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【安価とコンマ】剣と魔法の世界で生き延びる その12
- 641 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/12/11(水) 00:32:43.63 ID:IxAaPcp0O
- 乙!
おでかけ……最後の判定で偶数ゾロ……うっ、頭が!?とりあえず>>1のこの反応見るかぎりアイナ大勝利の可能性でてきたかな?
白帝さん名付けはありだと思う。アベルも愛馬にファフニールって名前つけたし
- 642 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/12/11(水) 07:44:01.41 ID:CutP/IZQO
- ほのぼのした導入と
割と平穏そうな序盤からの
ゾロ目発動による急展開
最早お約束と化してるレベルやね
しかしこのメンバーでやべーレベルのトラブル……
……生えちゃう?
- 643 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/12/11(水) 13:25:00.56 ID:BMC61XTA0
- 白帝さんの名前かー
強くて立派な見た目だけど
小動物っぽいところがあって愛嬌があるとなると
フィーア「ドラ〇もんが良いと思います!普段はドラちゃんで!」
キアラ「まずいですよ!」
- 644 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/12/11(水) 15:55:42.26 ID:C8RVpvHoO
- ネーミングセンスある人はほんと羨ましいわ。俺なんか白い竜ならもうシロちゃんくらいしか思い浮かばんもん
しかし何故かドジっ子臭する白帝さんも実はレベル500オーバーかつ大補正持ち?っていう化け物という事実
ガチギレ魔改造リーヴに素の状態で匹敵するとなると本来なら相当やばい相手だった筈だよね
- 645 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/12/11(水) 18:59:37.08 ID:VLOo6VF2O
- フィーアが名付けるとなると
可愛らしさとそこそこの教養に
沿った感じの名前ってイメージ
シンプルにパイロンとかでもしっくりきそうではあるかな
まあ先走りはあんま良くないだろうし
まずはローズさん一行の続きを待ってます
- 646 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/12/11(水) 19:15:53.12 ID:UvCyMpq/0
- 広大・巨大な純白となると雪
竜の特徴となれば角・牙・翼
白帝竜の特徴といえば鳴き声の「キュ」
各国の言葉と組み合わせればテュッキュとかキュネーヴェとか色々出てくるね
何気にファフニールも先に使われていなければ候補だったかも
- 647 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/12/12(木) 01:31:48.86 ID:lEh1W2720
- ここはシンプルに「ハク」…使い古されて面白くないか
- 648 : ◆gEU9La026k [saga]:2019/12/16(月) 23:48:59.05 ID:S1kQmrim0
- こんばんはー
また間がかなり空いてしまい申し訳ない限りです……
せめてまたクリスマスには更新できるよう仕事を片付けておきたい今日この頃
白帝さんの名前は有りのようなので、イベント発生時に安価コンマ判定をとろうと思います
少しだけですが、ローズ隊のお話進めておきます
- 649 : ◆gEU9La026k [saga]:2019/12/16(月) 23:49:43.79 ID:S1kQmrim0
- 5連特殊判定結果(>>633より)
1:帝都の治安
59>40
※基準値を超えたため、平和なおでかけ
――
【帝国・帝都】
ガヤガヤ…
アイナ「今日も賑やかですね……」キョロキョロ
ローズ「えぇ。心なしか、以前よりも明るい雰囲気に感じるわネ」
スミレ「以前はちょっといざこざがあったようですけどね」
スミレ「その時は、偶々居あわせたカイン様が騒動を治めてくれたようです」
ローズ「フフ、カイン様にもだいぶいい変化が出てきたわネ」
ローズ「天使達の不安が一つ取り除かれたのは、大きな進展ヨ」ホクホク
アイナ「お二人とも、兄妹仲良くしたいって常々思われていましたもんね」
ローズ「そうヨ。兄妹で争い合うなんてもっての他なんだから!」
スミレ「もっとも、もし皇族のご兄妹が争われたら……」
アイナ「キアラ様とフィーア様が勝っちゃいますよね、多分……」
ローズ「……それは言わないお約束ヨ」
ローズ「あの子達だって稀有な才能に恵まれただけで、本当は争いごとは嫌いなんだから」
アイナ「争い事が好きな女の子って、そもそもいないんじゃ……?」ウーン?
ローズ「あら、アタシは強者と拳を交えるのは結構好きヨ?」
アイナ「」
ローズ「はしたないかもしれないけれど、これが天使を守る力にも繋がると思うと、ネ」ゴキゴキ…
ザワザワ…
帝都民1「お、おいメイド長だぞ……!?」
帝都民2「やばいやばい、なんか拳鳴らしてるぞぉ!?」ガクブル…
スミレ「……ローズさん、今日は休暇のお買いものですので」スッ…
スミレ「普段以上に、レディー面を出しておいた方がよろしいかと……」コソコソ…
ローズ「そ、そうネ……」スッ…
アイナ「……」
アイナ(争うとか、喧嘩は嫌だけど……)
アイナ(――私は、逞しくてカッコいい男の時のローズさんも好きなんですよ?)
……
――
- 650 : ◆gEU9La026k [saga]:2019/12/16(月) 23:50:19.36 ID:S1kQmrim0
- ――
……
ローズ「ふぅ……思ったより買っちゃったわネ」
アイナ「そ、そうですね。ちょっとお財布の紐が……」アセアセ
スミレ「いえ、前にボクが見た時よりも安くなっていましたし……」
ローズ「質も良くなっているように見えるワ。王国との交流のおかげかしらネ?」
アイナ「なんだかんだで、ちゃんと帝国と王国も馴染めているのでしょうか?」
ローズ「まだまだこれから、と言ったところネ。急速に溝は埋まらないものヨ?」
スミレ「そうですね。確かに質は良くなりましたが、王国本土と比較するとまだまだです」
スミレ「お店も、手さぐりしている状態なのではないでしょうか?」
アイナ「なるほど……」
ローズ「それでも、良くなったのは確か。これでよりレディーとして身だしなみを整えられるワ!」
ローズ「あなた達も普段から身だしなみに気を使ってくれてるし、本当に嬉しい!」
アイナ「えへへ///」テレテレ
スミレ「ローズさんのおかげですよ///」
ローズ「ふふ、そう言って貰えるとありがたいわネ」
ローズ「待っていなさいアタシの爪にお肌……」
ローズ「すぐに、元以上の美しさにしてあげるワ……!」ゴゴゴ…!
アイナ「ローズさん、元のお肌が綺麗だから大丈夫ですよ!」
スミレ「……」
スミレ「そういえば……」
ローズ&アイナ「「?」」
スミレ「ふと気になったのですが、ローズさんのお肌の手入れ……」
スミレ「いえ、レディーとしての嗜みを身に着け始めたのはいつ頃からなのでしょう?」ハテ?
アイナ「ローズさんがまだ、完璧なレディーじゃなかった頃ってことかな?」
スミレ「そうですね。少し、気になります」
ローズ「あら、乙女の秘密を探りたいお年頃かしら?」
ローズ「そうねェ……」
ローズ「……」
――
- 651 : ◆gEU9La026k [saga]:2019/12/16(月) 23:51:09.50 ID:S1kQmrim0
- ――
特殊判定結果
2:ローズの過去の境遇
29(恵まれてはいたが、理解はされず)<50
※基準値を下回った為、過酷な境遇回避
――
ローズ「……そういえば、しっかりとアタシの昔話なんてしたことなかったかしら?」
スミレ「そう、ですね。ボク達からすればローズさんは初めから頼りになる存在でしたし……」
アイナ(私はスミレちゃんよりも前からローズさんを知ってるけど……)
アイナ(だいたい10年くらい前だったかな? あの時から、すごくかっこよくて……///)
アイナ「わ、私も気になります///」
ローズ「ん〜……別に大したものでもないわヨ?」
ローズ「一応これでもアタシの家はそれなりに裕福でネ……所謂お貴族様かしらネ?」
ローズ「帝国は実力主義とはいえ、お金の力も強いのもまた事実だけど……」
ローズ「それ以上に、帝国貴族はあることに力を入れていたの」
アイナ&スミレ「「?」」
ローズ「作法と教養、そして美貌。アタシに限らず、貴族は自分の娘達を立派なレディーにしようとしていたのヨ」
ローズ「――皇子様に、あわよくば皇帝陛下に取り入ろうとしてネ?」
アイナ「えっ!?」
スミレ「……なんとも、無謀に聞こえてしまいますね」
ローズ「勿論その通りヨ? 実力至上主義の陛下がそこら辺の貴族の娘に靡くことはありえなかったというか……」
ローズ「まずあのフローレンに見つかった瞬間に、もれなく炭にされるんだもの」
ローズ「だから、貴族達は第一皇子のアドルラン様に目をつけたわけ」
ローズ「もっとも、あの人も媚びてくる女が嫌いだったから、まるで意味はなかったみたいだけどネ……」
ローズ「それでも、鍛えずにさらに裕福な暮らしを追い求める貴族もまだまだ残っていたワ」
ローズ「そういった貴族は、地位は低くとも皇子には違いないとアベル様を狙っていたみたい」
ローズ「まだ子供のアベル様を性的に襲って、手籠めにしようとする悪女もいたそうヨ?」
アイナ「エリスちゃんが聞いたら怒りそうだなぁ……」ブルブル…
ローズ「まあ今のアベル様を見ればわかるけど、結局それも失敗しているワ」
ローズ「貴族の打算的なレディーのお勉強じゃあ、当然の結果ネ」
アイナ「そ、そうですよ! 邪な目的を持っていては、本当の自分磨きなんてできません……!」
ローズ「偉い! 流石アイナちゃん、その通りヨ!」ビシ!
アイナ「えへへへ///」テレテレ
スミレ「……」
スミレ(……カイン様に触れない。これが、今ボクが取るべき最善の行動ですね)
- 652 : ◆gEU9La026k [saga]:2019/12/16(月) 23:51:48.05 ID:S1kQmrim0
- アイナ「……あれ? でもそれだと、作法の勉強をしていたのは女の子だけ?」
アイナ「男の子の貴族はどうしていたんですか?」
ローズ「……女の子よりもっと単純。帝国男子、強くあれ! ヨ」
ローズ「帝国は装備の質も良くなかったのが大きいけど……」
ローズ「王城の正規の騎士団や皇族以外は重鎧や大剣なんて高価なものは手を出せなかった」
ローズ「だから比較的安価な剣やナイフ、もっと行き着くと買い替える必要のない己の拳を武器とする人が多い……」
ローズ「……そしてそんな人たちよりも優位に立ちたいというか、誇示したかった貴族の御坊ちゃまの武器は豪奢なもの」
ローズ「装飾の施された細剣……見た目も綺麗だし、大ぶりな剣やナイフの攻撃も経験を積めばいなせる武器ネ」
ローズ「……」フゥ…
ローズ「とはいえ、所詮は貴族のおままごと。アーシャちゃんみたいな細剣使いの方が極めて稀な存在ヨ」
ローズ「男の子も女の子も、中途半端なお勉強……それが帝国貴族の大部分を占めていたワ」
スミレ「……王国もですが、まともな貴族というものはどこの国でも少ないようですね」
ローズ「そうネ。そしてアタシの家も、漏れなくその駄目な方の家だった……」
ローズ「……一応、昔のアタシは男の子だったから。ひたすらに武術の稽古をさせられたワ」
ローズ「逆に女の子はほとんど作法のお勉強。やることが多岐に渡るから、武芸なんて最後の最後にできるかどうか……」
ローズ「男に生まれても、女に生まれても。結局は不自由な暮らしを強いられるのヨ」
アイナ「……」
スミレ「……」
ローズ「昔のアタシは弱くてネ。別の貴族の娘さんが剣を振らずに紅茶の淹れ方の勉強しているのを見て……」
ローズ「心底思ったものヨ。女の子に生まれたかったってネ……」
アイナ「ローズさん……」
ローズ「だけど、すぐにその考えは改められることになったワ」
アイナ「え?」
――
- 653 : ◆gEU9La026k [saga]:2019/12/16(月) 23:56:54.93 ID:S1kQmrim0
- 短いですが今日はここまで
ローズはキャラシートに本名があるので、最初期は普通に男の子だったと認識しています
このままローズ→アイナ→スミレの過去を交えつつ進み、現在でのローズ隊と白帝の小イベント→コンマ偶数ゾロイベントの流れになるかと思います
本日もありがとうございました!
- 654 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/12/17(火) 00:00:04.82 ID:XTxSJ05A0
- 乙です 忙しそうですが無事で何より
低コンマが上手いこと良い位置を踏み抜いてたのは朗報やね
- 655 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/12/17(火) 00:04:29.72 ID:e6ZA8DPcO
- おつおつ!年末は忙しいし仕方がないというか、空いてもこの程度でちゃんと更新来るのは嬉しい
しかしこうなると、残った判定からしてアイナとスミレの境遇が基準値超えのハード踏み抜いたかな?
あとお兄ちゃんに合掌したいが、エメリナに会えたこと考えると悪く無いかもね
- 656 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/12/17(火) 00:06:08.36 ID:YgSA/3Q00
- 偶数ゾロ目アピしていた>>837の自己中か?
悪い結果になってたら嬉ションしながら煽って叩くつもりだっただろ?
- 657 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/12/17(火) 08:06:56.96 ID:kmaPPHBH0
- ローズさんは育ちが過酷な環境ではなかった分だけ
他者を指導して引き上げるという発想に行きつく余裕があったともとれそう
- 658 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/12/17(火) 16:09:08.28 ID:CLzaJlVWO
- キャラシ確認してきたがローズさんまだ若いのね。それでいてあの有能っぷりとは……
パパン達親世代除くと最年長スカーレットさんってのにも驚きだが、そういや鯖読みってバレてないのか?
- 659 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/12/20(金) 16:39:57.19 ID:XzkbbQZA0
- スカーレットさんは精力が力の源でそれをクラウス王始めきちんと理解しているからこその
容認とやり過ぎへのストップだよな改めて色々見直すと
ローズさんは普通に男が一番脂乗ってる年齢層だし如何にそれまでの下積みや努力が凄まじかったかを表す今の実力でもある
なおそれと互角以上で渡り合うメイド
- 660 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/12/20(金) 19:38:30.07 ID:KhUKL2XsO
- エリスも境遇は悲惨だったけど、めぐまれた才能+弛まぬ努力+強烈なコンマ運ってそりゃ強くなるわな
次期メイド長になりそうなレベルだけど、ローズさんと違って装備品開発力とかは無いから難しいんかな
- 661 : ◆gEU9La026k [saga]:2019/12/22(日) 23:48:49.12 ID:7BnyMnY50
- こんばんはー
立て続けにこんなに空いてしまうって本当にもう……
とりあえず、ローズ過去部分だけ投下していきます
- 662 : ◆gEU9La026k [saga]:2019/12/22(日) 23:49:48.79 ID:7BnyMnY50
- ――
ローズ「……ある時のこと。その密やかに憧れていた貴族の娘さんはある事件に巻き込まれた」
アイナ「!!」
ローズ「今のアタシからみても、小さいながらに立派なレディーと言える、本当に気品溢れる子だったんだけどネ」
ローズ「……武芸まで、手はまわっていなかったのヨ」
ローズ「帝国は実力主義。最終的には、武力が持ち出されるワ」
ローズ「もし、あの子もせめて身を守る術を知っていれば……」
アイナ「……」
ローズ「ただ闇雲に剣を振るうだけの男の子には品格が足りない……」
ローズ「でも所作が洗練されても戦えない女の子は餌食にされてしまう……」
ローズ「――強く、美しく。両方兼ね備えた人こそが、一番なんだって気がついたのヨ」
スミレ「それで、今のローズさんに……」
ローズ「ええ。まあアタシは元々からして、女の子のドレスとかに憧れていた節はあったんだけれどネ……」
ローズ「正直に両親に話したら、見事に勘当されたワ」
アイナ「そ、そんな!」
ローズ「まあ覚悟は決めていたけれどネ。あの家にいたところで、アタシは一生強くも美しくもなれなかったと断言できる」
ローズ「そして一人放り出されたアタシは……まず剣を捨てて、拳を鍛えたワ」
スミレ「拳を、ですか?」
ローズ「そうヨ? 強く男らしくなるには、自分の肉体が基本だもの」
アイナ「あれ? でも男の子だけじゃ駄目だから女の子の勉強もするんですよね?」
ローズ「うーん……自分で言うのも変だけれど、アタシのこれは自分でも変わっている自覚はあったしネ」
ローズ「両親の反応もそうだけれど、一般的にはアタシがレディーの作法を学ぶなんて変な目で見られたワ」
ローズ「――だからまずは男を、力を磨くの。実力主義なんだから、強ければ多少変わっていようが認めざるを得ないでしょう?」
アイナ「な、なるほど」
ローズ「しばらく生き延びるために喧嘩に明け暮れた後は、王城の使用人試験に向かったワ」
スミレ「兵士志願ではなかったんですね?」
ローズ「あなた達ならわかると思うけど、兵士よりもメイドや執事の方が覚えなきゃいけないこと沢山あるでしょう?」
ローズ「一人前のレディーを目指すにおいて、これ以上の適職はないわヨ?」
ローズ「まさかちゃんとした知識も教養も無い人が、誰かのお世話なんてできないでしょう?」
アイナ「確かに言われてみると……」
- 663 : ◆gEU9La026k [saga]:2019/12/22(日) 23:50:33.65 ID:7BnyMnY50
- ローズ「まあ、それでも当時からして最優先は武力だったんだけれどネ……」ハァ…
ローズ「合格した後は、王城内の平執事から始めたワ」
スミレ「メ、メイドじゃなかったんですか!?」
ローズ「……本当はそっちのほうがよかったんだけれどネ」
ローズ「自分でも未熟とわかっている状態で、まだ早いと思ったのヨ」
ローズ「でも同時に活力にもなったワ。いつか、あの可愛いメイド服を着てやるんだって……!」
ローズ「ゆくゆくは、アタシの趣味も取り入れたさらに可愛いメイド服にしてやるんだってネ!」グッ!
アイナ「私が今、このメイド服を着られているのもローズさんのおかげなんですよね……」ヒラヒラ
ローズ「アイナちゃんが私の趣味をわかってくれる子で本当に嬉しかったわぁ……」
アイナ(確かにこのデザイン好きだけど、本当は少しでもローズさんに近づきたいからなんだけどね……///)
スミレ「……メイド服じゃないローズさん、ですか」
スミレ「きっとボクよりもずっと上手く執事服も着こなされたんでしょうね……」
アイナ(うん! カッコいいよ執事ローズさん///)グッ!
ローズ「当時のアタシはまだまだだったわヨ? 与えられる仕事も雑務ばかり……」
ローズ「でもそんな雑務の中で、一つの出会いがあったの」
アイナ&スミレ「「出会い?」」
ローズ「ええ。メイド長という今のアタシを生み出す原因になったとも言えるわネ」
ローズ「……もう、十数年前かしら?」
ローズ「そうあの日……」
――――
―――
――
―
- 664 : ◆gEU9La026k [saga]:2019/12/22(日) 23:51:15.38 ID:7BnyMnY50
- 〜〜〜〜
……
【帝国・王城】
フローレン「それじゃあ、よろしくねぇ?」
上級メイド達「「はっ!」」ビシ!
ローゼン「……」
下級メイド達「「……」」ブルブル…
フローレン「あら、あなた達は余っちゃった子かしらぁ?」
フローレン「まだ新米みたいだけどぉ……あ、そうだわぁ!」ポン!
フローレン「優しい私が、特別にお仕事をあげるわよぉ?」
フローレン「どれだけ家具を割ろうが、お茶をぶちまけようが怒らないから安心なさいな?」
下級メイド「ど、どのような……?」ブルブル
フローレン「――妾のノワールのお世話よ」
下級メイド達「「!?」」
フローレン「ああ、ついでに庭園の草むしりもお願いしとこうかしら?」
フローレン「それじゃあ私は用事があるし失礼するわぁ。頑張ってねぇ?」ヒラヒラ
……
下級メイド1「ど、どうしよう……」ガタガタ…
下級メイド2「妾って言っても、一度は陛下が選ばれるような方……」ガタガタ…
下級メイド3「もし、また何か失敗をすればきっと……!」ガタガタ…
ローゼン「……」
ローゼン「まずは、俺……が行きます。仮に罰を受けたとして、一番丈夫なのは俺ですから」
下級メイド1「た、確かに戦闘技能ではローゼン君が一番だったけれど……本当にいいの?」
ローゼン「ええ。草むしりとかを先輩に押し付けることになってしまいますが……」
下級メイド2「ううん全然全然!」ブンブン!
下級メイド3「私達毟るの大好きぃ!」
ローゼン「では……」
……
――
- 665 : ◆gEU9La026k [saga]:2019/12/22(日) 23:52:22.79 ID:7BnyMnY50
- ――
……
ローゼン「……」ツカツカ…
ローゼン(フローレン妃は、どうにも好きになれないけど……)
ローゼン(所作は、紛れもない淑女のもの。皇妃ともなれば、当然に求められるもの……)
ローゼン(今の身分じゃとても近づけないけど、妾とはいえ同じく妃のノワール様のお世話……)
ローゼン(至らないだろうけれど、レディーとしての知識を得られるまたとない機会……!)
ローゼン「……」スゥ…
コンコン
「はい。開いていますよ?」
ガチャ…
ローゼン「……失礼致します。本日のお世話を担当させて頂きます、ローゼンとっ――」
ノワール「あら、わざわざありがとう。ちょうどさっき焼き菓子を作ったのだけれど、いかがです?」
ローゼン「」
ノワール「できれば私以外の誰かに味の感想を聞きたかったのだけれど……」
ローゼン「」
ローゼン(な、なんだこの人は……!?)
ローゼン(ドレスじゃない、とても皇妃が着るとは思えない質素な黒衣なのに……見事な着こなし、そして滲み出る気品!)
ローゼン(それでいて、隙が無い……! 間違いなく、戦闘経験を積んだ強者の気配……!)
ローゼン「……!」ハッ!
ローゼン「し、失礼致しました。しかし私如きに……」
ノワール「ふふ、もっと楽になさって? そっちの方が私も嬉しいわ」
ローゼン「で、では恐れ多いですが……いただきます」サク!
ローゼン「っ、お……美味しい!?」
ノワール「ふふ、よかった。あ、紅茶も用意した方がいいかしら?」
ローゼン「ま、待ってください! 私がすぐに用意致しますのでっ!?」バッ!
――
- 666 : ◆gEU9La026k [saga]:2019/12/22(日) 23:53:20.48 ID:7BnyMnY50
- ――
ローズ「いやぁ、あの日は色々と驚いたわねぇ……」シミジミ…
アイナ「ノワール様の、お世話係……」ゴクリ…
スミレ「本来であれば、とても雑務とは思えないですね……」
ローズ「そもそもあの人に、お世話役なんて不要だったと思うけどネ」
ローズ「フローレンとしては、あえて経験の浅いメイドや執事を宛がうことで……」
ローズ「慈悲深い皇妃様は、妾にもちゃんとお世話役を送っているという体を取りたかったのかしらネ?」
ローズ「まあ多分、あの言い振りからするとミスをしてノワール様に紅茶をぶっかけて欲しかったのかもしれないケド」
ローズ「仮にアタシがぶちまけたとしても、多分ノワール様なら回避するか凍らせるかしたと思うワ」
スミレ「当時から、既にお強い方だったんですね……」
ローズ「……ええ。あの時感じたのは、確かな強さと気品。アタシが求めるものを、あの人はもう持っていたの」
アイナ「確かにノワール様、レディーですよね。色々なことに精通なさっていますし……」
スミレ「……改めて思うと、ボクらはローズさんを目標としていますが、ノワール様も十分に目標にすべき方ですね」
アイナ「うんうん……。でもそっかぁ……」
ローズ「?」
アイナ「当時のローズさんにとって、ノワール様が目指すべき目標だったんですよね?」
ローズ「そうネ。気品に加えて、隠し刃のようなあの強者の圧は憧れたワ」
アイナ「……か、髪とかも、やっぱりノワール様みたいな艶やかな黒髪に憧れますかっ!?」
ローズ「ん? ん〜……確かにあの髪はとても綺麗とは思うけど、アタシは明るい色の方が好きかもネ?」
アイナ(よし!)グッ!
スミレ(アイナさん、露骨過ぎますよ……)
ローズ「……でも、アタシにとってノワール様は憧れではあったけど、本当の出会いはまだまだなのヨ?」
アイナ&スミレ「「え?」」
ローズ「ノワール様は、アタシなんかにも気さくに接してくれたワ」
ローズ「正直、聞いていた噂は冷徹冷酷って話ばかりだったから面食らったけど……」
――――
―――
――
―
- 667 : ◆gEU9La026k [saga]:2019/12/22(日) 23:54:00.18 ID:7BnyMnY50
- ……
ノワール「あら、嬉しい。今日もあなたなのね」
ローゼン「……申し訳ありません」
ノワール「どうして謝るのですか?」
ローゼン「……私は執事です。だというのに、紅茶の淹れ方から何まで、ノワール様のお手を……」
ノワール「ふふふ……別に構わないのに」ニコニコ
ローゼン「……」
ノワール「……意外かしら?」
ローゼン「え!?」ドキ!
ノワール「闇夜に溶け込み、多くの敵兵を葬ってきた私が、こんなことをしているだなんて?」
ローゼン「……いえ、そのような」フルフル…
ローゼン「その……正直に言ってしまうと私は、貴女様に憧れの感情さえ抱いています」
ノワール「あら……」
ローゼン「強く、美しく……男も女も関係なく、私の目指す姿といいますか……その」
ノワール「……ありがとう。自分でも、まさかこんな風になるとは思っていなかったのですけれどね」
ローゼン「?」
ノワール「……私は、あの人の隣にはいられない。けれど、あの人から子供を授かった……」
ノワール「こんな私に、子供が出来た。私と違ってしっかりと育ってほしい、そう思うと……」
ノワール「――母親として、あの子に色々教えてあげたい。だからこそ、まずは自分が色々と磨かないといけない」
ノワール「あの子のことを思えば、どんな勉強も全然苦になりませんもの」フフフ
ローゼン「……とても、大切になされているのですね」
ノワール「ええ、とても大切です。アベルも、そして……あの子達も」
ローゼン「……達?」
ノワール「たとえ私と血は繋がっていなくても、あの人の子供。アベルの大切な兄妹ですもの……」
- 668 : ◆gEU9La026k [saga]:2019/12/22(日) 23:55:03.31 ID:7BnyMnY50
- ノワール「あ、そういえばまだあなたにちゃんと挨拶をさせていなかったかしら?」
ノワール「ちょっとだけ待っていてくださいね。もうすぐアベルも鍛錬を終えてくる筈だから……」
ガチャ…
幼アベル「母上、午前の鍛錬を終えて参りました」スッ
幼アベル「この後は座学で……ん?」
ローゼン(この子が……)
幼アベル「母上、こちらの方は?」
ノワール「ローゼンさんよ。私のお世話をしてくれている優しい人ですよ?」
ローゼン「いえ、私など……」
幼アベル「ローゼンさん……」
幼アベル「初めまして、第三皇子のアベルでございます」ペコリ
ローゼン「か、顔をお上げください!? 私のような見習い執事にそのような……!」
ノワール「ふふ、でも前回の紅茶の淹れ方……かなり手際がよかったですよね?」
ノワール「きっとすぐに、優秀な執事になれますよ。 アベルも教わってみたらどうかしら?」
ローゼン「!?」
幼アベル「……そうですね。俺は、様々なことを学んで強くならなければなりませんからね」
ローゼン(荷が重すぎる!?)
アベル「ただ、今は――」クイクイ
ローゼン「ん?」
幼キアラ「にーたま、ごほんよんで……?」
幼アベル「ああ、待っていろキアラ。あまり時間は無いが、好きな本を読んでやるからな」
ローゼン「――天使がいるワ!?」ヴッ!
幼アベル「!?」ビク!
幼キアラ「!?」ビク!
ノワール(……わ?)
- 669 : ◆gEU9La026k [saga]:2019/12/22(日) 23:56:52.57 ID:7BnyMnY50
- ローゼン「!!!」ハッ!
ローゼン「し、失礼致しました!」フキフキ!
ローゼン(あ、危ない危ない。こんなところで取り乱すなんて、全然駄目……)
ローゼン(ああ、でも……)チラ
幼キアラ「」ビクビク…
幼アベル「よしよし、大丈夫だぞキアラ……」ナデナデ
ローゼン「ん゛んっ!」ビクン!
ノワール(……丁寧な紅茶の淹れ方といい、もしかしてこの子……)ジー…
ドタドタ!
帝国兵「し、失礼致します! キアラ様はこちらにおりますでしょうか!?」ザザ!
ノワール「……ええ。ここに。どうされました?」
帝国兵「その、実は……」
幼フィーア「ぴええええぇぇぇぇぇぇぇ!」ジタバタ!
帝国兵「あたた!? フィーア様が、また泣き止まなくてですね……!」
帝国兵「確か、キアラ様には特に懐かれているようでしたので、どうにかしていただければと……」
キアラ「……」
キアラ「……」トコトコ…
アベル「キアラにはまだ重いだろう? 俺がフィーアを持つから、その間にあやしてくれ」スッ
帝国兵「か、かしこまりました」スッ…
アベル「よ……と。ん?」
キアラ「あ……?」
幼フィーア「あぅ、だぁ〜♪」ニコニコ
帝国兵「驚いたな。やっぱりキアラ様達の傍にいた方がフィーア様も……」
帝国兵「……」
帝国兵「その……申し訳ありません。後でフローレン様がいらっしゃるかもしれませんが……」
ノワール「……ええ。彼女が戻るまで、私達でフィーアの面倒はちゃんと見ておきます」
帝国兵「ありがとうございます……!」ペコリ
タタタ…
幼フィーア「きゃっきゃっ♪」
幼キアラ「よし、よし……」ユサユサ
幼アベル「ふふ、こうしてるとキアラももうお姉さんだな?」
ノワール「ええ、本当に……あら?」
ローゼン「」ボタボタ…
一同「「」」
――
- 670 : ◆gEU9La026k [saga]:2019/12/22(日) 23:57:33.92 ID:7BnyMnY50
- ――
ローズ「……その日、私は二人の天使に出会えたのヨ」
ローズ「ノワール様にも、アタシの趣味が色々ばれちゃったけど……」
ローズ「あの人はそれでも、アタシを受け入れてくれた」
ローズ「だから、あの部屋でだけは……あの子達の前でだけは、あの頃からアタシは自分自身を曝け出せたワ」
ローズ「……流石に外では表に出せなかったけどネ?」
アイナ「そんなことが……」
スミレ「本当にキアラ様とフィーア様が幼い頃から、お二人を守ってきたのですね……」
ローズ「……フィーアちゃんのあの笑顔は、絶対に守ってみせると自分に誓ったワ」
ローズ「それにキアラちゃんの、お兄ちゃんの袖を引っ張りながらの精一杯のアピール……!」
ローズ「アタシったらいつの間に天使を二人も産んでいたのかって、変な気分になっちゃった程ヨ!」クネクネ
ローズ「まあ、そこからネ。王城で働きつつ、ノワール様のところで自分を解放しつつ知識を学び……」
ローズ「アベル様も、どこか危なっかしい気もしたけどアタシには気を許してくれたみたいだし」
ローズ「アベル様の後ろについてきた天使達とも会えて、楽しい時間だったわぁ……」
アイナ「でも……」
ローズ「……ええ。それから数年もしないうちに、アベル様とカイン様は暗黒街に捨てられたワ」
ローズ「思えばあの時のアタシも天使に浮かれて、周りが見えていなかった……」
ローズ「あれだけ子供達を前ににこやかに笑うノワール様が、どうして時々表情を曇らせるのか……」
ローズ「どうして、アベル様はノワール様の教育を必死に頭に叩き込んでいたのか……」
ローズ「きっと、その時が近いことがわかっていたのネ……」
ローズ「それからノワール様もどこかへ連れられて……天使達は拠り所を失ってしまった」
ローズ「……だから、残されたアタシが二人を守らないと。より強い決心を固めて、さらなる修行にはげんだの」
ローズ「もう王城内でアタシの本性を剥きだしにしても、誰も何も言えなくなるくらい……」
ローズ「天使達が、アベル様にまた会いたいと願ってもそれを強行できるくらいに、ネ……」
ローズ「あとは二人も知る通り、いつも天使達を気に掛けるメイド長ローズヨ?」
スミレ「ローズさんがキアラ様達に強い想いをもってお世話する理由、少しわかった気がします」
アイナ「うん!」
アイナ(……やっぱり、ローズさんは憶えてないよね)
アイナ(今のお話だと、まだ修行中の頃だったのかな?)
アイナ(それでも、私にとってはあの日……///)
――――
―――
――
―
- 671 : ◆gEU9La026k [saga]:2019/12/23(月) 00:00:28.52 ID:3fJc9MbG0
- と、ローズの過去語りが終わって次にアイナというあたりで今日はここまで
せめてクリスマス用にまた小ネタを用意で来たらとか考えている場合ではありませんね
本当に一年って早いというか、年明けたら少しは時間取り戻せるかなぁ……
本日もありがとうございました!
- 672 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/12/23(月) 00:00:41.34 ID:FMJ8QFcFO
- そう考えるとローズさん
一歩間違えば即妹ズの世話係とか
速攻で出禁レベルだったんやな
- 673 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/12/23(月) 00:13:27.73 ID:lriE3f1RO
- 乙
なるほど昔から短いとはいえママンやアベルとも交友はあったのか
残された妹ズがいい子に育ったのもローズさんがあれだけ有能なのもこっから猛特訓したからなんだな……
- 674 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/12/23(月) 00:16:38.84 ID:Vy4w9S1A0
- 乙 更新されてホッとした
小ネタはこの世界だと旧約の天使がそのままいそうだし
クリスマスに関係するキリストのような主がいるのか微妙っぽそうだが
あるいは俺らの年末年始に被せるのも有りかも
スポーツ王みたいなノリとか
リーナが帝国の行事に目をつけて歌合戦みたいの企画して
結婚式とは別に皆の歌唱力の上昇具合を確認しながら優劣も付けるとか
- 675 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/12/23(月) 00:23:26.09 ID:gFlnNf8R0
- 乙
ローズさんが鼻血出すのも無理もない天使ですな
- 676 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/12/23(月) 11:20:39.54 ID:D2GtXAbBO
- 改めて見るとキアラの人生かなりハードモードだな
両親からは期待されず、慕っていたぽいアベルと義母とはすぐに別離
残った実兄もアドルラン兄様は多分自分の肉体改善で余裕無し、カインお兄ちゃんは復帰後はあの有様だし、ローズさんマジ偉大
- 677 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/12/23(月) 18:25:40.14 ID:Q504KQGeO
- >>674
年始でスポーツ王だとまず杉谷が浮かぶけど、この面子だとあのポジションはほぼ間違いなくお兄ちゃんだよなw
- 678 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/12/29(日) 10:54:27.35 ID:zBZ9xNdFO
- フローレンの方が似合いそうな気もする
ノワール「フローレン。左で撃ちなさい」
フローレン「なんなのなんなの氷影の暗殺者があなた」
ノワール「左で撃ちなさい」
フローレン「……やってやろうじゃないのよぉぉぉ!!」
こうか
- 679 : ◆gEU9La026k [saga]:2019/12/29(日) 23:45:56.49 ID:t5FTX3+E0
- 生存報告です……本当に申し訳ありません
ようやく職場のデスマーチが終わった為、少しづつですが明日から更新を再開できればと思います
年始イベントとか挟めればよかったのですが、イベント途中の為少々難しいかもです
- 680 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/12/30(月) 00:46:35.98 ID:9WqjEPjsO
- おつおつ
ようやっと仕事納めか、無理せずしっかり休んでくれてええんやで
- 681 : ◆gEU9La026k [saga]:2019/12/30(月) 23:56:50.49 ID:MFHqCXFA0
- こんばんはー
ぎ、ぎりぎりまだ今日の筈……
だいぶ間が空いてしまいましたが、再開します
- 682 : ◆gEU9La026k [saga]:2019/12/30(月) 23:58:05.58 ID:MFHqCXFA0
- ――
特殊判定結果(>>635)
3:アイナの過去の境遇(キャラシートより平民以上は確定)
53(平民街で、苦労しながら細々と)>50
※基準値を上回った為、少し過酷な境遇
――
……10年前……
アイナ母「アイナ、本当に大丈夫かい……?」コホコホ…
幼アイナ「う、うん……! わ、私だってもう立派な大人だもん……!」
幼アイナ「お母さんのお薬くらい、一人でも買いに行けるよ……!」
アイナ母「ごめんねぇ……こんな時に、風邪をこじらせるだなんて……」コホコホ…
アイナ母「私が行ければいいんだけど、眩暈が酷くて……」
幼アイナ「だ、駄目だよじっとしてなきゃ!」ワタワタ
――
私の家は……所謂、平民の家だった。
帝国と言う国の中では、どちらかと言えば恵まれている方ではあったと思う。
隅っこの方とはいえ、帝都で暮らせていたのだから。
雨の降り込まない石造りのお家。
贅沢はできないけれど、毎日何かを食べることができた。
硬くて軋むけど、安心して眠れるベッド。
過酷な貧民街に比べたら、なんて恵まれた環境だろう。
帝都で暮らす。これは貧民街の住民なら誰もが憧れることだ。
そして同時に、ステータスでもある。
帝都で暮らせるイコール、程度の差はあるけど立派な実力者。
貧民や、上がり立ての平民に対して強く出ても許される身分。
彼らを搾取して、取り込んで、奪って……
その身を肥やして、やがて帝都内でもその地位をあげることはできる筈だ。
――
アイナ母「ごほごほ……! アイナ、わかっているね……?」
アイナ母「絶対に、絶対に無茶は駄目だよ?」
幼アイナ「うん、大丈夫……!」
幼アイナ「お父さんの代わりに、私がお母さんを助けるんだから……!」
アイナ母「アイナ……」
――
でも、私はそんなことはできなかった。
帝国人らしくないのかもしれないけれど、私は誰かから何かを奪ってまで幸せになろうとかは思えなかった。
……仮に思えても、私は返り討ちにあって逆に毟られていただろうけど。
私は――私の家は、帝都の平民ながらに……貧民街にも劣る程の弱い家だったから。
- 683 : ◆gEU9La026k [saga]:2019/12/30(月) 23:58:33.11 ID:MFHqCXFA0
- あの頃の私は、ただの取り柄の無い子供で。
お母さんは、働き過ぎで体調をよく崩していた。
そんな私達が帝都で暮らせていたのも、全部お父さんのおかげ。
腕っぷしに自信があったお父さんは、末端だけど帝国騎士団の一員を務めていた。
実力主義、とりわけ武力がものを言う帝国において……
皇帝陛下の御膝元、帝国の兵になれるということは帝国の人間の中では最も選ばれた存在と言ってもよかったと思う。
貧民も、平民も、お金のある貴族さえもが、帝国の兵士を夢見た。
兵士であれば、たっぷりとお給金が出る。
兵士であれば、貧民は勿論平民からも徴収できる。
兵士であれば、弱者として扱われることもない。
兵士であれば……
――奪われることはもうない。そこまでは、言い切れなかった。
少し考えれば、わかることだ。
兵士は、強者。
強者は、多くを得る。
強者は――お金を持ち歩いている。
どんな手を使ってでも、奪い取りたいに決まっている。
いくら強者だなんていっても、皇帝陛下に比べれば誰もが弱者だ。
そして誰もが夢見て、安定した暮らしが確約される帝国兵士になってしまえば。
大抵の人は、その『ゴール』に安心しきってしまう。
確かに恵まれた身体に装備、油断してもそこら辺の人に負けることはないんだろう。
――まさか、兵士の自分がただの人に負けるとは思っていなかったんだと思う。
大人になった今ならわかる。どんなに強い人も、囲まれたら危ない。
多人数を相手にしても大丈夫なのは、本当に血の滲むような鍛錬を積んだ人か……
或いは、本当に生まれ持った才を持つ人だけだ。
- 684 : ◆gEU9La026k [saga]:2019/12/30(月) 23:59:03.74 ID:MFHqCXFA0
- 帝国は実力主義。
たとえ兵士でも、敗ければそこまで。
平民でも貧民でも誰でも、倒した人が全てを奪い去れる。
『鍛錬を欠かしてはならない。現状に満足してはならない!』
遅咲きだったという第一皇子様が、当時から口にしていた言葉らしい。
全くもってその通り。兵士は『ゴール』なんかじゃない。
むしろ『牙持つ弱者』は、そんな兵士にこそ狙いをつけているんだろう。
――お父さんは、夜道で囲まれて、何もできないままに全てを奪われた。
お金も。
剣も。
鎧も。
服も。
命も。
私達との、時間も。
二度と取り返すことなんてできない。
私とお母さんは、当然だけど泣いた。
だけど泣いたところで、何も事態が好転しないことぐらいは子供でもわかった。
だから、悲しくて悲しくて仕方がないのに。
しばらくしたら、冷静に二人ともこれからのことを考えていた。
泣いても、お父さんはもう帰ってこないんだから。
泣いても、お腹は膨らまないんだから。
泣いても、お父さんの貯金はもう増えないんだから。
泣いても、この国では敗けたお父さんが全て悪い事実は変わらないんだから。
お母さんはすぐに、涙を拭った。
私にこれまでの暮らしを続けさせる為に、お母さんは奮い立ってくれた。
お母さんは戦えなかったけど、立派な人だった。
心が、強かった。
- 685 : ◆gEU9La026k [saga]:2019/12/30(月) 23:59:35.55 ID:MFHqCXFA0
- たとえお父さんを失っても、こんなにいいお母さんが傍にいてくれる。
私はそれだけでも、ずっと恵まれていた。改めて、そう思える。
――
アイナ母「ああ、心配だよ……」
アイナ母「お前は優しい子だから、武器も握ったことがないし……」
幼アイナ「だ、大丈夫! フライパンなら、握ってるよ!」グッ!
アイナ母「ああやめておくれ。そんなもので下手に武装しようものなら、逆に狙われるわよ!」
アイナ母「いいかい? 帝都で生き延びるには、堂々とすることだよ?」
アイナ母「たとえ何もなくとも、堂々としていれば、それだけで人は立派に見えるんだからね?」
幼アイナ「う、うん……」
アイナ母「それでも何かに巻き込まれそうになったら、知り合いの兵士の人を探すんだよ?」
幼アイナ「わかった!」
――
お母さんは私と違って、とてもしゃんとした人だった。
お父さんが死んじゃってからも、全然それを気にした素振りも見せないように振る舞った。
悲しいと正直に口には出していたけど、それでも前を向いてお店を開いた。
盛況……とは言えなかったけど、毎日を生きていくには十分だった。
お父さんと仲がよかったという兵士の人達が、よく顔を出してくれたのも大きいと思うけど。
……私は子供ながらにその時、この国の厳しさを改めて耳にしてしまった。
お父さんと仲良しだった兵士の人がある時、お母さんを訪ねてきた。
いつものお買いものかと思えば、私はどこかに行っているように言われて。
純粋に気になってしまった私は部屋に戻るふりをして、ついつい陰から聞き耳を立てていた。
――お父さんの仇が、もう死んだ。そういった内容だった。
お父さんを殺したのは、貧しい平民数人だったらしい。
彼らはお父さんを殺してその全てを奪った。
そんな彼らは、実はこの直後にお父さんの後を追っていたらしい。
- 686 : ◆gEU9La026k [saga]:2019/12/31(火) 00:00:06.40 ID:J+W8gkNi0
- 戦利品を確認――誰もがお金を数える中、一人だけ真っ先に剣と鎧を確保した人がいたらしい。
そのままその装備で、さっきまで協力していた仲間全員を殺したそうだ。
こうすれば確かに一人あたりの取り分は増えるどころか、総取りになる。
そして協力者が黙れば、自分一人で帝国の兵士を倒したと偽ることもできる。
一人で兵士を倒す、これは立派な強者の証明。
力を示したとされ、そのまま空いた席に兵士をして登用される。
最下層から一気に登りつめる。きっとその人も、幸せだったことだろう。
でも。
何もできないまま殺されちゃったお父さんは、確かに帝国の兵士としては恥ずかしかったのかもしれないけれど。
それでも、私にとっては優しい頼れるお父さんで。
そして――誇らしいことに、お父さんは隊の中では円滑な交友を築き上げていたらしい。
なり上がったお父さんの代わりの兵士を、数日の内にすぐにお父さんの仲間の一人が問い詰めたらしい。
返答は帝国ではお決まりのもの。敗けた奴が悪い。
実力主義。誰もこれには逆らえない。
その人も、笑いながらそう言ったらしい。
――そうだな。じゃあ今度は、俺と決闘しようじゃないか。
お父さんの仲間は、そう言い返したそうだ。
帝国の兵士といえど、結局は帝国民の一人に過ぎない。
だからこそ死んだら自己責任なのは変わらない。
だけど兵士間には、この決闘の仕組みがあった。
皇帝陛下があまりにも強すぎ、ほとんどの兵士が現状に満足してしまった状態では、風化寸前だった制度。
一対一の、王城で行われる正式な戦い。
多くの他の兵が観客として集まるその場から、逃げ出すことなんてできない。
結局、束にならなければお父さんを殺せなかった人に、正面の決闘なんてできるわけも無く。
その人は決闘の場で、真っ先に喉を潰されて降参を口にすることもできないまま殺されたらしい。
私は、その報せを喜べなかった。
兵士の入れ替わりが珍しくも無い帝国だけれど、こうして即座に仇討がされるのは非常に稀なケースであると……
後になってから知った今からすれば、お父さんの仇を討とうとしてくれた人がいる、お父さんの人望こそ喜べるけれども。
子供だった私にとっては、お父さんが帰ってくるわけでもなく。
この国の現実をただ突き付けられたみたいで、複雑だった。
- 687 : ◆gEU9La026k [saga]:2019/12/31(火) 00:01:27.85 ID:J+W8gkNi0
- 帝国は無慈悲な国だ。
だけど、戦えなくても生きていくことはできる。
戦えても、生きることができないこともある。
お母さんとお父さんは、それを私に教えてくれた。
お父さんはもういないけれど、お母さんはまだいる。
だから残されたお母さんと一緒に、頑張って生きて行こうって。
ずっとそう思っていた。
――
幼アイナ「すぐに、お薬買ってくるからね!」タタタ!
――
本当は、一人で外に出るなんて怖かった。
でも、あの時お母さんを助けられるのは自分だけだって思っていた。
お母さんがいつも以上の高熱で倒れて、私もきっと焦っていたんだろう。
大人しく、私にできる看病を部屋の中で続けていればよかったのかもしれない。
少し待てば、きっといつもの兵士の人がお店に来ていた筈なんだから。
事情を話せば、私のお買い物に同行くらいはしてくれたと思う。
でも、今こうして生きているからこそ言えることだけど。
私はあの日、勇気を振り絞って一人で買い物に出たことを褒めてあげたい。
あの一歩があったからこそ。
私は、運命の出会いを果たせたんだから。
――
- 688 : ◆gEU9La026k [saga]:2019/12/31(火) 00:04:15.72 ID:J+W8gkNi0
- ……
幼アイナ「あ、ありがとうございました!」
商人「嬢ちゃん、気をつけて帰りなよぉ!」
幼アイナ「や、やった……!」
幼アイナ「私でも、一人でこんな遠くのお店でもお買いものできた……!」
幼アイナ「お母さん、褒めてくれるかなぁ……?」
幼アイナ「……ううん、今ははやくお薬をお母さんに飲ませてあげないと……!」タタタ!
幼アイナ「はやく、はやく……!」タタタ!
ドン!
幼アイナ「きゃ!」ドシャ!
大男「あん? なんだこのガキ?」
幼アイナ「ご、ごめんなさい!? 私、急いでて……!?」ビクビク
大男「おーおー、おめえがぶつかったせいで、こりゃ腕が折れてるぜぇ?」ズイ!
幼アイナ「ひ、そんな……!?」ガタガタ…
大男「こりゃあ、治療費払って貰わねえとなぁ?」
大男「ついでに、その身体もなぁ……?」ハァハァ
幼アイナ「や……やあぁ……!?」
ガシ!
幼アイナ「!?」
大男「あん!?」
ローゼン「……」ギリギリ…
大男「な、なんだテメェ!? 離しやがれ!」ググ…
ローゼン「……」ハァ…
ローゼン「子供相手に脅迫に欲情だなんて……」
ローゼン「少し、俺とお話でもしようか?」
幼アイナ(お城の、執事の人……?)
幼アイナ(か――かっこいい///)ポー…
- 689 : ◆gEU9La026k [saga]:2019/12/31(火) 00:09:32.31 ID:J+W8gkNi0
- アイナ過去イベント途中ですが、今日はここまで
本当に月日が経つのは早いものですね……
明日は来れるか怪しいというか、皆さまもお忙しい筈ですので、少々早いですがご挨拶を
本編を無事に完結まで持って行けて、こうしておまけを書いていられるのもひとえに参加してくださる皆様のおかげです
改めまして、今年一年このスレにご参加くださり、本当にありがとうございます
だいぶゆったりになってしまいましたが、お付き合い頂ける方は来年度もどうかよろしくお願いいたします
それでは皆様、よいお年を!
- 690 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/12/31(火) 00:13:37.55 ID:VibK238fO
- 乙です
この作品は本当カップリングに説得力しっかり持たせてくるのが良いところ
- 691 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/12/31(火) 00:29:04.83 ID:eFFjW7Gm0
- 乙です!
今年も本当にありがとうございました!
- 692 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/12/31(火) 07:36:02.40 ID:UBXnK8piO
- おつおつ。アイナもこの頃はまだ苦労人の娘っぽいのにこの後生やしにいくのか……
てかエリス過去とかもだけど作風に合わずちょくちょく暗めの展開もあるのね
- 693 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/12/31(火) 09:49:08.84 ID:wS9F6W740
- 乙です
来年もよろしくお願いします
- 694 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/12/31(火) 10:38:53.44 ID:UBnST/ZeO
- 来年もよろしく!折角だし、確かとってないアイナとスミレの新年お酒イベとかどうかな?
- 695 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/01(水) 00:17:17.30 ID:ovuIUSD+0
- 明けましておめでとうございます
本年度も亀更新かと思いますが、よろしくお願いいたします
お酒は過去回想が終われば少し挟んでみようかと思います
- 696 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/01/03(金) 10:50:26.21 ID:8bIfYrf50
- 正月ネタは駅伝を上手くアレンジするのも有りかな
走る以外にも色々な手段で「皆でタスキやタスキに準ずるものを繋いでゴールする」みたいな感じで
- 697 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/04(土) 23:41:33.06 ID:H0b/gs200
- こんばんはー
改めて今年もよろしくお願い致します
ゆったり再開しますが、新年早々にやる内容じゃないなぁ……
イベントにくぎりがついたら、また軽いものをいれたいと思います
- 698 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/04(土) 23:42:11.21 ID:H0b/gs200
- ――
……
大男「」ピクピク
ローゼン「やれやれ……」パンパン
ローゼン「図体と態度は大きい癖に、この程度か?」
幼アイナ(す、凄い……)
幼アイナ(あんなに大きくて強そうな人を、一瞬で倒しちゃった!)
幼アイナ(かっこよくて、強くて……)
ローゼン「……君、大丈夫だったか?」スッ…
幼アイナ(それに、優しくて……///)ポー…
ローゼン「やっぱり、ショックが大きかったか……?」ポン
幼アイナ「ひゃい!?」ビクン!
幼アイナ「あ、その……助けてくれて、ありがとうございます!」ペコリ
ローゼン「ん、無事そうで何より。気をつけるんだよ?」
幼アイナ「は、はい!」
ローゼン「……」
ローゼン「……天使達を少し待たせるけど、この子をこのままにも……」ブツブツ…
幼アイナ「天使?」
ローゼン「あ、ああ、なんでもないヨ。さ、こいつが起きないうちにお家に送ってあげよう」ヒョイ
幼アイナ「ひゃ!? えっ!?///」カカエラレ
ローゼン「お家はどっちかな?」
幼アイナ「あ、あっちの方です///」スッ
ローゼン「しっかり掴まって。一気に走るからネ!」ダダダダダ!
幼アイナ「きゃあああぁぁぁぁぁぁ!?」ガシ!
……
- 699 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/04(土) 23:43:02.39 ID:H0b/gs200
-
【アイナの自宅】
ローゼン「よし、到着」ザッ!
幼アイナ「はわぁ……///」ストン
アイナ母「アイナ!?」
幼アイナ「ふぇ? ……お、お母さん!?」ワタワタ
アイナ母「だ、大丈夫かい? なんだか顔が偉く赤いけど……」
幼アイナ「う、うん。危ないことがあったけど、この人が助けてくれたの!」
アイナ母「まぁ……! 申し訳ありません、うちの娘がご迷惑をっ!」バッ!
ローゼン「いえ、自分は偶々居あわせて、見過ごせなかっただけです」
アイナ母「大したものはありませんが、是非お礼を……!」
ローゼン「お気持ちだけで結構です。それでは、仕事の途中ですので、失礼致します」ペコリ
幼アイナ「あ」
ダダダダ!
幼アイナ「行っちゃった……」ガクリ
幼アイナ「お名前、聞きそびれちゃったなぁ……」
アイナ母「そうだね。でもそれ以上に!」
幼アイナ「!」ビク!
アイナ母「あれだけ言ったのに、この子ったら……!」
幼アイナ「ご、ごめんなさいぃぃ!」
幼アイナ「でも、ほら! お薬、ちゃんと買えたよ!」ニコリ
アイナ母「本当にもう、この子は……!」ダキ!
……
- 700 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/04(土) 23:44:08.32 ID:H0b/gs200
- 数日後……
アイナ母「ふう、アイナの薬で完全復活!」グッ!
アイナ母「いい加減に店も再開させないとねぇ」
幼アイナ「お母さん、私もお手伝いするよ……!」ヨタヨタ
アイナ母「こらこら、休んでなさい。お母さんは大丈夫だから」
アイナ母「……アイナ、急にどうしたんだい?」
幼アイナ「え?」
アイナ母「前から手伝いはしてくれてたけど、ここ最近は全部やろうとするじゃないの?」
アイナ母「嬉しいけど、無茶は駄目よ?」
幼アイナ「お、お母さんが言っても説得力ないよっ!」プンプン!
アイナ母「はは、確かにね」
幼アイナ「……私ね、やりたいことができたの」
幼アイナ「――私もいつか、あの執事の人みたいな立派なメイドになるの!」グッ!
幼アイナ「お城のメイドならお給金もいいし、お母さんにも楽をさせてあげられるよ!」
幼アイナ(……それに、あの人にもう一度会えるかもしれないし///)
アイナ母「メ、メイドってアイナ……簡単に言うけれど、大変なんだよ?」
アイナ母「料理に掃除洗濯、それに夜戦……げふん、夜遅くまで起きてなきゃいけないお仕事もあるかもしれない」
アイナ母「何より、採用の基準を大きく占めるのは戦闘技能よ? あなた、あんまり戦うのは好きじゃないでしょう?」
幼アイナ「も、もう決めたんだもん……! 頑張って、いつかメイドになってみせるもん……!」
アイナ母「やれやれ……アイナはたまに私には予想もつかない行動力をみせるからねぇ……」フゥ…
アイナ母「……まぁ、確かにアイナは掃除や料理好きだし、向いている職ではあるのかね?」
アイナ母「……わかった。今すぐは無理だろうけど、いつかなれるように、頑張るんだよ!」
幼アイナ「うん! 約束!」グッ!
……
- 701 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/04(土) 23:45:35.30 ID:H0b/gs200
- ――――
―――
――
―
アイナ(……あの日から、私は地道に修行を続けた)
アイナ(何年もかかっちゃったけど、試験に合格できた喜びは今も覚えている)
アイナ(お母さんも一緒になって飛び跳ねてくれて……)
アイナ(焦がれていたローズさんの見た目はだいぶ変わっていたけど、中身は変わっていなくて)
アイナ(あの日がなければ、今の私はいなかった……)
アイナ(ローズさん、私は……///)
ローズ「アイナちゃん?」
アイナ「ひゃわぁ!? すみません!?」ビクン!
ローズ「なんだかぼーっとしてたみたいだけど、大丈夫?」
アイナ「だ、だい、大丈夫です!」ブンブン!
アイナ「ちょっとローズさんの昔のお話を聞いていたら、私も昔を思い出しちゃって……」
ローズ「ああ、アイナちゃんも昔は大変だったのよネ?」
ローズ「お父さんを早くに亡くされて、お母さんの為に頑張ってメイド試験を通って……本当にいい子ネ」
アイナ「えへへ……/// 今のメイド修行も大変ですけど、頑張ります!」グッ!
ローズ「その意気ヨ!」グッ!
スミレ「……」
スミレ(アイナさんの正体に、ローズさんは気がついていない)
スミレ(……無理もないとは思う。アイナさんの話では、合格当日からローズさんの格好を真似たというし)
スミレ(それでも、今のアイナさんをローズさんが可愛がっているのは間違いない)
スミレ(頑張りましょう、アイナさん……!)グッ!
スミレ(……そう。大切なのは、過去じゃなくて今だ)
スミレ(どんなものであれ過去を乗り越えて進んで、ボク達は今を生きている……)
――――
―――
――
―
- 702 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/04(土) 23:50:56.54 ID:H0b/gs200
- ――
特殊判定結果(>>636)
4:スミレの過去の境遇(キャラシートより最低過酷は確定)
59(王国の貧民。クラウスに期待を寄せていたが……)>55
※基準値を上回った為、追加の過酷な境遇。追加判定有
――
……数年前・王国領……
スミレ「……」グウゥゥ…
スミレ「お腹、空いたな……」
スミレ「ちょっと早いけど、お米齧っておこうかな」ガジガジ
――
私の家は……貧しかった。
帝国の貧民と比べれば、血生臭い目にあったりしない分は幾分恵まれてはいたと思うけど。
それでも、裕福とは言えなかった。
国王と貴族は際限なく自分の富を優先し、民に重い税を課していた。
せめてもの救いだったのは、貴族の中にも優しい人が少数だけど存在していたことだ。
――
貴族「……」スタスタ…
スミレ「あ……」
貴族「む、なんだこのパンは! 全部にカビが生えているではないか!?」ガサガサ
貴族「こんなゴミなど食えるか!」ポイ!
スミレ「っと!」キャッチ!
貴族「ほほ、私が捨てたゴミに飛びつくとは卑しいのう」
貴族「……もっと我が家から沢山ゴミを持ちだせたらよかったものを」
スミレ「……!」ペコペコ!
貴族「礼など不要だ。私はただゴミを捨てただけ。それだけしかできておらぬよ……」スタスタ
パン「……」ホカホカ
スミレ「全部、焼き立てだ……」ゴクリ…
スミレ「これだけあれば、お父さんやみんなも……!」
――
でもその数は圧倒的に少なくて。
表立って貧民に施しをすれば自分達が囲まれて潰されてしまう。
彼らは悩み耐えつつ、遠回しに私達を助けてくれた。
王国は腐っている。でも、全部が腐っているわけではない。
それがわかるだけでも、貧しい人たちは希望を持てた。
- 703 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/04(土) 23:57:39.23 ID:H0b/gs200
- そんな希望を持ちながら生きてきた私達に、ある日新しい希望の光が差し込んだ。
――国王陛下が亡くなった――
王国を揺るがす衝撃的な報せは、辺境領まで届くほどだった。
どうして亡くなったのか、詳細まではわからなかったけど。
これまでがこれまでだ。様々な憶測も飛び交う。
食べ過ぎ肥え過ぎ、贅の果ての自滅だの。
実は昔から病を患っていただの。
王国内のクーデターだの。
はたまた帝国か聖国の陰謀だの。
今となっても詳しいことは知らないし、別に知る気もない。
大切なのは、悪政国王が死んだという確かな事実。
そしてやっぱり詳細は知らないが、当時の王城内の混乱は想像以上だったらしい。
国王に子息はいなかった。まだ国王は死ぬ気はなかったのか、あるいは秘密裏に子息が消されていたのか。
悪辣な貴族の中には国王の地位を狙う者すらいたというし、何があっても不思議ではないだろう。
帝国は実力主義によって、強い者が皇帝になるというが、王国と聖国はこれには当てはまらない。
代々の王家の血筋の者が、その王の血を絶やさぬように後を継いでいく。
この王国の根幹、脈々と続いてきた仕組みがある以上混乱もするだろう。
強欲な貴族連中でさえもが、二分したのは当然かもしれない。
新たな国王に立候補する欲の深い貴族と、王国の伝統こそが最優先とする古参の貴族の争い。
結局後者に軍配が上がって、彼らはなんとか遥か遠縁の血筋の男性を見つけ出したらしい。
新たな王の名はクラウス。まだまだ若い、頼りない新王と風当たりは相当に強かった。
――
クラウス「なんということだ……話には聞いていたが、ここまで酷い有様とは」
クラウス「至急、この近辺の村にも物資の配達を急ぐのだ!」
貴族兵「へ、陛下。流石にこんな末端にまで配っていては国庫予算の問題が……」
クラウス「我々の得ている分を切り崩せばまだまだいけるだろう!? 急げ!」バッ!
貧民「ク、クラウス様がこのようなところまで……!?」
スミレ「あれが、新しい国王様……?」
――
それでも。
私達にとっては、とても眩しい希望の人だった。
- 704 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/04(土) 23:58:40.15 ID:H0b/gs200
- 後になって聞いた話だけれど、クラウス様は元々王国の現状を嘆いていた方だそうだ。
もっと知識を深め、王国を内側から変えていきたいと願っていたそうだけれど……
まさか、いきなり国王の座につくとは夢にも思っていなかったらしい。
自他共に認める、経験不足の王様。
それでも常に真っ直ぐで、本当に王国を考えてくれている人だということは察することができた。
当然、敵も多かったみたいだけれど、それも覚悟の上。
今までの貴族や高官がいい顔をしないとわかった上で、国民優先の政策を組み立ててくれた。
欲深い貴族たちは、刺客を放ったことすらあるという。
それを一人残らず叩き伏せたのは、深紅の令嬢と呼ばれる大貴族の将軍。
その圧倒的な地位と戦闘力の援護もあり、新王……
クラウス様はゆっくりとだけど、着実に王国をいい方向に持って行ってくれた。
貧しい人のほとんどが、クラウス様に期待した。
耐え忍んだ甲斐があったと、喜んだ。
――私も、そのうちの一人だ。
でも……あの日。
――
追加特殊判定
↓1コンマ二桁
- 705 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/01/04(土) 23:59:27.58 ID:8jhbowA70
- あ
- 706 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/01/05(日) 00:00:22.05 ID:d0n71HH5O
- はい
- 707 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/05(日) 00:04:10.82 ID:xDskiZQU0
- ――
特殊判定結果(>>636)
スミレの過去・???
58>55
※基準値を上回った為……?
――
スミレ判定をとったあたりで今日はここまで
明日か明後日にはスミレの過去を終え、少し軽めの判定をとれればと思います
本日もありがとうございました!
- 708 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/05(日) 00:05:38.98 ID:xDskiZQU0
- 失礼しました。安価部分は誤りです……
- 709 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/01/05(日) 00:09:42.20 ID:d0n71HH5O
- 乙です。今年もよろしく
アイナもだけど、やっぱスミレも厳しめの境遇か。まあ金神竜の一部埋め込まれてる時点でハード確定だったけど
- 710 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/05(日) 23:15:22.58 ID:xDskiZQU0
- こんばんはー
亀ですが更新再開です。なんとか判定部分まで進めればいいなぁ……
- 711 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/05(日) 23:16:06.81 ID:xDskiZQU0
- ……
スミレ「ただいま戻りました」
スミレ父「おぉ、おかえりスミレ」
スミレ母「ご苦労様。何か収穫はあったかしら?」
スミレ「はい。今日もパンを頂くことができました」
スミレ「クラウス様のおかげで、ゆっくりとだけど配給網が出来上がっているようですよ」
スミレ父「クラウス様か……」
スミレ父「私は直接お会いしたことがないのだが、やはり素晴らしい方なのか?」
スミレ「そうですね……」
スミレ「私も遠巻きにそのお姿を見ただけですが、兵に指示を出されている姿は頼もしさを感じました」
スミレ「きっと、王国はこれから良い国になるのではないか。そう思えます」ホクホク
スミレ母「そう……よかったわ」
スミレ「ええ、本当に」
スミレ母「……ふふ、そして今日はさらにいいことがあるのよ?」ニコニコ
スミレ「え?」
スミレ父「配給とは違うが、良い貴族の方が直々にこの家を訪ねてくださってな」
スミレ父「見ろ、これを!」バッ!
金貨袋「……」ズッシリ
紅茶葉「……」ドッサリ
スミレ「こ、これは……!?」
スミレ父「本当に、ありがたい限りだよ……!」ポロポロ…
スミレ母「これだけあれば、もっといいところに家を建てて、まともな食生活を送ってもまだお釣りが出るわ」
スミレ母「もう、この貧困生活からおさらばできるのよ……!」ポロポロ…
スミレ父「さあさ、前祝いだ! 頂いたこの茶葉で、さっそく紅茶を飲んでみようじゃないか!」
スミレ「な、なんだかドキドキします……」ドキドキ
……
――
- 712 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/05(日) 23:17:24.15 ID:xDskiZQU0
- 生まれて初めて飲んだ紅茶。
貴族の嗜好品と呼ばれる理由もわかる程のいい香り。
すぐに飲むのは勿体なくて、ゆっくりと飲んだのを覚えている。
両親はそんなボクを見て、おかわりもあるからもっと飲んでいいんだと、笑っていた。
その時の嬉しそうな顔も、今でもはっきりと覚えている。
大量の金貨に嗜好品。底辺の暮らしから中流階級までは這い上がれるとなれば、当然の反応だったと思う。
紅茶の香を嗅ぎながら、両親の笑みを見つめながら。
ボクもつられて笑い、幸せな表情をしていたと思う。
もっとこの時間を楽しみたい。
そう思っていても、温かな紅茶のせいか急激な睡魔に襲われて……
――
……
スミレ「ん……んん……?」ムニャ…
「やっと起きたかい?」
スミレ「ん……お父、さん……?」
悪貴族「――いいや。今日から私が君のご主人様だよ?」ニタリ
スミレ「なっ!?」ゾクリ…
――
目が覚めた時には、偽りの幸せは崩れ去っていた。
なんのことはない。当時の王国では珍しい話でもなかった。
――ボクは、両親に売られた。それだけのことだ
――
- 713 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/05(日) 23:22:14.67 ID:xDskiZQU0
- 悪貴族「ふひ……君にはだいぶ前から目をつけていてねぇ」
悪貴族「清廉さを持ちながら、なかなかこちらは男を惑わす立派なもので……」モニュ!
スミレ「んっ!?///」
悪貴族「それにこの綺麗な髪の毛……」サラサラ…
スミレ「……!」ゾクゾク…
悪貴族「うん、いい触り心地だ。だが、それだけじゃない……」プツ!
悪貴族「おい!」
悪従者「はっ! 早速検査致します!」バッ!
スミレ「な、何を……」
悪貴族「なぁに、ちょっと魔力の適正検査をするだけだよ」
悪貴族「実験が済んだら、君は私が末永く可愛がってあげよう」
悪貴族「だからその綺麗な身体を切り刻む真似はしない。安心したまえ」
スミレ「じ、実験……!?」ジャラ…!
悪貴族「まったくあやつらは物の価値をわかっていなくて困る」
悪貴族「折角の素体、検査くらい髪の毛で間に合わせればよいものを……」ブツブツ…
スミレ(……っ、駄目だ動けない……!)ジャラジャラ…!
悪従者「――結果出ました! 性質は『雷』! つまりは金ですよっ!!!」ウオオォォ!
悪貴族「おほぉ!? これはこれは、想像以上の成果だ!」
悪貴族「やはり高貴な者は生まれ持った運も違うということだなぁ……」ウンウン
スミレ(この人達、一体何をするつもりなの……!?)
- 714 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/05(日) 23:30:36.75 ID:xDskiZQU0
- 悪貴族「いやはや、改めてありがとうスミレ」
悪貴族「涼しげな色合いだったから、蒼帝に適性があるかと思えば……」
悪貴族「まさか、まさか真竜に適性があるとは!」バッ!
悪貴族「くくく、これで私の地位もますます安泰というものよ……!」
悪従者「おめでとうございます!」
スミレ「蒼帝? 真竜……?」
悪貴族「む……そうか。下民には知る術もないか」
悪貴族「王国には、かつての実験で産み出された人には御しきれぬ怪物……竜がおるのだよ」
スミレ「!?」
悪貴族「その力は、圧倒的。騎士団の一つや二つは一薙ぎにするという」
悪貴族「詳しい資料は残されていなかったが、その数は5体」
悪貴族「灼熱を操る赤帝。大地の如き硬さを誇る黒帝」
悪貴族「氷嵐を操る蒼帝に、風を操る天の支配者たる白帝」
悪貴族「そんな帝竜達すら従える、雷鳴の覇者たる金真竜……!」
悪貴族「君は、その最強の存在に対する適正があったのだ!」
悪貴族「そして君のご主人様である私は、まさに最強の支配者になれたということだよ!」
悪貴族「ははははははは! まったく、笑いが止まらないよ! あははははははは!」
スミレ「……!」
- 715 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/05(日) 23:31:29.13 ID:xDskiZQU0
- ――
饒舌に竜について語る貴族の姿は、恐ろしいものがあった。
話を聞いていればどうやら、前王死亡の混乱に乗じて仲間の貴族と共に封印の宝玉を持ち去ったらしい。
実験の為には日数が必要。
竜は好戦的な前王すら使用を躊躇う程であり、一部貴族の間でも封印は厳重にするようという意見が多かったそうだ。
それを、この貴族達は破った。より強い力を得る為に。
感づかれたら不味いという自覚はあったのでしょう。
だからこそ、新王クラウス様が手を回しきれていない今の内に実験を……
人間の身体に、竜の因子を埋め込み生体兵器を造るということをしたかったのだろう。
それも、いなくなっても気がつかれない貧しい民を攫うか買うかしてまで。
帰る場所を失えば、必然的に戻る場所は貴族の下……
その庇護が無ければ、生きていくことはできない。
故に、いずれ誰もが従順な奴隷となる。
竜の力を持ちながら、竜とは違い遥かに楽に隷従させることができると。
本当に、楽しげに、誇らしげに、語って聞かせてきた。
――
スミレ「…………」
悪貴族「あぁ〜……やっぱりショック受けちゃうよねぇ」
悪貴族「でも安心するといい。さっきも言った通り、君は私が責任を持って可愛がってあげるからねぇ……」ニタリ
悪従者「……主様、その娘の身体は確かに楽しみではありますが、まずは実験が先です」
悪従者「いくら愚王とはいえ、長期間宝玉がないことに感づかれては……」
悪貴族「わ、わかっておるわ!」
スミレ「…………」
スミレ(……無理矢理攫われなかっただけ、私はマシなのかもしれない)
スミレ(襲って確実に捕まえられる自信が無かったとか……?)
スミレ(……戦争の道具になんて絶対になりたくない!)
スミレ(なんとか逃げ出さないと、クラウス様が……!)
――
ただ、貴族に誤算があるとすれば。
ボクは両親に捨てられたというのに、恐ろしい計画を聞かされたと言うのに。
頭の片隅で、逃げる算段をたてていたということだろう。
蒼帝の方がやはり適性があったんじゃないかと思える程に。
ボクはどこか氷の様に冷静でいられた。
今ではこの性格には、感謝しかない。
――
- 716 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/05(日) 23:39:02.33 ID:xDskiZQU0
- ……
金宝玉「……」バチバチィ!
悪従者「うぅ、封じられてなおこの危ない気配よ……」
悪貴族「しかし宝玉からゆっくりと竜の力を抜き出して、それを投与していくなどまどろっこしいのう」チュウウゥゥ…
悪貴族「直接本体から力を組み込めぬものなのか?」キュポ…
悪従者「む、無理ですって! こんなものを解き放ったら、最も弱い赤帝ですら王国全土を焦土にしてしまいます」
悪従者「非効率的ですが、我々ができる実験は今はこれが精一杯ですよ」
悪貴族「ぬぅ、致し方が無いか。元より操れぬ竜を操りやすい人間に組み込む実験ではあるしな……」トコトコ
悪貴族「それに仮に片鱗の力しか得られぬとしても、最強の金真竜ならばそれでも十分というものか」
悪貴族「さぁーて……それでは、いよいよだ。まずはこのぐらいの量を投与してみようか!」ブスゥ!
スミレ「っ……!」ギリッ…!
悪貴族「おお、ごめんよ。痛かったかい? 流石に注射痕ぐらいは我慢してくれないかな」ギュウゥゥ…!
スミレ「っぁ……!? ああぁぁぁぁぁっ……!?」
スミレ(腕が、灼ける……! 自分の中が、書き換えられていくような……!?)グラッ…
スミレ「っあ゛あ゛あ゛ぁぁぁ……!」ジャラジャラ!
悪貴族「おっと、少し量が多かったかな?」
悪従者「急激な発汗、やはり素体には負荷がかかるようですね」
悪貴族「壊すことだけはならんぞ。私の大切な最強の愛玩奴隷なのだからな?」
悪従者「承知しております。この様子では、少し休憩をいれた方がよさそうですね」
スミレ「……」ハァハァ…
- 717 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/05(日) 23:44:50.43 ID:xDskiZQU0
- スミレ(あぁ、自分でももうわかってしまう)
スミレ(力を注がれるまでに逃げれなかった時点で、こうなることはわかっていたのに)
スミレ(私はもう――人じゃない。竜を埋め込まれた、戦争兵器)
スミレ(でも、まだ意識ははっきりしている。熱いけど、腕も自分の意思で動かせる……)グ…
スミレ(私は兵器だけれど、まだ私ではある)ググ…
スミレ(――今が、好機!)グググ!
悪貴族「この後は両脚にも――」
バギィィィィィン!
悪貴族「なっ!?」
スミレ「ふうぅぅぅぅぅ……!」ギラリ!
悪従者「ば、馬鹿な!? もう両腕を真竜のものに!?」
スミレ「ああああああぁぁぁぁぁぁ!」ブオン!
悪貴族「ひいいぃぃぃぃぃ!?」
ゴバアアアァァァァ!
スミレ「……!」ダダダ!
悪貴族「か、壁を容易く壊す程の……」ガタガタ…
悪貴族「はっ!? お、追うのだ! 早く!?」
……
- 718 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/05(日) 23:47:36.50 ID:xDskiZQU0
- ――
その後の事は、よく覚えていない。
ひたすらに逃げて逃げて、走って走って。
乗ったこともなかったのに、馬に飛び乗った。
行く宛なんてない。もう王国に居場所はないんだから。
何処へ向かっているかもわからない。
馬の気まぐれで、ただ走るだけ。
でもそれでよかった。
ボクはもう戦争の道具に成り果てて、人では無くなってしまったのだから。
最後の人としての意思が望んだのは、貴族達に利用されることだけは嫌だと言うこと。
ボクが逃げ切れれば、連中も次回以降は警戒しておいそれと実験ができなくなるかもしれない。
クラウス様なら、いつかきっと王国を良くしてくれる筈だから。
だから、戦争兵器にだけはなりたくない。
もうなってしまったけれど、最後の一線だけは越えたくない。
何処に向かっているかもわからない。
それでも、どこか遥か遠くに逃げ出せたなら。
その場で、この命を断とう。
そうすれば、兵器はひとまず人知れずに一つ消え去るのだから。
――
……
スミレ(どれだけ移動したんだろうな……)
馬「……」モシャモシャ…
スミレ「……」ジー…
スミレ「……」スッ…ブチ!
スミレ「……」モシャモシャ…
スミレ(……あれ? なんで馬と一緒に草を食べているんだろう?)
スミレ(死ぬ気なら、もう空腹も気にしなくていいのに……?)
――
……本当は気がついていた。
兵器は嫌だ。
……まだ死ぬのも嫌だって。
だから、その後もひたすら馬を走らせた。
そして、あの日……
――
- 719 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/05(日) 23:54:16.99 ID:xDskiZQU0
- ……
【帝国領・辺境】
ローズ「あったあった! この素材なら、あの子達にもいい贈り物が作れるわネ!」ガサガサ!
ローズ「折角だし、もう少し採っていこうかしら?」ガサガサ…
ローズ「ん……?」
スミレ「うっ……」
ローズ「お、女の子!? ちょっとあなた、大丈夫!?」バッ!
スミレ「ぁ……ぅ……?」
ローズ「酷い衰弱具合ネ……あら?」
スミレ「……!」
ローズ「金色の、鱗?」
ローズ「……今はそんなことはどうでもいいワ。とにかく、急いで戻らないと!」ビュオン!
スミレ「……!?」
……
ローズ「ほら、食べられる? ありあわせで申し訳ないけど……」
スミレ「あ……」
ローズ「やっぱり無理よねェ。ほら、お口あけて!」ズイ!
スミレ「え、あ……!?」
ローズ「ほら、あーんして。あーん!」ズズイ!
スミレ「あ、あー……?」
スミレ「……」モグ…
スミレ「っ!!!」
スミレ「……おい……しい……」ポロポロ…
ローズ「ふふ、よかった。まだまだあるから遠慮しないでネ?」
――
- 720 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/05(日) 23:58:49.97 ID:xDskiZQU0
- ……
スミレ「……ごちそう、様でした」ペコリ
ローズ「ふふ、いい食べっぷりだったワ」ニコニコ
スミレ「あの……」
ローズ「……」
ローズ「ここは帝国の王城。アタシの部屋の中だから安心して大丈夫ヨ?」
スミレ「!?」
ローズ「アタシはメイド長のローズ。あなたは?」
スミレ「わ、私は……」
スミレ「……」グッ…
ローズ「……」
ローズ「……やっぱり何か、相当訳ありのようネ。それならそれでいいワ」
スミレ「え?」
ローズ「あなたが話してもいいと思えるその時になったら聞くから。それまではゆっくりしていきなさい?」
スミレ「……こ、この腕が、恐ろしくは、ないのですか?」ギラリ…
ローズ「確かにちょっと変わっているわネ。アタシも初めてみるワ」
ローズ「でも人とちょっと違うことぐらい、些細なことヨ? アタシも普通の人とはちょっと違うしネ」
スミレ「ちょ、ちょっと……?」
ローズ「そうよォ? アタシはただ天使達を完璧なレディーにしたいと願うどこにでもいるおと……乙女ヨ!」バーン!
スミレ「……」ポカーン…
ローズ「ささ、お腹が満たされたなら次はお風呂ネ! せっかく可愛い顔してるんだから、綺麗にしないと!」グイグイ!
スミレ「え、え、ええぇ!?」
……
- 721 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/05(日) 23:59:16.69 ID:xDskiZQU0
- ――――
―――
――
―
スミレ(ローズさん、あなたがいてくれたからボクは……///)
アイナ「……スミレちゃーん?」ツンツン
スミレ「ひゃ!? ア、アイナさん!?」ドキドキ
アイナ「もう、スミレちゃんまで私みたいになってどうしたの?」
スミレ「い、いえ。なんでもありません」コホン
スミレ「アイナさんが昔を思い出したように、ボクも少し昔を思い出しただけですよ」
アイナ「あ……」
ローズ「……」
スミレ「あ、いえ、そんな顔をなさらないでください!?」ワタワタ!
スミレ「ボクは、今の生活こそが大切で手放したくないものですから」
スミレ「過去よりも今。ローズさんとアイナさんとのひと時の方が、ずっと価値あるものなんです」
アイナ「スミレちゃん……」
ローズ「……ごめんなさいネ。私が昔話なんてしちゃったから」
アイナ「ロ、ローズさんのせいじゃないですよ!?」
スミレ「そうですよ。元々、ボク達が気になったからですし」
スミレ「ボクもアイナさんも、昔を思い出したのは……」
アイナ「……ローズさんには、昔も今も助けられてばっかりだなーって……///」
ローズ「もう、この子達ったら……」
ローズ「……」
ローズ「折角三人揃ってお外に来てるんだし、そろそろお昼にしない?」
ローズ「美味しいお店、連れて行ってあげるワ!」
アイナ「え、いいんですか!?」
アイナ(本当はローズさんの手料理の方がいいけど///)
スミレ「す、すみませんローズさん……」
ローズ「いいのヨ。パァーっと食べて飲んじゃいましょう!」
――
特殊判定
↓1〜2コンマ二桁
- 722 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/01/06(月) 00:00:04.97 ID:kf2eBd0jO
- サッー
- 723 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/01/06(月) 00:00:12.56 ID:tbaLgtEi0
- はい
- 724 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/01/06(月) 00:00:40.08 ID:BrbzDQSbO
- てりゃ
- 725 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/06(月) 00:01:25.29 ID:fs9ES0+O0
- まただよ(白目)
- 726 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/01/06(月) 00:02:44.69 ID:kf2eBd0jO
- 久々の極端な数値なのよね
どうなったのか
- 727 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/06(月) 00:07:07.06 ID:fs9ES0+O0
- ローズ隊・酔いやすさ判定
1アイナ:97(カインクラスにベロンベロンに酔います。そして当然脱いじゃいます。帝国泥酔者多すぎ)
2スミレ:56(ちょっと酔いやすいかも。でも、酔わないよう冷静に節度を守ります)
――
判定を取った辺りで今日はここまで。
新年系は無理そうですが、お酒描写を挟んだ後、想定外の4番目の判定結果(偶数ゾロ)
イベント描写。そののちに従来の業務として白帝との交流に入ろうかと思います
本日もありがとうございました!
- 728 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2020/01/06(月) 00:10:13.15 ID:nAhYWUB2O
- おつおつ
ロリ巨乳のセックスモンスター(ティア・アイナ)はどちらも酒がダメなのか……
いや逆に考えるんだ、ティアと同じくその勢いでローズさんに迫れば良いのだと
- 729 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/01/06(月) 00:15:20.95 ID:BrbzDQSbO
- おつおつ
アイナは本当に色々荒ぶるな……
スミレも過去かなりキツイのに酒判定共々安定してると思ったが、そういやこの子も鬼メンタルだった
- 730 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/01/06(月) 19:19:37.95 ID:rR+fC6CR0
- スミレやキアラ達もメンタル判定でゾロったからこそよかったものの、ティアメンタルだったら鬱展開結構あったんかな
- 731 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/07(火) 23:28:38.31 ID:oUIMkLPR0
- こんばんはー
牛歩ですが、以前の5連判定最後部分まで再開です
>>730
序盤のシアだけで3回程マイナスイベント圧し折られてると言いますか、本当はもっと血生臭い展開もあるにはあったのですが……
本当に要所のコンマが強すぎました
- 732 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/07(火) 23:29:24.23 ID:oUIMkLPR0
- ――
【帝国・料亭】
アイナ「……も、もの凄く高そうなお店だよ!?」
スミレ「……」ガチガチ
ローズ「そう硬くならなくていいわヨ?」
ローズ「このお店は最近、王国から食材を仕入れているそうでネ」
ローズ「アタシもまだあまり王国食材には馴染みもないし、食べて味を盗もうってわけヨ」
スミレ「な、なるほど」
アイナ「でも、ローズさんほどの腕で、外のお店で満足できるものなんですか?」
ローズ「アタシだってまだまだヨ? エリスちゃんや天使達も凄い腕前だし……」
ローズ「後、頻繁に作っていると自分の味の癖に飽きて来ちゃうのヨ」
アイナ「あ、それはわかるかも?」
スミレ「とはいえ、ローズさんに通われるお店側もプレッシャーが凄そうですが……」
料理長「ま、またメイド長がいらっしゃったぞ……!?」
料理長「しかも今度は直属のメイドを引き連れて!」
料理長「みんな! ここが踏ん張りどころだ! いつも以上に全力を尽くしてくれ!」
従業員達「「了解です!!」」ビシ!
……
――
- 733 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/07(火) 23:29:59.84 ID:oUIMkLPR0
- ……
ローズ「うんうん……」モグモグ
ローズ「いい貝を使っているわネ。素晴らしい歯触りだワ!」
スミレ「……この独特の風味は、この貝の肝を使っているのでしょうか?」モグモグ
アイナ「後は焦がしバターかな? シンプルだけど、食材が引き立っているね……」モグモグ
ローズ「ふふ、あなた達も随分と料理の知識が深まって嬉しいワ」
アイナ「ローズさんのお傍にいるためにも、頑張っていますから!」
スミレ「ええ。周りからも贔屓とみられぬ様、色々と知識は深めなければ」
ローズ「ふふふ……! 本当に、立派になって!」
料理長「お次の料理をお持ちしました」スッ
ローズ「あらありがとう。この匂いは……」クンクン
料理長「王国産最高級の牛肉。それを塩と胡椒のみで味付ました」
ローズ「焼き加減も見事……相当の自信作のようネ」
料理長「ありがとうございます。そしてこちらは、この肉に合う果実酒になります」スッ…
ローズ「あら? ここまで注文した記憶はないけれど?」
料理長「ローズ様にはお世話になっております故。私からの、せめてもの品でございます」
ローズ「あらそう? それじゃあ折角だし、頂いちゃおうかしら?」
料理長「ええ、是非。そして今後ともよろしくお願いいたします」ペコリ
ローズ「思わぬ代物が手に入ったわネ」ホクホク
ローズ「彼の言う通り、これは合いそうなお酒ネ。保存状態もいいし……」チラ
アイナ「……」ドキドキ
スミレ「……」ドキドキ
ローズ(熱視線を感じるワ……)
ローズ(……天使達が大丈夫なんだし、この子達も少しくらい大丈夫よネ?)
ローズ「……慌てないの。ちゃんと飲ませてあげるから」トクトク…
アイナ「あ、ありがとうございます!」
スミレ「……実は、高いお酒と安いお酒の違いというものを知りたかったんです」
グイッ
- 734 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/07(火) 23:34:10.86 ID:oUIMkLPR0
- スミレ「んっ……!?///」
スミレ「こ、これは……なんだか身体がふわふわしますね」
スミレ「美味しいですけど、それにつられて飲み続けたらすぐに酔い潰れちゃいそうですね」
ローズ「スミレちゃんは、あまりお酒に強くはなさそうネ?」
スミレ「そうですね。でも成程、この芳醇な香りが高級さの証――」
アイナ「ひゃっほーーーーーーーい!!!」スッポーン!
ローズ「」
スミレ「」
アイナ「これおいひいでふれ〜♪ からだもぽっかぽかであつ〜い♪」ゼンラ!
ローズ「またしくじったワッ!!!」ダン!
スミレ「あわわ……アイナさん、まだ一口目ですよ!?」
ローズ「とりあえず個室だったのが不幸中の幸いネ。はやく服を着せて介抱してあげないと」
スミレ「お酒って怖い……」
アイナ「あ〜、ローズさんだ〜♪」
アイナ「ローズさんちゅきちゅき〜♪」チュパチュパ!
ローズ「こ、こら! レディーがはしたないわヨ!?」
スミレ(……でも、今のアイナさんの方が積極的だ!?)
スミレ(普段からこれくらいすれば、ローズさんも……)
スミレ(……)
ローズ「ちょ、止まってアイナちゃん!?」ワタワタ
アイナ「えへへへ〜♪」スリチュパスリチュパ
スミレ(……でも、今は止めよう!)ダッ!
……
――
- 735 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/07(火) 23:37:53.27 ID:oUIMkLPR0
- ――
……しばらくして……
アイナ「うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!///」ゴロゴロゴロ!
ローズ「こらアイナちゃん、レディーが道端で転がらないの!」
スミレ「いえ、ボクがアイナさんだったらきっと同じことをしていますよ……」
スミレ「しかし流石はローズさん。まさかの事態にも、冷静に対処なさるなんて!」
ローズ「……前に、もっと凄い惨状を見てしまったからネ」トオイメ
スミレ「何があったんですか……」
アイナ「あああああああぁぁぁぁぁ!/// もう、もうお嫁にいけないいぃぃぃぃぃぃぃ!///」ゴロゴロ!
ローズ「大丈夫だから、そろそろ起き上がりなさい?」
ローズ「――いざとなったら、アタシが貰ってあげるから」
スミレ「!!!」
アイナ「えっ!?」ガバァ!
ローズ「!?」
アイナ「本当ですかっ!?」ガッ!
スミレ「今、確かに言いましたよね!?」ガッ!
ローズ「スミレちゃんまで!?」
- 736 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/07(火) 23:42:18.14 ID:oUIMkLPR0
- スミレ「――アイナさん! 今こそです!」
スミレ「ほら、もっとしっかりちゃんと立って!」ヨイショ!
アイナ「あ、ありがとうスミレちゃん。……うん、大丈夫」グ…
アイナ「今のローズさんの言葉で、酔いも消し飛んだよ……!」
ローズ「そ、そう? それなら良かった――」
アイナ「……」スー…ハー…
アイナ「……ねえ、ローズさん。もう一度聞かせて?」
ローズ「え?」
アイナ「……」
アイナ「本当に、こんな私でも、……ローズさんのお嫁さんに、してくれますか……?」ポロポロ…
ローズ「アイナちゃん……?」
アイナ「……たとえ、私を起き上がらせる為の言葉だったとしても……」
アイナ「それでも、私にはたまらなく嬉しい言葉なんです……っ!」
アイナ「わ、私は……!」
アイナ「――私はローズさんが大好きなのっ! 10年前助けてくれたあの時から、ずっとずっと……!」ポロポロ…
ローズ「!!」
アイナ「ローズさんは私のことを覚えていなかったけど、私は一日も忘れたことはなかった……!」
アイナ「執事からメイドになってても、声や動きはローズさんだった! 見間違えるわけがない……!」
アイナ「だから、だから私は、あなたの傍にいられるようにって……!」
ローズ「アイナちゃん、あなたもしかして……」
アイナ「男だからとか、女だからとか、そんなの関係ない! ローズさんだから、私は……!」
ローズ「でも、アタシは……」
アイナ「ローズさんとスミレちゃんが、そういう関係なのも知ってる! それでも、私は、私は……っ!」ポロポロ…
ローズ「アイナちゃん……」
- 737 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/07(火) 23:48:35.53 ID:oUIMkLPR0
- スミレ「……」スッ…
ローズ「スミレちゃん?」
スミレ「ローズさん、ご無礼を承知で申し上げます」
スミレ「……ボクも、ローズさんが大切です。この上なく大好きです」
スミレ「ですが、同じくらいアイナさんも大好きです」
スミレ「ボクを温かく受け入れてくれた二人が……本当に」
アイナ「スミレちゃん……!」ポロポロ…
スミレ「ですから、ローズさん。ボクのことは考えずに、アイナさんの気持ちに応えてあげてください」
スミレ「こんなに感情を爆発させたアイナさん、見たことがないでしょう?」
ローズ「スミレちゃん……」
アイナ「ごめん、ごめんねスミレちゃん……!」ポロポロ…
アイナ「な、なんでかな? 一回喋ったら、なんだか抑えられなくなっちゃって……!」
スミレ「いえ、むしろよかったですよ」ポンポン
スミレ「正面きってここまで言えば、アイナさんの気持ちもローズさんに伝わった筈ですから」
ローズ「……」
ローズ「…………」
ローズ「……少し、時間を頂戴」
アイナ「!!」ジワ…
スミレ「!!」
ローズ「少しだけ……ここで、待っていて」ザッ…
アイナ「え……?」ポロポロ…
スミレ「ローズさん……?」
……
――
- 738 : ◆gEU9La026k [saga]:2020/01/07(火) 23:55:51.41 ID:oUIMkLPR0
- 特殊判定結果(>>637)
5:ローズのアイナとスミレに対する答え
コンマ66
6 6
偶数ゾロ:???として受け止める
――
アイナ「うぅ……」
スミレ「大丈夫。きっとアイナさんの想いは伝わりますよ」
アイナ「わ、私どうしてあんな……///」
スミレ「まだお酒が残っていたのかもしれませんね」
スミレ「お店の中でアイナさんが裸になった時は驚きましたけど……」
スミレ「こうしてアイナさんの一歩を踏み出す一因になってくれたなら、お酒も悪くないかもしれませんね」
アイナ「……禁酒するもん」
スミレ「あはは、確かに外では控えた方がいいかもですね」
???「……」ザッ…
スミレ「だ、誰ですっ!?」バッ!
ローゼン「……この格好にこの顔はいつ以来だろう」スッピンシツジ
アイナ「ローズさん!?」
スミレ「えっ!!?」
アイナ「あの時の、ローズさんだ……///」
スミレ「……///」
ローゼン「……」
ローゼン「……可愛いレディーを泣かせるなんて、酷い真似をしてしまったんだ」
ローゼン「挙句理由が、長い間その想いに気がつかなかったからだなんて……」
ローゼン「――真摯な想いには、こちらも相応の態度で応えるべきだろう」
ローゼン「……だから『メイド長ローズ』という『乙女』としてではなく」
ローゼン「――『一人の男』として。『ローゼン』として、『俺』の返事をしよう!」
アイナ「!?///」
スミレ「!?///」
- 739 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/01/07(火) 23:57:19.15 ID:oKKZgmyd0
- 低確率でないとでないレアキャラ出たな……
- 740 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/01/08(水) 00:03:16.44 ID:HxOlBda7O
- ほんとここのコンマさんは恋愛要素に関しては命賭けておられる
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