適用された一方通行アクセラレータの身体に当たった。
 だから、一方通行アクセラレータは無事だった。
「俺も、ずいぶン軽く見られたもンだなァ!!!!!」
 ガギリ、と首を鳴らしながら一方通行アクセラレータは後ろから攻撃してきた襲撃者を見るためにふりかえった。
 一方通行アクセラレータがもう一人の襲撃者の存在に気付けたのはその前の御坂との戦闘のおかげだ。意識が明瞭だったとは言えないがそれでも『神』の『力』を使っていたあの時、一方通行アクセラレータは一度『力』同士のぶつかり合いで『神』の『力』を手にした御坂に負けた。
 『力』の質では勝っていたのにも関わらず負けた。『力』の量の関係で負けた。
 
 あ・の・場・に・は・御・坂・と・一方通行アクセラレータの・二・人・し・か・い・な・か・っ・た・は・ず・な・の・に・。
 
803 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:41:10.18 ID:3OJgtAFD0
一対一サシでは負けないはずだった。
 つまり一対一サシではなかった。
 いたのだ。
 誰かが。
 いたのだ。
 誰か、が。
 一方通行アクセラレータでもなく御坂美琴でもない第三者。もう一人の人間がいた。それを一方通行アクセラレータは気付いていた。
 同時に思考した。その第三者が一方通行アクセラレータに襲撃をかけるならいつなのか、どのタイミングで攻撃を放ってくるのか。
 答えは簡単に出た。
 決まっている。一方通行アクセラレータが御坂を殺したタイミングだ。
 なぜならばそのタイミングならば一方通行アクセラレータは安心していて、油断している。御坂敵対者の排除が済んで、一瞬気が抜ける。
 だったらそこだ。そのタイミングで襲撃がかかる。そう一方通行アクセラレータは読んだ。
 そして、実際にそれは正しかった。
 襲撃は起きた。一方通行アクセラレータはその襲撃を防いだ。『反射』出来た。
(さァ、誰だ?誰がいる?)
 振り返る。
 振り返る。
 振り返って、
 
 そして、視線がソイツを捉えた。
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                    は     
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                                           」
804 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:42:12.88 ID:3OJgtAFD0

 
「そもそもの話として『人間』とは何だろうか?」
 
「人間。そう人間とはなんだ?」
 
「人間。人間だ。人間。人と間」
 
「広辞苑第六版から引用すれば人間とは『(社会的存在として人格を中心に考えた)ひと。また、その全体』。Wikipediaの人間の項目から引用すれば『(社会的なありかた、人格を中心にとらえた)人。また、その全体』。Goo国語辞書の人間の項目からから引用すれば『1ひと。人類。2人柄。また、人格。人物』」
 
「あぁ分かりにくいことこのうえないな。もっと分かりやすく記載してくれよ」
 
「ここはひとつ僕が人間を定義づけてやろう。分かりやすく、単純に」
 
「人間とは何か?人とは何か?」
 
「その基本的な、基礎となる条件を上げていこう」
 
「まず、第一条件として人間らしい身体を持っていることだろう。すなわち、骨格、筋肉、皮膚、四肢、内部器官、血管や神経、呼吸器系、内臓、五臓六腑、指、爪、髪、へそ、毛、生殖器、眼球や下、耳に鼻、さらに髭や腱などが『人』としての形をたもっている、ということが一つ目の条件として挙げられるだろう」
 
「次に第二条件としては言語だ。言葉を交わせる。言葉を話せるという事。英語でも日本語でもドイツ語でもラテン語でもフランス語でもロシア語でも中国語でも韓国語でもスキタイ語でもエジプト語でもオスク語でもサンスクリット語でも何でもいいが、とにかく他者との意思疎通が高いレベルで可能であるという事」
 
「第三条件は頭脳。考えることが出来る、というのは他生物でもできるが、『人間』ほど思考できる生物はほかにいない。モノを作り、造り、加工し、想像し、創造する。そのすべてを実行できる生物は『人間』のほかにはそういないだろう」
 
「まぁ、他にも条件はあるが大方こんな所でいいだろう」
 
「では、人間を定義づけたところで次の話題だ」
 
「我々人類は知り合いが知り合いであるという事をどうやって判断しているのか?」
 
「その人が『その人』であると、どう判断しているのか」
 
「分かりやすく言おう」
 
「ここにAAαあーえーあるふぁという人物がいるとする。AAαあーえーあるふぁはBBβびーべーべーたという人物と友人である。これを基本条件とする」
 
「では問題。AAαあーえーあるふぁは出会った人物がBBβびーべーべーたであるということをどうやって判断するのか?」
 
「顔がBBβびーべーべーたの顔ならばBBβびーべーべーたと判断してしまうのだろうか?いやしかし、もしも仮に整形手術などでほかの人物がBBβびーべーべーたの顔を持ってしまったら、その人物もBBβびーべーべーたとなりうるのか?」
 
「ありえない、と否定しよう」
 
「では顔がBBβびーべーべーたの顔であるという条件にさらに付け加えて体つきもBBβびーべーべーたのものだとしたらどうか」
 
「これでもまたあり得ない。他の人物がBBβびーべーべーたとなることはできない」
 
「なぜか」
 
「なぜなのか」
 
「記・憶・の・問・題・が・あ・る・」
 
「記憶」
 
「人間の記憶」
 
「仮にその人物の顔と体型がBBβびーべーべーたと同じものだとしても、AAαあーえーあるふぁがその人物と会話をすれば、その人物がBBβびーべーべーたではないと分かる」
 
「分かってしまう」
 
「何故ならその人物にはBBβびーべーべーたとしての記憶が無いから」
 
「故に、その人物はAAαあーえーあるふぁを騙せない。会話が成立しない」
 
「共通しているはずの思い出が、一緒に過ごした記憶が無いから」
 
「だから、どれだけ形が似ていてもその人物とBBβびーべーべーたは結局別人だ。まぁ、当然と言えば当然のことだが」
 
805 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:43:02.58 ID:3OJgtAFD0
 
「別人だ」
 
「別人」
 
「別の人」
 
「別人」
 
「ではここで一つ、考えを変えてみよう」
 
「姿かたちが同じでも、『記憶』、つまり外からは見えない内面が違うのならばその人物とBBβびーべーべーたは同じとは判断されない」
 
「では逆に」
 
「外面はもちろん『記憶』を含めた内面すらも同一ならば」
 
「その人物とBBβびーべーべーたの見分けは、はたしてつくのだろうか」
 
「別人と判断できるのだろうか」
 
「AAαあーえーあるふぁを、友人を騙せるのだろうか」
 
 
 
 
「つまるところ、今回の第一章はそういう話だ」
 
 



さて、もう一人の襲撃者の正体はだれでしょう?

次の更新は3日後です。



























 ヒントはすべて出ているぞ。
 答えはすぐそこまで来ている。
 考えを放棄するなよ愚図が。
 張り巡らされた伏線の真実を明かされるのを唯々諾々と待っているんじゃない。
 なぜ考えない愚か者?
 どうして思考しない馬鹿なのだ?
 考えろよ考えろ。
 大丈夫だ問題ない。
 なぁに心配などないさ。
 信じているぞ信じているさ。
806 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:43:58.44 ID:3OJgtAFD0
https://syosetu.org/novel/56774/94.html
協力者の正体は……


御坂美琴と一方通行G 悍ましき悪

 『それ』を見た瞬間一方通行アクセラレータはすべてを理解した。
 『それ』を見た瞬間一方通行アクセラレータはすべてに恐怖した。
(こ、こ、こっ、コッ――――――イ、ツ――――――――――――ッッッ!!!!!)
 言葉が出ない。
 言葉にならない。
 言語化できない。
 言語にならない。
(あっ、あ、あ、あ、っぁ、ぁ、ああ、あ、あ、ああ、あっ)
 恐ろしい。
 恐ろしい。
 恐ろしい。
 怖い。怖い。怖い。
 否。
 恐怖以上だ
 なんだこれ?
 なんだこれ?
 なんだこれは?
(頭おかしいンじゃねェのか!!!!!)
 狂っている、では足りない。
 狂気に満ちた、では足りない。
 化物、と罵ることさえまるで足りない。
 もっと前段階。そもそも同じ人間なのか、と疑問を持つ段階だ。陳腐な言葉で形容するならば人外じみた、魑魅魍魎の精神性。
 ありえないと百回言って、
 狂っていると千回言って、
 頭がおかしいと万回言って、
 狂気に満ちたと億回言って、
 それでもなお、まるで足りない。
 薬ヤクでもやっているのか?それとも極限の恐怖で精神ココロが壊れたか?
 否。
 否否否!!!
 違う。これで正常だ。これで正しい。これこそが彼女の在り方。彼女の精神性。
 偽らざる真の心本心。
「ひ――――――ぁ――――――」
 喉が、干上がった。カラカラと口の中がどうしようもなく乾く。消失した右腕の代わりに一方通行アクセラレータの左腕で心の臓を貫かれ、全身の全てを逆流されて耐えがたい痛みを感じながら死亡したはずの御坂美琴の死に顔がそれを物語っている。
 ありえない。
 ありえてはならない。
 オマエは、
 そんな、
 そんなにも、
 そこまで、
 そうまでして、
 オマエは、
「あはは」
 嗤っていた。笑っている。哂っていて、ワラッテいた。
 その死に顔は、形容しがたいほどに歪に歪んだ笑顔だった。
 あぁ嘘だろう。
 嘘だと言ってくれよ。
 信じられないあり得ない。
 ふざけるなよ。あり得るのかそんなことが。
 どうしてそんなことが出来る。
 どうしてそんな真似が出来る。
 なぜだなぜなぜ。
 なぜなんだ。
 オマエは人間だろう?
 オマエだって人間だろう?
 なのに、それなのに、
 どうして、
 どうしてそんなことが、
 どうしてそんなことができるんだ。
(つまり、………………)
 見誤っていたということだろうか。そういう事なのだろうか。一方通行アクセラレータは御坂美琴を、
 否、
 『御坂美琴』を見誤っていた、とそういう事なのだろうか。
 きっと、そうなのだろう。一方通行アクセラレータは見誤っていた。『御坂美琴』のことを見誤っていた。
 その思いの深さ、覚悟の強さ。メビウスの輪のように摩訶不思議でありながら四次元超立方体のような意味不明さを兼ね備えた上でクラインの壺さながらの理不尽具合を持ったその複雑怪奇な精神性を見誤った。
(だから、……………………………)
 見誤って、誤った。対応を、選択を間違えた。
 勝つためならばそもそも最初にあった時に、ミサカ9982号を殺したその時に御坂美琴のことも殺さなければならなかったのだ。放置しておくべきでは無かった。殺さなければいけなかった。
 だが、それはあまりにも酷だ。あの段階でこの状況を予想しろなど、どんな天才でも不可能に違いない。それこそ未来予知でもできない限り予想できるわけがない。
807 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:44:29.02 ID:3OJgtAFD0
故にこの結末は決まりきったもの。ただ唯一、一方通行悪党が辿る地獄への道筋。落石は、一方通行アクセラレータを煉獄へと堕とした。
「あァ」
 ある意味では諦観が、
 ある意味では後悔が、
 ある意味では達観が、
 一方通行アクセラレータの胸の中に満ちた。
 このただ一つの狂気に満ちた真実を、視線の先に存在する絶望の悪夢を、一方通行アクセラレータは正しく認識する。
 
 
 見た。
 視た。
 観た。
 視認した。
 認識した。
 認知した。
 
 
 
 視線の先には誰がいたのか。
 視界が捉えたのは誰だったのか。
 
 
 
 今明かそう。
 
 
 
 
 
 暗く昏い瞳を携えながら、暗黒の闇夜に立つ『彼女』。
 『彼女』は白いソックスをはいていた。
 『彼女』は茶髪だった。
 『彼女』は常盤台の制服を着ていた。
 『彼女』は生まれたばかりの存在だった。
 五体満足でありながらも数千を超える死を経験し、心身健常でありながらも常に傷付いている。
 『彼女』は武器など持っていない。
 『彼女』は防具など持っていない。
 『彼女』は戦闘の手助けになるものなど何一つ持っていない。
 『彼女』は逃走の手助けになるものなど何一つ持っていない。
 それでもこの場所に立つのはただ一つ。この胸に抱える大切な人モノがあるから。
 無くしたくないと叫び、亡くしたくないと喚わめいた。
 あぁ、つまりそういうこと。
 この場で、
 この時に、
 一方通行アクセラレータの視線の先に立つその人の名は
 
 
 
 
 
 
「御坂、美琴」
 
 
 
 
 
 
 静かに、一方通行アクセラレータは呟いた。
 
 その女の名を。
 
 
 
 一方通行アクセラレータにとっての死を。
808 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:44:55.35 ID:3OJgtAFD0
 人間とは唯一無二の個である。
 悪党だろうが善人だろうが罪人だろうが聖人だろうが男だろうが女だろうが幼子だろうが老人だろうが大人だろうが黒人だろうが白人だろうが混血だろうが大統領だろうが首相だろうが議員だろうが秘書だろうが統領だろうが首領だろうが頂点だろうが底辺だろうが中間だろうが理事長だろうが校長だろうが寮監だろうが甥だろうが姪だろうが幼馴染だろうが犯罪者だろうが青少年だろうが少女だろうが未成年だろうが成人だろうが宗教家だろうが狂信者だろうが同性愛者だろうが差別者だろうが馬鹿だろうが賢者だろうが美だろうが醜だろうが障害者だろうが健常者だろうが重篤患者だろうが黒髪だろうが白髪だろうが金髪だろうが銀髪だろうが色黒だろうが極道だろうが外国人だろうが劣化模造品だろうが。
 その唯一性、その絶対たる個性、それはあいまいではなく確かに一人一人に存在している。
 個性、そう個性だ。
 確たる個を誰もが持っている。
 生まれ出でたばかりの赤子だろうとその唯一性は変わらない。
 顔、体重、年齢、身長、生年月日、名前、美醜、努力因子、頭の出来、対人コミュニケーション能力、対人関係、親の有無、友人の多さ、抱えた病、かかった病、歩んだ道のり、過去、現在、身体つき、視力、聴力、味覚、触覚の過敏さ、髪量、爪の長さ、肌の色、国籍、人種、海外渡航歴、足力、運動能力、頭脳、恋人の有無、読書量、職業、趣味、職歴、預金額、好きな服装、好みの食べ物、好みの飲み物、瞼が一重か二重か、虫歯の有無、好きな番組、支持する政党、嫌いな人物、
 すべてが同じという事などあり得ない。絶対にありえないし、あり得てはならない。
 だってそうだろう?
 すべてがすべて、一切の差異無く同一であるというのならば、個の唯一性が揺らぐ。揺らいでしまうではないか。
 ドッペルゲンガーを見たら死ぬのはそのドッペルゲンガーが何か特殊能力を持っていたからでは無い、自分自身が二人いるという現実を否定するために主とドッペルゲンガーが殺し合い結果として一人しか残らないから死ぬのだ。
 個の唯一性は絶対に重要なモノだ。自らの代わりとなる個体が存在することを自覚してしまったら彼らは殺し合わざるを得ないだろう。
 なぜか?
 
 自・分・自・身・の・代・わ・り・が・い・る・と・い・う・事・が・許・せ・な・い・か・ら・だ・
 
 代替品が存在するという事実は自らが存在しなければならないという事実を揺るがす。替わりがいるのだからお前がいなくても問題ない。代わりがいるのだからお前が死んでもその続きがある。
 それを普通の人間は認められない。
 個人を個人として成立させるただ一つの個性。自分自身の代わりがいるなど、そうしたら自分がここに生きた意味が失われてしまうではないか。この努力もこの生もこの感情もこの生き様もすべて偽物だと思ってしまうではないか。
 だれもが嫌だと否定するだろう。
 誰もがふざけるなと泣き叫ぶだろう。
 誰も、誰しも、自が確たる個であると信じ、信じたいのに。
 
 
 
 御・坂・美・琴・は・そ・れ・を・自・ら・放・棄・し・た・。
 
 
 
 放棄したのだ。御坂美琴は。
 ありえない、と一方通行アクセラレータが思うのも仕方ない。その事実を認めがたいのもしょうがない。
 なにせ人間はただ唯一の個性をもつ個体。替わりのきかない絶対の個。
 それを放棄すればもはやそれを人間であることを捨てたも同義。
 なのに、
 だというのに、
 躊躇いなく捨てた。躊躇なく捨て去った。
 そこまでして、そうまでしても妹達シスターズを助けたかったのだ御坂は。御坂美琴は救いたかったのだ。
 そう救いたかった。
 救いたっかた救いかたった。
 すくいたく救いたう救いた救い救いs喰いたたたたたたttatatbsy化初スカイすくいすかういすかういすかうい救い救い救いsukuisukuいいししいいいぃぃぃいいいいイイィイsukuiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii救済きゅさい救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済さいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいあしあししししししししししししいいいいいいいっきいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいイイイイいいいいいイイイイイイイイイイぃぃぃぃぃいいいいぃぃいいいxゐィゐィイイィィイい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 
 
 
 
 
「だぁいじょ、じょう、じょうぶぶぶぶぶよぉ」
 
 
 
 
 
 
 救いを救いを救済を救い救命して救い救済助けて救って救命して救助するするっするruるるるうう救済救済救出救命助命命命みみゑ名い命助助け助名命命救う約sやくskk約束kyuuuuうううう種出出出命出命助救出救命救済救済助命助ける助ける助ける助ける助ける助ける助ける助ける助ける助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助けぇえええええええええええええぇぇえええぇええぇえぇえええええええええるんるんるんるるるるるるるるるうううううううう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 
 
 
 
 
 
「ワタシガカナラズ」
 
809 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:45:55.68 ID:3OJgtAFD0
妹思う妹妹妹妹いむおおもうとおうお妹妹妹妹達シスターズ妹達シスターズ妹達シスターズ妹達シスターズいもうおtおiomouい思うと妹妹妹妹達シスターズ妹達達達達達達達達たたたtaああああああああァァァ唖唖唖唖唖アアァッァアアアアアaaたちちっちちっちいちいいちちちちちち妹達シスターズズズズズ妹達妹行こうと妹妹妹いもうtおいもう妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹
810 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:47:07.31 ID:3OJgtAFD0
「タスけテあげ婁るカラ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
               べギ
 



…………………………狂気を表現する方法のバリエーションが私の中にあまりないなぁ……。こんなんじゃただの駄作だこれ…………。

文字量についてはパソコンでみたときに画面がいっぱいになるぐらいの文字量のはずです。スマホならスクロールが面倒でしたよね。ごめんなさい。

さて、そろそろ御坂美琴を理解した人はいるかな?
811 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:47:45.44 ID:3OJgtAFD0
https://syosetu.org/novel/56774/95.html
話し進まねぇ……。


一方通行A 地獄の最下層よりも下

 絶叫しなかった自分自身を褒めてあげたかった。
「―――――――――――――っ!!!!!!!!!!!!!」
 全力で逃走した
 もはや同じ人間には思えなかった。
(怖い)
 貫いた御坂から腕を抜いて、最低限の『反射』すら移動のためのベクトル制御にまわして、ただひたすらに走った。
 どこに、という意識すらなくただひたすらに奔った。
 闘争という意識はもはや脳の中のどこにも無く、逃走という意識だけがただ身体を動かした。
 ふざけるな、とここに来た自分自身をぶん殴りたかった。こんな恐怖を、心臓を直接握りしめられたような死絶の怖気を感じるくらいならばもはや一刻も早く、一瞬でも早く死んでしまいたいとすら思った。
 畏怖とか絶望とかそんなレベルでは無い。この世の全言語を総動員し、万象すべての生物に存在する感情をかき集めたところで一方通行アクセラレータの感じるこの思いに匹敵することはないだろう。
 脳のエネルギーの全てを、あらゆる演算機能のほとんどをただ逃走にのみまわした。千切れた右腕から血液があたりにまき散らされるが、もはや一方通行アクセラレータは一顧だにしない。
「――――――はっ、はっ、はぁ、ハァ、っあ、が……るァ、おィ、弐――――――逃、げ、げっえぇぇェぇええ、おええええええええぇぇぇえええぇぇ!!!!!」
 擦り傷切り傷刺し傷かすり傷うち傷咬み傷突き傷逃げ傷古傷向こう傷掻き傷生傷すべてがすべてどうでもいい。
 右目左目右足左足右耳左耳鼻口唇舌爪手指足指肝臓腎臓盲腸胃心臓膵臓脾臓大動脈大静脈肺静脈肺動脈小腸大腸十二指腸広背筋上腕二頭筋僧帽筋眼輪筋水晶体虹彩三半規管静脈動脈毛細血管膀胱口輪筋三角筋橈側手根屈筋縫工筋大腿二頭筋大殿筋頸椎胸椎腰椎胸骨肩甲骨筋繊維髪額喉歯項踝踵膝肘足裏肌上顎骨下顎骨鼻骨涙骨後頭骨前頭骨側頭骨頭頂骨形骨篩骨耳小骨舟状骨月状骨三角骨豆状骨指紋指関節食道肺胞生殖器眉顎耳朶瞼角膜視神経中心窩前房後房硝子体視神経乳頭黄班脈絡膜鼓膜聴神経耳管耳殻外耳道蝸牛意識している暇は無い。
 今は早く、速く、一刻も早く逃げないと離れないと外に行かないと戻らないと。
 じゃないとじゃないとじゃないとじゃないとじゃないととととととととととと!!!!!
「ばっ、ごォ!……ァ、っ――――――オウガァアアァアアアアアぁああぁぁぁぁぁぁああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
 スピードで言えばベクトル操作能力の全てを移動するために使っている一方通行アクセラレータに御坂美琴が追いつけるわけがない。だから、このまま逃げ続けていれば必ず逃げとおせる。
 はずなのに、
 だというのに、
「――――――――――――ッッッッッ!!!!!!!」
 この胸に感じる正体不明の圧迫感はなんだ?
 この胸を撫でる言語化不能の威圧感はなんだ?
 なんだ?なんで?これは?こんな?こんなことに?
「ひ、ひ、ひァ……ひひゃ、ひッっっ―――――――!!!!!」
 死ぬのが怖いと思ったのはこれが初めてでは無い。改良版音響式能力演算妨害装置キャパシティダウンバージョンベータで『反射』を破られて超電磁砲レールガンの直撃を受ける羽目になったあの時だって死への恐怖は感じた。
 だから、別に死ぬのがそこまで怖いと思っているのではないのだ。
 
 だけど、
 
 脳に直感するものがあった。
 きっと、たぶん、おそらく、今の御坂にあったら死ぬよりもひどいことになる。具体的にどうなるかまではわからないが、それでも直感は絶対につかまってはならないと叫んでいた。
 生きたまま解剖されるよりもひどいことが起こる予感がした。
 故に、逃げる。奔る。逃走する。
 捕まったらヤバい。つかまりたくない。
 嫌だいやだ嫌だ嫌だ嫌いや嫌嫌嫌だイヤダイヤダ。
 こんなふざけた終わりは、こんなふざけた終焉終わりは、いやだ。
 超能力者レベルファイブの誇り?
 そんなものはどうでもいい。
 学園都市の中で最強の一方通行アクセラレータ?
 ここで死なないなら最弱になっても構わない。
 前人未踏の絶対能力者レベルシックス?
 そんなものはもういらない。
 だからああ、神様どうかお願いします。
 今だけでいいんです。この戦いを生き残れたらもう悪さはしません。慈善事業に尽くしますボランティア活動に精を出します宗教団体に寄付金を上げます信仰心を積み上げます。
 だからあぁ、どうかいまだけ俺を、
 俺を――――――。
 
 
 ドサッ、と大地を強く踏みしめるような音が聞こえた。
 
 
「――――――――――――――――――っっっっっ!!!!!!!!!!!」
 
 
 思わず、といっていいのだろうか。一方通行アクセラレータのその足が地面を離れ、一方通行アクセラレータのその身体が地面に縫いついた。
 呼吸を、体の動きを、その身体の微細振動を、心音を止めたいと本気で思った。すべてを静止させた人形になり果てることが出来てしまうのならばいったいどれだけ楽なのか。
 だが、一方通行アクセラレータは人間である。御坂美琴とは違って純粋に純朴な人間である。故に、その呼吸を、心音を止めることなどできはしない。
 故に、一方通行アクセラレータは気付かれないようにゆっくりと、ゆっっっくりと足を踏み出して前に進もうとして
 
 
 ぬるべちゃ、と赫いインクが一方通行アクセラレータの全身に付着しついた。
812 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:48:14.24 ID:3OJgtAFD0
「――――――ァ?」
 
 
 左腕を前に掲げる。
 赤かった。紅かった。朱かった。赫かった。あかかった。アカカッタ。
 だから、存在しない右腕の代わりに、あかい左手の甲を舌で舐めた。
 
 チノアジガシタ。
 
「え、はえ???な、――――――ェ?」
 血?チ?血液?血痕?
「どう、……なン――――――は?????」
 血液が外に流れ出ていた。なぜだ?
 一方通行アクセラレータは失血していた。どうして?
 いや、そうではなく、そうではなく。
 そんなことはどうでもよくて。
「ァ、に――――――逃げ、ねェ…………と」
 そうだ逃げないと。生きたいから逃げないと。
 逃げない、と。
 そのためにはまず二本の足を前に進めて、そして……。
「…………?」
 あれ?
 どういう事だろうこれは?
 なんだろうこれ?
 顔が、あかく、染まって?
 
 血?
 
 血液?
 
 地面が冷たい。
 なんで地面に張り付いているんだ?
 なんだ?
 いつのまにやら地面が90度回転して壁になったのか?
 いや、違う。
 それは違う。
 目の前に赫い大地があるのは一方通行アクセラレータが倒れているから。
 倒れているのは一方通行アクセラレータだ。
 
「――――――ひ――――――――――――ぃ――――――」
 
 人は極限状況下では見たくない光景を見ないことが出来る。出来てしまう。心を守るためにも、認識したくない事実から目を逸らす。
 だが、この状況でも一方通行アクセラレータは現実から目を逸らせなかった。
 今まで体験した中でも一番の地獄だとしても、この状況に近い地獄を一方通行アクセラレータは何度も見たことがあったから。
 特例能力者多重調整技術研究所では多重能力者デュアルスキルを実現させるために何人もの子供が薬物付け状態にされ人体実験を行われた。
 プロデュースでは自分だけの現実パーソナルリアリティが脳のどこに宿るかを調べるために生きたまま解剖された子供がいた。
 光陰の三月実験では脳細胞を直接いじくり肉体及び精神的に二つの能力の特性を取り込ませる暗闇の五月実験の前身のような実験が行われた。
 すべて、見てきた。
 泣き叫ぶ子供を、狂い喚わめく少女を、絶望した少年を、舌を噛み千切って自殺しようとした幼女を、現実から目を逸らして空想の両親に縋った幼児を、
 一方通行アクセラレータは見てきた。
 見てきただけだった。
 体験したことなどなかった。だって一方通行アクセラレータは一位だったから。最強無敵の第一位サマだったから。
 だから、真に正しく現実を認識できた。
 
 
 
 も・う・、
 
 
 
 一方通行アクセラレータは・能・力・が・使・え・な・い・。
 
 
 
 ベ・ク・ト・ル・が・操・作・で・き・な・い・。
 
 
 
「あ、あぁ、あっ、あぁああ、ぁ、ぁあ!あ、あ、あ、あ……ああぁ、あ!あ?!ああぁああぁあああ!!!!!???」
813 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:48:46.93 ID:3OJgtAFD0
大地に倒れ伏してしまったのは転んだからでは無くベクトル操作能力を使えなくなってしまったからだ。いや、厳密に言えば完全に能力が使えなくなったわけでは無い。今現在も最低限中の最低限ではあるが痛みを制御するための体内ベクトル操作は使えている。
 しかし、逆を言えばそれしか使えていないという事。今の一方通行アクセラレータは全能のベクトル操作をただ痛みの制御にしか使えないという事。
 つまり限界だ。
 数時間にわたって戦い続けた限界がついに来た。複数人で交代しながら戦い続けた御坂に対して一方通行アクセラレータは独りだった。故に、真の限界が来てしまった。

 質と量の戦いで量が勝った。その結果である。
 ベクトル操作ができない一方通行アクセラレータなどもはやただの少年以下である。痛みの制御しかできない一方通行アクセラレータの右腕から血液が滝のように流れていく。このままでは5分と知れず一方通行アクセラレータは死ぬだろう。
「ぁ――――――や……………………ァ」
 ベクトル操作能力が使えないのならば、なおさらこの場所から一刻も早く脱出しなければならない。薄れゆく意識の中で、靄もやのかかる思考回路が、それでもなお一方通行アクセラレータに危機感を訴えていた。
 もはや、立ち上がることすらできない。
 ならば、這いずってでも前に進むしかない。
 この場所にはいたくない。
 左ひざを曲げて、右つま先で血地を蹴って腹をどす黒く染めながら、左手を前に出して、大地を掴み体を引きずり右手を
(……あァ、右腕は、無いンだっけかァ)
 ならしょうがない。もう一度左ひざを曲げてあかく身体を汚しながら地面を這いずり前に、前に、前に。
 一心不乱に一所懸命に一生懸命に前に先へ奥へ。
 這いずって進んだ地面は右腕から流れ出る血液のせいであかい軌跡となっていた。そのあかい軌跡をたどれば御坂はいつでも一方通行アクセラレータのもとに辿り着けるだろう。
 なのに、右腕を止血できないのは物理的な問題ともう一つ、心理的に一方通行アクセラレータがその程度の怪我に構っていられなかったからだった。
「は――――――ひゅっ!!!は、ひぁはッ……はぁ……っ……はぁっ」
 進む。進む。進む。進め。
 前へ。前へ。前へ。前に。
 先に。先に。先に。先へ。
「ひ、――――――っごハっ!げ、げゅごひョがッッッ!!!!!」
 喉の奥に痰でもたまったのか息苦しく感じた一方通行アクセラレータは左手を口の中に突っ込み喉にたまった何かを無理やり吐き出した。
 固まり切ったアカグロイ血が何度も何度も地面に吐き出される。
「ゼ――――――ひゅ、ひゅぅ、ひ!……ぜェ、ゼェ、ギュっ!!!…………………………あッ――――――――――――――――――――――――――ごっ、がアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」
 今、一方通行アクセラレータを守っていた最後のベクトル操作が切れた。痛覚の操作が切れた。
 だから、
 あぁ、だから、
 もはや痛みしか感じない。
 呼吸ができない。
 足も動かない。
 額をつたう血が目に入り、視力さえもなくなってきた。
 見えない聞こえない感じない触れない動けない――――――でも痛くて。
 何も誰も彼も我も――――――痛いと叫んでいた。
 痛い。こんな痛みはあんまりだ。イタイ。イタイ。イタイ。
 寝そべった地面がただひたすらにあかく染まる。流れ出た血液がすべてをただ赫に……。
 そして対照的に白くなる意識。白くなる思考。
 その白は、まるで最初の絶対能力進化実験レべルシックスシフトが行われた部屋のようだった。白い部屋に赤い血が彩られたあの景色。今の一方通行アクセラレータはまるで、あの部屋で倒れ伏したミサカ00001号と同じような格好だった。
「い…………や、だァ………………………」
 涙が出た。
 悲しくてしかたが無かった。
 胸に去来するただ一つの想い。
 胸を埋め尽くすただ一つの願い。
 それすらもう叶うことは無くて。
「死に……た、く、――――――ねェ」
 泣いて、泣いた。滝のような涙を一方通行アクセラレータは流した。痛みに埋め尽くされた思考の中、それでも生を求めるその姿はいっそ滑稽で、どうしようもなく嘲笑の対象になるだろう。
 けれど、本気だった。
 一方通行アクセラレータは生まれた初めて本気で願った。思った。
 
 
 死にたくない――――――――――――――――と。
 
 



私の中ではたぶん今までで一番うまく書けたと思われ。
814 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:49:52.12 ID:3OJgtAFD0
https://syosetu.org/novel/56774/96.html
今まで張りに張った伏線を回収する話です。
一章最大の山場といってもいいかもしれません。

御坂美琴の『死』、その真相がついに明らかになります。


御坂美琴と一方通行H 『御坂美琴』という名の全

 もう一度、いや何度だって一方通行アクセラレータは手を伸ばす。もうない右腕の代わりに左腕をのばし、もう走れない両足の代わりに腹を引きずる。
 達磨ではないがもはや達磨といってもいいほどに動かない四肢の代わりに、口を使って前に進み、腹を使って先へ行き、股を使って脱出しようとした。
 その行動はもはや本能すら超越した極限の衝動といってもいいのかもしれない。思考は明滅し、本能は埋没し、今自分が何をしているのかさえ分かっていない。
 それでも動いているのは何よりも『生きたい』から。どうしたって『生きたい』から。
 今、この場を、ただこの場を生き残りたいと希こいねがったから。
「――――――」
 この無様な姿の一方通行アクセラレータを見ていったい誰が彼を学園都市最強の能力者だと思うだろうか。血にまみれた身体に四肢の砕けたその姿、全身が砂利に塗れ憐れなほどに悲し気なその姿を見ていったい誰が一方通行アクセラレータを一方通行アクセラレータだと思える?
 その姿は学園都市第一位にしてはあまりにも、あまりにも孤独だった。
「―――――――――――――――――――ァ―――――――――」
 ビクン、と一方通行アクセラレータの身体が小さく震えた。
 痙攣けいれん、した。
 左腕はもう動かない。右腕はもうどこにも無い。左足も右足もいつのまにかその機能が失われた。喉には固まった血が詰まり、動脈静脈毛細血管あらゆる場所から血が噴き出て、五感はその機能を半分以上停止させ、能力すら先ほど使えなくなった。
 進みたいのに進めない。
 逃れたいのに捕まった。
 逃げたいのに逃げられない。
 もう、もはや、何も感じない。感じられない。暗黒の世界の中でそれでもなおただ一つ感じることが出来たのは全身が訴える極限の痛みだけ。
 終わる。
 終わってしまう。
 こんな孤独に。たった独りで。
 何も残せず、何も守れず、何も言えず、何も――――――。
 
「ね・ぇ・」
 
 いや、
 まだ終わらない。終わらないのだ。
 なぜならこの場には一方通行アクセラレータのほかにももう一人、
 否、
 もう『ひとり』生命体女がいる。
 
「ど・う・、死・ぬ・感・触・は・」
 
 上から声が聴こえた。
 仰向けに身体を転がして声の主を下から見やる。
 
「――――――さカ、み…………とォ」
 
 言葉は声にならなかった。
 極限の痛みの果てには絶対の死御坂美琴が待ち受けていた。
 
「ざまぁ、無いわね」
 
 御坂は死の直前にいる一方通行アクセラレータに歩み寄りながら、静かに語りかける。嘲笑と嗤笑、そしてもう一つの笑いをこめて。
そこには一切の躊躇いも無かった。一方通行アクセラレータは瀕死の重傷とはいえまだ生きているのに、御坂はほぼ無警戒で一方通行アクセラレータに近寄った。
 だって、分かっていたから。
 もう、勝った狩ったと分かっていたから。
 それは油断でも余裕でもない。御坂美琴はもはや一方通行アクセラレータの前に五体をさらすことに何の不安も覚えていなかった。
 なぜならもう目の前に倒れる一方通行アクセラレータは、その血みどろの姿からわかるように本当に死ぬ寸前だったから。放っていても数分後には死ぬ存在に油断も余裕も感じることはない。
 もう、勝者は決まっているのだから。
「     」
 重ねて言うがここからの逆転はない。
 例え、絶対にありえないことだが一方通行アクセラレータが再び立ち上がり復活し目の前にたたずむ御坂を殺したとしよう。
 この『御坂美琴の身体』を壊したとしよう。
 でもそれだけだ。一方通行アクセラレータには『御坂美琴の身体』を[ピーーー]ことは出来ても『御坂美琴』を[ピーーー]ことは出来ない。
 だから、勝者は決まっていた。あの時御坂美琴が一度目の死を迎えた時点で勝者は御坂美琴に決まっていた、。
 総体とミサカ19090号が仕掛けた策は『御坂美琴』を不滅の怪物にした。
「……………………………………………………………」
 終わってい逝く体で、一方通行アクセラレータは一つ、御坂美琴のことを考える。
 妹達シスターズのために人を捨てた。妹達シスターズの怪物になった愚かな少女。
 思い、おもった。
(もしも、)
 と、考える。
 違いはたくさんあった。
 例えば性別。例えば人間関係。例えば住んでいる領域場所。
 例えば能力。例えば抱える傷跡。例えばこの場所にいる理由。
 例えば、
 例えば――――――、
 例えば……………………。
 戦うことの意味。
 誰かのためという免罪符と自分のためという免罪符。狂わされた人生を取り戻したかった。終わっていく世界に色を付けたかった。
 きっと同じ。もう同じ。
 
 身・体・を・放・棄・し・て・ミ・サ・カ・ネ・ッ・ト・ワ・ー・ク・の・中・に・生・き・る・思・考・生・命・体・と・な・り・果・て・た・御・坂・美・琴・も・同・じ・だ・っ・た・。
815 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:50:18.16 ID:3OJgtAFD0
あの時、
 総体とミサカ19090号が御坂美琴に接触したあの時。
 御坂美琴は『人間』を捨てた。『人間』であることを放棄した。
 生身の器うつわを、その身体を捨てた。
 だから、何度でも蘇り、黄泉帰り、生き返ることが出来たのだ。
 身体が死んでも心は死ななかったから。体がなくなっても記憶は亡くならなかったから。
 話そう。
 その悍ましき悪の理論を。
 人の誇りを捨てた悲しき少女の運命を。
 罪に汚れた少女の贖あがないと償いの行動を。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 咎人は、ここにいた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 人を構成するものは大きく分けて二つ。身体と心、この二つである。
 つまり生身の体があってその身体に心が宿っていれば、それだけで人は人であると言える。まぁ、中には植物状態の人間などもいるがこのさいそれは置いておこう。
 では、御坂美琴のことを話そう。御坂は改良版音響式能力演算妨害装置キャパシティダウンバージョンベータを使って放った必殺の超電磁砲レールガンを一方通行アクセラレータに避けられてその五体を散らし死亡したが、総体とミサカ19090号の協力もあってなんとか生き返った。
 そして、超電磁砲弾きクロッシングレールガンを放ち一方通行アクセラレータに重傷を負わせた後も、『神』と化した一方通行アクセラレータの書き換えた『世界』に押しつぶされて消滅した。
 都合二度、御坂は死亡している。二度目に至っては完膚なきまで消滅している。
 さて、
 さてさてさて、
 ここで一つ勘違いを正しておく。
 もしかして、こんな風に思っている人がいるのではないだろうか?
 勘違いをしてしまった人がいるのではないだろうか?
 
 御・坂・美・琴・が・生・き・返・っ・た・の・は・同・一・の・身・体・で・あ・る・と・。
 
 つまり、御坂の心臓が停止してもう一度動き始めたあの時のように、御坂が死亡した後にその身体で生き返ったと思っている人がいるのではないか。
 
 はっきりと否定しよう。
 それは違う、と。
 
 御坂美琴が生き返ったのは同一の身体では無い。別の身体である。
 御坂は死ぬたびに、生き返るたびに『別の身体』にのり換えていった。
 厳密には違うが分かりやすく言うのならば、魔術の手法にもある憑依をイメージしてくれると分かりやすいだろう。その心を、人格を、魂を別の身体にうつす。禁忌にして禁断の悍おぞましきモノである。
 御坂は自分自身の身体が壊れるたびにその『心』、『魂』を移し替えたのだ。
 
 妹達シスターズの身体に。
816 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:50:48.01 ID:3OJgtAFD0
つまり、
 だから、
 
 記憶。
 
 御・坂・美・琴・は・ミ・サ・カ・ネ・ッ・ト・ワ・ー・ク・の・中・に・あ・る・御・坂・美・琴・の・人生魂と・い・う・名・の・記・憶・を・妹達シスターズの・身・体・に・う・つ・す・こ・と・に・よ・っ・て・擬・似・的・な・蘇・り・を・し・た・の・だ・。
 
 かつて学園都市で行われていた実験『プロデュース』の研究によれば、超能力者の持つ能力とは『霊魂が宿った肉体』に宿るモノであり、その『肉体が小さくなればなるほど能力の出力が落ちる』という結果が出ている。
 つまり、霊魂がある肉体に能力が宿るというのだが。
 例えばの話。
 肉の器うつわだけを作った後に、そこに別の人間の記憶やら知識やら反射やらを学習装置テスタメント等で入れたのならば、
 その器の魂は誰のモノになるのだろうか?
 肉体を持つ元の人物かそれともうつされた別の人物か、いったいどちらのものなのか。
 
 つまり、
 もう一度言うと、
 
 御坂美琴の記憶やら知識やら反射やらをミサカネットワークを使って、生産された妹達シスターズの身体に入力したのならばその魂は誰のものなのかという問いだ。
 
 そして、その問いの答えはもう示されていた。
 
 答えは単純で、
 
 
 
 そ・の・魂・は・御・坂・美・琴・の・も・の・と・な・っ・た・。
 
 
 
 故に、『御坂』は妹達シスターズの身体で超能力者レベルファイブ級の能力を使うことが出来たのだ。能力とは『霊魂が宿った肉体』に宿るモノだから魂が『御坂美琴』のものである妹達シスターズの身体は超能力者レベルファイブの電撃使いエレクトロマスターの力を使えた。
 それはある意味で妹達シスターズの一人を自らの意志で殺したという事なのだが、それさえも御坂はもはや頓着しない。それでは、本末は転倒してしまっているのに。
 いや、
 本末は最初から転倒していたのかもしれない。
 一方通行アクセラレータがこの事実に気付いたのはつい先ほど、腕で貫いた御坂美琴の死体と共に目線の先の御坂の姿を見たからだったが、実はヒントはもっと前に出ていた。
 例えば、改良版音響式能力演算妨害装置キャパシティダウンバージョンベータを使って放った必殺の超電磁砲レールガンを一方通行アクセラレータに避けられてその五体を散らし死亡したあの時も。
 生き返ったあの時は御坂美琴の粉みじんになったはずの五体は五体満足だった。
 例えば、超電磁砲弾きクロッシングレールガンを放ち一方通行アクセラレータに重傷を負わせた後も、『神』と化した一方通行アクセラレータの書き換えた『世界』に押しつぶされて消滅したあの時も。
 消滅したはずの御坂はいつの間にか一方通行アクセラレータの前にいた。
 勘のいい人ならばきづけただろう。御坂美琴の抱えたその異常に。
 でも気付けなかった。一方通行アクセラレータは気付けなかった。
 つまりその程度だったのだ。一方通行アクセラレータは。一方通行アクセラレータの異常性は。
 一方通行アクセラレータの異常性と御坂美琴の異常性愛では、御坂美琴の方が上だった。個を捨て、自我を放棄し、己を壊した御坂の精神は一方通行アクセラレータを超越した。
 まずもって、現在の『御坂美琴』は白井や上条などの知る御坂美琴ではない。    20002体目に生産された妹達シスターズに御坂美琴の記憶やらなんやらを付け加えた存在である。
 もはや『御坂美琴』という全を[ピーーー]ためにはミサカネットワークの中の『御坂美琴』の記憶を消去するしかない。
 それを理解したからこそ一方通行アクセラレータは逃げたのだ。
 その狂気にあてられた。
 
「うふふ」
 
 狂ったように嗤う。
 
「あはは」
 
 狂ったように哂う。
 
「ははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!」
 
 そして御坂美琴は一方通行アクセラレータに電流を放った。
 



この話を読んでも御坂の状態がわからない人がいたらごめんなさい。作者の文章力不足です。一応この後にもっと詳しい説明が待っているので、そこまで待っていてくれると幸いです。

気付いているかは分かりませんが、御坂がこの状態になるに至って現段階ではかなりの矛盾が生じていますから、その矛盾の解消も含めてそこで全部説明します。

次の更新は4日後です。















そういえば新約16巻、試し読みを読むにいつになくヤバそうな事態が起きているようですね。
ここからどうやって常盤台を絡めてくるのか、期待大です!
817 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:52:24.16 ID:3OJgtAFD0
https://syosetu.org/novel/56774/97.html一般的な感性からするとかなり惨い描写があります。注意してください。


御坂美琴と一方通行I 報い

 バギリッ!と電流が空を裂き一方通行アクセラレータの体に当たった。
「――――っ――――――――ォ―――」
 ビビクンッ!と一方通行アクセラレータの身体が震える。だが、それは痛みによってでは無い。電流が当たった衝撃で体が地面に叩きつけられたからだった。
 もはや、一方通行アクセラレータは痛みを感じることはない。現在でさえ痛みで埋め尽くされているのに、これ以上の痛みを与えられたところでいったい何を感じろというのか。もはや思考のほとんど全てが激痛で埋め尽くされた一方通行アクセラレータに、痛みの飽和状態が起きた一方通行アクセラレータに、これ以上の痛みを与えることは無意味である。
「[ピーーー]しね死ネシネしねシネしネシね[ピーーー]シネ[ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー]」
 だというのに御坂は一方通行アクセラレータに電流を打ち続ける。一方通行アクセラレータがその行為に何も感じていないことは御坂だって分かっているはずだ。ならば、その行為の意味は果たして何なのか。
 無意味であるとは思えない。
 意味がないはずがない。
「[ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー]」
 だから、なのだろうか。
 悪寒が奔る。一方通行アクセラレータの脳が嫌な予感を察知する。
 ヤバい。
 ヤバい。
 ヤバい。
 何か、何かとてつもないことが、起きるような、そんな、感じが……っ!!!
 
「苦・し・ん・で・死・ね・」
 
 その瞬間だった。
 
「―――――――――――――――ヵ」
 
 一方通行アクセラレータの人生の中でも最大の苦痛が体中を駆け巡った。
 
「ガアアアアアァァァァアァアアァァアアァアアアアアアアアアアアアァァアァアァアアァアアァアアアアアアアアアアアアアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!?????」
 
 あえて言葉で表現するのならば、その苦痛は体中に存在する痛点という痛点に一秒に100回のペースで太さ十センチ以上の針を1000か所以上同時に刺されているような感覚に近い。
 チクリチクリと刺される針も太さが十センチもあり、秒間100回のペースで、1000か所以上同時に刺されれば、信じられないほどの激痛になる。
 比較対象として挙げるのならば、スプーンで目玉を直接抉られるほどの痛みと表現される、生きているうちに味わえる最悪最低の痛みである『自殺頭痛』こと『群発頭痛』と同レベルの痛みが一方通行アクセラレータを襲っていた。
 
「あはっ、まだ悲鳴をあげられるじゃない」
 
「ひや――――――まっ、」
 
 一方通行アクセラレータは御坂美琴が何をしたのか気付いた。
 気付いてしまった。
 そう、そういうことだ。
 御坂は電撃使いエレクトロマスターの超能力者レベルファイブ。その能力は直接的な電気はもちろんのこと、磁力、ローレンツ力、電子、電磁波、砂鉄等を操ることもできる。さらに、クラッキングやハッキングも可能である。
 そして、
 
 人間の体内を流れる電気信号を操ることも、当然可能である。
 
つまり、もはや痛みの感覚がマヒした一方通行アクセラレータの身体に流れる電気信号を直接操作して、痛みの感覚をとりもどさせ、さらに鋭敏化することが可能なのだ。
 一方通行アクセラレータはそれに気づいた。
 
だから、
 
818 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:52:58.88 ID:3OJgtAFD0
「左腕ぇ」
 
 
 ざくり、と砂鉄の剣が突き刺さる。

 
「嗚呼唖唖唖唖ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
 
「右足左足ぃ」
 
「い、が、ぁ、た―――――――たゅ、に、やひゃ」
 
「右目も、もういらないわよねぇ……?」
 
「ひ、――――――ひひ、あひゅへ、あ、ォ、さゆ、っむひゃけ」
 
「じゃあ、次は生爪でも剥いでいこうかしら」
 
「ぁ、あ、………ぁ……ぃ……やぁ、……っあ、きァ」
 
「肺も左右に一つずつあるし、一つぐらいなくなっても生きられるわよね」
 
「……………ぁ、……いあ………ぃ…………ァ」
 
「そろそろ、皮膚でも剥むいてみる?大丈夫、膾のように斬ってあげるから」
 
「…………」
 
「お次は舌ね。知ってる?口の中っていろんな神経が通っているらしいわよ」
 
「……………………」
 
「後は内臓とか、ぐっちゃぐちゃにかき混ぜれば少しは妹達シスターズが味わった痛みも理解できるんじゃないの?」
 
「…………………………………………………」
 
「ん?」
 
「………………………………………………………………………………………」
 
「―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――ア?」
 
「……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」
 
 まだ、ほとんど何もしていないのに勝手にくたばりそうになっている一方通行アクセラレータを見て、御坂は一瞬でぶち切れた。
 グチャグチャになっている一方通行アクセラレータの首を掴み、そのまま絞めながら体をつり上げ鬼の形相で怒鳴る。
 
「何勝手に死のうとしてんのよッッッ!!!……アンタにはまだ、まだまだ、まだまだまだまだまあぁぁぁぁぁあだだだぁああああぁぁぁぁああ、報いを受けさせないといけないんだからああああああああああああ!!!!!!!!」
 
 電流を突っ込みさらに一方通行アクセラレータの痛覚を鋭敏化しながら、御坂は再び一方通行アクセラレータに対する攻撃拷問を始めた。
 
 
 
 
 
 イカレタ狂人御坂美琴の裁きは終わらない。
819 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:53:48.66 ID:3OJgtAFD0
ザシュ、  ザシュ、   ジャリ、ガリ、             ジャリ、ザシュ、  シュッ、シャァ、   パシュッ、 シュア、ザシュ、ジャリ、
シュッ、
    パシュッ、ジャリ、ザシュ、ザシュ、スポン、ジャリ、シュッ、ザシュ、ストン、ポロン、   ザシュ、シュッ、スポン、 
シュア、パシュッ、   ストン、ザリ、ジャリ、ジャリ、ザ      シュ 、シュッ、    ザシュ、シュア、     シャァ、ザシュ、パラン、パシュッ、   シュッ、シャァ、 ザシュ、ザリ、ジャリ、パシュ、  ザシュ、ザシュ、ザシュ、  ザシュ、ザシュ、ザシュ、       ザシュ、ザシュ、ザシュ、  ザシュ、ザシュ、ザシュ、    ザシュ、ザシュ、ザシュ、         ザシュ、ザシュ、  ザシュ、ザシュ、       ザシュ、 ザシュ、   ザシュ、ザシュ、ザシュ、ザシュ、   ザシュ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 内臓が外に飛び出ている。腕が裏返ってしまっている。目玉があるべき場所に存在せず、刳り貫かれた眼球の中に黒い砂鉄が丸い状態で入っていた。足と手の全ての爪は剥ぎ取られ、まるで礫のように体に突き刺さっている。皮膚という皮膚はもはや存在せず赫黒い血肉が浮き出ていた。体毛はすべて抜かれ、砕けた足からは骨が飛び出ていて、その骨すらも無理やり曲げられていた。左手首は断ち切られ、そこからとめどなく血が流れ落ち地面を赤い地面をさらに赫く汚す。口の中には自らの眼球やら爪やら肉やら髪やらが詰め込まれ、このままではいずれ呼吸困難に陥ってしまうだろう。
 
 この惨状をなしたはずの御坂ですら思わず目を逸らしたくなるような、そんな光景。
 
「……はぁっ、ハッ、はぁ、はぁ…………ははは、――――――ざまぁ、みなさいよ」
 
 御坂は凄惨な光景に凄惨な笑みを浮かべた。復讐はなった。仇かたきはとれた。仇あだを撃てた。非常に非情に満足できた。
 苦しみの悲鳴が、狂気の合唱が、悲惨に飛散するその肉片が、御坂に満足感を与えた。
 目の前に転がるのは一方通行アクセラレータの死体。
 滅殺され捌かれ切り分けられたその身体が御坂のなした狂気の所業を如実に示していた。
 勝った。狩った。克った。刈った。駆った。カッタ。かった。
 かったから、さらに解すコロス。
 わずかに残った理性の中にある記憶から御坂は一方通行アクセラレータを殺した後のことを引っ張り出す。あのステルスヘリの中で与えられた刹威の指示を実行するために、御坂は砂鉄の剣を右手に生み出した。
 
「…………………………は」
 
 一瞥して、その御坂の意思を体現したような色合いの剣を一方通行アクセラレータに向かって
 
 降りおろ
 
 
 
 
 
 
 ふと、気が付いた。
 
 
「…………どぅ…………し………て……………?」
 
 いや、
 違う。
 
 私・は・こ・ん・な・こ・と・が・し・た・か・っ・た・わ・け・で・は・無・い・……?
 
 そもそも、
 なのに、
 なぜ?
 な、ぜ?
「……………………………………………………………」
 そもそも論として妹達シスターズを一刻も早く助けるのならば、一方通行アクセラレータを必要以上に攻撃する必要はなかったはずだ。眼球を抉ったり、左手首を切ったり、体毛を抜いたり、爪や皮膚を剥いだりする必要は無かったはずだ。
 なのに、御坂はそれを行った。
 なぜか?
 怒りに我を忘れていたから?
 そうではないだろう。確かに、御坂は怒っていた。だから一見その意見は正しく思える。しかし、御坂は優先順位を再設定したはずだ。自らの復讐心よりも妹達シスターズの安全を優先する心意気だったはずだ。
 ならば、怒りに我を忘れたわけでは無いだろう。
 狂気に身を浸し過ぎたから?
 それもまた違う。繰り返すが御坂は優先順位を再設定した。自らの復讐心よりも妹達シスターズの安全を優先する心意気だった。
だから、例えどれほど狂っていても一方通行アクセラレータを拷問するのはあり得ないはずなのだ。
820 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:54:22.15 ID:3OJgtAFD0
 御・坂・美・琴・は・絶・対・に・そ・ん・な・こ・と・を・し・よ・う・と・は・思・っ・て・い・な・い・。
 
 つまり、御坂にその行為を行わせたのは、『御坂美琴』という全ではなく……。
 
 
「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………ぁ」
 
 
 
 
 
 
       目の前の 
                                死体から
                         呻き声
  が
          聴
                      こ
                                     え
             た
 
 
 
「――――――――――――――――ッッッッッ!!!!!」
 
 直感的に5メートルほどの距離をとった。
 まったくもって意味が解らなかった。
 これだけ壊して、解ばらして、崩して、殺したのに。
 それでもまだ生きているんなんて、
 しぶといとか生き汚いとかそんなレベルじゃない。
 不死か?こいつは?
 そう思わずにはいられないほどに異常だった。
 どれだけの怪我を負っていると思っているのだ。もはや能力だって満足に使えないはずだ。
なのに、なのに、だというのに、
 まだ生きているなんて。
 まだ、生きることが出来るなんて。
 いや、もちろん生き残れはしないだろう。一方通行アクセラレータの怪我の具合から言ってどう考えても絶対に死ぬ。それは確定的に絶対的だ。だけど、それを言ったらもう死んでいないとおかしい。今現在の時間軸の段階で生命活動を停止していないとおかしい。
 にもかかわらず生きている。その事実自体が絶対にありえない『もしも』を考えさせて、御坂の警戒心を誘った。
(……落ち着け)
 死んでいないだけだ。
 死んでいないだけ。
 生きているだけだ。
 生きているだけ。
 何も心配する必要はない。何も警戒する必要はない。もう一方通行アクセラレータは立ち上がれない。動けない。攻撃できない。復活できない。『もしも』は無い。そんな可能性はない。絶無皆無零空虚無。不安を覚える必要はない。
 だから落ち着け。
 もう一度ちかづいて、今度こそ確実に殺せ。
 殺せ。殺害しろ。抹殺しろ。
「ふ―――――――ぅ――――――」
 一歩一歩警戒を怠らずに御坂は歩を進めた。身に宿したはずの狂気はいつの間にか薄れ、瞳は正気の色を灯していた。
 故に、御坂は確かな理性に操られながら一方通行アクセラレータのそばに行き、今度こそという思いを掲げる。
 手に漆黒の剣を持ち、心を純白の悪に染め、5メートルの距離をゼロにまで詰める。
 
「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」
「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」
 
 視線が、交わり、
 
 
 
 一方通行アクセラレータがわずかに笑っ自嘲した。
 
821 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:54:53.11 ID:3OJgtAFD0
https://syosetu.org/novel/56774/98.html
これにて御坂美琴VS一方通行終結。


御坂美琴と一方通行J 後悔

 この場面で、この絶望的な場面で一方通行アクセラレータが笑ったのは何かがおかしかったからでは無い。その笑いは自嘲であり、嘲笑であり、憐憫であり、悔恨であり、そして何よりも憐みだった。
 だって、そうだろう。
 一方通行アクセラレータはもう今すぐにでも死んでもおかしくないほどの状況で、いや今すぐにでも死んでもおかしくないほどの状況だからこそ、自分自身のことではなく目の前に立つ御坂美琴のことを考えた。
 『人』を捨てた少女。
 妹達シスターズのために『人外』になり果てた女。
 それを見て、おもって、かんがえて、
 ただ、可哀想に思った。
「…………………………………………………………」
 だって分かる。
 わかる。
 分かってしまった。
 御坂美琴こいつはもう同じだと。
 もう、自分と同じだと分かってしまった。
 誰も傷つけたくなくて、誰にも傷ついてほしくなくて力を求めた一方通行アクセラレータと、
 妹達シスターズを傷つけないために、妹達シスターズを救うために最奥の闇へと足を踏み入れた御坂美琴。
 同じだ。
 何も変わらない。
 二人は同じなのだ。
「…………………………………」
 御坂はきっと[ピーーー]だろう。
 例えそれが悪党だろうが善人だろうが罪人だろうが聖人だろうが男だろうが女だろうが幼子だろうが老人だろうが大人だろうが黒人だろうが白人だろうが混血だろうが大統領だろうが首相だろうが議員だろうが秘書だろうが統領だろうが首領だろうが頂点だろうが底辺だろうが中間だろうが理事長だろうが校長だろうが寮監だろうが甥だろうが姪だろうが幼馴染だろうが犯罪者だろうが青少年だろうが少女だろうが未成年だろうが成人だろうが宗教家だろうが狂信者だろうが同性愛者だろうが差別者だろうが馬鹿だろうが賢者だろうが美だろうが醜だろうが障害者だろうが健常者だろうが重篤患者だろうが黒髪だろうが白髪だろうが金髪だろうが銀髪だろうが色黒だろうが極道だろうが外国人だろうが劣化模造品だろうが妹達シスターズの邪魔となるのであればたやすく[ピーーー]だろう。
 道端の雑草を抜くように、矮小わいしょうな蟻を踏み潰すように、たやすく。
 哀れに思った。憐れにおもった。
 そうなってしまった、
 いや、
 そ・う・な・ら・な・け・れ・ば・な・ら・な・か・っ・た・こ・と・を・た・だ・悲・し・く・思・っ・た・。
 例え、それが一方通行アクセラレータが原因だったとしても、
 例え、それが絶対能力進化実験レベルシックスシフトが原因だったとしても、
 選んだのは、選択したのは、御坂美琴自身だから。
 本当に、なんて無様。
 本当に、なんて孤独。
 ここから先、御坂が歩む道のりがかつて一方通行アクセラレータが歩んだ道よりも地獄なのだという事は直感で分かる。
 険しい険しい針山をただ独りで登り切らなければならない憐れな少女。くだらない劣化量産品クローンのためにすべてを捨て去って、人間であることさえ放棄して、いったいその先になにがあるというのか。
 知らぬふりをしていればただそれだけで日常に戻れたのに。全くどうしてこうも健気なのか。
 瞳を昏く輝かせ魔界の闇でも宿すかのように漆黒で身を包んだ御坂を一方通行アクセラレータはもう一度見た。
 あぁ、本当にけなげで哀れで愛おしくて笑えて泣けてくる。
 嫌がらせの一つでもしたくなるほどだ。
 だからこれはただの負け惜しみだ。
 これはただの餞別せんべつだ。
 こ・れ・か・ら・先・、・地・獄・を・行・く・こ・と・に・な・る・御・坂・美・琴・へ・の・呪・い・な・の・だ・。
「……ぁ、ぐっ――――――っ……………………げ、……ぇっ」
 潰れた喉で壊れた声を無理やり出した。
 伝えたかったのは一つの単語。
 ただ一つ、この場面で言うには当たり前の、一方通行アクセラレータが言うには異常すぎるその言葉。
 もしかしたら、かすれすぎたその声じゃ御坂には届かないのかもしれない。けれど、それで構わないと一方通行アクセラレータは思った。正確じゃなくても、すべてではなくても、わずかでも伝わりさえすればそれでかまわない。
 ここですべてが終わってしまってもせめて一矢報いてやる。せめて一言楔くさびを打ち込んでやる。
 だからこれは呪いだ。
 御坂美琴の心に刻まれる呪いの言葉。
 呪いの言葉。
 
「ッッッッッ!!!」
 
 ああ、伝わったのだろうか。
 その言葉が。
 その言葉の意味が。
 込められた、その思いが。
 
 
 
 
 
 
 
 『たすけて』、と。
822 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:55:48.37 ID:3OJgtAFD0
「なんで……っ……………」
 わずかな逡巡が御坂の瞳に浮かぶ。さっきまでの、一方通行アクセラレータを拷問していたときの御坂ならば今更『たすけて』の言葉をはかれたところで一顧だにせず一方通行アクセラレータを殺しただろう。
 だけど、今の御坂にはそれが出来なかった。躊躇いなく一方通行アクセラレータを[ピーーー]ことが出来なかった。
 漆黒の正気に戻り、純白の狂気がわずかでも薄れたから。
 伝わったその言葉が御坂に一方通行アクセラレータの殺害を一瞬だけ躊躇わせた。
「なんでッッッ…………っ!!!!!」
 その声にこめられた思いは、怨嗟か後悔か、憎しみか躊躇いか、悲しみか嘲笑か。
 その顔が描く表情は、憐れみか苦しみか、苦渋か楽観か、安心か恐怖か。
「いま、さ……………ら――――――」
 当然、たかだか言葉一つで一方通行アクセラレータの死という結果は変わらない。もはや勝敗は決まっている。今更勝ち負けが覆ることはない。
 だが、
 しかし、
 けれども、だ。
 
 響くモノはあった。
 あって、しまった。
 
「なんで………っっっ……。………今―――――――更――――――――」
 
 目が。
 瞳が。
 眼が。
 視線が。
 眼まなこが。
 見て。
 視て。
 観て。
「が、ぎ、……あぐ、げっ、ぇえぇえええええええ――――――――――――ぁあ……がっ、ぐぅううううううああああぁぁあああああうううううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」
 言葉が出ない。
 言葉が出ない。
 言葉が出ない。
 間違えた?
 そうじゃ……なかった?
 やるべきじゃなかった?
 間違えていたのは……ワタシ?
 ワタシガマチガエタノ?
 ワカria
「違う……………………」
 
 違う。
 
「――――――違うッッッッッ!!!!!!!!!!!」
 [ピーーー]。
 [ピーーー]。
 [ピーーー]。
 [ピーーー]。[ピーーー]。[ピーーー]。[ピーーー]。[ピーーー]。[ピーーー]。[ピーーー]。[ピーーー]。[ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー]コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス。
 
 
 
 こ
 
              ろ
 
 
                                     す
 
 
 御坂はまるで敗者のように顔を歪めながら、地に倒れ伏す一方通行アクセラレータの首筋に向かって手を伸ばした。血に濡れた掌のぬるい感触を感じることすらできず一方通行アクセラレータはただそのさまを客観的に感じる。
(馬鹿な女だ)
 もはや何も見えず、聞こえず、語れず、動けない。
 終わりに向かう身体世界を空虚におもいながら、一方通行アクセラレータはただただ憐れんだ。
 日常を捨てたことをではない。
 闇に堕ちる決断をしたことでは無い。
 妹達シスターズを助ける決断をしたことでは無い。
 一方通行アクセラレータは独りで戦った御坂のことを心底馬鹿にした。
(オマエは、『光』の住人なのに……)
 助けてくれる人も、相談できる人もいたはずだ。
 友人も親友も学友も教師も後輩も先輩もライバルも恋人も好きな人も知り合いだっていたはずだ。
 なのに、独りで戦って。
 手を伸ばさずに助けの声を拒絶して。
 愚かしい愚図だ。
 どうしようもない馬鹿だ。
 御坂の精神性は『光』の領域にいながら『闇』の住人と変わらない。己を、己だけを信じ、信頼し、信用し、
823 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:56:16.51 ID:3OJgtAFD0
全部独りで抱え込んで、そして独りでどうにかできてしまう。
 それだけの力があって、それだけの知恵があったから。
 守りたいモノだけが増えていき護ってくれる人は誰もいない。
 助けたい人だけが増えていき助けてくれる人は誰もいない。
 それでこのざまだ。二兎を追う者は一兎をも得ず。結局御坂は掌の中にある助けたい人さえも取りこぼす結果になった。
(……………………いや、)
 それを言ってしまえば一方通行アクセラレータだって同じだ。
 御坂についての考えはすべて一方通行アクセラレータにも跳ね返ってくる。裏返す必要も表に出す必要もなく、そのままに返ってくる。
 一方通行アクセラレータだって、誰かに頼ることは出来たはずだ。警備員アンチスキルでも風紀委員ジャッジメントでも助けを求めることは出来たはずだ。
 もちろん『闇』に隠蔽されるだろう。助けを求めたところで黙殺されなかったことにされるのはわかりきっている。
 だけど、でも、例え無意味なことであったとしても助けを求めること自体はできたはずなのだ。助けて、苦しい、嫌だ、止めて、そう意思表示をすることは出来たはずなのだ。でもやらなかった、できなかった。それはつまり一方通行アクセラレータだって、御坂と同じということだ。
 独りで藻掻もがき、足掻き、抵抗し、反発して、全部抱え込んで手を伸ばさずに、戦った。
 一方通行アクセラレータも御坂と同じだ。愚者であり、愚図であり、馬鹿である。
「絶対に」
 御坂の手に力がこめられる。首筋に触れた掌と指が一方通行アクセラレータの首を圧迫する。
「助ける[ピーーー]」
 自分に言い聞かせるように、一方通行アクセラレータに言い聞かせるように、御坂は言う。
 能力を使えばすぐにでも殺せるのに、あえてその手を使って一方通行アクセラレータを絞殺しようとするのはいったいなぜなのだろうか。
 それはきっと決意の証で、
 それはきっと躊躇いの証明。
 力が籠められる。
 力が、籠められる。
(はは、……………………………………………せいぜい後悔しろよ。御坂美琴ォ。結局オマエも、俺と同じだ)
 すべてが同じだからこそ、辿る結末も同じ。何も変わらないからこそ、辿り着く終着点も変わらない。
(いずれ、必ず、オマエも)
 楔は打ち込み呪いとなった。ここから先、御坂の心には常に一方通行アクセラレータの言葉が宿るはずだ。例え、ミサカネットワークの中からその単語を消しても、絶対に御坂はその言葉を思い出す。能力者の使う能力が霊魂に依存するモノならば、霊魂に刻まれたその言葉はすべてを滅ぼす楔となりうる。
 だから、必ず、御坂美琴も……。
(俺のようになるンだからなァ)
 沈み逝く意識の中でどうしようもなく無様な笑い声がきこえる。『ははは』『ははははははははははは』『ははははははは』とその声は哂っている。
 邪知暴虐じゃちぼうぎゃくの限りをつくし、老若男女を問わず人間皆々みなみな皆殺し。罪に対する罰を受けず、最強という称号に驕っていた『ソイツ』はいったいぜんたい誰なのか?
 ――――――決まっている。その哂い声は一方通行アクセラレータ自身のものだ。過去の記憶が現在今の自分を哂っている。
 闇の中の自分が、血の中の自分を哂っている。
(……………………………………………………………)
 昔は、違った。
 昔はもっと違った。
 もっと純粋で、もっと純白で、もっと純朴で……。誰かを殺そうなんて、誰かを傷つけようなんて、そんな考えはかけらも浮かばなかった。
 だというのに、一体いつの間に暴力をふるう事への躊躇が無くなったのか。
 分からない。そして、こんな死の間際になってもわからないのならば、きっとそれは一生わからなかったということだ。だってそうだろう?死の間際でなければきっとこんな考えすら浮かばなかったのだから。
 無ゼロに落ちる。地獄へ堕ちる。
 だけど、その地獄はいったい今までいた地獄とどれくらい違うのだろうか。学園都市の『闇』といったいどう違うのだろうか。
 分からない。
 分からないけど、きっと変わらない。ここもあそこも、どこもかしこも地獄で、地獄だ。煉獄の劫火に焼かれながら生きるこの世界も死した後に逝く世界も地獄であることに変わりはないのだから。
 だけど、今からでも地獄の中を走り回ってもっと誰かを信じる努力をすれば、何かが変わるのだろうか。
 友が出来るのだろうか。
(ははは、………………ねぇな)
 だって一方通行アクセラレータはもう殺し過ぎた。自分自身のエゴのために、自分自身の幸福のために、自分自身のためだけに、
(……いや、………違うか)
 どうせ最期だ。この期に及んで嘘をつくのは止めよう。
 殺したのに、傷つけたのに、理由なんてほとんどなかった。むかついたから、イラついたから、ただ何となく、目障りだから、気に障ったから、視界に入ったから、攻撃してきたから、理由なんてそんなものだ。
 誰かのためとか、自分のためとか、そんな高尚な理由は無かった。
 無かったのだ。
 今更になって罪を自覚した。今更になって自分の犯した殺人の意味が分かった。今ならわかる。流してきた血の意味が、犯してきたその罪が。
(………………………………………………………………………………………………………………………………)
 最期になって思い出す。
 まだ、幼かったあの時のことを。超能力も持たず、×××××などと呼ばれ、公園でサッカーをしたあの時のこと。
 戻れるわけが無かった。帰れるわけが無かった。今更、その場所に行けるわけが無かった。
 もう、一方通行アクセラレータは殺しずぎた。すべてが遅くて、遅かった。
 
 
 
(………………………………………………………………………………………………………………………………ぃ)
 
 
 
 もう、すべての感覚が消えた。
 何も、感じられない。外界のことも内界のことも、外のことも自分の中にあるものさえ感じない。
 これが、死。
 一方通行アクセラレータが今まで殺してきた人間が等しく感じた『死』。
 冷たく、暗く、深く、重く、尊く、温かく、軽い。
824 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:56:51.96 ID:3OJgtAFD0
 
 
 
 
 
 
 
 
 死。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(……………………………………………………………………………………………………………………………………………………――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――痛い)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 そして、決着がついた。
 長い長い戦いがやっと終わった。
 
 絶対能力進化実験レべルシックスシフトは一方通行アクセラレータの死によって頓挫し、妹達シスターズは救われるだろう。
 御坂は『闇』に堕ちるが、それでも一万の命が救われる。
 
 
 
 
 だから、
 だから、
 
 
 
 
 
 
 この戦いは御坂美琴の勝ちだった。
 



物悲しい雰囲気を感じてくれたらとてもうれしいです。



操車場の戦い 御坂美琴VS一方通行
勝者……御坂美琴

内訳

一戦目 御坂美琴VS一方通行
勝者……一方通行

二戦目 御坂美琴(body is ミサカ10032号)VS一方通行
勝者……一方通行

三戦目 御坂美琴(body is ミサカ10033号)VS一方通行
勝者……一方通行

四戦目 御坂美琴(body is ミサカ20002号)VS一方通行
勝者……御坂美琴




次話から第一章最終節に入ります。うまくいけば、二週間くらいで終わると思います。今までの出来事を黒幕側から見た話になるので、いわゆる解説回ですね。
825 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:57:56.86 ID:3OJgtAFD0
https://syosetu.org/novel/56774/99.html
さぁて、ここからいきなり話が難しくなってくるぞお。


第一部 第一章 最終節 絶対能力進化実験中止計画〜語り始める黒幕と回収される伏線〜
白白白と木葉桜十五夜@ 黒幕の思惑

 三者三様。
 絶対能力進化実験レべルシックスシフトを利用して自らの思惑を達成しようとしていた三人の黒幕は、それぞれがそれぞれ計画通りに進まない現実に対して思うところがあった。
 まず統括理事長アレイスター=クロウリー。アレイスターは単純に苛立ちを覚えていた。
 結果論としてだが、絶対能力進化実験レべルシックスシフトはアレイスター=クロウリーの計画通り失敗に終わった。この先、生存した妹達シスターズは苦罠によって世界各地に送られ、世界中にAIM拡散力場が満ちることになるだろう。
 だがしかし、肝心要の第一候補メインプラン、一方通行アクセラレータが死亡した。それはもう完膚なきまで死亡した。いくら冥土帰しヘヴンキャンセラーの『負の遺産』があってもどうしようもないレベルまで死亡した。
 つまり、アレイスターのプランが予定通り進行しないことを意味する。並列するプランを複数個同列ラインで進めているとはいえ、一方通行アクセラレータの死亡はすべてのラインにおいて致命的である。
 一方通行アクセラレータはプランの中核に存在する重要人物。替えのきくことが難しい唯一の存在であるからだ。
 次に、統括理事会メンバーが一人死縁鬼苦罠。苦罠は予想外の動きを見せたミサカ19090号に対してわずかに後悔を覚えた。
 もっと、きつく締め付け監視を強めておけばよかったと後悔した。
 上回れた、先にやられた、計画を、予定を駄目にされた。あまりにも予想外で予想が過ぎた。苦罠はまさか御坂がこのタイミングで『雷神化』するなど考えもしなかったのだ。だから、予定通りには進まなかったのだ。
 苦罠の計画通りならば御坂が改良版音響式能力演算妨害装置キャパシティダウンバージョンベータを使って放った超電磁砲レールガンは一方通行アクセラレータを完全に貫き、それで操車場の戦いは決着を迎えるはずだった。
 はずだったのに。
 ミサカ19090号が御坂美琴にAIM拡散力場を軸に干渉して超電磁砲レールガン外させた。
 完全にノーマークだった。監視していなかった。何もできないと思っていた。ミサカネットワークに御坂美琴を取り込むなど考えもしなかった。御坂美琴を個としての存在では無く全として存在に昇華するなど思いもしなかった。
 裏をかかれた。逆を突かれた。
 そして、ミサカ19090号と幻生の接触も予想外だった。
 実験のためなら幻生がミサカ19090号に協力するのは分かっていたが、ミサカ19090号が幻生に会いに行くとは思えなかったからだ。恐怖心や畏怖をことさら強く感じるミサカ19090号が絶対能力進化実験レべルシックスシフトの提案者に会いに行くことは予想できなかった。
 さいわいにも御坂の『雷神化』はミサカネットワークに投じたウイルスが不完全だったこともありそこまで進まなかったが、このタイミングでの『雷神化』は今後にかなり不都合な事態を生じさせるはずだ。
 本来ならば『雷神化』は大覇星祭に行う予定だったのだから。
 そして、
 最期に、風紀委員本部セントラルジャッジメント委員長白白白。
 白は計画通りに進まない現実に対して、
 
 た・だ・、深・い・笑・み・を・浮・か・べ・た・。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「今戻りました。委員長」
 空間を渡り歩き十五夜が『天秤の間』に現れる。今宵の全ての出来事はすべて終わった。ここから先の時間は次の計画のための時間であり、反省と復習の時間である。
「首尾はどうだ?」
「はい。ストロビラは無事上条当麻と白井黒子両名に打ち込みました。風紀委員本部セントラルジャッジメント序列ランキング第十位千疋百目のことも回収し、封印戦力常世涯最果とこよのはてさいはての生存も確認。扼ヶ淵埋娥やくがぶちまいがについては委員長の命令通りポイントT50に向かわせ『作業』をしてもらっています。浣熊四不象あらいぐましふぞうは例の操車場での戦い等の監視結果などを後で報告書にまとめて提出するように言ってあります」
 今回風紀委員本部セントラルジャッジメントが絶対能力進化実験レべルシックスシフトに関する件で動かした人員は全部で七人。
 上条当麻の足止めに風紀委員本部セントラルジャッジメント攻撃部隊総隊長扼ヶ淵埋娥やくがぶちまいがを、
 白井黒子の足止めに風紀委員本部セントラルジャッジメント序列ランキング第十位風紀委員本部セントラルジャッジメント攻撃部隊第二班班長千疋百目を、
 木原脳幹の足止めに風紀委員本部セントラルジャッジメント封印戦力常世涯最果とこよのはてさいはてを、
 上条当麻達の監視に風紀委員本部セントラルジャッジメント諜報部隊総隊長無何有峠妃むかいとおげきさきを、
 埋娥や百目との連絡要員としては風紀委員本部セントラルジャッジメント序列ランキング第■■位風紀委員本部セントラルジャッジメント諜報部隊第一班班長五寸釘匕首ごすんくぎあいくちを、
 空中にいる敵対戦力の対応と人員の回収については風紀委員本部セントラルジャッジメント序列ランキング第■位風紀委員本部セントラルジャッジメント諜報部隊第■班■■浣熊四不象あらいぐましふぞうを、
 万が一のバックアップ及び全体の補助と敵対戦力の殲滅、上条当麻と白井黒子にストロビラを打ち込む件については風紀委員本部セントラルジャッジメント委員長補佐木葉桜十五夜このはざくらまんげつを、
 それぞれ動かした。
826 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:59:49.49 ID:3OJgtAFD0
「そろそろ頃合いか……」
 白は小さくつぶやいた。今回の一件は様々な思惑が入り混じり、すべてがうまくいったわけでは無い。だがそれでも『風紀委員本部セントラルジャッジメント委員長白白白』の計画は8割方成功していた。
「十五夜。支援部隊の白神九十九つくもがみつくもに千疋百目の風紀委員本部セントラルジャッジメント序列ランキングを第十位から第八位に上げるように通達しろ。後は最果を地下十一層に戻しておけ。次の中・で・の・戦いはおそらくケミカロイドの一件だろう。そこまでは通常業務に専念するように、全員に伝えておけ」
「了解しました。委員長」
 白が今回の件で目的としていたものは二つ。敵対勢力のあぶり出しと物語の中心点セントラルストーリーラインをずらすことだ。
 敵対勢力のあぶり出しについては語る必要すらないほど明確だろう。
 死縁鬼苦罠に雇われているらしいという彼者誰時に輝く月シャイニングムーンの情報についての裏付けはできたし、その彼者誰時に輝く月シャイニングムーンに所属している人員、団長の裂ヶ淵瞑娥さくがぶちめいがや大隊長の戦力についての調査が出来た。
 同じく敵対勢力のアレイスターに使える木原脳幹の対魔術式駆動鎧アンチアートアタッチメントことも二人のおかげで情報は得られたし、アレイスター自身の戦闘力についても十五夜が目撃したため分かった。
 既定路線では無かったとはいえ、第一の目的はほとんど達成されたようなものだ。
 何せ風紀委員本部セントラルジャッジメントの戦力はまだほとんどさらしていないのだから。頂点序列者トップランカー5人も、上位序列者ハイランカー15人も、下位序列者ローランカー80人も、まだほとんど表に情報は出ていない。
 封印戦力をこのタイミングで出すのだけは想定外だったが、それもまぁ最悪の出来事では無い。封印戦力はまだ後三人いるのだから。
「ふむ。……もう下がっていいぞ」
 要件は伝えた。後は思案の時間だ。次の計画を確実に成功させるためには打てる布石は打ち、張れる伏線は貼り、練れる計画はねるべきである。故に、白はいつものように『天秤の間』で独り考え事をするつもりだった。
 しかし、
「どうした?」
 十五夜が踵きびすを返して出ていこうとしなかった。いつもならば、用件が終わればすぐに『天秤の間』から出ていくのに。
 そして、十五夜は驚くべきことを白に言った。
「…………差し出がましいですが、委員長。今回の件についていくつか質問をさせてもらってもよろしいでしょうか」
「珍しいな。君が僕に質問をするなんて」
 少々驚いたように白は言った。それほどまでに十五夜が白に質問をすることは珍しかった。常に命令に忠実で白の行動に疑問を持つことはない。もちろん、白が明らかにおかしかったり間違った行動をすれば多少の諫言かんげんはするが、十五夜は基本的に白の行動に質問をすることはない。
 だから、白は驚いた。
「別にかまわないぞ。何が聞きたい?」
 驚いたが十五夜がききたいことがあるというのなら別にかまわない。白は十五夜を一番信頼している。質問に答えないことはよほどのことでも聞かれない限り、ない。
「では、」
 十五夜は息を大きく吸い、心を落ち着けてから言った。
「今・回・の・件・、い・っ・た・い・ど・こ・ま・で・が・委・員・長・の・計・画・通・り・だ・っ・た・の・で・す・が・?」
「………………………………………」
 深く、白が笑う。
 十五夜の言葉に笑う。
「どこまで、というのは?」
「…………今回の一件、不可解なことが多すぎます」
 『天秤の間』に来るまでの道中十五夜は今回の一件についてずっと考えていたが、どう考えてもつじつまの合わないことが多すぎた。
 例えば、
「地下で起きた爆発はいったい誰の手によるものだったのですか?」
 そう。あの時白から電話がかかってくる直前に十五夜の耳に聞こえた爆発音。結局あの爆発が誰の手によるものなのか十五夜はわかっていなかった。
「御坂美琴の『雷神化』はともかくとして一方通行アクセラレータが『神の力』――――――位相操作能力を得たのは本当に偶然だったのですか?」
827 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 23:00:25.74 ID:3OJgtAFD0
「そろそろ頃合いか……」
 白は小さくつぶやいた。今回の一件は様々な思惑が入り混じり、すべてがうまくいったわけでは無い。だがそれでも『風紀委員本部セントラルジャッジメント委員長白白白』の計画は8割方成功していた。
「十五夜。支援部隊の白神九十九つくもがみつくもに千疋百目の風紀委員本部セントラルジャッジメント序列ランキングを第十位から第八位に上げるように通達しろ。後は最果を地下十一層に戻しておけ。次の中・で・の・戦いはおそらくケミカロイドの一件だろう。そこまでは通常業務に専念するように、全員に伝えておけ」
「了解しました。委員長」
 白が今回の件で目的としていたものは二つ。敵対勢力のあぶり出しと物語の中心点セントラルストーリーラインをずらすことだ。
 敵対勢力のあぶり出しについては語る必要すらないほど明確だろう。
 死縁鬼苦罠に雇われているらしいという彼者誰時に輝く月シャイニングムーンの情報についての裏付けはできたし、その彼者誰時に輝く月シャイニングムーンに所属している人員、団長の裂ヶ淵瞑娥さくがぶちめいがや大隊長の戦力についての調査が出来た。
 同じく敵対勢力のアレイスターに使える木原脳幹の対魔術式駆動鎧アンチアートアタッチメントことも二人のおかげで情報は得られたし、アレイスター自身の戦闘力についても十五夜が目撃したため分かった。
 既定路線では無かったとはいえ、第一の目的はほとんど達成されたようなものだ。
 何せ風紀委員本部セントラルジャッジメントの戦力はまだほとんどさらしていないのだから。頂点序列者トップランカー5人も、上位序列者ハイランカー15人も、下位序列者ローランカー80人も、まだほとんど表に情報は出ていない。
 封印戦力をこのタイミングで出すのだけは想定外だったが、それもまぁ最悪の出来事では無い。封印戦力はまだ後三人いるのだから。
「ふむ。……もう下がっていいぞ」
 要件は伝えた。後は思案の時間だ。次の計画を確実に成功させるためには打てる布石は打ち、張れる伏線は貼り、練れる計画はねるべきである。故に、白はいつものように『天秤の間』で独り考え事をするつもりだった。
 しかし、
「どうした?」
 十五夜が踵きびすを返して出ていこうとしなかった。いつもならば、用件が終わればすぐに『天秤の間』から出ていくのに。
 そして、十五夜は驚くべきことを白に言った。
「…………差し出がましいですが、委員長。今回の件についていくつか質問をさせてもらってもよろしいでしょうか」
「珍しいな。君が僕に質問をするなんて」
 少々驚いたように白は言った。それほどまでに十五夜が白に質問をすることは珍しかった。常に命令に忠実で白の行動に疑問を持つことはない。もちろん、白が明らかにおかしかったり間違った行動をすれば多少の諫言かんげんはするが、十五夜は基本的に白の行動に質問をすることはない。
 だから、白は驚いた。
「別にかまわないぞ。何が聞きたい?」
 驚いたが十五夜がききたいことがあるというのなら別にかまわない。白は十五夜を一番信頼している。質問に答えないことはよほどのことでも聞かれない限り、ない。
「では、」
 十五夜は息を大きく吸い、心を落ち着けてから言った。
「今・回・の・件・、い・っ・た・い・ど・こ・ま・で・が・委・員・長・の・計・画・通・り・だ・っ・た・の・で・す・が・?」
「………………………………………」
 深く、白が笑う。
 十五夜の言葉に笑う。
「どこまで、というのは?」
「…………今回の一件、不可解なことが多すぎます」
 『天秤の間』に来るまでの道中十五夜は今回の一件についてずっと考えていたが、どう考えてもつじつまの合わないことが多すぎた。
 例えば、
「地下で起きた爆発はいったい誰の手によるものだったのですか?」
 そう。あの時白から電話がかかってくる直前に十五夜の耳に聞こえた爆発音。結局あの爆発が誰の手によるものなのか十五夜はわかっていなかった。
「御坂美琴の『雷神化』はともかくとして一方通行アクセラレータが『神の力』――――――位相操作能力を得たのは本当に偶然だったのですか?」
828 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 23:01:00.54 ID:3OJgtAFD0
『雷神化』には明確な理由があった。木原幻生によってミサカ19090号に投じられたウイルスがミサカネットワークを通じて御坂の中に入り、それが御坂の『雷神化』を起こしたのだろう。
 だが、一方通行アクセラレータが位相操作能力を得たのは明確な理由を発見できない。もちろん奇跡だ、というのであればそれ以上の追及はできない。だからこそ今ここで十五夜は問いかけた。
 あの出来事は確かに奇跡だったのかもしれない。
 だが、
 どうにも十五夜にはあの奇跡が仕・組・ま・れ・た・奇・跡・に思えて仕方が無かった。
「一方通行アクセラレータが初まりの領域で『空白の主』に出会えたのはなぜなのですか?」
 仮に『神』の領域――――――すなわち魔術的な意味合いでは『魔神』の域に入ることが出来たとしてもそれだけでは『初まりの領域』に行くことは出来ない。あの場所はこの世界の中でも最重要部分。なりたての『神』が入れるような場所ではないはずだ。
「そして、一番不可解なのは」
 一つ、区切り置いて、十五夜は今だに信じられないかのようにその事実を口にした。
「あの、救済者ヒーロー『上条当麻』がたかだか攻撃部隊総隊長扼ヶ淵埋娥やくがぶちまいが程度の雑魚に負けたことです」
 どうにも十五夜はそれが信じられなかった。
 正確にいうのであれば、『上条当麻』が埋娥にまともな一撃を食らわせることすらできずに敗北したことが信じられなかった。
 救済者ヒーローが負ける。そのこと自体はまぁいい。救済者ヒーローだって成長するために負けることはある。古今東西の物語で敗北から学び強くなる救済者ヒーローは多々いる。
 だが、
「負けるにしても少なくとも一撃を当てることぐらいはできないとおかしいはずです。上条当麻という個はそこまで弱くはない。あの負け方では救済者ヒーローとしての成長が出来ません」
 埋娥と上条の戦闘をリアルタイムで見ていた十五夜は違和感をずっと感じていた。最初に白井と別れて単独で埋娥を引き付けた場面。あれはまだいい。救済者ヒーローとしての行動である。
 だが、その後がおかしいだろう。救済者ヒーローであるならば埋娥と会話をするべきだ。埋娥の抱える闇を表にさらけ出させるべきだ。敵対者だろうがラスボスだろうが黒幕だろうが問答無用で救う。
それが救済者ヒーローなのだから。
 負け方にしてもそうだ。地形を利用して上条はよく戦ったと思うが、埋娥に勝つことに注視しすぎて埋娥のことを見ていない。救済者ヒーローとしてはあるまじき行いだ。
 あの負けでは今後につながらない。負けた、という結果だけが残ってしまう。
「いったいどういう事なのですか委員長?今回の一件は本当は…………」
「そうだな」
 一つ頷うなずいて、白は語る。
「一つ一つ説明をしていこうか、十五夜。今回の一件がどういう経緯で起き、どのように転がっていったのかを」
 そして、白は話し始めた。
 絶対能力進化実験レべルシックスシフトの裏に隠された。各々の目的とその行動を。
829 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 23:02:33.47 ID:3OJgtAFD0
https://syosetu.org/novel/56774/100.html
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100話目


白白白と木葉桜十五夜A 死縁鬼苦罠勢力の行動

「そもそも絶対能力進化実験レべルシックスシフトの本当の目的は一方通行アクセラレータを絶対能力者レベルシックスに到達させることでは無い。これは前にも話したな」
「はい。把握しています。今回の絶対能力進化実験レべルシックスシフトの本当の目的は絶対能力進化実験レべルシックスシフトが頓挫とんざした後に妹達シスターズを世界中に治療という目的でばらまき、世界全体にAIM拡散力場を満たすことにある、という事でした」
「そう。初め、絶対能力進化実験レべルシックスシフトはそういうモノだった。アレイスターが世界中にAIM拡散力場を満たすための失敗前提の実験。それが絶対能力進化実験レべルシックスシフトのはずだった」
「…………………………」
「アレイスターのプランの通りに進むのであれば一方通行アクセラレータは御坂を追いかけて絶対能力進化実験レべルシックスシフトの真実を知った上条に倒され、上条の成長、絶対能力進化実験レべルシックスシフトの頓挫、そして一方通行アクセラレータの成長。この三つが同時になされるはずだった」
 はずだったのに、そうはならなかった。
 なぜなら。
「そこに僕ら風紀委員本部セントラルジャッジメントと苦罠が干渉したから、話が非常にややこしくなった」
 ただでさえややこしい事態にさらに二つの勢力が割り込んだ。どの勢力も己の目的を達成することに執着して自分勝手に動いて、その結果あり得ないくらい混乱した摩訶不思議な事態が起きてしまった。
「時系列を追って説明しようか。その方がきっと分かりやすい」
 張られた伏線。仕組まれた事態。動いていく計画。
 そのすべてが今、明らかになる。
「すべてのはじまりは去年の冬、一方通行アクセラレータが絶対能力進化実験レべルシックスシフトに参加したあの時から始まった。各々の野望を叶えるために、各々が暗躍し、行動した」
 回想する。
 思い出す。
「まずは、苦罠たちのことについて話そうか。絶対能力進化実験レべルシックスシフト第一次実験が始まった時点で、苦罠はいずれ御坂美琴が絶対能力進化実験レべルシックスシフトに辿り着くと予想した。そして、御坂美琴は必ずそれを止めようとすると予測した。苦罠はそのために準備を始めていた。半年も前からね」
 死縁鬼苦罠。統括理事会メンバーの中でもほとんど最強の存在。
「そして、今日の午後練りに練った計画を実行するために動いた」
 彼が、ある意味では一番乗りだった。
「まず一番最初に苦罠が行ったことは御坂美琴との接触及び交渉。苦罠の目的から言ってしまえば、御坂美琴という存在は誰よりも重要なパーツだからな。交渉、というよりも恫喝に近かったが、それでも苦罠は御坂美琴を自陣営に引きずり込んだ」
「計画プロジェクト……ですか」
 アレイスターの計画プランと同じように謎が多い計画プロジェクトという名の計画。死縁鬼苦罠と天埜郭夜によって進められている計画プロジェクトという存在。それのためには御坂美琴が必要なのだと白は言う。
「そして、その後郭夜と連絡を取り『三千世界武神』一本線点々いっぽんせんてんてんに十五夜、君の足止めを依頼。さらに並行して彼者誰時に輝く月シャイニングムーンの奴らにも君の足止めを依頼。さらに、余剰待機戦力として莫大な金銭を払って彼者誰時に輝く月シャイニングムーンの団長裂ヶ淵瞑娥さくがぶちめいがにも戦闘を要請した」
「裂ヶ淵瞑娥も出てきていたのですか!?あの『陰翳いんえいの四月実験』の被験者の!?」
 陰翳いんえいの四月実験。
 暗闇の五月計画や光陰の三月実験と同じ、月の名前を冠した十二暦計画カレンダープロジェクトの一つである。
「当然だろう?僕が苦罠の立場だったとしても同じように瞑娥を動かすぞ。あいつは魔術も超能力もかいさない純粋な暴力で言ったら、点々と互角にやり合える唯一無二の人材だからな」
「天下無双流と天地破壊流ですか」
「その通り。この世界の中では最強と呼ばれる二大流派。どっちが強いとかでは無く、どっちも最強だが、だからこそ君を足止めできたのだろう」
「……………そうですね」
 苦い顔をして十五夜は言った。十五夜からしたらわずかでも足止めされたあの経験はかなり悔しいものなのだろう。
「続けるぞ。そして、君を足止めしている間に奴らは御坂を操車場に送り届け、戦闘を開始させた。さらに並行して超能力者予備集団セブンバックアップの三位も動かしていたようだ」
「超能力者予備集団セブンバックアップの三位というとあの精神系最強の見捨てられた女グレイレディですか」
「そうだ。三位がやったことは至極単純で上条当麻と白井黒子の両名を地下下水道へと誘導するための準備、KEEPOUTのテープを操車場の入り口あたりにはったことと白井への認識操作だな」
 あの時、あの場所で上条と白井が地下に行ったのは目の前にKEEPOUTのテープがあり、その先に警備員アンチスキルがいると思い込んでいたからだ。彼らも100人の警備員アンチスキルを突破できると考えるほど幼稚では無かった。
 まぁ、万が一あのKEEPOUTのテープの先にいったとしてもどちらにしろ御坂のもとにはたどり着けなかったわけだが。
「で、その後三位はとあることをした」
「とあること…………ですか?」
「十五夜。君は『始まりの領域』に侵入する前に強大な爆発音を聞いたそうだな。その時の状況を教えてくれないか」
「分かりました」
 十五夜は爆発音が聞こえたときのことを明確に思い出す。十五夜の頭脳は瞬間記憶と映像記憶を併せ持ったように過去の『光景』を寸分の狂い無く思い出すことが出来る機能を持つ。
 だから、白に問われた時の光景も完璧に思い出せた。
「爆発音が聞こえたのは委員長から連絡が入るほんの直前、地下下水道で上条当麻と白井黒子、扼ヶ淵埋娥やくがぶちまいがと千疋百目の戦いが終わった直後でした。耳をつんざくような爆発音が周りから聞こえ、立っている地面に亀裂がはしり、沈み、そしてそのタイミングで委員長から電話が――――――」
「ストップ」
 十五夜が爆発音が聞こえた時の光景を正確に説明しているときに、白は割り込んで言葉を入れた。
「『地面に亀裂がはしり、沈んだ』。つまりそれが三位のやったことだ」
「……………いえ、ちょっと待ってください委員長。それはいくらなんでもおかしくありませんか?もちろん委員長が確信を持っているのは分かりますし、委員長が間違ったことを言うとは思いませんが、私はどうにも納得できません」
830 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 23:03:09.70 ID:3OJgtAFD0
意味深に十五夜を見つめながら白は続きを促す言葉を投げかける。
「具体的にはどこがおかしいと?」
「三位の超能力は精神系のはずです。どうやったとしても爆発現象を起こせるとは思いません。私の精神に干渉することはほぼ不可能ですし、あの時私の精神は正常でした。ならば、あの爆発音は現実に聞こえたもので間違いないはずです。委員長の言う通り三位があの爆発を行ったのならば、彼女の超能力は精神系ではないということに――――――」
「ならない。三位の超能力は精神系だ。それも学園都市内で精神系最強を誇る、な。それは間違いない」
 断言する。白はあらゆる出来事の最も重要なことは情報だと思っている。戦闘を行うにも計画を進めるにもまず情報が必要だ。だからこそ、白は風紀委員本部セントラルジャッジメントの情報網を他の追随を許さないほどのモノに鍛え上げたのだ。
 さすがにアレイスターの滞空回線アンダーラインには劣るが、それでも他組織よりは圧倒的な量の情報が風紀委員本部セントラルジャッジメントには集まっていた。
「では、三位はあの爆発をどうやって起こしたのですか?」
 少なくとも十五夜には方法が思いつかない。精神系最強の能力といえども爆発を起こす方法なんてないはずだ。
 
 そ・ん・な・わ・け・が・な・い・。
 
「……………こい、な」
 白は十五夜の耳に入らないほど小さな声で呟いた。ありったけの侮蔑となけなしの敬意をこめて、心の底から憎んだ。
「委員長?」
 返答がないことにわずかな疑問を覚える十五夜。自分の質問はそこまで答えづらい、答えられないモノなのだろうか、と思った。答えられない質問ならば答えてくれなくても構わないのだが。
「……………そもそも前提が間違っているんだ、十五夜」
「前……提、が……?」
「な・ぁ・、」
 一息おいて、わずかな怒気を滲ませながら白は言った。
「ど・う・し・て・さ・っ・き・か・ら・三・位・が・超・能・力・を・使・っ・て・爆・発・を・起・こ・し・た・こ・と・に・な・っ・て・い・る・ん・だ・!・!・!・」
「―――――――――――っっっ!!!」
 その怒気に押される。気圧される。
 本当に、本気で白は怒っていた。十五夜にというよりもあまりにも迂闊すぎた自分自身に。
「冷静になって考えてみろ!この街にある特有のモノは何も超能力だけではないだろう!超能力などこの街の特異性の一面にすぎない。この街の本当の特異性はむしろ超能力を体系化できるほどの科学力の方だろうがッ!!!」
 十五夜は衝撃を受けた。
 白に怒鳴られたことにではなく、自分自身にその考えが浮かばなかったことに。
 そう、自然に考えてしまえば爆発現象を起こすのに超能力を使用する必要はない。御坂美琴が粉塵爆発を起こしたように、通常の爆薬、爆弾を使えば十二分に爆発現象を起こすことが出来るのだ。
 その考えが浮かばなかったのは強力な原石を持っているが故に傲慢が理由だったのかもしれない。
 【もしくは、ある意味では思考を犯されていた、といったほうがいいのかもしれないな】
「いや、それでも待ってください委員長。私の見た限り爆発音はかなりモノでした。しかも地面に亀裂がはしり、地面が沈み込むほどの量の爆薬なんていったいどこに仕掛けてあったというのですか?」
「察しが悪いな、十五夜。当然下だ」
「下?」
「地面の下に爆薬を埋めておけばいいんだよ」
 簡単な口調で白は言った。
「苦罠の勢力にだって僕ら風紀委員本部セントラルジャッジメントと同じように空間移動能力者テレポーターの一人や二人はいるはずだ。だったらその空間移動能力者テレポーターが操車場付近の地面の下いっぱいに爆薬を埋め込めばいい。遠隔起爆を可能とした状態でね」
「では、三位が行った『とあること』とは爆薬の遠隔起爆ですか」
「その通り。スイッチを押すだけの作業だろうし精神系能力者でも問題なく行えるだろう。そして何より三位自身の目的を達成することも出来るかもしれないからね」
831 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 23:04:03.86 ID:3OJgtAFD0
「………………………」
 白の返答によって連鎖的に二つの納得が生じ十五夜は黙った。
「そもそも御坂美琴が一方通行アクセラレータに使った改良版音響式能力演算妨害装置キャパシティダウンバージョンベータだって、地面の下に埋めてあったはずだろう。ならば必然彼らの勢力に空間移動能力者テレポーターいるのは当然だ」
 十五夜は確認のために白に話しかける。
「重機を使ったという可能性はないのですか?」
「ないな。重機なんて目立つモノを使ったら絶対にどこかの勢力が気付く。あの操車場には地面を掘り起こせるような重機は存在していない。よそから重機を持ち込むような目立つマネを苦罠がするわけがない」
 当然と言えば当然の論理だ。重機の代わりをなすことのできる人間がいるのならば、目立つ重機よりも目立たない人間を動かす。監視網を逃れるためならそれが正しい。
「そして、起爆した爆薬の目的についてだが……。ここまで言えばさすがにわかるだろう、十五夜」
「はい。地下下水道で戦っていた上条当麻を生き埋めにすること、ですね」
「その通りだ」
 地面に埋められた無数の爆発物を超能力者予備集団セブンバックアップ第三位が遠隔起爆し操車場の周りの地面を一気に崩落させる。それこそが、あの爆発の真の目的だった。
 十五夜を目的としたものでも、御坂や一方通行アクセラレータを目的としたものでもなく、地下下水道にいる四人、いや厳密には一人を目的としたものだったのだ。
「彼らはいつの段階でそれを仕込んでいたのでしょうか。地盤を崩落させ、地下下水道を埋め尽くす勢いの爆発など並大抵の量で出来ることではありませんが……」
「半年前から準備していた、と言っただろう。当然去年の冬から今年の夏までにかけて準備していたんだろうさ」
「それは……」
 半年前からの準備。言うのは簡単だが行うのは不可能に近い。あの操車場の地下にある下水道でいずれ誰かが戦うことを半年も前から予期するのはそれこそ予知能力者でもない限りは不可能だ。
 半年前といえばまだ絶対能力進化実験レべルシックスシフトが始まったばかりで、こんなことになるなんて予想も出来ないのだから。
 だが、
「言いたいことはわかるさ。半年も前からあの地下下水道に僕らの勢力が行くことを予想するなんて不可能に近い。それこそ、この『僕』でも不可能だろうさ」
「ですが……」
「だがあいつなら、造られた子供たちプログラムチルドレンであるあいつ、天埜郭夜ならそれが出来る。それが出来るからこその造られた子供たちプログラムチルドレンだからな」
 造られた子供たちプログラムチルドレン。
 その言葉を言う白の表情はあらゆる感情がないまぜになったかのようなモノだった。言葉に色があるというのであればきっと『造られた子供たちプログラムチルドレン』という単語はすべての色がごちゃ混ぜになったように汚らしい漆黒になっているだろう。
 
 
「白・様・」
 ひどく唐突に不安げな表情を浮かべた十五夜は呼・び・方・を・変・え・て・白に言った。
「大丈夫……ですよね」
 
 
 
「十五夜」
 答えるように白も呼び方を変えて十五夜に言った。
「何も心配する必要はない。すべて僕に任せておけばいい」
 自信に満ち溢れたその言葉と態度は、確かに十五夜らのトップにふさわしいものだった。
 
 
 
「どちらにせよ、最後に嗤うのは僕たちだからな」
 



今回分かったこと。

@地下下水道の崩落の原因となった爆発を起こした人物及び勢力
A地下に爆弾を埋めた方法
B超能力者予備集団セブンバックアップの三位 など



分からないことがあったら随時おっしゃってください。必ず答えますので。

次の更新は2日後です。
832 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 23:04:50.19 ID:3OJgtAFD0
「………………………」
 白の返答によって連鎖的に二つの納得が生じ十五夜は黙った。
「そもそも御坂美琴が一方通行アクセラレータに使った改良版音響式能力演算妨害装置キャパシティダウンバージョンベータだって、地面の下に埋めてあったはずだろう。ならば必然彼らの勢力に空間移動能力者テレポーターいるのは当然だ」
 十五夜は確認のために白に話しかける。
「重機を使ったという可能性はないのですか?」
「ないな。重機なんて目立つモノを使ったら絶対にどこかの勢力が気付く。あの操車場には地面を掘り起こせるような重機は存在していない。よそから重機を持ち込むような目立つマネを苦罠がするわけがない」
 当然と言えば当然の論理だ。重機の代わりをなすことのできる人間がいるのならば、目立つ重機よりも目立たない人間を動かす。監視網を逃れるためならそれが正しい。
「そして、起爆した爆薬の目的についてだが……。ここまで言えばさすがにわかるだろう、十五夜」
「はい。地下下水道で戦っていた上条当麻を生き埋めにすること、ですね」
「その通りだ」
 地面に埋められた無数の爆発物を超能力者予備集団セブンバックアップ第三位が遠隔起爆し操車場の周りの地面を一気に崩落させる。それこそが、あの爆発の真の目的だった。
 十五夜を目的としたものでも、御坂や一方通行アクセラレータを目的としたものでもなく、地下下水道にいる四人、いや厳密には一人を目的としたものだったのだ。
「彼らはいつの段階でそれを仕込んでいたのでしょうか。地盤を崩落させ、地下下水道を埋め尽くす勢いの爆発など並大抵の量で出来ることではありませんが……」
「半年前から準備していた、と言っただろう。当然去年の冬から今年の夏までにかけて準備していたんだろうさ」
「それは……」
 半年前からの準備。言うのは簡単だが行うのは不可能に近い。あの操車場の地下にある下水道でいずれ誰かが戦うことを半年も前から予期するのはそれこそ予知能力者でもない限りは不可能だ。
 半年前といえばまだ絶対能力進化実験レべルシックスシフトが始まったばかりで、こんなことになるなんて予想も出来ないのだから。
 だが、
「言いたいことはわかるさ。半年も前からあの地下下水道に僕らの勢力が行くことを予想するなんて不可能に近い。それこそ、この『僕』でも不可能だろうさ」
「ですが……」
「だがあいつなら、造られた子供たちプログラムチルドレンであるあいつ、天埜郭夜ならそれが出来る。それが出来るからこその造られた子供たちプログラムチルドレンだからな」
 造られた子供たちプログラムチルドレン。
 その言葉を言う白の表情はあらゆる感情がないまぜになったかのようなモノだった。言葉に色があるというのであればきっと『造られた子供たちプログラムチルドレン』という単語はすべての色がごちゃ混ぜになったように汚らしい漆黒になっているだろう。
 
 
「白・様・」
 ひどく唐突に不安げな表情を浮かべた十五夜は呼・び・方・を・変・え・て・白に言った。
「大丈夫……ですよね」
 
 
 
「十五夜」
 答えるように白も呼び方を変えて十五夜に言った。
「何も心配する必要はない。すべて僕に任せておけばいい」
 自信に満ち溢れたその言葉と態度は、確かに十五夜らのトップにふさわしいものだった。
 
 
 
「どちらにせよ、最後に嗤うのは僕たちだからな」
 



今回分かったこと。

@地下下水道の崩落の原因となった爆発を起こした人物及び勢力
A地下に爆弾を埋めた方法
B超能力者予備集団セブンバックアップの三位 など



分からないことがあったら随時おっしゃってください。必ず答えますので。

次の更新は2日後です。
833 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 23:07:37.68 ID:3OJgtAFD0
この後はオリキャラが学園都市230万人を皆殺しにして禁書世界を滅ぼして『神の代行人』GE13がフィアンマを下位互換扱いして白白白が絶対不変の絶対法則アンチェンジナブルラウ――――――無限に修正され続ける罪深き世界で世界をやり直して
読者に【愛がないのならば、この物語の真実には辿り着けない。】って言ったりするからぜひ見てくれ
面白いで
834 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/23(月) 07:57:19.77 ID:gxh1m1wCo
>>709
原作でもまだ可能性はワンチャンある
上条さんのことだし二年くらい留年するだろうし
そうなれば同級生になって結ばれる確率も出てくる
835 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/23(月) 08:40:37.05 ID:hHFMmn1a0
>>834
マジ?あざーーーーーーーーす!!
836 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/23(月) 13:50:55.96 ID:LemKeyHX0
糞ニートで穀潰しのインデックソさんなんかに上条さんを取られたくはないよな
837 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/23(月) 13:53:45.61 ID:5erB1OC4o
奇跡が起きても美琴が上条さんと同級生になれるのは一年間だけだよ
上条さんならまた留年するに決まってる
そして美琴は上条さんにどや顔で先輩面出来るというわけだ
838 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/23(月) 17:20:15.21 ID:eqXiyTs7O
原作未読かな?
839 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/23(月) 21:54:28.88 ID:ZR4Jfj460
なんでもいいけど上のSS転載してるっぽいバカは何なの
840 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/23(月) 22:01:46.63 ID:vDIylJlyo
NG推奨
841 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/24(火) 01:33:34.05 ID:6s03YmLO0
御坂美琴が上条美琴になれる日が来るといいなぁ
842 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/24(火) 01:38:17.46 ID:WSuuwA7g0
みこっちゃんはヒロインレースがトップ陣と比べなくても周回遅れだからもっともっと頑張ってくれや
843 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sega]:2019/09/24(火) 15:08:05.83 ID:KEjOE0Ue0
上条さんの嫁は美琴か操祈がいい
あの二人は上条さんによく尽くしているから好感が持てる
844 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/24(火) 15:09:09.55 ID:MigOyHtno
上条さんなら1000円札10枚くらいでビンタすれば何でも言うこと聞いてくれるさ
845 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/24(火) 20:00:23.16 ID:Afy5gl820
https://syosetu.org/novel/56774/
とある暗部の御坂美琴(2周目)
作者:一二三四五六

原作:とある魔術の禁書目録
タグ:R-15 残酷な描写 とある科学の超電磁砲 暗部 上条当麻 鬱 独自設定 中二病 闇堕ち 群像劇 執着 依存 オリジナル展開 原作キャラ死亡 御坂美琴 絶望 シリアス 狂気 オリキャラ多数 裏切り 策略
▼下部メニューに飛ぶ

 大切なモノを護るために、あなたは何処どこまで捨てられますか?

 大切な人を助けるために、あなたは己の命身体を棄すてられますか?

 自分の魂魄凡てを捧げても喪うしないたくないモノ、ありますか?

 無明の闇に堕おちていけ。罪に穢けがれし気高き魂よ、汝なんじが生に幾多の禍難かなんが在あらんことを希こいねがって。



 ※亀の歩みよりも展開が遅いです。スピーディーな展開を求める人には確実に合いません
 ※多数の視点で物語が進むため展開が非常に遅いです。
 ※この小説は本編最新刊はもとより超電磁砲最新話、マンガ一方通行最新話、超電磁砲PSP、蛇足またはとある事件の終幕 、クロスオーバー小説、偽典・超電磁砲 、アニメ超電磁砲一期二期オリジナルエピソード、エンデュミオン、頂点決戦、群奏活劇、バーチャロン、とある魔術の禁書目録SP、一番くじ限定電撃鎌池和馬10周年文庫、学芸都市SS、能力実演旅行SS、とある魔術の禁書目録PSP、画集小説、下敷き小説、コールドゲーム、アストラル・バディの設定が入り混じっています。
 ※『白衣の男』と御坂美琴J 脅迫までは一話2500文字それ以降は一話5000文字になっております。
 ※あらすじがver5になりました。前のあらすじが見たい人は活動報告の方へどうぞ。
 ※題名を『とある闇の中の超能力者』から『とある暗部の御坂美琴』に変更しました。
 ※ネット小説だからこそ出来るギミックを各所に取り込んでいます。
 ※前書きとあとがきには重要な伏線を仕込んでいます。必ず表示させてください。




原作が出るまで暇だしこれでも読もうぜ!
846 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/24(火) 20:01:25.21 ID:j/s58Wg/o
>>845
てめえみたいに暇人ばっかだと思うな
847 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/24(火) 21:35:54.63 ID:mmCKmWeL0
つーかこんなキッショいSS書いてる奴が未だにいるのか・・・
848 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/25(水) 15:10:22.98 ID:eTz0ka9P0
まだ許せる
一方通行を糞みたいに美化しまくってヒーロー(爆)させてる系のSSに比べれば
849 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/25(水) 17:41:57.79 ID:PbFXJ41A0
>>848
せやな
850 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/25(水) 18:31:03.42 ID:YatKBzxIo
遂に5ちゃんの鎌池和馬総合スレッドにまで駄文載せに来やがったよ
851 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/25(水) 18:50:40.54 ID:PbFXJ41A0
>>850
ほえ〜元気があって宜しい
852 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/25(水) 19:27:24.83 ID:/SPRyPZrO
>>851
頭荒らしと同レベルかよ
853 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/25(水) 20:21:28.24 ID:6wal72Ry0
>>848
一方美化SSってほぼ例外なく他キャラsageが標準装備なのがグロテスクなんだよなあ
『本来悪くないキャラを貶めないと一方の立場をageられない・誤魔化せない』ってわざわざ自分で証明してるんだけど書いてる方は自覚ないのかね?
854 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/25(水) 20:24:25.69 ID:wYCl/gvLo
一方美化ってどんな感じなん?
一万人殺したくせに一方は何も悪くない的な?
855 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/25(水) 20:38:21.61 ID:PbFXJ41A0
>>852
相手にするなって事さね
856 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/26(木) 03:16:17.74 ID:XHdQvjLf0
>>854
よく見るパターンだと例の実験の件では何故か美琴が一番悪い事にされ周囲から糞みたいに責め立てられる
一方通行は悲劇のヒーロー(笑)
857 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/26(木) 10:25:19.68 ID:CNXgj1tj0
ぶっちゃけそういうのって原作の一方通行も貶めてるよね
858 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/26(木) 14:19:25.04 ID:XHdQvjLf0
>>857
同感
859 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/09/26(木) 20:36:36.12 ID:aTYSQPLR0
まぁ新約3巻の「お前も加害者」が節目だな
その手の話が一気に過激になったのは
860 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/26(木) 21:16:17.17 ID:GILVbjTw0
https://syosetu.org/novel/56774/107.html
白白白と木葉桜十五夜C 狂気狂乱狂騒狂宴

 伏線は物語には絶対に必要なモノである。
 恋愛ものでいえば普段自分から遊びに誘わない幼馴染が唐突に「明日遊びに行かない?」などと電話してくる。
 バトル物でいえば倒した敵が「本当の敵は、お前のお――――――」と言った瞬間に何者かに殺される。
 推理ものでいえば事件が起きたその時にある人物だけ姿が見えなかった。
 異論はあるかもしれないが、これらのようなモノは伏線と呼ばれる。
 伏線とはのちの展開に備えてそれに関連した事柄を前のほうでほのめかしておくことだと言われる。この説明がばっちりそうなのかというと微妙かも知れないが、大筋は外していないだろう。
 そして、だから、上条当麻は敗北した。
 伏線が『はられて』いなかったから。
「伏線……」
「伏線だよ。十五夜。伏線。伏線。伏線なんだ。この世の全ては伏線がはられてなければならない。僕も君も彼も彼女もあいつもこいつもどいつもこいつも伏線をはらなければ、貼らなければならないんだ。この世界で有利に生きたいのならば」
 狂騒するかのように口をまわして熱烈に語り語る。それは十五夜でも見ることの少ない、白の興奮した姿だった。
 何が、白をここまで駆り立てるのか。それはながい付き合いの十五夜にも分からない。
「伏線。ただそれだけでいいんだ。それさえあれば、それが、それ故にそれを、伏線を貼っておけば僕はこの世界に生きられる。生きて、生き、て、伏線の通りに、伏線のままに、伏線のはった道筋を通って」
 だが、それでも分かるのは。
861 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/26(木) 21:16:54.04 ID:GILVbjTw0
「伏せられた事実を、貼られた螺旋を、上にある傍点が、引かれた傍線に、ちょっとしたしぐさが、表情が、地の文の事実が、誰かの僕の君のおまえのこいつのあなたの彼女の見知らぬ人の化物の罪人の咎負の黒幕の大罪の彼の言動が、血筋が関係が、その異常性が、すべてがすべて全部何もかもちょっとしたことでも伏線になってなりうってなりえてなりなりうる。だから、言動一つにでも行動一つにでも言葉一つにでも日常においても非日常おいてもちょっとしたすべてに気を使って気を付けて気を散らして気を張って気張らなければならないんだ。例えば十五夜君の言動なんてまさしくそうだ君が外に出て戦っていた間に無意識だろうがいくつもの行動がはられてしまっているんだぞそのことに君は気付いているのか?まず最初は君がこの『天秤の間』から第八学区の超高層ビルに位相を改竄して移動した時だがこれはまだここから移動するのは観測もされないから別にいいんだただ次だわざわざ位相の改変を利用してビルの金網を透過しさらにビルから飛び降りる必要はどこにあったんだ階段を使えよ階段をわざわざあのタイミングで位相操作を行うなんてどう考えても伏線になってしまうだろうがわきまえろよ僕の努力を無駄にするつもりか塵芥人形その後もだ彼者誰時に輝く月シャイニングムーンの狙撃を防ぐのにお前は位相を使った防御を行ったなそれはなぜだなぜあのタイミングで位相による防御を行う羽目になったのか君の力を外に示すことになったのか君はお前は貴様はあなたは本当に分かって考えて思考しているるるるのか貴様がもっと最初から警戒範囲を広めていればあんなことにはならなかったはずだろうが確かに地の文で『今、十五夜が彼者誰時に輝く月シャイニングムーンの狙撃を防いだのは、当然のことながら偶然では無い。その理由は十五夜の原石にあった――――――』くらいのことは書かれるかもしれないがこんな序盤で普通ならお前の力の詳細は明かされないはずなんだなのにおそらく今回の件で読者の奴らは別として他勢力特にアレイスターの奴にはお前の力が原石が能力が『局地的位相操作』だと分かってしまったぞお前君は貴君あなたテメェその責任とれるのか君力は僕が見た数多の人間の中でも強力で扱いやすくてだからこそわざわざ引きこもっている君を僕が引っ張り出していろいろ調教してやったのにそのすべてを無に帰きす無に帰かえす無かったことにするつもりかいい加減にしろいいかよく考えてから行動しろお前の一挙手一投足から言動思考内心その他すべては作者によって描写される可能性があるんだぞそのまわらない頭にもう一度深く刻んでおけよ木偶塵屑戦う時に考えるべきことも思考してはいけないこともいちいちいちいちいちいちいちいち僕が説明しないといけないほど愚かで馬鹿な愚図じゃないだろうお前はいいか何度でもいうが僕のフォローにも限度限界があるんだからな確かに僕は目的のために一心不乱に万進して前進して歩み進んでいく気概はあるが僕の目的の達成に君は必要だからめんどくさく思いつつも無意味だろうが説明をしてやってるんだあぁ二度も三度も同じことを言わせるなよ一度の説明で完全に完璧に完成にどうして理解できないんだ僕よりも優秀で僕よりも有能で僕よりも優美で僕よりも多芸で僕よりも万能で僕よりも優等で僕よりも赫々かっかくなのにどうしてお前らは!君は!言われたことを覚えることも実行することも出来ないんだそんな難しいことを言っているつもりはないのに不可能なことを命令しているわけでは無いのにのにのにも関わらず八面六臂の活躍をできる君たちが万能で全能な君たちは言われたことが出来ないんだいいかもう一度言うぞ何度目か知らないがもう一度言うぞもう何度でもいうぞ脳に直接刻み込んでおけよ塵人形!!!その一挙手一投足から!思考にいたるまでの全てが!全部!何もかも!あらゆることがものが!描写される危険性があるんだよ!!!だからもっと注意深く行動しろ注意して行動しろ迂闊な言動行動は控えろここではともかく外では絶対に控えろさもないと十数年をかけて育んで育ててきた僕の計画がすべて全部何もかも意味がないことになるだろうが!!!気取られないように慎重に用心深く翼々と抜け目なく進んできた計画が計略が計画スケジュールが無意味に無価値に無意義に無用になってしまってそうしたら僕が!僕が己の全てをかけて!ずっとそれだけのために生きてきたのに失敗するなんてそんなことに今更なったらどう責任をとるつもりなんだあああ、ああああああ、あ、ああ、ああああああああああああああああああ、ああああ。あああ、あ、君は僕が見出して僕が!作り出したのに、なのになのになのにそれで最高の人材を素材を人間を生物を生命を選定して伐採して剪定して精選して厳選して択ってここまで育てて育成してきたのにその期待を!希望を!軌跡を!奇跡奇蹟を!どうして踏みにじるようなまねが裏切りが出来るんだよ恩を忘れたとか恩を売るとかそんなつもりは全然まったくこれっぽっちもないが君たちお前たち僕たちは僕の理想に理屈に幻想に賛成して賛同して支持して賛して共鳴して同意して同心して合意してだからここにいてこの立場につくことを許したはずだろうなのにだからなのにどうしてどうやってどうすればここまで僕がそれだけはと注意して注視させたことを破ることが出来るんだ!!!僕よりも頭のいいくせに僕なんか目じゃないくせに僕を圧倒できるだけの能力が頭脳があってあるからあるのに僕よりも僕が僕僕僕に僕を僕僕僕僕僕僕僕僕僕とともにこのせ」
 
 
 
 
 
「委員長!!!!!」
 
 
 今・の・白・は・異・常・だ・、ということ。
 
 
「―――――――――――――――――――――――おっと、僕としたことが。あぁ、今のことは忘れてくれ十五夜。とんだ醜態をさらしたな」
「いえ、そんなことは」
 
 
 
 
「忘・れ・ろ・」
 
 
 
 
862 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/26(木) 21:17:28.58 ID:GILVbjTw0
「―――――――――――――は、――――――い」
 そ・の・言・葉・に・対・応・す・る・か・の・よ・う・に・十・五・夜・の・目・か・ら・光・が・消・え・た・。
「ちっ、………………そのまま4分26秒23前までの記憶を消去デリートしろ。その後再起動リスタート」
「―――――――は、―――――――――――――――――ぃ」
 それは同じ人間にするにはあまりにも非情な命令ではあった。だが、無意識化でそれを実行するように刻まれている十五夜の意識は、本人の拒絶の有無を問わずに白の命令を実行した。
 記憶を削除し、時間感覚を制御し、白の言うように意識を再起動させる。
 現在から4分26秒23前までの記憶を無かったことにされた十五夜は自らの記憶に一切の疑問を持たずに、もう一度4分28秒前と同じ言葉を発した。
「伏線…………」
「そう伏線だ、十五夜。もっと言えば上条当麻がある手がかりをつかんでさえいればあの戦いで埋娥に勝つことは出来た」
「ある手がかり……ですか?」
 気付いていない。
 気付いていない。
 気付けない。
 十五夜は決して気付けない。自らの記憶がデリートされてしまっていることも、目の前にいる男がそれをなしたという事も絶対に気付けない。
 なぜなら、それは十五夜が白のことを信じているからで、十五夜が白のことを盲信しているからで、十五夜が白のことを全肯定しているからだった。
 十五夜は白が他者に『悪い』ことをするなんて考えていない。
 十五夜は白が人間に『悪』をなすなんて思っていない。
 だから違和感も感じない。
「ベッドの下の」
 そして話題は移る。移ってしまう。
「くまのぬいぐるみの中の」
 十五夜が気付けないままに。
「レポート用紙の束」
 過ぎ去った話題を十五夜が指摘することはもう無い。だから、話題は移る。上条が回収できなかった、気付くことのできなかった、伏線へと。
「それが、上条当麻の見逃した最高レベルの伏線キーだ」
「ベッドの下のくまのぬいぐるみの中のレポート用紙の束……ですか。それは、上条当麻が訪ねた常盤台学生寮の部屋の中のことを言っているのですか?」
「その通り。さすがに頭のまわりが早いな。あの時、上条当麻と白井黒子は絶対能力進化実験レべルシックスシフトの憔悴していた御坂美琴についてのてがかりを得ようとしていただろう。そしていないはずの妹、初春飾利からの妹達シスターズという情報、絶対能力進化実験レべルシックスシフト等様々な情報をえた」
 あの時の上条らの動きは自分たちの得意分野を駆使した最高レベルのものだった。上条当麻、白井黒子、初春飾利。誰が欠けても御坂のもとに辿り着くことは不可能だっただろう。
 だが、それでも上条らは御坂美琴が何かに巻き込まれていて、それが絶対能力進化実験レべルシックスシフトと呼ばれるものであるという事までは辿り着けたが、その絶対能力進化実験レべルシックスシフトの内容まではたどり着けなかった。
 だから負けたのだ。
 目的が明確化されていなかったから、事情が完璧には分からなかったから。
「だけど彼らは絶対能力進化実験レべルシックスシフトの内容がわからなかった。御坂美琴が何に巻き込まれているのかわからなかった。それさえ分かっていれば、きっと届いたのに」
「…………………………………」
「そしてあったんだ。上条当麻がいたあの部屋の中に。御坂美琴が普段使っているベッドの下に置いてあるくまのぬいぐるみの中に。絶対能力進化実験レべルシックスシフトの内容が記された書類が。御坂美琴が絶対能力進化実験レべルシックスシフトについてしらべるために収集した情報が」
 御坂美琴は寮の規則で禁止されているものを持ち込むためにくまのぬいぐるみを改造して使っている。そのくまのぬいぐるみの中に絶対能力進化実験レべルシックスシフトについての情報が記された書類もあった。
「それさえあれば、勝てた。過去をやり直すことは僕には出来ないが、それでも言うのなら、あの時上条当麻か白井黒子のどちらかがその絶対能力進化実験レべルシックスシフトについて記した書類に気付いていれば状況は確実に変わっていた。変わっていたんだ」
 白井ならばもしかしたらくまのぬいぐるみの中に何らかのものが入っていることは知っていたかもしれない。でも、白井もまさかそんなところに自分たちの求めている情報があるとは思わなかった。そして上条は言わずもがなだろう。
 だから、誰も気付けなかった。
 その場にあった重要な伏線に。
「勝てなかったのは上条たちが書類伏線を見つけ回収しなかったから。……納得はいったか?」
「はい。――――――説明していただき、ありがとうございます」
「そうか。納得がいったならもう出ていけ。僕も、これから考えなければならないことがあるからな」
「はい。失礼します」
『天秤の間』から出ていく十五夜をしり目に見ながら、白はこれからのことについて思考を巡らせた。
「アレイスター=クロウリー。死縁鬼苦罠。天埜郭夜。妹達シスターズ。御坂美琴。…………考えなければならないことは無数にあるな」
 計画は絶対に成功させる。でなければここまで生きた意味がない。
 そう、強く思って、白は考えを深める。
「――――――そういえば、伝え忘れたな。……まぁいいか、後で各総隊長と十五夜には送っておこう」
 今まで忘れていたが、先ほど諜報部隊の報告にあったことを白は思い出した。たいして重要でもないことだから。今の今まで忘れていた。
「第三生産部門が壊滅したという報をな」
 何でもないように、大事を口にした。一部門が壊滅するなどどう考えてもたいしたことである。だが、白にとってはそうでもなかった。
「さて、次の選定はどうするか」
 だから今日も白は思考する。
 世界の嫌われもの、白白白は考える。
 世界をよりよくするために、世界の風紀を守るために。
 世界を、――――――ために。
 



前半の白のセリフ読みにくいですよね。

わざとです。
863 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/26(木) 21:40:41.31 ID:diaBmj5B0
>>859
いや、一番過激だったのは普通に禁書SS全盛期だろ
「お前も加害者」あたりはむしろ下降傾向だったよ
一方SSがじゃなくて禁書SS全体がだが

「お前も加害者」あたりはむしろ熱狂も沈静化して、一方ファンにも「さすがにそれはちょっと・・・」くらい冷静になってる人もいたよ
まあ一部「ホラ見ろ! やっぱ一方さんは謝る必要なんてないんダ!!」とか喚いてる真性クズもいたけど
864 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/27(金) 14:33:16.69 ID:9JrsxFft0
>>853
それな
糞通行を持ち上げる為に他の真っ当なキャラをクズ化したりして貶めるのがデフォだから胸糞悪くて読んでいられない
865 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/27(金) 21:09:11.59 ID:4kYhG3SM0
主な被害者は上条と御坂だな
どんだけコンプあるのか、上条SSや御坂SSに凸してまで脳内設定わめいてたあたり一方厨って本当にビョーキだわ
866 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/27(金) 22:26:13.73 ID:jrcu7zqWO
一方厨なんてもう死滅してるしどうでもいいよ
復活してから叩きまくろうぜ
というかアニメ始まっても全く暴れ出さないほどにマジで死んでるとは思ってなかった
867 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/27(金) 23:36:35.93 ID:vc16ym2O0
一方通行、一方信者、奴らの罪は軽くない。
868 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/27(金) 23:47:17.27 ID:YxmfHBss0
キモッ
869 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/28(土) 22:14:33.44 ID:AExrFsIi0
>>866
まとめサイトとか見てみると、あのアニメをネチョネチョと擁護してるバカは一定数いるようだがな
テキトーにおちょくったら割とすぐ正体表わすのもいる
870 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/29(日) 01:42:32.68 ID:kV7JpSIN0
糞つまらんかったなぁ糞通行の害伝のアニメは
ようやく終わってくれたか
鬱陶しくて仕方なかった
871 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/29(日) 01:47:50.79 ID:+PFMlPqDO
アニメ一方全く見てないけど
妹達を赤面させちゃったみたいな話はどうなったんだろ
時期も時期で胸糞悪いんだけど
872 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/29(日) 21:57:37.01 ID:ffTW/Wq60
本当にエステル編(敵の名前とか忘れた)だけしかやらなかったのは草
むしろ全アニオリにした方が良かったんじゃねえの?レベル
873 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/30(月) 00:52:52.91 ID:hTHo3l6v0
>>871
どうでもいいよ
妹達なんぞ沢山いるんだし糞通行に一匹くれてやれ
874 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/30(月) 01:37:48.64 ID:SAXuspXv0
普通に叩けばいいのに汚い言葉使ってる人はわざとやってんのかな
875 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/30(月) 02:56:40.84 ID:hTHo3l6v0
わざと?何故に?
876 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/30(月) 13:56:45.79 ID:rDy3hggjO
>>872
アニオリにした方がつまらなくなりそうでなあ…
まだ一方出てるパートより敵に悲しい過去…パートの方が面白かった
この時期の一方にはなんの魅力もねえ
さっさと上条さんファンクラブに入る時期まで飛ばして欲しい
877 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/30(月) 23:26:38.83 ID:W503qv4P0
>>873
そのために打ち止めがいるだろ
完全に一方通行に媚びる人形になっててひたすら気持ち悪かった
時系列とか考えても、原作の初登場のすぐ後なのにあそこまで『安全圏で周りにチヤホヤされてる無邪気な幼女』という舞台装置になってるの露骨すぎる
最初はあんなキャラじゃなかったのに、作者も後付けに後付けを重ねて劣化させたのを前の時系列にねじ込むからガイジみたいな人形になる
878 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/01(火) 02:44:03.68 ID:1Fk/R6EP0
一方叩かれてる一番の理由は打ち止めの存在が気色悪く感じることよね
ぶっちゃけ10031人殺したことは別に大した問題じゃねーわ
879 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/01(火) 03:04:01.01 ID:MebPEW6X0
一方通行には反省も後悔も改心もせず上条さんへの復讐心だけを糧にひたすら悪の道を進み続けるようなキャラであって欲しかった。
880 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/01(火) 13:35:35.11 ID:I5wDhAsQO
ぶっちゃけシスターズ関連は贖罪(爆笑)の一方よりも一切関心なさそうな御坂の方が気になるわ
未だに打ち止めの存在すら知らないんじゃなかったか
881 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/01(火) 16:18:49.97 ID:eqt9lKbf0
妹達もさほど御坂に関心ないだろ両者上条のことしか気にしない
882 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/01(火) 21:18:11.38 ID:7ePbYFnd0
>>880
そもそも妹達編で御坂が心痛めたのはクローン作られたことより、それがガンガン虐殺されてく状況だからなあ
(実際妹達の存在知った時のリアクションは驚いたけど追い詰められるほどじゃなかったし、元より御坂に何か責務のある話じゃない)
実験後のスタンスは御坂は「人間として生きてく手伝いくらいはする。困ったことがあったら言ってね」
妹達は「その時はヨロシク。(でも基本的にお姉様は巻き込みたくないし頼るのは最後の手段)」くらいだしなあ
妹達に責任取るべきはアレイスターや一方通行の役割だろ
まあ、そのクズ2匹が何かの責任取ろうとしたのはついぞ見たこともないが
883 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/02(水) 00:40:05.75 ID:eUeZRvKS0
一方は別に責任取る必要取る必要は無いだろ
勝手に贖罪()しようとしておきながらオリジナルにお前も被害者とかアホなことほざくんならもうやめまーすでそのあと触れない方がいい
上条さんにボコラれた時点では学園都市の実験に参加してただけだし
取らなくてもいい責任を取ろうとして無駄にヘイトだけ上げてったマヌケが一方
アレイスターはマジでゴミだけど
884 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/02(水) 01:11:05.51 ID:YtF8tC55O
妹達殺しに関してはもはや加害者気取りの一方以外誰も興味無いのが笑える
総体にすら戦って死ぬ楽な道にいくなよ?生き残りの妹達と光の世界で死ぬより辛い思いしながら生き続けろ
はいこの話終わりねってされてるし
885 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/02(水) 12:10:06.07 ID:2qkVA+Id0
>>881
美琴も妹達も一方通行も全員共通して上条さんが大好き!!
886 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/02(水) 12:34:49.18 ID:4TwLgTi4o
寮を追い出された上条さんがホームレス生活をしてたら上条さん大好きな人達はどうするのか
887 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sega]:2019/10/02(水) 18:14:58.63 ID:665j7Pom0
>>886
上条さんを保護すべく上条さんの身柄の争奪戦が始まる
888 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/02(水) 18:21:43.37 ID:FWe3Ro0sO
御坂食蜂で蹴落としあってそれなりに周り倒した後脱落しそう
889 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/02(水) 20:29:20.01 ID:Devb348jO
上条のためなら御坂と食蜂も余裕で共闘したし、上条ガチ勢はワンチャン全員で同棲まであるだろ
890 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/02(水) 21:35:07.46 ID:dl8vahPk0
>>883
取らなくて言い責任というより、打ち止め囲い込むために手の平返したから負った責任って感じだな。どのみちコスプレ贖罪だけど
あと代理演算してもらってるんだから贖罪関係なく妹達のために働くのも、いちいち口に出すなってレベルで当然。その当然のことも出来てないけど

>>888
食蜂はリバースでハンデを負った感あるからちょっと形勢悪そう
891 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/02(水) 21:38:30.99 ID:3dlJt5Yvo
ゴールに上条さん置いて一番先にゴールした人が上条さんをゲットできる短距離走開催したら戦争起きそう
892 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/02(水) 22:03:56.05 ID:eUeZRvKS0
>>889
結局そこで争うパターン
そして建物潰れてまた上条さんホームレスに逆戻りになるオチ
893 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/03(木) 11:28:30.52 ID:Wolk7XYW0
美琴と操祈は報われるべき
彼女達の上条さんへの献身性は好印象
894 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/03(木) 16:04:47.35 ID:xUoissDkO
けん…しん…?
895 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/03(木) 19:44:40.21 ID:JSW44ke10
迷惑もかけてるからプラマイゼロ
896 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 20:40:25.24 ID:7LsiYaeP0
https://syosetu.org/novel/158074/16.html

屋上の戦いH 脱落者1名

 分かっていたはずだった。敵が圧倒的な格上であることぐらい。
 知っていたはずだった。連係が完全に取れないことぐらい。
 違和感は感じていたはずだった。何か推理に不備があるんじゃないかと。
 だがそれでも突き進んだのはきっと焦りがあったからだ。白井も上条も怪我をしていて、なるべく早めに治療しないと大変になると焦っていたから。
 もっと慎重になるべきだった。もっと考察を重ねるべきだった。もっと色々すべきことはあったはずなのに。
 だからこういう事態が起きた。
「な、ああああああああああああああああああああああああああああああッッッッッ!!!!!」
「なん、っっっ!!!???」
 あり得ない。信じられない。考えられない。訳が分からない。理解できない。予測の範囲外。思考の埒外。
 上条らが今戦っている人間の超能力は『眼で見たモノを捻じ曲げるモノ』で、それはつまり前後から挟み撃ちにしてしまえば上条か白井の片方は捻じ曲げられずに済むという事のはずだった。
 前を見ている人間は後ろを見ることは出来ない。人の眼は後ろにはついていないのだから。
 故に、前後からの挟撃は最善策。瞬が対応できない最善の攻撃。そしてそれを狙ってすることのできる上条と白井はやはり、『表』の人間としては優秀なのだろう。そもそも『表』の一般人が瞬と戦えば、瞬のトリックを暴く暇すらなく10秒で殺されるだろうから。
 しかしその中途半端な実力は時に悲劇を生む。弱ければ一瞬で殺されていたが、中途半端に強くてもやっぱり負ける。
 上条と白井は中途半端に強かった。
 だから、瞬の本気を引き出してしまった。
「「――――――――――――ッッッッッッッ!!!!!!!?????」」
 上・条・と・白・井・の・全・身・が・同・時・に・捻・じ・曲・が・る・。
 挟撃で、安全策の最善策で、瞬が捻ることのできるのはどちら片方のはずなのに。
 前提条件が崩れる。
 安全策が機能しなくなっていく。
 ベキベキベキベキベキッッッ!!!!!と、全身が軋んでいく。音を立てて皮膚が捻れ、骨が見え始め、プチプチと神経が断裂し、腕が、足が、胴体が、首が、頭が、腹が、膝が、肘が、爪が、指が、手が、捻れ、捻られ、曲がり、狂い、死んで、終わっていく。
 そしてその瞬間だった。
(――――――ぁ)
 上条の思考に電撃が奔る。
(――――――あぁ!)
 辿り着いた。
 辿り着けた。
(そういう――――――) 
 上条当麻は、
(そういう、ことかッッッ!!!)
 瞬瞬の超能力の全貌真実に辿り着いた!!!
 フラッシュバックのように今までの情報が、推理が、脳裏によみがえる。あぁ、そうだ。それならばすべてに説明がつく。
『……捻転。――――――――――――――――――凶れ』
 あの裏路地の戦いも。
『…………ッッッ!!!???』
 屋上に空間移動テレポートさせられた瞬が驚いていたわけも。
『なっ、よまれ……っ!?』
 ただ掴まれただけの白井の腕が捻じ曲がった理由も。
『……予期。やはり、後ろに空間移動テレポートしていたか』
 まるで見ていたように白井の位置を常に把握していたことも。
『なぜ私が空間移動テレポートする場所がわかるんですの!?、か?』
 目を瞑っていても白井の空間移動テレポート先が分かったわけも。
『……倒懸!な、なにが……ッ!?』
 白井の空間移動テレポートさせた金属矢が瞬に当たったのはなぜか。
『…………っァ!!!???』
 超低姿勢からの上条のスライディングが瞬に当たったことの意味。
『……煙幕!?』
 煙幕の中でも瞬は攻撃してこなかった。
『……基本的に人間が外界を把握する手段は五感ですわ。だから彼が私達の行動を把握するための手段にも五感の内いずれかが使われているはずです』
 白井の言葉は的を得ていた。
『がっ、アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!』
 閃光弾フラッシュをくらったことで右手を抑えて絶叫していた瞬。
『……嘲笑』
 前後からの挟撃に対して上条と白井の双方を一気に捻じ曲げたこと。
 これらすべてが、たった一つの事実を示している。
 すなわちそれは――――――。
「白井!俺のそばに来いッ!!!」
 ダメだ。
 絶対にダメだ。
「コイツの超能力は――――――」
 叫びながら上条は己の身体に幻想殺しイマジンブレイカーを使う。
 そして同時に焦る。
 白井じゃ瞬には勝てない。どんなに空間移動テレポートしようと、どれだけ奇襲を仕掛けようと、すべてが無意味に帰する。
 だって、
 なぜなら瞬は、瞬瞬はその身体に。
「――――――っ!?」
 が、その声は間に合わなかった。
 捻じ曲げられている身体をどうにかしようとした白井は既に別の場所に空間移動テレポートしてしまっていた。そして、白井が空間移動テレポートした場所は上条のそばではなく、どちらかといえば瞬の視界から確実に外れられるような場所であった。
 加えて白井は上条のように瞬の超能力チカラの真実には気付けなかった。
 故に、
「……残念。一歩遅い」
 瞬が一歩上回る。
 そして、瞬の両目は白井を捉えていないのにも関わらず、
 べ・ギ・リ・と・音・を・た・て・て・白・井・の・四・肢・が・捻・じ・切・れ・た・。
「ぎゃっ」
 悲鳴が、上がる。
897 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 20:41:04.63 ID:7LsiYaeP0
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!?????」
「しらっ!?」
 夥おびただしい量の血液が屋上にまき散らされる。捻じ切られた白井の四肢から滝のような赫が流れ出て、ぐちゃぐちゃになった断面からは白い骨が見えた。
「ぎっ、ぁ、ひぎゅッ、がっ、き、ぁ、アアアアアアアアアアアアアァァァァァァアッァァア!!!!!」
「く、そぉっ!」
 白井は確実に瞬の両目の視界からは外れていた。これは絶対に確約できることだ。瞬の両目は、白井の姿を一ミリも捉えていなかった。
 であればなぜ、白井の四肢は捻じ切られてしまったのか?
 ほら、答えはもうすぐそこにある。
「……無為。俺の方が近い」
 白井を助けようと走り出す上条。しかし瞬の方が走り出すのは早く。
 白井を助けようと白井に近づく上条。しかし瞬の方が白井との距離は近く。
 絶叫し、発狂し、胴だけになった身体で屋上を這いずり回りながら、許容をはるかに超えた痛みは白井を気絶させることすら許さず、無論のこと空間移動テレポートなど使えるはずもなく、血液をまき散らし、捻じ切れた四肢を信じられないような思いで見て、上条や瞬のことを意識の片隅に入れることすらできず、まともな思考などできる訳が無く、むしろ考えるという行為でさえ満足にすることもできず、もはや本能的な、ある種の動物的な、ある意味では非常に人間らしい、しかし人間らしくない欲求を抱えて、そして何よりも五分後の死を確実視してしまった白井に、
「ぁ」
 瞬が触れた。
「や」
 そして瞬は四肢が捻じ切れた白井の身体を掴み、
「……捻転。――――――凶まがれ」
「やめろおおおおおおおおおおおおおおッッッッッ!!!!!」
 屋上の金網を視線歪曲オッキョクールヴァで捻じ切って、屋上の外に投げ捨てた。
 痛みの中で白井は自身の身体が宙に浮かぶことを認識した、などということはない。そんなきちんと白井は自分の現状を認識できない。
 なにせ四肢が千切れてからまだ30秒しか立っていない。
 四肢が千切れて30秒しかたっていない。痛みに慣れることなどあり得ず、感じられるのは死の気配。
 目が映すモノを脳が受け取らない。
 耳が受け取った声を脳が処理できない。
 皮膚が感じた痛みを脳が許容できない。
 鼻が嗅いだ血の匂いを脳が判別できない。
 舌が舐めた血液を脳が判断できない。
 まるで助けを求めるように手を伸ばす――――――ことはできない。
 屋上の淵を掴むために手を振り回す――――――こともできない。
 何も、できない。
 何が、できる?
 四肢の千切れた、超能力すら使えない身体で、『痛み』を感じることしかできない、『痛み』しか感じられない身体で。そう、もはや棺桶に入れられた骸と同じ。自身の意志で満足に動くことなどできず、脳を支配するモノはただ一つだけ。
 常盤台中学一年生。空間移動テレポートの大能力者レベル4。風紀委員ジャッジメント一七七支部所属。御坂美琴の元ルームメイト。
 白井黒子。
 白い黒子。
 白い黒衣。
 脇役の、補助役の、裏方の、表に出ない、主人公の隣に立てない、見えない、
 背景に紛れた、清廉潔白な、汚れの無い、軽い、広い、無垢な、明るい、
 そんな人。
 そんな、登場人物人
 いてもいなくてもいい、世界物語キャラクターストーリー理論からすれば重要なポジションにはいない。替えがきく。代わりはいる。
 そんな白井に上条は、
「――――――――――――――――――――――――――――――っっっっっ!!!!!!!!!」
 声にならない声を上げながら、
 手を伸ばす、
 ことすらできず、白井は上条の視界から消えていった。
「…………………………………ぁ」
 捻じ切れた金網の先で白井は地面に落ちて行った。四肢がない白井に衝撃を和らげながら着地するなどという器用なことなどできようはずもない。無様に落下するだけ。落下して落命する。屋上から落ちて地面で命を落とす。さながらイカロスのように。
898 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 20:41:52.83 ID:7LsiYaeP0
「……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」
 しばしの間上条は呆然とした。呆然とすることしかできなかった。
 人が、目の前で死んだことは過去にもある。パルツィバルという人物は三沢塾で、上条の目の前で死んだ。
 しかし、パルツィバルは初対面だった。
 白井とは初対面なんかじゃなかった。
 初対面なんかじゃ、なかった。
『あなたが、普段からお姉様と頻繁に能力で戦闘している方でよろしいんですの?』、『ちょっ、上条さん!!!???』、『上条さん!手を!』、『それに、先ほど私たちを襲撃してきた炎。あれをやった人間が待ち構えていないとも限りませんのよっ!今の状態で上条さんはまともに戦えるんですのッッッ!!?』、『…………………お姉、様』、『風紀委員ジャッジメントですの!!!傷害及び殺人未遂、誘拐、器物破損、その他もろもろの罪であなたを拘束させていただきます!!!おとなしくなさいなさいなっ!!!!!』、『会えますの?』、『やりますわよ、上条さん!!!』。
 過去の情景が上条の脳裏に浮かぶ。
 死んでしまった。死んでしまった!死んでしまったッ!!!
 ゆっくりと立ち上がりながら、上条は怒りの炎をその目に宿らせて、涙に濡れた瞳で瞬を睨む。
「テ、メェ」
「……絶望。少しは『闇』を理解したか?」
 口元を歪ませて嘲笑しながら瞬が言う。
 そうだ、そうだ、そうだ!
 人はみなそうなんだ!
 憎しみの連鎖からは決して逃れられない。悲劇の仕組みからは決して脱出出来ない。だから、その仕組みを変えるために瞬たちは革命を起こすことに決めたのだ。何を犠牲にしてでも、例えその果てに地獄に堕ちることになったとしても、確かな今を犠牲にして、これから先をほんの少しでも幸福にするために。
「どけよ!」
「……却下。通すわけがないだろう」
 上条の瞳には炎が灯っている。
決して消えない赫の炎が。
「……強制。この血に染まった屋上から出たければ」
 大事な人を失えばみんなそうなるんだ。
 大切な人が自分の力不足で[ピーーー]ばみんな後悔するんだ。
(……悔恨。この街は悲劇が多すぎる)
 その悲劇を少しでも減らしたいと願ったから、あの『崩壊の十月実験』で死んでいった仲間たちのためには瞬は歩みを止められない。
 例えその道が間違っていたとしても、もう止められない。
「俺を倒してからにするんだな!」
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああアアアアアアアアああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 
899 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 20:42:19.84 ID:7LsiYaeP0
ふふふふふ!
ははははははははははははははははは!!!!!
これだよこれぇ!俺が書きたかったのはこれよぉ!!!
まだ中盤だから、二章は終盤になるにつれてもっと死ぬぜぇ!原作キャラだろうとオリキャラだろうと[ピーーー]ゼェ!!!
はッ、ハハ、ハハはハははハハはァ!!!!!
900 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 20:44:38.74 ID:7LsiYaeP0
咎負虐殺……性別 男
       所属 不思議の国の御伽噺フェアリーテイルワンダーランド
       立場 不思議の国の御伽噺フェアリーテイルワンダーランド第二席
       特殊能力 虐殺因子、占星魔術多数、肉体強化魔術、憑依魔術
       二つ名 十億殺しビリオンマーダー、枢密院議長、チェシャ猫、前時代の遺物など多数
       所持品 魔導書原典オリジン『星界の使者Sidereus Nuncius』、『イーリアス』、『アルマゲスト』、『テトラビブロス』など八冊。写本『運命の書』数ページ。魔術杖。三八式歩兵銃。九九式手榴弾。
       戦闘スタイル 魔術攻撃、杖術、銃撃、手榴弾
       称号 ラスボス
       特記事項 『殺人』の悪性を冠する人類絶対悪の一人。獄天の扉ヘヴンズフィール事件の実行者の一人。滅亡天使計画アポカリプスプロジェクト遂行中。
901 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/03(木) 20:45:20.54 ID:Ck8xbpHso
荒らすのやめろ
902 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 20:59:55.27 ID:7LsiYaeP0
https://syosetu.org/novel/158074/46.html

ボロボロになって絶望して[ピーーー]、主人公ヒーロー。
大好きです愛してます。
だから苦しんで苦しんで苦しんでから――――――[ピーーー]。
903 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 21:01:57.51 ID:7LsiYaeP0
https://syosetu.org/novel/158074/72.html

惨劇最悪バッドエンドA あなた達が間違えた選択の果てに、世界は滅亡しました

 終わった。
(終わった)
 終わった。終わった。終わった。
(終わった。終わった!終わったあァァっっっ!)
 だが、はたして何が終わった?
 佐天の歯を噛み千切ることが?
 もちろんそれは終わった。
 佐天との間にあった信頼関係が?
 それは修復は可能なほどに終わってしまった。
 上条の精神性は?
 それもまた、終わってしまったモノの1つだろう。
 いくつもの出来事が終わり、モノとして存在しない目に見えない何かもまたいくつも終わってしまった。
 それが良いか悪いかはまだ分からない。もしかしたら上条の行動が後の災厄に繋がるのかもしれない。
 けれど、確かに此処に1つの事象は終了したのだ。
 上条が終わらせた。
「はっ、はふっ……はぁーっ、ははっ!はぶ、げふッ!…………あ゛、…………ぁ゛」
 唾液と血液でぐちゃぐちゃになった佐天の左手親指を掌の上に吐き出して、上条は荒い息のまま何とか佐天に話しかけた。
「さ、てん……大丈夫、か……?」
「……………………………」
 返答はない。
「佐天……?」
 膝に手をついて息を落ち着けながら、上条は顔を上げて佐天を見上げた。
 
 佐天は、恐怖に歪んだ顔のままぐったりと頭を下にしていた。
 
「っ!……ぅ」
 ピクリとも動かない佐天。
 気絶している、のだろう。
 全身から力が抜けている。だらりと下がった四肢に半開きになった口、開いた瞳孔。全てが佐天が正常ではない状態であることを示している。
 言うまでもなく、上条がそうした。
(仕方なかった……仕方なかったんだ!)
 そう、思うしかない。今はまだ、罪悪感を抱くわけにはいかない。
 やらなければならないことがある。
 佐天の痛みを、その犠牲を、無駄にするわけにはいかない。
「Aえー!」
 と上条は食蜂を呼んだ。
 佐天の左手親指が手に入った以上、後必要なのは刀夜の右目だけだ。つまり食蜂が刀夜の右目を抉りだせていれば、事態の全ては解決する。
 はずなのに、
「何してるんだ……?」
 奇妙なことに、食蜂は刀夜の右目に手を伸ばしたまま静止していた。
「大丈夫、か?」
 緊張しているのだろうか。
 躊躇しているのだろうか。
 それも仕方ないと思う。上条だって、躊躇いの中で覚悟を決めて佐天の指を噛み千切ったのだ。だから食蜂が出来なくても仕方ない。
(いざとなったら)
 いざとなったら、上条が食蜂の代わりをやるしかないだろう。
 けれどまず、上条は食蜂を励ますためにその左肩に手を置いた。
「変わろうか?」
 と声をかけて、
 
 ドン、と食蜂の身体が倒れた。
 
「……………………………………………………………………………………………は?」
 一瞬、停止。
 だが、すぐに動き出す。
「食蜂!?」
 倒れ伏した食蜂に上条はすぐさま駆け寄った。
 何だ?何が起きている?どうして食蜂が倒れた?
「おいっ、どうした!?しっか」
 呼吸が、停止していた。
 心拍が、無かった。
「――――――――――――――――――――――しょく、ほう?」
 一般的には、呼吸をせず心臓も停止している人間のことは死体と呼ぶ。
 つまり、食蜂は死んでいた。
「待てよ」
 死んでいた。
「起きろよ!何、何で……食蜂ッ!」
 
 ガチャリと音がして、誰かが上条の背に凭れ掛かってきた。
 
「ぐっ、痛ッ!?」
 
 背中に奔った衝撃を振り払うかのように、上条は食蜂の身体を支えたまま片腕を背に手をやった。
 何かが上条の背中に墜ちてきた。
 何かが上条の背中に降ってきた。
 それを背中から降ろして、上条は降ってきた何かを確認し、
 
 上条刀夜が死んでいた。
 
904 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 21:02:28.27 ID:7LsiYaeP0
「……、…………?」
 今度は言葉すらも出なかった。ただ、ふらふらと開いている方の手が刀夜の頬に伸びた。ふらふら、ふらふら、ふらふらと。
「父、さん……?」
 動かない。
 ピクリとも、動かない。
 触らなくても分かる。
 触れなくても分かる。
 上条刀夜は死んでいる。
「あ」
 呆けたように口を開きっぱなしにして、食蜂を横たえ、上条は立ち上がった。何が起こっているのかわからない。何が起こっているのか分からない。何が起こっているのか分からない。
 でも何かが起こってるのなら、と上条は立ち上がった。
 
 四つの枷から解放され、倒れ伏した佐天が視界に入った。
 
「は」
 確かにそうだ。食蜂が死んだ。刀夜が死んだ。ならば佐天だって死んでいるだろう。全くそうだ。非常に納得できる。
「なら、ジャーニーも……」
 佐天と刀夜が解放されたなら、もちろんジャーニーも死んでいる。見る必要もない。だって、12のルールにはこうあった。『ジャーニーが培養器の外に出るか、ジャーニーが死亡した時点で2人の拘束は解かれる。』、なら当然ジャーニーは死んでいる。
 4人とも死んだ。
 此処で生きているのは上条だけだ。
「……外に」
 なら、もう此処に居ても意味はない。外に出て、助けを呼ばなければ……。
 ふらふらと頼りない足取りで階段を上り、部屋を出る。
 
 その部屋の外では、少女が死んでいた。
 
「…………………、蜜蟻、……か?」
 その顔には見覚えがあった。
 蜜蟻と名乗る少女と同じ顔をしていた。
 ……待っていた、のだろうか。
 ジャーニーを救出した後の上条に会いに来るつもりだったのだろうか。
 死体は黙して語らないから、真実はもう分からない。
「……………………………、…………」
 歩く。
 ただ、歩く。
 とにかく外に行かなければ何も始まらない。外に行けば助けを呼べる。助けを呼んで駆動鎧パワードスーツを止められる。だから、まずスタジアムの地下から出なければならない。
「…………もう、ちょっと」
 後数歩でスタジアムの外に出られる。
 後2歩でスタジアムの外に出られる。
 スタジアムの外に出られた。
「っ」
 太陽光の眩しさで僅かに目が眩む。だが徐々にその明るさに慣れて、視界が開けた。
 
 インデックスが死んでいた。
 
「――――――――――――――――――――――――――――――」
 
 ひどい、酷い様だった。
 片腕を切り落とされ、半ばまで切断された胴からは内臓が零れ落ちている。白を基調とした修道服はあちこち裂かれ、穴が空き、そこから今もなお流れ出る血が、修道服を赤黒く変色させていた。数えることすらも馬鹿馬鹿しくなるほどにインデックスの体の傷は多かった。
 何度も、何度も、何度も。
 誰かがインデックスの体を切り裂き、斬り付け、痛めつけ、命を弄び、尊厳を凌辱し、生き様を侮辱し、そして突き立てて、消えない傷を残したのだろう。
 永遠に消えない、傷跡を。
 どうして、そこまでされなければならなかったのか。
 どうして、そこまでしなければならなかったのか。
「―――――――――――――――――――――――」
 苦痛に満ちた顔を、
 恐怖に歪んだ顔を、
 せめて、せめて、せめて、少しくらい安らかにしたい。
 だから上条は死にきったインデックスに近づいて、その瞳を閉じさせてあげた。
 それくらいしか、出来なかった。
「……………………」
 そうして、上条は携帯電話を取り出して病院に電話した。119番。死体を病院に渡さないといけない。
 通話がつながる。
「あの」
 自分でも驚くほどに冷たい声が出た。
 なのに、
『―――――――――――――――――――』
「あの!」
 通話口からの返答がない。
 話しかけてこない。
「……仕事してくれよ」
 119番からの返答がないなら自分で歩いて病院に行くしかない。
 どこの病院が良いだろうか?一番近い所なら、やはりカエル顔の医者の所か?
「歩けば、いつか辿り着くか」
 そう言って、上条はスタジアムの外に出る。
 
 スタジアムの外には、輝の死体があった。
 
「……勝てなかったのか」
 それだけ言って、上条は大通りに向けて歩き始める。大丈夫だ。死体が1つ増えただけだ。病院に連絡する手間が増えたけれど、それぐらい上条が負担するべきだろう。
 10分ほど歩き、上条はようやく大通りに出た。
 
 燃え盛る炎がいくつもあった。
 
905 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 21:03:13.87 ID:7LsiYaeP0
「熱っ!」
 炎上しているのは車だ。
 交通事故が起こっているのだ。この大通りだけで何件も。
「……警察に、連絡しないと」
 もう一度、上条は携帯電話を取り出して警察に電話した。
 110番。
 通話がつながる。
「あの」
『―――――――――――――――――――』
 通話口からの返答がない。
 話しかけてこない。
「……………………」
 仕方がないから上条は電話を切って再び歩きだした。
 どいつもこいつも仕事をせずにさぼっていて、学園都市は大丈夫なのだろうか?
「…………………………」
 歩き続ける。
 車の中で見知らぬ誰かが死んでいた。
 歩き続ける。
 歩道にある椅子の上で誰かが寝転がっていた。
 歩き続ける。
 道端でカップルが抱き合ったまま動かずにいた。
 歩き続ける。
 青髪ピアスが家に寄り掛かっていた。
 歩き続ける。
 炎の中に誰かが立っていた。
 歩き続け、
「青髪ピアス……?」
 振り返った上条は来た道を戻って青髪ピアスに近づいた。
 
 近づいて、その瞳が何も映していないことに気が付いた。
 
「―――――――――――――――――――――――う」
 一歩、下がる。
 足が誰かの肉に当たる。
 下を見る。
 倒れ伏した吹寄と目が合った。
「うあああああぁぁぁぁぁぁぁッ――――――!!!」」
 もう、我慢できなかった。
 無茶苦茶に走り回る。
 滅茶苦茶に叫ぶ。
「あああああああああああああああああっ!!!!!くがあああああああああああああああ!!!!!ぎあああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
 両の目から流れ落ちる涙が視界を歪ませる。
 あらゆるところにある血液がびちゃびちゃと上条の足元で跳ねる。
 どうしようもない。
 もう、どうしようも、ない。
「何なんだよ、これ…………」
 全て、死んでいた。
「何なんだよ、これっ!?」
 死が、溢れていた。
「何なんだよ!これは!?」
 ここには死しか、なかった。
「誰か、誰かいないのかよ!!!」
 もう恥も外聞もなく上条は走り回った。ようやく、脳が現実を直視した。
 死んでいる。死んでいる。死んでいる。
「誰か!誰かァッ!誰でもいいから、返事してくれよ!!!」
 死んでいる。死んでいる。死んでいる。
「ふざけんなよ!どうしてこんなことになってるんだよ!!!俺が、俺……ああああああああああああっ!」
 死んでいる。死んでいる。死んでいる。
「なんで、……なんで……っ、インデックス……インデックスぅ……うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
 全てが終わって滅んでいる。
 視界を埋め尽くす赫と無数の死体だけが、上条が今ここにいる証明だった。
 膝をつく。
 何もかもが死に尽くした世界で、徐々に上条の正気が薄れていく。
 
 なにもわからない。
 なにもかんがえたくない。
 
 精神を犯し尽す絶望が上条の中から希望を消し去っていき、五感すら奪い去ってく。
 消える。消える。消え失せる。
 意識が、思考が、感情が、何も残らない。
 
 はずだったのに。
906 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 21:03:48.63 ID:7LsiYaeP0
ざっ、と上条の後ろで足音がした。
「ッ!?」
 その音を聞いた上条はまるで今にでも消えそうな蝋燭の明かりを必死に維持しようとするかのように振り向いた。
 生きている人がいる?
 誰かがまだ、生きている?
 そう思って、上条は振り向いて、
 
 白過ぎる腕に、首を掴まれた。
 
「あぎぃッ!?」
 絞まる。しまる。しまっていく。
 首が徐々に絞めつけられていき、呼吸が出来なくなっていく。
「だ……に……」
 誰が上条の首を絞めているのか分からない。
 何で上条が首を絞められなければならないのか分からない。
 だが、
 
「時間、掛けすぎだよ」
 
 全てが死に犯された世界に色を喪った呟きが響き、
 
 ――――――上条当麻の生命活動は、完全に停止した。
 
 
 



これで『とある暗部の御坂美琴』は完結となります!
3年モノ長い期間の連載となりましたが、今まで付き合ってくれた方には非常に感謝です。本当にありがとう!
後日にあとがきを投稿させてもらいますが、本編はこれで終わりです。

本当に、本当に、ありがとうございました!
















セーブデータをロードしますか?

はい←
いいえ
907 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 21:04:17.25 ID:7LsiYaeP0
1周目における第一部第二章は惨劇最悪バッドエンドで終了したため現段階においては取得ポイントを計上できません。

ご了承下さい。


とある暗部の御坂美琴(1周目) 総合評価

 第一部第一章 評価
 
 
 
 
 
 第1評価
 
 話数 111話……条件未達成。
 合計文字数 562569文字……条件未達成。
 平均文字数 5114文字……条件達成。
 UA 57781……条件達成。
 お気に入り 157件……条件達成。
 感想 104件……条件達成。
 総合評価 266pt……条件達成。
 平均評価 6.41……条件達成。
 調整平均 6.60……条件達成。
 
 
 
 第1評価値算出
 
  ―111―5625―114+5778+157×10+104×10+266×10+6.41×100+6.60×100=6499
 
 条件達成 7
 条件未達成 2
 
 二章開始時における難易度がハードになりました。
 
 条件達成と認定。
 
 取得ポイント 6499SP
 
 
 
 
 
 第2評価
 
 誤字指摘……54箇所。
 読者による設定不備指摘……8箇所。
 
 能力名が四文字では無いモノがあることに関する伏線……指摘済み。
 アレイスター=クロウリーによる絶対能力進化実験レベル6シフトの干渉に関する伏線……指摘済み。
 初まりの領域に関する伏線……指摘済み。
 全体個体『御坂美琴』に関する伏線……指摘済み。
 世界物語理論に関する伏線……指摘済み。
 裂ヶ淵瞑娥さくがぶちめいがによる位相斬りに関する伏線……指摘済み。
 千疋百目の地下下水道脱出行動に関する伏線……指摘済み。
 木葉桜十五夜の召喚した武装に関する伏線……指摘済み。
 『神』になった一方通行アクセラレータに関する伏線……指摘済み。
 もう1つの絶対能力進化実験レベル6シフトに関する伏線……指摘済み。
 千疋百目が地下下水道の崩落から白井黒子を助けた理由に関する伏線……指摘済み。
 伏線を『貼る』が誤字ではない理由に関する伏線……指摘済み。
 【】に関する伏線……指摘済み。
 初春飾利の所属に関する伏線……指摘済み。
 一方通行アクセラレータの魔神化を想定内とした存在に関する伏線……指摘済み。
 御坂美琴が一方通行アクセラレータを拷問した理由に関する伏線……指摘済み。
 アレイスター=クロウリーの進める『計画プラン』に関する伏線……指摘済み。
 『死』の定義に関する伏線……指摘済み。
 上条当麻が敗北したことに関する伏線……指摘済み。
 風紀委員本部セントラルジャッジメントに所属する人間に関する伏線……指摘済み。
 全体個体『御坂美琴』の思考矛盾に関する伏線……指摘済み。
 風紀委員本部セントラルジャッジメントという組織構造に関する伏線……指摘済み。
 見捨てられた女グレイレディの正体に関する伏線……指摘済み。
 ミサカネットワーク総体の気付きに関する伏線……指摘済み。
 風紀委員本部セントラルジャッジメントと滞空回線アンダーラインに関する伏線……指摘済み。
 原作では気づくことのできたぬいぐるみに関する伏線……指摘済み。
 上里翔流に関する伏線……指摘済み。
 アルフの発言に関する伏線……指摘済み。
 占卜卜占に関する伏線……指摘済み。
 アレイスター=クロウリーの上条達へのバックアップに関する伏線……指摘済み。
908 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 21:04:46.84 ID:7LsiYaeP0
第2評価値算出
 
 54×0.5+8×5+30×1=97
 
 『真実解明トゥルーエンド』ルートへルート分岐。
 
 ――――――世界物語キャラクターストーリー理論による正史認定を行いました。
 
 以下、第一部第一章は『真実解明トゥルーエンド』ルートで固定されます。
 
 条件達成と認定。
 
 取得ポイント 9700SP
 
 
 
 
 
 第3評価
 
 御坂美琴VS死縁鬼苦罠……勝者 死縁鬼苦罠
 御坂美琴VS一方通行アクセラレータ……勝者 全体個体『御坂美琴』
 木葉桜十五夜VS罪罰贖&波並波狂濤……勝者 木葉桜十五夜
 木葉桜十五夜VS矛盾矛盾&鳳仙花蝶々……勝者 木葉桜十五夜
 木葉桜十五夜VS一本線点々……勝者 一本線点々
 ミサカ10032号VS一方通行アクセラレータ……勝者 一方通行アクセラレータ
 白井黒子VS千疋百目……勝者 千疋百目
 白白白VSアレイスター=クロウリー……勝者 不明
 上条当麻VS扼ヶ淵埋娥……勝者 扼ヶ淵埋娥
 神亡島刹威VS浣熊四不象……勝者 浣熊四不象
 一方通行アクセラレータVS『空白の主』……勝者 『空白の主』
 常世涯最果VS木原脳幹……決着つかず
 木葉桜十五夜VS『空白の主』……決着つかず
 木葉桜十五夜VS『空白の主』VS木原脳幹……引き分け
 常世涯最果VS裂ヶ淵瞑娥……勝者 常世涯最果
 ミサカ19090号&ミサカネットワーク総体VS死縁鬼苦罠&天埜郭夜……勝負中
 アレイスタークロウリーVS白白白……勝負中
 佐天涙子……敗北者
 
 
 
 第3評価値算出
 
 ―1+0+0+0+0+0―1+0―1+0―1+0+0+0.5+0+0.5+0.5+1=−1.5
 
 侵略者インベーダーによる侵蝕が1段階進みました。
 
 条件未達成と認定。
 
 取得ポイント ―1500SP
 
 
 
 
 
 第一部第一章総合取得ポイント算出
 
 6499+9700−1500=14699
 
 合計取得ポイント 14699SP
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 上条当麻のステータスを表示します
 
 上条当麻……性別 男
      年齢 15歳
      特殊能力 幻想殺しイマジンブレイカー
      称号 主役級メインキャラクター、主人公ヒーロー、救済者ヒーロー(未覚醒状態)
      称号スキル 主人公補正(真)、なるようにならない最悪If nothing is bad、カリスマ(弱)
      固有スキル 前兆の感知(兆)、不幸、不撓不屈(弱)
 
 
909 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 21:05:44.85 ID:7LsiYaeP0
 買い物
 
 何を買いますか? 
 
 特殊文字(認識不可状態)の可視化(第一部第一章のみ)……100000SP
 イベント絵……各50000SP
 スキル……各10000SP
 記憶の引継ぎ……10000SP
 サブストーリー……各5000SP
 アイテムの引継ぎ……5000SP
 経験値の引継ぎ……1000SP
 友好度の引継ぎ……1000SP
 TIPS……各100SP
 
 
 イベント絵詳細
 
 頂にて君臨する風紀委員本部セントラルジャッジメント
 汝、人を捨てても護りたいモノがあるか?
  
 
 スキル詳細
 
 前兆の感知
 説得
 女たらし
 
 
 サブストーリー詳細
 
 御坂美琴初めてのお仕事
 たぶん最終章にならないと意味の分からない会話劇
 上里勢力結成譚 第一幕
 
 
 TIPS詳細
 
 オリジナル単語1つに付き100SP
 
 
 記憶の引継ぎ……10000SP ←
 
 記憶の引継ぎ……10000SP を買いますか?
  
 
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 いいえ
 
  
 使ったSPは二度と戻りません。それでも 記憶の引継ぎ……10000SP を買いますか?
  
 
 はい ←
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 記憶の引継ぎ……10000SP を買いました。1周目の記憶が2周目に引き継がれます。
 
 
 
 取得ポイントが4699SPに減少しました。
 
 
 
 他には何を買いますか?
 
 
 
 特殊文字(認識不可状態)の可視化……100000SP ←
 
 特殊文字(認識不可状態)の可視化……100000SP を買いますか?
  
 
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 特殊文字(認識不可状態)の可視化……100000SP を買うためにはSPが足りません。
 
  
 取得ポイントは4699SPのままです。
 
 
  他に何を買いますか?
910 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 21:06:44.58 ID:7LsiYaeP0
https://syosetu.org/novel/158074/74.html
74 / 74
私はいつも一人だった。
だから願った。愛されたいと。
私は多くの人から愛された。
だから思った。一人がいいと。
そして私は独りになった。
だから悟った。これが幸福だと。

――――――二九七


それでも僕は、明日が欲しかった
裏お茶会~1周目~

 崩れ落ちる上条ヒーローの身体を睥睨しながら、230万の死体で溢れる学園都市の中で僕は溜息をついた。
「わりと、期待してたんだけどね……」
 言葉にすることで僕は僕自身の考えを再認識する。
 そう、期待していた。本当に期待していたんだ。
 上条当麻なら、あるいはこの僕を上回ることが出来るかもしれない、と。
「いや、……矛盾だな」
 僕の世界の人類を護るためには、いずれ上条当麻は必ず[ピーーー]ことになる。それが早いか遅いかの違いだ。
「…………遅かったね、アレイスター」
「殺したのか」
「どのみち、間に合わなかったさ。彼はあまりにも遅すぎた」
 男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも見える『人間』、そう評されるアレイスターの方に視線を投げかけて、僕はこの全てが終わった世界を見通す。
 70億の、そして数百の死体しか存在しないこの世界でただ1人、僕だけは違うから。
 結局すべてが絵空事の虚言でしかないと知っているから。
「それを分かっていたからこそ、君も滅亡齎す七の子羊セプテム・アニュスの対策を発動させなかったんだろ」
「あの程度の術式に気付けないのならば、どのみちヤツは救済者ヒーローには相応しくないだろう」
「随分な言い様だ……。君の、君達の主人公ヒーローだろう?」
「違うな。私達の主人公ヒーローは彼ではない。上条当麻だ」
「厳しいね……。彼だって、僕がいる中頑張ってると思うけど」
「結果世界が滅んだが?」
「……………………もう少し、サポートしてあげれば良かったのに」
 フラグが立たなかったのは確かに上条の責任だが、たった1回で完全な救済を為せだなんて難易度が高すぎるだろう。今回は解決しなければならなかったことが多すぎる。瞬を倒して、蜜蟻をどうにかして、学究会防衛作戦を成功させ、咎負虐殺を止める。
 そんなの無理だ。
 僕だって、サポートなしで出来るとは思ってなかった。
「それは」
「呼ばれてないのにじゃんじゃじゃ〜〜〜ん!!!」
 空から純正の人類絶対悪が降ってきた。
「五行……。今結構重要な話してたんだけど」
「あぁ、あぁ、あ〜あ。まさかこんな結末になっちゃうなんてなぁ〜」
「聞けよ」
 いや、五行が人の話を聞かないのはいつものことなんだけど、今だけは邪魔しないでほしかった。アレイスターと一対一で、互いの本当の立場を曝け出して話せるのなんて、今ぐらいしかないだろうから。
「木原五行、全能存在パントクラトールか」
 ほら話が次に移った。
「……………はぁ」
 僕の隣に立つ少女を見て、アレイスターが言った。
 当然、調べられている、か。
「くきっ、くききッ!!!ま〜さっか!第六物語シックススストーリーの主人公ヒーローが死んじゃうなんて。フラグの立て方ミスっちゃった?」
「あぁ、ラスボスとの交戦フラグを立てないでサブイベントに入れ込んだんだ。馬鹿なことにね」
「くきっ!なら私のしたことの意味がなくなっちゃうな〜。せっかく、第七物語セブンスストーリーの主人公ヒーロー連れてきて物語交錯クロスオーバーさせてあげようと思ったのに」
 わざとらしい口調でアレイスターを挑発する五行を僕は止められない。権限自体は僕の方が上だし、立場も僕の方が上だけど、物語を進める役トリックスターの自発的な動きを止めることは僕には出来ないし、しようとも思わない。
 そういう称号キャラクター性の持ち主の行動はどのみち止められないモノだし。
「ふん、たかが全能如きが私と   の話を邪魔をするのか」
 だいたい、物語を進める役トリックスターは自由だからこそ意味があるんだ。
「くきぃ!たかがっ、たかがだってさリーダー!……このあてをたかがだなんて、さすがにムカつくかなあああああああああああああ!!!!!」
 だからほら、また勝手に手の内を晒す。
「超克科学オルディニスクレアーレ――――――完全無欠ウルトラ、十全十美スーパー、常勝不敗アンリミテッド、絶対究極パーフェクトガール、故に私は全知全能の絶対神イズミー!」
 超克科学オルディニスクレアーレ。覚醒ブルートソウルした極点突破者デスペラードのみが使う事の出来る世界物語キャラクターストーリー理論の最終到達地点。人類最終到達地点候補生たちの目指すべき場所。
 といっても今回五行が使ったのは見る限りただの即興術に過ぎないのだけれど、出来れば勝手に使わないでほしかったなぁ……。
「あれ?発動しない……?……うん?」
 まぁ、当然邪魔されるんだけど。
「全能の逆説オムニポテント・パラドックス。……まさか知らないわけではあるまい」
 二言だった。そして、その事実がアレイスター=クロウリーという魔術師にして科学者の強さを示しているんだ。
「……ぶ〜、つまんなぁ〜い」
 がっかりと肩を下げて、興がそがれたように超克科学オルディニスクレアーレの発動を止めた五行。まさか、全能の逆説オムニポテント・パラドックスを、全能者は全能であるが故に全能ではないという一学説を忘れたわけではないだろうに。
 いや、五行のことだから本当に忘れていたのかもしれないけど。
「殺しちゃう?殺っちゃう?ねぇリーダー!」
「落ち着けよ五行。いや頼むから落ち着いてくれ。だいたい彼を殺したところで」
 
 空から剣が降ってきた。
 
「死を晒せよ、侵略者インベーダー」
 そんな声と共に、全長数十キロメートルにもわたる長大な剣が五行の脳天に向かって振り下ろされる。誰が、どうやって?そんな疑問が浮かぶ……、
「痛い」
 だなんてことは当然なかった。
 当たり前のことだ。僕は知っている。僕は識しっている。その剣がどんなもので、その剣を操るのが誰なのかを。
「痛い痛い痛い!痛いよリーダー助けて!」
「はいはい。ちょっと待ってろ」
 剣が直撃してるのに傷一つついてないくせにそんな泣き言を言う五行に呆れながら僕は軽く剣に触れる。それだけで、剣は消え去る。
 干渉。
911 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 21:07:13.84 ID:7LsiYaeP0
無限に修正され続ける罪深き世界5Re:worldbreakerを使う僕からすればこの程度のことは当然だ。
「出てきなよ。いるんだろ?」
「無傷か」
 いつの間にかアレイスター=クロウリーの隣に立っている男を僕は知っている。
「右方のフィアンマ。あいつの下位互換程度が今更何の用?というか、この大絶滅リセットから生き残ってたんだ」
「……俺様も舐められたモノだ」
 僕のあからさまな挑発に、右方のフィアンマはあからさまに怒りを見せた。まぁ、下位互換と言われていい気になるような人間はいないだろう。
「あいつ、それって僕様のこと言ってるの、主あるじ?」
 そいつは右方のフィアンマと同じように突然現れた。
 これで3VS2。
「『神の代行人』GE13か」
「……下位互換程度が僕様に話しかけるなよ。ウザいんだよ代替品」
 GE13が右方のフィアンマを睨みつける。仕方がない事とはいえこの2人は相変わらず相性が悪い。といっても聖なる右を持つ右方のフィアンマが『神の代行人』であるGE13の劣化レプリカなのは周知の事実だ。そして自分の劣化レプリカ、クローンのようなモノが勝手に造られたというのは確かに気分の良いモノではないだろう。
「なんだ、還してほしいか?GE13オリジナル?」
 誰が見ても分かるくらい上から目線だった。
 その挑発には、当然GE13は耐えられない。
「――――――調子にっ」
「やめろ」
 だから僕は止めに入った。やれやれ、いくら『核』が固まっていないとはいえ、安易に行動するのはやめてほしいモノだ。
「あひゃひゃ!怒られてやんの〜!」
「……主」
 縋るように目を向ける13を、それでも僕は静止する。
「13、別に聖なる右を使われたところで君がオリジナルであるという事実は揺らがないさ。だから簡単な挑発に乗るなよ。……まだ、底を見せるな」
「了承したよ、主」
 底が知られても強さが変わらない先住民センチネルにとって強さを示すことは恐怖ではない。彼らの強さの限界点は1度知られている、だからこそその『上』にいけるんだ。底が暴かれれば弱くなる僕ら侵略者インベーダーとは違う。僕らは安易に力を晒せない。そうすれば、終わってしまうから。
「それにしても、本当に君達はこれで良かったのかい?」
「何がだ」
「大絶滅リセットで利するのは言うまでもなく侵略者インベーダーたる僕らだ。先住民センチネルたる君達からしたら、大絶滅リセットだけはどんな手段を使っても回避したかったんじゃないのかい?」
 少しの沈黙の後にアレイスター=クロウリーが口を開いた。
「ある意味ではそうかもしれない」
 肯定が返ってきた。
「だがある意味ではそうではないだろう」
 否定も返ってきた。
 そして後に続くように右方のフィアンマが言った。
「俺様達ももはや純粋な先住民センチネルとは言えまい。ならば妥協はするべきだ、というのが俺様達の出した結論だ。大絶滅リセット程度ならば、完全閉鎖アーカイブスルーや中断事象リアルが起きないのならば、やりようはいくらでもある」
「ふぅん……そう。だったらまぁ、初お披露目はこの程度でいいかな」
 そう言って僕は、諦めたように言う。そういうしかないから、言う。
「愛し子よMary、愛し子よMary、僕の愛するMy fair愛しき世界よMary Sue。
 その運命を改変しておくれCambiare il destino、
 その物語を書き換えておくれFare una storia。
 我が神のお望みとあらばWenn es meines Gottes Wille、
 我らが神のお望みとあらばWenn es unsere Gottes Wille、
 過去など無いに等しいのだDie Vergangenheit ist vorbei。
 すべての可能性を内包した書の中でO mundo onde há esperança e o desespero
 ただ一つの意志のみがEle destruiu何もかもを無に帰すのだo mundo」
 何度も言ってきた初めての詠唱を、僕は紡ぐ。
「絶対不変の絶対法則アンチェンジナブルラウ――――――無限に修正され続ける罪深き世界5Re:worldbreaker」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「さあ、やり直そうか」
 
「次は、失敗しないようにね」



一つ言っておこうか。

愛がないのならば、この物語の真実には辿り着けない。
912 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/03(木) 21:20:44.12 ID:e7d3eE5U0
まだやってんのか
バカが
913 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/03(木) 21:24:58.91 ID:OfeA4nq+o
糞作品の下手くそな文章載せんな
914 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/03(木) 21:29:34.97 ID:++pOyVoaO
禁書でやる必要あんのこのオリキャラ無双
915 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/03(木) 21:39:28.41 ID:z4fhXy1Jo
単純にキャラ作るセンス無いな
916 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 22:50:58.71 ID:7LsiYaeP0
世界は禁書
用語は型月
通り名は西尾
最強オリ主メタ視点設定の読者煽り


やばすぎる
917 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/03(木) 23:01:37.62 ID:v1TBDJVs0
このスレの住民への嫌がらせかな?
918 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/03(木) 23:17:36.35 ID:N8kY9/HwO
くろこ……
919 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:24:32.00 ID:7LsiYaeP0
でもなんでしょうかね、原作で中ボスが死んでしまうと上条当麻らしくないといいますか……。この作品は二次創作なので自由にできますけど、原作でボスが死ぬのは僕としてはあまりうれしくないかもしれません…………すいませんごめんなさい。

僧正を救えなかった時も上条当麻はすごい悔いてましたし、やっぱり誰かを殺して終わりというのは上条当麻らしくない、禁書らしくないという気がします……。あくまで私の意見ですが。

上里のことも、できれば完膚なきまでに救ってもらいたいと思います。

まぁ私はキャラが容赦なく死ぬ方が大好きなんでこの作品ではオリキャラでも原作キャラでもバカみたいな勢いで死にますけどね!!!

無意味に無価値に目的を達成できず絶望しながら慟哭しながら涙を流しながら死んでいくキャラが大好きです!!!!!

理不尽な殺し合いの中で裏切られて死ぬ人が好きです。
仲間だと思って信頼した人に後ろから刺されるのが好きです。
洗脳して恋人を殺させた後に正気に戻すのが好きです。
人質を盾にテロを行わせてその人質の死体を見せつけるのが好きです。

これからも精進して参りますのでどうかよろしくお願いいたします。
920 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/03(木) 23:28:24.25 ID:OqDJO7Lfo
作者なの?
作者が読者のふりして宣伝しに来たの?
921 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:29:12.49 ID:7LsiYaeP0
感想ありがとうございます!
返信遅れて申し訳ありません。
さて、まず最初に言っておきますがこれはあくまで私の持論です。prayer様が影響を受ける必要はありません。
その上で言いますが他作品のキャラとなんらかの能力を比べる、このことを私は非常に無駄なことだと考えます。
なぜなら根拠がないから。
prayer様は「未踏級が一方通行より強い」とおっしゃいますがそのような描写は私が知る限りありません(どこかに記載があるのならば申し訳ない。私の知識不足です)
公式クロスオーバー等で実力の上下が明確化されているのならばまだしも、そのような根拠なき話は少なくとも私は証明できません。
なので、申し訳ありませんが『空白の主』が未踏級よりも強いのか否かという問いに対しては『そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない』としか答えられません。
『空白の主』は禁書二次のオリキャラであって、ブラッドサイン二次のオリキャラでは無いのです。
望む答えではないかもしれませんが基本他作品とのキャラ比べはしないのが私のスタンスです。ご了承ください。
これからも精進して参りますのでどうかよろしくお願いいたします。



魔神が雑魚ってことはありませんのでご安心を。魔神に基礎スペックから勝てる存在は理外人外12名のみです。これは絶対に揺らがないので。
まぁ木原五行やパトリシア=バードウェイは|王の遺産《レガリア》を持っているので魔神に対抗は出来ますし、空白の主は絶対値で張り合う事は出来ますが。

白き女王は■■■■によって■■することは一応可能ですが、正直白き女王はこの|■■■《■■■■■■■■■■》では[ピーーー]ことが出来ます。なぜならば『穢れなき真実の剣持つ「白き」女王《iu・nu・fb・a・wuh・ei・kx・eu・pl・vjz》』は既に『|■■《■■■■■》』で――――――。
いえ、これは一応ネタバレになるので避けておきましょうか。
むしろ理外人外に対抗できるのは現状ならばアンナ=シュプンゲルが最有力候補ですかね。あるいはドラゴンキラー。あるいは東川守。あるいは俺。あるいは『ウミガメもどき』。あるいは『編み物のヒツジ』。
最も、本当の意味での最有力候補は『訪れた者の願いを歪んだ形で叶えてしまう街』から脱出した1人の少年と1人の少女ですが。

これからも精進して参りますのでどうかよろしくお願いいたします。
922 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/03(木) 23:31:28.38 ID:v1TBDJVs0
人様の黒歴史晒すのやめなよ
人間のクズか
923 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:32:55.89 ID:7LsiYaeP0
現在進行形で書いてるからセーフ
924 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/03(木) 23:36:54.10 ID:v1TBDJVs0
セーフじゃねえよ
邪魔だし不快だからやめろって言ってんの
925 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:37:47.84 ID:7LsiYaeP0
【あっしへの質問なんだからここは僕様が答えてしんぜよう!】

【まずありがとう。私の能力はみんな大好き『シュレディンガーの猫』だから、これで我の生存は確定された。現段階ではだがなぁ!】

【そこに疑いをもたれるのはしゃくだなぁ。よしっ、こうしよう!《red》トマス=プラチナバーグは168話の時点で既に死亡している《/red》。《red》トマス=プラチナバーグは木原五行が殺害した。《/red》《red》トマス=プラチナバーグと木原五行は別人である。《/red》】

【まぁ本来は青き鎖の中で赤き楔を使うのは『大原則』に違反するけど、ここは『枠』の『外』だし許容できるっしょ。】

【あたいは理外人外だよ。理外人外の1人。|全能存在《パントクラトール》だよ。ちなみに所属する組織は敵同士だけど同じ科学者だから無限輪廻の転生者とは仲いいんだよねぇ……】

【神?悪魔?俺らをそんな区分でわけちゃあいけないね。】

【私達はそれ以【 話 し 過 ぎ だ 】……窘められたのでもうさよなら〜】
926 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:42:38.96 ID:7LsiYaeP0
【僕らは既存の時間軸には縛られない存在だからその質問は全くの無意味だよ。その気になれば複数の時代に跨って存在する事すら可能だしね】
927 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:43:27.34 ID:7LsiYaeP0
【いっておくがそれは矛盾しない】

【絶対不変の絶対法則はもっと『上』の話だからね】
928 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:43:56.06 ID:7LsiYaeP0
【完全に第四の壁を越えた会話でしたねぇ...でも個人的には今のような全能の傍観者状態より舞台に立って物語を進めて欲しいです。理外人外の皆さんが神の視点から引き摺り下ろされる日を楽しみにしています。】



【その上から目線をやめろ塵屑】

【君のような存在がいるから、僕のような存在が生まれたんだ】

【反省しろ】

【反省しろ】

【反省しろ】

【後悔しろ】
929 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:45:16.04 ID:7LsiYaeP0
【甘い、温い、そして読み込みが足りない】

【そこの赤に対する答えは書いてあるはずだよ。よく読んでみてくれ】

【世界は1つだけじゃないのだから】
930 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:48:55.16 ID:7LsiYaeP0
学園都市統括理事会B 絶対的な敗北

 いつからそこにいたのか。
 いつから会話に参加していたのか。
 いったいいつから。
「ご、ぎょう……?」
 呆然と、誰かが口にするその言葉。
 この場にはいないはずの、たった今話題にしていた、人類絶対悪ビースト位階総序列第三位の名前。
「木原、……五行?」
「そう!あたしの名前は木原五行!人類絶対悪ビースト位階総序列第三位にして全能存在パントクラトールの二つ名を持つ禁忌の木原!木原一族の中の木原一族!」
「……冗談だーろ」
 アンドレイが呟く。それは木原五行を除いたこの場の全員が思っていることだった。
 気付かなかった。
 誰も、誰一人として気づかなかった。
「……トマスはどこだ?」
 苦罠がそういった。
「その席には、トマス=プラチナバーグが座っていたはずだ!」
 はっ、と複数人が顔を上げた。そう、苦罠の言う通りだ。今五行が座っている席には統括理事会メンバーの1人であるトマス=プラチナバーグが座っていたはずだ。それは会議を始める前に全員が確認している。
 潮岸は目線だけで周囲を見渡した。
 いない。いない。いない。上下左右前のどこにもトマスはいない。そして自分の後ろにもトマスがいないのは他のメンバーの視線で分かる。ならばどこに、トマスはいったいどこにいった?
「ん〜?あれ〜、どこにいっちゃんたんだろうね〜?」
「お、まえ」
 誰かの心拍数が早くなる。
 誰かの頬に汗がつたう。
 誰かの喉がカラカラに乾く。
 そんな中で、苦罠が怒鳴った。
「トマス=プラチナバーグをどうしたんだッ!?」
「分かってるくせに」
 泰然自若に五行は答えた。たったそれだけの言葉でトマスの末路が想像できる。
「殺したのですか」
 それを実際に口に出したのは親船だった。もっとも端的に想像できる末路。死という名の結末。だが、仮にそんな末路を辿ったのだとすれば違和感がある。
 それは、
「死体はどこにいったのか、分かる人いるかな〜?」
「余裕じゃねぇか、随分と」
 五行を睨みつけながらアランはそういった。立場が分かっていないわけではない。五行が上で統括理事会が下。既に格付けは成されている。
 だから覆す。
 統括理事会を舐めるなと、アランは五行を挑発する。
「ここがどこだか分かってんのか?禁忌の木原だか人類絶対悪ビーストだか知らねぇが、俺達の前に姿を現して五体満足で帰れるとでも思ってんのか?」
「くららららら!!!強がり言っちゃって、か〜わいいっ!」
 身体を艶めかし気にくねらせながら、五行はあくまでも上から目線で告げた。主導権争いをするつもりは五行にはない。そんなことをしなくても、誰も五行には勝てないと知っているから。
「それとも注目を自分1人に集めさせて、その間に他のメンバーに何か準備をさせるつもりかな?くすくす、でも不思議にさぁ、思わない?はたしてうちはどうやってこの『蠍の間』にきたのだろうかや?」
 牽制……、いや五行からすれば牽制ですらない言葉に、裏で準備を進めていた幾人かの動きが止まる。当然、いくら統括理事会メンバーだけの会議とはいえ完全に無防備な状態で来ている人間などいない。親船でさえ最低限の防備をしている。潮岸は駆動鎧パワードスーツ『シェルター』を周囲同化服カメレオンスーツで隠した状態で着ているし、薬味は予あらかじめ己の身体に薬物投与を行って身体能力をあげているし、アランは己のブレインである雪谷宗風からお墨付きをいただいている。
 武器はある。
 動けるのだ。
 人ひとりくらいなら、殺せる。
 ただ、
「おかしくないでしょうか?この『蠍の間』はランダムに地下空間を移動するいわば動く密室。会議が始まったら出入口は完全に閉鎖され、外部からの親友も内部からの脱出も不可能になるのに……。あてはいったいぜんたいどうやって『蠍の間』に来たんだよ!?分かる人は手をあ〜げ〜て〜!今なら五行ポイントを100ポイント分あげますよ!」
 楽しそうに、心底楽しそうにどうでもいいことを話す五行。
 五行がどうやって『蠍の間』に来たのか?なぜトマスが消えたことに誰も気づかなかったのか?トマスの死体はどこにいったのか?確かに気になる。気になるが、それらの優先度は低い。はっきりいってこの場においてそれらの問題はどうでもいい。
 今はそんなことよりも、五行にどう対するかという事を議論するべきだ。
(隙だからけだ)
 潮岸は思う。潮岸は別に一流の戦士などではない。けれど分かる。偽装でも何でもなく五行は明らかに隙だらけ。その隙は潮岸ならばつける。駆動鎧パワードスーツ『シェルター』を纏っている潮岸ならば、いける。
 本当にそうか?
(くそ……)
 苦罠は思う。こういう事態も完全に想定していなかったわけではない。忠告はもらっていた。郭夜はこういう事態も想定していた。だから、武器はある。だから、生き残れるはずだ。
 本当にそうか?
(どうしようかな)
 奈波は思う。木原五行。人類絶対悪ビースト位階総序列第三位。その脅威は学園都市に来る前から知っている。人口衛星USA-224墜落事件、パリ全インフラ停止事件、他にも多数の大犯罪を犯した人間。そんな彼女が今、手が届くほどに近い距離にいる。どうするべきだ。いくべきか?出来るのか?世界に対する、人類に対する、日本に対する脅威を今、取り除けるのか?
 本当にそうか?
「あれ?今笑う所さかいな」
「そうだな……。空間移動テレポート系統……、それも座標指定タイプではなく目印アンカーを設置して移動するタイプ、か?」
 言いながら、苦罠は目配せした。統括理事会。学園都市の最上層部にして最暗部。混沌とした悪意の渦巻く屑の巣窟。他人を出し抜き蹴落とすことしか考えていない屑共。
 普段は敵同士。どうしようもなく相いれない。
「惜しい!でも外」
 けれどだからこそ分かる。
 だからこそ、彼らはある意味で通じ合えている。
 最初に動いたのは薬味だった。
「っ!」
 薬物による身体強化を施している薬味は100メートル走の世界記録をはるかに超える速度で五行との距離を詰める。瞬きをする瞬間には、とまではいかないが、しかし一般人では到底反応できないような速度。
 テーブルの上に乗りあげ、最短距離で五行のもとまでいく。
 そんな速さじゃ遅すぎる。
931 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:49:50.43 ID:7LsiYaeP0
「短慮過ぎない?」
 とん、と。
 軽くステップを踏んで、本当にほんの少しだけ身体をずらして、五行は薬味の攻撃から逃れた。薬味と五行の距離は今や10センチメートルほどしかない。近すぎる。近すぎるが故に、薬味は五行に攻撃できない。殴るにしても蹴るにしてもある程度の距離は必要なのだ。密着状態では攻撃などできない。
 そして五行の位置取りは完璧だった。
(射線が、っ)
 亡本も当然動いていた。懐に偲ばせていた半自動組み立て式拳銃を五行に向かって発射しようとしていた。そして実際に発射しただろう。
 薬味の身体が五行を庇うような位置に無ければ、だが。
「ちっ!」
「おおお!!!」
 薬味の動きにスリーテンポほど遅れてからアランと潮岸が動き始めた。
 ……語るまでもない事ではあるが、ここにいる統括理事会メンバーは全員戦う人間ではない。彼ら彼女らは策を練り、指示を出し、上に立つ人間であり、現場で動く人間ではない。
 だから言うまでもなく弱い。連係も下手で、数の利を全くいかせていない。
 駆動鎧パワードスーツ『シェルター』を着ている潮岸。
 雪谷宗風からお墨付きを頂いているアラン・スミシー。
 しかしそれでも普通、普通ならば、いかに戦士でないと言えども人一人に勝てないわけがないのだ。
 相手が普通の人間であれば、どれだけよかったか。
「な」
「あ?」
 何をされたのかもわからなかった。
 気が付いた時には2人とも無傷のまま地に這い蹲つくばっていた。
(……た、……てねぇ、だと?)
 身体に異常は感じられない。精神操作系能力を使われた形跡もない。外傷はなく、内傷もない。重力の異常も感じられない。拘束されている感覚もない。
 にも関わらず全く動けない。
「這い蹲ってろよ雑魚」
 嘲り。
 それは普段、アランが他者に向けている声色。
 だから屈辱だ。
 これが人類絶対悪ビースト。
 だが、
「…………」
 だが、
(そんなことは分かっている)
 そもそもだ、と潮岸は思う。
 そもそも、今潮岸が生きている事自体がおかしいのだ。いや、それを言えばもっと前、五行がわざわざ姿を現したことがおかしい。
 [ピーーー]つもりなら殺せたはずだ。いくらでもできたはずだ。だがそれをしなかった。
 つまり五行は潮岸たちを[ピーーー]つもりはない……はずだ。
 あくまでこの考えは潮岸の推論。だが当たっているだろうと潮岸は考える。でなければとっくに逃げている。最も、逃げられる可能性は0に等しいだろうが。
 だからこれはあくまでパフォーマンス。
「そしてさようなら」
 瞬きする暇もなかった。
 衝撃すら感じなかった。
 なのに、いつの間にか吹き飛ばされていた。
「っ!?」
 更なる攻撃を行おうとしていた薬味は自分の身体がいきなり宙を滑空していることに驚愕した。 
(待っ)
 予備動作どころか攻撃後の余韻すら完全に存在しなかった。それが示すところはつまり、木原五行は薬味に対して何もしていないという事、か?
 いや、いや、いや。
 だったらなぜ薬味は吹き飛ばされた?
932 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:50:38.27 ID:7LsiYaeP0
誰が薬味を吹き飛ばした?
「っ」
 何も分からないまま、薬味は吹き飛ばされた勢いで壁に叩きつけられ、
(……………………は?)
 ダメージが無かった。
 確かに薬味は壁にものすごい勢いでぶつかった。壁がスポンジのように衝撃を吸収したわけではない。もちろん薬味側に何らかの保護が生じたわけでもない。勢いを緩めることは愚か、受け身をとろうとすることさえできなかった。
 にも拘らず、薬味の身体には一切の外傷が存在しなかった。ちょっとした擦り傷すらも。
 そして射線が開いた。
「――――――」
 一段と大きい音が響いて、亡本の持っている拳銃から銃弾が放たれる。その弾丸は一瞬で五行のもとに辿り着き、五行の頭を貫い、
 いいや、
「残念!」
「なぁ!?」
 あり得ないことに超音速の銃弾を五行は噛んで止めた。そして口の中から弾丸を吐き出して五行は右手でそれをつまんだ。
「べっ〜、まじゅいのぉ……。きゃぴ♡銃弾なんて効くわけないのに、そんなことも分からないの?せっかくだし、返すよ」
 指で弾いた。
「ごっ、ぶ」
 まず感じたのは痛みではなく熱さだった。熱い、熱い、熱い。燃える様な灼熱の痛みが亡本の脇腹を襲っていた。
 信じられないような思いで亡本は視線を下げる。
 血濡れていた。貫かれていた。
 何に?
「指弾。まぁこれくらいわねぇ?」
 言葉の通りだったのだ。亡本が放った銃弾を噛んで受け止めた五行は、今度はそれを指で弾いて亡本に返した。そしてその返された弾丸は見事に亡本の脇腹を貫いた。
 久しぶりに感じた痛み。強く感じる命の危機。しかし、と亡本は薄く笑う。
 これでいい。これがいい。
 潮岸も亡本も薬味もアランだって分かっていた。敵わないことくらい知っていた。亡本たちは戦闘においては素人未満だ。そんな亡本達が禁忌の木原に勝てるわけがない。
 だから、敗北したのは全然かまわない。オーケーだ。
(思った未満に、上手くいったわね……。だから上手くやってくれないと困っちゃう)
 壁に寄り掛かったまま薬味は動かないでいた4人に意識を向けた。薬味にダメージはない。立ちあがろうとすれば立ち上がれる。でもそれはしない。あたかも酷いダメージを負って立ち上がれないような演技をしつつ、薬味は事態の推移を見守る。
「………………化物が」
「………………………」
「…………じょうだん」
「…………やはり、か」
 残ったのは4人だけだった。
 統括理事会の中でもアレイスターに次ぐ権力を持っている諦めてしまった賢人、死縁鬼苦罠。
 かつては交渉術の達人であったが娘を危険にさらしてしまったことで一線を引いた勇気無き善人、親船最中。
 九家が一家、奈落家より学園都市と日本の仲介役としてやってきた日本の守り手、奈落奈波。
 中途半端な善性を持つが故に常に苦悩する老人、貝積継敏。
「来 な い の ?」
「無駄な戦いは、しない主義なんだ」
 全てを諦めたように苦罠は言った。
 勝てない。勝てるわけがない。こうなることは相対した時点で分かっていた。だから秘密裏に作戦を練ろうとしていたのに。
「我々を[ピーーー]つもりならばとっくにそうしているでしょう?何が、目的なのですか?」
「何が目的?何が目的?目的は同窓会だ」
「同窓会?」
「うん、あのね、ごぎょうね、ひさしぶりね、みんなにあいたいなって」
「……みんな?みんなって、まさか……」
「はぁ!皆つったら造られた子供たちプログラムチルドレンの皆に決まってんだろうが!!!アァ!?」
「ならばなぜここに来たのだね。ここには、その皆はいないぞ」
「……そんなことは分かってますよ。…………………でも13サーティーンは相変わらずどこにいるか分からないし、白は私の事嫌ってるし、だから郭夜に接触しようと思ったんですけど、電脳生命体αアルファにハッキングさせてメッセージ送ろうとしたらあやつまさかの物理的回線切断したし、だから輝夜姫の上司経由で同窓会の案内状を送ってもらおうかなって」
「つまりわざわざ『蠍の間』に来たのは、私に会いに来たかったからだと?」
「そうじゃよ」
「ならばどうしてトマスを殺したのですか?いえ、そもそも彼に会いに来ただけというならこの場でなくてもよかったはずでは」
「なるはやだよ。なるは」
 
 とん、と、
 
 木原五行の首が、落ちた。



何で統括理事会メンバーがそろいもそろって戦ってるんですかねぇ……?
お前ら戦闘能力ほとんどない設定のはずだろう?

じゃあ殺しちゃう?
統括理事会メンバーはあたしが全員ころしちゃいました!なんてね☆
さて質問なんだよ!
私、生きてると思う?
933 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:52:38.50 ID:7LsiYaeP0
学園都市統括理事会➃ 不死の研究

 木原五行の首が胴から分離した。
「………………………………」
 沈黙。
 それが起きたということは8人全員が把握した。木原五行の首が胴から分離した。誰かが何かをした結果としてそれは起きた。ただ、ただその程度で安心できるのかといえばそれは偽だ。
「ころせた、の?」
「――――――――――――」
 奈落の呟きには誰も答えられなかった。
 それは何も奈落に意地悪をしているという訳ではなく、分からなかったからだ。
 誰も、木原五行の死に確信が持てなかった。
「首を落とした程度で死ぬとは、到底思えませんが」
「同感だな。あの木原五行が、この程度で死ぬとは思えない」
 数十秒が過ぎ、やっと口を開いたのは親船と苦罠だ。4年前の獄天の扉ヘヴンズフィール事件――第一次人類絶対悪ビースト侵攻事件の生き残りである2人は当然人類絶対悪ビーストの脅威を知っている。人類絶対悪ビーストは残虐で、残酷で、残忍で、残刻な……そして何よりも厄介なのだ。
「だがよ、確かに首は落ちてるし血はでてるぜ?これで死んでないっていうのはおかしくねぇか?」
「油断するな、アラン。新人のお前は知らないだろうが、人類絶対悪ビーストが、あの木原五行がこの程度で死ぬとは私には思えない。何度でも言うけど、な」
「人類絶対悪ビースト、ねぇ」
「……ぐっ、流石に、そろそろ意識が朦朧としてきたなぁ」
 亡本がそうぼやく。8人の中で一番重傷なのが亡本だった。薬味は壁に叩きつけられただけでノーダメージ。アランと潮岸は謎の力に押さえつけられてはいたがノーダメージ。対して亡本は五行から指弾による攻撃を受け、脇腹を弾丸が貫通してしまっている。数分後には死ぬ、などという出血量ではないが、しかし早めに処置をしなければ命が危ないことは間違いないだろう。
「……薬味クン、君なら軽く処置が出来るのではないかな」
「んー、いくら私が医療関係に太いパイプをもってるっていっても、私自身は別に医者でも何でもないんだけど」
「だが簡易的な治療くらいは出来るだろう?」
「んー」
 薬味は亡本の治療にそこまでの積極性と緊急性を感じなかった。別に亡本が死んでも構わないのだ。統括理事会メンバーが減れば、その分だけ利権が増える。だから亡本は死んでも構わない。いや、むしろ死んだ方がいい。
 その消極性を感じ取った亡本は、だから提案する。
「貸し1、ということでどうだね?」
「……一応伏せてたんだけど」
 そう言って、薬味は亡本に近づいた。
 亡本の生存と死亡。貸し1と増える利権。それらを天秤に乗せれば、わずかに亡本を生かす方に傾く。
「……問題は山積みだな」
「後2つに関してはどうしますか?」
「……超能力者予備集団セブンバックアップが人類絶対悪ビーストを確実に殺せるのならば、その議論は必要がなくなるのだがな」
「無理だろ。あいつらは所詮、超能力者レベル5の成り損ないだ。切り捨てられた枝ですらねぇ」
「……恋査を動かすーかな?」
「それは」
 別に油断していたわけではない。特に第一次人類絶対悪ビースト侵攻事件の生き残りである6人は、苦罠と親船と貝積と潮岸と亡本と薬味の6人はきちんと警戒していた。
 木原五行の死。胴から首が分離した木原五行。首の落ちた木原五行。けれど、本当に木原五行が死んだのかはまだ判断がつかない。
 影武者だったのかもしれない。偽物だったのかもしれない。幻覚なのかもしれない。ホログラムを使っているかもしれない。他にも、他にも、他にも。様々な可能性が考えられた。
 だから、ちゃんと疑っていた。木原五行はまだ死んでいない――その可能性を、きちんと考慮していた。
 会話を続けながらも、警戒はしていた。
 けれど、しかし、それでも、だ。
 一瞬だった。
 確かに全員が目を離した。
 重傷を負った亡本に視線が注目した。
 
 こ・の・瞬・間・確・か・に・、木・原・五・行・を・観・測・し・た・人・間・は・1・人・も・い・な・か・っ・た・。
 
 故に、だった。
 
「んん〜、エキサイティング」
「「「「「「「「ッッッッッ!!!???」」」」」」」」
 木原五行は生き返えった。
 木原五行の生が観測されたから。
 木原五行の死が観測されなくなったから。
「流石の私も初体験だったなぁ。でもっ!理論は証明された。これで妾はまた1つ、近づいたってわけよ」
 それはまさしく悪夢であった。
「あの程度で、」
 最初に呟いたのはやはりというべきか、苦罠だった。
 予感はあった。予想は出来た。人類絶対悪ビースト。世界に対する、人類という種に対する脅威。
 4年前はもっとひどかった。
 あの時に比べたら、今回はまだましだ。
「あの程度で殺したとはもとより思っていなかったが、どんな手品だ?禁忌の木原、木原五行」
「あれ?あれあれ?あれあれあれ?」
 不思議そうに、本当に不思議そうに、まるで理解できない言葉を聞いたかのように、五行は思い切り首を傾げた。
 そして傾げた首をそのままに、統括理事会のメンバー8人を煽る。
「あれれ〜、みなさん、この私が何の研究をしているのか御存じない?」
「木原五行の、研究?」
「――――――まさか」
 最初に気付いたのはやはりというべきか、貝積だった。
934 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:53:33.89 ID:7LsiYaeP0
最初に気付いたのはやはりというべきか、貝積だった。
 この場にいる統括理事会メンバー8人は、全員が全員大なり小なり木原一族と関わったことがある。しかしそれは結局の所浅い関わりだ。木原一族は学園都市統括理事会でも持て余すほどの闇。内に入れて飼おうとすれば蝕まれ破滅する。外から操ろうとしてもいつの間にか予想外の動きをされて破滅する。
 賢明な人間であれば木原一族とは積極的にかかわらない。利口な人間であれば木原一族を利用しようなどとは思わない。
 距離感が大事なのだ。
「まさか!?」
 踏み込んだ距離感で木原一族と接触しているのは、統括理事会メンバーでもわずかに3人。
 奈落奈波は日本という国を守護する立場であるが故に、科学そのものを体現した木原一族とそれなり以上の関わりを持つ必要があった。
 今この場にいない潔癖症の彼女は、世界の全てを手に入れるための前準備を行うために、木原一族と関わりを持つ必要があった。
 そして貝積継敏は能力開発分野に強い影響力を持つが故に、必然木原一族と関わることも多かった。
「馬鹿な、完成したとでも言うのか!?」
「ふっ、ふーん♪」
 貝積の気付きに連鎖するように、複数人も気づく。
 そして彼らが気付いたことに気付いた五行は、自慢げに、いや実際に自慢するために両手を大きく広げながら語る。
「不逃死痛カルタグラは失敗作だったけどさ。くうううううううううっ、完成したのさ!ついに!」
 自慢げに、
「長かった……、本当に長かった……。何度も挫けそうになった。時に心が折れそうになった。しかし!努力は実るのだ!それを信じてあたしは頑張った」
 誇るように、
「不死の研究、……この研究を完成させるために10年以上もかかってしまったのだよ。俺としたことが、時間を掛けすぎだ。全く、自分の無能ぶりが嫌になるね」
 笑いながら、
「でも完成した。だが創り上げた。完全なる不死。人類の夢の1つ。あひ、ふひゃ、ぎへへへへへ!!!!!」
 禁忌と呼ばれた木原は、
「本当にさぁ、頑張ったってわけよ。、色々色々研究して創り上げて。『イヴの心臓』も、『電脳生命体α』も『天への階段』も、『ドゥームズデイ』も、『キヤマー・ザナドゥ』も!ステップを重ねて、少しずる進み、…………僕は、至った」
 全能であるはずの少女は、
「これが、完成品」
 掲げる。
「これが、木原五行の集大成」
 右手を上げる。
「これがっ、人類が求めてやまなかった、夢」
 示すように、
「これこそがっ!完全なる不死を齎すっ、神域すら超えた逸品!!!!!」
 天に反逆するかのうように、
「王の遺産レガリアが一つッ、『彼岸の妙薬』トキジクノカク!」
 言った。
「『彼岸の妙薬』……」
「……トキジクノカク、ね」
 信じられない言葉を聞いたかのように、潮岸と薬味が呟いた。
 古代より完全なる不死というのは人が求めていた夢だ。それを求めた人間は数多く存在し、それをテーマにした物語も数多くある。
 始皇帝は不死を求めて水銀を飲んだ。
 かぐや姫は帝に不死の薬を渡した。
 他にも他にも他にも、その手の話は多々ある。
「確か、トキジクノカクは田道間守が常世国で手に入れた木の実だったね。食べれば不老不死となれるというトキジクノカクを求めて垂仁天皇は田道間守を常世国に遣わせたが、田道間守が垂仁天皇のもとに帰還した時には既に垂仁天皇は崩御していた。あれはそんな話だったか」
 亡本がトキジクノカクについて語る。トキジクノカクは古事記に記載されている話の中に出て来る木の実だ。科学で満ちた街で神話を語るのは滑稽でもあるが、学園都市の食糧事情の一切を管理している亡本は常に自身の食するモノについても気を使っている。その過程で、神話の食べ物の話の知識も得ている。
 そもそもネクターの元ネタだってギリシャ神話に登場する神々の飲み物、ネクタルなのだから。
「だから死ななかったとでも言うのかよ。それを飲んだから、死ななかったって?」
 這い蹲った姿勢から立ち上がったアランが五行を睨みつけながら言う。アランは4年前の人類絶対悪ビーストとの戦いを知らないが、人類絶対悪ビーストの異常さはもう十分わかっていた。
 木原五行はヤバい。
 ヤバすぎる。
 何よりヤバいのは五行のここまでの行動は、そのほとんど全てがダミーであろうということだ。
「くひ」
 こたえる様に、五行が話す。
935 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:54:14.13 ID:7LsiYaeP0
「皆はシュレディンガーの猫を知っているかな?」
「当然知っていーるさ。学園都市の超能力開発の基礎中の基礎ーだ」
「シュレディンガー氏曰く、箱の中の猫の状態が観測するまで決まっていないなんてありえないらしい。トキジクノカクを飲んだ人間は箱の中の猫になるんだって」
「…………どういうことだ?」
「個々のクオリアは個々によって違う。物体が存在するということは個人がその物体を認識しているということだ。例えば人物Aが金庫の中に金塊を入れて扉を閉めた。この瞬間人物Aに金塊を観測することは不可能になった。観測が不可能になったということは存在が確認できないということ。つまり金庫の中に金塊が存在するかどうかはその時点で不確かになったのだよ。不確か、つまりは金庫の中に金塊が存在しているのかしていないのかは分からなくなった。量子論で言う所の重ね合わせの状態っすね。金庫の中に金塊が『在る』状態と金庫の中に金塊が『無い』状態が同時に存在しているって話だっけ。コペンハーゲン解釈。エヴェレットの多世界解釈。量子論には様々な考え方があるけど、重ね合わせっていうのはやっぱ基礎だよね。そして私の出した結論はそれに観測者効果を加えた感じかなー。やっぱ見られているっていうのが量子論に与える影響は大きいんだよ。まぁ何が言いたいかっていうと、観測されなければそこには何もないって話。物体があるかないかっていうのは結局の所個人の主観の問題なのさ。意識を構成しているのが客観じゃなくて主観なんだから当然なんだろうけど、物体αがそこに在るっていうのを人物Aが確認したとしても人物Bがそれを確認できなかったとしたらそこに物体αがあるのかどうかは発言をきくだけの人物Cからしたら不確かになるだろう?僕の造った王の遺産レガリア、『彼岸の妙薬』トキジクノカクはそれを利用しているんだ。僕の存在を世界という名の、宇宙という名の客観――俺はこれを『絶対神の視点YHVH』と呼んでいるわけだが、その客観から外す。そもそも人間という生命体は個人でその存在を維持するのは無理なんだ。誰しもが必ず、そこにいるためには自分以外の要素が必要になる。その最たるものが『絶対神の視点YHVH』だけど、もう一回いうけど童のトキジクノカクはその視点を外す。脱出するっていってもいいかな。『絶対神の視点YHVH』から脱出して、自己の存在証明理論をもっと小さい主観の中に置く。要するに自己の存在証明理論を他人の意識の中に置くわけよ。ただこれが絶妙に難しくてね。他人がそこにいる、他人の意識がそこに在るっていうのを確認するためにどう考えても自己の存在が必要だ。だけど自己の存在を他人の証明に使えば自己の存在が第一前提条件として確立されてしまう。それは違う訳よ。結局の所それじゃ『絶対神の視点YHVH』からは脱出できていない。他人の意識に自己の存在証明理論を置くためには自己の存在が第一前提条件になるっていう矛盾。これを解決するために4年もかかったってわけ。まぁ別にね?不老不死を実現させるためだけなら方法なんていくらでもあるんだよ?もうなくなったけど、人形村とかまさにその極致だったし。後はあれ、700年くらい前にはアンブロシアとかもあてらしいじゃん?でもやっぱりそれは完全な不死じゃ、ない。不死性が高くなるってだけ。それに死にたいときに[ピーーー]ないとか自由度低すぎ。だからこそ、私はトキジクノカクを造った。他者の主観の中に自己の存在証明理論を置くことで完全なる不老不死を実現する、トキジクノカクを」



『彼岸の妙薬』トキジクノカク。効果のほどがわかりにくいと思いますが、不老不死の薬だってことを理解していれば問題ありません。

今月中にもう一回は更新します。
936 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:55:46.25 ID:7LsiYaeP0
https://syosetu.org/novel/56774/172.html
本作の中で一番闇の深いキャラクターが木原五行になります。


白白白と木原五行@ 敵側にいる理解者

 学園都市第一学区風紀委員本部セントラルジャッジメント第六十階『天秤の間』にて風紀委員本部セントラルジャッジメント委員長の座に座る白白白は誰にともなく語る。
「僕は君が羨ましい」
 『天秤の間』には白1人しか存在していない。だから白の話を聞く人間は誰も居ない。滞空回線アンダーラインすらも入ることの出来ない風紀委員本部セントラルジャッジメント内部を盗聴することなど不可能だし、あらゆる意味で隔絶している『天秤の間』内部を観測することなど不可能だ。
 が、
「君は自由だ。君は何にも縛られない風のような存在だ。君に制限はないし、君は『枠』に捕らわれない。……僕はそれが、たまらなく羨ましいよ」
 例外はある。
 そも、何にだって例外は存在するモノだ。
 僕自身が限りなく例外な存在だから、それは分かってる。
「醜いなぁ。やだやだ、それって嫉妬?我が同類?」
 王の遺産レガリアが1つ、『彼岸の妙薬』トキジクノカクを服用した五行はその存在が不確かだ。どこにでもいるし、どこにもいない。観測されなければ存在は固定化されず、しかし観測されない状態では本当にどこにでも存在できる。
 それは外部とは隔絶した空間。絶対のセキュリティを誇る夢の中。人間では辿り着くことの出来ない別位相。誰かの夢の中に、人の意識の中。
 あるいは『天秤の間』にさえも、五行は現れることが出来る。
 観測さえされなければ、だが。
「何しに来た、五行?」
「挨拶にね、白」
 親し気に、まるで親友のように近しい声で、2人は名前を呼び合った。
 2人の過去は、2人の関係は、その距離感を許す。
「それとも人間操者パペットマスターって呼んだ方がいいかい?」
「全能存在パントクラトール……、昔を思い出すな……。あの頃は、良かった。……『箱庭』には不自由な自由があった。僕らは、集められた13人の天才達は、あの『箱庭』でだけは普通になれた」
「それはただの八つ当たりかよ?それとも感傷か?」
「さて、どうかな。それにしてもふざけた引用だね。わざわざ言い直すところが特に。……F/sのHFか。あれ、僕は大嫌いだよ」
「そうやって何でもかんでもはぐらかすの、細かいところまで気にするの、あなたの悪い癖よ。ちなみにこれは林の主人公の口癖だよ。分かった?」
「…………イライラするな。いったいいつの間に他人の言葉を引用しなきゃ話せない人形になった?五行」
「いひひ、そう怒らないでよ。冗談だってばよ」
「君は忍者じゃなくて科学者だろう?」
「あひゃひゃ、きっびしいなぁ、ほんとうに」
 『箱庭』。
 『箱庭』というのはあくまで略称であって正確な名前は別にあるが、10年前から6年前までの約5年間、五行と白の2人を含めた13人のモンスターチャイルドはそこで暮らしていた。『アガルタの惨劇』と呼ばれる事件によって『箱庭』の全てが崩壊するまで、彼ら彼女らは『箱庭』で暮らしていた。
 彼ら。
 彼女ら。
「やっぱり懐かしいんだ?忘れられないんだ?懐古厨の思い出補正だねぇ。どうせ何もかも嘘なのに」
「……対等な繋がりなんて、僕らのような天才には貴重過ぎるモノだよ。だからこそ『箱庭』は奇蹟で、『アガルタの惨劇』のことは後悔してもしきれない。いくら刺激が欲しかったとはいえね」
「あれ?アレイスター相手じゃ足りないんすか?」
「別にそうはいってないさ。……アレイスターは僕らと同じ格だ。油断なんてできるはずがないだろう?同じ理外人外なんだから」
「でも全然満足しちゃいない」
「………………………」
「郭夜のこと、まだ好き?」
「好きだよ?君のこともね」
 『アガルタの惨劇』を生き残ったモンスターチャイルドは5人。彼ら彼女世らは今、造られた子供たちプログラムチルドレンと呼ばれている。
 人類絶対悪ビースト位階総序列第3位、禁忌の木原、全能存在パントクラトール、木原五行。
 風紀委員本部セントラルジャッジメント委員長、学園都市の支配者の1人、人間操者パペットマスター、白白白。
 死縁鬼苦罠勢力参謀、完全予測者ジ・エンド、欠陥製品スクラップドール、天埜郭夜。
 人類絶対悪ビースト位階総序列第16位『神時代へ逆行する古代人』リーダー、神の代行人エクスキューショナー、狂信者、GE13ジーイーサーティーン。
 人の形をした災害、学園都市最悪の災厄、無存在シークレット、千疋十目。
「大好きだよ。輝夜姫のことは特に、……水面に映る月に手を伸ばして、それを掬って羨んだ。星の輝きに眼を眩ませながら、夜空にむって手を伸ばした。灼かれると分かっていながらも、太陽を直視した」
「アンタも辛いな。見たくもないモノがみえちゃって」
「子供のころからそうだからね。今はもう、……慣れればよかったんだけど。それに辛いのは君もだろう?いったいどれだけひっくり返した?」
「そういえば聞いてなかったっけ?どんな気分よ、感情が視えるってのは?さてさて、どんくらいだったかな。少なくとも虐殺の滅亡齎す七の子羊セプテム・アニュスを無かったことにするために1回はひっくり返したけどさ」
「視えるっていうよりは理解出来る分かるって感じかな。表情、行動、生き様、過去、生体反射、癖。そういうモノから僕は嫌でも感情を読み取れる。見たくなくても視えるんだ。眼を閉じても耳で分かる。耳を塞いでも鼻で分かる。鼻をつまんでも肌で分かる。肌を覆っても気配で分かる。だからどうしようもないんだよ。両目を包帯で巻けば防げるくらい単純な力だったよかったのに」
「月のお姫様かい?」
 木原五行の才能がその科学力であるように、白白白の才能は感情の読み取りにある。
 白白白は人の感情が分かる。それが、白が生来より持っていた特別。
 どれだけ深く隠しても、どれだけ強く偽っても、どれだけ無感情を装っても、白を前にすればその感情が暴かれる。子供のころからそうだった。だから捨てられた。勝手に感情を読み取ってしまう白のことを、そこから隠したすべてを暴く白のことを、誰しもが嫌った。
 だから『箱庭』は白にとって天国だった。だから『箱庭』にいた12人のモンスターチャイルドが白は好きだった。特に、郭夜のことが好きだった。
「じゃあ私の心も読み取ってよ!そして満たして……、俺のことを」
「………………………………………」
 両手を広げて、五行は白に後ろから抱き着いた。
 嘘ばかりの人生だ。
 嘘をつくばかりの人生だ。
 五行や白やアレイスターのような上の立場の人間は、策を練り裏をかき人を陥れ目的を達するためには手段を選ばないような人間は、必然真の意味での信頼関係など結べない。それは手の届かないモノだと、どこかで諦める。
937 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:57:11.75 ID:7LsiYaeP0
だから白はアレイスターのことも羨む。
 アレイスターには理解者がいる。木原脳幹や冥土帰しヘヴンキャンセラーは彼の友だ。
 白にはそういう人はいない。いるのは敵と、敵と、敵だけだ。
 十五夜は味方であって理解者ではない。
 理解者はいつも敵側にいる。
「五行。僕は君が嫌いだ」
 諦めたように、呟く。
「テメェに好きなヤツっていんのかよ?」
 抱きしめたまま、耳元で囁く。
「君が嫌いだ。君は自由だ。君は何にも縛られない風のような存在だ。君に制限はないし、君は『枠』に捕らわれない。……僕はそれが、たまらなく羨ましいよ」
「相変わらず、くだらない視点すね」
「くだらないかな?」
「いったいいつまでそんなものに拘ってるんだい?『枠』とか世界物語キャラクターストーリー理論とか七連物語セブンスストーリーズとか、そんなの結局、アンタの見方1つじゃない。制限してるのはお前で、勝手に区切ってるのはテメェだ。緊急装置ベイルアウトで風紀委員本部セントラルジャッジメントメンバーを縛ってるあなた様が勝手に縛られてちゃわけないわけ」
「ふっ、……全くその通りだよ。だから僕はダメなんだ。僕が一番■■からの」
「最・秘・匿・事・項・じ・ゃ・ん・」
「まだ、機密情報アクセスレベルが足りないか。もう少し■■に」
「それもまた最秘匿事項、機密情報アクセスレベル0の情報みたいだっちゃ」
「青き鎖でも騙り切れないか。なら言い直そう。抽象表現なら問題ないだろ?もう少し、彼らバックアップしてもらわなければな」
「赤と青と黄金が解かれたら次は何だったけ?」
「第二段階はテストだよ。80/100で第三段階に突入するのさ」
 睦言のように語り合う。後ろから抱きしめて来る五行の顔を白は頭を後ろに反らしてみた。見つめ合う。言葉はいらない。必要ない。白と五行は各々が各々の理解者だ。何も言わなくたって分かる。白は五行の感情を読み取って、五行は白の行動からその思惑を読み取って。
「寂しかったんだろ?」
 一瞬、五行は黙った。
「隱ュ繧薙□から分かるよ。同窓会、本当に開きたいんだろう?見なくても分かる。君の立場は、僕も分かってるから」
「……………………………うち、めっちゃ頑張っとるんやで」
「知ってる」
「確かに私は全能だけど、全能者は全能であるが故に全能者ではない。そんな簡単なことも分からない奴らがさ、たくさんいるの」
「知ってる」
「全能の逆説オムニポテントパラドックスを解消することは出来るけど、本質的全能者になるには私の存在は軽すぎるんだよ」
「知ってる」
「顔も多くなりすぎたのよ」
「知ってる」
「この間、最後の人類悪の参謀になったよ」
「知ってる」
「成りたくもないのに地球環境保護団体ελπιςの一員になってるんです」
「知ってる」
「いつの間にか人類絶対悪ビースト位階総序列第3位になってたんだ」
「知ってる」
「生まれは悪名高い木原だし」
「知ってる」
「しかも木原と木原を掛け合わせた木原だし」
「知ってる」
「何の因果か私には木原の才能がなかったしさ」
「知ってる」
「科学力はあったけど、科学力じゃなかったし」
「知ってる」
「王も私なんだよ」
「知ってる」
「才能なんていらなかった」
「知ってる」
「立場なんてほしくなかった」
「知ってる」
「理解者が欲しかった」
「知ってる」
「……………ねぇ、白」
「何だ?」
「寂しいよ」
「知ってるよ」
 敵だった。
 嫌いだった。
 同格だった。
 だけど、仲間だった。
938 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:57:54.47 ID:7LsiYaeP0
同窓会ね。僕や郭夜はともかく13ともう1人は会いたがらないだろうな。僕が連絡して郭夜と会わせようか?郭夜は君に興味をもってないだろうけど、僕が言えば話くらいは出来ると思うよ?」
「……………やめとこう、そんな程度のことで、あなたに負担をかけたくなし。寂しいけど、ね。うん、もうだいぶ回復できたよ」
 抱きしめていた両腕を離して、五行は白と距離をとった。椅子に座ったままの白と、その二歩後ろに立った五行。見つめ合っていた2人の視線はもう交わっていない。たった2歩で詰められる距離が、永遠に近い。
 反らしていた首を元に戻して、白はまっすぐ前を見た。
 そこには何もない。
 そこには、何もないように見える。
「ねぇ、白」
「何だ?」
「……………………好きだよ。世界で一番キミを××してる」
 悲しそうに、五行は言った。
「あぁ、俺も好きだよ」
 だからこそ、その答えは何よりも空虚だった。
「知ってる」
 知っていた。
 五行は知っていた。
 それが白の限りなく優しい、
(だけど『私を』じゃなくて『人を』でしょ)
 真実の虚言であると。
「ばいばい白。次に会う時は、今度こそ敵同士だ」
「本質的な繋がりは、そう簡単に切れるモノじゃないさ、五行」
「……………大嘘憑き」
 それだけ言って、因縁の2人の距離は無限に開いた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
「で、だ」
 1度、話が途切れたことを確認して、僕は五行に質問する。
「侵蝕率は?」
「赤が8割、青が7割、黄金が7割くらいかな。もうちょっとすればいけるんじゃないの?」
「計画エフギウムは?」
「あっちは私達のことを認識してるし、その意味じゃ第一段階の『道』を作ることは終了したって感じ?影響を与えることも出来てるし、悪くなんじゃないの?」
「順調か」
「リスクは常にあるけどな。ある意味でのルール違反は、常におかしてわけだしな」
「それくらいは許容範囲内だ。万が一が起これば、……はっ、それは痛み分けだろ?」
「死ぬのは怖くない。怖いのは、誇りを失ったまま生き続けることだ、ってわけね。まっ、こっちは任せといてよ。学園都市の中の、第一学区の中の、風紀委員本部セントラルジャッジメントの中の、第六十階『天秤の間』から出られないあなたの代わりに、私が世界を飛び回っておくから」
「あぁ、信頼してるよ。僕の、……いや、あえて言い直すか。今旬だろうしな」
 戯れにもいいだろうし、な。
 軽いテストにもなるし。別枠だけど。
「さあ、戦って五行。僕の、親友……。僕の、英雄……。なんてな」
 僕の台詞に、五行は笑って答えて、それで消えた。



読者に対して出せる情報と出せない情報が存在するので、情報を制限しながら書いたこの話はすごく時間がかかりました。

さて問題。
今話の中に11のパロネタ、セリフのオマージュがある。
君達はいくつ分かったかな?

次の更新は2月中旬までには。
939 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/04(金) 00:02:31.95 ID:bGJnV3gno
何がしたいんだこのキチガイは
940 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sega]:2019/10/04(金) 10:55:58.78 ID:Y232LIU70
おのれ平和島静雄め……
941 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/04(金) 21:57:18.33 ID:4PRmwTse0
>>888
食蜂って正味もうヒロインじゃない気がする
御坂とは似て非なるというか、もう全然スタンス違うのが新刊ではっきりしたし
今後キャラとしてはともかくヒロインとしてクローズアップされる事はないんじゃないかね
942 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/04(金) 23:58:21.47 ID:Dwu7uMzz0
せめて美琴だけは上条さんとくっ付いてくれないかな
943 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 00:19:54.74 ID:tI6ebpWuo
上条さんが誰かと付き合う時間なんて生きてる間も死んだ後もありません
944 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 01:19:24.18 ID:Dvxaz9Ha0
>>943
いや、冗談抜きで誰かと結ばれて欲しいんだよな
ここまで色々と派手にフラグ立てて来たんだもん
何もないのは流石に寂しいわ
付いて来た読者としても
945 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 01:25:14.16 ID:x/vbAsWL0
フラグは立ててるとはいえ上条さんはずっとインさんしか見てないしなぁ…
リバースの神浄さんがキスしようとするのを邪魔する上条さん好きなんだ
946 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 01:33:18.13 ID:Dvxaz9Ha0
>>945
それな
947 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 10:19:52.81 ID:VRbfqRrcO
別に恋愛メインの作品じゃないし誰かとくっつく必要なくね
てか既にインデックスとオティヌスに関しては恋人超えてもう家族みたいなもんだろ
948 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 10:21:36.58 ID:JSQGA1P0o
上条さんとデートの約束してもどうせ事件に巻き込まれるとかですっぽかされるんだろうな
949 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 15:50:45.66 ID:VxOXeyVs0
お願いだから鎌池先生には読者が何を求めているのかを理解して欲しい
950 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 15:52:03.51 ID:hjTXiumEo
求めてるもの割とバラバラだと思う
951 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 16:06:24.87 ID:VxOXeyVs0
>>950
まぁそうだろうな
最終的に上条さんが幸せになるなら何でもいい
952 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 16:15:25.29 ID:VRbfqRrcO
つーか求めてるの理解したところでそれを実行できるかどうかはまた別の話だからな
ここでよく言れてるこじらせてたやつの報いが足りないとか一方浜面がどうのこうのとか今更作風的にできないだけとしか思えないし
少なくとも俺はその辺曲げたら絶対失望するしな
953 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 16:32:00.59 ID:VxOXeyVs0
鎌池先生は天邪鬼な所あるしなぁ
以前どこかで自分は常に読者の予想の斜め上を行きたいとか言っていたし
954 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 16:49:39.04 ID:x/vbAsWL0
旧約は読者と筆者で求めてるもの一致してたと思うよ
一方浜面もここでは叩かれてるが当時は普通に人気だったし
やっぱり新約入ってから他の作品でやってた実験みたいなことをしだしたのがダメ
955 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 21:33:56.64 ID:VRbfqRrcO
正直新約の何が不満か全然わからんのよな
一方浜面の単純な出番は主人公化してからの巻数的に多いが、密度的には旧より少なくなって上条寄りになったし、独立してた一方浜面の物語も、多少上条の物語と絡むようになり、上条の助けになるようなことも出てきた
バトルも派手、アレイスターやローラなどの黒幕候補の話も決着付けた、御坂の出番や活躍も増えた
不評の上里編も、実際の中身としては一方や浜面よりは報いを受けて反省・成長も見えるなどそれなりの完成度
リバースもそうだけど、上条当麻とは何を持って上条当麻なのかとか、読者に疑問を投げかけるようなテーマの話なども散見
新約6や9みたいな旧の面白い巻を凌駕したような話もある
一番好きなのは1巻ではあるが、旧と新全体で比べたら圧倒的に新の方が好きだけどなあ
956 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 21:40:11.62 ID:eXAGcHoho
上条さんって何でアンチ多いんだ?
自分ホモじゃないけど上条さんに命救われたらガチ惚れると思うくらい好きだぞ
957 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 22:22:27.54 ID:VRbfqRrcO
単なる逆張りと嫉妬だよ
958 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/06(日) 01:54:53.90 ID:iBN/I/b20
新約に入ってから笑えないシモネタが増えて嫌になった
悪いのは上条さんというより作者だけど
959 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/06(日) 20:09:25.09 ID:Fph5VQrD0
>>955
新約の何がアカンというより、旧約で持ち越した期待が肩すかしだとバレたのが新約
旧約も評判良かったというより、希望や期待が高いのを維持できてただけだと思うよ

浜面の出番はそもそも別に求めてない
一方はちゃんと反省や贖罪するんだろうと思われてたが全然してないのが判明
アレイスターはプランの全貌が明かされラスボスとして威厳を保ち、ちゃんと報いや贖罪を以下略
そもそも上里とか、伏線も何もなく二次創作くずれみたいな奴がポッと出でいきなり出しゃばってきて場をかき乱す話とか求めてない
魔神は初期から伏線あったとはいえ、あんなゾロゾロ出てきてロクにキャラも把握できないうちに大処分とか求めて以下略
それからコロンゾンとか黄金とかアンナとかロクに伏線も何もなくポッと出が次々出てきてラスボス枠がコロコロ変わって以下略
他にも白垣根だのフレメアだの木原一族だの、旧約の目を惹いた要素を引っ張ってきて陳腐化させたよーな駄要素で衆目集めようとするような志の低さもダメダメ
960 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/06(日) 23:12:17.25 ID:Fs0k8e+VO
つまり一部の読者が勝手に期待して勝手に失望しただけだろ
上条に主体的な目標がない以上、旧約だって極論必要ある話なんて数少ないし、報いどうのこうのは最初からだし
伏線と言うか前フリは少なくはあったがゼロって事はない
上里ですら新12のラストのローラのセリフで示唆されてる可能性あるしな
求めてない話なら旧からもあったから、そういう要素は除いて面白いかどうかなら普通に新面白いけどなあ
961 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/06(日) 23:25:33.19 ID:LE411oCDO
一部だったら良かったな
売上が下がるのは単につまらんと判断されたからだ
962 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/06(日) 23:34:34.12 ID:iPquxvgA0
>>956
そんなにアンチ多いか?過去の悪行込みで一方通行と浜面の方が吊るし上げられてる印象あるがな
963 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/07(月) 00:26:02.66 ID:ms6IdxEp0
>>956
上条さんのアンチが多いと言うより作品そのもののアンチが多いんじゃないかな
作品への不平不満が転じて主人公に結び付いているに過ぎない
主人公は矢面に立たされるもんだからな
964 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/07(月) 01:46:55.87 ID:odByAJh/0
新約は当たり外れが大きすぎる上に外れ2巻連続とかがあったから脱落者多かったんじゃないかなという印象
しかもそういうつまらない巻が新約最初だったりオティヌスで盛り上がったり遂に魔神登場アレイスターも動き出したところだったりとハードル上げた後に底まで下げるようなのばっかりだったから
上里編は振り返ってみると自分は嫌いじゃないが完結まで追うって心に決めてなかったら読むのやめてたかもなとは思うくらいにはキツイ
965 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/07(月) 21:02:43.47 ID:xCncYQa40
上里絡み4冊はいくらなんでも無いわ
上里のキツさを何とか我慢した所で上里ハーレム投入とかもはや拷問でしかなかった
もう読者を切りにかかってるとしか思えんレベル
966 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/08(火) 00:24:48.37 ID:qoQkhW/c0
自分には上里よりも最近の一方ageと浜面ageの方が見ていて精神的にキツイ
967 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/08(火) 00:28:15.41 ID:0wbMMpN/o
一方に関しては悪党の美学(笑)の頃よりは上条大好きクラブ会長やってる方が好き
968 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/08(火) 00:40:56.05 ID:qoQkhW/c0
>>967
その点は割と同感
まぁ統括理事長にまでしてやる必要はなかったと思うけど
969 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/08(火) 13:18:02.66 ID:kpr5vGIvO
ぶっちゃけ統括理事長とかハズレくじ…

上里は個人的には嫌いじゃなかったな
言ってることはまあわかるし上条さんになんで突っかかるのが謎だけど
勝手に他の魔神殺しとけばいいのに
上里編がダメなのは上里勢力が不快極まりないのもあるけどボス格の唯一に魅力が無さすぎたのがダメだわ
脳幹は良かったのに唯一がアレでガッカリすぎる
970 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/08(火) 13:55:58.62 ID:Z/dWA/E30
クズ共への救済が多すぎる
そういうのはもう飽き飽き
971 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/08(火) 15:02:24.46 ID:ZcugbsMm0
一方通行にも浜面にも言える事だが糞野郎や小悪党が少し良い事すると何故かメチャクチャ良い奴に見えるだろう?ジャイアン映画版の原理ってヤツだ
972 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/08(火) 15:04:16.21 ID:ILaEqYaeo
ベジータだって初期はクズだったのに今では悟空より常識人扱いされてるし
973 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/08(火) 15:26:48.57 ID:ZcugbsMm0
>>972
それよそれよ
974 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/08(火) 19:48:30.01 ID:rL2bgDx00
https://syosetu.org/novel/158074/74.html
私はいつも一人だった。
だから願った。愛されたいと。
私は多くの人から愛された。
だから思った。一人がいいと。
そして私は独りになった。
だから悟った。これが幸福だと。

――――――二九七


それでも僕は、明日が欲しかった
裏お茶会~1周目~

 崩れ落ちる上条ヒーローの身体を睥睨しながら、230万の死体で溢れる学園都市の中で僕は溜息をついた。
「わりと、期待してたんだけどね……」
 言葉にすることで僕は僕自身の考えを再認識する。
 そう、期待していた。本当に期待していたんだ。
 上条当麻なら、あるいはこの僕を上回ることが出来るかもしれない、と。
「いや、……矛盾だな」
 僕の世界の人類を護るためには、いずれ上条当麻は必ず[ピーーー]ことになる。それが早いか遅いかの違いだ。
「…………遅かったね、アレイスター」
「殺したのか」
「どのみち、間に合わなかったさ。彼はあまりにも遅すぎた」
 男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも見える『人間』、そう評されるアレイスターの方に視線を投げかけて、僕はこの全てが終わった世界を見通す。
 70億の、そして数百の死体しか存在しないこの世界でただ1人、僕だけは違うから。
 結局すべてが絵空事の虚言でしかないと知っているから。
「それを分かっていたからこそ、君も滅亡齎す七の子羊セプテム・アニュスの対策を発動させなかったんだろ」
「あの程度の術式に気付けないのならば、どのみちヤツは救済者ヒーローには相応しくないだろう」
「随分な言い様だ……。君の、君達の主人公ヒーローだろう?」
「違うな。私達の主人公ヒーローは彼ではない。上条当麻だ」
「厳しいね……。彼だって、僕がいる中頑張ってると思うけど」
「結果世界が滅んだが?」
「……………………もう少し、サポートしてあげれば良かったのに」
 フラグが立たなかったのは確かに上条の責任だが、たった1回で完全な救済を為せだなんて難易度が高すぎるだろう。今回は解決しなければならなかったことが多すぎる。瞬を倒して、蜜蟻をどうにかして、学究会防衛作戦を成功させ、咎負虐殺を止める。
 そんなの無理だ。
 僕だって、サポートなしで出来るとは思ってなかった。
「それは」
「呼ばれてないのにじゃんじゃじゃ〜〜〜ん!!!」
 空から純正の人類絶対悪が降ってきた。
「五行……。今結構重要な話してたんだけど」
「あぁ、あぁ、あ〜あ。まさかこんな結末になっちゃうなんてなぁ〜」
「聞けよ」
 いや、五行が人の話を聞かないのはいつものことなんだけど、今だけは邪魔しないでほしかった。アレイスターと一対一で、互いの本当の立場を曝け出して話せるのなんて、今ぐらいしかないだろうから。
「木原五行、全能存在パントクラトールか」
 ほら話が次に移った。
「……………はぁ」
 僕の隣に立つ少女を見て、アレイスターが言った。
 当然、調べられている、か。
「くきっ、くききッ!!!ま〜さっか!第六物語シックススストーリーの主人公ヒーローが死んじゃうなんて。フラグの立て方ミスっちゃった?」
「あぁ、ラスボスとの交戦フラグを立てないでサブイベントに入れ込んだんだ。馬鹿なことにね」
「くきっ!なら私のしたことの意味がなくなっちゃうな〜。せっかく、第七物語セブンスストーリーの主人公ヒーロー連れてきて物語交錯クロスオーバーさせてあげようと思ったのに」
 わざとらしい口調でアレイスターを挑発する五行を僕は止められない。権限自体は僕の方が上だし、立場も僕の方が上だけど、物語を進める役トリックスターの自発的な動きを止めることは僕には出来ないし、しようとも思わない。
 そういう称号キャラクター性の持ち主の行動はどのみち止められないモノだし。
「ふん、たかが全能如きが私と   の話を邪魔をするのか」
 だいたい、物語を進める役トリックスターは自由だからこそ意味があるんだ。
「くきぃ!たかがっ、たかがだってさリーダー!……このあてをたかがだなんて、さすがにムカつくかなあああああああああああああ!!!!!」
 だからほら、また勝手に手の内を晒す。
「超克科学オルディニスクレアーレ――――――完全無欠ウルトラ、十全十美スーパー、常勝不敗アンリミテッド、絶対究極パーフェクトガール、故に私は全知全能の絶対神イズミー!」
 超克科学オルディニスクレアーレ。覚醒ブルートソウルした極点突破者デスペラードのみが使う事の出来る世界物語キャラクターストーリー理論の最終到達地点。人類最終到達地点候補生たちの目指すべき場所。
 といっても今回五行が使ったのは見る限りただの即興術に過ぎないのだけれど、出来れば勝手に使わないでほしかったなぁ……。
「あれ?発動しない……?……うん?」
 まぁ、当然邪魔されるんだけど。
「全能の逆説オムニポテント・パラドックス。……まさか知らないわけではあるまい」
 二言だった。そして、その事実がアレイスター=クロウリーという魔術師にして科学者の強さを示しているんだ。
「……ぶ〜、つまんなぁ〜い」
 がっかりと肩を下げて、興がそがれたように超克科学オルディニスクレアーレの発動を止めた五行。まさか、全能の逆説オムニポテント・パラドックスを、全能者は全能であるが故に全能ではないという一学説を忘れたわけではないだろうに。
 いや、五行のことだから本当に忘れていたのかもしれないけど。
「殺しちゃう?殺っちゃう?ねぇリーダー!」
「落ち着けよ五行。いや頼むから落ち着いてくれ。だいたい彼を殺したところで」
 
 空から剣が降ってきた。
 
975 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/08(火) 19:49:53.92 ID:rL2bgDx00
「死を晒せよ、侵略者インベーダー」
 そんな声と共に、全長数十キロメートルにもわたる長大な剣が五行の脳天に向かって振り下ろされる。誰が、どうやって?そんな疑問が浮かぶ……、
「痛い」
 だなんてことは当然なかった。
 当たり前のことだ。僕は知っている。僕は識しっている。その剣がどんなもので、その剣を操るのが誰なのかを。
「痛い痛い痛い!痛いよリーダー助けて!」
「はいはい。ちょっと待ってろ」
 剣が直撃してるのに傷一つついてないくせにそんな泣き言を言う五行に呆れながら僕は軽く剣に触れる。それだけで、剣は消え去る。
 干渉。
 無限に修正され続ける罪深き世界5Re:worldbreakerを使う僕からすればこの程度のことは当然だ。
「出てきなよ。いるんだろ?」
「無傷か」
 いつの間にかアレイスター=クロウリーの隣に立っている男を僕は知っている。
「右方のフィアンマ。あいつの下位互換程度が今更何の用?というか、この大絶滅リセットから生き残ってたんだ」
「……俺様も舐められたモノだ」
 僕のあからさまな挑発に、右方のフィアンマはあからさまに怒りを見せた。まぁ、下位互換と言われていい気になるような人間はいないだろう。
「あいつ、それって僕様のこと言ってるの、主あるじ?」
 そいつは右方のフィアンマと同じように突然現れた。
 これで3VS2。
「『神の代行人』GE13か」
「……下位互換程度が僕様に話しかけるなよ。ウザいんだよ代替品」
 GE13が右方のフィアンマを睨みつける。仕方がない事とはいえこの2人は相変わらず相性が悪い。といっても聖なる右を持つ右方のフィアンマが『神の代行人』であるGE13の劣化レプリカなのは周知の事実だ。そして自分の劣化レプリカ、クローンのようなモノが勝手に造られたというのは確かに気分の良いモノではないだろう。
「なんだ、還してほしいか?GE13オリジナル?」
 誰が見ても分かるくらい上から目線だった。
 その挑発には、当然GE13は耐えられない。
「――――――調子にっ」
「やめろ」
 だから僕は止めに入った。やれやれ、いくら『核』が固まっていないとはいえ、安易に行動するのはやめてほしいモノだ。
「あひゃひゃ!怒られてやんの〜!」
「……主」
 縋るように目を向ける13を、それでも僕は静止する。
「13、別に聖なる右を使われたところで君がオリジナルであるという事実は揺らがないさ。だから簡単な挑発に乗るなよ。……まだ、底を見せるな」
「了承したよ、主」
 底が知られても強さが変わらない先住民センチネルにとって強さを示すことは恐怖ではない。彼らの強さの限界点は1度知られている、だからこそその『上』にいけるんだ。底が暴かれれば弱くなる僕ら侵略者インベーダーとは違う。僕らは安易に力を晒せない。そうすれば、終わってしまうから。
「それにしても、本当に君達はこれで良かったのかい?」
「何がだ」
「大絶滅リセットで利するのは言うまでもなく侵略者インベーダーたる僕らだ。先住民センチネルたる君達からしたら、大絶滅リセットだけはどんな手段を使っても回避したかったんじゃないのかい?」
 少しの沈黙の後にアレイスター=クロウリーが口を開いた。
「ある意味ではそうかもしれない」
 肯定が返ってきた。
「だがある意味ではそうではないだろう」
 否定も返ってきた。
 そして後に続くように右方のフィアンマが言った。
「俺様達ももはや純粋な先住民センチネルとは言えまい。ならば妥協はするべきだ、というのが俺様達の出した結論だ。大絶滅リセット程度ならば、完全閉鎖アーカイブスルーや中断事象リアルが起きないのならば、やりようはいくらでもある」
「ふぅん……そう。だったらまぁ、初お披露目はこの程度でいいかな」
 そう言って僕は、諦めたように言う。そういうしかないから、言う。
「愛し子よMary、愛し子よMary、僕の愛するMy fair愛しき世界よMary Sue。
 その運命を改変しておくれCambiare il destino、
 その物語を書き換えておくれFare una storia。
 我が神のお望みとあらばWenn es meines Gottes Wille、
 我らが神のお望みとあらばWenn es unsere Gottes Wille、
 過去など無いに等しいのだDie Vergangenheit ist vorbei。
 すべての可能性を内包した書の中でO mundo onde há esperança e o desespero
 ただ一つの意志のみがEle destruiu何もかもを無に帰すのだo mundo」
 何度も言ってきた初めての詠唱を、僕は紡ぐ。
「絶対不変の絶対法則アンチェンジナブルラウ――――――無限に修正され続ける罪深き世界5Re:worldbreaker」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「さあ、やり直そうか」
 
「次は、失敗しないようにね」



一つ言っておこうか。

愛がないのならば、この物語の真実には辿り着けない。
976 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/08(火) 19:51:48.38 ID:9bQpT1IPo
人が楽しく雑談してる中でゴミみたいな文見せんな
977 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/08(火) 20:57:36.52 ID:rL2bgDx00

魔神が雑魚ってことはありませんのでご安心を。魔神に基礎スペックから勝てる存在は理外人外12名のみです。これは絶対に揺らがないので。
まぁ木原五行やパトリシア=バードウェイは|王の遺産《レガリア》を持っているので魔神に対抗は出来ますし、空白の主は絶対値で張り合う事は出来ますが。

白き女王は■■■■によって■■することは一応可能ですが、正直白き女王はこの|■■■《■■■■■■■■■■》では[ピーーー]ことが出来ます。なぜならば『穢れなき真実の剣持つ「白き」女王《iu・nu・fb・a・wuh・ei・kx・eu・pl・vjz》』は既に『|■■《■■■■■》』で――――――。
いえ、これは一応ネタバレになるので避けておきましょうか。
むしろ理外人外に対抗できるのは現状ならばアンナ=シュプンゲルが最有力候補ですかね。あるいはドラゴンキラー。あるいは東川守。あるいは俺。あるいは『ウミガメもどき』。あるいは『編み物のヒツジ』。
最も、本当の意味での最有力候補は『訪れた者の願いを歪んだ形で叶えてしまう街』から脱出した1人の少年と1人の少女ですが。

これからも精進して参りますのでどうかよろしくお願いいたします。



978 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/08(火) 22:05:44.50 ID:/Ot5+WwH0
>>969
好きとか嫌いじゃなくて上里には魅力が無さすぎた
唐突に出てきて何の積み重ねもないのに前線でブイブイ言わせてイキってる姿は、ホントに『作者がゴリ押したいだけ』感しかなくて嫌悪の塊だった
浜面も近いモノがあるが、そういう意味ではアレは浜面より酷い
唯一と泥沼の相打ちにでもなってハーレムもろともどっちも消滅して欲しかったわ
979 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/08(火) 23:31:40.15 ID:2VZrbrHi0
嫌いだからゴリ押されてるって思うだけじゃねえかなあ…
なんの積み重ねもないっていうけどむしろ積み重ねてる方がずっと出てきてゴリ押しになると思う
イキってるのはどう見てもロクな目に合わない前振りだったし
周りのハーレムは不快すぎたしその中心の上里にもいい思いはしなかったが
やりたいことはわかるがそれはそれとして不快だから見続けたくねえって思った上里勢力
980 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/09(水) 20:34:57.96 ID:FwsWpQWX0
上里ハーレムが何の成長もなく、何も失わず、何一つ反省しないままにぬけぬけと去って行ったのが釈然としない
フランも土御門に助けられてヒロインごっこしてたけど、アイツ助ける必要あった?としか思えない
981 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/09(水) 20:43:59.83 ID:DaTlPvxA0
必要のある無しで助けるのか?
982 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/09(水) 20:46:33.30 ID:hao0+ejfO
まあ結果だけ見れば上里の取り巻きは何も失っていとはいえ、それまでの過程で一方にボコられたり唯一に散々出し抜かれたり、
上条+2名にボコボコにされたりそれなりに痛い目は見てるから個人的にはそれほど目くじら立てる程でもないな
フランに関しても土御門としては自分の目的の達成のために助けただけだと思うけど
983 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/09(水) 21:44:59.75 ID:M4xfjtW00
https://syosetu.org/novel/56774/158.html
インデックスと大悪魔と空白の主@ 理を外れ人を外れた存在

 その場所は地球上のどこでもなく、それでいて地球という世界を見上げることのできる場所であった。白く、白く、白く、ただひたすらに白いその場所で、1人の少女が佇んでいた。
「……………………………………」
 呆然と、まるで信心深い宗教家が神に見放されたと自覚した時のように茫然と、その少女は立ち尽くしていた。
 何が起こってるのか分からないというのか、この場所がどこなのか分からないのか。
 いや、いいや、違う。そうじゃない。そんなモノじゃない。
「…………………………………………………………」
 ただ見えていないだけだ。ただ分かっていないだけだ。ただ受け入れていないだけだ。
 少女の世界は終わっていた。少女の世界は崩壊していた。少女の世界は破壊されていた。
 たった一人の少年の死によって、少女の自我は完全に終焉を迎えていた。
 だから少女はもはや廃人。
 ただ酸素を吸って二酸化炭素を吐くだけの人型物体。
「…………………………………………………………………………………………」
 それだけ大切な少年だったのだろう。
 それだけ喪いたくない人だったのだろう。
 己の命よりも、己の所蔵する10万と3000冊の魔導書よりも大切な存在だったのだろう。
 だから壊れた。
 よりもよってその死に様を直視してしまったから壊れた。
 己の無力が少年の死を招いたと誰に言われるまでもなく自覚していたから壊れた。
 魔神にすら至れる可能性を持つ幼き少女は、もう完膚なきまでに狂って終わって壊れた。
 そんな少女の名をインデックスという。
「――――――ごふっ」
 唐突にインデックスは吐血した。
 ただでさえ赤い紅い朱い修道服が、さらに赫く染まる。
 ただでさえ青い碧い藍い顔面が、さらに蒼く染まる。
「あ、ふっ……ひ」
 血を吐いて、血を吐いて、血を吐いて、白しか存在しない世界を少しだけ赤く染めて、インデックスは喉を抑えるようにして蹲った。どうでもいい、ひどくどうでもいいことでしかないが、喉奥に何かが引っかかっている。
 血溜でも引っかかっているのか。だとすればこのままでは窒息死してしまうかもしれない。
 窒息死。
 それはどれだけ苦しい死に様だろうか。
 上条の億分の一でも、当麻の兆分の一でも、救済者ヒーローの京分の一でも苦しいのだろうか。
「か、――――――ひぅ、ぐ、はひーっ、ひーーっ……ふ、……ひゅー、――――――」
 息が詰まる。
 それはきっと二重の意味での苦しみ。
 肉体的な、そしてそれを上回る精神的な苦しみ。
 後悔。
 後ろの悔い。
 痛い。
 痛い痛い。
 痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
 堪らない。
 耐えられる程度の、傷み。
「はっ、ははっ、……当麻、……当麻ぁ」
 時間の感覚なんてとっくの昔に無くなっていた。時節フラッシュバックするする現実を痛感しながら、インデックスはただ記憶の中の想い出後悔に浸る。立ち尽くして、血を吐いては蹲り、涙を流して顔を手で覆い、発狂した様に髪の毛を毟って爪を噛み、肌を引っ掻いてまた泣く。
 この白に埋め尽くされた空間を赤色で染めながら、インデックスはもうずっとそうしていた。
「…………あ゛………………………ひっ、ひくっ…………………ごふっ」
 そしてまた血を吐く。
「……………………………………………………………」。
 そしてまた沈黙する。
 痛いくらいの沈黙が白き空間を満たす。
 呆然と、まるで信心深い宗教家が神に見放されたと自覚した時のように茫然と、その少女は立ち尽くしていた。
「……………………当麻……………………………………」
 立ち尽くす。泣く。血を吐く。呻く。記憶のフラッシュバック。そのサイクル。
 ここが何処かもわからず、ここが何かも知らず、己が何をしているのかもわからず、ただ機械のように繰り返すそのサイクル。
 
 そ・こ・に・突・然・、異・物・が・雑・じ・る・。
 酷い様なりけるのよ」
 あり得ないことが起こった。
 あり得ざる存在が存在した。
「力ある存在キャラクターが、己の称号キャラクター性すらたもてなきとは」
 異物が雑じる。
 この白き空間には存在しないはずの存在が現れる。
「………………………………………………………………――――――――――――――――――――――――」
 その女は見た目18歳程度でありながら老齢な雰囲気を宿す矛盾した成り立ちをしていた。
 その女は背丈の2.5倍ほどある宝石店に売られていてもおかしくないような黄金色をした髪を持っていた。
 その女はベージュ色という本来では修道服としては相応しくない色をした修道服を着ていた。
 ……その女のことをきっとインデックスは知っていた。
「されとて、まさか『初まりの領域』にまで堕ちたりけるとはね」
 呆れたように、女はそんな台詞を口にする。予想外、とまではいかないが予定外の事態だった。上条当麻ヒーローの敗北とインデックスヒロインの崩壊。いくらこれが嘘だからといってそれはまだ早いだろうと僕は思うのだけど。その辺、お前らはどう思う?それも敵が人類絶対悪ビーストであるのならばともかく、ただの暗部組織が相手と来た。
984 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/09(水) 21:46:38.65 ID:M4xfjtW00
期待しすぎたか、と女は少しだけ反省する。
 だがある意味では仕方がないというか、当然の期待でもあったのだろう。
 彼らは本来ならば出来たはずなのだ。
 敗北をすることなく、勝利を掴めたはずなのだ。
 積み重ねた10年以上の時が、彼らが暗部組織程度の敵を、悪を蹴散らせる事実を保証しているはずなのに。
 それでも負けた。
 それでも負けたのは……やはり……。
「当麻……………………………………ぐすっ、………ひぅ……っ!…………当麻あ゛……………ぅうぅぅ……………………」
「ここまで近づきても気付けぬか……。………………潮時なるかな」
 距離50センチメートルでも反応無し。
 わりと大きな声を出しても反応無し。
 直接触ってみても、
「……………――――――――――――――――――……………………………――――――…………………………………………………………」
 直接触ってみても反応無し。
 だから女は決断する。
 幾つもの出来事イベントを乗り越え、10年以上の時をかけ積み重ねてきた全てを切り捨てる覚悟を持つ。
「仕方なき、か」
「…………………………………………………………………」
 見切りをつけた。
 インデックスは此処で終わりだ。ここまで上条当麻に依存していたことは完全に予想外だった。こんな廃人はもう役に立たない。どれだけ素晴らしい能力を持っていても、どれだけ貴重な役割ポジションをもっていても、どれだけ代替の効かない称号持ちネームドでも、この程度でいちいちいちいちメンタルケアを必要とするなら、ここまではともかく、これから少し先はともかく、全ての役者が揃った後では絶対に役に立たない。
 必要となるのは能力よりも技術よりも友人関係よりも金銭よりも精神なのだ。
 だからインデックスはもういらない。
 幸いにも変わりはもうきちんと登場している。
 だから躊躇いはなかった。
 勝つための最善手を、女は打つ。
「根源魔術オルディニスデーストルークティオー―――――― 揺らぎゆく自己同ドッペルゲン
 
「クラウ・ソラス+グングニル=万物貫九輝煌の剣クラウ・グングニル・ソラス」
 
 バグドダッッッ!!!!!、と轟音が響いた。
 第五宇宙速度をもって顕現した神話の武具が女に向かって直進する。
 人間では見ることも出来ないほどの速さ。
 人外でも追いつけないほどの速度。
 それが銀河集団脱出速度である第五宇宙速度。
 光速には届かないが、それでも十分すぎる。
 秒速にして1000キロメートルの攻撃を避けることなど、どんな生物でもできる訳がない。
 故に、
「…………………空白の主」
 女は避けなかった。
 いや、正確に言うなら避ける必要すらなかった。
 万物貫く輝煌の剣クラウ・グングニル・ソラス。
 アイルランド民話に登場する剣と北欧神話に登場する槍の特徴を合成させた融合神話武器。あらゆる敵を貫き、追尾し、切り裂く絶対の武器。
 それも敵がそれ以上の力を持つのなら意味はない。
「からからから、かかかからからからからからから!!!初めま四十のひ三四ぶりっ、大悪魔五六ンゾンンンンンンンンンン!!!!!!!!!」
 万物貫く輝煌の剣クラウ・グングニル・ソラスは女に、いやコロンゾンに刺さりもしなかった。当たる直前でコロンゾンの霊媒アバターであるローラ=ザザの左手が 万物貫く輝煌の剣クラウ・グングニル・ソラスを掴み取っていた。
 そしてそのまま握りつぶす。
「取り戻四二来たのか七守り二来たのか七助け二来たのか七救一二来たのか七ぁ!」
ついでとばかりに放たれる空白の主の追撃。
 フラガラッハ+ブリューナク+天下五剣=天下に轟く雷速絶貫の回答者天剣・フラガラック・ブリューナク。
 レーヴァティン+如意金箍棒にゅいきんこぼう=伸縮自在の全焼枝金棒・レーヴァティン。
 ハデスの兜+トリシューラ=不可視三叉槍トリシューラ・ハデス。
 それをコロンゾンローラは弾く、捌く、消す。
 その程度の武器ではコロンゾンは傷つけられない。
「遅一遅一遅一四遅すぎる!今ッ更ァッ、出来る訳が七一の二一!」
 コロンゾンを殺したいのであればそれこそ外世界の存在でも連れてこなければならないだろう。
 例えばタングラムとか。
「同士討ち!自爆!フ零ンドリーッッッ、ファ一アアアアアア!!!無自覚十八一え憐零だ四ね。仲間同士で潰四合う七ん十ッッッ!!!」
 威圧するかのように顔を歪ませる空白の主をコロンゾンローラは真正面から見つめる。
 まだ、敗けていない。
 ここからの逆転はあると信じている。
「勝ち誇るには早きけるのよ、空白の主」
「からから、勝ち誇る二八早きける?勝ち誇りもするよ。何せ、君達の最重要駒が一つ脱落四たんだからからからから!!!」
「まだ確定はせざりたるわ!」
 反撃。
 反抗。
 反対。
禁書目録インデックスは七連物語セブンスストーリーズ第六物語シックスストーリーの庇護対象ヒロインであろうぞ!」
「からからから。禁書目録一ンデッ九スの絶対性八まだ保障さ零十一七一。彼女八まだ庇護対象ヒ六一ンであっ十隣二並び立つ者メ一ンヒ六一ンじゃ七一」
 言葉と言葉の応酬おうしゅうはそれでも彼女たちが行えば全く別物へと変化する。
 片やこの世界においても十二指に入る単一存在。『333』の数字を等価に持ち、拡散という本質にそって世界に汚泥と悪逆を撒き散らす大悪魔であり、世の理の結合を妨げる人外。単純戦闘能力ではかのアレイスター=クロウリーですら敵わないとされる絶対にして先住民センチネル側の理外人外の1人。
 イギリス清教最大教主アークビショップ、必要悪の教会ネセサリウストップ、ローラ=スチュアートコロンゾン。
 片やこの世界においても十二指に入る始源存在。人類が生み出した文明の全てを無効化し、人類が殺害することは絶対不可能である人外。人類が生み出した文明の全てを支配し、操作し、隷属させる罪人。時空間を超越し、運命論からも抜け出し、神話を体現する原初の片割れにして侵略者インベーダー側の理外人外の1人。
 『初まりの領域』の主、本名未だ不明、『空白の主』。
985 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/09(水) 21:48:17.00 ID:M4xfjtW00
この二人――――――人ではないから二人という数え方が適切かは分からないが、二人からすれば言葉は十分に武器足りえる。
 なにせ二人が口にする言葉はただの言葉ではない。相手の称号キャラクター性に対する攻撃だ。
「インデックスはまだ死んでなきなのよ」
「今の一ンデッ九スが上条当麻の隣二立つ五十八不可能!そして、今の一ンデッ九ス八もう正気二八戻零七一!」
「そんなことはなきなのかしら!復活を望む声があれば黄金の餞はなむけでインデックスは復活できたるわっ!まだ、そこまでは確定していなきよ」
 だから二人とも必死だ。口論で負ければその時点で『核』が破壊されてしまう。そうなれば復活は絶対にできない。
 だから敗けられない。
 そして言い負かせれば、殺せる。
 故に本気の本気も本気。
 全力全開の全身全霊の一所懸命。
「からから、悪あがき!一ンデッ九ス八地球位相二八戻零七一!一ンデッ九ス八この『初まりの領域』で一生狂気二浸っ十過ごす!五零八確定四十一るのお!」
「それはどうなりけるかしら」
「………………?」
「インデックスとは、一つの称号キャラクター性を指すものではなかりけるわよ」
 この戦いを理解できる人間はどれくらいいるのか?
 この二人の言っていることが分かる存在はどれくらいいるのか?
 お前達には、
 君達には、
 
 
 
 理解できるか?



次の更新は7月中です。









読者による世界観考察が一定レベルを超えたため新要素を追加します。

赤き楔及び青き鎖及び黄金の餞はなむけシステムを追加しました。

【】は青き鎖に変化します。



なお、本来このシステムは四章終了後に追加する予定でした。皆さん鋭すぎ。





………………万が一、億が一、兆が一、追加システムの適用区分が分かる方がいらっしゃったらもう私がこの物語を書く必要はないかなぁ……。それはつまりこの物語の『真実』に辿り着いたってことだし。
986 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/10(木) 01:12:36.10 ID:ktMgRsjk0
謎長文でスレを埋め立てるの止めてくれないか?
987 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/10/10(木) 16:00:55.84 ID:3pAgt0pL0
じゅーでんちゅー
988 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/10(木) 21:36:42.87 ID:EyD0SHoY0
新約って物語じゃなくてキャラの扱いに問題ありすぎたよなあ
旧キャラは粗末に扱ったり割りばっかり食わせる
新キャラがことごとくヒーローに助けられ役の木偶と作者が推したいだけのゲテモノばかり
これで読者に切られんとでも思ったのかね・・・
989 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/11(金) 00:08:38.75 ID:Z9Ltf886O
そんなの旧からそうだし……
一方以降の蛇足なスピンオフとかアニメ3期やるの遅かったりいざやったらゴミなクオリティーにしたりメディア展開がへたくそではあるが、
本編の作風とかは何ら変わってないからその点に関してはかまちー可哀想だと思うくらいだな
990 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/11(金) 00:16:13.68 ID:NVJ7eUrO0
それで切るなら旧約の時点で切られてるでしょ
読んでない奴はそういう叩きを旧約の時からしてたし
そういう作風なの自体は読者は受け入れてたのに離れてったってことは他に原因がある
991 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/11(金) 00:17:08.01 ID:NVJ7eUrO0
踏んだけどスレ重複の使うのか新しく立てるかどっちがいいかね
992 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/11(金) 01:19:56.80 ID:56FmROcC0
すまん
何故か駄目だった
申し訳ないけど誰か頼む
993 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/11(金) 08:29:02.96 ID:NVJ7eUrO0
自分も何かのエラーで書き込めんな
994 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/11(金) 14:30:08.00 ID:hdjVR47TO
とあるシリーズ(禁書目録&超電磁砲)SS雑談スレpart21
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1570771725/
995 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/11(金) 19:57:36.14 ID:zkEqJAPm0


>>990
つーかもう付き合いきれなくなったんだと思うよ
「昔からそうだ」は「何時まででも通じる」という意味にはならない
なんにでも「飽和」や「過剰」や「限界」ってモンはある
インフレもキャラの多さも粗雑な展開も、いい加減にしろって思われた時点であとは薬よりも毒になるだけ
996 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/11(金) 20:40:37.89 ID:Z9kuUGJ40
https://syosetu.org/novel/56774/160.html
親友と家族を天秤にかけた。

彼女は絆より愛を選んだ。

家族と恋人を天秤にかけた。

彼女は愛より恋を選んだ。

恋人と自分を天秤にかけた。

私は、

私は恋より生を望んだ。



――――――二九七


















そろそろ根幹を探求してみようか


上条当麻とパトリシア@ 『主メイン』『人キャラ』『公クター』

 目覚めは鬱屈だった。
 底なしの泥沼に嵌ってしまったかのような倦怠感が上条の身体を襲っていた。
「……っ、……ぅ、あ?」
 覚醒する意識と共に背中に冷たい感覚が奔る。
 何かを探すように手を動かして、重く感じる頭を起こして、
 上条は自分が今いる場所が廃ビルの一室であることに気が付いた。
「……………………………?」
 床に無造作に寝かされた影響か、痛む全身を無視しながら、途切れ途切れの記憶を手繰り寄せて上条は現状把握に尽力する。
 そう、確か、上条は……、あのスタジアムで『誰か』と戦って……。
「どう、……なったんだ?」
 記憶はそこで途切れていた。1周目の世界で人類が死滅した理由を探るためにインデックスに協力を仰ぎ、1周目のインデックスの行動の理由を推理して『スタディ』の居城があるスタジアムの地上部に行き、そこで『誰か』による襲撃を受け、上条はその襲撃者の攻撃によって胸や肩を貫かれて、
「!?」
 バッ、と上条は自らの身体を弄った。混乱していたからか今まで全く気が付かなかったが、スタジアムで戦っていた時と服装が変わっている。制服から半袖シャツと半ズボンに洋服が変わっている。
 上条が自ら着替えた記憶を持たない以上、誰かが上条を着せ替えたのだろう。
 だが、それよりももっと重大な異常が上条の身には在った。
「傷が……」
 無かった。
「……………………………」
 あるはずのモノがなかった。
 記憶と現実に齟齬があった。
「……なん、で」
 極限の混乱を抱えながら、上条はもう一度自分の身体を触る。
 少なくとも右肩と左腹と右胸には大穴があいていたはずだ。不可視の攻撃、おそらく銃弾のようなモノが上条を貫き、上条はその痛みから地面に倒れた。
 それは覚えている。
 だからおかしい。
 あの傷はそう簡単に塞がるようなモノではない。
 身体にあいた大穴はそう簡単に消えるモノではない。
「それに、ここはどこなんだ?」
 普通に考えれば、もしもあの状況から助かったのだとすれば、上条は病院に運ばれているはずだ。
 誰が病院に連絡してくれたのかとか、どうして襲撃者は上条に止めをささなかったのかとか、なぜ上条はあれほどの傷を負って即死していないのかとか、いろいろ問題点疑問点はあるにしろ、現在上条が助かっている、生きている以上、普通に考えれば上条は病院で治療を受けたと考えられる。
 そしてそうだとすれば納得できるのだ。病院で適切な治療を受け、その結果として大怪我が治った。大いに納得できる。だが、現実は違う。上条がいる場所は明らかに病院などではなく、治療を受けたような痕跡すらない。
 だからわからない。
「何が……、どうなってるんだ…………」
 項垂れる。
 何も分からない。
 何も、何一つとして。
 上条一人では、此処からどうすればいいか全く判断が出来ないだろう。
「あっ、起きたたんですか?」
「っ!?」
997 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/11(金) 20:41:37.37 ID:Z9kuUGJ40
 だからこそ外からアクションがあった。状況を進めるための駒が外側から現れた。
「あんた、は?」
 現れたのは短い金髪をカチューシャで押さえ額を露出した髪型をした少女だった。服装に関しては短めのプリーツスカートに半袖のブラウスといった極一般的なモノ。ただし一目で学園都市製ではないと分かる材質で造られていて、故にこの少女は『外』から来た人間であると上条は一目でわかった。
 年齢のせいか見目麗しいというほどではないが、それでも可愛らしい、庇護欲をそそられる容姿をした少女。
 だが、その姿にはどこか違和感があった。
(……鬘かつら?)
 違和感の原因は身体でも服装でもない。その髪だ。
 光を反射して輝く金髪の中に明度の違う金髪が混じっている。その明度の違いが上条に違和感をもたらしている。
 1人の少女が持つ2種類の金髪。それが上条にどうしようもない違和感を与えていた。
 だが、もちろんそれは重要なことではない。
 より正確に言うのであれば上・条・当・麻・の・所・属・す・る・物・語・に・関・係・の・あ・る・話・で・は・な・い・。
「私はパトリシア=バードウェイ。欧州最大の魔術結社、『明け色の陽射し』のサブリーダーで、あなたと同じ七連物語セブンスストーリーズに属する人間。役割ポジションと称号キャラクター性は主役級メインキャラクターと主人公ヒーロー。そして手にした唯一性オリジナリティは誰も救えない英雄ガラクタヒーロー。……誰一人として救うことのできなかった、どうしようもない欠陥英雄ガラクタですよ」
 悔恨の過去に自嘲しながら、パトリシアはそう自己紹介した。
 久し振りに会った、会う事の出来た、自分と『同じ立場』の存在。抗えない『宿命運命』を担った同類。
 もう『終わってしまった』パトリシアには根源的には関係ない事だが、しかし物語交錯クロスオーバーした以上完全に無関係ではいられない。
 パトリシアは上条が七連物語セブンスストーリーズのどの物語に所属しているのか知らない。パトリシア自身が所属していた第四物語フォースストーリー、同じ『立場』の知り合いがいる第二物語セカンドストーリー、『完結』している第一物語ファーストストーリーと第三物語サードストーリーは除くとして、残りの3つ、第五物語フィフスストーリー、第六物語シックススストーリー、そして第七物語セブンスストーリーのどれに上条が所属しているかはまだこの時点では分からない。
 けれど間違いなく『同類』だ。
 それが分かる。分かるのだ。
 だから必然、パトリシアの上条に対する好感度は高く、同時に低い。
 それはパトリシアが上条に期待しているからで上条を羨んでいるからだ。
 『終わってしまった』蛇足の人生を生きるパトリシアと比べて、上条はまだこれからだと分かる。
 あんな戦闘に巻き込まれていたことからも分かる。
「『明け色の陽射し』……、魔術結社?」
 上条はパトリシアの言っていることの8割も理解していなかった。だから、理解できた単語だけを口に出した。
 魔術結社、『明け色の陽射し』。
 魔術結社という単語はインデックスから聞いたことがある。
 その名の通り魔術師の組織。同じ志を持った複数の魔術師が所属する組織。それが魔術結社。
「……そっちに注目するんですか?私達のような存在にとって重要なのはそっちじゃなくて称号キャラクター性の方なんじゃ?」
「称号キャラクター性?」
「……?……何で理解できないみたいな顔してるんですか?あなただって私と同じ、私と同じ主人公ヒーローでしょう?」
 端的に言って、
「当り前のように命の危機に瀕して、当たり前のように多くの人に好まれて、当たり前のように秘密を抱えて」
 ひどく単純な話として
「誰かのために身体をはって、誰かのために心を擦り減らして、誰かのために生きる」
 とても簡単なことで、
「主人公ヒーローでしょう?」
 上条当麻はパトリシア=バードウェイの言っていることが何一つとして理解できなかった。
「何、言ってんだ……?」
 『終わってしまった』パトリシアと『始まったばかり』の上条では自分の立場に関する理解度が大きく違う。
 役割ポジションと称号キャラクター性、そして唯一性オリジナリティ。
 主役級メインキャラクターであり、主人公ヒーローとして覚醒ユーヴァーメンシュした結果、誰も救えない英雄ガラクタヒーローの称号キャラクター性を手に入れたパトリシア。
 パトリシアは自覚している。この世界の在り方についてすべてではないが知っている。
 パトリシアの物語は既に『完結して終わって』しまっているから、パトリシアは上条よりも先に進んでいる。
 対して上条は違う。上条の物語はまだ始まったばかりだ。
 上条は主役級メインキャラクターであり主人公ヒーローでこそあるが、まだ覚醒ユーヴァーメンシュしていないし、故に固有の称号キャラクター性を持っていない。
 つまりは称号持ちネームドとしてはまだ半人前だ。
 個性がない、と言い換えてもいい。
 記号的である、とすら言ってもいい。
 だからまだ上条は知らない。
 パトリシアの領域には届かない。
「ん、えーと」
 パトリシアの表情に戸惑いが混ざる。あり得ない事態への困惑。予想外の反応への混乱。このタイミング、この時期であれば知っていて当然のはずなのだ。その当然を知らないとは一体どういうことなのか。
「………………………」
 パトリシアの知っている限り第一物語ファーストストーリーから第四物語フィフスストーリーまでの物語は既に『完結』している。そして『完結』している以上、それぞれの物語の主人公ヒーローは世界物語キャラクターストーリー理論の概要くらいは知っているはずなのだ。
 故に断定される。この少年の所属は第五物語フィフスストーリーか第六物語シックスストーリーか第七物語セブンスストーリーである。
 だが、パトリシアは既に物語交錯クロスオーバーしている第二物語セカンドストーリーの主人公ヒーローから第五物語フィフスストーリーと第六物語シックスストーリーの情報を聞いている。
 情報によれば第五物語フィフスストーリーの舞台は現実世界ではなく、第六物語シックスストーリーの舞台は学園都市外のはずだ。つまりこの少年の所属は第五物語フィフスストーリー及び第六物語シックスストーリーではないとパトリシアは断定する。
 ということは、
 であるとすれば、
 その推論が正しいのであれば、
「あ、な……たが……?」
 いや、いいや。
 辿り着く。
 パトリシアはようやくたどり着く。
998 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/11(金) 20:43:11.81 ID:Z9kuUGJ40
「あなたが、」
 その喜悦を抑えられない。
 求め続けていた『中心』。世界の全てを操ることのできる本当の『最重要人物キーキャラクター』。核の違う、格の違う『最後の希望Last future of Embryo』。
 それが、今、目の前にいる?
「あなたが主軸メインストーリーなんですか?」
 見つめる。
 見つめる。
 口元が歪む。
 いや、いいや、断定していいはずだ。
「ねぇ、答えてよ」
 詰問口調になるのも仕方がないだろう。なんせ本当に長い間求め続けてきたのだ。あの地獄を乗り越えて、人類史史上最大の犠牲者を出したテロを踏み越えて、三発目の核爆弾の爆発を止められないで終わったFDEGを想い出にして、永劫の悪夢をリフレインさせながら生きることを選んで、心を擦り減らして精神を狂気に浸して魂を冒されながら生きてきた絶望のヒビが、
 ようやく、終わる。
「あなたが、全部終わらせられる、何もかもを完膚なきまでに救う、完全で、完璧で、完成された、最新の、最後の、最高の、正常に動作する、正当な行動だけをする、皆に認められて、誰にでも褒められて、頂点に立つ、多くを導く、悪人を説得できる、敵でも協力させられる、どうしてか都合の良い事ばかり起きて、あり得ないくらいのペースで事件に巻き込まれて、試練もあるけど乗り越えて、たくさんの異性から好意を持たれて、特殊な力を持っていて、いろいろなことを隠されていて、出自に秘密があったりして、土壇場で逆転の秘策を思いついて、追い詰められれば覚醒して、自然に仲間が出来て、普段はくだらない日常を過ごしていて、平穏を維持するために戦って、時に精神的な問題を抱えて、出来のいい師匠がいて、親友が闇堕ちしたりして、死んだと思っても実は生きていて、知り合いの死を乗り越えて、もともとはただの一般人で、昏めの過去を持っていて、ぶれない信念があって、トラウマを抱えていたりして、覚悟を決めるイベントがあって、因縁のあるライバルがいたりして、くだらないことに悩んだりして、ラッキースケベを体験して、重要人物とのコネを持っていて、大統領とか裏組織のトップとかと繋がりがあって、実は両親が重要人物で、黒幕の思惑に利用されて、だけど絶対に悪を倒すことが出来る、世界を救える、人を助けられる、誰も犠牲にしない第三の選択肢を生み出すことが出来る、尋常じゃない回復力と常人とは比べものにならない才能を持っている、誰にでも出来ることを率先してやる、神様にこそ愛された、選ばれている、愛されていた、都合の良い、天才的な閃きを持つ、運よく生き残る、よく事件に巻き込まれる、いつの間にか世界規模の戦いに参加している、高校生以下で、飲酒も喫煙もしない、血だらけになってもたてる、アバラが折れても戦闘を続行できる、咄嗟に誰かを庇える、自分の命を誰かのために使える、大怪我を負っても敵に立ち向かう、正義感に満ちた、曲がったことが赦せない、柔軟で、高度な、臨機応変に動ける、迫害された、差別された、仲のいい同性の友人が情報通で、急に転校生が同じクラスに来たりして、道端で重要人物とぶつかって、時にあくどいこともやる、1人暮らしの、辛い過去を持った、頭のいい、でも馬鹿だったりする、誰にでも優しくて、努力家で、みんなを手伝える縁の下の力持ちで、神様に選ばれた、多くの人に支持される、どうしようもないほどに愛に満ちた、人間離れした、裏切りも許容する、特別で、特異で、特性で、スピンオフとかで活躍しちゃう、表と裏を、白と黒を、光と闇を行き帰する、誰よりも」
 
 
 
 
 
「なんなんだよッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!」

 
 
 
 
 
「―――――――――――――――――――………………」
「なぁ、なんだよ!?さっきから黙って聞いてりゃ訳の分からないことをべらべらしゃべりやがってッ!主人公ヒーロー?主軸メインストーリー?なんだよそりゃ?俺は知らない知らない知らなんだよそんなことはッッッ!!!」
 髪をぐちゃぐちゃに掻き毟って上条は叫んだ。
 いっぱいいっぱいなのだ。
 ある意味ではパトリシア以上に上条には余裕がなかった。
 だから睨みつける。ねめつける。憎しみをもって、上条はパトリシアのことを見る。
 訳が分からないいい加減にしてくれどうして俺ばっかりと、圧倒的な負の感情をぶつける。
「どうしてこんなわけのわかんない事ばっか起きるんだよ!?どうして俺にばっかりこんな『不幸』が降り注ぐんだよ!?なんで前の人類は死滅したんだ!?誰があのスタジアムで俺を撃ったんだ!?お前はいったい誰なんだよ!?どうして俺の身体には傷一つないんだよ!?どうして、どうしてっ、どうして……っっっ」
 もちろん、普段の上条はこんな理不尽なことはしない。きちんとパトリシアの話を聞いて、分からないことを理解しようと努力して、相互理解を努めようとするだろう。
 上条の根幹にあるのは優しさだ。どれだけの悪人でも、どれだけイカレテイル存在でも、問答無用で殴りつけるなんてことはしない。
 だから珍しいのだ。本当に珍しいのだ。
 上条当麻という人間が年下の少女を理不尽に怒鳴りつけるなんてことは。
「…………………………………俺に、何を、どうしろっていうんだよ」
 そう言って、上条はズルズルと壁にもたれかかった。
 何をすればいいか分からない。何が起きているのか分からない。どうすれば正解なのか判断できない。
 情報が足りなくて、人手が足りなくて、信頼の有無が理解できなくて、もう一歩も動けない。
 全てが分からないからもう終わりだ。
「俺は、………………もう…………………」
「一つ、アドバイスしてあげます」
 よく分かっていた。
 パトリシアは今の上条のことをよくわかっていた。
 かつてのパトリシアも今の上条と同じようなことがあった。
 誰が敵か分からず、誰が味方か分からず、何をすればいいか分からず、どう行動を起こせばいいのかわからず、そもそも行動を起こすことが正解なのか分からず、手掛かりもなく、たった一人で恐怖に震え、絶望に悲嘆し、実の姉すらも攻撃したその過去。
 救えない。
 救えない。
 救えない。
 
 生半可な言葉では、届かない。
 
「――諦めるのは簡単です」
 
 だから単純でいい。
 
「でも」
 
 たった二言でいい。
 
「私達主人公には、似合わない」
 
 私達主人公は必ずもう一度立ち上がれると、誰も救えない英雄パトリシア=バードウェイは知っている。
 かつての自分がそうだったように、上条も必ず立ち上がるとパトリシアは知っている。
 主人公ヒーローとは、そういう生き物だ。
 



少しだけ、明かされる『世界観』。

次の更新は8月中にです。

999 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/11(金) 20:43:43.88 ID:Z9kuUGJ40

1000 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/11(金) 20:44:29.10 ID:Z9kuUGJ40

























…………えっ?上条のキャラクターが原作と違うって?

あははっ、よく気付いたね。

でも大丈夫。それにはきちんと理由があるんだ。

あははっ、だって彼はもう――――――――――――――――――

ね?

分かるだろう?
1001 :1001 :Over 1000 Thread
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