【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【二十三輪目】

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144 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/15(火) 22:30:16.69 ID:4YEHaGuro

天乃「なるほどねぇ」

そう考えれば、確かに交際の始まりから結婚までの期間的に言えば、

遅くもないし早くもない

丁度いい期間なのかもしれない。

実際には、みんなで住んでいるし、約8年間なのだけれど。

天乃「東郷もだいぶ落ち着いてくれたし……」

東郷「あれは重要だったからですよ。そうしなければいけない。そうしないと――だったから」

東郷は約8年前のことを思い返して、

少し寂し気に、目を細めながら静かな笑みを浮かべる

東郷は天乃の体の問題が無くなってからというもの

積極性は控えめになっていった。

もちろん、その感覚の恋しさや自分以外の相手がいることもあって

普通の人に比べれば欲求は多かったかもしれないが、

それでも、全盛期よりは控えめになっていった。

東郷「ですが――今夜は、久しぶりに興起しても良いかもしれません。いえ、しているかもしれません」

天乃「それはちょっと」

東郷「責任は、取ってくれると信じています」
145 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/15(火) 22:36:59.29 ID:4YEHaGuro

にっこりと微笑む東郷は、

やはり、以前に比べればとても大人びている。

可愛らしさよりも優美さが勝っていて、

それに触れたことがなければ、息を飲んでしまうほどに。

しかし、その中にも学生だった東郷の雰囲気はまだ残っているように思う

そうしてくれると信じている、期待

それを感じるからだ。

天乃「そう言われると弱っちゃうのだけど……」

東郷「大丈夫ですよ。明日はお休みです」

天乃「そうなのだけど、でも、待って……それはここで言うべきではないわ」

押し倒そうとでもしているかのように

ぐいっと距離を縮めてきた東郷から、天乃は思わず足を下げてしまう。

最近の東郷なら大丈夫

けれど、今ばかりは少し心配で

それを察しているのだろう、東郷は「大丈夫です」と先手を打って

東郷「本番は夜――ですから」

天乃は、普段は控えているだけなのだろうかと困ったように笑った
146 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/15(火) 22:58:16.62 ID:4YEHaGuro

東郷「手、握っていいですか?」

天乃「え、ええ……」

ナイフではなく天乃の手を握りたいと言った東郷は、

天乃がナイフを持った手にそのまま手を重ねて

申し訳程度に添えられたもう一方の左手が、ナイフに触れる

東郷「やっぱり、お綺麗です……」

天乃「ふふふっ、ありがとう。東郷だって綺麗だわ」

入場前にも話したこと

それをまた、感慨深そうに零した東郷は、

企みの感じない笑みを零して、白い肌を僅かに赤らめる

東郷「私にも、して貰えますか?」

天乃「驚きたい? 驚きたくない?」

東郷「胸に優しいものが良いです」

天乃「難しいけど、善処してあげる」

東郷の自分を見ないお願いに、

天乃は寄り添いながら、囁くように答えて……ケーキへとナイフを降ろしていく

東郷も、綺麗だけれどまだまだ可愛らしい。

そう思って、天乃は気付かれないように笑みを浮かべた
147 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/15(火) 23:00:33.83 ID:4YEHaGuro

では短いですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/15(火) 23:08:40.15 ID:IUhUbzZsO

もしかして結婚式の後に夜のパート(意味深)とかあるのだろうか
東郷さんとかやる気満々なだけに期待してしまうな
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/16(水) 02:04:28.85 ID:8bCsKC6HO

東郷さんが楽しそうでなにより
150 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/16(水) 21:51:34.48 ID:YNGPeqm/o

遅くなりましたが、少しだけ
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/16(水) 21:56:47.14 ID:CQSOmCxPO
あいよー
152 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/16(水) 22:42:05.10 ID:YNGPeqm/o

ナイフを引き戻す力には少しばかり東郷の抵抗感が加わる

邪魔をしようとしているというより無意識なその力は

天乃の力を感じてか、すぐに抜けていく

天乃「緊張しているのね」

東郷「……そうですね」

天乃「期待してるって、言っても良かったのに」

東郷の手が離れるのを感じた天乃は、

ナイフをテーブルの上に戻して東郷の体に触れる

まだケーキは口にしていない。

なら大丈夫、接吻は行わない。

そう思っていた東郷は驚いて、僅かに後退りしてしまう

東郷「せんぱっ」

天乃「もちろん、まだしないけどね」

東郷「っ……」

天乃「それともケーキなんて関係なく、キスがしたいのかしら」
153 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/16(水) 23:38:15.98 ID:YNGPeqm/o

東郷「……意地悪、ですね」

天乃「いつもの私でしょう?」

東郷「それはそうなのですが……」

分かっていながら、分かっていないふりをする

それを使ってからかって、

求めても求めなくても

分かってくれているから、愛してくれる

東郷「胸に優しくしてください」

天乃「そのくらいの包容力はあるでしょ?」

触れるのはさすがにないと思ったのか、

天乃は東郷の胸元を指さすだけで、何もしない

浮かべる笑みはいつものいたずらっ子

東郷「そんな包容力は詰まってませんっ」

天乃「私には、詰まってるんだけど……」

東郷「もう……先輩ってば」
154 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/17(木) 00:10:22.56 ID:V5SiqgpSo

天乃さんと呼ぶより、言いやすい先輩

学校を卒業していなくても、しても

結婚しようとしまいと、

天乃はずっと先輩で、東郷はずっと後輩で

頑張って下の名前で呼ぼうとして

夏凜や風の「天乃」に憧れて

けれど、どうしても呼ぶことが出来ない

天乃「東郷――」

東郷「美森です。天乃さん、私は美森です。久遠美森です」

天乃「そうね。美森」

天乃は、まるで初めからそう呼んでいたかのように

慣れた様子で、東郷の名前を呼ぶ。

その表情は嬉しそうで、優しくて

東郷「あの……」

天乃「食べたい? 食べさせたい?」

天乃が基本的に「東郷」と呼ぶ理由

それを改めて口にされてはと思ったのか

天乃はスプーンを手に笑みを浮かべて、東郷の言葉を遮った
155 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/17(木) 00:11:12.45 ID:V5SiqgpSo

では短いですがここまでとさせていただきます
明日は恐らくお休みになるかと思います

明後日は可能であれば通常時間から
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/17(木) 06:11:47.42 ID:Ndor2Lx6O

綺麗な東郷さんととーごーせんせーとの落差が凄いなw
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/17(木) 07:37:49.73 ID:Hxpsl9TjO

先輩呼びもこれはこれでいじらしいな
158 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/18(金) 21:12:06.55 ID:e7CVvo0Do

では少しだけ
159 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/18(金) 21:17:20.17 ID:e7CVvo0Do

自分が天乃を「天乃さん」と呼べないように、

天乃も「美森」と呼びづらいのではと思ってみたものの

まったくの勘違いだった。

天乃はいつだって「美森」と呼ぶことが出来て

けれど、東郷が「久遠さん」や「久遠先輩」と呼ぶから、

それでも構わないのだと……示してくれていて、寄り添っていた

東郷「……食べさせたいです」

天乃「じゃぁ、はい」

東郷「………」

天乃は自分が先に手にしていたにも関わらず、

全く不満のない様子で、ケーキをすくうためのスプーンを手渡した。

ケーキと違って、スプーンは特に手をくわえていない普通のものだ。

というのも、予定としては零戦と呼ばれるかつての戦いに使用されていた戦闘機だったが、

一般の人の知識ではうん十うん式爆撃機だの戦闘機だの攻撃機だのも曖昧だろうし、

その中からさらに個別の名称を持ち出したところで分かるはずもなく。

そのため、

ケーキのデザインを航空母艦、龍鳳にするだけに終わったのだ。
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/18(金) 21:17:34.36 ID:s42V2gyCO
よっしゃ
161 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/18(金) 21:46:01.70 ID:e7CVvo0Do

ケーキを前に、天乃を隣に。

東郷はどうしても緊張してしまいながら、

跡が残ってしまうくらいに握りしめてしまっている東郷は、

食べさせるとは言ってもと困った様子で、手を止めてしまう

東郷「少しだけで良い……ですよね?」

天乃「ん〜――」

天乃は少し考える素振りを見せる

けれど、鷲尾須美としての付き合いを含めれば、

約10年と言っても良いほどの付き合い

それでなくても敏感な東郷は目を細めて

東郷「悪戯なこと言っても、本気にしますからね」

天乃「あら……」

とんでも無いことを言われる前に先手を打つ。

驚いたような顔を見せた天乃だが、

選択肢を潰しきれたわけではないのは、東郷でも分かってしまう

天乃「私はただ、貴女の気持ちの分を食べさせて欲しかったのだけど――多すぎるわね」

残念だわ。なんて

困った顔をする天乃は、本気に見えた
162 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/18(金) 22:22:55.68 ID:e7CVvo0Do

東郷「……多すぎますね」

気持ちの分を食べさせるとなったら、

残念ながら、この空母ケーキでは物足りない。

良くある数段積み重ねたウェディングケーキであれば、

ギリギリ足りるかもしれない

東郷「なので、少しだけにはなりますが一口で食べられる分にします」

天乃「一口分だけ?」

東郷「天乃せ……さんには、いつだって綺麗でいて欲しいと思うので」

天乃「ふふっ」

先輩と言おうとして、堪えて

そうして天乃さんと言った東郷は、

本当に天乃の小さな口でも一口で食べられる分をスプーンですくうと

天乃の方に差し向けて

東郷「では」

天乃「ん……」

東郷「ぁ……あ〜ん」

ただ目を閉じた天乃に対して、

東郷は周りの視線にちょっぴり恥じらいを見せながら、

二人きりや、みんながいるときには良くやるそれで、天乃に食べさせた
163 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/18(金) 23:49:45.51 ID:e7CVvo0Do

本当にたった一口で食べきれる分のケーキは、

すんなりと天乃の口の中に納まる

普通のケーキを食べる一口分のようなそれは、

あっさりと口の中に消えてしまう

ケーキを食べさせ合う、ファーストバイト

その想いを伝えると考えるとやや心許ないかもしれないけれど、

それでいいと東郷はスプーンをテーブルの上に置こうとして

天乃がその手を掴む

天乃「貴女がまだよ」

東郷「えぅ、あ……」

天乃「ふふっ、同じスプーンは駄目かしら」

いつも……ではないにしても、

食べさせあいもしている東郷としては吝かではない

東郷「天乃さんが良いのでしたら……」

天乃「いつものことでしょ?」

東郷「そう、なんですが……あんまり、言われてしまうと困ります」

天乃と東郷のやり取りを見守る友人や肉親

その視線から逃れるように左手で影を作った東郷は、

しかし、赤らんだ耳元がはっきりと見えていた。
164 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/18(金) 23:53:08.13 ID:e7CVvo0Do

では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/18(金) 23:59:45.30 ID:+TCNlBQgO

東郷さんも恥じらいがあるとやっぱり可愛くなるなぁ
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/19(土) 02:44:17.10 ID:bcFPb2v+O

かわいい
167 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/19(土) 21:17:46.64 ID:787yLgaEo

では少しだけ
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/19(土) 21:44:59.84 ID:jNew4cLWO
きてたか
169 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/19(土) 21:52:11.04 ID:787yLgaEo

東郷がすくってくれたのと同じくらいの量を、スプーンですくう

この場ではやっぱり少し物足りなさがあるが、

食べさせあうのはちょうどいい感じかもしれない

天乃「ぁ〜ん、して」

東郷「……いざやるとなると、恥ずかしいですね」

天乃「喫茶店でだって、したことあるじゃない」

東郷「ありましたけど」

高校生時代の話だ。

共学に進んだ天乃達

男子にも積極的に絡んでいく天乃や友奈

控えめな東郷達

それはもう、みんな揃いも揃って人気だった。

当然のように言い寄る男子はいたし、

下駄箱にラブレターなんて古式ゆかしい手法が使われることもあった。

それがどれほどあったのか覚えがないが

天乃達の中の誰かが「もういっそ、公にいちゃつけばいいんじゃないかな〜」と

趣味8割の気分で言い出したので、決行したのだ

東郷「それとこれとは話が――」

天乃「一緒よ。あの時も今も、私のことだけを見ていてくれればいいんだから」
170 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/19(土) 22:42:34.00 ID:787yLgaEo

東郷「先輩……」

天乃「先輩って呼ばれると、本当にあの日の再現になるわね」

東郷「っ」

天乃「はい」

天乃は容赦なく東郷へと攻めて、

東郷の準備が整わないうちにケーキを乗せたスプーンを差し出す。

周りのみんなからの視線が集まってきていて

東郷の窺うような視線が天乃へと向かう

けれど天乃は笑みを浮かべているだけで、

スプーンを差し向ける手は東郷の口元へと近づいていく

東郷「ぁ……」

天乃「あ〜ん」

東郷「あ……あ〜……ん……」

きゅっと目を瞑った東郷は、

意を決したように口を開けて差し出されたスプーンに食いつく

かつんっと小さな音がスプーンから伝わって

唇がクリームを完全に舐めるように滑り、艶々としたスプーンが残る
171 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/19(土) 23:25:21.17 ID:787yLgaEo

すぐに離れた東郷は動く口元を手で覆い隠しながら、

カメラのシャッター音から顔を背けるものの、

それでは良い写真が撮れないと、

こっち向いてという声が多くかけられる

天乃「大丈夫?」

東郷「大丈夫……です」

天乃「とてもそうは見えないのだけれど……」

白い肌はもう真っ赤で、

視線が欲しいと求められていても答える余裕もない

羞恥心に負けている東郷は

しかし、天乃にとってはとても愛らしいもので

悪戯なしとは言うけれど、

東郷達が常日頃言うように

これは【誘い受け】なのだろうと思って、東郷の頬に触れる

天乃「だから言ったじゃない――私だけを見てって」

東郷「っ……んっ」

優しく、唇を重ねる

驚きと、戸惑いと

揺れる東郷の瞳が瞼に覆われていくのを見守って、

天乃はみんなよりも少しだけ長くキスをする
172 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/19(土) 23:26:20.76 ID:787yLgaEo
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日はできれば通常時間から
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/19(土) 23:32:43.94 ID:bHr40soNO

久遠さんが誘い受けを極めた結果、あの東郷さんがタジタジに…
その分夜の時間がえらいことになりそうだけども
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/20(日) 00:10:16.65 ID:ws8freybO

あの久遠さんがつよくなってる!?
175 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/20(日) 21:10:22.83 ID:70mqTrdNo
では少しだけ
176 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/20(日) 21:30:40.36 ID:70mqTrdNo

天乃「っふ……」

東郷「ぁ……」

離れていく天乃を追いかけるように、

東郷は瞼を開いて、その瞳に天乃を捉える

少し、キスが長かったのかもしれない

東郷の手は天乃の頬へと延びて、もう少し先を求めてしまう

天乃「東郷」

東郷「美森です……天乃さん」

天乃「……美森」

手のひらの温かみを頬に感じる天乃は

しかし、それを払わないまま、東郷へと声をかける

東郷は自分の状況を分かっているだろう

分かっていても、もう少しだけ。と、思っている

いつもよりもずっとずっと甘いキス

それはとても心地よくて、解けていくようで

天乃「落ち着いて」

東郷「落ち着いています、冷静です」
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/20(日) 21:32:03.65 ID:CtaJ9SEuO
きてたー
178 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/20(日) 22:11:45.22 ID:70mqTrdNo

天乃「流石に必要以上には……ね?」

一回は、みんな―参列者ではなく夏凜達―も許してくれる

けれど二回目はいけない

それをやってしまったら無法地帯に陥る

かつて鈍いと言われた天乃でも

約8年間、7人との付き合いを続けてきたら

何が調和を崩壊させ、自分の明日が危ぶまれるのかはそれなりに分かっているつもりだ

だから――駄目だ。

東郷「私には、必要なんです」

天乃「それはそうなんだろうけど」

東郷には必要だが、

みんなにだって必要なこと。

なので

天乃「また後で、ね?」

少し未来の自分に丸投げする

どうなるかは体が覚えているのだが、仕方がない。
179 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/20(日) 22:27:47.57 ID:70mqTrdNo

東郷「先輩……」

天乃「いい?」

東郷「それなら」

頬に触れていた感触が離れていくのを感じて、

天乃は一先ず安堵のため息を零す。

頑張れ数時間後の自分。と、

自分が通って来た道半ばからの視線に天乃は眉を顰める。

天乃「ねぇ、美森」

東郷「はい」

天乃「私は別に、強制する気はないわ」

東郷「えっと……」

天乃「鷲尾でも東郷でも久遠でも。貴女が須美であり美森であることには変わりがないんだもの」

他の人が聞けば困るとは思うけれど

それらの人に教えるような目的でもないのであれば、好きに呼んでも問題はないだろう

少なくとも、二人の時にそんな気遣いは不要だ

天乃「貴女にとっての私を、好きに呼んで頂戴」

それが先輩なら先輩で良い

久遠なら久遠でもかまわない

もちろん、下の名前で呼んでくれるのならそれも良い。

ただ、無理はさせたくないと天乃は思って、東郷へと笑みを浮かべた
180 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/20(日) 22:28:42.88 ID:70mqTrdNo

では途中ですがここまでとさせていただきます
明日は場合によってはお休みをいただく可能性があります

明後日は、可能な限り早い時間から
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/20(日) 22:52:53.01 ID:vnwP0nQqO

ここに来るまでみんなとのバランス取るのは大変だっただろうなぁ
特に性欲の発散とか…
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/21(月) 03:00:22.52 ID:tw375kkbO

東郷さん欲求爆発しかけてる
183 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/22(火) 20:47:12.82 ID:erUTdUhoo
では少しだけ
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/22(火) 21:06:09.41 ID:m1fXO6+NO
よしきた
185 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/22(火) 21:12:22.86 ID:erUTdUhoo

披露宴がただのいちゃつきの場になりつつある中、

飽きもせずに見守ってくれるみんなと

もんもんとしてしまっている夏凜達

広がりつつある温度差を仕切りなおすようにお色直しが行われた。

天乃、東郷、園子、樹がウェディングドレスからタキシードに

夏凜、友奈、風、沙織がタキシードからウェディングドレスへ

女性だったのが男性、男性だったのが女性に切り替わると

それはまた大きく印象が変わってくる

ただ、

タキシードに切り替えた4人のうち2人ほど、

着付け役が男性らしく胸元を控えめにすることを諦めざるを得なかったが

どうにか形にはなった。

樹「まさか、男装用に強く絞めたら出てきちゃうとは思いませんでした」

天乃「子供産んでるからね……何度も」

園子「それを除いても絞めきれなかった人もいるんよ〜」

東郷「やめてそのっち」

樹「それはそれで男装らしくて良いんじゃないでしょうか?」
186 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/22(火) 21:59:37.44 ID:erUTdUhoo

相も変わらず……と言ってしまうと、

樹には可哀想だが、

大きくなったと言っても本当に微量で、ストン……としている。

樹自身はもう、

それを特別コンプレックスに思うことはなくなったが、

やはり、天乃達と並んでしまうと小さく見えてしまう。

園子「髪型が同じでも、衣装が違うと全然違うもののように見えるんよ」

天乃「そう?」

新しいタキシード組も比較的髪が長い

みんなポニーテールで纏めているのは

天乃といえば、その髪型だったからだ。

今の天乃は家の中ではとてもラフだ

下はパンツ系で、上はTシャツ

冬場はもう少し厚着をするが、ほとんどが袖の長短くらいの違い。

そしてオプションでエプロンをつけているくらいで

子供達に猫じゃらしに飛びつく猫のように引っ張られることもあるからと

髪を降ろしているのが普段の天乃だ
187 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/22(火) 22:32:49.77 ID:erUTdUhoo

樹「えっと……美森、さん。も、天乃、さんも格好いいですよ。とっても似合ってます」

天乃「先輩でもいいのよ?」

樹「っ」

タキシードを着てにっこりと微笑む天乃は、

流麗というべきか、とても様になって見える。

胸の主張が激しいので、異性とは到底勘違い出来ないが

それでも、恋をしてしまった樹としてはドキリとしてしまうもので。

園子「わっしーは普段スカート系が多いけどパンツも似合うね〜」

東郷「それはそのっちも同じでしょう?」

園子「私はよくよく履いてるから。それ以上に履いてる天さんはむしろだからこそ様になってる」

天乃「褒めても出せるものなんてないわよ?」

樹「やっぱり佇まいが違いますね。私も、後一年で同じようになれると思います?」

東郷「樹ちゃんには樹ちゃんの良さがある。可愛いは正義だって、風先輩も言ってるでしょ?」

樹「お姉ちゃんを参考にするのは、ちょっと間違ってる気がするんですが」

樹が困ったように言うと、

そのずっと後ろの方、

廊下を埋め尽くすような影が近づいてきて

風「なぁにか……嫌な話が聞こえた気がするんだけど?」

樹「気のせいじゃないかな」

沙織「意外に辛辣だよね。樹ちゃんって」
188 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/22(火) 23:26:22.02 ID:erUTdUhoo

天乃「似合ってるわよ、夏凜」

夏凜「お世辞はいいから……別に」

天乃「本心なんだけど」

東郷「友奈ちゃんも素敵よ」

友奈「えへへ……ありがとっ。東郷さんも格好いいよ」

照れくさそうに顔を背ける、ウェディングドレスの夏凜と

嬉しそうに満面の笑みを浮かべる友奈

その対照的にも見える可愛らしさには、園子も沙織も思わず笑ってしまって

夏凜の「笑うな」という照れ混じりにそれは増長する

天乃「沙織も、流石だわ。私なんて比にならないわね」

沙織「あたしは背が高いだけだよ」

樹「胸も大きいですし、お姉ちゃんくらいに」

風「そのくせ、あたしよりも背が高いからね。やっぱり、モデルになったら?」

沙織「私の身体は売り物にはしないよ〜。天乃さんのものだからね」

ふふんっと胸を張って見せた沙織の視線を感じて、

天乃は笑みを返す

天乃「ありがと、大切にするわ」

園子「天さんはアイドルになれるよね? スカウトされたことあるし」

天乃「小学生アイドルの話でしょう? 鼻で笑ってスカウトの人の顔をひきつらせたから無理だわ」

夏凜達とではなく、娘である星乃達と一緒に買い物をしているときの話だ

妹さんたちとおつかいなのかと言われた時点であれだったが、

小学生のアイドルユニットに加えたいという話だったので、鼻で笑って身分証を提示したのだ。

東郷がそうだったように、胸の大きさで判断するわけにはいかないのは分かるが、

せめて中学生に思って欲しかったと、天乃は今でも思っている。

天乃「それに、私だってみんなのものだもの。この身体を売るつもりはないわ」
189 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/22(火) 23:36:39.25 ID:erUTdUhoo

では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


みんなで交流で最後
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/22(火) 23:53:36.30 ID:Pu9JnvJxO

久遠さん実年齢に反して見た目が全体的にエロさを感じさせるなぁ

それにしても三周目は泣いても笑ってもこれでラストか…
次の四周目があるのかずっと気になってるけどまずはきっちり最後を見届けたいな
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/23(水) 03:43:34.67 ID:z/92Pv1UO

とうとう集大成か
192 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/23(水) 22:27:54.17 ID:OJcz1fPPo

すみませんが本日は所用のためお休みとさせていただきます
明日は可能であれば通常時間から
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/23(水) 22:37:40.69 ID:X/tiOf4CO
乙ですー
194 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/24(木) 23:15:45.82 ID:cLOIf6uNo

遅くなりましたが、少しだけ
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/24(木) 23:28:02.69 ID:eIlwjoYFO
よっしゃ
196 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/25(金) 00:11:33.53 ID:aqSWokNWo

風「別にアイドルだってモデルだって体売ってるわけじゃ無いんだけどね」

東郷「ある意味ではそうとも言えるかもしれませんが」

園子「本当の意味で体を売った経験もある私達としては、人目に晒すくらいどうってことないんよ〜」

天乃「命も、懸けたものね」

今となっては、過去の話。

最後の最後まで死にかけたのが天乃だからか、

友奈達はそれを軽く言うのはまだ不満なようで、笑い事ではないと首を振られてしまう

友奈「命を賭けるくらいなら、天乃さんにはアイドルやって貰いたいです」

沙織「あたしマネージャーやっても良いかなぁ?」

夏凜「事務所はいる必要あるんじゃないの?」

そういう仕事のことなんて詳しいことは知らないけれど、

そうされてしまうくらいなら、アイドルでもモデルにでもなって、

いなくなることなんて、一切考えられない状況になってしまう方が良いと

みんなが思っている
197 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/25(金) 00:53:05.95 ID:aqSWokNWo

天乃「止めてよ、私……小学生でデビューなんてしたくないわ」

天乃の本来の年齢を考えれば

今からというのは、やや難しいのかもしれない。

しかし、それを隠して

中学生―小学生―でも通せなくもない状態で成長が止まってしまった天乃が

それで押し通したとしても、

その年齢での子持ちは、アウトである。

もちろん、子供がいようがいまいが天乃はそんな詐称などする気もないけれど

天乃「ほら、みんなもう待っているんだから」

夏凜「それもそうね」

東郷「友奈ちゃん」

友奈「え、本当にするの?」

東郷「賑やかしよ。賑やかし」

困り顔の友奈ではあったけれど

東郷が両手を広げると、友奈は「せっかくだからね」と、苦笑して体を委ねる

東郷はとても手慣れた様子で、友奈の体を抱き上げた
198 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/25(金) 01:22:06.61 ID:aqSWokNWo

風「……やる?」

樹「お姉ちゃんは、妹にお姫様抱っこされて嬉しいの?」

風「棘が痛い」

樹「痛いのは視線だよ〜」

そう言った樹は少し照れくさそうに笑うと、

でも、私も力はあるんだよ。と、自慢気な表情を見せる。

介護は力仕事というわけではないものの、

力はあるだけあったほうが良い。

とりわけ、夏凜達に付き添って人並み以上に体力もついている樹は、

太っているわけでもないたった2歳上の姉を抱き上げるくらいは問題なく出来る

ゆえに当然ながら、天乃のことも簡単にお姫様抱っこ出来てしまう。

樹「サプライズ、やってみたい?」

風「言うようになったじゃないの……ほんと」

樹「お姉ちゃんの妹で、歌野さん達の弟子で天乃さんのお嫁さんだもん。強くもなるよ」

にっこりと浮かべる樹の笑みがとても強かに感じられて

風は逆にしておけばよかった。と、零す。

風「良いわ樹、やってみなさい」

せっかくの披露宴なのだから、少しは面白みある演出があっても良いと、風は樹に委ねた
199 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/25(金) 01:24:25.08 ID:aqSWokNWo

では途中ですがここまでとさせていただきます
明日は可能であれば通常時間から
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/25(金) 02:40:07.95 ID:boYNESODO

みんなほんとに楽しそうで和む
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/25(金) 06:07:40.44 ID:pgVPFM+fO

幸せいっぱいな空間で素敵な披露宴だな
202 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/25(金) 23:19:42.15 ID:aqSWokNWo

すみませんが本日はお休みとさせていただきます
明日はその分、可能であればお昼ごろから
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/25(金) 23:22:27.81 ID:o5HQwhAqO
乙です
204 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/26(土) 19:07:48.36 ID:KUKTenaDo
遅くなりましたが、少しだけ
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/26(土) 19:08:57.84 ID:QlWUDJ4QO
やったぜ
206 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/26(土) 19:58:45.13 ID:P5ecxyLKO

沙織「園子さんはどうします?」

園子「私はするよりも見たいんよ」

園子は自分と沙織を見比べると、

何度か握り拳を作って、手首を動かす

園子「さおりんをお姫様抱っこできる自信もない……」

沙織「あたしってそんなに重いかなぁ?」

園子「いっつんや天さんなら余裕だけど、私はね〜」

そんなに鍛えているわけではないという園子は、

沙織と比べれば確かに小柄ではある。

それを言えば樹だって小柄ではあるが、

樹は鍛えているのでだいぶ大きい沙織も、どうにかできる

園子「にぼっしーに遠慮しなくても良いんじゃないかな」

沙織「遠慮はしないよ? ただ、今は夏凜さんかなって思って」

少し考えるように言う沙織は、

天乃と夏凜を見つめて、小さく息を漏らす

沙織「天乃さんなら二人いけそうな気がする…・・」

園子「それは無理だと思うな〜」

いまだに扱うことのできる力を用いればそれも可能だと思うが、

通常の状態の天乃に、二人は無理だ
207 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/26(土) 20:28:04.05 ID:KUKTenaDo

沙織「そっかぁ」

残念そうに言う沙織だが、

表情は全く残念そうではなく、むしろ嬉しそうに天乃と夏凜を見守っている。

沙織は天乃に好意を抱いていても独占欲はあまりない

寧ろ、園子と同じように天乃が幸せならそれでいいという考えなので、

園子ともよくよく気が合うタイプだ

沙織「……でも、手持ち無沙汰は寂しくないかな?」

園子「え? えっ!?」

何の話かと、振り返った園子の手を沙織は強く引く

その勢いのままに園子の右肩に手をかけ、

手を引き、体勢を崩させた手で園子の膝裏を打ち抜いて一気に持っていく

園子「わっ……」

沙織「園子さんが難しかろうと、あたしは余裕だよ」

園子「ま、待ってさおりん。これはまずいんよっ」

沙織「男装側がお姫様抱っこするなんて決まり、あたし達にはないと思うんだよね」
208 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/26(土) 21:41:08.55 ID:KUKTenaDo

沙織「あたし的には、抱っこされる夏凜ちゃんも抱っこされる天乃さんもどっちも見てみたい」

園子「……そのための踏み台?」

沙織「照れてる園子さんが可愛いって、天乃さんも喜ぶと思って」

にっこりと笑みを浮かべる沙織

ウェディングドレスというやや身動きのとりにくい衣装でありながら

身軽そうに、園子を抱き上げる姿勢を調整する

園子「だからって……これはちょっと恥ずかしいんよ」

沙織「だから良いんじゃないかな。乃木さん……若葉さんも驚かせられるし」

園子「ちーちゃんがからかいそうだね〜……」

ほんのりと赤らんだ表情で言う園子は

しかし、その二人を想像してか、一息ついて意を決した表情を見せる

園子「いいよさおりん、こうなれば勢いだ〜」

沙織「やったーっ」

なぜか一気にテンションのあがった二人を、

夏凜が困ったように一瞥して

夏凜「私はやらないからね?」

天乃へと先手を打った
209 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/26(土) 23:42:16.79 ID:KUKTenaDo

天乃「え〜」

夏凜「え〜じゃないし」

東郷「夏凜ちゃんが嫌なら、抱いてあげれば良いのよ」

夏凜「それはなにか違くない?」

ドレスの自分がするのはと控えようとした夏凜だが、

その視界の端には、ドレスで抱きシードの園子を抱き上げている沙織と、

恥ずかしさを殺しきれていない園子が見えていて

友奈「沙織さんも関係ないって言ってましたし」

夏凜「聞こえないふりしてたのに」

天乃「ふふふっ、それは無理なお話ね」

廊下はそんなに広いわけではない

そして、離れているわけでもない。

当然ながら聞こえていた園子達の会話を無視しようとしていた夏凜は

乗り気な天乃を見下ろすと、眉を歪ませる

夏凜「天乃はやりたい……のね。まぁ、その顔見ればわかる」
210 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/27(日) 01:16:32.38 ID:GEJ8mJTDO

天乃はどちらかと言えば、お姫様抱っこをしたい側だ

されるのもやぶさかではないのだけれど

普段からされ慣れている天乃としては

やっぱり、特別な日くらいは自分が優位に立ってみたいと思うもので。

それが顔を見ればわかる夏凜は困り切った様子で東郷達を見る

東郷も樹も沙織も、

それぞれが友奈や風、園子をお姫様抱っこしていて、準備を終えている

このまましばらく時間を稼げば、抱けなくなるだろうか。

そんな事を考えた夏凜は、何も言わずにこやかな天乃を見て

夏凜「身体は大丈夫なの?」

天乃「大丈夫よ。今なら九尾だって抱き上げられるかもね」

夏凜「人の方? 狐の方?」

天乃「人の方よ。夏凜よりも大人だもの」

夏凜「ドレスの私より?」

天乃「容姿年齢的にはね」

夏凜「なら、やってみる?」

夏凜はそう言って、ドレスでは見難いけれど、身構えた
211 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/27(日) 01:23:57.99 ID:GEJ8mJTDO

では途中ですがここまでとさせていただきます
明日は可能であればお昼ごろから
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/27(日) 04:26:03.32 ID:gmMWe/YeO

体ちっちゃくても鍛えてるからな久遠さん
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/27(日) 06:41:28.78 ID:A9O6a0VCO

さおりんと園子の絡みって何気に珍しかった気がする
214 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/27(日) 12:53:12.50 ID:TrRbAuqlo

では少しずつ
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/27(日) 12:55:31.36 ID:rONdltNMO
あいよー
216 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/27(日) 14:09:53.75 ID:wj2tMMd5O

天乃「緊張しないでね? 身体が固いと危ないから」

夏凜「大丈夫、任せるから」

夏凜は気恥ずかしさこそ捨てきれていないものの、

天乃には全幅の信頼を置いているようで、緊張は感じられない。

天乃と夏凜の身長差は、約10センチほど

天乃が少し屈むだけで、夏凜の足腰に手が添えやすい

天乃「くすぐったい……一気にいくからね?」

夏凜「ん」

屈んで身を寄せた天乃の顔にはドレスが重なって

鼻先を掠めるむず痒さに顔を顰めながらも、

足腰、夏凜を抱きかかえる腕にしっかりと力を入れて、夏凜の体を抱き上げる

夏凜の体は強張ることなく、

ドレスの裾だけが勢いよく暴れて、天乃の腕の中に夏凜の体が――おさまらない。

園子「……あらまぁ」

風「いや、うん……大丈夫。セーフセーフ、いけるって」
217 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/27(日) 14:17:16.96 ID:wj2tMMd5O

通常の服装だとしても、

夏凜の体は―友奈達の体でも―天乃の小さな体には余る。

そこに、ウェディングドレスが追加されているのだ

天乃の体の約8割が見えなくなってしまっているし、

ドレスの裾は殆ど引き摺る形になってしまっている

天乃「ん……どう思う?」

夏凜「……風達は大丈夫らしいけど」

風や東郷達は、これでもありだと笑っている

とはいえそれはあくまで、披露宴の一種のネタとしてだろう。

夏凜のドレスにもはや埋もれていると言っても良い天乃が、

そのまま入場すれば、解錠はきっと大賑わいになる。

ドレスの裾で天乃の下半身もほとんど見えないので、

一見では、夏凜が浮遊しているように見えるかもしれない

友奈「前見えます?」

天乃「かろうじて」

東郷「私は見えますか?」

並ぶように立っている東郷が声をかけると、

ドレスを振り払うように首を動かした天乃は、頷く

天乃「両隣は前よりも見やすいわ。前は駄目ね。夏凜が太ったのかも」

夏凜「太ってないわよっ」
218 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/27(日) 14:23:53.67 ID:wj2tMMd5O

天乃「おかしいわね……妊娠させた覚えは……」

夏凜「どう見てもドレスでしょうがっ」

膨らんでいるのは腹部ではなくスカートだ

重力に従って床に垂れているのを除いても、

膨らんだ分が天乃の前方をやや覆ってしまっている

沙織「夏凜さんが案内してあげれば良いんじゃないかな?」

園子「にぼっしーのドレスの裾は踏まない? 大丈夫?」

天乃「どうかしら」

足にかかる裾の感覚

それを超えないように歩けば、どうにか踏まずに済みそうなものだけれど

それで大丈夫というのは、不安ではある

夏凜「私の身体、自分でどれだけ安全に抱えられる?」

天乃「なんで?」

夏凜「私が肩から手を離して平気かって聞いてるのよ」
219 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/27(日) 14:33:53.88 ID:wj2tMMd5O

よくある形のように、夏凜は天乃の方に手を回している

その手を離しても平気かと言われれば、天乃は平気ではある。

今も負荷はかかっていないし体格差があると言っても力はあるので、

樹が風を抱えられるように、天乃も問題なく夏凜を抱えることが出来る

天乃「平気だけど、どうして?」

夏凜「スカートは持ち上げておいてあげる」

天乃の方から左手を離して、

垂れ下がるスカートの一部をかきあげながら持ち上げていく

それでもやはり、天乃の身体には大きく見えてしまうものの、足元だけは何とか確保できた。

視界はより不安が増したけれど。

夏凜「どう?」

天乃「足元は平気そう。前が完全に見えないけど」

東郷「それなら、私達が先導するから、夏凜ちゃんは付いて来れるように案内してあげて」

樹「スカートとかが引っかかりそうなところがあったら、私達が声かけますね」
220 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/27(日) 14:44:44.08 ID:wj2tMMd5O

夏凜を降ろすのではなく、

天乃がそのまま行けるようにと、みんながどうするべきかを決めていく

天乃がそうしたいならさせてあげたいからだ。

もちろん、それで安全が確保しきれないなら断念も致し方ないが、

出来るのならやる。それが夏凜達だ

夏凜「なんかちょっと不格好だけど……披露宴だから許してあげる」

天乃「ありがと」

沙織「でも、本当は大好きなお嫁さんの隠し切れない胸が腰に当たってるからなんだよね?」

園子「や〜ん」

夏凜「思春期かっ!」

当たっているのは事実だし、

それがほんの少し――というのもあるにはあるが、

別に邪まな気持ちなんて持ってはいない。

こういうのは、もうそれなりに慣れている

風「は〜い。タキシード……じゃないのもいるけど、みんなが疲れないうちに行くわよ〜」

東郷「では参りましょう」

そうして、天乃達は決めた順番で入場していった
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/27(日) 15:31:40.88 ID:iGfdonS2o
えっと……乙?
222 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/27(日) 16:30:03.05 ID:TrRbAuqlo

それぞれがお姫様抱っこをしての入場は大好評で

友奈と東郷は様になっていると喜ばれていて

二人もまんざらではなく、撮影に応じていたし、

風と比べて華奢に見える樹が姉である風を抱きか替えているのを見た友人たちは、

樹に驚いたり、顔を真っ赤にしていく風に笑っていたりと、楽し気で

女性役に抱かれる男性役の沙織と園子は、

考えていた通り……ではなかったが、球子が若葉をからかうのが見えた

そして、

見えなくなっている天乃にはなぜだか、声援が送られて

子供のお使いに頑張れと声をかけるかのように、

樹や東郷達だけでなく、周りからもそっちはぶつかるとか、頑張ってとか

優しい声が複数かけられて、

それ以上に、シャッター音とカメラのレンズが向けられていた。

披露宴のサプライズな演出としては、大成功だったと言ってもいいだろう。
223 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/27(日) 17:32:29.55 ID:TrRbAuqlo

ウェディングドレスと、タキシード

それぞれが入れ替わるように着直すお色直し

そして、全員が衣装を揃える紋付き袴

全員が統一して並んでいるというのも、

独特な披露宴としては面白みがあったのかもしれないけれど、

天乃くらいは、白無垢の方が良かったのではという意見もあって、

天乃達全員が紋付き袴を着ている写真と、

天乃だけが白無垢を着ている写真の二枚が出来上がることとなったり、

両親の挨拶が天乃の母親だったり、

新婦からの手紙―全員新婦―が、天乃の知らない間に夏凜に決まっていたりと

色々あったが、無事に披露宴は終えることが出来た
224 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/27(日) 17:38:44.83 ID:wj2tMMd5O

すみませんが回線不調なので少し中断いたします
IDが複数乱れるかと思いますが、
酉はそのままなので気にしないでください
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/27(日) 17:58:04.58 ID:yvxEKLSBO
一旦乙です
披露宴のあとは夜のパートだろうか…
楽しみに待ってます
226 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/27(日) 20:52:28.69 ID:wj2tMMd5O

ではもう少しだけ
227 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/27(日) 22:02:55.08 ID:TrRbAuqlo

結婚式も披露宴も無事に終わって、自宅へと帰った天乃達

そこまで大きく騒いだ覚えはないものの、

各々の自室へと戻ってすぐに、深く息を吐いて体を伸ばした。

白無垢、ドレス、タキシード、紋付き袴で、白無垢

天乃は何度も着付けをしていて、

流石に苦しかったのだろう、胸元を軽く擦る

天乃「今日はもう、ゆっくり眠りたい気分だわ」

夏凜「私は良いけど、東郷……美森達はどうだかね」

天乃「一応、ケーキ入刀でキスしたのに?」

夏凜「あんなの煽っただけでしょ」

天乃「式で誓いのキスしたいって話があったから、その分を取り戻しただけ――にはならないのね」

夏凜の困った表情に諦めた天乃はそう零して、

子供を含目れば4人が横になれるベッドに、身体を横倒しにする

天乃「分かってはいたけど」

夏凜「分かってたならあんなことしなければよかったんじゃない?」

天乃「したかったのよ。私も」
228 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/27(日) 22:31:36.44 ID:TrRbAuqlo

夏凜「結婚初夜って知ってる?」

天乃「言葉だけは知ってるけど」

夏凜「そう言えば東郷が言ってたんだっけ?」

天乃「東郷じゃなくて友奈から言われたのよ……驚いちゃったわほんと」

友奈も、もはや無垢というには経験の多い女の子になってしまっているのだけれど

それでも知識的には夏凜達に遅れている

そんな友奈から「結婚初夜はどうしますか?」などと真っ直ぐに言われてしまっては、

流石の天乃も、言葉を失った。

天乃「東郷さんはしたいらしいです。って言われてね」

夏凜「するって言ったの?」

天乃「考えておくって。さすがに、今日の体が大丈夫かどうかなんてその日は分からないし」

夏凜「大丈夫そうなの?」

天乃「……無理ね」

夏凜「だろうと思った」
229 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/27(日) 23:09:24.48 ID:TrRbAuqlo

天乃も疲れを感じてはいるが、

結婚初夜を迎えることに関しては別段問題はなかった。

しかし、それは相手が夏凜だけの場合だ

夏凜だけでなく、友奈に東郷と風に樹そして沙織に園子もいる

それを体力的に乗り越えられるとしても、

子供達がいるので、全員で同時にはそもそも無理な話だ

天乃「少しだけ相手するくらいなら、出来なくもないけれど」

夏凜「そういう隙は見せない方が良いんじゃない?」

天乃「あら……誘ってるとは思わないの?」

夏凜「そう思っていいなら、そうすることも吝かじゃないんだけどね」

ベッドで横になっている天乃の傍に腰かけた夏凜は、

いつもそうするように、天乃の体に跨るようにする

夏凜「私だけで終わるとは思えないし……明日、お昼過ぎに起きることになるわよ。天乃」

天乃「そう、よねぇ」
230 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/28(月) 00:31:52.41 ID:JABrcgKfo

夏凜「天乃がやりたいなら、子供は若葉達に見ててもらうことも出来るけど」

天乃「若葉が質問攻めにされるやつね……」

まだ察しがついているわけではないだろうけれど、

天乃達が何かをしているというのは分かっているようで、

お母さんたちは何しているのかと、質問攻めにされたとかなんとか。

それでも子供達は千景がいればそれなりに満足できるようで

最終的には千景がもみくちゃになっているのが基本だ。

天乃「夏凜はしたいの?」

夏凜「私はどっちでもいいわよ。まぁ、あの子は今日は一緒に寝たいだろうけどね」

星乃と月乃

それに、夏凜や東郷、沙織との子供もいて

みんな一緒に一つのベッドというのは難しいので

東郷と沙織の子供は、基本的にそっちの部屋で寝させている

まだ小さい夏凜との子は一緒の方が良い。

天乃「今日はほとんど1日、春信さん達に任せてしまったものね」

夏凜「兄貴達は喜んでたけどね」
231 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/28(月) 00:32:57.25 ID:JABrcgKfo

では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から

メインの夏凜
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/28(月) 01:52:46.84 ID:PzWRzJAlO

七人も嫁貰うから……
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/28(月) 05:56:22.46 ID:hhYBbkDLO

ついに夏凜との結婚初夜か…
何気に単独で夏凜とするのは初めてだな
234 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/28(月) 21:57:43.00 ID:1pAVk1d4O

すみませんが本日は所用のためお休みとなります
明日は可能であれば、通常時間から
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/28(月) 22:02:15.26 ID:se6R3rPXO
乙ですー
236 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/29(火) 22:26:46.44 ID:Kl3i/Jo9o

遅くなりましたが、少しだけ
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/29(火) 22:35:05.96 ID:xWfwPSvuO
かもん
238 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/30(水) 00:31:53.18 ID:rHRwKUaOo

天乃「春信さん、本当に子供好きよね……星乃と月乃も可愛がって貰っちゃって」

夏凜「絶対に親ばかになるわね、あれは」

天乃「そろそろ結婚するの?」

夏凜「するんじゃない? まぁ……たぶん」

夏凜の数歳も年上である春信は、

年齢的に結婚していてもおかしくはないが何分、仕事熱心なためにまだ未婚だった。

けれど春信にも相手はいるらしいがはっきりしていないし、

明らかにされたわけではないので、夏凜も曖昧に答える

夏凜「結婚式、どうだった?」

天乃「あっという間だったわ。あんなに待って、あんなに念入りに考えて……それまでは沢山だったのに」

宣誓とは言え

みんなへの言葉を、みんなの前で言うというのには

多少の緊張感は持っていたけれど、大きな緊張はなくて

本当に、気付いたら終わっていた

天乃「7年も経って、もうやらなくても良いんじゃないって言われたこともあるけど、やって良かったって本当に思う」

夏凜「そうね」
239 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/30(水) 01:27:38.81 ID:rHRwKUaOo

夏凜「披露宴は、ちょっとやりすぎた気もするけど」

天乃「良いじゃない、みんな楽しんでくれたんだから」

夏凜「楽しかった?」

天乃「楽しかったわ」

夏凜「私も楽しかった」

聞かれるよりも前に、夏凜は天乃の言葉に上乗せする

一番大変だったのは着替えが多く、相手も多く、いろんな撮影を要求された天乃だったとは思う

その天乃が楽しんでいたという披露宴は、

夏凜にとっても楽しく幸せだった。

頑張って、死にかけて、ようやく手に入れた日常

最も負担のかかっていた天乃がみんなと一緒に楽しんでいて

みんなに抱っこされたりみんなを抱っこしたりと賑やかで

それを見られているのが、幸せだった
240 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/30(水) 01:58:23.78 ID:rHRwKUaOo

夏凜「本当は、感動して泣いたりするのかもしれないけど……そんな余裕もなかった」

天乃「笑ってばっかりだったわよね、私達」

ここまでに7年という長い時間があって

ずっと待ち焦がれていた一日だったはずなのに

ちょっぴり、感動ではない瞳の潤ませ方をさせてしまった子もいるけれど、

夏凜達はみんな、感動するよりも結婚式や披露宴を楽しんでいた。

それはきっと、たった一人を除いて……現代を生きた勇者達が無事で

護ることのできた世界を生きる友人たちがみんなを受け入れて、一緒に居てくれたからだろう

天乃「銀は……銀はね。お嫁さんになるのが夢だったんだって」

夏凜「聞いた」

天乃「ありがとね、呼んでくれて」

夏凜「物凄く迷ったけどね。瞳にも、兄貴にも、天乃達の親にも相談して――決めたのよ」

本当なら天乃達と同年代の娘がいた三ノ輪家。

親戚と呼べなくもないみんなを呼ぶのを、しかし天乃は迷っていて

それに裏から手を回したのが、夏凜達

そうして、銀の両親や弟たちは快く参加してくれた。

夏凜「幸せになりましょ、これからも。ずっと」

夏凜はそういうと、

ベッドの上、隣に並ぶ天乃の体を抱き寄せて――軽くキスをした。
241 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/09/30(水) 01:59:23.69 ID:rHRwKUaOo

では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/30(水) 06:07:31.29 ID:71AEhMKMO

銀も生きていたら号泣してそうだな
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/09/30(水) 15:08:45.32 ID:8dzu8zdMO

そういえば双子ちゃんって二周目だと春信さんとの子供だったな
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