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HTML化した人:Kastanie
【今日はただちっぽけな】能力者スレ【幸せを胸に抱いて】
1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[saga]:2014/08/08(金) 01:50:06.16 ID:dDxltlN/0
ようこそ、能力者たちの世界へ。
この世界は、数多の能力者たちが住まう世界。


無限大の大きさのこの世界。
多くのことが語られたこの世界だが、まだまだ多くの空白がある。
先人たちの戦い、絆、そして因縁。これらが絡み合い、この世界は混沌としている。
もしかすると、初めて見た貴方はとっつきづらいと思うかも知れない。
――だが、この世界の住人は新しい来訪者にことのほか優しい。
恐れず、以下に示す雑談所や、場合によってはこのスレでも質問をしてみてくれ。
すぐにスレへの溶け込み方を教えてくれるだろう。


【雑談所。質問や現状、雑談などはこちらでどうぞ】
PC【http://jbbs.livedoor.jp/internet/14029/】 


【はじめに】
このスレの元ネタはVIPで行われていた邪気眼スレです。
長く続けるに際して、いくつかのルールを設けています。以下にそれを記します。
・この世界は「多様性のある世界」です。
・完全無敵の能力は戦闘の楽しみがなくなり、またスレの雰囲気も壊れますので『禁止』です。 
・弱点などがあると戦闘の駆け引きが楽しめます。
・戦闘では自分の行動結果に対する確定的な描写を避けること。【例:○○に刀で斬り付ける。○○の首が斬れる】など。
・基本の心構えですが、「自分が楽しむのと同じくらい相手が楽しむことも考える」ことが大事です。
・書きこむ前にリロードを。場の状況をしっかり把握するのは生き残る秘訣です。
・描写はできるだけ丁寧に。読ませる楽しみと、しっかりと状況を共有することになります。
・他のキャラクターにも絡んでみると新たな世界が広がるかも。自分の世界を滔々と語ってもついてきてもらえません。
・「コテハン」は禁止の方向で!
・基本的に次スレは>>950が責任を持って立ててください。無理なら他の能力者に代行してもらってください。また、950を超えても次スレが立たない場合は減速を。
・スレチなネタは程々に。
・スレの性質上『煽り文句』や『暴言』が数多く使用されますが過剰な表現は抑えてください。
・基本的に演じるキャラクターはオリキャラで。マンガ・アニメ・ゲームなどのキャラの使用は禁じます。(設定はその限りでない)

【インフレについて】
過去、特に能力に制限を設けていなかったのでインフレが起きました。
下記の事について自重してください。
・国など、大規模を一瞬で破壊できるような能力を使用。
・他の人に断り無しに勝手に絶対神などを名乗る。
・時空を自由に操る能力、道具などを使用する。時空を消し飛ばして敵の攻撃を回避、などが該当します。
・特定の物しか効かないなどの、相手にとって絶対に倒せないような防御を使う。
・あくまで能力者であり、サイヤ人ではありません。【一瞬で相手の後ろに回り込む】などは、それが可能な能力かどうか自分でもう一度確認を。
・全世界に影響を及ぼしたり、一国まるごとに影響が及ぶような大きなイベントは一度雑談所でみんなの意見を聞いてみてください。

 勝手に世界を氷河期などにはしないように。
・能力上回避手段が思いついても、たまには空気を読んで攻撃を受けたりするのも大事。
・エロ描写について

 確かに愛を確かめ合う描写は、キャラの関係のあるひとつの結末ではあります。
 なので、全面的な禁止はしていません。
 ですが、ここは不特定多数の人が閲覧する『掲示板』です。そういった行為に対して不快感も持つ人も確実に存在します
 やる前には、本当にキャラにとって必要なことなのか。自分の欲望だけで望んでいないか考えましょう。
 カップル、夫婦など生活の一部として日常的に行う場合には、一緒のベッドに入り、【禁則事項です】だけでも十分事足ります。
 あまり細部まで描写するのはお勧めしません。脳内補完という選択も存在しますよ。


前スレ【http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1404558015/
wiki  【http://www53.atwiki.jp/nrks/
2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/08(金) 08:37:24.88 ID:U7zJPFTZ0
>>1
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/09(土) 10:17:28.21 ID:bJ4VqUVMO
いっちょつ
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/09(土) 18:11:01.66 ID:J57ZxvC2o
>>1
5 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/09(土) 18:53:03.33 ID:l7fYUCQPo
/>>1乙ですッ!

>>前スレ994

【路地裏にいるのは犯罪者や悪人だけではない】
【むしろ、彼らがいるからこそ足を踏み入れる人たちもいる】


――おっと


【例えば――彼のような人物だ】


悪ィな、証拠隠滅の瞬間ばっちり見ちまったぜ
見ちまったからにゃ、あんたを捕えなきゃなんねえ
……それが俺の仕事だからな


【女の背後から響くのは、男の声だった】
【振り向けばその声の主は、女に臆することなく堂々と立っているのだろう】

【男性にしては長めで不揃いの髪。所々がはねていて、あまり手入れされているようではなく】
【しかしそのオレンジ色は、逆さの炎とでも形容できそうな風貌を呈している】
【下は深緑のカーゴパンツ、上は燃える炎のようなファーがついた薄手でのミリタリージャケットを着用し】
【そして髪と同じくオレンジの瞳を爛と輝かせた――現れたのはそんな、気迫に満ち溢れた青年だ】

【ジャケットの右胸には緋色の鷹≠フシンボルが掲げられている】
【失せろと言って失せるような人物ではないだろう。ならば女は、どう対応するのだろうか――】

/絡んでよかですかっ
6 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/09(土) 19:09:29.65 ID:J57ZxvC2o
>>5

 あらぁ、どちら様かしらぁ……
 私のあれを見て、そういう対応ってことはぁ……
 あいつの仲間ね!!


 【自分の行動を見られて女は考えた】
 【この男は何者なのかと】
 【そして出た結論は自分の所属していた組織を壊滅させた男】
 【その男の仲間だと】

 あいつの仲間ならさぁ、ここで消えてもらうわ
 私の名は蛇原茜、あなたの命を奪うものよ!!


 【大きな声で自分の名を言う】
 【その後、右手を男に向ける】
 【先ほど死体をどろどろに溶かして消した液体が出たのと同じ右手を】
 【冷静に対応すれば離脱するのはたやすいだろうし、避けるのもたやすいはずだ】

/問題ナッシングですぜ
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/09(土) 19:29:20.08 ID:l7fYUCQPo
>>6


仲間……!? いや、確かに知り合いは沢山いるが――


【SCARLETに所属してまだ間もないとは言え、知り合った人はそこそこいる】
【だが、ほとんどの人とは少し話し合う程度の浅い関係だ】
【仲間と言われても誰と=Aどういった関係の£間なのか分からず困惑を隠しきれない様子で】


おい待てよ。そう早合点すんな――ッて!

クソッ――ブレイズナックル=I!


【どうやら完全に勘違いされたようだ】
【それだけならよかったが、勘違いで殺されては化けて出る自信がある】
【まだまだこの世には未練があるのだ。この若さで死ぬわけにはいかない】

【男が咄嗟に両の拳をかち合せる。するとそこに炎が出現するだろう】
【やがて炎は収束し――火竜の鱗を重ね合わせたような深紅のガントレットとなった】


――ブレイズカノン<b!!


【腕を振るい、突きの構えを取る。その瞬間再び炎が正面に出現】
【バスケットボールほどのそれを彼は、殴って飛ばすだろう】
【この炎には実体がある。加えて液体と炎、相性は最悪のはずだ】
【うまくいけば液体を全て無効化できると踏んでの行動なのだろう】

/ではよろしくです!
/早速ですがごはんなので次遅れるかもです…
8 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/09(土) 19:41:11.44 ID:J57ZxvC2o
 >>7

 あらぁ、あなたは違うのかしら
 まぁいいわ、派手に動けばあいつが来るだろうからねぇ!!


 【飛んでくる炎、対処するすべはない】
 【故に相[ピーーー]るために毒液をとばす】


 あたしのブラッディポイズンはねぇ……防御にも使えるのよ!!

 (乱用は出来ないけどねぇ)

 【放たれた毒液により、特異な匂いが辺りに漂う】

 【相殺できることを信じてそのまま直進する】
9 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/09(土) 19:59:51.71 ID:l7fYUCQPo
>>8


多分99%くらいの確率で違うと思うぜ
そんでもって、派手に暴れてもきっと来ねえ!
俺は完全に部外者じゃねえか! 関係無えやつと戦闘しても来ねえだろ!?


【蒸発させども次の毒液が来る。青年はその都度迫りくる毒液を炎で相殺してゆく】
【――説得しようと必死ではあるが、戦闘そのものは余裕そうだ】
【その場から動かず、ただ炎を噴出させているだけなのだから、本気とは程遠い】


こりゃあ、ビシっと決めねえと諦めてくんねえかな!


【そんな彼がついに動く。炎の壁を目の前に展開し、ほんの数秒ほど毒液を防ぐと】
【地面を叩き、炎を噴出させて跳躍≠オた。その速度は目を見張るものがあるだろう】
【跳び上がった男は建物の格子を掴むとすぐさま壁を蹴り――女へと飛翔する】

【うまくいけば女の背後に着地することになるだろう】
【もしも女が振り返ったならば――その瞬間、顔面に向けて振り返りざまの裏券が飛んでくるはずだ】
【しかし、この攻撃は成功したとしても直撃することはない。寸でのところで停止する】

【実力差と決着の瞬間――男の狙いは、その二つを見せつけることだった】
【だが、動きを読もうと思えばできなくはないか。反応できたのならば対処は難しくないだろう】
10 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/09(土) 20:17:06.57 ID:J57ZxvC2o
 >>9

 無駄だったのね……

 【人をなめたような態度だったのが変わる】

 【その気配が人のものから化け物のものに】


 そうそう……
 その程度の跳躍なら、何度も何度も見てきたわ!!

 【茜にとって、跳躍という物は嫌な思い出しかない】
 【彼女が所属していた組織を壊滅させた男】
 【彼もまた、跳躍してからの攻撃を得意としていた――】

 【故に対処法はしっかりと理解している】

 そういうのにはカウンター狙いが一番効くのよねぇ!!


 【そういうと、飛翔してくる男に向かって跳ぶ】
 【その速さは彼女の体型から考えれば、ありえないスピードであった】
 【そのまま拳を振りかぶり殴りかかる】
 【その一撃は、人の骨を折る程度なら造作も無いだろう】 


 【少し離れた場所】

 この臭い……もしや!!

 【離れた場所にいた男が走り出す】
 【その方向は茜が戦っている場所である】
11 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/09(土) 20:18:45.35 ID:cq4XSwMB0
【暗い夜に覆われた街。深淵の中に幾多の灯火が光る繁華街を「光」と例えるならば、そこはまさしく「闇」だった】
【閑散とした路地だった。ロクに人も居らず、辺りは暗く視界は狭い。】
【そこには二つの人影。一人は血を流しながら、息切れしつつ目の前の男を睨んでいる。片手には雷を纏った剣、能力者だろうか。スーツの胸元には血濡れた赤い鷲の紋章が縫われていた】
【もう一人は、そんな男を嘲笑うかのよう堂々たる覇気を持って立っていた。身に纏った鈍い銀色の鎧は闇の中であれいっそう輝き、風にはためく背中の赤黒いマントの内側には、おぞましい逆五芒星が冒涜的に刻まれていた】
【彼は右手に細身の剣を持っていたが、気になるのはその左手……闇に覆われた路地よりもさらに暗い、不安感を煽る漆黒のオーラが円形に展開されていた】
【もう一人のスーツの男がゼエゼエと息を切らしながらも鎧の男に雷の剣を向け、言い放った】

『ぶっ壊れた異常者が!俺が……SCARLETが、貴様らごときに!』

【その眼光はまさしく正義に燃え、悪の立場たる鎧の男から目を逸らすことはなかった】
【鎧の男はそれに対し、呆れたように、嘲笑うかのように返す】

「使い物にならなくなってなお忠誠を誓うか……哀れな駒だ」

『ぬかせ……!SCARLETの名において、貴様を……悪を!カノッサを殺す!』

「二言目には正義だ、悪だ……ほざけ狗。貴公などたかが使い捨て、泡沫の善を謳う有象無象に過ぎぬ」

『野郎ォ!』

【スーツの男が斬りかかる。しかし……鎧の男はそれを防いだ。「左手」で……】
【大きく振りかぶったのが仇成して、スーツの男は大きく胴が空いてしまった】
【鎧の男はそれを逃さなかった。彼の細身の剣は正確に、確実に男の胸へと迫り……】

【嫌な斬撃音に、男の叫び声。しかしそれを聞くものは、この路地にはほぼ居ないだろう。人がいなければ、の話だが】

『……き、………さま………いっ、っ、た……い……』

「私は「善を屠る者」……貴公のような下らぬ善を謳う者を始末するのが私の仕事であり、生き甲斐だ……」

『……く、さ……っ……てやが………る……』

【男はそれだけ言い残して、息を引き取った。後には血にまみれた死体と、鎧の男と静寂のみが残された】

「……腐った善になる位なら、喜んで悪で居よう……」

【彼はその場から立ち去ろうとする。マントを翻して、死体に背を向け路地裏を歩き行く。後片付けは、ゴミ処理役がやるだろう……】
12 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/09(土) 20:31:33.74 ID:l7fYUCQPo
>>10

【女の気配が一変する――】
【論理ではなく直感で戦う自分だからこそ、それを敏感に感じ取れた】
【しかし、もう身体は宙に放り出された後だ。着地後に何が起こるかは神にしかわからない】


――反応しやがったッ!


【繰り出された猛烈な攻撃。その軌道に繰り出そうとしていた裏拳の軌道を合わせる】
【ガントレットでガードしようという試みか。何もなければそのまま男は攻撃を受けるだろう】
【伝わる衝撃は――目の前の女が出せるような威力のものではなかった】


てめェ……一体何者だ?


【生身で受ければただでは済まなかったはずだ。腕から痺れを感じながら、男は問いかける】
【彼からはすでに先ほどの余裕はなく――研ぎ澄まされた闘志だけを宿しているだろう】
13 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/09(土) 20:43:19.56 ID:J57ZxvC2o
 >>12

 あぁ、私?

 【ポカンと口を開け驚く茜】
 【このタイミングでそんな事を言われると想定外だったのだろう】

 さっきも名乗ったけど、蛇原茜
 この世界には存在しないGN戦団の残党よ
 そして、私はGN戦団の改造兵士、コードネームはサーペント
 で、何々もしかして、この私に惚れちゃったのぉ?

 【お前はなにを言っているんだ…・・・と言いたくなるようなことを茜は語る】
 【しかし、その言葉は全て事実だ】
 【男が自分に惚れていると真面目に思っているのだろう】

 まぁ、とりあえず言っておくわ
 あんたのスタイルは趣味じゃないから付き合ったりは無理よ

 【本当に的外れなことを言っているだろう……】

 【――そこに】

 「てめぇがこっちの世界に来ているとはな!!」

 【黒いソフト帽を被った男が駆けつけた】
 【その顔からは茜への怒りが出ている】

 会いたかったわ!!、宿敵さん!!

 【そして茜から出たその言葉は本心からのものだったのだろう】
14 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/09(土) 20:59:29.97 ID:l7fYUCQPo
>>13


GN戦団? 聞いたこともねえぞ。あ、いや異世界だから当り前か……
それと俺もお前はタイプじゃねえ。断じて惚れてねえ。むしろ嫌悪感すら覚えてるぜ


【改造兵士――ドーピングの類を受けているのならば異常な膂力も納得できる】
【だが、組織自体の脅威は無いに等しいのだろう。何せ残党、つまりもう組織は存在せず】
【存在していてもどこか異世界の話だ。この世界とは関係がない】

【――と、そこへ闖入者が現れる。どうやら女が捜していた人物のようだ】
【となればここで二人が戦えば……もっと言えば男が戦って勝ってくれれば解決しそうだが――】


あー、ストップストップ。お前らにはお前らの事情があるんだろうけどな
この世界じゃあ殺人は認められてねえんだ。こいつはとっ捕まえて牢屋にぶち込む。邪魔してくれるなよ?


【それをただ眺めているだけではどうにも職務放棄しているようでいけない気がした】
【だからそう一言、男へと言葉をかけるのだろう】
15 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/09(土) 21:11:18.11 ID:J57ZxvC2o
 >>14

 あらぁ、言ってくれるじゃない……
 まぁ、どうでもいいけどね

 【茜にとってはもはやどうでもいいのだろう】
 【乱入者を消し去ること、それだけが目的だ】

 「殺しをする気はねぇし、邪魔をする気もねぇ」
 「なんなら、手伝いをさせてくれるとありがてぇ」
 「俺は黒須春斗、今は冒険者ギルドに世話になってる」

 【乱入者――春斗は自分が何者かを語る】
 【彼の言葉は信用しても問題ないだろう】

 裏切り者にして、たった一人でGN戦団を壊滅させたあんたが丸くなったじゃないの
 まぁ、二人共消しちゃえば問題ないわよねぇ!

 【茜は両手を二人に向ける】
 【毒液の噴射が目的だろう】
16 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/09(土) 21:32:05.81 ID:l7fYUCQPo
>>15


じゃあ手伝ってくれるか? この勘違いしやすい女を眠らせてやるだけでいいからよ
俺はSCARLET所属のアーシャ、アーシャ=ランスキャットだ、よろしくな!


【味方でなくとも、敵でなければ問題ない。故に青年――アーシャは春斗に共闘を申し込む】


さて、じゃあ仕切り直しといくか!
悪ィが強いとわかれば手加減はできねえ。そこら辺は覚悟してくれよなッ!


【毒液を炎で焼き払い、サイドステップ。やはり相性は悪いと再確認できるだろう】
【毒液による決定打を狙いたいのであれば、確実に当てられる状況を作り出す必要がありそうだ】


業火拳爛の――――ッ!


【攻撃を回避したアーシャは地面を叩き炎を噴出させると、一直線に茜へと突進する】


――――ブライズブラスト<b!!


【拳が届く範囲にまで接近できたのなら、炎を纏った拳による右ストレートが繰り出されるだろう】
【鉄の質量を持つ炎とガントレットによる全力の一撃。その危険度は想像を超えるものであるはずだ】
【狙いは胴。直撃すれば大の大人でも悶絶するような衝撃が走るだろう】
17 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/09(土) 21:39:48.61 ID:APTqZr88o
【交差点】

【巨大な広告に世界有数の企業の本社が立ち並ぶダウンタウンのスクランブル交差点】
【経済の大動脈のように人通りの多いこの場所も今だけは嫌に静かだ。クルマは乗り捨てられて、人は中心から遠ざかる】
【その中心では黒いバンが1台とオートバイが、そして横転した現金輸送車が黒煙を上げて放置されていた】

【その中心に人間が2人いる。顔はマスクで隠していてわからない。わかることはそいつらが武装していて】
【現金輸送車から大量の札束を背負ったボストンバッグにつめた、強盗の現行犯だってことぐらいだ】

『…だから運転は俺がするって言ったんだ。ロッソ、お前の運転は正直………』

うるせぇ、黙ってろ。やっちまったもんは仕方ねえんだよ。迎えが来るまでで気合入れろ

【右手に黒いリボルバーを左手に銀のリボルバーを握った男が声をかける】
【黒の目出し帽をかぶっている。そこから見える目は白眼は赤く、瞳は黒い】
【黒いスーツに身を包み、白のシャツに黒の細いネクタイ、体格は長く細い。乗り捨てられたタクシーの影に身を隠す】

【パトカーが何台か到着する。遠巻きから警官は様子を伺いながら無線で連絡してる】

<強盗発生を確認。応援要請します……はい、我々は市民の確保の移りますので、対応班は各自警団、SCARLETに任せます>
<はい…ええ。ここからは容疑者のツラまではわかりません。人数は2人…はい…プロの犯行と思われます……はい……>

【その瞬間にパトカーの車体を銃弾がかする。リボルバーの弾丸が手際よくタイヤに撃ち込まれる】

明日が欲しけりゃ撃ちまくれ、やるしかねえのさ!JUST FxxK'IN DO IT !!
18 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/09(土) 21:44:27.07 ID:J57ZxvC2o
>>16

 「当然!!……ただ、こいつ眠らせるじゃなく[ピーーー]気じゃないと、気絶まで持ち込めねぇぞ!気をつけてな」


 【春斗はそういうと、突如両手を前に突き出た】
 【次に両手を腰の右側に持っていく】
 【そして、左腕を手の甲の方ほ茜に向けるようにしながら力瘤を作るようにする】
 【最後に右手を左腕の腕時計のようなものに添え、春斗は叫ぶ】

 「粒……結!!」

 【すると、突如として春斗の全身を光が包む】
 【そして、光が消えた其処にいたのは、人型の異形】
 【いや、強化スーツを身に纏った春斗である】
 【ここまでの一連の動作、まるで子供達が憧れる変身ヒーローである】


 右からはファイヤーボーイ、左からはマスクドナイト
 大ピンチって奴ね……でも!!

 【そう言うと茜は跳ぶ】
 【方向はアーシャの方へと、目的は後ろを取ること】
 【挟まれるよりは一方向に集めたほうが戦いやすいと判断したのだろう】

 グアッ!!

 【拳そのものは回避できた……しかし茜の足に炎が当たったのだ】

 なかなかの火力じゃないの、ファイヤーボーイ!!!
19 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/09(土) 21:53:33.10 ID:CfbKrWuZo
【"昼"の町外れ】


うーん……やっぱりいい音だなぁ……


【中心部から外れた閑散とした雰囲気の漂う町外れ】
【その一角に建つ小さなお店の前に一人の少年の姿があった】

【身長は150cm前後であろうか、黒いタキシードのような服に赤い蝶ネクタイという童話めいた衣装を纏っている】
【先端が緩くウェーブがかったふわふわの金髪と、澄んだサファイアのような碧眼を持ち】
【全体的に線が細く、少女めいた面立ちと儚げな印象をした少年であった】

【少年の前にあるのは風に揺られてチリンチリン……と、綺麗な音を鳴らす"風鈴"】
【看板の下に吊られた其れは、どこか清涼感を与えてくれる気がした】


エアコンはまだ買えないけど……気分くらいは涼しくならないとね
ふふ、デザインもちょっと可愛いし……飾りとしても結構いいかも……


【ほんわかとした笑みを浮かべながら、指先で軽く弾いて音を鳴らす】
【表面に描かれた赤い金魚の絵がふらふらと揺れて、夏の日を彩っていた】

【「義肢、魔銃のご依頼承ります!マジックショップ<Fairy's Gift>」】
【そう書かれた看板を下げたその店は】
【白い壁に赤色の三角屋根、丸い窓に半円形の黄色い扉】
【まるで物語に出てくるような、可愛らしい外観の建物であった】
【店の壁には「アクセサリー、始めました!」という張り紙が見える】

【本日もまったりと営業中であった】
20 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage saga]:2014/08/09(土) 22:15:36.01 ID:l7fYUCQPo
>>18


おうよ! ただマジで殺しちまったら勘弁な!


【冗談でもないことを口にしつつ、何やら構え始めた春斗を見遣る】
【まるで特撮ヒーローもののようなその動きに、敵がいることも忘れ目を奪われて】
【光を纏い、変身してゆく様に見惚れるのだろう】


おいおい――カッコいいじゃねえか!
まさか生きたヒーローに会えるたあ感激だぜ


【ヒュウ、と口笛をひと吹きすれば、視線も元に戻るのだが――】
【ここが戦場ということを理解しているのだろうか。ひどく呑気な瞬間だった】


チッ、ったりめーだろ。俺から火力取ったら何が残んだよ!

千熾万紅の―――ブレイズカノン<b!!


【回避されると舌打ちを一つ。しかしすぐさま茜へと向き直る】
【同時に展開されるのは炎のカーテンだ。それは徐々に収束し――いくつもの炎の球となるだろう】
【ふよふよと宙に浮いたそれらを前に、拳を振りかぶれば準備完了。あとは――】


ウオオオオオオオオッ!!!


【その火球を、ひたすらに拳で打ち出してゆくのみ!】
【狙いはめちゃくちゃだが、何せ数が多い。当たれば火傷だけでなく、鉄球に当たったようなダメージを受けるはずだ】
21 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/09(土) 22:34:25.45 ID:J57ZxvC2o
 >>20

 えっ!!マジで!?

 【茜はアーシャの放った炎の弾の数に驚愕したのだ】

 「その数利用させてもらうぜ!!」

 【一方春斗はというと炎の弾の中に紛れ込むように走り出した】

 
 「多少かするぐらいなら問題ないからそのまま頼む!!」

 ゲッ!マスクドナイト!!いつの間に!?

 「遅いぜ!!」

 【春斗の蹴りが頭に直撃!!】
 【その一撃は意識を大きく刈り取った】

 グハッ!!

 【さらに、そこに炎の弾が連続で命中!!】
 【茜の意識は消えていった】

 復……讐してや……る

 【――このような言葉を残して】

 「ふぅ、ナイスな攻撃だったぜ、アーシャさん」

 【春斗が光に包まれるとスーツを纏う前の姿に戻る】
 【春斗は賞賛の言葉と暑苦しい笑顔、そしてサムズアップを見せる】
22 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/09(土) 22:48:44.54 ID:jNxB+NrA0
【静まりかえった街の中――――其処に存在する公園】
【電灯に照らされるベンチの下、魔導書染みた物を膝の上で開く緑のローブを纏った人物が一人】
【よく見れば色々と書き加えられたりしていて、何処か勉強熱心だとかそんな様子も覗えるのだけれど】
【――――余談、だが。魔力だとかに詳しい者が見たならば、その本自体に様々な魔術が施されて居る事も感じ取れるか】


「うーん……何処かに載ってるかなと思ったけど…………やっぱり図書館とか行ってちゃんとした本を探さなきゃ駄目、かなぁ……」

【一人溜息を吐くのは二十歳手前の女。腰程まで延ばされた銀色の髪を後ろで纏めれば、小さく溜息を吐いて】
【やがては諦めた様に魔導書を閉じるのだろう。どことなく残念そうな表情が浮かんでいるのは、決して見間違いだとかでは無く】


「あの遺跡の由来を知る事が出来れば面白そうだと思ったけど…………また後で行ってみよう、かな」

【一人呟くのは知り得なかった遺跡の情報について。メジャーな場所であれば、そう苦労する事も無く情報を得られるのだろうけれど】
【その話から察するに、遙か昔に人々から忘れ去られた場所なのだろう。だからこそ興味が沸くというもの。果たして何が行われていたのか、どんな役目を持って居たのか】
【風化した歴史を探るのはまた楽しい事だ。側に積まれた書物はどれも歴史に関する事なのだから、この女の趣味も伺い知る事が出来よう】

【――――もし、この場に新たな人物が訪れるとしたならば。女が辺りを見渡す時とほぼ同じ頃】
【焦げ茶色の瞳をその者に向ければ、小首を傾げて。近寄れば座りやすい様にとベンチに置いていた本だとかを積んで場所を確保するのだけれど】










【とある都市。其処に存在する本屋】
【深夜帯まで営業しているその店は常に一定の客が出入りしているのだけれど】
【今宵の舞台は其の店の角。小難しい古文書だとかが所狭しと並べられた場所で】


「…………困りました。イリニの背ではあの本にまで届きません
ですが、寝ている店主を起こす事も気が退けます。踏み台でもあるならば、イリニも助かるのですが」

【純白のローブを纏った少女が一人、足を震わせながら背伸びをしていた】
【どうやら本棚の一番上に収められた『精霊ノ存在』と書かれた分厚い本を取り出そうとしている様だが……如何せん、頭数個分も及ばず】
【困ったと言いながらその声は全く以て無感動なのだから、少し可笑しくも思えるかも知れないけれど――――少女一人でこの事態を解決できる術が無い事だけは確かな様】
【もう一度背伸びをして手に取ろうと頑張るのだから、もしこの現場を見た者が居るとすれば危なっかしい印象を与える事だろうか】
23 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/09(土) 22:55:30.25 ID:l7fYUCQPo
>>21

【促されるままに撃つ、撃つ、撃つ――!】
【凄まじい炎の弾幕は、まるで新手の近代兵器のようでもあったことだろう】
【まあ、体力を大きく消耗する技であることは間違いない】
【いくらアーシャといえども、連撃を終えた後は肩で息をしていることだろう】


終わったようだな……ちっと呆気なかったが
お前こそ、俺の炎を利用するたあ、大した勇気だったぜ!


【茜が気絶したことを確認すると、アーシャもガントレットを霧散させる】
【賞賛に対してはこちらも同様の言葉を。笑顔とサムズアップも加えて返すのだろう】
【ここからどうするべきか――アーシャは腕を組んでしばし思考する】


さて、この女だが……その、なんだ、連れてっていいのか?
証拠があるわけじゃねえが、こいつはさっき人を殺してるんだ
別に用事がないなら警察に引き渡すけど――どうする?


【本来ならば逮捕するのが筋ではある。しかし彼はどうやら茜の身柄を春斗に委ねるつもりらしい】
24 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/09(土) 23:01:22.07 ID:oX9r/fLT0
【街外れ――放棄された粗大ゴミの収集所】
【丸い月が照らしだす世界は、なんだか人間の滅びてしまった後のよう、ぎざぎざに伸びる影が寂しくて】
【冷蔵庫に自転車にブラウン管のテレビ、よく分からない機械、テープで厳重に封印された金庫、そんないろいろ】
【野良犬が寝床にしている以外は生き物も居ないような――そんな場所、ふらりと人影が揺れた】

……っと、――靴を間違えたかね、足場が悪すぎる……、

【――がしゃりがしゃりと音が響いていた、そんな音にひっそりと添えられるのは小さな愚痴、舌打ち交じりの言葉】
【ほんのりと高い声は少女らしいと思わせるのだが、如何せん古びたというか擦れたような響きがある。まるで古書を捲ったような】
【けれども伸びる影の華奢なのを見れば、やっぱり少女だって確信を抱かせる、――というより、少女にしても小さいほうだった】

【毛先でくるくると巻いた金髪はピンク色のヴェールを被せたような不思議な色合い、ちらりと混じるピンク毛が彩って】
【あどけなさを残しながらつんと鋭い表情、何かに拗ねているようにも見える顔、きっと良く目立つのは、勿忘草色の双眸で】
【胸元は真っ白な布にくるみボタンをあしらった、腰元からは布地を切り替えて生成りのふわっとした布にした、ワンピースは】
【無機質で退廃的なこの場所に似合わない、少女らしい清楚さを持って――足元がパンプスなのが、非常に危なっかしく】

戻って靴を……、……いや、せっかく来たのだし……。

【じとーっと誰も睨めずに虚空だけ睨む視線、睥睨するのは自分の足元、たった今がしゃんと崩れてきた基盤を蹴っ飛ばして】
【それから入ってきた入り口を見つめるのだけれど――むうと口をへの字にして、また、がしゃがしゃと踏み入っていく】

【――誰かがもしかしたら見たかもしれない。野良犬が出入りしている穴を、もぐりこんでいった小柄な少女の姿】
【大型犬と百四十二センチの身長なら存外流用できた、――入れてしまったから、或いは、厄介だったのだけれど】
【廃棄されたゴミの集積場。危ないモノがそこらに落ちていて、それだけでも嫌なのに、野良犬まで棲み付いていて】
【ただの少女が一人で入って行くには荷が重い。(だのに入って行ったのは、よほど用事がある、のか、考えなしなのか)】

【さらに誰かが侵入を試みるなら、人間用の入り口もある。けれど、その場所は厳重に鎖で封印されていて】
【(でも、風雨に曝されて朽ちてしまっている鎖。触れただけで崩れるぐらいに、脆い封印なのだった)】
25 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/09(土) 23:05:19.62 ID:J57ZxvC2o
 >>23

 「こっちの法で裁いてやってくれ」

 【春斗はあっさりと言う】

 「ただし、その女を牢屋に入れるのならあんたと同じぐらいの強さの奴2、3人用意したほうがいい」
 「そいつらで、24時間365日見張り続けることだ」
 「そうでもしないと、いともたやすく牢屋を溶かして逃げ出すぞ、その女」

 【春斗はそう語る】
 【そしてもと居た世界での実例を数個挙げる】

 「無理ならこいつの身柄を預かっててもいいがな、こいつの行動パターンならしっかり理解しているからな」

 【人員的に不可能なら春斗に預けてしまうのもいいだろう】
 【まぁ、春斗はどっちでもいいのだろうが】

 「まぁ、その辺はあんたの仕事だ、判断は任せるぜ」

 /すみません、用事があるのでこの辺りで……乙でした
  それと、茜の扱いは任せます
26 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/09(土) 23:17:00.71 ID:l7fYUCQPo
>>25


本当にいいんだな? じゃあ連れてくぜ
ああ、それなら大丈夫だろ。能力者ようの牢屋とかあると思うしな
大体24時間365日見張ってたら見張りが激務過ぎて死んじまうぜ。そっちのが困る


【てっきり預かると言うとばかり思っていたために、アーシャは面食らう】
【おそらく一度牢屋へ入れてしまえば出てくることはないだろう】


じゃあ逃げ出したら春斗に捜査依頼でも出すとするぜ
それと、だな――


【気絶した茜を担ぎ、路地裏を後にしようとしたアーシャは、何を思ったか立ち止まり】


こいつと話をしたくなったら、多分会えると思うぜ
言いたいことがあるなら後で言ってやれ。じゃあな!


【背中越しにたったそれだけを言うと、歩き去ってしまうのだろう――】

/連れてっちゃいましたがこれでよかったでしょうか
/お疲れ様でした!
27 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/09(土) 23:26:58.92 ID:J57ZxvC20
>>26
/問題ありませんぞ
28 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)2014/08/10(日) 00:48:20.77 ID:e9Rm/oB4O
>>24

【暗がりからカツカツと靴の音を響かせ点滅する電灯に一人の男が照らされた】
【男は真っ黒なローブを着ておりフードを深々と被っていて顔はよく見えないが口元だけでも人相が悪いということは連想出来る】
【フードからは暗い緑色の髪がこぼれ、耳には逆十字のピアスが見える】

つまんねぇ…クソが…!せっかくいい夜っつうのに能力者の一人もいやしねぇ…!

【独り言を漏らしイラついている男は粗大ゴミが山積みになっているゴミ収容所の通りを歩いている】
【野良犬などが入るような穴が確認できるが当然男には通ることは出来ない】
【そうこうして歩いていると鍵のかかった入り口の前に男はたどり着いた】

チッ…!イライラするぜ、少し座って落ち着くか

【そういうや否や男は鍵ごと扉を蹴った】
【ガジャーン!と大きな音をたて鍵は壊れ扉が開いた】
【そこに少女がいるとも知らずに男はズカズカと奥に進んで行く】
29 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/10(日) 01:03:55.56 ID:lcvfSY6K0
>>28

【でもいい夜だと思った、月は遥か高くにあって、曇っていた一日なら、風も涼しくて。過ごしやすい、いい夜だと】
【問題があるなら足場の悪さとかその辺り。転んだら大変な怪我をすると思ったなら、舌打ちを繰り返しながら、気をつけた】

【――がしゃあんと耳を劈く音がした、びくりと跳ねた肩は少女らしい細さ、きっとひん剥けば太陽なんて知らない白さがあって】
【びっくりしたのが第一。次が――この不法侵入を咎められるのではないかというものだ、最も、そんな弱弱しくはなく】
【引き渡される保護者も居ないし怒られたって屁でもない。でも、ただ、面倒臭いなあと思うわけで――舌打ち一つ、】

【けれど。ほんのり少しだけ恐々と振り返った肩越しに見えるものは何か違うようだった、もっと、荒々しいなにか】
【例えば警察とか自警団じゃない、もっと違うもの、言い方を変えるなら、“ハズレ”みたいな――】

…………、――。

【(荒々しいことをするつもりなんてものはなかった。というより、出来ないだろうと分析していた、自分自身を)】
【(運動は苦手、細かい作業もよっぽど得意ではない、能力を使い続けることは疲れる、けれど、)】
【(この場所なら大丈夫かもしれないとも思った。――それは怠慢かもしれないし、もっと、必死で逃げるべきなのかもしれないけど)】

……おや、こんばんは。キミも散歩かい、今夜はいい夜だね、月は丸いし、涼しいし、風もあって――。

【――相手は不審者か危ない人間かとか考えるのは少女らしい普通の思考、だけど、その後に続く言葉はどうだろう】
【生まれたての小鹿みたいに震えることもなければ、子犬みたいに尻尾を振ることもなく。子猫がおすましするみたいに、つんとした態度】
【廃棄物が作り出す小山の天辺に立つ少女は、彼より頭いくつ分も高い場所に居て。それでも尚威圧感はなく、ただの小柄な少女でしかなく、】

それとね、あんまり音を立てるのはお薦めしないのだよ、一応、ここは進入禁止ということらしいのだし――。
野良犬共も居るらしい。それを起こすのも、あんまり推奨されることじゃないと思うけれど……。

【ふわっと肩を通り越すセミロングを耳にかきあげる、くせっ毛は指に絡んで、ぽよんっ、と。そんな動きを髪にさせて】
【自警団が来る。だなんて仄めかして瞳を細める、それで自分が安全になれるなら上々、なれないなら、脅しぐらいにはなって欲しい】
【彼の独り言こそ聞いていなかったけれど。聞いていたらもっと違う言葉を吐いたのかもしれない――けど、もう、遅いなら】

【――とりあえず。彼にしてみればいかにもか弱い少女、それも、こんな場所に来るような物好きの少女が、一人】
【ここに棲むという野良犬より無害そうな存在、――彼がどう出るかで、彼女の命運すら決まるようだった】
30 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/10(日) 01:27:51.54 ID:Qwdrnp5Po
>>29

【男は声のする方に向かって振り向いた】
【特別驚いた様子はない様子でゆっくりと足を止め月明かり明るくなった視界で少女をみた】

女か、しかもガキじゃねぇか…

【ハァ、とため息をつき落胆した様を見せ男は続ける】

ガキが大人びいた言葉を吐くんじゃねぇよ、せいぜいそこらの犬と同じように大人にキャンキャン尻尾振ってな

【小山に立っている少女を見ながら平然と言い続ける】
【普段ならば女、しかも子ども相手は取るには足らないがいまの男は非常に退屈であった】
【退屈は男にとっては死と同意義】

キャンキャン吠えてお山の大将気取って人を見下しやがって…

【少しばかりの敵意を漏らし殺意も込める】

言葉を選べよクソガキが…!!

【能力者ではなくてもわかる敵意と殺意】
【男は言葉にそれらを混ぜ少女の次の行動を心待ちする】
【芸を待つ子供の様な心境で】
31 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/10(日) 01:43:10.61 ID:lcvfSY6K0
>>30

【例えばそこで上手く返せたなら良かったろう、けれど、彼女はそんなに上手に返さない/返せないまま、】
【ガキだと言われればほんのりと口角を下げて黙るのだ。そしてそれが、余計に拗ねた表情を強めて、目立たせて】

残念ながら尻尾を振る方法を知らんのだよ、そもそも尻尾があるかも分からなくってね。
もしかしたらコーギーかも知れんね、ああ、……コーギーはわざわざ尻尾を切り落とすのだった。

【そんな唇から零れる言葉は媚びると正反対、古書の頁をぱらりぱらりと捲るように擦れた声、少女らしくない声】
【でも少女らしい高さではあるから不思議、そうやって考えれば――そう、初々しさとか、そういう瑞々しさがないらしい】
【――ちっとも震えたりしない声は。無駄に命知らずであるのを証明するのと一緒だった、明らかに、弱いというのに】

【それとも、高さを支配しているからだろうか。猫が高ければ偉いと思い込むみたいに、――そんなの、“まさか”だけれど】
【それでも、少しぐらいはまだ大丈夫という気持ちになれる気がした。逸れない視線は、ただ、犬の潜る穴を一瞬だけ、思考して】

どうして欲しいのだか言わないと分からないのだよ、私はねえ、読心術の類は扱えないのだから……、……。

【――ちぃと舌打ちしたかった。今がよろしくない状況なのは分かって、とりあえず、前髪に隠して眉なんて顰めてみたけれど】
【街中で見るようなきゃぴきゃぴした女になら上手く出来たのかとも考えた思考を捨てる、それこそ粗大ゴミみたいに、投げて】

【かしょりと少女の足元から音がした。それは、きっと、僅かに後ずさった証拠でしかない、怖気づいた証拠とも言え】
【だのに泣きも喚きもしないから面白くない。自分はさも平気ですという顔で、――ただ、少しだけ違うのは】
【かたかたかた……かすかな音、きらりと空間に洩れ出るのは、“勿忘草色のもや”】

【僅かな異能の発露。ただそれは、ただ馬鹿げて宣戦布告するそれとは違う、もっと、威嚇めいたものだ】
【でもそれは――彼に対しては間違いだったのかもしれない。能力者だと自らバラしてしまう、未熟さは】
【精々中学生ぐらいだろう年齢らしい詰めの甘さとも言えて。――さて、彼を待たせただけの価値は、そこにあるのか】
32 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)2014/08/10(日) 02:16:44.41 ID:Ggw/1lZbO
>>31

【正直、男は半信半疑だった】
【ただ何故かそんな気はしていた、目の前の少女が能力者だと】
【問題は後一つ強いか否か】

安心しろよ、どうこうして欲しいじゃねぇよ

【男の見たてでは少女は異能はあるが所詮は少女であるというのが感想だ】
【期待するという方が難しい、そもそも女子供を相手に取るのは男の趣味ではない】
【それでも際物めいたものくらいは見れるかも知れない】
【それだけで退屈な男にとっては行動するには十分な理由だ】

ただただ俺がイラついてテメェが俺の前にちょうど居るだけだ、恨むんなら運命とか神様にでもしとくんだな

【先ほどとは違い敵意は込めない、必要ない】
【必要なのは純度の高い殺意】
【異能を発現させる為の生存本能を引き出す為に男は何時でも殺せると思わせる程の殺意を込める】

コーギーでもチワワでもなんでも良いがとっととハウスしてた方が良かったみてぇだなぁ

【男は一歩も動かずに小山に立っている少女を見据える】
33 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/10(日) 02:36:33.23 ID:lcvfSY6K0
>>32

【確かに彼女は能力者だった。でも、それが宝石なのか石ころなのか、それはまだ分からなくって】
【でも。彼が望むような存在ではない気がする。だって、彼女は何もかも下手なのだ、言葉を交わすのも、引いた足の仕草さえ】
【この場で一番上手に出来るのはきっと能力の発露。だけれど――あまりにもか弱い本体を見ると、それすらも危うい錯覚】

【(だから。彼の考えるところはだいぶ合っていたのかもしれない。所詮女で、子供で、つまり、少女でしかない)】

……――、

【喉が渇いたような気がした。こんなに、“そう決められた機械みたいに”あふれ出してくる彼の殺意、そんなのは、始めてで】
【何かを言おうとした言葉が詰まる。喉の内側が全て張り付いてしまったような錯覚、二度と声が出せないんじゃないかと思うほど】
【彷徨うように揺れた指先がぺたと喉に触れた、それが、――彼女が彼に対して明確に見せた、初めての弱気だったのかもしれない】

【(“あの子”を助けられなかったあのときよりも、恐ろしかった。それが、ただ、むしょうに悔しいように思える)】
【(家族よりも結局自分なのかと。だから助けられなかったんじゃないかと。ぐちゃっと混じる思考のノイズ、振り払って)】

【――少女の傍の地面に積もっていった“勿忘草色”がいっそう強く煌いた、そうすると、同時にがらがらがら!と音が続く】
【どうしてかと見やるならすぐに理解できるだろう、ゴミ山の中から飛び出したのは、古びて穴の開いたブラウン管のテレビ】
【きらきらとした勿忘草色のもやが纏わり付いて――そう思う瞬間には、それが彼のほうへと思い切り、投擲されるのだ】

【びゅんと風を切って飛来するテレビ、けれどそれはあくまで放物線でしかない、それ以外の工夫なんて何もない、稚拙な攻撃】
【流石にブラウン管となると重たいし威力もあるだろうが。避けてしまえばおしまいだ、そして、それは難しくもなんともない】

――じゃあッ、帰らせてもらうよ、悪いけれどっ、!

【そして。テレビの投擲と同時に彼女はゴミ山の頂点から駆け出す、その足音が、がしゃんと夜の中に大きく響いて】
【足場が悪いし足も早くない。それでも、少なくない命の危機らしさを感じたなら、追いかけっこが成立するぐらいの速度】
【彼女がしたのはなんらかの能力によるテレビの投擲だけ、目指す犬穴はまだまだ遠く、彼が動く余地は十分にある】

【――その少女の足元でまたもやが煌く。というよりも、見えない何かがもやを纏っているような、そんな感じを覚えるだろうか】
【もやが無秩序に風に流れているのとは違う、何か、明確なコアらしきものがあって――それでもって、テレビを投擲するほどの力を】
【となると、その能力の方が本体より力持ちだ。物を持ち上げてみせる異能――まだ、その正体までは分からないかもしれなくても】

【ひゅんっと風を切って取り上げられたのは雑多なゴミの欠片が“六つ”。気をつけるべきは一つ、ゴミに混じって浮いた自転車のタイヤ】
【でも――今はまだ何もしてこない。投げるのも、何も。先のテレビだけだ、彼が今――意識を向けるべきは】
34 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)2014/08/10(日) 02:59:40.76 ID:tJNA7OWpO
>>33

【少女の様子を見て逃げることは予想していた】
【だが攻撃もするとは思ってもいなかった】

嬉しい誤算だぜぇ…やっぱり今日はいい夜だ

【ブラウン管のテレビが迫ってくるが男の口元は以前として笑っている】

礼だ、『一つ』見せてやるよ…

【ブラウン管が男の寸前まで飛んできている】

――斬首刑・甲

【ズドォンと大きな音をと共に砂埃が上がり男の姿が見えなくなった】
【しばらくして砂埃が風と共に薄れてくる】

良いぜぇ…!鬼ごっこ開始としようじゃねぇかぁ!

【砂埃の中からは笑っている男の姿が確認できる】
【足元に落ちているブラウン管のテレビは鋭利な刃物で切られた痕跡があり真っ二つになっている】
【砂埃故によく視認できなかったがもう一度能力を発現してしまえばどういう能力かはわかるだろう】

【駆け出す少女とは裏腹に余裕を持ち歩きながら少女を追う】
【足掻いて見せろと言わんばかりに男の口元は笑っている】
35 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/10(日) 03:23:37.45 ID:lcvfSY6K0
>>34

【――生まれつきの異能だった、それこそ、赤ん坊の頃から使っていたのだと、母は言っていた】
【同じく一緒に生まれた******にも異能の力があって。二人でなら何でもできる気がした、世界を救うのだって】
【******とは遊びにばっかり使っていたけれど。例えば悪戯、例えば棚の上に隠されたお菓子を取る、例えばぬいぐるみを動かす】
【そしていつか******を助けられなかった異能。目の前で見ていたのに、その場所に居たけど、何も出来なかった】

【(両親はそれを責めなかったけど、きっと、怒っていたんだと思う。だから、***********)】

【真っ二つにされてしまったテレビを見る余裕なんてなかった、それよりも、転ばないようにと走るのが精一杯で】
【すでに息なんて上がっている。喉が渇いて不快だった、汗でべったり首筋に張り付く髪の毛も、引きちぎりたいぐらいに】

――――きゃっ!

【踏んだトタンが張り裂けたのはそのときだった。或いは走馬灯めいた思考のせいで見逃した、足元の不備】
【錆び付いたトタンに開いた穴に足をがっちりとつかまれて転ぶ、がしゃんと――ど派手な音、非常に痛そうな音でもあって】
【受身も取れずにべたんと転ぶのは滑稽だったろう、転んでしまった勢いで足はトタンから解放されるのだけれど、】
【そのままごろごろごろとガラクタの山を転がって落ちる、――気付けば、ふわふわと浮んでいたゴミたちも落ちてしまって】

あ……ぐ、……――。

【――転んだままで荒く息をする数秒、精一杯に息をするのは、この数秒間だけ、たっぷり呼吸すると決めたみたいに】
【それから起こした体はそれだけでぼろぼろになっていた、劣化したものだらけとは言え、元は金属質なゴミの多いこの場所】
【何も考えず勢い任せに転がればこんな風になるだろう、例えば頬っぺたを大きく裂いた傷、腕の裂傷、真っ赤に染めて】

【(攻撃するまでもない、と思うのかもしれない。勝手に転んで、ぼろぼろになって、それでも泣きそうにない、鋭い顔)】
【(泣いたら負けだと思っていた。いつだって泣いたら負け。媚びたら負け。“一人で生きなくっちゃ”)】

【(――でも、******を助けられなかった異能(ちから)で、誰かを傷つけようとするとは、思ってなかった)】

――クソがッ、!

【勿忘草色のもやが浮いてゴミが舞う、今度浮かべられたのは朽ちかけた椅子で、それが向かうのは、当然彼のほう】
【大きく振りかぶってから振り下ろす、その動きは当然悠長で、戦いなんて慣れていない、それが窺える】
【でも今度は避けられても追いかけてくる、もやは椅子に纏わり付いたままで、彼を捉えるまで、追いかける】
【――もし。さっきのテレビみたいに断ち切られるなら、分断された形のまま、“六つまで”の破片が彼を捉えようとして】
【でもどれも所詮朽ちかけた木でしかなく。ダメージは期待できない、けれど、コバエみたいに鬱陶しい】

【そして。そうして追いかけている間は視線が逸らせないらしい。やっと立ち上がったくせに、今度は後ずさるしか、出来ていなかった】

/そしてすいません、そろそろ眠気が出てきたので明日に引継ぎをお願いしたいのです……
/明日は午後からでしたら空いてると思いますので、そちらの時間に合わせられるかと思いますー
36 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)2014/08/10(日) 04:13:42.96 ID:tJNA7OWpO
>>35

【男はゴミのなかを転ぶ少女を見ていた】
【ゴミの山を転げ回り息を荒げる少女を見て男の心境は滑稽というよりも落胆である】

【あぁ、やはりこの少女はまだ少女なのだなと…】

【ハァ…とため息をつきゆっくりと少女の方へ着実に近づいてくる】
【遠目から見るボロボロになった少女の姿を見て男の興味を削がれた】

【今日は不作だ、退屈凌ぎすらありゃしない】
【そんなことを思っていると不意に少女の目が見えた】
【月明かりの光でほのかに見えたその目は男の興味を再び湧かせた】

いいぜぇ…!その目ェ!! 一人で生きてきたやつの目だ!

【男には仲間など居ない、味方も、協力者も…】
【いた事もないし、求めてもいない】
【月明かりに照らされてか、男のフードの奥からは男の眼光が微かに見える】

【男は知りたい、自分と同じように一人で生きていく少女がどのような行動をするのか】

鬼ごっこは終わったのかぁ!せっかくのいい夜だ、楽しもうぜぇ!

【椅子が男に向かっている最中、頭上に何かが発現した】
【発現したのは先ほどのブラウン管のテレビを断ち切った『ギロチン』】
【そのままギロチンを落とし椅子を断ち切った】

【しかし男は異変に気づく】
【断ち切ったはずなのにもやが離れない】

【何かを狙っているという事は一目瞭然だ、対策を立てぬ男ではない】
【落ち切ったギロチンは粒のように消えていき頭上には先ほどとは違いギロチンが二つ装填されている】

/ありがとうございます
/昼間は少しわかりませんが夕方ごろならばできると思います
37 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/10(日) 10:13:32.64 ID:lcvfSY6K0
>>36

【薄っぺらの胸が嘘みたいに呼吸する、はあはあと、その音は遠くからでも聞こえるぐらいに、大きいもの】
【平常ならこんなに走らないし、もし走ったとしても二週間は後悔する、それぐらい走ったつもりでも、脅威からは逃げ出せず】
【未だにそんなに遠くない場所に見えるのだから嫌にもなる、――馬鹿になりかける足を引き摺って、犬穴までは、半分ぐらい】

【ざり、と足が割れた液晶テレビの上を撫ぜる、注いだ視線/意識で動かす木切れは、その端からぼろぼろと崩れていく、脆さ】
【それは例えば身を守るのには足りないし、それなら当然、“殺す”にも足りない、それより――そのつもりがないように見えた】
【普通の人間が襲われたからと言ってすぐに人を殺せるようになるかというと違うから。ただ、普通に帰りたいだけ】

【ぜいぜいする息を無理やりに飲み込んで見据える、でもその瞳は彼の弱点なんて見出さないし、ただ、その仕草を追いかけて】
【だからそのうちに発現したギロチンも見つけるのだ、――同時に、追いつかれたときの最悪を、それは見せてくれて】

つゥ……、……誰もキミと鬼ごっこなんてしてないのだよ。キミが勝手に追いかけてくるんじゃあないか。

【――はじめよりもずっとくしゃくしゃになった声。だけれど、返す言葉の色合いが変わらないのは、意地か何かのよう】
【ぴりぴりとする頬や腕の傷は不思議に痛くはなかった、頬を掌で擦ってみると、思ったよりも簡単に、冗談みたいに赤くなって】
【でもそれならまだ生きている。大丈夫だという根拠は無いのに、不思議とそう思ってしまうなら――生き物って馬鹿みたい】

【断ち切られてばらばらになった破片を別の“手”が受け止めて捕まえる、ふわりと浮く欠片はやっぱり六つ、】
【小さな欠片がぽいぽいとその顔に向かって投げられた、三つか四つ、狙いの外れるのを含めれば、気にすべきは一つか二つ】
【それよりも。振りかぶった椅子だったもののほうを気にするべき。同じく顔を、横からぶん殴ってやろうとする軌道】

【(――そう、まるで見えない手があるようだった。手が、モノを掴んで、動かしているような)】
【(見ただけで言うなら超能力みたいに“念力”って名前で当てはめるのがいいだろう、或いは、)】
【(悪戯好きなポルターガイストの親玉、とか。とかく、直接的な殺傷力を持たない能力者であるのは確かなはず)】

……それじゃあッ、

【くるりと踵を返すと、汗でぐしゃっとした髪が一応靡いて揺れる、それは、椅子を振りぬくタイミングと同じ瞬間で】
【その結果を見ずにまた積み重ねられたゴミの上を駆けて行く、がしゃりがしゃり、見なくても分かるぐらいの音を立てて】
【そうなるとさっきみたいにしつこく追いかけてくるゴミも存在しなくなる。やっぱり視界の中にないと、難しいものなのか――】

【――と、その彼女の足が不意に止まった。転びそうになるぐらい、あまりにも急な仕草なら、それは不審でもあって】
【そうかと思えばほんの僅かに身じろぎしてきょろきょろとするのだ、そして、その理由は離れた彼にもすぐ分かるはず】

【――――犬だった、野良犬。ここを寝床にしている犬のうちの数匹が、あまりにもうるさいと起きてきたらしい】
【少女の前でぐるると唸っては少女の前に立ちはだかり、その足止めをする。数は三匹、だけれど、“三匹もいる”】
【小柄な少女にしてみればいわゆる普通のサイズの犬だって大きい、それが、野良となれば尚更の話、太刀打ちできないもの】
【ましてこんな状況なら余計に。――初めて少女が弱気な顔を見せたのが、彼に見えたろうか。それはほんの少しだったけれど】

ローゼ……、

【(泣きそうな顔。本当に小さく動いた口は、まるで祈るように誰かに縋る、でも、それは、母親でも父親でもなく)】
【(“お母さん”とか“お父さん”とは間違えても呼ばなかった。“助けて”でなかったことも、また、少女の意地らしく――)】

【――これで、野良犬を気にしさえしないなら、少女に追いつくのは容易になるはずだった。彼女は、いま、どこにも動けないから】

/お返ししておきますー、お手すきになりましたらお返しくださいっ
38 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/10(日) 10:55:32.94 ID:SsFEaiqGo
>>19でしばらく置いておきますねー!
39 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2014/08/10(日) 13:24:53.18 ID:IG3DbgW0o

暑さに耐えられそうもないゾウ

【くるくるとした黒い天然パーマに、色白の肌。】
【赤いフードつきトレーナーに、茶色のハーフパンツ。】
【年相応──否、それよりも背の低い青年である。】

【人気の少ない公園で、夜空を見上げている。】
【──無造作に、手に持つ空き缶を公園の外──街灯に照らされた道路へ放った。】
40 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2014/08/10(日) 13:53:48.50 ID:vOzIqfxIo
「あ゛ー……あぢー……、だりぃ――……ねむぃ――ッス」

【ある公園。木々からはセミの鳴き声が絶え間なく響き、木陰からは太陽の熱線が降り注ぐ。そんな昼下がり】
【公園のベンチに座る――もとい、寝転がっている女が、そこに一匹居た】
【キャミソールにホットパンツ、サンダルという極限まで涼しそうな格好。晒されたボディラインは貧相ではないが、豊満でもない】
【シャギーのかけられたウルフカットの金髪と、その奥から覗くエメラルドグリーンの胡乱な瞳】
【耳には金十字のピアスが付けられているのが特徴か。しかし、それよりも目を引くものが有った】

「……なんでクーラー壊れるんスかちくしょー……」

【手に握る缶を口元に運ぶものの、何も出てくることはなく。適当に横に放り投げる女】
【かろん、とアルミ缶同士がぶつかる、軽い音。それが、幾度か連鎖した。要するに空き缶が女の周囲に大量にあった】
【周囲に漂うアルコール臭。そして、空き缶の群れ。これで、どういう状況か、なんとなく理解できるだろうし、見れば判る】
【子どもたちも遊ぶだろう公園でベンチに寝転びながら大量のビールを飲み続けている、ダメ人間がそこに居た】

「あー……どーしよーッス」

【自分の財布をごそごそと取り出し、中身を確認する女】
【財布を振る。チャリンと硬貨が情けない音を響かせた。声にしづらいうめき声を上げて、女はそのままベンチに突っ伏すのであった】
41 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/10(日) 14:08:15.65 ID:yo5Mg1dFo
>>40

【灼熱降り注ぐ公園に入り込む影が一つ】
【セミのうるさい鳴き声に交じって小さな足音を響かせている】

本当に暑い…どうにかならないかな…

【ゴテゴテとフリルのついたボンネットを被り、服も装飾過多な長袖】
【しかも全体的に茶色っぽい色のせいで余計暑苦しく見えてくる】
【というより実際物凄く熱い】

それにこの紅茶…買ったはいいけど不味い

【少女の手に握られているのは一般的な缶に入った紅茶、それも二つもある】


はぁ…まあ良いです。涼みましょう

【日傘で日蔭を作りながら少女は女が突っ伏してるベンチの方へ向かっていく】

ごめんなさい。横に失礼しても?

【涼しげな顔で少女は、女にそう尋ねた】
42 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2014/08/10(日) 14:16:28.12 ID:vOzIqfxIo
>>41
【もう溶けているかのように全身の力を抜いて突っ伏し続けている女】
【少女からの声を聞くも、僅かに身じろぎするだけで30秒ほど動きを見せることはなく】
【器用にベンチの上で身体を転がして上を向き、じとりとした目で少女を見据えて、口を開く】
【口を開いた瞬間に濃厚な酒臭さが辺りに放出されたのは、どうしようもないことなのだろう。そして汗臭かった】

「――え、嫌ッスけど?」

【そんな女から返された返答は、身も蓋もない否定の声であった】
【どこから持ち込んだのかわからないクーラーボックスをおもむろに開け、そこから冷えたビールを取り出す】
【プルタブを開けてその中身をぐいぐいと煽り、口についたビールの泡を腕で拭って】

「飲み終わったら退くからそれまで待ってればいいんじゃないスか?
私はごろごろしてたいんスよー……、丁度ここらへん風通って気持ちいいんで」

【女がここでゴロゴロしているのは理由があった】
【完璧に木陰に位置していおり、日が当たらないこと。そして、比較的風がよく通ること】
【人通りが少なく、だらだらしてもそこまで目立たないこと。要は、女にとって最高の場所であったのだ】
【だからこそ、少女に横に座っても良いか聞かれても、NOと返すこととなった様だ】
43 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/10(日) 14:26:38.63 ID:yo5Mg1dFo
>>42

はぁ?

【尋ねたのはあくまでも社交辞令、少女は女がYesと答えると踏んでいた】
【だけどそんな予想していない返答に少女は思わず素の反応になってしまった】


あら…。今ここで席を譲っていただけるならとても涼しい場所に案内しようと思ったのに
ああすごく残念。こんな熱い所でずっと居るなんて
何て可哀そうなんでしょうか…ああ哀れ

【だけどここで引き下がるのは何となく腹が立つ】
【なのでここで一つ芝居を打ってみることにした】


じゃあ私はここより涼しい場所に旅立つことにしようかしらー?

【完全に誘っているのがバレバレなこの反応、ワザとなのだろうか?】
【因みに少女が言っている涼しい場所と言うのは完全なハッタリではない】
【家の近くにある寂れた病院の待合室の事を指しているのだ】
44 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2014/08/10(日) 14:34:38.76 ID:vOzIqfxIo
>>43
「――むむ……、マジッスか?
……しゃーないッスね、端っこだけなら譲ってやるッス。
あと私だって好き好んでこんな所でダラダラしてる訳じゃないんスよ!! 喧嘩売ってるんスか!?」

【……バレバレの一芝居。それに対して、女はいとも簡単に騙されてしまう】
【元から色々と残念である上に、この暑さと大量のビールで調度良く頭がとろけている状態の女だ】
【普段ならば騙されなかったのだろうが、この状況で暑さに辟易としていれば、騙される事もあり得ないとはいえない筈である】

「……はん。哀れ、ねえ」

【ムクリと起き上がって椅子に座り込んで。ビールをまた空にして地面に放り捨て】
【クーラーボックスからあたりめを取り出すと、それを口に咥えてくっちゃくっちゃと咀嚼し始める】
【酒臭さと烏賊臭さと汗臭さとオッサン臭さが相まって、女としてどころか人として色々とダメな人間が、そこに有った】

【何はともあれ、隣は空いた。座って休憩することは出来るだろう】

【濁った瞳で前を見据える女の目つきは、色々と荒んだ気配を持っている】
【まあ、そんな荒んだ雰囲気も、烏賊を咀嚼する音で色々と台無しであるのだが】
45 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/10(日) 14:43:14.28 ID:yo5Mg1dFo
>>44

この場所が嫌だったらもっとマシな場所に行けばいいじゃないですか
図書館とかスーパーとか…
スーパーなら涼む上に試食もできましてよ?

【これまた優雅に立ち振る舞う少女だった】
【だが言葉の節々から物凄く貧乏くさい一般庶民オーラが漂っている】


それじゃ。失礼しますわね

【少女は女の横にゆっくりと腰を下ろした】
【そしてそのまま服のポケットをガサゴソと弄り何かを取り出す】


こういう場所でティータイムもいいかも…しれませんわね

【缶紅茶を右手で握り、左手には取り出したばかりのおつまみピスタチオ】
【振る舞いは淑女らしくても多分根底での女子力云々はきっと横の女と同等】
【もしくはそれ以下の可能性をもにおわせている】

46 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2014/08/10(日) 14:50:48.36 ID:vOzIqfxIo
>>45
「酒飲めないじゃないスか、そういうところって。
折角の休みなんスから、ごろごろだらだらして酒飲んでいたいんスよ私は」

【優雅な振る舞い、庶民的発言。それに対してダメ発言で返答をする女】
【休日だから女子力磨きにエステに行くだとか、旅行に行くだとかそんなことは考えもしない。してもやらない】

「勝手にしろッスよ」

【ビールをちびちびと啜りつつ、脚のつま先でクーラーボックスの蓋を蹴り開けて中身を確認】
【350缶があと5つか、と小さく呟いて。クーラーボックスから缶詰を取り出した】
【脚を上手く引っ掛けてクーラーボックスを自分の前に置き、簡易テーブル化】

「こういう場所で酒盛りしてる奴はいるッスけどねー」

【特有の鍵のような形の缶オープナーで、缶の表面を巻き取っていく女】
【ぺき、と音を立てて缶詰を開けると、台形の大きい方を外して、クーラーボックスの上に置く】
【そう。所謂コンビーフであった。もし先ほどのクーラーボックスの中を見ていたならば、他にも鯖缶なども見えていただろう】
【割り箸を割ってコンビーフを解し、生のままそれを口に運ぶ。味の濃さと脂の濃さが、女がビールを消費する速度を上げていく】
【方やおつまみピスタチオと紅茶。方やコンビーフとビール。どっちもどっちで、間違いないのはここに女子力は無いということだろう】
47 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/10(日) 15:00:13.08 ID:yo5Mg1dFo
>>46

甘いですわ。試飲のコーナーがあるじゃありませんか
空の水筒にそれを詰め込めば、軽く三日は楽しめますわよ?

【酒が飲めないという女に対して少女は甘いと苦笑い】
【凄いしょうもない事で悦に浸っている少女だが、全然自慢できることではない】
【というより普通なら恥ずかしくて口にもできない】


本当に。この場所には優雅さが欠けていますわね

【缶紅茶をちびちび飲みながらピスタチオを貪る】
【ムワンとしたピスタチオ独特のにおいが少女の周りを囲っている.】

この場所で酒盛り?そういうのは立ち飲み屋とかでやればいいのに
この時間なら空いている飲み屋もあるでしょうに…

【気が付けばピスタチオの他にも裂きイカを取り出していた少女】
【それをチビチビと少女は貪っている】

はぁ…やっぱりこの紅茶不味いですわね…

【少女の視線が移ったのは女の持つ缶ビール】

ねえ?おひとつ下さらない?

【唯一女子力を保っていた紅茶が今まさに消えようとしていた】
48 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2014/08/10(日) 15:09:58.12 ID:vOzIqfxIo
>>47
「私は底辺スけど、そんな貧乏くさいことできるかッス!
ってか、その見た目で中々ファンキーッスねあんた!」

【底辺ながらも見栄っ張りかつ、浪費癖持ちと、少女とはまた異なるタイプのダメっぷりを持つ女としては、同意しかねる言葉であった様子】
【そして、良い服を着ていたり、口調はお嬢様っぽいのにも関わらず、この貧乏発言。中々エキセントリックな奴だと女は理解した】
【まあ、多かれ少なかれこの世の中変わった人間はいるものだと、自分の中で納得はするものの一応一回は突っ込まざるを得なかった】

「……ふっふふ……、今財布に130円しか無いんス。
そして私の給料日まではあと2週間……! 金がありゃ飲みに行くに決まってるじゃないッスかー!」

【ビールをちびちびしつつ、少女の発言にうがー!とキレる様子を見せる女】
【財布に130円しかなく、また二週間それで過ごさざるをえない。この時点で、色々とダメで。きっと残りもジュースを買って無くしたりするのだろう】
【コンビーフをちびちび食べつつ、二週間の生活に思いを馳せ、重い溜息を口から吐き出し】
【少女の求めを聞いた瞬間に、女の右手がすっと無言で差し出される】

「一本千円で売るッス。キンキンに冷えてるッスよ……!」

【この女、がめつい事極まりない。350ml缶のビール(そこそこ冷えている)を1000円で売ろうとしていた】
【末端価格もかくやというところであるが、周りに自販機の影はない。紅茶が空になれば、周辺の飲料は女のビールしか存在しないと言えた】
49 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/10(日) 15:19:38.55 ID:yo5Mg1dFo
>>48

タダほどうれしいものは無いわ。試食コーナーは私の狩場ですわ
人は見かけによらないって。よく言うでしょう?

【女の見立て通りこの少女もなかなかのダメ人間】
【見栄っ張りなのは女と一緒だが、多分女よりも業突く張りかもしれない】


まぁ…それは悲惨……私はお金持ちですから。
まあお財布にはお札が入っていてよ?

【またしても見栄を張ってしまう少女】
【実はこの少女も財布の中には1300円しか入っていない】
【あとは酒店やコンビニなどのレシートばかり、しかも財布もボロボロ】
【さらには職にも就いていないため次の収入がいつあるかも不明】


まあ。千円なんてお手頃価格ですわね…

【威張り散らしながらもくしゃくしゃの千円をにこやかに右手の上に置く少女】
【少し手が震えているのは気のせいではないだろう】
50 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2014/08/10(日) 15:31:27.98 ID:vOzIqfxIo
>>49
「っは、試食は巡りすぎると目ぇ付けられるじゃないッスか。
だったら大切なのは店員と仲良くなってソッコー半額シール貼ってもらう事ッス! これで私ゃキツい給料日前を乗り越えてきたッスからね!
……ま、なんつーか、頑張れ少女、ッス」

【互いにもうなんの得にも勝ちにもならない張り合いを続けるダメっぷり、至上まれに見る平和なダメっぷりで】
【少女の外面と内面の違いについては実感している為、無言でサムズアップ】
【そして、少女がゆっくりと取り出した札を、財布を見て、口元にはにたりとした笑み】
【残念同士のなんとなくの仲間意識なども湧いていたが、それよりも札が今は輝いてみえた】

「――はい、まいどー! ……っへへ、これはおまけしておくッスよ」

【少女から、女の手の上に札が置かれた瞬間雷光よりも遥かに速く手が閃き、札をポケットに捩じ込む女】
【コンビーフの缶をどかし、冷えたビールと柿ピーの小袋をおまけする女】
【この女、小物で悪党ではあるが、人間味や慈悲が無いわけではない。精一杯の手心が、柿ピーの小袋だった】
【そして、女はビールをまた煽ろうとした瞬間、携帯の着信音が鳴る】

「……あー、なんスか? 今日休みの筈ッスけど――、あ、分かりましたッス。んじゃ、すぐ行くっす。
ハイ、ハイ、スイマセンッス。いえいえいえ、そんなもー、仕事嫌とかそんなこと有るわけ無いじゃないッスかーイヤだなー。
はい、はい。じゃ、10分後に。了解ッス、はいッス、ありがとうございますッス」

【携帯に出て、ぺこぺこと電話越しの相手に頭を下げる女は、情けない】
【……反社会的勢力とはいえど、職に付いている点だけは、女の勝ちだったのかもしれない】
【電話を切ると、また他の連絡先に電話をかけ】

「おい。10分後、公園な。寝てた? 休み? 知らねーし、来い。来なきゃケツバットな。じゃ」

【と、一方的に述べた後に、問答無用で電話を切る】
【頭をぐしぐしとかきむしった後に、女はクーラーボックスの中身を全部ベンチの上に置く】

「……これ、あと300円で売ってやるッス」

【そう言って、もし少女が300円を差し出したのならば、それを奪い取るように手の中に握りしめて】
【女は荒んだ気配で歩き去って行くことだろう。――クーラーボックスを引きずりながら】
51 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/10(日) 15:59:30.08 ID:yo5Mg1dFo
>>50

だからこそ私はいつも着替えを数パターン用意していますわ
トイレで着替えれば半ば何回も廻れますもの
これこそ究極の節約術ですわ!

【そこまでしてお金を使わないという根性】
【もうここまでくればケチと言うより人間としてどうかと思う】
【と言うより、ある意味一種の生ける伝説である】


足元を見られましたわね……
でもいい所もあるんですわね。見直しましたわ

【渡された柿ピーの小袋をバリバリとあけ、飲むように口に運ぶ】
【そしてそのまま一気にそれを口に運ぶ】
【エレガンスとはかけ離れてはいるが、そっとしておこう】

柿ピーはこうして食べるのが一番ですのよ…って
えっと……ゴホン。

お取込み中の様ですわね…

【携帯で取り込み中なのを察し、静かになる】
【心なしか柿ピーの咀嚼音も小さくなっているように思える】


あらあら…お仕事のお電話?まあ。羨ましい
安定した職に就けるだなんて羨ましいわー

【ビールを口に運びながらそんなことを言うさまはまさに滑稽】
【しかも思いっきり棒読みなのは言わずもがなである】


わ…私の全財産を。悔しいわ…

【そういいながらも彼女は三百円を差し出した】
【きっと目の前のブツに心を奪われたのだろう】


それではごきげんよう

【去っていく女にそう声をかけながら一人酒盛りを続ける少女】
【その姿はまさにおっさんそのものだった】

/絡み乙でよろしいのですか?
/ありがとうございました!たのしかったです!
52 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2014/08/10(日) 16:01:39.76 ID:vOzIqfxIo
>>51
/*お疲れ様でしたー! 楽しかったです!*/
53 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/10(日) 19:46:31.67 ID:LVfkkOgNo

【水の国/路地裏】



……誰か、 ──つた、 ── 。


【路地の壁に、襤褸切れの様になった男が身を預けている】

【リンチを受けた後の様に体中の至る所から出血を見せ、眼は虚ろ】
【──有り体に言って、『瀕死』だ。 譫言のように何かを呟いているが、途切れ途切れで聞き取れない】
54 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)2014/08/10(日) 21:01:36.77 ID:sXcwcfnLO
>>37

はっはぁー!そうつれねぇ事いうなよ、ガキに合わせて遊んでやるんだ 感謝して欲しいくらいだぜぇ

【自分の事を見据える少女に男は笑いながら答える】
【男から見て少女はあまりにもか弱い、異能も男の能力によって対抗はできる】
【だがそれなのにもかかわらず少女はその目をやめない】
【それだけ、たったそれだけで男は少女に興味が湧く】

【バラバラになった破片が欠片になって男に向かってくる】
【男はそれに対して笑みで返す】
【それでもなお立ち向かうか、と】

【ガシャンとギロチンが落下した、先ほどとは違い今度はギロチンが二つ】
【ギロチンの側面を盾にしつつ欠片も断ち切る、だが小さな欠片の全てを捉える事はできない】
【とりのがした欠片は男の方へ向かい男はそれを寸前でかわした】

はは…ははは…

【しばらく静寂し、その静寂を破る男の笑い声】

はーははは…!!あーははは…!!

【夜の闇に響く男の笑い声】
【男の頬からは欠片でついたであろう傷から血が流れる】
【よもやこんな少女に、それも自分がか弱いとも思っていた子供に】
【そう思うだけで男は愉快でならなかった】

【男が笑っている最中少女が駆け出す】
【それ自体は気にも止めない、男は今が愉快でたまらない】
【しかしそれを邪魔するものが居るならば話は別だ】

あー…そういや先客が居るんだったなぁ

【男は少女の方へ駆け出す少女を追いかけていた時は走らなかった足を動かす】
【しかし男は少女の前へ飛び出す、何やら呟いている少女を尻目にして】

犬畜生がぁ!人間様の楽しみ奪ってんじゃねぇぞ!!

【そのまま少女の前にいる野良犬の一匹を蹴り飛ばす】

――斬首刑・乙

【男の手元には両手斧を模した大きなギロチンそれを残る二匹に振り落とす】

【男の身体が返り血によって鮮血に染まる】
【そして振り返り少女の方へ】
【血がべったりとついたギロチンを手に、鮮血に染まった男はなにも言わず、なにも動かず、ただただ少女をみる】
【少女はこの状況下で何を言い、何をするのか】
【一人で生きる少女の足掻きを】

【男はそれが知りたい】

/用事が長引いてしまって申し訳ありません
55 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2014/08/10(日) 21:31:16.50 ID:IG3DbgW0o
>>53
まだおりますか?
56 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2014/08/10(日) 22:04:28.40 ID:IG3DbgW0o
いないようなので>>39で待ちます
57 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/10(日) 22:08:43.09 ID:lcvfSY6K0
>>54

【蹴飛ばされた犬の体が大きく撓んで転がる、ぎゃんと悲鳴を上げることすら出来なかった犬は、立ち上がれずに】
【がりがりがりと伸びきった爪が地面を引っ掻く音、それでも立ち上がれなくて――そのうち、くうくうと鳴き出すのだが】
【立ち上がれもしない怪我だ、放っておけばそのうちに死ぬ。他の二匹は当然のように首を刎ねられて、動かなくなって】

【――ぴたん、と水の音がした】

…………――、

【勿忘草色がゆっくりと瞬いた、それは今更血の赤色に怖気づいたようにも見えるし、或いは、何かを諦めたようにも見え】
【右目の下、不健康に色白な頬に血で描かれた真っ赤な花、それにくしゃっとひび割れが走ったのなら】
【さっきの続きのように表情が歪んだ証、瞳を伏せて、――ちぃ、と。舌打ちの音が一つだけ】

【――憎憎しげな瞳が彼を見つめるのだろう、殺されると理解した瞬間、俎板の上の魚が浮かべたがるような、鋭いそれ】
【真冬の寒空を見上げた時の鋭く冴える青空の色をした瞳。宿す煌きは抜き身の刃に似て、触れたら指先から切れてしまいそう】
【でも。そんなのは結局それだけのお話、視線で人が殺せるならともかく、彼女はそんな異能を持たないわけ、で――】

……で、どうするんだい。その犬ッコロみたいに殺す? ここなら死体だって隠しやすいだろうね、なんなら――、

そう、犬の餌にでもすればいいのだし。まだ巣穴に居るだろうよ、見てきちゃあいないけれど……、子犬でも居るかも知れんね。

【同じ目線に立ってしまえば、本当にか弱い少女だ。腕や足なんて棒切れのようだし、首なんて、拉げそうに細く】
【肌は日焼けしたこともないように白い、ただ血ばかりが生き物みたいに赤くって、生きているのだと理解でき】
【白い服だっていつの間にか土や血で汚れてしまった。髪も、最初みたいな艶を失って――ただ、まだ、動いている】

【犬の餌にだなんて、わざと冗談めかして言うのだから、やっぱり素直じゃないらしい。僅かに釣り上げた唇が、微かに震えて】
【“媚びたら負け”、そんな思考は目の前の彼にも適用される。助けてなんて泣き縋るのは、――できそうにもないなら】
【ぎりっと睨みつけるのが精一杯。怪我をした野良猫が必死に威嚇するように、ただただ、ぎっと見つめて――】

【それが彼女の最後の足掻きだった。初めから変わらない、“姉”に縋ったのすら、夢だったかのように】
【二人の距離は、さっきまでよりずっと近い。ほんの数歩でたどり着けるぐらい、呼吸すら分かるぐらい】

/こちらこそ気付くの遅れて申し訳無いですっ……今日もよろしくおねがいしますー
58 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/10(日) 22:22:54.53 ID:NVPUiKqbo
【裏路地】

【今夜は通り過ぎる分厚い雲の塊が過ぎるまで強い雨が降り続けるそうだ】
【この街の路地にも否応なく雨は降り、雨樋を伝った雨水はパイプから滝のように流れ出て】
【格子の排水口へとその地を洗い流すように流れていった】

【ガコンと、その路地のマンホールの蓋が動く。ガリガリと蓋がずれて、中から手がボストンバッグを押し上げる】
【そして後から全身が滝に打たれたかのようなびしょ濡れの男が下水溝から這い出てきた】

あー…クソッ、思ったより酷いな……お陰でここまで来れたけれど

【黒い髪の長身の男。夜だというのに黒のレンズのサングラスをかけている】
【服装はブーツにジーンズ。革のライダースジャケット。男はマンホールの蓋を戻す】

プランを練るときにもっと別のにすりゃよかったんだ……嵐の中、飛行機を飛ばすほうがマシだったかもな
少なくとも…落ちる前に煙草が吸えた。…今じゃ、クソッタレ

【両手で髪を描き上げて、壁に背をつけてしゃがむ。疲れたように頭をつけて、ポケットの中で濡れてダメになった】
【煙草の紙箱を取り出して手の中で握りつぶした。ソレを投げ捨てても、雨は止まず平等に彼にも降り続けていた】
59 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/10(日) 22:57:10.80 ID:i0Fl1bxn0
【人気もまばらな、夜の公園】

(んー、難しいわね……儀式魔法≠フ行使は……。)
(この流派を使う人間がもはや私だけである以上、十分な魔力の確保はできない)
(巨大な落雷でカノッサ機関の施設に致命打を与える、って方法はちょっと無理がありそうだわ……)

【凛々しいダブルブレザーの上に、いかずちの息吹を吐くワイヴァーンの刺繍が入ったマントを羽織り】
【二つ結びの琥珀色の長髪に、魔女じみた三角帽子を被った碧い眼の少女が】
【三人ほどが座れそうなベンチにゆったりと腰掛けながら、街灯の明かりで読書していた】

【彼女が手にしているのは、古めかしくそして分厚い、何かの写本のようなもの】
【細密な挿絵と一緒に、二百年ほど前の言葉遣いで書かれた細かい文が、ページの隅々まで並んでいて】
【わざわざ暑い夏の夜に電灯をつかまえてまで外で読んでいる理由は、さっぱり掴めない】

うぅ、頭が煮詰まってきたわ。
身体が本調子に戻るまでに、何かしらのいいプランを見つけたいところだけど……。

【誰もいないと思ってぶつくさ言いながら書物を読み進める彼女は、古風な服装もあって、遠目にも目立つだろう】
【誰かが興味を持って、或いは素性をただす為に近づいてきたとしても、おかしくはなかった】

/予約です!
60 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/10(日) 23:05:59.69 ID:J2yKdZJv0
【淀みの無い湖、其れを照らし出すのは銀色の月。――――静寂も合わさればどことなく神聖な雰囲気さえ感じ取れそうな其処】
【然れど、漂うのは全く正反対の性質だ。有り体に表すならば“瘴気”であろうか】
【…………その類に耐性が無い者ならば意識がゆっくりと侵される程には濃い、と記せば何と無く濃度も知り得よう】


「あの櫻の狐さんもそろそろ終わりね――――ふふ、思った以上には楽しめたわ
やっぱり封印を解いてあげて正解だったわね。ええ、正解だったわね」

【所謂悪魔だとか、魔族だとか。人によって呼び方は変わるのかも知れないけれど、全てに通じている事として決して好ましい存在では無い事】
【災厄を撒く様な、不幸を連鎖させる様な。人の負の感情を己の喜びとするような、そんな存在】
【――――故に。少女の姿は、似付かわしくなく】


「何も知らない善い狐は自分の身を犠牲にして、全てを知る悪し狐は世を呪い死ぬ
話を紡ぐ人間達はやがて後書きに目を向ける事でしょう。役者さん達は何て思うのかしら。楽しみね、とっても楽しみ」

【月光に照らし出される金色の髪は眩く其れを反射させ、虚空を見つめる紅色の双眸は楽しそうに歪められていた】
【幾分遠くに居ようとも、瘴気と言う“イレギュラー”を感じ取るのは容易な事だろう。だからこそ、この場に辿り着くのは容易な筈】
【この場に訪れたのが善で在ろうと悪で在ろうと、或いは不幸な迷い人であろうと。その者はクスリと小さく笑めば、微笑みを向けるのだけれど】









【満月の夜――――人々からその存在を忘れ去られ、ただ朽ち行くだけの遺跡】
【嘗ては祈りを捧げるのであっただろうその場所も今となっては誰一人として訪れる事は無くなった……が】
【今宵は、無礼にも其処に座る女が居た。金色の髪に、同じ色の双眸。何よりも特筆すべきは背に生やした純白の翼】

【在りし日の其処を思い、思慮に耽っている訳でも無い様。ただ単純に単純に月光浴を楽しんでいるのか】



「――――今日は星も月も良く見える良い夜だ。風も心地良いし…………ボクだって偶にはこんな夜も、ね」

【漏らした言葉は誰に向けた物でも無い。ただ、何と無く慈しむ様に己の座る台座を掌で撫で】
【バサリ、と一度羽ばたかせた翼。純白の羽が月光を浴び銀色となって風に舞い】

【辺りに人気は無い。だからこそ、この女の存在も相対的に目立つというもの】
【もし、女の存在に気付いて近寄ったならば――――「ボクに何かご用かな」なんて言葉と共に、緩んだ笑みを向けるのだけれど】
61 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/10(日) 23:12:06.90 ID:4HWji76n0
>>59
【夜の公園、そこは野良猫から浮浪者までさまざま人が集まる】
【そんな場所であっても、片足を引きずって歩くこの少女の姿は明らかに異常であった】
【髪は埃まみれでみすぼらしく伸びきり、頬も砂が付いて痩せこけている】
【肌は血の気を感じないほど白く、皮膚が骨に張り付いているかのように細い】
【ここまではただの浮浪者と取れるが、さらに異常なのがその格好】
【手首からはちぎれた手錠が垂れ、小柄な体を文字通りのぼろ布で包み、スリットのように入った切れ目からのぞく太ももには鎖が巻きつけられていた。】
【まるで奴隷か何かのような格好である】

【視線はおぼつかず、足取りもふらふら。そんな様子で歩く少女は魔女じみた少女を見つけた】
【すると少女の表情はぱぁっと明るくなる。人を見つけたことが嬉しいのだろうか】
【こけそうになりながらも魔女少女の下まで走って行き】

なにしてる、の?

【なんて目を蒼く輝かせて聞いてみる】
【少女が発する言葉はまるで幼児が話すように不器用だが、なんとか伝わるだろう】
62 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)2014/08/10(日) 23:17:50.89 ID:e9Rm/oB4O
>>57

【何やら少女の異能が動いたような気がするが今の男には関係はない】
【今男が見たいのは少女の反応のみである】

【大抵死を間近にみた人間は無様に逃げ出すか命乞いをする】
【それが少女だとしたら尚更だ】

【しかし少女は男の想像して居なかった答えを出した】
【そして暫くの静寂ののち静寂を破ったのは…】

くは…、ははは…、あーははは…!

【男の笑い声であった】
【口を大きく開き間近に迫った少女を笑い飛ばす】

良いねぇ、最高だぜぇ、気に入ったぞガキぃ!

【少女はか弱い、吹けば折れるほどに】
【それを自分で理解して、なおかつ足掻く少女は男にとっては体験した事のない人物だった】

あぁ…やっぱり今日はいい夜だぁ…そうだろ?

【気づくと男の手からはギロチンは消えて、少女に歩み寄ってくる】
【しかし男の殺意は微かに感じる】

【能力を解いている男は余りに無防備でまるで次の行動を心待ちにしているようだ】
【しかし男に攻撃するのならば男も当然喜々として反撃するだろう】

/はい、どうぞよろしくお願いします
63 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2014/08/10(日) 23:23:26.73 ID:IG3DbgW0o
>>39
12時まで待ってみようと思います。
64 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/10(日) 23:34:39.47 ID:i0Fl1bxn0
>>61

(物音? あら、気付いてないだけで人が居たのね。恥ずかしいわ)
(……って出鱈目なくらいジャラジャラ言っているけれど、あれ、手鎖と足かせよね?)

【読書に夢中になっていた少女だが、自分に近付いてくる者の存在には気付いていた】
【なにせその人物は、歩く度に鎖がこすれ合うような音を立てるのだ】
【さっと目を向けて一瞥すれば、小さな影――そして、奇妙な服装も伺えた】

【貧しい衣装に文句は言えないが、それにしてもおかしな様子だ】
【身だしなみ以前の問題。こういう輩はだいたい妙な事情を抱えている。だから「魔女」は身構えて、相手の出方を見ることにした――】

……へ?

【――その抜かりない姿勢は、少女がぶつけてきた素っ頓狂な質問を前に、敢え無く砕け散る】

何をしているって、見ればわかるでしょ。『読書』しているのよ。
そういうあなたこそ、ハロウィンでも許されないような格好をしてどうしたのかしら?

【やけに『無垢』な質問を前に、嫌な予感を覚えながら】
【一度ぱたりと本を閉じて、やってきた少女に問いかけを返そうとするだろう】
65 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/10(日) 23:49:25.95 ID:4HWji76n0
>>64
【小柄であれど、ぱっと見た少女の年齢は13から15、こんな無垢な質問が出る年ではない】
【奴隷じみた格好にやけに幼い質問は嫌な予感を加速させるだろうか】

どくしょ・・・・・・外で?
それにおねえちゃん、変なぼうしー

【帽子を指差しけらけら笑って】
【三角帽子を変だというが、どう見ても少女のほうが変である。少女にとってはこの格好は気にならないらしい】
【手枷も足枷も邪魔そうだが、それをまったく意に介していないのもそれが当たり前だったからなのだろう】

あたし・・・・・は

【ここまで言って、少女は首を傾げた】

わからない・・・・・・

【どうしたのか、少女も覚えていないのだ。】
【なぜこんなところを歩いていたのか、この格好の意味は、全て覚えていない】
【ただでさえ嫌な予感を感じさせるこの少女、さらに記憶喪失。嫌な予感は確信に変わるか】
66 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/10(日) 23:53:35.46 ID:lcvfSY6K0
>>62

【肌の白みはいつもよりも冴えているよう、血の赤とで互いに映えて、そこに彩る、勿忘草色の張り裂けそうな色合い】
【笑い声に対して調子のいい甘え声なんて返って来ない、ただ、そこにあるのは鋭い色、いっそ怨んでやると言うようなそれ】

……私にとっては最悪の夜だがね?

【つんと釣った瞳が僅かに細められる、僅かに引きつる表情は笑っているようにも見えるが、実際は――どう、だろう】
【どうしようもなくてそんな顔をしているようにも見えたのだから。死にたくはないのだ、きっと、彼女だって】
【ただ媚びたり泣いて乞う方法を知らないから出来ないだけ。知っているのは、こんな態度を取ること、減らず口を叩くこと】

【彼が近づいて来ることで少女は一度瞳を閉じようとした、けれど、途中で考え直したように、彼を睨みつけることを選択し】
【そう、それなら、やっぱり態度は変わらないのだ。口をむっつりとへの字にして、――都合が悪いように、黙り込む】

【――少女の前に“何かが居た”。けれどそれは小さくて、わざわざ視線をやらなければ見えないようなもの】
【彼女の異能のせいじゃない。明確に意思を持った瞳で佇むのは少女には出来ないことだ、それなら、“それ”は何かって】
【蛇、だ。茶色がかった身体に黒や赤の斑点を持つ、蛇。“それ”が、少女の前――まるで守るように、とぐろを巻いて、居座って】

【さらに近づこうと言うなら頭を揺らして威嚇までしてくる。どうしてだろう、ただの蛇に――そんな義理は、ないはずなのに】

……――、ッ?

【そして、それは少女自身にとっても不思議な出来事のようだった。どうしてかと分からない表情で、僅かに足を引き】
【ほんの半歩ほど後退する、――有毒の蛇だって気付いたからなのか、それとも、単に恐ろしかっただけなのか】
【それは誰にも分からないのだけれど――分かったのは、本漬けの頭が教えてくれたことは、その蛇の名前ぐらい】

【櫻のほうに多く住まう蛇だ。二種類の毒を操り、何人かの人間を殺めたこともあるような蛇、――ヤマカガシ】
【田んぼの辺りを好むような種類なのにどうしてこんな場所に居るのか。まるで、誰かが差し向けたような違和感】
【でも。その答えを彼なら分かるのかもしれなかった。誰が差し向けたのか、どうして差し向けたのか、その理由を】

【――“だれかが見ている”。それに彼が気付けたなら。打ち捨てられた冷蔵庫の陰に、“だれか居る”】
【その証拠に冷蔵庫から伸びる影には不自然に寄り添う影が交じり合って、出て行く瞬間、それを窺うように黙り込んで】
【始めの音を聞きつけたのか。それともたまたま通りすがったのか。どちらにせよ、――邪魔しに来ただろうことは、確かで】
67 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/11(月) 00:03:10.68 ID:zad99xV10
>>60
/未だいらっしゃるでしょうかっ
68 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/11(月) 00:08:22.89 ID:qyLxVGqV0
>>67
/ゆるりと居りますよー!
69 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/11(月) 00:10:29.17 ID:zad99xV10
>>60

【ヒトには過ぎた毒の如く傍観者の意識を冒し苛む瘴気―――意に介さず踏み入れる足音、ひとつあり。陽炎の様に立ち昇る殺意の熱は、けれど風が吹き込む砂塵の様に大気に解け散って】
【静寂に、物思いの様に“余地”が生まれた。ふっと質量のない煙の様に流れる視線。それは、やがてあどけなさ残す金の影を捉えるのだろう】

「終わり、か……どれだけ楽しめたかは観客次第になるのかな。

 何人殺した? 何度殺された?
 どの道、そう簡単に滅びやしないか――――― こんばんは、アリス」

【榛色の勝気な双眸。ふわりとした深緋色の長髪は宙に軽やかに流れ、しなやかな躰に纏うのはカーマインのマキシ丈の上質なワンピース・ドレス、】 
【豊満な胸元に揺れるのは銀の逆十字―― 中心に“機関”の紋章が刻印された、装飾的なチェーンを特徴とする首飾りだった】
【向けた言葉は遊びの様なもの、話し続けるのならきっと、緋の女の側が聴き手に回って】
【“観客”―――妖狐のことでも、殺された者たちでも。或いは演者と鑑賞者を入れ替えた立ち位置で進めるとしても、語らうのならば構わないのだろう】


/では、よろしくお願いしますー!
70 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/11(月) 00:14:52.79 ID:ACg9McPA0
>>65

わ、悪かったわね。自宅には寝る時ぐらいしか帰らないのよ。
それに今夜は風が涼しいから、外にいれば電気代の節y――、……じゃなくて、いい雰囲気が味わえるわ!

【服装が変わっているのはお互い様なので、特に言い返したりはしなかったけれど】
【この子供――背丈からすると、16歳の自分と大差無さそうだが――と話していると、調子が狂う】
【特に害を及ぼされたわけでもないので、邪険にはできないのが余計に「魔女」の頭を痛めた】

はぁ、「わからない」って言いたいのはこっちの方よ。
少なくとも世間並みの人間は、自分がどういう出自で、いま何をしているか知っているの。

【しかも、この娘は自分の素性すら知らないと来ている】
【いかにも、自分は「貴族」なのだから、眼にかかる範囲で起きた厄介事は引き受けなければならない】
【だが今までに行き遭ってきた事件は、舌先三寸か武力行使で解決できるものばかりだった】
【悪意が関わっているほうが物事が単純になってくれるなんて、とんだ皮肉だと「魔女」は思う】

じゃあ質問を変えるわ。……あなたは今、何をしたい?

お腹が空いた? 安全な場所で寝たい? 女の子だし、取り敢えずお風呂っていうのもアリよね。
そういう、目先の「だいじ」を片付けながら――ゆっくりと、あなたの身の振り方を考えましょう。

そうね、あと……あなた、名前くらいは覚えてないのかしら。
例えば私は『ロザリンド・ルーゼンホルト』と言うのだけれど――あなたは、誰かに「じぶん」を呼ばれたことはない?

【けっきょく、極力難しい言い回しをしないように心がけながら】
【さしあたって自己紹介の交換をしながら、相手のしたいことに付き合うくらいしか、今の彼女にはできなかった】
71 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)2014/08/11(月) 00:33:07.54 ID:S0aoPSwAO
>>66

そんなことを言うなよ、つれねぇガキだな

【なんとも言えない表情をしている少女に向かい以前としてニヤニヤと口元を歪めて話しかける】

【男は少女に向かって歩いている途中、少女の足を引くのを確認した】

おいおいなんだなんだぁ?また鬼ごっこでも始めようってかぁ?
まぁ俺は別にかまいやしねぇ――あぁ…

【言葉の途中で男は少女の視線の先をみた】
【視線の先にいたのは一匹の蛇、無論男には毒の有無などはわかりやしない】

【動物は基本的に本能で動く、そこに善悪などない】
【そして蛇は基本的に臆病だ、自ら強大な敵に挑む事などは滅多にない】
【その蛇が殺意を漏らしている自分に立ち向かうはずがない、と男は思っている】
【動物を扱う能力、あるいは幻影か、なんにせよ男にとっては邪魔は非常に楽しくない】

チッ…!クソが…

【ギロチンを蛇の頭上に設置し落とす】
【ギロチンが蛇の胴体を断ち切ろうと落下している】
72 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/11(月) 00:34:36.28 ID:qyLxVGqV0
>>69
【――――気取る訳でも無い。然れど、神聖に満たされていると思える程に美しい場所に“汚れ”が一つ在ればその存在を一層際立たせる事にもなろう】
【クツリ、と笑みを見せる表情には未だ幼さが覗く。けれど、少女自体は悪意を抱いて果たしてどれ程の時を生きたのか】
【古来より人間と対峙する存在。ただただ純粋な悪の塊】


「私にとって殺す事なんて呼吸と同じ自然な動作よ?一日に何回息を吸って吐いたか何て覚えていないのと同じで…………何人殺してしまったのか何てもう覚えて無いの
だけれど…………またこうして貴女と会ったのだから、少なくとも全部の人間を殺してしまった訳では無さそうね」

【罪の数なんて覚えていない。人は殺しても次を生み出すのだから何とも良い“暇潰し”だと言わんばかり】
【果たしてどれ程殺したのか。何度死んだのか。分からない――――分からない、が。其れでも貴女と会えたのだから世界を滅ぼす事はしていない様だと冗談でも付け加えて】
【近づくのは本当に自然な動作だ。悪意を含んだ訳でも無いのだから尚質の悪い】
【…………世界を混沌で満たすカノッサの者に己から近寄る者にまともな者が居る事を探す方が難しいけれど】



「良い夜ね、ダリア。こんな日は月から誰かが訪れてくれるのかしら?
――――それが私の退屈を紛らわせてくれるならば良いの。もしも詰まらないなら……私が楽しくさせるだけだけど

そして久しぶりね、ダリア。フフ……何時振りかしら?時間の流れだとか、そんな物はずっと昔に忘れてしまったから分からないけれど
お暇でしたら一緒にお話ししましょうか、カノッサさん。下らない話でも、何でも良いのよ?」

【拒む事が無いならば、その足は女性から数歩分の距離を空けて止まるのだろう】
【殺すだとか、死ぬだとか。――――その外見に合わぬ言葉をさも自然に言葉の内に加えるのだからやはり歪な存在だ】
【止まれば外見の歳相応な無垢な笑みと共に小首を傾げるが…………其れだって、この少女が行えば不吉な何かを感じ取らせる仕草】

【――――然れど。カノッサに属する者とて“まとも”では無いであろう。ましてや以前共に紅茶を啜ったのならば】
【からかう様な其れでも無く、純粋に良い相手だと認識しているからこその表情】
【其れにどう返すか、其れは勿論女性次第であって】
73 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/11(月) 00:36:13.00 ID:KeSY0oyf0
>>70
・・・・・・ご飯!
お肉、たべたい!

【何がしたいと聞かれれば、思いつくのはやはり飯】
【ご飯がほしいと叫ぶと同時に、ぎゅるるるるるとお腹がなって】
【骨身が見えそうなほどやせた体に鳴るおなか、空腹の程は簡単に察せるだろう】

ご飯食べたら、友達!
だいじな友達、ほしいの

【次に思いついたのは安全な寝床でもお風呂でもなく、友人】
【こんな格好では誰かに話しかけようとしても、まともに相手してくれる人はほとんど居ない】
【どれぐらいの間ふらふらさまよっていたのかは分からないが、公園で本を読む魔女に飛びつくほどだ】
【明るく振舞うが、少女の孤独はかなりのものだったのだろう】
【魔女が少女をどう思っていようが、少女にとって魔女は自分と会話してくれる初めての人。大切な存在だ】

【名前―――少し考えて、かすかに残る記憶をあさって拾い上げたのは】

ネモ・・・・・・ネモ・アーネスト。
たぶん、そう呼ばれてた。

【少し自信なさげにそう言って。名前ですらあいまいらしい】

名前、覚えた。
よろしくロザリンド!

【ぺこりとお辞儀をした後に、握手を求めて手を差し出した】
74 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/11(月) 00:37:30.23 ID:KeSY0oyf0
>>70
//何時まで大丈夫でしょうか?
//私はいつまででも大丈夫ですよー
75 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/11(月) 01:01:10.87 ID:0+2mkTzO0
>>71

【そんなことを言われたって少女の表情は変わらなかった、怯えたような、嫌味めいた、それでいて、どこかで(期待したような)】
【どちらにせよ引きつって歪んだ表情であるのには変わりないのだが。それが、ふっと、――今度は明確に、変わって】

死んだ姉に会えるかと思ったらね。キミのことを考えてる場合じゃないと思わないかい?
十年ぶりなのだよ、積もる話もあるのだし――ねえ、

【なぜだか笑う。男を小ばかにしたような、そんなものだったが――紡ぐ言葉だって、彼を煽るようであって】
【今にでも殺されるかもしれないのにキミのことは考えてないだなんて。あまりにもおふざけな、少女の言葉は】
【死んだ姉に逢える。その感情だけは嘘じゃなかった、だから、死んでもいいとは――言い切れなかったけれど、】
【死んだらバッドエンドかってそうではない。姉に逢えるかもしれないなら、――悪いことだけでは、ない気がしたから】

【――訝しげな視線が蛇に向く。それも当然だろう、まさか、王子様のように守ってくれる蛇が居るなんて思えずに】
【また足が半歩分下がって体が引かれる、それと同時だ、がしゃん!と鳴る音、――それこそ、件の冷蔵庫の陰から、鳴り響いて】
【それはちょうどギロチンの刃が蛇を狙った瞬間と同じでもあって。現れた影は、――ふわりと風の寵愛を受けたように靡かせる】

【明るい紫に淡く輝く、“魔力で編んだ”ローブ。身体に比べていくらか大きいなら、闖入者の顔は隠されて】
【それがふわふわと風に靡いて揺らぐ、けれど、その向こう側にあるのは。ひどく華奢に思えた、それは、きっと、錯覚じゃなく】

【ついと指先が虚空を引く、空間に残される軌跡は桜色と紫色の混じる魔力の色、描き出すのは、魔術の式】
【まるで蛇のように空間をのたくると地面に潜りこんで――数秒のラグの後に、彼の足元に現れるのは、“強い魔力の気配”】
【明確に何か仕掛けてきた証拠から害意が湧いてくるのは数瞬後のことだ、それは、まるで木の成長を早送りするような】
【まずは芽が出て、枝が伸び、先端から分かれ、“凄まじい速度で伸びていく魔力の木”。それが、彼の足元から生えてくる】

【放っておいたなら枝でその身体を捕まえて数メートル上まで攫おうとするような攻撃だ。直接的な威力は、ないにしても】
【がさがさと細かな枝は掴まってしまうと逃げづらい。それなら有効的なのは、木が伸びる前に、反射的に避けてしまうこと】

【――それで、もしも、迫るギロチンの刃が止められるなら。助けられる命はふたつになる、ひとつは、助けると決めたけど】

「――こっち、!」

【彼が木に対してどんな行動をとるのは。それとは関係なく、現れた紫ローブは、悪い足場の中を少女へと駆け寄って】
【続く行動は、無理やり手を掴んでからの逃走だった。半ばひったくるようにして、ふたりで逃げ出そうとする、その背中】

【――例えば彼が容易く木など対処してしまって、すぐに攻撃に移れるなら。その背中は、ひどく無防備に見えた】
76 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/11(月) 01:03:32.91 ID:ACg9McPA0
>>73

わかったわ。とは言え、そんな格好じゃお店には断られてしまうかも。
せめて手鎖と足かせを外せば……いえ、それでも厳しいわね。

【改めて少女の姿を検分するが――やはり「公共」の枕詞がつく場所には連れ歩けそうにない】
【かと言って、そこらで弁当を買ってきて食べさせるというのも如何なものだろうか】

【ロザリンドには、ネモを無視する権利もあった】
【だがそれを投げうった以上は、できるだけのことはやらねばならない。そう、善意と使命感が釘を刺してくる】

……仕方ない。ネモ・アーネスト、あなたを私の「お屋敷」に招待するわ。これは特別よ。
そうね――友達じゃなければ、絶対に自分から呼んだりはしないんだから。

【つい最近、初めての友人ができたばかりだというのに、良くもこんなことを言うものだと自嘲しつつも】
【努めて柔らかく微笑み、ロザリンドはネモを自宅に招こうとするだろう】
【ご飯を与えれば、次は寝床、風呂、衣装、と積んでいたスタックを解決していく必要がある】
【だから、それをまとめて提供しようと言うのだ】

嫌なら、無理には連れていかないけれど……どうかしら?

(名前はある、か。それでこの酷い扱いって、何かにおうわね)
(辺境の奴隷商人か、或いは『機関』の連中か――だったら、なおさら放っておけないわ)

【ネモが提案に答えるまでの間、ロザリンドは本を小脇に抱えた状態で、ネモの身体を注視し続ける】
【自分が使い古した衣服をこの娘に着せられるかどうか】
【そして、この鎖と手錠が外すことのできるもであるか否かを、判断しようとしているのだ】

//自分は三時ぐらいまでならロールを続けられます。それ以降は持ち越しか、適当なところで切る形になりますね
77 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/11(月) 01:14:19.76 ID:HXlZvi++o
【深い木々に覆われた1つの廃墟】
【瓦礫に塗れたその中に欠けた十字架が在るという事はここは教会だったのだろう】
【今や神の社に並ぶ者は無く彼らを守っていたのだろう天井さえも朽ちてしとしと雨が流れている】

【残骸と化した扉を潜ったなら苔むしたレンガと蔦の絡まっている信者達の為の椅子】
【中央を見上げたならば神を形取る彫像は今や見る影もなく汚れていた、だがそれでも縋る者はいるのだろう】
【彫像の前に跪く人影、揺れ動く影はどこか不安定で】

……………………

【もし誰かが入ってきたのならばカチャリという鎧が触れ合う音と共に影は立ち上がりそちらに向かう】

【纏う鎧に芸術品としての華美な装飾はない、ただ軍場で相手を屠る為だけに特化した装備】
【フルプレートの鎧はかつては祝福を受けていたのだろう残滓を匂わせるが、今や黒く染まり呪われている】
【一挙動毎に鎧の隙間から粘液に覆われたヒルのような形を持った呪いを落とし地面を「腐食」する】

【瞳を伺う事は出来ない、力ない腕で支える剣にかつての輝きはない】

【都市から離れたこの土地で時折人が襲われるという】
【襲われた人は全て火傷のように黒く皮膚が爛れ、そして黒い影を見たと口を揃え事切れる】
【周辺の組織から討伐の依頼も出ているだろう、それでも尚騎士が現存しているという事は相応の力が在るという事に他ならない】
【――――――だが、騎士にとって全ては些事でしかない、未だ身体が動く内呪いを吐き出すだけなのだから】

【現れるのが敵ならば当然、敵でないならば関係無く……ただ切り崩すだけ】
【誘われる者がいないならば、誰への物かも忘れた祈りを騎士は続けるだけだろう】
78 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/11(月) 01:29:03.27 ID:KeSY0oyf0
>>76
友達・・・・・・

【その言葉は甘美に少女に響いた】
【ロザリンドは自分とはじめて会話してくれただけでなく、友達だとまで言ってくれる】

うん、行く!

【ぶんぶんと首を縦に振って、ロザリンドの手を掴んで】
【少女はロザリンドがどうかしらと言い切る前に返答した】
【ロザリンドが友達といったそのときから少女の口元は緩みっぱなしで、ニコニコと笑顔が絶えない】
【ただ友達ができたことひたすら嬉しいといった様子】
【手を掴む力は強く、初めてできた友達を離すものかという意思が伝わるだろうか】

【ネモの体は小さく、やせ細っている。と言っても慎重は140〜150ほどで、やせているにしても古着を着せるには問題ないだろう】
【手からぶら下がるちぎれた手錠と足枷。二つは力まかせに壊された後が見て取れる】
【鍵なんてものはなさそうだ。力任せで壊すにしても、中々頑丈そう。】
【そして手錠には、機関を敵視するものであれば無視できない情報があった】
【機関を示す六亡星が描かれていたのだ】
79 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/11(月) 01:33:17.77 ID:KeSY0oyf0
>>76
//了解しましたー。三時までにキリがいいところができましたらそこで
//まだまだ続くようでしたら凍結でお願いします
80 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/11(月) 01:43:54.44 ID:4pTBj2jy0
>>72

「……賭けとしちゃ、それなりに面白そうだと思ったんだけどなぁ。
 まいいや、見てはなかっただろうし、面白そうなのがあるかだけでも“看”てみてよ。

 確実なもので468人――――あの夜から昨日までで熄してみた命の数。
“巻き込まれた”だけの人間の悲劇の数も併せれば、そこから何倍かになるんじゃないのかな。
 それで、どう? 賭けにしてたらどうなってたか―――少しだけ興味あるんだけど、どっちが勝ててたかでも聞きたいね」

【就く席はなく、歩み寄る人外の影に一歩ばかりも後退る事無く視線を合わせて。少女のかたちをした“彼女”との賭けを、火の傍らで舞う様に鋭利さを秘めた、けれど気軽な言葉で問い掛けて】
【二ヶ月ばかりになるだろうか、それだけの期間で積み上げた骸の数は常軌を逸したものだった。或いはそこに、何か峻烈なものを感じ取ることも出来るのだろうが】

【当のダリアが興味を抱いたのは、任務と殺意の成果でなく永劫の“聴き手”。殺戮に何を見出すのかも、何を物語とするのかも普通のヒトとは違っていた】
【楽しそうだ―――犠牲と呪いとの物語、終わりの近い一幕を語る彼女に覚えた印象は、そう間違っていないのだろう】
【己とは比較にならないほど永く生きた一柱の魔族。生き飽きた、と言外に告げていたあの夜の邂逅を思い返す。 】

【その永き礎の如き歳月故に、少女は普通と “異なる” 己をあの破壊的な夜に見出し――――】
【その顛末から引き出した己の意思故に、ダリア・レオンフィールドは今、ここにいる。……そう、この夜に到った“今”を再認識する。】


「狩りの女神―――そんな伝承が多いんだったっけ?
 綺麗だけど血に染まる。戮す度に絶対的に、誰にも届かない域にまで高みへ上る。

 それって、この世の出来事でも同じなのかな?
 能力者による殺人だとか、仔を残して熄えてく羊の物語だとか。
 正義も悪も関わりなしに、“力” として生きてくだけで変化は起こるし――――
 生みだす数と戮す数、力の大小は “小さいもの” たちにはあたりまえの図式を逆転させる。

 そんな風にも思えるんだよね。
 誰かを救えば生まれるのなら、“あっち側” のヒトやヒト以外には別なんだろうけどさ」


【そんな風に自由になれば、この世の営みを想う。綺麗なモノを映しながら、血に染まった指先で天をなぞる。殺戮は己。けれど、そうでないものも何処かにはいる、のか―――?】

【魔物が獣性を増す夜。ヒトの或る種の営みが高まることも、またその逆であるとも聞く銀の夜。遠い物語でも、血の香りを感じられるほど近いものでも幾らでも榛色の彩りには映せる。 】
【語らいつつふとアリス越しに空を見遣れば、無垢なものを思わせる月が、水の鏡に面を向ける様天頂から覗いていて】
【……そこで、嘗て聞いた修道女の物語を思い出したのだろうか。終わりにつけ加えた言葉。その一言にどう答えても、きっとそんなアリスの言葉こそが望みなのだから彼女としては構わない様子で】
81 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)2014/08/11(月) 01:51:11.22 ID:f8ZPvbncO
>>75

【男の事を小馬鹿にして笑う少女に向かって男は不思議と苛つきや怒りの感情は湧き上がってこなかった】
【最期の最期のまで気丈に振る舞い誰の思い通りにならないようにするか弱い少女】
【その少女に対し男は強さすら感じていた】

あぁ、久々のいい夜だった…あばよガキ

【能力を発現して少女の首を刎ねる】

【男はそうするつもりだった】
【大きな音が響き男の動作が止まる】
【そして音の方へ目をやり、音の主をみる】
【風に靡くローブの主、少女とは違い明らかに能力者だと男は確信した】

【最初は自分に恨みがある能力者かとおもった、次にただの正義面した邪魔者か】
【だがそのどちらでもない】

【男の足場がぐらつき、体制を崩す】
【足元から木が伸び成長している】
【男はすかさず崩した体制でその場から跳躍し魔翌力の気配をしたエリアから逃れるが、崩した体制と悪い足場のせいで少女と紫ローブとの距離が離れてしまった】

【男の放つギロチンは地面に落ちきり、消滅する】

なんだなんだ!協力者かぁ?良いねぇ、まだまだ踊れそうじゃねぇか!

【突然の乱入者に対し男は声高らかに笑い逃げる二人を鋭い眼光で見つめる】

――火刑

【男がそういうと男の視線、丁度二人の足元がほのかに赤く発光する】
【男の言った言葉、そして足元は赤く発光する、これだけわかっているだけで『そこ』は危険だと理解は用意に理解できるだろう】
82 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/11(月) 01:59:28.13 ID:ACg9McPA0
>>78

ふふ。腐っても貴族の屋敷よ。きっと気に入るわ。
そうでなければ、広すぎてうんざりすることでしょうね。

【などと、軽口を叩きながら、ロザリンドはネモを自宅へと導こうと手をつないで歩き始めるだろう】

【道すがら、痛ましいネモの身体を精査した時に得た情報を反芻する】
【まず背格好のこと。これなら、自分が10か11歳ぐらいだった頃のお古を着せれば良い】
【矮躯≠ナはあれど、『病的』という程ではない。服のセンスは子供っぽくなるが、割りきって貰う】

【それ以上に問題なのは、手錠を観察している時に、「あの」呪縛めいた星の文様を見咎めたことだ】
【あからさま≠ネ刻印に、引き千切られた痕跡――推察するに、彼女がここにいるのは『事故』なのだろう】

(罠では無さそう。だけど、胸を撫で下ろすには早いわね)
(これはつまり、ネモを探している「飼い主」が居るかもしれないということ――)

【目の前のからっぽな少女に詰め込まなければいけないことがまた増えたと、ロザリンドは内心毒づいていた】
【物事を幼子へと噛んで含めるように話すのは、とにかく難しい】
【一人っ子を言い訳にしたくないが、子供がどこまで「わかっている」かが「わからない」のだ】


【そんな思春期の悩みはさておき、20分ほど歩き通すと、二人はロザリンドの私邸に到着するだろう】
【郊外の大通りに面したそれは、「屋敷」と聞いて想像するほどの規模ではない】
【だが、何世紀も前に流行した半木造の尖った屋根が特徴的な様式は、いま見ても品位を感じさせるものだ】

(実はこれ、百年前までは『別荘』だったとか言えないわね……あと庭の手入れがぜんぜん行き届いてないとか……うん、知らぬが仏よ)

……ちょっと迷うかもしれないけど、表玄関はこっちよ。足拭きマットを容易するからちょっと待ってて。
もうお腹ぺこぺこでしょう? 作りおきのカレーがあるから、すぐに温めてあげるわね。

【ネモが屋敷に入るまでの身支度を済ませたら、ロザリンドは居間へと彼女を案内する】
【一人で利用するには明らかにオーバーサイズなテーブルと、洒落ているが木目が削れた古臭い椅子が、あなたを迎えてくれるだろう】
83 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/11(月) 02:17:49.05 ID:qyLxVGqV0
>>80
「あら、それは分の悪い賭け事じゃ無いかしら。だって、貴女は其れだけ殺せて当然だと思って居たのでしょう?
だったら私は“殺せない”方に賭けるしか無かったのだもの。呼吸は無意識。殺してしまうのだって、無意識
だけど意識的に私が奪った数を思い出してみれば――――……5人、かしらね
貴女よりもずっと少ない数」

【五人。示された数は女性とは比較にならない程に少ない数。楽しむ事が出来た相手は五人だけ】
【今まで生きてきた中、擦れ違った人の事まで細かく覚えているのかと問われれば何一つとして答える事が出来ない】
【――――悪魔からすれば、其れと同じ事なのだろう。自らの手で殺めたとしても、其れは記憶にも残らぬ程どうでも良い人物ばかり】

【ならば、記憶に残されたその五人とは。この悪魔からして見れば“面白い”存在であったのだろう】
【ユラリと輪郭が不確かな物になったかと思えば…………其処に在るのは“黒い靄”だ】
【向こう側が見えない程にまで濃密な闇。或いは此も悪魔の正体の一つであるのかも知れず】



「自警団、騎士様、宗教家――――色々と楽しい人達が居たのよ。どれもみんなが愛しい愛しい存在を守る為に身を投げ出すような人達
手足をもがれてもお腹を割られてもずっと私の事を睨んでいたのだからとても面白かったの

悪魔を滅しようとする頼もしい教会は何処にでも居て…………その中で一つの集団が私を殺そうと迫ってくれたのだけど
――――結局、無意味。その人達では楽しいお話を一節も紡げそうに無かったけれど…………嗚呼、でもその中にイレギュラーが居たわね
精霊の力を使役する珍しい子が。逃がしてしまったから、詳しく知る事も出来なかったけれど」

【やがて何か形を形成したかと思えば、次には“少女”では無く“女性”がその場に居る事になる】
【数秒の内に成長した…………とも異なるが。何で有れ、以前だって見た光景なのだ】
【変わらぬ金色の髪。紅の双眸を歪めて作った笑みは、何処か悪戯っぽく】



「女神の矢からは逃れられない。女神の裸体を見た青年は動物に変えられてしまった。――――女神様なのに物騒よね?
月は不思議。安堵感と共に不安感も与えるのだから。唯一の光源で、其れこそが人の理性を狂わせる妖しい光、って

救い、とは何かしらね。苦悩から解放されるのが救いなのか、其れとも苦悩に満ちながら地べたを歩いて生を実感するのが救いなのかしら
ねえダリア。貴女の方が詳しそうね。貴女の手で誰かを救ってあげたならもしかしたら貴女も変わるのかもしれないわね
人って狭い足幅の橋を常に渡ってる様に不安定な生き物なのだから

――――尤も。貴女にとっての救いが困っている人の手を引いてあげる事なのか背中から蹴り飛ばして踏み殺す事なのかは分からないけれど」

【自分には救いだとかは分からない。ならば女性なりに救ってみて考えてみれば良い……なんて言葉】
【冗談か否かはその表情からは読み取れないし、元よりそんな性格なのだから気まぐれの言葉かも分からない】
【「面白いと思うわよ?」――――その言葉は女性にはどの様に聞こえるか】
84 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/11(月) 02:22:53.41 ID:KeSY0oyf0
>>82
【付いてく足はスキップ気味に上機嫌に。体全部でワクワクを表現して】
【刻印を見て変わる表情に、ネモは気づかず笑っているだけ】
【そうして20分後、到着したロザリンドの私邸】

わー・・・・・・

【一般人の考える屋敷としては規模が小さかろうが、少女からすればこの私邸で十二分に巨大であった】
【溢れる品位に縮こまり、口をぽっかり開けたまま動かなくなってしまった】
【ロザリンドにとっては手入れが行き届いていない庭も、少女にはそういうものなんだとして映り】
【庭にも感嘆の視線が送られている】

【声をかけられてはっと我を取り戻し、慌て気味に後を追う】
【脚を拭いて玄関を抜ければ、カレーという素敵な単語が】

カレー!?
やったぁ!!

【子供の好きな食べ物といえばカレー、それは少女も例外ではないみたいで】
【幼児のように飛び上がって喜ぶ少女の姿は可愛らしいと映るか、奇妙と映るかはその人しだい】
【ただ、手錠の六亡星が示すような『悪』には映らないはず】

【興奮冷めやらぬまま居間へ案内され、オーバーなテーブルにまた固まりかけたり】
【カレーの香りによだれをたらしそうになったりしてロザリンドを待った】
85 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/11(月) 02:24:46.23 ID:0+2mkTzO0
>>81

【――大きな音が聞こえた。でもあの辺りは野良犬が棲んでいたように思うから、近づくのかどうか、しばらく悩んで】
【犬の喧嘩ならぎゃんぎゃん聞こえてくるだろうとも思って耳を澄ませていたが、それもない。それなら、何だろうって】
【そうしてひょっこり覗いてみたのがさっきだ。そうしたら、ちっちゃな女の子と、追いかける男と、見えて】
【そこからまたもやしばらく悩んで、助けるって決めた。ふたりはたったそれだけの関係、まるで見ず知らずの、ふたりだけど】

【やるって決めたことはやりたい。そういう性格をしていた、だから、頑張るって、決めた】

【ざわっと夜に生えた木は桜色と紫色の混ざる混血、通常生え茂るようなそれとは、何もかもが違っていて】
【しばらくはがさがさと枝の擦れる音をさせて伸びていたが、三メートルほども伸びればそれも止まる、そうなれば、】
【ただ場面に増えた邪魔なオブジェクトでしかない。動きもしなければ何にもない、ただ、見ようによっては不気味な――それだけ】

【――なんとか助かったヤマカガシが瓦礫の隙間に逃げて見えなくなる、そこで、魔術的な使役の関係は断ち切られ】
【少しだけ喉がひりついていたようだったのも消える。あとは逃げるだけだって、ローブの下、乾いた唇を湿らせて】

待っ――、て、ッ、

「――、?」

【――たぶん、彼から見ればあまりにちぐはぐなふたりだったろう。片方は足が早くって、片方は足が遅くって、】
【何度も転びそうになりながら引き摺られてなんとか着いていく姿、もちろん、そんなのすぐに破綻するに決まっていて――】

【引き摺られる速度は少女にしてみればあり得ない速度だった。足場の悪いのも気にせず、跳ぶように走る“だれか”は】
【そしてそれについて行こうとすればするだけ足が絡まる、ましてすでに疲れきった後だ、障害物走なんて、とてもじゃないけど】
【音を上げてみるとふわっと振り返ったのが、こんな場にしては不釣合いで。がんばってなんて囁かれても、無理だと思った】

【はちきれそうに息をする少女の肩を撫でてやったところで闖入者の足は完全に止まる、少女を背に隠すようにして、】
【ゆっくり歩かせてやりながら、自分は彼のほうを見て。後ろ歩きしながら――彼の蹴破った入り口へ、少しずつ、歩みながら】

「ごめんね、邪魔されたくないの、――邪魔しないでくれる」

【鈴の音のような声だった。その声は夜の中に良く響いて、僅かな声量でも、きっちりと彼の元に言葉を届け】
【地面の赤くなるのを見れば、ととと……とその範囲から逃れる、それから、最初にしたように、虚空へと指先を伸ばし】
【きら、きら、魔力のきらめきを空中に引いて――けれど、まだ、何をするでもなかった】

【だから。彼女がしたのは赤い地面から逃れることだけ、赤くない部分の地面にも気をつけながら、ひとまずの様子見】
【――乱入なんてしてくる物好きだ。やっぱりというべきか、あの少女よりは――少なくとも、戦い方を知っているよう】
【だけど、ここで彼をどうにかしようと思っているわけではないらしく。必要以上に襲ってこないのが、その証明になるはず】

【(でも。ぱっと見の様子だけで、少女の味方をすると決めたのは、ちょっぴり考えが浅い部分もあるかもしれず)】
【(それまでの過程を無視して、弱そうなほうの味方になった。今回は、正解だったけれど――子供ぽいのが感じられ)】
86 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/11(月) 02:51:00.66 ID:ACg9McPA0
>>84

【実のところルーゼンホルト伯爵家は、既に没落して久しい家柄である】
【もはや増えることのない高価な調度品を後生大事に抱え、伝統ある装束を縫い直しながら着回し】
【虚飾と嗤われようとも祖先へ捧げ続けた一世紀に渡る敬意の結果として、この邸宅は存在している】

【だからロザリンドはこの家のアンバランスさを誇らしくさえ思っているのだが、人を招くかどうかは別だ】
【特に、手が回らないから放置しているだけの庭に憧憬の視線を注がれると、血が痒くなるような気さえする】


待たせたわね。そんなに上等なものじゃないけど、アツアツなのは保証するわ。

【そんな歯痒い思いも抱えつつ、ロザリンドは湯気が立ち上る皿と共にキッチンから戻ってきた】
【机の上に置かれた二皿のカレーは、具はシメジと皮付きの鶏肉だけというシンプルなものだ】
【しかし、型崩れするまでよく煮込まれた玉葱の旨味が、汁気の強いソースによく染みて】
【固めに炊いたご飯と良く合うように工夫されているため、見た目ほどの物足りなさは感じないはずだ】

(思えば、二人で夕食を取るのなんて半年ぶりぐらいかしら)
(お母様……私はいま貴族として、人として、見過ごすべきではない責務を果たしています)
(どうか、これからも見守っていてください――)

……いただきます。
さあ、ネモも遠慮しないで食べて頂戴。おかわりは一杯分ならあるわよ。

【そう言って、彼女はネモがカレーに手を付ける一部始終を見届ける】
【心配なのはこの味を気に入って貰えるかどうか、そして、彼女がスプーンを使いこなせるか=\―】
87 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)2014/08/11(月) 02:52:28.04 ID:24vPAMaNO
>>85

【地面が発光して2.3秒程だろうか、発光した地面からは大きな火柱が上がる】
【轟々と燃え盛る炎の柱はそこに立っていたら一溜まりもないという事を暗示させる】

【火柱が収まり、男はかつかつと靴音を鳴らしゆっくり近づいて行く】

――斬首刑・乙

【男の手に再び両手斧を模した大きなギロチン】
【それを地面に擦ってガラガラと音を鳴らしていく】

邪魔者はどっちだクソ野郎、まぁ俺は別にかまいやしねぇけどな

【ククク、と含み笑いをし、何やら指で何かをしている闖入者を見ると男は引きずっていたギロチンにぐっと力を込めた】

で、テメェはなんだ?何もんだ?何しにここにきやがった?それと――

【力を込めたギロチンの側面で人の背丈くらいはありそうな大きな瓦礫を闖入者に向かって弾き飛ばす】

俺の邪魔するってことは死ぬ覚悟はあるんだよな

【瓦礫はまっすぐ直線上にいる闖入者に向かっているのでよけることは用意だろう】
88 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/11(月) 03:12:24.55 ID:B1Y8ZO160
>>83

/っと、そちらは未だ大丈夫でしょうかっ…!
/もう少しで書き上げられそうなのですが、時間的には今日の夜以降か置きにその続きができれば…という感じなので、これ以上お待たせしてしまうのも…っ
89 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/11(月) 03:12:29.05 ID:KeSY0oyf0
>>86
【目の前に現れるカレー。まともなご飯などずっと食べていなかったのだろう】
【まるで宝物でも見るような視線でカレーを眺める】
【実際、少女にはカレーが宝石なんかよりも輝いて見えていた】

いただき、ます!

【と、手を合せて。礼儀作法はなんとか覚えているらしい】
【そして少女はスプーンを掴む。この様子ならばスプーンは使えるか・・・・・・と思うのだが】
【逆手に持つという持ち方からしておかしいし、一口にたくさん食べようとたくさんすくってこぼれそうになるし】
【まったく使えていないというわけではないが、扱いが非常に下手糞だ】

【それでもなんとか口に運ぶことはできた。少女のカレーの一口目が入り】

・・・・・・〜〜〜っ!!

【目をぱちくりさせて、口に手を当てて唸る。】
【そして二口目、三口目、一言も発することもなく無我夢中で食べ続け、あっという間に平らげてしまった】

おいしい・・・・・・こんなの、初めて食べた・・・・・・

【久方ぶりのカレーは特別な味がしたのだろう。あまりの感動に涙すら出て】
【・・・・・・と、このようにカレーの味は非常に気に入っているのだが】
【机を見ればカレーの雫がぽつぽつと。あのようなスプーンの使い方をしたせいでこぼれまくっている】

//いったんここで凍結でしょうか?
90 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/11(月) 03:16:05.73 ID:qyLxVGqV0
>>88
/自分は今週一週間は休みなので大丈夫でありますよっ
/ただ、ダリアさんの方のご都合等もあるかと思いますので以降は置きレスでのんびりと……といった形でも宜しかったでしょうかっ!
91 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/11(月) 03:18:34.02 ID:0+2mkTzO0
>>87

【ごうと吹き上がる炎の柱、離れたはずなのににじり寄ってくる暑さ、指先がほんの少しだけ、深く被るフードを持ち上げて】
【ひゃあ、なんて風に見るのだった。――少女よりは戦い方を知っている、けれど、(もしかして、戦い慣れてない?)】

【そのときに見えたのは黒色と赤色の瞳だ。まるで蛇のようにまん丸で、煌いて、真っ白の肌を炎の赤が照らし込んで】
【数秒するとフードは元に戻される。見えにくいはずだけれど――顔をあんまり見せたくないのか。ぎゅっと布地を握り締め】
【首元のリボンをぎゅっと結びなおして脱げてしまわないようにする。その下に覗くのは、ふわふわした可愛らしい服】

あなたに教えてあげる名前なんてないの、それに、わたし、ただの通りすがりだし――……、
……うるさいから来てみただけ、そしたら、女の子虐めてたから、助けてあげるだけ……、

【――こちらもまた少女なのだった。それが分かってくると、なんだか残念に思われるかもしれないけれど、】
【そして、勿忘草色の瞳の少女よりも言葉の端っこが弱いのが特徴的だった。金属質な声は、ただ、あの子よりも可愛げがある】

……――わたしのこころまで殺せるひとは世界中にひとりしか居ないの、そして、そのひとはもうどこにも居ない。

【空中に文字でも書くかのようだった。きらりきらり、妖精が舞って行くような軌跡、それが、ふと、ぶつぶつと切れ】
【長い一本だったのが短い五本ほどの線になる。それが、くるりと宙で一回転、頭(?)を彼のほうに向けると、狙いを定め】

【――とん、と駆け出す、その仕草に付随する、五本の線。すれ違いざまに瓦礫を避けて、線も避けて、駆け抜けて】

はやく逃げて!

【ばかみたいに一瞬だけ男へ背中を向けて声を投げる、そうして確認した少女は、入り口をぎいと押しあけたところで】
【一瞬だけ振り向いたけれど。そのままどこかへと逃げていく。今すぐなら、追いかけられるだろうけれど――】
【――それをさせてくれないのは分かりきったこと。鮮やかな紫色をはためかせて、彼女は一度、身体をくるりと返し】

――だから殺させない、殺させてあげない、わたし、家に帰ってペットにごはん、あげなくちゃいけないのッ!

【身体に沿ってはためくローブの中で桜色が煌いたのに気付けただろうか。それは、まるで刀のようにすうと伸びて】
【身体を前に戻す、その瞬間。まるで間違えた居合いのよう、真っ直ぐに――嘘みたいに真っ直ぐに、彼へと投擲される】
【形だけなら一振りの刀をそっくり模倣したような代物だ。ただ違うのは、それが桜色/紫色の魔力であることと、】

【――その刀身に薄桜色に透き通る液体を纏っていることだ。当然、武器が纏うモノ、“良いモノ”であるわけがないはずと】
【考えられるなら――その正体は強い酸性の液体である。もしその刃に身を切られたなら、その傷口は酸性でじくじくと焼かれる】
【そんな仕組みの攻撃。でもそれは真っ直ぐな軌道、それに、長いなら。バランスを崩すことも簡単なはず】

【紫ローブの少女が佇むのは、彼から数十歩のところ。遠すぎもしないが、近すぎもない。触れるには幾分難しい位置で】
【空中に浮ぶ線をまるで先ほど従えていた蛇みたいにして。魔力を身体に満たして――ほんの一瞬、彼を待った】
92 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/11(月) 03:23:38.54 ID:B1Y8ZO160
>>90
/こちらは今日の夜なら21〜22時くらいには再開できそうなのですが、置きでも全然大丈夫ですっ
/なので続きの方式に関してはお任せできたら、と。昼ごろにも少しだけ時間が空くので、此方の次のレスがその頃に、でも構わないならとても助かるのですが…返す先を含めて、どうしましょうかっ
93 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/11(月) 03:31:43.75 ID:qyLxVGqV0
>>92
/でしたら今日の22時辺りから再開して、続く場合は置きレス移行といった形式でっ!
/お昼からはちょっと所用で出掛けなければいけない為、お返しするのが難しいかもしれません……申し訳無いのです……
94 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/11(月) 03:35:14.76 ID:B1Y8ZO160
>>93
/了解です、ありがとうございますっ…!
/お昼ごろはこちらも最後の仕上げをして、書き込んで…というくらいのヒマしかなさそうなので、22時くらいの再開がありがたかったですよー。それでは、一旦お疲れ様でしたっ!
95 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/11(月) 03:43:13.77 ID:qyLxVGqV0
>>94
/こちらも把握でありますよっ!お疲れ様でありましたーっ!
96 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)2014/08/11(月) 03:45:34.26 ID:MaggwVDlO
>>91

チッ…!またガキかよ

【少しだけ見えた闖入者の顔を見て舌打ちと不満を漏らす】

あーわかったわかった、正義の味方ごっこがやりてぇならせいぜいあの世でやってな

【手に持っているギロチンで投擲されたものを弾く】
【刀身に触れてはならない、本能的にそう察知し出来るだけ触れぬように注意を払いながら】
【だが足場が悪いせいもあってか次第に男のバランスが崩れていく】

【だが男は含み笑いをやめず呟く】

――斬首刑・甲

【男は両手斧を模したギロチンを出したまま少し遠くにある男が入ってきた入り口にギロチンを落とした】
【入り口はギロチンにより崩れた瓦礫が積み重なり瓦礫をどかすか、無理やり登るほか通ることは困難となった】

これで出れなくなっちまったがどうする?腹ぁくくってここで死ぬかぁ?はーははは…!

【そして男の狙いはもう一つ、注意を引くこと】
【あれだけ少女を逃がそうとしているのだ、少女の方で何かあれば隙ができると踏んでいる】

【しかし男は知らない】
【この場所には男の入れない入り口がある事を】
97 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/11(月) 04:22:48.24 ID:0+2mkTzO0
>>96

そうだよ、ごっこなの。ごっこだけど……、……わたしは、これがしたいの。
駄目って言わせない、今までの分だけ、助けるって――決めたんだから。

【きぃん、甲高い音で刀は弾かれて素っ頓狂に飛んで行く。やがて落ちた場所で、錆びた電子レンジに突き立って】
【じわじわと錆びた脆さを切りながら傾いて――最後、ぱったりと倒れて。それが合図だったみたいに、はらりと崩壊する】
【桜の花が散るように崩壊した刀は、後には何も残さない。ただ魔力の――澄んだ水の匂いを残して、それだけ】

【――そんな人物の背後でがしゃんと耳障りな音がする、反射的に振り返った隙、ただそれを埋めるように五本の線が踊って】
【崩れた入り口を視線は見やる。けれど、ヤバいとか、どうしようとか、そんなことは思わなかった。ただ思ったのは】
【あの子はちゃんと向こう側に逃げたらしいということぐらい。どうしてかって――それは、ただ、自信過剰なわけではなく】

どうしてもって言うなら殺してあげる……――、けど。

【ついっと右手を持ち上げて彼を指し示す、そうすると、宙を泳いでいた魔力の線が、我先にと飛び出して】
【ぴょいぴょいと口を開けるみたいにして飛びかかってくる、その仕草は、それこそ蛇みたい。けれど、これらは毒もなく】
【咬まれたとしてもちょっとした注射みたいな痛みしかない。付加効果も何もない、ちょっぴり意識を逸らせるか、程度】

【それよりも気になるのは彼の攻撃範囲。自分を跳び越えて入り口を壊せるなら、その場から自分を狙えるんじゃないかって】
【フードの陰で細めた眼は、ただ、それをしてこないなら出来ない・しないんだろうと信用をくれてやるに留まって。一瞬、】

……出られないのはあなただけだもん、わたしはね、普通に出られるよ。
それとも……壊して出て行くのかな、――どっちでもいい、けど。

【そして軽い声で教えてあげるのだ、あの子は逃げたし、自分は帰れる、だからそれは無駄なことだった、って】
【いっそ自分の出入り口をなくしただけだとも。でもそういいきるには、彼女だって犬穴の存在は知らないはずなのに】
【そもそも、あれは金髪の少女が百四十二センチなんて小柄だったから通れただけ。この少女には、使えないもの】

――別にね、誰が誰を殺そうとしてもいいって思うの。どうでもいいよ、そういうの……わたしだって、そうだったもの。
でももうやめたの、殺しただけ助けるって決めたの、……だから、わたしの前で殺るのは駄目。許してあげない。

【かちゃりとごみ屑を踏みつけて一歩、二歩。彼との距離を保ったまま、数歩分、彼女は横へ歩いてみせて】
【フードの落とす影の中でもきらきらとする瞳が真っ直ぐに彼を見つめていた、その挙動に気を配って、】
【でも、お話しようって誘うみたいに――彼女の目的は戦闘自体ではないから、それでもいいのだった】

【――許すとか、許さないとか。彼女にそれを決める権利なんてないのに、ないから、捻じ曲げてみせる】
【我侭で自分勝手な正義ごっこ。それが彼女がいましていることで、たったそれだけの理由で、彼の前に立ちはだかって】

【(時間が稼げれば十分。そんな風に考えていた、或いは、甘いのかもしれないけれど――)】
98 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)2014/08/11(月) 07:53:15.22 ID:/5RAxOrbO
>>97

【飛びかかってくる魔翌力の線を手に持つギロチンで幾つかなぎ払う、がついに足場の方が耐えきれなくなり男のバランスが崩れた】

チッ…!

【舌打ちを漏らしけして多くはない量の魔翌力の線を腕に受けた】

【最初は毒かと思った、だが異変やそんな様子もない】
【痛みもこの程度、男にとっては虫刺され程度の痛み】

テメェ…舐めてんのか

【男からは今までよりもずっと強い殺意が溢れる】

あぁ?テメェがここから出ていけるだと?ハッ…!
ずいぶんとおめでたい頭してやがるな

【別の道がある、そう聞いたが別に男には関係のない】
【元々逃げるよりも前に追いつけばいいだけ、最初から単純な鬼ごっこなのだ】
【攻略法のないゲームほど興ざめするものはない】

【だが今目の前に立ちはだかる闖入者とは違う】
【時間稼ぎが、はたまた本気で自分に勝つ気でいるのか】
【なんにせよ男が彼女に思う事は――】

どうでも良いんだよ、俺の好きなように生きて好きなように殺してんだ、テメェごときクソガキに許すとか許されるとかそういう話じゃねぇんだよ!

【彼女の目には信念、覚悟、それに準ずるものを感じた】
【それがより一層男の苛立ちを高めた】

【男は前に向かって片腕を差し出す】

――絞首刑

【男の手からは荒縄が具現し端から意思を持ったかのように伸びていく】
【真っ直ぐ伸びて、向かう先は彼女にではなく少女の方向】

【彼女の目は男には持っていないものがある目だ】
【それが男には気に入らない】

うぜぇ…その目、その目で俺を見てんじゃねぇぞクソガキがぁ!

【正義の味方をしたい彼女はどう出るか、少女を荒縄から守りにいくか、それとも男に向かう】
【どちらにせよ関係はない】
【伸びていく荒縄はブラフ、彼女が少女を守ろうと何かしようものならば彼女に縛りあげようとするだろうし、彼女が何もしなければそのまま少女の方へ…】
99 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/11(月) 09:23:48.74 ID:95u1fly7o
【昼の国・海に望む草原】

【端は切り立った断崖となったその場所を、一人の大男が歩いていた】
【背は180cm程度だがローブの上からでも分かるほどに体を鍛えあげており】
【艶やかな黒髪と、厳めしい顔つきとが、実に近寄りがたい雰囲気を醸し出している】

【だが徐に取り出した聖書と彼の服を見れば、その職業はわかるはずで】
【手元の本を用いた魔術を見ればまた、力のほども知れるはずだった】

……ふむ、約定の時間まではまだしばらくあるな
しばし此処で体を動かして行く、か……。

【本をしまえば代わりに持つのは召喚した槍。3mほどもある重たげなそれを持ち上げると】
【彼はぐォん、とそれを一振りし、さらに一つ、もう一つと大槍を演武の如く振るっていく】

【彼より背の高いものなど、少し先にある教会くらい、
というような草原地帯だ】
【誰かが朝の散歩にでも来たのなら、その姿はさぞ目立つことであろう】

/少々反応が安定しないかもしれませんが、よろしければ〜
100 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/11(月) 10:26:41.00 ID:vQXL4Wr10
>>99
//まだいらっしゃいますかー?
101 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/11(月) 10:29:19.31 ID:95u1fly7o
>>100
/居りますよ〜
/ただ今からご飯なので、ちょっと反応遅れちゃいますがよろしければっ!
102 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/11(月) 10:56:07.28 ID:vQXL4Wr10
>>99
【格闘家も見劣りする程に鍛えられた肉体、鷹のように鋭い眼光、厳めしい表情……】
【確かに彼は、赤の他人には近寄りがたい雰囲気や威圧感を醸し出している。だが】
【それは「赤の他人」の話。他人どころか家族、それも彼の子供だとすれば―――?】

【―――こうなるわけだ】

―――あ、おとーさん!

【彼の姿を見るなり、威圧感に気圧されるどころか其方へ向かって元気に駆け出す少女。】
【マリンブルーの澄んだ瞳を持ち、麦わら帽子の下から伸びるポニーテールにした鮮やかな赤髪は夏の日差しに映えて】
【きっとよく外で遊ぶからなのだろう、肌は小麦色に日焼けをしている。少し動けばTシャツの袖が少し捲れて、日焼け跡もはっきりと見えようか】
【穿いているのは半ズボン、というよりホットパンツに近い感じ。元々傷んだデニムのジーンズだったものを母親が仕立て直したなんて裏話もあったり】

【草原には何も無いのだから、彼に向かって一直線。小さな体を目いっぱい使って駆け寄り】
【やがて槍の鍛錬をしている彼に辿り着いたなら、暫くその槍の動きを目を輝かせながら眺めて】
【一瞥されれば、きっと無邪気な笑顔を彼に贈るに違いない―――】

おとーさん、おどってるみたいだね!えーっと……あんまりうまく言えないけど、かっこいい!
えっと、その槍って重い?ティアもおとーさんみたいに出来るかな?


【輝く眼差しに満ちるのは格好良い父への憧れと尊敬。幼いが故にそれを上手く言葉では表現できないけれど】
【……当然、子供はそんな親の姿に憧れる訳で。――少女は「自分もやってみたい」なんて言うのだった。】
【当然の事ながら3mもの槍は非常に重い筈。とても小さな少女には扱える筈はないのだが―――】

//遅れる事も了解です!それではお願いします!
103 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/11(月) 11:51:19.91 ID:95u1fly7o
>>102

(…………――――――……ん、…?)

【降り注ぐ陽光の中、槍を縦に、横に、或いは円を描くように降るって行く】
【だがその最中、聞こえる声と気配に気付かぬ男でもない。槍を振るう手こそ止めなかったが】
【やがてひとしきり演武が終わる頃、ピタリと止めた体の向きは少女の待つ方向で】

良し。……おはようティア、また外で遊んでいたのか?
元気なのは結構だが、あまり遠くまで行かんようにな。

【膝を地に付けて目線を合わせ、かける言葉はそんなお小言。もっともそれもいつものことで】
【手を伸ばして少女の頬を撫で、他者にはそう見せない微笑を浮かべるのを見れば、面倒な言葉でないのは分かるだろう】

【といってもその笑顔もちょっとしたことで変わるのが常。仕事が入ったり、客人だったり――】
【だが今は、単に難しいお願いをされて困り顔、というだけの話。知り合いがこれを見ればさぞ可笑しげな事だろうが】
【しばし悩んだ末、彼――フレデリックは豪槍をふと地面に横たえ、立ち上がって少しばかり離れると】

――重いとも、実に重い。単純に重量だけの話ではないのだが……それは置いておこうか。

ティア、持てるかどうか確かめてごらん。もしも私のようにそれを振るえたら
その時はお前にその槍、カテドラルをあげようじゃないか。……勿論、持ち上げるだけという冗談は無しだ

【そう、改めて微笑と共に返すのだった。――こういうことは、頭ごなしにどうこういうより】
【良い意味で身の程、というのを学ばせた方がいい。それが彼なりの育児方であった】

【当然ながら槍は重い。20kg近いそれは、大人でも満足に振るえるものは少ないはずであり】

【今もまたそれは同じ。重量を減らす魔法や仕掛けは無し。手助けは――すればむしろ怒られてしまうだろうし】
【だからフレデリックは離れて見るだけ。腕組みして向ける視線には、どこか優しい物が覗いていた】

/お待たせして申し訳ないっ、よろしくです!
104 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/11(月) 12:24:30.47 ID:vQXL4Wr10
>>103
//すみません、殆ど書き終えているのですが昼食に呼ばれてしまいました……!20分もすれば戻って直ぐに返せると思いますので!
105 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/11(月) 12:26:18.91 ID:95u1fly7o
>>104
/こちらもお待たせしてしまいましたしどうぞお気になさらず、のんびり待っております故!
106 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/11(月) 13:00:11.16 ID:vQXL4Wr10
>>103

うん!あのね、今日はおかあさんといっしょにお散歩してるの!
おかあさんも向こうにいるんだよ!とおくに行く時はおかあさんといっしょだからね、だからだいじょうぶなの!

【少女は暫くの間目をキラキラと輝かせて、彼の手で意志を持つかのように動く槍を眺めていたが】、
【やがてその手を止めて大きな体を屈めて目を合わせてくれたなら、ティアはパッと花が咲くように微笑む。】
【(いつもは自分より随分高い位置にある父親の目線。それが自分と同じ高さまでググッと下がってくれたのが嬉しかったらしい)】
【(そんな事でも喜ぶのかと思うかもしれないが―――子供とはそんな他愛のない事でも喜ぶものなのだ。)】

【頬に伸ばされた手の感触を心地良さそうに受けて、撫でられた猫みたいに目を細めるのも何時もの事。】
【何時もの事と言えば、時には子供が親に無茶な頼み事をして困らせるのも何時もの事だったりするわけで】
【今日もティアは「自分にも槍を扱えるか」なんて、無邪気さ故に無理難題をフレデリックに問うのだった―――】


【如何なる強者も戦いに於いてフレデリックの表情を変えるのは難しいというのに、娘はこうも簡単に彼を困り顔にさせてしまう。】
【やがて悩んだ彼は――――実際にティアに槍を持たせてみるのだった。】


ほんと!?持ち上げたらティアにくれるの!?やくそくだよ!えへへ、よーし……

【「確かめてごらん。」。その言葉を聞くなり、ティアは嬉しそうに声を弾ませて槍の方へと駆け寄って】
【好奇心に瞳を輝かせながら柄を小さな手でギュッと握り締めて、持ち上げようとする―――が】
【……当然だがびくともしない。この前ようやく10歳になったばかりの少女に、その槍はあまりにも重すぎた。】
【顔を真っ赤にして力を込めているが、動く気配すら無くて―――とうとう困り果てた顔をして、優しく見守っていた父に駆け寄って】

―――だめ……重すぎる……
うぅ……もっともっと大きくなったら、持ち上げられるようになるかな……?

ねぇ、どうすればおとうさんみたいになれるかな?
ティアもいつか、おとうさんやおかあさんみたいに誰かを守れる強くて格好良い人になりたい!

【心底悔しそうに、駄目だったと告げるのだった。きっとこれで、その槍を扱うにはまだ早いという事も身を以て理解した筈。】
【―――ところで、どうしてティアは槍を持ちたいと思ったのだろうか?】

【槍を持てるかと訊いた理由は、その後の言葉で分かるだろう。―――簡単な事、彼女は親に憧れていたのだ。】
【その強さを以て自分たちを護る父親の背中。その優しさを以て自分たちを育てる母親の姿。それを誰よりも見つめていたのは他ならぬ子供だ――】
【――だから、自分もそうなりたいと願う。その心は、きっと不思議な事ではない筈だ―――】

//お待たせしました!
107 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/11(月) 13:41:33.38 ID:95u1fly7o
>>106

む……そうだったか、マリアも向こうに。それならば安心だ
……ティア。私はちょっとした用があって、これからあの教会に行かねばならんのだ
それが終わったら、私もお前たちと一緒に行っても良いか?

【伸ばした手の先の感触と、少女の微笑みとに、フレデリックの表情に安心の色が混じる】
【加えて尋ねるのは一緒に散歩して良いかという、答えがわかっているようなもの】

【ただ、彼はいつも多忙だ。こうして自分から聞くことはあまりなくて】

【それから、少女が槍を持ち上げようとするのを見届ければ】
【『まだ任せられないな』と一言加えて、ひょいと豪槍を持ち上げるのだった】

……私のようになるよりは、マリアのようになってほしいものだが……。
だが、そうだな……強いていうならば、努力を忘れないことだ

私はお前くらいの頃から毎日2つのことを欠かさず続けてきた。
トレーニングと勉学だ。今もこうして体を動かしていたのは、まさにそれだな

といっても……お前にそれを押し付ける気はない。だが考えてもみろティア
どんな天才も、怠けたままでは努力を重ねた人間には勝てん。違うか?
……分かったら、まずはこの棒切れから始めるのだな

【フッ、と笑みを大きくして術を使う。召喚するのは本当にただの棒切れだ】
【長さは1mも無いだろう。ただ頑丈そうで手軽だから、修練にはうってつけ。】

【それをフレデリックは放って寄越すわけだが――無論、すべて彼のいう通りにする必要はない】
【というより、フレデリックも自分と同じようにはなってほしくない、とか言っていたはずだ】
【なにせ相手は少女。理想の女性こそ目標にしてほしいと、そういうわけなのだが】

【――ともあれ、彼に用があるのは忘れてはならないらしい。槍を術でしまえば、服をはためかせ】
【分厚く手の入った聖書を小脇に抱えて、小さく見える教会の方を向いた】
108 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/11(月) 14:19:06.40 ID:vQXL4Wr10
>>107

うん!えへへ、楽しみにしてるね!
えーっと、えーっと……だから、お仕事もがんばって!

【尋ねるまでも無い。一緒にという言葉を聞けば、ティアは一層嬉しそうな顔をして頷くに決まっていて】
【今はこの場に居ないマリアも、間違いなく断ることは無い筈だ。―――夫と子供と一緒に散歩するなんて、楽しいに決まっているもの。】
【教会に行く、となれば恐らく仕事なのだろう。何せ大司教なのだから、忙しくない筈はないというのは子供心にも分かっているようで】
【我が子の労いの言葉や笑顔は、これから頑張る彼へのエネルギーにもなるだろうか―――】


【自分ではびくともしなかった槍を軽々持ち上げる父。これが圧倒的な力の差か】
【そんな憧れの存在は、ふと笑ってアドバイスをする。……それも、自他に厳しい彼らしいアドバイスを。】
【端的に言えば、日々の鍛練を怠らない事。それが彼のようになるコツという事らしい―――】
【―――尤も、彼は自分よりマリアのような人になって欲しいと言うのだが。】

うー……おとうさんは、おかあさんみたいな人の方がいいの?
―――でもね、わたしはおとうさんみたいになりたいし、おかあさんみたいにもなりたいの。両方なの!
やさしくて、つよい人!ティアはそんな人になりたい!

だからね、いっぱいがんばって、いつかみんなを守れるような人になるの!
おとうさん、見ててね!たくさん「どりょく」して、いつか―――

―――おとうさんとおかあさんみたいな人になるから!

【―――そう。ティアの目標は、「両親」なのだ。強さと優しさを兼ね備えた人間こそ、彼女の目指す所だ。】
【父の持つ単純な力ではない揺るぎない強さ。母の持つ全てを包み込む優しさ。―――その両方を持ちうる人になりたい、と。】

【早速今し方貰ったばかりの棒切れで、槍術の真似事をする。―――此処で目を見張るべきは、その才能】
【非常に軽い棒切れとは言え、先程彼が行っていた演武と動きが瓜二つなのだ―――】
109 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/11(月) 14:46:23.62 ID:95u1fly7o
>>108

それは、まあ……私の中では、マリアが最も素晴らしい女性だからな。
娘のお前にも彼女を目標にしてほしいのは当然というものだ

……だが、うむ……そうだな…。或いはお前なら、なれるかも知れんな
なんなら其れの簡単な使い方だけでもこのあと教えてやろうか、ティア。
勉強に関しては……まあ、そこはマリアに一任した方が良さそうだが

【小さく息が零れる。その理由は、まさに少女の棒の扱い方にあった。動きの模倣は子供ならよくするだろうが】
【どうにもティアのそれは単純な真似を越えているように思えて――そういう溜め息だ】

【もしも妻である彼女の優しさと強さ、そして努力を怠らない天才、だとしたら。】
【――子供の行く末に期待してしまうのは、血縁も人格も関係なく共通らしく】
【どことなく満足げに微笑めば、フレデリックはいくつか言葉を告げて歩み始めるだろう】

【後で会おうとか、マリアによろしく、だとか。戻ってくるのはきっと三十分と経たない頃だ】

【それからはティアの行きたい場所に1日付き合って散歩するだろうし】
【求められれば厳格な教師にもなるだろう。魔術も武術も、こと努力した術においては自信がある男なのだ】
【それと、同行する最愛の人にもそうだが――些か過ぎるくらいに優しかった、というのも記しておくべきか。】

/少々短めですが、今日はこの辺りで失礼しますね。
/久々で上手くお相手出来ず申し訳ない!でも楽しかったです、それでは〜!
110 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/11(月) 15:27:08.73 ID:vQXL4Wr10
>>109

【別れ際に声を掛けられると、ティアは笑って頷く。「おとうさんもがんばってね!なんて言葉と共に】
【少しの間棒術の動きを止めて、教会へ向かって行く父に手を振り続けてたが―――やがて彼が教会の中に消えるのを見届ければ】
【暫く鍛錬の真似事を行ってから、草原の少し先に居るマリアの元へ駆け戻っていく―――】

【そして、その半時間程後。フレデリックが戻ってくれば、ティアは待ってましたとばかりに抱き付いて】
【それから大好きな両親と一緒にちょっとしたピクニックを満喫した。言うまでも無くティアは終始笑顔で】
【優しい両親と一日遊んで貰った事は、間違いなく楽しい思い出として彼女の記憶に刻み込まれたに違いない―――】

【マリアもまた楽しそうに微笑んでいた。勿論、その笑顔の理由は最愛の人が傍にいるからに他ならない】
【愛する夫や子供がこうして笑顔でいてくれる。これ以上の幸せがあるだろうか―――】


【楽しい時間はあっという間に過ぎるもの。日も傾いて家に帰れば、ティアはフレデリックに魔術を教えて貰ったりして】
【早速言われた通りに努力≠実践しているようだ。遠い目標に、いつか手を届かせる為に―――】

//はい、此方こそ楽しかったですよー!お付き合い頂き有難うございました!
111 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/11(月) 18:43:14.60 ID:0+2mkTzO0
>>98

【かぷりと噛み付いた線たちは振り払おうとすればすぐに振り払えて、そうでなくたって、すぐにぱらぱらと崩壊していく】
【そっと差し出したままの手越しにそれを見て、瞳を細めた。それは、男の発する殺意に向けて、警戒するように】
【でもこの少女からは殺意が感じられない。殺されるかもしれないのに、殺そうとしない、――でもそれは、あの少女とは違って】
【あれはそういった機会がなかったから、殺そうだなんてことを思いもしなかった。これは、殺そうという思考がある上で、それをしない】
【――そんな態度はそれだけで煽っているようにも見えるかもしれない。手抜きとか、ハンデとか、――そういう風にも見えたから】

そうなの、わたし、人間じゃないもの。だから、本当なら、許してあげるだなんて言えないの、きっとね。
でも、わたし、人間じゃないから。だから、本当なら、許してなんてもらえないこと、許してあげられるの、きっと。

今日は殺すの、許さないけど。……殺したいこと、許してあげる。わたしの友達にひどいことしないなら――。

【身体の後ろで腕を組むようにすると、ふわりとローブの布地が揺らぐ。非常に軽いものであるらしい、風によく靡いて】
【人間じゃない――と囁く声はどう聞いても人間のそれだ。少々金属質ではあったが、それがその証拠にはなりきらなくて】
【その音色で紡ぐ言葉は、どこか上から見たようなもので、そこは通り過ぎたと慈しむようでもあって、それならば】
【きっと苛立たせるに違いないのだった。――許すから今日はこれで駄目かなって、そんな風に傾げた首は、】

【しゃっと伸びる荒縄の動きを追いかけて動く、自分じゃないと気付く瞬間には、もう手が出ていて――】
【きらっと瞬いた魔力が荒縄の動きを真似するみたいにしゃっと伸びる、それは、今度こそすらっと蛇の姿を模倣して】
【荒縄の横っ面に噛み付いて、その身体越しに少女が引っ張って妨害する。――そのつもり、だった、】

きゃ……、

【その矛先が急に自分に向かうと驚いたような声がする。噛み付いた蛇ごと、遠くへと放り投げるような動作をしながらも、】
【捉え切れなかった縄の先端部に腕を掴まれる。しゅるしゅると巻きついてくる仕草は蛇に似て、でも、あの子たちより優しくない】
【――ぎちり、縄の軋む音。縛り付けられ腕の自由を奪われて、ほんの一拍。するりと地面から伸びてくるのは、水の蛇】
【薄桜色の液体で身体を構成された蛇は――がじりと縄に噛み付いてそれを溶かしていこうとする。でも、その瞬間は】
【どうしたって無防備になる、上手に動けないし、蛇に咬ませるために動いてはいけないし、――それなら、明確な隙】

【何にもなければ蛇はほんの数十秒ほどで縄を咬み切ってしまうだろう。その間、彼が何もしないとも、思えなくって】
112 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)2014/08/11(月) 19:27:32.36 ID:OiH8gyOgO
>>111

さっきから聞いてりゃごちゃごちゃごちゃごちゃと…

【荒縄で彼女の腕を縛りあげ、力任せに縄を引く】
【縛られた縄は肌に食い込み、其れ相応の苦痛はあるだろう】
【男は縄を引きながらゆっくりと彼女に近づいて行く】

【縄をなんとかしようとしているのはわかっている、だが男と彼女の間の距離は狭い】

――斬首刑・乙

【時間にして数秒だろうか、男は彼女の目前に立っている】

お友達なら後でそっちに送ってやっからよ――

【男の手には先程もよく見た大きなギロチン】
【それを男は天高らかに振り上げる】

――テメェはそろそろくたばれや

【ギロチンを振り落とすし彼女を断ち切ろうとする】

【このときに彼は少しばかり冷静ではなかった】
【男の能力なら近づかなくてもどうにかする術は存分にあった】
【近づく、という事はそれなりのリスクを払わなければならないよ】

【さらに言うならば男は冷静さを欠いている状況】
【『もう一人』の人物がいた事が頭から欠け落ち、その人物にとっては隙だらけと見えるだろう】
113 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/11(月) 20:00:40.98 ID:0+2mkTzO0
>>112

【上半身を縛り上げられれば息が少しだけ苦しくなる、薄ぺらい身体は、それだけ直にダメージを食らうよう】
【くふ、と、僅かに漏らした吐息が散って。それに、水の蛇が縄を齧る微かな音が、ひっそりと付け足され】
【でもそうこうしているうちに目の前に立たれる、あの少女ですら絶望した状況、彼女は、――】

……だから、わたしをちゃんと殺せるひとはひとりだけだって、言ったじゃない。

【――そう言い返して引かれた縄の動き、ぐっと抵抗するのだった。まだ殺されないって、宣言するみたいに】
【ギロチンが高く高く振り上げられる、ほんとうにその瞬間、ばらりと解ける縄は、水蛇の頑張りのしるし】
【とん、と爪先で地面を蹴っ飛ばす軽い音。動きは簡単、真っ直ぐ真っ直ぐ、砂浜で恋人にやるみたいに、抱きつこうとする挙動】
【もし受け入れてしまうなら――それこそ最愛のひとにやるみたいに抱き締めて、抱き締めて、――はらりと、フードが落ちこみ】

【ふわっと広がるのは長く、黒く、艶やかな髪だ。それと、色白の首筋がすらっとしているのが見えて、その細さも、また】
【武器も何も持たない特攻。それに見えた、だけれど実際は少しだけ違う、一番不意の打てる武器、それは、】

【――がぱ、と。嘘みたいに大きく開かれる口は稼動範囲の限界ぎりぎりまで、その艶めかしい赤さは、その首を狙って】
【鋭く尖った歯を首筋に深く深く突き立てようとするのだ、首の肉をそれこそ噛み千切ってやろうとするぐらいに、激しく】
【それだけじゃない。もし咬み付きを受け入れてしまったなら、――先の刀に染み出していた液体と似たような、】
【“酸性”を持つ唾液までもが攻撃になる。でも……例えば肉を深く抉ったり、骨まで溶かしたりするようなほどでは、なく】
【せいぜい皮膚の表面や肉を浅く焼かれる程度だろう。それだって、苦痛であることには変わりないけれど――】

【――元は近い距離を得意としていた、中距離だとか、離れて戦うのは、付け焼刃】
【こうやって近づいて咬み付いて駄目にしてやるのが常套手段。それを、彼は知らなかったけれど】
【躊躇いもなく飛びかかってくるのだから堪らない。動きは真っ直ぐだが早く正確。慣れている、それだけは、確かなことで】

【その後ろでローブの端っこがギロチンに巻き込まれて切り落とされた。はらりとばらけて消える、魔力の残滓になって】
【特攻めいた攻撃はもちろん隙も多い。無理やりに詰めた数センチの距離、だけど、対処のしようは――もちろん、あって】
114 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)2014/08/11(月) 20:54:44.49 ID:/qSYPZ6SO
>>113

【男の振り落としたギロチンは大きな音をたてて空を切り、彼女のローブを掠めた】

【意外、想像のしていなかった彼女の行動、それを防ぐ術はなく】
【容易く抱きつかれ、否、組みつかれた】

【組みつかれてわかる彼女の細さがわかる】
【破れかぶれの特攻かと思っていた】

【だが男に告げるのは本能か経験か】
【このままではまずい、と】

【彼女の口が大きく開き牙という方が正しいであろう歯を見たとき確信に変わった】

【少女が動くと同時に体を捻り首の代わり腕を差し出す】
【二の腕のあたりを噛みつかれる】
【噛みつき自体の苦痛とは別の違和感がでてくる】

【噛まれた方とは別の腕で彼女を振り払い噛まれた方の腕を抑える】

あ…!がっ…!クソッッ…たれがぁぁ!!

【男は目を見開い彼女を見る】

――火刑!

【彼女の足元が赤く発光する】
【だが男の狙いは攻撃ではなく彼女から自分を見えなくする事】

――銃殺刑

【男の手には拳銃、彼女に見えないように忍ばせる】
【避けるもそのままいる事も男の的になるだろう】

【が、男は片腕を負傷しておりろくに狙いつけられないであろう】
【冷静さを欠き、負傷している男の弾丸など1発当たるかどうかだろう】
【男の目は鋭く血走っている】
115 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/11(月) 21:06:31.84 ID:ILYoXFWsO
【深い木々に覆われた1つの廃墟】
【瓦礫に塗れたその中に欠けた十字架が在るという事はここは教会だったのだろう】
【今や神の社に並ぶ者は無く彼らを守っていたのだろう天井さえも朽ちてしとしと雨が流れている】

【残骸と化した扉を潜ったなら苔むしたレンガと蔦の絡まっている信者達の為の椅子】
【中央を見上げたならば神を形取る彫像は今や見る影もなく汚れていた、だがそれでも縋る者はいるのだろう】
【彫像の前に跪く人影、揺れ動く影はどこか不安定で】

……………………

【もし誰かが入ってきたのならばカチャリという鎧が触れ合う音と共に影は立ち上がりそちらに向かう】

【纏う鎧に芸術品としての華美な装飾はない、ただ軍場で相手を屠る為だけに特化した装備】
【フルプレートの鎧はかつては祝福を受けていたのだろう残滓を匂わせるが、今や黒く染まり呪われている】
【一挙動毎に鎧の隙間から粘液に覆われたヒルのような形を持った呪いを落とし地面を「腐食」する】

【瞳を伺う事は出来ない、力ない腕で支える剣にかつての輝きはない】

【都市から離れたこの土地で時折人が襲われるという】
【襲われた人は全て火傷のように黒く皮膚が爛れ、そして黒い影を見たと口を揃え事切れる】
【周辺の組織から討伐の依頼も出ているだろう、それでも尚騎士が現存しているという事は相応の力が在るという事に他ならない】
【――――――だが、騎士にとって全ては些事でしかない、未だ身体が動く内呪いを吐き出すだけなのだから】

【現れるのが敵ならば当然、敵でないならば関係無く……ただ切り崩すだけ】
【誘われる者がいないならば、誰への物かも忘れた祈りを騎士は続けるだけだろう】
116 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/11(月) 21:26:53.24 ID:ACg9McPA0
>>89

【ネモのスプーン捌きは、案の定と言ったところ】
【とは言え、それが「食器」であると分かってくれたのは十分に良い事だった】
【物事に宿る意味を理解しているならば、それは白痴というより、ただの無知】
【教える側からすれば、いくらでもやりようが有るという証明になる――】

ははん、貴族の娘にこんなことさせるなんてね。
あなたが物事をよく分かるようになったら、たっぷり借りを返して貰うわよ。

【ロザリンドは事前に用意していたボロ布で卓上を拭き、冗談めかしてぼやく】
【実際は、無駄に高まっていた自炊の技量を発揮する機会を得られたこともあり、そこまで悪い気はしていない】

……ねぇネモ、もうお腹いっぱいになったかしら?
もし大丈夫ならば、お風呂に入る前に話しておきたいことが有るわ。

【再度着席すると、まだ半分ほど残っているライスを行儀よく切り崩しながら】
【あっという間に食事を済ませた様子のネモに、満腹になったか――すなわち、少し込み入った話をする余裕ができたかと尋ねるだろう】
117 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/11(月) 21:29:04.13 ID:0+2mkTzO0
>>114

【まるで拘束具のようにがっちりと絡み付いてくる身体は、けれど、手折れそうに細く、華奢でもあって】
【蛇が獲物を絞め殺すみたいに――もう二度と離れないんじゃないかって思うぐらいに、両腕で彼を捕まえる】

【がぶり、がじり、どんな擬音でもいいけれど。明確に害意を以って、繰り出される攻撃】
【けど狙い通りには行かなかった。首を狙った攻撃は二の腕に標的をずらされて、それでも、歯に伝わる感覚は本物】
【眉間にまで皺を寄せて――そんな瞬間だけはあどけなさの残る顔つきも化物のよう、蛇のなり損ない、或いは取り憑かれたような】】

――ッ!

【そして振り払われるとなれば、ぱっと腕の力を抜いて。転がるように距離を取るのだろう、がらがらがらとひどい音はしたが】
【すぐに立ち上がるのを見れば対したダメージでもない。再び赤くなる地面に、――今度は避けるよりも、身体を隠すように】
【身体を引いてその範囲の後ろに隠れる、身体を潜める。見えなくなるのはお互い様という風に。そして、数秒】

【ぶわっと立ち上る炎が今度こそ視界を埋める。何も見えなくなって、焼けるような暑さが伝わって来る、その中で】

【――少女はしゅるりとローブを留めていたリボンを外す、そうして、ふわりと脱いでしまって】
【炎の柱が途切れるその瞬間。思い切り……思い切り、振りかぶって彼のほうへと勢いよく投げるのだろう】
【彼から見ればもう一度飛びかかってきたように見えるかもしれない。あくまで瞬間的な話、よく見ればすぐに分かる】
【そのローブの中に少女は居ない。例え銃弾を浴びせたところで悲鳴のひとつも上がらない、何の威力もない、行動】
【もし直撃すれば絡まったりするかもしれないが、それだけだ。そして、彼女が欲しいのは、視界や行動を奪えるその一瞬であって】

……――もういいかな、

【はためくローブの向こうに彼の血が付いた口元を拭って笑う少女の姿。伝説の中の吸血鬼みたい、告げる言葉はそれだけ】
【あの少女はもう逃げただろうと判断してのことか。時間は稼いだという風に、――少女は、左手に見につけた術式を、起動して】
【ぱっと舞い上がって踊るのは桜色と紫色の花弁、それと魔術式。くるりと、妖精が舞うように光が少女の周りを煌き揺れて】

じゃあね、ばいばい。

【ぎゃんと右腕を掠めて行った銃弾が血を散らす。それがぱっと夜を染めて、残すのは僅かの血色と、魔力の花弁】
【そして――ふつんと、まるで魔法みたいに消えてしまうのだ、転移の術式だと気付くのは、そう難しい話でもない】
【これが、自分だけは帰れる理由。初めから仕込まれた術式を持っていたから、でも、すぐに起動できないそれを、】
【時間を稼いで、それでいて発動できる瞬間を待っていた。そして選んだのは、互いに姿が見えなくなるこの瞬間】

【少女の姿が消えれば、ローブの方も魔力が崩壊してほどけていく、花弁も消えて、残すのは錆びた家電に落ちた血しぶき】
【ほんの消える瞬間に表情が驚きに支配されたような気がするか。――それは、ただ、彼女が銃を怖いと思う、それだけのお話】

【――誰も居なくなってしまった。金髪の少女も、黒髪の少女も。前者はもうどこぞに逃げて、後者も、きっとおなじ】
【追いかけることももう難しいだろう、名乗りもしなかった失礼な少女たち。ただ、顔をしっかり覚えていたりするならば】
【いつか再びまみえるのかもしれない。この世界は存外狭いから――その可能性がないとは、誰も言い切れなくて】
118 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/11(月) 21:40:31.79 ID:eJPQco8bo
>>115

【──ぎぃ、と、最早扉の体を為さない扉が開かれる】


 ……。


【黒のショートカットに、黒の瞳。 黒のシャツに黒のミニスカート、同色の膝丈までのソックス】
【兎に角、黒ずくめの少女だ。──腰に巻いたベルトのホルスターには、二丁の着剣拳銃が差し込まれている】

【偶々、通り掛かった村で騎士の噂を聞いた】
【『能力者』と知られて頼まれたこともあったが、此処に来たのは少し、『興味』があったからだ】


──、誰≠諱B アンタ。


【その問いかけに返答が無くても──彼女は二丁の拳銃を引き抜き、銃口を向けて】
【立ち上がり、向かい来る騎士の初動を見極めんと、口元を引き締めた】
119 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/11(月) 22:21:35.40 ID:guqQsBKK0
>>83

「ふぅん、そう来るくらい意味がない較べ方だったか……
 ……まあ、賭けの有無に関わらずこの位殺してたとは思うんだけど。
 だから私が生きてる限りは、賭けはアンタの勝ちになるんだろうね。“賭けにならない”って手もあるだろうけど、そんな逃げや取り成しはつまらないし

 相変わらず、面白そうな相手とお戯れな事で。退屈しきってはいないみたいでよかったよ」

【生きることは戮すこと。無為や退屈を嫌い、力あるものの躍動に楽しみを見出す。】
【そんな部分は少し重なれど、殺戮ごとの印象がゼロなら“数”のカウントでは歴然たる差があるのも当然か。賭けていれば、なんてIFの結末もまた同じで】

【……“面白かった者”。少女から靄、靄から女性。姿を移ろわす人外の証に、語る言葉に、どうしても永き年月と見てきた“人”の数が思われて】
【結局、正義は同じものがあると語った “彼女”。幾つもの正義がそう在った事実が、ヒトの有すべき強さとして遠くも見えた】


【―――――強さとは、怪物となって生き続けられる強度とは罪なのか? 鉤爪で地を貫いて封じようとした疑問。 】
【“そうでない” 例外たちの話は、何れもが心に強く焼付いていた。だからこそ、罪に塗れた己が絶対的な闇として彼女の意識にはあった。 】
【……それを、或いはこれまでの会話で見抜かれていたか。魔族の少女/女性が紡ぐ返答は穎敏だった】

【“力”として、誰かを救うことで変わる可能性。想像だにしなかった切り口に、悠然とした表情に不意を討たれた様な無防備さが加わって】
【女帝の如き絶対的自信が、今はその内側を覗かせる様だった。届き、差し込めば溶けてとき解す。幼き日の面影が、呼吸をも忘れたその明眸に浮かぶ様で】

(……、――――――――――)

【そして、光(かげ)を受けた心と思考が結論を紡ぐのだろう。淀みなく、やっと取り戻した強さで流れゆく時を続ける様に。】


「……言った筈だぞ、アリス。私は私の意志で戮すし、救いなんてモノはその先には必要もない――――
 神やら恩寵やら温情やらは、別世界にも等しい隔たりしかないんだよ。“誰かを救う” 様な生き方自体……正直言って、私にはまったく想像もできないんだ。
 
 要らないんだから、当たり前なんだけど。単に、何処かの誰かが享受してればいいだけって話。
 そういう訳で、私は機関にいる私として “戮し”続ける――――」

【――――――“初めから、黒(このいろ)だっただけだ”。 】

【あの邂逅の夜に残した言葉、火と鮮血の深紅を帯びた夜のいろ。死と炸薬の舞う乾いた場所で、あの様に生きて殺し続けた。】
【だから救いを、許していないのかもしれない。殺戮に生まれ、光などないとこの現実を焼き裂いて駆けるのが彼女であり――――】
【……自身の殺意を偽ることなく。あるがままのその兇暴な煌めきで、世を灼き尽くすだけの“関わり”が彼女とこの世との関係なのだと】

/2つに分けますっ
120 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/11(月) 22:22:18.01 ID:KeSY0oyf0
>>116
【食べ終わって一息つけば、机の惨状に気づいたようで】
【机を拭くロザリンドを申し訳なさそうに眺めながら、】

ごめんなさい・・・・・・
夢中になってたの

【ぺこりと頭を下げて】
【少女はただ子供なだけで、スプーンは食器であること、悪いことをしたら謝らないといけないこと】
【子供でも分かることはしっかり分かっているらしい】

【数日以上は何も食べてない、カレー一皿では満腹にはならない】
【だが悪いことをしたことから来る遠慮か、それともロザリンドが話そうとしていることは大事なことだと分かったのか】

いっぱい食べた、大丈夫!
なんでも答えるの!

【なんて元気良く、遠慮を悟られないように】

121 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/11(月) 22:22:22.59 ID:guqQsBKK0
>>83(続き)

【語り、刻み、そう在りながらも。二つとない、あの不意討ちの考えは捨てることを望まない様で】

【思案気な光を帯びる双眸は、言葉にない思索を告げるよう。ふっと、和らいだ雰囲気が“受け取った”胸の内をクス、と零した】

「………だけど、面白そうだってのは否定しないよ。
 変わるつもりはないし、きっと戮し続ける邪悪のままだけど。
 心のどこかに、猟犬の傍らに留め置くのも悪くない――――
 
 どんな風に楽しんだら、こんな夜になるんだろうね。……こういうの、私には当たり前の壊し方の道とは違うと思うんだけど」

【欠けなき月。衝動の夜を、心穏やかに過ごすなかで迎えた微かな変化。殺人者は殺戮者として振る舞いながら、けれどありえない可能性として語り手ごと意識に留める。】

【殺戮を生きながらもあんな、ヒトの様な―――人が人に向ける様な言葉を紡いでみせるひとりの魔族。闇に誘いながらまた逆を示して、まるでもっと自由にする様に語りかける、】
【どんな風に生きてみれば、この傍らの人外の様な存在が出来上がったのだろう? そうなりたいとは思わずに。けれど、確固たる邪悪を宿す、“彼女”とも違う己として興味があった】

【善の側から追われるのが当然、罪の定義など無視して災禍を撒く。そんな彼女の楽しみを或いは聴こうというのだから、楽しげな表情が罪のないものであろう筈もないけれど】
【もしもダリアから始めた『先の御噺』が続くなら、きっと切り出すこともないのだろう。何故だかこのままでも楽しめる気がしたし、――魔族には、よくある事なのかも知れないが――こんな風に“彼女”が語り、笑むのは、とても貴重な光景な気がして】
【“面白い”だけの提案だとしても。……そこに、自分にとっての特別な意味を見るのも自由なはず。何も強制することはないけれど。 】

【何れ、どの様にでも物語は続けられるだろうか。遊び心に富む“人”ならぬヒトは、破壊的な殺意を胸の内に湛えて―――向けるべきでない数少ない存在と、限りない靱やかさの御喋りのままそこにいた】
122 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/11(月) 22:26:22.43 ID:HXlZvi++o
>>118

「――――――――…」

【問いに応えはない】
【鉄で覆われた瞳は現れた少女の得物でも見つめているのだろう】
【騎士の生きた時代に銃などという物はなかった、それは……騎士はもはや無用の長物という証明だ】

【だが悲しむという動作は今の騎士には設定されていない】
【あるのはただ己の身を焦がす衝動に従うというルールだけ、呪いとは元より自身を灼くものだ】

「……――――――――」

【かつては名だたる使い手だったのだろう、静謐と形容出来よう所作極めて自然に剣を構える】

【――――――剣、刃渡は120cm程の雑種剣】
【バスターソードに類似する其れは鎧を着た相手を剣の質量を以って叩き落とす為に作成された】
【戦場にあり華々しい剣は今や騎士と同じく失墜し、黒く黒く染まっていたという】


「――――――――……ッ!!」

【静からの脈動、一瞬の静止を境として騎士は人ならざる雄叫びを上げる】
【ならば現れるのは人ならぬ跳躍、総重量にして如何なるかそれさえ関わりなく舞い、最中にて剣を正眼に構える】
【焼き付く炎のような「呪い」は剣を蝕み力を与える、蠢く姿は呪い神のように―――――――】

「ッ!ズァッ!!――――――――!」

【少女のいた地点に向け跳躍、質量、力全てを合わせた全身全霊を振り下ろす】
【鎧を相手にして振るわれる剣の一撃を受けることは恐らく難しい、そこに理念は無くとも質量という現実がある】
【紙一重で避けても剣圧に襲われるだろう、更に加えて剣周囲に飛び散る呪いは物質を腐食劣化させる効果を持つ】
【大事を取って距離は多く取った方が良い、前もって騎士の情報を持っているならば少女とて戦略を立てる事は可能だ】
123 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/11(月) 22:32:07.89 ID:guqQsBKK0
/……挟んでしまったのでもう一度っ

>>83

「ふぅん、そう来るくらい意味がない較べ方だったか……
 ……まあ、賭けの有無に関わらずこの位殺してたとは思うんだけど。
 だから私が生きてる限りは、賭けはアンタの勝ちになるんだろうね。“賭けにならない”って手もあるだろうけど、そんな逃げや取り成しはつまらないし

 相変わらず、面白そうな相手とお戯れな事で。退屈しきってはいないみたいでよかったよ」

【生きることは戮すこと。無為や退屈を嫌い、力あるものの躍動に楽しみを見出す。】
【そんな部分は少し重なれど、殺戮ごとの印象がゼロなら“数”のカウントでは歴然たる差があるのも当然か。賭けていれば、なんてIFの結末もまた同じで】

【……“面白かった者”。少女から靄、靄から女性。姿を移ろわす人外の証に、語る言葉に、どうしても永き年月と見てきた“人”の数が思われて】
【結局、正義は同じものがあると語った “彼女”。幾つもの正義がそう在った事実が、ヒトの有すべき強さとして遠くも見えた】


【―――――強さとは、怪物となって生き続けられる強度とは罪なのか? 鉤爪で地を貫いて封じようとした疑問。 】
【“そうでない” 例外たちの話は、何れもが心に強く焼付いていた。だからこそ、罪に塗れた己が絶対的な闇として彼女の意識にはあった。 】
【……それを、或いはこれまでの会話で見抜かれていたか。魔族の少女/女性が紡ぐ返答は穎敏だった】

【“力”として、誰かを救うことで変わる可能性。想像だにしなかった切り口に、悠然とした表情に不意を討たれた様な無防備さが加わって】
【女帝の如き絶対的自信が、今はその内側を覗かせる様だった。届き、差し込めば溶けてとき解す。幼き日の面影が、呼吸をも忘れたその明眸に浮かぶ様で】

(……、――――――――――)

【そして、光(かげ)を受けた心と思考が結論を紡ぐのだろう。淀みなく、やっと取り戻した強さで流れゆく時を続ける様に。】


「……言った筈だぞ、アリス。私は私の意志で戮すし、救いなんてモノはその先には必要もない――――
 神やら恩寵やら温情やらは、別世界にも等しい隔たりしかないんだよ。“誰かを救う” 様な生き方自体……正直言って、私にはまったく想像もできないんだ。
 
 要らないんだから、当たり前なんだけど。単に、何処かの誰かが享受してればいいだけって話。
 そういう訳で、私は機関にいる私として “戮し”続ける――――」

【――――――“初めから、黒(このいろ)だっただけだ”。 】

【あの邂逅の夜に残した言葉、火と鮮血の深紅を帯びた夜のいろ。死と炸薬の舞う乾いた場所で、あの様に生きて殺し続けた。】
【だから救いを、許していないのかもしれない。殺戮に生まれ、光などないとこの現実を焼き裂いて駆けるのが彼女であり――――】
【……自身の殺意を偽ることなく。あるがままのその兇暴な煌めきで、世を灼き尽くすだけの“関わり”が彼女とこの世との関係なのだと】
124 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/11(月) 22:32:22.39 ID:guqQsBKK0
>>83(続き)

【語り、刻み、そう在りながらも。二つとない、あの不意討ちの考えは捨てることを望まない様で】

【思案気な光を帯びる双眸は、言葉にない思索を告げるよう。ふっと、和らいだ雰囲気が“受け取った”胸の内をクス、と零した】

「………だけど、面白そうだってのは否定しないよ。
 変わるつもりはないし、きっと戮し続ける邪悪のままだけど。
 心のどこかに、猟犬の傍らに留め置くのも悪くない――――
 
 どんな風に楽しんだら、こんな夜になるんだろうね。……こういうの、私には当たり前の壊し方の道とは違うと思うんだけど」

【欠けなき月。衝動の夜を、心穏やかに過ごすなかで迎えた微かな変化。殺人者は殺戮者として振る舞いながら、けれどありえない可能性として語り手ごと意識に留める。】

【殺戮を生きながらもあんな、ヒトの様な―――人が人に向ける様な言葉を紡いでみせるひとりの魔族。闇に誘いながらまた逆を示して、まるでもっと自由にする様に語りかける、】
【どんな風に生きてみれば、この傍らの人外の様な存在が出来上がったのだろう? そうなりたいとは思わずに。けれど、確固たる邪悪を宿す、“彼女”とも違う己として興味があった】

【善の側から追われるのが当然、罪の定義など無視して災禍を撒く。そんな彼女の楽しみを或いは聴こうというのだから、楽しげな表情が罪のないものであろう筈もないけれど】
【もしもダリアから始めた『先の御噺』が続くなら、きっと切り出すこともないのだろう。何故だかこのままでも楽しめる気がしたし、――魔族には、よくある事なのかも知れないが――こんな風に“彼女”が語り、笑むのは、とても貴重な光景な気がして】
【“面白い”だけの提案だとしても。……そこに、自分にとっての特別な意味を見るのも自由なはず。何も強制することはないけれど。 】

【何れ、どの様にでも物語は続けられるだろうか。遊び心に富む“人”ならぬヒトは、破壊的な殺意を胸の内に湛えて―――向けるべきでない数少ない存在と、限りない靱やかさの御喋りのままそこにいた】
125 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/11(月) 22:46:01.95 ID:eJPQco8bo
>>122


(…、…答えは無し、か──。) ── っ。


【──重量装備と、武器に似合わぬ大跳躍】
【明らかに『人間業』ではない動きに驚く暇もなく、彼女もその場から飛び退き、信者席の椅子に乗る】
【この時点で間合い150cm程。 剣は一動作では届かない筈──、が 】


…、…火傷≠カゃなくて、腐食≠チてこと?


【剣圧に目を細めながら、認めるのは乗っていた椅子の腐食=z
【騎士のリーチは『剣の届く範囲』よりも確実に長い ──認識を改め、更に飛び退いて距離を取る】


(近距離でやるなら、『一撃』で決めないと。 一度剣を避けても、腐食でやられる。)
(かと言って、遠距離からの攻撃はあの鎧で阻まれる──。 ……強い=@。 なのに──、)

── 、何で、「そんなの」になってるのよ、アンタ!


【──捨てる様に言葉を吐くと、二丁拳銃から銃弾を放ちつつ、椅子を伝って『教会の奥』へ彼女は駆ける】
【銃弾は通常弾。鎧を貫く威力はない。 10×2、20発が放たれた所で弾切れを起こすが、効果は殆ど無いかもしれない】
【どちらかと言えば、牽制、或いは挑発=@──、そんな意図の篭った攻撃だ】
126 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/11(月) 22:48:38.09 ID:ACg9McPA0
>>120

じょ、冗談よ! そんなに気にしなくたって良いんだから。
見返りのために人を助けるような神経をしていたら、そもそもこんなことしていないわよ――

【――とまで口走って、また当たりの強い言葉を吐いてしまったと後悔する】
【言葉を素直に受け取ってくれるネモの純粋さは、跳ねっ返りの強い少女にとっては毒でもあった】

……ごめんなさい、言葉が過ぎたわ。
とりあえず、ネモが大丈夫なら本題に入るけれど――あなた、自分の手錠について考えてみたことはあるかしら?

私の手をご覧なさい。そんなものは付けてないでしょう。
ここに来るまで街を歩いていた人たちも同じよ。ついでに言えば、脚に鎖も無かったわよね。
なのにどうしてあなたは、手足の自由を奪うものをつけて――いや、つけられて≠「たと思う?

【ネモ自身の思考を促すように彼女の瞳へ視線を注ぎながら、ロザリンドは語りかける】
【普通の人間は必要としない『枷』が、なぜネモには課されていたのだろう、と】
127 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)2014/08/11(月) 22:55:48.21 ID:S0aoPSwAO
>>117

【炎が消えかけた瞬間間髪いれずに六発の銃弾を撃つ】
【おそらく少女がいたであろう位置に向かって】
【腕の負傷のせいで狙いがままならないが当たればもうけものだろう】

【男の視界の前には見覚えのあるローブ】
【男の乱射した弾丸によって何箇所には風穴が空いていた】
【一瞬目を奪われたが風穴の向こう側が見えているので直ぐに抜け殻という事は理解できた】

【ハッとして彼女を探すが人っこ一人として居ない】
【夜の静寂が辺り一体を包む】

【暫くして彼女が残したであろうローブも消えた】

くは…ははは…

【不意に男が口を開く】

はーははは…!!あーははははは…!!

【よもや男一人となったこの場所で響くのは男の笑い声だけ】
【現状、男は笑わずにはいられない】
【出し抜かれたのだ、結果的に自分が弱いと思っていた少女にも、気に食わなく殺してやろうと思っていた少女にも】

良いぜぇ!良いぜ良いぜ!!よーく顔は覚えたぜぇ!

【ギロチンを手に持ち少女に噛まれた部位を削ぎ落とした】
【肉すら削ぎ落とし筈なのにもかかわらず男は痛みを感じた表情を見せずに笑っている】

【笑いながら入り口まで歩いていく】
【足取りは非常に軽やかで機嫌が良さそうだ】

あぁ、そういやそうだったな

【入り口は男が能力によって瓦礫の山になっている】

まぁ、ゴミは燃やすに限るってな――火刑

【入り口の瓦礫の山は火柱が上がり、火が消える頃には若干の焦げ臭さを残して通りやすいとはいえないが入れる道はできた】

さて…どうやってぶち[ピーーー]か…首を刎ねるか、少しずついたぶってやるか、焼き殺してやるか、それとも首を締めるか

くは…!ははは…!はーははは…!楽しいねぇ、楽しみでならねぇなぁ!

【かつかつと来たときのように靴音を響かせて電灯が少ない夜の道を歩き出す】
【笑い声が響き渡り、男は夜の闇に溶けていく】

/これで締めさせていただきます
/長い間お付き合いいただきありがとうございます
128 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/11(月) 22:57:36.82 ID:qyLxVGqV0
>>123>>124
「命を尊ぶ和尚様が命を奪う楽しさを知って破戒する。命を奪う楽しさを知っていた罪人が命を救う尊さを知る――――所詮人間の決意なんて障子一枚分の厚みしか無いのだもの
指先を少し舐めて突いてあげれば直ぐにでも反対側に行けてしまうように、ね

貴女はどうかしら、ダリア。唆されても断固とした意思を持ち続けるだけの自信はあるの?
貴女の腕が落ちる人々を掬い上げ、貴女の指先で止め処なく溢れる鮮血を止めてあげるような“もしも”の世界
――――そんな狭間で悩む貴女を見るのも楽しそうだと思ったけれど」

【人の悩む姿は実に面白い。何がどうしてそうなるのか、何故悩むのか】
【――――導くにしても堕とすにしても、其れまでの過程が実に面白いのだ。前日まで命を救っていた者が翌日には嬉々として奪うようなそんな光景が】
【だから、悪魔は言葉を続けたのだろう。まるで女性を唆して楽しんでいる様にすら思えて】

【結局は、気紛れなのだ。この悪魔だって人の命を助けた事もあるし、逆に多くの命を短い時間で奪った事もある】
【思うがままに行動し、楽しそうだと思った方向に進ませるだけ。気障に表すならばストーリーテラーとしての役割】
【力は多くの使い道が有る。己の為、人の為。殺す事も生かす事もその者の力量でどうにでも出来る事】



「だけれど、貴女がそう思うのならばきっとそうなのでしょう
生き方に答え何て無いのだから。まして私は悪魔――――貴女達人間の敵対者だもの
高尚な人達の様にお説教をして導いてあげるだけの力も持って居ないもの

――――人は英雄の話を好むの。化け物退治や悪魔退治に悪者退治。どれもどれもがずっと昔から人気なお話だものね
最後に悪は滅びてめでたしめでたし。だけど…………其れはお話の中だけ
現実は善い人ほど早く死んでしまうし、悪い人ほど良い思いをする世の中
それに楽しみ方なんて簡単よ。ただ自分が退屈しない事だけを考えて居れば良いのだから」

【女性の言葉を聞けば其れもまた一つの答えだろうと肯定。加えるのは、自分は導き手では無く堕とす側の存在――――なんて】
【そんな彼女に応えるかの様な言葉は“在り来たりなお話”だ。勧善懲悪で、万人が好むような物】
【然れど――――現実は上手く行かないのが常。力が無い者は誰かに守って貰わなければ生きられないし、力を持った者次第では虫けらの様に殺されてしまう世界】

【聖職者だとかそう言った存在が居れば女性を諭して居たのかも知れない。例え其れが双方傷付き血を流すような展開であったとしても】
【だが…………此処に居るのは悪。闇へ闇へと誘う様な存在】
129 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/11(月) 23:09:27.95 ID:KeSY0oyf0
>>126
これ?

【右手を掲げて手錠を示す】
【今まで少女はこの手錠のことなど一度も考えたことはなかった】
【街をさまよって、食料を探して、生きることに精一杯な日々では自分の格好など気にする余裕はなかったのだ】
【確かに、考えてみればこんなものをつけているのは自分ぐらいである】

おしゃれ?・・・・・・

【思いつくのはこんな間抜けな答え。少女も流石にこれはないと分かっているようで、頭に手を当ててさらに考える】
【何故自分はこんなものを付けられていたのか、そもそも自分は何者なのか】

暴れてた、から。
ちょっとだけ思い出したの

【考えて、考えて、ほんの少しだけ記憶がよみがえった】
【少女は思い出したことを話し始める】

白い部屋で、注射されて・・・・・・
そしたら、ものすごく痛くて、暴れてたの
130 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/11(月) 23:12:56.38 ID:0+2mkTzO0
>>127

【――ばたん、と扉を閉めると、嗅ぎ慣れた古書の香りがする。黴臭いような、埃臭いような、しかし、落ち着く匂い】
【真っ暗な部屋だがどこに何があるかはよく分かる。電気も点けないまま、自室にたどり着けば、やはりそこも暗黒】
【転ばないようにしながらもぐりこんだベッドはもったりと生温い、手探りで抱き寄せる食感は、ふわふわ、すべすべ、滑らかで】
【おっきなテディベア――ぎゅうと抱き締めたなら、不意に泣きそうになる感情を、ぐっと噛み潰した】

ローゼ……、……。

【姉が遺したぬいぐるみ。崩壊した家族関係の中で、唯一“味方”だと思える、真っ赤で大きな、布の熊】
【抱き締めていると安心する、安心しすぎて――血も、汗も、そのままで。気付けば、意識はすっかりと眠りへ落ちていく】」

【(――夢を見た。まだ小さな自分と、小さな姉と、母親と、父親と、みんなでテーブルを囲んで)】
【(本当に下らない話をして笑っている光景。そして、それを、誰も居ないテーブルで思い出す、今の自分の姿)】
【(目の前に並べられた皿には何も入っていない。コップには水すら入っていない。それだのに、一人でテーブルに居る自分の――)】


【こつりと足先が石畳に触れると、ずっと寒い風が肌に触れる。ぎくりと強張る身体は――“撃たれた”と認識して】
【真っ先に頭に振れて、顔に触れて、胸やお腹に触れて、確かめて。最後に明確に撃たれたと分かる場所、右腕に触れる】
【大きく肉が抉り取られた手触りと視界がちかちかするほどの痛みと、冷や汗が止まらないほどの、不快感】
【血塗れの左掌に血の気が落ちたのは偶然でもなんでもない。ぺたんと座り込んだ、まるで動けなくなって】

……ださい……。

【――正義の味方ってもうちょっと恰好いいものだと思っていた。それなら、現状はあまりにも違っていると】
【ぐわぐわする思考で考えてみて呟く、誰もその声を聞かなかったのは、或いは幸福といえて――なぜなら、】
【天地すら分からなくなる錯覚のせいで震えてか弱い声は泣きそうにしか聞こえなかったから。ださい、その言葉通りに】

【――ようやく動けるようになった十数分後。自分で手当てする手つきは、不思議とよく慣れていて】
【初めてのひと助けはなんとなく情けない結果で終わる――でも、誰かを助けたなら、それでもいいか、なんて思った】

/おつかれさまでした! 長引かせてしまって申し訳なかったのです……
131 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/11(月) 23:21:04.11 ID:HXlZvi++o
>>125

「――――――――……」

【剣は獲物を刈り取らずしかし石畳を砕き割る】
【その力が騎士の今の状態に因るのか或いは元から兼ね備えた物なのか分かることなどなく】
【酷く緩慢な動きで剣を抜きそして少女へと向き直る、やはりというか言葉はなく】

【過ぎた力は別の側面を、見る者によって映し出す】
【極短時間に行われる腐食は火傷と似たような性質を持つ、元より空気との結合による劣化だ】
【本来在る物の価値を下げる貶める失墜させる、そういった呪いが根源として発露している】


「…………、………?……――――――――」

【薄らと残留する記憶、かつて自分が戦場にいた時代に少女の持つような武器は無かった】
【それでも向けられた銃口に危機感を覚えるのは騎士として養った戦闘勘に因る、分からないにしても剣を構え】

【さて、少女の認識だがそれは正しい】
【瓦礫と化しているとはいえ此処は閉所、騎士であるならばそれこそ壁を蹴り跳躍を稼ぐ事さえするだろう】
【それに対応出来るだけの距離を取る判断は慧眼と言わざるを得ない】


「――――――!?ッ!ァァア!!」

【少女の叫びは届かず、鎧を弾く不可視の質量に叫びを上げる】
【銃弾ひとつひとつはフルプレートの鎧に傷をつける程度だが未知の攻撃は騎士を多いに動揺させた】
【姿勢を立て直そうとすれば次が来る、それも過ぎればまた次に……致命にならずとも行動の阻害という効果はあるらしい】
【もっともそれが消費した銃弾の数に見合うかは分からない】
【されど戦術というカードのひとつにはなるだろう、全てはカードの切り方次第だ】


「……フッ……!ウルァァッ!!」

【教会を震わし埃を落とし瓦解を助長する程の叫びはついに少女を敵と見なした証明だ】
【此処は祈りの場所でなく戦場だ、騎士は傍らに横たわる長椅子を無造作に掴みとり尋常ならざる力でこれ見よがしに持ち上げる】
【そうして後は、極々自然に少女に向けて投げつける】

【長椅子は木くずを散らしながら少女へと迫る、その後方でガチャリと鎧が鳴く音を少女が聞くだろう】
【あろうことは騎士は己の投げた長椅子を影にして跳躍した、影に紛れ剣を構え――――――――】

「―――――――ガアアアアアアア!!」

【長椅子が少女へと迫る5m程手前で自らそれを下段から振り上げ切り崩し瓦礫を散らし】
【そうして着地の勢いを加え上段から剣を少女に向けて振り下ろす……鎧に包まれた者だからこそ出来る所業】
【身を守る事は即ち自身の攻撃の際の障害を断つ事、意識を失いながらも尚軍場で培った経験は生きていた】

【鎧を着ながらも柔軟な動きをする騎士】
【無論其処には理由がある、騎士の力もあるが鎧自体の可動部が自由に動くようになっている】
【つまりは関節部に関して云えば装甲が他よりは薄い、それこそ銃弾で攻撃を重ねたならば破壊出来る程には……】
132 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/11(月) 23:36:14.11 ID:ACg9McPA0
>>129

手錠がおしゃれって、パンクファッションにも程があるわよ!?

【その場でカレーの皿ごとずっこけそうな返答を頂けば、思わず突っ込んでしまうのが人のサガだ】
【だけれども、そのすぐ後にはネモが真剣に記憶を辿っているのが分かった】

うん、よく思い出したわね。褒めてあげる。

……さて、それであなたが出してくれた言葉が幾つかあるわね。
まず白い部屋=\―そこが普通の場所だとしたら、「壁や天井が白い」なんてことは大して気にならないはずだわ。
別にピンクや黄色のように派手なわけじゃないんだし、まともな状況なら置いてあるものが印象付くわよね。
病室だとしても、もっと良い言い様が幾らでもあるわ。

次に『注射』――病気でもないのにおかしな話ね。
しかも、それが嫌で暴れるから手足を鎖につなぐなんて、どう考えても狂っている。

【一旦喋るのをやめて、ロザリンドは重々しい挙措で立ち上がった】
【ネモの隣に来ると彼女は少女のやせ細った右腕をそっと掴み】
【刻まれた「印」を見せつけるように、ぐるりと回してみせるだろう】

以上から導き出される結論は――、……ネモは、相当におかしな連中に「飼われていた」ってことよ。
具体的には、『カノッサ機関』。この星形模様をシンボルとする世界的な犯罪集団に、何の罪も持たないあなたが。

【どこまで分かってくれるか不安ではあるが、ここまで来たからには理解してもらえるまで話すしかない】
【ネモには咎がない≠アとを強調しつつも、その声色は厳然たるものだった】
133 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/11(月) 23:43:14.15 ID:eJPQco8bo
>>131

【── 彼女はある地点≠ナ停止し、騎士へと向き直る】
【真正面から向き合っても敵わない、そう、先ほど認めた筈なのだが】
【と。 『長椅子』が彼女に向かって飛来し ──、】


…、… !? ── 後ろッ !?


【影≠ノ隠れていた騎士を認識するのに、少しだけ時間がかかった】
【──、が、それが言い訳になる場所でもない。 散らされた瓦礫を腕で防ぐ】
【しかし、その動きが逆に、次の攻撃≠ヨの反応を遅らせる】


( 『疾い』──っ。) 


【結果として、直撃はしないまでも、剣圧が彼女を襲う】
【身体のスレスレで回避こそすれど、圧力≠ヘ肌を切り裂き、頬が切れ、出血。 服の下も似たような状態か】


【避けた勢いそのまま── 彼女はわざと、跳躍動作を見せてからワンテンポ遅らせ=A 自分から見て左へ飛ぶ】
【狙いは、自らを負う『横薙ぎの攻撃』を誘うこと。 そして、もしそれが放たれたなら、咄嗟にその場で転んで回避を目論む】


【騎士は気付いているだろうか──、彼女が停止していたのが、彫像の傍≠ニ言う事に】
【彼女の真の狙いは、騎士自身の剣で彫像を崩させる≠アと。 その重量が騎士に倒れ込めば、一定の効果もあるかも知れない、と】
【尤も、リスクの高い作戦だ。 彼が一定の『正気』を保っていれば、看破される機会は幾度でもある── 】
134 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/12(火) 00:10:12.51 ID:Pj9ABjw/0
>>132
うん、ありがとー・・・・・・

【褒められて嬉しいのと同時に、思い出した記憶はろくでもないもの】
【今一喜び切れてはない様子】
【そして続く数々の衝撃的な言葉】
【ロザリンドの語る声は厳然たるもので、冗談には聞こえない】

飼われ、て・・・・・・?

【飼われていた、子供にも分かる言葉。自分は人間としてみなされていなかったということ】
【ショックは小さくなかった。全部が分かったわけじゃなかったが、それでも十分】

じゃ、じゃああたしは・・・・・何?

【街をさまよって、孤児のような生活をしていたとしても、自分は人間だと信じていた】
【ところが、自分はよくわからない機関に飼われていたという】

//少々遅くなりました・・・・・・申し訳ない
135 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/12(火) 00:10:45.15 ID:opcfjMd+o
>>133

「――――――――……」

【好機、と騎士はそう捉えたのだろう】
【追撃に次ぐ追撃、少女と騎士に時代の違いがあるとしても人間の生命の質までは変わらない】
【あと数撃でも加えればこちらの望みは果たされる】

【左脇に納めるように構え、番えられた矢が放たれる如く剣を振る】
【虚空を裂き断つような一閃は少女の胸部をただ暴力的に引き裂く為に……ある筈だった】

「…………――――――――!、?」

【剣の腹がいよいよ切り裂くその手前で止まる、何事かと伺えば切先は深く彫像の根本へと刺さっていた】
【引くことも押すことも難しい状況、そして不意に響く瓦解の音―――――――みしりみしりと慣れば埃を落とし、彫像は終ぞ其の役目を終える】
【敵、彫像、と視線を移しやがて最後に見つめたのは剣であった……それは騎士の剣に対する思い入れ故か】

「――――――――……

【声はなかった、彫像に抱きかかえられるように騎士は瓦礫に飲まれる】
【土埃が舞い辺りを覆うだけどそれもやがて落ちて、――――――――】
【残るのは瓦礫の山、その頂から墓標のように騎士の右手だけが顔を出し、その掌には剣が確りと握られていた】

【主の為にある騎士は正しく主の剣であった】
【剣は剣を知る、騎士は剣を手放せなかったのだろう】
136 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/12(火) 00:18:17.82 ID:CjNS9vxlo
>>135

【──、激しく咳き込みながら、瓦礫から少女が這い出す】
【彼女もまた、彫像の一部に呑まれていたが、『防御態勢』を取っていたのが幸いしたか】
【その身に打撲を負いつつも、──少なくとも、立ち上がることは出来た】


…… 終わった ──、の?


【──少なくとも、身動きは取れそうにない様子だ】
【瓦礫から突き出した右手と剣。 彼女は遠巻きに、その様子を眺める】
【…、…本来なら剣だけでも取り上げておくべきだろうが、『腐食』を警戒する必要があった】

【取り敢えず、切れた銃弾をリロードしておく。 まだ≠ネら──即座に、攻撃を行う積もりだった】
137 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/12(火) 00:34:18.56 ID:wzR8GS9d0
>>134

さあね。それはあなたが決めることだわ。

【自らの正体と在り方について懊悩するネモに対して、ロザリンドの口から飛び出したのは】
【――息継ぎの間も無いほどの、即答だった】

あなたは「機関」において道具かペットとして扱われていたかもしれないけれど、今は違う。
自由に選び、生きることができる――私と同じ人間よ。

だから、何になるかもあなたが決めるの。
獣のように生きたいなら、私はそれを止めはしないけれど……ネモには人の道を行くことが許されている。
だって今さっき、あなたは自分で考えて、その記憶を思い出せたんだもの。

【それはともすれば、突き放すような言葉だ。ここから先には関知しない、という宣言とも取れる】
【敢えて厳しい言葉を選んだのは、飽くまで「己の道」を選択して欲しかったからだ】
【人の意志によって生きることほど虚しいことはない。それこそ、自ら鎖を引きちぎる前のネモのように。】

……その上でもう一つアドバイスすると、カノッサ機関には気をつけなさい。

彼らは誰にとっても危険だけれど、あなたの場合は事情が違うわ。
こうして『不慮の事故』としてネモがここにいる以上――連中は、まだあなたの行方を追っているかもしれない。
さしあたって、なんとかしてその手錠を外すべきね。どこかでばったり、機関員と行き会う前に。

【とは言うものの、鎖を強引に破壊したのは恐らく『火事場の馬鹿力』的な作用によるものだろう】
【手錠に鍵がかかっていなければロザリンドはそれを外そうとするが、もし何かの措置が設けられていれば、お手上げだ】
138 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/12(火) 00:43:08.52 ID:opcfjMd+o
>>136

【警戒を解かないでいるのは正解だ】
【僅かに顔を出した掌は数分と置かずピクリと震える、即ち騎士は未だ止まらず】
【微かに揺れ始めれば瓦礫を蹴散らし姿を見せる――――――――】

「――――――………」

【土埃の中、肩で息をしながら立つ騎士のその鎧はひしゃげている】
【瓦礫による重圧によるものだろう其れは、中には鋭利に砕けた物もあり騎士の胸を大きく貫く楔のようであった】
【左腕は折れたのだろうか骨さえあるかは分からないがダランと垂れ下がり、右足の鎧も潰れており立つ姿は痛々しい】

【そのどの損傷からも黒い粘性を持った「呪い」がさながら血の如く流れ出している】
【地面に触れたならば腐食し焼き、嫌な臭いを立ち上げながら煙を出す】


……、…………ッ……!!

【満身創痍でありながらも握る剣は手放さず】
【言葉があるならば誇りでも語ったのだろう、悲しいかな騎士にそれだけの理性はない】
【ただ、ただ戦うのみ。恋に恋する乙女のように騎士は戦いに焦がれ、おぼつかない足を進める】

【身に纏い付く毒を振り払うように、剣を振り上げつつ近づく】
【だが動きは酷く緩慢だ、回避なんて事さえしないでそのまま歩いてでも避けられる】
【もはやその歩みは断頭台への行進と等しい、騎士とてそれを理解しているのだろう】

【歴史とは勝者が組み上げる物、ならば今の時代を生きる少女こそその権利がある】
139 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[saga]:2014/08/12(火) 00:54:02.33 ID:CjNS9vxlo
>>138

【騎士のその姿には、一種の物悲しさを感じた】
【『誰か』、と聞いたが──、彼は最早、それすらも忘れているのかも知れない】
【ならば、『生きている』とも言えない。 終わらせて≠竄髟K要がある】


(…、…それは私も、か。)


【──、懐から取り出した札≠丸めて銃口に詰め込み、『魔力』を込める】
【知人から教わった魔術。 『札』は数秒後、発火する ──】


…、…私は、アンタが誰か知らない。
けど──、自分も何も分からない≠ワまで、居ることの苦しみは、判ってるつもりよ。
だから、撃つ。 私は私の自己満足で、アンタを撃つ。


【── 「呪ってもいいわよ」】

【自嘲的に、そして、少し悲しそうに呟き──、彼女は引き金を引く】
【向かうは首元の関節=B もし、銃弾がそこを貫けたのなら、共に飛んだ札が内部で発火するだろう】
【もし、それにも拘らず騎士が歩み、剣を振りかぶったとしても ──彼女は、その場を動かない筈だ】
140 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/12(火) 01:03:18.08 ID:Pj9ABjw/0
>>137
【確かに突き放すような言葉、聞きようによっては冷たく聞こえるかも知れない】
【少女にとっては人の言葉は、自分に対して真剣に言ってくれる言葉はそれだけで温かいもの】
【泣き言など言わない、辛がりも見せない、むしろ勇気付けられた、そんな顔をして】

・・・・・・わかった
あたし、決めた!

【ショックを全部振り切って、少女は言葉通り『覚悟』した顔をしていた】

あたしはペットじゃない!ひとになる!
ロザリンドのともだちで生きていく!

【自分の意思で、鎖をひきちぎった瞬間のように少女は叫ぶ】
【少女は行き方を決めた。ロザリンドからすれば少女に関わる気はないとしても】
【はじめて自分と会話してくれた、大切な友達のために生きていくと】
【ロザリンドの力になっていこうと決めたのだ】

よくわからないけどわかった!

【子供の行動は早い。早速手錠を掴んで、引っ張り・・・・・・】

・・・・・・・取れない

【手のひらが赤くなるほどの力をこめたのだが、取れない】
【少女が鎖を引きちぎるほどの力を発揮するには何か条件があるらしい】
141 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/12(火) 01:11:45.72 ID:qzUNaATi0
>>128

「そりゃご愁傷さま、500年経っても見られない光景だ。
 
 ……善であれ悪であれ、憎むのであれ手に入れて思う侭に触れて躍らすのであれ。
 私が望むままの振る舞いで躊躇う筈もない――――無敵のひとりの私として、奪うか掴むか燃やすだけのこと。
 今と何も変わらないよ。
 ……そうだ、試しに所有されてみる? 悪い話じゃないと私は思うけど」

【悩む所を見るのも楽しそう―――そんな言葉を聞いたなら、何を当たり前のことをとばかりに言い放つのだろう 】
【人生50年とは言うけれど、その十倍の年月を経ても何も変わらないと。唆す悪魔は自らの指先の下に誘い、苦しめようとした者であろうが“従僕に加える”―――】
【友好的な今のそれから、所有物への想いに関係を変える不意の提案。 】
【魔族の女性が楽しむ様に、この女もヒトの比でないほど強大な彼女で楽しもうとした――或いは意趣返しだったのだろうが、どこまで本気かを明かすことはやはりなくて】

【……自分が騙されたのならそれだけのこと。無敵ならば、傷を受けることも失くすものもないのだと“本気で楽しむ”。 】
【そう、これはただそれだけのことだ。 】
【人は、人だから当たり前の様に箍を掛ける。最初で最後の“この夜”だから、愛するがままに味わうだけ。……そうするのに、“当たり前”の価値観は邪魔だとやっと気付いた。】


【“心臓を見抜かれた不死の巨人”、“百の眼を潰された乙女の番人”。彼女の感情が消えたなら、後に残るのは“無敵でない”彼女の残骸だけなのだろう】
【そんな恐れさえも踏みつぶす様に、ただただ圧倒的に潔いひとつの笑みがそこにあった。譬え未来が破滅だとして、望んだ先の断崖なら躊躇わず一歩先に進む様な――――】
【人が、無謀とも破滅的とも呼ぶ生き方だった。それ自体、これまでの彼女にも少しは見られた傾向ではあるのだが】

【……さて、“気付き”の原因に気付くだろうか? 奔放ながらもどこか常識的で、そして闇が影を落としていた緋色の魔物――――今は、踏むべき常識(ブレーキ)を識れど敢えて好き好んでアクセルを踏んでいるかの様で】
【『ただ、自分が退屈しない事だけ』。嘗ての枠組みを吹き飛ばすことを堕落と呼ぶのなら、誘った“彼女”は素晴らしい悪魔なのだろう】

【とても、とても楽しそうに語る。自由なものが、笑っている。 】

「人間の敵、か――――全部の? ……大変だね、それじゃ関わった私も破滅しないと。
 記号や識別票(タグ)には興味ないんだ。
 
 外道が外道として生きた挙句、悪魔一人救って正義の味方と全力でぶつかる――――
 そんな愉快なお話もさ、私みたいなのには需要あるんだよね。
 竜は悪役、英雄がそれを殺す。……そのありきたりな結末は、ひっくり返す方が好きだな。……面白くない? 劇的なもの。 」

【悪魔に乞う様な者もまた人間。“ならば、ヒトの敵と呼ぶには値しない”。】
【言葉遊びだ、乞わず従えようとする様な“機関”の女を悪でないと呼ぶ様な。けれど―――“救う”ことがありえないと語ったからこそ、どこかに求める様な夢追う響き。元の姿は、もはや識られているのだから観えて構わない。】
【そうこうして、暫く言葉を交わしただろうか。恐らくは楽しげに―――高慢なまでの言動で以て、深まる夜に所有だの“人”だのと幾つかの話題で語らおうとするのだろうけれど】


「……面白いコトを考えたんだ。計画と呼ぶには不確かだけど、あとひとつで完成する図式でもある。……要するに、私がやるだけの仕事ってこと。
 常に追われるのは嫌いだけど、その時の私や誰かの破滅を観たいなら好きなだけ観て構わない――――連絡する方法でも教えてよ。
 発振器みたいなのでもいいし、何かを作り出す術(すべ)でもいい。……魂を捧げろ、ってのは御免蒙るけどね」
 

【愉快な“計画擬き”―――恐らくは正義の側には真逆の意味とトーンを帯びる其れ。己をより深く取り戻したとして、殺戮者たる今を失った訳でもない。ならば、そう刺激のないものでもありえないだろう】
【スイッチを入れる/切る、そんな程度の連絡の方法。直接見せるのでも語るのでもなく、 飽く迄魔族の女性自身に委ねるのが彼女らしいと言えばらしいか】
【受け止めても、叩き落しても。きっと、どちらでも構わなかった。共有するにしても独り見届けるにしても、実行するのは間違いなくダリア自身――……自身の興味で、ない筈もない。】

/……本当すみません、書き込めてませんでした……っ
142 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/12(火) 01:13:37.85 ID:qzUNaATi0
>>128

「そりゃご愁傷さま、500年経っても見られない光景だ。
 
 ……善であれ悪であれ、憎むのであれ手に入れて思う侭に触れて躍らすのであれ。
 私が望むままの振る舞いで躊躇う筈もない――――無敵のひとりの私として、奪うか掴むか燃やすだけのこと。
 今と何も変わらないよ。
 ……そうだ、試しに所有されてみる? 悪い話じゃないと私は思うけど」

【悩む所を見るのも楽しそう―――そんな言葉を聞いたなら、何を当たり前のことをとばかりに言い放つのだろう 】
【人生50年とは言うけれど、その十倍の年月を経ても何も変わらないと。唆す悪魔は自らの指先の下に誘い、苦しめようとした者であろうが“従僕に加える”―――】
【友好的な今のそれから、所有物への想いに関係を変える不意の提案。 】
【魔族の女性が楽しむ様に、この女もヒトの比でないほど強大な彼女で楽しもうとした――或いは意趣返しだったのだろうが、どこまで本気かを明かすことはやはりなくて】

【……自分が騙されたのならそれだけのこと。無敵ならば、傷を受けることも失くすものもないのだと“本気で楽しむ”。 】
【そう、これはただそれだけのことだ。 】
【人は、人だから当たり前の様に箍を掛ける。最初で最後の“この夜”だから、愛するがままに味わうだけ。……そうするのに、“当たり前”の価値観は邪魔だとやっと気付いた。】


【“心臓を見抜かれた不死の巨人”、“百の眼を潰された乙女の番人”。彼女の感情が消えたなら、後に残るのは“無敵でない”彼女の残骸だけなのだろう】
【そんな恐れさえも踏みつぶす様に、ただただ圧倒的に潔いひとつの笑みがそこにあった。譬え未来が破滅だとして、望んだ先の断崖なら躊躇わず一歩先に進む様な――――】
【人が、無謀とも破滅的とも呼ぶ生き方だった。それ自体、これまでの彼女にも少しは見られた傾向ではあるのだが】

【……さて、“気付き”の原因に気付くだろうか? 奔放ながらもどこか常識的で、そして闇が影を落としていた緋色の魔物――――今は、踏むべき常識(ブレーキ)を識れど敢えて好き好んでアクセルを踏んでいるかの様で】
【『ただ、自分が退屈しない事だけ』。嘗ての枠組みを吹き飛ばすことを堕落と呼ぶのなら、誘った“彼女”は素晴らしい悪魔なのだろう】

【とても、とても楽しそうに語る。自由なものが、笑っている。 】

「人間の敵、か――――全部の? ……大変だね、それじゃ関わった私も破滅しないと。
 記号や識別票(タグ)には興味ないんだ。
 
 外道が外道として生きた挙句、悪魔一人救って正義の味方と全力でぶつかる――――
 そんな愉快なお話もさ、私みたいなのには需要あるんだよね。
 竜は悪役、英雄がそれを殺す。……そのありきたりな結末は、ひっくり返す方が好きだな。……面白くない? 劇的なもの。 」

【悪魔に乞う様な者もまた人間。“ならば、ヒトの敵と呼ぶには値しない”。】
【言葉遊びだ、乞わず従えようとする様な“機関”の女を悪でないと呼ぶ様な。けれど―――“救う”ことがありえないと語ったからこそ、どこかに求める様な夢追う響き。元の姿は、もはや識られているのだから観えて構わない。】
【そうこうして、暫く言葉を交わしただろうか。恐らくは楽しげに―――高慢なまでの言動で以て、深まる夜に所有だの“人”だのと幾つかの話題で語らおうとするのだろうけれど】


「……面白いコトを考えたんだ。計画と呼ぶには不確かだけど、あとひとつで完成する図式でもある。……要するに、私がやるだけの仕事ってこと。
 常に追われるのは嫌いだけど、その時の私や誰かの破滅を観たいなら好きなだけ観て構わない――――連絡する方法でも教えてよ。
 発振器みたいなのでもいいし、何かを作り出す術(すべ)でもいい。……魂を捧げろ、ってのは御免蒙るけどね」
 

【愉快な“計画擬き”―――恐らくは正義の側には真逆の意味とトーンを帯びる其れ。己をより深く取り戻したとして、殺戮者たる今を失った訳でもない。ならば、そう刺激のないものでもありえないだろう】
【スイッチを入れる/切る、そんな程度の連絡の方法。直接見せるのでも語るのでもなく、 飽く迄魔族の女性自身に委ねるのが彼女らしいと言えばらしいか】
【受け止めても、叩き落しても。きっと、どちらでも構わなかった。共有するにしても独り見届けるにしても、実行するのは間違いなくダリア自身――……自身の興味で、ない筈もない。】

/……本当すみません、書き込めてませんでした……っ
143 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/12(火) 01:28:13.93 ID:opcfjMd+o
>>139

………………

【放たれた弾丸を騎士は声も無いまま受ける】
【それが自然であるように、ようやく訪れた終わりを受け入れるように】
【やがて身を焦がす炎は呪いさえも焼き尽くして火柱を上げる】

……、…………―――――――

【終末の光景に、床に膝を折り剣を立ち木に辛うじて立つ】
【柄へと頭を垂れるようなその様は祈りのように、或いは少女には終わらせてくれた礼のように見えるか】
【火柱は時間の経過と共に鳴りを潜め後に残るのは黒く焦げた鎧だけ……蝕んでいた呪いは剥がれたのだろう】

【時代に取り残された騎士の、名を忘れられた者の物語の一頁はここで終わる】
【終わりを告げる鐘のように捧げた剣は騎士の手元を離れ、地面に倒れる】

【呪いが晴れ本来の姿を取り戻した剣】
【魔翌力を豊富に含んだブルーメタル製、刀身に刻まれた各種の祝福は時間の経過からか劣化している】
【本来の主無き今、剣は別の者に扱われるのを望んでいるのだろう少女の姿に呼応するように明滅して】

【彼女が銃を主体に使うならば溶かして弾丸としても良い、剣とは即ち力を示す】
【形がどうあれ示す物が同じであるならば剣とてそれを受け入れよう】
144 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/12(火) 01:35:48.81 ID:wzR8GS9d0
>140

【殊勝な決意だ。出来ることなら、自分の友達であること以外に意義を見出して欲しかったが】
【信頼できる他者がいる事実がネモにとっての「人間らしさ」であるというなら、それを否定するのも野暮だ】
【――と、理詰めで考えて納得しないと、交友に乏しい少女には、この恥ずかしさを処理することはできなかった】


うーん、困ったものね。開く手段がないとなると……
申し訳ないけれど、腕ごと切断でもしない限り私には無理よ。

【せめて機関の紋章だけでも削り取れないかと思ったが、腕をがっちり捉えている以上は難しい】
【現時点で、ネモの安全と両立できる手錠問題の解決法を提示することはロザリンドには出来なかった】

まあ、袖の膨らんだ服で隠すなり、やりようはあるでしょう。
後で着替えを詰めるバッグもあげるから、私のお古から好きなのを選べばいいわ。
それで後は……お風呂ね。最低限、どこに行っても変な目で見られない身だしなみを整える。

【だが、手錠の件を片付けられなくても、まだ問題は山積みだ】
【家に留まる時間が短い自分では、ネモの保護者になってやることはできないが】
【せめて彼女の滑り出しに勢いをつけてやるくらいのことは、責任をもって果たさなければならない】

――さて、そうと決まったらお皿を片付けてシャワーを浴びるわよ。
あなたはひどく髪が伸びているし、気づかない所までよく洗ってあげないと。

綺麗になったら、今日だけはこの家で寝てもいいわよ……疲れたでしょうしね。

【――熱意が空回りして、ちょっとした「事案」ものの台詞を吐いて】
【キッチンで水を張った鍋に皿を突っ込んだあと、くるりと踵を返し、バスルームへネモを連れて行こうとするだろう】
【せわしない邂逅の夜は、もう少しばかり続くことになりそうだった】

/ちょっと強引ですが、そろそろシメの方向に持って行こうと思います……
145 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/12(火) 01:43:31.24 ID:CjNS9vxlo
>>143

【──騎士が燃え尽き、その姿を無くすまで、彼女はその様を見届ける】
【何かに祈っていた彼は『救われた』のだろうか、──彼女には、分からない】
【彼女には、何も分からない。 ただ、戦闘の終結を示すように、拳銃をホルスターに戻して】


 …、… これ──。


【 ──倒れ込んだ剣を見れば、其処からは語りかけるような『意思』が感じられる】
【主が死に、彼もまた、自分が何か≠定義したいと願っているのだろうか】


……分かったわよ。 連れて行ってあげる。


【溜息を軽く吐いて、彼女はしゃがみこみ、その剣を掴む】
【身の丈には合わない物だが──、それを丸ごと鋳潰したりすることはないだろう】
【──出来るだけ、『剣』のままで使いたい。 そう思わせる造形の美しさだった】











…、…ちょ、 これ、 重いんだけど──。


【── 持って帰るに当っては、随分と骨を折ったらしいが】


/この辺りでしょうか、お疲れ様でした!
146 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/12(火) 02:03:05.67 ID:pD0vznsB0
>>142
「あら、其れは契約のお誘いかしら?
神を試すな――――と何処かの聖人は言ったけれど、悪魔については何も言及していないのだから何も遠慮は要らないわね
誘い誘われ気付けば深い闇に堕ちる一歩手前。それでもきっと人は知らず知らずの内に闇に染まっていく楽しい生き物

一滴飲めば蜜の味、二滴飲めば忘れられず、三滴飲めば人としての死に至る…………何て、私の血はずうっと昔そんな風に言われていたけれど
“試す”にしては高い代償よ?半魔までは行かずとも体に魔族の血が浸食する事になるのだから
どちらが主でも変わらない事。私は精霊だとかと違って純粋な人間との契約は出来ないの」

【楽園を追い出された人類の祖とされる者達もそうだ。誘惑に負け、禁断の其れを其れを味わったから其処から追放された】
【――――嘸かし美味しかっただろう。蜜の様な甘い味は】
【悪魔の血も其れと同じ。眷族を作るよりもずっと簡易的な契約。其の血を飲み体に吸収させるだけなのだから。ただ“人間として”の代償はとても大きなモノ】
【楽園の林檎よりも甘美。まるで麻薬の様な悪魔の血】

【曰わく、人間の枠組みから外れてしまう事になるのだから。超越と呼ぶ者居るかも知れないが、実際は堕落と何ら変わりのない事だ】
【人類の敵となる。全ての善から敵視され、命を常に狙われる】
【犬歯が己の中指の腹を傷付けたならばポツリ、ポツリと等間隔に滴る血液。僅かに瘴気が濃くなったのは、きっと思い違いでも何でも無く】


【其の手を差し向けたならばうっすらと笑みを零すのだろう】
【まるで試しているかの様にも見えるだろうか。ただ試すだけの代償として人間という種族を捨てる事が出来るのか否か】
【地面に血が染みこむに従い、その大地も少しずつ少しずつ闇に侵され始めて】



「――――貴女もよっぽどの変わり者ね
……同じ様な言葉を昔言われた事があるわ。決まり切った話は詰まらない。どうせなら全て正反対にしてしまった方がよっぽど楽しい、なんて言葉だったかしら

嗚呼、それで…………連絡する方法、ね」

【変わり者、とは女性を貶す言葉では無い。寧ろその逆と取るべきだろうか】
【何れにせよ、在り来たりな者と話すよりも余程楽しい事。ただ、連絡する方法と問われれば僅かに考える様な素振り】
【無い訳では無い。召喚の儀でも行えば、暇な時にその場に現れる事も出来る――――が】

【零したのは異世界の言葉か何かだろうか。地面に染みこんでいた血が浮かび上がり、魔方陣めいたモノを形成したかと思えばそのまま術が発動し】
【――――中から現れたのは一枚の札。古びた其れは古の免罪符か何かだったのだろうか。今は乾いた血に汚され、文字すらも読み取る事が出来ないけれど】



「そうね、貴女の言う“面白いコト”にも興味があるから此で連絡すれば良いわ
魔力をコレに込めれば私の方と繋がるから好きな様に使えば良いわよ
尤も――――私の居場所を特定するのは難しいかも知れないけど」

【其れが自分と連絡する事の出来る道具だ、と。禍々しく、実際瘴気めいた物を発しては居るが――――女性にとって支障が出る物でもあるまい】
【受け取るも受け取らぬも自由。電話の様なものと考えるのが一番妥当か】
【やがては指先から滴る血の感覚も長くなっている事を考えれば…………自然か、意思的にか。どちらにせよ、傷が塞がり始めて居る事に変わりは無い】
147 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/12(火) 02:12:42.55 ID:Pj9ABjw/0
>>144
う〜〜・・・・・・
とりあえず、今はそうする・・・・・・
って服、いいの?

【少女の着ているものはぼろ布、服と呼べる代物ではない】
【多少寒さをしのげるとしても、風は通るし虫に食われるし、不便という言葉じゃすまない】
【そんなものを着ていれば、まともな服にもあこがれてしまう。目を輝かせている】
【ついでにお風呂といわれれば、きゃっほうとはしゃぎそう】
【あとに続くまともな身だしなみを、というのはほとんど聞こえてない見たい】

【自分もカレーの皿を水につけて、ややフライング気味にぼろ布を脱ぎ始めて】
【自分もロザリンドの後をついてバスルームへ】

【今日のことを少女はずっと忘れないのだろう】
【始めてだらけの日だ。初めてのご飯、初めてのお風呂、初めてのベッド】
【そして・・・・・・はじめての友達。忘れられるわけがない】

//では、ここで〆で
//お疲れ様でした!
148 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/12(火) 02:20:44.62 ID:opcfjMd+o
>>145

【全てが終わった後、戦場となった教会は取り潰されたらしい】
【そこに残る思い出を良しも悪しも全て瓦礫と共に失くして、人々は生きてゆく事を選ぶ】

【祈りを捧げた人々も神に仕えた人々も今や昔となってしまった】
【偲ぶ者さえもいなければそれは歴史の影へと葬られてしまう、それは当たり前の事】
【この世の出来事のその全てが記録されることなど有りはしないのだから、誰一人として悲しむ必要などない】

【ただひとつふたつと頁が閉じてゆくだけなのだから】


【教会を取り壊す時、鎧の姿は忽然と消えていたという】
【石工から連絡を受けたギルドの組合員が呼び寄せられれば確かに、残るのは火の跡だけだった】
【鎧が自走するはずもない、消滅したか或いは何者かが持ちだしたのか……はてさて】

【頁が捲られたならば次の頁が顔を出す、物語は連続だひとつが閉じればひとつが開く】
【少女の行いはいつか巡る、それが幸いか否かは未だ描かれていない鎧を巡る物語が別の場所で開かれよう】

/お疲れ様でした!
149 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/12(火) 03:42:54.89 ID:+A5a42eL0
>>146


「……聖人の言葉なんてどうでもいいよ。神であれ王サマであれ悪魔であれ、目障りなものは消し飛ばすだけ――――
 尤も、縛るつもりはないみたいだけど。
 そうした意味じゃ、悪魔との方が相性がいいかな。神の呪い、人類の敵なんて話もあるみたいだけど―――……」

【契約―――人は人に戯れに告げる様な言葉上の其れでなく、血と呪いとで縛る遥か旧きそれ。】
【濃度を増す瘴気―――――それだけの存在、それだけの出来事。客観視、任務中はいつもだった “最悪を想定する” 考え方が、必要な相手だと認識してか】
【考え込む様な姿勢を見せた。“計画”のこと、今までのこと。……“自由”、自分の求めるその生き方の意味。上の空で、けれど確かな記憶で魔族の女性の説明を聞き届けるのだろう】

【“札”を受け取り、懐に仕舞い込んで。少しずつ血の流れが収まってゆく様を見れば、本気で、ココロを自問自答に掛けていった様で】


「……私の主は、私だけだ。
 どれだけ肉を蝕まれたとしても、魂まで売り渡すつもりはない――――
 死ねといえば死ね、抗えといえば私を満足させるまで抗え。私の下で、足掻き続けて生き続けろ。……それでいいなら、契約しよう」


【“所有物”として愛情を向ける相手にとも思えぬ苛烈な言葉は、初めて見せた恐れ、だったのかもしれない】

【いつか、知ることのなかった自由な愛情を抱けて。自分のものでなくても、子供がいて。大切な誰かと日向で寝転ぶ様な、本当の自分とは真逆の姿――――】
【その憧れを、断崖に懸けて断ち切る震え。瞳のなかに揺れて、散らせて。呼吸は、最後に眉を垂れさせて静寂に厭になる     心音を続けて 】

【巨人の心臓、菩提樹の葉の跡。……彼女には、きっとそれが子供が星に願い、言葉にせず抱く様な無邪気な愛情だった。だからこそ、それを捨ててはならなかったのだが――――】

(……そんなもの、初めからただの夢だったじゃないか。私には―――この結末(じゆう)以外に、何も、ない……!)

【―――――“獣”として新生した自由の夜に、あまりにも多くを戮しすぎた邪悪な魔物。それが、己だろうとなにかを零して己を殺した】
【後戻りなどできなかった。犠牲が、自分と他者との未来を奪ってきた幾つもの可能性が後を押した。】
【代償は己の血肉と“人”としての未来、手に入れるのは“主”としての立場と総て負う覚悟。……その契約が果たされたなら、この先の出来事も続くのだろう】

【己だけを呪う様に総てを捨てた。血の滴る傷口に口をつける。一滴、二滴、三滴―――――死ぬのに十分なだけの魔族の血を求めて、それでも生きることを続ける様に喉が咽び啼く。】
【起こるのは、どんな変化だろうか。生まれ持った容貌や瞳、燃える様な深緋の髪の整った調和が消えるのは望ましくないけれど―――……魂の自由以外の総てを売り渡した彼女には、もう、それすらも不確かだった】
150 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/12(火) 03:43:19.16 ID:+A5a42eL0
>>146


「……聖人の言葉なんてどうでもいいよ。神であれ王サマであれ悪魔であれ、目障りなものは消し飛ばすだけ――――
 尤も、縛るつもりはないみたいだけど。
 そうした意味じゃ、悪魔との方が相性がいいかな。神の呪い、人類の敵なんて話もあるみたいだけど―――……」

【契約―――人は人に戯れに告げる様な言葉上の其れでなく、血と呪いとで縛る遥か旧きそれ。】
【濃度を増す瘴気―――――それだけの存在、それだけの出来事。客観視、任務中はいつもだった “最悪を想定する” 考え方が、必要な相手だと認識してか】
【考え込む様な姿勢を見せた。“計画”のこと、今までのこと。……“自由”、自分の求めるその生き方の意味。上の空で、けれど確かな記憶で魔族の女性の説明を聞き届けるのだろう】

【“札”を受け取り、懐に仕舞い込んで。少しずつ血の流れが収まってゆく様を見れば、本気で、ココロを自問自答に掛けていった様で】


「……私の主は、私だけだ。
 どれだけ肉を蝕まれたとしても、魂まで売り渡すつもりはない――――
 死ねといえば死ね、抗えといえば私を満足させるまで抗え。私の下で、足掻き続けて生き続けろ。……それでいいなら、契約しよう」


【“所有物”として愛情を向ける相手にとも思えぬ苛烈な言葉は、初めて見せた恐れ、だったのかもしれない】

【いつか、知ることのなかった自由な愛情を抱けて。自分のものでなくても、子供がいて。大切な誰かと日向で寝転ぶ様な、本当の自分とは真逆の姿――――】
【その憧れを、断崖に懸けて断ち切る震え。瞳のなかに揺れて、散らせて。呼吸は、最後に眉を垂れさせて静寂に厭になる     心音を続けて 】

【巨人の心臓、菩提樹の葉の跡。……彼女には、きっとそれが子供が星に願い、言葉にせず抱く様な無邪気な愛情だった。だからこそ、それを捨ててはならなかったのだが――――】

(……そんなもの、初めからただの夢だったじゃないか。私には―――この結末(じゆう)以外に、何も、ない……!)

【―――――“獣”として新生した自由の夜に、あまりにも多くを戮しすぎた邪悪な魔物。それが、己だろうとなにかを零して己を殺した】
【後戻りなどできなかった。犠牲が、自分と他者との未来を奪ってきた幾つもの可能性が後を押した。】
【代償は己の血肉と“人”としての未来、手に入れるのは“主”としての立場と総て負う覚悟。……その契約が果たされたなら、この先の出来事も続くのだろう】

【己だけを呪う様に総てを捨てた。血の滴る傷口に口をつける。一滴、二滴、三滴―――――死ぬのに十分なだけの魔族の血を求めて、それでも生きることを続ける様に喉が咽び啼く。】
【起こるのは、どんな変化だろうか。生まれ持った容貌や瞳、燃える様な深緋の髪の整った調和が消えるのは望ましくないけれど―――……魂の自由以外の総てを売り渡した彼女には、もう、それすらも不確かだった】
151 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/12(火) 04:34:14.37 ID:pD0vznsB0
>>150
【或いは其れすらも戯れだったのだろう。悠久の刻にて見つけた楽しい出来事】
【契約の真似事を幾度繰り返し、その果てに何人の死を誘ったか。なれば今度はどの様な結末か、ならば今度はどの様な死を見るのか】
【悪魔の生きた時を本にするならば数万頁は優に越える。然れど、それとて“面白かった事”を記した物だけ】
【ならば今宵また新たに頁が一つ増える事になるのだろう。それがどの程度の行まで記されるのか、其れはまだ分からぬ事だが】


「フフ――――私はね、死ぬ事が出来ないの。心臓を抉っても頭を潰してもまた私として生き返る
だから、私は自分の話の終わりを紡ぐためにこうして人間の前にフラリと現れるの
何時か死ぬ事が出来る刻を、殺されるに相応しい刻を探す為に」

【生き飽きた。そんな悪魔にとって全ては詰まらぬ出来事としか認識出来ない】
【人の歴史も結局は同じ事の繰り返し。だから“歪み”を生じさせる為に時折干渉するのだろう】
【――――その中で見出せる楽しい出来事は少ないけれど。だからこそ、一層楽しく思えるのだ】



「それと、気を付けなさい?詰まらない事ばかりを続けて――――飽きれば貴女の心臓を喰らうし、四肢を少しずつ腐らせていく
魂は最後の最後にしてあげるわ。拒もうが何をしようが貴女はただただ食べられるのを待つだけ
その時が貴女にとってその時最後の仕事で、私が貴女で楽しめる最後

…………其れが、悪魔との契約。でも、安心しなさいな
まだ本当の契約では無いのだから。貴女の“やり方”を見てその先も考えてみるわ」

【脅し、では無いのだろう。長い歴史の中で何度も“行った事”だ】
【其れを覚悟の上で、喉に血を通らせたのならば――――感じるのは悪寒】
【誕生が熱ならば死ぬ時は寒。内から凍える様な寒さは細胞の一つ一つが活動を停止し始めた錯覚すらも起こさせる様】

【大地に立つだけの力は残って居るか。呼吸をするだけの余力はあるか】
【――――否。全て無くとも良い。仮に倒れるならば悪魔の腕がその体を支えて横たわらせるだろうし、呼吸が出来ずとも苦しい思いをするだけで死ぬ事は無い】
【やがて爪先指先まで“寒”に満たされれば感じるのは死への恐怖か、それとも変わる喜びか】
【コレで仮の契約を結ぶ儀式。女性を人間から変えるにしても、蹂躙と例えても良い位には熾烈。ならば本契約となれば、果たしてどの様な事になるのか】

【身体への変化は無い、か。然れど違和感は“体内”にあるだろう。人に比べれば体温が著しく低いのだから無理も無い事だが】



「古から人は悪と善との相対する心を持っていた。聖書で彼は殺し、彼は繁栄させた
――――私の楽しみは人間を唆す事。私の喜びは歪みを見つける事
悪魔とはそんな存在で、悪魔とは気紛れな生き物

こちらへようこそ、ダリア。歓迎するわよ
コレで晴れて貴女も人類の敵、人々の敵。世界の嫌われ者で、影で生きる存在
貴女が私を楽しませてくれる限りは、手を繋いでいてあげるわ
でも、忘れないで頂戴。さっきも言った様に――――」

【もし、目を瞑っていたならば。次に目を開けた頃には無邪気に笑う“少女”が直ぐ目の前に居る筈だ】
【――――本契約がアリスの個人の力を使役する事ならば、仮契約は悪魔の力を使う事】
【詰まる所、瘴気だとかそう言った物を扱う事が出来る様になる事】

【クツリ、と子供っぽく笑んだならば差し伸べられたのは小さな手。瘴気だって気にならない程に順応できるようになったか】

/っと申し訳無いですが時間故にそろそろ置きレス移動移行だと有り難く……!
152 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/12(火) 04:37:18.16 ID:+A5a42eL0
>>151
/了解です…! それでは、遅くまで本当お疲れ様でしたっ……!
153 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/12(火) 18:20:33.26 ID:qlozd6680
【水の国――噴水広場に出ている、車でのアイス屋の傍】
【時刻は昼間の3時を回った頃合、遠くではミンミンジワジワと蝉が鳴いて、賑やかな昼間】
【噴水で水遊びする子供たちの声も響いていた。それを見ながら談笑する、母親たちの声も】

あのねっ、あのね、私は、チョコレートがいいなって!

【――そこに一つ、違った色合いの声が混ざりこむ。アイス屋のメニューを、背伸びして覗き込んで】
【首から提げた小銭入れからソフトクリームの金額を取り出して元気に注文する、店のおじさんがにこりとするのを見て】
【おじさんがソフトクリームを巻くだけの少しの時間。うきうきとして待っている姿は――まあ、微笑ましいものだった】

【クリーム色のふわふわした髪は後ろで一つ結びのポニーテール、その毛先は、くしゃっと水に濡れて】
【見上げる青空と同じ色をした双眸に、左目の下に紫色で刻まれた蝶の刺青。毒々しい色は、異質さを抱き】
【シンプルな白色のワンピースはおなかの辺りまで濡れて肌に張り付く。透けこそしないが、うっすらと体型を浮ばせて】
【足元は濡れても平気そうなサンダル。ぐっしょりと濡れる足跡を見るに、彼女も噴水で遊んでいた1人らしく】
【――ちっちゃな女の子だ。歳を数えるのに両手も要らないような、そんな年頃の、おんなのこ】

ありがとうございますなのー!

【そうして、そんな彼女はおじさんからソフトクリームを貰うと。とてとてと店を離れ、木陰のベンチまで歩き】
【「いただきまーす!」なんて元気に言ってからあーんと口を開ける。何にもなければ、ぐるぐる巻きの天辺をぱくりとやって――】

【――夏休みめいてひどく平和な光景だった。だから、余計に、何かがあればきっと目立つのだろうし】
【そんなことがあればこの女の子が興味を示す。そうでなければ、――ただアイスを食べているのだろうけれど】
154 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/12(火) 18:49:50.74 ID:J8DFKpHMo

 【街中】

 今日も仕事したし、数日は金に困らねーな!!

 【冒険者ギルドから一人の男が出てきた】
 【黒いソフト帽を被りライダースジャケットを着た男】

 しっかし、色々考えないとなぁ……
 奴らの残党があいつ以外にもこの世界に来る可能性があるみたいだし。


 【どうやら男は何か考え事をしているようだ】

/予約ありでーす
155 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/12(火) 19:06:21.68 ID:NDKFBlUR0
>>154
【夕暮れ時。沈みゆく夕日は美しく輝き、街を橙に彩り照らす】
【街路には昼の暑さは今だ残り、無気力な足取りの人々が徘徊する】
【そんな中、その男は歩いていた。鈍く光る銀の鎧甲冑を身に纏い、独特の金属音を立てながら、背中の真紅のマントを身体に巻くようにして】
【その出で立ちはまさしく騎士と呼ぶにふさわしい。堂々たる足取りはより周りと際立っていた】
【その時だった。彼は建物から出てきた男と、不意に、偶然にも衝突してしまった】

「……失礼した」

【ほんの些細な事だった。━━━鎧を来ている分、ぶつかった相手は痛いだろうが━━━━形式的な謝罪をし、その場を後にしようとする】
【しかし、男は感じただろうか。衝突の瞬間、彼の身体から発せられる「瘴気」のようなオーラを】
【人間とは動物的本能により、相手の強きがいかなるかを見極める事ができるという……彼が発するそれは、そんな本能に訴えかけるようなものが感じ取れる】

【彼はそのまま立ち去ろうとするが、男はどうするだろうか……】
156 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/12(火) 19:07:54.89 ID:NDKFBlUR0
>>155
/暑さは→暑さが
でした
157 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/12(火) 19:18:09.97 ID:J8DFKpHMo
>>155

いや、こっちも前見てなかったからよ
って、あんた暑くないのか?

【一般人であれば、鎧の男から発せられる瘴気に気づいただろう】
【しかし、男はまったく気づかなかった】
【なぜなら、男はバカであり、人を疑うことを知らないからだ】
【なんなら、こんな暑い季節に街中で鎧を着ているという行為に驚愕した】

しっかし、その鎧かっこいいな
ぶつかっちまった俺のからの謝罪代わりにだが
飯を奢らせてくれないか?
用事があるのならかまわないがよ。

【男は食事に誘おうとする】
【彼自身は一仕事終えて、お腹がすいていたからというのもあるのだが】
158 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/12(火) 19:21:45.02 ID:NDKFBlUR0
>>157
/すみません、飯落ちします
/30分もすれば返信できますので、その時まで
159 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/12(火) 19:26:25.74 ID:J8DFKpHMo
>>158
/問題ないですよー
160 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/12(火) 20:01:17.56 ID:J8DFKpHMo
/ちょっと飯落ちしてます
161 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/12(火) 20:04:26.66 ID:NDKFBlUR0
>>157
【男の反応に、彼は鎧の中で眉をひそめた】
【一般人なら自分に進んで話しかけるような輩はいないだろう、と踏んでいたからだ。現に他人への干渉能力だけは高い路地裏のゴミ虫共も近寄らないというのに】
【ただの愚か者か、それとも……そう考えていた。もっとも、それは杞憂に過ぎないわけだが】

「食事だと?……生憎だが、今はそんな暇は無い。暇潰しなら他を当たれ」

【と、彼は男を冷ややかに突き放す。それは彼がそうだったという事もあるが、それ以上に彼は、目の前の男を疑っていたからだ】
【彼は男とは正反対だった。彼は自らの属する組織では高い地位にいるにもかかわらず、他人を信用することは決してない。そのような立場にいるから、ということもあるが……】
【そのため、どんな下っ端のやる任務だろうと一人でこなす。だからこそ、このような路地にいるわけでもあった】

「ついでだ。聞きたい事がある……冒険者ギルドとやらはここで合っているな?」

【彼は、男が今さっき出てきた建物を指差す。そこには元より、用があった】
162 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/12(火) 20:04:53.07 ID:NDKFBlUR0
>>160
/乙
163 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/12(火) 20:37:10.55 ID:J8DFKpHMo
 >>161

 そうか、ならしかたがねぇや

 【食事への誘いを断られても男は気にしなかった】

 で、ギルドはここかって?
 そうだぜ、なんか依頼か?
 正規の値段より安い報酬で俺は動くぜ、まぁ仕事は多少選ぶがな

 【そういうと、男は暑苦しい、しかし見る人を安心させるような笑みを浮かべた】

/戻ってきましたー
164 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/12(火) 20:52:29.30 ID:NDKFBlUR0
>>163
「……」

【彼は、男の笑顔を見て……確信した。「こちらを少しも疑っていない」と】
【しかし、そんな人間がいるのだろうか?会った人間を無条件に信頼し、疑らない……】
【……そんな人間がいるはずはない。嘘と裏切りに満ちた荒廃した世に、そのような者がいるとしたらそれはまさに「底なしの馬鹿」と表現できるだろう】
【そんな者はとことん利用され、淘汰され、最後には捨てられるに決まっている。人間は裏切りを知らずして、生きてはいけない】
【ならばなぜその平和ボケした考えで、ここまで生きてこれたのか。そしてそれが何処まで通用するか……彼はそれを何の気なしに、無性に知りたくなった】
【そして、彼は男の方を向く】

「ならば……貴公に依頼をしよう。報酬はこれだ」

【おもむろに懐から、何かを取り出す。それは麻袋だった。それも妙に重い】
【中身はすぐにわかるだろう。……中には金貨が入っていた。一枚や二枚ではない。大量。それこそ数え切れないほどの】
【元々これは別の任務に使うものだったが、彼はそれを容易く渡して見せた。組織が何と言っても知るものか】

「場所はこの街を出た広大な砂漠の中心部。突如目覚めた魔物の討伐……協力してくれるか」

【彼は妙に簡潔な説明と、高額な報酬の入った袋を手渡し、男に背中を向ける】

「先に行っている。後でついてこい………最も、その気があるなら」

165 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/12(火) 21:01:56.80 ID:J8DFKpHMo
>>164

ふむふむ、魔物の討伐ねぇ
イイヨ!!

【話を聞いて返事をするまでの間、僅か0.05秒】

でも、報酬半額くらいでいいよ。
こんなに貰えねぇや、へへへ

【高額な報酬を見て、こんなに貰えないと報酬の減額を要求する】
【まともではないだろうが、彼にとってはこれが普通なのだ】

じゃ、行きますか

【男は名乗る、自らの名を】

俺は黒須春斗、よろしく頼むぜ!!
166 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/12(火) 21:14:35.37 ID:NDKFBlUR0
>>165
【彼は男の報酬減額の声にも応じず、「着いてこなかったら置いていく」とでも言わんばかりに進んでいく】
【そして、舞台は変わる……そこは砂漠の中心部。誰も人が通ることはなく、また何もいなかった】
【そう、「何もいなかった」……そこには討伐すべき魔物さえも、どこにもいなかったのである】
【彼は、後ろにいるであろう男を振り向き、呟くように言った】

「よく着いて来た。第一段階はクリアか……」

【マントが風になびき、大きくその内側を曝け出す。そこには……「カノッサ機関」それを示す逆五芒星が冒涜的に、不安を煽るようにでかでかと刻まれていた】

「……我が名はニーベルンゲン・シュバルツシルト」

【彼は剣を抜き、男へその切っ先を向け、ただ冷酷に言い放った】

「残念だが、内容など初めからない……消えてもらおう」

【これはテストだった。男はおそらく、誰をも信用するのだろう】
【ならばなぜ今まで淘汰されず、生きてこれたのか……それは彼の実力であるか、ただ運が良かっただけか……彼はそれを知りたかった。「人の中の可能性」を。】
【そのために今、彼は男に剣を向けている。その力を見せてみろ、とでも言わんばかりに。彼が今まで生きてこれた、その力を見てみたい】
【ただ、それだけだった】



167 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/12(火) 21:26:08.77 ID:J8DFKpHMo
>>166

えーと、カノッサの人みたいだな……

【この世界に来て、最初に出会った人物から聞いた話、そこから判断する】
【剣を向けられた上で春斗は冷静であった】
【今すべきこと、目の前に立って居る男が何者なのか】
【全て理解する】

ならば、はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

 【春斗が呼吸を整えだし、突如両手を前に突き出た】
 【次に両手を腰の右側に持っていく】
 【そして、左腕を手の甲の方をニーベルンゲンに向けるようにしながら力瘤を作るようにする】
 【最後に右手を左腕の腕時計のようなものに添え、春斗は叫ぶ】

 粒……結!!

 【すると、突如として春斗の全身を光が包む】
168 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/12(火) 21:38:46.44 ID:NDKFBlUR0
>>167
「……」

【彼もまた冷静だった。男の一連の手慣れた動作を見るに、能力だろうと確信し、構える】
【しかし彼は剣を仕舞った。「攻撃しない」とでも言うのか。代わりに、腕を構えていた】
【マントが夜風にたなびく。光に包まれる男の姿を、ただ注意深く観察していた】

「見せてみろ、貴公の力を」

【彼は考えていた。男にもし実力がなければ、「この世界で」生きることは難しいだろう、と】
【これは彼の実力を図ると共に、男への忠告、という意味もあった】
【人を信じるということが、どれほど馬鹿げた空虚なものか。知らしめるために】


169 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/12(火) 21:44:46.07 ID:opcfjMd+o
【水の国、裏通り】
【表とは違いこの場所はどことなく暗い雰囲気を持っている】
【街灯は時折消えかかりその中を行き交う人もまたどことなく影を背負っているよう】

【元より後ろめたさがあるからこそこんな通りにいるのだろう】
【今丁度この場所を通りかかる馬車もまた、そんな人々の中のひとつ】

都に近いからって売れるもんじゃあないねえ……
どいつもこいつも湿気てやがる、どうせならもっと喧騒に戦乱に乗せられた土地にでも行こうかね

【誰へとなく呟く嗄れた声は老婆のそれだった】
【黒色のローブにフードを被る、少々みすぼらしい格好】
【馬の手綱を握る手はやはりというか皺だらけでどことなく魔女を想起させるだろう】

【ぎちぎちと鳴く馬車は相当に年季が入って、木目は深く煤に汚れ釘は錆びて今にも抜け落ちそう】
【夜襲でも受けたなら矢のひとつで全て崩れ落ちてしまいそうな程の年代物だった】

【しかし如何なる意味があるか。屋根に括り付けらぶら下げられた四角に切り取られたオーク材の木の板】
【「52」と印字されたそれだけは真新しかった】

ほら見たことか行き交う人間全部が全部、辛気臭いツラばかり
明日の心配なんかしたところで確からしい事なんざ何もないっていうのにねえ……。
まあ、なんだね……どっちにしてもここじゃあ良い取引は出来そうにない……そろそろ別の所に流れようかね……。

【その老婆は旅の露天商だった】
【街から街へ宛てど無く気の向くままに物を売る、それが戦いを助長するものであれ何であれ】
【扱う物に拘りを持たないことが老婆のやり方だった、時代が人が求めるならば槍でも剣でも銃でも売る】

【揺れる度に響く金属の音はそういった部類が擦れる音なのだろう】
【馬車の縁からわずかにはみ出した「黒い鎧」その手甲部分がそれを物語っていた】

【進む老婆に声を掛けたならば今まで零していた台詞などまるで無いように】
【「おや、いらっしゃい何か入用かね?」と朗らかに問うだろう】
170 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/12(火) 22:04:02.27 ID:J8DFKpHMo
>>168

【光が晴れた場所に春斗は居なかった】
【いや、正確には春とは居る、しかしその姿は異形】
【まるで、子供達が憧れる変身ヒーローのようであった】

 待ってくれたのか、ありがとよ。

【そう言うと春斗は走り出す】
【それは、まるで一陣の風であった】

 できれば、人間とは戦いたくはなかったんだがな!!

【春斗の気配が人のものから化け物のものに変わる】
【並の人間であれば、その気配に恐れおののくだろう】
171 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/12(火) 22:16:39.17 ID:NDKFBlUR0
>>170
「……」

【彼はそれに何も答えなかった。その様子をただ、冷徹に見据えるだけだった。恐怖もなかった。怪しい気配に眉をひそめながら】
【昔はあんな姿をしたものに興奮していたような気もするが、とうに忘れてしまった……その感情さえも】

【さて。男はただ彼に向けて風のように速く、突進を続ける。やがて男は彼に近づいて行く。が……】
【そのまま、男は妙な感触に襲われるだろう。それは「走りをそのまま止められた」かのような感触】
【男は、彼の目の前で「停止」していた。それこそ、彼の兜が男の鼻先にあるような距離で】
【何をしたのかは、今の時点では男には分からないだろう。だが彼は男に対して、本能への危険信号を発していた】

「この程度で……よく生きられたものだ」

【彼はそのまま男の腹に向けて拳を構える。狙うは下腹部に向けての僕打】


172 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/12(火) 22:30:45.12 ID:J8DFKpHMo
>>171

へっ……その程度かよ

【放たれた拳それは、クリーンヒットした】
【しかし、常人のそれではない春斗の肉体はたやすく受け止める】

タイプチェンジ!!

【その言葉と共に春斗は光に包まれる】

【光が晴れそこにいたのは異なる姿であった】

はっ!!

【全身から雷光がほとばしる】
【それは360°、春斗の全身を覆う】

悪いが、あんたの絶望……俺が断ち切る!!

【今の春斗に触れれば、高圧電流で全身を焼かれるだろう】
173 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/12(火) 22:37:40.34 ID:NDKFBlUR0
>>172
【パンチは見事に入る。しかしそこまでの効果はなかったらしい】
【不穏な気配に身を引けば、男の身を覆うのは高圧の電撃。なるほど……少々厄介だ。強さは本物、と言った所か】
【しかしそんな甘い考えで、この世を渡り歩けるのか】

「……来い。貴公では、私に指一本触れることはできない……」

【手の甲を相手に向け、挑発のポーズを取る。相手がどこまで出来るか……それを知りたい】
【自分の能力なら、それは容易かっただろうからだ】

【彼の眼前に、漆黒のオーラが生成される。それは円形に形をなし、やがて一つの……大きな「盾」となった】

「事象の地平面(シュバルツシルト)」

【彼はそれを展開したまま、再びもって挑発のポーズを取った】
174 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/12(火) 22:52:40.32 ID:J8DFKpHMo
>>173

うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!

【全身の雷光が一瞬消える】
【その直後、雷が複数飛ぶ、まるで生きているかのように】

ラァイトニングッ!!スピアァァァ!!

【彼の行く道は荒野だった、たった一人、守ったもの忌み嫌われようと】
【裏切り者とののしられ続けようとも、彼は行くのだ】
【もはや誰も止められない、彼の姿は嵐のようであった】


【春斗はそのまま跳ぶ】

【春斗を止めればば雷の槍が、雷の槍を止めれば春斗がダメージを与えるだろう】
【無論対処法はあるのだが】

/すみません、ちょっと用事があってここで一旦終わらせてもらえないでしょうか
175 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/12(火) 23:06:29.04 ID:NDKFBlUR0
>>174
【彼は迷わなかった。防御したのは雷。流石に感電は危険が高い】
【盾は、その雷をリスクなく受け止める。よく見ると、一本一本を受け止める度に消え、その度に盾を生成しているのが分かるだろうか】
【そうすることで彼は雷の全てを防御し、そして空中から攻め来る男に対しての防御も可能にしたわけである】
【彼は男の突進を防御し勢いを殺してから、間合いを取った】

「見事。貴公の実力は十分に分かった……」
「貴公は確かに強い……だが、それが通用するのはどこまでかな……」

【そう告げてから、男に背を向ける】

「貴公はもう少し「危機」を知れ。疑いを消さねば、思わぬ裏切りに会うだろう」

【そう忠告してから、彼は歩き出す。】
【その背中は何処か、男の背負っているものと同じようにも感じた】

「覚えておこう、貴公の名を。クロス・ハルト……さらばだ」

/了解です。長引かせるのも何なので、終わりにしました
/少々強引でしたが、お疲れ様でした
176 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/12(火) 23:25:03.77 ID:J8DFKpHM0
>>175
乙です。
177 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/13(水) 09:19:07.70 ID:QYr/OBSwo
【路地裏】

【――グチャッ、という生々しい音が、何回かに分かれてある一角から響いていた】
【誰かがそこを覗き込めば、自警団の服を着た、原型を留めぬ肉塊と、振り下ろされる金槌と】
【それを握った、ライトブルーの髪に戦闘服姿の少女が目に入るだろう。袖の『100』という数字とカノッサのマークも、だ】

……ふう、ようやく静かになったのであります。
今更ではありますが、『抵抗は無意味だ』というお言葉はそっくりそのまま……もう一人、は…?

【――或いは。折れた足で路地裏を這い逃げる自警団員に出会って、交戦したのだと言うことを聞いたなら】
【この場に駆けつける人間の種類も決まるだろうか。どちらにせよ、少女は金槌の血をピシャリと払って――。】
178 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/13(水) 10:42:23.08 ID:qXgXsxrTo
/>>177でもう二時間ほど待機してみるのです。
179 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/13(水) 12:08:19.25 ID:2g8G9qWHo
>>177
/まだ居ますか?
180 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/13(水) 12:14:53.58 ID:qXgXsxrTo
>>179
/居りますよー!
181 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/13(水) 12:39:47.49 ID:2g8G9qWHo
>>177
【交戦した自警団員が到達したのは一人の男だった】
【折れた足の自警団員、その少し先にある元自警団員と恐ろしい武器を持った少女を見ても、彼が動じる様子はなかった】
【助けを−−あるいは逃げるように−−求める自警団員にその男は何も言うことなく屈みただ労うように肩に手を置いた】
【だが男の視線は自警団員ではなく少女にのみ向けられていた】
【そして自警団員は炎に包まれ、何が起きたのかを理解するより早く同僚の後を追った】

随分とみみっちいことはやってるな、お前は

【燃え盛る死体を作り出した男はそれを一瞥することもなく、少女に話しかける】

/ではよろしくおねがいします!
182 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/13(水) 12:57:01.14 ID:qXgXsxrTo
>>181

……? ご同僚の方、でありますか?
自分はカノッサ機関六罪王、ダグラス殿の直属で
『No.100』を預かり受けております――ブランデン・ケミッシュであります!

……千里の道も一歩から、と言うのであります。
私は強くありませんので、これもまた重要な仕事と心得ます。

【――そんな風にバカ真面目そうに、少女は新たな人物登場に言葉を返した】
【年の頃は16かそこら、だろうか。手にした凶器といい、言動といい、見掛けが全てという人間ではなさそうで。】

/こちらこそ、よろしくお願いします!
183 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/13(水) 13:06:55.27 ID:2g8G9qWHo
>>182

悪いが、同僚じゃないな
カノッサ機関とやらはナンバーをどっかに書くものなんだろう?

【男はその場に一回転してみせる】
【言葉通り、彼の服装のどこにも数字は書かれていなかった】

目的が何か知らんが、もし自警団を全滅させるのが目的ならもう少し……

【視線を少女の武器に向けると、男は途中で言うのをやめた】

いや、確かにその武器だと多人数戦は無理、か
多くても十人を同時にするのがやっと、というところか?

【男はそう言うと、質問の答えを促すように少女に視線を戻した】
184 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/13(水) 13:17:16.09 ID:qXgXsxrTo
>>183

……っ、これは失礼したのであります!
確かに、多くのナンバーズはその数字を何処かに入れるのが常ですが、そうしない方も……いえ。

【男の姿を目で追って言葉を聞けば、愚直そうな彼女も理解できたらしい】
【謝ると同時に慌てて空いた手で敬礼すれば、さながら軍人のようであり】

ぁ……いえ、これは単なる鈍器ではないのであります。

衝撃に応じて電撃を蓄えたり、私の意のままに大きさを変えたり……
昨今はワイヤーも仕込んでありますから、やり方次第ではもっと……
それに、自分には有り難くも能力もありますので!

【視線を受けると敬礼のままピッと背をただして質問に答える】
【味方ではない、しかし敵でもないと判断したのだろう】
【それにしたって話しすぎな気もするが、そこは彼女の数少ない人間らしい点だった】
185 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/13(水) 13:28:31.41 ID:2g8G9qWHo
>>184
【男は少女の、あまりの堅苦しさに笑い声をあげてしまった】

そんなに畏まるなよ

【そう言うと男は少女の敬礼の真似をしてみせる】

能力か、いいな
そいつが対多数向きなら、この団員たちを集めてからやった方がいいんじゃないか?
それとも、そのための囮を俺が親切にも殺しちまったか?

【壁によりかかると男は一度だけ指を鳴らした】
【すると燃え盛っていた炎が何もなかったように消え去り、すっかり肉のなくなった死体が露わになった】
186 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/13(水) 13:36:22.22 ID:qXgXsxrTo
>>185

はあ、まあ……貴方様がそうおっしゃるのでしたら。

【ちょっとぎこちなさそうに腕を下ろすと、汚れた金槌を腰のホルダーに収め】
【無惨な燃えかすと成り果てた死体に一度目をやって】

いえ。私の能力は、多数を相手にするには便利ですが時間がかかるのであります
数ヵ月あれば小規模な戦闘集団とも交戦が……あ、いえ。
それに今は妙な真似はするなと厳命を受けておりますので、問題はないのでありますよ

……ところで、差し支えなければお名前をお聞きしたいのであります
機関に伝えれば、不要な面倒も無いかと思いますが……如何でしょうか?
187 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/13(水) 13:53:21.19 ID:2g8G9qWHo
>>186

なるほど、完全に余計なお世話だったか
初対面の相手に上から目線で物を言うもんじゃないな
これは失礼を

【男は貴族がするように仰々しく頭を下げた】

リヒャルト・アーベントロート
連絡をしてくれるのならありがたい
目的が似通っているというのに、敵対する気はないしな
188 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/13(水) 14:07:42.43 ID:qXgXsxrTo
>>187

いえ!貴方様が来て下さらなければ敵を逃していたところでしたから。
自分もまだまだ未熟であります、是非ともご指導頂ければ、と。

【男のお辞儀に対してとんでもないという風にしながら応え】

リヒャルト殿、ですね。了解したのであります
機関には確かに伝えておきますので
もし他の機関員に会いましたら是非お名前を伝えて下れば……。

……それともし他に何かあるようでしたら。

【それも機関の構成員に伝えられる、ということらしい】
【何か目的があるなら、巨悪の集団というのは中々役に立つかも知れないが……】
189 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/13(水) 14:22:28.85 ID:2g8G9qWHo
>>188

そうだな……

【リヒャルトはしばし考えた】

俺もお前と同じように、少し時間はかかるが大量殲滅ができる
だから対多数、対施設戦のときに声をかけてくれれば役立つだろう
何かあるときは、町中で“花火”でも挙げてくれればいい

【そう言うと彼は不敵な笑みを浮かべた】
【そこには戦いに対する自信が表れていた】
190 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/13(水) 14:33:43.51 ID:qXgXsxrTo
>>189

【こくり、と少女は首を縦に振った。その意味するところは言うまでもないが】

了解したのであります、リヒャルト殿。
“その時”は出来るだけ大きな“花火”を、でありますね…。

――それではそろそろ、リヒャルト殿。
自分はダグラス殿のもとでなすべきことがありますので失礼するであります!
心配は不要かと思いますが、お身体には気を付けて、であります。

【では、と言うと最後に一度敬礼してから少女は路地裏の奥に姿を消す】
【これ以降、リヒャルトが機関員と不必要に事を争う様なことは無くなるはずだ】
【今後の関係がどうなるかはまた別として、だが――】

/お疲れ様でしたー!
191 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/13(水) 14:35:31.48 ID:2g8G9qWHo
>>190
/おつかれさまでしたー!
192 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(鹿児島県)[sage]:2014/08/13(水) 19:02:29.15 ID:waX9IU0o0
【街中】

もうすぐ夜か…

【日傘をさしゴスロリ服に身を包んだ少女が街中を歩いている】
【しかし正確には少女ではない】
【金髪のロングヘアーに紅い瞳】
【そして透き通るように白い肌】
【見た目は少女だが彼女は正真正銘、本物の吸血鬼である】

そろそろ食糧調達をしなければいけないのう…
さて今日はどいつにするか…
193 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/13(水) 19:33:47.02 ID:2g8G9qWHo
【路地裏】

【そこには臭いが充満していた】
【鼻をつくような汚濁の臭いに、皮膚や肉を焼いた後の焦げた臭い】
【そして何よりも死の香りがしていた】

【辛うじてそれが元々人であったと分かる程度の物の前に居たのは一人の男だった】
【黒く短い髪に特徴のない服装。人ごみに紛れればすぐにでも分からなくなりそうな風貌のはずなのに、知っていれば遠くからでも彼だと分かるような威圧感を纏っていた】
【武器も何も持っていないその男は、しかし彼がその死体を作り上げたのだと誰もが思うほどに冷たい視線を足下の物に向けていた】

ブランデン、だったか
この有様では、俺もあいつのことを言えんな

【壁によりかかったまま男は足下の骨を足で軽く蹴飛ばす】
【骨はからからと軽い音を立てて転がった】
194 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/13(水) 19:50:42.98 ID:NILCZ/720
>>193
「……これはこれは」

【やがて彼の近くで、ガシャリとした金属音が響く事だろう】
【目を開ければそこに飛び込んでくるのは「銀」━━━━鎧甲冑を纏った男が、足元の死体を見ながらそこにいた】
【背中の紅いマントが風に揺られ、内側に刻まれた大きな逆五芒星が現れる。その冒涜的ともいえる存在感は大きく】
【鈍い銀色の兜の側面には「No.3」の文字が乱雑に刻まれていた】
【彼はやがて顔を上げ、兜から漏れる紅い眼光を男に向けた】

「任務の傍に寄って見れば……取り込み中だったか?」

【この臭いは何度も嗅いできた。「死」の臭い……これは目の前の男がやったと考えるのが自然だろう】
【そして、この焦げた臭い……火の能力か?彼は自然と、目の前の男に対して構えていた】
【特に疑いがあったわけでもないが、このような立場にいると、存外他人を信用出来なくなるものだ】
195 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/13(水) 20:00:55.80 ID:2g8G9qWHo
>>194
【声をかけられて男は現れた機関員に顔を向けた】
【そして兜に記されたナンバーを見て男は軽いため息をついた】

勘違いだったら悪いんだが、身構えるなよ
機関員なんだろ? 仮に俺が襲いかかったところで、蹴散らすのは簡単だろ

【男はそう言って肩をすくめた】
196 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/13(水) 20:08:55.55 ID:NILCZ/720
>>195
【その返答を聞き、敵では無いと確認する】
【同時に警戒を解いて、再び向き直った】

「……失礼した。この時世だ、いかなる時も油断は出来ない物でな」

【身を引いて、形式的な謝罪を取る。しかしその礼は確かに丁寧ではあった。……が、どうにも「敬意」というものが感じられないようにも見えた】
【彼は再び、紅い眼光を足元の死体の方へと向けて、男に向けて問いた】

「……そこの人間、そいつを殺したのは貴公か?」

【死体……いや、肉片と言った方が正しいだろうか。辛うじて人間だったとわかる程度の物体に指を差しながら聞く】
【特に理由があったわけでもない。何故わざわざそんな事を聞いたかと言えば、彼が「暇」だったからだとしか言いようがなかった】
197 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/13(水) 20:17:21.09 ID:2g8G9qWHo
>>196

あんたといい、さっきの娘といい
カノッサ機関は随分と丁寧らしいな

【形式的だが丁寧な礼を見て男は少し笑った】
【その礼には敬意は感じられなかったがそれは男にとって些細なことだった】

わけあってな
まぁもっとも、そのあたりのゴミを焼却処分するのに理由は要らんが

【機関員に聞かれて男はもう一度足下に眼を向けた】
【彼の言葉には噓偽りどころか、それが比喩だと感じさせる躊躇ささえなかった】
【この男は確かに足下のものを人ではない何かだと思っている】
198 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/13(水) 20:28:05.23 ID:NILCZ/720
>>197
「大抵は礼儀を知らぬ無法者だがな……まあ、それはいいとしよう」

【風に転がってきた人骨を足で踏み潰しながら、彼は男の言葉に答える】

「それでいいさ。所詮このゴミ虫が謳う善など……ただの妄言に過ぎんのだからな」

【砕けた人骨を何処かに蹴飛ばす。彼もまた、男と同じように。足元の人間をまるで人とも思っていないような態度だった】
【善に尽くす事。それ自体が罪であると言わんばかりに】

「……善というのは全く、都合のいい言葉だ。自らの主張を正当化し、それを口実に他者を排他する……」

【かつて人間の頭だった頭蓋骨を足で転がし、最後に踏み潰す】

「このゴミ共が良い例だ。用済みとなってなお尽くす、哀れな駒よ」

【潰れた破片は塵となり、風に吹かれて転がった】
【紅い残光が再び男を向く】

「申し遅れた。我が名はニーベルンゲン・シュバルツシルト。「No.3」を務めている」

【思い出したように自己紹介を行う。何故そんな事をしたのかと言えば、やはりそれは彼の気まぐれだった】

199 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/13(水) 20:37:53.22 ID:pua5XUNio
【町外れ】

【街の中心部から外れ、閑散として静まり返った夜の町外れ】
【古い街灯が頼りなく照らすその道を、小柄な人影が歩いていた】

【身長は140cm程度であろうか。腰まで伸びた炎のように鮮やかな紅蓮の髪と、漆黒の瞳をしている】
【桜色の簡素なデザインの着物を纏い、胸元には"緋色の鷹"を模したワッペン】
【腰には茶色の鞘に収まった剣を下げており】
【肩付近にはバスケットボールほどの大きさの、淡く光る白い"虫"のような物体が浮かんでいた】


……ふむ、傷の具合も大分良くなってきたのじゃ
古傷も、もう少し目立たなくなればよいのじゃがのぅ――


【少女は微かに吹く風に紅蓮の髪を靡かせながら、周辺の見回りを行っている】
【胸のワッペンが目に留まる事があったならば、少女が"SCARLET"の所属であることを察せられるだるか】

【もし近くを通りかかることがあれば】
【発光する奇妙な"虫"やその所属が目を引くこともあるだろうか】
【また、人気がなく治安が悪い場所だ。近くには路地裏に続く道もあり、何が起こっても不思議ではないかもしれない】



【――】



【ところ変わって、別の街の外れ】


【町外れの一角に建つ一件の小さな店】
【その前で、ジョウロを手に持ち花壇に水を与えているをしている一人の少年がいた】

【身長は150cm前後であろうか、黒いタキシードのような服に赤い蝶ネクタイという童話めいた衣装を纏っている】
【先端が緩くウェーブがかったふわふわの金髪と、澄んだサファイアのような碧眼を持ち】
【全体的に線が細く、少女めいた面立ちと儚げな印象をした少年であった】


やっと花が咲いた……やっぱり植物の世話って大変だなぁ……
気を抜いたらすぐ枯れちゃうし、しっかり水を上げないとね……。


【花壇に咲くのは赤色の小さな花達であった】
【小さいながらも猛暑の中、懸命に花弁を開くその姿を見て】
【少年は少しだけ満たされたような、そんな頬笑みを浮かべていた】


【「義肢、魔銃のご依頼承ります!マジックショップ<Fairy's Gift>」】
【そう書かれた看板を下げたその店は】
【白い壁に赤色の三角屋根、丸い窓に半円形の黄色い扉】
【まるで物語に出てくるような、可愛らしい外観の建物であった】
【店の壁には「アクセサリー、始めました!」という張り紙が見える】

【本日もまったりと営業中であった】
200 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/13(水) 20:38:12.28 ID:2g8G9qWHo
>>198
【機関員−−ニーベルンゲン・シュバルツシルトの言葉を聞いていくにつれ、男の顔に邪悪な笑みが浮かび始めた】
【そして最後には大声をあげて笑い始めた】

あっはっはっは! 全くだ!
いいじゃないか、あんたとは気が合いそうだ!!

【男はひとしきり笑うとニーベルンゲンに向かって一礼した】

俺はリヒャルト・アーベントロート
カノッサ機関員じゃないが、偽善者どもを“殉死”させて回ってる
201 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/13(水) 20:54:00.39 ID:NILCZ/720
>>200
「フフフ……」

【彼もまた笑っていた。世の中は広い、ということが実感できた瞬間だった。】
【自分と同じ事を考えている、目的の同じ人間がこの世にいたとは、到底考えてもいなかったからだ】
【だから彼は笑っていた。自分の中の常識が崩れれば、自然と笑いがこみ上げて来るものだ。自らは「小さい」……そう感じた】

「リヒャルト・アーベントロート……覚えておこう。貴公も私と「同じ」だ……偽りの善を誅する「悪」……」

【こうして見れば、世の中というのは狭い。目的が一致するから派閥ができるのだ。それはまさしく世の摂理とも言うべき。】
【そして今まさにその摂理は、ここに適用されているのだ】

「フフ……面白い事もあるものだ。出来得る限りで「支援」させてもらおう……目的が同じくする者同士」

【彼は男に、自然と手を差し伸べていた。無意識だった。今まで他人に手を差し伸べることなどなかったというのに】
【「友情」とは些細な切っ掛けだ。しかしそれは意外にも簡単に、強く結ばれる物でもある】
202 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/13(水) 21:02:12.77 ID:2g8G9qWHo
>>201
【リヒャルトは差し出された手を躊躇うことなく取った】
【彼もまた同じ考えを持つ者を見つけた喜びを無意識に感じていた】

まさか一日に二度もあのカノッサ機関のナンバー持ちに出会い、こうやって話すことになるとはな
もう一人、No.100のブランデンなんとかっていうガキと会ったんだがな
そいつにも言ったが、俺は対多数の方が得意でな
何か事を起こすときは直接探してくれてもいいんだが、でかい“花火”でも挙げてくれればそっちに行く

【喜びの高翌揚感のせいでリヒャルトは矢継ぎ早に話した】
203 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/13(水) 21:05:08.30 ID:EWWgH5h/0
【水の国 路地裏】

……残るはお前だけだ。さあ、さっさとその女を離して諦めろ……

【傍目にもまともに手入れをしていない事が分かるぼさぼさの赤髪が、険があるものの端正な顔立ちを小汚く彩り】
【デニム生地のベストと枯れ草色のミリタリーパンツ、安全靴と思しき重厚な靴で全身を固めている】
【まるで何かに苛立ちを感じている様な攻撃的な眼をしている、身長170cm前後の青年が】
【女性の首元にナイフを突きつけながら後ろから抱き抱えている男性と、5mほどの距離を置いて対峙している】
【――――辺りには、つい今しがた出来たばかりと思われる、4つの死体が転がっており、今もなお血の池を広げていた】

……初めから腹があっての人質ならともかく、そうして切羽詰まって取った人質など、大抵足手まといにしかならないぞ?
お前は……この状況を打開できる当てでもあるのか?
そうじゃないなら……こうして言葉を掛けてやっている内に、潔さを見せるんだな……

【一歩、踏み込みながら青年は凄んで見せる。その表情に、しっかりとした力を湛えて、男性を威圧するように】
【それでも、男性は女性を解放しようとはしなかった。後ろから喉元に宛がっているナイフが、目に見えて震えている】

――――もう一度言う、これが最後だ……!
大人しくその女を解放して、官憲に引き出されるだけで済むか……それとも、最悪その女ごとこいつらの様に引き潰されるか……!?
お前だけを殺す事も、この状況でも出来ない事は無いが、確実ではない……それでも、俺はそれを理由に躊躇はしない……
助けられない人質は、せめて敵ごと殺してやる……さあ選べ、法に裁かれるか死に裁かれるか、どちらを選ぶ!?

【怒気を漲らせた青年の恫喝が、路地裏に響く】
【その言葉は、男性も女性も恐怖にすくませるには十分なだけの力が込められていた】
【寄る辺なく、何とか逃げ道を模索しようと男性はキョロキョロと周囲を見回すが、そこには闇しか存在しない】
【恐怖に引き攣る女性の口からは、もう叫び声すら出てこようとはしない】
【ただ、青年がゆっくりと確かめる様にして2人に近付いて行く足音だけが、コツコツと断続的に響いて行く――――】

「……………………」

【わずかに下がって、そうした青年たちの有様を黙して見据えながら、立ち止まっている影があった】

【明るいピンク色の長髪を肩甲骨の辺りまで伸ばし、前髪をやや膨らませる様にセットしている】
【紫色に着色されたカジュアルジャケットと、レギンスとハーフパンツを組み合わせて着用している】
【目元にレンズ、両耳に円形のボディ、後頭部に装着用の調節器が一体化した、機械的なバイザーをつけている、身長160cm前後の女性】

【口元をやや引き締めながら、じっと青年の背中越しに事の成り行きを見守っている】
【頭部に装着されたバイザーから、ほんの微かな稼働音を漏らしながら――――】
204 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage]:2014/08/13(水) 21:19:08.99 ID:NILCZ/720
>>202
「ブランデン・ケミッシュ……か。名は聞いたことがあるが、実際に会った事は無い」

【矢継ぎ早にまくし立てる男の言葉が終わった頃を見計らい、返答する】

「対多数か。私はあまり得意ではないが、相手ぐらいなら出来るだろう……」
「何かあったら"花火"か……了解した貴公には、金銭的にも協力させてもらおう」
「貴公の、いや……「我々の」素晴らしい考えは奥底で眠っているべきではない……「再起」の時は来たのだ。今こそ愚なる善を駆逐し、真の平和を成し遂げるのだ」

【彼の喋り方にも、どこか熱が入っている。それも仕方が無いとは言えた。彼の理想を実現する「協力者」が生まれたことに、彼自身喜びを隠せなかったのだ】

「━━━━それでは、貴公の健闘を祈っていよう……長く話してしまったな」
「さらばだ」

【どうやら、「別れ」の時が来たらしい。彼は不意に男に背を向け、暗い路地から明るさの残る繁華街へと繰り出した】
【彼の心には、初めての感覚があった。それは他人と行動を共にする時の精神的高揚感、と言ってしまえばそれまでだ。しかしそれすらも、彼には新鮮な、新しい世界であるかのように感じ取れた】
【風が吹いている。夜空に浮かぶ月は、彼の鎧をより銀色に輝かせた】

/この辺で。お疲れ様でした!
205 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/13(水) 21:20:39.78 ID:2g8G9qWHo
>>204
/おつかれさまでしたー!
206 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/13(水) 21:21:18.35 ID:NILCZ/720
>>204
/了解した貴公には→了解した。……貴公には
でした
207 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/13(水) 21:43:43.79 ID:2g8G9qWHo
>>203
/まだいらっしゃいますか?
208 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)2014/08/13(水) 21:54:47.85 ID:liitAnIk0
>>199
まだいらっしゃいますでしょうか?
209 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/13(水) 21:58:53.00 ID:pua5XUNio
>>208
/おりますよー!
210 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/13(水) 22:01:46.97 ID:EWWgH5h/0
>>207
/すみません。今からだともう時間的に余裕ないので……
/>>203は無かった事でお願いします。申し訳ないです
211 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/13(水) 22:03:04.93 ID:hFeJ3FJyo
【水の国、裏通り】
【表とは違いこの場所はどことなく暗い雰囲気を持っている】
【街灯は時折消えかかりその中を行き交う人もまたどことなく影を背負っているよう】

【元より後ろめたさがあるからこそこんな通りにいるのだろう】
【今丁度この場所を通りかかる馬車もまた、そんな人々の中のひとつ】

都に近いからって売れるもんじゃあないねえ……
どいつもこいつも湿気てやがる、どうせならもっと喧騒に戦乱に乗せられた土地にでも行こうかね

【誰へとなく呟く嗄れた声は老婆のそれだった】
【黒色のローブにフードを被る、少々みすぼらしい格好】
【馬の手綱を握る手はやはりというか皺だらけでどことなく魔女を想起させるだろう】

【ぎちぎちと鳴く馬車は相当に年季が入って、木目は深く煤に汚れ釘は錆びて今にも抜け落ちそう】
【夜襲でも受けたなら矢のひとつで全て崩れ落ちてしまいそうな程の年代物だった】

【しかし如何なる意味があるか。屋根に括り付けらぶら下げられた四角に切り取られたオーク材の木の板】
【「52」と印字されたそれだけは真新しかった】

ほら見たことか行き交う人間全部が全部、辛気臭いツラばかり
明日の心配なんかしたところで確からしい事なんざ何もないっていうのにねえ……。
まあ、なんだね……どっちにしてもここじゃあ良い取引は出来そうにない……そろそろ別の所に流れようかね……。

【その老婆は旅の露天商だった】
【街から街へ宛てど無く気の向くままに物を売る、それが戦いを助長するものであれ何であれ】
【扱う物に拘りを持たないことが老婆のやり方だった、時代が人が求めるならば槍でも剣でも銃でも売る】

【揺れる度に響く金属の音はそういった部類が擦れる音なのだろう】
【馬車の縁からわずかにはみ出した「黒い鎧」その手甲部分がそれを物語っていた】

【進む老婆に声を掛けたならば今まで零していた台詞などまるで無いように】
【「おや、いらっしゃい何か入用かね?」と朗らかに問うだろう】
212 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)2014/08/13(水) 22:13:12.93 ID:liitAnIk0
>>199
【頼れるものは古く弱弱しい街灯のみの町外れ】
【"虫"の光に誘われるのは蛾や蝶だけではなくて】
【月色の癖っ毛が腰まで伸び、靡く髪から覗く青い瞳は穢れなく輝いている】
【そんな少女が不安げに歩いてきた】

あ……人だ

【定まらない視線、不安げな足取り、迷子か何からしい】
【胸のワッペンに気づく様子はない。というよりはそのワッペンが何を示すか分かっていない】
【りりしいブレザーを着て、ロングスカートをはいたいかにも学生!といった少女だが】
【不安で今にも泣きそうな顔はまるで幼児のような幼さを持っていた】

213 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/13(水) 22:21:23.47 ID:pua5XUNio
>>212

やはり一度良い温泉を探して…………む?


【紅蓮の少女は、前方から現れた少女の存在に気づくと】
【その場で足を止めて、微かに目を細めながら少女の容貌を視界に入れた】

【彼女の声を聞き、その不安げな様子を見て取ると】
【ふぅ……と小さく息を吐きながら警戒を緩め、少女の元へと歩み寄った】


そこの者、こんな夜更けに出歩いておると危ないのじゃ
ここは御主のような年頃の娘を好む犯罪者も、少なくないじゃろうからのぅ


【赤髪を風に揺らしながら、少女に対してそう声をかけた】
【小柄で幼く見える容姿にも関わらず、"まるで"警察官のような偉そうな物言いである】

【「親とはぐれたのかの?」などと最後に確認するように呟きながら】
【彼女の反応を、"危険度"を見定めるように視線を送っていた】
214 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/13(水) 22:31:06.41 ID:2g8G9qWHo
>>211

随分と古い馬車だな

【老婆に声をかけたのは一人の男だった】
【老婆とは違い特徴のない風貌の上、武器さえ持っていない】
【しかし危険な裏通りにいながら装備がないことを納得させるほどの雰囲気を纏っていた】

何でも売ってるのか?

【男は品々に眼を向けるものの、何かを探している様子はなかった】
215 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)2014/08/13(水) 22:34:52.28 ID:liitAnIk0
>>213
親?……

【何かわけありなのか、親という単語を聞いた瞬間に表情が暗くなり】
【あわてて話題を変えようと話を始めた】

危ないのは分かってるの
ご飯、探してたら……変なところ来ちゃって

【少女は偉そうな物言いに違和感を感じることなく素直に話して】
【普通なら何かしら思うことがありそうだが、そんなそぶりを見せないのは少女が少女を幼いと感じていないから】
【ある事情で少女の心の年齢は見た目異常に幼いのだ】

【今の所危険度など何もない、少しおかしな迷子】
【……だったが、少女がうなだれ手を垂らしたとき、ブレザーから千切れた手錠が零れて】
【見えただろうか、それに悪の象徴、機関の逆五亡星が描かれていることに】
216 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/13(水) 22:42:31.88 ID:a/kaIAx+0
【――――月光と星々の明かりのみに照らし出された森の中】
【普段ならば平穏で在ろうこの場所も、今宵ばかりは魔獣達の唸りに静寂も打ち破られ】
【その方向を見遣れば一人の少女が魔術を用いて魔獣達を葬っている事が知れるか】


「人々を無意味に殺めるのならば我々教会が処罰します
血には血を以ての償い。血でしか止める事が出来ないならば、其れはイリニ達の役目です」

【純白のローブに白銀の髪。同じ色の双眸は感情を浮かべる事も無くただ魔獣達を敵として認識しているだけの様】
【色々と記すべき事はあるのだが――――何より特筆すべきはその手に装備された“篭手”の様な物だろうか】
【異形の腕を象った其れは大きな魔力を漂わせており、たった一薙ぎでも獣達にとっては致命的な一撃】

【程なくして、その森に舞い戻ったのは静寂だ。無数に転がる骸の中、ぼうっと立っているのはその少女のみ】
【辺り一面が朱に汚れる中、その少女だけは汚れる事無く純白を保ったままで】


「任務の完遂を確認。取り逃した存在は零だとイリニは確信しました
――――少し休んでから帰還します、とだけ告げてイリニの報告は終了します」

【徐に取り出したのは水晶だ。恐らくは通信機代わりなのだろうが――――其れに報告をすれば、再びその場でぼうっと立って月を見上げる事となる】
【魔獣達の咆哮だとか魔力だとかを辿れば此処に辿り着くのはそう難しい事でも無い】
【そして、この場を訪れた者が見ることになるのは上記の通り。血にまみれた中、少女が一人月を見上げているなんて状況】
【声を掛けるにせよ、何にせよ。白の少女は感情を浮かべる事も無く其方を見遣ればじっと視線だけを向けるのだけれど】








【櫻の国――――封魔城、と呼ばれる其処。古来より悪しき妖怪達を封印し、滅する為に作られたその城は妖怪と対峙する要の場所とも言えるか】
【その場を避ける悪しき妖怪は多いが…………逆に、無謀にも攻め落とそうとする愚かな妖怪達が多い事も又事実】

【城の近く――――其処に積み上げられた骨だとかは、その果てだろうか。其の頂きに座るのは一人の少女】
【深紅色の髪と双眸。纏うのはボロ布であって…………櫻には似付かわしくなく、強い“魔力”を帯びていた】
【否、少女の存在そのものが魔力の塊と表すべきだろうか。人間の気だとか、その様なモノは感じ取れないのだから】



「――――これでわたしのお仕事も終わりっ!……後で琴音からご褒美のあいす貰わないと」

【魔力を感じ取れる事に優れている者なれば、其れが“炎”である事が知れよう】
【更に詳しいならば、少女が謂わば精霊と呼ばれる種族である事も】

【魔力は存外この地に漂うし、何よりも未だ燃え続けて居る骸がこの闇夜の中では何よりの目印となる】
【もし、接触しようと近づいたならば…………紅の双眸は其方へと向けられる筈だ】
【まるで獣の抱く“敵意”だとか“警戒”だとかに等しい。どんな行動をするも、其れはこの場を訪れた者次第であるけれど】
217 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/13(水) 22:44:40.50 ID:pua5XUNio
>>215

(……孤児か、それとも家庭環境が悪かったのか)
(どちらにしても……これは禁句のようじゃな)


【少女の反応を見て、そういった事情があると推測し】
【親に関して踏み込む事はマズいだろうと、心の中で思考した】


そうか……それは大変じゃったの

しかしどうしたものか、この辺の食事処は閉まっておるしな
もう少し明るい時間帯であれば、案内してやったところなのじゃが 



【やはり見ての通りの迷子であろうか】
【"ご飯を探す"という子供にしては過酷な人生を匂わせる言葉に】
【世を憂いでか少しばかり眉を寄せながらも――】


(――――!)


【――ふと、目に留まったのはカノッサ機関の紋章】
【一見無害な孤児に見える目の前の少女は、かの悪名高き組織の関係者なのか】

【危険はないだろうと踏む寸前だった紅蓮の少女は】
【表面上は何事もなく装いながらも、内心認識を改めて彼女を"観察"する】
【まだ打倒すべき"悪"と断定は出来ない】
【もし剣を抜くならば――"それ"が判明したその瞬間である】
218 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)2014/08/13(水) 22:53:03.69 ID:liitAnIk0
>>217
!?
これは、その……

【少女はあわてて手錠を袖に隠した】
【少女自身、この手錠に刻印されたものがなんであるか自覚している】
【これを見せてしまっては普通の少女としては扱ってもらえなくなることを】

えっと……おしゃれ!おしゃれなの!

【なんて苦しさ満点の言い訳をしてみるが、ごまかせそうにない】
【しかし少女にはごまかす以外の選択肢はなかった】
【少女自身、自分の腕になぜこんなものが付いているか分かっていないのだから】
219 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/13(水) 23:04:21.88 ID:pua5XUNio
>>218

(手錠……か――)


【少女の言い訳通りワイルドな装飾品という可能性もある】
【しかし、それ以上に懸念しているのは彼女が"被害者"ではないかという事だ】

【カノッサの紋章の刻まれた手錠をし】
【こんな町外れに食料を求めて彷徨うカノッサ機関員】
【常識的に考えたならば、何らかの理由で"捕らえられていた"という考えが浮かぶ】

【……狂人揃いのかの組織ならば、今の姿が擬態である可能性も】
【また、食事が"特殊"であるという線も考えられはするが――】


悪いの……少し怯えさせてしまったのじゃ

わらわは別に取って喰おうと思っておるわけではない
ただ幾つか、聞きたいことがあるのじゃ……もしかしたら、御主の力になれるやもしれぬしな


【――安心させるように、柔らかな頬笑みを浮かべながら】
【少女に対してそう声をかけた】
【彼女が如何なる存在か見極める必要がある。それによって、こちらの対応は全く変わってくるのだから】


わらわはカミナ、"SCARLET"のカミナ・ゲルギルじゃ
御主……名は名乗れるかの?


【紅蓮の少女――カミナはまず、彼女の名を問うた】
220 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/13(水) 23:17:56.24 ID:2g8G9qWHo
>>216
/絡みにいってもよいでしょうか
221 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/13(水) 23:21:41.28 ID:liitAnIko
>>219
【紅蓮の少女の優しい微笑みをみて】
【ああ、この人はこの刻印が何か知った上で優しく微笑んでくれているのだと知って】
【この人がいい人だと思った】

ネモ・・・
ネモ・アーネスト。

【名乗る声に不安げな響きはなく】

聞きたいこと、答える。
だから私も聞きたいことがあるの
・・・いい?

【少しずうずうしいかともおもったけど】
【この少女は自分は自分を、機関知らなすぎる。自分はカノッサについて知るべきだ】
222 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/13(水) 23:22:33.29 ID:hFeJ3FJyo
>>214

いやさ……何でもは生憎と売ってないねえ……
ある物だけしか売らないね、商売ってのはそういうもんさね

【からからと鳴いていた馬車は音もなく止まる】
【どことなく葬列を思わせる、老婆の姿は見ようによっては死を運ぶ者に見えなくもなかった】

何か欲しがっている者にしか売れないねえ
戦いたい者には武器を与えるし儲けたい者には相応の道具を与える
あたしゃ生まれてから今までずうっとそうしてきたからねえ……で、アンタ何か欲しいものでもあるのかい?

【ローブを外す事なく男性へと向く、表情は見えない】

冷やかしならお帰りよ、こちとらここ一週間と実入りがないんでイライラしてるんだ
街は駄目だね基本的に満たされた人間しかいやしない、それは自分の欠落に慣れちまった人間かのどっちかだ。
なんにせよアタシの商売にゃあなりゃしないね……今日で離れるつもりさね、こんな湿気たとここちらから願いさげだね

とまあ御託はどうでもいいんだよ、アンタ……アンタだよ……
欲しいのはなんだい?武器かい?道具かい?……薬も一応は持っているけど薬師じゃないんで大したものはないよ?

【ここ最近の経済状況を憂い愚痴を零しながらも男の欲望を問う】
【ローブの下は笑みなのだろう、こんこんと馬車の壁を叩くのは品揃えに自信があってか】
223 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/13(水) 23:23:33.99 ID:2g8G9qWHo
//早計でした。>>220はなしで
224 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/13(水) 23:30:59.69 ID:2g8G9qWHo
>>222

街には街で暮らすことに適した奴しかいない
そいつらが街のもので満足なのは道理だろうよ

【そう言って男は馬の隣で足を止めた】

あんた、普通の商売人か?
あいにくと武器は間に合っていてな……
俺がほしいのは情報だ。俺が滅ぼすべき相手の居場所だ

【男の眼に微かな怒りが差した】
【復讐心。それこそが彼を突き動かす最大の原動力だった】
225 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/13(水) 23:32:41.83 ID:pua5XUNio
>>221

ネモか……良い響きの名じゃな

構わぬぞ。わらわだけが一方的に話すというのも不平等じゃからな
わらわの知識で答えられる範囲であれば、なんなりと語り聞かせよう


【相も変わらず容姿に似合わない】
【どこか古めかしい口調でネモの話を快諾する】
【そして、一呼吸程度の間を置いた後】


……と、話が決まったところで早速一つ聞かせてもらおうかの

御主の先の様子、その紋章を掲げた組織に思い当たる節があるように見えた
ネモと"あの組織"にどのような関係があるか、少しばかり教えてもらってもよいか?


【「辛いならば、無理にとは言わんがの」と、最後に付け加えてネモの返事を待つ】
【最初に確認すべきことはやはり組織との関係性であった】
【何らかの関係があることは察しはつくが】
【この少女がどのような立ち位置なのかを外見から見極めることは難しい】

【カミナは先の描写のとおり、"被害者"の線が強いと思っているが――】
226 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2014/08/13(水) 23:36:20.17 ID:4jb6qWTdo

【―――風向きは穏やかだ。荒れ狂う嵐の過ぎ去った後、訪れた束の間の平穏。】
【落ち着いた夜風が肌に心地良い、真夏の夜。リンリンと啼く虫の声を聞く余裕すら有るほど静かで】
【そしてぼーっと時間が過ぎていくだけの一夜。戦の影すら見なくなった、何時ぶりだろう、久しい休息の日々。】

【そんな静かな夜に相応しく、客の少なくなった"ある店"の店内もまた―――非常に、ゆったりとした時間が流れていた。】


  ―――――――――――はい。其方のご要望通りに、ええ。
  装備は此方で調達致しますので、お構いなく。お気遣い頂きありがとうございます、日数は―――
  一週間前後、ですか。……わかりました、では着替えの用意も此方で、ええ。……寝巻き? あっはは、大丈夫ですよ。


【"風"の名を持つ国の端、とある街道の中央に位置する街の一角。】
【ランプの明かりが窓から漏れるどこか懐かしい雰囲気の一件の酒場に、その"女"はいた。】
【客も疎らになった店内のカウンターで、コップを磨きながら受話器を肩に挟んで会話をするその様子は】
【どこか滑稽にも見えるが、その口調は以外にもしっかりとしており、どうやら電話口の相手とは何らかの"仕事"を取り結んでいる様。】

 
  ―――ええ、その様に。それでは後日お伺い致します、お電話頂き有難う御座いました。
  お任せください、このセリーナ・ザ・"キッド"が必ず―――必ず、原因を突き止めて見せますよ。


【白のシャツが、店内の証明に照らされて明るく輝く。包まれる肢体はすらりと長い手足に、肉付きの良い豊満な体躯。】
【シャツの上から纏ったベストは古ぼけた土気色で、下半身を覆うのはビンテージ物のダメージ・ジーンズとウェスタン・ブーツ。】
【特徴的な年季の入った"テンガロン・ハット"のつばを押さえながら、電話口の相手に名乗った女の名は、"セリーナ・ザ・キッド"―――】

【―――そう。この店の名は"UNITTED TRIGGER"、正義を掲げる民間の小会社だ。】
【酒場のようにも見える店内は一応、事務所と呼ばれる機能を有しており、そしてこの時代錯誤な格好をした女こそが】
【この"UT"と呼ばれる組織の旗揚げ人、つまりは創設者たる存在であった。彼女は電話を切ると打って変わった態度でにんまりと笑い】

 
  ひっさしぶりの大口依頼来ちゃったよ〜! っふふふふふふ、ウチの事務所も有名になったものだね、うん!
  それに報酬はなんたって500m……おっと、口外すると喜びで身が裂けてしまいそう、くく、ふふふふふふ……っ!


【―――電話での態度とは打って変わって、小躍りする様な勢いで懇親のガッツ・ポーズを決める。】
【よほど大物からの"依頼"だったのだろうか、交わしたばかりの契約に感謝の舞を捧げる様はどう見ても、能天気そのもの。】
【とても事務所には見えない酒場と、とても責任者には見えない女性がくるくると回り続ける不思議な空間は今、来訪者を待っていた。】

【此処はUNITED TRIGGER、正義を掲げる者の集うちょっと変った組織の拠点。】
【果たして今宵、訪れる客はどんな人物なのだろうか―――。】
  
227 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/13(水) 23:40:36.00 ID:hFeJ3FJyo
>>224

普通といえば普通、まあ商会には入ってるけどね
アタシは52番目の商人ってところ……ホラあそこの板見りゃ分かるだろ?
別の土地に似たようなヤツもいるだろうさ、もっともアンタは何も求めてないみたいだけど……

【指差すのはぶら下げられた番号札】
【老婆が52番目ということはそれなりの規模なのだろう】
【かといって武力があるわけでもない、所詮は木っ端の商人のひとり】

あらまあ……滅ぼすだなんて恐ろしいねえ
ただの商人のアタシに何を求めてんだか……悪いけどねアンタ、アタシはこの通り老い先短い婆様だよ
そんな婆様に聞くのも恐ろしい復讐劇の一端を担がせようなんてとんでもないねえ……

【老婆は大仰に声を上げる】
【事実老婆は戦争を飯の種にしている人種ではあるが直接戦う人種ではない】
【戦いを助長するがそれだけだ、剣も正しく振った事はないし銃だって撃ったことさえない】

【言ってしまうならば本質的に戦いという行為は嫌いでさえある】

まあ……なんだね、根無し草で色んな土地を巡るから知りたくない情報も聞いちまうけど
で、お前さんこんな言葉を知ってるかね?金は天下の回りもの、悪いけど貧乏人に売る物は一切ないよ
ああ、でもそもそもアタシの情報がアンタの役に立つかって話だけど……そのアンタの恋い焦がれてる奴ってのはどんな人間だい?

【老齢の瞳は意味ありげに笑みを浮かべる】
【幾多の戦場を見た、その上でそれがどうしたと一笑に付す程度には人間は完成されていた】
【老婆は尋ねる、求める物はなんぞやと……其の上で持っている情報が彼の求めている物に近いならば】
【商談はそこから始まるが、果たして】
228 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/13(水) 23:45:36.21 ID:liitAnIko
>>225
あんまり、覚えてないけど・・・
白い部屋で、注射を打たれたの
それで痛くて、暴れたらこれをつけられて・・・

【カノッサでの記憶は少女のトラウマとなっているのか】
【紡ぐ言葉はだんだんとふるえて、少女の顔も怯えたようになって】
【ただ話した内容で少女がどんな扱いを受けていたかわかるだろう】
【少女は実験体として使われていたのだ】

あたしからも一つ
悪い奴、ってだけしってるけど・・・カノッサって、何なの?

【悪の組織とは知っていても、少女はそれ以外を何も知らなかった】
【具体的に何をしたかとか、少女を実験体にして何をしたかったのか、それすらわからない】
229 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/13(水) 23:50:58.14 ID:2g8G9qWHo
>>227

安心しろ、金には困らん程度にはある

【そう言うと男はポケットからいくつかの金貨を取り出した】
【貨幣の形は色々あるが彼が取り出したのは紛れも無く金を加工したものだ】

全てだ
“正義”を掲げる全ての人間だ

【男は恐ろしさを感じさせる低い声で、静かに言った】

そういった人間の中で、あんたが知っていることを教えてくれればいい
本拠地や支部の情報があれば、高値で買おう
230 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/13(水) 23:58:26.02 ID:pua5XUNio
>>228

…………

(やはり――か)


【カミナは、ネモを安心させようと】
【一歩近づいて、そっとその頭を撫でようとする】
【この行動の成否に問わず、少しの間だけカミナは顔を逸らし表情を見られないようにするだろう】

【カノッサ機関の人体改造。今までその被害者を幾人も目の写し、時には屠ってきた】
【人を人とも思わぬその所業に思考を移し、一瞬カミナの目に憎悪の念が宿る】
【若い義憤ではなく、悪漢の心臓に刃を突き立て抉りとるような】
【研ぎ澄まされた"正義"の意志により生まれたその感情は――しかして次の瞬間には消えていた】


……奴らは「世界を混沌に導く」、などという訳の判らん目的で動くテロ集団じゃよ

組織の内情に関しては、派閥が分かれ過ぎておって一口では説明できぬが
御主にした様な非道を身勝手な理由で行う輩と思っておけばいい

世界中の警察組織や軍が結集しても未だ駆逐できぬ、途方もない規模の組織じゃ
復讐などは考えずに、ただ関わらぬ事だけを考えておくのが賢明じゃよ


【カノッサ機関……恐らく世界でも屈指の戦力を有するテロ組織】
【カミナの語る内容は曖昧ともとれる代物ではあったが】
【実際のところこの程度しか実情を掴めていないということも意味していた】

【それを語った上で、カミナはネモに忠告する】
【「関わるな」――と。目の前で怯える少女にはそれが一番よい道であろうと考えていた】
231 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)2014/08/14(木) 00:00:32.24 ID:WE3Dvzhl0
232 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県)[sage]:2014/08/14(木) 00:02:09.23 ID:vS9mRzReo
>>226

【彼女が小躍りしている間にぎぃ、と開くドアの音。果たしてその乾いた音色は彼女の耳に届いていたのだろうか】
【彼の目の前に広がる光景は、廃れた酒場―――に1人舞う女性。面食らったような顔を浮かべながら、男は青いソフト帽の鍔を軽く上げて一言呟く】

……随分と嬉しそうなことだな、セリーナ・ザ・キッドさんよォ。
戦場ではチラホラ見かけるんだが……勿論忙しくて話す暇なんか無かったし。
ってことで用事のついでにちょっくら来てみたんだが―――タイミング悪かったか?

【青いソフト帽に白いシャツ、灰色のジレ。腰には二丁拳銃用のホルスターが巻かれ、赤青のリボルバーが収まっている】
【右肩に羽ばたく緋色の鷹は、彼女と所属は違えどW-phoneで繋がった正義。そんな格好の男は、ゆっくりはっきりと彼女に聞こえるように自らの名前を紡ぐ】
【オレのこと知ってるか? ―――と、そう問いかけるが如く】

……マーシャル・T・ロウ。 昔はアンタみたく正義組織を立てちゃあいたが、色々あってな……今はSCARLETのガンマンやらせて貰ってる男さ。
―――そんで、だ。喜びってモンは人と共有するべきだとは思わねぇか……ってことで、嬉しそうな理由をまず教えてはくれねぇか? あ、単純に興味な?

【用があって来た―――という訳ではない。強いて言えば、セリーナ・ザ・キッドと云う人物をその身で感じたかった】
【正義組織を立て、そして引っ張る彼女を。同じ銃使いであり、その名を世界に轟かせている彼女を。かつて闘ったソニアが絶大な信頼を置いている彼女を―――】

233 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/14(木) 00:15:55.76 ID:QrXRfrCEo
>>230
【そっと乗せられた暖かい手。震えた声は段々と癒されていって】
【逸らされた表情見えなかったけど、それでもわかるカミナの怒り】
【それが自分を思っての物だと思うと少しうれしくもあった】

あたしみたいな、ことを・・・

【被害者は自分だけじゃない。誰にでも身勝手に自分がされたようなことをする機関だ】
【そう聞いた瞬間に少女の白い肌は赤く、紅く怒りに染まった】
【自分のような被害者は今でも増えているかもしれない】
【・・・そして、自分の大切な友達にも魔の手は迫るかもしれないにのだ】

・・・嫌だ

【関わるなといわれてうんと頷けるはずがなかった】

あたし、守りたい。
友達が居るんだ。大切なんだ。絶対に守りたいの

【少女は変わっていた】
【さっきまで震えて、涙目だった少女とは思えないほどに】
【まっすぐにカミナを見つめる青い瞳は覚悟を決めた戦士のものだ】
234 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/14(木) 00:18:55.56 ID:FTbiR1dpo
>>229

ほう……ま、そういうものさね
人に言えないような仕事をしている連中の懐は暖かい
尤も……全てはプラスマイナスゼロでできている、財布が暖かければどこか冷たくなるもんさ

【「アタシが言うことでもないかい」などと、遠くに視線を移す】
【老婆の理論はそれこそ自分にさえ適用される、必然「冷たい箇所」も生まれてくる】

――――――――……あー……アンタ正気じゃないね、もしかして機関員かい
なんにせよ駄目だね、そんな情報を売った日には最悪アタシだって狙われちまうかもしれないじゃないか
町中は喧騒に満ちてるけどねえ坊や……それでも目敏くこちらを見ている「目」はあるもんだよ……。

【仮に正義に属する者の情報を売って誰かが死ぬような事が起きたとしよう】
【物事が巡り巡って老婆までしわ寄せが来る事は想像に難くない、老婆はその年令故に生き汚いものだ】
【金を受け取ろうと伸ばしていた手のひらはくるりと戻る、命か金か比べるべくもない】

アタシはね、そういうものの方がアンタよりも恐ろしいのさ
云うなれば群体と個が戦うようなものさ、勝てる道理はありゃしないんだよ……
戦いの全てが数とは言わないけどねそれでも法則であり理論さ、山を動かそうなんて人間がいないのとおんなじにねえ

【老婆は弱い、だからこそ弱いなりの処世術というものがある】
【彼女のものはシンプルでただ天災には関わらないということだけだった】
【即ち、強い者はとことこん避けて生きること】

それに……だ、坊や
悪いけどアタシの情報も週刊誌やらニュースでしか知っているようなのしか無いよ
アンタが自分で調べた方がよっぽど効率が良い、おわかりかい?

【体の良い逃げ言葉に聞こえるかもしれないが】
【基本的には商売相手の背景なぞ知って良いことは殆どない、故に知ろうともしない】
【金を頂いて商品を売る、ただそれだけの関係でしかない……ただただ機械的な働きだった】
235 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/14(木) 00:24:50.78 ID:oBZuhD2oo
>>233

ほう…………―――


【カミナの心境を一言で表すならば「意外」、であった】
【アテもなくふらふらと町外れに迷い込み、震えながらも過去を語ったネモから】
【こうもはっきりとした"立ち向かう意志"を見られるとは思っていなかったからだ】


……良い目をしておるな、ネモよ。
御主の器を見誤ったわらわを許すがいい


【ネモがはっきりと示した意志を受け取り】
【紅蓮の少女はそれを認める意味を込めて小さく頭を下げた】
【関わらず逃げていろ、などと"戦士"に対して侮辱でしかないのだから】


だがな、奴らに無策で立ち向かうなど自殺行為もいいところじゃ
それは語らずとも御主が一番理解しておろう

ネモ、御主は――"どうやって"友を守ろうと思う?
大切な人を守る為には"何をするべき"じゃと、考えておるのじゃ?


【彼女の覚悟を聞いた上で、カミナは問うた】
【守るために何をするべきかと、ネモがどれだけ真剣に考えておるのかと】
【カミナは――"試験"の意図を込めてそう訊ねた】
236 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2014/08/14(木) 00:33:44.79 ID:mam2M645o
>>232

【古い酒場を買い取って、掃除はしたし改装だってちょっとはしていた物の】
【正面玄関入り口だけは、どうしても余計な事をせずにそのままが良い、とセリーナが強く主張したせいもあって】
【立て付けが甘いままの扉は年代相応の音を立てて来訪者の訪れを告げる。同時に―――扉に付いたベルの音も、また。】

 【からん、ころん。風鈴よりは少し重い、鉄がぶつかり合う鈍い音がする方へと、セリーナは振り返り―――瞬間。】
 【手に持っていたコップが指から滑り落ち、危うく割りそうになって「わっ、とと、―――?!」と驚愕の表情。つまりは。】

  
  ―――――――――――ま、マーシャル・T・ロウ"先輩"ですよねっ!?
  うわっ、どうしよっ、とりあえず手洗って、あわわわわ、―――い、いらっしゃいまひぇっ……っ!!


【―――相当に、驚いていた。驚愕に見開いた瞳が、ブルーとも翡翠とも取れるような神秘的なその目がまん丸くなって】
【若干朱が指した頬には相手に対する憧れや緊張、もっと言えば畏敬の念のような物が現れていて、同時に動揺もしていた。】
【いらっしゃいませ、というお決まりの文句を噛むくらいには慌てているのが分かるだろうか、ともあれ彼女はハットを取って一礼した。】

【―――さて。何が原因か。理由は単純、現れた珍客の存在がセリーナの中で余りに大きな"人物"だったのだろう。】
【マーシャル・T・ロウ。セリーナよりも前に民間の正義を掲げる組織を立ち上げた、偉大なる先駆者。その結末は複雑だが、】
【ともあれ彼女にとっては"大"がつく先輩であるのに違いはなく。深々下げた頭を上げると、素早く椅子を引き『どうぞ此方へ』と促した。】


  ―――ふぅ。オーライ、えぇっと……ごめんなさい、ちょっと落ち着かせて貰っても良いですか。
  すぅ――――――――………ッ、えほっけほけほっ、あーダメ、緊張して深呼吸が上手く……けほっ!

  はぁっ、はっ……ご、ごごごめんなさい! タイミングが悪いだなんて滅相もないです!
  むしろロウ先輩だったらもうそれこそ何時でも好きな時に来て頂いて好きなだけ飲んで貰っても良いくらいですよ!
  あ―――と、なんだか馴れ馴れしいですよね、その……アタシ、恥ずかしい話ですけど―――……ずっと、尊敬してて、それで……

  あ〜もう何て言ったらいいか! と、とにかくいらっしゃいませ! 、、今度は言えた……じゃなくて、ご、ご注文どうぞ!


【戦場で見かける彼女と、今ロウの目の前にいる彼女は、どうだろう。同一人物に見えるだろうか。】
【よく言えば勇猛果敢、悪く言えば無鉄砲にも近しい程戦場では激しく戦う稀代のガン・スリンガー、しかし今は―――】
【なんというか、良くも悪くも歳相応か、それより若干おっちょこちょいにも見えるような普通の女性といった風。凄いギャップだ。】


  ……ごめんなさい、戦場で何度も顔を合わせているのに、まともに声も掛けられず……、、
  ふ、普段はこんなじゃないんですよ!? もっとしっかりしてて、落ち着いてて、『まさにガンマン!』って感じの―――……
  でも今はその、戦場でもないし、なんていうか……面と向かって自分が尊敬してる人と会うのは、すっごく緊張しちゃって……えへへ。

  W-PhoneでSCARLETの皆さんとも連絡が付くようになったし、声を掛ける機会も有ったんですけど、
  なんだか萎縮してしまうというか―――やっぱり、貴方は今のアタシにとって、ある意味で指針そのものなんです。
  だからどうしても、直接お話しようと思ってはいたんですけど、なかなか……機会に恵まれず。本当に、申し訳ないです!

  けど―――……ふふっ、お話に聞いているよりずっと、フランクで魅力的な男性なんですね、ロウ先輩。
  小躍りしてた理由を聞きたかったら、そうですね―――ウチで一杯飲んでいって下されば、お教えしますよ、ふふっ!

【―――ようやっと、普段のペースを取り戻してきたのか、最後はちょっと悪戯ぽく笑いながら、そんな事を言うだろう。】
【ロウがセリーナに興味があるのと同じ様に、セリーナもまた、ロウについては知りたい事が沢山有るのはどうやら確かな様子。】
【かつて組織を率いた男、そして今組織を率いる女、古今二人のガンマンだけが店内に残って―――静かな対話が始ろうとしていた。】
237 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/14(木) 00:38:37.09 ID:QrXRfrCEo
>>235
闘う!

【戦士に迷いはなく、間を空けずにそう答える】
【自分はただの少女じゃない。自分は自分の力で機関から逃げ出したんだ】
【その逃げた力を、守るためにつかえたなら、自分は闘えるはず】
【袖を捲って、手錠に手をかけ力を込めて】
【一度は破ったもの。ならもう一度ぐらい・・・できる!!】

【──少女のリミッターが一つ外れて──】

闘う力は、ちゃんとある!

【バキッ、と気分のいいおとをたてて手錠を握りつぶし、引きちぎり】
【敵となる機関の刻印のついた手錠を投げ捨てた】
【今、少女は呪縛を解き放ったのだ】
238 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/14(木) 00:50:37.12 ID:oBZuhD2oo
>>237

――――

(……人体実験により植えつけられた異能、かの?)
(確かに人を超えた力ではあるが――)


【彼女の発揮した人間を超えた怪力を目にして】
【カミナが見せた反応は――ネモの予想とは少し違うものだったかもしれない】
【驚くでもなく、認めるでもなく……ただ】


……ネモよ、戦うべき力があることは理解した。
しかしの、これだけは確認しておく……"御主の身体は平気なのか"と


【ただ彼女の身を案じた】
【人工的に異能を植えつけられた者を幾度と見てきた上で】
【何の"副作用"もなくそれを使いこなした者を目にした事は少ない】

【多くが薬物や、本来異物である"能力"の作用により】
【肉体や精神に何かしらの障害を負っていた】
【最初見た時の不安定にも思える印象から、彼女の身体に不都合が生じているのではないかと】
【それを確認するためにそう問うて――】


御主が本気であることは疑いようもない
しかしな、友を守るために御主が犠牲になったのでは何の意味もないのじゃ

遺された者はただ、御主の墓の前で嘆き悲しむしかないのじゃからな――

【――彼女の語る"友達"の事も引き合いに出しながら、再びネモの返答を待った】
239 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/14(木) 00:56:56.35 ID:9foXQKwIo
>>234
【老婆の言葉を聞いて男は気が抜けた笑みを浮かべた】

まぁそうだろうな
相手はお人好しの集団だ、老婆の命を狙うとは考えにくいが
用心に越したことはないだろう

【男は老婆の説明に納得した様子だった】
【彼が復讐にかられているのは確かだったが、少なくとも老婆を力づくで巻き込むほど思慮に欠けているわけではなかった】

それじゃあ今日の手間賃だ
正気じゃなくても生きるのには色々必要でね
雑貨でもくれ

【そう言うと男は金貨を数枚、老婆に向けて投げた】

/遅れまして申し訳ない
240 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/14(木) 01:05:38.83 ID:QrXRfrCEo
>>238
【少女の頭にあったのはただ、友のため。それだけ】
【自分の事なんて全く考えていなかった】
【そしてリミッターがかけられていたという事は、この力は少女にとってけして良いものではない】
【実際に今も、手錠を引きちぎっただけで少女の息は軽く乱れている】
【けれど・・・】

・・・大丈夫。絶対しなないもん
悲しませない。そのために闘うんだ・・・

【強がる事しかできなかった】
【死なないなんて言える根拠はない】
【それでも、遺された友達がどれだけ辛くても、友達が自分と同じ目に合うよりはいい】
【身勝手な正義感と思われるかもしれないが、友が被害に遭うかもしれない以上黙っていることはできなかった】
241 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県)[sage]:2014/08/14(木) 01:12:12.91 ID:vS9mRzReo
>>236

……えっ。―――ちょ、何でそんなに焦ってんだよ……ん、先―――輩……あー前もそんなこと聞いた気がするけど……
いやそんな畏まらなくても良いから、つか落ち着けっての……闘うときは異常に肝座ってるのにどうしたっての、コッチが焦るわッ!

【彼女が帽子を取って頭を垂れる。ロウも何故か反射で帽子を取って軽く会釈するも、直ぐに彼女の異変に対しての言葉を飛ばした】
【シンクロしたのは行動だけではなく感情もそうであった。彼女の驚愕が伝染したというか、此方も軽く狼狽した様子】
【両手を軽く前に出して「落ち着け」のポーズを示せば、紺碧の眼が落ち着かずに右往左往。お互いがアワアワする空間というのは、何だか奇妙なモノなのだろう】

……いやまずさ、その「先輩」ってやめようぜ? なんか気ィ狂うし柄じゃねェし……何よりそっちの方が格上だろ? 
ユーはUTのトップ、しかも大会も制するほどの実力者でヒーロー、いやヒロインか……で、俺はただのSCARLETの一員だし大会もアンタに劣る3位。

大会出た理由もさ、同じガンマンとして勝手に「負けたくねー!」って意識して出たんであって……
んな尊敬て……寧ろコッチが尊敬というか……あー、正直に言うと嫉妬っていうか。まぁとりあえずだな……せめて「さん」にしてくれよ、せめて。

【予想外の反応だった。彼がイメージしていたセリーナとは180度違った彼女が―――眼前でアタフタしていたのだから、彼の想像を超えるのは当然とも言えた】
【―――兎に角落ち着こう。そう彼女に諭すように落ち着いた声を何とか作り出して、そして問いかけた。慕われる経験など正直初めてだったからか、何だかむず痒い】
【其れも相手がセリーナなのだから、余計に痒みは増すばかりで。そして帽子越しに頭をぽりぽりと書きながら、複雑な表情から漏れた言葉は「嫉妬」で―――】

……指針ねぇ。そうなら上手く俺を「反面教師」にしたよなぁと思うわ、マジで。そんでその反面教師は出来の良い生徒に嫉妬する……ってこった、ハハハ。
―――まぁ今はそんな経験も宝……自信持ってそう言えるし良いんだけど? あ、強がりじゃねーからな。

いやいや魅力的って……コレ以上褒めると反射的に口説きにかかるからやめとけやめとけ! アンタに釣り合うほど魅力的な人間でもねーっての。
そんな魅力的なセリーナさんのプライベートを聞くのも一苦労ってことで注文しねーとな……あー梅酒ロック。―――コレが一番「らしい」かと思うし。

【反面教師と云うように、自身もあの頃の失態を十分に理解しているらしく。そして沈んていった自分とは対照的に名声と信頼を掴んでいった彼女に対し「嫉妬」の感情はあると】
【そのマイナスの感情を隠すこと無く、正直に本人に言い放った。しかし其れも振り切った過去の産物、と付け加えて微笑み、椅子にドサリと腰を下ろす】
【頼んだ品は梅酒。かつての異名「梅酒のロウ」を彷彿とさせる注文だった】


242 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/14(木) 01:25:50.44 ID:oBZuhD2oo
>>240

(成程のぅ……こやつは"危うい"のじゃ)
(放っておいては数日と保たぬじゃろうな――)


【カミナが抱いた印象はやはりそう言った類のものであった】

【彼女は本気で力を振るい、巨悪に立ち向かっていくつもりだろう】
【だが、それを為すには目の前の少女が余りにも足りないものが多すぎた】
【とはいえ、見捨てる選択肢などない】
【元より彼女が、戦士としての意志を示した時から掛ける言葉は決めていたのだから】


……判った。
ならば御主が大切な友を守る為の一つの道を示そう――


【カミナはネモから一歩離れて、自身の懐に手を入れて何かを取り出す】
【それは――カミナが胸につけている其れと同じ、「緋色の鷹」を模した紋章が刻まれたワッペン】


……"SCARLET"。わらわの所属しておる組織じゃ
世界中の軍や警察組織が結託し、世を乱す悪党どもに立ち向かう為に集った"世界の盾"よ

個人で奴らに対抗することは難しい……故に、まずは自分以外の者の協力を求めるべきじゃろう
御主が友と絆で繋がっておるように、一人でおって出来ることなどネモが考えておる以上に少ないのじゃ


【そう告げながら、ワッペンをそっとネモの方へと差し出し】


望むならば、ネモを"SCARLET"の一員として迎入れよう
御主の戦士としての覚悟は、この目でしかと確かめさせてもらったからの

組織の拠点ならば寝る場所も、食事も……治療設備も用意することが出来るのじゃ
今は一人でも多く、御主のように悪と戦う"力"が欲しい……どうじゃ、わらわの手を取ってはくれぬか?


【最初に見せたような、安心させるような穏やかな笑みを浮かべながら】
【カミナはネモを"SCARLET"にスカウトしようとしていた】
【戦力として求めている、というのも間違ってはいないが……それよりも、彼女を一人にしておけないという心情が大きい】
【果たして、ネモの答えは――】
243 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/14(木) 01:37:32.20 ID:FTbiR1dpo
>>239

そういうことさね……
おや、まあどういう風の吹き回しかね?まあ買ってくれるなら売る者ありってね
そうさねえ……そうだそうだ面白い物を手に入れたんだ、金貨ならそれを出してやろうかね

【理解して貰えるならば此れ幸い】
【2,3小さく頷いていたらばどうやらこの男それなりに話は通じるか】
【示された金額に再び頷いて馬車の垂れ幕をめくり身体を突っ込んでガサゴソと中を探る】

あー……どこに入れたもんかねえ、いやいやこれじゃないねえ
これ……は薬品だし、これはどこぞのメダルだし……ああ!あった!あった!これだよこれ

【あーでもないこーでもないとつぶやきながら時間にして数分、埃に塗れた老婆の手のひらには何やら古びた樫の箱が1つ】
【変哲もなければ曰くもなさそうなその箱を意味ありげな笑みを浮かべた老婆は開けばそこにあるのは石を削りとって作っただろうナイフが1つ】
【酷く全時代的、というか石器時代にでも戻ったような品だが……】

ああ、分かるよその目……なんだこの品ってんだろ?
駄目だねえそう思ってるようじゃあ未だ未だ目が幼いね、このナイフは十分に金貨を出す価値があるんだからねえ。

ん、ゴホン……こちらの由来は旧く、未だ剣を掲げた騎士達が戦場の華形だった時代の代物さ
己が主君の為に剣を振るい時として盾となり国を護るそんな時代だねえ、うんうん……そんな時代の城壁都市と言えばお前さん分かるかね?
都市を丸ごと石の壁で囲う、まあ城塞さ……そんな城塞の巨石で作られた大門、かつて幾多もの攻撃を防いだ曰くのある門のその欠片の石がこちらさ

【かつての時代に思いを馳せるように言葉を連ねながらそのナイフを手に持ち見せる】
【語りが一段落つけば「持ってみな」と男へと半ば押し付けるようにして手渡して】

物というのは年代を重ねれば重ねる程力を増すのさ、付喪神なんてのもいるらしからね
長年人々を守った門の欠片はそれだけで「守護」の効果を持つのさ……まあ知識が無い人間でも簡易の結界ぐらいは張れるだろうさ
尤も、尤もだ……原典である大門から別れ過ぎちまったから乱暴に扱うと直ぐに壊れちまうからね乱用は禁物だ、それが分かったなら持ってきな

【古の物の効果の程を軽く説明して、そうすればもう石器のナイフは男の物となる】
【生憎とこの老婆はクーリングオフは受け付けていない、悪い物は売りはしないのだ】
244 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[saga]:2014/08/14(木) 01:46:41.98 ID:4vMxsdXcO
>>242
【差し出された手と、緋色の盾の紋章】
【その紋章にこめられた意味や思いが全部わかった訳じゃないけど、とにかく『盾』というデザインが気に入った】
【そしてなにより】

この手を握ったら・・・仲間ができる?

【同じ思いの人が集まる組織と言う輪に入れば、仲間ができる】
【つい先日まで機関の実験台で、人間以下だった自分に仲間ができるのだ】

・・・うん。やるよ!
一人じゃなくて、皆と闘う!みんなと一緒に盾になる!

【断る理由なんて一つもなかった】
【ワッペンを受け取り、カミナの手を力強く握り】
【穏やかな笑顔に嬉しさに泣き出しそうな笑みで返した】

今からカミナと仲間!
あたしの力、いつでも貸すよ!

【受け取ったワッペンを胸に当て、力こぶを作ってみたりして戦力をアピールしてみたり】
【もっとも、ネモを心配するカミナからすればおいそれと力を借りる気にはなれないかもしれないが】
245 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/14(木) 01:52:10.06 ID:9foXQKwIo
>>243

ほう、随分と価値の高いものを出してくれるじゃないか
物に宿る経験なんて、そうそう簡単に手に入るものじゃない

【老婆の説明に男はうなずきながら聞いていた】
【手渡されると、物珍しそうに見回した後にぐっと顔を近づけて細部まで見始める】

付喪神、東洋の考えか、聞いたことがある
存在の昇華の一種だな

【男は石器のナイフを見終わったのか、懐へとそれをしまった】

中々いいものだな
実用性とそれ以外を兼ね備えてるものは結構好きでな

【そう言って男は無邪気に笑った】
246 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2014/08/14(木) 01:54:28.36 ID:mam2M645o
>>241

【いい歳のガンマンが酒場であわあわ、揃ってあわあわ。SCARLET隊員とUT創設者があわあわ。】
【本当にこの二人ガンマンだろうか、中々シュールな光景である。ともあれ、セリーナもようやっと落ち着いて】
【ロウに伝染ってしまいそうなこの慌しさを整えると、今度こそ瞳をきちんとロウのそれにあわせて挨拶をするだろう。】


  ―――格上っ!? そそそそそんなとんでもないっ!
  むしろアタシからすればほんと、見上げる存在というか雲の上の人物というか―――!!
  大会成績だって同じ大会に出てた訳じゃないですし、なによりロウせんp……うう、ロウ"さん"は先駆者ですから。
  
  貴方が大会に出た理由に、『アタシを意識していた』のと同じ様に―――
  アタシだって組織をこうして立ち上げるとき、常に貴方や他の先輩方の事が頭にありました。
  とにかく先ずは立派な組織にすること、そして何時かは―――先輩達のそれを越えられるように、って。

  だからその―――ふふっ、お互い様、ってことでここはひとつ。ね!


【互いにとって、互いが刺激を与え合う状態である―――と、セリーナはそういった。】
【確かに大会成績や組織の立場を考えればロウの言う事も正しいのだが、それも元を辿れば】
【ロウという先駆者がいたおかげ、でもあって。つまり、この二人は互いを意識しあっていると言えるだろう。】


  そ、それじゃ―――ロウさん、ふふっ、なんだかこうして一緒に晩酌できるのはほんと、夢みたいですっ!
  けど……『反面教師』、だなんて。
  ロウさんの『Blue Justice』……"青義"が目指していたそれ自体に、"間違い"は無かったと思います。

  アタシが貴方から学んだのは唯一つ―――『立ち上がる勇気』、その一点だけ。
  でもそれがとても大きな、他では学ぶ事の出来ないアタシにとって大切なものだったんです。
  ある意味で、先駆者の存在に勇気付けられたって言うか―――だからこそ、今のUTが存在してるから。

  ……色々あったのは知っています。それについて、アタシが何かを言うつもりもないです。
  それに、ロウさんが仰るとおり。そういった経験が今のロウさんにとって、やっぱり大切な物になってる。
  なら―――それで、良いんだと思います。反面なんかじゃないです、素直に貴方と、貴方の功績は尊敬に値しますよ、"ロウさん"。


【梅酒を用意しながら、ロウの言った『反面教師』という単語には―――恐れながら、反論を投じる。】
【だがそれは相手の言葉の単なる否定ではない。むしろロウという存在を重く受け止めたからこそ、言える言葉。】
【結果はどうあれ、あの行動が生み出したものが大きいとセリーナはそういった。同じガンマンが、立ち上がる勇気を生み出したのだ。】


  ―――でも、やっぱり『梅酒』なんですね。
  そういうの、なんだかとっても―――ステキだな、って。そう思います。ふふっ! 
  はいっ、ロックでどうぞ。アタシの生れの地の国の端でとれた梅を使った梅酒、頂いちゃってくださいな!

  ―――それじゃ、素晴らしい出会いに―――乾杯っ♪

【セリーナは愛飲しているバーボンの瓶を掲げて、ロウのそれに合わせてチン、とグラスを合わせる。】


  ところで、アタシのプライベート、でしたっけ? ……ふふっ、ロウさんに口説かれるなら、案外ノッちゃったりして。
  なーんて、まだ酔ってもいないのにちょっと気が早すぎましたね、さっき喜んでたのは丁度、おっきい仕事が舞い込んできたから。
  知ってますか? 風の国では結構有名な地主の一人、『ヴェルトーシュカ』家の方からちょっと"不思議"な依頼を受けてて―――。

【そういって彼女が語りだしたのは風の国に住まう名家の一族、『ヴェルトーシュカ』という名門からの依頼の話だった。】
247 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/14(木) 02:03:01.77 ID:oBZuhD2oo
>>244

うむ……その意気やよし!
これからは"SCARLET"の仲間として頼りにさせてもらうのじゃ


【彼女の取る仕草を、何処か姉のような微笑ましげな顔で眺めながら】
【ネモの返事を快く受け取り、これから肩を並べる仲間として固く握手を交わした】


じゃがな、二つだけ約束しておいてくれネモよ

一つは……決して一人で無理をせぬこと。
わらわ達は仲間同士で力を合わせて戦う"組織"じゃからな

困った時は誰かに相談すればよい
一人では決して勝てぬ悪相手には、逃げて仲間に情報を伝えるだけでも大きな助けとなる
組織に加わった以上、"御主は一人ではない"。これは覚えておくことじゃ


【まずは一つ。彼女に決して無理をさせないための約束】
【一人で解決出来ないならば仲間を頼り、協力する】
【組織としての立ち回り方を覚えろという忠告であった】


もう一つは……一度、正式に医師の診断を受けることじゃ

"SCARLET"を通して、御主のような境遇の者を看る事の出来る医者を探してやる
良い思い出はないじゃろうが……医師の指示に従って少しでも身体を健康にすることじゃよ

御主の身体が良くなれば、大切な友の、仲間の……何よりネモ自身の為になる。考えてはくれぬかの?


【そして二つ目は、医者に身体を看て貰うということ】
【これに承諾を得られたならば、カミナは言葉通り良い医者を探してくるだろう】
【人体改造の副作用を全て取り除く事は難しいかもしれないが】
【もしかしたら今よりずっとマシになる……可能性も考えられるだろうか】

【上記のことに答えを貰えたならば】
【何かしら、特別な返答などがない限りはカミナはネモを連れ立って移動しようとするだろう】
【"SCARLET"に正式に入団するには手続きが必要である】
【団員の口利きがあるので、幾つかをパスすることは出来るが――】

【それが終わればW-Phoneが支給され、正式な団員として認められることになる】
248 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/14(木) 02:18:07.05 ID:FTbiR1dpo
>>245

金貨なら相応だけどね、言いたい事があるならもっと高く売ってもいいんだよ?
ああ、あと残念ながらそいつにゃあ精霊とかは付かないだろうね、なんせ小さくなり過ぎた

【樫のケースを大仰に仕舞いこみ、渡された金貨を数え布袋に放り込む】
【こんな場所にしては実入りのよい取引であった、満足気に頷いて】

ま、精々好きに使うといいさもうそれはアンタのモンだからね
人を[ピーーー]も活かすも所詮は扱う人間次第、道具にゃあ意志なんて都合の良いものなんか存在しないのさ
道具はただ道具としてあるだけだからね……

【そう言って老婆は手綱を握り馬へ鞭を打つ】
【小さく唸りを上げて、やがて馬は歩き出すだろう】

それじゃあね、次に会う時は分からないけどもしかしたら違う人で会うかもねえ
それかアタシの寿命が尽きてるか……まあどっちにしても詮無きことさね、アンタの知ったこっちゃない……。
はてさて次はどこに流れようかね、後ろめたい奴が多い所がいいねえ……差し当たって大きい戦いがあったとこにしようか……。

【風の向くままに馬車は揺れる】
【何処へ向かうかも知らぬまま、ただただ利己的に歩みを進める商人】
【定住を持たない故にまた会う可能性は低いだろう、鳥とは本来そういうものだから】
249 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/14(木) 02:21:31.35 ID:QrXRfrCEo
>>247
一人じゃない・・・わかった!
力、合わせるの!

【仲間という素敵な言葉は少女を一歩成長させた】
【きっとここでカミナと出会わなければ、少女はどこかで無謀に闘って死んでいただろう】
【しかし今ならそんな事はきっとない】
【一人じゃないという言葉をここでカミナに言ってもらえたことで、闘うとは突っ込むだけじゃないのだと覚えたから】

【医者に行く、というのは正直いい気はしなかった】
【しかしカミナが紹介してくれる医者であれば悪い人ではないはず】
【渋々だが少女は承諾し、移動するカミナを追って行った】

【実験台、人間以下だった少女は友達と出会い人になり、そして今──】
【少女は正義と出会い緋色の盾の戦士となった】

//このあたりで〆でしょーか!お疲れさまでした!
250 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県)[sage]:2014/08/14(木) 02:22:31.50 ID:vS9mRzReo
>>246

お互い様……うん、お互い様―――ねぇ。……じゃ、そういうことにすっか。
同じ正義組織のガンマン―――そんだけ。立場も同じでどっちが上も下も無し! 
つーかどうせ酒入ったら嫌でもそうなるんだから!

【彼女の言葉に納得した様子を見せ、取った帽子を再度被り直せば―――先程の話に区切りをつけるように、強めの声で言い切って白い歯を見せた】
【意識はこれからもするだろうが、上も下もなく。同じガンマン、同じ悪を相手にする者として―――切磋琢磨し合おう、と。光を湛えた紺碧の瞳が彼女へと語っているようだ】
【ともかくあたふたした姿はお互いに消え失せ、ようやく本来の二人が姿を現したということだろう】

……―――そう言ってもらえると嬉しいモンだな。ま、何というか―――『正義』って字面に『我』って字が入ってる……ってことにようやく気付けたっつーか?
押し付けるんじゃなくて自身が貫くものっつーか……そんな初歩的なモンに気付けずにやってたからあんなことが起こったっつーか。
それに気付くだけに支払ったモンも大きいけど―――気付かないままでいるよりかは100倍マシだから……同じこと言うけどさ、いい経験になったよ。

……昔に比べりゃ色々変わったけどよォ―――不殺の意志と好みの酒くらいは不変ってね。あ、銃の腕は寧ろ進化してるんだぜ?
―――じゃ、お互いの正義にも……乾杯!

【あの歴史を肯定する人物がいる。その事実を噛みしめて僅かに流れる沈黙。その後ゆっくりと言葉を零すのだが、内心軽く感動していた】
【自分も、そして他人も否定する過去。否定されて当然の過去。その汚点に対し彼女が零したその言葉が、重く深く―――心の臓に突き刺さったことは確かだった】
【確かめるが如く告げる。あの歴史が生み出したのはマイナスだけではないと。あのマイナスが今の自分を作っているのだと】
【変わらないのは酒と意志。梅酒を掲げて正義の音色を鳴らし、喉に流し込む。―――暑いこの時期の梅酒は格別なのだが、今日はいつに無く美味く感じた】

―――ヴぇる……あー名前だけ……なら。水の国住みだからってのは言い訳か……ま、今の俺はSCARLETから来るメールに従うくらいだからなー……
賞金稼ぎしてた頃はもうちょい情勢とかにも詳しかったんだが……一度離れてから知識が一気に抜け落ちちまったかもな、ハハ―――で、その『不思議』な依頼ってのは?

【名前は聞いただけだ、ということを正直に告げる。今の生活は自分で情報を集めると云うよりかは与えられる側だ。なんというか、アンテナが鈍っていたらしい】

251 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/14(木) 02:24:17.50 ID:9foXQKwIo
>>248

好きにさせてもらうさ

【男はただ一言だけ答えた】
【しかしそこには以前に一瞬見せた狂気はなかった】
【言った通りに男は買ったものをそれなりに扱う気でいた】

せいぜい儲けるんだな
あんたがバカな偽善者どもに殺されないことを祈ってるよ

【そう言って男は路地裏の来た道を引き返していった】

/おつかれさまでした
252 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/14(木) 02:24:41.25 ID:oBZuhD2oo
>>249
/お疲れ様でしたー!
253 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[saga]:2014/08/14(木) 02:55:20.96 ID:mam2M645o
>>250

【使う銃も、戦い方も違う二人。だが何処と無く似た香りのする二人でもあって。】
【銃使い<ガンマン>という職業の行き着く先にいる二人だからこそ、分かり合えることも沢山あった。】
【何より、方法は違えど方向は同じ"正義"を見つめる者同士、その瞳と意思が揺らがぬ限り、其処に貴賎は無いのだろう。】


  ……確かに、それは初歩的なことかもしれませんね。
  でもロウさん、誰だって皆、何かの道を歩む時、何処かで一度は道を間違えるものだって、アタシは思います。
  そのタイミングは人それぞれだけど―――若い内にそれに気付ける事って、すっごく大事な事なのかもしれないですね。

  さっきも、ロウさんはご自身の経験を『宝』だって、そう仰りました。 
  それは何でかって言うと、過ちに気付けた事其の物ではなくて、それを活かす『将来』が存在してるからだと思います。
  早い段階で、自分の中にある『戦う理由』にきちんと向き合えた、これって大人になればなる程……見失いがちかな、って。

  だから―――こう言うのもなんですけど、そういう点でも、アタシとすっごく、似てるなーって。
  ……実は、アタシもUTの前にかなり大きな失敗をしてるんですよ。おいそれと語る事の出来ない、でっかいミスを。
  でも、"その事"のおかげでアタシはアタシがどうなりたいのか掴む事が出来ました。自分の成りたい自分を知る事が出来ました。

  それに気付く為に―――アタシが支払った代償は、アタシの元恋人と、約束を護れなかった"小さな命"、それに古い友人達。
  
  ……今でも、口に出すのはアタシも一緒で辛いんですけど……『いい経験』に、なったのかな、って。


【しんみりと語るセリーナの口から出た言葉は、彼女もまた同じ様に初歩的な"ミス"を犯していた、という過去の事実。】
【ロウの目からは輝かしい戦果を上げる現代の正義組織の長―――なんていう風に見えているかもしれないが、実際には】
【セリーナというこの女にも"過去"があり、それを経てこそ今、此処に立っていられるという事なのだろう。そんな、傷ついた二人だから。】

【―――乾杯、の一言が互いに胸に染みる。だが、矢張りこうして飲む酒は非常に、非常に美味しいのだった。】

 
  ! わかります! 実はアタシも、現役でバリバリ賞金稼ぎしてた頃より、若干世情に疎くなってて……!!
  そうそう、そういうのすっごくわかります! マフィア事情なんて昔はペラペラ語れたのに、最近はなんとも……、、
  でも、その『ヴェルトーシュカ』さんの依頼は結構きな臭いっていうか、一癖ありそうな仕事で腕が鳴りますよ〜♪って言うのも。

  ―――そのヴェルトーシュカ家、今党首様が亡くなりそうだとかなんとかで、遺産相続で揉めてるんですよ、はやくも!
  まだ死んでもいないのにそういう話ばっかり噂が流れてくるって事は、お金持ちもラクじゃない、って事なんですね〜。
  ともあれ、そんなこんなで相続する土地の売買なんかの関係で調査に入った土地家屋の調査業者から
  なんていうか―――『変なもの』が見つかったとか、そんな怪しい報告があったそうなんです。

  発見された場所はヴェルトーシュカ家の所有してる土地の内、そんなに大きくない区画の一つ。
  遺産相続の関係上はそんなに目立たなかった筈の場所なんですけど、出てきたのがどうも―――
  "遺跡"っていうかなんていうか、話によるともっとヘンテコなものらしいんですけど、"箱"みたいのが出てきた、って聞いてて。

【―――ここまでは、単なる相続争いの最中に現れた遺物を巡ったあれこれ、で済みそうな話だが……】

   まあ―――恐ろしいのがここからで。
   よくわからないんですけどその箱、見るたびに箱に書かれた模様が替わるらしいんですよ。
   ついでに言うと、裏に書かれた文言、っていうか"メモ"みたいのも、日に日に内容が変化してるとかで……

   『眠りを妨げる者に死を』だったのが『再び眠りに付くときその者に幸福を』に変ったりとか、とにかく変なものらしいんです。
 
   ―――真夏に相応しい、オカルトじみた内容の依頼だと思いません? 
   アタシ、こういうの小さい頃からずーっとあこがれてて! 調査しに行く、って次第ですよ。

【怪しさ全開だが。依頼主は名門、断るわけにも行かないし何より―――報酬に目が眩んだのだろう。】
    
254 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/14(木) 03:19:52.01 ID:FTbiR1dpo
>>251
/お疲れ様でした
255 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県)[sage]:2014/08/14(木) 03:28:06.05 ID:vS9mRzReo
>>253

【彼女の口から漏れた言葉を、梅酒を口に含み潤しゆっくりと飲み込んでいくのと同じように聞き入れ、味わっていく】
【似ているな―――などと思っているのは彼女だけではなく、自分もである。それは彼女の服装がかつての自分に似ていることもあるが、それだけではない】
【銃を使っていることもあるし、正義組織を作ったという点でも同じだ。しかしそれよりも―――何というか、我武者羅さとでも言えるものが一番似ている気がしていた】

……不殺が心情の俺だからさ、仮にも人を失っておいて『いい経験』とは言えないけどよ―――糧になってるっちゃあ、なってるだろうさ。
セリーナが言う通りあの失態が俺を正しい方向へ導いてくれたし、今の俺があるのは『あの経験』があったからだ。
―――ま、暗い話は飲み始めのツマミには合わねぇからよ、この程度にしておこうぜ?

【暗い話に区切りをつける為に乾杯の言葉が零れたような、そんな気がした。一気に喉を通る梅酒の味が、匂いが、アルコールが心地よい】
【ふぅ、とグラスを置いて息を漏らせば、話は移り―――その『ヴェル何とか』の話題に】

遺産か……ま、金持ちには避けて通れないトラブルかもなぁ……にしても、死ぬ前から揉めてちゃなんか……
早く墓に埋もれろって党首に言ってるみたいで気に入らねぇっての。―――で、遺跡……箱? なんかよく分かんねぇ話だな……?

【既に顔を紅潮させているロウ。眉間に皺を寄せ愚痴を零しながらも、彼女の話に耳を傾けていく】
【最初は唯の遺産問題かと思っていたが、勿論それだけでUTが出動するわけがない。故に裏が―――と思っていた矢先に、話は段々と怪しげな方向へと進んでいく】

……うわ、なんだそれモロオカルトじゃん。何だろうなそりゃ……霊の仕業とか。……あ、これ上手く使えばなんか面白いことに……なんて。
―――最近はシャツの中に隠してんだけど、これが俺の生命線……『幽幻の宝玉』。霊を呼び出す的な使い方も出来るっぽいし―――。
……まぁ、嫌な予感しかしないんだけど俺的には。というかまずセリーナの仕事だし俺関係ねぇけどなー。

【確かに彼女が言うようにオカルト感は満載。となれば彼が戦闘でも多用する宝玉―――ペンダントとして身に付けている『幽幻の宝玉』。これを使えば―――】
【もしかすれば、霊と交信などの奇妙な経験が出来るかも知れないな、とのこと。それでもそういう踏み込んだ行為が裏目に出るのがホラー映画の鉄則でもあり】
【何よりこれは飽くまで彼女の仕事。SCARLETの自分が手を出す案件ではないと言うことで退いたのだった】

/すみませんそろそろ置きレスに移動お願いしたいのですが構いませんかね?
/それで時間が空いた時にちょこちょこと返信しますので……というのはどうでしょうか?
256 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[saga]:2014/08/14(木) 03:32:00.07 ID:mam2M645o
>>255
/了解いたしました、此方も大分眠気が……!
おかげで箱がどうのとか大分妙ちくりんな流れになってるので
一回寝て頭をしゃっきりさせたいと思います、次レスからは置きレスの方にお返しいたしますね。
一旦ではありますが、ありがとうございました!
257 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/14(木) 12:28:34.84 ID:qSV6cvYvo
【夜・港の片隅】

【人々の寝静まる時刻、港にひっそりと停泊する小船があった】
【船名やナンバーは見当たらず、やがて一人の少女が降りてくるのだが】

……やはり、島との行き来は大変でありますね
如何に広い海とはいえ、監視の目はやはりあるのであります…。

【彼女の服装は戦闘服。袖には『100』の刺繍があり、その髪色は目立つライトブルーであった】
【彼女は船を留めると立ち上がり、警戒するように周囲に視線を走らせる】
【その右手は、腰元のホルダーに収まった金槌に当てられていた】
258 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/14(木) 13:06:23.64 ID:e8KH/7fv0
【路地裏】

まったく……
こんな真昼間から疲れるのう…
【日の光が届かないそこでため息をつきながら少女は呟く】
【見た目は10才の少女ぐらい】
【金色の長髪に紅い瞳】
【血に染まったゴスロリ服に身を包み畳んだ日傘を持っている】
【そしてその少女の目の前にはもはや原型をとどめていない肉片】

ちとやりすぎたかのう…
どう片付ければよいか…
259 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/14(木) 13:16:59.30 ID:9foXQKwIo
>>258
【通りの奥から一人の男がゆっくりと歩いてきた】
【何の変哲もない男だ。しかし隙を感じさせない気配を持っていた】
【少女と目の前の肉片に目を向けると、男は一度ため息をついた】

なんだ、最近は人間ミンチを女のガキが作るのが流行か?
死体が誰だか分からないっていう点じゃ俺も一緒だが

【男は独白のように呟いた】
【一般的にはそこは異常事態と呼べるが、彼に恐れる様子はなかった】
260 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/14(木) 13:24:11.92 ID:e8KH/7fv0
>>259
なんじゃお主
儂になにか用かのう
【少女は少し警戒しながら男に聞く】

言っておくがこやつから先にし掛けてきたんじゃぞ
正当防衛じゃ
【目の前の肉片を指差しながら言う】
261 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/14(木) 13:27:41.55 ID:9foXQKwIo
>>260

はは、正当防衛でそこまでやるか!

【少女の答えに男は少し笑った】

まぁそう警戒するな
お前をどうこうするつもりならとっくにそうしてる
ただ、行く先に比較的真新しいものがあったから声をかけただけだ

【そう言うと男は壁によりかかった】
【誰がどう見ても無防備に。実際彼に闘う気はなかった】
262 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/14(木) 13:33:12.44 ID:QrXRfrCEo
>>257
まだいらっしゃいます?
263 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/14(木) 13:34:41.80 ID:qSV6cvYvo
>>262
/居りますよー!
/途中で凍結の可能性もありますが、もしよろしければっ!
264 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/14(木) 13:35:26.10 ID:e8KH/7fv0
>>261
確かにお主の言うとおりじゃのう
【少女は警戒を解く】

まぁ過ぎてしまったことは仕方が無い
それよりこれを片付ける良い方法はないか?
さすがにこんな風になってしまっては食べる気も失せる
265 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/14(木) 13:39:33.58 ID:9foXQKwIo
>>264

燃やすのは得意だが、異臭がするぞ
それがいやなら運ぶしかないな
そら、そこにちょうどいい専用墓地がある

【男が指差したのは裏通りに点在する大きめのゴミ箱だった】
266 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/14(木) 13:45:10.06 ID:e8KH/7fv0
>>265
ほぉ
そんなところがあったのか
【袋を取り出してそこに肉片を詰め込む】

お主のおかげで助かったわ
礼を言うぞ
267 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/14(木) 13:45:44.09 ID:QrXRfrCEo
>>257
【港を見回り中の事】
【船名もなにもない明らか怪しい船を見つけた】
【その船から現れる少女もやけに周りを警戒していて】
【とりあえず様子を見よう、そう思ってゆっくり歩くのだけど】

・・・あっ!

【港の濡れたコンクリートは良く滑る。思いっきり音を立ててすっころんだ】
【しかも静まり返った夜の港、そしてそこそこ近い距離で。目立つことは不可避】
268 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/14(木) 13:50:22.81 ID:9foXQKwIo
>>266
【男は少女の言動に僅かな違和感を抱いた】

そんなところ、か
もしかしてお前、世俗に疎いのか?
……そもそも何者だ?

【男は眉をひそめながら少女に尋ねた】
269 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/14(木) 13:52:59.11 ID:qSV6cvYvo
>>267

――誰でありますか?

【しぃんとした港に響く音。それに気付かぬ筈もなく、戦闘服の少女は金槌を右手で引き抜いて】
【慣れた動きでさっと構えれば、警戒したまま音のした方へと歩み寄っていく】
【見えるかはわからないが、金槌には黒ずんだ汚れ――血の染みもあって】

今すぐに名前と所属を言えば、即座の排除はしないのであります。
……居るのはわかっています、隠れても無駄でありますよ――。
270 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/14(木) 13:55:17.68 ID:e8KH/7fv0
>>268
ん?儂か?
儂は吸血鬼じゃ
【それが当たり前であるかのように少女は自分が何者であるかを言う】
271 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/14(木) 13:59:08.65 ID:9foXQKwIo
>>270
【少女の返事を聞いて男はぎょっとした】

血を吸うっていうあれか?
実在するなんてな……
それなら世俗に疎そうなのも納得だ
実際そこにあるのは墓地じゃなくゴミ箱だ
間違えると他の人間たちに襲われるぞ

【そう言って男はもう一度、ゴミ箱を指差した】
272 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/14(木) 14:03:44.18 ID:QrXRfrCEo
>>269
【様子を見る、なんて事も言ってられなくなった】
【近寄る少女は金槌を構えて居る。金槌についた、夜の闇以上にどす黒い黒は恐らく血】
【明らかに危険な人物である】

な、名前はネモ。ネモ・アーネスト
所属は・・・SCARLET

【自分は地に伏せ、相手は構えて】
【どう考えても不利。今は言うことを聞いて、隙をみて体制を立て直さねば・・・】
273 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/14(木) 14:08:17.47 ID:e8KH/7fv0
>>271
そんなに吸血鬼は珍しいのか…?
【不思議そうな顔で呟く】

なぁに
襲われても返り討ちにするだけじゃ
こいつの様にな
【肉片に視線を向けて言う】
274 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/14(木) 14:13:56.04 ID:qSV6cvYvo
>>272

SCARLET……機関に敵対する集団の最たるものでありますね。
でしたら、貴方にはいくつかの選択肢があることをお伝えします

一つは、SCARLET のメンバー全員の名前と能力を白状すること
もう一つは場所を移して、さらに色々と我々に"教えてもらう"ことであります。
そしてあるいは……いえ、それより先に――

【的確な行動、きびきびとした動き。危険人物という判断は正解だろう】
【そして彼女は不意に金槌を振り上げると】

――先ずは逃げられないようにさせていただくのであります。

【容赦なく、硬く重い一撃を伏せたネモの右足に振り下ろそうとする】
【動きに戸惑いはない。避けなければ、まず足の骨を砕かれる事となってしまうだろう―!】
275 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/14(木) 14:14:26.71 ID:9foXQKwIo
>>273

少なくとも俺が見たのは初めてだ……
確かにそのへんにいるやつなら簡単だろう
だが、世の中には力があり、かつ人殺しが好きな連中がわんさかいてな
そいつらは正義だの善意だのを振りかざしてるから、気をつけろよ

【忠告をする男の顔は暗く、かつ僅かに怒りが差していた】
276 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/14(木) 14:22:46.14 ID:e8KH/7fv0
>>275
どうやらお主もそやつらになにかそれたようじゃの…
【男の顔を見て呟く】

正義なぞくだらん…
やはりいつの時代もそんなやつらはどこにでも居るのじゃな
お主になにがあったかは知らんが忠告は聞いておく
これからは気をつけるとしよう
【そう言うと日傘をさしその場を立ち去ろうとする】
277 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/14(木) 14:25:40.17 ID:9foXQKwIo
>>276

そうしてくれ
じゃあ、またどこかで
生きてろよ

【別れの挨拶をして男は少女とは反対へ歩き始めた】

/おつかれさまでした
278 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/14(木) 14:25:59.58 ID:QrXRfrCEo
>>274
【不意に振り上げられた金槌、それが何を意味するかは誰でも分かる】
【転がって振り下ろされる金槌を回避、そのまま起きあがって距離をとる】

全部、やだ!

【舌を出してあっかんべー。明確な宣戦布告】
【悪の要求など飲めるわけもない】

あたしがやっつけて、色々教えてもらうから!

【拳を握り胸の位置に、足を縮めて、跳ぶ】
【少女の能力は人外じみた身体能力。それから繰り出される突進は威力も速度もロケットの如く】
279 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/14(木) 14:28:52.33 ID:e8KH/7fv0
>>277
/付き合っていただきありがとうございました!
280 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/14(木) 14:33:59.27 ID:qSV6cvYvo
>>278

っ……!ですがその反応は想定済みであります!
手段はひとつ……動けないようにさせて頂きます、ネモ・アーネストッ!

【ガツン!と金槌がコンクリの地面を打ち、火花とは違った小さな明かりが散る】
【そしてこちらにネモが突っ込んでくれば、むしろ正面からそれを受け】
【むしろ吹っ飛ばされることで受け身を取り、加えて少しの距離もとる】

【そこからは反撃、なんとも安易だが金槌をネモに向かって投げつけるのである】
【見れば持ち手からはワイヤーが伸びている。ただ無鉄砲な投擲とも思えないが……】
281 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[saga]:2014/08/14(木) 14:46:30.26 ID:j8/DQIezO
>>280
嫌だって・・・言ってるッ!

【少女体を構成するのは強化細胞】
【投げられた金槌を腕で受け、弾いてもめちゃくちゃ痛いだけで動けなくはなりやしない】
【・・・ただの投擲攻撃だった場合だが】
【少女は金槌に繋がったワイヤーに気づけなかった】
【これが初めての戦闘、視界に気を配る余裕はなかった】

そんな攻撃じゃ、全然効かないから!

【余裕がない少女に出来る事、それは突っ込むのみ】
【今度はただの体当たりじゃない、両手を構え左右両方から殴りかかる】
282 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/14(木) 14:57:05.75 ID:qSV6cvYvo
>>281

(腕に金槌を受けてあの反応……)

……成る程、そういうことでありますか。
でしたらむしろ近接格闘は都合が良いのであります!

【左右からの攻撃を、素早い動きで屈んで避ける。懐に入る形になるか】

【その状態でワイヤを引き、引っ張った金槌でネモの背面を狙い】
【更にタイミングを合わせて、左手でネモの腹部を下から叩き上げようとする】
【その動きは見事なものだ。恐らくは何度も教え込まれたのだろうと察せられる】

【しかし、ひとつだけ問題があった。それはネモの体力についてだ】
【もしも、この攻撃を凌がれたら――今度は攻撃が外れるような距離ではないのだから。】
283 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/14(木) 15:16:59.41 ID:QrXRfrCEo
>>282
【追撃。懐に潜る敵に肘を振り下ろそうとしたその瞬間】
【背後から迫る金槌に背を打たれ、ひるんだ一瞬に下から叩き上げが入る】

がっ・・・あ・・・

【鳩尾に入った拳、いくら頑丈な体であろうと急所には変わりなく】
【声にならない悲鳴を上げてしまう】
【苦しい。闘う事の痛みは想像以上で】
【それでも今ここで動きを止めたら・・・死ぬ!】

・・・・ぁああっ!!

【痛みを振り切って無理やり肘を振り下ろす】
【全力とは行かないが、元が人並み外れた十分な威力があるはずだ】

【問題があるのはこちらも同じ。ネモは持久力が致命的にないのだ】
【鳩尾への攻撃で息は乱れ、ここまでのわずかな行動でも体力をかなり消費している】
【もしこの攻撃が致命打にならなければ、少女に勝ち目はない】
284 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/14(木) 15:31:30.99 ID:qSV6cvYvo
>>283

グ、っ……―!

【金槌と掌による挟撃――これで倒しきれなかった以上は、回避の道はない】
【正確に言えばあるのだが、こう近くては使えないという事情もあって】

【ともかく、ライトブルーの髪の少女は肘食らって地面に叩きつけられ】
【しかし意識は失わず、金槌を停留縄に投げて絡め、ワイヤーで自分の体を船の方向に引きずり込む】
【鮮やかな撤退劇だった。次の瞬間には金槌が激しく電撃を放って縄を焼き切ると】

ぅ、っ……ネモ・アーネスト…覚えたのです、その名前……!
機関に敵対する事の意味……いずれ身を以て味わうことになるのでありますよ――!

【よろめきながらも船のエンジンを掛けて、荒々しく出港――もとい逃走する】
【カノッサ機関の、敵。ネモがそれを実感するのは、そう遠くない未来のことだろう】

/それではこの辺りで失礼しますねっ、お疲れ様でしたー!
285 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/14(木) 15:44:30.43 ID:QrXRfrCEo
>>284
【敵が撤退すると一気に力が抜けてしまい】
【膝から崩れ落ちて、そのまま地に倒れ伏してしまう】
【撤退の際、見えた袖の100の刺繍、それとライトブルーの髪を目に焼き付けて】
【少女の意識はゆっくりと落ちていく】

【消える意識の最後、敵に向かって中指たてる】
【『上等だ』 そんな覚悟を示して】

//お疲れさまでした!
286 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/14(木) 17:57:18.75 ID:nit4VcOJO
無駄にアクティブで下手な奴も困るよな雑談も訳わかんねーし
誰もスレに出たがらなくなるし
あれってロールじゃなくて単なる箇条書きだろ
夏休み終わるまで災難だな某所民も
確かにお互いに楽しけりゃ良いけどロールには上手い下手もあるしロール出来てない奴が言うとなんかなぁ
287 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2014/08/14(木) 17:58:30.21 ID:nit4VcOJO
誤爆った
288 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/14(木) 20:35:40.08 ID:LfB4S8yC0
【路地裏。昼間も日の当たらない此処は世界の裏側の如く様々な悪が蔓延り、澱んだ空気が流れるのが常】

【が―――そんな路地裏に吹く一陣の風。澱んだ路地裏の空気を塗り替えるように夜の暗闇を疾く吹き抜けて】
【次いで聞こえるのは鈍い轟音と衝撃音。それと微かな人の呻き声……そして、別の人物の荒い吐息】
【もし何事かと音のした方へ向かえば其処には気絶した男が三人転がっている筈だ。―――しかし】
【それよりももっと注目すべきは、四人の男が少女を囲んでいるという事か―――】

【やや小柄で華奢な体は所々に傷を負っている。ややタレ目で茶色い瞳は、囲んでいる男三人を睨み付けて】
【丁度十六・十七歳程の背格好か、大人とも子供ともいえないやや細身で華奢な身体に若草色のワンピース。】
【頭には可愛らしい白色のキャスケット。足元の焦げ茶色の小さなローファーは、履き馴らされて適度にくすんでいる。】
【背には大きな鉄の箱。重さも相当の物の筈だが、この少女は軽々と背負っている……】

―――ッ!!

(クッ……何とか三人は倒したけれド、如何せん相手が多すぎるネ……!)
(この状況……どうやって打破するカ。ワタシの体力は限界に近いケド……)


【前述のとおり少女は傷だらけ。外見でも分かるだろうがかなり消耗していて、肩で息をしている状態。】
【もし先程述べた荒い吐息が聞こえていたとすれば、それはこの少女の物。―――状況は深刻だ。】
【対する四人の男はどう見ても無法者。目の焦点が合っていない辺り、かなり危険な人物であることを察せるか】
【体格は四人ともかなり良い。少なくとも傷だらけの少女一人では敵わない力は持っているだろう】
【しかも、そのうちのリーダー格は発火能力者のようだ。所々に物が焼けた跡も散見される……】
【此処に至るまでの状況は不明だが、少女がが四人の男に追い詰められているというのは一見して分かるだろう……】

『此処までよく俺達を追い詰めた……ヘッヘッヘ、だがなァ……』

「多勢に無勢なんだよォ……!コッチはまだ四人も残っているんだぜェ?」

『さーてェ……可愛い顔してるし、大人しくしてりゃ死なずには済むかもなァ?無事かどうかは兎も角、なァ!』

―――!!

【―――次の瞬間、男共は一斉に少女に襲い掛かろうとする。介入するなら一瞬、さあ判断はどうする―――】

289 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/14(木) 20:45:37.38 ID:1tRlJS2mo
>>288

おいおい、女の子を男が……しかも四人がかりで襲い掛かるなんて感心しないぞ!!

【そこに現われたのは緑色のロングヘアーの女であった】
【右手には日傘を持っている】

はぁー、あいつじゃないんだし、正義の味方なんて柄じゃないんだけどなぁー
さっき脱獄してきたところだしねー

【女は何か物騒なことを言っている】
【女の気配は人のものではない】
【大蛇が睨み続けている、そういった気配である】
【リーダー格の男がどの程度の技量かは分からないが】
【それなりの技量があれば、女から逃げた方がいい相手と理解できるだろう】

で、どうする?
逃げてくれてもいいわよ!!
290 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/14(木) 20:48:39.87 ID:hoN1X94Yo
【水の国/路地裏】



……誰か、 ──つた、 ── 。


【路地の壁に、襤褸切れの様になった男が身を預けている】

【リンチを受けた後の様に体中の至る所から出血を見せ、眼は虚ろ】
【──有り体に言って、『瀕死』だ。 譫言のように何かを呟いているが、途切れ途切れで聞き取れない】
291 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/14(木) 20:54:00.51 ID:9foXQKwIo
>>290
【そこに現れたのは一人の男だった】
【何と無しに路地裏に入ってみればよくある死体を見つけた】
【男は通り過ぎるつもりでいたが、死体だと思っていたものはまだそうではなかったようだ】
【途切れ途切れに聞こえる音は男の興味を引くのに十分だった】

おい
今際の際だ、聞いてやろうか?

【その男は瀕死の人間の側まで歩み寄り、しゃがみ込んで声をかけた】
292 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/14(木) 21:04:03.12 ID:hoN1X94Yo
>>291


…、… は、ッ !!

【──話しかけられると、瀕死の男は肩に掴みかかるようにして、彼に顔を近づける】
【眼は淀んでいるが、それだけに『必死さ』が感じられた】


…た、…頼む 、 これ≠──。
火の国に居る、『仲間』、に ……。 ──、お願い、だ──。


【──、彼が握りしめ、弱々しく差し出したのは『手帳』】
【表紙には『連絡先』の様な物が書き込まれており、恐らく、そこに電話すれば『仲間』とのコンタクトは取れるだろうが──】
293 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/14(木) 21:06:01.26 ID:1tRlJS2mo
/>>289無かったことにしてください
294 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/14(木) 21:10:31.09 ID:9foXQKwIo
>>292
【肩を掴まれ必死の形相で頼まれて、男はやっと事の重大さを実感した】
【面倒だ。最初に感じたのはそれだった。男は顔をしかめた】
【だが最後に勝ったのは好奇心だった】

ふむ
まぁこれも縁だ
少し首を突っ込んでやろう

【差し出された手帳を手早く受け取ると、男は急いで電話を取り出した】
【出来るならまだ息があるうちに連絡を取りたかったからだ】
【それは決して同情心からではなく、その方が自分が楽だろうという直感からだった】
295 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/14(木) 21:17:09.35 ID:hoN1X94Yo
>>294


…、…あり、 がとう……。
どう、か、 ──、……Eclipse=A を……。

【振り絞るようにして声を出しながら──、安心したように、男は脱力する】
【Eclipse=Aとは、何だろうか。 耳慣れない単語だ】


「── はいもしもし。 どうした、イワン=B」


【ツーコール目で出たのは、別世界風に言えば『関西弁』のイントネーションの男】
【イワン、というのは瀕死の男の名前だろうか】
296 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/14(木) 21:24:11.94 ID:9foXQKwIo
>>295
【耳慣れない単語。またしても男の心で煩わしさが大きくなってきた】
【しかし彼はもう引き返すには遅すぎた】

悪いが俺はイワンとやらじゃない
恐らくそのイワンは今、俺の隣で……
おい、起きろ

【既に死んでいるかとも思ったが、男は一応隣に声をかけてみた】
297 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/14(木) 21:25:03.53 ID:LfB4S8yC0
>>289

―――ッ!!……

【男共が四人がかりで少女を襲おうとした、その瞬間―――ふと現れる人の気配。男共は動きを止めて一斉にそちらを向く。】
【こんな路地裏の奥まった所に誰かが現れるなんて男たちは想定していなかったらしく、少し驚いたような素振りを見せるが】
【―――現れた人影が女性と分かるや否や、四人が四人共下卑た笑いをその顔に浮かべつつ其方に言葉を掛ける。】

【「相手は女性だ、男四人にどうこう出来る筈がない」という思考が行動から透いて見えるだろうか。完全に油断した様子で―――】


……ダレ!?

「あぁン?誰だテメェ、何処から来やがったァ?」

『ったく、これからイイコトしようとしてたのによォ……水を差したからには相応の覚悟は出来てるんだろうなァ?』

「ヘッヘッヘ……お前もこのガキと同じように遊んでやろうかァ?」」

逃げテ!この男共は危険だかラ!変に手を出したラ……貴女まで傷ついてしまウ!
私の事は構わなくていいかラ……!


【危険を察知する能力とは、大抵の場合戦いに於いて研ぎ澄まされる物。澱んだ路地裏に巣食う男共にそんな能力はある筈も無く】
【女性の危険な気配は察知する事すら出来ない。―――察せないが故に、危険な行動に出てしまう。】


「逃げる、だァ?舐めた事言ってんじゃねぇよクソアマァ!女一人で勝てるとでも思ってんのかァ?
 という訳で―――大人しくヤられろやァ!!」

【四人のうちリーダー格の男を含めた二人は少女を拘束したまま、残りの二人が女性の方へ襲い掛かる!】
【動きはごく単純。真っ直ぐそちらに向かって走って行き女性の胴に殴りかかる、それだけの攻撃】
【甘く見てはいけない点を挙げるとすれば、動きが素人ながら速い事と二人掛かりということか―――】
【因みに少女はリーダー格に拘束されたまま。】
298 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/14(木) 21:27:38.19 ID:LfB4S8yC0
>>293
//あら……残念です……。また機会があればお願いします!
299 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/14(木) 21:32:22.40 ID:hoN1X94Yo
>>296

【── 呼びかけに対して、イワンから返事はなかった】
【既に、言切れている。 安心して逝ったのか、安らかな顔をしているのがでめてもの救いか】


「…、… チッ。」

【電波の向こうから、苦虫を噛み潰した顔が浮かぶような舌打ちが聞こえる】


「──、で、お前は誰や。 『Eclipse』の手先か?」


【また、耳慣れない単語が聞こえる。 男にとっては煩わしさが倍増する事由に過ぎないのかもしれないが】
【電話の向こうの男は、まるでチンピラの様な言葉遣いで、そう問うた】
300 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/14(木) 21:36:51.70 ID:J9oQMNFz0
>>298
/まだ>>288で受け付けてますでしょうか……?
301 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/14(木) 21:37:55.93 ID:LfB4S8yC0
>>300
//はい、大丈夫ですよー!
302 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/14(木) 21:41:46.93 ID:9foXQKwIo
>>299
【事切れたイワンを見て男は徒労を感じため息をついた】
【そして次の瞬間には用済みとなったその死体は彼の頭から追い出され、何もなかったかのように立ち上がった】

そりゃ組織か何かか?
ご期待に応えられなくて悪いが、こっちはこれといって名乗るものがなくてな
お前のお仲間からよく分からん手帳を預かってる
お前が俺の機嫌を損ねなければ、届けてやるのもやぶさかじゃない

【そう言って男は渡された手帳を開く】
【それが何であるか分からないまま渡すというのは、男の好奇心からいっても論理的判断からいっても存在しない選択だった】
303 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/14(木) 21:43:23.41 ID:1tRlJS2mo
/>>298あっ復活したので大丈夫でーす
/返答書いときますねー
304 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/14(木) 21:44:31.85 ID:1tRlJS2mo
/止めときますねー
305 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/14(木) 21:51:32.33 ID:hoN1X94Yo
>>302

【──手帳の中には、びっしりと情報が埋まっている】
【その多くは、人名だ。 男女問わず書かれた名前の横に、○×が付けられている】
【カノッサ、という文字も見られた。 …、…理解できるのは、それぐらいか】


「……、そらどうも。
 届けてくれるんやったら、火の国、『ブレイザーシティ』の空港に明日の12時。
 航空券はこっちで手配しとくから、今夜フルーソの空港から156便で飛んでくれ。 謝礼は払う。」


【 ──男がそれに応じたとしても、応じなかったにしても、特筆すべき通話内容はその程度だろう】
【了承すれば、彼の言う通りの便に乗り、火の国に向かうことになる】
【拒否すれば、『関西弁の男』との縁はそれまでだ ──、尤も、その場合も何があるのか知れないのが、この世界だが】
306 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/14(木) 21:54:09.92 ID:J9oQMNFz0
>>301

/では、失礼しますー

>>288

――――なーんか、聞こえるんだよねぇ。こっちの方から、かな?
ま、とりあえず覗いてみるだけ覗いてみて……ッ!?

【明るいピンク色の長髪を肩甲骨の辺りまで伸ばし、前髪をやや膨らませる様にセットしている】
【紫色に着色されたカジュアルジャケットと、レギンスとハーフパンツを組み合わせて着用している】
【目元にレンズ、両耳に円形のボディ、後頭部に装着用の調節器が一体化した、機械的なバイザーをつけている、身長160cm前後の女性が】
【争いの騒音に引き寄せられたのか、普段とさして変わらぬゆっくりとした歩調で、一行のそばへと足を踏み入れる】
【どこかのんびりした独白を呟きながらの散策だったが、そこで繰り広げられている光景を目にした途端、口元にグッと力が入る】

(っ、なんか……典型的な『お約束』の場面って奴だよね……!
 見たところ十中八九、碌でなしは男どもの方だろうけど一応……!)

【見て取ったのは、4人の男に取り囲まれている少女。そしてパッと見た限りでも、男たちは真っ当なタイプの人間には見えない】
【こういう場合、取るべき行動は自然と限られてくる。もしこの女性に自衛の力が無いのであれば、黙って退散するのが吉だが】
【女性は、この場に介入する事を躊躇なく選択した。その場合、どちらに味方をするのか。それを決定しなければならないが、どう見ても『いわゆる悪』は男たちの方で】
【――――数瞬の内に、女性は自分の立ち回りの概算を立てて。そして間髪入れずにそれを実行した】

――――はーい、一端ストップ!! 双方動くなぁ!?
勝手に動いた奴は、痛い目を見てのたうち回ってもらうから、ね!?

【女性の行動は、怒号を飛ばして一行の気を引きつけると言うものだった】
【ともあれ、場をどうこうするには動静を見守る必要があるのだが、事態は既に急を要していた】
【その為、多少強引にでも割って入る為に、思いきり声を張り上げたのである】
【――――片手は、まっすぐに前を向けられている。それが女性にとっての何らかの『備え』であり『構え』なのだろう】
307 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/14(木) 21:58:13.44 ID:9foXQKwIo
>>305
【手帳の内容に男は落胆した。どんな情報があるかと思えばただの人名】
【それは明らかに男の期待を大幅に下回っていた】
【人名の書かれた手帳。電話相手の言葉。聞き慣れない何かの名前】
【恐らく死んだ男はスパイか何かで、何かしらの秘密組織でも探っていたのだろう−−】
【すべきことの合間に為す余興には十分か、と男は考え直した】

いいだろう
“残り”はそのときに聞くとしよう

【それだけ返事をして男は電話を切る】
【とにかく会わなくては話にならない】
【もう一度期待を抱いて、指示通りの行動を取ることとした】
308 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/14(木) 22:08:51.58 ID:hoN1X94Yo
>>307
【ブレイザーシティは、火の国南部に位置する都市だ】

【かつて異世界より現れた魔物の襲撃を受け、次いでカノッサに占拠され、一時は機関の要塞と化していた】
【だが能力者達によって解放され、現在では普通の街に戻っている】
【一度は苦難を経た住民達が精力的に働く、良い街と言っていいだろう】

【──翌日。ブレイザーシティ、空港】
【彼が飛行機から降り、空港のロビーに辿り着けば、『目を惹く』男が待っていた】


…、…ごっくろーさーん。 こっちやこっち。


【『絢爛』とは別のベクトルに派手≠ネストライプのスーツを身に付けた、紫髪の男である】
【髪は恐らく染めているのだろうか。癖の強さと相俟って、おおよそ『上品』なそれではない】
【──銀のフレームの眼鏡は、知性ではなく、かえって『インテリヤクザ』の様な印象を与えていた】


まぁ、長旅疲れたやろ。座りや。
水の国は夏でも比較的涼しいからなぁ。──、火の国は暑くてかなわんわ。
…、…あぁ、ジュースか何か飲むか? 自販機やったらその辺に──

【笑顔を浮かべてまくしたてる彼──、薦めたのは、彼が腰掛けた向かいのソファーだ】
【ソファーの脇には『鞄』が置かれている。 …、…謝礼≠セろうか】
309 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/14(木) 22:18:32.74 ID:9foXQKwIo
>>308
【飛行機から降りた男は寄り道はせずに指示された場所へと向かった】
【相手を見つけるのは簡単だった】
【男は長旅で凝った肩を回しながら呼ばれた方へと近づく】
【しかし薦められたソファには座らなかった】

ほう、意外だな
こんな手の込んだことをする組織だというのに
お前たちの正体や目的を話すのに、こうも開けた場所を選ぶなんてな

【男は皮肉めいた笑みを浮かべながら言う】
【暗にそれは謝礼は金だけではすまさない、という意味を含んでいた】
【男の目的は金ではなく、自分の好奇心を満たし得る“秘密”だった】
310 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/14(木) 22:21:22.15 ID:LfB4S8yC0
>>306

―――ッ!!……

【男共が四人がかりで少女を襲おうとした、その瞬間―――ふと現れる人の気配。男共は動きを止めて一斉にそちらを向く。】
【こんな路地裏の奥まった所に誰かが現れるなんて男たちは想定していなかったらしく、少し驚いたような素振りを見せるが】
【―――現れた人影が女性と分かるや否や、四人が四人共下卑た笑いをその顔に浮かべつつ其方に言葉を掛ける。】

【「相手は女性だ、男四人にどうこう出来る筈がない」という思考が行動から透いて見えるだろうか。完全に油断した様子で―――】

「何だァ?ヘンな機械くっつけて……お洒落のつもりか?」

『どちらにせよ、生身の女であることには変わりはねェ。ヘッヘッヘ……女一人増えた所でどうにか出来る訳がねえよ!』

―――……

【一方の少女は、突然の予期せぬ来訪者の出現にも落ち着いている。じっと其方から歩いて来た女性の様子をしっかりと観察して】
【男四人に拘束されているという危険な状態にも拘らず喚き立てる事も無く、冷静に落ち着いている……】

(男たちの仲間?……いや、その線は無イ。男共もあの人が来た時「初めて彼女を見たように」驚いていタ……)
(じゃあ、偶然巻き込まれた一般人?―――いや、それも無イ。あの人、躊躇わずに踏み込んで来タ……)
(普通の人なら逃げるかどうか躊躇う筈。あの人はこういう場に慣れていル?)

【―――そうやって、少女なりに冷静に状況を分析した、次の瞬間。路地裏の狭い空間に女性の一喝が響き渡り】
【男四人と少女一人、その場にいた人間の注意は一斉に女性の方へ向けられる。……向けられる、のだが】
【どうやら男共は女性の言葉に応じる様子は無いようで―――】

「アァン?動くな、だァ?―――ヒャハハハハ!!この状況で誰がテメェの言葉に従うってんだよ!!」

『ったく、これからイイコトしようとしてたのによォ……水を差したからには相応の覚悟は出来てるんだろうなァ?』

【――完全に女性を舐めている。】
【力だけを持った弱い$l間は得てしてそうだ。己の力を過信し、その力を振りかざし、相手の力量も計ろうともしない】
【「女一人が人質まで取った男四人に勝てる訳がない。」と、そう決めつけているのだ。態度からもきっとその考えが手に取るように分かる筈】

【そんな男共は、女性の言葉など全く聞く耳を持たずに襲い掛かる。―――これから痛い目を見るのがどちらかという事も知らずに。】

【四人のうちリーダー格の男を含めた二人は少女を拘束したまま、残りの二人が女性の方へ襲い掛かる。】
【動きはごく単純。真っ直ぐそちらに向かって走って行き女性の胴に殴りかかる、それだけの攻撃】
【甘く見てはいけない点を挙げるとすれば、動きが素人ながら速い事と二人掛かりということか―――】

【少女の方は、尚も二人の男に拘束されながらも女性の言葉に従い冷静にしている。】
【女性が介入したことで変化したこの状況、結末は果たして―――】
311 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/14(木) 22:23:43.43 ID:hoN1X94Yo
>>309

【──彼の皮肉は、非常に的を射ている】
【『秘密』を話すのなら、「こんなところ」を使う筈が無いのだ】
【それを、逆に考えるなら ──、】


──、じゃあ、さっさと『手帳』、渡してくれる?


【どさり。 笑みを浮かべたまま、男は脇の鞄を彼の足元へと放った】
【その中が『金』だとすれば──、結構な額にはなるだろう。それだけの『価値』を手帳に踏んでいる】

【──彼は、カネで解決≠キる積もりだ。秘密を話す気配は、感じられない】
312 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/14(木) 22:38:22.41 ID:9foXQKwIo
>>311
【足下に鞄が放られると、男は大声を出して笑った】
【相手が金で解決するつもりであるように、逆に男は金で解決させるつもりはなかった】
【何より『手帳』の重要性を既に示しておきながら金で解決できると思っていることについ笑ってしまったのだ】
【その行動が男の興味を別のものへと移させた】
【脅せばどうなるか。男は余裕のある笑みを浮かべた】

つまらん男だ。だがいいだろう、少し付き合ってやる

【そう言うと男は足下の鞄を相手側へと蹴り返した】
【まるで要らないと言わないばかりに】

これだけの手間をかけさせておいて、金で済ますだと?
おかしなことを言う
言ったはずだ。“残り”はそのときに聞く、と

【男はまずは簡単に始めることにした】
【当然これだけで話すとは考えていなかった。むしろどう切り返すかに興味があった】
313 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/14(木) 22:43:44.61 ID:J9oQMNFz0
>>310

(……やっぱり、こういう手合いはこんなもんかなぁ……
 ま、尚更分かりやすくって却ってありがたいレベルなんだけど、ね……!)

【はぁ――――と、軽いため息が漏れる。呆れや落胆と言った感情が、そのため息には乗せられているのだろう】
【目元が完全にバイザーで隠れてしまっている分、そのため息が女性の今の感情を雄弁に物語っていた】

お洒落じゃないって!
……これは、あたしの見てるもの、聞いてる事、全部記録取ってくれるあたしの相棒……『エクリプスアイ』だっての!
あんたらの間抜け面、アホな茶目っ気からのバカな行動、全部ここの中に入っちゃってるのよ!

【自分のバイザーを左手で軽く撫ぜながら、女性は呆れ混じりのぞんざいな口調でやり返す】
【恐らく、そのバイザーはバイザー型のカメラか何かなのだろう。そこらに売っている様な代物とも思えないが】
【ともあれ、何の意味も無いファッションと考えるのも正確ではないと言う事なのだろう】

(……向こうの娘、なんだか落ち着いているよね……まだ安心するに早い状況のはずなのに……
 ……諦めた? いや……そんな自棄な感じでも無い…………って事は、状況を図ってる…………なるほど、じゃあ打開の隙くらいは作ってあげるから、ね?)

【チラリと、バイザーのレンズの奥で、女性は取り囲まれている少女を見やる】
【その様子に、追い詰められたものの余裕の無さと言ったものが見てとれないのは、一瞬疑問に感じられたのだが】
【そもそも、これはあの少女がメインとなっているいざこざなのだと言う事を思い出し――――微かに口元だけでほくそ笑んで見せた】

――――あーあ……せっかく警告してあげたのに…………まぁ、しゃあないか。じゃあ…………ッ!!

【警告を無視し、あまつさえ逃げ出すでもなく跳びかかってくる男たちに、女性は何度目かも分からない溜息を吐く】
【次の瞬間、隠れているはずのその表情に、あるいは戦慄の様なものが走ったのを、見て取れたかもしれない】

っ、ぐ……

【殴りかかってくる2人の男の拳を――――捌くでも無く、女性はそのまま身体に受けてしまう】
【かろうじて殴り倒される事は無く、たたらを踏みながらも体勢を崩さずにいるが。その口から苦悶の声が漏れて】
【だが――――その後まもなく、この男たちはそれを後悔する事になるのだろう。常人ならざる精神力でも持ち合わせていない限り――――】

っ……苦しみ、のたうち回りな……一生の痛恨事だったって、ね…………!
……『リスクストレージ』、『壊死』……!

【――――女性は、殴りかかってきた男たちの腕を、自分の腕で掴んでいた。そして同時に、その腕が不気味に脈動すると】
【――――抱えられた男たちの腕が、激痛と共に黒く萎縮し、手首の一部が壊死を始める】
【威勢よく出て来て、情けなく殴られた様な格好だが――――こうして男の身体を捕え、壊してしまうのが狙いだったのだろう】

……さーて、そっちの2人……お前らも『こう』なりたくなかったら、今の時点でお利口さんにして……ね?
こんな馬鹿な事で、腕の切断とか、嫌でしょ?

【それを仕掛け終わると、女性はもう殴りかかってきた男2人には目もくれず、一気に前へとすりぬけると、一気に一団へと距離を詰めた】
【少女を取り囲んでいる残る2人に、再度の警告と――――恐らく、それを無視するなら更なる攻撃を仕掛ける為に】
314 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/14(木) 22:48:35.11 ID:hoN1X94Yo
>>312

【──男の笑い声に、周囲の人々は足を止め、振り返る】
【だが、その視線をも意に介さない様子で、彼は男と同様に、笑い声を上げ】


……、メンドくさい奴やなぁ。

【突然、その顔から笑みを消し──低い声で、呟く】

そっちがそれなりの態度取るんやったら、こっちも『それなり』で行かせて貰うで。
其れを言うなら、金≠ナ『済まさん』かったのはお前の方や──。こっからは、『イーブン』で交渉しようや。

【彼は軽く手を振り、それに呼応して離れて立っていた二人の大男が、空港の『出入口』を固めた】
【ある程度「この様な事態」は予期していたのだろう──】


…、…人にモノ聞くんやったら、先ずは名乗れ。ほんで座れ。


【「堅気に迷惑やろが」──そう言って、首でソファーを示す】
【『上っ面の交渉』の段階は超えた、ということだろうか】
315 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/14(木) 23:02:33.43 ID:9foXQKwIo
>>314
【相手の反応を聞くとすぐに今度は押し殺したような笑い声を漏らした】

“イーブン”とはふざけた男だ
まぁいいさ、お前の流儀に合わせてやる

【まだ笑いが混じるほどに愉快そうに言うと、彼はやっとソファに座った】
【男にとってこの状況は完全に“遊戯”だった】
【手帳が相手にとってどの程度の価値か完全に理解しているわけではなかった。それでも情報は得るのが難しく、消えるときは永遠に失われることを彼は理解していた】

リヒャルト・アーベントロート

【リヒャルトは笑みを浮かべたまま、何か偉大なものの名を教えるように答えた】
316 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/14(木) 23:12:47.51 ID:hoN1X94Yo
>>315


──百家 羅山=B ブレイザーシティ『レジスタンス』の副リーダーや。

【──もしかしたら、その名を何処かで聞いたこともあるかも知れない】
【数年前、水の国と機関との間で大規模な戦争が起こったことがある】
【その時、機関のナンバーズとして総指揮を執っていたのが百家羅山≠ニいう名の男だった】

【結局、その時百家は能力者に捕縛され、『司法取引』という形で実刑は免れたのだが──】
【そこまで知っているのは、『興味』を持って一連の事件を追っていた者だけだろう】

【そして、『レジスタンス』──これは、そのまま受け止めて意味のわかる単語】
【ブレイザーシティを拠点として、自治的な活動を行っている団体だ】


…、…で、何が知りたい。
言っとくけど、お前みたいな危なそうな奴には全部≠ヘ話さんぞ。
『一個だけ』や。 それで納得出来んなら ──、後は、分かるな?


【彼の条件は、『一つだけ』知りたいことを教える、とのもの】
【──、受け入れないなら交渉は決裂し、『荒事』に打って出ることになる】
317 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/14(木) 23:16:54.93 ID:LfB4S8yC0
>>313

【忠告も聞かず、相手の力量を計ろうともせず、真っ直ぐに飛び出して力任せに殴りかかる男二人。果たして――】
【―――その拳は命中する。鈍い殴打の音が路地裏に響き、男共はダメージを確信してかニヤリと笑う。が】
【次の瞬間、その下卑た笑みは苦悶に変わる。見れば―――手首がみるみるうちにミイラのようにどす黒く変色し】
【屈強な男共といえども気絶させるには十分な激痛が彼らを襲い、二人をのたうち回らせる―――】

『ガアアアアアアアアアア!!手がァ!!!手がァアアアアアアアア!!!!』

【―――それから彼らが気絶するのには数秒も要しなかった。次の瞬間には二人は泡を吹いて倒れ伏し】
【そこから起き上がり抵抗する様子も見られない。当然だ、気を失ってるのだから―――】



【さて、弱い$l間にはもう一つ言える事がある。】
【得体の知れない力が己に牙を剥いた時、己の力を振りかざすしか能がない人間は自分だけを守ろうとするのだ。】
【この場合も例に漏れず、恐れをなした男は自分を守る行動に出た。―――最も卑劣な行動で。】

「う、う、う、動くなァ!!動けばこの女の命は無いぞ!!
 いいか、俺に少しでも傷をつけるようなことがあれば……つ、次の瞬間コイツは火だるまだ!!
 俺は発火能力者だ、その気になればいつでも燃やせることが出来る!!

【叫ぶ声は恐怖で震えている。完全に怯えきった様子の男は、追い詰められた果てに人質を盾にすることを選んだ―――】
【自分が発火能力者であることを証明するかのように掌に野球ボール大の火の玉を作ってみせて】
【傍にあった板切れを燃やしてみせる。――自分の力を誇示するように。】
【この間、男共は隙だらけ。当然だ、怯えきった彼らが注意力を維持できるはずもあるまい。】

【此処で注目すべきは少女の動き。―――男が自分の力を誇示したその瞬間、隙を衝いて男共の死角にスッと下がったのだ】
【あとは男共の気を引きさえすれば、少女は何かしら活路を切り開くだろう。アシストするなら今―――】
318 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/14(木) 23:21:23.38 ID:9foXQKwIo
>>316

百家羅山か、どっかで聞いたことがあるな?

【その名前はリヒャルトの記憶の片隅に存在している感覚がした】
【側頭部をとんとんと指で叩いて思い出そうとしたが、すぐに興味が失せてやめた】

【羅山の要求に、しかしリヒャルトは笑みを崩さなかった】

お前の組織の目的と、お前が俺を何の組織の一員と間違えたか
何故それを追っているのか、その追っている組織の目的は何なのか
これらに答えたら、金を受け取って観光にでも行ってやる

【リヒャルトは羅山の言ったことを完全に無視した】
【その上で一度は突き返した金さえも取ろうとする程度に彼は傲慢で欲張りだった】
319 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/14(木) 23:36:13.24 ID:J9oQMNFz0
>>317

うっ……ふぅ、だから言ったのに、さ……。ま、運よく早期治療できる事を祈るのね……腕どころか、命が危ないよ?
……まぁ、あたしは通報してなんて、あげないけど

【チラリと、背後に視線を向けると、女性はそれだけポツリと呟く】
【だが、本格的に後ろの面々は興味の対象外となり果てた様で。今は前方の問題に集中するのみと、女性は再び視線を前方へと向ける】

…………はぁ。なんでこう言う手合いって、こうまで頭悪いんだろ?
やっぱり、外面も内面も良い男なんて、そうそう会えるもんじゃないよね……残念

【対峙して、人質を取るという手段に出た暴漢の生き残り2人。女性は、尚も呆れた様子を隠そうとしなかった】
【これじゃ、何のための警告なんだか――――やるせないため息は、そんな色を孕んで軽く流れていく】

……能力者名乗るんなら、さ……もう少し使い方とか、応用の仕方とか、考えてみなさいっての
さっきのあたしの能力を見なかったの? 人質とか、あんまり意味を成さない能力なんだけど?
この異能は使い方次第で、普通に出来ない事が出来る……あたしに対して人質が通用するなんて考えてたら……――――お前、死ぬよ?

【焼け崩れていく板切れに一瞥をくれながらも、女性はひるむ様子を一切見せる事無く、同じ様にリーダー格の男を睨みつける】
【バイザーの下のその瞳は、外から覗かれる事は無いものの、恐らくは冷ややかな侮蔑がその視線には乗せられているのだろう】
【女性としても何か思う所はあったのか。リーダー格の男に対して警告を超えて、その力についての叱責を向ける】
【常人に出来ない事が出来る人間――――なら、同種の人間に対して『普通の人間に対する対処法』を取る事など、愚かな事なのだと】
【もし、少女が何らかのアクションを起こすなら、この女性の言葉にリーダー格の男が気を取られた瞬間がベストかもしれない】

――――眼が覚めた時、どうなっても知らないからね?
…………『レッドアウト』……!

【その瞬間に少女が逃げたかどうか、その成否はひとまず置いて、女性は自らの攻撃を仕掛ける】
【両手をザッと一団へとかざすと――――奇妙な頭痛が一団へと襲いかかるだろう】
【――――『レッドアウト』とは、頭部に血液が集まり過ぎて、血流が阻害され、意識障害を引き起こす事である】
【いわゆる「頭に血が上る」の、酷い症状が現われたと考えれば良い。これによって、ブラックアウトとは違う原理で、同じ様に意識を「落として」しまうのだ】
【女性は、人質もろとも全員の意識を『落とそう』と仕掛けたのだ。全員が気絶すれば、後は要救助者だけを助け出せばよい、と】
【無論、気絶するまでの時間には個人差があり、2人の男が気絶すれば、それで良いのだが。そして、少女の精神力は決して弱くは無いと踏んでいるのだが】
【ともあれ、これによって女性は、人質の意味を成さしめること無く、少女を助け出そうと画策したのだろう】
320 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/14(木) 23:36:13.97 ID:hoN1X94Yo
>>318


ダァホ。 ──、ナメんな。簀巻きにして紅蓮山の火口に突き落とすぞ。
…、…と言いたいところやが。

【「イワンの死をムダにする訳にも行かん。」と、吐き捨てる百家】
【──、数秒、思考した後、分かった、と応じて】


目的も何も、『レジスタンス』って言っとるやろ。
ブレイザーシティの自治協力。治安維持。…、…が主な任務の、『一本』。

──、もう一つ、ウチは対機関≠ノ特化した活動もやっとる。
この街は何年か前、機関に支配されとってな。その時の対機関抵抗市民勢力≠ェ、ウチの前身や。
機関を追い出した後、その一部が『活動家』になって、今に至る。


【──此処まで言ったら分かるやろ、と言葉を切る】
【つまり、『機関』に関連する者を追っている、という事だ。 …、…未だ少し、不明瞭ではある】
【だが、彼の口から『更なる何か』を引き出すには、何か譲歩≠ェ必要だろう】
321 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/14(木) 23:47:44.79 ID:9foXQKwIo
>>320
【話を聞くにつれて徐々に、リヒャルトから笑みが消えていった】
【代わりに現れたのは失望、落胆、そして僅かな怒りの表情だった】
【羅山が話を終えるとリヒャルトはやれやれといった様子で首を振った】
【そして何を思ったか手帳を取り出し、その中からページを一枚ちぎった】

どうにも状況が理解できていないようだな
その程度の話がお前が隠したがっていたものだと、俺が思うとでも?

【人差し指と親指で取り出したページをつまむと、見せびらかすように軽く振った】

もう少し誠意を見せてほしいものだが、タダでは難しいだろう
少し、手助けしてやる

【リヒャルトがそう言うと、何の前触れもなく彼が持っていたページは燃え尽き、灰となった】
【彼が選んだページは白紙のものだった。それに羅山が気付かなければそれでよし】
【気付いたとしても、こちらの態度を示すのには役立つだろう。リヒャルトはそう考えていた】
322 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/15(金) 00:05:56.47 ID:zBWZGHMlo
【水の国、都市の中心部から離れた広場】
【中央に石造りの噴水が鎮座してるこの場所は多くの商人達の出す出店で賑わっている】
【食品や雑貨、薬品に引いては武器など様々な店が揃い踏みここである程度の物ならば揃うのではないかという程】

【そんな広場の一角、丁度隅っこに位置するひとつの商店】
【元は馬車でそれを移動用の商店として扱っているのだろう、傍らには黒馬が2頭佇んでいる】
【店に名前は無い、ボロボロの馬車でその存在を唯一示す物があるとすれば真新しいオークの木板に刻まれた「52」という数字】

―――――――はー……さてさて、やっぱり都市から離れて正解だねえ
向こう二週間くらいの金は稼げた、幸い幸い……だけどねえ……

【一人用の座椅子に座る老婆はこの店の店主なのだろう、ローブを纏っている分怪しいがどことなく安心感もある】
【嗄れた声で今日の成果を呟いて、見れば商品棚に並んだ殆どの品は売り捌けたようだった】
【だがそれでも言葉尻に憂いがあるのには理由がある】

やっぱりコイツは売れないのかね……頭の悪そうな奴に勧めてるのに財布を開けようとしないよ
曰くつき……ああ、どうしようもないね……いっそもっと頭の悪い金持ちにでも押し付けるしかないのかねえ。
アタシもいつまでもこんなのは置いときたくはないし……、はああ……とんだ不良債権だよこんな鎧

【店先にこれ見よがしに飾られた年代物であろう黒い鎧が悩みの種らしく】
【本来戦場にあるべきそれの胸元には「30%オフ!」なんて書かれた紙が張られていた】
【鎧という物だけ見たならば昔の名のある匠が作り上げたのだろうことは分かるだろう、ただ其処から先は魔術の類に関わりの在るものしか分からない】
【鎧をぼんやりと包む由来も知れない微かな魔翌力、それが曰くの原因であった】

……いっそ潰して金物屋にでも売っちまうしかないかねえ

【大きな溜息を零して老婆は天を仰ぐ】
【如何に物の売買に慣れている老婆とて手に余る物は手に余るものでしかなかった】
【それでも店仕舞いには後数時間とある、ありもしない希望に縋るのも人の性というものだろう】
323 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/15(金) 00:08:04.65 ID:JF2yIeu7o
>>321

【リヒャルトが頁を燃やすと、百家の眉に大きな皺が浮き出る】
【表情には明らかに『怒り』の色が浮かび──、そして、息を大きく吐いて】


 ──、 Eclipse=@。


【リヒャルトが昨日、「イワン」と「百家」、双方の口から聞いた、謎の単語】


…、…正体不明、神出鬼没。機関の『フィクサー』や。
20年程前から複数のテロ事件の背後にその名前が浮かんどる。
主な活動場所が水の国=B

──。 ……、手口の共通点は、さっきも言った通り、機関員に指示を出すだけ=B
下準備は自分でやっときながら、実行と手柄は機関員に委ねる。
イワンは正体≠暴くために、スパイ活動をしとったが──


【 「始末された」 】

【正真正銘、これで『全て』だ。 これでもリヒャルトが納得しないなら、実力行使に出ることになる】
【──、百家の視線に呼応して、入り口の大男が軽く腰を落としていた】
324 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/15(金) 00:18:12.02 ID:b8vKBiNeo
>>323
【羅山がやっと口を割り話した内容は完全ではないものの多少リヒャルトの機嫌を良くした】
【彼の顔は依然として冷たいままであったが】
【羅山の視線を追ってリヒャルトも入り口の大男に視線を向けた】

つまり、手帳に書かれていたのはそのなんとかという組織の構成員か?

【リヒャルトは態度を変えて気怠げに質問を続けた】
【視線こそ入り口に向けられているが、彼の頭を支配していた考えは本当に羅山が全てを話したか、だった】
【今となっては彼の目的は情報の内容ではなく、情報を引き出せるかどうかだった】
【しかし結局、彼はこれで全てと結論を出した】
325 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/15(金) 00:23:13.86 ID:DO0tk/vt0
>>319

う、う、う、うるさい!兎に角俺に手出ししたら直ぐにこの女を―――
―――……あ……れ―――?

【人質とは、危害を加えると脅す事によって敵の動きを封じるもの。―――だから】
【人質を取って尚ひるむ様子すら見せない女性の様子を見れば、男共はさらに狼狽する。……こうなれば人間は弱いものだ】
【女性からの叱責など、きっと碌に耳に入っていないだろう。この状況で説教を聞き入れる筈も無く】
【効果が有るか無いかなど考える余裕も無く、相も変わらず人質による己の保身を続ける。】

【焦ってロクに回らない頭で考えた作戦が全く意味を成していないと言われれば、さらに焦りは加速して】
【睨み付けられれば「ヒッ!」という情けない声を漏らして、慌てて人質を盾にしようとするが―――】
【―――その人質が消えた。否、消えたのではなく男共の死角に入って消えたと錯覚したのだ。】

(ヨシ、離脱できタ!二人なら何とか対処できル――!)


【人質がその手から離れた事で慌てふためく男共を尻目に、少女は即座に男共から距離を置く―――】
【しかし、それと同時に頭痛が襲う。気を抜けば気絶するほどの痛み……それを何とか気力で制して】
【自分と同時に苦しみだして倒れて気絶した男共を見れば、この頭痛はあの女性によるものだと理解する。】

―――止めて下さイ!もう十分でス、この人達に意識はありませン!

……えっと、窮地をお救い頂き有難うございましタ。ワタシ一人ではどうなっていた事カ……
あ、ワタシは黄春燕と申しまス!薬師兼SCARLET隊員でしテ……貴女ハ?

【……頭痛が止まれば、春燕と名乗った少女はぺこりとお辞儀をし自己紹介。感謝の念を込めた屈託のない笑みを見れば、悪人ではない事も察せようか】

【「この男共はワタシが応急処置をした後拘束しますかラ!」と告げれば、先程まで酷い目に遭わされていたにもかかわらず男共に応急処置を施そうとする……】
【治療が手馴れている点や服の肩口に貼ってある緋色の鷹のワッペンを見る限り、どうやらSCARLET隊員兼薬師というのも嘘ではないらしい―――】
326 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/15(金) 00:23:50.91 ID:JF2yIeu7o
>>324


アホかお前。 ──俺は『手帳』を見とらん。
……もう話すことは話した、さっさと渡せ。

【──リヒャルトの目的は既に、交渉を愉しむこと≠ノ推移している】
【その事に気付いているのだろう。 百家の表情も、気だるげな物となった】

【そう、交渉を終了させると──百家は、鞄をリヒャルトの方へ蹴りだした】
327 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/15(金) 00:37:20.15 ID:b8vKBiNeo
>>326
【交渉の終了を感じたのはリヒャルトも同じだった】
【愉しみがなくなったリヒャルトは笑いを漏らした−−自嘲した笑いを】
【そして彼の表情に現れたのは失望だった】

……くだらん。全く割りに合わないことだったな
まさかたかだか1ゲリラの小さな抵抗だったとは

【誰に向けたわけでもなくリヒャルトは落ち込んだ声で呟いた】
【ソファから立ち上がり、手帳を羅山に向けて投げようとして……止まった】

……思い出した
お前は確か昔、カノッサ機関側として大きな戦いの指揮を執っていた男だ
何故、そんな下らないことを始めた?

【リヒャルトは少し気怠そうに、しかし今までで最も重要そうに羅山に尋ねた】
【この質問は他と違い、彼の信条に関わることだった】
328 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/15(金) 00:47:03.52 ID:sUl+o1iU0
>>325

……「人質って言うのは、計画性があって取った物ならともかく、急場しのぎの為に取っただけなら、ただの足手まといでしかない」ってね……
誰かが言ってた事だけど、出来たら覚えときなさいよ?

【強張った、怒りに似た感情が乗せられた声色で、女性は最後にそう呟く】
【人質と言う概念について、あれこれと思いを巡らせた事でもあるのだろうか。結局最初から最後まで、それで心をかき乱される事は無かった】
【消えゆく意識の中で、男たちにはその言葉がちゃんと伝わったのだろうか】

……そう。ちゃんと覚えておくべき……大事な、言葉なんだから

【――――その言葉に、ポツリと不思議な一文が付け足される。それは、どこか力の抜けた、安らいだ様な色合いを含んでいて】
【口元が、笑みの形に歪んでいた――――まるで、その言葉を、その言葉の主を、愛おしく思う様に】

……どうにか、逃げ切ってくれたわね……これで一件落着……って、ね?

【少女は上手く男たちの範囲から脱出し、男たちが気絶してなお、意識を保ち続けた】
【――――実質的に、これで状況は収拾に向かうと、女性は両手を下げて、戦闘態勢を解除した】

っ、『SCARLET』? ……へぇ……これは意外な人と会ったかしら、ね……
(もしアレなら、焼き入れするつもりだったけど……まぁ、官憲サイドの人なら、追い討ちはやめといた方が正解って、ね……)

【少女――――春燕の名乗りに、意外そうなリアクションを見せる女性】
【こうしたアクシデントで『SCARLET』と接点を持ったと言う事も、一触即発の事態になっていたと言う事も】
【――――少々社会通念的によろしくない行いをするところだったと言う焦りもあってか】
【ともかく色々な面で、春燕の名乗りには驚かされたのだろう】

あー……あたし、いや……私は、アコーディオン=キュリオス=グリーン……
趣味半分で、不定期の機関紙もどきを発行してる、個人記者……みたいなもんよ
ほら、さっき言ったでしょ? この『エクリプスアイ』……こいつで集めた情報で、記事を書いてるって訳
……ま、個人発行で数も少ないから、読んでくれる人なんてそんなにいないし、とても『職業』って言えるレベルじゃないんだけど、ね?

【多少改まった『私』と言う一人称に改めながら、それでもある程度砕けた口調で自己紹介する女性――――アコーディオン】
【目元を隠すそのバイザーは、暴漢達に説明した通りの機能を持っているらしく、それで情報を集める事をしているらしい】
【厄介事に自分から首を突っ込んできたのも、そうした活動の故という側面も、小さくは無いのだろう】

……拘束と応急処置の順番が逆な気がするけど、まぁそれはそれとして……ところで、こいつら何をやらかしたの?
わざわざ1人の『SCARLET』隊員を7人で取り囲むなんて……それとも、まさか本当にレイプだけが目的で、たまたま春燕が『SCARLET』だっただけ、とか?

【暴漢達に、相変わらず冷たい言葉を向けながら、アコーディオンは春燕に問う】
【『SCARLET』隊員として何かあったのか、それともたまたまの遭遇だったのか――――事態に関わった者として、やはり気になるのだろう】
329 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/15(金) 00:52:49.80 ID:JF2yIeu7o
>>327

かッ。……ンなもん、お前みたいな『信用ならん』奴に教える筈無いやろが。
眠いんやったら、さっさと飛行機乗っておネンネせぇ。

【一連の交渉で下手に出た恨みを晴らすかのように、罵倒を浴びせる百家】
【──、立ち上がり、大きく一歩を踏み出すと、リヒャルトに迫って】


…、…お前、友達°盾驍ゥ?


【笑んで告げた言葉は、何かわざわざ=Aその言葉を選択したような物だった】
【何故、という問いに対しての答えは、その『友達』という単語に内包されているのかも知れない】

【そのまま、彼は手帳を引っ手繰ろうとして──成功したなら、しっしっ、と、彼を追い払う真似をするだろう】
330 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/15(金) 01:11:00.69 ID:b8vKBiNeo
>>329
【羅山の答えにリヒャルトは一瞬、きょとんとした間の抜けた顔をした】
【そして次の瞬間には大声で笑い始めた。初めにここに来たよりもずっと大きく】
【ひとしきり笑うと彼は手帳を渡した】

幾分か、“マシ”な理由だな

【その一言には皮肉や侮辱の気配はなかった】
【ただ静かにそう呟いた後、リヒャルトは来た道を戻り始めた】

次に会うのは恐らく戦場だ
そのときには、今日のお前”達“がどれだけ幸運だったかよく分かるぞ
それまで、せいぜいカノッサ相手に無駄な努力を続けるがいい

【去り際にリヒャルトは振り向くことなく羅山に向けて叫んだ】
【本来彼にとって大多数の味方になるような組織の人間は敵以外の何者でもない】
【戦わずして済ませたのはただ単に彼が“それ以外”に意識を向けていたからに過ぎない】
【既に十分過ぎるほど自身の危険性は示していたが、最後に彼は明確に言葉として羅山達の“敵”であることを伝えた】

【そしてそのまま、リヒャルトは姿を消した】

/おつかれさまでしたー!
331 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/15(金) 01:35:47.38 ID:JF2yIeu7o
>>330

【──リヒャルトが去ると、百家はソファーに腰を下ろす】
【煙草を取り出し、口に咥え。ライターを探すが──見つからない】

「ハッハッハ──、ざまァ無ぇなァ、百家。何回『手帳渡せ』って言うんだよ。
 手帳焼かれた時、吹き出すかと思ったぜ。」

…、…うっさいダボ。禿げろ。

【と、彼に話しかけるライダースジャケットの青年──、顔には大きな『蒼炎』のタトゥー】
【パチン、と彼が指を鳴らすと、百家の煙草に火が灯り、彼は軽く手を挙げて礼を示した】


──、オーガ=B お前とリュビア≠ナ、水の国行って来い。
この『リスト』で丸付いとる奴を、片っ端から取っ捕まえて拷問しろ。

「…、…アイツ≠ヘ?」

必要があれば現地合流せぇ。 ……出来る限り使いたないが、戦力にはなる。
俺か『糞リーダー』が出て抑えたいとこやが、此処を離れるのはリスクが高過ぎる。


【そう言うと、百家は立ち上がり、リヒャルトが姿を消した方向を見遣る】
【──、「面倒なことが増えそうや」、と、呟いて。 その影を払うように、煙を吹いた】

/お疲れ様でした!
332 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/15(金) 01:39:06.55 ID:DO0tk/vt0
>>328

ハハハ……意外って、よく言われまス。「SCALRETみたいな精鋭部隊の人には見えなイ」っテ……

【「意外」という反応も頷けるだろう。この少女、パッと見は背に鉄の箱を背負っている以外は至って普通の少女で】
【強靱な肉体を持っている訳でもなければ、強そうな雰囲気を纏っている訳でもない……本当に、「意外」なのだ。】
【春燕自身もそれを理解しているらしく、明るく苦笑いして見せる。その笑顔を見れば、ますます普通の少女のよう……】

【だが、精神力は尋常ではないのは先程頭痛に耐えた事からも窺えるか。あれ程の頭痛が襲ったのに、もう笑顔を見せているくらいなのだから】
【加えて言えば、男7人に囲まれても半数は倒してしまう位には実力もあるらしい。人は見かけによらずとはこの事か―――】

【治療の手を休めることなく自己紹介を聞き入れる春燕。紡がれる言葉の一つ一つにうんうんと頷いて】
【やがて全て聞き終えれば、ふわりと柔らかく微笑む。助けてくれた人の事を知れて嬉しいと言うように……】

そっかそっか、記者さんでしたカ!
エヘヘ……バッチリ記録されてるかもしれませんガ、「SCARLETの隊員、路地裏でドジを踏む!」みたいな記事は作らないで下さいネ?


ワタシは戦うのではなく治療するのが本当のお仕事なんでス。
――世間には人々の為に戦う人たちがいますよネ。私の所属するSCARLETの人たちもそうでス。
誰かを守るために戦い傷つく人がいるのなラ……その傷を癒す人だって必要だと思うんでス。
ワタシはその傷を治すプロなんでス!……一応戦うことも出来ますけどネ。

【自己紹介をしてくれたお返しに、自分の事も詳しく話す。―――SCARLET兼薬師という妙な立ち位置の、その理由を。】
【彼女は「戦うプロ」ではなく「治すプロ」。治療する力を買われてSCARLETに入団したのだ】
【恐らく彼女が纏っているSCARLETらしからぬ柔和な雰囲気もそれが原因だろう。……こういう人間は記事のネタにはなるだろうか。】


当たらずとも遠からず、と言った所でス。

最近この周辺で立て続けに女性が暴行される事件がありましタ。
どうもそれが似た手口ということで調査を進めた結果、同一犯という結論に至りましタ。
そこで、ワタシが囮となって誘き出された所を拘束する作戦だったのですガ……一人なら対処できたのですが、まさか7人も仲間がいたとハ……
助けて頂き本当にありがとうございましタ!貴女がいなければ私は今頃……

【暴漢に襲われた理由を聞かれれば、春燕は苦笑いをして応じる。……失敗談を話すのはあまり心地が良い物では無いけれど】
【どうやらレイプが目的というのはあながち間違ってはいないらしい。囮捜査の失敗であのような窮地に陥った、と……】
【春燕はもう一度深く頭を下げる。……こうも腰が低いSCARLET隊員も珍しいか。】
333 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/15(金) 02:26:35.51 ID:sUl+o1iU0
>>332

あー……まぁ、確かに……パッと見でそうは見えないかも、ね……
実戦部隊の人間って言う割には、大分華やかなな感じがするし、さ?

【春燕の言葉に、思わず思う所があって頷いてしまうアコーディオン】
【強さを持った人間と言うのは、それを外へと見せるか内へと秘めるか、2つの選択肢がある】
【ただ、警察や官憲などの、治安を維持する為の社会的な存在である彼らは、それを顕示する方向に向かう事が多い】
【それを考えると――――春燕の見た目は、本当に普通の少女と言って差し支えない】
【確かに、戦闘を行い、戦闘行為に日常的に触れている人間と言われても、すぐには納得できない位に】
【こうした接触の仕方で無ければ、到底分からなかっただろう】

ま、さっきも言った通り、職業として通用する様な収入がある訳じゃないんだけど、ね……賞金稼ぎもどきの副業とかもやる事があるし
……収入的に言えば、むしろそっちが本業って言えるレベルだし?
……あ、そこは大丈夫大丈夫。実際に取り逃がした訳じゃない……って、ね!

【個人発行な上に、それほど名の売れている新聞と言う訳でも無いのだろう。それを糧に生活している訳ではないと補足して】
【それでも、あくまで収入的に多い活動を『副業』と言う辺り、記者と言う立場に、ある程度の思い入れがあるのかもしれない】
【恐らくは洒落のめしつつも本当にそうされたくないのだろう春燕の言葉に、肩をすくめながら首を縦に振ると】

あー……なるほど。つまりはそっちがメインで、戦闘はあくまでサブスタンスって訳か……
…………だったら、これってむしろ結構やる方なんじゃないかな?

【最初に感じた疑問――――SCARLET隊員としては、戦闘慣れしている様子が無いと言う事への回答として、その事実に頷くアコーディオン】
【無論、腕に覚えが無い訳ではなく、自力で暴漢3人を打倒して見せているが、腕っ節の強さを感じさせない理由は、単に本来戦闘要因ではないと言う事だったのだでは】
【――――それでいてこれだけ戦えると言うのは、SCARLETの人材の層の厚さを、逆に感じさせるのではと、妙な感心すら覚えて】

……へぇ、そんな事が……うかつだったな、そんな事を知らなかったなんて……
でも、それなら本当に危ない所だったってわけね。勢い任せで飛び込んだのも、むしろ結果オーライだったって奴?

【一応記者のはしくれとして、この事件に前兆があった事を知らなかった事を、アコーディオンは悔やむ】
【自力で情報を集めている以上、そうした見落としは良い気分をするものでも無いのだろう】
【しかし一方で、春燕の危機が、本当にレイプ被害に通じていた可能性がある事に、アコーディオンは意外そうに頷いて見せる】
【SCARLETと言うならお節介だったかも――――と言った事を考えていたのだが、それでもその危険を回避できたのは、女性として悪い気分ではない】

――――どうせなら、あたしがこいつらに襲われるべきだったのかも、ね……
そうすれば、こいつらの身体――――色んな意味で、ボロボロにしてやれたのに……なんせあたし、毒女だから、さ
そうすれば、こいつらももっと後悔したでしょ……ま、どっちにしろ、これから一杯後悔する事になるんだろうけどさ?

【――――だが。損中でアコーディオンは、不吉な言葉を口にする】
【最初に暴漢2人の腕を壊死させたあの技――――あるいは、それを用いながらわざと『襲われる』事で、この男たちを痛めつける事も出来たのに、と】
【まるで、自分の貞操の危険すら度外視して、この連中に痛みを与えたいと言った様なニュアンスで――――】

……まぁ、心身ともに無事で良かったじゃない
アレって……身体も心も、相当に痛めつけられて、参っちゃうものだから、ね?
無事だったなら、それに越した事はないわよ……

【ともあれ、アコーディオンはそう言って、春燕の無事を良かったと励ます】
【――――実際のところ、女性にとってのレイプなど、最悪の蹂躙の1つだ。それを回避できたのは、確かに良かった事だと言って】

/フリーズで遅れました。申し訳ないです……
334 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/15(金) 02:31:14.34 ID:DO0tk/vt0
>>333
//すみません!眠気が襲って来まして、そろそろ一旦打ち切りという事にさせて頂いて宜しいでしょうか……?
//明日なら20時以降ずっと大丈夫ですので!
335 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/15(金) 02:32:32.58 ID:sUl+o1iU0
>>334
/はい。こちらも明日なら大丈夫です。遅くなってしまい申し訳ありません
/では、明日もよろしくお願いします
336 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/15(金) 19:14:51.58 ID:DO0tk/vt0
>>333

エヘヘ……良かっタ。ワタシがSCARLETの名前に泥を塗るようなことにならなくて……
そう言って貰えるのならワタシも嬉しいでス。本当はもっと強くなりたいんですけどネ。
拘束しようとして逆に窮地に追い込まれるようじゃ、まだまだですよネ……。本当に危ない所でしタ、ありがとうございましタ!

【大丈夫、なんて言われれば春燕は安心したような笑顔を浮かべる。その表情は何だか告げ口されずに済んだ子供みたいで】
【それだけを見れば、本当に血生臭い鉄火場にはまるで縁のない人のよう。どこにでも居そうな一人の女の子……】
【―――しかし、いざ治療になると大したもの。男共が戦闘によって負った傷に、実に手早く応急処置を施して】
【あっという間に自身の傷も含めた全ての応急処置と手錠による拘束を終えれば、「これで良シ!」と呟いてもう一度微笑んでみせる。】

【―――が、アコーディオンの口からふと零れた言葉を聞けば、不意に春燕の表情は険しい物に変わる。】
【何か怒っているような、そんな雰囲気。表情こそ静かで言葉を荒げる事も無いが、目は笑っていない―――】

冗談でもそんなことを言ってはいけませン。
彼らを許せない、後悔させたいという気持ちはよく分かりまス……でも、それで貴女が酷い目に遭うんじゃ本末転倒でス!!
どうか、自分を傷つけてまで罰を与えるようなことはしないで下さいナ。―――傷をつけるのは簡単でも、傷を治すのは難しんですヨ。

【傷や病気を治す人だからこそ知っている事がある。―――傷をつけるのは簡単だが、それを治すのは難しいという事だ。】
【ましてや強姦など心に付く傷も尋常なものではない。それなのに、自分から襲われて傷つこうとする……それが春燕には許せなかったのだ。】
【他人の無事を喜んでくれる優しいアコーディオンだからこそ、彼女自身も傷ついて欲しくない――そんな春燕の願いは届いただろうか】
【最後にもう一度、自分から襲われるべきだったなどと言わないようにお願いすれば、それでこの話はおしまい。いつもの笑顔だってすぐに戻るだろう――】

//続きます!
337 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/15(金) 19:15:12.68 ID:DO0tk/vt0
【暫くすれば春燕の連絡により警察が駆けつけ、諸々の手続きを済ませて男共の身柄引き渡しを終える。……後の事は警察に任せれば良いだろう。】

これで、あとは警察の方々が処理してくれる筈でス!――――さて。
アコーディオンさん、今日は助けて頂き本当にありがとうございましタ!その、えーっと……良かったらお礼させて下さイ!
この近くに行きつけの喫茶店があるんでス。お代は全部私が奢りますので、一緒に行きませんカ?

【一件落着、漸く事件から解放された二人。―――春燕はくるりと向き直って、助けてくれたお礼に奢りたいとアコーディオンを喫茶店に誘う】
【危険な所を助けてくれたのに何もしないなんて、春燕の心が許さない。少しでも何かお礼が出来ればと行きつけのお店に行くことに決めたのだが】
【勿論これから用事があると言うのなら無理に引き止めはしないし、行くか行かないかは自由だ。彼女は一緒に来てくれるだろうか……?】
【付いて来ないのならここでお別れ。軽く頭を下げれば春燕は帰っていくだろう】

【ここからは付いて来てくれた場合のお話。喫茶店でコーヒーを飲みながら、ふと春燕がアコーディオンに話し掛けるのは仕事のお話……】
【仕事は違えど同じ「プロ」として気になっていたのだ。彼女が自身の仕事にどんな気持ちを持って打ち込んでいるのか】
【危険な目に遭っても、収入が少なくても、その仕事を続けられる熱意。春燕はその心に惹かれる物があった―――】
【―――でも、薬師という仕事に対する思いならアコーディオンにも負けてはいない。】
【自分の仕事の事を話す春燕の目は実に輝いている。心から熱意を持たねば、このような目は出来ないだろう――】

……記者の仕事、好きなんですネ。だって、そうでショ?
収入も満足に得られなくて、危険な場所にも踏み込むことになるのニ……それでも続けられるんですかラ!
よっぽど情熱が無ければ続けられませんヨ。ワタシ、そういう一つの事に情熱を持てる人って素敵だなって思いまス!

ワタシも薬師という仕事が大好きでス!
自分の作った薬や自分の施した治療で誰かが笑顔になル……それが、ワタシにとって一番の喜びなんでス。
お薬や治療で得たお金よりも、患者さんの笑顔が見られる事の方が嬉しくって……
勿論辛い事だってありまス。なかなか治らない事もあるし、患者さんの死に立ち会うこともありまス。
――それでも患者さんが治って心から笑顔を見せてくれるのなら、ワタシは何処までも頑張れる気がするんでス!

えーっと、アコーディオンさん!貴女は記者という仕事の何が一番好きですカ?
どういう時に一番やりがいを感じるかとか、良かったら教えて欲しいなッテ……

//時間が出来たのでお返ししておきます!喫茶店の注文の描写は其方の好きなようにして下さって構いませんので!
338 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/15(金) 19:56:24.58 ID:b8vKBiNeo
【路地裏】

【薄暗い裏通りの壁面を月明かり以外のものが照らし出していた】
【それは巨大な炎だった。本来濃い茶の壁は塗り替えられ、赤くなっていた】
【人一人ぶんあろうかというその炎の周囲は昼よりもなお明るかった】
【その炎の前には一つの影があった】

……そう、お前にも役立つ瞬間というものがある
今のようにな

【影は男だった。その男は薄ら笑いを浮かべながら炎に向けてそう言った】
【いや、彼が話しかけたのは炎ではなく、その中にある人だった】
【魔翌力でできた炎の杭で全身を壁に縫い付けられたまま、その人間は燭台にされていた】

さて、と
夜に路地裏に入ってきて、しかも明らかに異変のあるこの場所にわざわざくるやつはいるかな?

【男は逃げることもせず、むしろ誰かがくることを期待していた】
【炎が路地裏に入ってくる僅かな風になびき生きているかのように蠢いた】
339 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/15(金) 20:27:42.84 ID:sUl+o1iU0
>>336-337

……強くなりたいって思って、その為に努力をしているなら、いずれそうなれるわよ……
そう思ってるからこそ、こう言う事をしているんでしょ?
なら、何も気にしなくてもそうなれるって、ね
(……本当、あどけない子供みたいよね。こんな娘が汚されたりしなくて良かったって……胸糞悪い思いしないで済んだよね……)

【想いが本当なら、それは自ずと道として現われる。そして春燕の言動は、その思いの確かさを感じさせるようで】
【それなら、遠からず望む境地に至れるだろうと、アコーディオンはささやかな励ましの言葉を口にする】
【同時に、介入して助けに入った事も正解だったと、そんな事を心の中に確かめて】

――――っ、え……?
…………っ、う……ぁ、っは……くぅ……!

【そんな彼女には、唐突に向けられる春燕の言葉が意外だったのだろう。ふとその表情を真っすぐに見つめて】
【それと前後して、不意にアコーディオンは突然に頭を片手で押え、口元を食いしばり、苦しげに息を漏らす】
【まるで、唐突な頭痛に見舞われた様な仕草だった】

……言ったでしょ? あたしは『毒女』なんだって……うぅ、くぅ……ん……!
……だから、さ……癒す事なんて、考えなくていいの…………元より、癒せないん……だから、ね?

【目元の隠れている顔と言うのは、思った以上に表情を読み取りにくい。しかしアコーディオンは、それをサラッと流す様に口にしてみせた】
【――――能力を使った反動なのか、それとも彼女の言う毒の体質なのか。ともあれ、どうやら彼女にとっては慣れたものの様で】
【だからこそ、自分で自分の身を自愛しても、仕方がないのだと、そう静かに呟いた】

あ……そ、そう?
それじゃあ……せっかくだし、お呼ばれしちゃおうかしら、ね。このままハイさようならって言うのも、味気ないし、さ……?

【今襲い来る痛みは、アコーディオンにとっては慣れたものなのだろう。多少呼吸を乱しつつも、そこに拘泥する様子は無く、アコーディオンは答える】
【せっかく誘われているのだから、それを無碍に断るのも礼に反すると、そう考えたのだろう】
【男たちの後の事は、もはやアコーディオンとは関係の無い事で。春燕と共にその場を後にする――――】

【――――ついた喫茶店では、アコーディオンはコーヒーとナッツケーキを注文する】
【シュガーをほんの少ししか用いず、ミルクも注がない。限りなくブラックに近い飲み方で用意するのは、多少『気付け』の意味もあるのだろう】

えぇ……そうね。死んじゃったパパが、一人前の記者だったから……それで、あたしも憧れたんだと思う
だから、それがカッコ良くて、やりがいのあることだって……まぁ、そんな事を思ったのか、な?

【バイザーの奥の瞳は見えなくても、その表情は笑っているものだと分かる。そんな表情でアコーディオンは答える】
【家族の影響――――ならば、それは幼い頃から抱き続けてきた憧憬なのだろう】

……人助け、か……それで嬉しいって思えて、どこまでも頑張れるって言うなら、本当にそれが君の天職、って奴だったんだね
そう言う道を自分で選んで歩めるって、幸せな生き方だと思うよ、あたし

【自らの職についてはきはきと笑顔で語る春燕に、アコーディオンは表裏のない、本心からの喜びの様なものを垣間見た気がした】
【それは、春燕にとっては良い生き方なのだろう。自らの想いを語るその姿を、どこか微笑ましく思えた】

……そう、ね。あたしにとっては……やっぱり、『真実』……って奴かな?
本当の事、正しい事……それを、多くの人が知っているべきだし、誰でも知る事が出来る様に…………
それが、どんな真実でも、それが『真実』である限りは、何より尊い……あたしは、そう思ってる……
知りたくなかった事も、知られると不味い事も…………でも、そんなものでも、『嘘』よりよっぽど良いものだから
だから……例え、どんな真実でも、あたしはそれを知りたいし、求める人にはそれを、ただありのままで……伝えたい――――あたしは、そう思ってる

【春燕に問われて、微かに考え込みながら、自分の思いの丈をポツリポツリと口にするアコーディオン】
【彼女の何より求めるは『真実』。その為に、金にならない仕事でも、彼女はそれを追い続けるのだろう】
【本当の事、真実である事――――それは、どんなものよりも尊いものなのだ。それが彼女の最も言いたい事なのだろう】
340 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/15(金) 21:08:16.77 ID:DO0tk/vt0
>>339
//すみません、食事で気付くのが遅れてしまいました……!今から書いて来ますので、少々お待ちください!
341 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/15(金) 21:57:26.83 ID:zBWZGHMlo
【水の国、都市の中心部から離れた広場】
【中央に石造りの噴水が鎮座してるこの場所は多くの商人達の出す出店で賑わっている】
【食品や雑貨、薬品に引いては武器など様々な店が揃い踏みここである程度の物ならば揃うのではないかという程】

【そんな広場の一角、丁度隅っこに位置するひとつの商店】
【元は馬車でそれを移動用の商店として扱っているのだろう、傍らには黒馬が2頭佇んでいる】
【店に名前は無い、ボロボロの馬車でその存在を唯一示す物があるとすれば真新しいオークの木板に刻まれた「52」という数字】

―――――――はー……さてさて、やっぱり都市から離れて正解だねえ
向こう二週間くらいの金は稼げた、幸い幸い……だけどねえ……

【一人用の座椅子に座る老婆はこの店の店主なのだろう、ローブを纏っている分怪しいがどことなく安心感もある】
【嗄れた声で今日の成果を呟いて、見れば商品棚に並んだ殆どの品は売り捌けたようだった】
【だがそれでも言葉尻に憂いがあるのには理由がある】

やっぱりコイツは売れないのかね……頭の悪そうな奴に勧めてるのに財布を開けようとしないよ
曰くつき……ああ、どうしようもないね……いっそもっと頭の悪い金持ちにでも押し付けるしかないのかねえ。
アタシもいつまでもこんなのは置いときたくはないし……、はああ……とんだ不良債権だよこんな鎧

【店先にこれ見よがしに飾られた年代物であろう黒い鎧が悩みの種らしく】
【本来戦場にあるべきそれの胸元には「30%オフ!」なんて書かれた紙が張られていた】
【鎧という物だけ見たならば昔の名のある匠が作り上げたのだろうことは分かるだろう、ただ其処から先は魔術の類に関わりの在るものしか分からない】
【鎧をぼんやりと包む由来も知れない微かな魔翌翌翌力、それが曰くの原因であった】

……いっそ潰して金物屋にでも売っちまうしかないかねえ

【大きな溜息を零して老婆は天を仰ぐ】
【如何に物の売買に慣れている老婆とて手に余る物は手に余るものでしかなかった】
【それでも店仕舞いには後数時間とある、ありもしない希望に縋るのも人の性というものだろう】
342 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/15(金) 22:07:23.03 ID:XKwwy/T50
【街中――道沿いにあるカフェ、そのオープンテラス】
【ぴかぴかとあちらこちらで光る街灯の明るさ、空に浮ぶ半分とちょっとの月明かりを、薄く暈して】
【足早に通り過ぎていくひとたちの足音と声とが街並みに反響して幾重にも重なる、――そんな賑やかさ】

えっと……、……、どうしよ。

【そんな中でも道沿いにいくつかあるようなカフェにはもう少しだけゆったりとした時間が流れていた、――混んでは、いたのだが】
【というより、混んでいたからこそ困惑している影がひとつあった。あっちへふらり、こっちへふらり、右往左往して――】
【――かれこれ数分にはなる。狭い中を動き回っているなら、その様子はきっと目立っていて。目に付く可能性は、十分に】

【夜空みたいに黒い色合いをした髪は腰までの長さ、ヘッドドレスを結わえて、そのリボンを首筋に揺らし】
【黒と赤のオッドアイが困った色で瞬く、きょろきょろとするたびに耳元で煌くのは、右にだけ付けられた、ピアスの色合い】
【パフスリーブのシャツと、黒基調のジャンパースカート。ひらっと柔らかく広がったスカートが、ふわふわと揺れて】
【くるぶしまでの靴下と爪先の丸いショートブーツ。ころんとしたヒールが、ごんごんと地面に張られた板を叩き】
【左手の薬指に銀の指輪を嵌めた少女だった。真っ白な肌を僅かに蒼褪めさせて、――佇む、人影】

【――空席を確認する前にオーダーをしてしまったようなのだった。しゅんと下がった眉が、どうしようときっと考えていて】
【手には店のお盆とドリンクいっこ、歩くたびにゆらゆらと水面が揺らいで――そのたびに、店の明かりをきらきらと照り返し】

…………――、

【そのうち、出来ない空席に黙りこむしか出来なくなる。しゅんと耳や尻尾でもあれば垂らしそうな、その様子は】
【空席が出来るとか、誰かが相席をしてやるとか、そうでなくては解消されそうになくて――伏し目がちな視線だけが、助けを求めていた】
343 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/15(金) 22:22:31.56 ID:DO0tk/vt0
>>339

―――!?

【突如苦しみだしたアコーディオン。頭を押さえて突然苦しむ様子を見れば、春燕の表情が驚きと不安で曇るのも無理はないか】
【―――しかし、狼狽する春燕を横目にアコーディオンの様子は慣れたもの。頭痛に苦しみつつもパニックに陥る様子も無く】
【呼吸は乱れているが、まるでいつものこと≠フように気にする素振りも見せない……これは、どういうことだろうか?】

癒せ、なイ……?

【―――癒せない≠ニはどういうことだろう。今彼女が苦しんでいるのと関係があるのだろうか……?】
【疑問は尽きないが、春燕はまだ彼女の事を何も知らない。原因を理解するには余りにも情報が足りなさすぎる――】
【能力や体質が原因だとすれば、それはもう根治のしようがない……―――まさか、だから「癒せない」と言ったのだろうか】
【詳しい事は分からない。疑問も残っている。けれど、本人が気にしていない以上春燕にはどうしようもない……】
【心の中に若干のわだかまりを残しつつ、春燕は喫茶店へと向かう――】


【喫茶店に着く頃には彼女の頭痛も収まったのだろうか。兎も角落ち着いた様子なら春燕も少し安心して】
【テーブルについて各々注文すれば、コーヒーを飲みつつ問うのは互いの仕事のお話―――】

【春燕は人の話を聞くのが好きだ。お話を通じて相手の色々な事を知ることが出来るのが、とても好きだ。】
【今だってそう。目を輝かせて楽しそうにアコーディオンの話を聞く春燕の様子は、好奇心旺盛な女の子そのもの】

そうですカ、お父さんの影響で始めたんですカ!
ワタシも同じでス。ワタシのお父さんみたいな人も薬師で、皆を笑顔に出来る人だったんでス。
それで、ワタシも皆を笑顔に出来る薬師になりたいって憧れテ……エヘヘ、だからアコーディオンさんの気持ちもよく分かりまス!

【親の背中に憧れて、自分も同じようになりたいと願う心。自分だって似たような心を持ったことがあるから、その気持ちはよく分かって】
【同時に、アコーディオンが笑顔になるその理由も分かる気がする。小さなころから憧れ続けた、その夢を現在進行形で叶えているのだから】

【続いて問うのは、仕事のやりがい=B「幸せな生き方」って言って貰えたから、春燕は飛び切り嬉しそうに笑顔を見せて】
【アコーディオン自身のやりがい≠ノついても、興味深そうに聞き入る――】

真実、ですカ……本当の事を知れるって、とても大事な事ですよネ。
嘘で塗り固めて目を閉じているよりも、しっかりと目の前の現実を自分の目で見た方が良い……私もそう思いまス。
―――貴女の伝える真実≠ノよって正しい現実に向き合える人が増えるなら、それはとても大切な事ですよネ。
真実がいつも幸せとは限らないシ、真実を追い求める生き方が幸せとは言い切れないけれド……でも、とても尊い事だと思いまス!

……でも、医者や薬師はたまに嘘を言わなければいけない時があるんでス。
もう手の施しようがない深刻な病状の時、それを本人ありのまま伝える事は出来なイ……
勿論親族の方には真実を伝えまス。でも、患者さん本人には伝えられませン……

逆に、病気を甘く考え危機感を抱いてくれない患者さんも居まス。
そのような患者さんには少し脅かして「このまま放っておくと命にかかわるよ」と、わざと深刻に病状を伝える場合もありまス。

……アコーディオンさんはこういう嘘はどう思いますカ?

//遅れてしまい本当にすみませんでした……!
344 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/15(金) 22:36:50.27 ID:GDuIedQT0
>>341

【――行き交う人々の中に紛れて歩く一人の少年。他と同じ、一つ一つ出店を回って品定めをして行く。】
【右手にはビニール袋いっぱいに入った商品。透けて食品と分かる、しかしお世辞にも美味しそうとは言えないものばかり、】
【何かの眼だとか、何かの足だとか、……本当に食べ物として扱うのか甚だ疑わしい、魔術の材料と言った方が納得できるか。】

【長かったショッピングも、これが最後――殆ど売れてしまって商品がない様だが、ここまで来たのだからと見物する事にして、】
【残り物をどれどれと一つ一つ手にとって見ていくのだ。……ただ、これ見よがしに黒い鎧を避けているのは、】
【まさかこんな物が売りものである筈がないという、変な偏見による。結局目新しい物は無かった様で、その場を後にしようとする――、】

【……オレンジのパーカーが良く似合う、黒髪黒眼の至ってありふれた少年。ただ、強いて言うなら彼女の格好の的となり得る、】
【と言うのも、少年の顔。何と言うか、結局、詰まる所―――バカそうな顔をしているのだ。どちらかと言えば、脳筋、のような。】


/まだいらっしゃいましたら〜
345 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/15(金) 22:49:28.91 ID:sUl+o1iU0
>>343

……もう、生きてる限り、ずっと……っぁ、っ……ね……
慣れたもんよ……この程度…………

【フルフルと、軽く頭を振って痛みを紛らわす様にしながら、アコーディオンはそう告げる】
【相当に長い期間、こうした発作とは縁のある生き方をしているようで。そしてその軽重も、その時々によって違うのだろう】
【それを「この程度」と言い切ってしまえる辺り、この発作は本人としては「大した事の無い範疇」なのだろう】
【つまりは、酷い時にはもっと酷い症状に見舞われると言う事の裏返しになるのだが……】



えぇ……颯爽として、世の中の事を何でも知ってて……そして頑張ってたパパだから……
あたしじゃ、あんなに聡明な人にはなれそうも、ないけど……でも、それでも、あんな風に生きてみたいって、そう思ったのよね……

【コーヒーの香りを楽しみながら、ゆっくりと味わう。どうやらそれで、アコーディオンの発作も大分収まった様だ】
【あるいは、それで気分も紛れたと言う事なのかもしれない。口元は、先ほどから緩く笑みを形作っている】
【父の事を、それだけ強く尊敬していたと言う事の表れなのかもしれない】

……憧れを形にするって、大変な事よ……ね?
どれだけ頑張っても、追いつける気がしない……でも、諦めないで頑張り続けてたら……いつか、そんな風になれるかも、なんて思って
気が付いたら、いつの間にか「いつかの自分の限界」を超えたりしてて、それが嬉しくて……そんな感じよね?

【互いに、憧れを形にするべく道を往く者同士として、アコーディオンは春燕にそう尋ねる】
【自分の実感も、春燕には共有されているのだろうかと、それを聞いてみたくなったのかもしれない】

……そう、そうなのよ……だから、本当の事を知って、それを前提に世の中を見るって、本当に大事な事なの……
……知る事、見つける事、気付く事……『discover』なんて、言うでしょ?
覆い隠すもの『カバー』を、『ディス』する、取り除く事……それって、そう言う事が大事だから、そう言う言葉になったんだと、あたしは思ってる……

【真っすぐに、バイザー越しに春燕の顔を見つめながら、アコーディオンはそう口にする】
【真実を覆い隠すものを、自らの手で取り除き、本当の自分の目を養い、それで本当の世界を見る】
【ちょっとした言葉の語源を語ってみせて、それが如何に大切なものであるか、アコーディオンは例えに用いようとしたのだ】

――――春燕、あたしさっき言ったでしょ? 「それが真実である限りは、何よりも尊い」って、さ?
その病気を治せないのは、医者のせいじゃない。それは、人間そのものの限界が、そこにあるからでしょ?
だったら、そこから先を生きて、どうしようもない病を、自分の人生にどう位置づけるか……それを決めるのは、他でもない患者自身じゃないかしら?
……もう手遅れな病気だって言うなら……医者のしてあげるべき事は、そこからの生き方を手助けする事じゃないか、な?
大事なのは、真実を知った本人の意志よ。そこからどうするか、真実を知らなきゃ、どっちにしろ、誤った判断しか出来ないから……

――――逆に、嘘で脅されるって言うのも、あたしは良くないと思うな……それって、患者の生き方に、医者も責任を負うってことなんだから……
それで病状を甘くみて、悪化させてしまうのは、患者の責任じゃないかしら……そこまで、医者が被っちゃうのは、ちょっと……アレ、じゃない?
立場が違うから、こんなに厳然と言えるのかもしれないけど……脅されなきゃ節制出来ないなんて、その程度なんだなぁ、って事だし……
……その人の選択肢を狭めちゃうのは、ちょっとかわいそうな気も、あたしはするかな?

【春燕の例えに、アコーディオンは多少悩みながらも、明朗な論旨を展開して見せた】
【自分自身の信条である「真実が最優先」と言うのは、やはり曲がらない様で。真実を患者が知らなければ、正しい生き方は出来ないと】
【例え酷な事実であろうと、それが真実である限り、それは「正しい生き方」の為に、必要なのではないか、と――――】
346 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/15(金) 22:55:56.91 ID:zBWZGHMlo
>>344

おやおやまあまあ……こんなお子さんがアタシの店を見るなんてねえ
どうも坊やこんばんは、何か入用かい?見たところ……あらまあなんて物持ってんだいアンタ……

【欠伸混じりにもう店を閉じようとしていた所に客が来て、取ってつけたように背筋を伸ばし店員の体を保つ老婆】
【かといってどこぞの有名店のように客に媚びを売るでもないのはその年齢故だろう】
【老齢した口調のまま、適当にもてなそうと声をかければ少年の持ち物に目がいって、驚愕の声を上げる老婆】

ああいやアタシの身分でそういうのを買うなとは言わないさね
そりゃあ物を売って飯を食べてる人間だしねえ、でもそれでも多少は隠す紳士さを持った方がいいよアンタ
そんな……なんだいその目玉とか……見ていい気分になる人間なんざそうそういないだろうよ、ホラ包装用のだけど使いな

【馬車に備え付けられた、中身が見えないような黒の買い物袋を一枚取って少年へと差し渡す】
【化粧気のない皺だらけの掌、それを暖かみがあるかどうか判断するのは少年次第か】

……で、何か気の引く物はあったかい?
といってももう殆ど売れちまってるけど、まあ馬車の中にはそれなりに残ってるよ
欲しい物があるなら言ってみなアタシが見繕ってやろうじゃないか、なに長い間商人やってんだ目の方は養ってるから安心しな
変な品なんてわたしゃしないよ、信用ってのは大事だからねえ……特にアタシみたいな根無し草はねえ

【会話の端でチラリと鎧を見る老婆は、小さく横に首を振った】
【騙しは商人の必須スキルだがそれでも相手を選んで使うべきだ、喩え自分が人間として底辺に位置するとしても】
【商人としての矜持だけは手元には残しておく、それが老婆のポリシーであった】
347 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/15(金) 23:06:09.42 ID:Ei2M+58c0

【とある都市。其処に存在する本屋】
【深夜帯まで営業しているその店は常に一定の客が出入りしているのだけれど】
【今宵の舞台は其の店の角。小難しい古文書だとかが所狭しと並べられた場所で】


「…………困りました。イリニの背ではあの本にまで届きません
ですが、寝ている店主を起こす事も気が退けます。踏み台でもあるならば、イリニは助かるのですが」

【純白のローブを纏った少女が一人、足を震わせながら背伸びをしていた】
【どうやら本棚の一番上に収められた『精霊ノ存在』と書かれた分厚い本を取り出そうとしている様だが……如何せん、頭数個分も及ばず】
【困ったと言いながらその声は全く以て無感動なのだから、少し可笑しくも思えるかも知れないけれど――――少女一人でこの事態を解決できる術が無い事だけは確かな様】
【もう一度背伸びをして手に取ろうと頑張るのだから、もしこの現場を見た者が居るとすれば危なっかしい印象を与える事だろうか】







【静まりかえった街の中――――其処に存在する公園】
【電灯に照らされるベンチの下、魔導書染みた物を膝の上で開く緑のローブを纏った人物が一人】
【よく見れば色々と書き加えられたりしていて、何処か勉強熱心だとかそんな様子も覗えるのだけれど】
【――――余談、だが。魔力だとかに詳しい者が見たならば、その本自体に様々な魔術が施されて居る事も感じ取れるか】


「うーん……何処かに載ってるかなと思ったけど…………やっぱり図書館とか行ってちゃんとした本を探さなきゃ駄目、かなぁ……」

【一人溜息を吐くのは二十歳手前の女。腰程まで延ばされた銀色の髪を後ろで纏めれば、小さく溜息を吐いて】
【やがては諦めた様に魔導書を閉じるのだろう。どことなく残念そうな表情が浮かんでいるのは、決して見間違いだとかでは無く】


「あの遺跡の由来を知る事が出来れば面白そうだと思ったけど…………また後で行ってみよう、かな」

【一人呟くのは知り得なかった遺跡の情報について。メジャーな場所であれば、そう苦労する事も無く情報を得られるのだろうけれど】
【その話から察するに、遙か昔に人々から忘れ去られた場所なのだろう。だからこそ興味が沸くというもの。果たして何が行われていたのか、どんな役目を持って居たのか】
【風化した歴史を探るのはまた楽しい事だ。側に積まれた書物はどれも歴史に関する事なのだから、この女の趣味も伺い知る事が出来よう】

【――――もし、この場に新たな人物が訪れるとしたならば。女が辺りを見渡す時とほぼ同じ頃】
【焦げ茶色の瞳をその者に向ければ、小首を傾げて。近寄れば座りやすい様にとベンチに置いていた本だとかを積んで場所を確保するのだけれど】
348 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/15(金) 23:10:54.59 ID:GDuIedQT0
>>346

ん〜何かおもろいモン無いかなーってな、………これとか、中々やけど……
……えっ……ああ、これな、見たことないやろ〜……せっかくやから買ってみたんや……

【言ってみれば冷やかしだ、最後の最後だからまあひと通り見て、そのまま撤退しようという思惑。】
【全部見て、一つ位気に入ったのはあった様だが、購入には至らず、といった感じ、】
【呼び止められなければ、そのまま立ち去っていたのだろうが――少年は右手のビニール袋を改めて眺め。】
【……確かに、その通りだった。興味本位で買ったのは良いものの、人の目というのは全く考えておらず、】


―――せやなあ。………ああ、おおきに、……なんか代わりに買ったるわ〜、
変わった「おもろいモン」あるかな、……あ、値段は気にせんでええわー……金持ちやからな、俺。

【その指摘は余りにも正しかった。黒い袋を受け取って、簡単に感謝の言葉を掛ける。】
【少年は僅かに微笑んだ。彼女の気遣いは、単純に嬉しかった――暖かみは、十分に感じられて。】

【その代わりにと言っては難だが、少年は何か面白い物を見繕って欲しいと切り出して、】
【老婆の応答を待つ。……出ている以上に馬車の中にはまだ商品が残っているらしいが、果たして――。】

349 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/15(金) 23:38:59.95 ID:BIJhdrMVo
>>347

ふぅ……随分遅くなっちゃったな……
お腹も空いたし……早く帰ってご飯作らないと――


【女性のいるその公園に、足を踏み入れる存在があった】

【身長は150cm前後であろうか、黒いタキシードのような服に赤い蝶ネクタイという童話めいた衣装を纏っている】
【先端が緩くウェーブがかったふわふわの金髪と、澄んだサファイアのような碧眼を持ち】
【全体的に線が細く、少女めいた面立ちと儚げな印象をした少年であった】

【手には車輪付きのキャリーバッグの取っ手を握っており】
【コロコロとバッグを引きながらも、早足気味に女性の近くを通り過ぎようとしたが】


あっ……

(……あれは魔道書……かな? 珍しい――)


【ふと、彼女の持つ魔道書に目が留まり少年は足を止めた】
【所謂魔術や希少素材などに対する"マニア"である為、見たことのない形式の其れに目を奪われたのだ】
【しかし、そんな時間も永遠に続くはずもなく】


……え? あ、そ、その……ごめんなさい……!
へ、変な意味とかじゃかくて……ですね……ただ、その本が珍しいなって思っただけでして……


【小首をかしげる様子の女性に気づくと、少年は慌てた風な口調でそんな言葉をかけてペコペコと頭を下げる】
【こんな夜更けに女性にジッと視線を送っていたのだ】
【支離滅裂な物言いではあるが、変質者などと誤解されないようにと思っての行動であろう】

【一見人畜無害な弱々しい少年だが、女性の目からはどのように写るだろうか】
350 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/15(金) 23:47:26.93 ID:DO0tk/vt0
>>345

それはもう、本当に大変な事ですヨ。憧れってつまり、今の自分じゃ手が届かないから憧れる≠ですかラ……
その手の届かない目標に向かって必死で手を伸ばして、努力して……その結果、昔の自分より夢に近づいていル。
そんな事に気付いて喜びを感じるのは、ワタシも貴女といっしょでス!

【最初から手が届くのなら憧れない。手が届かないからこそ、その先にあるものに夢を見る―――そして】
【その夢に向かって手を伸ばすうちに、気がつけば昔の自分より成長している。少しずつでも夢に近づいている。】
【「塵も積もれば山となる」とはよく言ったもの。日々の小さな成長も、積み重なる内に気がつけばとても大きくなっていたりして】
【そんな自分に嬉しくなる気持ちは、きっと春燕もアコーディオンも同じに違いない。だって、ほら】
【―――二人とも、憧れや夢を語るときはそっくりな笑顔を浮かべているもの―――】

【何時になく熱っぽく語る真実への熱意。言葉の隅々に彼女の想いが載っているのが手に取るように分かって】
【春燕もうんうんと頷きつつ話に聞き入る。彼女の想いを、しっかりと耳から受け止める―――】
【本当の事を知って、初めて本当の世界が見える。―――たとえ現実がどんなに辛い物だとしても。】
【――本当の事から目を逸らして生きるよりは、本当の事に向き合って生きる方がきっと良いに決まっている。】


――真実を受け入れた上で残された人生を自分自身で決める、ですカ……。
……それは、とっても難しい事ですネ。
死≠ヘ、人間の中で最も大きな恐怖でス。それを受け容れられる人間は少なイ……
その受け入れがたい真実を、どうやって患者さんに伝えるか。……とても、とても難しいでス。
……ただ、嘘を伝えたまま死んでいくより、全てを知った上で残された時間を生きる方がきっと良いですよネ。
死という最も大きな恐怖を受け入れる人の傍に寄り添って支えるのが、ワタシのすべき仕事なのかもしれませン。
――アコーディオンさんに相談して良かっタ。エヘヘ……少し医師の嘘への疑問が晴れた気がしまス。

ただ、病状の悪化に関しては「患者の責任」と放っておくわけにはいかないんでス。
その程度だなぁって見放すのは楽でス。でも……見放したら、その人は苦しんでしまウ!
甘いと思うかもしれませんガ、ワタシはどんな人でも苦しんでいるのを放っておくことは出来ませン。


【……実は、春燕は悩んでいた。助からない患者に、真実を伝えるべきか否か……それが、ずっと心に引っかかっていた】
【だからこそ、真実へ真摯に向き合うアコーディオンの言葉は響いて―――自分の為すべき道が、少し見えたような気がした】
【自分のすべき事は、患者の傍に寄り添う事。―――本当の事に向き合って、本当の人生が送れるようにサポートする事だって。】

【―――さて、お話をしている内にそろそろコーヒーも飲み終える頃か。】
【アコーディオンが飲み終えていないのなら、それを待っているが……】
351 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/16(土) 00:04:45.60 ID:6gEHe9ZW0
>>349
【抜けていると言うか、何と言うか。少年に対して警戒をしたならば、この女も人並みには危険意識だとかもあるのだろうけれど】
【ただキョトン、とした表情を浮かべるだけなのだから――――まあ、この場合はある意味その反応が救いとなろうか】
【元より暴漢だとかにも見えないのだからその反応も当然と言えば当然。代わりとして、少し時間を経た後に微笑んで見せて】


「そんなに慌てなくても大丈夫だよ。こんな時間にこんな暗い場所で本を読んでる人が居たら嫌でも気になっちゃうもんね?」

【クスリ、と柔らかく笑んだならば膝の上で開いていた古書を閉じるのだろう】
【――――然れど。少年の言葉を今一度思い出して見ればこの本に惹かれていたか、と】
【己の中では希少品ではあるけれど、其れを盗み出すような性にも見えない。なれば触らせた所で何も支障は無いであろう】

【そんな事を考えれば静かに立ち上がり、少年の元へと近づく事だろうか】
【どうせ遺跡について知るにはもっと準備をしなければいけないし、早急に調べねばいけない事でも無いのだから多少寄り道をした所で困る者も居まい】


「良かったら……コレ、読んでみる?
普通の魔道書とかと違うから少し戸惑うかもしれないけど――――でも、ちょっぴり……面白い、かな」

【差し出されたのは、少年が視線を送っていた件の本】
【どれ程の時を経ているのか、表紙は最早読むことが出来ぬ程に磨り減り、角だって丸みを帯びている】
【肌触りも良い、とは言い難いけれど……逆に、其れが味をもたらす】


【さて、仮にその本を受け取って開いたならば。最初の一頁は“古来のレシピ”遺跡とは何ら関係の無い】
【次の頁を開けば“日記”。書かれた年は今よりもずっと昔の事】
【一頁毎に内容が異なるのだ。悪魔について考察していたり人々に忘れられた古代魔術が記されていたかと思えば甘ったるい恋文が書かれて居たり】
【有り体に表せば重要な物も心底どうでも良い物もごちゃ混ぜになっている状態か】
【何より奇妙なのは開けど開けど頁が減らぬ事。無論、一気に閉じてしまえば本は終わるのだけれど――――そうで無く、流し読みをする程度ならば例え数時間捲った所で果てが見えない】

【確かに普通の其れと違う事は確かな様。魔力を感じ取れるならばその本自体に複雑な術式が施されて居る事が分かるだろうし、それ自体がこの本が質量を無視出来る原因とも突き止められるのだろうけれど】
352 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/16(土) 00:14:00.48 ID:VubEdhYWo
>>348

バカお言いよ、こちとらこんな歳になってまで商売してるんだここで手に入るような物なんざ見飽きてるよ
でも、まあなんだね……普通に人達には刺激が多いからね、分かってくれればそれでいい。

【老婆は商人としての豪胆さも携えていた】
【こと金が絡むと人間という生き物は化物に変わる、そんな魍魎跋扈する世界で生き続けているのだから】
【この老婆もそれなり、いやそれ以上の豪傑なのだろう】


ふうん……お子様の癖に金持ちだなんて生意気だねえ
アタシがアンタくらいの歳の時は雀の涙程度の小遣いで一生懸命やりくりしたってんだ。
一々小言が五月蝿いと思うだろうけどね、アンタ……金に使われるような人間にゃあなりなさんなよ、婆様からの忠告だ

【馬車の中、如何なる空間かも分からない場所へと身を乗り出しつつ】
【言葉は尽きないのかもうすぐこの世を去る人間は何かしらでも残したくなるのだろう】
【見れば老婆の周りには家族らしい人間の姿はない、独り身だから遺したい事は山ほどある】

――――――――…で、アンタのその注文だけどねえ……難しいねえ
洋服屋で似合う服をくれってくらいに難しい……差し当たって……まあ、在庫処分かね
ホラ、コイツでももってきなっ!最後の品だ値段は高くなる……と言いたいが、金持ちにふっかけても面白くないし適正な値段で売ってやるよ

【目的の物を見つけてか、身体を戻した老婆の掌には深緑をした透き通ったワイン瓶がひとつ】
【相当古い品なのか張ってあっただろうラベルは朽ち果て、ビン自体も傷だらけであった】
【老婆の表情は悪戯でもしたようなニヤニヤとした笑み、無論ただのビンではないがはてさてそれを見て少年がどう思うのか、反応を楽しんでいるのだろう】
353 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/16(土) 00:15:37.24 ID:86uS/bXz0
>>350

……まぁ、そう言う事よね
やっぱり「ああなりたい」って思うのは、それが遠くにあって、眩しいから……そう言う人が側にいてくれたのは、本当に幸せな事よ、ね?

【記憶の中の、故人となった父の事を思い出しながら、なのだろう――――どこか追憶する様な言葉を口にする】
【そんな、自分に影響を与えてくれる人が、すぐそばに居た事で、彼女らの人生に良い影響を与えてくれたのは、間違いないだろう】
【あるいは、既に言葉も交わせない彼に、アコーディオンは今でも感謝しているのかもしれない】

あぁ、まぁ……そうよね
さっきも言った通り、あたしはもう……ずっと、死が近くにあった生き方をしてたから、だから感覚がマヒしちゃってるのかも、ね……
「死にそう」とか「死にたい」って思った事なんて、両手じゃ数えられないもん
――――でも、そうね……死ぬ時に、一人ぼっちじゃない、優しい誰かが側にいてくれるって……実は、とっても幸せな事なんじゃないかしら?
少なくともあたしは、そうやってそばに居てくれる人がいたら…………それだけで、死ぬ時に悲しくない、心からありがとうって、言いたいって思うもん

【死を受け入れられる人間は、そう多くは無い。それは然りだ。古今東西の宗教も、人生倫理も、常にそれを問題にし続けてきた】
【誰もが抱く恐怖や不安、そして痛み――――そしてそれは、誰にとっても、どうしようの無いものである】
【そこのところを、アコーディオンは少し履き違えていたのかもしれない。死を意識する事は、別に珍しい事じゃ無かったのだから】
【だが、だからこそ――――死の時の不安を払拭できるのは、死ぬ人間の心の持ちようであり、また、周囲の人間にとっての些事だったりするのだと】
【彼女はまた、誰かを思い出しながらそう口にする。彼女にも、そうして思い当たる人が、側にいるのかもしれない】

……そこよ。そこが「医者」と「患者」で、峻別されるべき境界線だと、あたしは思うんだよねぇ……
病状を甘く見て、自滅しちゃう人なんて……言っては悪いけど、自業自得でしょ?
そこは、医者としてはどうしようもないんだし、踏み込んでいってもしょうがない領域になるんだと、あたしは思うな……
そっくりそのまま、苦しみを肩代わりできるなら、それはそれでいいのかもしれないけど、そうしたら、命や人生の価値だって、安くなっちゃうでしょ?
決して陳腐なものじゃない、尊いものだからこそ、医者はそれを守ろうとするものなんだって……あたしは、そう思うけど

【謂わば、自己責任論である。それを、嘘を使ってまで庇う必要は、元来他の人間には無いのでないかと、アコーディオンはそう言うのだ】
【真実を求めた上で、どう生きるのか。それはその人間次第であって。死に至る可能性に真剣に向き合わないのでは、もう『その程度の命』なのだろうと】
【そうした『愚かさ』も認めた上で、アコーディオンはなお、真実の重要性が勝ると言うのだろう】
【あるいは――――健全とは言い難い自分の身体をそこに重ねて、病にどう向かうのかは患者自身と言いたいのかもしれないが】

……それでも、あたしは……自分の認識とまるで違ってた――――なんて事で、自分を見誤りたくは、ないんだよね……

【くっとコーヒーを飲み干し、アコーディオンはほっと一息つく】
【いつの間にか、ナッツケーキもほとんど平らげられていて。もし春燕がそのまま席を立とうとするなら、アコーディオンも追随するだろう】
354 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/16(土) 00:21:30.38 ID:JVHKYUlMo
>>351

す、すみません……お見苦しいところをお見せしてしまって……


【微笑みながら掛けられた声に、少年はちょっと恥ずかしげに頬を掻く仕草を見せながら】
【再度丁寧にペコリと頭を下げた。気弱な容姿通り、謝るのが癖なのだろうか】

【ベンチから立ち上がり、自分の所に近づいてくる女性に対して】
【咄嗟に意図が掴めず「えっ……?」と小さく声を洩らすが】
【そこに悪意的なものを感じなかった為か、元々警戒心が薄いのか拒絶することもなく】


あっ…………え、えと、いいん……ですか?
すごく貴重な本みたいに見えるんですが……でも……


【最初は差し出された本に対して、遠慮するような様子を見せたが】
【やはり一マニアとして、一魔術師としてその本には非常に興味を惹かれていた】

【その後数秒の間葛藤するように、はっきりとしない声を響かせていたが】
【結局は好奇心に勝てず、「ありがとうございます……」と】
【嬉しそうな素朴な頬笑みを浮かべながら、バッグの取っ手から手を離して本を受け取った】


わぁ……――――


【内容は様々で統一性のないモノ、しかし未だ解明されない謎の多い古代の貴重な日記だ】
【新しい玩具を貰った子供のように、少年は夢中で読み耽っていたが】


――あ、あれ……? 頁が増えてる……のかな
凄い……こんな術式初めて見るかも……。これも、古代の魔術なんでしょうか……?


【数分と経たぬ内にその"異常"に気がつく】
【ページが減らない本。ある程度魔術に造詣がある少年でも、初めてみるタイプの術式であった】
【驚いたような、未知を知ったことによる喜びを感じているような】
【そんな表情で、一度ページから目を離して女性に訊ねた】
355 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/16(土) 00:28:13.82 ID:VppCz8hL0
>>352

……俺はもうガキやないんやで〜……俺が働いて色々やりくりしとるからな……
まあ、タバコも酒もそんなやし、ギャンブルは下手くそやし、大丈夫やろ……多分な…

【まだ16か17か、間違っても成人には見えないこの少年は、しかしながら既に社会人と同様の生活を送っているらしい。】
【まあそもそも、こんな変な商品を買い漁っている辺り只者ではないのは確かなのだろうが……どうだろうか。】
【少年自体は、脳筋に近い見た目をしているだけあって健康そのもの。何かに依存する様には見えないのだから、】
【恐らく金に使われる人間にはならないというか、なりたくてもなれないのだろう―――ベクトルが、随分と異なる。】


馬車にもあるんやろ、なんか一つぐらい……お、良さげやんそれ……
………せやけどボロボロやなこれ、中身大丈夫なん? 腐ってないん?
ええっと、……ボロボロ過ぎて読めんやんこれ。何が入っとるん?ただのワイン?

飲んで腐っとって腹壊したー……もおもろいけど、……なんかなあ。

【ただの少年が見た所で、受け取ったワイン瓶は謎に包まれたままだった。故に質問が、多い。】
【まず心配になるのは腐ってないかという事。このラベルが朽ちて読めなくなっているレベルなら、】
【最早それは熟成とかそんな次元の話ではなく、飲んでもただ腹を壊すだけなら、別に要らないと。】

【……まあ老婆がニヤッとした笑みを浮かべているのだから、特別な何かが入っているのは間違いないのだろう、が――、】
【そんな観察力すら無いのか。少年はガキだと扱われバカにされたのだと思い、少しムッとした感じで佇んでいる……。】
356 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/16(土) 00:41:43.80 ID:6gEHe9ZW0
>>354
「貴重な本なら尚更だよ。其れを一人で持ってたら勿体ないし…………だったらみんなで見た方がきっと本だって喜んでくれるんじゃないかな」

【良い意味で共産主義なのだろう。人の為になる物ならば皆で共有すべき】
【尤も、この本に記された物が人々に恩恵を与える事が有るのかは分からないが――――其れでも、読みたい者が居るならば読ませるべきだ、と】
【中にはまだ誰も読み解けないけれど重要な意味を持つ頁もあったのだろう。だが、其れは知られなければ意味の無い事】

【読み耽る事を邪魔する事も無く、代わりとして微笑ましそうに見守っていたのだけれど】
【声を掛けられたならば、うーん――なんて声を漏らしながら小難しい顔をするのだろう】



「私はそっちを専門にして居ないから、今一分からないけど…………でも、今まで調べてきて其れに合った物は無いからきっとそうなんじゃ無い……かな
ふふ。これ、ね。読みたい頁や知りたい事を考えながら開いて見ると丁度その頁が出てくるから面白いんだよ

勿論、この本に書かれて居ない事だって沢山在るからその時は真っ白な頁が出てくるんだけど…………
もしかしたら同じ頁を二度と見る事が無いかもしれないし、欲しい情報を見れないかもしれない不思議な本
今まで色々な人が書いた知恵が載ってるノート、って言うのが一番近いのかな……?」

【まるでネットの様な物だ。脳内で知りたいワードを思い浮かべて適当に開けば丁度その情報が載った所が開かれるのだから】
【――――個人の事だとか、或いは組織についての詳しい事だとかそう言った物は載っていない】
【ただ、眉唾だとばかりに他愛も無い事を考えて頁を開けばきっとその情報が記された場所が開かれる筈】

【流石に秘術だとかは載っていないが、一般的な魔術の上位の物。或いは、古今問わずに料理のレシピ】
【……楽しそうに話していた、けれど。ふと視線を落とせば地面に置かれている少年のバッグが映って】



「あ……もしかして帰る途中だったかな…………?
ごめんね、こんな時間なのに呼び止めちゃったりして…………」

【時間も時間だ。もしかしたら、何処かから帰る最中で自分が呼び止めてしまっているのではないか】
【――――そんな考えが、ふと脳裏を過ぎった】
【友達の家の帰りか、それとも買い物の帰りか。何にしたって、子供には危ない時間帯なのは変わり無い】
【その事を理解して居るからこそ、表情も申し訳なさそうな其れに変わるのだけれど】
357 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/16(土) 00:55:23.96 ID:VubEdhYWo
>>355

仰る通り、入っているのはただのワインだけどね――――――――

【ゴホンと仰々しく咳をし、老婆は視線を少年へと向ける】

それの作られた年は今から数百年前かね、詳しいことはわかっちゃいないが年代なんざどうでもいいのさ
神聖とかが宿る以前の品だしねえ……どちらかというと日常生活向けかね?まあそれは置いておいてだ……。

その瓶、名を「聖トマスの酒瓶」と呼ぶ……ああ、アタシが便宜的につけただけだけどね
何にしてもある程度箔ってもんを付けた方が売れるだろう?そういうことさね、んで……その酒瓶、その中身
今入ってるのはその辺の店で購入できるようなやっすいワインさね、でも……その瓶に入れて保存するとどういう訳だか味が深くなるのさ

【少年が酒を嗜まないならばこの手の話は分からないかもしれない】
【だがその筋の人間からすれば喉から手が出る程の品、だと分かれば良いが】

それこそ……何十年何百年と時を重ねたみたいにね……
中身の時間経過だけを早める、とでも言えばいいのか……その理由はあたしゃ知らないけど
でも利用できるなら利用する、それが人間ってものさ……だろう?

【それ自体は別段どこかの博物館に保存されるような代物ではない】
【危険性もなければ文化性もない、だからこそこの老婆の手元にある】
【老婆の笑みは変わらない、悪戯含みのそんな表情のまま「どうする?買うかい?」などと問うて】
358 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/16(土) 00:59:32.36 ID:JVHKYUlMo
>>356

へぇ……面白いですね……!

不思議だなぁ……本当に、どうやって作ってるのかな……
古代の遺物(アーティファクト)……?それとも、昔の賢者様が作ったとか……


【女性の説明を聞いて、少年は本当に面白そうに笑顔を輝かせた】

【自分の知りたい知識を汲み取って、頁の中から選び出す不思議な本】
【それにすっかり魅了された様子で、この本が何時どうやって生まれたのかと考察しながらも】
【夢中でページを捲っていた】

【現れるページは"魔術"や、存在するならば"生物"や"道具"に関するモノだろう】
【普段からそういった類の分野を取り扱っているのだろうか】


えっ――……あ、えと……だ、大丈夫ですよ!

その……元々僕が、この本が気になってお邪魔しちゃってるわけですし……
むしろ僕の方が貴女のご迷惑になってるんじゃないかなって……


【掛けられた声に、少年は本から目を離して彼女を目を合わせる】
【そして、今になって思い至ったのか申し訳なさそうに本で顔半分を隠しながら】
【女性の都合を無視して、一人で本に読み耽っていた自分を恥じておずおずとした口調でそう語りかけた】

【どうやら少年は今すぐに帰る必要はないようであった】
【むしろ彼女の迷惑になっているのではないかと、心配している様子である】
359 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/16(土) 01:12:43.13 ID:6gEHe9ZW0
>>358
【性急に帰宅する必要も無いのだと知れば、何処か安堵した様子】
【こうして話を振ってしまったけれど、もし帰らねばいけないようならば――――と考えて居たのだろう】
【その最中、本の性質上余り良くない事だと分かっていても開かれていた頁が見えてしまったならば】

【少年がただ背伸びをして見ている訳で無いのは明白だ。其処に記されているものを理解して居るのだろうから】
【見掛けによらず、と記すのは失礼だけれど。それでも、少年の言動から予測できなかった頁】
【――――だからこそ、疑問にも思うのだろう。何故その頁を開いたのだろうか、と】

【余談では無いが、よっぽどの貴重品だとか滅多に見られない生物で無い限り求めている物は大体載っている筈】
【だが、専門書ほど詳細に記されては居らず…………深く知りたければ、再度その事を浮かべて開かなければいけない様】
【それだって、載っているかは分からぬ事だけれど】



「そっか……それなら良かった…………
わ、私の方も全然迷惑なんかじゃ無いよ?

そうだ……良かったら其処で座って少しお話しよっか
折角知り合ったのに名前も知らないままお別れも少し寂しいし…………君の開いてた頁の事も、少し聞かせて欲しい、な?」

【提案するのは立ち話では無く少しの時間でも良いから座って話さないか、と】
【――――織り交ぜるのは少年の開いていた頁について。学生の課題、と言う訳でも無さそうなのだから一層興味を抱いたのだろう】
【その魔道書は本当に三者三様に別れる。何故、彼が其処を見たがったのか。其れを知りたいのも一つの理由】
360 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/16(土) 01:12:52.32 ID:VppCz8hL0
>>357

…………―――。

【黙って聞く。マジマジとこの瓶にそんな能力があるのかと見ながら、……そうは見えないと思って、】
【ならば試してみるのが早いのだ。少年はコルクを許可も取らず抜いて、そのまま口を付けてラッパ飲み。】
【勢い良く飲めば、直ぐ空になってしまう――こんな飲み方ではワインの本当の良さと言う物も分からないのだろうが、】
【……鼻から抜ける芳醇な香り、熟成しきったが故の独特な味、そういった部分は安物ではないと確信する。】

【―――まだ子どもだ。キンキンに冷えたビールよりも、オレンジジュースの方が好きなお年頃、】
【美味しい、と感じた訳ではないが……それでも分かるのだ、ただの安物ではないだろう、と。】


………ホンマやあー……なんかスゴイなあこれえ………買ったるわあ〜……
……いくらなん〜? おもろいし言い値でええよお〜………

【もし中の酒が不味ければこの瓶は偽物だという事になるし、美味ければ買えば良い、故に許可も取らず飲んだ、のだが……、】
【この少年、酒を嗜まない理由の一つとして、そもそも弱い、というのが挙げられる。ワインをボトル一本か、】
【それも一気に飲んだのだから、少年の顔はたちまち赤くなって、語調は陽気なそれへと変わってしまった。】
【何も全部飲まなくても良かった筈だが―――時既に遅しで、ほろ酔いを少し超えた位だ、】
【元々大してない思考する能力も、衰える……ならばもし、適性でない値段をふっかける様な事があっても、恐らくは――……?】

361 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/16(土) 01:18:02.50 ID:SzOKns360
>>353

―――そう。そうやって、どうしても逃れられない恐怖も一緒に傍にいる事によって和らげるんでス。
とても難しい話ではありますガ……―――治すだけじゃなくて、寄り添うのも私の仕事なのかなっテ。
……そうやって安心してくれるのなら、ワタシも嬉しいでス。

【死への恐怖は絶対的だ。死をも恐れぬ人間などこの世にはいない。―――そんな恐怖を受け入れるなんて、とても難しい】
【……それを、嘘で見えないようにするのは簡単だ。でも―――それでは、本当の人生を送れない。】
【死に向き合い、その死までの自分の人生≠生きる。……その傍に寄り添う事も、自分の務めだろう。】

【では、逆に「この程度では死なない」と甘く見ている患者はどうだろう。この患者にも真実を伝えるべきなのか】
【……アコーディオンはあくまで自己責任と主張する。「甘く見て悪化させるのは自分の責任で、医者はどうしようもない」、と】

……やっぱりベストは、不摂生によって起こる病状の悪化という真実を伝えて摂生を促す事ですかネ……
あくまで本当の事を伝えて、その事実を踏まえて患者さんが摂生するようにした方が良いですよネ。

……でも、どんな患者さんであれ完治して欲しいと願う心もあるんでス。
どんな手を使ってでも―――それこそ嘘をついてでも、治る病があるのなら治したイ。
……分かってくれとは言いません。でも―――治す方の立場からすれば、出来る事ならどんな人も治してあげたいんでス。

【……確かに、病状の悪化は自己責任だ。真実を知ってどう行動するかなんて、各々の責任に決まっている。】
【―――それでも。それでも見捨てられないのだ。治せる命があるのなら、どんな手を使っても治したい……】

【――さて、二人ともカップを干せばそろそろお別れの時間。お話も一区切り付けば席を立ち】
【二人分の勘定を支払えば、店を出る。……名残惜しいが、今日は此処でお別れ】


アコーディオンさん、今日は助けて頂いた上に相談まで乗っていただいて有難うございましタ!
色々お話が出来て、本当に楽しかったでス。……えーっと、また一緒にお話しできれば嬉しいなッテ!

それではまた何処かでお会いしましょウ!

【深々とお辞儀するのは、きっと助けて貰った感謝と相談して貰った感謝の表れ。顔を上げればパッと微笑んで】
【最後にもう一度ぺこりと軽く会釈すると春燕は帰路に就いた――】

//ここで〆という事で、お付き合いいただき有難うございました!
//度々返事が遅くなって申し訳ありませんでした……!
362 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/16(土) 01:33:22.73 ID:86uS/bXz0
>>361

……死に行く人間には、一番の贈り物って事よね……
あたしも……彼が、あたしの事を看取ってくれたなら……きっと、笑って死んでいける…………大事よね、これって……

【死なない人間など、この世には存在しない。だからこそ、人はそれぞれの形で死に向き合わなければならない】
【そこに、その絶望を払拭してくれる『誰か』がいるのなら――――まぁ、生きてきた形はどうあれ、それは悪くない人生だったと、そう言えるのだろう】
【――――アコーディオンも、死ぬならそうやって死んでいきたいと、そう思っているのだろう】

……そうよね。それが一番理にかなった、『正しい』やり方と、あたしは思うな……
それをどうにかするのは、あくまで本人の問題なんだから、ね

【言っては悪いが、医者と患者は所詮は他人だ。そこには、踏み越えられない一線、踏み越えてはならない一線と言うものが存在する】
【その一番バランスの良い立ち位置は、恐らくそこなのだろう】

……まあ、そりゃ……黙って破滅してく人間を見てて平気、とはいかないよねぇ……
分かるよ。それは良く分かってるの…………でも、あたしはやっぱり、正しく真実である事の方が、大事なんだよね……
もし、あたしの身体がどうなってるのか、知らないままで死んじゃったりしたら……多分、絶対に後悔してたろうから、さ……

【破滅していく人間を、自業自得だといって冷徹に見捨てると言うのは、存外に難しい行為である】
【それがアコーディオンにも出来たなら、そもそも春燕を助けたりはしなかっただろう】
【それでも、信条に照らし合わせると、正しく知る事、そしてそれを踏まえて自らの意志で赴く事は、譲れなかった】
【ままならぬ身体だからこそ、それについては妥協したくないのかもしれない】



うん、今日はたまたま間に合って、良かったってね
また、どこかであったら……その時はよろしくねー! ……あたしの新聞、恥ずかしいから探さないでよ!
じゃあ、今日はごちそうさまー!

【店を出て、別れの挨拶を述べるアコーディオン。互いに思う所があり、そこに目指して頑張っている同士、有意義な時間を過ごす事が出来た】
【それ以前に、アコーディオンにとっては、軽いお茶の時間を提供してもらった礼も、しっかりと口にして】
【去っていく春燕の背中を、バイザー越しに見えなくなるまで見守っていた――――】

――――『SCARLET』、ね…………いつまでも、克ち合わずにいられるかと言うと無理があるかも、ね……
……また会いたいけど、ひょっとしたら……もう合わない方がいいのかも、ね…………どう思うかな、トラ君……叔父様……?

【――――ポツリ零したその言葉を、聞き咎める者はもういない】

/2日間、乙でしたー!
363 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/16(土) 01:34:08.99 ID:JVHKYUlMo
>>359

そうですか……よかったです……

その……僕の悪い癖なんですが……こういう珍しい物を見たらつい夢中になっちゃって
それで、もしかしてご迷惑になっちゃったかなって……


【彼女の声に、目を細めてホッと胸をなでおろす】
【やはりというか、どうにもこの少年は知的好奇心が強い傾向があるようであった】
【そして、次いで掛けられた言葉に対して】


あ、そうですね……立ったままですと……疲れちゃいますし
お隣に座って宜しいのでしたら……お言葉に甘えたいなって、思います……。


【彼女の提案を快く受け入れる】
【少しだけ遠慮した感じの語調で"隣に座っていいか"と訊ねているのは】
【互いに見知ったばかりの男女ということで、どれだけの"距離"を取っていいのか測りかねているのだろう】
【一見少女のような外見で、なよなよとした性格ではあるが……一応は男性という自覚はあるらしい】



そういえば……自己紹介がまだでしたね……
えと、僕はジョシュア……ジョシュア・ランドバーグっていいます


【先の言葉に対して座る許可が出ていたならば】
【少年――ジョシュアはベンチの方へトコトコと歩いて腰を下ろした後】
【許可が出ていなかった場合は、その場で一度本を閉じた後】

【自身の懐に手を入れて、名刺ケースを取り出すと】
【その中から一枚の名刺を抜き取って、彼女の方へと差し出すだろう】
【このタイミングで自己紹介をした理由は】
【「名前も知らないままお別れも」というフレーズで、まだ互いに名前も知らないのだと思い出したからだ】


小さいですけれど……この近くで"お店"も開いていますので
お時間がある時にでも、気軽に足を運んでいただけたら嬉しいなって……思います


【そして、ふわっと柔らかく微笑みながらそう続けた】
【名刺には少年の名と「マジックショップ<Fairy's Gift>」という店名】
【それに続いて「第二種一級魔工技師」と、彼の持つ資格について記されていた】
364 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/16(土) 01:35:33.76 ID:VubEdhYWo
>>360

あ――――――――…コラ、アンタ……まだガキだってえのになんて飲み方するんだい
いいかい大人ぶるのは別段構わないけどね、背伸びしたって届かない物は届かないんだ……。
大体だよ?アルコールは最悪人の命も奪いかねないんだ、もう少し考えて物を扱いな!今だって別に全部飲むこたあないだろうに

【老婆の語気は強い、分かりやすく少年を咎めている】
【なによりも若い身体で無茶をしたという事自体に腹を立てていた】
【年老いた者はそれ故に若いということの尊さを知る、今まで来た道であるから】

全く……あたしゃ呆れたね、アンタそのままでいると早死するからね
まあ、所詮アタシは他人だし何をどう判断するかなんざアンタが決める事だ、究極的には知ったこっちゃないね。
さてと本題だ、料金だけどもそうさねえ……金貨一枚で手をうってやろうか、どうだい安いだろう?

【正規の品でない物の売買はある意味老婆の趣味である】
【買う者の人間性を見て楽しむというだけ、金はその礼のような物】
【適正な値段と嘯くだけで今回の金貨一枚がどこまで正しいのかさえ分からない】

【だが、取引というものは両者が納得していればそれでいい話】
【そこに他者が介在する余地などないのだから】
365 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/16(土) 01:51:15.62 ID:VppCz8hL0
>>364

……大丈夫やあ〜……こんくらい俺どーってことない、安心してやあ〜………
無茶してばっかりやからなあ〜……俺の人生はあ〜……………

【またも老婆から受ける指摘は正しい、しかし今回ばかりは、それも通らず。まあすっかり酔ってしまった人に、】
【あれやこれや言っても聞かれない。右から左へ、そのまま通り抜けてしまうのだから意味が無いのだ。】
【……しかしながら、愚痴というか何と言うか、言葉の中に少し悲しい色が混じっていた事、彼女は気付けただろうか。】
【アルコール位で自分は死なないと言ってみせるという事は、つまり―――多くは、語られなかったが。】


……せやなあ、長生きはせえへんと思うわあ………40か50か、そんくらいいけたら御の字やろなあ……
まあ、ええわあ、……結局は細く長くか、太く短くのどっちかっちゅうことやろお………?

安いなあ、ホンマにそんなんでええのお?………ありがとうなあ、また来るわあ……

【この年齢で働ける仕事、それも"金持ち"と自称出来る位の給料といえば、一体何が残るだろうか。】
【―――少年自身も、彼女の様に長くは生きられないという事を、自覚していた。それでも辞めない理由は、あるらしく。】

【金貨一枚と聞けば、安い安いとポケットから取り出して渡す。良い買い物をしたと上機嫌なのは、変わらない様だ。】
【……また来てくれるらしい。ただ一種の諦観と共に見せる背中は、逞しくもありながら何処か―――悲しい様にも見えたか。】


/ではこの様な感じで!お疲れ様でしたー!
366 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/16(土) 01:52:58.51 ID:6gEHe9ZW0
>>363
【特に迷う事も無く「構わない」という旨を告げるのは、この女の性格を知るには十分か】
【無頓着――――と言う訳でもあるまいが。並の人よりも警戒心が薄い。其れが良い方向へ働くのか否かは出会った相手次第】
【今宵は、其れが良い方向へと転がったのだから良いが、毎日がそうという訳にもいくまい。尤も、其れを説教する者はこの場に居ないのだけれど】


「その気持ちも何となく分かるかな……。珍しい物を見つけたら、ついついその事だけで頭がいっぱいになっちゃう事もあるもんね
古い物だと其れの歴史を考えちゃう事だってあるし…………」

【後に続くようにして座ったならば、先の言葉に同意するのだろう】
【学者では無いが、昔の出来事や物を知るのは楽しい事だと知っているのだから】
【名刺は意外だったのか、少しの間戸惑っていたけれど。意図を理解すれば受け取って】



「へえ…………お店、持ってるんだ……凄いなぁ…………
あ、私は、えっと……名刺とか持って無いから、交換とか出来ないけど…………」

【「君よりお姉さんなのに、可笑しいよね」――苦笑と共にその言葉が紡がれれば、渡された名刺を改めて見るのだろう】
【技師、ともなれば何やら生み出す職か。其れに魔術が加わったならば――――魔道書に施されて居た物に気付いた事も頷ける】
【名刺を内ポケットに閉まったならば、改めて少年の方へと向いて】



「うん……それじゃあ、何時かお邪魔させて貰おうかな
何だか始めて行く種類のお店かも…………

――…………あ。ジョシュア君のだけ聞いて私が自分の事を話さないのも変だよね
スイ・アルカ。職業は特に無くて……うーん…………遺跡を探ったり珍しい物を調べたりするのが職業、なのかなぁ……?
と、兎に角。……うん。その本も、ずっと昔に遺跡の奥で見つけたんだよ」

【縁がなかった店だから、新たに知る事が出来る楽しみというのもある】
【さて、次に自分の紹介となるが……名は良いとして、職を伝える時には自分の事なのに疑問系という有様】
【今少年が持つその本も、曾て遺跡で見つけた物なのだから――――複雑な術式にも納得出来るか】
367 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/16(土) 02:02:17.85 ID:VubEdhYWo
>>365

分かったような口を……ま、因果は巡る物だ
アタシがどうこう言ったところで先に在るだろう物は変わりゃしないか……。

【既に酩酊し前後不覚もかくやという状態でこちらの話を聞く余裕などないだろう】
【仕方ないと諦め混じりに息を吐き、渡された金貨をポケットに仕舞い込む】

悪いけど「また」はないだろうねえ、あたしゃ流れだからね
明日もここにいるとは限らないし来月もここにいないとは限らない全部は風次第さね
ま、機会があればその時に……精々長生きするんだねボウヤ

【移動商店とはつまりは根城を持たないという事】
【出会う出会わないは全て星の巡りによる、一期一会を体現しているという事だ】
【老婆は今一度フードを深く被り直し店仕舞いを始める、離れてゆく背中に何を見るのか】

【何にせよ、選ぶのは自分ではないのだから】
【どうなるかは全て浮かぶ月くらいしか知らないだろうに】

【そしてまたいつか何処かで老婆の店は開かれるのだろう】

/お疲れ様でした!
368 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/16(土) 02:11:58.01 ID:JVHKYUlMo
>>368

い、いえ……お気になさらず……です
僕はその……お仕事する上で必要なので持っているだけですから……


【苦笑気味に発せられた言葉に、軽く手を振る仕草を交えながら返す】
【もしや彼女を萎縮させてしまったのではないかと、心配した様子ではあったが】
【それも、次の彼女の声が紡がれる時には無くなることだろう】


遺跡を探ったり……調べたりする……
えと、スイさんはもしかして……考古学者の方なのでしょうか?


【よく見れば、近くで積まれている本は歴史に関するものが多い】
【女性――スイの語る職業の内容と照らし合わせて】
【ジョシュアは彼女が"考古学者"、若しくは"トレジャーハンター"の類ではないかと考えていた】
【それらの職業に対する、この少年の反応は――】


――やっぱり……この本って古代の遺物なんですね……。

未だ解明されない、古い古い文明……失われた知識、技術……
そういうのって、上手く言葉に出来ませんけれど……浪曼があって、素敵ですよね


【――非常に好ましいものであった】
【話を合わせるための世辞などではなく、本の表紙をどこか愛しげに撫でながら】
【太古の文明に思いを馳せ、童子のようにわくわくしたような表情を浮かべながら語る其れは】
【間違いなくそれらに強い関心を持っている証拠であった】

【魔術師――それ以上に技師としての色が強いジョシュアにとって】
【失われた知識は非常に価値あるものとして写る】
【知りたい……出来るならば習得し、後の世の為に活かしていきたいという気持ちがあるのだ】

【何気なくページを捲り、魔術に関する項を表示させながらも】
【はっと気づいたようにスイの方へと視線を向けて、「し、素人が知ったふうに言っちゃって……ごめんなさい」と】
【先の熱の篭った言葉に対して、小さくペコリと頭を下げて謝罪をした。やはり、こうして頭を下げるのは少年の癖の一つなのだろう】
369 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/16(土) 02:12:53.37 ID:JVHKYUlMo
/>>368>>366宛てです……!
370 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/16(土) 02:32:51.17 ID:6gEHe9ZW0
>>368
「そ、そんな大層な人じゃないよ。んー……趣味、程度なのかなぁ。根無し草だから好きな様に出来るのが強みだけど……
ほら、私は強くも無いし運動神経が良い訳でも無いから、遺跡とかに行くときは誰かが一緒に居ないと直ぐに死んじゃいそうだしさ…………

今日探ってた遺跡も、深入りする前に教会の友達かSCARLETの友達を誘おうとしたんだけど……気付いた頃にはもうこんな時間になっちゃって……」

【少年の考えて居たことは大凡当たっているのが事実。持ち主が居なくなり、所有権を持つ物が居なくなって久しい其れは取った所で咎められる物でも無い】
【その事を知った上で行っているのだから窃盗とも異なる――――が】
【トレジャーハンターとして生きていけるだけの能力は無い。ただ、現に数々の遺跡に潜って五体満足で帰っているのだから何か秘密があるのかもしれないが……其れは何時か明かされる話】
【実際に自ら行き、調べている事だけはあって机上の空論ばかりの学者よりは幾分優れているのかも知れないが、其れを言う様な性格でも非ず】

【教会にSCARLET、となれば交流もそれなりに広いのだろうか。前者は兎も角として、後者は戦闘にも長けている】
【ともなれば、その遺跡も中々に厄介な場所と考えられるが】



「そうだね。失われたはずなのに、今よりもずっと凄いのだって沢山あるんだから不思議だよね
何で無くなっちゃったのか、もしかしたらみんなが力を持ちすぎて争ったのかもしれないし、天災で無くなっちゃったのかも…………
それとも、もっと発展したから捨てられちゃったのかな

――――昔の人が何を考えて作ったのか。壁画だって、私達が重要だと思ってるだけでもしかしたら他愛も無い日記かもしれない……
そう思うと、楽しいよね」

【ロストテクノロジー。それ自体に興味は有るし、失われ行くまでの過程にも興味がある】
【彼の謝罪に対しては「謝る必要なんて無いよ」とだけ微笑みで答える】
【――――実際、謝る必要なんて無かった。そう言った物の仕組み等に関しては、彼の方が余程エキスパートなのだから】



「でも、ジョシュア君もやっぱり男との子なんだね。自分の好きな物に夢中になれて……とっても良いと思うよ?
遺跡に潜る為にその本が必要な事が多いからあげる事は出来ないけど……でも、何時かまた面白そうな物を見つけた時にはプレゼントしてあげるね」

【使いようによっては生き延びる為の手段が所狭しと記された物と化す魔道書。生きる欲求が強いのが人間で、だからこそ様々な状況に合わせる事が出来る様その本にも記されているのだろう】
【何時か、面白そうな物を見つける事があったならば――――其れは、彼に譲ろうと】
【考えてみれば気の長い約束なのかも知れない。だけれど、夢中になって読む姿が面白いからこそ小さな笑みと共に告げた事】
371 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/16(土) 02:55:10.77 ID:JVHKYUlMo
>>370

すぐに死んじゃう……や、やっぱり危険なんですね……古代の遺跡って

僕もいつかは……時間を作ってそういう場所に行ってみたかったですけど
ちゃんと護衛の方を雇わないと危ないんですね……。


【スイの語る話を聞いて、ジョシュアは尊敬半分、恐怖半分位の反応を見せる】
【プロでなかったとしても、実際に命を賭して古代の文明に立ち向かっているのだ】
【見たところ大きな障害などを負うこともなく生還し、こうして確かな成果を上げていることは】
【ジョシュアから見て立派に、とても"強く"見えた】


ただ失われた強い力ってだけじゃなくて……
そこにどんな歴史があって……どういう人が、どういう目的で作ったのか

そういう事を知ったらきっと
この本だってもっともっと輝いて見えると思うんです……。
だからその……スイさんのお仕事はとても興味深くて……素敵だなって、思います


【スイの言葉に同意を示して、蒲公英のような嬉しげな笑みを浮かべながら】
【ロストテクノロジー……それに秘められた歴史に再び思いを馳せる】


あ、あはは……そう言われるとちょっと、恥ずかしいかも……です……

――えっ……その、いいんですか……?
で、でも……僕、古代の遺産に見合うものなんて……スイさんにあげられませんし
そんな貴重な物を、今日知り合ったばかりの僕が頂いてしまうのは……うぅん…………


【"男の子"、と言われてジョシュアは頬に微かな朱を宿しながらも】
【顔を俯かせて恥ずかしげに告げた。男の子らしくなりたい、と日々考えてはいるが、実際言われると気恥ずかしいものであった】

【そして、次の言葉……"面白い物をプレゼントする"という其れに対しては遠慮した反応を示す】
【嫌、ということではなく、ロストテクノロジーの価値を理解しているからこそ】
【彼女が命を賭けて入手してくるであろう貴重な品を、今日会ったばかりの自分が貰っていいのかと】
【元より控えめな性格のジョシュアは、その約束を素直に受け止めることが出来ず】
【「本当に……いいんですか……?」と、スイの目を見つめながら、おずおずとした様子で聞き直すのだった】
372 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/16(土) 03:13:14.89 ID:6gEHe9ZW0
>>371
「昔はただの集会場だった場所も在れば偉い人のお墓だったりする場所もあるから、場所によって色々だけど…………
でも、やっぱり重要な場所ほど罠が多いから、分かり易いかな……?
罠が無くても魔物が住んでる時もあるから、やっぱり居た方が良いと思うよ……うん」

【人が離れれば其処を住処とする存在も現れる。悪しき存在で無いとしても、襲ってくるならば立ち向かわなければならないのが常】
【力があるならば、単身でも良いのだろう。然れど無いならば、罠の回避などで疲弊した中戦うのは困難】
【――――罠を避けるだけの術はある。だが、戦うだけの力が無い。故に、一人で行くことが出来ない】

【……まあ、人を誘う意味の中には心細さもあるのだろうけれど】



「見返りを求めてあげる訳じゃ無いから気にしなくても良いんだよ?
ただ、私があげたいからあげるだけ。それでもジョシュア君が納得出来ないなら……そうだなぁ…………」

【何かを欲してあげる訳では無いのだから気にしなくても良い―――と告げても気にするのが少年の性なのだろうから】
【ならば理由を付けてしまえば良い。其れに等しいだけの理由を付けてしまえば少年も其処まで気にする事が無くなるだろうかと】
【暫しの思案。金銭を求めなくとも良い、品を求めなくても良い。――――出た答えは】



「じゃあ、ジョシュア君が何時か“見合う物”を作れた時、其れを私にくれれば良いよ
そんな等価交換ならジョシュア君も気にする必要は無いし…………私も、何も損をしてないから、ね」

【期限は定め無い。彼があげた物に匹敵するだけの物を作れたと思った時、其れを渡してくれれば良い――――そんな事】
【空約束にも思えるかも知れないけれど……彼の仕事の意気込みにより火を点けてあげる事が出来ればとの心遣いもあったのだろう】
【傾げた小首は確認をするかの様に。双方何時の事になるかも分からない事。ただ、約束だけは交わしておきたいから、と】



「それじゃあ駄目…………かな?
私も、興味ある人にあげたって全然嫌な気分にならないけど…………」

【失われた其れの価値もピンキリ。宝玉染みた物から現代の雑貨に劣る物まで】
【彼にあげるのが何かは分からないけれど――――其れでも、“面白い物”だと言うのだからきっと在り来たりな物でも無かろう】
【どの様な答えを返してやるのか、それは少年の自由で】
373 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/16(土) 03:30:43.37 ID:JVHKYUlMo
>>372

その……ごめんなさい……
僕が優柔不断なせいで……スイさんに気を遣わせてしまって――。


【スイの語る言葉を全て聞いた後、ジョシュアは申し訳なさそうにそう告げた】
【彼女が善意でくれると言っていたのに】
【自分が躊躇ってしまったせいで、話をこじらせてしまった】
【その事を察せられる程度には、心が成長していた少年は一度謝って】


僕……スイさんのプレゼントに見合う物が作れるように
もっともっと頑張りますね……

やっぱり頂くばかりじゃなくて、こうやってプレゼントを交換できたら
この約束ももっと素敵なものになるかなって……思いますし――


【提案を受け入れて、晴れやかな表情を浮かべながら約束を交わそうとする】
【ロストテクノロジーに見合うアイテムとなれば、今のジョシュアの技術では難しい】

【だが、こうやっていつか叶えられるであろう約束に向かって】
【今以上に勉強や試行錯誤を重ねることで自身を高める"目標"にもなり】
【互いにプレゼントを交換すれば、今宵交わした約束がより大きなモノになるであろうと少年は考えていた】


――あ、あの……スイさんが"これがあったら助かるな"って物はありますか?

僕の"専門分野"だと……多分スイさんのお役にたてないでしょうし
出来れば今後の冒険のお役に立てる物を作って差し上げたいなって思うんですけれど……


【だが、見合うもの――と一口に言っても進む道が違いすぎて少年には何を作っていいのかわからない】
【物の価値は使う人によって変わるのだ、出来るならばスイに取って有益になるアイテムを作ってあげたかった】
374 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/16(土) 03:51:27.21 ID:6gEHe9ZW0
>>373
「ううん、そんな事無いよ。私がもう少し気を遣ってあげられたなら、ジョシュア君だって困らずに済んだんだから
だから、ね。そんなに謝らなくても大丈夫だよ」

【――――少年の言いたい事は理解して居た。其れを汲んで、謝る必要は無いと述べて】
【謝罪をする程の事でも無い。否、寧ろその謙虚さが良い。だけれど……謙虚すぎれば、自分を殺す事にもなるのだから、と】
【もう謝らなくても大丈夫だと諭す様に言うその表情は苦笑だとかでは無くて。年上の者が優しく言葉を掛ける其れに何処か似ているか】



「うん。じゃあ、ジョシュア君との約束だね。私は何か良い物を遺跡から見つける事が出来る様に頑張って、ジョシュア君は自分のお仕事を頑張る
――――でも、私が助かると思う物、かぁ」

【約束を交わした事を然りと確認。定められた期限も何も無い、実に気長な物だ】
【さて、自分に必要な物となれば――――遺跡を探索している間は数々浮かぶのに、こうして問われれば中々思い浮かばない】
【高い所まで一気に駆け上がれる物、其れがあれば助かるが……護衛の物や、或いは今有る物でも事足りる】
【ならば何だろうかと思案して、思い浮かんだ物は幾つかの事】



「それじゃあ……中に入れた物の時間を止めたまま保存できる袋、とかかな……?
遺跡の探索も場所によっては何日も迷う事があるから、持って行った食料が腐っちゃう事だってあって…………
それか、居場所を更新してくれる地図とか……」

【その内、述べたのは2つ。どちらも現代の技術でも作り出せるかもしれないが――――其処に彼なりのオプションを付けてやるとすればまた異なるか】
【何にしたって、瞬間移動だとかは遺跡の中では通じない事は理解して居るのだろう。結局は自分の体で切り抜けなければいけないのならば、其れを支えるだけの物が欲しいと】
【保存袋に遺跡の中でもナビゲートが可能な地図の二つ。果たして其れを、少年はどの様に受け取るか】
375 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/16(土) 04:09:45.02 ID:JVHKYUlMo
>>374

時間を止めたままにする袋と……自動で更新される地図……

今の僕じゃまだまだ難しいですけれど……
旅行用とか……迷宮探索用で似た道具を聞いたことがありますし、あれを応用すればきっと……――


【スイの語る二つの道具。時を止めて保存する袋に自動でナビゲートする地図】
【どちらも決して簡単なものではないが、心当たりはあるようであった】

【ジョシュアが語る通り、今はまだ技術も知識も足りないが】
【それでもいつか約束を果たすために頑張ろうと】
【ぐっと小さな握りこぶしを作って、心を奮い立たせた】


あの……僕、期待して待ってますね……。

でも、その……スイさんの為のアイテムも作るのは多分、時間がたくさんかかっちゃいますし……
……無理はしないで、お身体に気をつけてください


【「もしスイさんに何かあったら……この約束もなくなっちゃいますから……」と締め括る】
【彼女の成果を期待すると同時に、無理をするようなことはしないで欲しいと】
【先程遺跡探索の危険性を聞いていたからこそ、何よりもスイの安全が心配でもあった】

【だから、約束のために頑張るようなことはせずに】
【飽く迄もいつも通りのペースで頑張って欲しいと、控えめともとれる応援をした】
376 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/16(土) 04:24:54.22 ID:6gEHe9ZW0
>>375
「心配してくれて有り難うね。でも、きっと大丈夫――――頼りになる人も着いてきてくれる事が多いから
ジョシュア君もあんまり無茶しちゃ駄目だよ?
風邪とかを引いたら大変なんだから」

【素直に応援を受け止めれば微笑みで返し、自分の心配もして欲しいなんて言葉】
【貸していた魔道書を受け取り、立ち上がる時とほぼ同じ頃だろうか。遠くから近寄ってくる人影が見えて】
【乱れなく纏った軍服に制帽。眼帯を付けた少女――――か。その容姿から少女の性格も読み取れそうだけれど】


『アルカ殿、探したでありますよー……。頼み事があるからと聞いたので待ち合わせの場所に訪れて見れば居ないので慌てたであります
全く、カノッサに襲われて居なかったから良かったでありますが…………そちらの方は?』

【SCARLETの腕章を付けている事から、先言って居た護衛を頼む一人なのだろう】
【少年の存在に気付いたならば怪訝な表情をするが――――危険は無いと判断したのか、愛想良く挨拶を向けて】
【さて、別れの時。時間としても丁度良い】



「私のお友達。自分のお店を持ってる凄い子なんだよ?

――――……それじゃあ、ジョシュア君。また何時かね。暇が出来た時にお店に寄らせて貰うから、その時は宜しくね」

【対して眼帯の彼女は、少年が店を構えていると知れば感心した様子を見せていた事だろう】

【積んでいた本も軍服の少女が全て持ったならば、先導する様に歩いて――――】
【その最中に立ち止まるのは今宵言葉を交わした彼女。振り返れば、クスリと笑みを零して別れの挨拶】
【立ち去る姿が何処か楽しげに見えたのならば――――今宵の余韻を残したままなのだから、きっと見間違いでは無い】

/っと、時間も良い具合なのでこの辺りで失礼させて頂きますね……!
/お相手、有り難うございましたですよー!
377 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/16(土) 04:37:51.79 ID:JVHKYUlMo
>>376

は、はい……
えと……よ、夜更かししないように、気をつけます……


【健康を崩さないようにする、という意味で放った言葉なのだろうが】
【少々返し方がズレているのは、この少年の個性と取るべきであろうか】

【こうして無事約束が交わされたタイミングで、ジョシュアは魔道書をスイに返し】
【間もなくして新たな人物、"SCARLET"に所属しているであろう少女が姿を現す】
【口には出さなかったが、先程スイが話していた「SCARLETの友達」なのだろうと思い至り】
【ご挨拶をした方がいいのかな、などと掛ける言葉を選んでいる内に】


友達……――――あ、え、えと……はい……!

いつでもお待ちしています……
その時は……美味しいお菓子を用意しますから、楽しみにしてくれたら嬉しいかなって……思います


【スイから放たれた台詞、「友達」というフレーズに動揺して思考が吹き飛んでしまう】
【引っ込み思案な性格のせいで友達の少ないジョシュアは】
【はにかんだような、嬉しそうな笑顔を浮かべながら去っていく二人の少女を見送った】


【新しく出来た友達と、大きな目標】
【それを胸の中で確かめながら、ジョシュアはキャリーバッグの取っ手を握り立ち上がる】
【カラカラと車輪を転がしながら公園を後にしていく姿は、どこかスキップでもしそうな風に楽しげであったという】


/お疲れ様でしたー!
378 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2014/08/16(土) 05:32:36.86 ID:4n7WbTmAO
カノッサのNo.2を取りたがってる戯言はゴミ溜め民だけど放置してて良いんか?
ここの>>330
http://awabi.2ch.net/test/read.cgi/net/1407856798/39n-
後谷山も愚痴スレでラジオとかしてるが何かしとかないとまたスレが荒れるんじゃねーの
379 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2014/08/16(土) 13:52:55.19 ID:9X+MuAbBO
62 名前:◆W1prVEUMOs :2014/08/16(土) 12:07:19 他に適切なスレが見当たらないので、此処 に書き込ませて頂きます

http://awabi.2ch.net/test/read.cgi/net/1407856798/ご存知の方もいると思らっしゃると思いま すが、これはネットウォッチ板に存在する なりきり関連のスレです その内容はPLに対する中傷や愚痴が大半 で、この厨二能力スレもその対象に含まれ ています

http://live.nicovideo.jp/watch/lv189856090 そしてこれは先日放送されたニコニコ動画 のとある生放送です タイトルを見れば分かると思いますが、上 記のスレで集合したなりきり参加者達が開 始ものです 当然この放送にも特定のPLに対する中傷や 非難が多々含まれていました

そしてその中で、特定の人物達が自らの キャラを公言した上で、平然と参加してい る様子が見受けられました スレを引退している訳でもなく、放送を非 難する訳でもなく、ただ和気藹々と参加し ている人達が

現在も参加しているPLのキャラ限定で名前 を公表しますが、自分が把握している限り では【鏡心一閃】、【混沌縹渺】、【一剣 同体】の三名です 放送やネヲチのスレを見る限り、彼らは此 のような行為を今までに何度も繰り返して いたものと思われます ただし、キャラを騙った別の人間だったと いう可能性もありますから、当時者達から 事の真偽を確認し、その上で何らかの対処 を行うのが望ましいものと思われます

上記は他スレからの転載
能力者スレでは少なくとも谷山、セリーナ、戯言の参加を確認済み
次レスに載せるが特にセリーナに関しては擁護出来ない
380 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)2014/08/16(土) 14:02:00.54 ID:9X+MuAbBO
けれど、そういった経緯を経て戻ってきた私は今、あの スレを一切見ていません
それは自信が付いたからとか、単に傷つきたくないから とかではなく、必要ないと判断したからです。
昨日も連絡スレで書きましたが、我々は我々に必要なモ ノを、我々のルールの中で指摘していく事が出来ます。
誰かが本当に間違った事をしたとして、ここはそれを誰 もが放って置くような場所ではないのです。
逆に言えば、このスレの中で提起されないのであれば、 それは大きな問題ではないのです。
もしそれを問題と感じることがあったなら、直に言って しまえば良いのですから。

繰り返しに成りますが、私はあのスレをもう見ていませ ん。
必要ともしていません。
このスレに参加している誰かの 悪口を言おうとも思いません。
それは、私がここに『遊び』の感覚で参加しているから です。
愚痴を吐いて、イライラして、苦しくなってまで『遊 び』を続ける事は、私には理解できません。

だから、今でも貴方があのスレを見ているという事、そして以前に書き込んだことがあるというその事実を貴方の口から聞くのは残念ですし、悲しいとも思います。 どういった内容の書き込みをしたのか、気にならないと言えば嘘になります。



これらの書き込みは議論スレより転載
見ていない、と繰り返し書いているにも関わらず愚痴スレのラジオに参加しているのは何故か
書き込んでいない、とあるが到底信用する事は出来ず実際は誹謗中傷の書き込みを行っていると考えて間違いないのではないだろうか
これらが本当の事ならば本人は何か弁明をするべきでは
381 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/16(土) 19:49:00.18 ID:lmAvtvpbo

【街中】

【人通りのあまり多くない辺りに一つの屋台があった】
【赤い提灯を吊り、辺りにおいしそうなにおいを漂わせている】

ふぅー、あんなことがあったが、まぁ気にしないでおくか……

【屋台の店主と思われる一人の男がいた】
【男はどうやら最近悪い事があったようだ】

まぁ、ギルドの報酬の方もある程度溜まったから
こうやって屋台やれるんだよなぁ……

【提灯にはこう書かれていた】
【『クロス・ハート』と】

/予約あり
382 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/16(土) 20:07:30.90 ID:ot1GRGLYo
>>381
【屋台に一人の男が立ち寄ってきた】
【男はきょろきょろと周囲を見渡してから料理よりも先に店主の顔を見た】

変わった場所に開いてるな?
もう少し、人通りの多い場所の方がいいんじゃないか

【何かを詮索するように男は言った】
383 :" ◆inRYh.mu.I2014/08/16(土) 20:14:52.87 ID:lmAvtvpbo
>>382

いらっしゃい!!

【立ち寄った男の気配を察知し挨拶する】

いや、正直俺も始めたばっかでね……
それに、隠れ家的な店って奴を目指してるからさ、人通りが多いと、ね!!

【男の詮索に対して正直に答える】

それで、何か頼んでくれるかい?
大体の料理なら作れるからさ、なんでも言ってくれよ!!

【店主の顔からはその自信があふれている】
384 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/16(土) 20:23:12.13 ID:ot1GRGLYo
>>383

ふぅん、そうか
じゃあ定番の焼き鳥だとか何本か
自信のあるものから出してくれればいい

【男は自信ありげな表情を見て内容は任せることにした】

で、何かあったみたいだったが?
385 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/16(土) 20:31:23.57 ID:lmAvtvpbo
>>384

あいよ、焼き鳥だな!!

【そう言うと、店主は作り始める】

なぁに、俺は冒険者ギルドでも働いてるんだけどな
依頼者に騙されてよ……カノッサの連中だったみたいでな
いきなり襲い掛かられたんだよ……怪我は無いんだけどな!!

【自身に何があったのかも包み隠さず話す】

あいよ、葱間につくね、それと皮だ!!

【店主が用意したのは焼き鳥としてはポピュラーな三本】
【三本とも、見るからにおいしそうである】

で、どうだい?
386 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/16(土) 20:43:57.65 ID:ot1GRGLYo
>>385

なるほど、それは確かに災難だったな
もっとも普通の人間を騙すようなやつだ、カノッサの中じゃ弱い方だっただろう
依頼に詐欺はつきものだ。命が惜しければ気をつけるんだな

【男は軽い気持ちで忠告した】
【店を開くことが目的の冒険者を襲うとはカノッサも下は下だな】
【と、内心では失望しながら】

まぁ、うまいな

【焼き鳥を頬張ると男は当たり障りのない感想を述べた】

忠告の続きだが路地裏には近づくなよ
最近は人を肉塊にまで潰すようなやつや、人を生きたまま燭台にして燃やすやつがいるからな

【そう言うと男はニタリと怖い笑みを作った】
【話に出したうちの一人は自分自身のことだった】
387 :" ◆inRYh.mu.I2014/08/16(土) 20:51:34.72 ID:lmAvtvpbo
>>386

あれ?お客さんリアクション薄いね……微妙だったかな?

【客のリアクションの薄さに少々困惑する】
【彼の元々いた辺りでは、口からビーム出したり、巨大化したりするのだ】
【正直、こんなリアクションをする人間が、そうそういるはず無いのだが】

路地裏ねぇ……
結構あの辺に用事あるから、その忠告には従えそうにねぇや、ハハハハ
それと、騙された人間が言うから信憑性は低いと思うかもしれないがよ……
あの鎧ヤローはめちゃくちゃ強かったよ、俺と相性が悪いってのもあるだろうけどな。

【そう言うと店主は笑う】

そうだ、俺の名前は黒須春斗って言うんだ
よろしくな!!
388 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/16(土) 20:59:05.06 ID:ot1GRGLYo
>>387

いや、うまいぞ
そう大げさなリアクションを取るほどでもないが

【男は感想をもう一度素直に述べた】

鎧、か

【店主の言葉に男の眉がぴくりと動いた】
【男は鎧が印象深いカノッサの人間に覚えがあった】
【しかし男の中でその人間は一介の冒険者を襲うかどうか確証がなかった】

そいつの名前は知ってるか?

【男は遠回しに聞いてみることにした】
【質問の答えによっては行動を変える気でいた】
【男の声は僅かながら重みがあった】

リヒャルト・アーベントロート

【男は短く自分の名を答えた】
389 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/16(土) 21:01:00.56 ID:lmAvtvpbo
/ちょっと風呂は入ってきます
390 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/16(土) 21:21:12.28 ID:lmAvtvpbo
>>388

ニーベルンゲン・シュバルツシルトとか言ってたな
本名かどうか知らないがな……
正直な話、俺は異世界人だからな、そいつが大物かどうか分からん

【春斗は、自身が異世界から来たこともあわせて伝える】

俺は近接戦特化でな、こっちの攻撃が届かなかったんだ……
ま、あちらさんの攻撃は俺にダメージを与えることが出来なかったんだがな!!
どうやっても決着付きそうになかったし、死んだ振りしといたけどな

【戦闘の結果を伝える】

ま、ああいった奴は出来れば戦いたくはないな

(どうして、あいつはあんなに……)
391 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/16(土) 21:36:51.02 ID:ot1GRGLYo
>>390
【黒須春斗の答えはある意味で男の期待に応えたものだった】

なる、ほど、な

【男はその事実を噛み締めるように一言だけ呟いた】
【カノッサ機関の上位ナンバー、ニーベルンゲン・シュバルツシルト】
【一度しか会っていないが、その名前はこの男にとって力すら持たない威光だけを振りかざす人間を意味していなかった】
【そしてそんな人間と引き分けた目の前の冒険者は、この男の興味を引くのに十分だった】

では

【男は開幕の緞帳のように重々しく口を開いた】

お前の首を取れば、それなりの土産にはなりそうだな

【男が笑うと同時に、春斗の足下の地面に魔翌力が集まり、それ自体がひび割れたように赤く光る】
【次の瞬間にはその地面から小規模な爆発が起きる】
392 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/16(土) 21:42:50.77 ID:lmAvtvpbo
>>391

なん……だと!?

【春斗は一瞬対応に遅れた】
【しかし、移動屋台を瞬時に動かし範囲外に動かす】

ドゴォ!!

【そして、春斗は爆発の中心にそのままいた】

粒結!!

【この言葉と共に】
393 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/16(土) 21:53:23.85 ID:ot1GRGLYo
>>392
【爆発後、男は少し離れた位置に飛び退いていた】
【爆発の中心にいて尚も平然としている春斗を見て、彼は口の端を持ち上げた】

中々いい防御術を持っているようだな
せいぜい耐えろよ

【男が手を広げるとその中で瞬時に炎の槍が作り出され、彼はそれを春斗に向けて投げた】
394 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/16(土) 22:03:49.76 ID:lmAvtvpbo
>>393

防御術……そんなもんじゃねぇよ!!

【そこにいたのは、異形であった】
【まるで、変身ヒーローのような姿である】

ただ、暑さに強いだけさ!!

【そう言うと、春斗は天高く跳び上がり回避する】

バーストインッパクット!!

【その言葉と共に蹴りの体制に入る】
【その狙いは頭部、目的は脳震盪だ、上手くいけば平衡感覚ほ狂わせ立つことさえできないだろう】
【蹴りの威力自体も凄まじく、コンクリートの塊を砕くことぐらいは容易いだろう】
395 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/16(土) 22:12:48.56 ID:ot1GRGLYo
>>394

(それなりの鎧、というわけか)

【春斗が槍をよけるのを見ると、男は自分の足下に最初の爆発と同じ魔術を使用】
【彼がその場から飛び退いた直後に地面から小規模な爆発が発生した】
396 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/16(土) 22:24:17.83 ID:lmAvtvpbo
>>395

近づけなくちゃ駄目だな……
なら、タイプチェンジ!!

【爆発に巻き込まれながら春斗は光に包まれる】
【爆発が晴れるとそこにいたのは先ほどとは違う姿であった】
【どうやら、表面が多少こげている、ダメージの表れだろう】

ライトニングッフィーールドッ!!

【その言葉と共に右手を握り締め拳を地面に叩きつける】
【その時、拳から雷を放ち地面を這わせる】

そこは射程範囲だ!!

【雷光が走る】
【それは360°全域を同時に攻撃する】
【大地に足をつけている限りこの技を回避するのは困難だろう】
397 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/16(土) 22:36:51.86 ID:ot1GRGLYo
>>396
【空中に飛び出す魔術を持たない男がその電撃を避けることはできなかった】
【地面から足へと絡み付き、下半身を這い上がった電流に彼の身体は一時的に痺れと内部を焼かれる痛みに支配された】
【男はその苦痛に眉をひそめた】

面倒な……!

【男は忌々しげに舌打ちをすると、痛みでノイズの走る思考を纏め上げ自分の目の前の地面に魔翌力をかき集めた】
【接近戦に持ち込むことは彼にとって不本意ではあったが、電撃の影響で足が動かなかった】
【もっとも彼は近づかれようとも負ける気はなかった】

【先ほどよりも強く集められた魔翌力は地面を赤黒く変質させる】
【春斗が真っすぐ接近してくるのであれば、それに合わせて地面から炎の柱を出すつもりだ】
398 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/16(土) 22:46:05.38 ID:lmAvtvpbo
>>397

なぁ、やめにしようぜ。

【そう言うと春斗は溜息をつく】

俺も黙っててやるからさ、な!!

【そう言うと何の警戒もせず直進する】

タイプチェンジッ!!

【違和感を察知したのか再び光に包まれる】
【そして、赤黒く変質して地面に足を置いた】
399 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/16(土) 23:02:32.35 ID:ot1GRGLYo
>>398
【春斗がその領域に侵入したとき、地面は沸き上がり押し止められていた魔翌力が炎の潮流となって吹き上がった】
【単なる爆発とは違う威力を持ち通常の人間であれば簡単に殺傷できる魔術】
【しかし男はそれで仕留められるとは全く考えていなかった】
【初めの爆発を防いだ状態と電撃を放った状態は違っていた。相手には防御重視と攻撃重視の状態があると男は考えていた】

(恐らくこの爆発に対して防御重視の形態をとるだろう。ならばそこに更なる火力を集中させる)

【魔術を発動させるともう一度飛び退き、今度は手元と前方の空間に魔翌力を集中させる】
【魔翌力は幾何学模様を描き、空中に仄かに光り輝く円陣を生み出した】
【男は円陣の中心に向けて手元の魔翌力を突き出した。集めた魔翌力が先ほどよりも更に大きな炎と化して春斗へと差し迫った】
400 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/16(土) 23:10:58.48 ID:lmAvtvpbo
>>399

悪いが、炎の段階で相性が悪いんだ……

【そこに立っていたのは、燃える炎のように赤い異形であった】
【どうやら、爆発で発生した炎を吸収したようだ】

プロミネンスッインパクトッ!!

【その言葉と共に拳を何も無い空間に放つ】
【すると、そこから炎の拳が直進する】
【通常の人間であれば消し炭すら残らないであろう】

じゃあな!!

【そして、炎と炎がぶつかり相殺される】
【その瞬間に大きな光が発生し、その隙に春斗は移動屋台を運ぶ】
【そう、この男は逃げるのだ】

あばよ!!

/リヒャルトの人乙でした!!ちょっと用事があるのでこの辺で落ちますねー
401 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/16(土) 23:13:56.56 ID:ot1GRGLYo
>>400
/おつかれさまでしたー
402 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/16(土) 23:14:31.47 ID:VppCz8hL0
【どこかの路地裏】

【獣の臭いが充満するこの路地裏……予想し得ない存在が、ここに居る。】

【ここはならず者とそれを狙う人間と、極稀に彼らを正す人間が集う場所だ。】
【その環境は言うまでもなく酷い。治安という意味では最低だし、街灯はもう殆ど付いていないし、……兎に角汚い。】
【だからどんな人物が居ても可怪しくないのは、それはまあ正しいことなのだが……しかし、どうだろうか。】

……グガァ゙ァ………

【どうやら腹が減っているらしく、その声も何だか弱々しい様に思える何か。街灯が届かない位置にいるのなら、月明かりが彼を照らし出す―――、】

【身長約165cm。直立二足歩行。パーカーとズボンの人間と変わらぬ簡単な身形だが、均等に隆起した筋肉は窮屈そうに見え、サイズが合っていない事が分かる。】
【ギラリと何かを鋭く見つめる瞳は紅。獣人と言うだけあって、"歯"ではなく全てを噛み千切る"牙"であるし、"爪"ではなく全てを引き裂く"鉤爪"。】
【然し彼の姿で最も特徴的なのは―――両肘から指先の方向に向けて伸びる、毛色よりも深い黒鉄色の……"刃"、であろう。月光に反射して煌めく辺り、相当の切れ味だ。】

【怪物は、大型のゴミ箱を漁っていた。いつの物かも分からないビール缶を取り出したなら、そのまま噛み砕いて食らう―――、】
【食事の仕方は、獣。やはり汚い。今度はもう使い物にならない廃材か、30cm四方の鉄板を見つけ出しては、矢張り同じ様に食らう訳だ。】
【しかしゴミ箱は四次元ポケットでも何でも無く、彼が食えそうな物はゴミの中の極一部。……当然、彼の腹はそれだけでは満たない。】

【だが……不意に彼は、"丁度良い所に"―――そう言わんばかり、歪んだ笑みを浮かべて。】
【目線の先には、怯えて腰が抜けてしまい動けなくなった、若い男が、一人。路地裏に良く居そうな、チンピラだろうか。】
【ジュルリとヨダレを垂らしながら、彼は近づいて行く。……まあこの感じ、その目的は誰にでも分かるはずだ、何事も無ければ、恐らく――。】

【しかし不幸中の幸いというべきか、その歩くスピードは遅かった。十秒かそこら、この獣を制するには時間がある。】
【その辺の小石を一生懸命投げつけたとしても、鋼の肉体はビクともしないだろうが―――しかし、興味を惹くことなら叶うはずだ。】
【若い男は声も出ない。後退りはするが、抵抗の意思は見られない。……どうあがいても絶望なのだということは、理解している様だ。】


/一時ぐらいまで募集してみます〜
403 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/17(日) 00:43:41.10 ID:ho1u5Z+h0
>>402
【銀色の月明かりが暗闇を照らす深夜。滅多に人も現れるはずはない路地裏に、これまた存在しないはずの存在が、路地裏へと顔を出した】
【身長はこれといって高くもなく、低くもない。服装はスーツを着崩していて、髪は黒くボサボサ気味で、ヘアピンを付けている。外見は30〜40代だろうか。いわゆる、「どこにでもいるような」出で立ちだった】
【しかしそれは、何やら異様なまでの「存在感」を放って居て━━━━━現にヘアピンに刻まれた、機関の「H」のマークがそれを体現している】

【彼は獣を見るや、驚いた反応をした後、何やら「楽しげ」な顔をして、その場に立ち止まった】
【壊れかけて明滅を繰り返す電灯に照らされ、彼は一際存在感を増す。】
【彼は青年を助けようともせず、その獣の様子をただ傍観しているだけだった。しかしその独特な存在感は、獣を振り向かせるに足るものかもしれない】
【妙に楽しげな高いテンションで、独り言のようにその「獣」に向けて呟いた】

「いいーじゃんッ!なかなか楽しそうじゃなぁい?」

【と、その時。静寂を打ち破る、乾燥した着信音が男のポケットから鳴り響く】
【彼は不服そうに無線機を取り出し、その主と会話を始めた】

『VISOR、任務は途中だぞ。妙な行動は起こすな』
「わかってますよォ、ただ面白いものを見つけましてねえ」
『面白いもの?』
「「獣人」ですよぉ、獣人!しかもこんな路地裏で!こいつは高い金になるでしょぉ?そんな弱小企業との契約よりは余程の利益が……」
『お前が為すべきは任務だ。それを忘れるなよ』
「相変わらず仕事には律儀だねぇ!ギャハハハハ!あ、切るよー」

【一連の会話の後、通話を切る。内容はまるで「ふざけている」としか思えない━━━━━】
【しかし、目の前の獣に対しての敵意と、それに足る実力とそれに伴う自信があるのは明確のようで】
【無線機の電源を切り、ポケットへと捩じ込む。獣へ向けた顔は、狂気的に歪んだ笑みを浮かべていた】

「さぁーて、じゃ、いっちょ行きますか!」

【ポケットに手を入れたまま、獣へと歩み寄る。その姿は余裕に満ち、まるで人を━━━━人ではないのだが━━━━━小馬鹿にしている様にも見えた】
404 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/17(日) 01:02:08.02 ID:w6eg89ZC0
>>403

『……た、た……すけ………、』

【その存在に真っ先に気付いたのは獣人ではなく男の方だった。藁をも掴む思いで、助けを乞う……しかしまあ、声が上手く出ない。】
【それに彼の通話の内容を聞けば、自分を助けに来たのではなく―――「獣人」を目標にしていると分かったのだから絶望、】
【否、良く良く考えれば、彼が無事この怪物を捕獲出来たのなら自分は間接的に助かるか……まあ、密かに応援でもするしかないのだが。】


…………ク゛ォ゛ァ゛ア゛ァ゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ア゛ァ゛ア゛ッ゛ッ゛ッ゛!゛!゛!゛!゛!゛

【高いテンションで響く声は、当然獣人の耳にも入る―――やがて向けられる紅の瞳は、彼の実力を確かに読み取った。】
【故に、すっかり動けなくなった男を捨てる。ターゲットは確かに切り替わり、……激昂の咆哮を放つ。】
【"邪魔をするな"……そういうメッセージが込められていたのだろうが、普通の人が近くで聞けばそれだけで危険、】
【単純に音量が凄まじいのだ。彼との距離感であっても、耳を塞ぐなどしなければ一時的な聴覚障害に陥るか――、】

【……そうこうしている間に獣人は襲い掛かる。狂気に歪んだ彼の笑みを、真っ二つに引き裂かんと右手の鉤爪で……、】
【―――疾い。はち切れんばかりの筋肉から織りなされる速度は、正に異常、一般的な人間であればそれを"一瞬"と呼ぶのだろうが、】
【その通り、先の咆哮に気を取られて警戒を怠っていたのなら、間違いなく即死――顔をズタズタに引き裂かれてしまう事だろう。】

【しかし、その疾さは単純に彼と自分を結ぶ最短距離を進んだが故……直進だ。複雑な軌道を経た訳では、決して無い。】
【ならば、その速度にさえ付いて行けたのなら、対処するのはどうっていう事はない―――小馬鹿にした彼の態度も、然しながら消えるだろうか。】

405 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage shaa]:2014/08/17(日) 01:22:28.52 ID:ho1u5Z+h0
>>404
【獣は飢えた顔をより不機嫌なものにしながらこちらを振り向く。もちろん彼は、奥の死にかけの青年は視界に入ってすらいなかった】
【ただ「金になるから殺そう」ぐらいの感覚だった━━━━今この瞬間までは】
【やがて獣は巨大な、文字通り耳をつんざく程の咆哮を発する。彼は反射的に耳を押さえて、襲い来るであろう獣の攻撃に警戒態勢を取った】
【瞬間。ほんの一瞬だった。視界の右から迫る、銀色のモノ。━━━━━「危険だ」】
【彼がそう感じ、身を引いたと同時に……視界の前を、凶器の爪が通過していた】

【その一閃を辛うじて回避した直後、獣から有る程度の距離を取り、構える。】
【その表情からは「余裕さ」こそ消えたものの、狂った様な笑顔とテンションは未だ消えなかった】

「━━━━━へぇ、なかなかやるじゃない?それなりにはさ」

【耳障りなほどに快活な笑い声を上げた後、彼が獣に向けたのは……「左腕」】
【突然、彼の腕の「肌」の部分━━━「上部装甲」が剥がれ落ちた。腕の内部が剥き出しになり、その全貌が明らかとなる】
【「機械」だった。腕部の機械骨格を中心に、六発のミサイルが取り囲むように装填されていた。】

「……ま、やるんならマジでやろうかぁ?ギャハハハハッ!」

【六発のミサイルは、腕部から次々と発射される。】
【各機は唸り声を上げ、沈黙させるまで目標を狙い、曲線を描いて飛ぶ。】
【しかしそれは小型ゆえ、その速度であれば獣ほどの疾さがあれば振り切ることも可能かもしれない。威力もさほどではないが、流石に全弾命中すれば無事では済まされないだろう】
406 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/17(日) 01:41:07.67 ID:w6eg89ZC0
>>405

【鉤爪に伝わるはずの感触がない――避けられた、という事だろう。ギッと彼の行動を睨み離さない……機嫌は、更に悪くなった様だ。】
【左腕からミサイル6発……しかし速度は怒れる獣人が上回った。サマーソルトで先ず1発を撃墜、流れる様な上段回し蹴りで2発を破壊、】
【殴って2発を殺し、最後の一発は―――"掴む"。これが爆発し得る何かであるという事は、流石に理解しているのか……、】


………カ゛ァ゛ア゛ア゛ァ゛ア゛ア゛ッ゛ッ゛!゛!゛!゛

【獣人はそのミサイルを丸でハンドボールの如く扱う。寸前で2mか3mか跳躍し、そのまま彼に目掛けて投擲する――、】
【時速130kmはあったか、やはり異常なスピード、狙いも腹に正確……彼に激突した所で爆発するかどうかは分からないが、】
【単純に金属の塊をその速度で投げ付けられたのなら危険だろう、……しかし獣人の勢いは、まだ死んでいない、】

【……跳躍したまま、もう一度襲い掛かるのだ――今度は頭上から、伸し掛かる形。何か対策を取らなければ、】
【恐らく100kgはあるであろう体重に耐える事になる。そのまま体勢を崩してしまったのなら、ゲームオーバーだ。】


【――たった2回の攻撃、しかしながらこの獣人の、"癖"の様な物………もう、分かったのではないだろうか。】
【喰らえばどれも死に至る可能性さえある程、一打一打の威力がとにかく高く、加えて異常な俊敏性を持つ、………だが、】
【そこに複雑な動きは、何処にもないのだという事。スローモーションで見れば、走って近付き攻撃、それだけ、】

【……この穴は、極めて大きい。この獣人の行動の一手先を読むという事は、知性のある人間に対するそれとは訳が違う、】
【場数を踏んでいない素人が観戦したとしても、読めてしまう事だろう……単純に「顔を向きが、これから直進する方向」なのだから。】

【予め来ると分かっていたのなら、対処にも余裕が生まれる……そしてその余裕によって、カウンターを仕掛ける時間が出来る。】
【伸し掛かるというのは、極めてリスキーな行動。迎撃が叶えば自分の体勢は極めて不利になる、……しかしそれを、分かっていないのがこの獣人だ――。】

407 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/17(日) 02:01:47.21 ID:ho1u5Z+h0
>>406
【ミサイルは奇しくも当たらなかった。それどころか全てを防御して行くさまに、彼はより態勢を深める。】
【彼にもそれが、ただの獣人ではないということが理解できたのだろう。元より獣人とはその力を、彼が侮っていただけではあるが】
【それでも高いテンションは崩さず、獣がミサイルを投げ返し━━━━━立て続けに襲って来る様を見て、より一層の笑い声を上げた】

「ギャハハハハッ!ゴミ虫にしてはよくやるよ!ちょーっと単純だけどねえ」

【獣の動きが単調かつ、単純なのは彼も薄々気が付いていた。だがしかし、「今までは」その対処法が無かったにすぎなかった。そう、今までは】
【このような直線的な、先の読める攻撃━━━━━これこそが彼にとっての真骨頂、文字通り「腕の見せ所」なのだ】

《左腕武装解除》

【彼の声ではない━━━━━機械的な、感情の全くない単調な声が、彼の身体から響く。その瞬間、ミサイルの装填されていたはずの左腕は彼の身体から分離し、ガシャリと重い金属音を立てて地に転がった】
【ここから見ても、彼は少なくとも「人間ではない」存在であるらしい。すなわちここは「人間だった者」同士の対戦の場でもあるのだ━━━━━】

《左腕格納ブレード展開》
《パターンD 戦闘形態に移行します》

【瞬間。彼の左腕があった場所から、一本の━━━━━光で形成された刃が伸びていた】

「フンヌッ!」

【彼はそれを、襲い来るミサイルに向けて大きく振りかぶり━━━━両断した。】
【続く獣に対しても同じ動作を行おうと、これまた逆方向に振りかぶる。光のブレードは、まともに直撃すれば大ダメージは免れない……そんな威圧感を帯びていた】

408 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/17(日) 02:23:39.20 ID:w6eg89ZC0
>>407

【男は的確に獣人の動きを読んだ………獣人の疾さに翻弄される事無く、頭を回転させ敵の弱点を見破った。】
【襲い掛かってくる事が分かっていたのなら、カウンターを仕掛ける事は容易……光で形成された刃、】
【優れたオモチャにも見えなくはないが、しかしミサイルであった物を両断している事から、その切れ味は――、】

【……直前で獣人も気付いたのだろうが、遅かった。伸し掛かると決めた体勢は変えられず、空中に居たのだから思う様に身体を動かせない、】
【それでも、致命傷には至らない程度にしたのは流石の反射神経だが……袈裟斬り、獣人の身体大きく斜めに線が走った。】
【着地し、振り向いて彼の方を見るが、……こうも斬られれば全身に力が入らず、ダメ、らしく………そのまま睨むしか無い様子。】
【ならば決着、これからは一方的な展開が繰り広げられる、……もしかすると彼もそう予感したのかも知れない、が――、】


………また負けカ。……お前、もっと頭使えヨ………まア、それもこれモ、経験なんだけどナ。

――よウ。中々お前、強いナ……あア、Numbers……それも、9番カ、……ほウ。
この前会ったのが、29番だったカ、………なるほド。―――……あア、
俺ハ、コイツの飼い主ダ、……よろしク。……悪いガ、金で譲る気はねェかラ、………――

【静寂が、破られる。"突然"という表現が正に適切―――火花が散るパチッという音がいきなり鳴ったかと思えば、もう一人の影。】
【……こちらは明らかに"人"だというのに、黒いタンクトップから浮き上がる凹凸は、その獣人と肩を並べ――、】
【武道を志す者なら誰もが憧れると言っても過言ではない、完璧な肉体。更にブロンドで短く揃えられた髪と、蒼い眼、】
【まあそれらを見ずとも、彼が話す独特のイントネーションで外国人と分かるだろうか、――………恐らく、だが、】
【隠しきれていないこの、存在するだけで息が詰まる様な異常な威圧感が出せるのは、……"そういう事"を仕事にしているから、か。】

【そういう人間が飼い慣らすペットも、やはり規格外で―――チワワやらダックスフンドやらでは、満足しないのだろう、】
【それにこの言葉は"ハッタリ"では無く……確かに、黒鉄色の毛を撫でられ傷の具合を確認されるその獣人は、丸で犬の様―――。】
【人の姿を見れば激昂して、即座に襲い掛からんとする本性は彼も見た筈だが……そんな気配、一切なく。】


……そーダ、お前今さっキ、誰かと話してたロ。 "任務"……俺の耳にはそう聞こえたガ?
―――手伝ってやろうカ。9番に貸しを作っとくのモ、悪くねェと思ってナ、……ハハ、ハハハハ………

【そして尋ねられるのは……一体何処で聞いていたのか、先程の通話内容をこの男は耳にしていたらしく、それで変な提案、】
【獣人の登場によって一度中断されたその任務というのに、力を貸してやろうかという物……下心は、当然あるようだが――?】

409 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/17(日) 02:52:23.96 ID:ho1u5Z+h0
>>408
【光のブレードが振り抜かれる。そしてその途中に感じたのは、手応え。少なくとも手応えはあった。】
【地面に倒れ伏す獣に警戒を抱きつつも、「大丈夫」と判断したのか。落ちた左腕を再接続して、上部装甲━━━肌の部分を展開する】

「あっれぇ?こんなもん?残念……ま……殺すことに変わりは無いけどねっ!ギャッハハハハハ!」

【そのような余裕さえ浮かべて呟き、近寄ろうとしたその時━━━━━】
【突如響く、人の声。こちらは完全な「人」らしい……こいつか、操っていたのは】
【倒せる自信はあったがなるべくなりとも警戒し、一歩身を引いて、その人間の話を聞く】
【彼は「人」から発せられる威圧感に警戒を抱きつつも、圧倒まではされなかった。これもまた、彼がそのような仕事についているから、というのもあるだろうが】
【しかし彼はそんな様子を見せず、あくまで警戒心は心の内に、目の前の人間と対話する】

「こいつはお前の差し金かい、ルーキー?ギャハハハハハ!……「人間にしては」よくそいつを飼いならしたねえ、元々期待はしてないけどさっ!」

【と。高いテンションに狂ったような笑い声を上げ、同じように飼い主に話しかける。】
【その後。男性の持ちかけに対しては、少しだけ眉をひそめて】

「手伝う?……そりゃ無理だ。残念だけど。報酬も減るし、何より━━━━━」

【ここまでのふざけた口調とは一転して、一気に現実味を帯びた。真面目な低い語調となって】

「━━━━俺の「キャラ」じゃないしね」

【その一言は何やら途轍もない「重要な」響きが含まれているように感じるかも知れない】
【それは彼の。「VISOR」の生き方に、大きく関わるものなのだろう】

「……興ざめだ。今日は撤退する。また何処かで会おうか、「人間」」

【真面目な口調で背中を向けて、ニヤリと不敵な笑みで後ろを振り向き、そのまま去って行く】
【歩いている途中で、またもや無機質な、無線機からの着信が鳴った】
【彼はまたもや不服そうにそれを受け取り、会話する】

『また破損か?VISOR。』
「ちょっともたついてただけですよぉ!また今度仕留めるからー」
『その今度が何時になるかな。お前の弾薬費用が契約金よりも多いとはどういうことだ』
「ハハハハ!まあなんとかなるでしょ?」

【彼はまたもやマヌケな、楽観的口調に戻って会話をしながら去って行く。先程の真面目な語調が嘘のように】
【きっと。気付けたかはわからないが、先程の「真面目な」面が、彼の本当の姿なのかも知れない】
【その真実は、彼の胸の中にのみ隠されているのだろうか━━━━】


/眠気が酷いので、この辺で終了にします
/お疲れ様でしたー
410 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/17(日) 03:08:34.61 ID:w6eg89ZC0
>>409

……興ざメ? ……なァんダ、お前、案外つまんねェ奴だナ。………見損なったゾ、カノッサのくせニ……、
まア、良い。別ニ、要らないなラ、要らないデ、いいんダ、……来る者拒まズ、去る者追わズ。

【トーンが一転、傍から見れば不愉快にも思える狂気の笑い声を上げていた人間が、不意に顔色を変え――、】
【しかしこの男もこの男、それに怖気づいてどうこうしないという所か寧ろ、"つまらない奴"と笑って。】
【去って行く背中を目で追いそれも闇に消えてしまえば、グッタリとした様子の獣人を軽くヒョイと持ち上げる。】
【――不意にバチッ、と再び音がこの路地裏に溶ければ、もう誰も居ない。残るは火花の残香、それだけ………、】

【「……化けの皮ハ、いつか剥がれるモンだゼ?」と何処かで誰かが呟いた一言。しかしそれも、誰にも聞かれる事無く消え失せる―――。】


/楽しかったです、お疲れ様でした! またお願いしますー!
411 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/17(日) 22:41:15.03 ID:w6eg89ZC0
【路地裏】

……引ったくり3件と、万引き7件……被害総額、300万………まあまあ取っとるけど、……
そんなんで人生棒に振ってええの?……もったいないやん、カノッサなんか辞めて普通に働いたらな、
警察にもビクビクせんでええし、金もちゃんと入るんやから……―――な?

【―――たった1人の少年の若々しい声が、この路地裏に響く。余りに純粋な音色、この場には不釣り合いにも思えて、】
【内容はどうやら説教。一枚の紙に軽く目を通しながら……とても独り言には思えない、と、思えば、】
【やはり足音は2人分。少年の後ろにもう1人、男の影が浮かび上がる――この少年よりも、一回り大きい。】

【話の内容から、二人の関係は理解できるだろうか。恐らくは"カノッサ機関"に所属している男、】
【ひったくりやら万引きやら、そういう犯罪を犯し、そしてこの少年に御用となった……そんな所。】
【手錠を掛けて、着いてこさせる形。少し警戒が甘い様にも思えるが――しかしこれも、計画の内、】
【"信頼する人間もいる"のだという事を机上ではなく地で行く事で、……更生へより働きかける事が出来る、のだろう。】

【……手錠を掛けられてしまった男が、どんな顔をしているのかは闇に包まれ、見る事が出来ない。】
【しかし少年の立場は、どう見ても明らかで―――声といい顔といい、純然たる正義に生きているのが良く分かる。】
【全ての人間がそうであれば、この世界も大きく、180度違っていたのだろうが……実際は寧ろ逆、】
【だとすれば、続けて語られる少年の稚拙な説教も―――少し、虚しく無駄に感じられる物で。】

/予約です〜

412 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/17(日) 22:57:21.94 ID:AdGESnN1o
>>411
【二人の進行方向には一人の若い男がいた】
【その男は装備も何もなく無防備、しかしそれでいてこの路地裏にいることが『自然』だと感じさせる雰囲気を持っていた】
【男は薄ら笑いを浮かべて壁にもたれていた】
【そして二人の姿が見えると、彼は乾いた笑い声をあげた】

今となっては中々珍しいガキじゃないか
まさか警察のまねごとをするやつが、こうも物珍しく映るようになるとはな

【男は噛み締めるようにゆっくりと言った】
413 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/17(日) 23:14:42.00 ID:w6eg89ZC0
>>412

………まあ確かに、じゃあ1年働いて300万安定して稼げるんかって聞かれても、……何とも言えんけど。
せやけど、……ほら、刑務所おる間は働けんやろ、………結局は……――――ッ……!!

【少年は振り返らない……振り返ること無く、不安定な弁論を続けるのだ。足音は聞こえるし、気配も感じられる、】
【だから大丈夫だと、―――嘘偽り無く、少年は信じていた。しかし不意に少年の言葉がそこで途切れたのは、】
【もう一人の存在故。足を止め、右腕で犯人を制する――少しずつ下がって、相手と距離を取る。】

【連行中の男以上に警戒しているのは、当然の事。……少年に対する挑発で、カチンと来た訳ではない、】
【その男の、壁にもたれる立ち振舞い……危険なこの場にいるにも関わらず、一切の武装をしていないその様子、】
【―――読み取ったのだ。通りすがりの、ただの男ではない、と。少年の瞳の色も少し鋭くなったのだから、見れば彼にも分かる。】


……なんや。………用があるんやったら、…………―――。

【先ずは自分の背後に居る男の保護へ移る。……ただ挑発するだけの為に、態々自分に話掛けてきた訳ではない筈だから。】
【……"用があるなら、早く言え"。今までの説教のトーンとは異なる声を少年は静かに紡いで、】
【眼の前の男の瞳をギッ、と睨む。……ただ、年齢と言うのはどうやっても誤魔化す事は出来ないもので、】
【客観的に見ればやはり、その双眸には、言葉には出来ないがどこか、あどけなさが残っていた事だろう――。】

414 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/17(日) 23:32:41.03 ID:AdGESnN1o
>>413
【その男は少年の警戒を肌で感じ取った。しかし不気味な笑みは崩れない】
【それどころか少しずつ、しかし着実に笑みは男の中の感情と共に大きくなっていった】
【そして少年が男を睨みつけると、彼は堰を切ったように大笑いを始めてしまった】

やめてくれ!!
俺を笑い[ピーーー]つもりか!?

【男はもたれていた壁から離れ、腹を手で押さえながら顔を上や下に向けたりもう片方の手で顔を覆ったりして、笑い声を路地裏中に響かせた】
【ここ最近出くわしていなかったお人好しや正義の味方といった人間と久々に出会えたこと】
【そしてその出会った人間が自分が思う若い善なる人間そのものであったこと】
【その二つが男は愉快でたまらなかった】

まさかとは思ったがここまで典型的だとは思わなかったぞ!!

【遂に男は両腕で腹を抱え始め、そんな調子で数十秒笑い続けた】

【ひとしきり笑い終えると、男は目元の涙を指で拭いつつ息を整えた】

ここまで笑ったのは久しぶりだ
さて、どうしてやろうか……?

【未だに残る感情の余韻に、男は次の行動を考えながらも時折、押さえきれない笑い声を漏らしていた】
【あまりにも久々に出会った格好の獲物を前にして、男は簡単に襲うことすら勿体ないと感じていた】

そうだなぁ……
笑わせてくれた礼としてお前の手伝いをしてやってもいいし……
今まさにお前が期待している通りに、お前とその後ろの男を火にくべてもいいな
お前は、どっちがいい?

【男は初めのときのように壁にもたれると、初めのとき以上の愉快げな笑みを浮かべながら少年に尋ねた】
415 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/17(日) 23:51:30.39 ID:w6eg89ZC0
>>414

………ッ…………!!

【数十秒にも渡って響く笑い声……自分の見た目が、"ガキ"にしか見えないが故の、大笑い。】
【身長がもう10cmもあれば少しは見え方も変わったのだろうが……、自分でも分かっていた、まだ子供だ、と。】
【故にコンプレックスではないと言えば、嘘になる……そんな背景の中、彼を見て憤りを覚えず振る舞える人間が、居るだろうか。】

【―――噛み締める唇と瞳を見れば、少年の心理状態は手に取るように分かる。……キレているのだろう、と。】
【しかし、……しかし、だからと言って怒りに任せて殴る様な事はしない。ただじっと、拳を硬く握りしめ耐えるだけ。】
【挑発で相手の思考を遮断させる手段は、特に1対1の戦闘で自分も良く使う……"罠"である可能性があるのに、】
【それを分かっていて自らハマる訳には行かない……怒りに身体がプルプルと震えだすが、それも必死で抑える――。】


……分からんか。お前みたいな奴、おらんのが一番助かるんや。
別に、用はないんやろ、……何もせんでええ。―――俺から、失せる。

【少年はもう彼の瞳を見ない。……背後の男に「行くで」と手短に声を掛ければ、そのまま立ち去ろうとするのだ。】
【その語調は、怒りを隠し切れていなかった……だが結果的には、"耐え抜いた"という事になるのだろう。】
【カチン、ときている表情は誰が見てもそうだと分かるが、しかし彼に手を出す事はない……、】
【……だがこれもまた、正義に生きる人間の典型な例だろうか。だとすれば、もう少しちょっかいを出してみるのもまた―――。】

416 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/18(月) 00:00:00.81 ID:AdGESnN1o
>>415
【立ち去ろうとする少年を見て、男は更に笑みを深くした】

なるほど、“そっち”を選ぶか
俺の期待がよく分かってるじゃないか

【男はそう言うと、指を鳴らした】
【それを合図に少年たちの行く手を阻むように通路を埋める炎の壁が出現した】

さぁ、武器を構えろ。魔術師ならば魔翌力を集中させろ
戦うことを選んだ以上、簡単に死んで俺を失望させるなよ?

【男は壁にもたれたまま戦いの開始を告げた】
【しかし男は武器を構えず両腕を組んだ。少年の準備を待つために】
【相手に急襲される可能性も自覚していたが男の自信と余裕がそうさせていた】
417 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/18(月) 00:15:50.69 ID:PYSxtBE10
>>416

………ッ………!! "手伝う"言うたやん、………!!

【行く手を阻む炎の壁。それは当然、彼が自分に対して向けた宣戦布告に他ならない。】
【いち早く反応した少年は、下がっておくよう連れに指示を出し、透かさず男に接近する―――、】
【何より護らなくてはならない人間が一人いる、というのが厄介。長期戦に持ち込むのは、マズいのだ……、】

【ならば強引にでも彼を無効化しなくてはならない。……先手を取ったのは、恐らくは少年だった。】
【駿足で駆け抜け一気に接近し、寸前で跳躍したなら体の軸を回転、そのまま蹴りを放つ……、】
【狙いは丁度首の辺り。喰らったのなら、普通の人間であれば気絶する様にしてあるが―――、】

【しかしこの一連の動作を見ただけで、この少年は"ままごと"で闘っているという訳ではないと言うのは、分かるはずだ。】
【幾多の死闘を潜り抜けなければ成し得ない極めて洗練された動き……そこに"あどけなさ"は、一切無い。】

【手錠をはめられたままの男は、物陰にひっそり隠れる。……もちろん少年が勝つのが望ましいが、】
【あの男が勝っても、最悪命乞いをすれば許して貰えそうなタイプだと勝手に決め付け、ならば自分の安全確保が第一、】
【この戦闘には手を出さないらしい―――もっとも、介入出来るだけの能力も無い訳だが。】
418 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/18(月) 00:23:03.95 ID:LkBp0rNzo
>>417
【少年の素早い動作に男は驚きの表情を作り、お、と声をあげた】
【少年の反応は男の想定外だった。彼の中には完全な油断があった】
【しかし、その驚きは男の動きを阻害するほどではなかった】
【彼は一歩下がり上半身を逸らしただけで、蹴りを避けた】

なんだ、思ったよりいい反応じゃないか
これはいい……!

【思ってもいなかった少年の強さに男は嬉しそうに言い、笑った】
【両腕を下ろして更にもう一歩引くが、少年への攻撃はなかった】
【彼がどのように戦うのか、男はまだ見るだけのつもりでいた】
419 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/18(月) 00:34:56.12 ID:PYSxtBE10
>>418

―――………な………ッ……!! 
 
"殺し合い"で遊んどったら、痛い目遭うで……ッ!!!

【何よりも避けられた事が意外だった。自分が何百回も何千回も、何万回も繰り返し人間に放ってきた蹴打を、上半身一つで。】
【炎の壁を操り、かつ反射神経にも秀でた相当な実力者と見たが、しかし攻撃の手は決して緩めない――、】
【着地した瞬間、身体の勢いを変え再び彼に接近する……今度は殴打を放つ。腹、鳩尾に狙いは正確だ。】
【それも躱される様であれば、身体の流れを殺さないままにサマーソルト。狙いは顎、脳震盪させるつもりだろう。】

【……この闘いを殺し合いと称したのは……間違いなく少年の方だった。例えば"闘い"や"戦闘"ではなく、】
【態々"殺し合い"という言葉を選んで口に出したのは、一体どういう理由か。―――多くは語られないまま、彼は回避に尽力する事になろう。】

420 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/18(月) 00:52:23.93 ID:LkBp0rNzo
>>419
【殴打は腕で払い、続くサマーソルトは顎と足の間に両腕を挟む】
【しかしその威力を殺しきることはできず腕ごと顔が跳ね上げられ、そのまま後ろに僅かにふらつく】

本当に思ったよりやるじゃないか
やる気があるところ悪いが、こっちにとっては殺し合いにならないのでな

【言葉とは裏腹に男の表情から余裕はなくなっていた】
【素早い連撃は目の前の子供が戦闘に関しては見た目通りではないことを男に知らしめていた】
【男が片手に魔翌力を集中させると炎が現れ槍の形に押し固められる】
【そしてそれをそのまま少年に向けて真っすぐに突き出した】
421 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/18(月) 01:09:57.79 ID:PYSxtBE10
>>420

………おわ……ッ………、あっつ…………

【ただでさえ蒸し暑いこの路地裏、炎の槍が登場した事で体感温度は一気に上昇する……額から、汗が零れ落ちる。】
【男の予兆、魔力を片手に集中させる瞬間があったのだから、少年は距離を取って構えていたから問題はない、】
【しかしただの槍ではなく、炎の槍と言うのは厄介だ……触れるだけで、ダメージとなり得るのだから。】


―――………しゃあない、……こっちも秘密兵器の出番や、………

【睨み合い、このままでは埒が明かない……少年は後方に歩き距離を取りながら、ポケットをゴソゴソと漁る、】
【秘密兵器というのだから何が出るかと思えば――、テレビドラマでも良く見るような、ごく一般的な拳銃。】
【恐らく、おまわりさんごっこをしている人間全員に、標準装備されている物……少なくとも見た目は、そうだった。】

【カチンとセイフティを慣れた手つきで素早く外し、左手に持ち替えれば彼の丁度、脳天に目掛けて銃口を構える。――刹那、】
【「ダンッ!!」……と銃声に似た爆音が聞こえる筈だが……しかし火薬の臭いもしなければ、なにより弾が何処にも転がっていない。】
【この事実をどう見るかは彼の自由だが……その暇も余り作る事無く少年は繰り出す―――初動は始めの攻撃に良く似ていた。】

【やはり中々の速度で接近し、彼の寸前で跳躍する、……身体の軸を回転させ、槍を躊躇わず同じ様に蹴打を放つ―――、】
【ただ、全く同じ訳ではないのは、――銃声。少年の身体が1回転した位のタイミングで、この路地裏に響いたのだ。】

【……しかし今度は、火薬の臭いがする。当然、銃口から弾が発射されたのだ――狙いは彼の右足、太腿の辺り。】
【蹴りは同じ様に上半身を逸らすだけで回避できるが、拳銃の方はどうだろうか……余程警戒していなければ、厳しいか。】

【最初の、謎の銃声は――少年の、「声」による物だった。それに気付くか気付かないかは別にして、】
【重要なのは、この拳銃に似た物を、彼が"拳銃だと信じたか"どうかという事――、少年は今ままごとの途中、】
【ならば拳銃だって、モデルガンは持っているかも知れないが実弾を発砲できる物は持っていないだろうと、そう踏んだのなら……、】
【少年の罠にまんまとハマった、という事になる。つまり眼の前の敵を、依然子供だと見做していたのなら襲う銃弾―――だ。】

422 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/18(月) 01:23:52.95 ID:LkBp0rNzo
>>421
【槍の一突きが回避されるとそれは魔翌力へと戻って大気に霧散した】
【そして今度は足下の地面に魔翌力を集める。それはひび割れたような赤い光として現れた】
【その魔術が完成したとき、少年が銃を取り出すのを目にした】
【男はその不可思議な動作に眉をひそめた。銃を取り出しすぐに撃たないのはあまりに不自然に映った】
【その不自然さを無視するほどの油断は既に男の中から取り払われており、かつ彼はそれに意味がないと考えるほど愚かでもなかった】

【自分の寸前での敵の跳躍。最初と同じ動作は更に警戒心を煽り、その段階で男もまた後ろに向かってすぐに跳躍した】
【銃声が聞こえると同時に地面に仕掛けた魔術を発動。集まっていた魔翌力は解き放たれ小規模の爆発を起こした】
423 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/18(月) 01:43:31.38 ID:PYSxtBE10
>>422


―――…………ッ!!

【……勢いに任せた作戦、回避の事は十分に考えられず、寸前で身を逸らしたが脇腹辺りに爆破が襲う、】
【火傷と同時に爆破によって飛来した石の破片が突き刺さる―――見れば分かる、相当なダメージだろう、】
【しかし痛みに唇を噛み締めながら、少年はフラフラとしながらも倒れる事は無い……突き刺さった破片をそのまま抜き取って、】
【その場に捨てる。もう今までの様に身体を動かす事は出来ないだろう――拳銃を離さず持っていたのが、唯一の救いか。】


……笑うだけ、あるやん………せやけど、まだこれ、5発残っとるんやで、………
………俺は、人差し指引けば弾出るんや、………一瞬で、な………

―――なあ、……引き分け、っちゅう事にせん……? 見逃したるわ、"公務執行妨害"………

【相手の実力は本物だった。自分の事を、笑うだけある……しかしと言うか、だからこそと言うか、少年は"中止"を切り出した。】
【これ以上の戦闘はもう止め、その代わりに自分はこの銃を発砲する事はないし、彼を罪に問う事もない、……そういう事。】

【こんな事、普段は言わない……最後の最後まで、その瞳には闘志が燃えて揺るがない……のだが、ただ今回は、少し話が違ったのだ。】
【これは"一人の戦い"ではない――連行中の、男の命がある。自分も傷を負った以上、庇う事も難しいだろうと、】
【そういう判断。眼の前の男だって、これから指名手配されて警察やらに追われる身となるのを避けられるのだから、良いではないかと――。】

424 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/18(月) 01:56:25.75 ID:LkBp0rNzo
>>423
【少年の提案に男は眉をひそめ、そして僅かな怒りの表情を露わにした】
【男にとって戦いはこれからだった。そこに中途半端な水を差されたことが男は気に入らなかった】

力はそれなりにあるようだが、知が伴っていないな
銃に警察、それが一体何になるというんだ?

【男は少年の提案を鼻で笑った】
【彼は全くもってそのどちらをも恐れていなかった。恐れているのならこんなことは始めていなかった】

まぁお前が俺の機嫌でも取るんだったら話は別だがな
それとも後ろのゴミが気がかりか?

【男は話しながらも炎の槍を作り出した】
【先ほどのものよりも大きく、輪郭がはっきりとしている】
425 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/18(月) 02:15:13.09 ID:PYSxtBE10
>>424

………、…………。

【"ナメられている"―――そう痛感した。この人間は、自分一人ではなく、自分の同じ立場にいる人間全員を舐めてかかっている。】
【ギャフンと言わせてやりたいと思うのは当然なのだが……しかし少年に、一方的に殴りつけるだけの能力は無く、】
【ならば闘うしか無いのか……ごっこ遊びに興じる人間の強さを、それでも示してやるしかないのか―――。】


……そーか、………かなしいなあ。人がゴミ見えるお前は、………―――。

ご機嫌取りは苦手や、……しゃあない、続けたるわ………ッッ!!!

【……駆け抜け空いた距離を一気に詰める。その間素早く構え2発、右肩、左肩を正確に狙って撃ち――、】
【勢いをそのままに上段回し蹴りを2度放つ。やはり首の辺りを執拗に捉え止めない。】
【そこに、炎の槍が大きくなっているとか輪郭がハッキリしているとか、そういう事を考慮し躊躇う様子は一切無かった。】
【短期決戦で終わらせる――リスクのある行動を取ってまで、相手を鎮圧するのが狙い………男はどう出るか。】

426 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/18(月) 02:26:57.52 ID:LkBp0rNzo
>>425
【『続ける』少年はそう言った。戦いが続くことに男は喜びを感じたが、それは表には出さなかった】
【槍を両手で持ち接近に備える】
【両肩への銃弾は身体を沈み込ませて回避。それは偶然だが蹴りの回避にもなった】
【後ろ足を大きく引き炎の槍を素早く突き出す。首、腹、胸に向けて】
427 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/18(月) 02:43:59.99 ID:PYSxtBE10
>>426

…………ッ………!!

【自分が詰めた距離――回避された蹴りと共に繰り出される槍、至近距離だったが故に全てを回避する事は叶わず、】
【首に関しては何が何でも避ける、しかしその動作が次を避ける時間を殺す……少年の腹、確かに刺さった。】
【唇を噛み締めるだけでなく今度は痛みで反射的に瞳を閉じてしまうまであったが――まだ倒れず。】
【自分に刺さった事で一度静止した槍を、炎の槍を、少年は掴もうとする……"素手"で。】

【もし掴めたのならそれからは力比べという事になる。この少年、服は炎の槍のせいでボロボロに焦げてしまっているが、】
【そこから露わとなる肉体は―――彼の蹴打と同じ。顔や身長や、そうしたこの少年が子供に見える理由らを忘れてしまうかの様な、】
【鍛えに鍛え上げられた、近接戦を得意とする者特有の身体。……それだけ見れば、とてもではないが少年とは思えない。】

【故に、当然、一般男性を遥か超越する腕力の持ち主であろうが、……しかし、今この状態となってはどうか分からない、】
【少年はこの炎の槍を奪って、同じ事を彼に行おうとしているのだが――全身に襲う痛みが邪魔して、どれ程の力が出るかは不明だ。】
【全ては、彼の腕力次第という事になろう……それでも少年の方が優っていたのなら、まだ勝機はあるか――?】


428 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/18(月) 02:57:53.81 ID:LkBp0rNzo
>>427
【槍が突き刺さり、しかし倒れなかったことに男は驚かなかった】
【だがその槍を素手で掴んだことには別の理由で一瞬驚いた】
【そして次の瞬間には笑った】

本当に魔術や魔翌力については無知のようだな!
俺が作り出したものが俺に操れないと思ったか!?

【そう叫ぶと男は炎の槍に魔翌力を走らせ、別の魔術で上書きをした】
【彼はすぐに槍を手放して後ろに跳躍した。そしてすぐに魔術を発動させた】
【槍が一瞬強く光り輝き、その炎そのものが爆発と化した】
429 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/18(月) 03:15:53.48 ID:PYSxtBE10
>>428

【魔力によって創り出した物を、その後も自在に操れるかどうかはその能力者によって異なる事だろう。】
【少年は出来ない人間にベットしたのだが―――ハズレ、その代償として再び浴びる爆発……、】
【強く光った瞬間にそれを手放し、一命を取り留めたが爆発の勢いに負け……遂に少年は倒れた。】


………ッ……ハァ………ッ………な、……なあ……ッ………
……見逃し、たって、………くれ、んか、…………アイ、ツは………
関係な、いやろ、………俺と、は、……何、の………ッ―――

【……立ち上がる事も出来ない様だ。その代わり、治まらない呼吸と共に紡ぐのは――"ご機嫌取り"。】
【自分はこの闘いに敗北した、それは認めるが……自分が連行していたあの男は、関係ないだろうと、】
【そうなのであれば、見逃して欲しい、活かしたまま逃してやって欲しいという事だった。】

【それだけ声にすれば、再び襲い掛かる激痛―――手はどうもなっていない様だったが、】
【腹の刺し傷と脇腹に破片が刺さった際の傷口は、当然治っていない。アドレナリンの分泌も終わる頃なのだから、】
【後は痛みに耐えるだけという事になるのだろうか――蹲って、時折声にならない声を上げながら唇を噛みしめる、それだけしか出来なかった。】

430 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)2014/08/18(月) 09:48:20.17 ID:4yG3mbTj0
【その痛みを、僕は知っている】
【脳を突き刺す痛み、大脳が横に裂けていくような激痛】
【発生していた不快感を痛みと感じたのは数分前】

【いつもどおり、バイトの帰り道のことだった】
【多くの人が様々な行き交う大通り】
【雑踏は目と耳を覆うようなほど強大で、人ごみはあまり好きではなかった】
【「少し帰り道を変えよう」、そう思うことは決して珍しい思考ではない】
【そもそも、新しいものを発見することが好きな自分にとって普段通らない道というものは非常に興味深かった】

【わき道にそれた、裏通り】
【この世界において、この手の道が決してよいものではない事は十分知っている】
【だが、まだお昼時。少し雲がかかってお日様が見えないがこんな時間に危険な連中はそうはいないはずだ】

【その決断を脳内で済ませて道なりに進んだときに、見た】


【真っ赤に血走った目に、鋭い八重歯】
【その整った顔立ちを鮮血に染めた男性を見たのだ】
【日の光に当たらない、日陰で】
【すでに真っ青な女性の首筋に噛み付いて、体液をたっぷりと口内に流し込む人物を】

【―――――本で読んだことがある】
【日の光を嫌い、人の血を飲んで生きていく生き物】

【確か――――――吸、血鬼―――――】


―――――――――。

――――――。

――――。



「な、何で……こ、こんなに……痛ッ!!!」

【そこは真っ赤だった】
【壁もアスファルトも近くを流れる用水路も】
【その場にいる―――――惨たらしい死体とたった一人の少年も】

【肩に届く程度に伸びた白色の癖毛】
【宝石を思わせる紅色の瞳】
【細く線の細い華奢な女性的な身体をした少年】
【白のカッターシャツに黒のベストを身に纏っている】
【両腕には「盾」を思わせる赤い刺青が入っおり】
【首には何らかのタグのようなペンダントがついている】

【腹部や手足を破壊された男性の遺体を前にして、座り込んでいる少年の姿がそこにあった】
【頭を押さえ、まるで痛みに耐える様に苦しむ姿は破壊衝動を抑えるかのようで】
【その凄惨たる現場を、作った張本人に見えるかもしれない―――――。】

【話しかけるのは危険かも知れない。 貴方の自由だろう―――――】
431 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/18(月) 13:01:49.59 ID:LkBp0rNzo
>>429
【攻撃は成功し敵は地に伏した。今や相手の運命は自分の支配下にあって裁定を待っている】
【その事実は……彼にとっては残念だった。彼はあっけなさと物足りなさを感じていた】

工夫に欠ける演舞だったな

【男は吐き捨てるように、そして不満げに言った】

【少年の嘆願で男は縮こまっている機関員に目を向けた。何ら感情の籠っていない黒い目を】
【彼にとって嘆願は心の底からどうでもいいものだった。生かすことにも[ピーーー]ことにも価値を見出せなかった】
【したがって、男はしばし悩んだ】

一本調子にしてはよくがんばった方だな
それなりに楽しめたことだし、一つぐらいは願いを聞いてやるか

【最終的に、男は嘆願を受け入れた】
【一度指を鳴らすと路地裏を塞いでいた炎の壁がなくなった】
432 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/18(月) 14:44:27.80 ID:PYSxtBE10
>>431

【二人の戦闘、会話の内容も含めて全てを見て聞いていた男は、炎の壁が消え許されたと分かると、】
【一目散に撤退―――手錠を付けたままであるからぎこちない走りとなったが、】
【それでも細かい路地に入ってしまえば、やがて姿は見えなくなる。……これで、この場に居るのは2人となった訳だが、】

【――意識があるのは一人だ。"願いを聞いてやる"の彼の言葉と、それからココから走り去る足音が聞こえた少年は、】
【一つ安心した表情を僅かに作って、……そのまま気絶していた。となれば尚更、全ては彼の支配下、という事になるが――、】

【しかし男と入れ替わるタイミングで、微かに聞こえ始めるのはパトカーのサイレン。徐々に音量が大きくなっていくのだから、】
【こちらに向かって来ていると分かるだろうか―――確かに、銃声は思った以上に広く響く物、】
【近くでも遠くでも聞いていた者が通報していたのならば、大体この位の時間で現場に到着する事になろう、】


『動くなッ!! 少しでも動いたら撃つぞッ!!!』

【パトカーのサイレンもやがて止まり、走り寄って来るのは4人の警察官。やはり少年と同じ型の拳銃だ、】
【適切な距離感で4人並べば素早く銃口を構える――そう威嚇して、男の動きを封じ込めようとしているのだろう。】

【それを彼がどう感じたにせよ、結果的に警察官に従ったのなら――真ん中の二人は依然構えたまま、】
【内リーダーなのであろう一人がアイコンタクトで合図し、外側に居た二人が少年を介抱しに動く事になるが……。】


/遅れてすみません、
/また後は夕方〜夜にしか返信出来ませんので、
/次で〆て頂けたらと思います!
433 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/18(月) 14:59:05.79 ID:LkBp0rNzo
>>432
【逃げ出す機関員には目もくれず、男は目の前の少年をどうしたものかと考えていた】
【大した間もなくいくつかのサイレンが彼の思考を阻害し始めたが、彼はうるさく思うだけで逃げはしなかった】
【警察官が並んだところで、彼はそれらに目をやった】

木偶人形ども、いいタイミングだ
こいつはお前達にとって重要な人材だ、しっかりと助けろよ

【男はそう言うと警察官の制止を聞く事無く路地裏の奥へと歩き始めた】
【そしてほどなくして男の姿は陽炎のようになり姿を消したのだった】

//それではこのような具合で
//お疲れさまでした
434 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/18(月) 21:26:10.98 ID:5zv2kV88o
【酒場】

【蒸し暑い夜に寝付けなかった客達はこの酒場に集まる】
【冷たいアルコールを流し込んで、更に蒸し暑くなって眠れなくなってもそれがたまらないのだ】
【不意に勢い良く、入り口のドアが押し開かれる。夜の冷たい空気と共に1人の男が店内に飛び込んでくる】

【古い型のサングラスをかけた背の高いやせた男。黒いスーツ地のスラックスに青いシャツ、濃紺のネクタイにスーツベスト】
【汗をかき、慌てた様子であった。グラス片手にフラフラする客を押しのけてカウンターに一直線に走って行く】

ヘイ…ヘイ!マスター!…ああ、その…クソッ…ちょっと失礼…いつも通りにしてくれりゃいいからさ

【そう言って男はひょいとカウンターを乗り越えてその下に身をかがめる。それから直ぐに二人組みのチンピラが現れて】
【店内を見渡した後、店主に詰め寄る。『さっきの男は何処だ』とか『アイツを捕まえりゃ金が入るんだよ』と話し声が漏れる】
【店主は店の奥へ通じる扉を指さして『裏口から逃げた』とぶっきらぼうに答えると二人組みは店主を押しのけて出て行った】

…いやぁ、はは…悪いね、いつも。………ま、その…ビールもらおうかな。…ああ、失礼

【カウンターから這い出てきた男は苦笑いをしながらカウンタから長い足を巧みにカウンタに乗せてカウンタ外へ出ると】
【ポケットからくしゃくしゃの紙幣を取り出す。店主は訝しい顔をしながらひったくるように札を受け取る】
【男は一息ついて、カウンタに腰掛けるとポケットから紙巻きの安煙草とオイルライターを取り出して火を付けた】
435 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/18(月) 21:29:42.39 ID:eS6BRujgo
【路地裏】


……やっぱり何度見てもこのデータだけじゃ得られるものなんて無いわね
鍵≠フいる場所なんて私にはわからないし――

となると、人に訊いて回るのが最善なのかしら


【暗い道。閉所のような圧迫感を感じさせるそこに、佇む人影があった】
【オリーブ色の瞳を持ち、後ろで二つの太い三つ編みにした髪は茜色】
【そばかすの上には丸眼鏡があり、頭には柔らかい素材の黒いハットをかぶっている】
【裾に緑色のよろけ縞が入った白衣を羽織り、その下に暗い緑色のセーターとタイトスカートを着た】
【そんな――研究者のような風貌の女性だ】

【彼女は適当な壁に背を預けつつ、携帯端末をいじっていることだろう】
【何かのデータに目を通しているようだが、まるで理解できていないのは独り言の通り】
【やがては暇つぶしにとアプリを起動させるのだった】

【それだけならば特に気にかける必要のないことだが――それ≠ヘ彼女のすぐそばで行われていた】
【絶えず響く咀嚼音は、明らかに人間でない何かによるもの】
【音の発生源には、薄暗い路地裏でも一目で存在を確認できるほどの巨大なムカデが鎮座していることだろう】
【食べているのは人間の死体――だろうか。既に肉塊となっていはいるが、辛うじて人の形を残している】

【ひどく不快ではあるが餌の時間であるらしい】
【ムカデはゆっくりと食事をするため彼らはしばらくこの場に留まることだろう】
【その間に――ここを訪れる者は現れるのだろうか】







【ところ変わって、また別の路地裏】

【絶えず聞こえてくるエンジン音にさえ目をつぶれば、今日は静かな夜だった】
【路地裏においても、周囲で特に異変が起きた様子はない】

【湿った空気。されど無機質さが故か、冷たい印象を与える建物に囲まれて】
【腰を下ろしたひとつの影は、息を[ピーーー]ようにその場に存在していた】


歩き疲れた、かな。……宿を探すのも案外楽じゃないね
まぁ、もう慣れたけど――


【真っ黒のボサボサ短髪と、深淵を思わせるかのような漆黒の三白眼に、】
【服装も黒としか形容できないような、黒のピーコートに黒のジーパン】
【そしてやっぱり黒色の眼帯を右眼につけた――そんな、暗い顔の少年は】

【誰に話しかけるでもなくそうひとりごちて、ふう、とため息をひとつ零すのだった】
【汚れた衣服や脱力した姿勢――それらは路地裏という場所において行き倒れのように映るだろうか】
【あるいは、それに準ずる何かか。どちらにせよ普通の子供であることは、考えにくい】
436 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/08/18(月) 21:47:16.14 ID:PYSxtBE10
>>433
/お疲れ様でした〜
437 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/18(月) 22:11:56.13 ID:z88d6ZH/0
>>435
「全く、こいつは驚いた!ギャッハハハハ!」

【闇に覆われた路地裏。恐ろしい虫と奇妙な女性の醸し出す不快な圧迫感漂うこの地に】
【静寂を打ち破る、テンションの高い男の声。ふとそこを見やれば、そこにはもう一つの存在が、そちらに歩み寄っているだろう】
【外見年齢は30、40代ほど。髪の毛はボサボサの黒髪、髪留めを付けている。その先端には小さく「H」の刻印がなされている】
【服装はスーツを着崩していて、容姿はその辺の一般人となんら変わりない。髪型も相まっていかにも無頓着な男に見える】
【しかし……彼から発せられる濃厚な存在感、そして見えにくいが、ネクタイピンのデザイン━━機関の逆五芒星━━が、明らかにそれを周りとは違うものとしていた】
【にやにやとした不敵な微笑みを浮かべながら、ちらちらとムカデを見つつ女性へ近づく男であったが】
【不意に響く、淡白で小煩い無線着信音。彼はそれを取り出した後、不服そうに応答し】

「なんですかぁ〜?研究部長殿ォ。せっかく面白そうなモノと会えたっていうのに」
『それは仕事が終わってからにしろ。今回は大事なカネが絡んでるんだ』
「相変わらず金が絡むと律儀ですなぁ?ご心配なく、それよりもォっと高い金玉がありますぜ」
『ほう?』
「でっかいムカデがね?今俺の目の前にいるんだけど……こいつ研究機関に売っぱらえば……結構な金になると思わなぁい?」
『ムカデ?……金になるなら何でもいいがな。さっさと終わらせろ』
「さすが研究部長殿、話がわかるぅ!じゃ、そゆことで」

【女性の反応を意にも介さぬ一連の会話の後、通話を切る。その妙ともいえるハイテンションさが逆に薄気味悪くも感じられ】
【無線機をポケットに収納したあと、再び女性とムカデの方を向く。その顔は狂気的な微笑みに歪み】
【どちらにせよ、彼が彼女とムカデに敵意があるのは間違いないらしいが━━━━━】

/まだいらっしゃれば
438 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/18(月) 22:44:23.82 ID:eS6BRujgo
>>437

【フッ、と唯一この場にあった明かりが消えた】
【女性は携帯端末を白衣に仕舞うと巨大ムカデのすぐ隣まで移動し、屈んだ】
【五月蠅い笑い声を全く意に介さず、彼女はムカデを愛おしそうに撫で始める】


はい、ストップね。今はまだ機嫌がいいけれど、食事の邪魔をしたらあなたも餌よ?
あんまり同僚≠ヘこの子たちに与えたくないの。ばれちゃうと面倒になるもの


【会話が終了した直後、彼女はそう声をかけるだろうか】
【どうやら目敏く逆五芒星を見咎めていたらしい。その上で彼女は男のことを同僚≠ニ呼んだ】
【つまりは彼女も機関の使徒らしい。それを証明するのはムカデを撫でるその手――】
【全ての爪に施された、逆五茫星であった】


それに、そもそも誰に渡すつもりもないけど、もし私の虫達を売ったとしてもお金にはならないわよ?
きっと値段を付けられないし、凶暴だったり独自の進化を遂げていたりするから、危険ですしね

それより今は――お金なんかよりもっと面白そうなものがあるじゃない
そっちを追った方がいいのではないかしら?


【わざわざ聞かれてもいない虫の凶暴さや希少さを説明するのは……自慢したいがためか】
【心なしか弾む口調もそれを物語っていた】

【続く言葉はわざとなのか、具体的に何について話しているのかわからないようになっていて】
【もし男が最近起きた出来事について詳しいのならば、この世の全てを手に入れられる鍵≠フことを】
【僅かにでも思い出せるかもしれない】

//12時ごろに落ちますがそれでもよければ!
439 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/18(月) 23:08:37.70 ID:z88d6ZH/0
>>438
「あららぁー……同業者なのぉ?」

【女性の口から「同業者」という言葉を聞き、かつその爪に刻まれた五芒星を見てもなお、ふざけているような口調でおどけてみせる】

「でもそんなの関係ェーないよねっ!傷つけずに殺すなんて簡単だしィ!?ギャッハハハハハハハ」

【人を馬鹿にしているとも取れるような高いテンションは、そのムカデの凶悪性を飼い主から聞いても怖気付く事はなく】
【むしろその極めて不穏な笑みをよりいっそう強める事になった。しかし━━━】

「なに?」

【「お金よりもっと面白そうなもの」━━━━━この言葉を聞いて、笑いを止める幾分かムカデに対する好奇心は薄れたらしい】
【代わりにそちらへの興味は高まったようだ。要するに「面白ければ」いいのだ。ことこの男にとっては】
【とはいえ、その詳細を彼女は濁す。自分で考えてもみるが、最近の面白そうな事を思い出そうとしても、あまり心当たりはない】
【と、その時ふと思い出す。去年あたりか、GIFTがやらかした時に話題になったような━━━━】
【確かその時に世界をどうこうできる━━━確か「鍵」だったか━━━そんなものが話題になっていたような気もする】
【所詮夢物語だとは思っていたが、組織でも妙に大きな話題になっていた事も思い出す。そして彼女の態度━━━━】
【これは「何か」ある】
【そう踏んだ彼は、ムカデへの興味は何処へやら。その事について彼女に聞き出す事にしたわけである】

「お前の探してるのは、あの噂の「鍵」って奴ぅ?」

【一応の問いを投げかけてみる。尚も高いテンションは崩さず、あくまでおちょくるような態度であるわけだが】
440 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/18(月) 23:27:15.50 ID:eS6BRujgo
>>439


そうよ。鍵≠ナ何を開けられるのかは知らないけれど、面白いとは思わない?
この世の全て――どんなものでも手に入るのよ?

もしそんなものが実在するなら、私はその鍵で究極の進化を手に入れてみせるわ
興味はないかしら。虫たちがどれほど進化するのか。どこまで強く、大きく、毒々しく、かわいらしく成長するのか
ふふ、見たこともないムカデやヤスデを想像するだけでゾクゾクしてくるわ

――ねぇ?


【女が垣間見せたのは―― 一種の狂気とでも言うべきか】
【現存する虫だけでは飽き足らず、彼女は自ら進化の扉を開けようとしているようだ】
【そのためには手段を選ばないのだろう。そうでなければムカデに死体を与えたりしない】
【ひょっとすればこの巨大ムカデも彼女が生み出したもののひとつなのかもしれず】

【ともかく、彼女が探しているのはその鍵≠ナ間違いないようだった】
441 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/18(月) 23:52:02.88 ID:z88d6ZH/0
>>440
「ギャハハハハ!こりゃ面白いねェ!まさかゲテモノ好きなんてねェ!」

【彼女の言葉、そしてそれに続く狂気の鱗片を見てなお、大きく笑い飛ばす】
【これは「馬鹿馬鹿しい」というような笑いではなかった。その考えを受け入れ、共感とまではいかないが「共笑」できるからこそ、普段通りの構え方が出来る】
【元より気狂い揃いの機関にまともな思考"回路"を持つ人間など居はしないだろう。彼もそうだった】
【彼女の言葉に確信が持てた時。彼女の問いかけるような一言に、彼は答える】

「勿論!……だが」

【大きな同意の返事の後、その口調は先程とは別人のように変わった】
【真面目で神妙な、低い声へと】

「世界を思い通りなんてのは、面白くない……」
「あくまで俺は、見てみたいだけなのさ」

【そこまで言った所で━━━━彼の左腕が異音を発する。歯車が回転するような、「金属音」】
【瞬間。彼の腕の皮膚は六つに分かれて展開し、その内部が剥き出しとなる。………「銀」だった】
【それは機械だった。指を動かすたびに歯車が連動して動く。キュラキュラと明滅を繰り返す照明は生々しく、彼がなんたるかであるかを明確に体現している】

「━━━━人間の可能性ってヤツをさ」

【彼もまた、彼女を不敵な笑みを浮かべながら見る。その瞳は怪しく彼女を捉え、不気味さを増す】

【━━━━と。その時。彼のポケットから、再びの無線着信が鳴った。彼は舌打ちしつつ左腕の皮膚を再展開し、それでもって無線機を掴み取る。応答した口調は先程と変わらず、おちゃらけたものに戻っていた】

『何をしている?もう戻れ。ムカデは捕まったか』
「いや、捕まりませんでしたが……ねぇ研究部長殿ぉ?面白い話を見つけましたよぉ……」
『また妙なものを言って私を騙そうと言うのではあるまいな?』
「いやいや、それは後で話しますよ。ま、よろしく」
『もう任務に戻れ。時間はもうわずかだ』

【通話を切り、再び彼女の方へ向き直る】

「じゃ、そゆことで。お互い見つかるといいね、鍵がさ!」

【ギャハハ、と笑って振り返る。彼はそのまま夜の闇へと歩き出し】

「俺の名はNo.9「VISOR」……まっ、覚えてたらまあ会おうね、ルーキー!」

【自らの名だけを名乗り、その場に笑い声の残滓を響かせ、闇へと溶けて行った】

/私も眠いのでこの辺で……お疲れ様でした
442 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/19(火) 20:26:25.56 ID:NlWI8sPGo
>>441

【彼女の興味は全て、虫―特にヤスデやムカデなどの節足動物―に集約される】
【虫の為ならば平気で人道から外れた行為もするし、進化や未知への探求ならばなおさらで】
【だからなのか、ゲテモノ好き呼ばわりされてもむしろ嬉しそうに薄い笑みを浮かべていた】

【男に表れた異変――彼女はそれを興味深そうに見つめるのだろう】
【人間の可能性、と言うからにはただ機械を取り付けただけに終わらないのだろうか】
【機械と人間の融合。そんなイメージが頭に浮かぶも、すぐに消え】


(人間の可能性ね……どっかの誰かと同じようなことを言うじゃない
 もっとも、私は可能性から生まれた産物を虫達に与えるだけだけれど)


【着信音が鳴りだすと、彼女はまたムカデへと視線を戻す】
【通話に紛れて何か一言呟いたかと思うと地面に魔法陣が出現し、ムカデはそこに吸い込まれていった】
【当然死体はもう無い。食事は終わり、残ったのは人だったものの残骸だけ】


あら、これでも結構前から機関にいるのだけれど……
ま、ずっと自分の領域から出てないんじゃ新顔と間違われても仕方ないかしら

そうそう、私はカーディ・スクワーマよ。カディと、そう呼んで頂戴
次に会った時には鍵≠ノついての情報交換でもしましょう?
じゃあね


【男の――VISORの背へと言葉をかけ、聞こえていようといまいと彼女も踵を返す】
【くすり、と微かな笑みが零れたのは今宵の邂逅が良きものだったからだろうか】
【それは彼女にしかわからない。靴の音がひとつふたつと響くにつれ、彼女の姿も闇に消えてゆくのだろう――】

/お疲れ様でしたー
443 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/19(火) 22:09:23.96 ID:g4Gtw7/+o
【酒場】

【点滅して切れかけた古臭いネオン看板のこの飲み屋は隠れ家的なBARという】
【わけでもなく、ただ単に下町の安い雑居ビルあるというだけであって、普通のやつは寄り付かない】
【場所にある。それだけでなく出入りする客も刺青の入ったバイカーからライフル背負った自警団まで】
【そんなヤツラばかり出入りしてウィスキー片手に賭け事に乗じているから普通のやつは寄りつきたくもないだろう】
【でもそういう場所のほうが落ち着ける奇特な奴は多くて、少なくともこの店が潰れない程度にはいるらしい】

―――あー!クソッ!!いい加減にしろよっっ!!

【テーブルにトランプの手札を叩きつける男。正面の髭面はそいつがBETした札をかすめ取る】
【舌打ちして席を立つ。男は周りのニヤついた野郎たちと比べて頭ひとつふたつ大きく、ひとふたまわり痩せていた】
【サングラスにシングルのライダースジャケット。ジーンズにエンジニアブーツ。腰には2丁拳銃用のガンベルトが2つ】
【重ねるように巻いているが、弾丸があるのはうち、1つだけで、拳銃も3丁しかなかった。遠目で見てもどれも、珍しいモノだ】

……どうしてこうも運は無いのか…やってらんねえ。……マスター、ビール。いつものだよいつもの

【散々に賭けで負けた男は嘲笑を背にしてカウンターに一直線。大分減ったポケットの金を置いた】
【適当な灰皿を手元に手繰り寄せて、彼はポケットの赤マルを取り出して火をつける。…今は特に美味くない煙草だ】

あー…どうすっかなあ…全部なあ……シゴトすっか……でもな………あっちいなあ……今日も……
444 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/19(火) 22:11:09.86 ID:RRZK0h+9o
【時刻は夕暮れ時、橙色に染まる街並みと、忙しなく動く人間達は相も変わらず】
【世界を一つの舞台に例えてみれば、まあ何とも多すぎる登場人物達だ】
【しかしそれぞれに役割を果たし、物語の歯車を動かしていると考えれば世界に必要のない人間など、いないのかもしれない】

【そんな事はさておき、舞台は変わって路地裏】
【夕闇の光すら差さず、不気味で誰も近寄らないこの場所に、二人の男がいる】
【一人は短髪の黒髪で、スーツ姿。顔には天狗の仮面を被っており、その表情を窺い知る事はできず】
【さらに和傘を片方の手に持ち、刀を帯刀するという奇抜な格好である】

【もう一人は、これまた奇抜ではあるのだが、帯刀し、忍び装束を身につけている】
【やはり表情を窺い知る事はできないが、その姿は否が応でも忍者を思い浮かべさせる】

「……で、"鍵"は見つかったか?」
『いえ、まだ……しかし、この街にある事は間違いありません』
「ふん……なるほど、そこまで分かれば上出来だ。引き続き"鍵"の捜索にあたれ」
『はっ………』

【忍者は天狗面の男に何やら報告をしている様子だ】
【それが終われば忍者はスッと、最初から存在しなかったかのようにその場から消え失せる】

「やれやれ、まったく……面白くなって来たじゃねえか」

【男は一人でクツクツと嗤う。大層愉快そうに】
【そういえば気づいただろうか、スーツの肩辺りにはっきりと"No.2"と刻印されているのが】
【それは、言わずともその道を往く者は誰しもが知っているはずだ】

「どんな運命が待ち受けているのか、気にはならんか?なぁ?」

【ゆっくりと、男は振り返る】
【その場にいるであろう、誰かに向かって】

/予約です!
445 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage]:2014/08/19(火) 22:29:36.49 ID:YLiasaOqo
>>444

【路地裏に転がる小石が小さく跳ねれば、曲がり角から姿を現したのは―――路地裏に居ることが不自然そのものな少女だった】
【灰色のブレザーやスカート、16歳程の見た目は一見女子高生にしか見えないかも知れないが、左胸のマークが外見と全く釣り合っていないのであった】
【―――緋色の鷹。その意味ははカノッサ機関の実力者なら知っている筈である】

……―――何故ミリアのことが分かったのですか。ミリアからは人の気配なんてしないのです。
そんなに尾行が下手くそだったのか……もしくは貴方が凄いのか―――それはミリアには分からないのですけれど……

―――と、兎に角ッッ! ナンバーズを見て退くほどミリアはチキンじゃないのですッッ!!
その「鍵」とやらもしっかりと聞かせて貰うのですよっ!!

【人の気配なんてしない。何故か?―――それは彼女が人ではないからである】
【見た目も反応も確かに人間らしいが、彼女からは人特有の気配や匂いがしない。彼女はアンドロイドであるのだが、その証拠に―――】
【力強い言葉を発した後、右手首が引込みアームキャノンが現れ―――それを彼に向けると、銀髪のインテークを揺らしながら腰を落とし構えた】

SCARLETの正義のアンドロイド、Millia Galbo-System Type-Shine……かかってこいなのですよッッ!!

【構えながらも、心内に充満する恐怖の感情。自分は人造人間なのに何故このような感情に支配されるのだろうかと、自分を作った博士を密かに恨む】
【―――この恐怖を吹き飛ばさないと、この相手と渡り合うなど不可能だ。そうわかっているからか、大きな声で堂々と、正式名称で名乗りを上げる】
【アンドロイドらしくない、実に人間臭い行為だが―――自らを鼓舞する為、人間らしいアンドロイドは吠えた】
446 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)2014/08/19(火) 22:42:03.61 ID:IO+XJKmfO
今ロールしてるパクりキャラしか作れない戯言君こと早瀬についてですがゴミ溜めで能力者スレを散々貶してたけど良いのでしょうか。
http://awabi.2ch.net/test/read.cgi/net/1407856798/
このスレの>>335を見た上で>>330を見てくれれば分かると思いますが、ラジオに参加しただけでは無くこれまでにも色々と書き込んでいると思われます。
このまま放っておけば他の参加者の悪口も書き込む事でしょう。
恐らく今回のNO2もただ高い役職のキャラで組織内で優越に浸り、強キャラを扱えるからという安直な考えで、今の実力ではイベントにも障害を来す事が予測出来ます。
本人は何も言わないまま通そうとしていますし今回は流石に本人に話を聞いたり注意をした方が良いのでは。
447 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/19(火) 22:43:34.13 ID:RRZK0h+9o
>>445
【振り返ってみて、そこにいたのは以外な事に少女であった】
【ブレザーにスカート、これだけならばこの場に居る事自体不相応な女子高生】
【だが、その左胸には緋色の鷹のマーク―――――正義の味方、"SCARLET"である事をはっきりと主張している】

「おいおい、こんないたいけなお嬢ちゃんまでSCARLETなのかよ。世も末ってか」
「別に、ただ何となく振り返ってみたらお前さんがそこにいただけだ。いやぁ、失敗してたら恥ずかしい事この上なかったな」

【動揺する様子もなく、男は愉快そうに通った声を路地裏に響かせてみせる】
【その少女は威勢のいい言葉発した後、右手首が引込み代わりにアームキャノンを覗かせる】
【自らを正義のアンドロイドと名乗るところからすれば、どうやら人造人間の類らしい】

「正義のアンドロイドねぇ……くくくっ」
「お嬢さん、向かってくるのを止めはしないが声、震えてんぜ?」

【銃口を向けられても尚、男は動じずに少女をじっと見つめて愉快そうに喋るばかりだ】
【挙句の果てには揶揄とも取れる言動。連の態度からこれを挑発と受け取られるかもしれない】
448 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/19(火) 22:52:29.80 ID:iP5MyrfL0
今日はいい夜じゃ
【すっかり暗くなった街中】
【そこで空を見上げながら少女は呟く】
【金色の長髪に紅い瞳】
【透き通るような肌で身長はだいたい10才ぐらいの少女ぐらいでゴスロリ服を身に付けている】

食事は済ませておるし…
これからどうしようかのう…
【はたから見ればただの小さな少女】
【こんな小さな子が夜出歩くなんてと思う者も居るだろうがむしろ彼女には夜の方が昼よりも都合がいい】
【何故かと言うと彼女は吸血鬼だからだ】
【小さな吸血鬼はなにか暇を潰せるものを探しながら街中を歩く】
449 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage]:2014/08/19(火) 23:02:08.40 ID:YLiasaOqo
>>447

【此方は兵器を向けている。なのに一切、警戒も緊張の色も相手の表情からは感じない】
【アームキャノンを震わせながら、彼女は恐怖と怒りと使命感の混じった金色の瞳をひん剥いて、人工の歯をぎりりと噛み締めた】

見た目で判断するとフラグ立つのですよ……! 見た目はJKでもミリアは人々を守る為に作られた正真正銘の兵器なのです……!!
カノッサのナンバーズ……しかも2……そりゃあきっと強いのです。でもミリアにも意地がある。アンドロイドでも意地がある―――

だから貴方のその余裕顔……顰めっ面に変えてやるのですッッ!!

【丹田部が白く輝き、光の魔翌力が溢れ出す。その魔翌力を左手に送り込み、兎の形になって2体具現化され―――ミリアの「後方」へと小さく飛び跳ねた】
【ミリアの最大の特徴。それは「アンドロイドなのに魔翌力を使える」ということ。この事を可能にした人物が、彼女の正式名称にも入っているガルボという男だった】
【かつてこのガルボという男を恐れてかつての六罪王が夜の国に攻め込んだことももうすっかり忘れられているが、魔法を使えるアンドロイドというのは確かに革命的だった】

震えてなんて―――いないのですっ!!

【震えていることは自分が一番良く知っている。でも、そのことを指摘されることに凄く腹が立って―――ミリアは強がりを言いながら、右のアームキャノンから轟音を鳴らした】
【先程と同じく丹田部が光り輝いて、ワンテンポ置いてからの発射。隙は存在し、白い光線はある程度の威力を持つが軌道は単純。ただ真っ直ぐ飛ぶだけだ】
【この攻撃の先には勿論カノッサ2の男。腹部へと差し掛かる光線に、そして先程の兎に―――何を思い、どう動くのだろうか】

450 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/19(火) 23:21:29.44 ID:RRZK0h+9o
>>449
【少女の丹田部が白く輝き、そして左手から兎の形をしたモノが飛び出す】
【後方へと小さく飛んだそれ、一体何をするつもりなのかは分からないが、男は対して気にも留めていない様子】

「ほぉ、アンドロイドなのに魔力を使えるのか。こいつはまた奇遇な縁じゃないか――面白い」
「余裕顔つっても、お面被ってるから分かんねえけどな」


【やはり男は余裕の表情】
【それは少女がアームキャノンから轟音を鳴らしても変わらない】
【飄々とした態度、だが発せられる威圧感も変わる事なく】
【飛び出した兎と、腹に迫る白い光線。単純な軌道にも関わらず男はその場から動こうとはしない】

【直後、轟音。光線は男に直撃した――――】
【――――のではなく、当たったのは"傘"だ】
【男の手にあった和傘が開かれ、光線を防いだのだった。威力があったため、多少衝撃によって後ずさりをしているが】

「っと、やるじゃねえか……」
「それじゃ、今度はこっちから行かせてもらおう」

【男は多少真剣味を帯びた口調になり、少女にそう告げる】
【直後、傘が機械的な音を出してその姿を変えていく】
【出来上がったのは、一本のライフルであった。丁度片手で持てるくらいのサイズである】
【銃口にエネルギーが収束しだし、そこからは稲妻のようにバチバチと熱が空気を焼き焦がす】

「この俺と直々に戦える、これは特例中の特例だ。光栄に思えよ」

【引き金を引けば、少女と同様に単純な軌道の白い光線が発射される】
【真っ直ぐに少女の胸に差し掛かる光線。だが男はそれが命中したか否かに関わらず、刀を抜いて少女との距離を詰めようとするだろう】
451 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage]:2014/08/19(火) 23:40:44.73 ID:YLiasaOqo
>>450

ミリアには分かるのです……そのお面に隠れている表情が―――〜〜〜ッッ!!
(……タメ時間は最大じゃないけどそれでもそこそこの威力はあるのに……あの傘に止められたのですかッッ!?)

【相手は避けない。―――その余裕が命取りだと言わんばかりに、光線が彼の腹部を―――否、弾かれた】
【ただの傘に弾かれる程軟弱な攻撃ではない。ということは必然的にあの傘、何か改造を施されている―――と思ったも束の間、傘が牙を向いて物騒な姿へと生まれ変わる】

【銃口がバチバチと唸りを上げてこちらへと向けば、刹那―――ぞくりと背筋に突き刺さる恐怖。向いた銃口はまるで喉元ギリギリに突きつけられたナイフのようで】
【アンドロイドの癖にミリアは「ひっ」と恐れを漏らして、瞬時に後ろへと跳ねた。その後ろには先程いた兎。兎は路地裏の床へと溶ければ、魔法陣を其処に生み出す】

(―――来る、来るッッ……来ないでッッ……一本じゃ間違いなく足りない、2本でようやく渡り合えるかなのですよッッ……!)
……ぎ、<<銀花>>軌道っ、そのまま全力で発射なのですっっっ!!

【床に生まれた2つの魔法陣から銀の鮮やかな植物が生え―――膨らんだ蕾が開き花を咲かせると同時に放たれる銀の閃光、計2発】
【2つの閃光が途中で重なり、混ざり合い、螺旋を描きながら虚空を裂き―――白い光線と衝突し相殺。―――ここで、ミリアは失態を犯してしまった】

(……何とか、凌げたのです)

【―――安心してしまったのだ。まだ戦闘は始まったばかりなのに。そして不用意な接近を許し、そして距離が埋まってからようやくその失態に気付くのである】
【魔術使用に力を割いたせいか、このアンドロイドは接近戦にはあまり適していない。そのことも知っておきながら、容易に接近を許す】
【恐怖か、プレッシャーか、はたまた元々の実力か。兎に角このアンドロイドにはまだ甘さが残っていた。それは戦場で生き抜くには甘すぎるといえる程の―――】
452 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/19(火) 23:53:36.40 ID:RRZK0h+9o
>>451
(ほう、アレは魔法陣になるのか…)
(成る程、面白い………だが)

【先ほどの兎は床に溶け、二つの魔法陣へと早変わり】
【そこからは二つの銀の鮮やかな植物が現れ、蕾から開花すると同時に発せられる二つの銀色の閃光】
【それらはぐるぐると回り、混ざり、螺旋をを成し、男が発射した光線を見事に相殺する】

【だがここで少女は失敗してしまった。、光線を相殺した事に安堵し、油断してしまったのだ】
【男は既に少女の眼前へと接近していた。そして、振り上げられる刀】
【銀色の刀身は真っ直ぐに少女を映し、そして無慈悲に振り下ろされる】

「おいおい、隙だらけじゃねえかよ。そんなんじゃ、俺を倒す事なんて到底不可能だぜ?」

【男は少女に袈裟斬りを仕掛けようとする】
【だが、ここで狙うは頭部や胸といった急所ではなく、肩である】
【わざと急所を外した攻撃。仮に喰らったとしても、致命傷を得る事はまずないだろう】
453 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage]:2014/08/20(水) 00:11:07.87 ID:VLXKu+SVo
>>452

【先程突き付けられた銃口。背を貫いた恐怖。その圧迫感から開放されたいという想いが、目的を「勝利すること」から「生き延びる」ことへと姿を一瞬変えた】
【それ故の安堵、それ故の失態。その事に気が付いた瞬間、とてつもない後悔と自己嫌悪が雪崩のように精神に襲いかかり、そして死を覚悟し―――】
【特殊素材と金属とマギタイトで出来た彼女の小さな身体を、凶刃が切り裂く。機動力重視の軽い素材故にあまり強固ではなく、肌の奥の金属にまで刃は届いた】

……っぐぅっ……!! …………何故、手加減なんてッッッ――――――!!

【痛みはしない。痛みはアンドロイドらしく省かれている。しかしながら一部の損傷により動きは最初よりも重くなっているような感覚が否めなかった】
【いや、そんなことはどうでもいい。ミリアは金色の瞳を細め、怒りに震えていた。―――手加減された。仮にも正義を語る自分が、真っ黒の悪に】
【そのことに耐え切れる程、彼女の心は冷えてはいなかった。反応の悪い右肩に右腕を苦しそうに上げ、丹田が光り、左手から放たれるは光の小鳥】
【小鳥が羽ばたきを見せて空に舞えば、直ぐにアームキャノンが唸る。光線の先は自分が出した小鳥だが―――】

そんなんじゃミリアは……正義になれないのですッッ!!

【小鳥を光線が射抜いた刹那、小鳥から大量の光が放たれる。この光に威力はないが、強烈な目眩ましという意味を秘めていた】
【そして彼女―――ミリアはアンドロイド。目眩ましなど聞くはずもなく。自分だけが動ける時間を僅かながらに創りだすだろうか】

―――うぉおおおおおおおおおおあああああああッッ!!

【作戦からすれば愚かだった。態々苦手な接近戦を無謀にも挑んだのだから。しかしながら手加減されたことによる怒りは―――遠距離からの攻撃じゃおさまらない】
【アンドロイド故の、見た目に似合わない重量。軽い金属を使っていても、そこら辺のJKを遥かに超える重さは持っている。その重さを右のアームキャノンに乗せて】
【ミリアはアームキャノンを振り下ろし彼女なりの拳骨をお見舞いせんとした。彼女の意地と矜持が生んだ、愚かで命知らずな攻撃だった】
454 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/20(水) 00:38:57.02 ID:4bYgUenFo
>>453
【少女は、怒っていた。命を奪わまいと行動した結果、怒った】
【少女からすればこれは手加減以外の何物でもなかったのだろう】

「ふん。俺が直接手を下す事は許されないからな。それにお前のその強さ、興味深い。殺すにはもったいないじゃないか」
「まあ、お前は今回は殺されない運命に………って、うっ…!?」

【丹田部から飛び出す小鳥。それを少女が撃ち抜けば眩い光が周囲に発せられる】
【男は目眩ましをまともに受け、外からはよく分からないだろうが目を瞑ってしまった】
【そして、次に感じるのは重い衝撃】

「ぐおっ……!?」

【アームキャノンによる拳骨を喰らい、地に伏せる男】
【仮面はそれでも外れなかった。男はこれによほどの思い入れでもあるのだろうか】

「や、やるじゃねえかお嬢ちゃん……そうだ。戦場ってのはそうやって戦っていくもんだ……」

【フラフラと立ち上がり、後頭部辺りから出血をしながら言葉を紡ぐ】
【男も完全に油断していたらしい。人の事を言えたものではない】

「さて、お遊びもここまでだな……」

【レーザーライフルと化した和傘。そこから今度は低出力の光線が放たれていく】
【食らっても大したダメージはない。せいぜい皮膚が少し焼けるだけ、つまりは牽制目的】
【至近距離なので、果たしてうまく対応できるかどうか】
【男は峰の方を向けて刀を少女の頭部目掛けて振り下ろす。レーザーに対応できても、これに対応しなければならない】
【峰打ち…だが、受ける衝撃は非常に重いものだ。少女が機械となれば尚更、衝撃には弱いのではないだろうか】
455 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage]:2014/08/20(水) 00:55:39.43 ID:VLXKu+SVo
>>454

よっしゃあああッッ!! 舐めたこと言ってんじゃないのですよッッ!!

【気合一閃、拳骨一発。金属の重い身体を奮い立たせるのが精神というのは、アンドロイドとは全くかけ離れたものであり】
【それが彼女、ミリアのもう一つの特徴でもあった。ヘタすれば人よりも人らしい。愚直で甘い彼女だが、正義を貫く意志は本物】
【その意志が生み出した、たったひとつの攻撃。それでも相手を倒すほどの威力は勿論なく、その後を予想していなかったために手痛い反撃は避けられず―――】

――――――っぁッ、っがぁぁ……ッッ!! 

【熱線が丹田やや右を貫き、呻き声が遅れて零れる。―――丹田部。魔術を使う時に光っていた部分であるが、此処即ち彼女の魔翌力のエンジン部であり核】
【丹田部にある巨大な光属性のマギタイトから、ガルボ博士が生み出した「GBシステム」が魔翌力を引き出し魔術に変換。彼女の光魔法はこうして成り立っており】
【そしてその複雑な機構は脆くもあって―――運悪くか、熱線が「GBシステム」の一部を傷つけた。そのことはつまり、彼女にとって致命傷であると言うことだった】

【膝から崩れ落ちる少女、否兵器。追い打ちの峰打ちが堅い頭部を揺らし、そして路地裏の床に突っ伏した】
【修復不可能なダメージではないが、少なくともこの戦いを続けられるほどのエネルギーはない。そもそも心の奥底では解っていた。唯それを認めたくないだけだった】
【―――自分ではこの男に、カノッサのナンバーズに勝てるわけが無かったのだと。緊急システムが作動し彼女の電源が切れた。目から金色の光が消えた】

【戦いは終わった。意地は見せたが現実は非情。実力を見抜けず無謀な勝負を挑んだ彼女の若さが、何よりの甘さだった】
【―――彼はこの甘い少女を完全に壊すのだろうか。その刀は、もう1度振り下ろされるのだろうか―――】


456 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/20(水) 01:20:17.42 ID:4bYgUenFo
>>455
「思考も完全に人間にそのもの、いやそれを超越している。といったところか」
「ほんっとうに面白いなぁ、お前。くくくっ」

【心底楽しげに喉を鳴らす。嗚呼、やはりこうでなくては。折角の終焉なのだから、面白い方がずっと良い】
【この少女は、諦める事を知らないのだろうか。絶望的なものを見せつけられても尚、正義の心を灯し続けるのだろうか】
【だとすれば、やはりそれはヒトを超越した思考であろう。ヒトは、すぐに折れてしまうものだから】
【適当に撃った光線が命中。しかし牽制用のはずだったのに少女は呻き声を上げる】
【どこかシステムの根幹辺りに運悪く直撃してしまったのだろうか、追い打ちの峰打ちも直撃し、そのまま崩れ去る少女】
【機能停止を確認――――つまり、此方の勝利】

「終わったか……さて、どうすっかな、適当に街中にでも放り出しておけば誰かが保護してくれるだろ」
「あー、効いたなぁ…さっきの…」

【勿論殺す事などしない。少女は男にとって興味深い対象となったためでもあり、元々男が直接手を下さない方針を取っているためだ】
【納刀し、ライフルも元の和傘の形に戻す。街中にでも放り込んでおけば誰かが保護してくれる、などと適当な考え方をしながら少女を片手で軽く担ぎ、そこら辺のひと目につくところに置くのだろう】
【男は最後までその表情を見せる事はなかった。分かった事は終始、楽しげにしていたという事実のみ――――】

―――――――

【しばらくして別の所、人目につかないところで男はぶっ倒れた】
【原因は言わずもがな、後頭部の打撃による後遺症であろう】
【そこに偶然、女性が通りかかる。白衣を着た、医者のような出で立ちである】
【しかし肌の色は病人のように白く、医者というよりは危ない科学者に見えなくもない】

『うーん♪やっぱりバナナチョコ最高……って!?』
『て、てててててててて天狗さあああああああん!?た、たたた大変だ!医者!誰か救急車!って医者は私だ!』

【ひどく取り乱し、あたふたあたふた。この女性もまた先ほどの忍者と同じく《回廊》の一員】
【兎も角治療をしなければ、と女性は男に手を当てて治癒の能力を発動する】

『死なないで、死なないで天狗さん!!大丈夫私がついてるよ!治れ治れ治れ治れ治れ治れ治れ治れ』
「さっきからうるせぇよ!もう起きてんだよこちとら!」

【―――――悪の組織は悪の組織で平和なのであったとさ】

/これで〆ですかね…?ありがとうございました!
457 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage]:2014/08/20(水) 01:23:23.00 ID:VLXKu+SVo
>>456
/ありがとうございました! お疲れ様でしたー!
458 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/20(水) 19:51:50.90 ID:GWnNDUd40
【廃墟街――いつかは賑やかだった大通りの店】
【風の吹くたびにぎしぎし喚くような街、かつての賑やかさは消えて、今はただ草の生えるだけの場所】
【流行り病だとか魔物の襲来とかいろんな噂はあったけど、誰もそんなの気にしないような場所。ただ、誰も居ない空間】

…………、――。

【くしゃくしゃに破れたショーウィンドウの中できらきらと光が瞬いていた、それは、灰色と緑の世界には良く目立つ、】
【桜色と紫色の鮮やかに交じり合った色の光。硝子の隙間からまろびだしてくる欠片は、やがてぽろぽろと崩壊していくように消えていき】
【ある程度察する能力を持っているならば、それが水属性を抱く魔力なのだと気付くことは、容易いはずで――とかく】

【誰も居ないはずの場所にはひどく不釣合いだ。だって、あからさまに、“だれかいる”証拠みたいな、ものだから――】

【――不純物のない黒色の髪、桜と紫に照らされれば不思議な色に艶めいて風に揺れる、ヘッドドレスのフリルが靡いて】
【黒と赤のオッドアイは蛇の目のように丸く、少しだけ釣っていた。細められた瞳には、――なぜだか涙が煌き】
【元はマネキンでも座っていたのか古びた豪奢な椅子、腰掛ける華奢な身体は、ふわふわとした服装に包まれて】
【首筋の付け襟と、黒を基調にしたワンピース。たっくさんのチュチュであしらったスカートは、ふっくらと円く広がり】
【腰元で締められたコルセットがその細さを目立たせる。胸元の薔薇の刺繍と、後ろ下がりのスカートが、服をさらに彩って】
【白のソックスと黒のパンプス。底の厚いゴツさは、ただ、丸い爪先に誤魔化されるような様子になっていて】

ぐす……、……――。

【への字の口元が零すのなんて“きゅう”と喉を絞った上で零れる嗚咽、落とす涙は、抱えた膝の、その上に落ちて】
【お袖留めをあしらった手首が目元をぐしぐし拭いはすれどほぼ無意味。ただ頬をむちゃくちゃに濡らすだけ、】

【――通りがかるひとは決して多くない場所。だからこそここに居るように、泣きじゃくるのはたった一人ぼっちの少女で】
【誰かがもし通りがかるなら――その姿は、きっと、ただの街中で泣いている迷子より、目立つのだった】
459 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/20(水) 21:00:42.56 ID:fQyKiY0c0
>>458
//まだいらっしゃいますかー?
460 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/20(水) 21:26:21.74 ID:GWnNDUd40
>>459
/すいませんお返事遅れましたっ、居ますー!
461 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/20(水) 21:32:51.73 ID:hRautXfSo
【酒場】

【点滅して切れかけた古臭いネオン看板のこの飲み屋は隠れ家的なBARという】
【わけでもなく、ただ単に下町の安い雑居ビルあるというだけであって、普通のやつは寄り付かない】
【場所にある。それだけでなく出入りする客も刺青の入ったバイカーからライフル背負った自警団まで】
【そんなヤツラばかり出入りしてウィスキー片手に賭け事に乗じているから普通のやつは寄りつきたくもないだろう】
【でもそういう場所のほうが落ち着ける奇特な奴は多くて、少なくともこの店が潰れない程度にはいるらしい】

―――あー!クソッ!!いい加減にしろよっっ!!

【テーブルにトランプの手札を叩きつける男。正面の髭面はそいつがBETした札をかすめ取る】
【舌打ちして席を立つ。男は周りのニヤついた野郎たちと比べて頭ひとつふたつ大きく、ひとふたまわり痩せていた】
【サングラスにシングルのライダースジャケット。ジーンズにエンジニアブーツ。腰には2丁拳銃用のガンベルトが2つ】
【重ねるように巻いているが、弾丸があるのはうち、1つだけで、拳銃も3丁しかなかった。遠目で見てもどれも、珍しいモノだ】

……どうしてこうも運は無いのか…やってらんねえ。……マスター、ビール。いつものだよいつもの

【散々に賭けで負けた男は嘲笑を背にしてカウンターに一直線。大分減ったポケットの金を置いた】
【適当な灰皿を手元に手繰り寄せて、彼はポケットの赤マルを取り出して火をつける。…今は特に美味くない煙草だ】

あー…どうすっかなあ…全部なあ……シゴトすっか……でもな………あっちいなあ……今日も……
462 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/20(水) 21:49:58.57 ID:fQyKiY0c0
>>458

……ン?誰か、いル……?
―――あれハ……

【大通りを通るのは吹き荒ぶ風だけとなった廃墟の街に、こつり、もう一つの足音が人の姿が消えた街に響く。】
【……その足音は何かに気付いたように少しの間だけ止まって、それからきっと其方へと近づいて行く筈で】
【足音のする方を向けば、きっと見覚えのある旅装の少女の姿を捉える事が出来るだろう―――】

【ややタレ目で茶色い瞳は前を真っ直ぐ見据えて、セミショートにした絹のような黒髪は風にふわりと揺れる】
【丁度十六・十七歳程の背格好か、大人とも子供ともいえないやや細身で華奢な身体は成長途上であることを窺わせるか】
【そんな華奢な体に、若草色のワンピースはよく似合う。ごてごてした装飾が無い分、細身の体も相まってすらっとした印象】
【頭には可愛らしい白色のキャスケット。足元の焦げ茶色の小さなローファーは、履き馴らされて適度にくすんでいる】
【背には大きな鉄の箱。重さも相当の物の筈だが、この少女は軽々と背負っている……】

【そんな少女は尚も其方へと歩みを進めて―――やがて少女の座る椅子の隣に辿り着いたなら、しゃがんで目線を合わせて】
【手を払われようが邪険にされようが全くお構いなしに寄り添って、ポケットから取り出したハンカチでそっと涙を拭う】
【――きっと、拭ってもまた涙は零れるのだろうけれど。それでも、ふわりと柔らかい微笑みを向けて―――】

―――ホラ、泣いてちゃ可愛い顔が台無しだヨ?

何かあったノ?……ううん、何かあったからそうやって泣いてるんだよネ。
……傍にいて、いいかナ。鈴音がそんなに泣いてるのなんて、見過ごせないヨ。
何でも言ってネ。――辛い事なら、きっと一人で抱えるより二人で支えた方が楽だかラ。

【友達が悲しんでる所なんて、見過ごせない……だから、少しでも力になりたい。その一念で、鈴音の目を優しく見据えて】
【―――きっと何だって受け容れる。何も言わずに泣き続けるならその涙を受け止めるだろうし、言葉を紡ぐならその言葉を受け止めるだろう……】
【止めどなく溢れるその涙が止まるまで、きっとそばに居続けるだろう。―――ひとりで悲しむのは辛いもの。】

//ではお願いします!
463 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/20(水) 22:09:04.92 ID:GWnNDUd40
>>462

【誰も居ない場所ですら声を出してしまおうと言う気持ちになれなかった、――違う、それをしたら駄目なんだと、】
【そうまでして泣いてしまったら駄目になる気がした。だから子犬みたいにきゅうきゅう鳴いて、独りきりでそこに居る】
【舞い散る魔力色は感情の発露、本当はもっと、我武者羅にぶちまけたい気持ちもあるけれど――それを、呑み込んで】

【(そうやって押さえつけた破壊衝動は、ただ、見るだけならば美しかった。桜と紫、鮮やかな色合いの舞い踊り)】

【ちりぢりに壊れた世界で、売り物のように硝子匣に収まって、迷子の子供みたいにぼろぼろ泣いて、そんな景色は、】
【ただ彼女がだれか居ると言う気配を感じ取った時点で姿を変える。ぎゅっと頭を抱えるみたいに、膝に伏せてしまうから】
【誰の声だって聞きたくないというようなそれ。我侭する子供と同じ、ぎゅっと頭の天辺を押さえつけて――動かないと、アピールするよう】

…………。

【でも、それは長続きしなかった。聞こえて来るのは聞き覚えのある声、いつか、同じように寂れた場所で仲良くなったひと】
【たっぷり時間は掛かるけれど――数分する頃には顔も持ち上がるのだろう。見えるのは、真っ赤に泣きはらした目元】
【ぺたぺたに濡れた頬には長い髪の毛がびっしりとへばり付いてひどい有様だったが。それを、掌でぐいっと拭ってしまって】

つばめ……、……。

【――ぼそっと呟いた声は錆びた鈴のよう、くぐもって、か細くて、なんとも彼女らしくないような――でも、彼女の声】
【それから頭を俯きがちに、視線を伏せがちに、そうすると。何度も何度も顔を拭う、まるで、泣いていた痕跡を抹消するように】
【その涙を拭う手伝いをするというなら大人しく受け入れていることだろう。柔らかな頬っぺたをハンカチに歪めて、しばらくすれば】
【すっかりと普通通りになった頬、だのに、表情は重たく沈んだままで――またすぐに、泣き出してしまいそうなままで】

……なんでも、ないよ……、なんでも、ない。大丈夫、……だいじょうぶ、だから……。

【もう一度最後に左手で眼を拭う、――その薬指には、きらりと煌く、よく手入れされた銀の指輪があるのだけれど】
【蛇を模った指輪だ。今にも動き出しそうに精巧な蛇の指輪。けど、瞳だけが、寂しげに落ち窪んで――何かを、落としてしまったように】

【――とかく彼女は大丈夫だと言って聞かない。じっと左手を――指輪を――見つめた瞳が、ぐにゃりと歪んで】
【またたっぷりの涙を瞳に浮かべたとしても。それでも尚、大丈夫なんだって、首を振るのだった】

/おねがいしますー
464 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/20(水) 22:56:18.31 ID:fQyKiY0c0
>>463

【―――顔を上げてくれるまで、何分だって春燕は傍にいた。何も言わずに、ただそっと寄り添っていて】
【ようやく顔を上げてくれたなら、微笑みだけを向ける。】

【……顔を上げた鈴音の様子は、何時もの彼女と違ってた。】
【いつもなら可愛らしい顔だって、今は目元が真っ赤に晴れて歪んだ泣き顔に変わってしまっていて】
【女である自分ですら羨ましくなってしまうような髪だって、涙でぬれた頬にくっついてしまって】
【いつもなら涼やかに響き渡るような声も、低くくぐもったような声になていて―――】

【――誰がどう見たって「大丈夫」じゃない。そんなこと、分かりきっているのに】
【……それでも鈴音は、大丈夫と言い張る。何でもない訳なんて無いのに、平気なふりをする――】

……そっカ、なんでもないカ。

―――これはワタシの独り言だから、聞かなくてもいいヨ。
人間ってサ、感情を抱えきれなくなった時に涙を流すノ。悲しい事や辛い事が自分の心の器から溢れちゃった時に、その溢れた感情が涙になるノ。
……鈴音があんなに泣いてたって事は、きっと抱えきれない何かがあったからだと思うんダ。
それなのに何でもないふりをして、溢れた悲しい気持ちを無理やり心に溜め込んだら――心が壊れちゃウ。

……ワタシはネ、トモダチとして鈴音の溢れた感情を受け止めたいんダ。
悲しい事を言いたくないなら言わなくてイイ。その代わり、涙を我慢しないデ。
鈴音の心なら、全部私が受け止めル。涙でも、言葉でも、全部。だから―――
―――我慢しないでほしいナ。



【―――言うだけ言えば、春燕は鈴音の傍に居続ける。……何があろうと、無かろうと、ずっと傍に居続けて】
【何も言わずに泣くのなら、そっと抱きしめて涙を受け止めるだろう。何か言うのなら、全ての言葉を聞くだろう。】
【だから―――どうか、一人で抱え込まないでほしい。そんな願いは、鈴音に届くのか―――】
465 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/20(水) 23:37:58.30 ID:GWnNDUd40
>>464

【じわあっと溢れてしまった涙が桜色や紫色の中で煌く、ぱちりと瞬きすれば、堤防の決壊するように、ついと落ち】
【またぐすぐすとやりだすのだ、見つめてしまった指輪によっぽど悲しいことがあるみたいに、何か大切なものを落としたみたいに】
【ぎゅうと噛み締めた唇が白くなる。ぎゅうと膝を握り締める手は、よっぽど力を篭められているのか、僅かに震えて――】

【“どうしようもないような顔”だった。つばめの独り言を聞く彼女は、そうやって、どうしたらいいのか分からない顔をしていて】
【例えば泣いてしまいたいのか、何かに対して怒りたいのか、突っ伏してそのまま不貞寝してしまいたいのか、そんなことも】
【ちっとも分からないと混乱している。どうすればいいのか、どうしたいのか、――そして、きっと、その答えはなくて】

【また喉をきゅうぅと鳴らして黙りこむ。堪えようとすればするほどに溢れてくる涙、頬と首とを伝って、服を濡らし】
【付け襟の黒が余計に黒くなっていく。ネックレスめいて飾られた鎖、付けられたトップの飾り、魔力色に艶めいて】

【――そして、また顔を伏せてしまうのだ。腕でぴったりと顔を隠しこんで、ちぃとも、その素顔をうかがえないようにして】
【そこから少しの時間が掛かる。その間に聞こえて来るのはきゅうきゅうと嗚咽の声だけ、泣きじゃくるときの、か弱さだけ】


【だいすきなひとがさいごにくれた魔力がなくなってしまったのだと言った。本当に小さい声で、振るえる声で】
【大切にしていたのに、最後の一滴まで使いきってしまったと、なくなってしまったのだと、もう二度と手に入らないのだと】
【何百年待っても、何千年待っても、きっと、きっと、一生、死んでしまう瞬間まで、同じ色は手に入らないに違いないと】
【きゅうきゅういう嗚咽の中で、ぐすぐすいう嗚咽の中で、ようやく喋ってくれたのがその言葉だった】

【――彼女の指輪は特別だった。いつでもだいすきなひとと居るって気分になれる、すてきで、とくべつなもの】
【お互いの魔力の色が瞳に煌いて。それを見たら、“一人”になった後だって、元気が出るような気がしていた】
【最期に自分の中にちょっぴりだけ残っていた彼の色、そっと指輪に灯して――そして、使い切って、しまった】


【伏せた顔、腕の中でぐすぐすと音がする。そうすると、周囲に取っ散らかった魔力が、ふわりと少女の傍に集まって】
【まるで慰めるみたいに――けれど、つばめを殴らないように振るった腕で、それらは遠くまで散らされてしまう】
【うううと低く唸って覗かせた顔はひどい有様だった。涙と、鼻と、ぐちゃぐちゃにして――】

こんなの綺麗じゃない――、紫色なんて嫌いっ、だいっきらい!

【ぎゃんと八つ当たりみたいに吠え立てた。どこか遠くで鳥の声が聞こえた気がするのだけれど、それはほんの些細な出来事で】
【魔力が散ってしまったせいで辺りは一気に暗くなる。ショーウィンドウの中は、差し込む月明かりと、残った魔力だけで照らされて】

どうしてあの蛇(ひと)は待ってられたの? わたし、わたし、八百年も待てない……、待てないよ……。
今すぐ会いたいのに! 今すぐ会って、それで、抱っこしてもらって、お話したい、夜更けになったら、一緒に眠るの――。
朝起きたら一緒にご飯を食べて。一緒にお出かけして、水族館に行って、ぬいぐるみを買ってもらって……それで……。

【――僅かな光だって涙の粒はきらきら光る。てらてら濡れた泣き顔の白さも、きっと、夜の中に目立ってしまって】
【「どうして居なくなっちゃったの」と呟いた声が、涙の後でひどく擦れていた。もう疲れてしまったように、夜を揺らして】
【ぐしゃあっと髪を掻き乱す、長くて艶やかで。よく手入れされているからこそ、乱れた髪は、余計にひどいものに見えた】

【置き去りにされてしまった。それなら、迷子と大して違わないのだろう、違うのは、そのひとが二度と見つからないだろうこと】
【あんなに小さくても迷子の子が頑張れるのは、きっとお母さんやお父さんが迎えに来てくれると分かっているから、それなら】
【迷子センターのお姉さんも居ない中で、ひとりぼっち、ずっと待たなければいけないのは――きっと、**みたいな】

【――ディスプレイ用の豪華な椅子の中に、小さな身体を余計に押し込む。押し込んで、出来の悪いお人形さんみたいに黙りこむ】
【すんすんと肩が震える、それでも、――言ってしまったら少しは楽になれたのだろう、発作みたいにきゅうきゅう唸るのは、なくなって】
466 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/21(木) 00:59:19.72 ID:8wdItea40
>>465
【溢れた涙は行き場のない感情の塊。一粒零れ落ちたなら、またじわりと白い頬を濡らして】
【……酷い顔をしていた。何が悲しいのか、何が辛いのか、其れすら分からないと言うような、そんな顔】
【―――何もわからないから、きっと泣くことしか出来ないのだろう。涙は次々と零れる……】

【そんな鈴音を、春燕は言葉を掛けることなく見守り続ける。―――今掛ける言葉など、きっと無いから】
【どんな言葉を使ったって、本当に彼女の涙を止めることは出来ないから。だから、今は涙だけを受け止める。】
【何分、何十分、それは分からないけれど。もう一度喋ってくれるまで待ち続けて―――】

―――!!
………

【今にも絶えそうなか細い声で、漸く紡いだ言葉。それを聞けば、春燕は驚いたように目を見開く】
【初めて会った時、あれ程嬉しそうに話してくれた「だいすきなひと」。……その人がくれた魔力がなくなった、と言うのだ】
【いや、なくなっただけならもう一度供給すればいい。それすら出来ないという事はつまり――― 】
【―――鈴音がこうも取り乱している理由が分かった。そうか、そういう事か―――!】

【荒んだ心は言葉にも表れる。まるで鈴が地面に落ちたように、甲高く響いた声は廃墟中に響き渡って】
【真っ暗になったショーウィンドウに、涙で濡れた鈴音の頬が輝く。青白い月光が、悲しさを際立たせるように――】

【――春燕は、そんな鈴音の言葉を全て聞いた。聞き逃す事無く全部、真正面で受け止めて】
【震える彼女の肩をそっと抱きしめて、静かに言葉を紡ぐ―――】

―――辛かったんだネ。大好きな人がいなくなって、会えなくなって……
……ううん、辛いなんて言葉じゃ足りないカ。鈴音がそんな風になるくらいだもんネ……


……鈴音。辛いだろうと思うけれど、今から話す事はしっかりと受け止めてネ。


鈴音が大好きだった人はもういなイ。帰ってくるかどうかだって分からないシ、二度と帰ってこないかもしれなイ。……それは理解してるネ?
それはとても悲しい事だし、辛い事。居なくなったら泣いてしまうくらい大好きな人だもの、忘れようと言われてもきっと忘れられないよネ。

でもネ。―――大好きな人はその人だけかイ?

彼がいなくなったら、鈴音は一人ぼっちかイ?―――違うでしょウ?
いつまでも泣かずに、涙を拭いてよく自分の周りを見てごらン。……鈴音を大切に想ってくれる人は一杯いる筈ダ。
目の前にいるワタシだってそウ。それだけじゃない、ワタシ以外にも一杯いル。

鈴音の事を大切に想ってるのは彼だけじゃないんダ。
鈴音は一人じゃなイ。……だから、独りで居なくなったことを悲しむより、大切に想ってくれる人の傍に居ようヨ。

【―――本当に貴女は一人ぼっち?横に誰もいない?違うでしょう、横をよく見てごらん。周りを見てごらん。】
【其処には貴方を大切に想ってくれている人がいる筈だ。―――例えば赤髪の親友や、家族みたいに迎えてくれた銃士が。】
【「ワタシだって、鈴音をとっても大切に想ってるんだヨ!」と付け加えて。あとは、優しく微笑む―――】

【失った哀しみは忘れられるものではない。でも―――貴女は全部失った訳ではないんだよ、って。】
467 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/21(木) 01:44:03.83 ID:5K/j+rkf0
>>466

【綺麗な色合いだと思っていた、桜色と、黄緑色と。春先に公園で見る、素敵な色合い。大好きな時期の、色】
【でも変わってしまった。ずっとずっと見ていたかったはずなのに、気付いたら、自分の世界から、それは消えていて】
【こんな色じゃない。こんなじゃない。欲しいのはこれじゃない。我侭を言いたいのに、言ってもどうしようもなくて、誰も聞いてくれなくて】
【嫌いだと嫌だと拒絶したら生きて行くことすら出来ないのに。呼吸器を外したがる病気の子供と同じ、我武者羅な我侭】

――――ひ、ぐ、……。

【認められると急に泣いてしまいそうになる、泣かないと決めたはずなのに、泣いたらいけないんだと、決めたはずなのに】
【泣いているところをあのひとに見られたくないのは意地で、泣いても、慰めてくれるあの手はないんだと言う拗ねでもあった】
【ただいい子にして待っていようと決めた。でもそれが難しいことだって、――決めたときには、分からなかった】

【例えば一人きりの屋敷、一人分のご飯、冷たいベッド、テレビからだけ聞こえて来る、他人の声】
【人形は動かないしぬいぐるみも動くわけがないし、ペットは喋らない。ぬいぐるみに話し掛けてもむなしいだけ】
【お留守番とは違う。ほんの数時間待っていればよかったのとは違う。百年待っても、二百年待っても、帰ってこないかもしれないこと】

――――、

【小さい頃から寂しがり屋だし怖がりだったし、なんでも悪いほうに考える癖があった】
【最近やっとそれを制御できるようになって。それでも、もう、難しくて、限界だった】
【明日こそ、明日こそ、明日こそ、明日こそ、もう限界だって、ずっと誰かに叫びたかった】
【他人の言葉で言われてしまったなら、そこで絶望してしまう。もう会えないんだって――それを、認めないといけなくなって】

【ぼたん、と落ちた涙は、それこそ牡丹の散る様のよう。大粒の涙を幾重にも重ねれば、あっという間に川の流れの模倣、連なって】
【うあああと搾り出すような声が零れて、そうかと思えば、すぐに大きくなっていく。まるで子供のようにしゃくり上げて、】
【嫌々と首を揺らすのは。分かっているのだろう、分かっているけれど、認めたくなくて、認められなくて、曖昧なバランス】
【指輪の光が消えてしまったことで、独りぼっちだと思ってしまった。もう永遠に独りだと、誰も居ない世界に生きるのだと】

【――幼馴染にも話せなかった。かわいそうな子になりたくなかった。それが嘘っぱちだったとしても、あのときのままで】
【話せたのはたったひとりだけ、赤髪の女性にだけ。そして、つばめが二人目になる。ひとりきりで思いつめた、この真実】

でも……わたしのこと、全部知ってたッ、それでも、いいよって言ってくれたっ! ――つばめじゃ、わたしのこと、何も知らない!
音々ちゃんだって、天音ちゃんだって、――ベイゼだって、セリーナだって、わたしのこと、全部知らないのに!
わたしのしたこと、ぜんぶゆるしてくれた、いいよって、だいじょうぶだよって、ぎゅってして、くれた……、……。

【拭ってもらった顔をまたぐちゃぐちゃにして泣く、――ほんの一瞬の躊躇いは、ひどいことを言うって、分かっているくせに】
【止まれない、止まらない、吐き出してしまってすぐに嫌な顔をする。そして、そこに絶望を重ねるような螺旋状】
【――じぶんのしたこと。してきたこと。全部言えたのはあのひとが初めてだった。全部受け入れてくれたのも、もちろん】

【欠けた穴は大きすぎた。他のみんなはとっても大切、だけれど、それだけじゃ埋まらないぐらいに、大きなクレーター】
【あまりにも眩しい光を喪ってしまったなら、この世界の何もかもが暗闇に見える。明るさに、慣れすぎてしまったから】

/ながくなっちゃったのでつづきますー
468 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/21(木) 01:44:17.53 ID:5K/j+rkf0
>>466>>467

つばめだって……わたしがしたこと知ったら、軽蔑するんだ、わたしのこと、嫌いになるんだ……、……――。

【――もうどうにでもなれって気持ちがどこかにあった。だいすきなひとたちにひどいことを言ってしまった。自己嫌悪めいて】
【ぐるぐる沈殿する気持ちが心に積もって気持ち悪い。結局また顔を伏せてしまう、ぴったりと、腕で栓をして――】

【むちゃくちゃに甘やかされたかった。それでいて、これ以上ないぐらいに責め立てられたかった、でも、】
【そのどっちもされたくなくて、放っておいて欲しくて。でも放っておかれたら自分が消えてしまいそうな焦燥感があって】
【どうしたいのかもどうすればいいのかも分からない。でも、帰ってくるまで待つと、決めてしまった】

【(あの大きくて暖かくて、だいすきな手で頭を撫でてほしかった。それで、良かったのに)】
469 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/21(木) 02:45:42.68 ID:8wdItea40
>>467-468
//すみません、頑張って書いては見たものの眠気のせいで思うように進まず……
//お待たせした所を本当に申し訳ないのですが、一旦凍結させて頂いても宜しいでしょうか……?明日も21時くらいなら再開できると思いますので!
470 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/21(木) 02:49:29.98 ID:5K/j+rkf0
>>469
/だいじょうぶですよっ、眠いのは仕方ないものですし、無理なさらないでくださいな!
/明日もその時間なら大丈夫ですー、それじゃあ、ひとまずおつかれさまでしたっ
/また明日、よろしくおねがいしますー!
471 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/21(木) 21:40:06.64 ID:8wdItea40
>>467-468

【止めどなく流れる涙は、鈴音の心の中を映すように大粒。きっと心から溢れた感情もこの涙と同じくらい大きくて】
【捻り出される唸り声は小さな子供が泣いているよう。――――そう、拠り所を見失った子供のように。】
【春燕が紡いだ言葉にだって耐えられないように首を振って、拒絶して、認めたくない、分かっているのに】
【泣いて、泣いて、……躊躇うような一瞬の空隙の後に、叫ぶような言葉の数々。紡ぐなんて形容は似合わなくて、まるで吐き捨てるみたいに】
【何時もの耳に心地よい鈴の音みたいな声は、今日は粉々に砕けたガラスみたい。ぐちゃぐちゃで、尖っていて、触れたら傷つきそうで……】

―――!!

【―――「何も知らない。」その一言は春燕の心に深く突き刺さる。】
【ああ、そうだ。鈴音ついて知ってる事なんてきっと彼の足元にも及ばないだろうし、鈴音だって彼に比べて自分の事を知らないだろう】
【今の自分じゃきっと鈴音の全てを受け入れてあげられない。大丈夫だよって言ってあげられない。……そうだ、自分は鈴音にとって「まだその程度でしかない」のだ】
【私は鈴音の友達でいたい。なのに―――しらないって言われて、突き放されて】

【何も知らない自分が悔しい。目の前で淋しさに打ちひしがれて泣いている鈴音の涙を自分じゃ止められないのが悔しい。】
【彼女のしたことを知らない。それだって事実だから、嫌いになると言われても否定することも出来ない。でも――――】


【―――でも、傷つかない。ひどいことを言われたって、「嫌いになる」なんて言われたって微笑みを崩さない。】
【生憎、春燕はどこまでも前向きなのだ。深く心に刺さるような言葉を吐かれても、前を向くことが出来るのだ。】
【鈴音の事は知らない。でも、鈴音の気持ちは分かるから……傷つけたくて傷つくような言葉を放ったわけではない事も分かるから】
【だから、ひどい言葉だって全部受け止める。受け止めた上で、笑って顔を上げるのを待っている。】




【何分、何十分、何時間……いつになるのかは分からないけれど、鈴音が伏せた顔を上げれば―――】
【―――「大丈夫だよ、傷ついてなんかないよ」って言うような、そんな春燕の微笑みが飛び込んでくるだろう。】

……少しは落ち着いタ?

そうだよネ、ワタシは鈴音の事をまだ何も知らなイ。……でもネ、鈴音の気持ちは痛いほどよく分かるヨ。
―――ワタシも、一番だいすきな人ともう二度と会えないかラ。お父さんも、お母さんも……
どれだけ探しても、お父さんもお母さんも生きていた痕跡すら見当たらなイ……
……鈴音の事は知らないけれど、だいすきな人がいなくなった鈴音の気持ちは分かるんダ。

だから、ワタシは鈴音を助けタイ。苦しみを知ってるからこそ、支えたイ。
まだワタシは鈴音の事を知らないかもしれなイ。でも―――これからもっと鈴音の事を知って、大切な人になりたイ。
鈴音の大好きな人には及ばないかもしれないけド……いつか全部知って、大丈夫だよって言える人になりたイ。

【春燕だって何度も何度も辛い思いをした。今の鈴音と同じくらいの絶望を味わったこともあった。】
【……春燕の名前に注目して欲しい。彼女の名前は「黄春燕」と書いて「ファン チュンイェン」と読む。】
【だが―――この世界の何処にもこんな読み方をする言語は無い。文字だけを見れば櫻の国風だが、読み方が全く違う……】
【加えて、この世界のどこを探しても両親が生きていた痕跡すら見つからなかった。つまり―――春燕は何らかの原因で異世界から飛ばされた人間なのだ。】
【当然右を見ても左を見ても知っている人などいない。誰よりも自分の事を知っている筈の親も、存在すら分からない。】
【そんな孤独の中で、それでも春燕は持ち前の明るさで前を向いた。どんなに苦しくても、笑顔でいた。】
【そうやって、笑顔でいたら―――誰もいない孤独な世界に、一人、また一人と大切な人が増えて行って】
【今では誰よりも自分を理解してくれる友達も出来て、孤独から救われた。……だから】

【酷いことを言われたって、軽蔑すると撥ね退けられたって、同じように苦しんでいる鈴音を助けたい。】
【鈴音の事は知らなくても、鈴音の苦しみは理解できるから……だから、今から少しでも鈴音の事を知って、理解したい―――】
【帰ってくるまで傍にいるだけでもいい。少しでも鈴音の苦しみを和らげたい―――そんな春燕の心は、届くのだろうか】
472 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/21(木) 22:03:58.98 ID:6Oqvxpz7o
【公園】


【時折聞こえてくるのは車の通る音と、虫の音】
【昼の暑さも忘れられる涼しい夜。心地よい静けさのおかげで、さらに涼しく感じられるか】

【しかし不意に、ポン、と柔らかい音が響くだろう】
【それは高速で連なり、ひとつの有名な童謡を紡いでゆく】


〜〜♪ 〜〜〜♪ 〜〜♪


【音を作っているのは鼻歌を歌っている少女だった】
【明るいグレーの髪を右側でサイドテールにして、赤い瞳を持ち】
【小学校高学年程の背丈で、シャツの上にデニム生地のサロペットスカートを着た】
【そんな――活発そうな少女である】

【彼女が手に持っているのはマレットと呼ばれる木琴演奏に使われるバチだった】
【だが、彼女が今打っているのはブランコの前の鉄製の手すり】
【しかも曲が進むにつれて周りには次から次へと光を固めたような兎がぴょんと出現していて】

【能力なのは確かか。演奏は誰が聞いても不快に思わないだろうもの】
【この時間の幼き少女の一人舞台。果たして立ち寄る者は現れるのだろうか】






【水の国――とあるカフェ】


【そのカフェはSweet Silent≠ニいう名だった】
【大きな通りの脇道を少し入ると、小ぢんまりとしたその佇まいを見れるはずだ】

【このカフェの特徴は二つ。ひとつはマスターがとんでもなく無口であるということ】
【もし客が店に入ってきても鈴の音が響くだけで、すぐには歓迎の声が聞こえてこなかったりする】
【本人は常に柔らかい笑みを湛えているのだが――そのあまりの無口さからか、評判もイマイチで】

【もうひとつは――ここの看板娘だ。きっと店内に入れば、まずは彼女が出迎えてくれるだろう】
【パールブルーの長髪に同色の瞳、腰の大きな青色のリボンが特徴の、青みがかった白いワンピースを身に纏い】
【動きやすそうなサンダルと紺色のエプロンを着用した、そんな――温厚そうな顔つきの少女だ】

【こちらも声を出さず、代わりにスケッチブック≠向けるだろう】
【そのページには大きく「いらっしゃいませ!」と書かれているはずだ】
【勘がいいならば声を出せないと推測できるかもしれない】

【無口なマスターと声を出せない少女――そんな二人のカフェは今日も営業中だった】


/12時くらいに落ちるので持ち越し確実ですが…
473 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/21(木) 22:10:13.55 ID:5K/j+rkf0
>>471

【彼女にとって大切な蛇(ひと)。どこを見ても真っ白なのに、ただ、瞳だけが爛々と宝石みたいに赤かったひとを、思い出す】
【そのひとだって大切なひとを喪った。喪って、生まれ変わってくるまでの八百年を、たったひとりで耐え忍んで見せた】
【封印された身体で。誰も来ない岩戸の中で。それってどれぐらいに苦しかったのだろう、それとも、わたしが頑張れないのは、】
【人間でなければ神様でもない、蛇でも、人でも、なんでもない、中途半端だからなのだろうか、なんて、ふと考えて――】

【――誰かに教えてしまうのが怖かった。自分のしたことを一緒に背負ってくれるひとなんて、と決め付けていた】
【こんな自分がUTなんてひとたちの傍に居る。それを責められるのは恐ろしかったし、矛盾しているのも、わかっていたけど】
【傷つけた人間の分だけ誰かを救おうと思った。その心は嘘じゃないって、――いっしょうけんめいに、繰り返していく】

【ぴったりと両腕で塞いでしまった暗闇の向こう側から小さな声がした。「ごめんなさい」って、躊躇う子供みたいに】
【ママなんて大嫌いと言ってしまった後に不安に押し潰されそうになる子供みたいな声、それとも、本当にそれと変わらないのか】

……お父さんもお母さんも死んじゃった。初めてわたしのことを愛してるって言ってくれたひとは、別の女(ひと)のところに行っちゃった。
ずっと一緒だよって誓ってくれたひとは、……気付いたら、氷の解けちゃったみたいに、居なくなってた。

…………いつだってそう、大切なひとから居なくなるの。……――いつだって、そうだよ、……。

【こころには自己嫌悪が重たく伸し掛かる。ひどいことを言ったと分かっている、だから、もう顔は上げたくなくて】
【顔を伏せたままでぽつぽつと言葉だけが帰ってくる。それは、或いは、とっても失礼な態度だったかもしれないけれど】
【――そんな彼女の肩がひくりと跳ねたのは、やはりつばめの境遇を聞いたときだ。同じなんだって、ふっと、思って】

ひとを殺したんだよ、一人とか二人じゃない、三人とか四人でも足りない、数えるのを忘れるぐらい、殺したの。
それなのに、UTのお手伝いをしてるの。それなのに、誰かを助けてみたいって思ったりしてるの。それなのに、……、

ふつうのひとみたいに、しあわせになりたいって、ずっと思ってるの。

【――――そんなに言うなら、ほんの少しだけ期待してみたかった。呟くのは取っておきの秘密、一番、隠すべき場所】
【最愛のひとにすら言うのを躊躇った秘密なのに。言えてしまったのは不思議な感覚、ふらりと持ち上げた頭、】
【赤く腫れた瞳がじっとつばめを見つめるのだろう。どうせ駄目だと思い込んでいる時の瞳、暗く、濁った色合いが揺れて】
【「どう?」なんて言う風に首を傾げるのだ。受け止められるものかと、わざと身体を狙って投げるような、剛速球】

【今この場なら、たとえ軽蔑されたとしても、嫌われたとしても、二度と会えなくなるとしても、それで、平気な気がした】
【たったそれだけの思いつき。投げられた言葉をどう受け止めるのか、それとも、受け止めないで流すのか、それは――つばめに委ねられ】
【けれど。助ける側のつばめにしてみたら、許されない話なのかもしれない。彼女は、――壊すばっかり、終わらせるばかり】

【(向けた視線は冥く澱む、でも、どこかで、大丈夫だと言ってくれるのを熱望するように、熱っぽく歪んで)】
【(嫌われたい/嫌われたくない、むちゃくちゃな感情のかたちなんて、きっと、もう、本人にすら追いかけられない)】
【(――前向きだった少女とは違う。もっと、後ろ向きで、下を見がちで、そんな子なのだ。恐らくは……)】

【つばめの秘密には――或いは、彼女が全うに学校などに通った子だったなら、気付けたかもしれないけれど】
【ほんの最近、教えてもらって勉強を始めたばかりの彼女には分からないことだった。その勉強だって、あれ以降は――】
474 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/21(木) 22:22:49.63 ID:GfprhPlro
【裏路地】

【今夜は通り過ぎる分厚い雲の塊が過ぎるまで強い雨が降り続けるそうだ】
【この街の路地にも否応なく雨は降り、雨樋を伝った雨水はパイプから滝のように流れ出て】
【格子の排水口へとその地を洗い流すように流れていった】

【ガコンと、その路地のマンホールの蓋が動く。ガリガリと蓋がずれて、中から手がボストンバッグを押し上げる】
【そして後から全身が滝に打たれたかのようなびしょ濡れの男が下水溝から這い出てきた】

あー…クソッ、思ったより酷いな……お陰でここまで来れたけれどさ

【黒い髪の長身の男。夜だというのにサングラスで服装はシングルのライダースジャケット、ジーンズにエンジニアブーツ】
【腰には2丁拳銃用のガンベルトを2つ重ねるように巻いている。だが拳銃は3丁しかなかい。男はマンホールの蓋を戻す】

プランを練るときにもっと別のにすりゃよかったんだ……嵐の中、飛行機を飛ばすほうがマシだったかもな
少なくとも…落ちる前に煙草が吸えた。…クソッタレ

【両手で髪を描き上げて、壁に背をつけてしゃがむ。疲れたように頭をつけて、ポケットの中で濡れてダメになった】
【煙草の紙箱を取り出して手の中で握りつぶした。ソレを投げ捨てても、雨は止まず平等に彼にも降り続けていた】
475 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage]:2014/08/21(木) 22:54:58.59 ID:/n0UYzpXo
>>474

【突然、びしょ濡れになった男の顔に向かって眩い光が向けられた。月光は雨雲に隠れて姿を見せないし、電灯の光にしては強すぎる】
【光が射す方向を彼が見たのなら、それが懐中電灯の光だと言う事が分かるだろうか。となれば、その懐中電灯を持っている人物が居るということであり―――】

……おいアンタ、何やってんだ。こんなクソみてぇな天気の夜に、そんな格好で……
しかもマンホールから出てきたとなりゃコッチも怪しむに決まってるってんだ。

【右手に傘、左手に懐中電灯を持った―――青いソフト帽が特徴的な、白シャツ×灰色のジレ×ジーンズのシンプルな格好に身を包む茶髪の男が悠然と立っていた】
【零す言葉、向ける視線。それらはどれも彼を怪しんており、そして警戒を感じさせるモノであり】
【男は続けてそのような警戒をする理由に加え、自分がこんなところに何故いるかも勝手に話していく】

……こっちはアレだ、最近GIFTらしき連中がマギタイトをあちらこちらから強奪しまくっててよ。 
宝石店から奪ったり、鉱山から採取してる業者に大勢で襲い掛かったり……軍に運ぶための車を待ちせして奪い去ったりとめちゃくちゃなのさ。
今も宝石店に何人かの警備が居るんだが、念には念をってことでその周りもパトロールしてたって訳で……―――そんで、お前を見つけた。

【男の腰にも二丁拳銃用のガンベルトが巻かれており、そこには赤と青のリボルバーが差してある。その片方、青のリボルバーを左手で抜き、グリップを握りしめる】
【銃口はまだ向けていない。だがこの行動だけでも相手に対し此方がかなり警戒しているということが伝わるだろうか。男は疑っている。彼がその強盗ではないのかと】
【紺碧の瞳が真実を見抜かんと見開き、懐中電灯の光は絶えず彼を照らしていた】
476 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/21(木) 23:34:32.62 ID:GfprhPlro
>>475

【男は一方的で人工的かつ暴力的な光の向けられた方をサングラス越しにちらりと見やる】

雨は嫌いでね…地下道を通ったのさ。まあ、今日はこの天気だ。ネズミもいやしなかった
何やってるって……そうだな、煙草を買いに出かけたって言ったら信じるか?
あながち、間違いでもないんだ…湿気るどころか濡れてバラバラだ。…雨は嫌だね

【短く鼻で笑って皮肉交じりにジェスチャを交えながらそう話す】

お生憎様、俺はGIFTだのカノッサだのには疎くてね。夢も野望もイデオロギィもさっぱりだ
そいつらがどうしようと知ったこったない。同時に、アンタがそいつらどうするかもな

【よっと、壁に手をつきながら不意に立ち上がる。相手が警戒していることも気にもとめずに話しつづけ】

アンタが警察か私設の正義組織かどうだっていいが、どうせバッグも改めるんだろ?好きにしろよ
お望みのマギタイトは詰まってないが、それなりに喜ばしいものは入ってるだろうさ
……言っとくけど、身分証はないからな。…話の続きは……それからだ

【バッグを拾い上げると、相手の足元に向かってぶん投げる。ドスッと重い音がする】
【ジッパーを開けると中には丁寧にビニールで包まれた紙幣の束。ぎっしりと真新しいのが詰まっていた】

それより、煙草持ってない?…火ぃはあるんだよ。火ぃはさ……
477 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/21(木) 23:54:55.78 ID:8wdItea40
>>473

【どんなに小さな声だって聞き逃す事は無かった。伏せられた顔の下から微かに漏れた「ごめんなさい」は、ちゃんと春燕の耳に届いて】
【春燕は言葉を返す代わりにそっと肩を撫でる。言葉には出さないけれど、「大丈夫だよ、心配しなくてもいいんだよ」って、そう告げるように】
【大丈夫、そんな言葉では春燕は嫌わない。離れない。撫でる手つきはどこまでも優しく、安心させるように繰り返されて】

【―――鈴音の紡ぐ言葉は、まるで襤褸切れのよう。途切れ途切れに語られるお話は、非情な苦しみに満ちていて】
【その苦しみが分かるだけに余計に辛い。だいすきな人に二度と会えなくなる苦しみ、耐えられない位の孤独】
【それを―――三度も味わったのだから。両親、愛した人、そして夫……

【……そんな彼女がふと顔を持ち上げたのは、春燕の境遇を聞いた時。】
【じぃっと春燕を見つめる瞳は曇っていて、赤くて、暗くて……それはきっと、絶望したこころと同じ色合いで】
【そして―――投げかけられた言葉は、何よりも重くて暗い秘密。受け入れるには、あまりにも重い秘密―――】


【それでも】


【―――春燕は微笑んでいた。】


【ただ微笑んで―――ゆっくりと、一つ一つの言葉を確かめるようにして紡いで、鈴音に贈っていく―――】

……どうして鈴音は誰かを助けたいと思っているノ?どうして鈴音は人を殺したことで苦しんでいるノ?

―――悔いているからでしょウ?やってはいけなかった事だと思っているからでしょウ?

殺した命は帰ってこなイ。鈴音は一生殺し多分お十字架を背負って生きていかないといけなイ。―――でもネ。

「今」の鈴音はちゃんと後悔してル。反省してル。もう二度と誰かを殺す事なんてしないでしょウ?




――――大丈夫だヨ、軽蔑なんてするもんカ。嫌いになんてなるもんカ。

人を殺した鈴音はもういなイ。今目の前にいる鈴音は、誰かを助けたいって思える人ダ。

ほら―――この顔が、嫌っているような顔に見えるかイ?

【最後にニコッと微笑めば、それでおしまい。―――もう何かを喋る事も無いし、何かをする事も無くて】
【ただずっと、横にいるだけ―――】

//大変遅くなってしまい申し訳ありませんでした……!
478 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage]:2014/08/22(金) 00:00:07.92 ID:/n0UYzpXo
>>476

っと……! あー、いいや面倒くせェ。 つーか雨が嫌いって言っときながらびしょびしょじゃねーか……
煙草……ねぇ。小学生のような純粋な心は持ってないんで、信じられるかと言ったらNOだわな……あ、最近の小学生ってませてるんだっけか?
―――ま、雨が嫌なのは俺も同じってな。帽子が濡れるのだけは正直勘弁だからよォ。

【流石に銃と懐中電灯を1本の手で持つのは難しいようで、ガシャンと音を立ててコンクリの床に懐中電灯が落ちた。どうやら安物らしく、光は潰えた】
【壊れた其れを拾う仕草も見せず息を吐けば、彼のジェスチャーに応えるように肩を竦めてみせた】

【―――どすん。重い音を立ててバッグが男の足元に投げられた。男は不可解な視線を一瞬ちらりとむけるとしゃがみ込み、バッグのジッパーをじじじ、と降ろした】
【「それなりに喜ばしいもの」と聞いた故の不可解な視線だったが、眼に入り込んできたモノを見れば「なるほど」と思わざるを得ない。大量の札束は怪しさを助長させた】

……―――おいおい、金はあっても煙草に困ってんのかよ……
―――ま、じっくり話を聞かせてくれるってんなら……って言っても、ダビドフ・クラシックだけどいいのか?
俺の知ってる限りここらへんじゃ取り扱ってる店は見ないし、コンビニじゃ100%ない。味は……俺は勿論吸ってる身だから上手いんだが、人に勧めるべきかは……なぁ

【紺碧の双眸が丸みを帯びて、彼へと注がれる。まるで「お前は何者だ」と瞳が問いかけているようでもあった】
【ジッパーを上げ、胸ポケットからチラリと見せたのはワインレッドのパッケージ。男が吸っているらしい煙草、「ダビドフ・クラシック」】
【一旦銃をベルトに戻し、バッグを片手で持ち上げると投げ返す。おそらくまたどすんと音を立てて彼の足元に落ちるだろう】

ッフー……こんなに札束入ってんならこれからマギタイト奪いに行くワケじゃねぇのはわかる―――が、流石にGIFT関係なく怪しいっての。
―――で、いるのかいらないのかどっちよ、煙草。

【大袈裟に溜息を吐けば、またしても左手は拳銃のグリップに。確かにGIFTではないと証明は出来たが、怪しい人物であることは未だ変わらなかった】
479 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/22(金) 00:22:11.06 ID:KW5rd9mf0
>>477

【両親が死んだとき、世界が終わったような感覚を覚えた。自分自身が死んだとき、確かに世界は一度終わった】
【もう一度機会を与えられたこと。ずっと分からなかった、それで良かったのか、これで良いのか、だって、】
【もっと生きてと願われるべきひとが居たのではないかと。――もちろん、自分(わたし)を願ったひとが、他者を望まないのは分かっていても】

【何人も殺したことに罪悪感なんてずっとなかった。だって壊したかったのだ、ぜんぶ、気に食わないもの、この世界、ぜんぶ】
【こうして回る世界こそ壊せなかったけど、もっと小さな――生きる人間の世界は、いくつも滅ぼした。悪魔みたいに、魔王みたいに】
【一緒に居てくれるひとに出会えて。全うではなかったけれど、愛されて。それで思い出した、まともな、罪悪感】
【――潰れてしまわなかったのは、認めて、寄り添ってくれたからだ。それで、嫌われなかったから、大丈夫だった】

【家の裏にお墓を作った。所属こそしないけれど、UTのお店のお手伝いと言う形で近づいてみた、誰かを、助けてみた。それは、】
【まだまだ拙いし、きっと、赦してもらえやしないけれど――贖罪のつもりだった。ずっと、ずっと、続けていくって】

【(そう、一人になった時点で消えてしまう選択肢が彼女にはあった。でも、それを選ばなかったのは、逃げなかったのは、)】
【(もちろん彼を待ち続けるという覚悟でもあったけど、自分の罪をただの消滅で終わりにしないという、覚悟でもあって)】

【どうせ駄目だと思っていた。ただの人間じゃ受け入れられない罪なのだと思っていた。それなら、】
【思ったとおりに嫌われるか、通報でもされるか、それとも、それとも、******?】

【――微笑んでくれた瞬間に、理解できないような顔をした。だのに。口元だけは、ほんの微かにだけ笑うように緩み】
【右の掌がぺたんと頬に触れる、それから、くにゃり――笑って見えたのは、掌が頬を歪めたせいか、それとも、】

だって、だって、たくさん、殺したんだよ、わたしが、殺したの、みんな……、
助けてって言われても無視して、骨だって残さないで、なんにもなくなって、水溜りみたいになるまで……。

【でも。掌の向こうで変わる表情は、確かに安堵だった。大丈夫だったって、許してもらえたって、瞳を滲ませて】
【またぼろぼろと涙を落とす、けれど、今度のそれは、色合いが違って――さっきよりも、ずっと、軽いような風合い】
【そうして語るのはどんな手口を使ったのかという話だが――顔付きの割り、結果はえぐいらしい】

【(赤い赤い水溜りの世界に、灯りを燈してくれたのはあのひとだった。そして、みんながいろんなものをくれた)】
【(言葉だったり、思想だったり、優しさだったり。それらは、気付けば、水溜りを埋め尽くして、見えなくしてしまって)】
【(年末の大掃除みたい、要らないもの――嫉妬とか殺意――を捨てて、世界中の赤さを、綺麗に拭っていく)】
【(そうしていけば、きっと、いつか、望むような“いい子”になれる気がしたから。総ての罪が祓えた、その日に)】

見えない…………――、

【ぱたぱたと涙を落としながら、そうっと頭を寄せる、寄りかかろうとする仕草は、やっと、気を許せたみたいに】
【受け入れてやればきっと喜ぶだろう。そうして、泣き止むまでのしばらくの間――そうやって、していたがるはずだ】
【やっと落ち着いて涙を拭いだす頃には、出会ったときから結構な時間が経っていて、月も、だいぶ傾いてしまっている】

【腫れぼったい目蓋を擦って睫毛を引っ張ったりしている彼女は、まだそれには気付いていないようだった】
【もう少し話していってもいい、もう立ち去ってしまってもいい、その結果はつばめの言葉に委ねられて――】
【――ただの友達から壁を一枚越えたのだもの。それも分厚い、大きな壁。どんな提案だって、彼女は受け入れるはずだ】
480 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/22(金) 00:35:14.53 ID:ILQVmTEco
>>478

金持って下水から這い出てきた奴がもっともらしい理由を言った日には即、ブタ箱行きだ
そうならないもっともらしい理由を思いつく奴は……別の理由で近いうちにブタ箱か棺桶行きだ
…嘘っつーのは人工物で…受け入れ易いけど真実っつーのは受け入れ難いものさ……これは嘘だけどな

【口元をニヤつかせて、男は煙草を受け取ると自前のオイルライターでそれに火をつける】
【ニコチンとタールが肺から脳まで満たされると、めいっぱいの煙を吐き出した】
【相手が何を問おうと急かそうと彼はシカトして落ち着いてから口を開く】

ニコチンとタールが入ってりゃ何でもいい……でも、両切りは吸いづらい、葉巻も長過ぎる
パイプも面倒い。…ようは、紙巻きなりゃ何でもいい。だから俺は赤マルさ。何処でも売ってるからね

【ヘビースモーカーを超えて途切れなく吸うこの男は言わばチェインスモーカーである。その為に】
【煙草なら何でもいいという境地まで至っている。一応の好みは在るのだが、選ぶのが手間だから】
【常にソレにしているといった程度で、ソフトケースが好きという以外は気にしたことがない】

俺の名前から、シゴトから、昨日何食ったかまでいちから順に話してやってもいいがそれだと
この煙草一本じゃ済まないね。『大脱走』ぐらい長くなるだろうさ……なあ、ミスター
クエスチョンは手短にな。……それとも俺がビールと煙草を買いに行って戻るのを待ってるか?

【いかにも彼は現時点で容疑者なのだが、指に煙草を挟んでニヤついた態度は自信すら感じられる】
481 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage]:2014/08/22(金) 00:58:37.42 ID:PSFdG+Emo
>>480

ほー、ニコチン中毒者って訳ね……お前も直ぐに棺桶行きになるぞ、多少は健康のこと考えたらどうだよ。
俺はまぁ、考え事とかしてる時に偶に吸うくらいで……あー、1日2本くらい? 1日2本なら、その2本くらい贅沢させてくれ……ってことで、コイツ。

アンタに合うかは分からねぇが、高そうな味はすると思うぜ? ……味すらも関係ねぇって思ってるかも知れねぇけどな。

【胸ポケットに1つと、尻ポケットに1つ。1日2本しか吸わないくせにこの男、ダビドフクラシックを常に2箱携帯している】
【その2つともを取り出せば、彼がバッグを放り投げたかのように―――ワインレッドのパッケージが宙を舞う】
【要するに、この2箱をやるから聞いた分は話せと言うわけだが……】

―――……これで文句ねぇか? 流石に映画並みの長さで語られちゃ困るからよ……こっちが聞く内容に出来るだけ答えるってのは?
まず名前、仕事、そんでこの金はどこから持ってきたか。下水道に入っていた理由。話してやっていいんだろ? ビールはねぇが高い煙草2箱は破格だろーよ。

……ちなみに、俺はマーシャル・T・ロウってんだ。 SCARLET所属だから、まぁ……GIFTを追ってるって訳。
命かけてるんだから、まぁ煙草にも奮発っつーか? ホントは知り合いから煙草禁じられてんだけど……流石にやってられねーし!

【ソフト帽の鍔を軽く弾きあげ、ふふんと鼻を鳴らして笑みを零す男。此方も何故か自信たっぷりで―――そして、またしても勝手に語りだすは自分の仕事と名前】
【人の名前を聞くならまずは自分からと言うからだろうか、見た目に似合わず律儀な対応を取る男であった】

482 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/22(金) 01:25:41.41 ID:7TeWJ9/O0
>>479

【彼女は逃げずに自分の全ての罪を受け止めた。殺した分だけ、奪った分だけ、十字架を背負い苦しんだ。】
【ちゃんと悪い事だって気付いて、気付けた。―――もう、それでいいんだ。】

【罪は消えない。殺した命は帰ってこない。その罪が赦されることなんて、きっと無いのだろうけれど】
【―――そうやって一生罪を背負い続ける覚悟を、一生かけて償おうとする覚悟を、どうして軽蔑できようか。】
【ならば私はその覚悟を全部受け入れて、認めて、支えよう。それが、鈴音の傍にいる自分に出来る事だから】

【何時しか鈴音の顔は、何だかわからない表情になっていた。何だかわからない目でこちらを見つめて】
【その瞳がじわりと曇って、やがて涙が零れたなら。安堵と共に表情が変わったなら。―――そっと頭を撫でて】
【語り掛けるのは、殺した事への思い―――】

―――今、鈴音が誰かを殺すのなら、ワタシは鈴音を軽蔑して嫌うだろウ。
でもネ、今の鈴音はそんなことはしない、誰かを助ける優しい人ダ。……そんな鈴音が、ワタシは大好きだヨ。

昔の罪を水に流すことは出来なイ。反省しても殺した罪は一生消えなイ。でもネ―――
―――今の鈴音を見れば、二度と罪を犯さないって事、分かるかラ。

鈴音が一生罪を背負っていくと言うのなら、ワタシは横で鈴音を支えよウ。
一緒に人を助けたいと言うのなら、喜んで一緒に助けよウ。

だから―――もう泣かないデ。

【――やがて鈴音が寄りかかるように小さな頭を寄せれば、そっと受け入れるように肩を貸して】
【鈴音の気が済むまでそうしている筈だ。何十分でも、何時間でも、ずっと―――】


【……どれだけ泣いたのだろう、すっかり時は経ってしまったようだ。星空も随分と移動していて】
【「泣き疲れたでしょウ、もう帰ろうカ!」って、一声かければ一緒に立ち上がろうとする―――】
【春燕の帰る先はこの廃墟外から30分ほど歩いた集落の小さな宿。ついて行くと言うのなら、きっと拒みはしないが】
483 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/22(金) 01:33:11.60 ID:ILQVmTEco
>>481

コイツを吸ってないほうが寿命が縮まっちまう。…そういう生き方なんだ
別に煙草吸ったからって死なねえよ。長生きしたかったら、タバコやめる前に転職と結婚を進めるぜ

ジャンキーでも旨いか不味いかぐらいはわかってるさ。…大概、それは気分次第ってこともな

【煙草を受け取って、またニヤリと笑う。貰えるもんはもらっとけ。それが高級ならなお良しだ】
【実際は味なんてわからなかったとしても高級だってだけでワインでもボールペンでも良いものは良いはずだ】

……オーラィ、それでいい。煙草二箱ならお安いご用ってね…じゃあ、その金が何なのかサーヴィスでわかりやすく
話そう。俺はクソ田舎で麻薬を作ってるクソ麻薬カルテルの資金を預かってるクソ銀行の現金輸送車が
クソ警官が目をつぶるためのクソ裏金を運んでたから、とてもスピーディかつスマートにそれを頂いたのさ
んで……だがクソギャングの追手だけじゃなく、クソ警官が恥も外聞もなく検問を敷いちまったから仕方なく
土砂降りの濁流が流れ込んだ下水道を通ってここまで来たところ……煙草をいま吸ってる

【そんな感じだ…と区切りを置いて、男は煙草を吸っては吐いて自分のペースを保つ】
【新聞を読んでいたなら二、三日前に数十キロ離れた郊外でそんな事件も合ったことがわかるだろう】
【しかし、カルテルも裏金も話は出ておらず、ただの強盗とだけ報道されているだろう。そして管轄は警察である】
【軽傷が数名だけなのでSCARLETにも要請は無いということになっているが。実際は内々で処理したいが為なのだが】

【そしてその新聞では手口から在る1人の指名手配犯の犯行ではないかと予測なされていた】
【そいつは義賊だの何だのとヒロイックに騒ぎ立てる。部数を伸ばすために誇張して書かれていた】

オーラィ、ハロゥミスター、ロウ。……俺はロッソ。シゴトは銀行強盗…とか…色々
484 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/22(金) 01:44:30.32 ID:KW5rd9mf0
>>482

【消えてしまえることも出来た場面で、彼女は消滅を選ばなかった。それなら、残った選択肢は、生きるだけ生きること】
【人間じゃない彼女に全うな命なんてない。人間らしい命なんてない、けれど、人間らしさを願ってしまったこころ】
【それはきっと罪深い。もしかしたら、誰かを殺めたことよりも重たい罪なのかもしれない、だって、――償えないから】

【でも――そうやって願わなければ、こうしてつばめと友達になることはできなかった。或いは、出会うことさえも】
【世界の神様は彼女を赦さないかもしれない、でも、彼女に最も近かった神様(へび)は、そんな我侭を赦してあげた】

【生きたいだけ生きればいい。したいことを、すればいい。だから彼女は生きるし、だから彼女は、何百年掛けてでも、償ってみせる】

【――生きるって決めたのは自分だし、待つと決めたのは自分だし、償うと決めたのは、自分だった】
【寂しさがぐるぐるして分からなくなっていたことがようやく分かってくる、逃げなかったのは、自分だって】
【それが分かれば、少し元気も出た。頑張れる気がした。――それに、自分の罪は、誰にも背負えない重さじゃないって】
【あのひとだけの特別じゃないって気付けたから。もう二度と手に入らない暖かさだと思っていた、――そうじゃないんだって】

【左手に視線を落とすと、そこには変わらないがらんどうの瞳。まだ、少しだけ、心はちくちくするけれど――耐えられる】
【いつかまた同じ光が燈るのを夢見る、――それが出来るぐらい、弱虫だったはずの彼女は、強くなれていた】

…………、

【もう帰ろうかって言葉、立ち上がるように促されて、ただ、少女は数秒待っても立ち上がらなかった】
【どうしたのかって見れば、泣きじゃくった顔を見られるのが恥ずかしいみたいに、両掌で顔を覆って――黙っていて】
【指の隙間から覗く瞳は伏せがち、すう、すう、息をするたびに動く肩の仕草が、まるで小動物のような刹那】

――わたしも、いきたい、

【――そのうちに、なぜだかしょんぼりして言うのがそれだった。一緒に連れて行ってくれないかと、そんな、わがまま】
【「お金は出すから」なんてことを慌てたみたいに言う、自分の分は出すからって、だから、一緒に連れて行ってほしいと】
【言い終えれば祈るように見上げてくる。とてもじゃないけれど、その様子は、二十一を迎えたようには見えなくて……】

【一人で眠りたくない気分だった。家に帰ればペットがたくさん居るけれど、それとは、ちょっぴり違う気分】
【ペットやテレビ相手だと会話が成立しないから寂しい。誰か、お話できるひとと居たかった、――そんな、さびしがり】
【毎夜毎夜幼馴染に電話するわけにも行かないなら欲求不満だ、――だから、それを、子供みたいに満たしたがって】

【頷いてやったとすれば。それこそ子供がぱぁーっと笑うみたいに、笑顔を咲かせるはずだった】
485 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage]:2014/08/22(金) 01:59:46.40 ID:PSFdG+Emo
>>483

ま、俺がそう言ったからって治る筈はねーって分かってんだけどな。誰になんと言われようが戦線から退く気はねぇ俺と似たようなもん……じゃねーの?
つーかなんだ……結婚だァ? 俺的にはあのイベントは逆に命を縮めると思うけどなァ……自由に生きてナンボだ、拘束されんのは御免だね俺は。

【投げる前に一本だけ抜いて、口に咥えて火を付ける。慣れ親しんだ煙の味が染み込んで、雨で憂鬱な感情を落ち着かせてくれる】
【鼻から白い煙をゆっくりと吐き出しながら、眼前のびしょ濡れの男が語る話に耳を傾けた】

……―――所謂義賊っての? 確かに新聞でそれっぽい記事は見たし……なぁ。
んー……それがもし本当ならスゲェ話だな、とだけ言っておくか……あー、やっぱりマジっぽいか……いや……―――。

あー面倒くせっ、もう本物でいいわ! 俺ぁ銀行強盗とかそんなに興味ねぇし、そもそもSCARLETは対能力者なんたらかんたらだから銀行強盗は範囲外ってんだ!

【信じるべきかどうか―――それを悩んでいることがもうバカらしくなって、煙と共に不満をぶちまけることになった】
【拳銃を元の位置に収めれば空いた手で懐の携帯灰皿を取り出し、灰をトントンと落としながら男の言葉はまだ続く。疑いは晴れてもまだ、瞳には疑いの色が浮かんでいた】

……―――おい、ろくでもない仕事してやがるロッソくんとやら、ところでだな……サングラス取ってみてくれねぇか。
なんとな〜〜〜〜〜く、どっかで見たことある顔な気が……するような、しないような……やっぱするような……って感じでもやもやしてるんだ。

正直オレは人の顔覚えんの苦手でさ……もしかしたら人違いかも知れねぇが、2箱分の話は聞いてねぇってことで頼むぜ。

【眼を細めて、首を傾けて―――サングラスの男の面を凝視する。やはり前に見たような……見ていないような。この男に似た雰囲気の男を、見たことがあるのか?】
【もしくはその人物=この人物か。とにかく心の霧はこの天気よりも晴れていない。一刻も早くこの霧を払いたかった】

/すみません、置きレス移動お願いできますか? 一旦ここで区切りたいのですが……

486 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/22(金) 02:29:03.17 ID:ILQVmTEco
>>485
/了解しました。こちらも限界ですので朝に置きレスに置いておきますー
487 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/22(金) 02:35:47.07 ID:7TeWJ9/O0
>>484

【強くなった鈴音の傍に、一生かけて罪を償う彼女の横に、きっと春燕は居続けるだろう。】
【ずっと一緒という訳にはいかないだろうが……求められれば、そっと寄り添う事を拒みはしないだろうし】
【何よりも、一緒に居る事で鈴音が一人じゃないって分かって笑ってくれるのなら―――それが一番嬉しい事だから】
【鈴音はもう寂しくはないだろうか。もう悲しくはないだろうか。もう、前を向いて歩きだす事が出来るだろうか。】
【―――大丈夫。泣き腫らした鈴音の瞳には、もう絶望の色なんて無い筈だから】

【もう帰ろうと立ち上がる春燕。―――と、何故か鈴音は一緒に立ち上がろうとしなくて】
【数刻の後、告げられる言葉は「一緒に行きたい」ということ。まるでお願いするようにして】
【―――ともだちの頼みだもの、断る筈がない。春燕は笑顔で快諾すれば、少し強引なくらいに鈴音の手を引っ張って】
【そのまま手を繋いで、宿までの旅のエスコートをするに違いない―――】

―――ウン、それじゃあ一緒に行こうカ!ちょっと遠いけど大丈夫?歩けル?
……エヘヘ。やっぱり鈴音は、笑顔が一番似合うナ。

【――鈴音が咲かせた笑顔、それはやっぱり泣き顔なんかよりもずっと素敵なものだから】
【春燕もその笑顔を見れば嬉しそうに顔を綻ばせる。そうやってお互いに笑顔になれば、きっと気分も楽しくなれて】

【やがて宿に着けば、お風呂に入るなりもう寝てしまうなり好きにすればいい】
【布団の中でお話するならそれでもいい。―――お喋りは、春燕も大好きだから】

//っと、大変長くなってしまい申し訳ないです……!
//〆までそう長くはないとは思いますが、続きは置きレスという形にさせて頂いて宜しいでしょうか……?
488 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/22(金) 02:39:54.62 ID:KW5rd9mf0
>>487
/了解しました! 続きは置きレスで大丈夫ですよー、この後そちらの方へお返ししておきますねっ
489 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 12:38:40.35 ID:pyQbexaU0
はぁ……
昼間は暇じゃのう……
【街中で日傘をさした少女がつぶやく】
【金髪の長髪に十才ぐらいの身長】
【紅い瞳でゴスロリ服に身を包んだ少女が街中を歩いている】

早く日が沈まむものかのう…
それか雲がかかればいいのじゃが……
【溜め息をついてまた歩き出す】
490 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/22(金) 13:55:32.31 ID:sADUH95qo
>>489
/まだいらっしゃいますか?
491 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 13:56:55.66 ID:pyQbexaU0
>>490
/いますよ!
492 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/22(金) 13:57:47.54 ID:sADUH95qo
>>489

どうした、お嬢さん?

【少女に男が話しかけた】
【男の風貌は、黒いソフト帽を被りライダースジャケットを身に纏っていた】

溜息なんてついて、そんなんじゃ良い事も逃げちまうぜ……
493 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 14:04:28.03 ID:pyQbexaU0
>>492
ん?
いやちょっとな…
【話しかけてきた男の方を向く】

日の光が強くてのう…
日傘無しでは自由に動き回ることもできん
まったく困ったものじゃ
494 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/22(金) 14:11:42.84 ID:sADUH95qo
>>493

日傘が無いと?

【この言葉に男は首をひねる】
【色々考えているようだ】

日の光に弱いってことか?
全身を覆うコートとか着てたら……ってこの季節は難しいか……

【男はそう言うと苦笑いする】

どうして、日傘無しじゃ動き回れないんだ?
場合によりゃ、力になれるかもしれないぜ?

【男はどうやら、本気で力になりたいようだ】
495 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 14:18:57.93 ID:pyQbexaU0
>>494
そりゃ儂が吸血……
【自分が何者かと言おうとしたところでふと思う】
【今の自分は日傘無しでは日光に照らされ体が燃えてしまう】
【そんな状態で戦闘になったら自分が不利なのはどこから見ても明白】

えぇと…そう!
日焼けが嫌なんじゃ!
だから日傘が無いと焼けるから自由に動けないということじゃ
【考えた結果正体を隠すことにしたようだ】
496 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/22(金) 14:28:33.49 ID:sADUH95qo
>>495

日焼け……ねぇ……

【吸血……なにか企んでいるのか……】
【男はそう考えながら、――こっちは大体お前の正体分かってるんだよーん】
【そういう態度を取る、男は無論分かってはいないが】

取り合えず、日焼けが気になるなら日焼け止め塗ってるか?
日傘だけだと地面で反射した紫外線は防げないぜ……
付けて無いなら、新品の日焼け止めクリームあるからやるけど……いるかい?

【おそらく、この質問も善意からのものだろうが】
497 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 14:41:22.98 ID:pyQbexaU0
>>496
あぁいや大丈夫じゃ
気にせんでいいぞ
【日焼け止めクリームを男に返す】

(なにかこの男…気をつけた方がいいか…?)
で…では儂はこれで…
【話を断ち切りその場を去ろうとする】
498 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/22(金) 14:49:41.98 ID:sADUH95qo
>>497

おいおい、いきなり忙しそうにしてどうした……
もしかして、何か悪巧みかい?

【そう言い引き止めようとする】
【まるで、この俺を騙す事が出来ると思っているのか、小娘が!!】
【とでも言わんばかりに】
【冷静であれば、この男は適当な事を言って鎌をかけているだけだと気づけるだろう】
【無論冷静であればであろうが……】

悪事なら、ほっとけないしよぉ!
正直に隠してる事教えてくれないかなぁ!!

【傍から見れば、男は少女を脅している悪人にも見えるだろう】
【さらに、男の気配が気のいい兄ちゃんの物から変わる】
【全てを破壊する化け物のそれに】
499 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(鹿児島県)2014/08/22(金) 14:57:18.48 ID:pyQbexaU0
(こやつ気付いて…!?い…いやそれは無い…しかし…)
……いいじゃろう
儂の正体を教えてやろう
こっちへこい
【そういい路地裏へ向かい歩く】

(あそこなら日の光は届かない…戦闘になっても大丈夫じゃろ)
500 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 14:58:49.08 ID:pyQbexaU0
>>499
/安価忘れ
>>498へです
501 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/22(金) 15:01:33.74 ID:sADUH95qo
>>499

いいぜ!!

【そう言うと男は路地裏に行く少女に付いて行く】

(はぁ〜、演技疲れた……)

【今、少女が後ろを見れば先ほどの気配の持ち主と同一人物とは到底思えない】
【とても気が抜けた男のかおが見えただろう】
【気配も百戦錬磨の戦士のそれまでランクが落ちているだろう】
502 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 15:06:01.49 ID:pyQbexaU0
>>501
(なんなんじゃこやつは…妙なやつじゃのう…)
【振り返り男の表情を見る】

まぁいい
では教えてやろう
儂はお前ら人間が言う吸血鬼じゃ
【日傘を畳み自分の正体を明かす】
503 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/22(金) 15:11:44.06 ID:sADUH95qo
>>502

なんだ、そんなんか……

【少女の正体を知った男の顔は】
【想定していたよりもショボイ真実だったなぁと言わんばかりのものである】

全人類を滅ぼす蚊を撒き散らそうとか
そういうのじゃないんだな?

【どうせ違うだろけど、まぁ一応聞いておくがという様な対応である】

(まぁ、吸血鬼モドキなら元の世界で何十回と戦ったしなぁ……)
俺は黒須 春斗、異世界人で化け物だ

【ある意味で自分の真実を語る、信じるも信じないも少女の自由だ】
504 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 15:19:27.07 ID:pyQbexaU0
>>503
儂は蚊など操れんぞ
それに人類を滅ぼしたら儂の食糧が無くなるじゃろ
【やれやれという風に言う】

異世界…?
別の世界から来たということか?
【男の異世界人という言葉に興味をもつ】

/ちょっと用事が出来てしまいました…
/5時頃からならまた出来るんですけど…
505 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/22(金) 15:23:36.89 ID:sADUH95qo
>>504

YES!異世界出身の化け物さ……
ま、あんたが先天性の吸血鬼なら、俺は後天性の化け物だがな!

【そう言うと男は笑い出した】

聞きたい話があるなら答えてやる!
まぁ、それなりに、あんたの話も聞かせてもらうがな、等価交換って奴だ!!

【そう言うと、春斗はサムズアップする】

/了解しました、5時頃から再開しましょうねー
506 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 17:10:53.82 ID:pyQbexaU0
>>505
等価交換といってものう…
吸血鬼のことなど人間たちはもうほとんど知っておるじゃろう?
【しばらく唸って考える】

じゃあお主が知りたいことを答えられる範囲で答えてやろう
それでどうじゃ?
507 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/22(金) 17:20:02.63 ID:sADUH95qo
>>506
おいおい、サービスしすぎじゃねぇか!?

【少女の提案に驚く】
【正直、逃げられるのではないかと心配していたぐらいだ】

じゃあ、二つほど聞かせてもらうぜ。
どうして、昼間っから出歩いていたんだ?
俺の世界の吸血鬼の伝承はツータイプ!
日光に当たると死ぬなり苦しむなりするタイプ
そして、日光とか関係ないタイプ
あんたは、さっきの話から前者に近いタイプのはずだ……
何か理由があるのか?

【吸血鬼と聞いたときの最初に発生した疑問がこれだ】
【まぁ、個人の自由だから気にしなくてもいいのだろうが】

もう一つだが、あんたの名前は?

この二つの疑問に答えてくれりゃ、あんたの聞きたい事を全て答えるぜ。

【その顔は、真面目そのものであった】
508 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 17:25:29.96 ID:pyQbexaU0
>>507
そんなことか
確かに儂は日光に当たると体が燃え出す
かと言って夜にしか出歩かないというのもつまらんしのう
だから日傘をさしていつも暇つぶしをしておるのじゃ
だから特にこれといった理由は無いぞ
509 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 17:29:08.89 ID:pyQbexaU0
>>508
/途中送信です
510 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 17:31:34.22 ID:pyQbexaU0
>>507
そんなことか
確かに儂は日光に当たると体が燃え出す
かと言って夜にしか出歩かないというのもつまらんしのう
だから日傘をさしていつも暇つぶしをしておるのじゃ
だから特にこれといった理由は無いぞ
あと儂の名前じゃったか
儂の名はセシリア
セシリア・メル・ブラッドじゃ
511 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/22(金) 17:36:40.80 ID:sADUH95qo
>>510

そ、そうですか……

【春斗にとって、彼女の返答はあまりにも想定外のものであった】
【いや、正確には一番最初に思いつき、一番最初に排除した却下した物であった】

セシリア・メル・ブラッド……いい名前だ

【そう言うと、春斗はさわやかな、俗に言うイケメンスマイルを行った】

それで、俺に聞きたい事って?
結構気分がいいから、いくつでも答えるぜ!
512 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 17:44:34.49 ID:pyQbexaU0
>>511
では質問するぞ
お主は異世界から来たと言ったな?
どうやってこっちへ来たのじゃ?
それと化け物といったがそれはどういうことじゃ?
【セシリアは春斗の話を聞いて気になっていることがあった】
【もしかしたらこいつも自分と同じかもしれない…と】
513 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/22(金) 17:53:22.23 ID:sADUH95qo
>>512

気づいたらこっちに来てた、としか言えないんだよなぁ……
それと俺以外に、蛇原って女が俺のいた世界から来てる。
あいつがどうやって来たのかは知らないがな。

【彼にとって、もっとも説明が難しい事であった】
【俺の分かる範囲で正直に答えたつもりだ、と付け加える】

それで、化け物かぁ、地獄の奥底よりも深い闇に入る覚悟はあるか?
セシリア、あんたにその覚悟があるのなら教えるぜ……
俺が化け物になった理由をな……

【春斗の顔は、重い何かを伝えるべきかどうか】
【そこで、悩んでいるような顔だ】
【とにかく、覚悟があるのなら彼はその内容を語るだろう】
514 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 17:59:04.76 ID:pyQbexaU0
>>513
闇…のう…
そんなもの…とっくの昔に味わったことがある…
いいじゃろう
この儂に教えてくれ
お主が化け物になってしまった理由を…
【さっきまでとはまったく違う真剣な顔で春斗を見つめる】
515 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/22(金) 18:11:33.87 ID:sADUH95qo
>>514

分かったよ、先に言っておくが同上はいらねぇからな!

【この話をすると、多くの人間は嘘だと言い、真実だと判断するものもまた】
【同情の目を向けてくる、それが春斗は嫌だったのだ】

俺は元々普通の人間だった、
ある日、俺はある組織に拉致されたんだ……
Government of Nightmare戦団
通称GN戦団と言う組織にな……
そこで俺は改造手術を受けさせられたんだ。
その結果俺は改造兵士となったんだ。
改造兵士となった俺の体は老化しない、もちろん人間を超えた力を与えられたんだ……

【これが闇の始まりだ、と言い一旦話を終えた】

ここまでで何か質問はあるか?
516 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 18:15:45.95 ID:pyQbexaU0
>>515
まて、そのGN戦団というのはなぜお主を拉致したんじゃ?
そしてなぜ改造をした
もし戦力として利用しようとしたのなら何故お主は今ここにいる?
517 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/22(金) 18:23:36.82 ID:sADUH95qo
>>516
まず、最初のと二つ目のは簡単な話だ
戦力として、改造素体としてだぜ。
誰でも良かったらしいがな……
偶然選ばれたんだよ、理由の無い悪意って奴にな。
ついでに言っちまうが、奴らの目的は世界征服だったぜ。

【まるで、変身ヒーローの敵組織だ、と笑いながら言った】

そして、最後の質問だが
奴らの改造の最後の工程である脳改造、所謂洗脳って奴だが……
偶然、その直前に目が覚め、脱走した、ただそれだけよ。

それで、続きにいっていいか?
518 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 18:27:44.85 ID:pyQbexaU0
>>517
世界征服…ふん
くだらんな
【セシリアは鼻で笑う】

あぁ、いいぞ
すまんな、止めてしまって
519 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/22(金) 18:36:11.24 ID:sADUH95qo
>>518
くだらねぇよ……
そして、そのくだらねぇ奴等の犠牲者を出さないようにしよう。
その覚悟で俺はたった一人で立ち向かったんだ。
その気になれば、一日で世界を征服できる奴等にな……

たった一人で戦った、俺と同じ、何の罪も無い犠牲者達とな。
彼らは、一人の例外もなく脳改造後だったんから、多少なりとも気が楽だったんだが。
まぁ、そんな戦いを少なくとも10年以上続けた
正確には、10年を越えた辺りから、その辺りの記憶を覚えるのをやめたから、
正確な戦った期間は分からないけどな。

【そう言うと、力が抜けたように笑い出した】

ハハハ、まぁ、俺はあそこであの選択をしてよかったと思ってるよ。
ここまでで、何か質問あるか?
520 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 18:43:47.04 ID:pyQbexaU0
>>519
いや…特にない…
続けていいぞ
521 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/22(金) 18:52:56.29 ID:sADUH95qo
>>520
そうか
その戦いのさなか、一人の男と友になった。
俺の親友となった男だ。
彼がいなければ、俺は今ここにいない。
右腕のこいつを作ってくれたんだからな!

【そう言うと、春斗は右腕の腕時計のようなソレを指差した】

こいつは、強化スーツを展開し俺に装備させる物だ。
その強化スーツがなけりゃ、旧型の改造兵士である、俺は死んでいたんだ。
そして、色々あってその友も目の前で殺された。
その後、俺はたった一人で戦って……
GN戦団は壊滅した。
首領を俺が叩き潰した。

【そして再び春斗は笑う】
【GN戦団の残党はまだいるんだけどな……と付け加えて】

俺は、初期型であり、最高傑作であり、そして最大の失敗作であったんだ……

どれだけの間、俺は戦ってきたんだろうなぁ……
522 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 18:59:43.09 ID:pyQbexaU0
>>521
その残党というのもこちらに来てるのか?
そういえばさっき蛇原という女はなにものなんじゃ?
【さっき話していたもう1人来ていたという女を思い出す】

そいつはそのGN戦団の残党なのか?
それともお主の仲間なのか?
523 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/22(金) 19:05:55.96 ID:sADUH95qo
>>522
あぁ、あいつか。
残党だよ、残党。
【蛇原の顔を思い出しながら言う】

こっちに来たとたん、悪さしてたみたいだからさ……
SCARLETの人が戦ってたから、協力して叩き潰しといた。
牢屋に入ってるから、話が聞きたいならあわせてやれるが、どうする?
524 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 19:11:33.95 ID:pyQbexaU0
>>523
いや…ただ誰か気になっただけじゃ
ところでそのSCARLETとはなんじゃ?
なにかの組織か?
525 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/22(金) 19:17:05.94 ID:sADUH95qo
>>524
治安維持団体なのかな?
俺も分からんよ……異世界人だしさ。

【ふと、思い出したように語る】

そういや、吸血鬼って言ってたが、血を求めてるなら提供してやれるぞ。
改造兵士となった俺は、その手のものは普通より回復が早いからな。
人間の飯と同じものが食べられるなら、家の屋台に来てくれりゃいいし。
526 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 19:22:20.85 ID:pyQbexaU0
>>525
そうか
聞いてすまんかったな
【春斗の血の提供という言葉を聞く】

そんなものは必要ないぞ
儂は基本自給自足なんでな
夜になったらいつも2〜3人を殺して食べているから大丈夫じゃ
527 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/22(金) 19:24:58.25 ID:sADUH95qo
>>526
そうか、分かったよ……
(チッ!!可愛い女の子とお近づきになれるチャンスだったのに……えっ!)

念のために聞かせてくれ、その殺してる奴は悪人か?

528 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 19:32:55.84 ID:pyQbexaU0
>>527
知らん
なぜ『食糧』のことなんかを気にせねばならんのじゃ?
【当然というような顔で言う】
529 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/22(金) 19:38:47.48 ID:sADUH95qo
>>528
一応、この世界の人間でもないけどさ……
俺元人間なんだよ、だからさ……
罪も無い人間が被害に会うのを減らしたいのよな。
だから食料が欲しいなら俺のところに来いよ、な?
一応人間のカテゴリーではあるから……限りなく離れてるけどさ。
530 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 19:43:55.21 ID:pyQbexaU0
>>529
嫌じゃな
【キッパリと言う】

お主に儂を縛る権利は無い
それにお主ら人間は悪いことをした豚や牛だけを食べるのか?
531 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/22(金) 19:46:17.81 ID:sADUH95qo
>>530
そりゃそうだな。
だが、労せず食料を提供する。
しかも、金は取らん、これだけでも得だと思うぜ。

【そして、気配を化け物のソレに変える】
532 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 19:50:20.85 ID:pyQbexaU0
>>531
全然得ではないな
それでは儂はお主に依存することになる
【雰囲気が変わったのもお構い無しにセシリアは言葉を続ける】

いつの間にか周りも暗くなっている
今なら儂の実力を十分に発揮できる
別に儂はやりあってもいいんじゃぞ?
533 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/22(金) 20:04:45.97 ID:sADUH95qo
>>532

あぁ、そういうつもりじゃねぇ。
この話はちゃんと俺にも得がある話になってる。
改造兵士の改造の一つに、血の気が多くなりやすくするという物があるんだ。
で、冷静さを保つためには、血を出さないといけない訳よ。
OK?

【身振り手振りを加えながら説明する】
534 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 20:10:33.98 ID:pyQbexaU0
>>533
なるほど
お主のことは分かった
だがだめじゃ
そんなことは自分でやればよかろう
もうなにもないなら儂はいくからな
まぁお主の名前は覚えておこう
【セシリアがそう言うと背中にコウモリの翼が生える】

では達者でな
【そのまま翼をはためかせて夜の空に消える】

/諸事情で続けることができなりました…
/強引ですみません…
/絡みありがとうございました
535 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/22(金) 20:52:55.62 ID:LZuRYw9So
【公園】


【時折聞こえてくるのは車の通る音と、虫の音】
【昼の暑さも忘れられる涼しい夜。心地よい静けさのおかげで、さらに涼しく感じられるか】

【しかし不意に、ポン、と柔らかい音が響くだろう】
【それは高速で連なり、ひとつの有名な童謡を紡いでゆく】


〜〜♪ 〜〜〜♪ 〜〜♪


【音を作っているのは鼻歌を歌っている少女だった】
【明るいグレーの髪を右側でサイドテールにして、赤い瞳を持ち】
【小学校高学年程の背丈で、シャツの上にデニム生地のサロペットスカートを着た】
【そんな――活発そうな少女である】

【彼女が手に持っているのはマレットと呼ばれる木琴演奏に使われるバチだった】
【だが、彼女が今打っているのはブランコの前の鉄製の手すり】
【しかも曲が進むにつれて周りには次から次へと光を固めたような兎がぴょんと出現していて】

【能力なのは確かか。演奏は誰が聞いても不快に思わないだろうもの】
【この時間の幼き少女の一人舞台。果たして立ち寄る者は現れるのだろうか】






【水の国――とあるカフェ】


【そのカフェはSweet Silent≠ニいう名だった】
【大きな通りの脇道を少し入ると、小ぢんまりとしたその佇まいを見れるはずだ】

【このカフェの特徴は二つ。ひとつはマスターがとんでもなく無口であるということ】
【もし客が店に入ってきても鈴の音が響くだけで、すぐには歓迎の声が聞こえてこなかったりする】
【本人は常に柔らかい笑みを湛えているのだが――そのあまりの無口さからか、評判もイマイチで】

【もうひとつは――ここの看板娘だ。きっと店内に入れば、まずは彼女が出迎えてくれるだろう】
【パールブルーの長髪に同色の瞳、腰の大きな青色のリボンが特徴の、青みがかった白いワンピースを身に纏い】
【動きやすそうなサンダルと紺色のエプロンを着用した、そんな――温厚そうな顔つきの少女だ】

【こちらも声を出さず、代わりにスケッチブック≠向けるだろう】
【そのページには大きく「いらっしゃいませ!」と書かれているはずだ】
【勘がいいならば声を出せないと推測できるかもしれない】

【無口なマスターと声を出せない少女――そんな二人のカフェは今日も営業中だった】
536 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/22(金) 21:58:31.46 ID:LZuRYw9So
>>535
//まだ募集中です…
537 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/22(金) 22:24:49.15 ID:0rOi/juf0
>>535
【公園にて】
【きれいな音色に誘われて現れた、月色の髪を腰まで伸ばした小柄な少女。年齢は15ほどに見えるだろうか】
【鼻歌を歌う少女に近づく一歩一歩は、童謡に合せて自然とリズムを刻む】
【気が付けば、自分も一緒に鼻歌を歌っていた。へたくそだけど】

【そうして丁度童謡に一区切り付いたあたりで二人の距離は一歩分ほどになっていて】
【青い瞳を輝かせて少女は惜しみない拍手を送る】

・・・・・・す、すごいの!
すっごく上手で、きれいだった!

【まるで幼女が話すように舌足らずな喋り方で】
【それは感動ゆえに舌が回っていないだけか、それとも他の理由か】
【とにかく、少女の話し方は見た目に比べやけに幼い】

この子も、すごく可愛いしきれい・・・・・・

【少女は光のうさぎに興味深そうに手を伸ばして、撫でてみようとする】
538 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/22(金) 22:27:23.18 ID:w4rX1BGRo
>>535
//まだいらっしゃいますか?
539 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/22(金) 22:28:00.47 ID:w4rX1BGRo
>>535
//>>538は撤退しまーす
540 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/22(金) 22:41:56.56 ID:wLhxjaLWo
鬱蒼とした密林の木々を一本一本丁寧に混凝土の巨大なビルヂングに置き換えて行けば、此の様に成るか。
降注ぐ明光は星の其れでは無く、繁華街の至る所に有る陰鬱さと安堵感を併せ持った人工灯から発せられる鮮光の嵐。
幾重にも重ねられた色達は遂に眞白の光を成し、歩道を通る垢塗れの浮浪者から、車道を通る縦に間延びした様な外国車まで、四方世界を八方から照らし上げる。
右を見れば眼から生気の失せた風俗の客引きが気の弱そうな中年男性を蛇の様に執拗に追い回している。其の侭、十万億土の彼方迄喰らいついて放さない心算だろうか。
左を見れば真珠と化粧で身を包んだ豚の様な美女達が酢豚にして下さいとばかりに男達と店の中へ消えていった。
聞こえて来るは、止め様の無い喧騒と、溜息の様に溢れ出る騒音。其の中に交じるBaroqueを思わせる人間から発せられたとは到底思えぬ罵声。
其れ等が宙に還る迄、幾つの生が失われただろうか。全ての音波が全反射し、無量の音と成って永遠を生きる。雑音は無慈悲である。
雑踏の中に、誰が自由を見るか。否、誰も見る事は無い。無数の足音の中に自由等、唯の夢想に過ぎないのは歴史が証明している。
右を見ようが、左を見ようが音が止む事は無い。管弦楽団の演奏の如き人の手から創り出されたモノは其の身が震えるのを抑える術を持たない。

『食逃げダアアアアアア!』

「勝ったら払うっつってんだろォが!」

追われる男に追う男。大仰に云えば此世に生を受けし全ての存在は死と云う己を大きなentropyへと変換する反応に追われているのだが。
此の男。叱葉 拳。誰もが俯いた街中で、身長二米には届こうかと云う巨躯を持った男は一筋の彗星の様に目立っていた。
後ろからは誰もが一度は創造の元に吐き出したであろう所謂『料理人』が追い掛ける。
産まれたばかりの赤ん坊でもDNAの雛形からは逃れられないと云う事実を天に突き付ける様な料理人、其の表情は確かな怒りと確かな執念に満ちていた。

叱葉は思考する。如何にして食逃げが成功するかと。更に、此の後に向かおうと考えているパチンコ台『餓狼』の為の資本金を如何捻出するかをr。
悪徳の思考は人に味方する事は無い等と云う巫山戯た茶番を繰り広げるには、此の繁華街の中の正義は魂が疲弊し過ぎていた。
事実。悪徳の為の思考は、善良なる正義の思考に比べて余程短絡的で有ろうとも、成功の為の必要十分条件が成り立つ条件が簡単であるのは間違いない。
叱葉は屈みつつ下手な津波よりも背の高い或る意味無慈悲なる人波を縫って行くと隙を見て路地裏に其の大きな躰を捩じ込む様に入って行った。
息を切らしながら繁華街の明るくも巨大なる冷凍庫の様に冷たい光から逃れる為に、奥へ、奥へ、奥へ。一心不乱に。

「ん……?……にしても此のビル、デカすぎやしねェか?」

ふと、気付いた時、叱葉は未だ途切れる事の無いビルヂングが織り成す路地裏である異様な事態に明白なる疑惑を蘇らせる。
如何に支離滅裂さと欺瞞の漆喰が、正義と真実の無残なる屍體を塗り固めた如き此の街に於いても、其の屍體から流れ出た綺羅綺羅と腐臭を漂わせ乍耀く透明の汁が染みに成るのを止める術を持たない筈だ。
だが、此処に至って到頭闇は深く、八方世界を照らしていた筈の光は、時折現れる壁から飄と顔を表した壊れて黄土色に染まった電灯の明りに限られた。
轟々と云う音は一体誰の仕業か。人か、機械か、其れとも闇に潜む『オトロシイ』何かの出す、獲物を見定める声なのか。

右を見る。其の傷一つ無い混凝土の壁。其れは美しい処女の誰にも到達し得なかった秘密なる園を暴く時の吐き気を催す下卑た快感が産み出したすぅーっとした爽快感を与える。
左を見る。傷だらけの天使の様な混凝土の壁。失望と後悔とほんの僅かの怒りを洋灰で固めた材料で出来た壁が、宇宙に爪を立てる為に高く立っている。
前方を見る。暗く、昏い。此処から永劫の時を超え、無限の地面を蹴り進んでも猶、薄まることは無いと云う非情なる確信さえ得てしまいそうになる、無情なる闇。
此処は何か。答えるモノは無い。今は何時か。答えるスベは無い。何処迄も開けた閉ざされし空間程『オトロシイ』物は在るだろうか。

『開いているから開いているとは限らぬ。閉ざされているから閉ざされているとは限らぬ』
『人は人の為に生きぬが人の世、全ては改めねばならぬ』

「───チッ…折角、撒いたと思ったらなァんだこりゃ」

時折聞こえて来る声。老若男の誰のモノとも思えぬ声の中でも、叱葉は歩き続ける。何時か其の先が見えるからか。何時か未来が見通せるからか。否、否、此の男、其程安直ではない。
全ては術を見つける為、歩く。誰かが此の地獄の中へと足を踏み入れるやも知れぬから───……
541 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/22(金) 22:42:48.11 ID:wLhxjaLWo
>>540
//お返しは割りと遅くなってしまうと思われます………
//長々と申し訳ないです……はい……orz
542 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/22(金) 22:59:45.30 ID:LZuRYw9So
>>538
//すみません、またの機会にお願いします…!

>>537

【演奏―というよりはただ柵を叩いているだけのそれ―に夢中で、少女は自分に近づく存在に気づいていないよう】
【まるで本物の木琴を叩くように、時折ぴょんと跳ねて移動してはまた音を出してゆく】


――んお?


【ちょうど曲に区切りがついたところで、賞賛の拍手が聞こえてくる】
【彼女はくるりとそちらへ顔を向けるのだろう。そして褒められると、えへんと胸を張って】


ふふん、そうだろ! アウリスの演奏、すごいだろ!
でも、ホンモノの木琴でやったら、もっとすごいんだぞ!
何ていうか、もっと気持ちいい音なんだ。今、無いの、残念だけど


【こちらも見た目と比べてやや覚束ない口調で答える】
【子供特有の盲目的な自身だが、一応中身が伴っているあたり侮れないか】
【紙面の端っこで話題となるくらいの実力を持っていたりするのだが――これは、余談】


えと、そいつ、あんまり触らない方がいいぞ
触りすぎると、爆発するかも、だからな!


【そう忠告するも、かなり手遅れだったことだろう。何せ少女が兎を触りだしてからの言葉だったのだから】
【数秒ほど撫でたところだろうか。彼女が忠告し終えると、触れられていた兎は突然破裂するはずだ】
【衝撃などの害は一切無い。ただ、破裂と同時に木琴の音がひとつ、響くだけで】

【彼女――アウリスは何か期待するような眼で少女の反応を待つのだろう】
【まるで兎が破裂する≠ニいう未来を見越しているがごとく、悪戯な笑みを浮かべていた】

//いました!よろしくお願いします!
543 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/22(金) 23:14:26.27 ID:0rOi/juf0
>>542
すごいすご・・・・・・
ふぇ、もっと!?

【これで十分感動しているのに、まだ上があるのか】
【少女の瞳はさらにきらきら輝きを増して】
【なんて間に、ぽんっと木琴の音とどうじにはじけたうさぎさん】
【衝撃がなければむしろ何が起きたかわからず】
【飛んでいったのかと思ってあたりをきょろきょろ見回して】
【くちをぽっかりあけて間抜けな顔をさらす。いたずらは成功か】

う、うさぎさん・・・・・・潰れた

【少女は自分がうさぎを潰してしまったと思っているらしく】
【今にも罪悪感で泣きそうな、そんな顔をして】
【その表情がアウリスに与えるは罪悪感か、それとも更なる嗜虐心か】
544 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2014/08/22(金) 23:16:21.03 ID:bz4bjfF9O
http://bintan.ula.cc/test/read.cgi/awabi.2ch.net/net/1408552233/172-
>>540はゴミ溜めの人だそうです
戯言もゴミ溜めだし最近HOTですね
545 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/22(金) 23:16:55.00 ID:6w3pzZKwO
181 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:07:41.56 ID:lS9K4jeu0
ガチで移住するから

183 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:09:18.40 ID:lS9K4jeu0
>>180
気にせずメモ帳に書いてたら普通に超えてた

189 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:12:04.66 ID:lS9K4jeu0
最後の方削りすぎてわけわかんなくなってるね

>>184
一時間ぐらい

>>186
あ^〜きもちええんじゃ^〜

193 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:15:06.96 ID:lS9K4jeu0
何だかもう満足した感じある

>>191
ぼくのでぃすぷれいよこながだからごめんね

>>192
ガチ移住するって言ってるだろ!いいかげんにしろ!
546 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage]:2014/08/22(金) 23:17:14.20 ID:Bc19Qgero
>>540
【血臭。歩む男の進路には、血の臭いがあった。それは、歩みを進めれば進めるほどに、濃く、そして淀んでいく】
【夜の闇は濃い。歩む先の電灯は次第にその用をなさないものが増していく。血臭と共に、闇も濃くなっていくのだ】
【足音が嫌に反響するだろう。コンクリートに囲まれ、人気のないそこでは小さな呟きや足音でも、目立って仕方がない筈だ】

【歩みを進めてもどこまでも闇。しかし、その闇の中で金色が輝いた】
【金色は幾本もの金糸が生み出すものだ。否、金糸の如き金髪が、そこにあった】
【そして、このような場所には珍しく、それは座り込むでも寝こむでも死ぬでもなく――男に向かい、近づいていた】
【動きが止まる。金色だけのそれは、俯き気味だったからだろう。倒した頭が起き上がる。金糸は、さらりと風とともに流れてエメラルドグリーンを曝け出す】
【金色の髪の隙間から覗くのは、透き通っている筈だというのに、どことなく淀んで、穢れて見えるような翠の眼球だ】
【睨めつける。警戒と、卑屈さと、悪意と、無邪気をごちゃまぜにした、要するに酷く人間的な感情を孕んだ視線が、男に向けられている】
【悪に多分に傾いているが、邪悪という程ではない。少なくとも、この混沌とした空気に満ちた路地裏の中では霞んで見える程度には善良ではあった】

「――は、なんでまたこんな場所に。道に迷ったんスか?」

【歩みを止め、視線を向け、口を開いて放った第一声。甲高い女の声が、路地裏に響き渡る】
【中学高校の運動部の後輩が使うような適当な敬語、敬語とも言えないそれは女の知性の低さを如実に物語るもので】
【しかしながら、その言葉遣いや、視線、雰囲気。それらの全てが、この場に、この空気に馴染んで存在していた】
【ビルとビルによって切り取られた夜空。そこにあるべき丸い月。それを覆い隠していた雲が風に流される。差し込む月光。用をなさない電灯の変わりが現れた】
【月の灯に照らされているのは、一人の女だった。小柄、そしてスレンダー。金髪はシャギーの掛かったウルフカット】
【胡散臭そうに歪められた口元、細められた翠の瞳。腰のホルダーに收められた二振りの手斧。油断の無いながらも隙が微妙にある立ち居振る舞い】
【服装は動きやすそうなホットパンツにニーソックス。上はオフショルのチュニック。靴はキャンパス地のローテクスニーカーで。その全ての色彩が黒で統一されていた】
【明らかに堅気ではないだろう女から、先ほどの血臭は薫っていた。この女は、真新しい血を浴びるような所業を、つい先程行っただろう事が判るかもしれない】
【要するに、この女は人を[ピーーー]ことの出来る人間だ。だがしかし、それでもどこと無く人間臭く、そしてどことなく小物臭い】
【それは、消しきれない隙や卑屈な表情、態度。そして――、右頬を真っ赤に染める血痕と真新しい裂傷が、それを匂わせる原因だったのかもしれない】

「……んー。予想するに、食い逃げってところッスか? 顔で判るッス、なんとなく。
ただまあ、逃げるつったってわざわざこんなところに来なくても良いと思うスよ?
少なくとも、私ならこんなところそうそう長居したくはないッスから」

【顔で判る、とよく分からない理由で男が食い逃げであろうことを予測し、それを躊躇わず口にして】
【おそらく人を殺したてホヤホヤの殺人犯だろうこの女、なんの気まぐれか、男を諭すような口調で言葉を続けていく】
【人の気配は、二人ではない。ここには、男と女。それ以外にも、何人もの人々が蠢いている】
【目を細める。そして、辺りを見回す女。女の視線の動きを追っていけば、二人の居る道に面した窓や穴が確認できることだろう】
【女が向けた順に女の視線の先を認識すれば、そこには視線や何かのガラスの照り返し――即ち、人の視線が存在している事が認識できるはずだ】
【『彼ら』がなぜ二人を観察しているかは、女にはわからない。なぜなら、『理由が思い当たりすぎる』から】
【ただ、なぜ危険かについては、態々女が説明する必要もないだろう。女の言葉の意図は単純明快。『ここはお前のいる場所ではないのだから帰れ』。それだけだった】

/*もしよろしければッ*/
547 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage saga]:2014/08/22(金) 23:20:00.34 ID:Bc19Qgero
/*saga忘れてたです……*/
548 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 23:21:23.96 ID:fAsqRFVbO
181 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:07:41.56 ID:lS9K4jeu0
ガチで移住するから

183 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:09:18.40 ID:lS9K4jeu0
>>180
気にせずメモ帳に書いてたら普通に超えてた

189 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:12:04.66 ID:lS9K4jeu0
最後の方削りすぎてわけわかんなくなってるね

>>184
一時間ぐらい

>>186
あ^〜きもちええんじゃ^〜

193 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:15:06.96 ID:lS9K4jeu0
何だかもう満足した感じある

>>191
ぼくのでぃすぷれいよこながだからごめんね

>>192
ガチ移住するって言ってるだろ!いいかげんにしろ!
549 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2014/08/22(金) 23:21:44.88 ID:bz4bjfF9O
197 : 谷山 ◆37xmaOVsDc

あのクソ長いの変態さんかよビビったわ


よろしければ!じゃねーよ
ゴミ溜めラジオについてはシカト?
550 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 23:21:49.70 ID:fAsqRFVbO
181 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:07:41.56 ID:lS9K4jeu0
ガチで移住するから

183 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:09:18.40 ID:lS9K4jeu0
>>180
気にせずメモ帳に書いてたら普通に超えてた

189 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:12:04.66 ID:lS9K4jeu0
最後の方削りすぎてわけわかんなくなってるね

>>184
一時間ぐらい

>>186
あ^〜きもちええんじゃ^〜

193 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:15:06.96 ID:lS9K4jeu0
何だかもう満足した感じある

>>191
ぼくのでぃすぷれいよこながだからごめんね

>>192
ガチ移住するって言ってるだろ!いいかげんにしろ!
551 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 23:22:06.20 ID:fAsqRFVbO
181 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:07:41.56 ID:lS9K4jeu0
ガチで移住するから

183 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:09:18.40 ID:lS9K4jeu0
>>180
気にせずメモ帳に書いてたら普通に超えてた

189 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:12:04.66 ID:lS9K4jeu0
最後の方削りすぎてわけわかんなくなってるね

>>184
一時間ぐらい

>>186
あ^〜きもちええんじゃ^〜

193 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:15:06.96 ID:lS9K4jeu0
何だかもう満足した感じある

>>191
ぼくのでぃすぷれいよこながだからごめんね

>>192
ガチ移住するって言ってるだろ!いいかげんにしろ!
552 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 23:22:35.36 ID:fAsqRFVbO
181 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:07:41.56 ID:lS9K4jeu0
ガチで移住するから

183 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:09:18.40 ID:lS9K4jeu0
>>180
気にせずメモ帳に書いてたら普通に超えてた

189 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:12:04.66 ID:lS9K4jeu0
最後の方削りすぎてわけわかんなくなってるね

>>184
一時間ぐらい

>>186
あ^〜きもちええんじゃ^〜

193 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:15:06.96 ID:lS9K4jeu0
何だかもう満足した感じある

>>191
ぼくのでぃすぷれいよこながだからごめんね

>>192
ガチ移住するって言ってるだろ!いいかげんにしろ!
553 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 23:22:47.16 ID:fAsqRFVbO
181 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:07:41.56 ID:lS9K4jeu0
ガチで移住するから

183 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:09:18.40 ID:lS9K4jeu0
>>180
気にせずメモ帳に書いてたら普通に超えてた

189 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:12:04.66 ID:lS9K4jeu0
最後の方削りすぎてわけわかんなくなってるね

>>184
一時間ぐらい

>>186
あ^〜きもちええんじゃ^〜

193 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:15:06.96 ID:lS9K4jeu0
何だかもう満足した感じある

>>191
ぼくのでぃすぷれいよこながだからごめんね

>>192
ガチ移住するって言ってるだろ!いいかげんにしろ!
554 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 23:24:21.88 ID:IPbnrgLgO
181 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:07:41.56 ID:lS9K4jeu0
ガチで移住するから

183 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:09:18.40 ID:lS9K4jeu0
>>180
気にせずメモ帳に書いてたら普通に超えてた

189 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:12:04.66 ID:lS9K4jeu0
最後の方削りすぎてわけわかんなくなってるね

>>184
一時間ぐらい

>>186
あ^〜きもちええんじゃ^〜

193 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:15:06.96 ID:lS9K4jeu0
何だかもう満足した感じある

>>191
ぼくのでぃすぷれいよこながだからごめんね

>>192
ガチ移住するって言ってるだろ!いいかげんにしろ!
555 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 23:24:29.51 ID:w20QOsuLO
181 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:07:41.56 ID:lS9K4jeu0
ガチで移住するから

183 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:09:18.40 ID:lS9K4jeu0
>>180
気にせずメモ帳に書いてたら普通に超えてた

189 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:12:04.66 ID:lS9K4jeu0
最後の方削りすぎてわけわかんなくなってるね

>>184
一時間ぐらい

>>186
あ^〜きもちええんじゃ^〜

193 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:15:06.96 ID:lS9K4jeu0
何だかもう満足した感じある

>>191
ぼくのでぃすぷれいよこながだからごめんね

>>192
ガチ移住するって言ってるだろ!いいかげんにしろ!
556 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 23:24:37.64 ID:X9Eynz1CO
181 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:07:41.56 ID:lS9K4jeu0
ガチで移住するから

183 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:09:18.40 ID:lS9K4jeu0
>>180
気にせずメモ帳に書いてたら普通に超えてた

189 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:12:04.66 ID:lS9K4jeu0
最後の方削りすぎてわけわかんなくなってるね

>>184
一時間ぐらい

>>186
あ^〜きもちええんじゃ^〜

193 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:15:06.96 ID:lS9K4jeu0
何だかもう満足した感じある

>>191
ぼくのでぃすぷれいよこながだからごめんね

>>192
ガチ移住するって言ってるだろ!いいかげんにしろ!
557 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/22(金) 23:32:37.29 ID:hDoB8Gfro
>>546
谷山はロールの前に謝罪が先だろボケが
558 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[sage saga]:2014/08/22(金) 23:34:40.49 ID:Bc19Qgero
>>540
/*>>546のレスは取り下げでお願いします、すいません*/
559 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 23:40:15.22 ID:f+Kf5rZrO
181 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:07:41.56 ID:lS9K4jeu0
ガチで移住するから

183 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:09:18.40 ID:lS9K4jeu0
>>180
気にせずメモ帳に書いてたら普通に超えてた

189 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:12:04.66 ID:lS9K4jeu0
最後の方削りすぎてわけわかんなくなってるね

>>184
一時間ぐらい

>>186
あ^〜きもちええんじゃ^〜

193 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:15:06.96 ID:lS9K4jeu0
何だかもう満足した感じある

>>191
ぼくのでぃすぷれいよこながだからごめんね

>>192
ガチ移住するって言ってるだろ!いいかげんにしろ!

197 名前:谷山 ◆37xmaOVsDc [sage] :2014/08/22(金) 23:18:24.46 ID:U0RpM+ud0
あのクソ長いの変態さんかよビビったわ

203 名前:谷山 ◆37xmaOVsDc [sage] :2014/08/22(金) 23:21:14.62 ID:U0RpM+ud0
某所2で変態さんと絡んだこと数えるくらいしかなかったけど
これが文章力なんだろな、俺にはできんが
560 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/22(金) 23:40:23.17 ID:LZuRYw9So
>>543

【弾けた兎、後には何も残さず、ただほかの兎もアウリスも何とも思っていないようで】
【それもそのはず、これは彼女が意図的にやった悪戯だ】
【少女の驚いた表情を見れば、より一層笑みを深めて】


あははははっ、爆発、させたのは、アウリスだっ! びっくりした?
爆発でも、戦える。けど、お前を、びっくりさせたかった、だけだ!


――あれ? 何で、泣いてる?
そんな、びっくりしたか? どっか、痛かった?


【彼女は純粋に驚かせたかっただけ】
【だから、相手が兎を潰してしまったと、そう勘違いするなんて夢にも思っていなくて】
【ちゃんと加減したのになーなんて思いながら、彼女は少女の顔を覗き込むのだろう】

//慣れてなくて遅くてすみません…
561 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 23:40:29.69 ID:45Xcjy5QO
181 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:07:41.56 ID:lS9K4jeu0
ガチで移住するから

183 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:09:18.40 ID:lS9K4jeu0
>>180
気にせずメモ帳に書いてたら普通に超えてた

189 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:12:04.66 ID:lS9K4jeu0
最後の方削りすぎてわけわかんなくなってるね

>>184
一時間ぐらい

>>186
あ^〜きもちええんじゃ^〜

193 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:15:06.96 ID:lS9K4jeu0
何だかもう満足した感じある

>>191
ぼくのでぃすぷれいよこながだからごめんね

>>192
ガチ移住するって言ってるだろ!いいかげんにしろ!

197 名前:谷山 ◆37xmaOVsDc [sage] :2014/08/22(金) 23:18:24.46 ID:U0RpM+ud0
あのクソ長いの変態さんかよビビったわ

203 名前:谷山 ◆37xmaOVsDc [sage] :2014/08/22(金) 23:21:14.62 ID:U0RpM+ud0
某所2で変態さんと絡んだこと数えるくらいしかなかったけど
これが文章力なんだろな、俺にはできんが
562 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 23:41:38.00 ID:j9idqDHGO
181 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:07:41.56 ID:lS9K4jeu0
ガチで移住するから

183 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:09:18.40 ID:lS9K4jeu0
>>180
気にせずメモ帳に書いてたら普通に超えてた

189 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:12:04.66 ID:lS9K4jeu0
最後の方削りすぎてわけわかんなくなってるね

>>184
一時間ぐらい

>>186
あ^〜きもちええんじゃ^〜

193 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:15:06.96 ID:lS9K4jeu0
何だかもう満足した感じある

>>191
ぼくのでぃすぷれいよこながだからごめんね

>>192
ガチ移住するって言ってるだろ!いいかげんにしろ!

197 名前:谷山 ◆37xmaOVsDc [sage] :2014/08/22(金) 23:18:24.46 ID:U0RpM+ud0
あのクソ長いの変態さんかよビビったわ

203 名前:谷山 ◆37xmaOVsDc [sage] :2014/08/22(金) 23:21:14.62 ID:U0RpM+ud0
某所2で変態さんと絡んだこと数えるくらいしかなかったけど
これが文章力なんだろな、俺にはできんが
563 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 23:41:49.91 ID:csfCJVdaO
181 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:07:41.56 ID:lS9K4jeu0
ガチで移住するから

183 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:09:18.40 ID:lS9K4jeu0
>>180
気にせずメモ帳に書いてたら普通に超えてた

189 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:12:04.66 ID:lS9K4jeu0
最後の方削りすぎてわけわかんなくなってるね

>>184
一時間ぐらい

>>186
あ^〜きもちええんじゃ^〜

193 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:15:06.96 ID:lS9K4jeu0
何だかもう満足した感じある

>>191
ぼくのでぃすぷれいよこながだからごめんね

>>192
ガチ移住するって言ってるだろ!いいかげんにしろ!

197 名前:谷山 ◆37xmaOVsDc [sage] :2014/08/22(金) 23:18:24.46 ID:U0RpM+ud0
あのクソ長いの変態さんかよビビったわ

203 名前:谷山 ◆37xmaOVsDc [sage] :2014/08/22(金) 23:21:14.62 ID:U0RpM+ud0
某所2で変態さんと絡んだこと数えるくらいしかなかったけど
これが文章力なんだろな、俺にはできんが
564 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/22(金) 23:43:28.32 ID:hIi8PAU6O
181 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:07:41.56 ID:lS9K4jeu0
ガチで移住するから

183 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:09:18.40 ID:lS9K4jeu0
>>180
気にせずメモ帳に書いてたら普通に超えてた

189 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:12:04.66 ID:lS9K4jeu0
最後の方削りすぎてわけわかんなくなってるね

>>184
一時間ぐらい

>>186
あ^〜きもちええんじゃ^〜

193 名前:変態 ◆HENTAImm6A [sage] :2014/08/22(金) 23:15:06.96 ID:lS9K4jeu0
何だかもう満足した感じある

>>191
ぼくのでぃすぷれいよこながだからごめんね

>>192
ガチ移住するって言ってるだろ!いいかげんにしろ!

197 名前:谷山 ◆37xmaOVsDc [sage] :2014/08/22(金) 23:18:24.46 ID:U0RpM+ud0
あのクソ長いの変態さんかよビビったわ

203 名前:谷山 ◆37xmaOVsDc [sage] :2014/08/22(金) 23:21:14.62 ID:U0RpM+ud0
某所2で変態さんと絡んだこと数えるくらいしかなかったけど
これが文章力なんだろな、俺にはできんが
565 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/22(金) 23:57:46.66 ID:0rOi/juf0
>>560
う、うさぎさん・・・・・・死んじゃった・・・・・・

【涙目の少女に、アウリスの言葉は届いていない】
【溢れる罪悪感だけが頭を埋め尽くしてしまい】
【ひかりのウサギがただ能力で作られただけのものだと気づけない】

【アウリスが覗き込む少女の顔は泣き出しそうで】
【瞳をうるわせ、鼻をぐずぐず言わせている】

・・・・・・え?
あたしじゃない、の

【と、ここでやっとアウリスの言葉が届いてきたようで】
【まだまだ状況は飲み込めてない様子だけど】
【とにかく涙は止まり始めた】

//いえいえー。私も遅いのでおきになさらず!
566 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/23(土) 00:08:18.57 ID:ezoGNjl2o
>>546
真逆。否、此の様な場所だからこその死臭か。此の様な場所だからこその血の匂いか。人殺しを生業としない生きとし生けるモノ全てに対して均一に不快な香り。
生きていれば此の香りの粒子、魂が悲鳴を上げる匂いの元を鼻の粘膜で受け取ることも在るだろう。然し、此れほど濃い事が在るだろうか。
全ての屍人を置き去りにし、全ての屍人を振り解いても猶、此処迄臭くなる事が有るだろうか。
其れが歩けば歩くほどに強くなるのだ。所詮道端の石ころよりも完全ではない悪人である叱葉にとってすれば顔を顰めるに値する臭さだ。

そうした匂いにも慣れながら歩く内に、姿が見える。形を成す。見える全てが此世の全てでは無いと誰かが言ったとしても、私にとって見えぬモノは在らざるモノ。
少なくとも『見えてくる』モノは、単純なる『オトロシサ』から単純なる『脅威』へと姿を変える。喜びが無条件に悲しみへ変わらぬ様に。声を上げれば恐怖は安堵へと変身してくれる訳ではない。
始めに見えてくる金髪。耀く金髪。美しき金髪。自己の瞳が受け取った情報を其の侭事実として受け取るには此の場所は『不吉』であった。
故に、眉を潜める。眉を顰めて疑念の視線を投げかける。投げ掛けた先には翠の瞳。一体幾年を如何様に掛けた翡翠なのだろうか、奥底を見通せぬ瞳に少したじろぐ。


「食逃げじゃなねェよ」
「───────……ツケって言うんだアァ云うのはな?」

何故だろうか。此の様に不吉な女に遭った記憶は無い。なんて事はない、単なる『手斧を持った人殺し』の筈である。
血痕も、手斧も、裂傷も、金髪も、小柄さも、瞳も、立ち振舞も、死臭も、言葉も、血痕も、死臭も、血痕も、死臭も。死臭も。其の圧倒的な臭さでさえも。
密林を迷い込んだ猿の如き神経質さを発揮せねばならぬ理由もない。だが、叱葉の顰められた眉の皺が延ばされる事は無かった。
だが、不安であった。叱葉は、単なる迂闊な人間であっても、単なる阿呆な人間ではないと自覚して生きている。
ずいと、出来得る限り感付かれぬ様に其の體を見ていく。───────声に震えは無けれども、精神が震える。魂が震える。『恐れよ』と。
帰れと云われてはいはいすごすごと引き返す程間抜け面はしていない心算である───────『恐れ』が金に変わるなら、恐れてやろうと脳が答える。

私事なれど、人間の主体は脳であると考える。脳が服従せぬ限り、人間の服従はなされぬと考える。
故に、精神が恐れても、魂が恐れても、『叱葉』は恐れぬ。否、恐怖しては居ようとも、足を前に出す事を辞めぬ事を『恐れぬ』と云うのだと革新する。
金髪の女の脅しにも取れる声。窓ガラスから突き刺さる視線が投げ掛ける声にも成らぬ声。
『叱葉』は煩いとばかり、一歩踏み出た。ついついニヤリと笑みが浮かぶ。浮かんだ笑みは消さぬ、消せば消えたままだ。消さねば其処に在るが儘だ。


「って、言われてもなぁ?………後ろを振り向かねェなんて言う心算はねェが、………此方は俺の道じゃあねェよ」

叱葉は赤黒い、其れは其れは赤黒い革のjacketを右手で担いだ侭に左手で後ろを指す。
暗い昏い闇が待っている。然し、後ろに在るのは確実な繁華街。叱葉は童子の様に手を引かれて暗闇の中を歩く時代は自分の中には無いとばかりに不敵に笑みを濃く浮かべる。


「───其方が俺の道だ」
「何なら、アンタも行くかい?」

今度は、前方を指す。無論、昏い暗い闇が待っている。だが、眼の見えぬ童子が己の足をのみ以て歩を進める位には『無謀』であった。
ならば、然らば其方を目指さずに人は進化の途を閉ざすだけである。人は喜びへの道を閉ざすのみである。
で、あるが故に叱葉は前に進もうとするのだ。闇が色濃く男達を誘い、目の前の金髪の女の死臭さえも宇宙の向うへと還してくれる其の場所へ向かって。
我々を観察するモノ達は置いていく。在り続けるのは難しくない。留まるのは簡単である、と叱葉は考える。考えてすえに『オトロシク』も『カワイソウ』な彼等を置いていく。
視線の鎧を脱ぎ去ってでも。


「あ、後、2000円貸してくんない?」

仏仏と声が聞こえる。観察者達の声か。将亦其れを又聞きする者達の声か。何れにしても雑音だと吐き捨てて叱葉は女に向かって手を伸ばす。まるで握手を求める様に。
人殺しならば俺と握手できないのかと挑戦的に手を伸ばす。
切り取られた夜空は閉じ込められた山椒魚の様にでっぷりと、諦めにも似た退屈さで宇宙の闇の中に横たわっている。
女は手を取るだろうか。言葉の刃で切り捨てた男は進むと云う。其の言葉が示すのは道の先か、心の先か───────………
567 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/23(土) 00:09:36.58 ID:ezoGNjl2o
>>558
//おや?
//あ〜……申し訳ございませんでした……また機会があれば……
568 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/23(土) 00:21:30.38 ID:O7T+apApo
>>565

【放心状態にも近い少女を数秒ほど見つめ、アウリスは眉間にしわを寄せる】
【元はと言えば自分が悪いのだが……そんなことはもう、薄れ始めて】
【おーいとか何とか声をかけてみる。それでも我に返らないのなら両肩を掴んで乱暴にゆすってみたりして】


おーきーろ! うさぎ、アウリスの演奏で、どんどん出てくる
だから、気に、するな! 泣くな! 泣ーくーなーっ!!


【そうこうしているうちにだろうか、どうやら少女はやっと事態を飲み込め始めた】
【アウリスは頭をぶんぶん縦に振って、呟かれた言葉に肯定を示すのだろう】
【それでもまだ元気になるのに時間がかかるようならば――】


えーっと、こういう時は……


【再びマレットを手に持つと、傍らの鉄柵を叩き始める】
【今度は先ほどのような楽しげな音楽ではない。もっと本格的なクラシック。その中の、ひとつの楽曲だ】

【高速で、しかし静かに優しく紡がれる旋律】
【時折聞いている者をびっくりさせるかのように強くなったり、そうかと思うとまたゆっくりになったり】
【アウリスが自覚しているのかどうかは不明だが――この演奏にはふたつの効果があることだろう】

【ひとつは少女の気持ちを落ち着かせる効果。静かな旋律は、心に溶け込むようなそれ】
【もうひとつは、びっくりさせることで沈んだ少女の感情を切り替えようとする効果。このふたつだ】
【木琴故に曲自体は不完全な印象を受けるが……少女が何らかの反応を示すまで、アウリスは演奏し続けるだろう】
569 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/23(土) 00:27:22.62 ID:oZZgR6tOo
谷山が消えれば平和になるのになぁー
570 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/23(土) 21:08:30.62 ID:hvxHAYo70
>>568
【揺さぶられて、少女の言葉を聴いて】
【自分のせいではないんだと、そもそもうさぎさんは生物じゃなかったと気づき始めるけど】
【それでもすぐには立ち直れない】
【涙は止まりやしたけれど、それまでにたまった涙で潤んだ顔はまだ暗く】

・・・・・・きれい

【そこへ流れるクラシック。静かに優しい、胸に染み入るような音楽】
【母親に撫でられた子供のように、ゆっくりと気持ちが落ち着いてきて】
【頭が感動でいっぱいになる】
【完全な曲ではないが、少女はこれよりきれいな音を聞いたことがなかった】
【涙をぬぐえばそれでもういつもの顔。音楽を聴いてるうちに悲しみとかは全部吹き飛んでいたから】

〜〜♪〜〜♪

【悲しみも無くなって、残るは楽しい優しい音楽だけ】
【少女は手拍子をはじめて、気づけばららら歌い出す】
【少女はアウリスの音楽を心から楽しんでいるようだった】
【そうしてまた曲がひと段落つけば、手拍子は拍手に代わり】

ネモ、すっごく感動した!
ねぇねぇ、どうやってこんなにきれいな音だしてるの?

【先ほどまでの様子はどこへやら、ずいぶんげんきになっていた】
571 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/23(土) 21:08:40.82 ID:hvxHAYo70
>>568
【揺さぶられて、少女の言葉を聴いて】
【自分のせいではないんだと、そもそもうさぎさんは生物じゃなかったと気づき始めるけど】
【それでもすぐには立ち直れない】
【涙は止まりやしたけれど、それまでにたまった涙で潤んだ顔はまだ暗く】

・・・・・・きれい

【そこへ流れるクラシック。静かに優しい、胸に染み入るような音楽】
【母親に撫でられた子供のように、ゆっくりと気持ちが落ち着いてきて】
【頭が感動でいっぱいになる】
【完全な曲ではないが、少女はこれよりきれいな音を聞いたことがなかった】
【涙をぬぐえばそれでもういつもの顔。音楽を聴いてるうちに悲しみとかは全部吹き飛んでいたから】

〜〜♪〜〜♪

【悲しみも無くなって、残るは楽しい優しい音楽だけ】
【少女は手拍子をはじめて、気づけばららら歌い出す】
【少女はアウリスの音楽を心から楽しんでいるようだった】
【そうしてまた曲がひと段落つけば、手拍子は拍手に代わり】

ネモ、すっごく感動した!
ねぇねぇ、どうやってこんなにきれいな音だしてるの?

【先ほどまでの様子はどこへやら、ずいぶんげんきになっていた】
572 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/23(土) 21:09:09.13 ID:hvxHAYo7o
二重投稿すいません・・
573 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage]:2014/08/23(土) 21:11:08.20 ID:HZP0tI/Go
【鳴り響くサイレン、ざわめく街中、集まる野次馬。その中心に存在したのはこの辺りでは有名な宝石店であった】
【群衆の中には「またか」と溜息を落とす姿も見られ、早くもマスコミが駆けつけている。―――宝石店連続強盗殺人事件。最近新聞を賑わせている一文だ】
【全身真っ黒な服に身を包んだ長身の男が、韋駄天の如き速さで入ってきたかと思えば店主を撲殺し、マギタイト類だけを盗んで去っていく。しかもどれも1分に満たない迅速さ】

【金十字のマークが服装にあったことから世間ではGIFTの仕業だと思われており、各宝石店は自警団や警察の厚い警備に守られていたはずなのだが―――】
【ローラースケートのような滑走をする怪しい男が、速さで強引に警備網を正面突破し、またしても事件が起こってしまった―――ということらしい】

―――……っぷはぁッ、暑っつぅ……!! ったくどんだけ警備員増やしてんだよボケ……いくらウスノロ増やしても意味ねぇっつの……!!

【場所は変わって路地裏。サイレンの音がまだ微かに聞こえるのだから事件現場からはそう遠くないようだった】
【人気のないこの場所で声を漏らすは、全身真っ黒な長身の男。荒い息を零し肩を上下させながらも、パンパンに詰まったリュックサックを慎重に地面に置く】
【男は文句を吐きつつ伸縮性のある長袖の黒シャツと黒ズボンを乱雑に脱ぎ捨て、被っていたフードを下ろし―――ニット帽を被った若者の面が露わになる】
【脱ぎ捨てた衣類、そのズボンには乾き切っていない血がこびり付いて―――路地裏に相応しい怪しい香りを、汗に混じって撒き散らした】

うーっし……ちっちゃいのからでけぇのまでかき集めたし、本命も難なく奪えた……Labも流石に文句言えねぇ働きっぷりだろーよ……
これでようやく『アレ』が本当の意味で完成するってか……? ―――にしても重すぎんだろこれ、ボウリングの玉並のデカさになるとこんなにもずっしりくんのかよォ……

【褐色の肌は大量の汗に塗れ、脱いだシャツの下に着ていた黒の半袖パーカーも湿って。茶色のジーンズをこれでもかと言う程ロールアップして、少しでも火照った身体を冷やす】
【むわっと蒸気を上げながら男は額の汗を拭い、掌でパタパタと仰ぐ仕草をしながら、その場にどさりとへたり込んで愚痴を零した】
574 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/23(土) 21:30:17.04 ID:O7T+apApo
>>570-571

【木琴が生み出す旋律は、どう工夫しても連続した音のつながりにしかならない】
【だからどうしても単独では物足りない印象を与えてしまう。しかしそこに、別の音が加われば――?】


――ひひっ


【それは、立派な音楽と化すのだろう】
【マレットを振るうアウリスは、少女が元気を取り戻したのが――いや、】
【もっと言えば、手拍子や歌唱で演奏に加わってきてくれるのが嬉しくて、ちいさく笑った】

【そこからはアウリスの動きももっと軽やかに、弾むようなものに変わっていって】
【周りにたくさん現れた光の兎も曲に合わせてぴょんぴょんと跳び始める】
【やがて曲も終わりへと向かう。高速で生み出される音のひとつひとつが、ごく小さくなっていき】
【最後は少女の拍手が完全な終わりを告げるのだろう】


うーん……アウリスも、分らない!
頭に、出したい音を、浮かべる。んで、マレット、叩く
そしたら、何を叩いても、その音が出るんだ!

空気、叩いても、出るんだぞ! 叩いてる感じ、無いから、やんないけど


【褒められると、アウリスは嬉しそうに満面の笑みを浮かべる】
【音については……そういうことらしい。人に宿る不思議な力、能力に間違いなかった】
575 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/23(土) 21:47:51.64 ID:hvxHAYo70
>>574
【アウリスの笑顔を見れば、少女もまたにこっと笑って】
【アウリスの動きが弾めば、少女もまた弾むように踊る】
【少女の動きは見よう見真似、赤ん坊が踊るようにぎこちないけど】
【踊る間は笑顔が絶えず、ひたすら楽しそうであった】

【出したい音を思ってたたく】
【それを両手をたたいて実践してみるが】
【何度たたいてもなるのはただの手拍子の音。空気の破裂音のみ】

う〜・・・・・・あたしにはできない、みたい。うさぎさんも出ないし・・・・・・
アウリス、すごいの!

【少女からアウリスへ、青く輝く視線には憧れみたいな物も含まれていて】
【少女は自分に対してあるコンプレックスを抱いていたから】
576 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/23(土) 22:08:43.76 ID:vsRdgZ60o
【路地裏】


【日々凶悪な犯罪者達が蠢く夜の路地裏】
【血臭や腐臭に混ざり、時折どこからか悲鳴なども聞こえるその場所を歩く人物がいた】


ひっ――! う、うぅ……いつ来ても慣れないなぁここ……
は、早く用事済ませて帰らないと……


【身長は150cm前後であろうか、黒いタキシードのような服に赤い蝶ネクタイという童話めいた衣装を纏っている】
【先端が緩くウェーブがかったふわふわの金髪と、澄んだサファイアのような碧眼を持ち】
【全体的に線が細く、少女めいた面立ちと儚げな印象をした少年であった】

【少年は、キャリーバッグの取っ手を握ってコロコロと引きながら】
【おどおどした様子で周囲を窺いながら、ゆっくりとした足取りで奥へ奥へと進んでいく】

【この場所に余りにも不釣合いな少年の姿は、見かければ目に付くこともあるだろうか】
【また、夜の路地裏ではどんな事件が起きても不思議ではないかもしれない――】


【――】


【ところ変わって、森の中】


ふっ……―――!!


【微かな虫の声と、獣の息遣いが薄らと響く夜の森林】
【その中の一角……木々が離れ広場のように開けた場所で動く人影があった】

【身長は140cm程度であろうか。長く伸びた炎のように鮮やかな紅蓮の髪と、漆黒の瞳を持ち】
【桜色の簡素なデザインの着物に身を包んだ少女である】
【着物の背、肩甲骨付近に開いた細いスリットから三角形の"翼"のような物体が生えていた】

【少女は手に刃を潰した長剣を握り、太い樹に何度も何度も打ち込みを行っている】
【利き足を軸に回転を加えて、全体重を一撃に載せる】
【卓越した技術による斬撃ではなく、ただ非力を補うためにと考えられているような動きだ】
【真っ当な剣術家から見れば子供の遊びのようにも映るかもしれない】


はぁっ……さて、そろそろ休憩するかの?
やはり、もう少し持久力をつける事も考えたほうが良いかもしれぬな


【少女は額に浮かんだ汗を袖でそっと拭い、大きく息を吐きだしながら訓練を止めると】
【近くに置いていた水筒を拾い上げて、中に入っていた茶をコクコクと嚥下しながら近くの切り株に座った】

【傍を通りかかることがあったならば、この一風変わった容姿やその訓練風景が目に留まることもあるだろうか】
【また、夜の森は迷いやすく凶暴な獣も多い。そうした都合でここを訪れることも考えられるかもしれない】
577 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/23(土) 22:15:34.24 ID:O7T+apApo
>>575


すごいか? ひひ、聴きたくなったら、いつでも、演奏するぞ!


【子供故か、謙遜することもなく賞賛を素直に受け止めて】
【マレットをベルトポーチに仕舞えば、ぴょんと跳ねて鉄柵に腰かける】


みんなできる、わけじゃない、んだよな
アウリスの、おかーさんも、おとーさんも、できないし……
な、お前は、何か、特別な力、持ってたり、しないのか?


【アウリスは、自分だけが使えるこの力を不思議に思っていた】
【周りの人間にできないことを自分だけができるのだから、疑問に思っても仕方がないか】
【でももしかすると、自分の他にも似たような力を持った人がいるかもしれない】

【少女の手を叩く様子を見て、ふとアウリスはそう思ったのだろう】
【お前には特別な力はあるのか――そんな質問をぶつけるのだった】
578 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage]:2014/08/23(土) 22:27:42.88 ID:HZP0tI/Go
/>>573は引き続き募集しておりますー! 
/置きレス行きになるかもですが!
579 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/23(土) 22:38:52.32 ID:hvxHAYo70
>>577
あたしの・・・・・・特別なの

【思いつくものは一つだけ】
【・・・だが、それこそが少女のコンプレックスの正体で】

ある、けど、危ないし・・・・・・
あんまり、見せたくない

【少女の持つ力は人外じみた身体能力】
【ただ、それはアウリスみたいなきれいな力じゃない】
【確実に、誰かを傷つけるためのもの。それは少女の生い立ちも証明していた】

【地震のこぶしを見つめる少女の顔はいつのまにか暗くなっていて】
【正直に言えば、少女はアウリスの力をうらやんでいた】
【だれかを楽しませることのできる力がうらやましかったから】
【自分ができるのは殴る蹴るだけで、しかも悪と戦うにも力は足りないから】
580 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/23(土) 22:56:31.78 ID:O7T+apApo
>>579

【曇る少女の表情。それを見てアウリスは首を傾げる】
【人の感情を読み取るにはまだ対人経験が少なすぎるのか】
【どうにも、なぜ暗くなったのか理解できていないようだった】


そう、か……。じゃあ、いいや!

そういや、アウリス、お前の名前、まだ聞いてないよな!
アウリスは、アウリス・ダシュプースって、言うんだ。よろしくな!
お前の名前も、よかったら、教えて! 友達になろう!


【だけど、自分の質問で気分を悪くさせてしまったことくらいはわかっていた】
【どう言葉をかけてやればいいのかまでは思いつかなかったが】
【この気まずくなった雰囲気だけでも良くしようと、彼女は明るく自己紹介をするのだろう】

【鉄柵から下りれば少女に近づいて、何の迷いもなく手を取ろうとする】
【払いのけられたりしないようならば、少女の掌に自分の掌を重ね――】
【ちょっと強引に握手しようと試みるだろう】
581 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/23(土) 23:09:33.87 ID:o05dE8v/0

【静まりかえった森の中。――――その中にひっそりと存在する教会】
【外装は蔦が這っていたりと如何にも打ち捨てられた様に思えるけれど】
【…………中から漏れる仄かな光と、澄んだ声で紡がれる賛美歌とが確かに未だ人が住んでいる事を告げていて】

【扉を開けたならば、先ず目に映るのは割れたステンドグラスとまだ破壊される前のラグナ―ルを描いた美しい絵画であろうか】
【並べられた長椅子には少しの埃も積もっていない事からしっかりと管理されているのだと察する事も出来よう】
【説教台へと視線を移したなら、其処には一人の女性が居て】
【銀の髪は鋭く思え、同じ色の瞳は何処か冷たくも見えるか。修道着に身を包むその姿を見れば、彼女が唯一この教会を管理している者であると知れて】


「――――教会に何かご用、でしょうか…………?
何かお手伝いが必要でしたら、力をお貸し致しますが―――?」

【賛美歌も変わった頃。来訪者の存在に気付いたならば、其方を見遣って】
【教会に何用かと問うけれど…………その口調は、決して責めたり疑うような其れでは無く】
【寧ろ、優しく問う様な言葉。ただ物珍しく見えたから訪れただけ。或いは旅で疲れたら宿を探し居て――――そんな言葉であっても、女性は歓迎するのだが】







【最早風化し、朽ち果てた小さな祭壇。街から離れた場所にある其れは、人々の記憶からも忘れ去られ】
【然れど、今宵は其処に人の姿が一つ分。緑のローブを纏った女、か】
【銀色の髪を腰程まで伸ばし、焦げ茶色の双眸。手にしているのは古びた魔道書であろう】
【魔力だとかに詳しい者ならば、その魔道書自体に様々な魔術が施されて居るのも感じ取れるかもしれないけれど】


「ずっと昔に使われてた祈りの場所、かぁ…………
今よりもずっと前は此処にも沢山人が来てたのかな……?」

【掌が祭壇を撫でる仕草は、過ぎ去った曾てを思う様。此処に集っていた者が祈りを捨てたのか、滅びたのか。幾多にも分かれる考察】
【だけれど、歴史が記された本だとかを持って居ない今は答えに至るのが難しくて――――それ故に、考える楽しみもあるのだけれど】


「戻ったら遺跡に行く前に此処の事をもう少し調べてみようかな
何だか、面白そうな場所だし……」

【――――岩を椅子代わりに座れば、辺りを見渡して】
【近づいてくる存在に気付くとしたその頃だろうか。其方へと視線を向けたならば、瞬きを数回】

【さて、この場所。魔物も出没する場所とされるのだから自警団だとかも見回っていたりするし、今宵は星々が良く見える夜なのだから散歩に出歩く者が居ても不思議では無い】
【何れにせよ、この女自身には敵意だとかは無いのだけれど、どの様に反応するかはその者の自由であって】
582 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/23(土) 23:23:25.16 ID:hvxHAYo70
>>580
友達・・・・・・

【その言葉を聴いたとたんに少女はにやけ始めて】
【今でこそきれいな服を着ているけど、少女はもとは捨てられた子。一人ぼっちの子だった】
【そんな過去があったからこそ、少女は友達が大好きで、とても大切にする】

うん、なる!
あたしはネモ。ネモ・アーネストって言うの!

【喜びに興奮した声で、少女も自己紹介を返す】
【さっきまでの暗いことはあっさり忘れられたようで】

【重ねられる手は払いのけるどころか喜んで受け入れて】
【手を握るのは強い力で】
【一度できた友達、絶対に離すものか】
【そんな強い願いがその手にはこめられていた】
583 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/23(土) 23:49:18.71 ID:O7T+apApo
>>582

【少女――ネモの表情が晴れると、アウリスも笑みを深める。新しい友達が増えて嬉しいのは彼女も同じ】
【結ばれた手がぶんぶんと上下に振られるのを見れば、その喜びの大きさもうかがえるか】


よっし、じゃあネモ、今から何して、遊――

「あ、いたいた。やっと見つけたわよアウリス。
 あら、そちらは……お友達?」

うん。ネモって、言うんだぞ。今、友達になった、ばっかだけどな!

「そう。でもこんな時間まで外で遊んでちゃだめよ。
 ネモちゃん、でいいのかしら。申し訳ないけれど、アウリスと遊ぶのはまた今度でいい?」


【アウリスが何をして遊ぶか問いかけようとしたところで、彼女の母親らしき人物が現れる】
【それを見たアウリスは一変して苦い表情を作るだろう。それもそのはず、もう夜も遅い】
【今ここでは怒られないだろうが……きっと家に帰ったらきつい説教が待っているのだ】

【それに、折角友達になったばかりのネモと離れるのも嫌だった】
【だけど母親の言うことには逆らえなくて――しぶしぶ、彼女の元へと歩いてゆく】
【一応母親はネモにまた今度でいいかと問いはしたが、きっと何を言っても、アウリスを連れ戻すのだろう】

【やがて二人は公園を後にしようとするのだろう】


ネモ! また今度、絶対遊ぼうな! 絶対だぞ!


【すぐにアウリスは振り返って、少々一方的な約束をネモと交わそうとする】
【それを別れの言葉として、彼女たちは去ってゆくのだろう。後には、少女だけが残されるはずだ――】

//キリもいいのでこのあたりで!お疲れ様でしたー!
584 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/08/24(日) 00:20:38.88 ID:KZl2Iez50
>>583
うん!
また、またあそぼうね!

【離れてゆくアウリスに向かって、手をぶんぶんふって別れの挨拶】
【せっかく友達になったんだ。もうすこし遊んで居たかったけど】
【空はくらくなっていて、アウリスのことを考えるならここで別れるのも仕方ないか】
【それに、もう二度と会えなくなるわけじゃないし】

【公園に一人残った少女は、明るくスキップ気味に】
【自分の寝床へ帰ってゆく】
【二人目の友達だ。嬉しいな、嬉しいな、なんて頭で反復しながら】

//おつかれさまでしたー!
585 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/24(日) 16:07:51.03 ID:Y6bzdDGj0
あー、谷山ブッ殺してえな

【谷山基樹を探している】
586 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[saga]:2014/08/24(日) 16:57:09.11 ID:GPr3rZjFO
谷山死ね

割とマジでな
587 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/24(日) 21:13:42.33 ID:Up12Mr/po
【路地裏】

【日々凶悪な犯罪者達が蠢く夜の路地裏】
【血臭や腐臭に混ざり、時折どこからか悲鳴なども聞こえるその場所を歩く人物がいた】


ひっ――! う、うぅ……いつ来ても慣れないなぁここ……
は、早く用事済ませて帰らないと……


【身長は150cm前後であろうか、黒いタキシードのような服に赤い蝶ネクタイという童話めいた衣装を纏っている】
【先端が緩くウェーブがかったふわふわの金髪と、澄んだサファイアのような碧眼を持ち】
【全体的に線が細く、少女めいた面立ちと儚げな印象をした少年であった】

【少年は、キャリーバッグの取っ手を握ってコロコロと引きながら】
【おどおどした様子で周囲を窺いながら、ゆっくりとした足取りで奥へ奥へと進んでいく】

【この場所に余りにも不釣合いな少年の姿は、見かければ目に付くこともあるだろうか】
【また、夜の路地裏ではどんな事件が起きても不思議ではないかもしれない――】


【――】


【ところ変わって、森の中】


ふっ……―――!!


【微かな虫の声と、獣の息遣いが薄らと響く夜の森林】
【その中の一角……木々が離れ広場のように開けた場所で動く人影があった】

【身長は140cm程度であろうか。長く伸びた炎のように鮮やかな紅蓮の髪と、漆黒の瞳を持ち】
【桜色の簡素なデザインの着物に身を包んだ少女である】
【着物の背、肩甲骨付近に開いた細いスリットから三角形の"翼"のような物体が生えており】
【胸元には"SCARLET"の所属を現す緋色の鷹のワッペンが取り付けられていた】

【少女は手に刃を潰した長剣を握り、太い樹に何度も何度も打ち込みを行っている】
【利き足を軸に回転を加えて、全体重を一撃に載せる】
【卓越した技術による斬撃ではなく、ただ非力を補うためにと考えられているような動きだ】
【真っ当な剣術家から見れば子供の遊びのようにも映るかもしれない】


はぁっ……さて、そろそろ休憩するかの?
やはり、もう少し持久力をつける事も考えたほうが良いかもしれぬな


【少女は額に浮かんだ汗を袖でそっと拭い、大きく息を吐きだしながら訓練を止めると】
【近くに置いていた水筒を拾い上げて、中に入っていた茶をコクコクと嚥下しながら近くの切り株に座った】

【傍を通りかかることがあったならば、この一風変わった容姿やその訓練風景が目に留まることもあるだろうか】
【また、夜の森は迷いやすく凶暴な獣も多い。そうした都合でここを訪れることも考えられるかもしれない】

/1時には持ち越しになります!
588 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/24(日) 21:18:17.16 ID:lGYQ8d0io
>>587
さぁて、食材探しをするかー

【森の中には似つかわしくない、黒いソフト帽を被りライダースジャケットの男が近くに現われる】
【どうやら、食材を探しているみたいだ】

ん?もしかして……

【どうやら、男は少女に気がついたようだ】
589 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/24(日) 21:27:28.69 ID:Up12Mr/po
>>588
/えっと、以前そちらの用事で途中でロールを切る形になってしまってますが
/台詞を見る限りは一度顔を合わせている感じの対応で大丈夫でしょうか?
590 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/24(日) 21:29:33.73 ID:lGYQ8d0io
>>589
/共に問題ないですよ
/なんなら、こっちも23時ごろに用事があるのでそれまでになりますし……
591 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/24(日) 21:37:07.86 ID:Up12Mr/po
>>588

…………ふむ? ああ、確か御主はいつぞやの


【少女は、水筒を近くに置いて】
【剣を鞘に収めて切り株に立てかけながら男の姿を確認した】

【以前、パトロールの途中で会った人物だ】
【その時はあまり語る時間もなかったが、容姿を忘れるほど記憶に残らなかったわけでもない】


奇遇じゃな、こんな辺鄙な場所で何をしておるのじゃ?
まぁ……わらわが言えたものでもなかろうがの


【挨拶も兼ねてそんな事を尋ねる】
592 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/24(日) 21:44:40.87 ID:lGYQ8d0io
いや、新しく移動屋台始めたんだけどさ
そこで出す料理の食材探しをね!

【ここに来た理由をそのまま語る】

黒須春斗のクロス・ハートって言う屋台だ
料理の腕は自信があるんでな
町のどこかでフラフラしながらやってるんだ

【ちゃっかりと自分の店の宣伝をした上で】

それで、そっちはどうしてこんな所に?
593 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/24(日) 21:45:48.51 ID:lGYQ8d0io
>>591

いや、新しく移動屋台始めたんだけどさ
そこで出す料理の食材探しをね!

【ここに来た理由をそのまま語る】

黒須春斗のクロス・ハートって言う屋台だ
料理の腕は自信があるんでな
町のどこかでフラフラしながらやってるんだ

【ちゃっかりと自分の店の宣伝をした上で】

それで、そっちはどうしてこんな所に?

/指定漏れしました
594 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/24(日) 21:51:54.01 ID:Up12Mr/po
>>592
ふむ、食材探しを自前でするとは……何とも豪快なことじゃな
仕入れの資金を節約するには良いかもしれんが


【店主自ら食材を探しに森に入る】
【そのワイルドな経営スタイルに多少の興味を引かれながらもそんな感想を洩らした】


見て分からぬか? ただの修練じゃよ
街中で剣を振り回しておっては危ないからの、昔からここを使っておるのじゃ


【よく見れば打ち込みを行っていた太い樹にはマットのようなものが巻きつけられており】
【何度も何度も打撃を受けた影響で表面が剥がれて変色していた】
【そういったところから、少女の言葉に嘘のないことを察せられるだろうか】


それよりも、ただ屋台と言われても
何を扱っておるのか判らんのでは宣伝にならぬぞ?

わらわは美食家じゃからな、足を運んで欲しくばもう少し詳しく売り込んでみるがいい


【口元を小さく上げながら、彼の店についての話を掘り進めようとする】
595 :" ◆inRYh.mu.I2014/08/24(日) 21:59:23.18 ID:lGYQ8d0io
>>594

ハハハ、手厳しいぜ……

【返答には苦笑いをする】

ま、ある程度なら何でも出来るからなぁ……
客の要望に合わせた料理を何でも作る
あえて名付けるならよろず料理屋、と言った所かな!!

【その発言の際に無駄にカッコいいポーズを付けていた】
【見るからにバカである】

なんなら、腹減ってるなら作るけど
屋台も持ってきてるしさ!!
おっと、初回の知り合い価格として
代金は要らないぜ!!

【本当に頼めば何でも作りそうな気迫が漂ってくる】
596 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/24(日) 22:06:26.01 ID:Up12Mr/po
>>595

うぅむ……何でも作る屋台か
面白そうではあるが、自分で素材を調達するのが大変ではないかの?
手元の食材で応用出来る範囲ならばよいじゃろうが


【こちらは対照的に冷静な表情を保ったままそんな言葉を投げかける】
【責めている、というよりは経営は本当に大丈夫なのかと少し心配しているのだろう】


腹か……そうじゃな、ちょうど運動したあとじゃし
思えば夕食もまだじゃったからな

うむ、ここは一つ御主の厚意に甘えさせて貰うとするかの?


【少女は、男の申し出に快く応えた】
【まだ何かを頼む様子がないのは、実際の屋台や用意している素材などを見てから判断しようと考えているためである】
597 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/24(日) 22:12:37.37 ID:lGYQ8d0io
>>596

あいよ、ちょっと取ってくるぜ!!

【そう言うと、春斗は森の中に入っていく】

どうよ、これがクロス・ハートだ

【そして、少ししてから春斗が出てくる】
【屋台を運んで】

まっ、何でもいいぜ!!

【そう言いながら、道具を取り出す】
【その料理道具は、古今東西のほぼ全ての道具を揃えている】
【食材のほうも肉、魚、野菜などもはや、ありとあらゆる食材がある】

俺は何でも作れるからよ!!
598 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/24(日) 22:20:09.79 ID:Up12Mr/po
>>597

……本当に持ってきておったのか
こんな森の中まで大変じゃったろうに


【屋台をみた最初の感想はそんな事であった】
【移動式とはいえ、道の整備が進んでいない森の中まで】
【運んでくるのは楽ではなかろうにと、少しばかり労わるような表情を覗かせた】


ほほう、思った以上に本格的じゃな

屋台というからもっと小ぢんまりとした物を想像しておったが
どこにこんなに沢山仕舞っておるのじゃろうか?


【披露された数々の道具や、豊富な素材を目にして】
【屋台に興味を惹かれた少女は、立ち上がって近づき、観察しようとする】


何でも……何でも……のぅ?
しかしそう言われてもすぐには思い浮かばぬものよな


ならば、そうじゃの――御主の得意料理を作ってみせるがいい
その方が実力もわかりやすいじゃろうからな


【少し悩んだ様子を見せた後、彼に対してそう返事をする】
【それに付け加えて「あ、辛いものと苦いものは避けるように」と言葉を続けながら】
599 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/24(日) 22:23:47.66 ID:lGYQ8d0io
>>598

ま、俺の身体能力じゃないと厳しいかもな!

【少女の労いには自分の実力を見せるように発言する】

得意料理ねぇ……
そうだ、何かアレルギーとかあるか?

【料理人である以上、最初に聞いておくべき事を聞く】
600 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/24(日) 22:28:48.33 ID:Up12Mr/po
>>599

アレルギー? ……うむ、今までは特にそんなものはなかったの
余程珍妙な素材を使わん限りは問題なかろう


【これに関しては然程問題はなさそうであった】
【少女はそこまで答え終えると踵を返し】


では、わらわは出来上がるまで少し休んでおるからの
料理が出来たら呼ぶがいい


【切り株のところに戻って、ちょこんと腰を下ろした】
【ここで更に何か質問などがあった場合は】
【少女は座った状態で答えていくことになるだろう】

【料理が仕上がるまでそういった会話などがなかった場合は】
【出来るまで少しばかり時間が流れることになるだろうか】
601 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/24(日) 22:39:30.32 ID:lGYQ8d0io
>>600
じゃ、辛くなく苦くも無い料理か……

【頭をひねりながら考える】

おし、これに決めたぜ!!

【そういうと豚肉を取り出し大きめに切り出す】
【さらに、山芋を衣にしトンカツを作り出す】
【高温の油で外側を一気に揚げ】
【次に低い温度の油で中まで火が通るように揚げる二度揚げを行う】

そして、これで完成さ!!

【そこにあるのはカツ丼】
【それもただのカツ丼ではない、カツがとても分厚いのだ】
【しかし、しっかりと中には火が通っており、表面も焦げていない】
【見るからに美味そうだ】
602 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/24(日) 22:40:13.51 ID:tK0y+fD50
【とある都市。其処に存在する本屋】
【深夜帯まで営業しているその店は常に一定の客が出入りしているのだけれど】
【今宵の舞台は其の店の角。小難しい古文書だとかが所狭しと並べられた場所で】


「…………困りました。イリニの背ではあの本にまで届きません
ですが、寝ている店主を起こす事も気が退けます。踏み台でもあるならば、イリニは助かるのですが」

【純白のローブを纏った少女が一人、足を震わせながら背伸びをしていた】
【どうやら本棚の一番上に収められた『精霊ノ存在』と書かれた分厚い本を取り出そうとしている様だが……如何せん、頭数個分も及ばず】
【困ったと言いながらその声は全く以て無感動なのだから、少し可笑しくも思えるかも知れないけれど――――少女一人でこの事態を解決できる術が無い事だけは確かな様】
【もう一度背伸びをして手に取ろうと頑張るのだから、もしこの現場を見た者が居るとすれば危なっかしい印象を与える事だろうか】







【穏やかな風の流れる森の中】
【星々の耀きも十分であり、夜道を歩くには最適と言っても過言では無い】
【――――とは言え。草木も眠る時間帯。況してや森の中だ。暢気に散歩をして居る者なんてそうそう居ないのだけれど】

【そんな中、漂う妖気が一つ。見れば其処には着物を纏った銀髪の少女が一人居て】
【腰に提げるのは二振りの刀。櫻の武具に関しての知識があるならばどちらも業物であると分かるであろうし】
【無かったとしても、僅かに鞘から零れ出た刃の放つ光は上質な得物であると悟らせるだろうか】


「…………なる程、の。しかしあの阿呆め。我の生まれ故郷を破壊するだけに留まらず更に多くの者を殺めるつもりかや」

【とん、と切り株に腰を落ち着かせたならば取り出すのは動物の毛】
【摘んで捻って掌の上で転がしてみて――――なんて遊んでいるけれど。其れからだって妖気は発せられている】
【なれば、ただの動物の其れで無い事は容易に想像が出来るか。歳を経て変化した存在等々あるけれど――――】
【敏感な者なれば、其れの正体が妖狐の物である。そんな所まで突き止める事も出来るか】


「何をする気かまでは分からんが――――何にせよ…………封印をする等で動きを封じねばならぬかの」

【ふう、と一つの溜息。心情を察する事は出来ずとも、少なからず機嫌が良くない事だけは分かる】
【或いは何かを憂いているとでも表せるかもしれないが――――】
【兎にも角にも普通では無い少女が此処には一人。近づいたところで抜き身にするなんて事は無いし、視線を其方へと送れば小首を傾げるのだが】
603 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/24(日) 22:48:29.17 ID:Up12Mr/po
>>601

ほう……カツ丼か。まさに男の料理といったところじゃの
普段は脂っこいものはあまり食わぬのじゃが、たまにはよいかも知れんな


【仕上がったカツ丼を見て】
【少女は切り株から立ち上がり、屋台の方まで歩いてくる】

【座席があるならそこに腰を下ろし、ないならば出された丼の前に立ち】
【懐から自前の箸を取り出すと、カツを挟みゆっくりと小さな口に運んでいく】



…………うむ、まさかこんな場所で本格的な丼物を食えるとはのぅ

言うだけの事はあるではないか黒須よ
その手腕、褒めて遣わすぞ


【小柄な体格に加えて、食べ方が上品なため口に運ぶペースは遅いが】
【言葉からするに少女を納得させる出来であったようだ】
【妙に上から目線な口調ではあるが……】
604 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/24(日) 22:53:44.37 ID:lGYQ8d0io
>>603

ま、こんなもんよ!!

【そう言う春斗の顔はどこか得意げだ】

今後、町で見かけたら寄ってってくれよ
サービスするぜ!!

【春斗はそう言うと笑う】

じゃあ、俺は行くぜ

/では、用事ですのでここでこちらは終わらせていただきます
605 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/24(日) 22:55:19.10 ID:Up12Mr/po
>>604
/お疲れ様でしたー!
606 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/25(月) 16:27:02.97 ID:VH9qY0Dio
【街中】

さぁて、それじゃ開店するかー。

【開店と書かれた提灯を吊り下げた白い屋台】
【そして、その前に一人の男が立っていた】
【男の用紙は黒いソフト帽を被った赤いショートヘアーの男】
【着ているライダースジャケットも似合っている】

それでは、よろず料理屋クロス・ハート、安い!旨い!!大体の料理がある!!!
ぜひともお立ち寄りください!!

【クロス・ハート……心と心が交差する】
【そんな名前のこの店に今日は誰か来るのだろうか……】
607 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/25(月) 17:11:06.79 ID:VH9qY0Dio
/>>606は22:00まで受け付けます
608 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/25(月) 19:56:04.75 ID:bYMBExhYo
【路地裏】

【暗く、深く。宵闇に包まれた細い路地の奥。微かに血の臭いが漂うここは、まさしく世界の裏側だった】
【蠢く亡者が暗がりに身を潜め、舌なめずりして獲物を待ち構える。黒々と渦巻くその世界の一角が――――いま、赤と白に塗り替えられていた】

【赤い方は、この路地裏という場所では大して珍しくもないモノ。……暖かな鮮血が、壁にもたれて気絶した男の胴体から大量に流れ出している】
【そして白い方は、人間だった。刃傷沙汰など日常茶飯事な場所だ、ならばこの白い人間が男を攻撃したと考えるのがふつうで、それは実際正しいけれど、】


……………………、


【――――異質なのはその白≠ェ、幼い少女であることだった】
【雪のような肌には疵一つ無く、肩口で揃えた白髪はまるで天蚕糸を束ねたよう。双眸すらごく薄い蒼に染まるのみで、およそ色素というものが抜け落ちた外見】
【純白の一言に尽きる容姿はこの場所とひどく対照的だけれど、あまりにも白すぎるその容姿は、もはや白というより透明≠ニ称するべきで】
【そして月光に透けんばかりのその体躯は、存在感≠キら透明だ。彼女が返り血を浴びていなければ気づくことさえ出来なかったかもしれない】

【……しかし、そんな異常な容姿以外の点を見ると、肩に垂れ下がるサイドの髪は丁寧な三つ編みに結われ、黒いレースリボンで留められており】
【服装も空色のフリルワンピースにグラディエーターサンダルという可愛らしいもの。どう見ても十代前半の少女といった様相で、とても荒事向きの人間には見えず】


……………殺す。
殺さなきゃ、………………。


【ぽつり、と――――命令を復唱するかのように無機質に、あるいは自分に言い聞かせるように、少女は呟いた】
【胴体に深い裂傷を負って気絶した男に抵抗の余地はない。少女のちいさく白い両の手は誰にも邪魔されることなく、その首元へ向かっていく】
【何もかもが透明な少女は、感情だって透明で。人形のように無機質な双眸は無感動に男を見やり、首に掛けた両手へ力を込め始める】

【……よく見れば少しだけ、その手が震えているようにも見えたかもしれないけれど】
【何はともあれ、もしこの光景を目撃した誰か≠ェいるのであれば。その者が男を助けるにせよそうでないにせよ、時間はあまり残されていない】
609 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/25(月) 20:33:35.12 ID:u/D16n0+o
>>608

【ざり、と――その領域に踏み込む影があった】
【男性にしては長めで不揃いの髪。所々がはねていて、あまり手入れされているようではなく】
【しかしそのオレンジ色は、逆さの炎とでも形容できそうな風貌を呈している】
【下は深緑のカーゴパンツ、上は燃える炎のようなファーがついた薄手でのミリタリージャケットを着用し】
【そして髪と同じくオレンジの瞳を爛と輝かせた――そんな、気迫に満ち溢れた青年だ】

【佇む様は堂々と、爛と輝く双眸とその髪の色はまるで自然と炎を振りまいているかのように】
【熱気すらも感じさせそうなほどの風袋。鍛え上げられた肉体は、それがはりぼてでないことを窺わせる】


それ以上は止めとけ。んな細っせえ細っせえ腕じゃ、人の命なんて奪れやしねえよ
……と、警告はしたぜ? それでも止めねえなら――無理矢理にでも引きはがす

出来るだけそんなこたしたくねえんだ。大人しく言うことを聞いてくれるか?


【鋭い視線。平常であればこんな少女に決して向けることはないのだけれど】
【命が奪われようとしているその間際に、そんな余裕は無かった】

【せめて、気が変わってくれればと脅しめいた警告を投げるのだが――】
【果たして少女は――どう動くのだろうか】
610 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage]:2014/08/25(月) 20:40:57.36 ID:eNcniqSDo
>>608

―――FREEZE(動くな)……なのですッッ!!

【考えるよりも先に声が出た。血に塗れた惨状を生み出しているのは、恐らくこの若い少女―――なのだが、勿論俄に信じがたい】
【だがこの―――鮮血を流す男の首を、彼女の細い指先が掴んでいるという光景。明らかにこれは、彼女がやったことなのだろう―――と、銀髪の少女は思った】

【今この場で人が殺される。そのギリギリに姿を現したのは、灰色のブレザーに身を包んだ、高校生くらいの少女だった】
【ブレザーの左胸には緋色の鷹の紋章があり、首からは「GB」と書かれたドッグダグを下げている。しかしそれよりも特徴的だったのは―――】
【右腕、その肘から先が―――所謂アームキャノンだったことだろうか。その砲口を透明な少女へと向けると、ゆっくりとした口調で彼女に話しかける】

SCARLET所属ミリアなのですッ、貴方には幾つかの質問に答えて貰うのですよ……。
そのいち……やっぱり、貴方がその男の人を殺そうとしているのですか。
そのに。もしそうなら何故殺そうとするのですか。
そのさん。どうやってその裂傷を作ったのですか。

【―――もし従わないのなら、撃つ。力の篭った金色の双眸が視線で忠告していた。ミリアと名乗る少女は確かにSCARLETといったが、透明な少女はそれを知っているだろうか】
【SCARLET、正式名称は「対特異能力者 超国家緊急対応部隊」。高度な能力犯罪に対応するための特殊部隊を指し、現在はカノッサやGIFTと戦っている】
【ミリアからは人特有の気配―――というものが感じられなかった。その点においては、少女の透明な存在感と似ているのかも知れないが】
【緊張と少しの動揺、そして警戒の交じり合った複雑な感情は確かに唇を噛みしめる表情に現れている。その点では無機質な彼女とは正反対であって―――】

611 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage]:2014/08/25(月) 20:42:27.36 ID:eNcniqSDo
>>608 >>609
/あああああ申し訳ありません……
/>>610ですけど退きます、リロードし忘れごめんなさいです……
612 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/25(月) 20:57:04.73 ID:bYMBExhYo
>>609


………………。


【少女の視線はゆっくりと、現れた青年に向けられた。月白色の瞳はきわめて透徹で、気迫に満ちた彼の存在とはまるで正反対だ】
【――――既に首元に手は掛かっていた。そのまま青年を無視して行為を続ければ、いくら少女の力といえど無抵抗の相手を絞め殺すのに時間は要さないはずだった】
【けれど、少女はそうすることはなかった。意外にも素直に手を離すと、すっと立ち上がって真っ向から青年を見上げる】


……このひとは、わたしを連れて行こうとした。
わたしを連れて行こうとする人間は殺せって、『マスター』にそう命令されているの。


【青年の視線もまるで意に介さず、少女は飾り立てられたら人形のように、こてんと首を傾げる。心底不思議、といった風だ】
【連れて行こうとした……と少女は言ったが。確かに倒れた男の容姿はいかにも粗暴で、とても堅気の人間には見えない。路地裏の住人とみて間違いないだろう】
【正当防衛、といえば聞こえはいいけれど――――それにしたって、何の躊躇いもなくひとりの人間をくびり殺す彼女の精神は、明らかに普通ではなく】
【……そして彼女にそんな命令を下したという何者かもまた、まともな人間でないのは間違いなかった】


ねぇ、あなたは、だぁれ? あなたも、わたしを連れて行くの?
――――あなたも、わたしの敵なの?


【軽く、少女が目を窄めたようにみえた。……少女のいびつな精神とそれを縛る命令の矛先が、今度は青年へ向けられんとしている】
【彼女の言う『連れて行く』というのが具体的にどこまでの行為を示しているのかも不明だし、かといって青年が引けば、今度こそ少女は男を殺すだろう】
【迂闊に刺激すれば襲われるかもしれない。だが男を助けるのなら座視も出来ない。この一触即発の盤面で、青年はどう立ち回る――――?】


/>>610 oh...また機会がありましたらよろしくです!
613 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage]:2014/08/25(月) 21:07:33.32 ID:eNcniqSDo
【鳴り響くサイレン、ざわめく街中、集まる野次馬。その中心に存在したのはこの辺りでは有名な宝石店であった】
【群衆の中には「またか」と溜息を落とす姿も見られ、早くもマスコミが駆けつけている。―――宝石店連続強盗殺人事件。最近新聞を賑わせている一文だ】
【全身真っ黒な服に身を包んだ長身の男が、韋駄天の如き速さで入ってきたかと思えば店主を撲殺し、マギタイト類だけを盗んで去っていく。しかもどれも1分に満たない迅速さ】

【金十字のマークが服装にあったことから世間ではGIFTの仕業だと思われており、各宝石店は自警団や警察の厚い警備に守られていたはずなのだが―――】
【ローラースケートのような滑走をする怪しい男が、速さで強引に警備網を正面突破し、またしても事件が起こってしまった―――ということらしい】

―――……っぷはぁッ、暑っつぅ……!! ったくどんだけ警備員増やしてんだよボケ……いくらウスノロ増やしても意味ねぇっつの……!!

【場所は変わって路地裏。サイレンの音がまだ微かに聞こえるのだから事件現場からはそう遠くないようだった】
【人気のないこの場所で声を漏らすは、全身真っ黒な長身の男。荒い息を零し肩を上下させながらも、パンパンに詰まったリュックサックを慎重に地面に置く】
【男は文句を吐きつつ伸縮性のある長袖の黒シャツと黒ズボンを乱雑に脱ぎ捨て、被っていたフードを下ろし―――ニット帽を被った若者の面が露わになる】
【脱ぎ捨てた衣類、そのズボンには乾き切っていない血がこびり付いて―――路地裏に相応しい怪しい香りを、汗に混じって撒き散らした】

うーっし……ちっちゃいのからでけぇのまでかき集めたし、本命も難なく奪えた……Labも流石に文句言えねぇ働きっぷりだろーよ……
これでようやく『アレ』が本当の意味で完成するってか……? ―――にしても重すぎんだろこれ、ボウリングの玉並のデカさになるとこんなにもずっしりくんのかよォ……

【褐色の肌は大量の汗に塗れ、脱いだシャツの下に着ていた黒の半袖パーカーも湿って。茶色のジーンズをこれでもかと言う程ロールアップして、少しでも火照った身体を冷やす】
【むわっと蒸気を上げながら男は額の汗を拭い、掌でパタパタと仰ぐ仕草をしながら、その場にどさりとへたり込んで愚痴を零した】


――――――


【水の国 川付近】

【水の国。そう言われるだけあってこの川を流れる水は良く澄んでおり、底の様子までくっきりと見える程である】
【昼ならば子供達が涼みに訪れるのではあるが、今は夜。幾ら日が沈むのが遅い季節になったとは言え、辺りは大分暗くなっており子供達などいる筈もない】
【―――しかしながら、ジャブジャブと聞こえる不自然な音。水の流れる音とは違う、まるで何かを洗っているような―――そんな音だった】

―――流石に夜の川は冷たいな……涼むなら近くに佇んでいるだけで十分なくらいだ。
其れにしても、流石に5kgはかき集め過ぎたか。全部しっかり洗うとなると、もう少し掛かるな……。

【薄藍の夏着物に身を纏う、腰に大小の刀を携えた黒髪の侍が―――大きな笊に沢山の野草を入れて洗う姿。そんな姿がぽつんとそこに存在したのである】
【スギナ、ドクダミ、ユキノシタ……様々な野草がごちゃ混ぜで山盛りになった其れを、男は言葉を零しながら丁寧に洗っており】
【男は着物の袖を捲って、太くはないが樹の幹のように締まった両腕を晒していたのだが―――】
【その腕に纏わりつくが如く刻まれた大小様々の傷跡が示すは、彼が通った数々の修羅場を示しているかのようでもあった】

……っぐ、冷たいにも程がある……早い所済まさなければ……!

【身を捩る程の冷たさに堪えながら野草を洗い続けるのだが―――果たしてこの男、何故このような作業をしているのだろうか?】
【夜中に一人、川に佇み―――じゃぶじゃぶと音を鳴らす。もしこんな姿を見かけたのなら、普通であればさぞかし怪しいと思うだろうが―――】

/どちらかと絡んでいただければ!
614 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/25(月) 21:09:23.58 ID:uuymHNui0
【深夜、路地裏】
【そこは凶悪な犯罪者の蠢く不明の地であった。闇に支配された淀んだ空気が滞り、目に刺さるような悪臭が漂う】
【鬱屈とした雰囲気は重苦しく流れ、暗黒に包まれている路地】
【そんな誰しも近づかぬような街の一角。突如そこへ、一筋の燐光が閃いた━━━━爆発だ】
【巨大な振動に爆音。肉の焼ける匂いが充満し、良からぬ想像を掻き立てる。明らかに普通ではない━━━】

【━━━そこを覗いたのなら、もはやこの世のものと思えぬ光景が広がっているだろう。】
【爆発の中でさえ悠々自適に立ち振る舞う"人間"と、もはや人であったという証拠すら残さぬ黒焦げた肉片。ブスブスと爛れ、その姿は見る影も無い】
【さて━━━━その立っている人間の方は、満足げに力を抜き、燃える肉片から背を向けた】

「任務完了……全く、疲れるねぇ。ゴミ虫の相手もさ!ナハハハハ!」

【彼の姿は至って普通だった。黒い髪をピンで留め、スーツを着崩した、目測30代程の男性……】
【しかし。彼の態度、そして彼のネクタイについた小さなピン━━━━普通なら見逃してしまうような小さな、機関の逆五芒星がその立場を普通で無いものと裏付ける】
【彼は気楽に笑っていた。しかし……不意に表情を変えたと思えば、辺りを見回した。】

「……はてさて……もう一匹隠れてやがったか」

【彼は一人で呟き、ふと構える。彼の身体から、彼の声とは違う機械的な声が響いた】

≪システム移行 パターン2 スキャンモード≫
≪リコン射出≫
≪ENEMY 1≫

「……」

【彼は不意に振り向くだろう。その光景を見ていたであろう、第三者の居る方向へ】

「出て来な!ドブネズミ」
615 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/25(月) 21:43:06.63 ID:u/D16n0+o
>>612

【――意外だった。この類の人物は頭のネジが吹っ飛んでいることも珍しくない】
【しかし凶行から手を引いてくれたことは事実。存外、話が通じる人物でよかったと安堵する】


そうか、マスターにか。――――って納得できるわけねえだろ!
殺せってのも極端すぎるぜ……。どんな危険人物なんだ、その『マスター』ってやつは


【いつもの調子で、軽くその『マスター』という人物の悪態を吐く】
【あわよくば少しでもその人物の特徴を少女が喋ってくれれば、などという打算も含まれてはいる】

【連れて行こうとした――つまりは誘拐と見て間違いない、が】
【どうにも青年にはただの誘拐では無さそうに思えていた。それほどに目の前の少女が異質だった】
【しかし、外見だけならば独特の存在感を放つただの少女であるようにも思える】
【ならば誘拐の目的は異能か――などと考えを巡らせるも、答えは出ず】


いや、敵じゃねえよ。俺はアーシャ、アーシャ・ランスキャットってんだ。よろしくな!
ついでに言うと正義の味方だ。ほら、SCARLETのワッペンもちゃんと付けてるんだぜ!

――と、ちょっとタンマ。電話だ


【しっかりとジャケットについた緋色の鷹≠見せながら敵ではないことを明確にしつつ、自己紹介】
【連れて行く≠ノ関してはいい案が浮かばず――現時点では保留することにした】
【その質問にだけ答えなかったことがどう作用するかは不明だが――】

【そして、彼はわざとらしく電話に出る。実際はかかってきておらず、逆にこちらからかけていた】
【通話先は緊急救急情報センター。つまり救急隊を呼ぼうとしているようだ】
【現在地の住所を告げると「怪我人がひとりだ」と告げて、「悪いな、仲間からだったんだ」と少女に言いつつ端末を仕舞う】


(さて、……こっからどうするか)


【ここまで全てが猿芝居である。普通ならば見抜かれてもおかしくはない】
【声量はできるだけ下げたとはいえ、会話内容が筒抜けになっていても不思議ではないし――】
【青年――アーシャは、なぜか内心でハラハラとしながら少女の反応を待つのだろう】

/すいません遅れました…
616 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/25(月) 22:00:42.86 ID:rYXbhwts0
>>613

【そのすぐ傍でころりと音が鳴いた、軽く響くは足音に似て、それなら、どうやら現れたのは女らしいと知れ】
【あるいは下駄の男かもしれない――なんて思うけれど、ひどく軽く鳴るならそうではないらしい。華奢でか細いシルエット】
【ふわっと何か気になったように、数秒佇んだ誰かは、――立ち去ると思えば、ころころと川辺に寄って、その手元を覗き込んだ】

――――、

【少女、である。黒と赤、色違いの瞳を円く顔に嵌めこんだ、オッドアイの少女。髪の黒は、まさに夜に溶けるようで】
【でも溶けてしまわないのは、肌がびっくりするぐらいに白いから。透き通るような白は、今度は雪のような色合いをして】
【和服――のデザインを真似た、ゴシック調の服。ひらりと和服の袖と、後ろ下がりのスカートと、和柄の布で拵えて】
【帯で締めた腰、ひらっと開けた裾の中にはふりふりのパニエがぎゅっと詰め込まれていた。素足の足元、続くのは下駄風のパンプスで】
【少し肌寒いのか、その上に黒布のマントを羽織っている。裏にくどくない程度に和風の花柄をあしらっているのが、可愛げらしく】

――……手伝ってあげる。

【まるで鈴みたいな声で紡ぐ、悪戯っぽい声音は、少しだけお遊びで話し掛けたような気配があって、ただ、悪意からのものではない】
【こんな夜更けまで何かを洗っている姿なんて小豆洗いみたい、どうせ退屈なのだしと、そんな、裏事情】

【――でも本当は川になんて触れない子だった。深さのある水が恐ろしい、それなら、どうするつもりだったのかって】

手で洗うより、簡単だよ――きっと。

【ふわっと不思議な手の動き。水面を指差すようにしてから、ついーっと、それを自分の頭の上ほどまで持ち上げて】
【そうすると、ぱたんと広がる魔力の気配が、水面のごく一部を“淡く紫の混じる桜色”に染め上げて――刹那、】
【するするっと伸び上がるのだ。紫交じりの桜色、その色合いに染まった水が、それこそ、彼女の頭の上ぐらいまで】
【――それから空中で緩く身体を巻いて彼の顔を覗きこむようにする。それは、水で出来た、蛇みたいに見えて】
【よく見れば頭の中に銀色の鈴が入っているのにも気付けたのだろう。その鈴は微かにリンと鳴いて、その音色は、彼女の声とよく似ていた】

【水系統の能力者。手伝ってあげるなんて軽く言う、水の蛇が操れるのは分かったけど、じゃあそれでどうやって手伝うかって、】
【そこまではあんまり考えてないような雰囲気。水が操れるから多分大丈夫なんて、そんな、軽い考え――みたいなのだった】
【とりあえず彼女はどう?なんて風に首を傾げていた。手伝うかどうかは彼が決めてしまっていいだろう、きっと……文句は言わない】

【(けど、そんな少女の右耳で煌くのは、宝玉の欠片をあしらったピアスだ。それが、彼女を、一般人から遠ざけて)】
617 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/25(月) 22:11:00.25 ID:bYMBExhYo
>>615


きけんじんぶつ?
…………マスターはやさしいひとだよ?


【少女は怒ることも悲しむこともせず、ただ先程と同じように心底不思議そうに小首を傾げるのみだった】
【「やさしいひと」というのが、ここで青年が少女から引き出せた唯一の情報となったが――――役に立つともとうてい思えず】
【……思えば少女は、青年に聞かれた訳でもないのにマスターとやらの名前を出して、その命令を至極当然のように告げたのだった】
【その、マスターの命令に従って人を殺すということを、少女はおそらく一切疑っていない。息をするように当たり前に、命令には従うものだと確信しているように】


あっ、えっと……わたしは、イクス・ヴェーラだよ。


【――――この透明な少女に、正義という概念はない。ただ機械のように命令に従うだけの存在だ】
【故に、SCARLETという国際的な正義の味方≠前にしても、少女が警戒を解くことはなかった。けれど何故か、名乗られればあっさりと名乗り返す】
【命令の邪魔になるものは容赦なく排除する。けれどそうでないものに対しては、ふつうの少女のままでいられるみたいに】

【……そのままアーシャがただ電話を掛けただけなら、少女は不思議そうにそれを眺めているだけだったはずだ】
【だが――――少女はSCARLET≠フ名をもう一度反芻して、直後何かを思い出したかのように、わずかに目を見開いた】


え………すかー、れっと………?


【結果としては、アーシャの行動は概ね正しかった。だが、ひとつだけミスがあった】
【自分を正義の味方だと、SCARLETだと名乗ったのが、不味かったのだ。ふつうの人間なら安心するところだし、妥当な行為ではあったけれど、】
【正義を知らないこの少女は、相手がSCARLETだからといって安心などしない。むしろ――――SCARLETという組織の性質を鑑みれば】
【たとえば路地裏で非行を行っていた少女がいたとして、それを正義の味方が見つけたら、まず穏便に保護して話を聞こうとするのではないか】
【アーシャの危惧した誘拐だけではなく――――その保護≠ニいう行為は、結果だけ見れば連れて行く≠ニいうことに変わりはないのではないか、と】


………………!


【このイクスと名乗る少女がそう判断したのか、それともSCARLETや自警団による保護すら突っぱねるようマスターに言い含められていたのかはわからない】
【けれどいま重要なのは――――少女の体がアーシャの目の前で瞬間的に沈み、真下から鳩尾めがけて鋭い蹴撃が見舞われたという事実だ!】

【ちいさな体つきからは想像もつかない、敵を殺すことに特化した一撃。軌道自体は単純だが、もしアーシャが油断していれば十分に危険で】
【何よりも……もしアーシャが避けた場合、少女の蹴りは真後ろの壁にぶつかって、容易くコンクリートにヒビを入れるだろう】
【体重を考えればあり得ない高威力。少女は外見だけに止まらず、その身体能力にもまた異常なものがあるようだ】
618 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage]:2014/08/25(月) 22:31:15.77 ID:eNcniqSDo
>>616

【じゃぶじゃぶ、と水をかき混ぜる音が止まり、男は鋭敏に振り向く。夜の川で人と出会うとは思いもしなかったからか、一瞬だけ警戒を見せるも】
【その姿が少女だと分かれば直ぐに瞳に篭もる警戒というか、緊張の姿は消え失せて。代わりに湧き上がるのは心配であり―――】

……―――いや、構わない。夜の水は身が凍るほどの冷たさだから、君に辛い思いはさせたくない。俺も手の感覚が無くなりかけている程だ。
……というか、この時間に一人か? 最近この辺りではマギタイト強盗が多発したりと物騒なんだ……早く両親の元に帰った方がいい。心配しているぞ?

後だな、気になったのだが……それは―――和服、なのか? それともアレか、櫻の国風ふぁっしょん、とでも言うのか……? 
可愛らしいとは思うが、なんというか……こんな形で、我が故郷の文化が吸収されているのか―――と思うとなんとなく複雑でな……

【振り返れば着物の右肩部分に見える「緋色の鷹」。つまりSCARLETなのだが―――それ故に、彼女の心配もするのだろう】
【変わった服装をしているな、と彼の濡羽色の双眸が服へと注視されて、想うは「自分と同じ櫻の出身なのか」と言うことであり、声にも漏れた】
【見ればわかるが、彼の服装は櫻の国の伝統衣装そのもの。涼しげな薄藍の、絽で出来た夏着物に、腰には刀。所謂典型的な「サムライ」の姿でもあって】
【そんな彼にとっては彼女のような、櫻の国の文化と他文化が融合されたような服が珍しく、印象的でもあった。そして和服の良さは失われていないのが幸いだと思った】

【手伝おう、という彼女の親切心のような言葉を、遠慮という形で断ったのだが―――どうやらこの娘、手で洗う気は無いとの発言。どういうことだと思った矢先】
【静かに高きから低きへと流れる川が音を立て、色を変え―――姿を変えた。水で造られた蛇―――といえるモノが、彼の顔を覗きこんでいた】

……うぉおっ……!! な、なるほど……そういう器用な事が出来るのか……。な、なら―――頼もうか。どうやるかは知らないが、まぁ手伝ってもらおう……。

【思わず声を漏らし、驚愕の表情を浮かべて尻もちを付く。至近距離で蛇に睨まれれば大抵の人物は驚くだろう。彼もその中のひとりに過ぎなかっただけだ】
【水を自由自在に操れるのならば、野草洗いなど容易いだろう。それに折角彼女から声をかけてもらったし、手も冷えないし―――と考えて、結局首を縦に振った】

その―――だな。―――……宝玉の香りがするのだが、もしかして持っているのか?

【―――それにしても、なんとなく似た匂いがする。怪しい魔翌力の香りなのだが、これは彼の友人である人物が宝玉を持っている為に香るモノだ】
【……となれば、彼女から同じ系統の香りがするということは―――宝玉。そう思ったと同時に勝手に口がそれが本当かを訪ねていた。悪い癖だと思った】



619 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/25(月) 22:49:35.38 ID:u/D16n0+o
>>617

【少女の言葉を受けてアーシャは、少女に何らかのゆるい洗脳が施されていることを確信する】
【盲目的に命令を実行するように、あるいは純粋さにつけこんでいるに違いない――と】


やさしいひと、ね……


【通常、そう確信したなら保護するのが妥当だろうか。その口実ならある】
【しかしそこからはどうしようもない。少女がマスターについての情報を話すとは思えないし】
【洗脳を受けているという証拠もないのだから――ただ傷害罪として拘束するだけに終わってしまう】

【アーシャとしてはそれを避けたかった。多くの謎が残ってしまうし――何より】
【そもそも保護することが不可能なのではないかと、なぜか直感的に予想していた】


――――ッ!!


【にもかかわらず、彼はイクスの蹴撃を防げなかった。反応できなかったのだ】
【結果は直撃。コンクリに強く身体を打ちつけて――しかし倒れず、血を吐きながらイクスを見遣る】


ゴ、ホッ……う、っく……。唐突過ぎるぜ……っ、イクスちゃん、よお……
落ちつけよ。……俺を蹴る、理由が……ガハッ、……どこにあるってんだ……?


【こうなればおそらく、イクスはここから逃げるか――自分を殺害する】
【死ぬつもりは毛頭ない。甚大なダメージを刻まれたが、逆に臨戦態勢に入れた】
【だが、彼は武器を取らなかった。あらゆる攻撃から身を守れるよう神経を研ぎ澄まし、彼女の答えを待つ】
620 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/25(月) 22:52:00.71 ID:rYXbhwts0
>>618

【彼の言葉に、夜の川というのはそんなに冷たいのかと思った。――もう、何年も、触れたことがないものだから】
【水といえばお風呂か台所か。それか――最近だと自分で出した水か。そうなって、もう、どれだけ経ったのかだろう、なんて】
【考えてもあんまり面白いことではない。だから、すぐに思考の中から失せてしまう。ただ無意味に一度首を傾げて、】

お母さんもお父さんも居ないよ、……わたし、一人暮らしなの。
お家に帰ったらペットが居るけど……、……あと、わたし、普通のひとぐらいになら、きっと、負けないよ――。

――、これ? これね、“――”ってブランドのお洋服なの、なんて言うんだろ、和服風……?
…………今日は違うけど、たまに本物の和服も着るよ。好きなんだ、家にも、いくらかあるし……。

マジョリカお召ってやつとか、買ってもらったの。とっても綺麗なんだよ、……着てくれば良かったかな。

【「おさむらいさん?」なんて笑って問いかける言葉があった。初めて見たという風に細める瞳が、楽しげに見えて】
【一人暮らしだと言うのは少しだけ寂しげにしたが、それだけでしかない。自分は強いのだと語るぐらいには、すっかり元気になって】
【教えたブランド名は、ただ、なんだか長くって分かりにくい。ひらりと裾を捲ってパニエを覗かせる、指先が布地と戯れて】
【その指。左手の薬指に指輪が嵌められているのだった。月明かりにきらきらと煌く銀の指輪。それが、少しだけ、印象的で】

【――「そしたら櫻に居るみたいだったね」なんて呟く言葉が付属する。今日日、櫻のほうでも、洋服のひとが多いと思うけれど】
【なんだか空想がちに朗らかに呟くから訂正もしづらい。行ったことがないのだろう――とそれだけは、よく分かったが】

うーんと……、水の中でぐるぐるしてもらったら、洗濯機みたいになる……かな、?
……この子は怖くないよ。触っても大丈夫、“だいじょうぶなようにしたから”――……ねっ。

…………あ、冷たい――。

【そして、ううんと考え込む仕草。どうするか分からないといわれれば、こちらだって大してよく考えてなどいない】
【そんな風に呟いてみて、指先をくるくる回してみれば――いるかの芸みたいに蛇が回ってみせて、ちょっと困った顔をする】
【その顔のままで少しだけ愉快げに笑うのだ。デフォルメされたような水の蛇も、面白がるみたいに、頭をふらふら揺らし】
【それを窘めるように水蛇の頭に触れると。そこでようやく彼女は水の冷たさを理解する、これは冷たいなあ、だなんて思って】

……――持ってるよ、半分だけだけど。わたしのね、たいせつな蛇(ひと)の形見なんだ。

【窘められた蛇は今度は大人しく水に潜っていく。そうして、黒く透ける水の中に桜色を零しながら、くるくると円を描き】
【洗濯機の要領で水に流れを作っていく。それを彼女は見ながら、――存外にあっさり教えてくれるのだろう、責めるでもなく】
【右手が長い髪をかきあげて耳を露出させる。すると、そこにあるピアス――月白色の石は、確かに宝玉の気配を放って】
【滝のすぐ傍に佇んだときのようだ。清涼な水の気配、周囲の気温をいくらか下げるような錯覚を与える、涼しげなそれ】

【――彼女が手を翳す水の中で、桜色の軌跡がいくつか重なっていく。水蛇を増やしたのだろう、そっちのほうが、いいと思って――】
621 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/25(月) 23:10:56.13 ID:bYMBExhYo
>>619

【イクスは吹き飛んだアーシャを無感動な瞳で眺め、ほんの少しだけ表情を歪めた、ようにも見えた】
【それをアーシャを害したことに対しての罪悪感と取るか――――それとも単に一撃で殺せなかったことを驚いていると取るかは、アーシャの自由だ】


理由は、あるよ。命令だから。
さっき、どこに電話していたの? あなたはわたしを連れて行く≠ミとなんでしょう?


【その表情の変化もすぐに立ち消えて、イクスは再び与えられた命令を遂行するだけの人形に戻った】
【希薄すぎる存在感にはわかりやすい殺気や迫力こそないが、それが逆に幽霊じみた不気味な印象を振りまいているようにも思えて】
【――――もしこの少女に表情があれば、きっと不信感で顔を歪めていたに違いない。イクスはいま、アーシャを命令に該当する敵として認識している】
【少女には、命令しか見えていない。アーシャはまだ、イクスを連れて行くなど一言も言っていないのに――――正義どころか、彼の良心を信じる心すら、】


だから、わたしはアーシャを殺すの。
もしアーシャがわたしを捕まえるために人を呼んだなら、そのひとたちもみんな殺す。それが、命令だから。
…………ばいばい。


【冷酷で残酷な誰かの意志によって、上書きされて。イクスはちいさな声で淡泊に殺意を告げると、静かに右腕を振り上げた】
【ひゅんっ、と、細く白い腕が物理法則の埒外で稼働する。首元への手刀、意識を奪う目的ではなく頸椎をヘし折るための一撃】
【これもまた相当の威力があるのは間違いない。まともに当たればアーシャの命はそのまま刈り取られてしまうだろう――――が、】

【その軌道は甘く、読みやすい。力は入っているが速度がブレているというか、とにかく先程よりかなり避けやすいはずだ】
【……イクスの表情から何かを読みとるのは難しい。だがアーシャが筋肉の動きを読めるなら、彼女が妙に力んでいる≠フは明白だった】
622 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage]:2014/08/25(月) 23:21:00.84 ID:eNcniqSDo
>>620

嗚呼、済まない。その歳で一人暮らしか……大変なのだな。施設ぐらしというわけでもなく一人……か。
―――……確かにそれ程水を動かせるのならば、そこらのチンピラなど一捻り出来るだろうな……まぁそれでも、あまり過信しすぎない事。
能力犯罪の6割以上が深夜帯だから―――相手が能力者なら君が強くとも大変だ。だから用心に越したことはない。

【歳を聞いた訳でもないが、まぁ10代前半〜半ばくらいかなと思った故の「その歳で」と言う発言。両親がいない、と語る彼女に少しだけ申し訳そうな顔を浮かべる】
【自分の心配を跳ね除ける彼女であり、確かに跳ね除けるだけの理由もあると瑛月も理解していた。それでもやはり、推奨はできないとしつこい言葉を投げかけた】

……なんの異国語だ、それは。まじょ……マジョリ……ま、魔女? まぁ良くわからないが……うん。兎に角和服はいい。いいぞ。
「おさむらいさん」は決まって和服だ。というか俺は和服以外は着たことがな―――あ、いや……ジムに行くときはジャージとか半袖Tシャツとかは着るな……。

【彼女が語るブランド名が彼の耳には宇宙人語に変換されて伝わっていた。思わず彼も首を傾けて、濃く凛々しい眉毛がハの字型に曲がった】
【どうやら和服に対しては誇りのようなものがあるらしく、軽く胸を張って話すのだが―――あ、と思い出した顔をしてからはまたもや申し訳無さそうにして訂正を加える】

―――お、おぉ……見事なものだな。流石宝玉を持っているだけのこともある。あ、勿論君の実力のお陰でもあるが。
―――形見、か。形見と言えば先ず浮かぶのは親だが。 

【水の蛇に生命が吹き込まれたかのような動きに、思わず感嘆の声を上げた。ピアスに加工された宝玉を瞳が捉えた瞬間、なんとなく潤いが全身に感じられ―――】
【宝玉は凄い、とついそんなことを言うが、それでは彼女の実力は関係ないような響きだったので―――急いで付け加える】
【形見―――親の形見。そのような連想から言葉が零れるが―――何というか、これも悪い癖だ。先程親がいないといったのだから、その話題には基本触れぬ方がいいのに】

623 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/25(月) 23:50:17.05 ID:rYXbhwts0
>>622

ちょっと前まではね、……旦那さんが居たんだよ。でもね、居なくなっちゃったから、ひとりなの。
……ペットが居るから寂しくないよ。ほんとうは、ちょっと、さびしいけど……、ぬいぐるみもいっぱい居るから。

…………うん、気をつける。気をつけるけど、……、ちょっとぐらいならいいよね。だめ?

【出会った瞬間から彼女は楽しげだった。悪戯めいたような、からかうような、そんな態度であることばかりだったのだけれど】
【この瞬間だけはしゅんと落ち込んでいる様子を見せて。それでいて強がるように笑うのが、なんだか、がんばっている様子】
【――それにしたって、旦那さんとは。彼の思う年齢よりも少しぐらいは上の年齢なのか。薬指の指輪は、確かに、それ】

【でも……人妻だか元人妻だかでも夜遊びが好きなのは治せないらしい。“ちょっと”ならなんて、上目がちにして】
【お願いってするみたいに両手を合わせる。蛇の目によく似た丸い瞳は、見つめられるとくるくるとしてかわいらしく】
【蛇よりはいくらも温度感もあれば無機質な感じもしない。似ているのは丸い形と、ちょっぴり釣った、まなじりだけだ】

えっとね、……櫻の――どこかで昔に作ってたお着物なんだって。それでね、とっても珍しくて、高価いんだけど……。
きらきらしてすごく綺麗で素敵なの、おねだりして買ってもらったんだぁ、綺麗だったから――ほんとにね、綺麗なんだよ!

【まじょりかおめし。初めて聞くひとには「はてな」な代物だろう、それこそ、花火大会で見る娼婦みたいな浴衣の着方を思い出しそうな、】
【それでいて、実際はもっと違う。とっても綺麗で、繊細で、お高くて、――とりあえず、きちんとした和服だったりして】
【少女の脳裏にはその美しさが浮かべられているのだろう。自然と高くなる声は、彼女が年頃であると教えてくれるよう】
【おねだりして買ってもらったんだって軽々しく言う。お金持ちの家――そんな言葉が、ふっと浮ぶ気がして】

【「ずっと和服なの?」と尋ねる声があった。それは少しだけ驚いたようでもある、他の服は着ないのかと、不思議がるように見つめて】
【運動する時は――なんて言うけど。わざわざ訂正するぐらいなのだから、それ以外は本当に和服なのだろう、それが、】
【ふわあーっと呆けたように見つめる表情に続いて。“すごい”とか、そんな風に考えている様子なのだった】

お母さんたちの形見じゃないよ。わたしのね、ご先祖さまの形見なの。この中には、わたしの、ご先祖さまが居るの――。

……お侍さんは、“かみさま”って見たことある? ううん、一人っきりだけ偉い神様が居るって、そういう神様じゃなくて……。
もっと、たくさん。たとえばこの川とか、その木とか、石ころとか。なんにでも神様が居るって言う、その、かみさま。

わたしはね、あるの。真っ白な蛇の神様。川の神様だった。その川は見たことないし、その蛇(ひと)の本当の身体は見たことないけど。

……お侍さんだから特別に教えてあげる、わたし、神様の子孫なんだよ。蛇の神様の、子供の子供の子供の……ずっと子供の、子供なの。

【そうして水の中で何匹かの蛇が泳ぐ。紫交じりの桜色の軌跡は縦横無尽、水の中で、草たちを掻き乱して、洗っているのか遊んでいるのか】
【さっきの彼を面白がるような様子を覚えているなら、この遊ぶ姿を見たなら、なんだか彼(女)らには意識らしきものがあるように思え】
【それを見れば彼女はふわっと立ち上がる。そうして――悪戯っぽい笑い声を残して、彼へ背中を向けてしまうのだ】

【そうして尋ねる。神様を見たことがあるかって、不思議な問い掛け。一神教的な神じゃない、八百万的な神だと、告げてから】
【数秒ほど間を置いて、言葉を続ける。そしてどこか誇らしげに言うのだ。自分は見たことがあるって、自慢するみたいに】

【振り返った表情はやはり誇らしげだった。子供が大切な玩具を自慢するみたいに、きらきらとしたそのまなこ】
【それが真っ直ぐ彼を見つめて、――そして、あっさりと、普段は隠しがちな秘密を、口にした】

【――ご先祖さまの形見なのだと言う。そして、わざわざ、蛇の神様の子孫なのだと言う。それなら、その宝玉は、】
【彼女が言うところの“真っ白な蛇の神様”の形見なのだろう。――そして、幸いにも、それは、彼女の悲しい過去ではない】
【寂しくはあるが、辛い思い出ではない。思わず涙が落ちてしまうほど、悲しいストーリーは、そこになかった】
624 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/25(月) 23:53:38.53 ID:u/D16n0+o
>>621

【表情の変化は見逃さなかったが、如何せん感情の起伏が少なすぎる】
【あえて断定するならば後者――自分が倒れなかったことへの驚きのように感じられた】
【それほどにアーシャはイクスからはっきりとした敵意を感じ取っていた】


俺が……いつ、お前を……連れて行く≠ネんて、言ったかよ……
……あれは……救急車、呼んだだけだぜ。……仲間からってのは……嘘、だ。すまねえな


【彼の狙いは救急隊を呼んだ後、すぐさまこの場から離れることにあった】
【自分が傷を負った男を連れて行こうとすれば妨害されるのは目に見えている】
【かといって電話で救急隊を呼んだことがばれれば、イクスは即彼を殺害しかねない】

【最短で男を助けるにはどうすればいいか――そう考えての嘘、だったのだが裏目に出た】
【イクスはこの後自分が口にする言葉を信用してくれるだろうか。その可能性は、おそらく低く】


…………。


【右腕が振り下ろされるのが見えた。首筋、即死の一撃】
【舌打ちがひとつ鳴る。ぎり、と拳を固めるのと同時、彼は歯を食いしばると――】
【――その攻撃を、そのまま受けた】


っだらああああああああああッ!!


【だが、しかし――彼は立っている。首がへし折れるであろう一撃を受けてなお、地に伏していない】
【彼は手刀を少しずらして受けたのだ。狙いが読みやすいことが幸いした。威力を軽減させるくらいならば可能だったのだ】
【それでも死んでもおかしくなかったが、彼が生きているのはもしかすると――】


だああ! だから連れて行かねえって言ってんだろうが!
俺はお前を連れて行かねえし、これから来る連中もお前を連れて行かねえッ!!
だから俺の話を聞きやがれってんだ―――――ッ!!!


【最高に大人げない怒鳴り声をまき散らして――感情のままにイクスを説得しようと試みる】
【こうでもしないと痛みを紛らわせそうになかった。ならなぜ攻撃を受けたのか――】
【その理由は、無抵抗を示したかったから、だったりする。頭の悪い彼にはそれしか浮かばなかったのだ】

【そうすることで、無理に何かをしようという証明にしたかったのだろう】
【弱った肉体も少女が優位に立っている自覚を助長させるだろうか】
【そうすれば、こちらから手を出しても無意味になるであろう状況を作り出せる】

【ともかく、彼は叫び切った後「痛え……」と一言零し、崩れるように腰を下ろす】
【決死の行動は実を結ぶか、否か――】
625 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/26(火) 00:01:49.92 ID:f3Dl/ZHEo
>>621>>624
//訂正します。下から5行目
//【無理に何かをしようという証明】 ではなく
//【無理に何かをしようとしないという証明】 ですね…すみません…

//それと次のレスを返せそうにないので明日へ持ち越しをお願いしてもいいでしょうか…
626 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/26(火) 00:22:16.27 ID:eBLFDWQJo
>>624


ううん、謝らなくてもいいよ。わたし、べつに怒ってるわけじゃないから。


【その言葉は、一見してアーシャに親身に聞こえはするものの――――それは、いま行おうとしている行為とはなんら関係のない戯言だ】
【イクスは本当に怒ってはいない。ただ彼女は、命令に従って自分の身柄を縛るものを片っ端から殺戮するだけなのだから】
【彼が呼んだのが救急隊だろうが救急車だろうが、彼らが自分に目を付けるなら殺すだけ。そして少なくとも、アーシャという不穏分子はどのみち、ここで――――】


………………え、


【自分がいやに力んでいる≠アとに、イクスはもしかすると本気で気づいていなかったのかもしれない】
【表情に浮かぶのは、極度に希釈されてはいるものの、確かに驚愕のそれだった。直撃したのに殺しきれなかったという事実が、彼女の心をすこしだけ揺さぶる】
【……最初はどうあれ、最終的にはアーシャの行動は正しかったようだ。そのわずかな間隙は、少女に追撃の手を止めさせるには十分で、】


ひゃ、っ――――――!


【イクス・ヴェーラは件の命令さえなければ、異質さは拭えないにせよ、ふつうの少女として振る舞うこともできるのだ】
【だから。たとえば驚きで一瞬だけ命令のことが頭から離れて、そこに予期しない内容の怒号が滑り込んできたとき、それが表に出てくることだってある】
【彼女の中にもすこしだけ存在するふつうの少女≠ニしての反応――――年上の男にいきなり大声で怒鳴られれば、この年代の女の子ならまず萎縮するものだ】
【イクスは、びくっ、とちいさくだが確かに体を振るわせた。泣き出したり恐怖したりといったことは流石になかったが、怯んだと表現するには十分な反応だ】


………、え、と…………………、


【ただ、やはりそれですべてが丸く収まるわけでもなかった。イクスはすぐに平静に戻って、怯んだ体勢を元に戻してしまうだろう】
【しかし、イクスは即座にアーシャを殺そうとはしない。本当にいますぐ襲いかかっていいものか――――それをすこしだけ、逡巡するように】
【アーシャが反撃する気なら、それは隙だ。相手は殺戮も厭わない危険人物、手っ取り早く気絶させて捕縛するというのも悪い選択肢ではない】
【けれど、あくまでも説得するつもりなら……イクスがほんの少しでも命令の実行を躊躇っているいまこの瞬間は、きっとまたとないチャンスなのだろう】


/>>625
/明日はちょうど空いていますので持ち越しOKです! そちらの都合のいい時間に返信してくだされば!
627 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage]:2014/08/26(火) 00:23:00.65 ID:Q157ELjTo
>>623

……いやいやいや。うん、違法―――……か? 結婚は確か女性は16だったが……16にしても、それは早過ぎるだろう。
というかそれは本当に旦那なのか?結婚したのか……あ、ちょっと待った。なんだかこんな話前に聞いたぞ……。

【表情筋が一斉に固まる。所謂真顔だが―――その後、「いやいや」とジェスチャー付きで否定した。どうみても結婚できる年齢には見えないのだから】
【ただ付き合っているだけの彼氏を旦那と呼んでいるのではないかとか、変な推測をしていると―――脳の奥に隠れた記憶が浮上し、姿を露わにする】

……そうだ、ロウ殿だ。何か言ってたぞ……あー、なんだったか……「犯罪にしか見えない夫婦がいて、どっちもちょっとイカれてる」とか―――
あ、すまん。全部そのロウという奴が言ってたことであって俺の言葉では無いからな! ……というか、本当なら……君は幾つだ?

―――ふむ、でも……その、居なくなってしまったのか。愛する人が居なくなる……その時の感情は俺には解らないが、悲しいのは間違いないな。
……まぁ、ちょっとなら夜遊びもよしとする。それでも路地裏は避けること。結婚する程大人なら守れるな?

【記憶が鮮明になればなるほど、彼女とその記憶が適合していく。宝玉のピアスをしている、と言う話を聞いたこともようやく今になって思い出した】
【名前までは思い出せないが、ロウは明らかに彼女の事を指して言っているのだろう。ロウの言葉をそのまま口に零したのはミスだったのだが】
【落ち込む中で見せた強がりを見れば、「ダメ」などと強い否定をすることはどうにもできなくなって。言い方は子供をあやすようではあるが、小さく首を縦に振った】

―――え、神? ……あ、妖怪とか悪魔とかはあるが、神は……ないな。 でも妖怪も悪魔も居るのなら神は居るのではないかと思い始めてきた。
―――で、君が……子孫。はぁ。……で、その形見。俄に信じがたいが、まぁ……信じるとしよう。ふふふ。 
なぁ、そろそろ野草を洗いたいのだが、野草を川に流し込めばあとはそっちで何とかしてくれるか?

【いやいや、と否定したいところだったのだが、瞳を輝かせて誇らしげにする姿を見れば、思いっきり否定するのはなんだか申し訳なく感じた】
【それでも俄に信じがたいという言葉は残しておくのだが、「一応」信じるよとの言葉を零して微笑んだ】
【本来の目的が置いてけぼりになっていることに気付けば、彼女に問いかける。早く済ませてしまおう、と。彼女が頷くのなら、彼は間髪入れず野草を水に入れるだろう】
628 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/26(火) 00:39:19.78 ID:e2zDWEOF0
>>627

【ほんとうだよってくすくす笑いが説明する、どう見たって高校生、それも一年生程度にしか見えない彼女は、】
【あどけなさの残る顔立ちをしているのを見れば、下手すればもう少し下にも見えかねない、それでも、いちおうは、】
【結婚していたというなら十六でいいのだろう。辛うじて信じられるラインだ、それ以上には――ちょっと、見えないかも】

…………二十一歳だよ。来年で、二十二なの。

【そして、少しだけむーっとした顔をするのだ。眉を寄せて、むうと、視線を横に逸らすようにして――数秒とちょっと】
【そんなこと言ったのかなんてちょっとだけ拗ねるような感じ。でも、よっぽど不機嫌になったとか、そういうわけではなくて】
【でも声はちょっとだけ低くなる。――だが、夜遊びのことを許可されれば、少しだけにまりと口角をあげて笑い】

【「がんばる」なんて言葉で終わらせるのだ。その言葉は少しだけ誠意が足りない、あんまり、重要に捉えていない】
【自分によっぽど自信があるのか。彼のことを下に見ているのか。――前者は該当するかもだが、後者は少なくとも違っていた】
【路地裏に迷っている子供たちを助けてあげたいという気持ちがあった。だから、立ち入る必要があって。だから、】

【――でもそれを口にしてしまうのはなんだか恥ずかしかった。だから、結果として、彼女の態度は不真面目みたい】
【怒られたら理由を言うかもしれない。でも、今この瞬間には、彼女はその言葉の理由を説明しようとは、しなかった】

お侍さんって櫻のひとでしょ? 櫻のひとって、みんな、そう思ってるんじゃないの? ……みんなじゃないかもしれないけど……。
居るんだよ、神様だって居るの、だって、わたし、知ってるもん。とっても綺麗なの、真っ白で、ちょっとざらざらして――。
ほんとなの、ほんとうなんだよ、わたし、……本当だもん……! ……信じてないでしょう……。

【最初の一言にちょっとだけびっくりしたようだった。櫻の国のひとは皆八百万的な思考を持っているんだと、勘違いしていたから】
【櫻=和服で八百万。ちょっと知識は偏っているだろう、それをいかにも櫻めいた顔付きで言うのだから、不思議でもあって】
【櫻に行ったことがない櫻の子孫。行きたいけど、なんだか、行ってしまうのはもったいない気がして――余談】
【――ちょっと拗ねたように言葉を連ねていくのが子供みたいだ。最後のほうなんて駄々を捏ねる子供みたいになって】

【――それから。野草のことを言われれば「あっ」なんて気の抜けた声を洩らす、そうして、振り返った水の中は】
【薄ぼんやりと蛇たちに照らされているが、よく見たらかき混ぜていたのは水草だったかもしれない。すっかりと、】
【もう水の中にあるものだと思ってた勘違い。気付いてしまえば、真っ白な肌の、その頬っぺたをかぁーっと赤くして――】
【彼が入れようとするのを半ば強引に奪い取ろうとして、成功すれば自分で水に沈める。そうして、ぎゅーっと葉っぱを押し込んで】
【今度こそちゃんと大丈夫だと言う風に(なぜか)ドヤ顔するのだ。それで何か失敗が取り戻せるわけではないが――まあ、】

【彼女の子供っぽい性格がよく分かったという点では悪いことでもない。それなら、扱いようも分かるはずだから】
629 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage]:2014/08/26(火) 01:01:49.48 ID:Q157ELjTo
>>628

………………こっちの方が俄に信じがたいぞ……。3歳差って……3歳差って。

【長い沈黙の後目をぱちくりさせて、思わず本音が漏れた。自分と3つしか違わない。というか20を過ぎており―――所謂、合法?】
【見た目は勿論のこと、雰囲気も話し方も子供っぽい。せめて中身が大人っぽければ簡単に飲み込めたのだが、そうではないためにその情報を咀嚼し切れずにいた】

―――随分と適当な答えを返すじゃないか。はー……まぁ良い。流石に二十歳超えなら話が通じなかったわけではないだろう。
でも間違いなく―――高校生か其れ以下の少女と勘違いした奴が寄ってくると思うぞ。なんだ、所謂―――ロリコン? だったか。そんな奴らが。

【軽々しい「がんばる」に眉を潜めるが、説教までは行かずに溜息で我慢した。21だが見た目は少女。正直怒りにくいのだ】
【兎に角釘だけは刺さなければ、という意味で危険を説明する。変なことをされるぞ?という脅しでもあった】

うーん……いや、それは固定観念だ。信じる輩もいれば俺のようなのもいる。どこでもそんなものだ。
―――でも、まぁ今は信じる、信じるよ。悪魔も妖怪もいるのなら神がいても不思議じゃない……って言っただろう? 
君が神様の子孫だからといって、別に敬う訳でもないけどな、ふふ。

―――あ、済まない。さっさと入れておけば……って。 ……ああ、恥ずかしかったのか。―――ふふ、やっぱり子供じゃないか。

【一つ唸りを上げてから、彼女の偏った知識を修正。信じなければ期限が悪くなりそうだと思ったので、取り敢えず信じると言ってみた】
【「あっ」という一言で全てを悟れば、済まないと言葉を漏らすのだが―――彼の言葉を遮るような彼女の行動に、思わず笑みが零れた】
【野草が清らかな川に浸る。ようやく野草洗いが再開されるらしかった】

630 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/26(火) 01:22:36.56 ID:e2zDWEOF0
>>629

【「あ、」と小さい声が零れた。でも、言葉は続かない。ふわーっと意味ありげに笑って、それでおしまいだ】
【たとえ追及したとしても言葉はかえって来ない。だって、まさか、“数え方を変えれば九歳だとは”言えないから】
【それを言ってしまったら余計に合法ナントカになるから、言わなくて良かったかも知れない。――彼を、困惑させるだけだもの】

だからね、お酒飲めるんだよ。最初は、みんな、駄目だって言うけど……、そしたらね、諦めちゃうの。
でもUTだと飲ませてくれたよ、あそこはね、友達が居るから――、今はね、あそこのお店で、お料理とか作ってるの。

【ふふんと笑ったのはなぜだか得意げだ。お酒飲めるんだよって、大人なんだよって、アピールしたい年頃(?)なのだろう】
【でもそうやってするのが余計に大人びてないのがかわいそうなところ。大人って、そういうことをしないんだって、知らないみたい】
【そして言葉に零れるのは――彼らとは違う正義組織の名前だ。あそこの酒場で料理を作ってるだなんて、そう付け足して】
【もし彼が驚くような反応を見せるなら、「お手伝いさんなの」って言葉で説明してくれるだろう。にーっと笑って】

ただの人間なら怖くないよ。宇宙人とか、未来人とか、異世界人だったりしたら、怖いかもしれないけど……。
……でも、ほんとうに気をつけるよ。それに、わたし、魔術の練習とかもしてるの。だから、ちょっとなら戦えるし――。

【こんなに貧相な身体でも話し掛けてくるひとは居た。確かにそれは経験として頭のなかに残っている、でも、】
【大半はただのチンピラめいた無能力者だったし、よっぽどでなければ、能力者相手にも対処が出来た、過去】
【それは油断とかかもしれない。でも、戦う力が全く無いわけじゃない――毒を持つ花みたい、摘んだら、手がかぶれる】
【――いちおうは気をつけてくれるらしい。それがどれだけ頼れるかはさて置いて、忠告はしたのだ。聞き入れるのかは、彼女次第】

……は、ずかしくなんてないもん。ちゃんとしてなかったお侍さんが悪いんだよ、わたしは……、……。
――あんまり悪くないし、敬われたりしなくてもいいのっ、……すみっこが好きだもん、暗いとこが、好きなの。

【とは言え、頬っぺたが赤いのは逃れようのない事実。髪の黒と、肌の白と、頬の赤と、とっても綺麗によく映えて】
【子供みたいに拗ねた顔で彼へと罪を擦る、どうしようもない手を背中で組むと、マントが腕のかたちにごそごそと揺れ】
【あんまりという辺りに自覚はあるらしい。なにせ気付かなかったのは自分だ、勘違いしてたのも自分。それなら、】
【そうは言っても彼を責めるわけでもない。ちょっと恥ずかしくて言ってしまっただけ、――よくない行動ではあったが、】
【つんとそっぽを向いて根暗っぽいことを言ってる彼女に、悪気はないようなのだった。彼の聞いたというイカレ具合も、いまだ見えず】

【――しんとした夜の中に、葉擦れの音や、虫の声。川のせせらぎに、ぱちゃぱちゃと水のかき混ぜられる音が混ざりこむ】
【ちょっと涼しいのも数日前までの暑さを思うと過ごしやすくていい。恥ずかしさが抜けるまで、彼女はマントをぱたぱたさせていた】
631 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage]:2014/08/26(火) 01:43:25.79 ID:Q157ELjTo
>>630

【UTと聞いて何だか表情を曇らせる彼。SCARLETとUTは協力しあう中であるのだが、彼には一つ申し訳ないことを持っていて―――】

……あー、UT……か。SCARLETでありながら実は、一応名簿だけ俺もUTに入っているのだ。
だがUTとしての活動は一切出来ていないので……本当、凄く申し訳ない気持ちで……。
あの酒場にも言ったことがあるが、そこで料理か……一度行ってみたいものだが、合わせる顔は―――正直、ないかも……。

【トーンも一段階下がり、やや俯きながら右手で髪をわしゃわしゃと書く仕草を見せた。UTのお手伝い、という驚きも沈む気持ちの前には勝てず】
【驚くような反応は残念ながら、なし。そうか、という程度だった。案外繊細な性格なのかと思わせる狼狽であったと言えた】

―――……ロウ殿という奴に聞いたのだが。君がロウの言う人物なら……一度彼を魔術か能力かは知らないが襲った、とか。

【落ち込んだ際に思い出した。「俺一度その子に殺されかけてるからな」というロウの言葉を。そうであれば、危険人物なのか―――と少しだけ声に真剣味が篭もる】
【悪い子には見えないが、危なっかしい子には見える。それでも彼女がそんなことをする人物には正直見えなかったのため、半信半疑でもあった】

暗い隅っこにいるから華奢で白いんだ。子供はもっと遊b……じゃなかった。済まない。子供じゃなくて21歳だったな……気をつけてないと忘れてしまう。
まぁ先程のは俺が……ちょっとだけ悪いな。あとお侍さんじゃない、俺には瑛月という―――中邑 瑛月という名前がある。

【先程から分かる通り、この男失言が多い。その度に「済まない」と謝っているが、これで謝るのは何度目だろうかと思わせる程だった】
【頬を赤く染める彼女を見てニンマリ、という言葉が似合う笑みを浮かべれば「ちょっとだけ」悪いと強調した。案外意地悪な男だ】
【その意地悪失言男、名を瑛月というらしい。月、と言う文字が名前にあるが、この川辺から見える月はほぼ満月に近いもので、その月光を頼りに瑛月は草を洗っていた】




632 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/26(火) 02:01:56.05 ID:e2zDWEOF0
>>631

【ふっと影の差す彼の表情。反射的に不思議がる顔をしたのだ、それは、或いは仕方のないことだとも言えて】
【どうしたのかって彼の反応を待つ一拍。でも、彼が言ったことを聞けば――なーんだ、なんて、そんな顔をした】

それなら。今度わたしがご飯作ってあげる、食べにおいで。お金、取らないでおいてあげるから――特別だよ?
わたしが奢ってあげるね、だから、食べにきて――美味しいんだよ、わたしのご飯、おいしいって、みんな言ってくれるの。

……わたしがどうしてもって呼ぶんだもん、セリーナだって、わたしのお客さんなら、駄目って言わないよ――。

【――それなら来ればいいじゃないって、そんな風に言うのだ。自分が彼の立場だったら、絶対に近づけないくせに】
【他人事になるとこれだ。それは無責任とも言えるし、適当だって言えるかもしれないけど、でも、】
【彼がUTに戻ってきやすいようにという心遣いでもある。おいしいご飯で釣るなんて、子供向けみたいだけれど】
【わたしのご飯は美味しいからと薄っぺらい胸を張る。そして、「ねっ」なんて言って、尋ねるように首を傾げる、のだけれど】

【彼の言葉が続けば、ふっと――今度はこちらの表情に影が差す番。うぐっと言葉に詰まって、黙り込んでしまって――】
【あの、とか、えっと、とか、そんな声が聞こえて来る。はくはくと無意味に動く口は、いかにも言い訳を探しているようだが、】
【ほんとうは言葉を言い出すきっかけを探している。そんな折だ、ばしゃん!と爆ぜる水面、一匹の蛇が水面に身体を躍り出した音】:

あ、あの、わたし、もう、そういうの、しないの……、そういうのじゃなくて、わたし、ひとを助けたいって、
……困ってるひと――困ってる子を、行く場所が無くて困ってるような子を、たすけて、あげたいって……だから……、

あの頃は違ったの、他の宝玉ってどんなのなのかなって、それに、“いい匂い”がしたから――だから、……。

【それがきっかけになった。或いは、蛇のほうが気を利かせて、きっかけを作ってくれたのかもしれない。どちらでもいいけれど】
【言いづらそうにつっかえながらだが言えたのは、つまり、今はすっかり心を入れ替えていますと、そういうことだ】
【誰かを傷つけるのをやめて、誰かを助けるために動く。その転身の報告は、ただ、嘘のようには聞こえないはずで】
【――それでも。襲った理由を言うのも、嘘じゃない。他のも欲しかった。膨大な魔力量に惹かれた、ほんとうだから】
【しょんぼりと眉を下げて言う、そうして身体をちぢこめていると、元より華奢なのもあってか、ひどく小さく見え】
【怒られるかもしれないと不安げな眼が彼をじっと見つめる。怒られたならぱっと消えてしまいそうなぐらい、その瞳はそう思わせて】

【(実際に彼女は怒られるのが苦手だった。怒鳴られると消えたくなる、彼女を怒るなら、静かにゆっくりと怒らないといけない)】
【(水に勢い良く石ころを叩き込んだら水が跳ねるみたいに。そっと、そっと、沈めないと、彼女の心はむちゃくちゃになってしまうから)】

【――名前を名乗られたら、彼女は「りんね」と答えるはずだ。「鈴音・シュトラウス」と、それが彼女の名前らしい】
【「でも」「お侍さんのほうが呼びやすいよ」と続けたのは彼女なりの仕返しだったのかもしれない。或いは、その呼び方を気に入ったのか】
【とにかく。彼女はちょっぴりしょんぼりとしたままだ、――そんな彼女の背後に、一匹の水蛇がにょっと身体を伸ばし】

【「できたよー」なんて教えるみたいに、ぺたぺたと水の頭で、その肩を叩いていた】
633 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage]:2014/08/26(火) 02:20:34.80 ID:Q157ELjTo
>>632

じゃあ……仕事で風の国によることがあれば、是非。
いや、意地でも金は払わせてもらう。申し訳ないことをしたのだからタダ飯なんて出来ないさ。

【お金で償いになるとは勿論思ってはいないが、タダ飯はプライドが許さない】
【恐らくセリーナは許してくれるだろうが、それでも次に酒場に寄るときは精一杯の謝罪をしよう。そう心に深く刻んだ】

【そして今度は立場一変。表情に曇りを見せたのは瑛月でなく彼女で】

―――……別に怒ってはないよ。現にヤツは生きてるし……というかヤツ程しぶとい男はいないからな。
「しないようにがんばる」じゃなくてちゃんと「しない」って言ってくれた。そうならば信頼しよう。

【案外すんなりと瑛月が彼女の言葉を受け入れたのは、先程のような「がんばる」などという言葉がなかったからであり】
【包み込むような柔和な笑みが、優しさを感じさせる瞳の濡れ羽色が、彼の言葉が嘘ではないということを教えるだろうか】
【兎に角、彼女が怖れるような怒りの言葉は一切なく。それとは真逆にも近い言葉が、信頼するという内容が彼の口から溢れていた】

りんね、か。夏の名前……のように聞こえるな。風鈴の音と書けば、りんね。……だろ?
う、俺はまぁ……お侍さんで、いいか―――っおぉッ、びっくりした……もういいと言うことだな? 今度は直ぐに回収するぞ?

【りんね、という名前を聞いて浮かび上がったイメージを正直に零す。実際は夏なんて全く考慮していなかったのかも知れないが、彼は兎に角そう感じたらしい】
【お侍さんでいいよ―――という言葉に少しだけしょげる中、彼女の背後に突然現れた水蛇に身体をびくつかせた。その意味に気付けば、今度は迅速に笊を取る】
【そのまま川に沈めて、水蛇が草を笊の中へと運んでくれるのを待つだろう―――】

/すみません、明日ちょっと速いのでここらへんで置きレス移動お願いします!
/それではおやすみなさいませ、楽しかったですー!
634 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/26(火) 02:26:13.12 ID:e2zDWEOF0
>>633
/了解です! 明日の夜までにはお返事書いておきますので、お時間の出来た頃にお返しいただけたら!
/おつかれさまでした、また明日よろしくお願いします!
635 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/26(火) 04:21:32.48 ID:e2zDWEOF0
>>633

【来てくれるという話になると彼女は嬉しそうにしただろう。ふわっと唇を笑ませて、ほんの少しだけ白い歯を覗かせる】
【控えめだけど確かに嬉しげなそれだ。本当に来てくれたなら、彼女は、精一杯彼を持て成すだろう、料理でも、お酒でも】
【ちゃんと美味しいものを用意してくれる。それは“がんばること”なのだ、彼女にとって。美味しいものを食べてもらうこと、】
【――自分が、何年も美味しいものなんてろくに食べられない生活をしたから。だから、ひとには、美味しいものを食べさせたくて】

【それが、ずっと料理をしてきた理由かもしれなかった。もちろん、美味しいと喜んで/褒めてほしいというのもあったけれど】
【せっかくのご飯は美味しくなくっちゃいけないと思う。腐りかけの生ごみとか論外だと思う、だから、精一杯作ろうって決めた】

……怒らないの?

【しょんぼりとしていた瞳が、少しだけきょとんと丸くなる。怒られると思っていたからだ、まして、UTの構成員には】
【下手をすればセリーナに伝えられると思った。そうしたら自分はきっとあの場所に居られなくなる、それもまた、恐ろしくて】
【でも彼は伝えないどころか信用するとまで言ってくれて。ちらっと窺った彼の瞳は、きっと、優しい色をしていたから】
【――少しだけ困惑する。でも、同時に、裏切っちゃいけないと強く思う。曖昧な指先が、きゅっと締めたコルセットを撫でて……】

【(強く言われると何も聞けなくなる。こうやって優しく言われると、頑張ろうって気になる。単純なのだ、子供みたいに)】

ふうりん……? ……風鈴は好き、涼しいって思ったことは、一度もないけど……。

【風鈴の話になると少しだけ元気が出たように見えるだろうか。少しだけ瞳を細めて、肩でぺたぺたする蛇の頭に手をやり】
【よしよしと押さえつけてやる。振り向こうとする頃には彼のほうが先に反応していて、それを眺める形になるが――】

【ざるを沈めてもらえれば、水蛇たちはこぞって競争みたいに草をざるの中に入れてくるだろう、ほんとうに、意思があるみたいに】
【というより、この様子だと普通にありそうだ。だって、一番多く入れた子は勝ち誇ったように頭を揺らしているし、】
【一番少なかった子はしょげかえっているように見えたから。――でも、この子らは前向きであるらしい。一番少なかった子が、】
【「もっとちょうだい!」とばかりに水面から顔を出して催促してくるのだ。まだ草があるならくれてやればいい、喜ぶだろう】

【くれてやればまたぐーるぐーるとバターになりそうな戯れが始まる。これで本当に綺麗になっているのか、少し、怪しい……?】

……お侍さんは。櫻の国に行ったことがある?

わたし、……ちゃんと行ったことないの、街も、村も、見たことない。
どんなところなの? 桜の木がたくさんあるって、ずっと咲いてるんだって、ほんとうなの?

……本とかテレビで見た、でも、あれはほんとうのことなの? ……ほんとうに、桜の花が、ずっと咲いてるの?
だって、そんなの……、そんなの、うそみたい――――。

【そんな中で少女はふっと話し掛けてくる、さっきのしょんぼりを少しだけ引き摺った声は初めより低いが、さっきよりは高く】
【ちょんとしゃがみこんで水面を見つめながら。ちらちらと窺うようにしつつ、尋ねるのだ。そんなこと、その問い掛けは】
【例えば夢の国に行ったことがあるひとにどんな場所だったか聞くのにも似るのかもしれない、期待して、期待して、瞳は煌き】
【しょんぼりしていたのもちょっとずつそのきらきらに浸食されていく。そのうちお婆ちゃんの御伽噺を聞く子供みたいに】

【もし行ったことがないと答えれば、“いけないことをした”という表情を咄嗟にする彼女が見られただろうし、】
【そうでなければ、嫌でなければ話してやればいい。どんな場所なのか、どんな空気で、どんな景色で、どんなひとが居るのか】
【――こうまでして桜について聞くのだから、それに関わる話も喜ぶかもしれない。否、きっと、とっても喜ぶはずだ】

【うそみたい――そう呟く表情は、ひどく優しげで、蕩けてしまいそう。もちろん、その表情は桜のせいだけではなくて】
【もっと、ずっと、――たくさんの憧れとかを篭めたら、そうなってしまう。夢みたいな場所なのだ、彼女にとっては】
636 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/26(火) 14:27:32.91 ID:L2LSoFeho
【街中】

さぁて、それじゃ開店するかー。

【営業中と書かれた提灯を吊り下げた白い屋台】
【そして、その前に一人の男が立っていた】
【男の用紙は黒いソフト帽を被った赤いショートヘアーの男】
【着ているライダースジャケットも似合っている】

『よろず料理屋クロス・ハート、安い!旨い!!大体の料理がある!!!』
【よく見れば、そう書かれた看板も見える】
【クロス・ハート……心と心が交差する】
【そんな名前のこの店に今日は誰か来るのだろうか……】
637 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/26(火) 19:04:57.34 ID:yHi55fPG0
【路地裏】
【一切の光の届かない、暴力が支配する世界】
【ギャング、不良、様々な人々が命の削りあいをする世界で、また一つの命が奪われようとしていた】

「ひ、ひぃぃ!やめてくれぇ!」



【戦慄の表情を浮かべて地に伏せる男と、それを見下ろす少女…そしてその背後で蠢く影】

[ピーーー]…

【少女が呟くと同時、蠢いていた影が人の形となって男へと向かう】

「ひっ…あ、がっ…!!」

【人の形をした影が、男の首を掴んでギリギリと締める】
【あぁ人間はこんなにも脆く、儚い。たったこれだけで散ってしまうなんて…】
【して命尽きて項垂れる男を、少女は嗤いながら見つめていた】







638 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage saga]:2014/08/26(火) 19:46:31.13 ID:f3Dl/ZHEo
>>626

【――首が、どこかおかしい】
【まるで肩の真上に頭があるような、そんな錯覚さえも覚える】
【試しに軽く横から首を押してみると、それだけで意識が飛びそうなほどの激痛が走った】


なぁ、イクス・ヴェーラちゃんよ……何度も言うが、俺はお前を連れて行かねえ
それならイクスが俺を殺す必要なんざどこにも無え、よな?


【言葉はやや乱暴なものの、しかし先ほどとは打って変わって優しい口調で語りかける】
【肩で呼吸し、だらりと脱力した姿勢のまま――しかし輝きを失わない炎の瞳を、イクスへと向けて】


それがわかった上で、だ……
イクスには3つの選択肢からひとつ、好きなものを選んでほしい

――1、俺をマスターのところにまで連れて行く
イクスのマスターとやらに興味が湧いたんだ。できれば紹介してほしいんだが……
ああ、無理強いは絶対しねえから、それだけは覚えておいてくれ

――2、イクスが俺に付いて来る
その、なんだ。俺もう疲れたから腹へってんだ。俺にはイクスが悪い子には見えねえし……
飯くらい奢るぜ。もちろん飯屋と違うところに行くと思ったら遠慮なく俺を殺していいぜ

――3、そのままイクスは帰る
俺はお前を見なかった。お前は俺を見なかった。これで両者共よしとする……じゃあ、だめか?
そこのやつにはもうお前に手を出さないようきつーく言っておくからさ

さ、選んでくれ。選ばなくても、別にいいけどよ――


【これで、果たして何かが変わるのだろうか――彼の考えは不明だが重要なのは一点だけ】
【それは彼が、イクスがイクスの意思で行動できるよう選択を委ねていることだ】
【アーシャはあくまでも無理強いはしないよう心がけているらしい】

【ただ選択肢外のこと、例えばそう、イクスがこのまま自分に襲いかかってきたら――】
【その時は覚悟を決めていた。全力で彼女を気絶させ拘束する、と】

【そうなってほしくはないなと祈りつつ、アーシャは彼女の返答を待つのだろう】
【時間的にもうすぐ救急隊が来る頃か。面倒なことになる前にここを離れたいが――】

//お返ししておきます!
639 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/26(火) 20:27:56.31 ID:L2LSoFeho
>>637
/まだいらっしゃいますか?
640 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/26(火) 20:42:46.85 ID:DdCgk/dO0
>>639
/居ます!
641 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/26(火) 20:44:49.15 ID:L2LSoFeho
>>637

おいおい、どうしたんだ!?
お嬢ちゃん、大丈夫かい?

【偶然通りすがったであろう男が問う】
【男は黒いソフト帽にライダースジャケットを着ており】
【一歩間違えばチンピラのように見える】
【どうやら、少女が男達の命を奪った事は気づいていない様だ】

ちっ!!もう少し俺が速ければこいつらは……

【男はどうやら、赤の他人である男達の死を悲しんでいるようだ】
642 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/26(火) 21:06:11.94 ID:Bi48EdrV0
>>641

…?

【偶然通りすがった男、少女はその問いに答えず】
【口角を吊り上げ、歪な笑みを浮かべてジッと見つめる】
【また一人来た。早速殺そう、今すぐに殺そう】
【そうしなければ…自分が殺される】

死ね…死ねぇ…っ!

【少女の影が蠢いて、もう一度人型となる】
【そしてそれは、男の首に喰らいつこうと駆け出した】
643 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/26(火) 21:07:00.83 ID:eBLFDWQJo
>>638

【……最初から感情らしい感情をほとんど見せていないイクスに、いまさら「冷静になった」という言い回しをするのもおかしいけれど――――】
【そのときの彼女が冷静であり、そしていくらか常識的だったのは事実だ。話を聞き終え、そしてその意味を咀嚼し終えるまで、イクスは手を出さなかった】
【三つの選択肢を提示され、人形は微動だにしないまま思考する。アーシャが襲ってきたらいつでも対応できる体勢のまま、ヒトのように思い悩む】


    WaLtIse, "XsTum LaKis".
  <イクストゥム・ラーキス=


【――――そして。しばしの時を経て、少女の口から唐突に漏れ出した答えは、現存するいかなる言語とも合致しない不可解な発音の言葉だった】
【もっとも、本当に不可解なのはそちらではなく――――発音の意味は不明なのに、その意味≠ェアーシャの心の中へ流れ込んでくるはずだ】
【そして突如、少女の全身に淡く輝く黄緑色の刻印が浮かび上がった。同時、彼女の周囲の地面から、何か水≠フようなものが溢れ出す】
【淡い空色に光るそれは、少女の能力≠フ一端か。それはアーシャを巻き込んで周囲一体に展開し、水をインク代わりにして幾何学的な紋様を描いた】


 ―――――――Osx Al;FiReKuts, SaDua DaSuke Ista Tybez WrJin GiKirh.
<斯く美しきものたちよ その七色の光でもって どうかこの身を裁き給え>


【何か、詩のようなものをイクスは歌い上げて――――重苦しくも荘厳な旋律が、どこからともなく響き出す】
【それに呼応するように、周囲の地面がイクスの体のものと同じ黄緑色の燐光を帯びた。そこから感じられるのは魔力≠フ奔流だ】
【光る水で地面に描かれた紋様は魔法陣。アーシャと倒れた男を巻き込んで、暫時魔術は発動する――――】

【……それに対して、アーシャがどう動くかは彼次第ではあるけれど。歌うイクスからは、不思議と敵意は感じられないだろう】
【そうして発動するのは、攻撃ではなく治癒≠フ術式だ。アーシャが魔法陣の範囲から抜け出さなければ、傷から痛みが消えていくだろう】



…………わかった、よ。


【さて――――この情報をアーシャがいま思い出すか、それとも後で調べて知ることになるかはわからないが】
【色素の抜け落ちた真っ白な外見に、透明にすら思えるほど薄い存在感。そして、奇妙な言語と歌を操る少女】
【そんな人間が、『GIFT』と『カノッサ機関』の両方に追われている。悪の勢力に捕まる前に、一刻も早く彼女を保護してくれ、と――――】
【数ヶ月前、ある隊員からSCARLET全体へ、そんな依頼が成されていたはずだ。……このイクスという少女は、内外で『鍵』などと呼ばれている存在だった】


アーシャ、えっと、いきなり蹴ってごめんなさい。
マスターのところに連れていくのは、できないけど………ご飯、食べさせてくれるの?


【そんな、危険極まりない立場にある少女は――――当面、アーシャを信じることを選んだらしい】
【ぎこちない挙措ながらも、ぺこりと頭を下げて謝罪する。魔術が効果を発揮していれば、アーシャの傷は日常生活に支障のない程度に治癒しているはずだ】
【そしてそれは、倒れている男の方も同じ。全快とは行かないまでも、救急隊から適切な処置を受ければ後遺症が残らないレベルにはなっている】

【そしてイクスは、アーシャに向かって軽く二本の指を立てた。ピース……ではもちろんなく、二番≠ニいう意味であろう】
【命令に従うだけの人形は、もう居なかった。瞳の奥にか細くも確かな好奇心を宿した少女がひとり、すこしだけ申し訳なさそうに、青年の顔色を伺っている】


/気づくの遅れちゃって申し訳ない……!
644 :" ◆inRYh.mu.I2014/08/26(火) 21:19:33.90 ID:L2LSoFeho
>>642

何ッ!?

【影が動いてる事に気づいたのか、素早く影を回避する】

おいおい、お嬢ちゃん……
おいたが過ぎるぜ!!

【その気配が、ただの一般人のそれから】
【触れる物全てを壊す化け物のソレに変わる】
【多少鈍感でも、その変化には気づけるだろう】

粒……結!!

【そして、その言葉の直後に男は光に包まれた】
645 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/26(火) 21:20:22.05 ID:L2LSoFeho
/コテハン付けて住みませんでした……
646 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/26(火) 21:32:03.54 ID:4xWlENrk0
>>644

死ね、死ね、死ね、

【男の気配が変わったが、それが何か】
【殺さないと…殺さないと…殺さないと】
【その思考だけが、脳内を駆け巡って…少女は叫び声をあげる】

死ぃねぇぇぇぇ!!


【躱された影は身を屈めて、発光する男に向け…転倒させる為に足払いを放った】
647 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/26(火) 21:37:20.63 ID:L2LSoFeho
>>646

どうして、そんなに簡単に人を殺そうと思えるんだぁぁぁぁ!!

【その言葉と共に、男を包んでいた光が消滅する】
【そこにいたのは、男であって、男ではない】
【まるで、変身ヒーローの様な姿の戦士であった】

トゥアッ!!

【その叫びと共に天高く飛ぶ】
【そのまま、少女が動かなければ、背中をとられるだろう】
648 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/26(火) 21:45:20.37 ID:f3Dl/ZHEo
>>643


……? スマン、なんてったかもう一回――ッ!


【語学など全くしてこなかった彼は、イクスの紡いだ言葉はどこか遠くの国のものだと勘違いする】
【しかし、それにしては少々妙だ。聞いてもさっぱり理解できないのに、理解できているように感じる――】
【次の瞬間にはもうそんなことはどうでもよくなっていた。彼女は選択しなかった――そう判断したのだから】

【物理で死なないならば魔術か。アーシャは半ば諦めたように溜息を吐き】
【避けられるであろう戦いに向き合うべく、全身の筋肉や気を集中させるだろう】
【それは彼が重傷であることなど忘れさせるほどの気迫となって瞳に宿るのだが――】


……なん、だ?


【心なしか軽くなってゆく身体。いや、気のせいではなく本当に痛みが無くなってゆくではないか】
【再度響く理解不能なのに理解可能なその言語にも困惑したが、考えれば頭が爆発するのでパス】
【――ともかく、助かったらしいことがわかると、心の底から安堵して】


気にしてねえよ。ようやくまともにお前と会話できるんだから、それで俺は満足だぜ
ああ、約束は守る。イクスは食いたいもんあるか? 無けりゃ、近くの回転寿司でも行こうと思うんだが……


【ゆっくり立ち上がり、首を傾ける。コキリ、と音がひとつ立てば、首の具合は随分良くなっていることが確認できた】
【行こうぜ、とイクスに向かって言うと、彼は表通りに出ようと歩き始めるだろう】
【寿司屋はかなり近い。数分も歩けばすぐに到着するはずだ】

//大丈夫ですよー!
649 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/26(火) 21:47:58.25 ID:rtdA4SXlO
【今日はただちっぽけな胸を抱いて幸せに】能力者スレ
650 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/26(火) 21:48:53.98 ID:4vwLra2l0
>>646

[ピーーー]ぇぇぇぇ!!!!

【光が消えると其処に居たのはヒーローの様な男】
【それは跳躍、自分の背後を取ろうとしている様で】
【足払いを放った影は間に合わないか。なら2体目を出せばいい】
【影が再び蠢いて、もう一体が姿を現す】
【これでは力が半分になるが、人を[ピーーー]だけの力はある】
【跳躍した男に向け、それが地に着こうかというタイミングで影は蹴りを放つだろう】
651 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/26(火) 21:57:01.35 ID:L2LSoFeho
>>650

トゥア!!

【路地裏であった事が幸いしたのだろう】
【空中で壁面を蹴り、ギリギリ影の攻撃を回避する】

どうして、そんな事を……
俺は出来れば君と戦いたくは無いんだ!!

【少女である事が、彼を戦わせる覚悟を鈍らせる】

タイプチェンジッ!!

【そして、再び光に包まれる】
652 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/26(火) 22:09:50.67 ID:eBLFDWQJo
>>648

【奇妙な歌でもって治癒魔術を発動するイクスは、アーシャの気迫を受けても一切揺らぐことはなかったはずだ】
【機械にどれだけ気迫をぶつけようが、それは糠に釘もいいところである。当然といえば当然ではあったものの、】
【……気のせいだろうか。イクスはどちらかといえば、歌に熱中するあまり周りが見えていないような、そんな気配も感じられて】

【治療が終わると光る水は地面の中へ溶けるように消え失せ、イクスの体に走っていた刻印もまた光量を失って、元の白すぎる肌が戻ってくる】
【並外れた身体能力に加え、おかしな言語と歌、そして光る水を操り魔術すら行使する能力。……本当に戦いになっていたら、相当厄介な相手だったかもしれない】


あのね、アーシャ。……いまのお歌のことは、秘密にしておいてほしいの。
人前で歌うなって、マスターにそう命令されているから。


【頭を上げたイクスは、アーシャにそのようなお願いを付け加える。どうもこの面妖な言語、彼女にとっては機密事項のようだった】
【――――ただでさえ目立つ容姿に、心に直接伝わる言語とくれば、どうあっても目立つのは避けられない】
【恐らくそのマスターとやらは、イクスが『鍵』などと呼ばれる特殊な立場にあることを理解しているのだろう。だからこそ、こうして正体を隠そうとしている】
【まぁ、SCARLET所属のアーシャに知られてしまった時点で、その目論見もほぼ瓦解したわけだが……】
【秘匿命令を破ってまで治癒魔術を使ったのが、他ならぬイクス自身の意志だった、というのだけは――――あるいは、特記すべきことなのかもしれない】


かいてんずし…………? それってなぁに?


【……と、そのようなことはさておいて。イクスは命令から解放されてすっかり棘の取れた様子だ】
【ある意味見た目通りというか、イクスはやはり常識の面でも相当浮き世離れしているらしい。『回転寿司』という言葉の意味が理解できない様子】
【拙い知的好奇心に従って、イクスはアーシャに導かれるまま、無防備にその背中へ付いてくだろう――――】
653 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/26(火) 22:16:40.59 ID:4vwLra2l0
>>651
黙れ黙れ黙れ!死ねぇ!死ぃねぇぇぇぇ!!

【男の言葉は、少女には届かない】
【口でならなんとでも言える。優しい顔をして、優しい声をかけて平気で裏切る人間を何人も見てきた】
【だから…この目の前の男も同じだと思って、裏切られる前に殺してしまおうと】
【男は戦うことを躊躇っている様だが、少女には躊躇いはない。全力で殺す】

【影ニ体が駆け出し、男に向けて同時に前蹴りを放つ】
654 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/26(火) 22:24:11.19 ID:L2LSoFeho
>>653

(間違いない、この娘は……)

俺のもう一つの可能性だ!!

【光が晴れた其処に立っていたのは、先ほどとは少し外見が違う】

お前は俺が救わなければならない……
そんな気がするんだ!!

【そう言うと、男は右にステップを入れ影の攻撃を回避する】

ラァイトニングッフィィィルドッ!!

【その叫びと共に、全身から雷光が周囲に展開する】
【少女には当たらないように方向を狙いながら】
【その雷光は、路地裏をまるで昼間のように明るくする】
655 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/26(火) 22:36:58.79 ID:adLnFy760
>>654

っ…![ピーーー]ぇぇぇ!!

【男の全身から展開する雷光、昼間のように明るくなる路地裏】
【それは少女にとっては非常にまずいもので】
【この影は光の元でも活動することが可能だが、大幅に弱体化してしまうのだ】
【一体は少女の影へと戻り、もう一体は男へと向かって拳を振るう】
【弱体化している影の動きは遅く、回避は容易。当たったとしても大したダメージにはならないだろう】
656 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/26(火) 22:44:57.42 ID:L2LSoFeho
>>655

俺はね、何もしない……
だから、俺は君を信じるよ

【両手を広げながら歩いていく】
【その気配も化け物のそれから、子供を見守る親のような】
【慈愛に満ち溢れた物になる】

俺は、何もしないから……

【影の攻撃も避けずそのまま歩き続ける】
【まるで、避ける必要はないと知らせるように】
657 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/26(火) 22:45:16.16 ID:f3Dl/ZHEo
>>652


わかった。誰にも教えねえ
それにしても……マスターに命令されてるから、ね
マスターの命令、破っちまってよかったのか?


【殺せ、という命令に関しては阻止すべきだったが、こちらはどうなのか】
【バレると不味いのではないかとアーシャは心配するのだが――尋ねる彼は、どこか嬉しそうで】
【命令に背いてでも治してくれたこともそうだし、もっと言えば素のイクスはおそらく悪ではないとわかったのだ】
【それは喜ぶべきことだろう】


ん、回転寿司知らねえのか? てことは寿司も知らねえか
酢飯によ、色んな魚の切り身とかハンバーグとか天ぷらとか乗っけただけの料理だぜ
それがくるくる回ってるんだけど……ま、俺が説明するより見た方が早えな!


【こんな説明で誰が理解できるというのか――イクスの食欲が失せなければいいのだが】
【表通りに出て少し歩くと、いたって普通のチェーン店らしき寿司屋に到着する】
【階段を上り、自動ドアを通れば店員が出迎えてくれるのだろう】

【店内は都合のいいことにガラガラである。案内されるままにテーブルへ向かうことになるだろう】
【その時からすでにイクスにとっては未知の世界のはず。何せ、様々な寿司を乗せた皿が】
【決まった道をぐるぐると進んでいるのだから――】


さて、たらふく食っていいぜ!
流れてきた皿を選んで取って食う。簡単だろ?
上のモニターで自分の好きなのも注文できるから、使いたかったら言ってくれよな

んじゃ、いただきますっと


【席に着くと彼は二人分のお茶と箸を用意し、簡単に説明するや否や早速食べ始める】
【その食べっぷりは度を知らないのか、数分もすれば皿の塔が出来上がるほどだろう】
【しかし、イクスのことが気にかかるのか、ちらちらと彼女を見ながらの食事だった】

【そんな彼だが、きっと何かわからないことがあればその都度答えてゆくのだろう】
658 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/26(火) 23:12:56.35 ID:L2LSoFeho
>>655
/すみません、用事が入りました……
/明日は一日空いていますので、問題なければ明日に引き継げますか?
659 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/26(火) 23:13:45.94 ID:eBLFDWQJo
>>657


えっと…………よくはない、よ?
でも「できるかぎり」って命令だし、マスターはやさしいから………きっと、許してくれると思う。


【イクスの表情からはほとんど感情の揺らぎが読めないが、やはり不味いものは不味いらしい】
【ただ、先程の歌≠ェ彼女の戦闘方法と関連しているのは明白だ。やむを得ない場合もあるであろうことは、マスターとやらも承知しているのだろう】
【まあ、今回の件はその「やむを得ない場合」とはたぶん外れているけれど……彼女の口振りからして、命令違反に厳しい罰則がついている訳でもなさそうで】


すし? ………お魚はわかるけど、それっておいしいの?
はんばーぐ、てんぷら………回るの? ううん、やっぱりよくわからないよ。


【この少女のことだから、食欲すらも希薄である可能性が無きにしも非ずといったところだが、少なくとも好奇心に関しては人一倍らしい】
【足りない知識を補うように、イクスはアーシャの言葉を吸収していく。理解できたのは半分もなかったけれど……】
【人形じみていた彼女の瞳が、そのときはほんの少しだけ輝いているように見えたのは、きっと気のせいではなかったはずだ】

【――――そのままイクスはアーシャについていく。彼が自分を騙す可能性を考慮しているのかいないのか、さしたる警戒もせず】
【そしてその判断は間違っていなかった。アーシャを信じたイクスが行き着いたのは、見るものすべてが初体験の、未知なる世界のただ中だ】


わ、わ………すごい、本当にお皿が回ってる!
えっと、えと、それじゃあ、いただきます――――。


【きょろきょろとせわしなく周囲を見渡ししつつ――――ここで初めて、イクスは明確な感情を表現した。ワクワクを抑えきれないような、淡い笑顔を】
【席に着いたならまず、机の上にあるものを片っ端から調べ回って、それが何なのかアーシャに逐一質問するのだろう】
【それから彼に釣られる形で、おそるおそるレーンから皿を取り上げて食べ始める。……寿司を詰め込んだほっぺたが、興奮を示すように薄く紅色を指した】


ん………おいしい!
ねぇ、SCARLETに入ると、毎日こんなすごいところでご飯を食べられるの?
アーシャがSCARLETに入ったのも、お寿司を食べるため?


【お茶を飲んでひと息つくと――流石にお茶ぐらいは知っていたようだ――、イクスはアーシャにきわめて純真な質問を投げた】
【……元よりイクスの中のSCARLETの知識は、自分を連れて行く♂ツ能性のある組織、というぐらいのものだったのだろう】
【そのせいか、何か深刻な誤解が少女の中に生まれ始めている気もするが……いまのイクスはもう、何もかもが気になって仕方ない、といった風情だ】
660 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/26(火) 23:52:17.36 ID:f3Dl/ZHEo
>>659

【なるほど、少しくらいなら破ってもいいし特に罰があるわけでもなさそうだ】
【男を絞殺しようとしていた時の彼女はいささか度を過ぎていたような気がしなくもないが】
【そも、気絶ではなく殺害なのがおかしいのだ。マスターには一度会うべきだろう】
【くだらないことを考えているようならぶん殴ろう――そんなことを、密かに決意するのだった】


【イクスに笑みが浮かぶのを見ると、アーシャもにっと笑うのだろう】
【ようやく子供らしい反応を見せてくれた。やはり子供は、こうでなければ】


今のがマグロだろ、後から来るのがホタテ。向こうのレーンのがイクラだ
魚には醤油かけるともっとうまくなるぜ。ま、気になるのは片っぱしから食べりゃいい
口に合わなけりゃ、俺が全部食べるからよ!


【訊かれればひとつひとつに答えていく。透けそうなほどに白い笑顔を壊さぬよう】
【イクスにとって楽しい時間となるように――】


そうだな、確かに寿司くらいなら毎日食えるな!
だがSCARLETに入ったのは寿司を食うためじゃあないぜ
入った理由はは……えーっと、正義の味方≠ノなるためだ!

正義の味方ってのは――その、何だ、人々を笑顔にするのが仕事だ!
その証拠によ、イクスも笑顔になったろ? そういうこった


【また誤解されそうだが……彼なりにわかりやすく説明したかったのだろう】
【言葉に迷って台無しにしている感じは拭えないが、あながち間違ってはない、はず】


だからよ、他のSCARLET隊員を見ても、蹴らねえでやってくれよな!
事情がわかれば無理にお前を連れてこうってやつは居ねえはずだからよ


【多分。と言いそうになって堪えた。これで少しでもSCARLETに対するネガティブなイメージを拭うことはできただろうか】
【被害者がこれ以上出なけりゃいいなと思いつつ、彼は新たな皿をレーンから取るのだった】
661 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/27(水) 00:17:53.39 ID:BOhFolXL0
>>656

死ね、死ね、死ね、死ぃねぇぇぇ!!

【まるでそれ以外の言葉を知らないかの様に、少女は叫び続ける】
【慈愛に満ち溢れた気配も、何もかもが信用出来ない】
【どうせこいつも裏切る、人間なんてそんなものだ】

…死ね死ね死ね死ねっ!!!

【然し今の少女には、男を殺す力は無い】
【だから…踵を返して逃走を図る】
【少女は鈍足、捕まえることは至極容易】
【だが、それを行った場合には少女の心を深く傷つける結果になる】
【果たして男はどう動くのか】

>>658
/了解しました。ではそれでお願いします。
662 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/27(水) 00:21:58.08 ID:uP/dkDtTo
>>660


うん、うん…………わかった。
でもどれもおいしいから、アーシャにあげるぶんはないよ?


【魚という大枠は知っていても、具体的な種類についてはやっぱり初めて知ったみたいで。イクスは披瀝される知識をいちいち頷きながら噛みしめる】
【一緒にその味も噛みしめられるのだから、勉強としては十二分だろう。イクスも心なしか満足げに見えないこともなく】
【……意外かもしれないが、イクスはアーシャほどではないにせよよく食べた。口に合わないからアーシャに食べてもらう、ということも一度もないはずだ】
【もしかすると、あの並外れた身体能力の代償に燃費が悪いのかもしれないし――――あるいは単に、楽しいから食が進むだけなのかもしれない】


SCARLETは、正義の味方………。
うぅん、まだよくわからないよ。だってわたし、正義っていうのがなんなのかも、知らないから。
ねぇアーシャ、正義ってなぁに? 正義があると笑顔になるの? 正義があると、みんなうれしいの? 


【正義とは、何か――――イクスとしては意図してのことではないのだろうけれど、唐突に飛び出したのはあまりに深遠な疑問だった】
【お寿司を頬張りながらの、和気藹々とした席でする話では到底ない。その辺りの空気を読むより好奇心が勝るあたり、やはり彼女も子供なのだろう】
【かければかけるほどおいしくなる、とでも勘違いしたのか。マグロを醤油まみれにさせながら、こてん、と少女は小首を傾げる】


……ひとを殺すのはいけないことだって、前にヤシオリに言われたの。
だからわたしも、できれば殺したくない………って、なんとなく、そう思う。

ほんとに、そうだったらいいな。
わたしを連れて行こうとさえしなければ、わたしも誰も殺さなくて済むから。


【――――そして。これはアーシャにとっても、悪い兆候ではないかもしれないが】
【命令は絶対。命令さえあれば殺戮も厭わない。だがそんな彼女にも、殺しが悪≠セという意識はぼんやりとだがあるようだ】
【ヤシオリというのは、口振りからして友達だろうか。何にしても、アーシャの言葉が本当ならとか細く呟かれる願いは、きっと嘘ではなくて】
663 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/27(水) 09:07:50.52 ID:2BKFLiCSo
>>661

そうだよなぁ……こんな姿の奴に追われたら怖いよなぁ……

【そう言うと、放電をやめ】
【光に包まれて、強化スーツを脱ぐ】

これで……信じてもらえるかな?

【彼は人を疑う事を知らない】
【数えるのを嫌になるほどの戦いを続けてきた】
【何千、何万、何億と裏切られ続けた……】
【しかし、彼はそれでも人を信じる事をやめなかった】
【それが、彼の中の覚悟であり、信じるべき物だと】

だからさ……
俺を信じてくれよ……

【辺りも暗くなった、恐らくだが少女の全力の攻撃も通用するだろう】
【少女の影を使った攻撃も直撃するだろう】
【彼は避けはしない……】
【彼は全てを受け入れる】

俺が君を守るから……

【故に彼は泣いていた】
【あの日死んだ友を思い出しながら】
【彼と出会わなければ、自分はこの娘と同じようになってしまったであろうから】
【彼女を助けたい、そう心に強く思いながら】
664 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/27(水) 09:52:53.61 ID:TQIe/th20
>>663
【強化スーツを脱いだ男を見て歪な嗤みを浮かべ、逃走を辞めて向き直る】

くくっ、死ねぇぇぇ!!!

【少女の前で隙を見せたのは非常にまずい。少女が、少女の影がその隙を見逃す筈がない】
【散々裏切られて、此れ迄生きてきた少女の心は冷え切っていて…どんな言葉もそれを溶かすことは叶わない】

「グォォォォ!!」

【影が唸りをあげ、男に向けて接近し】
【腹部を狙って、意識を刈り取るに十分な威力の蹴りを放った】
665 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/27(水) 10:19:22.62 ID:2BKFLiCSo
>>664

ウゥ……
痛いなぁ……
でもさ、君の心の痛みに比べればこれぐらい……

【影の攻撃の直撃を受け止める】
【恐らく、ただの人間なら死んでいたであろうその一撃】
【男が、人間と言うカテゴリーから外れていたために致命傷とはならなかったのであろう】

俺さ、黒須 春斗って言うんだ……
君は?

【こんな状態にもかかわらず、スーツは纏わず】
【ただ、歩いて近づいていく】
【そのまま、自らの名前を名乗り、相手の名前を問う】
【まるで、友達になろうとする子供のように】
666 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/27(水) 12:44:51.85 ID:3BSyOWMZ0
>>665
死ね、死ね、死ね、死ねぇぇ!!!

【狂い叫ぶ少女。その心が揺らぐことは決してない】
【もう堕ちるところまで堕ちている。這い上がろうとはしない】
【散々不幸を味わって…散々人を殺めてきた自分に救われる資格はない】
【自分が死ぬまで、殺し続ける。決して止まることはない】

死ぃねぇぇぇぇぇっ!!!

【影が男の首を掴もうと動く。そして首を掴むことに成功すれば、死ぬまで首を締め続けるだろう】
667 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/27(水) 13:01:11.52 ID:2BKFLiCSo
>>666

大丈夫だ……
俺は……死なないからさ……
いや、[ピーーー]ないの間違いか……君を救うまではさ!!

【春斗は狂っていた、人を救うために命を捨てていくさまは】
【もはや、おかしいと誰もが思えるほどに】
【その事について、彼に問えば】
【彼は言うのだろう、破壊者としての力で、誰かを救えるのならそれでいいと】

辛いよな……悲しいよな……
だからよ、俺は君を救いたいんだ……
あの日の俺と同じ顔をしてるから……

【影に首を絞められようとも、春斗の歩みは止まらない】
【一歩、また一歩、その歩みを続けていく】

目の前の女の娘一人救えなくて、何が正義の味方だ!
この娘を救うためなら……
俺は悪党で構わない!!

【その歩みは、死刑台を上る刑死者か、それとも……】
【人類の原罪の全てを受け入れる、救世主か】
668 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/27(水) 13:42:45.56 ID:0riVb/IL0
>>667

くくっ、死ね…死ねぇぇっ!!

【影が男の首を掴むことに成功した。だがそれでも歩みを止めない男】
【それは非常に危険だ、影はそのまま首を圧し折ろうと動くのだから】

「…ヘシオッチャウヨ?」

【影が枯れた様な声で言葉を発すると同時、その腕の力を強めた】
【抵抗しなければ…男を待っているのは、無惨な死だ】
669 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/27(水) 13:55:13.33 ID:2BKFLiCSo
>>668

俺は死なないっ!!

【もはや、彼の首が折られるのは時間の問題と思われたその瞬間】

「はぁ、マスクドナイト……失望したわ」
「女の子に言いようにされるあなたなんて見たくは無かったのよ」

【その言葉と共に少女に向けて、液体が飛ぶ】

嬢ちゃん!!避けろ!!

【首を掴まれているにも関わらず、少女に向かって大きな声を出し】
【液体を回避する用に言う】

「お嬢ちゃん、当たったら顔面ドロドロに溶けちゃうから」
「お兄さんの言う事には従ったほうがいいわよ」

【そう言うと、女はケタケタと笑い出す】
670 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/27(水) 14:27:16.82 ID:qCfy3CqMO
>>669

[ピーーー]、[ピーーー]、[ピーーー]ぇぇっ!!

【男の首が圧し折られようかという、まさにその瞬間】
【一人の女性、乱入者が現れて此方に向けて液体を放つ】
【液体…女の発言から察するに毒を身を屈めて回避】
【男の方は一旦置いておいて、まずは明らかに敵意のある女の方をから殺そうと】
【男の首を離しはしないが、締める力を緩める】

[ピーーー]ぇっ!!

【再び少女の影が蠢き、人型となって女に向かう】
【接近が叶えば其れは脇腹を狙って蹴りを入れるだろう】
671 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/27(水) 14:27:53.68 ID:zmNfhynvO
そのNPCは都合良くどこから湧いて来たんですかねぇ・・・(困惑)
672 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/27(水) 14:33:04.39 ID:r3qf2BTzo
ホモガキ消えろ
673 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/27(水) 14:40:11.61 ID:2BKFLiCSo
>>670

蛇原ァァ!!粒結!!

【乱入者である女、蛇原への怒りを向ける】
【そして、強化スーツを身にまとい】
【影の拘束を振り払い、蛇原への方へ走り出す】

嬢ちゃん、力貸してくれよ、こいつは倒さないといけないからさ

(つうか、こいつまた、脱獄したのか……)

【蛇原の脱獄という予想外の行動に困惑しながらも、少女に休戦の提案をする】

「あらあら、女の子の力借りないと、私には勝てないってこと?」
「まぁ、いいわ……二人纏めて相手してあげる」

【そんな事を言いながら、影の攻撃を掠らせる程度に回避する】

「なかなか、やるじゃないの……お嬢さん……」

【蛇原はそのまま、動かずにいる】
674 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/27(水) 14:52:15.10 ID:qCfy3CqMO
>>673

死ね、死ね、死ねぇぇぇっ…!!

【休戦…共闘、少女がそんな提案を聞き入れる風に見えるだろうか】
【殺すべき対象が二人に増えた。少女にはただ其れだけのこと】
【男に振り払われた影は即座に起き上がり、男に向けて跳躍】
【その背中を引っ掻こうと右腕を振るった】

死ねぇぇっ!!!

【微動だにしない女には、先程蹴りを放った影が顔面を狙って右ジャブを繰り出した】
675 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/27(水) 15:09:12.92 ID:2BKFLiCSo
>>674

だよなぁ……
(くっ、こんな時は……)

【少女への提案は却下され、目の前の敵は強敵どうすべきか】
【回避に徹しながら春斗は考える】
【一方、蛇原はと言うと】

「1vs1vs1の乱戦かぁ……面倒ね」

【この状況を把握していた】
【この戦場では、どちらかだけを対処していると、もう片方に潰されかねないと】
【故に……】

「女の子に近づきたいんでしょ……だったらいってらっしゃい!!」

マジかよ!?

【少女の影をギリギリのところで回避した春斗を、少女のほうに蹴り飛ばす】
【その蹴りが直撃した春斗は、と言うとそのまま少女に向かって飛んでいく】
【少女が動かないと、春斗はそのまま少女に激突するだろう】
676 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/27(水) 16:34:03.68 ID:opwp1Jx0O
>>675
http://harmit.jp/manner/manner.php
ここを一度読んでください
勝手な独善を押し付けられて意味不明な対複数ロールしないといけない相手の事を考えてください
677 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/27(水) 16:42:20.01 ID:r3qf2BTzo
ホモガキ消えろ
>>676
678 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/27(水) 17:00:35.58 ID:2BKFLiCSo
>>676
/すみません、こんな基礎的なマナー違反を行って……
/今後、こんな事態にならないようにします

>>674
/そういう訳で、少々反省したいので、適当に締めていただけませんか
/こちらも、そちらに合わせて締めますので
679 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/27(水) 17:23:25.40 ID:ad8qs+kdO
>>675

ぎゃあっ!

【蹴り飛ばされた春斗と激突、数m吹き飛ばされて地面を転がる】
【即座に起き上がるも、戦闘の続行は無理と悟る】

うぅっ……

【そして腹部を右手で抑え、影と共に踵を返してフラフラとその場を立ち去る】
【次に会った時は…二人共必ず殺すと固く誓って】

//了解しました。ありがとうございました
680 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2014/08/27(水) 17:30:29.34 ID:MnqLOIlnO
まだ居るつもりかよ
前から見てたけど絡んでた奴どっちもこの遊びに向いてないわ
681 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/08/27(水) 17:31:27.67 ID:2BKFLiCSo
>>679

ちっ!!
あのや……どこ行きやがった?

【吹き飛ばされた春斗は蛇原を探そうとするも、その姿はどこにもなかった】
【さらに、先ほどまで居た少女も逃走した様だ】

何か、起きるのか?

【彼自身の心いくつかの謎を残して】

/ありがとうございました
/それと色々ご迷惑をおかけしてすみませんでした
682 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/27(水) 21:01:27.26 ID:26GYXVCD0
【どんな街にもある。長屋と長屋、商店と雑居ビル】
【その間の細い隙間。不法投棄された家具、家電などが集まる一角】
【一切の光が存在しない、することを許されない闇の世界】
【其処に佇む一人の少女、闇に溶け込むような漆黒のローブを身に纏っていて】
【唯一露出している手と肌は、病弱なまでに白く触れてしまうだけで折れてしまいそうな雰囲気を放つ】

「やめろ、やめてくれぇっ…」

【その少女の足元で無様に転がる男、少女の足を掴んで命乞い】
【歪に嗤って見下ろし、冷たく静かに言い放つ】

[ピーーー]ぇっ…!!

【それは死の宣告、少女の影が蠢いて人型となり…頭をぐしゃっと踏み潰した】
【全身に返り血を浴び、恍惚とした表情を浮かべて】
【たったこれだけで、脆く儚く散る命】
【なんだかそれがとてもおかしくて…嗤いが止まらない】
【嫌悪感しか感じさせない嗤い声がいつまでも、いつまでも路地裏に木霊していた。】

ククッ…ギャハハハハハハハッ!!
683 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/27(水) 21:31:20.80 ID:Yl8W5xW4o
>>682
【―――――――かつん】

【そこに響く足音】
【現れるのは当然光の世界の住人などではなく、同じく闇の中に溶け込み生きる存在】
【それは少年だった。燃えるような赤髪にアホ毛がピンと立って、目は三白眼。黄土色に光る双眸は確かに、その少女を照らしていて】
【服装は動きやすそうな蒼い半袖のTシャツ、短パンと、これだけでは偶然遭遇してしまった一般人かもしれない】
【背は150cm辺りの男としてはお世辞にも高いとは言えない身長。だが、それでも確かに雰囲気は一般人のそれではない】

おいおい……ちょっと通りかかってみたは良いがこりゃあひでぇな……

【この惨状を目の当たりにしても、動じない。軽い調子で分析をする】

それに…返り血浴びるたぁ、ちょーっと雑なんじゃねえのかい?お前さん

【まるで殺し慣れたベテランのように、その惨状を引き起こした主である少女に言う】
【そこから敵意は一切感じないが、果たして】
684 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/27(水) 21:50:19.53 ID:qVyJj1/90
>>683

あぁっ…?

【嗤うのを辞め…声がした方向に向き直る】
【其処にいたのは男、纏う雰囲気は一般人のそれではなく】
【歪な笑みを浮かべ、一切の光を宿さない深淵の瞳でまじまじと見つめる】
【[ピーーー]、殺さないと…そうしなければ自分が殺られる】
【自分に近付いてくる者全てが、少女にとっては敵】
【それは今、目の前に居る男も例外ではなくて】

[ピーーー]、[ピーーー]、[ピーーー]、[ピーーー]

【絶え間無く呪縛の様に『[ピーーー]」と呟やき続ける】
【その少女の背後、影が蠢いて人型となり…】
【首に噛みつこうと大口を開いて跳躍、明確な殺意を以って襲い掛かる】

[ピーーー]、[ピーーー]、…死ぃねぇぇぇぇぇっ!!!
685 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/27(水) 21:54:28.32 ID:IwTosWzxo
>>684
メール欄に『saga』と入れると死ねが変換されなくなりますよー
686 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/27(水) 21:58:47.24 ID:qVyJj1/90
>>685
//ありがとうございます!!
687 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/27(水) 22:02:53.38 ID:Yl8W5xW4o
>>684
【こちらの気などお構いなしに呪詛のように「死ね」と呟く少女】
【それはまるで此方を見てない。ただ、"敵"と認識のみに過ぎず】
【それを排除しようと少女の影が蠢き、人型となり、此方へと襲い掛かってくる】

うおっと!おいおい、血の気が多いなぁ

【後方へ飛び退き、人型の攻撃を難なく躱す】
【少年の方は、予測していたとでも言わんばかりに余裕を崩さない】
【話でもしようと思ったが、これではコミュニケーションすら成り立たない状態】

ま、そういう奴は嫌いじゃあない
だが、ちょーっとおイタが過ぎんよ。一先ずはその化け物、解(ばら)させてもらおうか!

【そう言って少年が懐から取り出したのは、一振りのナイフ】
【何も明るいものが無いこの場においても、銀色に煌めく得物】

【少年は駆け出す。肉薄が叶えば、人型の喉笛を一閃するだろう】
688 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/27(水) 22:21:21.02 ID:6Utre38c0
>>687

…ちぃ、死ね、死ねぇっ!!

【後方へと飛び退き、人型の攻撃を難なく回避した少年】
【少女はその様子を見ると、眉を顰めて忌々しげに舌打ち】

…がぁぁぁっ!!

【少年が懐から取り出したナイフ、其の一閃を後方に退いて躱そうとしたが】
【完全回避は叶わずに、ナイフは人型の喉笛を掠めた】
【そして苦しむのは少女と、影の魔物の双方】
【少女は人型と同じ箇所、喉笛を抑えて苦悶の表情を浮かべている】
【これを見れば、人型と少女は痛覚を共有していると分かるだろう】

『グオアァァッアア!!』

【人型は唸りをあげ、少年の顔面目掛けて力任せの右ストレートを繰り出した】

689 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/27(水) 22:33:00.95 ID:Yl8W5xW4o
>>688
………いっ!?嘘!?

【ナイフが人型の喉元を掠る。それだけなら良いが、厄介な事にそれで人型と一緒に少女も苦しみ出してしまった】
【非常にまずい。本日の殺人は終了したので、少女を殺すわけにもいかず】
【とにかく、うまく戦闘不能にさせるしかないわけだが、どうすれば―――】

うおぁっ!

【繰り出される懇親の右ストレート、両の腕で防ごうとするが体の小ささも相まって、少年の体は後方へと吹き飛ばされる】
【地面に叩きつけられ、ゴロゴロと地を転がる】

いってぇ…
ええい、どうしろってんだ!

【もう一度駆け出す少年】
【接近すればナイフを振るう―――のではなく、目前で跳躍し、人型を踏み台にしようとするだろう】
【成功すれば、少女の眼前へと着地するはずだ】
690 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/27(水) 22:49:26.73 ID:6Utre38c0
>>689

死ね死ね死ね死ねぇっ!!

【もう一度駆け出した少年は、人型の目前で跳躍して人型を踏み台に】
【当然、踏まれた痛みも受けることになる少女はその場に両膝をつく】

死ぃねぇぇぇっ!!

【少年が自分の目の前に着地を狙っていることは分かるが…踏み台にされた人型は体勢を崩していて間に合わないか】
【なら二体目を出して、それに対処させればいい】
【二体出したことでは人型の力は半減。だが人にダメージを与える力は十分】
【三体出してしまうと、大幅に弱体化してしてそれだけの力も無くなるのだが】

死ね、死ねぇぇっ!!

『アギィィィィッ!!』

【人型は少年が着地した瞬間に腹部に向けて拳を振るうことだろう】


691 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/27(水) 22:59:58.37 ID:Yl8W5xW4o
>>690
なっ、に、二体目ぇ!?

【着地したは良いが、まさか二体目が出てくるとは予想外】
【再び振るわれる拳。それは、少年の腹目掛けて】
【腹部の前に掌を出して、致命傷は防いだ】
【威力は先ほどより落ちているらしく、少年の体も数歩分後ずらされるだけで済んだ】

【しかし……この状況は】

囲まれてる、な………

【さて、どうしたものか。前も後ろも取り囲まれている状態】
【しかし、少年はその場から動こうとはしない】
【まるで攻撃を待っているかのように、その場に立ち尽くしている】

………へへ、来いよ

【薄く笑い、挑発する少年】
【そのまま挑発に乗って、前と後ろで挟み込むような形で人型が此方に殴りかかってくれば、少年の思惑通りとなる】
692 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/27(水) 23:13:00.99 ID:6Utre38c0
>>691

ギ、ギャハハハハハッ!

【二体目は予想外だったらしく、その拳を受けて数歩ずれる少年】
【少女はそれを見て、ニンマリと口角をあげた】

ククッ!…死ねぇっ、死ねぇぇぇっ!!


【これは好機、そう判断した少女は歪な笑みを浮かべ、二体を少年の思惑通りに動かす】
【前方の人型は少年の首を狙ってラリアットを、後方の人型は少年の頭部を殴ろうとしている】
693 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/27(水) 23:20:33.44 ID:Yl8W5xW4o
>>692
…………よっしゃあ!

【思惑通りに動いてくれた。少年は少女と同じように、ニンマリと口角を上げて前方の人型目掛けて走りだす】
【自滅するつもりか、少女は一瞬そう思うかもしれない】
【だが、少年が人型に対して取った行動は――――スライディング】
【小柄な体の少年は、そのまま人型の股をスライディングで通りすぎようとしている】
【そのまま許せば、前方と後方の人型は同士討ちをする事になるだろう】

【さらに、成功すれば素早く地面に手をつき、素早く体勢を戻せば再び駆けて】
【そのまま少女の体を取り押さえようとするだろう。ガシッ、と襟首を掴んで】

……つーかまえたっ♪

【などと、笑顔で楽しげに言いながら】
694 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/27(水) 23:39:24.95 ID:0riVb/IL0
>>693

【少年は人型の股をスライディング通り過ぎて】
【人型は同士討ち。前方の人型のラリアットが後方の人型に直撃して数m吹き飛ばされてジタバタとのたうち回る】

カハッ…ケホッ、ケホッッ…!

【してラリアットを受けた痛みが少女にも伝わってえずき、地面に血液混じりの唾液を吐いた】
【もう人型を維持出来なくなった様で…それは少女の影へと戻る】
【そんな状態の少女に抵抗する力があるはずがなく、取り押さえられてあっさりと襟首を掴まれる】

離せ、離せぇぇぇっ!![ピーーー]、[ピーーー]ぇぇっ!クソやろぉぉぉっ!

【貧弱な少女にはどうすることも出来ないが…しかし殺意を孕んだ目で笑顔の少年を睨んで罵倒を続ける】
【その目は痛みか、少年に対しての恐れからか、若しくはその両方か、若干涙を浮かべている】
695 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/27(水) 23:40:21.78 ID:0riVb/IL0
>>694
//saga忘れました…すみません……
696 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/27(水) 23:52:00.14 ID:Yl8W5xW4o
>>694
【こちらの作戦は、見事に成功。全てが上手くいった】
【少女に戦う力はもうないらしく、あえなく少年に襟首を掴まれる事に】

だー、暴れんなって!
痛くしたのは悪かったよ……ほら

【此方を睨み、叫び喚く少女を宥めつつ、少年はハンカチを取り出した】
【ハンカチで涙を拭いてやろうとするが、少女が拒絶すればおとなしくハンカチを仕舞うだろう】

ったく、お前を殺そうだなんて思ってねーよ…取り敢えず落ち着けって
俺はお前の敵じゃない、オーケー?

【取り敢えず、せめて敵意だけでも何とかならないかと少女を宥めるが、果たして効果はあるのだろうか】
【少年は襟首を掴むのをやめて、少女としっかり目を突き合わせようとする】
697 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/28(木) 13:12:48.05 ID:Ob2U/zVn0
>>696

うああぁっ…!!

【少年の涙を拭こうとするその手をパシッと払い除けて拒絶】

うっ、嘘付けぇぇぇっ!!

【少年のその行為は虚しく、少女の敵意は収まらない】
【所詮、口だけならなんとでも言える。腹の中では何を思っているか分からない。他人のことなど信用出来ない】
【襟首を掴むのをやめ、此方と目を突き合わせ様とする少年の瞳と】
【鋭く敵意に満ちた一切の光を通さない深淵の瞳が交差する】

//寝落ちしてしまいました…申し訳ありません…
698 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/28(木) 20:20:19.42 ID:jAigruZDo
【路地裏】

【夕暮れもまた過ぎ、夜が訪れようとしていた。日の明かりはなくなり、月の仄かで頼りない光だけが街を照らし始める】
【この街にもまたその程度の光を寄せ付けない場所があった。平和を享受する人々が、そうでありたいなら近寄ってはいけない場所があった】
【異常が正常となる空間、犯罪の温床、静謐な死の眠る路地裏は暗闇と沈黙に支配されている−−−−はずだった】


−−−−はァーい、皆さんこっちですよー!! 迎えの車はすぐそこですからね!!


【路地裏は人工的な光で真昼のように明るく照らし出され、この場所に似つかわしくないやたらと明るい声が響いていた。一人は若い男のもので、残りは子供たちの声だった】
【食べ物を片手にわあきゃあと楽しげな声をあげているが、誰も彼もがぼろぼろの布切れで何とか身体を覆っていて、この子たちが孤児や貧民であることは明らかだった】
【そんな中、人一倍声を張っている男だけがまともな服装をしていて、その首からは黄金色の十字架に似た飾りを下げていた】


【そう、“知る者”にだけ理解できるそれは−−−−『GIFT』のものだった】


ちっ…………ガキどもの誘導ってのも面倒なもんだぜ……………
人手不足も大概にしやがれ、ってんだ…………!


【男は子供たちに聞こえないように、地面に向けて吐き捨てるように悪態をついていた−−−−これが彼の紛れもない本心だった】
【しかし子供が近づくと一転…………人の良さそうな笑顔を向けて食事を手渡し、「もう安全だよ」だの「大変だったね」などと心にもないことを告げる】
【そして周囲の様子に気を配る−−−−子供を見つけるためである以上に、“ほかの誰かに見つからない”ために】


死体作りが趣味の連中にとっちゃここは餌場、自称正義の味方にとっちゃ俺は格好の獲物だ…………
これ以上仕事を増やされちゃたまんねぇぜ。どっちかに見つかる前に早くずらからねえと……………!


【そう思って彼はもう一度路地裏に響くように大声を張り上げたのだった−−−−それをすれば他の人間を呼び寄せるのだと気づかずに】
【果たして彼は希望通りに物事を進めるのか、それとも…………?】
699 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/28(木) 22:40:58.92 ID:HhYLwUpa0
【草木も眠る時間――――森の中】
【普通ならば獣達すらも今や寝息を立てているのだけれど、今宵は動く影が一つ】
【見てみれば所謂司祭服と呼ばれる物を纏った若い男が地図を手に歩いていて】
【魔獣も出るとされる森の中なのに、武器の一つも持ち歩かず】


「参ったな…………迷った、か。どうも何処かで地図を読み間違えた様だな――――
尤も、こんな森の中じゃその地図もあてにならないけど……」

【ランタンの仄かな明かりを頼りに歩いてはいたけれど、どうやら独り言が表すように迷い人となってしまった様】
【頬を掻きながら辺りを見渡すけれど、どうにも現在地を掴めないようで】
【――――やがて諦めたか。短い溜息を一つ吐けば頭を覆っていたフードを外した】

【歳は二十代の前半であろうか。灰桜色の髪と、同じ色の双眸】
【細身でありながらも身体がしっかりと鍛え上げられている事は僅かに見えた前腕から読み取れるか】
【地図を畳み、木を背もたれ代わりに座り混めば困った様な表情で夜空を見上げて】


「――――仕方ない。カログリアには悪いが後で連絡を入れようか
日が昇れば少しはこの森からも出やすくなるだろう……多分」

【未だランタンの明かりは灯ったまま。何より、今宵は月の光もそう強く無いのだから目立つはずで】
【男の呟きを聞いたか、その光を目指してか。兎にも角にも、其処へと向かったならばそんな男が新たに現れるであろう人物へと視線を向けるのだが】









【とある大きな病院。小さな怪我から大きな怪我、果ては大病にも対処してくれると有名で】
【日々昼夜問わずに沢山の患者で賑わっている事だろう】
【其処に有る、数種類の自販機などが並んだ少しばかり豪華な待合室】


「…………暇なのです。あの馬鹿二人も何処に行ったか分からないのです」

【ぶすっと頬を膨らませ、足を悪くしているのか車椅子に座る一人の少女】
【汚れを知らない白銀の髪。何より特徴的なのは、額に生えるその角か】
【魔力を感じ取れる力があるならば、少女から強い“聖”の魔力を感じるであろうし、仮に無かったとしても何と無くその周囲だけ清んだ気配が漂っていることに気付くか】
【とは言え、本人はそんな聖人からは掛け離れた様子。抱く不満を隠す事もなければ、当然看護師達だって近寄ろうとはしない。故、今この場は少女以外の者は居らず】


「ふん。全く困ったものなのです。別にあの馬鹿二人がどうなった所で私の知った事では無いのです
そんな事よりもジュースを…………を……―――――
ん……んん…………―――――何なのですこのアホ自販機は!お前にお金を恵んでやろうとしている私を拒否するのです?!」

【キィキィと車椅子を自販機の前まで移動させたならば、お金を投入して】
【いざ、最上段にあるココアを購入しようと手を伸ばすが――――届かない。手をプルプルと振るわせながら伸ばそうと届かない】
【何度か挑戦するも、やはり届かない。終いには何とも理不尽な理由で自販機を叩き出す始末である】
【まるで子犬の如くガルルと唸りながら自販機を威嚇するする少女だが――――仕切りも何も無いこの待合室、外から丸見えであって】
【果たして一連の流れを見た者はどんな感想を抱くのだろうか】
【この少女は扱えないが、近くには踏み台代わりに使える椅子だって存在している。故、小さい者であろうが手を貸すことが出来るけれど】
700 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/28(木) 23:53:48.87 ID:gSxd5jjVo
>>697
だぁー…もう…!
何もしないつってるだろ、話を聞けってんだ!

【口だけで少女を信用させる事はどうにも難しいらしい】
【ならば行動で示せ、という話なのだが、一体どうすれば信じてくれるのか皆目見当もつかず】
【結局は信じてくれとして言えないわけで、どうにもこうにもならない】

んな睨むなっての……
まあ、そんな泣き顔で睨まれても怖くなんてないがな

【さっきは拒否されたが目に涙を浮かべている事に、少女自信は気づいているのだろうか】
【さり気なく、それとなく指摘してみたが】

はぁー……お前さ、そんなに人が信じられないのかよ?

【それにしても先ほどからこの少女、他者に異常なまでの恐怖と殺意を抱いているように思えてならない】
【人の気持ちを推察する事など、ましてや殺人鬼が出来るとは思っていない】
【だが、少しばかりでも本人の口から聞く事ができるなら、多少なりとも理解は出来るはずだ】
【そう信じて、あくまで粘り強く少女に話しかける】

/いえいえ、こちらこそ返信が遅れて申し訳ありません…!
/よろしければ続きは置きスレの方に移行していただければありがたいです!
701 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/29(金) 18:25:27.57 ID:nApgMbrU0
【UNITED TRIGGER――その事務所兼酒場、店内にて】
【ひんやりと冷房の効いた店内、まだまだ明るい時間なら賑やかさも少ない店内には、付けっ放しのラジオの音がよく聞こえて】
【誰も聞いちゃいない流行のアイドルの曲が寂しげな店内を埋める、それでも――酔っ払いたちの賑やかさのほうが上なのは確かで】

……いただきまーす、

【そんな店内の、片隅。壁際と壁際に囲まれた席――いちばんの隅っこ――そこに座るのは、どうにも酒場なんて似合わない姿】
【少なくとも成人はしていないような少女なのだ、手を合わせた先には具がたっぷり挟まれたサンドイッチが四切れほどあって】
【それならやっぱりお酒を飲みに来たようにも見えない。ただ、唯一、エプロンらしきを掛けているのが、彼女の立場を示すような、】

【――ぱくぱくと大きな口でサンドイッチを食べるのは見ていて気持ちのいいもの、零れた具の海老を拾い上げて食べて】
【なんとも楽しそうな食事風景。すでに出来上がっている客の声と、ラジオのアイドルと、さくさくしたパンの音と――】

あ、はーい、

【そんな彼女にふと客が声を掛けた。曰く、「お酒が無くなった」とのことで、彼女はそれを聞けば食べかけを皿に戻して】
【ぱたぱたと小走りでカウンターの内側へ。そうしてお酒の瓶を持って来て、客席に置いて――飲みすぎちゃ駄目だよなんて】
【そういい置けばぱたぱたと元の席に戻っていく。何もなければ、また、サンドイッチを食べだして――】

【――真っ黒な髪をした少女。本来なら腰の高さまである髪は、今は、きっちりとしたポニーテールに結い上げられて】
【蛇の目みたいに丸くって、少しだけ釣った瞳は黒と赤のオッドアイ、右耳にだけあるピアスは、月白色の宝石をあしらい】
【生成りのブラウスと、和柄のジャンパースカート。後ろ下がりのスカートは、ちりめん生地で拵えられて。ふわふわと柔らかげに揺れ】
【猫足ヒールのブーツで飾った足元、歩くたびにころころといい音のするのが店内によく響く。それが、場を飾るようで】
【そんないかにもな私服も、ただ、きゅっと黒いエプロンを締めればお仕事着になる。ふわりとスカートが翻って、】

【――どうやら、彼女が現在唯一の店員のようなのだった。客に話し掛けられて答える様子も、大分と慣れているようで】
【もし誰かが訪れたら「いらっしゃい」とドアのベルより鈴めいた声が掛けられるし、声を掛けられれば、きちんと対応してくれ】
【どう見ても未成年風なことと、耳元のピアスから――絶えず水属性の魔力が溢れているのが問題だったが、それを、】
【気にしさえしなければ、美味しいお酒が楽しめるはずだった。――ついでに言えば食事だって出来るから】
702 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/08/29(金) 22:42:13.25 ID:uFVzv81z0
【――――月光と星々の明かりのみに照らし出された森の中】
【普段ならば平穏で在ろうこの場所も、今宵ばかりは魔獣達の唸りに静寂も打ち破られ】
【その方向を見遣れば一人の少女が魔術を用いて魔獣達を葬っている事が知れるか】


「人々を無意味に殺めるのならば我々教会が処罰します
血には血を以ての償い。血でしか止める事が出来ないならば、其れはイリニ達の役目です」

【純白のローブに白銀の髪。同じ色の双眸は感情を浮かべる事も無くただ魔獣達を敵として認識しているだけの様】
【色々と記すべき事はあるのだが――――何より特筆すべきはその手に装備された“篭手”の様な物だろうか】
【異形の腕を象った其れは大きな魔力を漂わせており、たった一薙ぎでも獣達にとっては致命的な一撃】

【程なくして、その森に舞い戻ったのは静寂だ。無数に転がる骸の中、ぼうっと立っているのはその少女のみ】
【辺り一面が朱に汚れる中、その少女だけは汚れる事無く純白を保ったままで】


「任務の完遂を確認。取り逃した存在は零だとイリニは確信しました
――――少し休んでから帰還します、とだけ告げてイリニの報告は終了します」

【徐に取り出したのは水晶だ。恐らくは通信機代わりなのだろうが――――其れに報告をすれば、再びその場でぼうっと立って月を見上げる事となる】
【魔獣達の咆哮だとか魔力だとかを辿れば此処に辿り着くのはそう難しい事でも無い】
【そして、この場を訪れた者が見ることになるのは上記の通り。血にまみれた中、少女が一人月を見上げているなんて状況】
【声を掛けるにせよ、何にせよ。白の少女は感情を浮かべる事も無く其方を見遣ればじっと視線だけを向けるのだけれど】









【最早風化し、朽ち果てた小さな祭壇。街から離れた場所にある其れは、人々の記憶からも忘れ去られ】
【然れど、今宵は其処に人の姿が一つ分。緑のローブを纏った女、か】
【銀色の髪を腰程まで伸ばし、焦げ茶色の双眸。手にしているのは古びた魔道書であろう】
【魔力だとかに詳しい者ならば、その魔道書自体に様々な魔術が施されて居るのも感じ取れるかもしれないけれど】


「ずっと昔に使われてた祈りの場所、かぁ…………
今よりもずっと前は此処にも沢山人が来てたのかな……?」

【掌が祭壇を撫でる仕草は、過ぎ去った曾てを思う様。此処に集っていた者が祈りを捨てたのか、滅びたのか。幾多にも分かれる考察】
【だけれど、歴史が記された本だとかを持って居ない今は答えに至るのが難しくて――――それ故に、考える楽しみもあるのだけれど】


「戻ったら遺跡に行く前に此処の事をもう少し調べてみようかな
何だか、面白そうな場所だし……」

【――――岩を椅子代わりに座れば、辺りを見渡して】
【近づいてくる存在に気付くとしたその頃だろうか。其方へと視線を向けたならば、瞬きを数回】

【さて、この場所。魔物も出没する場所とされるのだから自警団だとかも見回っていたりするし、今宵は星々が良く見える夜なのだから散歩に出歩く者が居ても不思議では無い】
【何れにせよ、この女自身には敵意だとかは無いのだけれど、どの様に反応するかはその者の自由であって】
703 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/08/30(土) 00:15:53.78 ID:pzC4hPj6o
セリーナ「ウチのスレに短文で入ってくる新規って頭おかしくね?」

谷山「いや、そんなことより昨日居酒屋で新しい友達が出来てさ」

セリーナ「下手は下手なりに長く書けよっつー話な」

谷山「だからそんな話より、俺の自分語りを聞いてくれよ」

セリーナ「あとさー、舞台裏で敬語使ってる奴ら。あいつらもぶっちゃけキモいわwww」

谷山「俺小説家になるのは諦めたんだけど、最近は役者になりたいと思ってるんだよね」


【セリーナと谷山が正義のラジオ放送をしている】
【正義の心を持った二人の放送なので、その内容も実に道徳的である】
704 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/08/30(土) 20:43:15.01 ID:2AxQo+ZIo
【街外れ】


【人気が少なく、閑散とした雰囲気の漂う街の外れ】
【その一角に建つ一軒の小さな店の前に、一人の少年の姿があった】


んー……やっと涼しくなってきたかも……
来年はちゃんと……クーラーとか用意しておきたいなぁ


【身長は150cm前後であろうか、黒いタキシードのような服に赤い蝶ネクタイという童話めいた衣装を纏っている】
【先端が緩くウェーブがかったふわふわの金髪と、澄んだサファイアのような碧眼を持ち】
【全体的に線が細く、少女めいた面立ちと儚げな印象をした少年であった】


うん……しょっと――これでいいかな?
留め具もそろそろ交換しないとだね……錆もちょっと気になってきたし


【少年は、踏み台に乗って店の看板の角度を調節しながら】
【表面に微かに付いたサビや剥がれてきた塗装をみつつ、何やら独り言を呟いていた】


【「義肢、魔銃のご依頼承ります!マジックショップ<Fairy's Gift>」】
【そう書かれた看板を下げたその店は】
【白い壁に赤色の三角屋根、丸い窓に半円形の黄色い扉】
【まるで物語に出てくるような、可愛らしい外観の建物であった】
【店の壁には「アクセサリー、始めました!」という張り紙が見える】

【本日ものんびりと営業中であった】
705 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage]:2014/08/30(土) 21:39:39.54 ID:KMo4ej/Ro
【路地裏】

【この世界の路地裏というのは、死に最も近い場所と言っても過言ではないのかもしれない】
【不良たちがこぞって集い、血の匂いは常時充満して、たまに違う異臭がしたと思えば大体は死臭】
【「死にたくなければ路地裏には近づくな」という言葉は、最早世界の共通認識なのでは無いだろうか】

【従って、そんな所でくつろいでいる輩など―――狂人か悪人か、それとも命知らずか戦闘狂くらいなのである】

……―――ックックックくく……ひっひっひひひひ……遂に……遂にやりやがったぜアイツ!!
あーあ、始まっちまったよ……うひ、うひひひひひひ……。 これで3軒目? やっと怪しんできたみたいだなぁウスノロ共もよぉ……くひひひひひひ……。

【影に染まる路地裏、そこにドサリと腰を下ろして新聞を床に広げている褐色の男が一人。広げたページの見出しは「能力者変死体、またもや発見」】
【黒の半袖パーカーにロールアップした茶色のジーンズを履いたニット帽のこの男が―――この記事を見て下卑た笑い声を漏らしているのだった】
【路地裏で呑気に新聞を読む行為自体おかしいのだが、この記事で大笑いしていることはもっとおかしい。しかも「アイツ」と言う言葉はまるで犯人を知っているようで】

―――で、あそことあそことあそこで起きたのなら……ああ、次はあっちね。面倒臭ェことよくやるなァ……
でも警察も自警団も無能だしよォ、4軒目でもアイツのメッセージには気付かねぇんじゃあねぇノ? ……うひ、くひひひひひっひ……!!

【顎を撫で回しながら一瞬考えこめば、「ああ」と納得のいったような表情を浮かべ、そして再度嗤う】
【この男つまり、最近起きているこの「能力者変死体事件」はまだ終わりではない―――と、そう言いたいらしい】
【自らの額をぺしん、と叩いて嗤う男の大きな声は、絶えず路地裏に響いていた】
706 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/30(土) 23:00:35.55 ID:F6xI9xko0
【夜の国――街外れにある森の中、月明かりの差し込む泉の傍】
【太陽を知らない植物たちの国、それでも元気に葉っぱを伸ばして月明かりを浴びる姿は、逞しい以外の何でもなくて】
【他の国じゃ見たこともないような植物ばっかりが生えている。さらに言えば、この森には幻獣が住まうという噂もあって】
【変わっているのは植物だけじゃない、らしい。――それでも、深くに入らなければ、静かで平和な森と言えて】

――――……、――、

【――そんな森の中に、りんとした声が響いていた。ふわふわと鳥が風で遊ぶみたい、移ろう音階は、どうやらうたらしい】
【優しげでしっとりとして、不思議と安堵してしまうような音符の連なり、それが、永劫の夜の中に響いていけば】
【すっかりと眠たくなってしまうような錯覚。もしも誰かが音楽に釣られたりしたなら――見出すのは、ひとりの少女】

【この国の空みたいな、それでも、もっと黒い色をした髪。腰の辺りまで伸びた髪には、二本の三つ編みが紛れ込み】
【蛇の目のように丸く釣った瞳は黒と赤のオッドアイ。右耳にだけ付けたピアスは、月白色の宝玉の欠片をあしらって】
【黒いブラウスに桜をあしらったネックレス、濃い緑色のアシンメトリーなコルセットスカートは、ひらりと円く広げられて】
【ちょんとしゃがみこんだ足元は猫足ヒールのブーツ。少しだけ変わったそのかかとは、丸い跡を地面にいくつも残し】

【手にした籠にはいっぱいの野草が詰まっている、籠を提げる手には一緒に野草図鑑と書かれた本が握られて、】
【ちょうど、足元に生える野草が何かを同定している最中のようだった。葉っぱの形、匂い、いろいろと確かめては】
【これかなあ……なんて呟いて首を傾げる、その繰り返し。そのたびにぷつぷつと止まる歌声、思い出せばまた続くけれど】

【もし誰かが訪れるなら――足元に置いていた角灯がそちらに差し向けられるだろう。訪れた誰かを、確かめてやろうという風に】

【(宝玉からひたひたと溢れる水の魔力が気になるのかもしれなかった。泉に湛える水の気配を、より濃厚にして)】
707 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/31(日) 14:57:49.93 ID:vrClP0jpo
【表通り】


【コンビニのすぐ近くで何やら一騒動起きているようだった】
【その原因は二人の人物にある。ひとりは服装からして明らかに警官だ】
【彼はもうひとりの服を掴み、「抵抗するな」「観念しろ」、などと叫んでいることだろうか】

【――もうひとり、警官から逃げまいとしている人物は10代半ば程の少年だった】
【真っ黒のボサボサ短髪と、深淵を思わせるかのような漆黒の三白眼に、】
【服装も黒としか形容できないような、黒のピーコートに黒のジーパン】
【そしてやっぱり黒色の眼帯を右眼につけた――そんな、暗い顔の少年だ】


くそっ、離せよ――


【大の大人と力比べして勝てるはずもないが――そこそこ力があるのか、拮抗していて】
【何故こんなことになっているのか、それは少年の手を見れば明らかだろう】
【そこにはパンが二つ、握りしめられている。……万引きしたところを捕まえられたと想像するのは容易か】

【たまに起きるような光景だろう。すぐに事態は収拾するはずだ】
【少年から漏れ始めた黒い魔翌力が不穏な予感を漂わせつつある、が――】

【ちなみにこの時間だが人通りはまばらだ。故に彼らはかなり目立つ存在であることだろう】








【ところ変わって水の国――とあるカフェ】


【そのカフェはSweet Silent≠ニいう名だった】
【大きな通りの脇道を少し入ると、小ぢんまりとしたその佇まいを見れるだろう】

【このカフェの特徴は二つ。ひとつはマスターがとんでもなく無口であるということ】
【もし客が店に入ってきても鈴の音が響くだけで、すぐには歓迎の声が聞こえてこなかったりする】
【本人は常に柔らかい笑みを湛えているのだが――そのあまりの無口さからか、評判もイマイチで】

【もうひとつは――ここの看板娘だ。きっと店内に入れば、まずは彼女が出迎えてくれるだろう】
【パールブルーの長髪に同色の瞳、腰の大きな青色のリボンが特徴の、青みがかった白いワンピースを身に纏い】
【動きやすそうなサンダルと紺色のエプロンを着用した、そんな――温厚そうな顔つきの少女】

【こちらも声を出さず、代わりにスケッチブック≠向けるだろう】
【そのページには大きく「いらっしゃいませ!」と書かれているはずだ】
【勘がいいならば声を出せないと推測できるかもしれない】

【無口なマスターと声を出せない少女――そんな二人のカフェは今日も営業中だった】
708 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage]:2014/08/31(日) 15:21:35.16 ID:EpAdtw14o
>>707

……ヘイ、一体全体どうしたってんだ……? 
あー、ハイ。 このマーク見れば分かんだろ警官サン。

【コンビニにでも立ち寄るかのように、気軽に厄介事に足を突っ込んできた変わり者が一人】
【青いソフト帽が特徴的で、腰には二丁拳銃用のガンベルトを付け、赤青のリボルバーが差さっている。下はジーンズ上は白シャツとシンプル】
【身に付けているペンダントからは怪しい魔翌力が漂っているが、ヘラヘラとした軽いこの男からは有害な印象はそこまでしないだろう】
【ずかずかと接近すれば、警官に右肩を見せ付ける。着ている白シャツの右肩には緋色の鷹。何を指しているかは明白であった】

……ああ、万引きねェ。そーんなことに精を出してんのかよ……もっと他に―――こう、することとかないのか? パトロールとか。
つーかパン2コくらい良いじゃねーか、ここまですることねェっつの。俺が2コ分の金払ってやってもいいくらいだぜ……―――ッッ……!?

【紺碧の視線がパンへと向かえば、今何が起きているのかを理解して―――その上で、呑気な顔で警官にダメ出しをする】
【そんなことどうでもいいと語る男の姿はどこか上から目線で、男は少しだけ口角を上げて「俺が払ってやろうか」などと言うのだが、刹那―――】
【緩んだ頬が一転、両眼は鋭く強い光を湛え少年へと向けられる。口元は引き締まり、数秒黙った後―――ゆっくりと男は少年に一言だけ】

……―――やめとけ。んなことしなくても開放させてやるから

【諭すようにも、脅すようにも聞こえる4文字に篭もる真剣味。ヘラヘラとした先程とは余りにも異なった厳しい表情と声色であった】
709 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/31(日) 15:22:16.91 ID:HGpG1ibt0
>>707

【店内の客や、通りすがった人間の一部。何事かと見てくるのは好奇心から、誰も関わって来ないのは、きっと、保身から】
【こういうのは関わるものじゃないと誰もが思っているから――ほんとうなら、誰も話し掛けてくるわけも、なかったはずなのに】

……あ、の。……あの、わたっ、……わたしの、弟です。その、子……。

【こつんと微かに足音がして、聞こえて来るのはそんな声だろうか。鈴を指で弾いたみたいに涼しげな声、りんとした声】
【振り向けばそこには人影が一つ、取り囲む人間の輪っかよりも内側に立っている。不安げな感情を顔にいっぱい湛えて】
【服の裾なんて握り締めたり弄ったりしているが、背筋だけはしゃんとしている。気弱な娘が、頑張ったみたいに】

【少女だった。齢を見た目で計るなら十六かそこらに見える、それなら、辛うじて姉に見えない、ということもなく】
【日曜日にちょっとお洒落して出かけていた風の恰好。店員か、或いは警察の視線が向けば、彼女は身体をびくりとさせて】
【もう一度「おとうと……」なんて呟くのだけれど。すぐに恐ろしくなったのか、なんだかすごい速度で頭を下げ】

ご……、ごめんなさいっ!

【だなんて悲鳴みたいな声を上げるのだ。もしも誰かが下げられた顔を覗き込んだなら、目すら潤ませて――】

【――黒い髪の少女だ。三つ編みをあしらったハーフアップ、その毛先は腰に届くぐらい、長めの長髪で】
【黒と赤のオッドアイ、不安なのを隠すように噛んだ唇、真っ白な肌は、いつもより蒼褪めているようにすら見え】
【ふわっとスカートの丸く広がるコルセットワンピース、深い赤とパニエの生成りがよく噛み合って】
【足元は短めの靴下とワインレッドのパンプス、ヒールはくるんと丸まった、猫足のそれ】

あの、お金払いますっ、……だから、だから……。

【ふわっと頭を上げると髪がくしゃりと軽く乱れる、でもそれを気にしないまま、泣きそうに怯えた顔は言葉を紡ぎ】
【許してやってくれないか、と懇願するのだ。全くの他人のために、迫真の演技――というか、多分、本当に怯えているのだが――】
【たまに居るタイプの変な親切な人っぽい感じ。彼はこの少女を利用してしまってもいいし、或いは、跳ね除けてもいいし、】
【とりあえず――彼がもし合わせてくれるなら、きっと、彼女も頑張るだろうというのは、目に見えるようだった】
710 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/31(日) 15:33:03.46 ID:HGpG1ibt0
>>709
/あっと……すいません引きますっ
711 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage]:2014/08/31(日) 15:34:57.21 ID:EpAdtw14o
>>710 >>707
/雑談にも書きましたが僕は3人ロールでも対応可ですが、お二人はどうでしょうか?
/自分イベント文考えながらやってるんで僕が退いても構いませんですよ?
712 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/31(日) 15:38:05.09 ID:vrClP0jpo
>>710>>711
//でしたら鈴音さんの方さえよければ複数お願いしてもいいでしょうか!
713 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/31(日) 15:42:46.36 ID:HGpG1ibt0
>>711>>712
/あちらにも書きましたが、複数でも大丈夫ですー!
/お二人さえよろしければ、混ぜていただきたくっ
714 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/31(日) 15:53:39.49 ID:vrClP0jpo
>>708

【問われた警官の表情はコロコロと変わってゆく。まず、緋色の鷹≠見て引き締まったものになり】
【他にすることと言われるとちょっとだけ機嫌を損ねられたようになる。そして】
【少年の味方をするような発言で、そこに困惑の色が混じった】

【「し、しかし――」と、警官は職務を全うすべく口を開くのだが――】
【男の雰囲気が一変し、厳しいものへと移ったのならば、なぜか彼も気圧されて黙ってしまうのだろう】


……。


【さて、少年はというと――怯んだ警官の拘束を払い、男をじっと見つめるだろう】
【怪訝そうな視線は睨みつけるようなものでもあるか】


>>709

【そこへもうひとり、見知らぬ$l物が入ってくる。警官がさらに困惑したのは言うまでもない】
【弟だからといって見逃すわけにはいかないのだが、涙目で許しを請う彼女に彼はたじたじになって】
【少年はそんな二人を見て、わずかに口角を上げる。きっと碌でもないことを思いついたに違いない】


……ごめん、姉ちゃん。お腹空いてて、つい……


【演技はへたくそだが、無表情を作れば少しは落ち込んだ素振りにも見えるか】
【警官がこれを看破していればややこしくなるのだが――どうやら、そうでもないよう】


>>お二人


「わかりました。……では、お二人からパン一つ分の代金を頂きたいのですが、それでよろしいでしょうか」


【ものすごく納得してないような声で、警官の彼は二人からパンの代金をもらおうとする】
【受け取れば彼はSCARLETの男へ一度敬礼をして去っていくだろう】
715 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage saga]:2014/08/31(日) 16:09:20.60 ID:EpAdtw14o
>>709 >>714

【彼とは対照的に申し訳なさそうに話しかける声。どこかで聞いたことがあるというか、本能がゾクリとさせる声というか】
【反射で振り返れば「うっ」と呻き声を一瞬漏らすも、続く彼女の言葉に口をぽかんと開ける。だが彼はガンマン、故に洞察力には自信アリで―――】
【その言葉が嘘であることにも直ぐに気付き、そして合わせる】

お……おおー、鈴音の弟だったかー!! 警官サンよぉ、この娘俺の知り合いなのよ……それに免じて見逃してくんね?
―――というかこっちでしっかり言っておくから。お金は勿論払っとくからさ……―――SCARLETって警察の後ろ盾あることも知ってんだろ? な?

【最後の方は脅しによるゴリ押しに近いが、なんとかして少年の開放を望む男。彼女の名前を紡いだことから分かる通り、本当に知り合いなのだ】
【―――とは言え、一度殺されかけたという奇妙な関係ではあるが。焦りの見える早口で、無理やり説得せんとする。力技にも程があった】
【まぁ、3人の即興演技が重なった結果―――彼と鈴音がそれぞれパン代を払うということになる。すなわち勝利を勝ち取ったも同義だ】

じゃあパン代な。はいはいお疲れ様、パトロール頑張ってな! ほらまだ見ぬ事件が待ってるぞ? ゴーゴー、ハリー!

【パン代を支払い、まるで厄介者を追い出すかのように雑に警官を追い出す男。少しだけこの警官が哀れに見えるほどの扱いであった】
【さて、警官が去ったのなら男はまず少年に声をかける。逃げ出す前に、と多少食い気味になって「オイ」と言って】

……もし俺と鈴音が止めてなかったら何やらかす気だったんだ? 別に怒りゃしねぇからさ、ちょいと兄さんに教えてみ?
―――殺ろうと思えば殺れた。 違うか? ん? 

【睨みつける少年に対して何故か男は微笑みかけながら言葉を飛ばす。笑みで瞳は細まるものの、中に秘めた強い光は未だ消えておらず】
【先程警官を気圧すに至った雰囲気が消えないまま少年に尋ねた。あの黒い魔力を見てそう思ったのだろう。「殺ろうと思えば殺れたのでは」などと】
716 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/31(日) 16:23:30.86 ID:HGpG1ibt0
>>714>>715

【警察というのは恐ろしいものだ。捕まったら最後、きっと自分など、永遠に出てこられないような】
【そんな思い込みがずっとある。そしてそれは、ただ妄想というわけには済まなくて、ある程度の真実味を持って――】

【――だから、こわかった。こんな風にして立ち向かって、ばれたらどうしようとか。一緒に捕まるんじゃないかとか】
【考えてしまうと足が竦む。でも、それは、或いは身内の犯行を前に動揺したようにも見え、演技をいくらも本物らしく見せ】

……だ、めだよ、こんなの。ごはんなら、わたしが、食べさせてあげるから……。

【少しだけびくっとした。それは彼の言葉に驚いたようで、でも、すぐにほんの誤差レベルで安堵したような色を見せ】
【合わせてくれるならどうにかなるって思えた。ここで、誰だお前なんて言われたら、きっと泣いて逃げていただろうし、】
【掛けた言葉は優しげだ。そして嘘の色も見えない。なんなら、この後、一緒にご飯でも食べに行こうと誘うようですらあって】

【――そこで聞こえて来る声。というよりも、さっきから気付いていて相手する余裕のなかった存在、あのガンマンの】
【咄嗟にあわせてくれる声が聞こえてきて、もう少しだけ余裕が出来る。自分よりも彼のほうが、警察相手には話が出来ると】
【そう信じていたからこその安堵でもある。これで大丈夫だって、きっと自分は捕まらないって、……そんな、自分中心の安堵】

【ロウがごり押ししている間、彼女は後ろに引っ込んでしまう。ちょっと後ろからその様子を見て、彼が、】
【二人でパン代金の割り勘という勝利をもぎ取ってくれば、きっちりとパンの代金を払い、立ち去っていく警官を見、吐息一つ】
【多分残っているだろう店員さんにはぺこぺこと頭を下げていた。ついでに野次馬にも頭を下げて、――疲れきった顔】

【そうして。ロウが少年へを問い詰めている間も。何を言ったらいいか迷っているみたい、後ろのほうでちっちゃくなって】
【一通り言葉の往復が終わるのを待つのだろう。それから、控えめに挙手めいて手を挙げて、一瞬の間を置いてから、】

あの……、おなか空いてるなら、ご飯奢るよ、あんまり、……ここだと、みんなが見てるし……。
わたし、……緊張したら喉渇いちゃった。だから――、ね、付き合ってほしいの――。

【それは。彼らの話が拗れないように気にしたようにも見える、途中で踏み入って、雰囲気を変えてやろうと、そんな、】
【あんまり意識していないのかもしれないけれど、怖がりな成分を多分に見せて、――みんなが見てる。呟いた声だって、本音のそれ】
【くしゃっとようやく気弱に笑ってみせた表情は、――ロウにとっては初めてのものだっただろう。いつか、】
【その宝玉を目当てに襲い掛かってきた少女と同一人物とは思えないような。そんな、多面性を見せ】

…………あ。でも、ロウは自分の分、自分で払ってね――。

【――しっかりしているところはしっかりしているのだった。払うのは自分の分と少年の分だけだって、前もって】
717 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/31(日) 16:47:14.88 ID:vrClP0jpo
>>715

【しっかりパン代を受け取ると、警官は去ってゆく】
【心なしかとぼとぼ歩く彼。「これじゃ不味い気が……でもあの人がああ言ってたしなあ」とかなんとか】
【そんな独り言を店にたどり着くまで繰り返していたのは、きっと誰も知らないのだった――】


【少年は意外にも逃げる素振りを見せなかった】
【丸くなった背と、気だるげな表情。しかし、怯えている様子でもなく――変に肝が据わっている】


そうだね。殺ろうと思えば殺やれた
そこまでじゃなくてもあの人の手を切って逃げようかどうか迷ってたのは事実かな
助かったよ。君達がお金を払ってくれたおかげで面倒なことにならずに済んだ


【で、このまま逃がしてくれるともっと有難いんだけど――続けられるのはそんな、捻くれた言葉】
【まるで自分の犯したことを罪とすら思っていないような口ぶりで】
【そして、殺意が僅かにでもあったことも事実のようだった】


>>716

【何度も頭を下げる少女。少年は彼女にも、男と同じような℃巨を投げかけていた】
【だが、険しい顔ではあるもののもっと複雑で、読みにくい表情だ。まるで観察しているかのような――】

【それから男の方に質問―彼にとっては尋問か―をされて、意識から少女が外れてゆく】
【――しばらくして挙げられた手。それに、片方しかない眼を向け】


――――いやだ


【ぽつ、零すのは拒否。それから数秒、沈黙したかと思うと】


……パンなら僕の分はあるから、他は要らない
食べるなら向こうに公園とかベンチとかあるから、そっちがいい
飲み物も、近くに自販機があったと思う。それでいいなら……付き合う


【視線が動く。少女から外れ、二人とはまた違う虚空を見つめながら口を動かしてゆく】
【二人が買い物に出た隙に逃げようという魂胆なのだろうか。しかしそれも、交替で行けば阻止されることは明白で】
【妥協、しぶしぶ、といった感じで紡がれた条件。少女はそれを呑むのだろうか】
718 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage]:2014/08/31(日) 17:01:11.68 ID:EpAdtw14o
>>717 >>716

【捻くれた態度、反省の見えない眼。ロウと言うらしいこの男はそんな態度にも拗ねる様子はなく、ただ少年の気怠さ漂う様子を見つめ】
【少しだけ考える時間を取った後、落ち着いた声で尋ねた。まずは彼の背景を知らなければ、彼を理解することなどできないだろう―――ということだった】

……ボウズ、親はどうした。あとだな……万引きには俺が思うに3種類ある。
ひとーつ……ただスリルを求めるバカ。ふたーつ……買えるのに万引きするケチ野郎。みーっつ……そうしなければ生きていけない奴。

俺の予想だとこの3番目がお前だが―――果たしてどれが正解だ? パン代払ったんだし、この2つに答えてくれや。

【指を1本ずつ立てて、計3つ。きっとこの少年もこの3つのどれかであり、恐らくは3番目だというロウの予想】
【それをそのまま、隠すことなくダイレクトに少年へと尋ねる。もし1か2なら説教してやる、と意気込んでいるのだが果たしてどうなのだろうか】

―――ん、鈴音……どうした急に。言いたいことありゃ言えよ……お、もしやお前が代わりに説教ってか?

【視界に割り込む小さな手。直ぐにそれが鈴音のモノだと分かり、首を傾げるように彼女へと視線を向ける】
【首を捻ったのは単に彼女が手を上げたことに対することだけではなく、こんな子だったか?という一種の違和感に対するものでもあって】
【そんな彼女の小さな口から零れた言葉と作る表情に、一瞬我を疑うまであった。意外そうな顔の後、「ふーん」と意味深に微笑んでから声を放つ男】

ふーん、お前がそんなことを言うとはなぁ……ククク、あれか? 人妻になって成長したか? ん?
じゃあ折角だし奢って―――っておいッ! ……チクショー、そんなしっかりした奴だったか鈴音……。

【彼女が付け加えた言葉に、がくりと頭を落とす旧いリアクション。たはは、と苦笑いを浮かべる中で感じ取るは彼女の変化だった】
【少年に向けた真剣味溢れる表情は再度霧散して、最初のヘラヘラした男のイメージ像が戻ってくるようでもあった。男は立ち上がり背伸びをして―――】

……じゃ、どこで飯にする? お前ら2人はお子様ランチでも食うか? なんてな、ククク。
まぁ提案者は鈴音だし決めてくれ。俺が決めるとなると強制的に酒場になるぞ?

【少年と、少女―――に見える21歳。確かロウの記憶では彼女は成人していると言っていた筈。まぁ、見た目からは全く信じられないのではあるが】
【その中でロウが零した「お子様ランチでも食うか」という発言はそんな彼女をおちょくるモノでもあるのだがどういう反応を見せるのだろうか】
719 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/31(日) 17:22:24.52 ID:HGpG1ibt0
>>717>>718

【二人の会話に割り込むのですらへなーっと吐息を吐くような仕草があった。なんだか、全体的に気疲れしてしまったような】
【それならロウに任せて帰ってしまうという選択肢だってあるはず。だのに、それをしなかったのは、――やっぱり】
【少年のことが気になっているのだろう。万引き犯なんてごろごろ居るもの、実際に彼女はそんなひとを何人も見てきたし】
【捕まってしまうひとたちも見てきた。そう言う場所に居た。盗みとかが横行する世界、そうじゃなきゃ、生きていけない世界を】
【知っているから。もし、少年が、そんな世界に居るのだったら――いつかの自分と同じ世界に居るなら、(助けてあげたいなんて)】

【顔より低いような位置で挙げた手。そうすると視線が向くのが分かって、ほんの少しだけ緊張する】

お説教なんてしないよ、……だって、わたし、そんなの、……、……。
……――駄目、かな。来てくれない? ……無理にとは、言わない、けど……――。

【――嫌だといわれたとき、彼女はしゅんと眉を下げただろう。寂しがるみたいに、斜め下へと視線を落とし】
【それならどうしたら来てくれるかって考えているみたい。ほんの数秒だろうか、むっと噤んでいた唇は、】

公園……? ――じゃあ、公園にしよう、わたしはね、どこでもいいの――。
そのひとは酒場って言ってるけど。……無視していいからね、あのひと、いじわるなひとなの。

【公園ならという提案に綻んで笑う。そうやって嬉しそうにしていると、比較的単純な性格であるのも知れるよう】
【よっぽど悪いひとでもないのだろう。少なくとも、見ず知らずの少年を助けようとしたくらいには――おせっかいかもしれないけど、】

わたし、大人のひとには払わないのっ。……それに、わたしのこと、鉄砲で撃つようなひとにあげるお金はないの――。
がんばって働いてもらったんだよ、やっともらったお金なんだから……。

……UNITED TRIGGERの酒場とかなら、わたし、結構好きに出来るんだけど……、ヤだ、よね。そんなところ。

【むーっと拗ねた顔をする、それなら、最初の緊張もやっとほどけてきたらしい。あなたには奢らない、なんて言い切って】
【少年にもちょっとだけ吹き込むのだ、悪いこと。――でもよっぽど本気じゃない、ちょっぴりだけ、悪戯の色合いを持ち】
【――そんな彼女がいきなり正義組織の名前なんて挙げるから、ロウは特に何事かと思うかも知れないのだけれど、】
【彼女はそんなの気にせず、少年の方に「嫌だよね」なんて、視線を合わせるようにして聞いている。ガン無視である】

【(観察されていたことには気付いていないようだった。左手薬指の指輪、宝玉をあしらったピアス、濃厚な水の魔力)】
【(首に下げた桜のペンダントの白い煌き、スカートのふわふわ、そんな、いろいろを端から端まで見ても)】
【(今日は彼女の持つ異常性は窺えない。少しだけお姉さんぶった、気弱な、――そんな第一印象、だったろうか)】
720 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/31(日) 17:43:04.22 ID:vrClP0jpo
>>718


……居ないよ、とっくに居ない。返して欲しいくらいさ
で、その三つの内だと近いのは2と3かな。今日の宿代を取ってなくちゃいけないし
そうしなければ生きていけないんじゃなくて、そうやって生きてたいんだ


【少年が普通とは言えない生い立ちなのは間違いない】
【よく見れば彼のコートは何日も手入れをしていないかのようにボロボロなのがわかるだろう】
【常にギリギリの状況下で生きていないとこうまでならないはずだ】
【……それでも宿に泊まったりするお金があるのは、少々疑問だが】


>>719

【こくりこくり、言われるままに相槌を返す】
【しっかり男を無視することにも肯定を示す。ひどい扱いだった】

【でもそうやって反応を示すのだから、少なくとも二人に対して無関心ではないのだろう】
【それが良悪どちらの感情かは、常に不機嫌そうな彼の表情からは読み取れないかもしれないが】


嫌だね。行きたい所は……僕が決める
食べたい物も、座りたい所も、全部、僕が決める


【やっぱりお店に移動するのは避けたいらしい】
【決定権は全て自分が持つ――そんな風に、彼は頑なだった】


>>お二人

【二人の会話を、彼はただ黙って聞いているのだろう】
【どちらかが発言するたびに視線が動く。鬱陶しいなら、表れない反応】
【この状況を楽しんでいるようではないけれど、その逆でもない】

【ただ、口を挟むこともないのだから――こんな状況、あるいは雰囲気に、慣れていないだけなのかもしれなくて】
721 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/08/31(日) 17:50:08.62 ID:QE5l55yL0
……待てーっ、……まーてーですぅ!!
……返せーーですぅ!!

【喧しく叫びながら走る、白い運動靴と動き安そうな赤いジャージに黒のお団子ヘアーの少女】
【何かを追いかけている様で―――一体何を追いかけているのかと言えば、一人の青年だ】
【その青年の手に握られているのは、男には似つかわしくないピンクのうさぎがプリントされている財布】
【この状況を見れば、少女が財布を盗まれて、取り返す為に追いかけているのだと判断出来るだろう】

まーーー……んぎゃあっ!!

【青年を追いかけていることに夢中で、足元への注意が散漫になっていたのか―――石に躓いて転んでしまった】
【そんなことをして、もたついている間に、青年は何処かへと走り去っでしまって】
【しかもそれだけではなくて―――転んだ時にジャージが破れていて、膝が擦れて血がじんわりと滲み出す】

……フウの財布が盗られてしまいました……膝が凄く痛いです。


【そしてもう追いつけないと悟ったのか、傷の痛みとそのショックで少女はわんわんと泣き出して―――】
【その泣き声を、近所迷惑など顧みずに ―――周囲一体に木霊させていた】





722 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage saga]:2014/08/31(日) 18:01:28.25 ID:EpAdtw14o
>>719 >>720

親はいないとは思ってたが……生きてたい、か。 なかなか興味深い返しをするんだな……。
態々危険を冒してまで、人を傷つけてまでして―――そんな生き方をしたいと。そういうことか?
俺に教えてくれよ、ボウズのその生き方の魅力……ってやつ。 ―――あ、後さ。殺す技術は……あの魔力は。両親から教わったのか?
まさか独学ってわけでもないだろう。そうなら超天才だぜボウズは。

【そのような厳しい事情があれば、反抗的な目付きも態度も納得がいく。警官が動じる視線に少年が動じなかったのも理解できる。動じる程度なら生きていけない】
【生きていけないのではなく、生きていたい。何故厳しい生活を望むのかがロウには一切わからず、そしてそれが興味深くもある】
【興味深いと言えば先程の黒い魔力もそうだ、と付け加え返答を待った。先程の質問でパン代は埋まった、と思うのなら無言を貫いても良いがどうだろうか】
 
【意地悪な人、とか鉄砲で撃った、とか。彼女の口から飛び出る言葉の通りに受け取るのならば完全にロウは悪人だ】
【いやいや違うだろ、と誤解を解かん訂正を加え、恨めしそうに彼女を睨んでみせた】

何言ってんだよ、こんなスーパー優しいお兄さんに向かって……つーか撃ってませんー。
撃つフリですー、あの弾丸は幻だっつーの。俺を殺そうとしたって事実隠して言うなんて卑怯にも程があるだろっ。

奢らなくても良いからソコだけはきっちり訂正してくれよなぁ。マジで困るからそういうの……―――つーかさ、お前今UTって言ったよな?
あれ? あの酒場お前知ってんの……っつーかなんだよ好きにできるって。おい、おーいっ。 鈴音さーん!

【自分で優しいと言う事は大抵の場合逆効果なのだが、それは置いておいて。ならばコッチも、と彼女の過去をぶっちゃけた】
【自分はこの子に殺されかけたと。お前が思っているよりもコイツは物騒なんだと少年にアピールするが如く告げた】
【……そんな自分を殺しかけた彼女が、UTの酒場を知っている事自体驚きなのに。好き勝手とはどういうことだと尋ねるも相手は無視。ひどい仕打ちである】

……まぁ公園でいいなら良いか。こういう時はしっかり奢ってもらうってのが賢い生き方なんだけどなァ。 

【なんて言って頭の後ろで手を組みながらも、足は少年の跡をつけるように動くだろう。酒場が良かったのだろうな、という心情が手に取るように分かる動きだった】


723 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/31(日) 18:20:18.63 ID:HGpG1ibt0
>>720>>722

あ……でも、いじわるなひとだけど、悪いひとじゃないんだよ……、……――多分、ね。

【こくこくと相槌を打ってくれるなら、ある程度話しやすいと思うのだろう、声の調子はだんだんと戻って来て】
【緊張していた鈴の音の声は、すっかりと普段のそれに戻っている。それにしたって不思議な声だ、鈴とよく似ているなんて――】
【――無視することもあまりにあっさり頷かれてしまえば、流石にちょっと気まずくなったらしい。そう、訂正を入れ】
【「だから、たまには聞いてあげて……」とか、「全部は無視しないで……」とか言っているのだ、意志薄弱なのか】

【――頑なな彼に、彼女は「そっかぁ」って吐息交じりの声で返したのだろう。それなら仕方ないって、諦めるみたいに】
【無理やりに誘うのはやめようと思う、行きたくない理由があるなら、引き摺っていくなら――それは駄目だから】
【やりたくないなら、やりたいことまででいいと思う。無理にやらせる必要は無いと思う、彼は公園ならと言ってくれたのだし、】

……ふりだって怖かったもん。鉄砲嫌いだもん。それにっ、……別に、殺そうとなんて……、……。
……――もー要らないもん、わたしには、自分の分があるもんっ! ……それに、――。

――そうだよ、わたし、あそこでお仕事してるもん。お料理作ったり、お酒作ったりするの――。
セリーナに言って、お仕事貰ったんだから。……今度来てみてもいいよ、嘘じゃないもん。

【それに。自分はもう心変わりしたのだと言おうとして、話が変わる。UTのことを尋ねられれば、どこか自慢げに、】
【勝ち誇るように言うのだから、少しだけ子供っぽい仕草。思ったよりいい子でしょう?なんて態度だ、胸に手をやり、】
【無視するより自慢するほうが楽しいとでも思ったらしい。少しの間は空いたが、ぞんがい、律儀に返事をしてくれ】

【――少年の視線が動いているのにはなんとなく気付いていた。それで、彼を置き去りにしてしまったと思ったらしい】
【ぺたんと両手を合わせて、仕草で「ごめん」なんて謝ってくる。それを終えれば、「行こっか」なんて彼を促し】
【道が分からないのだろう。少年を先に歩かせようとする、自分はほんの一歩ほど後ろに陣取って、】

あなた、名前はなあに? わたしはね、鈴音(りんね)って言うの。鈴音・シュトラウス。
今も言ったけど、UTでお仕事してるの。だからね、もし、来てくれたら、ご飯とか作ってあげられるよ――。
そこのひとはね、ロウ……、ロウ……、えっと、苗字は聞いたっけ?

【こつこつと軽い足音でついていく。相手の名前を尋ねれば、まずは自己紹介。それから、ちょっとしたことを告げて】
【流石に風の国まで来いというのはちょっと遠い気もするのだが。まあ、覚えていたら、役に立つかも――程度の豆知識】
【それからもう一人の彼の名前も(勝手に)告げる。うろ覚えなのがひどい話だが、そこについては申し訳ないような表情をしていて】

【――公園まで、何にもないようなら、どうでもいいような話題を振ったりするだろう。ほんとうに、どうでもいいような】
【猫は好きかとか犬派かとかそんなものだ。もちろん、話が続いたりするようなら、そんなことは聞いて来ないし、】
【別の話があっても振ってこない。本当に何もなくて、無言で歩くようなことになれば――そんな雑談が、あるのかもしれないというだけの話】
724 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/31(日) 18:44:56.95 ID:vrClP0jpo
>>722


普通殴られたらさ、殴り返したいって思うのが人間だと思うんだ
逆の頬を差し出すなんてもっての他だと思わない? だから僕は決めたんだ
――誰も信用しないし、どんなことをしても生きる、ってね

魔翌力は……降ってきたんだ。それで、練習したら使えるようになった
こんな答えじゃ納得できないかな?


【ひとつずつ、少年は男の問いに答えてゆく。語る彼からは、再び黒い魔翌力が漂い始めていた】
【それに少しでも触れたなら、今彼が抱いている感情を理解することができるだろう】
【その魔翌力の性質、つまり――憎悪という負の感情を】

【やられたらやり返したい。単純な思考だが、復讐と同義とも捉えられるか】
【魔翌力に関してはまるで理解できない答えが返された。わかるといえば、元々魔法を使えるわけではなかったくらいで】
【しばらくすれば魔翌力も失せてゆくのだが――】


>>723

【謝られると、彼は首を傾げるのだろう。何でと、理由を問うように】
【やはり人と接すること自体に慣れていないのかもしれない】
【面を食らっていると行くのを促される。こく、と頷けば、彼は適当に歩き出すのだろう】


――烏羽 冥(からすば めい)。別に、覚えなくてもいい


【短く自己紹介を返す。UTについては何も反応を返さなかった】
【また拒絶して、気分を害させてはいけない。そんな思考が故なのかもしれないが、誰にもわからず】

【道中、話題を振られれば意外にも彼はその全てに言葉を返してゆく】
【犬は吠えるから嫌いだとか、猫はすぐ逃げるからどっちでもないとか、そんな風に】
【しかし油断すればすぐに会話は途切れるだろう。捻くれ言はすらすらと言えるのに、日常の会話は苦手なようだった】

【少しすると公園に着くだろう。道路の向こうにはコンビニが見え、散歩道には自販機が置かれている】
【少年――冥は、近くのベンチに行くとそこに腰を下ろすだろう】
725 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage]:2014/08/31(日) 19:09:34.49 ID:EpAdtw14o
>>723 >>724

……なるほどね。そりゃそーだ、ごもっとも。殴られっぱなしなんて嫌だよな、普通そうだ。
差し出せーなんかヨボヨボのじいさんが言ってるんだろ。そういうのに限ってビンタしたら怒り狂うんだよ。
でもさ……信用なしで生きるって厳しく辛い道だぜ? 常に怪しむって神経使うだろーし。 

あー、全員信用しろなんて言ってないからさ……自分に何かしてくれる人間くらいは信じていいんじゃねーの?
例えば俺等……まぁ俺は信用できなくてもいーよ、もう扱いで悟ったわなんか。 まぁコイツくらいは信じる気にはなんねーのかよ。

【もっての他。その意見に関しては男も頷いて同意の仕草。しかし誰も信用しないのは苦しいだろう、とロウは語る】
【この少年はロウと鈴音のことも信頼していないだろうか。そうなのだろうが少し悲しく思うが―――兎に角、人を選んで信じてみろ、と。ロウはそう言うのである】

―――……そういう魔翌力か。これはアドバイスというか、忠告。その魔翌力―――いずれボウズ自身の身を滅ぼすぜ?
憎悪って感情そのものが身を滅ぼすし、そういう魔翌力ってコントロールしにくいらしい。暴走して身を滅ぼした悪党を、俺は知ってる。
そういう魔翌力の才能があるってのも良いような悪いような……ま、兎に角気をつけろ……って言っても聞かないよなぁ。

【手を翳せば伝わる愚直な憎悪。憎悪に限らず負の感情を魔翌力にすることはコントロールしにくい。負の感情は時に大きな高まりを見せるからだ】
【この少年には才能がある。それは確かだ。しかしだからといって、その不安が完全に解消されるわけでもない。ロウに出来る事は忠告以外に無かった】

なんでそんな扱いなんだよ……多分じゃねぇよ……。
ホラ、緋色の鷹はSCARLET! これだけでも信用に値するだろ? な? 
だから無視はしんどいから勘弁してくださいお願いします……。

【無視だけは、無視だけはボディブローにように心に響くので勘弁してください。そう懇願するロウ】
【何故子供2人(一人は年齢的には大人なのかもしれないが)にひどい扱いを―――となんだか悲しくなってくるのである】

セリーナに言ったのか……つーかアイツも流石の器のデカさだな……。胸もでけぇけど器はもっと―――かぁ。
じゃあ今度行ってセリーナに色々聞いてみるけどいいんだな―――っと、ああ話から置いていって悪い。
えー、俺はロウ。マーシャル・T・ロウ……SCARLET所属のガンマン。
誰が呼んだか知らねぇが「不殺の跳弾アーチスト」なんて異名もあったりするぜ?

【鈴音がUTにいる事実に驚愕したせいか、軽く少年を会話から置き去りにしてしまった】
【鈴音が少年に名前を聞いた所でようやくその事に気付いて、自分も彼女に合わせてフルネームを唱えた】
【ロウは二人の会話をじゃますることなく、ぼんやりとしながら二人の後ろを歩く。公園についたのなら、鈴音の方をちらりと見た】
【―――で? これからどうするの? なんて言いたげな眼光だった】
726 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/31(日) 19:32:10.83 ID:HGpG1ibt0
>>724

【ふわっと彼から魔力が漂ってくる、どろっと黒い色、ふわりで指先で捕まえてみたらば、】
【伝わって来る感情に、むうと口角が下がる。少しだけ悲しげに、或いは拗ねたように、瞳を伏せて――】

……冥。だいじょうぶだよ、ちゃんと覚える。
だから、呼ばなくてもいいけど、ちゃんとわたしの名前も覚えてて欲しいな。――ね。

【くしゃっと笑ってそう紡ぐのだった。鈴音という名前を、是非、覚えておいて欲しいんだって】

【(名前は特別なものだと思う。だから、ちゃんと覚えて欲しいし、できれば呼んでもらいたい)】
【(だから自分は名前で呼ぶし、ちゃんと覚えるし、――そんなこだわりは、ただ、彼女の中のものだから)】

【――魔力がどうとは言わない。そういった感情を抱いて暮らすのは辛いことは、よく分かっていたけれど】
【それがどこから来るのかが分からないから。取り除いてあげるなんて偉ぶったことは言えない、言えるはずもなく】

【そして。猫とか犬の話は、付き合ってくれるなら楽しそうにするのだ。吠えるから嫌、逃げるからどうでもいい、そんなことでも】
【冥が彼女を観察したみたいに、彼女も冥のことを知りたがっているらしいと伝わるだろうか。くだらない会話に見えたけど】
【「……あ、そうだ、蛇は好き?」――そう尋ねたのは余談だ。好きだと答えれば、「わたしも!」って帰ってくるだけの】

【「セリーナに聞くのはいいけど、変なこと言わないでよね。そしたら、わたし、怒るよ――」】
【むすーと頬を膨らませてロウに言ったのは、脅しか、冗談か。どっちとも取れなかったが、どちらとも取れて】

【とにかく――少し歩けば公園に着く。ベンチに冥が座るのを見れば、自分は、と。――少し悩んでから、肩掛け鞄を揺らし】

飲み物買ってくるけど、何か飲みたいもの、ある? ……お金くれるなら、ロウの分も買ってきたげる。
ロウが買ってきてくれるのでもいいけど……それなら、わたし、お茶がいいな。緑茶の濃い奴――。

【お財布を取り出して小銭を確認。そうして冥に尋ねるのは、欲しい飲み物はあるかって、そんな問い掛け】
【食事はパンでいいらしいから、飲み物はどうするかと。そしてロウに言うのは、ついでだから、一緒に買ってきても――なんて】
【ちゃらりと取り出したのは自分の分のお茶と、冥の分の飲み物が買えるぐらいのお金。その手を、ロウのほうへと差し出して】
【お金をその手に置けば彼女が買いに行く。お金をロウが取るなら、お願いする。そんな状況なのだろう、選択をロウへと任せ】
727 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/31(日) 20:35:53.44 ID:vrClP0jpo
>>725

……信じるって、何を信じるのさ。どうせそんな脆い物すぐ壊れるんだ
なら僕は――そんなことはしたくない

【同意の言葉に、少年は小さく嗤う。その通りと言わんばかりに】
【信用してみろ、というのは難しいらしい。言われるがまま鈴音を見つめてみるのだが――】
【すぐに理由もなく表情が険しくなった。計算が出来なくてノートを見つめる子供のようなそれだった】


僕はそうはならないよ。それに、この力を手に入れて良かったと思うしね
もう僕は弱くない。へらへら笑って近寄って来る馬鹿を痛めつけれるし、この力のおかげで、ひとりでも生きていける


【彼の魔翌力は相手を憎めば憎むほどに力が増す。感情が高まれば、それだけ彼は強くなるのだ】
【だから、彼はそれでよかった。制御出来ないほどになっても、そう思い続けるのだろう】
【力で負けることは、相手の思うがままにされることと同義なのだから】

【男――ロウの名乗りを受けて、冥は彼の風貌を改めて良く見てみる】
【なるほど確かにガンマンっぽい出で立ちだ。冥の三白眼がほんの少し興味の色を宿す、のだが】


……ださい


【異名を聞くとそう斬り捨てるのだった。無視ではないが、そっちの方がまだましかもしれなかった】


>>726

【覚えていて欲しい――それには、何も返さない】
【ただ顔を伏せて、さっきと同じように視線を逸らすだけ】

【確かに名前は特別なものだ。でも、彼の名はとても親から貰ったとは信じがたい不吉なもの】
【なら、偽名なのかもしれなかった。いつかどこかに、名前を置いてきたのかもしれなかった】

【蛇が好きかどうか問われると、彼はしばしの思考の後「好きかな」と答えるのだろう】
【理由は怖いけどかっこいいからだそうだ。鈴音は蛇が特別好きなのだろうかと、心の端で考えて】


要らない


【飲み物はやはり断った。あくまでも自分で手に入れたものでないと嫌、ということなのだろう】
【もし彼女が買いに行ったのならば戻って来た後、ロウが行って彼女が残るのならばその時に】
【彼は初めて――自分から口を開く】


……なんでここまでするの? 別に僕は助けて何て言ってないのにさ
さっきだって、怖いのに何で口を挟もうとしたのか――僕には理解できない
僕が逃げてたらどうするつもりだったのさ


【求められていないのに自分から助けに行くことが理解できない】
【裏切られる可能性があるのに手を差し伸べるのが理解できない】


逃げるならまだいいけど――逆に襲われたらどうするつもりだったのかな


【――これは、もしもロウが自販機へと向かった場合のこと。彼は鈴音に問いを投げた後】
【「例えばこんな風にさ」――と、憎悪の魔翌力を手に集め、真黒な短刀を出現させるだろう】
【そしてそれを、彼女に軽くだが、突きつけようとする】

【こんな考えが出てくるあたり異常なのだが――彼女はこの異常さを目の当たりにして、どう反応するのだろうか】
728 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage]:2014/08/31(日) 21:14:58.05 ID:EpAdtw14o
>>726 >>727

【「へいへい、変なこと言わないから」などとだけ零して、後は二人の会話を邪魔することなく】
【本当は煙草でも吸いたかったが、子供の前で吸うのもなんだかなぁとか、鈴音に怒られそうだななどと思ったのでポケットの煙草には手を付けなかった】
【公園に着いて鈴音へと目をやれば、飲み物を―――ロウが買え、と。買ってきてくれるのでも良いけど=買ってこいにしか聞こえないのは彼だけだろうか】

……わかったよ買うよ。買えってことだろーよー……。―――ったくよぉ、こき使いやがってさ……
鈴音はお茶? で冥だっけ……女みてぇな名前だなオイ。冥はなんだいらねぇのか……まぁ今度お前の旦那に会ったら不満言ってやるからな! 

【拗ねながらも小銭を奪い取りずかずかと自販機まで歩んで、飲み物を3つ取り出す。そのまま元の場所に戻り、注文した品を配っていくだろう】
【いや、冥はいらないと言ったが―――それでもロウは3つ購入した。冥に配ったのはサイダーであり、ロウの飲み物と同じだった】

ヘイこれ、もし受け取らないなら横に置いとくからな……
ははーん、ボウズお前―――昔裏切られたんだろ。例えば……親とかから。
お前くらいの歳でそんな考えになるってのはそういうこった。―――どうだ、違うか?

【信頼を脆いと語るなら、きっとその脆さを実感する体験があったのではないか。そのような予想を濁すことなくダイレクトにぶつける】
【裏切られた悲しみの重さを知らない訳ではない。SCARLETにも裏切った男はいるし、SCARLETでなくても何度も裏切られてきた】
【―――不殺。先程自身をそう語ったこともあり、ある犯罪者を殺さずに逃したこともある】
【「もう一生しない」と涙ながらに言ったその犯罪者も、彼の目から離れれば直ぐに悪行に手を染めたこともあった。故に信じられないこともある】
【それでも本心は昔から、「出来る事なら信じたい」というスタンスで変わっていない。勿論今も、そしてこれからも】

まぁそりゃな。そんな環境に加え魔翌力も多い……となりゃ路地裏のゴロツキなんぞ瞬殺だよなぁ。
でもそういう考えじゃ限界来るぜいずれ。師匠的な奴も勿論いないんだろ? ここまで生きてこれたのは運が良かっただけかも知れねぇぜ、マジ。

【生きていける―――と自信の見える言葉があったが、ロウはそれを一蹴する。要は偶々運が良かっただけなのだ―――などと、歯に衣着せぬ言い様で】
【一人じゃ限界があるし、一人じゃ生きていけない。このままだとコレ以上は強くなれない。そう語るロウの双眸は少年の心に潜む深淵を見透さんとしているようだった】

―――あとダサいってひでぇ……俺が自分で考えた訳でもないしさぁ……

【3文字で切り捨てられたからか男は項垂れて、「ひでぇ」と渋い顔を見せた。正直自分でも気に入っていただけに受けたダメージは大きかった】



729 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/31(日) 21:34:57.92 ID:HGpG1ibt0
>>727>>728

【そっか。その一言は、少しだけ残念がるようなものだったが――もちろん、無理強いするものではなくて】
【差し出したお金を受け取ってもらうのを見ながら。別に買ってこいと言ったつもりは、あんまりなかったのだけれど】
【自分が行くので全然構わなかった。でも、まあ、行ってくれるというなら、ありがたく――という様子で】

……不満が言えたなら、わたしに教えて?

【――少しだけ寂しげに笑うのが特徴的だった。言えるもんなら言ってみろ。そんな様子は、彼には会えないと言っているような】
【それがどういう意味なのかは、教えてくれないけど。或いは聞けば答えてくれるだろうか、それは、まだ、分からなくって】

【そうしてロウが居なくなる。ほんの一瞬のことだが、ふわふわのスカートに手を埋めて吐息を一つする彼女は、だいぶ気の抜けた様子で】
【初めて話し掛けてくれた瞬間。一瞬きょとんとしてしまったのだろう、それから、耳に触れるようにして――返す言葉】

そしたら……、わたしも逃げてたよ。きっとそれだけ。ロウも居たし、そしたら、きっと、後始末してくれるし――。

【困ったように笑うのだ。逃げられたって苦しくない、きっと報われないようなことだって、分かってやっているから】
【感謝して欲しいとか思わない。それを思うなら、何より、真っ先に自分が過去の行いについて反省しないといけないから】

【――突きつけられる短刀に、ほんの小さく両手を挙げる。空っぽの両手を見せる、そこには一切の武器も敵意もなく】
【ただ指輪の煌きだけがあって――そう、旦那が居るらしいのだ。あどけない顔して、存外、人妻だなんて】

……わたしね、むかし、家が無かったの。お父さんもお母さんも死んじゃって、帰る場所も、お金も無くて、食べ物も、捨ててあるのを拾ってた。
そんなときに、わたしを助けてくれようとしたひとたちが居たの。でも、そういうひとはわたしのことを騙そうとしてるんだと思ってた。

今はね、違うと思うよ。そのひとたちって、みんな、しあわせで。他のひとにもしあわせを分けてあげたいって思ったんだと思うの。
わたしは、そうだよ……昔のわたしみたいな子たちが、ちゃんと帰るお家を見つけて、ご飯も食べられて、そしたらいいなって思ってる。

……わたしには、お家を用意してあげたりすることは出来ないけど。ぜんぜん、できることなんてないかもしれないけど。

――――やっぱりお節介だったかな。わたしだったらね、お節介だって思うもの、……迷惑だった?

【でも、突きつけられたって何も言わなかった。どんな意思すら薄弱にしか見えないように手を挙げて、紡ぐ言葉は】
【ちょっぴりだけ自分の過去を語る。自分は無力だけど、何かをしてやりたいだなんて、やっぱりお人よしめいたそれ】
【怖いのに立ち向かった理由なんてそれだけだった。馬鹿げてるって、言えるかもしれないけど】

……でも、わたしだったら、万引きなんてしないよ。……廃棄の時間、じっと待つの。

【――それだけは妙に先輩ぶって説教みたいにするのだが。初めみたいに、「だめだよ」なんて大人びて言うのが、面白くて】

…………――、お茶ありがと、ちゃんと濃い奴にしてくれた? ……ううん、別に、普通のでもいいんだけど――。

【そして、少しだけ真剣だったトーンがふわっと溶けていく。お茶を受け取って、ひんやりと頬っぺたに当てたりして】
【まだ短刀を突きつけていたとしても、あんまりその態度は変わらない。何もされないって、信じているみたいな――それとも】

あとね、わたし、思ったより強いよ。

【――よっぽど自信があるのか。にっこり笑う表情からは、どちらと察することは難しくって】
730 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/08/31(日) 22:14:39.90 ID:vrClP0jpo
>>728

【おそらく隣に置かれる缶ジュース。コト、そんな音が聞こえれば、冥はそれに視線を向ける】
【嫌いなのではない。むしろ、サイダーは好物である。けどやっぱり手は出ずに、視線だけ】
【そのまま黙っているのだが――】

【 ――ロウの言葉の途中で、彼の様子は一変した 】


返して欲しい=Aさっき、そう言ったよね
むしろお母さんとお父さんだけが僕の味方だったんだ
それ以上悪く言ってみなよ……君が何と言おうとこの場で八つ裂きにしてやる


【ギリッ――そんな音が聞こえてきそうなほどに、彼の表情が歪む】
【爆発的な憎悪の魔翌力を撒き散らしたなら、確かな殺意を片方しかない眼で注ぐだろう】
【今にも飛びかかりそうだったが、存外、彼はじっと耐えていた。それ以上続ければ――冗談ではなくなるのだろう】


……。


【今まで生きてこれたのは確かに運が良かっただけなのかもしれない。だから彼は、何も言葉を返せないでいた】
【魔翌力はあるが、身体能力はさっきの警官と互角程度。複数人に囲まれれば窮地に立たされる】
【ずっと前に剣士と戦ったこともあるが、歯が立たなかった。限界というものを、冥は既に知っていた】


なら、もっと鍛えて限界を上げるだけさ


【ふん、と鼻を鳴らして絞り出した言葉は、どこまでもロウを認めようとしないもの】
【限界なんて聞きたくないと言いたげに、冥はそっぽを向くのだろう】


>>729

【刺されるかもしれないのに――全然怖気づかない。警官を前にしてた方が、よっぽど怖がってたのに】
【よくわからない。本当に刺したら、ちょっとは怖がってくれるだろうかとか、そんな思考が過る】


……。


【そこから先は、自分で訊いておいてだんまりだった。返答を考えれば頭がおかしくなりそうだったから】
【両親が居ないのも、帰る場所がないのも、騙そうとしてると思ってたところまで一緒だった】
【なのに――今は違うと言う。何で変われたのか理解できない。理解できないし、認めたくない】

【 そうして――その感情が憎しみに変換されてゆく 】


………………わからない


【言葉の暴力も肉体的暴力も受けていないのに、何故か心が痛かった】
【痛む心がようやく絞り出したのは、肯定でも否定でもない曖昧な言葉だった】
【お節介かどうかは、本当に分からない。あの時逃げていればこんな気持ちにならずに済んだのだろうか】
【――そんな思いがまた、やり場のない憎しみに変わってゆく】

【――ロウが戻ってくる頃には、黒い魔翌力も短刀も消え失せているのだろう】
【思ったより強い、そう言われると小馬鹿にするように笑って「嘘つけ」と言うのだろう】
731 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage]:2014/08/31(日) 22:52:41.38 ID:EpAdtw14o
>>729 >>730

【その言葉の真意は何だったのか。「不満が言えたなら」とうことは、不満を言うものなら旦那がキレるとかそういうことなのか―――】
【などと考え込みながらも自販機に向かっていた。戻ってくれば短刀を突きつける少年がいたが、焦りや動揺もない。それはある意味鈴音への「信頼」】
【わたし、思ったよりも強いよ―――と言う彼女。それが事実であるからだ。ロウはこのような状況にも関わらず、呑気な顔でこう告げるのだ】

あー、お茶普通のしか無かったんだけど勘弁な。こればっかりは俺じゃなく自販機に文句言え。
で、お前はサイダー。炭酸が嫌いな奴たまにいるけど俺は信じられねぇな……ま、置いとくぞ?

【コトン、と置いてから。先程の予想を飛ばしたのだが、直接彼の口から零れる前に答えが分かった。寧ろ逆、親だけが彼の味方だったのだ】
【増幅する憎悪が言葉を介さなくともロウに真実を教えてくれる。言葉と魔翌力の威嚇に対し、ロウが告げるは謝罪の言葉と、再度の忠告】
【―――実は今の質問、このような回答が来るのを分かってわざと投げかけた。憎悪の増幅具合がどの程度かを知りたい故に、である】

―――あ……逆か。悪かったな、予想でそんな両親を悪者扱いして……でもさ、両親は信用してたんだろ? 違うか?
更に言うが、この程度でそこまで怒ってたんなら簡単に暴走すんぞ、お前。「そうはならない」って言ったがその根拠でもあるのか?
自信と過信は別物。俺にはお前のその発言が自信によるものか過信かは分からない。そりゃそーだ、お前とはさっきあったばかりだしな。

ま、用心に越したことはねェ。唯一の味方を悪者扱いしたんだから怒って当然だが―――それで我を見失えば死に直結だ。それは理解しとけ。

【肌に突き刺さる憎悪は確かに嫌と言う程に伝わる。それでも気圧される―――と言った様子はない。憎しみの交じり合った戦場は、こちらも嫌という程に味わった】
【恐らく「両親」がキーワード。コレを攻めれば暴走する可能性は高い……などとロウは分析。いつか身を滅ぼすのではないかと不安は募るばかりで】
【故にもう一度、念を押すように忠告する。少年が知る筈も無いが、この男の戦闘経験は豊富。思いつきで発言している訳ではない。更にロウは言葉を続けて】

―――教える人がいないのに、か? 手探りで簡単に強くなれる程甘くねぇ。努力すればなんとかなる……というのは半分正しいがもう半分は間違いだ。
正しい方向に、正しい方法で。そういう前提があって初めて努力は身を結ぶ。1人で強くなるってのは正しい方法とは言えねーな……

武術だって何人もの古人の知恵が幾層にも重なって生まれてるんだ。1人だけじゃそんなもん完成するわけがない。
俺も一人じゃ3m前の物も撃ち抜けないね。師匠がいたからこそ、一人じゃなかったからこそ。
他人から技術を盗んだからこそ―――目で見える範囲なら百発百中よ。

【そっぽを向いた彼を気にすることなく続けた言葉も厳しい内容だった。強くなるということはそんなに簡単じゃない】
【そう語る男の双眸、その紺碧の深い色は―――男が生きてきた強くなるまでの軌跡の重さを示しているかのようでもあった】

732 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/08/31(日) 23:15:31.75 ID:HGpG1ibt0
>>730>>731

【お茶を受け取って、普通のお茶であることにちょっぴり口を尖らせて不満を示す、でも、それはどうしようもないって】
【あっさり諦めながら、ベンチの空いたところにすとんと腰を下ろす。もちろん、冥がその前に拒絶すればやめるだろうが】
【何にもなければ、隅っこに腰掛けて――お茶をめっちゃ飲みながら、二人の会話を聞いているのだった。視線を動かして、】

わたし、炭酸嫌い。じゅわじゅわするの、嫌なんだもん。

【ふーっと思い出したように言うのは、タイミングがずいぶんズレている。だから、返事に対してはあんまり期待してなかったし、】
【でも、両親のことで妙に険悪になっている二人が、必要以上に拗れないように――気にしているようでもあって、】

【もし本当に刺されていたら、その表情は変わっていただろう。でもそれはきっと怯えじゃない、“かわいそう”って】
【そんな目で見るはずなのだった。まだひとの暖かさが怖いだけ、野良猫が引っ掻いてくるのと同じようなものって、思うから】
【暖かさに気付くきっかけになりたいと思う。ひとは、世間は、思ったよりも怖くないんだよって、教えてあげたかった】

わたしはね、会えたんだよ。お母さんみたいな、お父さんみたいな、とっても、とっても、大切なひと……。
ううん、お母さんとかお父さんより、大切かもしれない。だって、そのひとはね、わたしなんて知らない子なのに、家族にしてくれたの。

たまたま会っただけのわたしの、家族なんて居なくなっちゃったわたしの、“おとうさん”になってくれた、ひとなの。

【きっと、あの頃の自分だって分からないって答えただろう。いくらこんなこと言われたって、信じられなかっただろう】
【あなたとわたしの違うところ。とっても大切なひとに出会えたって、きっとそれだけだ。それだけだけど、大切なこと】

うそじゃないよ、わたし、そのひとにいろいろ教えてもらったもん。
魔力の使い方とか、魔術とか、刀の使い方とか……他にも、いろいろ教えてもらったんだから。

わたしの“旦那さん”は、わたしより、もっとずっと……わたしなんて全然だめだめなぐらい、強かったんだよ。

【――或いはひどい話だったのかもしれない。初めから別世界のひとなんてどれだけ幸せでも妬ましいけど羨ましくない、でも、】
【同じ境遇だったという彼女が、そうして、平和に生きている。“お父さん”だか“旦那さん”だかと一緒に、しあわせに、】
【「ためしてみよっか」なんて冗談めいて囁くくせに何もしない。くすくすと笑っておしまいな、そんな、からかう仕草】

……でもね、居なくなっちゃった。どこかへ行っちゃったの、もうね、生きてるかも分からない、……。

戻って来てくれたときには、もっといい子で居ようって思ったの。いい子で、待ってようって。
わたしは悪党のボスとか倒せないし。そんなの怖くて出来ないけど。……でもね、同じような子は助けられるかもって。

だからね、したんだよ。お節介だったって言われるかもしれない、うざいって言われるかもしれない、でも、

この世界って、思ったより優しいんだよ。怖くないんだよ。……気付いてくれる、きっかけになりたいな。

【左手を太陽にひらり翳す、顔に黒く影を落として、逆光の中で強く煌く銀の指輪は、まるで目印のような】
【きちんと指輪をしていればまた会える気がした。だから、絶対外さない、これも、そう決めたことのうちの一つ】
【――独りだった少女は、そのひとと出会って二人になって、また一人になった。でも、今度は、独りじゃないなら】
【いつかの自分みたいな子を、暗がりの中から連れ出してあげたかった。明るい場所へ、陽の当たる、この世界へ】

【とっておきに優しい、本当のお姉さんみたいな表情で彼女は言う。冥に向けた笑顔は、ただ、どこにも嘘なんて見えなかった】

【(――“あのひと”が居なくなったという話はロウにも聞こえただろう。でも、あんなに傾倒していたのに、なんだか大丈夫そう)】
【(これはこれで成長なのかもしれなかった。――そう、だから、「言えるもんなら言ってみろ」――なんて言ったのだろう)】
733 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/09/01(月) 00:14:11.73 ID:Om32n7eVo
>>731


この程度? 僕が唯一信じてた存在を、君はそんな言葉で片付けるんだ
ねえ教えてよ。君は目を抉られても笑ってそれを許すのかな
狭い部屋の中に数年閉じ込められても笑って許せるのかな

ああそうさ根拠なんて無いよ。今ここで暴走したっていいくらいだ
わかった理解するよ。理解するから――もうそれ以上、何も言わないでくれ


【ずくずくと、また憎悪の魔翌力が漏れ始める】
【これ以上聞きたくないとばかりに頭を抱え、支離滅裂に言葉を並べる彼の脳内には】
【果たしてどんな思いが巡っているのか、それはわからない。しかし――少なくともその様子からは】
【暴力的なまでの感情が渦巻いているとわかるだろうか】


正しい方向に正しい方法だろ。なら合ってるよ
僕の魔翌力は何かを憎悪すればするほど大きく膨れ上がる
たまに訳がわからなくなるけど……相手を憎めていれば問題ないよ


【強くなることは簡単なことじゃない。身体を鍛えてもたいして強くなっていかないのだから、それは知っている】
【でも感情は別だ。それは底の知れないもの。それと深い関係にある彼の力は、どこまでも強くなる可能性を秘めている】
【ただし制御できるかどうかは――ロウの言うとおり、既に疑う余地が十分にあった】


>>732


なら、僕は――


【運が無かっただけなのか――そう言いかけて、止めた】
【そもそもそんな人と巡り合えていたとしても、自分はもうその人さえも信じられないのだから】
【傷つけたくないと思う人ならいる。でも、それは信じているからなのか、わからない】


怖くないわけがない。怖いさ。本当に怖くないなら、僕はここにはいない
それに――あの時から僕は独りになったんだ。生きていけないから、だから契約≠烽オた
なのに今さらそんなこと言われても、信じられるか……っ


【自分へと笑顔を向ける鈴音。彼女が嘘を吐いているようには見えない】
【長く接することのなかった優しさ――それすら信じられなくて、その境界があやふやになって、思考が乱れてゆく】
【彼女を直視することもできなくなっていた。その笑顔にあてられれば、自分というものが壊れそうだったから】


……教えてよ。……どうすれば信じられる? どうして君は信じられた?


【ぽつりと、どこか違う方を向きながら、彼はそう、鈴音に問いかけるだろうか】


//めちゃくちゃ遅くなってすみません…
//もう寝ないといけないので置きスレに移行して頂いてもいいでしょうか…
734 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage]:2014/09/01(月) 00:21:33.25 ID:UKIQOOPmo
>>733
/了解です、自分は次で〆なんで書いておきますねー!
735 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/01(月) 00:22:11.89 ID:/GriwFBs0
>>733
/だいじょうぶですよーっ
736 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/09/01(月) 00:31:26.01 ID:Om32n7eVo
>>734>>735
//長引かせてしまって申し訳ないです
//自分も明日帰ってきたらすぐお返事書きますね…
//ではおやすみなさい…
737 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)2014/09/02(火) 08:32:23.16 ID:/VCdmL0w0
【その痛みを、僕は知っている】
【脳を突き刺す痛み、大脳が横に裂けていくような激痛】
【発生していた不快感を痛みと感じたのは数分前】

【いつもどおり、バイトの帰り道のことだった】
【多くの人が様々な行き交う大通り】
【雑踏は目と耳を覆うようなほど強大で、人ごみはあまり好きではなかった】
【「少し帰り道を変えよう」、そう思うことは決して珍しい思考ではない】
【そもそも、新しいものを発見することが好きな自分にとって普段通らない道というものは非常に興味深かった】

【わき道にそれた、裏通り】
【この世界において、この手の道が決してよいものではない事は十分知っている】
【だが、まだお昼時。少し雲がかかってお日様が見えないがこんな時間に危険な連中はそうはいないはずだ】

【その決断を脳内で済ませて道なりに進んだときに、見た】


【真っ赤に血走った目に、鋭い八重歯】
【その整った顔立ちを鮮血に染めた男性を見たのだ】
【日の光に当たらない、日陰で】
【すでに真っ青な女性の首筋に噛み付いて、体液をたっぷりと口内に流し込む人物を】

【―――――本で読んだことがある】
【日の光を嫌い、人の血を飲んで生きていく生き物】

【確か――――――吸、血鬼―――――】


―――――――――。

――――――。

――――。



「な、何で……こ、こんなに……痛ッ!!!」

【そこは真っ赤だった】
【壁もアスファルトも近くを流れる用水路も】
【その場にいる―――――惨たらしい死体とたった一人の少年も】

【肩に届く程度に伸びた白色の癖毛】
【宝石を思わせる紅色の瞳】
【細く線の細い華奢な女性的な身体をした少年】
【白のカッターシャツに黒のベストを身に纏っている】
【両腕には「盾」を思わせる赤い刺青が入っおり】
【首には何らかのタグのようなペンダントがついている】

【腹部や手足を破壊された男性の遺体を前にして、座り込んでいる少年の姿がそこにあった】
【頭を押さえ、まるで痛みに耐える様に苦しむ姿は破壊衝動を抑えるかのようで】
【その凄惨たる現場を、作った張本人に見えるかもしれない―――――。】

【話しかけるのは危険かも知れない。 貴方の自由だろう―――――】
738 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/09/02(火) 09:01:57.69 ID:XjESVNsD0
>>737

【お団子ヘアーに動きやすそうな赤いジャージと真っ白な運動靴の少女―――そしてその背中から、顔を覗かせる二匹の蛇】
【蛇達が血の匂いに反応して―――ちょっとした興味本位で、裏通りに足を踏み入れた】

なんですかこれっ……お前、頭痛いのですか……大丈夫ですかっ?

【真っ赤な世界。全てが、少年も赤く染まっていて―――一瞬だけ血の匂いに顔を顰める】
【フワフワとした足取りで、頭を抑えている少年へと近付いて、優しく声をかける】
【背中から顔を覗かせる二匹の蛇は血に興奮しているように見えるが、少女から敵意は感じられない筈】 
【少年が何かの事件に巻き込まれただけ―――と少女は思っているから】
【少年がこの凄惨な現場を作った―――なんて可能性などは、微塵も考えていない】
739 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage]:2014/09/02(火) 09:24:46.08 ID:/VCdmL0w0
>>738
痛っ……!! 痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!
頭がっ! 何でこんなに……!!

【その真っ赤な手できめ細かい白い髪が汚れることを気にもせず】
【ピチャピチャと生臭く液体の滴る地面に頭をこすり付けるように絶叫する少年】

【明らかに正常ではないその様子に、一種の狂気すら―――――――。】

僕はッ―――――!一体…何者なんだ……!
何が!一体!どうなって―――――!

【もう、声が声とは感じれない】
【耳を劈く音としか感じれないような空気の振動を放っていた】

【だが、その絶叫もすぐに止んだ】
【自身が撒き散らされた音に紛れた声に気がついたのだ】
【振り返り、その少女に気づく】
【自身の狂気とは真反対にいるような―――――優しい声だ】


―――――く、来るな!
来ないで!見ないで!………こっちに来たら!僕は! ………僕は!!


【思わずと言っていいだろう―――――――後ずさる】
【臓物を押しのけて血の上を這って、屍に躓きながら少年は自分の顔を隠すように】

【たとえ脳内で爆発が起きたような頭痛でも、今の自分は時間とともに理解できた】
【きっと僕はこの血の池を作った】
【理由はわからないが、僕はまた同じことをしてしまうかも知れない】

【目の前の少女を――――解体するかもしれない】

【歯をガチガチ鳴らせて、おびえるような少年の姿がそこにあった】
740 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/09/02(火) 09:47:10.71 ID:NW8n64rX0
>>739
つっ、お前っ……

【髪が汚れることも構わない、といった様子で地面に頭をこすり付け―――絶叫する少年】
【その圧倒的な狂気を感じ取って、少女は数歩後ずさる】

何者?……なに言ってるですかっ?
落ち着いてくださいよっ……

【酷く錯乱している少年に、落ち着くように促すが―――効果は期待出来ないか】
【血を踏まないようにして、少年にゆっくりと恐る恐る近付く】
【少女の体がカタカタと震えていることは ―――分かるだろうか】
【こんな現場を目の当たりにして、恐怖を抱かない筈がない】

大丈夫ですよっ……風はお前に何もしませんっ……体が汚れちゃうから、やめるですぅ

【臓物を押し退け、血の上を這って屍に躓きながらも顔を隠そうとする少年】
【怯える理由―――自分を解体してしまうかも、なんて少年が考えていることは分かる筈も無くて】
【そして少年に手が届くところまで近付けたのなら―――そっと、怯えを取り除こうとその頭を撫でるだろうか】
741 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage]:2014/09/02(火) 10:03:50.85 ID:/VCdmL0w0
>>740
来ないで……僕は、僕は………!!

【もしかしたら、この手で殺してしまうから】
【もしかしたら、君をここに転がっている屍の仲間にしてしまうから】
【そんな恐怖が全身から湧き出て、頭の上から足の先まで】

【そんな得体の知れない不気味な感覚に飲み込まれていって】
【震えて何もできないのだろう少女の伸ばした手を払うこともできなかった】


――――――――――――――――――……。


【その感覚に、少年の動きは止まった】
【頭の先から感じられる暖かい感触】
【優しくて、安心できて、―――――――――とても、懐かしいものだ】

【何か、フラッシュバックのようなものが見えた気がした】
【ここではないどこかの感覚を】

【少女からでも感じ取れるだろう】
【震えがとまり、確実に落ち着く心臓の鼓動を】

【頭を撫でたお陰だろうかと―――――推測できるかも知れない】


―――――――おか、あさん。

【ポツリとつぶやいた】
【ここにはいなくて、もうどこにもいないかも知れない人】
【ずっと前にこの頭を撫でた人を】


――――きみ、は………?


【そして、目が合った】
【恐怖と怯えが無くなり、きっと正常になりつつある彼の顔を】
【無垢な子供を連想する整った顔立ちの少年だった】

742 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/09/02(火) 10:28:16.06 ID:EcnjbVr50
>>741

【少年の頭を優しく撫でると、―――動きが、震えが止まって、心臓の鼓動も確実に落ち着いていた】
【それは頭を撫でたおかげか、―――少女は少年の頭を撫でる手を止めないだろう】
【少年が嫌そうな態度をみせれば、即座に辞めるが】

……おか、あさん?風はお前のお母さんじゃないですよっ、……勘違いするなですぅ…。

【お母さん―――少女は自分のことを言っているのかと勘違いして、不機嫌そうな表情で言葉を紡ぎ】

…風は、風ですっ……お前の名前も聞かせろですぅ。

【自分の名を名乗り、―――相手にもそれを求める】
【そして、少年が名乗ったのなら―――少女は「お前、こんなところで何をしてたのですかっ?」と、死体を横目で見ながら問うだろう】




743 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage]:2014/09/02(火) 10:49:38.22 ID:/VCdmL0w0
>>742
クリス……クリス・アウトロードといいます…

【少年はその問いに、ぎこちなくながら答えた】
【その撫でられる手を見ながら、少し恥ずかしそうにしている気がしないでもない】
【しかし抵抗しないところを見ると、案外嫌ではないらしい】
【結構子供っぽいのだろうかという印象だ】

………それが、よくわからないんです…

【それが、クリスの見解だった】
【彼は確かにバイトの帰り道にこの男に出会ったのを見た】
【そこまでは覚えている、だが何か―――――】

【脳内の何かのリミッターが消えたような、他者に体を預けている感覚】
【そう、彼女に伝えた】

…………そして、気がついたら……彼を…

【視界にその屍を入れる】
【ほんの一瞬、それを意識してみただけで頭痛が走った】
【顔が歪み、目を逸らす―――――そんな動作は少女にもわかるだろう】


【クリスが何もわからないのなら、当然次に考察すべきはこの死体の男が誰かという点だろう】
【中身は飛び出て、液体という液体はすべて撒き散らされてもなお、この男は何者かわかるかもしれない】

【絶望になすすべなく口を大きく開いた顔から覗く犬歯】
【その大きな歯から想像しがたくない―――――――御伽噺でも知っているだろう。吸血鬼といった存在】
【事実撒き散らされた血は日陰にしかない】
【試すまでも無く、その血は日向で綺麗に蒸発するのであろう】

【この少年が吸血鬼を殺したのだろうか、と考えに至っても不思議ではない】
744 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/09/02(火) 11:41:59.92 ID:6tCWjUD70
>>743
クリス・アウトロードですかっ…ふふっ、いい名前ですぅ。

【抵抗しない少年、恥ずかしそうにしているが嫌では無いらしく―――少女はその様子を見て、屈託の無い笑みを浮かべた】


……よくわからないですかぁ…うーんっ、さっぱりですねぇ

【少年に分からないことが少女に分かる筈は無く、唸りながら首を傾げる】

リミッター……ですかっ?……うーん、おばけでも乗り移ったんですかねぇ?

【少女なりに、考えて見て、導き出されたのはそれだが―――まあ外れだろう】

……殺した、ですかっ……

【此処まで来れば流石にこの少女にも分かる。少年が、―――男を殺めたのだと】
【表情を引きつらせながら、死体をはっきりと見る】
【それは、漫画やら童話やらの世界でしか見たことの無い存在―――吸血鬼】
【そして、少年が吸血鬼を殺めたというのなら警戒せずにはいられない】
【蛇を、少年には悟られない様に両腕へと移動させ―――いつでもダガーへと変えられる様に構える】

あのっ、ここから出ませんかっ?こんなところには居たくないですっ…

【少女は少年の手を取り、この場から急いで離れようとするだろう】
【勿論、少年がそれを拒もうと自由―――だ。少年はどうするのだろうか?】












745 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage]:2014/09/02(火) 12:23:08.91 ID:/VCdmL0w0
>>744
こ、殺してなんか……!

【いない、と言えればよかったかもしれない】
【だが、この状況でその台詞を口にすることができなかった】
【確定的、もしかしたら100%自分が犯人かも知れないのだから】

【そのクリスの表情はとても、寂しくて―――――】


えっ、あ、はい!


【そして、風の差し出された手を拒否することはなくて】
【そのまま立ち上がり彼女に手を引かれるだろう】


えっと、手が汚れてしまうんじゃ……それに、どこへ…?


【白い髪を所々赤く染めて手は真っ赤なクリスは彼女の手が汚れてしまうことを気にしたのか】
【見知らぬ人とはいえ、あまり迷惑はかけられない】
【そう思っての発言だろうが、彼はきっと彼女に引っ張られるようについていくだろう】

【彼女がどこへ向かおうと手を引かれるままについてくるはずだ】
746 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/09/02(火) 18:26:39.75 ID:gu5j2Rlk0
>>745

………そうですねっ、クリスは殺しなんてしてないですっ、私が保証するですぅ

【こんな幼気な少年が殺しなんてする筈がない。きっと運悪く巻き込まれただけ―――、】
【少年のその寂し気な表情を見て、そう信じることにした】

あっ……大丈夫ですよっ、全然平気ですぅ。

【一瞬、手を離してしまいそうになったが―――それは少年を傷付ける行為だと思って、逆にもう離すまいと強く握りしめた】


そうですねぇ……風の家に行くですぅ。
……そういえば、クリスに家はあるのですかっ?

【自分の家へ、少女は人気の少ない道を選んで向かう】
【そうして少女に手を引かれ、少年が着いて来れば―――ごく普通の一軒家を目にするだろう】
【中に入れば、一人和服を着た女性が「あら、いらっしゃい。風のお友達ね?」なんて優しく言うのだ】
【真っ直ぐに風の部屋へと向かい、「とりあえずお風呂に入るといいですぅ」と、少年にお風呂に入る様に促す】
【その部屋は全体がピンクの如何にも女の子らしい部屋と言えるだろう】
【熊やら蛇やらの可愛らしいぬいぐるみが、乱雑に散らかっているのを指摘されると、頬を赤らめて「今片付けの最中なのですぅ」なんてバレバレの嘘をつくのだ】

【そしてお風呂から上がってクリスが風の部屋へと戻ってくれば、オレンジジュースをベッドに体を預けて飲んでいる風が目に入るか】
【そして少年にそのオレンジジュースを差し出しながら、「クリスも飲むですぅ?あ、お腹空いてますかっ?」なんて問いをぶつけるのだろう】


/遅れましたすみません!
747 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)2014/09/02(火) 19:02:30.29 ID:YXJkycZ20
748 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/09/02(火) 20:52:58.48 ID:dGJ7lck1O
解体するぜ
749 :終焉を齎す者2014/09/02(火) 20:54:43.38 ID:dGJ7lck1O
ククク…あーっはっは!

【ビルの上で高笑いをしている】
750 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県)[sage]:2014/09/02(火) 20:59:18.39 ID:Np+zLOkQo
【コンビニの自動ドアが開き、灰色のブレザーに身を包んだ薄い金の両眼の少女が店内から蒸し暑い外へと出る】
【片手にはアイス、もう片方の手で抱え込むはポスターの束。少女は自動ドアへと振り返り90度に頭を下げながらもアイスを一囓りすれば】
【そのままアイスを小さい口に咥えながらポスターを1枚束から引き抜き、ポケットからセロハンテープを取り出し―――壁へとペタリ】

ふーっ、これでノルマは達成したのです。少なくとも怒られることは回避できたのですよ……!
いちいち許可取らないと貼れないなんて不便……というか、なんで皆さん毎回ミリアのこじんじょーほーを詮索してくるんですか!?
そんなにSCARLETのマークが似合わないのですかね、もう……

【―――以下の人物を探しています。目撃した方は水の国自警団もしくはSCARLETへ】
【大きく赤でそう書かれた文字の下には、白衣を来た老人。いかにもマッドサイエンティストという外見をした男の画像と、その下には「ガルボ博士」という名前】
【このポスターに、先程彼女が零した言葉。そうなれば先程自動ドアへ頭を垂れた行為も納得がいくだろうか】
【つまりドアの隔てた先に居たコンビニ店長へ向けた、ポスターを貼る許可を頂いた故の礼―――と、言うわけだった】

【彼女から零れたその言葉の中に潜むは、見た目不相応の単語。―――そう、「SCARLET」というワードだ】
【SCARLET―――カノッサやGIFTと闘う特殊部隊。常に死と隣り合わせの血に塗れた職業でもあり、世界を守るための盾でもある】
【本来なら屈強な男が所属するべきにも見えるその部隊に彼女が所属している―――となれば、違和感は自然と膨れ上がるだろうか】

【ミリアと名乗る少女が、ポスターを金の瞳で見据える。右手をブレザーの左胸に当てる。そこに縫い付けられたマークは決して校章ではなく、SCARLETの緋色の鷹―――】

……―――おじいちゃん、絶対に見つけるのですよ。……ミリアを置いてってどこかに行くなんて許せないのです。
しかもGIFTと一緒にいるかもなんて……絶対に嘘です。おじいちゃんは正義の博士だってことを世間にもしらしめてやるのです!

【力強く誓う言葉は、周りの気になど一切ない大声量。ポスターに描かれた男を真っ直ぐに見つめて叫ぶ言葉には、本気の想いが乗せられていた】
【ところでこの「ガルボ博士」と言う名前―――記憶力の良い人ならば引っかかるモノがあるかも知れない。……2年前に起こった、ルルーメン国際学術会議襲撃事件】
【水の国を執拗に攻めたかつての六罪王コーネリアスが、初めて他国―――夜の国を襲撃した事件であり、その理由としてこのガルボ博士の存在があったというが……】


――――――――――――――――――


【路地裏】

【この世界の路地裏というのは、ある意味死に最も近い場所と言っても過言ではないのかもしれない】
【不良たちがこぞって集い、血の匂いは常時充満して、異臭がしたと思えば大体の原因は死臭】
【「死にたくなければ路地裏には近づくな」という言葉は、最早世界の共通認識なのでは無いだろうか】

【従って、そんな所でくつろいでいる輩など―――狂人か悪人か、それとも命知らずか戦闘狂くらいなのである】

……―――ックックックくく……ひっひっひひひひ……遂に……遂にやりやがったぜアイツ!!
あーあ、始まっちまったよ……うひ、うひひひひひひ……。 これで3軒目? やっと怪しんできたみたいだなぁウスノロ共もよぉ……くひひひひひひ……。

【影に染まる路地裏、そこにドサリと腰を下ろして新聞を床に広げている褐色の男が一人。広げたページの見出しは「能力者変死体、またもや発見」】
【黒の半袖パーカーにロールアップした茶色のジーンズを履いたニット帽のこの男が―――この記事を見て下卑た笑い声を漏らしているのだった】
【路地裏で呑気に新聞を読む行為自体おかしいのだが、この記事で大笑いしていることはもっとおかしい。しかも「アイツ」と言う言葉はまるで犯人を知っているようで】

―――で、あそことあそことあそこで起きたのなら……ああ、次はあっちね。面倒臭ェことよくやるなァ……
でも警察も自警団も無能だしよォ、4軒目でもアイツのメッセージには気付かねぇんじゃあねぇノ? ……うひ、くひひひひひっひ……!!

【顎を撫で回しながら一瞬考えこめば、「ああ」と納得のいったような表情を浮かべ、そして再度嗤う】
【この男つまり、最近起きているこの「能力者変死体事件」はまだ終わりではない―――と、そう言いたいらしい。男の笑い声は、路地裏のコンクリを残響していた】

/どちらかお好きな方を……
751 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/02(火) 21:11:03.84 ID:eGtq08cCo
>>750
ククク……
【俺が路地裏を歩いている】
752 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/02(火) 21:53:45.92 ID:eGtq08cCo
>>750
/あの〜、返信はまだでしょうか?^^;
753 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/09/02(火) 23:34:19.80 ID:KGvwbh/10
【とある遺跡から程近い森の中。何時もならば静寂であろうこの地も、今は不気味な気配に包まれていて】
【見遣れば徘徊しているのは兵士を象った数体の石像。手にした武器は石器にも等しいのだけれど――――鈍器として見れば実に脅威】
【並の人間相手ならばたった一振りで骨を砕き、或いは死に至らしめる程の力も持っているのだろう】


【さて、もう少し視線を奥へと向ければ件の石像達から隠れる様にして大樹に背を預けている人物が一人】
【腰程にまで銀色の髪を伸ばし、緑のローブを纏った女】
【荒い呼吸はつい先まで走っていた事を知らせていて、その視線も石像達に向けられて居る事からこの女が関わっている事も容易く読み取れよう】


「弱ったなぁ…………生き物じゃ無いから話しても伝わらないし…………
でも、ずっとこのままじゃ見つかりそうだし……うーん、コレを戻せば静まってくれそうだけど…………
イリニちゃんもステンちゃんも居ないから私だけじゃ……」

【手にしているのは古びた本と――――手鏡の様な物、か】
【大方、遺跡に眠っていた其れを取った際に石像達が侵入者を排除する仕組みだったのだろう】
【蹴散らすだけの力も無く、逃げたまでは良いが其処から手を打つ事が出来なくなったのが現状】

【――――この場所、魔物が出るとかでも有名で鍛錬を積む者が訪れる事も珍しくは無い】
【旅路で用いる者も多いことから、この場面に出会す事もそう珍しいものでも無く】

【先に女を見つけるか、石像を見つけるかによって展開は異なるだろうけれど】
【仮に女が先ならば何処か不安げな視線が其方へと向けられるだろうし、石像を先に見つけたのならば有無を言わさずに襲いかかる事だろう】







【路地裏――――少し奥まで入り込んだその場所】
【辺りに転がっているのは数人の男女の姿。然れど、呻きながらも皆息をしており】
【よく見れば出血も無く。更にはその者達全員が機関に所属する事を示す逆五芒星を手の甲に彫っている事が分かるか】


「――――一件落着、でありますか。少し手間取ったでありますが、大きな怪我を負う事も無く終えられて良かったであります
…………連絡も済んだ事でありますから、もう少しで自警団の方々が引き取りに来ると思うのですが……」

【その場に立つのは、軍服に身を包んだ少女だ。腰には軍刀を提げ、片目は眼帯で覆われ】
【藍色の髪を纏めるように被ったのは制帽。一切の乱れを見られない其れは、少女の気質を表している様であり】
【――――自警団の所属を示す腕章。そして、其処に着けられたバッヂ。この少女が紛れも無く正義の徒である事を示すのだが】


「最近はカノッサの動きも目立つようになって来たでありますね……。あまり気を抜く事も出来ないでありますよ……」

【呟き共に漏らされた溜息は現状を憂うが故か】
【路地裏となれば悪事を働く者も多いだろうし――――逆に、其れを阻止しようと見回りをする者も多い】
【だからこそ、この現場をそのどちらが目撃をしたって可笑しくは無い話であって】
754 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/03(水) 22:04:40.99 ID:mSRioDOS0
【街中――児童公園、ひっそりと置かれたベンチ】
【ブランコや雲梯、すべり台の影が長く長く伸びる、暗がりに褪せた遊具の色合いが、どこか寂しく見え】
【秋めいて涼しくなった気温も、またそれに拍車を掛ける。子供の声なんてするわけもないなら、別世界に迷い込んだ錯覚】

……――ら、ら、――……、――。

【子供の声のしない公園。けれど微かに聞こえて来る音階があった、誰も聞いたことのないような、優しげなうた】
【流れてくる音符を辿って視線を向けたなら。そこに居るのは一人の少女だ。古びたベンチに腰掛けて、街灯に照らされながら】
【どこで見つけてきたのか膝の上に乗せた猫を、あやすように、寝かしつけるように、――その首の後ろを掻いてやって】

【――腰まで届く真っ黒な髪は深く赤い花の髪飾りをあしらって、三つ編み交じりの黒髪を、花輪のように飾り】
【黒と赤、オッドアイの瞳はぼんやりと動いたり、膝の上の猫を見つめたり。自由に彷徨って、ただ、気はすっかりと抜けて】
【首元のボタンで留めた黒いマント。裏地は暗めの赤色で、中に着ているワンピースも、それに合わせたようにくらい赤】
【胸元や裾や、裾に向かうまでをフリルで飾って。ふわっと膨らんだ裾からは、パニエのくしゅっとした布地が窺え】
【薄手の柄入りストッキングに赤いパンプス。ヒールの高いそれは、ただ、丸い爪先のせいかあまりゴツくは見えないもので】

……あの子は何が好きなのかな。早く慣れてもらいたいの、好きな食べ物、とか――……、

……――あなたに聞いても分かるわけがないね。ごめんね、寝てていいよ――。

【ふっと歌が途切れる瞬間があった。夜に溶けていく鈴の音によく似た声の余韻、その中に混ざる言葉の連なりは、】
【膝上の猫に向けられて、ただ、膝上の猫を相手にしたものじゃない、曖昧なそれ。心中の考えごとをただ零したような】
【実際すぐに撤回してまた歌を再開するのだから対した悩みでもないよう。ただ、猫が頭を上げれば】
【よしよしと元通りになるようにやんわりと押し戻す仕草。「にゃー」と猫の声は、「知らない」とでも言うように思えて、】

【――猫を寝かそうとする少女と、寝かしつけられる猫の光景。ひどくゆったりとした空間でも、誰かが来るなら】
【真っ先に少女は気付いて視線を投げてくるだろう。蛇の目のように丸く艶めく一対、色違いの視線は、よく目立つ】
755 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/09/03(水) 23:32:31.78 ID:A9KPH4av0
【某遺跡から程近い森の中。何時もならば静寂であろうこの地も、今は不気味な気配に包まれていて】
【見遣れば徘徊しているのは兵士を象った数体の石像。手にした武器は石器にも等しいのだけれど――――鈍器として見れば実に脅威】
【並の人間相手ならばたった一振りで骨を砕き、或いは死に至らしめる程の力も持っているのだろう】


【さて、もう少し視線を奥へと向ければ件の石像達から隠れる様にして大樹に背を預けている人物が一人】
【腰程にまで銀色の髪を伸ばし、緑のローブを纏った女】
【荒い呼吸はつい先まで走っていた事を知らせていて、その視線も石像達に向けられて居る事からこの女が関わっている事も容易く読み取れよう】


「弱ったなぁ…………生き物じゃ無いから話しても伝わらないし…………
でも、ずっとこのままじゃ見つかりそうだし……うーん、コレを戻せば静まってくれそうだけど…………
イリニちゃんもステンちゃんも居ないから私だけじゃ……」

【手にしているのは古びた本と――――手鏡の様な物、か】
【大方、遺跡に眠っていた其れを取った際に石像達が侵入者を排除する仕組みだったのだろう】
【蹴散らすだけの力も無く、逃げたまでは良いが其処から手を打つ事が出来なくなったのが現状】

【――――この場所、魔物が出るとかでも有名で鍛錬を積む者が訪れる事も珍しくは無い】
【旅路で用いる者も多いことから、この場面に出会す事もそう珍しいものでも無く】

【先に女を見つけるか、石像を見つけるかによって展開は異なるだろうけれど】
【仮に女が先ならば何処か不安げな視線が其方へと向けられるだろうし、石像を先に見つけたのならば有無を言わさずに襲いかかる事だろう】









【とある都市。其処に存在する本屋】
【深夜帯まで営業しているその店は常に一定の客が出入りしているのだけれど】
【今宵の舞台は其の店の角。小難しい古文書だとかが所狭しと並べられた場所で】


「…………困りました。イリニの背ではあの本にまで届きません
ですが、寝ている店主を起こす事も気が退けます。踏み台でもあるならば、イリニは助かるのですが」

【純白のローブを纏った少女が一人、足を震わせながら背伸びをしていた】
【どうやら本棚の一番上に収められた『精霊ノ存在』と書かれた分厚い本を取り出そうとしている様だが……如何せん、頭数個分も及ばず】
【困ったと言いながらその声は全く以て無感動なのだから、少し可笑しくも思えるかも知れないけれど――――少女一人でこの事態を解決できる術が無い事だけは確かな様】
【もう一度背伸びをして手に取ろうと頑張るのだから、もしこの現場を見た者が居るとすれば危なっかしい印象を与える事だろうか】
756 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/09/04(木) 00:14:38.16 ID:kvRT29ll0
>>755

【本屋の一番奥の棚、とある一人の少年が、難しい顔をして本と睨めっこしていた。】
【人は見かけによらないというが本当だろうか、どう見ても体育会系な身体付きをしているのは服の上からでも分かって、】
【しかし視線の先にある本は「脳科学」だとか「記憶」だとか、そういう割りと特別で専門的な言葉がキーワードの物、】

【恐らく内容も濃い。背景知識が無ければ、母国語であっても何を言っているのか分からない、その位のレベルであろう、】
【この少年が読み解けるのかは不明だが――と思えばやはり、長い時間本棚の前に立っている。10分か20分か、その位。】
【結局決めきれなかったのか、それっぽい物を手当たり次第取り出していって、山積み。両手いっぱい、7,8冊を選んだ。】

【寝ている主人への対応に困っているのはこの少年も同じだった。自分が寝ている所を起こされるのは嫌いなのだから、尚更で、】
【どうしようかと悩んでいる内、ふと視界に入る少女の姿。手を伸ばして、一番上の本を取ろうとしている――、】
【………あと数センチ、届くか否かギリギリのラインというのなら話は別だが、しかしどうみても彼女、】
【そもそもどの本を取ろうとしているのかさえ、微妙なのだ。このままでは彼女の手がお望みの本に触れる事は、決してないのだろう。】

【……人が一生懸命に頑張っているのだから笑ってしまうのは良くないが、その姿はやはりどうしても滑稽に見えて、】
【しかし困っている人を見かければ助けるのが自分の本分。素早く切り替えれば、そのまま彼女に近付いて行って、】


………俺、取ったるから。……どの本?

【しかしそう言いはするがこの少年の身長、160cm代半ばで、寧ろどちらかと言えば低い方。同じく、手を伸ばしだだけでは届かない筈だ、】
【だが中々自信があるらしく。脇に抱えた本を側において、腕まくりまでする意気込み様……一体何をするつもりなのか。】


/まだいらっしゃいましたら〜
757 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage]:2014/09/04(木) 20:42:08.82 ID:lq1kTO260
>>746
えっと・・・一応、お世話になってる家はあります

【初めてであった自分に優しくしてくれた恩人の家だ】
【こんな自分に普通に接してくれる彼には感謝しているが、少し申し訳なく思っていたり】
【もし機会があれば、学園とやらの寮とやらに興味を感じる今日この頃だ】

【なんて現状を振り返りつつ、ほどなくして風の家に着いた】

あ、・・・お、おじゃまします

【他人の家に入る時にはこう言うのだと教えられたと思い出して】
【慣れてないような口ぶりで、彼女の後ろについて行く】
【そして、そのままお風呂へ案内された】

【常識知らずな面があるのか、風の思惑はちょっと理解できたのかできてないのか首を傾げて】
【そのお風呂を使わせていただいた】

〜〜〜〜〜〜〜。

・・・ふぅ。やっぱり気持ちがいいな・・・お風呂って。

【赤く染まっていた髪と腕はもとの白色を取り戻して】
【その整って幼い顔立ちを取り戻す】

・・・入るよ?

【髪をまだ少し湿られて、タオルを肩に乗せてノックをして風の部屋へ入る】
【初めて女の子の部屋に入る訳だが、少しドギマギする程度ですぐに床に座った】

あ、うん・・・頂くよ・・・

【受け取ったジュースを流し込みながら、「おいしい・・・」と笑みをこぼした】
【ちなみに水も滴るなんとやらな彼でもあるのでまあ、その笑みはよく似合っていた】

えっと・・・ありがとね。何から何まで・・・

【申し訳無さそうにクリスはそう口を開く】
【確かに、お風呂まで貸してもらってジュースまでと、少し気を遣わせたと思っているようだ】
758 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/09/04(木) 21:16:05.04 ID:iA0IiR0jO
>>757
へーっ…家が無いかと思ったですぅ…

【それなら良かった、と少女は安堵の溜息を漏らす】
【家が無いなら此処に…と考えていたが、不要だった様子】
【そして家に着くと、少年を真っ直ぐお風呂に行かせて】

……どーぞ!ですぅ!

【お風呂から上がってきた少年を、明るく迎える】
【すっかり赤は落ちていて、元の幼い顔立ちを取り戻していた】

……お菓子もあるですぅ、食べるですか?

【オレンジジュースを受け取って、流し込む少年。その笑みは良く似合っていて】
【板チョコを一枚持ってきて、「半分個ですぅ!」半分に割り、少年へと差し出す】

…大丈夫ですぅ!気にするなですよ!
……クリスはこれからどうするのですか?

【全然申し訳なくなんか無い、と少女は思う】
【困った時は助け合うのが人というもの】
【そしてそれは、必ず自分に帰って来てくれる】
【クリスはこれからどうするか、聞いてみる。家があるなら帰るのが普通なのだろうが】
【先程の出来事がどうしても気になって…でも聞けば、少年の心を抉ってしまうか】
【なんて考えながら、少女は悶々としている】

……
759 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage]:2014/09/04(木) 21:44:24.66 ID:lq1kTO260
>>758
あ、頂きます・・・! 甘いもの好きなんですよ

【半分の板チョコを受け取りながら満面の笑みになってたり】
【本当に好きなのだろう。かじりながら恍惚な表情だ】

・・・・・・うん、もう落ち着いたから・・・大丈夫・・・だよ

【「たぶん・・・」と小さくつぶやきながら視線を落とす】
【不安が消えてないのは当然だろう、きっと初めてではないのだろうか】
【自分が気がつけば誰かを殺しているかもしれない】
【そんな事実を、すぐに落ち着けとは難しい話なのだが】

・・・怖くないの・・・風は・・・

【こんな僕が、とその赤い瞳で風を見つめた】
【それは、クリスにとってあまりにも、聞きたい問いだったから】

・・・僕自身、僕が何者か知らなくて怖いんだ・・・生まれた場所も、生まれた日も、両親かもしれない人の顔なんてほとんど覚えてない
名前だって・・・・・・この名前も、僕のものか・・・

【風呂に入る前に外していたのだろう、首に付けていたネックレスをポケットから取り出す】
【そこに刻まれた、誰かの名前】
【自分のものかも分からない"クリス・アウトロード"という名前】

【―――――彼の生まれは、何なのだろうか】
760 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/05(金) 17:07:54.04 ID:zr9AzGapo
【水の国 街中】
キャーッ!!ひったくりよぉーー!!

【老婆の甲高い声が街に響く】
【そして高級そうなバッグを片手に走るガラの悪い男】
【後ろをチラチラと気にして、道行く人に「どけぇ!」と暴言を吐いては全速力で走る】

(あとはこの角を曲がっていけば…!!逃げ切れる!)

【一方彼が曲がろうとしている角の先には水色の制服――おそらく高校生であろうかという黒髪ツインテールの少女が】

いーつかーすってっきなおーうじっさまがー♪わーたしをむかえーに…

【王子がなんちゃらとかいう謎の歌を髪を結んでいる白いリボンを揺らして歌いながら歩いていた。おそらく学校の帰りだろうか?】
【そして曲がり角でドンという音とともに衝突するひったくりと女子高生】

いったーい!
【そうしりもちをついて言う彼女】

…このガキがぁ!!…そうだてめぇを人質にしてやるよぉ!!

【右手でナイフを取り出し左手で彼女の胸倉をつかむ――】
761 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/05(金) 17:08:13.82 ID:zr9AzGapo
【少女がナイフ男に胸倉を掴まれているその光景を見た瞬間ダッシュして向かっていく男が一人】
【茶色のテンガロンハットが特徴的な20歳のウェスタンファッションに身を包むその男は】

女性にそんな物騒なものを向けるとは…紳士の風上にも置けねぇよっ!!

【そう言いながら間髪いれずに周りの見えていないそのナイフ男の右頬にドロップキックを繰り出す】
【滞空時間の長いきれいなドロップキックである】
762 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/05(金) 17:08:31.17 ID:zr9AzGapo
【ナイフを突き付けて胸倉を掴まれた彼女はその時こう思ったのである】

(助けてっ…!!私の王子様っ…!!)

【その瞬間横から或る男がひったくりをドロップキックでぶっ飛ばしていた】
【「女性にそんな物騒なものを向けるとは…紳士の風上にも置けねぇよっ!! 」というセリフとともに】

か… お前は…マーシャル・T・ロウ…!!クソぉ…ついてねぇゼ…

【ぶっ飛ばされて地面にへばりつくひったくりはそう言うと気絶】

【その光景をポカーンと見つめる彼女】
【そして5秒ほどたってから】

ス…す…素敵…!!私をこの男から守ってくれたんですね!!
やっと…やっと見つけた…!!

――――――私の王子様――――――

【ロウに視線を移し顔を紅潮させ、興奮した様子でそう言う彼女】
763 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga sage]:2014/09/05(金) 20:18:10.07 ID:sJk+67LG0
【水の国 路地裏】

ゴミ共が……生きて帰れると思うなよ……!

【傍目にもまともに手入れをしていない事が分かるぼさぼさの赤髪が、険があるものの端正な顔立ちを小汚く彩り】
【デニム生地のベストと枯れ草色のミリタリーパンツ、安全靴と思しき重厚な靴で全身を固めている】
【まるで何かに苛立ちを感じている様な攻撃的な眼をしている、身長170cm前後の青年が】
【明らかに目の焦点の合っていない、4人のガラの悪い男たちを前にして、その目を更に怒らせている】
【その背後には、着衣を激しく乱した女性が1人、うつ伏せの状態で頭を抱えて、震えながら蹲っていた】

素手でも十分だ、ジャンキー共が……ッ!

【跳びかかってきた男の1人が手に握り締めたナイフを、青年の顔面へと叩き込む様に突きを見舞う】
【それを青年は右手で軽く横から払い、同時に左手の親指を構えると、跳びかかってきた男の眼へと思いきり突き立てた】
【思いきりのけ反る男の影から飛び出す様に、なお2人の男が涎を垂らしながらチェーンを振り回して吶喊しようとするが】
【青年は自分から1人に接近すると、両手でその首をグリっと捻じり、へし折り様にチェーンを奪い、もう片方の男の頭部にスイングして叩きつけた】
【重いチェーンを勢いよく叩きつけられた男の頬骨が、わずかに凹んでいる。そのまま横倒しに倒れた男からは、呻き声一つ上がる事は無かった】

「……ぁ……っ、ひ、ぅ…………ぁぁぁぁあああああああ!!」
逃げられるものか……まともに頭も働かずに……!

【出遅れた最後の男は、意識が混濁する中でも、それが危険である事を理解したのだろう。見栄も外聞もかなぐり捨てて、絶叫と共に走り去ろうとする】
【足元に転がる注射器を踏みつぶし、その背中に冷たい侮蔑の表情を向けながら、青年は虚空へとその手を伸ばし――――】

【妖しく光る紅いラインで複雑な文様が描かれた、ハンドボールほどの大きさの、金属製と思われる3つの黒い球体が、突如として顕現する】
【見えない力でも発しているのか、球体は青年のすぐそばをゆっくりと浮遊して】

――――――――ッッッ……死ね……………………!!

【青年の冷酷な呟きと同時に、その球体の1つが、逃げる男の背中へと高速で撃ち出された】
【足元の覚束ない男に対し、宙を真っすぐに飛翔する球体は、もはや比較にならない速度で肉薄し】
【一瞬の後にはその背に届きそうな『それ』は、今にも男の命を打ち砕こうとしていた――――】
764 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/09/05(金) 23:17:43.21 ID:GuBHU4YP0

【最早風化し、朽ち果てた小さな祭壇。街から離れた場所にある其れは、人々の記憶からも忘れ去られ】
【然れど、今宵は其処に人の姿が一つ分。緑のローブを纏った女、か】
【銀色の髪を腰程まで伸ばし、焦げ茶色の双眸。手にしているのは古びた魔道書であろう】
【魔力だとかに詳しい者ならば、その魔道書自体に様々な魔術が施されて居るのも感じ取れるかもしれないけれど】


「ずっと昔に使われてた祈りの場所、かぁ…………
今よりもずっと前は此処にも沢山人が来てたのかな……?」

【掌が祭壇を撫でる仕草は、過ぎ去った曾てを思う様。此処に集っていた者が祈りを捨てたのか、滅びたのか。幾多にも分かれる考察】
【だけれど、歴史が記された本だとかを持って居ない今は答えに至るのが難しくて――――それ故に、考える楽しみもあるのだけれど】


「戻ったら遺跡に行く前に此処の事をもう少し調べてみようかな
何だか、面白そうな場所だし……」

【――――岩を椅子代わりに座れば、辺りを見渡して】
【近づいてくる存在に気付くとしたその頃だろうか。其方へと視線を向けたならば、瞬きを数回】

【さて、この場所。魔物も出没する場所とされるのだから自警団だとかも見回っていたりするし、今宵は星々が良く見える夜なのだから散歩に出歩く者が居ても不思議では無い】
【何れにせよ、この女自身には敵意だとかは無いのだけれど、どの様に反応するかはその者の自由であって】








【櫻の国――――封魔城、と呼ばれる其処。古来より悪しき妖怪達を封印し、滅する為に作られたその城は妖怪と対峙する要の場所とも言えるか】
【その場を避ける悪しき妖怪は多いが…………逆に、無謀にも攻め落とそうとする愚かな妖怪達が多い事も又事実】

【城の近く――――其処に積み上げられた骨だとかは、その果てだろうか。其の頂きに座るのは一人の少女】
【深紅色の髪と双眸。纏うのはボロ布であって…………櫻には似付かわしくなく、強い“魔力”を帯びていた】
【否、少女の存在そのものが魔力の塊と表すべきだろうか。人間の気だとか、その様なモノは感じ取れないのだから】



「――――これでわたしのお仕事も終わりっ!……後で琴音からご褒美のあいす貰わないと」

【魔力を感じ取れる事に優れている者なれば、其れが“炎”である事が知れよう】
【更に詳しいならば、少女が謂わば精霊と呼ばれる種族である事も】

【魔力は存外この地に漂うし、何よりも未だ燃え続けて居る骸がこの闇夜の中では何よりの目印となる】
【もし、接触しようと近づいたならば…………紅の双眸は其方へと向けられる筈だ】
【まるで獣の抱く“敵意”だとか“警戒”だとかに等しい。どんな行動をするも、其れはこの場を訪れた者次第であるけれど】
765 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/06(土) 23:08:16.10 ID:uvCD1Q28o
【鬱蒼と茂る深い森】
【文明からは程遠い森は今この時間は闇に包まれている】
【唯一在る明かりと言えば雲間から漏れ出るわずかの月明かりのみ】


何故……私だけ、こんなところにいるのだろう

【響く声は被せ物でもしているかのようにくぐもっていて】
【その台詞は悲壮感を宿し、木々の隙間に溢れてゆく】


逃げ出したはいいけれど……
私の知っている場所の名残は無い……或いは、転移してしまったのか
確かめる術はあるが……しかし、こんな姿では――――――――

【隠れている月を見上げながらその黒き鎧は呟く】
【その者は凡そ人らしい姿からはかけ離れていた、首から上が存在しない虚ろな者】
【丁度デュラハンというのが丁度良いのだろうか】

【ただ騎士が持つべき剣は傍らにはなく】
【人らしい理性を持っているからには魔物と堕ちているでもない】
【苦悩を吐く人ならざる姿をした人、なのだろう……】

……こんな姿では、生きてもいけない
それに……[ピーーー]ない、私の身体は一体どうなってしまったのですか……。

【鎧は虚ろな身体を震わせる】
【カタカタと金属が鳴く、重厚な姿とは程遠く】
【主に救いを求める子羊のように両手を組んで誰へでもない許しを請うていた】
766 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/06(土) 23:37:02.15 ID:PuvndodV0
>>765

【“はっ”と小さく息を呑むような音がした。人物――デュラハンめいた人影の、その前方、木陰から】
【そこに誰かが隠れた様子は、視界さえ生きていれば目に入ったかもしれない。ふわりと長いマントを翻す、小柄な影】
【そして――まるで森の中でふっと出会う川のような清涼な気配。川か泉かが歩いてきたような錯覚を与える、水の匂い】

【――声を掛ける、或いは気付かない。どちらでも良かった、放っておけば、やがて“彼女”は姿を現す】
【木陰から、ひょっこりと顔を覗かせて……、探るようにと伏し目がちな視線が、刺激しない程度にデュラハンを見つめ】
【すーっと息を吸い込む音。一度目ははーっと吐き出す音が続いて、二度目は、むぐと吐息を身体の中に捕える様子が続き】

……こ、んばんは。

【控えめな声は鈴の音とよく似る。りんと夜の森によく響く声が鳴いて、現した姿は、やはり少女めいて華奢なもの】
【首元で留めた服のボタンを指先で弄ぶ――その左手の薬指に、銀色の指輪が嵌められているのが、少しだけ印象的だった】

【真っ黒い髪だ。真っ黒い髪に二房の三つ編みを編んで、深い赤を基調にしたヘッドドレスをそっと被り】
【黒と赤の瞳は蛇の目に似ていた。丸くて、少しだけ釣って、――右耳にだけ付けたピアスは、宝玉の欠片をあしらい】
【きちんと前を揃えたミニ丈のマント。ちらっと覗く隙間から窺えるのは、ふわふわと少女趣味のかわいらしい服装】
【マントの裾からふわっと広がるスカートの膨らみは、レースとフリルをたくさんあしらって。それだけで十分なほど】
【薄手のタイツと、赤い靴と。踊りたくなるような靴の赤は、ただ、今宵はしんと静かに足を彩って――、】
【――少女、だった。年頃は十五、六をやっと数えた程度に見える。華奢で、あどけなさを残して、夜の森には似つかわしくない】

どう、したの? こんな場所で……、……その、えっと……。

【“そんな恰好で”とかは言えなかった。少しだけびびっている、でも、大部分は不思議がっている――そんな、態度は】
【叫んで逃げ出すほど人外に耐性が無いわけではないらしい。話し掛けてくるぐらいには物好き、或いは、危機感が足りなくて】

【祈られて現れた天使にしては真っ黒い。スカートや靴や瞳は赤いが、そのほかは黒く、マントや髪のせいでその印象は特に強く】
【月明かりに輝くように肌は真っ白だが――黒と赤と白しか存在しないような少女だ。天使ではないが、ある種人外ぽくはあり】
【実際。彼女の纏う水の気配の中、ほんの僅かに――ヒトと違ったそれが混ざっているのは、気のせいでもなんでもない】

【蛇とよく似た瞳がじぃっと見つめてくる。このひとは何かって見定めるみたいに、――でも、怒らせたくは、ないように】
767 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/09/06(土) 23:40:19.37 ID:bISxD0NWo
>>765
【ざわざわと草木が音を立てる。風のせいではなく人によって】
【茂みをかき分けながら現れたのは男だった】
【真っ黒な神父服に身を包んだその胸元には黄金色に輝く十字架。それはGIFTという組織の証】
【服についた葉や枝を鬱陶しげに払いながら、その男は周囲を見渡していた】


すっかり迷っちまったぜ、情けねえ……
一応は迷った奴を導くのが仕事だっていうのに……!


【独り言の後に、忌々しげな舌打ちを一度。迷子になったらしい男は苛立っていた】
【しばし道を探すように視線をさまよわせた後、本来この森に存在しないものに気がついた】
【騎士のような姿――しかし首から上がないその存在は男に警戒心を抱かせた】


あれ動いてたか……?
くそ、迷子になった上に余計な仕事も加算かよ……


【げんなりした様子でそうつぶやくと、少しずつゆっくりと、慎重に鎧へと近づいていく】
【決してこちらからは飛びかからず、しかし相手が怪しい動作を見せれば逃亡も攻撃もできるように】
768 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/09/06(土) 23:50:56.78 ID:bISxD0NWo
//すいません引きます
769 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/07(日) 00:15:38.73 ID:CFyD29+p0
/わたしは複数でも大丈夫ですよー、なんて……
770 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/07(日) 00:19:17.36 ID:NBL5PmWZo
>>766

―――――――何者かっ!!

【その匂い、足音、そして吐息】
【かつて戦場に在った筈の騎士にとってそれらを捉える事など造作なく】
【佇んでいた所から飛び退きそして向き合い構えようとして……】

【されど掌に剣の柄はなく】
【情けないながらも徒手空拳の型を取る】

…………女性か、こんな森でよくもまあ
何が目的かは私が知る事ではないがこの場より早く去るといい
どうせ碌な事などあるまい……私には構わないでいい、何度も言うが早々に去れ

【少女の姿を見て、ああそう言えば人の姿を見るのも久しぶりか】
【敵ではないならば徒手は外し、されどその女性とも男性ともつかない声は冷たい】
【それは敵ではないというだけだから、導もない人生に自分以外の生き物は障害でしかないと告げるようであった】
771 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/07(日) 00:39:37.34 ID:CFyD29+p0
>>770

【彼女の存在はあっさりと気取られてしまう、誰何を打つ声に僅かだけ跳ねる肩は、けれど、物陰のせいか窺えず】
【続く言葉は変わらない。りんとした鈴の声、少しだけ気弱そうな――挨拶の言葉。こんばんはって、それだけだけど】
【たったのそれだけでこちらに敵意がないのが良く分かる声。木陰から妖精みたいに顔だけ出して、数秒、】

……お散歩、してたの。お月様が綺麗だから、……街の中より落ち着くの、こういう場所のほうが――。

【掛けられる言葉は少しだけ冷たい、或いは、こちらを気にしてくれているのかもしれなかったけれど】
【返す言葉は相手の強さに気圧されたか言い訳めいた語調になる。少しだけぼそぼそっとした喋り方になって、】

…………でも。困ってるなら、わたしに、できることなら……。

【困ってるんじゃないか――なんて訪ねて来るのだ。変わらず首元でマントのボタンを弄くる指先が、ボタンを一つ外してしまって】
【慌てたみたいに直している。そんなちょっぴりの慌て顔から表情は一転、相手を安堵させたいみたいに、ふわっと笑ってみせて】

【――もう相手の容姿にもだいぶ慣れたようだった。助けになりたいだなんて言葉は、どんな風に聞こえるのだろう】
【少なくとも、嘘とか、騙してやろうとか、そんな様子は窺えなかったが――平和ぼけみたいな、ふんわかがあるだけ】
772 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/07(日) 01:01:47.14 ID:NBL5PmWZo
>>771

――――――――貴方のような少女に、一体何が出来るというのですか

【その口調は毅然としていた】
【騎士としての資質を感じさせる口調は姿が完全でないのが惜しまれる】

主を護る騎士でさえ今の状況に途方に暮れるしかにというのに
それをただの少女でしかない貴方に出来ることがあるとでも?
精々、今のように散歩でもしているのがお似合いでしょうに……二度とは言いません、早く帰りなさい

【一歩踏み出す、少しでも脅して見せればきっと彼女も自分の元から去ってゆくだろう】
【手元に剣はないが騎士がただの少女に遅れを取ることなどあり得ない、そして少女などに救われるなどあってはならない】
【騎士は常に護る者であるべきだ、逆があってはならない】

【どれだけ堅物であるか計れようものだが】
【しかし首元から覗くことの出来る空はさながら今の騎士のあり方を示すようで】

【ならば欠落はどうすれば埋められようか、或いは空白に耐えられようか】
773 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/07(日) 01:23:42.67 ID:CFyD29+p0
>>772

【――また、ちいさな息の音がした。どうしようもないぐらいに本当のことを言われて、言い返せなくなった音】
【二十一年生きた。でも数え方を変えれば九年しか生きてない。得意なものはあんまりなくて、苦手なものはたくさんあって】
【何しろ人間じゃない。全うな人間じゃない。それだけで、なんだかもう、消えちゃいそうな気分になる日だってあるのに】

でも……、

【でも、蛇との混血を恥だと思ったことはなかった。神様の子孫ということを、嫌だと思ったことも、なかった】
【蛇は恰好良くてかわいくて素敵。あの神様はとっても綺麗で美しくて素敵。――でもそれは、何が出来るという言葉には繋がらなくて】
【きっと何にも出来ないと思ってしまうのは、気弱なせいじゃないと思う。ためらいがちに伏せた視線が、何度も瞬いて】
【足がふらふらと揺れる、それはきっと、逃げ出してしまいたいみたいに――泣きそうにも見える瞳を、何度も何度もぱちぱちさせて】

神様だって、首がなくなったら困るのに。……困ってないはず、ないのに……。

【気弱な声。だけど少しだけ拗ねたような調子の混じる声。どうしてそうなのかって、尋ねるような響きすら孕んで】
【一歩踏み出されると身体はまたびくりとする。でも足は逃げない、少しだけ猫背がちだが、じっと相手を見つめ】
【言葉の一つ一つがクリティカルヒットしているはずなのに、まだ逃げなかった。――そういうところだけ、意地っ張りで】
【むーっと口をへの字にして。最後にちょっぴりだけ頑張ってみる、これすら駄目だと怒られるなら、】
【――今度こそとぼとぼ歩いていくだろう未来を予言できるよう。とにかく、――少女は、まだそこに居座った】
774 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/07(日) 01:38:09.53 ID:NBL5PmWZo
>>773

――――――――……帰り道が分からないのではないのでしょうに

【もう護るべき主がこの世界にいるかも分からない】
【掌に在った大切な物は全て溢れてしまったに違いない】
【ならば自分には、この身体のように虚ろしか無いだろうというのに……】

【口が無いというのに溜息を零し】


……街までの付き添いくらいはしてあげましょう
人民を護るのは騎士の義務でもありますから、……はあ、頑固な子だ……
その年齢でそこまで頑固ならば将来が知れますね……まったく

【少女には期待をしていない、喩え首が見つかろうとも虚ろまでは埋まらないのは理解っている】
【だがそれはそれだ、自分に利益をもたらさないからといって騎士の努めを放棄してよい理由にはならない】
【ガチャガチャと鎧を鳴らしながら歩き出す方向は街へ、少女があっけに取られるならば「早くしなさい」とぶっきらぼうに吐いて】
775 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/07(日) 02:00:18.08 ID:CFyD29+p0
>>774

【こくりと頷いた仕草があった。それなら、帰り道は分かるのだと言う。あっちだと指差すのは、確かに街の方角】
【それなら本当にただのお散歩だ。頭の中の方位磁石がぐるぐるにならない程度にしか歩かない、気晴らしのお散歩】
【獣が居るかもしれない場所をうろつける程度に心得はあるのだろうが、特記するほどでもない。そんな、推測】

【溜息にふわりと持ち上げた視線、俯きがちだったから影に隠れ続けていた瞳が、ようやく月明かりに照らされて】
【続いた言葉に、ほんのりと――安堵したような色を浮かべたように見えた。突っぱねられなかったことによる安堵か、】
【とにかく。少女は数秒ほど遅れてからその後を着いてくる。身長百六十センチの歩幅は、思ったよりも小さくなく】
【彼女自身自分より大きい存在と歩くのに慣れているようだから、あまり焦れることはないだろう。問題は、】

……目、見えるの? だいじょうぶ?

【――なんて、少女が尋ねてきたりすることだ。ちょっとためらいがちだが、訪ねて来るという事実は変わらず】
【でも、それも突っぱねておけばそのうちに黙る。応じてしまえば、そんな質問が数度投げられることになるだろうが――】


……わたし、やっぱりいいよ、……ひとりで帰る――。

【どちらにせよ。いつかこう呟くことは変わらなかった。ちょうど街まで半分ぐらい歩いた辺り、すぐ近くで梟の声がし】
【今更申し訳なくなってきたのかもしれない。――別に大丈夫だよって呟いて、ふっと、その足が止まった】
776 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/07(日) 02:15:05.44 ID:NBL5PmWZo
>>775

見える……というよりは感じ取れます
今の状態が人の身ではないからかもしれませんね、といっても視界は貴方とそう変わらない筈です
まあ……なんでしょうか、それなりには不思議ですが――――――――

【勿論こんな自分の身体の状況に最初の内は驚き恐怖さえした】
【水鏡に映る姿はかつてとは大きく変わっていた、あの蒼い鎧も深淵よりも尚暗い黒に変わっているし】
【何よりも在るべき頭がどこにもないのだから、少なくとも数日の間は悩まされ続けた】

……慣れ、とでも云うのでしょうね
初めの内はどうにかしないとと思っていましたが、今は諦めの方が勝っています

どうしようもない事は、その通りどうしもうもないですから

【そう言って騎士は一度だけ立ち止まり月明かりを見上げる】
【「どうしようもない」なんて事は、脳裏に浮かぶかつてを思えば否定したくてたまらない】
【だが現実はそんな想いを蝕むのだ、理性は本能を食いつぶす……自分にあったかつてはもう既に喪われていると理解っているのに】

―――――いいえ……一度決めた事ですので
せめて街の入口まではお送り致します、ああ……安心してください人がいるならばすぐさま去ります
貴方に迷惑になるような事はしませんよ――――――こんな姿ですが、騎士は嘘をつきませんので

【居たたまれなくなるだろうとは思っていた】
【少女からそんな言葉が飛び出すのは時間の問題だろう、しかしそれでも】
【それでも一度決めた事は成し遂げなければならない、喩えこれが代償行為だとしても……だ】

【騎士は腕を組んでさながら城壁のように佇む】
【少女を頑固だと言った騎士の方が遥かに頑固であった】
777 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/07(日) 02:37:17.92 ID:CFyD29+p0
>>776

【感じ取れる、という言葉は不思議だった。自分には視覚的な認識しかないから、それが上手く理解できなくて】
【きょとんと目を丸くして早足になる。そうしてその身体を横から見ようとする仕草は、きっと、子供とよく似る】
【好奇心は人並以上にはあるのだろう、少なくとも、明らかな異形に話し掛けるぐらいには――悪いことだとも言い切れず】

【「慣れ……」】

【――慣れるものなのかと思う。でも、慣れるものだろうなとも思う。不思議な感覚だった、ぽそりと鸚鵡返しのように呟き】
【どんな言葉を掛けてやるのがいいのかもよく分からない。自分は首を無くしたことがないし、それに、慣れたこともないから】

【「でも、何にも見えなくなっちゃうより、きっと、ずっといいよ」】

【結局、言えたのは、そんなことだった。お月様を見上げる騎士へ、そう言葉を投げて――怒られやしないかと、少しだけ首を竦める】
【マントのせいで腕が隠れてしまっているからか、その仕草は余計に蛇みたいだった。目をまん丸にして、身体を縮める仕草】
【一緒に足を止めていたのを、またゆっくりと歩きだす。――まあ、そのあと、すぐに立ち止まってしまうのだけれど】

【――しゅんと立ち止まってしまった様子は、子犬か何かにも見えた。口を噤んで、視線を落として。ひっそりと】
【暗がりの中に紛れてしまおうかってぐらいにしょんぼりとする。この傾向はあった、さっきから――少しずつだったが】
【テンションが下がりつつあったのだ、そしてそれが限界を迎えて、こうして、立ち止まることになって】

だって、わたし、ひとりで、帰れるし……、道だって分かってるの、あと、街までどれくらいかって……それも。
それに、わたし、あなたに何も出来ない、……しなくても、いいのかもしれないけど――邪魔かも、しれないけど、

……その、ごめんなさい、……騎士さん。

【マントを留めるボタン、その前辺りで両手の平が重なる。そうして、ぎゅっと握りこんで、気弱な声がいっそう増す】
【居心地が悪いというか、何か怒られそうでひやひやしているというか、とかく、過ごしやすい状態じゃない。それが、】
【いっそう彼女を怖がらせるらしい。さっきの質問したりしているときはまだ平気そうだったのだけれど――こうなると、】
【――謝ってしまいたくなる性質らしいのだった。頭を後ろから押し込められたみたいに、彼女はちいさく頭を下げて】

【それは、或いは。堅牢な壁みたいに佇む騎士の様子が怖かったのかもしれない。そうして足元の草の絡まるのを、見ていた】
778 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/07(日) 03:17:42.48 ID:NBL5PmWZo
>>777

――――――――貴方は、おかしな人なのですね

【どん底のような状況であるが確かに少女の言うとおり見えないよりはまだ良い】
【どうやら自分は本当に底に落ちてしまっている訳ではなく、そんな事にも気がつけなかった自分に思わず笑ってしまう】
【鼻を鳴らすような小さな笑みは、表情もないのだから少女には分からないのかもしれないが】

【きっと堅物の表情は柔らかくなったのだろう】

ああ……貴方が何も出来なくともそれで気を悪くする必要はないです
失った首を取り戻す方法などそうそう見つけられる物ではない、喩えどんな天才だろうとも無理な話なのですから。
……しかし、まあ……今の私の容姿では必要以上に貴方を怖がらせてしまいますね……。

【怯える少女、きっと自分の前でなければ朗らかな暖かい人間なのだろう】
【ならば自分は要らない、少女はありのままの姿でいるべきだから】

【頷いて……といっても首はないが、騎士は踵を返して森へと足を進める】
【響く重厚な音はやがて遠くなってゆくだろう】
779 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/07(日) 03:34:19.88 ID:CFyD29+p0
>>778

【頑固、とか、おかしな、とか、あんまり言われたことがない言葉ばっかりだった。それが、なんだか面白くて】
【褒められてないのだろうけど――誰かに、どんな人かって、あんまり言われた記憶がない、今までだったのだから】

【首がないのに見える奇跡。何にも見えなかったら、もっと、ずっと、悲しいだろう。何も見えない世界だなんて、】
【空の青色も、葉っぱの緑色も、水の透明さも、ぜんぶ、分からなくなってしまうなら。それはとっても辛いことだと、思う】
【――騎士がそうでなくて良かったと思うだなんて、ちょっとだけ上からの視線になってしまうのかもしれない。でも、心から】

【少しだけ柔らかくなる騎士の様子。それが少女を少しだけ安堵させる、――怖いだけのひとじゃないんだ、って、そう思えて】
【見た目ではあんまり怯まなかった。それとも、その容姿だから、いつもみたいな態度が取れなかったのか、分からないけど】
【いつもの彼女らしくないのはそのとおりだ。どこに怯えているのか、それは、良く分からなかったけど――でも、】

【(この辺りで、ようやく、怖いだけのひとじゃないんだって、分かりはじめて)】

でもっ……、どこかにあるよ、きっと、分からないけど、でも……、見えるんだから、探せる、よ――。
……――ちがうの、怖いんじゃなくて、こわいわけじゃ、なくって……、――――。

【怖がりな癖に前向きだ。本当はもっと後ろ向きの子なのだが、つい近頃は、そんな心の調子もいいことが多くて】
【だから。そんなことも言えた、――お月様が見えるなら、自分の首だって、見えるだろうって。簡単に言ってしまう】
【――続く言葉には慌てて反論を述べだすのだから、よっぽど萎縮しているわけでもないらしい。言葉は吐息になってしまって、】

【(わたしみたいな子に、何が出来ると言うのか。まだ、その言葉が、頭の中でぐるぐるしている)】

…………ばいばい。「   」

【踵を返す、その背中。引き止めることはきっと出来なくて、しようと頑張る気持ちも、今は浮んでこなかった】
【騎士の言葉で心がぐるぐるする。ダメージが尾っぽになって身体が重たい錯覚。見つめた背中は、自分よりも大きくて】
【呟いた声は、ただ、声質のせいかよく通る。「ばいばい」「またね」――そう、確かに、またねと彼女は言って】

【背中が見えなくなるまで、彼女はそこに立っていた。でも、誰も、誰も、動物すらも彼女を観測しなくなったなら】
【ふっとその姿が消えた瞬間を誰も知らない。ただ、魔力の煌きが、そこに誰かが居た証拠みたいに、揺らめいて――】

【――普段ならベッドに入って三分で寝るところを、珍しく、何十分かそこら、考えごとをした】
【自分に何が出来るのかって悶々と考える、考えて、結局寝落ちしてしまうのが、いかにも彼女らしいけど】
【何か出来ることがあるといいなって思っていた。出来ることがあるはずだって思っていた】

【(間違いだったかも、とは、思いたくないし、もう、思えない。誰かに手を伸ばした以上、それは、許されなかった)】

/おつかれさまでした!
780 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/07(日) 11:48:47.70 ID:DGlDtGQSo
【街外れ】


【人気が少なく、閑散とした雰囲気の漂う街の外れ】
【その一角に建つ一軒の小さな店の前に、一人の少年の姿があった】


物体の状態を固定する……のは多分難しくないけど……
オートマッピングはやっぱり、もうちょっと勉強しないと判らないなぁ……


【身長は150cm前後であろうか、黒いタキシードのような服に赤い蝶ネクタイという童話めいた衣装を纏っている】
【先端が緩くウェーブがかったふわふわの金髪と、澄んだサファイアのような碧眼を持ち】
【全体的に線が細く、少女めいた面立ちと儚げな印象をした少年であった】


もうちょっと資料があればいいんだけど……
うぅん……時間見つけて図書館でも行ってこようかな……


【少年は、店の壁沿いに備え付けられた花壇のレンガブロックに座りながら】
【脇に多くの魔術関係の専門書を積み上げ、その一つを手に取ってパラパラと頁を捲りながら独り言を呟いていた】


【「義肢、魔銃のご依頼承ります!マジックショップ<Fairy's Gift>」】
【そう書かれた看板を下げたその店は】
【白い壁に赤色の三角屋根、丸い窓に半円形の黄色い扉】
【まるで物語に出てくるような、可愛らしい外観の建物であった】
【店の壁には「アクセサリー、始めました!」という張り紙が見える】

【本日ものんびりと営業中であった】


【――】


【公園】


……やれやれ、最近はどうも働きづめじゃったからの
少しはゆっくりせねば身が持たんのじゃ


【行き交う人も疎らな小さな公園】
【その一角に備えられたベンチに座る一人の少女の姿があった】

【身長は140cm程度であろうか。腰まで伸びた炎のように鮮やかな紅蓮の髪と、漆黒の瞳をしている】
【桜色の簡素なデザインの着物を纏い、胸元には"緋色の鷹"を模したワッペン】
【脇には茶色の鞘に収まった剣を置いており】
【肩付近には手のひらに乗るような大きさの小さな"折り鶴"がふよふよと浮かんでいた】


しかし三年も離れておったら随分と変わるものじゃな
このワッフルとやらは……んむ、昔はこの辺では見なかった気がするのじゃ


【少女は大きなワッフルの下部に両手を添えて、もふもふと小さな口で食みながらも】
【物を含んでいるため少々ばかり覚束無い口調で独り言を呟いていた】


【誰かが通りかかることがあれば、浮かんでいる鶴や胸元のワッペンが目につくかもしれない】
【また、付近で何かしらの事件などがあれば少女が反応を示す可能性が高い】


/夜くらいまでゆっくり置いておきます!
781 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県)[sage saga !red_res]:2014/09/07(日) 19:59:22.14 ID:HrvJDxG9o

「―――この奇妙な連鎖は偶然なのでしょうか」

【中央放送局のアナウンサー、スウェンが気味の悪そうな顔で言葉を切り出した。―――能力者連続変死事件。マスコミはこの1週間で起きた4つの事件を括ってそう呼んでいた】

【事の始まりは1週間前、氷の国。雪原で「焼死体」が発見されるという奇妙な事件が発生した。氷の国警察は死亡した人物が炎系能力者であったことから自殺と断定】
【このまま何もなく終わるはずだったが―――その3日後、砂の国の大砂漠で「凍死体」が発見される。しかも氷の国の事件と同様、死亡した人物は死因に近い氷系能力者】
【この奇妙な繋がりはまだ終わらない。翌日昼の国では雷を操る能力者が感電死。更に翌日夜の国では風使いの能力者の鎌鼬のような切り傷を無数に受けた死体が発見】

「お亡くなりになったいずれの能力者も、自警団員や警察官、組織に所属はしていませんがテロに対抗した人物などの所謂『正義側』の人間でした」
「私はこの事件に巨悪の存在を感じざるを得ません。となればこちら―――これは今日のフルーソ新聞の朝刊です。読み上げましょう」

「能力者連続変死事件、次の現場はウォレンシスか。フルーソ新聞によればこのように事件現場を結びつけると―――」

【スウェンが立ち上がり大きなパネルの脇に移動する。カメラがその動きを追う。そのパネルは今日のフルーソ新聞の朝刊を大きくしたもの。スウェンが指し棒である箇所をなぞる】
【『能力者連続変死事件、次の現場はウォレンシスか』。はっきりゆっくり、強調するようにその衝撃的な言葉を紡げば、その根拠を新たなパネルを使って説明していく】
【そしてこの事件の裏に潜む巨悪とはGIFTであり―――今朝カメラに映り込んだ「大男」こそが犯人ではないか。真剣な顔つきで得られた情報を淡々と述べて、VTRへと映った】

「――――――此処です。此処で一旦止まります。そして拡大……。―――お分かりいただけたでしょうか。この大男の手の甲、赤いオープンフィンガーグローブの部分」
「……金十字に見えませんでしょうか。ぼやけていますが、金色で何かの模様が描かれているのは確かです。やはりGIFTなのでしょうか、いやそんなことよりも!」
「―――白髪の大男です。今迄の4つの事件、その前日には必ず『白髪の大男』が目撃されているとなれば―――明日にはウォレンシスで事件が起こるでしょう」

【止められたVTR、赤い丸で囲われる手の甲。そして拡大し―――そこに見えるは、ぼやけた金色。もしコレがスウェンの言うとおり金十字なら、この男はGIFT確定なのだろう】
【スウェンが一段とトーンを上げて強調する。この男がウォレンシスで目撃された事実こそが、何よりも恐ろしい子ことなのであると。目を見開いたままスウェンは言葉を続ける】

「GIFTと言えば、かつて自称GIFT総司令官ユピテルが水の国フルーソで大規模なテロを起こしました。……その時は多くの被害を生みながらも撃退することに成功しましたが」
「もしかすればあの悪夢の続きが待っているのかも知れません……もはやコレは唯の殺人事件ではないのでしょうか。水の国自警団や警察はテロを警戒する姿勢を強めております」
「しかし総司令官が死んだ過去を考えるともうこの国でテロなど起こすとは思えない―――という意見もあります。確かにその通りですが、用心に越したことがありません」

「それではお天気です。ヒルダアナ、今日の天気はどうでしょうか」 <ハーイ、今日は大雨が降り注ぐ憂鬱な日でして……―――>

【―――ウォレンシス、エリクシル大通り。通りの中心部にある巨大スクリーンに映し出された朝のニュース。そこで語られた「今日この地が血に染まるかもしれない」という警告】
【大通りのざわつきが姿を変える。不安が伝染する。潮が引くが如く人の流れは少なくなっていく。その光景をビルの上から眺める男が居た】
【その人物の装着している赤のオープンフィンガーグローブ、その甲には――――――】

/プロローグ文&テストです! 返信の必要はありません!
782 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/07(日) 20:02:05.19 ID:BiggrlUoo
>>781
【水の国 街中】
キャーッ!!ひったくりよぉーー!!

【老婆の甲高い声が街に響く】
【そして高級そうなバッグを片手に走るガラの悪い男】
【後ろをチラチラと気にして、道行く人に「どけぇ!」と暴言を吐いては全速力で走る】

(あとはこの角を曲がっていけば…!!逃げ切れる!)

【一方彼が曲がろうとしている角の先には水色の制服――おそらく高校生であろうかという黒髪ツインテールの少女が】

いーつかーすってっきなおーうじっさまがー♪わーたしをむかえーに…

【王子がなんちゃらとかいう謎の歌を髪を結んでいる白いリボンを揺らして歌いながら歩いていた。おそらく学校の帰りだろうか?】
【そして曲がり角でドンという音とともに衝突するひったくりと女子高生】

いったーい!
【そうしりもちをついて言う彼女】

…このガキがぁ!!…そうだてめぇを人質にしてやるよぉ!!

【右手でナイフを取り出し左手で彼女の胸倉をつかむ――】

【少女がナイフ男に胸倉を掴まれているその光景を見た瞬間ダッシュして向かっていく男が一人】
【茶色のテンガロンハットが特徴的な20歳のウェスタンファッションに身を包むその男は】

女性にそんな物騒なものを向けるとは…紳士の風上にも置けねぇよっ!!

【そう言いながら間髪いれずに周りの見えていないそのナイフ男の右頬にドロップキックを繰り出す】
【滞空時間の長いきれいなドロップキックである】

【ナイフを突き付けて胸倉を掴まれた彼女はその時こう思ったのである】

(助けてっ…!!私の王子様っ…!!)

【その瞬間横から或る男がひったくりをドロップキックでぶっ飛ばしていた】
【「女性にそんな物騒なものを向けるとは…紳士の風上にも置けねぇよっ!! 」というセリフとともに】

か… お前は…マーシャル・T・ロウ…!!クソぉ…ついてねぇゼ…

【ぶっ飛ばされて地面にへばりつくひったくりはそう言うと気絶】

【その光景をポカーンと見つめる彼女】
【そして5秒ほどたってから】

ス…す…素敵…!!私をこの男から守ってくれたんですね!!
やっと…やっと見つけた…!!

――――――私の王子様――――――

【ロウに視線を移し顔を紅潮させ、興奮した様子でそう言う彼女】
783 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県)[sage saga !red_res]:2014/09/07(日) 20:31:39.52 ID:HrvJDxG9o
【水の国古都<Eォレンシス エリクシル大通り 大交差点】

【約1年前のテロ、2013年8月31日。あの日も確か大雨が降っていた。きっとこの雨はテロで流れる鮮血を洗い流すためのモノなのだろうか、そんなことは解る筈もないが】
【水の国政府は避難勧告を出し、故に大通りを渡る人々は少ない。寧ろ警戒耐性を取る自警団員や警官の方が多いくらいであった】
【然しながら前回のようにテロが起きる確証がない。前回はテロ宣言があった。しかし今回はあくまでテロではなく連続変死事件。被害者は1人ずつ】
【新聞が無理やりテロと関連付けているだけだろうと考える警備隊員も少なくはなく、心の準備がてきている者はあまり居なかったのだろう】

                     << う、うわっぁあぁあああああああぁぁぁぁあああッッッッ!? >>

                           【―――故に、こうも簡単に人が死んでいく】
【……重戦車。一言であの怪物を語るならこの言葉が相応しいだろうか。白髪を警備隊員の血で染めた大男が、血塗れの死体を担ぎ上げながら警備の群れへと突入する】
【急いで銃を構える隊員に対し、大男は小石をポイと放るが如く担いだ死体を投げつけ隊員を倒す。事態に気付いた隊員が一斉に銃を向け、乱射する】

【銃弾の雨が一斉に大男へと向かう中、大男の背後に『ナニカ』が見えた。刹那、周りの地面から巨大な氷が生え、大男を包む。氷が透明な盾となり鉛弾を抑える】

 「囲めっ、監視カメラに映っていた大男だぁぁッッ!!」 <<隊長ッッ、コイツ氷系の能力者ですッッ!!>> 『見れば分かるッッ、各自手榴弾で氷を破壊せよッッ!!』

【銃弾が抑えられたのなら爆弾。氷の盾も銃弾の雨を浴び所々に亀裂が走っている為か手榴弾ならば容易に破壊可能であり、加えて氷の破片が大男を襲う筈だと】
【―――そのような隊長の判断は、決して間違ってはいない。このパニック時にも冷静な判断を下しているようにも思えるが―――まず前提から異なっていたことに誰が気付いたか】


                                 …………旧人類


【ぼそりと意味深な単語を呟く大男。その背後には真っ白なのっぺらぼうの素体のような何かが蠢いており―――男が両手を翳すと、氷の盾が吹き飛ぶ】
【―――強烈な、風。罅が入っていたとは言え分厚い氷、それを難なく吹き飛ばすだけでかなりの風圧。氷の礫が隊員を襲うのだが、問題はそれではない】
【……投げつけられた手榴弾が風で押し戻され、床へと叩き付けられたのである。その事実にも気付け無いまま、連なる爆風が彼らの身を焼き払い―――警備隊員は全滅した】

/続きます
784 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県)[sage saga !red_res]:2014/09/07(日) 20:32:53.47 ID:HrvJDxG9o
【爆風で焼け焦げるウォレンシス。人の形を失いつつある焼死体。そのような地獄絵図を生み出しても大男は表情一つ変えることなく歩み始める】
【背後で蠢く素体はいつの間にか姿を隠し、大通りに居るのは最早この大男だけ。彼の歩みの先、それは大交差点の中央。―――かつてユピテルが雷光を纏い現れた場所】


       耳を澄ませ 今は亡き我が父が1人 ユピテル―――『コレ』は貴方に捧げる鎮魂曲(レクイエム)であり―――……貴方そのものだ
         貴方と同じ殺り方で 貴方と同じ技で そして貴方とは違い圧倒し―――我等に歯向かう現人類≠踏み潰す
                            <<<  裁  き  の  雨  >>>


【五分刈りで返り血混じりの白髪。鋭利ながらも生気を感じさせない白の双眸。盛り上がった眉間に、先が尖っている鼻梁。太い首には『GB』と書いたドッグタグ】
【加えて2m超えの身長、筋肉の凹凸がハッキリとした彫刻のような身体。着ている黒い長袖のラッシュガードとロングスパッツの上から、筋肉の形が大きく浮き出していて】
【首も胴体も腕も拳も全てが太いその外見は、まるで闘うために生み出されたかにも思える程の恵まれた体格を彼が持っている―――ということを存分に示しており】
【大男が指で空に十字を切る。両手に装着した赤いオープンフィンガーグローブ、その甲にはGIFTの金十字が縫い付けられて。……『コレ』とは何か。それは見れば分かることだ】
【背中から再度現れる白い素体。男の両手を眩い電光が包めば空に向かって弓を引く動作。両手の電光が形を変えて、弓と矢を作り出す】
【―――はしっ、と男が矢を空に放てば流星の煌めきが黒い空へと近づいて―――花火が開くように、爆ぜた】
【雷の雨が空を切り裂き、ジグザグに折れ曲がる雷特有の不規則な軌道で光の矢の大群が―――大通りから遠く離れた箇所に落ち、爆音を響かせ、悲鳴を奏でる】

【流星の煌きが空高く舞い上がり飛び散るこの光景は何度もTVで放映された筈だ。何故ならこの技、かのユピテルが死に際に放った技であり――――】
【――――そして最も大きな被害を生み出した技でもある。これは唯の殺人事件ではない。あのニュースキャスターが恐れていたテロ行為なのだ……!】

……この世界の頂点にいる生き物は人であり、其れを支えているモノは知恵であり武器であり能力だ。
鉄砲があるから猛獣を狩ることを生業とする人間が居る。その鉄砲を作り出すに至ったのも先人の知恵があった故。
素手で猛獣を倒せる奴など世界中探しても殆どいない―――武器が無ければ、知恵が無ければ……人は獣に勝てなかった筈だ。
体格も筋力も体力も桁が違うのだが―――知恵つまり頭脳……其れが、其れだけが獣を大幅に凌駕していたからこそ、人が獣を支配する世になっている。

―――もし。『IF』の話だ。体力も腕力も脚力も反射神経も猛獣を上回り、加えて頭脳も人を超え―――尚且つ、能力者である種族が現れたのなら。
そして彼らが一度牙を振るうのであれば―――どんなに抗ったとしてもこの世界は逆転する。世界の頂点から貴様等「旧人類」は完全に蹴落とされる。
    我が名はUltimitation。人工的に造られた人間であり能力者……更にサイボーグ化まで施されている。何もかもが今迄のヒトを上回る……!!
      神の恩恵だけではなく『叡智の結晶』までも身に宿した我こそ正に「新人類」。「新人類」こそが頂に君臨する種族であり―――……

           
                             今日から貴様等旧人類は―――家畜だ 


【―――GIFT。それは能力者の為の世界を作り上げるという思想の組織。かのユピテルは能力者を『優良種』、無能力者を『劣等種』と呼んだ】
【しかしこの男は違う。サイボーク化にアンドロイド―――知識の蓄積が生んだ超技術により驚異的なスペックを能力者に上乗せした自分自身を、『新人類』と呼ぶのだ】
【―――新たに訪れる絶望の未来。『新人類』と語るこの男による侵攻。かつてのフルーソに続き、ウォレンシスは選択を迫られる―――戦うか、ひれ伏すか】

/イベント参加者の皆様、よろしくお願いしますー!
785 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/07(日) 21:07:56.23 ID:hmkHQRPwo
>>783 >>784

【――――この連続変死事件の全容について、各国の警察が得た大まかな情報は既に水の国警察内にも行き届いていた】
【そして過去三件の殺人を見る限り、例えここで誰かが死ぬことになっても、それは一人だけ。……そう油断していた人間もいないとは言わない】
【けれど、確かな実戦を積んできた者、そして一年前の惨劇を覚えている者は、真剣にこの事件と向き合っていた筈なのだ】


――――動ける者は負傷者を連れて撤退して下さい!
戦力の残っている者は……なんでもいい、奴の足止めを!!


【それが、このザマか――――アルフレド・フェリシアーノはそう内心で舌打ちしつつ、必死に指示を飛ばした】
【遅れて駆けつけたのは、前髪を左側だけ上げた藤色のミディアムヘア、赤紫色の瞳に黒縁メガネが特徴の、いかにも怜悧な印象の青年だ】
【灰色のカッターシャツに白色のアフガンストール、下はデニムジーンズに膝丈ブーツという服装で】
【シャツの左肩部分には水の国警察≠示すエンブレムが、ストールで隠れた右肩にはSCARLET≠フエンブレムが、それぞれ縫い付けられている】
【そして何より、義憤に燃える若々しい表情……非常にわかりやすく、青年は正義≠掲げる人間だった】


Ultimitation…………新人類だと!?
『GIFT』の手先が、またぞろ世迷い言を…………ッ!!


【アルフレドはそのまま、地獄と化したエリクシル大通りへ飛び込む。そうなれば、男からもこちらを視認するのは用意であろう】
【……「戦える者は足止めを」などと言ったが、あの絶望的な光景を前に、戦えるだけの意志を維持できる者はそう多くないだろうと彼は予想している】
【逆に言えば、それでも迷うことなく男へ向かっていくこの青年のような人間は、成すすべなく死んでいった彼らとは違うということなのだろうか】

【勇猛か蛮勇か――――そのどちらにせよ、青年は走りながら左手に構えていた銃の引き金を引く!】
【ガガガガガガッ! という強烈な射撃音が、この一秒に満たない時間で数十発の弾丸が一斉発射されたことを示している】
【だが放たれたのは殺傷能力の低い風の魔弾≠セ。それも数こそ多いが一発一発の威力は低い。どうとでも対処できるものだが……】


………水の国警察所属、アルフレド・フェリシアーノだ。
新人類も旧人類もない。貴様は法を、ヒトとしての倫理を犯した――――故に、裁きを受けてもらう!!


【元よりダメージを期待しての行動ではなく、単なる牽制。その間に立ち位置を調整できれば十分だ】
【男からの妨害がなければ、アルフレドは七、八メートルほど離れた場所に立ち、銃を構えてそちらを睨みつけることになるだろう】

【――――彼は両手≠ノ拳銃を構えている。これがこの青年の戦闘スタイルと言うことなのだろう】
【二丁の拳銃は、どちらも黒い特殊魔鋼をベースに白い強化パーツで覆われ、各所に緑色のエネルギーラインが走った近未来的な外観だ】
【いましがた使ったのは、下部にマガジンが填め込まれた、四つの砲身が連なる回転式多砲身機関銃――――ハンドサイズのガトリングガンのよう】
【後部が護拳のように広がっており、その中にグリップが隠れている構造のため、まるで銃を直接左手に取り付けているようにも見える】
【この銃の性能はいま見た通り。では、残る右手の拳銃は――――恐らく意図的に、体の後ろに隠すようにしていてよく見えない】

【複数の能力にサイボーグの体。どれほど苦戦を強いられるかわからない相手だ、まだ手の内を見せたくないのだろう】
【また、よく見れば彼の周囲には抉れた道路や横転した自動車などの遮蔽物が多く転がっている。随分と用意周到な人物らしい】
【鷲のように鋭い眼光を、一介の雑魚と見るか、それとも――――男は、どう動く?】


/アルフレドです、本日はよろしくお願いします!
786 :真雄[saga]:2014/09/07(日) 21:15:48.63 ID:9u7k19+40
>>784
【その大男の眼前に立つ、小柄でやせた少女】
【腰まで伸びた銀髪が風になびき、青い瞳は光の矢を映し、輝き、赤い怒りが燃え上がる】
【あふれ出す怒りは言葉にならず、ただただ拳を握り締め、かみ締めた歯はあまりの顎力に削れて地面に散る】
【焼け焦げた街、形を保たぬ焼死体、視界に入る惨劇の全ては少女の怒りの薪となって、怒りはさらに燃えていく】

・・・・・・・ふざっけるなぁ!!

【少女の怒号は悲鳴をかき消すようにウォレンシスの街にとどろく】
【握り締めた拳、爪が手のひらに食い込み血が流れ落ちる】
【痛みは感じなかった。悲鳴をあげた人々はもっとずっと痛かったろうから、それを思えば】

【少女の着用する紺色のブレザー、その胸に凛ときらめく緋色の盾の紋章は『SCARLET』の証】
【――その緋色は、世界の盾。その証明であり、少女の守る心、正義の現われ】

わたしはSCARLETのネモ! ネモ・アーネスト!
お前の思い通りになんか、絶対にさせない!!

【強く握ったこぶしを突き出し、宣戦布告】
【甲高い少女らしい声でも、その声には明確な戦う意思が込められている】

【集う自警団達が息のあるものを救急してくれている】
【その辺りは彼らに任せてもいいだろう。なにより、自分の仕事はアレじゃない】
【一人でも多く助かるように、あいつを足止めすることだ】

【握ったこぶしを振り上げ、轟音を響かせ地面を蹴り、飛ぶ】
【その速度はロケットの如く、遮る物があろうとそれをぶち壊してまっすぐに大男へと向かっていく】
【少女の頭には相手の手の内がどーのとか、そういうことはまったくなく、紅蓮の怒りだけがあった】
【怒り狂った少女の攻撃、受け流すのはたやすいだろう】
【―――ただし、振り下ろす少女のこぶしの力は人外のものだが】
787 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/09/07(日) 21:16:52.49 ID:9u7k19+40
//本日参加のネモ・アーネストです!よろしくお願いします
788 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/07(日) 21:23:07.58 ID:YyvUesJPo
>>783>>784
「………………こいつはまあ、派手にやらかしてくれたじゃねえか。そうは思わないかい?しーたん」
「………えぇ、そりゃ、まあ」

【大惨事と化しつつあるウォレンシスに、一台の真っ赤なスポーツカーが向かっている。スピード違反など何のその、アクセル全開で最大速度】
【乗っているのは二人。運転をしているのはこれまた真っ赤なスーツを着てサングラスをかけている女性。対して、助手席には学生服を着た少女…にも見える少年】
【雷の雨が降り注ぐ中、真っ赤なスポーツカーは疾走する。闇夜の中でも目立つ、赤色】


「………さーて、到着だ。しーたん、お前はここで見てな」
「………はい」

【ある程度走ったところで、車を止める。ちょうど目の前に大男がいる位置だ】
【かつて、災厄が現れた場所の目前】
【スポーツカーから、紅色は出てくる。その手には、刀と思わしき得物が携えられていて】
【しーたんと呼ばれた少年…渚 詩音はその様子をじっと眺めている】
【これから始まるであろう戦いの傍観者となる、そのために】

「よーう、あたしの名前は常夜 蓮。覚えてもらわなくても構わんぜ?どうせすぐに忘れられない名前になる」


【得物を担ぎながら、飄々とした様子で大男の目の前に現れる。どうやら見たところ、他にも二人、味方がいるらしい】
【サングラスを外し、放り投げて自分の名を名乗る】

「それともこっちのが良いか?―――――――人類最強ってな!!」

【刹那、駆け出す。他の二人と合わせるようにして接近。肉薄が叶えば、まずは横に刀を一振りする】

/よろしくお願いします!
789 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県)[sage saga !red_res]:2014/09/07(日) 22:01:35.63 ID:HrvJDxG9o
>>785

【視界の外から飛来する風の連弾。白い双眸が青年の牙を捉える前に、先に大男の後ろで蠢く白い素体のようなモノが顔を彼に向け――――】
【そしてその素体の肌から顔を出す無数のカメラレンズ。まるで妖怪の百目のようなそのグロテスクな化け物が、全身のカメラで青年を凝視する】
【遅れてUltimitationがそちらに向くと同時に手を前に掲げれば、地面が隆起し土の壁が現れる。氷だけではない。雷だけでもない。風だけでもない】
【土までもを軽々と操り、風の魔弾を封殺してみせたのだ。――――態とらしく息を吐けば、大男の無機質な瞳が彼へと向いた】

……――――警察。警察か……ハァ。全く貴様等警察には呆れたぞ……もしフルーソ新聞が気付いていなければ此処には警備など無かったのだろう?
そのような無能集団が『裁き』などと……何もかもが上回る我等新人類に対してのたまうとは哀れだ。全く以って哀れであり……恥知らずだ。

――――――――裁かれるのは貴様等だ。我等GIFTに歯向かい、新人類に歯向かう……貴様等の罪は重すぎる、よってこの俺が――――
           ――――……新人類の王たるこの俺が、貴様等に死の裁きを下すッッッ!! 

【巨躯を震わせて吠える様は、ビルをも押し潰すかの如きプレッシャーを撒き散らす。顔の底に憤りを湛えた叫びが、ウォレンシス全体に恐怖を広げる】
【Ultimitation。7究極と示すUltimateと模造品を示すimitationの造語。究極の模造品となるが――――それが何を意味するかは、今から分かる】
【男が再度手を翳す。隆起した土の壁に向かって。その奥の青年に向かって――――そして、放たれたのは】

                         …………貴様の攻撃――――覚えた

【――――殺傷能力の低い風の魔弾≠フ大群。つまり先程青年が放った技だった。至近距離故に土の壁を貫き、青年自身の攻撃が青年を襲う……!!】


>>786

……ほう、こんな少女ですらSCARLETを名乗る――――クククッ、世も末だな……
ネモとやら……これは自然な現象なのだ。貴様等は動物を食い、家畜とする――――それと同じだ。
先程言っただろう……我等新人類にとって貴様等は家畜=B貴様等が牛や猿や犬を見るのと同じなのだよ……!!

【少女の咆哮、そして怒りに満ち溢れた表情。そして彼女の胸に刻まれた緋色の紋章。其れ等全てをこの怪物は嘲笑う】
【人が死んでも何も思わない。雄弁する男の瞳が、声が、変わらぬ表情がそう物語っており。大男は近くに転がっていた死体の頭を『邪魔だ』と蹴り飛ばした】

――――ほう、疾い……が、相手を知らないようだな……――――餓鬼が。

【2mを超えた体格。数の遺伝子を組み合わせ培養ポッドに成長ホルモンと一緒に入れ、数ヶ月で無理やり大人サイズに成長させて最高の素体】
【超強化された臓器。特殊金属で補強された大きな骨格(フレーム)。特殊金属繊維でサイボーク化された筋肉。風、雷、氷――――多くの属性を扱った男だが】
【彼の真骨頂はその圧倒的速度とパワーによる接近戦にあり――――無表情を貫いていた大男の口元が、邪悪に歪んだ】

【拳に合わせられる、大男の――――大きく、そして太った右拳。新人類は人外すらも超える――――そう言わんばかりに、軽く拳を合わせただけで相殺した】
【大男の身体が吹き飛ぶことも、腕を痛めることもない。なんなく腕を軽く振るい、相殺したのである。それ程のスペックを持つ彼こそが、『新人類の王』であった】

/続きます
790 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県)[sage saga !red_res]:2014/09/07(日) 22:02:06.59 ID:HrvJDxG9o

>>788

……新人類は記憶力も何もかも優れている。フフフ、恐れ知らずの馬鹿として貴様の名前を覚えておいてやろう……常夜 蓮とやらッッ!!

【――――3人目。正確には4人だが、もう一人は戦う気が無いらしい。3人に囲まれていても、全く狼狽する様子はない】
【それだけ『新人類』とそうでない者の差は大きい――――そう思っているらしく。『人類最強』と語る彼女に対しやや口角を上げれば、左拳を軽く握った】

――――それとも我が力を恐れて逃げ出すかッッ!? そうならば腰抜けとして余計に強く覚えてやるぞ――――自称『人類最強』。
貴様の言う「人類」に我等『新人類』が入っていないようだから言っておいてやる……貴様が幾ら強かろうと、新人類には到底敵わないとなぁッッ!!

【一人は銃士、もう一人は恐らく接近戦主体。そしてこの女、刀を持っていることから彼女の接近戦主体だと大男は判断する】
【新人類は戦闘も完璧でなければならない。故に接近戦相手なら彼女の間合いに持ち込ませない。――――そう言わんばかりに男は左手を彼女に向け】
【背後の白い素体が僅かに蠢けば左手から放たれるは炎。まさしく火炎放射である。近距離も遠距離も。氷も風も雷も土も炎を。全てを使役する】
【――――その姿、正にコンプリートファイター。彼女の『人類最強』を否定するかの如く、放たれた火炎が彼女の身を焼かんとする――――】

>>ALL

クククッ……それにしてもやはり来たか……――――そう来なければ面白くない。余りにも簡単に制圧してしまうのもつまらないからな……
先程の雷弓を皮切りに、我等『新人類』の少数部隊が此処ウォレンシスを制圧にかかる……この『新人類』の王を倒さぬ限り、貴様等に未来はない……ッッ!!

【勇敢なる者が3人も現れた。自らを阻むものの登場に歓喜の笑みを見せながら、大男が告げるテロの真実。この男と同じような『新人類』が複数存在し――――】
【そしてその『新人類』の部隊が、今正にウォレンシスを落とさんと暴れていると言う事実。大男が語るように、彼を倒さなければウォレンシスは火の海に包まれるだろう】
791 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/09/07(日) 22:28:09.16 ID:9u7k19+40
>>789
【少女のこぶしと男の拳が重なり、衝撃からあたりに突風が吹く。が】
【分厚い壁を殴ったような感触、いや、分厚い壁程度なら少女は突き破れる】
【これはまるで――『山』。どれだけ本気で殴ろうともびくともしない、山でも殴ったような感触だった】

【思考が生まれる前に体は動いていた。生まれた突風に乗り、少女は大きく後ろに跳ぶ】
【この男と殴り合っても勝てない。少女の本能がそう告げていた】
【少女は改造された人間である。その身体能力は、人をはるかに超えている】
【しかし、通じない。『究極の模造品 -Ultimitation- 』その名は伊達ではない】

【そこへ明かされるテロの真実】
【ただでさえ自分の力が通じず、ショックを受けているというのに】
【早く倒さねば、さらに人が死ぬというのだ】

はぁっ・・・・・・はぁっ・・・・・・

【息を切らしてあせる少女の脳裏に響くは恩人の言葉】
【『おぬしはひとりじゃない』】
【自分を、悪の玩具であった自分を正義の道へ連れてくれた恩人、カミナ・ゲルギルの言葉だ】
【そうだ、今戦っているのは自分ひとりじゃない。一人では勝てなくとも、皆と協力すれば――】

>>ALL
【辺りを確認、自分以外に戦闘を行っているのは二人】
【その二人も各々に攻撃を行っているが、決定打はない】
【三対一のこの状況で余裕綽々に笑う大男。やはり、ばらばらに戦っても勝ち目は薄い】
【――なら】

みんな、ばらばらじゃ勝てない!!

【少女は声を張り上げる。街中に響くように】
【今は一刻も早くこの大男を倒さないといけないのだ。策はまだなくとも、とにかく力を合せないと】
【そう考えての行動だ】
792 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方)[sage saga]:2014/09/07(日) 22:45:50.01 ID:hmkHQRPwo
>>789 >>790


黙れ、化物―――― 確かに僕らは非力だ。だが一年前のテロを経て、まったく成長しなかったわけじゃない。
政府が動いて、ここで散った彼らが貴様を食い止めていてくれたからこそ、民間人に被害が出ずに済んでいるんだ。

――――今目の前の力だけがこの世のすべてだと、そんな小さなことしか考えられない輩にこそ、誰かを裁く権利はない!!


【『Ultimitation』……この距離でも感じる絶対的なプレッシャーを前にして、アルフレドは一歩も退かずに叫び返す】
【無能な警察とて一枚岩ではない。ちょうど彼のようにただならぬ危機を感じて、避難した民間人の護衛に回った人員も寡少ではない】
【抵抗も許されず惨殺されてしまった彼ら。そして、自分自身の実力。確かに無力≠フ謗りは否定できないが――――それでも、譲れないものはある】


ッ、やはり貴様、他人の能力を使えるのか!
だが――――読み通りだ!!


【――――男が今日、最初に動いた一幕。周囲の惨状を垣間見た時点で。このアルフレドという青年はこうなることを予期していた】
【だからこそ、最初の一手にわざと威力の低い弾幕を用意したのだ。あまりに馬鹿馬鹿しく、そして恐ろしい推論を確かめる為に――――】
【その行動の結果……アルフレドは『Ultimitation』の覚えた≠ニいう台詞だけで風の弾幕が撃ち返されると察知し、素早く真横に飛んだ】

【数が多く拡散するため避け辛いが、威力は低く数発貰う程度ならなんら戦闘に支障はない。自分の能力だ、それは自分が良く知っている】
【読み通り、数発が脇腹にヒットするも大した傷にはならず――――カウンターの要領で、アルフレドは隠していた右手の拳銃を構え、発砲する!】
【右手に持っていたのは、上部にマガジンが填め込まれた、長大なストックと小さな砲身を組み合わせたアンバランスな見た目のハンドガンだ】
【左の銃の側面には『Nara(ナール)』、右の銃の側面には『Kibrit(キブリット)』の刻印。これでようやく、青年のスタイルが明かされた】

【果たして、発射されたのは同じく風の魔弾であった。それも左の『Nara』の掃射とは比べ物にならない、たった一発の弾丸】
【だが、強い魔力の奔流が感じられるだろうか――――『Kibrit』は単発式の代わりに高威力・高弾速の魔弾を発射できる銃なのだ】
【それも先程の掃射の間にチャージを行い、更に威力・弾速を高めている。緑の魔力塊が、人間なら目視不可能な速度で男の右膝へ飛翔する!!】
【直撃すれば魔力塊内の圧縮空気が爆裂、人骨を叩き折る程の破壊力となる。例え自称の通り『Ultimitation』がサイボーグでも、ダメージは小さくない筈で】


………ああ、倒すさ。貴様はここで必ず倒してみせる。
だが、戦っているのは僕らだけじゃない。抗い続けるのは僕らだけじゃない。それを忘れるなよ、化物。


【アルフレドはある意味、冷徹な人間だ。常に最悪の状況を想定しているからこそ、的確な予測も立てることが出来る】
【『新人類』がひとりとは限らないということぐらいは想定の範囲内。……無論、想定しているからといって焦らないわけでも、対処できるわけでもない】
【だがそれは、独りではの話だ。もしここで『Ultimitation』を止められずとも、それで終わるほどこの国は、人類は弱くない。アルフレドはそう言い切った】



>>788 >>791


そこのお二人! 僕は水の国警察のアルフレド・フェリシアーノと申します!
ネモさんの言う通り、バラバラでは押し切られる……僕が後衛として援護します、その隙に攻撃を!!


【男へ視線を叩き付けながら、アルフレドは戦場に現れた二人の増援に目をやった。予想よりは多いが、戦況全体で見れば少ない】
【一人は小さな同志。一人は知人の知人。一見すると厳しいが、しかし今のやり取りを見る限り、どちらも相当の実力者だ】
【どのみちこの局面では背中を預け合う他ない。アルフレドはネモの言葉に同意しつつ、後方支援という自分の役割を告げるだろう】
793 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/07(日) 22:59:02.15 ID:YyvUesJPo
>>789>>790
「てめぇ、人の行動を好き勝手に決めてんじゃーねーよ!!てめえのその口、二度と動かないようにしてやらぁ!」

【常夜の短気っぷりが祟ったのか、男の好き勝手な物言い早速キレた】
【だが決して戦闘での冷静さは失わない。寧ろ、常夜にとっては良い感じに心の方も暖まってきたというところか】

「あっつ!あっつい!」

【そうして接近しようとしてるうちに、背後の白い素体が蠢き、炎を放つ】
【常夜のその身を焼かんとする火炎放射。それに対してどう動いたかといえばあろうことか、それに突っ込んで無理矢理に接近するのであった】
【炎の中から現れた常夜は、胴体目掛けて一閃を放とうとする】

>>791>>792
「…………へっ、任せなぁ!」

【攻撃をするついでに、青年の言葉に応える】
【もとよりそのつもりであったし、協力しなければ難しい相手だというのも、何となく察せれた】
【当の常夜は既に全身に軽い火傷を負っているのだが】
794 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/07(日) 23:21:02.41 ID:UWEF7iwVo
【路地裏】

【薄闇の中を、ゆらりゆらりと歩み進むのは一人の少女。華奢な体躯を包むのは薄いワンピースのみ】
【腰まで届く空色の髪はその所々に赤黒いナニカ≠付着させ、裸足の足は黒く汚れて】

…………。

【竜胆の瞳は俯き、然れど世界は認識されず――ぐちゃり。少女の足下には、ニュースの裏側で人知れず殺められたダレカ≠フ痕跡】
【その名も知れぬ肉塊に踏み入れた感触すら認めていないかの様に、彼女はゆらりとまた一歩】

――――っ……。

【付着した腐肉に足がすべったか、空色の軌跡を残して前方へと倒れていく少女。受身を取ることもなく、ただ地に伏して】
【そして、静寂。起き上がろうとする動きが起こるのには、もう少し、時間がかかる事となる】
795 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県)[sage saga !red_res]:2014/09/07(日) 23:30:04.15 ID:HrvJDxG9o
>>791

……――――違う。何もかもが貴様等と出来が違うのだ。
確かにネモ……貴様の拳は常人には到底敵わない領域に達している。しかし思い知れ……――――今貴様が敵に回しているのは

頭脳もパワーも魔力もスピードもスタミナもッッ!! 全て旧人類を超越しておりッッ!! 加えて神から能力を授かりッッ!!
そして能力者……所謂『現人類』すらもアンドロイド・サイボーグと言った『叡智の結晶』により上回る――――新・人・類だと言うことをッッ!!

【特殊金属で覆われた拳に伝わる衝撃。確かに彼女の拳は強い。人体も容易に砕けるであろう一撃は、SCARLETの名を語るに相応しい破壊力である】
【そのことを理解し受け止めて尚、男は声を張り上げて語る。それでも我等には届かない。それでも『新人類』には届かない。我等は全てを超越する――――と】

……『ばらばら』じゃ勝てない?――――それも違う。個々に挑んでも、協力したとしても――――どう挑んだとしても、圧倒的スペックの前には無力だ。
鼠が幾ら集っても所詮は鼠……獅子に勝てる筈もない。今貴様等がすべきことは、我等新人類に怯え頭を垂れることだッッ!! 違うかッッ!?

【降参しろ、それが最も賢い選択だ――――男がそう告げると同時に、遠くで爆音が鳴り響いた。新人類によるテロが、恐怖が――――街を覆い始めた】


>>792

……フン、口だけは達者だな――――ならば裁いてみせよ。何もかもが上回る我等をどう裁く、どう裁ける……。
貴様は俺より何が優れている?おい、言ってみろ――――言ってみろよ。……旧人類風情に俺を超える力があるのかをッッ!!

【近くに転がった死体の頭を力強く踏み潰し、大男は尋ねる。尋ねながらにこう確信していた。「俺はお前より何もかも優れているのだ」――――と】
【新人類故の傲慢さ、プライド。その塊と言えるモノこそ、Ultimitationそのものであると言えた】

ご名答……――――我が能力(アートマン)はWATCHER=B他人の技を学習し我が物とする能力――――故に俺は無限に強くなれる……。
あの連続事件で死亡した4人の能力者……俺は奴等の能力を学習し、そしてその能力で殺した。警備隊員を葬った技も、殺した奴から学習したモノだ。
闘えば闘う程俺は『究極』に近づける……そして新人類は『究極』で無くてはならないッッ!! 故に貴様等が『究極』たる俺を倒すなど……到底ありえんのだッッ!!

【氷の盾も風の衝撃波も――――全ては紛い物。他人から奪いモノにした技。炎も、土の壁も、雷弓も――――】
【全て背後で蠢くWATCHER≠フカメラレンズが捉えUltimitationが学習した。無限に強くなれる能力――――それがアートマンWATCHER≠ネのだ】

【放たれる新たな魔弾、しかも先程とは全く異なる性質のモノ。3人を相手にし広い視野が問われる中での高速の弾丸。初見で見切るのは彼でも至難の業であり】
【先程の魔弾の残像が眼に残っていた事もプラスに機能した結果、弾丸は右膝を捉え爆音を鳴らした】

ッグ……――――良い武器を持っているじゃあ無いか、アルフレド……旧人類の割には、そこそこ愉しませてくれる

【右膝に残る大きな痣。破ける肌から朱が滲む。一瞬蹌踉めくも、倒れる気配はない。特殊金属で補強した骨がそう簡単に砕ける筈がない】
【痛みは確かにあるが、重い体を支えられない程ではない所詮足掻いても旧人類。冷酷な白の双眸は、一撃浴びせたアルフレドに対しても変わらずにあった】

/続きます
796 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県)[sage saga !red_res]:2014/09/07(日) 23:31:33.38 ID:HrvJDxG9o

>>793

【有機的人造人間故に元は人間でも、やはり思考は機械的。火炎放射を無視して突っ込む――――などと言う無茶苦茶な戦い方は想定しておらず】
【故に完璧≠ネ彼が思い描く完璧な戦闘プランは容易に崩壊する。リスク・リターンを度外視して、しかも先程ネモとの衝突で見せた接近戦を挑むとは――――】

…………――――驚いたぞ、まさか突っ込んでくる馬鹿がいたとはなぁッッ!! 
ならばこのまま焼き尽くしてやろうッッ!! この前殺した奴から学習した技だッッ!! 

【多少面食らいながらも、男は再度左腕を翳し――――放つは炎の刃。彼女が胴体目掛けて横一閃なら、真っ二つに焼き切ってやるとこちらは縦一閃】
【WATCHER≠ノ蓄えた能力で、野獣の様な動きを見せる彼女を葬らんと炎獄の刃が唸りを上げた】


>>ALL

【――――刹那、鳴り響く爆音。ここからでも見えるだろうか――――ウォレンシスの代表する歴史的建造物、「ウォレンシス東時計台」が】
【ウォレンシスで最も高い建物が、火柱を上げながら崩れていくその様が。ウォレンシスが今まさに崩壊していると実感させるような光景が】

…………ッククク、 くはははっはははははははッッ!! 見ろ……新人類が貴様等の世界を踏み躙る様をッッッ!!
このウォレンシスの歴史は今日で急転する――――水の国ウォレンシスは今日で終わりだ。今日からこの都市はGIFTの拠点になるのだッッ……!!

さぁ絶望しろッッ!! 新人類と貴様等との間にある強大すぎるスペックにッッ!! そしてひれ伏せッッ!! かつてフルーソを攻め込んだユピテルの技でッッ!!
――――――――<<神光>>ッッッ!!

【Ultimitationが片腕を掲げ、人差し指を雨振る空へと掲げる。WATCHER≠ェ背後で蠢く。その指に強烈な光が集えば――――放たれる3本の閃光】
【唯真っ直ぐに放たれる光だが、シンプルな攻撃ではあるのだが――――恐ろしく疾く、切れ味鋭い。3人の足元に降り注ぐ閃光は障害物をも貫く雷の閃光】
【並大抵の手段では防げないが、彼等はどう凌ぐだろうか。若しくは圧倒的スペックの前にひれ伏すのだろうか――――?】
797 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県)[sage]:2014/09/07(日) 23:45:39.35 ID:HrvJDxG9o
/>>793 すみません、少し訂正入れます……>>796ですが
/【胴体目掛けて放った一閃は一歩下がったUltimitationの腹を浅く裂く。威力は浅いが其れよりも――――】
/【Ultimitationが、新人類が。彼女の行動に気圧された一歩退いたという事実が大きかった】
/この後に炎の刃放ったことにしてもらえると助かります……
798 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県)[sage]:2014/09/08(月) 00:14:41.27 ID:ByHewZQ1o
/再度訂正すみません……>>796の 3人の足元に降り注ぐ〜→3人の足を狙って降り注ぐ〜 です……
799 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方)[sage saga]:2014/09/08(月) 00:16:05.73 ID:Xtlv7YXRo
>>795


(………やはり、金属製のフレームを一撃で粉砕するのは厳しいか)


【ここまでのネモと常夜の戦い振り、そして今直撃した風の魔弾。それらの情報が頭の中で組み合わさって、アルフレドに答えを齎す】
【一言で言えば、それは絶望≠セ。他者の力をコピーする能力の多様性に加え、類稀な近接戦闘能力。三人がかりでも十分恐ろしい相手だ】
【だが――――アルフレドはたとえ一人でも、考えることをやめなかっただろう。模索することをやめなかっただろう。なにせ彼は、】


………あぁ、そうだ。その通りだよ。僕は貴様より劣った人間だ。
僕にはアートマンなんて不気味な力は無いし属性を操ることも出来ない。ただ生まれつき、ほんの少しだけ体内に魔力を持っていただけだ。
だがどれだけ鍛えても、それを自力で外に出すことが出来なかった。それを機械で補うことでやっと戦える……その程度の能力者もどき≠セよ、僕は。
当然、そんな機械仕掛けの体も持っていないし体術の才能だってなかった。

だがな――――僕は弱いからこそ、強さとは何かを知っている。強さとは絶対のものでないことを良く知っている。
もう一度言うぞ、化物。貴様は僕に、劣等種風情の僕に裁かれる。それを、今から教えてやる――――!!


【――――アルフレド・フェリシアーノは、能力者もどきの凡人なのだから】
【先天的に体内に微量の魔力を保有しているという、あまり珍しくもない小さな才能を持っている。彼の武器はそこまでだ】
【必死に鍛え上げて魔力というタンク≠フ容量は上げられたが、魔術とか超能力とか、その魔力を体外へ放出する蛇口≠持っていない】
【『Nara』『Kibrit』というこの二丁拳銃にある「体内の魔力を強制的に吸い上げる」機能がなければ、魔力を扱うことすら出来ない】
【そんな、無能力にあまりにも近すぎる能力者。そのような雑魚風情が今、「貴様を倒す」と断言し、究極の前に立ち塞がっている――――】


おぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!!!


【そしてアルフレドは、吼えた。かつてフルーソに悲劇を齎した雷の閃光、それに怯まず敢えて突進しながら、右の『Kibrit』の引き金を連続で引く!】
【この青年にも才能があるとすれば、この判断能力と射撃能力をおいて他にないだろう。炸裂する風の魔弾は寸分違わず真正面から閃光とぶつかり合う】
【チャージしていない分威力は先程より劣り、結局は押し負けてしまうのだが――――僅かに弾速が落ちれば問題ない。一瞬あれば最小限の回避は可能だ】
【全ては回避できず、閃光の一本が左の脇腹を焦がしていくが、ここで足を止めれば格好の的になる。アルフレドは、鮮血を散らしながら走る――――!!】


(アートマン……種別にもよるが、アレは確か使役者にもダメージが入るケースが多かった筈。
 とにかく、この雷撃≠ナどうなるか――――!!)


【そしてある程度接近に成功したなら、今度は左の『Nara』の引き金が引かれるだろう。……その際、気づくだろうか】
【銃身に走っていたエネルギーラインの色が、緑から黄色に変化している。属性が風≠ゥら雷≠ヨと変化しているのだ】
【装填されたマガジンによる属性変更。所詮は機械によるブーストで、『Ultimitation』ほど大規模に属性を操れる訳ではないが……】

【威力の、強さの比較に意味は無い。重要なのは相手に効くかどうか、それだけだ】
【即時ガトリング機構が作動し、雷撃弾の雨が『Ultimitation』と『WATCHER』を両方を巻き込む軌道で近距離から射出される!!】
【相変わらず一発一発に込められた雷の量は少ないものの、秒間三十発にもなる弾丸を全身に浴びれば流石に危険な量の雷撃となるだろう】

【サイボーグである『Ultimitation』は言わずもがな、カメラレンズという機械的な組織を持つ『WATCHER』も、電気には弱いのではと考えたのだ】
【すなわち、電撃によるショートによって内部機構に致命的なダメージを与える――――というのが第一目標】
【もしそれが無理でも、雷撃弾が複数当たれば少なからず相手を麻痺させて動きを止められる筈。その間に二人が一撃入れる……というのが第二目標だ】

800 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方)[sage saga]:2014/09/08(月) 00:18:35.61 ID:Xtlv7YXRo
>>799
/おっとと、こちらも修正……
/足狙いですので、ダメージが入ったのは左の脇腹ではなく左の太腿に変更します
801 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/09/08(月) 00:25:55.21 ID:KdtWkPaa0
>>795>>ALL
・・・・・・ちがうもんっ!!
お前をやっつけて、皆たすけるっ!

それに、わたしたちは・・・・・・鼠じゃない!

【どれだけスペックの差を見つけられても少女の意思は変わらない】
【確かに、自分の力では届かなかった】
【自分の力のみでは、だ】
【圧倒的なスペックの前では協力しても無駄だと言うが、まだ分からないはずだ】
【まだ何も試してないのだから】

【響く爆音、タイムリミットは迫る】
【これ以上誰も死なないように、少女はこぶしを握り締め】

わかった!
アルフレド、お願い!

【少女は蓮に視線を送り、呼吸を合せようとする】
【いままで大男は一度も攻撃をまともに受けていない。防御している。つまりだ】
【あの大男も究極であれど無敵ではないはず。一度でも攻撃を命中させれば、勝機は見えてくるはずだ】
【こんどはアルフレッドの援護を頼り、蓮と息を合せた一斉攻撃、すべてを防御することは難しいはず】

【少女はまた弾丸の如く前へ】
【しかし今度は何も考えず突っ込んでいるわけではない】
【少女と男の間合い、こぶしが届く距離になったその時に】
【少女は強化された身体能力をつかって無理やり上へ飛び上がり】

いっけえええええええ!!

【突進はフェイク。本命は上からの強襲攻撃だ】
802 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/08(月) 00:56:14.03 ID:iSBOutvco
>>795>>796
【小細工などしない、常に正面から真っ向勝負で挑む。ダメージを厭わずに戦うのが彼女のスタイルであり】
【故に、無茶苦茶なのだ。常識など通用しない。兵法など通用しない。マニュアルに書いてあるどの人間にも当てはまらない】
【どこまでも直情的で、素直に攻める。ただそれだけの事】

「ちっ……いつまでもこのあたしが炎に焼かれっぱなしだと思ったら大間違いだ!!」

【炎を打ち破るためにはどうするか、火事を収めるにはどうするのだったか】
【答えは水。水によって消化してしまえば、炎など無意味なものとなる】
【常夜の刀の刀身に水の力が宿る。超高圧水を内蔵した刃へと昇華したのだ】
【それは軽く男の腹を浅く斬り裂き、それと同時に常夜の肩も浅く斬り裂かれた】
【飛び散る鮮血。苦痛に顔を歪める事もせず】

【と、ここで東時計台が崩れ去っていくのを見た】
【ウォレンシスのシンボルが壊された。まさしく、此処の終焉を意味しているかのように】
【さらに、足に降り注ぐ雷の閃光。咄嗟に回避しようとするも、あっさりと常夜の足首辺りを軽く貫いて】

「ちっ、こんなんじゃ駄目だ……!」

【吐き捨てるように舌打ち。ここで、刀の様子がおかしいことに気づいただろうか】
【段々と形状が変化していき、最終的には大剣と成って変化は止まるだろう】

「本気モードだ…!」

【男をギロリと睨みつける。紅蓮の炎を宿した瞳は、一体何を見るのか】

/すいません、軽く寝落ちしてました…
803 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県)[sage saga!red_res]:2014/09/08(月) 01:06:48.46 ID:ByHewZQ1o
>>799

何を戯けた事を……――――強さを持たぬ者に強さとは何かが分かる筈が無かろうッッ!!
新人類の王たる俺が下位互換共に死を以って教えてやる――――本物の強さとは、完璧とは何かをッッ!!

そして劣る貴様が頼るその技すらも俺に奪われ、我が糧にしてやろう――――!!

【背後のWATCHERのレンズが再度見開き、Ultimitationが巨体を揺らして接近する。足を撃たれていることを忘れさせるような、疾風の如き接近】
【スーパーヘビー級を超えるパワーに、ライト級のスピード。本来伴うはずの無いモノを持つ怪物が接近し、弾の雨を躱し、その鋼鉄の拳を――――】

…………っぐ、ヴぉおお……ぉぉぉッ……!!? 

【――――否、その動きは止まる。身体が痺れ、肉体が朱に滲む。確かに本人は、Ultimitationはその驚異的な運動能力で躱した。躱したのだ】
【しかしその動きに遅れて付いてくるWATCHER≠ノ――――雷撃弾の雨が、降り注ぐ。強靭な肉体を更にサイボーク化したUltimitationの身体は確かに要塞】

【アルフレドの銃撃も常夜の剣もネモの拳すらも彼の両膝を地面に突かせることは到底出来ずにいることは確かである】
【そして彼の能力WATCHER=B能力の中でも珍しいアートマン型であり、つまり其れはこの白い素体とUltimitationがリンクしているということでもある】
【彼が受けたダメージは全てWATCHERにも伝わり、逆にWATCHERが受けたダメージは彼へと伝わる。Ultimitationとは異なり、WATCHERの身体は細く貧弱】
【コピーと言う強力な能力故に、WATCHER自身には攻撃力も防御力も無い。近距離も遠距離も無敵に思えるUltimitationの唯一の隙、それはその能力にあった】

【強靭なボディに攻撃が効かなければ――――アートマン越しに与えれば良い。アートマンをもし消したとしても、その場合はコピー能力は使用不可になる】
【つまり弱点は、常にWATCHERが蠢いているUltimitationの背後。彼ではなく白い素体を狙うことが、唯一の勝利の光脈であり――――アルフレドは其れを見抜いた】


>>801

【アルフレドの攻撃が白い素体の身体を凹ませ、そしてUltimitationを痺れさせる。つまり大きな隙が出来ているのは確かだった】
【それでも、それでも尚驚異的なのは身体能力だけではない。回復能力すらも常軌を逸しており、彼女が突進すると同時に動けるまでに回復し――――】
【男は盛り上がった眉間に皺を寄せ視線で殺す程に睨み付けながら拳を振るうのだが。――――何もかもを破壊する拳はぶおん、と虚空を薙ぎ払うだけで】

――――……な……にィィィッッ!?

【雷撃が反応を鈍らせていた。通常ならばそのフェイクすら難なく読めた筈だ。しかしアルフレドの攻撃が彼の究極≠崩し始めており】
【上から途轍もない衝撃が、Ultimitationの頭を襲う。――――頭部。幾らUltimitationと言えど頭部への、しかも人外じみたパワーを持つ彼女の攻撃は――――】

…………っぐぅッ、拳を振るうしか出来ない餓鬼如きが『新人類』の王たる俺に……ぃぃッッ!!

【ふらつき、膝を付くUltimitation。隙は更に大きくなっていた――――】

/続きます(続きに>>ALLがあります)
804 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県)[sage saga !red_res]:2014/09/08(月) 01:07:26.74 ID:ByHewZQ1o
>>802&ALL

【アルフレドにより痺れさせられ、ネモにより片膝を付かされ――――Ultimitationはいつの間にか窮地に立たされていた】
【しかし認めない。認めることなど出来ない。新人類故のプライドが、現状把握すらも許さない】
【その中で常夜の刀が――――威圧感あふれる大剣へと姿を変える。本気モードだと言い、一気に攻めこまんとする。流れは完全に、3人へと傾いていた】

……貴様等ァァァ〜〜〜ッッ!! こんな奴等に苦戦するなど……し、新人類にはあってはならない……ならないのにッッッ!!!!!
我等は完璧でなければならないのに……よりにもよってこんな糞共に苦戦させられるなど――――許さん、断じて許さんぞぉぉおおおおッッ!!

【アルフレドの攻撃により弱点は露呈した。弱点はUltimitation本人ではなく、彼の能力WATCHER≠ナあり――――其れ以外に倒す方法は無いということ】
【アートマンは本人とダメージをリンクする。WATCHER自体には攻撃性能は無く、細い見た目から分かる通り耐久力も無い。つまり狙うは――――】
【常にWATCHERが位置取る大男の背後。若しくは大男の動きに遅れてWATCHERが移動することを見越した攻撃を放つ。大雑把に分けるとこの二種類があった】

大剣……だと……? ならばこちらも我が父が誇る最強の剣≠セ……この技は強力だぞ……クク、クククククク……――――!!

           ――――これで貴様等も終わりだ……我が父の刃に焼き裂かれ、永遠に眠れ――――――――!!
                                 <<電光剣クラウソラス>>ッッ!!

【雷が掌の上でバチバチと唸る。その電光が段々と大きく、強くなって――――そして激しい音を散らす電光は完全に剣の姿に形作られた】
【だが―――その剣を振るわれることはない。否、振るう必要が無いのだ。振るわずとも勝手に、雷光の刃はGIFTに歯向かう輩の命を奪わんと動くのだから】
【―――動いた。剣がまるで命を持っているかのように。刀身が折れた。伸びた。捻った。―――切っ先がアルフレドの腹へと伸びる。……否、彼だけではない……!!】
【樹の枝が分かれるように刀身が3本に割れた。2つの切っ先が―――2人の腹へと伸びる。疾い。そして鋭い―――喰らえば、焼き切られる為に痛みも壮絶なのだ】
 
805 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/09/08(月) 02:01:59.67 ID:KdtWkPaa0
>>803、ALL
やっ・・・・・・た!!
やっぱりあたしたちは鼠なんかじゃないし、あんたなんて王でも何でもない!!
ただの狂った、人殺しだ!

【ひざを突く大男。自分の拳は通じた。勝機が見えた!】
【判明した弱点は男の後ろの白い奴。なにがどうなっているのかは分からなくとも、とにかくあいつを殴れば倒せるはず】
【要するに、あの男の後ろを取ればいいのだ】

【少女はまた飛び上がる。ひざを突いたその隙に大男を飛び越え、WATCHERを攻撃するつもりだ、が】

あぎっ・・・・・・ひっ・・・・・・

【男の手のひらに想像された雷の剣、それは伸び、うなり、強化細胞で構成された少女の体を紙の様に切り裂き】
【前進に走る稲妻、焼ききれる肺、息ができなくなって意識が飛びそうになる】
【少女は空中で体制を崩してしまい、着地もかなわず地面に墜とされた】

もうすこしっ、なのに・・・・・・
みんな・・・・・・

【相手が切り札を出したということは、相手も追い詰められているということ】
【なのに、ここまできたというのに、自分は動けずに地面を舐めている】
【悔しさが止まらずに爆発してしまいそうだ】
【何人も、何人も人を殺した悪に私は屈するのか】
【―――いや、屈するものか!】

うあああああああああ!!

【動けない少女の叫びなど、意味がないはずだった】
【だが、少女の叫びと同時に】
【ボンッ!!】
【と何かが爆発した】
【爆発したのは少女の腹から溢れた血で、そして少女は爆風で飛び上がり、WATCHERのもとまで】

皆、おねがい!!一瞬でいいから!
次で・・・・・・決めるっ!

【振りかぶる少女の拳は赤く染まっていた】
【それは少女の拳の汗が爆弾へと代わっている証拠】
【その爆弾は丁度拳がWATCHERへ触れ、殴った瞬間に爆発する】
【化物じみた腕力に、爆発の威力を載せたパンチ、それを弱点に叩き込めたなら十分決定打になるはずだ】
806 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方)[sage saga]:2014/09/08(月) 02:05:33.24 ID:Xtlv7YXRo
>>803 >>804

【――――結局。砕け散り崩落していく「ウォレンシス東時計台」を、アルフレドは一顧だにすらしなかった】
【隙を見せられる相手ではないというのもある。彼が冷徹な人間で、今更振り返ってどうにかなることでもないと割り切っていることもある】
【だが――――警察が守るのは、建造物ではなく人間だ。避難した彼らが死なない限り、この街もまた本当の意味で死ぬことはないのだと】
【そう、この若い青年は本気で信じていた。そのような綺麗事を心の底から信じたいと、弱者の身で真に願っている】


貴様のように最初から強くて、その強さに驕っているだけの人間には、わからないんだろうな。
……僕も、そして貴様らに脅かされたこの街も、決して諦めはしないぞ。
貴様らがどれだけこの街を、この国を蹂躙しようが――――僕たち弱者は、ただ弱いだけじゃないッ!!

絶望だけでは、人は死なない。確固たる意思があれば、手を握れる誰かが隣に立っていれば、それは乗り越えられる。
そしてその時、弱者は本当の意味の強さ≠得られる。僕は、そう信じている………!!
辛酸を舐め地面を這いずり逆境を打ち破って成長する、その可能性の尊さだけは――――貴様にも模倣≠ナきはしない!!


【こちらへ接近し掛けた『Ultimitation』へ、アルフレドは怒涛の激情をぶつけた。黒々とした憤怒を燃料に燃え盛るのは、希望の炎】
【叫びながらも、青年の刑事≠ニしての一面がまだ理性を保っている。今のやり取りで完璧≠打ち破る確かな方策が見つかった】
【それを噛み締めながらアルフレドは後退する。先程は飛び道具故に避けられたが、至近距離から繰り出される剛力を避けられる自信はない】

【左腿の痛みに耐えて走り出した先は、ちょうど最初の立ち位置であるだろうか】
【横転した自動車に抉れた道路。遮蔽物は多いものの、先の雷の閃光を見れば瞭然、敵に貫通力に優れた攻撃がある以上それほど役にも立たない筈――――、】


クラウ、ソラス………これは、一年前の――――――!!

――――――がッ、はぁッ、ァァああああああああああああああああああッッ………!!!


【そして実際、それは正しい。反撃を危惧して後退したのだけは良かったが……飛び込んだ先は捲れ上がったアスファルトの道路の裏側だ】
【雷光の刃は盾にしようとした道路を易々と貫通し、その先にいるアルフレドの腹部を引き裂く。傷口から出る蒸気は、鮮血が蒸発したモノ】
【幸い、剣は道路を通してほんの微かに速度を落とし、後は半身になることで直撃は避けたが――――先程の比ではない力に、同じ手は通用しなかった】
【右脇腹の巨大な切創は、強く焼かれたが故に出血は少ない。だがこの獣のような雄叫びが、想像を絶する激痛で肉体以上に精神を削られたことを示して】

【貫通した面から伝わる雷熱が、アスファルトを溶解する。びしり、と音を立てて脆弱な盾は崩落していくだろう】
【その先には脇腹を押さえ、脂汗を全身に貼り付けた無様な旧人類≠フ姿がある。彼は『Kibrit』の銃口をよろよろと上げるが、狙いが定まらない】
【照準は弱弱しく『WATCHER』の付近をさ迷い……最後は引き金を引くと同時に力尽きたか。だらりと腕が垂れ下がり、弾丸はアルフレドの足元へ無駄撃ち、】


【……空間に線を引く魔力光が、緑から青≠ヨと変化していることに気づけば。この最後の一手、対応する事も出来るか――――】


/すみません、続きます
807 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方)[sage saga]:2014/09/08(月) 02:06:52.90 ID:Xtlv7YXRo


この世に、絶対の強さなんて……無い。
どんな強者もあらゆる場面で強いわけじゃない。どんな強者にも、行き届かない死角≠ェある。

強さなんて、しょせんその場その場で変わるものだ。完璧なものなど、この世界にはない。
――――ガ、ハッ……。僕は言ったぞ、自称完璧。僕もこの街≠焉A決して諦めはしないとッ!


【本来、遮蔽物を盾として使う為にこの場所に戻ってきたわけではない。最初にここに来たとき、あるもの≠見繕っておいたのだ】
【――――抉れた道路の下に露出した、水道管。氷結弾≠ノよって凍りついた水道管が一気に破裂し、膨大な量の水≠ェ『Ultimitation』に襲い掛かる!!】

【打ち壊されたウォレンシスの街そのものが、最後に男へ牙を剥く。大きな水柱は機械の体を壊す程ではないが、強力な移動妨害として作用するはずだ】
【そしてその間に、アルフレドは二丁拳銃を弄り始める。『Nara』の後部に『Kibrit』を接続し、エネルギーラインを直結――――】



この僕に、この街に!! 裁かれて消えろ、『Ultimitation』!!

――――――――デカディメント・バーラ<bッ!!!



【新たに浮かび上がるのは『Al-Tinnin(アルティニン)』という刻印。二丁拳銃ではなく二丁一対の拳銃がその姿を現し、】
【氷の魔力が最大限凝縮された巨大な氷の砲弾≠ェ、雄叫びと轟音を引き連れて射出される――――ッ!!】

【これも今までの魔弾と性質は同じだ。魔力で風を包み込んで圧縮、着弾と同時に炸裂してダメージを与えるという仕組み】
【だが、まずその量が今までとは段違い。砲撃形態である『Al-Tinnin』の一撃は最初に放ったチャージショットの比にならない威力を持つ】
【直撃すれば車に轢かれるのと遜色ない衝撃を発揮するだろう。更に今回は、その圧縮空気が氷の魔力で冷気≠ノ変わっているのだ】

【今しがた使った水柱を浴びている状態でこれを食らえば、衝撃を受けた後水柱ごと氷結して氷に閉じ込められることになるだろうし――――】
【もし避けても、体に水を浴びてさえいればそれが氷結し、一定時間身動きが取れなくなる筈。……この雨≠ニいう天候もまた、アルフレドの計算の内】

【また砲撃というだけあって、当然ながら範囲も広い。『Ultimitation』も『WATCHER』も、砲弾が当たれば纏めて巻き込んでしまうだろう】
【砲撃の威力に加え、氷結効果。例え仕留め切れずとも、『Ultimitation』と『WATCHER』、どちらかさえ凍らせて動きを止めさえすれば、】
【後は残りの二人の攻撃が、確実にすべてを終わらせてくれる。弱者だからこその卑劣で冷徹な三段構えの策略、果たして届きうるか――――!?】
808 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/08(月) 02:27:12.21 ID:iSBOutvco
>>803>>804
【女が得物を大剣に変質している間に膝を付かされる男。どうやら、流れは此方に来ているらしい】
【もちろん、戦いの様子を見ていて男の弱点が背後の素体である事も分かった】
【男も切り札を発動したようだ。雷の剣が生成され、それらが伸びて折れて捻って曲がって割れて、三人目掛けて伸びていく】

「そう来なくちゃなぁ……!はははっ、面白くなって来やがった!」

【対して常夜。大剣には迸る炎が宿り、纏われている】
【渦巻くマグマの奔流のようなそれは、超高熱】
【それを構え、駆け抜ける】

【再び突っ込む。雷の剣は脇腹に突き刺さり、焼き切られるような鋭い痛みに襲われる】

「っ………!まだ、だぁ!」

【あまりの激痛に声にならない声が出る。一瞬だけ、その膝をついて足が止まる】
【だが、すぐに持ち直して再び駆ける。脇腹から血を撒き散らしながら】
【狙うは男の正面。背後の素体ごと叩き斬る寸法だ】

「この……喰らええええええええええええぇぇぇ!!!!!」

【雄叫びを上げながら、大剣を振り上げる】
【しっかりと男を捉えた後に、振り下ろす】
【煉獄の炎を纏った大剣は、男と素体を両断しようと勢い良く迫る】
809 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県)[sage saga !red_res]:2014/09/08(月) 02:34:59.34 ID:ByHewZQ1o
>>805 >>806-807 >>808

巫山戯るな……巫山戯るなッッ!! 『GIFT RULER』でもない現人類風情が新人類の王たる俺を倒すなどありえんッッ!!
貴様等の反撃など、この技の前では―――〜〜〜ッッ!? 何故……何故発動しないのだッッ!? 

……み、水……!? こんな小細工、風の衝撃波で――――〜〜〜〜ッッ!? 何故だッッ!? 何故これも出ないッッ!? 
まさか、先程の攻撃でレンズが――――――!!

【警備隊員の銃撃を止めた氷の壁が発動し彼等の攻撃を受け止め、再度反撃に転ずる筈だった。突如視界を埋める水も、警備隊員相手に使った風の衝撃波で対応する筈だった】
【しかしながらその技すらアルフレドの策略によって封じられていた。WATCHER≠ノ蓄積した電流がWATCHERのレンズの一部を狂わした結果、晒される大きな隙】
【無防備過ぎるUltimitationを、WATCHER≠襲う膨大な水。大量の水が視界を覆い、残り2人の接近を容易にし、そして――――】

――――――ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああッッ!!!!

【アルフレドによる冷静な弱者の小細工≠ェUltimitationをWATCHERごと凍りづけにし――――】
【ネモによる人外の腕力に爆発と不屈の闘志が重なった紅い拳が。常夜による煉獄の炎を纏いし大剣の煌きが――――『新人類』のプライドごと、化け物を叩き潰した】
【氷は激しく砕け散り、屈強な肉体が宙を舞い、新人類故の傲慢さが、プライドが叩き潰され――――ドサリと、血に塗れた地面に巨体が落ちた】

…………っぐ、クッ……!! こんなことはッッ……認めんッッ……みと……め……ん…………!! 

【仰向けに転がった巨体が、起き上がろうと背中を逸らす。しかし数多の傷を背負い震える体にはその力すらなく、腕をくすんだ空へと伸ばすだけで――――】
【そしてそのうち伸ばして手すらも震え出し、力なく落ちた。荒い息を零し怒りの感情を息遣いに混じえながら現実を否定するも、動けない自分がその現実を最も強く示していた】
【WATCHER≠出す体力すらも無くなったその姿を見れば、誰もが勝利を確信するだろうか。――――否、確かに彼等は『Ultimitation』に勝利した。そう、『彼』には】


                         【しかしながら其れは、真の勝利ではない――――――】


<<――――――報告させて頂きます。ウォレンシスへの制圧、ほぼ完了したと見て構いません。この後GIFT戦闘兵が乗り込み制圧を完了させる予定です……>>
         <<つまり任務完了ですが如何致しましょう。本来ならば撤退すべきですが……撤退する体力はもう戻りましたか?>>

/続きます
810 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県)[sage saga !red_res]:2014/09/08(月) 02:36:24.09 ID:ByHewZQ1o
【機械的な印象のする女性の声が雨空から響く。視線を上げれば――――屋根に佇む女性の姿。着用している黒のラバースーツ、その右胸部分には大きく伸びた金十字の紋章が刻まれて】
【格好と発言から分かる通り、彼女もGIFTのアンドロイド――――否、『新人類』なのだろう。白い頬に付着した血も、其れを気にしないような素振りからもそのことが伝わって】
【凹凸のハッキリした筋肉が浮き出たUltimitationが解りやすい男性型なら、彼女はまさに女性型アンドロイド。そうハッキリ言えるほどの外見を彼女は持っていた】
【170cmを超えた高い身長に、雨で服に貼り付くライトブルーの長髪、そして窮屈にラバースーツに押し込まれた豊かな双丘。首にはUltimitationと同じく『GB』のドッグタグ】
【腰のくびれは腰と胸の肉付きの割に引き締まり、ラバースーツの特性上女性的な身体のラインが更に強調され美しい曲線を描く。極端なまでに造られた女性らしさだった】

【ルージュに輝く肉付きの良い唇から漏れた言葉が示すは終焉。――――ウォレンシスが堕ちたと彼女が語る途中にも、また一つ大きな爆炎が上がった】
【教会も、市庁舎も、時計台も、博物館も――――Ultimitation率いるアンドロイド部隊によって、ウォレンシスを象徴する歴史的建造物は軒並み破壊され】
【既にGIFTを、『新人類』を追い返す力は自警団や警察には残っていなかった。圧倒的能力と圧倒的科学力。2つの強大な力を手にした『新人類』に為す術もなく――――】
【――――防衛側に送られる「総員撤退せよ」のメッセージが、真の勝利者が誰なのかと言うことをを嫌と言う程に示していた】


Arcoiris(アルコイリス)≠ゥ……――っぐ、もう大丈夫だ立ち上がれる。そして報告ご苦労、なつまり誤算は貴様等だけだった……と言うことか……!! 
だがそれでも、それでも尚――――この圧倒的事実は動かない……!我等GIFTがウォレンシスを制圧したと言う……この事実は……な……! 
さぁ理解しろ、そして絶望しろぉおおおおおッッ!! 貴様等がどれだけ足掻こうがッッ!! 『新人類』の――――GIFTの侵略を止めることなどもう不可能なのだとッッッ!!

更に教えておいてやろう……『GIFT RULER』の方々も着々と侵略の準備をしていると言うことだ……世界から旧人類を蹴散らし、優秀な者だけの世界を構築する為のなぁッッ!!


【Ultimitationが立ち上がり、血に塗れた重く長い右腕を徐ろに天に掲げる。壊れた幾つかのレンズが剥き出しになった状態のWATCHER≠ェ背中に出現する】
【Arcoiris≠ニ呼ばれた女性が現れて言葉を飛ばす数十秒の間にUltimitationは驚異的なまでの回復力を見せていた。その為再度能力を発動させることが可能になっており――――】
【――――開いた大きな掌に集まる、眩い光。その光を見た瞬間アルコイリスは何かを悟ったのか振り向き、屋根伝いに逃走していく。白の双眸を向け、怪物が吠える】

今回は―――今回はまだ学習が足りなかっただけだッッ!! 充分な学習が出来ていれば……貴様等を圧倒する程の力など容易いに決まっている……!!
ウォレンシスは堕ちた。――――間違いなく我等「GIFT」の勝利だ。だがしかし貴様等を殺すに至れていないッッ……不完全な勝利など「新人類」には認められないっっ!!
「新人類」に敗北はたった一度であっても許されない……「新人類」は完璧でなければならないッッ……!! 
もっと多くの強者と出会いッッ、もっと多くの技を覚えッッ、より強くならなくてはならないッ!!完璧であるには今日の敗北など……あってはならん、ならんのだッッッ〜〜!! 
しかしッッ……この敗北は我が糧となり、貴様等の技は我が技として記憶した……!!この屈辱は忘れんぞッッ……!! 
次に貴様等と相対する時は……数多の技を学習し、無限に強くなるこのWATCHER≠フ力で―――四肢を、指の1本1本を、心の臓を捻り潰しッッ!! 
貴様等の細胞1つ1つにGIFTの恐ろしさを――――そして「新人類」がどれ程貴様等を超越した存在であるかと言うことを教えこんでやろうッッ……!!

【――――刹那、弾ける光。掌に集約された光が一斉に解き放たれて、周りの世界を白に染め上げる。かつてフルーソを攻めこみ散ったユピテルから『学習』した目眩ましだ】
【光が消えた時には既に怪物は姿を消しており――――爆炎で焼け焦げた家が崩れ、Ultimitationが居た場所をレンガの雪崩が埋めた。残ったのは凄惨な姿のウォレンシスだけだった】

/戦闘の〆レスです! お疲れ様でした、ありがとうございました
/続けてイベント全体の〆のレスを直ぐに書きますのでー!
811 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県)[sage saga !red_res]:2014/09/08(月) 02:40:32.29 ID:ByHewZQ1o
【――――ウォレンシス陥落事件 翌日】

【正午に鐘を響かせる時計台も、レンガ造りの家が並ぶ町並みも、ベルバング広場中央に立つ英雄像も。ウォレンシスを象徴する何もかもが破壊し尽くされていた】
【この地に古くから住んでいた人々は既に避難し、そして故郷を失った。今この地にはGIFTの戦闘兵が集い、そこら中に金十字が刻みつけられ】
【昨日まで「ウォレンシス聖霊教会」と呼ばれていた荘厳な造りの教会も金十字により今迄の歴史を闇に葬られ、能力を我等に与えた神を称える場所になっていた】

【かつての平穏は何処にも見当たらず、街を埋めて行くは重厚な兵器の数々。戦車に大砲、銃火器が『緑の都市』と呼ばれていた場所を汚していく】
【南に位置する学校の旗はいつの間にか金十字に変えられ、誘拐した子供を能力者へと育てる「GIFT ACADEMIA」になり。まさにこの都市は、GIFTの為の道具となった】
【集められたGIFT兵が破壊された街を修復していくがそれは元のウォレンシスの姿を取り戻すためではなく、新たなるGIFTの拠点として『利用』するため】
【『古都』としてのウォレンシスも、『緑の都市』と呼ばれたウォレンシスも。その過去の姿を全て上から塗り潰し――――軍事都市を作り上げんとしていた】
【運良く壊されなかった巨大建造物は、急速な工事によって基地へと姿を変えるのだろう。鳴り響く工事音が、過去のウォレンシスの姿を我々の脳裏から消し去っていく】

――――――――…………。

【兵器の匂いに満ちる町ウォレンシス。その新たなシンボルである「聖GIFT教会」――――元「ウォレンシス聖霊教会」の屋根に付けられた金十字を黙って凝視する男】
【ウォレンシスを落とすに至った『新人類』の王、Ultimitation。彼の巨体の各部には包帯が巻かれていたが、前夜の傷は既に大分癒えているようだった】
【その隣に姿を見せるはラバースーツの女。その女をUltimitationはArcoiris≠ニ呼ぶことから、昨日一瞬姿を見せたあの女性型アンドロイドであることが分かる】

<<どうされましたか……新人類の王たる貴方がそんな顔ではこれから生まれてくる『子』達に示しが付きませんよ>>

――――またお前か、Arcoiris=B……確かに我々は勝利したが、我等『新人類』は奴等を圧倒することは出来なかった。
まだ力が足りない……完璧には程遠い。更なる学習と改造、そして戦力が必要だ……。だからと言って呑気にしている暇も無い。
この勢いを衰えさせる事なく侵略を進めなければならないと言うことは『GIFT RULER』の方々も解っている筈だ。

               ……よって我々『新人類』の次の狙いは――――――――――――

【冷酷な2体の瞳が見据えるは新人類による新人類の為の世界。その為には先ず、この世界に巣食う愚かな旧人類を焼き払わ無ければならない】
【昨夜がその世界の為の一歩であり、既にGIFTは二歩目を歩む為に恐ろしい計画を練っている。その二歩目が『新人類』によるものか、『GIFT RULER』によるものかは未だ不明だが】
【兎に角言えることは一つ。世界は能力者と無能力者で出来ている――――という半ば常識になっていた其れは最早間違いであるということだ】
【――――世界は無能力者と、能力者と、『新人類』で出来ている。そして『新人類』がこの世界の覇者として君臨せんとしている――と言う事を我々は理解せねばならなかった】

/イベント〆のレスなので返信は要りません!
/こんな遅い時間まで付き合ってくださりありがとうございましたー!
812 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方)[sage saga]:2014/09/08(月) 03:14:54.28 ID:Xtlv7YXRo
>>809 >>810

【最後の一撃を撃ち終えたアルフレドは、無様に大の字に倒れ込んでいた。……『Al-Tinnin』の砲撃は大威力だが、それに比例して反動も大きい】
【全身に響く衝撃を受け止め切るには、右脇腹の傷が重すぎたのだ。それでも必死に、数度地面を這い蹲りながらも膝立ちの状態まで持っていく】
【自分の攻撃が直撃したところは目撃した。そして残る二人の拳と剣は――――アルフレドの相貌に、生き汚い笑みが宿る】

【三人の力が、『新人類』というひとつの究極のカタチを見事地面へ引き摺り下ろしたのだ。血塗れで倒れ伏した男へ、青年は侮蔑の視線を投げ――――】


………………ッッッ………!!!


【――――アルフレドは常に、最悪の状況を想定して動く冷徹な人間だ。だから、想定していた。この最悪の可能性≠キらも】
【命懸けの努力空しく……ウォレンシスが、落ちた。その可能性を想定していることと、その事実を受け止められることは、まったく別の事】
【GIFTと、そして自分への憤怒を必死に押さえつけ、アルフレドはただ歯を食いしばる。刑事としての自分が、冷酷に「逃げろ」とだけ告げていた】


何度同じ事を言わせる気だ……化物風情が。
この世には、力だけでは決して御せないものがる。どうしたテロリスト、僕は絶望していないぞ。僕はまだ、この街を諦めてはいないぞ――――。
ああ、今回は僕達の負けだ。警察も自警団もこの街を守り抜けなかった。民間人に被害がなかったのだけが、幸いだ。
だが学習するのは貴様らだけじゃない。ただ敗けて蹲っているほど、僕らは愚かではない………!!

『Ultimitation』、そして『Arcoiris』。その名前、地獄に落ちても忘れないぞ。
覚えていろ――――いずれ僕の正義が、世界の正義が、貴様らをその薄汚れた王座から引き摺り下ろすッッ!!!


【それでも。冷静に考えればすぐ撤退の手筈を整えるのが得策だとわかっていても、獣のように叫ばずにはいられなかったのは、やはり若さ故なのか】
【見苦しいまでの怒りと憎しみ。目を剥き歯を立てて噛み付くように唸るその醜い弱者≠フ姿は、しかしどこまでも真っ直ぐだった】
【……だが所詮、この場で何を言っても負け惜しみでしかない。何をどう吼えた所で状況は変わらない。それを心底理解できる頭を持っているからこそ、】

【アルフレド・フェリシアーノは最後に、乗っ取られたウォレンシスの只中で恥も外聞も無い咆哮を上げる】
【それはきっと、負け犬の遠吠えではない。GIFT、そして新人類との戦いを告げる、たった一人の鬨の声に違いないのだ――――】



【――――その後】

【ひとしきり雨に打たれて頭を冷やした後、アルフレドは無線を使って仲間に助けを呼ぶだろう】
【SCARLETの回線を使っての緊急コールだ、いくらウォレンシスがこんな状況でも救護車が来るまで時間は掛からない】
【その際、彼は残る二人にも一緒に乗っていくよう声を掛けるはずだ。もちろん強制はしないが、安全地帯まで運んだ上治療もしてくれる筈】

【後日、治療を終えて警察としての後始末に奔走するまでの間……アルフレドは新たに生まれた目的≠ニ、その為の手法をただひたすらに考え続ける】
【そう、少なくとも、確実にわかっていることがひとつ。アルフレド・フェリシアーノは、もっと強くならなければならない――――】


/主催者様&お二方、お疲れ様でしたー!
813 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/09/08(月) 22:34:15.31 ID:xtirKKXW0
【――――路地裏。様々な悪党が巣くう場所として有名で有り、好き好んで通る者も居まい】
【そんな場所にて聞こえるのは数人分の呻き声か。見遣れば全員場所は異なれど掌で押さえ、倒れ伏す男達が数人】
【唯一立っているのは何処かの企業の正装を纏った女。――――と、純白のローブを纏った一人の少女か】


「礼は必要在りません。イリニはイリニの務めを果たしただけなのですから
――――其れでは気を付けて帰ると良いとイリニは告げます。次にまた同じ様な事が起きても救う事が出来るとは限らないのですから」

【大凡、女が暴漢に襲われそうになった所を白の少女が救ったのだろう】
【その少女、年齢はまだ十代の前半にも思えるけれど其れ相応の実力を持ち合わせているのか】
【頻りに頭を下げる女に対して感情の含まれない双眸を向けたならば、これまた抑揚の無い声質で告げて】

【女がその場から去って行く姿を確かめた後に倒れ伏す男達を一瞥】


「コレが我々教会の勤めです。害を為す者を排除し、死から救う事。イリニはそう教わりました
――――貴方達は処刑を行う程ではありません。その痛みにて罪の重さを認識すると良い、イリニはそう考えます」

【治療をするでも無く、ただ呟いたならば少女もまたその場を後にするのだろう】
【戦闘の際には其れなりに大きな音が響いていたし、何より罵声等もあったのだから場所を特定するのは容易】
【戦闘自体を見る事は叶わないだろうが、倒れ伏す男達と何食わぬ表情でその場から離れようとする少女しか居ないのだから双方の関係は誰にでも理解出来よう】

【この場所、悪人は勿論の事自警団だとかの善人も訪れる。不本意ながらの迷い人も居るか】
【何で有れ、少女の白髪はこの闇の中よく目立ち――――もし誰かが訪れれば、ピタリと脚を止めて「何かご用ですか」の言葉と共に視線が向けられるのだけれど】







【最早風化し、朽ち果てた小さな祭壇。街から離れた場所にある其れは、人々の記憶からも忘れ去られ】
【然れど、今宵は其処に人の姿が一つ分。緑のローブを纏った女、か】
【銀色の髪を腰程まで伸ばし、焦げ茶色の双眸。手にしているのは古びた魔道書であろう】
【魔力だとかに詳しい者ならば、その魔道書自体に様々な魔術が施されて居るのも感じ取れるかもしれないけれど】


「ずっと昔に使われてた祈りの場所、かぁ…………
今よりもずっと前は此処にも沢山人が来てたのかな……?」

【掌が祭壇を撫でる仕草は、過ぎ去った曾てを思う様。此処に集っていた者が祈りを捨てたのか、滅びたのか。幾多にも分かれる考察】
【だけれど、歴史が記された本だとかを持って居ない今は答えに至るのが難しくて――――それ故に、考える楽しみもあるのだけれど】


「戻ったら遺跡に行く前に此処の事をもう少し調べてみようかな
何だか、面白そうな場所だし……」

【――――岩を椅子代わりに座れば、辺りを見渡して】
【近づいてくる存在に気付くとしたその頃だろうか。其方へと視線を向けたならば、瞬きを数回】

【さて、この場所。魔物も出没する場所とされるのだから自警団だとかも見回っていたりするし、今宵は星々が良く見える夜なのだから散歩に出歩く者が居ても不思議では無い】
【何れにせよ、この女自身には敵意だとかは無いのだけれど、どの様に反応するかはその者の自由であって】
814 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/08(月) 22:52:14.44 ID:BZ/eKS4/0
>>813

【十五夜の夜。お月様を綺麗に見ようと思った、そうしていたら、足は自然に街からは遠ざかって】
【どんどん誰も居なくなっていくけど、その分、お月様が綺麗に見えるようになっていく。それが、なんだか面白い】
【ふらふらと散歩しながら歩いていた。十分かもしれないし二十分かもしれないし、三十分かもしれないし――とにかく】

【しばらく歩いた後に見つけ出したのは、いかにも古ぼけて朽ち果てた、祭壇だった】

…………――ふわ、

【――初見の感想は、なんだか古びたところ。でも綺麗なところだとも思った、(廃墟とかを、好む性質だから)】
【そうして観察していると人影にも気付く。それはちょうど、相手がこちらに気付く瞬間と重なる頃合だったから】
【もしかしたら数秒ばかし見つめあってしまうかもしれない。現れたのは瞳の綺麗な少女だ、まるで蛇みたいに、丸いまなこの】

【ちょこんと大き目のフードを被る頭が揺れる、それは足りない視界を補うような仕草、――上から覗き込むように相手を見て】
【身体の全面に垂らされているのは真っ黒の髪、まるで反対に真っ白な肌に空いた眼窩には、黒と赤の瞳が収められて】
【くるっと身体を包むのは膝丈ほどの黒いマント。時折翻るのを見るに、裏地は暗い赤色のものらしく】
【マントをふっくらと膨らませるスカートの布地もちらちら覗く。段フリルをあしらった、黒基調のワンピース】
【ヒールの太く高いパンプス。近づこうとしたならころりと大きな石ころに蹴躓きかけて、わたたっと慌てた仕草を見せたあと】

こ、……こんばんは――。

【不手際が恥ずかしかったみたいに頬に手を添える。その手を少しだけ動かしてフードの余った布地を掴むと、ふわっと捲り上げて】
【そうして顔を見せながら挨拶するのだろう。――鈴の音とよく似た声だ。遠くから聞こえて来る鈴虫の音色に、僅か似て】

……――お月様、見に来たの? 今日が十五夜だよね、……わたしは、お月様、見に来たんだけど……。
綺麗に見える場所探してたら、ここに着いたの。――不思議なもの、……祭壇、かな? ……よく分からないけど……。

【――だなんて、自分がここに現れた理由を告げるのだ、自分は怪しくないって、言うみたいに】
【言い終えれば相手の反応を待って数秒ほど黙りこむ。敵意なく瞬く瞳は、つやつやと月明かりに煌いて、希望がちに見え】
【少なくとも、満月に反応して襲い掛かってくる狼めいた性質なんかはなさそう――そう、見えた】
815 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/09/08(月) 23:30:50.72 ID:xtirKKXW0
>>814
「――――うん。こんばんは」

【躓いたならば慌てて近寄ろうとするのだが、その必要も無い事を知ったならば再び同じ場所に腰を降ろすのだろう】
【古ぼけた本だとかが考古学者めいた何かに思わせるかもしれないけれど、それにしては年齢も若く見えて】

【挨拶に対しては、微笑を浮かべて同じ様に返した】
【敵意が無い事を知ってか――――否、或いは敵意を秘めていたとしても鈍いこの女では気付く事が無さそうだけれど】
【兎にも角にも、言葉に釣られて空を見上げたならば今頃になって今宵の空の具合を知ったのだろう】


「そっか、そう言えばもうそんな時期だったっけ…………
ううーん……私は、お月様を見に来た訳じゃ無くて此処を調べに来たんだけど――――」

【連れも居なければクリスマスだとかのイベントも関係の無い女。肌で感じ取る寒さだとか暑さだとかが季節の移ろいを教えてくれるだけで】
【だから、今日が十五夜であった事もすっかり頭から抜け落ちていたのだろう。暫し無言であったのは、久々にまじまじと見上げた月の美しさに驚いたからか】
【此処を――遺跡を探りに来た。だけれど答えは見つからず、今日の散策は終了しようかと思って居た頃】

【少女の言葉に何と無く引き留められる】
【星占いだとかの神聖な事は、同じ様にこの様に神聖な場所で行われていたのだとしたら――――】


「でも…………たった今、お月見に変えちゃった所。何も無い状態で調べるのはやっぱり難しかったかなぁ……

……不思議だよね。ずっとずうっと前は大切にされてた場所なのに、今はこうして誰も来なくなっちゃったんだから
きっと覚えてる人だって本当に少なくて――――なんて、ごめんね。急にそんな事を話してたら変な人って思われちゃうね
月が綺麗に見える場所、かぁ……。うん、確かにそうかも。お月様、好きなの?」

【やはり古代の物を好む故に、知らず知らずの内に語らいに熱が籠もるのか】
【全ての者が自分と同じ事に興味がある訳では無い。その事を思い出したならば、照れ笑いと共に話題の転換を図るのだろう】
【見たところ、訪れてきたのは少女一人。ならば、余程月が好きなのかな、なんて当てずっぽうな考え】
816 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/08(月) 23:44:11.99 ID:BZ/eKS4/0
>>815

【体勢を立て直せばごまかすみたいに笑う、その笑顔は妙にあどけなくて、彼女の年齢をいくらか曖昧にして】
【十五、十六、それぐらいの年齢の少女だ。こんな夜に街外れを出歩くには、少々危なっかしいように見える、年齢】
【――だけれど、彼女が纏う気配。ひんやりと冷たく清涼な水の気配は、彼女が、ただの無害な少女でないことを証明しているよう】

今日だよ、……良かった、天気予報だと曇りだって言ってたの。
うちのほうだと、本当に曇ってたし――こっちは晴れてて良かった、見られるの。

【見上げた月はきっと美しい。丸くて、明るくて、――太陽の光を真似しているだけなんて、思えないような】
【あの元気な明るさとは明確に性質が違っているように思えるから。もっとずっとしっとりした、そんな、イメージ】
【長い髪をふわっと後ろに払って背中に流す。そうして覗く華奢な首は、彼女の細さをあらわすようで】

【星占いとか、よく分からない。占いには昔からあんまり興味が無かった、なんでだろうって、それは分からないけれど】
【改めてちらっと眺めてみた祭壇、ぼろぼろに崩れそうな外見を眺めて――ふと興味が湧いたのか、そちらに足を進め】
【許されるならそっと撫でてみようとするのだろう。その仕草は僅かに小姑に似るが、そういった、意地悪なものではなくて】

……わたしもね、こういうところは、好きなの。
昔は誰かが居て――でも今は誰も居なくって。なんだろう、寂しそうなんだけど……好きにしてるって感じも、する気がするの。
だいすきなところがあるの。そこはね、もう、何百年も誰も来てないところ――でも、とっても素敵なところ。

…………おつきさま? ……うん、好きだよ。お星様も好き、――なんだろ、夜が好きなのかな……。
……夜の国に暮らしてるんだ。だから、見放題。……でも、違う国で見るお月様も、綺麗だね――――。

【そのうち、放っておけば少女は地面に座る。と言っても地べたではなくて、地面に転がる、手ごろな岩の上に腰を下ろして】
【そうして言葉を返していく。変な人だなんて思わない、そういうような言葉は――なんとなく、好みも似通っているような】
【ぺたっと畳んだ膝の上に掌を揃えて置く、指を一本ずつぱたぱたとやりながら――視線は、天井の月を見上げ】
【気の抜けた表情でにっこりするのだった。こういう場所は好き、お月様も好き、だからご機嫌がいいらしい】
817 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/09/09(火) 00:08:31.04 ID:RKiRlJMw0
>>816
「何だかね、一般世間から離れてるとそういうのに疎くなっちゃって…………
でも、そっか。月が綺麗に見えるなら良かった」

【近寄ろうと身構える事も無い。祭壇とて其れは同じで、触れたから何が起こる訳でも無く】
【――――細かな傷は今までに経た歴史の証。撫でた部位に付着するのは砂埃と削り取られた粉かな粒子】
【曾ては大切に扱われ、一日も欠かすこと無く磨かれていた物も今はこんな有様だ】

【今宵晴れたのは久しぶりに訪れる者を予期してか。まるでそう思うほどに月の光に善く照らし出され】
【辺り一面は銀色、或いは黄色。元より色付けの行われていないこの場所は、自然の色に染め上げられて一層美しくも思え】


「――――そうだね。国によって月に見える物も違う、なんて話もあるから……
櫻の国だと兎……なのかな?あまり調べた事が無いから分からないけど…………

夜は落ち着けて良いよね。朝も昼も嫌いじゃ無いけど……ふふ、虚弱体質な私にはちょっぴり厳しいかな
だから昼の国とかより君が住んでいるような夜の国の方が好き……かな」

【日の光は眩しいから、だなんて言葉を苦笑と共に繋いで】
【とは言っても、少女の様に星や月が好きだから――――の理由では無く。遺跡に潜り込む際にその暗闇が助けになる故に、か】
【然れど久々に見上げる月も良いモノ。遺跡調査の事は暫しの間忘れ、名月に見入り】

【――――ふと、思い出した様に紡がれた言葉は「一人で来たの?」】
【見掛けの年齢が実年齢と限らないことは理解して居るが…………それでも、その容姿から訊ねられずには居られなかったか】
818 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/09(火) 00:21:14.54 ID:05Y6qV1F0
>>817

【さーっ、と。祭壇の表面を撫でる、そうして付着してきた砂埃を、指先を擦り合わせることではらはらと落とし】
【綺麗だった頃の姿を見てみたいと思った。でも、これはこれでとっても綺麗な姿だとも思った。そんな、曖昧な気持ち】
【――辺りが月明かりに煌く、生えた草の緑がしゃらしゃらと楽器のよう、風のそよぎに揺らいで、舞い踊る】
【そんな様子は、訪れた二人を歓迎してくれているようにも見える。それは、錯覚とか、勘違いかもしれないけど――】

……櫻は兎さんだって聞いた。わたしも、兎さんだって思うの……だって、ほら、あそこが耳で――。
どこかの国だと女のひとの横顔だって言うんだって。不思議だね、おんなじものを見てるはずなのに……、……。

朝とか昼間も好き、でも、春の午後ぐらいが一番好きなの。ぽかぽかして、あったかくて……いっぱいお昼寝したくなる。
でも。ずっと居ると疲れちゃうな、……わたしも、どっちが好きかって言われたら、きっと夜が好きだって答えるの。
……夜の国っていいところだよ、夜景が綺麗だし、お星様が綺麗だし――ちょっと寒いけど、その分、空が綺麗なの。

【真っ黒の髪と黒色の瞳。右目だけは血のように真っ赤だが、顔立ちも似通うなら、どうやら彼女は櫻の系譜を継ぐらしい】
【見上げて指差した月の影。彼女はそこに兎を見出した後、がんばって女のひとを捜そうとしているようだけど――諦めて】
【膝を抱えて小さくなりながら答えていく。それからちょっとだけ、自分の住む国をオススメして――布教して、】
【「良かったら遊びに来て」だなんて言葉で締めくくる。それから、ふわっとひとつ、緩やかに吐息を吐いて】

…………やっぱり兎だよ。兎以外見えないもん、どこが女のひとなのかな――。

【それから、そうして呟くのだった。ゆらゆらと持ち上げた手、伸ばした人差し指を揺らしながら、虚空に落書きするように】
【そうするときらきらと魔力の軌跡が生まれていく。それは、本当に虚空にお絵描きをするみたい、やがては兎の絵を描いて】
【デフォルメされた兎の絵。桜色/紫色の魔力で引いた線は、きらりきらりと煌きながら、ゆっくり消えていく】
819 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/09/09(火) 00:22:21.28 ID:Jj2KZZk1O
>>779

【ふと浮かぶ考え、「意識など戻らずにただ朽ち果ててしまえば」なんて】
【そうすれば生に纏わる痛みや苦悩などから離れていられたのだろう、そんなことを少しでも望むなんてどうかしているのは……分かっているけれど】

【自分の確からしさも得られない今ではそんな潰えた可能性でさえ甘美に見える】
【そうだ、思えば黒というのは白の反対側だった……即ち無垢さや純真さ、穢れのなさを白が象徴するならば】
【なるほど私が染まるこの色は私が堕ちている証左なのかもしれない、なんて自嘲】

(護ることさえ……今の私に出来はしない)
(ただ、あどけない少女を怯えさせるだけか……なんともまあ─────)


【月明かりに祈るのは、その淡い光が恐ろしいから】
【心地良い闇が光によって晴れてしまえば空っぽな虚ろな自分が露わになる、だから暴かないでくれと許しを乞う】
【かつての名残もないこの世でもはや多くは望みません、ただ一つだけ叶えてくれるなら醜い私をどうか隠して誰の目にも触れないようにしてください】

【虚ろは綺麗に隠してそして苛む】
【いっそ首が見つからないのなら、それで良い……第二の人生に興味はない】

【少女の声はか細く聞こえて、ならば歩みは止まらない……】


(恐ろしい、私は恐ろしい…………全ては空虚だ……)
(こんな状態で何を求める、そんな権利などあるものか─────)

【磨きあげた高潔さは反転すれば己の穢れを許せなくなる】
【響く金属音は責め立てるようでさえある】

─────ええ、さようなら……優しい貴方
どうか私の言葉は戯言と思ってください、貴方は罪の意識を持つ必要がないのだから
今宵の事は……そう、悪い夢と忘れてください─────それでは

【「またね」という言葉への応えは一方的な物だ、酷い話なのだろう】
【でも、僅かばかりの思考が導き出した最適解だ……彼女は自分を忘れるべきだ、傷つくべきでない】

【そう、これは彼女にとっての一時的な悪夢で良いのだ】
【そして私にとっては……朽ちるまで続く悪夢……】

【手を振ることも無しに、黒き騎士は闇に消える】
【塵が塵に還るならば闇は闇に飲まれるのが摂理、今や拒絶する理由なく】

【ただただひとつを閉じて─────】

/遅くなりましたがお疲れ様でした!
820 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/09/09(火) 00:45:06.60 ID:RKiRlJMw0
>>818
「私には――――……月、にしか見えないかな。本当はもっと別な物に見えたら楽しいんだけど……」

【星座とかもそう。星を繋いでまた別な形が現れる――――というのはどうにも納得いかなくて】
【何よりも本来の其れと形が大きく掛け離れているのだ。星同士線で結んだ所で歪な何かにしか見えない】
【夢が無い、と言われてしまえばそれまで。自分に嘘を吐きたくないだとかの高尚な精神でも無い】

【ただただ本当に、よく分からない…………感性の違いで済ませる事が出来る程度の事】
【少女の描いた其れを視線で追って月と重ねてはみるのだけれど――――】


「夜の国も……その内、お邪魔したいかな。面白そうな場所が沢山あるって友達からも聞いてたから……
――――もうこんな時間。それじゃあ、私はそろそろ図書館に行ってみるね
此処の事をもっと知れる物が在るって聞いたから……」

【夜の国は自分には合っている場所だ。その内、訪れる機会があるならば是非行きたいとだけ告げて】
【ふと時計を見遣れば深夜。鉄は熱い内に叩け……とは異なるけれど、意欲がある内に調べ物をした方が捗るのは確実】
【「よいしょ」のかけ声と共に立ち上がったならば尻を一・二度叩いて砂埃だとかを落とし】


「それじゃ、私はそろそろ行くね?
きっと、大丈夫だと思うけど――――帰り道、さっきみたく転びそうになったりしない様に気を付けてね」

【別れ際、冗談っぽく加えたのは最初の一場面。クスリ、と小さく笑ったならば踵を返してその場を後にするのだろう】
【僅かに吹いた心地よい風。何と無く、秋の到来を感じさせるかの様】

/っと、明日は早起きなので申し訳無いですがこの辺りで……!
/お相手、有り難う御座いましたですよ!お休みなさいませー!
821 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/09(火) 00:55:45.24 ID:05Y6qV1F0
>>820

……そう、かなあ。でもね、なんだっていいんだと思うよ――……、兎さんでも、女のひとでも、いいの。
何が見えるかって考えるのも楽しいかも、兎じゃなかったらなんだろう、……えーっとね。――えぇと。

【星座はよく分からない。大三角形くらいしか分からないし、お月様に浮ぶのも、その二つぐらいしか知らなくて】
【興味ないなら一緒に考えようよだなんてお誘いする。――でも、言いだしっぺである彼女は、答えに悩んで黙りこんでしまい】
【えーと……なんて、頭から煙でも出しそうに悩んでいる。そのうちに、「わかんないや」と言って、諦めるのだが】

とってもいい場所だよ。……うちね、森の中にあるの。良かったら遊びに来て、お茶ぐらいなら出せるから――。

……そっか、じゃあ、わたし、もうちょっとここに居ようかな……。……そう、そうなの、あなた、お名前は――?
わたしね、りんね。鈴音・シュトラウス――、……ばいばい、またね。……また良かったら、お話したい、な。

【上機嫌めいて笑う、良かったら――だなんて言葉は、社交辞令にも似るけど。もし本当に来てくれたなら、お茶と、お菓子と、】
【そんな軽いおもてなしぐらいはある――はずだった。ただ、ひどくびっくりした顔をするのは、きっと変わらなくて】
【――そして少女は名を名乗る。相手の名前を求めて、首を傾げて、数秒の間。名乗ってくれたなら、嬉しそうにし】
【ばいばいなんて手を振って見送るのだ。そうして、誰も居なくなるまで、背中を見送って……】

――――きれい。

【ちょっと冷たい空気に、マントの布地を寄せ集めて、囁く。お月様と少女と、切り取られたような世界の中で】

/おつかれさまでしたー!
822 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/09/09(火) 20:58:36.50 ID:v10gytqGo
【どこかの森の中】


【――静まり返った森。視界は極めて暗く、踏み入れることに恐怖を覚える者も少なくない】
【だが、もしもここに来たならば――闇夜に紛れる鋭い気配を感じ取ることができるだろう】
【その気配はまるで暗殺者そのもの。しかし殺気は垂れ流しなため、正体はそれとはまた違うか】

【――彼女≠ヘ木の上に居た。もしライトなどで照らすことができれば、その姿を確認できるだろう】
【デニム生地のホットパンツ、足には運動靴を着用し、アーモンド形の大きな瞳を持った、そんな――精悍な顔つきの少女だ】
【薄い緑色のTシャツの背にはナチュラルとロックがあたいの中で核融合する≠ニいう意味不明なフレーズが印字されている】
【背中にはさらに黒いしっぽが伸び、そしてくっきりとした銀色の短髪の間からは、黒い猫耳がちょこんと生えていた】


……。


【じっとそこから動かない少女。何かを待っているようでもあるが――】
【これだけ集中しているのだ。誰かが来ればきっと、彼女はそちらに反応するはずで】
823 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/09(火) 22:13:20.02 ID:iE7DvXzdo
>>822
/まだいらっしゃいますでしょうか?
824 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/09/09(火) 22:19:30.92 ID:v10gytqGo
>>823
/いますよー!
/ただ1時頃には落ちるので持ち越しをお願いする可能性があります…
825 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/09(火) 22:25:20.28 ID:iE7DvXzdo
>>822

【がさ、がさ、がさと――――草木を掻き分ける音が、少女の耳に届くかもしれない】
【この夜分遅く、このような辺境に果たして何の用があってのことかはわからないが、誰かが森の中へ踏み入ってきたのは確かだ】
【音はどんどんそちらに近づいていくだろう。そこに殺気や敵意の類は全く感じられず、偶然迷い込んできたという風情に見えるが……】
【……まるで肌を突き刺すかのような、鋭い聖≠フ力の断片を感じることは出来たかもしれない】


………あれ………?


【さて――――茂みの奥から少女のいる木の根本に出てきたのは、十代後半に見える少年だ】
【流行りもののシャツの上に青系のカーディガンを合わせ、胸には派手すぎないシルバーアクセサリー、下は深緑色のカーゴパンツを履いた服装に】
【髪は染料で染めた茶色で、ワックスを使って前髪を上げている。いかにも今時の高校生といった風情の、特徴に乏しい人物である】

【ただひとつ異様な点を述べるならば、その少年が明らかに分不相応な刀≠持ち歩いていることだ】
【白色の鞘には各所に細やかな金細工が施されて、柄や鍔の設えは見るからに頑強。まだ鯉口も切られていない状態でなお、何か神聖なものが漂っている】


何か、妙な気配を感じた気がしたんだけど………やっぱり気のせいだったかな。


【どうやら少年は、少女が垂れ流していた殺気を察知して興味本位でここまで来てしまったらしい】
【そして辿り着いたはいいものの、未だその出所を掴めず、頭を掻きながらキョロキョロと周囲を見渡している】
【少女から見て少年の位置はちょうど真下に当たるだろうか。もし何らかのアクションを起こすのなら、地理的な優位はいま少女の方にあった】


/了解しました!
826 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/09/09(火) 22:44:21.05 ID:v10gytqGo
>>825


にゃ、あれは……


【ぴくり、と耳が動く。草木を?き分ける音の方を見ると、少女は嬉しそうに笑みを浮かべた】
【この暗闇の中、なぜか彼女はこちらへとやってくる人物を判別し、更にはそちらへと移動を開始する】
【その動きも必要最低限だ。少年が行くであろう方向に目途を立て、木から木へと移ってゆく】

【闇を縫う影――殺気は失せているものの、移動することによる気配は拭えるものではない】
【もしかすれば気付かれてしまうが、そうでないならば彼女は手ごろな高さの枝まで移動し】
【少年がその枝のすぐ前まで来た瞬間――】


――ばぁ!


【……と、上から彼女は降ってくるだろう】
【何が起こったのかというとつまり――枝に足を引っかけ逆さになり】
【少年が通り過ぎる直前を狙って垂れ下がったのである】

【さて、このいたずらは成功するのだろうか――】

/よろしくです!
827 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/09/09(火) 22:52:54.32 ID:RKiRlJMw0
【この時間、出歩く者も居なくなり閑散とした市街地】
【頼りなさ気に辺りを照らす街灯の下に在るのは純白のローブを纏った者の姿】
【被ったフードの中を見遣れば白の髪を持った少女であると分かるだろうか】

【手にしているのは一枚の地図。人々の導となり、様々な情報が記された物だけれど――――作られた年は中々に古い様で】
【況してや此処は商業区。今見たところで殆どの施設だとかは変わっているのが現状】


「――――困りました。このままでは与えられた任務の遂行が出来ないとイリニは考えます
バドルモ商会の場所が分からない限り受け取りも出来ません
神堂様から与えられた任務を完遂出来なければイリニに対する評価が陥落すると危惧します」

【故に、迷い人であると表すのが正確か。まだ十代前半であろう年頃にも関わらず、その表情には焦りだとか不安だとかは無くて】
【寧ろ無表情。感情の起伏だとかが一切感じ取れないのがこれまた奇妙だけれど】

【兎にも角にも、地図を片手に辺りをキョロキョロと見渡しているのだから少女の陥っている状況は遠目でも把握しやすい】
【――――その者に対し手を差し伸べるか、或いは不審人物として警戒するかは人それぞれ】
【何かの出来事に巻き込まれる、というのも否定は出来ず】








【木々の間から月の光が差し込む森の中】
【普段ならば静寂に包まれているであろう時間だが――――今宵は何者かが歩く音が響いて】
【その方へと視線を向けたならば、所謂修道着と呼ばれる其れを纏った女が目に映るか】


「…………暇、って訳でも無いけど……うん。まぁ――――何事も無いなら其れが一番良いかな」

【目的も無く、ただの散歩であろうか。その足の先は何処かへ向けられる訳でも無く】
【もう暫し適当に歩き回れば、やがては丁度良い切り株の前と移動して】
【小さな吐息一つと共に座ったならば見上げるのは月、か】
【露に入った今日この頃。幸いにも今夜は雨が降ってはいなくて――――湿度も、丁度良い】


「ボクとしても忙しいのはあんまり好きじゃないからね
――――どうせなら、このまま数日はお仕事無ければ良いんだけど…………?」

【獣も野鳥も眠り、風だって吹かないのだからその呟きも存外遠くまで聞こえるもの】
【もし、その声を頼りに誰かが近寄って来たならば――――小首を傾げながら、そちらへと視線を向ける事だろう】
【腰には銀色の双銃が提げられているけれど、其れに触れる事は無く】
【ともなれば、敵意は無いと感じ取れるが…………?】
828 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方)[sage saga]:2014/09/09(火) 23:01:46.92 ID:iE7DvXzdo
>>826

【少年はしばらくその場で辺りを見渡した後、諦めたようにその場を去ろうとするのだが――――ふと、途中でその足が止まる】
【頭上から何か、聞こえたような。夏の森なのだから虫や動物の一匹や二匹がいてもおかしくはないけれど……】
【そこで油断しないあたり、あながち単なる一般人というわけでもないのかもしれない。少年は咄嗟に体を半身に引いて身構え、】


――――うわぁ!!?


【……るよりも、猫耳の少女がいきなり逆さ吊りで目の前に現れる方が僅かに早かった。素っ頓狂な悲鳴を上げて少年は真後ろへ飛ぶだろう】
【肝が据わっているのか、それとも単に驚きすぎたのか、少年は逃げ出そうとはしなかった。ただ唖然とした様子で少女の姿を見やるのみ】

【数秒の空白の後――――やっと再起動した少年は、軽く苦笑いしながら溜息をつくだろう。温厚な性格なのか、怒っている様子はなく】
【どころか初対面の得体の知れない相手に、「脅かさないでよ」と友達に語りかけるような口調で言ってみせると、彼はすっと少女の背中に回った】


あー、えっと、とりあえず。
………このTシャツはカッコいいの?


【誰何を問うでも目的を問うでもなく、少年の口から呆れ混じりに漏れ出したのはそんな的を外した台詞で】
【もしかすると、まんまといたずらに嵌って悔しかったのか。軽い意趣返しのつもりなのかもしれない……】
829 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/09/09(火) 23:23:14.83 ID:v10gytqGo
>>828


にゃははは! 大成功だにゃ!


【ぶらんと垂れ下がったまま、彼女は楽しそうに笑う】
【その体勢を維持しつつ、少年の動きを眼で追うのだろう】
【背後に回られても特に気にする素振りは見せず】


にゃは、かっこいいでしょ!
いっぱい服が捨てられてるところから持ってきたんだにゃ!
確か、何かの雑誌のフローズンなんだって


【×フローズン ○フレーズ】
【この調子では書かれた文章の意味も理解してなさそうである。というか意味などない】

【よいせの掛け声と共に少女は身体を起こす】
【木の枝に足をつけて大勢を整えると、くるりと無駄な回転をつけつつ彼女は飛び降りるだろう】
【危なげなく着地すると、ぐぐーっと一度背伸びをして少年へと向き直るはずだ】


久しぶりだにゃ、一颯。元気してたかにゃ?


【にっ、と笑うとそう言葉を紡ぐだろう】

/えと、以前に一度絡みましたよね…?
830 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/09(火) 23:45:19.39 ID:iE7DvXzdo
>>829


いや、うん。逆によかったよ、きみのセンスじゃなくて………。
ちょっと意味不明って言うか悪目立ちするから、人前で着るのはやめておいた方がいいかもよ?


【……やっぱり悔しかったのかもしれない。楽しそうに笑う彼女を微笑ましそうに眺めつつも、少年は偽悪的な呆れ顔を崩さず】
【今時の高校生としてはどうにも看過できないものがあるらしい。核融合だかなんだか、文面の溌剌さだけ見ると確かに彼女に会っている気はするが】
【ただ、元々切り替えの早い性格だ。少女が派手な動きで目の前に躍り出た頃には表情も元に戻って、「おぉー」と暢気な称賛を送ってみせるだろう】


うん。久しぶりだね、銀猫。例の空狐≠フ事件以来かな。
こっちは色々大変だったけど………きみは元気だったかい?


【そして、少年――――鳴子一颯は笑顔を浮かべ、友達へと気軽な声を掛けるのだった】
【大変だったと言う割に、少年の面差しはちっとも変わっていない。強いて言えば、前に模擬戦をした時は短刀を使っていたのが、いまは刀を持っているぐらいか】
【その刀に関しても、銀猫は見覚えがあるかもしれない。以前一緒に受けた依頼での報酬の一つ、桜の国に伝わる名刀・正櫻≠ニいう一品だった】


/……勘違いしてました本当申し訳ないです(白目)
/前のレスの初対面云々は読み飛ばしちゃって下さい!
831 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/09/10(水) 00:24:08.43 ID:GjwCaGrHo
>>830

【忠告を受けると銀猫は「えっ何で!?」と驚くのだろう。まるで意味がわからないと言いたげに】
【意味はわからずとも語感で選んだのかもしれないが、彼女は本気でかっこいいと思っているようだった】


狐? ああ……あいつのことかにゃ
にゃ、あたいはいつでも元気だにゃ!


【言い終わるや否や、彼女の腹からぐぅぅ、という音が聞こえてくるだろう】
【まるで腹の中に飼っている魔獣が唸っているような音】
【銀猫は自分でも驚いたのか反射的に自身の腹を見遣ると、何度かそこをさすって】


にゃは、お腹空いてたんだった。今はちょっとだけ元気じゃないかもにゃ
一颯、ここに来るまでにイノシシ見なかったかにゃ?
多分この辺りにいるからずっと待ってるんだけど……見つからないんだにゃ


【きっと捕らえて食べるのだろう。かなりワイルドな生活をしているようだ】
【このあたりには獣の足跡などの痕跡が多くある。一颯がそれらに気づいていてもおかしくはないが――】

【ちなみに刀に関しては気づいていないようだった】
【報酬として並べられたそれを見ていれば一颯が違う刀を帯びているとわかったかもしれないが】
【実はあの戦闘の後、彼女は報酬に目もくれずどこかに去っていたのだ。加えて彼に会ったのも久しぶりが故に】
【気づけないのは仕方のないことか】
832 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/10(水) 00:49:25.42 ID:wOFov1/Zo
>>831


そっか、それは何よりだよ。いまは世間も荒れてるから、危ない目に遭ってないかどうか心配だったんだ。
………って、またすごいお腹の音だね。夕飯まだだったの?


【……一颯は自分を、まっとうな人間だとは思っていなかった。「色々大変だった」というのも単なる社交辞令とは言い切れないところがある】
【だからこそ、銀猫のような友達が元気でいてくれるのは彼にとっても救いだ。そんな心の内は一寸も漏らしはしないが、浮かべた笑顔が安らいでいるのは確か】
【銀猫のお腹の音を聞くと一颯はさらにおかしそうに笑って、心底微笑ましげに彼女を見やるのだろう】


イノシシか………ごめん、特に見てないよ。
でもまだ近くにいるんだったら場所は掴めるかもしれない。待ってて、ちょっとやってみる――――。


【期待混じりの銀猫の問いを、一颯は残念そうに否定した。イノシシそのものも見かけていないし、足跡などにも気づけなかったのだ】
【一颯は各地に旅行に出かけるのを趣味にしているため、一応いざというときの野宿用にそれなりの知識を仕入れてはいるのだが……】
【銀猫ほどのサバイバル能力となるとさすがにまだない。この暗がりの中で獣の足跡を見分ける芸当はさすがに厳しいのだけれど、】

【――――ざわ、と空気が蠢くのが感じられるだろうか。周囲の大気が突如として銀色≠ノ染まっていく】
【風を操る一颯の妖気だ。彼がすっと目を閉じると銀風は一気に拡散し、薄い銀色の靄が周囲一体を覆っていくだろうか】


……いた。三時の方角、だいたい十五メートル先ってところかな。
完全に油断してる、銀猫の足ならすぐに追いついて仕留められるはずだよ!


【風に妖気を混ぜ込み、それを霧状に拡散させることによって特定の対象を探知する……そういうごく単純な術だ】
【――――だが実は、強力な聖≠フ力を帯びた正櫻を持ったままそれを行うとなると難易度は一気に跳ね上がる】
【彼の言う「大変」の中には、それを克服するために流した血と汗が多分に含まれていたりするのだけれど……まあ、それはともかく】

【一颯は無事にイノシシの位置を探知し、そのおおまかな位置を銀猫に伝える。銀猫がイノシシを仕留めに向かうのなら一颯も後についていくだろう】
833 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[saga]:2014/09/10(水) 19:10:31.25 ID:0zUfIh7To

【―――それはおどろおどろしい風。】
【どこか波乱を予感させる、危険な香りを孕んだ風。】
【びゅう、と吹いては去っていく。しかし風はどこかで消える。どこかで止まる。】
【但し。―――どこで、いつ、どう止まって消えるのか。その行方を知っている者は、当の風だけだ。】



【酒場は賑わっていた。丁度夕暮れ時、夜の帳がおり始めた夏の終わり。】
【10人を超える客が酒や食事を楽しみながら、あれこれと騒いでいる為、店内は明るい雰囲気であった。】
【店員と思わしき女―――テンガロン・ハットに白いシャツ、土気色のベストを羽織った古風な女も、又忙しなく動いていた。】


  えぇ〜? ちょっとちょっと、ヴィッターのおじさんはまだ飲むつもりかい!?
  もうその辺にしておきなって―――あ、コラ! 勝手にカウンターの中に入らない!
  大体、それはお客さんに出すようのお酒じゃなくてアタシ秘蔵の―――なら構わないって? 構うよ! 全然問題あるよ!


【集まった客は店員、いや店主の知り合いなのだろうか。和気藹々としてはいたが】
【時折粗暴の悪い所を露呈している辺り、どうにも堅気ではないらしい。尤も、酒が入れば皆同じだが。】
【散々騒いで回って彼方此方食べかすやらトランプやらが散らばった後、一頻り騒いでから彼等は街へと消えていった。】

【残された店員は久しぶりの大賑わいにてんやわんやになりながらも、懐が暖かくなった事に喜びつつ】
【汚された店内をモップで回って掃除をしていた。夜も更けてきた頃、また第二、第三の客がぽつ、ぽつと来始める時間帯。】


  ―――ハァ。
  毎度毎度、お金を使ってくれるのはいいけどやれ値切れだの安くしろだの、むちゃくちゃ言う奴ばっかりで困っちゃうなぁ……。
  アタシの地元にはどうしてこう、まともな人間が少ないのか……あいや、地元の『友達』には、か。
  
  ま、なにはともあれラッシュは終わって、のんびり出来る時間か―――……仕事でも進めますか、ね。


【店主の女はまばらとなった客の注文に答えながら、カウンターで何かの書類を纏めていた。】
【恐らくはこの酒場が持つ本来の意味―――UNITED TRIGGERという、『正義の組織』の仕事に手をつけているのだろう。】
【女の名はセリーナ・ザ・"キッド"。誰かが尋ねてくるのであれば、人も少ない時間帯故に、ゆっくりと会話をすることも出来ようか―――。】

/予約で御座います。
ミストドラゴンの方、よろしくお願いします。
834 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/09/10(水) 19:32:55.61 ID:GjwCaGrHo
>>832


危ない目に遭ってもあたいは負けないけどね!
そうそう、ここでずっと修行してたんだにゃ
ずーっとここでじっとしてたからご飯食べるの忘れてたにゃ……


【一颯の気持ちを彼女が汲み取ることはない。彼女の能力では感情の形を掴めないのだから】
【でも彼女のことだからきっと、一颯がどんな人間であろうと友達/ライバルとして接するのだろう】


にゃ――


【何かを思い出したかのように銀猫は声を漏らす】
【そう、ただ見つけるならば自分の能力で見渡せばよかったのだ】
【それをしなかったのは別の目的があったのだが――大したことでもない故にそれを忘れ】

【銀色に染まる空気に目を見張り、おお、と感嘆の声を漏らしてみたりする彼女】
【呑気なものだが――術を使った一颯にならわかるかもしれない。イノシシが居る場所、そこには】
【イノシシ以外の気配がもうひとつあることに――】


にゃ! わかったにゃ!


【正確な位置を聞くや否や銀猫は跳躍し木の枝に乗ると】
【イノシシが居るであろう場所まで枝伝いに跳躍を繰り返してゆく】
【瞬く間に彼女は闇に紛れてしまうだろう。数秒後、わずかな静寂の後】


にゃああああああああああああああああ!?


【……そんな絶叫が聞こえてくるかもしれない】

/お返ししておきます!
835 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府)[saga]:2014/09/10(水) 19:44:36.92 ID:1gTHYCYp0
>>833


【ぎぃ……】
【と、ドアの音。そして、足音】

【こつ、こつこつ】
【革靴の足音。反応し、見るなら】

「……まだ、開いているね?」

【テンガロンハットを被る、背の高い男が立っている。】

【金属のように鈍い青の髪、生気の感じられない蒼い瞳の男。】
【ギターケースを背負った男。】

【――まだ夏だというのに、黒いコートを着た男。】

「いい雰囲気の店だ……はは。嫌いじゃない……うん」

「ああ何か……飲み物が欲しいな。オススメのヤツがいい……君のね」

【と、あまり大きくない声でセリーナに告げる。】

【そうしてから、近くにある席に適当に座るだろう……緩く、微笑みながら。】

/返信遅れました。よろしくお願いします。
836 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/10(水) 20:16:18.76 ID:wOFov1/Zo
>>834


へぇ、修行かぁ。実はぼくも、この辺にはコレの練習によく来るんだよ。
………ん、ずっとじっとしてた? それってどんな修行してたのさ?


【奇遇だね、なんて一颯は笑ってみせた。「コレ」というのは当然刀のことである】
【この分なら、また今日のように再会することもあるだろうか。多少なりとも後ろ暗いものを抱えている一颯だが、友達と会えるのは普通に嬉しい】
【じっとしてた、という言葉には多少疑問を覚えたようだが……食事するのも忘れるほど集中する事だったのか、と適当に考えを巡らせて】


………あっ、ちょ、ちょっと待って。
イノシシの近くに何か、別の気配が――――ってちょっと! 銀猫!


【一颯も感心されて気分を害するほどひねくれてはいない。もちろん、天狗になって調子に乗るような性格でもないのだが……】
【友達を前に、多少気が緩んでいたことは否めない。一颯がイノシシの近くにある違う気配を捉えたのは、銀猫に場所を伝え終えた後で】
【止めるまもなく銀猫は飛び出していってしまう。彼女らしいな、と暢気に思う反面、追う方は大変だ――――】

【一颯には銀猫のような身体能力はない。体に妖気を回せばその限りでもないのだが、少なくとも今は人間と変わりない状態である】
【木の枝づたいに追いかけることは出来ず、仕方なしに抜刀。ちょっとバチ当たりかなとは思いつつも名刀の刃で藪木を打ち払い、茂みの中を進む】


…………ぎ、銀猫っ!?


【――――彼女の絶叫が聞こえてきたのはそんな頃だ。何があったかはわからないが、自分が見過ごしてしまった気配の事と結び付けるのは容易で】
【流石になりふり構っていられず、一颯は抜刀したまま妖気を解放。前方の藪を斬撃の風≠ナ纏めて切り飛ばし、周囲に気を配りつつ一気に銀猫の元へ近づくだろう】
837 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[saga]:2014/09/10(水) 20:19:10.55 ID:0zUfIh7To
>>835

【―――カラン、コロン。ぎい、と軋んだドアの音に続いて、上に付いたベルが響いた。】
【人も少な目であり、また騒いでいる人間も特に居なかった為、そのベルの音、そして"来訪者の靴の音"もよく、響く。】
【ついでに言うのならば、その来訪者―――店主と同じ様に、テンガロン・ハットを被ったその男の言葉もまた、店内に響いた。】


 っと―――いらっしゃい、お客さん!
 開いているも何も、此処は酒場だからね。今は静かだけど、むしろこれからが本番さ。
 ゆっくりしていってよ、幸い、大騒ぎする類のお客さんはついさっき皆飲み疲れて帰ったばかりだから、ね。


【自分と同じテンガロン・ハットに加えて、ギターケースという特徴的な外見。】
【だが陽気なその外見に似合わず、雰囲気というか、瞳に灯った光がどこか、暗い。】
【黒く長いコートや、纏う威圧感は人間よりもむしろ、死神や悪魔の様な恐ろしいモノを感じさせる―――気が、した。】


  (……ちょっと、変わった格好だけど。ま、此処に来るお客さんなら、普通の事なのかな。)
  (―――ていうか、ほんの少し前にワンちゃんの加入希望者だっていたんだもんね、ふふっ。)
  
  お褒めの言葉を頂き光栄です。なんて、畏まった雰囲気でもないから、そこら辺に腰掛けてくださいな。
  ん〜……それじゃ、まずは最初だし、アルコール薄めのカクテルからいこうか!
  お客さん、何か好きな炭酸とかはあるかい? 夏だしコークなんかお勧めだけど―――どうかな。


【手際よくカクテルの準備をしながら、カウンターの椅子へと案内をするセリーナ。】
【近くの席へと座った男に対して飲み物の好みなどを聞きながら、その柔和な笑みと相反する雰囲気に、きょとん、とするだろう。】
【―――どこか、不思議だ。セリーナとはまた違ったタイプの神秘性を持っている、というのだろうか―――セリーナは質問を続けた。】


  ……お客さん、なんだか不思議な雰囲気の人だね。
  ウチのお店には初めてだよね。この辺に住んでいるのかい?    
838 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府)2014/09/10(水) 20:41:42.98 ID:1gTHYCYp0
>>838

「はは、それもそうだ……」

【酒場は夜こそ稼ぎ時。至極当然の事だ。指摘され、笑う。】

「……ああ、それは良い……酒は静かに飲みたいタチでね」

「コークいいね」
「じゃ……コークを使って、何か頼むよ……っと。」

【帽子を置く。ギターケースも背から降ろす。】
【椅子に腰掛け、息をつく。】

「ふぅ……」

【不思議な雰囲気。セリーナが感じたそれに反するように、普通。】

【ごく普通の行動】
【セリーナが感じたのは、その中の微かな、『淀み』か】

【あるいは、死の匂い、か?】

「ん……初めてさ。ちょっと、興味があってね……」
「まっ、生憎、定住はしてないんだけどね……色々あったのさ、はは」

【と、笑った。】
【『色々』――聞いて欲しい、という訳でもなさそうだ。】

「……君が店主? 若く見えるけど……」

【笑んで雑談を振る。普通の客。】
839 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/09/10(水) 21:00:19.81 ID:GjwCaGrHo
>>836


これ? ああ、なんだか妙な感じがすると思ってたんだにゃ
……あたいそれ苦手かも。なんていうか、消えてしまいそうな、そんな予感がするにゃ

にゃ、目を閉じて周りの気配を感じる練習と、気配を消す練習だにゃ
たまーにやんないと感覚が鈍っちゃうからね!


【以前、自分はおそらく妖怪なのだと語った銀猫】
【だからなのか、聖≠フ性質を持つものはどうも苦手なようだった】
【消えてしまいそう、という表現がまた妙だが――】

【修行の内容はどうやら感覚を研ぎ澄ますものだったらしい】
【さすがに筋力ばかりを鍛える鍛練ばかりしているようではないようだ】


【茂みを進むと、木の幹を支えにして立つ銀猫を見つけることができるだろう】
【ダメージを負ったのか、腰のあたりをさする彼女の顔は痛みで歪んでいる】


……あ、一颯。気をつけるにゃ
何かいるよ。でっかい怪物みたいなのが


【銀猫は一颯を見つけると、警戒するよう促すのだろう】
【その後すぐに、彼女が見つめる先――暗闇から、茂みをなぎ倒しながら大きな影が姿を現わすはずだ】


……。


【魔獣。その巨体を言い表すとすればそれがぴたりと当てはまるだろうか】
【見た目は熊に近いが、頭と腕に鋭い角のようなものが生えている】
【気性は荒らそうだが無駄に吠えないところを見ると、かなりの冷静さを持ち合せていることが窺えるか】

【銀猫はそんな怪物を目の前にして、深い笑みを作り――】


にゃは、いいこと思いついたにゃ
一颯、どっちが先にあの怪物を倒せるか――あたいと勝負しない?


【あろうことか、そんな話を持ちかけるだろう】
840 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[saga]:2014/09/10(水) 21:03:36.36 ID:0zUfIh7To
>>838

【普通に笑っている間は、特に違和感の無い男性。こうして会話をしている時も、また同じだ。】
【では何が、セリーナの中で先程のような違和感を生んだのか―――『淀み』と、そう表現するには】
【まだセリーナの中でも認識が固まりきってはおらず。ただ、ほんの少しだけ警戒しながら、話を続けた。】

 ついさっきまで結構ガヤガヤしてたんですけど、今夜はどうも静かな夜みたい。
 でもお客さんのそのギター……飾りではないんだよね? 本職ならせっかくの静かな夜だし
 一曲くらい拝聴したい所だけど―――ふふっ。初対面でこんな事をお願いするのは、流石にぶしつけだよね。

 ―――はいっ! 『メキシコーラ』、テキーラとコークのカクテルだよ。
 初っ端からテキーラっていうのもどうかなーと思ったんだけど、度数は低めにしてるから、安心して。

【男の目の前には、シュワシュワと泡を立てるカクテルが置かれた。】
【黒色の中にテキーラ特有の琥珀色が混ざり合って、どこか異国情緒を思わせる品だ。】
【彼女の言葉が正しければ度数は然程高くない、ようだが―――……この女、相当な酒好きなのは言うまでもない。】


 (―――……音楽家。ストリートミュージシャン。どっちかは分からないけど、なんだろう……)
 (嗅ぎ慣れた匂いに近いものを、感じる。戦場で味わうような、殺伐とした闘争の香り……どうして、こんな男性から……?)

【だがしかし、温和に見える中にどうしても拭いきれない違和感を想像してしまうのは―――】
【ひとえに、ガンマンとして研ぎ澄まされたセリーナの感覚ゆえか。それとも、男性の隠しきれない程強力な、"威圧感"の為か。】


 なるほど、定住はしてないんだ。それじゃ、彼方此方回ってるストリートミュージシャン、ってところかな?
 いいねぇ、アタシも若い頃は旅を―――って、まだまだ若いっての。ああゴメン、今のはきか無かった事にしておいて。
 けどお客さんのご指摘の通り、若くて美人の店主ことアタシがセリーナ・ザ・"キッド"―――このUNITED TRIGGERの、創設者さ。
 若く見える、だなんていわれちゃったからにはオマケしてあげないとね。おつまみを出すからちょーっと、待っててね。

 ―――ところで、この街にはライブをしに来たのかい?

【―――核心を突く、というわけではないが。セリーナは純粋に、彼の目的を問うだろう。】  
841 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/10(水) 21:29:00.60 ID:wOFov1/Zo
>>839


あっ……と、ごめんごめん。やっぱり純粋な妖怪だと感じるものなんだね。


【そういえば、と今更気づいて、一颯は軽く謝った。「妖怪」という言葉から感じるおどろおどろしい感覚が銀猫には無いのでつい普通に接してしまうけれど、】
【自分と違って、彼女は純粋な妖怪なのだ。ここで出会ったのは偶然とはいえ、そんな相手に猛毒≠見せびらかすのはやや不謹慎か】
【……妖怪が消される¥u間を見たことのある一颯としては、それを銀猫で想像したくはない】


銀猫、怪我したの!? いったい何が――――、 

…………うーん。
その気配を感じる修行、ぼくもやった方がいいのかも…………。


【――――さて、茂みの先に銀猫を発見した一颯は、負傷した姿を見るや大慌てで近寄って、身を案じる言葉を掛けるだろう】
【見たところ腰をさすっているだけで、目立った外傷が無さそうなのは幸いだけれど――――と、銀猫の警告が一颯の体を後ろに向けさせる】
【……べきべきと嫌な音を立てながら姿を現す巨体。一颯は驚きよりも気づけなかった自分への呆れが先行した様子で、どうでもいい軽口を叩いて】
【それほど好戦的な訳でもない一颯としては、まず考えたのは逃げの一手である。だがもし、奴が追って来るような時は――――】


………まぁ、うん。逃げ切れなさそうな時は共闘しようって言うつもりだったんだけど……。
あははっ、いまさらだけど、銀猫はそういう子だよね。

仕方ない=\―――その勝負、乗るよ。ここはさっさと倒した方が手っ取り早そうだ。


【一颯は苦笑いを浮かべて、銀猫の笑顔を受け止めた。冷静な判断とはいえないが、しかしこういう相手だからこそ話していて退屈しないのだ】
【銀猫の高い実力は把握しているし、一颯とて自分の実力に自信がないわけでもない。それに……何となく、二人掛かりならやれそうな気がした】
【どうやらこの少年も、そういう若さ≠持ち合わせているらしい。仕方ない≠ニいうのは単なる口癖に過ぎず、言葉と裏腹に表情はどことなく楽しそうで】

【そうして、一颯は提案に乗ることを選択した。けれど元来の性格が曲がるわけでもなく、いきなり仕掛けたりはしないはずだ】
【まずは慎重に、魔獣の外見と仕草を観察し始める。……銀猫が先に仕掛けてうまいこと刺激してくれないかな、などと微妙に腹黒いことも考えつつ】
842 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/09/10(水) 21:32:00.19 ID:Q5C0QHPuO
>>840

「飾り? はは、ばかを言っちゃあいけないよ……これは俺の相棒さ。」

【ギターケースを一瞥する。それは棺桶のように鎮座する。】

【相棒。その言葉は嘘ではない。】
【数多のステージを渡って来た。】

「でも……今弾くのは、勘弁してもらえるかい? こういう雰囲気は壊したくないからね……はは」

【と、カウンターに置かれた酒。】

「……酒、最近強くなってね……昔はからっきしだったんだけど」
「……いただくよ」

【と、杯をゆっくり傾ける……それなりに早い、まあまあのペース。】

【二口、三口ほど喉を通す。】
【そして、口を離し、微笑む。】

「……美味いね。良い腕だ。」

【世辞よりは、本音に近い言葉に思える。楽しそうに笑っていた。】

「ストリート。……ま、そんなとこかな……」
「おっと。若い、ってのは、そりゃ本音さ……なんたって」

【と。その目が、明確にセリーナを捉える。】
【笑みの種類が、変わった。無目的な温和から、目的を持った物へ。】

【それでいて決して、威圧感は、表に出さず。】
【隠し方は秀でている。奥に秘めたそれを感じ取れるセリーナは、やはり手練れか。】

「この町には……ああ君に会いに来たんだ。セリーナ・ザ・キッド……」

「……なんて言い回し、ロマンチックすぎるかな……はは」

【そう、笑う。】
843 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/09/10(水) 21:59:36.75 ID:GjwCaGrHo
>>841


にゃ、逃げるなんて選択肢は最初っから無いにゃ!
ここで逃げたら晩ごはんをあいつに取られちゃうからね!
あいつの狙い、絶対あたい達と一緒だにゃ!


【肝心のイノシシだが――今は魔獣のそばに転がっている】
【視界が悪いが、少なくとも動ける状態ではないことはわかるだろうか】
【もっとよく観察すれば太った横腹に打撃の跡が見てとれるかもしれない】

【まるで大槌で殴られたかのような傷――魔獣がやったもので間違いない】
【一撃で行動不能にしたのだろう。ならばその膂力も量れるというものだ】


にゃは、そうこなくっちゃね!
じゃあ先制攻撃――――いただくにゃ!


【嬉々として銀猫は魔獣に突撃してゆく。後先考えずに真っすぐに突っ込む様は彼女らしい】
【とはいえ尋常ならざるそのスピードは相手にとって急襲とも言えるもの】
【間合いに入ると彼女は鋭い前蹴りを放つのだが――】


え、わ、ちょ――――ッ


【ガシ、と屈強な手に足首を掴まれる。速い=\―巨体にそぐわぬ俊敏さだ】
【銀猫は魔獣の手から逃れられず、それどころかぶおん、と鞭を振るうかの如く持ち上げられ――】


「――ルルァッ!!」


【次の瞬間、魔獣は一颯へと銀猫を投げつけるだろう】
【軌道上に彼女が蹴ったり掴めたりできそうな物はない。今の彼女はただの投擲物だ】
【高速で迫る銀猫の身体。当たり所が悪ければかなりのダメージを負うことになるだろう】
844 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/10(水) 22:27:54.22 ID:wOFov1/Zo
>>843


(…………アレで殴られたら相当痛そうだなぁ)


【イノシシと魔獣とを交互に見据えて、一颯は暢気な感想を抱いた。実際には痛いでは済みそうもない】
【その横を予想通り銀猫がすり抜けていく――――けれど、実のところそこまで心配はしていなかったのだ】
【その疾駆速度は脅威の一言。向こうがパワータイプなら尚更、あの巨体では反応できまいと睨んでいたのだが、】


うわっ、――――っと!!
痛たたた…………銀猫、大丈夫?


【捕縛され投擲される銀猫の姿を捉えるなり、一颯は驚く間もなく思考を切り替えて妖気を展開。ぶわっ、と不自然な風の流れが広がるだろう】
【銀猫は、進行方向と逆から突如吹き荒れる突風を感じるだろうか。ついでに、まるで砂混じりの風みたいに少しだけ肌が痛む感覚もあるかもしれない】
【強烈な向かい風≠吹かせることで勢いを殺そうという試みだ。ざらつく風は、一颯が妖気の斬撃≠フ性質をギリギリまで薄めた結果である】

【もっとも、妖気を薄めるということは風の操作能力が落ちるというということでもあり――――銀猫を体で受け止めた一颯は、痛みに顔を歪めて】
【だが風で強引に勢いを落とした上で自分の体をクッションとしたのだ、銀猫に怪我はないはず……と、一颯は一応彼女の体を確認しようとするだろう】


やれやれ、どうやら一筋縄じゃ行きそうにないね。
力強くてしかも速いんじゃどうしようもない。まずは機動力だけでも落とさないと――――風切≠チ!!


【その後一颯は立ち上がって、体の背後で妖気をうねらせるだろう。猛烈な風切り音が鳴り響き、野獣の咆哮じみて魔獣を威嚇するはずだ】
【そして、そちらは囮である。もし魔獣がこちらに気を取られてくれたのなら、次の攻撃がより避けづらくなることはずだ】

【――――本命は魔獣の後ろ足のさらに奥、死角となるであろう位置。そこに周囲の風が静かに集約し、銀色の塊が二つ出来上がり】
【次の瞬間、そこから横薙ぎの軌道で銀風の帯≠ェ射出される! 刀剣と同じ威力を持つ斬撃のニ閃、熊の両膝の裏を深く切り裂く軌道だ】
【ただ、射出後の速度こそ高速だが、発射されるまでに若干溜め時間がある。もし魔獣が妖気≠察知できるのなら気づいてから避けることも可能かもしれない】
845 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[saga]:2014/09/10(水) 22:39:46.20 ID:0zUfIh7To
>>842

【鎮座するギターケースすらも、何らかの"殺気だった"雰囲気を感じさせるほど。】
【例えるなら、そう―――『ジャンゴ』でフランコ・ネロが引き摺っていた、あの機関銃の入った棺桶か。】
【単なるギターのケースではなくて、中に何が入っているのか好奇心を刺激されるような、そんな気がするのは何故だろう。】


 相棒……ふふっ、なるほど。
 すっごく信用しているんだね、例え道具でも、そう呼んであげたらきっとギターも喜ぶ筈。
 分かるよ、アタシも同じ様に、ホラ―――……"道具"が"相棒"っていうタイプだからさ、素敵なミュージシャンさん。

 でもだからこそ……弾く場所はよく吟味して、って事かな。オーライ、それじゃ次の機会にお願いするよ。
 

【セリーナもまた、彼と同じ様に"道具"―――即ち、腰元に鎮座する"愛銃"とガンベルトを相棒とするガンマンだ。】
【だからこそ、彼の言葉には立場こそ少し違えど、はっきりと共感の意を示して。笑顔を向けると、自分の腰元のそれを】
【アタシにも相棒がいるよ―――そんな風に伝えるように、指差した。テキーラのカクテルを褒められれば、クスリと笑って。】

  ―――そうそう、そういえば"アルコール"もアタシの大事な相棒だった。それも人生の、ね。
  だから不味いものは絶対にお客さんに出さない主義さ、気に入って貰えて光栄かな!
  ただ―――……えぇ〜っと……ん……?


【尤も。それまで飄々とした態度を見せて、相手の雰囲気に呑まれまいとしていたセリーナも】
【『君に会いに着たんだ』―――と、真剣なまなざしでそう言われてしまうと、若干不意を突かれた事もあってか】
【ほんの少しだけ頬に朱色が刺したのだが、直ぐに誤魔化すように笑って、男に向かって冗談はよしてよーと、切り返すだろう。】


  あっ、……はは、はっ! だめだめ、だめだよお客さん。
  お酒一杯で店主を口説こうなんて思っちゃ、流石にアタシもそんなに簡単には堕ちないって。
  ……けど、案外そういうロマンチックなの、嫌いじゃないよ。こういう仕事をしてると、たまに人肌恋しくもなるし―――ね。

  とはいえ、お客さん……"口説く"為に会いに来た、そういうワケじゃあないんでしょう?
  アタシに用がある、っていうなら大抵は二つに分けられる。一つはUTについて話を聞きに来た人、
  そしてもう一つは―――滅多にいないけど、アタシを撃ち殺す為に来た悪い男、そのどちらかだ。

  ―――かっこいいおにーさんは、果たしてどっちのタイプ、かな。

/遅れました、申し訳御座いません。
846 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府)[saga]:2014/09/10(水) 23:09:20.95 ID:1gTHYCYp0
>>845

【素敵なミュージシャン。その言葉にほんの少し、笑みを歪ませ――本当に、ほんの少しだけ。】

【それは、なにか諦めとか、そういう部類の感情。】
【そうしてセリーナの銃に、視線を向ける。歴戦の戦士の愛銃。いいものだ。目を細める。】

「ああ、いずれ……ね。」
「君のガン・テクニックもお目にかかりたいな……いずれ」

「ははは」

【ギターケースを軽く叩き、軽快に笑ってみせる。】

「はは……ま、口説くってのも、まあ悪くない。……俺が、独り身ならね……」

「生憎、恋愛の相手は、間に合ってるからね。心に決めたヒトが、いるんだ……はは」

【と、『冗談』にマジの声色で重ねた男。】
【惚気話の一つでも、飛び出しそうな……それは、流石に抑えて。】

【濁った目が、見据える。】

「ま、お気づきのようだけど……俺の場合は、『前者』」

「……UT……今の『正義の組織』ってやつに」
「すごく興味津々。はは」

【と、彼は笑みを見せる。へんに純粋な笑みだった。】

【――カクテルを飲み干す。】
【とん、とテーブルに置いて。】

「『どんな正義も許容』する……なんて、噂に聞いたけど……」

「……本当かい?」

【興味の焦点は、つまり『そこ』であった。】
【歪んだ『正義の旗』を掲げる、彼としては……おもしろく思えた。】

【だから、笑みを深める……】

/本日については、ここで落ちさせていただきます。お疲れ様でした。
/明日以降についても、よろしくお願いします。
847 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/09/10(水) 23:15:40.27 ID:GjwCaGrHo
>>844

【どうすることもできず空中で身体を丸める銀猫】
【突風を受ければひりひりと肌が痛むのを感じつつ、一颯のアシストなのだと理解した】


んあー、ごめん、一颯。大丈夫かにゃ?
思ってたより強いにゃ。燃えてくるにゃ!


【ぶつかった衝撃こそあれど、彼女に目立った外傷は無い】
【銀猫も自分を受け止めた一颯を心配しているようで、怪我がないか軽く見ようとする】
【それが終わればまた魔獣へと向き直るのだろう】


一颯はその風があるから大丈夫じゃないかにゃ?
でも一撃の重さならあたいが上だにゃ! もたもたしてるとあたいが先に倒しちゃうよ――!


【さっき自分の攻撃が通用しなかったことをもう忘れたのだろうか】
【根拠のない絶対的な自信、それは彼女が負けず嫌いであるが故だ】
【一颯には一度負けているからなおさら、ちょっとムキになっているのかもしれない】

【一颯の背後でうねる妖気。魔獣はそれを鋭い双眸で睨みつける】
【すぐさま反応して襲いかかることはないものの、動きを注視しているようだ】
【その冷静さが仇となったか、死角からの二閃には全く気が付いていない】


「ググウウウ――――ガァッ!」


【加えて銀猫が駆けだしていた。またも真っすぐ突っ込んでいくのだが、今度はすぐに仕掛けず懐に入るように接近】
【それに気を取られたこともあって、一颯の攻撃はきれいにヒットし、魔獣の両膝を切り裂くだろう】
【さらに銀猫のボディブローも追加され、魔獣は呻き声を上げた】

【しかしまだダウンには程遠い。それに、何か妙な力を感じるはずだ――魔翌力?】
【ちらつくそれは魔獣に取り込まれてゆく。直後、身を低くして魔獣は突撃≠フ構えを取るだろう】
【目の前には銀猫。彼女が阻止するかもしれないが、もし先ほどの魔翌力が魔獣を強化したならば――】
【次の攻撃は危険なものになるかもしれない】
848 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/10(水) 23:37:35.92 ID:hXhwzfx5o
【路地裏】

【月夜の星空は既に少し欠けていたが、それも分厚い雲によって知ることはない】
【ダルさを保持したままの暑さは夜も残っていた。風も抜けないこの路地裏の奥からは】
【2名の男性と思われる話し声と煙草の煙の匂いが漂っている】

―――つーわけで、お前は金のルートをもう一本辿ってくれ。ペーパーカンパニーの通話記録の
リストはDjに後からまとめて送らせる。…デスクワークは前職を思い出すか?

『…………未払の残業代もな。………………。』

【そういって、茶のトレンチコートに同じ色のハットを目深に被った片割れは路地裏に消えていく】

…オーラィ。アディオス、アミーゴ

【残された男は煙草をくわえたまま、苦笑いを浮かべていた】

【ツバの広い黒いハットをかぶったサングラスの背の高い痩せた男は黒のジャケットにTシャツ姿で】
【ジーンズにブーツとラフに気取ったような格好だが腰には革のガンベルトを2つ重ねて巻いている】
【ホルスタは4つあるが見たところ銃は3つだけだ。怪しさと胡散臭さが煙草と同じぐらい臭っていた】

……どうすっかなぁ…裏が取れるまで時間がかかる……暇になっちまったなぁ
849 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/10(水) 23:47:39.65 ID:wOFov1/Zo
>>847


ああ、こっちも大したことないよ。
………って、また突撃する気? その勇気は見習いたいけど、気をつけてね?


【一颯は軽く咳込みはするものの、表情には余裕があるはずだ。銀猫の体重がもう少し重ければ危なかったかもしれないが、骨折等にはなっていない】
【再び猛進していこうとする銀猫に呆れ半分感嘆半分の声を掛け、自らも再び魔獣へ向き直って】

【――――どうやら、刀剣が通らないほどの硬い肌はしていないらしい。噴出する血液を眺めつつ、ちゃんと自分の風が効くことを確認】
【続く銀猫の一撃もダメージが通っている。攻撃力はともかく、そこまで高い防御力は無さそうだ……と、一颯は頭を回しつつ、同時に風も回し始める】
【次の一撃への布石だ。銀猫が前に出ている内に後ろから攻撃し続けるのが有効そう――――そう考えていたのは次の瞬間までだった】


………この感覚、魔力って奴か。
銀猫、気をつけて! 何か仕掛けてくる気だよ!!


【自分のものとも銀猫のものとも違う妙な力の流れ。いくつかの戦いを通して、それが魔力≠ニ呼ばれるものであることは知っていた】
【銀猫に注意を呼びかけつつ、一颯は作戦を変更。自らも走り出し、距離を保ったまま魔獣の周囲を左回りに移動し始めるだろう】
【――――そして同時、自身の左右に風を集合。間を置かず銀風の帯≠ェ二本、魔獣の両目めがけて射出される!】
【間もなく襲って来るであろう魔獣の攻撃を妨害するための攻撃だ。速度や威力も先ほどと同質、だが今度は真正面からな分若干避けやすいか】
【直撃して目を潰せればそれで良い。例え避けられたとしても、少しなりとも怯んだり気を逸らしたりしてくれれば重畳】


(風凪=c……さて、どう来る?)


【その成否に関わらず、一颯はそのまま銀猫と挟み撃ちの形で魔獣の背後まで行こうとするだ。無論、その間に攻撃が来なければだが】
【不測の事態に備え、彼は自分の周囲に銀色の風を纏わり付かせ始める。制御した風を予め周囲に待機させておくことで、攻撃の発動を早める技だ】
【次に相手が何をしてくるかで、こちらの手も変わってくる――――じゃき、と少年の手は刀の柄に添えられて】
850 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/09/11(木) 00:09:23.70 ID:QOryP0X/o
>>849

【一颯の呼びかけに彼女が反応する素振りはない】
【それもそのはず、実は彼女は魔翌力に関しては凄まじく鈍かったりする】
【突撃の構えはわかったのでそれのことかと勘違いして静かにファイティングポーズを取る】
【……彼女の場合、これで正解なのかもしれない】

【だが――】


「ガアアアアアアアッ!!」

――がはッ!?


【魔獣が突撃を開始する。初動の踏み込みを利用して下から上へ弾き飛ばすように銀猫を攻撃】
【彼女はそれをガードするも――力の差は歴然。ガードごと彼女は上空に吹き飛ばされる】
【一颯が放った銀色の帯にもすぐさま反応。頭の角を駆使し、それをいなすだろう。そして】


「ガアアアアア!!」


【方向転換すると移動する一颯に狙いを定め突撃を開始する!】
【銀色の風はおろか、受けた足の傷も気にすることなく魔獣は迫るだろう】
【ただやはり、心なしか動きは鈍い。軌道も直線的で読みやすいはずだ】

【しかし接近されれば先ほど銀猫を吹き飛ばした攻撃を一颯も味わうことになるだろう】
【銀猫はまだ落ちてこない。戦闘不能になったか、それとも――】

/ごめんなさい。今日はこのあたりで寝ようと思います
/毎度遅くて申し訳ないです…
851 ::以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/11(木) 00:20:05.76 ID:zTJARYgx0
>>850
/了解しました、それではまた明日よろしくです!
852 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/11(木) 16:38:40.83 ID:IsIQuQL2o
セリーナ「ウチのスレに短文で入ってくる新規って頭おかしくね?」

谷山「いや、そんなことより昨日居酒屋で新しい友達が出来てさ」

セリーナ「下手は下手なりに長く書けよっつー話な」

谷山「だからそんな話より、俺の自分語りを聞いてくれよ」

セリーナ「あとさー、舞台裏で敬語使ってる奴ら。あいつらもぶっちゃけキモいわwww」

谷山「俺小説家になるのは諦めたんだけど、最近は役者になりたいと思ってるんだよね」


【セリーナと谷山が正義のラジオ放送をしている】
【正義の心を持った二人の放送なので、その内容も実に道徳的である】
853 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/11(木) 19:31:04.86 ID:zTJARYgxo
>>850


銀猫! …………くっ!!


【銀猫のパワーを持ってしてもガードできない一撃―――― 一颯には跳ね飛ばされた彼女を見る余裕すらなかった】
【ざわっ、と銀色が渦巻く。とは言っても見た目に変化はない、暴風が嘶いたのは一颯の体の中だ】
【体内へ一気に妖気を回し、少年は人間から妖怪≠ヨと堕ちる。半妖の特質によって、銀猫ほどではないにせよ一颯の身体能力は強化され、】


う、わッ――――!!?


【その引き上げた身体能力を、一颯は横や後ろへ下手に回避するのではなく上≠ヨの跳躍に使った】
【鞘に収まったままの正櫻≠盾に角を受けて串刺しになるのだけは防ぐが、真下からの強い衝撃によって彼の体は銀猫と同じく上空へ吹き飛ばされる】
【月光を反射して緑色に輝く瞳、人間には有り得ない横長の瞳孔が激痛に窄められる。妖怪としての防御力が無ければ肋骨をへし折られていたかもしれない】

【――――だが。ダメージは負ったものの、真上に吹き飛ばされること自体は狙い通り】
【衝撃を殺しつつ、より高く打ち上げられるためにわざと跳躍したのだ。一颯の周りに渦巻いていた風の一部が、背後でふたつの弧を描いて】
【同時、投げ出された一颯の体勢がいきなり安定するだろう。体の周囲に微風を纏う風凪≠ヘ、出力操作でこのように体勢を立て直すこともできる】
【そして、しゃらん――――と銀色が鳴った。しかし月光を受けて煌めくのは、妖気とは正反対の聖≠ネる銀】
【半妖であるが故、一颯は邪≠フ力である妖気と聖≠フ力を持つ正櫻を同時に扱うことが出来る。剛く重い光の刃が構えられると同時、背後で猛烈な邪悪が閃いて――――】


――――――風掴<b!!


【そして次の瞬間、真上に吹き飛んでいたはずの一颯の体が真下≠ヨと逆加速し、正櫻の鋭い刃が魔獣の首筋へと襲い掛かる!】
【風掴≠ヘ竜巻を作る風切≠ニ体勢を制御する風凪≠フ合わせ技。作り出した莫大な風圧に体勢制御を組み合わせ、『風に乗る』というものだ】
【もっと単純に説明するなら、猛加速による突進攻撃。二筋の巨大な銀風の帯≠ノ背中を押された一颯は文字通り風の如く魔獣へと飛来する】

【風圧による加速、高度から来る重力。そこにいかなる衝撃でも決して刃こぼれしないという正櫻≠フ硬い刀身が相まって、攻撃の威力は非常に高いはずだ】
【また、一颯が狙うのは刺突ではなく斬撃である。もし直撃した場合、最悪そのまま首を叩き落とされてしまうだろう】
【……ただ、勢いを付けた分着地時の衝撃も大きい。当たろうが当たるまいが地面に降りた一颯は脚にダメージを受け、少しの間動けなくなってしまうか】

【なお――――空中で一颯の背中を押した二本の帯はまだ消えず、妖気を減らされた状態で周囲を回転し続けることとなる】
【これは弾き出された銀猫に配慮してのことだ。うまく風に乗ることができれば、落下時のダメージを減らせるだろうし】
【もしも彼女が攻撃に転じるつもりであっても、一颯と同じように勢いを付けるのに利用できるか――――?】
854 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[saga]:2014/09/11(木) 19:47:38.08 ID:MJoymDtTo
>>846

【自分の言った言葉に対し、少し表情を歪めたその様子には、セリーナも気が付いた。】
【だがしかし、引っかかったと言う事であれば―――矢張り、彼は一筋縄ではいかないという、確たる証拠だ。】

 ……いずれ、ね。でもこの銃、引き抜くタイミングは『悪人』が居る時だけ、って決めててさ。
 勿論、たま〜に曲芸染みた事をやる時もあるんだけど―――……ほら、そこも貴方と一緒。
 お互い道具は大事にしてるから、使うタイミングでしか使わない、ってね。ある意味、"プロ意識"ってやつかな?

 ……ただ。おにーさんの言葉を聴く限りじゃ、もしかしたら近い内にお披露目する事になる、かもね。

【カクテルを飲み干した彼の言葉が―――セリーナの胸に深く、入っていく。】
【UTに興味があること。そして、どんな正義も許容するという噂が本当かどうか、尋ねるその姿勢―――】
【なんとなくではあるが、セリーナは彼が何を言わんとしているかを把握しかけていた。だからこそ、"銃を見せるかも"と言葉を紡いで。】

 つまるところ……おにーさんもまた、"何らかの正義"を掲げる、そういう人間で。
 そして興味があるからウチへと顔を出した―――ってところ、かな? もしそうなら、"そういうの"も歓迎だよ。
 まずは質問に答えてあげたい所だけど……ふふっ。その前に、おにーさんのお名前を聞いておこうか。

 アタシだけ名乗って、そっちは"ジェーン・ドゥ"って言うんじゃ、ちょ〜っとばっかし不公平だからね。


 (……なる、ほど。普通のお客さんじゃあ無さそうだと思ったけど―――でも、心に決めた人がいる、か。)
 (そういうの、なんだかイイなぁ。て、事は普通に恋愛したりする人、なんだよね。じゃあ―――……危ない人ではない、のかな。)

【―――それぞれ、思うところはあれど。セリーナは先ず、彼に名乗って欲しいとそう要求した。】

/遅くなりました、大変申し訳御座いません。
855 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/09/11(木) 20:21:15.10 ID:QOryP0X/o
>>853

【地上から二人の姿が消える――魔獣は低く唸り、空を仰ぐのだろう】
【銀猫はともかく、風を自由自在に操る一颯への攻撃には手ごたえを感じられなかった】
【ならば何か狙いがあるはず――人語を使わぬ魔獣はしかし、そこまで考えを巡らせていた】

【再び練られる魔翌力。魔獣も自身の肉体を強化し、下手に動かず二人が落ちてくるのを待った】
【枝葉で狭くなった夜空を睨む相貌が一層細められた。来る――とてつもないエネルギーを纏った何かが!】


――にゃはッ! そうはさせないにゃ!


【魔獣が捉えた影はひとつではなかった。一颯と同じタイミングで銀猫も降ってきたのである】
【腕を交差させて魔獣は防御の構えを取る。太い鉄柱のような腕による防御は簡単に崩せるようなものではない】
【――が】


必殺―――銀猫シルバーサイス<b!!


【一颯に合わせるようにして、縦回転で威力を高めた銀猫の踵落としも繰り出されるだろう】
【―― 一瞬、ほんの一瞬だけ両者の力が拮抗する。しかしぴきっ、という、骨が切断される前触れと】
【めきっ、という骨が粉砕される前触れの音が響いた瞬間に、パワーバランスは二人の方へと傾いた】


「グ、ゴオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」


【結果、一颯の刀が狙いと違うとはいえ魔獣の身体を大きく切り裂き】
【銀猫の蹴りが魔獣の後頭部を激しく揺らして――ズズンと、重い音と共に魔獣は地に伏すだろう】
【これだけの傷を負ったにも関わらず、まだ息はあるようだ。もっとも、しばらくぴくりとも動けないだろうが】

【ともかく決着はついた。銀猫は軽快に着地すると、一颯に神妙な顔を向け】


……で、これ、どっちの勝ちになるのかにゃ?


【彼女にとって今何よりも重要なことに疑問を抱くのだった】
856 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府)[saga]:2014/09/11(木) 20:24:57.62 ID:ZU/rfno20
>>854

「プロ意識、か……いいね。」

「口だけじゃない……分かるよ。腕が伴った『ソレ』は実にいい……」

【共感――とは、少し違うが。目の前の女は、下等な存在ではなく。】

【むしろ、とても『良質』】
【それを再確認する……笑う。】

「ん。ああ、概ね……君の考え通りってわけさ。」
「俺は紛う事なき、『セイギノミカタ』ってやつでね……」

「……ああっと、名乗り遅れた。悪く思わないでくれ……はは」

【と、微笑んで、目を細める。】
【その名は『死者』の名。その命は贄の上に立つ。】

【刄と、死と、悪に塗れた名前。】

「『ミストドラゴン』」

【口を開いた。】
【紡がれた七文字が、彼の名。】

「『SS=ミストドラゴン』」
「『咎堕の宝玉』ユーザー」

「……それが俺さ、セリーナ・ザ・キッド。」

【――『咎堕』】
【その名は『呪い』――『邪』を刄に換える力。】

「……これで、公平だね。答えを聞きたいな……どうだい?」

【あるいは、セリーナの記憶に、あるかもしれない。その力。】

【ミストドラゴンは笑う。答えを待つ。】

/いえいえ。本日もよろしくお願いします。
857 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/11(木) 20:45:20.89 ID:zTJARYgxo
>>855

【刀を振り下ろす刹那、隣に銀猫の気配を感じた。自分が作り出したものではない風圧が、彼女の猛烈な脚力を表していて、】
【ガードが崩れたその瞬間を逃すほど一颯も弱くはない。肉を断ち切る感覚が腕に伝わり、少年はようやく勝利を確信する】
【そのままの勢いで地面へと着地。魔獣を斬った分の抵抗があったとはいえ脚に鋭い痺れが走るものの――――後ろから感じた振動を、一颯は安堵と共に受け入れる】


うーん、引き分けってところかな。………いまのままなら。
まだ息があるみたいだけど、どうする? イノシシだけ回収して逃げちゃってもいいけど……。
また襲われても困るし、ここでさっさと殺しておくのも手だと思うよ。


【ひゅん、と刀を振って付着した血液を振り払いつつ、一颯は銀猫へ振り返って困り顔になった】
【最後の一撃はほぼ同時で、どちらが致命打だったかは何とも言い難い。特に負けず嫌いという訳でもない一颯は、結局引き分けの裁量を提案するだろう】
【……そして、抜き身のままの刀を魔獣へ向ける。魔獣の脅威を考えれば、動けない今の内に殺しておくのが得策だと本気で思っているようだ】
【この冷徹さを長所と取るか短所と取るかは、隣にいる銀猫次第なのだけれど……何も言わずトドメを刺さずに意見を問うぐらいには、一颯は友達≠敬っていた】

【聖≠ヘ血に汚れて苛烈なままに、瀕死の魔獣へと油断なく向けられ続けるのだろう】
【少年が躊躇わずそれを振り下ろすことになるかどうかは、とりあえず銀猫の判断に委ねられた形だ】
858 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[saga]:2014/09/11(木) 20:46:34.40 ID:MJoymDtTo
>>856

【何故だろう―――放った言葉が彼に届くと同時、"試されている"様な感覚が走る。】
【いや、不思議な事ではないのかもしれない。何故なら、実際に彼は今、セリーナを知ろうとしているのだから。】
【良質である、と認識されたから良かったものの―――これが、悪質だと取られた場合どうなっていたのだろうかか―――……。】


  ……オーライ、"セイギノミカタ"、ね。
  自分でそう豪語できるって言う事は、よっぽど自信があるか、それとも命知らずかどちらかだ。
  けど、何でだろうね。おにーさんの場合は前者である様に見えるよ。さっきの質問と合わせて、おにーさん。

  おにーさんは―――明確な"正義"、いや……"セイギ"の考えを持っている。
  けど、それは世間一般の、社会通念に適合した"正義"とは少し違っていて。
  だからこそ、『自由』な正義を掲げるウチへと脚を運んでくれた。


【彼がセリーナという人間を品定めするように。セリーナもまた、目の前の彼を一つ一つ、分析していく。】
【怪しげな風貌、どこか浮世離れした雰囲気、そして悲しみを称えた瞳、そしてUTの持つ正義への懐疑―――】
【それらから導き出される結論、これはつまり、彼もまたセリーナと同じ……いや、違えども正義を抱える者だという事だった。】


                   【―――ミスト・ドラゴン。宝玉。咎堕。"ユーザー"。】


【与えられた情報がぐるぐると頭の中で巡る―――詳細は分からないが、その名前や響きには"畏怖"を感じた。】


  ……宝玉の持ち主さん。いや、"ミストドラゴン"さん―――……オーライ、そうだね。
  正直、驚いてはいるよ。知り合いに宝玉を持っている人もいるけど、そんなに"物騒"な名前の宝玉は初めて聞いた。
  それもカノッサやGIFTのメンバーが持っているわけじゃあなくて―――仮にも正義を掲げる人間が所持しているなんて、ね。

  ―――けど。恐れずに自己紹介をしてくれた"ミスティ"には、アタシも誠意を見せなきゃ、ね。
  
  勿論、UTは色々な正義を受け入れるだけの"立場"にいるよ。
  ただし、それが本当に"正義"であるのかどうかは―――……あくまで、各自の判断に任せてるんだ。
  だから代わりの共通項を設ける事で、アタシはこの組織を纏めてる。それは何だと思う?"ミスティ"―――

  ……目の前に困っている人がいたら、助ける。カノッサやGIFTに対立している。
  この二点だけ、あとは各々の理由に各々の戦い方があるから、護って欲しいのはこの二点だけさ。

  ……っと、ごめんね、アタシって初対面の人に"あだ名"をつけるのが好きで―――ミスティ、ってだめかな?

【―――あっけらかんと。ミスティ、などと呼びながら。セリーナはハットをとって、彼に真剣なまなざしを向けるだろう。】
859 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/09/11(木) 21:22:39.76 ID:QOryP0X/o
>>857


んー、引き分けかあ。何か悔しいにゃ。でもやっぱ一颯は強いにゃ!
どうするって……おいしくなさそうだし、放っておいてもいいんじゃないかにゃ?
それにしてもごっついにゃ。何食べたらこんな風になるんだろ


【一颯は強い――それを再認識する。この魔獣だって一人では倒せなかっただろう】
【さすが自分を負かせた実力を持つだけはある。きっとまだ届かないのだろうな】
【なんて思うと悔しくて拗ねてしまいたくもなるが、そんな矮小な気持ちは置いておくとして】

【魔獣をぺたぺた触りながら、彼女はそう答えを返すのだろう】
【別にとどめを刺したっていいのだけど――そうしないのはまた襲ってきても勝てるだろうから、という理由】
【一颯が冷徹に思考するならば、彼女は楽観的なそれだった。どっちが長所でどっちが短所かなど、彼女にはわからない】


……にゃ、やっぱり何かモヤモヤするにゃ
一颯、今からかるーく模擬戦で、も……?


【魔獣をつつくのにも飽きた銀猫は立ち上がろうとするのだが――ふらりとバランスを崩しかける】
【どうやら最後の攻撃が効いたらしい。イタタ、と声を漏らしながら打撃を受けた部分を押さえて】


むぅ、残念だけど今日はもう動くの無理そうだにゃ
この後一颯はどうするのかにゃ? あたいはイノシシ引きずって町に戻ろうと思うんだけど……


【ぐぎゅるるるる……一颯に問うた直後、鳴ったのは腹の音】
【たらんと垂れた尻尾も彼女の限界を物語っていた】

【じー、何にも考えていないようなまっすぐな視線が一颯へと注がれるのだろう】
【どこか、一緒について来てほしそうに見えなくもない、ような――】
860 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/11(木) 21:58:10.12 ID:zTJARYgxo
>>859


いやいや、銀猫こそさっきの踵落としは凄かったよ。流石に、あの天下一武道会で勝ち上がるだけのことはあるね。
………うーん、見た目は熊っぽいから魚とか? なんか想像してたらぼくもお腹空いてきちゃったよ。


【一颯は銀猫の称賛を、本心と謙遜との半分半分で受け止めるだろう。本人としては、自分が特別強いという自覚もないらしい】
【それよりも、一颯はあの「銀猫シルバーサイス」という技を見て前回の武道大会のことを思い出した様子。随分前のことなのだが、情報通なのか記憶力がいいのか】
【そのまま冗談混じりに苦笑いを浮かべて――――魔獣のことに関してはもう敢えて触れることはなく、彼女の言う通り放置に徹するだろう】

【今回は勝ったが、次も勝てると断言はできない。一颯はそういう人間だ。後顧の憂いは断っておきたいというのが本音だが……】
【仕方ない≠ネぁ、と心の中だけで呟く。銀猫と話していたら何となく毒気を抜かれてしまったというのも、同じように偽らざる本音だった】


うん、ぼくの方もちょっとこれ以上は動きたくないかな。
………ああ、町に戻るなら一緒に行ってもいいかい?


【一颯の方もそこそこダメージを負っている。いまはまだ体内の妖気が残っているお陰であまり痛みは感じないが……】
【しばらくして完全に人間に戻った後は少し辛いかもしれない。もし一颯も妖怪化して鼬≠フ尻尾が現れていたら、同じように垂れ下がっていたはずだ】

【――――実は何も言われなくても、どのみち誘うつもりではあったのだけれど。少年は軽い調子で「イノシシ運ぶの手伝うよ」なんて付け加えるのだろう】
861 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府)[saga]:2014/09/11(木) 22:20:10.62 ID:ZU/rfno20
>>858

「どうも……俺は高評価のようで嬉しいね。」
「君の目に狂いは無いらしい……なんてね。はは……」

【と、冗談っぽく笑う。】

「その通り、俺の『正義』を……人は認めちゃあくれないさ」

【正義。】
【その二文字は、この世界に住まう数多の命が、それぞれ掲げる旗。】

【彼も、また。】
【そしてセリーナも。UTのメンバー達も、それぞれ。】

「咎堕は俺の宿命……そして、今現在は『呪い』……」
「……その誠意。嬉しいね……オーケー。いいあだ名だ。」

「……組織の理念も、ね」
「わかりやすくて……いい。俺の正義を、何らジャマしない……」

【と、笑ってみせる。楽しげに。】

【ミストドラゴンの正義。】
【異形のそれですら、UTの『共通項』は飲め込める。】

【――『面白い組織』だと思う。改めて。だから笑う。】

「……しかし……俺が、ミスティとはね。ははは」

【……それもツボだったようだ。】
【そして。】

「……いいね。UT……なあ、混ぜてくれないかい?」
「俺の『正義』も……さ。」

【真剣味を帯びた、濁る蒼の視線。】

/返信遅れ申し訳ありません。
/また、本日は少し早いですが、そろそろ落ちます。お疲れ様でした。明日以降もよろしくお願いします。

862 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/09/11(木) 22:27:23.76 ID:QOryP0X/o
>>860


にゃ、優勝できなきゃ意味無いにゃ。あたいが目指すのは最強だからね
魚食べるだけでこんなでかくなれるの? あたいもよく食べるけど、ずっと細いまんまだにゃ
鉄とか岩とか、そんなの食べてるのかにゃ。それくらいムッキムキだにゃ


【褒められても特にうれしそうにすることはなかった】
【ああいうトーナメント形式では一番を取らないと気が済まないのだ】


もちろんだにゃ! 誰かにイノシシ料理作ってもらうにゃ!


【捕らえるだけ捕らえておいて、自分では捌かないらしい】
【ひとりで食べきれる量でない故、料理を作ってもらう代わりに余った肉を贈る】
【超適当な自炊以外にも彼女は、そんな風に生活することが多々あるのだろう】

【一颯が手伝ってくれるのならばイノシシの牙をひとつずつ二人で掴んで】
【取り留めもない雑談でもしながら街へ向かうことになるだろう】


【――余談、時間が時間なだけにお店も起きている人も少なく】
【たまに出てきてくれた人にはイノシシを見て驚かれ、とてもじゃないが無理だと断られ続けるだろう】
【そのうち適当なところで諦めて、適当なところで野宿しようとするのである。行き当たりばったりもいいところだ】

【様子を見て切り上げない限り一颯もそんな銀猫に連れまわさせられる】
【付き合ってやるのも、やらないのも、それはきっと、彼の自由だ――】

/このあたりで〆ます!3日間ありがとうございました!
863 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[saga]:2014/09/11(木) 22:37:51.29 ID:MJoymDtTo
>>861
/了解いたしました。
返レスは済ませておきますので、同じ時間帯に又よろしくお願いします!
864 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/11(木) 22:53:11.41 ID:zTJARYgxo
>>862

【銀猫が食べても太らないのは妖怪であることが原因なのだろうか。何にしても、彼女が筋骨隆々とした姿になるのはちょっと見たくない】
【だが二人掛かりとはいえ、現段階でこの巨大な魔獣を倒せる実力はある。鍛錬を怠るとあっという間に置いて行かれそうだ……なんて一颯は気を引き締めるのだった】
【……あの魔獣、捕獲して売りつけたらお金になったかなぁ、なんて。また性根の悪い考えを巡らせて一颯が微妙に後悔することになるのはもう少し後の話】


………あ、自分で調理するわけじゃないんだね………。
それじゃあちょっと待ってて、荷物取ってくるからさ。


【旅先で野宿することはあっても、野生のイノシシを仕留めて食べるなんて経験は殆どない一颯である。後学のために彼女の調理技術を拝みたいと思ったのだけれど、】
【行き当たりばったりな返答に思わず苦笑い。交渉の類は得意だという自信はあるが、流石にこの時間は厳しいかも……とは思いつつも、止めることはない】
【何だかんだで結局野宿することになっても、それはそれで楽しいだろうと思ったのだ。心なしか楽しげな歩調で、一颯は荷物を取りに藪の中を戻っていく――――】


【――――その後は、概ね一颯の予想通りの展開になった。明日も学校だというのに最後まで野宿に付き合う辺り、彼もまじめな学生とはとても言えない】
【実際、次の日は遅刻して午後から登校する羽目になるのだが……友達と一緒にイノシシを捌いて食べたとかいう話が学内で広まったとかそうでないとか】
【これもまた青春≠ネのかどうかはさておいて――――いつものように仕方なさそうに、けれど楽しそうに、友達と過ごした少年の一日は思い出に変わるのだった】


/お疲れさまでしたー!
865 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/09/12(金) 17:15:27.36 ID:eLLjXp0I0

>>861

【人が認める事のないと言う、彼の正義。それが一体どんな物であるのか、現時点では】
【セリーナの眼がいくら良かったからと言っても、分かろう筈もない。それ程、正義とは多様な概念。】
【ただし、最終的な主義・主張・思想はどうあれ、彼の行動がカノッサやGIFTを打倒する物であるのならば。】

 ……実際の所、正義は"認められる"為にあるワケじゃあ、ないと思う。
 言ってしまえばそれは、自分を奮い立たせる為の理由、切っ掛けの部分だからね。
 説き伏せたり、納得させたり、そういう押しつけがましい何かではなくて―――もっと、純粋な物で、良い。

 ……でも。だからこそ、相容れない場合に、理解できない時に、同じ志を持つ者同士でぶつかる事もあると思う。
 それだけ繊細な事象だ。摩擦は避けられない。それでもアタシ達は、……胸に自分の正義を"掲げ"ないと、戦えない。
 だから―――この際、その内容云々には、目を瞑ろうと思う。そこまで同じでなくて良い。その代り、目的さえ共有出来れば。

 ―――思うに。四の五の言って居られる状況でも無いんじゃないか、って。
 まずは集って、力を合わせる必要がある。アタシはそう感じたからこそ、この組織を作ったんだ。


【―――つまり、その形は問わない、と言う事。尤も、それでもぶつかる事はあるぞ、とは忠告して。】
【正義と正義が交差する酒場、生き方も戦い方も考え方も違う正義を抱えた戦士の集う組織。それが、このUTだ。】


 だから―――もし、アタシの理念に力を貸してくれると言うのなら。
 喜んで歓迎するよ、ウチは何時でも誰でもウェルカム、個性豊かなメンバーの集まるUNITED TRIGGERさ。
 尤も、加入の前に色々話は聞かせて貰いたいと思うんだけど、それは良いかな。まずはミスティ、……ふふ。気に入って貰えて光栄だよ。

 ミスティ、貴方の掲げるその―――……中々人に認められない"正義"、それについて少し話して貰いたい。
 何故貴方が戦うのか、その力や宝玉についてももう少し詳しく……話せる範囲で良いから、アタシに聞かせて欲しいんだ。


【ともあれ、加入する事自体に弊害は無い、との事。正式な加入の手続きはもう少し、後になるが―――】
【その前段階として、セリーナはミストドラゴンに対し、もう少し自分の事を語って欲しいと申し出るだろう。】


/先に返レスさせて頂きます。
 
866 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大阪府)[saga]:2014/09/12(金) 20:05:54.16 ID:etpGc/rC0
>>865

【セリーナの言葉に、小さく頷く。】

「……君の言うことが正しいね。認められる必要は無いものさ。」

「俺の正義は認められない……そして認められる必要もない……」
「俺自身が認めてるから」

「…………正義は人それぞれ。それがいい……『そこ』を認めてくれるなら、ね」
「よろしく、UNITED TRIGGER……楽しくなるね。」

【微笑んだ。】
【ミストドラゴンの『正義』の存在を認めた者が、何人いたろうか。】

【――彼自身は、数えていない。】
【自分と、もう一人。それで十分だし、立ちはだかる者は、皆……】

「……俺の正義」
「それは……『さだめ』だ。俺のサガ……三大欲求+アルファ……」

【気取ったように身振りしつつ、彼はそう前置きして。】


「悪を殺すと……音が浮かんでくるんだ。俺の頭に!」

「それがすばらしいんだ……すばらしい音なんだ。それが俺の音楽になる……!」
「そして俺にとっての悪は」

【口を歪ませる。その蒼瞳は真っ直ぐに、濁り切っていた。】

「……『俺達の道を妨げる物』」
「カノッサ機関も、GIFTとやらも……全部。」

「……皆殺しにして『音』にするんだ。それが俺の正義……戦いの理由……」

【と、一旦、彼は言葉を止めた。】
【反応を伺うと言うよりは、呼吸を置くという風に。】

【その手は、汚れていない。それでもどこか、血の痕が見えるような――殺し尽くした手だ。】

/申し訳ない、返信遅れました。本日もよろしくお願いします。
867 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/12(金) 21:05:17.59 ID:iCFB4tHSO
>>866
/ごめんなさい!
此方セリーナ中身です、連絡スレにも書かせて頂いたのですが
今夜はかなり遅くまで帰宅出来そうにありません。
大変申し訳ありませんが、明日以降、もしくは今夜の夜中の対応になってしまいますが、宜しいでしょうか?
868 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/09/12(金) 21:21:45.18 ID:MQvSOa200
【―――水の国のとある街、人通りの多い商店街の大通り】
【仕事も終わる時間という事もあってか道行く人々の足取りは心なしか軽い。或る人の顔は楽しげに綻び、或る人は千鳥足で顔を赤らめ】
【十人十色の表情が行き交う中で、ふわりと夜風が大通りを吹き抜ける。秋の気配が顔を覗かせる今日この頃、夜風は涼しく心地良い】
【空を見上げれば、紺碧の夜空が広がる。澄んだ空には丸いお月様が上っていて、煌々と地上を照らし出す―――】

【そんな商店街の大通りを、道行く人々の波に紛れて歩くのは一人の女性。】
【上質の絹糸のようなブロンドの長髪を時折吹く風にさらりと靡かせ、頭には白いキャスケットを被り】
【マリンブルーの瞳は優しく澄み、口元の笑窪や右の目元の泣きぼくろが整った目鼻立ちの顔にアクセントを加える】
【腰までの丈の白いレースチュニックは季節に合わせて涼しげな半袖、そこからすらっと伸びる手首は白魚のよう】
【チュニックのレース地の下から薄らと覗くシャツの桜色は、白色主体のコーディネートに可愛さのアクセント】
【オーソドックスな紺色のジーンズはスキニーな感じで、すらりと長い脚のシルエットを際立たせるよう】
【足元は白いヒール付きのサンダル。大きく膨らんだ胸元に掛かるロザリオは、いつも通り彼女の動きに合わせて揺れる。】
【左手の薬指にはプラチナリングとダイヤモンドの指輪が煌めく。―――外見はこんな感じ。】

―――えーっと……此処がこの建物で、あっちがあのお店で……
……あれ、違う?――――

【そんな彼女は数歩歩いてはキョロキョロ、また数歩歩いてキョロキョロ……その繰り返し】
【手には地図を持ち、頻繁にそれを見ては首を傾げている。「おかしいですね……」なんて呟きも漏れて】
【一目で道に迷ったと判る様子。何処が目的地かは分からないが、確実に今のままでは辿り着けそうになさそう】

【とうとう途方に暮れた彼女は道の真ん中で立ち止まる。そんな彼女の姿は商店街の中ではよく目立つ筈で】
【声を掛けくれる人がいるとすれば、困った人を助けてくれる優しい人か、そうでなければナンパの類か……あるいは、そのどれでもないかもしれない】
【さて。この見るからに困り果てた女性に、声を掛ける人間はいるのだろうか―――】
869 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/12(金) 23:32:13.93 ID:8ee9REz6o
>>868
/まだいらっしゃいますか?
870 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/09/12(金) 23:56:34.80 ID:MQvSOa200
>>869
//すみません、お返事が遅れてしまいました……!一応大丈夫ですが、3時頃には持ち越しになる可能性が高いです!
871 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/13(土) 00:20:28.04 ID:DnRH6AuKo
>>868

【かつ、かつ、と高らかに靴音を鳴らしながら同じく商店街の街並みを歩む者がそこにいた】
【歩く途中、己の左腕の包帯が緩み始めていた事に気が付き、指先までゴテゴテした右手と口元で改めて固く結び直している途中で】
【困った様子で大通りを歩く女性に目が止まる―――と、同時に、その人物の動きがピタリと硬直したように止まり】


―――アン、リ……?


【凛とした声色を震えさせながら、無意識の内にぽつりと―――その女性は言葉を零していた】

【銀色のセミショートヘアの上からすっぽりと黒いフードで覆い、二房の長い前髪だけをはみ出させてる、目元をヘッドギアで覆ったその女性】
【荒事に備え動きやすいようスカート丈を短くした修道服に、黒の二ーソックスにガーターベルトの足をさらに薄手の黒いタイツで覆っており】
【そして、腰のベルトにはぎっしりと弾薬を備えており、左腰にはなにか丸い物を入れたホルスター、さらに背中には大型のケースを背負っている】

【ただ、それ以上に特徴的なのは首から複数色のホイッスルと―――右腕をすっぽりと覆い隠したその機械】
【なによりも彼女の服の襟や袖から妙に深そうな傷跡がいくつも見え隠れしている点だろうか】

【いつの間にかそう言葉を呟いた自分に気が付き、我に返った彼女はふるふると首を振って改めてその女性に顔を向ける】
【『そんなはずはない』――――改めてその事実を再確認して彼女の顔を再確認してみれば、やはり別の人間、それもまた別の場所で見かけた覚えのある顔だ】
【同じ聖職に身を置く人物であり、ちょっとした有名人でもあった事を思い出しながらその女性に近付いて】


(――――……全く、何を馬鹿な事を)

……失礼いたします、どうやら目的地までの道筋がわからず困っている様ですね
この辺りは以前からよく利用している場所が多いもので、もしかしたら場所を知っているかもしれない
よろしければご案内できるかもしれません、先導いたしましょうか?


【やや慌てた素振りを覆い隠すように―――いつもの冷静沈着な態度を取り戻しながら】
【純粋にその困っている人物のために力を貸そうと、声をかけながら近づいてくることだろう……】

>>870
//かしこまりました、では2時を過ぎたあたりで一度持越しさせていただきたいと思います
872 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/09/13(土) 01:09:25.93 ID:OOx2P+IK0
>>871

―――?

【聞き慣れぬ声、けれどそれは間違いなく自分に向けられた物。不思議そうな表情と共に其方を振り向けば】
【其処に立っていたのはやはり見慣れぬ女性。自分の記憶さえ間違っていなければ、会ったことは一度も無い筈】

【……色々と奇妙な容姿をした女性だ。首に掛かったホイッスルだって、防犯の為にしてもそう何個も要らないだろうし】
【右腕の機械だって只ならぬ雰囲気を示すには十分。何より―――体中にある物々しい傷跡が、嫌でも目立つ】
【(弾薬やらを所持している事についてはまあ、同じような修道女の親友がいるからそう不思議に思っていなかったり……)】

【いろいろ妙な女性だけれど―――でも、敵意や悪意を持って近づいてきた訳では無い事くらいは分かるから】
【彼女は柔らかい微笑みと共に女性の言葉に応じる。優しく穏やかな笑みは、親切心に心から感謝したもの】
【困っている人を見掛けたら助ける。―――当たり前のようで、なかなか出来ない事だもの。】

ああ、有難う御座います……助かります。仰る通り道に迷ってしまいまして……土地勘が無いものですから。
では宜しくお願いします!ふふっ……貴女のような親切な方に出会えたのは、日頃の行いが良かったからで御座いましょうか。

【嬉しそうに弾む声色は、きっと女性の親切心に触れたから。穏やかな微笑みは一層印象深く明るくなって】
【それから、行きたかったはずの目的地を女性に告げる。その場所とは―――】


えーっと……服を探していたので御座います。秋に着れるような服を……
実は、主人にプレゼントしようかと思いまして。私の主人はいつも同じ服ばかり着ていますから……
えへへ……喜んで貰えれば良いのですが。


【―――目的地は有名なアパレルショップ。この界隈に詳しいならおそらく知っているであろう店……なのだが】
【問題は、彼女が全く逆方向を進んでいた事。それも、地図を見ながらだと言うのに。どうやら、結構な方向音痴らしい……】

【買いたい物は夫へのプレゼント。いつもローブ姿の彼に、服を贈ろうという算段らしい】
【……そんな計画を話す彼女は、やっぱり楽しそうな笑顔。愛する人が喜ぶ顔を想像すれば、自分まで嬉しくなってくるんだもの―――】

【……さて。立ち話も程々に案内を始めれば、彼女はついて行く筈だが……】
873 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/13(土) 01:43:29.49 ID:DnRH6AuKo
>>872

【純粋な感謝がこめられたその優しい笑みに―――機械腕の修道女は言葉を失う】
【その慈愛に満ちた女性の一つ一つの動作に、驚きと戸惑いの込められた表情を浮かべながらも】
【どこか照れくさそうな様子でぷい、と横を向きながら笑顔に応える様に口を開く】


―――…日頃人々の為に行動しているのですから、時にはこういった幸運にも見舞われるべきです
無辜の人々のために戦いを乗り越え、未だ困難に立ち向かう力を持たぬ子たちを守るように生きて来たのですから
今くらいはこの幸運を素直に受け取りなさい――――失礼ながら、貴女に見覚えがあります、貴女は……シスター・マリア・シャリエールではありませんか?

主だった活動は荒事ばかりではありますが、私も神の元に使える身でございます
大いなる神より賜った名はテレサ、"教会"は『異端審問官』"第一戦闘班"所属、シスター・テレサという物でございます、お見知りおきを


【かくん、と礼儀正しくマリア・シャリエールに頭を下げながら、テレサ―――という洗礼名を名乗ってきた】
【その立ち振る舞いや雰囲気とは裏腹に年若そうなその女性、おそらくはマリアと同い年か―――もっと下かもしれない】
【ともあれ、テレサが横に並んで地図を確認して―――なるほど、どうも彼女は方向音痴気味な人物である事を察する】


……ああ、直接会話する機会こそありませんでしたが、確かにかの大司教はそういった部分は無頓着な印象があります
決して人の事は言えませんが……そういった贈り物は大変喜ばれるかと
わかりました、この店の位置ならば存じています―――では微力ながら……私がお供いたしましょう


【ついてきなさい、と最後にそう付け加えてマリアを手招きしながら、記憶の中のそのアパレルショップへの道筋をたどって歩みを進める】
【場所さえ知っていれば遠い場所ではない―――ものの4,5分もあればすぐに到着できるだろう】
874 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/09/13(土) 02:37:31.36 ID:OOx2P+IK0
>>873

【冷静沈着な第一印象だった女性も、感謝の言葉を贈ると少し照れくさそうにする。冷静さの中に垣間見えた人間っぽい温かさを持つ一面】

【親切には心からの感謝を贈る。優しさには同じくらいの優しさを返す……マリアはいつだってそうして生きてきたから】
【今日もこうやって、手を差し伸べてくれた女性に心から感謝の気持ちを伝える。―――それで女性が「親切にして良かった」と思ってくれるなら、それはとても素敵な事】


……あら、私をご存じなので御座いますか?
ふふ―――今は騎士も修道女も引退して、主人や子供と共に過ごしているので御座いますよ。
だから、今はただのマリア・シャリエールで御座います。シスターが結婚なんて出来ませんもの、ね?

……人々の為なんて、そんな崇高な物では御座いませんよ。ただ、皆の笑顔が見たい……それだけで御座います。
子供達や主人、街の皆さんが幸せに笑ってくれれば……それが私にとっては一番の幸せで御座いますから。
でも……そう仰るのなら、今日は幸運を享受しましょうか。ふふ―――


【女性が礼儀正しくお辞儀をするのに応じるように、マリアもぺこりと頭を下げる。】
【……今やマリアはただの女性。騎士団の解散に伴う引退や結を経て、もうシスターの呼称は相応しくない。】
【勿論、立場は変われど信仰を捨てた訳では無い。むしろ、大司教の妻として信仰に関わる場面は多くなったくらい】
【一大宗教都市の長を、最も身近な人として傍で支える。大変ではあるが、それ以上に嬉しい事も多い―――】


ふふ、そうでしょう?あの人、そういう所は抜けていますから……
―――いつも同じローブでは味気がありませんもの、此処は私がお洒落させてあげようかと!
……お洒落させてあげようにも、当の私が道に迷っているようでは元も子もないので御座いますが……

【そんな風にして大司教を支える彼女だが、何せゼン=カイマから出たことがあまりない。水の国の広い市街地なんて迷宮みたいなもので】
【……ついてくるように告げられれば大人しく付いて行く。見慣れぬ景色をきょろきょろと興味深そうに見回して】
【見せに着くまで数分あるならば、他愛のない話をするのも良いだろう。話し掛ければきっとあの笑顔と共に応える筈だ】
【子供達の事、大司教である夫の事、ゼン=カイマの事。その他にも何かあるなら、嫌がることなく話すだろう―――】
875 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/13(土) 03:08:04.89 ID:DnRH6AuKo
>>874

【同属者、同じ修道女である人物の事をシスターと先に付けて呼ぶ習慣から自然とそう呼んでしまい】
【ハッとした後、ややバツが悪そうに唇を噛みしめ、反省した後にテレサは会話を続行するだろう】

失礼、ついいつもの癖で……ではマリア
貴女の事は以前から教会内でもよく耳にしておりました、そう、以前から騎士である以上に
孤児院の守り手として親を失った子供たちを……何人も保護していたと言う女性だと

『皆の笑顔が見たい』……そうですか、私もそういう顔を見るのは嫌いではありません


【孤児院を経営していた修道女の存在を―――"異形の怪物"を討つ合間、"教会"に戻るたびにそんな修道女がいるという話は聞いていた】
【目の前のこの人物こそがマリアその人、フレデリック大司教との結婚の報やと前後して開始されたシャリエール基金の創始者だと】
【そういった情報を彼女は以前から耳にしており―――そして実際に彼女に出会った事でテレサは大きく『動揺』したが、同時に出会って間もないこの女性を尊敬していた】


見知らぬ土地にて道に迷う事など多かれ少なかれ誰にでもある事、一人でたどり着ける自信がないならば
人の手も借りる事もまた良い一手だと私は思います―――そして今こうして貴女の力になれて本当によかった、遠慮はいりませんから存分に頼りなさい
……以前から一度お会いしてみようかと思っていたのですが、最も良い形で巡り合えたのではないかと思うと……若干嬉しいです

そう、今でこそ貴女の傍にはフレデリック大司教もいらっしゃいますが、それ以前から孤児院を経営して
身寄りのない子供たちの事を保護し、守り続けていたとか……お話を耳にした時から尊敬しておりました


【その合間、振ってくるのは彼女が守り続けて来た子供達と皆が住む孤児院の話題】
【テレサが特にマリアに対して興味を示しているのはその点のようだ、いろいろ話を聞いてみたいらしい】

/では、本日はこの辺りでお休みいたします、お疲れ様でした
876 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/09/13(土) 03:17:46.67 ID:OOx2P+IK0
>>875
//はい、お疲れ様でした!また明日も21時半ごろには再開出来ると思いますので宜しくお願いします!
877 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/13(土) 14:31:23.43 ID:fEPwliiL0
害悪のキング
878 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/13(土) 20:24:57.28 ID:w33Fx5ofo
【表通り】

【――――そこは普段から人気の多い場所ではあるけれど、今日の喧噪はいつもと若干違ったものであるようだった】
【交差点の中央で二台の車がひしゃげて、周囲に人が集まっている。どうやら交通事故が発生してしまったらしい】
【幸い、既に救急車や警察も手配され、怪我人は全員救出された後のよう。……警察が無線でGIFT≠ェどうのと話しているのだけは気になるが、】
【たまたま通りがかった一般人にはなんの関係のない話。だがこの件で迷惑を被る者も、確かに存在していた】


…………まいったな。打ち合わせまで時間がないっていうのに…………。


【事故のせいで通りには渋滞が発生している。警察官が交通整理をしてはいるものの、通常の運行は不可能な状態だ】
【急がなければならない事情のある人間にとって、それは致命的な遅れにもなりかねず。――――バタン、と一台の車の後部ドアが開かれる】
【黒塗りのリムジンから歩道に出てきたのはスーツ姿の男性だ。歴戦のビジネスマンといった雰囲気だが、背格好や顔つきからして、まだ十代の少年に見えた】

【ルビーをはめ込んだかのような真紅の双眸、やや巻き毛気味の水色の髪が特徴的な風貌に】
【動揺を感じさせない落ち着いた面持ちと凛とした立ち姿。少し服装を変えてやるだけで、そのまま西方の貴族に早変わりしそうである】
【挙措の一つ一つも計算されたように美しく、柔らかな優雅さが全身から漂っている。敢えて大仰な表現をすれば、芸術品じみた少年だ】


【――――さて。そんな彼だが、いかにも高価そうな腕時計と遠くにそびえ立つビルを交互に見つめて思案顔をしているだろう】
【急いで行かなければならないが渋滞のせいで進めない、事情はおおむねそんな所か。何か手はないものかと、少年は周囲を見渡して】

【無論、誰か彼を助ける者が現れる可能性もある。けれど見るからに育ちの良さそうな少年だ、逆に狙われる可能性も否定できず――――】
879 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/09/13(土) 21:27:21.65 ID:OOx2P+IK0
>>875

【因みに、マリアは厳密には修道女ではなかった。第三近衛騎士団の性格上修道女にかなり類似したものではあったが、元から立場は一般信徒と変わりはない】
【生まれて間もなく紛争で両親を亡くして教会に拾われて、それ以来ずっと教会に住んでいた。そんな生い立ちもあって、修道女と変わらないような生活はしていたが】
【そういう訳で、結婚の際も大きな混乱も無かった。修道女は結婚できないが、元々彼女は修道女ではないから】

【(でも、殆ど修道女みたいなものだったから通称みたいな感じで「シスター」などと呼び掛けられるのにも慣れていていたり。)】
【(現に教会周辺の人はマリアの事を修道女と思っていた人も少なくなかった。何せ、礼拝の時に限らずいつも教会に居たのだから……)】
【(で、騎士団も引退し結婚もした今ではいつも教会に居る訳では無く普通の生活を送っているという訳である。)】


そう、笑顔を見るためで御座いますよ。誰かが笑顔になっているのを見れば、自分も笑顔になれますもの!

……私は、思うのです。笑顔こそが人間の出来うる最も素敵な表情なんじゃないかって……
幸せとか、喜びとか、嬉しさとか……そんな感情が心から溢れるから、人間は笑顔になれると思うので御座います。

だから、笑顔を見るには幸せにさせる事です。どんなに気難しい顔をした人でも、幸せな時は笑顔になるので御座います。
ふふ―――知っていますか?主人も、最近よく笑うようになったので御座いますよ―――

【「皆の笑顔が見たい」――その言葉にテレサが同調してくれたから、マリアは嬉しそうに頬を緩めて微笑んでみせる】
【……この世界に一人でも多く誰かの笑顔見たいと思える人間が増えたなら、きっとそれだけ笑顔になれる人は増えるから】
【そうやって誰かも自分も笑顔になれるなら、それ程素敵な事は無いと思う。だって、心からの笑顔は幸せの証拠だもの】

【道すがら、歩きながらでも会話も弾む。休日の夜の時間は、平和な日常の一幕として流れて行く―――】


そうで御座いましたか、私に会いにいらっしゃりたかったと……。ふふ―――では、こうして出会えたのも何かの御縁で御座いますね。


―――尊敬だなんて、そんな……私は大したことはしておりませんよ。私はあの子達の母親≠ナ御座いますから、心から子供達を愛している……それだけです。
孤児≠竍保護≠ネんて言葉はあの子達には当て嵌まりません。あの子達は私の子供で、家族なので御座いますから……

……御存知かと思いますが、あの子達は度重なる戦争や襲撃によって身寄りを亡くしています。
まだ世の中の道理すら分からない内に天涯孤独となって世の中に放り出された……そんな子ばかりです。

……親を殺されるなんて、普通なら笑顔なんて忘れて心を閉ざしてしまう程の過酷な経験です。
実際、あの子達の大多数ははじめは心を閉ざしていました……

私は「独りじゃない、私が傍にいる」と心から接し続けました。「私だけは何があっても貴方の味方だ」って……
そうやって、何度も何度も寄り添って―――子供達は、ようやく私の事を信じて笑ってくれたので御座います。
―――その笑顔で、私は全て報われました。
死に等しい苦しみから立ち直り、私に笑顔を見せてくれる―――それだけで私は十分で御座いますよ。

……確かに、あれだけ子供の数も多いと色々と苦労はあります。大変ではないと言えば嘘になります。が―――
―――子供達の笑顔は、その苦労以上に私を幸せにしてくれるのです。あの子達は、私の宝物で御座います!

【尊敬されて尚驕らず、威張らず。其処にあるのは、どんな人物を相手にしても変わらない穏やかな微笑み】
【紡がれる言葉、誰よりも愛する子供達への想い。血は繋がらずとも、母と子の想いは絆となって強く結ばれて】
【もはや子供達は孤児ではなくて、温かな家族≠ノ囲まれているという事も分かろうか……】
【子供達の事を話すマリアの表情は、穏やかな幸せに満ちたような笑顔。―――間違いなく、誰よりも子を想う母親の表情だった。】

//お返ししておきます!好きな時にレスして頂ければ!
880 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/13(土) 21:30:42.88 ID:Zv/r+7iUo
【街外れ】

【人気が少なく、閑散とした雰囲気の漂う街の外れ】
【その一角に建つ一軒の小さな店の前に、一人の少年の姿があった】


ちょっと、実験……これが成功すれば多分大丈夫なはず……だよね?


【身長は150cm前後であろうか、黒いタキシードのような服に赤い蝶ネクタイという童話めいた衣装を纏っている】
【先端が緩くウェーブがかったふわふわの金髪と、澄んだサファイアのような碧眼を持ち】
【全体的に線が細く、少女めいた面立ちと儚げな印象をした少年であった】

【少年は、店の前で茶色の大きな袋のようなものを片手で持って立っていた】
【そしてその袋の口をおもむろに開くと、近くに置いていたリンゴを反対の手でヒョイヒョイと入れていき】


うん……問題ない、かな。
あとは時間を置いて林檎の状態を――――ひゃっ!? わ、わっ……!


【袋の口を閉じてうんうんと一人首肯をした瞬間】
【中からポップコーンのように勢いよくリンゴが飛び出してきて、周囲に散らばっていく】
【少年はびっくりしたように身体を跳ねさせた後、あわあわとした様子で地面を転がる林檎を拾い上げようとしていた】

【「義肢、魔銃のご依頼承ります!マジックショップ<Fairy's Gift>」】
【そう書かれた看板を下げたその店は】
【白い壁に赤色の三角屋根、丸い窓に半円形の黄色い扉】
【まるで物語に出てくるような、可愛らしい外観の建物であった】
【店の壁には「アクセサリー、始めました!」という張り紙が見える】

【本日も平和に営業中であった】


【――】


【公園】


GIFTの"新人類"……か。全く、次から次へとよくも湧いて出てくるものなのじゃ


【とある街の公園の片隅で、ベンチに座りながら何やら独り言を呟いている少女がいた】

【身長は140cm程度であろうか。腰まで伸びた炎のように鮮やかな紅蓮の髪と、漆黒の瞳をしている】
【桜色の簡素なデザインの着物を纏い、胸元には"緋色の鷹"を模したワッペン】
【脇には茶色の鞘に収まった剣を置いており】
【手に携帯端末のようなものを持ち、指先で画面に触れて操作しながらも何やら渋い表情をしていた】


カノッサの某といい、またきな臭い匂いが漂ってきたのう
こ奴らに対してUTとSCARLETはどのように動くか? ……情勢を見逃さぬようにせねばな


【一向に減らぬ悪意に対し、そっと瞼を下ろしてふっ……と小さく息を吐く】
【そして、気持ちを落ち着かせると数秒と経たぬ内に再び目を開けて】
【もう一度端末に記された情報を視界に入れて確認を始めた】


【近くを通りかかる者がいたならば、少女のつけたワッペンやその携帯端末から所属を察することが出来るだろうか】
【また、事件などが発生すればこの少女が反応する可能性は大いに考えられる】
881 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/09/13(土) 23:26:15.48 ID:XbzKEuyD0
【とある遺跡から程近い森の中。何時もならば静寂であろうこの地も、今は不気味な気配に包まれていて】
【見遣れば徘徊しているのは兵士を象った数体の石像。手にした武器は石器にも等しいのだけれど――――鈍器として見れば実に脅威】
【並の人間相手ならばたった一振りで骨を砕き、或いは死に至らしめる程の力も持っているのだろう】


【さて、もう少し視線を奥へと向ければ件の石像達から隠れる様にして大樹に背を預けている人物が一人】
【腰程にまで銀色の髪を伸ばし、緑のローブを纏った女】
【荒い呼吸はつい先まで走っていた事を知らせていて、その視線も石像達に向けられて居る事からこの女が関わっている事も容易く読み取れよう】


「弱ったなぁ…………生き物じゃ無いから話しても伝わらないし…………
でも、ずっとこのままじゃ見つかりそうだし……うーん、コレを戻せば静まってくれそうだけど…………
イリニちゃんもステンちゃんも居ないから私だけじゃ……」

【手にしているのは古びた本と――――手鏡の様な物、か】
【大方、遺跡に眠っていた其れを取った際に石像達が侵入者を排除する仕組みだったのだろう】
【蹴散らすだけの力も無く、逃げたまでは良いが其処から手を打つ事が出来なくなったのが現状】

【――――この場所、魔物が出るとかでも有名で鍛錬を積む者が訪れる事も珍しくは無い】
【旅路で用いる者も多いことから、この場面に出会す事もそう珍しいものでも無く】

【先に女を見つけるか、石像を見つけるかによって展開は異なるだろうけれど】
【仮に女が先ならば何処か不安げな視線が其方へと向けられるだろうし、石像を先に見つけたのならば有無を言わさずに襲いかかる事だろう】








【櫻の国――――封魔城、と呼ばれる其処。古来より悪しき妖怪達を封印し、滅する為に作られたその城は妖怪と対峙する要の場所とも言えるか】
【その場を避ける悪しき妖怪は多いが…………逆に、無謀にも攻め落とそうとする愚かな妖怪達が多い事も又事実】

【城の近く――――其処に積み上げられた骨だとかは、その果てだろうか。其の頂きに座るのは一人の少女】
【深紅色の髪と双眸。纏うのはボロ布であって…………櫻には似付かわしくなく、強い“魔力”を帯びていた】
【否、少女の存在そのものが魔力の塊と表すべきだろうか。人間の気だとか、その様なモノは感じ取れないのだから】



「――――これでわたしのお仕事も終わりっ!……後で琴音からご褒美のあいす貰わないと」

【魔力を感じ取れる事に優れている者なれば、其れが“炎”である事が知れよう】
【更に詳しいならば、少女が謂わば精霊と呼ばれる種族である事も】

【魔力は存外この地に漂うし、何よりも未だ燃え続けて居る骸がこの闇夜の中では何よりの目印となる】
【もし、接触しようと近づいたならば…………紅の双眸は其方へと向けられる筈だ】
【まるで獣の抱く“敵意”だとか“警戒”だとかに等しい。どんな行動をするも、其れはこの場を訪れた者次第であるけれど】
882 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/14(日) 19:11:30.15 ID:k0NVHBxgo
>>880で日付変わるくらいまで置いておきます!
883 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/09/14(日) 21:01:55.94 ID:EExLiROlo
>>880>>882
【公園に一人の男が入っていく。神父服を着込んだ男は首から黄金色の十字架を下げている】
【この十字架は男が宗教家であることと同時にGIFTの一員であることを示していた】
【業務の合間に休憩でも入れようかと思ってこの公園にやってきたのだが……】

……うげぇ

【ベンチに座っている少女を見るなり嫌な上司とかに会ったような苦い顔に】
【見つかればただじゃすまない。そう考えた男はゆっくりと、なるべく自然な動作で公園の出入り口に戻ろうとするのである】
884 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/14(日) 21:03:00.03 ID:uOH9WYnI0
【街外れ――街明かりが遠くで蛍のように煌く場所・夕暮れ時・廃ビルの屋上】
【風を遮るものは何もなく、人影も極まれにしか現れない。みかんの房のような月だけが鮮やかで】
【空は青から赤へと、どんな上等のドレスや着物よりも美しいグラデーションを描いて、――それを見ている、影があった】

…………。

【壊れた柵に身体を預けて足を虚空に投げ出す、何人もを突き落としたみたいな屋上の上、その存在は遠目にも良く見える】
【あるいは、注視すれば服装や髪の長さ、その華奢さから少女だと導くことも出来ただろう。それぐらい、“だれか”は無防備で】
【すっとした爪先までを大胆に魅せるサンダル履きの足をふらふらとさせる、ただ、ただ、景色を見やる光景は、ただ、危うくも見えた】

【(飛び降りるかどうかを悩んでいるように見えなくもない。その気がないとしても、その場所は、とっても危ないはずだし)】
【(屋上から滴った雨の跡は足を掴んで引き摺り下ろす亡者の手にも見える。いろんな意味での、特等席だった)】

【髪は天井で黒く黒く染まっていく夜空よりも暗い、腰ほどまで伸びる、ハーフアップの黒髪で】
【瞳は黒と赤のオッドアイ。まるで蛇によく似た眼の形、ぱっちりと丸いのが、ほんの夕焼けの明るさに艶めいて】
【黒のブラウスと暗い赤のコルセットスカート、姫袖の中には、レースの手袋に包まれた指先が、ちらっと窺え】
【底の高いサンダル。足の途中まで紐で編み上げるようなデザイン、その踵がビルの壁を蹴っ飛ばして、鈍い音を鳴らし】
【右耳にだけ付けたピアスからは宝玉の/水の魔力を溢れさせる、――山中で川に遭遇したときのような、そんな、清涼さを覚えるほど】

【――周りから見ればどれだけ危うい行為なのだか、どうやら、少女自身はまるで考えも及ばないという風だった】
【時折夕焼けの刻々変わっている風景から目を逸らし、身体を乗り出し下界を見下ろす、思い切り身体を伸ばす、そんな、】
【あぶなっかしいことばかりしているから。というより、柵の外に居る時点で、ある種馬鹿みたいなお話、なのだけれど――】
885 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/14(日) 21:27:07.72 ID:k0NVHBxgo
>>883

…………む?


【少女は、微かな気配を感じて去ろうとする男の方へと視線を向ける】
【一見してただの通行人のようにも窺えたが】
【戻ろうとする動作の瞬間、ふと見えた金色の十字架が目に付いた】

【"GIFT"について然程詳しい訳ではない為、それだけでは断定は出来ないが】
【何処かで、それに似た形状の十字架を見た気がして】


ふむ……丁度行き詰まっておったところじゃしな
わらわの記憶違いであればそれまで。もし予想が当たっておるならば――


【そう短く呟くとベンチから立ち上がり、脇に置いていた剣を腰に括る】
【そして、携帯端末を懐に仕舞うと……背中に刻まれた細いスリットから薄い三角形の"白い翼"を現出させ】
【翼の特性によりふわり、と空を飛翔し】


――そこの者。
わらわはSCARLETの者じゃが……少しばかり時間を貰ってもよいかの?


【トン、と体重を感じさせない軽やかな動作で男の先回りをするようにして入口側に降りようとする】
【剣にはまだ手を掛けず、柔らかな営業スマイルを浮かべながら】
886 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/09/14(日) 21:38:52.84 ID:EExLiROlo
>>885
【公園の入り口へとまっすぐ歩く。出口までもうちょっとだやっぱりサボりはよくないな仕事しようそうしよう】
【業務と比べても厄介な状況から必死こいて逃げようとしたが、ダメ。声をかけらたからには立ち止まらざるをえないというより立ち止まってしまった】
【しまったと思いながら、十字架が見えないように顔だけを相手の方に向ける。が、向けきれないせいで横顔だけ見える形に】
【変にかっこつけてみるみたいで非常に嫌な気分になった】

いやあの私あれなんですよちょっとサボりっていうか仕事っていうか教会戻らないと司祭にボコられるっていうかなんていうか
意外と教会や神父って厳しいんですよ不法な行為とか契約違反とかそういうのに異常に厳しくって早く戻らないと殺されるっていうか!!

【だらだらと冷や汗をたっぷりかきながら焦りのあまりべらべらと喋ってしまう】
【『司祭や上司に殺されるというかお前に殺される!』】
【本当はこう言いたかったが『殺してくれ』と同義なので言えない】
887 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/14(日) 21:51:30.22 ID:k0NVHBxgo
>>886

……ふぅむ。それは引き止めて悪かったかの?

もしわらわのせいで問題が起こったならば、同行して上司に事情を説明してやろう
SCARLETに話を聞かれていた、という事ならば見逃して貰えるじゃろうよ


【少しばかり不自然な姿勢で、焦った様子で言葉を紡ぐ男】
【語っている内容は確かに、焦っている事を説明する理由にはなっている】
【本当に上司を恐れてこのような態度を取っているのか】
【そういった可能性も汲み取った上で、"逃げ道を塞ぐ"】


何、時間を貰うといっても本当に一つ二つ物を尋ねるだけじゃ
心配いらん、わらわの杞憂であれば数分と掛からぬよ


【「どうじゃ?」と、数歩ほど離れた位置から彼に訊ねた】
【彼にこうして訊ねているのは確証あってのことではなく半分以上は勘によるものだ】
【返答や行動次第では追求を逃れることも可能であろう】
888 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/09/14(日) 21:54:42.92 ID:j8g3KjDao
>>884
【少女以外は誰もいない、静かなビルの屋上】
【吹き抜ける風の音と、落ちる水滴の音ばかりが響いているのだろうこの場に】
【混じり込む異音があった。細く断続的に、しかし確実に。これは、足音だろうか】

【音のする間隔は短く、人間が発するそれとは違うように思える。さらに、そこへ話し声も混じる】
【これは間違いなく人のものだ。足音も声も一人分。誰かと電話しているらしい】
【少女が何もすることがなければ。足音の主は、廃ビルの中から屋上へと姿を現すだろう】


――――カヒュー……ああ、今到着した。確認する
……よし、こちらからも見える。そうだな……その位置関係では、少々まずいな
逃走経路としては、使いづらそうだ……ヒュー……

そうだな、今一度考え直すとしよう……今回は、ここまでだ
いつも通り、分散して戻る。先に戻っておけ……私は、しばらくここに潜伏してから戻る……カヒュー……

【重苦しく低い男の声と、不気味な呼吸音。それを発している者、屋上に姿を現したのは、一言で言えば異形となるだろう】
【それは、人間の上半身をさらに半分にしたほどの大きさの肉塊だった】

【角ばった顔つきに短めの黒髪。顔面、首、露出した右腕、その全てに広範囲にわたって残る凄惨な火傷の跡】
【胸部には、襤褸切れのような黒い布をしっかりと巻きつけている。左腕は、根元から消失していた】


【その下、胸部から下の部分の肉体は存在しなかった。まるで胸像のような姿】
【体内に繋がる形で伸びた、甲殻類のそれを思わせる太く長い四本の足が、肉塊を支えている】
【黒い布の隙間から足と共に覗くのは、肋骨の一部と赤い肉に包まれた脊髄。尻尾のようにゆらゆらと不気味に揺れ動く】

【額には、面積一杯を埋める黒い瞳の単眼。両目は右が青、左が黒の義眼。口元には、マスク型の人工呼吸器が装着されている】


【断続的に呼吸音を漏らしながら、焼け爛れた右手で握った端末を歪んだ右耳に当てている】
【声を発しているのは、呼吸器に覆われた口ではなく、首筋に生えた小さな口だった】

【朽ちかけた柵の向こう、ビルの下を単眼で覗き込みながら異形は通話を終えて身にまとう襤褸切れの中に携帯端末をしまい込む】
【まだ少女には気が付かないまま。異形は、下の景色を未だに睨むように見つめていた】
889 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/09/14(日) 21:58:39.99 ID:EExLiROlo
>>887

えーっと……!

【ごまかしは失敗。当然である】
【男の頭は相手の提案を聞いて選択肢のシミュレーションを始めたのだった】
【逃げる、怪しまれて追いかけられる、バレる】
【話をする、上手く丸め込む、失敗するか成功するかどっちか】
【よし、受けよう――男は決意とこれから訪れる交渉にぐっと拳を握るのだった】

いいぜ! 俺は清廉潔白だから何でも聞いてくれ!
むしろ俺から聞くぜあんたこんなところで何してんだよぉ!!

【全く微動だにせず変にテンション上がった状態で返事をするはめになった】
【もちろん振り向けるはずもなかった。振り向いたらアウト、ゲームオーバーだ】
【自分からの質問はむしろ質問というか怒りだった。居なけりゃ良かったのにという願望だった】
890 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/14(日) 22:09:07.11 ID:uOH9WYnI0
>>888

【太陽はとっくに地平線の向こうに落ちてしまった。――その地平線も、ビルや山に遮られて、よくは見えなかったけど】
【だから、太陽がいつ落ちたのかを、ずっと見ていたはずの少女も知らなかった。ただ、空が、暗くなるのだけが見え】
【ゆるゆると落ちてくるレースカーテンのような帳。どうしようもなく表現できない色が、だんだんと黒くなっていく】

……、――。

【音がした。それは話し声だったり、足音だったりして、ただ、それが自分に向けたものでないのもすぐに悟る】
【多分自分が居るって分かってないものだと思った。それなら――もう少し、違う気配でやってくるはずだと、考えて】

【でも、彼女はすぐには振り返らなかった、なぜかって、――微かに零れてくる声の残滓が、聞き覚えのあるものだったから】
【まだかすかだったから、誰とは断定していなかったけど……知っているひとだろうとは判断していて、だから、】
【彼女が“だれか”に視線を向けたのは、“だれか”が屋上に姿を現して、たっぷり数十秒――だまりこんでから、だ】
【ふわっと首を後ろに倒すようにして振り返る。薄いお尻の傍に手をついて、錆びて朽ちかけた柵へ一層体重を掛け、】

【ぎしり】

……――ごきげんよう、

【鳴いた音すら声の一部のような錯覚。鈴の音とよく似る声は、錆びた金属の軋む音にも、――ほんの僅か似る気がして】
【声を掛けるなら流石に気付かれるだろう。そうして、“かれ”に認識される姿は。危うい位置に腰掛ける、一人の少女】
【初めから丸い瞳が余計に丸くなっているのは、その姿の変貌にだろうか。なんとも痛々しい姿、それに、驚いてみせ】

【そうしている間にも太陽の明るい恵みは消えていく。時間を追うごとに、ビルの上もまた、暗がりの帳に包まれつつあり】
【あるいは、姿よりも声のほうが誰だか分かりやすい。――真っ白な肌は、夜の中でもよく目立って、浮くようだったが】

げんき?

【――それでもまだ暗黒じゃない。見える範囲で、分かっていながら、訪ねて来るのは、世間話するよな声調】
【ぱたんぱたんと足を揺らすと、こつん、こつん、ビルの壁が鳴らされて――自分が居ると余計にアピールするよう】

久しぶり。

【それから、彼女は、よいしょと立ち上がる。そうすると、破れた柵の穴から、ひょいと身体を安全地帯へ戻し】
【少しだけ距離を詰めて、人懐こいように笑ってみせてから――「イメチェンしたの?」だなんて、少しだけ視線が冴えた】
891 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/14(日) 22:12:53.02 ID:k0NVHBxgo
>>889

ふむ……身に覚えがないならば、そう興奮するものではないぞ?

気の早い捜査官ならば、それだけで御主を"黒"とも取りかねん
潔白であるならば堂々と構えておることじゃよ


【声を荒げた男。そこから感じられるのは"怒り"であろうか】
【その様子に微かに眉を顰め、視線に少しばかり懐疑を混じらせながらも】
【涼しげな声で彼を宥めるような言葉を紡ぐ。……火に油を注ぎかねないかもしれないが】


ん? 別にSCARLETの隊員が公園におっても不思議ではあるまい

まあ特別なことはしておらんが、あえて語るならそうじゃの……ちょっとした情報収集と休憩かの
これ以上はいらぬ装飾でもせぬ限りは言葉は重ねられんよ


【先程ベンチに座る少女の姿を見ていたならば、それに嘘がないことは理解出来るだろうか】
【素直に信じるか、ここを穿ちどうにかして丸め込むか】
【様々な選択肢は存在するだろうが】


この返答で満足したかの?
どうやら御主も忙しいようじゃし、無駄な時間を費やす必要もあるまい

そろそろわらわの質問を始めさせて貰いたいのじゃが――


【少女は言葉を続ける。その視線は今は見えない首の付近に向かっている】
【何故、この少女はわざわざ逃げようとする彼を追ってきたのか。……"何を"問い質したいのか】
【その視線から察することは難しくないかもしれない】
892 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/09/14(日) 22:23:41.84 ID:EExLiROlo
>>891

(こっちは“黒”なんだよチクショーッ!!)

【相手の指摘に対して叫びたかった、とても叫びたくなった】
【むしろもう振り返って身分を明かした上で一緒にお茶でも飲めたらどれだけ楽かとすら思った】
【しかし現実はそうではないし、例えもしかしたらそうできるかもしれないが、振り返るのは難しかった】

いやほらさ! SCARLETの隊員だったらなんかこう奇襲とか狙撃にあったら大変じゃないか!
情報収集なら違うところの方がいいし休憩だったらもっと安全なところっていうか公園に居るなよなぁ!!
びっくりするだろぉが!!

【何か丸め込もうとしたが、半ばうっかり、怒りのあまり本音が漏れる】
【そして数秒の後にはっとするが、時既に遅しというやつであった】
【なので訂正はあえてしなかった。もとい、ごまかす良い言葉が思い浮かばなかった】

…………
……………………
………………………………………………………………はい

【早くも半ば心が折れかけていた。頑張って何か引き延ばしや話題逸らしを探したが何も見つからず】
【結局小さく消え入りそうな声で返事するだけであった】
893 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/14(日) 22:29:16.55 ID:EOSRm1bQo
>>879

【しばらく歩けばもう店が見えてくる事だろう、名のあるアパレルショップだけあって街を歩けば一度は見た事のある看板が見える】
【会話を弾ませ、温かな笑顔を向けてくるマリアの顔を見ながら―――】


笑顔を見るため……そのために今日まで動き続けて来たのですね
どこか、『懐かしい』気持ちを感じます―――私を育てた人も似たような事を私に言って、そのためにいろいろな事をしてましたから

しかしあの大司教も笑顔を見せるようになるとは、そんなイメージがなかったもので少し驚きですね……あ、着きましたよ


【店内はもうすでに秋物のシャツが並んでおり、背の高いマネキンが綺麗に着こなしている】
【大司教に送るとなればどの色のシャツがいいだろうか、などと律儀に考え始めながらも、マリアとの会話を弾ませていく】
【母として愛し、寄り添い、共に生き続けて来たこの女性―――もう自覚している、自分はその姿に自分の"母"の姿を重ね始めているのだと】


―――私にも実の両親はもういません。悪い事なんか何もしていないのに嘘みたいに突然殺されてしまったから
だからその子たちの心細さがわかります、そして同時にそう言ってくれる"母親"こそが、子供にとって最も必要な存在だという事もわかる
私もそうだったから……本当に辛かったとき『お母さん』がいてくれた事がどれだけありがたかったかを覚えてるから……

だからマリア、これからも"家族"を大切にしてあげてください―――子供たちにとっても貴女はもうかけがえのない物だから。……やっぱり貴女、アンリみたいですね


【やや愛想のない顔立ちから、薄く零れる笑みと共に】
【愛を注ぐように命を燃やしてきたその"母"の強さに敬意を払うように、不思議と"子供"を代表してその言葉をかけざるを得ない】
【そんな風に生き続けていたマリアの事を、いつのまにか慕っていた】

/遅れましたが、今返事をお返しいたします……!
894 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/14(日) 22:39:11.13 ID:k0NVHBxgo
>>892

……わらわが公園におることで、何故御主が激昂しておるのか判らぬが
先も言ったとおり後ろ暗いことがないならば落ち着いておくことじゃ

頭に血が昇っておるならば、落ち着くまで時間をあげたいところじゃが
御主の職場や御主自身に迷惑がかかるのは好ましくない
手短に済ませるから安心するがいい


【飽く迄も最初に男が説明した"厳しい教会"を引き合いに出しながら】
【少女は静かな様子で彼に対して言葉を続けた】
【彼の様子や最後に放った言葉から"怪しい"と感じながらも、それを露骨に出すことはなく】


うむ……では問おう。
わらわが聞きたかったのは御主が首から下げておった装飾品についてじゃ


【彼の返事を聞き届けた後、恐らく予想通りであろう質問を投げかける】


以前から暴れ回っておる"GIFT"と呼ばれる組織は知っておるかの?
先日も大規模なテロ活動を起こしたことは多くの者が知る所であろう

少し目に留まっただけじゃから見間違いかもしれんが――御主の其れがどうにも資料で見た物と似ておってな
確認と、それについて幾つか聞かせて貰いたい……よいか?


【そう言葉を続けて、彼に向かって一歩近づこうとする】
【妨害がなかった場合、そのまま歩み寄って彼の"隠している"十字架を確認しようとすることだろう】

【いつの間にか――少女の手は腰に下げた剣の鞘に添えられていた】
【もし誤魔化す、もしくは迎撃や逃走をするならば猶予は少ないだろうか】
895 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/09/14(日) 22:49:40.14 ID:j8g3KjDao
>>890
【宵闇はどこまでも深く昏く。それほどの距離は離れていないはずなのに、向こうに見える夜景とこの廃ビルは】
【どこまでも隔絶されているかのようだった。闇が訪れれば、その住人達が蠢き始める】

【だが、この異形はその住人の端くれでありながら、迂闊であった】
【とうとう、その少女の存在に気が付かないまま。声をかけられるまで、そのままだった】
【あるいは、それは直前まで視線すら向けることのなかった彼女の余裕が成せる業だったのかもしれないが】


――――!!!

【柵が呻くような音を立てれば、弾かれたように異形が振り返る】
【単眼に飛び込んできたのは、見知った少女の姿。異形の力が、少しばかり抜けた】
【廃ビルの屋上に一人、今にも落ちそうな少女といういかにもなシチュエーションに毒気を抜かれるというのも妙な話だが】


……ああ、ごきげんよう

【少しばかり掠れた声。いつぶりかの再会。屋上の少女と異形の邂逅は、今まで通りの挨拶で始まった】
【やがて、夜の闇は完全にこの場を覆い隠すだろう。しかし、鈴の音のような声は、変わらず耳に届いた】


ヒューハッ……ああ、元気に変わらず悪事を重ねているよ……
姿かたちは
ご覧の有様だがね……

【彼女の足が鳴らすリズムが、その水の気配と共に彼女の存在を誇示する】
【その身が屋上の安全地帯へと舞い戻ってくれば、異形も身体ごと少女に向き直る】

ああ、久しぶりだな。そちらはその後、変わりないかね?

ヒュハ……イメチェンというには、大失敗だがな……
悪事のツケを少しばかり払わされた結果だよ……

【この悪党には珍しく、苦笑する様子を見せながら言葉を紡ぐ】
【彼女の人懐っこい笑顔が、自分にはあまりに似つかわしくないものだと、自覚しつつ】
896 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/09/14(日) 22:50:28.05 ID:EExLiROlo
>>894
【『安心するがいい』――これほど安心できない言葉もなかった】
【とはいえ既に質問をしていいと言ってしまった以上どうしようもない】
【状況はどんどん――明らかに男自身のせいで悪化していた】

ま、待て待て待て! 近づくのもいいし質問もいいがその手はなんだ!
それ剣だろ! お前いくらSCARLETだからって神の加護を受けてる神父斬っていいと思ってんのか!
この不信心者!!

【相変わらず背中を向けたまま、中途半端に手も向けて静止を促す……促せてるだろうか】
【他にも『お前の神は泣いてるぞ!』とか『疑わしきは罰せずだぞ!』だとか喚いてるが多分効果は薄いだろう】
【つまりは質問自体にはまだ答えていないのだった】
897 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/14(日) 23:03:55.57 ID:k0NVHBxgo
>>896

……わらわの質問が正確に理解出来ておらんかったのかの?

御主の所有物が"GIFT"の其れに似ておったと見えたのでな
もしわらわの"予想通り"であった場合は身に危険が及ぶやもしれん


【男の様子や口から放たれる言葉を認識した少女は】
【歩み寄る足を止めてその場で彼を見上げながら】
【「見ての通り、わらわはか弱い小娘にじゃからな」と続けて】


身の潔白を証明したいならば、百の言葉を重ねるよりも一つの行動を取るがいい
御主の"装飾品"を確認して、間違いだと判れば何もせぬよ

もし"煙に巻きたい"のならば、それは愚策なのじゃ
大人しく捕縛されるならば最大限の配慮はしてやろう。
現行犯でも、テロの主犯でもない末端ならば然程辛い処遇にはなるまい――


【威嚇するように背の翼を広げ、視線を一層鋭くしながら彼にそう声を掛ける】
【今までの様子から少女は男を殆ど"黒"と見ていた】

【少しでもかの組織の情報が必要だ】
【もし決裂したとしても"抵抗しなければ"人道的な扱いは保証されることだろう】
【一触即発の状況。下手な誤魔化しで通すことは難しいだろう】
【果たして男は少女に対してどのような行動を取るか――】
898 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/14(日) 23:12:04.28 ID:uOH9WYnI0
>>895

【夕暮れの世界が一秒ごとに終わっていく。そのたびに暗がりの中に爛々と増えていく真っ赤な瞳の錯覚、】
【昔の人間は夜を恐れたというけど、今も大して変わらない。――でも、ただ、夜に好き好んで暮らすひとたちも、居るから】
【――もう違う世界に行ったはず。でも元々の居場所だ、それなら、――その態度も、不可解というほどではなく】

夕焼けがとっても綺麗だよ、もう少し、街から離れたら……もっと綺麗に見えたかもしれないけど。
ここなら一緒に夜景も見えるかなって思ったの、――でも、お星様は全然見えないね。

【いつも通りの挨拶、変わっていくのは彼の姿ばっかり、――どんどんと人間を辞めていく姿を、彼女は改めて見つめ】
【笑ってはいたが、心底楽しくて笑っているわけでもなさそうだった。じっと、……どうしてそうなったのかを考えているような】
【ぼんやりと後ろに倒した首を揺らして――、それから、立ち上がっていく流れに続いて、仕草は途切れる】

変わりあるよ、すごく……、……いろいろ変わったの、でも、“だいじょうぶ”。

【両手を後ろに組んで、吐息を吐く、返した言葉は――或いは予想外だったかも、ぱちくりと彼女はゆっくり瞬いて】
【大丈夫だって言うなら対したことではないのかもしれないけれど。何があったのか。それを教えるつもりは、まだないらしく】

……あんまり悪いことしちゃ駄目だよ、いい子になれって、それは言わないけど――言えないけど。
誰かの世界を救ってあげるひとは勇者とおんなじだけど、誰かの世界を壊しちゃうひとは、魔王とおんなじなんだよ。
いろんなひとから魔王だって言われてたら、いつかほんとうの魔王になっちゃって、勇者に倒されちゃうよ――。

だいじょうぶ?

【ふらりと身体を揺らすと長い髪の仕草も追随する、それから投げる声は、彼の行いを特に否定するでも、特に肯定するでも、どちらでもない】
【変わりに心配するような言葉を投げるのだった。足音でもう一つ距離を詰めて、じっと見上げる瞳、やっぱり蛇の目のまん丸まなこ】
【緩く首をかしげると髪がしゃららと雪崩れる、――彼よりもずっと小さな身長、だけど、彼女は自分より大きいひとに慣れているなら】
【不思議とよっぽど気弱に見上げてくる感じもしないのだ。ちっとも怖気づいていないようだから、それもあるのだろうけれど――】
899 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/14(日) 23:19:08.32 ID:EExLiROlo
>>897

身に危険が及びそうなのはこっちだこのクソ幼女!!
こちとらただの神父だぞ剣持ってる側が有利に決まってんだろ殺すぞ!!

【最早やぶれかぶれ、殆ど取り繕うという感じさえなくなってしまった】
【もちろんこれは半分、というより殆ど諦めが入ってるせいである】
【そしてその諦めはついに普通に彼を振り向かせるという結果に】
【その胸元にはしっかりとGIFTの装飾品があるのだ】

どうだこれで満足か!!
だいたい俺が仮に百歩譲ってもしもGIFTの面子だっていう可能性がちょっとあるとしても
俺がその犯罪の業務を担ってるとは限らないだろ!!

【こうして男は開き直りに戦法を変えたのだった。戦法というほど立派なものじゃないが】
【一応、彼の中ではちょっと理が通ってそうで少し説得になりそうな言葉を選んでる、つもりだ】
900 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/09/14(日) 23:20:14.27 ID:yrNGJzj50
【――――喧噪に包まれる繁華街。少しばかり治安が宜しくない場所で、其れは起きていた】
【先ず、柄の悪い男が顔を血に濡らしながら突っ伏している。他には、仲間と思われる者達もショーウィンドウに頭から突っ込んでいる者も居たり】
【一言で表してしまえば惨事だ。放っておいても直に自警団だ警察だと来るだろうが…………】


「ふん……悪事をするなら次からはもっと上手くする事ね。こんな場所で子供の売買の話をするなんて馬鹿の極み以外の何でも無いわよ」

【見れば男達は其れなりに有名な拉致集団、らしいけれど。――――この場を訪れた者がその事を知っているかはまた別な話】
【無論、自警団だとか或いはカノッサだとかであれば直ぐにでも分かるのだけれど】
【兎にも角にも、人々がざわついているのだからその現場だって嫌でも視界に入る】
【――――そして。突っ伏した者達以外で血を浴びているのは女性……即ち赤髪の修道女以外誰も居らず】

【誰もが避けているのだから、興味を抱いた者は幸い。この騒ぎを引き起こした者に接触するのは実に容易だが――――?】






【木々の間から月の光が差し込む森の中】
【普段ならば静寂に包まれているであろう時間だが――――今宵は何者かが歩く音が響いて】
【その方へと視線を向けたならば、所謂修道着と呼ばれる其れを纏った女が目に映るか】


「…………暇、って訳でも無いけど……うん。まぁ――――何事も無いなら其れが一番良いかな」

【目的も無く、ただの散歩であろうか。その足の先は何処かへ向けられる訳でも無く】
【もう暫し適当に歩き回れば、やがては丁度良い切り株の前と移動して】
【小さな吐息一つと共に座ったならば見上げるのは月、か】
【露に入った今日この頃。幸いにも今夜は雨が降ってはいなくて――――湿度も、丁度良い】


「ボクとしても忙しいのはあんまり好きじゃないからね
――――どうせなら、このまま数日はお仕事無ければ良いんだけど…………?」

【獣も野鳥も眠り、風だって吹かないのだからその呟きも存外遠くまで聞こえるもの】
【もし、その声を頼りに誰かが近寄って来たならば――――小首を傾げながら、そちらへと視線を向ける事だろう】
【腰には銀色の双銃が提げられているけれど、其れに触れる事は無く】
【ともなれば、敵意は無いと感じ取れるが…………?】
901 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/09/14(日) 23:32:10.08 ID:G1c+SOk50
//すみません、気付くのが20分ほど遅れました……!

>>893

懐かしい、で御座いますか……?
……ふふっ―――そうで御座いますか、貴女も大切な人に笑顔の意味を教わったので御座いますね。
ええ、皆の笑顔を見るためで御座いますよ。それがわたしの望みであり、願いで御座いますから。
―――きっと、その人も同じだったのではないでしょうか。愛する者が幸せでいて欲しい、笑顔でいて欲しいって……―――

―――ああ、此処で御座いましたか!……私、全く逆の方向を進んでいたのですね……

【テレサもまた同じなんだなって、会話の中で垣間見た彼女の過去。―――幼い彼女の幸せを誰よりも願った存在】
【自分が彼女の母≠ニ被るのなら、きっとそれは同じ想いを抱いていたから。……子供の幸せを誰よりも願うのは、子を育てている親だもの】
【姿は見たことは無いが、心は分かる。きっと母として、テレサの大切な人も同じ事を想い、行っていたのだろうって―――】

【歩くこと数分、街中に構えられた店が見えてくる。堂々と構えられた看板はその店の場所を知らしめるように掲げられて、もうマリアでも迷わないだろう】
【マリアは少しホッとしたような表情を見せ、テレサと共に残り僅かとなった店舗への道のりを歩んで行く―――】


……あら、これは素敵で御座いますね!あの人にはこんな落ち着いた色が一番よく似合うと思うので御座いますよ♪

【……やがて店舗に入れば、並ぶのはカジュアルな服の数々。流石に有名店なだけあって、並ぶのはお洒落な物ばかり】
【色々手に取りながら、夫が着ている姿を想像してみてあれやこれやと比較する。こういう時間は本当に楽しいもの】
【手に取る服のサイズは最大のものばかり。偉丈夫という言葉がぴったり当てはまる彼に合う服となれば、サイズも相当になる訳だ】
【そんな楽しい買い物の間の会話。かけがえのない存在の事、大切な人の事……】

―――そうで御座いましたか、貴女も……
……ええ、勿論ですとも。私はいつまでもあの子達の母であり、あの人の妻であり続けます。
いつだって傍にいて、あの子達の全てを受け容れる……それが母≠ナすもの。

……そのアンリ様も、貴女の事を大切に想われていたので御座いますね。
ふふ―――私もアンリ様のようになれているのなら嬉しいです。アンリ様が貴女を笑顔にさせたみたいに……


【そんなこんなで、選んだのはベージュのジャケット・白いシャツに黒いパンツ。落ち着いた感じが大人な雰囲気を醸し出す】
【身長も高く体そのものも大きい彼に合うサイズをちゃんと選んだ。元々身長は高いのだから、きっとスタイルも良く見えるだろう】
【ある意味凄いのは、マリアが彼の体のサイズを完璧に把握していた事。自分の服を買う訳でもないのに……】
【ついでに銀で十字架を象ったネックレスも購入。これは明らかに夫の為に買ったものではないようだが―――】
902 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/14(日) 23:35:49.00 ID:k0NVHBxgo
>>899

……やはり、か。
見間違いであったり、"たまたま似ておるだけ"と誤魔化されたてはどうしようかと思うたが
御主の言葉を聞く限りは"確定"と判断してよさそうじゃな


【彼の下げた"GIFT"の装飾品を見、紡がれる言葉を聞いて】
【少女は疑念から確信へと心情を変化させていた】

【しかし、無抵抗な相手を一方的に痛めつけるような真似をするわけには行かない】
【現行犯であれば殺害すらも厭わない少女であるが】
【このような状況ですぐに剣を突きつけるほど常識はずれでもなかった】


それについては、近くの自警団の詰所でゆっくりと聞かせて貰おうかの

本当にテロ活動に加担しておらぬならば、先にも告げた通り大きな罪にはなるまい
ただ御主の知る限りの情報は可能な限り聞かせて貰わねばならんがな


【直接犯罪に加担しているかは現状少女にとって大きな問題ではない】
【男がGIFTの構成員であるという事が重要であり】
【少しでも情報を入手し、今後のSCARLETやUTを始めとした"正義"の活動を円滑にすることが目的である】
【故に……】


御主が大人しくわらわに従い、情報を提供するならば
テロ組織の一員ではなく、一協力者として相応の立ち位置も考慮することも出来よう
犯罪に直接的に加担しておらん事が大前提にはなるがな


逆に抵抗するならば――命は取らぬがちと乱暴な扱いになることは覚悟しておくがいい


【少女は男に対して選択肢を突きつけた】
【大人しく従うか、飽く迄も抵抗するか。これによって対応は大きく変わってくるだろう】
【何時でも動けるようにと、ザリ……と小さく地を踏みしめて】
【彼の顔を見上げながら、少女はその返答を待った】
903 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/09/14(日) 23:37:12.19 ID:j8g3KjDao
>>898
【会わずにいた間の彼女に何があったのか、異形は知らない】
【だが、やはり彼女から感じる気配に剣呑なものはなく。今も光の当たる世界にいるだろうと察せられた】
【にも関わらず、夜の廃ビルの屋上、それも柵の向こう側に腰かけているとは、危ういところは相変わらずだ、などと心中で一人呟く】

夕焼け、か。日の光は眩しくて苦手なら、それなら私でも見られるかもしれないな
景色を楽しむには、少々危なっかしい場所だとは思うが……私が言えたことではないな

ああ、残念だ。星が嫌いではないのだが……
似合わないことは自覚しているよ……カヒュー……

【会うたびに、異形化が進む男に対して、彼女も少しばかり様子が変わったようにも見えた】
【その笑顔の裏に何があるのか、そこまでは推し量れなかったが】


……そうか。生きていれば、変化は付き物だからな
だが、大丈夫だというなら、何よりだ

【彼女の言葉と気配に覚える違和感。その身に何があったのか】
【気にならないと言えば嘘になったが、自分から聞こうとはしなかった。知られたくないことなど、いくらでもある】
【増して、自分のような異形が相手では、なおさらだろう】


カヒュー……忠告はありがたく聞いておこう
魔王というほどに大層ではないがね……今も、誰かの世界を壊し続けているのは確かだ

……勇者に斃されて死ぬのなら私にとっては贅沢な最期だよ


――――ああ。平気だとも

【これでもなお、自分に心配する言葉を投げかける彼女に一つきりに視線を向けながら】
【小さくなってしまった自分の身体でも、やはり彼女の方がまだ小柄だった。見上げる瞳は、月のように丸い】

【これほど自分を怖気づくこともなく、接してくる存在は希少だった】
【このまま、今進めている悪事を続ければ、もしかしたら彼女とぶつかることもあるかもしれないが】
【そんな考えを頭から振り払い、異形は呼吸器の奥で一つ息をつく】


――――いや、平気だとは言い難いか。このままいけば、私もそう長くはない。このままいけば、な
その前にやるべきことは、やっておかねばならんが……

お前に今宵会えたのは幸運だよ。数少ない言葉を交わせる知人に

【宵闇に吸い込まれて消えていくそれは、静かな声音だった。悪党には似つかわしくないほどに】
【見下ろす視線は、ほとんど揺らがず。異形の呼吸音だけが、その削り取られて小さくなった身体を揺らしていた】
904 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage]:2014/09/14(日) 23:50:12.01 ID:hAuE0f8K0
>>900
まだおられますか?
905 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/14(日) 23:56:13.77 ID:EExLiROlo
>>902

ふざけんな!!
自警団なんて名ばかりの魔女裁判にかけられてたまるか
例え俺があれこれ全部吐いて無罪放免もしくはちょっと拘留で済んだとしても
お前らGIFTから俺守れるほど強くないだろつまり詰所行きは死刑と一緒なんだよ!!

【びしっと指差して捲し立てながら少しずつ後ろに下がり始める】
【悪行を可能とする組織を裏切ることは非合法な手段で殺害されることを意味する】
【つまり、男にとって少女の要求は死ねと言っているようなものだ】

相応の立ち位置もクソもあるか! 安月給だろどうせ!
こっちは金払いだけはいいんだよお前らみたいな半狂信者と違って俺は金がないと生きていけないの!!
『信念が〜』とか『正義の心が〜』みたいなのはお前らはともかく俺には向いてねえんだよ分かるか!!
それをやらせたいなら金を寄越せ!!
命の保証もない! 味方になったところで今より境遇がよくなるどころか悪くなる!
こんな要求誰が飲むか小学生でも分かるわ!!

【早口で捲し立てて両腕を外側へと伸ばすと、袖口から黒い霧のようなものが男の周囲に出始める】
【それは細かくとても見辛いが、砂鉄だ。無数の砂鉄が宙に浮いていた】
【当然これらを用いて彼は普段戦闘を行うのだが、今はその様子はなかった】
【というのも、相手は見ず知らずの敵。戦って敵うかどうか分からないため、できればそうしたくなかったのだ】
906 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/15(月) 00:21:36.07 ID:0qJRpbklo
>>905

やれやれ……こうも話が通じぬのでは交渉も何もないのじゃ
少しばかり――頭を冷やしてやる必要がありそうじゃな


【彼の捲し立てる言葉を聞いても、それに対して特に反論することもなく】
【交渉決裂と判断、即座に頭を切り替えた】
【剣の鞘に添えていた手の指で鍔を押し上げると、反対の手で空を裂くように刀身引き抜く】

【そして、鞘に触れていた手を離し】
【その手を空に触れるようにして周囲に"神気"を流出させた】


わらわはSCARLET所属、カミナ・ゲルギル――今よりGIFT構成員を捕縛する!
周囲におる民間人は巻き込まれぬ内に直ちに避難せよ!!


【少女――カミナはよく通る高い声で周囲に対して避難を促しながら】
【眼前で黒い霧のような物体を展開し始めた男を睨みつけ――こちらも"異能"を発現させた】

【カミナの左右の空間が微かに歪み、滲み出るようにして薄く大きな物体が姿を現す】
【それは全長1mを優に超える白い"紙"】
【左右に出現した計二枚の紙は、空中で見えない手で操られるようにしてパタパタと折られ始める】
【幼少の頃に遊んだ経験のある者ならば、その動きが"折り紙"の其れであることに気づくだろうか】


異能か術かは知らぬが……"刃を抜いた"からには優しくは出来ぬぞ、GIFTの
足の一本二本は覚悟して貰うのじゃ――!


【男を射るような視線で睨みながら告げると、カミナは背の"翼"の特性を発動】
【空へと「飛翔」し、即座に「加速」し一気に男との距離を詰めようとする】
【飛翔している高さは2m程度。男に接近したならば、空中で回転を加えながらその肩に思い切り剣を振り下ろそうとするだろう】
【剣は刃を潰してあるため、斬撃ではなく"打撃"となるが】
【直撃した場合相応のダメージが与えられる可能性があるだろう】

【また、先程生成した紙はカミナに追従し左右に1mほど離れて浮かんでいる】


(あの霧のようなもの……ここからではよく判らぬが、粒子の類かの?)
(この攻撃で確かめられればよいのじゃがな――)


【自身の翼と、男の周囲の霧のようなものに警戒を持ちながらも】
【カミナは確かめる意味も込めた自身の初撃の結果がどのようになるかに意識を集中させていた】
907 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/15(月) 00:23:01.79 ID:ClohsOOe0
>>903

こういうところが好きなの、……人間ばっかじゃなくて、人間以外ばっかじゃなくて、
落ち着くって言うのかな、すごくね、安心するの――、わたしは、きっと、どっちでもないから。

【足先は剥がれてしまったコンクリートの欠片を弄ぶ、それから、こつん――と遠くに蹴っ飛ばして、やがて屋上の縁から脱落させる】
【安心するのだという。どちらの世界にも属さない場所、或いは、どちらの世界からも忘れ去られている場所――ここみたいに】
【雨風に浸食されながらも、内側に事務所机が取り残されていたりする、そんな、どっちつかずの曖昧さが心安らぐのだと】

【――それから、彼が星好きだと言うことを聞けば。少しだけ意外そうな顔をしてから、「あの星はなに?」だなんて】
【もう少しだけ距離を詰めて指差すのは誤差の少ないように、指し示す先は、この夜景の中でも確認できるほどに明るい星】
【嘘でも何かそれっぽく教えてやれば満足するレベルだ。分からないと言っても、彼女は、そこまで本気の問いじゃあないなら】

……。

【どうしようもなく寂しげに伏せた眼を睫毛が隠す、でもそれは一瞬のことで、次の刹那には、彼女はにこりと笑ってみせる】
【(どこかのタイミングで気付くかもしれない。彼女の左手薬指に嵌められた指輪、銀で蛇を模ったそれ)】
【(いつか会ったときは、その蛇の瞳は黄緑色に輝いていた。でも、いまは、そこがぽっかりと空白になっていること)】

誰かの世界を壊すんだから、魔王と一緒だよ。……ゲームってしないからよく分からないの、変だったかな……。
……英雄とか、勇者の反対って、魔王かなって思ったの、……だめかな。

【それが彼女の理論らしいのだった。誰かの世界を救うのが勇者で、壊すのが魔王で、そして、それはこの世界規模の話じゃない】
【もっと小さいひとつひとつの世界の話。彼女にいわせればこの世界を壊すほうは大魔王とかになるのだろうか、なんて推定】
【――言い切ってからちょっとだけバツが悪そうに呟く言葉。その実はよく知らない単語、存外真剣に考えこむ仕草を見せ】

…………生きてて欲しいって思うの、でも、いい子になれって言えないみたいに、生きてろとも、わたしは言えないの。

【考え込む仕草から流れるように言葉は映ろう、ついと横に動いてから見上げた視線は、思ったよりも真っ直ぐ彼を見つめ】
【やることはやっておかないと。その言葉が、そのまま死んでしまいそうに思えた、このまま何もしないように思えた――生きることについて】

セシルがね、居なくなった。どこに居るかも、生きてるかどうかも、分からないの。ぜんぶぜんぶ、分からなくなったの。
……それでね、ちょっと前にセリーナとお話したんだ。それで、わたし、ずっと、あのひとに助けてもらった時から、ずっと、

――わたしみたいな子の。真っ暗な中で何もかも信じられなくなってる子のこと、助けたいって、すごく思ったの。思ってたの。

やってみることにしたんだ、まだまだ全然だし、そんな、何十人もだなんて、助けてあげられないけど……。

【――まず、ひとりになったこと。続く言葉はちょっとだけ繋がりが怪しい、でも、彼女の中では無関係でない事柄】
【いつか帰ってきてくれる日を待とうと決めた。その日に、「おかえり」って言う自分は、もっと、ずっと、いい子になろうって思った】
【だから、彼女の慣れないゲームっぽい言葉で言うなら、「勇者」とか「英雄」になろうって決めた――らしいのだ】

戻って来たときに、お家に知らない子が居たらびっくりしちゃうね、……でも、もう、やるって決めたんだ。
……わたしがしてもらったみたいに、明るい場所に連れて行ってあげたいの、思ってるより怖くないんだよって、教えてあげたいの。

【くしゅっと苦笑気味になる表情、でも、続く言葉はしっかりと紡がれる、鈴の音がりんと宣言する。しゃんと背中を伸ばして】
【誰だって夢を語るときはきらきらした目になる。――彼女も同じだった、丸い瞳を涙や悲しみでなく、きらめかせ】
【根が怖がりの少女らしい言葉でもあった。絶対怖くない、なんて、きっと、彼女自身ですら思えやしないのだろうから】

…………ね、だいじょうぶでしょ。

【――そして、言い終えれば、そうとも続ける。一人だけど独りじゃない、また、暗がりの中に戻ったわけじゃない】
【それどころか、誰かを暗闇から救い出そうとしている。その変化は、或いは、こうなったからこそ生まれたものかもしれなくて】
【少しだけ勝気な表情がじっと見上げていた。寂しがりで怖がりで、でも、やるって決めたことはやりたい。そんな性格が、よく窺えた】
908 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/15(月) 00:41:30.35 ID:xsh4ml26o
>>906

話聞けクソ幼女!! 引き入れたいならちゃんと俺がそうしたくなるようにしろって言ってんの!!

【また指差して声を荒げる。といっても相手が聞いていないのは分かっている】
【それでも怒鳴り続けているのは惰性というか、怒りの矛先というか、無意識的なものだった】
【要はちょっとお喋りな性格なのだが今はそんなことをしている余裕は――】

マジでどいつもこいつも交渉ってものを知らねえぜ全く……!
自分の要求ばっかり通してたら決裂するってのが分からないのか!!

【ない、はず、なのだが彼の口は動きっぱなしだった】
【そうこうしている間に相手は戦闘態勢を整え終わり向かってきていた】
【そして剣が振り下ろされた瞬間――鉄同士がぶつかる甲高い音が二人の間で鳴り響いた】
【刃先を止めたのは集まった砂鉄。男の肩の上数cmでまるで防護膜のようになっている】

ほんとお前らは血気盛んだぜ
俺なら情報もない相手に情報もないまま突撃なんてしねえけどなぁ

【やっと少し落ち着いたようで、今までとは違って静かに、そして呆れたように呟いた】
【そして右手を少しだけ上げて、敢えて少女が見えるであろう位置でそれらしく手をひっくり返した】
【それは注意を右手に引きつけるためのブラフ。実際の攻撃は少女の右側、男の左側から槍状に固まった砂鉄が少女の剣を持った両腕へと飛来する】
【もちろん、腕を引っ込めたり後方にさがれば簡単に回避できる。狙いはそれだった、少女から後ろに下がらせて距離を取るつもりだ】
909 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/15(月) 01:08:19.75 ID:0qJRpbklo
>>908

……御主、今までの自分の言動と互いの立場を理解しておるか?
元よりGIFTの構成員などに優しくしてやる理由もないのじゃ
引き入れるよりも、情報だけ聞き出して放逐したほうがわらわとしても手間が省けるからの

――あのような組織に加担した時点で
相応のリスクも秩序との敵対も覚悟しておるべきじゃろうに、今更子供のように喚くでないわバカモノめ


【男の言葉を冷徹に切り捨てる。最早、最初見せていたような営業スマイルは無く】
【明確に"敵"に向ける苛烈な感情を浮かばせながら言葉を吐いた】
【この少女は恐らく"正義"であっても真っ当な"善人"ではない】
【他のSCARLET隊員ならばもう少し交渉の余地もあったかもしれないが――】


(ほう……成程、そういう異能か)
(あやつの術に似ておるが……これは金属、かの?)


【半ば予想通り、カミナの剣は受け止められる】
【剣を打ち付けた時の感触から、その物体を金属の類と推測】
【砂を操る"妹"と似たような性質の、"粒子"……金属の其れを扱うものと考えた】


――!……存外器用なものじゃなっ!


【男の右手の動きに注意を払っていたが、元より異能に警戒していたのが幸いしたか】
【確かめる意味で放った剣撃、有効な効果が得られなかった時点で"後退"することを思考に入れていた】
【それによって即座に空中で"翼"の特性を発動、鉄の槍を服に掠らせる様にして回避し】
【男の思惑通り、互いの距離はそれなりに空く結果となった】


                 【<貴宝院流不切正方形一枚折り・猪面/亀甲>】


【それと同時に、カミナの左右で折られていた紙が完成する】
【右方の物は巨大な"猪の頭"を模したモノ。もう一つは"亀の甲羅"のような形状をしていた】
【完成した紙に神気が注がれ特性を付与、薄い折り紙はボコボコと膨らみ立体的になった】


【猪折り紙は、太い二本の角を前方に突き出したまま凄まじい勢いで男に迫る】
【直線的な動きではあるが勢いがあり、特性によって獣の革のような強度を持つ其れは相応の破壊力を秘めている】
【もう一方の亀甲折り紙はカミナの傍で留まる。こちらは形状的に防御用であろうか】


(粒子となれば多角攻撃も有効とは言えぬな)
(ならば強度はどの程度か、直接的な破壊力への対処力を見極めるのじゃ)

(あれを目晦ましにして逃げる可能性も考慮するべきじゃが――)


【カミナは袖口から小さな折り紙を、上空に向かって飛ばす】
【よくよく見たならば、それが"折り鶴"のようなモノだと認識することも可能であろうか】
【そして右方に新たな紙が出現し、先ほど同様にパタパタと折られ始めた】
910 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/09/15(月) 01:20:08.36 ID:52aKE7mqo
>>907
……なるほど。そういわれれば、確かにこの場所はしっくりくるのかもしれないな
すぐ近くに向こうの世界がありながら、その喧騒から離れている場所というのは、今のご時世貴重だ……

【彼女が蹴り飛ばしたコンクリート片が、屋上から消えていくまで単眼で追いつつ】
【以前、彼女から語られた彼女の過去に思いをはせる。こういった場所が必要な存在も、確実に存在するのだ】
【その多くは、光の世界から見向きもされないが。彼女は自ら、あるいは誰かの力を借りて、光の中へ這い上がった】

【星を眺めるのが嫌いではないだけで、そこまで詳しくはないのだが、などと思いながら】
【少しばかり接近した彼女の指が指し示す先に単眼を向ける。一際明るい星の輝き】
【「ベテルギウス、辺りかね。近いうちに爆発するらしいな」、などと聞きかじりの知識を提示した】


【盗賊という人種は目ざとい。彼女が目を伏せた一瞬を、単眼は見逃さなかった】
【彼女の笑顔は、その向こう側を見事に覆い隠していたが。その指輪に空いた空洞】
【その動かしがたい事実までは隠しきれず、異形の認識に捉えられる】

ヒューハ……それはそうだ、小さかろうと世界は世界だな……
私も、ゲームはやったことがないから、その辺りはわからないがね。おそらくは、それで正しいだろうさ

【彼女自身も、自ら誰かの世界を破壊した経験があるためか。その言葉は重く響いた】
【今なお、己の中で恨みごとを発し続ける自分の犠牲者たちの声も、あるいは一つの世界を形成していると言えるのだろうか】
【それも、単語一つにも真剣に悩む様子を見せる彼女を見て、雲散霧消する】


……その言葉だけで、私にはもったいないくらいだよ……ヒューッ……

【凄惨な過去を持つ彼女なりの、その言葉は。やはり、異形には眩しすぎた】
【こちらをまっすぐに見つめてくる彼女の視線に合わせて、単眼で正面から見つめ返すので精いっぱいだった】


――――セシルさんが……
それで、セリーナ・ザ・キッド≠ニも縁があったと。そうか……カヒュー……

【彼女の最初の告白を聞いて、さすがの異形も驚きを隠さなかった。あの男が、何も残さず消えた】
【彼の弟とも、あれ以来会っていない。手がかり一つもなかった。それも、数多くの出来事に埋もれていってしまった】


なるほど、確かに大きな変化があったのだな……セシルさんについては、私としても残念に思う
だが、お前がそうして自分の進むべき道を見つけて、自らの意志でそれを進もうというのなら……
そうだな。「だいじょうぶ」、なのだろう

【少しばかりの繋がりの怪しさはあまり気に留めず、彼女が光の世界で新たな己を見出したことを】
【この異形なりに、祝福したつもりらしかった。彼女の口から出た宿敵の一人の名を聞いて、内側に宿った昏い想いには蓋をして】
【自らの手で、自分のような誰かを救うと。そう宣言して見せる少女のその眼は。あまりに――】

……眩しすぎるな。私には

【彼女とは違った理由で、苦笑を浮かべる。不安と恐怖もあるだろうに、それでも鈴の音は済んだ音色】
【それは、彼女が確かな変化を遂げたことを示していた。未だ暗がりの中にあった少女は、自らの足で光の下へ踏み出したのだ】
【その意志を、きっと彼女は貫き通すだろう。それを確信させる瞳の輝きから、異形は目を反らした】


……私にこの傷を負わせた二人のうちの一人は、UTのメンバーだ
雷の国のセードムシティでの戦いでな……グラトン博士――機関の古参の一人もその戦いで命を落としている

私は昼の国でずいぶんと恨みを買った。特に裏の連中からな。この一件で私がこっぴどくやられたことを知った彼奴等は、我々に攻撃を仕掛けてきた
配下の機関兵が何人も殺され、昔からの手下たちも手傷を負わされた。あの連中には、我々のやり方で始末をつけるべく、すでに動いているが
幾度となく正義連中にやられてきた事実がある限り、我々の行動に大いに支障をきたすだろう……

わかるかね? 私と、UTの敵対は、もはや避けられない段階となっている。私個人としては、お前の新たな道を祝ってやりたいところだが……
悪党として、セリーナ・ザ・キッド≠ニ、光と共にあるお前と対峙するときが来たならば。悪いが、私は、躊躇するつもりはない……

【再び、彼女に視線を戻した時。単眼の奥に宿っていたもの。暗い、昏い、闇の色】
【今は、殺意も敵意も感じられない。彼女に危害を加えるつもりはないのだ。だが、その時が来れば】
【異形の示した悪意は、少女と真逆の、どうしようもなくドス黒い魔王のそれだった】
911 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/15(月) 01:27:18.94 ID:xsh4ml26o
>>909

あークソそういうタイプかお前!
……大衆に味方する悪人なら最初にそう言えよ、俺がバカみてえじゃねえか

【情を引こうとして色々言っていたわけではないが、完全に相手を間違えていたという事実に男はすっかり落胆した】
【こんなことであれば最初から違う方法を取っていたのに、と後悔せずにはいられない、そんな心境だ】
【まさしく交渉の余地なし。戦う意味もない以上、考えるべきはどうやってこの場から逃げ去るか】

【突進してくる猪に対して男は何の動きも見せない。見せないが、砂鉄が自動的に壁を作り出す】
【壁は男と猪に対して斜めに立ち塞がる。突撃の衝撃は緩和しきれないのか、壁に沿った形で逸らそうというわけだ】
【更に真っ黒な砂鉄の壁は少女から男の姿を隠す形にもなっており、つまり――】

【壁が形成された直後に周囲に響くのは金属同士のこすれるような甲高い音】
【公園の入り口に黒塗りの車が急停車した音だった】

「……人件費、救出費、ガソリン代もろもろを出すなら、乗せてやるが」

うるせえ遅えよ死ぬかと思ったわ死ね!!

【車の運転席から声をかけたのはシスター。随分と慇懃無礼な声で神父に対しても酷い請求をしている】
【しかし渡りに船というか、待ちに待った助けだったので神父は大急ぎで車に乗るのであった】
【それから神父は窓を開ける。すると砂鉄は車の中へと吸い込まれていったのだが】
【窓を開けたのは砂鉄の回収のためではなかった】

ざまぁみろバーカバーカ!! 誰がお前みたいな幼女なんかに捕まるか!!
せいぜいそのへんのチンピラとか悪人とか俺以外の誰か殺すとか捕まえるとかして喜んでろ!!

【――神父は少女が言った通り”子供のように”さんざん喚いた。このために窓を開けたのだった】
【そして更に色々言おうとしたがその前に車は走り出し、法定速度を無視した速度で居なくなった】

//夜遅くなってしまったのでこのあたりで
//乙でした
912 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/15(月) 01:48:00.31 ID:0qJRpbklo
>>911

……むぅ、その速度には追いつけぬな。
奴らの情報を得られる好機と思うたが、ちと対応が手緩過ぎたかの?


【瞬く間に起こった逃走劇、追撃しようとするも間に合わず】
【操作していた紙達から神気を抜き解体、霧散させ大きなため息を一つ吐いた】


しかし、"大衆に味方する悪人"、のぅ
言われ慣れたものじゃが……全く、どいつもこいつも何故当たり前の平和を享受出来ぬのか


【所謂正義の陣営を"傲慢"と"悪"と称する者は何時の世も多い】
【正義とは立ち位置や状況によって多様に変化するモノ】
【其れ故に、男の認識も見方によっては"間違いではない"と、少女も理解はしていた】
【……受け入れられるかどうかは、全く別の問題になってくるのだか】


さて、要らぬ時間をとってしまったのじゃ
もう少し街を回って情報を集めたら、パトロールでも始めるとするかの


【剣を鞘に収めて、背中の翼をパタパタと畳んで服の中に仕舞うと】
【カミナは少々怠そうに真紅の髪を掻き揚げて、元居たベンチの方へと歩いて行った】


/お疲れ様でしたー!
913 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/15(月) 01:58:06.50 ID:ClohsOOe0
>>910

【べてるぎうす、そうなぞった声はあんまり慣れた感じがしない、やっぱり、星の名前には疎いほうであるらしい】
【ふんふんと聞きかじりも素直に聞いてくれるから、他にも豆知識があれば面白かったろう、たぶん、全部聞くのだ】
【でもそんな光景はきっとこの二人には似合わない。あまりにも朗らかすぎて――この距離すら、近いぐらいなのに】

【勇者の反対は魔王。その思考の結果を認めてもらえれば、「そうだよね?」なんて風に、緩く首を傾げる仕草】
【その表情は僅かに安堵でもあって。素っ頓狂なことを言ってるんじゃないか、きっとそんなことでも考えていたのだろう】

【(誰かの世界を壊した。数えないぐらいのたくさんの世界を滅ぼした。だから、自分は、きっと、魔王だけれど)】
【(壊した分だけ救おうと決めた。一人になって、初めて決意した。魔王らしからぬ決意は、いつかの日のため)】
【(だいすきな手に頭を撫でてもらえるその日のため。その手を真っ直ぐ受け入れられるように、いい子になるって、決めた)】

……UTでお仕事のお手伝いしてるの、ううん、あそこに入ったんじゃないよ、わたしは……、……。
この世界の勇者になんてなれないよ、もっとね、少しでいいの。生きていく中で、ほんの何人でも――、

【セリーナの知り合いだ、ということに対しては、ほんの少しだけ訂正があった。そこに所属したわけじゃないんだと、そう】
【お仕事のお手伝い――というが、酒場の給仕だ。運営にはなんら関係ない、だけど、まるで無関係とは言えない立ち位置】
【少しだけ困ったように眉を下げる。「たすけてあげられたら」という言葉に続く鈴の音は、少しだけ低いハードルだけど】

……――ほんとは寂しいんだよ、さびしいけど、だいじょうぶなの。だって、――、
誰かを助けてあげようって伸ばした手が、涙で濡れてたら、滑って落としちゃうじゃない。

【いつか血濡れていた手じゃ誰の手も滑って落ちる。その血を拭ってもらったのだから、自分の意思で洗ったのだから】
【それをまた、別の液体でだって濡らしたら意味が無いんだと言う。――寂しがりのくせに、そんな風にがんばって】
【眩しすぎるのだといわれたら、今度こそ困った表情をした。寂しいんだか気恥ずかしいんだか、分からない顔をして――】

【――彼が話すなら、それを聞く。少しだけ視線を伏せた、だんまりの表情。細い指先が胸元の布地を弄り、皺をよせ】
【状況が変わる可能性。時折こうして会って、不思議な距離感でお話して、――それが終わってしまう時は、存外近いのかもと】
【そう思えば、少しだけ惜しいように思えた。生きててほしいと思ったのと同じ、この邂逅たちは、つまらないものじゃない】

そしたら……、そうしたら。あなたが、わたしのしたいことを邪魔するときは、わたしがあなたを終わらせてあげる。
そんな、化物みたいになっちゃう前に……、わたしが、ぜんぶ、水に流してあげる。……ほんとの水にだよ。

……わたしもね、わたしの邪魔するひと、ゆるさないの。

【きっと、彼は、もっとひどい姿になってしまうように思えた。そして、それは、人間じゃない彼女には少しだけ寂しくて】
【どんな人間だって水に流してきた。同じように、他のひとたちと同じように、おんなじ方法で、終わらせてあげるという宣言】
【それは、人間としての終わり、救済めいた言葉にも似て。――でも、たぶん、本人にそんなつもりは微塵もなくって】
【そもそも救済とも呼べないかもしれない。結局与えるのは骨すら残らない、壊滅的な死なのだから】

…………この前お話聞いてくれたお礼したげる、なんだか、もう、こうしてお話できないかもしれないし――。
頭出して、――大丈夫だよ、ちゃんと練習したの。変なことにはならないと、思う……、ちゃんと、教わったから。

【このまま死んでしまうかもしれない。次に会うときは敵かもしれない。それを強く思う夜だった、いつの間にか夕暮れも終わり】
【辺りをどっぷりと包むのは暗がりの夜、彼の世界。だけど、彼女はちっとも怖気づかず、寧ろ、礼をしたいから頭を下げろなんて】
【そう要求までするのだ。――するっと右手の手袋を外せば、白磁の掌に、きらきらと桜色/紫色の魔力を纏わせたと思うと】

【悪戯っぽく指を動かして笑うのだ。ほらほら早く、なんて言いたげな様子で彼を見つめ――】

【(そこに敵意や害意はなかった。ただ、お節介に似た、そんな感情が窺えて)】
【(例え受け入れたとしてもよっぽど悪い目には遭わないはずの提案。でも、それは、あくまで彼女目線だから)】
【(彼が自分でどうするか、選ぶしかない――そんな、提案)】
914 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/09/15(月) 02:47:58.37 ID:52aKE7mqo
>>913
【にわか知識でも素直にうなずいてくれるのは、悪い気はしなかった。それが異形に似つかわしくない感情だと自覚しつつ】
【適当に知っている星座の名前なども混ぜながら、少しばかり言葉を並べていく】
【そう、あまりに似合わない光景だ。今や、光と闇。相容れぬ存在だというのに】

【自分がずれていることを心配する、その姿の方がむしろずれているのでは、などと言う言葉は飲み込んだ】
【ずれどころか、崩壊している自分が言うべき言葉ではなかったし、彼女が安堵しているなら、それで十分だ】


【そんな彼女が、初めて己の中に己の手で通した一本の芯。その光の中で、生きていこうと】
【かつての彼女と同じような者たちを、引き上げよう、救い出そうと】
【そう語る姿はすでに、魔王のそれとは異なるものとなっていただろう】

酒場の手伝い、看板娘といったところか……カヒュー……
それでも、救われたものにとっては勇者と言えるだろうさ。私が殺した連中にとって、私が魔王であったのと同じように

【酒場の手伝い、なるほど正義組織の一員ではないらしい。だが、酒場の収益はそのままUTの予算になるだろう】
【そうでもなくとも、共にある仲間は心の支え。その結束は、正義の使徒たちをより奮い立たせる】
【それでいて、自分に出来る範囲で誰かを救いたい。彼女は、異形の目には確かに一人の正義のように映った】


……そうだな。しっかりと握りしめてやるには、必要なことだろうな
私がこんなことをほざくのは、滑稽ではあるが……いい女だな、お前は

【恐ろしく似合わないセリフを吐いて、単眼を細める異形。彼女の姿は、闇の底を知りながら光へ歩む彼女は】
【とても強く、強く思えた。複雑な彼女の表情を、しっかりと目に焼き付けながら】


【伏せられる視線。動かない表情。異形もそれは同じく】
【わかってはいたことだ。終わりが来ると。今までだって、崩れ落ちそうなバランスの上で成り立っていた距離なのだから】
【しかし、やはり惜しいと思ったのは、互いの共通であったらしい。出会ったこと自体はつまらなくはないし、後悔する気もなかった】

……ふ、ふ。そうか……その眼、あの裏町で初めて会った日を思い出すな……ヒューハ、ハ……
私もそう簡単にやられる気はないが、もし斃れる時にお前がいたら、ぜひそうしてくれ

跡形も残らぬように……食べ残されるのは好みじゃあないんだ
これ以上、身体が崩れるのもさすがに御免こうむりたいしな……

【多くの人にとっては、どこまでも無慈悲な死であり、終焉であろう】
【だがこの男にとっては、それはどこか甘美な色さえ含んでいた。彼女にそんなつもりはなくとも】
【生に執着し、悪に沈み込んで生きている以上、ろくな最期を迎えないのは確かだ】
【ならば、この奇妙な知人にとどめを刺されるのも悪くはない、と】


あれは、私の好きでやったことだが、受け取れるものは受け取る主義だ
今しか機会がないとなれば、なおのことな

……ああ、お前を信用することにするよ

【嗅ぎ慣れた、闇夜の臭い。肌身に感じる、澱んだ空気の流れ】
【その中で、掃き溜めの鶴のように浮かび上がる彼女は、幻想的ですらあった】
【いつか、彼女と刃を交える時も来るかもしれない。そうわかっていても、異形は彼女の言葉通りにすることを選んだ】

【醜悪な四本脚を折り曲げ、手袋をはずして待ち構える彼女に首を垂れる】
【それは、光の眩しさにひざを折る闇の姿とも見えるかもしれなかった】
915 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/15(月) 03:16:12.62 ID:ClohsOOe0
>>914

【ほんの一時、その瞬間だけは、この二人は本当にただの友人のようだった。星の話をして、それがどの星かを確認して】
【少しすればほんの少しだけ星に詳しくなった彼女がそこに居る。――誰かに何かを教えるって、きっと、素敵なことだ】

……そう、だといいなあ。誰かに、そう思って貰えたら、とっても嬉しいな――、……。

【――今は、まだ、彼と同じようなものだ。もうこれ以上の犠牲を増やさないというだけで、今の彼女の立場は、まだ、冥い】
【でもこれから違うところに行こうとしている。この奇妙な関係も終わろうとしている、――明確に、道をたがえる二人として】
【……それでも、今はまだ、夢みたいに呟いて目をきらきらさせている、という姿を油断して見せる程度の二人の関係】
【やっぱり不思議だしおかしいだろう、――だからって、それがつまんないかって言うと、きっと、違うって答えるのだ】

そんなの言ったって駄目だよ、わたし、何百年経ったって、セシルのものだもん。
……でもありがとう、そんなこと言われたの初めて、覚えておかなくっちゃ――。

【細められる瞳を見上げる、それで、ほんの少しだけ眼光を強めて見つめ返すのだ、それは、全然揺らがない感情を示して】
【全然揺らぎはしないけど、嬉しがりはする。すぐににこりと表情を崩し、――今度は冗談めいて、そう返し】
【――よく表情の変わる子だ。それは子供っぽさでもあるけど、個性とも呼べて、絶対に直せという癖でもないなら】
【こうして素を見せていると分かるぐらいがちょうどいいのかもしれない。――そう、いつの間にか、彼をそれぐらい信用して】

【「うん、約束だよ」】
【そう呟いて彼女は頷いた。ころころと笑っていた表情はいつのまにか硬く冷え、どうにも複雑めいたものを浮べ】
【――きっと、そのときは“はじめて”になる。嫌いじゃない人間を、何度も話した人間を、*す、はじめて】

【――でも、今はまだそのときじゃない。頭を垂れる姿をどこか満足げに見つめるのは、どう見たってただの少女でしかなく】
【血しぶきも悲鳴も怨嗟も似合わないただの少女に成り果てる一瞬。そっと伸ばした手は、思ったよりも優しく彼に触れるだろう】
【母親が眠る幼子を撫でるような、優しい手つきだ。実際に“よしよし”なんてことは流石にしないけれど――】

――ほんとうに、今日だけだよ。あなたがわたしの水に触れられるのは。

【触れた指先で小さな術式が起動する。それと同時に彼の身体に広がるはずだ、清く澄み切った、水の魔力】
【身体や心のごく軽い緊張や疲れを洗い流す魔術。それは、例えば彼の傷を癒してやるにはあまりにも足りないけれど】
【汚れきった身体をシャワーで流すような。それを、身体の中――心や魂までも洗ってやるような、ささやかな浄化のちから】

【――もちろん、感じかたはひとに因る。これを不快と思うかもしれない可能性は十分にあって、その場合は】
【表情を歪めるとか、直接本人に言うとか、そうすればすぐに術は中断される。その場合、心配そうに大丈夫かと尋ねられ】

【何もないなら――時間は一分を過ぎるか過ぎないかの頃に、その手はゆっくりと離れるのだろう】
【ちなみに、その場合でも大丈夫かどうかを尋ねられることになる。――きちんと成功したのか、不安なのだろう】

/すいません、そろそろ眠気が出てきましたので、明日に引き継いでいただけたら嬉しいです……
/明日は夕方〜夜ごろには待機していられるかと思いますっ
916 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/09/15(月) 03:20:24.43 ID:52aKE7mqo
>>915
/了解しました!
/明日は帰宅できるのが、恐らく22時前後となってしまうかと思いますが
/可能な時間帯になったら、舞台裏に書き込ませていただきます。ひとまず、お疲れ様でした
917 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/15(月) 03:21:35.65 ID:ClohsOOe0
>>916
/22時ごろ了解しました、その頃にはきちんと待機出来るようにしておきます!
/ひとまずお疲れ様でした、また明日よろしくお願いしますー
918 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/15(月) 21:14:37.75 ID:06xFZCVmo
【表通り】

【――――そこは普段から人気の多い場所ではあるけれど、今日の喧噪はいつもと若干違ったものであるようだった】
【交差点の中央で二台の車がひしゃげて、周囲に人が集まっている。どうやら交通事故が発生してしまったらしい】
【幸い、既に救急車や警察も手配され、怪我人は全員救出された後のよう。……警察が無線でGIFT≠ェどうのと話しているのだけは気になるが、】
【たまたま通りがかった一般人にはなんの関係のない話。だがこの件で迷惑を被る者も、確かに存在していた】


…………まいったな。打ち合わせまで時間がないっていうのに…………。


【事故のせいで通りには渋滞が発生している。警察官が交通整理をしてはいるものの、通常の運行は不可能な状態だ】
【急がなければならない事情のある人間にとって、それは致命的な遅れにもなりかねず。――――バタン、と一台の車の後部ドアが開かれる】
【黒塗りのリムジンから歩道に出てきたのはスーツ姿の男性だ。歴戦のビジネスマンといった雰囲気だが、背格好や顔つきからして、まだ十代の少年に見えた】

【ルビーをはめ込んだかのような真紅の双眸、やや巻き毛気味の水色の髪が特徴的な風貌に】
【動揺を感じさせない落ち着いた面持ちと凛とした立ち姿。少し服装を変えてやるだけで、そのまま西方の貴族に早変わりしそうである】
【挙措の一つ一つも計算されたように美しく、柔らかな優雅さが全身から漂っている。敢えて大仰な表現をすれば、芸術品じみた少年だ】


【――――さて。そんな彼だが、いかにも高価そうな腕時計と遠くにそびえ立つビルを交互に見つめて思案顔をしているだろう】
【急いで行かなければならないが渋滞のせいで進めない、事情はおおむねそんな所か。何か手はないものかと、少年は周囲を見渡して】

【無論、誰か彼を助ける者が現れる可能性もある。けれど見るからに育ちの良さそうな少年だ、逆に狙われる可能性も否定できず――――】
919 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/15(月) 21:45:58.35 ID:bfADeICAo
>>901

【自ずと自らが辿ってきた過酷な戦いの日々を振り返っても見れば……やはり原点は自分を育ててくれた母の姿が思い浮かぶ】
【全てを失った"絶望"から今もなおうまく表情を表に出す事ができない自分だが、それでも時にこうして笑顔を浮かべる事ができるのはやはり母の存在が大きい】


……見た目は大して似てませんでしたけどね、でもなんとなく思い出させてしまう面影が貴女と重なったんですよ
本当に一瞬だけ、アンリが戻って来たんじゃないかと勘違いしちゃったくらいです……そうですね、皆の笑顔を守るために
ちっぽけな"力"を振り絞っていつもいろんな何かと戦い続けてました

……『異端狩り』として生きる道を決めたのはどうしても両親を奪った"吸血鬼"のような存在への憎しみが消せないから、でもありましたが
そもそもの戦闘職に付く道を選んだのは、そんな"母"を支えられるくらいの戦う力が欲しかったからでした


【そのためにいろいろとバカな事もしてしまったなー、などと過去の憧憬を思い返しながら】
【つかの間の日常の中で久方ぶりに、テレサはいつもの冷静に振る舞おうとするがための無愛想な顔から――――ほんのわずかにではあるが】
【柔らかさを感じさせる微笑の表情を自然と浮かべる様になっていたのだった】

【選んだ服を会計してもらうため、レジに運ぶのを手伝いながらテレサが言葉を続ける】


思えば彼もまた多くの戦いに明け暮れて来たのですから、時には日常の普段着に袖を通す時間も必要だと思いますね
しかし、大司教の体格にピッタリ合う服のサイズを覚えていたのはすごいですね……おや、このネックレスもプレゼントでしょうか?

マリア、もしよろしければこれらの荷物を孤児院まで運ぶ手伝いをさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか?
どの道そちらに訪れようと思っていた所だったのです、いい機会だから足を運ぶついでにお手伝いさせてほしいのです


【彼女の方はまだこれをフレデリックへのプレゼントだと勘違いしているようだが……少しズレた所もあるのだろうか】
【ともあれ彼女はこの洋服の会計を済ませたならば、帰り道まで運ぶと申し出てくる】
【この様子だとよほどマリアの事を気に入ったらしい、この好意に今日は甘えてみてもいいかもしれない】

/では遅れましたが、お返事させていただきましたー!
920 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/09/15(月) 22:40:43.30 ID:wJS24LMI0
【――――路地裏。様々な悪党が巣くう場所として有名で有り、好き好んで通る者も居まい】
【そんな場所にて聞こえるのは数人分の呻き声か。見遣れば全員場所は異なれど掌で押さえ、倒れ伏す男達が数人】
【唯一立っているのは何処かの企業の正装を纏った女。――――と、純白のローブを纏った一人の少女か】


「礼は必要在りません。イリニはイリニの務めを果たしただけなのですから
――――其れでは気を付けて帰ると良いとイリニは告げます。次にまた同じ様な事が起きても救う事が出来るとは限らないのですから」

【大凡、女が暴漢に襲われそうになった所を白の少女が救ったのだろう】
【その少女、年齢はまだ十代の前半にも思えるけれど其れ相応の実力を持ち合わせているのか】
【頻りに頭を下げる女に対して感情の含まれない双眸を向けたならば、これまた抑揚の無い声質で告げて】

【女がその場から去って行く姿を確かめた後に倒れ伏す男達を一瞥】


「コレが我々教会の勤めです。害を為す者を排除し、死から救う事。イリニはそう教わりました
――――貴方達は処刑を行う程ではありません。その痛みにて罪の重さを認識すると良い、イリニはそう考えます」

【治療をするでも無く、ただ呟いたならば少女もまたその場を後にするのだろう】
【戦闘の際には其れなりに大きな音が響いていたし、何より罵声等もあったのだから場所を特定するのは容易】
【戦闘自体を見る事は叶わないだろうが、倒れ伏す男達と何食わぬ表情でその場から離れようとする少女しか居ないのだから双方の関係は誰にでも理解出来よう】

【この場所、悪人は勿論の事自警団だとかの善人も訪れる。不本意ながらの迷い人も居るか】
【何で有れ、少女の白髪はこの闇の中よく目立ち――――もし誰かが訪れれば、ピタリと脚を止めて「何かご用ですか」の言葉と共に視線が向けられるのだけれど】









【路地裏――――少し奥まで入り込んだその場所】
【辺りに転がっているのは数人の男女の姿。然れど、呻きながらも皆息をしており】
【よく見れば出血も無く。更にはその者達全員が機関に所属する事を示す逆五芒星を手の甲に彫っている事が分かるか】


「――――一件落着、でありますか。少し手間取ったでありますが、大きな怪我を負う事も無く終えられて良かったであります
…………連絡も済んだ事でありますから、もう少しで自警団の方々が引き取りに来ると思うのですが……」

【その場に立つのは、軍服に身を包んだ少女だ。腰には軍刀を提げ、片目は眼帯で覆われ】
【藍色の髪を纏めるように被ったのは制帽。一切の乱れを見られない其れは、少女の気質を表している様であり】
【――――自警団の所属を示す腕章。そして、其処に着けられたバッヂ。この少女が紛れも無く正義の徒である事を示すのだが】


「最近はカノッサの動きも目立つようになって来たでありますね……。あまり気を抜く事も出来ないでありますよ……」

【呟き共に漏らされた溜息は現状を憂うが故か】
【路地裏となれば悪事を働く者も多いだろうし――――逆に、其れを阻止しようと見回りをする者も多い】
【だからこそ、この現場をそのどちらが目撃をしたって可笑しくは無い話であって】
921 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/09/15(月) 22:41:02.48 ID:wN/cnYEb0
>>919

―――そうで御座いましたか、それで貴女は戦う道を進まれたので御座いますね……
いろいろ大変で御座いましょう?どうかこれからも無事でいて下さいな……我が子が無事でいる事こそが、母の何よりの願いで御座いますから。

ふふっ……貴女にとって、アンリ様は本当の母≠セったので御座いますね。だって、ほら―――
―――貴女、アンリ様の事を話している時は今とっても素敵な笑顔をしていますもの!

お会いしたことはありませんが、分かります。きっととても優しくて素敵な方だったので御座いますね。
だって、アンリ様は貴女をこんなにも素敵な笑顔にさせたので御座いますから!

……そんな方の面影と私が重なるのなら、それはとても光栄な事で御座います。
私もあの子達の笑顔をいつまでも守り続けたい……そう思うので御座いますよ。


【あまり満面の笑みとは言えない不器用でぎこちない笑顔。でも、それは作り笑いなんかじゃなくて、心から笑えてるって分かるから】
【そうやってまた彼女を笑顔にさせる事が出来たアンリ≠ニいう存在に、心から敬意を評する。姿は見たことが無いのだけれど―――きっと、優しい人なのだろう】
【彼女はアンリ≠フ面影と自分が重なったと言っていたが―――自分もそんな人になれているのなら嬉しい。】
【愛する子供達が見せる笑顔をいつまでも守り続けられるのなら、何よりも嬉しい。心から、そう思う―――】


【夫の為に選んだ服を会計に持って行く。数日後夫が袖を通している姿を想像して、ちょっと楽しい気分になってみたりして小さく笑って】
【運ぶのを手伝ってくれたテレサにありがとうの一言を掛けて、支払い。ちょっとお高いけれど、大切な人が喜ぶ姿を想えば安いものだ】


―――あの人の事なら何でも知っているので御座いますよ♪妻ですもの、体のサイズくらい知っていて当然で御座いましょう?

ふふっ―――これは、貴女へのプレゼントで御座います。道を案内して下さった貴女へ、感謝の気持ちで御座いますよ!
どうか受け取って下さいな。貴女に似合いそうなものを選んだので御座いますから!


お手伝い、で御座いますか。ふふ……それでは、お言葉に甘えましょうか!
では私と手を繋いで下さいな。ゼン=カイマまで転移魔術を使いますので、一緒に行きましょう!


【会計を済ませれば、、優しい微笑みと共にネックレスを手渡そうとする。これは心から親切にしてくれた彼女へのお礼】
【受け取ってくれたなら、マリアはいつもの微笑みを顔に浮かべて喜ぶはずだから。―――断らずに受け取ってくれると嬉しい。】

【手伝うという申し出を嬉しそうに承諾して、彼女の手を握ろうとする。払われることが無かったなら、直後に足元に魔法陣みたいなものが展開されて】
【やがて二人の全身を光が包んだかと思えば―――二人は、ゼン=カイマの広い公園に立っていることだろう。】
【此処はもうマリアの故郷のようなものだから、道に迷う事も無い。一緒について行けば数分で家に辿り着くだろう―――】

【(因みに、どうして転移魔術が使えるのに道に迷っていたのかというと―――転移する場所自体を間違っていたからだ)】
【(どうやら方向音痴な上に地図を読むのも苦手らしい。料理も洗濯も何でもできるおかあさんの、ただ一つの欠点……)】
922 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage]:2014/09/15(月) 22:50:26.18 ID:1CZNgzme0
>>920
まだいらっしゃいますか
923 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/09/15(月) 23:06:52.14 ID:PjBdHLsYo
>>922
/10分ぐらいなら聞かないで絡みにいった方が良いと思います
924 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage saga]:2014/09/15(月) 23:09:30.25 ID:52aKE7mqo
>>915
【得にもならないのに、多少かじっただけのにわか知識を披露する】
【故郷や泥の街の知った相手が見たら、己の目を疑うことだろう、とそんな考えが脳裏をよぎった】
【きっと今後、彼女とこんな風に過ごすことは来なくなるだろうが。それだけに、この最後の機会が深くこの場に沁み渡っていく】

……そこから先は、お前次第だ。己の中の意志もあれば、共に立つ仲間もいるのだろう?
なら、可能性は大いにあるだろう。……私や、他の悪党どもに仲間を奪われないようにする必要はあるかもしれんがね

【数々の出来事を乗り越えて、今なお光の下で生きていこうともがき続ける少女】
【物心ついた時から悪意を滾らせ、自ら進んで首まで汚泥に浸かり切った異形】
【よくもここまで、このような関係を続けてこられたものだ、とすら思える。しかし、やはり後悔はなかった】
【たとえ、それが今宵で終わるものだとしても。いつの日か、戦場で互いの命に手を伸ばし合うのだとしても】


ヒュ、ハハ、振られるとわかってはいたがね……
だが、覚えていてもらえるのなら身に余る光栄だよ……ク、ヒュー……

【当然ながら、そのようなつもりで放った言葉ではなかったが、やはりあまりに揺れることのない瞳で言われると】
【僅かながら、心にさざ波も立つ。自分のいる場所の住人以外の女性にそんな言葉を吐いたのは初めてだったから】
【ころころと変わる表情、彼女の内面がそこに滲んでいると読み取れる。幾度となく、こうして夜の闇の中で言葉を交わした間柄】
【自分に向けられた信頼はしかし、己自身の手で捨てざるを得なかった。異形は骨の髄まで悪であり、少女はそうではないのだから】


【路地裏の奥の残滓を感じさせるその冷え切った顔に、醜悪な笑みで応える】
【異形の表情からも、この時には複雑さが混じりつつも敵対者に向けるそれに近い気配が滲んでいた】
【少女は異形を殺す。異形も少女を殺す。斃れるのがどちらにせよ、きっと避けることはかなわない】

【しかし、この瞬間だけは、この醜い怪物の頭に触れたその手はどこまでも優しかった】
【母親を知らないこの異形には、少しばかり戸惑うものだったが、そんなまともに近い感傷は一瞬で己の内側の怨嗟の声に押し流された】


……ああ。しっかりと覚えておくよ

【指先から流れ込んでくるそれは、今までに感じたことのない澄み渡った感触だった】
【異形の中のドス黒いものを、重ね続けてきた罪を、洗い流すにはさすがに足りなかったが】
【それでも、その瞬間異形の表情は。今までの罪悪そのものと言えた生で一度たりとも浮かべたことのない、安らぎの欠片が浮かんだ】

【拒絶の反応はなく。彼女の手が離れて、問いかけが投げられると。ゆっくりと異形は顔を上げた】


――――ああ、問題ない。むしろ、確かな効果があった

【その顔を覆っていた火傷が少し、少しではあるが鳴りを潜めるように消えていた】
【右顔面から顎辺りにかけて、もともとの肌が覗いている。残っている火傷と併せると、ある意味余計に奇怪にも見えるが】
【それでも、異形をさらなる異形たらしめていたそれが、わずかながら癒されたのは紛れもない事実だった】


……おそらくは、私がこのような体験をするのは、これが最初で最後だろうな
恨み、怒り、憎しみ、互いにそんなものばかり向け合ってきたし、これからもそうするだろうが
実に、貴重な体験だった。礼を言おう、鈴音

いずれ殺し合うことになったとしても。お前と会ったことは、後悔はない……カヒュー……

【不気味な足でゆらゆらと立ち上がる肉塊。単眼に宿る思いに、嘘偽りはない】
【その奥の悪意もまた然り。だが、この刹那だけは、それを抑え込む】
【屋上を吹き抜ける風が、異形と少女の間を断絶するように吹き抜けた――】

/遅くなりまして、申し訳ないです……
925 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/15(月) 23:22:17.36 ID:bfADeICAo
>>921

【とても素敵な笑顔を―――と、指摘された時テレサは驚いたように目を開き】
【機械に覆われてない左手で己の顔に触れ……目を伏せて『悪い気はしない』と、そんな気持ちを表す】
【ただその後、ほんの少し―――やや憂いを込めた表情に変わって】


叶うならば会わせてあげたかったですが、そんなアンリ……シスター・アンリエッタも今はいません
私自ら埋葬し、その後は私がアンリの分まで守りたかった人々の笑顔の為に戦っている、という訳です
最も、貴女がたほど大した事をしているわけではありませんが

―――だから、今を生きる貴女たちにはたくましく、幸せに生きてほしいですね……


【―――"今"はもう、『何も残ってはいない』。生まれた故郷もあの人に育ててもらった家も】
【だからこそ、今もまだたくましく生きる―――自分に似た者たちの事を想わずにはいられない、祈らずにはいられないのだ】
【そのために自分の力がわずかでも役に立てるならば―――そう思い、彼女はそんな人々の為に戦う事を選んだのだろう】

【手渡された小奇麗なネックレスにきょとんとしながら……ぐ、とその小さなプレゼントを胸に抱きしめ】


ええ、勿体ない話ですが……ありがたく受け取る事とします
こうした心のこもった贈り物を受け取ると、良いと思った行いはやって見る物だと、改めて感じます
……おや?便利な技をお持ちですね……移動系の魔術はあまり得意ではない物で、少しうらやましい限りです


【差し出された手を取り、足元の魔法陣の作用にそって彼女もゼン=カイマの土地へとその身を移し】
【迷うことなく歩みを進めるマリアに付き添って荷物を運び続けたならば、彼女たちの家に到着する事だろう】


――――――――――――ああ、ここが……貴女たちの


【その家の風景を見て、テレサが一度足を止めるのは、記憶の中の過去の家と重ねあわせているのだろうか】
926 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/15(月) 23:40:19.01 ID:ClohsOOe0
>>924

うん、……独りじゃないもの、――こんなにそうだって思えたのは初めてなの、わたし、ずっと、……。
あのひとと居たときだって。今このひとが居なくなっちゃったら、独りなんだってずっと思ってた。ずっとだよ、だのに……。

……ほんとうに居なくなっちゃったら、平気なんだもん。……意外と元気なの、変だね、――変なの……。

【自分で決めたことだから揺らがない。きっと助けてもくれるだろう、自分のことを知る、いろんなひとたちは】
【それに気付いたのも、ほんの最近のことだった。それまでは――たったひとりだけが正義だった。絶対的だったのに】
【――不思議だなあとぼんやり呟く声は、まだ、理解しきっていないのだろう。不思議がって、でも、拒絶はしない】

【「だれもあげないよ」って返して、目を細めた。まだまだ冗談めかして、――でも、少しだけ、声音を剣呑に染めて】

…………だってみんな子供にするみたいにするの、別に、嫌じゃないけど――、嫌じゃないから、駄目なのかなぁ。

【だなんて、言い訳みたいにするのだった。いい女だなんて、大人扱い。それが嬉しかったのだろう、初めてのことで――】
【ちょっとだけ不満げに呟いていたが、実質の表情はきっと笑みに似ていた。信頼は破られる運命だったとしても、いまだけは】
【跪く影と、跪かれる影と。そっとその心の暗闇を洗ってやろうとする瞬間は、きっと、綺麗なもののはずで】

【そうして、時間はたっぷり時計の針が動くまで。――或いは短い時間だったかもしれない、その感覚】
【山の中に湧く泉で身体を清めたように、ひんやりとして、さっぱりして、気持ちをリフレッシュさせるための術式】
【「まあ気分転換になるから」と教えてもらったものだが、――どうやら、その表情を見れば、効果はあったらしいと知れて】

――――よかった。

【――その言葉は、同時に、自分の水は誰も傷つけないことも出来るのだという証言にもなる。そして、それは、自信にも繋がり】
【優しげにふにゃっと笑った表情、掌には、桜色と紫色の交じり合った魔力の残滓が、きらきらとラメを塗したようにきらめいて】

そんなことないよって、それも、わたしには、言えないかな、……。……でも、“よかった”なら、嬉しい、な。
……わたし、まだまだ、魔術の練習って始めたばっかりなの。だから、難しいこと出来ないし、ぜんぜん、上手じゃないけど……。
誰かに喜んでもらえるなら。……勉強してよかった、もっと勉強しなくちゃ――、――それとも、わたしは弱いほうが嬉しい?

…………わたしも後悔してないよ、カノッサのひとって、なんだか苦手だし、出来たら会いたくないけど……。
カニバディールとお話するのはね、ちょっとだけ……たのしかったよ、――うん、おもしろかった。

でも、お星様に詳しいのは意外だったな、……びっくりしちゃった、ふふ。

【きっと、覚えてないだけだと思った。でも、それは、きっと、“ふつうの”恵まれた家庭に生まれた側の、思い込みで】
【当たり前だと思ってる愛すら受けられないひとはたくさん居る、それは分かっている、――ただ、そう思ってしまう】
【――初めての感情を覚えるきっかけになれたならと嬉しそうにする。手をにぎにぎとすると、魔力の残滓もやがて消え】
【手袋を嵌めなおしながら――今度は戦うかもしれないもんね、だなんて、今度は悪戯っぽい顔をするのだ】

【出会ったことにも後悔はない。一度目の頃にはこんな風になるとは思わなかったけど、予想になかったいまだけど】
【カノッサじゃない彼と出会っていたら、これから先の未来は違っていたのだろうか。――でも、それは、Ifの世界】
【最後はからかうように言ってくる。そして――びゅうと吹き抜けた風に、ほんの僅かによろけ、足はたたらを踏み】

……わたし、そろそろ帰らなくちゃ。言ってなかったけどね、わたし、家に一人連れて行った子が居るの。
お家も何にもないって言うからね、家(うち)に来てもらったんだ、まだ、ちょっと、慣れないことばっかりだけど……、

一人のほうがいいって言うかもしれないけどね、……男の子ってよく分かんない、どうするのがいいのかな――。
撫でたら逃げちゃうんだよ、でも、抱っこは多分、駄目だよね……。

【悪戯風のせいで二人の距離ははじめの頃みたい、いくらも離れて、今度は手すら届かなくなる】
【両腕を後ろで組むと武器すら隠し持っているみたいな錯覚、でもそこに殺意が見えないなら、すぐに錯覚だと理解でき】
【秘密ごとを発表するみたいなくすくす笑い、そろそろ帰るね――だなんて宣言が、或いはかすんでしまいそうな……】
927 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage saga]:2014/09/15(月) 23:55:33.44 ID:wN/cnYEb0
>>925

ああ、辛い事を思い出させてしまいましたね……ごめんなさい。
―――安心して下さい。私達は幸せに生きておりますよ―――

だから、どうか……戦いに於いて命を落とさないようにして下さいな。
それがきっと、亡くなった貴女のお母様≠フ最大の望みで御座いますから―――

【今はもう居ないという彼女の母=B……愁いを帯びたような表情が、少し寂しそうな気がして】
【でも―――亡くなった大切な人の分も明日を生きて戦うのだと語る彼女の想いは、きっと天にも届いている筈だから】
【戦う道を選んだ彼女の事を、雲の上から見守っている筈だから。―――どうか、無事でいて欲しい。マリアはそう願う―――】

【十字架のネックレスのプレゼントはそんな願いも込めて。受け取って貰えたなら、母親のように優しく嬉しそうに微笑んで】
【やがて転移魔術でゼン=カイマに移れば―――目の前に広がるのは壊滅的損壊から復興しつつある町並み。まだまだ復旧というには程遠いけれど】
【町の人々は元気に生きている。マリア達が闘い護り抜いた笑顔の数々が、其処にはちゃんとある―――】

【―――やがて二人はマリアの家に到着する。】
【二階建ての少し大きめの建物だが、手入れは行き届いていて外観は美しい。子供が遊べるぐらいの広さの庭もついていて】
【恐らくマリアが手入れしているのだろう、庭に植わっている可憐な花や刈り揃えられた芝が可愛らしい雰囲気】
【無駄な装飾は無い素っ気ない造りはかつてのゼン=カイマの壮麗な建物とは比べ物にならないけれど、この家だって十分綺麗】

【二人を出迎えたのは鮮やかな赤髪をポニーテールにした10歳ほどの女児。小さな体に白いワンピースが良く似合っている】
【帰って来たマリアを見るなり「おかあさん、おかえり!」と抱き付いたのを見れば、この女児がマリアの子供≠ナあることも察せるか】
【それからマリンブルーの純粋に澄んだ瞳をまっすぐ少女に向けて、「こんにちは!」と元気よく挨拶。まだ小さいのにしっかり者な一面も覗かせる】

【テレサには察せているかもしれないが、この子もまた生まれて間もなく両親を亡くした孤児だった。―――でも、今はこうして純粋で明るい笑顔を取り戻せている】
【それはきっと、大切な母親≠ェいるから。そう、テレサにとってのアンリと同じように―――】


【さて、この後テレサはどうするのか。家でマリアと共に他愛のない話でもして寛いでいくもよし、復興のさなかにあるゼン=カイマの様子を見に行くもよし】
【家にいる子供と遊ぶこともできるだろう。どうするかはテレサに委ねられる―――】
//すみません!雑談の方にも書きましたが、明日明後日と朝早く出なければならないので置きスレに移行して頂いても宜しいでしょうか……?
928 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/16(火) 00:08:08.17 ID:Yo4suC+Yo
>>927
/了解しました、続きは置きレスで行わせていただきます
929 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/09/16(火) 00:37:30.23 ID:3ylZhO3Vo
>>926
そうか……カヒュー……。本当に、変わったのだな
以前会った時は、離さないほうがいいなどと言ったが、確かにあの時のお前にはそういった危うさも見て取れた
今は、違うな……まったく、世の中何がどう転ぶかわからないものだよ
そこだけは、私のような悪党でもそう思う。まったく、この世は複雑怪奇だ……カヒュー……

【幸せではあったのだろうが、同時に凝り固まってもいた彼女。しかし、今はどうだろう】
【共にいる仲間を得て。関係のない誰かを救いたいと考えている。かつての彼女とは見違える変化だ】
【何が起きるかわからないこの世界で、彼女に起きた変化はきっと、好ましいものであったのだろう】

【少しばかり物騒に響いた彼女の声音には。無言でにたり、と呼吸器の奥で笑みを形作って見せる】
【そこは、やはり互いに闇を知るもの同士――】


……何、そうする者たちは、お前のそういった面を知らないというだけの話だろうさ
確かに、それを嫌がらないことにも多少原因はあるかもしれないが、そこはこれからの行動次第だ
お前が、自分の意志を貫いてお前の道を行くなら、そのうちお前を子ども扱いにする人間も減るだろう

人生は行動だよ。良くも悪くもな……カヒュー……

【自らの手で血を塗りたくった己の人生、己の行動を思い返すように】
【悪党の分際で、説教臭い言葉を紡ぎ出した。だが、そこに浮かぶ笑顔に相対する異形は至って真面目な様子だった】
【この瞬間のみ。異形の邪悪な心根は、少しだけその色合いを薄めていた】

【一瞬とも永遠ともつかぬ時間の後、醜い火傷とドス黒い精神は、少しばかりの癒しに包まれた】
【悪漢の言葉が少女の自信へ、そしてその先少女に救われるかもしれない誰かへ】
【この異形の盗賊が、間接的にでも誰かのためになるなどと、奇跡とすらいえるかもしれない】

ヒューハ……そうだな。あの暗闇を知っている者なら、軽々に言えないのは当然だろう
だが、お前の拙いという魔術は、確かに根っからの悪党たる私すら癒して見せた。そこは、自信を持つといい

――そうだな。機関員としては、お前が強くなりすぎるのは歓迎できない
しかし、私個人としては、その限りではないよ……カヒュー……


そうか……それならば、何よりだ。私にとっても、お前との会話は悪い時間ではなかったよ……
ヒューハ……似合わないのは自覚しているが、どんな知識もやはり持っておくものだな
こうして、どこで役に立つかわからないのだから……

【残念なことに、この世界は全てが幸福に包まれているわけではない】
【それでも、誰かが幸せになってはいけないということにはならないのだろう】
【彼女がそう思うことも、嬉しそうにすることも否定されるべきものではない。やはりまだ幼さを残すその表情に】
【返される苦笑まじりの笑みは、やはり醜悪ではあったが、異形がめったに見せることのない穏やかさを僅かながら含んでもいた】


【人々が紡ぐ物語は、誰にもその先が見通せない。互いにあの邂逅の夜からは思いもつかなかったこの距離】
【それも、やがて風に吹かれて消える。少女の中に交錯した、今ここにはない世界のビジョンと共に】

ほう……すでに行動に移していたのか
ならば、早く帰ってやらねばなるまいな……お前の第一歩なのだから

さて、私も子供の世話などしたことがないからな……だがそうだな。撫でたり抱き上げたりは、慣れていないのだろう
ならば、まずは飯でも作ってやるといい。もうやっているかもしれないが
泥の街でそういった境遇の人間を見てきた経験からすれば、善人も悪人もまずは腹を満たしてからだ

そこから、少しずつ会話の一つもつなげていけば、少しは先が見えるかもしれないぞ……
まあ、悪党の戯言と思って、話半分に聞いておいてくれ

【彼女の後ろ手に組まれる腕を、もう届かなくなった距離から見ていた。しかし、用心深いこの異形には珍しく、警戒の念すら示さない】
【くすりと笑う彼女の笑顔が、単眼の前で揺れ動く。もしかしたら、最後となるかもしれないこの時間は、静かに終わりを告げようとしていた】
930 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/16(火) 01:12:13.98 ID:kQPF0u6Q0
>>929

【時折、あのひとのものだった枕に顔を埋めているのとかは黙っておいて良かっただろう、それがあると、なんだか――】
【綺麗に纏まりつつある状況がばらばらになってしまいそうで。それを、ほんの思考のどこかで考えて、内緒にしとこうと思考する】

わたしね、あのひとと同じ景色が見たいの。いつでも後ろから、背中越しに見る景色じゃなくて……。
守ってもらうんじゃなくて、守ってもあげたい、すぐ隣に立って、いろんな景色を一緒に見たい。

……強くなったら連れてってもらう約束をしてる場所があるの、まずはそこに行きたいな、そこに行って――。

【――続く言葉は少しだけの夢物語だ。曰く、一緒に歩くのだとか、一緒に果物を摘むのだとか、そんなことを言って】
【さっきまで瞳をきらきらさせて語っていたのとは少しだけ雰囲気が違う、目元を嬉しそうに蕩かして――語る、ゆめ】
【でもそれは誰かを助けたりしようと思った理由でもある。彼女は強くなりたいのだ、こころも、からだも、たましいすらも】
【誰かを助ける強さが欲しい。誰かの気持ちをわかってあげる強さが欲しい。――そして、あのひとの隣に立ちたい、そんな――】

だって、おまけとかくれたりするし……、子供みたいにされてるなって思ってもね、嬉しいんだよ? やっぱり……。

【「こうどうかあ」……そう溜息がちに呟く、子供扱いを喜んでいるうちは駄目か、なんて、そんな意味の独り言をして】
【だったらまだ自分は子供かも、なんて思う。――お酒を飲めるからって大人じゃない、そんなの、分かってたはずだけど】

……それは、きっと、せんせいがいいんだよ。だって、教えてくれたのセシルだもん。とうぜんだよね? ――、
いまのせんせいもすごいんだよ、すっごく魔術が上手なの、何年か前に、路地裏で会った子なんだけど……、……。

…………どんどん強くなるから覚悟しておいてね、だって、わたし、もっともっと強くなるんだから。
――ふふ? そんなこと言っちゃったら、誰が聞いてるか分からないよ? わたしが、チクったりするかもしれないし――。

【少しだけ照れくさそうにした、自分の手柄を褒められるのはまだちょっぴり苦手、唇を咬むようにして、笑って――】
【なぜだか彼女が自慢げに胸を張る。平らな胸元でリボン飾りがふわっと揺れて、――ころりと変わる対象は、そちらも褒めて】
【路地裏で、というのが少しだけ気がかりだったが。まあ大丈夫だろう、実際、彼女も警戒していないようだったから】

【――そうして言葉は少し前の二人の会話をなんとなく想起させる、他の誰かに教えちゃうよなんて、冗談だ】

……――そうやってしてたほうが、いいよ、わたしはね、そのほうが好き。

【ころりと転げるようにこぼれた声。無意識みたいな声調だった、まるで、意識せずに飾らない声の様子】
【穏やかに笑っているのを見て――彼が悪党だって分かっている上で、そんなことを言う。笑ってた方がいい、なんて、】
【――「あ」「変な意味じゃないの」なんて少しだけ慌てた声で続くのもどこか微笑ましい様子、余談だが】

/すいません続きます……
931 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/16(火) 01:12:30.05 ID:kQPF0u6Q0
>>929>>930

ご飯もね、食べてくれないことがあるの、……まだ駄目なんだろうね、でも、しょうがないよ――。
ゆっくりしようって思うの、わたしが慌てたって、決めるのは、あの子だもん。……窮屈にしても、駄目でしょ?

……でもありがとうね、そうだよね、ご飯、大事だもん。――うん、だいじ、……明日はちょっと豪華にしてみようかな。

【――野良猫があげた餌をどこかに持って行くみたいなものだと思った、そうじゃないと、きっと、安心できないのだと】
【食べてくれなかった時はおにぎりを置いてみたりの努力はしてみて。それで食べてくれたら嬉しいし、そうでなくても、くじけない】
【食事も、会話も、彼女の気をつけていることだった。でも、彼の言葉は無駄じゃない。その考えを、補強してくれて】
【自分以外にもそう思っているひとが居る。それは、少しだけ気弱な彼女にとって――確かな助けになること、違いない】

…………じゃあ、わたし、帰るね。

次に会うときは、こんな、お話とか出来ないかもしれないけど……――、
……約束はちゃんと守るよ。だから、安心してね、――そのときは、わたしが、終わらせてあげる、

ううん、――また普通にお話するのでもいいんだよ。その方が嬉しいな、……じゃあ、“またね”

【そして彼女は足先を階段のほうに向ける。そうして、数歩歩いて、彼の立ち位置を追い越して――ふと、足を止め】
【振り返って、そんな言葉を掛けるのだ。“やくそく”、そのときは、この手で、異能で、終わらせてあげるという、】
【――でも、本心は続く言葉のほうに表れていた。冷たくなりきれないところがある、それを、或いは子供っぽいと呼ぶのかも】
【わざとみたいに「またね」なんて言葉を置き去りにして、その背中は階段のほうへ消えて行った。かんかん、しばらくは足音がしたけれど】

【やがてそれもなくなって、――屋上には、闇と、静寂と、それと、それらに包まれる彼だけが、置き去りにされた】

/おつかれさまでした! ありがとうございました!
932 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/09/16(火) 01:54:33.99 ID:3ylZhO3Vo
>>930>>931
【彼女が胸にしまい込んだ想いは、知る由もなく。ただ時が流れるに任せていく】

並んで、共に歩きたい、か……私のいた世界には縁の薄い想いだな。それに、敵対する可能性も大いにあることだ
故に、私には大した言葉もかけてはやれないが……

その夢も、お前がその道を進み続ければ、ただの夢ではなくなることもあるだろう
途中に転がる障害物の候補が言うには、あまりだがな……ふ、ふ

【その蕩けた瞳の奥の感情は、それが見つめる夢は、やはり己には生涯届かず、また手を伸ばそうとは思わないもの】
【いつか、彼女の夢が叶い。約束が果たされ。鈴の音の少女が強く、強くなったその時には】
【己は、地獄でもがいているかもしれない。だが、それでいい。己とて、承知の上で進んでいる道なのだから】


ヒューハ……得をすることなら、私も嬉しく思うだろうな……

それはそうだ、彼ほどの男が手ずから仕込んだというのなら、その腕前も当然かもしれんな……
ほう、今は別の師がいるのか……案外と人脈にも恵まれ始めているのだな……
我らの住処たる路地裏も、捨てた物ではない人材がいるんじゃあないか……カヒュー……

ヒュハハ、それは恐ろしい……こちらもそれまでに、準備をしておかなければな……
ふ、ふ。お前には、もう幾度も他でバラされてはまずいことを話しているからな……一つ増えたところで、変わりはない

【相手を持ち上げることは、一つの処世術として心得ていたことではあったが、利益度外視で使うことは珍しい】
【やはり、それだけ貴重な縁。この盗賊にとっても。自慢げな様子に、やはり子供っぽさを感じたがそれは口には出さない】
【路地裏での出会いには、冗談めかして返しつつも。その情報は、しっかりと脳裏に縫い留めていた】

【少しばかりブラックなジョークが、会話に彩りを添えて】
【続いて放たれた言葉に、少しばかり単眼が驚いたように開かれた】

――――ヒュ、ハハ、ヒューハ……そんなことは、初めて言われたな……

【何とも、奇妙なことだ。幾人の命を残虐に身勝手に踏みにじってきたかわからぬ悪党が】
【続く彼女の慌てた様子にも、悪い気など見せることはない。ただ、同じように笑うだけ】
【まったく、悪党らしからぬ振る舞いだ。自分自身に向けた苦笑は、胸中に押し込んでおいた】


最初の内は、警戒もなかなか解けないのかもしれんな……
ああ、そういったことに時間は必要だ。お前は、よくわかっている

役に立ったなら、何よりだ……

【少しずつ、一歩ずつ。彼女は歩み出していく。決して、楽な道のりではないのだろうけれど】
【それを踏みにじるかもしれない男が、彼女の背中を後押しするとは、皮肉というべきなのか】
【それでも、今この場でだけは――】


……ああ。さようなら、鈴音

ヒューハ、ヒュハッ、ヒューハ……ああ、それはそれで楽しみではある
お前の手で終わるなら、悪くはない……だが私はしぶといぞ


――――そうだな

【最後の彼女の言葉には、ただ一言そう返した】
【歩んでいく彼女を体勢を変えながら見送り、その冷酷さの断片と、滲む本心を同時に見つめながら】
【以前と同じく、わざわざ再会を期する言葉で去る彼女を、隻腕を軽く上げて見送った】

/続きます
933 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2014/09/16(火) 01:55:15.38 ID:3ylZhO3Vo
>>930>>931
[ボ、ボ、ボス……。て、て、撤収完了……。む、む、迎えに来た……]

ご苦労、ブレインデッド

【少女が去り、異形が取り残された後。ビルの向こうの何もない空間から、ふわりと浮きあがってきたもの】
【それは人間の生首だった。ごつごつとしたいかつい顔つき、頭頂部に向かって捻じ曲がるように生えた何本もの鋼鉄の角】
【太い鼻筋に縦に並んで刺さった三本のボルト。鉛色に濁った、無機質な瞳】

【異形の手下なのだろう。その傍らに蛇のようにうねるフック付きのワイヤーが、何もない空中で固定されたように止まった】
【生首の能力。それに右手だけで捕まる単眼。最後のに鈴音の去って行った扉を一瞥し。やがて、その影は屋上の向こうの空間へと飛び出す】

【ワイヤーを伝って、廃ビルを滑り降りるように下へ。汚れた地面に着地すれば、ワイヤーと共に生首がゆっくりと降りてきた】


……さて。いい加減、彼奴等に挨拶をしに行かねばらなんな
少しばかり派手にやろう。見せしめが必要だ……カヒュー……

[り、り、了解した……]

【あの一瞬の穏やかさを、屋上に上に放り出してきたかのように、異形の面構えは、あまりにも邪悪なものになっていた】
【二人の異形が去れば、そこは元通りの静寂に包まれた廃墟。残るは、吹き抜ける風ばかり――】

/長くお付き合いいただき、ありがとうございました!!
934 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)2014/09/16(火) 21:52:31.11 ID:2R7MVSKZ0
【夜の路地裏といえば喧嘩やら麻薬取引やら、そういった良くない事が集まる場所】
【しかし今宵の路地裏には、そんな良くないこととは縁のなさそうな少女が】
【きらりなびいて輝く銀髪、蒼い瞳、白い肌が特徴的で、肉の無い体さえなければ美少女と呼んで差し支えないかもしれない】
【服装はチェックのミニスカートと、胸に緋色の盾『SCARLET』のワッペンの付いた凛々しいダブルブレザー】
【せわしなく視線を動かす少女。迷い込んだわけではなく、パトロールをしているようで】

【少女の眼が路地裏の奥を向き、鋭くなる。何かを見つけたのか少女が足を踏み出したその時】
【 ずてっ 】
【とマヌケで大きな音を立てて、少女はすっころんだ】
【そのせいで、路地裏の奥に居た何かは少女の存在に気付いてしまうだろうか】
935 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県)[sage]:2014/09/16(火) 22:26:24.32 ID:Y9mkM2Aro
>>934

ああもう……ッ。

【彼女が転ぶと同時に、後ろから小さく漏れた声。もし彼女が振り向けば、彼女の位置からゴミ箱の後ろに貼り付いて隠れている男が見える筈だ】
【青のソフト帽を深く被った、白シャツ×灰色のジレ×ジーンズのシンプルな格好をした茶髪の男。その胸元にはSCARLETの紋章】
【即ち彼女と同じ組織所属で――――更に正確に言えば先輩。この男、彼女の胸にSCARLETの紋章があることに気付き、その様子を見ていたようで】

……よくわかんねーけど、追ってたんだろ? 相手が気付いたなら割り切ってダッシュで追え、気付いてないなら無音で隠れろ……!

【聞き耳を立てていないと分からない位の小さな声で男はゴミ箱の影から彼女に呼びかける】
【自身の胸元にある紋章を指差して、同じ所属だぞ――――と強調しながら】
936 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)2014/09/16(火) 22:42:40.14 ID:2R7MVSKZ0
>>935
【振り返り、視界に入るは茶髪の男。胸元には闇の中でも目立つ緋色の盾が】
【敵どころか味方、しかも先輩。あわてて男の下へ駆け寄って隠れて】

あう・・・・・・ごめんなさい

【小さく謝る少女の声は震えて、自分のせいで逃げられるんじゃないかと目は不安気に】
【路地裏の奥に居た者達も物音に気付いたようで、ざわざわと蠢き始める】

気付かれた・・・・・・みたい。
えっと、あの先輩。畳み掛けます、か?

【慣れてないのか、ぎこちない敬語】
937 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)2014/09/16(火) 22:43:04.24 ID:2R7MVSKZ0
>>935
【振り返り、視界に入るは茶髪の男。胸元には闇の中でも目立つ緋色の盾が】
【敵どころか味方、しかも先輩。あわてて男の下へ駆け寄って隠れて】

あう・・・・・・ごめんなさい

【小さく謝る少女の声は震えて、自分のせいで逃げられるんじゃないかと目は不安気に】
【路地裏の奥に居た者達も物音に気付いたようで、ざわざわと蠢き始める】

気付かれた・・・・・・みたい。
えっと、あの先輩。畳み掛けます、か?

【慣れてないのか、ぎこちない敬語】

//遅れて申し訳ない・・・・・・
938 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県)[sage]:2014/09/16(火) 22:52:27.06 ID:Y9mkM2Aro
>>937

あー……何か見てて和んだし許す!
でも俺に判断を任せんのはダメだぜ……お前が追ってたんだろ、お前が決めてみ?

【男は彼女の不安な瞳を見れば「あー」と小さく唸り、一瞬どういう言葉を投げかけようか悩んで】
【そして絞り出した回答は、兎に角安心させるような事を言う――――という行為。笑顔を作って、親指を立てて「許す」と言ってみた】
【しかし判断を任せるという行為は弱気の証拠。それはいけないと言わんばかりに判断を委ね、尋ねる】

……そんで後輩、どうするよ。 行く? 様子見? どっちがいいか相談はなしだぜ?

【ゴミ箱の影からひょっこり顔を出して、相手の様子を観察しながら彼女に選択を委ねた】

939 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)2014/09/16(火) 23:01:11.03 ID:2R7MVSKZ0
>>938
わたしが・・・・・・

【失敗して焦る気持ちは早く早くと足を急かす。しかし今はまだ相手が何かしたと決まってるわけではない】
【考えれば考えるほどこんがらがって・・・・・・あぁ、どうしようと思ったその時】
【先輩の立てられた親指に笑顔、みると不思議と気分が軽く】
【冷静になった頭で奥の陰を見ると、今までには見えないものが見えてくる。】
【奥の人影は二つ、その二つが小さくだが、なにやら手渡すような動きをして】

・・・・・・行きます!

【それを確認した瞬間、奥へと蹴りだす】
【そのスピードはまるで弾丸のごとし。丸腰ではあるが】
940 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県)[sage]:2014/09/16(火) 23:07:11.34 ID:Y9mkM2Aro
>>939

……おうッ! 俺は先輩らしくサポートしてやんよ、できるだけな……!

【彼女の力強い返事を聞けば、ニヤリと白い歯を出して】
【同時に此方も戦闘の準備と言わんばかりに、両手に赤青の銃を具現化する。これが彼の能力でもあった】
【彼の紺碧の双眸にも、奥の人影が行った行為がハッキリと映し出されて。その瞬間に1歩踏み出したのだが――――】

――――……は、はぇぇ……!!

【自分が1歩踏み出す頃には、もう彼女は奥の人影と同じくらいの大きさになっていた】
【男の足が遅いのもあるが、彼女が早過ぎるのだ。兎に角男も遅れてその現場に駆けつけ、そして両の銃口を相手に向けんとするだろう】
941 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/09/16(火) 23:15:32.60 ID:2R7MVSKZ0
>>940
【男二人は少女の足音に気づくものの、あまりの速さに反応ができず】
【まず一人が少女に取り押さえられ、もう一人も銃口を突きつけられ、やむなくホールドアップする】
【そして取り押さえられた男の手からは、白い粉の入った袋が。これは言うまでもなく・・・・・・】

や、やった!やったよ先輩!!

【男を取り押さえたままぴょこぴょこ跳ねてはしゃぐ少女】
【しかし取り押さえられ、つかまるのが確定しているはずなのに、男達の様子はおかしかった】
【男達の口元がにやりと、緩んでいたのだ】

【少女がはしゃぐ中今まで死角となっていた場所から銃が現れ、銃口が少女を狙い――】
942 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県)[sage]:2014/09/16(火) 23:27:53.75 ID:Y9mkM2Aro
>>941

おうッやったな! ……にしてもなんだよ、速すぎんだろお前よぉ……。
でもよ、やっぱりまだまだ若いっての? ぴょんぴょんするのも早いんだよ――――なッ!!

【鳴り響く轟音。それは取り押さえられた男の銃からではなくSCARLETの男の右銃からで――――】
【その轟音から放たれた弾丸は、トリガーを今引かんとしている相手の銃に向かって空を割いて飛ぶ】

【ガンマンに一番大事なモノは射撃テクではない。全てを見通し場をコントロールする目だ。そうこの男は語る】
【故にこの場でも相手の表情を察知し、不穏を予測して――――その原因を見抜き、そして対応せんとした】
【弾丸が命中すれば、銃は弾け飛び――――本当に喜ぶ時が訪れるだろうか】
943 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/09/16(火) 23:38:42.39 ID:2R7MVSKZ0
>>942
【えへへと自慢げに鼻を高くしていたが、突如響いた銃声に背を丸めて】
【何が起きたか分からず辺りを見回し、状況を理解できたのははじけとんだ銃が地に落ちてからだった】
【最後の切り札を失った二人からは笑顔も消え、隠れていた男も銃を飛ばされた衝撃に腕を押さえうずくまる】

先輩・・・・・・すごいの・・・・・・

【今度こそ素直に喜べるか・・・・・・と思いきや】
【少女は自分の情けなさに自己嫌悪して、沈んでいるようで】

ごめんなさい・・・・・・やっぱりだめだめなのわたし・・・・・・

【結果オーライなのだから喜んでもよさそうなのだが、やけに自分の失敗を恐れているようで】
944 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県)[sage]:2014/09/16(火) 23:48:26.72 ID:Y9mkM2Aro
>>943

だーかーらッ、まだ早過ぎるっての。 ――――ほい、手錠2つ。
まず今取り押さえてるのに1つ。もう1つはコイツ!

すごいとかダメダメだとか言うのは全部終わってからだっての……。

【先程のように慰めることはしない。寧ろ諌めるような言葉を飛ばし――――懐に入れていた手錠を彼女に投げた】
【腕を押さえて蹲る男をSCARLETの男が指差す。つまり手錠をかけなければ終わりじゃない。そう言っているのだ】

……よし、じゃー反省会すっか。 俺の何が凄かった? お前は自分のどこがダメダメだと思った。

【もし彼女がそこまでやり遂げたのならば、ようやく笑顔を見せてこう言うだろうか――――】

945 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/09/17(水) 00:00:01.05 ID:2R7MVSKZ0
>>944
【手錠を受け取りあっと慌てて、抑えていた男に手錠をはめ、うずくまる男にも手錠を】
【全てをやり遂げれば、自分を戒める意味で頬をぱんっとたたいて】

なんというか・・・・・・先輩は見えてる、みたいだった。

【自分はまったく隠れていた男に気づけなかったのに、男は最初から見えていたかのように銃を的確に打ち抜いていた】

私は、逆。何も見えてないし・・・・・・考えられてなかったし・・・・・・

【そして自分は言ったとおり真逆。見えている二人にしか考えが及ばなかった】
946 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県)[sage]:2014/09/17(水) 00:12:15.68 ID:QZjf3DW+o
>>945

【手錠をかけられ地に伏せる男の上にどさりと乱暴に腰掛け、男の問いに対する答えを黙って聞く】
【うんうん、と頷くような素振りを途中途中に混ぜながら、後輩による後輩なりの分析を受け入れた後――――男も言葉を紡いで】

……そう、そうだよな。俺は見えてたし、お前は見えてなかった。
実力は完全に圧倒してたよ、つーかあんだけ疾く動けるんだから負ける筈がない。――――……油断してなければ。

【最後の言葉を強調する。それはつまり「油断していたのなら負けていた」と。油断していない自分が居たからこそこの状況があると】
【そう遠回しに言っているということは、きっと幼い彼女でも分かるだろう。わかってるよなと言わんばかりに、彼は彼女の瞳を見つめる】

はしゃぐのも、凹むのも終わってから。 まずは全方位に注意を払うって意識! ……な?

【分かりやすく、短く、ハッキリと。何を反省しこれからどうすべきかを男は彼女に語った】
947 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/09/17(水) 00:25:51.47 ID:GLmmZUJt0
>>946
うっ・・・・・・

【付き刺さる言葉。視線。正直、男二人に負ける気はしていなかった】
【が、男の言うとおりあのままじゃあ自分は負けていた。油断していた、それだけの理由で】

わかったの! 回り全部見て、全部考えて、全部倒す!それで全部、死なせない!

【少々極端な物言いだが、少女の目は本気で】
【正義の味方には、守るものには失敗は許されない。失敗すれば、それだけ人々が傷つくということだから】
【そのことを少女は嫌というほど経験している】
【話が少し飛躍しているが、そんな決意が本気の目にこもっていた】
948 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県)[sage]:2014/09/17(水) 00:36:49.44 ID:QZjf3DW+o
>>947

ハハハ、んー……まぁそうなんだけどさ。いきなり全部やるのは難しいからちょっとずつやってこうな?
あ、今更だけど名前言ってなかったな……俺はロウ。マーシャル・T・ロウ……SCARLETのガンマンさ。

【前のめり気味の彼女に苦笑いを浮かべながらも、彼女の瞳の奥に見える眩い炎を確かに見ていた。これもある意味洞察力の賜物】
【純粋な炎だと思った。真っ直ぐな瞳は純粋な炎が奥に灯されているからこそ成り立つのだ、と改めて思う。そして微かに微笑んで】
【そして持っている銃を見せ付けるようにしながら、ロウという男が自己紹介をして再度優しい笑みを零した】

つーかアレだな、なんでお前みたいな子供がSCARLETに入ってるんだ?
いや否定してるわけじゃなくて、単純に不思議に思ったっつーか。

【幼い彼女に見える本気の決意。決意があるからこそこの組織に居るとも考えられる。浮かんだ疑問を間髪入れずに、ロウは口にした】
949 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/09/17(水) 00:52:38.01 ID:GLmmZUJt0
>>948
ロウ先輩、覚えたの!
あたしはネモ・アーネスト。

【元気よく自己紹介して、ぺこりと頭を下げる】
【優しい笑みには元気な笑みを返して】

・・・・・・

【何故入ったのか、それを聞かれるとすこし表情が暗くなる】
【しかし、いつかは乗り越えなきゃいけない過去だ。決意を決め、少女はあるものを取り出した】
【――カノッサの紋章が入った、千切れた手錠である】

・・・・・・カノッサって悪い奴に、これで捕まえられて、色々されたの
それから逃げて、カミナに出会って、もうわたしみたいな人がいなくなるように、戦うって決めたの!

【最初こそ暗かった声、けれど最後は強い声に】
950 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県)[sage]:2014/09/17(水) 01:07:22.77 ID:QZjf3DW+o
>>949

ネモ、ネモ……ああ、W-phoneにも名前書いてあったような。
GIFTのテロに対抗したんだよな、まぁ残念ながら落ちちゃったらしいが……俺も参加できれば。風の国に居たしなぁ俺……。

【帽子の上から頭を掻いて、見たことがある名前の記憶を辿りそして終着点へと着く】
【W-phoneを開いて確認すれば、確かにアルフレドの報告にその名前があった。ネモ・アーチスト】
【つまり彼女はGIFTと勇敢に戦って生きて戻ってきた。倒すことは出来なくとも、それだけでも十分な実力があると理解できた】
【――――だからこそ余計に彼女が此処にいる理由が気になったのだが。其れを彼女が今から語り始めて……】

……つまり改造――――人間、的な。そういう過去を持って居ながら、そして自身のような人を無くす為……。
強い精神(こころ)があるじゃねーか。自分のような人が出ないように、そう考えて行動できるだけでもお前は強い。

言葉を送るなら――――……強さはあるが、「しなやか」になれ――――かな。真っ直ぐ過ぎて周りが見えてねぇ。
もう少し大人になって冷静に。熱い心と冷静な頭。其れが両立出来れば……敵なしだぜ、ネモちゃんよォ。
――――じゃ、先輩から言えるのはここまで。コイツ等通報してブタ箱ブチ込むまでは任せたぜ、んじゃ!!

【それに対して嫌悪感も何も抱く様子も無く、確りと彼女の瞳を真っ直ぐ捉えて聴き続けた。その後数秒の沈黙の後、ゆっくりと言葉を吐き始めた】
【彼女の強さを賞賛する声と、「強さ」だけじゃダメだというアドバイス。熟練を感じさせるような言葉を並べれば、男はすくっと立ち上がって、そして――――】
【目の前の仕事を放棄して、というか彼女に任せてすたこらさっさと去ってしまった。最後の最後にめんどくさがり屋の面を彼女に見せ付けることになったのだった】

/ありがとうございました! 最後長くなってすみません!
951 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[saga]:2014/09/17(水) 01:38:58.34 ID:GLmmZUJt0
>>950
うん・・・・・・がんばったのに、守れなかったの・・・・・・

【彼女がやけに失敗を恐れていたのはそういうことだろう】
【頭に焼きついた、落ちていく都の記憶】
【もし自分が未熟でなければ、もっと強くあれば、あの時もっとたくさんの人を救えたんじゃないか】
【そんな後悔がぬぐえず、表には出さずともずっと苦しくて】

大人に・・・・・・冷静に・・・・・・

【頭に書き込むように、言われたことを再度唱える】
【先輩というのもあるのだろうが、それにしてもロウの声を聞いているとすごく安心するのだ】
【これまで培ってきた経験、余裕が言葉からにじみ出ていて、敵なしだといってもらえれば、本当にそんな気すらする】
【アドバイスを一つ一つ、うんうんとうなずきながら頭に刻み】

任せて!

【と、快く返事をした】
【めんどくさがりやなだけかもしれないが、少女には自分を信頼して仕事を任せてくれたように思えて嬉しかった】

//久しぶりにテンポいいロールで楽しかったです。おつかれさまでしたー!!
952 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/17(水) 21:02:04.91 ID:CZz5So7qo
【酒場】

【路地裏を抜けた先にあるひっそりとした小さなこのBARは隠れ家的なコジャレたものではなくただ単に】
【安い立地におっ立てた、切れかけのネオンと時代遅れのレコードのかかる時代に取り残された酒場だ】

【地元の客も来るような店でも無く。やって来るのは表を出歩けないような手配犯のような裏の人間】
【そういった人間も受け入れる店として一部の界隈では有名だった。その為に客の中にはそいつらを探す】
【賞金稼ぎのようなものも紛れてやって来ることも多い。だが、暗黙の了解として店内で騒ぎが起きることは少ない】

【流行が一周半は過ぎただろう曲がかかる店内。ドアを押して入ってきたのは背の高い痩せた男】
【黒いレンズのサングラス。ダブルのライダースジャケットにスラックス、革靴と言うシンプルな出で立ちだが】
【腰に巻いた2つのガンベルトと3丁のリボルバー式拳銃が一般人でない事をわかりやすく表していた】

…こっちの方は大分夜も冷えるようになったな。…ああ、昨日まで南の方でさ
スコール降りしきる中、泥道を走るのはコレっきりにしたいね……っと、いつもの

【カウンター席にぼやきながら座る。男はしわくちゃの紙幣をカウンタに置いた】
【置かれたグラスに軽く口をつけて、カウンタの灰皿を手繰り寄せて、煙草に火をつける】

熱帯雨林の中だとカノッサも何も聞かなくてね…何が変わっててもわかんないけどさ
953 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/17(水) 21:27:41.58 ID:/PTBdfiBo
>>952
【扉を勢い良く開いて男が入ってきた。神父服を着て黄金色の十字架を身につけた男だ】
【入るなり彼は扉傍の壁にぴったりと背中をはりつけ、じっとし始めた】
【十数秒後に何人かが急いだように店の前を走る音が聞こえ、それらが通り過ぎると男は壁から離れて外の様子を伺った】
【そして大きく――まるで直前まで銃口を向けられていたかのように――息を吐くと、やっとカウンター席までやってきて座った】

酒をくれ……なんでもいい……

【憔悴しきった声でマスターに向けてそう言うと、彼は両腕をカウンターの上に投げ出して突っ伏した】
954 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/17(水) 22:20:17.66 ID:CZz5So7qo
>>953

【横の席の男は煙草の煙を吐き出して、店主に笑いかけるように言う】

何でもいいって言うんだから、スピリタスでも出してやれよ

【店主は男の軽口を軽く無視してシンプルにウィスキーをロックでカウンタに置いた】

心配するな兄ちゃん。此処は的確に、冷静に対処できるなら1番安全だ
出入口は4つ。ガラスからカウンタまで防弾。何よりも、壁にかけてある刀を見ろよ。
アレ一本売ればこの店が5階建てにリニューアル出来るらしいが…まあいい
ようは、此処の『マスター』は単なる店主ってワケじゃないってことさ

【男は椅子を引いて長い足をカウンタの縁にどんと載せる。ビールをあおってニヤついて】

アンタは何処の人間だ?…オーラィ、聖書を読むだけじゃ追われやしないからさ…

【サングラスをずらして男はジッと相手を見る。その目は白眼は真っ赤に染まっていて血のように赤く】
【瞳は黒黒と、不気味なそれでニヤついたまま、話しかけてきた】

/すみません。少し離席していておそくなりました
955 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/17(水) 22:33:45.55 ID:/PTBdfiBo
>>954
【声をかけられ、神父服の男はゆっくりと顔を上げる】
【そして眉間に皺を寄せて殆ど不良やチンピラのように隣の男を睨みつけた】

この顔見りゃ分かるだろ、おいこら、俺の顔になんて書いてあるか読んでやる……
「さっきまで死にかけてて今は疲労困憊だからどこぞのいきったガンマンとは話したくない」って書いてあるんだよッ!!

【怒鳴りつけるなり出された酒を一気にあおり……何度か咳き込む】
【更に怒りのままにコップをカウンターに勢い良く振り下ろす。ただし、割れない程度に】

くそ、だがそいつを聞かされて安心しないやつぁそういねえな
俺の正体だと? これ見てわかんねえか、その赤い目はなんだ充血でもしてんのかおい

【そう言って男は胸元の十字架を鎖がめいっぱい伸びるぐらい隣の男に近づける】
【それは色合いが風変わりな十字架ではあるが、一方で別の意味もあった――これはGIFTの構成員の目印だ】
956 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/17(水) 22:59:21.96 ID:CZz5So7qo
>>955

【睨まれようと凄まれようと男の態度は変わらない。呑んだくれはアルコールが】
【あるうちは無敵なのである。ニヤニヤしながら煙草を灰を落とすと】

そうカッカするなって。そんなんで酒を飲んだって何の意味も無いじゃんか
……ならその上に「ガンマンと話したくないならテーブル席に座れ」と書き足してやるぜ
マスター、俺にもウィスキーを……スモーキィなモルトの気分だ

【そう言うと店主はグラスと瓶をカウンタに。この男がストレートで飲み、一杯じゃ済まないことを知っていた】

オーラィ…何がいいって此処に出入りしてる奴はマフィアのボスや連続銀行強盗犯なんかばかりってことだ
……さあな。アンタの口から聞きたいんだ、俺はな。直ぐにGIFTの人間だって当てちまったらつまらないだろ?

……この目は見え過ぎちまう目さ。いつもこの調子だ

【意味ありげにニヤついてウイスキーをグラスに注いで一気に飲み干す。チェイサー代わりにビールも手を付けながら】
957 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/17(水) 23:42:33.47 ID:/PTBdfiBo
>>956
【にやつく顔を一睨みして十字架を引っ込めると忌々しげに鼻を鳴らす】

ぐだぐだかっこつけた妙な話し方しやがってそういうのは女にでもやってろ!
俺がGIFTだって分かった上でこの服が明らかに目に入ってるにも関わらずまだ俺の正体を俺の口から聞きたいっていうのか
だとしたらなんだ、何を言わせたいんだ、俺が人間で男だとでも答えりゃいいのか、あぁ?

【怒りと性分が相まって流れるように文句を言う。眉間の皺はまだ直ってない】
958 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/17(水) 23:44:07.65 ID:/PTBdfiBo
//エラーに阻まれて遅くなりました……
959 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/18(木) 00:05:24.83 ID:InjVkk60o
>>957

【ハ、ハ、ハと短く笑って。男は煙草に口をつけてから話す】

ぐだぐだやるのもカッコつけるのも性分でね。…女の前でカッコつけてるようじゃ
それは本物じゃないってもんさ……まあ、いい。こんなことはどうだっていい

大事なのは、アンタはGIFTで何をしていて、何をしたいかだ
俺はそれを聞いて、金を稼ぐ。……だからアンタには興味が有るのさ
生憎、俺にはGIFTの知り合いだけが居なくてね…まあ、酒でも飲めよ

【男は腕を伸ばして男のグラスにそのウィスキーをボトルからつぐ】
【一体、どういう人間かわからないが単なるガンマンではなさそうだ】
960 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/18(木) 00:19:13.80 ID:P8pikNM5o
>>959
【「金を稼ぐ」と聞いて男の眉が上がる】

仕事がほしいとかならバカ相手に営業やるんだな、こっちにゃドブに捨てる金はねえぞ
あと金の話をするときに酒を勧めんじゃねえ、俺をナメてんのかてめえは

【眉間の皺がやっと伸びたと思いきや、また隣の男を睨みつける】
【目は全身のあちこちに――腰に巻いた武器に、靴に、帽子に、サングラスに、服装の全てに、素早く移る】
【まるで値踏みをするかのように】

情報を売る気なら諦めろ、金になるような情報を喋るほど頭空っぽじゃねえよ

【男はもう一つの可能性、直接何か仕事をほしがっているのではなく情報を求めている可能性に言及し、釘を刺した】
961 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/18(木) 00:47:38.17 ID:InjVkk60o
>>960

【煙草を指に挟んだまま男はぎぃと背もたれに体を預ける】

情報ってのは水物だ。人から人へと流れる…つながってるんだ
どんな些細なものも。……この世界は一つだからな、何をするにも
俺にもアンタは関係してるし、アンタも俺に干渉するんだ…オーラィ?

…まあいい、まあいい。こんな一瞬で信頼してもらおうなんて思っちゃいない
俺が何をしたいのかシンプルに話しただけだ。…けど、実際は単純じゃない。この世と同じだ

【そう言って男はカウンタに乗せていた足を下ろす。吸いかけの煙草を灰皿に押し付ける】

じゃあ、今日は挨拶までにしておこう。プロローグ…食前酒みたいなものさ。
まあ、またどこかで会おう。…そのうち必要になるだろうさ。世界は、運命と意志で出来てるからな
……マスター彼に『いつもの』を入れてやってくれ

【そう言って男は背を向けて、ドアを引いて路地へと去っている。酔っぱらいが不可解なことを言って】
【店主は氷の入ったグラスに一杯を注ぐ。血のように濃い赤の薬臭い、食前酒。チンザノ・ロッソを彼に差し出した】


/明日早いものでしてココらへんで失礼いたします。お疲れ様でしたー!
962 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/18(木) 00:57:38.03 ID:P8pikNM5o
>>961
【最後までは黙って聞き、店から居なくなる男の背を見送ると……】

全くイカした野郎だぜ、そういうのは相手見てやれよな……
まぁ駒は多いに越したこたぁねえか……思想信条よりも金を信仰してる奴の方がそういった意味じゃ優秀だ
つっても、あの野郎はそれじゃねえだろうな。自分に酔うタイプの酔っぱらいは微妙に繰り辛くていけねえや

【グラスを手に取り、匂いを嗅ぐ。薬臭さに顔をしかめると飲まずにテーブルに戻した】
【そしてそのまま何もせず、店を後にした】

//おつかれさまでした
963 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/19(金) 20:26:23.04 ID:Bqu5s3vR0
【街中――道沿いのゲームセンターの、外から見える筐体の傍】
【いろんなゲームの音が交じり合う空間、賑やかだけど無秩序な音の連なり、大通りの賑やかさと混ざり合って】
【一階にはUFOキャッチャーばかりが揃えられた店舗。いろんな景品が、泥沼みたいな実体を巧妙に隠して――】

……ふあっ、……――うー、

【――ぽてんっとファンシーな擬音でも似合いそうに跳ねたぬいぐるみ、むうと唸って悔しげな影は、ここじゃあよく見る様子】
【店の一番外側に位置するUFOキャッチャーの筐体と、その中に詰め込まれたふわふわのぬいぐるみの光景。きらきらとライトに照らされ】
【筐体からなんとなーく残念そうな音楽が聞こえてくれば、その筐体の前に佇む少女らしい影は、(ない)尻尾を垂らしそうな勢いで】

【もう一回硬貨を投入して挑戦する、……――実は、そんな光景が、かれこれ十数分は続いているのだったりして】
【彼女自身がこの手のゲームに疎いのか、筐体が嘘みたいに意地悪なのか、それは分からないけれど、とにかく、】
【お目当てのものを手に入れられなくて引っ込みがつかなくなっているらしい。蛇の目眼がつーっと釣って、ご機嫌斜めの色合い】

【真っ黒な髪の少女だ。ひたすらに黒い髪は腰ぐらいまで伸ばされて、三つ編みで飾ったハーフアップに纏められて】
【黒と赤のオッドアイは蛇の目とよく似た丸み、右耳だけに付けたピアスは――この場所には不釣合いに、澄んだ水の気配を零し】
【しっとりとした臙脂色の布地のスカートと、和袖の黒いショートコート。ふわっと膨らんだスカートには、肩掛け鞄を沈めて】
【かかとの分厚くて高いパンプスが身じろぎするたびにかろかろと小さく鳴る、――また、残念そうな機械音が流れてきて】

…………、……――。

【あとは――なんか荒んだ目の少女が取り残されるのだった。鞄から取り出した財布を片手に持ってはいるけれど、】
【中を確認してからの態度を見るに小銭がもうないらしい。恨みがましいように、筐体を睨みつけて――】
【もうしばらく、そうしているはずなのだった。或いは平和といえるような光景、だったけど】
964 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/21(日) 14:37:16.50 ID:fafLfGI2o
【教会】

――寄付ご苦労様です。あなたに安息あれ、アーメン

【礼拝堂から神父が人を見送っていた。その神父は白髪の若い青年か、あるいは少年ともとれる風貌で、胸元に黄金色の十字架をつけていた】
【彼は人が居なくなったことを確認すると、肩を落としてため息をついた】

あーめんどくせえ。二時間も付き合わされたぜ
これで寄付なけりゃむしろ俺が神の身許に送ってるってーの

【ぐったりとした様子で机につっぷす男】
【誰かが入ってくれば途端に姿勢を正して作り笑顔で来客を迎えるだろう】
965 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/21(日) 14:45:46.04 ID:aSr6R1M2o
>>964
【がちゃり、扉の開く音】
【扉を開けて協会へ入るのは長い銀髪の少女】
【服装は凛々しいダブルブレザーにチェックのミニスカート。そして胸には緋色の盾のワッペンが】

たのもー、なの
この辺りで出た怪しい男の情報を聞きたいの!

【張り紙を掲げ、入り口から協会中に響く元気な声で少女は叫ぶ】
【張り紙には少女が書いたのだろうか、かろうじて人に見える何かが描かれていて】
966 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/21(日) 14:59:27.16 ID:fafLfGI2o
>>965
【入ってきた少女を見ると営業スマイルはすっかり反転、路地裏の不良みたいな睨み顔に】

おらてめえ! ここは交番じゃねえんだ他あたれ!
人生に迷うどころか人生が何かわかんねえやつの来るところじゃねえんだよ!

【と、怒鳴り声をあげながら一応手配書(?)を確認するために神父は少女に近づく】

で、なんだよこれは……何書いてあんだよ
967 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/21(日) 15:05:40.39 ID:aSr6R1M2o
>>966
【響く怒声に背を丸め。怒鳴られるとは想像してなかったようで】

ごめんなさい・・・
こ、これが怪しい男なの

【紙に書かれていたのは、スーツを着た男らしきモノ】
【はっきりとわかる特徴は、右手の甲に描かれた金十字のみ】
968 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/21(日) 15:12:21.91 ID:fafLfGI2o
>>967
……マジかー

【手配書の男、正確には金十字を見てまたげんなり】
【とはいえ目の前で自分の十字架を隠すわけにもいかず】

あーあれだな、特徴なさすぎてわかんねえわ、こんな特徴ねえとな、うん
で、なんでお前探してんだ?

【白々しい嘘をつきつつ少女に背を向けて教壇へと戻る】
969 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/21(日) 15:20:08.69 ID:aSr6R1M2o
>>968
【手配書の男の金十字を指差し】

ここ!ここ見てほしいの!
これは『ぎふと』って悪い奴らがつけてるマークなの。早く見つけないと・・・

【なんて力説。男の十字架には気づいてないようだが】

通報があったの!
こんな男が子供をさらってるらしいの!
970 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/21(日) 15:29:33.21 ID:fafLfGI2o
>>969
【少女には見えるだろうか、「うわー、マジかよー、うわー」という顔をしている神父が】
【GIFTにも色々あるが、まさか自分と業務内容までかぶっているとは、彼は考えもしていなかった】

あー、あー、あー……こどもー、さらうのはー、よくないなー
それより腹減ってねえかお前何か食うか? ん?

【棒読みからの露骨な話題逸らしである。必死である】
971 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/21(日) 15:40:39.52 ID:aSr6R1M2o
>>970
【背を向けた男の顔は見えずとも、声の調子がなんというか、焦っているというか露骨というか】
【鈍い少女もさすがにおかしいと思ったようで、神父を見る目がジト目になり】

ごはんなんていらない!
はやく探さないと誰かが・・・

【なんて言った直後、鳴る腹の虫】

・・・ちょっとだけもらうの。ちょっと
972 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/21(日) 15:47:54.21 ID:fafLfGI2o
>>971
よし! 今用意してやるから待ってろ!

【食事を与える側なのに大喜びの神父。当然である】
【奥の部屋に一旦入り、りんごやらパンやら何やらいくつかの食料をカゴに入れて持ってきた】

ほら食え。そんなに痩せてちゃでかくなれねえぞ、お前年いくつだ?

【といって手招き。奥の部屋で外してきたらしく、十字架がなくなっている】
973 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/21(日) 15:53:24.40 ID:aSr6R1M2o
>>972
【食料を見て輝く瞳。あふれる唾液】
【さっきまでの様子は嘘のように食料にがっつき始める】

・・・おかわり!

【あっという間に食べきって】
【どうやら操作はいったんお休みのようで】
974 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/21(日) 15:53:37.57 ID:aSr6R1M2o
>>972
【食料を見て輝く瞳。あふれる唾液】
【さっきまでの様子は嘘のように食料にがっつき始める】

・・・おかわり!

【あっという間に食べきって】
【どうやら捜査はいったんお休みのようで】
975 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/21(日) 15:54:05.39 ID:aSr6R1M2o
//二重投稿申し訳ないです・・・
976 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/21(日) 16:00:40.66 ID:fafLfGI2o
>>974
はえぇよ! どんだけ腹減ってんだよ全く……

【呆れながらも心の中ではガッツポーズ。誘導がうまくいったと思っている】
【もう一度奥に引っ込み、今度はもう少し多めを持ってきた】

しかしあれだな、なんでそんな痩せてんだ?
977 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/21(日) 16:06:25.67 ID:aSr6R1M2o
>>976
【りんごをもしゃもしゃかじりながら】
【やせてる事情を聞かれれば、すこし顔が暗くなり】

・・・ちょっと、いろいろあったの

【なんて言って笑うのは強がり】
【・・・問い詰めれば話題逸らしにはちょうど良いか】
978 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/21(日) 16:12:34.72 ID:fafLfGI2o
>>977
ふーん、聞かせろよ。ここは教会だ、大体の話は聞いてやれるぜ

【なんてことを真面目な口調で言う。話題そらしや好奇心もあるが一応神父なのだ】
979 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/21(日) 16:15:55.64 ID:aSr6R1M2o
>>978
【相手が食料をくれた神父だからか、警戒心が緩くなっていたみたい】

・・・カノッサって悪い奴に捕まって、色々されたの
それから食べても食べても・・・ずっとこの体で
980 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/21(日) 16:19:57.30 ID:fafLfGI2o
>>979
なるほどなぁ、カノッサの奴らもひでえことしやがる

【椅子に座って両腕を組みながら話を聞く。相槌は相槌らしく、あまり感情はこもってない適当なもの】

しかし腹は減るみてえだな。満腹にはなるのか?
981 :" ◆/ANsxr5g2E3z[sage]:2014/09/21(日) 16:24:18.26 ID:N1ODmC2xo

            ,.... ;- メ―――-. .、
            ァ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:: : : : : : : : : : ≧、
          /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
          /:.:.:: : : : : : . :.: :l :l : : : : : : :: ヽ:.:ヾ
       /:/:.:.:.: : : : : .: : : l: :l : : l:イ:l:: :::::.:...:.:.:.、
      ノ.7:.:. : : : : : : : : :l : l: : :l i::l : : : : : :. .: .:、     さぁて、今人はいるかな?
      ./:.:.: : : : : :ムi、:l : :l: ::/ l:.| : : : : .:.:.:.:.:.!ヽ
       ! :.:.:/. ::lソ 代_ハミl: / ≦ミ| 、:. : : : . :.: :.!
      イ:.:f|::、ト    レ" ´弋|Vレ: : :.:.:.:.:.:. :.!
       j:.::7 ヽ   /  `    ル i':iィ:.j:.!:.:::l
       レ'    ヘ.   、     /i´:/l:シ ヾ:!
,.'´ ̄i  ̄ ̄ ̄ ̄冫ト_  ``   <ノイハ.レ′
    l.     ∠//// ィ>r ' ´ I////ト、
    !.    _ 〉 ̄/〈ト、_, _ _レ' ̄ ̄! `ヽ、
ヽ.  .!.  /_ `>,ヘ:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;/ヽ. /  |.   \
. . \.j . /. . I;旦;I<:;:;:;:;;:;:;:;:;:;:;:;j  `I;旦;I   「キ]ヽ
982 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県)[sage]:2014/09/21(日) 16:24:57.34 ID:N1ODmC2xo
すみません、誤爆しました
983 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/21(日) 16:25:12.60 ID:aSr6R1M2o
>>980
うん。お腹は膨れるのに・・・

【現に今、食料をすべて食べ終えた少女のお腹はすこしぽっこり】

とにかく、もう私みたいな人を作らないために、あたしは戦うの

【がたっ!と立ち上がり高らかに】
984 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/21(日) 16:34:07.60 ID:fafLfGI2o
>>983
なる、ほど、ねぇ

【さてどうしたものか、と神父は考える。こういった人間を相手取るのもまた“彼ら”の仕事ではあるのだが……】
【しかし今日の彼は非番なのであった】

戦うのはいいんだが、そればっかりじゃ物事は解決しねえぞ

【と、真面目な声で話す】
985 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/21(日) 16:42:45.86 ID:aSr6R1M2o
>>984

【きょとんと】

・・・戦って、やっつけて、そしたら全部終わるんじゃないの?

【少女の頭の中にある考えは悪は悪、それだけだった】
【悪の原因、そんなこと考えたこともなく】
986 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/21(日) 16:51:18.39 ID:fafLfGI2o
>>985
そう簡単じゃねえよ、あいつらにだって戦う理由があるし、お前をそんな風にしちまったのに何か原因がある
重要なのはそっちで、そこを解決しねえと湧いてくる悪党どもを殺したって解決にならない
それとも、永遠に戦い続けるか? ん?

【ぐっと上半身だけ前に傾けて、少女の目を見ながら神父は言った】
987 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/21(日) 16:56:45.35 ID:aSr6R1M2o
>>986
【またきょとんと。言っている意味がわからない。そんな風な顔】

原因って、なに?
・・・あたしをこんなにした原因なんて、知りたくない!
どんな理由があっても、許せる訳ない!
それじゃあ、解決なんてどうやればいいの?・・・どうやれば戦いは終わるの?・・・

【握りしめ、震える拳。かみしめた歯からはギリリと音が鳴って】
988 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/21(日) 17:07:35.97 ID:fafLfGI2o
>>987
【うーんと困ったように目を逸らして一度唸る】

そうだな、確かに許せる訳がねえな。いわゆる悪人どもに復讐したいっていうんなら、それもいいだろう
だがもし今お前が自由なのであれば、平和に暮らすってのも大事なことだろう。友人がいるならそいつらを大事にしてもいい
そういった具合に、戦うばかりが生き方じゃないって話だ。そしてもし戦いを止めたいのなら、よく考えなきゃならねえ
どうすれば戦いが終わるのかってのを、お前自身がな

【椅子から立ち上がって少女に近寄り、握りしめている拳にそっと手を置いて軽くなでる。まるでいたわるように】
989 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/21(日) 17:14:30.67 ID:aSr6R1M2o
>>988
【返す言葉が思いつかず、黙りこくる少女】
【自分が正しいと信じてやっていた事は、本当に正しいのかわからなくなってしまい】
【俯いたそのとき、拳が暖かい感触に包まれて】

・・・まだ、どうすればいいかわからない、けど
いつか、ちゃんと答えを出すよ!
おじさんありがとう。実はちょっと、さっきの怪しい人を疑ってたけど・・・おじさんがそんな訳ないよね。

【にこり、満面の笑みを向けて】
990 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/21(日) 17:20:09.66 ID:fafLfGI2o
>>989
……

【少女の疑いは正しい。そしてそれを否定することは簡単だが、今の彼にそれはできなかった】
【何せ今の彼は非番――GIFTのメンバーではなく、迷えるものを救う神父だからだ】

てめえこら誰がおじさんだ、どう見たってお兄さんだろうが
全く、こちとら忙しいんだ、用が終わったんならとっとと出てけクソガキめ

【なんて言って少女から離れてしっしっと手を払う】
991 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/21(日) 17:37:45.83 ID:aSr6R1M2o
>>990
ふふっ。ばいばいおじさん!

【なんてわざとらしく言った後、ぶんぶん元気に手を振って】
【協会から出る足は元気良く、扉を開けるとさわやかな日差しが舞い込む】
【厳しいことを言われやしたけど、神父の手はそれ以上に暖かくて】

//お疲れさまでしたー
992 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga]:2014/09/21(日) 17:38:42.17 ID:fafLfGI2o
>>991
//お疲れ様でした!
993 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/21(日) 21:23:16.08 ID:689R6/4mo
/次スレ無さそうだったので立てときましたー
/http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1411302033/
994 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/21(日) 21:36:38.90 ID:689R6/4mo
【路地裏】

【薄闇の中を、ゆらりゆらりと歩み進むのは一人の少女。華奢な体躯を包むのは薄いワンピースのみ】
【腰まで届く空色の髪はその所々に赤黒いナニカ≠付着させ、裸足の足は黒く汚れて】

…………。

【竜胆の瞳は俯き、然れど世界は認識されず――ぐちゃり。少女の足下には、ニュースの裏側で人知れず殺められたダレカ≠フ痕跡】
【その名も知れぬ肉塊に踏み入れた感触すら認めていないかの様に、彼女はゆらりとまた一歩】

――――っ……。

【付着した腐肉に足がすべったか、空色の軌跡を残して前方へと倒れていく少女。受身を取ることもなく、ただ地に伏して】
【そして、静寂。起き上がろうとする動きが起こるまでにはもう少し、時間がかかる事となる】
995 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/21(日) 21:56:52.35 ID:p4nJh8AJo
>>994

【――――少女が倒れ込んだ場所のすこし先に、その人影は最初から存在していた】
【けれど、彼女≠ノはあまりにも存在感というものがなかった。最初からいたとわかっているのに、いつからそこにと問いたくなってしまうほどだ】
【倒れた少女をみつけると、彼女はそちらに歩み寄って、目の前にしゃがみ込むだろう】


……………。


【そうして少女を発見したのは奇しくも、同じような外見の少女であった――――】
【路地の闇色を吸いこんですこし薄汚れてはいるけれど、空色のフリルワンピースにグラディエーターサンダルという可愛らしい服装】
【肩に垂れ下がるサイドの髪は丁寧な三つ編みに結われ、黒いレースリボンで留められていて、年頃の少女らしい洒落っ気がある】

【……だがそんな普通≠いともたやすく塗り替えるほど、少女本人は異質≠ナあった。目の前にいることさえ不確かな存在感の希薄さはもちろん、】
【少女は、白い。月光に透いた髪、雪のごとき肌、ごく僅かに青みを帯びるだけの瞳。およそ色素というものが欠落した風体だ】


…………ねぇ。だいじょう、ぶ?


【白を通り越して、透明。そんな少女は軽く首を傾げて、か細く高い声色でもってそちらへ言葉をかけるのだろう】
【感情さえも希薄なのか、表情の変化は乏しい。けれどその言葉が真実なら、彼女は少女を心配しているようだけれど……】
996 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/21(日) 21:57:34.46 ID:p4nJh8AJo
/忘れてた、>>993乙です!
997 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/21(日) 22:29:54.62 ID:689R6/4mo
>>995

【異質=\―――倒れた少女、その少女へ声を掛けた彼女、そして、2人の少女がこの路地裏という場所で出会った事実】
【そのどれもが、異質≠ニいう言葉で形容されるに相応しいものであっただろう。】

【そして、彼女の言葉より数瞬の後。ゆっくりと、しかしながら滑らかな動きを伴って、少女はその身を起こした】
【――向かい合う2人の少女。暈けた竜胆が瞼の奥に隠れて、そして光を宿して開かれる。】
【徐ろに紡がれ始めた声は、静かでありながら、よく通るもので】

……現在の状況より、先刻の『大丈夫』という言葉はユーニに向けられたものと判断できます。
故に、ユーニは返答致しましょう。『幾つかの破損は確認できるものの、活動に支障を来す障害は存在しない』と。

【己をユーニ≠ニ称する少女が宿す異質≠フ一つ――――どこか事務的な言葉達は、澱みなく流れていく。】
【付着した屍肉を払い落とした足には、煤の汚れと、突き刺さった薄汚れたガラス片。】
【それを一つ一つ抜き取っていけば、路地裏に新たな赤が散っていく。けれど少女は、眉一つ動かさず】

――あなたの質問に答えましたので、ユーニからも一つ、質問をさせていただきます。
一切の面識の無いユーニに対し、何故あのような言葉をかけたのでしょうか。
もし、ユーニが危機的状況にあったとしても、あなたには関係のない事であったと判断できるのですが。

【彼女が見せた、自分を案ずるような言葉。その理由を訊ねて、彼女の真似をするように首を傾げてみせた】
998 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/21(日) 22:56:16.45 ID:p4nJh8AJo
>>997


そう。それは………よかったね。


【透明な少女はただ、見開かれた竜胆の瞳を静かに見据える。冷たく機械的な返答にもいっさい表情を乱すことはなく、】
【どころか、ぽろぽろと地に落ちる腐肉や血塗れたガラス片を見てもなんとも思っていないようであった】
【いや、厳密にいえば、少女の足から鮮血が溢れ出したときに一瞬だけ、そちらを見る月白色の双眸が見開かれた気はしたが――――】

【言い換えればその程度の反応だ。こちらからの返答も、どこか抜けたような、短くて他人事じみたもので】
【――――そのような素っ気ないやり取りのなか。しかし少女の透質な瞳にだけは、別種の熱が篭もっているようにも見えた】


………うん、そうだね。たしかに関係はないかも。
わたしが受けた命令≠ノ、あなたが無事かどうかなんて条件は含まれていないよ。

ただ………えっと、うまくいえないけど、気になったの。
あなたがなんとなく、わたしに似てる気がしたから。

ねぇ、イーニ。わたしはイクスだよ。
あなたはここでなにをしてたの? あなたも、誰かに追われてるの?


【その熱の出所がなにかといえば、それは好奇心≠ニしかいいようがない、ひどく幼稚な感情だ】
【イーニと名乗る少女と自分とはなんの関係もないことは――――彼女の安否が自分の目的になんら影響を及ぼすものではないことは、理解していて】
【それでも話しかけたのは、「似てる気がした」なんて至極くだらない理由だった。本人もうまく言葉にできないほどかすかな好奇心が生んだ、単なる偶然だ】

【少女は「イクス」と名乗ると、すっと立ち上がって手を伸ばす。イー二がなぜこんな場所にいたのかを問いかけながら】
【彼女に伸ばした白い手も、「立てる?」という台詞も、本で読んだ動作を模倣したかのような、ぎこちない挙措だった】
999 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/21(日) 23:36:31.86 ID:689R6/4mo
>>998

【感情表現の薄い二人の会話は、淡々としていて。その光景を見る他者がいたならば、それはとても奇妙なものに映るのだろう】
【しかし当の少女達は、そんな素っ気ない返事も至極普通のものとして受けているようで。】
【ならば、この場においてそれは何ら問題の無い事。口を挟む者は今、誰もいないのだから】

【――己の足から滴る緋い滴。この狭い場所、いくら暗がりとはいえど、それを見る彼女の様子は自然と視界に映るものであった】

似ている=Aですか。……ユーニは、人間の感情を理解するのは苦手です。
ですが、今のあなたの言葉の中にはユーニと近しいものを感じました。

――――命令=B
ユーニも、主の命を受けて活動する身であります故、そういった点は相似していると判断できます。
……とはいえ、現在はその主は不在なのでありますが。

【彼女――イクスが口にした好奇心。意外にもユーニは、同意するような反応を見せた】
【しかし、それは彼女の瞳の熱とは違い、やはりひどく冷静な判断によるものでしかないのだが。】

【―――差し出された手には、一度ワンピースで手を拭った後に応える事となる。】
【『活動に支障は来さない』との言葉通り、傷を負った足でありながらも、手を借りて真っ直ぐに立ち上がる姿がそこにあった】
【その動きはやはり滑らかなもので、それが彼女のぎこちない振る舞いとの対比を一層際立たせていた】

ユーニの目的、ですか。命令による行動ではない為、断言しかねますが……
現在のユーニの行動が合理的なものである、として判断するならば、『主に相応しい人物を探している途中である』といったところでしょうか。

――――さて、今度はユーニの番です。
ユーニも≠ニの言葉より推察いたしますが、あなたは追われているのですか、イクス様。
それともう一つ。血の色は嫌いなのですか?

【新たな主を探し、方方を歩き回っている最中であった、というのが少女の言。】
【それを信ずるか否かは彼女次第だが、ユーニが今語ったのはただそれだけ】

【ワンピースの裾をはたきながら返す問いには、先の彼女の様子を踏まえたものもあった】
1000 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2014/09/22(月) 00:16:07.69 ID:FgXyaxmko
>>999


わたしにも、ほかのひとのこころなんて見えないよ。
でもあなたは、そういうのとはちょっと違う気がするから、話しやすいかも。

……えっ、ユー二のマスター≠ヘ、いないの?
それって不安じゃない? だいじょうぶなの?


【ふるふると首を振りながら、イクスはその動作とは裏腹にユーニに同意する】
【外見からして浮き世離れしているが、きっと内面もそうであるのだろう。確かに他人と円滑にコミュニケーションを取るタイプには見えない】

【ユーニが命令≠ノよって動いているということには、イクスはなにも疑問を感じなかった様子。自身もまたそうであるからか、】
【むしろそれが当然とでも言いたげにうんうんと頷くものの――――次に彼女が浮かべたのは、驚愕と心配を帯びた表情】
【イクスにとって『主(マスター)』の不在とは、元来感情表現の希薄な彼女がここまで感情を顕すほどの一大事であるらしい】


そっか、ユーニは新しいマスターを探しているんだ。
それはすっごく、すっごく大変だね…………わたし、応援するよ!

………あっ、そうだった。わたし、いまは『GIFT』っていうひとたちに追われてたんだよ。
えっとね、血の色が、っていうか………わたしって、ひとを殺すのが、いやみたいなの。
それで、前は「追っ手は殺せ」って命令されていたんだけど……マスターに頼んだら、不必要なら殺さなくてもいいって言ってくれたんだ。
だから、ずっと逃げてるの。本気で襲われて、殺すしかない状況になっちゃったら、困るから。


【新しい主を捜しているというユーニへ、イクスはますます熱の篭もった視線を向けた。同情と共感が、少女のちいさな感情を最大限刺激していた】
【そして、イクスは自分の事情についても素直に話すだろう。……『GIFT』というのが最近巷を騒がせているテロ組織だということは、連日ニュースで報道されているとおり】
【ユーニの手を引くイクスの手は、ほんのりと暖かい。けれど「殺す」なんて物騒な単語を平気で持ち出すあたり――――彼女はやはり異常≠フ側の人間だ】

【しかし、「人を殺すのが嫌い」というその台詞自体は、どうやら嘘ではないようだった】
【不要な殺しをしないために、追っ手から逃げ続けている。なぜ追われているのか、という肝心の理由だけが、不自然に欠如した答えではあったけれど――――】
【「きょうはもう振り切ったから、だいじょうぶだよ」と説明するイクスは、どこかうれしそうに見えた】
1001 :1001Over 1000 Thread

 ,.――――-、
 ヽ / ̄ ̄ ̄`ヽ、   【呪いのパーマン Ver2.0】
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【ミリマスSS】キャッチボール @ 2014/09/22(月) 00:12:51.26 ID:6XKKrm7T0
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光彦「デスノートを拾いました!」 @ 2014/09/22(月) 00:10:29.39 ID:g/Z+vrPR0
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荒妻日記 〜2ページ目〜 @ 2014/09/22(月) 00:06:14.71 ID:63I0dRRyo
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モバP「木場さん酔わせたの誰だよ!」 @ 2014/09/22(月) 00:04:20.11 ID:w5OWBIIl0
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凛「お誕生日おめでとう」まり花「えへへ」 @ 2014/09/22(月) 00:00:56.63 ID:2oG1r9juo
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【百合】超絶変わり者に惹かれてしまっている @ 2014/09/21(日) 23:51:24.55 ID:ccV03fQL0
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凛「ここは凛にまかせるにゃ!」 @ 2014/09/21(日) 23:50:12.49 ID:t/pCAXbj0
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かよちんのおならで作った炭酸水 @ 2014/09/21(日) 23:47:23.34 ID:eSVNjLYN0
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