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HTML化した人:Kastanie
俺「お、おれがホストですか?」
1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)2014/09/04(木) 11:53:02.81 ID:s3XFydp20
俺の実体験をSSにした。飽きるまで読め


スカウト「うん、君なかなかかっこいいし、きっと売れるよ」

俺「い、いや、それはどうでしょうかね」タハハ

スカウト「えー、ほんとに売れると思うけどなぁ」

俺「いやいや、だいたい俺モテたこともないですし」

スカウト「うっそ〜ん」

俺「いや本当なんですって…」

スカウト(だろーね)
2 :2014/09/04(木) 11:54:12.34 ID:s3XFydp20
俺「じゃ、じゃあこのへんで」

スカウト「え、これから予定あるわけ?」

俺「むしろ帰りです。やりたいこともあるので…」

スカウト「え、どこに行ってきたの?やりたいことって?」

俺「バイトの面接終わったところなんですって」

スカウト「ああ、バイトの面接だったの?確かにそういうカッコしてんね」

スカウト「じゃあさ、バイト落ちてたらウチに来てみなよ」

俺「俺、未成年ですからお酒はちょっと」

スカウト「うんうんうんうん大丈夫!未成年はね、お酒飲まなくていいんだよ」

俺「は、はぁ」
3 :2014/09/04(木) 11:55:06.79 ID:s3XFydp20
スカウト「別にすぐに入店しなくてもいいんだよ?体験入店ってのがあってね、1日体験するだけで給料もらえるよ」

スカウト「たった5,6時間でね、1万円!」

スカウト「どう!?」

俺「………」

俺(俺は考えた。たった5,6時間で1万円もらえるなら、いろんな店を体験入店で回ればいいんじゃなかろうか)

俺(幸いこの街の歓楽街は大きい)

俺(ぐるっと一周するだけでも楽に稼げるんじゃ!?)

俺「じゃ、じゃあバイトに落ちてたら……」

スカウト「ほんと!?」

スカウト「じゃあ連絡先教えてよ!うん、うん、うん、はーい!」

スカウト「もしバイト落ちてたら連絡して?すぐ稼げるから!あ、不謹慎か!たははははは」フリフリ

俺「は、はぁ」

俺(陽気な人だなぁ)
4 : ◆HmDjqt09PA[sage]:2014/09/04(木) 11:59:12.45 ID:s3XFydp20
ーーーーーーー

ーーーーー

ーーー

1週間後

俺(ジョイフルから連絡が来ない)

面接官『では、合格という形になりましたらこちらから1週間以内にご連絡させていただきます』

面接官『もしも連絡がないようでしたら、そのときはご縁がなかったということで………』

俺(はぁ、つまり落ちたってことか)

俺(なにがいけなかったんだろう。ちゃんとハキハキ受け答えしたんだけどなあ)

俺(うーん、まぁほうがないか)

俺(次のバイト探しにタウンワーク取りに行くか)
5 : ◆z4otJe4ydc[sage]:2014/09/04(木) 12:10:02.99 ID:s3XFydp20
俺(イヤ待て!そういえばホストの体験入店巡りすれば稼げるんじゃなかったか!?)

俺(さ、さっそく情報集めだ)

俺はPCを立ち上げ、ほすほすというサイトに辿り着いた。

俺(お、おわぁ……想像通り綺羅びやかな世界だ)

俺(やっぱ俺なんかが行っても笑われるだけだよな…)

俺(………)カチカチ

俺(この人が代表取締役社長…社長って割には若いな)

俺(うあ、ナンバー1イケメンだなぁ…)

俺「………ん?」

俺「こ、このナンバー3ぶっさいくだなぁ」

俺「鼻は低いし目は垂れてるし、化粧じゃごまかせてないぜ…」

俺「これでナンバー3ってマジかよ」

俺「コイツのプロフィールを覗いて見るか」カチカチ

俺「んーっと、……名前はブサ男っていうのか」
6 : ◆NwoiYrK4qw[sage]:2014/09/04(木) 12:24:35.89 ID:s3XFydp20
トリップって漢字以外もいけるっけ?
前に使ってたやつにならないんだが
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/09/04(木) 21:16:18.34 ID:u3FKbyK4O
わからんがはよ
8 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2014/09/04(木) 22:20:02.53 ID:cWo8OjZO0
昨日からの続きが気になる
9 : ◆EeMOWQsVnE[sage]:2014/09/04(木) 22:55:07.20 ID:s3XFydp20
俺「コイツの売りは友達営業?」

俺「ホストって色恋営業だけじゃないのか?」

俺「なになに……本場大阪の笑いをお届けします、か」

俺「なるほど。楽しく酒を飲みたいって女がいるわけか」

俺「そういやオバサンって新潟でもよく井戸端会議してたっけ」

俺「楽しく喋れる、か」

俺「……………」カチカチ

俺「………ほー」カチカチ

俺「…………っぷあはは」カチカチ

俺(ホストのブログや店の紹介文を見ていろいろなことがわかった)

俺(ホストの仕事とは、実は俺たちが思っているようなブラックな世界じゃないんだ)

俺(オバサンと楽しく酒を飲む、サービス業の究極系だったのか!!)

俺(俺のように偏った怖いイメージばかりが先行しているせいで、ホスト業界は人員不足)

俺(だからブサイクが多いんだな!!)
10 : ◆EeMOWQsVnE[sage]:2014/09/04(木) 22:56:19.86 ID:s3XFydp20


俺は鏡を見た。

いつもは諦めていた顔が、すこしマシに見えた。

我ながら最低だが、俺は底辺を見て夢を見た。ブサイクが多いから俺みたいなブサイクでも普通に扱ってくれるのではないかと。


俺(案外、俺にもできそうだ…)


俺の心を揺さぶったのは、体験入店の待遇の良さだった。

一日体験するだけで給料がもらえ、さらに、入店を決めると支度金という名目で大きな金が入る。

一日やるだけで逃げていい、という逃げ道が用意されてるのは素晴らしい。


俺(ホストの酒は高いって聞いたことがあるからな。それでこんなに金回りがいいんだろう)

俺(ようし、さっそく電話をかけてみよう)

俺(手が震えるな……)


俺は新潟の両親の顔を思い出した。

田舎者で、昔は畑で楽しそうに遊んでいた俺が、夜の歓楽街でバイトをする。

決していい顔はしないだろう。

少しだけダイヤルを押す手が止まったが、オイシイ話はすぐに俺の理性を奪い去った。

コール7回で男が出る。
11 : ◆EeMOWQsVnE[sage]:2014/09/04(木) 22:57:00.94 ID:s3XFydp20


俺「あ、あの……っ!ほすほす?見て、電話したんすけど…!」

受付「ああ、求人すかね?」

俺(なんだこの電話番。コールセンターなら一日でクビだぞ)

俺「そうです。えと、まだ18なんですけどいけますかね?」

受付「大学生?」

俺「いえ、フリーターです」

受付「ああ、そう。えっとじゃあ体験入店があるんですけど」

俺「いつですか?」

受付「いつでもやってるよ?」

俺「じゃあ一番近い日で!」

受付「なら今日来れます?」

俺「は、はい」
12 : ◆EeMOWQsVnE[sage]:2014/09/04(木) 22:57:52.37 ID:s3XFydp20
受付「えーっとじゃあ朝の3時で大丈夫?」

俺「もちろん」

受付「了解です。店の場所なんだけど」

俺「△◯◎♂ビルの7階ですよね、ホームページで見ました」

受付「そうそう。じゃあ、ビルの前か店の前で待ってて。俺、声かけるから」

俺「は、はい!わかりました」ブチッ

俺「うわぁぁぁ、緊張した!!」

俺「……………」

俺「……………」


自分がドラマや映画で見たホストになる。

俺は、急に自分が汚い人間に思えてきた。

ただ楽しかった子供時代の思い出が浮かんできては、昔と今とのギャップに落ち込んでしまう。

やらなきゃよかった、もうバックレちまおう、という気持ちが膨らんでいく。

だが、それと同時に一種の幸福感も感じていた。

不遜な扱いを受けてきた俺が、裏の世界ではチヤホヤされるホストになる。

感じたこともなかった優越感は、次第に俺の中の罪悪感を消していった。
13 : ◆EeMOWQsVnE[sage]:2014/09/04(木) 22:59:05.34 ID:s3XFydp20
ーーーーーーー

ーーーーー

ーーー

朝 3時

俺(いつもなら眠っている時間だが、今日は興奮で眠れそうにない)ドキドキ

俺(ここまでタクシーで来た)ドクドク

俺(しっかし、服装ってこれでよかったのか?)

俺(田舎の高校生だった俺は、スーツに馴染みがない)

俺(ユニクロのジャケットとチノパンという休日の会社員みたいな格好は、夜の歓楽街で浮いていた)

キャッチ「おにーさん?」

俺「うわっ!?」

キャッチ「今ね、王様ゲームやってるんだけどどうっすか?」

俺「え!?」

俺(まさか客に見えたのかよ!!)

俺「いや、興味ないんで」
14 : ◆EeMOWQsVnE[sage]:2014/09/04(木) 23:00:20.72 ID:s3XFydp20


今度は、キャッチ(ボーイっぽい)の後ろから派手なドレスを着た女が出てくる。


女「どうですか?」

俺(化粧と暗さのせいでめちゃくちゃ可愛く見える)

キャッチ「(今ならなんでも命令できますよ)」ヒソヒソ

俺「いや、急いでるんで」スタスタ


後から教えられた話だが、こういうのは取り合ったら負けらしい。無視が一番。




ーーーーーーー

ーーーーー

ーーー

なんちゃらビル前

俺「うわぁ、まだ10分以上あるなぁ」


正直いって遅れてくるのがスゲー怖かった。

まだ慣れない世界は怖いもので、言葉では強がってみても、まだ10ふんあった、助かった〜というのが正直な気持ちだ。


俺(てゆーか、あの電話番、俺のことわかるのか?)

俺(できるだけお上りさんみたいにキョロキョロしていよう)
15 : ◆EeMOWQsVnE[sage]:2014/09/04(木) 23:01:10.80 ID:s3XFydp20
ーーーーーーー

ーーーーー

ーーー

受付「おーい」

俺「!?」

受付「えっと、体入の?」

俺「は、はい…!」

受付「おっけおっけ。ちゃんと時間守るんだ、エラいじゃん」

俺「は、はぁ」

俺(優しそうな人だなぁ)

やってきたのは20代後半と思しき小柄な男だった。

髪を茶色に染め、黒い帽子をかぶっている。

受付「俺は零。ゼロってかいて零な」

俺「源氏名ってやつですか?」

零「そうそう」
16 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage]:2014/09/04(木) 23:01:52.52 ID:s3XFydp20
俺(うわぁ、零とか恥ずかしいなぁ。俺も源氏名とかつけるんだろうか…)

零「そういやキミ、なんでホストになろうと思ったの?」

俺「あの、実は以前スカウトされて…」

零「エレベーター来た。乗って」

俺「はい」

零「ほーん。やっぱ○○で?」チンッ

俺「え、なんでわかるんですか?」


零「ああ、スカウトってみんなだいたいあのへんでやるもんな」

俺「場所が決まってるんですね…」

零「意外と取り締まりが厳しかったりするんよ」

俺「なるほど…」

零「で、ウチの店の誰に紹介されたん?」

俺「い、いえ声をかけてくださったのは別のお店の方で」

零「へぇ、なんでウチ?」

俺「ホームページ見てそれで…」

零「あーはいはいはい。アレ編集してるの俺よ」

俺「へぇ」

零「そそ」

俺はこれから思うのだが、ホスト業界の奴らはしゃべり方がいちいち得意げで癇に障る。

大したことないことを皆自慢口調で話すのだ。
17 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage]:2014/09/04(木) 23:02:27.46 ID:s3XFydp20


零「ついた」チンッ

俺「うわぁ」

俺は気まずさを追い払うようにいちいち驚いた。

俺「なんかフツーのマンションの廊下っぽい」

零「まぁテナントだからね」

零「ここよ」

案内された入り口は黒い大きなドア。

分厚い。これで騒いだり歌ったりしても外に音が洩れないのだ。

俺「うわぁ、緊張する」

零「たははは!おいおいリラックスリラックス」

俺「はぁ…」



扉を開けて、零が電気をつける。

中は意外と広い。

地面には赤い絨毯が引かれていて、店の照明は明るかった。

もっとも、営業が始まる頃にはもっと暗い照明に変わるのだが。

零「ここがクラブVIPです!」

俺「わぁ、やっぱ別世界ってかんじですね…」

並べられているのはガラス張りのテーブル、黒いソファ。

テーブルの上には灰皿が並び、店の柱にはカラオケが取り付けられていた。
18 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage]:2014/09/04(木) 23:03:20.82 ID:s3XFydp20


俺「カラオケするんですか?」


零は店のカウンターでレジの金を出し入れしたり、伝票みたいな紙に記入したりしながら、


零「そうそう。カラオケデーってのが決まってる。だから毎日はしない」

俺「カラオケでーすか」

零「なに?カラオケ好きなの?」


ぎくりとした。鋭いやつである。


俺「まぁ結構好きです」

零「ならカラオケデーの日は楽しめると思うよ」


俺「カラオケデーか…」


想像する。家族や友人の前でしか歌ったことのなかった俺が、見ず知らずのオバサンの前で歌を披露する姿を。


俺(そんなに楽しくなさそうだな…)

零「あー、俺ってちょっと事務の作業あるから店の中かるーく見まわったら?」

俺「あ、はい」

俺(この受付さん、下っ端なのか?)
19 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage]:2014/09/04(木) 23:03:59.35 ID:s3XFydp20

俺は零がせこせこ準備をしている間、言われた通り店の中を見まわった。

女の子向けの配慮なのか、はたまたホストのためか。店の壁はところどころ鏡が付いている。

それから、壁際には本棚のようにたくさんの酒が並べられていた。


後から教えてもらった話だが、ガラスの靴に入れてある酒はシンデレラ・シュー、

本に入れてあるやつはブックとか、いろいろ名前があるのだ。


それから台所、トイレ、化粧室を見まわっていると、でかい声が聞こえてきた。



「おりゃーーーーーす!!」

俺「!?」

俺(ホストってこんな体育会系なのか…)


俺は心臓のドクドクを感じながら、駆け足で声の方へ向かった。

最初は取り立て屋かと思った。

でかいその巨漢は、かるく190cmほどあり、両腕に竜のタトゥーがある。


俺「お、おりゃーーす」

巨漢「誰、お前」
20 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage]:2014/09/04(木) 23:05:02.31 ID:s3XFydp20
射[ピーーー]ような視線に、おれは一瞬でここがどんな店なのか思い出した。

零がひょろひょろで気さくだったせいで、あっという間に店をなめていたのだ。

そうだ、俺はビビっていたはずじゃないか!

俺「あ、あの体験入店で」

巨漢「あ、そう!見ない顔だったもんで」

零「雷さん、新人威嚇すんな」


驚いたが、この男は、雷と書いてライというらしい。



雷はあっという間に気さくな態度になったが、さっきの態度を見て俺は油断できなかった。


零「えっとね、コイツこれでも主任」

俺「主任?」

雷「そう。よろしくね新人君」

俺「は、はい」

零「あのさー、ちょっと手伝ってよ」

雷「待て、俺弁当食う」

俺「…………」


こういうとき味方がいないのが辛かった。

零がさっきまで唯一話せる男だっただけに、その彼が雷という新参者と話し始めたせいで俺は一人になった。

俺は最後に雷が残していった「座って休んでていいよ」との言葉に従い

一番奥の黒いソファに座ってひたすら時間がすぎるのを待った。
21 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage]:2014/09/04(木) 23:05:58.56 ID:s3XFydp20


それから3分ほどが経ち、おりゃーーーす!という声がたてつづけに響いてくる。

大群だ。

俺「……」


俺はさっきと同じように、でもさっきよりややビクつきながら集団を立って待った。

なんとなく座ってるのはマズイと思う。

最初に、スタスタと早足で歩いてきた金髪が俺に気づいた。


金髪「おっ!わっ?」

金髪「もしかして……体入の子?」

俺「はい、松本といいます」

金髪「本名wwwwwwww」



今度は茶髪が近づいてきて

茶髪「ユウキさん、誰っすか?」

ユウキ(金髪)「ああ、新人って」

茶髪「うわ、体入?懐かしい」

俺(懐かしいほど来てないのか…)

ユウキ「よろしく松本」

俺は差し出された手をとり、

俺「よろしくです」

茶髪「へー、イケメンやん」

俺「は、はぁ」

話題がないのでとりあえずおだてた、というのがすぐにわかるほど下手くそな世辞だった。
22 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage]:2014/09/04(木) 23:06:24.37 ID:s3XFydp20


それから俺はやってきた3人の男の話を聞いていた。

金髪の、3トリオの中でリーダー格の男はユウキ。

茶髪で長身の男は ミツキ

最後にやってきたヒョウ柄の派手男(髪もすっげー派手)は ユウヤ

というらしい。

とくに三人目のユウヤは目つきも悪く態度も悪かった。

いわゆる元不良感が全身からしみでていた。

俺(やっぱり新潟とはぜんぜん違う…)

俺はあっという間にうまくいく自信がなくなった。



零「あ、ミツキお前新人の教育係な」

ふらりとやってきて、零さんがそんなことを言った。

つまり、俺はこれから完璧に仕事ができるようになるまでミツキと2人一組というわけだ。

ミツキは今いるメンバーの中で一番のイケメンで背も高かったから、勝手に苦手意識を持っていた。


イケメンは、ブサメンを見下しているという被害妄想が俺の中にあったのだ。

ミツキ「えー俺っすか」

俺(うわぁ…嫌そう)
23 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage]:2014/09/04(木) 23:07:08.81 ID:s3XFydp20
俺(こういうときは冗談でも俺に任せろ!って言って欲しかった)

俺(これじゃあ積極的に聞けないじゃないか)

ミツキ「あー、じゃあ俺さっそく仕事教えた方がいいっすかね?」

ユウキ「覚えることいっぱいあるしな、はやくやれ」

ミツキ「俺こういうのはじめてなんすよねえ」


ユウヤは一言も喋らずタバコをふかしていた。

俺はノースモーキングなので、副流煙にひたすらビビっている。


ユウキ「じゃあ新人君はミツキにまかせて、ユウヤ掃除」

ユウヤ「おいっす」

俺「………」

ミツキ「ああ、じゃあそこ座ってて。俺グラス持ってくるわ」

俺「よろしくお願いします」

ミツキは片手を上げてキッチンに消えていった。


「ねぇねぇねぇねぇねぇねぇ」


俺は緊張していて、すぐ隣に人が座っていることにぜんぜん気が付かなかった。


俺「うわっ!?」
24 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage]:2014/09/04(木) 23:07:28.68 ID:s3XFydp20
隣に座っていたのは、カーディガンの下にカットソーを着込んだ、他とは違う格好をしている男だった。

魚みたいに大きな目。

青メッシュの入った長髪。

V系バンドのベースをやっていそうな服装で、スーツ姿のほかとは違う。

そういえば、零と雷も私服だったと思いだした。


V系「ねぇねぇ、キミが新人?」

俺「はい。よろしくおねがいします」

V系「よろしくぅ。緊張してんね」

俺「わかりますか?」

V系「声かけたらビクゥゥ!ってなったもん」


俺「まぁ。なじみない世界なんで」


次から次へと入れ違いにやってくるホストに、俺は正直困惑した。

もう零や雷の顔が思い出せないのだ。


V系「え!?うそ、キャバクラとかいかんの?」

俺「いや全然、そういうのは」

V系「えーじゃあ風俗は?」

俺「もっとないっすよ」

V系「うっわー損してるぅ。今度行く?いい店しってんよ」

俺「いや、ちょっと怖いっす」


V系「損してるよマスモト〜」

俺「いや、松本です」

V系「しっとるがな。ボケやん」

俺「はぁ」

V系「そういうときはな、もっと強気に突っ込まないと女の子が退屈するやん」
25 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage]:2014/09/04(木) 23:08:06.47 ID:s3XFydp20
うわ、実はもう教育が始まっていたのか!と俺はびっくりした。


V系「まぁその内慣れればいいけど」

ミツキ「ちょっとニシさん、新人イジメないでくださいよ」


いつのまにか帰ってきていた教育係の茶髪が、ふざけた口調でたしなめた。


西「えーお前が教育係か」


ミツキ「なんすか」

西「お前よくミスするし俺も見てやるよ」

俺「ありがとうございます」

ミツキ「おし、じゃあまず……ええっと」

西「マスモトやって!」

俺「松本っす」

ミツキ「本名じゃないっすか」

西「うん、源氏名から決めようか」

俺「は、はぁ」

ミツキ「まぁいきなり源氏名って恥ずかしいよな」
26 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage]:2014/09/04(木) 23:08:55.74 ID:s3XFydp20
俺「ミツキさんはどうやって決めたんですか?」

ミツキ「俺?俺は前までここにいた人に決めてもらった」

西「あーそうやったな」

西「うん、でも今決めて。ややこしい」

俺「い、今ですか…」

西「ちなみにうちのナンバー1はね、レイラっつーかっこいい名前よ」

俺「うわ、すげー」

俺はとりあえず褒めた。
でも、俺のこの顔でそういう系の名前はやめたほうがいいだろうと思った。

俺「タケルでいいです…」

西「おおタケル!!なんでや!」

俺「ああ、弟の名前です…」

いろいろかっこよさげな名前は浮かんでいたが

お前には生意気〜と思われるのがすごく嫌だったのだ。



ミツキ「ならカケルな」

西「いいんじゃないのぉ!カケルやっほい!!」

俺「は、はぁ」

俺(実はタケルといったなんて、もう言える空気じゃなかった)

西「なら早速名札書くぞ」

西「おい零!名札持ってこい」


西、実はいまいるメンツの中で一番偉いっぽい。

偉い人は私服か!と、俺は今更ながら自分の私服っぷりを反省した。


それから俺はわたされた名札に名前を書いて、胸につけた。

今日はその格好でいいよ、新人ってわかりやすいもんということらしい。
27 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage]:2014/09/04(木) 23:09:48.04 ID:s3XFydp20
西「なら、まず説明始めようか」

西「ええっとね、コイツ、ミツキはホスト。まぁプレイヤーって普通言うんやけど」

西「俺や零。あと雷は内勤スタッフっていって主に事務が仕事」

西「カケルはミツキと同じプレイヤーな。平たく言えば、俺らは酒を用意する仕事で、お前らは女の子と飲むのが仕事」

俺「なるほど」

西「そんで、まずいっちゃん大事なこと教えとく」

西「ホストにはな、口が裂けてもいっちゃならん言葉があるのよ」


ミツキ「まぁ禁句ってこと」

俺「はぁ」

西「まずね、客の女の子の歳を聞かない」

西「これ常識な。フツーに教えてくれる子って案外多いけど、まぁこれはトラブル避けるためにまず覚えといて」

西「あと、職業も聞いちゃダメ」

俺「なるほど…」

西「ハイ、これなんでかわかる?」

俺「え?」

西「なんで仕事聞いちゃダメか!はいカケルくん!」

俺「ええっと、なんででしょうね?」

西「うんまぁいいや」

西「それはね、客の女の子は9割!もう断言するけど9割は風俗関係に勤めるのよ」


俺「!!!!!」
28 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage]:2014/09/04(木) 23:10:44.20 ID:s3XFydp20
西「はっはっははwwwwwwめっちゃ驚いてるやん」

西「それね、ドラマの見過ぎ。オバサンはめったに来ないんよ」

俺「あ、ほんとですか!俺、ぜったいおばちゃんばっかかと」

西「まぁ来ないこともないけど、どっちかというとオッサンの方が多いよな?」

ミツキ「はいっすね」

西「あんね、大体はキャバクラ、デリヘル、風俗、ソープとか。そういうの」

西「だから若い子ばっかよ」

ミツキ「うわ、カケルめっちゃ嬉しそうな顔しましたよ」

西「さすがやん。未来のナンバー1」

俺「いやいやいや」


と、ここから西が過去に斬った女性の話を始める。

俺はへえ!と大げさにリアクションを取りながらほとんど聞いていなかった。

そこへ、零が紙を持ってやってくる。


零「まず簡単なアンケート書いてくれる?」

西「うわっ!それ忘れてた。ナイス零ちゃん」

西「そ。あ、カケルお前身分証持ってきた?」

俺「身分証ですか?」

零「うわっ!ごめん言うの忘れてたな。いちおうね、身分証いるよ」

俺「住基カードならありますよ」

西「完璧じゃ〜ん」

零「んじゃ、コレ書いといて」

俺「はぁ」


そこには、志望動機やほしい給料の希望

彼女の有無

お酒が飲めるか

などの簡単な質問が並べられていた。
29 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage]:2014/09/04(木) 23:11:57.54 ID:s3XFydp20
アンケートを書く間、西が、オッサンが多いのはキャバクラの店長とかが女の子を連れて遊びに来るからだと教えてくれた。

なんでも、この店は女の子連れでなければ男は入れないらしい。

セット料(いわゆる席料。チャージともいう)も、男は倍の金額設定なのだ。


アンケートを書き終えると、店に大勢のプレイヤーたちが集まりつつあった。

俺は、とりあえず仕事教えんのは後からという言葉に従って店の奥へと移動した。

集合して、声出しや報告などをやるらしい。


俺「………」

ユウキ「お、カケルにしたんだ」


ユウキが俺の名札を覗き込みながら言う。

ユウキは話しやすい気さくな男だ。俺のホスト生活が続いたのは、ほとんどこいつのおかげだった。


ユウキ「俺ユウキね。なんでも聞いていいぜb」

俺「ああ、よろしくお願いします」

ユウキ「固い固い。タメ口でもいいよ全然」

俺「いや、そんなことできません」


実は一週間したらタメ口で、ときに命令形で接したりするのだが、今の俺にはペコペコとするしかできない。


ユウキ「へぇ、礼儀正しいわ。珍しいね」

俺「いや、どうなんでしょう」

ユウキ「うん、いいよいいよ。皆生意気やからカケル気に入ったわ」
30 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage]:2014/09/04(木) 23:13:10.13 ID:s3XFydp20


俺「ありがとうございます」


人間皆友達の新潟育ちの俺にとって、先輩というのはなれない関係だった。

はじめて目上と意識した男に気に入ったと言ってもらえるのは気分が良かった。


ユウキ「えっとね、これから今日の予定とか話したりして声出すんやけど」

俺「はぁ…」

ユウキ「まあ真似したらいいよ!最初はいくら失敗しても皆許してくれるから」

ユウキ「それからもっと無駄にテンション上げてこーな!」

ユウキ「嘘でも元気出すのが基本よ」

俺「うそでも元気…OKす!」

全然OKな気がしなかった。

周りに知り合いがいない中、空元気でテンションを上げるなんて無理だと思う。

言ってみればそれは、赤信号の歩道にワラワラと集まった人混みの中で大声を出すようなものだ。

俺にはできない。

だが、ホストとは、例えばそういうことをやってのけないといけない仕事なのである。


ユウキ「あーまだ固い固い」

ユウキ「もうちょっと元気ほしいな!可愛いからいいけど。たはは」


俺「は、はぁ…」


俺はとりあえずユウキについていき、やがて円陣の奥に埋まった。

たくさんのチャラ男が集まっている。

金、銀、茶、ピンクと派手な髪色の中、黒髪短髪ユニクロスタイルの俺は浮きまくっている。
31 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage]:2014/09/04(木) 23:15:50.25 ID:s3XFydp20

店長(小柄)「あー少ないね。ユウキ、お前は?」

ユウキ「今日は呼べてないっす」

店長「あーそう」

店長「お前、昨日営業した?」

店長「ちゃんとLINEなり電話なりで呼ぼうとしたの?」

ユウキ「一応そうしてるんですけど、」

店長「ああそう。んーまぁ、呼べない日もあるさ。でもな、最近全員多いよな」

店長「うん。たるんでる?」

店長「まだ来てないけどナンバー1のレイラはね、それこそ寝る間も惜しんでやってんだって!営業」

店長「意外だって思うかもしんないけど、アイツけっこー豆なの」

店長「うん。だからお前らもね、もっと客ほしい、もっとお金がほしいなら、ね?」

店長「ちゃんとやることやんなきゃダメだよいーですかッ!!」

「「はい!!」」

店長「以上おりゃーーーっす!!」

「「おりゃーーーーーっす!!」」



小柄な店長が一歩下がり、円陣に埋もれると、今度は茶髪を無造作にハネた無精髭の男が出てきた。

ソイツはみるからに高そうな光沢のある銀のスーツに身を包んでおり、圧倒的な存在感とオーラがあった。


銀「えー、おはよう」

「「おりゃーーっす」」

銀「うん。いいね、声出てるよ。気合いはあるみたいだね」
32 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/04(木) 23:16:48.85 ID:a+l7PZptO
今はホスト辞めたん?それも綴られるんかなw
読んでるよ〜文才あって楽しいw
33 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage]:2014/09/04(木) 23:19:00.38 ID:s3XFydp20
>>32ありがとう。やめるまでのことを日記みたく綴ろうかと


銀「さっきね、レンが言ったけどさ、やっぱ豆じゃなきゃいかんよ、ホストってのはさ」

銀「やっぱり、黙ってても女の子はお金使ってくれるわけじゃないよね?そうだろ?」

「「はい」」

銀「うん。まぁ黙っててもお金使ってくれるくらい惚れ込ませられるなら別だけど、ホストってそうじゃないよな」

銀「しつこいくらいガンガンいかないとね」

銀「いい?」

「「はい」」

銀「よし、じゃあそろそろ開店。あ、そう、新人くんいたね」


俺(うわっ!呼ばれた!!)

俺「は、はい!」

銀「お、じゃあ早速自己紹介してもらおうか」

俺「はい!」

俺「えーっと、今日体験入店に来たカケルです。まだ右も左も分からないのでご迷惑かけると思いますが、精一杯がんばります。おりゃーーーっす!!」

「「おりゃーーっす」」

俺(ホッ…)

銀「よし、じゃあカケルに仕事教えてやって?客が入るまで」

ミツキ「はい!」

銀「よし、じゃあ声出し行くか!!」

「「はい!!」」


「ウェルカムプリンセーーース!!」

「「ウェルカムプリンセーーース!!」」

「サンキュプリンセーーース!!」

「「サンキュプリンセーーース!!」」

「愛してるぜプリンセーース!!」

「「愛してるぜプリンセス!!」」

俺「お、おー!!」
34 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage]:2014/09/04(木) 23:20:19.44 ID:s3XFydp20
ーーーーーーーー

ーーーーー

ーーー

ミツキ「よし、んじゃ仕事教えるから」

俺「おりゃーーっす!」

ユウキ「今は普通いでいよ」

俺「あ、はい」

ミツキ「めっちゃ気合入ってんやん」

俺「ええまぁ」

実は銀スーツのオーラ全開スターがめちゃくちゃ怖かったからだとはいえない。

素人目にもわかるほど、銀スーツはカリスマホストというやつだった。


ユウキ「今どこまで教えた?」

ミツキ「いや全然っす。禁句くらいっすね」

ユウキ「そっか。んーまぁ開店近いしさ、流れを理解してもらおうか」

ミツキ「あ、そうっすね」

俺「?」

ユウキ「じゃあカケル、まずはおおまかな流れから説明するよ?」

俺「はいっす」

ミツキ「よしじゃあついてきて」


そう言われ、俺は先を歩くミツキとユウキについていく。

向かった先は店の入口、カウンターだった。
35 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage]:2014/09/04(木) 23:21:26.33 ID:s3XFydp20

ユウキ「えっとね、まずこっから女の子来るから」

ミツキ「どうします?初回とビジターは」

ユウキ「うーん、じゃあまず初回からいこっかな」

ミツキ「うっす」

俺は彼らん会話の内容がちんぷんかんぷんで、異国に来ているような気分だった。

ユウキ「じゃあねカケル、まずは女の子が初見だったときのをやるよ?」

初見、と聞いて、俺はなんとなく女の子がはじめて入店したときの場合かと想像し、話を聞いた。

ユウキ「まず初回の子来たら、内勤さんとカウンターで話してるから、その間に俺らが準備するわけ」

そう言って、ユウキはカウンターから3メートルほど奥に入った場所に移動する。

そこには大きな棚があって、いろいろなものが収納されていた。

たとえばカラオケにつかうデンモクやマイク

レストランに置いてありそうなメニュー

ひざ掛けタオルケット



など様々だ。

ユウキはその中からひざかけを取り出し、小脇に抱え、さらにメニュー本を取り出して手に持った。

ユウキはそれから、黒い大きな箱を開けた。

大きな箱は、開くと同時に白い湯気を上げる。中から出てきたのは蒸されたおしぼりだ。

ユウキはおしぼりを握るのではなく、挟むように、できるだけ手を付けないような持ち方で持った。

俺がホスト業界を見なおした瞬間である。
36 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/04(木) 23:22:16.26 ID:a+l7PZptO
私も昔ホストガッツリ通ってたから懐かしいよ〜
更新すんの早いしストレスフリーやわw完結まで頑張ってね〜♪
37 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage]:2014/09/04(木) 23:22:43.19 ID:s3XFydp20

ユウキ「えっとね、これはメニューね。お酒とかおつまみとかそういうの」

ユウキ「んで、こっちは店が寒いかもしれないから女の子用のひざ掛け。あとおしぼりね」

ユウキ「おしぼりは握ったら清潔感なくなるじゃん?だからね、こういうふうに持つ」

俺「おお」パチパチ

ユウキ「たはは。すごいっしょ?」

ユウキ「じゃあミツキ女の子役やって」

ミツキ「は〜い☆」

ユウキ「キモ。帰れ」


それから、ミツキは内勤さんと話すフリをし、やがてこちらに振り返った。

ユウキは店中に響くように声を張り上げる。


ユウキ「ウェルカムプリンセス!!」


すると、店中から同じセリフが返ってくる。

俺は、体育の時の復唱を思い出していた。

そして、同時にホスト業界の接待術に感心していた。

店中の人間からプリンセスともてはやされる、やはり、そこには並々ならぬ快感があるのだろう。
38 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage]:2014/09/04(木) 23:23:57.85 ID:s3XFydp20


ユウキが先導する形で、先を歩く。

ミツキは大げさな内股で1メートルほど後ろを歩いた。

ユウキ「こんときね、距離は大体1〜2メートル。後ろを顔半分で見ながらちゃんと女の子がついてきてるか確認しながら歩いて?」

ユウキ「なんでかっていうと、もう2,3軒回ってベロンベロンっていう女の子もたまにいるからなんだけどね」

俺「なるほど」

ユウキは席につくと、手で促してミツキも奥のソファに座らせた。

それからテーブルの向かい側で、座るのではなく地面に膝をつく。

すばやい丁寧な動作で女の子の前にコースターを置き、


ユウキ「おタバコはお吸いになれますかー!?」


大きな声で聞く。

俺としてはタバコを吸う女なんて論外なのだが、実際、水商売の女性の喫煙率はとんでもない。

ほとんど8割が吸うと言っていい。もちろん、ホストに来た客のうちの、だが。

俺は二人のやりとりを、聞いていることを示すように頷きながら眺めていた。


ミツキ「……」コクン


ミツキは黙って頷く。気取っていて、なんとも高飛車な女という感じだ。役者である。

ユウキがクリスタルの灰皿を、向きを意識しながら彼女の前においた。

こういうとき、利き手を見ながら利き手側にするらしい。

ユウキ「ひざ掛けお使いになられますか?」

ミツキは再び頷いた。

ユウキが軽くひざ掛けを広げながら渡す。

ユウキ「あんねカケル、これは寒いからってのもあるけど、女の子のパンツを隠す意味もあるんよ」

俺「え?」

ユウキ「女の子ってミニスカートの子多いから、向かい側の俺らに見えないように隠すため」

俺「はぁ!」

俺はまた感心してしまった。

チャラチャラしてる奴らが、ふざけて運営しているわけじゃないとわかったのだ。
39 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage]:2014/09/04(木) 23:26:06.13 ID:s3XFydp20
>>36
ここまでしか書いてないからストレスフリーというわけには行かん。
また暇な時あったら覗いてくれ
40 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/04(木) 23:27:43.08 ID:a+l7PZptO
>>39
なんだ、書き溜めしとんかと思ったw
おっけー!待ってまーす(^^)/
41 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage]:2014/09/04(木) 23:33:15.29 ID:s3XFydp20
>>30>>31の間が抜けてた


円の中、俺の正面にいた小柄な男が声をはりあげた。あとから聞いたが、コイツが店長らしい。


店長「おりゃーーーーーーっす!!」

「「「おりゃーーーーっす!!」」

俺「……お、おりゃーっす」


店長「よし!今日も遅刻がいなかったのはいいことだな。これからも続けていこう」

店長「まぁでも、言ってみれば遅刻しないなんて当たり前のことだから」

店長「ねえユウヤ」

ユウヤ「うっす」


ユウキ、ミツキと一緒にいた一番やんちゃそうなユウヤが申し訳なさそうに頭を下げる。

ユウヤはお寝坊さんらしい。


店長「お前さ、ちゃんとめざましやってる?」

店長「今日は間に合ったけど、昨日一昨日と続いてるからさ」

ユウヤ「うっす」

店長「じゃあ皆も気をつけてください」

「「はい!」」

店長「えーどんで、今日『呼んだ』ヤツ手挙げて……」


呼んだ、とは、自分を指名してくれた女の子、つまり自分の客を今日お店に呼べるかどうかの確認作業のことだ。

ホストにはそういったノルマがかせられている。

つまり、ただ担当の客を作るだけでなく、こうしてつなぎとめ、度々店に来てもらわなければならないのである。
42 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)[sage]:2014/09/04(木) 23:43:45.46 ID:s3XFydp20
次の更新は明日以降 気長に見てくれ
43 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/04(木) 23:46:02.12 ID:a+l7PZptO
>>42
予定は未定ですね分かりますw
じゃあまた見に来るね〜
44 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県)2014/09/05(金) 07:21:25.65 ID:abRM/lmWo
 
45 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/08(月) 20:01:32.93 ID:4s5tXIfoO
待ってる(´ω`)
46 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県)2014/09/08(月) 21:14:00.97 ID:L7ohV/3Po
続きまだかな〜
47 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2014/09/27(土) 19:08:46.68 ID:/chK7xPcO
結構面白いからがんばって
48 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)2014/10/01(水) 13:41:11.87 ID:0V4X9lO3O
もう続き書かないのかな
49 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県)2014/10/19(日) 10:41:09.55 ID:z5Aoe6uNo
あげ
50 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(千葉県)[sage]:2014/11/08(土) 20:12:20.55 ID:umE9g/km0
http://i.imgur.com/RX4ipqv.jpg
51 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(千葉県)[sage]:2014/11/08(土) 20:25:46.44 ID:umE9g/km0
http://i.imgur.com/iuGWk7e.jpg
52 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(千葉県)[sage]:2014/11/08(土) 20:45:35.49 ID:umE9g/km0
http://i.imgur.com/aZg2ZRc.jpg
http://i.imgur.com/fsAkGA8.jpg
http://i.imgur.com/1Bjgn7D.jpg
http://i.imgur.com/ubvQn2F.jpg
http://i.imgur.com/Z1JLnpt.jpg
http://i.imgur.com/1iYUOhs.jpg
53 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL)2014/11/09(日) 14:49:37.96 ID:svX6T7ex0



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