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とあるシリーズ(禁書目録&超電磁砲)SS雑談スレpart20

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780 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:21:47.53 ID:3OJgtAFD0
https://syosetu.org/novel/56774/88.html
御坂美琴と一方通行B 戦いは未だ終わらず 千疋百目C 救いの手 木葉桜十五夜と扼ヶ淵埋娥@ 白の思惑

 交錯する『力』と『力』。
 ぶつかり合う『世界』と『世界』。
 塗り潰し合う『色』と『色』。
 ひょっとしたらそれだけで世界は簡単に終わるのかもしれない。そう思えるほどに莫大な『力』がぶつかり合っている。
 音はなく、光はなく、認識できずともただそこに確かにある『力』。
 御坂も一方通行アクセラレータもただその『力』をぶつけあっているのだ。
「hilywe世ybviqx界oiur操作bvbpo」
「「――――――――――――――――――――――――――――――――――――――」」
 質の高い力と量の多い力が互いを攻撃しあう。先ほどの交錯では勝敗は量の側、つまり御坂の側に傾いた。
 では、今回はどうだろうか?
「―――――――――――ッッッ!!!!!」
 今回の交錯では勝敗は一方通行アクセラレータの側に傾いた。
 理由としては主に二つ。
 まず一つ。一方通行アクセラレータは既に世界を操るその力が起こす事象を目撃していたという事。
 目撃したという事は理論や理屈がわからなくともその『チカラ』が起こす結果だけで分かるという事だ。一方通行アクセラレータほどの頭脳を持つ人間からすれば結果から逆算して過程を導き出すことはそう難しくない。
 そして二つ。一方通行アクセラレータの持っている超能力チカラがベクトル操作だという事。
 この世のほとんどのものはベクトルが存在する。ベクトルが存在しないモノなんてそうそう存在しない。そして、それは世界にも同じことだ。
 重・な・り・合・っ・た・位・相・に・だ・っ・て・重・な・る・と・い・う・事・象・が・存・在・す・る・以・上・ベ・ク・ト・ル・が・存・在・す・る・。
 重なるという事は上下の関係があるということ。上下の関係があるということはベクトルがあるという事。
 そしてベクトルがあるのならば一方通行アクセラレータはそれを操れる。一方通行アクセラレータの超能力はベクトル操作。その根本にあるモノも手伝って一方通行アクセラレータの操る『力』は、『力』を得てから間もなく、その『力』がどんなものなのか正確には理解していないのにもかかわらずかなりの質にあった。
 だから今回の交錯は一方通行アクセラレータが勝った。
 これで一勝一敗。文字だけを見れば戦績は互角である。
 文字だけを見れば、だが。
「hilywe世ybviqx界oiur操作bvbpo!!!」
「「――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!!!」」
 ぶつかり合う『力』。その中に隠された思い。秘められた真実と偽りで塗り固められた人生。
 同じ『力』を持つ者同士の戦いの中で、同列にあるはずの存在でも、やはり勝っているのは一方通行アクセラレータだ。一度ずつ攻撃を通したが、通った攻撃の具合は一方通行アクセラレータの方がはるかに大きい。
 このまま戦っていけば順当に一方通行アクセラレータが勝つだろう。
 やはり、質を主とするものと量を主とするモノの戦いは質を持つモノに天秤が傾く。量を用意するのならば十や百ではなく万ぐらいの量を用意しないと一方通行アクセラレータには対抗できないだろう。
 二対一の現状では御坂の方が不利だ。
「「――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――」」
 このままでは負ける。そう御坂は思う。働かない思考の中でもそんな考えが浮かぶ。『敗北』という二文字が脳裏をよぎり、よぎる。
 方法を変えてこの状況を変えなければならない。『敗北』から『勝利』に結果を変えるために。
 現在の戦いは互いの『力』をぶつけ合い、互いの『色』で『世界』を染め上げる合戦だ。そしてこのままその戦い方を続ければ先に御坂の方が力尽きる。長期戦闘とは消耗戦とニアリーイコールなのだ。
 だから、短期決戦を挑むしかない。
 ザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザ
 と、
 御坂の姿がさらに変化する。
 Phase5.1からPhase5.12とでも呼べる姿にわずかだけ変化する。
 進化し深化し神化する。
 その『しんか』は果たして御坂にどんな影響を与えているのだろうか。
 いい影響か悪い影響なのか。もう戻れないところまできてしまったのか。
 わからないし、わからなくていい。
 そんなことはもうどうでもいい。
「―――――――――――――――――――――――――――――」
 構えて、かまえた。
 拳を握る。
 強く、硬く。
 掌に『力』を握ってそれをぶつける。無理やりの強引な攻撃だが、仕方がない。
 それしか方法が思いつかないのだから。
 いや、思いつけないのだから。
 ぐっと足に力を入れて走る。奔る。
 遠距離戦から近距離戦への切り替え、それで『勝つ』。勝って見せる。
 走り出す御坂。
 もしかしたら、その意志が一方通行アクセラレータにも伝わったのだろうか?
 御坂美琴が駆けだしたのと同じタイミングで一方通行アクセラレータも御坂に向かって駆けだした。
「「―――――――――――――――――――」」
 縮まる距離と接近する身体。
 
 そして二人が接触する直前に、
 
 互いの瞳の中に互いの過去を見た。
「yiviuleruhfihgsitkgofukrhkgeuingn――――――ッッッ!!!!!」
「――――――――――――――――――――――ッッッ!!!!!」
 
 それは
 
 もしかしたら、
 
 最初で最後の
 
 分かり合えるチャンスだったのかもしれない。
 

781 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:22:46.92 ID:3OJgtAFD0
崩落開始から10分ほどが経過し、ようやく地下下水道の崩落は終わった。
「……………はぁ」
 安心からか思わず百目の身体が崩れ落ちる。危なかった。ギリギリだった。何度か死ぬかと思った。
 砕いて作った穴の中でやっと百目は安心できる時間を手に入れた。その時間はわずかかもしれないが少なくとも死の危険から離れることが出来た。それがわかっただけでもこの状況を思考する余裕が出てくる。
「……………………さて」
 どうやって脱出するかを考える。作った穴の入り口は崩落した地下下水道のコンクリートで埋まってしまっている。それをどうにか掘り起こすか、それとも別ルートを作るかしなければ脱出は不可能であろう。
 崩落の音が止んだとはいえいまだ崩落の危険性があるのは変わらない。そして白井と共に脱出しなければならない現状別ルートを作るのはかなりの危険性を感じてしまう。どちらの選択肢をとるべきかと言えば、どちらかといえば少しずつ掘り起こして脱出したほうがいいように思える。
「やりますか」
 危険なのは変わらないが酸素や食料等の問題もあり早急に脱出しなければならない。多少の危険性には目を瞑つむるべきだろう。
 本当の本当の本当に危なくなったら緊急装置ベイルアウトを使えばいい。だれにも頼らずこの崩落をしのぎ切ったのだ。切られることはないだろう。
 目の前に乱雑に置かれた瓦礫をみやる。単純に殴ったり蹴ったり動かしたりすればそれだけでこの瓦礫は崩れ落ち、穴の中に入ってくるだろう。現在ですらギリギリの均衡によって瓦礫は積み重なっているのだから。
 故に膨大な数のパズルを組み上げるかのように慎重かつ大胆に行動しなければならない。落ち着いて、積極的に動かなくてはならない。
「すぅ――――――」
 覚悟を決めて、百目は積み重なった瓦礫を取り除く作業に入
 
 ることは出来なかった。
 
 百目がアクションを起こす前に別の人間がアクションを起こしたからだ。
 
「………こ………れ………、――――――は」
 
 すべてがすべて消えていた。
 何もかもが一切合切消失していた。
 全部、全部、全部なくなってしまった。
 
 目・の・前・に・あ・っ・た・は・ず・の・瓦・礫・の・山・が・い・つ・の・間・に・か・消・失・し・た・。
 
 目をつぶったことも、目を逸らすこともしていない。瞬きすら行えないような刹那の時間の間でいつの間にか目の前が更地になっていた。
 ドクンッ!!!と百目の心臓がひどく高まる。
 緊張によって全身が無意識にこわばってしまう。
 知っている。知っている。知っている。知っている。しっている。しっている。しっている。
 百目はこの意味不明な現象をしっている。
 
 シッテイル。
 
「ここにいましたか」
 
 
 
 
 声が、き、こ、、、、、、、、?、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、えeeEEE//-eえeeEeEEEEEEEEEeeeeeeeeeeeeえええええええええええええええええええええええええええええええええええええeeeeeEEEEEEEEEEEEeeeeeeeeeeeetetettttttttetteeetてえててttttetetetettetてててtttttってえててえええええええええええええええ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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「あぁ、そういえば拘束リミッターを外したままでしたね」
 
 薄れゆく意識の中でそんな声が聞こえた。
782 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:23:26.80 ID:3OJgtAFD0
 木葉桜十五夜。
 最強原石、風紀委員本部セントラルジャッジメント最後の切り札、委員長の懐刀、意思無き人形、正義の尖兵等様々な二つ名を持つ、
 風紀委員本部セントラルジャッジメント最強にして最高の存在である。
 別格であり別位であり位階の違う『人間』。
 『神』を引きずり降ろせる『力』を保持する、存在の領域からして違う『人間』。
 普段十五夜は自らの『力』に十の拘束リミッターをかけている。その十の拘束リミッターは十五夜の力を制限するのと同時に、十五夜の存在を制限していた。
 『神』がこの世界に降りてくれば世界の容量の問題で世界がたやすく壊れてしまうように、十五夜も自らの存在に制限をかけていなければ人類や生命体に対する影響が大きすぎる。間近に接近しただけで意志の弱い人間なら自殺しかねないほどの存在感が十五夜にはあるのだ。
 それは正しすぎるからでも間違いすぎているからでも眩しすぎるからでも暗すぎるからでもない。
 単純に『力』が強すぎるのだ。
 力にあてられる、と言い換えてもいいかもしれない。殺・さ・れ・る・前・に・死・の・う・な・ん・て・考・え・が・浮・か・ぶ・ほ・ど・十・五・夜・は・強・す・ぎ・た・。
 そんな思いが人を自殺に走らせる。
 だから、百目は気絶した。
 百目だから、気絶で済んだ。
 仮にこれが百目ではなくただの一般人だったら十五夜の前には死体の山が気付かれているだろう。風紀委員本部セントラルジャッジメント序列ランキング10位、千疋百目だからこそ、その心の強さが百目を自殺させず気絶で済ませた。
 それを十五夜もきちんと認識している。
「………………まさか、白井黒子のことも守っているとは」
 穴の奥で横たわる白井のことを見て十五夜は意外そうにうなずいた。
 百目が白井を守る理由は本来なら無かった。存在しなかった。
 だってそうだろう?百目が崩落する地下下水道を脱出するためにはどう考えても白井は邪魔だ。理屈だっていろいろ考えても可能性的に考えれば百目一人で既定のルートを、又は既定では無いルートを通って地上にいった方が助かる確率は高い。
 なのに百目は白井を助けた。自らの危険性も顧かえりみずに。
 99パーセント目的を達成できなくなるであろう緊急装置ベイルアウトの使用すら検討に入れて。
 その理由は、
「世界物語キャラクターストーリー理論。宿敵ライバル……ですか。悪の組織の大幹部である私には縁のない話ですが…………まさか中心点がずれているんですか?」
 呟いて、呟いて、
 十五夜に声がかかる。
「夜五十十五夜」
 振り返る。
「なんのようでしょうか?」
 上条を背負っている無傷の埋娥が十五夜に声をかけてきた。埋娥の身体は地下下水道の崩落に巻き込まれたにもかかわらず怪我一つしていない。そして気絶している上条の身体も同じように傷の一つもなく、怪我の一つもしていなかった。
 抱えた上条を十五夜のそばに投げ捨てて、埋娥は言う。
「だ・ん・な・オ・リ・ナ・シ・の・人・の・あ・が・で・ま・こ・ど・は・れ・こ・局・結・?」
「さ・ぁ・、わ・か・り・ま・せ・ん・よ・。委・員・長・に・隠・し・事・が・多・い・の・は・い・つ・も・の・こ・と・で・し・ょ・う・。私・が・始・ま・り・の・領・域・に・侵・入・し・た・の・だ・っ・て・本・当・に・予・想・外・だ・っ・た・の・か・ど・う・か・……」
 結局のところ十五夜とて白白白のことを完全に理解しているのではないのだ。
 いや、誰も白のことを真の意味で理解などできない。
 風紀委員本部セントラルジャッジメント委員長白白白。風紀委員本部セントラルジャッジメントに所属する誰よりも弱くありながら、誰も持たない強さですべてを従える本物の怪物を理解することなど、誰にも不可能なのだから。
 なぜなら、白とその他の生物はわずかな例外を除いて、
 
 見・え・て・い・る・景・色・が・違・う・の・だ・か・ら・。
 



位相にベクトルが存在するかは明示されていませんが、重なっているという事は上下関係がありベクトルが存在する、と私は解釈しました。
いうまでもなく、独自設定です。
783 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:23:58.92 ID:3OJgtAFD0
https://syosetu.org/novel/56774/89.html
御坂美琴と一方通行C 幸せとシアワセ

 
 ザザ
 
 ×××××は外で遊ぶことが好きだった。
 小学生である×××××は同年代の友人たちとサッカーをして遊ぶのが大好きだった。
 そして、今日も×××××は公園でサッカーをしていた。
「いっけぇ!××君!!!」
 友人が出したどんぴしゃりなタイミングのパスを右のつま先で軽くボールをタッチすることで絶妙な弾みを起こし自らの前に落とす。前方にいるディフェンダーは三人だけ。フォワードの×××××がこの三人を抜かすことが出来れば、あとはキーパーとの一対一だ。
 ×××××のテクニックを駆使すればキーパーと一対一の状況ならまず負けない。だから、キーパーとの一対一に持ち込むためにまずは前方の三人を避けないと。
「絶対に止めろおおおおおおお!!!!!」
 子供同士の遊びにしては少々大袈裟な声を上げて敵キーパーが味方ディフェンダーを鼓舞する。だが無駄だ。スポーツの実力差というものは一長一短では縮まらない。
 まず向かってきた一人目。×××××は一人目のディフェンダーを避けるように一度ボールを右前に出した。
 ボールの勢いはかなり速い。このままの速度でボールが転がれば×××××がボールに追いつくよりも早く、一人目のディフェンダーがボールに触れるだろう。
「っっっ!!!」
 一人目のディフェンダーは全力で走って自らの前に転がってきたボールに足をのばす。このサッカーですでに×××××は2点も取っている。いくら遊びといえどもさすがに×××××の敵チームは悔しかった。
 だから、焦りが出たのだろうか。
 一人目のディフェンダーは勢いよくボールに足先を触れてしまった。幼い一人目のディフェンダーにボールを足先でトラップするような技術はなかったのに。
「あっ」
 足先に触れたボールが予想以上に弾んでしまう。そして、触れたボールはそのままの勢いで走ってきた×××××の足元に収まってしまった。
「っ」
 急いで態勢を立て直し、×××××の進路上に立ちふさがろうとする一人目のディフェンダー。その横を余裕の表情で×××××は通り過ぎる。
 
 ザザザザザザザザ
 
 残るディフェンダーは二人。
「行かせるかっ!」
「行かせないよっ!」
 一人一人で当たっては突破されると思ったのだろう。残った二人のディフェンダーはそれぞれ右前と左前から一斉に攻撃を仕掛けてきた。進行方向をふさがれた×××××はさすがに今の勢いのまま前に進むことは出来ない。
 とっさに左右を見て誰かにボールをパスできないかを考える。そして、すぐにその考えを否定した。
 ここまでボールを運んできたのはまぎれもなく×××××の技術のおかげだ。今更誰かを頼ったところで状況が好転するとは思えない。
 ならば、と×××××は一度停止した。
「「――――――っっっ!!!」」
 ×××××のその行動に好機を見出した二人のディフェンダーが一気に距離を詰めてくる。さしもの×××××も極近距離から二人がかりでボールを求められては防ぎきれるかわからない。
 だから、×××××は二人のディフェンダーと自分自身の距離が二人のディフェンダーはギリギリボールに触れられず、自分自身はボールにワンタッチだけできる絶妙なタイミングになるまで待ってから行動を起こした。
「「なっ!!!」」
 驚愕の声が被った。
 距離とタイミングがそろう絶妙な位置で×××××は一度ボールを止め、つま先をボールの下にもぐらせて一気に上にあげる。
 ボールは二人のディフェンダーの頭上を通りその後ろに転がった。
「っっっ!!!」
「くっ!」
 振り返るがもう遅い。
 追いすがるがもう間に合わない。
 自らの上を行くボールに視線を送りながらも動けない二人のディフェンダーを置いて、×××××は一気にボールの落下予測地点にかけた。
 落ちてきたボールを足元で弾ませてトラップする。
 
 さぁ、これザザザでキーザザザザザパーと一ザ対一ザザザザザだ。
 
「こいよ……っ!!!」
 自らを鼓舞する敵キーパーを前に×××××は冷静に足を運ぶ。不意を突かれたディフェンダーが戻ってくるまでそれほど時間はないだろう。すばやくボールをゴールに叩きこまなければならない。
 さっさっさっ、と前にボールをけり出しながらまたぐようにしてボールの上に足を走らせた。
 シザース。
 そう言われるフェイント技術の一つである。
「あっ」
 高速のフェイントに引っかかって体が傾いてしまった敵キーパーに、もはや×××××を止める術はない。いとも簡単に敵キーパーを避けた×××××はそのままの勢いでボールをゴールに叩きこんだ。
 味方側から歓声が上がる。
 敵側から残念そうな声が上がる。
 そう声を背に受け×××××は味方の陣地に戻った。
 仲間に近寄れらもみくちゃにされる。
「よっしゃあ!さすが××だぜ。もうこれで三点目じゃんかよ!!!……あぁ、なんだっけ?三点目って確か特別な言葉があったよな?ボウリングのストライク、みたいな?」
「ハットトリック」
「そうそれだ!ハットトリックなんて超すげぇぜ!お前らもそう思うだろ!!!」
 まったくだ、すごいすごい、さすがだぜ、かっこいい。
 誰でも思いつくような美辞麗句を心の底から言う味方チームの人間に×××××は微笑んだ。×××××からしたら全然たいしたことをしているわけでは無い。なのに褒められるなんてなんだかむずがゆい。
「よっしゃあお前ら!もう十点位取ってやろうぜぇ!」
 気合を入れる見方を前に自然と×××××も微笑む。
 
 ザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザ
 
784 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:24:38.62 ID:3OJgtAFD0
あぁ、楽しいなぁ。
 本当に幸せだ。
 こんないつもの日常がずっと続けばいいのに。
 こんな幸福な世界がずっと変わらなければいいのに。
 これからも、
 いつまでも、
 ずっと、永久に、永遠に、
 戦いなんてしたくないんだ。
 誰も殺したくなんてないんだ。
 友人が欲しいだけなんだ。
(……?)
 戦い?殺したくない?友達が欲しい?
 何を言っているんだ?
 友達なら隣にいてサッカーをしているだろう。
 戦いとか殺し合いとかこの国で起こるわけがないだろう。
 平凡な少年の×××××はそんな非日常とは無縁なのだから。
「おーい。何してんだよ××!早く来いよ!」
 ボーとしていた××は味方から声をかけられて正気を取り戻し前線へとかけていく。胸に巣食った疑問はいつの間にか消えていた。
 だから、
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 真・実・か・ら・目・を・逸・ら・し・て・一方通行アクセラレータは・幸・せ・な・世・界・を・甘・受・し・た・。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ぇ様……姉様」
 自らを呼ぶ声が聞こえる。
 罪を犯した御坂を呼ぶ声が聞こえる。
「姉様……お姉様!!!」
 瞳を開ける。開けざるを得ない。
 だって、その呼び方をする人はたった一人しかいない。
 もうたった一人しかいない。
 あの子とはもう、会えない。会わない。
「もうっ、大丈夫ですの?お姉様?」
 
 瞳・を・開・け・た・先・に・立・っ・て・い・た・の・は・白・井・黒・子・だ・っ・た・。
 
 
785 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/22(日) 22:24:42.00 ID:ExYQ4hEPo
また荒らし来たよ
786 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:25:17.79 ID:3OJgtAFD0
「……ぁ」
 白井黒子が、
「えっと大丈夫ですか?御坂さん」
 初春飾利が、
「急にボーとしてどうしたんですか?御坂さん」
 佐天涙子が、
 いた。
 
 
「………………………………………………」
 
 
  ■た■。
 
 
「お姉様……?」
 心配そうに白井が声をかけてくる。そこには純粋に他者を案じる意志があって、ただ心配だと不安だという思いがいたわしいほどに伝わってきた。
「ごめん黒子。ちょっとボーとしちゃって」
 先ほどまで考えていたことが何だったのかもはや御坂は思い出せなかった。重要なことのように思えて、でも思い出せないという事は重要なことでは無いように思えて、御坂はもう思い出せなかった。
「もうっ、しっかりしてくださいよー、御坂さん。これからみんなで枝先さんの所にお見舞いに行くんですから〜」
「まぁまぁ佐天さん。御坂さんだって疲れてるんですから」
 歩きながらもボーとした御坂を気づかうように佐天が冗談気味に御坂を責め初春がそれをたしなめる。佐天と初春の二人からも白井と同じように純粋に他者を案じる意志があって、ただ心配だと不安だという思いが伝わってきた
 
 
  いた■。
 
 
「ごめんごめん。それで何の話だったっけ?」
「枝先さんの調子はどうなのかっていう話ですわ、お姉様」
 呆れるように白井が先ほどまでの会話の内容を伝える。そこにはいまだ心配の色があったが、さすがに白井はここで御坂を問い詰めるような人間では無い。
「あぁ、そういえばそうだったわね。それでどうなの、春上さん?」
 御坂は自らがボーとしていた事実をごまかすかのように春上に問いを投げかけた。
「うん。絆理ちゃんなら今はもう完全に落ち着いてるみたい。お医者さんも安心していいって」
「そう、……ならとりあえずは一安心ね」
 ほっとして御坂は一つうなずいた。御坂のほかにも、白井も初春も佐天も安心するようにうなずく。結局みんな心配していたのだ。なんだかんだで体晶のファーストサンプルに関わる事件が無事に収束し、枝先絆理が助かったのだとしても、やはりその無事な姿を見聞きするまで安心はできなかった。
 だがそれも枝先のもとに足しげく通っている春上が枝先の無事を保証することである程度は解消された。
「正直、ほっとしましたわ」
「うん。一応無事だとは知ってたけど、やっぱり心配だったしね」
 
 
  いたい。
 
 
「でも、やっぱり絆理ちゃんもずっと一人で病室にいると暇だから、皆が来てくれて喜ぶと思うの。あれで絆理ちゃん寂しがり屋さんだから」
「確かにそうですね。なんといっても春上さんが精神感応テレパスを使う時だけは精神感応テレパスの強度が上がるくらいの寂しがり屋さんですから」
 茶化したように初春が言う。
 
 
  いたいたいたいたいいt。
 
 
 出会ってからの時間は短いがその関係性は竹馬の友といってもいい位に親しい。あえて過去を何でもないように言うことで気にしていないし、気にしなくていいと言外に示すこともできる。
 とはいっても初春は狙ってそれをやっているわけではなのだが。
「本当にそうなの。だから皆が来れば絶対に喜ぶの」
「ふっふふーん。そのためにわざわざ常盤台の超絶高級ケーキも買ったんだしね。これで喜ばないはずはなーーーい!」
 
 
  いたいいたいたいいたいたいたたたたtttttaaaaaa。
 
 
 はりきった調子で佐天が手に持つ袋を掲げる。中に白い直方体の箱が入ったそれは常盤台の超高級ケーキ店のケーキが入った枝先へのお土産だった。
 一個数千円するかしないかという超高級品を惜しみなく買えてしまうことで、御坂や白井という常盤台生の財力が見え隠れする。
「私もこんな高級ケーキ初めて見ました。御坂さんたちはいつもこんな美味しいものを食べてるんですか?」
「いや、さすがにそんな頻繁に食べてるわけじゃないわよ」
「そうですわ、初春。そんな頻繁に食べたらただでさえ増えていく体重が大変なことに……っ!ああ恐ろしいですわ!」
 わざとらしく両腕で身体を抱えるようなしぐさをして震える白井。
「そんな大げさな……。あっ、そういえばなんですけど」
 唐突に、何か思い出したかのように、嬉し気かつ得意げにに佐天は自分の得意分野を語った。
「ケーキといえば最近ネットで見た都市伝説に……こんな話が」
 御坂達五人はそんな風に何でもないようなことを語りながら。枝先絆理のいる病院へと歩いて行った。
 はたから見てしまえば、彼女達ほど親友といっていい存在はないだろう。打算では無い協力と策謀の関わらない信頼とただ純粋な親愛を共有する彼女達の仲を裂ける人なんてきっといないのだから。
 
 
 
 
 
 
            
  いたいたいたいあうあいあたいあたいあたいいたいたいたいあうあいあたいあたいあたいあたいあたいたいあたたいあたいたいたいたいいたいいたいあたいあたいたいあたたいあたいたいたいたいいたいいたい痛い痛い痛いイタイいたいイタイイタイイタイ痛い痛い痛い遺体痛い遺体遺体遺体遺体遺体いたい痛い遺体遺体痛い痛い遺体痛い痛い痛い痛い遺体遺体遺体遺体遺体遺体遺体遺体痛い痛い痛い痛い痛いいたいたたいたいたいいたいたいたいいたい遺体遺体遺体遺体痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いいたいたたいたいたいいたいたいたいいたい遺体イタイイタイタイイタイイタイイタイイあいたいいいいいいいいいいいいいいいいぃぃぃいイイイイイイィィッィィィッィィィィィィィィ!!!!!!!!!!
 
      
 
 
 多・少・の・違・和・感・を・抱・え・な・が・ら・も・御・坂・美・琴・は・幸・せ・な・世・界・を・享・受・し・た・。
787 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:26:26.77 ID:3OJgtAFD0
https://syosetu.org/novel/56774/90.html
御坂美琴@ 罪人はここにいた

 しばらく五人で談笑しながら道を歩いて、御坂達は絆理のいる病院に辿り着いた。その後、絆理に面会するための許可を受付で求めた御坂達は、無事に面会の許可をもらい絆理のいる病室に向かっていた。
 いくつもの扉を超えて御坂達は絆理のいる病室の前へとたどり着く。
 そして、春上が絆理の病室の扉を開けた。
「こんにちは。絆理ちゃん」
 長い間身体を動かせなかったことで衰えた手の筋力を手の中のボールを使って鍛えていた絆理が、それに気づいてうれしそうな声を上げる。
「あぁ、衿衣ちゃん。――――――どうしたの?」
 扉を開けただけで病室の中に入らない春上を見て絆理が不思議そうな声を上げる。いつもならすぐに入ってくるのに、という疑問が見え隠れした。
 それを見て『ふふふん』と機嫌よさそうに春上の顔がにやける。
「「「「こんにちは(ですの)!!!」」」」
 扉が完全に開いて御坂達四人が姿を現した。
「みんなぁ!!!」
 春上だけではなく友人である御坂達が姿を見せたことに絆理の顔もにやける。それを見て御坂達も自然に笑顔になった。
 そして、佐天が持っている袋を掲げて絆理に差し出した。
「常盤台の超絶美味しいケーキを買ってきたんで、みんなで一緒に食べましょう!」
「うん!!!」
 入院生活で食事制限をされていた絆理は本当にうれしそうにうなずいた。
 
 
 
 
 
 
 
 その後しばらくケーキを食べながら会話を楽しんでいた六人だが御坂の飲み物を買いに行こう!という提案に白井と初春と佐天の三人が引っ張り出され、病室に絆理と春上の二人が残ることになった。
「それで、結局何なんですか」
 唐突に理由もわからず外に連れ出された佐天は御坂に疑問をぶつける。まさか本当にジュースを買いに行くだけのようで外にでたわけではあるまい。それだったら何も四人で出る必要はないのだから。御坂と白井の二人、もっと言えば御坂一人でもよかったはずだ。
「まぁまぁ、まずはジュースを」
「あっ」
 佐天の疑問に説明を返そうとした御坂の声を初春が遮った。
「ん?」
 向かって左側のガラス壁の向こうを見て声を上げた初春につられるようにして、御坂達三人もガラス壁の向こうを見やる。
 そこには病を克服するために、日常生活に戻るためにリハビリをしている少年少女がいた。
 
 
 ふっ、と。
 
 
 その光景を見て、御坂の胸の内に思い浮かぶものがあった。
 
 
 
 
「あ・っ・………………」
 
 
 
 自らと瓜二つの少女が全身を破裂させてしん
 
 
 
 思い出すな、と御坂の心が叫ぶ。
 
『君のDNAマップを提供してもらえないだろうか?』
 
 思い出すな、と御坂の心が叫ぶ。
 
『やはりお姉さまは実験の関係者ではないのですね』
 
 思い出してはならない、と御坂の心が叫ぶ。
 
『お姉さまから頂いた初めてのプレゼントですから』
 
 思い出したらもう後戻りはできない。
 
『オマエ、オリジナルかァ』
 
 今なら、まだ、幸せでいられる。
 
『俺に挑もうと思う事すら許さねえほどの絶対的なチカラ。『無敵レベルシックス』が欲しーンだよ。オマエも超能力者レベルファイブなら分かンだろ?』
 
 今なら、まだ、戻れる。
788 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:27:29.80 ID:3OJgtAFD0
『一方通行アクセラレータだ。ヨロシク』
 
 まだ、まだ、まだ、まだ、まだ、まだ。
 
『借り物の身体に借り物の心。単価にして一八万円の実験動物ですから』
 
 まだ、戻れる。
 
『結局、コイツは私に殺されるために生まれてきたんだ、ってね』
 
 内なる御坂がそんなことをささやく。
 
『帰したわ。アンタとはサシで勝負したいしね。超電磁砲レールガン』
 
 だが、
 
『計画というのが絶対能力進化レベルシックスシフト計画を指すのなら予定通り進行中です、とミサカは答えます』
 
 だけど、
 
『それがこの街の治安を脅かすなら、たとえお姉様が相手でも』
 
 
 
 
 
 
 
「い・い・え・」
 
 
 
 
 
 
 だから御坂美琴は否定する。
 
 
「もう……」
 
 
 不快すぎる。
 
 
「そんなことはもう……」
 
 
 煩わずらわしい。
 
 
「こんな幸せは……」
 
 
 邪魔だ。
 
 
「どうでもいいのよ」
 
 
 こいつらはもはや纏まとわりつく障害にすぎない。
 
 
「お姉様?」
「御坂さん?」
 
 
 だから、
 
 
 
 [ピーーー]よ、塵ゴミがっ!!!
 
 
 
 
 躊躇いなど一寸も存在しなかった。
 躊躇など刹那すら感じなかった。
 
 
 
 ただ、電流で親友邪魔者を薙ぎ払った。
 
 
789 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:28:45.24 ID:3OJgtAFD0
「ぎ、ぎがぁあああぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
「お姉様何をッッッ!!!」
 
 
 
 
 これが幻覚なのか、過去の風景を見せられているのか、なんらかの能力によるものなのか、それとも本当の現実なのかはわからない。
 わからなくていい。
 どうでもいい。
 どうでも、いい。
 そんなことは本当にどうでもいい。
 春上衿衣とかいうたいしたことない能力者も枝先絆理とかいう弱いだけの人間も佐天涙子とかいう無能な無能力者レベルゼロも初春飾利とかいうハッキングしかとりえのない愚図も白井黒子とかいう煩うるさいだけのルームメイトも、
 何もかもどうでもいいしどうでもいい。
 大事じゃない。
 馬鹿らしい。
 こんなことで時間を浪費するなんて。
 あぁ、なんて馬鹿さ加減。
 無能だ。無能無能無能無能無能。馬鹿屑塵ゴミ塵ちり阿保愚図無能愚劣最底辺能無し愚昧節穴盲目。
 一番大事なことを忘れて、都合よく忘却して、幸せな夢を見て、
 許されるのかそんなこと。許されていいのかそんなこと。
 
 
 いいわけないだろうがっっっ!!!!!
 

 
790 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:29:31.11 ID:3OJgtAFD0
しねシネしネシね四ね師音獅根四ネシ禰[ピーーー]シ音四ね4寝シ根4ね4ね4ネ死ネシネ死音しねしねしね死ネシネ[ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー]シネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネしねしねしねしね[ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー]しねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしね死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 
 自死しろ屑が!!!
 何様のつもりなの塵屑ごみくずが!!!
 馬鹿でのろまで愚鈍で頭も足りない永遠の餓鬼風情が調子に乗ってんじゃないわよッッッ!!!!!
 いつになったら成長するのよ!?
 いつになったら成長できるのよ!?
 いつまで餓鬼のままなのよッ!?
 力チカラちから力力力力力アアアアアァァァァ!!!!!
 間違えてんじゃないわよ!
 違えてんじゃないわよ!
 勘違いしてんじゃないわよ!!!
 私は、
 私が、
 ワタシがッ、
 ワタシがワタシがワタシがワタシがワタシがワタシがワタシがワタシがワタシがワタシがワタシがワタシがワタシがワタシがワタシがワタシがワタシがワタシガワタシガワタシガワタシガワタシガワタシガワタシガワタシガワタシガワタシガワタシガワタシガワタシガワタシガワタシガワタシガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 誰でもないワタシがッッッ!!!
 ワタシがッッッ!!!
 助けないとイケナいんでショうガ!!!
 シアワセ?
 シアワセ?
 シアワセ?
 何よそれは?
 安穏とした平穏を、甘受し享受し与えられたままでいろって?
 平凡で価値のある日常をみのきのままに感じればいいって?
 
 
 
 ふざけるなっっっ!!!!!
 
 
 
791 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/22(日) 22:29:45.86 ID:ExYQ4hEPo
別のとこでやってくれよ
ここは人様の文章コピペするとこじゃないぞ
792 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:30:05.24 ID:3OJgtAFD0
ふざけるなふざけるなふざけるなふざけてんじゃないわよっっっ!!!
 許さない。許せない。許せるわけがない。そんなことが、そんなことを許していいわけがない。
 責任とか私のせいとかそういうのじゃない。もちろんそれもあるけどそれだけじゃない。
 言葉を交わした。行動をともにした。触れ合った。助け合いをした。
 思い出せる。
 鮮明に明瞭に何一つ欠けることなく思い出せる。
 その日々を、その毎日を、その楽しさを、その人を、
 覚えてる。
 覚えている。
 
 木の下に佇たたずむその姿も一緒に木の上から降りられなくなった猫を助けたことも意味不明な返答に思わず怒鳴ってしまったことも踏み台になって木の上の猫をキャッチした姿も踏み台として蹴られたことも猫のためにスカートをまくり上げていた姿も自分のクローンであることを肯定した発言も発言を無視されて思わず声を荒げたことも一緒にただでアイスクリームを食べたこともそのアイスクリームを横取りされたことも喫茶店で温かい紅茶を飲んだこともその喫茶店の客に双子だと間違われたことも橋の上でガチャガチャでとったゲコ太の缶バッジをあげたこともそのゲコ太の缶バッジのセンスを貶けなされたことも別れの挨拶をさせてしまったことも壊れたゴーグルが道に置かれていた様も地雷が爆発したような爆音も上から列車のようなもので圧殺されたその姿も一方通行アクセラレータに殺されそうになった時に干渉して一方通行アクセラレータを止めてくれたことも上■と話しているときに割り込むようにはなしかけられたこともその後手を引いて上■から引き離したことも実験の中止を否定されたことも思わずその存在を否定してしまったことも。
 
 ワタシハオボエテイル。
 
 あなたがいる。あなたが見てる。あなたを見てる。あなたがいてくれる。
 だから戦える。だから俯かない。だから泣かない。だから生きられる。だから笑える。だから乗り越えられる。
 そばにいてほしい。そばにいてくれてほしい。そばにいたい。
 一緒に共に、一所に友に。
 永遠と、永久に、永久とわに、ずっと、
 
  いたい。 イタイ。
 
 あいたい。アイタイ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
         
 
 
 
『合格』
 
 
『予測通りとはいえ、やはり君こそがこの物語の主人公ヒーローにふさわしい』
 
 
 
 さぁ、終わりを始めよう。
 
『せいぜい頑張ってくれ主人公ヒーロー』
 
 この世界という名の物語の
 
『信じているぞ』
 
 終わりを。
 
『君なら勝てる、と』
 



本来ならもっともっと幸せで不幸で絶望的な展開にする予定だったのですが、さすがに助長が過ぎるかなと思ったので、短めにまとめました。
793 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:30:54.24 ID:3OJgtAFD0
https://syosetu.org/novel/56774/91.html
91 / 178
決着まであと8話前後!!!


御坂美琴と一方通行D 御坂美琴と一方通行

 幸せから抜け出すことはそう簡単なことでは無い。
 それがどれだけあり得なくて、起こりえないことだったとしても人は幸せが目の前にあれば縋ってしまう。
 両親を失った子供、恋人を亡くした男、世界の終わりを見た魔術師、変えられない絶対を認識した愚者。
 絶望が深ければ深いほど、人は夢シアワセに縋すがる。
 精神の均衡を保つために。見たくない現実から目を逸らすために。もう努力したくないと嘆いているから。
 安易な幸せに、目の前にあるシアワセに縋ってしまう。
 心が弱いという人がいるかもしれない。心が脆もろいという人がいるかもしれない。
 でも違う。違うのだ。
 幸せというものは毒だ。麻薬だ。甘美で芳醇で爽快で愉快な味わったら抜け出せない底なし沼だ。嵌ってしまったら、味わってしまったら、ずぶずぶと深く深く沈んでいってしまう罠なのだ。
 幸福シアワセになりたいというのは生物が求める根源的欲求の一つだ。その欲求を求めるのは生命体なら当然のことであり、当然の行動だ。逃れられないし、逃れる意味がない。
 完全に完成された完璧で完結な理想郷。求めてやまない桃源。
 手放すなど、擲なげうつなど、抛かなぐり捨てるなど、打ち捨てるなど、取り捨てるなど、切り捨てるなど、打っ棄うっちゃるなどありえない。
 しあわせそれを求めて生きている。金を稼ぐのも権力を手に入れるのも暴力を鍛えるのも突き詰めれば幸せのためだ。
 幸福。幸せ。理想。幸い。幸。福徳。果報。
 
 人生はそのためだけにある。
 
 だから、偽りとはいえ夢シアワセを捨てられた御坂美琴と夢幸せに浸って抜けられなかった一方通行アクセラレータでは勝敗は見えていた。
 満身創痍の身体でありながら力を振り絞って戦い合う二人の戦いの勝敗は見えていた。
 なぜなら、
 ボロボロの状態で、拮抗する同種の『力』がぶつかり合う戦いで最後にモノをいうのは、知力でも、体力でも、財力でも、暴力でも、学力でも、活力でも、火力でも、眼力でも、脚力でも、握力でも、腕力でも、金力でも、才力でも、材力でも、識力でも、実力でも、主力でも、資力でも、政治力でも、戦闘力でも、戦力でも、走力でも、足力でも、聴力でも、臂力ひりょくでも、富力でも、武力でも、智力でも、能力でも、脳力でも、判断力でも、兵力でも、魅力でも、膂力りょりょくでもなく。
 気力であり、精神力であり、胆力であり、意志力であり、意思力であり、忍耐力であり、心力であり、精力であり、魄力はくりょくなのだから。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 気がつけば、御坂は操車場にいた。
「……………………ぁ」
 先ほどまで見ていた光景はなんだったのだろうか。枝■■■がいて、■■■衣がいて、■天■子がいて、初■■利がいて、■井黒■がいた?あの風景。過去の光景というにはあまりにも矛盾点が多すぎた。
 ■■の病室を訪ねた時にケーキを持っていたのは■天ではなく初■だったし、道中であんな会話をした覚えはない。ならば、あの風景は何だったのだろうか?
 幻覚と断じるにはあまりにも現実的過ぎて、幻想と確定させるにはあまりにもリアルだった。だが、現実というにはありえない光景で、リアル感満載であるが故にどこか空虚。シアワセだったその夢嘘はいったいなんだったのだろうか。
「がっ、ぐッ!ゴハッ―――ゲフ、ぐッッッ!!!――――――くぅ……っっっ……ぁ」
 唐突に喉の奥に感じた異物感。その異物を吐き出すかのように御坂はおもいっきり咳きこんだ。
 吐瀉物を吐くように喉をふるわせ、窒息しそうなほど喉に詰まっている異物を口から外に出す。
 地面に異物が吐き出され、赫く染まった。
「ぅぁ、ぎ、ぎゅぎぃッ……。がッ!かっ……っ」
 体中がイタイ。全身が痛い。
 耐えられないほどの痛み。体中を毒針で刺されたような痛み。一方通行アクセラレータとの戦闘によって生じた痛みだけではなく、もっと心の奥底に響く痛みがあった。
 身体の痛みなどせいぜい四肢欠損程度だ。千切れかかった足、すり傷と切り傷だらけの全身、折れかかった腕、視力のなくなった右目、燃えた髪の毛、その程度だ。御坂美琴なら問題なく行動可能の怪我でしかない。
 それよりも、響く痛みは心の痛みだ。
 わずかでも幸せに浸かってしまったことによる痛みだ。
「ふっ……――――――ざ、けっ!!!」
 あぁ。
 あぁ!
 あぁ!!!
「ふ、ッざけてんじゃ――――――ないわよッッッ!!!!!」
 一瞬でも、一時でもあの光景を見入った自分自身が憎かった。
 目的を忘れて、信念を捻じ曲げられて、都合のいい夢を見た自分が心底憎かった。
 ふざけるな。ふざけるな。ふざけるな。
 オマエいったい何様のつもりだ。妹一人救えないで、妹一万人を殺したくせに一体全体何様だ。
 不幸になれ、というわけでは無い。
 幸せになるな、という事では無い。
 優先順位を間違えるなということだ。
 数式としての不等号再設定しろ。御坂美琴>妹達シスターズでは間違ってもない。妹達シスターズ>御坂美琴という不等号を成り立たせなければならないのだ。
 でなければ一体なんのためにここにいるのかわからないだろうが。
 何のために■井黒■達日常を捨てる決意をしたのかわからないだろうが!!!
 認識を確かめろ。誰のためかもう一度考えろ。
 この胸に刻んだ誓いは、
 
 絶対に果たさなくてはならない贖罪の証なのだから。
794 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:31:30.84 ID:3OJgtAFD0
「ふざけんなふざけんなふざけんなふざけんな」
 怒りのあまり、御坂は周囲の状況を忘れていた。憎しみのあまり、御坂は現在の情勢を忘れていた。
 
 戦いは、
 
 ま・だ・終・わ・っ・て・な・ど・い・な・い・!!!!!
 
 
 
「オマエがふざけンなよ」
 
 
 
 声が聞こえたその瞬間だった。
 俯いた顔をあげるその直前に、
 
 
 バギッッッ!!!と御坂の腹に一方通行アクセラレータの血みどろの膝が食い込んだ。
 
「ぼ、ごァ……?」
 
 忘れていた。
 終わったと勘違いしていた。
 油断していた。
 まだ何も、
 何も終わってなどいないのに。
 
「アハァ、スットライクゥてかあああぁぁぁぁァァァァァァァ!!!!!」
 
 バギリ、と御坂の腹から不気味な音が鳴り響いた。どんなに軽く見積もったとしても絶対に肋骨が折れている。腹に当たった一方通行アクセラレータの足の一撃はベクトル操作能力が使われていることもあり、いともたやすく御坂のことをふっとばした。
「ば、ぐっ、があああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
 悲鳴を上げたのは蹴られた痛みのよるものではなく単なる反射だ。痛くはないがふっとばされれば悲鳴の一つや二つ上げるモノだろう。
 腹に入った一撃もたいしたことはない。せいぜい肋骨がいくつか折れて、内臓の一部が若干機能停止した具合だ。もしかしたら折れた肋骨が心臓に突き刺さったりしているかもしれないが、現状戦ううえではたいして問題では無い。そんな何日も何時間も戦うわけでは無いのだから。
「死っ、ねええエェェェェェ!!!!!!!」
 ふっとばされた御坂に向かってベクトル操作で速度を増した一方通行アクセラレータが追いすがる。空中にいる御坂は身体ごとぶつかってこようとする一方通行アクセラレータを避ける手段が存在しない。
 いや、もちろん磁力を使って無理やり身体を動かすことは出来るが、それをしても前と同じようにベクトル操作能力と磁力操作能力ではベクトル操作能力の方が移動スピードが速いので逃れられないのだ。
 だからといって迎撃することなどできようはずもない。空中にいる今、御坂の能力では一方通行アクセラレータとの接触を回避することは不可能だ。
 故に、痛み分けを選んだ。
「っ――――――がっ!!!」
「いぃ……ぎ、ぐぅぅぅぅ!!!」
 一方通行アクセラレータはその身体全体を使って御坂への攻撃を行った。回避されたら今までの行動の全てが無駄になってしまう。だから、手とか足とかそういった身体の一部分を使うのではなく体全体を使った攻撃をした。
 単純に点の攻撃と面の攻撃はどちらが当たりやすいかという話だ。当然面の方が当たりやすい。故に、一方通行アクセラレータは身体全体で御坂にぶち当たった。
 接触の瞬間、御坂の身体の電気信号を逆流させるようなベクトル操作攻撃をした。
 対して、御坂も一方通行アクセラレータに対して攻撃を仕掛けた。
 といっても御坂は単純に電流と砂鉄を放っただけだ。これだけ長い時間戦い続けていても一方通行アクセラレータは初期に負った切断された腕の怪我からの大量出血死を防ぐための血液循環は続けている。
 だから、血液を循環させていることによって普通なら凝固してもおかしくないはずの血は未だに新鮮のままに体の中をめぐっている。前はその血液を通して一方通行アクセラレータの身体に電流を流した。
 それは決定打にならなかった。電流が体内に入っても対応された
 ならば砂鉄を血流に混ぜてしまえばどうだ?
 体内を循環する血液の中に異物を混ぜ込んでしまえばどうだ?
 その攻撃は、その攻撃なら、決定打になるのでは……?
 そんな皮算用が御坂の中にあった。
「――――――ぁ。――――――が……ッ…………」
 互いの攻撃の結果は、互いに傷ついたというものだった。
 怪我の具合は全く違ったが。
 
 御坂美琴が軽傷だったのに対し、一方通行アクセラレータはそれなりの怪我を負った。
 
「ごっ、が…………ッッッ…………」
 
 原因はただ一つ。判断力と思考力の差。
 御坂は一方通行アクセラレータに対して有効な戦術をとった。砂鉄を血流の中に混ぜる。これは有効な戦術だった。
 一方通行アクセラレータは御坂に対して有効な戦術をとれなかった。体内の電気信号を操って御坂を[ピーーー]。これは最上級の電撃使いエレクトロマスターである御坂にとってはほとんど無意味のことだったのだ。
 最上級の電撃使いエレクトロマスターなら当然自らの体内を流れる電気信号位操ることはできる。『電気』信号なのだから当然だ。
 御坂が一方通行アクセラレータのことを失念して腹に膝蹴りを一発もらったように、一方通行アクセラレータも御坂が電気信号を操れることを失念してしまっていたのだ。
 御坂が一方通行アクセラレータのことを失念した理由は簡単だ。怒りとか後悔とかでぐちゃぐちゃになった感情が自分がいまどうしていたのかということを忘れさせたから。
 では、なぜ一方通行アクセラレータは御坂が電気信号を操れることを失念してしまったのか? 
(や、べェっ……あンまり、長く持たねェぞ。クソガァ…………)
795 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:32:00.80 ID:3OJgtAFD0
 余裕を演じているが実際のところ一方通行アクセラレータは限界だった。体力精神力ともにとうの昔に限界を超えていた。今まではそれを、特に尽きた体力をベクトル操作能力によってごまかしてきたが、『空白の主』達完全に格上の存在との邂逅によりそのベクトル操作能力を支えていた基盤となる精神力も底をつきつつあった。
 体力精神力ともに限界となり、思考力も鈍り始め、判断力すら正常に機能しなくなった。だから、超能力者レベルファイブの電撃使いエレクトロマスター相手に電気信号を操作するなどという軽挙な行動に出てしまったのだ。
 だがそれも仕方ない。御坂とは違って一方通行アクセラレータはずっと独りで戦ってきたのだ。疲れ果てても仕方ない。
(く、っ……そたれ、ガァ…………ッッッ!!!後、90秒持つか持たねェかって――――――所か……………)
 90秒。一分半。どれだけ長く見積もってもそれ以上は戦闘行動を継続できないと一方通行アクセラレータは判断する。御坂とは違い、もう数時間も一人で戦い続けている一方通行アクセラレータは体力、精神力ともに本当に限界を迎えていたから。
 後90秒以内に御坂を殺せなくてはこちらが死ぬ。一方通行アクセラレータは本能的にそれを察知した。
 カウンターで待っていることはもうできない。積極的に動いて殺さなくてはならない。じゃないと、負ける。敗北する。しぬ。死ぬ。シヌ。
 視線を上げる。視線が交錯する。
 そして、双方ともに、
 駆けだした。
 
「ッ――――――ぉぉぉぉおおおおおオオオオオオオオオオオ!!!!!!!」
「ヵ――――――ぁぁぁぁあああああアアアアアアアアアアア!!!!!!!」
 
 
 
 
 人・に・戻・っ・た・二・人・の・戦・い・は・最・終・番・へ・と・突・入・し・た・。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ――――――一方通行アクセラレータ戦闘不能まで、残り90秒一分半。
 
 
796 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:34:35.76 ID:3OJgtAFD0
https://syosetu.org/novel/56774/92.html
92 / 178
へ?感想数が減った……?

初めての体験に何気にショックを受けてしまいました……。


御坂美琴と一方通行E 終わりの始まり

「――――――ぐっ、…………っあッッッ!!!………………………ぎゅぃ…………………………ぁ…………」
 傷ついた体は赤黒い血を流す。
「ごがァッ!!!ば、ぎゅく…………げ、か――――――――――――」
 接触する身体から流れ出た血液は地面を赫く汚す。
「げ、ごぐッ!!!ば、がっ……おぐぃぃぃぃぃぃィィィイイイイイ!!!!!」
 壊れた心は傷だらけの身体に呼応するように悲鳴を上げる。
 地は割れ空は裂きあたりは崩壊の一途をたどっていた。
 激化する戦闘行為。もうとっくに二人の身体は限界を迎えているはずなのに、いったいその闘争心はどこから生まれてくるのだろうか。
 例え、ベクトル操作で、電気操作で、体内を駆け巡る痛みを無視できたとしても死へ向かう己の身体を自覚できないわけがないのに。
 死。
 死だ。
 無意識ながらも魔術を使用した影響で全身の血管が爆発し息も絶え絶えとなった一方通行アクセラレータとシアワセを否定した影響で精神が崩壊寸前の御坂美琴。
 ともに『神』から『人』へと戻ったとはいえその身体と心に刻まれた傷が治るわけでは無い。重傷は重傷であり、死傷は死傷だ。放っておけば超能力者レベルファイブとはいえ一時間持たないだろう。
 病院に今すぐ駆け込み緊急手術を執り行うべきである。
 それでも戦っているのはここで負けることが出来ないから。
 勝たなければならない理由があるから。
 頂点の強さを手に入れて幸せになることを夢見る一方通行アクセラレータ。妹達シスターズを助けるために一方通行アクセラレータを殺さなければならない御坂美琴。
 理論立てて説明すればそういうことだが、この二人はもはや自分がなぜ戦っているのかも忘却してしまっているのかもしれない。
「ご、ばっ!!!が、ぎ!!!っ、ぉぉあああああああああ」
 戦う理由に縋る時点で人は弱くなる。戦う理由を求める時点で人は弱くなる。
 誰かのために戦う人は弱くなる。守るために戦う人は強くなる。
 戦いたいから戦う。戦わなければいけないから戦う。
 目的があり、理想があり、欲求があり、守りたい人がいる。
 戦力の上下というモノは人によって最適解が違う。
 守るために戦った方が強い人もいれば、守るために戦えば弱くなる人もいる。理由が無ければ戦えない人もいれば、戦い自体が理由になる人もいる。
 誰かのためという免罪符。自分のためという免罪符。
 他を、個を、己を、別を。求め、縋り、抱きしめ、狂う。
 人。
 人間。
 人類。
 だとすれば、なんとこの種は愚かで、愛おしいのか。
「が、ごっ!!!……っい、ぐぁっ!く、……ま――――――モるッッッ!!!!!」
 決意の証を声に出す。
 守る。
 護る。
 まもる。
(もう、誰も)
 本心だった。その思いは本当に本心から、
(ワタシ以外の誰も、失いたく、ないッッッ!!!)
 狂っていた。
 自分本位の逆の考え方。他を第一として考えるその思考回路。これを狂っていると言わないでなんというのか。天秤が他者と自分で他者の方に傾く。その在り方は人間の在り方では無い。
 ある種機械的で、圧倒的な主人公ヒーローさ。
 もはやその考えは人間では無い。
 生物としてどう考えてもおかしい。
 なぜなら、普通生物というのは究極的にまで突き詰めれば他人よりも自分を優先する存在のはずだから。
「ごばァッッッ!!!べ、っぉ……が……ご、っぁ……――――――勝、つッッッ!!!!!」
 決意の証を声に出す。
 勝つ。
 克つ
 かつ。
(俺がっ、……オレは)
 本心だった。その願いは本当に本心から、
(学園都市最強の超能力者レベルファイブだろうがッッッ!!!!!)
 純粋に清純だった。汚泥おでいにまみれながらも、汚物をかけながらもなお保たれたその清純さ。
 幸せになりたい。
 幸福幸せになりたい。
 満たされたい。シアワセになりたい。
 御坂とは真逆のその考え。すべてを犠牲にしこやしにしても、それでもなお幸せになりたい。どこまでも自分本位でそれゆえに何よりも人間らしいあり方。普通は人間という生物はだれしも一方通行アクセラレータのように自分中心の考えを抱くのだ。
 例外はない。
 
 ヒ・ー・ロ・ー・を・除・い・て・。
 
 そう、ヒーローだけは例外だ。ヒーローはこの世で唯一他者を第一に考え行動することが出来る。
 救済者ヒーロー、上条当麻。彼は自分よりも他人を優先して考える傾向がある。魔導書図書館Index-Librorum-Prohibitorumインデックスを救う際には明らかに危険とわかっていながらも竜王の殺息ドラゴンブレスを真っ向から受けとめた。
 いかに右腕に対異能特化の能力幻想殺しイマジンブレイカーが宿っているとはいえそう簡単にできる行為では無い。腕が折れる可能性も、身体が消滅する可能性も決して低くなかったのだから。
 それでも立ち向かったのは自己よりも他者に救いを与える救済者ヒーローの性質があるからだ。
 上条当麻の自身に対する優先順位は低い。低すぎるほどに低い。
 だからインデックスを救うために躊躇なく己の身を危険にさらせた。
 
 そして、
 
 主人公ヒーロー、御坂美琴。
797 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:35:21.98 ID:3OJgtAFD0
こ・の・物・語・の・主・人・公・で・あ・る・御・坂・美・琴・も・自・分・よ・り・も・妹・を・優・先・す・る・ヒ・ー・ロ・ー・だ・っ・た・。
 
(失いたくない)
 この極限状況だからこそ御坂は思う。
 ミサカ9982号を殺したのは御坂だ。そこからさらにミサカ10031号までの49人の『人間』を殺したのも御坂だ。そして、ミサカ00001号からミサカ9981号までを殺したのも御坂だ。
(これ以上もう、失いたくないっ)
 合計1万と31人の『人間』が御坂のせいで死んだ。御坂が殺した。これは一生をかけて償わなければならない罪だ。どんな罰だってこの罪の前には色あせる。
 幸せにしなければならない。
 幸せにならなければならないのだ妹達シスターズは。
(い・く・ら・で・も・替・え・が・き・く・と・し・て・も・こ・れ・以・上・も・う・失・い・た・く・な・い・ッッッ!!!!!)
 拳を振るい、電流を放ち、砂鉄を操作し、電磁波で探査し、コンテナをぶつけ、雷を落とし、叫ぶ。
 届かないなら届かせる。敵わないなら叶わせる。今日、この操車場で、一方通行アクセラレータを、確実に、ころす。
 全身を血塗れにしている一方通行アクセラレータは、いくらベクトル操作能力を持っているとしてもそう長く戦えないはずだ。いくらなんでも、どう贔屓目ひいきめに見てもダメージを負い過ぎている。
 絶対に限界は来ているはずなのだ。
 その証拠に。
「っお、ぉぉぉおおおおおおお!!!!!――――――はぁっ、…………はぁっ!!!」
 息が荒い。
 呼吸が乱れている。
 それは限界が近い証。それは限界が来ている印。
 このままいけば先に一方通行アクセラレータの方が自滅する、そう御坂は無意識ながらも思ってしまった。
 一方通行アクセラレータの方が先に自滅する。私が何もしなくてもしばらく耐えれば、積極的に攻めなくても勝てる、とそんな考えがわずかに、無意識レベルで浮かんでしまった。
 そんな甘い考えは油断を生むというのに、その余裕は絶対に、例え無意識レベルでも存在してはいけないのに。
 忘れてはならない。この戦いは互いの存在全てをかけているのだ。
 にもかかわらず、
 そもそも大前提として御坂は一つの可能性を忘れていた。
 
 すなわち、偽装という考えが。
 
(――――――あと、53秒。十分だぜェ。クソッたれ)
 手はうった。方針は立てた。方法論は確立した。勝利までの道筋は描き切った。
 今できる最高の演技。今できる最強の攻撃。
 後は、それを、放つだけ。
 御坂美琴と一方通行アクセラレータは互いに何度もすれ違いあった。その関係性が今やっと交錯する。交錯し、工作されたその関係がやっと終結する。
 
 仮に、
 
 この世界が、
 
 作者誰かによって描かれた、
 
 一つの物語であり、
 
 その結末が、
 
 多数の読者を楽しませるものであるのならば、
 
 
 
 
 
 きっと、
 
 
 
 
 
 もう、
 
 
 
 
 
 結末はとっくに決まっていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「か、ひっ…………はぁ、はっ――――――ヒュァ、ヒュう」
 限界だった。本当に限界だった。これ以上は持たない。体力が持たない。尽きる。尽きてしまう。精も根も尽き果ててしまう。
(つ……ぎ……――――――っ)
 思考がまとまらない。でもどうするべきかわかる。勝つためのロジックは組み立ててきた。そのためだけに人を捨てた。
手に入れる。入れて見せる。欲しいものは全部残さず奪いつくして喰い尽す。
 だから、進め。動け。前に出ろ。
 
 ここが分水嶺ぶんすいれい。天下分け目の分水嶺。
 
798 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:36:08.73 ID:3OJgtAFD0
 神から人へ戻った御坂と一方通行アクセラレータが戦闘を開始してから62秒後。唐突に二人は大きな距離をとった。
 
「「―――――――――――――――――――――――――――――――――…………………………………………………………………………………………」」
 
 二人は直感していた。
 きっと本当に本当の意味でこの交錯が最後の戦闘になると。数時間にもわたって戦い続けてきた戦いが終わると。
 
「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」
 
 一方通行アクセラレータの身体は既に満身創痍以上といってもいい。まずわかりやすい外傷として右腕の消失。全身に擦過傷プラス切り傷。右目、左足、左腕、眼窩がんか、内臓器官の6割、左耳、右耳、頭皮、手足の爪の内12個、指6本、思考能力、逃走本能、精神状態、判断力、すべて疾患有り。血塗れの血みどろ、五体不満足で死に体
 対して御坂美琴の身体の状態はあ・り・得・な・い・こ・と・に・ほ・と・ん・ど・軽・症・と・い・っ・て・も・い・い・も・の・だ・っ・た・。めだつ外傷といえば、せいぜい全身の擦過傷と切り傷だけ。それにしたって血管が爆散したような状態の一方通行アクセラレータほどではない。
 怪我は確かに、千切れかかった足、折れかかった腕、視力のなくなった右目、燃えた髪の毛と多岐にわたるがそれだけ。こんな長時間命がけの戦闘を行ったにしてはあまりに軽症すぎる。
 一方通行アクセラレータのようにベクトル操作能力を持っていない御坂がこの程度の傷でいられるわけがないのに。
 
「「―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――」」
 
 タイミングは同時だった。
 明確な合図はなかった。
 この場の誰もが狂っていた。
 
 二人は駆けだした。
 
 
 
 御・坂・は・後・ろ・に・、一・方・通・行・は・前・に・。
 
 
 
「――――――っ!!!」
 予想外の動きをしたわけではない。むしろ当然だ。御坂は一方通行アクセラレータが体力を消費していることを分かっている。なら、逃げに周るのは至極当然の理。ここでぶつかり合わない選択肢をとるのはあまりにも常識的な選択。
 故に当然一方通行アクセラレータもその行動を予期していた。
「シイイィィィィィィィィッッッ!!!!!」
 腕を振り、風を操り、御坂に向かって飛ばす。といっても飛ばした風の軌道は御坂に直撃するものでは無い。直撃軌道というモノは避けてしまえばそれで終わりである。故に、一方通行アクセラレータは御坂の行動を制限するように、御坂の体の左右に向かって風を放った。
「ッッッ!!!!!」
 不可視の風の攻撃を肌で感じた御坂は一瞬一方通行アクセラレータの後方へと視線をやった。そしてさらにさがる速度を上げる。
(これ……な、ら……)
 トン、と。あるいはストン、と御坂は大きく地を蹴って後方に突き進んだ。目に見える一方通行アクセラレータの移動速度から逆算すれば御坂が一方通行アクセラレータに追いつかれることはない。
 さすがの一方通行アクセラレータも疲れ果てている。殺し合いの始まったころのような機動力は発揮できていない。対して、御坂は違う。妹達シスターズのいる御坂はいまだ8割ほどの力を発揮できている。故に、現在の一方通行アクセラレータから逃げることが出来
 
 て・い・る・よ・う・に・見・え・た・。
 
「っ、ぉ」
 距離が詰まる。計算よりも早く、演算よりもずっと近くに一方通行アクセラレータが近づく。その理由は酷く単純で、とても当たり前の理論。
 偽装。
 一方通行アクセラレータは自らの体力の消費具合を偽装して御坂に『これ以上の速度は出せない』と思い込ませた。ただがむしゃらに腕を振るい、足を回していたころの一方通行アクセラレータとは違う。
 明確な思考、思想、目的、目指すべきものがある。モチベーションが違う。
 つまる距離と近づく狂気を前に御坂はあきらめたように嗤った。
 
 そして、
 
 そして、
 
 そして、
 
 
「ぁ」
 
 
 ドブリ、と漆黒の大地に立った一方通行アクセラレータのその腕が御坂の心臓がある部分を貫いた。
 
 御坂は一方通行アクセラレータの一撃を避けなかった。
 
 
 だから、これで決着がついた。
 
 勝利が確定した。
 
 
 終わった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 ――――――一方通行アクセラレータ戦闘不能まで、残り18秒。
 



そういえばこの小説、原作別の総文字数ランキングで一ページ目に乗っていました。まだ一章終わってないのに。
799 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:37:49.65 ID:3OJgtAFD0
禁書蹂躙のためにオリキャラの設定を20万文字書いた超大作だぁ
800 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:39:17.72 ID:3OJgtAFD0
https://syosetu.org/novel/56774/93.html
御坂美琴と一方通行F もう一人の襲撃者

 ドブリ、と心臓を貫き御坂の体の反対側まで貫いた一方通行アクセラレータの腕を御坂はただ客観的にみていた。
 明確な終わりを実感できた。この体に宿る唯一の命が尽き果てていくのを自覚できた。
「ァ、かっ!!!ごっ、がハ…………」
 血液と吐瀉物が入り混じったものが口から吐き出される。それこそ御坂の生命が終わる証であり、この場の勝者が一方通行アクセラレータに決まった瞬間だった。
「――――――――――――――――――――――――――――」
 胸を貫いたその勢いのままに一方通行アクセラレータは御坂の体内に存在するあらゆるモノを逆流させる。血液は当然として細胞や筋繊維、シナプスに生体電流すらも逆にした。
 当然、生体電流の逆流は電撃使いエレクトロマスターである御坂に及ぼす影響は皆無といっていいが、その他の逆にされたものは等しく御坂の身体を蹂躙じゅうりんした。
「っ、がっ――――――こ、れっれで……」
 何か、御坂の口から言葉が零こぼれ落ちる。
 だがもはや御坂にできることはない。心の臓を貫かれ、全身を逆にさせられた御坂に出来ることなどない。後一瞬、ほんの刹那の間に御坂は死体となり果てるだろう。
 断言できる。
 胸を、身体を、心臓を貫かれ、血流を、細胞を、筋繊維を、シナプスを、生体電流を逆にされた御坂が一方通行アクセラレータに出来ることはもはやない。
 絶対に確約できる。
 この場の天秤は一方通行アクセラレータに傾いた。この傾きがさらに揺れることなど決してない。
 御坂は死ぬ。
 御坂は死亡する。
 御坂にできることはもはや何もない。
 死ぬシヌしぬ。
 その命を散らし、死ぬ。
 
 
 
 そう、
 
 
 
 
 
 御・坂・は・負・け・た・の・だ・。
 
 
 御・坂・は・、負・け・た・。
 
 
 御・坂・は・!!!!!!!
 
 
 
 
 
 
 襲撃はあまりにも唐突だった。
 その一撃はあまりにも突然に一方通行アクセラレータに向かって放たれた。
 
 
 ズドンッッッ!!!!!という音が聞こえた。
 
 
 空間を光が裂いた。
 雷速で、その一撃は一方通行アクセラレータに向かっていった。
 一方通行アクセラレータの右腕は消失しているので使えない。一方通行アクセラレータの左腕は御坂を貫いていて使えない。一方通行アクセラレータの左足は地面に立つために使われていて使えない。一方通行アクセラレータの右足なら使え、
 
 ガギイイイイィィィッッッッッ!!!!!
 
 地・面・が・沈・ん・だ・。
(ッッッ!!!??)
 驚きではなく予想外の事態への混乱が思考をよぎった。まるで狙いすましたかのように一方通行アクセラレータの立っている地面が沈んだ。
 なぜ、と理由を考えることもなく一方通行アクセラレータの頭脳はその現象への回答を導き出した。一方通行アクセラレータは既に一度この現象を体感していたのだ。
 土と入れ替わった砂鉄のせいで立っている地面が沈んだ。その単純明快な事実を一方通行アクセラレータの頭脳はいとも簡単に導きだした。
 思い出されるのはあの時の光景。御坂との最初の交錯。
(――――――――――――)
 そう、あの時も御坂は砂鉄を使って一方通行アクセラレータの足元を沈めてきた。今回もそれと全く同じだった。
 御坂が一方通行アクセラレータから離れるように下がったのは逃げるためでは無い。一方通行アクセラレータの足場を崩し、も・う・一・人・の攻撃を確実に一方通行アクセラレータに当てるためだ。
 策は成った。
 罠に嵌はめた。
 右腕、左足、左腕、右足。一方通行アクセラレータの四肢はすべてもう一人の一撃に対して対処不可能になった。
 故に、
 だから、
 
 キイイイイィィイィイイィィィイイイイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィっっっ!!!!!!!!!!
 
 い・と・も・簡・単・に・も・う・一・人・の・そ・の・一・撃・は・反・射・さ・れ・た・。
 
「予想してなかったと」
 左腕に貫かれて死亡した御坂は通じると思っていたのだろうか?
 こんな幼稚で簡単な一撃が、成長した一方通行アクセラレータに本気で通用すると思っていたのだろうか?
 だとしたら、
 舐めるな、と一方通行アクセラレータは言いたかった。
「予想してなかったと、本気の本気で思ってたのかァ?オマエは」
 砂鉄による姿勢崩し。あぁ確かに有効だったさ。戦闘当初の一方通行アクセラレータなら有効だった。間違いなくもう一人による一撃は当たっていた。
 
801 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/22(日) 22:39:34.96 ID:Jz1WqMsUo
ここはそういうスレじゃないぞ
802 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:40:39.04 ID:3OJgtAFD0
 御坂が一方通行アクセラレータから離れるように下がったのは逃げるためでは無い。一方通行アクセラレータの足場を崩し、も・う・一・人・の攻撃を確実に一方通行アクセラレータに当てるためだ。
 策は成った。
 罠に嵌はめた。
 右腕、左足、左腕、右足。一方通行アクセラレータの四肢はすべてもう一人の一撃に対して対処不可能になった。
 故に、
 だから、
 
 キイイイイィィイィイイィィィイイイイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィっっっ!!!!!!!!!!
 
 い・と・も・簡・単・に・も・う・一・人・の・そ・の・一・撃・は・反・射・さ・れ・た・。
 
「予想してなかったと」
 左腕に貫かれて死亡した御坂は通じると思っていたのだろうか?
 こんな幼稚で簡単な一撃が、成長した一方通行アクセラレータに本気で通用すると思っていたのだろうか?
 だとしたら、
 舐めるな、と一方通行アクセラレータは言いたかった。
「予想してなかったと、本気の本気で思ってたのかァ?オマエは」
 砂鉄による姿勢崩し。あぁ確かに有効だったさ。戦闘当初の一方通行アクセラレータなら有効だった。間違いなくもう一人による一撃は当たっていた。
 だが、もう一度言うが舐めるな。学園都市超能力者レベルファイブ第一位一方通行アクセラレータを舐めるな。
 一方通行アクセラレータは気付いていた。気が付いていたのだ。
 も・う・一・人・、こ・の・操・車・場・に・御・坂・の・協・力・者・が・存・在・す・る・こ・と・に・!!!
「だとしたら」
 左腕は御坂を貫いているから使えない。右腕はそもそも今の一方通行アクセラレータにはないので使えない。左足は身体を立たせるために使用中で使えない。右足は砂鉄によってバランスを崩されたせいで使えない。
 左腕は御坂を貫いているから使えない。右腕はそもそも今の一方通行アクセラレータにはないので使えない。左足は身体を立たせるために使用中で使えない。右足は砂鉄によってバランスを崩されたせいで使えない。
 
 だがそれはすべて、もう一人の襲撃者の一撃を四肢を使って防ぐ場合だ。
 
 五体の全てを使って防ぐのであれば体のバランスが崩れようと関係ない。
 もう一人の襲撃者の一撃は御坂の連携だった。御坂が態勢を崩させ、その後襲撃者が一方通行アクセラレータの千切れた右腕の断面を狙って攻撃を加える。意識をシンクロさせているからできる完全で完璧なコンビネーションだった。
 そこに一方通行アクセラレータが行動を起こさなければきっとその一撃は決まっていた。
「だとしたら、なァ」
 一方通行アクセラレータが起こした行動は簡単なモノだった。自らの力、といっても今は疲れのせいもあって演算能力は低下し、最低限の『反射』と少しのベクトル操作しかできないが、その力を使用し地面と接触している左足で大地を爆散させただけだった。
 地面を爆散させたことによって一方通行アクセラレータの態勢はさらに崩れ、もう一人の襲撃者による一撃は右腕の断面ではなく『反射』の適用された一方通行アクセラレータの身体に当たった。
 だから、一方通行アクセラレータは無事だった。
「俺も、ずいぶン軽く見られたもンだなァ!!!!!」
 ガギリ、と首を鳴らしながら一方通行アクセラレータは後ろから攻撃してきた襲撃者を見るためにふりかえった。
 一方通行アクセラレータがもう一人の襲撃者の存在に気付けたのはその前の御坂との戦闘のおかげだ。意識が明瞭だったとは言えないがそれでも『神』の『力』を使っていたあの時、一方通行アクセラレータは一度『力』同士のぶつかり合いで『神』の『力』を手にした御坂に負けた。
 『力』の質では勝っていたのにも関わらず負けた。『力』の量の関係で負けた。
 
 あ・の・場・に・は・御・坂・と・一方通行アクセラレータの・二・人・し・か・い・な・か・っ・た・は・ず・な・の・に・。
 
803 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:41:10.18 ID:3OJgtAFD0
一対一サシでは負けないはずだった。
 つまり一対一サシではなかった。
 いたのだ。
 誰かが。
 いたのだ。
 誰か、が。
 一方通行アクセラレータでもなく御坂美琴でもない第三者。もう一人の人間がいた。それを一方通行アクセラレータは気付いていた。
 同時に思考した。その第三者が一方通行アクセラレータに襲撃をかけるならいつなのか、どのタイミングで攻撃を放ってくるのか。
 答えは簡単に出た。
 決まっている。一方通行アクセラレータが御坂を殺したタイミングだ。
 なぜならばそのタイミングならば一方通行アクセラレータは安心していて、油断している。御坂敵対者の排除が済んで、一瞬気が抜ける。
 だったらそこだ。そのタイミングで襲撃がかかる。そう一方通行アクセラレータは読んだ。
 そして、実際にそれは正しかった。
 襲撃は起きた。一方通行アクセラレータはその襲撃を防いだ。『反射』出来た。
(さァ、誰だ?誰がいる?)
 振り返る。
 振り返る。
 振り返って、
 
 そして、視線がソイツを捉えた。
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                    は     
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                                           」
804 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:42:12.88 ID:3OJgtAFD0

 
「そもそもの話として『人間』とは何だろうか?」
 
「人間。そう人間とはなんだ?」
 
「人間。人間だ。人間。人と間」
 
「広辞苑第六版から引用すれば人間とは『(社会的存在として人格を中心に考えた)ひと。また、その全体』。Wikipediaの人間の項目から引用すれば『(社会的なありかた、人格を中心にとらえた)人。また、その全体』。Goo国語辞書の人間の項目からから引用すれば『1ひと。人類。2人柄。また、人格。人物』」
 
「あぁ分かりにくいことこのうえないな。もっと分かりやすく記載してくれよ」
 
「ここはひとつ僕が人間を定義づけてやろう。分かりやすく、単純に」
 
「人間とは何か?人とは何か?」
 
「その基本的な、基礎となる条件を上げていこう」
 
「まず、第一条件として人間らしい身体を持っていることだろう。すなわち、骨格、筋肉、皮膚、四肢、内部器官、血管や神経、呼吸器系、内臓、五臓六腑、指、爪、髪、へそ、毛、生殖器、眼球や下、耳に鼻、さらに髭や腱などが『人』としての形をたもっている、ということが一つ目の条件として挙げられるだろう」
 
「次に第二条件としては言語だ。言葉を交わせる。言葉を話せるという事。英語でも日本語でもドイツ語でもラテン語でもフランス語でもロシア語でも中国語でも韓国語でもスキタイ語でもエジプト語でもオスク語でもサンスクリット語でも何でもいいが、とにかく他者との意思疎通が高いレベルで可能であるという事」
 
「第三条件は頭脳。考えることが出来る、というのは他生物でもできるが、『人間』ほど思考できる生物はほかにいない。モノを作り、造り、加工し、想像し、創造する。そのすべてを実行できる生物は『人間』のほかにはそういないだろう」
 
「まぁ、他にも条件はあるが大方こんな所でいいだろう」
 
「では、人間を定義づけたところで次の話題だ」
 
「我々人類は知り合いが知り合いであるという事をどうやって判断しているのか?」
 
「その人が『その人』であると、どう判断しているのか」
 
「分かりやすく言おう」
 
「ここにAAαあーえーあるふぁという人物がいるとする。AAαあーえーあるふぁはBBβびーべーべーたという人物と友人である。これを基本条件とする」
 
「では問題。AAαあーえーあるふぁは出会った人物がBBβびーべーべーたであるということをどうやって判断するのか?」
 
「顔がBBβびーべーべーたの顔ならばBBβびーべーべーたと判断してしまうのだろうか?いやしかし、もしも仮に整形手術などでほかの人物がBBβびーべーべーたの顔を持ってしまったら、その人物もBBβびーべーべーたとなりうるのか?」
 
「ありえない、と否定しよう」
 
「では顔がBBβびーべーべーたの顔であるという条件にさらに付け加えて体つきもBBβびーべーべーたのものだとしたらどうか」
 
「これでもまたあり得ない。他の人物がBBβびーべーべーたとなることはできない」
 
「なぜか」
 
「なぜなのか」
 
「記・憶・の・問・題・が・あ・る・」
 
「記憶」
 
「人間の記憶」
 
「仮にその人物の顔と体型がBBβびーべーべーたと同じものだとしても、AAαあーえーあるふぁがその人物と会話をすれば、その人物がBBβびーべーべーたではないと分かる」
 
「分かってしまう」
 
「何故ならその人物にはBBβびーべーべーたとしての記憶が無いから」
 
「故に、その人物はAAαあーえーあるふぁを騙せない。会話が成立しない」
 
「共通しているはずの思い出が、一緒に過ごした記憶が無いから」
 
「だから、どれだけ形が似ていてもその人物とBBβびーべーべーたは結局別人だ。まぁ、当然と言えば当然のことだが」
 
805 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:43:02.58 ID:3OJgtAFD0
 
「別人だ」
 
「別人」
 
「別の人」
 
「別人」
 
「ではここで一つ、考えを変えてみよう」
 
「姿かたちが同じでも、『記憶』、つまり外からは見えない内面が違うのならばその人物とBBβびーべーべーたは同じとは判断されない」
 
「では逆に」
 
「外面はもちろん『記憶』を含めた内面すらも同一ならば」
 
「その人物とBBβびーべーべーたの見分けは、はたしてつくのだろうか」
 
「別人と判断できるのだろうか」
 
「AAαあーえーあるふぁを、友人を騙せるのだろうか」
 
 
 
 
「つまるところ、今回の第一章はそういう話だ」
 
 



さて、もう一人の襲撃者の正体はだれでしょう?

次の更新は3日後です。



























 ヒントはすべて出ているぞ。
 答えはすぐそこまで来ている。
 考えを放棄するなよ愚図が。
 張り巡らされた伏線の真実を明かされるのを唯々諾々と待っているんじゃない。
 なぜ考えない愚か者?
 どうして思考しない馬鹿なのだ?
 考えろよ考えろ。
 大丈夫だ問題ない。
 なぁに心配などないさ。
 信じているぞ信じているさ。
806 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:43:58.44 ID:3OJgtAFD0
https://syosetu.org/novel/56774/94.html
協力者の正体は……


御坂美琴と一方通行G 悍ましき悪

 『それ』を見た瞬間一方通行アクセラレータはすべてを理解した。
 『それ』を見た瞬間一方通行アクセラレータはすべてに恐怖した。
(こ、こ、こっ、コッ――――――イ、ツ――――――――――――ッッッ!!!!!)
 言葉が出ない。
 言葉にならない。
 言語化できない。
 言語にならない。
(あっ、あ、あ、あ、っぁ、ぁ、ああ、あ、あ、ああ、あっ)
 恐ろしい。
 恐ろしい。
 恐ろしい。
 怖い。怖い。怖い。
 否。
 恐怖以上だ
 なんだこれ?
 なんだこれ?
 なんだこれは?
(頭おかしいンじゃねェのか!!!!!)
 狂っている、では足りない。
 狂気に満ちた、では足りない。
 化物、と罵ることさえまるで足りない。
 もっと前段階。そもそも同じ人間なのか、と疑問を持つ段階だ。陳腐な言葉で形容するならば人外じみた、魑魅魍魎の精神性。
 ありえないと百回言って、
 狂っていると千回言って、
 頭がおかしいと万回言って、
 狂気に満ちたと億回言って、
 それでもなお、まるで足りない。
 薬ヤクでもやっているのか?それとも極限の恐怖で精神ココロが壊れたか?
 否。
 否否否!!!
 違う。これで正常だ。これで正しい。これこそが彼女の在り方。彼女の精神性。
 偽らざる真の心本心。
「ひ――――――ぁ――――――」
 喉が、干上がった。カラカラと口の中がどうしようもなく乾く。消失した右腕の代わりに一方通行アクセラレータの左腕で心の臓を貫かれ、全身の全てを逆流されて耐えがたい痛みを感じながら死亡したはずの御坂美琴の死に顔がそれを物語っている。
 ありえない。
 ありえてはならない。
 オマエは、
 そんな、
 そんなにも、
 そこまで、
 そうまでして、
 オマエは、
「あはは」
 嗤っていた。笑っている。哂っていて、ワラッテいた。
 その死に顔は、形容しがたいほどに歪に歪んだ笑顔だった。
 あぁ嘘だろう。
 嘘だと言ってくれよ。
 信じられないあり得ない。
 ふざけるなよ。あり得るのかそんなことが。
 どうしてそんなことが出来る。
 どうしてそんな真似が出来る。
 なぜだなぜなぜ。
 なぜなんだ。
 オマエは人間だろう?
 オマエだって人間だろう?
 なのに、それなのに、
 どうして、
 どうしてそんなことが、
 どうしてそんなことができるんだ。
(つまり、………………)
 見誤っていたということだろうか。そういう事なのだろうか。一方通行アクセラレータは御坂美琴を、
 否、
 『御坂美琴』を見誤っていた、とそういう事なのだろうか。
 きっと、そうなのだろう。一方通行アクセラレータは見誤っていた。『御坂美琴』のことを見誤っていた。
 その思いの深さ、覚悟の強さ。メビウスの輪のように摩訶不思議でありながら四次元超立方体のような意味不明さを兼ね備えた上でクラインの壺さながらの理不尽具合を持ったその複雑怪奇な精神性を見誤った。
(だから、……………………………)
 見誤って、誤った。対応を、選択を間違えた。
 勝つためならばそもそも最初にあった時に、ミサカ9982号を殺したその時に御坂美琴のことも殺さなければならなかったのだ。放置しておくべきでは無かった。殺さなければいけなかった。
 だが、それはあまりにも酷だ。あの段階でこの状況を予想しろなど、どんな天才でも不可能に違いない。それこそ未来予知でもできない限り予想できるわけがない。
807 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:44:29.02 ID:3OJgtAFD0
故にこの結末は決まりきったもの。ただ唯一、一方通行悪党が辿る地獄への道筋。落石は、一方通行アクセラレータを煉獄へと堕とした。
「あァ」
 ある意味では諦観が、
 ある意味では後悔が、
 ある意味では達観が、
 一方通行アクセラレータの胸の中に満ちた。
 このただ一つの狂気に満ちた真実を、視線の先に存在する絶望の悪夢を、一方通行アクセラレータは正しく認識する。
 
 
 見た。
 視た。
 観た。
 視認した。
 認識した。
 認知した。
 
 
 
 視線の先には誰がいたのか。
 視界が捉えたのは誰だったのか。
 
 
 
 今明かそう。
 
 
 
 
 
 暗く昏い瞳を携えながら、暗黒の闇夜に立つ『彼女』。
 『彼女』は白いソックスをはいていた。
 『彼女』は茶髪だった。
 『彼女』は常盤台の制服を着ていた。
 『彼女』は生まれたばかりの存在だった。
 五体満足でありながらも数千を超える死を経験し、心身健常でありながらも常に傷付いている。
 『彼女』は武器など持っていない。
 『彼女』は防具など持っていない。
 『彼女』は戦闘の手助けになるものなど何一つ持っていない。
 『彼女』は逃走の手助けになるものなど何一つ持っていない。
 それでもこの場所に立つのはただ一つ。この胸に抱える大切な人モノがあるから。
 無くしたくないと叫び、亡くしたくないと喚わめいた。
 あぁ、つまりそういうこと。
 この場で、
 この時に、
 一方通行アクセラレータの視線の先に立つその人の名は
 
 
 
 
 
 
「御坂、美琴」
 
 
 
 
 
 
 静かに、一方通行アクセラレータは呟いた。
 
 その女の名を。
 
 
 
 一方通行アクセラレータにとっての死を。
808 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:44:55.35 ID:3OJgtAFD0
 人間とは唯一無二の個である。
 悪党だろうが善人だろうが罪人だろうが聖人だろうが男だろうが女だろうが幼子だろうが老人だろうが大人だろうが黒人だろうが白人だろうが混血だろうが大統領だろうが首相だろうが議員だろうが秘書だろうが統領だろうが首領だろうが頂点だろうが底辺だろうが中間だろうが理事長だろうが校長だろうが寮監だろうが甥だろうが姪だろうが幼馴染だろうが犯罪者だろうが青少年だろうが少女だろうが未成年だろうが成人だろうが宗教家だろうが狂信者だろうが同性愛者だろうが差別者だろうが馬鹿だろうが賢者だろうが美だろうが醜だろうが障害者だろうが健常者だろうが重篤患者だろうが黒髪だろうが白髪だろうが金髪だろうが銀髪だろうが色黒だろうが極道だろうが外国人だろうが劣化模造品だろうが。
 その唯一性、その絶対たる個性、それはあいまいではなく確かに一人一人に存在している。
 個性、そう個性だ。
 確たる個を誰もが持っている。
 生まれ出でたばかりの赤子だろうとその唯一性は変わらない。
 顔、体重、年齢、身長、生年月日、名前、美醜、努力因子、頭の出来、対人コミュニケーション能力、対人関係、親の有無、友人の多さ、抱えた病、かかった病、歩んだ道のり、過去、現在、身体つき、視力、聴力、味覚、触覚の過敏さ、髪量、爪の長さ、肌の色、国籍、人種、海外渡航歴、足力、運動能力、頭脳、恋人の有無、読書量、職業、趣味、職歴、預金額、好きな服装、好みの食べ物、好みの飲み物、瞼が一重か二重か、虫歯の有無、好きな番組、支持する政党、嫌いな人物、
 すべてが同じという事などあり得ない。絶対にありえないし、あり得てはならない。
 だってそうだろう?
 すべてがすべて、一切の差異無く同一であるというのならば、個の唯一性が揺らぐ。揺らいでしまうではないか。
 ドッペルゲンガーを見たら死ぬのはそのドッペルゲンガーが何か特殊能力を持っていたからでは無い、自分自身が二人いるという現実を否定するために主とドッペルゲンガーが殺し合い結果として一人しか残らないから死ぬのだ。
 個の唯一性は絶対に重要なモノだ。自らの代わりとなる個体が存在することを自覚してしまったら彼らは殺し合わざるを得ないだろう。
 なぜか?
 
 自・分・自・身・の・代・わ・り・が・い・る・と・い・う・事・が・許・せ・な・い・か・ら・だ・
 
 代替品が存在するという事実は自らが存在しなければならないという事実を揺るがす。替わりがいるのだからお前がいなくても問題ない。代わりがいるのだからお前が死んでもその続きがある。
 それを普通の人間は認められない。
 個人を個人として成立させるただ一つの個性。自分自身の代わりがいるなど、そうしたら自分がここに生きた意味が失われてしまうではないか。この努力もこの生もこの感情もこの生き様もすべて偽物だと思ってしまうではないか。
 だれもが嫌だと否定するだろう。
 誰もがふざけるなと泣き叫ぶだろう。
 誰も、誰しも、自が確たる個であると信じ、信じたいのに。
 
 
 
 御・坂・美・琴・は・そ・れ・を・自・ら・放・棄・し・た・。
 
 
 
 放棄したのだ。御坂美琴は。
 ありえない、と一方通行アクセラレータが思うのも仕方ない。その事実を認めがたいのもしょうがない。
 なにせ人間はただ唯一の個性をもつ個体。替わりのきかない絶対の個。
 それを放棄すればもはやそれを人間であることを捨てたも同義。
 なのに、
 だというのに、
 躊躇いなく捨てた。躊躇なく捨て去った。
 そこまでして、そうまでしても妹達シスターズを助けたかったのだ御坂は。御坂美琴は救いたかったのだ。
 そう救いたかった。
 救いたっかた救いかたった。
 すくいたく救いたう救いた救い救いs喰いたたたたたたttatatbsy化初スカイすくいすかういすかういすかうい救い救い救いsukuisukuいいししいいいぃぃぃいいいいイイィイsukuiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii救済きゅさい救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済救済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済済さいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいさいあしあししししししししししししいいいいいいいっきいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいイイイイいいいいいイイイイイイイイイイぃぃぃぃぃいいいいぃぃいいいxゐィゐィイイィィイい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 
 
 
 
 
「だぁいじょ、じょう、じょうぶぶぶぶぶよぉ」
 
 
 
 
 
 
 救いを救いを救済を救い救命して救い救済助けて救って救命して救助するするっするruるるるうう救済救済救出救命助命命命みみゑ名い命助助け助名命命救う約sやくskk約束kyuuuuうううう種出出出命出命助救出救命救済救済助命助ける助ける助ける助ける助ける助ける助ける助ける助ける助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命命助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助助けぇえええええええええええええぇぇえええぇええぇえぇえええええええええるんるんるんるるるるるるるるるうううううううう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 
 
 
 
 
 
「ワタシガカナラズ」
 
809 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:45:55.68 ID:3OJgtAFD0
妹思う妹妹妹妹いむおおもうとおうお妹妹妹妹達シスターズ妹達シスターズ妹達シスターズ妹達シスターズいもうおtおiomouい思うと妹妹妹妹達シスターズ妹達達達達達達達達たたたtaああああああああァァァ唖唖唖唖唖アアァッァアアアアアaaたちちっちちっちいちいいちちちちちち妹達シスターズズズズズ妹達妹行こうと妹妹妹いもうtおいもう妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹
810 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:47:07.31 ID:3OJgtAFD0
「タスけテあげ婁るカラ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
               べギ
 



…………………………狂気を表現する方法のバリエーションが私の中にあまりないなぁ……。こんなんじゃただの駄作だこれ…………。

文字量についてはパソコンでみたときに画面がいっぱいになるぐらいの文字量のはずです。スマホならスクロールが面倒でしたよね。ごめんなさい。

さて、そろそろ御坂美琴を理解した人はいるかな?
811 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:47:45.44 ID:3OJgtAFD0
https://syosetu.org/novel/56774/95.html
話し進まねぇ……。


一方通行A 地獄の最下層よりも下

 絶叫しなかった自分自身を褒めてあげたかった。
「―――――――――――――っ!!!!!!!!!!!!!」
 全力で逃走した
 もはや同じ人間には思えなかった。
(怖い)
 貫いた御坂から腕を抜いて、最低限の『反射』すら移動のためのベクトル制御にまわして、ただひたすらに走った。
 どこに、という意識すらなくただひたすらに奔った。
 闘争という意識はもはや脳の中のどこにも無く、逃走という意識だけがただ身体を動かした。
 ふざけるな、とここに来た自分自身をぶん殴りたかった。こんな恐怖を、心臓を直接握りしめられたような死絶の怖気を感じるくらいならばもはや一刻も早く、一瞬でも早く死んでしまいたいとすら思った。
 畏怖とか絶望とかそんなレベルでは無い。この世の全言語を総動員し、万象すべての生物に存在する感情をかき集めたところで一方通行アクセラレータの感じるこの思いに匹敵することはないだろう。
 脳のエネルギーの全てを、あらゆる演算機能のほとんどをただ逃走にのみまわした。千切れた右腕から血液があたりにまき散らされるが、もはや一方通行アクセラレータは一顧だにしない。
「――――――はっ、はっ、はぁ、ハァ、っあ、が……るァ、おィ、弐――――――逃、げ、げっえぇぇェぇええ、おええええええええぇぇぇえええぇぇ!!!!!」
 擦り傷切り傷刺し傷かすり傷うち傷咬み傷突き傷逃げ傷古傷向こう傷掻き傷生傷すべてがすべてどうでもいい。
 右目左目右足左足右耳左耳鼻口唇舌爪手指足指肝臓腎臓盲腸胃心臓膵臓脾臓大動脈大静脈肺静脈肺動脈小腸大腸十二指腸広背筋上腕二頭筋僧帽筋眼輪筋水晶体虹彩三半規管静脈動脈毛細血管膀胱口輪筋三角筋橈側手根屈筋縫工筋大腿二頭筋大殿筋頸椎胸椎腰椎胸骨肩甲骨筋繊維髪額喉歯項踝踵膝肘足裏肌上顎骨下顎骨鼻骨涙骨後頭骨前頭骨側頭骨頭頂骨形骨篩骨耳小骨舟状骨月状骨三角骨豆状骨指紋指関節食道肺胞生殖器眉顎耳朶瞼角膜視神経中心窩前房後房硝子体視神経乳頭黄班脈絡膜鼓膜聴神経耳管耳殻外耳道蝸牛意識している暇は無い。
 今は早く、速く、一刻も早く逃げないと離れないと外に行かないと戻らないと。
 じゃないとじゃないとじゃないとじゃないとじゃないととととととととととと!!!!!
「ばっ、ごォ!……ァ、っ――――――オウガァアアァアアアアアぁああぁぁぁぁぁぁああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
 スピードで言えばベクトル操作能力の全てを移動するために使っている一方通行アクセラレータに御坂美琴が追いつけるわけがない。だから、このまま逃げ続けていれば必ず逃げとおせる。
 はずなのに、
 だというのに、
「――――――――――――ッッッッッ!!!!!!!」
 この胸に感じる正体不明の圧迫感はなんだ?
 この胸を撫でる言語化不能の威圧感はなんだ?
 なんだ?なんで?これは?こんな?こんなことに?
「ひ、ひ、ひァ……ひひゃ、ひッっっ―――――――!!!!!」
 死ぬのが怖いと思ったのはこれが初めてでは無い。改良版音響式能力演算妨害装置キャパシティダウンバージョンベータで『反射』を破られて超電磁砲レールガンの直撃を受ける羽目になったあの時だって死への恐怖は感じた。
 だから、別に死ぬのがそこまで怖いと思っているのではないのだ。
 
 だけど、
 
 脳に直感するものがあった。
 きっと、たぶん、おそらく、今の御坂にあったら死ぬよりもひどいことになる。具体的にどうなるかまではわからないが、それでも直感は絶対につかまってはならないと叫んでいた。
 生きたまま解剖されるよりもひどいことが起こる予感がした。
 故に、逃げる。奔る。逃走する。
 捕まったらヤバい。つかまりたくない。
 嫌だいやだ嫌だ嫌だ嫌いや嫌嫌嫌だイヤダイヤダ。
 こんなふざけた終わりは、こんなふざけた終焉終わりは、いやだ。
 超能力者レベルファイブの誇り?
 そんなものはどうでもいい。
 学園都市の中で最強の一方通行アクセラレータ?
 ここで死なないなら最弱になっても構わない。
 前人未踏の絶対能力者レベルシックス?
 そんなものはもういらない。
 だからああ、神様どうかお願いします。
 今だけでいいんです。この戦いを生き残れたらもう悪さはしません。慈善事業に尽くしますボランティア活動に精を出します宗教団体に寄付金を上げます信仰心を積み上げます。
 だからあぁ、どうかいまだけ俺を、
 俺を――――――。
 
 
 ドサッ、と大地を強く踏みしめるような音が聞こえた。
 
 
「――――――――――――――――――っっっっっ!!!!!!!!!!!」
 
 
 思わず、といっていいのだろうか。一方通行アクセラレータのその足が地面を離れ、一方通行アクセラレータのその身体が地面に縫いついた。
 呼吸を、体の動きを、その身体の微細振動を、心音を止めたいと本気で思った。すべてを静止させた人形になり果てることが出来てしまうのならばいったいどれだけ楽なのか。
 だが、一方通行アクセラレータは人間である。御坂美琴とは違って純粋に純朴な人間である。故に、その呼吸を、心音を止めることなどできはしない。
 故に、一方通行アクセラレータは気付かれないようにゆっくりと、ゆっっっくりと足を踏み出して前に進もうとして
 
 
 ぬるべちゃ、と赫いインクが一方通行アクセラレータの全身に付着しついた。
812 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:48:14.24 ID:3OJgtAFD0
「――――――ァ?」
 
 
 左腕を前に掲げる。
 赤かった。紅かった。朱かった。赫かった。あかかった。アカカッタ。
 だから、存在しない右腕の代わりに、あかい左手の甲を舌で舐めた。
 
 チノアジガシタ。
 
「え、はえ???な、――――――ェ?」
 血?チ?血液?血痕?
「どう、……なン――――――は?????」
 血液が外に流れ出ていた。なぜだ?
 一方通行アクセラレータは失血していた。どうして?
 いや、そうではなく、そうではなく。
 そんなことはどうでもよくて。
「ァ、に――――――逃げ、ねェ…………と」
 そうだ逃げないと。生きたいから逃げないと。
 逃げない、と。
 そのためにはまず二本の足を前に進めて、そして……。
「…………?」
 あれ?
 どういう事だろうこれは?
 なんだろうこれ?
 顔が、あかく、染まって?
 
 血?
 
 血液?
 
 地面が冷たい。
 なんで地面に張り付いているんだ?
 なんだ?
 いつのまにやら地面が90度回転して壁になったのか?
 いや、違う。
 それは違う。
 目の前に赫い大地があるのは一方通行アクセラレータが倒れているから。
 倒れているのは一方通行アクセラレータだ。
 
「――――――ひ――――――――――――ぃ――――――」
 
 人は極限状況下では見たくない光景を見ないことが出来る。出来てしまう。心を守るためにも、認識したくない事実から目を逸らす。
 だが、この状況でも一方通行アクセラレータは現実から目を逸らせなかった。
 今まで体験した中でも一番の地獄だとしても、この状況に近い地獄を一方通行アクセラレータは何度も見たことがあったから。
 特例能力者多重調整技術研究所では多重能力者デュアルスキルを実現させるために何人もの子供が薬物付け状態にされ人体実験を行われた。
 プロデュースでは自分だけの現実パーソナルリアリティが脳のどこに宿るかを調べるために生きたまま解剖された子供がいた。
 光陰の三月実験では脳細胞を直接いじくり肉体及び精神的に二つの能力の特性を取り込ませる暗闇の五月実験の前身のような実験が行われた。
 すべて、見てきた。
 泣き叫ぶ子供を、狂い喚わめく少女を、絶望した少年を、舌を噛み千切って自殺しようとした幼女を、現実から目を逸らして空想の両親に縋った幼児を、
 一方通行アクセラレータは見てきた。
 見てきただけだった。
 体験したことなどなかった。だって一方通行アクセラレータは一位だったから。最強無敵の第一位サマだったから。
 だから、真に正しく現実を認識できた。
 
 
 
 も・う・、
 
 
 
 一方通行アクセラレータは・能・力・が・使・え・な・い・。
 
 
 
 ベ・ク・ト・ル・が・操・作・で・き・な・い・。
 
 
 
「あ、あぁ、あっ、あぁああ、ぁ、ぁあ!あ、あ、あ、あ……ああぁ、あ!あ?!ああぁああぁあああ!!!!!???」
813 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:48:46.93 ID:3OJgtAFD0
大地に倒れ伏してしまったのは転んだからでは無くベクトル操作能力を使えなくなってしまったからだ。いや、厳密に言えば完全に能力が使えなくなったわけでは無い。今現在も最低限中の最低限ではあるが痛みを制御するための体内ベクトル操作は使えている。
 しかし、逆を言えばそれしか使えていないという事。今の一方通行アクセラレータは全能のベクトル操作をただ痛みの制御にしか使えないという事。
 つまり限界だ。
 数時間にわたって戦い続けた限界がついに来た。複数人で交代しながら戦い続けた御坂に対して一方通行アクセラレータは独りだった。故に、真の限界が来てしまった。

 質と量の戦いで量が勝った。その結果である。
 ベクトル操作ができない一方通行アクセラレータなどもはやただの少年以下である。痛みの制御しかできない一方通行アクセラレータの右腕から血液が滝のように流れていく。このままでは5分と知れず一方通行アクセラレータは死ぬだろう。
「ぁ――――――や……………………ァ」
 ベクトル操作能力が使えないのならば、なおさらこの場所から一刻も早く脱出しなければならない。薄れゆく意識の中で、靄もやのかかる思考回路が、それでもなお一方通行アクセラレータに危機感を訴えていた。
 もはや、立ち上がることすらできない。
 ならば、這いずってでも前に進むしかない。
 この場所にはいたくない。
 左ひざを曲げて、右つま先で血地を蹴って腹をどす黒く染めながら、左手を前に出して、大地を掴み体を引きずり右手を
(……あァ、右腕は、無いンだっけかァ)
 ならしょうがない。もう一度左ひざを曲げてあかく身体を汚しながら地面を這いずり前に、前に、前に。
 一心不乱に一所懸命に一生懸命に前に先へ奥へ。
 這いずって進んだ地面は右腕から流れ出る血液のせいであかい軌跡となっていた。そのあかい軌跡をたどれば御坂はいつでも一方通行アクセラレータのもとに辿り着けるだろう。
 なのに、右腕を止血できないのは物理的な問題ともう一つ、心理的に一方通行アクセラレータがその程度の怪我に構っていられなかったからだった。
「は――――――ひゅっ!!!は、ひぁはッ……はぁ……っ……はぁっ」
 進む。進む。進む。進め。
 前へ。前へ。前へ。前に。
 先に。先に。先に。先へ。
「ひ、――――――っごハっ!げ、げゅごひョがッッッ!!!!!」
 喉の奥に痰でもたまったのか息苦しく感じた一方通行アクセラレータは左手を口の中に突っ込み喉にたまった何かを無理やり吐き出した。
 固まり切ったアカグロイ血が何度も何度も地面に吐き出される。
「ゼ――――――ひゅ、ひゅぅ、ひ!……ぜェ、ゼェ、ギュっ!!!…………………………あッ――――――――――――――――――――――――――ごっ、がアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」
 今、一方通行アクセラレータを守っていた最後のベクトル操作が切れた。痛覚の操作が切れた。
 だから、
 あぁ、だから、
 もはや痛みしか感じない。
 呼吸ができない。
 足も動かない。
 額をつたう血が目に入り、視力さえもなくなってきた。
 見えない聞こえない感じない触れない動けない――――――でも痛くて。
 何も誰も彼も我も――――――痛いと叫んでいた。
 痛い。こんな痛みはあんまりだ。イタイ。イタイ。イタイ。
 寝そべった地面がただひたすらにあかく染まる。流れ出た血液がすべてをただ赫に……。
 そして対照的に白くなる意識。白くなる思考。
 その白は、まるで最初の絶対能力進化実験レべルシックスシフトが行われた部屋のようだった。白い部屋に赤い血が彩られたあの景色。今の一方通行アクセラレータはまるで、あの部屋で倒れ伏したミサカ00001号と同じような格好だった。
「い…………や、だァ………………………」
 涙が出た。
 悲しくてしかたが無かった。
 胸に去来するただ一つの想い。
 胸を埋め尽くすただ一つの願い。
 それすらもう叶うことは無くて。
「死に……た、く、――――――ねェ」
 泣いて、泣いた。滝のような涙を一方通行アクセラレータは流した。痛みに埋め尽くされた思考の中、それでも生を求めるその姿はいっそ滑稽で、どうしようもなく嘲笑の対象になるだろう。
 けれど、本気だった。
 一方通行アクセラレータは生まれた初めて本気で願った。思った。
 
 
 死にたくない――――――――――――――――と。
 
 



私の中ではたぶん今までで一番うまく書けたと思われ。
814 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:49:52.12 ID:3OJgtAFD0
https://syosetu.org/novel/56774/96.html
今まで張りに張った伏線を回収する話です。
一章最大の山場といってもいいかもしれません。

御坂美琴の『死』、その真相がついに明らかになります。


御坂美琴と一方通行H 『御坂美琴』という名の全

 もう一度、いや何度だって一方通行アクセラレータは手を伸ばす。もうない右腕の代わりに左腕をのばし、もう走れない両足の代わりに腹を引きずる。
 達磨ではないがもはや達磨といってもいいほどに動かない四肢の代わりに、口を使って前に進み、腹を使って先へ行き、股を使って脱出しようとした。
 その行動はもはや本能すら超越した極限の衝動といってもいいのかもしれない。思考は明滅し、本能は埋没し、今自分が何をしているのかさえ分かっていない。
 それでも動いているのは何よりも『生きたい』から。どうしたって『生きたい』から。
 今、この場を、ただこの場を生き残りたいと希こいねがったから。
「――――――」
 この無様な姿の一方通行アクセラレータを見ていったい誰が彼を学園都市最強の能力者だと思うだろうか。血にまみれた身体に四肢の砕けたその姿、全身が砂利に塗れ憐れなほどに悲し気なその姿を見ていったい誰が一方通行アクセラレータを一方通行アクセラレータだと思える?
 その姿は学園都市第一位にしてはあまりにも、あまりにも孤独だった。
「―――――――――――――――――――ァ―――――――――」
 ビクン、と一方通行アクセラレータの身体が小さく震えた。
 痙攣けいれん、した。
 左腕はもう動かない。右腕はもうどこにも無い。左足も右足もいつのまにかその機能が失われた。喉には固まった血が詰まり、動脈静脈毛細血管あらゆる場所から血が噴き出て、五感はその機能を半分以上停止させ、能力すら先ほど使えなくなった。
 進みたいのに進めない。
 逃れたいのに捕まった。
 逃げたいのに逃げられない。
 もう、もはや、何も感じない。感じられない。暗黒の世界の中でそれでもなおただ一つ感じることが出来たのは全身が訴える極限の痛みだけ。
 終わる。
 終わってしまう。
 こんな孤独に。たった独りで。
 何も残せず、何も守れず、何も言えず、何も――――――。
 
「ね・ぇ・」
 
 いや、
 まだ終わらない。終わらないのだ。
 なぜならこの場には一方通行アクセラレータのほかにももう一人、
 否、
 もう『ひとり』生命体女がいる。
 
「ど・う・、死・ぬ・感・触・は・」
 
 上から声が聴こえた。
 仰向けに身体を転がして声の主を下から見やる。
 
「――――――さカ、み…………とォ」
 
 言葉は声にならなかった。
 極限の痛みの果てには絶対の死御坂美琴が待ち受けていた。
 
「ざまぁ、無いわね」
 
 御坂は死の直前にいる一方通行アクセラレータに歩み寄りながら、静かに語りかける。嘲笑と嗤笑、そしてもう一つの笑いをこめて。
そこには一切の躊躇いも無かった。一方通行アクセラレータは瀕死の重傷とはいえまだ生きているのに、御坂はほぼ無警戒で一方通行アクセラレータに近寄った。
 だって、分かっていたから。
 もう、勝った狩ったと分かっていたから。
 それは油断でも余裕でもない。御坂美琴はもはや一方通行アクセラレータの前に五体をさらすことに何の不安も覚えていなかった。
 なぜならもう目の前に倒れる一方通行アクセラレータは、その血みどろの姿からわかるように本当に死ぬ寸前だったから。放っていても数分後には死ぬ存在に油断も余裕も感じることはない。
 もう、勝者は決まっているのだから。
「     」
 重ねて言うがここからの逆転はない。
 例え、絶対にありえないことだが一方通行アクセラレータが再び立ち上がり復活し目の前にたたずむ御坂を殺したとしよう。
 この『御坂美琴の身体』を壊したとしよう。
 でもそれだけだ。一方通行アクセラレータには『御坂美琴の身体』を[ピーーー]ことは出来ても『御坂美琴』を[ピーーー]ことは出来ない。
 だから、勝者は決まっていた。あの時御坂美琴が一度目の死を迎えた時点で勝者は御坂美琴に決まっていた、。
 総体とミサカ19090号が仕掛けた策は『御坂美琴』を不滅の怪物にした。
「……………………………………………………………」
 終わってい逝く体で、一方通行アクセラレータは一つ、御坂美琴のことを考える。
 妹達シスターズのために人を捨てた。妹達シスターズの怪物になった愚かな少女。
 思い、おもった。
(もしも、)
 と、考える。
 違いはたくさんあった。
 例えば性別。例えば人間関係。例えば住んでいる領域場所。
 例えば能力。例えば抱える傷跡。例えばこの場所にいる理由。
 例えば、
 例えば――――――、
 例えば……………………。
 戦うことの意味。
 誰かのためという免罪符と自分のためという免罪符。狂わされた人生を取り戻したかった。終わっていく世界に色を付けたかった。
 きっと同じ。もう同じ。
 
 身・体・を・放・棄・し・て・ミ・サ・カ・ネ・ッ・ト・ワ・ー・ク・の・中・に・生・き・る・思・考・生・命・体・と・な・り・果・て・た・御・坂・美・琴・も・同・じ・だ・っ・た・。
815 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:50:18.16 ID:3OJgtAFD0
あの時、
 総体とミサカ19090号が御坂美琴に接触したあの時。
 御坂美琴は『人間』を捨てた。『人間』であることを放棄した。
 生身の器うつわを、その身体を捨てた。
 だから、何度でも蘇り、黄泉帰り、生き返ることが出来たのだ。
 身体が死んでも心は死ななかったから。体がなくなっても記憶は亡くならなかったから。
 話そう。
 その悍ましき悪の理論を。
 人の誇りを捨てた悲しき少女の運命を。
 罪に汚れた少女の贖あがないと償いの行動を。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 咎人は、ここにいた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 人を構成するものは大きく分けて二つ。身体と心、この二つである。
 つまり生身の体があってその身体に心が宿っていれば、それだけで人は人であると言える。まぁ、中には植物状態の人間などもいるがこのさいそれは置いておこう。
 では、御坂美琴のことを話そう。御坂は改良版音響式能力演算妨害装置キャパシティダウンバージョンベータを使って放った必殺の超電磁砲レールガンを一方通行アクセラレータに避けられてその五体を散らし死亡したが、総体とミサカ19090号の協力もあってなんとか生き返った。
 そして、超電磁砲弾きクロッシングレールガンを放ち一方通行アクセラレータに重傷を負わせた後も、『神』と化した一方通行アクセラレータの書き換えた『世界』に押しつぶされて消滅した。
 都合二度、御坂は死亡している。二度目に至っては完膚なきまで消滅している。
 さて、
 さてさてさて、
 ここで一つ勘違いを正しておく。
 もしかして、こんな風に思っている人がいるのではないだろうか?
 勘違いをしてしまった人がいるのではないだろうか?
 
 御・坂・美・琴・が・生・き・返・っ・た・の・は・同・一・の・身・体・で・あ・る・と・。
 
 つまり、御坂の心臓が停止してもう一度動き始めたあの時のように、御坂が死亡した後にその身体で生き返ったと思っている人がいるのではないか。
 
 はっきりと否定しよう。
 それは違う、と。
 
 御坂美琴が生き返ったのは同一の身体では無い。別の身体である。
 御坂は死ぬたびに、生き返るたびに『別の身体』にのり換えていった。
 厳密には違うが分かりやすく言うのならば、魔術の手法にもある憑依をイメージしてくれると分かりやすいだろう。その心を、人格を、魂を別の身体にうつす。禁忌にして禁断の悍おぞましきモノである。
 御坂は自分自身の身体が壊れるたびにその『心』、『魂』を移し替えたのだ。
 
 妹達シスターズの身体に。
816 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:50:48.01 ID:3OJgtAFD0
つまり、
 だから、
 
 記憶。
 
 御・坂・美・琴・は・ミ・サ・カ・ネ・ッ・ト・ワ・ー・ク・の・中・に・あ・る・御・坂・美・琴・の・人生魂と・い・う・名・の・記・憶・を・妹達シスターズの・身・体・に・う・つ・す・こ・と・に・よ・っ・て・擬・似・的・な・蘇・り・を・し・た・の・だ・。
 
 かつて学園都市で行われていた実験『プロデュース』の研究によれば、超能力者の持つ能力とは『霊魂が宿った肉体』に宿るモノであり、その『肉体が小さくなればなるほど能力の出力が落ちる』という結果が出ている。
 つまり、霊魂がある肉体に能力が宿るというのだが。
 例えばの話。
 肉の器うつわだけを作った後に、そこに別の人間の記憶やら知識やら反射やらを学習装置テスタメント等で入れたのならば、
 その器の魂は誰のモノになるのだろうか?
 肉体を持つ元の人物かそれともうつされた別の人物か、いったいどちらのものなのか。
 
 つまり、
 もう一度言うと、
 
 御坂美琴の記憶やら知識やら反射やらをミサカネットワークを使って、生産された妹達シスターズの身体に入力したのならばその魂は誰のものなのかという問いだ。
 
 そして、その問いの答えはもう示されていた。
 
 答えは単純で、
 
 
 
 そ・の・魂・は・御・坂・美・琴・の・も・の・と・な・っ・た・。
 
 
 
 故に、『御坂』は妹達シスターズの身体で超能力者レベルファイブ級の能力を使うことが出来たのだ。能力とは『霊魂が宿った肉体』に宿るモノだから魂が『御坂美琴』のものである妹達シスターズの身体は超能力者レベルファイブの電撃使いエレクトロマスターの力を使えた。
 それはある意味で妹達シスターズの一人を自らの意志で殺したという事なのだが、それさえも御坂はもはや頓着しない。それでは、本末は転倒してしまっているのに。
 いや、
 本末は最初から転倒していたのかもしれない。
 一方通行アクセラレータがこの事実に気付いたのはつい先ほど、腕で貫いた御坂美琴の死体と共に目線の先の御坂の姿を見たからだったが、実はヒントはもっと前に出ていた。
 例えば、改良版音響式能力演算妨害装置キャパシティダウンバージョンベータを使って放った必殺の超電磁砲レールガンを一方通行アクセラレータに避けられてその五体を散らし死亡したあの時も。
 生き返ったあの時は御坂美琴の粉みじんになったはずの五体は五体満足だった。
 例えば、超電磁砲弾きクロッシングレールガンを放ち一方通行アクセラレータに重傷を負わせた後も、『神』と化した一方通行アクセラレータの書き換えた『世界』に押しつぶされて消滅したあの時も。
 消滅したはずの御坂はいつの間にか一方通行アクセラレータの前にいた。
 勘のいい人ならばきづけただろう。御坂美琴の抱えたその異常に。
 でも気付けなかった。一方通行アクセラレータは気付けなかった。
 つまりその程度だったのだ。一方通行アクセラレータは。一方通行アクセラレータの異常性は。
 一方通行アクセラレータの異常性と御坂美琴の異常性愛では、御坂美琴の方が上だった。個を捨て、自我を放棄し、己を壊した御坂の精神は一方通行アクセラレータを超越した。
 まずもって、現在の『御坂美琴』は白井や上条などの知る御坂美琴ではない。    20002体目に生産された妹達シスターズに御坂美琴の記憶やらなんやらを付け加えた存在である。
 もはや『御坂美琴』という全を[ピーーー]ためにはミサカネットワークの中の『御坂美琴』の記憶を消去するしかない。
 それを理解したからこそ一方通行アクセラレータは逃げたのだ。
 その狂気にあてられた。
 
「うふふ」
 
 狂ったように嗤う。
 
「あはは」
 
 狂ったように哂う。
 
「ははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!」
 
 そして御坂美琴は一方通行アクセラレータに電流を放った。
 



この話を読んでも御坂の状態がわからない人がいたらごめんなさい。作者の文章力不足です。一応この後にもっと詳しい説明が待っているので、そこまで待っていてくれると幸いです。

気付いているかは分かりませんが、御坂がこの状態になるに至って現段階ではかなりの矛盾が生じていますから、その矛盾の解消も含めてそこで全部説明します。

次の更新は4日後です。















そういえば新約16巻、試し読みを読むにいつになくヤバそうな事態が起きているようですね。
ここからどうやって常盤台を絡めてくるのか、期待大です!
817 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:52:24.16 ID:3OJgtAFD0
https://syosetu.org/novel/56774/97.html一般的な感性からするとかなり惨い描写があります。注意してください。


御坂美琴と一方通行I 報い

 バギリッ!と電流が空を裂き一方通行アクセラレータの体に当たった。
「――――っ――――――――ォ―――」
 ビビクンッ!と一方通行アクセラレータの身体が震える。だが、それは痛みによってでは無い。電流が当たった衝撃で体が地面に叩きつけられたからだった。
 もはや、一方通行アクセラレータは痛みを感じることはない。現在でさえ痛みで埋め尽くされているのに、これ以上の痛みを与えられたところでいったい何を感じろというのか。もはや思考のほとんど全てが激痛で埋め尽くされた一方通行アクセラレータに、痛みの飽和状態が起きた一方通行アクセラレータに、これ以上の痛みを与えることは無意味である。
「[ピーーー]しね死ネシネしねシネしネシね[ピーーー]シネ[ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー]」
 だというのに御坂は一方通行アクセラレータに電流を打ち続ける。一方通行アクセラレータがその行為に何も感じていないことは御坂だって分かっているはずだ。ならば、その行為の意味は果たして何なのか。
 無意味であるとは思えない。
 意味がないはずがない。
「[ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー]」
 だから、なのだろうか。
 悪寒が奔る。一方通行アクセラレータの脳が嫌な予感を察知する。
 ヤバい。
 ヤバい。
 ヤバい。
 何か、何かとてつもないことが、起きるような、そんな、感じが……っ!!!
 
「苦・し・ん・で・死・ね・」
 
 その瞬間だった。
 
「―――――――――――――――ヵ」
 
 一方通行アクセラレータの人生の中でも最大の苦痛が体中を駆け巡った。
 
「ガアアアアアァァァァアァアアァァアアァアアアアアアアアアアアアァァアァアァアアァアアァアアアアアアアアアアアアアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!?????」
 
 あえて言葉で表現するのならば、その苦痛は体中に存在する痛点という痛点に一秒に100回のペースで太さ十センチ以上の針を1000か所以上同時に刺されているような感覚に近い。
 チクリチクリと刺される針も太さが十センチもあり、秒間100回のペースで、1000か所以上同時に刺されれば、信じられないほどの激痛になる。
 比較対象として挙げるのならば、スプーンで目玉を直接抉られるほどの痛みと表現される、生きているうちに味わえる最悪最低の痛みである『自殺頭痛』こと『群発頭痛』と同レベルの痛みが一方通行アクセラレータを襲っていた。
 
「あはっ、まだ悲鳴をあげられるじゃない」
 
「ひや――――――まっ、」
 
 一方通行アクセラレータは御坂美琴が何をしたのか気付いた。
 気付いてしまった。
 そう、そういうことだ。
 御坂は電撃使いエレクトロマスターの超能力者レベルファイブ。その能力は直接的な電気はもちろんのこと、磁力、ローレンツ力、電子、電磁波、砂鉄等を操ることもできる。さらに、クラッキングやハッキングも可能である。
 そして、
 
 人間の体内を流れる電気信号を操ることも、当然可能である。
 
つまり、もはや痛みの感覚がマヒした一方通行アクセラレータの身体に流れる電気信号を直接操作して、痛みの感覚をとりもどさせ、さらに鋭敏化することが可能なのだ。
 一方通行アクセラレータはそれに気づいた。
 
だから、
 
818 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:52:58.88 ID:3OJgtAFD0
「左腕ぇ」
 
 
 ざくり、と砂鉄の剣が突き刺さる。

 
「嗚呼唖唖唖唖ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
 
「右足左足ぃ」
 
「い、が、ぁ、た―――――――たゅ、に、やひゃ」
 
「右目も、もういらないわよねぇ……?」
 
「ひ、――――――ひひ、あひゅへ、あ、ォ、さゆ、っむひゃけ」
 
「じゃあ、次は生爪でも剥いでいこうかしら」
 
「ぁ、あ、………ぁ……ぃ……やぁ、……っあ、きァ」
 
「肺も左右に一つずつあるし、一つぐらいなくなっても生きられるわよね」
 
「……………ぁ、……いあ………ぃ…………ァ」
 
「そろそろ、皮膚でも剥むいてみる?大丈夫、膾のように斬ってあげるから」
 
「…………」
 
「お次は舌ね。知ってる?口の中っていろんな神経が通っているらしいわよ」
 
「……………………」
 
「後は内臓とか、ぐっちゃぐちゃにかき混ぜれば少しは妹達シスターズが味わった痛みも理解できるんじゃないの?」
 
「…………………………………………………」
 
「ん?」
 
「………………………………………………………………………………………」
 
「―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――ア?」
 
「……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」
 
 まだ、ほとんど何もしていないのに勝手にくたばりそうになっている一方通行アクセラレータを見て、御坂は一瞬でぶち切れた。
 グチャグチャになっている一方通行アクセラレータの首を掴み、そのまま絞めながら体をつり上げ鬼の形相で怒鳴る。
 
「何勝手に死のうとしてんのよッッッ!!!……アンタにはまだ、まだまだ、まだまだまだまだまあぁぁぁぁぁあだだだぁああああぁぁぁぁああ、報いを受けさせないといけないんだからああああああああああああ!!!!!!!!」
 
 電流を突っ込みさらに一方通行アクセラレータの痛覚を鋭敏化しながら、御坂は再び一方通行アクセラレータに対する攻撃拷問を始めた。
 
 
 
 
 
 イカレタ狂人御坂美琴の裁きは終わらない。
819 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:53:48.66 ID:3OJgtAFD0
ザシュ、  ザシュ、   ジャリ、ガリ、             ジャリ、ザシュ、  シュッ、シャァ、   パシュッ、 シュア、ザシュ、ジャリ、
シュッ、
    パシュッ、ジャリ、ザシュ、ザシュ、スポン、ジャリ、シュッ、ザシュ、ストン、ポロン、   ザシュ、シュッ、スポン、 
シュア、パシュッ、   ストン、ザリ、ジャリ、ジャリ、ザ      シュ 、シュッ、    ザシュ、シュア、     シャァ、ザシュ、パラン、パシュッ、   シュッ、シャァ、 ザシュ、ザリ、ジャリ、パシュ、  ザシュ、ザシュ、ザシュ、  ザシュ、ザシュ、ザシュ、       ザシュ、ザシュ、ザシュ、  ザシュ、ザシュ、ザシュ、    ザシュ、ザシュ、ザシュ、         ザシュ、ザシュ、  ザシュ、ザシュ、       ザシュ、 ザシュ、   ザシュ、ザシュ、ザシュ、ザシュ、   ザシュ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 内臓が外に飛び出ている。腕が裏返ってしまっている。目玉があるべき場所に存在せず、刳り貫かれた眼球の中に黒い砂鉄が丸い状態で入っていた。足と手の全ての爪は剥ぎ取られ、まるで礫のように体に突き刺さっている。皮膚という皮膚はもはや存在せず赫黒い血肉が浮き出ていた。体毛はすべて抜かれ、砕けた足からは骨が飛び出ていて、その骨すらも無理やり曲げられていた。左手首は断ち切られ、そこからとめどなく血が流れ落ち地面を赤い地面をさらに赫く汚す。口の中には自らの眼球やら爪やら肉やら髪やらが詰め込まれ、このままではいずれ呼吸困難に陥ってしまうだろう。
 
 この惨状をなしたはずの御坂ですら思わず目を逸らしたくなるような、そんな光景。
 
「……はぁっ、ハッ、はぁ、はぁ…………ははは、――――――ざまぁ、みなさいよ」
 
 御坂は凄惨な光景に凄惨な笑みを浮かべた。復讐はなった。仇かたきはとれた。仇あだを撃てた。非常に非情に満足できた。
 苦しみの悲鳴が、狂気の合唱が、悲惨に飛散するその肉片が、御坂に満足感を与えた。
 目の前に転がるのは一方通行アクセラレータの死体。
 滅殺され捌かれ切り分けられたその身体が御坂のなした狂気の所業を如実に示していた。
 勝った。狩った。克った。刈った。駆った。カッタ。かった。
 かったから、さらに解すコロス。
 わずかに残った理性の中にある記憶から御坂は一方通行アクセラレータを殺した後のことを引っ張り出す。あのステルスヘリの中で与えられた刹威の指示を実行するために、御坂は砂鉄の剣を右手に生み出した。
 
「…………………………は」
 
 一瞥して、その御坂の意思を体現したような色合いの剣を一方通行アクセラレータに向かって
 
 降りおろ
 
 
 
 
 
 
 ふと、気が付いた。
 
 
「…………どぅ…………し………て……………?」
 
 いや、
 違う。
 
 私・は・こ・ん・な・こ・と・が・し・た・か・っ・た・わ・け・で・は・無・い・……?
 
 そもそも、
 なのに、
 なぜ?
 な、ぜ?
「……………………………………………………………」
 そもそも論として妹達シスターズを一刻も早く助けるのならば、一方通行アクセラレータを必要以上に攻撃する必要はなかったはずだ。眼球を抉ったり、左手首を切ったり、体毛を抜いたり、爪や皮膚を剥いだりする必要は無かったはずだ。
 なのに、御坂はそれを行った。
 なぜか?
 怒りに我を忘れていたから?
 そうではないだろう。確かに、御坂は怒っていた。だから一見その意見は正しく思える。しかし、御坂は優先順位を再設定したはずだ。自らの復讐心よりも妹達シスターズの安全を優先する心意気だったはずだ。
 ならば、怒りに我を忘れたわけでは無いだろう。
 狂気に身を浸し過ぎたから?
 それもまた違う。繰り返すが御坂は優先順位を再設定した。自らの復讐心よりも妹達シスターズの安全を優先する心意気だった。
だから、例えどれほど狂っていても一方通行アクセラレータを拷問するのはあり得ないはずなのだ。
820 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:54:22.15 ID:3OJgtAFD0
 御・坂・美・琴・は・絶・対・に・そ・ん・な・こ・と・を・し・よ・う・と・は・思・っ・て・い・な・い・。
 
 つまり、御坂にその行為を行わせたのは、『御坂美琴』という全ではなく……。
 
 
「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………ぁ」
 
 
 
 
 
 
       目の前の 
                                死体から
                         呻き声
  が
          聴
                      こ
                                     え
             た
 
 
 
「――――――――――――――――ッッッッッ!!!!!」
 
 直感的に5メートルほどの距離をとった。
 まったくもって意味が解らなかった。
 これだけ壊して、解ばらして、崩して、殺したのに。
 それでもまだ生きているんなんて、
 しぶといとか生き汚いとかそんなレベルじゃない。
 不死か?こいつは?
 そう思わずにはいられないほどに異常だった。
 どれだけの怪我を負っていると思っているのだ。もはや能力だって満足に使えないはずだ。
なのに、なのに、だというのに、
 まだ生きているなんて。
 まだ、生きることが出来るなんて。
 いや、もちろん生き残れはしないだろう。一方通行アクセラレータの怪我の具合から言ってどう考えても絶対に死ぬ。それは確定的に絶対的だ。だけど、それを言ったらもう死んでいないとおかしい。今現在の時間軸の段階で生命活動を停止していないとおかしい。
 にもかかわらず生きている。その事実自体が絶対にありえない『もしも』を考えさせて、御坂の警戒心を誘った。
(……落ち着け)
 死んでいないだけだ。
 死んでいないだけ。
 生きているだけだ。
 生きているだけ。
 何も心配する必要はない。何も警戒する必要はない。もう一方通行アクセラレータは立ち上がれない。動けない。攻撃できない。復活できない。『もしも』は無い。そんな可能性はない。絶無皆無零空虚無。不安を覚える必要はない。
 だから落ち着け。
 もう一度ちかづいて、今度こそ確実に殺せ。
 殺せ。殺害しろ。抹殺しろ。
「ふ―――――――ぅ――――――」
 一歩一歩警戒を怠らずに御坂は歩を進めた。身に宿したはずの狂気はいつの間にか薄れ、瞳は正気の色を灯していた。
 故に、御坂は確かな理性に操られながら一方通行アクセラレータのそばに行き、今度こそという思いを掲げる。
 手に漆黒の剣を持ち、心を純白の悪に染め、5メートルの距離をゼロにまで詰める。
 
「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」
「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」
 
 視線が、交わり、
 
 
 
 一方通行アクセラレータがわずかに笑っ自嘲した。
 
821 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:54:53.11 ID:3OJgtAFD0
https://syosetu.org/novel/56774/98.html
これにて御坂美琴VS一方通行終結。


御坂美琴と一方通行J 後悔

 この場面で、この絶望的な場面で一方通行アクセラレータが笑ったのは何かがおかしかったからでは無い。その笑いは自嘲であり、嘲笑であり、憐憫であり、悔恨であり、そして何よりも憐みだった。
 だって、そうだろう。
 一方通行アクセラレータはもう今すぐにでも死んでもおかしくないほどの状況で、いや今すぐにでも死んでもおかしくないほどの状況だからこそ、自分自身のことではなく目の前に立つ御坂美琴のことを考えた。
 『人』を捨てた少女。
 妹達シスターズのために『人外』になり果てた女。
 それを見て、おもって、かんがえて、
 ただ、可哀想に思った。
「…………………………………………………………」
 だって分かる。
 わかる。
 分かってしまった。
 御坂美琴こいつはもう同じだと。
 もう、自分と同じだと分かってしまった。
 誰も傷つけたくなくて、誰にも傷ついてほしくなくて力を求めた一方通行アクセラレータと、
 妹達シスターズを傷つけないために、妹達シスターズを救うために最奥の闇へと足を踏み入れた御坂美琴。
 同じだ。
 何も変わらない。
 二人は同じなのだ。
「…………………………………」
 御坂はきっと[ピーーー]だろう。
 例えそれが悪党だろうが善人だろうが罪人だろうが聖人だろうが男だろうが女だろうが幼子だろうが老人だろうが大人だろうが黒人だろうが白人だろうが混血だろうが大統領だろうが首相だろうが議員だろうが秘書だろうが統領だろうが首領だろうが頂点だろうが底辺だろうが中間だろうが理事長だろうが校長だろうが寮監だろうが甥だろうが姪だろうが幼馴染だろうが犯罪者だろうが青少年だろうが少女だろうが未成年だろうが成人だろうが宗教家だろうが狂信者だろうが同性愛者だろうが差別者だろうが馬鹿だろうが賢者だろうが美だろうが醜だろうが障害者だろうが健常者だろうが重篤患者だろうが黒髪だろうが白髪だろうが金髪だろうが銀髪だろうが色黒だろうが極道だろうが外国人だろうが劣化模造品だろうが妹達シスターズの邪魔となるのであればたやすく[ピーーー]だろう。
 道端の雑草を抜くように、矮小わいしょうな蟻を踏み潰すように、たやすく。
 哀れに思った。憐れにおもった。
 そうなってしまった、
 いや、
 そ・う・な・ら・な・け・れ・ば・な・ら・な・か・っ・た・こ・と・を・た・だ・悲・し・く・思・っ・た・。
 例え、それが一方通行アクセラレータが原因だったとしても、
 例え、それが絶対能力進化実験レベルシックスシフトが原因だったとしても、
 選んだのは、選択したのは、御坂美琴自身だから。
 本当に、なんて無様。
 本当に、なんて孤独。
 ここから先、御坂が歩む道のりがかつて一方通行アクセラレータが歩んだ道よりも地獄なのだという事は直感で分かる。
 険しい険しい針山をただ独りで登り切らなければならない憐れな少女。くだらない劣化量産品クローンのためにすべてを捨て去って、人間であることさえ放棄して、いったいその先になにがあるというのか。
 知らぬふりをしていればただそれだけで日常に戻れたのに。全くどうしてこうも健気なのか。
 瞳を昏く輝かせ魔界の闇でも宿すかのように漆黒で身を包んだ御坂を一方通行アクセラレータはもう一度見た。
 あぁ、本当にけなげで哀れで愛おしくて笑えて泣けてくる。
 嫌がらせの一つでもしたくなるほどだ。
 だからこれはただの負け惜しみだ。
 これはただの餞別せんべつだ。
 こ・れ・か・ら・先・、・地・獄・を・行・く・こ・と・に・な・る・御・坂・美・琴・へ・の・呪・い・な・の・だ・。
「……ぁ、ぐっ――――――っ……………………げ、……ぇっ」
 潰れた喉で壊れた声を無理やり出した。
 伝えたかったのは一つの単語。
 ただ一つ、この場面で言うには当たり前の、一方通行アクセラレータが言うには異常すぎるその言葉。
 もしかしたら、かすれすぎたその声じゃ御坂には届かないのかもしれない。けれど、それで構わないと一方通行アクセラレータは思った。正確じゃなくても、すべてではなくても、わずかでも伝わりさえすればそれでかまわない。
 ここですべてが終わってしまってもせめて一矢報いてやる。せめて一言楔くさびを打ち込んでやる。
 だからこれは呪いだ。
 御坂美琴の心に刻まれる呪いの言葉。
 呪いの言葉。
 
「ッッッッッ!!!」
 
 ああ、伝わったのだろうか。
 その言葉が。
 その言葉の意味が。
 込められた、その思いが。
 
 
 
 
 
 
 
 『たすけて』、と。
822 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:55:48.37 ID:3OJgtAFD0
「なんで……っ……………」
 わずかな逡巡が御坂の瞳に浮かぶ。さっきまでの、一方通行アクセラレータを拷問していたときの御坂ならば今更『たすけて』の言葉をはかれたところで一顧だにせず一方通行アクセラレータを殺しただろう。
 だけど、今の御坂にはそれが出来なかった。躊躇いなく一方通行アクセラレータを[ピーーー]ことが出来なかった。
 漆黒の正気に戻り、純白の狂気がわずかでも薄れたから。
 伝わったその言葉が御坂に一方通行アクセラレータの殺害を一瞬だけ躊躇わせた。
「なんでッッッ…………っ!!!!!」
 その声にこめられた思いは、怨嗟か後悔か、憎しみか躊躇いか、悲しみか嘲笑か。
 その顔が描く表情は、憐れみか苦しみか、苦渋か楽観か、安心か恐怖か。
「いま、さ……………ら――――――」
 当然、たかだか言葉一つで一方通行アクセラレータの死という結果は変わらない。もはや勝敗は決まっている。今更勝ち負けが覆ることはない。
 だが、
 しかし、
 けれども、だ。
 
 響くモノはあった。
 あって、しまった。
 
「なんで………っっっ……。………今―――――――更――――――――」
 
 目が。
 瞳が。
 眼が。
 視線が。
 眼まなこが。
 見て。
 視て。
 観て。
「が、ぎ、……あぐ、げっ、ぇえぇえええええええ――――――――――――ぁあ……がっ、ぐぅううううううああああぁぁあああああうううううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」
 言葉が出ない。
 言葉が出ない。
 言葉が出ない。
 間違えた?
 そうじゃ……なかった?
 やるべきじゃなかった?
 間違えていたのは……ワタシ?
 ワタシガマチガエタノ?
 ワカria
「違う……………………」
 
 違う。
 
「――――――違うッッッッッ!!!!!!!!!!!」
 [ピーーー]。
 [ピーーー]。
 [ピーーー]。
 [ピーーー]。[ピーーー]。[ピーーー]。[ピーーー]。[ピーーー]。[ピーーー]。[ピーーー]。[ピーーー]。[ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー]コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス。
 
 
 
 こ
 
              ろ
 
 
                                     す
 
 
 御坂はまるで敗者のように顔を歪めながら、地に倒れ伏す一方通行アクセラレータの首筋に向かって手を伸ばした。血に濡れた掌のぬるい感触を感じることすらできず一方通行アクセラレータはただそのさまを客観的に感じる。
(馬鹿な女だ)
 もはや何も見えず、聞こえず、語れず、動けない。
 終わりに向かう身体世界を空虚におもいながら、一方通行アクセラレータはただただ憐れんだ。
 日常を捨てたことをではない。
 闇に堕ちる決断をしたことでは無い。
 妹達シスターズを助ける決断をしたことでは無い。
 一方通行アクセラレータは独りで戦った御坂のことを心底馬鹿にした。
(オマエは、『光』の住人なのに……)
 助けてくれる人も、相談できる人もいたはずだ。
 友人も親友も学友も教師も後輩も先輩もライバルも恋人も好きな人も知り合いだっていたはずだ。
 なのに、独りで戦って。
 手を伸ばさずに助けの声を拒絶して。
 愚かしい愚図だ。
 どうしようもない馬鹿だ。
 御坂の精神性は『光』の領域にいながら『闇』の住人と変わらない。己を、己だけを信じ、信頼し、信用し、
823 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:56:16.51 ID:3OJgtAFD0
全部独りで抱え込んで、そして独りでどうにかできてしまう。
 それだけの力があって、それだけの知恵があったから。
 守りたいモノだけが増えていき護ってくれる人は誰もいない。
 助けたい人だけが増えていき助けてくれる人は誰もいない。
 それでこのざまだ。二兎を追う者は一兎をも得ず。結局御坂は掌の中にある助けたい人さえも取りこぼす結果になった。
(……………………いや、)
 それを言ってしまえば一方通行アクセラレータだって同じだ。
 御坂についての考えはすべて一方通行アクセラレータにも跳ね返ってくる。裏返す必要も表に出す必要もなく、そのままに返ってくる。
 一方通行アクセラレータだって、誰かに頼ることは出来たはずだ。警備員アンチスキルでも風紀委員ジャッジメントでも助けを求めることは出来たはずだ。
 もちろん『闇』に隠蔽されるだろう。助けを求めたところで黙殺されなかったことにされるのはわかりきっている。
 だけど、でも、例え無意味なことであったとしても助けを求めること自体はできたはずなのだ。助けて、苦しい、嫌だ、止めて、そう意思表示をすることは出来たはずなのだ。でもやらなかった、できなかった。それはつまり一方通行アクセラレータだって、御坂と同じということだ。
 独りで藻掻もがき、足掻き、抵抗し、反発して、全部抱え込んで手を伸ばさずに、戦った。
 一方通行アクセラレータも御坂と同じだ。愚者であり、愚図であり、馬鹿である。
「絶対に」
 御坂の手に力がこめられる。首筋に触れた掌と指が一方通行アクセラレータの首を圧迫する。
「助ける[ピーーー]」
 自分に言い聞かせるように、一方通行アクセラレータに言い聞かせるように、御坂は言う。
 能力を使えばすぐにでも殺せるのに、あえてその手を使って一方通行アクセラレータを絞殺しようとするのはいったいなぜなのだろうか。
 それはきっと決意の証で、
 それはきっと躊躇いの証明。
 力が籠められる。
 力が、籠められる。
(はは、……………………………………………せいぜい後悔しろよ。御坂美琴ォ。結局オマエも、俺と同じだ)
 すべてが同じだからこそ、辿る結末も同じ。何も変わらないからこそ、辿り着く終着点も変わらない。
(いずれ、必ず、オマエも)
 楔は打ち込み呪いとなった。ここから先、御坂の心には常に一方通行アクセラレータの言葉が宿るはずだ。例え、ミサカネットワークの中からその単語を消しても、絶対に御坂はその言葉を思い出す。能力者の使う能力が霊魂に依存するモノならば、霊魂に刻まれたその言葉はすべてを滅ぼす楔となりうる。
 だから、必ず、御坂美琴も……。
(俺のようになるンだからなァ)
 沈み逝く意識の中でどうしようもなく無様な笑い声がきこえる。『ははは』『ははははははははははは』『ははははははは』とその声は哂っている。
 邪知暴虐じゃちぼうぎゃくの限りをつくし、老若男女を問わず人間皆々みなみな皆殺し。罪に対する罰を受けず、最強という称号に驕っていた『ソイツ』はいったいぜんたい誰なのか?
 ――――――決まっている。その哂い声は一方通行アクセラレータ自身のものだ。過去の記憶が現在今の自分を哂っている。
 闇の中の自分が、血の中の自分を哂っている。
(……………………………………………………………)
 昔は、違った。
 昔はもっと違った。
 もっと純粋で、もっと純白で、もっと純朴で……。誰かを殺そうなんて、誰かを傷つけようなんて、そんな考えはかけらも浮かばなかった。
 だというのに、一体いつの間に暴力をふるう事への躊躇が無くなったのか。
 分からない。そして、こんな死の間際になってもわからないのならば、きっとそれは一生わからなかったということだ。だってそうだろう?死の間際でなければきっとこんな考えすら浮かばなかったのだから。
 無ゼロに落ちる。地獄へ堕ちる。
 だけど、その地獄はいったい今までいた地獄とどれくらい違うのだろうか。学園都市の『闇』といったいどう違うのだろうか。
 分からない。
 分からないけど、きっと変わらない。ここもあそこも、どこもかしこも地獄で、地獄だ。煉獄の劫火に焼かれながら生きるこの世界も死した後に逝く世界も地獄であることに変わりはないのだから。
 だけど、今からでも地獄の中を走り回ってもっと誰かを信じる努力をすれば、何かが変わるのだろうか。
 友が出来るのだろうか。
(ははは、………………ねぇな)
 だって一方通行アクセラレータはもう殺し過ぎた。自分自身のエゴのために、自分自身の幸福のために、自分自身のためだけに、
(……いや、………違うか)
 どうせ最期だ。この期に及んで嘘をつくのは止めよう。
 殺したのに、傷つけたのに、理由なんてほとんどなかった。むかついたから、イラついたから、ただ何となく、目障りだから、気に障ったから、視界に入ったから、攻撃してきたから、理由なんてそんなものだ。
 誰かのためとか、自分のためとか、そんな高尚な理由は無かった。
 無かったのだ。
 今更になって罪を自覚した。今更になって自分の犯した殺人の意味が分かった。今ならわかる。流してきた血の意味が、犯してきたその罪が。
(………………………………………………………………………………………………………………………………)
 最期になって思い出す。
 まだ、幼かったあの時のことを。超能力も持たず、×××××などと呼ばれ、公園でサッカーをしたあの時のこと。
 戻れるわけが無かった。帰れるわけが無かった。今更、その場所に行けるわけが無かった。
 もう、一方通行アクセラレータは殺しずぎた。すべてが遅くて、遅かった。
 
 
 
(………………………………………………………………………………………………………………………………ぃ)
 
 
 
 もう、すべての感覚が消えた。
 何も、感じられない。外界のことも内界のことも、外のことも自分の中にあるものさえ感じない。
 これが、死。
 一方通行アクセラレータが今まで殺してきた人間が等しく感じた『死』。
 冷たく、暗く、深く、重く、尊く、温かく、軽い。
824 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:56:51.96 ID:3OJgtAFD0
 
 
 
 
 
 
 
 
 死。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(……………………………………………………………………………………………………………………………………………………――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――痛い)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 そして、決着がついた。
 長い長い戦いがやっと終わった。
 
 絶対能力進化実験レべルシックスシフトは一方通行アクセラレータの死によって頓挫し、妹達シスターズは救われるだろう。
 御坂は『闇』に堕ちるが、それでも一万の命が救われる。
 
 
 
 
 だから、
 だから、
 
 
 
 
 
 
 この戦いは御坂美琴の勝ちだった。
 



物悲しい雰囲気を感じてくれたらとてもうれしいです。



操車場の戦い 御坂美琴VS一方通行
勝者……御坂美琴

内訳

一戦目 御坂美琴VS一方通行
勝者……一方通行

二戦目 御坂美琴(body is ミサカ10032号)VS一方通行
勝者……一方通行

三戦目 御坂美琴(body is ミサカ10033号)VS一方通行
勝者……一方通行

四戦目 御坂美琴(body is ミサカ20002号)VS一方通行
勝者……御坂美琴




次話から第一章最終節に入ります。うまくいけば、二週間くらいで終わると思います。今までの出来事を黒幕側から見た話になるので、いわゆる解説回ですね。
825 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:57:56.86 ID:3OJgtAFD0
https://syosetu.org/novel/56774/99.html
さぁて、ここからいきなり話が難しくなってくるぞお。


第一部 第一章 最終節 絶対能力進化実験中止計画〜語り始める黒幕と回収される伏線〜
白白白と木葉桜十五夜@ 黒幕の思惑

 三者三様。
 絶対能力進化実験レべルシックスシフトを利用して自らの思惑を達成しようとしていた三人の黒幕は、それぞれがそれぞれ計画通りに進まない現実に対して思うところがあった。
 まず統括理事長アレイスター=クロウリー。アレイスターは単純に苛立ちを覚えていた。
 結果論としてだが、絶対能力進化実験レべルシックスシフトはアレイスター=クロウリーの計画通り失敗に終わった。この先、生存した妹達シスターズは苦罠によって世界各地に送られ、世界中にAIM拡散力場が満ちることになるだろう。
 だがしかし、肝心要の第一候補メインプラン、一方通行アクセラレータが死亡した。それはもう完膚なきまで死亡した。いくら冥土帰しヘヴンキャンセラーの『負の遺産』があってもどうしようもないレベルまで死亡した。
 つまり、アレイスターのプランが予定通り進行しないことを意味する。並列するプランを複数個同列ラインで進めているとはいえ、一方通行アクセラレータの死亡はすべてのラインにおいて致命的である。
 一方通行アクセラレータはプランの中核に存在する重要人物。替えのきくことが難しい唯一の存在であるからだ。
 次に、統括理事会メンバーが一人死縁鬼苦罠。苦罠は予想外の動きを見せたミサカ19090号に対してわずかに後悔を覚えた。
 もっと、きつく締め付け監視を強めておけばよかったと後悔した。
 上回れた、先にやられた、計画を、予定を駄目にされた。あまりにも予想外で予想が過ぎた。苦罠はまさか御坂がこのタイミングで『雷神化』するなど考えもしなかったのだ。だから、予定通りには進まなかったのだ。
 苦罠の計画通りならば御坂が改良版音響式能力演算妨害装置キャパシティダウンバージョンベータを使って放った超電磁砲レールガンは一方通行アクセラレータを完全に貫き、それで操車場の戦いは決着を迎えるはずだった。
 はずだったのに。
 ミサカ19090号が御坂美琴にAIM拡散力場を軸に干渉して超電磁砲レールガン外させた。
 完全にノーマークだった。監視していなかった。何もできないと思っていた。ミサカネットワークに御坂美琴を取り込むなど考えもしなかった。御坂美琴を個としての存在では無く全として存在に昇華するなど思いもしなかった。
 裏をかかれた。逆を突かれた。
 そして、ミサカ19090号と幻生の接触も予想外だった。
 実験のためなら幻生がミサカ19090号に協力するのは分かっていたが、ミサカ19090号が幻生に会いに行くとは思えなかったからだ。恐怖心や畏怖をことさら強く感じるミサカ19090号が絶対能力進化実験レべルシックスシフトの提案者に会いに行くことは予想できなかった。
 さいわいにも御坂の『雷神化』はミサカネットワークに投じたウイルスが不完全だったこともありそこまで進まなかったが、このタイミングでの『雷神化』は今後にかなり不都合な事態を生じさせるはずだ。
 本来ならば『雷神化』は大覇星祭に行う予定だったのだから。
 そして、
 最期に、風紀委員本部セントラルジャッジメント委員長白白白。
 白は計画通りに進まない現実に対して、
 
 た・だ・、深・い・笑・み・を・浮・か・べ・た・。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「今戻りました。委員長」
 空間を渡り歩き十五夜が『天秤の間』に現れる。今宵の全ての出来事はすべて終わった。ここから先の時間は次の計画のための時間であり、反省と復習の時間である。
「首尾はどうだ?」
「はい。ストロビラは無事上条当麻と白井黒子両名に打ち込みました。風紀委員本部セントラルジャッジメント序列ランキング第十位千疋百目のことも回収し、封印戦力常世涯最果とこよのはてさいはての生存も確認。扼ヶ淵埋娥やくがぶちまいがについては委員長の命令通りポイントT50に向かわせ『作業』をしてもらっています。浣熊四不象あらいぐましふぞうは例の操車場での戦い等の監視結果などを後で報告書にまとめて提出するように言ってあります」
 今回風紀委員本部セントラルジャッジメントが絶対能力進化実験レべルシックスシフトに関する件で動かした人員は全部で七人。
 上条当麻の足止めに風紀委員本部セントラルジャッジメント攻撃部隊総隊長扼ヶ淵埋娥やくがぶちまいがを、
 白井黒子の足止めに風紀委員本部セントラルジャッジメント序列ランキング第十位風紀委員本部セントラルジャッジメント攻撃部隊第二班班長千疋百目を、
 木原脳幹の足止めに風紀委員本部セントラルジャッジメント封印戦力常世涯最果とこよのはてさいはてを、
 上条当麻達の監視に風紀委員本部セントラルジャッジメント諜報部隊総隊長無何有峠妃むかいとおげきさきを、
 埋娥や百目との連絡要員としては風紀委員本部セントラルジャッジメント序列ランキング第■■位風紀委員本部セントラルジャッジメント諜報部隊第一班班長五寸釘匕首ごすんくぎあいくちを、
 空中にいる敵対戦力の対応と人員の回収については風紀委員本部セントラルジャッジメント序列ランキング第■位風紀委員本部セントラルジャッジメント諜報部隊第■班■■浣熊四不象あらいぐましふぞうを、
 万が一のバックアップ及び全体の補助と敵対戦力の殲滅、上条当麻と白井黒子にストロビラを打ち込む件については風紀委員本部セントラルジャッジメント委員長補佐木葉桜十五夜このはざくらまんげつを、
 それぞれ動かした。
826 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 22:59:49.49 ID:3OJgtAFD0
「そろそろ頃合いか……」
 白は小さくつぶやいた。今回の一件は様々な思惑が入り混じり、すべてがうまくいったわけでは無い。だがそれでも『風紀委員本部セントラルジャッジメント委員長白白白』の計画は8割方成功していた。
「十五夜。支援部隊の白神九十九つくもがみつくもに千疋百目の風紀委員本部セントラルジャッジメント序列ランキングを第十位から第八位に上げるように通達しろ。後は最果を地下十一層に戻しておけ。次の中・で・の・戦いはおそらくケミカロイドの一件だろう。そこまでは通常業務に専念するように、全員に伝えておけ」
「了解しました。委員長」
 白が今回の件で目的としていたものは二つ。敵対勢力のあぶり出しと物語の中心点セントラルストーリーラインをずらすことだ。
 敵対勢力のあぶり出しについては語る必要すらないほど明確だろう。
 死縁鬼苦罠に雇われているらしいという彼者誰時に輝く月シャイニングムーンの情報についての裏付けはできたし、その彼者誰時に輝く月シャイニングムーンに所属している人員、団長の裂ヶ淵瞑娥さくがぶちめいがや大隊長の戦力についての調査が出来た。
 同じく敵対勢力のアレイスターに使える木原脳幹の対魔術式駆動鎧アンチアートアタッチメントことも二人のおかげで情報は得られたし、アレイスター自身の戦闘力についても十五夜が目撃したため分かった。
 既定路線では無かったとはいえ、第一の目的はほとんど達成されたようなものだ。
 何せ風紀委員本部セントラルジャッジメントの戦力はまだほとんどさらしていないのだから。頂点序列者トップランカー5人も、上位序列者ハイランカー15人も、下位序列者ローランカー80人も、まだほとんど表に情報は出ていない。
 封印戦力をこのタイミングで出すのだけは想定外だったが、それもまぁ最悪の出来事では無い。封印戦力はまだ後三人いるのだから。
「ふむ。……もう下がっていいぞ」
 要件は伝えた。後は思案の時間だ。次の計画を確実に成功させるためには打てる布石は打ち、張れる伏線は貼り、練れる計画はねるべきである。故に、白はいつものように『天秤の間』で独り考え事をするつもりだった。
 しかし、
「どうした?」
 十五夜が踵きびすを返して出ていこうとしなかった。いつもならば、用件が終わればすぐに『天秤の間』から出ていくのに。
 そして、十五夜は驚くべきことを白に言った。
「…………差し出がましいですが、委員長。今回の件についていくつか質問をさせてもらってもよろしいでしょうか」
「珍しいな。君が僕に質問をするなんて」
 少々驚いたように白は言った。それほどまでに十五夜が白に質問をすることは珍しかった。常に命令に忠実で白の行動に疑問を持つことはない。もちろん、白が明らかにおかしかったり間違った行動をすれば多少の諫言かんげんはするが、十五夜は基本的に白の行動に質問をすることはない。
 だから、白は驚いた。
「別にかまわないぞ。何が聞きたい?」
 驚いたが十五夜がききたいことがあるというのなら別にかまわない。白は十五夜を一番信頼している。質問に答えないことはよほどのことでも聞かれない限り、ない。
「では、」
 十五夜は息を大きく吸い、心を落ち着けてから言った。
「今・回・の・件・、い・っ・た・い・ど・こ・ま・で・が・委・員・長・の・計・画・通・り・だ・っ・た・の・で・す・が・?」
「………………………………………」
 深く、白が笑う。
 十五夜の言葉に笑う。
「どこまで、というのは?」
「…………今回の一件、不可解なことが多すぎます」
 『天秤の間』に来るまでの道中十五夜は今回の一件についてずっと考えていたが、どう考えてもつじつまの合わないことが多すぎた。
 例えば、
「地下で起きた爆発はいったい誰の手によるものだったのですか?」
 そう。あの時白から電話がかかってくる直前に十五夜の耳に聞こえた爆発音。結局あの爆発が誰の手によるものなのか十五夜はわかっていなかった。
「御坂美琴の『雷神化』はともかくとして一方通行アクセラレータが『神の力』――――――位相操作能力を得たのは本当に偶然だったのですか?」
827 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 23:00:25.74 ID:3OJgtAFD0
「そろそろ頃合いか……」
 白は小さくつぶやいた。今回の一件は様々な思惑が入り混じり、すべてがうまくいったわけでは無い。だがそれでも『風紀委員本部セントラルジャッジメント委員長白白白』の計画は8割方成功していた。
「十五夜。支援部隊の白神九十九つくもがみつくもに千疋百目の風紀委員本部セントラルジャッジメント序列ランキングを第十位から第八位に上げるように通達しろ。後は最果を地下十一層に戻しておけ。次の中・で・の・戦いはおそらくケミカロイドの一件だろう。そこまでは通常業務に専念するように、全員に伝えておけ」
「了解しました。委員長」
 白が今回の件で目的としていたものは二つ。敵対勢力のあぶり出しと物語の中心点セントラルストーリーラインをずらすことだ。
 敵対勢力のあぶり出しについては語る必要すらないほど明確だろう。
 死縁鬼苦罠に雇われているらしいという彼者誰時に輝く月シャイニングムーンの情報についての裏付けはできたし、その彼者誰時に輝く月シャイニングムーンに所属している人員、団長の裂ヶ淵瞑娥さくがぶちめいがや大隊長の戦力についての調査が出来た。
 同じく敵対勢力のアレイスターに使える木原脳幹の対魔術式駆動鎧アンチアートアタッチメントことも二人のおかげで情報は得られたし、アレイスター自身の戦闘力についても十五夜が目撃したため分かった。
 既定路線では無かったとはいえ、第一の目的はほとんど達成されたようなものだ。
 何せ風紀委員本部セントラルジャッジメントの戦力はまだほとんどさらしていないのだから。頂点序列者トップランカー5人も、上位序列者ハイランカー15人も、下位序列者ローランカー80人も、まだほとんど表に情報は出ていない。
 封印戦力をこのタイミングで出すのだけは想定外だったが、それもまぁ最悪の出来事では無い。封印戦力はまだ後三人いるのだから。
「ふむ。……もう下がっていいぞ」
 要件は伝えた。後は思案の時間だ。次の計画を確実に成功させるためには打てる布石は打ち、張れる伏線は貼り、練れる計画はねるべきである。故に、白はいつものように『天秤の間』で独り考え事をするつもりだった。
 しかし、
「どうした?」
 十五夜が踵きびすを返して出ていこうとしなかった。いつもならば、用件が終わればすぐに『天秤の間』から出ていくのに。
 そして、十五夜は驚くべきことを白に言った。
「…………差し出がましいですが、委員長。今回の件についていくつか質問をさせてもらってもよろしいでしょうか」
「珍しいな。君が僕に質問をするなんて」
 少々驚いたように白は言った。それほどまでに十五夜が白に質問をすることは珍しかった。常に命令に忠実で白の行動に疑問を持つことはない。もちろん、白が明らかにおかしかったり間違った行動をすれば多少の諫言かんげんはするが、十五夜は基本的に白の行動に質問をすることはない。
 だから、白は驚いた。
「別にかまわないぞ。何が聞きたい?」
 驚いたが十五夜がききたいことがあるというのなら別にかまわない。白は十五夜を一番信頼している。質問に答えないことはよほどのことでも聞かれない限り、ない。
「では、」
 十五夜は息を大きく吸い、心を落ち着けてから言った。
「今・回・の・件・、い・っ・た・い・ど・こ・ま・で・が・委・員・長・の・計・画・通・り・だ・っ・た・の・で・す・が・?」
「………………………………………」
 深く、白が笑う。
 十五夜の言葉に笑う。
「どこまで、というのは?」
「…………今回の一件、不可解なことが多すぎます」
 『天秤の間』に来るまでの道中十五夜は今回の一件についてずっと考えていたが、どう考えてもつじつまの合わないことが多すぎた。
 例えば、
「地下で起きた爆発はいったい誰の手によるものだったのですか?」
 そう。あの時白から電話がかかってくる直前に十五夜の耳に聞こえた爆発音。結局あの爆発が誰の手によるものなのか十五夜はわかっていなかった。
「御坂美琴の『雷神化』はともかくとして一方通行アクセラレータが『神の力』――――――位相操作能力を得たのは本当に偶然だったのですか?」
828 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 23:01:00.54 ID:3OJgtAFD0
『雷神化』には明確な理由があった。木原幻生によってミサカ19090号に投じられたウイルスがミサカネットワークを通じて御坂の中に入り、それが御坂の『雷神化』を起こしたのだろう。
 だが、一方通行アクセラレータが位相操作能力を得たのは明確な理由を発見できない。もちろん奇跡だ、というのであればそれ以上の追及はできない。だからこそ今ここで十五夜は問いかけた。
 あの出来事は確かに奇跡だったのかもしれない。
 だが、
 どうにも十五夜にはあの奇跡が仕・組・ま・れ・た・奇・跡・に思えて仕方が無かった。
「一方通行アクセラレータが初まりの領域で『空白の主』に出会えたのはなぜなのですか?」
 仮に『神』の領域――――――すなわち魔術的な意味合いでは『魔神』の域に入ることが出来たとしてもそれだけでは『初まりの領域』に行くことは出来ない。あの場所はこの世界の中でも最重要部分。なりたての『神』が入れるような場所ではないはずだ。
「そして、一番不可解なのは」
 一つ、区切り置いて、十五夜は今だに信じられないかのようにその事実を口にした。
「あの、救済者ヒーロー『上条当麻』がたかだか攻撃部隊総隊長扼ヶ淵埋娥やくがぶちまいが程度の雑魚に負けたことです」
 どうにも十五夜はそれが信じられなかった。
 正確にいうのであれば、『上条当麻』が埋娥にまともな一撃を食らわせることすらできずに敗北したことが信じられなかった。
 救済者ヒーローが負ける。そのこと自体はまぁいい。救済者ヒーローだって成長するために負けることはある。古今東西の物語で敗北から学び強くなる救済者ヒーローは多々いる。
 だが、
「負けるにしても少なくとも一撃を当てることぐらいはできないとおかしいはずです。上条当麻という個はそこまで弱くはない。あの負け方では救済者ヒーローとしての成長が出来ません」
 埋娥と上条の戦闘をリアルタイムで見ていた十五夜は違和感をずっと感じていた。最初に白井と別れて単独で埋娥を引き付けた場面。あれはまだいい。救済者ヒーローとしての行動である。
 だが、その後がおかしいだろう。救済者ヒーローであるならば埋娥と会話をするべきだ。埋娥の抱える闇を表にさらけ出させるべきだ。敵対者だろうがラスボスだろうが黒幕だろうが問答無用で救う。
それが救済者ヒーローなのだから。
 負け方にしてもそうだ。地形を利用して上条はよく戦ったと思うが、埋娥に勝つことに注視しすぎて埋娥のことを見ていない。救済者ヒーローとしてはあるまじき行いだ。
 あの負けでは今後につながらない。負けた、という結果だけが残ってしまう。
「いったいどういう事なのですか委員長?今回の一件は本当は…………」
「そうだな」
 一つ頷うなずいて、白は語る。
「一つ一つ説明をしていこうか、十五夜。今回の一件がどういう経緯で起き、どのように転がっていったのかを」
 そして、白は話し始めた。
 絶対能力進化実験レべルシックスシフトの裏に隠された。各々の目的とその行動を。
829 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 23:02:33.47 ID:3OJgtAFD0
https://syosetu.org/novel/56774/100.html
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100話目


白白白と木葉桜十五夜A 死縁鬼苦罠勢力の行動

「そもそも絶対能力進化実験レべルシックスシフトの本当の目的は一方通行アクセラレータを絶対能力者レベルシックスに到達させることでは無い。これは前にも話したな」
「はい。把握しています。今回の絶対能力進化実験レべルシックスシフトの本当の目的は絶対能力進化実験レべルシックスシフトが頓挫とんざした後に妹達シスターズを世界中に治療という目的でばらまき、世界全体にAIM拡散力場を満たすことにある、という事でした」
「そう。初め、絶対能力進化実験レべルシックスシフトはそういうモノだった。アレイスターが世界中にAIM拡散力場を満たすための失敗前提の実験。それが絶対能力進化実験レべルシックスシフトのはずだった」
「…………………………」
「アレイスターのプランの通りに進むのであれば一方通行アクセラレータは御坂を追いかけて絶対能力進化実験レべルシックスシフトの真実を知った上条に倒され、上条の成長、絶対能力進化実験レべルシックスシフトの頓挫、そして一方通行アクセラレータの成長。この三つが同時になされるはずだった」
 はずだったのに、そうはならなかった。
 なぜなら。
「そこに僕ら風紀委員本部セントラルジャッジメントと苦罠が干渉したから、話が非常にややこしくなった」
 ただでさえややこしい事態にさらに二つの勢力が割り込んだ。どの勢力も己の目的を達成することに執着して自分勝手に動いて、その結果あり得ないくらい混乱した摩訶不思議な事態が起きてしまった。
「時系列を追って説明しようか。その方がきっと分かりやすい」
 張られた伏線。仕組まれた事態。動いていく計画。
 そのすべてが今、明らかになる。
「すべてのはじまりは去年の冬、一方通行アクセラレータが絶対能力進化実験レべルシックスシフトに参加したあの時から始まった。各々の野望を叶えるために、各々が暗躍し、行動した」
 回想する。
 思い出す。
「まずは、苦罠たちのことについて話そうか。絶対能力進化実験レべルシックスシフト第一次実験が始まった時点で、苦罠はいずれ御坂美琴が絶対能力進化実験レべルシックスシフトに辿り着くと予想した。そして、御坂美琴は必ずそれを止めようとすると予測した。苦罠はそのために準備を始めていた。半年も前からね」
 死縁鬼苦罠。統括理事会メンバーの中でもほとんど最強の存在。
「そして、今日の午後練りに練った計画を実行するために動いた」
 彼が、ある意味では一番乗りだった。
「まず一番最初に苦罠が行ったことは御坂美琴との接触及び交渉。苦罠の目的から言ってしまえば、御坂美琴という存在は誰よりも重要なパーツだからな。交渉、というよりも恫喝に近かったが、それでも苦罠は御坂美琴を自陣営に引きずり込んだ」
「計画プロジェクト……ですか」
 アレイスターの計画プランと同じように謎が多い計画プロジェクトという名の計画。死縁鬼苦罠と天埜郭夜によって進められている計画プロジェクトという存在。それのためには御坂美琴が必要なのだと白は言う。
「そして、その後郭夜と連絡を取り『三千世界武神』一本線点々いっぽんせんてんてんに十五夜、君の足止めを依頼。さらに並行して彼者誰時に輝く月シャイニングムーンの奴らにも君の足止めを依頼。さらに、余剰待機戦力として莫大な金銭を払って彼者誰時に輝く月シャイニングムーンの団長裂ヶ淵瞑娥さくがぶちめいがにも戦闘を要請した」
「裂ヶ淵瞑娥も出てきていたのですか!?あの『陰翳いんえいの四月実験』の被験者の!?」
 陰翳いんえいの四月実験。
 暗闇の五月計画や光陰の三月実験と同じ、月の名前を冠した十二暦計画カレンダープロジェクトの一つである。
「当然だろう?僕が苦罠の立場だったとしても同じように瞑娥を動かすぞ。あいつは魔術も超能力もかいさない純粋な暴力で言ったら、点々と互角にやり合える唯一無二の人材だからな」
「天下無双流と天地破壊流ですか」
「その通り。この世界の中では最強と呼ばれる二大流派。どっちが強いとかでは無く、どっちも最強だが、だからこそ君を足止めできたのだろう」
「……………そうですね」
 苦い顔をして十五夜は言った。十五夜からしたらわずかでも足止めされたあの経験はかなり悔しいものなのだろう。
「続けるぞ。そして、君を足止めしている間に奴らは御坂を操車場に送り届け、戦闘を開始させた。さらに並行して超能力者予備集団セブンバックアップの三位も動かしていたようだ」
「超能力者予備集団セブンバックアップの三位というとあの精神系最強の見捨てられた女グレイレディですか」
「そうだ。三位がやったことは至極単純で上条当麻と白井黒子の両名を地下下水道へと誘導するための準備、KEEPOUTのテープを操車場の入り口あたりにはったことと白井への認識操作だな」
 あの時、あの場所で上条と白井が地下に行ったのは目の前にKEEPOUTのテープがあり、その先に警備員アンチスキルがいると思い込んでいたからだ。彼らも100人の警備員アンチスキルを突破できると考えるほど幼稚では無かった。
 まぁ、万が一あのKEEPOUTのテープの先にいったとしてもどちらにしろ御坂のもとにはたどり着けなかったわけだが。
「で、その後三位はとあることをした」
「とあること…………ですか?」
「十五夜。君は『始まりの領域』に侵入する前に強大な爆発音を聞いたそうだな。その時の状況を教えてくれないか」
「分かりました」
 十五夜は爆発音が聞こえたときのことを明確に思い出す。十五夜の頭脳は瞬間記憶と映像記憶を併せ持ったように過去の『光景』を寸分の狂い無く思い出すことが出来る機能を持つ。
 だから、白に問われた時の光景も完璧に思い出せた。
「爆発音が聞こえたのは委員長から連絡が入るほんの直前、地下下水道で上条当麻と白井黒子、扼ヶ淵埋娥やくがぶちまいがと千疋百目の戦いが終わった直後でした。耳をつんざくような爆発音が周りから聞こえ、立っている地面に亀裂がはしり、沈み、そしてそのタイミングで委員長から電話が――――――」
「ストップ」
 十五夜が爆発音が聞こえた時の光景を正確に説明しているときに、白は割り込んで言葉を入れた。
「『地面に亀裂がはしり、沈んだ』。つまりそれが三位のやったことだ」
「……………いえ、ちょっと待ってください委員長。それはいくらなんでもおかしくありませんか?もちろん委員長が確信を持っているのは分かりますし、委員長が間違ったことを言うとは思いませんが、私はどうにも納得できません」
830 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 23:03:09.70 ID:3OJgtAFD0
意味深に十五夜を見つめながら白は続きを促す言葉を投げかける。
「具体的にはどこがおかしいと?」
「三位の超能力は精神系のはずです。どうやったとしても爆発現象を起こせるとは思いません。私の精神に干渉することはほぼ不可能ですし、あの時私の精神は正常でした。ならば、あの爆発音は現実に聞こえたもので間違いないはずです。委員長の言う通り三位があの爆発を行ったのならば、彼女の超能力は精神系ではないということに――――――」
「ならない。三位の超能力は精神系だ。それも学園都市内で精神系最強を誇る、な。それは間違いない」
 断言する。白はあらゆる出来事の最も重要なことは情報だと思っている。戦闘を行うにも計画を進めるにもまず情報が必要だ。だからこそ、白は風紀委員本部セントラルジャッジメントの情報網を他の追随を許さないほどのモノに鍛え上げたのだ。
 さすがにアレイスターの滞空回線アンダーラインには劣るが、それでも他組織よりは圧倒的な量の情報が風紀委員本部セントラルジャッジメントには集まっていた。
「では、三位はあの爆発をどうやって起こしたのですか?」
 少なくとも十五夜には方法が思いつかない。精神系最強の能力といえども爆発を起こす方法なんてないはずだ。
 
 そ・ん・な・わ・け・が・な・い・。
 
「……………こい、な」
 白は十五夜の耳に入らないほど小さな声で呟いた。ありったけの侮蔑となけなしの敬意をこめて、心の底から憎んだ。
「委員長?」
 返答がないことにわずかな疑問を覚える十五夜。自分の質問はそこまで答えづらい、答えられないモノなのだろうか、と思った。答えられない質問ならば答えてくれなくても構わないのだが。
「……………そもそも前提が間違っているんだ、十五夜」
「前……提、が……?」
「な・ぁ・、」
 一息おいて、わずかな怒気を滲ませながら白は言った。
「ど・う・し・て・さ・っ・き・か・ら・三・位・が・超・能・力・を・使・っ・て・爆・発・を・起・こ・し・た・こ・と・に・な・っ・て・い・る・ん・だ・!・!・!・」
「―――――――――――っっっ!!!」
 その怒気に押される。気圧される。
 本当に、本気で白は怒っていた。十五夜にというよりもあまりにも迂闊すぎた自分自身に。
「冷静になって考えてみろ!この街にある特有のモノは何も超能力だけではないだろう!超能力などこの街の特異性の一面にすぎない。この街の本当の特異性はむしろ超能力を体系化できるほどの科学力の方だろうがッ!!!」
 十五夜は衝撃を受けた。
 白に怒鳴られたことにではなく、自分自身にその考えが浮かばなかったことに。
 そう、自然に考えてしまえば爆発現象を起こすのに超能力を使用する必要はない。御坂美琴が粉塵爆発を起こしたように、通常の爆薬、爆弾を使えば十二分に爆発現象を起こすことが出来るのだ。
 その考えが浮かばなかったのは強力な原石を持っているが故に傲慢が理由だったのかもしれない。
 【もしくは、ある意味では思考を犯されていた、といったほうがいいのかもしれないな】
「いや、それでも待ってください委員長。私の見た限り爆発音はかなりモノでした。しかも地面に亀裂がはしり、地面が沈み込むほどの量の爆薬なんていったいどこに仕掛けてあったというのですか?」
「察しが悪いな、十五夜。当然下だ」
「下?」
「地面の下に爆薬を埋めておけばいいんだよ」
 簡単な口調で白は言った。
「苦罠の勢力にだって僕ら風紀委員本部セントラルジャッジメントと同じように空間移動能力者テレポーターの一人や二人はいるはずだ。だったらその空間移動能力者テレポーターが操車場付近の地面の下いっぱいに爆薬を埋め込めばいい。遠隔起爆を可能とした状態でね」
「では、三位が行った『とあること』とは爆薬の遠隔起爆ですか」
「その通り。スイッチを押すだけの作業だろうし精神系能力者でも問題なく行えるだろう。そして何より三位自身の目的を達成することも出来るかもしれないからね」
831 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 23:04:03.86 ID:3OJgtAFD0
「………………………」
 白の返答によって連鎖的に二つの納得が生じ十五夜は黙った。
「そもそも御坂美琴が一方通行アクセラレータに使った改良版音響式能力演算妨害装置キャパシティダウンバージョンベータだって、地面の下に埋めてあったはずだろう。ならば必然彼らの勢力に空間移動能力者テレポーターいるのは当然だ」
 十五夜は確認のために白に話しかける。
「重機を使ったという可能性はないのですか?」
「ないな。重機なんて目立つモノを使ったら絶対にどこかの勢力が気付く。あの操車場には地面を掘り起こせるような重機は存在していない。よそから重機を持ち込むような目立つマネを苦罠がするわけがない」
 当然と言えば当然の論理だ。重機の代わりをなすことのできる人間がいるのならば、目立つ重機よりも目立たない人間を動かす。監視網を逃れるためならそれが正しい。
「そして、起爆した爆薬の目的についてだが……。ここまで言えばさすがにわかるだろう、十五夜」
「はい。地下下水道で戦っていた上条当麻を生き埋めにすること、ですね」
「その通りだ」
 地面に埋められた無数の爆発物を超能力者予備集団セブンバックアップ第三位が遠隔起爆し操車場の周りの地面を一気に崩落させる。それこそが、あの爆発の真の目的だった。
 十五夜を目的としたものでも、御坂や一方通行アクセラレータを目的としたものでもなく、地下下水道にいる四人、いや厳密には一人を目的としたものだったのだ。
「彼らはいつの段階でそれを仕込んでいたのでしょうか。地盤を崩落させ、地下下水道を埋め尽くす勢いの爆発など並大抵の量で出来ることではありませんが……」
「半年前から準備していた、と言っただろう。当然去年の冬から今年の夏までにかけて準備していたんだろうさ」
「それは……」
 半年前からの準備。言うのは簡単だが行うのは不可能に近い。あの操車場の地下にある下水道でいずれ誰かが戦うことを半年も前から予期するのはそれこそ予知能力者でもない限りは不可能だ。
 半年前といえばまだ絶対能力進化実験レべルシックスシフトが始まったばかりで、こんなことになるなんて予想も出来ないのだから。
 だが、
「言いたいことはわかるさ。半年も前からあの地下下水道に僕らの勢力が行くことを予想するなんて不可能に近い。それこそ、この『僕』でも不可能だろうさ」
「ですが……」
「だがあいつなら、造られた子供たちプログラムチルドレンであるあいつ、天埜郭夜ならそれが出来る。それが出来るからこその造られた子供たちプログラムチルドレンだからな」
 造られた子供たちプログラムチルドレン。
 その言葉を言う白の表情はあらゆる感情がないまぜになったかのようなモノだった。言葉に色があるというのであればきっと『造られた子供たちプログラムチルドレン』という単語はすべての色がごちゃ混ぜになったように汚らしい漆黒になっているだろう。
 
 
「白・様・」
 ひどく唐突に不安げな表情を浮かべた十五夜は呼・び・方・を・変・え・て・白に言った。
「大丈夫……ですよね」
 
 
 
「十五夜」
 答えるように白も呼び方を変えて十五夜に言った。
「何も心配する必要はない。すべて僕に任せておけばいい」
 自信に満ち溢れたその言葉と態度は、確かに十五夜らのトップにふさわしいものだった。
 
 
 
「どちらにせよ、最後に嗤うのは僕たちだからな」
 



今回分かったこと。

@地下下水道の崩落の原因となった爆発を起こした人物及び勢力
A地下に爆弾を埋めた方法
B超能力者予備集団セブンバックアップの三位 など



分からないことがあったら随時おっしゃってください。必ず答えますので。

次の更新は2日後です。
832 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 23:04:50.19 ID:3OJgtAFD0
「………………………」
 白の返答によって連鎖的に二つの納得が生じ十五夜は黙った。
「そもそも御坂美琴が一方通行アクセラレータに使った改良版音響式能力演算妨害装置キャパシティダウンバージョンベータだって、地面の下に埋めてあったはずだろう。ならば必然彼らの勢力に空間移動能力者テレポーターいるのは当然だ」
 十五夜は確認のために白に話しかける。
「重機を使ったという可能性はないのですか?」
「ないな。重機なんて目立つモノを使ったら絶対にどこかの勢力が気付く。あの操車場には地面を掘り起こせるような重機は存在していない。よそから重機を持ち込むような目立つマネを苦罠がするわけがない」
 当然と言えば当然の論理だ。重機の代わりをなすことのできる人間がいるのならば、目立つ重機よりも目立たない人間を動かす。監視網を逃れるためならそれが正しい。
「そして、起爆した爆薬の目的についてだが……。ここまで言えばさすがにわかるだろう、十五夜」
「はい。地下下水道で戦っていた上条当麻を生き埋めにすること、ですね」
「その通りだ」
 地面に埋められた無数の爆発物を超能力者予備集団セブンバックアップ第三位が遠隔起爆し操車場の周りの地面を一気に崩落させる。それこそが、あの爆発の真の目的だった。
 十五夜を目的としたものでも、御坂や一方通行アクセラレータを目的としたものでもなく、地下下水道にいる四人、いや厳密には一人を目的としたものだったのだ。
「彼らはいつの段階でそれを仕込んでいたのでしょうか。地盤を崩落させ、地下下水道を埋め尽くす勢いの爆発など並大抵の量で出来ることではありませんが……」
「半年前から準備していた、と言っただろう。当然去年の冬から今年の夏までにかけて準備していたんだろうさ」
「それは……」
 半年前からの準備。言うのは簡単だが行うのは不可能に近い。あの操車場の地下にある下水道でいずれ誰かが戦うことを半年も前から予期するのはそれこそ予知能力者でもない限りは不可能だ。
 半年前といえばまだ絶対能力進化実験レべルシックスシフトが始まったばかりで、こんなことになるなんて予想も出来ないのだから。
 だが、
「言いたいことはわかるさ。半年も前からあの地下下水道に僕らの勢力が行くことを予想するなんて不可能に近い。それこそ、この『僕』でも不可能だろうさ」
「ですが……」
「だがあいつなら、造られた子供たちプログラムチルドレンであるあいつ、天埜郭夜ならそれが出来る。それが出来るからこその造られた子供たちプログラムチルドレンだからな」
 造られた子供たちプログラムチルドレン。
 その言葉を言う白の表情はあらゆる感情がないまぜになったかのようなモノだった。言葉に色があるというのであればきっと『造られた子供たちプログラムチルドレン』という単語はすべての色がごちゃ混ぜになったように汚らしい漆黒になっているだろう。
 
 
「白・様・」
 ひどく唐突に不安げな表情を浮かべた十五夜は呼・び・方・を・変・え・て・白に言った。
「大丈夫……ですよね」
 
 
 
「十五夜」
 答えるように白も呼び方を変えて十五夜に言った。
「何も心配する必要はない。すべて僕に任せておけばいい」
 自信に満ち溢れたその言葉と態度は、確かに十五夜らのトップにふさわしいものだった。
 
 
 
「どちらにせよ、最後に嗤うのは僕たちだからな」
 



今回分かったこと。

@地下下水道の崩落の原因となった爆発を起こした人物及び勢力
A地下に爆弾を埋めた方法
B超能力者予備集団セブンバックアップの三位 など



分からないことがあったら随時おっしゃってください。必ず答えますので。

次の更新は2日後です。
833 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/22(日) 23:07:37.68 ID:3OJgtAFD0
この後はオリキャラが学園都市230万人を皆殺しにして禁書世界を滅ぼして『神の代行人』GE13がフィアンマを下位互換扱いして白白白が絶対不変の絶対法則アンチェンジナブルラウ――――――無限に修正され続ける罪深き世界で世界をやり直して
読者に【愛がないのならば、この物語の真実には辿り着けない。】って言ったりするからぜひ見てくれ
面白いで
834 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/23(月) 07:57:19.77 ID:gxh1m1wCo
>>709
原作でもまだ可能性はワンチャンある
上条さんのことだし二年くらい留年するだろうし
そうなれば同級生になって結ばれる確率も出てくる
835 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/23(月) 08:40:37.05 ID:hHFMmn1a0
>>834
マジ?あざーーーーーーーーす!!
836 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/23(月) 13:50:55.96 ID:LemKeyHX0
糞ニートで穀潰しのインデックソさんなんかに上条さんを取られたくはないよな
837 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/23(月) 13:53:45.61 ID:5erB1OC4o
奇跡が起きても美琴が上条さんと同級生になれるのは一年間だけだよ
上条さんならまた留年するに決まってる
そして美琴は上条さんにどや顔で先輩面出来るというわけだ
838 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/23(月) 17:20:15.21 ID:eqXiyTs7O
原作未読かな?
839 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/23(月) 21:54:28.88 ID:ZR4Jfj460
なんでもいいけど上のSS転載してるっぽいバカは何なの
840 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/23(月) 22:01:46.63 ID:vDIylJlyo
NG推奨
841 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/24(火) 01:33:34.05 ID:6s03YmLO0
御坂美琴が上条美琴になれる日が来るといいなぁ
842 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/24(火) 01:38:17.46 ID:WSuuwA7g0
みこっちゃんはヒロインレースがトップ陣と比べなくても周回遅れだからもっともっと頑張ってくれや
843 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sega]:2019/09/24(火) 15:08:05.83 ID:KEjOE0Ue0
上条さんの嫁は美琴か操祈がいい
あの二人は上条さんによく尽くしているから好感が持てる
844 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/24(火) 15:09:09.55 ID:MigOyHtno
上条さんなら1000円札10枚くらいでビンタすれば何でも言うこと聞いてくれるさ
845 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/24(火) 20:00:23.16 ID:Afy5gl820
https://syosetu.org/novel/56774/
とある暗部の御坂美琴(2周目)
作者:一二三四五六

原作:とある魔術の禁書目録
タグ:R-15 残酷な描写 とある科学の超電磁砲 暗部 上条当麻 鬱 独自設定 中二病 闇堕ち 群像劇 執着 依存 オリジナル展開 原作キャラ死亡 御坂美琴 絶望 シリアス 狂気 オリキャラ多数 裏切り 策略
▼下部メニューに飛ぶ

 大切なモノを護るために、あなたは何処どこまで捨てられますか?

 大切な人を助けるために、あなたは己の命身体を棄すてられますか?

 自分の魂魄凡てを捧げても喪うしないたくないモノ、ありますか?

 無明の闇に堕おちていけ。罪に穢けがれし気高き魂よ、汝なんじが生に幾多の禍難かなんが在あらんことを希こいねがって。



 ※亀の歩みよりも展開が遅いです。スピーディーな展開を求める人には確実に合いません
 ※多数の視点で物語が進むため展開が非常に遅いです。
 ※この小説は本編最新刊はもとより超電磁砲最新話、マンガ一方通行最新話、超電磁砲PSP、蛇足またはとある事件の終幕 、クロスオーバー小説、偽典・超電磁砲 、アニメ超電磁砲一期二期オリジナルエピソード、エンデュミオン、頂点決戦、群奏活劇、バーチャロン、とある魔術の禁書目録SP、一番くじ限定電撃鎌池和馬10周年文庫、学芸都市SS、能力実演旅行SS、とある魔術の禁書目録PSP、画集小説、下敷き小説、コールドゲーム、アストラル・バディの設定が入り混じっています。
 ※『白衣の男』と御坂美琴J 脅迫までは一話2500文字それ以降は一話5000文字になっております。
 ※あらすじがver5になりました。前のあらすじが見たい人は活動報告の方へどうぞ。
 ※題名を『とある闇の中の超能力者』から『とある暗部の御坂美琴』に変更しました。
 ※ネット小説だからこそ出来るギミックを各所に取り込んでいます。
 ※前書きとあとがきには重要な伏線を仕込んでいます。必ず表示させてください。




原作が出るまで暇だしこれでも読もうぜ!
846 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/24(火) 20:01:25.21 ID:j/s58Wg/o
>>845
てめえみたいに暇人ばっかだと思うな
847 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/24(火) 21:35:54.63 ID:mmCKmWeL0
つーかこんなキッショいSS書いてる奴が未だにいるのか・・・
848 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/25(水) 15:10:22.98 ID:eTz0ka9P0
まだ許せる
一方通行を糞みたいに美化しまくってヒーロー(爆)させてる系のSSに比べれば
849 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/25(水) 17:41:57.79 ID:PbFXJ41A0
>>848
せやな
850 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/25(水) 18:31:03.42 ID:YatKBzxIo
遂に5ちゃんの鎌池和馬総合スレッドにまで駄文載せに来やがったよ
851 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/25(水) 18:50:40.54 ID:PbFXJ41A0
>>850
ほえ〜元気があって宜しい
852 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/25(水) 19:27:24.83 ID:/SPRyPZrO
>>851
頭荒らしと同レベルかよ
853 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/25(水) 20:21:28.24 ID:6wal72Ry0
>>848
一方美化SSってほぼ例外なく他キャラsageが標準装備なのがグロテスクなんだよなあ
『本来悪くないキャラを貶めないと一方の立場をageられない・誤魔化せない』ってわざわざ自分で証明してるんだけど書いてる方は自覚ないのかね?
854 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/25(水) 20:24:25.69 ID:wYCl/gvLo
一方美化ってどんな感じなん?
一万人殺したくせに一方は何も悪くない的な?
855 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/25(水) 20:38:21.61 ID:PbFXJ41A0
>>852
相手にするなって事さね
856 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/26(木) 03:16:17.74 ID:XHdQvjLf0
>>854
よく見るパターンだと例の実験の件では何故か美琴が一番悪い事にされ周囲から糞みたいに責め立てられる
一方通行は悲劇のヒーロー(笑)
857 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/26(木) 10:25:19.68 ID:CNXgj1tj0
ぶっちゃけそういうのって原作の一方通行も貶めてるよね
858 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/26(木) 14:19:25.04 ID:XHdQvjLf0
>>857
同感
859 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/09/26(木) 20:36:36.12 ID:aTYSQPLR0
まぁ新約3巻の「お前も加害者」が節目だな
その手の話が一気に過激になったのは
860 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/26(木) 21:16:17.17 ID:GILVbjTw0
https://syosetu.org/novel/56774/107.html
白白白と木葉桜十五夜C 狂気狂乱狂騒狂宴

 伏線は物語には絶対に必要なモノである。
 恋愛ものでいえば普段自分から遊びに誘わない幼馴染が唐突に「明日遊びに行かない?」などと電話してくる。
 バトル物でいえば倒した敵が「本当の敵は、お前のお――――――」と言った瞬間に何者かに殺される。
 推理ものでいえば事件が起きたその時にある人物だけ姿が見えなかった。
 異論はあるかもしれないが、これらのようなモノは伏線と呼ばれる。
 伏線とはのちの展開に備えてそれに関連した事柄を前のほうでほのめかしておくことだと言われる。この説明がばっちりそうなのかというと微妙かも知れないが、大筋は外していないだろう。
 そして、だから、上条当麻は敗北した。
 伏線が『はられて』いなかったから。
「伏線……」
「伏線だよ。十五夜。伏線。伏線。伏線なんだ。この世の全ては伏線がはられてなければならない。僕も君も彼も彼女もあいつもこいつもどいつもこいつも伏線をはらなければ、貼らなければならないんだ。この世界で有利に生きたいのならば」
 狂騒するかのように口をまわして熱烈に語り語る。それは十五夜でも見ることの少ない、白の興奮した姿だった。
 何が、白をここまで駆り立てるのか。それはながい付き合いの十五夜にも分からない。
「伏線。ただそれだけでいいんだ。それさえあれば、それが、それ故にそれを、伏線を貼っておけば僕はこの世界に生きられる。生きて、生き、て、伏線の通りに、伏線のままに、伏線のはった道筋を通って」
 だが、それでも分かるのは。
861 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/26(木) 21:16:54.04 ID:GILVbjTw0
「伏せられた事実を、貼られた螺旋を、上にある傍点が、引かれた傍線に、ちょっとしたしぐさが、表情が、地の文の事実が、誰かの僕の君のおまえのこいつのあなたの彼女の見知らぬ人の化物の罪人の咎負の黒幕の大罪の彼の言動が、血筋が関係が、その異常性が、すべてがすべて全部何もかもちょっとしたことでも伏線になってなりうってなりえてなりなりうる。だから、言動一つにでも行動一つにでも言葉一つにでも日常においても非日常おいてもちょっとしたすべてに気を使って気を付けて気を散らして気を張って気張らなければならないんだ。例えば十五夜君の言動なんてまさしくそうだ君が外に出て戦っていた間に無意識だろうがいくつもの行動がはられてしまっているんだぞそのことに君は気付いているのか?まず最初は君がこの『天秤の間』から第八学区の超高層ビルに位相を改竄して移動した時だがこれはまだここから移動するのは観測もされないから別にいいんだただ次だわざわざ位相の改変を利用してビルの金網を透過しさらにビルから飛び降りる必要はどこにあったんだ階段を使えよ階段をわざわざあのタイミングで位相操作を行うなんてどう考えても伏線になってしまうだろうがわきまえろよ僕の努力を無駄にするつもりか塵芥人形その後もだ彼者誰時に輝く月シャイニングムーンの狙撃を防ぐのにお前は位相を使った防御を行ったなそれはなぜだなぜあのタイミングで位相による防御を行う羽目になったのか君の力を外に示すことになったのか君はお前は貴様はあなたは本当に分かって考えて思考しているるるるのか貴様がもっと最初から警戒範囲を広めていればあんなことにはならなかったはずだろうが確かに地の文で『今、十五夜が彼者誰時に輝く月シャイニングムーンの狙撃を防いだのは、当然のことながら偶然では無い。その理由は十五夜の原石にあった――――――』くらいのことは書かれるかもしれないがこんな序盤で普通ならお前の力の詳細は明かされないはずなんだなのにおそらく今回の件で読者の奴らは別として他勢力特にアレイスターの奴にはお前の力が原石が能力が『局地的位相操作』だと分かってしまったぞお前君は貴君あなたテメェその責任とれるのか君力は僕が見た数多の人間の中でも強力で扱いやすくてだからこそわざわざ引きこもっている君を僕が引っ張り出していろいろ調教してやったのにそのすべてを無に帰きす無に帰かえす無かったことにするつもりかいい加減にしろいいかよく考えてから行動しろお前の一挙手一投足から言動思考内心その他すべては作者によって描写される可能性があるんだぞそのまわらない頭にもう一度深く刻んでおけよ木偶塵屑戦う時に考えるべきことも思考してはいけないこともいちいちいちいちいちいちいちいち僕が説明しないといけないほど愚かで馬鹿な愚図じゃないだろうお前はいいか何度でもいうが僕のフォローにも限度限界があるんだからな確かに僕は目的のために一心不乱に万進して前進して歩み進んでいく気概はあるが僕の目的の達成に君は必要だからめんどくさく思いつつも無意味だろうが説明をしてやってるんだあぁ二度も三度も同じことを言わせるなよ一度の説明で完全に完璧に完成にどうして理解できないんだ僕よりも優秀で僕よりも有能で僕よりも優美で僕よりも多芸で僕よりも万能で僕よりも優等で僕よりも赫々かっかくなのにどうしてお前らは!君は!言われたことを覚えることも実行することも出来ないんだそんな難しいことを言っているつもりはないのに不可能なことを命令しているわけでは無いのにのにのにも関わらず八面六臂の活躍をできる君たちが万能で全能な君たちは言われたことが出来ないんだいいかもう一度言うぞ何度目か知らないがもう一度言うぞもう何度でもいうぞ脳に直接刻み込んでおけよ塵人形!!!その一挙手一投足から!思考にいたるまでの全てが!全部!何もかも!あらゆることがものが!描写される危険性があるんだよ!!!だからもっと注意深く行動しろ注意して行動しろ迂闊な言動行動は控えろここではともかく外では絶対に控えろさもないと十数年をかけて育んで育ててきた僕の計画がすべて全部何もかも意味がないことになるだろうが!!!気取られないように慎重に用心深く翼々と抜け目なく進んできた計画が計略が計画スケジュールが無意味に無価値に無意義に無用になってしまってそうしたら僕が!僕が己の全てをかけて!ずっとそれだけのために生きてきたのに失敗するなんてそんなことに今更なったらどう責任をとるつもりなんだあああ、ああああああ、あ、ああ、ああああああああああああああああああ、ああああ。あああ、あ、君は僕が見出して僕が!作り出したのに、なのになのになのにそれで最高の人材を素材を人間を生物を生命を選定して伐採して剪定して精選して厳選して択ってここまで育てて育成してきたのにその期待を!希望を!軌跡を!奇跡奇蹟を!どうして踏みにじるようなまねが裏切りが出来るんだよ恩を忘れたとか恩を売るとかそんなつもりは全然まったくこれっぽっちもないが君たちお前たち僕たちは僕の理想に理屈に幻想に賛成して賛同して支持して賛して共鳴して同意して同心して合意してだからここにいてこの立場につくことを許したはずだろうなのにだからなのにどうしてどうやってどうすればここまで僕がそれだけはと注意して注視させたことを破ることが出来るんだ!!!僕よりも頭のいいくせに僕なんか目じゃないくせに僕を圧倒できるだけの能力が頭脳があってあるからあるのに僕よりも僕が僕僕僕に僕を僕僕僕僕僕僕僕僕僕とともにこのせ」
 
 
 
 
 
「委員長!!!!!」
 
 
 今・の・白・は・異・常・だ・、ということ。
 
 
「―――――――――――――――――――――――おっと、僕としたことが。あぁ、今のことは忘れてくれ十五夜。とんだ醜態をさらしたな」
「いえ、そんなことは」
 
 
 
 
「忘・れ・ろ・」
 
 
 
 
862 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/26(木) 21:17:28.58 ID:GILVbjTw0
「―――――――――――――は、――――――い」
 そ・の・言・葉・に・対・応・す・る・か・の・よ・う・に・十・五・夜・の・目・か・ら・光・が・消・え・た・。
「ちっ、………………そのまま4分26秒23前までの記憶を消去デリートしろ。その後再起動リスタート」
「―――――――は、―――――――――――――――――ぃ」
 それは同じ人間にするにはあまりにも非情な命令ではあった。だが、無意識化でそれを実行するように刻まれている十五夜の意識は、本人の拒絶の有無を問わずに白の命令を実行した。
 記憶を削除し、時間感覚を制御し、白の言うように意識を再起動させる。
 現在から4分26秒23前までの記憶を無かったことにされた十五夜は自らの記憶に一切の疑問を持たずに、もう一度4分28秒前と同じ言葉を発した。
「伏線…………」
「そう伏線だ、十五夜。もっと言えば上条当麻がある手がかりをつかんでさえいればあの戦いで埋娥に勝つことは出来た」
「ある手がかり……ですか?」
 気付いていない。
 気付いていない。
 気付けない。
 十五夜は決して気付けない。自らの記憶がデリートされてしまっていることも、目の前にいる男がそれをなしたという事も絶対に気付けない。
 なぜなら、それは十五夜が白のことを信じているからで、十五夜が白のことを盲信しているからで、十五夜が白のことを全肯定しているからだった。
 十五夜は白が他者に『悪い』ことをするなんて考えていない。
 十五夜は白が人間に『悪』をなすなんて思っていない。
 だから違和感も感じない。
「ベッドの下の」
 そして話題は移る。移ってしまう。
「くまのぬいぐるみの中の」
 十五夜が気付けないままに。
「レポート用紙の束」
 過ぎ去った話題を十五夜が指摘することはもう無い。だから、話題は移る。上条が回収できなかった、気付くことのできなかった、伏線へと。
「それが、上条当麻の見逃した最高レベルの伏線キーだ」
「ベッドの下のくまのぬいぐるみの中のレポート用紙の束……ですか。それは、上条当麻が訪ねた常盤台学生寮の部屋の中のことを言っているのですか?」
「その通り。さすがに頭のまわりが早いな。あの時、上条当麻と白井黒子は絶対能力進化実験レべルシックスシフトの憔悴していた御坂美琴についてのてがかりを得ようとしていただろう。そしていないはずの妹、初春飾利からの妹達シスターズという情報、絶対能力進化実験レべルシックスシフト等様々な情報をえた」
 あの時の上条らの動きは自分たちの得意分野を駆使した最高レベルのものだった。上条当麻、白井黒子、初春飾利。誰が欠けても御坂のもとに辿り着くことは不可能だっただろう。
 だが、それでも上条らは御坂美琴が何かに巻き込まれていて、それが絶対能力進化実験レべルシックスシフトと呼ばれるものであるという事までは辿り着けたが、その絶対能力進化実験レべルシックスシフトの内容まではたどり着けなかった。
 だから負けたのだ。
 目的が明確化されていなかったから、事情が完璧には分からなかったから。
「だけど彼らは絶対能力進化実験レべルシックスシフトの内容がわからなかった。御坂美琴が何に巻き込まれているのかわからなかった。それさえ分かっていれば、きっと届いたのに」
「…………………………………」
「そしてあったんだ。上条当麻がいたあの部屋の中に。御坂美琴が普段使っているベッドの下に置いてあるくまのぬいぐるみの中に。絶対能力進化実験レべルシックスシフトの内容が記された書類が。御坂美琴が絶対能力進化実験レべルシックスシフトについてしらべるために収集した情報が」
 御坂美琴は寮の規則で禁止されているものを持ち込むためにくまのぬいぐるみを改造して使っている。そのくまのぬいぐるみの中に絶対能力進化実験レべルシックスシフトについての情報が記された書類もあった。
「それさえあれば、勝てた。過去をやり直すことは僕には出来ないが、それでも言うのなら、あの時上条当麻か白井黒子のどちらかがその絶対能力進化実験レべルシックスシフトについて記した書類に気付いていれば状況は確実に変わっていた。変わっていたんだ」
 白井ならばもしかしたらくまのぬいぐるみの中に何らかのものが入っていることは知っていたかもしれない。でも、白井もまさかそんなところに自分たちの求めている情報があるとは思わなかった。そして上条は言わずもがなだろう。
 だから、誰も気付けなかった。
 その場にあった重要な伏線に。
「勝てなかったのは上条たちが書類伏線を見つけ回収しなかったから。……納得はいったか?」
「はい。――――――説明していただき、ありがとうございます」
「そうか。納得がいったならもう出ていけ。僕も、これから考えなければならないことがあるからな」
「はい。失礼します」
『天秤の間』から出ていく十五夜をしり目に見ながら、白はこれからのことについて思考を巡らせた。
「アレイスター=クロウリー。死縁鬼苦罠。天埜郭夜。妹達シスターズ。御坂美琴。…………考えなければならないことは無数にあるな」
 計画は絶対に成功させる。でなければここまで生きた意味がない。
 そう、強く思って、白は考えを深める。
「――――――そういえば、伝え忘れたな。……まぁいいか、後で各総隊長と十五夜には送っておこう」
 今まで忘れていたが、先ほど諜報部隊の報告にあったことを白は思い出した。たいして重要でもないことだから。今の今まで忘れていた。
「第三生産部門が壊滅したという報をな」
 何でもないように、大事を口にした。一部門が壊滅するなどどう考えてもたいしたことである。だが、白にとってはそうでもなかった。
「さて、次の選定はどうするか」
 だから今日も白は思考する。
 世界の嫌われもの、白白白は考える。
 世界をよりよくするために、世界の風紀を守るために。
 世界を、――――――ために。
 



前半の白のセリフ読みにくいですよね。

わざとです。
863 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/09/26(木) 21:40:41.31 ID:diaBmj5B0
>>859
いや、一番過激だったのは普通に禁書SS全盛期だろ
「お前も加害者」あたりはむしろ下降傾向だったよ
一方SSがじゃなくて禁書SS全体がだが

「お前も加害者」あたりはむしろ熱狂も沈静化して、一方ファンにも「さすがにそれはちょっと・・・」くらい冷静になってる人もいたよ
まあ一部「ホラ見ろ! やっぱ一方さんは謝る必要なんてないんダ!!」とか喚いてる真性クズもいたけど
864 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/27(金) 14:33:16.69 ID:9JrsxFft0
>>853
それな
糞通行を持ち上げる為に他の真っ当なキャラをクズ化したりして貶めるのがデフォだから胸糞悪くて読んでいられない
865 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/27(金) 21:09:11.59 ID:4kYhG3SM0
主な被害者は上条と御坂だな
どんだけコンプあるのか、上条SSや御坂SSに凸してまで脳内設定わめいてたあたり一方厨って本当にビョーキだわ
866 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/27(金) 22:26:13.73 ID:jrcu7zqWO
一方厨なんてもう死滅してるしどうでもいいよ
復活してから叩きまくろうぜ
というかアニメ始まっても全く暴れ出さないほどにマジで死んでるとは思ってなかった
867 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/27(金) 23:36:35.93 ID:vc16ym2O0
一方通行、一方信者、奴らの罪は軽くない。
868 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/27(金) 23:47:17.27 ID:YxmfHBss0
キモッ
869 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/28(土) 22:14:33.44 ID:AExrFsIi0
>>866
まとめサイトとか見てみると、あのアニメをネチョネチョと擁護してるバカは一定数いるようだがな
テキトーにおちょくったら割とすぐ正体表わすのもいる
870 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/29(日) 01:42:32.68 ID:kV7JpSIN0
糞つまらんかったなぁ糞通行の害伝のアニメは
ようやく終わってくれたか
鬱陶しくて仕方なかった
871 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/29(日) 01:47:50.79 ID:+PFMlPqDO
アニメ一方全く見てないけど
妹達を赤面させちゃったみたいな話はどうなったんだろ
時期も時期で胸糞悪いんだけど
872 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/29(日) 21:57:37.01 ID:ffTW/Wq60
本当にエステル編(敵の名前とか忘れた)だけしかやらなかったのは草
むしろ全アニオリにした方が良かったんじゃねえの?レベル
873 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/30(月) 00:52:52.91 ID:hTHo3l6v0
>>871
どうでもいいよ
妹達なんぞ沢山いるんだし糞通行に一匹くれてやれ
874 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/30(月) 01:37:48.64 ID:SAXuspXv0
普通に叩けばいいのに汚い言葉使ってる人はわざとやってんのかな
875 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/30(月) 02:56:40.84 ID:hTHo3l6v0
わざと?何故に?
876 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/30(月) 13:56:45.79 ID:rDy3hggjO
>>872
アニオリにした方がつまらなくなりそうでなあ…
まだ一方出てるパートより敵に悲しい過去…パートの方が面白かった
この時期の一方にはなんの魅力もねえ
さっさと上条さんファンクラブに入る時期まで飛ばして欲しい
877 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/09/30(月) 23:26:38.83 ID:W503qv4P0
>>873
そのために打ち止めがいるだろ
完全に一方通行に媚びる人形になっててひたすら気持ち悪かった
時系列とか考えても、原作の初登場のすぐ後なのにあそこまで『安全圏で周りにチヤホヤされてる無邪気な幼女』という舞台装置になってるの露骨すぎる
最初はあんなキャラじゃなかったのに、作者も後付けに後付けを重ねて劣化させたのを前の時系列にねじ込むからガイジみたいな人形になる
878 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/01(火) 02:44:03.68 ID:1Fk/R6EP0
一方叩かれてる一番の理由は打ち止めの存在が気色悪く感じることよね
ぶっちゃけ10031人殺したことは別に大した問題じゃねーわ
879 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/01(火) 03:04:01.01 ID:MebPEW6X0
一方通行には反省も後悔も改心もせず上条さんへの復讐心だけを糧にひたすら悪の道を進み続けるようなキャラであって欲しかった。
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