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社畜兄と義妹 高校編

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1 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 :2013/09/11(水) 22:06:04.64 ID:lRfMvYxR0
ちょっと暇できたから、昔を振り返ってみようと思ふ。
2 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/11(水) 22:13:10.73 ID:z9JV1w4P0
青いロータス?

3 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/11(水) 22:13:21.43 ID:xO6Ut2iPo
パー速に来たのか
むかし見たてよ〜
4 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/11(水) 22:14:02.47 ID:BDtZnPr8o
5 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/11(水) 22:15:22.38 ID:6Su0JGSfP
ここなら思う存分息子を暴れさせられるぞ!
6 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 :2013/09/11(水) 22:27:56.61 ID:lRfMvYxRo
オレが社畜だった頃の話はコチラ

http://unkar.org/r/news4viptasu/1357209674%0A
7 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 :2013/09/11(水) 22:29:52.56 ID:lRfMvYxRo
>>2
いまも乗ってるよん。

>>3
よく覚えてくれてたね。有り難う。

>>4
ども。

>>5
スマン。エロ要素は一切ナシだ。パンツガッツリ穿いてくれ。
8 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/11(水) 22:51:35.82 ID:LgZiz0fIo
兄さん!お仕事はどうですか?
9 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 :2013/09/11(水) 22:54:48.68 ID:lRfMvYxRo
取り敢えず、主要登場人物

オレ:高校三年生
生まれてからずっと親父と二人暮らし。田舎で唯一の進学高校に通ってる。
弓道部副将。実家を早く出たくて受験勉強中。

義妹:中学三年生
義母の連れ子。口数は少ないが、好奇心の強そうな子。この頃はまだそんなに背が高くなかったと思う。
転校当初はちょっとイジめられたりもするが、持ち前の芯の強さを徐々に現し、いつの間にか人気者に。
後にオレと同じ高校に進み、弓道部 女子部主将を務める。

千葉:オレのクラスメート
小学生の頃には一緒に半ズボンで走り回った仲。近所の定食屋の息子。
剣道部主将。見た目はイカついが無駄に義に厚く、意外にモテる。

親父:地方公務員
オレの実父。趣味は運転、奇妙な形した観葉植物栽培、全国のコップ酒収集。
日産党。役所まで毎日車で通勤しながら、運転技術の研鑽に余念がない。愛読書は浅田次郎、藤沢周平。

義母:主婦
義妹の実母。良いトコのお嬢様だったらしく、少し抜けたところのあるおっとり気質。洋裁をたしなむ。
親からの遺産と、亡夫からの相続で預金口座にはかなりの額を保有したまま忘れているが、それはまた別の話。

R32:羊の皮を被った狼
8代目スカイライン。グレードはGTE。4ドアセダン。
当時の親父の愛車にして、家族の思い出の車。
車体色がシルバーだった為、義妹に「銀ちゃん」と名付けられる。
水冷直列六気筒の名機RBエンジンを搭載するが、量産グレードの為、2,000cc SOHCの最も馬力のないヤツだった。
エンジンの軽さとボディの素生の良さから、マニュアルで上まで引っ張れば結構遊べた。
後に免許取り立てのオレが峠に持ち込んで大破する運命にあるが、それはまた別の話。
10 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 :2013/09/11(水) 23:05:38.23 ID:lRfMvYxRo
>>8
外銀は辞めたよ。いまは休憩しながら次の準備中。
いくつか関わってる仕事とか、自己勘定の取引もしてるけど、前に比べたらかなり時間に自由が効く。

ちょっと義妹寝かしつけてくる。
書き溜めてないから、コーヒーでも飲みながら気長に付き合ってください。
11 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/11(水) 23:31:21.80 ID:LgZiz0fIo
新しいお仕事に変わったのか!いい方向へ進んでいるようで何より!
当時この人は大丈夫なのかとスレ見ながら心配だったw更新楽しみにしてるよ〜
12 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/12(木) 00:12:16.79 ID:6npGy7KVo
さっきの義妹とのやりとり。

義妹「オリンピック開催地が東京に決まったことについて、どう思います?」
オレ「内定獲得したのにまだ模擬面接の練習がしたいのか、学生さん」
義妹「兄さんの考えが知りたいだけです」
オレ「そのこと自体については、どうも思わない。日本経済にとっては株高円安要因。インフラ整備を見込んで関連銘柄の上昇、及び日経平均のボトムアップが期待される」
義妹「じゃ、アベノミクスについては?」
オレ「アベノミクスを間に受けて日本株をロングするヤツは馬鹿だ。しかし、アベノミクスが現在生み出している動きに乗らないヤツがいたら、そいつはさらに救い様のない馬鹿だ。相場の餌食になる前に自分で首を吊った方が良い」
義妹「明日の日経平均は続騰? それとも反落?」
オレ「わからない。わかる必要もない。推測する時間が無駄。ユーロ、シリア、中国、北朝鮮、南海トラフ地震に先進国に潜伏するテロリスト。全てがいつ火を吹くかわからない不確定要素だし、一つが発火すれば芋づる式に連鎖する。そのインパクトは予測不能。そして、日本経済はその影響から絶対に逃れられない」
義妹「明日の動きもわからないのに、どうやって市場に参加するんですか?」
オレ「基本的には動いた方に追従する。ただし、本命はそっちじゃない。オレはトレンドフォロワーだから自分なりの仮説とエッジがあって、それに基づいて長期ポジションを並行して構築していく。アゲインストに動いた場合は、一時的にカバーしたりオプションで凌ぐ。サブプライムの時みたいに仮説の前提が崩れた時には全ポジションをひっくり返す。そして今度は逆方向に長期ポジションをコツコツ積み上げていく。ただそれだけのこと」
義妹「仕事を辞めて、何か変わった?」
オレ「何も変わらない。外銀を辞めても、相場から降りたわけじゃない。マーケットは相変わらずセクシーだよ」
義妹「相場から降りるのはいつ?」
オレ「死ぬ時。義妹になら殺されてもいい」
義妹「愛の告白ですか、それ」
オレ「いつもストレートなアプローチばかりじゃ飽きられそうだから、今夜はカマキリ的告白にチャレンジしてみた」
義妹「婉曲的過ぎて分かりにくいですが、評価しましょう。どこから食べて欲しいですか?」


明日から高校編、始めます。おやすみ。
13 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/12(木) 00:20:18.96 ID:+WMoEqwBo
おやすみー
14 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/12(木) 07:15:32.99 ID:6OuwNQDpo
兄待ってぞ
おはよう
15 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/12(木) 17:00:55.06 ID:6npGy7KVo
当時の風景を思い浮かべながら文字に落とし込むんだけど、どうしても冗長になってしまう。

わかりにくい箇所とかあったら、遠慮なく突っ込んでくれ。そうやって相互補完しながら物語を共有出来るのが、この場所の大きな特長だと思うし。

あと、それ以外にも何か知りたいことあったら、気楽に訊いてくれてオケ。前回と違っていまは時間に余裕あるから、可能な限りレスします。

では、高校編、おもむろに始めます。
16 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/12(木) 17:02:03.53 ID:6npGy7KVo
>>13
あ、ども。

>>14
有り難う。リラックスして読んでくれ。
17 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/12(木) 17:03:31.57 ID:6npGy7KVo
オレ「ただいま」
親父「おぉ。遅かったな。まぁ、ちょっと座れ」
オレ「お、晩飯、カレーなんだ。食べながらでもいいだろ?」
親父「駄目だ」
オレ「部活で腹減ってんだよ。食べながらじゃなきゃ話聞かねーから」
親父「じゃ、さっさとしろ」

オレ「で?(モグモグ)」
親父「あのな、この前食事した女の人、覚えてるだろ。父さんな、あの人と、け、け、けっこ、けっこ」
オレ「おめでと」
親父「…気付いてたか」
オレ「前日に二人掛かりでピカピカに磨き上げたスカイライン。初めて行くホテルでいきなり会食。誰でも気付くだろ、フツー」
親父「来月引っ越してくる予定だ。学校はお前の通ってた中学に入れることになるだろう」
オレ「良いんじゃない? オレが来年出て行ったら親父ここで一人だろ? 心配してたんだよ」
親父「生意気ぬかすのは、大学受かってからにしろ」
オレ「心配すんな。こんなド田舎、絶対出て行ってやる」

別に親父と仲が悪かったわけじゃない。むしろ、親父のことは最近の若者にしては尊敬してるつもりだ。

ただ、オレの年齢で都会への根拠ない憧れを抑えろっていうのは無理だろう。ただ、それだけのこと。
18 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/12(木) 17:05:22.50 ID:6npGy7KVo
ここで、オレが育った町の話をしておきたい。

当時はただの「ド田舎」だと思ってたけど、東京に出てその認識が間違いだったことを知った。オレの実家は「クソ田舎」だ。むしろ「僻地」と言っていい。

最寄りの鉄道の駅から車で小一時間、川のせせらぎをバックミュージックに山道をひた走ると、ポツポツと民家が目に付く様になる。限界集落だ。やがて、緩やかに続く坂を登り切った先、左コーナーを大きく回り込むと唐突に視界が開ける。

眼下には陽光を反射する清流。そしてその川に沿って軒を並べる民家。それらに混ざって役所、公民館、学校や消防署といった最低限度の行政インフラがコンパクトに集積している。

ここが町の中心地。
というか、これが町のほとんどだ。

過去に炭鉱町として賑わった時期もあるらしいが、それも今は昔。役所の前には、町で唯一の横断歩道と信号機がある。ただ、その信号も昼間は黄色、夜には赤の点滅を繰り返すだけで、積極的に交通整理をすることはない。

「過疎」の文字に慣れ親しんだ地方自治体は形だけの産業復興事業に予算をつけているが、ここ数十年間、人口は緩やかな減少トレンドを辿っている。

オレが育った家は、そんな町の外れにあった。川に掛かる橋のたもとに建つ、質素な一軒家。扉を閉め切っても、川の水音がずっと生活の背景に流れてる。そんな場所だった。
19 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/12(木) 17:06:52.41 ID:6npGy7KVo
オレ「よぉ、いつものフォアグラのテリーヌ定食、急ぎで」

のれんをくぐりながら、見慣れた坊主頭に声を掛ける。

町で外食出来る場所は3軒だけ。そのうちの1軒にオレは子どもの頃から通っていて、店の跡取り息子とも幼馴染だった。

千葉「豚の生姜焼き定食、ひとつ入りまーす!」

厨房の奥から「あいよー」と、千葉の父親が呑気な返事をする。

水を持ってきた千葉が、そのままオレの向かいにドカッと腰を降ろす。好奇心が顔を輝かせていて、鬱陶しいことこの上ない。

千葉「なぁ、もうすぐじゃなかったっけ? お前の家に新しい嫁さん来るの?」
オレ「おい。メシくらい静かに食わせろ」
千葉「静かに食いたいなら、うちに来る時点で間違ってるだろ」
オレ「オレが来なかったら、この店潰れるだろーが」
千葉「うちは一見客だけ相手に商売してんだ。心配すんな」

千葉に言われるまでもなく、義理の母と妹になる人物との同居がもうすぐ始まる。オレには母親の記憶がない。生まれてからずっと、親父と二人暮らし。

一つ屋根の下に女がいる生活。
しかも、いきなり二人。

それなりに戸惑いもあったが、どんな生活になるのか不確定要素が多過ぎて予測不能と見切りをつけたオレは、早々に考えることを放棄していた。
20 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/12(木) 17:28:26.20 ID:GDKLGDZzo
どんだけ覚えてるんだ
一気に創作臭が、、、
そして何かクサイ
21 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/12(木) 17:32:28.85 ID:AM4Oj2/Co
みてるぞー
22 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/12(木) 18:21:28.51 ID:N9GQBn8lo
前も見てたよー

楽しみにしてる
23 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/12(木) 21:19:28.38 ID:aLZC0yI1o
うわー そーきたかー こういうトトロ的ってゆーか日本の原風景っぽいのツボだわ。しかも、ここを舞台にういういしい656兄と義妹ちゃんがイチャコラするとかw wktkが止まらないww

個人的に、前回は義妹ちゃんの扱いが色々酷かったから、今回は義妹ちゃんに振り回される656兄キボンヌwww
24 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/12(木) 23:13:37.52 ID:6npGy7KVo
>>20
この物語はドキュメンタリーじゃない。
「オレ」という主観エンコーダが「脳」という生体記憶媒体にエンコードしたローデータ。時の経過によって劣化したそれらを、いままた「オレ」という主観デコーダが日本語という形式でアウトプットしたテキスト群だよ。
オレが言えるのは、当時のオレが見聞きして感じたのは、大筋こういうことだった、っていうだけ。ディテールはオレなりのやり方で補っているし、これがオレのスタイルなんだ。
感覚が合わない文章を脳に流し込むのは苦痛だよね。そっとこのスレを閉じて、好きなことに自分の時間を使ってくれ。さようなら。

>>21
ありがと。

>>22
前回をリアルタイムで知ってくれてるって人が結構いて、驚いてる。さらに、それらの人がどうやって今回のスレの発生を認知して、早速書き込みしてくれてるんだろう? グーグルアラート?w

>>23
ありがと。具体的にこういうところが良いって言ってくれるのは、凄く嬉しい。
イチャコラは、中学生相手なので流石にプラトニックレベルだけど、あります。今回は義妹相手にテンパりまくるオレの恥ずかしい話だから、期待に添えるかとw
25 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/12(木) 23:15:36.60 ID:6npGy7KVo
我が家の一日はコーヒーで始まり、コーヒーで終わる。

朝は、先に目を覚ました方が淹れる。後は手の空いてる方が適宜。比率としては、オレ4、義妹6くらいか。

コーヒー飲む人には「elfo」ってドイツのメーカーの「ゴールドフィルタ」って金属フィルタ、オススメ。

紙フィルタやネルと違って、油脂が濾過されない。豆の味がホントよくわかるのよ。コーヒーの油が美味しいって感じたのは、このフィルタが初めて。

あ、別にオレがelfo社の株保有してるとかじゃないから。上場してるのかどうかさえ知らないw

いまもコレ書きながら飲んでる。安価な豆でも、ポテンシャル引き出してくれて美味しい。小さいサイズなら楽天で2,000円強で入手出来るから、コーヒー党の人は是非一度。おやすみ。
26 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/12(木) 23:26:48.89 ID:VIT4l6v3o
おやすみー
27 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/12(木) 23:35:56.35 ID:HHK8nCzbo
俺は紙フィルター使ってるけど、一回空のフィルターにお湯をかけて匂いをとってからコーヒーいれてる
今度それ試してみるわ
28 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/13(金) 02:00:46.95 ID:Gx3JUhpeo
姉と妹のやりとり〜スレで1の書き込み見て、最初は気づかなかったけど途中であーっ!!ってなったw2人の掛け合い大好きだからうれしい
29 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/13(金) 03:41:19.47 ID:c0nEnQpao
俺もリアルタイムで見てた
書き方がいい
30 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/13(金) 05:48:28.87 ID:pDBAY4QUo
みんな、おはよん。

>>26
挨拶だけは絶対に怠るなと、親父にしつけられました。

>>27
オレもそれやってたよー
金属フィルタ使い始めてしばらくした頃に義妹が「紙フィルタ使うと、コーヒーからも紙の香りが微かにすることに気付きました」って言ってた。オレは舌が大味かつ鼻が良くないから、正直そこまではわからないw

>>28
あ、ひょっとして、オレのこと覚えてて、気付いてくれた人かな?
ありがとね。誰も気付かないみたいなら、過去編なんてやらずにあのまま名無しで時々書き込むつもりだったよ。
もう少ししたら、義妹との会話てんこ盛りになる…はず。当たり前か。お付き合いください。

>>29
おぉ、またリアルタイムで知ってくれてる人。なんか恥ずかしいな。まぁ、ありがと。
書き方… 言葉が出てくるままに、かなり勢いで書いてる感じッスw
31 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/13(金) 05:50:51.93 ID:pDBAY4QUo
実を言うと、親父と義母は血の繋がりこそないものの、遠縁にあたる。

それぞれの伴侶を亡くし、一人で子育てしてる男と女がいて、年の頃も近い。親戚連中の勧めもあったが、オレと義妹に内緒で顔合わせした二人は余程気が合ったらしく、オレの耳に入る頃には話もほぼ固まっていた。

まぁ、田舎ではたまに聞く話。

義母の祖父は、オレの田舎では多少名の知れた政治家だった。義母も良い家柄のお嬢様らしく、ちょっと世間知らずでおっちょこちょいだが、明るく穏やかな気質の人だ。

祖父の繋がりで、前夫はどっか都会の代議士さんだったらしい。この代議士さんが落選してから生活が荒み、義母は随分苦労したとのこと。
旦那さんは失意の中、亡くなってしまった。残された義妹はこの家系の最後の一人にあたる。

義妹の噂は聞いていた。
親戚に凄い才女が一人いると。

実際に会ってみると口数こそ少ないものの、目にする物すべてを解析してるかの様な強い好奇心を宿した眼差しが印象的だった。
あと、緊張していたせいもあるだろうけど、その場の空気を物凄く意識して口を開く子だとも感じた。

まぁ、この印象はいまも基本的に変わっていない。
32 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/13(金) 06:05:50.38 ID:pDBAY4QUo
コーヒー飲んだし、ちょっと散歩してくるお。
33 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/13(金) 06:15:56.99 ID:5JldBWzb0
さっき最初から読んできた
けっこう最近なのな
結婚の予定とかもう立ててるのか?
34 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/13(金) 09:09:52.59 ID:JShYzGs7o
俺もリアルで見てた
スレタイでピンときたww
35 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/13(金) 12:09:44.31 ID:o6ctYznco
>>33
結婚。もうちょい先ですね。義妹は次の春から就職してしばらく大変だろうし、オレも充電期間という名のプー状態なので。仕事はいくつかやってるんだけど、以前に比べたら楽チンしてます。

>>34
あの数日は必死だったからよくわかんないんだけど、そんなに沢山の人が読んでくれてたのかな。ネットって凄いな。ちょい怖くなったわ。
このスレタイはオレが考えたんじゃなくて、あの時に別スレ立ててくれた人のをそのまま使わせて貰ってるのよ。あの時のスレ主、いるのかな?
36 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/13(金) 12:12:19.67 ID:o6ctYznco
引っ越し当日。

業者のトラックから降りてきた女二人を見て「ホントに来やがったよ…」と呟いてしまうオレ。

挨拶もそこそこに、荷下ろしが始まる。
女性二人への照れもあって、ひたすらダンボール箱と格闘するオレ。何を話せばいいのかわからないから、とにかく身体を動かす。
女性陣は家の中で、当面の暮らしに必要な家財を開梱することにしたらしい。助かる。

あっという間に日が西へ傾き、居間に積まれた未開封のダンボール箱の山にウンザリしながら、馴染みの定食屋「千葉」へ。
ここでもやはり言葉が見つからないオレは、いつもの定食を口に放り込むと、親父の財布を掴んで席を立った。

代金を暗算して、千葉の親父さんに渡そうとするが「引っ越し祝いだ」と言って頑として受け取らない。
このいかにも田舎臭いやり取りを物珍しそうに観察してる義妹の視線に気付いて、オレだけさっさと店を出る。

表で待ちながら、店の灯りに引き寄せられてきた虫を手で払う。
のれんをくぐって出てきた義妹に、クスリと笑われた。

家に戻り、居間で改まって挨拶。
男二人と女二人が向かい合って正座。
カルタ取りでも始まりそうな配置。

「これからお世話になります。どうぞよろしくお願いします」みたいな、他に何て言えばいいんだよ的な挨拶を交わす。リアルで三つ指つく女性二人を前にビビる。

この日は四人ともヘトヘトだったから、さっさと風呂入って寝ようってことに。

オレが最後に風呂から上がると、親父が縁側で一人ぼんやり月見してる。「湯冷めするぞ。早く寝ろよ」と声を掛けたが、反応はコップ酒を持ち上げるだけだった。
37 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/13(金) 12:26:18.09 ID:zFq/EcYkP
結婚した場合、戸籍はどーなんだ?
38 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/13(金) 13:45:37.59 ID:sa821J4do
連れ子同氏は全く問題ない
39 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/13(金) 16:30:28.37 ID:5JldBWzb0
さっき最初から読んできた
けっこう最近なのな
結婚の予定とかもう立ててるのか?
40 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/13(金) 16:32:08.73 ID:5JldBWzb0
すまんなんか同じの送信されてた
41 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/13(金) 19:58:16.46 ID:pDBAY4QUo
>>37
>>38
結論から言うと問題ないらしい。役所で確認してきた。オレと義妹がいまの戸籍から転出(?)して、オレがどこか新居の住所で新戸籍を作り、そこに義妹が入るとかなんとか。フツーの結婚もそんな感じなのかな。

>>39
>>40
ドンマイ。
42 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 :2013/09/13(金) 19:59:07.17 ID:pDBAY4QUo
次の朝、家の中で人が動く気配に目が覚める。

軽い筋肉痛に顔をしかめながら一階へ降りて行くと、台所にエプロン姿の義母。あの、朝食の準備はオレの仕事なのですが。

固まってるオレに「おはよう、オレさん。娘が洗濯機の使い方わからないらしいの。見に行ってあげてくれる?」と満面の笑みで声を掛けてくる。

コレが母親という生き物なのか。
朝からホントに包丁トントンいわせて、ネギとか刻んでるんだぜ? よくわからないが、とにかく凄い。

「あ、お、おはうぃ…」とわけのわからない音を漏らしながら、とりあえず裏口へ。義母の声が聞こえていたのだろう、オレが裏口を開くと、そこにはペコリと頭を下げた寝間着姿の女子中学生、いや、義妹がいた。
43 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/13(金) 21:57:04.81 ID:pDBAY4QUo
昨日は引越し作業の邪魔にならない様にまとめられていた髪が、今朝はストンと下ろされている。淡い色合いの生地に大きな花柄を散らした寝間着。なんだ、コレは。親父の甚平とは全く別物じゃないか。

義妹の全身がサラサラと朝日を反射していて、直視出来ない。新開発の光学迷彩か。

義妹「おはようございます。洗濯機の使い方は大体想像出来るのですが、洗剤の量がよくわからなくて。これくらいでいいですか?」
オレ「あ、あぁ。おけ。全く問題ない。いや、てゆーか、洗濯は親父の仕事なんだけど。えっと、親父のヤツ、何してんだろ?」

焦った振りを装いながら、その場を無駄に走って離脱するオレ。

親父の部屋に向かうと、中からイビキが聞こえてくる。何時まで縁側で飲んでたんだよ? 普段と変わらないその様子に、蹴っ飛ばしてやりたい衝動に駆られる。

オレ「早く起きろよ! その…ちょっとイロイロ大変なんだから!」

ガラス戸の隙間からチラッと見えた二枚並ぶ布団を意識から引き剥がし、足速に洗面所へ向かう。行き場所を奪われた怒りのままにガシガシ顔を洗ってたら、後ろから声を掛けられる。
44 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/13(金) 21:58:04.80 ID:pDBAY4QUo
急いでバシャバシャやって後ろを振り返ると、義妹の静かな眼差しが待っていた。ヤバイ。観察されてる感が半端ない。

数秒の沈黙。
彼女の指先がスッと上がり、オレの胸元を差す。

義妹「あの…それ」
オレ「え、なに? いや、なんですか?」
義妹「いま着てる物も一緒に洗うので、脱いでください」
オレ「はぁ!? いや、いい、その必要はないって! また明日! それよりご飯! ご飯食べよう!」
義妹「いえ、朝御飯はもう少し時間掛かると思います。すみません」
オレ「あ、いや、そーだよね。全然おけ! ゆっくりでおけ!」
義妹「…流した方が良いですよ。泡、残ってる」

数十分後、春の朝なのになぜかグッタリ疲れてバス停に並ぶオレがいた。
45 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/13(金) 21:58:34.97 ID:pDBAY4QUo
取り敢えず、今夜は本編ここまでです。
46 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/13(金) 22:57:40.41 ID:7FeWrQDto
お疲れ様です。
これからもゆっくり、楽しく読ませて頂きます。
47 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/13(金) 23:20:22.89 ID:zFq/EcYkP
元スレが落ちた・・・VIPからの大量移民でもあったのだろうか・・・
48 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/13(金) 23:53:48.61 ID:pDBAY4QUo
>>46
うん。なんか、そういう読み方してくれると嬉しいです。気長にお付き合いください。

>>47
そうですか。思い出ある場所ですが、無理に書き込みして存続させるのも不自然だし。流れに任せるしかないのでしょうね…

良い週末を。おやすみ。
49 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/14(土) 00:14:42.34 ID:foMnlgm0o
面白いです。
続きが楽しみ。
50 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/14(土) 05:53:05.31 ID:PGwF6gI0o
おは。朝イチのコーヒーはもはや神の飲物。

>>49
ありがと。そのへんが、自分で書いてるとよくわからないのです。
51 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/14(土) 05:54:14.37 ID:PGwF6gI0o
昼休みのチャイムが鳴るのと同時に、誰かがオレの席の横にやってきて仁王立ちする気配。窓外に視線をやって無視を決め込むオレの耳に、ムサい息を吹き込むという暴挙に出た。
堪らず手で払うと、窓から射し込む春の日差しと、下世話な好奇心でより一層輝いた顔がオレを見下ろしている。誰か、弓矢とカケ(弓道家が右手にしてる革製の手袋みたいなヤツね)持ってきてくれねーかな。

千葉「よぉ、親父から聞いたぜ」
オレ「黙れ。お前だけは頼むから今週ずっと黙っとけ」
千葉「親父さんの再婚相手とその娘さん連れて、うちの店に挨拶に来たって? 律儀だねぇ」
オレ「引っ越しでクタクタだったから、外食で済ませただけだ。カップヌードルよりは多少マシだからな」
千葉「今度の奥さん、エラく美人だって親父が興奮してたぞ」
オレ「…まぁ、上品な人だとは思うけど」
千葉「あと、娘さん、芸能人みたいだって。えーっと、誰に似てるんだっけ、ほら、ちょっと前のドラマに出てた…」
オレ「知らねーよ。オレがテレビ見ないの知ってるだろ」
千葉「おい、手出すなよ、ロリコン? いや、まさかもう…?」
オレ「あー、もううるせえって言ってんだろーが! あのションベンくせぇガキが誰に似てようと興味ねーんだよ!」

担任「おーい、オレ! 家の人が来てるぞー」
52 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/14(土) 12:31:11.69 ID:PGwF6gI0o
ここまで読んでくれた人、ありがとう。

あと数回の書き込みで、義妹が引っ越して来た一両日のエピソードが終わります。
高校編 第一章 終わりって感じなので、ここでちょっとコーヒーブレイク入れたいと思います。

ここまでで質問とか、不明点あったら言ってください。まとめて回答したいと思います。

舞台は、おそらくこれを目にする人の大半が一生に一回訪れるかどうかみたいなマジ僻地wなので、説明を丁寧にしたつもりです。

あ、一つ補足です。町には高校がありません。中学校までです。昔はあったらしいけど、人口減に伴ってオレの頃には既に廃校になってました。

必然的に、高校に進学したい人は隣町までバスで通うことになります。山道を往復2時間。ディーゼル車のシフトチェンジのタイミングが身体に染み付くw


上の方にも少し書いたけど、私はこれらのテキストを綴る時に、当時の出来事について「あんなことあったなー」って感じでまず記憶から取り出します。
で、時の流れで解像度の落ちた動画みたいなそれを脳内再生しながら細部をアドリブ補完。あとは両手が日本語の形に落とし込むに任せるって感じです。

書いてみて、相変わらずというか、こんな書き方しか出来ないのですが、大体オーケーでしょうか?
まぁ、「全くダメだ。気に入らん。最初から書き直せ」って言われても勘弁してくれって感じなんだけどw

コア部分は変えられないけど「場面の状況描写をもっと詳しく」とか「人物の外観もっと書けよ」とかだったら微調整できると思う。

その他、リクエストとか何でも言ってくれたら、出来る範囲で対応したいと思います。では。
53 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/14(土) 12:32:51.41 ID:pGRl0DOto
大丈夫だよー
54 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/14(土) 12:52:54.95 ID:XQuKDW9Yo
かつてここまでスレ住人にたいして紳士的な1がいただろうか。この品質はもはや小説レベル。

中学生の義妹も可愛いんだけど、前作でエリート金融マンになって義妹を突き放しまくる1が「おはうぃ」とか言ってる時点でもうねwww オールオッケーっすよwww
55 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/14(土) 20:27:13.33 ID:3Wq+0acao
出来たら
リアルタイムでの義妹とのやりとりをちょいちょい報告してくれると嬉しい
56 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/14(土) 22:17:49.82 ID:PGwF6gI0o
現時点では、あまり質問とかリクエストないみたいですね? 見てくれてる人も少ないのかな。
まぁ、私にとってはいまの書き方が一番やりやすいので、このままのスタイルで続行します。
何か思うところがあったら、随時書き込んでください、

>>53
サンクス。

>>54
あー そういうの、この後もポツポツあるッスよw

>>55
本スレでも私自身、「リアルタイムのもちょこちょこ書くつもり」って言ったんだけど、実は中三の義妹を書き始めてから、ちょっと控えてました。
現在の義妹との落差が激しくて、本編の雰囲気ブチ壊しそうで…
いや、本質的にはあまり変わってないのかなぁ。

リクエストにお答えしまして、アップ控えてたエピソードを後で一つ載せますね。
57 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/14(土) 22:18:45.40 ID:PGwF6gI0o
振り返ると、教室の入口に担任の姿。
横からスルリと現れる少女。

担任がオレの席を示すと、白いワンピースの上にデニムジャケットを羽織った細身のシルエットが無造作に近付いてくる。
教室中が注視してるというのに、まるでこの世に自分とオレしかいないかの様に、視線をフィックスしたまま距離を詰めてくる。コイツ、少女型ターミネーターが入ってるんじゃないだろうな。

オレ「え、ちょ、な…」
義妹「お弁当、持って来ました」
オレ「お、おべ、おべべべ…?」
義妹「母からの言伝もあります。今朝は慣れない台所で勝手がわからず、間に合いませんでした。ごめんなさい。でも、明日からは登校時間に間に合う様に作るから、良かったら召し上がってください、とのことです」
オレ「あ…ありがと」
義妹「ちなみに、私も少し手伝いました。心して食べてください」
オレ「はひ」

スッと差し出される包み。気組みで完全に遅れを取って素直に受け取ってしまったオレを尻目に、用事は済んだとばかりにさっさと踵を返す義妹。
肩甲骨付近で揃えた髪を翻して悠々と去って行くその後姿には、もはや孤高の潔さすら漂う。

同級生A「おいおい、オレ達に内緒で彼女か? 何歳だよ、あのコ?」
同級生B「ムッツリ! せんせー! ムッツリがいまーす!!」
同級生C「それなんてエr…」
同級生D「せんせー! あのコ送っていくから早退させてー!」
担任「お巡りさんこの人です」

千葉「おい、さっきの聞こえてたんじゃねーか? ションベン…」

野次を飛ばす同級生を尻目に、目の前の千葉だけが突然オロオロし始めている。コイツは昔からこういうヤツだ。クソ、憎めんだろーが。

オレ「お前、放課後、弓道場来いよ。いま、的場(的が立て掛けてある場所のことね)に立ちたい気分だろ?」

オレに義理の妹が出来たことが、学校中に一瞬で広まった。
58 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/14(土) 22:19:44.16 ID:PGwF6gI0o
イマイチ射(弓を引く行為、くらいの意味です)に身が入らないままに、部活が終わった。的紙を張ったり、安土(的を固定する土の斜面)を整えてる一、二年生の挨拶に応えながら、さっさと帰路につく。しかし、早く帰宅したいのかというと、そうでもない。

目を閉じて、昼休みの映像を再生する。新鮮な記憶なので、解像度が高い。少女の動かない表情の下を読み取ろうとするが、失敗。当たり前だ。彼女に関する基礎データの蓄積が致命的に不足している。

薄暗くなった山道をチンタラ走るバスに揺られて帰ってくると、さらなる絶望感がオレを打ちのめした。もはや、防具なしの顔面を竹刀でブっ叩かれた状態に近い。

家の敷地に差し掛かると、夕餉の匂いが漂ってきた。義母が用意してくれてるのだろう。空きっ腹を歯を食いしばって抑え込みながら、玄関への最短距離を進む。

縁側の横を通った時、正座して洗濯物を畳んでいる義妹の後姿が目に入った。彼女の横には、几帳面に畳まれた洗濯物が積まれている。昨日の引越し作業で使ったタオルの山、Tシャツ、ジーンズ、あと、親父のランニングとか、オレの下着とか。

途端に昼休みのことが思い出される。謝るべきか、何事もなかった様にしらばっくれるか。
いや、そもそもオレのセリフを聞き取っていないという可能性もあって、オレとしてはそれに賭けたいところだ。その細い背中を見ながら苦い逡巡に陥る。

オレ「え!? ちょ、ちょ、ちょ!」
義妹「ちょ?」
59 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/14(土) 22:22:13.23 ID:PGwF6gI0o
奇妙な声を発しながら縁側に突然現れたオレを義妹が認識。不思議そうにこちらを見上げる。
意外に正座が様になってるな、この子… などという観測は後にしよう。

オレ「あ、いや、そのオレのパン… 洗濯物って…?」
義妹「今朝洗った物です。良く乾いてたから、畳んでます」
オレ「あ、あぁ。そうだよね。的確な判断だね」
義妹「夕飯はお義父さんを待ってからになるみたいです。お風呂、兄さんに先に入ってもらうのが、効率良いと私は思うのですが… やはり一番風呂は家長に入ってもらうべきか、母と決めかねてました」
オレ「に、兄さんって誰のこ… いや、うちにそういう決まりはないよ。日々の生活に関しては、効率重視。親父、風呂テキトーだし。昔は、家の前の川に降りて行ってバシャバシャやって済ませる日もあった。暑い日限定だけど」

妹のただでさえ大きな瞳が、オレをロックオンしたままさらに縦幅を拡大する。数秒の沈黙。

この子なりに驚いているらしいと気付く。
あ、クスッて笑った。

義妹「そんなに綺麗なんですか、あの川」
オレ「あぁ、都会の川にはメダカとかゲンゴロウいないんだってね。夏には鮎も釣れるよ」
義妹「家の前で? 鮎が?」
オレ「塩焼きして、そのまま食卓へ」

顎に手を当てながらまだ何か考えてるらしい義妹に「とにかくお風呂、先に頂きます」とだけ告げて、その場を離脱。

玄関で靴を脱いでたら途端に空腹感が戻ってきた。身体は明らかに、風呂より先に晩飯を要求している。風呂場で倒れないだろうな、オレ…
60 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/14(土) 22:22:47.84 ID:PGwF6gI0o
以上、高校編 第一章的なもの、終わりです。
61 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/14(土) 22:25:16.59 ID:PGwF6gI0o
>>55
以下、お約束のブツです。

高校編しか読んでない人だと、義妹のイメージ崩れる可能性大かと…


オレ「義妹さん、今夜は月が綺麗ですね」
義妹「…え? どうして急にデスマス調?」
オレ「いや、そんなのいいから。ほら、見て見て。今夜は月が綺麗ですね」
義妹「えっと、いわゆる朧月ですね。どちらか言うとちょっと怖いっていうか… 綺麗とは少し違うかな」
オレ「いいですか、奥さん。大事なことだから三回言いますよ。今夜は月が綺麗ですね」
義妹「え、ちょ、お、おくさん? そんな急に…」
オレ「夏目漱石が英語教師してたのは知ってる?」
義妹「…は? 漱石? 「坊っちゃん」の主役が先生役でしたよね?」
オレ「そう。坊っちゃんの主人公は数学の先生だけどね」
義妹「…で?」
オレ「ある日、授業中に生徒が"I love you"を"我汝ヲ愛ス"って訳したんだって」
義妹「旧仮名遣いっていうんですか、途端に渋い響きになりますね」
オレ「そしたら漱石が「日本人はそんな直接的な愛情表現をしない。今夜は月が綺麗ですね、程度に訳しておきなさい」って言ったんだって」
義妹「わ、当時の日本人は奥ゆかしかったって話ですか? なんか素敵。うん、そういうの好きかも」
オレ「これが今夜のオレの婉曲的文豪告白。では、改めまして、コホン…今夜は月が綺麗ですね」
義妹「わぁ… ヤバいかも、コレ」
オレ「お、婉曲的アプローチ、珍しく高評価?」
義妹「エヘ。お月様、綺麗ですよー 今宵は月を愛でながら致しますか?」
オレ「え… 奥ゆかしさはどこへ?」
62 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/14(土) 22:42:09.98 ID:xqD049/Io
毎晩告白してんの?wwラブラブだなぁww
63 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/14(土) 22:47:08.32 ID:EWDYFvSUo
パー速のスレ見てるとよく思うんだけどスレに出てくる人ってたまに月が綺麗ですねの意味知らない人多いねww
64 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/15(日) 01:54:05.97 ID:O3ItLJrWo
やばい
臭いwwww
65 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/15(日) 04:51:34.40 ID:J7xZ3/WKo
そのうち義妹が言ってくるだろうから

私死んでもいいわ
とでも返すといいよww
66 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/15(日) 06:28:13.31 ID:Bk7N9adHo
おはうぃ。じゃ、第二章的なもの、始まり。しかし、日曜の朝イチ恥ずかしい気分のオレはどーすればいい?

>>62
まだ9ヶ月ですから。世界中がアハハウフフの対象ッスw

>>63
スマン。オレもついこの前まで知らなかったんだ。日本でいわゆる理系に分類される人達はほとんど知らないのでは…?

>>64
なんかスマンw 他人のアハハウフフなんてこんなもんだろ?

>>65
把握した。こんなスレがあるのか。で、>>61の書き込みが猛烈に恥ずかしくなってきたんだが、どーすればいいんだ?
67 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/15(日) 06:30:15.31 ID:mG2FE+T0o
おはうぃ


義妹も恥ずかしくさせとけ
68 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/15(日) 06:30:17.75 ID:Bk7N9adHo
親父「…というわけだ。明日の日曜、儂と義母は終日留守にする。後の事は一任するから、オレ、義妹に町を案内してやれ」
オレ「マジでか。義妹もスカイラインに一緒に乗せ…」
義妹「わかりました。問題ありません」

都会から来た中三女子って、日曜になにするんだ? ウィンドウショッピング? 歩き疲れたらスタバ? 町には生活必需品を扱うよろず屋が一軒だけ。しかも、何も買わずに立ち去れる雰囲気じゃない。

ただちに、オレは脳内ぴあ町内版を走査した。

映画館…そんなものない
ボーリングとかビリヤードみたいな遊戯施設…じぃちゃん、ばぁちゃん用のゲートボール場ならある
本屋…こぢんまりとした図書館があるが、これもジィさんバァさんの憩いの場と化している
ショッピングモール…オレが通う高校がある隣町まで行けば、ジャスコがある。ただし、バスで山道を走ること往復2時間
小洒落たカフェ…定食屋「千葉」にセルフサービスのコーヒー(ただし、千葉一家と共用)があるだけ。いや、役所と公民館に自販機コーナーがあったか

「いっそのこと隣町まで出るべきか? いや、ただでさえ少ないバスの本数が土日ダイヤだとさらに減るし…」
居間のちゃぶ台で頭を抱えてるオレの頭上から、寛大なリクエストが降ってきた。

義妹「明日なのですが、兄さんのお気に入りの場所に案内してくれませんか。この町限定で」

この子、ちょっと低いけどよく通る澄んだ声してるんだなと、この時に初めて気付いた。
69 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/15(日) 06:42:51.00 ID:Bk7N9adHo
>>67
今朝はまだ寝てる。珍しい。オレ一人だけ恥ずかしい。
70 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/15(日) 06:50:49.55 ID:Bk7N9adHo
オレのテンションの低さを全否定するかの様に、日曜の朝は快晴。神様にまで早く出掛けろと、尻を叩かれてる気分だ。
両親が乗ったスカイラインのテールを門のところで見送って、オレは空を見上げながら必死に何気ないトーンを装って告げた。

オレ「さー、行くか。オレ達も用意しよう」
義妹「私はもう出掛けられますが」
オレ「…え、そーなの? ちょっと待ってて。着替えてくるから」

引き出しの中で最も着用回数が少ないTシャツの上に、今日の為に漂白しておいた白いボタンダウンシャツを羽織る。ボトムのリーバイスは少しクタッとなっているが目を瞑る。

オレ「ゴメン。お待たせ」

ヒップポケットに財布をねじ込みながら、義妹に近付く。門のところで女郎蜘蛛の巣を光に透かして観察していた彼女が振り返り、オレが斜め掛けにしたバッグに視線を止める。
「どうしてそんなに大きな荷物が必要なのですか」という声が聞こえてくる前に、マイ自転車を押してスタスタと門を出るオレ。

後ろから何も言わずに、素直についてくる義妹の気配。よしよし、これはかなり兄貴っぽいんじゃないか? ナイス、オレ。

門を出て、家の前の橋を渡る。鳶が上空で特徴的な鳴き声を上げながら旋回している。川魚を狙っているのだろう。「凄い! あの鳥、大きい!」とか言ってる義妹。それ、全然凄くない。いくらでもいるから、この辺。
川を背中にして、そのまま緩やかな坂を登り始める。三昧(さんまい はかばかしいのことね。ちなみに、土葬)がある交差点も素通りして、そのままどんどん山の方へ。
当然、なにしゃべったらいいのかわからないから、自転車を押して黙々と歩く。聞こえるのは自転車の駆動系が立てる音だけ。

20分後。目的の場所を視界に捉えたので、後ろをついてくる妹を振り返って指で示す。コクリと頷く妹の首筋に、汗が薄く光っている。
71 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/15(日) 06:57:08.04 ID:Bk7N9adHo
義妹「わー すごーい! 気持ちいー!」

素直な反応を見せて、境内の真ん中へ小走り移動していく義妹。意外だ。オレも鳥居の脇にマイ自転車を置いて、ゆっくりと境内に足を踏み入れる。ジャリジャリ。

山を少し上がっただけなのにひんやりした風が吹き抜けて、鎮守の森からサワサワと葉ずれの音が落ちてくる。掃き清められた地面には、既にいくつかの足跡。早朝参拝に訪れた人がいるのだろう。

子どもの頃は、ここに来れば必ず誰か遊び相手が見つかった。いつから足が遠退いたのか、自問しても明確な時期は特定出来ない。

ここから振り返ると、町の大半部分を眼下に収めることが出来る。谷の合間を流れる川。その両岸に大半の人家と施設が密集していて、あとは田んぼ、畑、ビニールハウスがほとんど。当時のオレには見慣れた景色だったが、都会しか知らない義妹にとっては、お宮に上がっただけで一望出来る町というのは驚きだったらしい。悪かったな、田舎で。

初めて見る年齢相応の義妹の表情に気を良くしたオレは、いつの間にか横に立って同じ景色を見ている義妹に町のレイアウトを説明する。

オレ「アレが役場。親父の職場。斜め向かいが公民館。あそこに50mくらいの商店街っぽいのがあって、普段の買い物はそこで済ませて…」

フンフンと頷きながら、オレが指差す方を視線で追う義妹。なんだ。意外に素直な生き物なのかも知れないな、コイツ。

神社の何がそんなに面白いのかわからないが、義妹は物珍しそうにあちこちに視線を動かしながら、境内の奥へずんずん進んでいく。

オレ「夏祭にはこの辺に夜店が立って…って、あれ? どこ行った?」
義妹「うきゃっ!!」
72 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/15(日) 07:04:24.53 ID:Bk7N9adHo
あ、間違えた。>>70の三昧の説明は、

誤 はかばかしい
正 墓場

です。スマホの変換候補が…言い訳はやめとく。ゴメン。
73 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/15(日) 08:10:02.46 ID:UKEqEhpro
おはよー
朝早くから乙です。
本編も楽しみにしてるよ
74 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/15(日) 10:21:40.19 ID:caaV7+n9o
>>71
義妹「お兄さん。あのクスの木! 大きいねえ」
オレ「きっと、ずーっとずーっと昔から、ここに立っていたんだね。昔々は、木と人は仲よしだったんだよ」
75 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/15(日) 11:37:13.70 ID:aRd4A2OYO
いくつか質問が。

1. 仕事辞めたのに、なんでそんなに早起きなの?

2. この文章、結構な分量あると思うんだけど、まさか全部スマホで書いてるの?

3. 貴方の文章って地の文は丁寧に淡々としてる一方で、会話が軽快な掛け合いみたいでそのギャップが面白いんだけど、どこかで練習したの?

4. ジャスコ好き?
76 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/15(日) 14:43:50.63 ID:O/iUTyG3o
>>75
質問していいよね

1.友達いる?

2.キモいっていわれない?

3.どこで日本語習ったの?

4.ヨーカドー好き?

77 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/15(日) 22:28:05.65 ID:Bk7N9adHo
>>73
そういうの素直に嬉しい。さんきゅ。

>>74
ちょw オレの氏神様の境内で勝手にトトロごっこさせないでww あんなデカいクスノキ生えてないからwww

>>75
1. 理由は二つ。田舎の朝早い生活リズムで育ったことと、オセアニア市場が動き出すから。
2. ノートPCで80%書き上げて、残り20%はスマホで。外出先の隙間時間とか、家でゴロゴロしながら仕上げて、切りの良いとこまで出来上がったらアップって感じ。
3. 練習したことはないです。分量が膨らみがちなので、もっとスッキリ書きたい。どうやったら巧くなるんですかね、文章って。
4. 世界展開のカリスマ総合セレクトショップですよ? 好きってか、田舎者にとってはもはやリスペクト? でも、この数年後にイオン傘下に入って、国内からジャスコ消滅しちゃったんだよね…
78 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/15(日) 22:28:28.61 ID:Bk7N9adHo
さっき飲物買いに出たら、あちこち水溜りだらけ。記録的豪雨らしいですね、台風18号。

本編の続きを一つと、リアルタイムのやり取りを一つ貼って寝ます。おやすみ。
79 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/15(日) 22:29:43.58 ID:Bk7N9adHo
静謐なる聖域に奇声が響き渡り、驚いた小鳥が頭上でパタパタと羽音を立てる。

何事かとあたりを見渡すと「わ、わ、わ」と声を漏らしながら、必死の形相でこちらへ走ってくる義妹が見えた。そのままオレの背後に回り、シャツの裾を掴んで隠れる。

オレ「え、どしたの?」
義妹「へ、へへび、へびびび」

背後から義妹の震える指先が上がり、そちらを見ると長くて太い枝…ではなく、緑っぽい蛇。日差しを受けてテラテラ輝く身体を石畳の上に横たえながら、頭部だけを低くもたげてこちらの様子を窺っている。心地良い陽だまりスポットを放棄してでも逃げるべき状況か、こちらの出方を窺ってるのだろう。

オレ「あぁ、アイツね。大丈夫だよ。こちらが何もしなければ、攻撃してこない」
義妹「アイツって、ヘビと友達なんですか!?」
オレ「いや、顔見知り程度だけど。模様で大体わかる。あそこでたまに日向ぼっこしてるのを見る」
義妹「あんな大きくて太いヘビ、動物園でしか見たことありません。5メートルくらいありました」
オレ「いや、せいぜい2メートルちょっとじゃない? まぁ、あそこまで育ってるのはこのへんでもあまり見ないかな」
義妹「と、とりあえず離れましょうよ。追っ掛けてこないかな?」

その発想に、思わず小さな笑いが漏れてしまう。ああいう大きい種類のヘビはからかったり、間違って踏ん付けたりしない限り、安全な生き物だ。ネズミも取ってくれる。
むしろ人里で見掛ける生き物の中では、猪や熊の方がずっと危ない。どこかのバァちゃんが猪に突進されて骨を折ったとか、ジィちゃんが熊と闘って追っ払ったみたいな話は、毎年何件か耳にする。

鳥居付近まで戻ってきた。ヘビから離れると義妹は途端に落ち着きを取り戻したらしく、両腕を広げて「あー!」とか言ってる。いや、ほぼ叫んでるに近い声量だ。やめろ。宮司さんが出てくるだろ。

義妹「ね! 次はどこ連れて行ってくれるんですか?」
オレ「これでおしまい。あとは家でゴロゴロする」
義妹「えーー!!」
オレ「ウソ。乗って」

鳥居の脇に停めてあったマイ自転車に跨り、バッグからタオルを取り出して荷台に敷くと、義妹に合図。
彼女は後ろで荷台に跨って左手でオレの腰をガッチリホールド、右手で荷台の端の掴み方を数パターン試してから「これでヨシ」と呟いた。
80 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/15(日) 22:31:13.51 ID:Bk7N9adHo
オレ「もう5年も経つんだ」
義妹「え?」
オレ「リーマン破綻。9.11も衝撃的だったけど、9.15も金融の世界に関わる者にとっては忘れられない日になった」
義妹「そっか。もうそんなになるんだ」
オレ「投資銀行なんて仰々しい名前使ってても、内部から見れば大半はちょっと優秀なだけの凡人の集まりだった。オレも含めて」
義妹「…辞める踏ん切りがよくつきましたね」
オレ「飽きた。その一言に尽きる。色んな国から集まった肌の色の違う猿が、小難しい金融知識で理論武装して権力争い。血を吐きながら勝ち上がっても、得られるのは猿山のトップって肩書と一生使い切れない金だけ。とてもじゃないがペイしない」
義妹「どうするんですか、これから」
オレ「親孝行でもしようかな」
義妹「わかんない。なに企んでるんですか」
オレ「そのクリスピーサンドくれたら教えたげる」
義妹「ダメです。コレは譲れません。交渉不成立」
オレ「おかしいな。ネゴスキルが鈍ってるのかな、オレ」
義妹「フフ。いまの兄さんには腑抜けって言葉がぴったりですよ」
オレ「む。失敬な。でも、その通りだ」
義妹「もうしばらく腑抜けててください。女はサプライズが好きなんです。後のお楽しみに置いときたい」
オレ「何でもお見通しか。家族を驚かすのって難しいね」
81 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/15(日) 23:11:10.16 ID:jgNCd1Rqo
見てるよー
82 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/16(月) 01:58:23.41 ID:AeiKoLE3o
乙です
リアルタイムの方も気になるので
こっちもお願いします
ほんわかした義妹さんのようで
うらやましいですわ
83 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 :2013/09/16(月) 06:32:00.59 ID:Ey+h7ShQo
おはよん。

>>81
さんきゅ。

>>82
ほ、ほんわか!? >>80だけ読むとそういう印象にならないこともない…かな?
84 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/16(月) 06:32:30.32 ID:Ey+h7ShQo
義妹「私の推理が正しければ、さっき登ってきた道をいまから下るんですね、コレで?」
オレ「その通り。そのためにわざわざ押して上がってきたんだから。つかまった?」
義妹「ゆ、ゆっくりですよ。あくまで、ゆっくりと!」

両脚で地面を蹴ってマイ自転車をスタートさせる。最初の数メートルこそフラついたものの、緩やかな傾斜の助力を得た愛機は徐々にスピードに乗っていく。
オレはこの浮翌遊感が堪らなく好きだ。曲がりくねった道を身体を傾けて、向かい風の抵抗をはらみながら滑空してい…

義妹「無理! もー無理! 背中がフワフワしてる! ダメ! ダメだってー!!」
オレ「わっ、ちょ、あぶな、引っ張ったら危ないって」

リアシートがやたらと賑やかしい。必死にしがみついてくるから、余計にハンドルがブレる。この素敵な浮翌遊感は万人と共有出来るものではないらしい。
仕方なく、しぶしぶハンドブレーキと足ブレーキを併用してお楽しみを中断する。ズルズルズル。舞い上がる砂埃。

義妹「え、なんで足擦ってるんですか。そこのレバー、もっと握りましょうよ。ほら、ギュッて」
オレ「あー いや、コレね、あんまり効かないんだよね。足を突っ張る方がよく止まるくらい。ブレーキパッドの摩耗とワイヤーの弛緩が原因だね。ただ、あんまりやると靴の底が減るから足ブレーキは極力使いたくない」
義妹「…そんな乗り物にいま乗ってるんですね、私。次の目的地まで、あとどれくらい?」
オレ「ん。いま、山の上のお宮から渓谷の河原まで降りてくとこだから。まだしばらく掛かるよ」

ヒュー…ズルズルズル…を繰り返すオレ。後ろで絶望に打ちひしがれているらしい義妹を乗せて、いつもより控え目ペースで下り坂を楽しむ。
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