【Fifth】幻想的な画像に設定足して世界作ろうず【Genesis】

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1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 19:47:44.00 ID:y4U7AypG0
【テンプレ】

幻想的な画像に勝手に設定を付け加えたものを集めて仮想世界をつくりましょう。
レスは画像だけでも設定だけでもおk。そうしたら他の人が設定作ったり画像はったりしてあげてください。
画像は建物でも生き物でもなんでもいいよー。設定も中二でも使い古しでも大丈夫。
みんなでワクワクするファンタジーな世界をつくりましょう!

※設定を書き込む場合や、画像を投下する際、既出かどうかを確認してください。
又、それに酷似した設定が無いかも確認してください。


前スレ
【Fifth】幻想的な画像に設定足して世界作ろうず【Genesis】
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1400645428/

wiki
http://www46.atwiki.jp/fantastical_world/
2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 19:49:39.88 ID:y4U7AypG0
era1の幕開けからジャッジメントデイまで


西暦207X年。


光速へと至る技術の研究中、偶然にも、折り畳まれた十一次元を解析・制御する力
『次元科学』を手にした人類は、一大転換期を迎えた。
上位次元の展開・格納と其処を航行する技術を組み合わせることで、
擬似的なワープ航法を実現した人類は、次々に地球を飛び立ち、宇宙へと進出していった。


果てしなく遠い惑星へ辿り着き、それらへ植民し、資源を採掘する。
正しく、彼らは現代の開拓民そのものであった。
彼らの中には、この宇宙の最果てさえも越え、ビッグバンによる創造と同時に分かたれた他の世界
……所謂別の宇宙島へと辿り着くものさえあった。
これらは総称して《次元世界》と呼ばれ、新たなフロンティアとして、世界の注目の的となった。


これらの地から齎されたあらゆるものは、地球文明圏に多大な影響を与えた。
新資源や移住可能な惑星の発見、そしてその開拓。
特に、完全な枯渇が目先に迫り始めた石油資源が、一部の惑星から採掘されたという報は、世界を沸かせた。
限界まで衰退していた石油市場は息を吹き返し、再び経済は動き始めた。
この新たな時代を讃えるべく、国連は独自に次元世紀(Dimension.Era)なる暦を制定したが、
それは、正に世情を映した鏡であった。


しかし、これに反発を抱くものも多かった。
南北問題……即ち、北半球の先進諸国と南半球の発展途上諸国の間にある経済格差は未だに解決されておらず、
貧困な南側は、ろくに次元世界へ進出することも出来ずに、更に格差を拡大させていた。
為に、次元科学を独占していた北側に対し、悪感情が積もっていった。
また、中東を始めとする産油国もこれに同調した。国家の根幹をモノカルチャー経済に頼っていた副作用として、
彼らが莫大な権益を貪った地下資源は枯れかけ、最早国際的地位は失われていた。
その上に、自分達以外の国が石油を大量に輸出し得る様になったこの現状を快く思わないのは、当然のことだった。


また、同じ頃、世界中で未知の生命体が出現し、人々を襲い脅かす様になっていた。
それらは、醜悪な風貌と恐ろしい力を持つことから、俗に《悪魔》と呼ばれるようになる。
《悪魔》の存在は人々を不安に陥れ、一部の人間の策動によって、
『悪魔は次元世界へ辿り着いたことで現れたのだ』という噂がまことしやかに囁かれることとなった。
実際、悪魔が確認され始めたのが次元世界への進出以来であったことから、
一部の民衆が、北側の次元世界政策を批判し始めた。


これに加えて、超能力者の実在が証明されたことも、社会不安を増す要因となっていた。
次元科学によって、幾つかの超常現象の要因が解明される中、所謂超能力や魔法といったものに対しても、
その見地から再度の研究が行われた。
その結果、超能力は確かに実在し、それを扱う人間が多数いることも確認された。
しかし、集団から異質なものを排除したがるのは、人間の本能に根付くものである。
この事実が発表されてから、特に北側において、超能力者を排除・区別すべきであるというものが台頭する様になった。
これに反対する、或いは賛同しない者も大勢いたが、己が異能の為に、
超能力者達は、新たな社会的マイノリティとして疎まれる様になっていった。


これらの条件が重なり、世界の社会情勢は混迷を極めた。
南側が反北側を旗印として堅く結束する一方、北側でも南側を暗に疎み、 これを封じ込めようとした。
互いが互いを潰そうとして、良好な関係を保てるはずもなく、両者は、対立を更に深めていった。
その背後には、《悪魔》の噂に傾倒した人間が作った反悪魔結社と南側の結託や、
排斥運動からの保護を名目にした北側の超能力者の強制収容などがあり、
これが、更に社会情勢の悪化を助長した。
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 19:50:47.90 ID:y4U7AypG0
そして、ある時。南側に属し、北側を舌鋒鋭く糾弾していた小国が、突如として『消滅』した。
次元科学を転用して開発された、空間を丸ごと上位次元へと削り飛ばす恐るべき戦略兵器――
次元弾と名付けられたそれを、北側がその国の首都へ撃ちこんだのだ。


結果は、期待以上のものだったであろう。
小国であったとはいえ、その国の国土面積の実に二割が異次元へと消し飛び、
三割が、その異常な現象によって引き起こされた災害によって、事実上壊滅したのだから。
しかも、その事実は数年間、全く外部へ洩れることがなかった。
電脳ネットワークの大半を握り、マスコミへの強力な影響力を持つ北側は、その力を使い、
一つの強大な幻影を作り上げ、事実を隠匿し続けた。
あらゆる情報を制御し、地域への来訪者を『保護』し、航空機や衛星さえも支配下において、
その惨劇をひた隠しに隠した。


しかし、そんなまやかしが、何時までも続く筈がなかった。
死をも厭わぬ記者達の活動と、内部の人間のリークによって、
やがてこの事実は全世界に暴露され、人々を震撼させた。
これによって、北と南は完全に袂を分かち、敵意を剥き出しにして対峙することとなった。


南側は、中東に残されていた資金・資源を全体で共有し、急速に軍備を拡大。
主だった国の幾つかは《次元世界》への進出を果たし、更に戦力を増していった。
また、「破滅を呼び寄せた北側への聖戦を」と煽り立てて、反悪魔結社のテロ組織化を推し進め、
非正規戦闘による北側の勢力漸減を図った。
これらの策謀は順調に展開し、気が付けば、国家消滅が知れ渡ってから僅かの内に、
南側は北側と十分渡り合えるだけの力をつけていた。


対して、北側は情報戦略に於いて終始有利に立った。
引き続き情報統制を続け、テロ組織と化した結社との結びつきを糾弾するなど、
南側をプロパガンダによって徹底的に貶め、これを討ち果たすというカバーストーリーを流布した。
同時に、強制収容した超能力者の『兵器化』が進められ、彼らを使った軍事作戦が予定された。
それを推進するべく、政府に従う者を厚遇し、そうでない者を捕らえて屈服させる超能力者部隊が編成され、
各地の都市では、超能力者狩りと呼ばれる作戦行動が見られる様になった。


こうした流れの中で、憎しみは際限無く膨れ上がっていった。南と北。富貴と貧困。正義と悪。
支配者と反逆者。迫害者と被虐者。対立する二つの狭間で、深い沼の澱みの様に、
溜まり溜まって濁り切った負の想いは、人類を狂わせ、そして感情を決壊させた。


南側は軍事同盟を締結し、北側に属する全ての国家へ宣戦を布告。
北側もこれに応えたことで、地球全土を巻き込む全面戦争が始まった。
次元世界へ進出する為に発展したあらゆる技術は、兵器を造る為に転用された。
宇宙船は戦闘用に改造され、次元を越えることは、敵への奇襲に有効と見られた。
宇宙空間は邪魔な人間を無視出来る格好の戦場となり、浮かぶ[ピザ]リは、
動かせる障害物として戦術構築に利用された。


そして、終わりが始まった。
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 19:51:11.07 ID:y4U7AypG0
短期決戦を目論み、核攻撃を実行すべく赤道上に戦力を展開した北側と、
それを迎え撃つべく集結した南側の戦力は、 そのまま、その場を決戦場として、一斉に戦闘を開始した。
秘匿されていた戦術核は虚空に紅蓮の大華を咲かせ、無数の爆轟がそれに彩りを添えた。
地表へ墜ちていった兵器の残骸は都市を破壊し、歴史を無に帰していった。


全ては破壊し尽くされた。無数の命は木端の如く吹き散らされ、後には、灰燼だけが遺った。


――戦闘が始まってから十日目に発射されたそれが、一体何処から来たのかということは、定かではない。
唯、地球上のある場所で、戦略核に相当するエネルギーの解放があったのは確かだった。
それを切っ掛けとして、人類は、とうとう最後の引き鉄を引いた。


核抑止という平和の幻想を齎してきた悪魔は目覚め、供犠を求めて飛び立った。
契約を果たし、魂を刈り取るべく、更なる厄災をも撒き散らして、彼らは嗤った。


地上の民衆は、その時垣間見たという。大地を、天空を、海原を行く、大いなる何かの姿を。
嘗て二つの都市に煌めいた滅びの光が灼き尽くす世界に、嘆き、怒り、絶望する何かの姿を。


それまでの光景を地獄だと言うのなら、これは何であったろうか。
全てが終わり、枯れ果てた静寂が星を包む中、それに答える者は、一人としていなかった。




時に、西暦208X年__次元世紀00XX年。幾千の年を重ねた一つの惑星文明圏が、脆くも崩壊した。
5 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 19:51:36.26 ID:y4U7AypG0
era2の幕開け


文明がほぼ崩壊して長い年月が経った。
残された遺物は数限りなく、小舟の墓場などが現れた。
核、気候の変化によって生物達は急激かつ多様な変化を強いられていた。
人間の中には外形が変化し、寿命が異常に長くなった者も少なからずいた。
彼らは自らの異常性を認識し、孤独に暮らすことを選んだ。


物資の流通は完全に途切れ、全てのものが半固定された状態となった。
人間も例外ではなく、あるものは植物が異常に繁茂した地域に逃げ込み、あるものは砂漠地帯で生活し、
またあるものは旧都市部の瓦礫の中で命を繋いだ。


その中でも徐々に連帯意識が生まれて、思想が誕生した。
都市部の残骸の中からは、また新たな人類の隆盛を望む復興論が。
自然の驚異に晒される島国からは、このままの均衡を保つ融和論が。
そして、植物繁茂の地域からは、神の存在を絶対的なものとする唯神論が。


低温地域だった両極のバランスが微妙に崩れ、北方、ニイドウの寒冷さは強さを増したが、
南方の寒冷地域はスエラ、スノウ・ホワイトを残すだけだった。


南方の温暖化に伴う水位上昇の影響は各地に広がり、留まりを見せた。
era1から続いていた悪魔の襲来もあったが、復興の芽は着実に芽吹いていった。
6 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 19:52:02.10 ID:y4U7AypG0
era2の発達


さらに時間が経ち、文明は僅かに、だが着実に以前の様相を取り戻しつつあった。
都市部の残骸は以前の技術のベールを削り取ることに全力を注ぎ、復興論はソレグレイユと言う国家を組み立てるまでになった。
ソレグレイユから離脱を決意し、海を越え、旧ソレグレイユと呼ばれる部族を立てたものも少なからずいた。


彼らは以前の文明(海洋尖塔ム・パージル)を探し当てることに全力を注ぎ続けた。


融和論は根強くはびこり、久平と言われる中立国家群を形成するまでになった。
彼らは領土も狭く、技術後進国とソレグレイユ陣営からは見なされていたために、侵略に発展することは無かった。


唯神論はオールグリーンとなった地域に遍く広がり、かつて無い隆盛を見せた。


完全破壊地域と思われていた遥か西方にも人間は移動し、どの思想も持たぬ者達の集落が作られていた。
それらは、グルゲズ・シュルハルム、スエラ、水位上昇の都ミューミルなどであった。


悪魔襲来に対する各思想の区別が出た。
ソレグレイユは悪魔を忌避するものとし、完全に[ピーーー]ことを絶対とした。
彼らにとって重要なのは旧文明の再興であって、昔から頭を悩ませてきた悪魔との融和ではなかった。


久平の対応は穏やかなものであった。彼らは出来るだけ悪魔をきづつけないような方法を模索し続けていた。
破壊衝動を他のものに向けさせる、網で絡めとる――原始的なやり方ではあったが、技術が進むにつれ、久平の自己防衛能力は高まっていった。


ユグドラシルのものは他の二つとは全く異なっていた。彼らは突然変異の人間(エルフ)を擁しており、悪魔は神の力の源泉と考えていた。
彼らは悪魔の研究に没頭するようになり、イズの古小屋の知恵を借りて、それとの融合を求めた。
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 19:52:26.93 ID:y4U7AypG0
era2の終結


そして、世界の大半が『ソレグレイユ』『ユグドラシル』『久平』と言う三陣営に組することになる。
ソレグレイユは残っていた遺跡の解読調査を行い、遥か昔に起こった大絶滅の情報を手に入れ、それを公開する。
他陣営はそれに驚愕し、そしてオルケインと言う場所を持って、追悼式を行う。
オルケインに建てられた記念碑と供に、世界は少しづつ変容を繰り返しながら、続いていくはずであった。


しかし、ソレグレイユの技術の手詰まり、久平が持っていた大量の遺跡情報の公開、
そしてユグドラシルが奇跡の技とも称される、魔法を発明すると時代はera3に突入する。
8 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 19:53:28.31 ID:y4U7AypG0
era3の幕開け


失われた次元航行の方法を求め、ソレグレイユは科学を発展させ、
大地に残された僅かな手がかりを捜し求めていた。
だが、不幸なことにソレグレイユの勢力圏内の次元科学に関する手がかりは全て失われていた


苛立ちを募らせたソレグレイユが目を向けたのは、
ジャッジメントデイの影響が少なく、国内に多くの先史文明の遺跡を残す久平であった…


「きっと、あの国は次元科学の開発を進めているに違いない…」


疑心暗鬼にとらわれたソレグレイユは諜報戦の中で賢精イズの古屋の存在に気づいたのだった。



賢者イズの遺産を求めたソレグレイユは幾度と無く潜入部隊を送りこんだ。
が、それらの部隊が情報を持ち帰ることはなかった。


苛立ちの頂点に達したソレグレイユは、潜入部隊ではなく上陸部隊を送り込むことにした。
つまり、侵略戦争を開始したのである。


ソレグレイユはアルカディオによる淵奈の爆撃と
新兵器ティーゲルの使用により久平の約30%を占領すると、
イズの小屋を始めとする各地の遺跡から次元科学の情報を集めた。


この暴挙を、ユグドラシルは激しく非難、自国民の救援を口実に久平に魔導兵部隊を出兵した。


これが、後の世に"文明戦争"と呼ばれる戦いの発端であった。



戦いは、ソレグレイユの圧倒的有利の中で進んだ。
そもそも、文明の再興や来襲する悪魔の研究に国力を割いていたユグドラシルと
貪欲に兵器開発のみを行っていたソレグレイユの戦力が釣り合うはずがなかったのだ。


久平の魔導部隊を殲滅したソレグレイユは、ユグドラシル本土への上陸作戦
『オペレーションラグナロック』を開始した。


ベルカン水路を爆撃により分断したソレグレイユ軍は上陸を決行する。
しかし、その作戦が成功することはなかった。


大量の悪魔が、艦隊を襲撃したのだ。
9 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 19:53:46.56 ID:y4U7AypG0
悪魔の襲撃に対抗するため一時的に戦争は休戦となった。
さすがに人類同士で争っている場合ではなかったからだ。


しかし、その戦いの中でユグドラシルはある戦利品を手にした。
大量の悪魔のサンプルである。
これまでも悪魔の死体や瀕死の悪魔は入手されていたが、
ユグドラシルはそれらを研究することなく廃棄していた。


しかし、文明戦争によりソレグレイユとの圧倒的戦力差を痛感したユグドラシルは、
ある決定を下す。


すなわち、悪魔の兵器としての利用である。



悪魔の持つ圧倒的な破壊衝動を魔法によって支配したユグドラシルは
それらを『デビルデバイス』通称D2と名付け、密かに全軍に配備し
一方ソレグレイユは次元科学を断片的ながら復活させ、
その技術を転用した多数の『次元兵器』を完成させた。


こうして圧倒的兵力を有した両陣営は、久平を二つ、すなわち
『ソレグレイユ次元科学開発地区』『久平魔導人民自治地区』に分けてにらみ合いを続けていた……。
10 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 19:54:04.16 ID:y4U7AypG0
【第二次文明戦争に至る道】


第一次文明戦争の後、ユグドラシルは皇帝ガノッサ・エル・ユグドラシルの指導のもと、融和路線へと進んだ。
国内には軍拡を叫ぶ派閥も存在したが、国民の支持を得られずその活動は小規模なものであった。
一方、ソレグレイユは無理な軍拡による国内の貧富の差が広がり、経済の調整に力を注がざるをえなかった。
この両国の平和的な活動が続いた時期を“黄金の20年”と呼ぶ。


ガノッサ帝の死後、帝位は父から英才教育を受けた一人息子、アーサー・フォン・ユグドラシルへと受け継がれた。
しかし、将軍イザベルと摂政マイスナーの二人が主導権を握っていた王宮では、幼い彼は発言することすらできなかった。


こうして、ソレグレイユ征服論を唱える二人が国の実権を握ったことにより、黄金の20年は終焉を迎えた。
11 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 19:54:23.33 ID:y4U7AypG0
《悪魔祓いの反乱》



ユグドラシルの軍拡路線、特にD2兵器の研究に教会は何度も反対したが、受け入れられることは無かった。
それどころか、ユグドラシル側は『これまで調べてきた悪魔の情報を引き渡せ』という傲慢な要求を突きつけてきた。
これに反発した教会は、ロクタス大聖堂における会議の結果、ユグドラシルからの離脱を決定した。


この決定に先立ち、事前に皇帝の護衛を努めていたAランクの悪魔祓いが、
殆ど軟禁状態にあったアーサー帝を救出。
ベルカン水路を使ってライクネルに集結する他の悪魔祓いと共にロクタス大聖堂まで避難した。


この行動を受け、ユグドラシルはライクネルを包囲。皇帝アーサーの引き渡しを求めた。
それに対し教会は、誰も想像すらしなかった方法で難を逃れる。
まさに突入しようとした大軍勢の目の前で、ロクタス大聖堂は空へと舞い上がったのだった。
果たしてどのような魔術が使われたか定かではないが、こうして悪魔祓い達はユグドラシルを後にした。
12 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 19:54:41.95 ID:y4U7AypG0
《二つの文明の出会い》


教会そのものを宙に上げることで難を逃れた悪魔祓い達。
だが、様々な対空術式から狙われる可能性を考え、彼らはより高く、より遠くへと飛ぼうとした。
そうして、雲を突き抜け逃避行を続ける彼らは、そこでありえない存在と出会う。
そして、この出会いこそが第二次文明戦争に大きな波乱を巻き起こすことを彼らはまだ知らない。



『どうだ? ユグドラシルの追撃は来てないだろうな』
『……あのー、なんかすごいものが雲の向こうにあるんですが』
『すごいもの? まさか敵か!?』
『いや、あれは……なんて言ったらいいんでしょうか。とにかく、すごいもんです』


―――教会の見張りを努めていた、C級悪魔祓いとその上司の会話




《二つの文明の出会い 〜別視点にて〜》


ウラノス群を天空(そら)に昇らせて300年余り。
未だ天上の人類は、同胞と悪魔以外に天空で遭遇していない。


新生土地誕生に立ち会った者は既にこの世には居らず、当時の事は子孫達の間では神話として語り継がれていた。
雲の上に昇ったウラノスの住人たちにとって、地上の存在などそれこそオトギ話のようなものとして扱われ、
今までその存在が知られることはなかった。


そして、天空での悠々とした人生を送っていた最中、彼らはありえない存在に出会うこととなった。



『正体不明の大型物体を捕捉! 第弐戦闘配備、急げっ!』
『何があるんだ? 悪魔なのか!?』
『いえ、悪魔の反応はありません。ですがこれは……建造物か?』
『ならば同胞なのか? はやくモニターを出せ!』


―――警備塔指令室での司令官と索敵員の会話
13 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 19:55:09.08 ID:y4U7AypG0
□三大勢力



ジャッジメントデイの後、核汚染をはじめとする急激な環境の変化や気候変動のために、多くの生物は絶滅したものの、
突然変異や新たな環境への適応を果たした一部の種族は生き延びることに成功した。
生き延びた人類は、それぞれの辿り着いた先で新たな国をつくっていった。
そして現在、その多くは、ソレグレイユ、ユグドラシル、久平という3つの勢力のいずれかに属している。




《科学文明圏ソレグレイユ》
北半球を勢力圏とし、ジャッジメントデイ以前の科学文明、そして次元科学の復興を目指す勢力。
旧世界遺物の発掘・研究と、それに基づく兵器開発を続けている。




《魔法文明圏ユグドラシル》
ジャッジメントデイの悲劇を繰り返さぬよう科学技術を捨て、
オールグリーンの中で自然と共存していくことを選んだ勢力。



南半球を勢力圏とし、エルフを通じて魔法という新たな技術を得たことから、
ソレグレイユとは形の異なる文明を発展させている。




《久平》
永久の平和への願いをこめて設立された永久中立国家。
赤道付近の島々を勢力範囲とし、政治的な独立と中立を理念としている。



ソレグレイユほど熱心ではないものの、旧世界遺物の発掘を行なっており、
ユグドラシル側から流入する魔法技術と合わせることで、
科学と魔法を融合させた独自の文化を発展させている。



第一次文明戦争の後、領土の約30%が次元科学開発地区としてソレグレイユに占領されており、
その他の地域は久平魔導人民自治地区という形で、ユグドラシルの保護下に置かれている。
14 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 19:55:33.32 ID:y4U7AypG0
□人類変異種



ジャッジメントデイ後の環境変化や気候変動に適応するため、 内部構造や外形を変化させた旧人類の末裔たち。



《通常種》
気候の変化に対応するため、外形ではなく内部構造のみを作り変えた人間種。全人類の約半数を占める。
肉体を現在の環境に適応しただけであるため、極地付近での生存には適していない。
彼らは白や黒、黄色の肌色をしており、これはera1から続く遺伝的なものであるらしい。



エルフやドワーフといった他人種とは違い、種としての秀でた特徴が無いという、era1から変わらない唯一の人種。
そのため彼らは嘗ての人類同様、科学力を発展させていった。



稀に一代限りの《超能力》と言われる未知の力を有する個体が存在する。




《エルフ》
era2初期、気候の変化に対応するため外形を変えた人間種の1つ。
通常種やドワーフに比べ圧倒的に長い寿命を持つ。



身体的には白い肌と長い耳が特徴であり、金髪に碧瞳という容姿が一般的だが、
稀に異なる瞳や髪の色が主流となっている地域も存在する。
これは、変異初期にあった個体ごとの差が、時を経て代を重ねるうちに、
民族ごとの遺伝的特徴として固定化していった結果だと考えられている。
個体差はあるものの、寿命はおよそ200〜300年程と全人間種中最長。



外形変化の影響からオールグリーンの樹木や大気中に存在する『マナ』と呼ばれる物質を
体内に吸収する体質を有し、自然現象を具現化する力『魔術』を扱える。




《ドワーフ》
era2初期、気候の変化に対応するために外形を変えた人間種の1つ。
核の着弾地点付近にいた人類の極僅かな生き残りであり、通常種やエルフと比べ絶対数が少ない。



身長140〜150cmと小柄で、全身が岩のように堅い筋肉で覆われており、
種全体として怪力、あらゆる環境での生存を可能とする強靭な肉体を持つ。
15 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 19:55:50.63 ID:y4U7AypG0
《ハーフエルフ》
エルフと人間の交配により極まれに生まれる亜人種。
外見は人間的で、エルフの特徴である耳や目は失われ白い肌以外は人間と変わり無い。
また、寿命は短くなっていて、20年ほどしか生きることはできない。
しかし、それらの欠陥を取り戻すように魔術の素養は非常に高い。



また、野生動物と心を通わせることのできるエルフの力はさらに強化されており、
野生動物のみならず人の心を読んだり、挙げ句の果てに悪魔と交流を持つ者すらいる。



《ダークエルフ》
エルフ同士での交配でのみ生まれる亜人種。
通常のエルフと同様に長い耳を持つが、肌は褐色に変化している。
統計的には銀髪に紅い瞳という容姿が多いものの、
瞳や髪の色は両親の遺伝的特徴に左右されるらしく個体差も激しい。



ダークエルフはエルフの一生の内でも一人生まれるかどうかという程に希少な存在で、
era2の始まりから数えても50人程しかいない。



不思議なことに生れ落ちるダークエルフは、その全てが女性体でエルフの数倍の魔術行使の力を有する。
個体差はあるが、その力は時にハーフエルフのそれに匹敵する。
16 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 19:56:06.05 ID:y4U7AypG0
□小人と彼らの魔術


《小人》
旧時代より以前、人類とは別の進化を遂げた亜人種。
身の丈が昆虫ほどの小ささで、大別すれば人類なのだが限りなく妖精の域に近い。


我々人類が文明を持たぬ頃にはよく交流があり、その頃のことを記した書物も残っているが
資源の搾取が過ぎるようになると次第に彼らとの交流は途絶え、終には姿も見えないようになってしまった。
一方、その間も小人たちは中世的生活を続け、自然と共存しながら生きてきた。



ジャッジメントデイの後も彼らは難なく生き延び、文明を失った人類とまた交流を深めるようになっていた。
小人は長年自然との共存を疎かにしていた人類に生き方や技術を教え、
人類は空家などを改装し、小人たちにとって暮らしやすい新居を提供した。


やがて今度は北での共存に嫌気がさした彼らは、少しずつ南に集まり国家としての形態をとるようになり
国家『ユグドラシル』を形勢するに至る。


《霊力》


人間や動物をはじめとする、あらゆる生命体の精神に宿る神秘。
かつて境井夢子が提唱した、上位次元に存在する『超常エネルギー』の正体でもある。



《旧き魔術》
かつて、ジャッジメントデイ以前に小人たちが備えていた霊力を扱う超常能力。


本来は、上位次元に存在する超常エネルギーである"霊力"を引き出し操るという
現在普及している魔術とはまた異なる性質の術であったが
ジャッジメントデイの後、"霊力"が"マナ"として具現化したことで根幹の部分が変質してしまった。


era2以降、エルフと交流を持った小人はこの術を伝えたが、エルフに霊力を扱える者はいなかった。
故に、自身が扱えるように、当時から発生し始めていたマナを利用する技術に改変して扱うようになった。


すると、この新しい魔術の方が、道具などによるある程度の拡張性を有し、
完全に個々人の才能に依存する元々の魔術よりも、今の世界の状態に適していることに気付いた小人達は、
新しい魔術を自身らの文化に逆輸入し、結果として、彼らがそれまで用いてきた"旧き魔術"は次第に廃れていった。


これ以来、超能力者以外に"真の魔術"を行使できる者はいなくなり、
仏道の修行者が行善の発案した修行によって発現させる魔術行使能力などの例外を除いて、
存在そのものが次第に忘れられていった。


即ち、幻想となっていったのである。
17 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 19:56:24.50 ID:y4U7AypG0
□天人&ウラノス群



《新生土地「ウラノス」群》
ジャッジメントデイから約100年後、遺伝子情報に従って覚醒した《天人》の手によって築かれた浮翌翌翌遊大陸群。
地上から見えないほどの高度に浮かべられた大地で、《天人》たちは独自の文明を手に入れようとしている。




《天人》
ジャッジメントデイ以前、先進国間で遺伝子組み換えを施された新人類の原型。
端正な顔立ちに白い肌、背中から生えた純白の翼が特徴で御伽噺に登場する天使のような外見。
種全体としてとても賢く、穏やかな性格。



文明と人類が消滅し、ジャッジメントデイが完了した100年後、
天人は遺伝子情報に従ってスリープ状態から覚醒、その後は独自の文化を形成し生きてゆく筈だった。
しかし、人類が突然変異により(>>4)生き延びていたことで、 彼らは長らく人類との共存を余儀なくされた。



覚醒から数年後、地上に生きる場を見出せなかった彼らは、旧人類から引き継いだ技術知識と
小人たちから得た魔術行使の術を融合させた『魔導』という新技術を確立させた。
魔導技術の集大成『魔翌翌翌力塔』を開発した天人は地上からは見えぬ高さまで大地を浮かせ、
自分たちがこれから生きてゆく場所とした。



それら大地を新生土地「ウラノス」群と名付け、以降数百年の間、
彼らの存在は人類の歴史から姿を消すことになる。


しかし、『二つの文明の出会い』によってアーサー擁する教会勢とウラノスは接触してしまう。
彼らとの間で行われた人類とウラノスによる歴史上初の対話は、
今まで人類の存在すら忘れかけていた彼らに、先祖の遺した言葉に、一つの解を与えた。
18 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 19:56:40.87 ID:y4U7AypG0
□魔術関連



《マナ》
オールグリーンの樹木や自然の地形から発生し、あらゆる物質に溶け込み自然現象を起こす要因となっている。
マナには大きく分けて7つの属性(七大元素)が存在し有機無機問わず、
全ての物質はこれらの属性を基にこの世に存在している。
特定の場所ではそれらの属性の1つのが偏って発生し、多く体内に吸収することができる。



その正体は、era1の頃から発生した次元の歪みやジャッジメントデイによる大絶滅、
更にその後の気候・地殻の変動といった様々な要因によって"霊力"と呼ばれる上位次元のエネルギーが半物質化したもの。
土地から溢れ出た『余剰の生命力』とでも呼ぶべきものであり、大気中を浮翌翌翌遊するうちに
人類種をはじめとする生物の意思(生存本能)に引かれ、徐々にその体内へと吸収・蓄積されていく特性を持つ。
19 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 19:56:56.39 ID:y4U7AypG0
《魔術と魔法》
オールグリーンの世界に存在するエネルギー物質、マナによって人為的に発生する自然的神秘のことを指す。
それまで小人が使用していた力をera2、エルフに伝え、 改良されたものが現在広く知られる魔術・魔法の起源とされている。



《魔術》
七大元素(光・闇・火・水・風・土・雷)のいずれか一つの属性を突出して吸収し、
術者のイメージにより具現化、発動される『人の手で実現可能な事象の再現』の総称。



その時代の文明で実現できる事象を再現するにあたって、過程を省略し、
結果的にそれらが再現できた場合、魔術と位置付けられる。


基本的には、体内に蓄積された(もしくは周囲に浮翌翌翌遊する)マナを励起させ
魔術回路に循環させることで必要な属性を選別・精錬し、
自身のイメージを基に魔術として構築、外界へと放出するというプロセスを経て起動・発現する。



魔術は魔翌翌翌力の発生源に近ければ近いほどその威力を増し、
個人の素養によってはその相乗効果は飛躍的に上昇する。



なお、体内への蓄積や励起といった現象は、マナ自体の特性によるものであり、
エルフ以外の人類種も、相応の修行や鍛錬を積めばマナを精錬し、ある程度操作する事が可能である。



ただし、それらは魔術回路を持たないが故に、小人やエルフが行う魔術と比べると粗雑で非効率なものであったため、
《魔導陣》や《魔術礼装》といった技術の開発、普及によって『エルフ式の魔術』が広まるに連れ、
徐々に廃れていき、現在では一部の地域や門派に細々と受け継がれるばかりとなっている。


また、超能力者の用いる超能力も魔術に該当するが、中には魔術で再現出来無い能力も存在するため、
こちらは超能力にカテゴリーされる。



《魔法》
魔術によってのみ具現化、発動できる『その時代で実現できない事象』の総称。
現在の科学力では実現不可能な魂の物質化や時間旅行が該当する。
完全なる次元科学が存在したera1の頃なら空間移動は魔術だったが、現在では魔法に格上げされている。



魔法の域への到達は、そこへ至るに値する高すぎる思考と
魔術の素養がなければ不可能といわれるように個人の力に依るところが大きい。
その為、現存する魔法使いは5人と居らず、その特異性から一代限りの超能力とも呼ばれている。
20 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 19:57:12.91 ID:y4U7AypG0
《魔術回路》
エルフ種にのみ備わっている魔術を扱う為の擬似神経、
あるいは体内に取り込んだマナを循環させる為の擬似血管網。



この器官を通してマナを励起・精錬し、イメージ通りに組み上げることで
エルフは魔術を行使することができる。


《干渉光》
魔術が発動・具現化する際に観測される光であり、空間上に投影される魔術回路の虚像。


《精錬結界》
大規模・大威力の魔術を行使する際、その準備段階として術者の周囲に構成・展開される補助魔術。
結界内のマナを励起させ、体外での魔術構築を可能とする魔術回路を拡張する術。


《魔導陣》
《干渉光》によって描かれる"魔術回路の虚像"を模写し、定型化することで開発された
特定の現象(=魔術)を組み上げるための設計図。


《魔術礼装》
複数の《陣》を連結することで、より複雑かつ大規模な魔術を構築することができる。
エルフが魔術回路を通して行っている魔術の構築過程を補助、あるいは自動化する機能を持つ道具の総称。
霊晶石や特定の魔物の部位といったマナと親和性の高い物質を素材とし、
そこに《魔導陣》を封入、または刻印することで造り出される。



この《魔術礼装》の普及によって、エルフ以外の種族も容易に魔術を行使できるようになり、
ユグドラシルを中心とした『魔法文明圏』という一つの世界が形成されることとなった。


《魔道装置》
《魔導陣》や《魔術礼装》を"部品"として造られるマナを動力源とした機械の総称。


《呪文》
魔術行使の際に唱えられる特定の文言。
または、《魔術礼装》を起動するための言葉、
旋律や音律も定められたものは、特に『呪歌』と呼ばれる。
21 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 19:57:38.07 ID:y4U7AypG0
□その他


《オールグリーン》
ジャッジメントデイ以降、気候変動の影響によって地表の大部分を覆うまでに広がった森林地帯。



《悪魔》
便宜上『魔界』と呼ばれている未知の異世界(或いは11次元空間そのもの)からゲートを通って出現する異形の存在。
その出現の頻度と戦闘力(≒危険性)を基準として、種族ごとに下級、中級、上級の3種にランク分けされている。


《悪魔祓い》
悪魔の調査、分析、捕獲、そして討伐を行う、対悪魔戦闘のスペシャリスト。
その能力や実績に応じて、GランクからSランクに分けられている。


《魔物狩り》
魔物の調査、分析、捕獲、そして討伐を行う、対魔物戦闘のスペシャリスト。
かつて、魔物被害への見解の相違から、教会から離反した過去を持つ。


《魔物》
人類に敵対的な未解明生命体。ジャッジメントデイから程なく確認されたことから現在、旧生物の突然変異説が有力。
非常に強暴な性格。縄張り意識が強く、自らのテリトリーに侵入する外敵に対し激しい敵意を向け、人類には特にその傾向が強い。
体長を基準として小型級、中型級、大型級の3種にランク分けされている。


《魔人》
era2初期、気候の変化に伴い、人に近い外形に変化した旧生命体の一種。
陸上の獣人・水中の魚人・空中の鳥人と、大きく分けて3つの種族が存在し、そこからさらに派生した多くの眷属が生息している。
あまりの残虐性ゆえに人類側から討伐の対処とされ、その多くが狩られた。
多くの種族は凶暴で強暴な性格で、知能が低い者ほどその傾向が強い。


《反逆者エラミー》
era3の頃、ソレグレイユに生まれた少女。
ソレグレイユ脱走の後、ユグドラシルに逃げ込み、現地に潜伏。
久平で反ソレグレイユ組織『リユニオン』を結成し、ソレグレイユの滅亡を狙う。


《探検家ゴッヘルザッホ》
era2の頃、世界各国を旅し見聞録をつけていたという男。
多国語が話せ、交渉も上手い。 よく偽名を使っていたとされる。


《皇帝アーサー》
era3の頃、ユグドラシル第14代皇帝に即位した少年。
摂政に実権を握られた帝都から悪魔祓い教会と共に脱出。祖国奪還の機を窺い、戦力を集める。
天人の脅威を知ったことで、人類間の争いを止めるべく邁進する。


《レドール/境井夢子》
悠久郷の主であり、era1、世界の真実に辿り着いた者の一人。その転生者。
era4の頃、世界を人類を、天人を、魔人を、ありとあらゆる生命に危機を知らせ、戦うための力を与える女性。
世界を救う者か。或いは、悪夢の再現を行う者か―――。
22 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:00:11.90 ID:y4U7AypG0
新スレです。
荒らしにやられてしまいました。

結末を書くまで決して止めません。
23 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:03:03.47 ID:y4U7AypG0
以下、前スレに投稿されてwikiに回収されていない設定や議論
見落としてない限りはすべてこちらに移設します




戦部の誇り

http://imgur.com/5n4tELQ

第一次文明戦争終結直前。
久平の軍需産業の一翼を担う戦部工業は、久平南部の商業都市『獅晴羅(シンハラヤ)』
……後の久平魔導人民自治区暫定首都へ、系列企業なども含めて丸ごと移転した。
ソレグレイユによって、自社の技術を奪われるのを嫌ったこともあったが、
それは、何よりも、国の再起を支援しなければならないという思いに駆られてのものだった。
久平建国以来、その軍需産業の一角を担い続けてきた戦部工業は、自らの仕事に誇りを持っていた。
項仁への反乱時、建国者劉植へ武器を提供した職人達が、自然に集まって職能集団を形成し、
時代が下るにつれて、それが会社として確立していった、という特異な興りも、それに関係しているだろう。
創業の意志を継ぐ者達にとって、戦部とは、単に営利を求める会社ではなく、久平を護る力となるべきものであった。
しかし、ソレグレイユの力は、余りにも強大過ぎた。
彼らは貪欲に過去の遺産を求め、それを達成する為に、あらゆる技術を軍事転用していた。
激動の上天帝国時代を越え、五将動乱の混迷を切り抜けてきたとはいえ、久平の軍事技術は、それらに劣ると言わざるを得なかった。
圧倒的な力によって、目の前で、護るべき国が、護るべき人々が侵されていく様を見ることしか出来なかった戦部の人間は、
それこそ、我が身を呪った。その慙愧の念は、当人以外には、推し量ることも難しいものだった。
為に、彼らは誓った。必ずや、我が故国を取り戻さなければ、と。

戦後、所謂黄金の20年期において、国防軍残党と義勇軍に協力する軍需企業は、
ユグドラシルの技術協力を得て、各種兵器、特に人型兵器の更なる開発を進めた。
それは、久平軍全体の弱点である、ティーゲルやスコルピオといった『鋼鉄の魔物』
……久平の多様な自然環境の中でも機動力を落とさない、重火力兵器への脆弱性を補う為だった。
当時、力ある魔術師や竜、魔物、そして数少ない航空機や戦車でなければそれらへ対応出来なかったユグドラシルとは違い、
久平国防軍は一定以上の機甲戦力を有していた。
しかし、これらは基礎性能においてソレグレイユのものに劣っており、
キルレシオや主戦場となるオールグリーン地帯の環境なども考え合わせると、
これらを用いてティーゲルなどに抗するのは無理があった。
また、既存のものの改造、或いは新規開発をしようにも、その為の技術などは殆ど発展しておらず、
研究の成果が上がるのは、当分先のことと予期されていた。
其処で目を付けたのが、第一次文明戦争以前から他国に先んじていた、人型兵器……久平では機兵と呼称されるそれだ。
機兵は、ソレグレイユでさえ戦争終結後に初めて取り掛かった技術であったが、
久平では既に、民間にも広まったありふれたものだった。これらを、機甲戦力に代替させる案が出たのだ。
当然、問題はあった。まず、人型では、通常の兵器に比べて余りにも前面投影面積が大きい、つまり的が大きい、ということがある。
この問題は、人型機械の兵器転用開始時からのものだったが、機甲戦力の強力な火砲に晒される条件下では、極めて重大な意味を持つ。
的が大きい以上、敵の攻撃は甘んじて受ける他ない。しかし、機兵には、重装甲を施すことは難しい。
利点の一つである運動性能を落とすことになるからだ。
砲撃一つ食らっただけで大破する様な装甲では、強い突破力を持つ機甲戦力を食い止めることは不可能。
為に、一定以上の装甲が求められることになるが、それでは、利点を打ち消すことになる。
二律背反の矛盾を、どうにか解決しなければならなかった。
次に、攻撃翌力だ。多脚歩行による安定性によって、上記の二種の兵器は、背負い込む形で、強力な攻撃翌力と反動を持つ重量級の兵器を搭載可能だ。
対して、二足歩行の機兵では重心が高く、反動などを勘案すると、軽い機体に強力過ぎる砲は装備出来ない。
また、先と同じく、運動性能を潰さない為に、重い武装も敬遠される。
これらの理由から、特に小型の機兵には重火器を持たせることは困難であり、装甲された兵器を相手にするには、大いに不安が残る。
24 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:03:20.42 ID:y4U7AypG0
これらの課題を前に、開発に携わる者達が出した答えは、『諸機能連合戦闘団』、『諸連戦』だった。
これは、通常の陸軍に於ける諸兵科連合と同様、機能を分割・特化した複数の機兵のみを組み合わせて大規模に運用するというものであり、
これに対応する新型機兵を開発していくことが案として提出された。
機動力を犠牲にして重装甲を施し、これを以て押し留めた敵に対し高火力での反撃を加える重装火力型、
逆に、高機動性を更に強化して運動性能を限界まで引き上げ、敵陣に突入しこれを撹乱・攻撃する機動突撃型、
武装を切り捨て、情報処理などに特化した装備を揃える事で、前線での作戦指揮を担う指揮特化型。
この三種を合わせて運用し、機甲戦力の迎撃に必要な要素を、必要なだけ組み合わせて、柔軟な運用を可能にする。
生産性、運用性の観点から見ても、確かに、現状取れる有効な手立ての一つであった。

更に、彼らはもう一つの案を提出した。
『潜在的戦力の表面化』と題して打ち出されたそれは、戦部工業のフラッグシップとも呼べる代表的製品、
『鉄鎧』について、新たなフレームの開発を行うというものであった。
第一次文明戦争後、ユグドラシルに実質的に併合された久平領に於いては、
魔術に技術的バランスの傾いた魔導の開発が急速に進んだ。
流通の関係上、それらはソレグレイユ側に流れる事は殆どなく、魔術文明圏内でのみ扱われていたが、戦部は、此処に目をつけた。
現在の旧久平国防軍にとって、純粋科学に依拠する兵器を扱うにあたっての最大の問題は、生産性である。
シャングリラを除く久平南部というのは、単純なパーツ類や原材料の生産拠点は多く存在するが、高度な技術を用いた量産工場の類は数が少ない。
最早正規軍ではなくなった彼らは、反攻の戦力を此処で蓄えるしかないにも関わらず、揃える為の設備が貧弱である、とも言える。
幸いにして、人型機械については、今や地方の町に行っても製作所や工房が見られる程に普及しているものの、
大量に作り、大量に壊される軍用機体の生産を完全に任せるというのは、余りにも職人達にとって酷な話だ。
これに対し、極端な話ではあるが、魔術圏における機兵とも言えるゴーレムは、
比較的獲得し易い土のマナと、何処にでもある土を揃えれば、それだけで、一つの機兵が完成する。
この技術を製造ラインに組み込むことで、生産性の大幅な改良が見込めることは、以前から指摘されていたことであった。
戦部の提案に於いて画期的だったのは、魔術寄りの魔導の登場により、マナの有無や術式の巧拙などの不安定性はあるものの、
これら魔導技術の工業生産品への導入が容易になったことと、それを十分に活かした生産形態構築の具体案を創出したことにあった。
その効率は、先述の不安定性などのマイナス要素を差し引いても、従来の製造ラインの2倍は下らないというものであった。
更に、鉄鎧の強みは、その基礎フレームの元来よりの生産性の高さと、外装を取り扱う企業の多さに伴う発展性の高さ、そして入手のし易さにある。
軍用として設計されたフレームの数はさして多くないが、外装の市場は、どんな代物もより取り見取りといった様相を呈していた。
此処に、諸連戦という軍事システムに対する強力な親和性が存在した。
軍事利用に耐えうる高性能フレームの新規開発を行えば、即座に、必要な装備を持つ戦力を揃え得るだけの環境が、旧久平領全域に展開されていたのだ。
無論、汎用性の高さや生産性と引き換えに、鉄鎧の性能には限度が存在する。
その性能的不利を補う為に、上記三種のコンセプトに沿った機兵を同時開発・並列的に運用することで、互いの穴を埋め合う。
高低性能機混成運用、ハイ・ロー・ミックスの一種とも呼べるこの生産・運用コンセプトを、戦部は、『機兵師団構想』と呼んだ。
既存の技術を用いて実現可能な、具体的なビジョンを堂々として提示してみせた戦部に対し、
反乱軍の筆頭たるユグドラシル軍部と旧久平国防軍の返した答えは、首肯であった。
25 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:03:34.64 ID:y4U7AypG0
こうして、機兵師団を現実のものとするべく、戦部及びそれに連なる企業連は、行動を開始した。
新規機兵の開発には、戦部に次ぐ機兵の大手、那須重工が手を挙げた。
重火力兵器の開発には、ラムオン社と繋がりを持つ国友産業の火砲製造部門と、艦載兵器の開発で名を上げた螺紀陀社が提携して当たることとなり、
動力部等については、上天地域を根拠とする巻鄭社と蒼翼工業公司が担った。
魔導及び魔術の取り入れについては、ゲンディアの持つ軍用魔導陣開発のノウハウが活かされ、確実に、技術の融和進歩が加速した。

この流れの中で生み出された多数の機兵は、機兵師団構想を打ち出した当時の戦部のトップ「石部鉄蔵」の言葉から、
『Gurdian-Generation's Machine』、GGMと俗に括られるようになった。共通する特長は、極めて高い生産性と整備性、そして総合的な生存性。
その全ては、唯偏に、国の守護《ガーディアン》とならんが為。
志に燃える社員達を前にして、槌を手にした石部は、声も枯れよとばかりに吼えたという。
斯くして、嘗て国の為に立ち上がった男達の魂が、再び目覚めたのだ。
無骨なその手に工具《えもの》を携えて、彼らは、彼らの戦場に身を投じていく。
今日も、街のどこかから、鋼を打つ音が聞こえてくるだろう。

http://imgur.com/Su8CRNv

『「守り切れなかった」。先代の辞世の句を聞いて、祖国の地を離れてから、長い年月が経った。しかし、雌伏の時はもう終わった。戦部の名を誇る全ての者よ、散った命を憂う鍛冶部《かぬちべ》達よ、槌を取れ! 今こそ、戦士を守る盾を、敵を打ち払う矛を創り上げるのだッ!』
__石部鉄蔵の訓辞 第二次文明戦争開幕直前
26 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:04:05.44 ID:y4U7AypG0
508 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2016/10/09(日) 01:08:10.99 ID:VAJXN5Up0
設定をつらつら見てて思ったんですけれども
トヨシゲ・モウリーの記事で、五将動乱なる事件のことが書かれてますが、
この期間は大体、どこからどこまでの事なんでしょうか

era2が約四百年続いて、era3に突入。その後約五十年程で文明戦争に突入し、
一年かそこらで終戦、黄金の20年期、また戦争へ、の流れと理解してますが、
この記事の記述をそのまま当てはめると、era3の開幕時、つまりオルケインの追悼式の頃、
久平国内では五将動乱で戦争が起こってたことになると思うのです
しかも、それが五将動乱の中期だと書いてあるにも関わらず、
その頃生まれたトヨシゲが五十路になる頃まで五将動乱が続いていたように取れます
これだと、久平は文明戦争までずっと戦争していたことになってしまいます
幾ら何でもそれはおかしいと思いますので、微調整が必要かと思いますが、どうでしょう?

実行する場合、era3の期間の調整は、ユグドラシルの皇帝の設定の再調整と噛み合わなくなりそうなので、
トヨシゲの設定の方を微調整しないといけないかと考えます
他の方は、どう思われますか?
27 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:04:22.34 ID:y4U7AypG0
509 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2016/10/09(日) 22:30:58.99 ID:V1qwDRL/0
>>508
動乱・・・世の中が騒がしく乱れること。
つまり武力的な衝突のみならず、政争などの争いもまた動乱の定義足り得ると判断して
五将動乱を仮に前期、中期、後期に分類したならば、

前期:帝政から共和制(民主制?)への政体の移行に伴う五将から成る派閥形成時代
中期:五将間の対立が表面化し始め、太極府内での政争へと発展した時代
後期:上天民主公国が五将(及び各軍閥あり?)勢力に分裂、内紛の勃発した時代

と分けられるでしょう
トヨシゲの生まれはオルケインの追悼式から10年後ですので、上記のような時期区分でいけば整合性が取れるかと
文章的にもトヨシゲが50半ばになるまで動乱が続いたとは書いてないので、そこは
『各地への転戦の際の功績から、動乱後に出世、最終的に中将に昇進した』って事で
動乱後期の期間を短縮すれば、文明戦争までずっと戦争してたという状況にはならないと思います

ついでに、動乱中にソレグレイユが介入しなかったのは、オルケインの追悼式後に起きた一連の事件におけるユグドラシルの対応という
前例があったから下手に動けなかった、という解釈をすれば良いでしょう
但し、ソレグレイユと国境を接する地域を勢力圏とした五将の内の誰か、或いは軍閥の何処かが内通、
久平国内の旧世界遺物の情報がソレグレイユに漏洩した、という流れを作っても良いかも
28 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:05:18.41 ID:y4U7AypG0
510 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2016/10/11(火) 04:09:45.73 ID:5R6A3Zxl0
て言うか、今更ながらの疑問ともう一つの修正点が見つかった
久平の盟主である「上天民主公国」だけれど、この国号おかしくない?
民主主義という社会体制を敷いているのに、その後ろに公国という本来付かない筈の統治形態があるんだが

上天帝国終焉の英雄であるの皇帝を貴族として祭り上げつつも、実権を持たない表向きの指導者とし、国政は民衆から選ばれた者が行う
という意味合いなんだろうとは想像できるけど、それなら公国じゃなく共和国か民主主義国、とでもしておけばいいのでは?


もう一つは、ゴッヘルザッホの設定「探索行」
列島(日本だろう)でジャッジメントデイの資料を発見した事になってるけど、
別の設定「太極府」の一文に
「ジャッジメントデイ後に関係者が遺したと思われる資料をオルケインにて発見」し、これを世界に公表したという風に書いてある
これは後に書かれた探索行の方を修正すべき?それともオルケインの追悼式で公表された資料が複数あったとした方が良い?
29 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:05:37.46 ID:y4U7AypG0
511 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2016/10/17(月) 00:38:15.46 ID:ew8BXrLI0
>>509
ご意見、解釈、多謝です。成る程、動乱であって戦乱ではないというのもご尤もでした。
それに、戦時中に昇進したとは書いてないですし、戦後にどんどん上がったとしてもおかしくないですよね……

>>510
太極府の設定は自分があげました。
上天の国号に関しては、設定当初から自分でも違和感がありました。
原因が分かってすっきりです。確かに、政体的には共和制なんだから、共和国でいいですね……
私は共和国と訂正したく思います。

探索行との矛盾ですが、オルケインの下りについては、其処まで力を入れた場面ではなく、
改定してしまっても大丈夫です。
個人的にあの設定が好きなので、彼方に合わせて適切に書き換えておきます
30 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:06:49.61 ID:y4U7AypG0
512 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2016/10/17(月) 01:09:17.73 ID:ew8BXrLI0
ついでに、以前に投げた年表の続きをば……

……幾百、幾千の昼と夜が過ぎていった。
暫くして、生き延びた者達は、地球という星が死に絶えていないことに気付いた。

消えたものは、余りにも多かった。
栄華を誇った文明は、僅かな残骸を遺すのみとなり、それを継ぎ担うべき命は、その殆どを失っていた。
残った者も、放射線を浴びた食物や水を糧としながら、その身体を蝕まれつつあった。
世界を滅ぼすと言われた炎の衝撃は、惑星の地軸の傾きをより小さくし、
気象システムに異常を生じさせ、本来あるべき気候を大きく変動させた。
北半球では寒冷化が進む一方、南半球への日照量の増加によって、南極大陸を中心とする地域からは氷雪が消え、温度が上がり始めた。
赤道帯では海水温の激しい上昇が起こり、其処を起点として地球上に発生していた大気現象は、その様相を変え始めていた。
また、生き残った命の間には、ある奇病が蔓延していた。
気管を通じて体内に入り込むと恐ろしい勢いで増殖・体内転移し、全身を苔の様なもので覆い尽くすそのウィルス病は、
少数の先天的耐性を持つ個体以外を、容赦無く駆逐していった。
まともな医療設備もない状況下に於いて、これを人の手で押し留めることは、到底出来るものではなかった。

しかし他方で、それらを凌いだ者達は、世界の変貌を見た。
急速に伸びていく木々。浮沈を繰り返す大地と海。空に浮かぶ虚構の異星。そして、それらへ適応する生物。
生き残りから生まれた次世代の生命は、既に、核汚染などの異常環境にさえ耐え得る進化を遂げていた。
或いは、それは、種を保存する為の本能が引き起こした、有り得ない現象だったのかもしれない。
しかし、その御蔭で彼らは、新たな世界で生きていく為の能力を得たのだ。

人に於いては、それは、新人種の誕生という形で現れた。
被爆地に程近く、強い放射線に晒され続けた者達は、その体格を縮小すると共に体組織の密度を高め、
全身の体毛を増やす事で、被曝の影響を体表面に押し留めようとした。
結果、そうした人々は極めて筋肉質で小柄な身体に、見事な髭を蓄えた姿となって、ありとあらゆる外的悪環境に対する耐性を得た。
その姿は丁度、嘗て欧州で語られ、一般化して広く知れ渡った伝承上の存在、ドワーフに酷似したものとなった。
翻って、極めて放射能汚染の少ない地域に生きていた人々は、その地に芽生え始めた、
深く高く生い茂る樹々……オールグリーンの中に身を埋める内に、其処で生きていく為に適応し始めた。
光の無きが故に色素が薄くなり、視界の通らない森の中で音を聞き取る為に、耳介は大きくなっていった。
そして、オールグリーンから溢れ出る、意志に反応する摩訶不思議なエネルギー、
マナと後に呼ばれる様になるそれに触れ続けた結果、彼らは、それを取り入れる為の器官を発展させた。
こうして生まれたのは、マナに親しみ、白磁の如き肌、金の髪、高い耳を持つ人間。
美しい妖精の代名詞としてのエルフと、瓜二つの姿を持つものである。
それ以外、上記の様な極地に置かれなかった人類種にも、変化はあった。
外観こそ大きく変わらなかったものの、体内の構造は、放射線の被害を抑える様に、僅かながらも大きな変化を起こした。
放射線によって遺伝子を破壊された細胞をいち早く捉え、異常が他の細胞に侵食する前に完全に消去する、
極めて能率的且つ効果的な免疫システムを構築し、汚染された世界に生きていく為に、自身の身体を適応させていった。
31 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:07:07.06 ID:y4U7AypG0
513 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2016/10/17(月) 01:09:34.31 ID:ew8BXrLI0
また、この他にも、人類の眷属が居た。
太古の昔に人類から分節し、歴史の陰に日向に、人と交わり人と遊び、人と生きてきた小さきもの。
科学の発展に伴い、自然を屈服させ、異種族を排斥する本能を強めた人間を見て、姿を次第に消していったもの。
各地に侏儒伝説という形で痕跡を残してきた小人が、再び世界に姿を見せ始めたのだ。
彼らはといえば、世界の滅びの後、放射線の雨に耐えられる程その小さな身体に発展の余地が存在しなかったことから、
各地の非汚染地域に密集して、それまでにも増して細々とした暮らしを続けていた。
しかし、そうした場所には当然、周辺の人間達も安全を求めて集まってくる。
結果、多くの小人達は、云百年ぶりに人と再会し、共に暮らしていくことを選択した。
それが広まるに連れて、小人という存在は、さして珍しいものではなくなってきた。

更に、小人が世界の表舞台に登場した事は、また新たな流れを生んだ。
彼らは、遥か遠い先祖から、代々とある技術を受け継いできた。
それは、超能力とは違い、科学がその非実在を確信していたはずの、呪術や魔術と呼ばれるものであった。
本来それらは、歴史の裏に潜み続けた小人以外には扱えようもないものであったが、新たに生まれてきたマナの存在が、状況を変えた。
意志によって随意に操ることが可能なエネルギーは、それを用いた新しい形の超常現象の行使方法を創出する事に繋がった。
その非力矮躯を補う術を常に求めている小人達は、瞬く間にマナを使って魔術の再現を行う術を見つけ出した。
それはやがて、小人にも増してマナとの親和性の高いエルフにも伝わり、体系化・発展を重ね、
その他の種族にまで広がって、何時しか、科学にも並ぶ一つの大きな力となっていった。

しかし、こうして変容を遂げたのは人だけではない。
多くの動物達も、その姿を、そして体の仕組みを変貌させ、新たな世界に適応する為に進化した。
特にその中でも、著しい変化を遂げて、一般的な進化の過程を外れた存在は、正しく怪物と称するに足る程の力を持っていた。
嘗ての文明の言葉から、これらの生物の内、特に敵対的なものを指して、人々は魔物と呼んだ。
加えて、生物の中には、人に近しい姿に進化したものもあり、これらは、脳容積の増大に伴って知能の発達が著しく、
人類との交渉の余地が生まれたのと同時に、敵対した場合の脅威が跳ね上がっていた。
此方は、人と化した魔物、という意味合いから魔人と称され、
魔物と同等か、或いはそれ以上に危険なものとして、人々に恐れられ、その生活を脅かした。

そして、破滅の前から、唯一不変を保つものが一つ。
悪魔である。
この異形達は、文明が一度消え去った後にも地球上の各地に出没し、
生き残った生命を殺戮する事は、以前と全く変わらない有様であった。

混迷は、未だに続く。
文明は滅び、然れども星は生き延びた。だが、その先に続く未来には、安息だけがあった訳ではなかったのだ。
32 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:07:22.04 ID:y4U7AypG0
514 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2016/10/23(日) 20:12:38.67 ID:Nk07A24t0
設定が思い付かないので>>513の年表を年紀で区切ってみた。
とりあえず暫定で作ったものなので、今後wikiにページ作って内容増やしていく予定。


era1以前
18世紀
1770年 太平洋にて新大陸を発見。『東オーストラリア大陸』と命名。

20世紀
1945年 冷戦到来。
1958年 資本主義、共産主義両陣営による宇宙開発が始まる。
1969年 月面に二つの基地が完成。
1989年 冷戦終結。
    宇宙開発規模の縮小。

21世紀
2065年 世界人口100億人を突破。
2066年 先進国主導による宇宙開発が再始動。『火星テラフォーミング計画』、『宇宙コロニ―建造計画』、『高速宇宙船開発計画』の同時進行。
2069年 11次元を航行する技術が発見される。
    次元の乱れが発生。世界中で惑星の虚像を観測。
2072年 11次元航行技術『次元科学』の確立。
    火星テラフォーミング、宇宙コロニー計画廃案。
    国連、新たな国際紀年『次元世紀』を制定。翌年施行。

次元世紀(era1)
0001年 次元科学を持つ国々、異世界の開拓に乗り出す。『大開拓時代』の到来。
0003年 複数の資源惑星を発見。
0004年 大量消費経済の再来。
0007年 地球型惑星発見。『ヴァンガード』と命名。
0008年 次元科学を持つ国と持たざる国の格差が拡大。『新南北問題』。
    世界で未知の生命体、通称『悪魔』の目撃翌翌翌例が頻発。
    悪魔教団、悪魔結社の活動が活発化。
    超能力者の存在が証明される。
    超能力者に対する排斥運動が頻発。
0009年 超能力者の施設への強制収容開始。
    『Creqrat Viorl』、超大国に接触し、協力者を得る。『神の選択(セレクトオーダー)』を与える。『ジャッジメントデイ』計画始動。
    『生物擬人化計画』始動。
0010年 北半球の某国、新兵器『次元弾』を秘密裏に南側の小国に投下。小国消滅。北側による情報統制が敷かれる。
0013年 北側による隠蔽が暴露される。
    南半球の国々、北側諸国を糾弾、対抗すべく経済協力機構『南部連合』を組織。
0014年 国際緊張の緩和を企図した北側諸国、南部連合の主だった国に次元科学を提供。
    南部連合、異世界へ進出。
    南部連合、反悪魔結社のテロ活動支援。
    北側諸国、南部連合に対するプロパガンダ工作を激化。
    北側諸国、強制収容した超能力者を軍事運用。『超能力者狩り』開始。
    両陣営の軍事力が拮抗する。
0015年 北側諸国、北半球条約機構(Northern Hemisphere Treaty Organization )『NTO』結成。   
0016年 南部連合、新たに軍事同盟を締結。NTOに宣戦を布告、第三次世界大戦勃発。
    『赤道上宙域決戦』開戦。
    ジャッジメントデイ発動。多数の戦術・戦略核、ミサイル兵器、人工衛星が落下。
    人工神『カオス』顕現。
    文明崩壊。

次元世紀、帝暦、上天暦、オルケイン暦(era2)
0017年 地球環境、地軸のずれを引き起こし急激に変化。地球温度上昇に伴い、南極の氷が融解。地表海没。
    セレクトオーダーに感染した生物の内、抗体の無い多数の生物が死滅。
    世界人口2千万人以下に減少。
    世界中で植物が急速に繁茂する。『小人』、高次元エネルギー『霊力』の消失と新物質の発生を観測。
    生き残った生命体、地球環境への適応を果たす。
    残存人類、文明の残滓を利用し、生き延びる。
0018年 一部の人類、自然から発生する新物質を知覚。
    残存人類、小人と邂逅。新物質を『魔翌翌翌力(マナ)』と呼称。小人の伝えた霊力を操る技術を、魔翌翌翌力を操る『魔術』として伝承。
    文明崩壊直前に拡大した森林地帯『オールグリーン』と命名。
    都市跡地郊外、凶暴化した生物が跋扈する。人型を成す個体を『魔人』、それ以外を『魔物』と呼称。
33 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:07:54.57 ID:y4U7AypG0
515 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2016/10/24(月) 04:50:47.32 ID:QHmTloO80


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0020年 北米大陸南東部、『ソルグレイユ』建国。旧文明の再興と残存人類の統合を掲げる。
0021年 西欧に超能力者の一団が誕生。通常種への弾圧を開始。
     超能力者の一団、国家『I Regulars』建国。
0022年 世界各地で旧文明の遺産を巡る争いが怒る。
     オールグリーンに生きる人々、旧文明を捨て、魔翌翌翌力を用いた新たな文明を育む。
0025年 I Regulars、欧州大陸の西側を制圧。東進開始。
0028年 『扶桑皇国』建国。
0030年 ソルグレイユ、各地に勢力を拡大。
0047年 I Regulars、領土拡張から国内政策へ転換。
0051年 扶桑皇国、中国大陸へ進出。現地勢力と武力衝突。
0063年 東欧の通常種組織、旧文明技術のサルベージ、技術復興を開始。
     扶桑皇国、逆侵攻を受ける。停戦条約締結。
     『上天帝国』建国。周辺地域へ勢力拡大。
0069年 オーストラリア大陸への航路が確定。植民開始。
0078年 上天帝国、オーストラリア大陸の魔人国家『獣牙王国』と戦争状態に突入。
0079年 獣牙王国滅亡。散発的ゲリラ戦闘に移行。
0082年 上天帝国、南方平定。
0088年 上天帝国、扶桑皇国に侵攻を開始。
0094年 上天帝国、『扶桑城の戦い』に勝利。扶桑皇国を併合、皇国の技術を吸収。
0095年 上天帝国、好景気に沸く。『光宗景気』。
0099年 ソルグレイユ、北米大陸の大部分を統合。

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0116年 天人、コールドスリープから覚醒。
0119年 天人、浮翌翌翌遊機関『魔翌翌翌力塔』を建造。浮翌翌翌遊大地『ウラノス群』に移住。地上人類と隔絶される。
0170年 ソルグレイユ、海峡を渡りユーラシア大陸北東に到達。
0183年 『ユグドラシル自治王国』建国。
     ユグドラシル、『神政アースガルズ首長国』と同盟締結。
0193年 東欧人類、対I Regulars反抗同盟『東欧戦線』組織。I Regularsに宣戦布告。
     I Regulars、東欧への再侵攻開始。
0194年 I Regulars、東欧の大部分を制圧。
0195年 ソルグレイユ、シベリア地域のほぼ一帯を統合。
0196年 テオゴニア大陸東部のエルフ国家『アスガルド』にソルグレイユが侵攻開始。
     ソルグレイユ、アスガルドとの停戦協定を受理。
     ユグドラシル、アスガルドを併合。
0197年 ソルグレイユ、国内の派閥闘争が激化。
0198年 ソルグレイユ上層部追放、国家を解体。『ソレグレイユ連邦共和国』として再構成。
0199年 上天帝国、政治腐敗による反乱勃発。
0200年 上天帝国、反乱終結。国家解体の後、『上天民主共和国』として再構成。
    上天民主共和国、大国に対抗すべく、独立した嘗ての構成国との間に、永世中立を謳う軍事・経済協力協定『久平連合独立同盟』を締結。
34 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:09:42.94 ID:y4U7AypG0
516 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2016/10/24(月) 04:51:04.45 ID:QHmTloO80
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0202年 I Regulars、『大陸大東征作戦』発動。残存する東欧領域を吸収。ソレグレイユへの行軍路を開拓。
     ユグドラシル、『アルゼルファー決戦』で『哭ニヴルヘイム大公国』を打ち破り、講和条約を締結。
    ユグドラシル自治王国、国号を『神聖ユグドラシル帝国』に改める。
     ユグドラシル、テオゴニア大陸条約機構『汎イルミンスール統一王国盟邦』を設立、盟主となる。
     ユグドラシル、テオゴニア大陸を統一。
0205年 I Regulars、ウラル山脈以東制覇。ソレグレイユ西部に侵入。
    I Regulars、『アイデロン要塞防衛戦』に敗北、東征軍壊滅。
0206年 I Regulars、他種族による反乱が起こる。
     I Regulars滅亡、嘗ての支配地域に通常種国家を建国。

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0300年

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0430年 久平領・扶桑皇国の旧世界遺跡と同国領である永世中立国永世中立国『オルケイン市国』から、ジャッジメントデイの資料が発見される。
     ソレグレイユ、文明崩壊の真相として、資料の内容を世界に公開。
0431年 オルケインの仲介で、ソレグレイユ・ユグドラシルの二国間で平和条約、不可侵条約、悪魔・魔物対策協調条項が締結される。『四百年条約』。
     永久の平和の証として、国際共通紀元『オルケイン暦(A.O.)』を制定。翌年施行。
     久平、独立承認されず。

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次元世紀、帝暦、久平暦、オルケイン暦(era3)
0432年 久平軍急進派、ソレグレイユ本土を領空侵犯、撃墜される。
     ソレグレイユ、報復行為として久平国境及び海上を封鎖。ユグドラシルが反発し、『アルヴァクラの眼』事件と呼ばれる緊張状態を招く。
0433年 久平、前年の事件を機に国内情勢が不安定化する。『五将動乱時代』。
0474年 ユグドラシル、『アースガルズ戦役』、『悪魔術師の反乱』勃発。
     アースガルズ戦役、悪魔術師の反乱終結。
0482年 ソレグレイユ、次元科学の再興事業停滞。久平の旧世界の遺跡群に対し、疑念を抱く。
0492年 第一次文明戦争勃発。久平領『淵奈』爆撃される。
     レジスタンス組織『リユニオン』結成。
     ユグドラシル、久平に加勢する形で参戦。
     久平国防軍壊滅。
     ユグドラシル皇帝崩御。皇太子即位。ユグドラシル軍撤退開始。
     テオゴニア大陸北部沿岸、悪魔の襲撃が発生。ソレグレイユ・ユグドラシル両軍が協同し、撃退。停戦協定が結ばれる。
     第一次文明戦争終結。
     久平領、ソレグレイユに占領された地域を『ソレグレイユ次元科学開発地区』、それ以外をユグドラシルの庇護下として『久平魔導人民自治地区』に二分される。
0493年 『黄金の20年』到来。
     ソレグレイユ、魔法素(マナ)の研究を開始。ユグドラシル、悪魔の軍事利用を研究開始。
     リユニオン、テロ活動開始。
35 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:09:57.03 ID:y4U7AypG0
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0508年 ユグドラシル、皇帝派と摂政派による政争が起こる。『ユグドラシル騒乱』。
0512年 ユグドラシル、『悪魔祓いの反乱』が起こる。
0513年 第二次文明戦争勃発。
     地上人類、天人と邂逅。『ウラノス会談』。
     ユグドラシル、新兵器『D2兵器』を投入。リユニオンと共同戦線を結ぶ。
     ソレグレイユ、『総督府の戦い』敗北。次元科学開発地区失陥。ユグドラシル、新兵器『D3兵器』を投入。
     ソレグレイユ、『レゲイピス会戦』敗北。リユニオン、ソレグレイユの新兵器を鹵獲。
     ソレグレイユ、『大陸海峡の戦い』敗北。ユーラシア大陸領土失陥。
     ユグドラシル騒乱『第一次帝都攻防戦』勃発。皇帝派敗北。
0514年 ソレグレイユ、対D2兵器を実戦投入。
0515年 ソレグレイユ、魔法素兵器を実戦投入。
     ソレグレイユ首都『メルシュテル』攻防戦勃発。悪魔の襲撃が発生。ソレグレイユ・ユグドラシル両軍が協同し、撃退。停戦協定が結ばれる。
     ユグドラシル・ソレグレイユ・久平による講和条約が締結。第二次文明戦争終結。
    『第二次帝都攻防戦』皇帝派勝利。ユグドラシル騒乱終結。
36 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:10:40.16 ID:y4U7AypG0
http://aniotakaigi.com/wp-content/uploads/2015/12/capt_2294.jpg

「境井夢子……なぜお前が此処にいる!?」

次元世紀2086年 8月 21日。
場所は《次元デバイス研究所》通称ラボのある店舗の店先。石神学は、目の前の人物――境井夢子に対峙し、尋ねる。

「あの閉じた世界に『いなかった』筈のお前が、なぜ俺の目の前に姿を現わせた?」

彼は過去、『まほろば』メンバーを救おうと世界線を飛び、抜け出す事の叶わない『最期の世界線』に囚われてしまっていた。
石神は、それまでと異なる『無線レンジ(仮)が存在しない』世界に途方に暮れ、数日をラボで塞ぎ込むように過ごす。
仲間の言葉に石神は無線レンジ(仮)を完成させるべく、行動を開始した。

そんな矢先、ある日『世界が移動した』。
石神の持つ能力【真理解明の魔眼/Reading Wahrheiter-リーディング・ヴァーハイター‐】だけがその事を認識出来た。
何を原因に世界線が変動したのか。その答えは、すぐに石神の前に現れた。

「久しぶりね、石神くん。何年振りくらいかしらね?」

その声には聞き覚えがあった。しかし、彼の名を呼ぶ彼女がここに居る筈がない。いや、ここではなく、変動前の世界線には、か。
彼の名を呼ぶ少女の声、それは紛れもなく境井夢子の――石神が時崎からの忠告を破ってまで世界線を超えた理由の内の一人のものであった。
彼は喜びよりも驚愕や疑問が先に立ってしまい、冒頭の言葉を投げ掛けた。

「俺の囚われていた世界線では、移動の術であった電話レンジが存在せず、従って世界線が移動する要因なんて、あの世界にはなかった。
にも拘らず、お前がこうして俺の目の前に現れる理由は一つだ。
境井よ……お前が世界線を越えたのだな?」
「概ね正解。でも満点ではないわ。私はそれだけでなく、時間も越えて此処にいるの」
「時間も、だと……?」
「石神くん、まずは単刀直入に言うけれど、私は今から500年後の世界からやって来たの。この身体に未来の私の精神を乗り映してね」
37 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:11:03.60 ID:y4U7AypG0

http://img.moeimg.net/wp-content/uploads/archives7/7974/5_zgmv2sb6pj.jpg
去にし辺よりの復讐者

https://img.atwikiimg.com/www46.atwiki.jp/fantastical_world/attach/446/915/03-49.jpg
era4、嘗て海底に没した旧時代の戦艦に触れた賢人レドールは、思い出した。
遥か過去に「境井夢子」という一人の少女であった自身と、大切な人達に起きた悲劇の記憶が流れ込む。
その時、レドールはこの村が悠久郷に取り込まれてからずっと見続けていた『苦しみ』の意味、そしてここへ来た際の幻聴の答えを得た。

https://img.atwikiimg.com/www46.atwiki.jp/fantastical_world/attach/708/1555/4-722.jpg
それは惨劇の記憶――

https://img.atwikiimg.com/www46.atwiki.jp/fantastical_world/attach/445/913/03-90-3.jpg
精神トランス装置を介して偶然にも観測してしまった《向こう側》――

https://img.atwikiimg.com/www46.atwiki.jp/fantastical_world/attach/708/1559/4-724.jpg
死して後、魂だけの存在となった時に見た望郷の夢――

全ては過去に起こった事、魂の奥底に閉じ込め、忘れていた記憶。
思い出させたのは――『私』自身。
この艦には、境井夢子の魂を持つ者の接近と共に発動する魔術が施されており、村諸共に悠久郷に取り込まれて以来、ずっとレドールに呼び掛け続けていたのだ。
――思い出せ――と。

艦の入り口に掛けられた空間移送魔術は、紛れもなく彼女の得意とする『境界』の能力であった。
ただし、レドールが用いるマナを媒介とした魔術ではなく、艦に施されていたのは霊力を用いた旧態の魔術だった。

此処で、旧態の魔術の特徴を説明せねばならない。
一つ、旧態の魔術には「術の発動に必要な霊力」と「術の持続に必要な霊力」の2つを、術の発動までに「全て」用意し、消費する先払い方式が取られている。
「術の発動に必要な魔翌翌翌力」とは別に「術の持続に必要な魔翌翌翌力」を「逐次」用意するか、周囲から取り込む機構を要するマナを媒介とした魔術とは性質が異なる。
『利便性』――術の発動に多大な時間か自身の身を切る方法を取る旧態の魔術が廃れ、自然現象を具現するという点で圧倒的に扱いやすい現在の魔術が広まった一因である。
そしてもう一つ。旧態の魔術最大の特徴は、一度発動された魔術は「持続に必要な霊力」が尽きるまで、永続して効力を発揮するという点だ。
例え術者が死亡しようと、世界から霊力が消えようと、貯蔵した霊力が続く限り何百年だろうと持続する。

こうして、艦は境井夢子の境界の能力を以って、この時代、悠久郷に現れるまで隠匿され続けた。
長らく村外れの砂漠に在りながらも、村人に発見されたのがつい最近だったのは、術の維持に必要な霊力が尽きたからであり、
境井が煩わされていた『苦しみ』や幻聴の理由が判明しなかった原因でもあった。

加えて、レドールが境界の能力で悠久郷と外界を結界で隔てた直後に入り込んだ村の謎にも説明が付く。
艦の入り口に施された『進入と通過の境界』を操作する結界の作用が、空間の歪みに引き摺られて、空間の距離という形で『時間』にも影響を及ぼしていたのだ。
艦内部への侵入が可能な全ての個所に同様の魔術が仕掛けられ、これが空間と時間の歪みを引き起こした為に
『魔翌翌翌力の伝播に数ヶ月を要する距離の短縮』という形で世界は収束した。

こうして、全てを思い出したレドール/境井夢子は、この地球(ほし)の遍くを救うべく偽りの神に抗い、敗北した――。
38 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:11:22.15 ID:y4U7AypG0
http://ldra.net/php-work/img/04game/04consumer/20100217elmn_dragonrider.jpg
http://gamers-high.com/dragons-crown/image/gallary/g6.jpg
http://images.geeknative.com.s3-eu-west-1.amazonaws.com/wp-content/uploads/2013/06/Dragon-Rider-by-Alex-Lopez.jpg
ユグドラシル空軍の編成

神聖ユグドラシル帝国の空軍には、突撃翌翌翌竜騎士・魔術竜騎士・魔導竜騎士・偵察竜騎士の四兵科三〇〇騎から成る一個飛竜軍団が七個存在する。
軍団を構成するのは三十六騎編成の一個飛竜大隊五個と、十二騎編成の一個飛竜中隊十個の計十五部隊。
軍団を統括する軍団長の隷下にこれらの部隊が属するものの、指揮系統の迅速化を図るべく、軍団司令部から作戦の下令を受けるのは、専ら各大隊の大隊指揮官であり、
ここから更に、各大隊の下部組織として存在する各中隊の中隊指揮官に作戦が伝達される。

通常は、対空・対地・対艦攻撃を主任務とする一個大隊に付き、進路偵察・部隊直掩などの支援任務を主とする二個の中隊が配され任務に当たる。
十個飛竜中隊は、突撃翌翌翌竜騎士・偵察竜騎士がそれぞれ五個中隊ずつ計一二〇騎、
五個飛行大隊は、突撃翌翌翌竜騎士・魔術竜騎士・魔導竜騎士がそれぞれ五個中隊ずつ計一八〇騎で編成される。
戦況如何では各部隊から戦力を抽出した特設部隊が臨時編成されたり、いずれかの部隊から小隊規模で分隊する場合もある。
このように、若干の差異はあれども、一個軍団を形成する五個大隊・十個中隊が、各部隊を統合する軍団司令部を中枢とした航空戦力と成る。

現状、ユグドラシル空軍の実働戦力たる飛竜は、兵科を問わず総数二一〇〇騎。
空軍司令部・調教隊・輜重隊を含めれば、その規模は三五〇〇〇を数える。
なお、これは神聖ユグドラシル帝国空軍の総数であって、テオゴニア大陸全土の航空戦力を合すれば、規模は全体の三割程度となる。

各国との連携協力を図る為に、全ての竜騎兵はユグドラシル帝国が各国に創設した空軍学校で学ぶ。
戦術的な面では各国の特色がよく現れており、それらの特色を共有し、戦闘技能向上と学校生同士の交流を目的とした交流戦や研究会が頻繁に開かれている。
39 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:11:39.89 ID:y4U7AypG0
ムアンタレー/ Muang-Tha-lay

http://imgur.com/a/PbHk1

上天共和国南部、ムラユ双島を領土とし、久平に「大泰国」もしくは「サヤーム国」として加盟する小国。
その内の大きい方の島、大ムラユ島にある、小さな船の町。
島全体に張り巡らされた運河・水路に沿うように発展してきたこの町は、
その中心を、上天を出生地とする「上商(Shang Shang)」という商人達が担ってきた。
彼らは、抑圧の帝国時代の反動を開放するかのように、共和国建設後、久平の各地へと渡り、精力的に商いを始めた。
その過程で、彼らの商店を核として発展してきた町の一つが、ムアンタレーであった。
嘗ては、現地のサヤーム人との軋轢もあった。しかし、今となっては、それも過去のこと。
ムラユの、そして、旧世界からの伝統を僅かながらに引き継ぐサヤームの文化と、
上天の商売人特有の熱気が混じり合って出来た町は、今日も賑やかである。
手漕ぎの船が水路を行き交い、上天語とサヤーム語の入り混じった方言を交わしながら、夜の町を提灯で照らす。
露天から漂う香ばしい匂いは、ムアンタレー名物の、フィッシュサンドであろうか。
夕宵の朱い光が、夜闇を招きながら、静かに消えていった。
40 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:11:55.50 ID:y4U7AypG0
三五式航空機兵 連刃

http://imgur.com/a/u3oBo

機兵師団構想に基づき、戦部工業で製作された航空機兵。所謂GGMの一種であり、その草創期、設計の基本思想を色濃く反映した好例として知られる。
諸連戦において、機動突撃型の役割を担う機体として設計された。
元来、久平国内で生産された機兵には、長時間空を飛翔する能力を有する「航空機兵」と呼べる代物は、長らく存在しなかった。
久平国防軍の主目的である悪魔の無力化にあたって、重量バランスの関係から装甲を薄くせざるを得ず、
悪魔からの強力な一撃に耐えられない上に稼働時間も短い航空機兵は、その戦術的価値が小さいと見做されており、開発の必要性が認められていなかった。
しかし、第一次文明戦争において、ソレグレイユの航空戦力によって一方的に国防軍の航空機が撃墜されたこと、
また、通常の機兵の機動性が、航空機の攻撃に対して高い生存性を発揮することが明らかになってからは、
主に制空戦闘に資するものとして、航空機兵の本格的な研究が開始した。
その第一弾として、軍に制式採用されたのが当機である。
特長としては、風のマナの利用によって出力の底上げに成功した背部魔導スラスターと、
出力調整で即席の火炎放射器にもなる両手足のバーニアにより、機動性と高速性を兼ね備えていることが挙げられる。
また、主武装に戦部の得意とする実体近接武装が採用されていることは、特筆すべき点と言える。
ユグドラシルの職人を招聘して獲得した魔武装の技術によって、材質の限界以上の強固さを備えた霊晶合金刀の斬撃は、
兵器に施された装甲を、その上から強引に破壊する。
これにより、機体自体の機動性と組み合わせ、鈍重な重量級兵器などに肉薄して、一挙に痛撃を与えることが可能となっている。
その他、試験的に導入された武装として、機兵用に巨大化・再設計された魔銃である魔導銃と、
魔導銃と同様の機構を併設した多規格機関銃システムを装備。
対魔翌力効果措置の未熟であったソレグレイユ軍の多くの兵器に対して、安定的に一定の火力を発揮出来た。
他方、最大火力自体は控えめであり、装甲も薄めであることから、
物量のせめぎ合う殲滅戦では、相手に一方的に食い潰されてしまう。
また、発動機には、マナと従来の燃料の同時利用を主眼に置いて試験的に開発された、混燃式魔導発動機を導入しているが、
初期型機体については、マナ燃料の圧縮技術の未発達により燃料搭載量が少なめであり、作戦行動半径が短いという弱点を持っている。
画像に示されたのは、最初期の機体で、脚部に追加増槽等を取り付けられるアタッチメントが増設された「連刃一二型」。
尚、久平国防軍に於いては、航空機や機兵などについて陸海空で共通の機体を用いる場合が多い為、
機体名やエンジンなどには、判別の利便性の観点から、制式名称とペットネームが必ずセットでつけられている。

制式名称:戦部 へ27 三五式航空機兵「連刃」
機体コード:MT-FW-027
兵器区分:戦闘航空機兵(Machinary Trooper-Fighter Winged)
生産形態:量産機
製造元:戦部工業機兵部門
動力源:巻鄭/蒼翼09-1-2 混燃式魔導発動機ハマ1「巌」×1基
固定武装:戦部07-1 強化鋼製腕部内蔵刃×2本
    :嵯廼/クァルン01-1 頭部埋込型多規格機関銃システム×2基
携行武装:戦部02-2 霊晶合金製高硬度軍用刀×2本
    :那須18-4 一二.七粍口径三三式自動小銃四型×1挺
    :テストラ・マギア01-1 「オーロラ」風・光式魔導突撃銃×1挺
    :戦部03-2 三二式携行用軽量防御盾×1枚
特殊装備:四肢部機動制御用バーニアスラスター×4基
41 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:12:18.31 ID:y4U7AypG0
機兵

久平国内に於ける、人型ロボット兵器の総称。
Humanoid Machine=人型機械と称される一般的ロボットに対して、
Machinery Trooper=機械兵士の意味を持ち、MT等とも呼ばれることもある。
一般的には、国内のものは人機及び機兵、海外のものはHM乃至MTとされる。
しかし、正式な文書などでは特に差異はない。
尚、久平国防軍で制式採用された機兵にはそれぞれ、正式名称の他に公式な愛称が存在する。
機体の用途に応じて特定の規則が設けられており、一覧は以下の通り。

戦闘機兵:剣
砲撃機兵:甲
指揮機兵:鐘
戦闘航空機兵:刃
爆撃航空機兵:盾
攻撃航空機兵:槍
指揮航空機兵:扇



ロボットの命名規則なんて作りましたが、他に作られる方の邪魔になるようなら取り下げます
42 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:12:33.36 ID:y4U7AypG0
http://may.2chan.net/40/src/1474208788800.jpg
蜃気楼の小人を捕えよ

京都府京都市某所。オカルトサークル「まほろば」が部室を構える同地にて少々、毛色の違う調査案件が舞い込んだ。

小人――書いて字の如く、小さき人。人類の中から先天的な身体障害で現れる類のものとは違い、御伽噺や寓話に登場するようなあの小人だ。
その小人が日本の、それも京都に現れたという証言が、多数ネット上のオカルト掲示板に寄せられた。
目撃者らの証言曰く、体長はおよそ20cm程度。身体的特徴は西洋風の庶民服を着ていたり、和装であったりと様々。
彼らは証拠となる映像か写真を残そうと手持ちの端末での撮影を試みたのだが、どういう訳か小人のみが画面に映り込まなかったという。
ならばと、意を決して捕獲を試みてみた者たちは、更にこう付け加えていた。
近付いた途端に見えなくなった、と。
これだけの数の証言、そして彼女らの地元で起こる怪現象という事もあり、「まほろば」は同日中に行動を開始した。

全ての目撃者は皆一様にその場所を書き記していた。
そこは京都市郊外の外縁部、土類とアスファルトの道路との境界線付近。
目撃証言の集中するこの地ならば、件の小人に遭遇出来ると考えた時崎、境井、星野の三名は証言の一つである「近付いたら見えなくなった」という点を考慮し、
およそ10m間隔で近・中・遠距離からの観測を試みる。
数日に及ぶ張り込みで、幾度となく通行人から奇異の目で見られながら捜索を続け、しかして小人が姿を現す事は無かった。

やはり張り込んでいては向こうも出てき辛いのでは――星野は訝しんだ。
メンバーは一度調査を中断し、作戦会議に入る。
会議の末、結論として現状の調査方法は中止し、持ち回りで一人が離れた地点から双眼鏡等で監視を継続。
発見し次第、各員に通達後、全員集合まで待機という運びとなった。
近付くと見えない以上、野探しでの発見は困難で、発見後の捕獲まで考慮に入れた判断だった。

厳正なるじゃんけんの結果、境井からの持ち回りで目撃地点の監視が始まった。
――思えばこれまでにいくつもの超常現象をサークル活動で探究してきた。
度重なる校外活動、決まった日程のある県外への遠征と異なり、今回は地元での調査という事もあって、移動や予算面での制約が少なく、日程の限りが無い。
時間的制約が無ければ、いつまででもその事に没頭してしまう人種である自覚はある。
しかし、そろそろ単位の心配をし始めている境井にとって、一旦の区切りをつけて留年回避に動きたい心情でもあるり、
今回に限っては、成果が無くて良いから早く終わらせたいと思い始めていた。それだけ彼女は焦りが出ていたのだ。
そんな時だった。眼前の道路に動く影を見たのは――。
43 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:12:47.78 ID:y4U7AypG0
あの後、すぐに時崎と星野に小人発見の報告をし、三人は遂に小人に接近する機会を得た。
まずは冷静にこれまでの証言の反芻を行う。
念のために持ってきたカメラには、情報通り映らなかった。映像媒体に移りこまない為の細工を施しているのか、或いは霊的存在なのか、今後突き止めるべき課題だ。
続いて、目視可能な距離の確認。じりじりと物陰に隠れながら接近し、小人の背後10m付近にまで近付いた。
するとこの距離に差し掛かった所で、小人の身体が薄くなったような錯覚を各々は覚える。
一度後退してみると、また鮮明に小人の姿を視認出来た。およそ10m付近が視覚に影響を及ぼす範囲のようだ。

次は危険な賭けだが、踏み込んだ実証実験に移る。
境井と星野を何食わぬ顔で会話させながら、小人の近くを通らせる。
予め用意してきたインカムを装着し、後方から小人の位置を確認する時崎から随時報告を受け、二人は小人を足元に通り過ぎる。
二人が近付くと小人が接近に気付く。しかし、小人は二人に踏みつけられない様に距離を取っただけで、逃げるような動きは見せなかった。
小人は自分が見つかっていないと思っているらしい。距離次第でこちらが認識出来ている事に気付いていないのだろうか。
ともかく、これで作戦を次に進めても良さそうだ。

まほろばは、事前に用意していた作戦に移行する。その名も『観測手(スポッター)作戦』。
方法は先程同様、時崎が観測手として小人の動きを伝え、境井と星野の両名が捕獲組として手探りで捕まえる。
実際に捕まえる二人に小人が見えないという欠点は、網目の小さい大型の捕獲網を使い、範囲でカバーする。
斯くして行動が開始された。

作戦配置は時崎が15m後方から双眼鏡で小人の動きを監視、先程小人の傍を歩き去った後、境井はその場に残り、星野が引き返して挟み打ちの形を取る。
小人を中心に、今度は二手から歩み寄る境井と星野。
何度も行ったり来たりする二人にさすがに違和感を覚えたのか、小人が周囲を警戒するような素振りを見せる。
その時、双眼鏡で見つめる時崎は、小人と目が合う。
気付かれた――そう判断し、時崎は咄嗟に作戦開始の号を発する。
逃げ出そうとする小人を前後からそれぞれ、目前目掛けて網を投げ放つ捕獲組。
僅か一瞬の出来事。そして遂に、オカルトサークル「まほろば」は、突如、京都僻地に舞い込んだ超常の存在「小人」の捕獲を成し遂げた。
44 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:13:20.55 ID:y4U7AypG0
まほろばと旧き魔術【小人/霊力/遭遇】

「まほろば」は、捕えた小人を生きたまま学会の場に晒し、自分を追いやった偏屈な学者共を負かしてやる、という時崎の私怨の元、
一先ず瓶詰め状態の小人を、サークルの部室へ持ち帰る事となった。
しかし、その話を聞いていた小人から思わぬ提案が為される。
それは自分を見逃す代わりに、彼らの持つ力を彼女らに授ける、というものだった。

小人曰く、彼らはあらゆる願望を叶える力――【魔術】を扱える。
この小人に近付くと姿が見えなくなった現象は、彼が自らに掛けた魔術に依るものだった。
では何故、最初から全く誰にも認識されなくなる魔術を使わなかったのか、当然この疑問が浮かぶ。
その疑問に対し、小人は「それでは代償が大きく付いてしまう」と答えた。
小人の扱う魔術とは『生命力を代償に世界に願望を叶えさせる技術』なのだという。
『視認されづらくする』ならばわずかな生命力で済むが、『全く認識されないようにする』場合、世界に支払う生命力はその比では無く、彼はそれを良しとしなかった。
元々、小人ほどの大きさならば人の目に付きづらい上、距離次第で視認出来なくすれば、
彼女達のように捕獲するつもりで周到に準備されない限りは問題無いからだ。

一通りの魔術の説明を受け、まほろばはしばしの談議に移る。果たしてこの技術の伝授が、この小人を見逃すに値するか否かを決める為に。
学会で公表して雪辱を果たしたい時崎、魔術の全貌と今後の発展性に興味を抱く星野、小人が嘘を付いている可能性を考える境井で意見は三分してしまう。
しかし、ここで意見の拮抗を破る小人の言が投げ込まれる。
「取引に応じなくでも、或いは応じた振りをして反故にしようと、それが分かった時点で自ら命を絶つ事など容易に出来る。
 仮に遺骸を世間に晒そうと考えていても、永劫に誰からも認識されない魔術を使った上で死ぬまでである」と。
魔術が如何なるものかを知らされている今の三人にとって、その言葉は脅し文句として十全に機能した。
結果、時崎が考えを改め、境井も星野の意見に同調した事で、交渉は小人の提示した通りで妥結した。
45 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:14:05.03 ID:y4U7AypG0
530 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2017/04/12(水) 02:14:35.81 ID:1AkYGcM50
後半部分で魔術の伝授に付いて記述するつもりなんだけれど、wikiで旧態の魔術関連の記述読み返してるとよく分からなくなってきた
とりあえず、自分なりに解釈した旧態の魔術のメソッドと、それに付随する備忘録書いたので上げてみる
これはちょっと意見ほしい


世界と人の間で起こる霊力のやり取りは、概ね以下のとおりである。

・人は自らの生命力と引き換えに世界から霊力を引き出す
・引き出された霊力は事前に組まれた術式を取り込む
・術式を取り込み、再び放たれた霊力は、送り先である世界に伝えられ、その通りの事象を発現させる
・術式を内包していた霊力はその後、世界の下で無色な存在へと浄化される
・世界に渡った人の生命力は霊力に還元され、世界の一部となる

生命力と引き換えに霊力を用い、世界へ事象の発現を強制する力を人は【魔術】と呼ぶ。
人が魔術を行使する際に必要な生命力と霊力の交換比率は、人と世界との関係性によって決められている。
時として非効率なこの技術も、科学で代替出来る部分が多く、人類の祖先は少しずつ、魔術から科学へとその軸足を変えてゆき、
遂には小人と袂を別つ事となった。


霊力が魔翌翌翌力(マナ)に変容した理由


嘗て霊力は世界の内側にしかなく、それ故に旧態の魔術を操る者たちは世界との交渉により、生命力を代償に霊力を得てきた。
人類のみならず、世界にある物は全て星から切り出された霊力の欠片である。
魔術を行使、或いは死が訪れた時、それらが持つ生命力は星に還り、霊力へと還元される。
嘗て地球上の遍く生命の大絶滅を引き起こした【ジャッジメントデイ】、その事件の原因となった神の選択、通称【セレクトオーダー】が、死に行く人々と動植物の内に宿る生命力を汚染し、
死後、その生命力が星に還元された際、星の浄化作用では取り除けなかったセレクトオーダーの因子が、霊力の構造を変容させた。
これが後の世で魔翌翌翌力【マナ】と呼ばれる事になる、旧態の魔術に代わる所謂【新生の魔術】と称される技術の原動力となっている。

霊力と違い、魔翌翌翌力が自然物から放出されているのは、ジャッジメントデイによる多くの生命体の絶滅或いは大幅な個体数の減少により、それまで以上の速度と量で還元された生命力に対し、星の貯蔵能力が限界を迎え、飽和した魔翌翌翌力が星の内より漏れ出ている為である。

また、セレクトオーダーによって霊力が魔翌翌翌力となり、その性質を変えてからも魔術が使えたのは、偽りの神【Creqrat Viorl】の世界にも嘗て、属性を持つ魔術が存在していた事に由来する。
今でこそ、全てを人工化させ、無色の魔翌翌翌力しか生み出さなくなったものの、嘗て偽りの神の世界でも自然物は存在し、そこから属性を持つ魔翌翌翌力が発生していた。
地球においては今だ自然が豊富に存在しており、また生物の側も、セレクトオーダーの影響で新生の魔術に適した肉体に作り変えられた事で、今以って魔術が使えている。
魔翌翌翌力が生命力に引きつけられる性質を有しているのは、溢れ出した魔翌翌翌力が云わば【星の余剰な生命力】であり、何物でもない状態だからである。
常に移動を繰り返す人類を始めとした動物、取り分け魔翌翌翌力を吸収・蓄積する器官を備えたエルフ種の下によく集まるのは、それらを依り代とし、在るべき星の下に還元されたいが為の一種の本能と言えよう。
46 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:14:20.82 ID:y4U7AypG0
531 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2017/04/22(土) 00:27:37.39 ID:2Ie2Ku/J0
いつぞや、旧態の魔術とか超能力について書いた者です
一応、過去の自分の書いた事を整理して、絵にしてみました。参照になればよいのですが

http://imgur.com/eQ6S4PB
http://imgur.com/jg1Q0tv
532 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2017/04/22(土) 00:34:09.94 ID:2Ie2Ku/J0
二枚目の番号についても説明も……

1-4まで:超能力と同じ
5:生命力を用いて、霊力を「加工」。より様々な作用を起こせるように下準備する
6:『世界/世界精神』に、行使者が行った術式に関する情報が伝達される(行使者による伝達の意志の有無は無関係)
7:行使者を含む、『世界/世界精神』が内包する存在やその魂から、送られてきた術式に対応する認識を検索
8:術式に合致する認識があった場合、行使者が加工した霊力へそれを伝達
9:加工済み霊力は現実に作用。術式に対する認識を具現化
10:旧き魔術発動
47 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:15:03.16 ID:y4U7AypG0
533 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2017/04/22(土) 19:51:44.39 ID:3sr+CW6n0
レスがある・・・!?自分で質問しておいて返答がある事に驚くとか、何という過疎スレ
他でもない旧態の魔術の設定書いた方にレス頂けて感謝です
>>532で質問なのですが、

1.魂を通じて世界に送る生命力と霊力の量は=(イコール)として、旧き魔術を行使する際に5の工程を踏む分、魔術師の方が生命力の消費が多いという事でいい?
 超能力者が超能力を発動する際の生命力と霊力の交換比率が1:1としたなら、魔術師は1:2〜って感じなのかな

2.霊力を引き出す為の生命力の量というのは、超能力者は行使主体者の主観に依り、魔術師は最初に術式を組んだ者が決めた量に依ると考えていい?
 例えば、超能力者が「空を飛ぶ」能力を行使する場合、生命力を10消費する能力者と20消費する能力者がいて、それが「超能力者としての性能差」
 魔術師が旧き魔術で「空を飛ぶ」場合、最初に術式を組んだ行使者が10の生命力を消費すると決めたなら、後に続く行使者は7の工程に則って同じく10消費する?
534 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2017/04/22(土) 22:41:50.49 ID:3sr+CW6n0
もう一点、加えて質問が

3.行使者の行き過ぎた魔術の行使を世界はどこまで許容できるのか
 「死んだ者を生き返らせる」「あらゆる事象に干渉する」「行使者の寿命を延ばす」等の魔術を世界は許容出来るのだろうか
 もし>>530で書いた様に「生命力が世界の活力となる」なら、死者の蘇生や不老不死といった、世界から生命力を奪うような魔術は行使可能なのかどうか
 
 許容されない場合は一応考えていて、「白き月姫」がその行使者を抹消しに来る、というのを考えてる
 無論、単に魔術が不発に終わるというのも有りです
48 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:15:28.79 ID:y4U7AypG0
http://bougakudai.com/LPOP/hstry/rmll/spr251.jpg
http://blog-imgs-34.fc2.com/w/b/m/wbmuse/SovietPictures0290.jpg
果たせない願い

「また生きて会おう」「そろそろ子供の誕生日で……」「この戦いが終わったら結婚するんだ」
嘗て創作物語において、それらの台詞は、発言者が非業の死を遂げる前振りとして多用されていた言葉を、皆口々に告げる。

偽りの神と呼ばれる未知の敵との戦争が始まり早四年。
既に国家という国家、軍隊という軍隊がその体を成さず、戦争初期に立ち上がった『人類同盟』の残滓の下に集った人々は、
人類全体の『勝利』ではなく、目先の『生存』を守る為に抗っていた。
ある者は愛する者の為、ある者は生きる場所を守る為、死の約束された戦場へ行く前の最後の言葉を口にする。

星の生命が枯渇しつつあるこの世界で、もはや有効な対抗手段であった魔翌翌翌力も、それを操る魔術師もほとんど失われた。
脆弱な身に、広く普及している同盟製の自動小銃を担ぎ、彼らは死地に向かう。
49 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:16:03.51 ID:y4U7AypG0
536 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2017/06/04(日) 16:01:22.54 ID:YEyJYjUF0
>>533-534
気づけば質問を頂いて数ヶ月……
おまたせして申し訳ない、>>531です。取り敢えず、お答え致します。
わからないことがあれば、またお聞きください。

1.答えとしては「YES」。1-4までの過程は変わらないので、其処までの生命力の消費は一緒。
しかし、5の段階で霊力を加工するために追加で生命力を消費する。
交換比率はまちまちだが、1の霊力の加工には最低1の生命力が必要なので、どれだけ効率化したとしても1:2が限界。

2.超能力者については全くその通り。尚、交換比率は練磨によって向上させることが可能である。
旧き魔術についてもおおよそその通りだが、此方は、最初に組まれた術式だけが絶対なのではない。
最初に組まれた術式では生命力を10消費せねばならなかったとしても、
他の誰かが、「生命力の消費が半分で済む術式がある」と認識して、且つその方法に従ったのなら、生命力を5消費するだけで空を飛べる。

3.世界は、それを看過することで回避不可能な自己の存続の危機を起こすのでない限りは、
全てを許容する(使用によって結果的に世界が滅ぶ、というような魔術の行使時には、星の触覚が具現化する)。
但し、それを実現可能であるかは、術式の有無に加えて、消費する霊力の量に依拠する。
例えばの話、誰かの生命と引き換えに死者を蘇生する術式があると、誰かがそう認識していて、尚且つその条件を満たしていたのなら、その魔術は発動する。
但し、術式に従って実際に世界を操作する為に必要な霊力は、その事象が三次元の物理法則から乖離すればする程多くなっていく。
もし要求される霊力量に満たないのであれば、その術式は発動しない。
旧き魔術の根本原理は、認識という設計図を、霊力という工具を使って世界の中に実現するもの。
幾ら設計図が理想的であっても、工具の種類や性能が足りなければ、それは実現不可能なのである。

と、いったところです。
50 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:16:28.15 ID:y4U7AypG0
537 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2017/06/08(木) 21:10:12.41 ID:XVPokNWm0
どうも、>>533-534です。やっぱ過疎スレですなぁ……
頂いた1・2・3の回答を踏まえて、個人的見解を一つ


世界は人類を始めとした魔術行使者に対し、「霊力」という、言うなれば世界の生命力を与える代償として
与えた霊力以上の「生命力」を魔術行使者から徴収する交換レートを敷いている。

世界は自身が損をしない、この場合においては、「支払う霊力以上の生命力」を得られれば、魔術行使者が如何な魔術を行使しようと関知しない。

魔術行使者、殊、高い知能を有する人類は、世界と自分達魔術行使者との関係性を何代にも亘って積み重ねられた「失敗」を糧に理解し、
では何処まで自身の支出を減ぜられるかに、更に長い年月を費やしてきた。
過去にある魔術行使者が組み上げた術式があり、その後、それを超える費用対効果を有する同系統の魔術術式が完成させた人類は
魔術行使の際に消費される自らの生命力量を最小化させる事を可能とした。
文字文化を利用し、人類内の魔術行使者達はこれらの経験を技術へと昇華させ、体系化させるに至る。

魔術行使者内における「失敗」とは、「術式がそもそも間違っている」か「魔術行使に必要な生命力が不十分である」か「世界の逆鱗に触れた」かの何れかとされる。
一つ目は生命力と霊力の交換も行われず、失敗しても失う物は無く、二つ目は霊力を下す為に生命力を支払うが、魔術は発動しない、
そして三つ目は、世界が得る生命力以上に霊力を払う羽目になった際に発生する。
この場合、世界はこの魔術行使者から強制的に生命力を徴収すべく、専門にその役目を帯びた存在たる「星の触覚」を具現させる。
これを「万物の死」と呼称する。
51 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:17:05.70 ID:y4U7AypG0
何時ぞやのリーアの正体論争の所から着想を得ましてレッツら投稿

>>537
こちらが想定していた魔術行使プロセスとは少々違うのですが、こちらの方が収まりがよくてスッキリしますね
三千世界の観測目録の方を、これに合わせて書き換えておきます
久々に刺激を得たことだし、主観的考察シリーズの続きでも書こうかしら……



“教会”特務祓魔部隊 黄昏への戦将《Einherjar》

http://imgur.com/a/PKW7U

“教会”中、ある基準に沿って選出された強力な悪魔祓い『のみ』で構成されている特務部隊。

悪魔の存在を否定する“教会”は、その主張を実現する為に数多くの悪魔祓いを確保してはいるが、しかし、その全てが優秀という訳ではない。
それが実力面での話であるなら、戦闘に関わらない部署に回すなり、鍛錬の機会を与えれば良いだけの話だが、人格面での話となるとそうはいかない。
如何に力に恵まれていたとしても、隣人として付き合いにくい、
または、もっと進んで付き合えない様な相手を同僚にして働き続けられる程、人間は柔軟には出来ていない。
こうした連中の扱いに手を焼いた“教会”が、しかしその才覚を失うには惜しいと考えた結果、幾つか設立されたのが、特務祓魔部隊である。
これらに帰属する彼ら彼女らは、兎に角集団での活動に向かない。
気に食わなければ上下の別なく食ってかかり、時によっては堂々と反逆してのける様な存在である。
しかし、それ故に、そうした制約を取り払ってやれば、十全の働きをする。
特務祓魔部隊とは要するに、制約の殆どを無視して活動することが許される、優秀な不良悪魔祓いの集団であった。
そして、その中でも、良きにつけ悪しきにつけ一際名を馳せるのが、「黄昏への戦将」である。
この部隊に所属するのは、性格も去ることながら、その能力も集団戦には一切向かない、
少数対圧倒的多数、若しくは強力な一対強力な一に特化した者ばかり。
だがそれ故に、Aランクの悪魔祓いが出るほどではなく、しかし並大抵のものでは太刀打ちできない、
中級から上級の悪魔や、大量の下級悪魔発生時には、この上ない戦力となり得る。
しかし、戦地に於いては、その後の生活や住人のことなど一切勘案に入れずに暴れ倒し、
更には個人の人格にも問題がある場合が多い為、民間人からは敬遠される存在となっている。

この部隊に所属する著名な人間としては、リーア・マルスマンが居る。
彼は、黄昏への戦将の中でも一際目立った功績を次々と挙げた出世頭だったものの、
他の構成員以上に個人主義が過ぎ、回り回って自分の為にもなる情報の共有などにも一切参加しなかった一匹狼であり、
部隊内部でも嫌われていた模様である。
52 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:17:32.27 ID:y4U7AypG0
まほろばと旧き魔術【小人/霊力/遭遇】

「まほろば」は、捕えた小人を生きたまま学会の場に晒し、自分を追いやった偏屈な学者共を負かしてやる、という時崎の私怨の元、
一先ず瓶詰め状態の小人を、サークルの部室へ持ち帰る事となった。
しかし、その話を聞いていた小人から思わぬ提案が為される。
それは自分を見逃す代わりに、彼らの持つ力を彼女らに授ける、というものだった。
小人曰く、彼らはあらゆる願望を叶える力――【魔術】を扱える。
この小人に近付くと姿が見えなくなった現象は、彼が自らに掛けた魔術に依るものだった。
では何故、最初から誰にも認識されなくなる魔術を使わなかったのか、当然この疑問が浮かぶ。
その疑問に対し、小人は「それでは代償が大きく付いてしまう」と答えた。

彼らの扱う魔術とは『生命力を糧に世界と契約し、願望を叶える技術』なのだという。
『視認されづらくする』ならばわずかな生命力で済むが、『全く認識されないようにする』場合、世界に要求される生命力が多く、彼はそれを良しとしなかった。
それに、そこまでせずとも、小人ほどの体躯ならば人目に付きづらく、距離次第で視認出来なくするだけで本来は十分で
彼女達のように、最初から捕獲するつもりで周到に準備されない限り、問題無かったのだ。

一通りの魔術の説明を受け、まほろばはしばしの談議に移る。果たしてこの技術の伝授が、この小人を見逃すに値するか否かを決める為に。
学会で公表して雪辱を果たしたい時崎、魔術の全貌と今後の発展性に興味を抱く星野、小人が嘘を付いている可能性を考える境井で意見は三分してしまう。
しかし、ここで意見の拮抗を破る小人の言が投げ込まれる。
「取引に応じなくでも、或いは応じた振りをして反故にしようと、それが分かった時点で自ら命を絶つ事など容易に出来る。
 仮に遺骸を世間に晒そうと考えていても、永劫に誰からも認識されない魔術を使った上で死ぬまでである」と。
魔術が如何なるものかを知らされている今の三人にとって、その言葉は脅し文句として十全に機能した。
結果、時崎が考えを改め、境井も星野の意見に同調した事で、交渉は小人の提示した通りで妥結した。

――いよいよ魔術の伝授である。
小人は意識を己の内に向ける。第一段階、小人は脳器官から魂へ続く回路を生命力で拡張する。
拡張された回路を通り、生命力は魂へと転送、転送先の魂にて、生命力は霊力へと変換される。
魂より還された霊力は小人の居る三次元世界へ降りる。
降りてきた霊力は、より様々な作用を起こせる下準備として、再び小人の生命力を用いて『加工』を施す。
この直後、加工によって術式が施された霊力は、その情報を『世界』、またの名を『世界精神』へと伝達。
しばし待ち、霊力は世界から伝達された術式を認識した。術式の構築が成功した証だ。
加工済みの霊力は受け取った術式に従って動き出す。ここからが境井の頑張り所である。

小人の下を離れ、加工済み霊力は境井の頭から脳、そして、その先の境井の魂を目指す。
それまで閉じられていた境井の回路を抉じ開けるべく、霊力は一心不乱だ。
それまでぴたりと閉じて、一片の穢れも知らない純潔の秘所のようであったのに、それを少しずつ、少しずつ……
這うように歩くように駆けるように、削るように掘るように抉るように、回路は解され、霊力を更に奥へと誘う。
そうして、境井の意識は内側へと落ちていく――


――そうしてどれだけ経ったか。境井は、時崎と星野の呼び掛けで意識を引き戻した。
心配顔の親友と師の表情を見ても、まだ自分の状況に理解が追いついていない。
脳が目覚め、思考が少しずつ冴えてくると、境井はこれまでと景色が変わっている、そう感じていた。

小人は契約に従い、まほろばに魔術を与えた。
三人は人知れず魔術を操る者となり、後にこの技術を応用した新技術の発明をも果たす。
この一連の出来事が、数年後に訪れる文明崩壊の予兆を彼女らに報せ、それらに対抗する力となる。
少女の時を越えた人類存亡の戦いと復讐劇の幕が、この時、切って落とされた。
53 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:17:50.85 ID:y4U7AypG0
初心に帰って短い文章を、と思ってたのに、なぜこう長くなるのか


http://blog-imgs-43.fc2.com/k/o/u/kouma812/20120212091524d9e.jpg
http://pm1.narvii.com/5617/62bc56d1d23e54844f4ec47851d3e39706aefc55_hq.jpg
祝福/呪い

「精霊になっても夢は見れるのね」
ゆっくりと瞼を持ち上げ、レドールは呟く。
夜空に浮かぶ月が世界を照らしていた。
鏡面のような透明度を持つ水面が広がる中に、レドールは一人佇んでいる。
夢を見た。遥か過去、懐かしき友との他愛の無い、然れど二度と戻らぬ掛け替えの無い日々の記憶。

http://fatego-japan.com/wp-content/uploads/2015/12/5b3a3ab30b215a2f5b5233fa54d04c60.jpg
「――人間が見る夢とは、少し異なる。
貴女が見たのは星の記憶だ。
貴女との関連性が高い記憶を、休眠時のような意識の希薄な状況下で深層意識が星と同調し、
人間で言う夢に類似した形で貴女の精神が感じ取っているに過ぎない」
現れた星の触覚――精霊・白き月姫は彼女の呟きにそう応える。

ここは心象世界。星が擁する精霊達が会する意識空間であり、その表層とも言える場所。
彼女――レドールが見た『夢』は、ここより更に奥深い深層部で観た光景だ。
深層は各触覚につき一つの固有の世界として存在しており、精霊の精神そのものである。

era1、Creqrat Viorlの刺客との死闘で恩師と親友共々、本来ならば死後、その魂はOrigin Grave"原初の墓地”へと送られる筈だった。
しかし、境井の魂は時崎と星野、二人の生命力すべてと引き換えに、原初の墓地での魂の浄化を免れ、過去の記憶を保持したままレドールとしての次なる生を得る。
era1から数えておよそ200年。原初の墓地へと辿り着く幾億幾兆もの生命力が星の活力たる霊力へと変換されていく。
肉体という鎧も無く、これだけの長きに亘って霊力に晒され続けた境井の魂は、その性質を変容させ、精霊に近しい存在となった。
その後、水人・リンティスタ族のレドールとして転生を果たすと、彼女は魂の半精霊化に伴う副作用として、エルフ種を凌駕する魔術行使の手腕を発揮した。
転生までに費やされた200年という歳月で一部記憶の摩耗が見られたが、過去の自分からのメッセージによりすべてを思い出すと、
偽りの神への復讐の為、外界の生物すべてに呼び掛け、Creqrat Viorlへの反撃を開始した。
だが戦況の悪化を経て、彼女は遥か彼方の十一次元空間において、乗艦する次元戦闘艦ルシファーがCreqrat Viorlからの奇襲を受け大破、艦と運命を共にした。
死後、肉体という器の箍が外れた事で、『境井夢子』であった頃から数えて実に500年、霊力と魔翌翌翌力に触れ続けた彼女の魂は精霊となるに相応しいものへと変貌を遂げ、
星からの承認と『座』への召喚を経て、『レドール』はその存在を精霊へと昇華させた。

レドールが世界より与えられた『座』、星の触覚としての役割は『星の救済』。
まだ辛うじて供給されている星の魔翌翌翌力(霊力)によって存在を維持している精霊達は、Creqrat Viorlの侵攻に対抗すべく、それぞれに奮戦していた。
しかし、星の武力の座を与えられている白き月姫の力を持ってしても、侵略者の底知れぬ物量に押し潰されるのは時間の問題だった。
そこで世界は、新たな座を召喚に考え至る。それがレドールだ。
精霊となった彼女の『境界の力』は拡大され、時間の壁という『境界』をも超越し得た。
そこでレドールは別時間からのアプローチによって打開策を得ようと考えた。

彼女が向かうは過去。その中でも、彼女がまだ唯の少女だった時代に攻略の糸口――石神学を見出す。
54 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:18:06.37 ID:y4U7AypG0
http://open-touhou.ru/images/phocagallery/Nogame/Mirabel/thumbs/phoca_thumb_l_maribel-hearn-2310622.jpeg
嘗て石神学が居た世界線――『最期の世界線』と彼は呼んだ――では、次元科学、電話レンジ(仮)、そしてまほろばが存在しなかった。
次元科学の権威であった時崎空は、客員教授として大学に雇われ、そこでサークル顧問としてまほろばを創設するが、
次元科学が存在しない世界線ではそれらの前提は失われている。
よって、時崎は大学に在籍しておらず、サークルメンバーの境井夢子と星野月見はそもそも知り合う事がない。
石神が世界線を越えた理由はそこには無かった。

「それが貴方の数ある終わり方の内の一つだったのよ、石神くん」
「終わり方?」
「そう。私がこの時代へやって来なければ世界線は変動せず、貴方はあの閉じた世界でタイムマシンの開発に一生を費やしていた。
仮に過去に行けたとしても、私達の敵を討とうと教授の立ち上げた組織に接触して、世界線の移動を繰り返す内に……なんて事も」
「それは……恐ろしいな」
55 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:18:29.26 ID:y4U7AypG0
548 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2017/10/07(土) 10:54:58.38 ID:Yl20Tp5Y0
向こうのスレの探検家からゴッヘルさんを思い出して、ふとこういうのを思い付いたので、補足的に投下します


ゴッヘルザッホが悠久郷入りした理由と時系列についての考察

ゴッヘルザッホが悠久郷に迷い込んだのは、ソレグレイユ政府に依って軟禁状態にあるシュニッツラーを救うべく、
旧文明の崩壊、『ジャッジメント・デイ』の調査の為、手掛かりを求めて『列島』へと探索に赴いた時だ。
数年に亘り、世間から姿を眩ませたままのゴッヘルザッホは、共に旅立った者達を含め、次第に人々の記憶から薄れ、忘れ去られようとしていた。

人の身でありながら、エルフ程の寿命を持つ奇異の存在であるゴッヘルザッホは、各地を転々とする探検家稼業を利用し、名を変えながら世界中を巡っていた。
それ故、彼が名乗るいくつもの偽名を知る者は居ても、それらが全て同一の人物を指す名である事を知る者はおらず、
『列島』に来訪し、行方知れずとなった折、遂に彼の探検家は忘れられた存在、即ち『幻想』となったのである。

市井から忘れられ、数日を悠久郷の内で過ごしたにも関わらず、彼が現実の世界に帰還出来たのは単に、現実に憂いを残したからだ。
シュニッツラーを救う為、斃れていった同朋の手向けとする為にも、発見した旧文明崩壊の資料を生きて持ち帰る。
それが彼を――ゴッヘルザッホを悠久の夢から覚まさせた。
56 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:18:49.21 ID:y4U7AypG0
TRPGをやってるといったものです
あちらで出てきた地名について、此方に投稿してみます
こうすればこっちにも成果が還元できるかな



霧の高原/Fog Plateau

https://imgur.com/a/l2iOe

大絶滅後に地形の形成が確認された、エントロフィア大陸中部に存在する高原地帯。
比較的起伏の少ない、テーブル状になった高地と、その所々に点在する大小様々な盆地から構成されている。
その名の通り、高原全体が、一年を通して晴れることのない霧に覆われている。
特に、盆地の内部ではその霧が一段と濃くなり、視界を確保することも難しい。
この濃霧の発生原因は定かではないが、一帯の形成があったと推測される大絶滅直後、
付近に元々群生していた樹木群が急速に育成・拡大し、オールグリーンとなったという記録が残されていることから、
これらから産生されるマナが何かしらの影響を発生させているのではないか、という仮説が立てられている。
霧の存在は、一帯の開発・調査にも大きな影を落としており、Era2末期に至ってもこの地域は全貌が明らかになっておらず、
探険家達にその探索を国が依頼することさえあったという。

『私の初めての探険は、何とか上手くいったと思う。
 獣に襲われて怪我をしたし、悪魔に襲われて殺されかけた。でも、生きている。それだけで充分な成果だと思う。
 ……あの探険家、イーゼル・バックスさんには、感謝しないといけない。あの人が居なければ、きっと死んでいた。
 あんな風に、いつか私もなれるといい。そう思わせるような、凄い探険家だった。
 また会えるように、とくれた靴の鋲は、何だかお守りになるような気がして、いつも手放さずに持っている。
 小さな輝き。ここに込められた願いが果たされる日が来るように、私も頑張らないといけない。
 お姉ちゃんと、バックスさんに、いつか届くように。』
―――駆け出し探険家の少女の日記
57 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:19:13.34 ID:y4U7AypG0
レドールの選択


石神の下を訪れたレドールは、自身が考案した作戦を告げる。
それは、世界を滅ぼす決断だった――。

石神学が発現させた超能力【真理解明の魔眼/Reading Wahrheiter-リーディング・ヴァーハイター-】。
その起こりは石神が生み出した空想の産物であったが、彼の能力はある時から『世界線移動を認識する能力』として開花し、いくつもの世界線を巡るという数奇な運命を辿る。
世界線変動を繰り返し、運命に干渉する行動を取る――これは云わば、リーディング・ヴァーハイター『第二の能力』である。
では『第一の能力』とは――それは『観測』。
『観測』こそが世界の可能性を形作る。

本来、事象の観測は全人類が有する能力だが、通常は無意識下で働く為に認識されない。
観測された事象は起こり得る事象として記録され、その後の世界線の変動に影響を及ぼす。
リーディング・ヴァーハイターは観測によって齎される世界線の変動すらも観測し、起こり得る事象を幾重にも亘って認識する事が出来る。

レドールが狙ったのは、『偽りの神により滅ぼされる世界線』の他に『人類自身の手で文明を崩壊させ、偽りの神に遭遇しない世界線』という二つの可能性を観測させる事だった。
この二つを認識した石神学を過去にタイムリープさせ、レドールの生きる世界線から石神を分岐させる。
それが、人類に残された唯一の生存方法だと、レドールは確信していた。


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レドールが石神の下を訪れたのは、彼の超能力【リーディング・ヴァーハイタ】の『観測』によって生まれる新たな世界線に到達する為だった。
石神に核戦争の勃発とそれによる人類の滅亡を『観測』させる事で、『偽りの神/Creqrat Viorl』 とその信奉者・『協力者(メッセンジャー)』によって齎される悲劇『ジャッジメントデイ』を回避し、
彼女が生きた世界線の結末とは違う新たな可能性を生み出す。
それが、レドールがこの時間軸にやって来た理由。
外敵に依って滅びる未来を回避する為に、他でもない自身の手で人類を滅びに導こうとする彼女の選択に、果たして正義はあるのか。
58 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:19:28.66 ID:y4U7AypG0
553 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2017/11/02(木) 22:02:24.71 ID:jcjBoiFK0
ついでに、個人的に考えてる境井夢子ことレドールの略歴も投下。見える所に置いときたいだけですけどね


境井夢子がレドールとなるまで
・死後、原初の墓で魂だけの状態を380年(era2 >>516参照)。後にレドールとして転生。

・20年後、レドールがリンティスタ族族長となり、悠久郷を作り出す。
 悠久郷に入り込んだ旧時代の艦艇によって過去の記憶を思い出す。

・ゴッヘルザッホが悠久郷に迷い込むのがその40年後(この後era3)。

・その100年後(era4)、艦の記憶に従い、外界へと進出し、偽りの神を相手に人類を先導する。

・レドールとしての死後、精霊となり、星の救済の為に過去へ(era1)。
59 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:19:41.74 ID:y4U7AypG0
マナ茶/Mana tea

https://i.imgur.com/11LdjMG.jpg


オールグリーンに群生する、マナを多く含んだ葉を乾燥させ、煮出して飲用としたもの。

ベースとなる葉によって効能は様々、嗜好的、医療的といった用途が主流で、マナ茶はその効果を容易に享受できる一手段として用いられている。

オールグリーンに棲む種族、エルフによって製造されており、近年では健康飲料としてユグドラシルに輸入されている。


『さて、この【マナ茶】の商品名のことだが、どうしたものか?』
『待て、最高にしっくりくる名前を思いついたぜ。』
『何だ?』
『太陽のマナ茶。』
────あるユグドラシル住民の会話
60 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:19:54.62 ID:y4U7AypG0
ただ美しく、花は咲く

https://imgur.com/a/wc8qW

轟音。静寂。微かに、風が哭く。
生命から存在になったそれは、もう動かない。
地の果てまでも続く花の園に、新たな一輪が加わるのだ。
何故? どうして? その問いに応えるものは、いない。
しかし、問いを投げかけるものは、こう言った。
――安らかであれ。願わくば、その美しさを、永遠に。

生命の吹雪が、何もかもを覆い隠した。
61 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:20:10.43 ID:y4U7AypG0
http://livedoor.3.blogimg.jp/vipsister23/imgs/4/4/449b955e.jpg
参集せよ

これは第二次文明戦争の折、ユグドラシル軍を主力とした久平解放軍の進軍と共に、久平国内の全ての公共放送向けに流された声明文の起こしである。
この声明により、リユニオンや久平国防軍を除いた全てのレジスタンスと、それまで不満を抱えていた非過激派の久平人民を刺激し、一斉に決起させた。
後にソレグレイユ本土で上がった反逆の狼煙もまた、この時ソレグレイユ本国に潜伏していたレジスタンスらが共謀して引き起こしている。
(反逆の狼煙>https://www46.atwiki.jp/fantastical_world/?cmd=word&word=%E7%8B%BC%E7%85%99&type=&pageid=393)

『私はこの20年艦、戦い続けてきた。
不当にも久平の領土を侵し、更にはそこに住まう人民を凌辱するソレグレイユへの深い憤りからだ。
人の罪を裁くのが法の役割だというなら、過ちを犯した国家の罪は、誰が弾すればいい?
法か? 神か? いいや、違う。
法とは国家によって作られるものであり、神とは時に権力によって歪められる……どちらも脆弱だ。
では、国家を糾弾するのは何だ? それは人だ。
何時如何なる時代であろうと、国家の過ちは人々の正義によって正されてきた。それは歴史が証明している。
待っているだけでは世界は変わらない。変革とは、自らの行動によって齎されるものなのだから。
久平人民よ! 家族を、友人を、恋人を。掛け替えの無いものを奪われた全ての犠牲者よ!
今こそ立ち上がる時だ。
我々リユニオンが、天に代わってソレグレイユを裁く!』
                           
62 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:20:25.98 ID:y4U7AypG0
遠き日の約束

https://i.imgur.com/jogIxfb.jpg

あれから何年が経ったろう。
あの忌まわしい大災害が起こってからも尚、変わらず陽は昇り、沈むのを繰り返している。

あの夕日が浮かび上がらせる夕闇の影絵群には、
最早叶うことのない望郷を思い起こし、その儚さが君の面影を呼ぶ。

いや、丁度こんな夕暮れの日だった。
夕日に染まる彼女の横顔はとても綺麗で、僕はただぼうっと、見とれるばかりで、君は笑ってこう言った。
この先、何年でも、何十年でも、君と一緒にこの夕暮れを見に来よう、と。

ああ、分かっているとも、僕は変わらず見に来るよ。
例えこの身朽ち果てようとも、永遠にこの場所で君を待ち続けるさ。
また君と共にこの夕焼けを望むまで。


………幻覚か、ススキが風に擦れる音が聴こえる。
63 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:20:42.79 ID:y4U7AypG0
https://d1f5hsy4d47upe.cloudfront.net/b0/b0fbfcccc1e5aa923441b842fe047113_t.jpeg
愛ゆえの訣別

天人世界に於いて《真実を知る一族》が特権を与えられ、指導的立場に在り続けていたのは、情報を管理していたからに他ならない。
彼らがそのような地位に居たのも、特権階級として様々な行政機関の上層に自らを置く方が、天人の真実と今を生きる同胞を統制する上で都合が良い、という理由からだった。
天人の辿るべき道筋から外れてしまった原因と、先祖が取った行動の真意を知る彼らは、
それらの情報を隠蔽、管理し、『天人』という種を創造主たる旧人類が思い描いた通りの姿に戻そうとした。

真実を知るが故に、自分たちは永遠に創造主の望んだ《天人》には成れない。
決して救われない運命にあればこそ、《真実を知る一族》は自らを犠牲とし、一族のみで寄り集まって他の家の者を可能な限り排斥し、内向きな姿勢に徹した。
例えそれが、土地の減少による食糧事情の危急に喘ぐ同胞からの、怒りと憎しみを向けられる要因となろうとも……。
そんな彼らの施策が、結果的に一族から現れた反乱者の跳梁を許し、多くの同胞を死地へと追いやる結果になろうとは、何たる皮肉であろうか。

反乱者による真実の暴露によって、《真実を知る一族》を特権階級誑しめていた情報の秘匿性は失われ、
凋落した一族に代わり同胞の指導者となったのが、反乱によって英雄となった男、ヘルーシャ・トルース・ウラノスであった。

本来、反乱による政権奪取が叶った時点で、次に行われるのは旧政権指導部の処罰――即ち処刑であり、彼を支持する多くの天人もまた、自分たちを長年苦しめてきた彼らの処断を願った。
しかし、ヘル―シャは一つの懸念すべき要因を抱えていた。
それは旧政権、《真実を知る一族》の中に於いて一際、同胞らの中で支持を集めていた女性、クラミエール・ウラノス。
彼女をも断頭台の露と消し去ったならば、少数ながらも残存している旧政権支持者、取り分け彼女の信者らが暴徒化する危険があった。
これから地上へ攻め込もうという時に内政に余力を割くべきではないと判断したヘルーシャは、一先ず処刑を一部の者らの執行に留め、
クラミエール他、主要な指導者らは「これから地上に築かれる天人の為の楽園を目の当たりにさせ、自らの政策に対する後悔と懺悔の念を抱かせながら、改めて処刑の場を設ける」と喧伝し、
前体制主要メンバーの今しばらくの延命に対する不満を、これから行われる聖戦への熱意と人類への敵疑心にすり替える事で、
ヘルーシャは自らの新政権に向けられる批判回避の方策とした。

だが、彼の思い描いたような天人にとっての地上の楽園は長続きしなかった。
天地戦争の開戦劈頭、破竹の勢いで地上を制圧した天人軍は、広大な地上と地上人類によって培われたインフラにより、一気に好景気に沸いたが
戦争中期の地上人類の共闘が始まった戦争中期からは、それらの獲得した富を消費、或いは喪失していき、次第に戦局は悪化へと転じた。
地上に降り、戦闘に従事する同胞とは別に、地上から齎された資源を元に物資生産を担う後方の同胞からも、戦争を始めたヘル―シャに対する不満が漏れ聞こえ始める。
ここで求心力を失う訳にはいかないヘル―シャに切れる手札は一枚だけ――未だ辺境の大地に軟禁されるクラミエールらの処刑だ。
首都ルークフォンにある記念広場『救世広場』にて、彼女らの処刑の準備が進められる中、突如、何の知らせもなくヘル―シャの弟、ノウン・トルース・ウラノスが帰還する。
64 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:21:37.50 ID:y4U7AypG0
兄の居る執務室へと入るなり、ノウンはヘル―シャに怒声を浴びせる。

「兄さん! 何で彼女を、クラミエールを処刑するのさ!
 穏健派の象徴である彼女を殺せば、彼女の無事と引き換えに大人しくしていたシンパが一斉に蜂起してしまう……そう言っていたのは兄さんじゃないか!」

地上の戦場を離脱し、ノウンは単身、彼女――クラミエールの元を訪ねるべく、首都ルークフォン新政府庁舎内にある兄ヘル―シャの執務室へと赴いていた。
最初、クラミエールの軟禁されている西の果ての大地『タルタロス』に向かったノウンだったが、そこでクラミエールら罪人が処刑の為、首都へと移送されたを聞き、
すぐさまここルークフォンへと駆けつけたのだった。

「……久しぶりだな我が弟、ノウンよ。元気そうで何よりだ。 しかし、戦線から勝手に離脱してまで遥々、兄の所へ馳せ参じたかと思えば、開口一番にそれか?」

怒りに満ちたノウンの言葉を聞いて、なお冷然とした態度を取る兄に対し、彼はクラミエールの処遇に対する釈明を求めた。

「あぁ、そうだ。 だがもうそんな事に気を使う必要はなくなった。 今や国内に居る穏健派のほとんどは、他の同胞たち同様に地上へと降りている。
 今クラミエールを始末しようと、実質的な抵抗なんてほとんどない。
  この悪化した戦況の中、何時までも反乱の芽を残していては、同胞らの結束に綻びが生じる」

元々、人前以外では表情に乏しいヘルーシャは更に表情を重く固く、統率者としての態度でノウンにそう言い放った。それが彼には我慢ならなかった。

「戦況を悪化させたのは兄さんじゃあないか! 動員できる兵力は限られていたのに、無理に戦線を広げるからこんな事になったんだ! もっと初期の段階で、地上の科学国を徹底的に破壊していれば、ここまで戦況が悪化する事は無かったのに……」
「そんなものは結果論だ。 後からなら何とでも言える机上の空論だ。 お前はそんな事を言う為に、戦線を放り出してまで私の所へ怒鳴り込みに来たのか? お前のその下らない行動の内に、何人同胞が死んでると思ってる」

椅子から立ち上がり反論するヘル―シャ。戦場で長い時間を過ごしたノウンにとって、戦友らを盾に自らの行いを追及される事は彼の喉を引き閉まらせたが、此処で引いては弁舌家の兄に押し負ける。
負けじとノウンは食い下がる。

「地上で戦ってる皆を殺してるのも、下らない事をしてるのも兄さんの方だ! 戦況の悪化で同胞たちから嫌われるのを恐れて、人気取りの為だけに彼女を殺そうだなんて、そんなのは間違ってる!」

ノウンは腰のホルスターから提げていた拳銃を引き抜き、敬愛する――いや、敬愛していた兄、ヘル―シャに突き付ける。
以前の自分なら兄に反抗するような事はしなかったし、する必要が無いくらいに兄は完璧な存在で、自分にとって目指すべき目標だった。
それ故にノウンにとって今、目の前に居るこの男の言動が失望のレンズを通して映し出される事にも、そうさせるヘル―シャにもまた、怒りが込み上げたのだ。
それを見たヘルーシャは一瞬、目を見張るがすぐに平静さを取り戻し、むしろ呆れたような表情さえ見せて、ノウンに対し半身の姿勢を取り、視線を窓の外に向ける。
溜息をつき、口を開く。

「お前……自分が何をしているか分かっているのか。 実の兄である俺に銃を向けるか。
  あの女の人心掌握術には脱帽するよ。 こうして我が弟までもをその毒牙に掛けるとは……聖女だなんてとんでもない。 なんという魔女か。
  これは、彼女には断頭台ではなく、火刑場がお似合いらしいな」

銃を持つノウンを前にして、顎に手を当てながら挑発するような言葉を放つヘルーシャ。そしてその言葉は、引き金を引くに十分な動機となった。
ノウンが銃の引き金を引き絞る動作に入る直前、ヘル―シャは懐に忍ばせた回転式拳銃を引き抜く。

https://i.pinimg.com/600x315/f5/35/d4/f535d49de58b60ae915ec4f477a57150.jpg
https://s.vndb.org/sf/22/55522.jpg
「兄さぁんっ!」
「青二才がッ!」
すかさずヘル―シャは懐から拳銃を取り出す。互いに向けられた銃口からは、ぱんという、乾いた炸裂音が鳴り、二人が居る部屋中に響き渡る。
銃口から立ち上る硝煙が二人の視界を霞めた。
65 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:21:56.21 ID:y4U7AypG0
http://livedoor.blogimg.jp/mumuhouse/imgs/c/e/ce795be1.jpg
http://livedoor.blogimg.jp/mumuhouse/imgs/d/c/dc8a5f5f.jpg
http://dengekionline.com/elem/000/000/951/951729/acu_04_cs1w1_590x.jpg
革命の象徴『救世広場』

ウラノス群首都・ルークフォンの中心部に座する行政機関の中枢たる政庁舎から、各ウラノス群を廻る巡回艇が着岸する為の港がある郊外までを結ぶ大きな街道の一つにその場所はある。
『救世広場』――嘗ては立地的に主要な交通路の一角を成す街路として市が開かれたり、祭りが催される等と連日のように賑わっていた。
ウラノス群最大規模の大地と、それに見合った人口を誇る首都であるこの地では、他のウラノス群に比して物流に富み、それ故、反乱の兆しとなる不満も比較的少なかった。
しかし、逆を言えばそれは、ルークフォン以外の大地の都市では天人達の不満が高まっていたという事でもあった。
その不満を利用し、同胞を煽動したのが反乱の首謀者であるヘルーシャ・トルース・ウラノスである。

彼は密かに同じ《真実を知る一族》の中からも志を同じくする者を集め、各地の都市にいる政府への義憤に駆られる若者らの組織を中心に水面下で勢力を拡大し、遂には革命のXデーを決行したのである。
各大地を巡る巡回艇を拿捕し、それぞれの大地から同志を回収しつつ、政府側に気取られる事無く首都へと攻め寄せた彼らは、
政庁舎までの一本道である街道を一気に駆け上がると、政府側の本格的な抵抗も許さずに政庁舎の他、放送局や軍事訓練場といった重要施設を次々と制圧し、ヘル―シャは必要最低限の流血で革命を成功させたのだ。
そして、この時の進軍経路として利用された街道のほぼ中間地点にあった広場には急ごしらえの演壇が拵えられ、
そこでヘル―シャは旧政権の悪政とそれによる他の大地に住まう同胞の惨状を喧伝し、革命の意図とその成功を宣言した。
このような経緯から革命により樹立された新政権では、この広場を革命の象徴的な場所と定め、『救世広場』と名付けた。
66 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:22:16.69 ID:y4U7AypG0
567 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/03/06(火) 04:48:08.51 ID:95ghrfEr0
https://i.imgur.com/Gk6tS8i.jpg
https://i.imgur.com/VnpbEbQ.jpg
https://i.imgur.com/MQjhXKa.jpg
https://i.imgur.com/VU7dH0t.jpg
https://i.imgur.com/Y1cfvNS.jpg
https://i.imgur.com/sAB8s0A.jpg
https://i.imgur.com/efgp27q.jpg
被ってたのあったらスマン
67 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:22:33.26 ID:y4U7AypG0
https://toyokeizai.net/mwimgs/1/c/1140/img_1c9b6f9f664506f90bef4be29b06d5e7244921.jpg
http://wallpapers5.hellowallpaper.com/unclassified_unclassified--180_23-1920x1200.jpg
「まるでモントリオールとサンロードのようだ」

ジャッジメントデイ以降、悪魔や魔物といった危険生物が蔓延るようになった世界において、人類は自分たちの築いた都市以外で真に安息の地を持たなかった。
村程度の規模のコミュニティーだと、時としてそれらによる被害が発生し得るからだ。

それ故era3以前、通信網は都市間を結べるほどの広大さはなく、その利便性も嘗てほどのものでは無くなっていた。
文明の崩壊後に初めて宇宙へと飛び立った通信衛星『エンタープライズT』による都市間通信網の確立まで
個人から行政に至るまで、都市間での情報のやり取りは紙媒体による手記が主流であった。
多数の衛星が飛ばされたera3以降であっても、これらの優先使用権は国家とそれに準ずる組織が独占しており、未だ民間にまでその恩恵が齎されてはいない。

何故なら、衛星を宇宙に上げたからといって、ジャッジメントデイ以前のような高度な情報社会が取り戻される訳では無いからだ。
地球環境の変容に伴って、地球上のあらゆる場所で磁気異常が観測されており、これによって衛星を用いた放送や情報通信が不可能な地域が生まれ、
旧文明の再興を国是とするソレグレイユにおいて、情報の速度が著しく低下、乃至、失速するそれらの地域はera3以降の都市計画に多大な影響を与えている。

例えば、era3以前に作られたある都市は、通信網から外れていた為に都市計画を後回しにされ、別の場所に作られた新都市には多額の資金を投入し、
最新技術や施設を多数抱える国内有数の文明都市となり、1世紀近い文明の差が生まれた事から
ソレグレイユではよく、古いものと新しいものの例えとして両都市名から取った言葉が用いられている。
68 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:22:56.24 ID:y4U7AypG0

http://mincomu.dojin.com/~upImg/bbs/1403/27_051258Trim.jpg
幾百幾千の時の中で

レドールは天地戦争の最終決戦の地に現れた偽りの神の軍勢の機先を制し、一撃を喰らわせる事に成功した。
人類敗北の危機を救ったレドールは、この勝利と奴らの情報を手土産に、全人類、全地球生命の共闘を呼び掛ける。
当初こそ、彼女がそれまでに培ってきた知識と技術、これらを支える人類の工業力が合わさり、多数の武力をもって攻め寄せる偽りの神の軍勢を撃退せしめ、
遂には地球圏を越え、11次元空間へと戦場を移すまでに戦局は好転していた。
しかし、これが『地球同盟』内に綻びを生む要因となってしまい、
これまでの連戦連勝により驕りを見せた人類は、偽りの神との戦い以前からの蟠りを各所で噴出させ、遂には同盟内の不和が表層化する事態へと至ってしまう。
同盟設立の立役者であるレドールは、彼女を神輿として担ぎ上げようと動く同盟内の各勢力の争いを正そうと各地を奔走していたが、
戦意高翌翌翌揚と同盟の結束を企図して出撃していた11次元空間にて、偽りの神の軍勢の奇襲に遭い、座上艦である次元戦闘艦『ルシファー』と共に戦死する。

だがその時、不思議な事が起こった。
レドールは星との契約を果たし、精霊としてその生を長らえたのだ。
彼女の精霊としての能力は『自身の精神を過去に送る』というもの。
過去に彼女が生きた時間であるならば、それらの何処へでも精神を飛ばす事が可能であった。
但し、この時間移動は双方向での行き来は出来ず、あくまで「今レドールがいる時代よりも過去」に行く片道切符であった。

http://deliver.commons.nicovideo.jp/thumbnail/nc77876?size=l
https://img.atwikiimg.com/www46.atwiki.jp/fantastical_world/attach/50/69/1-067-s.jpg
https://encrypted-tbn0.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcRPAvubq__31ia-8Xu_weJEieiQiKCK3N1YEvo3w3V3c6VLyK3X
その後、レドールは様々な時代を辿った。
era1の境井夢子、era2の原初の墓、era3のレドール、そしてera4の世界と、彼女は自らの『生』を振り返りながら、この星を、人類を救うべく奔走した。


そして彼女はある時、思い出した。自分は「これを何度も繰り返しているのだ」と。
彼女にとっての『境井夢子』や『レドール』としての最初の記憶と照らし合わせれば、決して彼女やその周囲の人間に、ルシファーをはじめとした偽りの神に対抗する為の力を作り出せる筈がないという結論に至ったからだ。
思えば、彼女が『レドール』となった時、悠久郷で発見した艦《ルシファー》を『初めて見る旧世界の戦艦』と認識したにも拘らず、その艦に施された旧態の魔術は紛れもなく彼女のものであった。
彼女はこれを、自分が未だ思い出し切れずにいる『境井夢子』だった頃のいつかに造り出し、後世に託したものだろうと仮定していた。
だがこの過程は正答とは些か異なっている。

https://iwiz-chie.c.yimg.jp/im_siggkSpY8Tc4zVti14BRXdOuYA---exp5m-n1-x200-y200/d/iwiz-chie/que-11163002556
ルシファーは、偽りの神の刺客との戦いの後に絶命した『境井夢子』の肉体に乗り移った彼女が、ジャッジメントデイが発動されるまでの間に完成させ、era3に『レドール』として転生する自分自身へ託したものだったのだ。
この結論に至った時、彼女は次にこの疑問に行き着いた。

「では自分は、今まで何度繰り返したのだろう」と。

ルシファーをはじめ、偽りの神と戦う為の武器をすべて過去の自分が作り上げたのだとしたら、これら全てを揃えるまでに何度、自分は偽りの神と対峙し、敗れ、戦訓を糧に500年をやり直したのだろうと。
それまでの周回の記憶を全て喪失してしまうような何かが起こったのか、それとも余りに膨大な回数をやり直す内に脳がショートしてしまったのか、今となっては思い出しようもない。
https://foregroundnoises.files.wordpress.com/2015/11/yrm.jpg
今からは『X1週目』の世界。忘れたならば思い出そう。思い出せないならやり直そう。やり直した先で作り上げよう。人を救い、神を[ピーーー]その力を。
69 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:23:17.90 ID:y4U7AypG0
本質の行方

目は人の心を映す鏡である、と云われているが、彼女の瞳は正にそれを体現するものだった。
彼女が『境井夢子』と呼ばれていた時代。彼女の瞳の色は、地毛である金髪に良く映える紫がかった黒色をしていた。
https://lohas.nicoseiga.jp/thumb/5039662i?
それがある期を境に変容する。彼女の死をもって――。

https://www.animeranking.net/stat/cash/stat_760/item_13134.jpg
転生後、『レドール』としての二度目の生を受けた彼女の姿は、人の身であった『境井夢子』の生き写しと言える程で
我々が知るレドールの外見も、境井が成長した姿と考えるとやはり良く似ている。
しかし、その瞳の色だけは違っていた。
嘗ては紫がかった黒色の瞳は今は無く、そこには二つの金色の輝きが備わっていた。

そう。本質を霊的に人の本質を映す瞳の変容は、『境井夢子』の死後、彼女の魂が長らく死後の世界・“原初の墓”にあり続けた事が原因だ。
肉体という器から離れ、魂だけが存在する無防備な状態が数百年に亘り続いた事で、原初の墓を充たす霊力に晒され続けた彼女の魂が
霊力に対し、高い親和性を獲得した結果、その変化が瞳の色として現れたのだ。
これにより、彼女は『レドール』としての生前、霊力を用いた規格外な魔術行使を可能とし、それが後に彼女が始動する『悠久郷計画』に繋がる。

その後、人類と偽りの神との戦争により彼女が命を落とし、精霊として星に迎えられ第三の生を得ると
現状を打開すべく活路を過去へと見出し、『境界』の能力で西暦の時代へ遡行する。
霊的な存在としてでしか過去へ行けない彼女が、この時代で依り代としたのは自身の肉体。
即ち、偽りの神の刺客に襲撃され、命を落とした後の『境井夢子』の死体だ。
https://lohas.nicoseiga.jp/thumb/2885282i?

前述した通り、瞳の色の変化とは霊的な変化の現れであり、彼女を知る人物ならば
雰囲気から彼女が普段、自分の知る境井夢子で無い事に気付く。
この場合で言うならば、それはまほろばメンバーの次に彼女と親しい石神学である。
彼女の来訪が石神を世界線の袋小路から脱しさせ、同時に地獄のような未来を歩ませる事となるのを
石神は知らず、而して彼女は予見していた――。
70 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/06/20(水) 20:23:33.97 ID:y4U7AypG0
575 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府) [sage]:2018/06/09(土) 04:56:27.56 ID:GvZvx5fY0
懐かしい!まだ残ってたのかこのスレ!
当時は読む専の学生だったけど勉強の合間に読んでました
戻ってきたついでに画像上げしときます

https://i.imgur.com/DfzgSSi.jpg
https://i.imgur.com/RqweEX6.jpg
https://i.imgur.com/PRwnpVe.jpg
https://i.imgur.com/HBnw9PV.jpg
https://i.imgur.com/FA9qSoA.jpg
https://i.imgur.com/daB5O69.jpg
https://i.imgur.com/mDuP2yz.jpg
https://i.imgur.com/w2EIZN0.jpg
https://i.imgur.com/HIKy17J.jpg
https://i.imgur.com/zZBU59v.jpg
https://i.imgur.com/DJMQJBB.jpg
https://i.imgur.com/DTrQqHg.jpg
https://i.imgur.com/e6i9DCW.jpg
https://i.imgur.com/glyaoyW.jpg
https://i.imgur.com/o3hz30s.jpg
https://i.imgur.com/u3vlusz.jpg
https://i.imgur.com/re2I4Uz.jpg
https://i.imgur.com/EUj1XEb.jpg
https://i.imgur.com/A9heQRz.jpg
https://i.imgur.com/ADPbXFh.jpg
https://i.imgur.com/8VqcSaD.jpg
https://i.imgur.com/yYAv0BP.jpg
https://i.imgur.com/tk5AnNk.jpg
https://i.imgur.com/uZN0suk.jpg
https://i.imgur.com/yGEa0f6.jpg
71 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2018/06/21(木) 23:58:40.19 ID:XyRnLFJo0
あぁ良かった
生きていた

まだ先を見たいので安心しました
72 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/07/07(土) 01:44:23.22 ID:2mXPGg8K0
スレ建てから長らく放置してすまんやで


悪魔とは

https://img.atwikiimg.com/www46.atwiki.jp/fantastical_world/attach/578/1212/Space.png
era1の次元科学の発明と次元世紀成立の頃とほぼ時を同じくして、人類の前に姿を現すようになった異形の怪物“悪魔”。
人類は奴らの存在を解明すべく、先進国は持てる科学の全てを投じて悪魔を斃し、回収した死骸を調べ上げ、
これらの存在が生物的な生殖行動による繁殖でも、況してや単細胞生物のような分裂によって個体数を増やしているのではなく、
何者かによって意図的に生み出されている、という所まで突き止めた。

「この11次元空間のどこかに、人類とは別の高度な知性を有する生命体が存在する」

研究に関わった科学者と、この報告を受けた国家の指導者らは、否応なしにこの仮説を事実として受け止めざるを得なかった。
悪魔とは“彼”らにとっての外敵を排する防衛装置なのか、はたまた他の生命体に差し向けた侵略兵器なのか――
“彼”らが何を目的に11次元空間に悪魔を放っているのか、それは分からない。
だが一つはっきりしているのは、人類が今後も次元科学を利用する限り、悪魔による被害もまた同様に引き起こされ続けるという事だ。
https://encrypted-tbn0.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcR8z8TF1JbpLCMjc9DZPgpbG-92xGBrpy34aw4XSNwOkkeJZJta
https://encrypted-tbn0.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcR2mJLEPVNJvs3J59PlsDCQdfmMdxKY6SEGbpxaP0hS-IIXFWeE
https://img.atwikiimg.com/www46.atwiki.jp/fantastical_world/attach/307/606/2-27-17.jpg
この時代、次元科学の発明と惑星の開拓が齎した富と技術によって、様々な社会問題が世界を覆っていたが、ここに一つ新たな問題が積み上げられてしまった。

https://img.atwikiimg.com/www46.atwiki.jp/fantastical_world/attach/736/1628/5-168-1.jpg
https://img.atwikiimg.com/www46.atwiki.jp/fantastical_world/attach/736/1630/5-168-2.jpg
次元科学と次元世紀の始まりから5世紀余り。
この間、人類は長らく次元科学を喪失していたが、一度通じた11次元空間との繋がりはこちらから途切れようとも、あちら側――即ち悪魔の側からは“空間”として繋がり続けていた。
一度11次元空間と繋がった事で、11次元空間を満たす11次元物質が地球側へと流入し、更に次元航行の際にも流入は続き、
遂には地球側と悪魔のいる11次元空間とを繋げる空間【ゲート】の出現が可能なまでにその濃度は高まり、以降の悪魔出現へと繋がった。
空間【ゲート】を通った悪魔が11次元空間へと還らず地球で死んだ場合でも同様で、その死骸を構成する11次元物質が空気中に漏出する事で更に11次元物質の濃度は高まる。
11次元物質の濃度上昇に伴い限定的に出現する空間【ゲート】を通るかは、実の所、悪魔次第であるのだが、悪魔はその生物の原始的本能を持って人類の住む地球へと高確率で現れる。
故に人類にとって、空間【ゲート】の出現と悪魔の出現はイコールなのだ。
73 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/07/07(土) 01:44:44.31 ID:2mXPGg8K0
https://img.atwikiimg.com/www46.atwiki.jp/fantastical_world/attach/27/22/1-018.jpg
そんな悪魔の正体がより鮮明になるのには、era4の人類と“偽りの神《Creqrat Viorl》”との戦いを待たねばならない。
悪魔とは、偽りの神により支配下に置かれた星系に嘗て居住していた生命体の成れの果てだ。
偽りの神は他の生命体の知的技術や身体的特色を有用と見れば研究・解析し、それらが終われば用済みとなった彼らをいくつかの用途に分け使役する。

即ち、労働力としての奴隷。
食料や肥料としての有機資源。
生体改造を施しての生物兵器の何れかっである。

11次元空間に放逐された悪魔は、これら内、生物兵器として改造されながらも失敗作として廃棄された者達だ。
人類が次元航行技術を獲得してから程無くして悪魔が現れ出したのは、それが偽りの神が彼らを11次元に放逐した目的の一つであったからである。
偽りの神は、悪魔を他の生命体の力量を図る為の試金石としているのだ。
自分たちが作り出した失敗作程度に滅ぼされるならばその程度の文明だったと見做し、逆に撃退ないし無力化出来る程ならば監視対象として以後の動向を注視し、
必要とあればその生命体も自らの支配下へと置く。
それすらも敵わず、11次元空間を突破し、独自に勢力圏を拡大するような生命体が現れた時は、これを殲滅する。

偽りの神は独力で次元科学を獲得し、悪魔に対抗しながら多くの惑星を開拓していった人類に目を向けた。
人類をセレクトオーダーで先天的に抗体を持った個体のみ選別、突然変異と云う形で生物として強化し、然る後に支配しようと画策していた。
そうして個体数の増加と云う名の『収穫期』を待ち、era4、偽りの神に協力するメッセンジャーの報せを受け、遂に人類の前に姿を現す。
ここで想定外だったのが、不意を突いた筈の人類から想定外の反撃を受け、差し向けた戦力が全滅した事だ。

人類は自分たちが思っていた程、容易い相手ではなかった。
その事を悟った偽りの神は一計を案じる。支配か、殲滅かを。
この生命体の有する文明なり生物的能力なりを手に入れ、新たな力と発展の糧とするか、危険な存在として滅ぼし尽くすか――。
https://img.atwikiimg.com/www46.atwiki.jp/fantastical_world/attach/579/1214/003-435.jpeg
偽りの神はこの二者択一を彼らが擁する究極の計算機“Tegls Viorl Gjltd”に委ねた。
未来すらも観測し得る思考コンピュータが出した結論は、『殲滅』であった。
74 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/08/06(月) 19:13:45.61 ID:rRX7Odsf0
命令者
http://image.animesongz.com/anime/4182.jpg
https://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-56- f1/m52387177/folder/586102/71/36075271/img_0

互いに撃ち合った銃弾は、ノウンの左鎖骨部とヘルーシャの心臓部にそれぞれ命中した。
ノウンの肩を貫通した銃弾は壁にめり込み、血飛沫により背後を紅く染め上げる。
ヘルーシャは被弾の衝撃で大きく仰け反ると、そのまま仰向けに崩れ落ちた。
最愛の、尊敬していた兄を殺めてしまった。
その現実離れした事実を茫然と視界に捉えていたノウンだったが、傷の痛みで我に返ると同時に、事の重大さを理解する。
痛み、恐怖、後悔。様々な感情が押し寄せ、震える我が身を抱くノウン。
そんな彼の脳裏に彼女――クラミエールの姿が浮かんだ。

――そうだ、自分は彼女を救う為に来たのだ。こんな所で打ち震えている暇なんて無かった――
――さようなら兄さん。僕の理想だった人――

もはや物言わぬ骸となった兄へ一瞥を送り、傷の手当てを済ませたノウンはクラミエールのいる救世広場へと急ぐ。

クラミエールの処刑が行われる救世広場に向かうノウンを妨害する者は無かった。
彼の兄ヘルーシャの死を知らない兵らは、戦場にいる筈のノウンがこの場にいる事を訝しんだり、真新しい肩の傷に驚き声を掛けこそしたが、
ノウンはこれらを全て無視し、広場の中心に鎮座する断頭台を目指した。
その道中、彼は断頭台へ続く階段を登るクラミエールの姿を捉える。
ノウンはクラミエールの名を叫ぶ。
彼女から目を離さぬまま、彼は一目散に走り出す。
しかし、断頭台を囲むように警邏する衛兵らはノウンに自制を言葉を掛け、その行く手を阻む。
クラミエールもまた、自身の名を呼ぶ声のする喧噪の只中を見つめていた。
自分の元へ駆け付けんとする青年の姿を認め、クラミエールは驚愕の色が滲む声音で彼の名を口にし、何故ここにいるのかと問い掛ける。

「ノウンさん、何故来たのですか。 早く立ち去りなさい。 彼らとて指導者の弟といえど容赦はしないでしょう。 怪我をしない内に早く――」
「兄さんは死んだ! 僕が殺した!」

その言葉に周囲は驚愕する。
行く手を阻んでいた衛兵の注意が逸れた一瞬を見逃さず、ノウンは包囲を突破し、断頭台へ続く短い階段を駆け上がる。
途中、階上から迫る衛兵に対し、ノウンは銃弾を放つ。腹部や大腿部に被弾した衛兵らは苦悶の表情を浮かべ、柵の無い階段から墜落する。
ノウンの蛮行を止めるべく彼の後を追おうと衛兵が動き出した瞬間、彼らの元に石が投げこまれる。
何事かと気を取られて振り向くと、群衆の中からいくつかの集団が飛び出し、自分たちに向かって突撃して来るではないか。
群衆はクラミエールの信徒達であった。
彼らもまた、クラミエールを救うべく独自に今回の暴動を計画していたのだ。
ノウンの乱入という想定外の事態が起きたものの、彼らはこの混乱に乗じて作戦を開始していた。
銃や角材で武装した信徒は口々に「クラミエール様をお救いしろ」と叫び、広場は忽ち戦場と化す。
75 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/08/06(月) 19:14:25.75 ID:rRX7Odsf0
階段を登り切ると、そこにはクラミエールがいた。
断頭台の傍には、彼女の罪状を読み上げるべく待機していた裁判官の男もいたが、もはやノウンの目には彼女以外映っていなかった。
裁判官が逃げ出すと、断頭台の置かれた壇上には正真正銘ノウンとクラミエールの二人しかいなくなる。
広場は今や混乱の坩堝にある。
全てを察したわけでは無いが、ノウンもこの状況に便乗すべく、クラミエールの手を取る。
彼女に嵌められた手枷を銃で破壊し、自由の身とすると一言。

「さぁ、行こう」
「行くって、どこへ」

当然の疑問を述べるクラミエールにノウンは彼女の手を取りながら答える。

「地上さ。 空にいればいずれ捕まる。 地上も今は戦争中だけど、そう遠くない内に僕達の敗けで終わる。
 戦火が遠退けば地上も平和になるし、何よりウラノス群の全てを合わせても足りないくらいに広いんだ。 地上で隠れ住めば安全さ」

彼はクラミエールに逃走先を伝える。
この混乱に乗じれば、自分がここまで乗って来た戦空機の格納庫まで向かう事も難しくはないだろう。
地上にさえ降りられれば追手を振り切れるし、空中戦なら負ける気がしない。
しかし、ノウンは自らの耳を疑う台詞を他でもないクラミエールから聞く事になる。

「待って下さい。 彼らを置いては行けません。 彼らは私の為に命の危険を冒してまで戦ってくれています。 それなのに、私だけ逃げるわけには参りません」
「……は? いや、なら尚の事逃げないと。 ここに留まってちゃ、それこそ貴女の信徒の思いを無碍にする事になるじゃないか」

予想外の返答に一瞬面喰ってしまったが、ノウンは真っ当と思える反論を述べて、再度クラミエールを連れ出そうとする。
だがそれでも、目の前の女性の信念は揺るがなかった。
そればかりかノウンに対し、思いも掛けない要求をする。

「ノウンさん、私を助けようと思うなら、どうか共に戦っては下さいませんか。 私はただ守られるしか出来ないか弱い女ではありません」
「でも……分かった」

彼女の瞳から滲み出る強い想いに押され、ノウンはしばし考えた後、クラミエールの願いを聞き入れる。
しかし、このまま留まれば危険な状況にある事は以前、変わらない。

「 でもどうする? 貴女の信徒が奇襲を掛けたおかげで今は有利だけど、向こうの援軍が到着すれば前後から挟み撃ちの形になって一気に形勢が不利になってしまう。 それに……」

現在、広場はノウンとクラミエールのいる断頭台を中心に、衛兵、信徒、巻き込まれた市民の順に円を成すように位置している。
信徒らは装備の差から攻めあぐねており、騒ぎを聞きつけた衛兵が援軍に駆け付ければ、形成は逆転するだろう。
だが、広場の周囲には未だ逃げ惑う市民が大勢取り残されている。
逃げ場を失った市民が『行軍を阻害する障害』と判断されたり、暴徒の一派と誤認されれば、恐らく衛兵は信徒と市民の一切の区別なく発砲するだろう。
そうなればこの一帯は間違いなく血の海に染まる。
救世広場での惨劇が『赤の広場』の名と共に市民の間で後世まで語り継がれるような事態は避けねばならない。
そんな未来を憂慮するノウンに対し、クラミエールは一つの決意を胸に告げる。
76 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/08/06(月) 19:14:48.10 ID:rRX7Odsf0
「私にお任せ下さい。 ああ、その間、ノウンさんは耳を塞いでて下さいね」

そう言うとクラミエールは一歩前に進み出る。
訝しみつつも、ノウンは言われた通りに耳を塞ぐ。
広場の喧騒がいくらか遠退く。
ノウンが耳を塞いだのを確認すると、クラミエールは正面に向き直り、大きく一呼吸。
広場全体に届くような声で言葉を紡いだ。

「我が愛する天人同胞の諸君。 今すぐ矛を納めなさい。 私は争いを好む者ではありません。
 兵士、信徒の双方は即刻、全ての戦闘行為を停止し、負傷者の救助に当たりなさい。
 市民の皆さんは各々の家路に付き、今日一日を家族と共に過ごしなさい。 これは“命令”です」

そう彼女が発した“命令”によって、まるで波が引いていくかのように広場の混乱は収束していく。
皆が一様に「ああ、そうしよう」とか「クラミエール様の言う通りだ」等と口にしつつ、銘々にクラミエールの命令通りに行動を始めた。
言われた通り耳を塞いでいたノウンも何やら意識がふわふわとした気分だったが、クラミエールの声掛けで我に返る。

「ノウンさん、大丈夫ですか」
「え? あ、はい!」

その場で呆けていたノウンの元にクラミエールが近寄り、肩に手を添える。
クラミエールの長く艶のある髪が太陽に照らされ、より一層煌めいて見える。
一気に意識を覚醒させたノウンに対し、クラミエールは尚も心配そうな表情で彼の顔を覗き込む。

「すみません、 大きな声を出してしまって。 耳を塞いでいても少し効いてしまったんですね」
「キいて……? クラミエールさん、この状況はいったい? どうして皆、こんな……」
「あっ、ノウンさん。 あそこの衛兵を撃って下さい。 あの指揮官風の男です」

ノウンは目の前の光景を信じられないといった様子で眺め、クラミエールに状況説明を求めたが、
当の彼女はノウンの言葉を遮り、自分たちの眼下、斜め前方で周囲を驚きの表情で見回す中年の指揮官風の男を指差す。
撃つよう言われたノウンはまるで状況が飲み込めないままだが、とにかく敵戦力の無力化の為にと、引き金を引いた。
弾丸は指揮官風の中年兵の右の脇腹付近に命中し、中年兵は成す術無く崩れ落ちる。
だが周囲の衛兵は、その場で小さく呻きながらのた打ち回る中年兵を手当するばかりで、彼を撃ったノウンには目もくれなかった。
それどころか、衛兵や信徒の中にはクラミエールの停戦命令を無視した発砲に気を止めた様子が一切無かった。
皆一様に、クラミエールに言われた通りに怪我人の手当や家路を急ぐばかりだ。

まるで割り振られた役に徹する役者のようだ――目の前の異常な光景にそんな思いを馳せるノウンの心情を察してか、
傍らに立つクラミエールが自嘲気味な表情で語り掛ける。

「異様な光景でしょう……私が命じてしまうと、多くの人がそれまでの行動の一切を投げ出してでも、それを実行に移してしまう。 正に呪いだわ」

恐らくは過去にも同じ出来事があったのだろう。
何かと重ねるような視線を眼前に向けながらクラミエールはそう言った。
ノウンは彼女に何と言えば良いか分からず、唯その端正な相貌を見詰めるしか出来なかった。
77 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2018/10/22(月) 02:52:15.36 ID:V9V55zSN0
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