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【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【1頁目】
- 185 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/10(土) 21:58:21.88 ID:C/X/kuhto
-
√ 2018/07/30 夜 (寄宿舎)
夜、陽乃は自分の部屋のベッドで横になっていた。
朝や昼なら街に下りないという条件は付いているものの、
外で過ごしていることも出来るが、
夜ともなると流石に外出しないようにと厳命を下されている
煩くなかろうと隣の部屋の音が聞こえてくるなんて壁の薄さはないが、
玄関としているドアを開けたりしたら流石に聞こえてしまう
陽乃「土居さんと伊予島さんは相変わらずね」
窓を開けてみると、
恐らくは杏の部屋から二人の声が聞こえてくる
大騒ぎというわけではないが、窓を開けているのかもしれない。
陽乃「……明日、郡さんと戦うってみんな知っているのかしら」
- 186 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/10(土) 23:08:59.67 ID:C/X/kuhto
-
陽乃はまだ話していないし、
恐らくきっと千景はそういうことを話すような人ではない
そうなると、完全に黙っての模擬戦になってしまうわけだが
それはさすがに許されないので、明日の朝か後で連絡を入れておくべきだろうか。
窓を開けておけば若葉の悲鳴が聞けるかもしれない。
陽乃「それにしても……早まったかな……」
はっきりさせるには良いとは思うけれど
第三者―九尾以外―を挟まないあのやり取りは聊か早計だったかもしれないと
陽乃は今更思ってしまう。
千景のことを気に喰わなかったなどではないし、
先に武器を向けてきたのは千景の方だ
だとしても――
陽乃「頭に血が上っちゃったかな……」
少し、嫌な感じがしてしまう。
1、九尾を呼ぶ
2、若葉に模擬戦の連絡
3、エゴサーチ
4、少しだけ九尾の力を使ってみる
↓2
- 187 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/10(土) 23:13:10.21 ID:0JPTOIXc0
- 2
- 188 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/10(土) 23:15:03.35 ID:wes7eb1OO
- 2
- 189 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/10(土) 23:39:35.93 ID:C/X/kuhto
-
陽乃「乃木さんに連絡しておこうかしら」
今更模擬戦を取りやめることも出来ないわけではないが、
それはそれでまた千景との関係に問題が生じるだろう。
だから後戻りもできないと考えた陽乃は、
支給されているスマホを手に取って、連絡用のツールを選択する。
支給されたスマホにはいくつかのアプリがアンインストール不可で追加されているが、
その一つに、連絡ツールがある。
そこには陽乃を含めた勇者全員と、
巫女の代表的な立場として近くにいるひなたが登録されている
もちろん、その関係者も削除できないようにもされている。
陽乃「乃木さん……あぁ」
以前千景と険悪になった後にフォローのために会いに来てくれたのだが、
若葉と陽乃のやり取りはその時の連絡が最後になっていた。
陽乃「結局、仲違いしたままなのよね」
それどころか、明日の朝に模擬戦を行うことになった。
乃木さんに少し申し訳ないなと、陽乃は苦笑する
- 190 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/10(土) 23:56:04.33 ID:C/X/kuhto
-
一応、「申し訳ないのだけど……」という一文を入れてから、
千景と模擬戦を行うことを付け加えて若葉へと連絡を行う。
陽乃「さて……」
スマホを布団の上に投げて、目を閉じる。
耳を澄ませてみると、
夏のほんのり青っぽい匂いをより強く感じる
夜も元気な虫たちの鳴き声、
姿さえ見えなければ風情を感じる穏やかな時間の流れ
そして――
「なにぃぃぃぃッ!!!?」
聞き覚えのある悲鳴
窓を開ける音
「なんだなんだぁっ!?」
「今の声若葉ちゃん?」
「若葉ちゃん? 若葉ちゃん!」
球子の声と、友奈の声
そしてきっと駆け付けたであろうひなたの声。
陽乃は思わず苦笑して、
ベッドの上で震えるスマホを手に取る
表示はもちろん、乃木若葉だった。
- 191 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/10(土) 23:57:24.68 ID:C/X/kuhto
-
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日も可能であればお昼ごろから
- 192 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/11(日) 00:09:35.94 ID:h5sj2XAKO
- 乙
この殴りあいでなんとか関係改善のきっかけになるといいけど…
あと今回の若葉は色々と気苦労が絶えなさそう
- 193 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/11(日) 00:53:13.44 ID:x6Z/gHkpO
- 乙
まあ久遠さんも夏凜とどつきあってたしな
- 194 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/11(日) 13:25:27.02 ID:lSpetpW+o
- では少しずつ
- 195 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/11(日) 13:30:00.94 ID:lSpetpW+o
-
若葉『な、なにが起きてそうなったんですか!?』
陽乃「顔合わせて喧嘩を売られて買った……かな?」
若葉『なん゛……っ』
若葉の女の子らしからぬ濁った声が途切れて
電話の奥で、若葉の声ではなくひなたの宥めるような声が聞こえる
目を離している間に、
要注意人物二人が出会って模擬戦を行う話になっているのだから
リーダーである若葉の頭は相当痛いのだろうと、
陽乃はごめんなさいと手を合わせることだけしておく。
陽乃「白黒つけた方が良いかなと思ったの」
若葉『なにもいきなり模擬戦なんて……しかも勇者の力を使って』
陽乃「勇者としての実力を示しあうものだから、そこは譲れないの」
若葉『むぅ……』
本当は殺しかねないからなのだが
流石に言うわけにはいかないので、誤魔化す
- 196 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/11(日) 13:33:24.15 ID:icgh0BMzO
- きてたか
- 197 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/11(日) 13:47:11.88 ID:lSpetpW+o
-
若葉『正直なところ、勇者の力を使っての私闘は避けて頂きたいと思っています』
陽乃「問題しか起こらないものね」
若葉『特に、郡さんから切り出したのだとしても原因は久遠さんにあるとされてしまう』
陽乃「事実だし」
若葉『それはそうですが……』
聞こえないように配慮したのかもしれないが、
離れた若葉の口から零れたため息が聞こえてしまう。
九尾の力を借りて以降、
そういった部分も鋭くなったような気がするのは気のせいなのかなと、陽乃は小さく笑みを浮かべる
陽乃「大社としては、やめて欲しいのかしら。それとも、叩きのめして欲しいのかしら」
ひなた『大社にはまだ伝わっていないと思いますので、分かりかねます』
陽乃「そっか」
ひなた『ただ、久遠さんの力が未知数なので怖いですね』
若葉『ひなた……』
ひなた『千景さんのこと、本当に害せずに済みますか?』
陽乃「勇者の力を使っていれば大丈夫だと思うわ」
ひなた『それが絶対かどうかが問題なんです』
- 198 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/11(日) 14:30:21.17 ID:lSpetpW+o
-
ひなた『現状、久遠さんのお力は勇者にも効果的である。という可能性も考えられています』
陽乃「だからこそ、乃木さんに連絡をしたのよ」
若葉『場合によっては介入しろということですか?』
陽乃「危ないと思ったら止めて欲しいの」
若葉『それは……』
陽乃「郡さんだってただの人の力ではないから、手加減して叩けるほど弱い人だとは思えない」
ひなた『本気を出すから、自分では止められないというのはあまりにも危険では?』
陽乃「ぐうの音も出ないわね」
本気を出そうが出すまいが
九尾が裏切った瞬間に手を離れるので、それ以上に質が悪い
別の神様に切り替えられるなら切り替えたいくらいには、理不尽である。
もっとも、神々とはそういうものなのだろうけれど。
若葉『もしあれなら、私が郡さんと話して模擬戦の約束をなかったことにすることも出来ますが』
ひなた『それは難しいと思いますよ若葉ちゃん』
陽乃「確実に郡さんからあなたへの評価が悪くなるわ」
若葉『ぐ……』
- 199 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/11(日) 14:53:30.06 ID:lSpetpW+o
-
若葉『しかし、模擬戦をやらせるなんてあまりにも危険だ』
ひなた『そうですねぇ……』
陽乃「でも蟠りをどうにかするためにも、ここで一発殴り合っておきたいじゃない?」
若葉『久遠さんっ』
陽乃「冗談よ。ごめんなさい」
模擬戦が言われている通り危険だと陽乃も分かっている。
しかし千景もやる気になっているし、
今の陽乃と千景の関係性を考えればはっきりするための方法としては必要な事でもある。
それは、若葉とひなたも分かっている。
だとしても――と、言うほどに陽乃の力が未知数なのだ
ひなた『若葉ちゃんがちゃんと見張って、絶対に止められるのなら私は仕方がないと思いますよ』
若葉『結局私の裁量なのか……?』
1、嫌なら高嶋さんに頼むけど……
2、もしあれなら、乃木さんが代行して模擬戦する?
3、必要なのよ。乃木さん
4、仲間内でまでごたごたしてるの、面倒くさいのよ
↓2
- 200 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/11(日) 14:57:53.16 ID:nf8XUZ0M0
- 3
- 201 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/11(日) 15:00:23.82 ID:icgh0BMzO
- 4
- 202 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/11(日) 15:30:23.85 ID:lSpetpW+o
-
陽乃「仲間内でまでごたごたしてるの、面倒くさいのよ」
ひなた『え?』
陽乃「あっ、えぇと……仲間同士でいつまでもいがみ合ってるのも。ね?」
ひなた『そう……ですね』
言葉が途切れて、少しだけ鎮まる。
外から聞こえてきていた虫の声も幻聴だったかのように無音で
さっきまで入り込んできていた夏の空気感さえも薄い
陽乃はスマホを耳から離して、胸を押さえる
どきどきとしているのが、伝わってくる
さっきのは間違いなく自分の言葉だった
自分で――
若葉『その考えには、私も同意です』
陽乃「っ……」
若葉『今は襲撃がないだけでいつ来るか分からない。なによりも長野で頑張っている白鳥に失礼だと思う』
若葉はそういうと、少し間をおいて
若葉『彼女が護ってくれている今、その大切な時間を仲間で睨み合って潰すなんて最低だろう……』
- 203 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/11(日) 15:41:48.06 ID:lSpetpW+o
-
若葉『だから、私はその戦いを見届けようと思います』
場合によっては介入を辞さない。と、
若葉はしっかりと付け加えて、宣言する
若葉『勇者のリーダーとして、承認します』
陽乃「……迷惑をかけるわね」
若葉『いえ、自分が不甲斐ないせいでそうせざるを得なくなっただけです。悪いのは私も同じでしょう』
本当に、リーダーには不向きだな。
そんな呟きが聞こえて、ひなたの切なげな声が聞こえた。
若葉『私に出来るのはせいぜいが責任を取ることのみ……久遠さんが真に勇者と認められてさえいれば』
陽乃「でも認められていない」
若葉『そうですが――』
陽乃「ですがも何も、そうなのよ」
若葉の顔が見えなくても
昼間のように口惜しんでいるというのが、何となく想像できる陽乃は
ベッドの上で膝を抱えて、目を瞑る
それは正しい。
自分の中には人々への憎悪が渦巻いている
そしてそれは時折顔を覗かせていて、虎視眈々と機会を窺っているようにも思える。
そんな人が真に勇者であるはずがなく
そんな人がリーダーとして先頭に立つべきではないと、陽乃は思う。
- 204 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/11(日) 15:56:58.97 ID:lSpetpW+o
-
陽乃「私は、大社も郡さん達も街の人達も認めがたい存在なの」
若葉『力が未知数というだけで――』
陽乃「それ以上の理由があるのを、見て見ぬふりは駄目」
言いがかり……だとしても、それは広がりきった毒である。
火のないところに煙は立たず、久遠家が人柱の家系であることは母も語る真実。
若葉がそうではないと思っていても
無視して良い問題ではないのだ。
ひなた『久遠さん、いつかきっと分かり合える日が来ますよ』
陽乃「……本当に?」
本当にそんな日が来る?
来るとは思えない
ひなたは陽乃達が生贄として放り出されていたことを知らない。
そのせいで、大勢の親族の命が失われたことを知らない。
その怒りと憎しみがあることを――
- 205 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/11(日) 16:00:53.46 ID:lSpetpW+o
- ↓1コンマ判定 一桁
0147 分岐
※それ以外は通常
- 206 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/11(日) 16:03:06.73 ID:nf8XUZ0M0
- あ
- 207 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/11(日) 16:28:02.34 ID:lSpetpW+o
-
陽乃は首を振って、考えを払う。
ひなたに怒鳴ったって何かが変わるわけではない
ただの八つ当たりにしかならないだろう。
陽乃「そうだと、良いけど」
ひなた『……本当、久遠さんのことを分かって貰えたらいいのですが』
若葉『そうだな……久遠さん。明日の模擬戦は了承しました。ただ、応援は出来ません』
陽乃「肩入れしちゃだめだものね」
陽乃は笑い交じりにそう言って、スマホを手放す。
スピーカーにしているので、若葉の声は聞こえる
若葉『どうか、深刻な怪我だけはしないようにお願いします』
陽乃「駄目でしょう? 怪我をさせないでください。じゃないと」
ひなた『このくらいはオッケーです。千景さんにも明日、改めて同じように言いますから』
陽乃「そう……じゃぁ、申し訳ないけれど宜しくね」
若葉『はい。おやすみなさい。久遠さん』
陽乃「ええ、乃木さんと上里さんもおやすみなさい。仲良くね」
ひなた『ふふふっ、お任せくださいっ』
ちょっとだけ弾んだひなたの声に、陽乃は微笑んで電話を切る。
- 208 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/11(日) 17:03:16.55 ID:lSpetpW+o
-
陽乃「はぁ……」
スマホを充電器に挿して、脇に置く
人々と分かり合えるとは思えない。
向こうが手のひらを返してきたとして、受け入れられる気がしない。
きっと、悍ましい何かに見えることだろうと、陽乃は顔を顰めた。
勝手に人柱にされ
命懸けで救える人を救い、助かって戻ってきたら恨まれて、悪意を向けられて
仲間であるはずの勇者に睨まれ
大社という組織に敵視される立場になってしまって
陽乃「駄目……だって、分かってるけど」
九尾の言葉が分かってしまう。
救う価値などあるのかと
命を賭ける意味があるのかと
陽乃「もう、寝た方が良さそうね」
これ以上は悪いことを考えてしまいそうで
陽乃は電気を消して、眠ることにした
- 209 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/11(日) 17:26:57.12 ID:lSpetpW+o
-
1日のまとめ
・ 乃木若葉 .: 交流有(長野、勇者優先、模擬戦)
・上里ひなた : 交流有(長野、勇者優先、苛立ち)
・ 高嶋友奈 .: 交流無()
・ 土居球子 .: 交流無()
・ 伊予島杏 .: 交流無()
・ 郡千景 .: 交流有(模擬戦)
・ 九尾 .: 交流有(処分拒絶、看破、存在の必要性)
√ 2018/07/30 まとめ
乃木若葉との.絆 55→57(普通)
上里ひなたとの絆 55→56(普通)
高嶋友奈との.絆 50→50(普通)
土居球子との.絆 40→40(普通)
伊予島杏との.絆 45→45(普通)
郡千景との.絆 25→24(悪い)
九尾との.絆 60→60(普通)
- 210 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/11(日) 17:33:48.56 ID:DpiNDEY4O
- 千景だけ絆の初期値が半分か…厳しいな
- 211 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/11(日) 17:47:15.33 ID:lSpetpW+o
-
√ 2018/07/31 朝 ()
01〜10 九尾
21〜30 友奈
31〜40 千景
41〜50 若葉 ひなた
81〜90 球子
↓1のコンマ
- 212 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/11(日) 17:48:40.68 ID:DpiNDEY4O
- あ
- 213 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/11(日) 18:05:51.97 ID:lSpetpW+o
-
√ 2018/07/31 朝 (寄宿舎)
いよいよ、千景との決戦の日がやって来た
やってきたと言っても昨日の今日なので緊張していたわけでもない。
普通に起きて、軽く体を伸ばして
自分の身体が身長くらいしか伸びしろがないことにちょっぴり苦笑いをしながら準備をする。
いつもと違うと言えば、朝から動きやすい恰好をしている点と
バンテージを手に巻いていることくらいだ
陽乃「問題は、なさそうね」
何度か握ってみても痛みなどはなく状態良好
二度ほど素振りをしてみても、伸びる痛みなどは感じないし、体の重さもない。
軽く足を踏み込ませてみても
ひきつったり、痛みが走ったりもしない。
仲間内の戦いだというのに、これでもかというほどに万全だった
- 214 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/11(日) 18:20:12.75 ID:lSpetpW+o
-
陽乃「手加減、出来るかしら」
ひなたにはああ言ったものの、
陽乃は手加減できるのならしたほうが良いと考えていた。
九尾の力が暴発する可能性があることも考えると、
思い切り振りぬくような本気ではなく、寸止めするような感覚でやっていけば
万が一何かがあっても抑えられると思っているからだ。
陽乃「……」
九尾の力がもし仮に……本当に勇者の力さえも討ち果たしてしまうものであるならば、
この戦い、陽乃は勝つべきではない。
勝てば陽乃の危険性は証明され、大社からの扱いはより厳しいものになる。
勇者達も、陽乃を邪険にすることはないと思うが
畏れを抱かせることになる。
ごたごたした蟠りが畏れ一本道になるので、楽ではあるが。
1、九尾に余計なことしないようにとくぎを刺す
2、勝つべきか負けるべきか問う
3、自分は大丈夫かと問う
4、模擬戦の場所に向かう
↓2
- 215 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/11(日) 18:26:23.83 ID:GZr7EZ1eO
- 千景下がってるじゃん…安価なら上か下
- 216 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/11(日) 18:31:11.19 ID:nf8XUZ0M0
- 1
- 217 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/11(日) 19:00:44.30 ID:lSpetpW+o
-
陽乃「九尾、どうせ聞いているんでしょう?」
声をかけると九尾の力が微かに揺らぐ
傍に居るはずだが返事はなく、しかし聞いてはいるということだろう。
陽乃「お願いだから余計なことはしないで頂戴」
幻惑の力や、力を使っていなくても強制的に力を使わせたりと
陽乃の手を離れた行使をしないようにと、釘をさす
陽乃「真剣なやり取りだから、邪魔をされたくないし……何より郡さんを殺したくない」
『くっくっくっ、処分するのじゃろう?』
陽乃「違うって言ってるでしょう?」
『じゃが煩わしいと……主様はそう思うておるのじゃろう?』
九尾の声が頭に響く
甲高く感じる九尾の声は心までも震わせるようなもので
しかし、それは喜ばしいものではない。
陽乃「私はっ」
『自分に手を出せばこうなると、敵意を抱いた末路を見せてやればよい』
陽乃「っ……」
『命を奪わずとも、しばし動けぬようにしてやればよかろう』
- 218 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/11(日) 19:16:45.12 ID:lSpetpW+o
-
陽乃「入院させるなんてそんなの……駄目よ」
『小娘一人欠けようが主様ならば容易に補えるであろう?』
陽乃「そんなことわからないじゃない」
『主様が真に力を使えば容易な事よ。無論、相応の代価を要するじゃろうが問題はあるまい』
陽乃「代価……?」
真に力を使うとはどういうことなのか
それに支払わなければならない代価とは何なのか
謎が深まるばかりの九尾は、喉を鳴らす
『四肢を砕いて傀儡のように捨ててしまえ。主様を悪とする有象無象に己の威を示せ』
陽乃「それこそ私が悪者になっちゃうじゃない」
『人間自らが浅はかであることを知らしめるには許容できよう』
出来るわけがない。
そう返す前に九尾は続けて
『憎み疎み害あるものとしていた主様がただ人であり、自らが狐の尾を踏んだことを生涯悔やませてやれば良い』
陽乃「そのために、郡さんを傷つけろって言うの?」
『人間が勇者とやらに求める尊き犠牲を出すだけのこと。バーテックスが行うか主様が行うかの違いでしかなかろう?』
- 219 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/11(日) 19:37:12.02 ID:lSpetpW+o
-
陽乃「ふざけないで!」
『ふむ……』
陽乃「尊い犠牲? それだけの違い? そんなわけないじゃない……」
九尾はからかっているわけではない。
本気でそう考えて言葉にしている。
九尾にとっては勇者である千景も人間の一人……有象無象の中の一つにすぎず
陽乃の障害を排除するための道具の一つにしか考えていないのだ。
勇者が一人欠けてしまう
そんなことは陽乃が生きていくうえでどうにでもなる些細な事象であると切り捨ててさえいる。
昨日、千景が生きていたほうが良いと言ってもなお……だ。
陽乃「私は一応、勇者とされているのよ……? ただでさえ悪者扱いされているのよ?」
『うむ。ゆえに、それが誤りであったことを示すのじゃろう?』
陽乃「貴女が言っていることをしてしまったら、私は乃木さん達にまで化け物扱いされるのよっ」
『手に余る存在を高位とし崇め、敬うこと。あるいは人智を超えたものとして忌避することは人間の生存本能であろう?』
陽乃「貴女……っ」
『問題があるかや? 軽んじられている立場を明確にした結果抱かれる畏れは正しかろう』
九尾は心から困惑しているかのように、息を吐く
『それが小娘共が乖離する要因となったところで害はあるまいよ。大社なぞ、小娘共が黙ればどうにもできまい』
それの何が問題なのか
それの何がいけないのか
九尾はまるで理解が出来ないと問うかのように、零した。
1、私は仲良くしたいの
2、駄目ね……貴女と通じ合える気がしない
3、それで得られる自由に意味はないわ
4、もういい……邪魔だけはしないで
5、そんなことをしたらお母さんが護って貰えなくなる。それだけは駄目
↓2
- 220 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/11(日) 19:39:14.27 ID:7vehyMzLO
- 1
- 221 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/11(日) 19:43:06.60 ID:JcxFzp+vO
- 3
- 222 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/11(日) 19:45:05.04 ID:lSpetpW+o
-
では少し中断いたします。
再開は21時頃を予定しています
- 223 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/11(日) 19:46:33.77 ID:JcxFzp+vO
- 一旦乙
西暦時代の九尾は尖りに尖っていらっしゃる…
- 224 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/11(日) 21:05:02.69 ID:lSpetpW+o
-
ではもう少しだけ
- 225 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/11(日) 21:16:54.29 ID:lSpetpW+o
-
陽乃「それで得られる得られる自由に意味はないわ」
『ほう?』
陽乃「ただ恐れが畏れとなって、バーテックスと同じような扱いになるだけでしょう?」
勇者でも屠ることの出来てしまう危険な力
それを持つ陽乃の気を悪くしてはいけないと、よそよそしくなって
自由にされるというよりは、放置されてしまうというのが正しいだろう
与えられるのは孤独感
陽乃が日々、独りでいようとしている今を突き詰めるのと同じ結果に至る
戦いが始まれば、陽乃の力は嫌でも知られていくのだから。
それでは何も変わらない。意味がない。
陽乃「そんな自由なら、郡さんを傷つけなくたって手に入る」
『それが人間にも向けられるということを示さねば、主様に首輪をつけることを謀るやもしれぬ』
陽乃「首輪って、私は――」
『化け物。と、人間は考えるのであろう?』
陽乃「ええ、そう。そんな化け物を手懐けようだなんて考えると思う?」
『そのための手段があるならば人間は手を出す。愚かよのう? 己らに勝機があるなどと夢幻に手を伸ばす』
九尾は笑う
深く……深く、心の底から嘲り笑う
- 226 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/11(日) 21:32:19.18 ID:lSpetpW+o
-
『主様は命を賭しても救う決意を抱かせる母上がおるのであろう? 人の手に落ちれば命を落とす儚きものを、守らせておるのだろう?』
陽乃「お母さんを……人質にするって。そんな、流石にそんなこと……」
『人間を、主様は信じるに値すると本気で考えられるような甘露に溺れているのかや?』
くつくつと、九尾は喉を鳴らして
『人間は主様らの命を持って救われると信ずるほどには、愚者であろう?』
陽乃「だと、しても……私が、郡さんを傷つけたところで得られる自由なんて」
『己らを害すると知り得た以上、主様を不快にさせる行いは出来ぬであろう』
仲間である勇者ですら、
暫く入院が必要なほどに打ちのめすこと
勇者ですら対抗しきれないほどに凶悪な力を持っていること
それを知ってしまったら、
人質が手元にあるという条件はむしろ悪手でしかないと悟るはずだろうと九尾は言う。
『至る先が同一であると言うならば、より利のある結果を得られるよう行動すべきではないのかや?』
陽乃「……ダメよ。意味がない。私が望んでる将来が遠くなってしまうだけだわ」
『煩わしいと、思うておっても?』
陽乃「私はそんなこと思ってないっ」
『ふむ……主様がそう言うのであればそうなのであろうな』
言葉ではそう言いつつ、
まったくそう思っていないといった声で九尾は吐き捨てる
呆れてしまったようにも感じられるその声は、陽乃の中に燻っている感情に触れた
- 227 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/11(日) 22:12:17.24 ID:lSpetpW+o
-
陽乃「知ったようなこと……言ってくれちゃって」
九尾は陽乃の心にまで入り込んでいないものの、常に傍に居る。
陽乃が言葉にしたことはもちろん、
全てを察していないと陽乃は信じたいが、口にしていないことも。
陽乃「郡さんを傷つけるなんて……」
九尾の言っている通りにしたら、言っている通りになるだろうか?
なる可能性は非常に高い
陽乃の力が勇者でも討てるのであれば、それは神樹様でさえも討てる可能性まで出てくる
陽乃を刺激することで神樹様を討たれる可能性を考えれば
母親の身を護り、絶対に害さない方が得策であると大社は考えてくれることだろう
けれどそれを実行してしまったら、終わりだ
陽乃は本当に化け物になってしまう
陽乃「……駄目よ。それだけは」
何度か握り拳を作って、大きく息を吐く
どきどきとする胸を押さえて、首を振る
これから千景との模擬戦を行わなければならない
なのに、千景を傷つけるか否かを考えてしまう
それは戦うには相応しくなくて、けれど今更取りやめることも出来なくて
陽乃は模擬戦を行うべく、千景たちがいるであろう場所に向かうことにした
- 228 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/11(日) 22:16:44.19 ID:lSpetpW+o
-
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日は可能であれば通常時間から
千景との模擬戦、勝敗分岐
- 229 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/11(日) 22:29:17.29 ID:k+Er9kFZO
- 乙
信じてやりたいけど九尾が本当に手を出さないでくれるだろうか…
陽乃さんにもメンタルケアしてくれそうな相方が欲しいなぁ
- 230 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/11(日) 22:37:12.36 ID:GZr7EZ1eO
- 乙
九尾がやベーやつ過ぎて辛い神世紀の300年間は重要だったんだな…こんなの病むわ
- 231 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/12(月) 00:15:19.77 ID:AoYL2BnxO
- 乙
はるのんがどんどん闇堕ちしてしまう……
- 232 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/12(月) 19:49:11.48 ID:eA8Rhf28o
-
では少しだけ
- 233 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/12(月) 19:51:31.37 ID:yq0NHy66O
- かもーん
- 234 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/12(月) 19:53:46.66 ID:eA8Rhf28o
-
元々用意された鍛練場を今回は模擬戦の場として使用することになっている。
朝からということもあり球子や友奈たちの姿はなく
見届けと状況によっては介入を行う若葉とひなたのほかには、千景と陽乃しかいなかった。
千景「……来たのね」
陽乃「逃げるわけにもいかないじゃない?」
自分から今日の朝に仕切りなおしを要求した以上、
やっぱり今日もやめましょう
そもそも、模擬戦なんてやめましょう
そんなことを言えるわけがない。
陽乃「郡さんは大丈夫? 早起きさせちゃわなかった?」
千景「心配無用よ」
陽乃「そう……」
千景は昨日と変わらない様子で答える。
持っていた木製の大鎌は畳むことも出来る大鎌へと変わっていて、
着ているのは陽乃にも支給されているジャージだ。
千景「貴女……その格好は正気?」
陽乃「甲冑着るわけにもいかないじゃない?」
若葉「それはそうですが、郡さんの大鎌に対してその恰好は少々……」
陽乃「バーテックスとの戦いでそんなことを気にする必要があるとでも思ってるの?」
- 235 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/12(月) 20:02:12.59 ID:eA8Rhf28o
-
若葉の心配してくれる気持ちも悪いわけではない。
しかし三年前、生身で戦い満身創痍へとなり果てた経験のある陽乃にとってはどうでもいいことだった。
若いのだから、女の子なのだから
無理や無茶から遠ざけられる日々から一転して、死地へと投げ出された。
陽乃「この体が切り刻まれたって関係ない。死ななければ問題はないもの」
生き残るためなら体がどれだけ傷つこうとも関係はないし、
腕の一本足の一本失おうと生きてさえいればそれでいい。
千景の大鎌は確かに対人において非常に危険な代物ではあるが、
切り刻まれようと切り落とされなければ許容範囲である。
陽乃「私だって鍛えているし勇者としての力も含めれば内臓の一つや二つは殴り潰せると思うわ」
若葉「久遠さん……」
陽乃「ぁっ……あぁ、ふふっ、例えの話ね。例えの」
若葉の焦りを感じて、陽乃は慌てて笑みを浮かべる。
過去のことを思い返したせいか
それとも先ほどまでの九尾との話があってか
陽乃は【それをするつもりであるかのように】語ってしまった。
陽乃「とにかく私は切り落とされなければセーフ、郡さんは殴られたら内側に障害が残るかもしれないって思っておいて」
- 236 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/12(月) 20:15:30.22 ID:eA8Rhf28o
-
ひなた「セーフ? え?」
若葉「ひなた……」
特に、顔を殴り飛ばしてしまうと大変な事になる可能性が高い。
勇者としての加護によって身体強化のみならず保護機能があるならどうにかなるかもしれないが、
無ければ一撃で意識を持っていかれる
それはもちろん、陽乃であっても首を落とされたら流石に死ぬ。
それは分かっているようで
若葉「両者ともに可能な限り喉や頭部、心臓などの致命的な攻撃は避けてくれ」
千景「胸でも刺さなければいいのね?」
若葉「あぁ、それは……」
陽乃「構わないわ」
若葉「勝敗は、相手への攻撃のヒットを得点として3点先取とする」
例外として気絶させた場合も勝利とし
危険と判断した場合には審判の介入及び制止によって、中断とする
中断の際の勝敗は、中断時点での得点によって定める
これによって、引き分けもある
ひなた「久遠さん、武器の有無は大きいハンデです。本当に良いのですか?」
陽乃「武器なしに郡さんが勇者の力を使えるとしても、近接戦では私が有利だもの。ちょうどいいわ」
ひなた「……分かりました。了承はしたくありませんが、若葉ちゃん。本当に、本当に宜しくお願いしますね。千景さん、久遠さんもです」
ひなたの悲痛さの感じられる願いが鍛練場に響く
- 237 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/12(月) 20:34:44.21 ID:eA8Rhf28o
-
1、先攻を譲る
2、先手を打つ
↓2
※同時判定
0 00 最悪
1、7、4 防ぐ
3、8、6 回避
5、9、2 命中
- 238 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/12(月) 20:35:20.33 ID:yq0NHy66O
- 1
- 239 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/12(月) 20:40:13.17 ID:RHB8nQXa0
- 1
- 240 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/12(月) 21:15:48.01 ID:eA8Rhf28o
-
陽乃「ふぅ……」
息を吐いて、心を落ち着かせる
ゆっくりと右手を前に出し、右側面を千景へと向けていく
そうして態勢を整えた陽乃は千景へと笑みを浮かべる
陽乃「……どうぞ。郡さん」
千景「馬鹿に、してるの……?」
陽乃「ううん、貴女の実力が見てみたいだけ……私の拳は、たった一度でも貴女の実力を奪ってしまうもの」
千景「っ」
千景のように鋭利な武器ではないが、陽乃の拳の一撃は重い
それは千景の内臓を破壊しない程度の物であっても
鈍い痛みを千景に産み落として、動きを鈍らせる
そうなったら、もう千景は本当の実力は出せなくなってしまう
千景「許さない……!」
陽乃「うん?」
昨日のことだってそうだ。
自分の方が上手だからと、わざわざ不利な条件での戦いを求めた。
ひなたや若葉が気にかけても、自分よりも千景が心配だと余裕を見せた。
見下されているとしか思えない。
取るに足らない程度のものでしかないと――
千景「馬鹿に――してッ!」
千景は陽乃に向かって勢いよく踏みこむ
- 241 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/12(月) 21:24:10.82 ID:eA8Rhf28o
-
勢いよく踏み込んで突っ込んできた千景は、勇者の力も合わさって非常に速く
手にしている大きな鎌が一閃の煌めきを描きながら陽乃へと迫っていく
飛び込むのではなく、駆け出してくる
陽乃の耳に、千景の足音は明瞭に聞こえてきていて
それがあとどれくらいで近づいてくるのかも……何となくわかる。
毛先がぴりつくような感覚は、九尾由縁の感覚だろうか
陽乃「ふっ――」
拳を固く握りしめる
右手前の姿勢をそのままに、ひと呼吸
そして――
陽乃「ったぁッ!」
ほぼ肉薄に近い距離にまで来た瞬間、
左足で踏み込むのと同時に、左手で大鎌を打ち上げる
千景「!」
若葉「なっ……」
踏み込んだ地鳴りが鍛練場に轟き、
武器を弾き飛ばされた千景の体が後ろへと仰け反る
- 242 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/12(月) 21:25:25.84 ID:eA8Rhf28o
-
↓1コンマ判定 一桁
0 00 最悪
1、7、4 防ぐ
3、6 回避
5、9、2、8 命中
※防ぐによる回避ー1
- 243 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/12(月) 21:25:53.56 ID:xFPSNZbV0
- ほい
- 244 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/12(月) 21:37:11.41 ID:eA8Rhf28o
-
陽乃「っはぁっ!」
陽乃はその勢いのまま右手拳を振り抜く
態勢が崩れ、鎌は弾かれ防御には回せない
確実に決まるであろうその一撃は――しかし、空を切った。
陽乃「あら……」
直撃の刹那に大鎌での防御を捨てた千景は、
大鎌の柄を鍛練場の床に突き立ててより酷くバランスを崩して陽乃の拳を寸前で躱し、
そのまま転がって距離を取ったのだ
千景「っは……はぁ……」
陽乃「驚いた……良い判断力だと思うわ。郡さん」
千景「……ばけ……もの……」
陽乃「ええ、そう思って向かってきてもらって結構よ」
千景の大鎌を拳で撃ち抜いての迎撃
そこから間髪入れずのストレート
二度の踏み込みの轟音は言葉の裏でゆっくりと静まっていく
当たれば致命傷
その言葉に嘘偽りはないのだと、千景は自分の額を拭った。
- 245 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/12(月) 21:43:44.45 ID:eA8Rhf28o
-
その一方で、
陽乃は本当に千景の実力を見誤っていたと……笑みを浮かべる。
大鎌を打った拳に痛みは感じられない
空ぶった拳にも感触は残っていない。
思いのほか勢いのあった一撃は、千景の隙を突いていたはずだった。
本当なら一撃入れての戦意喪失か、
戦意喪失に至らずとも鈍らせることくらいは出来ていたのに、
千景はそれを見事に回避して見せた。
決して弱くはない。
ゆえに――手加減は不可能だ。
陽乃「はぁ……ふぅ」
何度か拳を作って開いて、息を吐く。
千景が少しふらつきがちに立ち上がったのを見てから、もう一呼吸
陽乃「化け物は、待っていてはくれないのよ。郡さん」
千景「!」
一声かけて――陽乃は一気に距離を詰めた
- 246 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/12(月) 21:44:24.32 ID:eA8Rhf28o
- ↓1コンマ判定 一桁
0 00 最悪
1、7、4 防ぐ
3、6、2 回避
5、9、8 命中
- 247 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/12(月) 21:45:33.27 ID:yq0NHy66O
- あ
- 248 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/12(月) 21:47:20.43 ID:eA8Rhf28o
-
↓1コンマ判定 一桁
0 00 最悪
1、4 防ぐ
3、6、2 回避
5、9、8、7 命中
※防いだ分、防ぐ-1
- 249 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/12(月) 21:49:12.38 ID:1bQps36OO
- 千景強いな
- 250 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/12(月) 21:49:13.05 ID:RHB8nQXa0
- はい
- 251 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/12(月) 22:05:24.26 ID:eA8Rhf28o
-
陽乃の千景と違い、飛ぶように距離を詰めていく
床を一気に蹴り、最小限の減速で加速させていくその詰め方は、
千景にとってはほぼ一瞬の肉薄だった
千景「っ!」
陽乃「ってぇぁッ!」
目の前にまで迫った陽乃の、左拳
千景はそれを、大鎌の柄で受け止める
陽乃「!」
千景「っぁ……」
弾き飛ばされて、千景の体が仰け反って
けれど――二度目はないと千景は踏みとどまる
彼女は侮っている
見下している
それを無いものとして目を閉じ耳を塞いで閉じこもっても――勇者になる前と何も変わらないではないか
無かったことになどなるものか
痛みを覚え、言葉に俯き、悪意に震える
そのはずなのに。
それらを今でこそ受けているはずの人は――
千景「貴女は――ッ!」
千景は歯を食いしばって、叫ぶように大鎌を振るった
- 252 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/12(月) 22:16:31.56 ID:eA8Rhf28o
-
その一閃は陽乃の予測を大幅に超えて素早く、肌を切りつける
勇者の力があろうと生身に変わらない陽乃の左腕からは鮮血が迸って
ゆっくりと血が溢れて流れ出していく。
大怪我というには浅く、すぐに血が止まる程度の傷
けれど、確かな一撃だった。
千景「はっ……はぁ……」
陽乃「ん……」
左の腕の部分。
千景につけられた傷を陽乃はぺろりと舐める
流れる血は、三年前に嫌というほど味わった頃と変わらない。
逆流していく胃液の不快感がない分、美味しいとさえ感じられるようで
陽乃「ははっ……あはははははっ」
千景「!」
若葉「久遠さん?」
陽乃は思わず笑ってしまう。
とても高く、響くように
体が熱い……傷なんて気にならないほどに昂っている
- 253 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/12(月) 22:17:35.55 ID:eA8Rhf28o
-
↓1コンマ判定 一桁
0 00 最悪
1〜3 悪い
4〜9 回避
ぞろ目 回避
- 254 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/12(月) 22:20:08.61 ID:yq0NHy66O
- あ
- 255 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/12(月) 22:23:15.35 ID:AoYL2BnxO
- あ
- 256 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/12(月) 22:23:56.91 ID:eA8Rhf28o
-
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
※戦闘継続
※陽乃:千景=0:1
- 257 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/12(月) 22:26:56.18 ID:1bQps36OO
- 乙
これは絶対にアカン
- 258 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/12(月) 23:20:08.56 ID:yq0NHy66O
- 乙
このシリーズのコンマバトルは一方的な戦いになることって少ないよね
でも早くも陽乃さんが暴走しそうで心配だなぁ…
- 259 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/13(火) 00:15:38.24 ID:1EMEJy1/O
- 乙
激しい戦いになってまいりました
- 260 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/13(火) 20:47:31.65 ID:K1T9F41ko
-
では少しだけ
- 261 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/13(火) 20:48:52.79 ID:K1T9F41ko
-
陽乃「ぜんっぜん……駄目ね」
三年前、バーテックスと戦った陽乃は満身創痍になり果てていた。
体中を傷だらけにしながら失血死するほどの血を流し、吐いて
それでもなお立ちふさがって向かい来る人智を超えた化け物を殴り、蹴り討ち果たし続けた。
それに比べれば、たった数センチの裂け目など気にもならない。
ましてや流れ続ける様子もなく、手当もなしに血が止まってしまうほどのもの。
これでは軽傷とさえ言いたくない。
陽乃「……ねぇ、それで私を殺せるの?」
千景「なにを……」
陽乃「貴女にとって私はバーテックスと同類なのでしょう? なのに、この程度、たったこれだけ? それで本当に討てると思っているの?」
千景「っ……」
陽乃「貴女――戦ったこと、無いでしょう」
陽乃は自分の体の傷を舐めて、舐めて
そうして……千景につけられた傷はまるでなかったかのように綺麗さっぱり消えていく。
それは人間というよりも、獣めいた傷の手当だった。
若葉「久遠さん……なのか?」
陽乃「ほかの誰かに見えるの? 大丈夫、私は私よ」
- 262 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/13(火) 20:52:13.02 ID:KXO/Djh8O
- 陽乃さんコワイ…
- 263 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/13(火) 21:01:25.06 ID:K1T9F41ko
-
若葉「だが……」
若葉は自分の腰元の刀の柄を握りしめながら、陽乃を見据えて身構えていた。
見た目は陽乃に相違ない
しかしながら空気がまるで違うように感じていた。
それはかつての異形でさえ劣るほどの畏れを抱かせるような何かで、
本能が居合の構えを取らせながら、体を震わせている。
ひなた「……若葉、ちゃん」
若葉「分かっている……分かっているが」
ひなたの手が、若葉の裾を掴んで離さない。
それは、あれを止めなければならないという責任感と、
行けば殺されてしまうのではないかという恐怖とが入り混じっていて
ひなた「おそらく……ですが、あれは九尾様の御力です」
若葉「九尾様……あれが、か?」
ひなた「久遠さんが傷ついたことで千景さんを敵としたのか、あの傷が久遠さんの悪い面を呼び覚ましてしまったのか分かりませんが……」
ひなたは陽乃から目を離せなかった。
神様とは違う、悍ましい恐ろしさに立っていることさえできそうになくなりそうなほどで。
大社は陽乃を化け物と言うことはあったが、これでは本当に化け物と呼ばれてもしかたがない。
- 264 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/13(火) 21:15:12.52 ID:K1T9F41ko
-
陽乃「もっと深く……殺しに来てくれないと駄目だわ」
若葉「殺しに行くのは駄目です!」
陽乃「……そうしないとバーテックスは倒せないわ」
若葉「久遠さんはバーテックスではない!」
ひなた「そうですよ……久遠さんは久遠さんです」
陽乃「ふふふっ」
確かに陽乃はバーテックスとは違う
しかし、バーテックスが化け物であるならば
同じく化け物と呼ばれている陽乃もまた、バーテックスと言えてしまう。
この戦いは単なる模擬戦ではない。
勇者の力を使い、己の力を示す戦いなのだ
勇者が討つべき相手がバーテックスであるのなら、
それに通ずる陽乃は殺すつもりで挑んでいかなければならない。
陽乃「ただの模擬戦だから。だなんて思っているの? ねぇ、忘れちゃった? あの日――私達は戦いから最も遠かったのよ?」
千景「っ……忘れてなんて――」
陽乃「ううん。だとしたら殺意が足りない。憎く疎ましく苛立たしいこの私に対して……手心を加えすぎている」
1、もしかして――私が殺すつもりでいくべきなのかしら?
2、あの日……貴女は命の重さを感じられなかったのね
3、やる気がない勇者なんて、要らない。わよね?
4、少しだけ、化け物を感じさせてあげるわ
↓2
- 265 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/13(火) 21:16:59.71 ID:Vg0Rpyu90
- 1
- 266 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/13(火) 21:20:07.89 ID:KXO/Djh8O
- 2
- 267 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/13(火) 21:47:41.51 ID:K1T9F41ko
-
陽乃「あの日……貴女は命の重さを感じられなかったのね」
千景「私は……」
陽乃「目の前にあった命、守れるはずだった命……それが、瞬きする間にも奪われていくのを。貴女は知らないのね」
陽乃は笑みを浮かべず、悲し気に零す。
陽乃は多くの命を取りこぼした
守れるだけの力がありながら、守り切ることは出来なかった。
それを知らないのは幸福だ
しかし、それを知ることが出来なかったのは不幸だろう。
陽乃「貴女は勇者なのだから。それを知らなければいけないわ」
千景「貴女は……何者なの……」
陽乃「ふふふっ、貴女達にとっては化け物ね」
陽乃はにっこりと満面の笑みを浮かべて答える
大社からも、勇者からも、人々からも
どうしようもなく疎まれている一人の【化け物】だ。
陽乃「さ――ほら、武器を取って構えて?」
千景「っ」
陽乃「でないと私……貴女を殺してしまうから」
- 268 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/13(火) 21:51:19.26 ID:K1T9F41ko
- ↓1コンマ判定 一桁
0 00 最悪
1、4 防ぐ
3 回避
2、7 若葉
5、9、8、6 命中
ぞろ目 若葉
- 269 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/13(火) 21:52:40.68 ID:KXO/Djh8O
- あ
- 270 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/13(火) 22:06:57.58 ID:K1T9F41ko
-
陽乃「ふふふっ」
陽乃は笑みを浮かべ――踏み込む
摺り足程度の浮遊感
しかし踏み込む力は限りなく強く
軸足とした右足が浮ききる前に、差し出した左足のつま先で勢いを押し上げていく
そして――右拳で千景を撃ち抜く
陽乃「ふ――っ」
千景「ぁ゛っ」
構えてくれないと殺してしまう
それは、構えようが構えまいが攻撃するという宣言に他ならない。
千景もそれはすぐに分かった
陽乃が本気で殺しに来るのかどうかはともかくとして、
攻めに転じてくるのだと
けれど――足が動かなかった。
動くべきだと頭では分かっていたのに、体はどうにもならなかったのだ。
千景「あっぅっ」
踏み込んだ床鳴りさえも遠く感じるほどに、痛みに体が持っていかれる感覚
呼吸が止まって、意識が消えかけた瞬間
腹部にめり込んでいた拳が、まだ終わっていないと言わんばかりに振り抜かれる
- 271 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/13(火) 22:16:15.34 ID:K1T9F41ko
-
千景「ぅ゛あっ」
殴り飛ばされた千景は受け身を撮れずに床へと衝突した勢いのままに転がって
握っていられなくなった大鎌が千景の手を離れて乾いた音と共に滑っていく
床へと倒れこんだ千景はうめき声を漏らしているので、死んではいない。
それを確認した陽乃は殴った右こぶしを軽く振り、何度か握って軽く頷いた
陽乃「郡さんって柔らかいのね」
若葉「郡さん! 郡さん平気か!?」
千景「ぁ……っ……かはっ……はっ……は……ぅ゛」
殴り飛ばされ転がったままの千景に若葉が駆け寄ると、
押しつぶされた内臓の鈍痛と圧迫感に苦しそうな声を漏らしつつ、差し出された手を払う
長い髪が床へと垂れ、千景の顔は見えなくなってしまっていたが
それでも陽乃は視線を感じた。
若葉「もうここで――」
千景「ふざけ……ないで……」
若葉「郡さん!」
千景「邪魔しないで……!」
若葉「だが……」
千景「まだ、やれるわ……あんな人に……負け……られないっ」
- 272 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/13(火) 22:35:51.92 ID:K1T9F41ko
-
飲み込めない唾液を口元から滴らせ、
何度も崩れながら、震える足で立ち上がっていく千景は
ふらつく足取りで大鎌を拾うと
それを支えにして……陽乃へと向かって立って見せる
千景「はっ……はぁ……はっ、っ」
息を飲み、口元を袖で拭う
まだ整わない呼吸を無理矢理に抑え込んで顔を上げると
心配そうに立っている若葉を一瞥する
千景「平気……」
若葉「本当に平気なのか?」
千景「問題ないって言っているでしょう……っ!」
怒鳴って、腹部を押さえて崩れてしまう
それでも若葉が駆け寄ろうとすれば大鎌を振るい、
立ち上がって――
千景「負け……ない……!」
千景は痛みを堪えながら、全力で踏み込んでいく
鈍ってしまっていても、それは勇者の歩みだった
- 273 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/13(火) 22:41:57.06 ID:K1T9F41ko
-
↓1コンマ判定 一桁
0 00 最悪
1、7、4 命中
3、6、2 回避
5、9、8 反撃
ぞろ目奇数 九尾
- 274 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/13(火) 22:44:20.83 ID:Vg0Rpyu90
- あ
- 275 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/13(火) 22:49:43.28 ID:K1T9F41ko
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
※戦闘継続 (判定次第で中断)
※陽乃:千景=1:1
- 276 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/13(火) 22:57:23.03 ID:KXO/Djh8O
- 乙
今の陽乃さんは九尾に乗っ取られてるのか自分の意思なのか…
いずれにしても早めに終わらせないと千景が危ないな
- 277 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/14(水) 01:49:44.55 ID:bQ7NvF6MO
- 乙
もはや勝敗関係なくドン引きさせてるんだが大丈夫かはるのん?
- 278 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/14(水) 19:23:36.50 ID:sjJFEquno
-
では少しだけ
- 279 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/14(水) 19:27:21.44 ID:GovKvKupO
- おk
- 280 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/14(水) 19:27:29.54 ID:sjJFEquno
-
陽乃「……それじゃ、駄目じゃない」
駆け込んでくる千景を見定め……そして、陽乃は何事もないかのように回避する。
千景「っ」
振り切られた大鎌は陽乃に掠りさえせず、
その勢いを戻しきるほどの余力がなかったのか
大鎌の先端はそのまま床に突き刺さって、千景を躓かせてしまう
勇者とはいえ、同じく勇者に匹敵する力を持った陽乃の一撃が相当に重かったのか
あるいは、陽乃の使う九尾の毒素によるものか。
千景は被弾前の実力を出し切れていない。
陽乃「本当に勇者なの? もしかして、勇者を騙るただ人なの?」
千景「違う……!」
陽乃「だとしたら、どうして……倒れてしまうのかしら?」
苦しそうに呻きながら、
大鎌を支えに立ち上がろうとしている千景を、陽乃は見下すように見つめる
その瞳は赤々としていて、感情を感じさせない
- 281 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/14(水) 19:42:27.16 ID:sjJFEquno
-
陽乃「痛いから? 苦しいから? たったそれだけの感覚に落ちてしまうほど、貴女は弱いのかしら?」
若葉「久遠さん言いすぎです!」
陽乃「過ぎている……? 事実を口にするだけで過ぎてしまうのなら、それはその人の線引きが甘いのよ」
若葉「人には得手不得手がある。なにより、貴女が言うように初めてなら痛みに強くなくとも仕方がない!」
陽乃「そうなの? 貴女もそうだったの? あの星降りの夜、貴女は受けた痛みに折れてしまったの?」
笑みを浮かべているのに、全く油断が出来ない
人ならざる者であるかのような威圧感
陽乃は決して大声ではないが、そのやや高まっている声色は鍛練場に強く響いて
若葉とひなたは思わず足を下げてしまう
若葉「私だって、バーテックスによる攻撃から立ち上がる余力なんてなかった……」
陽乃「勇者の力があっても?」
若葉「それは……」
若葉はバーテックスの一撃を受けて立ち上がれないほどの痛みに敗北しかけたが、
ひなたの導きによって触れた刀……生大刀と神の助力によって
若葉はもう一度立ち上がり、守れるだけの命を死ぬ気で守り抜いた。
若葉は折れかけたが、折れることはなかったのだ。
陽乃「そう。勇者の力があればこの程度では折れない。折れてはいけない。これで折れる程度なら……不要だわ」
- 282 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/10/14(水) 20:14:21.33 ID:sjJFEquno
-
ひなた「勇者であっても身も心も人なんですよ!」
陽乃「だから?」
ひなた「え……?」
陽乃「ねぇ乃木さん。貴女の刀がたった一度の鍔迫り合いで折れてしまう程度の贋作でも使おうと思える?」
若葉「郡さんは道具じゃない」
陽乃「大社にとっては戦争の道具であり、人間にとっては守ってくれる兵器でしょう?」
陽乃はまるで子供のように「ん〜?」と、不思議そうに声を漏らす。
悩ましそうなそぶりを見せてはいるが、分かっていないわけではない
若葉とひなた……そして千景を煽ろうとしているだけだ。
陽乃「その勇者がこれではね。乃木さんのような人の足を引っ張る枷でしかないのなら……邪魔だと思わない?」
陽乃はそう言いながら、何度か握り拳を作っては開いて微笑んで見せる
しかしやはり、その笑みは恐ろしく安心を生まない
千景に対して、陽乃は殆ど感情を抱いていないように見える
危険なことを言っているのに、殺意も敵意もない
ただただ、その先に行くのに邪魔な障害物としか思っていない
千景「貴女は……私を、役に立たないって……」
陽乃「ふふふっ、順番通りなら次は私が攻める番よね?」
若葉「待ってくれ……今の貴女は正気に見えない。ここで終わりだ」
1、過保護は良くないわ
2、別に二人相手でもいいのよ?
3、止めたければ……分かるでしょう?
4、正気に見えない? だったら何に見えているのかしら?
5、別に良いけれど、この子が私に噛みつかないように躾けるって約束できる?
↓2
- 283 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/14(水) 20:17:06.19 ID:qySLPHFeO
- 3
- 284 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/10/14(水) 20:20:17.77 ID:IJsz4iHP0
- 4
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