【鯖鱒wiki】どうやら坂松市で聖杯戦争が行われる様です【AA不使用】2

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

691 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 15:07:27.42 ID:Bj3byN/+0





「……アバドン」

思わず、口に出したその名前
目の前に現れたサーヴァントの真名。ギチギチと不快な音を立てる銀のヒトガタ
その眼は……いや、眼“らしき”部位は此方を正面に見据えていて


「アバドン……黙示録に登場する奈落の王!」
「黒い太陽、カルデアの信仰と同一視される蝗の具現化か……」
「そして、私に遣わされた天使でもある……」

陶酔しきった声の主、ロベルトはうっとりと天を仰ぎ見る
まるで、すぐそこに愛しい天使がいるかの様に頬を朱に染めながら



「此より、アバドンの宝具によって坂松の町を喰らい尽くす」

「勿論、誰も殺さない……殺させない。その悲鳴は、怨嗟は、天上に響かせるものなのでな」

「そして、五ヶ月……五ヶ月だ!地には苦痛と呪詛が満ち足り、私の前に降臨する!」

「──アバドン!私の夢を叶えろッ!その権能の一端を!今!この世に!解き放つのだァーーーz______ッ!」




『命令を受諾しました。此より、宝具【災為す虫皇】を開帳します』


692 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 15:08:08.08 ID:Bj3byN/+0




無機質な、機械的な、声というより音声を放つ
だがその声を二度と聞く事はない。何故なら、既に耳を覆うのは虫の羽音のみ

──アバドンの宝具が、地下空洞を、マスターやサーヴァント達を蹂躙していた



 ◆『災為す虫皇(アポリオン・クラスタ)』
  ランク:EX 種別:対人類宝具 レンジ:─ 最大捕捉:─
  無辜の怪物、際限無く沸き出る蝗の群。死さえも赦さない裁きを与える権能の一。
  人類が戦い続けた“蝗害”の具現。災厄を剣に乗せて世に解き放つ掃討進撃。


 ◆『空牙、顎、流飢(サカ・トフ・イナ)』
  増殖した蝗の大軍。人を喰らう異形の嵐。
  十の災いの八番。空を覆い、死すら慈悲になる五ヶ月もの責め苦を与える蟲達のあぎと。

  自らの飢えを満たすため、手当たり次第に貪り食う。所詮は虫なので一つの範囲は微量。……無数の群生さえ成していなければ。
  小さいが故に容易く隙間に入り込み、完全に防ぐ事は至難の技。堅牢な城塞だろうと齧り尽くされ、鎧をすり抜けて食い散らかす。
  この蟲こそがアーチャーの剣であり、弾丸であり、鎧であり、肉体そのもの。



「ガッ、ゲホッ!ぐ……!バーサーカー!」
「息が……!それに、反響で衝撃が酷い……!」
「あぁもうウザったい!そりゃあーっ!」

キャスターの魔力弾が、蝗の軍を掃射する
辛うじてスペースを確保した彼等は、皆一斉に駆け寄った

「ふぅ……助かったぁ……!」
「だが、これでは解決策にはならないか……」
「ボクもそろそろ限界なんだけど!結界が食べられてるし!?」

キャスターの張った簡易的な陣地の外は、羽虫の羽音とガリガリと削る音が響いている


「……あれ、けど」
「どうかしたか?アキラ」
「なんだか、数が……減っている、気が」



693 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 15:08:48.92 ID:Bj3byN/+0



確かに、アキラの指摘通り数が減っている
視界を覆うばかりの虫は、今は数多くと言っても目が潰れる程はいない

助かったのか。甘い思考は即座に否定される

「……マズい事になった」
「ドミトリイ、どうしたの?」

「わからないのか!蝗は坂松の街に出ていったんだ!」
「このままではどうなるかわかるだろう!?」
「「はぁ!?」」

……ロベルトは確かに言っていた。“坂松の街を喰らい尽くす”と
この規模の蝗を何の対策も無い街に放てばどうなるかは、簡単に想像出来る
街にも、人間にも……壊滅的な被害が出る……!


「なら、早く倒さないと……!セイバー!」
「いや……ここで奴に拘って、街に被害が出る方が深刻な問題だ」
「じゃあ、どうするん……デス?」
「それは……」

誰も、何も答えない。一刻を争うこの状況で、下手な事は時間の浪費にしかならない
鳴り響く羽音も思考を刻む。集中する事もままならない極限の状況で、確かに彼等は追い詰められていた



「……何を迷う必要があるのか」
「街に出た蝗の処理は、対軍規模の攻撃が可能なセイバーとキャスターが適任だろう」
「私が奴と戦う。……構わないな。マスター!」


694 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 15:09:40.02 ID:Bj3byN/+0




「……そう、だな」

クリスティーナの宣言を、頭の中で噛み砕く
他のサーヴァントは駆除に向かい、アバドンとの決着は彼女がつける……

確かに、それが一番合理的かもしれない。が……

「……勝てるん、だよな」
「誰に向かって言っている」
「だよな」

彼女の答えに、苦く笑う。……そうだった。彼女はいつでもこうだった
不敵に、不遜に。やりたい事をやり、為すべき事を為す。……誰よりも、自由に


「……ああ!ここは俺達に任せてくれ!」
「任せられるか。……俺も残る」
「わ、私……も!先輩の、近くに……います!」

ドミトリイ、アキラが貴方の側に立つ。ここに残り、力を貸すと宣言した
その言葉が限りなく嬉しい。そして、託された者も覚悟を決めて、頷く



「わかった!……絶対に生きて!」「勿論!」
「約束しちゃったね〜オンナノコとの約束は命よりも重たいよ?」
「死なれると辛いのは残された方だ。……君ならわかるだろう」

「それでは……行くぞ!僕の船に乗れ!」

四人の姿は既に無く。セイバーの船に乗り、街へ向かって進み出す
同時に、結界が破られる。無数の蝗が貴方達を喰らわんと顎を広げ……


695 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 15:10:43.50 ID:Bj3byN/+0




「……させるか!」

ドミトリイの炎の縄が鞭のようにしなり、蝗の群を薙ぎ払う
全滅に至らずとも、周囲の蝗はバラバラと脆く崩れ去る。……耐久性が皆無なのは幸いだ



「……アバドン!奈落の王よ!」
「貴様を地上に出す訳にはいかない……ここで、消えてもらう!」

クリスティーナの声に反応したのか、アバドンはゆっくりと此方を向く
ぐにゃり。人間とは思えない動きで剣を構え、蝗が波の様に周囲をうねる



『敵意確認、敵対存在認証。……脅威、低確率』
『実行不全確証、排除可能確率。一零零零』
『排除開始。排除開始。排除開始。排除開始』




「排除されるのは……果たしてどちらか!」
「これが最後の戦闘!最後の戦争!……勝つ!」

クリスティーナとアバドンの剣が重なり、火花を散らす

坂松市の聖杯戦争。天使の杯を廻る闘争。その終幕を飾る戦いが

今……ここに。幕を開けた



696 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 15:12:26.32 ID:Bj3byN/+0

【取り敢えずここまで。夜まで書けたらやりたいなーと】

>>689 >>690
【正解。代理AAは仮面ライダーゼロワン メタルクラスタホッパー(仮面ライダーゼロワン)でした】

【今日がゼロワンの最終回。記念という訳でもありませんが、間に合って良かった……】


697 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/30(日) 16:39:29.16 ID:6bitpNwHO
698 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:05:20.63 ID:Bj3byN/+0

【それでは、最終決戦を投下します】


699 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:06:31.19 ID:Bj3byN/+0





……その頃。坂松の街は、混迷を極めていた
突如沸いた蝗の群れ。街も、人も区別無く襲う大災害として覆い尽くす

戦場と化した街の中。それでも懸命に立ち向かう人間がいた


「クソッ!何だこの虫は!?これもガイスロギヴァテスのせいか!?」
「……?会長は異変の原因を知っているのか!」
「とにかく、今は街の人の避難を優先させた方がよくないですか?」

「そうだ!庶務と会計は無事か!?先程から、連絡がつかないのだか!」
「うーん……多分、無事じゃないですか?」

潮、林道、新重の生徒会役員。彼等は街を駆け抜け生徒達を避難所へと誘導していた
何の事はない。放置していたら、潮の信頼や命がどうなるかわからないから付き合わせているだけなのだ



「ああ厄介な!虫けらが私の輝かしい未来の邪魔になるなんて……!」
「だが、ほとんどの生徒は既に避難を完了している!我々も早く避難所に……むおお!?」

気がつけば、彼等が虫の大軍に囲まれていた
避難し、餌が減った今。彼等は無防備な犠牲者でしかない

「……よう。苦労してんなぁ、若いの」
「ちっと手を貸してやるよ。……にっひひひ」



700 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:08:21.67 ID:Bj3byN/+0





「むっ……蝗の群れが!」
「わーありがとうございます。……子供?」
「き、貴様は……!?」

「ま、通りすがりだな。さっさと走りな」
「今は振り払ってやったが、すぐに戻ってくるからなぁ。ひひひっ!」

ケラケラと笑う子供、禍門招福が生徒会を先導する
走る度に周りの蝗は避ける様に引いていく為、魔術師でない林道も安全に走っていた

「きゅ!きゅきゅ!」「げっ……」
「む、貴様は……誰だ?」「えーと、先輩でしたよね」

「おお!鹿黒か!無事だったんだな!」
「お前がしつこく連絡を入れてたからだろ……」

途中で遭遇した鹿黒とヴィオレも共に走る
いつの間にか大所帯になった生徒会は、招福に導かれるまま進んでいった




「む?今、花火の様なものが」
「気にするなよ。間に合わなくなるからなぁ」



「……こっちは何とかしてやったんだ。後はあんた達の番だぜえ?ひゃっひゃひゃひゃ!」



701 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:08:47.29 ID:Bj3byN/+0





「撃て!撃て撃て!あらん限りの砲撃を!」

坂松市の上空で号砲が唸る。その度に蝗は粉砕され、欠片も残さず塵となる
……これを、もう数十はこなしているが、未だに止む気配が感じられない


「昔、駆除に大砲が使われていたそうだが……」
「ちょっと数が多すぎない!?もっといっぱい船を出してよ!」
「無茶を言うな!先の戦闘で、半分近く失っているんだぞ!」


叫ぶセイバーだが、キャスターの言うように艦隊の数はかなり少ない
つい先程行われていたアーチャー戦で、数多くの船を特攻させてきたツケが回ってきたのか
その量はやや心許なく、そのせいで余計に手間取っている

「あぅ……!何とか街からこっちに注意を逸らす事は出来てるけど……」
「このままでは、私達が先に喰い殺されるな」

蝗の猛攻は凄絶の一言に尽きる。何せ火の海の中すら飛び込み、突っ込んでくるのだから
分身ですらこれ程ならば、本体と戦っているクリスティーナは無事なのだろうか?
アーディーに出来る事は、ただひたすらに祈る事だけだった



「センパイ……!」




702 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:09:14.29 ID:Bj3byN/+0





「“灼牙の蛇(ヴァイパー)”!」

地下の空洞内に、煌々と照らされる円の陣
炎を纏ったワイヤーが幾重にも張り巡らされ、貴方の周囲をぐるりと囲む
いかに恐れを知らぬ蝗であろうと、暫くの間は安全地帯として使えるだろう

「俺に出来る事はこの程度だ。後はお前がなんとかしろ」
「……わかったよ。ドミトリイ」

それだけを言い残し、すぐさま陣の維持に集中する
貴方は遠くで鍔競り合うクリスティーナとアバドンに意識を戻す

……実力はそう離れていない様に見える。だが、周りの放つ不快音が身体を刻んでいた


 ◆不穏な羽音:A+++
  産み出された眷属達の羽ばたく羽音は、人の根幹を精神的に切り刻む。
  眷属の数を増す程その音は激しくなっていく。最大限に高まると、常人ならば精神を崩壊してもおかしくはない。
  精神耐性や幸運判定。そして、あくまでも音なので、耳を塞ぐ等の物理的な手段を取れば抵抗可能。


「くっ……はぁっ!」
『肉体損傷確認。修復機能全稼働』
『損傷軽微。排除再開』

おまけに、幾ら切り裂いてもダメージがある様にはとても見えない
何度攻撃を受けても、すぐに回復してしまう……




703 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:09:43.25 ID:Bj3byN/+0





「……魔力を外から回収しているのか?」
「外、から?それって、いったい、どこから」
「恐らく、先んじて街に出た蝗がダメージを上回る程の魔力を回収しているのだろう」

「じゃあ、それ以上の攻撃を叩き込むか、外の蝗を壊滅させないと」
「奴は事実上の不死身という訳だ。……全く、厄介な奴を召喚したものだな!」


吐き捨てながら、周囲の蝗を焼くドミトリイ
しかしそれも総体で見れば微々たるもの。即座に数は戻り、増殖する



 ◆個体増殖:EX
  自己と同等の存在を産み出すスキル。眷属のセルフコピー&ペースト。
  自己改造の亜種であり、このランクが高い程真っ当な英霊とはかけ離れていく。
  このスキルにより産み出された個体は脆弱性に問題があり、大きさは掌程度、人の手でも駆除できる位には弱体化してしまう。
  しかし、そんな事すら問題にならない程に産み出す速度が尋常でない。増殖した眷属は、瞬く間に世界を覆い尽くす。



「ダメだ、バーサーカーに対軍宝具は無い」
「外のセイバー達に任せるしか……!」

貴方に出来る事は、ただ祈るだけ。奇しくも、アーディーと同じだった……



704 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:10:12.41 ID:Bj3byN/+0




「はぁ、はぁ……!」
「駄目だ……マスター、令呪を……!」
「わかった……!“汝がマスター、アーディー・エーデルワイスが令呪を以て命ず!”」


「“宝具全開!吹っ飛ばして!”」
「行くぞ───!“太陽落とす嵐の夜”!!」


令呪の後押しを受けた一斉砲撃。天空を、大地を飛び回る蝗のほとんどを消し飛ばす
だが、それでも、全滅するには至らない。悠々と跋扈する姿は最早悪夢か幻かと願うほど
無尽の軍勢は、全員の心を折るには充分過ぎた


「嘘……なんで、なんでぇ……!」
「駄目だ。僕はもう魔力が……くっ!」

「……キャスター。手は無いのか?」
「え、ボク!?」
「お前以外に誰がいる!?この状況を打開する可能性があるのはお前だ!」
「マスターとして、そして魔術師として。お前を頼っているんだよ。私は」

いつになく真剣なマリアの顔。普段はおちゃらけているキャスターも、今は神官として頭脳を動かす



「うーん……。……要は、魔力と火力を両立させればいいんだよね?」

「一つ思いついたんだけど……試してみる?」




705 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:10:50.57 ID:Bj3byN/+0




「……何だ。聞かせてくれ」
「まずはマスター。令呪をアーディーちゃんに渡してくれない?」
「令呪の移行はボクがやるよ!キャスター伊達にやってないからね」

「……構わん。そら、手を出す」
「あ、はい!……ありがとうございます!」

テキパキと二人の腕から令呪を移動させ、アーディーの令呪が二画増える
しかし、これだけでは先の結果と何も変わらないだろう。もっと広い範囲を撃破しなくては……


「そう、そこでボクの宝具の出番ってワケ!」
「セイバーの艦隊を、失う前に戻す。それならあの蝗の大軍だって蹴散らせるでしょ?」
「……だが、あの宝具は運任せだろう」

尤もなマリアの指摘にてへへと笑う
バレたか。と言いたげに、悪戯っぽく。しかしそこにふざけた態度は感じられなかった

「うん。でも成功させるよ……絶対」
「ボクを信じて。キャスターの英霊として、君達を必ず助けてみせるから」



706 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:11:45.29 ID:Bj3byN/+0




「それじゃ……やってくる!皆!」
「ボク、楽しかったよ!信仰を取り戻す事は出来なかったかもだけど……」


「それでも、無駄じゃなかった。こうして世界を救えたんだから!」

ありったけの魔力を回す。宝具である石盤を起動させ、円環は廻る
最初から出し惜しみはしていない。限界はとうに超えている。腕が、目から血が流れる

「それでも……!やらないと……!」
「ボクは神官なんだから……!イナンナ!ボクに力を今だけ貸して……っ!」

「……うあああーーーっっ!!!」




円環が罅割れる。遠心力で煙が上がる。ガタガタと揺れ、崩れ……弾けた
自らの霊核を以て制御した運命の石盤は、その熱量に耐えきれず霧散する

だが、運命は変えられた。一人の神官の献身によって



「あはは……良かった。けど、せめて……」
「太陽……見てから、消えたかったなぁ……」

空が白む。夜の終わりをしろ示す光が果てから差し込んでくる
その柔らかな光を浴びながら……キャスターは、粒子となって消滅した




707 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:12:17.78 ID:Bj3byN/+0






「……エーデルワイス!」

マリアが叫ぶ。為すべき事を為せ。と


「わかってる……!“セイバー!汝がマスター、アーディー・エーデルワイスが全ての令呪に以て命ずる!”」
「“全力、全開!全ての力を以てして、蝗の夜を終わらせて!”」


アーディーは願う。この夜の幕を引け。と



「……ありがとう。キャスター」
「太陽を落とした女……ドレイクよ。あの朝日を取り返す為、力を僕に貸してくれ!」

「だから、これは……!この一撃はこう呼ぼう」

「“黄金鹿と嵐の夜(ゴールデン・ワイルドハント)”と───!」


セイバーは放つ。極光の流星雨が、有象無象を消し飛ばしていく
増殖の速度も追い付かず、追い越していく。光があまねく夜に終末を与えていく

……そして、大軍のおよそ九割九分。ほとんどの蝗を掃討した三人を迎えたのは……



「綺麗な、朝日……」


708 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:13:07.01 ID:Bj3byN/+0




『……emergency!emergency!』
『総体に甚大なる負荷を確認しました。総体に甚大なる負荷を確認しました』
『修復機能を停止します。総機能を再生に移行します……』

「な、なんだ?」

突如、アバドンの動きが停止する。そして、蝗の群れも同様に
まるで、その姿は壊れた機械。深刻なエラーでも起きたのだろうか、急速に群れが集っていく


「……今だ!奴を仕留めろ!」
「恐らく、外の軍勢が大きく損傷したんだ。故に大本であるアレもダメージを受けている!」

「何をしている、貴様も行け!バーサーカーの近くにいる程、魔力のパスは強くなる!」
「あ、はい!……待ってろ、バーサーカー!」

結界を飛び越え、クリスティーナの元へ走る。焼ける空気と異常な腐臭が肺を侵す
しかし、この気を逃せば本当に勝ち目が無い。無我夢中で駆け抜けるしか……!

「なっ……蝗が……!」

だが、アバドンの防衛機構か。無数の蝗が貴方の身体に纏わりつく
羽音が耳を、頭を、心を蝕んでいく。思わず足がすくみ立ち止まりそうになる……



「あ……先、輩。先輩!」
「ダメ、負けたら、ダメ、デス……!」



709 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:14:55.76 ID:Bj3byN/+0



「……っ!“────!!”」
「………アキラ?」

羽音をかきけす様に、一つの歌が聞こえてくる
貴方だけに届く、可憐な声。貴方だけに伝わる必死の応援
それが後輩のものだと気づき、その言葉は自分を信頼しているものだと響く

“負けないで”

“折れないで”

“立ち止まらないで”

“──私は、貴方が大好きだから”


彼女の後押しで、貴方はまた走り出す。蝗の牙すら振り切って



『アキラのスキルを開示します』
 ◆反転呪式・言祝    
  他者を害する呪の力を賦活の効果に反転させるオリジナルの術式。  
  相手を慈しむ、勇気づけるなどの気持ちを込めて歌う事が発動のキーとなる。
  
  歌にのせるは真なる想い。彼女の名と同じ、陽の力。  

 【発動条件:相手への感情が信頼以上】
 【対象に大きなプラス補正を与える】


「……悪い、クリスティーナ!遅れた!」
「気にするな!……そこで見ていろ、私の、最期の生き様を!」


710 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:15:42.37 ID:Bj3byN/+0





「───此は、私が歩んだ戦争の終着」

紡ぐ。宝具開帳の詠唱を



「心の叫びを聞け──命を燃やし尽くした一人の人間の生きざまを!貴様にくれてやる!」




「我が願いを捨てて……奈落の王を砕く!これが人間の意地だと、証明する為に!」




「私の生きざま、見せてやる!“我思う、故に私は(バロッケンズ)……”」

「“……………ありのままに(ドロットニング)”」

クリスティーナの剣がアバドンの胸を貫く
先程まで修復していた傷も、今は治る事も無く崩れ去っていく……


「アバドン。貴様は人間の悪徳を粛する為に蝗を世界へ蔓延らせるのだろう?」
「だが、私の剣は“人間の美徳”を象徴する剣。……なんの事は無い。まだ粛正される程、人間は腐ってはいないという事だ」


 ◆美徳の剣
  カトリックの教義である「七元徳」の概念武装。彼女のお気に入りの武器。
  聖堂教会の扱う概念武装がメチャ格好良くて美しかったので、コネで頼んで作らせた。
  七元徳内の一つの徳が主体として刀身を形成し、その他の徳は柄の内部に収まっている。
  なお、この概念の素体は、スウェーデン軍に強奪させたルドルフ二世のコレクションに含まれる、とある芸術家の作品である。


711 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:17:15.47 ID:Bj3byN/+0





『中枢機構損傷、再生率零零零一』
『さ最終結論かか活動不可能uuu。機能停s機能てissssssssss……』

『……警告:人理を、存続、せ、よ』

『pf5p~2xg6ga3wui3.c2ptf4pjx…………』


アバドンが崩れていく。同時に、蝗も欠片すら残らず消えていく
……終わったのだ。これで、全ての戦いが!



「……よっしゃああああ!!」
「全く……気楽なものだな。本当に」
「む、いいだろ別に。これでもう聖杯戦争は終わりなんだ」

高揚感に飛び上がる。本当に、自分がここまで戦えたなんて想像すらしなかった
その様子を見ていたクリスティーナは、呆れた声を挙げながら微笑んでいた

「クリスティーナ、これでお前の願いも叶うんだ!嬉しくないのか?」
「ふ、まあそうだな……嬉しいか、嬉しくないかで言うのなら……」

「私には、もう関係ない。か」「は?」

あまりに彼女らしくない言葉に、一瞬耳を疑う貴方
そして、気づいた。……彼女の身体は、光の粒子となりつつある事を


712 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:17:48.74 ID:Bj3byN/+0





「な、なんで。俺達は、勝っただろ!?」

言葉が出ない程、その事実に思考が乱れる
辛うじて放った言葉も、疑問をぶつけるだけに終わってしまう


「ああ。だが……限界だ。私は、アバドンを倒すのに全ての魔力を使いきった」
「私の宝具……“我思う、故に私はありのままに(バロッケンズ・ドロットニング)”」
「私は信念として、死ぬべき時に死ぬ。……そう心に決めていたから」

「恐らく……私は、アバドンを倒す為に聖杯から選択された英霊なのでしょう」
「だからこそ、願いを持たない貴方の力として聖杯戦争に参加させた」


だが、クリスティーナは冷静だ。淡々と事実を伝えていく
きっと、覚悟はしていたのだ。ここが、本当の意味で貴方と戦う最後になると


「何で……何でだよ!何で、俺に……!」
「言うだけ無意味でしょう。貴方は欲の無い、それでいて繋がりを求める人間だった」
「もし、これが最後だと言えば……貴方は、戦う意志が無くなっていたでしょう?」


無意味。その言葉が心にのしかかる
それでも不思議と、嫌な気持ちはしなかった。寧ろ……


「……そっか。ありがとな」
「ええ。貴方が私をを理解しようとしたと同時に……私も、理解しようとしたのです」



713 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:19:33.11 ID:Bj3byN/+0





互いに笑い、拳を重ね合わせる

貴方と彼女は寄り添わず、さりとて見捨てず

そんな距離感が二人の主従としてのスタンス。自由な女王と、振り回される貴方

二人を繋ぎ合わせた意志の強さ。全く似通わぬ英霊とマスターだったが……



「……どうだ?私は素晴らしい英霊だろう?」

「ああ、本当に!お前と戦えて良かった!」

ハイタッチの音が響く。それは心地よく、貴方の心の中に永遠に鳴り続けるだろう
かけがえの無い宝物。クリスティーナと戦い抜いた日々こそ、貴方の願いだったんだ



「クリスティーナ!」
「…………ありがとう。バロックの女王」

「ふふ、今回はその言葉だけを報酬として受け取りましょう」
「これは私からの報酬……。……耳を」
「ん、ほら。…………え?」

耳元で囁くその言葉。貴方は少しだけ驚くと、その目からは涙が溢れていった


「その言葉は、私の人生を変えた言葉」

「どう捉えるかは、貴方の自由。縛るつもりは毛頭無い」

「……貴方の生きざま。見せてみなさい───」


……泣いていたのは、幸運だったのかもしれない
だって、本当は言いたかったから。行かないでくれ。と

だから、静かに見送れた。光の彼方へ消え行く彼女を……



714 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:20:58.70 ID:Bj3byN/+0





「……終わったか」
「せ、先輩。その……」

最期まで見守っていてくれたのか、ドミトリイとアキラが声をかけて来た
随分とみっともない姿を晒してしまった。二人とも気まずそうに目を逸らす


「……悪い、もう大丈夫」
「そうか……ふん。泣き喚かないだけマシか」
「それじゃ……ロベルトさんを捕まえに行こう」
「あの人を捕まえて、話を……っ!?」

突然大地が揺れ動く。地震かと思ったが、どうやらそれは違うようで

「これは……!奴め!罠を仕掛けていたか!」
「モタモタするな、このままでは地盤の沈下に巻き込まれるぞ!」

「えっ、なら学校は」「知るか!」

「じゃあ聖杯は」「エーデルワイスに聞け!」


ドミトリイの焦る声。アキラと貴方の質問にすら取り合わず、逃げる事を優先する

二人も慌てて地下空洞から走り出す。……最後の最後まで、慌ただしいと苦笑いを浮かべながら




715 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/30(日) 22:22:11.23 ID:Bj3byN/+0

【本編はここまで。次回はエピローグから】

【あとほんの少しだけですが、お付き合い戴ければ幸いです】

716 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/30(日) 23:11:26.22 ID:IYXSvjEd0
717 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/30(日) 23:38:29.88 ID:73QROXpTO
718 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/31(月) 21:43:26.64 ID:eTqqGV770

【それでは、エピローグを投稿していきます】

【最後の方に今後の進め方を説明するので、よしなに】
719 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/31(月) 21:44:03.69 ID:eTqqGV770




……あれから、それなりに時間が経った
今でも、ふと思い出す。怒涛の、駆け抜ける様な日々の事を

「……い、おい!」「うおっ!?」
「貴様……私を無視したな?庶務の分際で、生徒会長である私の言葉をシカトしたのか!?」

しかし、それは過ぎた日々。こうして貴方は、またいつも通りの日常に帰っていた
誰も、何も変わらない。かつての大災害等最初から無かったかの様に、普段通りに過ごす毎日

「いや、別にそんなつもりじゃ」
「何だ貴様口答えする気か!?いつからそんなに偉くなった私に楯突ける様になった!?少しばかり経験を積んだからと随分と調子に乗っているじゃないかこのボンクラが!私を舐めているのか?ええ!?!?」

叫ぶ生徒会長の罵詈雑言にも、どこか懐かしさすら感じる様になってきた
何だかんだで、この罵倒も自分のルーチンワークの一つだったのだろう。そう思うと少しおかしく思えてくる

「おーい、庶務くーん。待ったー?」
「あ、あの。お待たせ、しました……」
「はっはっは!今年も後僅か、徹底的にやろうじゃないか!」


遅れてきたメンバーと挨拶を交わす。見慣れた顔の、いつも通りの挨拶を
そして今日は十二月の三十一日。大晦日の夕方の街はめでたい空気で包まれているが、ここはそうでも無いようだ

全員揃ったと確認すると、生徒会長はゴミ袋を片手に腕を挙げる
準備が整ったのを見るや否や、力強く宣言した


「……集まったか。これより学校の大掃除を開始する!」
「「「おーー!!」」」



720 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/31(月) 21:44:49.67 ID:eTqqGV770




「ふぁ……面倒くさーい」
「新重、それ会長の前で絶対に言うなよ……」
「けどやりすぎじゃない?幾ら地域新聞で表彰されたとはいえさ」

せっせと廊下を掃きながら、ブツブツと愚痴る新重を宥める
坂松市を襲った未曾有の災害に対して、会長の取った行動が称賛を浴びたせいか、最近の行いはやたらと潔癖だ
……その裏でサンドバッグにされる貴方の苦労は誰も知らない

ちなみに、学校はグラウンドが陥没した程度で被害は済んだらしい

「あ、あの。先輩」「どうかしたか?」
「その……メリッサさんの、事、ですけど」
「メリッサさん?普通にクラスメイトだよ?」
「あー……」

あの後、ガイスロギヴァテスのメンバーは彼女を残して帰国したらしい
最後にアーディーが花束を送っていたが……それをルシフェルが困惑しながらも受け取っていた
きっと、あの二人ならやり直せる……そう、強く信じたい


「アキラちゃんも凄いじゃん!見たよ〜」
「俺も。アキラって歌が上手いんだな」「……あうぅ、恥ずかしい、デス」

禍門もあれから忙しかったそうで、貴方も憂午からのヘルプを受けて手伝った事もあった
その中で千呼とアキラは幾つか動画を撮影していて。アキラは単独で歌を歌うジャンルの動画をあげていた
評判も上々。みとりからも「宣伝に使える」と言われていた程


「アイドルみたいだったな。綺麗でさ」
「……それで、その。先輩」
「もし、私が。あの……本当の、アイドルに」

もじもじと。何かを察したのか新重はささっと後ろに隠れる
アキラは頬を染めながら。しかし、ハッキリと貴方に話しかけた

「なったら……私、と」「そちらの調子はどうだ?俺も手伝いに来たぞ!」


「………………」




721 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/31(月) 21:46:03.66 ID:eTqqGV770




「………………」
「うわぁ、最低……」

アキラの言葉は、横から割ってきた副会長の手で遮られた
女子二人からの冷ややかな視線も意に返さず。貴方と二人で談笑に花を咲かせる


「あ、副会長。こっちは大丈夫っすよ」
「そうかそうか!では少し休憩を取ろう。何か欲しいものはあるか?」
「ならコーヒーで」「私ココア!」「……水で、いいデス」
「よしわかった!少し待っててくれ。今すぐに買ってくるからな!」

慌ただしく走り出す副会長。それを見送っていると、アキラが深く溜め息をついた

「……はぁ」
「ん、どうかしたのか?」「いえ、別、に」
「元気出しなよアキラちゃん。よく効くおまじない、教えてあげよっか?」

「消しゴムに名前を書いて、全部使い終わると願いが叶うってやつ」
「やたら古典的なおまじないだな……」


やたらと懐かしい新重のおまじない。自分が小学生の時に爆発的に流行ったもの
アキラの世代では既に廃れていたのか、きょとんとした表情で新重を見ていた


「そう、ですか。……今度、試してみるデス」
「うんうん……そうだ、庶務くんの名前って何だっけ?」
「おいっ!」


「東生(とうじょう)だよ! 東生 広夢(とうじょう ひろむ)!」
「そもそも俺を庶務に推薦したのはお前が……」


『へー、じゃあ庶務くんなんだね!せっかくだし生徒会に立候補してみたら?』


「……って!」「あはは、そうだった!」
「わ、私は、知って、ました……デス」


722 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/31(月) 21:46:40.08 ID:eTqqGV770





「……ふう、お疲れ様っしたー」

あれからかれこれ一時間。学園内をみっちりと掃除した貴方達
生徒会役員達は全員ぐったりと正門で座り、何でもない話を楽しんでいる


「……そう!私はいい大学、いい企業に就職して安定した生活を手に入れる!」
「来年度は勝負の年になる……絶対に合格して、キャンパスライフを掴んでみせる……!」


「あれ、会長、確か、推薦入学だって」
「そんなんで満足出来るか!私は、より高みを目指し常に邁進しているのだぞ!」
「では元旦は会長の合格祈願も兼ねて初詣に行こう!俺も実家を継ぐ前に一度、出向くべきだと思っていたからな!」

「よし、貴様ら、明日は朝の八時より神社に集合せよ!肝に命じておけ!」
「「はーい」」


どうやら副会長の発言で元旦は生徒会での初詣が決まったらしい。
明日もまた忙しくなりそうだ。と軽く笑みを浮かべると、見知った顔が待っている事に気がついた



「お……アーディー達じゃないか!」
「センパーイ!」「忙しい所、すまないな」



723 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/31(月) 21:47:41.05 ID:eTqqGV770





「む、貴様は確か御三家の……」
「わー可愛い!アーディーちゃん、お姉さんがいたんだ!」
「僕は男です。……初めまして」

アーディーの隣にいた女顔の青年に近づく。この光景も何度目か、一つの風物詩と化していた
青年……セイバーも慣れたものと言いつつ、やはり気にしているのだろう。こめかみに青筋が浮かんでいる

どうも、今回の聖杯戦争の優勝者はセイバーになったらしく……そのお陰で願いが叶ったらしい
聖杯が今どこにあるのか、何故願いを叶えたのかはわからないらしいが……


「そ、そうだ!センパイ、少し時間ある?」
「ちょっと、付き合って貰いたいんだけど……」
「ああ、大丈……」「貴様、まさかとは思うが生徒会長である私特製の年越し蕎麦を食べないと言いたいんじゃ無いだろうな?」

「いや別にそういう訳じゃ」
「じゃあどういう訳なんだ答えてみろこの味覚障害が!せっかく私がお偉い方に好かれようと研究したそば打ちを披露してやるというのに女を優先するつもりだろう!?!?」
「そんな浮わついた腐りきった根性で私の足手纏いになるつもりか!?とんだロマンチストだなとっととくたばってしまえこの」



「あー!あー!私お腹すいちゃったー!」
「ねえねえ早く会長のお家に行こうよー!ね、副会長!」
「む?そうだな!ここは俺達で先に蕎麦を用意しておこうじゃないか!」
「せっかくだ、鹿黒も呼ぶか!全員で食べる蕎麦は、きっと美味いぞ、な!」
「そ、そうですね……」

副会長の勢いの強い話に苦笑いで頷くセイバー
どうにもこのタイプは不得手らしく、こくこくと相槌を打つ事に専念していた


「あ、じゃあアキラちゃんも一緒に付いてってあげたら?時間が来たら庶務くんに教えてよ」
「え、あ、あの」「……いいよ!一緒に来て!」

「……ごめん!なるべく早く戻る!」
「気にしないでー!……ぐっじょぶ!」
「おい貴様!私を無視するなぁあぁぁぁ……」



724 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/31(月) 21:48:29.87 ID:eTqqGV770




喧騒からも遠く離れ、四人は街を進んでいく
新たな時代を迎える準備。過去となる今日を、街は思い思いに過ごしていた

「……そう言えば、ロベルトさんは」
「全然見つかってない。……何処行ったんだろ」

あの最終戦の後、監督役のロベルトの姿は忽然と坂松市から消え去っていた
身内だからか、心配そうに呟くアーディー。聖杯も恐らくロベルトが持ち去ったのだろう

「お父さんも、捜索しているみたい……デス」
「けど、案外もう坂松市にはいないかもしれないぞ?あれだけの事をしでかしたんだし」
「そうかな……うん。ありがと、二人とも」


自分のせいで暗い話題になってしまった事を気にしてか、アーディーは足早に進んでいく
その後を追いかける貴方達。その足取りは少しだけ重くなるが、気にしてなんていられない



「……着いた!ここだよ、センパイ」
「ここって……教会?いったいどうしてこんな所に俺を?」
「ああ。これを見て欲しいんだが……」

セイバーが一冊のノートを取り出す。どうやら内容は迷いペットの保護記録の様だ


「ここ、ロベルトさんが来る前は教会に迷い込んできたペットの保護とかしてたみたい」
「だから、もしかしたら……君の飼っていた犬の記録もあるかもしれない」

「本当か……!?」「えへへ、どう?センパイ」
「ありがとう。これで、また、会えるかもしれない……!」

声が掠れる。胸の奥から込み上げてくる感情が涙となって溢れ出す
かつて、離してしまったその手をもう一度。例え拒絶されても、伸ばしたかった



725 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/31(月) 21:49:49.22 ID:eTqqGV770






「……先、輩。良かった、デス」
「ん……ごめん、けど、これで俺の目標が“もう一つ”増えたな」
「もう一つ?まだあったのか?」

「ああ。俺……旅に出ようかと思ってる」



突然の。予想だにしていない告白に三人は目を見開いて
その反応を予想していたのか、貴方……東生は、自らの夢を語っていった

「俺さ。聖杯戦争の中で色々考えてたんだ」

「皆は願いの為に必死に戦ってた。けど俺には何も無かった……」

「だから、俺の目で世界を見て回りたい。彼女がそうした様に、少しでも世界を広げたい」



「……それは、彼女の受け売りか?」
「いや、クリスティーナとは関係無い。俺の、俺だけの人生だ」

断言するその顔は、間違いなく聖杯戦争の前とは変わっていない
しかし、誰かの言いなりになっていたあの頃と比べたら……確実に、強くなっているだろう


「……あ、あの。先輩!」
「こ、これ……お守り、デス!アーチャーの、体の一部……!」
「あ、ズルい!私も……えーと、まだ用意出来てないから!行く時は絶対に言ってね!」


726 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/31(月) 21:50:33.81 ID:eTqqGV770





「ふ、あははっ!」


わちゃわちゃしたやり取りに、思わず吹き出す
もし、聖杯戦争に参加しなければ出会えなかったかけがえの無い仲間達
自分が守りたかった、穏やかな笑顔……

「……本当。かもな、クリスティーナ」




──“あなたの触れた、全てが変わる”

──“あなたが変えた全てが、あなたを変える”




クリスティーナの最後の言葉。彼に与えられた最高の賛辞
ずっと他人に引っ張られてきたと思ってた。けれどそれは違ったんだ

微かでも、僅かでも。こんな自分でも、確かに誰かに影響を与えていたんだと


「……うん。生きてみるよ、自分らしく」


それがどんなものか。何を意味するのかは今はわからない

だが、きっと見つかるだろう。最も自由な女王の隣にいた、彼ならば……




【fin】


727 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/31(月) 21:54:43.60 ID:eTqqGV770

【という訳で、『どうやら坂松市で聖杯戦争が行われるようです』】

【皆様のご声援もあって、無事完結する事が出来ました!心よりありがとうございます!】



【今後の予定としては、後一回聖杯戦争の動かしてみて】

【その後どうするかなーといった感じ】

【鯖鱒の募集は行う予定。詳しくは避難所にて話していく予定です】

【重ねてですが、本当におよそ半年間もの間、応援ありがとうございました!】



728 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/31(月) 22:11:08.65 ID:x7kar9e9O
完結乙
729 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/31(月) 22:19:10.07 ID:Vf3IunFD0
完結お疲れ様でした!
730 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/31(月) 22:19:21.24 ID:rBep1aYZo
乙乙
731 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/31(月) 22:22:29.27 ID:e9rmhsD40
完結乙
732 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/31(月) 22:24:53.68 ID:U0RO0gl/0
完結乙
733 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/31(月) 23:18:35.99 ID:FgKM4Reoo
完結乙
734 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/08/31(月) 23:30:23.38 ID:eTqqGV770

【避難所で次回の主人公作成を始めたので、よろしければどうぞ(クソ遅宣伝)】
735 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/09/01(火) 01:00:09.18 ID:V3kHWT870

【掲示板からのコピペ。これが今回の募集概要です】

【では、今回の募集要項についてお話しします】

【今回の募集は、サーヴァントは『二つまで』投稿する事が出来ます】

【理由としては、今回は募集したデータを多く使ってみたいので数が欲しいから】

【マスターに関しては、前回と同じく無制限。ですが、人数が減るかもしれないとだけ】

【今回の期限は、19日の夜まで。二週間以上あるので、ごゆっくりお考えください……】

【募集用アドレスは引き続きこちらでお願いします】
【アドレス:0sf3z226729429r☆ezweb.ne.jp】
【☆→@】

736 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/09/01(火) 01:02:55.08 ID:V3kHWT870

【完成した主人公はこちら】



【名前】ルゥナ・ガイスロギヴァテス

【所属】ガイスロギヴァテス

【属性】混沌・善

【AA】ルーナ(ファイアーエムブレムif)

【ステータス】
【体】7
【知】6
【心】3
【質】9
【運】5

【スキル】
 ◆煉獄(フェーゲ・フォイア)
  彼女の属性である「火」をより攻撃的に、残酷的に行使する必殺技。
  魔術礼装の剣に超高温の炎を纏わせ、対象を熱で焼き切ったり、周囲を焼き払う。
  剣の状態でも魔術に指向性を持たせたり、結構頑丈なので武器として扱っている。


【来歴】
 ……貴女は、御三家の一角ガイスロギヴァテスからの刺客だ。
 終結したはずの聖杯戦争。しかし、またもや聖杯は動き出そうとしているとの情報を得る。
 前回のメンバーは事情により不参加。故に、一族の中でも飛び抜けて優秀な彼女が選ばれるに至ったのだ。

 貴女は一族の中でも最も優秀な血統を持ち、満たされた環境の中で育てられた箱入り娘。
 そのせいかやたらと【物欲】が強く、一度目をつけたら何がなんでも手にいれないと気が済まない厄介な質。
 オマケに甘やかされた来たせいか【魔術師的優生思想】に染まりきっており、当主からも匙を放り投げられている。

 実力だけはある、手のつけられない問題児。
 本来は偵察、及び調査が命令だが、あわよくば聖杯を奪い取る気満々である。

【性格】
 優秀ではあるが、実年齢と比べると若干幼い印象を与える少女。
 自己への欲は凄まじいが、他者へと向ける欲は意外な程に穏やか。
 と言うのも、「私は優秀なんだから、下等な奴は助けてやろう」というどこか上からな態度で見ているから。
 助けては勘違いするなと言っているが、その言葉を信じる人はいない

 人によっては【ツンデレ慈善家】だのなんだのと評価されている。


【聖杯への願い】
 欲しいから取る!願いは後で考える!
737 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/09/01(火) 10:59:25.08 ID:V3kHWT870



【あまりにも集中しすぎてテンプレを出し忘れる凡ミス】

【サーヴァントは鯖鱒wikiのものを基準に】

【マスターは下記のものに記入してください】


『サーヴァントテンプレ(wiki内参照)』
 https://w.atwiki.jp/ssfate/sp/

『マスターテンプレ』



【名前】(必須項目。あまり直球で版権モノだと困ります)

【所属】

【属性】

【AA】(無くてもいいですが、描写等で役立つので出来れば)

【ステータス】(フレーバーですが一応。最高値は9で2つまで可。0は未知数で9と同様に扱います)
【体】
【知】
【心】
【質】
【運】

【スキル】(最低一つ。最大値は設けませんが腐る場合もあります)
 ◆

【来歴】


【性格】


【聖杯への願い】



738 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/09/01(火) 21:40:07.30 ID:V3kHWT870


【募集で来たAA一覧を貼っておきます。前回には貼れなかったものも含めてます】

【データの作成の参考にどうぞ……】

『AA一覧ver1』
 見崎鳴(Another)
 逆理のヒロト(異修羅)
 仮面ライダーオーガ(仮面ライダー555)
 ゲルググ(機動戦士ガンダム)
 高嶺清麿(金色のガッシュ!)
 横島忠夫(GS美神 極楽大作戦!!)
 黒崎一護(BEACH)
 ボンドルド(メイドインアビス)

739 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/09/01(火) 23:29:56.26 ID:V3kHWT870


【坂松市の御三家 新シーズンver】

【マスター作成のお供にどうぞ】


『禍門家』
 坂松市土着の魔術体系。その歴史は町の歴史とほぼ同じ
 言葉を媒介とした呪術を修めた家系で、聖杯戦争ではマキリと同じく、令呪などのシステム面を担当した
 簡単な日常会話から即座に呪う事も可能だが、みだりに相手を警戒させないために
 一族の人間は、親しい相手柄には単語をぶつ切りにして意思の疎通を図る

 前回の聖杯戦争を経て、ある程度の信頼を得たのか外からの助力を得られる事に成功した
 未だ坂松市に聖杯が存在している事等から、今回は管理者として振る舞っている


『エーデルワイス家』
 通称『天使に恋した一族』。坂松市に聖杯を持ち込んだのもこの一派
 元来はオーソドックスな降霊術を長い年月扱っていた大家であったが、その恋によってかつての研鑽は捻れ狂い
 根源に至るという一族の悲願は、恋を叶えるという一人の妄執に塗り潰された
 御三家としてはかつての降霊術師としての知識を頼られ、霊体(サーヴァント)の召喚を担当する

 前回の戦争で引き起こされた大災害の元凶。当主や監督役の暴走や聖杯の強奪等から、現在も監視の目が緩まない
 どうやら、坂松市内に残存勢力が存在しているらしいが……?


『ガイスロギヴァテス家』
 時計塔の新霊地開発事業により送りこまれた管理者。所詮雇われであり土地に愛着はない
 戦争屋と呼ばれた傭兵一族がルーツの魔術師であり、戦闘に特化した魔術や火の属性を持つ魔術。またトラップ作成技能も高い
 御三家としての役割は治安の維持。とはいえ前述の通り愛着は皆無である為、他二家からは全く信用されていない

 治安の維持という名目は守られたものの、災害の召喚を許した事により時計塔からの信頼にダメージを負っている
 現在は坂松市から手を引いているが、聖杯の存在を確認した事により刺客を数名送り込む事に決定した
 貴女はここの所属

740 : ◆6QF2c0WenUEY [sage]:2020/09/03(木) 08:01:26.76 ID:+UsJZG6i0

【昨日来た分のAA一覧です。どうぞ……】


『AA一覧ver2』
 Es(XBLAZE)
 アクア(この素晴らしき世界に祝福を!)
 吉良吉影(ジョジョの奇妙な冒険)
 毒島華花の中身が見えないAA(武装錬金)


 
741 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/09/05(土) 20:56:49.95 ID:lVolJP/40

【本日も募集されてきたAA一覧を】

【募集の期限は二週間後の19日。それまでゆっくりお考えください……】


『AA一覧ver3』
 ローン(アズールレーン)
 ムルタ・アズラエル(機動戦士ガンダムSEED)
 ベル・クラネル(ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)
 エクス・アルビオ(バーチャルYouTuber/にじさんじ)
 ネネカ(プリンセスコネクト!)
 ユニ(プリンセスコネクト!)
 アナスタシア・ルン・ヴァレリア(WILD ARMS)

742 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/09/12(土) 19:04:13.55 ID:Y5z6fTAsO

【とりあえず、明日にはスレだけ建てる予定。そちらで次のお話を進めていきたいと思います】

【そして今回もAA一覧を。期限はあと一週間です】

【鯖総数】
 剣:5 槍:2 弓:2 騎:2 魔:7 暗:4 狂:3 特:2


『AA一覧ver5』
 Sans(Undertale)
 仮面ライダージオウ(仮面ライダージオウ)
 冨岡義勇(鬼滅の刃)
 ヨブ・トリューニヒト(銀河英雄伝説)
 ハル(ぎんぎつね)
 アクア(ファイアーエムブレムif)

                          
743 : ◆6QF2c0WenUEY [saga]:2020/09/13(日) 15:04:59.64 ID:NmMGfoFy0

【次のスレ。今後はここで進めていきます】https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssr/1599975655/
430.61 KB Speed:0.3   VIP Service SS速報R 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 新着レスを表示
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)