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とあるシリーズ(禁書目録&超電磁砲)SS雑談スレpart20
- 980 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/09(水) 20:34:57.96 ID:FwsWpQWX0
- 上里ハーレムが何の成長もなく、何も失わず、何一つ反省しないままにぬけぬけと去って行ったのが釈然としない
フランも土御門に助けられてヒロインごっこしてたけど、アイツ助ける必要あった?としか思えない
- 981 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/09(水) 20:43:59.83 ID:DaTlPvxA0
- 必要のある無しで助けるのか?
- 982 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/09(水) 20:46:33.30 ID:hao0+ejfO
- まあ結果だけ見れば上里の取り巻きは何も失っていとはいえ、それまでの過程で一方にボコられたり唯一に散々出し抜かれたり、
上条+2名にボコボコにされたりそれなりに痛い目は見てるから個人的にはそれほど目くじら立てる程でもないな
フランに関しても土御門としては自分の目的の達成のために助けただけだと思うけど
- 983 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/09(水) 21:44:59.75 ID:M4xfjtW00
- https://syosetu.org/novel/56774/158.html
インデックスと大悪魔と空白の主@ 理を外れ人を外れた存在
その場所は地球上のどこでもなく、それでいて地球という世界を見上げることのできる場所であった。白く、白く、白く、ただひたすらに白いその場所で、1人の少女が佇んでいた。
「……………………………………」
呆然と、まるで信心深い宗教家が神に見放されたと自覚した時のように茫然と、その少女は立ち尽くしていた。
何が起こってるのか分からないというのか、この場所がどこなのか分からないのか。
いや、いいや、違う。そうじゃない。そんなモノじゃない。
「…………………………………………………………」
ただ見えていないだけだ。ただ分かっていないだけだ。ただ受け入れていないだけだ。
少女の世界は終わっていた。少女の世界は崩壊していた。少女の世界は破壊されていた。
たった一人の少年の死によって、少女の自我は完全に終焉を迎えていた。
だから少女はもはや廃人。
ただ酸素を吸って二酸化炭素を吐くだけの人型物体。
「…………………………………………………………………………………………」
それだけ大切な少年だったのだろう。
それだけ喪いたくない人だったのだろう。
己の命よりも、己の所蔵する10万と3000冊の魔導書よりも大切な存在だったのだろう。
だから壊れた。
よりもよってその死に様を直視してしまったから壊れた。
己の無力が少年の死を招いたと誰に言われるまでもなく自覚していたから壊れた。
魔神にすら至れる可能性を持つ幼き少女は、もう完膚なきまでに狂って終わって壊れた。
そんな少女の名をインデックスという。
「――――――ごふっ」
唐突にインデックスは吐血した。
ただでさえ赤い紅い朱い修道服が、さらに赫く染まる。
ただでさえ青い碧い藍い顔面が、さらに蒼く染まる。
「あ、ふっ……ひ」
血を吐いて、血を吐いて、血を吐いて、白しか存在しない世界を少しだけ赤く染めて、インデックスは喉を抑えるようにして蹲った。どうでもいい、ひどくどうでもいいことでしかないが、喉奥に何かが引っかかっている。
血溜でも引っかかっているのか。だとすればこのままでは窒息死してしまうかもしれない。
窒息死。
それはどれだけ苦しい死に様だろうか。
上条の億分の一でも、当麻の兆分の一でも、救済者ヒーローの京分の一でも苦しいのだろうか。
「か、――――――ひぅ、ぐ、はひーっ、ひーーっ……ふ、……ひゅー、――――――」
息が詰まる。
それはきっと二重の意味での苦しみ。
肉体的な、そしてそれを上回る精神的な苦しみ。
後悔。
後ろの悔い。
痛い。
痛い痛い。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
堪らない。
耐えられる程度の、傷み。
「はっ、ははっ、……当麻、……当麻ぁ」
時間の感覚なんてとっくの昔に無くなっていた。時節フラッシュバックするする現実を痛感しながら、インデックスはただ記憶の中の想い出後悔に浸る。立ち尽くして、血を吐いては蹲り、涙を流して顔を手で覆い、発狂した様に髪の毛を毟って爪を噛み、肌を引っ掻いてまた泣く。
この白に埋め尽くされた空間を赤色で染めながら、インデックスはもうずっとそうしていた。
「…………あ゛………………………ひっ、ひくっ…………………ごふっ」
そしてまた血を吐く。
「……………………………………………………………」。
そしてまた沈黙する。
痛いくらいの沈黙が白き空間を満たす。
呆然と、まるで信心深い宗教家が神に見放されたと自覚した時のように茫然と、その少女は立ち尽くしていた。
「……………………当麻……………………………………」
立ち尽くす。泣く。血を吐く。呻く。記憶のフラッシュバック。そのサイクル。
ここが何処かもわからず、ここが何かも知らず、己が何をしているのかもわからず、ただ機械のように繰り返すそのサイクル。
そ・こ・に・突・然・、異・物・が・雑・じ・る・。
酷い様なりけるのよ」
あり得ないことが起こった。
あり得ざる存在が存在した。
「力ある存在キャラクターが、己の称号キャラクター性すらたもてなきとは」
異物が雑じる。
この白き空間には存在しないはずの存在が現れる。
「………………………………………………………………――――――――――――――――――――――――」
その女は見た目18歳程度でありながら老齢な雰囲気を宿す矛盾した成り立ちをしていた。
その女は背丈の2.5倍ほどある宝石店に売られていてもおかしくないような黄金色をした髪を持っていた。
その女はベージュ色という本来では修道服としては相応しくない色をした修道服を着ていた。
……その女のことをきっとインデックスは知っていた。
「されとて、まさか『初まりの領域』にまで堕ちたりけるとはね」
呆れたように、女はそんな台詞を口にする。予想外、とまではいかないが予定外の事態だった。上条当麻ヒーローの敗北とインデックスヒロインの崩壊。いくらこれが嘘だからといってそれはまだ早いだろうと僕は思うのだけど。その辺、お前らはどう思う?それも敵が人類絶対悪ビーストであるのならばともかく、ただの暗部組織が相手と来た。
- 984 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/09(水) 21:46:38.65 ID:M4xfjtW00
- 期待しすぎたか、と女は少しだけ反省する。
だがある意味では仕方がないというか、当然の期待でもあったのだろう。
彼らは本来ならば出来たはずなのだ。
敗北をすることなく、勝利を掴めたはずなのだ。
積み重ねた10年以上の時が、彼らが暗部組織程度の敵を、悪を蹴散らせる事実を保証しているはずなのに。
それでも負けた。
それでも負けたのは……やはり……。
「当麻……………………………………ぐすっ、………ひぅ……っ!…………当麻あ゛……………ぅうぅぅ……………………」
「ここまで近づきても気付けぬか……。………………潮時なるかな」
距離50センチメートルでも反応無し。
わりと大きな声を出しても反応無し。
直接触ってみても、
「……………――――――――――――――――――……………………………――――――…………………………………………………………」
直接触ってみても反応無し。
だから女は決断する。
幾つもの出来事イベントを乗り越え、10年以上の時をかけ積み重ねてきた全てを切り捨てる覚悟を持つ。
「仕方なき、か」
「…………………………………………………………………」
見切りをつけた。
インデックスは此処で終わりだ。ここまで上条当麻に依存していたことは完全に予想外だった。こんな廃人はもう役に立たない。どれだけ素晴らしい能力を持っていても、どれだけ貴重な役割ポジションをもっていても、どれだけ代替の効かない称号持ちネームドでも、この程度でいちいちいちいちメンタルケアを必要とするなら、ここまではともかく、これから少し先はともかく、全ての役者が揃った後では絶対に役に立たない。
必要となるのは能力よりも技術よりも友人関係よりも金銭よりも精神なのだ。
だからインデックスはもういらない。
幸いにも変わりはもうきちんと登場している。
だから躊躇いはなかった。
勝つための最善手を、女は打つ。
「根源魔術オルディニスデーストルークティオー―――――― 揺らぎゆく自己同ドッペルゲン
「クラウ・ソラス+グングニル=万物貫九輝煌の剣クラウ・グングニル・ソラス」
バグドダッッッ!!!!!、と轟音が響いた。
第五宇宙速度をもって顕現した神話の武具が女に向かって直進する。
人間では見ることも出来ないほどの速さ。
人外でも追いつけないほどの速度。
それが銀河集団脱出速度である第五宇宙速度。
光速には届かないが、それでも十分すぎる。
秒速にして1000キロメートルの攻撃を避けることなど、どんな生物でもできる訳がない。
故に、
「…………………空白の主」
女は避けなかった。
いや、正確に言うなら避ける必要すらなかった。
万物貫く輝煌の剣クラウ・グングニル・ソラス。
アイルランド民話に登場する剣と北欧神話に登場する槍の特徴を合成させた融合神話武器。あらゆる敵を貫き、追尾し、切り裂く絶対の武器。
それも敵がそれ以上の力を持つのなら意味はない。
「からからから、かかかからからからからからから!!!初めま四十のひ三四ぶりっ、大悪魔五六ンゾンンンンンンンンンン!!!!!!!!!」
万物貫く輝煌の剣クラウ・グングニル・ソラスは女に、いやコロンゾンに刺さりもしなかった。当たる直前でコロンゾンの霊媒アバターであるローラ=ザザの左手が 万物貫く輝煌の剣クラウ・グングニル・ソラスを掴み取っていた。
そしてそのまま握りつぶす。
「取り戻四二来たのか七守り二来たのか七助け二来たのか七救一二来たのか七ぁ!」
ついでとばかりに放たれる空白の主の追撃。
フラガラッハ+ブリューナク+天下五剣=天下に轟く雷速絶貫の回答者天剣・フラガラック・ブリューナク。
レーヴァティン+如意金箍棒にゅいきんこぼう=伸縮自在の全焼枝金棒・レーヴァティン。
ハデスの兜+トリシューラ=不可視三叉槍トリシューラ・ハデス。
それをコロンゾンローラは弾く、捌く、消す。
その程度の武器ではコロンゾンは傷つけられない。
「遅一遅一遅一四遅すぎる!今ッ更ァッ、出来る訳が七一の二一!」
コロンゾンを殺したいのであればそれこそ外世界の存在でも連れてこなければならないだろう。
例えばタングラムとか。
「同士討ち!自爆!フ零ンドリーッッッ、ファ一アアアアアア!!!無自覚十八一え憐零だ四ね。仲間同士で潰四合う七ん十ッッッ!!!」
威圧するかのように顔を歪ませる空白の主をコロンゾンローラは真正面から見つめる。
まだ、敗けていない。
ここからの逆転はあると信じている。
「勝ち誇るには早きけるのよ、空白の主」
「からから、勝ち誇る二八早きける?勝ち誇りもするよ。何せ、君達の最重要駒が一つ脱落四たんだからからからから!!!」
「まだ確定はせざりたるわ!」
反撃。
反抗。
反対。
禁書目録インデックスは七連物語セブンスストーリーズ第六物語シックスストーリーの庇護対象ヒロインであろうぞ!」
「からからから。禁書目録一ンデッ九スの絶対性八まだ保障さ零十一七一。彼女八まだ庇護対象ヒ六一ンであっ十隣二並び立つ者メ一ンヒ六一ンじゃ七一」
言葉と言葉の応酬おうしゅうはそれでも彼女たちが行えば全く別物へと変化する。
片やこの世界においても十二指に入る単一存在。『333』の数字を等価に持ち、拡散という本質にそって世界に汚泥と悪逆を撒き散らす大悪魔であり、世の理の結合を妨げる人外。単純戦闘能力ではかのアレイスター=クロウリーですら敵わないとされる絶対にして先住民センチネル側の理外人外の1人。
イギリス清教最大教主アークビショップ、必要悪の教会ネセサリウストップ、ローラ=スチュアートコロンゾン。
片やこの世界においても十二指に入る始源存在。人類が生み出した文明の全てを無効化し、人類が殺害することは絶対不可能である人外。人類が生み出した文明の全てを支配し、操作し、隷属させる罪人。時空間を超越し、運命論からも抜け出し、神話を体現する原初の片割れにして侵略者インベーダー側の理外人外の1人。
『初まりの領域』の主、本名未だ不明、『空白の主』。
- 985 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/09(水) 21:48:17.00 ID:M4xfjtW00
- この二人――――――人ではないから二人という数え方が適切かは分からないが、二人からすれば言葉は十分に武器足りえる。
なにせ二人が口にする言葉はただの言葉ではない。相手の称号キャラクター性に対する攻撃だ。
「インデックスはまだ死んでなきなのよ」
「今の一ンデッ九スが上条当麻の隣二立つ五十八不可能!そして、今の一ンデッ九ス八もう正気二八戻零七一!」
「そんなことはなきなのかしら!復活を望む声があれば黄金の餞はなむけでインデックスは復活できたるわっ!まだ、そこまでは確定していなきよ」
だから二人とも必死だ。口論で負ければその時点で『核』が破壊されてしまう。そうなれば復活は絶対にできない。
だから敗けられない。
そして言い負かせれば、殺せる。
故に本気の本気も本気。
全力全開の全身全霊の一所懸命。
「からから、悪あがき!一ンデッ九ス八地球位相二八戻零七一!一ンデッ九ス八この『初まりの領域』で一生狂気二浸っ十過ごす!五零八確定四十一るのお!」
「それはどうなりけるかしら」
「………………?」
「インデックスとは、一つの称号キャラクター性を指すものではなかりけるわよ」
この戦いを理解できる人間はどれくらいいるのか?
この二人の言っていることが分かる存在はどれくらいいるのか?
お前達には、
君達には、
理解できるか?
次の更新は7月中です。
読者による世界観考察が一定レベルを超えたため新要素を追加します。
赤き楔及び青き鎖及び黄金の餞はなむけシステムを追加しました。
【】は青き鎖に変化します。
なお、本来このシステムは四章終了後に追加する予定でした。皆さん鋭すぎ。
………………万が一、億が一、兆が一、追加システムの適用区分が分かる方がいらっしゃったらもう私がこの物語を書く必要はないかなぁ……。それはつまりこの物語の『真実』に辿り着いたってことだし。
- 986 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/10(木) 01:12:36.10 ID:ktMgRsjk0
- 謎長文でスレを埋め立てるの止めてくれないか?
- 987 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/10/10(木) 16:00:55.84 ID:3pAgt0pL0
- じゅーでんちゅー
- 988 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/10(木) 21:36:42.87 ID:EyD0SHoY0
- 新約って物語じゃなくてキャラの扱いに問題ありすぎたよなあ
旧キャラは粗末に扱ったり割りばっかり食わせる
新キャラがことごとくヒーローに助けられ役の木偶と作者が推したいだけのゲテモノばかり
これで読者に切られんとでも思ったのかね・・・
- 989 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/11(金) 00:08:38.75 ID:Z9Ltf886O
- そんなの旧からそうだし……
一方以降の蛇足なスピンオフとかアニメ3期やるの遅かったりいざやったらゴミなクオリティーにしたりメディア展開がへたくそではあるが、
本編の作風とかは何ら変わってないからその点に関してはかまちー可哀想だと思うくらいだな
- 990 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/11(金) 00:16:13.68 ID:NVJ7eUrO0
- それで切るなら旧約の時点で切られてるでしょ
読んでない奴はそういう叩きを旧約の時からしてたし
そういう作風なの自体は読者は受け入れてたのに離れてったってことは他に原因がある
- 991 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/11(金) 00:17:08.01 ID:NVJ7eUrO0
- 踏んだけどスレ重複の使うのか新しく立てるかどっちがいいかね
- 992 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/11(金) 01:19:56.80 ID:56FmROcC0
- すまん
何故か駄目だった
申し訳ないけど誰か頼む
- 993 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/11(金) 08:29:02.96 ID:NVJ7eUrO0
- 自分も何かのエラーで書き込めんな
- 994 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/11(金) 14:30:08.00 ID:hdjVR47TO
- とあるシリーズ(禁書目録&超電磁砲)SS雑談スレpart21
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1570771725/
- 995 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/11(金) 19:57:36.14 ID:zkEqJAPm0
- 乙
>>990
つーかもう付き合いきれなくなったんだと思うよ
「昔からそうだ」は「何時まででも通じる」という意味にはならない
なんにでも「飽和」や「過剰」や「限界」ってモンはある
インフレもキャラの多さも粗雑な展開も、いい加減にしろって思われた時点であとは薬よりも毒になるだけ
- 996 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/11(金) 20:40:37.89 ID:Z9kuUGJ40
- https://syosetu.org/novel/56774/160.html
親友と家族を天秤にかけた。
彼女は絆より愛を選んだ。
家族と恋人を天秤にかけた。
彼女は愛より恋を選んだ。
恋人と自分を天秤にかけた。
私は、
私は恋より生を望んだ。
――――――二九七
そろそろ根幹を探求してみようか
上条当麻とパトリシア@ 『主メイン』『人キャラ』『公クター』
目覚めは鬱屈だった。
底なしの泥沼に嵌ってしまったかのような倦怠感が上条の身体を襲っていた。
「……っ、……ぅ、あ?」
覚醒する意識と共に背中に冷たい感覚が奔る。
何かを探すように手を動かして、重く感じる頭を起こして、
上条は自分が今いる場所が廃ビルの一室であることに気が付いた。
「……………………………?」
床に無造作に寝かされた影響か、痛む全身を無視しながら、途切れ途切れの記憶を手繰り寄せて上条は現状把握に尽力する。
そう、確か、上条は……、あのスタジアムで『誰か』と戦って……。
「どう、……なったんだ?」
記憶はそこで途切れていた。1周目の世界で人類が死滅した理由を探るためにインデックスに協力を仰ぎ、1周目のインデックスの行動の理由を推理して『スタディ』の居城があるスタジアムの地上部に行き、そこで『誰か』による襲撃を受け、上条はその襲撃者の攻撃によって胸や肩を貫かれて、
「!?」
バッ、と上条は自らの身体を弄った。混乱していたからか今まで全く気が付かなかったが、スタジアムで戦っていた時と服装が変わっている。制服から半袖シャツと半ズボンに洋服が変わっている。
上条が自ら着替えた記憶を持たない以上、誰かが上条を着せ替えたのだろう。
だが、それよりももっと重大な異常が上条の身には在った。
「傷が……」
無かった。
「……………………………」
あるはずのモノがなかった。
記憶と現実に齟齬があった。
「……なん、で」
極限の混乱を抱えながら、上条はもう一度自分の身体を触る。
少なくとも右肩と左腹と右胸には大穴があいていたはずだ。不可視の攻撃、おそらく銃弾のようなモノが上条を貫き、上条はその痛みから地面に倒れた。
それは覚えている。
だからおかしい。
あの傷はそう簡単に塞がるようなモノではない。
身体にあいた大穴はそう簡単に消えるモノではない。
「それに、ここはどこなんだ?」
普通に考えれば、もしもあの状況から助かったのだとすれば、上条は病院に運ばれているはずだ。
誰が病院に連絡してくれたのかとか、どうして襲撃者は上条に止めをささなかったのかとか、なぜ上条はあれほどの傷を負って即死していないのかとか、いろいろ問題点疑問点はあるにしろ、現在上条が助かっている、生きている以上、普通に考えれば上条は病院で治療を受けたと考えられる。
そしてそうだとすれば納得できるのだ。病院で適切な治療を受け、その結果として大怪我が治った。大いに納得できる。だが、現実は違う。上条がいる場所は明らかに病院などではなく、治療を受けたような痕跡すらない。
だからわからない。
「何が……、どうなってるんだ…………」
項垂れる。
何も分からない。
何も、何一つとして。
上条一人では、此処からどうすればいいか全く判断が出来ないだろう。
「あっ、起きたたんですか?」
「っ!?」
- 997 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/11(金) 20:41:37.37 ID:Z9kuUGJ40
- だからこそ外からアクションがあった。状況を進めるための駒が外側から現れた。
「あんた、は?」
現れたのは短い金髪をカチューシャで押さえ額を露出した髪型をした少女だった。服装に関しては短めのプリーツスカートに半袖のブラウスといった極一般的なモノ。ただし一目で学園都市製ではないと分かる材質で造られていて、故にこの少女は『外』から来た人間であると上条は一目でわかった。
年齢のせいか見目麗しいというほどではないが、それでも可愛らしい、庇護欲をそそられる容姿をした少女。
だが、その姿にはどこか違和感があった。
(……鬘かつら?)
違和感の原因は身体でも服装でもない。その髪だ。
光を反射して輝く金髪の中に明度の違う金髪が混じっている。その明度の違いが上条に違和感をもたらしている。
1人の少女が持つ2種類の金髪。それが上条にどうしようもない違和感を与えていた。
だが、もちろんそれは重要なことではない。
より正確に言うのであれば上・条・当・麻・の・所・属・す・る・物・語・に・関・係・の・あ・る・話・で・は・な・い・。
「私はパトリシア=バードウェイ。欧州最大の魔術結社、『明け色の陽射し』のサブリーダーで、あなたと同じ七連物語セブンスストーリーズに属する人間。役割ポジションと称号キャラクター性は主役級メインキャラクターと主人公ヒーロー。そして手にした唯一性オリジナリティは誰も救えない英雄ガラクタヒーロー。……誰一人として救うことのできなかった、どうしようもない欠陥英雄ガラクタですよ」
悔恨の過去に自嘲しながら、パトリシアはそう自己紹介した。
久し振りに会った、会う事の出来た、自分と『同じ立場』の存在。抗えない『宿命運命』を担った同類。
もう『終わってしまった』パトリシアには根源的には関係ない事だが、しかし物語交錯クロスオーバーした以上完全に無関係ではいられない。
パトリシアは上条が七連物語セブンスストーリーズのどの物語に所属しているのか知らない。パトリシア自身が所属していた第四物語フォースストーリー、同じ『立場』の知り合いがいる第二物語セカンドストーリー、『完結』している第一物語ファーストストーリーと第三物語サードストーリーは除くとして、残りの3つ、第五物語フィフスストーリー、第六物語シックススストーリー、そして第七物語セブンスストーリーのどれに上条が所属しているかはまだこの時点では分からない。
けれど間違いなく『同類』だ。
それが分かる。分かるのだ。
だから必然、パトリシアの上条に対する好感度は高く、同時に低い。
それはパトリシアが上条に期待しているからで上条を羨んでいるからだ。
『終わってしまった』蛇足の人生を生きるパトリシアと比べて、上条はまだこれからだと分かる。
あんな戦闘に巻き込まれていたことからも分かる。
「『明け色の陽射し』……、魔術結社?」
上条はパトリシアの言っていることの8割も理解していなかった。だから、理解できた単語だけを口に出した。
魔術結社、『明け色の陽射し』。
魔術結社という単語はインデックスから聞いたことがある。
その名の通り魔術師の組織。同じ志を持った複数の魔術師が所属する組織。それが魔術結社。
「……そっちに注目するんですか?私達のような存在にとって重要なのはそっちじゃなくて称号キャラクター性の方なんじゃ?」
「称号キャラクター性?」
「……?……何で理解できないみたいな顔してるんですか?あなただって私と同じ、私と同じ主人公ヒーローでしょう?」
端的に言って、
「当り前のように命の危機に瀕して、当たり前のように多くの人に好まれて、当たり前のように秘密を抱えて」
ひどく単純な話として
「誰かのために身体をはって、誰かのために心を擦り減らして、誰かのために生きる」
とても簡単なことで、
「主人公ヒーローでしょう?」
上条当麻はパトリシア=バードウェイの言っていることが何一つとして理解できなかった。
「何、言ってんだ……?」
『終わってしまった』パトリシアと『始まったばかり』の上条では自分の立場に関する理解度が大きく違う。
役割ポジションと称号キャラクター性、そして唯一性オリジナリティ。
主役級メインキャラクターであり、主人公ヒーローとして覚醒ユーヴァーメンシュした結果、誰も救えない英雄ガラクタヒーローの称号キャラクター性を手に入れたパトリシア。
パトリシアは自覚している。この世界の在り方についてすべてではないが知っている。
パトリシアの物語は既に『完結して終わって』しまっているから、パトリシアは上条よりも先に進んでいる。
対して上条は違う。上条の物語はまだ始まったばかりだ。
上条は主役級メインキャラクターであり主人公ヒーローでこそあるが、まだ覚醒ユーヴァーメンシュしていないし、故に固有の称号キャラクター性を持っていない。
つまりは称号持ちネームドとしてはまだ半人前だ。
個性がない、と言い換えてもいい。
記号的である、とすら言ってもいい。
だからまだ上条は知らない。
パトリシアの領域には届かない。
「ん、えーと」
パトリシアの表情に戸惑いが混ざる。あり得ない事態への困惑。予想外の反応への混乱。このタイミング、この時期であれば知っていて当然のはずなのだ。その当然を知らないとは一体どういうことなのか。
「………………………」
パトリシアの知っている限り第一物語ファーストストーリーから第四物語フィフスストーリーまでの物語は既に『完結』している。そして『完結』している以上、それぞれの物語の主人公ヒーローは世界物語キャラクターストーリー理論の概要くらいは知っているはずなのだ。
故に断定される。この少年の所属は第五物語フィフスストーリーか第六物語シックスストーリーか第七物語セブンスストーリーである。
だが、パトリシアは既に物語交錯クロスオーバーしている第二物語セカンドストーリーの主人公ヒーローから第五物語フィフスストーリーと第六物語シックスストーリーの情報を聞いている。
情報によれば第五物語フィフスストーリーの舞台は現実世界ではなく、第六物語シックスストーリーの舞台は学園都市外のはずだ。つまりこの少年の所属は第五物語フィフスストーリー及び第六物語シックスストーリーではないとパトリシアは断定する。
ということは、
であるとすれば、
その推論が正しいのであれば、
「あ、な……たが……?」
いや、いいや。
辿り着く。
パトリシアはようやくたどり着く。
- 998 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/11(金) 20:43:11.81 ID:Z9kuUGJ40
- 「あなたが、」
その喜悦を抑えられない。
求め続けていた『中心』。世界の全てを操ることのできる本当の『最重要人物キーキャラクター』。核の違う、格の違う『最後の希望Last future of Embryo』。
それが、今、目の前にいる?
「あなたが主軸メインストーリーなんですか?」
見つめる。
見つめる。
口元が歪む。
いや、いいや、断定していいはずだ。
「ねぇ、答えてよ」
詰問口調になるのも仕方がないだろう。なんせ本当に長い間求め続けてきたのだ。あの地獄を乗り越えて、人類史史上最大の犠牲者を出したテロを踏み越えて、三発目の核爆弾の爆発を止められないで終わったFDEGを想い出にして、永劫の悪夢をリフレインさせながら生きることを選んで、心を擦り減らして精神を狂気に浸して魂を冒されながら生きてきた絶望のヒビが、
ようやく、終わる。
「あなたが、全部終わらせられる、何もかもを完膚なきまでに救う、完全で、完璧で、完成された、最新の、最後の、最高の、正常に動作する、正当な行動だけをする、皆に認められて、誰にでも褒められて、頂点に立つ、多くを導く、悪人を説得できる、敵でも協力させられる、どうしてか都合の良い事ばかり起きて、あり得ないくらいのペースで事件に巻き込まれて、試練もあるけど乗り越えて、たくさんの異性から好意を持たれて、特殊な力を持っていて、いろいろなことを隠されていて、出自に秘密があったりして、土壇場で逆転の秘策を思いついて、追い詰められれば覚醒して、自然に仲間が出来て、普段はくだらない日常を過ごしていて、平穏を維持するために戦って、時に精神的な問題を抱えて、出来のいい師匠がいて、親友が闇堕ちしたりして、死んだと思っても実は生きていて、知り合いの死を乗り越えて、もともとはただの一般人で、昏めの過去を持っていて、ぶれない信念があって、トラウマを抱えていたりして、覚悟を決めるイベントがあって、因縁のあるライバルがいたりして、くだらないことに悩んだりして、ラッキースケベを体験して、重要人物とのコネを持っていて、大統領とか裏組織のトップとかと繋がりがあって、実は両親が重要人物で、黒幕の思惑に利用されて、だけど絶対に悪を倒すことが出来る、世界を救える、人を助けられる、誰も犠牲にしない第三の選択肢を生み出すことが出来る、尋常じゃない回復力と常人とは比べものにならない才能を持っている、誰にでも出来ることを率先してやる、神様にこそ愛された、選ばれている、愛されていた、都合の良い、天才的な閃きを持つ、運よく生き残る、よく事件に巻き込まれる、いつの間にか世界規模の戦いに参加している、高校生以下で、飲酒も喫煙もしない、血だらけになってもたてる、アバラが折れても戦闘を続行できる、咄嗟に誰かを庇える、自分の命を誰かのために使える、大怪我を負っても敵に立ち向かう、正義感に満ちた、曲がったことが赦せない、柔軟で、高度な、臨機応変に動ける、迫害された、差別された、仲のいい同性の友人が情報通で、急に転校生が同じクラスに来たりして、道端で重要人物とぶつかって、時にあくどいこともやる、1人暮らしの、辛い過去を持った、頭のいい、でも馬鹿だったりする、誰にでも優しくて、努力家で、みんなを手伝える縁の下の力持ちで、神様に選ばれた、多くの人に支持される、どうしようもないほどに愛に満ちた、人間離れした、裏切りも許容する、特別で、特異で、特性で、スピンオフとかで活躍しちゃう、表と裏を、白と黒を、光と闇を行き帰する、誰よりも」
「なんなんだよッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!」
「―――――――――――――――――――………………」
「なぁ、なんだよ!?さっきから黙って聞いてりゃ訳の分からないことをべらべらしゃべりやがってッ!主人公ヒーロー?主軸メインストーリー?なんだよそりゃ?俺は知らない知らない知らなんだよそんなことはッッッ!!!」
髪をぐちゃぐちゃに掻き毟って上条は叫んだ。
いっぱいいっぱいなのだ。
ある意味ではパトリシア以上に上条には余裕がなかった。
だから睨みつける。ねめつける。憎しみをもって、上条はパトリシアのことを見る。
訳が分からないいい加減にしてくれどうして俺ばっかりと、圧倒的な負の感情をぶつける。
「どうしてこんなわけのわかんない事ばっか起きるんだよ!?どうして俺にばっかりこんな『不幸』が降り注ぐんだよ!?なんで前の人類は死滅したんだ!?誰があのスタジアムで俺を撃ったんだ!?お前はいったい誰なんだよ!?どうして俺の身体には傷一つないんだよ!?どうして、どうしてっ、どうして……っっっ」
もちろん、普段の上条はこんな理不尽なことはしない。きちんとパトリシアの話を聞いて、分からないことを理解しようと努力して、相互理解を努めようとするだろう。
上条の根幹にあるのは優しさだ。どれだけの悪人でも、どれだけイカレテイル存在でも、問答無用で殴りつけるなんてことはしない。
だから珍しいのだ。本当に珍しいのだ。
上条当麻という人間が年下の少女を理不尽に怒鳴りつけるなんてことは。
「…………………………………俺に、何を、どうしろっていうんだよ」
そう言って、上条はズルズルと壁にもたれかかった。
何をすればいいか分からない。何が起きているのか分からない。どうすれば正解なのか判断できない。
情報が足りなくて、人手が足りなくて、信頼の有無が理解できなくて、もう一歩も動けない。
全てが分からないからもう終わりだ。
「俺は、………………もう…………………」
「一つ、アドバイスしてあげます」
よく分かっていた。
パトリシアは今の上条のことをよくわかっていた。
かつてのパトリシアも今の上条と同じようなことがあった。
誰が敵か分からず、誰が味方か分からず、何をすればいいか分からず、どう行動を起こせばいいのかわからず、そもそも行動を起こすことが正解なのか分からず、手掛かりもなく、たった一人で恐怖に震え、絶望に悲嘆し、実の姉すらも攻撃したその過去。
救えない。
救えない。
救えない。
生半可な言葉では、届かない。
「――諦めるのは簡単です」
だから単純でいい。
「でも」
たった二言でいい。
「私達主人公には、似合わない」
私達主人公は必ずもう一度立ち上がれると、誰も救えない英雄パトリシア=バードウェイは知っている。
かつての自分がそうだったように、上条も必ず立ち上がるとパトリシアは知っている。
主人公ヒーローとは、そういう生き物だ。
少しだけ、明かされる『世界観』。
次の更新は8月中にです。
- 999 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/11(金) 20:43:43.88 ID:Z9kuUGJ40
-
- 1000 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/11(金) 20:44:29.10 ID:Z9kuUGJ40
-
…………えっ?上条のキャラクターが原作と違うって?
あははっ、よく気付いたね。
でも大丈夫。それにはきちんと理由があるんだ。
あははっ、だって彼はもう――――――――――――――――――
ね?
分かるだろう?
- 1001 :1001 :Over 1000 Thread
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