【鯖鱒wiki】どうやら坂松市で聖杯戦争が行われる様です【AA不使用】2

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617 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/02(日) 22:01:11.11 ID:qPDIYUlg0

師弟の決着がランサーのものになるのは予想外だった、gj
618 : ◆6QF2c0WenUEY [sage]:2020/08/11(火) 22:12:43.61 ID:RQSi7VJ40

【しばらく、こちらで反応しなくて申し訳ございません】

【お盆休み中には更新するつもりです。それまでもう少しだけ……必ず……!】

619 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/14(金) 22:30:07.96 ID:pniPS3Bg0

【なんとかお盆中には間に合った。明日夜7時に更新します】


620 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/15(土) 19:06:06.01 ID:nJa2KyxX0

【それでは更新】

【安価がないのでゆっくり進めていきます…】

621 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/15(土) 19:06:52.40 ID:nJa2KyxX0




「フッ!ハッ!でぇやぁあ!!」
「どうした!?狙いが逸れているぞ!」
「ムチャ言うんじゃねー!相手が小さ過ぎるんだよ!」

「キャスター。何とか出来ないのか?」
「ちょっとどうにも出来ない!ボクの魔術ってそういうの専門外だから!」


ひらりひらりと暖簾に腕押し。アーチャーの重厚な拳や蹴りは、風船の様にすり抜ける
嘲笑う様に周りを飛び回るアサシンは、小刻みにアーチャーを切りつけるが無傷のようで

「やりにくいわ。カツンカツンって、まるで鉄を突っついているみたい」
「そりゃそうだろ!オメーみたいなチャチな鎌で殺られる程、オレは雑魚じゃねーっての!」

「……言うまでもないけど、あいつボクじゃどうやっても勝てないんだよね」
「そうだろうな。あれは神代の守護兵器。お前が壊せたらどうしようかと思ってたぞ」

マリアの言葉に複雑そうな顔を浮かべる。その顔を見てか見ずか、前に躍り出る

「……では、キャスター。私はマスターを狩りにいくとしようか」
「はいはーい。……って、ならボクはどうすればいいの!?」
「私の補佐に回ってくれ。何、禍門の集も理解してくれるさ」
「本当かなぁ……」

困惑しつつも、死徒へと走りよるマリア
ため息をつくキャスターの前で、此方での死闘も佳境へと差し掛かろうとしていた



622 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/15(土) 19:07:47.33 ID:nJa2KyxX0



「……お父さん」
「何だ、アキラ!俺も今は手が……」

「アーチャーの、宝具の使用許可を。あれならば、アサシンを一撃で」
「駄目だ、規模が大き過ぎる!ここで宝具を開帳してしまえば街にも被害が起きる!」
「け、けど。アサシンの宝具の方が、被害が大きくなる……と、思う、デス」

憂午とアキラの譲らぬ意見は平行線を辿るだけ
未だ明確な着地点の見えない議論は、戦闘にも現れていた

「クソーっ!チクショーっ!せめて槍か犬がいてくれりゃあなあああ!!」
「犬?槍?物騒なお仲間がいるのね。機械人形さんには」
「オレは機械なんかじゃねーヨ!こう見えてもなぁぁーっ!」


アサシンからの煽りを受けて、アーチャーの拳が激しく唸る
だが、その結果は先程と同じ。ふわりと軽く舞い上がり、難なくその手を回避する


「だぁあああ!!何なんだよテメェ!」
「さっきからひょいひょい逃げ回ってよぉ!勝つ気あんのかテメェらはよぉ!ええ!?」

「もちろんよ。私達は動かなくてもいいの」
「だって、勝手に進んでくれるもの。焦る必要なんてないんだから」



623 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/15(土) 19:08:48.49 ID:nJa2KyxX0




「……ガ、ぐ、おぉおお……!」
「苦しいならもう止めておけ。今なら痛みだけは与えないと約束するぞ」
「何故……何故、何故!俺は、ただ……」


「生きたいだけ。なんて言える訳ないだろう」
「それだけで無数の人間に害を為す、お前は害獣と同じだ」

「違、違……俺は」
「同じだ……よ!」

心臓喰らいとマリアが交錯する
醜悪な肉の鞭と化した肉体にも怯まず。マリアの腕は無慈悲に貫く
幾ら吸血鬼と言えども、本来ならば貫いた腕もただでは済まない……


「そこでボクの出番ってワケ!エンチャントは得意中の得意だもんねー!」

マリアの両腕には風が渦巻き、手甲の様に形を為す
下級の宝具にも等しい威力。キャスターの施したエンチャントは、死徒の肉塊すらも穿つ


 ◆エンチャント:EX
  概念付与。本来は作家や脚本家たちの所有するスキル、
  ……であるが、最古の語り部にして神官たるキャスターが
  紡ぐ言葉はそれ自体が比べ物にならないほどの魔力を帯びている。
  キャスターの場合、自然事象を宝具に変化させ強力な機能を追加する。



624 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/15(土) 19:09:55.10 ID:nJa2KyxX0





「……ゲホッ!ガッ!」
「わー。メリッサちゃん、大丈夫ー?」
「そんな、訳……ぐうぅ……!」

所変わって禍門邸。そこには横たわる少女と、それを遠巻きに眺める少女が
アサシンの影響下にあるメリッサを残った千呼が看病していた
と言っても、相手は英霊。何が起きるかわからない為、結界越しに話しかける程度だが


「ねえねえ、メリッサちゃんってさ、兄弟とかいるの?」
「今、そんな事を話してる余裕が……!」
「わくわく、わくわく」

此方の具合は完全に無視。千呼はキラキラと目を輝かせて答えを待つ
……感情を出したからか、少しだけ熱が引いた気がする。拒絶した所でまた来るのだろう
そう考えたら今話した方がいい。諦めた様に口を開く


「……兄と姉が一人。弟が一人、妹が二人」
「わ!びっくりする程いっぱいだ!でも魔術師の家で兄弟が多くていいの?」
「魔術師になるのは一人だけだ。他の兄弟は傭兵としての道を歩くはず」
「ほへー凄ーい」 「……聞いてたのか?」

あんまりにも呑気な返答。緊張感の欠片もない
思わず身構えたメリッサも毒気を抜かれて呆気にとられる


「でもいいなー。仲いいんでしょ?」
「……仲が悪いのか?そうは見えないが」

「うーん。悪いって言うか、何て言えばいいんだろう」
「アキラちゃん、私に心を開いてくれないって言うのかな。なんか壁があるみたい」


ぽつりと呟く千呼の顔は、普段の底抜けの明るさではなく姉としての表情を映す
妹は好きだ。だけど、その妹は自分の事をどう感じているのかがわからない……





625 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/15(土) 19:10:57.58 ID:nJa2KyxX0




「……殴り合う、しかない」
「え?殴るの?アキラちゃんを?」

メリッサからの突飛な提案に、目を白黒させる
対して提案した本人は、千呼のその態度に怪訝な顔を浮かべて


「おかしい?互いの本音をぶつけ合うには最も有効な手段だと思うけど」
「私も弟相手によくやる。特にニンジンを誰が食べるか決める時には」
「ニンジン……嫌いなの?」


拳を固めて天を睨む。その仕草は勇ましいが、言ってる事は何とも可愛らしい
そのギャップに千呼も脱力したのか、あははと笑いながら手を叩いた

「うん……ありがと!今度、アキラちゃんとしっかり話し合おっかな」
「メリッサちゃんも、早く良くなってね!」
「……どうすれば?」


話して満足したのか、アキラとどう向き合うか決めたのか
パタパタと嬉しげに去っていく千呼をメリッサはただ見ている事しか出来ず


「……ふぅ。面倒な奴だった」
「けど、身体が軽くなった?……まさか」

目を閉じ、身体の力を抜いていく。
すぐに闇が包み込み、意識は遠くに消えていくのだった



626 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/15(土) 19:11:42.04 ID:nJa2KyxX0




マスター同士の激戦の横で、徐々に状況は動いていく
心臓喰らいが追い込まれる裏、令呪の力も切れてきたのか回避しきれず掠めてくる
補助に回ろうにも、二騎の英霊がそれを許す筈もなく。アサシンは今、窮地に立たされていた


「……ねえ。貴方達はどうして死んだの?」
「ああ?そんなの聞いてどうすんだ。弱点でも突こうってか!?」
「答える必要は無い……よねっ!」

ふいに、アサシンから唐突に問い掛けられる
勿論二騎は聞く耳を持たず、熾烈な攻撃の手を緩めない

「どうして戦うの?死ねば楽になるのに、死ねば何も考えなくてもいいのに」
「また後悔するだけなのに、辛い思いをするだけなのに、戦う必要があるのかしら?」


それでも、話は勝手に進めていく。ひらり、ひらりといなす様に
まるで答えを掴ませないかのように、アサシンの言葉はふわふわと


「だーーーウッゼェ!何で戦うのかだとぉ?」
「んなもん、オレがくたばってから後悔する事が出来たからに決まってんだろうがぁーー!」

だが、アーチャーが言葉をを打ち貫く。豪放な声が響き、伸ばした腕は遂に少女を掌握する
掌の中に囚われたアサシンは、尚も動じた様子は無く。平然と兵器の瞳を直視していた




627 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/15(土) 19:12:40.95 ID:nJa2KyxX0






───“勝手に産みやがったのに、その癖勝手に殺すだと?”

───“舐めてんじゃねえぞ。人類を!”



「……何も、残せなかった」

脳裏に過るのは、怒りに燃えた人間だった頃



──“皮は青銅に、血潮は灼熱に。許容量を超えるならば、その都度肉体の拡張を”

──“魂は不要である。人格は不要である。ただ兵器として最善であればよい”



「……何も、残せなかった」

脳裏に過るのは、神に肉体を奪われた頃



──“くぅ、くぅ……あら?貴方は?私のお友達になってくれるの?”

──“貴方は頑張りやさんですね。よしよし。アメは……食べられない?”

──“では……よしよし。ふふふ。また肩に伸せて、日向ぼっこをしましょう”



「……何も、残せなかった……!」

脳裏に過るのは、ある女性と暮らしてきた頃

憤怒に、絶望に満ちていた記憶でなく。穏やかな日向の様に安らぎに満ちた平穏な頃
だが……それも、残せなかった。残したかった姫すらも、最古の略奪船によって奪われた



628 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/15(土) 19:14:22.74 ID:nJa2KyxX0





──“クソっ、何だあのデカブツは!?”

──“あんな奴ヘラクレスさえいれば……おい船を壊すつもりか!?距離を取れ!”

──“ハッ、ケツ捲って逃げるつもりか?情けねえ。ヘラクレスがいなきゃ何も倒せねえか!”



──“黙ってろ!ええいアスクレピオス、奴に弱点はないのか弱点は!”

──“何だ、患者か?……おい、僕を医療行為以外で呼ぶなとあれ”

──“ならさっさと答えろ!一番人間の身体に詳しいのはお前だ。なんでもいいから何か弱点を思いつけ!”

──“……なんだ、青銅人か。機械の身体に興味はないな。しかも神の血が流れている”




──“なら、それを抜けば機能を停止するかもしれませんね。それなら私でも出来そうです”

──“ほう?可愛い可愛いメディア。君があの超巨大怪人を、私の為に潰してくれるんだね?”

──“は、はい!……そーれ。眠くなーれ、眠くなーれ……”




629 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/15(土) 19:15:12.79 ID:nJa2KyxX0





「……今思い出してもムカつくぜ。あのクソ野郎共にも復讐してえけど」
「けれどよお!それよりもムカつくのはよお!守れなかったオレ自身なんだよ!!」

業火の如く。叫ぶ声は地の底から吹き出す溶岩すら凌駕する熱量を持って

「眠らされたのも許す。弱点をブチ抜いたのも構わねえ。けど、けれど……」


「あの姫様を奪った事だけは!絶対に許さねえええええええ!!!!!」


アーチャーの燻る怒りは、遂に臨界点を迎る
身体は真紅に燃え盛り、熱は離れている憂午やアキラの肌すらも焼いていて


「だから……オレは聖杯を獲る!誰を蹴落とそうが、誰をブチ殺そうが!」
「あの姫様を救う為に……オレは戦う!死んでも死にきれねえんだからなあぁあああ!!!」

掌から炎が……否、神の血潮が吹き上がる
超高温の紅蓮がアサシンを包み込む。その矮躯は容易く灰となって消えていく……



「……“神の血潮を焚きつけろ(イーコール・タロス)”」
「マジムカつくゼ。神の力を使っちまうとはな」




630 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/15(土) 19:15:51.75 ID:nJa2KyxX0

【本日はここまで】

【VSアサシンは、もうちょっとだけ続くんじゃ】

631 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/15(土) 19:16:01.41 ID:hSy4i4V4O
632 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/15(土) 23:10:44.41 ID:y3O6OSas0
633 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/17(月) 02:46:34.97 ID:TNuzPQVI0
634 : ◆6QF2c0WenUEY [sage]:2020/08/23(日) 22:49:11.14 ID:zz6QB8os0

【すみません。今日はお休み…】

【三日以内、三日以内には絶対にまとめます……!】


635 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/25(火) 22:04:59.21 ID:ykIm7mR10

【それでは、再開していきます……】

636 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/25(火) 22:07:41.37 ID:ykIm7mR10




パチパチ、パチパチと空気が焼ける音が響く
アーチャーの周囲は瞬時に焦げ付き、踏み締める大地は赤熱して溶けかける
マスターであるアキラですらも、咄嗟に魔術による耐熱を施さねば危険だっただろう

「これで終わりだ。諦めろ、心臓喰らい」
「あ、あぁ……あさ、シン」

そして、アサシンが消滅した事により完全に無防備となった心臓喰らい
最早、誰もその足を阻む者はいない。一歩一歩を慎重に踏み込んでいく……


「……悪く思ってくれ。人を害する死徒を滅ぼすのが私の仕事だからな」


『ええ、思う存分悪く思うわ。貴女のせいで、マスターが死んじゃうもの』


「……何?」
「この声は……!っ、『下がれ』!」

間一髪。いち早く反応した憂午の声が、マリアを強引に後退させた
先程までマリアがいた場所に突き刺さるのは、歪んだ形状の鎌の尖端……



「うぇ!?どういう事!?ちゃんと燃え尽きたはずじゃ……!?」
「んなバカな……!オレの手の中で、確かに潰したはずだろうが!」

誰もがその場を注視する。そこに立っていた者は、気配を遮断する事もなく存在していた





「……こんばんは。ついさっきぶりね」



637 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/25(火) 22:08:25.25 ID:ykIm7mR10




ぺこり。と首を傾げる少女。その姿はとても愛らしくて
だが、どこか歪な印象を受ける。マリアはその少女の名を口にした

「アサシン……!」
「ふふ、どうしたのかしら?さっきまでここにいたじゃない」


アサシン。その身は握り潰され、超高温により灰となった少女がそこにいた
今、目の前でくすくすと愛らしく笑う姿と先程までの無惨な姿が重ならない
まるで何も無かったかの様に平然としている……

「成る程……“早すぎた埋葬”か」
「死亡誤認、仮死蘇生。それに関連した逸話を持つ英霊なら消滅しても復活出来るか……」

淡々と仮説を述べるマリア。それが正しいかを示すように、くすくすと笑う声が響く


 ◆早過ぎた埋葬:A
  死亡したと誤認され、生きながら墓に埋められたことから。
  死亡しても一度だけ、任意のタイミングでリレイズできる。
  死亡した時点で一旦マスターとのパスは断たれ、アサシンは消滅したと偽装される。
  但し火葬された場合、このスキルは発動できない。


「アーチャー!ちゃんと燃やしてよお!」
「だああ!あれ厳密には炎じゃねーんだよ!」
「ええいうるさい!来るぞ!」


ぎゃいぎゃいと騒ぐ視界の隅。舞い戻った少女は的確に首を狙い釜を振るう
その見た目とは裏腹に、俊敏な動きで的確にそれを回避する二騎

しかし、何故か先程の戦闘よりも力が発揮出来ていない
まるで土の中にいるかの様に、その動きは鈍重に、緩慢になっている





638 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/25(火) 22:09:25.10 ID:ykIm7mR10





「ぐっ……!なんじゃこりゃあ!?」
「身体が重い〜〜〜!!」

「これ、は。お父さ、ん……?」
「重圧……?……!そうか、まさか、奴は!」

明らかに動きが鈍い二騎に疑問を抱く
アキラからの問いに何かを悟ったのか。憂午は悔しげに口を噛んだ
そしてアサシンは得意気に、嗜虐的に唇をつり上げて微笑んで……


「そうよ。私は“蘇った死者”。そして“生者を食らう吸血鬼”」
「なら、貴方達は?……決まってるじゃない。私に殺される、“哀れな被害者”でしょう?」


『霧夜の殺人』、というスキルが存在する

殺人鬼……命を奪う者という大前提。被害者の先に傷をつけられる加害者に与えられた特権

蘇った死者は、夜毎に人間を襲い、喰らう……。その法則は英霊といえど、否

英霊だからこそ、より鮮明に影響を受ける……


「……アサシンも、動きが、鋭く」
「それだけではない。アーチャーもキャスターも徐々に押され始めている……!」


639 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/25(火) 22:10:26.00 ID:ykIm7mR10




……食人鬼に喰われるのは、必然的に弱い者

その絶対のルールは、例え神話の兵器であれ、巫女であれ従わねばならないもの
兵器で怪異は吹き飛ばせず、巫女の祈りは届かない。悪夢が此処に顕現していた


「クソッ!こんな奴にオレが負ける訳が……!」
「負けるわよ?貴方達は被害者。それは絶対に覆す事の出来ない真実」
「蘇った私に蹂躙される、可哀想にね。哀れに食い散らかされるの。当然ね」

アーチャーはアサシンの機敏な動きに翻弄され続ける。その度に身に付く傷は増えていって
幸い、キャスターは狙われていない。ちまちまと回復の魔術をかけて補佐しているが……

アサシンの猛攻は激しい。一時の気休めにしかなっていないのが現状だ


「うげぇ。冥界に帰ってくれないかナー」
「言ってる場合か馬鹿!何とかしろ!」
「何とかってどうするのさ!ボクのエンチャントは市街地では不向きなんだよう!」


マリアも心臓喰らいに近付き、先んじて始末を狙うものの、それすらアサシンに阻まれる
まるで身体を分かつかの様に。ひらひらと舞っては斬りかかり足を止めさせて

「う〜ん、う〜ん、う〜〜〜ん……」
「……あ!もしかしたら何とかなるかも!」


640 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/25(火) 22:11:53.83 ID:ykIm7mR10




場違いな程に軽い、明るい声
怪訝そうな顔をする禍門の親子。マリアは頭を掴みながら、再度確認する

「……本当か?」
「うん。多分。きっと……」
「そのきっとはなんだ。ふざけるのは止めろ」

「いやイケるんだって!ただ、ちょっと……」
「ちょっと?」


「うーん……アーチャー。一度死んでくれる?」
「は?」


もごもごと口ごもるキャスターから、突然投げられたのは意味不明な内容だった
意味も理由もわからない問いかけ。必然、その視線は冷ややかなもので

「そんな目で見るのは止めてよ!ボクは真面目な話をしてるんだから!」
「いや意味わかんねーし。なんて?」
「だーかーらーいっぺん死んでみる?って……あ痛い痛い痛い!?」

「……いい加減その内容を話せ。さもなくば令呪で自害させるぞ」
「そこまで!?……わかったよ、もう!」


持てるありったけの魔力をかき集めて、周囲に撒き散らす
狙いも何もない雑な攻撃。アサシンもこれには一時的に引く他は無く

その隙に禍門の陣営は集合する。キャスターの考案した一発逆転の策を確認するべく……




641 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/25(火) 22:12:19.57 ID:ykIm7mR10






「……ね?これなら何とかなりそうでしょ?」
「確かに、キャスターの推測が、正しければ」
「アサシンを何とかする事が出来る……か」

「だけどよぉ、リスクがデカ過ぎんだろ!下手すりゃここで全滅すんぞ!」
「エーデルワイスやバーサーカー。我々に味方する陣営はいるにはいるが……」

「彼等はまだ子供だ!彼等に責務を押し付ける事は出来ない!」
「……だよねえ」


語気を荒げる憂午に、知っていたと言いたげに肩を竦める
どうやら、禍門はキャスターの出した案を否定的に見ている
言葉には出さないが、却下だと言いたげに顔をしかめる憂午……だったのだが

「なら。私が、令呪を使います」
「最悪でも、復帰は出来る。アサシンを倒す事は可能……デス」

アーチャーのマスター、アキラが強く発言した
切り札である令呪を使用すると。かつての大人しい姿からは想像出来ない程ハッキリと

「アキラ。お前……」
「アーチャーも、それでいいデス」
「それでいいなんて一言も言ってねーだ……」
「アーチャー」「ハイ」


「……えーと、やっちゃっていいんだね?」
「ああ。禍門からの了承も得た、私の魔力もくれてやる」

「……“汝がマスター、マリアが令呪を以て命ずる”」
「“宝具を必ず成功させろ……いいな!”」「オッケー!任っかせといて!」


642 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/25(火) 22:13:22.94 ID:ykIm7mR10




「……さて、それでは皆様お立ち会い!」

喧騒が引く頃合い。キャスターが跳ねる様に前に躍り出る
その手には円盤の様な……何らかの文字の刻まれた、白く滑らかな石の盤


「“此より語るは女神の賛歌。天に座したる優雅な女王よ、ボクの祈りを聞き届けたまえ!”」

「“戦の理すらもねじ曲げ、過去も未来も思うがまま!貴女の力を今ここに!”」

「“行くぞっ!『雪花石の奉納円環(ニン・メ・シャルラ)』!廻れ廻れ廻れ廻れーっ!”」


勢いよく、威勢よく。キャスターは円環を回し始める
グルグルグルグル、目にも止まらぬ速さで流転する石盤を、必死に制御していた
その度に火花が散り、石からは今にも壊れそうな、悲痛な悲鳴が聴こえていて……



「……ここだっ!とぉおぅっ!!」

しかし、それにも終わりが訪れる
キャスターが強引に円転を止め、石盤からは魔力が拡散していった




643 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/25(火) 22:14:23.94 ID:ykIm7mR10





「ぐわぁああーーーっ!!」
「アーチャー!?」

「……あら?」


結果が訪れたのは突然だった。先程まで何ともなかったアーチャーが倒れ伏す
急に起こったその現象に最も驚いていたのは、禍門のマスターであるアキラ……ではなく

「……やってくれたわね」
「アサシ、ン。何が、何が……」
「“蘇生されたという事実が無くなった”わ

「……やった!成功した!」
「全く、冷や冷やさせてくれる。……だが、これで貴様はただのアサシンだ」
「人間を襲う殺人鬼でも、蘇生した吸血鬼でも無い。これでお前を畏れる理由は無くなった」


……キャスターの宝具の真価は『結果の改編』
因果率すらも操りかねない程の強力な力を秘めるが、その使用条件も並みではない

キャスター自身の過去には干渉出来ない。結果を変えたとしても無意味になる場合もある
そして、変えられるかはやってみないとわからない……

「今回はドンピシャだったってワケ!……令呪が無かったら危なかったけどね」


『キャスターの宝具を開示します』
◆『雪花石の奉納円環(ニン・メ・シャルラ)』
  ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:0 最大捕捉:1人
  キャスターの生涯が刻まれたアラバスター製の円盤。
  世界で初めて一人称で書かれた物語でもある。自動で情報を記す日記宝具。
  その真価は既に起こって出来事をキャスター自らが書き直すことによって初めて発揮される
  『因果の改竄』――即ち、過去の確変に他ならない。戦争の結果でさえ容易く改竄する
  この宝具により、キャスターはアッカドの帝王ナラム・シンに九度の勝利を齎した。
  故に使用回数は九度が限界であり、またキャスター自身が関わった事象の改竄は不可能である。


644 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/25(火) 22:15:06.70 ID:ykIm7mR10




「……さて、こいつは燃やせばいいんだな?」
「ああ。ゾンビは焼却と相場は決まっている」
「後始末は俺がする!やれ、アーチャー!」

「おっしゃあ!メッチャメラメラだ!食らえやオラァ!」


全身の神の血(イーコール)を燃焼させ、赤熱する肉体で周囲を破壊する
アーチャーの触れた、踏んだ、掴んだモノには炎に包まれ、たちまち周囲は火の海に

……本来、英霊にただの炎は恐れるに足らない。しかし、これは神の血から産まれた炎


「アサシン……!令、令呪を以て」
「駄目ね、逃げられないわ。例え、ここで逃げても勝てないもの」

何の表情も無く答えるアサシン。既に戦闘意思を失ったのか、鎌はとうに消え去っていて

「……ねえ、お願いがあるの」
「我々が聞くと思うか?」

けんもほろろに突っぱねられる。しかし、それすらも意に介さずに話し続け

「私達はここで終わり。認めるわ」
「だから、せめて。最期くらいはそっとしておいてくれないかしら」
「嘘つけ!逃げるつもりだろ!」

「そうね。そうかも。そうしようかしら?」
「うわー多分逃げる気だ……」





645 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/25(火) 22:16:24.77 ID:ykIm7mR10





「……はあ。仕方ない」
「マリアさん!?見逃すのですか!?」

全員からの否定を遮り、マリアのみがアサシンの言葉へ頷いた
……頭を抱えながら、心底嫌そうに

「そうじゃない。……おい、心臓喰らい」
「お前が何を目的に人を殺してたかなんて知らない。だが……」
「信じてやるよ。せめていい最期になる事を」

「ぐ、ぬぬ……ここで死徒を見逃す等……」
「そうだそうだ!ここでブチ殺してや……」
「お父さん、アーチャー……帰ろう」「な!?」

「貴女は、許してくれるの?」
「許す、とか。許さない、とか。私はよくわからないデス。けど」
「きっと、先輩だったら。許す……から」


たどたどしく。それでも確かにアキラは許すと断言した
思い浮かべた人物は、きっと許すと確信していたから



「ありがとう。それでは、いい夜を」

ぺこりと一礼。上げた顔には満面の笑みを
心臓喰らいを抱き抱え、炎の中へと消えていく


646 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/25(火) 22:18:09.25 ID:ykIm7mR10







「……あぁ。アサシン」

「俺は、俺は……死ぬ、のか」

心臓喰らいはアサシンの腕の中で問い掛ける
既に意識は朦朧としているのだろう。ボコボコと肉は痙攣し、人のカタチすら保てていない


「そうね、死ぬわ。良かったわね」

「良く、ない……!俺は、俺は……っ」

「……マスター、貴方は最初から死んでいたの。死徒になったその時から」

ゆっくりと、まるで子供をあやすかの様に心臓喰らいに語りかけるアサシン
その言葉に何か感じるモノがあったのか。その顔は血を、肉を喰らう怪物のものではなく……


「……アサシン。聞いていいか?」

「アサシンの宝具なら、町一つを簡単に蝕む事が出来ていただろう」

「それなのに、最期まで……最期すらもそうしなかった。それは何故だ?」


かつて、心臓喰らいと恐れられた男はそう呟く
アサシンは一瞬だけキョトンとして。クスクスと微笑みながらこう答えた


「だって……無差別に人を殺したら」
「貴方は、本当に怪物になっちゃうじゃない」

それだけ。たったそれだけの理由だと話して。二人は炎の中に消えていく。
アサシンの後ろ姿は煙の中に。崩れ落ちる瓦礫の下にと潰れていった

647 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/25(火) 22:18:43.26 ID:ykIm7mR10

【本日はここまで……】

648 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/25(火) 22:40:52.35 ID:MmDG5b5pO
649 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/28(金) 22:11:01.88 ID:YvED4fJF0

【それでは更新します……】

【目標としては、土日で一区切りつけて九月上旬には完結を目指す所存です】

【ちょっとだけコンマ判定や安価あるかも。お気楽にどうぞ】





650 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/28(金) 22:12:44.02 ID:YvED4fJF0




「……確かに、アサシンは既に消失している」
「それと同時に、マスターである死徒の死亡も確認済みだとも」


二つの激戦から一夜明け、教会の元には四人のマスターと関係者が集っていた
アーディー。アキラ。マリア……そして、貴方とガイスロギヴァテスのドミトリイ、憂午

彼等に現状を伝えたのは監督役のロベルト。
彼の手にある霊気盤は、霊子の反応から消滅したのかがわかるらしい

「どうやら、アサシンは約束を守った様だな」
「そだねーボクは疑ってたんだけど」


「これで、四騎だよな。ライダー、アサシン、ランサーに……」
「私ではないバーサーカー。半分は脱落したという認識で構わないな?」

クリスティーナの毅然とした発言に遅れて頷く貴方
昨夜のデカルトとの死闘が尾を引いていないかと心配していたが……杞憂だった様だ



「さて、此より戦争に戻る訳だが……私から提案がある」



651 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/28(金) 22:13:20.09 ID:YvED4fJF0





「……提案?ロベルトさんが?」
「エーデルワイスの関係者である者が、何故」
「そうとも。君達四人のマスターへ、私からも提議させて貰おう」

監督役からの発言に、明らかに怪訝そうな表情を浮かべるマスター達
冷ややかな視線も意に返さず。つらつらとロベルトは提言した

「既に、この町には数多くの暴虐が翻された」
「ライダーのマスター、アサシン。彼等の残した爪痕は深いものと思われる」
「うぐっ」


新重の起こした騒動が頭を過る。本人にはしっかりと反省する様に叩き込まれたそうだが……

「そこで私はこう考える。これ以上の戦闘は無意味であり、無駄であると」
「つまり、我々に令呪を以て自害を強要させろと?それこそ真に無駄な事」

否定を吐き捨て、軽蔑するクリスティーナ
他の英霊はともかく、彼女にとって令呪程度は何の足枷にもならないだろう

彼女からのにべもない返答にロベルトは、その言葉は予想していた。と言いたげに顔を歪めた

「……そうではない。私の真意は」

「『正当なる決闘によって、聖杯の所有権を決めるべき』だと言う事だよ」





652 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/28(金) 22:13:59.99 ID:YvED4fJF0





「決闘?」
「それは……私達四陣営で、一騎討ちを行え。という事ですか?」

「いかにも。町に被害を一切出さず、我々の内で雌雄を決する。理想的な提案では?」

……確かに、市街地の戦闘はどれ程気を払っても被害は起きる
元より、貴方は町を脅かす危険と戦う為に聖杯戦争に身を投じたのだ



「ハイハイハイ!異議あり異議あり!それだとボク達が圧倒的に不利じゃんか!」
「正直、私はこいつを自害させね聖杯を譲ってもいいんだが」「何でボクが!?」

「それに、僕とバーサーカーは既に令呪を二画使っている。このままではアーチャーの勝ちが決まった様なものだ」

ぴょこぴょこと跳ねるキャスター、静かに手を上げたセイバーから抗議の声が上がる
二人の言い分は尤もだ。この提案は最善かもしれないが、明らかに公平性を欠いているもの

「あ?ならオレが優勝って事か!?これで聖杯はオレのモンだよな!な!」
「……実際、勝てるのか?バーサーカー」
「……三人でかかれば、あるいはと言った所か」


もう聖杯を取った気でいるのか、アーチャーは一人で盛り上がる
冷静に戦力を分析するクリスティーナだが、仮に三騎が結託すれば当然激しく抵抗するだろう

しかも、これは仮の構想。実際に戦うのは自分ただ一人……



653 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/28(金) 22:15:04.80 ID:YvED4fJF0



「………………むぅ」
「マスター。言うならビシッと決めるんだ」
「わ、わかってるよぉ……!もう!」

ぐいっとセイバーに後押しされ、皆の前に出るアーディー
意を決したその表情は毅然と。三陣営に対して宣言した

「え、えっと……あの!エーデルワイスは!その決闘をお受けします!」
「ですが!天使を信奉する我が身としては一方的な蹂躙は許しがたい!」
「故に……えっと、センパイ……じゃない!バーサーカーのマスター!」「お、おう」



「私と……同盟を組んで……ください!」
「なっ!?」

差し出された手を凝視する。小さく震えながらも、確かに貴方に向けられた手を

「……いいのか?俺達で」
「言ってやるな。……マスターの気持ちを察してくれ」

「私は特に言う事は無い。セイバーは戦力として申し分の無い英霊だ。ふふふ……」
「笑わないでってば……もう」

……なら、その手を払う理由はない。不安を振り切る様に力強く。頷いて彼女の手を取った




「……ああ!宜しくな、アーディー!」
「あっ……は、はいぃ……」



654 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/28(金) 22:16:46.35 ID:YvED4fJF0





「…………先、輩。その、私、も」
「あーーーっ!!ズルイズルイズルイ!ボクも同盟やるー!」
「まあ、私も彼に借りがある。どうだろうか、バーサーカーのマスター君」

キャスターからのタックルに吹き飛ばされ、頭を強かに打ち付ける
起き上がった時に見た光景は、ギリギリと首を締め付けられて、腕をブンブン振り回す彼女の姿だった


「え、まあ俺はいいっすけど……アーチャーはいいんすか?」
「はー???オレもいいんですが?寧ろ丁度いいハンデだオラァ!」

「ふむ……では、禍門のマスターよ。問題は無いかな?」
「アーチャーに対する、セイバー、キャスターにバーサーカー」
「彼等との決闘を執り行う事。ここに了承するかね?」




「あ、私、は」
「いいだろう!古来より坂松の土地を任された者として、外様の者には負けん!」
「こんな雑魚共、束になっても怖かねえ!倒せるモンなら倒してみやがれ!」
「……………………はい」

モゴモゴと口ごもるアキラ。何か言おうとしたのだろうか?
しかし、結局は二人の圧に押し負けたのか決闘を受諾したのだった


「後は、日程を決めねばなるまい。日付は……」



12345:今日の夜だよ
67890:明日の夜だよ
↓1


655 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/28(金) 22:28:55.45 ID:zWjcIoico
遅れました
656 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/28(金) 22:34:05.88 ID:YvED4fJF0


5:今日の夜



「……じゃあ、決闘は今夜か」
「よーし!ボク達で聖杯ゲットしちゃおう!」

六人で膝を合わせて会議を始める。議題は打倒アーチャーだ
ちなみに、場所はアーディーの家のリビング。それなりの広さに六人はやっぱり多かった

「まず、確認すべきは仮想敵であるアーチャーの情報だろう」
「奴の宝具、真名……わかるモノは多ければ多い程有益になる」

毎度の様にクリスティーナが切り出し始める。議論が好きなのか、その口調は心なしか弾んでいる

「そう言えば、センパイ達はアーチャーと戦った事は」
「無いな……だから、実際に戦った、共闘した二人の話が聞きたいんだ」


セイバーとキャスターは、実際にアーチャーの戦闘を見た事がある
時間の無い今、頼れるのは二人の情報だけだ

「……セイバー、どう?」
「詳しくはわからないかもしれない。何せ、奴は手を抜いていた印象があった」

「頭脳労働はお前の担当だ。頑張れ頑張れ」
「もっと頑張ってほしいかなー!!」



【どのくらい情報あるの?】

123:ちょっとよくわからないですね
456:多少は
789:核心に迫るレベル
↓1、2


657 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/28(金) 22:35:05.88 ID:/suVtEmV0
658 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/28(金) 22:35:21.99 ID:zWjcIoico
そりゃ
659 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/28(金) 22:47:48.08 ID:YvED4fJF0



8、9:勝ちの目が見えてきた




「……奴は、恐らく真の姿を隠している」
「どういう事だ? 変身とか、巨大化とかするのか」

貴方の頭にパッと思い浮かんだイメージを口に出す
子供の頃見た番組で、ヒーローは変身や巨大化するのはよく見た記憶が残っていた

「そうだ。……知っていたのか?」
「いや、適当に言っただけ……」
「僕の戦ったアーチャーは、もっと巨大な姿をしていた。本来の体積はあっちなのだろう」
「巨大化……つまり、巨人かそれに類する存在という事になるな」


「あ、巨人で思い出したんだけどさ。アイツの身体って鉄みたいでしょ?」
「そうだね……てっきり、鎧でも装着していたのかと思ってたんだけど」
「それがさー。アーチャーの身体は青銅で出来てるんだ」


……青銅の肉体を持つ巨人。それだけでもかなり真名に近づけそうだが

「……イーコール」
「イコール?マリアさん、どうかしました?」
「いー、こー、る。だ。アーチャーが炎を放つ時に叫んでいた言葉」

「掛け声……じゃないよな」
「知っているか、マスター。イーコールとは神の血潮を意味する単語」
「そして、今まで出てきた情報から、奴の真名は判明できる」

「私達の突破口もな……!」

クリスティーナの発言に周りがどよめく
アーチャーの真名、そしてその突破口とは何の事なのだろうか?

思考を巡らせる。まずはアーチャーの真名からだ


【アーチャーの真名は?】
↓1〜3の中で正解があれば。無くてもそのまま進行します



660 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/28(金) 22:58:04.61 ID:dy6oFHqVo
クレータ島の守護者 タロス
661 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/28(金) 23:02:34.88 ID:LJDd9uSK0
タロス
662 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/28(金) 23:13:47.33 ID:YvED4fJF0


アーチャー:タロス  正解



「……タロスか!」
「そっか、クレタ島の守護神……!」

ギリシャ神話にて登場する青銅の巨人。王妃を守護する為にその身を捧げた防衛兵器
千の槍、猟犬と共に王妃を狙う者を阻んでいたが、最期にはアルゴノーツ……に付いてきた魔女によって破壊された

「確か、踵の詮を抜かれた事で死んだんだ。もしかして……!」
「そうだ。アキレウスへのアキレス腱の様に、肉体に弱点があると見た!」

三騎の英霊を以てしても届かない強大な相手
暗中模索の真っ只中で、確かな一筋の光明が差し込んだ

「だが、それには奴に本気を……巨大化させねばならないぞ?」
「そこまで追い込むのは厳しいねー。あ、ボクは眠りの魔術は使えないから!」

だが、当のキャスター陣営からは否定的な声が挙がる
神話での死因である魔女、メディアの役割を彼女に任せるのは厳しそうだ

意気消沈するって貴方とアーディー。……対称的に、セイバーは妙案ありげに頷いていた


「……僕に、少しだけ考えがある」
「サーヴァントは引き続き僕と打ち合わせを行おう。マスター達は……」

「……休息を取ってほしい。恐らく、明日が正念場だろうからね」
「3P!3Pだね!?」「違うからっ!」

……とにかく。作戦はセイバーが主導して考えるらしい
マスターであるマリア、アーディー。貴方は体を休める為に各々休憩を取るのだった


663 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/28(金) 23:14:48.83 ID:YvED4fJF0


【本日ここまで。次回はVSアーチャー】

【明日は早めの時間から、ぶっ通しでやる予定。安価は無いのでごゆっくりどうぞ……】

664 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/28(金) 23:19:20.52 ID:zD5QcTkfO
665 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/29(土) 19:45:12.69 ID:Axl0VCFd0

【(普段より)早い時間更新になってすまない……】

【8時からゆっくり更新していきます】


666 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/29(土) 20:02:33.95 ID:Axl0VCFd0



「……アキラちゃん」
「…………………………。」

「アーキーラちゃん!」
「……っ。お、お姉、ちゃん?」

約束の刻限まで後僅か。アーチャーのマスターである彼女は静かに時を過ごす
集中からか、姉の声は届かず。無線イヤホンを引っこ抜いてようやくその存在に気がついた

「あ、この曲私も好きー。アキラちゃんもこういうの聴くんだね!」
「……余計な、お世話、デス。返して」

流れていたのは巷で流行りのアイドルソング
彼女達と近しい年齢の少女達の、華やかな歌声が耳に心地いい
意外と好きなんだ。と妹の好みに驚きつつも、イヤホンは片耳から外さなかった


「瞑想ってやつ?集中して勝つぞーって気合い入れてた?」
「……邪魔。しないで、下さい。姉さんには、関係ない……!」

キッと睨まれながらも、その顔は飄々とした態度を崩さずケラケラと笑う千呼

「でも懐かしいね。昔は二人で歌とか歌ったのに」「…………っ」


667 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/29(土) 20:05:54.19 ID:Axl0VCFd0





「……どうして、姉さん、ばっかり」
「?」

千呼の言葉に反応したのか、アキラは辛そうに吐き捨てる

「私、だって……歌い、たかった」
「姉さんみたいに、キラキラしたかった……!」
「アキラちゃん?」

「なのに、私、は。後継者だから、って。魔術ばかり、呪術の事ばかり」
「どうして、私、が……私だけ、が……」


「歌っちゃ、ダメ、なんですか……」

吐き出す言葉は絞り出す様に。途切れ途切れになりながらも、確かに疑問をぶつけてくる
……どうして歌ってはいけないのか。と


「……そんな事、無いよ」
「………………あるん、デス。私は、禍門の魔術師だから」

「だから、庶務くんにも言えないの?」
「……っ!先輩は関係ないじゃないですか!」
「あはは。ごめんね!でも今はハッキリと言えたじゃん」「それは、姉さんが!」



「だから、きっと大丈夫だよ」
「勝っても、負けても!きっとアキラちゃんは大丈夫!」
「全部が終わったら、一緒に歌お!ね!」

「……行って、きます」
「見てて、姉さん。私は、勝ちたい」
「マリアさんにも、アーディーちゃんにも……先輩にだって」

刻限は来た。妹は戦場に向かい、姉は窓から来訪者を覗き込む
禍門邸の敷地内。三騎の英霊は既に臨戦態勢を整えていた


668 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/29(土) 20:08:27.35 ID:Axl0VCFd0





「……ふぅ。よし!」
「マスターは何もしないだろう。必要ないぞ」
「気分の問題だから!」

夜が始まり、気持ちも昂る
今回の聖杯戦争で最大規模の戦闘が、今まさに起動せんと肌に伝わる

「……アキラ!何をしていた!?」
「少し、集中を。……先輩」
「私は御三家として、そして、後輩として、貴方に勝ちたい……いや」



「絶対に、勝つ。……デス」
「俺もだ、アキラ。……必ず、倒すからな」



短い言葉を交わし合う。それだけで全て伝わると確信した二人は背を向け、元の位置に戻る
勝っても負けても恨みっこ無し。正々堂々と、貴方/アキラを倒すと宣言して

「……では、やるぞ。アキラ!アーチャー!」
「応よッ!くたばりやがれーーーっ!!」




669 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/29(土) 20:11:08.13 ID:Axl0VCFd0




青銅の巨人が吠え猛る。同時に三騎へと容赦の無い攻撃が落とされる
降り注ぐは熱と瓦礫。先日の戦闘で破壊された家屋の一部を禍門が預かっていたのだ

「ちょ、私達まで潰す気!?」
「こんなのアリなの〜〜〜!?」
「とにかくここは一度下がろう!アーディー、マリアさん!」

あまりの情け容赦の無さに、後方にて指揮を執るはずだったマスターも危険に晒される
一時的に、戦線から遠ざかる。その間、英霊達はセイバーを筆頭として立ち向かっていた


「……こうなる事は予想していた。この戦闘は、僕達の力で勝つしかない!」
「だがどうする?奴の耐久は堅牢だ。私の剣はおろか、貴様の砲弾やキャスターの魔術ですら傷がつくかどうか」
「だから弱点をつこうって話だったでしょ?」

「勿論だとも。ここは……僕が攻める!」

身を乗り出したセイバーが、慈悲の剣を手に巨人へと肉薄する
それを撃墜せんと、一際大きなスクラップを放り投げる。……寸前、砲撃が鉄塊を破壊した



670 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/29(土) 20:13:14.85 ID:Axl0VCFd0





「ハッ!馬鹿の一つ覚えみてーに砲撃か!」
「んな事しても無駄なんだよ!イーコールの流れるオレに、炎なんざ……」

アーチャーの口上の途中で鳴り響く衝撃音。嫌な音を立てながらも、その正体を殴り壊した

「あぁ!?……船じゃねえか!てめえ、どういう了見だオイ!」
「当然、策の一つだとも……つかぬ事を聴くが、アーチャー」



「流石のアルゴノーツも、爆薬をありったけ仕込んで特攻なんてしないよな?」

再度。いや、それ以上の激しい爆音。殴り壊した船から閃光が迸り、先程以上の爆発が起きる
炎は恐くない、痛くもない。だが……肉体に走る衝撃は、青銅の肉体に罅を入れる事に成功した


「ぐぅおおおっ!?何だ、爆弾か!?」
「……“まさか!壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)”か!」
「その通り。……正直、船に火をつけるなんて頭がおかしくなったのかと思ったが」

「“太陽を落とした女”の考えた策だ!思う存分使わせてもらうぞ!」

……かつて、無敵の艦隊を打ち破った奇策
俗に『火船戦術』と呼ばれるそれは、常識破りで破天荒な船長の気性をよく表していた

当然、セイバーの持つ艦船は彼の指揮下にあるのでこの戦術を執るのは不可能だが……



671 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/29(土) 20:17:59.52 ID:Axl0VCFd0





「……“壊れた幻想”により、擬似的に再現したという訳か」
「確か、宝具に秘められた魔力を、暴発させる荒業、デス」

「そうだ。だが絶大な威力と引き換えに宝具を失う覚悟を伴う……!」


通常、宝具とはその英霊の象徴である代物
セイバーは『艦隊』という性質から、一つ二つを失っても替えが効かない訳ではないが……

「……どうだ、アーチャー!これが僕の覚悟!」
「貴様も意地を見せてみろ!それともこのまま船の藻屑に消えてみるか!」
「上等だオラァアアア!……おい、マスター」

挑発に乗るかの様に激怒する。寸前、アキラに声を掛けて

「ちっとデカくなる。……構わねえだろ?」
「……はい。勝って、くれれば」

その答えに満足したのか。アーチャーの肉体に魔力が満ちる
まるで映画か特撮の様。みるみる内に、その姿は摩天楼の様に聳え立った


『アーチャーのスキルを開示します』
 ◆巨大化:A
  自身の身体を巨大化させる能力。
  接近戦や数の多い敵と戦う時に効果的。


672 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/29(土) 20:19:31.31 ID:Axl0VCFd0




「……ここまでは、セイバーの策通りだ」
「後はボク達の出番ってワケだね!」

巨大な拳が大地を穿つ。一撃一撃の重さは、紛れもなく最高、最大の攻撃
セイバーは艦隊に飛び移り、時に砲撃を、時に船を突撃させて何とか均衡に持ち込んでいる

「今の内に、私が奴の足元に潜り込む!では、エンチャントをかけてくれ」
「ラジャー!」

キャスターが言葉を紡いでいく。神代の魔術がクリスティーナに力を与える
彼女が行ったのは禍門邸に吹き荒れる『突風』のエンチャント。戦場で起きた現象すらも利用して、光輝く剣を掲げる


「……行くぞ!ここに、終止符を打つ!」

疾風の様に駆けて、アーチャーに向かう
クリスティーナの敏捷は、特筆する程のものではない
だが、エンチャントにより大きく上昇している今の速度は目にも止まらない。直ぐに足元へと辿り着き、剣を振り上げた


「これで終わりだ……アーチャー!」


673 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/29(土) 20:21:30.19 ID:Axl0VCFd0






「『制止しろ』」「止まって……!」
「………………な……!」

クリスティーナの動きが止まる。いや、辛うじて動けてはいるが、明らかにおかしい
……事実として、何も間違った事はしていない。アーチャーの真名がタロスと判断した事も、足の詮を狙うという戦略も

「これ、は……!まさ、か……!」
「そうとも。“呪術”さ。英霊には効果が薄いかもしれないが……」
「二人、なら。あるいは。……通った」

しかし、それでも失策を挙げるとするならば
禍門の家の魔術師は言葉を操る呪術師であった事。マスター以外にも、補助する人物を失念していた事

……そして


「無論、懸念はあった。これがセイバーであれば対魔力で弾かれていただろう」
「当然キャスターにも意味はない。魔術師の英霊に魔術で挑む等、愚かの極みだろう」

顔色一つ変えずに憂午が語る。彼等の犯した、最も致命的なミスの内容を


「だが、『バーサーカーなら話は別だ』」
「対魔力を持たない。魔術の心得もない。それを覆しうる能力も持ち得ない」
「バーサーカー。『お前はこの場で最も攻撃してはならなかった』のだからな……」

「……アーチャー!標的を、セイバーから、バーサーカーに!」
「オオオオオオオオオ!!ブッ潰れろやああああああああ!!」




地に釘付けられたクリスティーナに、鉄の拳が墜ちてくる
大地すら叩き割らんとする一撃。並の英霊でなくとも消滅は免れない破格の質量

セイバーも砲撃を繰り出し、キャスターも魔術で押し留めんとしているが……

刻一刻と、死が近づいていた


674 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/29(土) 20:24:43.68 ID:Axl0VCFd0





「───! “令呪を以て命ず!”」

「“絶対に耐えてくれ!バーサーカーッ!”」



貴方の最後の令呪が光る。莫大な魔力がクリスティーナを包み込み、肉体へと染み渡る
瞬間、剣と拳が激突する。衝撃で大地は割れ、近くにいたセイバーの艦隊も一部吹き飛ぶ
だが……クリスティーナは無事だ。いや、“今は”

「な、この……!クソアマがァアアア!!」
「負けるものか……この一瞬!マスターに託された力に掛けて!」


「あわわわわ、どうしようどうしよう……!?」
「……セイバー!バーサーカーの代わりに、アーチャーを倒して!」
「了解した!全速、バーサーカーが折れる前にカタをつける!」

艦隊が高速で前進する。拮抗しているこの瞬間に全てがかかっているのだから
航路は開けた。邪魔をする巨人は既に手一杯の様で。デタラメに瓦礫を放り投げる事が精一杯の抵抗だった


「これで決める!砲撃、用意───!」

足の詮に向けて、ありったけの砲弾を叩き込む
一撃、二撃、三撃。壊れるまで何度も、何度も繰り返し

そして有に数十発は越えた頃、その時は訪れた


675 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/29(土) 20:25:27.00 ID:Axl0VCFd0





「ぐっ……がァアアアああアア!!!」

パキン。とガラスが割れる様な音が鳴り響く
足には無数の罅が入り、凹みの数がその衝撃を物語る
そして、砕けた破片は塵と消え、足からは煌々とした液体が漏れだしていた


「……アー、チャー」
「クソ……三対一とか卑怯じゃね?」
「それを了承したのは貴様だろうに……」

クリスティーナが呆れながら声を挙げる。その身はボロボロになりながらも何とか無事で
しかし、タロスは既にグズグズに崩れそうで。辛うじて現界を保てているのも、単に単独行動のお陰であった

「けど、チクショウ。マジでダメだコレ。何か変な呪い掛けやがったなあの魔女」
「……ごめん、なさい。私が、未熟だったから」
「そう言うなよ。お前ってさ、なんとなくあの姫様に似てんだよ」
「顔や仕草は全然似てねえのにな。……これ、やるよ」

そう言って差し出したのは小さな破片。タロスの体表と同じ色の、ブロンズの御守り


「ホントはよ、エウロペにやりたかったんだ。けどその前に死んじまったから」
「……持っててくれよ。何か役に立つかもな」

言い残し、アーチャーは霧散する。霊基の限界が訪れたその身は、数秒には消え去るだろう




───“タロス。貴方はよく頑張りました”

───“本当に、私の自慢の友人です。いい子、いい子……”

ふと、可憐な女性の声が聞こえた気がした
その言葉は、果たして一時の胡蝶の夢だったのか。それとも、もしかすると……


676 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/29(土) 20:26:02.90 ID:Axl0VCFd0





「……今しがた、禍門の脱落を確認した」
「残る陣営は三。だが……これ以上の戦闘は必要あるまい」



闇の中から突如現れる第三者。その言葉は淡々と事実を伝えるに留めている
しかし、その中に知り得なかった事実がある。その真意を問う為に、貴方は第三者に質問した

「これ以上の戦闘は必要ないって……どういう事ですか。ロベルトさん」
「簡単な事だ。既に少聖杯は降臨している以上は戦闘の意味がない」
「…………?」

理屈がよくわからない。少聖杯とは何の事なのだろうか?そして何故戦闘の意味が無いのか?

「あー、ここらの理由はセンパイにはわからないと思うよ。ロベルトさん」
「ならば着いてくるが良い。……そこで、全てを話すとしよう」

闇に溶けていく監督役。その姿を追うように、アーディー、マリアもついていった

「……よくわからないが、聖杯はあるのだな?」
「では行こう、マスター!栄光の未来はすぐそこにある!」
「いやどこかもわからないだろ……」

とにかく、付いていかねば話にならない
クリスティーナと貴方は、同じようにロベルトの背中を追っていった


677 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/29(土) 20:29:22.25 ID:Axl0VCFd0

【本日はここまで】

678 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/29(土) 21:08:13.66 ID:pajfBAey0
乙です
679 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/29(土) 21:42:58.36 ID:+2bIJ+xdO
680 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/29(土) 21:55:03.47 ID:28oJkQFB0
乙です
681 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 00:21:54.13 ID:Bj3byN/+0





「……聖杯とは、独立した機構ではない」
「大きく分けて二つ。英霊の魂が座に戻る際に動力を溜め込む器、実際に力を行使する器」

夜も更けてきた町の中を、複数の人間が進んでいく
普段ならばまだ寝つかぬ頃合いだが、今夜はやけに静まり返っていた

「エーデルワイスの家は、遥か遠くの錬金術の家とコネクションがあったと言う」
「そのせいかは知らないが、当主シュヴァルツは天使の聖杯を起動する術式を模倣した」

「これこそが、君達が今まで戦争を繰り広げた意味であり意義。……質問はあるかな?」


「特に無い。とっととその聖杯とやらを拝ませて貰おうか」
「……あの、失礼かも、しれないんですが」
「構わないだろう。俺も御三家の一人、聖杯を確認する事に異存があるか?」

おずおずと問いかけるアキラに、サングラスを外しながら答えるドミトリイ
確かに、敗北したと言えど御三家である以上は聖杯に立ち合うのは義務なのかもしれない



「ここだ。この地下道を通った先、聖杯は安置されている」



682 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 00:22:58.38 ID:Bj3byN/+0



「……これ、どこまで続くの?」
「さあ……」

薄暗い地下道を黙々と下っていく。広い事には広いが、それ故に距離感覚を惑わせる




「そろそろ着くはずだ。そこで知るだろう」
「この聖杯戦争の、本当の目的を……」
「……?それ、さっき話してませんでしたっけ」


貴方の疑問に答えぬまま、暗い道をゆっくりと歩んでいく
再度言おうか。と思ったものの、思考をかつての道程に馳せてみる事にした


それは、数々の奇跡と苦難を辿った証明

無数の人間が果たせなかった望みの残骸。一縷の希望を託した一歩

本来ならば参加する資格も、願いも無い貴方

歩む足は不思議と軽く。心は寧ろ鼓動を増す

自分一人では為しえなかった、まさしく奇跡

バーサーカー、クリスティーナ。バロックの女王。最も自由な女王

彼女への感謝は尽きる事はない。彼女は、自分の

「……ついた。ここが、こここそが、我が悲願の到着点……!」



683 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 00:23:51.84 ID:Bj3byN/+0




「……地下に、空洞?」

「そもそも、ここってどこなの?」

「立地的には、高校の地下……デス」

「こんな所に地下空洞……?俺の資料には無かったはずだ」

「ふむ、秘匿されていた区画と言う訳か。聖杯を隠すにはお誂え向きだな」


マスターの反応はどれもまちまち。感心する者や困惑する者、人それぞれに様々な顔を見せる
……だが、彼等のサーヴァントは違っていた

「……マスター、下がれ。ここは」
「うげえ……何か嫌な感じがすると思ったら!」

「セイバー?どうかしたの?」
「何だ急に。異様に面妖な空気は感じないが」

剣呑な雰囲気のサーヴァントに、二人も怪訝な顔をする
それを意に返さず、ロベルトは空洞の中心部に進んでいき……何かを照らす

照らし出された地面には、『貴方も見た事の無い』模様が描かれていた


「……これは、“英霊の召喚陣”!?何で!?」

一際大きく困惑したのは、アーディーだった
英霊の召喚する際、特殊な陣を描く必要があるとは知っていたが……

それでも、ここまでの規模のものは異常であると。素人の貴方ですら理解できた







「ふ、フフフハハハハハ!!何故かだと?」

「当然!……『天使様と結ばれる為』に決まっているだろうがァ───ッ!!」


684 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 00:24:51.86 ID:Bj3byN/+0




「……は」
「貴様……やはり、未だエーデルワイスと繋がっていたか!」
「違う……違う!本当に、ロベルトさんは私達と手を切ったはずなんだ!」

疑いを否定するかの様に、困惑しながらも発言する
それを嗤いながらロベルトは謳う。高らかに、愛おしげに

「そうとも。あの家はダメだ、天使がこの世に存在すると頑なに盲信している愚か者」
「矛盾しているぞ。天使と結ばれる為にこんなものを用意したんじゃ無かったのか?」
「知った口を聞くなッ!吸血鬼風情が!」


「私は“この世にはいない”と言ったんだッ!ならば天使様はどこにいらっしゃるのか?」
「───そう。“あの世”だ。ならば答えは既に得たり!」

「悪徳を為し!裁きの時を迎え!───天使様と結ばれる」
「何とロマンティック……古今東西のラブストーリーであろうとも霞んでしまうこの純愛!」
「完璧だ……完全無欠の我が恋よ、今こそ成就する時である!」



「何言ってんの?この人」
「黙ってて!……英霊なんて呼べる訳ない!無駄なんだ!」

「……若いな、アーディー。こんな言葉を聞いた事がないかな?」
「───愛は、必ず勝つ」



685 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 00:26:48.36 ID:Bj3byN/+0





ロベルトの言葉は、まるで要領を得なかった
だが、それでも、ハッキリと言えるのは……

「……マスター、逃げろ!今からサーヴァントが召喚される!」
「何故だ……何故!聖杯戦争は終盤のはずだ!英霊を召喚する余地などありはしない!」

「あるとも。現にそこの……バーサーカーのマスターよ」
「君の存在こそが何よりの証拠だ。土壇場で新たな英霊を喚び、契約した者がいる!」
「………………!」

貴方は偶発的にクリスティーナを召喚し、契約を結んだ
その理由は、今までは新重の描いた召喚陣が原因だろうと考えていたのに……!



「まさか、聖杯から直接召喚したのか!?」
「……そうか。不思議ではあった。詠唱も無く、触媒も無いのに何故私が喚ばれたのかが!」

「聖杯の真上で、召喚を望んだ、から……?」
「素質の全く無いセンパイに、聖杯が勝手に英霊をあてがったって事……?」





「何でもいい。何でもいいさ!積年の恋を結ぶ英霊よ。抑止の輪より顕現せよ!」

最後の叫びに呼応して、一際強く召喚陣が光り輝く
そして、光の中から現れたのは……

686 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 00:28:16.69 ID:Bj3byN/+0



「───嗚呼、よくぞ降臨なさいました」

「堕天使。世界の破壊者。奈落の魔王!」

「五体の英霊が死する時、福音と共に表れた貴方こそ……」

「我が恋を幸福なものにするに相応しい!」

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/〃戦滅ヽ/// X: :/.:./亡戦 :: : ./: : :/
/i{.戦怨凶.\/ム : : :./怨争殺.!: : : i: : /
/∧殺恨争 .〉, ∧/恨邪凶亡. : : :/: :/
///〉,滅 ..イ//.〕Y:.^:,、殺怨 .:: 〉 /: :/. /:.∨
 ̄\//¨´//// .i : : : : ¨´: :/ ̄}!: イ  /: : :∨
\//》////////, : : : : : : : / ./: :/: : 〉 |: : : : ∨          > ´
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「───“アバドン”よ!」
687 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 00:29:40.81 ID:Bj3byN/+0

【ゲリラ更新はここまで。明日になったからセーフ!】

【明日はラスボス戦をお送りしたいと思います。長かった本編もあと少し……それでは】

688 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/30(日) 01:04:13.17 ID:UotGeAezO
689 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/30(日) 14:03:59.88 ID:KFOTs0b50
アバドンのガワは今日最終回を迎えたゼロワンか
690 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/30(日) 14:39:56.54 ID:FGlBDPYt0
バッタモチーフの仮面ライダーで今まで居そうで居なかった蝗害モチーフのゼロワンメタルクラスタだね
691 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 15:07:27.42 ID:Bj3byN/+0





「……アバドン」

思わず、口に出したその名前
目の前に現れたサーヴァントの真名。ギチギチと不快な音を立てる銀のヒトガタ
その眼は……いや、眼“らしき”部位は此方を正面に見据えていて


「アバドン……黙示録に登場する奈落の王!」
「黒い太陽、カルデアの信仰と同一視される蝗の具現化か……」
「そして、私に遣わされた天使でもある……」

陶酔しきった声の主、ロベルトはうっとりと天を仰ぎ見る
まるで、すぐそこに愛しい天使がいるかの様に頬を朱に染めながら



「此より、アバドンの宝具によって坂松の町を喰らい尽くす」

「勿論、誰も殺さない……殺させない。その悲鳴は、怨嗟は、天上に響かせるものなのでな」

「そして、五ヶ月……五ヶ月だ!地には苦痛と呪詛が満ち足り、私の前に降臨する!」

「──アバドン!私の夢を叶えろッ!その権能の一端を!今!この世に!解き放つのだァーーーz______ッ!」




『命令を受諾しました。此より、宝具【災為す虫皇】を開帳します』


692 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 15:08:08.08 ID:Bj3byN/+0




無機質な、機械的な、声というより音声を放つ
だがその声を二度と聞く事はない。何故なら、既に耳を覆うのは虫の羽音のみ

──アバドンの宝具が、地下空洞を、マスターやサーヴァント達を蹂躙していた



 ◆『災為す虫皇(アポリオン・クラスタ)』
  ランク:EX 種別:対人類宝具 レンジ:─ 最大捕捉:─
  無辜の怪物、際限無く沸き出る蝗の群。死さえも赦さない裁きを与える権能の一。
  人類が戦い続けた“蝗害”の具現。災厄を剣に乗せて世に解き放つ掃討進撃。


 ◆『空牙、顎、流飢(サカ・トフ・イナ)』
  増殖した蝗の大軍。人を喰らう異形の嵐。
  十の災いの八番。空を覆い、死すら慈悲になる五ヶ月もの責め苦を与える蟲達のあぎと。

  自らの飢えを満たすため、手当たり次第に貪り食う。所詮は虫なので一つの範囲は微量。……無数の群生さえ成していなければ。
  小さいが故に容易く隙間に入り込み、完全に防ぐ事は至難の技。堅牢な城塞だろうと齧り尽くされ、鎧をすり抜けて食い散らかす。
  この蟲こそがアーチャーの剣であり、弾丸であり、鎧であり、肉体そのもの。



「ガッ、ゲホッ!ぐ……!バーサーカー!」
「息が……!それに、反響で衝撃が酷い……!」
「あぁもうウザったい!そりゃあーっ!」

キャスターの魔力弾が、蝗の軍を掃射する
辛うじてスペースを確保した彼等は、皆一斉に駆け寄った

「ふぅ……助かったぁ……!」
「だが、これでは解決策にはならないか……」
「ボクもそろそろ限界なんだけど!結界が食べられてるし!?」

キャスターの張った簡易的な陣地の外は、羽虫の羽音とガリガリと削る音が響いている


「……あれ、けど」
「どうかしたか?アキラ」
「なんだか、数が……減っている、気が」



693 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 15:08:48.92 ID:Bj3byN/+0



確かに、アキラの指摘通り数が減っている
視界を覆うばかりの虫は、今は数多くと言っても目が潰れる程はいない

助かったのか。甘い思考は即座に否定される

「……マズい事になった」
「ドミトリイ、どうしたの?」

「わからないのか!蝗は坂松の街に出ていったんだ!」
「このままではどうなるかわかるだろう!?」
「「はぁ!?」」

……ロベルトは確かに言っていた。“坂松の街を喰らい尽くす”と
この規模の蝗を何の対策も無い街に放てばどうなるかは、簡単に想像出来る
街にも、人間にも……壊滅的な被害が出る……!


「なら、早く倒さないと……!セイバー!」
「いや……ここで奴に拘って、街に被害が出る方が深刻な問題だ」
「じゃあ、どうするん……デス?」
「それは……」

誰も、何も答えない。一刻を争うこの状況で、下手な事は時間の浪費にしかならない
鳴り響く羽音も思考を刻む。集中する事もままならない極限の状況で、確かに彼等は追い詰められていた



「……何を迷う必要があるのか」
「街に出た蝗の処理は、対軍規模の攻撃が可能なセイバーとキャスターが適任だろう」
「私が奴と戦う。……構わないな。マスター!」


694 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 15:09:40.02 ID:Bj3byN/+0




「……そう、だな」

クリスティーナの宣言を、頭の中で噛み砕く
他のサーヴァントは駆除に向かい、アバドンとの決着は彼女がつける……

確かに、それが一番合理的かもしれない。が……

「……勝てるん、だよな」
「誰に向かって言っている」
「だよな」

彼女の答えに、苦く笑う。……そうだった。彼女はいつでもこうだった
不敵に、不遜に。やりたい事をやり、為すべき事を為す。……誰よりも、自由に


「……ああ!ここは俺達に任せてくれ!」
「任せられるか。……俺も残る」
「わ、私……も!先輩の、近くに……います!」

ドミトリイ、アキラが貴方の側に立つ。ここに残り、力を貸すと宣言した
その言葉が限りなく嬉しい。そして、託された者も覚悟を決めて、頷く



「わかった!……絶対に生きて!」「勿論!」
「約束しちゃったね〜オンナノコとの約束は命よりも重たいよ?」
「死なれると辛いのは残された方だ。……君ならわかるだろう」

「それでは……行くぞ!僕の船に乗れ!」

四人の姿は既に無く。セイバーの船に乗り、街へ向かって進み出す
同時に、結界が破られる。無数の蝗が貴方達を喰らわんと顎を広げ……


695 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 15:10:43.50 ID:Bj3byN/+0




「……させるか!」

ドミトリイの炎の縄が鞭のようにしなり、蝗の群を薙ぎ払う
全滅に至らずとも、周囲の蝗はバラバラと脆く崩れ去る。……耐久性が皆無なのは幸いだ



「……アバドン!奈落の王よ!」
「貴様を地上に出す訳にはいかない……ここで、消えてもらう!」

クリスティーナの声に反応したのか、アバドンはゆっくりと此方を向く
ぐにゃり。人間とは思えない動きで剣を構え、蝗が波の様に周囲をうねる



『敵意確認、敵対存在認証。……脅威、低確率』
『実行不全確証、排除可能確率。一零零零』
『排除開始。排除開始。排除開始。排除開始』




「排除されるのは……果たしてどちらか!」
「これが最後の戦闘!最後の戦争!……勝つ!」

クリスティーナとアバドンの剣が重なり、火花を散らす

坂松市の聖杯戦争。天使の杯を廻る闘争。その終幕を飾る戦いが

今……ここに。幕を開けた



696 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 15:12:26.32 ID:Bj3byN/+0

【取り敢えずここまで。夜まで書けたらやりたいなーと】

>>689 >>690
【正解。代理AAは仮面ライダーゼロワン メタルクラスタホッパー(仮面ライダーゼロワン)でした】

【今日がゼロワンの最終回。記念という訳でもありませんが、間に合って良かった……】


697 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/30(日) 16:39:29.16 ID:6bitpNwHO
698 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:05:20.63 ID:Bj3byN/+0

【それでは、最終決戦を投下します】


699 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:06:31.19 ID:Bj3byN/+0





……その頃。坂松の街は、混迷を極めていた
突如沸いた蝗の群れ。街も、人も区別無く襲う大災害として覆い尽くす

戦場と化した街の中。それでも懸命に立ち向かう人間がいた


「クソッ!何だこの虫は!?これもガイスロギヴァテスのせいか!?」
「……?会長は異変の原因を知っているのか!」
「とにかく、今は街の人の避難を優先させた方がよくないですか?」

「そうだ!庶務と会計は無事か!?先程から、連絡がつかないのだか!」
「うーん……多分、無事じゃないですか?」

潮、林道、新重の生徒会役員。彼等は街を駆け抜け生徒達を避難所へと誘導していた
何の事はない。放置していたら、潮の信頼や命がどうなるかわからないから付き合わせているだけなのだ



「ああ厄介な!虫けらが私の輝かしい未来の邪魔になるなんて……!」
「だが、ほとんどの生徒は既に避難を完了している!我々も早く避難所に……むおお!?」

気がつけば、彼等が虫の大軍に囲まれていた
避難し、餌が減った今。彼等は無防備な犠牲者でしかない

「……よう。苦労してんなぁ、若いの」
「ちっと手を貸してやるよ。……にっひひひ」



700 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:08:21.67 ID:Bj3byN/+0





「むっ……蝗の群れが!」
「わーありがとうございます。……子供?」
「き、貴様は……!?」

「ま、通りすがりだな。さっさと走りな」
「今は振り払ってやったが、すぐに戻ってくるからなぁ。ひひひっ!」

ケラケラと笑う子供、禍門招福が生徒会を先導する
走る度に周りの蝗は避ける様に引いていく為、魔術師でない林道も安全に走っていた

「きゅ!きゅきゅ!」「げっ……」
「む、貴様は……誰だ?」「えーと、先輩でしたよね」

「おお!鹿黒か!無事だったんだな!」
「お前がしつこく連絡を入れてたからだろ……」

途中で遭遇した鹿黒とヴィオレも共に走る
いつの間にか大所帯になった生徒会は、招福に導かれるまま進んでいった




「む?今、花火の様なものが」
「気にするなよ。間に合わなくなるからなぁ」



「……こっちは何とかしてやったんだ。後はあんた達の番だぜえ?ひゃっひゃひゃひゃ!」



701 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:08:47.29 ID:Bj3byN/+0





「撃て!撃て撃て!あらん限りの砲撃を!」

坂松市の上空で号砲が唸る。その度に蝗は粉砕され、欠片も残さず塵となる
……これを、もう数十はこなしているが、未だに止む気配が感じられない


「昔、駆除に大砲が使われていたそうだが……」
「ちょっと数が多すぎない!?もっといっぱい船を出してよ!」
「無茶を言うな!先の戦闘で、半分近く失っているんだぞ!」


叫ぶセイバーだが、キャスターの言うように艦隊の数はかなり少ない
つい先程行われていたアーチャー戦で、数多くの船を特攻させてきたツケが回ってきたのか
その量はやや心許なく、そのせいで余計に手間取っている

「あぅ……!何とか街からこっちに注意を逸らす事は出来てるけど……」
「このままでは、私達が先に喰い殺されるな」

蝗の猛攻は凄絶の一言に尽きる。何せ火の海の中すら飛び込み、突っ込んでくるのだから
分身ですらこれ程ならば、本体と戦っているクリスティーナは無事なのだろうか?
アーディーに出来る事は、ただひたすらに祈る事だけだった



「センパイ……!」




702 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:09:14.29 ID:Bj3byN/+0





「“灼牙の蛇(ヴァイパー)”!」

地下の空洞内に、煌々と照らされる円の陣
炎を纏ったワイヤーが幾重にも張り巡らされ、貴方の周囲をぐるりと囲む
いかに恐れを知らぬ蝗であろうと、暫くの間は安全地帯として使えるだろう

「俺に出来る事はこの程度だ。後はお前がなんとかしろ」
「……わかったよ。ドミトリイ」

それだけを言い残し、すぐさま陣の維持に集中する
貴方は遠くで鍔競り合うクリスティーナとアバドンに意識を戻す

……実力はそう離れていない様に見える。だが、周りの放つ不快音が身体を刻んでいた


 ◆不穏な羽音:A+++
  産み出された眷属達の羽ばたく羽音は、人の根幹を精神的に切り刻む。
  眷属の数を増す程その音は激しくなっていく。最大限に高まると、常人ならば精神を崩壊してもおかしくはない。
  精神耐性や幸運判定。そして、あくまでも音なので、耳を塞ぐ等の物理的な手段を取れば抵抗可能。


「くっ……はぁっ!」
『肉体損傷確認。修復機能全稼働』
『損傷軽微。排除再開』

おまけに、幾ら切り裂いてもダメージがある様にはとても見えない
何度攻撃を受けても、すぐに回復してしまう……




703 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:09:43.25 ID:Bj3byN/+0





「……魔力を外から回収しているのか?」
「外、から?それって、いったい、どこから」
「恐らく、先んじて街に出た蝗がダメージを上回る程の魔力を回収しているのだろう」

「じゃあ、それ以上の攻撃を叩き込むか、外の蝗を壊滅させないと」
「奴は事実上の不死身という訳だ。……全く、厄介な奴を召喚したものだな!」


吐き捨てながら、周囲の蝗を焼くドミトリイ
しかしそれも総体で見れば微々たるもの。即座に数は戻り、増殖する



 ◆個体増殖:EX
  自己と同等の存在を産み出すスキル。眷属のセルフコピー&ペースト。
  自己改造の亜種であり、このランクが高い程真っ当な英霊とはかけ離れていく。
  このスキルにより産み出された個体は脆弱性に問題があり、大きさは掌程度、人の手でも駆除できる位には弱体化してしまう。
  しかし、そんな事すら問題にならない程に産み出す速度が尋常でない。増殖した眷属は、瞬く間に世界を覆い尽くす。



「ダメだ、バーサーカーに対軍宝具は無い」
「外のセイバー達に任せるしか……!」

貴方に出来る事は、ただ祈るだけ。奇しくも、アーディーと同じだった……



704 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:10:12.41 ID:Bj3byN/+0




「はぁ、はぁ……!」
「駄目だ……マスター、令呪を……!」
「わかった……!“汝がマスター、アーディー・エーデルワイスが令呪を以て命ず!”」


「“宝具全開!吹っ飛ばして!”」
「行くぞ───!“太陽落とす嵐の夜”!!」


令呪の後押しを受けた一斉砲撃。天空を、大地を飛び回る蝗のほとんどを消し飛ばす
だが、それでも、全滅するには至らない。悠々と跋扈する姿は最早悪夢か幻かと願うほど
無尽の軍勢は、全員の心を折るには充分過ぎた


「嘘……なんで、なんでぇ……!」
「駄目だ。僕はもう魔力が……くっ!」

「……キャスター。手は無いのか?」
「え、ボク!?」
「お前以外に誰がいる!?この状況を打開する可能性があるのはお前だ!」
「マスターとして、そして魔術師として。お前を頼っているんだよ。私は」

いつになく真剣なマリアの顔。普段はおちゃらけているキャスターも、今は神官として頭脳を動かす



「うーん……。……要は、魔力と火力を両立させればいいんだよね?」

「一つ思いついたんだけど……試してみる?」




705 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:10:50.57 ID:Bj3byN/+0




「……何だ。聞かせてくれ」
「まずはマスター。令呪をアーディーちゃんに渡してくれない?」
「令呪の移行はボクがやるよ!キャスター伊達にやってないからね」

「……構わん。そら、手を出す」
「あ、はい!……ありがとうございます!」

テキパキと二人の腕から令呪を移動させ、アーディーの令呪が二画増える
しかし、これだけでは先の結果と何も変わらないだろう。もっと広い範囲を撃破しなくては……


「そう、そこでボクの宝具の出番ってワケ!」
「セイバーの艦隊を、失う前に戻す。それならあの蝗の大軍だって蹴散らせるでしょ?」
「……だが、あの宝具は運任せだろう」

尤もなマリアの指摘にてへへと笑う
バレたか。と言いたげに、悪戯っぽく。しかしそこにふざけた態度は感じられなかった

「うん。でも成功させるよ……絶対」
「ボクを信じて。キャスターの英霊として、君達を必ず助けてみせるから」



706 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:11:45.29 ID:Bj3byN/+0




「それじゃ……やってくる!皆!」
「ボク、楽しかったよ!信仰を取り戻す事は出来なかったかもだけど……」


「それでも、無駄じゃなかった。こうして世界を救えたんだから!」

ありったけの魔力を回す。宝具である石盤を起動させ、円環は廻る
最初から出し惜しみはしていない。限界はとうに超えている。腕が、目から血が流れる

「それでも……!やらないと……!」
「ボクは神官なんだから……!イナンナ!ボクに力を今だけ貸して……っ!」

「……うあああーーーっっ!!!」




円環が罅割れる。遠心力で煙が上がる。ガタガタと揺れ、崩れ……弾けた
自らの霊核を以て制御した運命の石盤は、その熱量に耐えきれず霧散する

だが、運命は変えられた。一人の神官の献身によって



「あはは……良かった。けど、せめて……」
「太陽……見てから、消えたかったなぁ……」

空が白む。夜の終わりをしろ示す光が果てから差し込んでくる
その柔らかな光を浴びながら……キャスターは、粒子となって消滅した




707 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:12:17.78 ID:Bj3byN/+0






「……エーデルワイス!」

マリアが叫ぶ。為すべき事を為せ。と


「わかってる……!“セイバー!汝がマスター、アーディー・エーデルワイスが全ての令呪に以て命ずる!”」
「“全力、全開!全ての力を以てして、蝗の夜を終わらせて!”」


アーディーは願う。この夜の幕を引け。と



「……ありがとう。キャスター」
「太陽を落とした女……ドレイクよ。あの朝日を取り返す為、力を僕に貸してくれ!」

「だから、これは……!この一撃はこう呼ぼう」

「“黄金鹿と嵐の夜(ゴールデン・ワイルドハント)”と───!」


セイバーは放つ。極光の流星雨が、有象無象を消し飛ばしていく
増殖の速度も追い付かず、追い越していく。光があまねく夜に終末を与えていく

……そして、大軍のおよそ九割九分。ほとんどの蝗を掃討した三人を迎えたのは……



「綺麗な、朝日……」


708 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:13:07.01 ID:Bj3byN/+0




『……emergency!emergency!』
『総体に甚大なる負荷を確認しました。総体に甚大なる負荷を確認しました』
『修復機能を停止します。総機能を再生に移行します……』

「な、なんだ?」

突如、アバドンの動きが停止する。そして、蝗の群れも同様に
まるで、その姿は壊れた機械。深刻なエラーでも起きたのだろうか、急速に群れが集っていく


「……今だ!奴を仕留めろ!」
「恐らく、外の軍勢が大きく損傷したんだ。故に大本であるアレもダメージを受けている!」

「何をしている、貴様も行け!バーサーカーの近くにいる程、魔力のパスは強くなる!」
「あ、はい!……待ってろ、バーサーカー!」

結界を飛び越え、クリスティーナの元へ走る。焼ける空気と異常な腐臭が肺を侵す
しかし、この気を逃せば本当に勝ち目が無い。無我夢中で駆け抜けるしか……!

「なっ……蝗が……!」

だが、アバドンの防衛機構か。無数の蝗が貴方の身体に纏わりつく
羽音が耳を、頭を、心を蝕んでいく。思わず足がすくみ立ち止まりそうになる……



「あ……先、輩。先輩!」
「ダメ、負けたら、ダメ、デス……!」



709 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:14:55.76 ID:Bj3byN/+0



「……っ!“────!!”」
「………アキラ?」

羽音をかきけす様に、一つの歌が聞こえてくる
貴方だけに届く、可憐な声。貴方だけに伝わる必死の応援
それが後輩のものだと気づき、その言葉は自分を信頼しているものだと響く

“負けないで”

“折れないで”

“立ち止まらないで”

“──私は、貴方が大好きだから”


彼女の後押しで、貴方はまた走り出す。蝗の牙すら振り切って



『アキラのスキルを開示します』
 ◆反転呪式・言祝    
  他者を害する呪の力を賦活の効果に反転させるオリジナルの術式。  
  相手を慈しむ、勇気づけるなどの気持ちを込めて歌う事が発動のキーとなる。
  
  歌にのせるは真なる想い。彼女の名と同じ、陽の力。  

 【発動条件:相手への感情が信頼以上】
 【対象に大きなプラス補正を与える】


「……悪い、クリスティーナ!遅れた!」
「気にするな!……そこで見ていろ、私の、最期の生き様を!」


710 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:15:42.37 ID:Bj3byN/+0





「───此は、私が歩んだ戦争の終着」

紡ぐ。宝具開帳の詠唱を



「心の叫びを聞け──命を燃やし尽くした一人の人間の生きざまを!貴様にくれてやる!」




「我が願いを捨てて……奈落の王を砕く!これが人間の意地だと、証明する為に!」




「私の生きざま、見せてやる!“我思う、故に私は(バロッケンズ)……”」

「“……………ありのままに(ドロットニング)”」

クリスティーナの剣がアバドンの胸を貫く
先程まで修復していた傷も、今は治る事も無く崩れ去っていく……


「アバドン。貴様は人間の悪徳を粛する為に蝗を世界へ蔓延らせるのだろう?」
「だが、私の剣は“人間の美徳”を象徴する剣。……なんの事は無い。まだ粛正される程、人間は腐ってはいないという事だ」


 ◆美徳の剣
  カトリックの教義である「七元徳」の概念武装。彼女のお気に入りの武器。
  聖堂教会の扱う概念武装がメチャ格好良くて美しかったので、コネで頼んで作らせた。
  七元徳内の一つの徳が主体として刀身を形成し、その他の徳は柄の内部に収まっている。
  なお、この概念の素体は、スウェーデン軍に強奪させたルドルフ二世のコレクションに含まれる、とある芸術家の作品である。


711 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:17:15.47 ID:Bj3byN/+0





『中枢機構損傷、再生率零零零一』
『さ最終結論かか活動不可能uuu。機能停s機能てissssssssss……』

『……警告:人理を、存続、せ、よ』

『pf5p~2xg6ga3wui3.c2ptf4pjx…………』


アバドンが崩れていく。同時に、蝗も欠片すら残らず消えていく
……終わったのだ。これで、全ての戦いが!



「……よっしゃああああ!!」
「全く……気楽なものだな。本当に」
「む、いいだろ別に。これでもう聖杯戦争は終わりなんだ」

高揚感に飛び上がる。本当に、自分がここまで戦えたなんて想像すらしなかった
その様子を見ていたクリスティーナは、呆れた声を挙げながら微笑んでいた

「クリスティーナ、これでお前の願いも叶うんだ!嬉しくないのか?」
「ふ、まあそうだな……嬉しいか、嬉しくないかで言うのなら……」

「私には、もう関係ない。か」「は?」

あまりに彼女らしくない言葉に、一瞬耳を疑う貴方
そして、気づいた。……彼女の身体は、光の粒子となりつつある事を


712 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:17:48.74 ID:Bj3byN/+0





「な、なんで。俺達は、勝っただろ!?」

言葉が出ない程、その事実に思考が乱れる
辛うじて放った言葉も、疑問をぶつけるだけに終わってしまう


「ああ。だが……限界だ。私は、アバドンを倒すのに全ての魔力を使いきった」
「私の宝具……“我思う、故に私はありのままに(バロッケンズ・ドロットニング)”」
「私は信念として、死ぬべき時に死ぬ。……そう心に決めていたから」

「恐らく……私は、アバドンを倒す為に聖杯から選択された英霊なのでしょう」
「だからこそ、願いを持たない貴方の力として聖杯戦争に参加させた」


だが、クリスティーナは冷静だ。淡々と事実を伝えていく
きっと、覚悟はしていたのだ。ここが、本当の意味で貴方と戦う最後になると


「何で……何でだよ!何で、俺に……!」
「言うだけ無意味でしょう。貴方は欲の無い、それでいて繋がりを求める人間だった」
「もし、これが最後だと言えば……貴方は、戦う意志が無くなっていたでしょう?」


無意味。その言葉が心にのしかかる
それでも不思議と、嫌な気持ちはしなかった。寧ろ……


「……そっか。ありがとな」
「ええ。貴方が私をを理解しようとしたと同時に……私も、理解しようとしたのです」



713 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:19:33.11 ID:Bj3byN/+0





互いに笑い、拳を重ね合わせる

貴方と彼女は寄り添わず、さりとて見捨てず

そんな距離感が二人の主従としてのスタンス。自由な女王と、振り回される貴方

二人を繋ぎ合わせた意志の強さ。全く似通わぬ英霊とマスターだったが……



「……どうだ?私は素晴らしい英霊だろう?」

「ああ、本当に!お前と戦えて良かった!」

ハイタッチの音が響く。それは心地よく、貴方の心の中に永遠に鳴り続けるだろう
かけがえの無い宝物。クリスティーナと戦い抜いた日々こそ、貴方の願いだったんだ



「クリスティーナ!」
「…………ありがとう。バロックの女王」

「ふふ、今回はその言葉だけを報酬として受け取りましょう」
「これは私からの報酬……。……耳を」
「ん、ほら。…………え?」

耳元で囁くその言葉。貴方は少しだけ驚くと、その目からは涙が溢れていった


「その言葉は、私の人生を変えた言葉」

「どう捉えるかは、貴方の自由。縛るつもりは毛頭無い」

「……貴方の生きざま。見せてみなさい───」


……泣いていたのは、幸運だったのかもしれない
だって、本当は言いたかったから。行かないでくれ。と

だから、静かに見送れた。光の彼方へ消え行く彼女を……



714 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:20:58.70 ID:Bj3byN/+0





「……終わったか」
「せ、先輩。その……」

最期まで見守っていてくれたのか、ドミトリイとアキラが声をかけて来た
随分とみっともない姿を晒してしまった。二人とも気まずそうに目を逸らす


「……悪い、もう大丈夫」
「そうか……ふん。泣き喚かないだけマシか」
「それじゃ……ロベルトさんを捕まえに行こう」
「あの人を捕まえて、話を……っ!?」

突然大地が揺れ動く。地震かと思ったが、どうやらそれは違うようで

「これは……!奴め!罠を仕掛けていたか!」
「モタモタするな、このままでは地盤の沈下に巻き込まれるぞ!」

「えっ、なら学校は」「知るか!」

「じゃあ聖杯は」「エーデルワイスに聞け!」


ドミトリイの焦る声。アキラと貴方の質問にすら取り合わず、逃げる事を優先する

二人も慌てて地下空洞から走り出す。……最後の最後まで、慌ただしいと苦笑いを浮かべながら




715 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:22:11.23 ID:Bj3byN/+0

【本編はここまで。次回はエピローグから】

【あとほんの少しだけですが、お付き合い戴ければ幸いです】

716 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/30(日) 23:11:26.22 ID:IYXSvjEd0
717 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/30(日) 23:38:29.88 ID:73QROXpTO
718 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/31(月) 21:43:26.64 ID:eTqqGV770

【それでは、エピローグを投稿していきます】

【最後の方に今後の進め方を説明するので、よしなに】
719 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/31(月) 21:44:03.69 ID:eTqqGV770




……あれから、それなりに時間が経った
今でも、ふと思い出す。怒涛の、駆け抜ける様な日々の事を

「……い、おい!」「うおっ!?」
「貴様……私を無視したな?庶務の分際で、生徒会長である私の言葉をシカトしたのか!?」

しかし、それは過ぎた日々。こうして貴方は、またいつも通りの日常に帰っていた
誰も、何も変わらない。かつての大災害等最初から無かったかの様に、普段通りに過ごす毎日

「いや、別にそんなつもりじゃ」
「何だ貴様口答えする気か!?いつからそんなに偉くなった私に楯突ける様になった!?少しばかり経験を積んだからと随分と調子に乗っているじゃないかこのボンクラが!私を舐めているのか?ええ!?!?」

叫ぶ生徒会長の罵詈雑言にも、どこか懐かしさすら感じる様になってきた
何だかんだで、この罵倒も自分のルーチンワークの一つだったのだろう。そう思うと少しおかしく思えてくる

「おーい、庶務くーん。待ったー?」
「あ、あの。お待たせ、しました……」
「はっはっは!今年も後僅か、徹底的にやろうじゃないか!」


遅れてきたメンバーと挨拶を交わす。見慣れた顔の、いつも通りの挨拶を
そして今日は十二月の三十一日。大晦日の夕方の街はめでたい空気で包まれているが、ここはそうでも無いようだ

全員揃ったと確認すると、生徒会長はゴミ袋を片手に腕を挙げる
準備が整ったのを見るや否や、力強く宣言した


「……集まったか。これより学校の大掃除を開始する!」
「「「おーー!!」」」



720 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/31(月) 21:44:49.67 ID:eTqqGV770




「ふぁ……面倒くさーい」
「新重、それ会長の前で絶対に言うなよ……」
「けどやりすぎじゃない?幾ら地域新聞で表彰されたとはいえさ」

せっせと廊下を掃きながら、ブツブツと愚痴る新重を宥める
坂松市を襲った未曾有の災害に対して、会長の取った行動が称賛を浴びたせいか、最近の行いはやたらと潔癖だ
……その裏でサンドバッグにされる貴方の苦労は誰も知らない

ちなみに、学校はグラウンドが陥没した程度で被害は済んだらしい

「あ、あの。先輩」「どうかしたか?」
「その……メリッサさんの、事、ですけど」
「メリッサさん?普通にクラスメイトだよ?」
「あー……」

あの後、ガイスロギヴァテスのメンバーは彼女を残して帰国したらしい
最後にアーディーが花束を送っていたが……それをルシフェルが困惑しながらも受け取っていた
きっと、あの二人ならやり直せる……そう、強く信じたい


「アキラちゃんも凄いじゃん!見たよ〜」
「俺も。アキラって歌が上手いんだな」「……あうぅ、恥ずかしい、デス」

禍門もあれから忙しかったそうで、貴方も憂午からのヘルプを受けて手伝った事もあった
その中で千呼とアキラは幾つか動画を撮影していて。アキラは単独で歌を歌うジャンルの動画をあげていた
評判も上々。みとりからも「宣伝に使える」と言われていた程


「アイドルみたいだったな。綺麗でさ」
「……それで、その。先輩」
「もし、私が。あの……本当の、アイドルに」

もじもじと。何かを察したのか新重はささっと後ろに隠れる
アキラは頬を染めながら。しかし、ハッキリと貴方に話しかけた

「なったら……私、と」「そちらの調子はどうだ?俺も手伝いに来たぞ!」


「………………」




721 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/31(月) 21:46:03.66 ID:eTqqGV770




「………………」
「うわぁ、最低……」

アキラの言葉は、横から割ってきた副会長の手で遮られた
女子二人からの冷ややかな視線も意に返さず。貴方と二人で談笑に花を咲かせる


「あ、副会長。こっちは大丈夫っすよ」
「そうかそうか!では少し休憩を取ろう。何か欲しいものはあるか?」
「ならコーヒーで」「私ココア!」「……水で、いいデス」
「よしわかった!少し待っててくれ。今すぐに買ってくるからな!」

慌ただしく走り出す副会長。それを見送っていると、アキラが深く溜め息をついた

「……はぁ」
「ん、どうかしたのか?」「いえ、別、に」
「元気出しなよアキラちゃん。よく効くおまじない、教えてあげよっか?」

「消しゴムに名前を書いて、全部使い終わると願いが叶うってやつ」
「やたら古典的なおまじないだな……」


やたらと懐かしい新重のおまじない。自分が小学生の時に爆発的に流行ったもの
アキラの世代では既に廃れていたのか、きょとんとした表情で新重を見ていた


「そう、ですか。……今度、試してみるデス」
「うんうん……そうだ、庶務くんの名前って何だっけ?」
「おいっ!」


「東生(とうじょう)だよ! 東生 広夢(とうじょう ひろむ)!」
「そもそも俺を庶務に推薦したのはお前が……」


『へー、じゃあ庶務くんなんだね!せっかくだし生徒会に立候補してみたら?』


「……って!」「あはは、そうだった!」
「わ、私は、知って、ました……デス」


722 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/31(月) 21:46:40.08 ID:eTqqGV770





「……ふう、お疲れ様っしたー」

あれからかれこれ一時間。学園内をみっちりと掃除した貴方達
生徒会役員達は全員ぐったりと正門で座り、何でもない話を楽しんでいる


「……そう!私はいい大学、いい企業に就職して安定した生活を手に入れる!」
「来年度は勝負の年になる……絶対に合格して、キャンパスライフを掴んでみせる……!」


「あれ、会長、確か、推薦入学だって」
「そんなんで満足出来るか!私は、より高みを目指し常に邁進しているのだぞ!」
「では元旦は会長の合格祈願も兼ねて初詣に行こう!俺も実家を継ぐ前に一度、出向くべきだと思っていたからな!」

「よし、貴様ら、明日は朝の八時より神社に集合せよ!肝に命じておけ!」
「「はーい」」


どうやら副会長の発言で元旦は生徒会での初詣が決まったらしい。
明日もまた忙しくなりそうだ。と軽く笑みを浮かべると、見知った顔が待っている事に気がついた



「お……アーディー達じゃないか!」
「センパーイ!」「忙しい所、すまないな」



723 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/31(月) 21:47:41.05 ID:eTqqGV770





「む、貴様は確か御三家の……」
「わー可愛い!アーディーちゃん、お姉さんがいたんだ!」
「僕は男です。……初めまして」

アーディーの隣にいた女顔の青年に近づく。この光景も何度目か、一つの風物詩と化していた
青年……セイバーも慣れたものと言いつつ、やはり気にしているのだろう。こめかみに青筋が浮かんでいる

どうも、今回の聖杯戦争の優勝者はセイバーになったらしく……そのお陰で願いが叶ったらしい
聖杯が今どこにあるのか、何故願いを叶えたのかはわからないらしいが……


「そ、そうだ!センパイ、少し時間ある?」
「ちょっと、付き合って貰いたいんだけど……」
「ああ、大丈……」「貴様、まさかとは思うが生徒会長である私特製の年越し蕎麦を食べないと言いたいんじゃ無いだろうな?」

「いや別にそういう訳じゃ」
「じゃあどういう訳なんだ答えてみろこの味覚障害が!せっかく私がお偉い方に好かれようと研究したそば打ちを披露してやるというのに女を優先するつもりだろう!?!?」
「そんな浮わついた腐りきった根性で私の足手纏いになるつもりか!?とんだロマンチストだなとっととくたばってしまえこの」



「あー!あー!私お腹すいちゃったー!」
「ねえねえ早く会長のお家に行こうよー!ね、副会長!」
「む?そうだな!ここは俺達で先に蕎麦を用意しておこうじゃないか!」
「せっかくだ、鹿黒も呼ぶか!全員で食べる蕎麦は、きっと美味いぞ、な!」
「そ、そうですね……」

副会長の勢いの強い話に苦笑いで頷くセイバー
どうにもこのタイプは不得手らしく、こくこくと相槌を打つ事に専念していた


「あ、じゃあアキラちゃんも一緒に付いてってあげたら?時間が来たら庶務くんに教えてよ」
「え、あ、あの」「……いいよ!一緒に来て!」

「……ごめん!なるべく早く戻る!」
「気にしないでー!……ぐっじょぶ!」
「おい貴様!私を無視するなぁあぁぁぁ……」



724 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/31(月) 21:48:29.87 ID:eTqqGV770




喧騒からも遠く離れ、四人は街を進んでいく
新たな時代を迎える準備。過去となる今日を、街は思い思いに過ごしていた

「……そう言えば、ロベルトさんは」
「全然見つかってない。……何処行ったんだろ」

あの最終戦の後、監督役のロベルトの姿は忽然と坂松市から消え去っていた
身内だからか、心配そうに呟くアーディー。聖杯も恐らくロベルトが持ち去ったのだろう

「お父さんも、捜索しているみたい……デス」
「けど、案外もう坂松市にはいないかもしれないぞ?あれだけの事をしでかしたんだし」
「そうかな……うん。ありがと、二人とも」


自分のせいで暗い話題になってしまった事を気にしてか、アーディーは足早に進んでいく
その後を追いかける貴方達。その足取りは少しだけ重くなるが、気にしてなんていられない



「……着いた!ここだよ、センパイ」
「ここって……教会?いったいどうしてこんな所に俺を?」
「ああ。これを見て欲しいんだが……」

セイバーが一冊のノートを取り出す。どうやら内容は迷いペットの保護記録の様だ


「ここ、ロベルトさんが来る前は教会に迷い込んできたペットの保護とかしてたみたい」
「だから、もしかしたら……君の飼っていた犬の記録もあるかもしれない」

「本当か……!?」「えへへ、どう?センパイ」
「ありがとう。これで、また、会えるかもしれない……!」

声が掠れる。胸の奥から込み上げてくる感情が涙となって溢れ出す
かつて、離してしまったその手をもう一度。例え拒絶されても、伸ばしたかった



725 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/31(月) 21:49:49.22 ID:eTqqGV770






「……先、輩。良かった、デス」
「ん……ごめん、けど、これで俺の目標が“もう一つ”増えたな」
「もう一つ?まだあったのか?」

「ああ。俺……旅に出ようかと思ってる」



突然の。予想だにしていない告白に三人は目を見開いて
その反応を予想していたのか、貴方……東生は、自らの夢を語っていった

「俺さ。聖杯戦争の中で色々考えてたんだ」

「皆は願いの為に必死に戦ってた。けど俺には何も無かった……」

「だから、俺の目で世界を見て回りたい。彼女がそうした様に、少しでも世界を広げたい」



「……それは、彼女の受け売りか?」
「いや、クリスティーナとは関係無い。俺の、俺だけの人生だ」

断言するその顔は、間違いなく聖杯戦争の前とは変わっていない
しかし、誰かの言いなりになっていたあの頃と比べたら……確実に、強くなっているだろう


「……あ、あの。先輩!」
「こ、これ……お守り、デス!アーチャーの、体の一部……!」
「あ、ズルい!私も……えーと、まだ用意出来てないから!行く時は絶対に言ってね!」


726 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/31(月) 21:50:33.81 ID:eTqqGV770





「ふ、あははっ!」


わちゃわちゃしたやり取りに、思わず吹き出す
もし、聖杯戦争に参加しなければ出会えなかったかけがえの無い仲間達
自分が守りたかった、穏やかな笑顔……

「……本当。かもな、クリスティーナ」




──“あなたの触れた、全てが変わる”

──“あなたが変えた全てが、あなたを変える”




クリスティーナの最後の言葉。彼に与えられた最高の賛辞
ずっと他人に引っ張られてきたと思ってた。けれどそれは違ったんだ

微かでも、僅かでも。こんな自分でも、確かに誰かに影響を与えていたんだと


「……うん。生きてみるよ、自分らしく」


それがどんなものか。何を意味するのかは今はわからない

だが、きっと見つかるだろう。最も自由な女王の隣にいた、彼ならば……




【fin】


727 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/31(月) 21:54:43.60 ID:eTqqGV770

【という訳で、『どうやら坂松市で聖杯戦争が行われるようです』】

【皆様のご声援もあって、無事完結する事が出来ました!心よりありがとうございます!】



【今後の予定としては、後一回聖杯戦争の動かしてみて】

【その後どうするかなーといった感じ】

【鯖鱒の募集は行う予定。詳しくは避難所にて話していく予定です】

【重ねてですが、本当におよそ半年間もの間、応援ありがとうございました!】



728 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/31(月) 22:11:08.65 ID:x7kar9e9O
完結乙
729 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/31(月) 22:19:10.07 ID:Vf3IunFD0
完結お疲れ様でした!
730 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/31(月) 22:19:21.24 ID:rBep1aYZo
乙乙
731 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/31(月) 22:22:29.27 ID:e9rmhsD40
完結乙
732 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/31(月) 22:24:53.68 ID:U0RO0gl/0
完結乙
733 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/31(月) 23:18:35.99 ID:FgKM4Reoo
完結乙
734 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/31(月) 23:30:23.38 ID:eTqqGV770

【避難所で次回の主人公作成を始めたので、よろしければどうぞ(クソ遅宣伝)】
735 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/09/01(火) 01:00:09.18 ID:V3kHWT870

【掲示板からのコピペ。これが今回の募集概要です】

【では、今回の募集要項についてお話しします】

【今回の募集は、サーヴァントは『二つまで』投稿する事が出来ます】

【理由としては、今回は募集したデータを多く使ってみたいので数が欲しいから】

【マスターに関しては、前回と同じく無制限。ですが、人数が減るかもしれないとだけ】

【今回の期限は、19日の夜まで。二週間以上あるので、ごゆっくりお考えください……】

【募集用アドレスは引き続きこちらでお願いします】
【アドレス:0sf3z226729429r☆ezweb.ne.jp】
【☆→@】

736 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/09/01(火) 01:02:55.08 ID:V3kHWT870

【完成した主人公はこちら】



【名前】ルゥナ・ガイスロギヴァテス

【所属】ガイスロギヴァテス

【属性】混沌・善

【AA】ルーナ(ファイアーエムブレムif)

【ステータス】
【体】7
【知】6
【心】3
【質】9
【運】5

【スキル】
 ◆煉獄(フェーゲ・フォイア)
  彼女の属性である「火」をより攻撃的に、残酷的に行使する必殺技。
  魔術礼装の剣に超高温の炎を纏わせ、対象を熱で焼き切ったり、周囲を焼き払う。
  剣の状態でも魔術に指向性を持たせたり、結構頑丈なので武器として扱っている。


【来歴】
 ……貴女は、御三家の一角ガイスロギヴァテスからの刺客だ。
 終結したはずの聖杯戦争。しかし、またもや聖杯は動き出そうとしているとの情報を得る。
 前回のメンバーは事情により不参加。故に、一族の中でも飛び抜けて優秀な彼女が選ばれるに至ったのだ。

 貴女は一族の中でも最も優秀な血統を持ち、満たされた環境の中で育てられた箱入り娘。
 そのせいかやたらと【物欲】が強く、一度目をつけたら何がなんでも手にいれないと気が済まない厄介な質。
 オマケに甘やかされた来たせいか【魔術師的優生思想】に染まりきっており、当主からも匙を放り投げられている。

 実力だけはある、手のつけられない問題児。
 本来は偵察、及び調査が命令だが、あわよくば聖杯を奪い取る気満々である。

【性格】
 優秀ではあるが、実年齢と比べると若干幼い印象を与える少女。
 自己への欲は凄まじいが、他者へと向ける欲は意外な程に穏やか。
 と言うのも、「私は優秀なんだから、下等な奴は助けてやろう」というどこか上からな態度で見ているから。
 助けては勘違いするなと言っているが、その言葉を信じる人はいない

 人によっては【ツンデレ慈善家】だのなんだのと評価されている。


【聖杯への願い】
 欲しいから取る!願いは後で考える!
737 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/09/01(火) 10:59:25.08 ID:V3kHWT870



【あまりにも集中しすぎてテンプレを出し忘れる凡ミス】

【サーヴァントは鯖鱒wikiのものを基準に】

【マスターは下記のものに記入してください】


『サーヴァントテンプレ(wiki内参照)』
 https://w.atwiki.jp/ssfate/sp/

『マスターテンプレ』



【名前】(必須項目。あまり直球で版権モノだと困ります)

【所属】

【属性】

【AA】(無くてもいいですが、描写等で役立つので出来れば)

【ステータス】(フレーバーですが一応。最高値は9で2つまで可。0は未知数で9と同様に扱います)
【体】
【知】
【心】
【質】
【運】

【スキル】(最低一つ。最大値は設けませんが腐る場合もあります)
 ◆

【来歴】


【性格】


【聖杯への願い】



738 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/09/01(火) 21:40:07.30 ID:V3kHWT870


【募集で来たAA一覧を貼っておきます。前回には貼れなかったものも含めてます】

【データの作成の参考にどうぞ……】

『AA一覧ver1』
 見崎鳴(Another)
 逆理のヒロト(異修羅)
 仮面ライダーオーガ(仮面ライダー555)
 ゲルググ(機動戦士ガンダム)
 高嶺清麿(金色のガッシュ!)
 横島忠夫(GS美神 極楽大作戦!!)
 黒崎一護(BEACH)
 ボンドルド(メイドインアビス)

739 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/09/01(火) 23:29:56.26 ID:V3kHWT870


【坂松市の御三家 新シーズンver】

【マスター作成のお供にどうぞ】


『禍門家』
 坂松市土着の魔術体系。その歴史は町の歴史とほぼ同じ
 言葉を媒介とした呪術を修めた家系で、聖杯戦争ではマキリと同じく、令呪などのシステム面を担当した
 簡単な日常会話から即座に呪う事も可能だが、みだりに相手を警戒させないために
 一族の人間は、親しい相手柄には単語をぶつ切りにして意思の疎通を図る

 前回の聖杯戦争を経て、ある程度の信頼を得たのか外からの助力を得られる事に成功した
 未だ坂松市に聖杯が存在している事等から、今回は管理者として振る舞っている


『エーデルワイス家』
 通称『天使に恋した一族』。坂松市に聖杯を持ち込んだのもこの一派
 元来はオーソドックスな降霊術を長い年月扱っていた大家であったが、その恋によってかつての研鑽は捻れ狂い
 根源に至るという一族の悲願は、恋を叶えるという一人の妄執に塗り潰された
 御三家としてはかつての降霊術師としての知識を頼られ、霊体(サーヴァント)の召喚を担当する

 前回の戦争で引き起こされた大災害の元凶。当主や監督役の暴走や聖杯の強奪等から、現在も監視の目が緩まない
 どうやら、坂松市内に残存勢力が存在しているらしいが……?


『ガイスロギヴァテス家』
 時計塔の新霊地開発事業により送りこまれた管理者。所詮雇われであり土地に愛着はない
 戦争屋と呼ばれた傭兵一族がルーツの魔術師であり、戦闘に特化した魔術や火の属性を持つ魔術。またトラップ作成技能も高い
 御三家としての役割は治安の維持。とはいえ前述の通り愛着は皆無である為、他二家からは全く信用されていない

 治安の維持という名目は守られたものの、災害の召喚を許した事により時計塔からの信頼にダメージを負っている
 現在は坂松市から手を引いているが、聖杯の存在を確認した事により刺客を数名送り込む事に決定した
 貴女はここの所属

740 : ◆6QF2c0WenUEY [sage]:2020/09/03(木) 08:01:26.76 ID:+UsJZG6i0

【昨日来た分のAA一覧です。どうぞ……】


『AA一覧ver2』
 Es(XBLAZE)
 アクア(この素晴らしき世界に祝福を!)
 吉良吉影(ジョジョの奇妙な冒険)
 毒島華花の中身が見えないAA(武装錬金)


 
741 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/09/05(土) 20:56:49.95 ID:lVolJP/40

【本日も募集されてきたAA一覧を】

【募集の期限は二週間後の19日。それまでゆっくりお考えください……】


『AA一覧ver3』
 ローン(アズールレーン)
 ムルタ・アズラエル(機動戦士ガンダムSEED)
 ベル・クラネル(ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)
 エクス・アルビオ(バーチャルYouTuber/にじさんじ)
 ネネカ(プリンセスコネクト!)
 ユニ(プリンセスコネクト!)
 アナスタシア・ルン・ヴァレリア(WILD ARMS)

742 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/09/12(土) 19:04:13.55 ID:Y5z6fTAsO

【とりあえず、明日にはスレだけ建てる予定。そちらで次のお話を進めていきたいと思います】

【そして今回もAA一覧を。期限はあと一週間です】

【鯖総数】
 剣:5 槍:2 弓:2 騎:2 魔:7 暗:4 狂:3 特:2


『AA一覧ver5』
 Sans(Undertale)
 仮面ライダージオウ(仮面ライダージオウ)
 冨岡義勇(鬼滅の刃)
 ヨブ・トリューニヒト(銀河英雄伝説)
 ハル(ぎんぎつね)
 アクア(ファイアーエムブレムif)

                          
743 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/09/13(日) 15:04:59.64 ID:NmMGfoFy0

【次のスレ。今後はここで進めていきます】https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssr/1599975655/
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