男「俺の能力ッッ!!『安価』ッッ!!」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2020/07/06(月) 01:25:27.56 ID:lTaEqZnL0
人気のない住宅街の小路


女「…は、はい?」

男「発動すると、上位存在の意思によってこの世界が書き換わる」
男「だが、この能力は完全に上位存在の気まぐれだ、俺に都合良い結果になるとは限らない…この世界そのものが終焉を迎える可能性もある」

女「あの…」

男「それでも、女…俺がお前を倒すにはこれを使うしかない」

女「え……た、倒す…って…」

男「安価発動ッッ!!」


>>2
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/07/06(月) 01:30:40.21 ID:w2B1MEwuO
男以外の時間が止まる
勿論デメリットやリスクなどは全くなし
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/07/06(月) 01:32:35.72 ID:pplP8Ak6O
お互いの乳首を擦り合わせて先に達した方の負けの世界に
(手は使えない)
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2020/07/06(月) 02:02:58.63 ID:lTaEqZnL0
その瞬間、風の音が止む
人気のない住宅街は、完全な静寂に包まれた

男「さて…一体何が起きたのやら…」

男は辺りを見回し、女の方を向き

男「ふっ、どうした?女?むざむざと俺に状況確認をさせるとは」

女を挑発する
しかし、女から返事はない

男「(さっきまでうろたえていたというのに、いっさい動かなくなった…辺りの空気の流れも変わった…何かを仕掛けるつもりか?)」
男「(……いや……)」

そこまで思考すると、男は顔をにやけさせ…

男「(『時』が『止まった』)」

男は状況を理解すると、今度は体をてきとうに動かしさらに状況を確認する

男「(俺は動ける、時が止まるということは空気も完全停止し、体で押すことができなくなると予想したが…)」
男「(どうやら、俺が干渉する瞬間のみ動くようだな、この通り呼吸もできる)」

男「(ククク、まさか初っ端からこんな安価がくるなんてな)」

完全な無事を把握し、幸運を噛みしめると
男は一切動かぬ女に歩み寄る

男「女、お前が苦しみ泣き叫ぶ姿が見れないのは惜しいが、突然動き出しても困るしな…そうそうに終わらせてやる」

すると、男は女に拳、蹴り、あらゆる攻撃を浴びせる

男「オラオラオラオラオラオラオラオラオラアアアァァアァァアアァアアッッッ!!」

女の体は完全に停止して、男の攻撃にも倒れることなく、衝撃だけが蓄積されていく
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2020/07/06(月) 02:23:07.80 ID:lTaEqZnL0
時が動いていればどれほどの時が経ったのか
それでもなお、男は動かない女に容赦ない連撃を果てなく浴びせていた

男「ハハハハッ!!一切動けない相手を一方的に殴り倒す!これに勝る勝利はないぜ!!」
男「一行に動き出す気配もない!だが俺は確実に倒すため、この『時』が続く限りこの攻撃を…」

そこまで言うと、男はハッと我に返り攻撃を止める

男「俺はいったいどれほどの『時間』攻撃した…?」

男は自分の置かれている真の状況に気づく

男「この『時』はいつまで続く…?」

男「(まさか、時は動き出さないというのか…?)」
男「(時が動かずとも、何らかの力により俺が干渉した物は干渉している間だけ動くため、命に支障はない…)」
男「(しかし、時が動き出さない限り女が倒れることは決してない!)」

その表情は焦燥に染まっている

男「(…もう、二回目を使うしか……?)」

男「(いや…いやいや……もっと『時』が経てば『時間』は動き出すかもしれない!それまで…)」

男は再び女へ攻撃を開始し始めた


………………………………………………………………


男「(だ、だめだ…一行に動き出す気配がない…)」

何の変化もない無音の空間
男の心は折れかけていた

男「(くっ…背に腹は変えられない……)」
男「(幸運よ、再びッ)」

男「安価発動ッッ!!」


>>6
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/07/06(月) 02:26:10.60 ID:3Z/HZUS2O
男以外の時間が動き出す(男は体は動かないが意識だけはある)
デメリットとして安価能力を五年使えない
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2020/07/06(月) 02:52:38.50 ID:lTaEqZnL0
ドゴオオオォォン…

その瞬間、男の目の前で爆発が起きる

男「(うおっ!何が起きたっ!状況を確……ん?)」

男はすかさず辺りを見回そうとするが、首が動かない

男「(な、なんだっ…?どうなってるんだッッ…!)」

男は必死に踏ん張るが、体も指一本動かない

ナ、ナンダー!?
イマノナニ!?
アッチカラキコエタゾ!

そんな男の事情など知らず、静かな住宅街に響いた凄まじい爆音は、住人たちを呼び寄せた

住人「焦げ臭いぞ…ここだっ!」
主婦「だれかいるわ…怪しい」

動けない男を中心に野次馬がぞくぞくと集まってくる

男「(っっ!?なんだッ!?こいつら…動いてるっ!)」
子供「うわっ!なにこれっ!」

道端に転がる肉片を見て、住民たちはパニックになる

男「(あれは…おそらく女の死骸…ということは、時が動き出した……?)」
男「(でも……なんで俺は動けない…!?)」

男がもがいていると、住民に通報を受けた警察が、何台ものパトカーで押し寄せてくる

警察「道開けてくださーい!」
警察「はなれてはなれてー!」

男「(なんてこった…)」

警察は住民をかき分け、男と爆心地へついた

警察「皆さん!この場から動かないでくださーい!」

警察は場のさらなる混乱を防ぐため、住民を留める

男「(う、動きたくても動けねぇよっっ!)」

男が自分の実に起きたことを理解する暇もなく、警察の捜査が始まった
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2020/07/06(月) 03:15:15.13 ID:lTaEqZnL0
男「(…………あれから、どれほどの時が経ったのか…………)」

男は、病院の一室で様々な機器につながれていた

あの後、まっさきに警察に事情聴取をされそうになったが、男が一切動かないため
何らかの被害を受けたと思われ、病院に搬送されたのだ

男「(俺だけが動けた『時』とは真逆で、周りだけが動ける『時』に……)」

男は息もせず心臓も動いておらず、客観的に見ると死んだとも思える状況だが
わずかに発する脳波を感知され、男は延命措置を施されたのだ

男「(安価発動ッッ!!)」
男「(………)」

男「(安価を何度も発動させようとした…だがダメだった…)」
男「(発言しなければこの能力は発動しないのか…………?)」

男は、自身のこれからを想像し怯えていた

男「(このまま、動くこともできず、何の変化もないまま、機械と…白い部屋に囲まれて…………うあぁ……うあああっ…!)」

そんな男の想像を一切裏切ることなく、時は流れていった


………………………………………………………………


男「(安価発動)」

男「(安価発動)」

男「(安価発動)」
男「(安価発動)」
男「(安価発動)」
男「(安価発動)」

男「(安価発動)」

できることは何もなく、男は何のインプットもなく同じ思考の繰り返しの果て
能力の発動を望むこともなく、ただただ頭の中で記号として繰り返すだけの時を過ごしていた

男「(安価発動)」

男「(安価発動)」
男「(安価発動)」

男「(安価発動)」

男「(安価発動)」

>>9
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/07/06(月) 03:21:10.88 ID:cJkpTw0U0
うごけるようになった
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2020/07/06(月) 03:27:10.97 ID:lTaEqZnL0
その瞬間、男は動けるようになった

しかし、5年も同じことを考えていた男は、変化に鈍感になっており

男「(安価発動)」

動けることに気づく前に男の脳内連呼によって能力が再び発動する

>>11
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/07/06(月) 03:32:34.94 ID:qE30B4v+o
身体が全てを透過するようになる
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2020/07/06(月) 03:42:06.95 ID:lTaEqZnL0
その瞬間、男の体がベッドに沈んでゆく
身体全体に伝わる感覚が、男の思考を呼び覚ます

男「ぅあ……?」

男が意識を取り戻したのも束の間、全てをすり抜け男の落下は加速してゆく
床をすり抜ける度に視界が点滅し、地下からも落ちると地面に埋まり視界は真っ暗になる
それでもなお続く浮遊感に、男はパニックになり

男「アンカハツドッッ!?」

連呼し続けた癖で、さらに能力を発動する

>>13
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/07/06(月) 03:44:24.36 ID:tSoY3OZe0
透過能力はそのままに、空間を自由に飛べるように
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2020/07/06(月) 04:09:51.85 ID:lTaEqZnL0
その瞬間、男がわけもわからず地面から脱しようとすると
男の身体が上昇しだした

男「!!(このまま元の場所に!)」

男は夢現な状態で、ベッドを目指し飛んでいき
ベッドに辿りつくと、再び眠りにつこうとするが
身体がすり抜け、ベッドは受け止めてくれない

男「?????」


………………………………………………………………


男「……つまり、俺は動けるようになり、それどころか全てをすり抜け飛べるようになった、と…」

男「春だ…我が世の春が来たっっ…!」
男「ッッーーーーー!!」

男は元の思考を取り戻し、身体に流れる『時』を噛みしめる

男「っふう…………しっかし」
男「あれからどれくらい経ったんだ…?」

病室は殺風景で、ベッドと機器以外には何も置かれていないテーブルと椅子のみで、時間を感じられるものは全くなかった

男「とにかく、外に出るか……医者に見つかっても面倒だし窓から出るか」

そういって、男は窓から飛び去っていった
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2020/07/06(月) 18:08:13.62 ID:lTaEqZnL0
男「服も透過して全裸だから、人目のつくところには行けないな」

あれから、男は人から見えない遥か上空を飛んでいた

男「とりあえず、家に帰るか」
男「見知った駅から線路を辿っていけば、家の近くまでつくだろ」

そうして、男は家を探して飛んでいく

男「ククク…空を自由に飛べるってのは、サイコ―だぜ!」


………………………………………………………………


男「ぜぇ…ぜぇ……やっと…家に…ついた…ぜぇ…」

男は息を切らしながら、小さなアパートに辿りつく

男「(くっ…空を飛ぶのがこんなに疲れるとは……時を止めたのとは違い、自分の意思で飛べる分自分の体力を使う…ってことか)」
男「何はともあれ帰ってこれた、鍵は持ってないが透過するから問題ないか」

部屋の中は、男が出かける前と変わったところはない

男「俺がいない間に処分されてないかと心配したが、大丈夫みたいだな」

安堵した男は平然と部屋でくつろぎだす

男「カレンダー…はめくってないから何も分からないか、テレビは……しまった、すり抜けてリモコンが使えない」
男「どうしたもんか…あ?」

男が悩んでいると、隣の部屋からいびきが聞こえてくる

男「チッ……自分もうるさいくせにいつも壁を叩いてくる隣人が…まだいやがったのか」

男はイラついた様子で、壁をすり抜け隣の部屋に入る

隣人「ぐがああぁあぁぁあっ………………………………………………………………がっ……ぐごごごご…」zzz

男「ふっ…俺が侵入したとも知らず、どうしてやろうか…………いや、すり抜けるから何もできないか…ん?」

男は、またも能力の弊害に悩まされていると、テレビがついていることに気づいた

男「こいつ、つけっぱなしで…」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2020/07/06(月) 18:46:51.55 ID:lTaEqZnL0
アナウンサー「「あの事件から5年、いったいあの時何が起きたのか」」
男「…ん!?今映っていたのは……俺と女が戦った場所だ!」

男「あれから5年経っていたのか……」
男「…女が消え、変わりゆく5年を何もできずに過ごしていたなんて」

グルコサミンッ
オトナノファンデーション
スマイサガシハ
スウゥプウゥドゥラアァァイ

男「くそっ!早く見せろよっ!」

ドオオオオオオオオオオオン

男「!?この音ッ!?」
隣人「ふがっ!………………………………ぐうううう」zzz

男がCM明けを待っていると、隣の部屋…男の部屋から謎の轟音が聞こえた
男が急いで部屋に戻ると、玄関とその反対の壁を何かが貫いたかのように大穴が開いており、家具も跡形もなく消し飛んでいた

???「こんにちは、男さん」

男「!!お、お前はッ……!!!」

男「女ッッッ!!!」

女「あら、私も有名になったのね」

玄関から男を覗くのは、男が命を狙っていた女その者だった

男「な、なんでお前…生きて…」

女「はぁ…?私がいつ死んで
男「てめぇはッッッ!!ずっと前に殴り殺したハズッッッッ!!!!この手でッッ!!!」

女「……なるほどね……」

女「5年前のあの事件に巻き込まれて、植物状態になったあなた…私はあなたに当時の状況を聞くため、あなたが目を覚ますのを待っていたんだけど…」
女「あなたが病室をすり抜けて飛んでいくところを見て、追いかけてたのよ」

女「あなたが犯人だったなのね」

男「何言ってやがる……?」

女「あなたが殺したのは私と顔が似てる別人よ」

男「………影武者か…やってくれたなァ…」
女「いや、ただのあなたの人違い」

男「まあいい、生きてたってんならまた
ズドオオオン!!
男「ッッ…」

男が喋っていたその時、光線が男の首を貫く
女は人差し指を男に向けていた

女「あなたがどうやって、あの事件を起こしたかはわからないけど、一瞬で葬ってあげるわ」
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