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とあるシリーズ(禁書目録&超電磁砲)SS雑談スレpart20

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889 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/02(水) 20:29:20.01 ID:Devb348jO
上条のためなら御坂と食蜂も余裕で共闘したし、上条ガチ勢はワンチャン全員で同棲まであるだろ
890 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/02(水) 21:35:07.46 ID:dl8vahPk0
>>883
取らなくて言い責任というより、打ち止め囲い込むために手の平返したから負った責任って感じだな。どのみちコスプレ贖罪だけど
あと代理演算してもらってるんだから贖罪関係なく妹達のために働くのも、いちいち口に出すなってレベルで当然。その当然のことも出来てないけど

>>888
食蜂はリバースでハンデを負った感あるからちょっと形勢悪そう
891 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/02(水) 21:38:30.99 ID:3dlJt5Yvo
ゴールに上条さん置いて一番先にゴールした人が上条さんをゲットできる短距離走開催したら戦争起きそう
892 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/02(水) 22:03:56.05 ID:eUeZRvKS0
>>889
結局そこで争うパターン
そして建物潰れてまた上条さんホームレスに逆戻りになるオチ
893 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/03(木) 11:28:30.52 ID:Wolk7XYW0
美琴と操祈は報われるべき
彼女達の上条さんへの献身性は好印象
894 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/03(木) 16:04:47.35 ID:xUoissDkO
けん…しん…?
895 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/03(木) 19:44:40.21 ID:JSW44ke10
迷惑もかけてるからプラマイゼロ
896 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 20:40:25.24 ID:7LsiYaeP0
https://syosetu.org/novel/158074/16.html

屋上の戦いH 脱落者1名

 分かっていたはずだった。敵が圧倒的な格上であることぐらい。
 知っていたはずだった。連係が完全に取れないことぐらい。
 違和感は感じていたはずだった。何か推理に不備があるんじゃないかと。
 だがそれでも突き進んだのはきっと焦りがあったからだ。白井も上条も怪我をしていて、なるべく早めに治療しないと大変になると焦っていたから。
 もっと慎重になるべきだった。もっと考察を重ねるべきだった。もっと色々すべきことはあったはずなのに。
 だからこういう事態が起きた。
「な、ああああああああああああああああああああああああああああああッッッッッ!!!!!」
「なん、っっっ!!!???」
 あり得ない。信じられない。考えられない。訳が分からない。理解できない。予測の範囲外。思考の埒外。
 上条らが今戦っている人間の超能力は『眼で見たモノを捻じ曲げるモノ』で、それはつまり前後から挟み撃ちにしてしまえば上条か白井の片方は捻じ曲げられずに済むという事のはずだった。
 前を見ている人間は後ろを見ることは出来ない。人の眼は後ろにはついていないのだから。
 故に、前後からの挟撃は最善策。瞬が対応できない最善の攻撃。そしてそれを狙ってすることのできる上条と白井はやはり、『表』の人間としては優秀なのだろう。そもそも『表』の一般人が瞬と戦えば、瞬のトリックを暴く暇すらなく10秒で殺されるだろうから。
 しかしその中途半端な実力は時に悲劇を生む。弱ければ一瞬で殺されていたが、中途半端に強くてもやっぱり負ける。
 上条と白井は中途半端に強かった。
 だから、瞬の本気を引き出してしまった。
「「――――――――――――ッッッッッッッ!!!!!!!?????」」
 上・条・と・白・井・の・全・身・が・同・時・に・捻・じ・曲・が・る・。
 挟撃で、安全策の最善策で、瞬が捻ることのできるのはどちら片方のはずなのに。
 前提条件が崩れる。
 安全策が機能しなくなっていく。
 ベキベキベキベキベキッッッ!!!!!と、全身が軋んでいく。音を立てて皮膚が捻れ、骨が見え始め、プチプチと神経が断裂し、腕が、足が、胴体が、首が、頭が、腹が、膝が、肘が、爪が、指が、手が、捻れ、捻られ、曲がり、狂い、死んで、終わっていく。
 そしてその瞬間だった。
(――――――ぁ)
 上条の思考に電撃が奔る。
(――――――あぁ!)
 辿り着いた。
 辿り着けた。
(そういう――――――) 
 上条当麻は、
(そういう、ことかッッッ!!!)
 瞬瞬の超能力の全貌真実に辿り着いた!!!
 フラッシュバックのように今までの情報が、推理が、脳裏によみがえる。あぁ、そうだ。それならばすべてに説明がつく。
『……捻転。――――――――――――――――――凶れ』
 あの裏路地の戦いも。
『…………ッッッ!!!???』
 屋上に空間移動テレポートさせられた瞬が驚いていたわけも。
『なっ、よまれ……っ!?』
 ただ掴まれただけの白井の腕が捻じ曲がった理由も。
『……予期。やはり、後ろに空間移動テレポートしていたか』
 まるで見ていたように白井の位置を常に把握していたことも。
『なぜ私が空間移動テレポートする場所がわかるんですの!?、か?』
 目を瞑っていても白井の空間移動テレポート先が分かったわけも。
『……倒懸!な、なにが……ッ!?』
 白井の空間移動テレポートさせた金属矢が瞬に当たったのはなぜか。
『…………っァ!!!???』
 超低姿勢からの上条のスライディングが瞬に当たったことの意味。
『……煙幕!?』
 煙幕の中でも瞬は攻撃してこなかった。
『……基本的に人間が外界を把握する手段は五感ですわ。だから彼が私達の行動を把握するための手段にも五感の内いずれかが使われているはずです』
 白井の言葉は的を得ていた。
『がっ、アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!』
 閃光弾フラッシュをくらったことで右手を抑えて絶叫していた瞬。
『……嘲笑』
 前後からの挟撃に対して上条と白井の双方を一気に捻じ曲げたこと。
 これらすべてが、たった一つの事実を示している。
 すなわちそれは――――――。
「白井!俺のそばに来いッ!!!」
 ダメだ。
 絶対にダメだ。
「コイツの超能力は――――――」
 叫びながら上条は己の身体に幻想殺しイマジンブレイカーを使う。
 そして同時に焦る。
 白井じゃ瞬には勝てない。どんなに空間移動テレポートしようと、どれだけ奇襲を仕掛けようと、すべてが無意味に帰する。
 だって、
 なぜなら瞬は、瞬瞬はその身体に。
「――――――っ!?」
 が、その声は間に合わなかった。
 捻じ曲げられている身体をどうにかしようとした白井は既に別の場所に空間移動テレポートしてしまっていた。そして、白井が空間移動テレポートした場所は上条のそばではなく、どちらかといえば瞬の視界から確実に外れられるような場所であった。
 加えて白井は上条のように瞬の超能力チカラの真実には気付けなかった。
 故に、
「……残念。一歩遅い」
 瞬が一歩上回る。
 そして、瞬の両目は白井を捉えていないのにも関わらず、
 べ・ギ・リ・と・音・を・た・て・て・白・井・の・四・肢・が・捻・じ・切・れ・た・。
「ぎゃっ」
 悲鳴が、上がる。
897 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 20:41:04.63 ID:7LsiYaeP0
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!?????」
「しらっ!?」
 夥おびただしい量の血液が屋上にまき散らされる。捻じ切られた白井の四肢から滝のような赫が流れ出て、ぐちゃぐちゃになった断面からは白い骨が見えた。
「ぎっ、ぁ、ひぎゅッ、がっ、き、ぁ、アアアアアアアアアアアアアァァァァァァアッァァア!!!!!」
「く、そぉっ!」
 白井は確実に瞬の両目の視界からは外れていた。これは絶対に確約できることだ。瞬の両目は、白井の姿を一ミリも捉えていなかった。
 であればなぜ、白井の四肢は捻じ切られてしまったのか?
 ほら、答えはもうすぐそこにある。
「……無為。俺の方が近い」
 白井を助けようと走り出す上条。しかし瞬の方が走り出すのは早く。
 白井を助けようと白井に近づく上条。しかし瞬の方が白井との距離は近く。
 絶叫し、発狂し、胴だけになった身体で屋上を這いずり回りながら、許容をはるかに超えた痛みは白井を気絶させることすら許さず、無論のこと空間移動テレポートなど使えるはずもなく、血液をまき散らし、捻じ切れた四肢を信じられないような思いで見て、上条や瞬のことを意識の片隅に入れることすらできず、まともな思考などできる訳が無く、むしろ考えるという行為でさえ満足にすることもできず、もはや本能的な、ある種の動物的な、ある意味では非常に人間らしい、しかし人間らしくない欲求を抱えて、そして何よりも五分後の死を確実視してしまった白井に、
「ぁ」
 瞬が触れた。
「や」
 そして瞬は四肢が捻じ切れた白井の身体を掴み、
「……捻転。――――――凶まがれ」
「やめろおおおおおおおおおおおおおおッッッッッ!!!!!」
 屋上の金網を視線歪曲オッキョクールヴァで捻じ切って、屋上の外に投げ捨てた。
 痛みの中で白井は自身の身体が宙に浮かぶことを認識した、などということはない。そんなきちんと白井は自分の現状を認識できない。
 なにせ四肢が千切れてからまだ30秒しか立っていない。
 四肢が千切れて30秒しかたっていない。痛みに慣れることなどあり得ず、感じられるのは死の気配。
 目が映すモノを脳が受け取らない。
 耳が受け取った声を脳が処理できない。
 皮膚が感じた痛みを脳が許容できない。
 鼻が嗅いだ血の匂いを脳が判別できない。
 舌が舐めた血液を脳が判断できない。
 まるで助けを求めるように手を伸ばす――――――ことはできない。
 屋上の淵を掴むために手を振り回す――――――こともできない。
 何も、できない。
 何が、できる?
 四肢の千切れた、超能力すら使えない身体で、『痛み』を感じることしかできない、『痛み』しか感じられない身体で。そう、もはや棺桶に入れられた骸と同じ。自身の意志で満足に動くことなどできず、脳を支配するモノはただ一つだけ。
 常盤台中学一年生。空間移動テレポートの大能力者レベル4。風紀委員ジャッジメント一七七支部所属。御坂美琴の元ルームメイト。
 白井黒子。
 白い黒子。
 白い黒衣。
 脇役の、補助役の、裏方の、表に出ない、主人公の隣に立てない、見えない、
 背景に紛れた、清廉潔白な、汚れの無い、軽い、広い、無垢な、明るい、
 そんな人。
 そんな、登場人物人
 いてもいなくてもいい、世界物語キャラクターストーリー理論からすれば重要なポジションにはいない。替えがきく。代わりはいる。
 そんな白井に上条は、
「――――――――――――――――――――――――――――――っっっっっ!!!!!!!!!」
 声にならない声を上げながら、
 手を伸ばす、
 ことすらできず、白井は上条の視界から消えていった。
「…………………………………ぁ」
 捻じ切れた金網の先で白井は地面に落ちて行った。四肢がない白井に衝撃を和らげながら着地するなどという器用なことなどできようはずもない。無様に落下するだけ。落下して落命する。屋上から落ちて地面で命を落とす。さながらイカロスのように。
898 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 20:41:52.83 ID:7LsiYaeP0
「……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」
 しばしの間上条は呆然とした。呆然とすることしかできなかった。
 人が、目の前で死んだことは過去にもある。パルツィバルという人物は三沢塾で、上条の目の前で死んだ。
 しかし、パルツィバルは初対面だった。
 白井とは初対面なんかじゃなかった。
 初対面なんかじゃ、なかった。
『あなたが、普段からお姉様と頻繁に能力で戦闘している方でよろしいんですの?』、『ちょっ、上条さん!!!???』、『上条さん!手を!』、『それに、先ほど私たちを襲撃してきた炎。あれをやった人間が待ち構えていないとも限りませんのよっ!今の状態で上条さんはまともに戦えるんですのッッッ!!?』、『…………………お姉、様』、『風紀委員ジャッジメントですの!!!傷害及び殺人未遂、誘拐、器物破損、その他もろもろの罪であなたを拘束させていただきます!!!おとなしくなさいなさいなっ!!!!!』、『会えますの?』、『やりますわよ、上条さん!!!』。
 過去の情景が上条の脳裏に浮かぶ。
 死んでしまった。死んでしまった!死んでしまったッ!!!
 ゆっくりと立ち上がりながら、上条は怒りの炎をその目に宿らせて、涙に濡れた瞳で瞬を睨む。
「テ、メェ」
「……絶望。少しは『闇』を理解したか?」
 口元を歪ませて嘲笑しながら瞬が言う。
 そうだ、そうだ、そうだ!
 人はみなそうなんだ!
 憎しみの連鎖からは決して逃れられない。悲劇の仕組みからは決して脱出出来ない。だから、その仕組みを変えるために瞬たちは革命を起こすことに決めたのだ。何を犠牲にしてでも、例えその果てに地獄に堕ちることになったとしても、確かな今を犠牲にして、これから先をほんの少しでも幸福にするために。
「どけよ!」
「……却下。通すわけがないだろう」
 上条の瞳には炎が灯っている。
決して消えない赫の炎が。
「……強制。この血に染まった屋上から出たければ」
 大事な人を失えばみんなそうなるんだ。
 大切な人が自分の力不足で[ピーーー]ばみんな後悔するんだ。
(……悔恨。この街は悲劇が多すぎる)
 その悲劇を少しでも減らしたいと願ったから、あの『崩壊の十月実験』で死んでいった仲間たちのためには瞬は歩みを止められない。
 例えその道が間違っていたとしても、もう止められない。
「俺を倒してからにするんだな!」
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああアアアアアアアアああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 
899 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 20:42:19.84 ID:7LsiYaeP0
ふふふふふ!
ははははははははははははははははは!!!!!
これだよこれぇ!俺が書きたかったのはこれよぉ!!!
まだ中盤だから、二章は終盤になるにつれてもっと死ぬぜぇ!原作キャラだろうとオリキャラだろうと[ピーーー]ゼェ!!!
はッ、ハハ、ハハはハははハハはァ!!!!!
900 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 20:44:38.74 ID:7LsiYaeP0
咎負虐殺……性別 男
       所属 不思議の国の御伽噺フェアリーテイルワンダーランド
       立場 不思議の国の御伽噺フェアリーテイルワンダーランド第二席
       特殊能力 虐殺因子、占星魔術多数、肉体強化魔術、憑依魔術
       二つ名 十億殺しビリオンマーダー、枢密院議長、チェシャ猫、前時代の遺物など多数
       所持品 魔導書原典オリジン『星界の使者Sidereus Nuncius』、『イーリアス』、『アルマゲスト』、『テトラビブロス』など八冊。写本『運命の書』数ページ。魔術杖。三八式歩兵銃。九九式手榴弾。
       戦闘スタイル 魔術攻撃、杖術、銃撃、手榴弾
       称号 ラスボス
       特記事項 『殺人』の悪性を冠する人類絶対悪の一人。獄天の扉ヘヴンズフィール事件の実行者の一人。滅亡天使計画アポカリプスプロジェクト遂行中。
901 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/03(木) 20:45:20.54 ID:Ck8xbpHso
荒らすのやめろ
902 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 20:59:55.27 ID:7LsiYaeP0
https://syosetu.org/novel/158074/46.html

ボロボロになって絶望して[ピーーー]、主人公ヒーロー。
大好きです愛してます。
だから苦しんで苦しんで苦しんでから――――――[ピーーー]。
903 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 21:01:57.51 ID:7LsiYaeP0
https://syosetu.org/novel/158074/72.html

惨劇最悪バッドエンドA あなた達が間違えた選択の果てに、世界は滅亡しました

 終わった。
(終わった)
 終わった。終わった。終わった。
(終わった。終わった!終わったあァァっっっ!)
 だが、はたして何が終わった?
 佐天の歯を噛み千切ることが?
 もちろんそれは終わった。
 佐天との間にあった信頼関係が?
 それは修復は可能なほどに終わってしまった。
 上条の精神性は?
 それもまた、終わってしまったモノの1つだろう。
 いくつもの出来事が終わり、モノとして存在しない目に見えない何かもまたいくつも終わってしまった。
 それが良いか悪いかはまだ分からない。もしかしたら上条の行動が後の災厄に繋がるのかもしれない。
 けれど、確かに此処に1つの事象は終了したのだ。
 上条が終わらせた。
「はっ、はふっ……はぁーっ、ははっ!はぶ、げふッ!…………あ゛、…………ぁ゛」
 唾液と血液でぐちゃぐちゃになった佐天の左手親指を掌の上に吐き出して、上条は荒い息のまま何とか佐天に話しかけた。
「さ、てん……大丈夫、か……?」
「……………………………」
 返答はない。
「佐天……?」
 膝に手をついて息を落ち着けながら、上条は顔を上げて佐天を見上げた。
 
 佐天は、恐怖に歪んだ顔のままぐったりと頭を下にしていた。
 
「っ!……ぅ」
 ピクリとも動かない佐天。
 気絶している、のだろう。
 全身から力が抜けている。だらりと下がった四肢に半開きになった口、開いた瞳孔。全てが佐天が正常ではない状態であることを示している。
 言うまでもなく、上条がそうした。
(仕方なかった……仕方なかったんだ!)
 そう、思うしかない。今はまだ、罪悪感を抱くわけにはいかない。
 やらなければならないことがある。
 佐天の痛みを、その犠牲を、無駄にするわけにはいかない。
「Aえー!」
 と上条は食蜂を呼んだ。
 佐天の左手親指が手に入った以上、後必要なのは刀夜の右目だけだ。つまり食蜂が刀夜の右目を抉りだせていれば、事態の全ては解決する。
 はずなのに、
「何してるんだ……?」
 奇妙なことに、食蜂は刀夜の右目に手を伸ばしたまま静止していた。
「大丈夫、か?」
 緊張しているのだろうか。
 躊躇しているのだろうか。
 それも仕方ないと思う。上条だって、躊躇いの中で覚悟を決めて佐天の指を噛み千切ったのだ。だから食蜂が出来なくても仕方ない。
(いざとなったら)
 いざとなったら、上条が食蜂の代わりをやるしかないだろう。
 けれどまず、上条は食蜂を励ますためにその左肩に手を置いた。
「変わろうか?」
 と声をかけて、
 
 ドン、と食蜂の身体が倒れた。
 
「……………………………………………………………………………………………は?」
 一瞬、停止。
 だが、すぐに動き出す。
「食蜂!?」
 倒れ伏した食蜂に上条はすぐさま駆け寄った。
 何だ?何が起きている?どうして食蜂が倒れた?
「おいっ、どうした!?しっか」
 呼吸が、停止していた。
 心拍が、無かった。
「――――――――――――――――――――――しょく、ほう?」
 一般的には、呼吸をせず心臓も停止している人間のことは死体と呼ぶ。
 つまり、食蜂は死んでいた。
「待てよ」
 死んでいた。
「起きろよ!何、何で……食蜂ッ!」
 
 ガチャリと音がして、誰かが上条の背に凭れ掛かってきた。
 
「ぐっ、痛ッ!?」
 
 背中に奔った衝撃を振り払うかのように、上条は食蜂の身体を支えたまま片腕を背に手をやった。
 何かが上条の背中に墜ちてきた。
 何かが上条の背中に降ってきた。
 それを背中から降ろして、上条は降ってきた何かを確認し、
 
 上条刀夜が死んでいた。
 
904 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 21:02:28.27 ID:7LsiYaeP0
「……、…………?」
 今度は言葉すらも出なかった。ただ、ふらふらと開いている方の手が刀夜の頬に伸びた。ふらふら、ふらふら、ふらふらと。
「父、さん……?」
 動かない。
 ピクリとも、動かない。
 触らなくても分かる。
 触れなくても分かる。
 上条刀夜は死んでいる。
「あ」
 呆けたように口を開きっぱなしにして、食蜂を横たえ、上条は立ち上がった。何が起こっているのかわからない。何が起こっているのか分からない。何が起こっているのか分からない。
 でも何かが起こってるのなら、と上条は立ち上がった。
 
 四つの枷から解放され、倒れ伏した佐天が視界に入った。
 
「は」
 確かにそうだ。食蜂が死んだ。刀夜が死んだ。ならば佐天だって死んでいるだろう。全くそうだ。非常に納得できる。
「なら、ジャーニーも……」
 佐天と刀夜が解放されたなら、もちろんジャーニーも死んでいる。見る必要もない。だって、12のルールにはこうあった。『ジャーニーが培養器の外に出るか、ジャーニーが死亡した時点で2人の拘束は解かれる。』、なら当然ジャーニーは死んでいる。
 4人とも死んだ。
 此処で生きているのは上条だけだ。
「……外に」
 なら、もう此処に居ても意味はない。外に出て、助けを呼ばなければ……。
 ふらふらと頼りない足取りで階段を上り、部屋を出る。
 
 その部屋の外では、少女が死んでいた。
 
「…………………、蜜蟻、……か?」
 その顔には見覚えがあった。
 蜜蟻と名乗る少女と同じ顔をしていた。
 ……待っていた、のだろうか。
 ジャーニーを救出した後の上条に会いに来るつもりだったのだろうか。
 死体は黙して語らないから、真実はもう分からない。
「……………………………、…………」
 歩く。
 ただ、歩く。
 とにかく外に行かなければ何も始まらない。外に行けば助けを呼べる。助けを呼んで駆動鎧パワードスーツを止められる。だから、まずスタジアムの地下から出なければならない。
「…………もう、ちょっと」
 後数歩でスタジアムの外に出られる。
 後2歩でスタジアムの外に出られる。
 スタジアムの外に出られた。
「っ」
 太陽光の眩しさで僅かに目が眩む。だが徐々にその明るさに慣れて、視界が開けた。
 
 インデックスが死んでいた。
 
「――――――――――――――――――――――――――――――」
 
 ひどい、酷い様だった。
 片腕を切り落とされ、半ばまで切断された胴からは内臓が零れ落ちている。白を基調とした修道服はあちこち裂かれ、穴が空き、そこから今もなお流れ出る血が、修道服を赤黒く変色させていた。数えることすらも馬鹿馬鹿しくなるほどにインデックスの体の傷は多かった。
 何度も、何度も、何度も。
 誰かがインデックスの体を切り裂き、斬り付け、痛めつけ、命を弄び、尊厳を凌辱し、生き様を侮辱し、そして突き立てて、消えない傷を残したのだろう。
 永遠に消えない、傷跡を。
 どうして、そこまでされなければならなかったのか。
 どうして、そこまでしなければならなかったのか。
「―――――――――――――――――――――――」
 苦痛に満ちた顔を、
 恐怖に歪んだ顔を、
 せめて、せめて、せめて、少しくらい安らかにしたい。
 だから上条は死にきったインデックスに近づいて、その瞳を閉じさせてあげた。
 それくらいしか、出来なかった。
「……………………」
 そうして、上条は携帯電話を取り出して病院に電話した。119番。死体を病院に渡さないといけない。
 通話がつながる。
「あの」
 自分でも驚くほどに冷たい声が出た。
 なのに、
『―――――――――――――――――――』
「あの!」
 通話口からの返答がない。
 話しかけてこない。
「……仕事してくれよ」
 119番からの返答がないなら自分で歩いて病院に行くしかない。
 どこの病院が良いだろうか?一番近い所なら、やはりカエル顔の医者の所か?
「歩けば、いつか辿り着くか」
 そう言って、上条はスタジアムの外に出る。
 
 スタジアムの外には、輝の死体があった。
 
「……勝てなかったのか」
 それだけ言って、上条は大通りに向けて歩き始める。大丈夫だ。死体が1つ増えただけだ。病院に連絡する手間が増えたけれど、それぐらい上条が負担するべきだろう。
 10分ほど歩き、上条はようやく大通りに出た。
 
 燃え盛る炎がいくつもあった。
 
905 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 21:03:13.87 ID:7LsiYaeP0
「熱っ!」
 炎上しているのは車だ。
 交通事故が起こっているのだ。この大通りだけで何件も。
「……警察に、連絡しないと」
 もう一度、上条は携帯電話を取り出して警察に電話した。
 110番。
 通話がつながる。
「あの」
『―――――――――――――――――――』
 通話口からの返答がない。
 話しかけてこない。
「……………………」
 仕方がないから上条は電話を切って再び歩きだした。
 どいつもこいつも仕事をせずにさぼっていて、学園都市は大丈夫なのだろうか?
「…………………………」
 歩き続ける。
 車の中で見知らぬ誰かが死んでいた。
 歩き続ける。
 歩道にある椅子の上で誰かが寝転がっていた。
 歩き続ける。
 道端でカップルが抱き合ったまま動かずにいた。
 歩き続ける。
 青髪ピアスが家に寄り掛かっていた。
 歩き続ける。
 炎の中に誰かが立っていた。
 歩き続け、
「青髪ピアス……?」
 振り返った上条は来た道を戻って青髪ピアスに近づいた。
 
 近づいて、その瞳が何も映していないことに気が付いた。
 
「―――――――――――――――――――――――う」
 一歩、下がる。
 足が誰かの肉に当たる。
 下を見る。
 倒れ伏した吹寄と目が合った。
「うあああああぁぁぁぁぁぁぁッ――――――!!!」」
 もう、我慢できなかった。
 無茶苦茶に走り回る。
 滅茶苦茶に叫ぶ。
「あああああああああああああああああっ!!!!!くがあああああああああああああああ!!!!!ぎあああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
 両の目から流れ落ちる涙が視界を歪ませる。
 あらゆるところにある血液がびちゃびちゃと上条の足元で跳ねる。
 どうしようもない。
 もう、どうしようも、ない。
「何なんだよ、これ…………」
 全て、死んでいた。
「何なんだよ、これっ!?」
 死が、溢れていた。
「何なんだよ!これは!?」
 ここには死しか、なかった。
「誰か、誰かいないのかよ!!!」
 もう恥も外聞もなく上条は走り回った。ようやく、脳が現実を直視した。
 死んでいる。死んでいる。死んでいる。
「誰か!誰かァッ!誰でもいいから、返事してくれよ!!!」
 死んでいる。死んでいる。死んでいる。
「ふざけんなよ!どうしてこんなことになってるんだよ!!!俺が、俺……ああああああああああああっ!」
 死んでいる。死んでいる。死んでいる。
「なんで、……なんで……っ、インデックス……インデックスぅ……うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
 全てが終わって滅んでいる。
 視界を埋め尽くす赫と無数の死体だけが、上条が今ここにいる証明だった。
 膝をつく。
 何もかもが死に尽くした世界で、徐々に上条の正気が薄れていく。
 
 なにもわからない。
 なにもかんがえたくない。
 
 精神を犯し尽す絶望が上条の中から希望を消し去っていき、五感すら奪い去ってく。
 消える。消える。消え失せる。
 意識が、思考が、感情が、何も残らない。
 
 はずだったのに。
906 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 21:03:48.63 ID:7LsiYaeP0
ざっ、と上条の後ろで足音がした。
「ッ!?」
 その音を聞いた上条はまるで今にでも消えそうな蝋燭の明かりを必死に維持しようとするかのように振り向いた。
 生きている人がいる?
 誰かがまだ、生きている?
 そう思って、上条は振り向いて、
 
 白過ぎる腕に、首を掴まれた。
 
「あぎぃッ!?」
 絞まる。しまる。しまっていく。
 首が徐々に絞めつけられていき、呼吸が出来なくなっていく。
「だ……に……」
 誰が上条の首を絞めているのか分からない。
 何で上条が首を絞められなければならないのか分からない。
 だが、
 
「時間、掛けすぎだよ」
 
 全てが死に犯された世界に色を喪った呟きが響き、
 
 ――――――上条当麻の生命活動は、完全に停止した。
 
 
 



これで『とある暗部の御坂美琴』は完結となります!
3年モノ長い期間の連載となりましたが、今まで付き合ってくれた方には非常に感謝です。本当にありがとう!
後日にあとがきを投稿させてもらいますが、本編はこれで終わりです。

本当に、本当に、ありがとうございました!
















セーブデータをロードしますか?

はい←
いいえ
907 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 21:04:17.25 ID:7LsiYaeP0
1周目における第一部第二章は惨劇最悪バッドエンドで終了したため現段階においては取得ポイントを計上できません。

ご了承下さい。


とある暗部の御坂美琴(1周目) 総合評価

 第一部第一章 評価
 
 
 
 
 
 第1評価
 
 話数 111話……条件未達成。
 合計文字数 562569文字……条件未達成。
 平均文字数 5114文字……条件達成。
 UA 57781……条件達成。
 お気に入り 157件……条件達成。
 感想 104件……条件達成。
 総合評価 266pt……条件達成。
 平均評価 6.41……条件達成。
 調整平均 6.60……条件達成。
 
 
 
 第1評価値算出
 
  ―111―5625―114+5778+157×10+104×10+266×10+6.41×100+6.60×100=6499
 
 条件達成 7
 条件未達成 2
 
 二章開始時における難易度がハードになりました。
 
 条件達成と認定。
 
 取得ポイント 6499SP
 
 
 
 
 
 第2評価
 
 誤字指摘……54箇所。
 読者による設定不備指摘……8箇所。
 
 能力名が四文字では無いモノがあることに関する伏線……指摘済み。
 アレイスター=クロウリーによる絶対能力進化実験レベル6シフトの干渉に関する伏線……指摘済み。
 初まりの領域に関する伏線……指摘済み。
 全体個体『御坂美琴』に関する伏線……指摘済み。
 世界物語理論に関する伏線……指摘済み。
 裂ヶ淵瞑娥さくがぶちめいがによる位相斬りに関する伏線……指摘済み。
 千疋百目の地下下水道脱出行動に関する伏線……指摘済み。
 木葉桜十五夜の召喚した武装に関する伏線……指摘済み。
 『神』になった一方通行アクセラレータに関する伏線……指摘済み。
 もう1つの絶対能力進化実験レベル6シフトに関する伏線……指摘済み。
 千疋百目が地下下水道の崩落から白井黒子を助けた理由に関する伏線……指摘済み。
 伏線を『貼る』が誤字ではない理由に関する伏線……指摘済み。
 【】に関する伏線……指摘済み。
 初春飾利の所属に関する伏線……指摘済み。
 一方通行アクセラレータの魔神化を想定内とした存在に関する伏線……指摘済み。
 御坂美琴が一方通行アクセラレータを拷問した理由に関する伏線……指摘済み。
 アレイスター=クロウリーの進める『計画プラン』に関する伏線……指摘済み。
 『死』の定義に関する伏線……指摘済み。
 上条当麻が敗北したことに関する伏線……指摘済み。
 風紀委員本部セントラルジャッジメントに所属する人間に関する伏線……指摘済み。
 全体個体『御坂美琴』の思考矛盾に関する伏線……指摘済み。
 風紀委員本部セントラルジャッジメントという組織構造に関する伏線……指摘済み。
 見捨てられた女グレイレディの正体に関する伏線……指摘済み。
 ミサカネットワーク総体の気付きに関する伏線……指摘済み。
 風紀委員本部セントラルジャッジメントと滞空回線アンダーラインに関する伏線……指摘済み。
 原作では気づくことのできたぬいぐるみに関する伏線……指摘済み。
 上里翔流に関する伏線……指摘済み。
 アルフの発言に関する伏線……指摘済み。
 占卜卜占に関する伏線……指摘済み。
 アレイスター=クロウリーの上条達へのバックアップに関する伏線……指摘済み。
908 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 21:04:46.84 ID:7LsiYaeP0
第2評価値算出
 
 54×0.5+8×5+30×1=97
 
 『真実解明トゥルーエンド』ルートへルート分岐。
 
 ――――――世界物語キャラクターストーリー理論による正史認定を行いました。
 
 以下、第一部第一章は『真実解明トゥルーエンド』ルートで固定されます。
 
 条件達成と認定。
 
 取得ポイント 9700SP
 
 
 
 
 
 第3評価
 
 御坂美琴VS死縁鬼苦罠……勝者 死縁鬼苦罠
 御坂美琴VS一方通行アクセラレータ……勝者 全体個体『御坂美琴』
 木葉桜十五夜VS罪罰贖&波並波狂濤……勝者 木葉桜十五夜
 木葉桜十五夜VS矛盾矛盾&鳳仙花蝶々……勝者 木葉桜十五夜
 木葉桜十五夜VS一本線点々……勝者 一本線点々
 ミサカ10032号VS一方通行アクセラレータ……勝者 一方通行アクセラレータ
 白井黒子VS千疋百目……勝者 千疋百目
 白白白VSアレイスター=クロウリー……勝者 不明
 上条当麻VS扼ヶ淵埋娥……勝者 扼ヶ淵埋娥
 神亡島刹威VS浣熊四不象……勝者 浣熊四不象
 一方通行アクセラレータVS『空白の主』……勝者 『空白の主』
 常世涯最果VS木原脳幹……決着つかず
 木葉桜十五夜VS『空白の主』……決着つかず
 木葉桜十五夜VS『空白の主』VS木原脳幹……引き分け
 常世涯最果VS裂ヶ淵瞑娥……勝者 常世涯最果
 ミサカ19090号&ミサカネットワーク総体VS死縁鬼苦罠&天埜郭夜……勝負中
 アレイスタークロウリーVS白白白……勝負中
 佐天涙子……敗北者
 
 
 
 第3評価値算出
 
 ―1+0+0+0+0+0―1+0―1+0―1+0+0+0.5+0+0.5+0.5+1=−1.5
 
 侵略者インベーダーによる侵蝕が1段階進みました。
 
 条件未達成と認定。
 
 取得ポイント ―1500SP
 
 
 
 
 
 第一部第一章総合取得ポイント算出
 
 6499+9700−1500=14699
 
 合計取得ポイント 14699SP
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 上条当麻のステータスを表示します
 
 上条当麻……性別 男
      年齢 15歳
      特殊能力 幻想殺しイマジンブレイカー
      称号 主役級メインキャラクター、主人公ヒーロー、救済者ヒーロー(未覚醒状態)
      称号スキル 主人公補正(真)、なるようにならない最悪If nothing is bad、カリスマ(弱)
      固有スキル 前兆の感知(兆)、不幸、不撓不屈(弱)
 
 
909 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 21:05:44.85 ID:7LsiYaeP0
 買い物
 
 何を買いますか? 
 
 特殊文字(認識不可状態)の可視化(第一部第一章のみ)……100000SP
 イベント絵……各50000SP
 スキル……各10000SP
 記憶の引継ぎ……10000SP
 サブストーリー……各5000SP
 アイテムの引継ぎ……5000SP
 経験値の引継ぎ……1000SP
 友好度の引継ぎ……1000SP
 TIPS……各100SP
 
 
 イベント絵詳細
 
 頂にて君臨する風紀委員本部セントラルジャッジメント
 汝、人を捨てても護りたいモノがあるか?
  
 
 スキル詳細
 
 前兆の感知
 説得
 女たらし
 
 
 サブストーリー詳細
 
 御坂美琴初めてのお仕事
 たぶん最終章にならないと意味の分からない会話劇
 上里勢力結成譚 第一幕
 
 
 TIPS詳細
 
 オリジナル単語1つに付き100SP
 
 
 記憶の引継ぎ……10000SP ←
 
 記憶の引継ぎ……10000SP を買いますか?
  
 
 はい ←
 いいえ
 
  
 使ったSPは二度と戻りません。それでも 記憶の引継ぎ……10000SP を買いますか?
  
 
 はい ←
 いいえ
 
 
 
 記憶の引継ぎ……10000SP を買いました。1周目の記憶が2周目に引き継がれます。
 
 
 
 取得ポイントが4699SPに減少しました。
 
 
 
 他には何を買いますか?
 
 
 
 特殊文字(認識不可状態)の可視化……100000SP ←
 
 特殊文字(認識不可状態)の可視化……100000SP を買いますか?
  
 
 はい ←
 いいえ
 
  
 特殊文字(認識不可状態)の可視化……100000SP を買うためにはSPが足りません。
 
  
 取得ポイントは4699SPのままです。
 
 
  他に何を買いますか?
910 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 21:06:44.58 ID:7LsiYaeP0
https://syosetu.org/novel/158074/74.html
74 / 74
私はいつも一人だった。
だから願った。愛されたいと。
私は多くの人から愛された。
だから思った。一人がいいと。
そして私は独りになった。
だから悟った。これが幸福だと。

――――――二九七


それでも僕は、明日が欲しかった
裏お茶会~1周目~

 崩れ落ちる上条ヒーローの身体を睥睨しながら、230万の死体で溢れる学園都市の中で僕は溜息をついた。
「わりと、期待してたんだけどね……」
 言葉にすることで僕は僕自身の考えを再認識する。
 そう、期待していた。本当に期待していたんだ。
 上条当麻なら、あるいはこの僕を上回ることが出来るかもしれない、と。
「いや、……矛盾だな」
 僕の世界の人類を護るためには、いずれ上条当麻は必ず[ピーーー]ことになる。それが早いか遅いかの違いだ。
「…………遅かったね、アレイスター」
「殺したのか」
「どのみち、間に合わなかったさ。彼はあまりにも遅すぎた」
 男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも見える『人間』、そう評されるアレイスターの方に視線を投げかけて、僕はこの全てが終わった世界を見通す。
 70億の、そして数百の死体しか存在しないこの世界でただ1人、僕だけは違うから。
 結局すべてが絵空事の虚言でしかないと知っているから。
「それを分かっていたからこそ、君も滅亡齎す七の子羊セプテム・アニュスの対策を発動させなかったんだろ」
「あの程度の術式に気付けないのならば、どのみちヤツは救済者ヒーローには相応しくないだろう」
「随分な言い様だ……。君の、君達の主人公ヒーローだろう?」
「違うな。私達の主人公ヒーローは彼ではない。上条当麻だ」
「厳しいね……。彼だって、僕がいる中頑張ってると思うけど」
「結果世界が滅んだが?」
「……………………もう少し、サポートしてあげれば良かったのに」
 フラグが立たなかったのは確かに上条の責任だが、たった1回で完全な救済を為せだなんて難易度が高すぎるだろう。今回は解決しなければならなかったことが多すぎる。瞬を倒して、蜜蟻をどうにかして、学究会防衛作戦を成功させ、咎負虐殺を止める。
 そんなの無理だ。
 僕だって、サポートなしで出来るとは思ってなかった。
「それは」
「呼ばれてないのにじゃんじゃじゃ〜〜〜ん!!!」
 空から純正の人類絶対悪が降ってきた。
「五行……。今結構重要な話してたんだけど」
「あぁ、あぁ、あ〜あ。まさかこんな結末になっちゃうなんてなぁ〜」
「聞けよ」
 いや、五行が人の話を聞かないのはいつものことなんだけど、今だけは邪魔しないでほしかった。アレイスターと一対一で、互いの本当の立場を曝け出して話せるのなんて、今ぐらいしかないだろうから。
「木原五行、全能存在パントクラトールか」
 ほら話が次に移った。
「……………はぁ」
 僕の隣に立つ少女を見て、アレイスターが言った。
 当然、調べられている、か。
「くきっ、くききッ!!!ま〜さっか!第六物語シックススストーリーの主人公ヒーローが死んじゃうなんて。フラグの立て方ミスっちゃった?」
「あぁ、ラスボスとの交戦フラグを立てないでサブイベントに入れ込んだんだ。馬鹿なことにね」
「くきっ!なら私のしたことの意味がなくなっちゃうな〜。せっかく、第七物語セブンスストーリーの主人公ヒーロー連れてきて物語交錯クロスオーバーさせてあげようと思ったのに」
 わざとらしい口調でアレイスターを挑発する五行を僕は止められない。権限自体は僕の方が上だし、立場も僕の方が上だけど、物語を進める役トリックスターの自発的な動きを止めることは僕には出来ないし、しようとも思わない。
 そういう称号キャラクター性の持ち主の行動はどのみち止められないモノだし。
「ふん、たかが全能如きが私と   の話を邪魔をするのか」
 だいたい、物語を進める役トリックスターは自由だからこそ意味があるんだ。
「くきぃ!たかがっ、たかがだってさリーダー!……このあてをたかがだなんて、さすがにムカつくかなあああああああああああああ!!!!!」
 だからほら、また勝手に手の内を晒す。
「超克科学オルディニスクレアーレ――――――完全無欠ウルトラ、十全十美スーパー、常勝不敗アンリミテッド、絶対究極パーフェクトガール、故に私は全知全能の絶対神イズミー!」
 超克科学オルディニスクレアーレ。覚醒ブルートソウルした極点突破者デスペラードのみが使う事の出来る世界物語キャラクターストーリー理論の最終到達地点。人類最終到達地点候補生たちの目指すべき場所。
 といっても今回五行が使ったのは見る限りただの即興術に過ぎないのだけれど、出来れば勝手に使わないでほしかったなぁ……。
「あれ?発動しない……?……うん?」
 まぁ、当然邪魔されるんだけど。
「全能の逆説オムニポテント・パラドックス。……まさか知らないわけではあるまい」
 二言だった。そして、その事実がアレイスター=クロウリーという魔術師にして科学者の強さを示しているんだ。
「……ぶ〜、つまんなぁ〜い」
 がっかりと肩を下げて、興がそがれたように超克科学オルディニスクレアーレの発動を止めた五行。まさか、全能の逆説オムニポテント・パラドックスを、全能者は全能であるが故に全能ではないという一学説を忘れたわけではないだろうに。
 いや、五行のことだから本当に忘れていたのかもしれないけど。
「殺しちゃう?殺っちゃう?ねぇリーダー!」
「落ち着けよ五行。いや頼むから落ち着いてくれ。だいたい彼を殺したところで」
 
 空から剣が降ってきた。
 
「死を晒せよ、侵略者インベーダー」
 そんな声と共に、全長数十キロメートルにもわたる長大な剣が五行の脳天に向かって振り下ろされる。誰が、どうやって?そんな疑問が浮かぶ……、
「痛い」
 だなんてことは当然なかった。
 当たり前のことだ。僕は知っている。僕は識しっている。その剣がどんなもので、その剣を操るのが誰なのかを。
「痛い痛い痛い!痛いよリーダー助けて!」
「はいはい。ちょっと待ってろ」
 剣が直撃してるのに傷一つついてないくせにそんな泣き言を言う五行に呆れながら僕は軽く剣に触れる。それだけで、剣は消え去る。
 干渉。
911 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 21:07:13.84 ID:7LsiYaeP0
無限に修正され続ける罪深き世界5Re:worldbreakerを使う僕からすればこの程度のことは当然だ。
「出てきなよ。いるんだろ?」
「無傷か」
 いつの間にかアレイスター=クロウリーの隣に立っている男を僕は知っている。
「右方のフィアンマ。あいつの下位互換程度が今更何の用?というか、この大絶滅リセットから生き残ってたんだ」
「……俺様も舐められたモノだ」
 僕のあからさまな挑発に、右方のフィアンマはあからさまに怒りを見せた。まぁ、下位互換と言われていい気になるような人間はいないだろう。
「あいつ、それって僕様のこと言ってるの、主あるじ?」
 そいつは右方のフィアンマと同じように突然現れた。
 これで3VS2。
「『神の代行人』GE13か」
「……下位互換程度が僕様に話しかけるなよ。ウザいんだよ代替品」
 GE13が右方のフィアンマを睨みつける。仕方がない事とはいえこの2人は相変わらず相性が悪い。といっても聖なる右を持つ右方のフィアンマが『神の代行人』であるGE13の劣化レプリカなのは周知の事実だ。そして自分の劣化レプリカ、クローンのようなモノが勝手に造られたというのは確かに気分の良いモノではないだろう。
「なんだ、還してほしいか?GE13オリジナル?」
 誰が見ても分かるくらい上から目線だった。
 その挑発には、当然GE13は耐えられない。
「――――――調子にっ」
「やめろ」
 だから僕は止めに入った。やれやれ、いくら『核』が固まっていないとはいえ、安易に行動するのはやめてほしいモノだ。
「あひゃひゃ!怒られてやんの〜!」
「……主」
 縋るように目を向ける13を、それでも僕は静止する。
「13、別に聖なる右を使われたところで君がオリジナルであるという事実は揺らがないさ。だから簡単な挑発に乗るなよ。……まだ、底を見せるな」
「了承したよ、主」
 底が知られても強さが変わらない先住民センチネルにとって強さを示すことは恐怖ではない。彼らの強さの限界点は1度知られている、だからこそその『上』にいけるんだ。底が暴かれれば弱くなる僕ら侵略者インベーダーとは違う。僕らは安易に力を晒せない。そうすれば、終わってしまうから。
「それにしても、本当に君達はこれで良かったのかい?」
「何がだ」
「大絶滅リセットで利するのは言うまでもなく侵略者インベーダーたる僕らだ。先住民センチネルたる君達からしたら、大絶滅リセットだけはどんな手段を使っても回避したかったんじゃないのかい?」
 少しの沈黙の後にアレイスター=クロウリーが口を開いた。
「ある意味ではそうかもしれない」
 肯定が返ってきた。
「だがある意味ではそうではないだろう」
 否定も返ってきた。
 そして後に続くように右方のフィアンマが言った。
「俺様達ももはや純粋な先住民センチネルとは言えまい。ならば妥協はするべきだ、というのが俺様達の出した結論だ。大絶滅リセット程度ならば、完全閉鎖アーカイブスルーや中断事象リアルが起きないのならば、やりようはいくらでもある」
「ふぅん……そう。だったらまぁ、初お披露目はこの程度でいいかな」
 そう言って僕は、諦めたように言う。そういうしかないから、言う。
「愛し子よMary、愛し子よMary、僕の愛するMy fair愛しき世界よMary Sue。
 その運命を改変しておくれCambiare il destino、
 その物語を書き換えておくれFare una storia。
 我が神のお望みとあらばWenn es meines Gottes Wille、
 我らが神のお望みとあらばWenn es unsere Gottes Wille、
 過去など無いに等しいのだDie Vergangenheit ist vorbei。
 すべての可能性を内包した書の中でO mundo onde há esperança e o desespero
 ただ一つの意志のみがEle destruiu何もかもを無に帰すのだo mundo」
 何度も言ってきた初めての詠唱を、僕は紡ぐ。
「絶対不変の絶対法則アンチェンジナブルラウ――――――無限に修正され続ける罪深き世界5Re:worldbreaker」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「さあ、やり直そうか」
 
「次は、失敗しないようにね」



一つ言っておこうか。

愛がないのならば、この物語の真実には辿り着けない。
912 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/03(木) 21:20:44.12 ID:e7d3eE5U0
まだやってんのか
バカが
913 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/03(木) 21:24:58.91 ID:OfeA4nq+o
糞作品の下手くそな文章載せんな
914 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/03(木) 21:29:34.97 ID:++pOyVoaO
禁書でやる必要あんのこのオリキャラ無双
915 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/03(木) 21:39:28.41 ID:z4fhXy1Jo
単純にキャラ作るセンス無いな
916 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 22:50:58.71 ID:7LsiYaeP0
世界は禁書
用語は型月
通り名は西尾
最強オリ主メタ視点設定の読者煽り


やばすぎる
917 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/03(木) 23:01:37.62 ID:v1TBDJVs0
このスレの住民への嫌がらせかな?
918 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/03(木) 23:17:36.35 ID:N8kY9/HwO
くろこ……
919 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:24:32.00 ID:7LsiYaeP0
でもなんでしょうかね、原作で中ボスが死んでしまうと上条当麻らしくないといいますか……。この作品は二次創作なので自由にできますけど、原作でボスが死ぬのは僕としてはあまりうれしくないかもしれません…………すいませんごめんなさい。

僧正を救えなかった時も上条当麻はすごい悔いてましたし、やっぱり誰かを殺して終わりというのは上条当麻らしくない、禁書らしくないという気がします……。あくまで私の意見ですが。

上里のことも、できれば完膚なきまでに救ってもらいたいと思います。

まぁ私はキャラが容赦なく死ぬ方が大好きなんでこの作品ではオリキャラでも原作キャラでもバカみたいな勢いで死にますけどね!!!

無意味に無価値に目的を達成できず絶望しながら慟哭しながら涙を流しながら死んでいくキャラが大好きです!!!!!

理不尽な殺し合いの中で裏切られて死ぬ人が好きです。
仲間だと思って信頼した人に後ろから刺されるのが好きです。
洗脳して恋人を殺させた後に正気に戻すのが好きです。
人質を盾にテロを行わせてその人質の死体を見せつけるのが好きです。

これからも精進して参りますのでどうかよろしくお願いいたします。
920 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/03(木) 23:28:24.25 ID:OqDJO7Lfo
作者なの?
作者が読者のふりして宣伝しに来たの?
921 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:29:12.49 ID:7LsiYaeP0
感想ありがとうございます!
返信遅れて申し訳ありません。
さて、まず最初に言っておきますがこれはあくまで私の持論です。prayer様が影響を受ける必要はありません。
その上で言いますが他作品のキャラとなんらかの能力を比べる、このことを私は非常に無駄なことだと考えます。
なぜなら根拠がないから。
prayer様は「未踏級が一方通行より強い」とおっしゃいますがそのような描写は私が知る限りありません(どこかに記載があるのならば申し訳ない。私の知識不足です)
公式クロスオーバー等で実力の上下が明確化されているのならばまだしも、そのような根拠なき話は少なくとも私は証明できません。
なので、申し訳ありませんが『空白の主』が未踏級よりも強いのか否かという問いに対しては『そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない』としか答えられません。
『空白の主』は禁書二次のオリキャラであって、ブラッドサイン二次のオリキャラでは無いのです。
望む答えではないかもしれませんが基本他作品とのキャラ比べはしないのが私のスタンスです。ご了承ください。
これからも精進して参りますのでどうかよろしくお願いいたします。



魔神が雑魚ってことはありませんのでご安心を。魔神に基礎スペックから勝てる存在は理外人外12名のみです。これは絶対に揺らがないので。
まぁ木原五行やパトリシア=バードウェイは|王の遺産《レガリア》を持っているので魔神に対抗は出来ますし、空白の主は絶対値で張り合う事は出来ますが。

白き女王は■■■■によって■■することは一応可能ですが、正直白き女王はこの|■■■《■■■■■■■■■■》では[ピーーー]ことが出来ます。なぜならば『穢れなき真実の剣持つ「白き」女王《iu・nu・fb・a・wuh・ei・kx・eu・pl・vjz》』は既に『|■■《■■■■■》』で――――――。
いえ、これは一応ネタバレになるので避けておきましょうか。
むしろ理外人外に対抗できるのは現状ならばアンナ=シュプンゲルが最有力候補ですかね。あるいはドラゴンキラー。あるいは東川守。あるいは俺。あるいは『ウミガメもどき』。あるいは『編み物のヒツジ』。
最も、本当の意味での最有力候補は『訪れた者の願いを歪んだ形で叶えてしまう街』から脱出した1人の少年と1人の少女ですが。

これからも精進して参りますのでどうかよろしくお願いいたします。
922 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/03(木) 23:31:28.38 ID:v1TBDJVs0
人様の黒歴史晒すのやめなよ
人間のクズか
923 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:32:55.89 ID:7LsiYaeP0
現在進行形で書いてるからセーフ
924 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/03(木) 23:36:54.10 ID:v1TBDJVs0
セーフじゃねえよ
邪魔だし不快だからやめろって言ってんの
925 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:37:47.84 ID:7LsiYaeP0
【あっしへの質問なんだからここは僕様が答えてしんぜよう!】

【まずありがとう。私の能力はみんな大好き『シュレディンガーの猫』だから、これで我の生存は確定された。現段階ではだがなぁ!】

【そこに疑いをもたれるのはしゃくだなぁ。よしっ、こうしよう!《red》トマス=プラチナバーグは168話の時点で既に死亡している《/red》。《red》トマス=プラチナバーグは木原五行が殺害した。《/red》《red》トマス=プラチナバーグと木原五行は別人である。《/red》】

【まぁ本来は青き鎖の中で赤き楔を使うのは『大原則』に違反するけど、ここは『枠』の『外』だし許容できるっしょ。】

【あたいは理外人外だよ。理外人外の1人。|全能存在《パントクラトール》だよ。ちなみに所属する組織は敵同士だけど同じ科学者だから無限輪廻の転生者とは仲いいんだよねぇ……】

【神?悪魔?俺らをそんな区分でわけちゃあいけないね。】

【私達はそれ以【 話 し 過 ぎ だ 】……窘められたのでもうさよなら〜】
926 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:42:38.96 ID:7LsiYaeP0
【僕らは既存の時間軸には縛られない存在だからその質問は全くの無意味だよ。その気になれば複数の時代に跨って存在する事すら可能だしね】
927 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:43:27.34 ID:7LsiYaeP0
【いっておくがそれは矛盾しない】

【絶対不変の絶対法則はもっと『上』の話だからね】
928 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:43:56.06 ID:7LsiYaeP0
【完全に第四の壁を越えた会話でしたねぇ...でも個人的には今のような全能の傍観者状態より舞台に立って物語を進めて欲しいです。理外人外の皆さんが神の視点から引き摺り下ろされる日を楽しみにしています。】



【その上から目線をやめろ塵屑】

【君のような存在がいるから、僕のような存在が生まれたんだ】

【反省しろ】

【反省しろ】

【反省しろ】

【後悔しろ】
929 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:45:16.04 ID:7LsiYaeP0
【甘い、温い、そして読み込みが足りない】

【そこの赤に対する答えは書いてあるはずだよ。よく読んでみてくれ】

【世界は1つだけじゃないのだから】
930 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:48:55.16 ID:7LsiYaeP0
学園都市統括理事会B 絶対的な敗北

 いつからそこにいたのか。
 いつから会話に参加していたのか。
 いったいいつから。
「ご、ぎょう……?」
 呆然と、誰かが口にするその言葉。
 この場にはいないはずの、たった今話題にしていた、人類絶対悪ビースト位階総序列第三位の名前。
「木原、……五行?」
「そう!あたしの名前は木原五行!人類絶対悪ビースト位階総序列第三位にして全能存在パントクラトールの二つ名を持つ禁忌の木原!木原一族の中の木原一族!」
「……冗談だーろ」
 アンドレイが呟く。それは木原五行を除いたこの場の全員が思っていることだった。
 気付かなかった。
 誰も、誰一人として気づかなかった。
「……トマスはどこだ?」
 苦罠がそういった。
「その席には、トマス=プラチナバーグが座っていたはずだ!」
 はっ、と複数人が顔を上げた。そう、苦罠の言う通りだ。今五行が座っている席には統括理事会メンバーの1人であるトマス=プラチナバーグが座っていたはずだ。それは会議を始める前に全員が確認している。
 潮岸は目線だけで周囲を見渡した。
 いない。いない。いない。上下左右前のどこにもトマスはいない。そして自分の後ろにもトマスがいないのは他のメンバーの視線で分かる。ならばどこに、トマスはいったいどこにいった?
「ん〜?あれ〜、どこにいっちゃんたんだろうね〜?」
「お、まえ」
 誰かの心拍数が早くなる。
 誰かの頬に汗がつたう。
 誰かの喉がカラカラに乾く。
 そんな中で、苦罠が怒鳴った。
「トマス=プラチナバーグをどうしたんだッ!?」
「分かってるくせに」
 泰然自若に五行は答えた。たったそれだけの言葉でトマスの末路が想像できる。
「殺したのですか」
 それを実際に口に出したのは親船だった。もっとも端的に想像できる末路。死という名の結末。だが、仮にそんな末路を辿ったのだとすれば違和感がある。
 それは、
「死体はどこにいったのか、分かる人いるかな〜?」
「余裕じゃねぇか、随分と」
 五行を睨みつけながらアランはそういった。立場が分かっていないわけではない。五行が上で統括理事会が下。既に格付けは成されている。
 だから覆す。
 統括理事会を舐めるなと、アランは五行を挑発する。
「ここがどこだか分かってんのか?禁忌の木原だか人類絶対悪ビーストだか知らねぇが、俺達の前に姿を現して五体満足で帰れるとでも思ってんのか?」
「くららららら!!!強がり言っちゃって、か〜わいいっ!」
 身体を艶めかし気にくねらせながら、五行はあくまでも上から目線で告げた。主導権争いをするつもりは五行にはない。そんなことをしなくても、誰も五行には勝てないと知っているから。
「それとも注目を自分1人に集めさせて、その間に他のメンバーに何か準備をさせるつもりかな?くすくす、でも不思議にさぁ、思わない?はたしてうちはどうやってこの『蠍の間』にきたのだろうかや?」
 牽制……、いや五行からすれば牽制ですらない言葉に、裏で準備を進めていた幾人かの動きが止まる。当然、いくら統括理事会メンバーだけの会議とはいえ完全に無防備な状態で来ている人間などいない。親船でさえ最低限の防備をしている。潮岸は駆動鎧パワードスーツ『シェルター』を周囲同化服カメレオンスーツで隠した状態で着ているし、薬味は予あらかじめ己の身体に薬物投与を行って身体能力をあげているし、アランは己のブレインである雪谷宗風からお墨付きをいただいている。
 武器はある。
 動けるのだ。
 人ひとりくらいなら、殺せる。
 ただ、
「おかしくないでしょうか?この『蠍の間』はランダムに地下空間を移動するいわば動く密室。会議が始まったら出入口は完全に閉鎖され、外部からの親友も内部からの脱出も不可能になるのに……。あてはいったいぜんたいどうやって『蠍の間』に来たんだよ!?分かる人は手をあ〜げ〜て〜!今なら五行ポイントを100ポイント分あげますよ!」
 楽しそうに、心底楽しそうにどうでもいいことを話す五行。
 五行がどうやって『蠍の間』に来たのか?なぜトマスが消えたことに誰も気づかなかったのか?トマスの死体はどこにいったのか?確かに気になる。気になるが、それらの優先度は低い。はっきりいってこの場においてそれらの問題はどうでもいい。
 今はそんなことよりも、五行にどう対するかという事を議論するべきだ。
(隙だからけだ)
 潮岸は思う。潮岸は別に一流の戦士などではない。けれど分かる。偽装でも何でもなく五行は明らかに隙だらけ。その隙は潮岸ならばつける。駆動鎧パワードスーツ『シェルター』を纏っている潮岸ならば、いける。
 本当にそうか?
(くそ……)
 苦罠は思う。こういう事態も完全に想定していなかったわけではない。忠告はもらっていた。郭夜はこういう事態も想定していた。だから、武器はある。だから、生き残れるはずだ。
 本当にそうか?
(どうしようかな)
 奈波は思う。木原五行。人類絶対悪ビースト位階総序列第三位。その脅威は学園都市に来る前から知っている。人口衛星USA-224墜落事件、パリ全インフラ停止事件、他にも多数の大犯罪を犯した人間。そんな彼女が今、手が届くほどに近い距離にいる。どうするべきだ。いくべきか?出来るのか?世界に対する、人類に対する、日本に対する脅威を今、取り除けるのか?
 本当にそうか?
「あれ?今笑う所さかいな」
「そうだな……。空間移動テレポート系統……、それも座標指定タイプではなく目印アンカーを設置して移動するタイプ、か?」
 言いながら、苦罠は目配せした。統括理事会。学園都市の最上層部にして最暗部。混沌とした悪意の渦巻く屑の巣窟。他人を出し抜き蹴落とすことしか考えていない屑共。
 普段は敵同士。どうしようもなく相いれない。
「惜しい!でも外」
 けれどだからこそ分かる。
 だからこそ、彼らはある意味で通じ合えている。
 最初に動いたのは薬味だった。
「っ!」
 薬物による身体強化を施している薬味は100メートル走の世界記録をはるかに超える速度で五行との距離を詰める。瞬きをする瞬間には、とまではいかないが、しかし一般人では到底反応できないような速度。
 テーブルの上に乗りあげ、最短距離で五行のもとまでいく。
 そんな速さじゃ遅すぎる。
931 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:49:50.43 ID:7LsiYaeP0
「短慮過ぎない?」
 とん、と。
 軽くステップを踏んで、本当にほんの少しだけ身体をずらして、五行は薬味の攻撃から逃れた。薬味と五行の距離は今や10センチメートルほどしかない。近すぎる。近すぎるが故に、薬味は五行に攻撃できない。殴るにしても蹴るにしてもある程度の距離は必要なのだ。密着状態では攻撃などできない。
 そして五行の位置取りは完璧だった。
(射線が、っ)
 亡本も当然動いていた。懐に偲ばせていた半自動組み立て式拳銃を五行に向かって発射しようとしていた。そして実際に発射しただろう。
 薬味の身体が五行を庇うような位置に無ければ、だが。
「ちっ!」
「おおお!!!」
 薬味の動きにスリーテンポほど遅れてからアランと潮岸が動き始めた。
 ……語るまでもない事ではあるが、ここにいる統括理事会メンバーは全員戦う人間ではない。彼ら彼女らは策を練り、指示を出し、上に立つ人間であり、現場で動く人間ではない。
 だから言うまでもなく弱い。連係も下手で、数の利を全くいかせていない。
 駆動鎧パワードスーツ『シェルター』を着ている潮岸。
 雪谷宗風からお墨付きを頂いているアラン・スミシー。
 しかしそれでも普通、普通ならば、いかに戦士でないと言えども人一人に勝てないわけがないのだ。
 相手が普通の人間であれば、どれだけよかったか。
「な」
「あ?」
 何をされたのかもわからなかった。
 気が付いた時には2人とも無傷のまま地に這い蹲つくばっていた。
(……た、……てねぇ、だと?)
 身体に異常は感じられない。精神操作系能力を使われた形跡もない。外傷はなく、内傷もない。重力の異常も感じられない。拘束されている感覚もない。
 にも関わらず全く動けない。
「這い蹲ってろよ雑魚」
 嘲り。
 それは普段、アランが他者に向けている声色。
 だから屈辱だ。
 これが人類絶対悪ビースト。
 だが、
「…………」
 だが、
(そんなことは分かっている)
 そもそもだ、と潮岸は思う。
 そもそも、今潮岸が生きている事自体がおかしいのだ。いや、それを言えばもっと前、五行がわざわざ姿を現したことがおかしい。
 [ピーーー]つもりなら殺せたはずだ。いくらでもできたはずだ。だがそれをしなかった。
 つまり五行は潮岸たちを[ピーーー]つもりはない……はずだ。
 あくまでこの考えは潮岸の推論。だが当たっているだろうと潮岸は考える。でなければとっくに逃げている。最も、逃げられる可能性は0に等しいだろうが。
 だからこれはあくまでパフォーマンス。
「そしてさようなら」
 瞬きする暇もなかった。
 衝撃すら感じなかった。
 なのに、いつの間にか吹き飛ばされていた。
「っ!?」
 更なる攻撃を行おうとしていた薬味は自分の身体がいきなり宙を滑空していることに驚愕した。 
(待っ)
 予備動作どころか攻撃後の余韻すら完全に存在しなかった。それが示すところはつまり、木原五行は薬味に対して何もしていないという事、か?
 いや、いや、いや。
 だったらなぜ薬味は吹き飛ばされた?
932 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:50:38.27 ID:7LsiYaeP0
誰が薬味を吹き飛ばした?
「っ」
 何も分からないまま、薬味は吹き飛ばされた勢いで壁に叩きつけられ、
(……………………は?)
 ダメージが無かった。
 確かに薬味は壁にものすごい勢いでぶつかった。壁がスポンジのように衝撃を吸収したわけではない。もちろん薬味側に何らかの保護が生じたわけでもない。勢いを緩めることは愚か、受け身をとろうとすることさえできなかった。
 にも拘らず、薬味の身体には一切の外傷が存在しなかった。ちょっとした擦り傷すらも。
 そして射線が開いた。
「――――――」
 一段と大きい音が響いて、亡本の持っている拳銃から銃弾が放たれる。その弾丸は一瞬で五行のもとに辿り着き、五行の頭を貫い、
 いいや、
「残念!」
「なぁ!?」
 あり得ないことに超音速の銃弾を五行は噛んで止めた。そして口の中から弾丸を吐き出して五行は右手でそれをつまんだ。
「べっ〜、まじゅいのぉ……。きゃぴ♡銃弾なんて効くわけないのに、そんなことも分からないの?せっかくだし、返すよ」
 指で弾いた。
「ごっ、ぶ」
 まず感じたのは痛みではなく熱さだった。熱い、熱い、熱い。燃える様な灼熱の痛みが亡本の脇腹を襲っていた。
 信じられないような思いで亡本は視線を下げる。
 血濡れていた。貫かれていた。
 何に?
「指弾。まぁこれくらいわねぇ?」
 言葉の通りだったのだ。亡本が放った銃弾を噛んで受け止めた五行は、今度はそれを指で弾いて亡本に返した。そしてその返された弾丸は見事に亡本の脇腹を貫いた。
 久しぶりに感じた痛み。強く感じる命の危機。しかし、と亡本は薄く笑う。
 これでいい。これがいい。
 潮岸も亡本も薬味もアランだって分かっていた。敵わないことくらい知っていた。亡本たちは戦闘においては素人未満だ。そんな亡本達が禁忌の木原に勝てるわけがない。
 だから、敗北したのは全然かまわない。オーケーだ。
(思った未満に、上手くいったわね……。だから上手くやってくれないと困っちゃう)
 壁に寄り掛かったまま薬味は動かないでいた4人に意識を向けた。薬味にダメージはない。立ちあがろうとすれば立ち上がれる。でもそれはしない。あたかも酷いダメージを負って立ち上がれないような演技をしつつ、薬味は事態の推移を見守る。
「………………化物が」
「………………………」
「…………じょうだん」
「…………やはり、か」
 残ったのは4人だけだった。
 統括理事会の中でもアレイスターに次ぐ権力を持っている諦めてしまった賢人、死縁鬼苦罠。
 かつては交渉術の達人であったが娘を危険にさらしてしまったことで一線を引いた勇気無き善人、親船最中。
 九家が一家、奈落家より学園都市と日本の仲介役としてやってきた日本の守り手、奈落奈波。
 中途半端な善性を持つが故に常に苦悩する老人、貝積継敏。
「来 な い の ?」
「無駄な戦いは、しない主義なんだ」
 全てを諦めたように苦罠は言った。
 勝てない。勝てるわけがない。こうなることは相対した時点で分かっていた。だから秘密裏に作戦を練ろうとしていたのに。
「我々を[ピーーー]つもりならばとっくにそうしているでしょう?何が、目的なのですか?」
「何が目的?何が目的?目的は同窓会だ」
「同窓会?」
「うん、あのね、ごぎょうね、ひさしぶりね、みんなにあいたいなって」
「……みんな?みんなって、まさか……」
「はぁ!皆つったら造られた子供たちプログラムチルドレンの皆に決まってんだろうが!!!アァ!?」
「ならばなぜここに来たのだね。ここには、その皆はいないぞ」
「……そんなことは分かってますよ。…………………でも13サーティーンは相変わらずどこにいるか分からないし、白は私の事嫌ってるし、だから郭夜に接触しようと思ったんですけど、電脳生命体αアルファにハッキングさせてメッセージ送ろうとしたらあやつまさかの物理的回線切断したし、だから輝夜姫の上司経由で同窓会の案内状を送ってもらおうかなって」
「つまりわざわざ『蠍の間』に来たのは、私に会いに来たかったからだと?」
「そうじゃよ」
「ならばどうしてトマスを殺したのですか?いえ、そもそも彼に会いに来ただけというならこの場でなくてもよかったはずでは」
「なるはやだよ。なるは」
 
 とん、と、
 
 木原五行の首が、落ちた。



何で統括理事会メンバーがそろいもそろって戦ってるんですかねぇ……?
お前ら戦闘能力ほとんどない設定のはずだろう?

じゃあ殺しちゃう?
統括理事会メンバーはあたしが全員ころしちゃいました!なんてね☆
さて質問なんだよ!
私、生きてると思う?
933 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:52:38.50 ID:7LsiYaeP0
学園都市統括理事会➃ 不死の研究

 木原五行の首が胴から分離した。
「………………………………」
 沈黙。
 それが起きたということは8人全員が把握した。木原五行の首が胴から分離した。誰かが何かをした結果としてそれは起きた。ただ、ただその程度で安心できるのかといえばそれは偽だ。
「ころせた、の?」
「――――――――――――」
 奈落の呟きには誰も答えられなかった。
 それは何も奈落に意地悪をしているという訳ではなく、分からなかったからだ。
 誰も、木原五行の死に確信が持てなかった。
「首を落とした程度で死ぬとは、到底思えませんが」
「同感だな。あの木原五行が、この程度で死ぬとは思えない」
 数十秒が過ぎ、やっと口を開いたのは親船と苦罠だ。4年前の獄天の扉ヘヴンズフィール事件――第一次人類絶対悪ビースト侵攻事件の生き残りである2人は当然人類絶対悪ビーストの脅威を知っている。人類絶対悪ビーストは残虐で、残酷で、残忍で、残刻な……そして何よりも厄介なのだ。
「だがよ、確かに首は落ちてるし血はでてるぜ?これで死んでないっていうのはおかしくねぇか?」
「油断するな、アラン。新人のお前は知らないだろうが、人類絶対悪ビーストが、あの木原五行がこの程度で死ぬとは私には思えない。何度でも言うけど、な」
「人類絶対悪ビースト、ねぇ」
「……ぐっ、流石に、そろそろ意識が朦朧としてきたなぁ」
 亡本がそうぼやく。8人の中で一番重傷なのが亡本だった。薬味は壁に叩きつけられただけでノーダメージ。アランと潮岸は謎の力に押さえつけられてはいたがノーダメージ。対して亡本は五行から指弾による攻撃を受け、脇腹を弾丸が貫通してしまっている。数分後には死ぬ、などという出血量ではないが、しかし早めに処置をしなければ命が危ないことは間違いないだろう。
「……薬味クン、君なら軽く処置が出来るのではないかな」
「んー、いくら私が医療関係に太いパイプをもってるっていっても、私自身は別に医者でも何でもないんだけど」
「だが簡易的な治療くらいは出来るだろう?」
「んー」
 薬味は亡本の治療にそこまでの積極性と緊急性を感じなかった。別に亡本が死んでも構わないのだ。統括理事会メンバーが減れば、その分だけ利権が増える。だから亡本は死んでも構わない。いや、むしろ死んだ方がいい。
 その消極性を感じ取った亡本は、だから提案する。
「貸し1、ということでどうだね?」
「……一応伏せてたんだけど」
 そう言って、薬味は亡本に近づいた。
 亡本の生存と死亡。貸し1と増える利権。それらを天秤に乗せれば、わずかに亡本を生かす方に傾く。
「……問題は山積みだな」
「後2つに関してはどうしますか?」
「……超能力者予備集団セブンバックアップが人類絶対悪ビーストを確実に殺せるのならば、その議論は必要がなくなるのだがな」
「無理だろ。あいつらは所詮、超能力者レベル5の成り損ないだ。切り捨てられた枝ですらねぇ」
「……恋査を動かすーかな?」
「それは」
 別に油断していたわけではない。特に第一次人類絶対悪ビースト侵攻事件の生き残りである6人は、苦罠と親船と貝積と潮岸と亡本と薬味の6人はきちんと警戒していた。
 木原五行の死。胴から首が分離した木原五行。首の落ちた木原五行。けれど、本当に木原五行が死んだのかはまだ判断がつかない。
 影武者だったのかもしれない。偽物だったのかもしれない。幻覚なのかもしれない。ホログラムを使っているかもしれない。他にも、他にも、他にも。様々な可能性が考えられた。
 だから、ちゃんと疑っていた。木原五行はまだ死んでいない――その可能性を、きちんと考慮していた。
 会話を続けながらも、警戒はしていた。
 けれど、しかし、それでも、だ。
 一瞬だった。
 確かに全員が目を離した。
 重傷を負った亡本に視線が注目した。
 
 こ・の・瞬・間・確・か・に・、木・原・五・行・を・観・測・し・た・人・間・は・1・人・も・い・な・か・っ・た・。
 
 故に、だった。
 
「んん〜、エキサイティング」
「「「「「「「「ッッッッッ!!!???」」」」」」」」
 木原五行は生き返えった。
 木原五行の生が観測されたから。
 木原五行の死が観測されなくなったから。
「流石の私も初体験だったなぁ。でもっ!理論は証明された。これで妾はまた1つ、近づいたってわけよ」
 それはまさしく悪夢であった。
「あの程度で、」
 最初に呟いたのはやはりというべきか、苦罠だった。
 予感はあった。予想は出来た。人類絶対悪ビースト。世界に対する、人類という種に対する脅威。
 4年前はもっとひどかった。
 あの時に比べたら、今回はまだましだ。
「あの程度で殺したとはもとより思っていなかったが、どんな手品だ?禁忌の木原、木原五行」
「あれ?あれあれ?あれあれあれ?」
 不思議そうに、本当に不思議そうに、まるで理解できない言葉を聞いたかのように、五行は思い切り首を傾げた。
 そして傾げた首をそのままに、統括理事会のメンバー8人を煽る。
「あれれ〜、みなさん、この私が何の研究をしているのか御存じない?」
「木原五行の、研究?」
「――――――まさか」
 最初に気付いたのはやはりというべきか、貝積だった。
934 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:53:33.89 ID:7LsiYaeP0
最初に気付いたのはやはりというべきか、貝積だった。
 この場にいる統括理事会メンバー8人は、全員が全員大なり小なり木原一族と関わったことがある。しかしそれは結局の所浅い関わりだ。木原一族は学園都市統括理事会でも持て余すほどの闇。内に入れて飼おうとすれば蝕まれ破滅する。外から操ろうとしてもいつの間にか予想外の動きをされて破滅する。
 賢明な人間であれば木原一族とは積極的にかかわらない。利口な人間であれば木原一族を利用しようなどとは思わない。
 距離感が大事なのだ。
「まさか!?」
 踏み込んだ距離感で木原一族と接触しているのは、統括理事会メンバーでもわずかに3人。
 奈落奈波は日本という国を守護する立場であるが故に、科学そのものを体現した木原一族とそれなり以上の関わりを持つ必要があった。
 今この場にいない潔癖症の彼女は、世界の全てを手に入れるための前準備を行うために、木原一族と関わりを持つ必要があった。
 そして貝積継敏は能力開発分野に強い影響力を持つが故に、必然木原一族と関わることも多かった。
「馬鹿な、完成したとでも言うのか!?」
「ふっ、ふーん♪」
 貝積の気付きに連鎖するように、複数人も気づく。
 そして彼らが気付いたことに気付いた五行は、自慢げに、いや実際に自慢するために両手を大きく広げながら語る。
「不逃死痛カルタグラは失敗作だったけどさ。くうううううううううっ、完成したのさ!ついに!」
 自慢げに、
「長かった……、本当に長かった……。何度も挫けそうになった。時に心が折れそうになった。しかし!努力は実るのだ!それを信じてあたしは頑張った」
 誇るように、
「不死の研究、……この研究を完成させるために10年以上もかかってしまったのだよ。俺としたことが、時間を掛けすぎだ。全く、自分の無能ぶりが嫌になるね」
 笑いながら、
「でも完成した。だが創り上げた。完全なる不死。人類の夢の1つ。あひ、ふひゃ、ぎへへへへへ!!!!!」
 禁忌と呼ばれた木原は、
「本当にさぁ、頑張ったってわけよ。、色々色々研究して創り上げて。『イヴの心臓』も、『電脳生命体α』も『天への階段』も、『ドゥームズデイ』も、『キヤマー・ザナドゥ』も!ステップを重ねて、少しずる進み、…………僕は、至った」
 全能であるはずの少女は、
「これが、完成品」
 掲げる。
「これが、木原五行の集大成」
 右手を上げる。
「これがっ、人類が求めてやまなかった、夢」
 示すように、
「これこそがっ!完全なる不死を齎すっ、神域すら超えた逸品!!!!!」
 天に反逆するかのうように、
「王の遺産レガリアが一つッ、『彼岸の妙薬』トキジクノカク!」
 言った。
「『彼岸の妙薬』……」
「……トキジクノカク、ね」
 信じられない言葉を聞いたかのように、潮岸と薬味が呟いた。
 古代より完全なる不死というのは人が求めていた夢だ。それを求めた人間は数多く存在し、それをテーマにした物語も数多くある。
 始皇帝は不死を求めて水銀を飲んだ。
 かぐや姫は帝に不死の薬を渡した。
 他にも他にも他にも、その手の話は多々ある。
「確か、トキジクノカクは田道間守が常世国で手に入れた木の実だったね。食べれば不老不死となれるというトキジクノカクを求めて垂仁天皇は田道間守を常世国に遣わせたが、田道間守が垂仁天皇のもとに帰還した時には既に垂仁天皇は崩御していた。あれはそんな話だったか」
 亡本がトキジクノカクについて語る。トキジクノカクは古事記に記載されている話の中に出て来る木の実だ。科学で満ちた街で神話を語るのは滑稽でもあるが、学園都市の食糧事情の一切を管理している亡本は常に自身の食するモノについても気を使っている。その過程で、神話の食べ物の話の知識も得ている。
 そもそもネクターの元ネタだってギリシャ神話に登場する神々の飲み物、ネクタルなのだから。
「だから死ななかったとでも言うのかよ。それを飲んだから、死ななかったって?」
 這い蹲った姿勢から立ち上がったアランが五行を睨みつけながら言う。アランは4年前の人類絶対悪ビーストとの戦いを知らないが、人類絶対悪ビーストの異常さはもう十分わかっていた。
 木原五行はヤバい。
 ヤバすぎる。
 何よりヤバいのは五行のここまでの行動は、そのほとんど全てがダミーであろうということだ。
「くひ」
 こたえる様に、五行が話す。
935 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:54:14.13 ID:7LsiYaeP0
「皆はシュレディンガーの猫を知っているかな?」
「当然知っていーるさ。学園都市の超能力開発の基礎中の基礎ーだ」
「シュレディンガー氏曰く、箱の中の猫の状態が観測するまで決まっていないなんてありえないらしい。トキジクノカクを飲んだ人間は箱の中の猫になるんだって」
「…………どういうことだ?」
「個々のクオリアは個々によって違う。物体が存在するということは個人がその物体を認識しているということだ。例えば人物Aが金庫の中に金塊を入れて扉を閉めた。この瞬間人物Aに金塊を観測することは不可能になった。観測が不可能になったということは存在が確認できないということ。つまり金庫の中に金塊が存在するかどうかはその時点で不確かになったのだよ。不確か、つまりは金庫の中に金塊が存在しているのかしていないのかは分からなくなった。量子論で言う所の重ね合わせの状態っすね。金庫の中に金塊が『在る』状態と金庫の中に金塊が『無い』状態が同時に存在しているって話だっけ。コペンハーゲン解釈。エヴェレットの多世界解釈。量子論には様々な考え方があるけど、重ね合わせっていうのはやっぱ基礎だよね。そして私の出した結論はそれに観測者効果を加えた感じかなー。やっぱ見られているっていうのが量子論に与える影響は大きいんだよ。まぁ何が言いたいかっていうと、観測されなければそこには何もないって話。物体があるかないかっていうのは結局の所個人の主観の問題なのさ。意識を構成しているのが客観じゃなくて主観なんだから当然なんだろうけど、物体αがそこに在るっていうのを人物Aが確認したとしても人物Bがそれを確認できなかったとしたらそこに物体αがあるのかどうかは発言をきくだけの人物Cからしたら不確かになるだろう?僕の造った王の遺産レガリア、『彼岸の妙薬』トキジクノカクはそれを利用しているんだ。僕の存在を世界という名の、宇宙という名の客観――俺はこれを『絶対神の視点YHVH』と呼んでいるわけだが、その客観から外す。そもそも人間という生命体は個人でその存在を維持するのは無理なんだ。誰しもが必ず、そこにいるためには自分以外の要素が必要になる。その最たるものが『絶対神の視点YHVH』だけど、もう一回いうけど童のトキジクノカクはその視点を外す。脱出するっていってもいいかな。『絶対神の視点YHVH』から脱出して、自己の存在証明理論をもっと小さい主観の中に置く。要するに自己の存在証明理論を他人の意識の中に置くわけよ。ただこれが絶妙に難しくてね。他人がそこにいる、他人の意識がそこに在るっていうのを確認するためにどう考えても自己の存在が必要だ。だけど自己の存在を他人の証明に使えば自己の存在が第一前提条件として確立されてしまう。それは違う訳よ。結局の所それじゃ『絶対神の視点YHVH』からは脱出できていない。他人の意識に自己の存在証明理論を置くためには自己の存在が第一前提条件になるっていう矛盾。これを解決するために4年もかかったってわけ。まぁ別にね?不老不死を実現させるためだけなら方法なんていくらでもあるんだよ?もうなくなったけど、人形村とかまさにその極致だったし。後はあれ、700年くらい前にはアンブロシアとかもあてらしいじゃん?でもやっぱりそれは完全な不死じゃ、ない。不死性が高くなるってだけ。それに死にたいときに[ピーーー]ないとか自由度低すぎ。だからこそ、私はトキジクノカクを造った。他者の主観の中に自己の存在証明理論を置くことで完全なる不老不死を実現する、トキジクノカクを」



『彼岸の妙薬』トキジクノカク。効果のほどがわかりにくいと思いますが、不老不死の薬だってことを理解していれば問題ありません。

今月中にもう一回は更新します。
936 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:55:46.25 ID:7LsiYaeP0
https://syosetu.org/novel/56774/172.html
本作の中で一番闇の深いキャラクターが木原五行になります。


白白白と木原五行@ 敵側にいる理解者

 学園都市第一学区風紀委員本部セントラルジャッジメント第六十階『天秤の間』にて風紀委員本部セントラルジャッジメント委員長の座に座る白白白は誰にともなく語る。
「僕は君が羨ましい」
 『天秤の間』には白1人しか存在していない。だから白の話を聞く人間は誰も居ない。滞空回線アンダーラインすらも入ることの出来ない風紀委員本部セントラルジャッジメント内部を盗聴することなど不可能だし、あらゆる意味で隔絶している『天秤の間』内部を観測することなど不可能だ。
 が、
「君は自由だ。君は何にも縛られない風のような存在だ。君に制限はないし、君は『枠』に捕らわれない。……僕はそれが、たまらなく羨ましいよ」
 例外はある。
 そも、何にだって例外は存在するモノだ。
 僕自身が限りなく例外な存在だから、それは分かってる。
「醜いなぁ。やだやだ、それって嫉妬?我が同類?」
 王の遺産レガリアが1つ、『彼岸の妙薬』トキジクノカクを服用した五行はその存在が不確かだ。どこにでもいるし、どこにもいない。観測されなければ存在は固定化されず、しかし観測されない状態では本当にどこにでも存在できる。
 それは外部とは隔絶した空間。絶対のセキュリティを誇る夢の中。人間では辿り着くことの出来ない別位相。誰かの夢の中に、人の意識の中。
 あるいは『天秤の間』にさえも、五行は現れることが出来る。
 観測さえされなければ、だが。
「何しに来た、五行?」
「挨拶にね、白」
 親し気に、まるで親友のように近しい声で、2人は名前を呼び合った。
 2人の過去は、2人の関係は、その距離感を許す。
「それとも人間操者パペットマスターって呼んだ方がいいかい?」
「全能存在パントクラトール……、昔を思い出すな……。あの頃は、良かった。……『箱庭』には不自由な自由があった。僕らは、集められた13人の天才達は、あの『箱庭』でだけは普通になれた」
「それはただの八つ当たりかよ?それとも感傷か?」
「さて、どうかな。それにしてもふざけた引用だね。わざわざ言い直すところが特に。……F/sのHFか。あれ、僕は大嫌いだよ」
「そうやって何でもかんでもはぐらかすの、細かいところまで気にするの、あなたの悪い癖よ。ちなみにこれは林の主人公の口癖だよ。分かった?」
「…………イライラするな。いったいいつの間に他人の言葉を引用しなきゃ話せない人形になった?五行」
「いひひ、そう怒らないでよ。冗談だってばよ」
「君は忍者じゃなくて科学者だろう?」
「あひゃひゃ、きっびしいなぁ、ほんとうに」
 『箱庭』。
 『箱庭』というのはあくまで略称であって正確な名前は別にあるが、10年前から6年前までの約5年間、五行と白の2人を含めた13人のモンスターチャイルドはそこで暮らしていた。『アガルタの惨劇』と呼ばれる事件によって『箱庭』の全てが崩壊するまで、彼ら彼女らは『箱庭』で暮らしていた。
 彼ら。
 彼女ら。
「やっぱり懐かしいんだ?忘れられないんだ?懐古厨の思い出補正だねぇ。どうせ何もかも嘘なのに」
「……対等な繋がりなんて、僕らのような天才には貴重過ぎるモノだよ。だからこそ『箱庭』は奇蹟で、『アガルタの惨劇』のことは後悔してもしきれない。いくら刺激が欲しかったとはいえね」
「あれ?アレイスター相手じゃ足りないんすか?」
「別にそうはいってないさ。……アレイスターは僕らと同じ格だ。油断なんてできるはずがないだろう?同じ理外人外なんだから」
「でも全然満足しちゃいない」
「………………………」
「郭夜のこと、まだ好き?」
「好きだよ?君のこともね」
 『アガルタの惨劇』を生き残ったモンスターチャイルドは5人。彼ら彼女世らは今、造られた子供たちプログラムチルドレンと呼ばれている。
 人類絶対悪ビースト位階総序列第3位、禁忌の木原、全能存在パントクラトール、木原五行。
 風紀委員本部セントラルジャッジメント委員長、学園都市の支配者の1人、人間操者パペットマスター、白白白。
 死縁鬼苦罠勢力参謀、完全予測者ジ・エンド、欠陥製品スクラップドール、天埜郭夜。
 人類絶対悪ビースト位階総序列第16位『神時代へ逆行する古代人』リーダー、神の代行人エクスキューショナー、狂信者、GE13ジーイーサーティーン。
 人の形をした災害、学園都市最悪の災厄、無存在シークレット、千疋十目。
「大好きだよ。輝夜姫のことは特に、……水面に映る月に手を伸ばして、それを掬って羨んだ。星の輝きに眼を眩ませながら、夜空にむって手を伸ばした。灼かれると分かっていながらも、太陽を直視した」
「アンタも辛いな。見たくもないモノがみえちゃって」
「子供のころからそうだからね。今はもう、……慣れればよかったんだけど。それに辛いのは君もだろう?いったいどれだけひっくり返した?」
「そういえば聞いてなかったっけ?どんな気分よ、感情が視えるってのは?さてさて、どんくらいだったかな。少なくとも虐殺の滅亡齎す七の子羊セプテム・アニュスを無かったことにするために1回はひっくり返したけどさ」
「視えるっていうよりは理解出来る分かるって感じかな。表情、行動、生き様、過去、生体反射、癖。そういうモノから僕は嫌でも感情を読み取れる。見たくなくても視えるんだ。眼を閉じても耳で分かる。耳を塞いでも鼻で分かる。鼻をつまんでも肌で分かる。肌を覆っても気配で分かる。だからどうしようもないんだよ。両目を包帯で巻けば防げるくらい単純な力だったよかったのに」
「月のお姫様かい?」
 木原五行の才能がその科学力であるように、白白白の才能は感情の読み取りにある。
 白白白は人の感情が分かる。それが、白が生来より持っていた特別。
 どれだけ深く隠しても、どれだけ強く偽っても、どれだけ無感情を装っても、白を前にすればその感情が暴かれる。子供のころからそうだった。だから捨てられた。勝手に感情を読み取ってしまう白のことを、そこから隠したすべてを暴く白のことを、誰しもが嫌った。
 だから『箱庭』は白にとって天国だった。だから『箱庭』にいた12人のモンスターチャイルドが白は好きだった。特に、郭夜のことが好きだった。
「じゃあ私の心も読み取ってよ!そして満たして……、俺のことを」
「………………………………………」
 両手を広げて、五行は白に後ろから抱き着いた。
 嘘ばかりの人生だ。
 嘘をつくばかりの人生だ。
 五行や白やアレイスターのような上の立場の人間は、策を練り裏をかき人を陥れ目的を達するためには手段を選ばないような人間は、必然真の意味での信頼関係など結べない。それは手の届かないモノだと、どこかで諦める。
937 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:57:11.75 ID:7LsiYaeP0
だから白はアレイスターのことも羨む。
 アレイスターには理解者がいる。木原脳幹や冥土帰しヘヴンキャンセラーは彼の友だ。
 白にはそういう人はいない。いるのは敵と、敵と、敵だけだ。
 十五夜は味方であって理解者ではない。
 理解者はいつも敵側にいる。
「五行。僕は君が嫌いだ」
 諦めたように、呟く。
「テメェに好きなヤツっていんのかよ?」
 抱きしめたまま、耳元で囁く。
「君が嫌いだ。君は自由だ。君は何にも縛られない風のような存在だ。君に制限はないし、君は『枠』に捕らわれない。……僕はそれが、たまらなく羨ましいよ」
「相変わらず、くだらない視点すね」
「くだらないかな?」
「いったいいつまでそんなものに拘ってるんだい?『枠』とか世界物語キャラクターストーリー理論とか七連物語セブンスストーリーズとか、そんなの結局、アンタの見方1つじゃない。制限してるのはお前で、勝手に区切ってるのはテメェだ。緊急装置ベイルアウトで風紀委員本部セントラルジャッジメントメンバーを縛ってるあなた様が勝手に縛られてちゃわけないわけ」
「ふっ、……全くその通りだよ。だから僕はダメなんだ。僕が一番■■からの」
「最・秘・匿・事・項・じ・ゃ・ん・」
「まだ、機密情報アクセスレベルが足りないか。もう少し■■に」
「それもまた最秘匿事項、機密情報アクセスレベル0の情報みたいだっちゃ」
「青き鎖でも騙り切れないか。なら言い直そう。抽象表現なら問題ないだろ?もう少し、彼らバックアップしてもらわなければな」
「赤と青と黄金が解かれたら次は何だったけ?」
「第二段階はテストだよ。80/100で第三段階に突入するのさ」
 睦言のように語り合う。後ろから抱きしめて来る五行の顔を白は頭を後ろに反らしてみた。見つめ合う。言葉はいらない。必要ない。白と五行は各々が各々の理解者だ。何も言わなくたって分かる。白は五行の感情を読み取って、五行は白の行動からその思惑を読み取って。
「寂しかったんだろ?」
 一瞬、五行は黙った。
「隱ュ繧薙□から分かるよ。同窓会、本当に開きたいんだろう?見なくても分かる。君の立場は、僕も分かってるから」
「……………………………うち、めっちゃ頑張っとるんやで」
「知ってる」
「確かに私は全能だけど、全能者は全能であるが故に全能者ではない。そんな簡単なことも分からない奴らがさ、たくさんいるの」
「知ってる」
「全能の逆説オムニポテントパラドックスを解消することは出来るけど、本質的全能者になるには私の存在は軽すぎるんだよ」
「知ってる」
「顔も多くなりすぎたのよ」
「知ってる」
「この間、最後の人類悪の参謀になったよ」
「知ってる」
「成りたくもないのに地球環境保護団体ελπιςの一員になってるんです」
「知ってる」
「いつの間にか人類絶対悪ビースト位階総序列第3位になってたんだ」
「知ってる」
「生まれは悪名高い木原だし」
「知ってる」
「しかも木原と木原を掛け合わせた木原だし」
「知ってる」
「何の因果か私には木原の才能がなかったしさ」
「知ってる」
「科学力はあったけど、科学力じゃなかったし」
「知ってる」
「王も私なんだよ」
「知ってる」
「才能なんていらなかった」
「知ってる」
「立場なんてほしくなかった」
「知ってる」
「理解者が欲しかった」
「知ってる」
「……………ねぇ、白」
「何だ?」
「寂しいよ」
「知ってるよ」
 敵だった。
 嫌いだった。
 同格だった。
 だけど、仲間だった。
938 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/03(木) 23:57:54.47 ID:7LsiYaeP0
同窓会ね。僕や郭夜はともかく13ともう1人は会いたがらないだろうな。僕が連絡して郭夜と会わせようか?郭夜は君に興味をもってないだろうけど、僕が言えば話くらいは出来ると思うよ?」
「……………やめとこう、そんな程度のことで、あなたに負担をかけたくなし。寂しいけど、ね。うん、もうだいぶ回復できたよ」
 抱きしめていた両腕を離して、五行は白と距離をとった。椅子に座ったままの白と、その二歩後ろに立った五行。見つめ合っていた2人の視線はもう交わっていない。たった2歩で詰められる距離が、永遠に近い。
 反らしていた首を元に戻して、白はまっすぐ前を見た。
 そこには何もない。
 そこには、何もないように見える。
「ねぇ、白」
「何だ?」
「……………………好きだよ。世界で一番キミを××してる」
 悲しそうに、五行は言った。
「あぁ、俺も好きだよ」
 だからこそ、その答えは何よりも空虚だった。
「知ってる」
 知っていた。
 五行は知っていた。
 それが白の限りなく優しい、
(だけど『私を』じゃなくて『人を』でしょ)
 真実の虚言であると。
「ばいばい白。次に会う時は、今度こそ敵同士だ」
「本質的な繋がりは、そう簡単に切れるモノじゃないさ、五行」
「……………大嘘憑き」
 それだけ言って、因縁の2人の距離は無限に開いた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
「で、だ」
 1度、話が途切れたことを確認して、僕は五行に質問する。
「侵蝕率は?」
「赤が8割、青が7割、黄金が7割くらいかな。もうちょっとすればいけるんじゃないの?」
「計画エフギウムは?」
「あっちは私達のことを認識してるし、その意味じゃ第一段階の『道』を作ることは終了したって感じ?影響を与えることも出来てるし、悪くなんじゃないの?」
「順調か」
「リスクは常にあるけどな。ある意味でのルール違反は、常におかしてわけだしな」
「それくらいは許容範囲内だ。万が一が起これば、……はっ、それは痛み分けだろ?」
「死ぬのは怖くない。怖いのは、誇りを失ったまま生き続けることだ、ってわけね。まっ、こっちは任せといてよ。学園都市の中の、第一学区の中の、風紀委員本部セントラルジャッジメントの中の、第六十階『天秤の間』から出られないあなたの代わりに、私が世界を飛び回っておくから」
「あぁ、信頼してるよ。僕の、……いや、あえて言い直すか。今旬だろうしな」
 戯れにもいいだろうし、な。
 軽いテストにもなるし。別枠だけど。
「さあ、戦って五行。僕の、親友……。僕の、英雄……。なんてな」
 僕の台詞に、五行は笑って答えて、それで消えた。



読者に対して出せる情報と出せない情報が存在するので、情報を制限しながら書いたこの話はすごく時間がかかりました。

さて問題。
今話の中に11のパロネタ、セリフのオマージュがある。
君達はいくつ分かったかな?

次の更新は2月中旬までには。
939 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/04(金) 00:02:31.95 ID:bGJnV3gno
何がしたいんだこのキチガイは
940 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sega]:2019/10/04(金) 10:55:58.78 ID:Y232LIU70
おのれ平和島静雄め……
941 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/04(金) 21:57:18.33 ID:4PRmwTse0
>>888
食蜂って正味もうヒロインじゃない気がする
御坂とは似て非なるというか、もう全然スタンス違うのが新刊ではっきりしたし
今後キャラとしてはともかくヒロインとしてクローズアップされる事はないんじゃないかね
942 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/04(金) 23:58:21.47 ID:Dwu7uMzz0
せめて美琴だけは上条さんとくっ付いてくれないかな
943 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 00:19:54.74 ID:tI6ebpWuo
上条さんが誰かと付き合う時間なんて生きてる間も死んだ後もありません
944 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 01:19:24.18 ID:Dvxaz9Ha0
>>943
いや、冗談抜きで誰かと結ばれて欲しいんだよな
ここまで色々と派手にフラグ立てて来たんだもん
何もないのは流石に寂しいわ
付いて来た読者としても
945 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 01:25:14.16 ID:x/vbAsWL0
フラグは立ててるとはいえ上条さんはずっとインさんしか見てないしなぁ…
リバースの神浄さんがキスしようとするのを邪魔する上条さん好きなんだ
946 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 01:33:18.13 ID:Dvxaz9Ha0
>>945
それな
947 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 10:19:52.81 ID:VRbfqRrcO
別に恋愛メインの作品じゃないし誰かとくっつく必要なくね
てか既にインデックスとオティヌスに関しては恋人超えてもう家族みたいなもんだろ
948 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 10:21:36.58 ID:JSQGA1P0o
上条さんとデートの約束してもどうせ事件に巻き込まれるとかですっぽかされるんだろうな
949 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 15:50:45.66 ID:VxOXeyVs0
お願いだから鎌池先生には読者が何を求めているのかを理解して欲しい
950 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 15:52:03.51 ID:hjTXiumEo
求めてるもの割とバラバラだと思う
951 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 16:06:24.87 ID:VxOXeyVs0
>>950
まぁそうだろうな
最終的に上条さんが幸せになるなら何でもいい
952 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 16:15:25.29 ID:VRbfqRrcO
つーか求めてるの理解したところでそれを実行できるかどうかはまた別の話だからな
ここでよく言れてるこじらせてたやつの報いが足りないとか一方浜面がどうのこうのとか今更作風的にできないだけとしか思えないし
少なくとも俺はその辺曲げたら絶対失望するしな
953 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 16:32:00.59 ID:VxOXeyVs0
鎌池先生は天邪鬼な所あるしなぁ
以前どこかで自分は常に読者の予想の斜め上を行きたいとか言っていたし
954 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 16:49:39.04 ID:x/vbAsWL0
旧約は読者と筆者で求めてるもの一致してたと思うよ
一方浜面もここでは叩かれてるが当時は普通に人気だったし
やっぱり新約入ってから他の作品でやってた実験みたいなことをしだしたのがダメ
955 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 21:33:56.64 ID:VRbfqRrcO
正直新約の何が不満か全然わからんのよな
一方浜面の単純な出番は主人公化してからの巻数的に多いが、密度的には旧より少なくなって上条寄りになったし、独立してた一方浜面の物語も、多少上条の物語と絡むようになり、上条の助けになるようなことも出てきた
バトルも派手、アレイスターやローラなどの黒幕候補の話も決着付けた、御坂の出番や活躍も増えた
不評の上里編も、実際の中身としては一方や浜面よりは報いを受けて反省・成長も見えるなどそれなりの完成度
リバースもそうだけど、上条当麻とは何を持って上条当麻なのかとか、読者に疑問を投げかけるようなテーマの話なども散見
新約6や9みたいな旧の面白い巻を凌駕したような話もある
一番好きなのは1巻ではあるが、旧と新全体で比べたら圧倒的に新の方が好きだけどなあ
956 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 21:40:11.62 ID:eXAGcHoho
上条さんって何でアンチ多いんだ?
自分ホモじゃないけど上条さんに命救われたらガチ惚れると思うくらい好きだぞ
957 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 22:22:27.54 ID:VRbfqRrcO
単なる逆張りと嫉妬だよ
958 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/06(日) 01:54:53.90 ID:iBN/I/b20
新約に入ってから笑えないシモネタが増えて嫌になった
悪いのは上条さんというより作者だけど
959 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/06(日) 20:09:25.09 ID:Fph5VQrD0
>>955
新約の何がアカンというより、旧約で持ち越した期待が肩すかしだとバレたのが新約
旧約も評判良かったというより、希望や期待が高いのを維持できてただけだと思うよ

浜面の出番はそもそも別に求めてない
一方はちゃんと反省や贖罪するんだろうと思われてたが全然してないのが判明
アレイスターはプランの全貌が明かされラスボスとして威厳を保ち、ちゃんと報いや贖罪を以下略
そもそも上里とか、伏線も何もなく二次創作くずれみたいな奴がポッと出でいきなり出しゃばってきて場をかき乱す話とか求めてない
魔神は初期から伏線あったとはいえ、あんなゾロゾロ出てきてロクにキャラも把握できないうちに大処分とか求めて以下略
それからコロンゾンとか黄金とかアンナとかロクに伏線も何もなくポッと出が次々出てきてラスボス枠がコロコロ変わって以下略
他にも白垣根だのフレメアだの木原一族だの、旧約の目を惹いた要素を引っ張ってきて陳腐化させたよーな駄要素で衆目集めようとするような志の低さもダメダメ
960 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/06(日) 23:12:17.25 ID:Fs0k8e+VO
つまり一部の読者が勝手に期待して勝手に失望しただけだろ
上条に主体的な目標がない以上、旧約だって極論必要ある話なんて数少ないし、報いどうのこうのは最初からだし
伏線と言うか前フリは少なくはあったがゼロって事はない
上里ですら新12のラストのローラのセリフで示唆されてる可能性あるしな
求めてない話なら旧からもあったから、そういう要素は除いて面白いかどうかなら普通に新面白いけどなあ
961 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/06(日) 23:25:33.19 ID:LE411oCDO
一部だったら良かったな
売上が下がるのは単につまらんと判断されたからだ
962 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/06(日) 23:34:34.12 ID:iPquxvgA0
>>956
そんなにアンチ多いか?過去の悪行込みで一方通行と浜面の方が吊るし上げられてる印象あるがな
963 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/07(月) 00:26:02.66 ID:ms6IdxEp0
>>956
上条さんのアンチが多いと言うより作品そのもののアンチが多いんじゃないかな
作品への不平不満が転じて主人公に結び付いているに過ぎない
主人公は矢面に立たされるもんだからな
964 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/07(月) 01:46:55.87 ID:odByAJh/0
新約は当たり外れが大きすぎる上に外れ2巻連続とかがあったから脱落者多かったんじゃないかなという印象
しかもそういうつまらない巻が新約最初だったりオティヌスで盛り上がったり遂に魔神登場アレイスターも動き出したところだったりとハードル上げた後に底まで下げるようなのばっかりだったから
上里編は振り返ってみると自分は嫌いじゃないが完結まで追うって心に決めてなかったら読むのやめてたかもなとは思うくらいにはキツイ
965 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/07(月) 21:02:43.47 ID:xCncYQa40
上里絡み4冊はいくらなんでも無いわ
上里のキツさを何とか我慢した所で上里ハーレム投入とかもはや拷問でしかなかった
もう読者を切りにかかってるとしか思えんレベル
966 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/08(火) 00:24:48.37 ID:qoQkhW/c0
自分には上里よりも最近の一方ageと浜面ageの方が見ていて精神的にキツイ
967 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/08(火) 00:28:15.41 ID:0wbMMpN/o
一方に関しては悪党の美学(笑)の頃よりは上条大好きクラブ会長やってる方が好き
968 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/08(火) 00:40:56.05 ID:qoQkhW/c0
>>967
その点は割と同感
まぁ統括理事長にまでしてやる必要はなかったと思うけど
969 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/08(火) 13:18:02.66 ID:kpr5vGIvO
ぶっちゃけ統括理事長とかハズレくじ…

上里は個人的には嫌いじゃなかったな
言ってることはまあわかるし上条さんになんで突っかかるのが謎だけど
勝手に他の魔神殺しとけばいいのに
上里編がダメなのは上里勢力が不快極まりないのもあるけどボス格の唯一に魅力が無さすぎたのがダメだわ
脳幹は良かったのに唯一がアレでガッカリすぎる
970 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/08(火) 13:55:58.62 ID:Z/dWA/E30
クズ共への救済が多すぎる
そういうのはもう飽き飽き
971 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/08(火) 15:02:24.46 ID:ZcugbsMm0
一方通行にも浜面にも言える事だが糞野郎や小悪党が少し良い事すると何故かメチャクチャ良い奴に見えるだろう?ジャイアン映画版の原理ってヤツだ
972 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/08(火) 15:04:16.21 ID:ILaEqYaeo
ベジータだって初期はクズだったのに今では悟空より常識人扱いされてるし
973 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/08(火) 15:26:48.57 ID:ZcugbsMm0
>>972
それよそれよ
974 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/08(火) 19:48:30.01 ID:rL2bgDx00
https://syosetu.org/novel/158074/74.html
私はいつも一人だった。
だから願った。愛されたいと。
私は多くの人から愛された。
だから思った。一人がいいと。
そして私は独りになった。
だから悟った。これが幸福だと。

――――――二九七


それでも僕は、明日が欲しかった
裏お茶会~1周目~

 崩れ落ちる上条ヒーローの身体を睥睨しながら、230万の死体で溢れる学園都市の中で僕は溜息をついた。
「わりと、期待してたんだけどね……」
 言葉にすることで僕は僕自身の考えを再認識する。
 そう、期待していた。本当に期待していたんだ。
 上条当麻なら、あるいはこの僕を上回ることが出来るかもしれない、と。
「いや、……矛盾だな」
 僕の世界の人類を護るためには、いずれ上条当麻は必ず[ピーーー]ことになる。それが早いか遅いかの違いだ。
「…………遅かったね、アレイスター」
「殺したのか」
「どのみち、間に合わなかったさ。彼はあまりにも遅すぎた」
 男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも見える『人間』、そう評されるアレイスターの方に視線を投げかけて、僕はこの全てが終わった世界を見通す。
 70億の、そして数百の死体しか存在しないこの世界でただ1人、僕だけは違うから。
 結局すべてが絵空事の虚言でしかないと知っているから。
「それを分かっていたからこそ、君も滅亡齎す七の子羊セプテム・アニュスの対策を発動させなかったんだろ」
「あの程度の術式に気付けないのならば、どのみちヤツは救済者ヒーローには相応しくないだろう」
「随分な言い様だ……。君の、君達の主人公ヒーローだろう?」
「違うな。私達の主人公ヒーローは彼ではない。上条当麻だ」
「厳しいね……。彼だって、僕がいる中頑張ってると思うけど」
「結果世界が滅んだが?」
「……………………もう少し、サポートしてあげれば良かったのに」
 フラグが立たなかったのは確かに上条の責任だが、たった1回で完全な救済を為せだなんて難易度が高すぎるだろう。今回は解決しなければならなかったことが多すぎる。瞬を倒して、蜜蟻をどうにかして、学究会防衛作戦を成功させ、咎負虐殺を止める。
 そんなの無理だ。
 僕だって、サポートなしで出来るとは思ってなかった。
「それは」
「呼ばれてないのにじゃんじゃじゃ〜〜〜ん!!!」
 空から純正の人類絶対悪が降ってきた。
「五行……。今結構重要な話してたんだけど」
「あぁ、あぁ、あ〜あ。まさかこんな結末になっちゃうなんてなぁ〜」
「聞けよ」
 いや、五行が人の話を聞かないのはいつものことなんだけど、今だけは邪魔しないでほしかった。アレイスターと一対一で、互いの本当の立場を曝け出して話せるのなんて、今ぐらいしかないだろうから。
「木原五行、全能存在パントクラトールか」
 ほら話が次に移った。
「……………はぁ」
 僕の隣に立つ少女を見て、アレイスターが言った。
 当然、調べられている、か。
「くきっ、くききッ!!!ま〜さっか!第六物語シックススストーリーの主人公ヒーローが死んじゃうなんて。フラグの立て方ミスっちゃった?」
「あぁ、ラスボスとの交戦フラグを立てないでサブイベントに入れ込んだんだ。馬鹿なことにね」
「くきっ!なら私のしたことの意味がなくなっちゃうな〜。せっかく、第七物語セブンスストーリーの主人公ヒーロー連れてきて物語交錯クロスオーバーさせてあげようと思ったのに」
 わざとらしい口調でアレイスターを挑発する五行を僕は止められない。権限自体は僕の方が上だし、立場も僕の方が上だけど、物語を進める役トリックスターの自発的な動きを止めることは僕には出来ないし、しようとも思わない。
 そういう称号キャラクター性の持ち主の行動はどのみち止められないモノだし。
「ふん、たかが全能如きが私と   の話を邪魔をするのか」
 だいたい、物語を進める役トリックスターは自由だからこそ意味があるんだ。
「くきぃ!たかがっ、たかがだってさリーダー!……このあてをたかがだなんて、さすがにムカつくかなあああああああああああああ!!!!!」
 だからほら、また勝手に手の内を晒す。
「超克科学オルディニスクレアーレ――――――完全無欠ウルトラ、十全十美スーパー、常勝不敗アンリミテッド、絶対究極パーフェクトガール、故に私は全知全能の絶対神イズミー!」
 超克科学オルディニスクレアーレ。覚醒ブルートソウルした極点突破者デスペラードのみが使う事の出来る世界物語キャラクターストーリー理論の最終到達地点。人類最終到達地点候補生たちの目指すべき場所。
 といっても今回五行が使ったのは見る限りただの即興術に過ぎないのだけれど、出来れば勝手に使わないでほしかったなぁ……。
「あれ?発動しない……?……うん?」
 まぁ、当然邪魔されるんだけど。
「全能の逆説オムニポテント・パラドックス。……まさか知らないわけではあるまい」
 二言だった。そして、その事実がアレイスター=クロウリーという魔術師にして科学者の強さを示しているんだ。
「……ぶ〜、つまんなぁ〜い」
 がっかりと肩を下げて、興がそがれたように超克科学オルディニスクレアーレの発動を止めた五行。まさか、全能の逆説オムニポテント・パラドックスを、全能者は全能であるが故に全能ではないという一学説を忘れたわけではないだろうに。
 いや、五行のことだから本当に忘れていたのかもしれないけど。
「殺しちゃう?殺っちゃう?ねぇリーダー!」
「落ち着けよ五行。いや頼むから落ち着いてくれ。だいたい彼を殺したところで」
 
 空から剣が降ってきた。
 
975 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/08(火) 19:49:53.92 ID:rL2bgDx00
「死を晒せよ、侵略者インベーダー」
 そんな声と共に、全長数十キロメートルにもわたる長大な剣が五行の脳天に向かって振り下ろされる。誰が、どうやって?そんな疑問が浮かぶ……、
「痛い」
 だなんてことは当然なかった。
 当たり前のことだ。僕は知っている。僕は識しっている。その剣がどんなもので、その剣を操るのが誰なのかを。
「痛い痛い痛い!痛いよリーダー助けて!」
「はいはい。ちょっと待ってろ」
 剣が直撃してるのに傷一つついてないくせにそんな泣き言を言う五行に呆れながら僕は軽く剣に触れる。それだけで、剣は消え去る。
 干渉。
 無限に修正され続ける罪深き世界5Re:worldbreakerを使う僕からすればこの程度のことは当然だ。
「出てきなよ。いるんだろ?」
「無傷か」
 いつの間にかアレイスター=クロウリーの隣に立っている男を僕は知っている。
「右方のフィアンマ。あいつの下位互換程度が今更何の用?というか、この大絶滅リセットから生き残ってたんだ」
「……俺様も舐められたモノだ」
 僕のあからさまな挑発に、右方のフィアンマはあからさまに怒りを見せた。まぁ、下位互換と言われていい気になるような人間はいないだろう。
「あいつ、それって僕様のこと言ってるの、主あるじ?」
 そいつは右方のフィアンマと同じように突然現れた。
 これで3VS2。
「『神の代行人』GE13か」
「……下位互換程度が僕様に話しかけるなよ。ウザいんだよ代替品」
 GE13が右方のフィアンマを睨みつける。仕方がない事とはいえこの2人は相変わらず相性が悪い。といっても聖なる右を持つ右方のフィアンマが『神の代行人』であるGE13の劣化レプリカなのは周知の事実だ。そして自分の劣化レプリカ、クローンのようなモノが勝手に造られたというのは確かに気分の良いモノではないだろう。
「なんだ、還してほしいか?GE13オリジナル?」
 誰が見ても分かるくらい上から目線だった。
 その挑発には、当然GE13は耐えられない。
「――――――調子にっ」
「やめろ」
 だから僕は止めに入った。やれやれ、いくら『核』が固まっていないとはいえ、安易に行動するのはやめてほしいモノだ。
「あひゃひゃ!怒られてやんの〜!」
「……主」
 縋るように目を向ける13を、それでも僕は静止する。
「13、別に聖なる右を使われたところで君がオリジナルであるという事実は揺らがないさ。だから簡単な挑発に乗るなよ。……まだ、底を見せるな」
「了承したよ、主」
 底が知られても強さが変わらない先住民センチネルにとって強さを示すことは恐怖ではない。彼らの強さの限界点は1度知られている、だからこそその『上』にいけるんだ。底が暴かれれば弱くなる僕ら侵略者インベーダーとは違う。僕らは安易に力を晒せない。そうすれば、終わってしまうから。
「それにしても、本当に君達はこれで良かったのかい?」
「何がだ」
「大絶滅リセットで利するのは言うまでもなく侵略者インベーダーたる僕らだ。先住民センチネルたる君達からしたら、大絶滅リセットだけはどんな手段を使っても回避したかったんじゃないのかい?」
 少しの沈黙の後にアレイスター=クロウリーが口を開いた。
「ある意味ではそうかもしれない」
 肯定が返ってきた。
「だがある意味ではそうではないだろう」
 否定も返ってきた。
 そして後に続くように右方のフィアンマが言った。
「俺様達ももはや純粋な先住民センチネルとは言えまい。ならば妥協はするべきだ、というのが俺様達の出した結論だ。大絶滅リセット程度ならば、完全閉鎖アーカイブスルーや中断事象リアルが起きないのならば、やりようはいくらでもある」
「ふぅん……そう。だったらまぁ、初お披露目はこの程度でいいかな」
 そう言って僕は、諦めたように言う。そういうしかないから、言う。
「愛し子よMary、愛し子よMary、僕の愛するMy fair愛しき世界よMary Sue。
 その運命を改変しておくれCambiare il destino、
 その物語を書き換えておくれFare una storia。
 我が神のお望みとあらばWenn es meines Gottes Wille、
 我らが神のお望みとあらばWenn es unsere Gottes Wille、
 過去など無いに等しいのだDie Vergangenheit ist vorbei。
 すべての可能性を内包した書の中でO mundo onde há esperança e o desespero
 ただ一つの意志のみがEle destruiu何もかもを無に帰すのだo mundo」
 何度も言ってきた初めての詠唱を、僕は紡ぐ。
「絶対不変の絶対法則アンチェンジナブルラウ――――――無限に修正され続ける罪深き世界5Re:worldbreaker」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「さあ、やり直そうか」
 
「次は、失敗しないようにね」



一つ言っておこうか。

愛がないのならば、この物語の真実には辿り着けない。
976 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/08(火) 19:51:48.38 ID:9bQpT1IPo
人が楽しく雑談してる中でゴミみたいな文見せんな
977 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/08(火) 20:57:36.52 ID:rL2bgDx00

魔神が雑魚ってことはありませんのでご安心を。魔神に基礎スペックから勝てる存在は理外人外12名のみです。これは絶対に揺らがないので。
まぁ木原五行やパトリシア=バードウェイは|王の遺産《レガリア》を持っているので魔神に対抗は出来ますし、空白の主は絶対値で張り合う事は出来ますが。

白き女王は■■■■によって■■することは一応可能ですが、正直白き女王はこの|■■■《■■■■■■■■■■》では[ピーーー]ことが出来ます。なぜならば『穢れなき真実の剣持つ「白き」女王《iu・nu・fb・a・wuh・ei・kx・eu・pl・vjz》』は既に『|■■《■■■■■》』で――――――。
いえ、これは一応ネタバレになるので避けておきましょうか。
むしろ理外人外に対抗できるのは現状ならばアンナ=シュプンゲルが最有力候補ですかね。あるいはドラゴンキラー。あるいは東川守。あるいは俺。あるいは『ウミガメもどき』。あるいは『編み物のヒツジ』。
最も、本当の意味での最有力候補は『訪れた者の願いを歪んだ形で叶えてしまう街』から脱出した1人の少年と1人の少女ですが。

これからも精進して参りますのでどうかよろしくお願いいたします。



978 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/08(火) 22:05:44.50 ID:/Ot5+WwH0
>>969
好きとか嫌いじゃなくて上里には魅力が無さすぎた
唐突に出てきて何の積み重ねもないのに前線でブイブイ言わせてイキってる姿は、ホントに『作者がゴリ押したいだけ』感しかなくて嫌悪の塊だった
浜面も近いモノがあるが、そういう意味ではアレは浜面より酷い
唯一と泥沼の相打ちにでもなってハーレムもろともどっちも消滅して欲しかったわ
979 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/08(火) 23:31:40.15 ID:2VZrbrHi0
嫌いだからゴリ押されてるって思うだけじゃねえかなあ…
なんの積み重ねもないっていうけどむしろ積み重ねてる方がずっと出てきてゴリ押しになると思う
イキってるのはどう見てもロクな目に合わない前振りだったし
周りのハーレムは不快すぎたしその中心の上里にもいい思いはしなかったが
やりたいことはわかるがそれはそれとして不快だから見続けたくねえって思った上里勢力
980 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/09(水) 20:34:57.96 ID:FwsWpQWX0
上里ハーレムが何の成長もなく、何も失わず、何一つ反省しないままにぬけぬけと去って行ったのが釈然としない
フランも土御門に助けられてヒロインごっこしてたけど、アイツ助ける必要あった?としか思えない
981 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/09(水) 20:43:59.83 ID:DaTlPvxA0
必要のある無しで助けるのか?
982 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/09(水) 20:46:33.30 ID:hao0+ejfO
まあ結果だけ見れば上里の取り巻きは何も失っていとはいえ、それまでの過程で一方にボコられたり唯一に散々出し抜かれたり、
上条+2名にボコボコにされたりそれなりに痛い目は見てるから個人的にはそれほど目くじら立てる程でもないな
フランに関しても土御門としては自分の目的の達成のために助けただけだと思うけど
983 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/09(水) 21:44:59.75 ID:M4xfjtW00
https://syosetu.org/novel/56774/158.html
インデックスと大悪魔と空白の主@ 理を外れ人を外れた存在

 その場所は地球上のどこでもなく、それでいて地球という世界を見上げることのできる場所であった。白く、白く、白く、ただひたすらに白いその場所で、1人の少女が佇んでいた。
「……………………………………」
 呆然と、まるで信心深い宗教家が神に見放されたと自覚した時のように茫然と、その少女は立ち尽くしていた。
 何が起こってるのか分からないというのか、この場所がどこなのか分からないのか。
 いや、いいや、違う。そうじゃない。そんなモノじゃない。
「…………………………………………………………」
 ただ見えていないだけだ。ただ分かっていないだけだ。ただ受け入れていないだけだ。
 少女の世界は終わっていた。少女の世界は崩壊していた。少女の世界は破壊されていた。
 たった一人の少年の死によって、少女の自我は完全に終焉を迎えていた。
 だから少女はもはや廃人。
 ただ酸素を吸って二酸化炭素を吐くだけの人型物体。
「…………………………………………………………………………………………」
 それだけ大切な少年だったのだろう。
 それだけ喪いたくない人だったのだろう。
 己の命よりも、己の所蔵する10万と3000冊の魔導書よりも大切な存在だったのだろう。
 だから壊れた。
 よりもよってその死に様を直視してしまったから壊れた。
 己の無力が少年の死を招いたと誰に言われるまでもなく自覚していたから壊れた。
 魔神にすら至れる可能性を持つ幼き少女は、もう完膚なきまでに狂って終わって壊れた。
 そんな少女の名をインデックスという。
「――――――ごふっ」
 唐突にインデックスは吐血した。
 ただでさえ赤い紅い朱い修道服が、さらに赫く染まる。
 ただでさえ青い碧い藍い顔面が、さらに蒼く染まる。
「あ、ふっ……ひ」
 血を吐いて、血を吐いて、血を吐いて、白しか存在しない世界を少しだけ赤く染めて、インデックスは喉を抑えるようにして蹲った。どうでもいい、ひどくどうでもいいことでしかないが、喉奥に何かが引っかかっている。
 血溜でも引っかかっているのか。だとすればこのままでは窒息死してしまうかもしれない。
 窒息死。
 それはどれだけ苦しい死に様だろうか。
 上条の億分の一でも、当麻の兆分の一でも、救済者ヒーローの京分の一でも苦しいのだろうか。
「か、――――――ひぅ、ぐ、はひーっ、ひーーっ……ふ、……ひゅー、――――――」
 息が詰まる。
 それはきっと二重の意味での苦しみ。
 肉体的な、そしてそれを上回る精神的な苦しみ。
 後悔。
 後ろの悔い。
 痛い。
 痛い痛い。
 痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
 堪らない。
 耐えられる程度の、傷み。
「はっ、ははっ、……当麻、……当麻ぁ」
 時間の感覚なんてとっくの昔に無くなっていた。時節フラッシュバックするする現実を痛感しながら、インデックスはただ記憶の中の想い出後悔に浸る。立ち尽くして、血を吐いては蹲り、涙を流して顔を手で覆い、発狂した様に髪の毛を毟って爪を噛み、肌を引っ掻いてまた泣く。
 この白に埋め尽くされた空間を赤色で染めながら、インデックスはもうずっとそうしていた。
「…………あ゛………………………ひっ、ひくっ…………………ごふっ」
 そしてまた血を吐く。
「……………………………………………………………」。
 そしてまた沈黙する。
 痛いくらいの沈黙が白き空間を満たす。
 呆然と、まるで信心深い宗教家が神に見放されたと自覚した時のように茫然と、その少女は立ち尽くしていた。
「……………………当麻……………………………………」
 立ち尽くす。泣く。血を吐く。呻く。記憶のフラッシュバック。そのサイクル。
 ここが何処かもわからず、ここが何かも知らず、己が何をしているのかもわからず、ただ機械のように繰り返すそのサイクル。
 
 そ・こ・に・突・然・、異・物・が・雑・じ・る・。
 酷い様なりけるのよ」
 あり得ないことが起こった。
 あり得ざる存在が存在した。
「力ある存在キャラクターが、己の称号キャラクター性すらたもてなきとは」
 異物が雑じる。
 この白き空間には存在しないはずの存在が現れる。
「………………………………………………………………――――――――――――――――――――――――」
 その女は見た目18歳程度でありながら老齢な雰囲気を宿す矛盾した成り立ちをしていた。
 その女は背丈の2.5倍ほどある宝石店に売られていてもおかしくないような黄金色をした髪を持っていた。
 その女はベージュ色という本来では修道服としては相応しくない色をした修道服を着ていた。
 ……その女のことをきっとインデックスは知っていた。
「されとて、まさか『初まりの領域』にまで堕ちたりけるとはね」
 呆れたように、女はそんな台詞を口にする。予想外、とまではいかないが予定外の事態だった。上条当麻ヒーローの敗北とインデックスヒロインの崩壊。いくらこれが嘘だからといってそれはまだ早いだろうと僕は思うのだけど。その辺、お前らはどう思う?それも敵が人類絶対悪ビーストであるのならばともかく、ただの暗部組織が相手と来た。
984 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/09(水) 21:46:38.65 ID:M4xfjtW00
期待しすぎたか、と女は少しだけ反省する。
 だがある意味では仕方がないというか、当然の期待でもあったのだろう。
 彼らは本来ならば出来たはずなのだ。
 敗北をすることなく、勝利を掴めたはずなのだ。
 積み重ねた10年以上の時が、彼らが暗部組織程度の敵を、悪を蹴散らせる事実を保証しているはずなのに。
 それでも負けた。
 それでも負けたのは……やはり……。
「当麻……………………………………ぐすっ、………ひぅ……っ!…………当麻あ゛……………ぅうぅぅ……………………」
「ここまで近づきても気付けぬか……。………………潮時なるかな」
 距離50センチメートルでも反応無し。
 わりと大きな声を出しても反応無し。
 直接触ってみても、
「……………――――――――――――――――――……………………………――――――…………………………………………………………」
 直接触ってみても反応無し。
 だから女は決断する。
 幾つもの出来事イベントを乗り越え、10年以上の時をかけ積み重ねてきた全てを切り捨てる覚悟を持つ。
「仕方なき、か」
「…………………………………………………………………」
 見切りをつけた。
 インデックスは此処で終わりだ。ここまで上条当麻に依存していたことは完全に予想外だった。こんな廃人はもう役に立たない。どれだけ素晴らしい能力を持っていても、どれだけ貴重な役割ポジションをもっていても、どれだけ代替の効かない称号持ちネームドでも、この程度でいちいちいちいちメンタルケアを必要とするなら、ここまではともかく、これから少し先はともかく、全ての役者が揃った後では絶対に役に立たない。
 必要となるのは能力よりも技術よりも友人関係よりも金銭よりも精神なのだ。
 だからインデックスはもういらない。
 幸いにも変わりはもうきちんと登場している。
 だから躊躇いはなかった。
 勝つための最善手を、女は打つ。
「根源魔術オルディニスデーストルークティオー―――――― 揺らぎゆく自己同ドッペルゲン
 
「クラウ・ソラス+グングニル=万物貫九輝煌の剣クラウ・グングニル・ソラス」
 
 バグドダッッッ!!!!!、と轟音が響いた。
 第五宇宙速度をもって顕現した神話の武具が女に向かって直進する。
 人間では見ることも出来ないほどの速さ。
 人外でも追いつけないほどの速度。
 それが銀河集団脱出速度である第五宇宙速度。
 光速には届かないが、それでも十分すぎる。
 秒速にして1000キロメートルの攻撃を避けることなど、どんな生物でもできる訳がない。
 故に、
「…………………空白の主」
 女は避けなかった。
 いや、正確に言うなら避ける必要すらなかった。
 万物貫く輝煌の剣クラウ・グングニル・ソラス。
 アイルランド民話に登場する剣と北欧神話に登場する槍の特徴を合成させた融合神話武器。あらゆる敵を貫き、追尾し、切り裂く絶対の武器。
 それも敵がそれ以上の力を持つのなら意味はない。
「からからから、かかかからからからからからから!!!初めま四十のひ三四ぶりっ、大悪魔五六ンゾンンンンンンンンンン!!!!!!!!!」
 万物貫く輝煌の剣クラウ・グングニル・ソラスは女に、いやコロンゾンに刺さりもしなかった。当たる直前でコロンゾンの霊媒アバターであるローラ=ザザの左手が 万物貫く輝煌の剣クラウ・グングニル・ソラスを掴み取っていた。
 そしてそのまま握りつぶす。
「取り戻四二来たのか七守り二来たのか七助け二来たのか七救一二来たのか七ぁ!」
ついでとばかりに放たれる空白の主の追撃。
 フラガラッハ+ブリューナク+天下五剣=天下に轟く雷速絶貫の回答者天剣・フラガラック・ブリューナク。
 レーヴァティン+如意金箍棒にゅいきんこぼう=伸縮自在の全焼枝金棒・レーヴァティン。
 ハデスの兜+トリシューラ=不可視三叉槍トリシューラ・ハデス。
 それをコロンゾンローラは弾く、捌く、消す。
 その程度の武器ではコロンゾンは傷つけられない。
「遅一遅一遅一四遅すぎる!今ッ更ァッ、出来る訳が七一の二一!」
 コロンゾンを殺したいのであればそれこそ外世界の存在でも連れてこなければならないだろう。
 例えばタングラムとか。
「同士討ち!自爆!フ零ンドリーッッッ、ファ一アアアアアア!!!無自覚十八一え憐零だ四ね。仲間同士で潰四合う七ん十ッッッ!!!」
 威圧するかのように顔を歪ませる空白の主をコロンゾンローラは真正面から見つめる。
 まだ、敗けていない。
 ここからの逆転はあると信じている。
「勝ち誇るには早きけるのよ、空白の主」
「からから、勝ち誇る二八早きける?勝ち誇りもするよ。何せ、君達の最重要駒が一つ脱落四たんだからからからから!!!」
「まだ確定はせざりたるわ!」
 反撃。
 反抗。
 反対。
禁書目録インデックスは七連物語セブンスストーリーズ第六物語シックスストーリーの庇護対象ヒロインであろうぞ!」
「からからから。禁書目録一ンデッ九スの絶対性八まだ保障さ零十一七一。彼女八まだ庇護対象ヒ六一ンであっ十隣二並び立つ者メ一ンヒ六一ンじゃ七一」
 言葉と言葉の応酬おうしゅうはそれでも彼女たちが行えば全く別物へと変化する。
 片やこの世界においても十二指に入る単一存在。『333』の数字を等価に持ち、拡散という本質にそって世界に汚泥と悪逆を撒き散らす大悪魔であり、世の理の結合を妨げる人外。単純戦闘能力ではかのアレイスター=クロウリーですら敵わないとされる絶対にして先住民センチネル側の理外人外の1人。
 イギリス清教最大教主アークビショップ、必要悪の教会ネセサリウストップ、ローラ=スチュアートコロンゾン。
 片やこの世界においても十二指に入る始源存在。人類が生み出した文明の全てを無効化し、人類が殺害することは絶対不可能である人外。人類が生み出した文明の全てを支配し、操作し、隷属させる罪人。時空間を超越し、運命論からも抜け出し、神話を体現する原初の片割れにして侵略者インベーダー側の理外人外の1人。
 『初まりの領域』の主、本名未だ不明、『空白の主』。
985 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/09(水) 21:48:17.00 ID:M4xfjtW00
この二人――――――人ではないから二人という数え方が適切かは分からないが、二人からすれば言葉は十分に武器足りえる。
 なにせ二人が口にする言葉はただの言葉ではない。相手の称号キャラクター性に対する攻撃だ。
「インデックスはまだ死んでなきなのよ」
「今の一ンデッ九スが上条当麻の隣二立つ五十八不可能!そして、今の一ンデッ九ス八もう正気二八戻零七一!」
「そんなことはなきなのかしら!復活を望む声があれば黄金の餞はなむけでインデックスは復活できたるわっ!まだ、そこまでは確定していなきよ」
 だから二人とも必死だ。口論で負ければその時点で『核』が破壊されてしまう。そうなれば復活は絶対にできない。
 だから敗けられない。
 そして言い負かせれば、殺せる。
 故に本気の本気も本気。
 全力全開の全身全霊の一所懸命。
「からから、悪あがき!一ンデッ九ス八地球位相二八戻零七一!一ンデッ九ス八この『初まりの領域』で一生狂気二浸っ十過ごす!五零八確定四十一るのお!」
「それはどうなりけるかしら」
「………………?」
「インデックスとは、一つの称号キャラクター性を指すものではなかりけるわよ」
 この戦いを理解できる人間はどれくらいいるのか?
 この二人の言っていることが分かる存在はどれくらいいるのか?
 お前達には、
 君達には、
 
 
 
 理解できるか?



次の更新は7月中です。









読者による世界観考察が一定レベルを超えたため新要素を追加します。

赤き楔及び青き鎖及び黄金の餞はなむけシステムを追加しました。

【】は青き鎖に変化します。



なお、本来このシステムは四章終了後に追加する予定でした。皆さん鋭すぎ。





………………万が一、億が一、兆が一、追加システムの適用区分が分かる方がいらっしゃったらもう私がこの物語を書く必要はないかなぁ……。それはつまりこの物語の『真実』に辿り着いたってことだし。
986 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/10(木) 01:12:36.10 ID:ktMgRsjk0
謎長文でスレを埋め立てるの止めてくれないか?
987 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/10/10(木) 16:00:55.84 ID:3pAgt0pL0
じゅーでんちゅー
988 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/10(木) 21:36:42.87 ID:EyD0SHoY0
新約って物語じゃなくてキャラの扱いに問題ありすぎたよなあ
旧キャラは粗末に扱ったり割りばっかり食わせる
新キャラがことごとくヒーローに助けられ役の木偶と作者が推したいだけのゲテモノばかり
これで読者に切られんとでも思ったのかね・・・
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