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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【二十二輪目】

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906 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/12(水) 21:55:49.83 ID:WsiPkEoio

すみませんが本日は所用のためお休みとさせていただきます。
明日はできれば早めの時間から
907 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/12(水) 22:03:44.84 ID:d3VaUt6JO
乙ですー
908 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/13(木) 21:30:41.47 ID:L+mnrdnNo

では少しだけ
909 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/13(木) 21:43:01.00 ID:G19V2+viO
あいよ
910 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/13(木) 22:39:52.71 ID:L+mnrdnNo

沙織「大切にする……指輪も、天乃さんも」

天乃「ええ、お願いね」

沙織「絶対に、最後まで責任を取るよ」

沙織は半霊ゆえに長生きすることになる

天乃や千景たち純精霊と違って、歳はとるし変わっていってしまうけれど

それでも、沙織は夏凜達に比べれば長生きすることになるだろう

子供がいて、精霊がいる

天乃は生涯孤独になることはありえないけれど、

可能な限り一緒にいたいと思っている。

伴侶として当然の考えかもしれないが。

沙織「あたしの中のこの力がなくなるまではね」

天乃「今の私なら、その力を返してもらうこともできるのよ?」

沙織「出来るだろうけど、長期間体調崩すだろうし……あたしはこのままが良いな」
911 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/13(木) 23:20:20.20 ID:L+mnrdnNo

以前に比べ、天乃の体調面に大きな影響はないだろうと九尾は言っていたけれど

たとえ天乃に力を戻しても、

絶対に安全が保障されているのだとしても、

沙織は天乃に力を戻す気はない

人間じゃなければ出来ないこともあるけれど、

半霊でなければ出来ないことがある。

ならば、少しでもできることが多い半霊を選ぶ。

たとえ、その出来ることのほとんどが必要のない世界であったとしても

沙織「必要な時に、必要なことが出来ないなんて嫌だからね」

天乃「そうよね、沙織は」

沙織「ふふふっ、愛してます」

天乃「……私も愛しているわ」

沙織は、どこか物足りなさそうな顔をしているけれど

これ以上は、今は難しい
912 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/14(金) 00:23:39.14 ID:U9GmDntKo

誓約の代わりにキスをすると言う選択もあったが、

言葉を交わす方が良いとの話でそうなった。

7回の接吻と誓約、指輪交換

それをするのは時間がかかるため、

みんなの前での接吻は削ってしまっている

やっぱり、全部終わってからが少し大変になるかな……と、

天乃は思わず笑って。

天乃「ありがとう、ずっと……傍に居てくれて」

沙織「……うん。連れて行ってくれて、ありがとう」

流石に沙織は余裕を一切失わずに

天乃のお礼に笑顔で答える

いつだって置いていかれてもおかしくなかった

けれど、天乃はずっと連れて行ってくれた

少しだけ強引に袖を引っ張ったこともあるけれど……。

それでも置いていかずにいてくれた

だから、ありがとう。と、沙織は言う

天乃「ついてきてくれたのは貴女だわ。ありがとね」

それでも天乃は上乗せして、沙織に背を向ける。

隣の星乃からの「もどるの〜?」という問いに、頷く

天乃「うん、千景ママのところで待っててね」

星乃「は〜い」

二人がママと呼ぶから千景ママ

千景は違うというけれど、そうなってしまったから仕方がないと思いながら、

天乃は自分のいるべき場所へと足を進めた
913 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/14(金) 00:28:11.28 ID:U9GmDntKo

では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日も出来れば通常時間から
914 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/14(金) 03:37:28.58 ID:AEl9EubcO

みんなそれぞれ思いがあっていいなあ
915 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/14(金) 22:12:52.30 ID:U9GmDntKo

では少しだけ
916 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/14(金) 22:32:31.26 ID:ZX6iSBwZO
きてたか
917 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/14(金) 23:12:38.84 ID:U9GmDntKo

瞳「では、ここに結婚証明書を用意しております」

天乃が定位置に戻ったのを確認した司会の瞳は、

近くに控えておいた手製の結婚証明書を参列者に見えるように提示する。

本来の結婚証明書ではそもそも7人もの名前が納まらない。

証明書でさえ―ここで提示するものに限るが―自由にできるのが、

天乃達にとってはとてもありがたいものだった。

瞳「新婦のみなさんには、こちらに拇印を押していただきます」

証明書には、すでに天乃たち全員の名前が書かれている。

印鑑を押せとばかりに名前の隣に書かれたちょっぴり歪な丸は、星乃と月乃が書いたものだ

そこに、拇印を押すことになっている。

瞳「お願いします」

証明書を置くのに程よいテーブルの上に瞳が紙を置く

その周囲に、天乃を中心にしてみんなが集まっていく
918 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/14(金) 23:36:50.46 ID:U9GmDntKo

夏凜「やっぱりちょっと曲がってるわね」

東郷「小さいのもあるわ」

子供の書いた丸の差にちょっぴり笑みを浮かべる

星乃と月乃

二人が好きな相手ほど丁寧で、嫌いな人ほど適当……なわけではなく

星乃が上から下へ、月乃が下から上へ

天乃で1つ、夏凜達で7つの計8つ

1人4個の丸を書いていった結果、崩れてしまっただけの話。

文句はないし、怒ることもない。

失敗しちゃった。と、残念そうにしているのを何度も見た

ノート一杯に丸を無数に書いているのを見た。

だから、小さな不器用さはただただ微笑ましいものだ
919 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/15(土) 00:17:41.88 ID:LEZSiT08o

天乃「みんな、手を出して」

天乃がそう声をかけると、夏凜達が揃って左手を出す。

拇印を押すなら右手という話を聞いたが、

そんな決まりなど、天乃達には関係ない。

きめ細かい羊毛を用いた柔らかい筆を赤く染め上げ、

まずは一番近い友奈の親指に走らせる

友奈「んっ……」

園子「ゆーゆ、エッチな声はダメだよんっ!」

くすぐったさに呻いた友奈に声をかけた園子の指にこっそり筆を流してあげると、

ビクンっと震えた園子の顰めた視線が刺さるけれど

どっちも可愛い。なんて、思わずにやけてしまいそうになる。

天乃「次はだれにしようかしら」

夏凜「遊んでると奪うわよ?」

天乃「ふふふっ、ごめんなさい」

夏凜に睨まれては仕方がない。と、

天乃は遊ぶのを諦めて、筆を強く握った
920 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/15(土) 00:20:57.35 ID:LEZSiT08o

では短いですがここまでとさせていただきます
明日はできれば少し早い時間から
921 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/15(土) 02:21:30.48 ID:BaCvKJrLO

本当にほほえましくてなにより
みんなかわいいな
922 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/15(土) 22:00:42.53 ID:LEZSiT08o

では少しだけ
923 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/15(土) 22:15:35.49 ID:wne8jb/pO
よっしゃ
924 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/15(土) 23:01:02.71 ID:LEZSiT08o

どきどきすると言う風

ちゃんと押さないと。と、確認する樹

筆もありですねと、真剣な表情の東郷

緊張するね。と、笑う沙織

塗ってあげる。と、筆を受け取る夏凜

そして、左手を差し出した天乃

一人ずつ親指に塗って、

天乃は夏凜へと右手を出す

天乃「筆、貸して」

夏凜「友奈に悪戯するんでしょ。ダメ」

天乃「分かったようなこと言っちゃって」

筆を戻した夏凜に苦笑する。

最初に塗った友奈の親指はまだてかてかと潤いを感じさせている

けれど、もう一度――と、思ったのだけれど。

天乃「友奈、親指の、まだ大丈夫そう?」

友奈「はい、まだ大丈夫そうです」

天乃「なら良いわ。渇く前に押しちゃいましょ」
925 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/16(日) 00:05:11.84 ID:2qUqKY6Xo

自分の名前の隣、

子供達の描いた丸の中に、それぞれ親指を押し付けていく

ぐっと押し込むと少しだけ紙に皺が寄る

樹が先に離して、園子が離す

東郷が続いて、友奈が続く

沙織がゆっくりと手を引いて、夏凜が指を上げる

天乃「……これで、完成ね」

みんなが離したのを確認してから、天乃も離す

結婚証明書には8つの赤い指紋がついている

分かりやすくそれぞれの名前の横にあるそれは

大小さまざまで、風が一番大きく見えて

やっぱり、天乃が一番小さい

ちょっぴり薄いものや傾いているものがあったりもして

少し個性が出ているようにも感じる
926 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/16(日) 01:06:55.14 ID:2qUqKY6Xo

天乃「ふふっ、なんかいいわね」

沙織「綺麗に押せなかったのが悔い残るかも」

風「まぁ、良いんじゃない?」

それはそれで味が出るじゃないと風は嬉しそうに言って、

自分の押した部分を一瞥する

もちろん、そこまでの差はないが、

天乃と比べると一回り大きく見えてしまいそうな指紋

少しダイエットすべきかな。なんて思ったのを察してか

樹は「大丈夫じゃないかな」と、笑う

樹「お姉ちゃんは別に太ってないよ」

風「もう……樹ってば」

東郷「手が大きい方が、より優しく包めますよ」

困り顔の風に東郷の囁きが続く

何を大きく包めるのか

手ではないような気がしたけれど、

天乃はあえて何も言わずに、指を拭ってから一歩下がって瞳に目を向けた
927 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/16(日) 01:21:23.71 ID:2qUqKY6Xo

天乃が下がったからか

夏凜達も同じように下がって瞳が列席者に見えるようにする。

瞳「ありがとうございました。確かに、確認いたしました」

瞳は改めて確認するように証明書を見てから、

天乃に笑みを浮かべ、夏凜に嬉しそうな表情を見せて

そうして、証明書を列席者に見えるように掲げてから、小さく息をつく

大事な言葉

だから、噛んでしまったりしないように

瞳「ここに誓いが成されました。皆さま、結婚の承認を頂けるのでしたら、盛大な拍手をお願いいたします」

讃州中学時代の友人

天乃や夏凜達の両親や、兄弟

決して多くはないかもしれないが、少なくもない人たち。

最初は認めてくれなかった人もいる

けれど、今はもう、そんなことはない。
928 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/16(日) 02:19:22.79 ID:2qUqKY6Xo

星乃「ママーっ」

月乃「はくしゅーっ」

我先に……と言う意図もないのだろう

元気よく声を上げた二人の大きな拍手が響く

それに続くように周りのみんなが手を叩いて、

少しずつ、大きくなっていく

子供たちの元気の良さ

それに負けじと張り合う球子に若葉達は困った顔を浮かべて、天乃達の方に目を向ける

若葉「祝福だ」

歌野「そうね。ようやく」

祝福の中心、天乃達はとても幸せそうに見える

今はもう、誰にも反対されない

駄目だと言われることもない

千景「……お疲れ様、久遠さん」

もう何度も口にしてきたけれど、もう一度

千景は小さく口にして、ひと際大きく手を叩く

星乃と月乃の振り返った笑顔に、千景は微笑んだ
929 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/16(日) 02:23:03.90 ID:2qUqKY6Xo

遅くなりましたがここまでとさせていただきます
明日もできれば少し早い時間から
930 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/16(日) 04:30:55.13 ID:mjqS3L5gO

とうとう結婚完了かあ
ここまでの道のり考えると感慨深いな
931 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/16(日) 07:23:42.49 ID:bmY6oAVyO

久遠さんやっと幸せを勝ち取ったんだなぁ…
932 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/16(日) 18:47:47.48 ID:2qUqKY6Xo

では少しだけ
933 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/16(日) 19:27:38.40 ID:2qUqKY6Xo

瞳「皆さまありがとうございます。ご承認を得て、ここに結婚が成立致しました」

瞳は心からの祝福を持って、告げる

数年前からいつか行うと決めていたことだし、

育ての親――あるいは、義姉として

夏凜の傍に居た瞳にも、込み上げるものはあるけれど

嬉しくとも泣いてしまうわけにはいかないのだと、息を飲んで

瞳「……ご結婚、おめでとうございますっ」

噛みしめるように祝福を口にする。

夏凜を見ると、流石と言うべきか夏凜は気付いて軽く礼をする

瞳は「夏凜ちゃん……」と、小さく呟いて

瞳「これをもちまして、挙式は無事に相調いました。めでたく結ばれました彼女たちに今一度盛大な拍手をお願いいたします」

司会である瞳の言葉に応えるように、祝福が広がっていく

星乃と月乃の嬉しそうな声

二人を宥める千景の困った声

それも聞こえているのだろう、

天乃の小さな笑い声が聞こえる

瞳「末永い幸せを願い、祈って……人前結婚式を閉式とさせていただきます」
934 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/16(日) 20:07:56.89 ID:2qUqKY6Xo

司会進行という大切な役目……それも、あと一言で終える

嬉しいような寂しいような

そんな少しばかり複雑な気持ちを抱きながら、瞳はそれを口にする

瞳「それでは、これより新婦の退場でございます。皆さまの大きな祝福でお送りください。新婦の……退場です」

瞳のその言葉に、やっぱり大きな拍手が続いて

天乃を先にして、夏凜達が続いていく

天乃達が参列者の前を通ると、

親や友人

そして、千景たち天乃の精霊

みんなの手から花が舞い上がって

高く高く、風に巻き上げられたかのように

一枚一枚、降りていく

細やかなフラワーシャワー

その中を、天乃達はゆっくりと進んで――退場していった
935 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/16(日) 20:56:55.45 ID:2qUqKY6Xo

控室へと戻ってきた天乃は、

最初に座っていた椅子に座って、大きく息を吐く

疲れはあるし、緊張もした。

7年も前からずっと望んできた結婚式がようやくひと段落ついたのだ

少しくらいは落ち着いてもいいだろうと、天乃は綿帽子を外す

天乃「はぁ……あっつい……」

時期を考えての白無垢の装いにはなっている

それでも、普通に生活するよりは熱を持ってしまう

特に、今の時期は。

少しだけ着崩して、張り付くような肌着をわずかに浮かせて空気を含ませる

天乃「結婚、結婚ね……ふふっ」

今までは結婚ではなく婚約だった。

それでも一日中必ず誰かが傍に居て、

休みの日はみんなが一緒に居て

そんな生活だった

そこから大きく変わる様なものはないかもしれない

だけど、自分たちだけでなく

親や友人、兄弟姉妹からの祝福を得られた結婚は、

やはり、心持が変わってくる

天乃「結婚、しちゃった」

指輪を嵌めた左手の薬指

その手を天井に掲げて透かしてみれば……宝石が優しい輝きを見せてくれた
936 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/16(日) 22:54:38.42 ID:2qUqKY6Xo

天乃「さて……」

結婚式は終わった

お色直しをして、披露宴

白無垢が和式としたら、

洋式の装いであるウェディングドレス

そして、なぜかタキシードに紋付袴

計3回の色直しになる

どこの大富豪の披露宴なのかと頭を抱えそうになるけれど、

みんなの希望なのだ、やってあげるべきだろう

扉を叩く音が聞こえて、入室を許可する

お色直しの為に入ってきた数人の係

着替えるウェディングドレスが持ち込まれてきて

その袋の膨らみに、天乃は思わず苦笑する

どれだけ大きいのかは試着の段階で分かっていることなのだけれど

天乃「申し訳ないけれど、宜しくお願いします」

「大丈夫ですよ。お疲れではありませんか?」

天乃「平気です……せっかく、用意したんだもの」

「白無垢もお似合いだから、少し勿体ない気もしますが……出来るだけ早く、綺麗に仕上げて見せますね」
937 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/17(月) 00:16:34.96 ID:aqPhPDzso

ウェディングドレスは、オレンジ色を織り交ぜた薄めのカラードレス

白無垢が純白だっただけに、

ウェディングドレスは色があったほうが良いという話になったのだ

タキシードは黒色だし、

紋付袴はそれなりに色がある

天乃「んっ……」

「きついですか?」

天乃「いえ、大丈夫」

白無垢でもそれなりに腹部への圧迫感があるのだが、

天乃の場合、最も苦しいのは胸になる

身長からして、天乃が着るものは言わば子供向けのサイズになってくる

そうなると、子供におさまらない胸囲を持っている天乃には辛いものになってしまう

とはいえ、私服のように全体的にサイズの大きい服にするわけにはいかないので

胸のサイズをやや無理矢理に調整する必要がある

それが……痛い

天乃「むーっ」

「ふふふっ、久遠さんほんと特別な魅力のあるお体していますね」

天乃「ありがとう。でも、私の伴侶が怒るからダメよ」

そういうつもりはないと分かっているけれど、

天乃は茶化すように、そう言った
938 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/17(月) 00:19:14.49 ID:aqPhPDzso
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
939 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/17(月) 00:35:24.48 ID:dr0QteT8O

披露宴は何するんだろうか
そして久遠さんの胸は最後まで目立つなぁ
940 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/17(月) 22:24:59.93 ID:aqPhPDzso

すみませんが本日はお休みとさせていただきます
明日はできれば通常時間から
941 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/17(月) 22:34:07.66 ID:lalbhwPLO
乙です
942 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/18(火) 23:47:23.08 ID:oU0euq7Co

遅くなりましたが少しだけ
943 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/19(水) 01:02:59.59 ID:5UuP8/OYo

披露宴と言っても、

よくあるプログラムに則ったものではない。

普通の結婚式や披露宴では、

どちらかに偏った関わりしかない人もいるが、

今回に限っては、参加者はみんな天乃達をよく知る人物しかいない

婚約から約8年

家族ぐるみの付き合いも多かったし、

讃州中学時代の付き合いも途切れることはなかった

そんな身近な人しか呼ばなかったからだ

その点で言えば、披露宴はもうすでに終わっていると言えるだろう

だから、やるのはお祝い

披露するのは、式では見せなかった衣装

ケーキ入刀は当然のように――やるけれど。

天乃「ウェディングドレスって、軽いのね」

千景「軽くはないでしょう? 白無垢に比べたら軽いけれど、数キロあるわ」

天乃「その白無垢を着てたから言ったのよ。相変わらず熱いけどね」
944 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/19(水) 01:46:32.46 ID:5UuP8/OYo

千景「辛かったら声をかけなさい」

天乃「ありがとう。でも、すぐにタキシードに着替えることになるから」

千景「ケーキ入刀はタキシードで行うの?」

天乃「ううん、そのためのウェディングドレスよ」

入場は通常通り行い、

食事が始まってから少し待って、ケーキ入刀

少し待つのはみんなが食事を楽しむためだが、

撮影会になるのは――まず間違いない

天乃はウエディングドレスだが、夏凜はタキシードだ

他に、友奈や風、沙織もタキシードを着る予定で、

東郷や園子、樹は天乃と同じようにウェディングドレス

大きなケーキではなく、少し大きめのケーキを7つ

天乃「太らないのが幸いだわ」

千景「7回食べさせあうのは……大変ね」

きっと、星乃達もしたがるから9回になるだろうけれど。

と、今は傍に居ない二人のことを考えて、千景は苦笑する
945 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/19(水) 02:01:15.84 ID:5UuP8/OYo

千景「それより、エスコートは私で良かったの?」

天乃「若葉なら真っ先に園子に取られちゃったわ」

ご先祖さまと、子孫

正確には違うかもしれないが、

300年の時を経たその関係があるのに、駄目とは言えなかった

夏凜は瞳で、樹が歌野

風は球子がエスコートすることになっている

そして、友奈は東郷たっての希望で東郷と一緒

千景「三好さん……夏凜さんと一緒でも良かったでしょうに」

天乃「それはお色直しの後にするのよ。ふふっ、お色直しが多い時の利点よね」

そこに利点があるなんて天乃達くらいだろうと千景は思ったけれど

嬉しそうな天乃の笑みに小言は言えなくて、笑うだけに留めて

天乃「さぁ、そろそろ時間よ。千景」

天乃は手を差し出す

綺麗なドレスに身を包んだ花嫁の手を受け取るのは

本当に自分で良いのかと少し躊躇って――その手を取る

千景「私もタキシードを着たほうが良いかしら」

天乃「着ても良かったのよ? きっと似合ったわ」

天乃の遠慮のない褒め言葉に、千景は「伊予島さんを喜ばせる気はないわ」と、首を振った
946 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/19(水) 02:01:45.93 ID:5UuP8/OYo

では短いですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
947 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/19(水) 06:08:13.55 ID:N1Rv5/ZPO

披露宴もじっくり描写していくのもいいね
948 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/19(水) 23:02:50.35 ID:5UuP8/OYo

すみませんが本日はお休みとさせていただきます
明日はできれば少し早い時間から
949 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/19(水) 23:04:20.34 ID:a5o45ieKO
乙ですー
950 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/20(木) 19:32:53.17 ID:P8Hp4tOpo

では少しだけ
951 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/20(木) 20:50:49.04 ID:P8Hp4tOpo

天乃達が式場そして利用したのは、天乃の実家の神社だ

大赦の上層に祖母がいたり、大規模ではないがお祭りを行っていたりと

地域に愛されていると言っていいこの神社には、

披露宴の会場として利用できる建物も併設されている

その大広間と言える扉の前まで来た天乃は、

すでにタキシード組が待っているのが見えて、笑みを浮かべる

天乃「やだ……みんな似合ってるじゃない」

風「天乃も似合ってるわよ。流石ね、やっぱり」

友奈「素敵ですよ。白無垢も似合ってましたけど……ウェディングドレスは格別ですね」

天乃「ありがと、友奈も格好いいわね」

友奈「ふふっ、ありがとうございますっ」

タキシードを着ている友奈は、

白無垢を着ているときよりも大人びて感じさせる雰囲気で

落ち着いているからか、照れていてもまだ余裕は感じられた
952 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/20(木) 21:19:41.71 ID:P8Hp4tOpo

沙織「白無垢の時よりも可愛くみえるね」

天乃「そうかしら? 綺麗じゃなぁい?」

クルッと回って見せようとしたものの、

流石にウェディングドレスでは出来なくて、両手を広げるだけに止める

沙織は「綺麗だよ」と言ったが、

夏凜は天乃を見て慈しみを感じる笑みを浮かべた

夏凜「正直言っていい?」

天乃「うん」

夏凜「星乃達が試着させて貰ってはしゃいでたのを思い出した」

風「あっ」

天乃「あってなによ……あって、もう……」

どういう意味か分かってはいるのだが、

ちょっぴりむくれてやろうかと思った天乃の隣で、

千景は「そうね」と同意する

千景「厳かさが減った分可愛らしいと思うわ」
953 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/20(木) 22:00:42.24 ID:P8Hp4tOpo

結婚式でどちらにするかと言えば、ウェディングドレスと言うのが、

千景の時代の基本だったように思うと、千景は懐かしみつつ考える。

当然、あの頃の自分が考える必要もないことだったので

本当にそれに傾いていたのかは定かではないのだが、

知る限りで言えば基本的に教会式で、ウェディングドレスだった。

だから、稀にしか目にしない白無垢は、神前式というイメージも先行して厳かさを感じる

ウェディングドレスも煌びやかで美しいとは思うものの、

天乃の容姿も相極まって、明るくて可愛らしいものに見えてしまう。

瞳「そうですね。久遠さん、お綺麗で可愛らしいですよ」

歌野「キュートだわ。凄く」

天乃「綺麗って言って貰いたいのに、もう」

かわいいと言われるのも嬉しいけれど、

綺麗と言われたいお年頃なのだ

樹「お待たせしました」

東郷「友奈ちゃんっ、天乃さんっ」

園子「待った〜?」

遅れてきた三人が綺麗としか言えないのならば、なおのこと。
954 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/20(木) 22:35:25.25 ID:P8Hp4tOpo

予定の時間よりも少し早く全員そろって

定刻通りに会場入りを行う

結婚式では司会だった瞳が夏凜のエスコートを行うため、

披露宴では司会を九尾が務めることになっている

もちろん、妖狐の姿ではなく人としての姿で。

金色の髪に赤い瞳。

天乃よりは控えめだが、モデル歳て通用する容姿な彼女は

やはり、加齢を感じさせない。

そんな目を引く九尾の司会に続くように、天乃達は入場を開始する

明るい音楽が流れる中で、

ウェディングドレスとタキシード

4人ずつの入場をして、横並びの長いテーブルに向かう

さっそくと言わんばかりに親や友人の端末やカメラでの撮影が始まった
955 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/20(木) 23:03:26.92 ID:P8Hp4tOpo

「夏凜ちゃ〜ん、天乃さんのことお姫様抱っこして〜」

夏凜「はっ?」

「やってやって〜」

本来の披露宴ならばしないかもしれない。

けれど、今までお世話になった親族や友人

みんなへの感謝も含めたこの披露宴は、自由だ

夏凜「大丈夫?」

天乃「その大丈夫は何の話なのかしら?」

夏凜「少なくとも体重以外の話」

子供を妊娠しているときは別だが

天乃は基本的に体重の変化がない

全盛期ほどの身体つきに戻すことは出来るが、それ以上にはなれないからだ。

天乃「じゃぁ、どうぞ。私を抱いてくださいな」

夏凜「ったく……酔ってる?」

天乃「お酒は飲めないわ」

夏凜は「そうだけど」と、周りの視線から逃れるように目を背けて

両手を広げる天乃に一歩近づく

肩に手をあてがうと、天乃も少しだけ腰を落として、

膝の裏側からもう一方の腕を近づけて、スカートを押し込んで膝裏を押さえる

夏凜「行くわよ」

天乃の背中側、真っ先に体重がかかる右足を軸にして天乃の体を横倒しにして

足を一気に持ち上げて天乃の体をぐっと持ち上げる

周りの楽しそうな声と、鳴りやまない撮影の音に

天乃と夏凜は困ったように顔を見合わせた
956 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/20(木) 23:13:51.96 ID:P8Hp4tOpo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば少し早い時間から


ウェディングドレス→タキシード→紋付袴
それぞれで夏凜達との交流
それで終わりの予定になります。
957 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/20(木) 23:26:51.37 ID:N48w0qmsO

久遠さん今までで一番幸せそう…
三周目は長いことやってただけに終わりは寂しくなるな
958 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/21(金) 00:15:10.48 ID:QChSJX+xO

もうすぐ終わりか…
148cmで23歳で経産婦とかいうおに盛り設定
959 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/21(金) 01:29:28.10 ID:HkzY2pY1O

終わるのも寂しいが幸せそうでよかった
960 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/22(土) 00:24:04.46 ID:PVefUbmyo

すみませんが本日は所用のためお休みとなります
明日は可能であれば通常時間から
961 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/22(土) 06:55:01.01 ID:YtQKraLlO
962 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/22(土) 21:45:51.21 ID:PVefUbmyo
遅くなりましたが、少しだけ
963 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/22(土) 22:07:30.51 ID:eONnDxzzO
よしきた
964 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/22(土) 22:26:53.20 ID:PVefUbmyo

夏凜「もう降ろすわよ」

「え〜っ」

夏凜「え〜じゃないの。ケーキも来るんだから」

天乃「ゆっくり降ろしてね」

夏凜「任せなさい」

お姫様抱っこをするのはこれが初めてではない。

抱き上げるのも降ろすのも手慣れたものだ

天乃「友奈達も大変ね」

天乃と夏凜がさせられていたように、

友奈は東郷を

風は樹を

そして沙織は園子をお姫様抱っこさせられていて、

夏凜はそれを横目に天乃を降ろして、ドレスの皺を少しだけ伸ばす

夏凜「身体平気?」

天乃「ええ、流石の抱かれ心地だったわ」

夏凜「そ。ならよかった」
965 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/22(土) 23:08:59.15 ID:PVefUbmyo

天乃「重くなかったでしょ?」

夏凜「軽くて驚いたくらい」

天乃「いつも抱いてくれてるくせに」

重くなった天乃のことも、

軽くなった天乃のことも

夏凜は変わらず抱いてくれているから、驚くなんてありえない。

ただ、ウェディングドレスを含んでも軽いという点には、

やっぱり、思うところはあるだろうか

天乃「もう少し、重い女が良いかしら?」

夏凜「精神的に重いのは勘弁して頂戴」

天乃「ふふふっ」

言葉の意図を読んだうえで断った夏凜に天乃は笑みを浮かべて、

あなた次第だわ。と、委ねておく。

もちろん、天乃はそんな気なんて毛頭ないけれど。
966 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/23(日) 00:56:26.60 ID:CbdfwSRUo

天乃「ケーキ入刀、楽しみね」

夏凜「でっかいの突っ込むかじゃないでしょうね……」

天乃「ふふっ、それは気分次第だわ」

夏凜「私も出来るってこと、忘れないでよ?」

ニヤリと笑う夏凜だけれど、

天乃はドレスで夏凜はタキシード

どっちが無茶をさせられるかと言えば、

間違いなく夏凜の方である

いや、

衣装がどうであろうと関係ないかもしれない

夏凜「まぁ、天乃が私の後に6回あるって考えると軽めにするべきよね」

天乃「あら、ありがと」

夏凜「だから私にも優しくしてくれると嬉しいんだけど」

天乃「そうねぇ……私の気持ちくらいの大きさにしてあげる」

夏凜「あぁもう。好きにしていいわよ」

困ったように頬を染めた夏凜に、

天乃は柔らかく微笑んだ
967 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/23(日) 00:57:08.92 ID:CbdfwSRUo

遅くなりましたがここまでとさせていただきます
明日は可能であればお昼ごろから
968 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/23(日) 01:20:08.70 ID:AoEkOgMYO

エロォい!!
969 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/23(日) 06:51:33.12 ID:CaNctS8CO

夏凜から別の意味のケーキ入刀なんて台詞が出てくるとは…
その場面是非見てみたいですハイ
970 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/23(日) 17:10:06.97 ID:CbdfwSRUo

遅くなりましたが、少しずつ
971 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/23(日) 18:02:51.87 ID:YmXCWl2lO
きてたか
972 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/23(日) 18:16:34.11 ID:CbdfwSRUo

天乃達のもとに運ばれてきたウェディングケーキ

四角い、開かれた本の形をしているケーキ

天乃はせっかくなら煮干しの形も面白いんじゃない? と言ったけれど

夏凜に一蹴され、本の形に落ち着いた

縁を囲むクリームとフルーツ

中央は薄いクッキーの板

チョコレートで文字を書かれており、二人分の名前が書けるようになっている

実際目にしてみれば、とても可愛らしい形だ

天乃「あら、私達の名前が書けるのね」

夏凜「そう言うことも出来るっていうから、選んだのよ」

天乃「夏凜ったら、ロマンチックな子なんだから」

夏凜「なによ。ダメ?」

天乃「ううん、可愛いわ」
973 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/23(日) 18:40:49.49 ID:CbdfwSRUo

天乃よりもロマンチックな考え方をする夏凜は、

それがなくともだけれど、天乃にとって可愛い人だ

もちろん、可愛いだけでなく

格好いい時も綺麗な時もあるけれど。

天乃「名前どっちに書きたい?」

夏凜「ん?」

天乃「チョコレートよチョコレート。私、字には自信があるわ」

夏凜「楽しんでるじゃないの……」

天乃「ふふっ、実は子供達の為にキャラ弁の勉強してるのよ」

夏凜「それは知ってる」

雑誌を買っていることも

それを参考に実際に作っていることも

夏凜「手作りケーキでお祝いだってしたわけだし――って、ちょっと!」

天乃「遅いから書いちゃった」

夏凜「自由なんだからっ」

上下に並んでいる名前を書く空欄

上に自分の名前を書いた天乃は、笑顔でチョコレートのペンを差し出す
974 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/23(日) 20:13:42.54 ID:CbdfwSRUo

天乃「上の方が良かった?」

夏凜「それはどっちでもいいけど」

天乃「私の上に重ねて書いても良いのよ?」

夏凜「何言ってんのよ」

まぁそうよね。と、天乃は笑いながら身を引いて、

ペンを握る夏凜の手をじっと見つめる

夏凜も料理をするにはするが、

デコレーションとして文字を書いたことは一度もない。

自作のケーキだって、

その辺りは東郷か風そして天乃の役割だ

天乃「ふーってしていい?」

夏凜「やったらケーキの5割を突っ込んでやるからね」

ちょっぴり緊張で震える手

一本一本の線が綺麗に書かれている天乃に比べると

少し、歪んでいたり乱れてしまっている夏凜の字は下手に見えてしまう

けれど、それも思い出になる
975 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/23(日) 21:17:22.42 ID:CbdfwSRUo

天乃「今度一緒にデコレーションの練習する?」

夏凜「……少し教えて」

天乃「はーい」

夏凜の赤らんだ頬に苦笑しながら、

天乃はケーキの横に置かれたケーキナイフを手に取る

右手で持ち、夏凜の方に持ち手を差し出すと、

夏凜は左手で天乃の手を包むようにナイフを掴む

九尾「こほんっ」

九尾のようやくか、と言いたげな咳払いがマイクから聞こえて

ケーキ入刀……と、声がかかる

夏凜「良い?」

天乃「大丈夫よ」

二人で揃って、ケーキにナイフを入れていく

中央で割れているクッキー生地の間、

そこを通してホイップクリームとスポンジ、

中に隠れたイチゴを断って、ナイフを引く
976 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/23(日) 22:21:16.28 ID:CbdfwSRUo

乱れることなくきれいにカットできたケーキを一瞥して、

傍らに置いてあった、大きな煮干しの形をしたものを手に取る

夏凜「諦めなかったのね」

天乃「もちろんよ」

煮干し型のケーキは諦めたけれど、

ならばスプーンの代用は煮干しっぽいもので

そう企んだ天乃の用意した煮干しっぽいバターナイフ

縁はスプーンのように丸まっている安心仕様

「でっかくいこ〜っ!」

「やっちゃえあまの〜ん」

夏凜「他人事だと思って……」

天乃「私の気持ち、どのくらいがお好みかしら?」
977 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/23(日) 23:16:43.20 ID:CbdfwSRUo

さっき、夏凜は好きにして良いと言ったけれど

ならば、どのくらいの気持ちが良いのかと、天乃は聞いてみる

ケーキの量で気持ちが量れるわけではない

天乃としては、このケーキ一つでは物足りないほどだ

天乃「みんなは夏凜の顔がケーキで汚れるのを期待してるみたいだけど」

夏凜「じゃぁ……すくいあげられるだけ、全部」

天乃「このにぼスプーンはすっごいのよ」

夏凜「スプーンなの? それ」

クッキーの薄い生地をパキっと割って、

ケーキの上から煮干しの頭を差し入れる

尻尾の部分を摘まんで、頭がお皿に触れるまで押し込む

すくいあげた煮干し型のナイフの上には

スライスされたイチゴを含むクリームを間に挟んだ二段のスポンジ

上部にはクリームとイチゴやベリーなどのフルーツが乗せられていて

一口で食べることを難しくするクッキーが乗っている。

天乃「はい、あ〜んっ」

夏凜「ぐ……」

にこやかな笑み

危なげなくケーキを差し出してくる小さな手

それはいいけれど、みんなに見られているというのが恥ずかしくて、

夏凜は思わず躊躇ってしまう
978 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/23(日) 23:22:47.47 ID:CbdfwSRUo

では短いですがここまでとさせていただきます
明日はできれば少し早い時間から
979 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/23(日) 23:33:25.35 ID:YmXCWl2lO

なんというあまにぼによる甘甘展開だ…
980 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/23(日) 23:48:35.09 ID:1fd9BX43O

久遠さんが幸せそうでなにより
新婚みたいないちゃつき具合だけど7年同棲してるのよねこの子達
981 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/24(月) 20:29:23.85 ID:3ehgIUwho

では少しだけ
982 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/24(月) 20:37:52.00 ID:6Dmq4xDIO
かもーん
983 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/24(月) 21:57:09.12 ID:3ehgIUwho

天乃「ほら、零れちゃうから」

夏凜「っ……」

二人きり

あるいは、友奈達なら見られても仕方がないから簡単にできる

けれど、それ以外の人たちから注目されているというのが

夏凜の羞恥心を強く揺さぶる

天乃は平気なのだろうかと、目を向けるが

天乃はまったく気にしていないといった様子で

煮干しの上から落ちてしまいそうなケーキのことを気にしている

天乃「あ〜んっ」

夏凜「っ……あぁもうっ」

逃げられない

そもそも逃げられることではない

ならばもう勢いだと、夏凜は大きく口を開けて、

天乃の差し出しているケーキへと突っ込んでいく
984 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/24(月) 22:41:31.82 ID:3ehgIUwho

両頬、顎の部分

さらには鼻にまでべっとりとクリームをつけて

夏凜は咥えこんだ煮干しを唇で挟んで――にゅるりと抜き出す

夏凜「っ」

口の中一杯のケーキ

話すことなんて当然できなくて、頬をもふもふと動かしている

動画を取っている人

連写で撮影している人

色んな音が入り混じって賑やかになっていく

夏凜はそれが恥ずかしいようで顔を背けようとしたが

天乃はそれを許さない

天乃「ダメよ、夏凜」

夏凜「ん……」

天乃「背けちゃダメ」
985 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/24(月) 23:10:39.77 ID:3ehgIUwho

本来の披露宴でして良いことなのか分からないけれど、

これはそんな格式ばったものではない

なにより、みんなが少し面白いものを期待している

せっかくの披露宴だ

長年待ち続けたようやくの結婚式を終えて、

正しく誓い合った仲になった

だから――と、天乃は夏凜の両手首を掴んで、下に引く

天乃「屈んで」

夏凜「………」

本当なら、布巾で拭ってげるべき

でも、それだけじゃ物足りない

あとが大変になるとは思う。

でもそれでもいい

少し頑張れば届くほどの高さにまで屈んだ夏凜の頬にキスをする
986 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/24(月) 23:21:33.10 ID:3ehgIUwho

クリームの盛り付けられた、甘い頬

自分の口元が汚れるのも厭わずに天乃は口づけをして

ぺろりと、クリームを舐めとる

夏凜は分かっていただろうけれど、ビクンっと震えて

ざわめき立つ周囲からは、端末を取りこぼしたような音さえも聞こえてくる中で

天乃はほんの少し上げていたかかとを下げる

天乃「ふふっ、甘いわね」

夏凜「っ……」

天乃「美味しい」

嬉しそうにそう言った天乃は

用意されていた布巾を手に取って夏凜の口元と頬、鼻先を拭ってから

本当は拭いて欲しいけど。と、呟きつつも自分の口元を拭う

天乃「ちゃんと食べてからじゃないと、喋ったらだめよ?」

夏凜「ん……」

顔の赤い夏凜は何も言えずに顔を背けてしまったけれど

天乃は止めずに、撮影するみんなに向けて「夏凜は可愛いでしょ?」と、笑顔を見せた
987 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/24(月) 23:23:27.84 ID:3ehgIUwho
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば少し早い時間から
988 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/24(月) 23:28:41.78 ID:6Dmq4xDIO

このシチュエーション、そのっちが物凄くハッスルして見てそう
989 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/25(火) 21:27:14.18 ID:5BanpIeGo

では少しだけ
990 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/25(火) 21:29:25.49 ID:D6GV/BN7O
よっしゃ
991 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/25(火) 21:47:30.81 ID:5BanpIeGo

夏凜の愛らしさを堪能した天乃は、すぐ隣に並んでいた友奈へと近づく

夏凜とのやり取りを見ていたからだろう

顔の赤い友奈は自分の唇に指をあてて、少しだけ後退りする

キスをされること自体は嫌ではない

むしろされたいと思う

けれど、夏凜の反応を見てしまっては……気後れしてしまう

天乃「あら、友奈もして欲しいの?」

友奈「ふぇ……ぇ……ぁ、そのっ」

天乃「タキシードが似合う、可愛い女の子ね」

友奈「っ」

離れかけた友奈は踏みとどまったものの

天乃はそのまま近づいて、友奈の手を取る

お嫁さんの尻に敷かれる旦那を思わせるような流れだが

そんなことよりも――と、見ている人たちは動画を撮っていた

なにせ、普段は生き生きとした明るさで男顔負けな友奈がたじたじなのだから、貴重だ
992 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/25(火) 22:21:59.41 ID:5BanpIeGo

天乃「かわいい女の子には、無理はさせられないわね」

友奈とのケーキは、

パイ生地を土台にしたもので

ストロベリーやパイン、キウイなどの果汁を使ったクリームと

普通の生クリームを用いてデコレーションし、

花をモチーフにカットされた果物をあしらったものだ

スポンジのような柔らかさがない分、

夏凜と同程度では友奈の口に入ることさえないだろう

天乃「私の手を握るのと、私に握られるの……どっちがいい?」

友奈「えっ」

天乃「ケーキ、切らなきゃ」

手を引いて友奈を近づかせると

天乃はケーキの横に置かれていたナイフに右手で触れる

天乃「今は、その時間だもの」

友奈「そ、それは分かってますけど……その、ち、近いですっ」

天乃「大丈夫よ、キスはしないから。ね?」
993 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/25(火) 23:42:30.64 ID:5BanpIeGo

右手でナイフを握って、

左手は友奈の腰に――なんて考えもしたけれど

友奈の精神が限界に来るだろうからと、天乃は断念する

天乃「どうする? 私の好きにさせてくれるのかしら?」

友奈「わ、私の手を握ってください」

天乃「はい」

ナイフから天乃が手を離し、友奈が手に取る

その手を天乃は包むようにして握ってあげると

友奈はピクリと体を跳ねさせて、天乃を見つめた

天乃「なぁに?」

友奈「擦ったりしないでくださいね?」

天乃「言われるとしたくなっちゃうのに」

困っちゃうわ。と、

わざとらしい天乃に友奈は困ったように眉を曲げて笑う

友奈「困っちゃうのは私です」
994 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/26(水) 00:21:11.92 ID:mougWsVSo

天乃「その方が可愛いかしら?」

友奈「可愛くないですっ」

かわいいのに。と、

天乃は心の中で思いながら、

友奈の導くような手の動きに従ってナイフをケーキへと下ろす。

夏凜のケーキよりも大きめで形のあるフルーツが多く

それを避けると花の形になっている可愛らしいフルーツを切らなければいけなくて

クリームを押しつぶして形が崩れてしまうのを諦め、ナイフを通していく

友奈「どうしたら――」

天乃「少し力を抜いて、私に合わせて」

パイ生地が崩れてしまわないかと心配する友奈に、天乃は優しく囁く

ここまで上部にたっぷり盛りつけられている状態は初めてだが、

パイ生地は押し切ってしまうのが基本だ

そう入れた力に、友奈の力が加わって思ったよりも簡単に下まで切ることが来た
995 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/26(水) 00:21:56.54 ID:mougWsVSo

では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば少し早い時間から
996 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/26(水) 02:25:59.26 ID:JmXWiggBO

友奈かわええ
997 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/26(水) 22:04:41.39 ID:mougWsVSo

すみませんが本日はお休みとさせていただきます
明日はできれば通常時間から

次スレは明日
998 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/27(木) 06:04:01.29 ID:U0gJ4IT/O
999 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/08/28(金) 00:01:11.53 ID:+4O5/Y95o

遅くなりましたが、次スレ

【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【二十三輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1598540418/
1000 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/08/28(金) 00:02:26.12 ID:5Sey9oWYO
了解ッス
1001 :1001 :Over 1000 Thread
                     __|_____|___!__}
             ___     |_          }      }
          ,. :'´:::::::::::::: ̄`ヽイィ_ ̄「 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄「 ̄ ̄ ̄!
        、ゝ-'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::´r┴―――――‐┼―┬ー'
  __、_>':::::::::::::::::::ト、l:、: :: ::. :.. ..: .:. ::::{_______l____{
  `ヽ:_..::::::::::::::::::::::: .:|-''´}:.:.:..:l::;i::、l、::::::::( | ̄| ̄「 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ l
   ,>:::::::::::::: ::: .: .::.|  /:;:::::;ハ{ム_‐トハヘ::ゝ|  |  |          |
   '⌒ァ::::::::..::. :::.::::;lヘ‐ ´ヘハi´'´jハY 「|「 ̄ ̄ ̄ ̄ 「 ̄ ̄ ̄ ̄「 ̄
     ̄7;.ィ::{::::l::l::ljレr=、ヽ,rヘ ゞ-' _,j !|______l____j__    / ̄ ̄ ̄ ̄
     ∠ハ:::ヽハl:{' {!´};リ } 、 ` ̄´   !::::|            |.    | |    |   今度は貴方のお話、読ませてくださいね
      'イ::`:::lヘハヽ.__´/  ヽ_    j___!________|___!__j   .ノヘ.____
      {;.イ/::!:::::::lヘ      く_,)  ,ィ:|      r、   /)!   {
       ' !::::|:::::::|`^ヽ .___ /,ノrー――― ノ } ///)一'
       /::::::!::::::::!:::::::::_r' ー--、fr、|      / '-' / ' /ノ
       イ:::::::!:::::: :ヽ'´:.{    ト.ゝく!___  /      ´/l
       'イ:::;rヘ:::..::. :ヽ:.:ヽ.  |イヘ:;イ     /      _二つ
        |::/:.:.:.ヽ::::::::::`ー-ヽ.|rー┼― ,、/     / |:.:.:.|        
         |::!:.:.:.:.:.:.:\::::::::::::::::::|   !   /:.:ヽ.   /   j:.:.:.:.!        SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)
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1002 :最近建ったスレッドのご案内★ :Powered By VIP Service
男「俺と付き合ってくれ!!」幼馴染「お断りします!」 @ 2020/08/27(木) 23:28:03.08 ID:LAANjzG20
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乃々「なぜが凛さんと机の下にいるんですけど…」 @ 2020/08/27(木) 22:10:31.98 ID:vN/BYrR00
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1598533831/

可憐「プロデューサーさん、すごく匂う……」 @ 2020/08/26(水) 23:56:26.95 ID:dppcF+LZ0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1598453786/

桃華「ありすさんからPちゃまの匂いがしますわ!」 @ 2020/08/26(水) 23:43:24.74 ID:3dypgh/w0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1598453004/

アルコ&ピース平子「夏の概念と夢の国」 @ 2020/08/26(水) 23:17:23.65 ID:qUczw4Pjo
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【咲-saki】京太郎「女性雀士からのアプローチ?」【安価】 @ 2020/08/26(水) 21:46:04.58 ID:weCdxKO9o
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