【シャニマスSS】浅倉透「プロデューサーの家のルール」【R-18】

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2 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:14:03.15 ID:U0TFmbps0


――プロデューサーの家のルール。


1.プロデューサーの家について口にしてはならない
2.プロデューサーの家について口にしてはならない


透「ん……んっ、ぁ、あっ、んっ……」

透「はっ、はっ、んっ、んっんっんぅ……」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:15:07.61 ID:U0TFmbps0


3.行っていいのは私一人だけ
4.家に行くのは週に一回まで


透「んっ――んむっ、あむ……んふふっ。……やば、ちょっと照れる、かも」

透「……っ、え――ちょ、待っ……んんっ、はっ、や、待って、そんなっ、急に――」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:15:33.64 ID:U0TFmbps0


5.どちらかが音を上げるか、『やめて』と言ったら終わり
6.制服とスーツは脱いで____する


透「んっ、んっんっんっ……うっ、く、はぁーっ、はぁーっ……あっ!!」

透「――あっ、あっあっあっ……! や、やめ……だっ、やめ、ない、でっ……!!」

5 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:16:03.19 ID:U0TFmbps0


7.時間制限は無し
8.プロデューサーの家に来たら、必ず____をしなければならない


透「あっあっやっ、だめっ、気持ちいっ……だめだめだめっ……いっ……!!!」

透「〜〜〜〜〜〜ッッ!!!」ビクッ

6 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:16:38.58 ID:U0TFmbps0

******



透「――はっ、はっ、はっ、はぁ、はぁ、はぁぁ……っ」

透「ふぅー……」

透「あー……。……ふふっ」

透「死ぬかと思った」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:17:28.43 ID:U0TFmbps0


P「――えっ」

P「……痛かったか?」

透「ううん。そうじゃなくて」

8 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:18:42.88 ID:U0TFmbps0


透「さっきのプロデューサーが、いつものプロデューサーと全然違って」

透「腰掴まれて、すっごいがくがく揺さぶられて」

透「このまま殺されるかも、って。ちょっとだけ思った」

9 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:19:13.30 ID:U0TFmbps0


P「……ごめん。気を付けるよ」

透「え。いいよ、このままで」

透「さっきのプロデューサー。おらーって感じで、恐くて」

透「かっこよかった。次もよろしく」

10 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:19:54.58 ID:U0TFmbps0


P「次もよろしく、じゃないんだけどな……」

透「えー。やってよ。なにとぞ」

P「ああ、うん……善処するけどさ」

P「……あんまり来るものじゃないぞ」

透「わかってる。だから」

11 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:20:42.03 ID:U0TFmbps0


透「……来週、また来るから」

透「居てね。ここに、ずっと」

12 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:21:15.08 ID:U0TFmbps0


******



――2か月前、ショールーム。

『あなたに一途なお部屋、あります』

13 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:22:30.98 ID:U0TFmbps0

透「……オーブン、オフ」

透「エアコン、オフ」

透「ブラインド、下がれ」

タッタッタッタッ
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:23:42.69 ID:U0TFmbps0



P「透、すまん……なぁ、透――!!」

P(――ショールームが暗くなっていく)

P(透の足音が、逃げるように遠ざかる)

P(……せっかく、CMで知ったショールームを観に来たのに)

P(仕事の連絡ばかり気にして、透を蔑ろにしてた)

P(……追いかけなきゃ)

15 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:24:15.84 ID:U0TFmbps0

P「はっ、はっ……はぁっ……」

P(……ここは、浴室か。真っすぐ走っていったなら、たぶん、ここにいる)

P「……透? ここにいるのか? 透――」

16 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:25:56.73 ID:U0TFmbps0


透「――入って」

P「――え」

P(ブラインドから漏れる日光だけが光源の、薄暗い浴室)

P(空っぽで小綺麗な浴槽の中で、透が寛いでいて)
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:26:34.70 ID:U0TFmbps0


透「終わった? メッセ」

P「ええと……うん。もう、これで完了」

P「……ごめんな」

透「ううん。じゃ」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:27:02.48 ID:U0TFmbps0


透「入って、一緒に」

透「置いて。スマホ」

P「……透」

P(浴槽の中から、透が呼んでいる)
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:27:58.44 ID:U0TFmbps0


透「オフにして。で――」

透「一途、オン」
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:28:29.01 ID:U0TFmbps0


P「……スマホ、切ったよ」

P「本当にごめん」

透「んじゃ、置いて。ここに」

P「ああ」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:29:03.21 ID:U0TFmbps0


透「で」

透「入る」

P「…………」

P「…………。さすがに二人は狭いよ」

透「入れるって。おっきいし」

P「……だめだよ」

透「えー」
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:29:32.63 ID:U0TFmbps0


P「ほったらかしにしちゃったのは、謝るよ」

P「お詫びに何か……後で、甘いものでも買いに行こう」

P「だから、そろそろ出てきてくれ」

透「やだって、言ったら?」

P「……言われたら」

P「困っちゃうな。かなり」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:30:14.30 ID:U0TFmbps0


透「じゃあ、困って」

P「おいおい……」

透「今、一途オンだから」

透「悩んで。たっぷり」

P「うー…………」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:30:42.88 ID:U0TFmbps0


コツコツコツ……

P「!」

スタッフ「いらっしゃいませ。ご見学ですか?」

P「あ、いえ! すみません、間違えて降りてしまって……」

スタッフ「はは、大丈夫ですよ。昼食で席を外しておりまして、申し訳ございません」

スタッフ「よければ今からでも、内装のご案内をしましょうか」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:31:24.22 ID:U0TFmbps0


P「いえいえ、すぐに出ます――ほら、透」

透「…………」

透「……ん」

P「よし、行こう。……すみません、お邪魔いたしました――」

透「…………」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:32:11.86 ID:U0TFmbps0


******


P「……ふぅ」

透「…………」

P「……はは、昼食で誰も居なくなるなんてこと、あるんだな」

P「どこの業界も、人手不足は一緒なんだなぁ」

透「…………」
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:34:14.39 ID:U0TFmbps0


P「……えっと」

透「…………」

P「……何か食べたいもの、あるか」

透「……いらない」
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:34:52.18 ID:U0TFmbps0


P「そう、か……」

透「…………」

透「……んー」

透「…………甘いやつ。ものすっっごく」

P「!」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:35:20.98 ID:U0TFmbps0


透「本当の本当に、甘くて」

透「……頭が痛くなるくらい甘いのが、いい」

透「あと、ミルク」

P「ミルク……入りのコーヒー、じゃなくて?」

透「うん」

透「甘いミルクが、ほしい」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:35:49.14 ID:U0TFmbps0


――だって、さっきから。
ずっと胸の中が苦いから。
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:36:27.13 ID:U0TFmbps0


******


――1か月前、事務所。

『本日は、午後から夕方にかけて激しい雨になるでしょう』

32 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:37:17.33 ID:U0TFmbps0


ザァァ……

P「……また強くなって来たな、雨」

P「円香たち、ちょっと遠いロケだったよな……帰る頃には止んでるといいけど」

P「……雷も鳴ってるな。PC作業はやめておくか」

P「…………」

P「電源、オフ」
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:37:59.63 ID:U0TFmbps0


シーン

P「……なんてな」

P「はい、シャットダウン、と」

P「書類の整理でもするか……お?」ヴーン ヴーン
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:38:43.06 ID:U0TFmbps0


P「電話……誰だ」ヴーン ヴーン

P「……え、透? ……平日だよな」ヴーン

P「……もしもし?」

透『……あ、もしもし。浅倉です』
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:39:13.39 ID:U0TFmbps0


P「どうしたんだ、透。……授業中じゃないのか」

透『午後から休み。警報出たから』

P「ああ……最近は、そういうのあるんだっけ」

P「わざわざ伝えてくれたんだな、ありがとう」
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:39:46.05 ID:U0TFmbps0


透『あ、うん。それもあるけど……違くて』

P「うん?」

P(なんか、声が聞き取りづらいな)

P(……もしかして、外にいるのか?)
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:40:15.32 ID:U0TFmbps0


透『今日、早く終わって。みんなは仕事だったから、暇だなって』

P「うん」

透『バス、乗ったんだ。いつもと全然違う路線の』

P「うん?」

透『適当に降りたら、バスの中に傘忘れちゃって』

P「おいおい、おい」

透『雨宿りできるとこ探して、走ってたら――』
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:40:45.09 ID:U0TFmbps0


透『――迷っちゃった』

透『帰り方、わかんない。ヤバい』

P「何やってるんだ……!! 親御さんに連絡は!?」

透『今日、家、誰もいないから。たぶん、電話しても来てくれない』

透『くしゅっ! ……寒。……ねえ、どうしよ』
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:42:32.38 ID:U0TFmbps0


P「ああ、もう……!! 今は雨宿り出来てるのか!?」

透『一応、木の下』

P「近くに道路はあるか!?」

透『えっと。ある』
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:43:05.49 ID:U0TFmbps0


P「じゃあ、すぐ地図アプリで現在地送ってくれ! あと周りの写真も!」

P「すぐ迎えに行くから、絶対に動くなよ! いいな!?」

透『うん』

透『……ごめん』

P「……そういうのは後で聞くよ。一旦切るからな」
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:43:31.70 ID:U0TFmbps0


ガチャ バタン

ザァァァァ……!

P「うっ……本当にすごい雨だ……」ピロン

P「! ……透か」

P「場所は……結構遠いな。車でも30分くらいかかるぞ……」

P(……ここ、俺の家の近くだな)

P「……とにかく、急がないと」
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:44:25.13 ID:U0TFmbps0

******


ザァァァァ ピカッ ゴロゴロゴロ……

P「――この辺り、だよな……」

P(木の下、木の下……)

P(一度電話するか)
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:45:01.49 ID:U0TFmbps0


『おかけになった電話番号は、電波の届かない場所にあるか――』

P(電池切れ……か、水たまりに落としたとかか)

P(……変な事に巻き込まれたり、してないよな)

P(……あっ、あそこにしゃがんでるの、もしかして――)

バタン
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:45:31.67 ID:U0TFmbps0


P「――透!!」バシャバシャ

透「……あ……」

P「透! 大丈夫か、寒かったよな。立てるか?」

透「うん……んん……ごめん、しんどいかも」

P「わかった、手、出してくれ」

透「ん……」
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:46:19.48 ID:U0TFmbps0


ガシッ グイッ

P(っ、冷たっ――)

P「……とにかく、車に入ろう。タオル積んできたから」

透「うん……ねえ」

P「ん?」

透「…………ごめん。濡れた?」

P「……いや、大丈夫だよ。透が無事でよかった」
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:46:57.23 ID:U0TFmbps0

******


P(……ええと、暖房付けて、タオルも……ああくそ、着替えも持ってくるべきだった……!)

P「ごめん透、先に車の中で身体だけ拭いてくれ。俺はすぐ外にいるから」

透「ん……」

透「……一緒に居てくれないの? 中」

P「…………」
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:47:33.12 ID:U0TFmbps0


P(……そりゃあ心細い、よな。こんな状況で)

P(信頼してくれてるのは、嬉しいよ)

P(……でも)

P「だめだ。……ごめんな」

透「……わかった」

ガチャ バタン
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:48:17.15 ID:U0TFmbps0


透「…………」ガシガシ

言いたい事が、あって。
迎えに来てくれて、ホッとした。
でも一緒に入ってくれなくて、キュッてなった。
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:48:44.55 ID:U0TFmbps0


透「…………」ガシガシ

プロデューサーは、私から近づこうとすると、別の人みたいに硬くなる。
一緒に寝たら、きっと朝には別人になってる。
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:49:17.04 ID:U0TFmbps0


透「…………」ガシ……ガシ……

寒い。凍える。皮膚の下が固まってる。
ぐっ、て堪えてる。言いたい事。言うのが難しい事。言葉は難しいから。
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:49:48.82 ID:U0TFmbps0


透「…………」

心を覗き込むのは、苦くて、痛い。
アルカリ性の痛みは、人を正直にさせる。
正直で、居たい。
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:50:26.50 ID:U0TFmbps0


コンコン

透『……もういいよ』

P「ん……!」

ガチャ バタン

P「ごめんな、まだ寒いだろ。すぐ家まで送るから」
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:51:08.02 ID:U0TFmbps0


透「あー……むり」

P「なんで?」

透「カギ忘れた。今日」

P「うお、マジか……」

透「まじ」
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:51:44.52 ID:U0TFmbps0


P「んん……そうだ、円香の家は? お母さんが居れば」

透「仕事じゃない?」

P「そうかもだけど……一度電話してみよう」
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:52:23.03 ID:U0TFmbps0


プルルル プルルル プルルル

『ただいま留守にしております。音が鳴りましたら、メッセージを――』

P「……だめだ、誰もいない」

P「仕方ない、ちょっと遠いけど事務所に行こう」

P「30分くらいかかるけど、頑張って我慢してくれ」
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:52:56.51 ID:U0TFmbps0


透「…………」

透「ねえ」

透「プロデューサーの家って、どの辺?」

P「…………」
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:53:25.46 ID:U0TFmbps0


P「……教えないよ」

透「もしかして、近く?」

P「違うよ」

透「嘘っぽい」

P「本当に違う。ここからだと、最低でも1時間はかかるな」
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:54:14.57 ID:U0TFmbps0


透「じゃあ、それでもいいや」

P「よくない」

透「連れてって」

P「行かない」

透「……だったら」
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:54:44.30 ID:U0TFmbps0


透「凍死する。このまま」

P「っ」

P「……冗談でもそんな事言うな。怒るぞ」

透「する」

P「しない」
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:55:24.64 ID:U0TFmbps0


透「事務所に着いても、車から出ないから」

P「じゃあ車の中に置いて帰るぞ」

透「いいよ。それで」

透「私の死体、後で見つけてよ」

P「――っ、いい加減にしろ!!」
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:55:58.72 ID:U0TFmbps0


ザァァァァ

透「…………」

P「…………」

P「……あんまり困らせないでくれ……」

透「――困らない、っ……でしょ」

透「プロデューサーが……うんって、言えば」
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:56:54.53 ID:U0TFmbps0


透「……っ、ふぅ、ふうっ……」ブルブル

P「っ、透――」

P(唇が、真っ青だ……)

P「透、頼むから事務所に送らせてくれ……!」

透「やだ……!」
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:57:39.71 ID:U0TFmbps0


P「じゃあもういい、このまま連れて行く」

透「――じゃあ、私も」

ガチャ

透「もういい」

P「――っ!? 待て、透!」

透「っ……!!」

タッタッタッ
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:58:09.51 ID:U0TFmbps0


P「透! 待ってくれ、透!!」ダッ

透「来ないで……! もういいから!!」

P「良くない! なんで、そこまで……!!」

透「……っ!!」

ダッ
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:58:42.72 ID:U0TFmbps0


透「はっ、はっ、はっ」

タッタッタッ

透「はっ……はっ、はっ……」

タッタッ

透「はぁっ、はぁっ――あっ」

ズルッ ドサッ

透「いっ……つぅ……」
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 01:59:27.62 ID:U0TFmbps0


P「透……!!」タッタッタッ

P「透、大丈夫か……」

P(転んで、またびしょ濡れになった透に近づく)

P(さっきみたいに傘を差しだそうとして……車に置き忘れていた事に気づいた)

P「――透」
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:00:03.69 ID:U0TFmbps0


透「……はっ、はは。びしょびしょだ」

P「…………」

透「ね」

透「やっと、一緒に濡れてくれた」
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:01:19.73 ID:U0TFmbps0


P「……透」

P(透はアスファルトの上で仰向けになって、両手を差し出した)

P(抱き起こして欲しいみたいに。あるいは)

P(……抱きしめて欲しいみたいに)

透「もう、ぜんぶ……びしょ濡れ」
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:01:51.02 ID:U0TFmbps0


透「……置いて帰る? 私のこと」

P「……そんな事、出来ない」

透「じゃあ」
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:02:43.86 ID:U0TFmbps0



透「……シャワー、貸してよ」


71 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:03:18.73 ID:U0TFmbps0


******


透「……ここ?」

P「ああ」

透「……車で1時間って言ってたの、嘘じゃん」

P「……悪かったよ」

P「見つからないうちに入ろう。タオルは被ったままだぞ」

透「容疑者みたい。ウケる」

72 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:04:05.39 ID:U0TFmbps0


ガチャ パタン

P「……」

透「おー……家だ。すごい」

P「普通のマンションだよ」

P「シャワーはあっちだ。着替えは適当に用意しとくから、早く入っておいで」
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:04:57.85 ID:U0TFmbps0


透「プロデューサーは? 濡れたでしょ」

P「後で入るよ」

透「一緒じゃなくて?」

P「放り出すぞ」

透「おっと。はーい」
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:05:36.16 ID:U0TFmbps0


シュルッ パサッ

透「ふぅ」

洗面台。髭剃り1本。歯ブラシ1本。
知らない鏡。に、映ってる、私の裸。

透「……えっちー」

身体を隠した。なんとなく。
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:06:20.24 ID:U0TFmbps0


******


透「シャワー、いただきました」

P「おう。とりあえず、ソファで寛いでてくれ」

透「ん。ありがと」

透「……ここ、リビング?」

P「うん」

透「ふうん」
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:07:37.66 ID:U0TFmbps0


私の家のリビングと同じか、ちょっと広いくらい。
本棚、DVDがいっぱい。テレビ、おっきめ。
窓際に私の制服。サーキュレーターの上でゆらゆらしてる。
ソファーは二人がけ。でも片方はクッション置き場。居心地、良さそう。

P「……じゃあ、俺も軽く浴びてくるよ」

透「はーい」
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:08:15.44 ID:U0TFmbps0


透「……」キョロキョロ

透「……」ゴソゴソ

透「んー……」ペラペラ

P「……何探してるんだ?」
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:08:51.53 ID:U0TFmbps0


透「ね。どこ? エロ本」

P「ないよ」

透「えー、なんで?」

P「…………」

P「動画派だから」

透「……なんだってー」
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:09:26.16 ID:U0TFmbps0


******


P「上がったよ」

透「うい」

透「……あ。借りてます、充電器」

P「ああ……ご自由に」

P(……だいぶ、落ち着いたみたいだ)

P(飲み物入れてくるか)
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:10:07.37 ID:U0TFmbps0


P「……コーヒーで良かったか?」

透「あ、うん。ありがと」

P「シュガースティック、よければ使ってくれ」

透「ん。……いただきます」
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:10:38.63 ID:U0TFmbps0


サラサラ ズズッ

透「ふー……あったまる」

P「ああ」

ズズッ コトン

P「……」

P「……で、さ」
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:11:08.89 ID:U0TFmbps0


P「今日、カギ忘れたんだよな」

透「あ。うん」

P「だから暇つぶしで、普段と別の路線に乗った」

透「そう」

P「傘を忘れたから、雨宿りしようとして迷っちゃって、どうしようもないから俺に電話した」

透「うん」

P「そこまでは……まあ、いいよ」
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:11:51.47 ID:U0TFmbps0


P「でも、その後だ」

P「家に連れてって欲しいとか、凍死してやるとか。そんな事を言い出したのは、看過できない」

P「……結局家に上げといて、こんな事言うのもなんだけど」

P「何で今日は、こんな事したんだ」
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:12:22.50 ID:U0TFmbps0


透「……あー」

透「んー……」

透「……えっと。……ごめん。なんて言ったらいいか、わかんなくて」

P「ゆっくりで良い」

P「順番に、思った事を口にしてくれたら」
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:12:56.80 ID:U0TFmbps0


透「……この前、ショールーム行って」

P「ああ、うん」

透「スマホ、切ってくれて」

P「うん」

透「……でも、入ってはくれなくて。お風呂」

P「……うん」
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:13:28.03 ID:U0TFmbps0


透「分かってるんだ。プロデューサーの、出来ない事。……したくない事、かもだけど」

透「……でも、プロデューサーは、優しくて」

透「優しいから……お願いしたくなって」

透「だめだよって言われるのは、分かってて」
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:13:57.83 ID:U0TFmbps0


透「でも……」

透「分かってても、胸がきゅってなって」

透「それで……なんかさ。ワガママ、言いたくなったのかも。たぶん、そう」

P「…………」

透「怒ってる?」
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:14:41.99 ID:U0TFmbps0


P「……まあまあ、な」

透「怒鳴ったりしないんだ」

P「そういうのは……あんまり好きじゃない。それに」

P「透にだって、どうしようもない気持ちというか……譲れない部分があったんだろ。それは理解してる」

P「やった事には怒るけど、気持ちを蔑ろには……したくないから」
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:15:18.13 ID:U0TFmbps0


透「……いつも、許してくれるよね。プロデューサーって」

P「んん……そうかな」

透「うん。でも」

透「それじゃ、変わらない。なんにも」

コトン
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:16:02.25 ID:U0TFmbps0


P「透――……」

P(ぶかぶかな寝巻きを着た透が、身を寄せる)

P(薄い布ごしの、繊細な柔らかさ)

P(湿った細い髪が頬をくすぐる)

P(ガラス細工みたいな無垢の右手が、俺の脚に乗せられる)
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:16:44.73 ID:U0TFmbps0


透「ねえ――」

P(左腕が、俺の腰を回り込もうとして――)

P「……透。だめだ」

透「違う。……ねえ。聞いて」
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:17:19.54 ID:U0TFmbps0


透「……怒らないってさ、何も引っかかってないってことじゃん」

透「なんか、それもやだ。だから、ちゃんと見て。で、ちゃんと……怒ってよ」

P「このままこんな事続けるなら、本当に怒るぞ」

透「そうして。私もそうするから」
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:17:57.02 ID:U0TFmbps0


透「今日は私の事、許さないで。乱暴になって」

透「今日だけでいいから、優しいの……やめてよ」

94 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:18:26.29 ID:U0TFmbps0


P「……俺に、何を求めてるんだ」

透「……」

透「プロデューサーと」

透「____、したい」

P「透」
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:19:10.74 ID:U0TFmbps0


P「今のは、聞かなかったことにする」

P「だから、二度と、同じことを言うな」

96 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:20:12.50 ID:U0TFmbps0


透「……っ」

透「……なんで」

透「なんで、だめなの」

P「俺がプロデューサーで、透がアイドルだから」
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:21:00.35 ID:U0TFmbps0


透「じゃあ、プロデューサーやめてよ」

P「やめない」

透「じゃあアイドルやめる」

P「やめさせない」

透「やめる。辞表出すから」
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:21:37.09 ID:U0TFmbps0


P「――いいか、透」

P「もしそんな理由でアイドルを辞めたとしても、俺は透とセックスなんてしないし」

P「もしそんな理由でアイドルを辞めたとしたら、俺は」

P(………………)

P「……透の事を、嫌いになる」
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:23:02.56 ID:U0TFmbps0


透「――」

透「――……っ」ギュッ

P(服が、強く掴まれている)

P(……一人の女の子が、俺の胸元で震えてる)

P(でも)

P(慰めちゃいけないし、謝ってもいけない。……そんな資格はないから)
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:23:49.36 ID:U0TFmbps0


P「……そろそろ服、乾いただろ」

透「乾いてない……」

P「そんなわけない」

透「でも」
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2023/02/08(水) 02:24:30.33 ID:U0TFmbps0


P「透」

P「……透の気持ちの強さまでは、俺にはわからない」

P「でも、透の気持ちがどっちを向いているのかは、分かってる」

P「その上で言うぞ。――今日はもう、帰ってくれ」
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