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【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【4頁目】

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121 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/12(土) 22:28:18.61 ID:mX/01jiEO
122 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/12(土) 22:50:29.09 ID:UJhl3x3So

水都は、一度開きかけた口を閉じて、

茶器の底にわずかに残ったお茶で濁す。

水都「本当に、絶対ですか?」

陽乃「ええ」

水都「向こうからこっちに来た時、倒れたのに?」

陽乃「あの時と今では違うもの」

今の体なら、九尾に乗り続けたって

暫く戦っていたって、気を失うほどの影響はないはずだ。

イザナミ様の御力を借りてしまうとその限りではないが、

それを使うのはたぶん、他に誰もいないときに限定するから。

陽乃「なに? 私が死ぬとでも思ってるわけ?」

水都「……思ってると言ったら、怒りますか?」

陽乃「醜態を晒した以上、怒ることは出来ないと思ってるけど」

陽乃はそう言って、水都をじっと見る

陽乃「思われてるのは心外だわ」

水都「仕方がないじゃないですか。今まで、そうだったんですから」
123 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/12(土) 23:08:04.39 ID:UJhl3x3So

水都「……」

だから無理をして欲しくない。

そう言ったところで、陽乃は止めたりはしてくれない

無理に帰るか、

救援を期待して待つか

どちらが楽かなんて、考えるまでもないことのはずなのに、

陽乃は迷わず、向こうに帰ることを選んだ。

水都「陽乃さん」

陽乃「なに?」

水都「だったら、全員は諦めるしかありませんね」

陽乃「貴女……」

陽乃が目を見開いたのを見て、水都はぐっっと噛んだ唇を放す。

水都「話、聞いたんですね」

水都は、悲し気な笑みを浮かべがら言う。

住民のみんなはもう、四国に行くかどうかの話を聞いている。

何度も話して、考えて貰って、答えを出してくれている。

そこに陽乃のあの姿を見てしまっては、水都達が避けたかった方向で決心してしまう人も少なくなかったはずだ。

水都「以前にもお話しましたけど、ここに残るつもりの人はいました。
    でも、それ以上の人たちまで、自分たちはここに骨を埋めたいんだって、答えを変えて……」

陽乃「……」

水都「無理矢理連れ出しても足を引っ張るだけになると思うので……安全を考えるなら置いていくしかありません」
124 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/12(土) 23:29:47.85 ID:UJhl3x3So

水都「さっき、囲んでいた人達はみんなそう……陽乃さんとうたのんのことを考えて、ここに残ることを決めた人たち」

陽乃「そう。だから?」

水都「諦められますか?」

陽乃「諦めるの意味が分からない」

陽乃は、まっすぐ水都を見る。

何を言いたいのかと、やや、不機嫌になっているように感じるそれを、

水都は避けることなく、受け止めて。

水都「出て行くってことは置いていくってことなんです。あそこで、話していた人たちを――」

陽乃「本人が望んでるならそれでいいじゃない。諦めてる人達を助けてあげるほど、私は勇者じゃないし」

水都「本当にいいんですか?」

陽乃「……私に聞かないで」

いいかどうか聞かれても困る。

その決定は陽乃にはできない。

本人がそうすると言っているのなら、それまでだ

陽乃「駄目だと思うなら説得したらいいじゃない。任せるわ」

水都「……なら。いつ。戻るつもりなんですか?」


1、9月半ば(9月8日目)
2、9月後半(9月14日目)
3、10月前半(10月1日目)
4、10月半ば(10月8日目)
5、10月後半(10月14日目)
6、その他


↓2
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/12(土) 23:31:36.11 ID:A6VBWPDb0
3
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/12(土) 23:38:17.90 ID:Qag9kqp0O
4
127 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/12(土) 23:43:00.96 ID:UJhl3x3So

では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であればお昼ごろから
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/12(土) 23:54:42.30 ID:Qag9kqp0O

住民についてはもう説得次第か…
あといつの間にかみーちゃんが陽乃さんを名前で呼ぶようになってるな
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/13(日) 02:48:56.29 ID:dyBkTphUO

今まで耐えてようやくここまでいい方向に向かってきてて後味の悪い結果になるのは嫌だなあ
130 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/13(日) 15:50:44.26 ID:mpTeSUYQo
では少しずつ
131 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/13(日) 15:51:39.34 ID:mpTeSUYQo

陽乃「10月半ば(10月8日目)には、四国に向けてここを発つわ」

水都「1ヶ月の猶予をくれるんですね」

陽乃「実に好意的な解釈ね」

水都「正直、9月中に発つって言うと思ってました」

今はまだ、9月初め

来週、再来週……9月末

今週末と言われる可能性だって、水都は考えていた。

だけど、陽乃は一月後を指定した。

それだけの時間、救援を待つことが出来る

人々を説得することが出来る。

決して長くはないけれど、短くもない。

陽乃「準備する時間だって必要でしょう? 今すぐ発つだなんていわれても困るじゃない」

水都「置いていく気は、ないんですね」

陽乃「言葉の綾よ」

水都「ふふっ……そうですね。言葉の綾です」
132 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/13(日) 16:41:41.46 ID:mpTeSUYQo

水都「陽乃さんの考えは解りました。うたのんにも、その予定で話します……というか、陽乃さんも一緒に話した方が良いですよね? うたのんはたぶん、文句を言ったりはしないと思いますけど、念のため話し合いしましょう」

陽乃「どうせ貴女と変わらないんだから、私が話す意味なんてないんじゃない?」

水都「駄目です」

大雑把に手を振って払う素振りを見せる陽乃に、水都は強く言い返す。

確かに、歌野も水都と考えは似ている。

水都から報告したって、歌野が気を悪くすることもない。

だけど、

ただでさえ話す機会を葬ろうとする中で、

一応は重要な話なのだからと、引っ張り出せるこの話は大事だ

水都「うたのんだって、何か言いたいことがあるかもしれないので」

陽乃「それを聞くのが億劫だって私の気持ちを酌んではくれないのね」

水都「大事な話ですから」

陽乃「……そう」

水都は、相変わらず笑みを浮かべている。

突き放し、拒絶し、

そして今、多くの人々を見捨てる決断をした陽乃を、

しかし、水都は穏やかに見ている。

その好意的な視線を、陽乃は不快に思う。
133 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/13(日) 16:47:45.17 ID:mpTeSUYQo

陽乃「気が向いたら話すわ」

水都「お夕飯の時で良いじゃないですか」

陽乃「嫌よ。食事が美味しくなくなる」

水都「なら、お風呂の時はどうですか?」

陽乃「1人で入るから」

水都「広いんですから、いいじゃないですか」

最低でも、5人6人は入れるような広さの浴室。

1人独占できるというのも気持ちは良いけれど、

仲良く入るのも、修学旅行みたいで楽しいと言ってたのは、球子だったか。

陽乃「貴女ね……私が何も言わないからって、調子に乗らないで」

水都「言われてはいますよ……ただ、めげても仕方がないと思っただけです」

どさくさに紛れて、陽乃さん。と呼び始め、

特に何も言われないから、

そのまま変えていない水都。

それが誤解を生んでいるならと目を鋭くさせた陽乃に、やはり、水都は笑みを浮かべた。

水都「私は、陽乃さんと親しくなりたいです」
134 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/13(日) 16:56:03.47 ID:mpTeSUYQo

√ 2018年 9月3日目 夜:諏訪

01〜10 歌野
23〜32 水都
89〜98 九尾

↓1のコンマ

※それ以外は通常
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/13(日) 17:00:10.05 ID:NVrC0iHcO
136 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/13(日) 17:12:45.55 ID:mpTeSUYQo
√ 2018年 9月3日目 夜:諏訪


陽乃「はぁ……」

陽乃のため息が、湿気に圧し潰されて広い空間に小さく木霊する。

1人で使うには広すぎる浴室。

朝と違って、温かさに包まれているからか、

湯気と湿気に満ちている空間は、

ほんのりと息苦しさを感じさせるが、体に大きな異常は感じられない。

今朝のように、血を吐くことはないだろう。

――だけど。

陽乃「どうしてついてきたのよ」

歌野「良いじゃない。たまには」

陽乃「……確かに貴女が来るのは珍しいけど」

広い浴室に、大きな浴槽

建築資材に詳しくはないので、これが実際にそうなのかは知らないが、

木製の……檜でできているかもしれない縁の部分に、陽乃は爪を立てながら、歌野を一瞥する。

歌野「みーちゃんばっかり相手にして……狡いわ」

陽乃「何言ってるのよ」
137 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/13(日) 17:25:04.90 ID:mpTeSUYQo

歌野「良いじゃない。相手にしてくれたって」

陽乃「……知ってるでしょ。私はそういうの好きじゃないの」

歌野「残った二人の勇者だから、仲良くした方が良いと思うわ」

そうでなくても、力のつながりがある。

歌野が陽乃に依存しているような力関係だが、

陽乃の身体的ダメージの感覚の一部が歌野に伝わっていたりと、

その制御は陽乃自身にもしきれていない節がある。

歌野「久遠さんが人にどれだけ嫌な思いをしたかは知らないけど、でも、私達は二の轍を踏まないって約束する」

歌野はそう言って、

疲れを癒すかのような溜息をこぼしながら、

ずるずると浴槽の中に体を忍ばせていく

歌野「一蓮托生って、言ったじゃない」

陽乃「私は言った覚えないわ」

歌野「そうね」
138 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/13(日) 17:41:11.03 ID:mpTeSUYQo

歌野「10月半ばで、本当にいいの?」

陽乃「遅すぎるって言いたいの?」

歌野「そうじゃないけど、行こうと思えば今月中だって可能だわ。聞いてたとは思うけど、9月末ごろに出る予定で準備していたから」

かなりの規模の行進予定だったから

その分、準備だって早々に始めておく必要があった。

持ち運び出来て、保存も利く

賞味期限に目をつぶるとして、消費期限に重視した携帯食料だとか。

持っていく総量も減少したから、

最悪、今週末と言われてもどうにかなる状態ではあったのだ。

歌野「なのに、一ヶ月も時間をくれたじゃない? 期待はしていないみたいだけど、みーちゃんと私の意を酌んでくれたみたい」

陽乃「……私が準備をしたいだけよ」

歌野「体の調子が悪い?」

陽乃「違うわ」

陽乃の迷わない否定に、歌野は小さな笑い声を上げる。

ばしゃんっと音がしたかと思えば、

歌野の上半身が湯船から出ているのが見えた。

歌野「今朝、ちょっとだけ痛みを感じたの……残念だけど、久遠さんの体について、嘘は通用しないわ」

陽乃「自分のことだとは、まったく思っていないのね」


1、そうよ。まだ少し残ってる
2、気のせいよ。私じゃないわ
3、貴女は聞いたの? 残留希望者の話
4、貴女、鍛練する気はある?
5、そんな話のためについてきたの?


↓2
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/13(日) 17:44:42.43 ID:oVVv1fNY0
3
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/13(日) 17:45:03.56 ID:NVrC0iHcO
1
141 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/13(日) 17:54:33.11 ID:mpTeSUYQo

陽乃「そうよ。まだ残ってる」

陽乃は諦めて、答える

つながりがあって、それが実際に伝わってしまっている以上

ここで嘘をついたところで、何の得にもならない

陽乃「今は平気だけど、朝は血を吐いた」

歌野「どうして、何も言わなかったのよ」

陽乃「いう必要なんてないじゃない。気を失ったわけでもないんだから」

歌野「だけど、体が」

陽乃「今更でしょ」

一応は回復しているし、どこかが壊れたままというわけじゃない。

ただ、まだ残っていた穢れのようなものが、

神聖な儀式によって排出されたようなものだった。

だから、別に、報告が必要なほどのものではないと、陽乃は思って。

歌野「やめて」

陽乃「……」

歌野「そういうの、隠さないで」

陽乃「なによ。能天気な笑顔はどうしたの?」
142 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/13(日) 18:07:03.40 ID:mpTeSUYQo

歌野「久遠さんは私のことをポジティブで、土居さんみたいに快活だって思ってるかもしれないけど。怒るときは怒るし悲しむときは悲しむし、怖いものは怖いし……嫌なものは嫌だって言うのよ」

陽乃「それが今?」

歌野「久遠さん、どこまで自分をないがしろにしているのよ……昨日だってそう、あんな大きな力使って!」

陽乃「必要だから使ったのよ。ないがしろにしてるわけじゃない。現に、こうして無事――」

歌野「血を吐くような体を、無事とは言えないわ!」

歌野が叫び、いきり立つ

湯船が大きく乱れ、波立って、浴槽のふちからお湯が一気に流れていく

どこか後ろめたさを感じたのか、視線をさまよわせながらもう一度湯船につかった歌野は

言えないから。と、小さな声で言う。

陽乃「なに?」

歌野「みーちゃんの気持ちがよーくわかったわ」

陽乃「そう……自覚できてよかったじゃない」

歌野「それはそれ。これはこれだわ。久遠さんは自分をもっと大事にした方が良い」
143 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/13(日) 18:19:46.84 ID:mpTeSUYQo

歌野「だから、もう少し私達を頼って頂戴」

歌野は自分の胸に手をあてて、ぐっっと張って見せる。

陽乃の持っている力に比べれば、確かに他は頼れるものではないかもしれない。

だが、歌野は特に、陽乃とのつながりがある上に、

戦闘の経験でははるかに上回っている。

力の底上げとなる九尾達の力を除いたら、陽乃は歌野に勝ち目がないだろう。

戦力としては申し分ない

むしろ、それに値するから、ここに来たのだ。

だけど、歌野の申し出はその限りではない。

戦力としてはもちろん、

それを関係なく、人として頼って欲しいということだろうと、陽乃は黙る。

少しでも傷つかずに済むために、

少しでも落ち着くことが出来るように

信じ頼って欲しいと歌野は言っている。

そして、水都は言っていた。

歌野「そうしてくれるまで、私達は何度だって繰り返しちゃうんだから」

歌野は、ご要望の笑顔よ。とでもいうかのように笑顔を見せた。



1、お断りよ
2、考えておいてあげる
3、不幸になるわよ
4、何も言わない

↓2
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/13(日) 18:26:50.57 ID:C3Bt1bQwO
2
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/13(日) 18:27:26.43 ID:oVVv1fNY0
3
146 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/13(日) 19:32:39.17 ID:mpTeSUYQo

陽乃「不幸になるわよ」

歌野「あら。壺でも買わないとダメかしら」

陽乃「冗談じゃないのだけど」

今はまだいい。

だけど、向こうでも今と同じように陽乃のそばにあり続けるということは、

大衆の意志に反する行為に等しい。

そんな勇者は反感を買う

そんな人々は迫害を受けるかもしれない。

だから、不幸になるのは間違いがないはずなのに。

歌野「知らない」

陽乃「……」

歌野「不幸になんてならない。だって、久遠さんのそばにいられるだけで幸せだもの」

陽乃「馬鹿じゃないの? 分かってるでしょう? 私の境遇」

歌野「私達を連れ帰った実績があれば、久遠さんを守れる。だれにも文句は言わせない。貴女が勇者であることを、誰にも否定させないわ」
147 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/13(日) 19:57:38.67 ID:mpTeSUYQo

陽乃「無理よ」

歌野「だとしても、押し通すわ」

無理だというなら無理かもしれない。

だけど、だからってその歩みを止める気はないと、歌野はきりっとしている。

陽乃が諏訪から人々を連れ帰ってきたという実績さえあれば、

そんな無理など押し通せると信じて疑っていないようだ。

陽乃「……馬鹿みたい」

歌野「馬鹿で良いじゃない。その方が、気が楽になるから」

歌野は楽しいことでもあったかのような笑顔で言って、

ぐぐっと、体を伸ばす。

歌野「久遠さんは真面目過ぎるのよ。たまには、もう知るかーっ! って、叫んでふて寝しちゃったって良いんだから」

陽乃「土居さんを参考にされても困るわ」

歌野「あはははっ土居さんだなんて言ってないのに」

声のトーンは確かに、それっぽくしたけれど。

なんて、歌野は笑う

歌野「私は久遠さんの半身みたいなものよ。だから、頼って頂戴」
148 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/13(日) 20:19:22.26 ID:mpTeSUYQo

明るい雰囲気のままに、

歌野はもう一度、まじめなことを言う。

歌野「その信頼に報いると誓うわ。だって、この力は久遠さんから与えられているものだもの」

陽乃「信頼って言われてもね」

歌野「してくれてないの? こんな裸の付き合いだってしてるのに」

陽乃「したくてしてるわけじゃないから」

勝手についてきて、

勝手に一緒に入っているだけ。

だから、付き合いをしているわけじゃないと陽乃は否定をしたが、

歌野は「ふぅん」と、含みのあるつぶやきを漏らす

歌野「なら、みーちゃんとはしてるってことで良いわよね? 勝手について行ってるわけじゃないんだから」

陽乃「それとこれとはべつよ」

朝の沐浴のことだろうと判断して、陽乃は首を振る

陽乃「あれはそういう考えで行うことじゃないから、関係ないわ」

歌野「もう……またそうやって受け止めてくれないんだから」

歌野はちょっぴり残念そうに、こぼした
149 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/13(日) 20:20:26.03 ID:mpTeSUYQo

↓1コンマ判定 一桁

1,4,9 歌野「嫉妬しちゃうわ」
ぞろ目 特殊


※その他終了
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/13(日) 20:24:15.43 ID:oVVv1fNY0
151 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/13(日) 20:52:10.17 ID:mpTeSUYQo

1日のまとめ(諏訪組)

・ 白鳥歌野 : 交流有(身体ダメージ、不幸になるわよ)
・ 藤森水都 : 交流有(諏訪を出る予定、救援なんて、帰る、10月半ば)
・   九尾 : 交流無()

√ 2018/09/03 まとめ

 白鳥歌野との絆 67→69(良好) ※特殊交流3
 藤森水都との絆 81→83(良好) ※特殊交流8
   九尾との絆 70→70(良好)


10月8日目 諏訪→四国
152 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/13(日) 20:54:09.08 ID:mpTeSUYQo

√ 2018年 9月4日目 朝:諏訪

01〜10 歌野
23〜32 水都
45〜60 襲撃
89〜98 九尾

↓1のコンマ

※それ以外は通常
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/13(日) 20:55:51.18 ID:C3Bt1bQwO
154 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/13(日) 21:17:51.51 ID:mpTeSUYQo
√ 2018年 9月4日目 朝:諏訪


陽乃は敷布団に横になったまま、天井の木目をじっと見つめて

静寂の中の微かな寝息に目を細める

お風呂にまで一緒してきた歌野も、

布団の中にまではさすがに一緒してくることはなかった。

それでも、変わらず横に並んでいる。

陽乃「……」

タイムリミットは、残り約一ヶ月

歌野は解らないが、水都は住民を説得して四国に連れていくつもりだろう

だが、昨日の話をおもえば、たぶんそれは無理だ

陽乃「……」

みんな足を引っ張りたくないと思っている。

少しでも人が減れば楽になるだろうと決心している。

あれは、説得でどうにかなるものではない

陽乃は、寝返りを打って横を見る

水都の眠る、布団。

枕の上にある頭は横を向いていて、

陽乃には顔を見ることは出来なかった
155 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/13(日) 21:30:25.60 ID:mpTeSUYQo

そろそろ二人も起きる時間だろうか。

陽乃は基本的に二人よりも早く起きて沐浴に向かったり、

いつもの部屋でのんびりと過ごしている

陽乃「……」

今日も、どちらかで良いだろうかと少し考える。

昨日は沐浴に向かった結果吐血してしまったが、

さすがに二日目にもなれば、そうならないはずだろうから。

沐浴などの不浄を祓うような行為ではなかったものの、

歌野と入浴した際は問題なかったので、きっと大丈夫

陽乃「ん……」

ただ、相変わらず襲撃も神託も何もないのが気になる

とはいえ、結界の外に出るのはさすがに危険だろうか



1、もうひとやすみ
2、沐浴
3、いつもの部屋
4、外出


↓2
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/13(日) 21:34:53.75 ID:C3Bt1bQwO
3
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/13(日) 21:36:30.23 ID:M1OgaI2eO
3
158 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/13(日) 22:02:15.31 ID:mpTeSUYQo

陽乃は、静かに体を引っ張り出す。

わずかに布団がずれて行ったが、

両隣の二人は気づいてはいないようで、陽乃はこっそりと部屋を抜け出した。

別に気づかれても害はないけれど、

確実についてくるからだ

あとで気づいたら、どうせ近づいてきてしまうけれど。

陽乃「……はぁ」

通路の窓から見えるのは、曇天

打って変わって天気が悪いのは襲撃の前触れのように感じるが、

神託は来ていないから、そうではないはず……と、

陽乃は足を止める

陽乃「神託自体が失われている可能性もないとは言えないわよね……」

陽乃が代理となった影響で、

それを発する効力が失われた可能性もあると、

陽乃は考えを改めて、また奥へと進む。
159 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/13(日) 22:20:51.25 ID:mpTeSUYQo

いつもの部屋にたどり着いて、さっそく窓を開ける

極力虫が入ってこないようにと、虫よけ用のプレートを吊るして

ついでに、蚊取り線香を焚いて……

陽乃「……やっぱり、トラウマになってるのかな」

体中を虫が張っているような感覚

飛び回る羽虫の音

ぽとりぽとりと、落ちていく何か。

陽乃「っ」

びくんっと体を震わせた陽乃は、総毛立った腕を抱き寄せながら摩る。

嫌な過去だ

陽乃「バーテックスくらい大きければ、トラウマも何もないのに」

たかだか、小さい虫なんかに身震いしているなんて、

球子が知ったら笑うだろう。

陽乃「はぁ……」

窓から風が吹き込んでくる。

まきあがる蚊取り線香の香ばしい匂いを感じる

1人だと、本当に穏やかだ



1、九尾を呼ぶ
2、白鳥歌野について
3、何もしない


↓2
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/13(日) 22:22:57.65 ID:M1OgaI2eO
1
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/13(日) 22:23:25.32 ID:oVVv1fNY0
1
162 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/13(日) 22:26:06.84 ID:mpTeSUYQo

では少し早いですが、本日はここまでとさせていただきます
明日は可能であれば通常時間から
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/13(日) 22:58:17.36 ID:M1OgaI2eO

三年間生き延びただけあって諏訪の二人のメンタル本当に強いなぁ
この一ヶ月で陽乃さんの心をどこまで癒せるかが重要だな
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/14(月) 06:42:56.42 ID:gRzGWTw5O

歌野や水都が本気で陽乃のことを心配してくれててありがたいな
165 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/14(月) 21:59:55.21 ID:8qpvOPsEo
では少しだけ
166 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/14(月) 22:04:02.82 ID:8qpvOPsEo

陽乃「……九尾、いる?」

九尾はいつも陽乃の影に潜んでいるように現れる。

本当に潜んでいるのか、そう見せているだけなのか

それは、九尾に聞かなければわからない。

『何用じゃ主様』

陽乃「出てこないのね」

『必要がなかろう』

陽乃「まぁ、そうね」

九尾とは直接会話ができる。

最初のころは慣れなかったが、

今ではもうすっかり、常習化していて

不意に声をかけられても、声を上げるようなこともなくなった。

陽乃「……状況は?」

『ふむ……諏訪の周囲に主様の影響が出ておる。きゃつらが近寄らぬのはそれが理由じゃろう』
167 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/14(月) 22:44:07.95 ID:8qpvOPsEo

陽乃「……なら、残りが全部あの子たちの方に行っている可能性があるの?」

『主様の力はある種の結界のようなものじゃ。諏訪を守護しているような、生の力などではないがのう
 その悪しさゆえ、きゃつらも捨て置くことは出来ぬじゃろうて』

陽乃「つまり……なに? どっちなの?」

『何もせぬよりは意味もあったということじゃ』

諏訪に手を出してくることはないけれど、

その周囲にはまだ、バーテックスがいるということらしい

陽乃は窓縁に腕を敷いて、ふっと息を吐く。

蚊取り線香の煙が、体に入ってくる

陽乃「ならいいけど」

『不安かや?』

陽乃「大社にあの子たちのことを伝えてしまった以上、無事にたどり着かなかったら私の責任になるわ。どうせ、無理矢理に連れ出したせいだとか、分かっていかせたとか」

『分かって行かせたのは事実じゃろう』

陽乃「そういうことじゃないってば」
168 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/14(月) 23:22:09.79 ID:8qpvOPsEo

くつくつと九尾が笑う。

陽乃一人なはずの部屋に響く声

はたから見れば不気味だが

よく見ると陽乃から延びる影が、少女のそれではなくなっている。

『本当に戻るのかや?』

陽乃「そのつもりよ。なに? 都合が悪い?」

『妾は構わぬが、よいのか?』

陽乃「良いのよ。いずれはそうすべきだもの」

いつまでもここにはいられない。

陽乃の力で結界の維持は可能だが、

この隔離された土地では限界があるだろう。

向こうだって、広いとはいいがたいけれど、まだ余裕がある。

『……ならよいが』

陽乃「何か気になるの?」

『ゆくならば、一人が良いと思うが』

陽乃「それはできないわ。それをやるわけにはいかないの」


169 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/14(月) 23:49:23.76 ID:8qpvOPsEo

誰も連れて行かない

全てを見捨てる

それは、陽乃が一番嫌いな裏切りに等しい。

確かに足かせになるが、

だとしても、陽乃はそれをできない。

陽乃「白鳥さん一人だから、強行突破はできるけど、でも、それをしたらすべてが台無しになるじゃない」

『そうじゃな』

陽乃「言い訳じゃないわよ」

『何も言うてはおらぬ。言わずとてわかる。白鳥歌野もそうじゃな』

陽乃「白鳥さんに痛みが筒抜けになるのね」

『妾と主様のような関係をおもえばよい。あの娘が主様ほどの素質があれば、余計なことまで知られておったやも知れぬぞ』

陽乃「……私、白鳥さんのこと何もわからないのだけど」

陽乃が退屈そうに言うと、

狐の形の影がうごめいて、陽乃に並ぶ

『主様が何も知ろうとしておらぬだけじゃろうて』


1、どういうこと?
2、白鳥さんのことなんて別に知りたいとは思ってないもの
3、今だって少しは知ろうと思ってるわよ?


↓2
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/14(月) 23:51:09.25 ID:Pjt9B1/D0
1
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/14(月) 23:51:24.57 ID:SeLpwqS00
1
172 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/15(火) 00:05:03.95 ID:BUe/2PgFo

では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/15(火) 00:16:22.07 ID:E0ipF+LJO

結局どうあがいても見捨てることができそうにない陽乃さん
うたのんとの信頼関係が色々左右しそうだな
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/15(火) 00:22:06.93 ID:Hge2U4T3O

四国の人たちみたいな態度ならまだしもこれは見捨てられんよかあ
175 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/15(火) 22:33:22.78 ID:BUe/2PgFo
では少しだけ
176 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/15(火) 22:37:43.63 ID:BUe/2PgFo

陽乃「どういうこと?」

『娘が言うておったであろう? 主様のことを考えておったと。勇者として選別される程の素質を持ち、加えて、主様の力は異質で強固な縁となっておるがゆえ、主様から流れ出る力を感じ取れておると見える』

陽乃「それが私にも出来るって言ってるように聞こえたけど」

『うむ。主様ならばたやすいことじゃろうて』

だが、まったくそんな気配がない。

言われてみて、歌野のことを考えてみても感じ取れた様子はなく、

しんっと静まった参集殿のどこかで、かすかに声がしているかな……という程度である。

半信半疑な陽乃の目を見て、九尾はくつくつと喉を鳴らす。

『主様はあの娘に興味がない。知を拒んでおろう? それでなにゆえ、知を得られようか』

陽乃「だって……」

『あの娘は真に主様の知を求めているからこそ、最も強き痛みを共に感じておる。主様も、拒まず受けてみればよかろう。白鳥歌野との間に結ばれた縁を、否定することなく受け入れてみよ』

陽乃「そんなこと言われたって、私は別にそんな変なところにまで気を配ってなんていないわよ」

言葉で拒絶し、態度で拒んでいる

けれど、目に見えないところにまで神経をとがらせているつもりはなかった。

『主様自身が拒もうとしておるのならば、裏も変わらぬ。あの娘どもは、主様の忌み嫌う人間と同じものかや?』
177 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/15(火) 22:57:16.93 ID:BUe/2PgFo

陽乃「忌み嫌ってるわけじゃ……」

あの人たちにだって、

守ってあげたなんて、恩を売ったつもりはなかった。

ただ、自分にはそれをするだけの力があって、

そうしたかったから、そうするべきだと思ったから、

陽乃は人々を守って戦ったし、

それでもなお、救うことのできなかった人々には申し訳ないと思った。

だけど、それさえも塗りつぶすほどに、彼らの行いには絶望したのも事実だ。

そういう家系だから。

だから、問答無用で死んでくれと外に放り出されたあの日。

それを生き延びてなお、親友だと思っていた者にまで忌避され

果てには武器を持って襲い掛かってくる人までいる始末

陽乃「……」

それらと、歌野達は同じか否か。

それはもちろん、考えるまでもないことなのかもしれない。

――けれど

陽乃「色々困るのよ。私が」
178 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/15(火) 23:08:34.25 ID:BUe/2PgFo

陽乃「……守らないといけなくなるじゃない。あんな経験、したくないから」

陽乃は多くのものを失った。

他人、知人、友人、親戚、肉親。

奪われる瞬間のあの声、瞳、音、におい。

何もかもをまだ、鮮明に覚えている。

忘れられない、忘れることが出来ない。

だけど、それがなかったとしても、陽乃は人々の怨嗟の的になっている。

お前が生きているからと、

お前が死ななかったからだと、

ついこの前、人を殺めることになったのだってそれがきっかけだった。

陽乃に味方した人々は、容赦なく押さえつけられていたし、

それは勇者だろうと一般人だろうと関係がなかった。

だから、不幸になる。と、陽乃は嘘みたいなことを本気で言うし、拒む。

陽乃「良いのよ……このままで。その方が気が楽だわ」

『良いのかや?』



1、仕方がないじゃない
2、分かってるのよ。あの子たちは違うって
3、良いのよ
4、良くなかったらどうにかなるの?


↓2
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/15(火) 23:10:38.55 ID:1O+LCUogO
2
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/15(火) 23:11:18.47 ID:omIKqyfq0
2
181 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/15(火) 23:19:18.15 ID:BUe/2PgFo

では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/15(火) 23:32:55.42 ID:1O+LCUogO

改めて見るとここまでの陽乃さんの境遇がトラウマしかないな…
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/16(水) 06:44:14.74 ID:Ujwh8ss2O

そろそろ心を開く時か
184 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/16(水) 22:36:33.16 ID:sRvJekNRo
では少しだけ
185 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/16(水) 22:37:08.03 ID:sRvJekNRo

陽乃「分かってるのよ。あの子たちは違うって」

『ほう……?』

考えに耽るような九尾の吐息交じりの声

陽乃は流し気味に目を向けるが、

そこに見えるのは形の変わった自分の影だ

陽乃「なに?」

『理解していながら、主様はあの態度だったというわけか』

陽乃「笑ってもいいわよ」

『くははっ』

すぐ隣から聞こえてくる笑い声を聞きながら、黄昏る。

九尾は聞かずとも分かっていたことだろうし、

そもそも言われたから笑っているだけで、

本当なら、彼女にとっては一笑の価値もないはずだ。

『主様が望むがままにするがよい。妾は聊か尾が多いゆえ、時折尻尾を挟むこともあるが、主様の望みに反するつもりは、今はない』

陽乃「今は?」

『主様は妾の主様じゃからのう』
186 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/16(水) 23:07:25.90 ID:sRvJekNRo

陽乃「あの子たちは良い子だわ。私からしたら、面倒くさいけれど、間違いないと思う」

今の陽乃にとっては厄介極まりない人たちだが、

以前の陽乃として思えば悪い子だなんて思うところはない。

積極的で、周りを引っ張って行ってくれるような性格。

杏や水都は今の陽乃あってこその行動力なのだろうけれど、

でも、個人として元空であっても陽乃は否定はしない。

誰にだって弱いところはあるし、マイナスな部分は存在する。

自分がそうだったように、ほかの人だってそうなのだと思えば、

それが強く表に出ているからと言って悪しざまに扱う気も言う気も昔はなかっただろう。

陽乃「こんな私よ? あんなに突き放したのよ? それでもまだいるんだもの」

『だからどうと?』

陽乃「……でも、だから、どうにもならないって思わない?」

『ふむ……そうじゃな』
187 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/16(水) 23:37:36.61 ID:sRvJekNRo

『今の主様は身に纏う汚れが多すぎる。なのに、それを祓おうものなら怪我をする棘がある。ただではすまぬであろうな』

陽乃「……でしょう?」

ここは良い。

九尾も言っていたが、ここでなら陽乃は生きていきやすい。

わざわざ周囲を拒んで、距離を置こうとする必要なんて、まったくないだろう。

だけど諏訪は永遠に続くような場所ではなく、

いつかは、崩れ去ってしまう可能性のある期間限定の安寧の中にある。

加えて、向こうに置いてきてしまった母親の件もある。

陽乃に残された、唯一の肉親である母を見捨ててのうのうと生きていくことなんて出来ない。

陽乃「向こうに戻ったら今のようにはいられない。針の筵になる。私だけじゃないわ。周りもよ」

みんなはそれを分かっているだなんて言うけれど、

誰も何もわかっていない。

場合によっては、殺されることもある。

そんな環境に置かれるのだ。

全員が全員そんな暴走しているわけではないけれど、少なからずいることに変わりはない。

『いかようにするつもりかや?』


1、変わらないわ
2、そうね。考えておくわ
3、もう任せるわよ。知らないわ


↓2
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/16(水) 23:39:59.27 ID:OpIyqdJSO
2
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/16(水) 23:44:55.08 ID:ASgDacmsO
2
190 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/16(水) 23:53:27.27 ID:sRvJekNRo

では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/16(水) 23:58:42.01 ID:ASgDacmsO

はたして陽乃さんは歩み寄れるのか
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/17(木) 01:31:34.24 ID:p9cAtZcoO

諏訪の人たちが住む地域みたいなの設けなきゃ行けなくなっちゃうのかな
193 :以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします [sage]:2021/06/17(木) 02:50:36.96 ID:WLcc52ns0
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
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194 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/17(木) 22:46:07.07 ID:q8ehS9Z5o
では少しだけ
195 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/17(木) 22:49:31.69 ID:q8ehS9Z5o

陽乃「そうね。考えておくわ」

『戻るのじゃろう? ならば、あまり猶予はなかろう』

陽乃「向こうに戻るのに、最低でも一週間はかかるから」

連れて行くのが元気な若者だけであったとしても、

ほんの数日なんて時間では絶対に足りない。

最低の一週間という期間だって、

頑張りに頑張って最も早くてという話だ。

『戻るまでに、多くが死ぬことになると思うが』

陽乃「……そうならないように、時間をかけるのよ」

可能な限り早く進むのが安全な場合もあるが、

今回に限って言えばそれは適用されない。

陽乃「とはいえ、移動中はそんなこと考える余裕がないのも、事実よね」

『主様』

陽乃「分かってるわよ」

陽乃の持っている力がどれほど強力であろうと

陽乃の気が抜けていては、持ち腐れ

あっという間にバーテックスに嬲り殺されてしまう。

陽乃が自分で設けた一ヶ月の猶予

その間に答えを出すしかない
196 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/17(木) 23:16:52.46 ID:q8ehS9Z5o

陽乃「……こんなことになるなら、来るべきじゃなかった」

『どうあっても、主様はここにきておったであろう』

陽乃「そう思う?」

『そうだからこそ、主様は今、悩んでおるのじゃろう?』

ここへ来たのは、

向こうで事件を起こしてしまったことが大きい。

だけど、陽乃はそれ以前から諏訪行きを考えていたし

諏訪の勇者……歌野達の身を案じてもいた。

他の子たちだって気にかけてはいただろうけれど、

あの危険な道のりを、場合によっては単身でも抜けていくというほどではなかったはずだ。

『よいではないか。主様はもともと、人を救うために妾を求めたのだから』

陽乃「……そうだったわね。結局、あの場にいた人も、私の周囲の人も。ほとんど何にも守ることは出来なかったけど」
197 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/17(木) 23:34:05.09 ID:q8ehS9Z5o

陽乃は嘲笑交じりに零して、九尾に乗っ取られた自分の影から目を背ける。

本当に、取りこぼしてばっかりだ。

守れたものもあったけれど、

それは手の中から逃げ出していった。

親族は母親1人になってしまったし、

残ったのは、ほんの少し。

陽乃「……自信なんて、もてるわけがないじゃない?」

他の勇者に比べれば、代償が大きい分力が強いのは当然だと言える。

だけど、それだけだ。

陽乃「まぁ、できる限りやるしかないことも分かってはいるから」

『難儀なものじゃな』

陽乃「仕方がないわ。受け入れれば楽なものを、そうしていないんだから」

陽乃は窓の外を眺めながら、呟く。

本当にそう。

いいや、本当にそうなのか。

受け入れないほうが、楽な道なのではないだろうか。

陽乃はそう考えて、目を瞑る。

特に風のない、9月の諏訪は……まだ蒸し暑く感じた
198 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/17(木) 23:36:27.98 ID:q8ehS9Z5o

√ 2018年 9月4日目 昼:諏訪

01〜10 歌野
12〜21 水都
34〜50 襲撃
78〜83 歌野
91〜96 水都

↓1のコンマ

※それ以外は通常
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/17(木) 23:37:24.60 ID:uDzBADDrO
200 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/17(木) 23:57:23.27 ID:q8ehS9Z5o

√ 2018年 9月4日目 昼:諏訪


昼になると、歌野は通信のために設備の方に向かう。

同じ参集殿の中にあるため、

どこか遠くに行くわけではないけれど、

その間は、陽乃は近くに控えておく必要がある。

それは、陽乃が待機番だろうとそうでなかろうとだ。

どちらにせよ、陽乃はこの近隣から出て行くことは滅多にないけれど。

水都も、今までは歌野と一緒に通信に参加していたが、

球子たちが出て行ってしまって人でも足りなくなったからか、

参集殿の中にいるが、通信に参加はしていないようだ。

陽乃「………」

出かけられないから、出かけたくはないから、

いつもの部屋で、一人黄昏る。

これではただの時間の浪費だろうか。



1、九尾を呼ぶ
2、イザナミ様を呼ぶ
3、水都のところへ
4、歌野のところへ
5、イベント判定

↓2
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/17(木) 23:57:54.89 ID:p9cAtZcoO
5
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/18(金) 00:20:05.16 ID:Gd+3482zO
3で
203 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/18(金) 00:33:07.03 ID:NdMeXgrxo

では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/18(金) 04:29:33.17 ID:6H9tkD6nO

困ったときのみーちゃん
陽乃のメンタルを支えてやってくれ
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/18(金) 05:46:27.97 ID:zIEMUYSoO

素直になれるかな
206 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/18(金) 22:07:58.97 ID:NdMeXgrxo
では少しだけ
207 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/18(金) 22:10:47.63 ID:NdMeXgrxo

陽乃「はぁ……」

『何じゃ主様、出かけるのかや?』

陽乃「違うわ。ちょっとね」

1人になれる貴重な部屋を出た陽乃は、

共用で使っている大広間の方に向かう。

今は布団も畳まれているので、

夜に来る時よりもずっと、広く感じるだろう。

球子と杏までいなくなって人気の薄れた参集殿の中出その部屋に向かうのは、

そこに1人分の気配を感じるからだ

諏訪の神々の代役となったことで、

陽乃は、諏訪の勇者である歌野と、水都の居場所くらいならなんとなくつかむことが出来る。

歌野がしているような、

感覚の共有とは無関係な部分だ

部屋の襖を開くと、中にはやはり水都がいた。

水都「陽乃さん?」
208 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/18(金) 22:26:24.12 ID:NdMeXgrxo

水都「どうかしたんですか?」

陽乃が自分から、歌野や水都のいる場所に来るのは珍しい。

一週間に一度でも来たら良い方で

基本的にはいつもの部屋にこもっていることが多い

だからか、水都は驚いた表情を見せたが、

すぐに嬉しそうにほほ笑む。

水都「お茶淹れますね」

陽乃「構わなくていいわ」

水都「お茶菓子、あるんですよ。水ようかん……戴いたんです」

陽乃「そう」

興味なさげに答え、部屋の中に入る。

襖を閉めると、すぐ横でかたんっと箱が崩れたのが見えた。

箱は一つ二つではなく、十個は、積み重なっている。

陽乃「何かあったの?」

水都「陽乃さんの快気祝いだそうです。みんな、会いたがってますよ」
209 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/18(金) 22:49:54.39 ID:NdMeXgrxo

陽乃「快気祝い、ね」

陽乃が外に出て、直接姿を見せてしまった影響だ

あの場で会話した人たち、陽乃の姿を見た人たち。

そこから、あの場にいなかった人たちにまで伝わって

諏訪を守ってくれた勇者様に……都でもなったのだろうか。

ただでさえ余裕がないのにと、以前なら思ったかもしれないが、

今は、陽乃の力の一つのおかげで四国ほどに諏訪は潤っている。

誰かにこうやって大量に送るくらいの余裕も、あるのだろう。

陽乃「……これ、全部私宛なの?」

水都「うたのんの分もあるにはあるけど……ほとんど陽乃さんの分です。あの時、意識不明で運び込まれたのが大きいんだと思います」

諏訪を守ってくれた勇者様。

早く目を覚まして欲しいと、元気になって欲しいと参拝に足を運び、

そこで元気な姿を見ることが出来たから喜びも余っているのかもしれない。

水都「どうぞ」

切り取られた羊羹が三切れ乗った小皿と、湯気の立っていない、冷茶の入った茶器が一つ

水都の分も、一応は用意してある。

陽乃「……」



1、いただく
2、こんなことしている余裕があるの?
3、貴女は、私のことを感じる?
4、四国は諏訪とは違うわ


↓2
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/18(金) 22:52:52.92 ID:tZ9PtGPlO
2
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/18(金) 22:53:19.19 ID:YccMm6nU0
2
212 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/18(金) 23:25:00.66 ID:NdMeXgrxo

陽乃「こんなことしている余裕があるの?」

水都「ない……かもしれません」

水都はそういいつつも、お茶を口に含む。

ゆったりとした所作は、

余裕がないという言葉とはかけ離れていて、

とても、落ち着き払っていた。

水都「でも、焦っても仕方がないんです。もう一度お話させてほしいって集会の依頼は出したので、出欠席の確認が取れてからどうにかしたいと思ってます」

陽乃「説得の言葉も考えているように見えないけど」

水都「……ここまで頑張ったから、最期まで諦めないべきだから、希望はあるから、うたのん達が抱え込んじゃうから。
   もう、言えることは言いつくしたかなとは、思ってたりもするんです」

ここまで頑張ったのに諦めるのなんてもったいない。

確かにそう。だけど、それが周りを危険にさらすなら……と、身を引かれたのだろう。

希望があるのだって、それに縋った結果、

その希望さえも奪う結果になってしまうかもしれない。

陽乃「だから、こんなところでお茶を啜ってるのね」

水都「これは、陽乃さんとお茶がしたかっただけです」
213 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/18(金) 23:46:34.53 ID:NdMeXgrxo

水都「……難しいですね」

本当は死にたくないけど、

そうするしかないって思っているだけなら、

どうにか説得も可能だったかもしれない。

だけど、自らがそうすべきであると決心して

託そうとしてくれている人々。

水都「どれだけ声をかけても、良いんだよ。って、優しく笑うんです」

陽乃「……今日も声をかけたの?」

水都「参拝に来てくださっている方には声を掛けました。けど、大丈夫って」

陽乃「その人達がそう言ってるなら、いいじゃない」

水都「ダメです!」

水都は声を荒げてすぐに首を横に振ると、ダメなんです。と、小さな声で繰り返す。

水都「そんなことになったらうたのんは、なりふり構わなくなっちゃう。陽乃さんだって、気にしていないふりしているだけで、忘れられないはずです」

陽乃「……」

水都「だから、どうにかしたいって……思ってるんですけど」
214 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/19(土) 00:10:32.68 ID:MBP92rAHo

水都「もちろん、諦めるつもりはないです。どうにかして、説得するつもりです」

陽乃「だったら、考えたら?」

自分は関係ないとでも言うような陽乃の返し。

のんびりしているのはおんなじだが、

悩ましさのある水都とは違って、陽乃は落ち着いている。

そんな態度に、水都はちょっぴりむっとしてしまう。

歌野以外には、あまり見せない表情だ

水都「……あの」

陽乃「嫌よ」

水都「まだ何も言ってないじゃないですか」

陽乃「何を言うか分かってるから言ったのよ」

水都「………」

水都は、押し黙ってパッと顔を上げた

水都「一緒に考えて貰えませんか?」



1、嫌よ
2、私には関係ないことだわ
3、任せたはずだけど?
4、私に人の説得なんてできるわけないじゃない


↓1
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/19(土) 00:12:26.17 ID:cjT1taAoO
1
216 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/19(土) 00:14:11.29 ID:MBP92rAHo

では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/19(土) 00:14:19.08 ID:vkMOubiCO
3
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/19(土) 00:22:38.07 ID:F9tp01yxO

相変わらずびっくりするくらい落ち着いてるみーちゃん
でも説得が難しいとなると四国に避難しながら諏訪の神様の力でなんやかんやするしかなさそう…?
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/19(土) 03:23:21.28 ID:gmU5klHZO

まあ牛歩でいいならなんとかなりそうな気するんだよな
うたのんとの二人体制だし
220 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/19(土) 22:55:18.14 ID:MBP92rAHo
遅くなりましたが、少しだけ
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