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HTML化した人:Kastanie
【終わることのない】能力者スレ【戦いの系譜】
1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage saga]:2015/05/17(日) 01:45:34.20 ID:NUmcWzjho
ようこそ、能力者たちの世界へ。
この世界は、数多の能力者たちが住まう世界。


無限大の大きさのこの世界。
多くのことが語られたこの世界だが、まだまだ多くの空白がある。
先人たちの戦い、絆、そして因縁。これらが絡み合い、この世界は混沌としている。
もしかすると、初めて見た貴方はとっつきづらいと思うかも知れない。
――だが、この世界の住人は新しい来訪者にことのほか優しい。
恐れず、以下に示す雑談所や、場合によってはこのスレでも質問をしてみてくれ。
すぐにスレへの溶け込み方を教えてくれるだろう。


【雑談所。質問や現状、雑談などはこちらでどうぞ】
PC【http://jbbs.livedoor.jp/internet/14029/】 


【はじめに】
このスレの元ネタはVIPで行われていた邪気眼スレです。
長く続けるに際して、いくつかのルールを設けています。以下にそれを記します。
・この世界は「多様性のある世界」です。
・完全無敵の能力は戦闘の楽しみがなくなり、またスレの雰囲気も壊れますので『禁止』です。 
・弱点などがあると戦闘の駆け引きが楽しめます。
・戦闘では自分の行動結果に対する確定的な描写を避けること。【例:○○に刀で斬り付ける。○○の首が斬れる】など。
・基本の心構えですが、「自分が楽しむのと同じくらい相手が楽しむことも考える」ことが大事です。
・書きこむ前にリロードを。場の状況をしっかり把握するのは生き残る秘訣です。
・描写はできるだけ丁寧に。読ませる楽しみと、しっかりと状況を共有することになります。
・他のキャラクターにも絡んでみると新たな世界が広がるかも。自分の世界を滔々と語ってもついてきてもらえません。
・新規の方から「誰が誰だかわからない」等の要望があったため、議論の結果コテハンは「推奨」となりました。強制ではありませんが、一考をお願いします
・基本的に次スレは>>950が責任を持って立ててください。無理なら他の能力者に代行してもらってください。また、950を超えても次スレが立たない場合は減速を。
・スレチなネタは程々に。
・スレの性質上『煽り文句』や『暴言』が数多く使用されますが過剰な表現は抑えてください。
・基本的に演じるキャラクターはオリキャラで。マンガ・アニメ・ゲームなどのキャラの使用は禁じます。(設定はその限りでない)

【インフレについて】
過去、特に能力に制限を設けていなかったのでインフレが起きました。
下記の事について自重してください。
・国など、大規模を一瞬で破壊できるような能力を使用。
・他の人に断り無しに勝手に絶対神などを名乗る。
・時空を自由に操る能力、道具などを使用する。時空を消し飛ばして敵の攻撃を回避、などが該当します。
・特定の物しか効かないなどの、相手にとって絶対に倒せないような防御を使う。
・あくまで能力者であり、サイヤ人ではありません。【一瞬で相手の後ろに回り込む】などは、それが可能な能力かどうか自分でもう一度確認を。
・全世界に影響を及ぼしたり、一国まるごとに影響が及ぶような大きなイベントは一度雑談所でみんなの意見を聞いてみてください。

 勝手に世界を氷河期などにはしないように。
・能力上回避手段が思いついても、たまには空気を読んで攻撃を受けたりするのも大事。
・エロ描写について

 確かに愛を確かめ合う描写は、キャラの関係のあるひとつの結末ではあります。
 なので、全面的な禁止はしていません。
 ですが、ここは不特定多数の人が閲覧する『掲示板』です。そういった行為に対して不快感も持つ人も確実に存在します
 やる前には、本当にキャラにとって必要なことなのか。自分の欲望だけで望んでいないか考えましょう。
 カップル、夫婦など生活の一部として日常的に行う場合には、一緒のベッドに入り、【禁則事項です】だけでも十分事足ります。
 あまり細部まで描写するのはお勧めしません。脳内補完という選択も存在しますよ。

前スレ【http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1429691940/
wiki  【http://www53.atwiki.jp/nrks/
2 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc2015/05/17(日) 20:14:52.49 ID:1qLVFI7DO
>>1おつ!
3 :エース・セブン ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/17(日) 20:14:54.33 ID:SuS8izi2o
>>1
>>997
ヒィッ!!……せ、セーフ……


───ケッ!あんの犬畜生め!人間様に噛み付こうなんざ一万年はえーんだよ!二足歩行に進化してから来やがれってんだ!!バーカバーカ!

【ケルベロスが扉に体当たりした瞬間、ビクッと体を縮こませたが、それ以上何も無いとわかると急に強気になって叫ぶ】
【それがケルベロスに聞こえたのか聞こえなかったかは定かでは無いが、聞こえたとしても意味が通じたかはわからないが、取り敢えず心の平静は保てた】

【取り敢えずデスクを探してみるも、(エース目線で)特に金目になりそうに見える物はなく、見付けたノートをパラパラ見てみるも、その意図する所は全くわからない】

なんだこれ?落書きばっかじゃねーか……あいつの黒歴史ノートか?

【金目ではないなら興味無し、という事はある意味一貫している。このノートからダグラスの事を考察しようなどとは思いもせず】
【取り敢えず小銭が入った小袋をネコババすると、出口を探す事にした】

【出口と言っても、鉄扉の向こうにはケルベロスがいるし、だとすれば窓くらいしかないが、下手に外に出るのも気がひける】
【そういう事で、これだけ本があるなら『アレ』もあるかもしれないと、手近な本棚から調べてみることにした】

えーと……こーゆー所にありそうだけどな……

【そう、エースが探しているのは『隠し扉』のスイッチ、本に見せかけて引くと本棚がズレるようなアレだ】
【かと言ってこれだけ沢山の本の中から見つけ出すのも骨が折れる、運良く見付かりでもしなければ早々に切り上げて窓から出る事にするだろう】
【……ついでに、高そうな魔導書とかそういうのがないかも探して】
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/17(日) 20:17:11.79 ID:VvNx5/GV0
//>>1乙です!

>>977

【―――この場所に来るのは二度目だった】
【一度目は、ドラクレア島から戻って来た時……。あの時には既に此処は廃墟で、誰も居なかったが】
【今、此処にとある人物のかつての親友が訪ねて来ていると知り―――彼女は、此処を訪れた】

【上質の絹糸のようなブロンドの長髪を時折吹く風にさらりと靡かせ、頭には白いキャスケットを被り】
【澄んだマリンブルーの瞳は重い覚悟を示す様に据わっている。右の目元には泣きぼくろ】
【白いシャツの上に桜色の薄手のカーディガンを羽織り、そこからすらっと伸びる手首は白魚のよう】
【白いレース地のロングスカートを穿き、足元に履かれているのは可愛らしいパンプス】
【首には十字架のネックレス、左手の薬指にはプラチナリングとダイヤモンドの指輪が煌めく】

……お久しぶりで御座いますね、ダグラスさん。直接会ったのは、あの結婚式の時でしょうか?
あの時はお世話になりました。ふふっ……映像、貴方が撮って下さったんですってね。

【ダグラスに微笑みかける。―――ダグラスも、この女性には会ったことがあるだろう】
【彼なら、もしかしたら夫に……フレデリックやアーグに繋がる情報を持っているかもしれない】
【藁にも縋る気持ちで、会いに来た。……彼は神出鬼没、この機会を逃せばもう会えないかもしれない】
【絵画の盗難については許せるものではないが……―――今日は、それが目的で来たのではない】

今日は、六罪王としてでなく旦那様の元親友として貴方にお会いしに参りました。
―――単刀直入に申しましょう。私は、旦那様の行方の手掛かりを探しに来たので御座います。
……貴方はドラクレア島でアーグと共に居ましたよね。―――そのアーグが、旦那様の体を乗っ取ったのは御存じですか?

私が貴方に願う物は、旦那様やアーグに繋がる情報です。……それを得るには、この扉に繋がる何かを掃除すればよいのですね?

【……表情は至って真剣。今は情報が欲しい。その為なら何でもする―――そんな覚悟】
【少し前にカニバディールに負わされた傷は、まだ完全に癒えていないが……それでも、愛する人に繋がる情報を得る為に】
【―――手を掛けるのは、月が描かれた黒い扉。その先に何があるのかは分からないが―――】

//それでは宜しくお願いします!
5 :ヴェール=カタストルフ[saga sage]:2015/05/17(日) 20:19:27.52 ID:GD5rwOkWO
//>>1乙であります

前スレ>>997

ハッ!誰に言ってんだ

【ダグラスの言葉を最後に扉を開いて通ると場所が明らかに変わった】
【空は光のさすことも無いくらいの厚い雲。硝煙と血の入り混じった匂い。鳴り響く爆発音や機械音。何処までも平和とはかけ離れている】

【言葉を失ったかのように黙り込む。肩を震わせて下を見るように俯く】
【そうしていると彼の後ろに銃が突きつけられ『Freeze』と声をかけられた】
【当然男に共通語などという学はなく、聞き取れたのは『動くな』という単語のみ】
【この一単語と背中に突きつけられた銃、それだけで状況くらいはわかっているつもりだが。未だに俯き肩を震わせて彼は一言呟く】

───Good-By

【笑い混じりのその声と共に一気に背後に振り向きながら能力を発動】

───銃殺!───

【振り向く彼の手にはいつの間にか拳銃が握られてあり背後の男の眉間に向かって躊躇なく発砲した】

くっは!ははは…!あーははは…!!こいつはとんでもねぇところだ!いい趣向だぜぇ!?六罪王!!

【どうやら肩の震えは笑いを堪えてたようで大笑いしながら聞いているかもわからないダグラスに向かって言葉をかける】
6 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2015/05/17(日) 20:26:12.27 ID:D6mZk/g9o
/一乙です!

>>996

報酬でも対価でも必要であるなら私は何でも出すわ、今更躊躇なんてあると思って?
とは言うけど個人で出来る範囲は限られているから限度もあるけど、とにかく言い淀む前に何が必要か言いなさい
その上で……考えるわ、そうするしかないもの

【重々しいジンジャーの口調、握手も片手間に魔女の出した答えは単純な物】
【もう背負うと決めたのだからそれに必要だと云われる物を惜しむつもりは無い、可能な限り全てを捧げるというもの】
【元より切るカードが少ないのだからやるべき事に躊躇いがあっては事を成すは難しい】

「はいはい、ありがとねお兄ちゃん達……こんな老婆に優しくしてくれるなんて涙が出るねえ
どこぞの魔女に爪の垢を飲ませたいくらいだよもう、やっぱり若者はお年寄りを大切にしてくれないとねえ」

【飄々としたままに老婆は現れた全員へと態々握手を求めて歩く、柔和な笑顔は実に「お婆さん」らしく】
【しかし魔女の知り合いの魔女、感覚に聡い人間ならば触れた時に僅かばかり違和感を覚えるかもしれない】
【表皮の下に静かに巡る魔翌力とより深くに潜る蠢く物、しかし何かを悟り声を掛けても「静かにね」と笑顔のままで返すのみ】

>>998

別に一括でも構わないけど?……ごめんなさいやっぱり暫く待って頂戴、約束はちゃんと守るから
そうね……出世払いとかで、そのなんとかしてくれると凄く助かるのだけど――――――――
まあ事が終わってからキチンと話し合いましょうか……うん、そうしましょ

ここまでありがとね、だからまた「後で」

【強がりな言葉はしかし頭を抱えて首を横に振る、現実問題として無い袖は振れないというお話】
【金は天下の周りものなれどその全てが己の財布に流れるというわけでもない】
【運び屋を無事完遂した彼にひらりと手を振って、ならば次の仕事は自分の番】

……と、別に怖がらなくていいのよレイン?少なくとも敵ではないからね
喩え敵だったとしても私が居るから安心でしょう?ね?……これからの事で手伝ってくれる人達なのだから
きちんと挨拶しなきゃ駄目よ、お世話になる人には相応の礼を以って応えなきゃね?

【ふと傍に寄る気配に驚きながらもそれが誰かと考える必要もない】
【怯える少女の背中をそっと触れて前に出るように促す、掌は例えようもなく暖かい筈だ】
7 : ◆iBPkBgx72E[sage saga !red_res]:2015/05/17(日) 20:28:36.73 ID:o4xv3fe6o
>>1000

う、ぐっ……!不快な術を使う女(ヒト)でありますな、貴女は……!
ですがその読みは間違っているでありますよ……ふ、フフッ…。

……―アーグは、あれは生かしておいてはいけない存在であります。
表面上、ダグラス殿は彼と協力してはおりますが……。
……、…………私の任務は、死を偽装してあの怪物を欺くこと。

【――つまり、記憶の排除というよりは、この場合の解釈だと】
【"彼女たちをこの世界から連れ出すこと"が、その達成条件に当たる。】

【そうも考えられるだろう。もっとも、唐突で中々先の見えない話】
【少女の不快そうな顔は言うまでもなく、額に浮かんだ汗がつぅ、と顎先に滴って。】
【そこで解放すればよし。そうでなければ――不意に、背後に気配を感じる筈だ】

>>3

【本棚を漁れば、出てくるのはスケッチ用の画集やら、そういうものばかり】
【なぜだかある一角には薬学の本もあったが――仕掛け、というのは無いらしく】

【起きたことといえば、偶然落ちた本が工具箱をひっくり返し】
【その中身――筆やら、トンカチやら、クランクの柄やら六角レンチやらがばら撒かれたくらいだ】
【ちなみに窓は普通に開く。出れば、周囲四方を館が取り囲む形。扉も幾つか見当たって】


『「―――――Grrrrrrrahhhhhhhhhhhhhhhh―!!!」』


【――轟音と共に、左側の壁が破壊される。煙の中から出現するのは】
【もう言うまでもないだろう。地獄の番犬が、ダラダラと唾液を垂らしながら6つの瞳をエースに向けて現れた】
8 : ◆iBPkBgx72E[sage saga !red_res]:2015/05/17(日) 20:47:31.15 ID:o4xv3fe6o
//>>1乙であります!

>>4

……おや、久々だね。相変わらず……と云う訳ではないようだけど。
ボクもハッキリ言わせて貰えば、事情は全て把握しているよ
だが此処はそれを話すには相応しくない…――そう、まずは願いを叶えて欲しいんだ

ボクは、月が大好きでさ。だからその扉には、今まで見た全ての月の記憶と――

【――久しき邂逅、しかしダグラスが調子を変えるような事はなく】
【マリアが扉を開けて進んだなら、そこには夜の砂浜が広がっている】
【空を見れば大きな満月。さざ波と、海風と、潮の香りがふわりと広がり】

――月の記憶と、それを認識した様々な『ボク』が此処には居るんだ。
 若い男、女、或いは年を取っていたり、人ではなかったり。

 此処でのお願いは簡単だよ、奥方様。……『ボクの中の僕を殺して欲しい』んだ。

【月の数は無限と思われるほどに増え広がり、砂浜に無数の人物像が浮かび上がる】
【男性、女性、老人に子供。ダグラス・マックスウッドという無数の人格が】
【揃って声を掛けてくる。――かの六罪王は、人の痛みや感情を察知しきれない所があるというが】

【或いは、それが精神的な理由に寄るものだとして。そして、この心象風景が】
【その"精神的な理由"を体現したものだとしたら――。――20代の男性に見えるダグラスが、小首を傾げて答えを待った】

>>5

『ぐぉ、ッ……!』 「ッ……!テメェ、やはりナチの残党かっ!」
[お前ら、早く増援を呼んでこい!衛生兵もだ、走りやがれっ!!]

【背後の男は軍人だった。しかしあまりに唐突で容赦の無い一撃に】
【彼は、あっけなく死んだ。――そして、その背後に控えていた仲間たちは銃を構え】
【一斉にヴェールへと銃撃を開始する。ハンドガンではなく、その武装はマシンガンだ】
【まともに受ければ蜂の巣、ショック死か失血死か――命はあっけなく消え去るはずで】

――キミは戰爭を楽しむタイプの人間なんだね、ベクターと相性が良さそうだ。
 だけど、此処で暴れてもいずれは死ぬだけだよ。彼らは占領軍なんだ
 そしてキミは、征服されるべき側の敵と思われている……大通りから、集会場を目指すことをオススメするけど。

【聞こえるのはダグラスの声。此処は小道だが、少し走れば大通りへとつながっていて】
【更にそこから直線で真っすぐ行けば、恐らくは"集会場"らしい建物が見えるだろう】
【塹壕と、大きな鉤十字の旗がはためいている。抵抗勢力最後の砦、というところか】

【――無論、従う必要はない。ただ、近くを見れば鍵の刺さったジープが停車してもあって。】
9 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/05/17(日) 20:50:15.55 ID:1qLVFI7DO
>>7

そうかしら──? ふふふ……この子たちは私にとってはとても愛らしいのだけれど
だって、思い通りに動くのよ? ふ、ふ……捕まえるも絞め殺すも思いのまま
こうやっていたぶる道具にもなるんだもの──


【くつくつと、彼女は笑っていた。不快と罵られることは、彼女にとって称賛を浴びるに等しいもの】
【ぞろりと蛇の動きを途切れさせないままに彼女はブランデンの話を聞いていたが──】
【その真意を聞いてしまえば、つまらなさそうにため息をつくのだ】

【ロゼッタからしてみればこのままどうやって血を流させよう、と思っていたところ】
【しかし話を聞く限りでは、どうも殺す相手ではなさそうなのだ。期待していた分、落胆は大きい】
【拘束を解かないまま、彼女はしばし思考を巡らせる。今の少女の言葉が、嘘でないかどうかの判断を決めかねているのだ】
【──結局到った答えは、「ダグラスの元に連れていく」というもの】
【元よりダグラスから受けた依頼なのだ。依頼対象を彼の前に連れていけば、すべてが楽に解決する】


────!?


【だが、手にした答えを実行に移そうとしたところで、背後に気配を感じた】
【思案に意識を裂いていたのもあって、反応は多少鈍い。背後の者に攻撃の意図があるならば、今なら容易】
【勢いよく振り返ろうとするロゼッタ。まだ、間に合う。奇襲をするなら、彼女が後ろを向ききるまでの僅かなタイミングのみ】
【彼女が背後を向けば、その者にも数瞬遅れてではあるが、新たに発生させた影蛇たちが拘束せんと襲いかかる──!】
10 :エース・セブン ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/17(日) 20:53:05.46 ID:SuS8izi2o
>>7
ちっ……金目の本もスイッチもねーのか……
しゃーねぇ、窓から出るか───ッ!?

【いくら本棚を探しても、目的の物は二重に見付からず、かと言って虱潰しも日が暮れる、こういう時は引き際が肝心だ】
【さっさと窓から出て鍵を使おうとした───その瞬間、大きな振動がして、落ちた工具箱から工具がばら撒かれる】
【その盛大な音に跳ね上がり、嫌な予感から冷や汗がダラダラと流れてくる、その予感が外れていて欲しいと、恐る恐る振り向く、と……】

……あ、ハッハッハ……元気なワンちゃんだなー……

【引き攣り笑いを浮かべながらケルベロスから後ずさって、足に当たった適当な工具を拾う】
【だが、クランクの柄を持った所で一体何の足しになるというのか?精々歯応えをプラスしてやることくらいしか出来そうに無い】

……あばよーっ!!追ってくんじゃねーぞ!!マジで!!振りじゃねーからな!?

【選ぶ選択肢はやはり闘争、踵を返し猛ダッシュで窓に向かい、ワタワタと情け無い姿で窓から出る】
【尺取り虫のようになって頭から中庭に這い出ると、すぐにもケルベロスが追ってくるかもしれないと逃げ道を探す】
【右、左、どこの扉を潜ればいいのか全くわからないので、取り敢えず目の前にある扉に真っ直ぐ駆け込む事にした】
11 : ◆SwXWg9i6yU[saga]:2015/05/17(日) 21:01:50.47 ID:5OkJ+tWBO
>>1乙ですっ。

前スレ>>999

【『話したいことはなんだっていい』『語りたくない部分は語らなければいい』────そんなことを言われたアリスは数秒の沈黙と共に深妙な顔付を見せた】
【何を話せばいいか────語りたくない部分と言われて思い浮かぶのは"身内"と"国の裏側"についてだったが──それ以外に語りたくない部分はなかった】
【ベルの聞きたい情報はどうやら自身のことならなんでもいい様で──では年齢だけでもいいのかな、ても思ってしまう】
【しかしそんな意地悪をしてしまうと後が怖い────主にカメレオンが】
【無意識的に顎に手を当て、360度どう見ても悩む者の姿となるアリスは先程の──今の沈黙の前にベルが話した見本と言えよう内容を思い出し──────】


そうね…………。
まあ、一応最初から──……名前からが妥当かしら。

私の名前は"アリス・ルシフェー・ローズ"。
出身国は"ゼノン"──……代々魔法使いの一族"ローズ家"が王国を納めている"魔法使いの国"。
住人は……外から移住してきた者以外の──元々国に住んでいる人達は当たり前の様に魔法を使うわ。
──………っていってもゼノン自体が小国だから魔法使いの存在自体少ないけど……ね。


【アリスの出身国は──《ゼノン》と呼ばれる小さな国。国が立ち上がった時代から住んでいた住人や──その親族は魔法使いと呼ばれる存在であり、文字通り"魔法を使う"】
【経済的には豊かな国ではあるが国の規模は小さく住人も少ない────加えて国の名前自体あまり知られていない。言い換えれば名もなき国】
【そんな国を納めているのは《ローズ家》と呼ばれる一族であり、今現在の国のトップもそのローズ家でありアリスも次期王女候補な為にローズ家出身だ】


うッ…………だ、駄目じゃないけど────……………あまり詳しくは話せないわよ?
ていうか、貴女って無能力だったのね……。


【正直自身の能力はあまり話したくなかった────と最初は思っていたが、よくよく考えたら魔法使いと言っているので話しても差し支えないだろうと────】
【先程までマシンガンの様に質問が放たれていた手前────最後の此方に気を使った『駄目かな』に思わずたじろぎ不思議と頬を染めた】


私の能力は………まあ、さっきの説明を聞いたら分かると思うけど──……魔法を操る能力よ。
使う魔法の属性──とでも言えばいいのかしら? まあ、よくある炎属性や闇属性みたいに私は光属性──………聖魔法を操るわ。
因みに、私は立派な"人間"よッ! いいわね!!


【此方の瞳を覗かれて────アリスはそれが何故か気恥ずかしく感じた様で、顔を右に逸らすと一歩、二歩とゆっくり波に沿って歩き出した】
【といっても実際にその場から離れるわけではなく、数本足を進めるとアリスは動くことを止めて星々を見上げながら──ベルの質問に答える】
【自身が人間だと初見で分からなかったベルに些かなながらに苛ついたアリスは其処を一番主張させてベルを指差し強く"教えてあげた"】
【その時だけだ、先程のカメレオンに怯えた面影はなく────更に言えば先程までの性格や口調が違う様にも見えるだろう】
12 : ◆iBPkBgx72E[sage saga !red_res]:2015/05/17(日) 21:07:48.85 ID:o4xv3fe6o
>>9

【振り向けば、そこにいるのは真っ黒な鎧――そう形容するのも悩ましい】
【合金の塊とでも言えばいいのか。腕や足、胴や頭部】
【全て真黒でつるりとした金属質で出来ていて、表情はおよそ読み取れない】

【――或いはマインド、という概念を知っていれば、それかと想像出来るかもしれないが】
【ともかく、その黒鎧は豪腕を伸ばしてロゼッタの首を締め上げようとするだろう】
【大きさで言えば180cmの男性に近いのだ。そして何より、その体躯は合金であり】
【影という存在の力では、そうそう傷を負わせる事は叶わないはずで】

なっ、ぁ……"お姉さま"の、マインド……?
まさか…――起きている、ハズが…、……ぐぅ……!

【この場で動く可能性があるのは、ベッドに寝ている女性。しかし、やはり彼女は起きないままで】
【拘束された少女・ケミッシュはこの隙に力を込めて影を払おうとするが――。】
13 : ◆iBPkBgx72E[sage saga !red_res]:2015/05/17(日) 21:11:57.89 ID:o4xv3fe6o
>>10

【吐息一つ取っても禍々しい。グルル、と唸るケルベロスが】
【まさか、侵入者を前に止まるはずもなく――扉へと駆け出したエースを狙い】
【凄まじい勢いで猛追を始め、左右の首からは火炎と凍結のブレスを吐いて襲いかかる】

【――目の前の扉は、よりにもよって大扉。左右に開けるそれであり】
【飛び込めば舞踏会場にでも使うような広い部屋に入ることとなるだろう】

【ところがめぼしいものはなにもない上に埃っぽく、扉の巨大さ故に】
【ケルベロスは真っ直ぐに部屋へと飛び込んで、エースを食い殺さんと迫るだろう】
【部屋に唯一あるのは、舞台上のピアノ。後はシャンデリアと、火の消えたろうそくが何組か。】

【壁際にはいくつか通路へ出るための扉も在ったが――地獄の番犬は、そう諦めてくれそうには無い。】
14 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/17(日) 21:19:36.15 ID:VvNx5/GV0
>>8

【「事態を全て把握している」―――その言葉を聞いた彼女、マリアの鼓動は俄かに速くなる】
【彼なら、夫に繋がる情報を持っているかもしれない。助けられる糸口が見つかるかもしれない】
【僅かな可能性を信じ、探し、此処まで来た。その可能性が、今ここで示されている―――!】

【―――扉を開けると、其処には名月とでもいうべき美しく丸い月が浮かんでいた。】
【彼は月に、ある意味恋とでもいうべき執着心を抱く程の、強い拘りを見せていたが】
【確かに、こんなに美しいものならば虜になってしまうのも不思議ではないのかもしれない】

【……その月が無数に増える。星の数ほどに月が増え、広がり、空を埋め尽くす】
【同時に、様々な人影も同じ数だけ……つまり、無数に浮かび上がっていく……】

―――掃除して欲しいものとは、……この記憶の中の無数にある貴方=B

【彼はこれらの人を、記憶の中の自分と言っていた。月は、今まで見てきたすべての月だと】
【―――これが、彼の心を映す景色だとするならば―――】

―――貴方は……季節や場所によって様々な表情を見せる月に、人格を見出したのですか。
その人格を、貴方自身のものとして捉えたのが―――この人影ですか。

可能なら、一つ問いたい事が御座います。―――なぜ、貴方はこの月と人格の記憶を消したがるのですか。
……貴方は月が好きなのでしょう?この人格が、その月を捉えたものだとすれば……

【じっと、澄んだ瞳をダグラスに向ける。―――どうしてこんな事を依頼するのか、その理由は一体何なのか】
【この人格を消した先に、何があるのか―――】
15 :ヴェール=カタストルフ[saga sage]:2015/05/17(日) 21:25:57.26 ID:VDIf0bZaO
>>8

ハッハー!!良いぜぇもっと来いよ有象無象がよぉぉぉ!!

【次々と軍人が集結してくるのを確認し銃を構えた時に彼は撃ち殺した時代を射線上に蹴り飛ばす】
【流石にいつまでも耐える盾にはならないがそれでも何秒かは持つだろうその隙に片手を地面につける】

───磔刑───

【地面から細い十字架の様なものが出現、完全に出現するのには時間にして3秒というところか。出現した十字架は瓦礫などを吸い込み数倍の太さとなって彼の目の前にそびえ立ち銃弾を遮る】

あーははは…!まさしく地獄だなこれは!

【十字架を盾にして笑っているが絶え間ない銃弾は時期に瓦礫を削っていくだろう】
【上機嫌な彼の元に先ほどの六罪王、ダグラスの声が聞こえてくる】

言ってくれんじゃねぇかよ、えぇ?六罪王様がよ!!まぁこんな有象無象よかは大元の方が楽しめそうだし?口車に乗ってやるよ!

【普段なら反骨精神丸出しで意地でも従わないところだが機嫌が良い。手のひらで踊るくらいは許してやろう】

───絞殺───

【地面から手を離し手から荒縄を出現。十字架は効力を失ったのか少しずつ崩れていく】
【手に持つ荒縄は意志を持ったかのようにジープのサイドミラーに向かっていき、一人でに括られる】
【括られたのちに荒縄が収縮、彼はジープの方へ引っ張られていく。十字架の影で隠れていたがもしかしたら気づいて発砲する軍人もいるかも知れない】

【引っ張られるままジープに乗り込み鍵を捻りアクセルを全開にするよう踏み込む。ジープは轟音を響かせ走り出す。免許はないが雨風をしのげる寝床として何回か使用したことはある。鍵がついた時もありその時は走らせてみたがその車はのちにスクラップとかした事は言うまでもない】
【それでも走らせることはできる。今の男に失敗する思考など微塵もない。ブレーキなどという言葉を知らないままそこに軍人がいようと御構い無しに猛スピードで『集会所』らしき場所に向かう。通り過ぎる時に中指を立てて軍人を尻目に笑い飛ばす】
16 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/05/17(日) 21:32:33.10 ID:1qLVFI7DO
>>12

【影の拘束が間に合わない。一手、ロゼッタは遅かった。締め上げられる彼女の細い首。ぐ、と悲鳴にも似た呻き声が漏れ出る】
【術者が攻撃を受けたから、だろうか。ブランデンを拘束していた影は先程よりも遥かに緩い】
【その上少女が影を払うよう動いたのだ。ば、と蛇たちは少女から払い落とされ、ぼたぼたと床の上で蠢くこととなる】


──ぁ、ぐ……っふ、ふふ、ふ……
は、ぁ……んっ……く……はは、ふふ、ふ──
ダメ……あぁ、ダメ、よ……そんな風に、絞め、つけて、は……ね、ぇ──?
何が本当、か……分からなく、なる、もの……ふ、ふ

ダグラス、のっ…………ぎっ──、──っか、は……
……ぁ、ああ……望み、が……あなたたち、を、連れ出す、こと、なら……連れて、いっ、て……あ、あげ、……っあ、ぁ────


【ぐぐ、と手に力を込め、鎧からの拘束を解こうとするロゼッタ。だがそれが無意味な抵抗であるのは彼女だって分かっていた】
【苦しげな呻き声と笑いを交互に交え、ロゼッタは薄ら笑いを浮かべた表情でブランデンを見る】
【赤い瞳が、苦痛と愉悦の中を踊っていた。ふふ、ふふと囁く笑いが部屋に染みていく】
【──彼女は気付くか。ロゼッタの指先が、手が、腕の端が、黒い何かに変化していくことを】
【さらさらと、砂塵の如くロゼッタは端から崩れて……これ、は──「影」?】
17 :エース・セブン ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/17(日) 21:45:14.37 ID:SuS8izi2o
>>13
【慌てて飛び込んだのは良い物の、入った部屋に隠れられそうな場所はまるで無く、オマケに扉が大きいとあればケルベロスを防ぐ物も無い】
【これだけ広いとあの巨体も広々と動き回る事が出来るだろう、なんとワンちゃんに優しい作りの屋敷だろうか】

あっちあっち冷てぇ!!畜生何なんだよお前は!?しつこいんだっつーの!!忠犬かよ!!

【背中に掠った火と冷気、相反する二つの属性がそれぞれ伝わってくる】
【振り向いてケルベロスに相対するも、あんな化物に対して有効な手段を持たないエースは、その代わりに知恵を巡らせる】
【岩を砕く怪力も無い、火や氷を出す能力も無い、頼れる仲間もいない、信じられるのは自分の頭と閃きだけ】

くっそ……ほーら!取ってこーい!!

【まずは、使えそうな物を探す、あるのはピアノ、シャンデリア、ロウソク、視線を次々移して、部屋中から活路を見出す】
【エースは持っていたクランクに左手で触れ、錯覚を付与する───今、このクランクは『とても美味しそうに見える』ように、ケルベロスに錯覚させる】
【そして、それを全力で遠くへ遠投、ケルベロスがそれに引っかかり、追い掛ければしめたもの、それこそが今この瞬間エースが見つけ出した策だ】

……頼むぜ、俺様のエース=c…!俺様に幸運を!

【クランクが落ちたのは、丁度シャンデリアの真下の辺り、『とても美味しいもの』に見えるクランクが、そこに転がっている】
【エースは銃のジェスチャーを取った右手を向ける───上へ上へ、クランクの『すぐ真上にある物』へ】
【狙うのはシャンデリアの吊り具、タイミングはケルベロスがクランクに引っかかった時、その瞬間を狙って、エースは引き金を引く】
【手首の裾から打ち出されたのはトランプのカード、『スペードのエース』を模した刃だ。他の能力者の持つ魔具に比べれば別段特別な力や技術は無いが、これがエースの持てる唯一の暴力】
【これだけ古びた館のシャンデリアの金具を壊して落とすくらいは出来る筈だ、そうで無くては困る】

【ケルベロスがクランクの錯覚に引っかから無い、シャンデリアの金具が壊れ無い、そういった事で簡単に崩れる危うい策だ。しかし大きな賭けだからこそ、見返りは大きい筈で】
18 : ◆iBPkBgx72E[sage saga !red_res]:2015/05/17(日) 21:47:38.11 ID:o4xv3fe6o
>>14

そう、全部とは言わないまでも……出来る限り、多くね。

 ……僕は、時々自分がどんな人間だかわからなくなる時があるんだ
 誰かと深い仲になりたいと思ったこともないし、何かを極めたいと思った事もない。
 それを『変だ』と言われても、どうとも思わなくてね。

 思うに……僕は人格が一定じゃないんだ。どれも非常によく似ているけれど
 誰一人として同じ姿のダグラスは居ない……だから、本物を決めたい。
 基準は一人でいいんだ。誰しも月を綺麗と思うなら、きっと正解も無い。

【月そのものだってそうだろう、と返す。――確かに、月は季節と場所で顔を変える】
【しかし、その実態は一個の天体だ。唯一つだけの存在でも、顔は無数にある】

【或いは捉え方にもよるが――月というものに魅了された人格が、数多あるとして。】
【その一つ一つが主張を始めてしまうと、きっと人と交わる事は出来ない筈なのだ】
【頭のなかで常に誰かが話している。それも自分自身が。なら、一人で何かに没頭してもおかしくはない】

……結局、理由なんて無いんだ。合理的に、頭をスッキリさせたいからかもしれない。
 さあ、キミは誰を排除してくれるんだい?やはり、主人格のボクからかな。

【――待っているものは分からない。だが此処はダグラスの能力の中なのだ】
【彼の能力は変幻自在。恐らくダグラス自身にも、結果なんて分からないのかも知れなかった】

>>15

【真っ直ぐにジープで集会所へ向かえば、そこが非常に大きな広場であり】
【建物自体は恐らく議事堂であることが分かるだろう。一人か二人、引かれたが】
【それでも尚止まらない軽駆動車に、敵味方の注目が集まることは言うまでもなく】

【集会所側に居た男たちは、早くこっちに来いと手招きをし】
【或いは敵である兵士たちは、一斉にジープを指さして通信兵に何事かを伝え】


【――数秒後、ジープの至近で爆音が響くだろう。見れば、建物の影から出現したのは】
【鉄の塊、四角形に鉄棒を加えた形状。――戦車が顔を出していて】
【動き回る対象を蹂躙せんと、その砲弾を撃ち放ったものらしかった】

【幸いにしてそれは外れたが、すぐに第二射が来るだろう。回避に挑戦するか】
【それとも、このまま議事堂に突っ込むか。別の選択肢もあったが】
【戦車が一台とは限らない。敵の兵士も続々と集まりつつあるようだった】
19 :ジャンクちゃん ◆LF1Ar7hXZw[sage]:2015/05/17(日) 21:54:21.70 ID:X2kGx9VLo
>>998
【手渡されたその名刺を確認する―――職業は運び屋、か】
【すぐに懐から名刺入れを取り出して収納すると、彼は涼やかな微笑みでこう返す】

「―――ひどいじゃないか、黙ってのぞき見するなんて。……フフフ、まあやむを得ない、内容の事は黙っててくれたまえよ?
これからもよろしく頼む……さて、お久しぶり、レイン君。元気にしていたかね?健康状態は良好かな?こうしてお会いしたならば
いろいろと話をしたかったところだ、例えば君が何を望むのか、とか、これからどうしたい?とか」

【そして、ややおびえているらしいレインに対して彼は両掌をヒラヒラと向けて敵意はない、とアピールしながら】
【ジンジャーはいつもの自信に満ちた屈託ない笑みをレインに向けてくる、どこかコミカルな―――しかし確かな暖かさを感じるその笑みを】

>>6

……二つの体……セリーナさんと、レイン……必要なのは、あの二人が……
自由に生きていくための『体』……二人の、『生きた体』……必要なのは……彼女の、『命』

【老婆から感じ取れる奇妙な感覚、それに反応したのはジンジャーとパプリカの姉弟の方だった】
【ジンジャーが明らかにやや怪訝な表情で老婆の方を見返したのがわかるかもしれない……だが、奇妙だったのはジャンクちゃんの『反応』だった】
【彼女に搭載されているセンサーの性能ならば真っ先に気が付いてもいいはずなのに……先ほどからうわ言のようにぶつぶつと呟くだけなのだ】
【グラインの話を聞いてからというもの、それしか反応が帰ってこない……・彼女にいったい何が起きている?】

【らしくなく不安な言葉を零すジンジャーに、ハッキリと決意を露わにするカズネに対し】
【こほん、と席払いした後、改めて背筋を伸ばし彼は説明を始めるだろう】

「……わかった、どこまでも付き合うつもりなのだな……ならば答えよう、カズネ君
正直に言うが……私の用意できる手段では、レイン君にとって『十分』な機能を持った体を用意できるとは断言できない」

【告げられるのは非情な現実だ。十分な体を用意できる可能性はない、という―――】

/続きます
20 :ジャンクちゃん ◆LF1Ar7hXZw[sage]:2015/05/17(日) 21:55:12.12 ID:X2kGx9VLo
>>19続き

「……例えばクローン技術。セリーナ君の元々の体がここにある以上ここで体細胞の採取をすることはできても
培養するための設備が『財団W』にはない。よってツテを使って設備を確保したとしても……カノッサ機関と違って非人道的な実験のノウハウもないわけだから
だいぶ時間がかかるだろうし、失敗率も高い……なにより、クローンは通常よりも寿命が短いんだ、まさかレイン君に5,6年程度の時間を上げて満足、というわけにはいくまい?」

「次は比較的最近に死んだ人間の肉体を私が改造して維持できる状態に変えてそれに移し替える方法……これも万全とは言い難い
なにせ従来の命はすでに失われ、自然治癒なども今後一切行われない死体がベースとなっている、修復はできたとしても……
そんな体をレイン君が『自分の命の入れ物』として認められるか……そこが疑問だ、一番維持費もかかるしな」

「ではここで発想を変えて私の技術を使ってロボットを作成し、その機械を自分の操る手足として動かしてもらう手段……
その場合君の術で魂を移し替える器はどこに作るか、という問題が起きる。ボディのどこかに彼女の生きた部分が入ってなければいけないからな
何より、その方法だとレイン君の負担と不自由も大きい。五感のうち『嗅覚』、『触覚』、『味覚』が従来の人間の物とはまるで別物なためそれ相応にストレスがある」

「―――まあともかく、私の方法だとどこかの不自由をレイン君に飲んでもらうしかなくってな……おすすめできないのだよ」

【レインに自由を与えるために、彼女には何らかの『代償』を払ってもらうことになるかもしれない、どこかに不具合を持ってもらうしかない】
【短い寿命、自然治癒できない体、全身機械による負担―――これらのどれかのデメリットを払う事になるかもしれないのだ】
【果たしてそれは、レインの望む生き方か?本当にそれでいいのか、とカズネとレインに問いかけようとして―――】

「私にできるのはこれが限度だ、これらのウチのどれかでいくならレイン君に決断を」―――必要ない

【―――遮ったのはジャンクちゃんだった】
【ゆら、と彼女はジンジャーの前にうつむきながら覚束ない足取りでカズネやレインのいる方向へと歩き始める】
【眉をひそめたのはジンジャーだった、突如謎の行動をとり始める相棒にいぶかしげに声をかける】


「―――失礼、ジャンクちゃん……今なんて?」

……選ぶ必要はない、死者や機械の体を得る必要もない、科学技術で作られた不完全な命で妥協する必要もない
彼女が真っ当に生きていく『十分な命にあふれる体』が必要だというのなら……それを『生み出せば』いい


【ジャンクちゃん?と心配そうに声をかけるジンジャー、しかしジャンクちゃんはまるでその声が届いてはいないかのように】
【ふらふらとカズネの横に立ち、レインと向き合う形になるだろう―――そして、二人には彼女のその顔が見えるか】
【それならばわかるだろうか、彼女の透き通ったアクリルの瞳が―――今このときは"赤色"に点滅し始めている事が】
21 : ◆iBPkBgx72E[sage saga !red_res]:2015/05/17(日) 21:58:03.99 ID:o4xv3fe6o
>>16

(あれ、は……?影、砂のような……何か仕掛けようとしている?)
(……しかし、この方の口ぶりは敵ではない。だとすれば……)

…………――お姉さま、止めねばならないであります。

【ギリギリと細首を締め上げる鎧の腕を、見かねたケミッシュが掴む】
【相手は敵ではない。その性情は清らかではないが】
【とぎれとぎれに聞こえる言葉がその証明ではないか。ライトブルーの髪色が鮮やかに揺れ】

【――数秒して、黒鉄の鎧は手を離してその姿を消すだろう】
【言葉からすればやはり、眠っている方の女性が使う能力なのだろうが】
【それが、ケミッシュの危機に応じて発動したと云うところか】

【ともあれこれでお互いに拘束は解けた。――言うなれば、無防備】
【ケミッシュの方は『大丈夫でありますか』とロゼッタの側にかがみこむ、が。】
22 :ベル ◆/Pbzx9FKd22015/05/17(日) 22:04:59.41 ID:qEub6Qim0
>>11

【顔を背け少し遠ざかるアリスの行動がある種の照れ隠しであることをベルは見抜いたようだった。それが可笑しかった様で、一人けらけらと笑う。】
【やや強くなった態度は、初対面の相手に対して少し心を開いたことの表れだろうか。それを受け、ベルは言う。】

うふふ、ごめんごめん。別に悪気があって確認したわけじゃあ無いんだ。ただ、異人種の中には一目見ても人間とまるで区別の付かない種族もいるからね。
例えば、『長寿族』と呼ばれる異人種がいる。彼らはおよそ人間の20倍の寿命を持ち、20分の1の速度で成長していくんだ。だけど外見は人間と何ら変わらない。
つまり僕らみたいな外見でも年齢は300歳!なんてこともあるわけだ。君から感じた一風変わった雰囲気はそういった異人種ゆえのものなのかな…と思ってさ。

【それにしても僕が勘を外すなんてなぁ、珍しいな、等と言いながら彼女は続けた。】

小国"ゼノン"、か。ううん、聞いたこと無いな。世界地図に載っている国ならまず知ってる筈なんだけど。
それにしても住民が当たり前のように魔法を使うってのは凄いな。先天性の能力者の多い国か…。興味深いね、是非一度行ってみたいな。
そして君は光の能力の持ち主なんだね、恰好良いな。…関係無いけど僕は櫻の国の「マンガ」って娯楽が大好きでさ。いつか手からビームを撃ってみたいって夢見てるんだ。
君はそういうこともできたりするんだろう?良いなぁ、羨ましいなぁ…。

【年端もいかない子供の様に彼女は口を尖らせ、アリスを羨望と嫉妬の眼差しで見つめる。見た目に派手なものを好むベルにとって、アリスの能力はとても魅力的に見えた。】
【そうこうする内に、ベルの質問は至極当然なものへと行きついていく。】

ところで、そのゼノンっていう国はこの国の近くにあるのかな?…と言ってもここは海岸地帯だし。一番近い国境でも大分遠いはずだから…。
…ん?そんな次期王女たる君がこんな時間、こんな場所にどうしているんだ?見たとこ、丸っきり一人の様子だし。普通、国の重要人物ってのは手厚い監視下にあるものじゃないか?
それに、さっき君は「カノッサに知り合いがいる」って言っていたけど。…待て待て、それは一体どういった事情で?
ううん、思えば謎だらけだ。…もしかしてこれは気づかない方が良かったことなのかな。

【ベルは、これらの疑問に対しての回答がどのようなものであったとしても、別段アリスをどうこうしようという気は無い。ただ、純粋な興味本位での質問である。】


23 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2015/05/17(日) 22:10:25.93 ID:UFPJIb96o
>>6

【一括でも構わない、なんて強気に言い放ちつつ、やっぱり出世払いで、と言葉を濁す彼女に】
【グラインは慣れた様子で肩をすくめると、『よしみです、お得意様に悪くはしませんよ。』とだけ告げた。】
【まあ、その辺りの融通は、きっと上手く利かせてくれる筈だ。ともあれ、グラインは車の中へと戻っていった。】

【そして当のレインは、カズネに背中を優しく触れられて、ようやっと立ち上がると】
【もじもじと服の裾を掴んだまま、ジンジャー、そしてパプリカ、ジャンクちゃんへと挨拶をする。】
【ぺこり、と頭を下げる様はどこか不恰好で、セリーナの外見をそのまま使っている今、なんだか不思議な光景だった。】

 ……てき、じゃない? かずねも……かずねも、たたかったものね。
 かずねも、あのひとといっしょ、れいんとたたかった……でも、かずねはやさしい……。
 じゃあ、あのひとも、やさしいかな? れいん、もう、こわいのはいや……いたいのも……。

 おせわに……なるの? れいん、あのひとに、なにか、されるの……っ?

【これからお世話になる人、と紹介されれば、レインは肩をびくつかせる。】
【怪しげな術式に、怪しげな場所。そしてかつて対決した男と不思議なロボットに、知らない女性。】
【何もかもがレインを不安にさせるが、それでもなんとか暴れないでいたのは、カズネの手が暖かたったから、だろうか。】

>>19

【レインは―――そのジャンクちゃんの反応にのみ、目を配らせていた。】
【当然、彼女はあくまでただの少女に過ぎない、ダーク・スリンガーの力を意のままに操ったとは言え】
【専門的な知識や難しい言葉を知っているほど頭は良くないし、何よりまだ未熟だ。ジンジャーの説明は、頭に入らない。】

【だが感覚的な話なら彼女は鋭敏其の者。なんといってもガンマンのセリーナと身体を共有していたのだから】
【自分のいる場所における何かしらの変化や、危険なものに対する反応力は相当に鋭い、その為直ぐ異変にも勘付いた。】
【話を続けるジンジャーとは違い、何かうわ言のように言葉を紡ぐジャンクちゃんに不思議な感情を覚えつつ、紅くなった目を見て―――】

 ……っ、かずね、あのこ、めが―――あかい……っ、だいじょうぶ、かな……?

【直ぐにカズネへとくっ付いて、ジャンクちゃんの目が赤くなった事に少しだけ、興味を示すだろう。】
【不思議と怯える事はなく―――むしろ、なんでそうなったのか知りたい、と思っているような、そんな態度だ。】
24 : ◆iBPkBgx72E[sage saga !red_res]:2015/05/17(日) 22:15:52.45 ID:o4xv3fe6o
>>17

【『――あの肉は何だ?』というのが、ケルベロス三頭揃っての印象だった】
【地獄の番犬。とはいえども"犬"なのだ、視覚が敵に味方するとは思っていない】

【目から入ってくる『美味そうなソレ』を狙うのは、至極当然の事と云え】
【自然、ケルベロスの位置はシャンデリアの下へ。此処で思い出すべきは、今状況だ】

【誰もいない≠フだ――エースとケルベロス以外、助けてくれる者も居なければ】
【邪魔をするものもやはり、居ない。打ち出されたトランプのカードは】
【古びたシャンデリアの金具を破壊し――一瞬、ケルベロスはクランクを加えるが】
【ソレが鉄さび味だと気付いた瞬間に、ゾブッ!≠ニいう鈍い音が脳を支配し】


【――そして、しばらくして動かなくなった。シャンデリアの下部は、装飾のクリスタルだ】
【当然尖っている。当然重い。――串刺しの三頭犬など、そうそう見れるものでも無いはずで】
【その死体はやがて絵の具のように融けだして、骨だけが残る。――クランクも、大きな顎に挟まれて残っていた】
25 :ヴェール=カタストルフ[saga sage]:2015/05/17(日) 22:19:39.71 ID:E/HdFrMXO
>>18

あん?そっちか?

【猛スピードで移動するジープを走らせながら手招きする男たちを見つけ進路を向かわせる。ガクンガクンとロデオの様に上下し暴れるジープの間近くで爆発音がしジープが跳ね上がる】
【周囲を見ると大きな機械の塊、戦車がその砲塔を向けていた】

おーおー物騒なこったな、中々のデカ物引っさげてくるじゃねぇの

【良いことを思いついた、そう思っているかのように議事堂にアクセル全開で向かっていく。手招きする人たちが何を思おうが御構い無しに】
【そのままの速度で突っ込む寸前にブレーキを思い切り踏みハンドルを切る。見よう見まね、ぶっつけ本番のドリフトでスピードを最大限落とさずジープを曲げる】

俺を殺したかったらこんくらいの弾をもってから出直して来いやぁ!


【そのまま戦車へと方向転換させそのまま突っ込む。スピードそのままで戦車に向かっていく。ある意味銃弾の様だ】
【ぶつかる前に持っている荒縄で街中の瓦礫の破片を括り付けジープから脱出。講義堂へと向かって歩いていく】
26 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/17(日) 22:19:44.80 ID:VvNx5/GV0
>>18

【この風景が、彼の心の中だとして。此処に居るすべての人物像が、彼の中の人格だとして】
【その全てが今も彼の中に居るのだとしたら、その全ての人格に共通するのが「月が綺麗だと感じる」事だとすれば】
【―――彼がああも月に執着する理由が、彼が人の感情に無頓着な理由が、其処に垣間見えるかもしれない】

―――自分の中の自分が多過ぎるせいで、どれが自分か分からなくなるのですね?
だから、貴方は他人の心が分からない―――だって、自分の心が分からないんですものね。

【……そして。もし、自分の人格を見つけることが出来たなら】
【自分の中に、確かな自分を見つけたなら。―――これが自分だと確信できる感情を、心を持ったなら】
【もしかしたら、彼に変化が現れるかもしれない―――そんな、気がする】

【どれが正しい「彼」の姿なのかは分からない。彼の言う通り、正解も無いのかもしれない】
【―――もしかしたら、消していく内に正解が見えてくるかもしれない。だから、今は】
【兎に角、消していこう。彼の言う通りに―――本当の彼の姿を決める為に】

―――「貴方」は、最後にします。……私の夫の大切な友ですから。

私には、どれが本当の貴方かは分からないけれど……
結婚式の時に見せてくれた、親友を祝福していた「貴方」の笑顔は……少なくとも本物の気がします。
……私がそう信じたいだけなのかもしれませんが……―――「貴方」という人格には、深い仲がある。
だから―――

【―――右手に、3m程の光の刃を生み出す。闇夜に浮かぶ白刃は、強い熱と光を放ち】
【手始めに、傍にいるダグラスには似ても似つかない獣の人格を切り捨てようとするだろう】
【鋭く、疾く。かつて騎士として見せた太刀筋を彷彿とさせる剣捌きで―――】

―――私は、「貴方」が本物だと信じます。
27 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/05/17(日) 22:20:37.65 ID:1qLVFI7DO
>>21

【──ず、とロゼッタの体がその場に崩れ落ちる。その軌跡を追いかけるかのように、崩れ出していた黒い何かが彼女へと戻っていくのだ】
【ぜ、ぜ、としばしロゼッタは息を荒くし体力の回復に専念する】
【──今の彼女には、わざわざあの鎧を相手取ってまで少女に「嫌がらせ」を行なう気力は残っていなかった】
【最初に悲鳴や苦痛を見れただけで、満足したつもりになろう──ロゼッタは静かに、そう思うのだ】

【そして数分後。喋れる程度には回復したのか、彼女は立ち上がってケミッシュを見やる】
【少女を見るロゼッタの赤い瞳は、決して善意によるものではない。むしろ、澱んだ悪意を埋もらせた視線だった】


……ダグラスとの約束、だもの。……けほっ。ほら……行くんなら早く、行きましょう?
そこの「お姉さま」とやらも──必要ならば、連れていくわ
私はご覧の通り非力な身体──運ぶのであれば、影を使って運ぶはめになるけれど……?


【つまらなさそうに、女は言った。笑みはない。相手が男であれば作り笑いのひとつやふたつは浮かべただろうが──】
【相手が自分の商売に掠りもしなさそうな少女では、その作業はまったくの無駄に感じたのだ】

【──トラブルはあったものの、ロゼッタも約束は守るたちらしい。ケミッシュが彼女に同意すれば、そのまま少女を出口へと誘導するはずだ】
【「お姉さま」の方もまた、ケミッシュが望めば影にそっと包んで出口へと運ぶ】
【尤も、彼女たちを出口に連れていけるかどうかは、道中に何もなければの話だ。何か異変があれば、一応ロゼッタはそれに対処しなくてはいけない】
【ふん、と不機嫌そうに彼女は来た道を帰ることだろう。その間、もうケミッシュや「お姉さま」に害を為そうとはしなかった】
28 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2015/05/17(日) 22:28:01.76 ID:D6mZk/g9o
>>19>>20>>23

そう、やっぱり難しい問題なのね……
それは勿論分かっていたけどこちらの思い通りには事は進まない、か……
(頼みの綱もどこ吹く風だし、本当長生きするのも考えものね―――――――)

【十全な身体の準備は難しい、それは当然の事だそもそも人間ひとつを簡単に用意出来る方がどうかしている】
【カズネとて「或いは」という可能性に賭けてはいたが現実とはただ漠然と目の前に横たわる巨大な壁のように此方を嘲る】
【さて、どうしたものだろうかと肩を竦めながら流し目がちに老婆を見ても相変わらずのまま】

【そしてもう一人、ジャンクちゃんと呼ばれている彼女の様子がどこかおかしい】
【平時の様子など魔女は知らないがうわ言を呟く様に首を傾げざるを得なかった】

3つも3つそのどれもが何処かしらに欠点があるとなれば選ばざるを得ないけれど
全うな人間としての一生を送るのだとしたらそのどれもに私は納得出来ない、悪いけど御免なさいね

【一般の世間であったならば今の会話は埒外の話なのだろうが魔女が求めるのはさらにその先】
【禁忌とさえ言われ兼ねない行いはやはり雲の上の出来事であり机上の空論でしかないのだろうか】
【ならば、と禁じ手というカードを切る手段をカズネは考える】

【元より自分は人から外れつつある身、自身の魂を乖離させ空いた身体にレインの記憶を植えこむ】
【自己犠牲、否これが一番合理的だ……と俯きつつ考えていれば不意に人影が近づき顔を上げたならば】

――――――何をするつもりなのかしらお嬢さん?
その赤い瞳の理由を教えていただけると助かるのだけど……

【赤い瞳、カズネの中に蠢く敵意という感情が湧き上がる】
【果たして彼女は何者か、本来在り得ないであろう疑問は相対する彼女が特異故】
【もしもの時への警戒は傍らにレインという少女がいるから、或いはそれは子を守る母のそれと似ていて】

大丈夫よ、心配いらないわ何があっても私が対応してみせるから……

【レインが寄るならばカズネはそっと庇うように前に出る】
【ジャンクちゃんの連れさえも困惑しているという状況、イレギュラーであるのは間違いなく】
【ならば果たして彼女に、この場に何が起きるというのか……】
29 : ◆SwXWg9i6yU[saga]:2015/05/17(日) 22:33:12.19 ID:TaAvaMG+0
>>22

【此方の照れに気が付いたベルの笑う姿を見て何故か馬鹿にされた様な気がしたアリスは少しムッとした表情を浮かべた】
【頬を膨らますことは日常的見ても珍しい方で────直ぐさま頬に溜まった空気を溜め息として呆れながらに吐いた】


異人種────…………たしかにそんな種族の人外? もいるわね。
でも貴女の言う三百歳も歳をとる種族は知らなかったわ……。
流石研究者なだけあって、物知りね──………そしてそんな物知りに異人と間違われた私って…………………。


【素直な関心をベルへと向けた。様々な国々を転々とするアリスではあるが彼女の言う様な異人種と出会うことも少なからずあった。しかし、長寿族と呼ばれる種族は知識として持ち合わせていない様で────興味深く説明を聞いていた】
【やはりベルは研究者だと思ったアリスだが、それほどの経験や知識を持つ人物に自身が異人の間違われたたことを考えると不思議と泣きたくなる】
【雰囲気からそう思えた────などと言われたが果たしてそれは喜ぶべきか否か】


かっこいい……のかな?
────…………ふぅん、"マンガ"、そんな娯楽があるのねぇ。
それってどんな娯楽なの? 貴女の言った手からビームを出すの?


【────マンガ。そんな娯楽がこの世界にあるのかとアリスは思った】
【櫻の国には未だ行ったことはない故に、どんな国なのか想像すらつかない。そんな国の娯楽となればきっと自分が体験したことのないものだろうなぁと想いを馳せる】
【ベルほどではないが──というか彼女と比較することすら恐れ多いが、アリスもこう見えて好奇心旺盛。理由は違えど胸躍らせる空想を展開しているベルにマンガがどの様な娯楽か追求した】


まあ、場所は…………遠い……のかな?
私は一応、魔法使いとして公式的に修業中なのよ。だから、色んな国を回って冒険や人と交流をしたりしているの。
それで今日は偶々朝から街の子供達に絵本を読み聞かせてあげたり、魔法の練習をしたりして────…………気が付いたこんな時間なわけ。
一日中体を動かしていたらから身も心も疲れちゃってね、せめて寝る前に癒されたいなって此処に来たの………。

どんな事情──…………のかしら?
私にもよく分からないけど、腐れ縁とかそんな感じよ。まあ、其処はあまり……ね?


【答えてはいけない理由はない故にベルの質問に対して返答する。彼女が求めた説明に届くかどうかは分からないが、アリスは出来るだけ簡潔に説明を済ませた】
30 :エース・セブン ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/17(日) 22:35:35.47 ID:SuS8izi2o
>>24
───はーっ、はーっ、はーっ……は、はは!ざ、ざまあみやがれ!!コンニャローが!!
犬がいくら首増やしたって俺様に叶う訳がねーんだよ!あの世で反省して次はチワワにでも生まれ変わるんだな!!

【正直、最後の最後まで心臓はバクバク鳴っていた。いつ死んだっておかしくはなかった、だが、勝ったのは自分だ】
【終わり良ければすべて良し、どんなに汚い勝ち方だろうと、勝てばそれでよかろうなのだ。だから勝者の権限で敗者を罵る、当然の事】
【仔犬のようにきゃんきゃん喚いて、それから急に虚しくなったのか息を整えると、無言でケルベロスの骨を見つめてから、ほんのちょっとだけ手を合わせた】

……よし、邪魔者もいなくなったし、さっさとお宝を頂いてトンズラするか!

【これ以上うだうだしてても仕方ない、当初の目的を果たさなくては、今の収穫と言えば少しの小銭くらいしかない】
【こんな小銭とこの苦労では費用対効果が見合わ無い、ポケットから取り出した鍵を手の中で弄びながら、ホールの扉の一つを開ける】
【屋敷の廊下がどう繋がっているかはわからないが、取り敢えずエントランス側に向かえば戻ってこれる筈だろう……罠が無ければ】
31 : ◆iBPkBgx72E[sage saga !red_res]:2015/05/17(日) 22:43:09.56 ID:o4xv3fe6o
>>25

【恐らく、そのまま突っ込んでくるなどと思っていなかったに違いない】
【相手は逃げる。其処を撃つ。――ところが反対で、対処が遅れた】

【ジープ自体はヴェールの脱出直後に、榴弾と思しき攻撃吹き飛ぶものの】
【その直後、平然と議事堂へと歩いてゆくヴェールへの攻撃は一切無く】


【やがて彼が議事堂の中に姿を消してしばらくしてから、銃弾の遣り取りが再開される】
【――とはいえ、最早ここに彼の敵は居ない。通りかかる兵士はみな例のデザインの】
【肩章を身に付けていて、それから議事堂内部は所々が閉鎖されていた】

【緊急時だから当然といえば当然か。自然と進むべき道は限られて】
【辿り着くだろう場所は窓のない通路。事務室が並んでいる様子で、人影は無く――】

【いや、一箇所だけ明かりが点いていた。怒声と、ロッカーを殴る鈍い音が聞こえて。】

>>26

【剣を振るえば、人を殺すよりももっと容易に人格の影は消えてゆく】
【老人が、子供がふわりと。まるで霞を払うかのような容易さで】
【血しぶきを見ないで済むのが何よりだった。さざ波が剣の音すらかき消して】

【――やがて残るのは二人。他の人格よりも圧倒的に色の濃い、受肉した両名】
【男のダグラスと女のダグラスと。前者はいつもの彼であったが】
【後者もまた、衣服は同じ。女性にしては背が高く、起伏は乏しく、金髪は肩ほどまで伸ばし】

『「…――さあマリア、キミの選択肢は早くもたった二つに絞られた。
  どっちを切ってくれるんだい?大丈夫、どちらであってもボクは僕でしかないんだ
  正しいのはキミの感性――どっちの月が好きなのかな、キミはさ。」』

【空中に浮かんで見えるのは、満月と三日月。男性の上に浮かんでいるのが丸いそれで】
【女性の上に浮かぶのが、下弦のもの。どちらも不敵な――或いは、それ以外の顔を知らないように】

【そうやって笑いながら腕を広げた、斬撃を受け止める用意は出来ている、とばかりに。】

>>27

……いえ、お姉さまは私が運ぶであります。
色々とありましたが……ロゼッタ殿には、時を告げて頂いた御恩がある。
労働をさせるわけには行かないでありますから、おまかせを。

【そう言って、ケミッシュは笑いもしないロゼッタに言葉を返す】
【純真無垢というか、悪意を悪意と捕えない。若しくは、言い方を変えたなら】

【何処か欠けている――そんな少女は、目を覚まさない赤髪の女性をおぶって戻ると】
【さあ、とロゼッタを促すのだった。幸いにしてまだ来た時の扉は残っており】
【その前まで何事も無く辿り着いたなら、『少し』と、出る前にケミッシュから声がかかり】
32 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/05/17(日) 22:57:15.53 ID:1qLVFI7DO
>>31

【「そう?」──それだけ呟くと、思い出したようにヒールを履きなおし、かつかつと元来た道を歩んでいく】
【純粋無垢な少女。それはロゼッタにとっては、苛立ちの塊だった。これ以上言葉を交わしてしまえば、押さえている感情が爆発しかねない】
【清らかな少女。純粋な人に、無垢な者。そのすべてを、彼女は嫌悪していた。故に──】


────何かしら。まだ、他に何かあるの?


【故に、再度ケミッシュから声がかかった時も、何かを抑えたような声色で彼女は返答するのだ】
【相手の方を向く。苛立ちは隠せてなどいない。それでも律儀に返事をしたのは、単に彼女が約束は破らない人種だったからだ】
33 : ◆iBPkBgx72E[sage saga !red_res]:2015/05/17(日) 23:02:27.58 ID:o4xv3fe6o
>>30

【幸いというか、なんというか。エントランスへは何となく歩けば辿り着くだろう】
【というのも扉を出て左を見れば、割れた花瓶があったりするわけで】
【一分とかからず戻れば、ダグラスはルービックキューブに興じており】

……おや、お帰り。キミだったんだね、さっき入っていったのは。
そっちにはケルベロスが居たはずだから注意しようと思ったんだけどさ

まあ、倒されちゃったみたいだし……何か見つけたかい?
この柵はたったひとつの手段でしか開かないようになっているんだけど。

【と、答えが返ってくるのだった。――ちなみに、エースが持っている鍵だが】
【柵を開けるための穴には小さすぎる≠ニいうことは、先に伝えておく】
【この穴の直径は2cmほどだ。鍵と言うよりは――"棒"が、入りそうだが。】
34 :ヴェール=カタストルフ[saga sage]:2015/05/17(日) 23:04:58.01 ID:i++014csO
>>31

んで…こっからどうすっか

【とりあえずダグラスの言われた通りに議事堂に入ったはいいがそこからどうするかは聞いてない】
【とりあえずで道なりに進んで行く。兵士達は見栄えの変わらない服装をしていてここが一つの組織のようなものだと理解した】

【封鎖されてる道が所々でほぼ一本道の様で歩いて行くとなにやら暗い人が少ない通路に辿り着く】
【怒号と何かを叩いた音に反応しとりあえずそこに入ってみることにしようと明かりのついた部屋の扉を蹴り飛ばして開ける】

うーす、ちょっと邪魔すんぜ

【扉は勢いよく開き反対方向に開ききり大きな音を立てる。気にせずズカズカと男は事務室の中に入って行く。もしも椅子や机などがあるのなら遠慮なしに彼は大きな態度で座るだろう】

おら、話を続けろよ。聞いててやっからよ
35 : ◆iBPkBgx72E[sage saga !red_res]:2015/05/17(日) 23:17:00.40 ID:o4xv3fe6o
>>32

【ケミッシュの方へ振り返れば、少女は片手をロゼッタへと差し出していた】
【薬剤だろうか。粉末状で、『白い粉』と言ってしまえば聞こえは悪いが】

……このAPO研究所は、元々薬物での能力者製造を目的にした施設でありました。
私やお姉さまの「ドクター=vは、道半ばにして亡くなりましたが……

これは試作品であります。この粉末を飲むだけで、能力が開花する。
ロゼッタ殿は既に能力者のようでありますが……進化にも使える筈でありますから。
……要らなければ、売って頂きたい。ささやかながらも、お礼であります。

【――と、ケミッシュは言った。無視してもいいし、目の前で破り捨てたって自由だ】
【どちらにしたって扉を開けば、ダグラスが『お帰り』と声を掛ける事となるし】
【場合によってはもう一人の探索者(>>30)にも出会う事となるだろう】

>>34

【事務室は、いわゆる警察の取調室に似ている。テーブルひとつ、囲むように椅子が4つ】
【一つには黒髪の少年が座っていて、彼の前には絵と筆が置かれており】
【もう一つに座っていたのであろう、60代前後の軍服の人物は】
【呆れたように――疲れきったようにヴェールを見遣り、深い溜息を付いて】

なんだ……何なんだ、お前は?貴様もその少年のように夢を見せてくれるのか?
この都市に蔓延る下賎なイギリスの豚どもや、ソ連の家畜を追い払ってくれるのか?

……能力者等と、法螺話を信じるのではなかった。
いくらつぎ込んだと思う。あの若造も……結局は、消えた!
熱心なナチ党員のふりをして、急場になればそそくさと消えたのだ!

役立たずが……ッ!この小僧も、絵を紙から取り出せるだとッ!
そんな……そんな、夢の様な力があってたまるものか。鉄鋼の一つでも、掘り出すべきだった……!

『……お兄さん、だれ?このおじちゃんのお友達?』


―――やあミスター戦争狂、此処で一つの選択肢がキミは存在する。
 一つはその少年の手を取ること。もう一つは……世界に留まることだ。
 その世界は、僕達の世界以上に火薬と血が大好きでね?
 きっと楽しめるよ。ただし、二度と帰れないということは伝えておくけれど。

【老軍人と、少年と、ダグラスの声。――どれを信じて誰に答えるかは、ヴェールの選択次第だが。】
36 :エース・セブン ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/17(日) 23:20:09.94 ID:SuS8izi2o
>>33
……ん?なんだここ、最初に来た廊下じゃねーか

【扉を開けてみれば、何だか見覚えのある廊下、どうやら一周してきたようだと考えながら、最初に来た扉を開ける】
【入る度に構造が変わる何て事もないようで、目の当たりにしたのはエントランス───と、ダグラス】

……ゲッ、お前まだいたのか……ったく、他の奴らは何やってんだよ、六罪王ほっといてよー……

【見た目からそのまま、『大した事なさそうだ』と思っているダグラスに対しての態度は酷い物だ、余程心が広く無ければぶん殴りたくなる言葉をナチュラルに吐いてくる】

クックック、あんな犬っころ俺様にかかれば可愛いもんよ、それに、その『たった一つの手段』だって俺様は手に入れたぜ?
なーに安心しろって、いくら俺様でも運びきれない分は持っていかね……あれ?あれ?……っかしーな……これ、ん?え?

【ドヤ顔で手の中の鍵をダグラスに見せびらかしながら、堂々とエントランスの真ん中を歩いて扉に向かっていくエース】
【そして、鍵穴らしき穴に鍵を差し込み……差し込み……差し込んで……】



【どう考えても鍵が合いません本当にありがとうございました】


は?は!?はあああアァァァ!?ナンデ!?カギアナナンデ!?
おいおいおかしーだろ!?なんで鍵が合わねーんだよ!?つーかこの鍵穴デカ過……ぎ……───

【まさか、あれだけ苦労した鍵が鍵穴に合わないとなれば、混乱するのも仕方ない、何度も何度も鍵と鍵穴を合わせ、回すが柵は開かず、どう考えてもおかしいと叫ぶ】
【だが、鍵穴を見てハッと思い出す、この穴の大きさ、もしかしてアレではないのか?というか、アレしかない、アレしかあり得ない】

うおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!

【気付けばエースは駆け出していた、急いで今来た道を振り返り、あのホールへと戻って行く】
【必死の形相で走るエースがホールに来た時、まだ『ソレ』があったなら、急いで『ソレ』を持ってエントランスに戻ってくるだろう】
【───ケルベロスの囮に使った、クランクを】
37 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/17(日) 23:21:50.50 ID:VvNx5/GV0
>>31

【どちらが本物か、どちらを斬るべきか―――決まっている。彼は女性では無かった。】
【ならば、斬るべきは女性の方であって見慣れた男のダグラスでは無い……―――そうに違いない、筈なのだが……】
【……では、どうして女性の方のダグラスも男性の方のダグラスと同じくらいの存在感を持っているのか】
【どうして男性のダグラスと同じく、女性のダグラスも受肉しているのか……】
【女性のダグラスも「本物」として並び立っている事には、理由がある筈―――】

【―――マリアは、ふと今まで勢い良く振るっていた剣を下げた。】
【浴びせるのは、剣では無く問い。―――真に本物であるのはどちらかを見極める為に】


―――そうですね……それでは斬撃の代わりに一つ、貴女方に問いましょうか。

……友の死が、すぐ其処に迫っている。しかし、その日は月が美しい。……この機を逃すともう二度と見れないかもしれない程に、美しい。
その時、貴女方はどのような行動を取りますか?―――その質問の答えを、私の感性で捉えようと思います。

【……静かに、返答を待つ。太刀を振るうのは、それからだ―――】
38 :スクラップズ ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/05/17(日) 23:25:25.71 ID:NUmcWzjho
>>970
だとしても、それは僧侶の本業ではあるまいに
雑草とはこちらのセリフだ、異教徒どもが……

笑える冗談だ。たとえ我々のような者がいくらいようと、それを狩り回っているのは貴様らの意志だろうに
それを償えだと? 貴様らに断罪されるほど、我々の罪は安くないぞ

【鞭打たれた右腕の肉は爆ぜ、血肉をまき散らしている。しかし、脂汗を顔に浮かべながら、大男の戦意はいささかも衰えていない】
【血に慣れた様子で冷静に動く彼女を前に、大男もまた危なげなく右腕を引き戻して見せる】


単なる適材適所だ、私がもっとも打たれ強いのでね
私に言わせれば、味方を盾にするような手口は下策もいいところだ。後々を考えれば、ろくなことにならない

……それは少々、自惚れが過ぎるぞ、女

【言葉の上では一歩も退かないが、彼女はどう見ても戦闘専門。対してこちらは、数と能力が頼りの盗賊】
【人数で勝っていても、とても楽観視できる状況ではない。それが証拠に、彼女の目は冷静にこちらを分析している】

ああ、彼のことはよく知っているとも
この状態で、我々を倒した後の計算か? 皮算用もほどほどにすることを勧めるね……

[ひひひ、流石この程度はかわしやすかい。しかしどうです、ゴミのシャワーは気に入っていただけましたかあぁ?]

【表面上は変わらず、下劣な雰囲気と言葉を投げかける盗賊ども。しかし、次の瞬間その表情は凍り付く】
【浮遊物の間を止まることなく突っ切った彼女、傷をものともしない姿勢とその動きの速さ】
【盗賊どもに対処しきれるものではなく。振るわれた鞭が、空中に浮かぶ生首を叩き落とす】

〔ぐが――――!!!〕

[くそったれ、やってくれますなあぁ!!!]

貴様の首も転がしてくれる……!!

【生首が鞭に弾かれ、回転しながら墜落し、工場の壁に叩きつけられて床に落ちる】
【そこへ、残る二人が彼女に襲い掛からんとする。ピアス男は先ほどと同じ突進。その横から、単眼の大男が】
【身体を捩じり、回し蹴りを放つ。同時に、その足がまたも膨張し、攻撃範囲を大幅に広げる】

【彼女の鞭に対抗すると言わんばかりの肉の鞭が彼女の足元を薙ごうと迫り】
【ピアス男の駆るゴミの車が、車体を軋ませて体当たりしようと迫る】
【速度はともにそれほどではない。彼女ほどの実力者なら、対処は難しくないはずだ】
39 :ベル ◆/Pbzx9FKd22015/05/17(日) 23:38:27.31 ID:qEub6Qim0
>>29

【ベルが口にした「マンガ」の話題についてアリスが反応してしまったことは、本来ならばアリスにとって大いなる失敗だっただろう。】
【彼女は自身の研究内容や趣味であるサブカルチャー関連の話題ならば、それこそ相手が聞いているかどうかに関わらず一昼夜は語り続ける。】
【しかし今彼女にとって重要なのは、目の前の少女アリスについての情報をより多く入手することであった。】
【だからベルは、知らないのならば見せてあげようこれがマンガださあ読んで、と言いながら白衣の中から『Bragon Dall』と書かれた本を取り出したい気持ちを何とか抑える。】
【代わりに彼女がとった行動は、そうともとても面白いから櫻の国に行くことがあれば是非見てみると良い、と苦肉の表情で言った後に会話を先に進めようとすることだった。】

なるほど、君はつまり武者修行の旅をしているっていうことなんだね。確かに君は能力者だし、物騒な世の中でも大丈夫だろう、と信頼されているわけだ。
良いご家族を持っているね。僕も君の旅路を応援しているよ、是非色んな国を周って色んな人と接すると良い…。

【そう言って目を細め笑うその姿は、どこか少女らしからぬ、長い時間を生きた者の発する雰囲気を纏っているかのようであった。】
【そしてアリスが口ごもった箇所についてはそれを敏感に察した様で、ベルは深い追及を避けた。】

うふふ、わかった、腐れ縁なんだね。ミステリアスな女の子は魅力的に見える。その秘密は大事に持っておいた方が良いと思うよ。きっと男性に受けるから。

【そこまで語った所で彼女はふぅ、と一息付き、体をほぐす様に大きく伸びをした。うぅん、とベルの口から声が漏れる。】
【彼女は立ち上がり、白衣にとセーラー服に付いた砂を落としながらアリスに向けて言った。】

さて、名残惜しいけど僕はそろそろここを離れるよ。本当はもっと君と語り明かしたいところなんだけど。
何せこいつ、グラシリスの試験運用がまだ終わっていないからさ。色々と野外でのこいつの生態を観察する必要があるんだ。それに同行するのは嫌だろう?

【今度はあからさまにからかうようにして、にやにやとした笑顔をアリスへ向ける。彼女へ視覚的嫌がらせをするつもりは毛頭無いけれど、話題に出しただけできっとするであろうアリスの反応が見たかったのだ。】
【ひとしきりその様子を楽しんでから、ベルは黒色の大岩によじ登る。見る間にそれは透明となり、彼女は再び空気に腰掛けた。】






/すみません、明日は早いので、こちらのロールは次で〆、ということでよろしいでしょうか?
/一方的に展開を強制するような形になってしまい申し訳ありません。アリスさんの方から何か要望があればそちらに合わせたいと思っております。
40 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/05/17(日) 23:40:52.86 ID:1qLVFI7DO
>>35

【「受け取っておくわ、一応」──そう言って、ロゼッタはその粉末を受け取った】
【能力の進化。確かにその言葉が本当ならば今後何かに使えるかもは知れないし、金銭に替えればそれはそれで高値がつきそうだった】
【どちらにするかはまだ決めない。棄てはしないが、所持品のひとつに加えておけばいずれ役にたつだろう】


…………ふん、それにしても、本当に変わっているのね
普通あんなことした相手に、お礼なんてしないものよ


【ぎ、と扉を開ける。「ただいま、ダグラス」──ケミッシュに対する反応とはまるで違う。ロゼッタはやんわりと笑い、帰還の言葉を口にした】
【かつん、かつんと扉から離れ、まだ2階の踊り場にいるであろうダグラスに視線を送る】
【扉から離れたのは、あの「月の扉」を見ないようにするためでもあった】


……それで? これでよかったのかしら、ダグラス
お掃除と聞いていたものだから、最初は少し行き違いがあったのだけれど……


【恐らくはまだ扉の近くにいるであろうケミッシュ達を指差し、ロゼッタはそう言った】
【……視界の端に、妙に急いだ様子で爆走し地下に戻る>>36(エース)が映ったが、気にしないことにする】
【何はともあれ、彼女は帰還を果たした。ロゼッタの成果がダグラスの希望通りのものならば、彼女は彼に望みを言うはずだ】
【望みと言っても、「この仕事に見合った分のお金」という、非常にシンプルなものなのだけれど】
41 :ヴェール=カタストルフ[saga sage]:2015/05/17(日) 23:46:06.50 ID:X1jJflmFO
>>35

【椅子に座りながら机に足を上げて足を組んだまま軍服の人物の怒号を受ける。うるさい上に耳障りだ。軍人というものはどうしてこういちいち声がでかいのだろか】
【明らかにこの場、この『世界』に不釣合いな少年を除いては別におかしなところは何もない】
【『絵を紙から取り出す』?そんな夢の様な能力があってたまるか。それこそ想像物を現実にしているようなものだ】

【色々と思うところがあると再びダグラスの声が聞こえたそれを聞く。聞いた話ではこの自分が望む飽くなき闘争の世界に残るかどこの知らないガキの手を引くか】

(わざわざガキの手を取るか、それともこのご機嫌な地獄で思う存分戦えるか。ンなもん決まってんじゃねぇか)

【その選択肢の答えなんてものは彼の中では最初から決まっているも同然だ】

───斬首刑・乙───

【彼の手には両手斧を模したギロチンが握られており軍服の男の首筋にピタリと当てる。少し動かせば首に当たるほどの距離で刃の冷たさが感じられるほど】

こっちも悪くねぇがあっちに殺し損ねた奴らが何人か嫌がるんだ。テメェも含めてそいつら殺したらまた送ってくれや

【おそらく聞いているであろうダグラスに向かって虚空に話しかけ歯をむき出しにして笑う。しばらくして少年に向かって話しかける】

おらガキィ!ちょっと手ェかせ!

【少年の方を見てこっちに来るようにアイコンタクト、こんな状況で男に向かってくる子供はいるのかはわからないが。そして言われるがまま比喩であろう言葉をそのまま受け取り少年の手を取ろうとしている】

それから人様の素性聞きてぇ時はまずテメェのを言うのが流儀ってもんだ。覚えておけクソガキ
42 : ◆iBPkBgx72E[sage saga !red_res]:2015/05/17(日) 23:50:06.73 ID:o4xv3fe6o
>>36

あはは、そりゃ色々と探しものをね。
でも、屋敷を探しているのはキミだけって事になるかな
……ん?その鍵、僕の新居の鍵じゃないかな。

【『夜の国に引っ越してさ』と笑いかける。なんと平和な空間か】
【これが他の六罪王ならそうは行かないが――駆け出したエースの姿を見れば】

【そして数分と立たずに戻ってきた彼を見れば。やはり、ダグラスはクスリと笑い】
【持って帰ってきたクランクはきっちりと壁の穴に差し込まれ、がちりとはまり】
【それをグルグルと回す事で、柵は鈍くも確かに開いていって】

【やがて扉は完全に解放され、地下への薄暗い階段がエースの前に出現し――。】

>>37

「フフッ……キミは意外にずるい女性だね。僕にとって、友は一人しか居ないのに。
 ……そうだね、僕はフレデリックの元に駆けつけるよ。

 何故なら、月は片思いの相手だから。決して振り返ってはくれないし
 美しいものは3日で飽きるという。……いつも変わらず、普遍の月こそ真の美だ。
 そして古今からそうであるように、友情っていうのはかけがえの無いモノ。」

【比べるべくも無い、と言ったのは男の方。一方で、女性はそれを見て三度首を縦に振り】
【しかし続く答えはやや違ったもの。両手を腰骨に置けば、マリアを見据え】

『……友の所へ駆け付けてから、沈みかけの月を一緒に眺めるさ。
 死にかけた友に見せるには最上の景色なら、きっと共有した方が幸せだから。

 けれど……一緒に月を見ている間に、彼は死んでしまうかもしれないね。
 そうしたら、きっとそれは幸せだよ。一番大事な人の死を直視しなくていいんだから
 ……さあ、キミは一体、どちらの"ボク"を選ぶのかな。』

【――どちらを切っても、月が一つ沈む。背後の月の扉は、ひとりでに開き】
【あのエントランスへ戻る道が再開される事となるだろう。】
43 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/17(日) 23:55:10.06 ID:7KCBpkkq0
>>38
「抗うなら手足を折るだけで済まないわよ
――――って親切に言ってあげても聞くつもりは無いのよね。まあ、痛い思いをするのはアタシじゃないからどうでも良いけど」

【叩き落とした生首に対しては、追撃を加える事も無くただ一瞥で終え】
【さて、二人分の反撃をどういなすかと考えるが――――その内の一人は、先程と“同じ”だ】
【愚直な突進。それならば警戒すべきは大男の方かと考え】


「皮算用?……それはアンタ達が無事に此処を抜け出せる事の話?
この後の計画でもあったかしら。何処でどんな悪事を働くか、誰を殺すのか
残念だけど――――全部、水の泡ね」

【巨体を活かした肉弾戦か、と思いきや。突如の膨張には流石に対処も遅れ】
【何とか防ぐ事に成功はするものの、まるで鈍器で殴られたかのような痛みだ。思わず食い縛る歯の隙間から呻きが漏れるのだけれど】
【――――折れては居ない。だが、動かす度にズキリと痛みが走る】
【そして、その最中にも迫り来る車体。鞭をその場に捨て、何をするかと思えば…………】


「愚直に突っ込んでくるのね。――――アンタ、アタシと“似たような”能力を持っているなら分かると思うけど
…………さっきの様に後ろ盾も無い状態で突っ込んでくるのは無駄に痛い思いをするだけよ」

【棒立ち。ただの虚勢か、と思いきや――――車体が身体に触れる寸前、その掌が先に車体前面を撫で上げ】
【彼女はタイヤから鞭を作りだした。ソレは変形、と言うよりも分解してから別な物へと再構成した、と表す方が正しく】
【詰まりは……男が武器として用いたその車体。特殊な“加護”等か無い場合、女が触れた瞬間に空中分解を起こす事となるだろうか】
【無論、それは全ての物に適応するわけでは無い。持ち主が明確となっている物等に対しては効果が無いが――――廃棄品を集めて創った物ならば、或いは】


「折角だから能力比べでもしましょうか?
――――アタシには死神なんて物騒な名前は無いけど、それに近い名前なら幾つか付けられてるしね
あんまり好みじゃ無いけど」

【もしその行動が成功したとすれば、男の乗っていた車は失せている事になるだろうか】
【――――代わりとして、激しい駆動音。気付けば車体の部品を利用した“チェーンソウ”が女の手に握られていて】
44 : ◆iBPkBgx72E[sage saga !red_res]:2015/05/17(日) 23:56:21.37 ID:o4xv3fe6o
>>40

【差し出したものを、どんな形であれロゼッタが受け取った】
【それが嬉しいとばかりに、ケミッシュはにこ、と笑ってみせた】
【ロゼッタからすれば癇に障る表情そのものかも知れない。だが、ともかく――】

やあ、どうやら面倒をかけたみたいで済まなかったね。
ケミッシュも……そちらのお嬢さんも元気なようで何よりだ

……さて、仕事は完璧だ。ボクはこの手の嘘は吐かない人間でさ
いくら欲しいのかな。一千万か、五千万か……
物でもいいのなら……そうだね、ブラックダイヤモンドの指輪なんてどうかな。

【――ダグラスは、こういう点で変に吝嗇家であるタイプではない】
【能力で作り出せるからか、それとも六罪王という立場であるからか】
【望むのであれば、ロゼッタに相応の報酬が用意されて、支払われる。問題はその価値であった】
45 :エース・セブン ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/17(日) 23:57:43.30 ID:SuS8izi2o
>>42
……ぜぇ……ぜぇ……はぁ……………

【最早息も絶え絶えだ、汗だくになって、スーツは皺くちゃで少し焦げているし、キッチリ撫でつけていた金髪はすっかり崩れてしまっている】
【回し終えたクランクに項垂れかかるようになって息を整えながら、『ようやくここまで来た』と目の前の宝へ続く道を見る】
【とは言っても、この先に罠が無いとは限らないのだが、ここまでポジティブになれないのならそもそもまずこの状態まで精神が持たないだろう】

お……お宝……

【その執念はどこから来るのだろうか?これだけの体力をもっとまともな事に使えばそれだけ稼げたのではないだろうか?そんな疑問はエースにはない】
【エースに見えるのは、この階段が宝の山に続いているという夢夢想だけで、フラつく足を壁に手を付き支えながら階段を降りていく】
46 : ◆SwXWg9i6yU[saga]:2015/05/18(月) 00:08:47.10 ID:OyslDstN0
>>39


う、うん────……………?
わ……分かった。


【苦肉の表情を浮かべるベルを見ればアリスは何故そんな顔付を見せるの、と疑問に感じながらも頷く】
【櫻の国に自身が足を運ぶ未来はそう遠くない────意外とフットワークの軽いアリスなら明後日にも興味深いその国に向かうだろう】
【ベルの性格はこの短時間で全て理解することは不可能なようで────とりあえずこの僅かな会話と時の中、分かったことは色々凄いといった抽象的過ぎるものだけだった】
【白衣の中にマンガを潜ませているとは思いもせずに、アリスは彼女の着ている白衣に意識を向けることも────探ることもない】


あ、うん…………ありがとう。
貴女もその──………………色々? 研究とか実験とか頑張って……ね。


【ベルの表情は先程までとは一転していて────マンガや魔法の話しで見せた子供の様な面影も雰囲気もなく、代わりにあるのは大人びた雰囲気で────それを前にしてアリスは一瞬、言葉を喉に詰まらせた】
【不思議な人物といった印象をアリスに与えた瞬間であるこの刹那────吹いてきた夜風は不思議と強い風力だと感じて、激しく乱れる金髪を手で押さえた】


………い、いや! 別に男の人にそんな風に思ってもらうために──……違うから!


【ベルがからかいで言ってきたことに対してアリスはそれを全力で否定した】
【何故だか此処でそれを言い返さなければ認めたことになってしまいそうだったからだ】
【砂を払いながら立ち上がるベルを見てアリスは一回────疲労か呆れのどちらか、もしくはそれらが混ざったものなのか────深い溜息を吐いた】


貴女と語り明かすと三日くらい寝かせてくれそうにないから嫌!
えっ!? あ、う、うーん……私は良いんだけど──…………グラ、グラシリスさんは私なんかと一緒じゃ嫌かなー……なんて。


【申し訳ないが語り明かすのはNG】
【右掌を激しく振りながらお断りの意思をベルに見せる────が、巨大カメレオンとの同行を聞くと態度を一転】
【あからさまとも取れる拒絶反応且つ、下から目線。見事滑稽なりこの少女アリス】
【ニヤニヤした表情を浮かべるベルを一度強く睨むと黒い岩と化したグラシリスに作り笑顔を向けて────】
【背に乗るベルの姿も確認した】


はぁ…………まあ、私もそろそろ家に帰って……ていうかホテルなんだけどね。
兎に角、夜御飯食べたりしないといけないから、帰るわ。
次会う時があったらまた、お話しましょうね。なんなら、私の読み聞かせでも……ね。


【そう言うとベルとグラシリスに背を向けて一歩一歩、確実に足を進めて先へと進んでいく】
【別れ際にアリスが見せた表情は自然な笑顔で────それはベルだけでなく、苦手なグラシリスにも向けられていた】


──…………あ、グラシリスさんもお疲れ様でした!!


【彼女達から少し離れた位置で足を止めるとアリスは勢い良く振り返ってカメレオンに丁寧な別れ挨拶】
【────どうやらやはりグラシリスは苦手な存在らしい】



/では自分はこれで〆ですっ。
二日間ありがとうございましたーっ。


47 : ◆iBPkBgx72E[sage saga !red_res]:2015/05/18(月) 00:10:47.38 ID:Uq1js7nTo
>>41

【首筋に差し当てられた凶刃に、一般人である男が何を出来るはずもなく】
【能力という――この世界では非常識極まる力に、汗が止まらない】
【しかし一方で、子供のほうが目を光らせてその光景を見上げ】

フフッ、キミは強欲な男だね。分かったよ、ミスター
 ……そうそう、その少年の名前はね?

『――ボクの名前?名前はね、アンドレイ。でも、パパからは…――。』

【『ダグラスと呼んで』=\―そんなセリフが呼応して、ヴェールの視界は暗転し】
【ふと気付けば、数名の人が集まりつつあるエントランスに立っている事となるだろう】
【握ったはずの少年の手は、見れば毛糸で編まれた人形になっていて】

【――どうやら、引き戻されたらしい。仕事自体は終わった、と見て良いようだが】
48 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/05/18(月) 00:12:02.84 ID:q6tTQI+DO
>>44

【ちらついたケミッシュの笑みは、案の定ロゼッタの感情を逆撫でする】
【だが、もうすぐこの少女との関わりを断てると自分に言い聞かせることで、なんとか感情を制するのだ】


……まったくね。言い方が抽象的すぎるわ
危うく頼まれたことと真逆のことをするところだったんですから

ふふ──それにしても、さすが六罪王。なんだって用意できてしまうのね
報酬は別に、物品でも構わないわ。あなたの言う通り、ブラックダイヤの指輪でも結構
……私、娼婦なの。だから、金払いの良さそうなお客さんを紹介してくれてもいいわ
ふふ。もちろん、あなた自身でもいいのだけれど


【もしかすると、彼女自身は無欲なのかもしれない。金を欲するのも、あれば困らないという理由からか】
【ダイヤの指輪だって、いつでも換金できそうだから拒否もしないのだろう】
【どちらかと言えば、冗談めいて呟いた最後の方の要求を叶えてほしいと彼女は思っていたが──それが可能かまでは、彼女にも分からなかった】
49 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/18(月) 00:21:00.00 ID:pS6KpD+50
>>42

【一閃、光の刃を振るう。狙いを定め、精緻に研ぎ澄まされた刀のように―――女性の方の胸を貫く。】
【選んだのは、男のダグラスの方だった。二人の答えを聞いた瞬間……その太刀筋に、迷いはなかった】

【判断したのは、たった一言……「友情っていうのはかけがえのないモノ」という、その一言】
【男のダグラスも、女のダグラスも、共に月を真に美しい物と捉えていたし、友を一番大事に思っていた】
【その点で、二人ともブレることはなかった。……やはり、根底にあるのは同じ感覚なのだろう】

【しかし、その比重は違った。男のダグラスは、月に代えてでも友の元に駆けつけようとした】
【月はいついかなる時も美しいと考え―――いつだって美しい月よりも、消るかもしれない友の命を取った】
【対して女のダグラスは、死にゆく友に最上の月を見せる事を良しとした。―――たとえ、それで友が死んだとしても】

【どちらが正しいかは分からない。月を愛した彼にとっては、あるいは女性の方が正しいのかもしれない】
【でも―――マリアは、男性の方を選んだ。「彼」は、大切な人の命の重さを知っていたから】
【命は、何よりも重い。たとえ、月が美しかったとしても……かけがえのない物なのだ】


―――これが、私の答えです。


【そして―――今まで無頓着だった、命の重さが分かるかもしれないから】


【何事も無ければ、マリアはひとりでに開いた扉からエントランスに引き返すだろう】
【そして―――二階部分に佇んでいるであろうダグラスに向かって、微笑むのだった。】
50 :ヴェール=カタストルフ[saga sage]:2015/05/18(月) 00:27:32.65 ID:q2xrTjtKo
>>47

【彼の視界が暗くなり気がつくと館の中だった。硝煙の匂いも爆発音も機械の轟音もしない、そして今までいた少年、『ダグラス』もいなくなっていた】
【あの少年はどうなったか、あの戦場は、あの組織は。彼にとって不透明なことが多すぎる】
【そして何よりわからないのがこの手に持つ人形。一体これが何を意味するのだろうか?】
【考えてもわからないことは考えても仕方ない。彼の信条的に考えることは一旦置いておく】

【人形を握りしめダグラスの方を向き歩いていく】

強欲だぁ?それこそ神様が与えた七つの罪の一つじゃねぇか。六つの罪には含まれませんってかぁ?

【階段を上がりダグラスと同じ階層に立ち止まる】

んでだ…お掃除つーのはこれで終わりかぁ?案外呆気ねーな。これに何の意味があんだよ

【彼は掴んでいた少年だったはずの人形をダグラスの方に投げつける】

あのガキ…ダグラスって言ったがまさか名前が同じだなんて言い出しはしねぇよな?
51 :スクラップズ ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/05/18(月) 00:28:33.31 ID:qOmlFpy6o
>>43
いちいち、癪に障る女だ……

【生首がその一瞥の間にも動かない。耐久力は高くないのだろう、一撃で行動不能に追い込まれたようだ】
【大男の方に彼女が向き直れば、異形どもはさらに攻撃の速度を速めようとする】

……私も相手を不快にさせることにかけては自信があったのだが、お前には負けるな

【忌々し気に顔をゆがめながら、今なお続く右腕の痛みを抑え込みつつ、脚に伝わる手応えを感じ取る】
【折るまでには至らなかった辺りは、流石に甘くはない。だが、続く配下の攻撃が彼女の身体を撥ね飛ばす、はずだった】

[――――んなっ!?]

【ピアス男の能力に、彼女の力を妨げるだけのものはない。必然、ガラクタの車は空中分解して当たりに散乱する】
【その一部は、彼女の手に。残りは、工場の床に。ピアス男は、どうにか体勢を立て直して着地する】

[……ひ、ひ。先ほどのご忠告、もう少し早くいただきたかったもんですなあぁ……]
[チェーンソーを持ったシスターなんて、どこのB級ホラー映画ですかい……死神に近いあだ名つけられるのも無理からぬことでしょうよおぉ……]

興味があるな。お前は何と呼ばれているんだ? 鬼か悪魔か、もっとおぞましいものか?

【工場内にけたたましく反響するチェーンソーの轟音。二人の盗賊は、距離を取って彼女を睨みつける】
【下手にかかれば、あの刃に切り裂かれる。しかし、手をこまねいていても同じ】
【異形どもは互いに目配せをすると、同時に踏み出した】

【まずは、大男が左腕の肉を膨張させて彼女に向けて真正面から振るう。巨大な腕であることを除けば、単純な軌道の殴打】
【と、同時に大男の首回りの肉が蠢き、大男の首を伸ばす。頭部のみが飛び出して、こちらは彼女から見て右横から迫る】
【そのまま、彼女の右の片口に鋭い牙で噛みつこうとするだろう。肩の関節を抑え込んで、チェーンソーを振らせまいとする腹積もりか】

【さらに、彼女から見て左からは、ピアス男が大男の膨らんだ腕に隠れるようにして走り寄ろうとするはずだ】
【その右腕は、いつの間にか肘から先がガラス片のブレードと化している。走っている最中に、変形させたのだろう】
【そのまま、彼女に対して袈裟懸けに斬りかかろうとする。ブレードの強度はそう高くない。反撃すれば、撃退も可能だろう】
52 : ◆iBPkBgx72E[sage saga !red_res]:2015/05/18(月) 00:32:15.20 ID:Uq1js7nTo
>>45

【階段を降りる。一分、二分、或いはもっと長いのだろうか】
【薄暗いせいで時間の感覚が妙だ。――しかし、やがて底に辿り着き】
【入ってすぐそばにあるスイッチを押せば、広い地下室の明かりが一斉に点いて】

【其処にあるのは、宝の山ではない。――そも、盗まれたのは美術品なのだから】
【目立つのは彫刻、絵画、何だか分からない土器や、化石。】

【――だが金の匂いを嗅ぎ分ける力なんてものがエースにあるのなら】
【彼のここまでの努力は、しっかりと報われるだろう。多くの美術品は袋をかぶっていたが】
【ある木箱は外気にさらされていた。まるで、"誰か"――例えば、ダグラスの部下が】
【『一個くらい盗ってもバレないだろう』「いや、それは」なんて遣り取りをしたような】

【そんな痕跡のある木箱。手に取って、中身を見たのならまず赤が目につくだろう】
【巨大なルビーのネックレスだ。オマケに真珠の髪飾りなんておしゃれななものも入っていて】
【――と言うのは気付ければの話。果たしてどんな結果になるかは、エースの才能次第だが――?】

>>48

金払いの良いお客さん、か……生憎と、知り合いは六罪王やナンバーズばかりでね。
ベクターやスクラップズに紹介したら、キミが死んでしまいそうだ。
アインならともかく…――あぁいや。

……それじゃ、素敵な夜の華にはこの指輪をプレゼントするよ。
宝石っていうのは不思議な美しさが有る……元は、コレクションの一つでさ。

【そう言って、ダグラスは元いた踊り場から階段を折りてロゼッタに近付き】
【そっと彼女の右手を取って、その小指にリングを通す】
【ブラックダイヤモンド――と言っても小粒ではあるが、煌きはやはり美しく】

小指なら、変に目立ったりもしないだろう?
主役は宝石ではなくて、あくまでもキミ自身……そいつは引き立て役だからね

さあ、それじゃあそろそろ帰ることをお勧めするよ。
もうしばらくしたら、この館は"解体"することにしてるんだ
大したものも無い廃墟だからね……また会えたら、月以外の話でもしようか。

【それだけ言えば――後はロゼッタの方から声を掛けない限り、別れとなるが】
【館を出る際、ケミッシュが小さく手をふるのが見えるだろう。――無論、無視しても構わなかった。】
53 : ◆iBPkBgx72E[sage saga !red_res]:2015/05/18(月) 00:42:26.06 ID:Uq1js7nTo
>>49

【女性の胸を穿けば、先程までとは違って重い手応えが有るだろう】
【出血自体は無い。――やがて姿が霞となって、残った男性の姿も】
【目を瞑ってくすっ、と笑えば、足下の砂に解けるようにして姿を消して】
【それでも天空には月が残っていた。大きな満月が、静かに光を落としていた】

――キミは雄弁な女性だね。教会の人なのが惜しいところだよ
ただ……うん。ありがとう、お陰で何か、スッキリした。

……望みは、どんなものだったかな。
何か知っている事を話せと言われれば、どうでもいい事を話してしまうかもしれない。
例えば…――"アイツを倒す手段をくれ"と言われれば、別だけれど。

【『望みは正確に吟味して』ということか。いつしか踊り場から降りたダグラスは】
【マリアと同じ目線に立ちながら、同じく微笑んで尋ねかけるのだった】

>>50

あぁ、お掃除は終わりだよミスター。意味なんてボクにも分からないさ
けれど、全ての行為には何かしらの理由やらがあるものだ、そうだろう?

それと……同じなのは名前じゃない。彼はボクで、僕は彼なんだ
……その世界は想像上の産物ではなくて、現実に起きたことさ
勿論、詳細は違うけれど…――さあそれで、キミの望みは何かな。

【『掃除の対価は願いを一つ叶える事だからね』――と、そう告げる】
【投げつけられた人形は小脇に抱えて、しかしどこか大事そうで。】
54 :エース・セブン ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/18(月) 00:45:36.33 ID:q2xrTjtKo
>>52
【疲れから、途中幾度となく転び落ちそうになった。それでもなんとか踏ん張って階段を降りる、それもこれもこの先にあるお宝の為】
【思えば苦労した物だ、階段を降りる前に振り向くと、なんだか余裕そうな顔をした奴らが何人かいたような気がするが、そいつらの事は忘れよう】
【これだけ駆けずり回ったんだ、自分が一番得している、そうに決まっている筈だ】

【階段を降り終えて、近くにあるスイッチを押すと電灯が入った。いきなり明るくなったので目を細め、その光に目が慣れてきた時───エースの蒼い眼には、輝きが映る】

……お……おぉぉ!!

【そこにあるのは、彫刻、絵画、化石───盗まれた美術品の山だ】
【エースは知っている、見た目が煌びやかでなくともこれらは立派な宝の山、黄金にも負けぬ価値を持つ物ばかりだという事が しかし……】

……どうやって持ってくんだ、これ……

【問題はそこだ、いくらなんでも彫刻なんて持って行けないし、絵画にしても一人では一枚か二枚が限度、化石なんか欠片くらいしか持って行けない】
【何か、持ち運びやすく金目になるものは無いか、と探していた所、粗末な木箱が眼に入る】
【気になって中を見てみると、そこに入っていたのは鮮やかなルビーのネックレスやら、真珠の髪飾りやら、宝石で彩られた装飾品の品々だ】

よし!これだ!!これにしよう!!

【早速エースは、その木箱の中からネックレスを取って首に巻き、髪飾りをポケットにしまい込んで、ついでに近くにあった手頃な大きさの絵画もついでに脇に抱えると、すぐさま元の階段へと戻って行く】
【いつまでも迷って、追手が来たらたまらない、取るもの取ったらスタコラサッサが泥棒の定石だ。エースの足取りは階段を降りるよりも軽やかだった】
55 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/18(月) 00:53:25.03 ID:pAgEne4j0
>>51
「――――パニッシャー、断罪者。色々と呼び名はあるけど、大体はアンタ達の様なのだけを“殺す”のが役目ね
だから言ったでしょう?アンタ達の断罪人を務めてあげるってね」

【足を痛めたが故に己から動く事は無い。とは言え、相手も自身を殺そうとしているのだから――――追わなくて良いだけ、今は好都合か】
【一度に二人屠る事が出来れば一番良い。だが、現状ソレだけの事を出来る“材料”も無く】
【ならば欲張る事無く一体ずつを確実に仕留めるかと考え――――……】

【恐らくは、相手は上下関係で成り立っているのは会話から分かる。となれば上に立つ者を先に仕留めるのは戦闘の定石】
【…………この足で避ける事は叶うまい。だが、身を斬って防ぐ事ならば出来る】


「ぐゥッ……ッッ!!!」

【ガラスで造られたブレードに関しては、“左手で握って”止めた】
【その痛みたるや肉が焼けるように、では足りないのだけれど。だからと言って蹲る程に女らしく出来て居ない】
【寧ろその逆で――――ここまでの犠牲を払ったのだから、相手に確実な深手を負わせるとの決意】
【迫り来る牙に対しては、“肘で顎の先端を掠めるように”して対処。続けざまに、迫る腕に対してはカウンターの如く得物を横に振るい】


「さァて、そろそろ“罪滅ぼし”の時間を始めましょうか!!!」

【切り落とす、ならばまだ良い。だが狙ったのは“腕を裂くようにした”攻撃だ】
【仮に当たったとするならば、中指と薬指との間から入り込みそのまま血肉を飛び散らせ骨を激しく削りながらも進む】
【――――刺突でも無く、斬撃でも無く。何故削り取る様な得物を選んで造りだしたのか。それは彼の膨張する肉をも削り取る事を目的としたが故】
【放って置けば胴体に達し、そのまま二分にする可能性も十分にあろう。然れど彼とてそのまま黙ってやられる訳もあるまいし】
【何よりも、もう一人の方は無傷。割って入り、その攻撃を途中で中断させる事も――――もっと言えば、リーダー格の男が斬られる前にどうにかする事も可能かも知れないが】
56 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/05/18(月) 00:54:03.41 ID:q6tTQI+DO
>>52

【──あげられた3つの固有名詞。その中にひとつだけ、個人的な繋がりのある名前があった】
【階段から降りてくるダグラスを、笑って待つ。リングを通されることを拒むでもなく、ふふ、とまた囁くように彼女は笑うのだ】


……私が死んでしまいそうなお客さんは論外ね。それにアインもだめ
彼、既に私の上客なの。……六罪王になっていたのは、最近聞いたわ。驚いちゃった

ふふ──あぁ、素敵な指輪。あなたのコレクションなら、きっと間違いはないわね
普段はあまり装飾品を着けないけれど……ふふ、これくらいなら、かえっていいかもしれないわ


【リングのつけられた指を宙にかざす。小粒ながらに、黒き宝石は淑やかに己を煌めかせていた】
【主たる彼女よりは目立たず傍らに控え、それでいながら見るものをそっと魅了する──ふふ、と彼女は満足そうに笑った】

【そしてダグラスから改めて帰路を促されれば、「そうね」とやはり笑って答える】
【少なくとも、アインよりは話術に長けていそうだ──そう思い、かつんとヒールを鳴らして彼女はダグラス邸を後にする】
【少女が振った手は、残念ながら無視されてしまうものの……いずれまた、会う日もくるかもしれない】

/このあたりでしょうか?
/では、一足先に失礼します。ありがとうございました、お疲れさまでしたー!
57 :ヴェール=カタストルフ[saga sage]:2015/05/18(月) 00:57:08.60 ID:Lh0EjAdBO
>>53

んだそりゃ、じゃあなんだ俺はテメェの脳みその中掃除してたようなもんかよ

【現実で起きたこと、などと規格外なことを聞きそれに干渉させるということで六罪王の片鱗を少しだが味わいバツの悪そうな顔をする】

あぁ?望みだぁ?ンなもんねぇよ

【元々六罪王の顔を拝みに、あわよくば戦いに来たのだが顔も十分に拝んだし闘争もある意味十分なほど行った。今更望みなんてものはない。むしろ男に望む願いなどは最初から持ち合わせていなかったのである】

強いて言うならだ、テメェら六罪王全員ぶっ殺す権利ってところか?まぁもらわなくても殺るがな

【口を歪ませ声を出して笑い始める。これを館にいる他の人たちが聞いたらどう思うかなど気にもせず】
【実際彼は六罪王にあったのはこれが初めてでただ「強そうだから戦いたい」というだけである。その彼を人は身の程知らずとわらうだろうがあいにく彼はこの生き方しか知らなかった】

どうしても叶えたいつーなら?今日のところは十分楽しませてもらったし?とりあえず雨風凌げる寝床で勘弁してやるよ
58 : ◆iBPkBgx72E[sage saga !red_res]:2015/05/18(月) 01:06:41.57 ID:Uq1js7nTo
>>54

【泥棒、という職業に置いて物を見る目というのは非常に大事なものだ】
【というのも宝石は当然ながら、此処に置いてある美術品は】
【全て、見立て通り素晴らしい価値を持つものばかりだからであり】

【その上、二度と市場に出回らないとされていた品々なのだ】
【裏に流せば――全て合わせて、4〜5000万にはなるはずで】

……おや、また随分と元気だね。目ぼしい物が見つかったようで何よりだよ
ただ、一つだけ……どうせ盗むなら、大切にしてね?

【去り際のエースへ、にこやかに声をかけるのはやはりダグラスだった】
【雰囲気は変わらない。しかし、何となく最後の言葉は重々しく】
【――ともあれそれさえ気に留めなければあとは誰も止めるものは居ないのだ】

【こと泥棒という一稼業で鑑みれば、大成功の一件だった――と締めくくれるだろう】

>>56

……へえ、あのアインが?
彼も不思議な人だよね、如何にも魔術師肌というか……フフッ。

あぁ、それじゃあ気を付けて。面白そうな話は次に取っておかないとね
それまでお互い、生きていると良いんだけど…――。
ロゼッタ。……ケミッシュの事、僕からもしっかり感謝させてもらうよ。

【ヒールの音も、嫌味というよりむしろ上品に。纏う空気すらも着こなしているような】
【そんな彼女に一言かけながら、ダグラスはそれを見送った】
【アインと同じく六罪王――だが、その違いを知るには十分な機会となったことだろう】


//お二人に関してはちょうどキリも良いですし、ここまでということでッ!
//夕刻から深夜まで、拙い進行にお付き合い頂きありがとうございました〜!
59 :ベル ◆/Pbzx9FKd22015/05/18(月) 01:12:21.24 ID:gfrkicWG0
>>46


【ベルはアリスの別れの言葉を、やはり穏やかな目線を向けながら聞いていた。】

絵本の読み聞かせか、それは良いね。「100万回死んだ犬」なんかは僕も大好きだよ。
旅路の途中で再開することもあるだろう。君はとても興味深い存在だから、その時を楽しみにしているよ。

…君は綺麗だから。くれぐれも悪い男に引っかからないようにね。

【最後に一言、彼女は余計な言葉を発して一人愉快そうに笑った。】
【それと共にベルの体は動き出し、再び砂浜へ巨大な爬虫類の足跡が作られてゆく。進む方と逆向きに座り、振り返って礼をするアリスに彼女は笑顔で手を振り答えた。】



【そして、数十秒が経過した。ベルはアリスの姿が見えなくなったことを充分に確かめてから、白衣の中から黒い携帯端末を取り出す。】
【指先で何らかの操作をした後、端末を耳へと当てる。何回かのコール音がしてから、彼女は通話を始めた。】

…もしもし。回線係?カノッサ機関科学研究局Aブロックの方へ交換連絡を頼む。

…あ、もしもし?僕だよ、ベルだ。いや、今度はマンガの話じゃないって。本当。君に、いや君たちに、かな。朗報なんだ。ちゃんと「能力」研究に役立つ情報だよ。
偶然にだけど、"ゼノン"という地域の次期王女とされる人物と接触した。何、知らない地名?じゃあ先に場所を割り出すところからだな。
それで、次期王女の名前はアリス・ルシフェー・ローズ。現在は王家公認での旅行中で各地のホテルを転々としてる。
いや、ここからが大事なんだ。その"ゼノン"に於いては、移民を除く原住民のほぼ全員が「能力者」であるらしい。うん、つまりそこの原住民のDNAを調べれば、「能力」の世代間での遺伝条件が解明できるかもしれない。
だから君に一報入れようと思ってさ。その手の情報、探してたろう?うん、ガセだろって?まあ情報料はそれが真実だと判明した時にしっかりと頂くよ。
でだ。例のアリス嬢に関してはまだ泳がせておくべきだと思う。うん…、うん。そうだ、彼女は充分に利用価値がある。上手く使えば、"ゼノン"を丸ごと君らの実験場にできるかもしれないからさ。
彼女が次に向かう先?うぅん…櫻の国、かなぁ。それは僕にも不明だ。でも、一応網を張っておく価値はあると思うよ。

うん、大体そんなところかな。それじゃあね、『統括』サマ。

【その言葉と共に彼女は耳から端末を離し、白衣の中へと仕舞い込む。彼女の眼は愉快そうに微笑みながらも、冷たい月の光に照らされてまるで氷のようだった。】



【ベルの目的は究極の殺戮兵器を製造し、人類を絶滅させることにある。目的を同じくする人間以外と仲良くすることは無いし、興味を抱くことも無い。】
【しかし興味の無い相手であっても、目的に対し有用な情報を持っているのならば、あらゆる手段で接近し積極的に会話を始めることだろう。】
【ベルの興味は人間には無い。人間が持つ情報にのみ有る。人間一人から聞き出すことのできる情報は膨大だ。すなわち彼女にとって人間とは情報の入れ物である。】
【ベルの本質は邪悪である。自身の理念こそが絶対であり、他者はその為の踏み台に過ぎない。自身が間違っている、等と彼女が思うことは生涯無いだろう。】

【面白くなってきた。ベルはそう呟いて、一人けたけたと哄笑(こうしょう)した。】




/こちらもこれにて〆となります。二日間ありがとうございました!

60 :エース・セブン ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/18(月) 01:12:56.83 ID:q2xrTjtKo
>>58
【階段を軽やかに登り終えたエース、エントランスに集合している探索者達には眼もくれず、さっさと屋敷から離れようとする】
【というか、他の奴らが全く疲れてなさそうで、もしかしたら本当に自分だけがあんなに苦労したのではないだろうか?という考えが現実味を帯びたが、まあどうでもいい】

【扉を潜る瞬間、背後からダグラスに声をかけられ、ピタリと立ち止まる。振り向いたエースの表情は、これ以上にない笑顔で】

当然、大切にするに決まってんだろ、こいつはもう俺様の物だぜ?

【盗人猛々しい捨て台詞を返すと、物凄い速さで逃げ出していった。六罪王の家から物品を盗み出す泥棒と、彼の名前が広がる事は……無い】

/お疲れ様でしたー!
61 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/18(月) 01:17:42.79 ID:pS6KpD+50
>>53

【ダグラスに願いを問われる。曖昧な情報ではなく希望する情報を、という事なのだろう】
【「アーグについて知っている事」なら範囲が大きすぎる。希望に沿う答えでは無いかもしれない】
【もっと正確に、具体的に、「何を知りたいのか」を知りたいのだろう。―――マリアは、少し逡巡して】

ふふっ……最初は、アーグについての情報と申しましたが―――心が変わりました。
貴方に望む事、それは―――

―――「私と一緒に、あの人を助ける」事です。


今、貴方の親友は窮地に陥っています。ご存知かもしれませんが……肉体をアーグに乗っ取られています。
そして、その体で「フレデリック」と名乗り……子供達の居るゼン=カイマを襲撃しています。
―――私は、それを止めなければなりません。止めて、子供達を護り……愛する人を、取り戻さねばなりません。
でも、その方法が分からない。乗っ取られたあの人の心は今どこにあるのかも……それを元に戻す方法も……

私は、あの人を信じています。どんなに絶望的でも……必ず私の元に帰って来て下さると。
―――だから私も、私が出来る精一杯の事がしたい。可能な限り、力を尽くしたいのです。

……先程の問答で、貴方は親友フレデリックを掛け替えの無い物と言い切りました。
そんな貴方だからこそ―――お願いします。私と一緒に、アーグからあの人の体と心を取り戻す方法を―――

【―――凛と、澄んだ瞳でダグラスを見つめる。その表情には、真摯な覚悟が据わっている】
【六罪王という地位を忘れ、親友として窮地の親友を助けるように求めた。彼の答えは―――?】
62 : ◆iBPkBgx72E[sage saga !red_res]:2015/05/18(月) 01:18:53.16 ID:Uq1js7nTo
>>57

そういう事なら……いいよ、他の六罪王に伝えておこう。
『キミと出会ったら戦ってあげてくれ』ってね

勿論、皆がそれに賛同して相手をしてくれるかは別だけれど……
……ボクも、いずれ機会があれば戦うよ。
ただし加減は出来ない。……それと、雨風凌げる寝床位はお手のものさ

【そう言って差し出すのは一枚の紙。地図だ。行き先はここからしばらく行った草原で】
【どうやら小さな別荘のような場所らしい。山小屋をイメージすれば良いだろう】
【絵を書くための遠征所。――それから、最後に一言ダグラスは質問をするのだった】

【――――『キミの名前はなんて言うの』と。】

//そいでは、こちらもキリが良いのでこの辺りで、ということで!
//途中からでも参加して頂いて嬉しかったです、お疲れ様でしたッ!
63 :スクラップズ ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/05/18(月) 01:23:08.53 ID:qOmlFpy6o
>>55
……なるほど。宣言通りの立場だったというわけか

【吐き捨てるように言いながら、大男もまた自身の受けた右腕のダメージを回復しきれていない】
【こちらも、彼女を確実に仕留めるだけの算段はない。ならば、自分たちの得意分野たる連携攻撃でかかる他なかった】

[うおぉっと!? 刃物を掴み止めるってあんた、若い女がやりますかフツー!?]

ぐぅ、お――――!!
(まずい、顎を揺らされた……!!)

【肘の一撃は確実に大男の顎を捉える。見た目が異形でも元は人間、その構造は同じ】
【顎を打たれれば脳が揺れ、バランスを崩す。その巨躯がぐらつき、直後、左腕に激痛が走る】

ぬぅぐ、あああぁぁっぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!

[て、てめぇええええええ!!!]

【体勢を崩したために対処が遅れ、断罪の刃をまともに受けることとなった】
【回転する刃が、膨らんだ肉の防御を強引に削り取り、砕いていく。大量の鮮血と肉片が散らばる】

【対処の遅れたピアス男が、肉を斬り進む彼女の後を追おうとする。その時。大男の声がした】

――――私の罪を滅ぼし尽すのは、容易ではないと知れ……!!!

【ギラリ、と大男の単眼が生気を取り戻す。首が引き戻される、と同時に切り裂かれていた肉がチェーンソーの刃を挟むように動き】
【その動きに抵抗し、侵攻を遅らせようするだろう。さらにそれだけには飽き足らず、切り裂かれた肉の断面が蠢いたかと思うと】
【そこから、何か細長いものが這い出した。蛇だ。ドス黒い体色と異様に長い牙、二又に別れた尻尾を持つ蛇が一匹】

【大男が廃の国で新たに手にした能力の一端だった。蛇は、素早く地面を這いずって、その牙を断罪者の右足に突き立てようとするだろう】
【ピアス男は、この状況を前にして一度足を止めた。ボスの攻撃に割り込むべきか、逡巡したらしい】
【今、彼女が意識を向けるべきは、眼前の肉の怪物と、足元の蛇となるだろう】
64 :ヴェール=カタストルフ[saga sage]:2015/05/18(月) 01:36:13.57 ID:1Rr5YnpjO
>>62

くっは…!そりゃ良いじゃねぇか。加減できねぇなんていたせり尽せりだ

【これで彼は名実ともに六罪王に喧嘩を売った愚かで馬鹿な身の程知らずとなる。その六罪王が彼を眼中に止めるかどうかはわからないが】

【出された紙を受け取り紙を見ながら振り返り階段を下りていく。これ以上いても特に実りはない。この手の相手に話し合いを続けたところでのらりくらりと躱されるのがオチだろう。彼は待ちきれなくなる時もあるがそれに楽しみは後に残しておくタイプなのだ】
【階段を下りていく最中に背後からのダグラスの声に反応して足が止まる。一瞬だけ背後の声に六罪王と少年が重なったかのような錯覚を受ける】
【だがその受け答えはもうすでに──わかっている】

人様の素性を聞きてぇ時はまずテメェのを言うのが流儀ってもんだ

【振り返らず笑いながらそう受け答え、一度笑った後続けて口を開く】

──ヴェールだ…ヴェール=カタストルフ。テメェを殺す名だダグラス

【「覚えておけ」と捨て台詞を吐いて階段を下り、入ってきた扉に向かう。行先はともらった地図の通り雨風凌げる寝床まで…】

/お疲れ様であります!
65 : ◆iBPkBgx72E[sage saga !red_res]:2015/05/18(月) 01:37:37.21 ID:Uq1js7nTo
>>61

【ふと、口元の笑みが大きくなる。腰にやっていた手が金髪を撫でて】
【うっとおしげに髪を梳くと、今までにない"鋭い"視線がマリアの背後】
【ライトブルーの髪色をした少女に向けられる。この少女、女性を一人背負っているが】
【先ほど、逆五芒星の扉から出てきた人物だ。――どうにも、ダグラスの部下らしく】

『……ぁ、はいであります。かの大司教については、それぞれ聞き及んでおります。
 実は我々も"排除"を計画しておりまして…――ですから、その……。』

まず、一つ……この彼女、ケミッシュをゼン=カイマに置いて欲しい。
彼女はボクの手駒なんだけど、一度アーグに目を付けられてしまってね?
今は死んだことにしてあるのさ。だから、またどこかに匿わなきゃならないわけだ
それに、許諾してくれればお互いの諜報係にもなるからね。

それから、策はある。まずはフレデリックの魂をこちらの手中に収めるんだ。
元のフレデリックの身体をアーグが使っているなら、その逆はどうなっているのか……
……古の大司教の遺体がいま何処に在るのか、分かり次第君に伝えるよ。

【『まずはそれで構わないかな』と確認を取る。――"まずは"、なのだ】
【つまりこれで終わりではない。嘘を吐く人柄でも、下らない冗談を言うタイプでもない】
【六罪王であっても人間なのだ。その友人のためとあらば、願いを聞こうと明確に答えていた】
66 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/18(月) 01:44:58.98 ID:pAgEne4j0
>>63
【――――手に伝わる振動は明らかにダメージを与えている証左】
【ならばこのまま押し切り、殺してしまう。そう考えた、最中の事】
【この状態でも尚反撃に回るとは思っても居なかったのか、その牙は確かに足へと食い込む事が出来たことだろう】

【此処まで来れば意思の張り合いとでも言うべきか、満身創痍とでも言うべく状態でも尚女も攻撃を止めず】
【……見れば背中ががら空きだ。ガラス製のブレードを突き立てれば終わらせる事も出来るかも知れない、が】


『――――見ての通り普通じゃ無いからね、ボク同じで』

【不意に響いたのは、また別な女の声だ。或いはソレよりも早く、“聖”の気配がこの場に満ち始めた事から気付けただろうか】
【見遣れば白い翼を生やした女が一人、槍を片手に歩み寄っていて】
【一度でも見た事があるならば、それが誰なのか直ぐに理解出来よう。そうで無くとも――――また別な教会の者、ともなれば】


『罪を滅ぼし尽くすのは容易じゃ無い?
――――いや、簡単だよ。キミの首と身体を切り離しちゃえばそれで終わりさ
浄化だとか何だとか、そんなのは神サマ閻魔サマの管轄でボクの仕事じゃ無い

……悪いけど、仲裁に入らせて貰うよ』

【相手の反応を待つ事も無く。喰らいつく蛇を切断せんと槍が振るわれ】
【――――厄介なのは、其の槍には“石化”の能力があることだ。詰まりは切断面は石化する事となる】
【関節を切られたならば身体の動きにも制限が掛かり、肉体を切られたならば――――】

【もう一人の男に対して、何をする訳でも無い。だが、その視線が物語るのは変に動けば容赦はしない、と】
【緊張感も無い表情。だけれど、この場でそんな表情を浮かべられているとなれば】


『ボクもコッチのお馬鹿さんを治してあげたりしなきゃいけないからね
逃げるなら追わないよ?少なくても、今は

――――暴れたり無い、って言うなら代わりにボクが相手をするけどさ
そうなれば生憎、容赦する気は無いし生かして置くつもりも無い。何せキミ達みたいな人からは“死神”だなんて呼ばれてるんだ
生きて返せばその名前もただの笑われる為の肩書きになっちゃうから、ね?』

【簡潔に告げるのは、今逃げるならば追って追撃する事も無い――と】
【赤髪の女は余計な事をするなとばかりに睨み付けるのだが、本人は何処吹く風で】
【『ボクとしてはどっちでもいいけど』――――なんて、小首を傾げて問うた】
67 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/18(月) 02:12:09.78 ID:pS6KpD+50
>>65

【ふっと見せたその笑みの意味は―――きっと肯定と取って良いのだろう。】
【それから、彼の方策が伝えられる。どうやら彼にはもう目星は付いているらしく】
【フレデリックを取り戻す為に、何を成すべきか、何処を当たれば良いか】
【そんな事を、逐次教えてくれるというのだ―――】

―――……有難う御座います。
やはり……あの選択は間違いではありませんでした。貴方は、友を大切にする事を選ぶのですね……!

【敵に回すと恐ろしい男だが、味方につけるとこうも頼もしいものなのか】
【ダグラスが、遂に一人の人間として友人を助けようと動いてくれる―――!】


【そして、たった今指し示された少女―――ブランデン・ケミッシュへと目を向ける】
【彼女もまたアーグに目を付けられているらしく、ゼン=カイマに匿って欲しいとの事】
【勿論それは断るつもりは無い。こくりと小さく頷けば、ケミッシュの手を取り】

ケミッシュさん……ですね?……お会いするのは希望の灯∴ネ来でしょうか。
あの時の事は不問には出来ませんが……今は、忘れましょう。
―――私はダグラスさんの親友の妻……マリアと申します。どうか、宜しくお願いしますね。

では、ダグラスさん……私は、ケミッシュさんとゼン=カイマに戻ります。
どうか、くれぐれも―――あの人を、宜しくお願いします。

【最後に一瞥すれば、マリアはケミッシュを連れてゼン=カイマに戻るだろう】
【絶望に抗う糸口を見つけて、マリアの表情には少しだけ明るい色が差していた】
【静かに、確実に、夫を取り戻す作戦が始まる―――】
68 :スクラップズ ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/05/18(月) 02:17:39.30 ID:qOmlFpy6o
>>66
【蛇が食らいつけば、痛みに苦しみながらも大男はほくそ笑む】
【自身の食らい蓄えた命を分身として使役する力、実践で用いたのは初めてだが上々の成果だ】
【されど、まだ刃は止まらない。肉の動きでは止め切れない。それを見てピアス男が舌打ちし】
【その無防備な背中に刃を突き立てようとした、その時】

[ひ――――!!?]

……グリース……イムリン、パルス……!! 死神様の、お出ましか……

【自分たちにとっては、対極と言えるだろう聖なる気配。神々しいまでの白い翼】
【それでいて、その槍は鋭く。その目は、自分たちへの死の宣告を告げる不吉の光】

……首を切り落とした程度で終わると思われるとは、私も安く見られたものだな
なら、お前の仕事はそいつと同じく殺すことか? その大げさな翼は、死神には不似合いだな

【振るわれた槍は、何の抵抗もなく大男の分身たる蛇を両断するだろう。断面が見る見るうちに石となっていき】
【蛇は痙攣しながら動きを止め、大男の流した鮮血の中に沈み込むようにして消えた】
【その時点で、両断された肉は切り離され、大男自身は槍と石化の脅威から逃れた】

【ピアス男の方は、自身に向けられた視線に汗を流しながら後ずさりする。力の差を認識する程度の脳はあるらしい】
【気の抜けたような顔の女一人を前に、悪党は蛇に睨まれた蛙の如き有様となった】


――――いや、十分だ。お言葉に甘えることとしよう

出来れば、笑える冗談の類にしておいてほしかったものだがな
白い翼を生やした修道女の格好をした死神などと、その時点ですでに性質の悪い冗談だ……

【両腕をだらりと垂れ下がらせたまま、大男はピアス男に視線を向け、顎で工場の奥を指し示した】
【ピアス男が慌てて動き出し、工場の端で伸びていた生首を抱え上げて、再び大男の側に走り戻った】

【ピアス男にガードされるようにして、大男が工場の奥へと足を向ける】

……痛手は被ったが、いつものことだ。生きていさえすれば、問題はない
今回は仕損じたな、断罪者=c…縁があれば、また会おうじゃあないか?

【捨て台詞を残して、盗賊どもは踵を返した。そのまま、振り向きもせずに走り去り、工場の奥の闇の中へ消えていくだろう】
【少しの間を置いて、金属製の何かが開く音と、閉じる音が連続する。異形どもが、地面の下の地下通路へと逃げ帰った音だった】

【気配は消え、後には彼女たちと廃墟、戦闘の痕跡が残ることになるだろう】
【教会の修道女たちと異形どもの奇怪な一戦は、ここにひとまずの幕を下ろす――――】

【復讐を誓う盗賊どもの悪意が、再び彼女たちの前に現れる日は来るのだろうか】

/このあたりで締めでしょうか? 二日間、ありがとうございました!!
69 : ◆iBPkBgx72E[sage saga !red_res]:2015/05/18(月) 02:37:01.23 ID:Uq1js7nTo
>>67

『覚えておいてでありましたか。……その、よろしくお願いするであります。』

……彼女は、何かと欠点の多い部下なんだ。
元は戦うための兵器として育てられ、その課程を終える前に研究所が襲撃されてね。
色々と迷惑を掛けるかもしれないけれど……まあ、良い子だからさ。

【よろしく頼むよ、と続けて――それから、ゼン=カイマに戻るという言葉に頷いた】
【ただその前にケミッシュは背負っていた女性。赤髪の、起きる気配を見せない彼女を】
【ダグラスに受け渡す形で下ろしてから、マリアに従って動くこととなり】

【――やがて『アーグに悟られる前に』と急かす形で、二人を裏口から帰す、と。】

/ちょうど良い塩梅ですのでこれにてっ、深夜までお疲れ様でしたー!
/詳しくはまた明日にでも舞台裏でお話しますね。それでは、失礼致します!


>>ALL

【ついぞ無人となった館を一人歩く。向かう先は荒れた庭、館からは距離を取り】
【小脇に抱えた人形を眺めてから、自嘲するように笑って視線を館に向け】

……子供の頃の記憶も、心のなかの誰かも、掛かった靄も全て晴れた。
中々居心地がいいじゃないか、この世界っていうものは
今なら素敵な作品が作れそうだ……けれど、まずは目的が一つ。

……六罪王は裏切りも十八番だと、キミに知らせてあげないとね
混沌の大司教・アーグ…――親友の身体を乗っ取った報いは、必ず受けさせるよ

【――彼の頭上を黒龍が駆け抜けた。すさまじい早さで出現した漆黒のドラゴンは】
【館に紫の炎を放ち、爆炎でもって館そのものを一挙に破壊し尽くしてゆく】
【やがて数分もしない内に燃える廃材と化した邸宅から、黒龍は何事も無かったかのように飛び去って】


【後日から、この敷地は個人の所有ではなく公有の財産として利用されることとなった】
【ドラクレア島へのゲート、広い芝生、手入れをすれば輝かしいガーデン】
【そして――地下に眠る財宝の噂を孕んで。六罪王の一邸宅は、静かに幕を閉じた】

/こちら小イベントの締めとなります。
/ご参加頂いた皆様、本当にありがとうございました&お疲れ様でした〜!
70 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/18(月) 02:41:33.48 ID:pS6KpD+50
>>69
//お疲れ様でしたっ!申し訳ありませんが、眠気が限界に近い故〆は寝てから書かせて頂きます……!
71 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/18(月) 02:49:27.40 ID:pAgEne4j0
>>68
『さあね。そう言い出したのはキミ達路地裏に居る様な住人達さ
ボクはただボクの仕事を果たして居ただけだよ。そして気付けば、死神なんて名前が付いてただけ

――――死神の役目は命を狩り取る事だけだ。改心を促したりするのは別な人の仕事だよ』

【殺す事に戸惑いは無い。だからこそ、その通り名が有る】
【槍を片手に、もう一人の修道女に肩を貸せば男達の逃走準備をただ眺めるだけ】
【約束通り、追う事も無ければ途中で危害を加える様な事もせず。肩を貸した女を柱にでも背を預けさせ】


『ボクが死神に映るのはキミ達の様な人種だけさ
別な人から見ればボクなんて無害でただの変な修道女だよ』

「――――スクラップズ。次に見掛けたら絶対にアンタ達を殺すから覚悟してなさいよ
その軽口も叩けない位に痛めつけてから殺してやるわ……」

【翼を生やした女は肩を竦めるみ。対して、朱髪の女は――――】
【足も動かず、左手も傷が深い。意地で負った所で良い結果にならないのは目に見えているのだから、ただ睨むだけで留め】
【それでも尚明確な敵意をぶつけ続けるのだからその気力だけは大したものか】
【何であれ、今宵はこれで終える事となろう】
【――――また何時か会ったその時、血腥い展開が繰り広げられる事だけを確約して】

/そうですね、ではこの辺りで!こちらこそ有り難う御座いましたですよー!
72 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/18(月) 11:51:51.37 ID:pS6KpD+50
>>69

【これは後日談、ゼン=カイマでのケミッシュの処遇について】


【急かされるままに転移術式でゼン=カイマに戻ると、マリアはケミッシュを自分の家に連れて行った】
【彼女は暫く、マリアや子供達と共に此処で過ごす事になるのだろう。彼女の為の居室も一部屋与えられて】
【何も起こさぬ限り、マリアは彼女に優しく接する筈だ。時には微笑みかけたり、食事を作るのを手伝って貰ったりして】
【「手駒として扱う」と言うより、「普通の少女として接する」ような……そんな印象を抱くだろうか】

【因みに、周囲や子供達には「暫く面倒を見る事になった身寄りの無い少女」と説明してある】
【ケミッシュにも、カノッサの関係者である事は悟られないように振舞って欲しいと伝える】

【無垢で人懐っこい性格が子供達にも受け入れられたのか、たまに「あそんで」とせがまれる事もあるだろう】
【兵器として育てられた彼女には、子供達の純粋な感情は不慣れかもしれないが……きっと、構ってやれば子供達は喜ぶ】
【そんな風にして、暫くの間ケミッシュはマリアの家で日常を過ごす事になる】
【古の大司教に反旗を翻す、その日まで―――】

//改めて、お疲れ様でした!
73 :ジャンクちゃん ◆LF1Ar7hXZw[sage]:2015/05/18(月) 12:22:22.79 ID:vAslgFovo
>>23>>28

「ジャンクちゃん……いったいどうしたというのだ!?どこか不具合でも出ているのか?」

……落ち着いてくださいませジュニアハカセ。ワタシは大丈夫デスヨー……いえ、むしろいつもより『好調』なくらいでございます
そして……正直な所なぜだかは全くわからないのですが……今のワタシならばその諸々の問題をクリアすることができるという……
奇妙な『確信』がすでにワタシの胸の中にあるのデスヨー

―――必要なのは『命』。確かに生きていく『命』が必要だというならば……それを生み出せばいい


【顔を上げてレインをまっすぐ見たジャンクちゃん―――すでに点滅どころか"赤い瞳"が完全に定着したその目には力がこもっている】
【確かな確信を得た事で彼女はすでに確かな目的の元、レインのために全力で遂行する、それ一つに意識を集中させ始める事だろう】
【―――そして突如、この場にいる者たちの耳に『声』が聞こえてくるだろう】


"ソウ、生ミ出セバイイ―――ワタシニハソレガ出来ル。ソシテ……アナタニハ、ソンナ『ワタシ』ガ備ワッテイル―――"

「こ、この声は!?いったい誰の……おおっと!?」


【声に反応したジンジャーが見回した直後、まるで『誰かに取り上げられた』かのように彼の懐からなにかが飛び出す】
【赤い球体のようなアイテムだった―――"アベンジャーズエッグ"、彼が機関の"卵"に対抗して制作した品だったはずだ】
【それが突如、懐から取り出され―――宙を動きジャンクちゃんの掌に収まることになる】

前からずっとワタシの耳に届いていたこの『声』……いったいどこから、いつからワタシを見ていたのかずっとわからなかった
でもようやく分かった……初めからずっとワタシの傍にあった、このチカラは初めからずっと……

"アナタガ望ムナラバ……ワタシハ『鉄』ニ『生命』ヲ与エル事ガデキル……サラニ『卵』ヲ媒介ニスレバ……
ヨリ『確カ』ナ形ヲ持ッテ生マレテクル事ガ出来ル……ソレガワタシ、ソシテ……ソレガアナタノ『能力』"


―――レイン、貴女に命を与えましょう。終わりが来るまで……どこまでも『自由』に生きていける『命』を……生み出せッ!『ヘッドレス・クロス』!


【己の能力の名を呼んだ事で、改めてその力が確かなヴィジョンを持ってその姿を現すだろう】
【全身が機械のツギハギに覆われた女性的なフォルム、長い黒髪に金のティアラを持ったその姿】
【まさかこれはジャンクちゃんの……人型の『マインド能力』か?……ロボットが『能力』?『能力』を持ったというのか?】
74 :レイン ◆/iCzTYjx0Y2015/05/18(月) 12:43:22.67 ID:d4TEPkWg0
>73>>28

【不安げな瞳のレインには、現在の状況はいまいち呑み込めない。】
【何せ、専門的な言葉が羅列がされている上、レインはマトモに学業を受けていない正真正銘の、子供。】
【ジンジャーが言っている事は特別難しい事でも無かったが、それでもレインにとっては"3つ"の選択肢すらも理解出来ない状況だ。】

【だが―――不思議と、異変を起こしたジャンクちゃんに対しては、一定の理解を示した。】
【いや、理解と言うよりもむしろ、もっと本能的な物だろうか。彼女は危険な存在では無い、という認識。】
【原始的な共感と言う何か確信めいた物を得たレインは、おびえ続ける事なく、警戒するカズネに対して言葉を繋いだ。】


 ……っ、かずね、だいじょうぶ。"あれ"は―――"あれ"はね、きっと、こわいものじゃ、ないよ。

 ううん。それより、ずっと―――ずっと、きれいな―――そういう、ものだとおもうの。


【ジンジャーの懐から、放たれた赤い卵が、紅のエネルギーを周囲に展開する。】
【そしてそれがジャンクちゃんの掌に収まった、次の瞬間―――強大な力場と共に、新たな"存在"が其処に件顕現する。】
【マインド―――自身の精神を基に、構築されるもう一人の"自分"。命ある者のみに発言するとされる、異能を操る影の人型<きょうぞう>。】


 ―――ほら、ね。とっても……すてきな、もの。


【レインは、生命力に満ち溢れたその新生"マインド"を、静かに見届ける。】
【無論、レインには事の重大さが理解できていない。機械人形たるジャンクちゃんが、】
【人間の能力の象徴たる"マインド"を生成する等―――もはや、それは奇跡にも等しい現象だ。】

【だがそれは、目の前で確実に起きている。生命出なければ生み出せない、もう一人の自分。】
【それを得た今、ジャンクちゃんはもはや単なる機械部品の塊では無くなり、確固たる個人を持つ存在へと、昇華したのだ。】

【この場にセリーナがいたのなら、事の重大さを理解し、きっと温かい眼でその誕生を受け入れた事だろうが】
【此処に居るのは残念ながらレインその人のみ。だが彼女は彼女なりに、産まれて始めて見るその不思議な姿に、興味を抱いていた。】
【恐れる事無く、暴れる事も無く、彼女がそんな反応を見せたのは紛れもない。】
【そのマインドに溢れる力が、ジャンクちゃんの母性から来る物だったからに―――きっと、違いなかった。】
75 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2015/05/18(月) 12:55:21.82 ID:2bXl/fqZo
>>73

――――――――……ッ!?

【人ではない何者かの声に魔女は驚愕を浮かべ身構える】
【かねてより飄々としたままの老婆でさえもそれは同じく、全くの同時に魔翌力が迸るのは反射】
【目に見えぬ外よりのモノと出会ってしまった生物としての本能のそれ】

【されどそれは敵に非ず、いやその性質から考えたならば敵よりも尚も恐ろしい】
【仮初の命、そしてそれを越える完全な個人を生み出す力……埒外とはよく言ったものだ】

(……戸惑う、そりゃ幾らアタシだって戸惑うわよ何が何だかさっぱりだし相変わらず婆さんは我関せずだし)
(でも、この子の力になるというなら……縋るしか無い、か――――――――)

【本能により高まる熱量は律する理性により収まり】
【ならばそれは魔女が事の顛末を見守るという意思表示】

>>74

レイン、貴方がそう判断するのならば私はそれに従うわ……
この場の主は他の誰でもない貴方自身なんだからね、だから私は次の手順の準備だけに力を割く

【これから行われる具体的な事の想像はつかないが少なくとも「生み出す」分野においては自分の役目ではないだろう】
【むしろその後の工程にこそこの場に自分が居る理由と意味がある、ならばとそっとレインの背を押してジャンクちゃんと呼ばれた彼女の前へ】
【そうして自分は2,3歩と離れ静かにただ深く潜るように魔翌力を練り始める、退廃と混沌を宿す赤は静かに周りの気温を上げ始め】

【そして確りとレインの至る道を見つめるべく真紅の瞳は輝いていた】
76 :ジャンクちゃん ◆LF1Ar7hXZw[sage]:2015/05/18(月) 13:33:47.38 ID:vAslgFovo
>>74>>75

【突如起きたその現象を、今度はジンジャーはまっすぐ見届けていた】
【ジャンクちゃんが発現させたそのヴィジョンを見るその目に……憂いを込めながら、事の状況を見守る】
【同時、彼の姉パプリカが車椅子を動かしてジンジャーの横に並びながら、言葉を零すだろう】

『……あのマインド、見覚えがあるね。僕たちは以前にこの『能力』を見ている……これほどの力だったとは知らなかったけど
射程距離は5mの近距離パワー型。金属に生命を与えそれに指令を行う事で事前に動かすことができる能力、その能力名は……』

「……『ヘッドレス・クロス』、だな。もう十年以上このヴィジョンを見ていなかった……これからもずっと見ることはないと思ってたのに……」


【苦い顔をしながら見守るジンジャー、彼女がその力を発現させたことをあまり喜んでいるようには見えない】
【そんな様子などつゆ知らず、ジャンクちゃんはその掌の赤い"卵"に力を注ぎ始めるだろう】
【エッグロイドを生み出していた時とはまるで比べ物にならないエネルギー、その出力の負荷で、バチ、バチ、と火花が出始めている】


あ、ああ、っつ、ううっ……ッァァアアアアアアアアアアアアアアア――――ッ!!!!!


【ジャンクちゃんの意志の元その両手を卵に差し伸べる『ヘッドレス・クロス』、そのエネルギーを注がれれば注がれるほど、卵が脈動と発光を繰り返す】
【やがて、その卵の周りを高密度のエネルギーが渦を巻き始め、少しずつ、少しずつ肥大化していく】
【サッカーボールほどの大きな球体へと肥大した所で"卵"はひとりでにジャンクちゃんの元を離れ、ふわふわと浮翌遊し始めるだろう】
【その現象を見て、ジンジャーがすかさずカズネに指示を飛ばす】

「……『それ』だ、カズネ君!引き剥がしたレイン君の魂の行き先は……その巨大な"卵"に移動させるんだ!
この現象、私ですら初見だが……この力が私の知っているものと同じ物であるならば、それで問題なく『誕生』するはずだッ!!」


【肉体ではなく、この"卵"へと移動させろと指示を飛ばしてくるジンジャー】
【……この現象、まるで本当に今この場にレインを誕生させろとでも言わんばかりの現象だ、このまま放っておけば別の何かが誕生するのかもしれない】
【そうなる前、不確定の命の種の状態である今このときにレインの魂を移動させたなら……レインは新しい体を得て改めてこの世に生を受ける事だろう】
77 :レイン ◆/iCzTYjx0Y2015/05/18(月) 13:51:43.14 ID:d4TEPkWg0
>>75>>76

【浮翌遊する"エッグ"、そして吹き荒れる生命の力。】
【"マインド"―――人の意思、思想と名付けられたその能力郡はまさに】
【人でなければ絶対に扱えない能力。ジャンクちゃんの、自己を賭けた戦いが始まったのだ。】

【レインは恐れる事無く、術式の中心へと足を運ぶ。カズネの瞳を一度チラ、と見て】
【そして信頼に足るであろう彼女の視線をしっかりと受け止めると、背を押されて歩きだす。】
【一歩、また一歩と、力場の中に彼女は身を投じて行く。そう、始まるのは術師と、機械と、そして少女の三人による壮大な"戦い"。】

【己を掴もうとしているのは、決してレインだけではない。自己の確立、そういう意味ではジャンクちゃんもまた】
【レインと同じく戦いに身を投じていると言って差し支えは無い。ジンジャーの怒号が聞こえた今、レインは震えながらも】
【しっかりと術式の中に立って、そして目を瞑る―――あとは、身を任せるだけ。いや、少し違うか。自分もまた、戦うのだ。】

【勝ち取る為に―――壊すのではなく。生きる為に。死ぬためでは無く。忘れる為では無く。】


 ……かずね。れいんはね、かずねを―――――――――、


【―――信じている。そんな言葉が、膨大なパワーの中に埋もれて行く。】
【彼女は本当に、大丈夫なのか―――ッ!】
78 :リーべ・上 ロゼッタ・下 ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/05/18(月) 14:22:13.29 ID:q6tTQI+DO
 【公園】

【雨の匂いがしていた。まだ地面は濡れていないが、傘を持っていなければ不安になる天気だった】
【そんな中、公園のベンチに座って考え込む1人の少女がいた。夜色の瞳と夜色の長髪の、18歳程の少女だ】


うぅん。今のところ5人、か。あの時一緒に戦ったライラやギアとも話をしてみたいけど──なかなか会えないものだな
ともかく、「あいつ」がまた動き出さないうちにみんなとはもう一度話を……
……えぇと。カミナに場所とってもらって、みんなが集まれる日確認して、えぇと、えぇと

……。…………あぁもう! 人は好きだがこれだから集団になると面倒なんだ!
やること多すぎてわけ分からなくなりそうだ! も────!!


【少女はしばらくの間ぶつぶつと独り言を呟いていたが、しばらくすると怒ったように大きな声をあげてしまう】
【──その際、うっかり能力でも発動させてしまったのか。彼女の「声」に乗って衝撃波が発生】
【ずがががが! と地面を抉りながら衝撃波は公園の入り口へと向かう──!】



 【街中】

【買い物客や勤め人たちで賑わう大通りに、1人の女が立っていた。長い黒髪に赤い瞳をした、長身の女だ】
【彼女が立っているのは大きなショウ・ウィンドウの前。随分と熱心に彼女はそこを覗きこんでいた、が──】


────やっぱり、似合ってないわね


【どうも、見ていたのはウィンドウの「中」ではなく「表面」……ウィンドウに写る自分を見ていたらしい】
【女は豊かな胸元を強調させる白いドレスを身に纏い、小指には小さなブラックダイヤの指輪をつけていたのだが】
【指輪はともかく、ドレスの方がお気に召さないらしい。なら違う服を、というわけにもいかないらしく】
【「似合わない」だの「でもこれくらいしか」だのと通りのど真ん中でウィンドウを見つつぶつぶつぶつぶつ】
【────早い話が、「邪魔」である】
79 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2015/05/18(月) 14:32:06.77 ID:2bXl/fqZo
>>76>>77

心得た――――――――…

【生命の原初の姿となったそれを魔女は両手を差し出し触れぬまま受け取る】
【その姿は天より拝領を受ける者、敬い尊み頭を垂れ仰々しく一歩一歩と整えられた「場」その中央へと歩む】

「お嬢ちゃん、こちらにおいで刻限は来た役者がいなければこの装置は動かない
大丈夫安心おし我ら2人の魔女ならばそうそう悲惨な事は起こり得ない、落ち着いて身を委ねなさい
進んだならばあの「卵」を手の中に納め、気を静めなさい……後は時が来れば自ずと分かるよ――――――」

【半径凡そ10m程か円陣の中央に「卵」は安置されたのを見て老女はそっとレインの背中に手をやりながら歩むようにと促す】
【それ以上の言葉は無い、双方の魔女は己の持ち場へと「卵」を挟む位置取りへと歩みを進め更なる力を解き放つ】

「カズネ、結界の起動は私がやりましょう貴方には心得はないでしょうからね
安心なさい、結界師の方もただ起動すれば自動で動き出すように調整をしてくれた……
後はただ単純に起動のスイッチを降ろすだけ、他の方は離れていなさいこれより儀式の中枢は認められた者のみしか通れぬ異界
触れれば最期、肉体はおろか魂さえも安全は保障出来ない……あなた方はやれるだけをやった、次は我々が成す番だ」

【老女は言い終わるや否やそっと掌を地に伏せ、ひとつの式を起こす】
【外界からの干渉、その一切を断つ「隔絶式」更に触媒として特級遺物「剣」「杯」「杖」「珠」を四方に配置し循環を描く】
【ふと伸びる細い糸は導火線とでも思えば良い、老婆から離れ四方に散り――――――丘陵地帯、遺跡群は一瞬の無音の後に叫びを上げる】

【東西南北と離れた地点から上がる白亜の光柱は雲さえも貫き光芒を描く】
【これより儀式の一切は秘匿される、目撃者はこの場に居る者達のみ故に歴史に描かれることなどなく】
【語る者達とて他者に話す事を禁じられる】

「赤の魔女よ、こちらは秘匿の魔術を解く……全力で当たるからには仕方がないそちらも合わせる事を努々忘れぬよう
こちらに戻るのも久方ぶりとなる、申し訳ないがここで見た事は誰にも語らぬようにお願いする何も歴史とは語られるべきものばかりではない」

【膚の下、老女はその蠢くモノを解き放つと語り眩いばかりの閃光】
【その後に在るのはうら若き乙女の姿、長きを生きる事を強いられた呪われの魔女がそこには在る】
【風にフードが踊らされ血のような赤を含むダークブルーの髪はエーテルに流れる】

【旧く、呪いの森にひとつなる果実を口にし老いが止み宿してしまった命の数だけ時を歩む宿命を受けた者】
【時は待たずただ流れる川のように当然と過ぎてゆく、しかしそれが人に与えられた摂理】
【人は死ぬ、その当たり前から逸れてしまった大罪人、故に人は彼女を魔女と蔑む】

「それでも、これからを生きる者に何かを残せるなら……悪くはない
呪われ蔑まれ忘れられた私に出来るであろう大禁術、決して他の者には語らずしかしその瞳に焼付けよ」

御託は並べ終わったかしらお婆様?――――――――……始めるわ

【旧く、いつとも知れぬ時に生まれた魔女という仕組もはや語る者さえも死に絶えた系譜、その望まれぬ因子を例外的に宿す者】
【熱とは力だ、あらゆるモノは熱量という概念に背中を押され歩み進んで来た、しかしその一方で過ぎたる物は道を踏み外す】
【驕り高ぶる者の熱を越える更なる焔を以って帳尻を合わせ有を無に還し次に繋ぐ役目を担う】
【積み上げた物を当たり前のように突き崩す断罪人、故に人は彼女を魔女と嘲る】



/続いてしまいます
80 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2015/05/18(月) 14:33:08.71 ID:2bXl/fqZo
【生と死は背中合わせで顔を合わせる事もなし】
【ある魔女は呪いの生を、ある魔女は戒律の死を―――――その二つを以って禁術を統べる】

解き……放つ――――――――……!

【鮮烈な魔翌力は場の式により変換され力と変わり、その力を以って魂の剥離を行い依り代へと移す】
【最高純度の力はさながら暴れのたうち回る大蛇のように地に空にと蠢き踊る、ことこの空間に於いては呼吸さえもままなるまい】
【唯一、場の中心であるレインを除きこの場の全ての人間にとっては酷く生き難い環境となる】

【そも魂とは積み上げた情報、それを剥がすに足る環境とはより霊的な世界に近づくという事】
【ならば心を魂を強く保たねば「連れていかれる」というのは半ば脅迫的に理解してしまうだろう】


(身体、熱い……神経全部焼き切れてるんじゃないのかしらってくらい……全くなんで私がこんなことやってんだか)
(そもそも痛みに耐えてまでやるような事でもないわよ、人間だれだって自分の快楽ばっかり優先するように出来てるのに――――――)

【掌を番えながら痛む身体に耐えながら魔女は思う、こんな事をして自分の得になるものかよ……と】
【いっそこのまま掌を下げて終わらせてしまえとさえ内に潜む者は囁く、……されどそれこそが魔女の起爆剤】
【元より反骨の相を持つ彼女にとっては逆境こそが最大の燃料となる苦境であればある程に宿す力はより強さを増す】

――――――――…ッ!……ァアアアアアア!!

【荒れ狂う大蛇を抑え奔流を御し式を起動する】
【色彩の無い流れはならば勢いのままに中心の彼女、いや彼女たちへと向かい目覚める】
【魂のカットアンドペーストという所業は或いは彼女ら双方に痛みを与えるかもしれない、しかし耐えてこそ得られる物がある】
【喩え涙を流そうとそれでも立つ理由が在る筈なのはこの場の誰とて同じ事】

【それでも不安に思うというならば赤の魔女の姿を決して膝を付かぬ者達の姿を見るが良い】
【この場全ては彼女達へ、得られる筈の生を得られなかった少女に捧げる再誕の詩は遙かに響き渡る】

【――――――やがて時が過ぎ奔流が止んだのならば儀式は終わり、結んでいた結界も解けるだろう】
【数分を過ぎて砕けた景色の修正が始まりならば中央部に居る彼女ら2人は果たしてどうなったのか】
【カズネは手応えを感じながらも不安げに痛み身体を抑えながら視界に映る時を息を飲んで見つめていた】
81 :ジャンクちゃん ◆LF1Ar7hXZw[sage]:2015/05/18(月) 14:58:37.22 ID:kW94TvF2o
>>77>>79>>80

【卵を手にした魔女がいよいよ儀式を執り行うための用意に入るのをジンジャーは見届ける】
【一方、"卵"に命を吹き込んだジャンクちゃんは、役目を終えた瞬間にブシュー!と黒い煙を全身から噴き出してその場に崩れ落ちるだろう】
【完全に倒れる前にジンジャーがその体を抱き留めながら、入ってはいけないと警告を受けたその異界での行動を目にするだろう】


ハカセ……

「……よくがんばったな、ジャンクちゃん……バトンタッチだ
都合のいいことに私は女性との約束は守るタチだ、約束は守ろう……しかし、なるほど
アレが彼女から感じ取った『違和感』の正体か……姿を偽ってまで隠していたとなると、本来見てはいけない物を見ることになりそうだな」


【ひゅう、と真の姿を現した乙女の姿を見て軽いノリで口笛を吹くジンジャー】
【しかしその直後に行われた禁術のすさまじさに思わず息をのむだろう】
【いったいどういった現象が起きているのか想像もつかない、足など踏み込みようもない、それでも……】


『バースデーケーキの用意をしておかなくちゃあいけないね、ジンジャー』

「そうだな。この世界はかつて君が見たせかいよりもずっと優しくなった、これまで戦ってきた皆の力があったから
今こうして改めて君の人生を始めることが出来る、祝福しようレイン君、さあ……生まれてきたまえ!」


【それでも、これから生まれてくる命に、一握りの祝福をささげるくらいの事は出来た】
82 :レイン ◆/iCzTYjx0Y2015/05/18(月) 15:59:41.63 ID:d4TEPkWg0

>>79-80>>81

【レインは、アナスタシアの手で背中を押され、1人術式の中に侵入していく。】
【吹き荒れる魔翌力がバチバチ、と火花を散らし、周囲の山々から光の柱が立ち上がる―――】
【結界、か。秘匿される魔術、周囲に見られてはいけない秘術、つまりは"禁じられた業"による分離―――】

【通常、魂を分離するとなればそれは単純な話、"死"を意味する事になる。当然だ。】
【『肉体』から『精神』を分離するのだから、その魂は天へと(或いは地へと)召される事になり、核を失った身体は】
【大地へと倒れ伏す事になる―――そう、通常ならば。だが、今回はそうはいかない。分離した魂を、ある程度現世に"留め"る必要があるのだ】

【その為に必要なのが、この"巨大"としか形容し様のない大掛かりな術式と、二人の魔術師による施術なのだろう。】
【結界と化したこの空間内に、溢れんばかりの邪悪な力が満ち満ちていく。矢張り、まともな手段では無いのだろう。】
【カズネが魂を"引き剥がす"手段として選んだのは、疑似的に霊界を生み出すかの様な、強引過ぎる凶悪な方法だった。】

【当然、この存在は完全に秘匿される。恐らく、誰かに見られた時点で"秘術"、"禁術"としての力を失うのだろう。】
【外界から隔絶されたこの空間はまさに、元々呪われた地である事も相まって凄まじいまでの霊力がおどろおどろしく渦巻く。】



 ――――っ、へ、び……っ……!?


【大蛇の様なオーラが、悪魔の様な悲鳴が、大地の放つ唸りがカズネや、アナスタシアの生命を割いていく。】
【苦境、等と言う言葉ではもはや形容できまい。これはほぼほぼ、"生き地獄"だ。】
【後は―――レインが如何に集中出来るかに、全てが掛っている。】


 (……っ、こわい……また、こわいめに、あうの……?)




    (いつもそう)    (ぅふふ。)
                  (こわい)  (いやだ)  
 (こわい)
         (しっているくせに)

   (きらい)         (ならどうしよう?)
                           (れいん。)

(こわしちゃえ。)  (うばっちゃえ。)  (わかってるでしょう?)

        (れいん。)     (あなたはれいん。)  (どこにもいけない)

 (れいん)
         (れいん)
                       (れいん)(れいん)
                (レイン)

  っ……!! ぃや……きらぃ……っ、ゃっ……ゃぁ、やだ……っ!!


【―――声が響いていく。彼女の呪われた歴史が、最後の最後でまたしても、彼女の前に立ちふさがる。】
【それは呪われた地の成す彼女への"攻撃"だ。だが、それと同時に"試練"でもあった。彼女の内なる声が、彼女を否定し】
【そして分離するな、このままでいろと甘い囁きを唱え始める。負の魔翌力が、少しずつ彼女の中で膨れ上がっていく、その時―――!】
83 :レイン ◆/iCzTYjx0Y2015/05/18(月) 16:00:26.87 ID:d4TEPkWg0
>>79-80>>81


 『レイン。そう、レイン。』

 『貴女は間違いなく、レインだ。それ以外の何物でもない。』

 『奴隷の生まれで、優しさを知らずに育った、醜い過去を持った傷ついたレイン。それが貴女だ。』

 『―――"アタシ"じゃあ、ない。貴女は貴女だ。どんなに醜い過去を持っていても、貴女は貴女にしかなれない。逃れられない。』

 『けれど―――新しい"貴女"になっていく事は出来る。他人には成り代われなくても、素敵な自分に成っていく事は、必ずできる。』

 『羨む必要も、妬む必要も無い。貴女には、貴女の人生が待っている。これから幾らでも、貴女は新しい自分を見つけていけるんだよ。』

 『―――、ま、そんなワケ。元気が出たら、そうだね―――馬の背にでも乗せてあげるから、レイン。』

 
               『―――踏み出せ。此処には皆がいる。』


 『必死にレインを救おうとするカズネちゃんと。』『身を削って戦ってくれてるアナスタシアさんと。』

 『成功を祈るジンジャーさんと。』『自分と戦ったジャンクちゃんと。』『見護ってくれるパプリカさんと。』
 
                『―――そして、アタシがいる。』


  
               【――――ドン、という衝撃波が、術式の中央、レインの肉体から解き放たれる―――】

 【刹那、"彼女"は卵へと手を伸ばし―――そして、産まれ出る生命の息吹きの中、霊力が燦然と輝き―――――――――――】






【――――静寂。】
【魔翌力が消え、全てが終わった時。】
【そこには1人の"女性"と、そして"少女"が立っていた。】

【少し癖のあるショート・ヘアの金髪に、ブルーとも翡翠ともつかない神秘的な光を灯す瞳。】
【どこか疲れた表情の彼女は、いつもの様に肩をすくめて笑っていた。"一仕事終えた"、と言わんばかりの様子で。】

【そしてもう一人―――ふわりとしたブロンドのロング・ヘアを、燦然と月明かりに輝かせ】
【紫の瞳を持った少女が、この世に新しく"降臨"した。いや、むしろ―――彼女は、"産まれてきた"、と言うべきか。】


 ―――……これ、が………れい、ん……?

【不思議そうに、少女はゆっくりと手を伸ばす。頭上の月へと、指を翳し。】
【そして、一歩、また一歩と足を踏み出せば、そのまま踊る様にしてステップを踏み出す。】
【クルリと身体を回転させ、彼女は夜風を全身に浴びながら―――そう、"レイン"は笑顔を見せ、言った。】


 ―――――――そらが、きれい!
 こんなに、きれいなそら―――みたこと、なかった!
 くうきが、おいしい……っ、じめんを、ふんでる……れいん、は……っ、あ、っははは、ははは!


【―――他人の身体越しでは、決して分からなかった感覚。そう、彼女はそれを感じ取っていた。】
【特別な事では無い。我々も毎日感じ取っている。朝起きて、空を見上げ、何時もの様にこう"思う"。】

【―――嗚呼。今日も、私は生きているのだ、と―――。】
84 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2015/05/18(月) 16:21:14.91 ID:2bXl/fqZo
>>81>>82>>83

――――――……かはっ……はあ……はあ……

【丘陵地帯に刻まれた式は役目を終え干上がり霧散してゆく、事は終わった】
【潮流は失せたならば魔女たちの役目も同じく等しく終わる】

【内臓に針をこれでもかと詰め込まれミキサーにまるごとかけたような痛み】
【いや言葉に出来る容量を越えている、既に痛覚さえも麻痺しふわりと魂だけが残っているようにさえ思える】
【ただ口から流れる血が地面に滴る、その景色だけが確からしさ】

……っ、ちょっとアナスタシア……アンタ無事……

「――――――――……まだ、か……」

【カズネはローブのあちらこちらから血の染みが湧き出しながらもこの場限りの相方へと意識を向ける】
【対してアナスタシアはただ静かに応える、世界が元通りになり晒される姿は凄惨の一言だった】

【肋が逆に弾け内臓さえも原型が無く溢れる赤はもはや血かさえも定かではない】
【絶命とされる状況、しかし呪いの内に於いてそれはただ痛いというだけのモノでしかなく浮かべる瞳はただただ虚ろ】
【レインが新たな生に焦がれるならばアナスタシアは死に惹かれている、届かない物に手を伸ばそうとするのはやはり人の性か】

ああ……その感じだとそっちはまた駄目だったか、悲しい物ね……
でも、ありがとう……あっちは無事に成功したみたいだから――――――――

【片や願いは叶わず、片や願いは成された……少女の明るい声がその証左】
【アナスタシアという「老女」は小さく「そうかい」とだけ応えて、身を正す既に身体の復元は始まっているのだろう】
【正視に耐えない物は見なくて良いとローブに深くその身体を隠す】

ま……お誕生日おめでとうレイン……
あー……やっばい疲れた、体痛いしー……一ヶ月はなんもしたくないかもー

【地面にへたり込んだまま深く息を吐き魔術師は少女のはしゃぐ様を見つめ微笑む】
【ただこれだけの為に、これが欲しかったからこそ身体を張った成果は語るまでもない】
【カズネの表情こそが全ての答えなのだから】

85 :ジャンクちゃん ◆LF1Ar7hXZw[sage]:2015/05/18(月) 17:05:30.50 ID:pYVWBARXo
>>82>>83>>84

【レインが生まれた瞬間、彼は片手を挙げてパプリカに合図を送る、意味は「ここまでの記録をカット」だ】
【パプリカは―――いつの間にか手に取っていた本を上げると、中間のページをびりびり破いて書き込まれていたアナスタシア達の施術を行う記録の部分までをカットする】
【約束は守る、この言葉を実行したという事だ―――そもそも見たものを記録する事が出来る機能があったのかと驚くべき所かもしれないが】

【ともあれ、施術を完了させ皆が姿を露わにした所で―――ジンジャーは上機嫌な様子で高笑いするだろう】


「フッ、ウッフッフッフッフッフッ、アーッハッハッハッハッハッハ!!!
成功かッ!!たいへんよろしい!!ハァッピィバースディッッッ!!!新しいレイン君の誕生だよ!!」

『伝説の暴走族の総長の声マネ無駄にうまいねジンジャー』

「お褒めの言葉ありがとう!……さあここからがお前の忙しくなるところだ、パプリカ!メディカルチェック!!
施術で明らかに消耗しているあの女性二人の容体は特にひどい!今すぐに応急処置を施さなくっちゃあな!
それから無事健康な体で生まれたかレイン君の健康診断も軽く行わなくっちゃあな!セリーナ君も消耗している!暖かいホットミルクが必要かな!?」

『はいはいわかってるわかってる、わかってるからさっさと手伝え愚弟』


【指示を受けるや否や、それでもパプリカはおっとりとした微笑みと共に車椅子に搭載した機能を起動させ始める】
【パプリカ・ユースロット自ら作成した多機能車椅子には多くのPCが搭載されているらしく、その中のメディカルチェッカーを起動】
【車椅子を動かしてカズネとアナスタシアに近づき、椅子から延びるロボットアームを伸ばしてその容体から先に見てくれることだろう】

【車椅子の周りに浮かぶ『表示枠』を確認しながら、パプリカは苦い顔をし始める】


『うっわー、こりゃあ一目でわかるほど負傷がひどいね……無茶した反動でズッタズタになってるじゃない
今すぐに治療するけど構わないね?……あれ、でもアナスタシアさんの方は少しずつ傷が治り始めてるね……
……『さっき言ってた事』ってこの事か……けど、助かったからには……今の傷の治療は受けてもらうからね』

「助かる傷ならば治療させて痛みを取り払わなければならないからな。その調子でセリーナ君も頼むぞ
無理をさせたと言えば、ジャンクちゃんも修復しなくては……おっと」


【そういいながら振り返ったジンジャーの目には……なんと、バッグから持参していた布を取り出して】
【とりあえずレインが着る事が出来るようにカタチを整えて簡易の服を作り終わった所だったのだ】
【丁寧な仕事ぶりを流石とたたえるべきか、今も肩などからバチバチ火花を立て、関節から黒い煙を噴き出している状態のくせに】
【やがて、よろよろと歩いてレインのすぐ目の前に立ちながら、その服を差し出し着せる手伝いを使用としながら、言うだろう】


……お誕生日、おめでとうございます、レイン。ここからが貴女の……貴女のための人生デスヨー


【向けられるのは、いつものように浮かべる……太陽のように眩い笑顔】
【侍女はいつでも笑顔でお仕事、それをモットーとして日々仕事に励むいつも通りのジャンクちゃんの顔がそこに在った】
86 :レイン&セリーナ ◆/iCzTYjx0Y2015/05/18(月) 17:46:19.78 ID:d4TEPkWg0
>>84-85

【"誕生"の喜びに打ち震える少女がいる一方で、"生存"の事実に哀しみを覚える者も居た様だ。】
【生憎と、レインは久方ぶりに感じる外の空気と、冷たさと、暖かさに夢中で其方を見れていなかったが】
【同じく、久方ぶりに此方の世界に顕現した"セリーナ"の方は、いち早く魔女と老婆の状況に目が行った様だ。】

 
 (―――これだけの、とんでもない"術"を施したんだ。)
 (代償に払う物は大きかった筈。そして、それが"失敗"だったと語ってる以上は―――、)
 (……あちらさんはむしろ、"死ぬ"事を望んでた、ってワケかな。この儀式で生を得る者と、死を迎える者が居る筈だった、と。)

  ……どちらにしても、アタシとレインは"救われた"側の人間だ。
  本当に―――本当にありがとう、カズネちゃん。それに、アナスタシアさん。
  何と言って良いものか―――ここ数日カズネちゃん達には、随分と……っ、くっ……。
  大きな大きな、"借り"ができちゃった、みたいだね……ふふっ、ふっ……う、ぐっ……!!

【壮大な儀式の中、死ぬ事を望んで尚、死ぬ事が出来なかった魔女。】
【彼女が抱えている不死という状況の辛さはセリーナに共感出来る物では無かったが】
【それでもセリーナは確かに感謝の言葉を告げ、苦しそうな顔で無理やり笑い、カズネの方へと近づき】

  ―――本当に、もうしわけ、なかっ―――。

【ドサリ。と、崩れ落ちた。矢張りまだ、本調子には戻っていない様で。】
【セリーナはそのまま、カズネの胸の中に寄りかかり、静かな寝息を立て始めるだろう。】
【あとはその身柄を、運び屋に頼んでUTに届けて貰えば良いだろう。それくらいは、サービスしてくれる筈だ。】


 ――――あっはははははっ! すごいっ、これ―――っ、すごい!
 あるいても、いたくない……っ、あしが、ちゃんとうごく……っ!
 てが、ふるえない……っ! めのなかに、ちがにじまない……!


【―――そうそう、そう言えばこの少女、"産まれた"、と言うからには】
【矢張り"産まれたまま"の姿なわけで、女だけの空間ならまだしも―――事実、此処には今、】
【ストライクゾーンが山より広いド変態さんがいらっしゃると言う事で、早々に服を身に着けるべきだろう。】

【レインは新しい身体と、すがすがしい空気の中で感嘆の声を上げるが】
【矢張りまだ緊張している部分はあるのだろう、ジンジャーが某日曜朝の『会長』じみた声をあげれば】
【普通に驚いて『やっぱり……こわいひと……?』などと怯えた様な言葉を発するだろう。まだまだ、怖がりは治って居ない様だ。】

/続きますっ
87 :レイン&セリーナ ◆/iCzTYjx0Y2015/05/18(月) 17:47:11.53 ID:d4TEPkWg0
>>84-85



 ―――……? あな、たは―――"あのとき"にも、れいんに、こえをかけてくれたよね……?

【そうして、素肌のままレインは、よろよろと近寄ってくるジャンクちゃんに対し、言葉を投げかけるだろう。】
【そう、"あの時"―――地の国首都ニュードレファスにて、ダーク・スリンガーと化してレインに精神を乗っ取られたセリーナが】
【大勢の能力者達と激戦を繰り広げた夜の事。ジャンクちゃんがレインの存在に気付き、優しい言葉をかけてくれたのを彼女は覚えていたのだ】


 ……っ、ねぇ、だいじょうぶ……? れいんは、もうげんきだから、それより、あなたを……、
 
【黒い煙を上げて、関節をギコギコと震わせながら動くジャンクちゃんに、レインは生まれて初めて他人を"心配"する様子を見せる。】
【だがそれよりも、彼女はジャンクちゃんが即興で作りだしたその"衣装"に、心を奪われていて―――、そう。】
【セリーナが生まれて初めて貰った誕生日プレゼントは、師匠より譲り受けたテンガロン・ハット。】

【そしてレインが、産まれて始めて貰うプレゼントもまた、命の恩人である存在からの"衣服"であって―――、】
【例え即興の布で編んだ物だったとしても、レインはそれを大切に大切に扱うだろう。最高の誕生日プレゼントなのだから。】


 ……この、おようふく……くれるの? れいんに、くれる……?

 ―――うれしい……うふふっ、ふふっ……! きれい、れいん、これすきっ……!


【身に纏ったその洋服を、段々と暖かくなり始めた季節の夜風にたなびかせて】
【少女はここに誕生した。名はレイン。術師の起こした禁忌の技と、機械の起こした奇跡とが合わさり】
【一つの惨劇は終焉を迎え―――そして、ここに新しい物語の始まりが告げられる。全ては、人の意思によって成された物だ。】

【疲れ果て、倒れ伏したセリーナ・ザ・"キッド"。月夜を浴びて踊る、"レイン"。】
【その夜は長く、長く続くだろう。誰も知る事の無い秘密の誕生日はこれにて幕を、閉じた。】

/以上となりますっ!
お時間もそろそろ迫っているかと思いますので、此処で一旦〆、とさせていただきますね!
お二人とも長々お付き合い頂き、本当にありがとうございましたー!
88 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2015/05/18(月) 18:40:57.86 ID:2bXl/fqZo
>>85>>86>>87

「おやまあ、あれを見て態々治療しようだなんて奇特な連中だねえ……
まあやってくれるってんならこちらも喜んで受けるとするさね、ええ……ええ……」

【くつくつと喉を鳴らし嗤う老女は少なくともそれくらいには自然治癒を終えていて】
【ただそれでも治してくれるというのならば、老獪な笑みのまま】

「……さて、車椅子のお嬢ちゃん悪いがこの場を見た全員には呪いを与えさせて貰ったよ
出来事の一切はこの場に居た人間以外にはあらゆる意味で伝えられない、そういう枷さね……
勿論映像にもまして記述としても残せない、申し訳ないがねえ……語り合うならばここにいる者達だけで頼むよ老いぼれからのお願いさ」

「何よりも……少女が1人これから先に生きてゆくのにこの出来事は各々の胸に隠した方がいい……だろう?」

【禁忌を犯したという事実が外に知られてしまえばきっとそれに目を付ける者が現れる】
【カズネは全てを捧げると言った、ならばレインが生まれたその後の事にも我々は責任を払うべきだ】
【1人の少女に未知の未来を、そこに要らぬ障害は不要……記憶封止の呪いは2人の魔女の総意に違い無く】

わー……わー……ちょっとタンマタンマ……怪我くらいは自分でなんとかするから気にしないでいいわよ
なんだかんだ私の分の損傷も婆さんが肩代わりしてくれたみたいだし、……まあそっちは後で文句のひとつでも言うとして
一先ず私は今日はこれ以上動けないからアンタ達は「あっち」の面倒だけ鬱陶しいくらいみてくれればいいわ

【白煙立ち上る魔術師の身体は簡単に云えばオーバーヒートのそれ】
【魔翌力の全力稼働の負担、それによる排熱という現象は凡そ人の身には起こりえない事象】
【ただそれ以上何を語るでもなくレインへと指を差す】


「いやーいやいや……しかし久しぶりだからねえこんな無茶も、身体が悲鳴をあげるのも仕方ないさね
まあ無事であるだけ儲けものだねえ、元気な子も見れたことだし幸い幸い……」

あらま、そっちも大丈夫そうでなによりだわセリーナ……施術の後遺症とかも無いのかしらね
まあそりゃあ疲れるか……いいわ今は寝てしまいなさい、話すのは目覚めてからでも遅くないからね

【事実を云えばアナスタシアは今回の件で[ピーーー]るとは思っていなかった】
【宿した数多の命はそう簡単には消費出来る物ではなく、しかし縋ってしまうというのは人の性】
【そしてセリーナの哀しみを老婆が知ったのならば気にする事でもない、とだけ当たり前のように話すだろう】

【ただ、全てが無事に済んだ事を喜べばいい享受するべきはそれなのだから……と】

さて、輸送はあの人にでも頼みましょ……流石にアタシも疲れたわー……

【胸に倒れるセリーナを撫でながら自分も意識を放り投げる】
【ギリギリのラインを描く儀式はやはり精神の摩耗も激しく、ようやくと緊張の糸も解けた】
【後の全ては老婆に託し、セリーナを送り届ける任は「彼」に押し付けることとしよう、そして自分はまどろみの中へ】

【全ては始まり全ては閉じられる、喧騒も落ち着きを取り戻したならば老婆の指揮の元秘匿地域は閉じられる】
【ここは歴史から切り離された場所、だから後は静かに眠らせなければならない泡沫の夢】
【ただ月明かりだけが変わらずに1人の少女を照らし続けるだろう】

/お疲れ様でした
89 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県)[sage]:2015/05/18(月) 19:32:34.84 ID:kJ5f3DkLo
【路地裏】
【トラブルやら何やらが日常茶飯事なこの場所に、2つの影があった】

「なァ〜ッ? どォーせ捨ゥてるなら俺様によォこせってんだ」

【1つは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

『ひっ、……た、た……』 「早く返事をしィてもらおうか……"はい"か"YES"でなァァアアーーッ!!」

【そしてもう1つは、くたびれたスーツを着た40代程のサラリーマン】
【サラリーマンは、この身長2m超の者に首根っこを捕まれ壁に押し付けられている】
【表情は、怯え。完全に怯えきっていて、助けを求む声すら出ないようだ】
90 :五月雨 天音[sage saga]:2015/05/18(月) 20:41:19.78 ID:KlZOorKN0
>>89
「はあ、なんでこんな場面に出くわすのかしらね。」

【あーあ。本当厄日ね。】
【タイムセールをやってるはずの店には既に長蛇の列ができていたし、】
【やっとこさたどり着いても売り切れていたのよね。】
【さらに、財布の小銭はあと1円でちょうどだったのに足りなかったわ。】

【そして、極め付けが、、、。】

「これなのね、、、。」

【通り過ぎる訳にもいかない。もう、相手の視覚には入っちゃってるもの。】
【私のボブカットの黒髪も、瑠璃色の瞳も、ちょっと丸い顔やブラウス姿も。】
【こうなってしまったら、仕方ないじゃない。】

「ねえ、貴方、、、穏やかじゃないわね。」

【前に進み、エルフ耳野郎に声をかける。】
【さて、貴方は教えてくれるかしら?】

【《生きていると感じさせてくれるもの》をね?】

//よろしくお願いします。
91 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県)[sagesaga]:2015/05/18(月) 20:55:40.16 ID:kJ5f3DkLo
>>90

『い、い……』 「おォら、認めろ……早く認めちまいな、楽になるぞォ?」

【ぐぐぐ、と首根っこを捕える手の力が強くなる――けれど、絞め殺すつもりのそれではない】
【見ての通りの説得――という名の脅しの為の、力加減。】 【……悪く言えば、カツアゲの様な感じなのだが】

「何だ人間、――俺様はこォの野ァ郎と交ォ渉中なァんだ、穏やかでねェーのは承ォ知の上だァから後にしィてくれ」

【サラリーマンの眼が、そちらの方を向いた。まぶたをやや閉じ、目尻もやや下がり、そして涙を蓄えた眼だ】
【――その真意が助けを求めているのかはともかくとして、この状況がよろしくないのは確かである】

「そォれとも何だァ? テメェー"も"俺様の部ゥ下になァりたいのかァ? ヒャハハハ!」

【いや、なるつもりはない――その意味を乗せるかのように、その者は悪意を持った笑いを見せるのだった】
92 :ジャンクちゃん ◆LF1Ar7hXZw[sage]:2015/05/18(月) 21:22:12.28 ID:tNkM2kGoo
>>86>>87>>88

【この出来事は誰にもしゃべることが出来なくなった―――それを聞いてパプリカは口を尖らせながら感心したような声を上げるだろう】
【その後、やれやれ、と言った様子で先ほどページを破った本をアナスタシアに見せながら】


『そんなに警戒しなくても自分で消したのに。け、ど、万に一つもついうっかり口を滑らせる事もない"保険"がかかるなら好都合だね
ユースロット家の家訓には『もらえる物は病気以外はなんでももらっておけ』というものがあるし、甘んじていただく事にします
……僕だって、"今日の事"を知られるわけにはいかない事情があるの。そちらの方も、今日起きたことは何一つ喋らないで』

「……ともあれ、最後にグライン君を呼んで皆を運ぶ手伝いをしてもらうとするかな……自分でなんとかできるというなら無理には言わないが
それでも消耗してクッタクタな女性たちを放っておくわけにはいかないからな、まあ任せておきたまえ……あちらの面々のアフターケアもね」


【心配いらないからレインたちの面倒を見ておけ、というカズネの言葉に半分従い、グラインを呼んでパプリカと一緒に二人を車へと運ぶ用意をする】
【カズネの胸の中で久方振りに安らかに眠るセリーナを見て、やっと一息つきながらジンジャーは最後にレインとジャンクちゃんがいる方向に足を運ぶだろう】
【その方向、ジャンクちゃんがレインの言葉を受け止めているのが見える。彼女はにっこりと笑いかけながら】


……急ごしらえ、で、ございますので……後々、ちゃんと、着れるように……仕立て直して、置きます……
ワタシの、事は、心配ございません……後々、ジュニア、ハカセに……修復、していただくように、いたしますので……
今はただ、自らの生を……謳歌できる喜びに酔いしれるべきデスヨー

―――……なにより、顔を突き合せることができるのは……ワタシにとっても好都合なのデスヨー。『問いたださなければ』いけないことがございますので


【そういいながらジンジャーに向けたジャンクちゃんの目は……いつになく険しく、大きな『怒り』を込めた眼差しとなっていた】
/続きます
93 :ジャンクちゃん ◆LF1Ar7hXZw[sage]:2015/05/18(月) 21:24:41.31 ID:tNkM2kGoo
>>92続き

【そうだこのまま流されそうになったが、この『疑問』は自分の中では消えない、問いたださなければならない】
【……どうして自分にこんな『能力』が備わっている?ありえない、だって自分は……侍女の姿にデザインされただけの戦闘用ロボットではなかったのか!?】


……話してくださいジュニアハカセッ!!いったいこれはなんなのデスヨー!?どうしてワタシに『マインド能力』が!?
制作されてから15年……ワタシは自分では『ヘッドレス・クロス』は自分に備わっていた自分の機能の一つだとばかり思い込んでいた!
それでも……おかしいとは思っていた、機関の"哲学者の卵"から『金属の命』が生まれたあたりから……流石に妙だとは感じていた……!

―――なぜ戦闘用メイドロボに『金属の生命を生み出す』能力なんて物が備わっているのデスヨー!?現状のテクノロジーではあまりにも説明が付かない!
いくら貴方方の父上であるユースロットハカセが人知を超えた天才科学者であったとしても、機械に命を生み出させるなんて事できる訳がないッ!!
いや、そもそも……なんてワタシには『思考』が、『感情』が備わっている……?どうやってプログラミングしたデスヨー?そして、貴方達はこの事をどこまで……!?

「―――……よくできてるよな。流石は『親父』だ。ジャンクちゃん、毎度思うがこうしてみてると本当に『人間』みたいだ、スゲーな」

ッ!!話を反らさないでくだ……うぐっ!!


【いよいよ機体にいよいよ限界が来たらしく、ジャンクちゃんもその場に倒れ伏すだろう】
【ジンジャーは機能停止したジャンクちゃんの様子を見ても眉ひとつ動かさない、倒れ伏したジャンクちゃんの体を抱えると】
【そのまま、皆の事を回収する者たちの方向に歩き出すだろう―――険しい表情で一度パプリカの方を見ながら】


「……オレたちユースロット家の兄弟全員に『招集』をかけておけ。来るべき時が来ている……もう見て見ぬふりが出来ない所まで」
『りょーかい。でもいいの?……ジャンクちゃんに『真実』を話さないで。……この15年ずっと黙ってきた、これからもずっと黙ったままでいるの?』


【深刻な顔でパプリカに問いかけられたジンジャーは一度俯く】
【その瞳はどこか虚ろだ、何を思い、何のために行動しているのか、とても悟ることなどできそうもない、虚無にあふれた表情】
【しばらくそうして俯いていたが、倒れ伏して動かなくなったジャンクちゃんの顔を見ながらこういうだろう】


「………親父が大山の御老体に残した遺言の通り……『神器』を集めてから、後、剛太郎君やドラ君たちを『日本に帰してやる』用意が出来てからな
それまでは伝えることは許されない……親父の『指令≪ミッション≫』は絶対だ。その日が来るまで絶対誰にも言うな。絶対だ」

『……わかった、そこまで言うなら従うよ、"WILD"』


【最後にそれだけを姉に対して口にすると、車椅子でついてくる姉を従えてそのまま儀式場を後にする事だろう】
【この場で起きた全ての秘密は守られた。―――『例外』なく全ての事実がこの土地に隠蔽されたのだった】
【To be continued…】

/最後のレスだし、という事で余裕をもってお返事させていただきました……これで終了です、お疲れ様でしたー
94 :五月雨 天音[sage saga]:2015/05/18(月) 21:26:48.96 ID:KlZOorKN0
>>91
「あらそう。」

【少女は端的にそう言うとショルダーバックに手をいれる。】
【彼女はその中から何かしらのものを掴むと、それを抜き放ちながらバックを置いて駆け出した。】

「それなら、私も穏やかではない方向で行くわ。」

【その手には三段警棒。アルミとその他諸々の合金でできた特殊なものだ。】
【特殊と言っても少し頑丈なくらいで、通販で仕入れられる。】
【長さ40cmのそれを彼女は慣れた手つきで素早く相手の手首に振り下ろす。】
【男を締め上げておる方の手をターゲットにしつつ、相手の挙動に気を配る。】
【洗練された、、とは言えないが割と実践的な動きをしている。】
【それもそうだ。彼女はこの界隈でいうアマチュア程度の技術しかない。】
【それを無理やり場数で補っているだけだ。】

「(まあ、それでも、、、。牽制くらいには、、、。)」

【なる。はずだ。】
【相手は見ての通り人外。それを相手に万全の策も持たずに突っ込むのだ。】
【この間より酷い死闘は必死だ。それでも彼女は振り下ろした。】

【戦いのゴングの音は、空を切る音か、はたまた、それ以外の何かか、、、。】
95 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県)[sagesaga]:2015/05/18(月) 21:50:16.22 ID:kJ5f3DkLo
>>94

「まッ、おォ決まりって奴だな」

【ふっ、と鼻で一つ笑い飛ばし――そして、サラリーマンの首根っこを掴んでいた手を離せば】
【その直後、指の背を掠める警棒。】 【必然的にサラリーマンの目の前を通るため、それは驚いて後退る(後ろは壁なのでその動きだけだが)】
【そして更にバックステップを1つ取り、距離をやや広げる】

「危ねェ危ねェ……まァーよい、テメェーも俺様の部ゥ下に入ィれてやァろうじゃあなァいか!」

【その者の足許に現れるは魔法陣、そこからいずる闇は形をなしてゆき――そしてそれは体長2m程でターコイズブルーな蛇となる】
【蛇はその者の首筋に巻きつき、その口部を相手の方に向け大きく開き――】 【発射!】 【狙いは、相手の警棒を持つ腕付近】
【大きさはソフトボール程度だろうか、それはまさしく"火球"】 【性質等、あらゆる面が火であるが故"危険"、しかし攻撃などによるかき消しは容易】
【速度はそれなりだが、見きれないような豪速球ではない……とは言え、油断は禁物だ】

「一つ、良ォい事を教えてやろう――"スカウト"って言葉は知ィっているだろう?」
「――俺様はそォこに居ィる"自ィ殺未遂者"と話をしィていたんだよ」

【「なァ?」――そんな眼を向けられたサラリーマンから返ってくるモノは、『ひっ』という怯えた声だけだった】
96 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(宮城県)[sage]:2015/05/18(月) 22:05:47.45 ID:GD0rSWf/0
>>891
【少女の返事がどことなく胡乱なのを訝るように、青年は目を細めて、じとりとそちらをねめつける】
【露骨に取り乱す様子を見れば、彼女がこちらの話を聞いていたか、いないかは一目瞭然だ。彼は小さく溜め息を吐くが】
【わざわざ腹を立てるほどの事でもない、と思ったのだろう。その事については、別に何を言うでもなく】

……ああ。居るし、見える。コミュニケーションが取れるかどうかは別問題だがな。
先に言った通り、この木に宿っている精霊は幼く、弱い。

【目を輝かせてはしゃぐ少女に木霊のことについて問われれば首肯し、やおら手にした琥珀に魔翌力を込めて、街路樹の幹をなぞる】
【するとそこから淡い色をした光の粒が浮かび上がり、ふわふわと宙に漂う。これが、彼の言う木霊なのだろう】

何をすれば、か……公園で鳩にパン屑を撒くようなものだな。餌をやって、こちらに寄って来てもらうだけだ。

この琥珀は精霊と契約するための媒体だ。また、込められた魔翌力を自然のそれに近い形に戻す、言わば変換器としての役割を持っている。
先程まで僕がしていた通りにやればいい。こいつに魔翌力を込めて、木に押し当てるんだ。樹木の精髄である琥珀が、その魔翌力を彼らの糧に変えてくれる。

木は、なるべく大きく枝振りの立派なものが狙いどころだ。

【曰く、少女に手伝ってほしい事というのは、木霊の餌やりのようなものらしかった】
【琥珀を通して純化した魔翌力を木に注ぎ込み、その中の木霊を活性化させる。そうして起こした木霊を青年が見定め、必要に応じた処置をするという】
【『力の強い木霊は、古木に宿るものだからね』と付け加えて、彼は緩い上り坂を足早に登ってゆく】
【その視線はひっきりなしにあちこち動き回り、何か目に見えないものを追っているかのようだった】
97 :五月雨 天音[sage saga]:2015/05/18(月) 22:22:39.13 ID:KlZOorKN0
>>95
【初撃を鮮やかに躱され、彼女はちっ、と舌打ちを一つ打つ。】
【バックステップで距離をとり魔法陣を展開する所から、彼女は相手が遠距離戦を得意とすると推測した。】
【距離をあけさせないとばかりに彼女は間髪入れずに接敵しようとする。】

【その間に放たれた火球。それは現れた蛇の口から放たれていた。】
【しかし、放たれるまでに時間が空いていたため、射線はみ切ることができ容易に斬り払えた。】
【右手に持つ警棒で右から左に一閃。】
【それだけで事足りた。成し遂げる彼女も度胸があるが、火球そのものもまた素晴らしいものであった。】

「はあ、身勝手ね。それは拉致ともいうのよ?」

【迫りながら彼女は答える。】
【その言葉から滲み出る微かな苛立ち。《生きていると感じられる》ことを容易に捨てることへの嫉妬があった。】
【ずるい、ズルい、ズルイ、その嫉妬や羨望が黒く染まり、彼女の怒りを焚きつける。】

「なによ、、生きてるくせに。生きてるって実感出来る感覚があるくせに、、、、。」

【ギリッ、と歯を食いしばると、美しい瑠璃色の瞳を禍々しい憎悪で濁らせ、その眼で相手を睨む。】
【右から左へ切りはらった警棒の位置をそのままに、彼女は間合いに入り、時計回りに体を回転させる。】
【風を切る鈍く、それでいて重い音が相手に脅威を与えるだろう。】
【猛然と迫ったことによる自己の体の勢いと鞭のようにしなやかに回転させた体による遠心力が合わさる。】
【それらは一部の狂いもなく警棒に伝わり、その重さと共に凶器に変貌する。】

【その攻撃は回避することは容易いだろう。】
【しかし、回避は正しい選択なのだろうか。】
【回避したならば、その追撃にも気をつけなくてはならない。】
【なぜなら、、、慣性の法則は常にそばにいるからだ。】

【つまり、より追撃は速く、重いものになるだろう。】
【それこそ、彼女の制御を超えるほどに。】
98 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/05/18(月) 22:28:38.60 ID:REnbtIXE0
>>96

【不真面目だった。というよりか、目の前の、不思議な現実に意識を取られていたのだろう】
【悪気はない。だけど、あどけない。成人した人間のやるよなことではないのは、ゆるぎなく確かで】
【結局最終的には曖昧な笑顔で誤魔化す。――相手が大人だったからこそ許された、不手際だ】

【幼く、弱い。それがどういう意味なのかはなんとなく分かっても、どんなものかはよく分からない】
【いわゆる人間のように幼いのか、それとも、蝶々の芋虫のように幼いのか、だから、見せてくれるとあれば】
【色違いの瞳はじっと――少しでも見逃さないようにと見つめる。聞き逃したときより、ずっと真面目で】

わあ――この子が木霊……精霊さん? 思ってたのと少し違うみたい、もうちょっと――。
なんだろ、妖精さんみたいな感じなのかなって……。……ふふ、こんばんは。

【淡く浮かぶ光の粒。それは少しだけ予想外、もう少し――何らかの形を取るものと思っていたから】
【そっと手を伸ばしかけて、ふとやめる。怖がらせてしまってもかわいそうだ、まだ幼い子供と変わらないなら】
【それなら変わりに優しく笑ってみせて、これまた優しい声を掛けてやる。言葉が通じるかは、分からないけど――】
【鈴の音の声は、そうやって潜めると、なんとも表し難い不思議な声質になる。鈴に感情があれば、こんな声を出すのか】

はとに? ……そんな簡単、なんだ――。……もっと難しいものかなって思ってたの。
それならわたしにもきっと出来るね、……できるかな? わたし、頑張るね――。

【弱気なんだか前向きなんだかは微妙なバランス、ふらふら揺れて、最終的には前向きのほうに傾いて】
【あたりを見渡してみれば、さっきとは違うように見える気がした。宝物がいっぱいあるみたいに、見え】
【あっちの木は、こっちの木は、と、試しながらついていく。もしかしたら足元の雑草にまで、琥珀を翳し】

あ――ねえ、あっちの街のほう――広場のところに、大きい木があった気がするの。
なんだろ? 札があって――えっと、どこかからか、持ってきた……んだって。

【それでもよっぽど遅れそうになると切り上げて、後ろを駆けながらついてくるのだろう】
【かつこつかつこつと足音は少しうるさく夜の街に響く、それで、ほんの少しだけ息を弾ませながら】
【そういえばと思い出したようにそんなことを言い出す。曰く、散歩してきた道の向こうに大き目の木があったと】

【――だけれど気弱さが顔を出す。自分から言い出した癖、すぐに、少しだけ不安そうな顔をして】
【そっちのほうが詳しいから行く場所は決めてとか、もしかしたらただの木かもしれない、とか、いろいろ言い出し――】
99 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県)[sagesaga]:2015/05/18(月) 22:44:18.62 ID:kJ5f3DkLo
>>97

「身ィ勝手さの素は欲望だ、そォして欲望を捨ゥてる時が"本当に"死ィぬ時だ……」
「ククッ、すゥなわちィッ!」 「魂有ァるモノは皆身ィ勝手なんだよ――俺様も、そォしてテメェーもだ!」

【相手が持つ感情を読み取っているのか、ただ単にいつも通りの持論を言っているだけなのか――】
【どちらにせよ言えることは一つ、】 【"拉致して何が悪い?"――要するにそういうことなのだ】

【――……悪びれる様子なんて一切、ない。】 【今までも、そしてこれからも】

「おォっと……ッ」 「なかなか痛いじゃアないか」

【跳躍。相手の生み出した風切り音から逃れるべく見せたそれは、常人よりよっぽど高い】
【だが、一手遅れた。その脚部に受けてしまったのだ、警棒による薙を】
【空中で軽くバランスを崩しつつ、相手に顔を向ければ――先程の魔法陣からまた闇がいずる、そして】

「棘蜘蛛(ヘケメディダープス)!」

【それは、体長11cm弱程度で全身に赤棘を生やした蜘蛛となる】 【そしてその蜘蛛は、上空5m程の位置に召喚された後、そこから棘を飛ばす】
【棘の本数は十数本、長さは約5cm前後だがばらつきが大きい。狙いは上空故に相手の上半身と結構適当】
【なかなかの鋭さで、強度はそれなりの攻撃でへし折れる程度だが――へし折るだけだと、その折れた棘が重力に従って襲ってくる恐れもある】

【その者の着地まで、後何ミリ秒かの世界。】 【蜘蛛は、それよりももっと遅い。】
100 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(宮城県)2015/05/18(月) 23:18:09.47 ID:GD0rSWf/0
>>98

妖精……というと、御伽噺によくある、羽の生えた小人のようなものを想像したのか。まあ、そういうのも割とよくいるな。
ただ、自然が往々にして気まぐれなように、精霊にもまた、これと決まった姿があるわけじゃない。本当に、環境次第だ。

【触れようとして思いとどまった少女に、青年は「賢明だな」と笑いかけた】
【蛍のような光の粒はしばし一定の距離を置き、観察するように少女の周りをぐるぐると回ると、やがて近付いてきてその頭上に留まった】
【言葉が通じているか否かは定かでないが、少なくとも、少女が彼らに友好的に接しようとしている事だけは伝わったのだろう】

まあ、下準備は済んでいるからな。今風に言うと、あれだ。昼過ぎの料理番組の「これを1時間煮込むと完成です。完成品がこちらになります」というような感じだ。
一からやるとなると難易度は今の比にならんぞ。僕もその琥珀の護符を作るのに、優に一ヶ月は掛けた。力作だ。

……ああ。存分にがんばると良い。

【あちこちの草木に琥珀を翳して歩く少女。青年はその姿を肩越しに見やると、くすり、とどこか満足げに笑った】
【少女が触れた端から、木霊は夜空に舞い上がる。あるものは群れをなして彼女を取り巻き、またあるものはそれを遠巻きに静観する】
【ある程度彼女と草木の距離が離れると、それらは自然と、もといた場所へと還っていった】

……なに!?本当か! そんな物があったのか。そう言えば麓の方に広場があった気がしなくもないな。
礼を言おう。すっかり失念していた。できれば案内してくれるか?

【後ろをついて歩く少女が、力ある精霊の住まいそうな大きな古木に心当たりがあると言い出せば、青年は俄かに立ち止まり】
【そちらに振り向くと、目を輝かせて少女の肩に手をやった。えらく興奮した様子で、是非にその場所に連れて行ってくれ、と彼は言う】
101 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/05/18(月) 23:30:02.53 ID:REnbtIXE0
>>100

【野生動物だって似たようなものだ。こちらとしてはかわいがるつもりで触りたくても、】
【それが相手に同じ気持ちで伝わるとは限らない。というより、ほとんどの確率で伝わらない、まず伝わらない】
【だから。笑いかけてやるに留まって、最終的にあちらから、こっちに近づいてきてくれたなら――ひどく彼女は嬉しそう】
【しばらく上機嫌そう、或いは楽しそうににこにこしていたのだけど。いつまでもそうはしてられない】
【別れる段になれば、「ばいばーい」と手を振ってお別れするのだろう。友達にするみたいに】

【完成品が――というのは、なんとなくだけど、よく分かる気がした。つまり、ほとんどの準備が終わっていて】
【あとは鍋からよそうだけ――みたいな。そして自分はさらにそれのお手伝いで、それなら、やっぱり】
【最初に危惧したように、何らかの技術とか、要らないようだ。それで、少し安心しながらも――】
【彼がどんな準備をしたのか。いつか自分もそんなことが出来るようになるのか。ふっと気になって、彼を横目で見つめ】:

わっ――、え、えっと。あっちだよ、さっき、お散歩してたとき、ちょっぴり通ったの――。
大きな木が真ん中にあって、珍しいなあって思って――それでね、ちょっとだけ、寄り道したの。……。

……う、んっ。こっちなの、多分ね、あんまり遠くないから――!

【肩にぽんと手を置かれる。びくっと跳ねる肩は、服越しに与える印象より、さらに華奢なように思え】
【一瞬たっぷりびっくりしてから、指であちらのほうだと指し示す。それで、覚えていることを、付けたし】
【とはいえ、よほど重要な情報ではない。大きな木が真ん中に植えられた広場であるということだけ】
【――なんてことを、少しびくびくしながら喋っていたのだが。案内を願われれば、それが、彼女の何かを刺激したらしい】
【急にきっと眉を吊り上げて、こちらも、また、感化されるように瞳を煌かせ。こっちだと――その手を引こうとし】

【とはいえ、きっと彼のほうが歩くのが早い。彼女が引っ張るのは、きっと、いつか破綻して】
【広場の傍まで来る頃には、元通りに横並びか、或いは彼女が少し先か、後か――そんな様子になるだろう】

【もちろん。その道中で何かが起こるなら、場面はそれより少し前を映して】
102 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/18(月) 23:38:45.10 ID:pAgEne4j0

【――――月光と星々の明かりのみに照らし出された森の中】
【普段ならば平穏で在ろうこの場所も、今宵ばかりは魔獣達の唸りに静寂も打ち破られ】
【その方向を見遣れば一人の少女が魔術を用いて魔獣達を葬っている事が知れるか】


「人々を無意味に殺めるのならば我々教会が処罰します
血には血を以ての償い。血でしか止める事が出来ないならば、其れはイリニ達の役目です」

【純白のローブに白銀の髪。同じ色の双眸は感情を浮かべる事も無くただ魔獣達を敵として認識しているだけの様】
【色々と記すべき事はあるのだが――――何より特筆すべきはその手に装備された“手甲”の様な物だろうか】
【其れは大きな魔力を漂わせており、たった一薙ぎでも獣達にとっては致命的な一撃】

【程なくして、その森に舞い戻ったのは静寂。無数に転がる骸の中、ぼうっと立っているのはその少女のみ】
【辺り一面が朱に汚れる中、その少女だけは汚れる事無く純白を保ったままで】


「任務の完遂を確認。取り逃した存在は零だとイリニは確信しました
――――少し休んでから帰還します、とだけ告げてイリニの報告は終了します」

【徐に取り出したのは水晶だ。恐らくは通信機代わりなのだろうが――――其れに報告をすれば、再びその場でぼうっと立って月を見上げる事となる】
【魔獣達の咆哮だとか魔力だとかを辿れば此処に辿り着くのはそう難しい事でも無い】
【そして、この場を訪れた者が見ることになるのは上記の通り。血にまみれた中、少女が一人月を見上げているなんて状況】
【声を掛けるにせよ、何にせよ。白の少女は感情を浮かべる事も無く其方を見遣ればじっと視線が送られて】











【場所は数十年前に朽ちた街――――所謂ゴーストタウンと呼ばれる其処】
【夜の国に存在する其処は今宵も厚い雲に覆われ、一筋の光が差し込む事も無く。正しく闇夜と呼ぶに相応しい一夜】
【…………其処に濃い瘴気が漂えば、異界の入口にも思えるか】

【街の中に踏み入れば一人の少女が路上に居る事が分かるだろう】
【金色の髪に、朱色の双眸。纏うのは紅いドレスだけれど――――その少女こそ、瘴気を発している張本人であり】
【悪魔だとか、魔族だとか。様々な呼ばれ方をするが決して“善”の存在で無い事だけは確かで】


「――――……あら、こんな所に誰か来るなんて珍しいわね?

引っ越して来た人かしら。それなら歓迎するわよ?迷い人かしら。それなら闇に誘われない様に気を付けなさい?
それとも悪魔払いかしら。それなら――――――」

【くすり、と悪戯気に見せた笑みは精々十代のそこら。然れどその気配は確かに本物だ】
【「――――それなら、直ぐに回れ右をした方が良いわよ」なんて言葉。どうにも芝居がかった言葉だけれど】
【何であれ、急に害を為してくる様な存在でも無いらしく。ならばその先は出会った者の反応によって話も変わるのだろうけれど――――】
103 :五月雨 天音[sage saga]:2015/05/18(月) 23:47:10.17 ID:KlZOorKN0
>>99
【敵になんとか当たったことで勢いは落ち、ギリギリ制御出来る範囲内の速度に落ち着いた。】
【勢いを殺し、なんとか真正面に敵を見据える。】
【そして、苦虫を潰したような顔でつぶやく。】

「そう、、なら、余計に腹立たしいわ。だって私、、、。」

【その言葉を遮るかのように降り注ぐ針の雨。】
【針の出処は分かった。しかし、わずかに狂った三半規管が対処を遅らせる。】
【避けられない。相手も彼女自身も確信した。そして、、、。】

「自分が、、大嫌いだもの。」

【わ ざ わ ざ 全 て 当 た り に 行 っ た 。】

【正確にはその雨を歯牙にもかけずに相手に突進してきたのだ。】
【その顔にあるのは    笑み。】
【どこまでも狂った笑み。この世でもっとも軽蔑しているものが傷つく快感を享受した笑み。】
【そう、彼女には痛みはほぼ無い。違和感が辛うじてあるだけだ。】
【もちろん、身体的ダメージが無いわけでは無い。これはまさにノーガード戦法とも言える。】

「だって!こんな化け物みたいに!!痛みなんて消しちゃえるんだから!!」

【その力。望まずして得た力に、未だに振り回されている。】
【それを哀れと取るのも、軽蔑するのも自由だ。】
【だがしかし、いや、だからこそ、貴方は気をつけなければならない。】

【その力の副産物に。】

「痛みなんて無いから!!生きてるなんて!!感じられ無いじゃない!!!!」

【痛みとは、センサーであり、リミッターである。】
【体を守るために制限をかけ、可動領域を狭めている。】
【だが、その制限が、枷が緩ければどうだろう。】
【答えは簡単だ。目の前を見ればいい。】

【彼女は左足を踏み込むと、、、地面を凹ませるほどの力を込めて飛び出した。】
【それは棘だらけの弾丸のようだった。もちろん、本物とは比べてはならないほど遅いが、それでも人が出していい速度ではなかった。】
【そのままの勢いで右上からこれまた壮絶な力で警棒が振り下ろされる。】
【人の限界を超えた力で袈裟斬りに振り下ろされるそれは、体の勢いと合わさって恐ろしい程の威力を持った。】
【岩くらいなら、砕いてしまうだろう。】

【しかし、よく見ればわかる。技巧も何もあったものではない。それでも、十分脅威である一撃の代償が。】
【左足は内側から裂け、また、右腕も骨や筋肉が悲鳴を上げている。】
【自滅技。痛みがないからこそ出来る大技。】
【さて、この大技を前にして、相手はどう出るだろう。】
104 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(宮城県)[sage]:2015/05/19(火) 00:04:24.90 ID:jWRW/2WD0
>>101
【この青年は無神経だが、馬鹿ではない。唐突に肩を掴まれたら少女は驚くだろうとか、少しはそういった事を考えて、気を使っても良かろうものだが】
【振って湧いたような好機に目が眩んで、そういった常識的なものの考え方などは何処かへ行ってしまったようだった】
【兎に角、善は急げだ。ぐいぐいと引っ張られるがまま、彼は熱に浮かされたように、彼女と一緒に長い下り坂を下りてゆく】

ここがその広場とやらか……! なるほど、随分と立派な木だ。状態も悪くない。これならば恐らくは、居るだろうな。

さて、それでは……いや。これは君の手柄だ。まずは君がやってみると良い。
僕は何かあった時の為に、いつでも魔術を行使できるよう準備しておく。

【さて。少女に先導されて広場に辿り着いた青年は、その中心に鎮座した木を見つめて感嘆の溜息を吐いた】
【広場は昼間の活気が嘘のように静まり返って、まるで別世界に迷い込んだようだ。いや。真実、そこは異界だった】
【草花や木々と腐葉土の匂いが複雑に混じり合ったような、場違いな森の空気が、魔翌力が、周囲に満ちていた】
【青年は左手に琥珀を掲げて大股に木へと歩み寄りかけたが、ふと思いとどまって少女の方を振り向き、手招きした】
【やってみろ、という事らしい。言うが早いか、彼は空いた右手で、ローブの中から杖を取り出して捧げ持つと、立ち止まって彼女を待つ】
105 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県)[sagesaga]:2015/05/19(火) 00:21:56.46 ID:PXsHr4c7o
>>103

「ふゥん――じゃア」

【身長を活かして相手を見下し、そして意地汚い笑み、――この者はそれを浮かべる】

「――なァんで、あァのサラリーマンみィてェに、ビルの屋上から飛ォび降りないんだァ?」
「自ィ分が嫌いなら、生を感じないなら、さァっさと捨ゥてりゃア良ォいのに、なァ?」 「そォこんとォころどォーなんだ、嬢ちゃん?」

【ところでこの者、先程脚に警棒の一撃を受けていただろう、それ故に着地が通常よりも少なからず不安定だった】
【――それはすなわち、見下している余裕なんてなかったということだ】

「……ちィッ、こォいつは結構でェかいな」 「非ィ末端だァと効ォ率が悪ィが……ディルムカプテスプ!」

【軽くとはいえバランスを崩しているその少しばかりの間に、たがの外れた一撃が迫り来る】
【回避するか? いや、それには時間が足りない。ならば――】 【――受ける、その手をうつのだ】

【両腕をその一撃に合わせて突き出し、それを盾……犠牲にして防御】 【その際、骨と"ガラス"が割れるような音がするだろう】
【さて、骨はともかくガラスは一体どこから来たのか、それは地面に散らばる"エネルギーの欠片"からである】
【この者は、攻撃が持っていた運動エネルギーを"砕き"威力を抑えたのだ】 【……もっとも、それでも両腕を砕く位の威力を見せたのだが】

「糞がッ、骨が肉に刺ァさって血が出ェてきたじゃアないかッ!」

【蜘蛛が落ちてくる、その者の頭部に着地したそれはフレンドリーファイア。鋭い足が突き刺さり、なかなかの刺激】
【そして蛇の口部から吐き出されるは――火炎の渦。】 【威力や速度は火球より劣るものの、その魅力は渦故の耐久性だ】
【火球と違って適当な攻撃一発でかき消すのは少々厳しいだろう、効率よく消すには渦に適した動きをする必要がある】
【――そんな、最大直径20cmの小竜巻的渦は、相手のその脚を焼かんと迫り来るッ!】
106 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/05/19(火) 00:22:04.52 ID:xbr6GzQp0
>>104

【くいくいと引っ張って坂を下りていく。なんだか、すごいひとの役に立てるかもしれないことが嬉しくて】
【自分の言葉で誰かが喜んでくれたのが嬉しくて。――そう、単純なのだ。子供っぽくて、褒めてもらいたがりで、弱虫さん】
【彼女も彼女で、普段ならこうして初対面の手を引くことなどあんまりないのだけど。嬉しくなってしまったのだろう】

【そうしてやがて坂下の広場へとたどり着く。そこには、彼女の言ったとおりに大きな木が鎮座し】
【欅の木だろうか。葉っぱは青々と茂り、夏になれば、立派な日陰を作ってくれるだろう。或いは、】
【小さな子供が限界へと挑戦するための壁になってくれるかもしれない。――即ち、木登りだったり、背比べだったり】
【大きな木はそれだけなんでも受け入れてくれる。今だって、急に訪れた男女二人を、静かな葉擦れの音だけで受け入れ】

【傍に突き刺さった札には、この木がここに来た理由が書かれていた。曰く、とある山が開発されることとなり】
【特別に立派だったこの木だけが、ここに移植されてきたらしい――その由来の脇には、子供の落書きが書かれていたが】
【立派で、かつ、古いものであるのは確かなようだ。枝葉は空一面に伸びて、向こうの夜空もよく見えないほどで】

――――、

【なぜだか、彼女は声を掛けられたその瞬間。ひどくぼうっとしているように見えたし、実際にしていたのだろう】
【植物の匂い、腐葉土の――森の柔らかな土の匂い。それは、だいすきなひとの匂いに似て。どうしようもなく、和ませる】
【その気配に反応したのか、右耳のピアス。宝玉の欠片からひらりと水の魔力が溢れて、まるで、一条川のせせらぐように】
【ほんの些細に水の香りもそこに混ぜ込むが――あくまでここのメインは森と、この木。それの邪魔をするほどではなく】

え……いいの? わあ、やってみたい――!

【手招きされて彼女はやっと意識をこちらの世界へ戻す。それで、ぱちくり瞬いてから、ぱあと表情を輝かす】
【彼がやるものと思っていたのだろう。誘われれば、やりたいやりたいと目をきらきらさせて、大樹へ歩み寄り】
【目の前に立って、一度見上げて――彼を振り返って、ぱっと笑顔を見せたと思うと、木にまた向き直り】

……こんばんは、はじめまして――。

【そう柔らかく声を掛けてから、そっと――失礼のないように?両手で、琥珀を幹へと触れさせるのだろう】
【それでどうなるのかは分からない。どきどき、少しだけびくびく、だけど――わくわくもしたし、きらきらする】
【――さて、どうなるのだろう。少女は、息すら忘れて、結果を待っているようだった】

/そして申し訳ないです、今日はここで一端凍結でお願いしたく……!
/明日は今日と同じ時間、夕飯が済み次第の7時ごろ〜くらいから待機していられるかとっ
107 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(宮城県)2015/05/19(火) 00:30:03.17 ID:jWRW/2WD0
>>106
/了解いたしました。都合が付き次第避難所で呼びかけてから返レスしますね
/それでは、本日はお疲れ様でした。おやすみなさーい!
108 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/05/19(火) 00:32:45.65 ID:xbr6GzQp0
>>107
/了解ですっ。それでは、また明日よろしくお願いします!
/ひとまずおつかれさまでした。おやすみなさいませー
109 :五月雨 天音[sage saga]:2015/05/19(火) 00:37:31.58 ID:UMOJH7Li0
>>105
「あっ、、。」

【短い声だった。】
【自分の持てる最大の一撃。それを防がれた今、緊張が解けたかのように体に力が入らなくなった。】
【左足は機能を果たさず、主人のバランスを崩した。】
【右足の反応は間に合うわけもなく、無残にも倒れてしまった。】

【そこに迫るのは炎の渦。】

【彼女は解けた集中のまま自身の足の末路を眺めていた。】
【焼けている。伝わる違和感に気持ち悪さが募っていった。】

「っ!?」

【辛うじて集中が戻り、炎から足を退けた。】
【だが、時すでに遅く両方とも使い物にならなくなった。】
【その現実を彼女は呆然として眺めた。】
【そして、口から言葉が零れ落ちる。】

「だから、探してるんじゃない、、、。」

【独白、に近かった。】

「それでも、、皆が感じてる生きる喜びってのに、、、出会いたかったのよ。」

【俯いた彼女は   誰が見ても、敗北者だった。】

/明日早いんでそろそろ落ちねばならんとです、、。すみません。
110 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県)[sagesaga]:2015/05/19(火) 00:59:46.88 ID:PXsHr4c7o
>>109

「――ククッ、そォれで良ォい」
「人間は常に何かを求めてこそ、だ」 「求める限り死ィにはしィねェ」

【倒れた相手を見下ろす形で、そう言い捨てるように言葉を発したその者は】
【相手が戦闘を続行する意思を揺らがせたのを感じれば、二種の生き物は闇と化し魔法陣へと吸い込まれる】

「俺様は超ォォォオオ心が広いかァらなァァアアッ、邪ァ魔と両ォ腕の借りはそォれでチャラにしィてやァるよ」

【半ギレで両脚を燃やしておいてこの言い草。相当な傲慢さを持つことが伺える】

「んじゃア、俺様は交渉再開と――あァ、あァの野ァ郎腰抜ゥかしてやがる――好ォ都合だ、別室で話でもしィようやァ」

【……サラリーマンは戦い慣れしていなかったようで、この戦いを見てビビって腰を抜かせたまま動けなくなってしまったようだ】
【そんな彼の足許に魔法陣を生成しつつ――"2人で"、闇と化し魔法陣の中にへと吸い込まれていった】

【――さて、とりあえずは静かになった。】
【そう言えば、彼らが消えた後に一匹の蜘蛛がここに迷い込んでいたのだが】
【全身真緑のそれは、彼女にそっと近づき――口部から体液を吐き出し、それを霧状に広げて相手を包もうとするだろう】
【力は弱い、ほんのすこしばかりの抵抗で防げるのだが……防がなかった場合、どうなるかというと】

【……害はないのだ、むしろその反対で】 【"一時的に治癒力を大幅に上げる"、その力を持つ】
【野生の蜘蛛にしては随分と利他的だが……そういう性質なのか、あるいは……?】

/お疲れ様でしたー 蜘蛛が施す治療に関して、防げないけど不要という場合は蜘蛛自体が来なかったことにして下さい
111 :五月雨 天音[sage saga]:2015/05/19(火) 19:13:30.34 ID:UMOJH7Li0
//お疲れ様でした。
112 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y[saga]:2015/05/19(火) 20:01:55.24 ID:R88efoSWo
【―――緩い風が、足元を静かに駆け抜けていく。】
【生命の息吹を感じさせる、温かな春の訪れから早くも一カ月が過ぎ、】
【今この地に吹くのは一際落ち着いた風。―――の筈が。今日は少しだけ、夜風が冷えた。】
【季節外れの寒気が、薄着になった人々の足元をぴゅう、と通り抜けるのは、"誰か"の訪れを告げる、前触れだった。】


 っくしゅ! ―――……うぅ。今日はすこし、寒いかねぇ。
 ずっと眠ってたせいか、すっかり春になったモンだとばっかり思ってたけど―――、
 どうやら、アタシの見当違いだったみたいだ。本当に此処は、故郷<地の国>と違って、気候が変わり易い。
 
 まあでも? 四季折々、季節感豊かで一年を通して飽きが来ない、と考えれば悪くは無いけど
 それにしたってこう、気温がコロコロ変っちゃうと、年中乾燥した荒野で過ごしてたアタシには堪えるよ〜……。
 雨が多いのは肥沃な証拠、といえばそうかもしれないけど、あと一ヶ月もすれば毎日雨の季節に入っちゃうし―――。

 そうだ! ―――景気付けに、今夜は熱燗でも……って、ダメダメ。
 アタシがボ〜ッとしてた間にどれだけの世情が変ったのやら、ちゃんとニュースを読まないと……hm,


【風の国。UNITED TRIGGERと呼ばれる、一件の酒場にその女はいた。】
【煌々としたランプの明かりを窓の外に漏らし、久方ぶりに表に出てきたその"店主"は―――】
【まだ公的な発表こそされてはいないが、数日前まで"行方不明"になっていた、この世界では有名な人物だ。】

【セリーナ・ザ・"キッド"。カノッサやGIFTといった破壊活動を続ける巨大組織に対抗し】
【民間の会社として市民を護る為に設立された小規模な団体、UNITED TRIGGERの、紛う事なき創設者だ。】
【先日"地の国"で起きた騒動にて、機関の六罪王、ベクターの手に堕ちて処刑寸前になったり、逆に"暴走"させられたりと】
【数ヶ月程話題に事欠かない状態であった存在だが、どうやら現在は無事"帰還"出来た様で―――今日は店へと顔を出していた。】

【そう、"店"―――このUNITED TRIGGERという組織は、組織でありながら一つの民間会社である。】
【故に、格式ばった組織構造を持たない事も相まって、事務所を兼ねる"酒場"を改造した本拠地には】
【いつも大勢の客が訪れ普通に酒を飲み交わす事も多々ある等、少々風変わりな特徴を持っている。】

【今日はどうやら、復帰直後と言う事もあってか客足はほぼ無いに等しい様だが―――はて。】
【カノッサに捕まっていた間、過去数ヶ月分の新聞を片端から読み漁るアナログな彼女の待機するこの店に】
【今夜訪れる者がいるとすれば、それはどういった存在だろうか―――。】

/予約になります。魔王さんもとい荒零さんの方、今夜はよろしくお願いします。
113 :荒零[sage saga]:2015/05/19(火) 20:23:15.04 ID:WKjb8LvmO
>>112
【春、薫風と新緑に満ちた季節。そんな季節のここ[風の国]に季節外れの冷気を振り撒く些か傍迷惑な男がいた】
【全身黒のジャケットとパンツ、白いYシャツと何処かの悪徳セールスマンかギャングの下っ端を彷彿とさせる男は周りの冷気等気にも止めず目的の場所へと歩みを進めていた】
【男の名は[荒零]自らの記憶と、自らの意味を探すためこの世界を放浪し始めた旅人の一人である】
【旅人とは言っても何か山奥の秘境に行くでも無く、荒れ果てた極寒の凍土に行くでも無く、ただ様々な国の様々な街を歩き、見聞きし、人に出会う。ただそれだけの旅人なのだが】
【そんな彼が今、扉を叩こうとする施設(施設と言うよりは店だろうか)の名は"UNITED TRIGGER"】
【正義の名の元に悪しきを挫き、弱きを助ける。そう言った事を目的とした正義の[企業]】
【何故彼が此度其処を訪れようとしているのか、それはこの後に彼が繰り出す不躾極まりない台詞が全てを語ってくれるだろう】
【彼はその店のような酒場のような施設の扉を手で開ける、ではなく、[足]で[蹴り開け]ながら】

荒零だぁ!加入希望だよ、オッスオッス。
さ〜てと面接か何かしてくれる奴はいるのかい?いるならはよ、はよ。サクッと面接受けて、サクッと合格通知を5秒で宜しく頼むぜ。
……ん?

【目の前に居たのは面接官でも無ければ、追い払うための用心棒でも無い】
【金の髪の一人の女性であった。勿論酒場のママとかでも無いであろう】
【少々拍子抜けと言う表情をしながら、女性へと恐る恐る問いかける。その声音は「まさかあんたがここの主人?」と言った疑念に満ち溢れている】

えぇ〜っと……一つ聞きたいんだお嬢さん。
ここってUNITED TRIGGERだよ……な?

/加入ロール宜しくお願い致します。
114 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y[saga]:2015/05/19(火) 20:46:04.68 ID:R88efoSWo
>>113

【さて―――、ここで先ず記述しなければ行けないのは、この店のオーナーはかなりこの店を愛している、と言う事だ。】
【といっても、隅々まで掃除が行届いていてキレイ、だとかそういう意味ではなく―――単純に、『侵入者』に対し容赦が無い。】
【それもそのはず、普通に入ってくるならまだしも、『道場破り』か何かの様に蹴り開ける勢いで店に入ってきた、ともなれば―――】


 ―――ッ!? 敵襲ッ!? 
 正面から堂々と入ってくるとは、敵ながら中々に天晴れ―――、って、アレ?


【すかさず、読み漁っていた新聞を一瞬にして"丸め"て、剣のように構えると】
【酒場のカウンターから華麗なジャンプで飛び出し、床で一回転して侵入者の前に躍り出た!!】
【―――のだが、まあ馬鹿馬鹿しい限りである。まず、手に握っているのは先述の通り"新聞紙"を丸めただけの武器だし】
【そもそも相手は侵入者でもなんでもない、その上自分の方を見て"お嬢さん"だの、"加入したい"、だの、"面接官はどこだ、"だの―――】


 ―――……あ、あれれ? も、もしかして加入希望者っ!? ワオ、そういう事ならゴメンゴメン、驚かせちゃったね。
 アッハハハ! 見ての通り、君のいる此処は紛れも無くUNITED TRIGGERの本拠地で、兼―――酒場、って所かな。
 そしてアタシが、君のお探しの"面接官"、兼創設者のセリーナ・ザ・"キッド"だ、宜しく頼むよ、ザ・破天荒君?

 まあ、ここに初めて来る人は大体みんな"その反応"をするから慣れたモンだよ、
 「こんな寂れた酒場みたいなところが、本当に本当にUTの本拠地なのか!?」―――ってね。
 でも正真正銘、君の目の前にいる"お嬢さん"こそが責任者で、ここが紛れも無く本拠地なのさ、どう? すごいでしょ!

 でも―――その調子だと、『UT』の名前は知っていても、
 アタシの存在や酒場みたいな本拠地についての情報は、知らなかったみたいだね。
 この世界じゃもう大分名前の売れた組織だから、結構有名な筈なんだけど―――"飲んだくれの経営する組織"、って。

 それを知らないで、UTの名前だけを頼りに此処に来た、って事は、
 君は元々この世界の住民じゃない、若しくは―――記憶を失ってる、そんなところかな?

【悪びれる気も無く、少しクセのあるショートの金髪を揺らしながら、その女―――】
【セリーナ・ザ・"キッド"は荒零の前に立つと、先ずは被っていた特長的なテンガロン・ハットを取って、挨拶を求めるだろう。】

【その後、こういった反応はもう慣れっこだ、と語った後、彼が加入者であると言う事を知ると、】
【彼の口から出てきた『言葉』と『状況』を頼りに、彼の"情報"を素早く分析し、それを言葉にし始めるだろう。】
【大分ふざけた形の本拠地に、どこか抜けていそうな女リーダーだが、どうやらその洞察力は流石に鈍くもないらしく。】

【彼が訳あってUTの詳細を知らない、という事を見抜けば、その理由を"異世界"からの訪問者、若しくは】
【記憶に何らかの障害を抱えるタイプか、と推理し始めるだろう。どうやら、"その手"の人間もよく、此処を訪れるらしい。】


 オーライ、まあその辺は後々聞くとして―――うぅっ、寒い。
 とりあえずカウンターに座ってよ、今から簡易的に面接―――"もどき"を行うからさ。
 ああ、それとさっき"合格通知"って言ってたけど、基本的に合格も不合格もないよ、ウチは色々特殊、だからね。ふふっ。

 それで、話を聞く前に飲み物を用意しようか。珈琲なら直ぐに出せるけど、
 腹を割って話したい事があるなら、アルコールだって用意できるよ。なんたって此処は、酒場だからね。


【陽気にそう答えると、先ずは荒零に席に着くよう促すだろう。】
【同時に、何か飲み物を用意する、と告げて自分はカウンターの方へ。】
【これから面接だというのに酒を勧める辺りは、この女も中々に中々だったが。】
【ともあれ、これで面接は始るようだった―――。】
115 :荒零[sage saga]:2015/05/19(火) 21:12:16.93 ID:WKjb8LvmO
>>114
ん、……ふっ、ふはははははあはははははっ!!
いや、すまん!……ふぅ〜そうかい、そうかい「君」がね。
あいわかった、セリーナ・ザ・"キッド"さん。もう一度言うけど俺は荒零、敵襲でも道場破りでも借金取り立てでも地上げ屋でもなく正真正銘加入希望さ。
新聞で敵に立ち向かおうとするとは……ふはっ………いや、何でもないよ。
宜しく頼むよお嬢さん。

【そう言うと彼は被っていた愛用の中折れハットを取り胸の前に置くと、紳士ぶるように一礼を返した】
【そうして彼女に促されるままカウンターの席につくと肩に掛けていた異様に長細い黒い袋を椅子の横に置き、お言葉に甘えて】

いきなり酒を勧めてくるとはやるなぁ、ははっいや嫌悪した訳では無いよ、これでいきなり「てめぇは何を言ってやがるんだ!寝込んだ所で財布でもスる気か!?俺は帰るぞ!」なんて事にはならん。
んじゃま、何か酒を一杯頂こうかな。まぁこの世界で飲む酒はこれが初めてだが……
それにしても凄いな、俺が別世界から来たか記憶喪失かを一瞬で見抜くなんて、エスパー?ユリ・ゲr……まぁいいや。
その通り、俺は記憶喪失だ、序でに言うと異世界からの来訪者の可能性もあるっちゃある。まぁそこら辺は長くなるんだが……
単刀直入に言ってしまおう、俺は自分が"何者"かを知るためにここに来た。俺が何者かを探したいんだ。

【先程までの愉快そうな目付きと口調を正し、真剣そのものと言った表情で話し始める】
【この組織に入る理由、そして自分の正体、それら全てを彼女に話した上で加入すれば少なくとも後になって面倒な事にはなるまい、と言う考えからの行動であった】
【それが吉と出るか凶と出るかは別として、彼は淡々と話を続ける。自分を示す唯一無二の印を彼女に見せながら】
【黒いジャケットとYシャツの右の袖をを一辺に捲り、そこに書かれた―――[第八天魔王]の刺青を見せ】

俺はな、こう言う存在なんだ

【ただ一言そう言った】
116 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y[saga]:2015/05/19(火) 21:32:58.98 ID:R88efoSWo
>>115

【荒零の陽気なテンションは、セリーナにとっては有り難いものだった。】
【もとより本人の人間性もそういった明るいモノだったし、何よりこの方が面接だって"愉しい"。】
【硬い顔して額を擦り付けあいながら志望動機と経歴を尋ねる拷問染みたやり方は、余り好きではないのだ。】

 オーライ、でもギャングかお尋ね者でもないなら、今度から扉は"手で"開けるのをオススメするよ。
 ここいら一帯は警備も固いし、警察さんや自警団の隊員さんだって結構な割合でパトロールしてるから、さ。
 あんまり"漢気"あることばっかりしてると、そのうち手首に冷たい鉄枷を嵌められる事になるから、気をつけてね。っふふ!

 まあでも―――うん、どうせ仲間になるなら、これくらい元気があったほうがいい、かな。
 なんたって、ウチは結構危険な仕事も請け負うし、身体は頑丈、勇気は人よりあるに越した事が無いからね!
 それと、なんか大分寒い、というか―――……ううっ、ごめんごめん! ちょっとアタシも暖かい飲み物でも飲もうかな……。

【セリーナは手短に注文を受けると、セラーからバーボンを一本、取り出し】
【簡単な肴―――フランクフルトだの何だのを用意しながら、慣れた手つきでカウンターに用意していった。】
【その折、自分の珈琲を用意しながら彼の話に相槌を打ちつつ、真剣な目つきで右腕を晒した彼の"真名"を―――見やった。】


 "―――この世界で飲む酒は、初めて。"

 "―――来訪者の可能性もあるっちゃ、ある"

 そして―――"[第八天魔王]"の記述、か。

 
 ……エスパーじゃない、カラクリは結構単純さ。
 ウチには変った面子が集まる事が多くてね、メンバーの中には既に、
 異世界からこっちに迷い込んじゃった人とか、記憶喪失の人なんかがいたりするんだ。

 だから、"荒零"くんもその類かもしれない、って思い当たった、それだけの話、ってね。
 けど―――うん、こんなステキなタトゥー……―――"文字列"を持っている人は、アタシも初めて見たね。
 それに、自分が何者かを知る為に来た、っていうのも、初めてのタイプだ。今まで、そういう理由で此処に来る人は、居なかった。

【―――珈琲を一口、喉に流し込むとセリーナもまた、真剣な表情で黙り込むだろう。】
【UTに所属したいと思う人間は居ても、その理由に"自分の探求"を掲げる者が来るというのは、少々予想外だ。】
【だがかといって、頭ごなしにそれを否定するわけにも行かない。セリーナはなるほど、と一息つくと、質問を重ね始めた。】

 ―――荒零くん。きみの、"最後の記憶"は、いつだい。
 記憶が無い、とは言って居たけど、それはいつからで、いつまでの記憶が無いのか。
 その辺のことをもう少し、詳しく語ってもらうことは、出来るかな。

【セリーナは酒を彼の前に置きながら、ブルーとも翡翠ともつかない神秘的な輝きの瞳で、彼を真っ直ぐに見つめた。】
117 :荒零[sage saga]:2015/05/19(火) 21:53:11.59 ID:WKjb8LvmO
>>116
【彼女に扉を足で開けた事を少々指摘され、申し訳なさそうに頭を掻きながら彼は答える】
【その口元は苦笑、と言うよりはにやつきと言った方が良いだろうか。反省しているようには見えるだろう】

冷たい鉄枷ね、そいつは勘弁だ、次からはきちんと手を使うことにするよ、店長。
おっと、寒かったのか……okちょっと待ってくれ、今温度が元に戻るようにする。ふぅ………

【彼は掌を顔の前で組み、目線を机に向けて何やら集中し始めた】
【瞬間、周囲から彼に向かって白く輝く風のような物が流れ始める。その流れは次第に勢いを増し、そして数分で消滅した】
【これで彼が発していた冷気は抑える事が出来ただろう。油断するといつもこうなってしまう。悪い癖だと彼は心の中で戒めた】

これで、良いんじゃないか。気を抜くとこうなっちまうからな〜迷惑かけることが多い……

へぇ、既に俺と同じ記憶喪失の奴もいるのか、それは話が合いそうだな。記憶吹っ飛んだ者同士で、ははっ。
それで、俺の話か。そうだな……俺が覚えている限りで最も古い記憶は何処かの荒野で目覚めた事、それより前の記憶は完全に無い。
その荒野にいた時点で俺はこの世界に存在していた。それがほんの少し前の話だな。残念ながらそれだけ、記憶喪失と言うより最早痴呆だな。

【彼は「やれやれ」と言わんばかりに首を横に振り、溜め息をついた】
【それもそのはず幾ら探しても手掛かりの掴めない霧のような自分の存在。最早話すだけで溜め息をついてしまう】

この前も博識そうな長いローブを着た魔術師の男に話を聞いたんだが検討違いでな……
どうだい、これでいいか?俺自身についての話はこれだけなんだが
118 : ◆EeJ7tvIqpI[sage saga]:2015/05/19(火) 21:57:17.75 ID:Cwacmvw7o
【公園】

うっひょ〜、桁が凄いことになってきたで……。コツコツとババア騙したり芸能人のスキャンダル売り捌いたりお偉いさん脅したかいがあるっちゅうねん。
しかもこれからは新たに能力者情報ビジネスもあるし……死なんように気を付ければ目標額もアッという間やろなぁ、ウェヘヘヘヘ……。

【黒シャツにジーンズ、その上にグレーのトレンチコートを羽織った20代後半の男。スパイキーショートの茶髪に灰色の瞳。彼は夜の公園のベンチに腰を下ろし、一人微笑んでいた】
【大柄でがっちりとした体格の男が一人で何かを見つめてにやにやしているという図は、正直怪しい印象を与えるだろうか。見た目だけではなく、発している言葉も怪しいのであるが】

【にやにやが止まらないのは、預金額に並んだ0の行列が理由であった。コツコツと……という割には大胆かつ違法な事を次々と口にしていくが、それでも積み重ねには変わらない】
【片手に肉まん、片手に預金通帳。預金額にしては食べ物が質素というか安上がりなのは、「目標額」と言うように何かしらの目的があって貯金をしているからなのだろう】

――――……それもコレも。ぜーんぶお前のおかげやで〜? な、『papa-rat』。ワイの生涯のパートナーやでホンマ……ほら、お前も食えや。

【「お前」ということから誰かに話しているのだろうが、夜の公園には彼一人。……いや、確かに人間は彼だけだが、他に「一匹」いるのだ】
【彼の着ているコートの右ポケットが膨らんでいる。話しかける様な口調で語る彼の視線もそこにある。直後、そこから――――何かが顔を出した】
【『papa-rat』と呼ばれた「何か」。実に奇妙で小さい生物であり、ビデオカメラの頭にラットの口と胴体で大きさはラットそのままという、無機物か有機物か分からない其れ】

さーて、次はどうすっかねぇ。アイドルに枕強要したゲスジジイに切り込んで搾り取るか、機関に敵対する能力者の情報コツコツ集めるか……
ま、兎に角金稼げりゃなんでもええ。路地裏で女子供ボコして財布奪うんが一番楽しいやり方やけど、あんま稼げへんしなぁ。

【その怪しい生物?の口に彼は持っていた肉まんを近づけると、『papa-rat』とやらはもしゃもしゃと肉まんを咀嚼し始める】
【暖かい色味の光を放つ電灯の下に広がるは奇妙な光景。通帳を見て怪しい内容を呟く男と、その男が持っている肉まんを食べる小さな化け物――――】
119 : ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/19(火) 22:21:32.99 ID:Hkfm9WHeo
>>118
/まだいらっしゃいますでしょうか?
120 : ◆EeJ7tvIqpI[sage saga]:2015/05/19(火) 22:23:46.80 ID:Cwacmvw7o
>>119
/いますよー!
121 :リチャード・トラヴィス ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/19(火) 22:28:24.08 ID:Hkfm9WHeo
>>118

【暗い夜の公園に、それよりもっと後ろ暗い事情を抱えた男がひとり。――この時点で、まともなの人間ならまず近づこうとは思わないだろう】
【ならばこの人物は、果たして「まとも」ではない方の人間なのか。それとも単に、何も知らず迷い込んでしまった哀れな一般人なのか】
【――男が化け物に食事を与えているところへ、公園内にひとりの少年がふらりと姿を現わすだろうか】


…………おや? あれは………?


【といっても別に、少年は男に用事があるわけでもないようだ。歩き疲れたから少し休んでいこう、という程度の考えに見える】
【公園に入った少年は、男と化け物からは少し離れたベンチに腰掛けて、とりあえず一服――というところで、やっとそちらに気づくだろう】
【……微妙な距離だ。男の独り言が聞こえたのか聞こえなかったのかは不明だが、少なくとも男の懐に奇妙な生物がいるのは確認できたようで】
【すぐに話しかけることはしなかったけれど、なんら悪意のない視線で、興味深そうにそちらを眺め始めるだろう】

【そんな少年をどう思ってどう動くかは、もちろん男次第だ。ただ、あえて情報を付け足すならば……】
【街頭で照らされた少年の姿は、黒いブレザーに赤いネクタイという学生服に身を包んだ、男子高校生と思われるものだ】
【やや巻き毛気味の水色の髪に、ルビーをはめ込んだような真紅の瞳。背筋はしゃんと伸びていて、座っているだけで落ち着いた雰囲気を漂わせる】
【微かな挙措のいちいちも、かえって鼻に付くほどきれいに整っており――端的に表現すれば、いかにも「お金持ってそうなお坊ちゃん」という風情なのであった】
122 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y[saga]:2015/05/19(火) 22:38:05.21 ID:R88efoSWo
>>117

【寒そうな様子を見せたセリーナに対し、荒零が迅速に掌を机に向けると】
【そこから空気の流れが視界にも捕らえられるほど白く色づき、そして清流の様に流れ始めて】
【まるで白い竜がカウンターの周囲を渦巻いているかのように、流麗な輝きを零し―――そして、冷気が収まる。】

 わっ―――ビューティフォー、荒零くんタダ者じゃあないと思ってたけど、
 これなら間違いなく、君"も"つまりは―――所謂、"能力者"っていう訳だ。
 驚いたよ、さっきから寒いとは思ってたけど、まさか君の仕業だったとは。ふふっ。

 ごめんごめん、アタシは結構暖かい所の出身でさ、寒いのには結構弱くって。
 でも、怒ってるわけじゃないから安心して、能力が完全に制御できないのは―――ふふっ、
 まあ大丈夫! まだ冷気で周囲がマンモス状態になってる訳でもないし、夏場はむしろ重宝するさ、なんてね。

【能力者―――冷気を操る力を持っていると、そこでセリーナは初めて知った。】
【だが記憶を失い放浪の度を続ける青年が、此処に来ると言う事はつまり、"そういう事"なのだろう。】
【セリーナは彼の事情を詳しく聞きながら、ようやく暖かくなった店内でゆっくりと、ブラック珈琲の香りに身を委ねた。】

 
 (―――荒野で目覚めた。記憶はそこから前に存在しない。)
 (残っていたのは唯一、自分の腕に彫られたその"怖いお名前"だけ、ってコト、か。)
 (……―――なるほど。これじゃあ確かに、ルーツを探るには骨の折れる作業が必要になりそう、か。)

 オーライ、大体の事情は飲み込めたよ。
 つまり、君は本当に"何もかも"を覚えていない。
 覚えていないから、情報がたくさん集まるウチに来た。そういうこと、かな。

 確かに、ウチ<UT>には世界中から色んな情報が集まる。
 近所の犬や猫探しから逃げ出した凶悪脱獄半の居場所、果てはテロの実行計画機密まで、本当に色々だ。
 
 だからこそ―――そんな"重要な"情報を、外部の人間や、信頼できない人間には
 そう簡単に渡すわけには行かないのも、実情でね。正直な話、スパイには結構気をつけてるんだ。

 誰でも彼でもが、UTの仲間に入れる、ってワケじゃない。
 他人と違う特殊な事情があれば、パスできるってワケでもない。
 ただ、君に確認したい事がある。それは難しい事じゃあない、荒零くん―――

 
 ―――君はその、冷気の能力を使って"悪事"を働いたりは、絶対にしないね。

 それが約束できないウチには……アタシは頭を、縦に振る事は出来ない。
 君が君自身の為にウチに所属したい、というのは分かるけれど、
 それにしたって、君を信用するには君自身の本心を確認しなくちゃいけないんだ。

 君がUTに入れば、カノッサやGIFTとの戦いにも巻き込まれることになる。
 当然、怪我だってするし、危険な目にもたくさん遭うだろう。それでも、君は―――
 なおもその力を、真っ直ぐ扱う事を誓うかい。人を助ける為、そして本当の自分を知る為、
 それ以外のことに使ったり、罪の無い他人を傷つけるような事はしないと、そう―――約束、出来るかい。

【セリーナは、カップを持つ手を止め、彼の真意を確かめようとするだろう。】
【この組織の設立理念はあくまで、悪に対する"カウンター"としての役目が最重要。】
【人を護り、人の為に戦う、そういった人材に居場所を安息を齎すのが、UTの役目なのだ。】

【単に自分探しの一環で、という訳には矢張り行かないのだろう。】
【鋭い視線で、セリーナは荒零を真っ直ぐ、見つめた。】
123 : ◆EeJ7tvIqpI[sage saga]:2015/05/19(火) 22:55:58.80 ID:Cwacmvw7o
>>121

【仕事柄気配や視線には敏感である為、その視線や足音にも比較的直ぐに気が付いた。数字の羅列から視線を上げ、気配の方向を見る】
【灰色の双眸に映り込むは獲物の姿だった。この男に言わせればお金持ちの少年なんぞ獲物にしか見えない。獅子が寝ているシカを発見したようなモノだ】
【男は肉まん片手に立ち上がり、通帳とその化け物をポケットに仕舞えば、ゆっくりと少年へと足を進める。決して逸ることなく、圧力を感じさせないように】
【イメージはただの陽気で呑気なお兄さん。ヘラヘラとした表情の仮面を作り出して、軽いちょっかいをかけるように接近し、声をかける】

こんばんはー、最近夜もあっついわなー。坊ちゃん学生か、えらいいいところ行ってそうやないか、ははは。
にしてもワイが学生の頃はいっつもアホ共とつるんでゲーセンとか行っとったで? んな時間に1人で公園てなんや、ぼっちか? はははは。

【いきなり喧嘩を売る様な事はしない。警戒を解いた所で仕掛ける。変に脅して奪おうとすると抵抗されやすいという経験の元、隙をついて気絶させること一点にまず絞る】
【気絶させればその後はお金を奪うなり両親を脅すなりなんなりできる。故にまずはフレンドリーな印象を与え、接近しながらも警戒していないという状況作りに専念する】
124 :??? ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/19(火) 23:00:34.21 ID:8zMNVPDDo
【路地裏の一角で繰り広げられる小さな会合、怪しげな会話をするのは、似たような服装をした男達だ】
【『行動するべき』だとか、『カノッサに遅れを…』などと、様々な言葉が聞こえてくるが、どれもが一様にして物騒な言語ばかり】

……ああ、ああ、うん……わかってる、わかってるさ……
『無能力者を狩れ』って、ただそれだけだろう?……そうだ、そうだね

【どうやら、男達はある一人を中心として話を広げているようで、その中心となる人物は高いハスキーボイスで相槌を打ちながら頷く】
【その言葉の中に出て来た一つの単語、それが意味するのはそのままの意味だ、『無能力者を狩る』ただそれだけそのままの】
【路地の表通りを車が走る、ヘッドライトの光が建物の隙間に入り込んで、奥まった路地裏の一角も微かに照らされる】
【男達の服に、ワッペンで縫い付けられているのは金十字≠フエンブレムだ───】

……それじゃあ、これでこの話は終わりにしよう、連絡はした、後は時が来るまで、今迄通り、変わらずに
そうだね……他の人に連絡は……いや、しなくてもいい、来たら自ずとわかるはずさ……わからないのなら……それはソイツがその程度だったというだけだ
ああ……うん、それじゃあ、解散だ

【その人物の一声で、集まっていた男達はみんな散り散りにその場から離れて行く。そして残ったのは、話を纏めていた人物一人、どうやら長身の女性のようだ】
【ホットパンツにノースリーブシャツ、赤錆色をした、くしゃくしゃのショートカット。女性らしさを感じない容姿に、僅かながらの胸の膨らみが抵抗する】
【その隈を称えた目は、右眼だけが血のように赤く、縦に割れた獣のような瞳孔をしていて、それがじとりと辺りを軽く見渡した】

……面倒だ、僕はただ、人間を知りたいだけ、無能力者を狩るのは二の次にしたいというのに
折角だから、この話を聞いている正義感の強い人間でもいればいいのに、そうしたら手間が省けるよ。

【彼女の声は、妙にくぐもっている、再び差し込んだ人工の光に照らされれば、その利用がよくわかるだろう】
【黒鉄で出来た、犬用の口輪、それが彼女の鼻口を覆っていて、吐き出される吐息も声も曇らせていた】
【それだけではない、袖や裾の無い服から伸びる四肢は、人間の部分が全くと言っていいほど無くなっていて、代わりに獣脚めいた黒鉄の義肢が装着されている】

【彼女はその場から暫し動く様子は無い、詳しい話を聞くなら、一人になった今がチャンスかもしれないが…】

/余り長くは出来ないので恐らく凍結前提になりますが…
125 :リチャード・トラヴィス ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/19(火) 23:21:24.16 ID:Hkfm9WHeo
>>123

【紅い視線が、通帳らしきものと一緒にポケットの中へ消えていく怪生物を追う。そのあと一瞬間があって、少年は「これは失礼しました」と軽く会釈するだろう】
【にこやかで物腰柔らかな笑顔だ。気さくにこちらへ近寄ってくる"陽気なお兄さん"を迎え入れるように、少年は席を立った】


ええ、こんばんは。
……いえ、別に友達がいないわけではないんですけどね。今日はちょっと学校の用事と父の仕事を手伝いが被ってしまって、遅くなってしまったんですよ。
帰り道に寄って涼むのにちょうどいいものですから、ここにはよく来るんです。


【やや軽薄そうに聞こえる台詞にも怯まず、当然のような軽やかな返答。……大人同士の世間話というモノに、この年で完全に慣れているような】
【父の仕事を手伝う――というところからも非凡さを感じるだろうか。つくづく高校生離れした少年だ】

【その後「学校も仕事も、どちらも人材不足なんですよ」なんて自虐的に付け足して、少年は軽く体を引いてさりげなくベンチを差すだろうか】
【座って話しませんか、という意思表示だ。表情も変わらないままで、今のところ少年からは友好的なものしか感じないはずで】
【彼はまだ"シカ"のままだが……逆に、ここまで無警戒というのも不自然だと考えることもできるだろう。単に何も考えていないのか、肝が据わっているのか】
126 : ◆EeJ7tvIqpI[sage saga]:2015/05/19(火) 23:47:31.59 ID:Cwacmvw7o
>>125

……ほーん、えらいなぁ。その歳になると大体は反抗期っちゅーか、親への態度がそっけなくなったり牙剥いたりするもんやで。
ホンマできた子やなー、ワイと違って良い教育受けとったんやろなあ……。

【男に生まれた一瞬の間は言うなれば違和感によるモノであった。なんというか、「らしさ」がない。浮足立つような感じも無ければ尖った印象も見受けられない】
【できた子やなー、などと言ったがその言葉は本心であった。そしてその後の「人材不足」という言葉から、恐らくこの少年は社長の息子か何かなのだろう、と推測した】
【……となれば余計においしい。そこらへんにあった獲物がまさかの高級食材。勿論狙わないと言う選択肢はない】

――――ああ、ええてええて。ワイ自販機でジュース買うてくるし。
(……下手に様子見るよりこっちの方がええ。 ……さっさと財布の中身見せろや)

【少年が腰かけているベンチの向こうには自販機が並んで光を放っている。虫たちの集会場と化したその自販機に向かう為、男は座らずにベンチ横を通り過ぎ――――】
【――――否。通り過ぎて一歩踏み出した所で男は静かに牙を抜いた。刹那ポケットに突っ込んでいた片手を抜き、正面を向いた状態では死角になる位置から、左手刀】
【狙いは首の後ろ。首の頸動脈を最小限の動作で強く打たんとする男。タイミング、位置共に完璧に決まれば失神へと持っていけるが、少しの警戒があれば決まることは無い】
127 :リチャード・トラヴィス ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/20(水) 00:18:26.87 ID:9ULuZQwto
>>126

【男の誉めているような羨んでいるような台詞を、少年は苦笑いで受け流した。言われ慣れているかのような反応だ】
【どこぞの社長の息子、という男の読みは当たっている――いや。実際は単なる御曹司どころではない、父の代理としてテレビで会見を行ったことすらある】
【男がそういった話題に詳しいのならば、もしかしたら思い出すかも知れない。水の国に本社を置く『TRAVIS』という大企業の"次期社長候補"の顔を】


……あ、ちょっと待って下さい。ボクもちょうど喉が渇いていたところなんですよ――。


【――むろん、そんな少年の素性などとは関係なしに。すれ違いざま男が放った手刀がいまさら止まることはないのだけれど】
【完璧なタイミングでの一撃。その瞬間に少年はといえば、相変わらずこんな呑気な台詞を吐いて人懐っこそうな表情のままで、】

【……"ひゅん"、と。風を切る音が静かに響くだろう。男の手刀には――あるべき手応えは無いはずだ】
【うまく察知して避けたのか。……だがもし男が少年を確認したのなら、なんとも間抜けな、あるいは奇怪な状況が待ち受けていることだろう】
【手刀が当たらなかったのだから、インパクトの刹那に少年が頭を下げていたのは明白。そして今少年は、"鞄に仕舞った財布を取り出す為に"頭を下げていた】


ここの自販機、すごく美味しいコーヒーが売っていて。
この公園を気に入っている理由の半分はそれ目当てなんですよ、実は――。


【楽しげな台詞、少年はまるで気づいていないよう。彼を救ったのは単なる偶然だったのか、それとも――すべてわかっていて道化を演じているのか?】
【やや雲行きが怪しくなってきたようにも思えて。判断するのは男次第だけれど……とにかく、少年は「行きましょう」と男に声をかけて自販機に向かうはずだ】
【今この場でもう一度仕掛けるか、自販機に付いてから買い物をしている隙を狙うか。それもまた男の判断自体だが……】
【……とりあえず、隣に立てば垣間見えるはずの少年の財布の中身は、かなりの潤沢ぶりだった】
128 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/20(水) 00:41:50.82 ID:8C/IZ0Bj0

【櫻の国。最早誰も訪れる事が無くなる程に朽ちた神社】
【普段ならば一つの気配も無い筈なのだけれど――――今宵は、其処から妖気を感じ取る事が出来て】

【石畳の階段を上ったならば、見えるのは風化した鳥居と小さな社であろうか】
【――――社の前に立つのは、巫女装束を纏い翡翠の首飾りを下げた一匹の妖狐】
【目を瞑り、手を合わせている所からして参りでもしているのだろう。然れど、廃れた場所に神も残るのかは疑問だが】


「…………」

【其れも終えれば、神社から去ろうとして――――新たにこの場に訪れた者と出会うとすれば、そのタイミング】
【耳と尾を立てて居る事から余程驚いている事も知れるだろうか。抱くのは敵意だとかでは無く、怯えた様な――と表すのが適切で】
【元より害意を抱いた者がこの場に訪れたのだとすれば少女にとっての不幸】
【或いは、漂って居た妖気に疑問に思って訪れた者だとすれば――――話はどの様に転がるか】










【住人の殆どが寝静まった小さな街】
【美術館だとかそんな物が有るわけでも無い此処は特に悪人達の標的となる事も無く】
【強いて言うならば身を隠したい者、或いは旅の際に宿を見つける者が通る程度】

【さて、そんな場所に今宵は珍しい姿が一つ】
【街灯の下に置かれたベンチに座り、サンドイッチを摘んでいるのは――――一人の修道女か】
【腰に提げている二丁の双銃が何とも物騒ではあるのだけれど、特に殺気などを漂わせている風でも無く】


「――――ん〜……流石に徹夜での尾行は疲れたけど……まあ、何とかなったし別に良いかな……」

【辺りに出歩いている者も居ないのだから、必然的にその修道女の姿も目立って】
【手にしているのは数枚の書類。行方不明だとか何だとか物騒な文字が並べられ】

【何故こんな所に修道女が、と疑念を抱き話し掛けるのもただ何と無く近づくのも良いのだろう】
【――――兎にも角にも、気配を感じ取れば其方へと視線を向ける
129 : ◆EeJ7tvIqpI[sage saga]:2015/05/20(水) 01:05:44.81 ID:mVE51Z5yo
>>127

…………んなコーヒーあったっけなぁ。ワイはコーラか酒の2択やから全然そんなん知らんかったわー。
(……ばれとる? いやばれとってこの反応はないやろ……いやないよな? 見切られ……いやこんなヒョロガキに……?)
(血のションベン絞り出して身に付けた技が……? いや武道の心得があろうと上品なお稽古やろ? んなわけないて……偶然や偶然……!)

【困惑は避けられない。死角から近距離、最短モーション。避けられる要素など無かった筈なのに、事実左手に打撃の感触はない】
【直ぐに手をポケットに収め直して何事も無かったかのように振る舞うが、脳内では慌ただしく緊急会議が行われており、果たしてこいつは白か黒かで激しく言い争っている】

(こいつ、何者や……――――ん? どっかで……いや、まさか……)
お、ちょい待ち。ちょいメール来たし先買えや。

【少年の意識が自販機へ向いている間に一瞬だけ鋭い視線で相手を見定めるが、その雰囲気や容姿は覚えがある。とても薄いが、何か初めてとは思えないモノがある】
【沢山の情報を扱う為か記憶を整理しきちんと辿れば大抵正解を導き出せる。記憶と共に携帯で検索。そう、この少年は――――】

(……おいおい、高級食材どころやないで……A5ランクやろ、これ)
(んなもん絶対どっかでボディガードが見張っとるて……どこや、若しくは人やなくて機械で見張っとるんか? いやそうならもうワイに襲い掛かっとる……)
(警備の線は薄い……じゃあこれチャンスやてチャンス……)

【あの大企業『TRAVIS』の若き次期社長……で確定。となれば美味しい、美味し過ぎる。あまりの高級食材に一瞬身体が固まるくらいだ】
【警備も恐らくいない。――――リスクリターンを見れば仕掛けない手はない。彼が自販機にお金を投入する瞬間、まずは膝の裏を蹴り機動力を奪ってからだ】
【ガラス越しにやや映る自分の姿から悟られる場合を恐れ、映らない下でしっかり相手を崩してから仕留める。熟練と慎重さが見える手段である】

(……見抜いてやるで、さっきのがホンマかどうか)

【タイミングをしっかり見計らって、お金の投入口に彼の視線が寄り、お金を差し込んだ瞬間、彼の右ひざ裏を左足裏でグン、押さんとした】
【姿勢が崩れたのならそのまま手刀を頸動脈に落とすが――――?】

/2時になったら凍結お願いします


130 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方)[sage saga]:2015/05/20(水) 01:44:07.94 ID:9ULuZQwto
>>129


ええ。お恥ずかしながらボク、甘味が好きでして。ここのはすごく甘くて美味しいんです。
まぁ、ホントは直接お店で買えばいいんでしょうけど……なんとなく、外で飲んだ方が美味しくて。ありませんか、そういうの?


【甘いコーヒー、というのが本当にコーヒーの体を成しているかはさておき。少年はごく普通に自販機まで歩きながら、世間話を続ける】
【男の脳内で巻き起こる論争を知ってか知らずか、無防備に背を向けたままの姿で――もし黒ならば、挑発しているようにすら取れる格好だ】
【そして――少年は財布から小銭を取り出し、自販機に投入する。そのままゆっくりとした動作でボタンを押そうとし】

【――ガコン、と。飲み物が転げ落ちたその瞬間に、二度目の、そして今度こそ決定的な交錯が発生していた】
【右ひざを崩されて、少年の体が沈む。この手で今まで何人食い物にしてきたのか、男の熟練の手刀が少年の首元へ向かい、】


………、

驚きました。思いのほか周到ですね、お兄さん。


【……その一撃がいなされた原因を挙げるならば、右ひざ裏を押されたはずの少年の体が、思いのほか崩れなかったことにあるだろうし】
【同様に、リチャード・トラヴィスの目論見が失敗した原因を挙げるならば、"体勢を崩してからの手刀"という二段構えの巧妙なやり口にあった】
【今度は手刀に硬い感触がある筈だ。リチャードの左手から弾け飛んだ携帯端末が宙を舞い、藪の中に消える――】

【男が携帯でリチャードのことを調べていたのとほぼ同時――彼もまた左手で密かに端末を操作しており、通報しようとしていたのだ】
【だが身体が崩された瞬間に己の慢心を悟り、体重移動のみで強引に体勢を維持。やむを得ず、左手を首の後ろに回して盾にしたのだった】

【少年は明らかに素人ではない動きで素早く身を翻し、男から距離を取るだろう。結局――この少年は黒だった。そういうことだ】


さて、困りましたね。ギリギリで端末を壊されてしまいましたし、ちゃんと通報できたかどうか。
けれど『TRAVIS』は"正義"の企業ですから、次期社長候補として、ここで逃げ出してみすみす貴方を見過ごすのも……。


【端末が破壊されたことで、間一髪、警備だか自警団だか今すぐ男を確保するために駆けつけてくるというような状況は回避されたようだ】
【加えて、ここまでのやり取りで誰も来なかったことから、リチャードはなぜか警備も付けずひとりで出歩いていたのかもしれず……】
【となれば。ここから先の展開、男の望むものになる可能性はかなり高まったといえるだろう。――だというのに、】

【確かに、『TRAVIS』は以前カノッサの配下である"戦神"なる存在によって多大な被害を蒙って以降、各国の軍や自警団に出資する立場にあるけれど】
【……正義の企業の長として、貴方を見過すのはどうかと思う、なんて。そんな大げさでふざけた理由で、リチャードはこの場に留まった】
【呑気な表情は変わらないままだが、これは事実上、男と交戦するのも辞さない構えだと考えていいだろう――】


/了解しました!
/再開は明日の夜でよろしいでしょうか?
131 : ◆EeJ7tvIqpI[sage saga]:2015/05/20(水) 01:48:39.21 ID:mVE51Z5yo
>>130
/23時くらいになっちゃいますがそれでもよければ……
/ではお休みなさい……
132 :リチャード・トラヴィス ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/20(水) 01:53:36.90 ID:9ULuZQwto
>>131
/その時間帯からの開始でも大丈夫ですが、私も明日は2時ぐらいが限度になると思われます……
/なんでしたら明後日に延期ということでもOKですのでまたご一報下さい、お休みなさいませ!
133 : ◆EeJ7tvIqpI[sage saga]:2015/05/20(水) 11:50:10.67 ID:mVE51Z5yo
>>130

……っくくく、驚いたのはこっちやでクソガキ。全く警戒してませんって雰囲気出しておきながらこれかいな。
なぁ、最初のは見え取ったんか? 若しくは見えてなかったけどあそこであの位置に手刀ってのが想像できてたとか? 
どっちにしろ流石スーパーエリートやなぁ……腹立つわ、ホンマ。

【どうやら虎が鹿に化けていた、ということらしい。男は小さく苦笑を見せるが、その笑みの中で細まった瞳を悪意が染めて、少年へと向いた】
【リチャードが買った筈のコーヒーを自販機から取り出して、プルタブを引っ張り軽く口に運ぶ。成程、案外悪くない】
【――――そして、逃がすつもりもない。無抵抗の人間をいたぶるよりは、少しくらい抵抗してくれた方が愉しい――――なんて歪んだ思考が、男の口角を上げた】

……呑気なもんやな、次期社長サン。いや、ワイもか……ははは。
こっちも一応カノッサ機関員として、その正義≠潰さへんといかんよなぁ。
……正直そんなことよりも、アンタ等が溜めこんでる金の方が興味あるんやけど……なッッ!!

【飲みかけの缶コーヒーを左手で下からヒョイと投げ付ければ、食べかけの肉まんを右手でオーバースローで投げ付ける】
【相手にぶつけるような軌道ではないのは、どちらも本命ではないからで――――男は素早く左手をポケットに突っ込みナイフを取り出すと、ボタンを押して刀身を射出】
【風のマギタイトが内蔵されたナイフのグリップが一瞬唸りを上げれば刀身が一直線で少年の右膝へと向かう。意表を突かれない限りは躱せる軌道――――!!】

/次に書くのは23時以降になります……
134 :リチャード・トラヴィス ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/20(水) 17:36:31.11 ID:9ULuZQwto
>>133


あはは――もしボクが貴方だったら、あのタイミングで仕掛けるかなと思いまして。
けどいまの手刀を見る限り、どうも予想以上にきわどい賭けだったようですね。一歩間違えれば……いや、思い返すに肝が冷えます。


【あのまったく隙のない演技は、既に前線で活躍する御曹司だからこそのものか。その裏で少年はずっと警戒していたようだ】
【最初の一撃は見事に読みが的中した、ということらしいが――リチャードは胸を撫で下ろすようなジェスチャーをしつつ苦笑した】
【……また演技なのか、それとも本気なのか、いかにも余裕ぶって見える。男にしてみればそれも、余計腹立たしさを増す要素かもしれない】


(――――、カノッサ機関)


【にまりと笑う男の口から飛び出した、その単語に――ほんの一瞬、リチャードの表情が硬直したように見えた】
【それの何が彼の思考に火を付けたのかはわからない。笑顔の仮面の内側で何らかの打算を働かせて、リチャードはわずかに目を細める】


おや、カノッサ機関の方でしたか。
申し訳ありませんが……そちらに出資する予定はいまのところ、ございません。


【刹那にしてそんな表情の変化も消え、リチャードは事務的な台詞で対応。即座に懐に手を入れ、何かを取り出す素振りを見せるだろう】
【そしてコーヒーと肉まんが投げつけられるのと同時――男の背後で、"ぞぶり"という低い音が聞こえるはずだ。明らかに自然の音ではない、何かが】

【――男の背後、一メートルほど後ろの中空に、何か黒い球体のようなものが出現している】
【夜闇を詰め込んで圧縮したかのような不吉な色合いの球だ。それ自体は男に一切害を及ぼさないし、数秒で消えてなくなるのだが、】

【異変はその直後。コーヒーと肉まんの軌道が空中で捻じ曲がり、男に向かって勢いよく戻っていく――!】
【その後に射出したナイフに関しても同様。まるで男の方へ引き寄せられるかのように不自然に失速し、膝に当たる前に勢いを失って墜落してしまう】
【リチャードはその間、一歩も動くことはなかった。……何か、"遠距離攻撃"に強く干渉するような類の異能が働いたのは間違いない】

【そして、リチャードの右手に構えられたのは拳銃だ。男に向かって飛んでいくコーヒーと肉まんを囮に、まったく躊躇いのない発砲……!】
【狙いは右膝。こちらも意表さえ突かれなければ対応できるだろう。――男の初手を丸ごとなぞるような形の反撃は、まるで挑発のようだった】


/了解しました、とりあえずお返ししておきます〜
135 :怪盗コンフェイト ◆QdUgTofQJFfy[saga sage]:2015/05/20(水) 20:19:38.16 ID:ryaQszIK0
【とある美術館。閉館時間を向かえ、館内に残っていた人達が出入り口からわらわらと出てくる】
【美術館の真正面には、道路を一つ挟んでオープンカフェがある喫茶店があった】


え〜っと……ここが壺で、こっちに鏡……こっちがシャッターでそれでこっちは……あれ?なんだっけ?


【けっして人気が無いというわけではないが、10ほどのイスとテーブルがあるにも関わらず、
オープンカフェにいたのは一人の青年だけだった】

【髪は白髪で僅かに赤いメッシュを入れている。白のシャツに赤いベストを羽織った、猫のように鋭くも
丸みのある目つきの青年で、首から交差したキャンディステッキのシルバーアクセサリーをかけている】
【棒付き飴玉を咥えており、時折咥えられた棒が跳ねるように動いていた】


防犯カメラ……だったかなぁ?いや、赤外線センサー?……う〜〜〜ん……


【青年の座っている場所は丁度美術館を真正面に捉える位置にあり、青年のテーブルには紅茶とケーキの
他に、スケッチブックがあった】
【青年は何かを思い出すように、目を閉じてシワを寄せた眉間をペンでつついている】

【思考を己の記憶の中に入れ、外の情報を遮断しようとしているその様は無防備と言えよう】
【そんな青年にいたずら心で驚かすのも、青年の発言を怪しんで話しかけることも出来るが、あるいは……】


/新規です。長くは出来ませんがよろしくお願いします
136 :怪盗コンフェイト ◆QdUgTofQJFfy[saga sage]:2015/05/20(水) 21:47:52.60 ID:ryaQszIK0
/日が悪いようなので>>135は取り消します。
137 : ◆EeJ7tvIqpI[sage saga]:2015/05/20(水) 23:38:55.98 ID:mVE51Z5yo
>>134

……エリート様と同じ考えしてたとは光栄やな。
そんでも寿命が数分伸びただけやでホンマ――――ッッ!?

(んなアホな、戻って――――!? ……後ろの変なヤツの仕業か……!? 兎に角コイツ――――能力者……!!)
(ちょい離れて撮れよ『papa-rat』、そんであのクソガキの能力だけはしっかり分かるようにせーや……!!)

【突如出現した怪しげな球体、そして直後起こった不可解な現象。まるで真上に吐いた唾が自らに振りかかって来るが如く、投げた筈のモノが牙を剥いて襲い掛かる】
【意表を突かれ自然と意識が、身体が肉まんとコーヒーだけに反応してしまう。その奥で拳銃を取り出す少年の姿は見えたが、狙いまでは見えていない】
【――――だから男は一瞬のうちに予想した。もしこの男が今の少年の立場ならどこを狙うか。――――足。機動力を奪うのが最善であり無難だろうと判断した】
【――――だから男は飛んだ。大きな水溜りを飛び越える様に跳ねながら、肉まんを払いのけ、身体を捻ってコーヒーを躱す。動きは見えないが思考が見えた、ということだ】

【躱して着地した瞬間、ポケットからあの化け物が、ビデオカメラの頭にラットの口と胴体を持つ其れが出てきて、自販機や街頭の光が届かない所へと逃げた】

おっと、予想以上にきわどい賭けやったわ〜。最も合理的な手段っちゅうのは読まれやすい……お互いに教訓になったやんなぁ、こりゃ。

にしても更に能力者かいな……そんなら余計に粘る理由が出来たわ……最寄りの自警団とか警察とかの場所から察するに……結構時間かかるで? お助けが来るまでは。
その間に死ぬか……生き延びてもワイの相棒にぎょうさん『撮影』されるか。 流石に明かりの届かんとこでちっこいアイツ探すのはきついやろ。
でもあっちからはワイとお前が闘っとる姿がはっきりと映っとる。それがワイの情報屋としての強みであり能力や。

……でもそれだけじゃ汚い世界は生きてけへん。ワイが生き抜くために磨いた武器は……――――こっちや

【瞬時の接近。少ない予備動作はまさしく武道の動きであり、膝を僅かに抜いて身体を沈ませながら一気に詰め寄る】
【もし成功したならば、水月の位置に構えられた右手がピンと指を揃えて伸びた状態で、相手の眼へと向かい――――途中で止まった】
【目潰しではなくあくまで目くらまし。厳密に言えば意識をそちらに寄せる為だけの挙動。そして腕を引っ込めると同時に本命は右手の対角線にある左足】

(……――――修羅場を何度も潜り抜けた実戦的な業……型や稽古なんかで構築されたモンとは比べ物にならんで……!!)

【三日月蹴り。前蹴りとミドルの中間の軌道で放たれる其れがピンポイントで撃ち抜かんとしているのは相手の右わき腹、肝臓部】
【安全靴の硬い爪先に加え、速く重く鋭い蹴り。直撃すれば痛いだけではない。その地獄の痛みが長い長い尾を引くのである――――!!】

/ようやく返せました……!
138 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/21(木) 00:03:46.08 ID:6IVSrNbR0


【――――血腥い臭いに包まれた路地裏。臓物が飛び散る其処で、唯一傷も無く立つのは女一人】
【辺りに散乱する血に濡れた衣服を見れば、被害者は自警団の者達であると容易に想像出来ようか】
【それも、一人二人では済まない。全ての肉片を掻き集めれば、優に10人分は越える筈であり】


「言った筈よ…………?貴方達には興味が無い、と……
其れなのに着いてくるなんて馬鹿な子達ね……?」

【黒いドレスに、同じ色の髪と双眸。まるで“闇”が具現化したかのような存在】
【肉片に注ぐ視線は怒りも哀れみも、どんな感情が含まれる事も無く。簡単に表すならば、無関心】
【飛び回る五月蠅い蠅を叩き潰した、程度の認識。靴が汚れるのを気にすることも無く、ピチャリピチャリと路地裏の奥へ進んで】


「ふ、ふふ…………今日はどんな子を連れて帰ろうかしら……」

【――――血の臭い、と言うのは存外遠くまで届くモノであり】
【加えるならば、少し前まで激しい戦闘の音やら呻き声やらが聞こえて居たのたから場所の特定は容易だ】
【仮にこの場所に辿り着いた頃には女は背を向けて歩き出しているのだが――――……暗がりの中、手の甲にぼうっと浮き上がる“逆五芒星”から女の所属する組織も理解出来よう】
【誰かがこの場所を訪れたのだとしたならば……ピタリと足を止める事となる。振り返りもせず、声も掛ける事は無いのだが――――どの様なこうどうを起こすか。それは訪れた者次第であり】











【街と街を繋ぐ、長い坂道。上の街は商業が盛んであり、下の街は宿などが多く存在する何て特徴があり】
【――――道には多くの街灯が設置はされているものの、流石にこの時間ともなれば人通りは疎ら】
【そんな中、目立つ存在が一人。制服を纏う所から、女学生であると見て取れる】
【歳は恐らく高等部の1年生だとかが妥当。ポニーテールに纏められた明るい茶色の髪は、どことなく活発な印象を与え】


「はぁ〜……全くもう、一人暮らしは大変だよ……
いやいや、私はまだ寮に住めてるから良いのかもしれないけど

それでもやっぱりルームメイトは居ないし、なーんかテレビに話し掛ける人達の心境も分かる様な……っと」

【抱えているのは沢山の食材が入った紙袋。その一番上に置かれた林檎がグラグラと揺れていて】
【位置を正そう、としたのが最初の過ち。思わず屈んだ所で、其れは紙袋から落ち坂道をコロコロと転がり始め】


「あっちゃー……こんな時に拾うのもめんどくさ――――おっ……おオッ?!」

【次に、手を伸ばして重心を前にズラしたのが第二の過ち】
【当然、坂道なんかでそんな事をすれば前に前にと身体は進もうとするのだから――――結果として、転ばぬ様にと足は坂を駆けて下り】
【加えて重心は紙袋を持つが故に前に置かれたままなのだから、最早自力で止める事は不可能】


「ちょッ?!どいてどいてーっ!!!やっぱ退かないで、誰か止めてーっ!!!」

【勢い良く坂を下る少女。ぶつかれば怪我をせずとも痛い思いをする事は間違い無く】
【止めてやるか、不幸にも衝突してしまうか。或いはそのまま見送るだとか――――それは、この場面に出会したもの次第なのだろうけれど】
139 :リチャード・トラヴィス ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/21(木) 00:25:59.77 ID:Q9+Rb2D7o
>>137

【さぁ、果たしてどう出てくるか。普通の相手ならば、自分の攻撃を丸々跳ね返されれば多少動揺はするはずだ】
【そう思っていただけに――リチャードは軽く目を見開いた。不意を打たれた状態で、それでも"読み"だけで今のを躱せるのかと】
【……だが、その瞠目は驚きではあったけれど、焦燥ではなく。これも演技なのかもしれないが、見た目上、少年はなぜか楽しそうにも見えた】


撮影……ですか。それがその子の、いや、貴方の力というわけですね?
困りましたね、普段はアポなしの撮影はお断りしているんですが――まぁ、仕方ありませんか。
むしろ、撮られているなら格好悪い姿を見せるわけにも行きません。……こちらも、頑張って粘らせてもらいますよ。


【どこぞへ消えていく化け物の姿を黙って眺め、少年は若干困り顔を浮かべた。……そちらに今すぐ対処できる手はないようだ】
【だがそれでも、戦闘を止める気はないらしい。どのみち今更背を向けて逃げ出そうと思っても男が許してはくれなかっただろうが】

【――距離を詰めようとする男を、少年は真正面から迎え撃つ。放たれた目潰しを上体を仰け反らせることで回避しようとするけれど】
【それが不自然に停止するのを彼は見逃さなかった。自らもまた回避動作を途中で停止させ……このタイミングであえて、恐れず半歩前に出る】
【そして続く本命――肝臓への直撃は勿論、最も力の乗る爪先で叩かれれば、たとえガード越しでも痛手だっただろうけれど】

【ドシィッ、という打擲音はリチャードの右肘から。男は爪先ではなく足首辺りに手応えを感じるだろうか】
【咄嗟に間合いを詰めることで狙いをズラし、うまく威力を軽減したのだ。僅かに反応が遅れた分衝撃は体に残ったが、直撃よりは大分マシで】
【反応を見る限り、読んでいたというより反射的な勘だったように見える。上手くいったから良いものの、接近は危険な賭けだったはずだが――】


重い蹴りだ――それに手が込んでいる。
さすがに機関員というだけはありますね、お兄さん!


【真に恐ろしいのはこの胆力か。少年の表情は、痛みに耐えるような色こそあったが、場違いな笑顔を貼り付けたままだ――】
【リチャードはこの期に及んで賞賛のような行儀の良い台詞を吐きながらさらに一歩踏み込み、男の腹部めがけて鋭い右膝を叩き込む!】
【体格上の問題もあって男を吹き飛ばすほどではないが、それを差し引いても素人を遥かに超えた威力。体術も相当鍛えこんでいるようだ】
140 : ◆EeJ7tvIqpI[sage saga]:2015/05/21(木) 01:08:40.56 ID:WPQnPx3To
>>139

格好悪い姿を世間にばら撒くのが前職のワイやで? 映るんはクソガキの醜態や――――……ッ……!?

(この状況で間髪入れず突っ込むとかホンマかい……!? ガキやないやろコイツ、やっとることどんだけレベル高いねん……)
(コイツ……やっぱ『知っとる』な……!? それでいて実戦に移せる胆力、度胸……変に小細工仕掛けても全部対応しそうやでホンマ……!)

【下から上へと伸びてくるフェイントに臆することなく一歩踏み出す少年。その行動、確かに正解の選択肢】
【下がれば大股で踏み出してまた詰められ劣勢、フェイントに意識の大半を割けば鉄のつま先が内蔵に突き刺さり、ガードしてもその爪先は十分な凶器】
【しかしながら詰めれば、凶器を無効化し威力も半減できるが――――知識を持っていても、実際にはプレッシャーに圧され退いてしまう場合が殆どなのである】

【その中で、しかも命がかかったこの場で実行に移せるのは、やはり胆力の強さ。小細工を見抜く洞察力に其れが備われば、男の引き出しの多くが通じなくなる】
【――――先程のフェイントからの三日月蹴りも、男の得意とする連携なのだが止められた。否、止められただけではない――――】

……っぐ、ひょろい割に結構痛いの持っとるやんけ……!!

【――――膝が腹部に突き刺さった。男が最も得意とする接近戦で先制したのは、トラヴィス。その胆力が男の策と技を超えた瞬間でもあった】
【効いたは効いた。それでも倒れるには足りない。体格差というのはそれだけ大きな壁であり、膝にも腹筋の硬い感触が残っているだろうか】

【そしてこの一撃が、男の瞳を猛獣の如き荒々しいモノへと変えてしまうことになる。数歩退いて構えた後、その眼光と圧力が少年を襲う】
【――――覚えているだろうか。最初に投擲したシーン。右手の肉まんは上手投げ、左のコーヒーは下手投げ。フォームの滑らかさでも分かっただろうが彼の利き手は右】
【そして通常、構えというのは半身になった時利き手が後手になっているモノである。だが彼は逆であった】

……ふー。 ……いてぇしだるいし、最悪や。 ……もうええ、変に捻るのは止めや。 ――――潰す。正面から。思い知れや坊ちゃん……シンプルな力の差ってのをよ

【体を半身にし正中線を隠し、右の前手を水月付近に軽く曲げて置く。左の後ろ手は顎の前に軽く置き、後足(左足)の踵を僅かに上げた構え】
【ボクシングでもないし空手でもないこの構え。そもそも利き手を前手にする時点でかなり特殊。だがこの構えを取った時から――――男の瞳に凍てつく光が見えた】
141 :リチャード・トラヴィス ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/21(木) 01:40:32.66 ID:Q9+Rb2D7o

>>140

【もう男にも理解が及んだだろう。とてもじゃないが、エリートのお坊ちゃんが嗜みに習った程度の身のこなしではない】
【――実戦を経験した動きだ。それも一度や二度ではない、幾度もの修羅場を乗り越えた"戦士"として完成された体裁き】
【代々『TRAVIS』を経営してきたトラヴィス一族が武術の名門である……なんて噂が流れたことは当然ない。いよいよ実体が見えなくなってきた――】


……、流石に倒れてはくれませんね。そちらもいよいよ本気ですか。
けどごめんなさい、ボクは別に殴り合いが得意という訳ではないので――ここは下がらせてもらいますよ!


【こちらも一撃で倒せるとは思っていなかったが、先手は取った。機先を制した今のうちに、手数を重ねて攻め落とす――】
【……そんな考えが一瞬で吹き飛ぶ。リチャードの表情から余裕が殺がれるのがわかるはずだ。原因は無論、男の発する威圧感と、新しい構え】

【拳銃を使っている時点で分かるとおり、多少戦えはするけれど、リチャードは別に近接戦闘の達人というほどではないのだ】
【即座にインファイトは不利と判断し、リチャードはバックステップでさらに距離を空けることを選択する】
【――不自然なことに。そこまでの脚力は無いはずなのに、彼の身体は一気に十メートルも後方へ、落下するかのように移動するだろう】
【見れば、着地地点に例の黒球が設置されている。そして――そこへ向かって周囲の空気が吸い込まれているのを、風として感じるはずだ】


(さぁ――――これでも"詰めて"くるか?)


【着地と同時、リチャードは二度引き金を引いた。狙いはどちらも男の胸部だが……これだけ距離があれば、男の技量なら回避は難しくないはずで】
【……けれど男は気づくだろうか。彼が"連射"を行わず、一発目の発射と二発目の発射に若干の間が空いたことに】
【そして、一発目の射出の直後。男の左後方、遠くの地面で"ぞぶり"という小さな音が響いたことに。二発目の軌道が、空中で弧を描くように"落ちる"――!】

【最初の投擲といい、どうやらこの球体には"物体を引き寄せる"力があるらしい。黒球に吸い寄せられて捻じ曲がった銃弾は、胸部ではなく左脚へ】
【距離を詰めてくるのを見越して機動力を落とす作戦だ。軌道が曲がったといっても音速の銃弾を見てから避けるのはさすがに厳しいかもしれない】
【であるならば、男が黒球の発生に予め気づけるかどうかが、この局面の肝だろう――】
142 : ◆EeJ7tvIqpI[sage saga]:2015/05/21(木) 02:04:28.30 ID:WPQnPx3To
>>141

【退くなら詰めるだけ――――そう思っていたが、相手の足は予想以上に早い。それも脚力が強いのではなく、能力によって始めて成立する疾風の後退】
【流石にこれは追えないが、だからと言って遠くからの攻撃を単純に放てば結果は見えている。さて、どうしたものか。そう考えているうちに弾丸が空を裂く】

おいおい空気読めやぼっちゃん、やっぱエリートのボンボンはそういう所がなってないわ……!!
(流石に詰め……いや、きちい。腹への一発もあって全力疾走もきついのに、あの速さは――――。じゃあやっぱり頭捻るしかないやんけ……)
(さっきの球体……要は引き付けるんやろ、でっかい磁石や多分。そんでもどこからともなく出てくるちゅうのはアカンな……)

【一発目の単純な軌道は見える。銃口と呼吸からタイミングや角度も解りやすいレベルなら見抜ける】
【そして回避に余り意識を割かなくて良い今のうちに此方も仕掛けた。後ろ手でポケットの中を漁り、不恰好なフォームで床に叩き付けた。煙幕である】
【お互いの視界が奪われる煙幕。狙いが見えなくては当てることも難しい。煙幕で姿が隠れている中、男は右に回り込むように走った。まるで見えているかのように】

【――――いや、見えてはいるのだ。……自分の視界ではなく、『自分の能力』が見ている視界を借りて。『papa-rat』はお互いの位置を完璧に把握して撮影していたのだ】
【だからこそ、煙幕で視界が潰れていても見えているかのように疾走できる。腹の痛みで全力ではないとしても】
【兎に角、2発目を撃ったなら右に回り込む&煙幕効果で回避成功。そしてその煙幕が晴れた時、間合いはまたかなり近くにまで迫らんとしていた――――】

【そしてあの構えから繰り出されるは『最速のジャブ』。力の強い利き手を前に置いたからこそ可能な右。そして其れは、早いだけでなく重い】
【体重、回転、スナップ、作用反作用。手の動きに遅れて体重が乗り切り伸びてくる独特のジャブこそ彼の刃。縦拳でシャープに伸び上がる其れは、右鎖骨へ】

/今回はここまででお願いしますー!
143 :リチャード・トラヴィス ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/21(木) 02:06:18.01 ID:Q9+Rb2D7o
>>142
/了解です、こちらもちょうどお願いしようと思っておりました……
/明日は夜ならいつでも対応できますので! お疲れさまでしたー!
144 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県)[sagesaga]:2015/05/21(木) 19:30:23.87 ID:Aohfna3do
【海岸】
【といっても、一般的なビーチではない。防砂林はなく草原が茂り、海中には海藻が生え、多様な生き物が住む――つまりは手付かずな自然】

「夕ゥ陽が沈むまで後3、2、1、――さァて、夜だな」
「まッ、俺様は太陽があァろうがなァかろうが問題なく活動でェきる……数える必要なんてねェぜ、ククッ」

【海岸に一人立つもの、それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「身ァ体の修ゥ復能力も少し前に比べりゃア格段に上ァがったな、世ェ界整備に専念したのは正解だ」
「こォこも、ちょオーっと手ェを出ェして数ゥ年で良ォい素ォ材の場ァになァったな」 「……そォの弊ェ害でテロれんのは癪だがよ」

【で、この者が何をしているかといえば――そう、砂浜に打ち上げられた死骸やゴミを回収しているのだ】
【確かに、立ち入るものがおらず(かと言ってアクセスが悪いわけではない)、こうやって回収されなければ悪臭が漂うのだろう】
【――ところで、この海岸付近にはこんな噂がある……"未知の魔物が現れる、魔の地帯"……なぜ手付かずの自然なのか? そういうことだ】
145 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage]:2015/05/21(木) 20:53:10.80 ID:h3VF/LPK0
【雷の国 廃ビル屋上】

……………………――――――――

【パラパラと小雨の降る、蒸し暑い気候の中。夜の帳が下りてもその不快指数は変わらないままで】
【そんな夜の中、道を行き交う人も少ないこの地で、1つのビルの屋上に、奇妙な光景が広がっていた】

……………………――――――――

【――――数分前、派手な落雷がそのビルの屋上を掠めていた】
【既に人気の絶えて久しいそのビルでは、その程度の異変など大した事は無かったはずなのだが】
【そこには確かに、その影響を受けていたモノが存在していた――――】

……………………――――――――

【――――真っ黒に焼け焦げた人型の炭が、微かに煙を燻らせながら、物言わぬままに横たわっていた】
【先ほどの雷が、この人物を焼き尽くしてしまったと見て、まず間違いないだろう】
【そのままならば、不審な行動をとり、不用意にも屋上に出た事で、不運に見舞われただけの誰か、と言う事で終わっていたのだろうが】
【しかし、その場にはただ1つだけ、奇妙な痕跡が残っていた――――】

……………………――――――――

【消し炭と化したその人型のそばに、衣類一式が丁寧に畳まれて安置されていたのだ】
【パッと見、それは女性用の衣服である事が分かるだろうが――――それがそんな場所に置かれている事の理由を、どう説明すれば良いのだろうか?】
【何の意図があってそんな事をしたのか――――事情を知っている可能性の高い人物は、既に物言わぬ姿となってしまっているのだが……】

/予約です
146 :??? ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/21(木) 21:03:03.63 ID:zctsZyJ5o
/>>124で再募集します
147 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/21(木) 21:19:14.00 ID:WP3tOyY50
>>145

―――もしもし、誰かいますカ!?……って、こんな廃ビルに誰もいる訳無いよネ―――……ン?

【――そんな廃ビルに一つの人影が現れる。小柄な体型の……、……少女だろうか】
【歳は、まだ成年に達していないくらいか。細身の体躯は、スレンダーと言うより少し華奢な印象を受ける】
【目は垂れ目気味、瞳は茶色。前髪を切りそろえたショートカットの髪は黒色。肌は艶やかで綺麗な白色。】
【服装はベージュのニットチュニックにモスグリーンのスカート、黒いタイツの組み合わせ。手には水色の水玉模様の傘】
【腕には緋色の鷹の腕章、背には何やら重そうな鉄製の箱を背負う。―――ビルに現れたのは、そんな姿格好をした少女だ】

―――これハ……
(……念の為に確認しに来ただけだったケド……正解だったみたいだネ。)
(―――状況から考えて、多分不運の事故死だろウ。可哀想ニ……。兎に角、まずは死体の身元確認を―――ン?)

……女性の、服……?

【SCARLETの隊員として、念の為に落雷の影響を確認しに来ただけだったが……其処には、不幸の死者がいた】
【状況を考えれば、恐らく落雷によるもの……―――しかし、何故か其処には衣服が置かれている】
【この死者の物か?……いや、ご丁寧に服を脱いで畳んでから雷に打たれるなど余りにも可笑し過ぎる】
【もし他の理由があるとすれば、何だろう。―――春燕は注意深く服を調べる】

//宜しくお願いします!
148 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage]:2015/05/21(木) 21:32:12.84 ID:h3VF/LPK0
>>147

……………………――――――――

【箱を背負った少女――――春燕の見た、人型の炭塊とそばに畳まれた衣服】
【その奇妙な光景は、半ば当然の事として彼女の疑念を誘うだろう――――くすぶる煙が、雨粒に引き裂かれる】

……………………――――――――

【春燕の手に取った衣服は、やはり間違い等ではなく、人の手で丁寧に畳まれたものだった】
【恐らくは、貴重品の類などを包みこむ様にして折り畳まれていたのだろう。手に取れば、微かな重量を感じるはずで】
【もし、その包みを展開したならば――――中に折り畳まれていた物は、やはり財布と、携帯端末と、女物の下着――――そして、バイザー】
【やけにごつい作りの、機械仕掛けのバイザーが、小雨から守られる様にして衣服の内側へと畳まれていた】
【――――それを目にした時、春燕は何を思うのだろうか。そして、何かを思い出す事はあるのだろうか?】

【――――その直後の事だった】

――――――――……………………ッ、ヵ…………

【――――どう贔屓目に見ても、それが生きているものの姿であるとは思えないだろう、真っ黒焦げになった人型が、確かに動いた】
【詰まらせたような息が、パリパリと焼け焦げて剥がれる皮膚を巻き添えにしながら、その口から吐き出される】
【熱で微妙に折れ曲がった関節が、ガリガリと軋む様にぎこちなく、しかしハッキリと駆動しながら、腕が顔へと動いて行く】

ぁ…………ぅ……ん…………ぅあ…………

【そして――――まるで乾いた布が水を吸い込んでいくかのように、黒く焼け焦げた皮膚が、じわりじわりと潤いを取り戻して行く】
【黒焦げていた体表が、血肉の赤色に、真皮のピンク色に――――そして、表皮の肌色に】
【身体のあちこちが、徐々に命を取り戻して行く――――それは間違いようも無い。炭化していたかと思われていたその身体が、生きていた事の証左だった】
149 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/21(木) 21:58:07.80 ID:WP3tOyY50
>>148

【服どころか、下着まで畳まれている。さらには携帯や財布まで……身に着けた物一式全部置いてあるといった感じ】
【ますます妙だ。これだと、この服を着た居たであろう人物は一糸纏わぬ上に何も持たない状態だということになる】
【一体こんな廃ビルで雨の中全裸になって何がしたかったというのか。ますます謎は深まるばかりで】
【尚も春燕は衣服を探り続け―――ふと、手が止まる。「信じられない物を目にした」―――そんな風に】

(財布に携帯、下着まで……身に着けた物を全部脱いでるみたいだネ。一体何の為ニ……?―――)
(―――あれ、これハ……?―――ッ!)

嘘――でしョ――――――!

【―――其処に在ったのは、見覚えのあるバイザー。「これ」を身に着けていた人物に、春燕は覚えがある】
【記憶が正しければ……これは、いつか路地裏で暴漢から救ってくれた女性記者の物だ―――!】
【ならば、此処に置かれていた服も彼女の物なのだろうか。―――俄かに春燕の動悸が激しくなる】
【信じたくないし、出来るならばそうであって欲しくないが……―――もしかして、この焼死体は―――!!】

―――――ッ!?

【―――信じられない事の上に、さらに信じられない事が起こる。組織が完全に炭化した遺体が―――いや】
【「遺体だと思っていた物」が―――動き出したのだ。体を軋ませ、呻き声を上げて、……確かに、息をして。】
【己の目を疑った。幻覚でも見ているのだろうか。―――唖然とする春燕をよそに、体はどんどんと回復していく】
【確実に不可逆な状態で死亡していた状態から、息を吹き返していく。炭化した肉が、元に戻っていく。】

【春燕は、目を疑うばかりの現実を前に、ただただ愕然と佇むしかなかった―――】
150 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage]:2015/05/21(木) 22:17:33.25 ID:h3VF/LPK0
>>149

ぁ……か、は……ぁ…………!

【焼け焦げ切っていた頭部にも、徐々に浸潤が発生し、頭蓋の輪郭が表情筋で覆われ、人相が明らかになって来る】
【同時に、完全に焼けただれていた頭髪が、ザァッと音でも立てているのではないか、と思われる程に急速に、生え伸びて行く】
【その髪の色は、明るいピンク色――――右手で目を覆うようにして、両の米神を押さえているその人物は――――もう確実に分かるだろう】

【――――アコーディオン=キュリオス=グリーン。一糸纏わぬその姿で、しかし焼け焦げ切っていた身体を回復させて】
【彼女は、裸体を小雨の降る夜の中に晒して、確かにそこに腰を下ろしていた】

ぅ、うぅ…………『リスクストレージ』…………雷、貯蔵……成功って、ね…………
……流石にきつかったけど……これでしばらくは…………

【じっと見下ろす左手に、微かな電光が閃く。まるでその身体が、帯電でもしているかのようだ】
【――――落雷に見舞われたのは、まず間違いない。それが彼女の身体を一瞬で焼き尽くし――――そして復活した彼女は、その残滓を身体に取り入れている】
【前回の邂逅の記憶を辿れば――――アコーディオンは、不思議な異能を用いていた事を、春燕は思い出すだろうか】
【ならば、今彼女が引き起こしている現象も、なんら不思議な事ではないのかもしれないが……】

……流石に、疲れたかな……?
…………今日はもう、無茶はしないで――――――――ッ!?

【ホッとため息をつくアコーディオンは、恐らくすぐそばに春燕が居る事に、まだ気づいていないのだろう】
【全裸のまま、ぼぅっと腰をおろしながら、どこか気だるげに佇んでいたのだが――――その身体が突如、ギクンと震えた】

ぁ、ぎいぁ……ぅぐぅぅぅぅっっ、っこ、こんな時に……!!
ぅぁ……っズァァァァァ!!
ぃ……ッ、い、た…………ッ!!

【ガシッと両手で頭を抱え込み、悲鳴と共に悶絶するアコーディオン。その姿は、やはり『異様』の一言に尽きるだろう】
【先ほどの落雷の後遺症――――否、その前に一息ついていた彼女が、それでいきなり悶絶するとは思い難い】
【何らかの急病――――それも妙だろう。こんなタイミングで唐突に発現すると言うのも、限りなく低い確率となる】

【心当たりがあるかのような一言の呟き――――恐らくは、以前も見せていた『発作』。それの重症ケースが、運悪く表われてしまったのだろう】
【まだ春燕の存在に気付いていないアコーディオンは、助けを乞う事さえもしない。ただ、恐らくは重度の苦痛に、呻きと、噛み殺し切れない悲鳴を漏らすだけだ――――】
151 :霧崎舞衣 ◆8R7odKA9zA[sage]:2015/05/21(木) 22:36:50.40 ID:jfzRIZ2Ro
【公園】

【ここは企業の高層ビルなどが立ち並ぶダウンタウンにつくられた公園】
【広々とした園内には直輸入されたソメイヨシノが幾つも植えられて先日まで】
【美しい花を咲かせていた。他にも竹林や鯉泳ぐ池などもありコンセプトは固まっている】
【なんでも櫻の国のある企業の大規模な出資でつくった為にこの様になったらしい】

【街灯の薄明かりと周りのビルの窓明りの中、誰も居ない公園で1人、刀を振るう女性】
【長い黒髪は後ろで一纏めにし、切れ長の目は振るう刀と同じぐらいに鋭く、シルバーフレームのメガネを掛け】
【背は高く、ハイカットのスニーカー、タイトなジーンズに白いシャツを腕まくりしてというラフな格好で刀を振るう】
【風を斬る音が乱れなく聞こえ、太刀筋はプログラムされたかのように迷いなく正確無比、スピードも落ちない】

―――ッ!……ハァッ!!

【一心不乱に休みなく刀を振り続け、最後の仕上げとばかりに背後にあった雑木に刀の刃を叩き込んだ】
【非力な女性でありながらもその技術でザクリと深く切り込み、彼女は一息をついた。呼吸を落ち着ける】
【ちょっと盛り上がりすぎてぶっ刺してしまったのをハッとして気がついて、(管理人だの何だのに見つかると少々】
【面倒くさい)、慌てて突き刺さった刀を抜こうとしたのだが、うんともすんとも。樹の幹に足をかけて引っ張っても】

………抜けない
152 :リチャード・トラヴィス ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/21(木) 22:43:37.57 ID:Q9+Rb2D7o
>>142

【必殺の二発目を撃ち放つと同時、リチャードは顔を歪めた。このタイミングで煙幕による攪乱で来たかと】
【若干顔を歪めながら能力を発動。二人の中間の位置の上空に黒球が出現し、煙幕を吸い上げてしまうだろう】
【――このように煙幕を一発で晴らすことができる力があるリチャードが、ここでその能力を行使したのは当然の帰結だ。しかし、】


…………! なんと、見えていたのですか………!?
っぐ、ぁッ――――!!!


【心からの驚愕の声が響く。黒球で煙幕を取り除くことばかり考えて、男がその中を銃弾を避けつつ的確に走り抜けられるとは思っていなかったのだ】
【驚きと共に、なぜか若干嬉しそうにも見えたが――ともかく。能力に頼る心理的な隙がリチャードの回避を遅らせ】
【その状態で『最速』をかわせる訳がない。ジャブは狙い通り鎖骨に命中し、今度こそ、男の手には確かな手応えが帰ってくるはずだ】

【なぜ男には"見えていた"のか? 骨の軋む音と痛みに耐えながら高速回転を始める頭――】
【それを尻目に、体は勝手に動いていた。よろめいた体をそのまま利用し、再びバックステップで距離を取るだろう】


フフッ、けれど――――こちらもまだ全ての手は使っていない。
お兄さん………実は"吸うだけ"じゃないんですよ、ソレ。


【といっても、今度は咄嗟に能力を使うことが出来なかったのか、単純にリチャードの力だけで行われたバックステップだ】
【開いた距離は男なら一瞬で詰められる程度のもの。体制も崩れており、さらに踏み込めば確実なチャンスになるはずだが……】

【リチャードが笑顔と共に、右手を前に突き出すのが見えるだろうか。"ソレ"という言葉が指すのは――男の足下、気づけるか】
【そこにはさっきの大バックステップに使った黒球が、まだ消えずに残っているのだ。周囲の空気が未だにそこへ吸い寄せられ続けている】
【しかしこの黒球が吸うのはどうやら"空気"だけのようで、男にはなんの影響もない。……が、そこで油断すれば、命の保障はできない】
【「でっかい磁石」という認識のままこの能力に対処するのは非常に危険だ。リチャードの能力は、厳密には"物体を吸い寄せる球体を作る"ものではない】
【球体状の重力場、いわば"小規模なブラックホール"を作る能力なのだ。その実体は、"吸い寄せる"ではなく"吸い寄せ続ける"が正しい――】

【黒球に吸い寄せられたものは、それが持つ引力が続く限り内側へ内側へと引き込まれ続ける。――つまり内部で"圧縮"され続けるのである】
【そして今回、この黒球がずっと吸っていたのは空気だった。黒球の内側へ吸い寄せられた多量の空気は、既に猛烈な勢いで加圧されている】
【……風船をイメージするといいだろう。もしも、限界ギリギリまで空気を入れた巨大な風船のどこかに、穴が空いてしまったら――】


――――"ばーん"! ……ってね。


【パチン、と指が鳴り………刹那、――――――――"爆裂"ッ………………!!!】
【リチャードが意図して黒球に"綻び"を作ったその瞬間、圧縮された空気が一斉に解放され、耳を劈く爆音と強烈な衝撃波が男に襲い掛かる――!!】

【この能力はただ吸うだけではない。吸引して"圧縮"したものを瞬間的に開放することで、即席の"爆弾"を作ることが可能なのだ】
【先ほどは巨大な風船なんて例えたが、極限まで圧縮された状態から炸裂する多量の空気の威力はそんなオモチャとは比較にならない。本物の爆弾にすら匹敵するだろう】
【まして現在、黒球の位置は男のほぼ真下。この近距離でこの爆発が直撃すれば、いくら男とてただでは済まないはず――】
153 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/21(木) 22:55:38.38 ID:WP3tOyY50
>>150

【最早何が何だか分からず、ただただ様子を見守るだけ。きっと途方に暮れているという表現が正しいのだろう】
【信じられない事が立て続けに起こり過ぎて―――さらに、またしても信じられない事が起きてしまう】

――――!

【あの焼死体が元に戻った姿―――それは、春燕の知っている人物……アコーディオンという名の女性だった】
【これは、彼女の能力だろうか。炭化死体からの回復はあまりにも衝撃的だった……】
【……色々と衝撃的過ぎたが、兎に角無事で良かった。うん、怪我一つ無いようだ……未だに信じられないが。】
【無事ならそれに越したことは無い。こんな場所だけれど、折角だから一声掛けて戻ろうとした――――が】

(こんな場所で再会というのも奇妙な物だけド……挨拶くらいはして帰ろうカ。折角会えたもんネ。)
(……アコーディオンさん、裸だけド……、……ま、いっカ。)

おーい、アコーディオンさ……ン?――――っ!!

大丈夫ですカ!?……痛むのは、頭だネ……!

【―――不意に、アコーディオンが苦しみ出す。それも、尋常ではない苦しみ方で】
【恐らく、以前彼女が言っていた「発作」だろう。春燕は慌てて彼女の元に駆け寄る。ここで彼女も春燕の存在に気付くだろうか】
【春燕は急いで強力な鎮痛剤の準備をして、アコーディオンに経口投与しようとする。手際は良く、調合に十秒も掛からない位】
【……以前彼女は、この発作の事を「生きている限りずっと癒せない」と言っていた。この薬も効くかどうか……】
【だが、薬師として、知己として、放っておく訳には行かなかった。今は自分の出来る事をするだけだ―――!】
154 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage]:2015/05/21(木) 23:11:26.24 ID:h3VF/LPK0
>>153

うあああああああ!! あああああああああ!!
っぐ、ぎぃぃぃぃぃぃぃぃ…………ッッ!!

【あまりの痛みに、手に力が入る。頬に当たっていた指が、再生したばかりの皮膚を爪で引き裂いて、顔に赤い傷が走る】
【その傷すらも、10秒がそこらで薄まって行く――――信じ難い肉体の再生力と、悶絶し荒れ狂う本人の発作】
【対照的なそのコントラストは、その有様は――――グロテスク。そう表現する他ないだろう】

あが、っ…………!! ――――――――ッ!?
ち、春燕!? ……なんで、君が……ここに……!?

【激痛にのたうちまわっていたアコーディオンだったが、それでも流石にその声は聞こえてきた】
【両手で頭を抱え込んだまま、アコーディオンはその声を聞いて、思わず問い返す】
【そして同時に――――やはり痛みが走る中で、なのだろう。右手で米神を圧迫していた手を離し、咄嗟に目元を覆い隠す】
【痛みを耐える手段を1つ放棄してでも、それでも――――目元を、見られたくないと言う事なのだろう】

ちょ……ちょっ、っと!
あたしに……触れたら、ぁ……ぐ…………んぐ……ッ!

【今は、激痛に感覚が支配されている状態。そんな中でアコーディオンは、春燕の薬剤の調合、そして出来上がった薬剤を飲ませようと近づいてくる事に、気付かなかった】
【慌てた様子で何事かを口にしようとしたアコーディオンだが、それより前に、その口に薬剤を入れられて、多少喉を引き攣らせながら飲み込む】
【やはり、目元を隠そうとしているのだろう。右手で覆ったまま、サッと顔を背ける仕草を見せた】

……ぐ、ぐぅ…………ッ、ッ!! …………ぅ、は……ぁ…………!
……ご、ごめんなさい…………少し、楽になってきた…………
これくらいなら…………何とか、我慢は……できる、かな…………ッ

【薬を飲み込んで1分ほど。それでも、徐々にアコーディオンの体調は落ち着きを取り戻していった】
【よほどの苦痛だったのだろう。小雨に降られていたアコーディオンの身体には、ジワリと嫌な脂汗が滲んでいた】
【少なくとも、まともな受け答えができる程度には、余裕を取り戻してきた様で――――】

【――――だが、春燕としては、これで万事解決、とは到底行かない状況だろう】
【アコーディオンに尋ねたい事は、この数分の間に幾つも現われてきたはずだ。消耗しているアコーディオンに、春燕はどう声を掛けるのだろうか――――?】
155 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/21(木) 23:40:06.06 ID:6IVSrNbR0

【深夜の墓場。――――ともなれば、不吉であり誰も近寄る者が居なかったのだけれど】
【今宵は其処に禍々しい気配が満ちていて。魔力だとかを感知出来る者ならば其れが所謂“瘴気”である事が知れるだろうし】
【そうで無い者だとしても本当的に“危険な何か”と感じ取る事が出来るだろうか】

【見遣れば、居るのは紅いドレスを纏った一人の少女】
【金色の髪に、朱色の双眸――――見てくれだけならば、本当にただの子供なのだけれど】
【瘴気は、紛う事無き少女本人から発せられていて】


「――――古い世界にさようなら。新しい世界にこんにちは
今宵私アリスが紡ぐお話しは希望絶望人間達の楽しいお話…………なの、だけれど」

【墓石に腰を掛けたならばブラリブラリと揺らされる脚】
【まるで暇を持て余した子供がする其れであり、悪魔の気配とはほど遠いのだが】
【――――不意に、土の中から突き出た一本の腕。肉が削げ、所々骨が露出して居る其れは、恐らくは埋められた者と考えて間違いは無く】
【其れを皮切りに、次々と墓の中から這い出てくる死者達。宛ら、一昔前のゾンビ映画のようで】


「みんなお話出来ないのね?それじゃあつまらないわ、つまらない
自分の好きだった人も自分の子供の頃も、きっと自分自身の事も忘れているのだもの。それじゃあ詰まらないわ」

【たった数分の内に、墓は死者の呻く声と這いずる音だけで支配される事となる】
【――――遠くからでも異変に気付く事が出来るのは、先ず間違い無いであろう】
【実際に現状を目の当たりにし、どの様な行動を取るのかは訪れた者次第】
【手当たり次第に抹殺するか、見つからないようにと逃げるか。それとも、中心で退屈そうに座る少女に話し掛けるか――――】











【月光に照らされる森の中。其処に響くのは魔物達の咆哮】
【見遣れば其れは人と同じ形をしていて――――知識、或いは戦闘経験があるならば其れは曾て“人間”で在った存在だと知れるか】
【今となっては思考するだけの力も無く、満たされる事の無い空腹を満たそうと延々生物を殺めるのみ】
【そんな中、乾いた音が数回。どれもが見事に心臓、又は頭部を破壊して居り】


「死んだ後も良い様にコキ使われる何て大変だよねぇ……
――――ま、安心してよ。原因は突き止めてるしキミ達の遺体も手篤く埋葬するように指示してあるからさ」

【遅れて空から舞い降りたのは純白の翼を生やした一人の修道女】
【両手に持つ双銃がその職らしからぬ印象を与えるが――――……】
【無駄な弾痕を残す事無く一発で葬ったのは彼女の優しさか、一人その場で月を見上げ】

【――――場所が場所だ。そして今宵は月が明るい事もあり、見つける事は難しくも無く】
【“音”だって存外遠くまで響いたのだから場所を特定するのも難しくは無い】
【仮にその場を訪れて見れば、翼を生やしたその通りの女が一人月を見上げている姿が視界に入るのだけれど】
156 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/21(木) 23:53:49.50 ID:WP3tOyY50
>>154

そんな事は今はどうでもいいでス!さ、早くこの薬を……!

【尚も苦しむ彼女は、春燕が居る事が分かると激痛に耐えてまで目を隠そうとする】
【春燕も春燕で、一々隠された目元を確認する余裕はない。急いで薬を調合する方が大切だから】
【付け焼き刃かもしれないし、これほどの激痛を完全に緩和するのは難しいだろう。でも】
【最初から諦めてやらないより、自分の出来る限りの事をやる。苦しんでいる彼女を、放っとけない!】

【何事か告げようとしているけれど、其れより先に鎮痛剤の投与を優先しようとする】
【そんな時にも、彼女は目を隠そうとする。余程目を見られたくないのだろう、何か理由でもあるのか……】


【……暫くすると、多少は効いたのか症状が落ち着いてきたようだ。春燕はほっと安心したように微笑んで】
【恐らく今も顔を背けたままだろう彼女に向かって、声を掛ける。表情を見なくても、きっとその穏やかな声色で感じられるだろう】
【春燕がアコーディオンとの再会や痛みの回復を喜んでいる事を―――】
【訊きたいことは山ほどある筈だ。―――それでも真っ先に彼女の無事を喜ぶのが、春燕という少女の性質らしい】


―――エヘヘ、なんだか大変な再会になっちゃいましたネ。
お久しぶりデス、アコーディオンさん。……私のこと、覚えていて下さってたんですネ。嬉しかったでス!
……聞きたい事は一杯ありますケド……まずは痛みが引いてよかったでス。

……アコーディオンさんに訊きたい事が、とっても沢山ありまス。
頭痛の事、痛みに耐えて隠してた目の事、……黒こげになってたのに、元に戻った事。でも―――
今は、そんな事はいいでス。――――良かったら、あとで教えて下さいネ。

まだ痛みますカ?……無理しないで下さいネ。今のアコーディオンさん、とっても消耗しているようですかラ。
これでも飲んで落ち着いて下さイい。春燕特製、栄養ドリンクでス!元気、つけましょウ!

【そう言って微笑む彼女。真実を見る目を持つアコーディオンは、こんな春燕の姿をどう捉えるのだろうか―――】
157 : ◆EeJ7tvIqpI[sage saga]:2015/05/21(木) 23:57:28.92 ID:WPQnPx3To
>>152

……ッハ、見えてたんかも知れんしテキトーにやったら当たっただけかもやなぁ――――っんやとぉッ……!!
(『papa-rat』との視界共有……アイツの瞳なら煙幕なんて朝飯前や……!! さて、久しぶりに『アレ』したことやし一気に――――ッ……!?)

【下がったリチャードに対し男はノータイムで踏み込んでいた。正確には跳躍、つまり飛び膝蹴り。繰り出したジャブの勢いを殺さぬまま大地を蹴り出し、飛んでいた】
【後退より前進の方が速く、下がるしかないと読んだ上で最大限リターンの取れる追い打ちとは。彼の中ではその答えこそ「顔面への飛び膝」だった】
【――――しかし、その答えの中には黒球の存在が加味されていない。つまり――――この答え、最善どころか悪手。防ぐ手段もないまま、爆裂を浴びる……!!】

うぉおあああああッッ!? っぐ……――――あっぶな……「アレ喰っとらんかったら」きっと意識飛んどったで……くっそ、流石にこの状態でも痛いんやな……。
でも喰いとうなかったわ……まーだ中毒作用出とらんからええけど……ハマってしもうたら面倒やからな……マジで。 ……ん、おいおい時間切れかい。
あー、残念。これ以上闘うのは危ないからここでしまいや……命やないで、ワイの予想やと恐らくあと5分くらいでサツ来るやろうし。

……助かったなクソガキ、最初から使っとったらとっくの間に死んどる。蹴りも受け切れんしさっきの鎖骨もバキバキやで?

【巨体が宙を舞い、トレンチコートがボロボロに破れ、下のシャツからは血が滲む。ド派手に地面に叩き付けられたのだが――――すんなり立ち上がったのだ】
【だが、何かがおかしい。シャツの下の筋肉が先程よりも2周り程膨れ上がって見えるし、瞳が紫に染まったかと思えば、その中に浮かび上がる逆五芒星】
【――――カノッサ機関が製造している悪魔の薬、beyond2。摂取タイミングはただ一つ……煙幕が視界を埋めている最中だ。その効果が現れるのと爆発が同時で――――】

【故に人を凌駕するタフネスを見せつけ、立っている……のだが。凶暴化した見た目から漏れた言葉は「逃走宣言」】
【足元へと走り寄ってきた『papa-rat』が男の肩へと登れば、肛門からUSBを排出して――――。その怪しいUSBを男が回収すれば、ニヤリと笑って少年を見た】

……美味しい獲物を丸かじりとは行かんかったけども、まぁ情報は食えたし十分や。
コイツも中々の金になるからな……ってことで――――また使わせてもらうわ……!!

【少年の能力は把握した。そして動画も撮り終え、そのデータがこのUSBに入っているということらしい。その情報はどれだけカノッサに有利で、彼に不利なのかも分かるだろう】
【――――名前は勿論言わないが、この男別名『情報屋』。本名、サミ・ライス。情報をもってカノッサに貢献する、特殊機関員】
【サミは「また」と言いながら左手をポケットに突っこんで、そして何かを投げつける。――――煙幕。能力のおかげでその効果を受けるのは少年だけだ】
【直ぐに吸い取ってしまえばいい――――のかも知れないが、その僅かな時間があれば「今の」サミには十分だった。パワー、スピード。全てが強化された今の彼には】

【煙幕が消えた先に人の姿はいない。大地を凄まじい強さで蹴った跡だけは残っているが、それも公園内だけのもので、追跡することは不可能だろう――――】
【……少年が男を追い返したのは事実。それでも男は逃げ帰る中で、着実に美味しい部分を齧り取っていたのだ】

/これで〆とさせていただきます、久しぶりのロール楽しかったですー!!
158 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage]:2015/05/22(金) 00:17:26.15 ID:w/8dLvik0
>>156

……ぅ…………ごめん、春燕…………手間、かけさせちゃったって、ね……っ

【まだ息が弾んでいる。荒れ狂っていた体内のコンディションはそう簡単には元には戻らない】
【それでも何とか、会話ができる程度に復調しているのは良い兆候なのだろう】
【小雨が、アコーディオンの火照った身体に程良く涼を与えてくれる】

……っ、え……『エクリプスアイ』を…………ってか、いい加減……服着ないと、ね……

【ふと、今の自分が裸身をさらしたままである事を、今さらながら思い出したのだろう】
【ヨロッとふらつきながらもアコーディオンは立ち上がり、纏めていた衣服に手を伸ばす】
【それでも、最初に手にしたのが、あのバイザー『エクリプスアイ』である辺り、どうもアコーディオンにとっては、裸眼で居ない事はそこまで重要であるらしい】
【頭部に装着し、接続具を後頭部でカチャッと連結させ、ようやくアコーディオンは一息つくと共に、改めて下着へと手を伸ばし始めた】

えーと…………っ、と、とりあえず……助かったわ……
あなたが居なかったら、多分……20分くらい、動けなくなってただろうから…………

【アコーディオンとしても、この様な場所で再会する事になった春燕に対して、どう言葉を掛けたものか計りかねている様だ】
【ただ、確実に言葉にするべき事がある事は分かる――――感謝だ】
【比較的早くに症状が収まったのは、完全に春燕のおかげである。アコーディオンとしても、そこに礼を言わないなんて、失礼な態度を取るつもりは、ない】

……そっか。あたしが焦げてる所から……ずっと、見てたんだ…………それじゃあ、はぁ…………言わなきゃならないのかも、ね……

【うかつにも、アコーディオンは黒焦げの状態から復活する辺りで、既に春燕が側にいるのだ、と言う事に気付かなかった】
【1つの事実を知れば、その理由を追いかけたくなるのは人情と言うものだろう】
【――――そして、アコーディオンにしてみれば、その問いを発せられたなら、もう答えを誤魔化す事など、したくもない】
【――――色々と、腹を括らなきゃいけないのかもしれない。覚悟を決める様に、口中で反芻する】

…………ごめん、春燕…………悪いんだけど、1つだけ……言っとかなきゃいけない事が、あるの…………
……多分、だけど……あなた、今日か、明日あたりで…………体調を崩す事になると、思う…………だから、その……それ、自分の為に、使って……?

【快活に、自分の身を心配しながら気遣いを見せてくれる春燕に、アコーディオンは負い目を感じた様な言葉で答える】
【既に下着を着用し終え、多少濡れながらも居住まいを正し始めているアコーディオンだが、疲れた印象はやはりぬぐえない】
【差し出された栄養ドリンクに、そっとストップの手礼を見せながら、やんわりと、忠告とも謝罪とも取れる言葉を返す】
【――――何か、確信めいたものが、今のアコーディオンにはあるのだろう】

/すみません、そろそろ眠気が……今日はこの辺りで、持ち越し良いでしょうか?
159 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/22(金) 00:22:33.31 ID:99aEP6pl0
>>158
//了解です!明日もまた同じくらいの時間に来れると思いますので、宜しくお願いしますね!
//それでは一旦お疲れ様でした!20時ごろまでにはお返ししておきます!
160 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage]:2015/05/22(金) 00:29:13.27 ID:w/8dLvik0
>>159
/此方は明日は少し遅くなる気味かと思います。では、明日もよろしくお願いしますねー!
161 :リチャード・トラヴィス ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/22(金) 00:50:19.48 ID:d4Lg4CEgo
>>157

【ジャブをまともに喰らい、避けられないタイミングで今度こそ本気の一撃が迫る。顔という急所を打ち抜かれれば、いくらリチャードとて――】
【だがもはや、明白だった。リチャード・トラヴィスはこの状況を楽しんでいる……あと一歩で致命打を貰う危険な場面を、引くどころか笑って受け入れる】
【――その胆力が功を奏したか。いけすかないエリート面がぐしゃりと潰れるより早く、圧縮空気の爆撃が男を吹き飛ばすが、】


……薬物……ドーピングですか。カノッサ機関の薬物といえばたしか、『beyond2』でしたっけ。
まだ本気じゃなかったということですか。おそらく副作用もあるでしょうに、まったく面白い方だ……。


【ゆらりと立ち上がる巨体。――効いていないわけではないようだが、想定していたダメージとは程遠い結末だ】
【『beyond2』……その名を知っていたのは『TRAVIS』のネットワークがそれだけ巨大だからだ。詳しい効果まで知っているわけではないが】
【これだけの薬物だ、副作用は確実に存在するはず。それを恐れず"切り札"として迷わず使用した男の度胸を、少年は素直に賞賛する】

【アレを初めから使われていればまた展開も変わっていたかもしれない。――が、いずれにせよ今宵は時間切れか】
【派手な爆音も響かせてしまったし、男の言うとおりじき人が駆けつけるだろう。戻ってきた化物を、リチャードは何も言わず見つめる】


倒しきれなかったのは残念ですが――こちらも相応に楽しませていただきました。
見られて困るようなものは使っていないつもりです。お好きにどうぞ、お兄さん。……次に会う時は、本気を見せてくださいね?


【この情報がカノッサに流れれば、不意の襲撃の際に不利となるのは間違いないが――録画されようが問題ない、と、少年は当然のように吐いて】
【『TRAVIS』の力を使えばいくらでも揉み消せるという意味か、はたまた自分の実力によほど自信があるのか。相変わらず感情を読ませない鉄のような笑顔】
【別れの台詞らしきものを告げると、リチャードは次の攻撃用にと残しておいた空中の黒球の出力を上げ、展開された煙幕を払うだろう】
【……間に合わないのはわかっていた。予想通り男がいなくなったのを確認すると、やれやれと言わんばかりに、傷を庇いながら踵を返す――】

【人が来るまでにはまだ時間があった。リチャードはもう一度コーヒーを買ってベンチで一服する。余韻を噛み締めるかのように、】
【それは『TRAVIS』の跡取りとして"正義"を執行したことへの陶酔か、あるいは……もっと純粋な"殺し合い"を、愉しんでいたのか】
【――「どのみち、遅いか早いかの違いですし」。一瞬、本物の笑顔と共に呟かれた言葉は当然、誰の耳にも届くことはなかった。今は、まだ】


/お疲れさまでした!
162 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/22(金) 19:26:21.42 ID:99aEP6pl0
>>158

いえいえ、いいんですヨ!痛みが治まって良かったでス!
……以前貴女に助けて貰ったから、今度は私が助けなくちゃと思いましテ……エヘヘ。
少しでもアコーディオンさんに恩返しが出来たなら嬉しいでス。

【感謝の言葉を聞けば、春燕は「どういたしましテ!」と以前に会った時と同じような人懐っこい笑顔を浮かべる。】
【自分のした事に対してちゃんとお礼を言われれば、嬉しいもの。ありがとうって言って貰えるのは大好きだ】
【アコーディオンに対しては、以前助けて貰った恩もある。少しでも、その恩返しになっただろうか】


【―――無事、とは言わないまでも症状が緩和したところで、春燕とアコーディオンの話題は多くの「謎」に移る】
【黒こげになった状態から復活した事、目を過剰なまでに隠そうとする事、悶絶するような頭痛の事……】
【全て見ていた事をアコーディオンに告げると、彼女は覚悟を決めたように言葉を切り出す】
【まず、「近い内に、春燕は体調を崩す」と……そう告げる。何か、そうなると確信しているような口調で】

……え?私が……体調を崩ス?
どうしてですカ?今の私は体調も全然問題ありませんガ……

【当然、春燕はきょとんとした表情でその理由を問う。現在の自身の体調には何ら問題はない】
【それなのに、どうしてそんな予言めいた事を春燕に告げるのか……不思議に思うのも無理はなかろう】
【アコーディオンは、何か「そうなったのが自分の責任である」といったような表情を見せている】
【一体、彼女には何があるというのだろうか―――】
163 :怪盗コンフェイト ◆QdUgTofQJFfy[saga sage]:2015/05/22(金) 19:35:26.97 ID:uBe4rfZ50
【とある美術館。閉館時間を向かえ、館内に残っていた人達が出入り口からわらわらと出てくる】
【その美術館の真正面には、道路を一つ挟んでオープンカフェがある喫茶店があった】


え〜っと……ここが壺で、こっちに鏡……こっちがシャッターでそれでこっちは……あれ?なんだっけ?


【夜まで営業しているこの喫茶店は、けっして人気が無いというわけではない。が、10ほどの
イスとテーブルがあるにも関わらず、 オープンカフェにいたのは一人の青年だけだった】

【髪は白髪で僅かに赤いメッシュを入れている。白のシャツに赤いベストを羽織った、猫のように鋭くも
丸みのある目つきの青年で、首から交差したキャンディステッキのシルバーアクセサリーをかけている】
【棒付き飴玉を咥えており、時折咥えられた棒が跳ねるように動いていた】


防犯カメラ……だったかなぁ?いや、赤外線センサー?……う〜〜〜ん……


【青年の座っている場所は丁度美術館を真正面に捉える位置にあり、青年のテーブルには紅茶とケーキの
他に、スケッチブックがあった】
【青年は何かを思い出すように、目を閉じてシワを寄せた眉間をペンでつついている】

【思考を己の記憶の中に入れ、外の情報を遮断しようとしているその様は無防備と言えよう】
【そんな青年にいたずら心で驚かすのも、青年の発言を怪しんで話しかけることも出来るが、あるいは……】


/新規です。長くは出来ませんがよろしくお願いします
164 :夜凪レラ ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/22(金) 20:37:46.05 ID:d4Lg4CEgo
>>163

【怪しげな考えに没頭する青年――その近くへ、なにやら楽しげな歩調で歩いてくる少女がいた】
【いくつかのドーナツとジュースをトレイに乗せて席を探す。ちょうど人気もなかったので、道路側の見晴らしのよい席へ嬉々として移動し】
【……少女がその途中で、青年の呟きを聞いてしまったのは偶然で。少女がその意味を推察できる人間だったのも、また偶然だった】


………おい、おまえ。
まさかあの"びじゅつかん"へ、ぬすみに入る気じゃないだろうな?


【少女は青年の近くでふと立ち止まり、幼らしい口調で――だがたしかに剣呑な光を宿した淡黄色の瞳で、青年を射抜くだろう】
【ただの少女ではない――外見もやや異様だ。濃鼠色の髪を黒い大きなリボンで縛ってポニーテールにし、肩口まで緩く流した髪型に】
【白いベストの下に袖を七分で絞った丈の短い和服を着込み、残り三分の腕には包帯を何重にも巻いて肌を覆い隠した地味な服装】
【脚にはニーハイブーツと黒タイツ、首元には暗い赤色をしたロングマフラーと、やたら肌の露出も消して……なんというか"忍者"じみた格好である】

【……こんな見透かしたようなことをいっているけれど、少女の台詞はその実、単に鎌をかけただけだった】
【違うと否定されれば、それ以上追求できる証拠はない。が――よくみれば少女のマフラーには"自警団"を示すバッジが付けられていて】
【もし、この幼い女の子が本当に自警団員だとするならば……青年の正体によっては、ちょっと面倒なことになるかもしれない】
165 :??? ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/22(金) 21:02:19.39 ID:0+/5xM4Lo
/もう一回>>124で再募集
166 :怪盗コンフェイト ◆QdUgTofQJFfy[saga sage]:2015/05/22(金) 21:20:43.97 ID:uBe4rfZ50
>>164


――――ブフゥッ!?


【突如耳から入り込んできた少女の言葉に、青年は閉じていた目を開いて噴き出した】
【慌てて声のした方へ目を向けてみると、少女の格好よりも先に目に入ったのが『自警団』のバッチ】


い、イヤ!……いやいやいやいやいや!


【少女が向ける疑惑の視線を散らそうとばかりに、青年は手と顔を素早く左右に往復させる】
【そして、未だ手をつけていなかった紅茶を手にとって一口飲むと、にっこりと、しかしどこかぎこちない笑みを浮かべる】


お嬢さん。初対面の人を盗人扱いするのは良くないよ。

僕はただ……ただ……えっと……


【言葉に詰まって目をそらし、そしてまた何かを思いついたようにハッとして指を立てる】


今度書こうと思っている推理小説に登場する美術館の設定を考えていたんです!


【キッパリとそう言って、真っ直ぐな視線で少女と目を合わせる】
【見よ、このあからさまに『他意は無い』と言いたげな目を。その真っ直ぐさが時に逆効果になることもあるというのに】

【青年は見事に、少女の”鎌”にかけられてしまった】
167 :夜凪レラ ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/22(金) 21:44:17.50 ID:d4Lg4CEgo
>>166

【少女は青年の反応をすべて黙って見届けると、しばらく押し黙った。……最後に、にこり、と笑って】
【先ほども述べたが、否定されてしまえばそれ以上の証拠はない。推理小説の設定だといわれれば「そうか」と返すしかないのである】
【――かしゃん、と軽い音が鳴った。少女が机にトレイを置いた音だ。そして椅子に腰かけてジュースを飲む。ごくふつうの動きで、】


ふーん、そうなのか。それはたいへんだな。
…………で、おまえ、名まえは?


【ただし――少女が座ったのが、さも当然のように、青年の座っている場所の真正面だという点を除けばだが】
【こいつはあやしい。とてつもなくあやしい。口に出さなくても、少女の呆れたような半目からその疑念がひしひしと伝わってくるだろうか……】
【そしていきなり犯人扱いはできなくても、こういう場合、自警団員には必殺のコマンドが存在するのである】

【――すなわち、『職務質問』。もくもくとドーナツを頬張りながら、少女はマフラーを軽く後ろに払って、】
【首元の自警団のバッジと、いままでマフラーの下に隠れていた"緋色の鷹"――世界を股に掛ける正義の証、SCARLETのワッペンを示すと】
【ゆっくりと、青年にまず名前を問いかける。……付き合うか、即座に逃げ出すか、それは青年次第だけれど】
168 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage]:2015/05/22(金) 21:47:44.43 ID:w/8dLvik0
>>162

うん……本当、助かったわ……
幾ら慣れてるとは言え、平気って訳には……流石にいかないもんね……

【ジャケットとハーフパンツを着用し終え、ようやくいつもの佇まいを取り戻して、アコーディオンは小さく頷く】
【先ほどの取り乱しようからすれば、少なくとも精神的な復調までは、早い方だと言えるだろう】
【――――以前、彼女はこれらの発作を「もう慣れた」と口にしていた】
【まともな受け答えすらできない程の発作も、彼女にとってすれば「慣れたもの」と言う事なのかもしれない】

【わずかに頬が引き攣って、奥歯に力が入っている辺りは、やはりまだ痛みが残ってはいる様だが……】

――――前に、言ったでしょ? あたし『毒女』なんだって……
あれって……比喩でも何でもないの。文字通りの意味って事……
――――普通の人間は、うぅん……ほとんど全ての人間は、あたしと長くそばに居たり、身体が触れあったりすると、失調しちゃうのよ……
時間が経てば経つほど、頻度が高まれば高まるほど……どんどん重症化しちゃう……
だから……きっと春燕も、家に帰って一息ついた辺りで、身体の調子がおかしくなると思う……
……多分、まだこれくらいなら「風邪でもひいたかな?」程度で済むとは思うんだけど……

【その言葉の意味する所を、アコーディオンはどこか訥々と説明する】
【彼女の体は、普通の人間をわずかずつにでも蝕む『毒』を発している、と】
【――――何を馬鹿な、と笑い飛ばせる話かもしれない。突飛な話と思われても仕方が無い内容である】
【だが、この状況でアコーディオンが法螺を吹くのは、似つかわしくないという印象を――――恐らくは――――春燕は抱くだろう】
【それは、彼女が「信奉する」とさえ言えるだろう『真実』の言葉なのだろう】

この『毒』が……実際、毒なのかなんなのか、そこまではあたしも良くは知らないけど……それがあたしにも響いてるのが、さっきみたいな『発作』って訳……
あたしの身体……色んな意味で「人間じゃない」ものだから、あたしも時々、痛めつけられるって事……かな

【そしてそれが、アコーディオン自身の体質の裏返し。詳細については、アコーディオン自身も詳しく把握している訳ではないようだが】
【先ほどの『発作』と関連していると言えば、その言葉も多少の信憑性を帯びて来るだろう】
169 : ◆VVURn/3wpI[sage saga]:2015/05/22(金) 22:11:07.62 ID:Lxnc51Eu0
>>124>>165

【ふと、緊張の解けたような溜息が辺りに漏れる】
【ヘッドライトが路地に再び閃いた時、女以外の影が一瞬長く伸びて】
【背の高いもう一人の女が、宙に提げられたマリオネットのように、音も無く闇に身を浸していた】

夜分に失礼……つまらない話があってだね
いや、本当につまらない事で申し訳ないが、道を訊ねようとしていたんだ、

【そのものが女と分かるのは、偏にのんびりとしたハスキーボイスを齎すからであり】
【背はその場に佇む相手と同じくひょろりと高い。しかし服装は逆に厚く、外套で頭からつま先まですっぽりと覆われて】
【一旦言葉を切り、その中がごそごそ動くのは、どうやら頬を掻いたようだ】

していたんだが……
あぁー、聞いてはいけないような話だったかね? 

【濡れたような濃紅の髪の房がフードからはらりとまろび出る。その奥で紫色の瞳が困ったように相手の顔に留まり】
【そこに映る色は困惑こそあるものの恐怖や敵意とはおよそ無縁で、何処となく親しみさえ感じているようであった】


/まだ宜しければ……
170 :怪盗コンフェイト ◆QdUgTofQJFfy[saga sage]:2015/05/22(金) 22:15:07.05 ID:uBe4rfZ50
>>167


そーなんですよ!いや〜美術館なんて普段まるで行かないものだから、
実物をモデルにすると手っ取り早いんですよね〜アハハハハハハ!


【青年はポケットから棒付き飴玉を取り出し、包みを開いて口に咥えた】
【ちなみに最初に咥えていた飴は噴き出した時にどこかへ飛んでいった。今頃地面で砂まみれになっているだろう】


名前ですか?僕はヤマモト イチロ―――


【青年は、嘘を吐こうとした】
【偽名を名乗ろうとしたのは、単に初対面の相手に個人情報を明かしたくないという防犯意識からではない】
【少女が怪しむ通り、この青年は自警団の人間と関わりを持つ事を良しとしない人間だったからだ】
【だが、マフラーにある『SCARLET』のワッペンが目に入った瞬間】

【ゴリッ】

【と、青年のちっぽけな嘘が、咥えていた飴と共に噛み砕かれた】


――――へ、ヘンゼル・ショッパーシュガーれしゅ……


【下手な嘘は自分の首を絞めると理解した青年は、にこやかに、でもやっぱりぎこちない笑顔で素直に答えた】
【噛み砕いた飴をそのまま飲み込み、棒は自分のポケットに仕舞い、両手をテーブルに置いて、質問の迎撃準備を整える】

【しかし、それには目の前にあるスケッチブックは少々足手まといだ】
【スケッチブックには美術館の見取り図が書いてあったのだ】
【それだけならまだ誤魔化しようはある。だが、それ以外のページを見られるのは非常にマズかった】


え、え〜っと……いきなり名前を聞いてくるなんて、もしかしてこれって逆ナンパって奴ですかぁ〜

なんちゃって……


【紅茶とケーキの位置を替え、話しやすい様にと机を片付けるフリをしながら、青年はスケッチブックに触れた】
【何も無ければ、青年はそのままスケッチブックを閉じて膝の上にでも乗せて隠してしまうだろう】
171 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/22(金) 22:18:09.93 ID:99aEP6pl0
>>168

【アコーディオンが説明するのを、春燕は静かに聞いていた。……なんでも、彼女の体質が人の体調を狂わせるらしい】
【触れるだけ、あるいは傍にいるだけでも症状が現れるというのなら、相当強力な物だろう……】
【そして、その毒が彼女自身の体をも蝕んでいるらしい。頭痛もその毒の所為だと彼女は説明する】
【自他を無差別に苦しめる毒。その正体は一体何なのだろうか―――詳しい事は本人も分からないようだが】

【今の春燕にはまだ自覚症状は現れていない。この話を信じる証拠たり得るものはまだ無いけれど】
【彼女が嘘を言うような性質では無いのは知っている。……恐らく、本当の事なのだろう】

……じゃあ、その「毒」の正体は分かってないんですネ?
もし、毒の正体が掴めたら……私なら、抗生物質を作れるのですガ。
―――身体が人間じゃなイ……?それは、どういう意味ですカ……?

……もしかして、さっきの黒焦げの状態から復活したことにも関係ありますカ?

【……ここで、また新たな疑問がアコーディオンの言葉の中に現れる。……彼女の体が「人間じゃない」とは】
【確かに、彼女が人間離れした現象を成していたのはしかとこの目で見た。あの復活劇は、人間の物とは思い難い】
【再び春燕はアコーディオンに質問を投げかける。疑問はまだまだ消えず……】
172 :??? ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/22(金) 22:32:26.64 ID:0+/5xM4Lo
>>169
【もう一人の女が照らされた瞬間、赤い眼がじとりと滑る。闇の中で赤が蠢いて、そこにいたもう一人を見つけた】
【溜息に対してか、喉を鳴らして静かに笑いを返す女。義肢がキシリと音を立てると相手の方に向き直る】

ああ、聞いてはいけ無い話さ……殊更君が善良な一般市民であったなら、ね
安心しなよ、『聞かなかった事にしてくれ』なんて事は言わ無い。答えは決まっているからね

『聞かれたからには死んでもらおう』

【どこか演技じみて紡がれる言葉、まるで漫画や映画のセリフを真似しているかのように聞こえる違和感がある】
【口元は隠れていて見え無いが恐らく口角は吊り上っているのだろう、目元は弓形に細くなって、声は僅かに震えている】

【返した言葉の割に、その動きに積極性は無く、右手の爪を相手に突き付けるように右腕を軽く上げるだけ。その爪がそれ以上動く事は無い】
【それはどこか、ふざけているような、嗤っているような風で、相手の反応を待つ事で『どのような人間か』を確かめようとしているようでもある】

/まだ居ました、よろしくお願いします
173 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage]:2015/05/22(金) 22:42:07.32 ID:w/8dLvik0
>>171

……パパが早死にしちゃったってのも、前に話したよね?
アレも……あたしのせいなの。あたしのこの体質で……パパはそれを知りながら、ずっとあたしと同じ家に住んでた……
……ちょっと、後悔してる。無理やりにでも一人暮らしにすれば良かったって……

【以前の喫茶で、その事もアコーディオンは口にしていた】
【早くに亡くした肉親。その病気を齎したのは、他ならぬ自分なのだと】
【微かに、声のトーンが低くなる。バイザーの下の目は、恐らく今、そっと伏せ目になっているのだろう】

……あの馬鹿連中を相手するのは、あたしの方が良かったって言うのも。要するにそう言う事よ
あたしを蹂躙したきゃ、すれば良いのよ……腕が壊死するどころじゃ済まないだけの苦しみが、後に待ってるんだしね?
……あたしの身体は、見ての通り……ちょっとした時間があれば、治っちゃう類だし

【確たる証拠と言う訳ではないが、アコーディオンのかつての言動は、全てこの一事に結実している事が分かるだろうか?】
【あの7人の破廉恥な暴漢達を前にして、アコーディオンは「自分だったら良かった」等と、穏やかならぬ事を口にしていた】
【それは、彼らの身体に、決して外れない楔を打ち込む事と一体となっていたからこそ、なのだろう】

……『毒』っていうのも、抽象的な表現って、ね
流石に、そこまで行くとあたしの理解を超えちゃう……だから、何とも言えないのよね

【正確に、「○○の物質が原因」と、言い切れる様な話なのだろうか。アコーディオンにも、そこは自信が無い】
【恐らく、薄ぼんやりとした認識がある程度で、確信には至っていないのだろう】
【――――そこを伏せると言う事は、話してもしょうがない程度の、本当に「漠然とした認識」なのかもしれない】
【春燕の知識がどこまで通じるのかも、アコーディオンには分からなかった】

――――そう。そうね……あたしの調べた限り、関係あると思ってる……
あたしの身体にある、この異常な再生力……あたしの『発作』とか、捲いちゃう『毒』は、その副作用みたいなのよね……
それで…………ごめんね、春燕。あたし…………この体質のせいで、寿命も短いの。多分、あと3年も生きられないんじゃないかな……

【多少の躊躇はあったのだろう。だが最終的にアコーディオンは、淀みなく己の知る所を春燕に語る】
【生命の暴走とでも言うべき『発作』と『毒』。その引き換えに獲得したのが、全身が焦げ果てても時間を置けば再生する、肉体の『再生力』】
【だが――――その果てにあるのは、急激な肉体の酷使による、短い寿命。これを口にする時、わずかにアコーディオンもバツが悪そうで】

――――この体質、全部……あたしのママから遺伝したものなのよね
あたしが物心つく前に死んじゃったママも、普通の生まれじゃなかった様だから……これも『因果』って奴なのかしら、ね……

【――――その不可解な情報を、何故ある程度にも理解しているのか。それは既に「前例」を知っていたからだった】
【母親の事は、記憶の中には無いようだったが、そこにもある程度の情報は得ている様で】
【――――だが、それを口にする一瞬、確かにアコーディオンは躊躇した。ここで打ち切っても、情報としては成立する。そこを追求するかは、春燕次第だ】
174 :夜凪レラ ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/22(金) 22:43:59.72 ID:d4Lg4CEgo
>>170


…………うそが下手だなぁ、おまえ…………。


【少女の口から溜息が漏れ出した。SCARLETのワッペンを見せたのはちょっとした示威行為のつもりだったのだけれど、ここまで動揺してくれるとは】
【飴が砕け散る派手な音を聞きつつ、少女は「嘘を付いても無駄だぞ」という牽制の台詞を吐く。……半分は正直な感想なのだけれど】


………………。
先ほど、"すいりしょうせつ"のためのネタを考えているといったな。
ということは、"しょくぎょう"は作家かか?


【幼くたどたどしい言葉遣いのせいで迫力には欠けるが、少女は懐から調書らしき紙を取り出して青年の言葉を逐一記載していく】
【調書の一番上のところには、担当者名として『夜凪レラ』と記載されていた。これが少女の名前だろう】

【……バッジもワッペンも、残念ながらごっこ遊びではないらしい。ただ、やはり年相応の甘いところが無いわけでもないのか】
【レラはこの時点でやや毒気を抜かれていた。有り体にいえば青年のことを軽んじているのである】
【目の前の青年を本気で「強盗未遂の犯罪者」とか思って敵視している風ではない。「出来心でバカなことを考えていた一般人」――という程度の印象だ】

【なのでいきなり逃げ出しでもしない限り、彼女もそこまで大事にする気はなかったのだが、】
【――青年が、そこで余計な台詞を言わなければ……。まじめな職務質問を逆ナンとか言われなければ、少女がここまで意地悪に出ることはなかっただろう】


――このスケッチブックは"ネタちょう"というやつか? 
すごいなぁ。ぜひとも、見せてもらいたいなぁ……。


【なにごとも無くは終わらなかった。額に青筋を浮かべたレラが、青年とほとんど同じタイミングで、スケッチブックに触れるだろう】
【もし本気で計画を練っていたのなら、このスケッチブックは怪しいと最初から思っていたのだ。にっこりと、年相応の可憐な笑顔】
【……というには若干引きつって、スケッチブックに乗せた手にも力が入っている。このまま引っ込めるのはどうも難しそうだ】
【いよいよヤバイ状況になってきたような――とにかく、少女を怒らせるのがマズイということだけは間違いない】
175 : ◆VVURn/3wpI[sage saga]:2015/05/22(金) 23:05:22.92 ID:Lxnc51Eu0
>>172

おいおいおい、来て早々に人生の幕引きは辛いな

【差し出される爪にたたらを踏んで仰け反る女】
【あからさまな悪意に首を突っ込んだ結果は自業自得というべきか、喜色を滲ませる相手に最初と同様困惑の色を残して】

……困ったな、善良でない照明をすれば見逃してくれるのかい?

【ズレた質問ながら諦めとは程遠い声音でハスキーボイスは問いを重ねる】
【余程の馬鹿か胆力に自信ありか、もじもじと照れたように一度身じろぎして】
【不意に小さな音がするのは、外套の前ボタンを外す音】

理由がない訳じゃあなかったんだ。 濫りに話すつもりはなかったんだが、ちょっと……ね

【口を濁して布から右手を掲げる、持ち上げたのは肌の温かみの無い金属の右手であった】
【突きつけられたものと同じくしての精巧な義肢は、常人よりも数周り位大きい其れで凶悪な色を帯びている】
【それを少しでも紛らわそうかとでも言うように手首にあたる部分には8の字の物体――――手錠が嵌められて】
【決して装飾品ではない、それが証拠に左の黒腕も吊られて袖口からやや持ち上がっていた】

まあつまりだ、君の立姿にシンパシィを感じて声を掛けてしまったんだ、すまないね
176 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/22(金) 23:21:03.74 ID:99aEP6pl0
>>173

【尚も語られる、アコーディオン自身の話。】
【父親を亡くしたのも自分の体質だという事らしい。間接的に親の命を奪ってしまった彼女の心は察するに余りある……】
【春燕は、声を掛けあぐねていた。きっと深く後悔している彼女に、掛ける言葉なんてそうそううまく見つからない】
【同じ職に就きたいと思う程に憧れていた父だ。きっと彼女も慕っていたに違いないのに―――】

【以前の暴漢の時の言葉も、体質が根拠だったらしい。彼女はどんなに傷付いても治ってしまうというのだから】
【幾ら傷付いても構わない。そればかりか、彼らを傷付ける事も出来る。……そういう事だったらしい】

【毒は、正確には正体が分かっていないらしい。物質的な物なのか、別の存在なのか不明な状態で】
【体質については、確証を持てない漠然とした認識のようだ……】


【―――そして、問うた彼女自身の身体の事。人間ではないという言葉の真実を知りたくて】
【帰って来た言葉は―――衝撃的な物だった】


な…っ――――たったの、三年……――――!?


【余りにも短すぎる、余命。三年という寿命を聞いた春燕は、頭を槌で殴られたような衝撃を受けた】
【彼女はまだうら若き女性だ。20歳を過ぎたかどうかといった所だろう。それなのに―――後、3年も生きられないとは】
【最初に驚きが顔色に表れ、次に悲しみと辛さが現れる。……一体、どうすれば良いのだ、この絶望的な事実に対して】

……ッ、何とかならないんですカ!?三年、たったの三年も生きられないなんテ……!
教えて下さイ!他人の私が、こんな事を聞くのは烏滸がましいかもしれませんガ……
その因果に逆らう方法は……無いんですカ!?

【……もしかしたら、過去の彼女の母の話に、一縷のヒントがあるかもしれない】
【たったの三年という絶望に、逆らう方法は無いのか。……他人であるはずの春燕に、こんな事を聞く権利は無いのかもしれないけれど】
177 : ◆8R7odKA9zA[sage]:2015/05/22(金) 23:27:58.63 ID:sHBRuMiro
【酒場】

【ちょっとばかし警察や自警団がのんびりしている街では小さい組織が良く縄張り争いしていて】
【ちょっとのことで小競り合いが起きる。それがただの悪者ぐらいならいいけど能力者となれば】

【ちょっとで済むはずもなくこの飲み屋も窓は吹っ飛び、テーブルは叩き割れ、壁には焼けた跡】
【砕けた剣だとかなんだとかカウンターに突き刺さっていて竜巻でも起きたようにシッチャカメッチャカ】
【でもドアにかけられた看板は未だに『OPEN』。一回でも引っ張ったらドアは外れてしまいそうな雰囲気】

『アンタもワルモノなら何とかするの手伝うヨ。そんでツケ払え』

あんなの相手にしちゃダメだって…台風だって地震だって隠れて過ぎ去るのを待つしか無い

【華人的な小柄な店主はグチグチいながら手に持ったライフルを置いて、箒を手にとった。残った客は】
【1人、背の高いサングラスをかけた三つ揃えの黒のスーツ、紺のシャツを着た男が居るだけだった】
【そいつはカウンタに腰掛けてニヤニヤとビールを飲むだけだ。それでも店は開いているのは商魂逞しい】





【公園】

【ここは企業の高層ビルなどが立ち並ぶダウンタウンにつくられた公園】
【広々とした園内には直輸入されたソメイヨシノが幾つも植えられて先日まで】
【美しい花を咲かせていた。他にも竹林や鯉泳ぐ池などもありコンセプトは固まっている】
【なんでも櫻の国のある企業の大規模な出資でつくった為にこの様になったらしい】

【街灯の薄明かりと周りのビルの窓明りの中、誰も居ない公園で1人、刀を振るう女性】
【長い黒髪は後ろで一纏めにし、切れ長の目は振るう刀と同じぐらいに鋭く、シルバーフレームのメガネを掛け】
【背は高く、ハイカットのスニーカー、タイトなジーンズに白いシャツを腕まくりしてというラフな格好で刀を振るう】
【風を斬る音が乱れなく聞こえ、太刀筋はプログラムされたかのように迷いなく正確無比、スピードも落ちない】

―――ッ!……ハァッ!!

【一心不乱に休みなく刀を振り続け、最後の仕上げとばかりに背後にあった雑木に刀の刃を叩き込んだ】
【非力な女性でありながらもその技術でザクリと深く切り込み、彼女は一息をついた。呼吸を落ち着ける】
【ちょっと盛り上がりすぎてぶっ刺してしまったのをハッとして気がついて、(管理人だの何だのに見つかると少々】
【面倒くさい)、慌てて突き刺さった刀を抜こうとしたのだが、うんともすんとも。樹の幹に足をかけて引っ張っても】

………抜けない
178 :??? ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/22(金) 23:31:12.78 ID:0+/5xM4Lo
>>175
へぇ───

【女が眼を僅かに見開き、反応を示したのは、自分のソレと同じ物を見たからだ】
【ヒトの体に、一部分の機械。肉体を取り去って付け加えられた無駄が、黒々として主張する】

同じ穴の狢と言う奴かな、随分と痛々しい物だ
気になるね、君はそれを望んで手にしたのか、望まずか……まあ、そんな会話は今ここで立ち話するのもつまらないだろう?


退屈凌ぎに、殺されながらしようじゃないか?

【だが、自分と同じような機械の腕を持つ相手が目の前にいたとしても、『聞かれてはならない会話ん聞かれた』のは事実。また、それに対する対応が変わらないのも事実だ】
【盗み聞きした盗人は死をもって隠蔽しなくてはならない、それが偶然であれ必然であれ同じ事】
【次の瞬間、ヒュッと風切り音がした。空気を斬り裂いたのは女の右腕だ、手刀にした右手を突き出し、相手の顔面目掛けて突き出している】

さて、では質問だ、所で君は能力者かな?

【大きく踏み込む脚も、突き出す腕も、その機械の四肢に内蔵された機関がその力を高く引き上げ、人の動きを最大限に高めている】
【だが、予測出来ない物ではない。元々攻撃態勢は取っていたし、何より言葉の端々から単語と一緒に殺気が漏れ出ていた】
179 :怪盗コンフェイト ◆QdUgTofQJFfy[saga sage]:2015/05/22(金) 23:32:03.60 ID:uBe4rfZ50
>>174


え?あぁ、それ良く言われるんですよね。なんでだろ?


【少女の牽制と呆れの篭った言葉を、青年は不思議そうに首を傾げる】
【この青年。年齢や肉体的には少女よりも上ではあるのだろうが、
言葉をそのまま受け止めてしまう素直さといい、どこか少年じみている】


は、はい。といってもまだ”卵”って奴でして、まだ出版どころか賞もとれてないんですけどね……


【慎重に、自分の言葉に矛盾が生じないよう青年は”小説家志望の青年”を演じていく】


(……夜凪レラ。”名前が売れたら”会うかもしれないし、覚えておいたほうが良いな)


【その傍ら、素早く書かれていた名前と少女を見る。ただの自警団員ならまだしも、この少女は『SCARLET』にも所属している】
【今後二度と会わないという保障は無い。いや、できれば金輪際関わりたく無いというのが本音だが、青年はその名をしっかり脳に刻む】

【見た目とは裏腹に、おそらく自分よりも多くの経験を積んでいるであろう少女を、青年は油断無く迎え撃とうと気を引き締める】

【だが、スケッチブックに手が乗って、再び動揺が走る】


!?

だ、ダメです!そんなことされたらネタバレになっちゃうじゃないですか!
いくらお仕事と言っても、こっちは将来がかかってるんです!

小さな情報が多くの人々に行き渡るこの時代、貴方が僕のネタを吹聴しないという保障はどこにもないでしょう?


【少女の力に拮抗するように、青年も言い分をまくし立てながら手に力を込めて引っ張ろうとする】
【体格ではこちらが上だろうとは踏んではいるが、ここで強引に取り返せば相手に”口実”を与えてしまう】
【そうならないために片手で対抗しているのだが、少女相手に必死になる姿はなんとも大人げ無いものがある】


僕は善良な一般市民です。市民の大切な物を奪うのは、貴方達のすることではないと思いますが?


【にっこりと、少女のスマイルにこちらも強気なスマイルで返す】
【ささいなミスが即”敗北”に繋がるこの状況を、青年は望むところだとばかりに立ち向かってきた】


/次の返信が少々遅れるかもしれません
180 : ◆VVURn/3wpI[sage saga]:2015/05/22(金) 23:51:29.90 ID:Lxnc51Eu0
>>178


やれやれ、拙者の望む穏便とは程遠いらしい……聞きしに勝る物騒さだ
うぅん、全く以て運が悪かったな――――!

【恥を忍んで秘密を垣間見せたものの、状況は一片たりとも好転せず】
【言葉尻をがぎぃ、とかん高い衝突音が遮って鼓膜を震わせる】
【受け止めたのは鋼鉄の右腕、一度目の衝撃で空気が僅かに震え、爪が引っ掻くたび前腕からちりちりと火花が散った】

質問の答えだが……“分からない”――というのが正直な所、かな
多分君の意図する範疇には当て嵌まらないとは思うんだが、正直自身が無い。 自分探しの旅をしている身なもので、ね

【金属が噛み合う音は明らかな異常、しかし声は少しも力まず】
【達人さながらの強力な刺突を軽々と受け止めるのもまた機械の力か、歯車の軋む音に混じり考えを述べつつも】
【不意に手首を体幹に折り畳んで突きをやり過ごし、畳んだ勢いのままにこめかみに回し肘打ちを放つ】
【出してから、すまないと頭を下げるのはそれが無意識的に出たものだからか。あ同時に左足を半歩引く足捌きは、何がしかの修練を積んだ一連の動きであった】

そういう君こそ、その身体はどうして?

【必殺とは程遠い、牽制の隙間から似た様な問いを発する】
【忘れがちだが無論女とて相手に興味を覚えたから声をかけたのであった】
181 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage]:2015/05/22(金) 23:53:15.41 ID:w/8dLvik0
>>176

……それだけ、パパはママを愛してたって、事かしらね……
……どうやら、全部知った上でママと一緒になって……あたしを産んで、育ててくれたんだから、さ……

【――――死毒を振りまく体質の、母と娘を愛した父】
【アコーディオンの家庭と言うのは、果たしてどういうものだったのだろうか?】
【もっとも、既に過去の存在となってしまっているそれは、今現在の彼女には何らの影響も与えないものである。この場では余談にしかならないだろうが……】

えぇ……ま、例えこの概算が外れてたとしても…………どう間違っても、5年以上のものにはならないはずよ
そう言う身体で、生まれついてしまったんだから、さ……

【――――口に出してしまった事で、開き直りの心境に達したのか。アコーディオンの言葉は、徐々に滑らかさを取り戻して行く】
【春燕の、ショックを受けた様子は予期していた。だからこそ「ごめん」と付言していたのだ】
【だが、一度それを認識させてしまえば、後はもうどれだけ話しても同じ事だ。アコーディオンも、変な遠慮は捨てたのかもしれない】

……春燕、落ち着いてちょうだい。「たったの3年」なんかじゃないの
前に、話したでしょ? 死ぬ時に、一緒に居てくれる誰かが居れば、どんな形であれ、そう悪くは無いよ、ってさ……
…………あたしは間に合った。死ぬ前に、あたしを「看取る」って言ってくれた人が、居るんだもん……来てくれたんだもん……
あたし、そんなに悪い気はしてない。これは本当よ?

【――――死ぬ時に、そばで看取ってくれる「誰か」が居れば、もう絶望する事は無い。これもアコーディオンの言葉だった】
【あれは、決して思考上の空想ではなく、実感の上で紡がれた言葉だったのだろう】
【穏やかに、静かな幸せを噛みしめる様に、その「誰か」を想う言葉を、反芻させる】

…………春燕、あなたなら「死の受容の五段階」って奴……知ってるでしょ?
あたし、早かったわよ? 何度も死にそうな『発作』起こしてたから、実感が凄かったのよね……「あぁ、あたし近いうちに死ぬんだな」って、ね……

【医療に携わる人間であるならば、主にそう呼び習わされる「死期の近い人間の辿る、5つの精神的な境地」について、知っているだろう】
【ざっくりと言えば、それは――――否定する、憤る、あがく、絶望する、そして死の運命を受け入れる――――と言う経過を辿る】
【アコーディオンは、己が既にこの精神的な境地を走り抜けたつもりでいるのだろう】

――――ごめんね、春燕……聞いたら、あなたは諦める事になると思う……そして、あたしはあなたに、この事は諦めて欲しい……だから、話すよ

【ポツンと、軽くため息を吐きながら、アコーディオンは不審な前置きを口にする。それは、事実と願いの2つが織りなした言葉――――】

――――あたしのママね……「とある非合法組織」の、実験材料……有体に言えば、改造人間だったのよ…………
この体質は、その改造の結果……そしてそれが、どういう訳かあたしにまで遺伝しちゃったのよ……
――――これは、治るとか治らないとか以前に「そういうイキモノ」なの。種族的な寿命みたいなものなのよ……
そしてママは……24だったかな? それくらいで死んじゃった…………生まれる前から狂ってるんだもん。もうどうしようもないのよ

【――――人の手で、歪められた命。そしてそれを継承した己。だからこそ、こうした身体なのだと、アコーディオンは説明した】
【確かに、アコーディオンのこの身体の仕組みは、良からぬ目的に利用しようと考える輩にとっては、幾らでも有効活用できるものだろう】
【そうした性質を「生まれ持った」アコーディオンは――――既に、そうした生物として「完成されている」とも言える】
【それを「治す」と言うのは――――恐らくは不可能。仮に可能性があるとしても、それは如何なる方向にかはともかく「尋常じゃない」事にしかならないだろう】
【恐らく、アコーディオンの知っている事実は、そこに留まらない。だが、彼女自身の体質の事を言えば、もうそこが答えの終着点であっても、大して変わりはしない】

【――――彼女は「そういうイキモノ」なのだ】
182 :夜凪レラ ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/22(金) 23:56:42.00 ID:d4Lg4CEgo
>>179

【こいつ自覚はないのか――レラはまた毒気を抜かれる羽目になったけれど、ともかく】
【小説家志望、という体で話を進めていくヘンゼルをじっと眺めて、レラはまたジュースをすする。……あまり信じてはいない様子だ】


むぅ、しつれいな! わたしはそんなことはしないぞ!!
それにうばい取ろうというのではない、すこし見せてほしいというだけでだな………。


【ぷくっと頬を膨らませて、情報漏洩などしないとレラはいう。といってもヘンゼルのいうように具体的な"保証"を提示できるわけでもなく】
【必死にスケッチブックを守ろうとする青年はやはり怪しい。怪しいのだが――レラは内心妙な気分になってきていた】

【……なんだかこっちが悪者みたいじゃないか、と。片手だけの力ならレラでも拮抗できるし、本当に奪い取ることもできるかもしれないが】
【それはそれで、なんだか気が進まない。非情になりきれないのは少女ゆえか、とにかくレラはスケッチブックにかけていた力を抜くはずだ】
【今のうちならスケッチブックを隠してしまうこともできるだろう。……ちょっと拗ねるような表情で見つめらはするけれど】


……まぁいい。しかしおまえ……ヘンゼルといったか、どんなはなしを書くつもりなんだ?


【気勢を削がれた様子で、レラは八つ当たり気味にドーナツを頬張る。……それも小動物じみていて、迫力は感じられないが】
【変わらず不機嫌そうではあるけれど先ほどよりは落ち着いている。とりあえず強硬手段に出ることはなさそうだ】
【代わりにヘンゼルの話に突っ込んでみることにしたようで、レラは職務質問とは関係のない質問を投げるだろう】
【答える義務はない……が、否定してばかりいてもかえって不信がられる結果になるだろう。うまく辻褄を合わせられるか――】
183 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/23(土) 00:12:28.29 ID:0dULapNf0
【とある病院。其処には日々数多くの患者が運び込まれ、常に病室に空きが無く】
【24時間体制で診療しているのだから昼夜問わずに人の出入りも激しい】
【――――そんな病院の中庭。普段ならばこの時間、患者も居ない筈なのだが……どう言う訳か、今宵は一人の子供の姿】


「そっか……もう外はそんなになってるんだね
僕も自分の足で外を歩いてみたいな……」

【ベンチに座り、指に止まらせた小鳥に語りかけ。歳は恐らく15歳前後であろうか】
【肌も透き通るように白く、髪も色素が抜け落ちたかのような純白。それなのに、瞳だけは血の様に紅く】
【――――アルビノ、と呼ばれる存在。実際、小鳥に言葉が通じている様な節も所々に見え】


「……うん。何時か一緒に色々見ようね
僕も、沢山友達を作って――…………」

【元より虚弱体質なのだろう。咳き込んでしまえば中々に止まらず、其れを見る小鳥は心配そうに小さな鳴き声を上げ】
【――――夜も遅い、と言う事もあり咳の音とて中々に響く。更にはこの病院、数多くのクスリも販売しているのだから旅の者達が愛用していたり、なんて事もある】
【少女の姿も闇に反して白なのだから、見つけやすいかもしれないけれど】












【静まりかえった夜の街。この時間に出歩く者と言えば精々旅人だとかその程度】
【――――さて。そんな街の公園に備えられたベンチに一人の姿。緑色のローブを纏った女が座っていて】


「良し……これで下調べも終わったし、今できる事はこれで全部かな……?」

【隣には積み上げられた学術書。見る者が見れば其れは遺跡や遺物に関する事が記されているのだと分かるだろうし】
【そうで無い者が見たとしても少なからず専門的な物であると理解出来る筈で】
【「ん――――」なんて声と共に背伸びをすれば時計を見遣る。時刻は夜更けと言っても差し支えない時間】
【憂鬱げに溜息を吐いたならば積んでいた書物を膝の上に移動させて】


「思ったよりも遅くなっちゃったな……どうせならこのまま直接行っちゃっても良いんだろうけど……
ううん――――まだ宿が空いてるとも限らないし……」

【果たしてこの時間、宿に空きの部屋などあるのだろうか】
【無ければ無いで今からでも己の目的を果たしに行くか、でなければまた別な街へ行って宿を探すか】
【瞬く星々を眺めながらぼうっと考える様は正しく悩める人】
【加えて、ベンチは灯りの下に備えられているのだからその姿もよく目立つのだけれど】
184 :??? ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/23(土) 00:22:00.42 ID:VFsRdxKGo
>>180
そういう物さ、諦めてくれ
いや、僕自身は是非とも君と座ってお話ししてもいいんだけどね、そうともいかないからさ

【鋼鉄の腕同士の工房に因る火花がお互いの顔を照らす。人と人との戦いでは絶対に鳴らない音が、絶対に感じられない感触が、そこにはあった】
【ジリジリと貫く隙を見つけんと腕を引っ掻く爪先、その爪先が僅かに腕を傷付ける度に、鉄を削る嫌な音がする】

【涼しい表情。軽い口調で当たるのは、これがまだほんの小手調べである事の証明なのかもしれない】
【その証拠に、この攻撃に全身の体重をかけるなんてバカな事はしておらず、防御な引かれれば素早くそれに反応、体重を引き戻して体制が崩れるのを抑える】
【続け様の肘打ちに対しては、踏み込んだ方の脚に体を預けるようにして上体を落とし回避した】

素晴らしい答えだね、ああ素晴らしいよ、自分探しだなんて羨ましい
自分すら分からないというのは全くどれ程堪え難い気分なのか、一度知ってみたい物さ

ああ、僕かい?僕は別に、大した理由じゃない
何処の世界にも、変態はいるって事さ、こう言うのが好きな人間もね

【半歩下がった相手を追い掛けるように、踏み込んだのと逆の脚を大きく踏み出しながら、腰の捻りに合わせて体の向きを反転させる】
【体制は低いまま、空いていた左手は既に構えられていて。距離が合えば抉りこむような左肘での肘打ちを相手の鳩尾に放つ】

まあ、気に入っているんだけどね、この手足も
185 : ◆VVURn/3wpI[sage saga]:2015/05/23(土) 00:27:01.60 ID:AbfmNDU20
>>184
/すみません、眠気が近付いてきました故凍結か〆をお願いしてもよろしいでしょうか?
/こちらから絡んでおいて申し訳ありません……
186 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/23(土) 00:41:05.76 ID:dq1ZOeZw0
>>181

【告げられる、彼女の母親と彼女の事。―――彼女の体質は、母親から遺伝したという事】
【その母親は、身体を改造されて毒を持ち寿命が短い体質だった事。……彼女が24でこの世を去った事。】
【その全てを聞いた春燕に、もう取り乱したような様子は無かった。納得したような表情を浮かべて】

……分かりましタ。貴女の寿命は、病気とかじゃなくて……そうなる定めだったのですネ。

……前に話して下さったのは、他ならぬ貴女自身の事だったんですネ。
死という抗えない絶望を、どう受け止めていくカ……その答えを、あの時教えてくれましたよネ。
大切な人が傍にいれば、死も怖くない、って―――そっか、あれは貴女の事だったんですネ。

【三年。普通の人間から見ればきっと誰でも、短すぎると思ってしまうような残りの寿命。】
【……でも、彼女は違った。たったの三年しか残されてはいないとは、考えていなかった。】
【死ぬ時に一緒に誰かが居てくれる。きっと大切な人なのだろう、その人が傍にいてくれる。】
【だから、もう死は怖くないのだと。……そう言って、死を受け入れていた】
【彼女は三年という残された寿命に絶望などしていなかった。死を受け入れ、残された時間に向き合い、】
【―――その残された時間を大切な誰かと過ごす、穏やかな幸せを感じていた。】

……不思議な物ですネ。貴女も、貴女のお母様も、短い生涯の中で確かな幸せを掴んでいル。
愛されて、見守られて……短くても、幸せな人生を全うしょうとしていル。
貴女のお母様にとっては、お父様が。貴女には、その看取ると言ってくれた人が……幸せにしてくれていル。

……私は、治すのが仕事の人間でス。出来るだけ死を遠ざけて、あがいて、生かす事が仕事でス。
でも―――死を受け入れて、限られた時間を幸せに過ごすのも、人として最後まで「生きる」道の一つなのですネ。

……えへへ。ちょっぴり、羨ましいです。そうやって貴女の傍にいて、幸せにしてくれる人が居るのガ……
ね、アコーディオンさん。……私も、そんな風に傍にいてくれる誰かが見つかるでしょうカ?

……そうダ!良かったら貴女と一緒に居る事を決めた人のお話を……聞かせてくれませんカ?
貴女の死に付き合うって……そう言ってくれた人の事。教えて下さイ!

【もう、彼女の「生」は諦めた。……というより、彼女が「より良い死」を目指している事に納得した】
【今は、彼女に寄り添う「誰か」のお話が聞きたい。―――近い最期まで、静かな幸せを齎してくれる「誰か」の話が。】
187 :??? ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/23(土) 00:45:03.39 ID:VFsRdxKGo
>>185
/遅れて申し訳ありません、では凍結という事で
/明日は夕方からならいつでも再開出来ると思うので、舞台裏で呼び掛けてください
188 :怪盗コンフェイト ◆QdUgTofQJFfy[saga sage]:2015/05/23(土) 00:57:22.28 ID:fO+je8110
>>182


いつか僕の本が売れたら、存分に読んで下さい

(良し。一先ず最初の危機は脱した……)


【手を引っ込めた少女に、青年は勝ち誇った気分になって、スケッチブックを勝利の報酬のようにほくほくと受け取って仕舞う】
【それで余裕が出来たのか、少女の向ける視線を肴に青年はケーキにフォークを突き刺して一口頬張る】


う〜んそうですね〜。ネタバレはしたくないですけど、あらすじだけなら良いですよ?


【さきほどまでの態度とは一変。質問にも余裕とばかりに胸を張って応じる】


主人公は……


【とはいえ、下手な嘘がマズイというのは変わらない】


主人公は、怪盗なんです。


【紅茶を手に取り、青年は語る】


世界を股に掛ける怪盗で、ただ盗むだけではなく、なんというか……エンターテイナーで、
いつもあっと驚く方法で盗んでみせるので、警察組織には恨まれこそすれ、市民には人気者でした。

けどある日、盗みに入った美術館で死体を見つけてしまうんです。運の悪い事に、それを警官に
見られたために彼は盗みを中断して逃亡。そのせいで殺人を犯したと冤罪を掛けられてしまうんです。

そこで彼は探偵として活動を始め、事件を解決し、怪盗の冤罪を晴らす……というものです。


【そこでまた紅茶を飲み、どうだとばかりに笑みを零す】
189 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage]:2015/05/23(土) 01:13:20.64 ID:vCA4upMS0
>>186

そう言う事……残念な話かもしれないけどね?

【既に彼女は、その命に対する怒りも絶望も済ませ、その事実を受け入れる所まで来ている】
【耐え難い苦痛であろう『発作』の中でも、彼女がそれを耐えられるのは、慣れと言うのもあるのだろうが、それを受け入れる心算が出来たからと言う事もあるのだろう】

そうね……あの時は、初対面の相手にこんな事を話すのもどうかな、って思ったんだけど……
……あたしが、そんなこんなを知らないで、ただ『発作』に苦しめられて、ある日突然一気に死に向かって行ったら……きっと、滅茶苦茶後悔して死んじゃってただろうから、さ
――――真実を知ったおかげで、今のあたしがある。だから……死の淵に居る人間にとっては、それが大事なんじゃないかって、ね……

【――――それがどんなに過酷なものであっても、気休めよりも真実が知りたい】
【アコーディオンの言っていた事は、正にこの通りの事だったのだ。あの言葉の真意が、ここに結実した】
【そのおかげで、どうやら後悔を残さずに逝く事が出来そうなのだ、と】

……ママは、本当に幸せだったのかな。そこは分かんない。でも……パパは、ママを愛してくれてた……それだけは、間違いないのよね

【さしものアコーディオンも、赤子の内に無くした母の事はよく分からない。自分と同じ様な命の持ち主だった母は、果たして何を思って死んでいったのか】
【ただ、自分自身と照らしてみて――――それほど悪いものでも無かったんじゃないか。不思議とそう思えた】

……ひょっとしたら、あなたはあたしの事で、自分が敗北した――――なんて、思っちゃうんじゃないかって、ちょっと不安だった
でも、そんな事もなかったみたいで……正直、安心したよ。あなたは……折れる様な事をしなかった

【仰々しい前置きを口にしたのも、そうした懸念があったからなのだろう。真実を知る事こそ、その人物の本質を掬い出す――――それが、アコーディオンの理論だった】
【春燕の本質は、この程度では己の節を曲げる事をしない、しっかりしたものだった。アコーディオンも、どこか安堵した様子で頷いて】

――――大丈夫よ。あたしにも見つけられたんだもん。どうあっても、あたしのパートナーには、世界中でこの人しかいないって人が、ね
春燕みたいな良い娘だったら、きっと見つけられると思うよ。……良い人は、良い縁を呼び込んでくれる。その絆はきっと……あなたを支えてくれる

【どこか確信を感じさせながら、アコーディオンは春燕に是の言葉を返す】
【――――自分なんかよりも、よっぽど人に恵まれているだろう春燕が、そうした絆を見つけられないはずが無い】
【そうした人を想い定めるのは、自分よりも彼女の方が得意ではないか、と――――】

え……良いけど、そんなに面白い話でも無いと、思うよ……?
……聞きたいなら、幾らでも話すつもりだけど……――――ちょっとアングラな人だし、ねぇ?

【春燕の問いに、どこか返答に窮する様に頬を掻く】
【――――正直、SCARLETの一員である春燕とは、相性の悪そうな人物らしい。アコーディオンも、隠すつもりは無いが、それを話すのは……と躊躇した様だった】

――――言ったよね、あたしと長く側にいると、身体を蝕んじゃうって……彼は……彼だけは、あたしの『毒』が平気なの
伝法で、ぶっきらぼうで……だけど、ずっとそばに居るって言ってくれた……それに、よく美味しいお土産を持ってきてくれるし……
……『悪』は絶対に許さないっていう、強い信念みたいなものを持ってて…………彼は、『愛』なんてウェットなものは好きじゃないって言うけど……あたしは…………

【躊躇しながらも、人となりを口にしていくアコーディオン。そして一度語り出すと、やはり想い人の事、饒舌に口が回り出す】
【アコーディオンの体質に耐性を持ち、ささやかながらも親愛の情を示してくれて――――そして、その死を受け止めてくれると宣言した】
【まるで大切な思い出話を語る様に、緩く解けるようなため息を伴いながら、その言葉は紡がれていく】
190 :夜凪レラ ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/23(土) 01:31:30.44 ID:U3FU7DQpo
>>188

【余裕を取り戻してケーキを頬張り始める青年の姿に、レラはやや釈然としないものを感じてさらに頬を膨らませる】
【「むぅ……」と唸りながらまたジュースを流し込んで。青年が語り始めるストーリーを退屈そうに聞き始めるけれど――】


………ぐ、その、なんだ。"じけいだん"の一員としては、言ってはいけないかもしれないが………。
おもしろそうだな、そのはなし。


【……そもそもヘンゼルが本当に小説家志望なのか、この話が本当なのか嘘なのか、そういう真偽は別として】
【レラ個人として、内容はちょっとわくわくするものだったらしい。なんだか負けたような気がしたのか悔しそうだけれど】
【もし自身が自警団やSCARLETという立場でなければ、目を輝かせてさらに続きを促していただろう。こういうところは、やはり子供だ】


ふん……まぁ、いい。
おい、なにか身分をしょうめいできるものをもっていたら、みせろ。それとここに記入するのだ。きょうは、それでゆるしてやろう!


【一通り話を聞いて、レラはこれ以上の追求を諦めたようだ。……ヘンゼルが本当に"善良な一般人"だと、心から信じたわけではないようだが】
【証拠もなにもないし、そもそも未遂以前の状態である。詰所まで同行してもらって話を聞く、という選択に持っていくのも少々厳しい】
【本日の『職務質問』は、これにて終了となる――最後に身分証明証の提示と、調書へ名前と住所の記名を求められはするものの、】
【前者は「持っていない」といえば無理強いされることはないし、後者は適当に書くなりすれば、とりあえずこの場は誤魔化せるだろう】


――実はおまえ自身がその"かいとう"で、これからあの"びじゅつかん"にぬすみに入って、名を上げてやろうとおもっていたとか……。
そういうことでないのならいいのだ。だがもう、こんな場所でまぎらわしいことはするんじゃないぞ?


【……さりげなくこちらの疑いをぜんぶぶちまけて、ヘンゼルの反応を見てやろう、なんて意地悪をしつつ】
【最後に、びしり、と少女は人差し指をヘンゼルに突きつけて叱るだろう。相変わらず、可愛らしいだけで迫力はないけれど……】
191 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/23(土) 02:10:19.61 ID:dq1ZOeZw0
>>189

……絆、ですカ。えへへ……アコーディオンさんがそう言うなら、見つかるような気がしまス!
世界中でたった一人の、私の事を全て受け入れてくれる人―――私にも、いつか見つかればいいナ。

【春燕には、まだ想い人は居ない。アコーディオンのように、人生のすべてを預けられるような人を見つけていない】
【いつか、そんな風に自分の傍にいて全てを預かってくれるような人が見つかるのだろうか。それは分からないけれど】
【アコーディオンがそう言うなら、見つかる気がする。……死を迎える日まで、幸せにしてくれるようなパートナーが】
【確信めいたアコーディオンの返事に、春燕は嬉しそうに微笑みながら頷く。いつか、素敵な絆が出来る事を信じて】
【いつかそんな素敵な人を見つけられることを夢見て。幸せを味会える日が来ることを願って―――】

【――で、そのアコーディオンにとっての「世界で一人だけの掛け替えの無いパートナー」のお話】
【死に近いアコーディオンを幸せにしている人が、一体どんな人なのか。気にならない方が不思議な訳で】
【訊いてみると、アコーディオンは少し言い辛そうにしている。……どうやら、裏側の世界の人らしく】

【それでも、一度話し出すと止まらない。とめどなく溢れるようなその人への想いを、言葉にして綴っていく】
【彼女が本当にその人の事を想っている事がよく分かる。愛しているって、きっとこういう事を言うのだろう】
【その想いは言葉を通じて春燕にも伝わる。……きっと、彼女は幸せだ。こんなに大切な想い人が居るのだから―――】

……こんなにも、その人を想ってるんですネ。―――その人の事を話す時の貴女は、とっても幸せそうでス。
―――好き、ですか?その人の事。
192 :怪盗コンフェイト ◆QdUgTofQJFfy[saga sage]:2015/05/23(土) 02:26:06.53 ID:fO+je8110
>>190


ふふ〜ん、でしょう?我ながら傑作の予感がしてるんですよね〜


【勝った。青年はそう確信した】
【始めに疑われこそしたものの、完全に自分の流れに持っていくことが出来たと思っていた】


身分証明書ですか?いいですとも。


【提示を求められた身分証明書も、調書に書く住所も問題は無い】
【名前は確かにヘンゼル・ショッパーシュガーだが、それ以外はすべて偽造】
【後に調べられたところで名前以外は何も分からないようにしている】

【すらすらと、調子良く鼻歌混じりで青年は調書にありもしない住所などを書いていく】

【だが、やはり正義の目は誤魔化せる物ではないらしい。少女の可愛らしくも核心を突いた言葉に】


ッ!?


【ゴリッ】

【と、調書を書いていたペンが枠線をはみ出して滑った】


ふ、ふふふふ。はははっはは。な、なかなかユニークな発想ですねー。
お嬢さんにも小説家の才能があるかもしれませんねーーーー。アハハハアハッアハハハハハハ!

ま、まぁでも!結局僕は”善良な””一般市民”ですから!お嬢さんこそ、初対面の人に何の証拠もなく
そういった疑いを向けるのは良くないんじゃないかな〜なんて!


【書き終えた調書を返して、青年は紅茶とケーキを食べる事に専念し始めた。というか、それで動揺を隠そうとしていた】
193 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage]:2015/05/23(土) 02:37:29.59 ID:vCA4upMS0
>>191

……大丈夫、焦る事は無いわよ。時間ならたっぷりあるから、ね?
それが……出会った時に、すぐに分かったり……良く漫画なんかにある様な「目が合えば分かる」なんて話は、流石に無いでしょうけど……
それでも、言葉を交わしてみれば、きっと分かるわよ。この人と自分は、きっと繋がるんだ、ずっと繋がるんだ……って
――――あぁでも、悪い男に捕まったりしちゃダメよ?

【そろそろ、苦痛の残滓も流れていったのだろう。口元にわずかに籠っていた力も緩んでいく】
【春燕ならば、時間を掛けてじっくりと探す事が出来る――――もう時間の無いアコーディオンが言うには、いささか重い言葉かもしれないが】
【当の本人は気にした様子でも無く、そっと言葉で春燕の背中を押す。そうした絆は、人生において大切なものだ】
【見つけられるなら、それに越した事は無いのだ、と――――】

……ちょっと秘密だけど、彼……あたしとも、血が繋がってたのが分かったんだ
だから、一度は別れた事もあったけど…………それでも、やっぱりあたしは、もう彼と会わないなんて、出来なかった……
彼が居てくれたから、あたし……久々に人の温もりを思い出せたんだ……
あたしの事を、てらいなく抱きしめてくれるのは……彼しかいないから、ね

【話題の中心となっている『彼』――――その人物は、幸か不幸か、アコーディオンの血縁に当たる人物だった】
【その事に負い目を感じて、一度は壊れかけた関係だが――――それでも、彼らは今も共に行動している】
【どこまでも、孤独でいるより他は無かったはずのアコーディオンに、その体温を伝えてくれる】
【なによりアコーディオンは、その事が嬉しかったのだろう】

……いっつも刺々しいけど、たまに年下らしく、可愛い所もあったりするのも、ねぇ?
……こんな事を言っちゃうと、本気で怒られかねないけど

【ニマッと口元が綻ぶ。ちょっと余計な事を思い出したりしたのかもしれない】

――――えぇ。きっとあたしは、彼を愛しちゃってる…………色んな複雑な事があったし、血の事を引き摺ったのも事実だけど、それでも……
……あたしにとっての、救世主だもの…………

【春燕の問いには、流石に一瞬言葉が詰まって。それでも最終的には、ハッキリと頷いて見せた】
【そっと胸元に手をあてがい、己の鼓動を確かめる――――ビートが、わずかに早くなっていた】

――――でも、だからこそ心配なの。最近の彼、無茶が多くなってきて……このままじゃ、あたしより先に死んじゃうんじゃないかって思う事がある位で……
まぁ、彼は絶対に自分を曲げない人だし、とても強い人だから……杞憂だとは思うんだけど、ね……

【――――その想い人は、この世界ではそう珍しくもないが、命の危険に自ら身を晒す性質の人間であるらしい】
【その人柄は、ほとんど見えてこないだろうが――――戦いなど、この世界では珍しくもなんともない】

――――――――……そうだ。伝えとかなきゃ…………
……春燕、SCARLETとしてのあなたに、言っとかなきゃいけない事があるの。覚えてて……
――――近く、風の国で一悶着がありそう……その予兆だと思う事があったら、無辜の人を護ってあげて欲しい…………
巻き込まれないとも、限らないから……人を巻き込む様な戦いには、ならないはずだけど……

【ふと、アコーディオンの様子が切り替わり、春燕に警句じみた言葉を向ける】
【風の国――――そこで、何らかの混乱が起きる可能性があると、そう告げて。恐らくは、記者としての彼女の掴んだ、何らかの情報があるのだろう】

/今日はそろそろ限界です……更に持ち越し、宜しいでしょうか?
194 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/23(土) 02:46:33.43 ID:dq1ZOeZw0
>>193
//了解です!明日アコーディオンさんはイベントに参加されていますよね?
//もうロールも1・2レスで終わると思いますが、念の為置きレスの方に落としておきますね!
195 :夜凪レラ ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/23(土) 02:48:25.36 ID:U3FU7DQpo
>>192

【ヘンゼルが手続きを終えると、レラは調書を回収して懐にしまった。最後のドーナツを食べ終えるとトレイを回収し】
【ジュースを持って席を立つだろう。――元々、仕事終わりにおやつでも食べていこう、という途中のできごとだったのだ】
【業務時間外の仕事はレラにとってもあまり好ましくない。ヘンゼルに背を向け、そのまま歩み去っていくだろう】


わたしたちだって、そこらの人間をかたっぱしから、うたがってかかるわけじゃないぞ。
おまえはその、すぐに"どうよう"するクセをどうにかしろ! それが"しょうこ"に見えるのだ、まったくまぎらわしい!

――それともし、近々ほんとうに、あの"びじゅつかん"に盗人があらわれたりしたら……かくごしろよ?
では、わたしはもう行く。いい"しょうせつ"ができあがるのを、きたいしているぞ! ヘンゼル・ショッパーシュガー!


【……ちょっとした意地悪のはずが、やっぱり動揺しすぎだろう。レラは今日いちばん大きな溜息をついて、ヘンゼルを睨んだ】
【そのあからさまに怪しい態度もあって、けっきょく最後まで少女の疑いが完全に晴れることはなかったようである】
【少なくとも――顔と名前は完全に覚えられてしまった。これでもし、"怪盗"が即座に計画を実行に移すようなことがあれば、】
【"ヘンゼル・ショッパーシュガー"がまず真っ先に疑われてしまうはずだ。計画は多少変更する必要があるかもしれない……】

【いかにも「おまえのことは覚えたぞ」と牽制するかのように、レラは青年の名前を大声で呼びながら、店内の方へ消えていった】
【――あとあと、ここで彼を見逃した選択を、少女は良かったと思うのか後悔することになるのか。それは今はまだ、わからない】


/この辺りで〆でしょうかっ
/お疲れさまでしたー!
196 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage]:2015/05/23(土) 02:51:30.97 ID:vCA4upMS0
>>194
/はい、こちらでも恐らくそろそろ〆に……と思ってました。では最後までよろしくお願いしますー!
197 :怪盗コンフェイト ◆QdUgTofQJFfy[saga sage]:2015/05/23(土) 03:30:14.31 ID:fO+je8110
>>195


……はい。


【やっぱり隠せていなかった己の分かりやすさを年下の少女に指摘され、青年は素直に頷いた】


えぇ、縁があったら、読者一号になってもらいましょうか……

(完全に目を付けられたなぁこりゃ……)


【去っていく少女に呟きで返して、青年は残った紅茶を一気に飲み干した】
【そして、少女が喫茶店から出て行くのを視線で見送ってから、懐から一枚のカードを取り出した】
【それは本来、数日後に美術館に送りつけるはずの『予告状』だった】


……せっかく作ったのに……無駄になっちゃったなぁ〜


【自警団、それも『SCARLET』に所属する人物に覚えられてしまったのだ】
【少なくともこの街、あるいはこの国で『怪盗』が現れれば、彼女が自分を捕まえに来るかもしれない】


もったいないな〜……あ、そうだ!


【何かを思いついたように、青年はその『予告状』にある一文を書き足した】

【そして数日後、美術館にある絵画に、カードが挟まっていた。発見した警備員によると、カードにはこう書かれていた】


――――悲劇の芸術家『ゴッポ』の最高傑作『太陽の花』をいただきに参上する。――――
――――……予定でしたが『SCARLET』の夜凪レラという方に目を付けられたので止めました☆――――

                                ――――緋色の鷹に狙われし『甘き怪盗』より――――


【イタズラとして処理されたこのカードの存在が、夜凪レラの耳に届くかどうかは、定かではない】


/こちらこそありがとうございましたー!
198 : ◆8R7odKA9zA[sage]:2015/05/23(土) 12:40:27.68 ID:++xAxKNXo
>>177で再募集
199 : ◆VVURn/3wpI[sage saga]:2015/05/23(土) 15:31:46.13 ID:AbfmNDU20
>>184>>187

耐えがたいというよりかは、もどかしい気分かな。 実際気持ちの上では頼りないことこの上ないけれど
しかし変態とはいうがね、君……失礼だがその発言は同類項に聞こえてしまうよ

【無いものを失う感覚は、義肢を付けているものからすれば理解しがたいともいえないものではないだろうか】
【羨ましいという言葉に面食らったのか。同時に肘打ちを空振りさせられ、たたらを踏んで爪先を滑らせる。右足が軽く地にめり込んだ】

っと……そうらしい、素晴らしい機動振りだ。 故郷ではここまでのは滅多にお目に掛かれないよ……!

【当然だが義肢という後付品では通常の手足のように動く事は難しい。その難を相手は軽々と乗り越えて余裕の表情】
【感嘆の言葉を漏らし、前足がステップを踏むように向きを変える。懐の向きが変わり、一瞬背を向けてその身が軸を半回転させる】
【バックハンドで合わせたのは左の肘打ち。腰を落として同体格の間合いを辛うじて保ったまま、硬い肘と肘が正面からぶつかった】

っく――――っ、
……ぅむ、お喋りしているのも楽しいが、君の力を試すのも捨てがたい……困ったな、拙者は不器用なんだ

【衝撃が全身を伝い、フードが後ろにずり落ち、赤毛の総髪を揺らした、頬にひっかき傷を持つ女の顔が火花で照らされる】
【ぶつぶつとした口調と共に、紫の瞳が好奇から闘志へ徐々に移り変わっていく。小手調べのつもりが次第に声も熱を帯びていく】
【戦闘慣れしているばかりでなく、戸惑いながらも戦いに身を投じる事に少なからず喜びを覚えて居るようであった】

声を掛けたのは拙者だが、仕掛けたのはそちらだ、構わんだろう――――?

【むん、と息を飲み込んだ瞬間、肘を伝って前面に急激な圧が加わる】
【踏み込んだ訳ではない、膝を曲げ、重心を更に落としただけだ。しかし重量の金属をくっ付けている身体は、普通の人体とは重心の配置が全く異なる】
【ずしんと奥の右足が再びめり込んだのがそれを何よりも顕著に示していた】


/凍結ありがとうございます、お返ししておきます
/また夕方に舞台裏で声掛けさせてもらいますね
200 :??? ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/23(土) 18:41:02.13 ID:VFsRdxKGo
>>199
───いや何、別に誰かをアレ≠ニ纏める気はないよ、奴ほどの変態はいないだろうし
何をどう拗らせれば『愛玩用』の人間の手足を捥いでこんな物なんか付けるか、考えるだけで頭が痛くなる

【反撃に合わせられた同様の攻撃、肘と肘がぶつかり合って言葉通り火花を散らし、暗い路地裏がほんの一瞬だけ明るくなる】
【フードの下の赤髪を見ると、「似た者同士か」と呟き笑う、それでも、動物が角を突き合せるのと同じく一歩も引かぬぶつけ合いは続く】

良いぞ、やろうじゃないか、互いの野生を晒し合い、その中に人間≠見出そう
ただの会話だけでは知れぬ存ぜぬ人間性を僕に見せてくれ!

【相手が声に熱を帯びさせるのと同じく、この女も徐々に、しかし確かに昂りを見せてきている。赤い右眼が鮮やかさを増して行き、声に力がこもり出す】
【押し通る、と肘に力を込めたのも同時、だが勝っていたのは相手の方だ、重心の移動がそれだけでは語れぬ力を生み出して、圧力がかかる】
【これを正面から受けるのは不味いと見た女は、その圧を受けた瞬間に攻撃を取り止め、素早く後ろに飛びすさってそれから逃れた】

【飛び退る、にしてもその動きはダイナミックで、大きく飛び上がりながら宙返りを披露して、曲芸じみて地面に4本脚で着地する】
【鉄の爪をコンクリートに突き立て、顎を地面擦れ擦れまで下げるのは獣のそれと見紛うか】

くくくっ!素晴らしいな、素晴らしいよ、矢張りこういう手合いとやるのが一番愉しい
牙も爪も持たぬ無能力者を狩るのも悪くない、悪くないが───やはり、こっちの方がいい

【獣のような四つん這いのまま、体制を直さない女の腰から、血のように赤い物───否、それは正しく鮮血≠ナあった───が、噴き出してくる】
【魔力によって固められたそれは、人一人を掴めるような巨大な掌と、鉄を貫く爪を持った右腕だ。魔物の尻尾めいた箇所から生えたそれは、蛇が鎌首を擡げるように】

折角だ、今ここで死ぬ可能性も無きにしも非ずという事で、僕の名前を覚えて置いてくれはしまいか?
『123番』なんて呼ばれた頃も有ったけど───僕の名前はライン=アインツヴァイドと言うものだ、もし僕を君が殺してしまったなら、墓にはこの名前を刻んでくれ

【その獣じみた人間の名は、ある種皮肉的な、自嘲的な洒落による名前、だがこんな名前でも、人の様な名前がある事が重要なのだ】
【グオん、と空気が押し出された音がして、ラインの腰から生えた赤い巨腕が振るわれる。爪を立てた五指がまるでハエを叩くかの様に、相手の上から落とされた】

/了解しました、取り敢えず返しておきますね
201 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県)[sagesaga]:2015/05/23(土) 19:15:32.50 ID:yMAAJLndo
【海岸】
【といっても、一般的なビーチではない。防砂林はなく草原が茂り、海中には海藻が生え、多様な生き物が住む――つまりは手付かずな自然】

「夕ゥ陽が沈むまで後3、2、1、――さァて、まァだ明るいが夜だな」
「まッ、俺様は太陽があァろうがなァかろうが問題なく活動でェきる……数える必要なんてねェぜ、ククッ」

【海岸に一人立つもの、それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「身ァ体の修ゥ復能力も少し前に比べりゃア格段に上ァがったな、世ェ界整備に専念したのは正解だ」
「こォこも、ちょオーっと手ェを出ェして数ゥ年で良ォい素ォ材の場ァになァったな」 「……そォの弊ェ害でテロれんのは癪だがよ」

【で、この者が何をしているかといえば――そう、砂浜に打ち上げられた死骸やゴミを回収しているのだ】
【確かに、立ち入るものがおらず(かと言ってアクセスが悪いわけではない)、こうやって回収されなければ悪臭が漂うのだろう】
【――ところで、この海岸付近にはこんな噂がある……"未知の魔物が現れる、魔の地帯"】

【……なぜ手付かずの自然なのか? そういうことだ】

/あまり長くはいれません&8時〜8時半の間は確実に居ません
202 :フランツ・ヘンドリクセン&トレンチ・ミリオン・マクスウェル ◆/iCzTYjx0Y[!nasu_res]:2015/05/23(土) 19:34:17.35 ID:oRNpMlK8o


【乾いた風が、荒野から市街へと吹き抜けた。嵐の夜が明け、時刻は現在昼を過ぎた頃。】
【太陽が枯れた大地を刻々と照らし、穏やかな季節にしては気温が少し高くなってきた、そんな時分。】
【天災と、それを引き起こした"怪物"による人災とで、滅茶苦茶に荒れ果てた"彼の地"より、少し離れた地点。】

【"大地"の名を司る国土、その首都"ニュー・ドレファス"より北西に10km程進んだ、郊外】
【鉄道用の駅だけが存在する寂れた田舎町に現在、○名の勇気ある"志願兵"達が集まっていた。】
【彼等は今日この時、ある危険な"任務"を遂行する為に、自らの意思で此処に集った命知らずの者達だ。】

【そう、その危険な任務とは―――この郊外に位置する町から、首都へと繋がる"下水道"を伝い】
【首都直下に存在するという"敵"の仕掛けた"地下施設"へと潜入し、その正体を暴く、という物だった。】

【敵―――即ち、先日の首都大災害、関係者の間では"ベクター・インパクト"と呼ばれるあの事件で】
【首謀者となり、現在も首都を占領しているカノッサ機関が六罪王・『ベクター・ザ・"フォビドゥン"』がその敵だ。】
【今、首都の地下にてベクターは"何か"を企んでいる。その情報を受け、潜入ミッションが立てられた、という訳だった。】

【地下に"何らかの"施設がある、という事を発見したのは、民間軍事会社にして世界的シェアを誇る】
【地の国でも有数の巨大兵器工場を持った軍需企業、『マクスウェル・ファイヤーアームズ』の調査隊だった。】
【当該企業の製作する最新鋭ドローン探査機はキャタピラと簡易的な武装、高精度カメラにセンサーを備えた物であり】
【この度の"潜入任務"においても、国連対策本部に再度の調査隊として同行を許可されている程優れた性能を誇っている。】

【集った勇気ある志願者―――実力を兼ね備える"能力者"達に対し】
【本作戦の指揮を執る地の国国軍の諜報部長官"フランツ・ヘンドリクセン"は】
【顔合わせも兼ねて、潜入前に作戦の確認説明・及び危険時の注意を行うだろう。】


 『おはよう―――おはよう、諸君。私は地の国、国軍諜報部長官の"フランツ"だ、宜しく頼む。』

 『―――よく集まってくれた。こんな危険な任務に諸君らを"送り込む"羽目になったのは言うまでもない、』
 
 『連中の動向を知りたいのと、今後の対策とを兼ねて、我々はより、情報収集に努める必要が―――あるからだ。』
 
 『そもそも、連中がなぜ地の国の首都を襲い、そして現在も彼の地を占拠しているのか、その理由は未だに不明なままだ。』

 『そして同様に、敵の首謀者である六罪王に関する情報も、少ない。ただ分っているのは"規格外"だと言う事、その一点のみだ。』

 『だがこれで、敵の情報を掴む事が出来れば、対策本部は次なる一手を"此方から"打ち出す事が出来る様になるだろう。』

 『いい加減反撃に出ないと、国民からのパッシングも日に日に増してきている状況でね、何時までものんびりとはしていられん。』

 『そこで、今回は君たちに首都直下、つまり敵の"ねぐら"に潜入して貰い、彼らがそこで今何を企んでいるのか、』

 『その正体を暴いてもらいたいのだ。勿論、言うまでもないが今回の作戦には諜報部代表として私も参加する。』

 『―――普通なら、諜報部の人間はおいそれと矢面には立たんのだがね。だが、信頼を得るには顔をあわせるのが一番だ。』

 『諸君らが命を賭ける以上、責任者として私も今回は同行させて貰う。必ず、敵の手の内を暴いてみせよう。ああ、そうだ―――、』
203 :フランツ・ヘンドリクセン&トレンチ・ミリオン・マクスウェル ◆/iCzTYjx0Y[!nasu_res]:2015/05/23(土) 19:36:01.83 ID:oRNpMlK8o
/失礼、ミスがあったので書き直します!!

【乾いた風が、荒野から市街へと吹き抜けた。嵐の夜が明け、時刻は現在昼を過ぎた頃。】
【太陽が枯れた大地を刻々と照らし、穏やかな季節にしては気温が少し高くなってきた、そんな時分。】
【天災と、それを引き起こした"怪物"による人災とで、滅茶苦茶に荒れ果てた"彼の地"より、少し離れた地点。】

【"大地"の名を司る国土、その首都"ニュー・ドレファス"より北西に10km程進んだ、郊外】
【鉄道用の駅だけが存在する寂れた田舎町に現在、9名の勇気ある"志願兵"達が集まっていた。】
【彼等は今日この時、ある危険な"任務"を遂行する為に、自らの意思で此処に集った命知らずの者達だ。】

【そう、その危険な任務とは―――この郊外に位置する町から、首都へと繋がる"下水道"を伝い】
【首都直下に存在するという"敵"の仕掛けた"地下施設"へと潜入し、その正体を暴く、という物だった。】

【敵―――即ち、先日の首都大災害、関係者の間では"ベクター・インパクト"と呼ばれるあの事件で】
【首謀者となり、現在も首都を占領しているカノッサ機関が六罪王・『ベクター・ザ・"フォビドゥン"』がその敵だ。】
【今、首都の地下にてベクターは"何か"を企んでいる。その情報を受け、潜入ミッションが立てられた、という訳だった。】

【地下に"何らかの"施設がある、という事を発見したのは、民間軍事会社にして世界的シェアを誇る】
【地の国でも有数の巨大兵器工場を持った軍需企業、『マクスウェル・ファイヤーアームズ』の調査隊だった。】
【当該企業の製作する最新鋭ドローン探査機はキャタピラと簡易的な武装、高精度カメラにセンサーを備えた物であり】
【この度の"潜入任務"においても、国連対策本部に再度の調査隊として同行を許可されている程優れた性能を誇っている。】

【集った勇気ある志願者―――実力を兼ね備える"能力者"達に対し】
【本作戦の指揮を執る地の国国軍の諜報部長官"フランツ・ヘンドリクセン"は】
【顔合わせも兼ねて、潜入前に作戦の確認説明・及び危険時の注意を行うだろう。】


 『おはよう―――おはよう、諸君。私は地の国、国軍諜報部長官の"フランツ"だ、宜しく頼む。』

 『―――よく集まってくれた。こんな危険な任務に諸君らを"送り込む"羽目になったのは言うまでもない、』
 
 『連中の動向を知りたいのと、今後の対策とを兼ねて、我々はより、情報収集に努める必要が―――あるからだ。』
 
 『そもそも、連中がなぜ地の国の首都を襲い、そして現在も彼の地を占拠しているのか、その理由は未だに不明なままだ。』

 『そして同様に、敵の首謀者である六罪王に関する情報も、少ない。ただ分っているのは"規格外"だと言う事、その一点のみだ。』

 『だがこれで、敵の情報を掴む事が出来れば、対策本部は次なる一手を"此方から"打ち出す事が出来る様になるだろう。』

 『いい加減反撃に出ないと、国民からのパッシングも日に日に増してきている状況でね、何時までものんびりとはしていられん。』

 『そこで、今回は君たちに首都直下、つまり敵の"ねぐら"に潜入して貰い、彼らがそこで今何を企んでいるのか、』

 『その正体を暴いてもらいたいのだ。勿論、言うまでもないが今回の作戦には諜報部代表として私も参加する。』

 『―――普通なら、諜報部の人間はおいそれと矢面には立たんのだがね。だが、信頼を得るには顔をあわせるのが一番だ。』

 『諸君らが命を賭ける以上、責任者として私も今回は同行させて貰う。必ず、敵の手の内を暴いてみせよう。ああ、そうだ―――、』
204 :フランツ・ヘンドリクセン&トレンチ・ミリオン・マクスウェル ◆/iCzTYjx0Y[!nasu_res]:2015/05/23(土) 19:38:15.68 ID:oRNpMlK8o

 『もう独り、諸君らに紹介したい人物がいる。今作戦における貴重な技術提供者、"マクスウェル・ファイヤー・アームズ"社のCEO』

 『―――"トレンチ・ミリオン・マクスウェル"氏だ。トレンチさん、どうぞ此方へ。』

【軽量とはいえ防弾装備に身を包んだ長官、フランツとは対照的に】
【この熱砂の田舎町にも、特殊任務にも不釣合いな、超高級スーツを身に纏い】
【サングラスで鋭い視線を隠した男が独り―――彼がトレンチ・ミリオン・マクスウェルだ。】
【トレンチは紹介に預かるとサングラスをかけたまま一歩前に出て、集まった9名らに挨拶をするだろう。】


 「―――この国は肥沃とは言い難い。枯れた大地に荒れた空気、年中照りつける太陽。」

 「ハッキリ云ってこんな国はカノッサ機関が躍起になって欲しがる程価値のある土地ではない。」

 「国防を担当する軍人や諸君らの前でそんなことを言うのは何だが、私はずっとそう考えて生きてきた。」

 「―――結果、産まれ故郷に誇れる何かを残そうと、私は企業を立ち上げ武器を売るという職を身につけた。」

 「マクスウェルの名は銃器に造詣がある者なら一度は耳にした事があるだろう、だからこそここまで育った会社を潰されるのは御免だ。」

 「何の理由があってか知らんが、この国を狙うと言う事は私の会社を狙うと言う事に他ならない。いわば、ベクターは商売敵だ。」

 「と、いう訳だから私も諸君らに協力する事になった、宜しく頼む。ドローンはテストを兼ねた試作型だ、力になる事を祈ってるよ。」

 「それから、隠密任務ということで特別なカスタムを施した我が社の武器を幾つか用意してきた。」

 「最新鋭の暗視装置をつけた高性能狙撃銃に、新型エア・バースト弾薬、それにリモート・コントロール可能な携行ミサイル。」

 「ライフルやハンドガンは全て消音機を装着済みだから、好きに使ってくれたまえ。以上だ。」

 『―――、う、うむ。作戦は五分後に開始だ、下水道を通して侵入を試みる。』

 『なに、熊が出るちょっと長めのハイキングだと思ってくれれば結構だ。では、各自準備を開始してくれ。』

【CEO(最高責任者)という言葉に恥じない、堂々として物怖じない態度のトレンチは】
【気だるげに短く切りそろえた金髪を太陽に輝かせ、睨みつけるように首都の方を見つめた。】

 「―――アレを倒せる武器なら、さぞかし売れそうだな。」

【齢にして40か、その辺りだろうか。若々しさと獰猛さすら感じさせる言葉を残し、彼は地下へともぐりこんだ―――。】

【かくして、少数精鋭、9名の能力者達による潜入任務が開始される。】
【集った各自は田舎町の列車駅にある地下道への入り口より、下水道へと降下することになるだろう―――。】

/イベント開始となります。参加者の方は此方の方にレスをお願いします!
205 :ユラ ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/05/23(土) 19:52:38.67 ID:lU87G1FDO
>>202-204

【ざり、とその場でつまらなさそうに指揮官の話を聞いていたのは、中学生か高校生ぐらいの少女だった】
【短い金髪と夜色の瞳を持つ彼女は、面積の小さい衣服で腰回りと胸部を覆い、皮で出来たブーツを履いている】
【──ばっさり言うならば、RPGでたまに見る「露出多めなシーフ」の格好だ】
【だがこの少女。残念ながらひょろりとした細身のもやし体型。筋肉も余計な贅肉もないない尽くし】
【その手の格好はばっちりと似合っている、というわけではなく──】


ふぁあ…………ん? あ、やっと話、終わったわけ?
あんたらきっと、ほら。……多分、学校の校長先生とか、お似合いだと思う

……えぇと。ユラ・エスパス。……ふん。リーべ・エスパスの、妹。知ってる人もいるんじゃない?
それで……あぁ、その手の武器は、いらない。多分、使えないし


【そう、低いぼそぼそとした声で自己紹介をした。不機嫌なのか、それとも本来このテンションなのか。恐らくは両方だ】
【彼女の持ち物は小さめのボウガン。それと腰元にアイテムポーチがあることから、他にも何かを所持しているのだろう】


(……お母さんなら、あのなんとかってゲームの裏ボスみたいなやつの会社も知ってんだろうな)
(でも……うん。覚えてたら、後で聞いておこ)


【光の射さない夜色の瞳で、ふいと彼女は周囲を見る。──結局、誰とも話すことがないという理由で、ぴょんと彼女は下水道へと降り立った】
【降り立つにしても、警戒心の欠片もない。怠そうな態度に細い身体。リーべのことを知っている者から見れば、本当に血族かどうかを疑うレベルだった】

/ユラです、よろしくお願いします!
206 :ニグレド・ユーリエフ ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/05/23(土) 19:55:57.15 ID:JP6E12CxO
>>203>>204

(……軍人に商売人は話が長くて困る)

【9人の能力者たちのうち──ニグレド・ユーリエフは激励の言葉をあまり聞こうとはしなかった】
【作戦が既に伝わっている以上、軍人がすることなど鼓舞ぐらいだ。元軍属であることもあって、ニグレドはそのことを知っていた】
【続いて商売人が出てくるのだとしたら話すことといえば自社のことだろう。立場やら何やらのアピールもあるだろう】

【つまり、そういったことがこの男はあまり好きではなかった】
【加えて言えば銃器のことはあまり知らないし、他人がその場で提供した武器を使う気にもならなかった】
【頼りになるものは背中の大剣と己の肉体のみ。他に必要なものなど何もない】

今日は人を斬らずに済みそうだな……

【安堵したかのように剣士は呟く。だがその面持ちは決して明るいものではなかった】
【トレンチに続いてニグレドも地下へと入っていく】
【どちらを守るべきかまだ分からないが、ひとまずトレンチかフランツのどちらかの近くを歩くだろう】

//今日はよろしくお願いします
//同グループの方々もお願いします!
207 :森島 京 ◆ItbpQ6xKnU[sage]:2015/05/23(土) 19:56:13.58 ID:Ua5jN4EMo
>>203>>204

【集まった面々の中には、歴戦の者も居るのだろうし、これで名を挙げようという物も居るのだろう】
【──、その中で、凡そ前者には見えない若者の姿は、どう映るだろうか】
【アイロンも掛けていないシャツに、スラックス。 黒髪に黒目の男だ】


……高そう。


【トレンチが薦めた武器を手に取り、見るだけで元の場所に戻す】
【それから、他の面々を見て、この場に似合わぬ──『ハイキング』に行く前のような、柔らかな笑みを浮かべた】


水国警察公安部、諜報第三課の森島京です。──どうも、よろしくお願いします。


【若しかしたら、その名に聞き覚えのある者も居るかも知れない】
【「対機関連合」の構成員として、機関に電波を通じた殺害予告まで出されていた人物だ】

【──と言っても、その名が盛んに取り上げられていたのは、数年前まで】
【昔の話だ。 知らない者の方が多いだろうし、知らないほうが普通だろう】

【どちらにせよ、確かなのは、「水国公安警察」の中でも指折りのカード≠ェ切られている、ということ】
【それだけ、『ベクター・ザ・フォビドゥン=xの脅威は、地の国に留まらず、世界規模として認識されているのだろう】


【──特に話しかけられることもなければ、彼はゆっくりと、下水道を下っていくだろう】
208 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage]:2015/05/23(土) 20:01:12.17 ID:vCA4upMS0
>>203-204

【――――カチッ、キュィィィン……】
【そんな電子音を響かせていたいたのは、この場に集まった『雇われ』の1人だった】

情報……情報、ね……バッチリ、この目で見て、耳で聞いて、肌で感じてくるって、ね
――――ま、偶には実になる仕事をしなきゃならないだろうし、久々に身体張っちゃいますか……!

【明るいピンク色の長髪を肩甲骨の辺りまで伸ばし、前髪をやや膨らませる様にセットしている】
【紫色に着色されたカジュアルジャケットと、レギンスとハーフパンツを組み合わせて着用している】
【――――目元にレンズ、両耳に円形のボディ、後頭部に装着用の調節器が一体化した、機械的なバイザーをつけている、身長160cm前後の女性】

【何らかの電子的スイッチの入ったバイザーを軽く調整し、遠目に映る首都にチラリと視線を飛ばす】

……せっかくこの仕事を紹介してくれた『伝手』の事もあるし、ま、しっかり成果を出さないとね
(……それに、セリーナ・ザ・"キッド"に何があったのか、六罪王が何を企んでるのか……『叔父様』も、知りたがってるだろうし……)

【一見、こうした荒事には向かないタイプの人間の様に映るだろうが、そこは異能を身に秘めた人間の1人である】
【軽く手足を振って調子を確かめると、口元にギュッと力が入る】
【――――任務とは衝突しない程度に、独自の思惑を秘めて参加してきたこの女性。名をアコーディオン=キュリオス=グリーンと言う】

――――確かに、そろそろ有効な対策を練らないと、負けが既成事実になっちゃうもんねぇ……
ま、情報収集に必要な心構え位は持ってるつもりだから、しっかり仕事をさせてもらいますよ……?

【フランツと名乗る諜報部の人間の言葉に、しっかりと頷きながら彼女は返事を返す】
【死間――――死を覚悟して情報を収集する。生間――――生きて帰って情報を伝達する】
【それを意識しているのだろう。自分の胸元と額をとを指差しながら、微かに口元に自信ありげな笑みを浮かべて見せた】

さて……ここから先は無駄話はお終い。行きましょうか……

【地下道への入口を一瞥すると、ゆっくりと歩を進めていくアコーディオン】
【ピリピリとした張り詰めた雰囲気を見せ始めた彼女は、既に意識を切り替えているのだろう】

/よろしくお願いしますー!
209 :アルフレド・フェリシアーノ ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/23(土) 20:01:12.86 ID:U3FU7DQpo
>>203 >>204


(……大企業の重鎮、というのは、どこも考えが読みとれんな)


【集合地点――前髪を左側だけ上げた藤色のミディアムヘア、赤紫色の瞳に黒縁メガネが特徴の、いかにも怜悧な印象の青年がいる】
【灰色のカッターシャツに白色のアフガンストール、下はデニムジーンズに膝丈ブーツという服装で】
【腰や上半身、両太股にはポーチ付きのベルトが巻き付いており、左胸の上と腰の左右にはホルスターがある】
【シャツの左肩には"水の国警察"を示すエンブレム。右肩には"SCARLET"のエンブレム――二つの意匠が、青年が正義の使徒であると語っていた】

【今宵の潜入任務――"砂漠の獅子"の群体から、自分も"志願兵"のひとりとしてここに来たのだが】
【フランツ氏からの作戦説明と、その後に続くトレンチ氏の演説を終えて、アルフレド・フェリシアーノはやや暗澹とした気分でいた】
【……『ベクター・ザ・"フォビドゥン"』の驚異ももちろんだが。『マクスウェル・ファイアーアームズ』の用意周到さに、若干のめまいを覚える】
【ホームグラウンドである地の国を脅かす仇敵を相手取るのだから、重武装は当然なのかも知れないが……積まれた武器の量に、警察としては空恐ろしい思いだ】
【ちょうど、懇意にしている知り合いに大企業の御曹司がいるが……あれとは真逆。獰猛で力強い何かを、トレンチ氏からは感じる――】


……皆さん、SCARLETから参りましたアルフレド・フェリシアーノと申します。
戦闘スタイルは見ての通り、遠距離攻撃型です。……潜入任務ですのであまり派手なことはできませんが、精一杯支援させていただきますので。
お互い、必ず無事に戻りましょう――――。


【――まあ、今はいい。それより集中しなければ。なにせ敵地のど真ん中への潜入だ、油断すれば待っているのは厳然たる死のみである】
【アルフレドは周囲のメンバーに軽く自己紹介をし、すでに両手に構えた奇抜な形状の二丁拳銃を見せて得意な戦い方を説明すると】
【手短に、しかし本心で「誰にも死んでほしくない」と告げ。そこで言葉を切って、作戦開始時間を待つだろう】
【……同じ警察から来た者を始め、錚々たるメンツが揃っているようだ。これなら大丈夫だと思いたいが――】

【やがて下水道への侵入が始まる。アルフレドは先ほど述べたとおり、集団の後方に付く形で降下していくはずである】
【この先、果たしてどんな罠が待っているのか――アルフレドは眼鏡を軽く押し上げながら、冷たい瞳で周囲へ警戒し始めるのだった】


/アルフレド・フェリシアーノです、本日はよろしくお願いします!
210 :ワザワイ・エスパス[sage]:2015/05/23(土) 20:02:08.59 ID:ob7jcVXe0
>>204
【紫色の影が音も無く下水道に降下していく】
【冷たくぬめった足場、悪臭】
【しかしそれはある種懐かしい物ですらあった、あの社長のような人間とは、また、愛しの姉とは対極の人間】
【暗闇に生を受けた狂気…だった少年】

(はいきんぐ…?あとでおねぇちゃん聞いて見よっと)

【そんな事を考えながらテキパキと下着だけになって頭にベルトで結わえて水蛇の様に汚水から目と鼻だけを出してゆっくりと進む】
【ワザワイ・エスパス、ここはこの男の娘のフィールドだ】
211 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2015/05/23(土) 20:04:02.48 ID:rQCgEBDAo
>>203>>204

(地下……ねぐらでもあるのかしら?寝首をかけるならいいけど……)
(経験上遺跡にしても何にしても潜るのって大抵碌な目に合わないのよねえ、やらない理由にはならないけれど)

【流れる髪は紅色の、ならば瞳は同じく焔のように沸き立つ魔翌力をそのローブに隠し身を包む1人の女性】
【小難しい表情はどことなく近寄り難く、可愛げは一切無いが為の飾らない姿】
【尤もこれからの出来事に可愛げなど必要あるまい、戦場に在るべきで無い物を求めた者から最初に死ぬ】

無所属、ヒトツギ・カズネ……魔術師よ
基本遠中距離の魔術戦しか出来ないからそのつもりで、ついでに探索の能力はそれなり
普段は遺跡とかに潜ってるからね経験だけはあるのかしら?

【一息に単純な紹介でも済ませれば小さく息を付き適当に周囲を見渡す】
【仲間、というか運命共同体或いは生き残り或いは死ぬだけの集まり、単純で良いわなどと小さくつぶやき】
【深淵へと続くであろうその下水道へと歩みを進めるだろう】

/カズネでありますよろしくお願いします
212 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank)[sage saga]:2015/05/23(土) 20:15:46.64 ID:ZQ9+zq2Z0
>>203-204

【集まった9人の男女、命知らずとは言われるが簡単に死ぬようなこともない頑丈かつ屈強な戦士達】
【その中の一人に、フランツに対しビシッとした固い敬礼で挨拶する女性がいた】

【幼さを感じられる顔つきに一般女性の平均よりも低い背丈、髪型はカールがかった腰近くまで伸ばした金髪に切り揃えた前髪】
【服装はグレーの軍服とキュロット、それに襟に巻かれたスカーフで、ミリタリー好きのお嬢様がコスプレしているかのような印象だ】
【彼女の名はエリーゼ・アルデリック、しかしこれでも水の国に所属する軍人で、上司からの命を受けてここにいる】

はっ!この任務、必ずや成功に導かせて頂きます!
(……うぅ……やっぱり緊張する…………知っている人全然いないし…………)

【発せられる声や姿勢は軍人らしくシャキッとしている、が 内心は不安であるらしく】
【もしも心が読めるのならさぞ可笑しな光景になっていたことであろう】
【しかし水の国のこの制服…………恐らくは以前対ベクターに協力したブラックから差し向けられた者か】
【ならば実力もあるのだろうが、中学やどう頑張っても高校生位に見えてしまう彼女は頼り無さそうに見えてしまうか……】

【ともあれ先ずは下水道へと向かい、そこからしばらくは道なりだろうか】
【彼女は武器は受け取らず 自前の装備で闘うらしい、腰に下げてあるのは金属製のトンファー】
【ということは近接格闘に自信ありと受け取っていいのか、とにかく今は考えるよりも進むことが優先されるだろう】

/此方エリーゼです、皆様よろしくお願いします!
213 :ギア・ボックス ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/05/23(土) 20:17:19.07 ID:1woltN1oo
>>203-204
【鉄道に乗ってこの田舎町に訪れるまで、その人形は表情を硬くしたままだった】
【そう、人形だ。一体の人形が、ひとりでに動いていた。細面の、青年の姿をした人形】

【人とは質感の違う肌に、青く無機質な瞳。少し長めの茶髪は人のものだろうか】
【普段とは違う、ジャケットの上にタクティカルベストを纏い、カーゴパンツに軍用ブーツを履いた潜入用の装備】
【UTメンバーである生き人形、ギア・ボックスはそんな出で立ちでこの場に立ち、眼前の二人の話に耳を傾けていた】

(諜報官さんは、任務に忠実な精鋭って感じだけど……あの社長さんは何というか)
(いかにもというか……こんな時でも、商機を見逃さないなんて。商売人としては見習うべきだろうけど)

――――UT所属の、ギア・ボックスです。皆さん、どうかよろしくお願いします
……任務内容、注意事項、共に確かに承知しました。全力を尽くします

【諜報官には頼りがいのある男、という印象を、CEOにはどこか底知れぬ人物、という印象を覚えつつ】
【それらを表に出さないように生き人形は彼らに頷きつつ返事をし、周囲の任務を共にする仲間たちにも挨拶をするだろう】

【それが終われば、後は再び表情を引き締めて『ハイキング』へと赴く。鬼が出るか蛇が出るか、いや潜んでいるのはもっと恐ろしいものか――――】

/ギア・ボックスです、お願いします
214 :フランツ・ヘンドリクセン&トレンチ・ミリオン・マクスウェル ◆/iCzTYjx0Y[!nasu_res]:2015/05/23(土) 21:10:04.99 ID:oRNpMlK8o
>>205-213(ALL)

【―――さて。一行が地下に降りると、護衛として数名の諜報部員と、特殊部隊所属の兵士も随伴するだろう。】
【しかし真っ先に地下へ降りたフランツはともかく、件のトレンチは一行が誰も自社製兵器を携行しなかった事が不服なのか】
【全員の装備と、集まった人間の顔を一人一人、しっかり確認しつつまるで―――"値定め"するかの様に冷徹な視線を向けていた。】


 「好きに使ってくれたまえ、と云った手前、金を取る気は無かったのだが……」

 「―――緊急時に必要になった場合には、一度の使用につき10万ほど頂こうか。」

 『……今のは、トレンチさんなりのジョークだ。まあ、潜入と言っても長旅だからな、終始無言というのも―――』

 「いや、私は本気だ。まあいい、使い慣れた武器があるのならそれを使ってくれたまえ。全く……これだから、"能力者"は。」


【軍事用のPDF(情報端末)をカチャカチャ、と弄りつつトレンチはそんな事を忌々しげに話した。】
【ともあれ、一行は首都へ向けてどんどんと地下道を進んでいく。どうやら、この辺りにはまだ危険も無いようだった。】


>>205

 『校長先生か、悪くないね。年中首脳部の嫌味を聞かされることも無ければ、』

 『他所の部署から面倒なミッションを押し付けられる事も無い、それに私はこう見えて子供がすきでね。』

 『ユラ君、君は中学生かな? それとも、高校生かな。いやなに、パーソナルなデータは閲覧しない事にしていてね。』

 「―――どちらでも良い。こんな小さな娘にまで協力を得ているとは、軍も中々疲弊しているようだな。」

 「商売相手をそろそろ見極める必要がありそうだ。―――ところで、その格好は何だ? 何かのコスプレか。」

 「潜入任務だと言う事は"姉"の方から聞いていると思ったのだが―――そういえば、今日は姉の"破壊神"さんは来ないのかね。」

 「ああ、来れそうにもないな。あの能力と考え無しの戦い方では到底、潜入など出来なさそうだ。」

 「―――となると、血を引く君にもあまり期待は出来ないのだが。まあ、その時代遅れのクロス・ボウが役立つ事を祈っているよ。」

【トレンチは情報端末から軍に協力した経緯を持つリーベ・エスパスの事を聞き及んでいたのだろう】
【姉の事を絡めて嫌味たらしくそう話すと、フランツが申し訳無さそうに『気難しい人でね、すまない』とフォローしてくるだろう。】

>>206

 『―――どうかね。敵兵も恐らくは巡回任務を継続している筈だ。』

 『面と向かって交戦することには成らずとも、背中からバレないようバッサリ、という事はあるかもしれん。』

 『その時は期待しているよ、君の事は自警団等から少しずつ聞き及んでいるからね。』

 『セリーナ・ザ・"キッド"の救出時には君も確か参加していただろう、あの時は―――』

【長い。話が長い。フランツは諜報部の人間という触れ込みだが―――このおしゃべり好き、本当にそうなのだろうか。】


>>207

 「ああ、高いぞ。壊れたら弁償してもらう、君の給料ならそう難しい事ではあるまい? 諜報第三課所属くん。」

 『―――君の事も聞き及んでいるよ、森島くん。同じ"諜報"部同士、今日は宜しく頼むよ。』

【トレンチは手元の端末で森島のデータを閲覧しながら、「有名人か」と、小さく呟いた。】
【潜入任務に名が知れた人間が流入する、というのもおかしな話だったが、それはそもそもトレンチも同じだった。】

215 :フランツ・ヘンドリクセン&トレンチ・ミリオン・マクスウェル ◆/iCzTYjx0Y[!nasu_res]:2015/05/23(土) 21:11:14.16 ID:oRNpMlK8o
>>209

 「……SCARLET所属、か。悪いが警察関係者は余り好きではなくてね。」

 「ウチの武器を軍から"払い下げ"で買い取っていると聞いている、まあそれは良い。」

 「金が無ければそうせざるをえない、それでも尚手が出ると言う事は、ウチの武器が優秀な証拠だ。」

 「―――ところで、その眼鏡。目が悪いのに遠距離担当とは、なかなか思い切った事を―――、」

 『ああ、そこまでにしよう。無事に帰ってこれればいい、君の云うとおりだアルフレドくん。』

 「……フン。」

【同行させた最新型のドローンを背後に引き連れ、トレンチは高圧的にアルフレドにそう話すだろう。】
【もとより商売相手としては警察は軍の二の次三の次といった所、あまり良い印象がなかったのだ。】
【だがその歯切れが悪くなりそうな会話をフランツが打ち切り、なんとか一向は首都へと近付いていく。】

>>212

 『―――水の国の。ああ、そうか……君は、もしかして"ブラック"氏の?』

 「軍人か。にしては若いな、それに―――肩の力が入りすぎている。心拍数も若干高い。」

 「もう少し落ち着いたらどうかね? なんなら、我が社が狙撃手用に開発した安定剤を―――、」

 「……いや、やめておこう。エモノがエモノだ、接近戦をするなら余計なお世話だったな。」

 『だが、本当に若いね。怪我は覚悟でいてくれよ、だが命までは決して捨てないでくれたまえ。』

 『同じ軍属として、君にも期待している。あの男の推薦した人物ならば、きっと上手くやってくれるだろうから、ね。』

【フランツは矢張り、以前のデータからブラックを知っているようで。】
【短く言葉をかけると、前を向いた。】


>>ALL

【さて―――嫌味な言葉を吐き続けるトレンチと、それをやんわりフォローする話好きのフランツ、という】
【一見不思議な組み合わせの男二人が先人を切り、その後ろを一行が追随するという形で目的地へと着実に近付いていく。】
【最後尾を固めるのはキャタピラを搭載した全地形対応型ドローン。国軍兵士は後方と、そして二人の護衛が数名展開している―――】

【―――そして、先頭が一旦脚を止める。長話の後に、ついに一向は"首都"へと到着していたのだ。】
【そのことを示す様に、下水道のトンネルに掘られた表記が"ニュー・ドレファス"の物になっていた。】
【つまり、ここから先は敵地のど真ん中へと侵入していく事になる、という訳であり―――ここで、フランツが兵士達と作戦を確認。】

【ドローンが先行し、道の先をスキャニング。敵兵の影がいない事を確認すると、更に脚を進め―――そして。】
【地下下水道が完全に"崩壊"し切った―――そう、地震で砕けた地盤が全員の目の前に広がり始めるだろう。】
【ここからは、真っ直ぐに進んでいく事は困難だ。下水道トンネルは途切れ、地下内部は滅茶苦茶な有様になっていた。】


 『―――この先から、"施設"の反応が?』
 「その通りだ。もう1kmも行かない辺りに、機械の反応が色濃く出ている。」
 『なるほど―――問題は、そこへどう向かうか、だな。』
 「いまスキャンしている。―――出たぞ、旧道が存在している。列車の線路工事をする際に、大昔に掘られた道がある。」
 『今でも使えるのか?』
 「かなり狭いが、機能はしている。これを通って施設に近付くルートと、もう一つは―――」
 『……"トンネル"を突き抜けるルートか。』

 「そういう事だな。瓦礫を迂回して、人が通れる小さな穴から潜入する。どちらかがいい?」

 『……二手に分かれるのが正解、だな。よし、部隊編成をしよう。』
216 :フランツ・ヘンドリクセン&トレンチ・ミリオン・マクスウェル ◆/iCzTYjx0Y[!nasu_res]:2015/05/23(土) 21:11:57.72 ID:oRNpMlK8o

【フランツは全員に対し、鉄道工事用にかつて使用されていた地下の"旧道"を使うルートと、】
【瓦礫の隙間から直接トンネルを経由する強行突破策、二つのルートを一向に提示するだろう。】
【そして全員に対し部隊編成を告げると、"グループA"と"グループB"の二手に別れ、作戦を継続すると宣言。】

【ユラ、森島、ギア、ワザワイ、そしてエリーゼの五名は"旧道"から回り道を使うルートに】

【そして残りの四名が、瓦礫の小さな隙間を通り抜けていくルートに選ばれた。各自は、それぞれ作戦を続行する。】


【―――当該のフランツは、グループBに、そしてトレンチはグループAへと随伴する事になった。】



【グループA】

【―――旧道はかなり高温で、湿った空気を流し込むいやな場所だった。】
【五名がゆっくりと旧道を進み始めたそのとき、見えてくるのは―――"人影"。】
【数は二人、恐らくはカノッサの巡回兵士だろうか。見張りがいると言う事は―――つまり。】

 「……ビンゴ、という事か。バレずにあの二人を処理できる物はいるか?」

【トレンチは自ら狙撃銃を取り出し構えると、兵士を隠密で倒せる者に協力を申し出る。】



【グループB】

【―――瓦礫の間は相当に狭く、身体をなんとか通していくのが精一杯だった。】
【ドローンはキャタピラを畳み、器用にも全身を収縮・自在に変形させてその間をすり抜けていく。】
【そしてその、瓦礫の向こうに広がっているのは―――破壊されたヘリやジープ、ハンヴィー等の軍車両達。】

 『どうやら、ここはもう"あの地震"が起きた真下の地点、という事らしいな。』

 『落下しているのは全てベクターと交戦した際に使われていた戦闘用車両ばかりだ。』

 『と、言う事はつまり―――"ヤツ"がいる可能性も高い、という訳だな。』

 『全員、用心してくれたまえ。―――いや、スキャンに反応が……っ、隠れろ!』

【フランツが手にした端末と、ドローンの生体スキャンに鋭い反応があった。】
【積まれた軍事車両の向こう側に、どうやら蠢く陰のようなものが見える―――敵兵、か。】


/と、いう訳でここでグループ分けとなります!
イベントスレにあったとおり、分割になりますのでご了承くださいませ。
217 :ニグレド・ユーリエフ ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/05/23(土) 21:22:02.05 ID:JP6E12CxO
>>214

……それぐらいならば構わん。仕事ならば俺も文句は言えん
あまり噂話は好きじゃないんだがな……それに、前回の仕事は散々だった

【前の戦いの話がフランツから出てくるとニグレドは明確に顔をしかめた】
【セリーナ・ザ・“キッド”救出作戦の結末は、この剣士にとってあまり良いものではなかったのだ】
【ペラペラと話しかけてくることに対しても良い気はしていなかったが、仕事の一部として堪えていた】

>>215>>216

【フランツ、トレンチ両名ともにあまり良い感情を抱いていないニグレドだったが】
【部隊を分割することには無言で従った。フランツと同じグループになっても、顔色は変わらない】
【分割直後、剣士の瞳は素早く同グループの人間たちを確認した。そしてやはり初めと同じようにフランツの近くに陣取った】

あの商売人よりは、あんたの方がマシそうだ……

【そう言った直後にフランツの端末に反応。ニグレドはすぐに彼を庇うように立ち、背中の大剣を引き抜いた】
【剣士はあくまで護衛として働き、敵の対処は他のメンバーに任せるだろう】
218 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2015/05/23(土) 21:33:09.93 ID:rQCgEBDAo
>>216

(ふーん……最近の機械って凄いのね、変幻自在というか何というか……)
(その分人間は不便か、なんでこんな狭い道を通らなきゃいけないのかしら、私だって一応は女なのだけど……っ)

【全てが壊れた窮屈な瓦礫の中を身体を押し通る、埃の香りがかつての戦いの名残を思わせる】
【かの魔人、そのねぐらかもしれない深域だと考えると息苦しくなるのも仕方の無い事だった】

―――――――……壮観、とでも言えばいいのかしらね

【人々が作り出した兵器の姿がそこにはあった】
【ただそれも今や役目を果たせずいつか完全に朽ちる時を待つのみの「遺跡」】
【触れた所で何があるでもないが扱う者の去った物はどこか哀れで、ふと足を止め冷たい肌を撫でる】

……っ!急なご登場ね……!

【響く声色に途端に身体を震わせて魔翌力のから流しを始める】
【同時に遺棄されたジープの影に隠れ様子を伺う、影からその「誰か」へと意識を向ける】
【果たして自分の目当てのかの魔人か或いはその尖兵か、答えは何処に】
219 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage]:2015/05/23(土) 21:35:57.89 ID:vCA4upMS0
>>214-216

……商魂たくましいのは凄いとは思うけど、こんな時に営業意識しちゃってもしょうがないんじゃないかな?
そもそも、情報収集って名目で来たからなんだし……ここで集まる様なメンツなら、いざって時の自衛くらいは、出来ない事もないでしょ

【不慣れな武器に手を伸ばすよりは……と、己が身一つで地下へと歩を進める事を選んだアコーディオンだが、マクスウェルには流石に一言返したくなった様だ】
【正に、映像記録用の機器としてのバイザーを用いるアコーディオンにとっては、なにより重要なものは自前で用意しているのだ】
【火急の事態に対する備えといえど、そこまで気合いを入れられては、後ろ暗いモノを感じざるを得ない】
【無難な意見の中に多少の皮肉を交えて、それきり再び集中を切り替えた】

――――表記確認。時間、確認……"ニュー・ドレファス"到達。いよいよここからって、ね

【壁の文字を読み取り、再び口元がキュッと結ばれる】
【ここからは、敵の腹の中になる――――この先にこそ、自分たちが持ち帰るべき情報が眠っているのだ】
【崩れた地形にも目をやりながら、自分たちの『雇い主』の判断を仰ぐ】



【そうして、二手に分かれてアコーディオンが進んでいくのは、瓦礫を真っすぐに突っ切って行くコース】

はぁ……ここからは本格的に穴モグラかぁ。服や髪はともかく、『エクリプスアイ』に傷がつかない様にしなきゃ、ね……
あと、崩れたりしない様にも気をつけて……まだ『それっぽい』場所にも到達してないのに負傷したりしたら、笑えないからね

【おそらくは、映像記録の為にわざと――――なのだろう。時々状況を口頭で説明する様な言葉を口にしながら、瓦礫の間を抜けていく】
【ピンク色の髪に、土ぼこりが絡まり始めるが、時々手を伸ばすのは、その髪よりも目のバイザー】
【見た目を気にしたりしない、と言う所では、ちゃんと状況を弁えているとも言えそうだろうか】

……改めて見ると、地の国国軍にどれだけの損害があったのやら……これはひどいわね
このせいで、足止めにもなるって相当――――――――ッ!?

【瓦礫の一部と化している兵器の類をジィっと眺めながら、ポツリと呟く】
【これだけの物資が瓦礫と化すと言う事は、国軍の財政にもかなりのダメージとなったはずだ】
【改めて、現在のこの国の深刻な状況が垣間見える――――が、そこに感慨を抱くよりも前に、事態は急転する】
【ここで自分たちを統率する立場のフランツの口からの警告。咄嗟に息を潜めると、姿勢を低くして手頃なコンクリの塊の影にしゃがみ込んだ】

(――――とりあえず一応、無力化のための準備くらいはしといたほうが……!)

【そっと顔の前に手をかざすアコーディオン。その手からは、仄かな赤い光が立ち上る】
【気配の主がどう動いてくるかによって、対応の仕方を模索しているのだろう】
220 :アルフレド・フェリシアーノ ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/23(土) 21:40:02.08 ID:U3FU7DQpo
>>214 >>215


申し訳ありません。仰るとおり、使い慣れた武器の方が手に馴染むもので。
もちろん――ほとんど"無能力者"同然の身ではありますが、決して足は引っ張りません。

……なにやら我々を快く思われてはいないようですが、今はお互い敵対し合っている場合ではない。
どうか、よろしくお願いします。


【トレンチの言葉に、アルフレドは出来る限り感情を殺して答える。……怒りを覚えなかった訳ではないが、この程度の嫌味は聞き慣れている】
【それに――今回は潜入任務と聞いている。下手に殺し回るより手持ちの"魔弾"で無力化していく方が手っ取り早いと考えたのだ】
【軽く頭を下げて謝るが、やはり武器を変えるつもりはないらしい。――その傍ら、彼が呟いた"無能力者"という言葉には反応せざるを得なかった】

【――同じようなことを言っているテロ組織と、何かと縁のある身である。警官としても個人としてもその言い方には賛同できず】
【多少魔力を有している以外、自身がほぼ無能力者同然であることを明かして、アルフレドは念を押すようにもう一度頭を下げるのだった】


なるほど……危険は大きそうですが、賭けてみる価値はあるでしょうね。
了解しました。そちらもお気をつけて――。


【とはいえ彼も、これ以上トレンチと確執を広げたくはなかったし――フランツの班に配属されたことはアルフレドにとって僥倖だ】
【戦略的にも異論はない。別班のメンバーに軽く言葉を贈ると、自身はドローンに付いて狭い瓦礫の道を通り抜けていくだろう】
【……何も言わず仕事をこなしてくれる無人機の、なんと頼もしいことか。そんな風にも思ったが、その考えも即座に打ち消して任務に集中する――】


(…………、"六罪王"か…………)


【やがて一同が瓦礫の向こうへ抜け出して、アルフレドも状況を確認する。……『ベクター・インパクト』には立ち会わなかったが】
【聞いていた通りの惨状だ。いったいどれほどの被害が出たか、それを思うだけでなんともやり切れない気持ちになる……】

【――と、もう余分なことを考えている暇もないらしい。アルフレドはフランツに促される通り物陰に隠れ、息を殺して状況を確認しようとするだろう】
【黒い特殊魔鋼をベースに白い強化パーツで覆われた奇抜な形状の二丁拳銃に、緑色のエネルギーラインが現れる。準備は、万端だ】
221 :森島 京 ◆ItbpQ6xKnU[sage]:2015/05/23(土) 21:41:56.18 ID:Ua5jN4EMo
>>205

(……妹さん、か。)

【姉には名こそ名乗っていないが、顔を見たことはある】
【──、という、わざわざ声を掛けるほどでもない間柄だ。結果、へぇ、という感じで目線を向けるにとどまった】

【──どうでもいい話だが、いつだったか、リーベに渡されたお見舞いの『最中』】
【ご丁寧なことに、箱紙には、クリシュティナ・レールモントフ≠ニ共に、森島京≠フ名も記されていた】
【もしかすれば、ユラも見たかもしれない。 ……尤も、彼女がそんな瑣末なことを覚えているかどうかは、別の話】


>>214-215

【一行は二手にわかれた。──少女に少年、また少女に、……人形?】
【随分と奇異な一行となってしまったが、それは若者も変わりはない。お互い、深く尋ねる場所でもない】
【……、と言っても、気になるものは気になる。じろじろと各々を見る彼は、少なくとも一度ずつ、各人と目が合うだろう】


貰えるのは「活動費」で、給料じゃ── と。


【此方は旧道を進む。──随分とじめじめした場所だ】
【温度は「能力」で何とかなるが、湿度はどうにもならない。 流石に汗が、肌に浮かぶ】
【──と。 見張りの姿に、恐らくは一団の足が止まるのだろう】


……バレずに、ですか。


【一気に距離を詰めて斃すか、それとも能力で爆発を起こして気絶させてしまうか】
【森島が持ち合わせる手段はそんなところだが、どちらも最善手とはいえない】
【前者ならば負傷の危険。 後者ならばまず「バレる」 ──と、なれば】


(……他の人が突っ込むのを、支援した方がいいかな。)
(となると、何とか注意を逸らすには。 )


── 、トレンチさん。 僕が投げてから三秒後、「これ」を撃ってください。
皆さんは、ちょっとだけ目を閉じて。 ……、や、多分、この距離なら大丈夫ですけど、一応。


【右手に生成したのは、極限まで「出力」を絞った固体化熱≠フ『球』──。】
【彼はそれを、丁度、歩哨だけの視界に入るように、山なりに投擲する】
【──、もし銃弾が命中すれば、爆風を起こすことはないが閃光≠放つだろう】 

【能力を使用した急造の閃光弾>氛氈B 尤も、トレンチが撃ちぬけなければ、その効果はないのだが】
222 :ワザワイ・エスパス[sage]:2015/05/23(土) 21:41:56.95 ID:ob7jcVXe0
>>214-216
【割り振られた指令】
【それは五人の内の一人として割り振られた役割】
【先程の崩落の時に汚水から上がって服を着直して戟を背負い直した】
【見張りは二人、数でなら此方が有利だ】
【少年は紫の長髪を邪魔にならないようにヘアゴムで束ねてヘソ出しで半袖の水兵服のスカーフを直す】

「えっとフランツおにぃちゃん?おじさん?」
「片方だけだったらいけるよ」

【そういって作り出した氷のドリル、いつもと違いサイズが小さくて長い】
【しかもドリルの刃の部分に乱歯刃の様に細かい突起がついている、これで喉元を突かれたら瞬間的に声帯を破壊されてしまうだろう】
【そんな狂気の凶器を手で弄びつつ指示を仰ぐ】

>>205>>207>>212>>213

「えっとぉ、こんにちは」

【とりあえずは一緒に行動を共にする仲、ある程度情報を交換しあった方良いと踏んで小声で話す】

「んんと、な、名前はワザワイ・エスパスですっ…能力は『血塗れかき氷(ブラッティアイスエイジ)』冷たくしたり氷を作れますっ…」

【あまり人との会話に慣れていないせいか、はたまた、この間の事がある姉の妹がいるせいかぎこちなくはあるがこれが精一杯の少年の自己紹介である】
【顔がその深紅の瞳に負けないくらいにイチゴみたいに真っ赤になっているのはその幼さの現れか】
223 :ユラ ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/05/23(土) 21:45:31.97 ID:lU87G1FDO
>>214-217

【──まさか言葉が返ってくるとは思っていなかったのだろう。トレンチが話しかけてくれば、ユラはびくりと肩を震わせた】


……、……えっ。あ、あぁ……その、コスプレ。お父さんが、こういうの、好き、だから
普段はこんな格好、しない、ね。ゲームの中なら、するけど、さ……
年齢は……高校、1年。ま、学校なんて、いってないけど、さ……

それと……姉ちゃんについては、……ふん。その通りだよ
「ベクター」絡みだからさ、……ほ、本当は自分で来たかったらしい、けど……
ふん……あんたも、知っての通り。姉ちゃんバカだから。だから、私に、た、頼んだんだ
姉ちゃん、能力コントロールなんて、しない、し……ほら、バカだから
だから、さ……ここも、ぶっ壊しそうだって……自分から、そう言ってきたんだ
私なら、少なくともトンネルは壊さないだろうって……バカでしょ、ほんと

えぇと……あ、後、このボウガンも、お父さんに、押し付けられた
まぁ、冒険者スタイルってわけ……ま、悪く、ないけどさ……期待なんて、しなくていいよ
……どうせ見てくることが、役割なんだから、さ


【ゆるゆると、夜色の瞳を揺らし彼女はそう答えた。決して相手とは目も合わせないし、言葉も吃りがち】
【どうやら対人能力はやや難、といったところだ。フランツのフォローに対しても、「別に」とだけ返す始末】
【──ざりざりと、旧道を通っていく間にそんな会話をする。だが、敵兵を確認すれば流石に口を閉ざす】


(……、……こちらスネーク、ってとこか。段ボールは流石に持ってきてないもん、な)
(ふん……お父さんのチョイスも中々だね。確かにコレなら、音を立てずにいろいろできる、かも……)


……ボウガン。音は出ないし、フラッシュもない。火薬特有の匂いもない
難点があるなら、私の経験値が足りないこと
…………ふん。誰か後ろから、手を添えてくれるんなら、命中率は上がるんじゃない?


【──まずはユラが、トレンチの申し出に名乗りをあげた。その口調はまるで、「銃()」とでも言っているかのよう】
【恐らくは先ほどの嫌みの仕返しだ。なにせ彼女は15歳前後。生意気盛りの子供の行動と考えれば、納得か】
【だが協力を名乗り出た割にはボウガンの腕に自信はないらしい。誰かが彼女のボウガンを使用して敵兵を倒してもいいだろう】
【「どうする?私がやる?誰かやる?それとも、あんたやる?」──ちゃ、とボウガンを構えてユラは全員にそっと問いかけた】
【もちろん誰か別に敵兵の排除が出来るのであればユラはその誰かに任せるだろうし、誰もいないのであればボウガンを撃つまで】
【全員の答えが出揃うまで彼女は待つつもりだったが──必要とあらば、彼女はすぐさまボウを敵兵へ射出するはずだ】
224 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank)[sage saga]:2015/05/23(土) 21:59:01.41 ID:ZQ9+zq2Z0
>>214-216

…………ああ、ええっと…………スミマセン……
(簡単に考えればここにいる全員が能力持ちってことね……それはそれで頼もしいけれど、私まで怒られちゃったじゃないの…………)
(……と、いけないいけない、私は大人なんだからもうちょっと余裕を持たないといけないわね)

【若いなんて言われると女性なら普通は素直に喜んだりするもの】
【しかし何だか新兵扱いされているようでエリーゼは内心少しむっとした】

女性だからといって余計な気遣いも特別扱いも不要ですよ、私は"大人"なので。
それに去年より私は"少尉"なのです、多少はこき使って構いませんよ。
将軍直属としてそれくらいは出来ます、あの方を知っているのなら 私も多少の無理ならば可能と捉えて頂きたいものです。

…………ええ、当然覚悟も出来ています、フランツ殿のご期待に沿えるよう全力で任務に就かせて貰います。

【大人という言葉や自身の階級を強調するように応え、特別扱いや、況して足手まといと思わなくても大丈夫と伝える】
【少尉も学校を卒業したてのアマチュアがなれるものではない、ただ彼女は童顔というだけなのだ】
【だから一人の兵士として扱って欲しい、それが彼女の本音なのだった】

【…………そんな会話が暫く続いていると、どうやら思った以上に距離を歩いていたらしく】
【気がつけばいよいよ首都の下、あの一件が引き起こした傷跡が眼前に見えていた】

それじゃああなた達、ここで一度お別れね、うまくいくよう祈ってるわ。
…………私も、気合いを入れないと……

【グループBに別れを告げて、ここからはグループAとして行動する】
【さて、少し進めば見えてきた敵の姿、どうやら情報は当たりらしい】
【兵士二人、ここは大人である私がと意気込み トンファーを構える】

【タイミングは閃光が放たれた後、兵士の内の一人に向かって水平に"ジャンプ"する……!】
【それも明らかに人の出来ることではない、兎が人の大きさになったような、言い方は悪いが化け物じみた脚力だ】
【弾丸のような速度で、しかも床を蹴るのは銃よりも小さな音、無慈悲にも機関の兵士の首をへし折ってやろうということだ】
225 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank)[sage saga]:2015/05/23(土) 22:01:02.87 ID:ZQ9+zq2Z0
>>224
/読み間違えてました……すみませんが、閃光の辺りを無しと考えて頂ければ……!
226 :ギア・ボックス ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/05/23(土) 22:02:49.10 ID:1woltN1oo
>>214-216
【共に降りた諜報部員や兵士たち、もはや敵地に入った以上、彼らに言葉はかけられなかった】
【しかし、自分を含めた全員に注がれるトレンチの視線には、さすがに多少の不快感を禁じ得ずに目を逸らす】
【実弾入りの銃は使い慣れないことを考えて、彼の商品を手にしなかったのだが、やはりそれがお気に召さなかったらしい】

……実際の銃火器は、どうも扱いが苦手で……ご気分を害したならすみません、マクスウェルさん

【少し気弱な笑みを見せながら、生き人形はそう言って見せる。元より、人形に武器を持たせても、むしろマクスウェル社のプラスにはならないかもしれないが】
【ともあれ、フランツのフォローすら一蹴するトレンチを横目に、地下道を慎重に進んでいく】

【二人の男の掛け合いに時折相槌を打ちながら、奇妙な行軍は続いていく。複数人の足音とドローンの走行音が耳に響く】
【やがて目的地に到着する。人形は、生唾を飲み込むような動きをした。実際は人形ゆえに飲み込む以前に唾が出ないのだが】
【砕かれた地盤と破壊された下水道。あの日目にしたベクターの恐ろしさがフラッシュバックする】

二手に、ですか……戦力分散は怖いですけど、この状況では仕方ないでしょうね

【ギアは彼らに素直に従うだろう。グループ分けがなされ、旧道へ入る側へと組み込まれる】
【同行相手がトレンチと知ると、先のこともあって少し気まずそうにするが、それも一瞬。緊張に塗りつぶされる】

【改めてメンバーを見回す。>>221の森島と一度目が合えば、軽く会釈して見せる。緊張に彩られた表情のままではあったが】
>>222のワザワイの声が聞こえれば、そちらに目を向ける。相手がまだ少年と言える年齢であるがゆえ、どうにか笑顔を取り繕って】

こんにちは、ギア・ボックスです
氷の能力か、頼もしいね。今回はよろしくね

僕は、身体からいろんな道具や武器を出し入れできる能力なんだけど……今回はどこまで使えるかな……

【自分の不安を振り払うようにそう言いつつ、ギアが足を踏み出す。人形の身体の中に収まった魂を、湿気が撫でる】
【二つの人影を目にすれば、その不快感すら一時的に麻痺したように感じられなくなる】

……気づかれずに一瞬で、というのは僕には難しいです。でも、動きを封じることなら出来ます

【言いつつ、ギアは右手を腹に当てる。手が腹の中にめり込み、取り出されたのは色とりどりの小さなボールが複数個】
>>223のユラの言葉には、「いえ、ボウガンは扱ったことがないので……」と断って見せる】

【人影の様子と、周囲の動きを伺い。ギアは、他のメンバーの行動に合わせる形で右手のボールを投げるだろう】
【『スライムボール』。投擲に成功すれば、壁に跳ね返りながらそれらは人影の足元へ向かうだろう】
【対象に命中すればボールは破裂し、粘着性の液体を相手に纏わりつかせる。擦り付ければ取れるものではあるが、隙は作れるだろう】
【これによって相手の動きを制限し、他のメンバーの攻撃につなごうということらしい。果たして、うまくいくのか――】
227 :森島 京 ◆ItbpQ6xKnU[sage]:2015/05/23(土) 22:12:40.97 ID:Ua5jN4EMo
>>223


……えっ? ──あぁ、はい。
ちょ、ちょっと待ってくださいね──っと。

【──忙しい。 球を投げ終わると、すぐさま森島はユラの方へ】
【後ろからボウガンに手を添えて、「いいですよ」、と。 ──狙いは彼女に任せるが】
【恐らく、エリーゼの狙ったのとは別の方を狙うことになるだろう。命中するかは、定かでない】

/勿体無いので拾わせてもらいます
/主催さんの方で拾いきれなければ、スルーして頂いて構いません
228 : ◆VVURn/3wpI[sage saga]:2015/05/23(土) 22:20:56.46 ID:AbfmNDU20
>>200

――――何とも頭が痛くなる話だ

【想像を絶する境遇、愛玩の言葉に怖気を振るったのは人生で初めてである。すまない、と二度目の言葉を告げる前に、相手は大きく飛び退って距離を置いていた】
【人間らしからぬ二人が繰り出す人間比べはここに来て加速的に高まっていく】

では拙者は武牙(ムゥガ)とでも刻んでもらおうか。単なる渾名だが
――――なんだろうね、この感情は。初めてだ、自分も名乗らねばいけないと思ったのは
或いは“鉄腕”とも――――いや、これでは君と被ってしまうか

【名を持たぬという意味ではこの女も似た様なものだった。にもかかわらず明確な自己を求めなかったのは環境か、それとも性格の違いか】
【名前と呼ぶには少々心許無い其れを述べざるを得ない事に多少の後悔を覚えつつも、精神の昂りに流されるがまま】
【前の右足に重心を置き、手錠を中心に胸の前で手首を交叉させれば、頭上から新たな影が落とされる】

これが能力者、か……っ! 成程無能力者なんか目じゃない力だっ、!

【先程は耐えた装甲板が5つの凹みを作る。ずどんと振り下ろされた衝撃を両腕で受け止め、一瞬は耐えたが、よろめいて片膝を着いた】

いやいやこれは、出し惜しみしている余裕はないな……――――

【モータの駆動が響く。耐えがたい重圧をむりむりと、右膝がナメクジが這う速度で身体を持ち上げていく】
【当然のように両足も機械――――しかし相手のような獣の機動は望むべくもない。が、人工筋肉と成形火薬の齎す一瞬の瞬発力は文字通り爆発の如し】
【ふわりと天へ掲げられた左足、その爪先が赤腕と触れた瞬間、交通事故のような衝撃が轟いた】

紹介が遅れたが、此れが拙者の牙、さ

【機械と勁、二つの力を用いて戦う闘士。無能力者の名に恥じぬ姿は先の一撃で手錠には罅が入り、拘束を十二分に発揮できない状態】
【果たしてそれにどんな意味があるのか。蹴り上げた鋼鉄の足の奥の顔では口角が獰猛な角度を作っていた】
【と、軸足が不意に消失する、それに遅れて女の身が姿をぶれさせて急発進。左足が地に降れる前に、旋廻の力を加えた踵落としを相手の頭上にみまう】


/遅くなりまして申し訳ありません……
229 :フランツ・ヘンドリクセン&トレンチ・ミリオン・マクスウェル ◆/iCzTYjx0Y[!nasu_res]:2015/05/23(土) 22:39:54.00 ID:oRNpMlK8o
>>221>>222>>223>>224


【現われた人影が二つ。トレンチは苦々しそうに表情を濁らせると、狙撃銃の照準機を最適化した。】
【手元の情報端末で敵との距離を測りつつ、相手が人間であることをスキャンして確認した。矢張り、見張りか。】


 「……なら、その"活動費"とやらに見合った動きはして貰わんとな。」

 「良いだろう、そこの>>223小娘が文明の利器をサラリと否定するような発言を重ねているが。」

 「狙撃銃とは精密狙撃の為にある。―――矢は確かに音が出ないが、代わりに弾丸より精密性を欠く。」

 「ここは森島くんの球を投げてもらう事にしよう、そしてそれを私が撃ち抜き―――」

 「そこにギア君が件の粘着弾で動きを止め、残りとボウガンと、そしてエリーゼ君の格闘術で仕留めるとしようか。」

 「ワザワイ君の"ドリル"だが、―――そうだな、君はむしろ声帯を狙わず"無線機"を狙え。」

 「大声で仲間を呼ばれては困るだろう? そのドリルで、奴等が腰に備えている無線機を、凍らせてくれ。出来るか?」


【作戦概要は簡単だ。森島が閃光弾で攻撃、それをトレンチが狙撃銃で破壊し、相手の目をまず潰す。】
【その間に、ワザワイがドリルで無線機を凍らせ、そしてギアが――――――――】

 「なっ……君ッ、待てっ、行動が、はやっ……ええい、やってしまったものは仕方が無いッ!!」

 「森島君、直ぐに閃光弾を投擲しろッ! ワザワイ君、君は急いで連中の連絡手段を封じるんだ!!」

 「私は―――コイツで、狙う。その後、エリーゼ君とそこの"ボウガン"娘ッ、君等でし止めたまえッ!!」


【概要確認中だったが―――ギアの投擲が、真っ先に敵兵士の足元で普通に、"炸裂"ッ―――!!】
【一向は大慌てで、トレンチが素早く全員に指示を出す。一方のトレンチは、点けていたサングラスを弄ると】

 「―――目標補足。ターゲット、"閃光弾"―――コリオリ測定、弾道予測機能オープン。補助機能、作動……ッ!!」

【付随された特殊な機能を直ぐに起動し、狙撃銃をすっく、と構える―――こうなればもう、成り行き次第だ!】

 「……呼ばれる前に、打ち倒すぞ!」



【素早く、トレンチは森島から投擲された閃光弾を細くし、精密に撃ち抜いた。】
【瞬間、炸裂する光で兵士達の動きが鈍る―――あとは、仕留めるだけ、か……ッ!】
230 :フランツ・ヘンドリクセン&トレンチ・ミリオン・マクスウェル ◆/iCzTYjx0Y[!nasu_res]:2015/05/23(土) 22:40:32.75 ID:oRNpMlK8o


>>217-220

【―――その一方で、大慌てのグループAとは対照的に、グループBは隠密らしい動きを重ねていた。】
【車の向こう側に見えるのは確かに人影。それも独りだけではなく、どうやら複数名。】


 『……足音から察するに、三……いや、四名か。』

 『仲間を呼ばれるよりも前に鎮圧したいところだが……ふふっ。』

 『……私の武器は今、消音機付きのハンドガンが1挺のみ。四人同時に瞬時に撃ちぬくのは、ちと荷が重いな。』

 『だが―――ドローンにはこんなものも装備されている。』

【そういいつつ、フランツがドローンのウェポン・ラックより取り出したのは"携帯型ラジオ"。】

 『……あえて、だが。音を立てて、連中の注意を惹き付ける。そこに、諸君らで一斉に"鎮圧"して貰う。いいかね?』

【―――足音はどんどんと、此方の方に近付いてくる。もう、見つかるのは時間の問題だ。】
【フランツは特に、他の四人の返事を待つまでも無く―――!!】


 『―――文化放送はいいぞ。今日は一日、"メタル三昧"だ。』

【容赦なく、ラジオの電源をいれ、それを全体から見て"右"側の斜め前方へと放り投げた。】
【瞬間、なり始めるのは"Skid row"の"Slave to the Grind"―――ハードなヘヴィ・メタル・チューンだ。】
【ギュオンギュオンとかき鳴らすようなギターの音に、連続したツインドラムの鼓動、そして高音のボーカルが虚空に響いた。】

 [……? おい、なんだ……ラジオ?]

 {おおかた、ぶっ壊れた車のラジオが勝手についたんだろ……ったく、うるせえからはやく止めろ!}

 {ヘイヘイ、わかりましたよ……ったく、おいこのラジオなんだ? 携帯型だぜ。}


【―――意識を逸らす事には成功したようだ。あとは―――如何に迅速に、この"4、5名"の敵を無力化、出来るか。】
231 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage]:2015/05/23(土) 22:58:41.09 ID:vCA4upMS0
>>230

(……少人数のパーティ、人数は多分……あたしらと同じくらい?
 当然……通信の類も出来るメンツだろうし、一気呵成に制圧しないと、侵入が意味を成さなくなる訳か……っ)

【息を可能な限り小さく抑えながら、アコーディオンは気配を窺う】
【尤も彼女は、こうした隠密的な活動に技術を持った専門家と言う訳ではない。故にどうするか、情報不足の中で考えあぐねていたのだが】

……陽動、って……!
(ちょ、早い!! ……しょうがない、出たとこ勝負で行くしかないか……! つい最近『貯蔵』したばかりのアレが、役に立ちそうなんて、ね!)

【ラジオを取り出したフランツには一瞬驚かされたが、要するに陽動作戦を行い、隙をつくと言う事なのだろう】
【だが――――それを確認しようとする前に、フランツはあっと言う間に行動に移してしまう】
【この場合、足並みが乱れてはいけない類の行動だ。ままよと思いきりのままに、アコーディオンも打って出る事になる】

(ここからだと、角度は……あっちに2人、あっちに2人、少し離れて1人……!)
――――――――『リスクストレージ:落雷1/1000』!!

【そっと敵の姿を覗き込み、方角にアタリをつけると、もう時間の猶予は無い】
【アコーディオンは一気に姿勢を起こし、コンクリの影から顔を出し――――両手の赤い光から、電光を敵兵士一行へと向けて発射した】
【数本の光の束となって放たれる電撃は、命中さえすればまず間違いなく神経を焼き、意識を飛ばす】
【当たり方次第によっては、肉が焦げて身体の内側から焼き殺される事もあり得るかもしれない】
【また、持っている通信機の類などをショートさせる効果も期待できよう】
【こうした判断が働いた結果が、選ばれた攻撃が電撃――――ただ、問題なのは確実性に欠ける事だった】

【電撃の伸び方や通電性などは、流石に未知数。ここには数人の仲間がいる以上、仮に2人にしか当たらなくても、残りの敵は誰かがカバーしてくれるとは思うが】
【咄嗟の選択である以上、そこら辺の事までは勘案し切れなかったのだ】
232 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/23(土) 23:03:46.49 ID:VFsRdxKGo
>>228
【尾の代わりに巨腕を生やす、魔物だと言われても疑いようの無い姿で、ラインは喉を鳴らして笑う】

では武牙、或いは鉄腕=A僕と同じ鋼鉄の四肢を持つ者よ
せめて人間として死に給え。それが今僕が君に告げるべき言葉で、やるべき事だ

【鉄よりも重く、硬い爪が武牙の両腕に食い込み、重しを掛ける。それを支えるラインもまた、四肢の爪をコンクリートに突き立てて】
【それは地面に穴が開き、それが拡がってヒビが入る程、それだけの力をかけようとも、武牙のリカバリーは止まらない】
【しかし、それを目の当たりにするラインの表情は、目を血走らせながら更に昂り、息が荒くなる。人間を知りたがる者は、その本性を段々と露わにしてくる】

そうだよ、総てを曝け出せ、戦う相手への容赦等いらない
力を隠し、容赦と手心を加えて余裕の儘に勝つだなんて残酷な人間性はここにはいらない。相手を傷付けながら『大丈夫か』などと矛盾した言葉を吐く薄情さなんていらない
僕が今見たい人間性は、目の前の敵を全力で叩き潰す、原初の獣としてのソレだ───ッ!?

【武牙がとうとう立ち上がった時、最早このまま巨腕での攻撃は継続できないと判断し、一旦退く───その判断が少し遅れていた】

【『今のはなんだ?』───スローモーションの視界の中、弾け飛んだ巨腕と左脚を挙げた武牙を見ながら、頭に浮かんだのはその一言】
【勢いなど微塵も感じられなかった、ダンスの一動作のような軽やかな動きで、しかしそれは夢や幻ではないと、巨腕から体に伝わる衝撃で知る】
【無音だった空間に再び音が舞い戻る、空気が弾けたような音と共に、大地を滑る様に迫って来る武牙が、その左脚を振り下ろし】

【鳴り響くのは、鉄骨が落下したかと勘違いしそうな轟音、ラインのいる、武牙が脚を落とした地点は大きく陥没し、ヒビが入り、小規模なクレーターが発生した】
【ラインは、武牙が落とした踵を、仰向けになって両腕で受け止めて、それでもただ衝撃を僅かながら減らしたに過ぎず、交差した両腕の下にある頭は苦しそうに息を吐く】

……ッ!……こんな牙があるとは……ね……しかし……
『牙』ならば、此方にもあるのさ、人工だがねッ!!

【次の瞬間、ラインの口を覆う鋼鉄の口輪がガキン!≠ニ音を鳴らして開き、そのギザギザの牙でトラバサミめいて武牙の左足首に噛み付こうとする】
【噛み付く力は凄まじく、流石は機械の牙と言った所、そして噛み付いた後は、体制を四つん這いに直しながら武牙の体を引き倒そうとするだろう】
233 :ワザワイ・エスパス[sage]:2015/05/23(土) 23:05:25.84 ID:ob7jcVXe0
>>226
「えへへ///」

【子供故にかやはりこう言われると照れてしまうのか両手で顔を覆ってフルフルと頭をふる】

「……アリガトウ/////」

【そう小さく呟いて顔を上げる、その顔には一切の表情、焦りや緊張と言った物のない】
【かといって油断や隙を感じさせない、さながら野性の獣の様な静けさをたたえている】
【路地裏の暗がりで産まれ、略奪と殺人で生き長らえてくることを可能にした天性のバトルセンスが、男の娘を獣に変える】

>>229
「らじゃー(小声)」

【2つドリルの氷柱を作り出すと戟の柄で打ち出し、回転によって死角から無線機を弾き飛ばして床に転がす】
【更にダメ出しとばかりに床と見張りに張り付いた『スライムボール』に向けて能力を発動】
【つき出した両手から吹き荒ぶ吹雪が粘液をより頑強な拘束である氷に変えようとする】
234 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank)[sage saga]:2015/05/23(土) 23:07:50.26 ID:ZQ9+zq2Z0
>>229-230

今作戦の参加者という立場上、貴方の命令は聞かなくてはなりませんね。
………………では、そのように…………ッ!

【これだけのメンバーだ、成り行きに任せたとしてもまず不利な状況にもなるまい】
【言われるまでもないと物陰から一気に機関兵へと跳ぶ、その速さは先ほど説明した通りだ】
【兵士の肩に乗ったかと思えば跳躍の勢いに任せて両腕で首を掴み】
【ギアのスライムで兵士の動きが止まったという事もあって、このまま行けばまず一人の首は180度以上捻れることになるはずだ】

【例えばこの兵士がベクターに似て吸血鬼だったとしても首がそうなれば声を出すことも難しいし、普通の人間なら当然絶命も免れない】
【それに動きを止める攻撃も目潰しも決まっているのだ、やり手ということもまずないだろう】

【これなら確実に仕留められる、問題はもう片方、もしもボウガンが当たらなかったら その時はフォローとして一方の兵士を踏み台にして同じように仕留めようとするが、どうだろうか】
235 :アルフレド・フェリシアーノ ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/23(土) 23:07:56.58 ID:U3FU7DQpo
>>230

【敵の数を確認しつつ、アルフレドはフランツの作戦を聞き届ける。なんとも小洒落た趣向に少し苦笑を浮かべるけれど】
【異論はないし、また議論の余地もなかった。無言で頷いてみせると、鳴り出したラジオの爆音に紛れる形で音を殺して配置を変えるだろう】
【――物陰に隠れつつ、左側方面へ移動。音声に引かれた兵士たちの背後を取るように。無理はせず、出来る限りの位置まで移動すると】


(……………ここだ!)


【残る三人と同時攻撃になるよう呼吸を合わせ、アルフレドは自分から見て一番近い位置にいる兵士へ"右手"の拳銃の引き金を引く――!】
【上部にマガジンが填め込まれた、長大なストックと小さな砲身を組み合わせたアンバランスな見た目のハンドガン……銘は『Kibrit』】
【マガジン内に封入された術式によって、エネルギーラインは緑から黄色に染まっていた。撃ち放たれるは、鎮圧にはもってこいの"電撃弾"だ】

【狙いは頭部、直撃すれば確実に意識を刈り取れるだけの出力はある。とりあえず巻き込めるのは一人だけだが、残りは他の面々に任せて大丈夫だろうという判断】
【もちろん、まだ敵が残るようであればそちらにも続けて発砲するだろう。もし狙い通り背後側へ移動できたのであれば、なおのことその時間的余裕もあるはずで】
【また、発射されるのは魔力で構成された"魔弾"であるため、発射時の音も小さく気付かれ難い。果たして――】
236 :ニグレド・ユーリエフ ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/05/23(土) 23:09:18.31 ID:JP6E12CxO
>>230>>218>>231>>235

おいおい……

【隠密活動中の“寄せ餌”がわざわざヘヴィメタル。思わずニグレドは呆れたような声を出してしまった】

(……遠距離が二人、不明が一人、か。魔術師が三人とは、多いな)

【暗がりの中で同グループの面々を確認。アルフレドは銃、カズネは魔術。それぞれ遠距離攻撃ができそうだ】
【自身にも遠距離攻撃手段はあったが、得意なメンバーに任せた方がいいと判断】

見ての通り剣士だ……悪いが念のためにここにいさせてもらう

【フランツに小さな声でそう伝え、ニグレドは予定どおり敵の対処は他に任せることにした】
237 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2015/05/23(土) 23:11:03.92 ID:rQCgEBDAo
>>230

ん――――――――……!

【人影はどうやらこちらの目当ての者ではない、が】
【それでもこちらが斃すべき相手であるのは確かでありフランツの声が契機】
【迸る魔翌力を右腕に纏わせ掌にて圧縮し小さな魔弾を生み出す】

静かにやるのはあまり得意じゃないけどこれだけやれば静かに出来るかしら?
取り敢えず私は1人始末するから、アンタ達も合わせて上手くやりなさいな――――――――ッ!

【意識がこちらに向いていない敵など文字通り的でしかない】
【やるべき事はただ狙いを定め呼吸を細く整え放つだけ、意識を奪うには首筋辺りが丁度良いか】
【圧縮された魔弾は指先に「銃」の形に整えた手、その指先を向けて放つ】

【射出式、加速式を用いた魔弾は僅かな風を切る音と共に1人の警備兵(?)の後頭部へと迫る】
【人体の中の脆い箇所を狙う攻撃、受けたならばそれこそ首に鈍器で殴られたような衝撃が走り意識を失うだろう】

(しっかしアイツらなんなのかしら遠くて分からないけれど機関員……?)
(となればきな臭いというか大当たりなのでしょうけど、もし本拠地みたいになってるならこの戦力だけじゃ厳しいかしら)
(ついでにここ地下だし、暴れたら……墓を建てる心配はいらなさそうね――――――――)

ねえねえフランツさん、他にも敵影はないのかしら……?
それかどこか拠点と思われそうな広い空間とか、現状だけでもわかってるなら教えて欲しいのだけど

【念のための追加の魔弾を自身の背中に追従させつつもフランツへと声を掛ける】
【相対する敵の姿の不鮮明さ、小出しと現れた敵に対する不信感故か紅色の瞳は首を傾げつつ向けられて】
238 :ユラ/グループA ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/05/23(土) 23:13:05.08 ID:lU87G1FDO
>>226(ギア)

【「ん、そっか。じゃあ、いい」 ギアの言葉には、そっけなく返すユラ】
【ただ別に彼が何かをしたというわけではない。単純に、彼女は会話が苦手なだけなのだ】


>>221>>227(森島)

【目線を感じ取ったのか。「……なに?」とユラは低く呟く】
【紙箱に記されていた名前も、ユラは覚えていないらしい。リーべなら覚えていただろうが──姉妹間の差は大きい】

【しかし後ろから手を添えられれば、「あ……う、わ……ぁ、あり、がと」──と吃りながらも礼は告げる】
【肩に力が入っていたのが分かるだろうか。口調といい、態度といい、きっと彼女の対人能力は低くのだ。それも、かなり】
【ただ──ユラに触れれば、分かるだろうか。彼女、呼吸をしていない】
【呼吸どころか、体温すら人間のものではない。まるで、この場の大気そのものを触っているかのような温度】
【──既に彼女は、能力を発動しているというのか。少なくとも、呼吸も体温もないというのは、生物としてあり得なかった】


>>ALL

……うるさいな。狙えば、いいんでしょ
画面の中とおんなじ……狙いをセンターに、それで、引き金を引くだけ……
ゲームと一緒……ゲームと、一緒……


【慎重に、狙いを定める。狙いが正確かどうかは自信がない。ただ、「何かに集中すること」においては得意だという自負があった】
【──手振れは背後の森島が修正してくれる。ならば後は、敵がいた場所にボウを叩き込むだけだ。すべては、「ゲームとおんなじ」だ】
【周囲の雑音は、すぐに認識から外される。相手の場所をはっきりと確認する。閃光弾が投擲されるまで、撃つべき場所を見続ける】

【後は作戦通り──閃光。炸裂する光。敵の位置は既に覚えている。視界に頼らなくても、「あの場所」向けて引き金を引いてしまえばいい】
【かち、と引き金を引く。ボウガンからボウが射出。敵兵が変に動かない限り──多少狙いはずれるが、相手の身体を撃ち抜くはずだ】
239 :ギア・ボックス ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/05/23(土) 23:17:00.57 ID:1woltN1oo
>>233
【照れたような仕草を見せるワザワイには、にっこりと笑顔を向けて見せる、ものの】
【決して表には出さなかったが、内心ではその表情の奥に潜む獣性を感じ取り、冷や汗を流していた】
【そもそも、このような場所にいる時点で、常人であるはずはないのだが。それでも、見た目とのギャップの大きさに戸惑いを覚える】

>>238
【ギアもまた、申し訳なさそうな苦笑を返すだけでそれ以上の言葉は発しなかった】
【こちらの場合は、会話が苦手なわけではなく、単にこの場の緊張感に呑まれかかっていたからだった】


>>229
うえっ!? あっ、その!!!

【多少なりとも死線をくぐってきたとはいえ、所詮はおもちゃ屋である。ここにきてタイミングを外すとは】
【あるいは戦場の緊張故か、だがそんな言い訳は通用しない。こうなってしまった以上は、やらねばならない】

【胸中を飛び交う泣き言の嵐を無視しつつ、ギアは再び手を体内へと突き入れる】
【トレンチの呟く狙撃銃の機能の数々、その高性能ぶりを見せつけられながら、対照的なほどちっぽけな武器の一つを取り出す】
>>234のエリーゼが、片方の兵士の片方へ向かったのを見れば、もう片方へ視線を向けつつ】
【右手に握られていたのは、プレゼント包装が施された小さな箱だった】

【それを構えて、今度はすぐには撃ち出さずに静止する。武器の名は、『サプライズ・キューブ』】
【ギアの意志を反映して破裂し、前方に向けて数個の鉄球を撃ち出す武器だ。まともに当たれば人体にめり込み、破壊する】
【ユラと森島の放つボウガンの行方を、まずは観察。それが見事敵を仕留めればよし。だが、もし急所を外れた場合は】

【ギアは鉄球を撃ち出し、敵の頭と喉の辺りに鉄球を叩き込もうとするだろう】
240 :森島 京 ◆ItbpQ6xKnU[sage]:2015/05/23(土) 23:18:46.75 ID:Ua5jN4EMo
>>229

【── 閃光が、閉じた目蓋の裏を、紅く染める】


……流石。ナイスです、トレンチさん。
まぁ、作戦の方は……その、大体、こんなもんですよ。うん、気にしないでください。

【少し弱すぎるか、と思ったが、十分だったようだ。……、が、トレンチの作戦の方はといえば、滅茶苦茶だった】
【こうなれば仕方がない。自分が為すべきはユラの射撃の支援。手に力を入れて、しっかりと狙いを定められるように──】


>>238


どう致しまして。 ──っと。

【──此方も能力柄、温度≠ノは敏感だ。彼女の礼に、笑んで言葉を返しながらも】
【明らかにおかしな様子には気づいた。 だが、集中を乱すわけにはいかない。 ……結果、なんとか、驚いたような声を出すだけでとどめた】
241 :フランツ・ヘンドリクセン&トレンチ・ミリオン・マクスウェル ◆/iCzTYjx0Y[!nasu_res]:2015/05/23(土) 23:57:11.70 ID:oRNpMlK8o

>>231>>235>>236>>237

【―――まず、真っ先に踊りかかったのはアコーディオンの放った電撃だった。】
【作戦概要説明の時とは打って変わって、多少なりとも"陽気"な様子でラジオを放りなげると―――】
【後は頼んだぞ精鋭諸君、とでも言いたげな様子で、事の次第を見守ろうとするのだ。この男、肝が据わっている。】

 『ほう……雷撃、か。確かに、対象鎮圧にはこれ以上ない、良い一手だな。』

【炸裂したアコーディオンの雷撃はその場にいた三人の兵士に命中し、通電する事で諸共を焼き払う。】
【だがしかし、威力の問題かはたまた兵士の頑強さ故か、その内の独りは電流に耐え切り、素早く銃を構えようとして―――】

 {―――ぐあッ……!!}

【更に、そこから放たれたのはまたもや、電撃。アルフレドの撃ち放った雷撃弾が正確に精密に】
【雷撃を耐え切った兵士の意識をバッチリと刈り取り―――ダウンさせる。見事だ、とフランツは笑みを零した。】

 〔畜生ッ、一体どっから―――な、あっ!?!〕

【カズネの放った魔弾は四人目の男の後頭部に直撃、音もなくそのまま鎮圧する。】
【そして最後に、フランツ自身が身を乗り出し、消音機付きのハンドガンを構え、残る独りを鎮圧した。】

 『―――現役だった頃を思い出す。尤も、腕は衰えたようだが、ね。』

 『……ともかく、これで鎮圧完了、か。』

【待機し、自分を護衛してくれていたニグレドに対し"私もやるだろう?"といわんばかりの態度で】
【飄々とした笑みを零すと、フランツはカズネの質問に答えるだろう。】


 『―――うむ。スキャンしたところによれば、この先数百メートルの地点に機械の反応がある。』

 『だが、―――どうにも。矢張り地下と言うのが効いているな。最新鋭の機材と言えど、電波が拾いきれん。』

 『崩落してはいても、ここは地下数十メートルの世界だ、分厚い地層で電波がある程度遮断される。』

 『細かい数だけはどうにも、分らないが―――いや、待ってくれ。"機械"の反応が……なんだ、これは……、』

【フランツが自身の端末と、ドローンのスキャナーに反応した何かを発見し、そそくさと歩き出した。】
【しかしカズネの思うとおり、確かに可笑しな状況だ。警備と言うには手薄すぎるし、かといって何もないかといえば、そうでもない。】
【この地下に一体何があると言うのか―――、人影はもうスキャナーに反応がない。】

 『……みんな、少し待ってくれ。』

【カノッサの兵士と思わしき四人を倒し、一行が向かった先にあるのは―――、】
【そうして、ようやっと視界に入ってくるのは何らかの―――"培養機械"の様なものだった。】
【施設、というよりはむしろ、―――この"トンネル"自体を施設に仕立て上げたかのような、そんな光景だ。】
242 :フランツ・ヘンドリクセン&トレンチ・ミリオン・マクスウェル ◆/iCzTYjx0Y[!nasu_res]:2015/05/23(土) 23:57:58.67 ID:oRNpMlK8o
>>231>>235>>236>>237


【瓦礫は防護壁。地震でカモフラージュし、その内部を通るトンネル内を改造し、敵の拠点としていたのだ。】
【ともあれ、ひとまず一向にとって調査の必要があるのは目の前にある機械―――生体培養を行っているカプセル郡の方だろうか。】

【近寄っていけば、そこに見えるのは何らかの"動物"と思わしき物の姿。】
【培養液に浸かったまま、カプセル内部に閉じ込められたその奇妙な生き物は―――なんというか】
【今までに見た事の無いカタチをしているだろう。トカゲでもなければ、ムシでもない、しかし哺乳類でもなく―――】

【―――いや、むしろそれらどれにも似つかない故に、"どれも"を混ぜ合わせたかのような形状をしていた。】
【例えば、体表自体は爬虫類のそれ<鱗>によく似ていたが、生え揃った牙は哺乳類によく見られるソレであったし、】
【耳はどこかオオカミの様な直線にそそり立ったモノ、よく見れば眼球などは昆虫に代表される"複眼"になっていて―――。】

【―――そんな、"珍妙"な生物達が無造作に、カプセルごと彼方此方に放置されている。】
【見れば電源は入っておらず、この培養液はもはやその機能を失っているようだった。】
【そして、恐ろしいのはそれ以上に、機械の奥―――崩落し崖となった部分に目を向けると】

【―――まるで、ゴミ捨て場。"謎の生命体"の大量の死骸が、そこに放り投げ、捨てられていたのだ。】
【積まれた生物の死骸にはこれでもかと言うほどの小蝿が集っており、彼方此方で蛆が沸いているのが目に見える。】

 『―――どうやら我々はゴミ処理場に来てしまった様だな。』

【フランツはそう呟くと、目の前にある死体置き場をまじまじと、見下ろした。】

 『酷い物だな、幼い頃汲み取り式トイレの中を覗いた事があったが、アレ以上の醜さだ。』

 『それにしても―――これは一体、何の研究をしていたと言うのか。』

 『警備が手薄だった理由は、これでなんとなく察する事が出来たが……にしても、という所だな。』

【カメラで現場の写真を撮っていくフランツ。だがしかし、そのとき―――】


 『―――ぬおっ!? ま、ず……ッ!!』

【ガコン。彼のいた部分の足場が、酷い音を立ててひび割れ、そして遂には―――崩落する。】
【当然、彼の"ガードマン"として傍に一緒にいた筈のニグレドも―――急激な足場の崩壊に、巻き込まれるだろう。】
【その二人の落ちる先は―――幸か不幸か、あの"死体の山"となった地下だった。他の三人がいるところからは、30m程下の場所だ。】

【幸いにも、下は死体の山だ。クッションとなったそれらのおかげで、フランツの命には別状がない。】
【だが―――上に戻るには、何らかの手段が必要となる。】
243 :フランツ・ヘンドリクセン&トレンチ・ミリオン・マクスウェル ◆/iCzTYjx0Y[!nasu_res]:2015/05/23(土) 23:58:54.14 ID:oRNpMlK8o

>>233>>239>>240>>238>>234

【―――実際の所、作戦は上手くいった、と考えても良い。】
【なんといっても迅速だったのはワザワイの行動だ。素早く無線機を叩き落とした上、】
【ギアの放った粘着弾の効果を増長させる氷でのフォロー、これが後の全ての決め手となったのだ。】

【そこに繋がるように、ギア自身もサプライズ・キューブによる援護攻撃が重なる。】
【撃ち放たれた鉄球が抵抗しようとした隊員二人を穿ち、アーマーを着た彼等を一時的に麻痺させ】
【そこに殺到するのが―――エリーゼの近接攻撃。鋭い一撃が独りの首を一片の容赦もなく―――圧し折る。】


 「……ほう。流石に軍属か、やるじゃあないか。」

【思わずトレンチがそう言葉を漏らしたほど。そして、危惧していたのは"ユラ"の狙撃だが―――】
【すかさず入った森島のフォローによって、命拾いした。矢が命中すると、残る独りも静かに沈黙し―――動かなくなった。】


 「……やれやれ。とんだ作戦だ、これが経営会議なら容赦なく君の首を切っている所だったよ、ギア君。」
 
 「所詮は素人集団、UNITED TRIGGERの一員か……リーダーがリーダーなら、部下も部下だな。全く……。」

 「……ま、だが鉄球は効いた様だな、それに何とか乗り越えられた、さて先に―――」

【トレンチが一歩踏み出そうとしたそのとき、端末が新たな人影をスキャンし、その存在を逸早く一向に伝える。】

 「……チッ。新手か。いや、だが此方までは歩いてこない様だな……よし。」

 「ドローンを一機、"敵兵"の元へと送らせて注意を惹きつける。その内に我々は進むぞ。」

【端末からドローンを操作し、スキャンした敵兵の位置へと行かせると、トレンチは全員に"静かに"する様伝えた。】

 「―――極力、音を立てるなよ。ドローンが囮を買って出ている間―――我々は音を立ててはいけない。」


【そのまま一行が旧道を進む事に成功したならば―――その直後、視界の中に広がってくるのは、異常な世界だ。】


 「……っ……なんだ、コレは……!」

【一行の前に広がるのは、とてつもない光景だった。】
【―――まるで、"SF映画"の世界にでも、入り込んだかのような衝撃。】
【どこまでも深く、地下のその更に"下"へと伸びた、巨大な一本の"円柱"状の施設。】

【直系にして百数十メートルはあるかという、その巨大な円柱に加え】
【円柱を取り囲むように広がっているのが大規模な研究施設のような空間―――】
【青白いネオン光と、膨大な量の機械が所狭しと動き回っているような、そんな光景だった。】

【どうやらグループBの一行はこの施設郡の"反対側"に向かっているらしく、】
【この地点での合流は施設内部を通らない限り出来そうにも無いようだった。だが、しかし】
【円柱状の施設にしても、ここから見えるだけで警備の人間が数人、そして無人警戒兵器が、複数。】

【更に云えば、施設への出入り口は確認できるだけで一箇所しか存在せず、】
【その入り口には上部に監視カメラまで存在している。―――潜入は矢張り、容易ではない。】
【入り口からの侵入を諦め、更に地下の深いところへ潜り壁を破壊する等して内部へ潜入するか、若しくは―――】


 「……邪魔なカメラだな。アレをここから"ハッキング"して映像を誤魔化すとしよう。」

 「悪いが、ドローンに搭載された通信装置とコンピュータ、それにこの情報端末で今からアレをハックする。」
 
 「故に、私は此処から動きづらい状況だ。―――タイミングは此方で指示する、君らはあの兵士等を、始末してくれ。」

 「もちろん、本陣にバレないよう静かに、そして正確にな。―――出来るか?」

【トレンチはそう提案すると、五人に対し視線を送った。今度は、しっかり作戦立てて動こう、と。】
244 : ◆VVURn/3wpI[sage saga]:2015/05/24(日) 00:02:44.56 ID:WnvWq8rK0
>>232

いいとも、そうなった暁には見事死んで魅せようじゃあないか。 死ねと言われてあっけなく死んでしまうほど、拙者(ムノウリョクシャ)はか弱い存在だからな
だがその頃には君もどうなっているか、保証は出来かねる、がねっ――!?

【衝撃が十二分に全身を揺さぶり、じぃんと心地良い痺れが後に残る。鋼鉄の足を介してほんの数センチ先、熱い吐息を吹き返す】
【売り言葉に買い言葉ながら、そこに憎しみはまるで存在しない。嬉々としてお互いを壊し合う女】
【いける。力押しはこの巨腕にさえも通用すると確信した――刹那、くぐもった声がしたかと思うと不気味に足元が揺れた。いや揺るがされたというべきか】

う、おっ

【崩れた体勢の中、視界が斜めに流れていく。脳味噌が平衡感覚を失い――――】

った、そういうのは流石の拙者にも無いぞっ、先の言葉は褒め言葉にすべきだったかな……っ

【宛ら鰐に噛み付かれた鷺、片足ではさしもの鋼鉄もぐにゃりと曲がり、地に勢いよく叩きつけられる】
【受け身が不十分な所に投げ技を喰らったように、かっと固形物の呼気を口から吐いた】

足の一本くらいは痛くも痒くもないが、生憎今は替えが利かないんだ
その牙は放してもらうぞライン――――!

【常人の2倍はある掌を続けて地にあて、痛くはないという言葉とは裏腹に初めて口から血を零す】
【その最中にも歯はアキレス腱辺りの装甲を一枚二枚と破りつつある。焦りと覚悟を浮かべた声を漏らしながら、人工ではない背骨がぐんと撓められた】

――――憤ッッ!

【発勁はチカラを発すると書く。体幹と重力を用いた力は筋より出で骨を伝わり、生身でない四肢にまで悠々と届く。両腕を支点にぶるりと身を振るわせた瞬間、その振動が固定されていない下半身へ動きを齎した】
【機械の足はその時既に駆動を止め、抵抗らしい抵抗はなかったがその刹那脱力/待機状態の其れが、それこそ大型の爬虫類が無造作に尻尾を揺り動かすが如く、しかし末端である爪先は鞭の先端として急加速する】
【振りほどけるか、それとも叩きつけるか、先の巨椀の一撃を警戒して素早く腕で胴体を守りながら、俯せの体勢から噛まれた爪先を斜めに振り下ろした】
245 :ユラ ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/05/24(日) 00:17:44.63 ID:8VPGhvZDO
>>243(主催)

【作戦は成功したものの、ぐ、とユラの表情が歪んだ。吐きそうなのを堪えているような表情だった。人の死を間近に見た経験は、多いわけではないらしい】
【人形のように動かなくなった敵兵から、目を反らす。思考が麻痺したかのように、頭がぼんやりとした】


……、…………気持ち、わる


【絞り出した言葉が、それだった。だが、死体を見た感想としては、それはそれで正常なのかもしれない】
【は、と息を吐く。構えていたボウガンを下ろす。まだそんなに進んでいないのに、ひどく疲れた気がした】


>>240(森島)

……ふん。……あ、ありが、とう……改めて、さ
で……気付いた? いや、普通気付くよね……

分身能力……今ここにいる私は、分身。本体は今、あったかいベッドの上
……い、一度にだせる分身は、ひとつだけ。ただし、無限残機
「マッピング」出来た場所なら……どこでも、いける、から……
だから、さ……なんかあったら、庇わなくて、いーよ。……時間と労力の、無駄だから


【──ざり。ふらつきながら、ユラは旧道を進んでいく。本来会話は苦手だったが、死体を見た直後の今ばかりは、何かで気をまぎらわせておきたかった】
【先ほどの妙な「体温」も、彼女が分身だからか。呼吸が感じられないのも、これなら納得がいく】
【だが、そんな話をしている間に巨大な円柱状の施設が視界いっぱいに広がり──】


>>ALL


────すご。こんなの、本当に存在するんだ……

それにして、も……兵士の、始末……か……、…………。
……1人じゃ、自信、ない。指示とか、くれれば、なんとか、だけど……


【しばらくは施設の巨大さに圧倒されていたユラだったが──トレンチの提案で我に返ったのか】
【はっとした後はやはりぼそぼそとした口調で、そう返事をするのだ】
246 :ニグレド・ユーリエフ ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/05/24(日) 00:18:54.25 ID:YKU5JctgO
>>241>>231>>235>>237

何やら、思っていた以上に手慣れた連中が集まってるな……
これはあまり仕事の必要はなさそうじゃないか

あんたも、諜報部と聞いてナメてたが軍人は軍人だったな

【念のため護衛につき続けていたが、何の問題もなく敵兵は別の三人の手によって無力化された】
【そして最後の一人さえもフランツによって鎮圧。ニグレドは少し退屈そうに息をついた】

>>242

【フランツ、正確にはドローンについていくような形でニグレドは地下道を進んでいった】
【到着したのは謎の施設。眼前に広がっている不気味なカプセル群にニグレドは怪訝げな顔をした】
【その後、フランツに付き従って同じように死体置き場を見下ろした】

……まずいな

【正体不明のものが目の前にある。その事実が、剣士に不吉な何かを過ぎらせた】
【何か自分たちの知らない事が起こっている。それもかなり大きな、何かが】
【直感的に、この場にいるのも良くないのではないか、そんなことを考えているとき──】

────…………っ!!

【足場が崩れた。思考に意識を取られていたせいで、ニグレドも崩壊に巻き込まれる】
【空中で姿勢を整えて、死体の山へと着地。すぐにフランツの元へと駆けつけた】

おい、生きてるか……?
一応、上まで運べはするが、どうする?

【フランツへと声をかけながらも、ニグレドは剣を構えて周囲を警戒していた】
【死体置き場に見えるとはいえ、謎の生物が相手ではどれか一つが動き出してもおかしくはない】
247 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage]:2015/05/24(日) 00:21:14.58 ID:Xiue2jrm0
>>241-242

っ、ふぅ……何とかなったわね……
即席チームだからどうなる事かと思ったけど……まぁ、流石に場数は踏んでる面々のチームだからって事はあるのかしら……

【無事に敵兵4人の制圧が完了し、詰まった息をほぅっと吐き出すアコーディオン】
【嫌な汗をかいていた首元をグイ、と拭い、今さら跳ね上がる動悸を鎮めようと深呼吸する】
【それぞれがそれぞれの裁量で動いた結果だが、無事に一気に攻撃を成功させる事が出来た】

……機械?
反応があるって事は、現役で稼働しているって事よね? ……いよいよ、ここからが情報収集の本番って事かしら

【フランツの言葉を拾い、アコーディオンは訝しげに口元を歪める】
【何らかの施設であると言う推測は当たっていた訳だが、一体何が待っていると言うのか】
【そう声をかけようとして――――正に自分たちがそれを調べる為に居るんじゃないかと、寸での所でその言葉を飲みこんだ】
【そして逆を言えば、いよいよ自分たちの仕事の本領が、ここから始まると言う事になる。もう一度、装着したバイザーを微調整して】

っ、なんか……無造作に設備が設置されてる……。場所が場所柄だから、素のままで運び込んだって感じかしら?

【通路の向こうに見えていた機械群。こんな所でそんなものが規則的に配置されていると言うのも不思議な話だ】
【もう少し設備の整った場所で、何かをするというのが常道だろうに――――と】
【だからこそ、それは然程重要ではないものなのではないか。アコーディオンはそう考えていた】

【――――更に近づいて、その機械の詳細を把握するまでは】

っ、な……何これ…………!?
まるでグラトンの……雷の国にあった生物兵器みたいな奴じゃない……まさか…………!?
――――いや、『RAGNAROK LABORATORY』の設備じゃ無さそう…………これは、六罪王ベクターの、独自のモノって事なのね……!
……研究設備……いや、こんな環境の悪い場所じゃ、研究なんてとても……恐らくは、生産設備……

【自然発生したものとは到底思えない、謎の生物が培養カプセルに入っている】
【それを見つけて、アコーディオンはすぐさま、機関の研究部門『RAGNAROK LABORATORY』の手によるものなのではないかと模索する】
【――――だが、どうやらそれらしい識別マークなどは確認できず。この異形は、更に別な手勢が用意したものと言う事になるのだろう】

――――なるほど。失敗作か、ただの死体か……そう言う類が捨てやすいって事で、ここを選んでたって事か……
要するに、ここは……末端の施設ってことね。どこかで、これ以上の規模で、本腰入れて取りかかってる可能性が……!

【更に、その奥に積み重なった、生物たちの死骸の穴を見通すに、アコーディオンは己の推測を広げていく】
【――――これが、ここの本体であるはずがない。更なる何かがこの地下のどこかにあるはずだ――――と】

あ、っ……フランツ長官!?
っく……私には、こういう状況はどうにも……誰か、引っ張り上げる方法ってないかしら……!?

【そうして方々を見渡している内に、フランツともう1人――――ニグレドが、崩落した足場から落下してしまう】
【思わずそちらを凝視しそうになったアコーディオンだが――――こういう状況で「パーティの注目が一点に集中するのは不味い」と言う事を思い出す】
【咄嗟に、残りのメンツに状況打開の可否を確認しつつ、背後へと視線を飛ばす。周辺の警戒に入ったと言う事なのだろう】
248 :アルフレド・フェリシアーノ ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/24(日) 00:23:15.00 ID:t8kggSEmo
>>241 >>242 >>246 >>247

【上手くいったか――と、アルフレドは表情を変えず安堵する。フランツを含め、他の三名の力量も相当のものだ】
【あそこで踏み止まったニグレドの判断力も頼もしい。このまま行ければよいが……カズネ相手の説明を自分も聞きつつ、軽く息を吐き】
【油断なく銃を構えて背後からの追撃を警戒しつつ、何かしらの発見をしたフランツの後に付いていくはずだ】


――こ、これは………。
まさか崩落を隠れ蓑にして、こんな大規模な施設を作っていたのか?

……一体ここで、"何"を作ろうとしていたんだ、奴は……。


【そして目の前に現れる、異形の培養機械。思わず驚きを隠せない様子で呟いて、動くものがないか装置を観察しながら奥へ進んでいく】
【見る限り放置されて久しい様子だが――アルフレドは、その奥を見てさらに表情を歪めた。……放棄された生命の跡】
【生物兵器でも作ろうとしていたのか。はたまた何らかの投薬実験でもしていたのか。覗き込んだ闇の深さに、思わず両手に力が入り、】


―――! フランツさん、ニグレドさん!! お怪我はありませんか!?
今、何か上がれそうなものが無いか探します。……それと、そちらには何か見えますか? 


【轟音がアルフレドの背中に冷たいものを走らせた。崖際まで近づいて二人の姿を確認――暗くて見辛いが、フランツは無事らしい】
【ニグレドもどうやらく大丈夫そうである。大声になりすぎないよう声を掛け、アルフレドは二人の安否を確認し】

【周囲を見渡して、ロープなどの掴まれそうな物を探すだろう。……機械の力で魔力を銃弾にするしか能の無い彼には、そんなことしかできない】
【それが無いのなら、あとはカズネとアコーディオンの魔術か、ニグレドの力に頼るしかない。申し訳無さそうに期待を寄せる視線が三人に向くはずだ】

【それから、最後に――アルフレドはフランツとニグレドの二人へ、周囲を確認するよう声を掛けるだろうか】
【そちらに上がれそうな場所があればそれでいいし、もし穴の中に他のものがあれば手掛かりになるはず。そう思っての質問だ】
249 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2015/05/24(日) 00:30:48.25 ID:qz6dJRXzo
>>241>>242

機械……となるとやっぱり奴らの巣窟で間違いなさそうね
木を隠すなら森とは言うけれどそれにしたってこんな地下深くに作る事もないんじゃないかしら

【フランツを覗き見るに人影らしいものは無いらしい、となればあとは探索だろうか】
【何にしてもそれは警戒を解いて良いという事ではないなんせここは敵の腸の中、あらゆる悪意が眠る場所】
【こちらが敵に容赦が無いように敵もこちらに容赦無い、それだけが分かっているならば取るべき態度は分かっている】

【「ま、取り敢えず進みましょ」と案内のままに魔術師は歩みを進める】
【どこまでも続くとさえ錯覚させる崩落はしかし唐突に開け暗部が顕となるのだろう】

カプセル……?連中は一体なにがしたいのかしらね随分と歪な……
ん……そういえばあのベクターとか言ういけ好かないヤツも「混ぜ物」だったかしら?
となるとここはアイツの故郷か、それとも第二のアイツを作ろうとした実験場か……調べたい所だけどこういうのどうすればいいか分からないしなあ

【虚ろな籠に浮かぶ異形の姿、凡そ通常の生物とは思えない混ぜ物の展示会】
【冷静に振る舞う事で内に浮かぶ不快感を御する、しかしそれでも浮かぶのは疑問】
【こんな事をして一体何の意味があるというのか、その先に一体何を見出したのならばこんな事が出来るのか】

ゴミ処理場って言うなら命じられれば私は喜んで燃やすけど……
今更コレを保存するってでも無いでしょ、こんな物を残して所で未来への負債にしかならないわ

【魔術師は魔女へと姿を変える、一定以上の魔翌力の放出から導き出されるは「熱」】
【有象無象の区別無しに全てを灰燼へと還す原初の法則、こと文明より生まれたモノに対しては絶対のそれ】
【掌に沸き立つ「紅」はこれ見よがしに周囲を赤く照らし、どうする?と問おうとすれば瓦礫の崩れる音】

ちょっ、ちょっとアンタ……!!――――――――……不幸中の幸いってところかしら
私だったら頼まれても行きたくないけど、しょうがないわねロープになりそうな物でも探したげるわ……
ああ、あと灯り代わりにはなるでしょ……ホラ受け取っときなさい

【瓦礫に足を奪われる彼ら、一瞬叫びつつもどうやら彼らは無事らしく何でもないとばかりに胸を撫で下ろす】
【さて、偶然とはいえ分断されたこの状況あまりよろしくないな……と遺跡荒らしの経験が囁く、かといって何がどう出来るでもない】
【カズネの魔術の殆どが戦闘用、一部にそれ以外はあれど都合よくロープを生み出すような物などなく】

【ならばと掌に浮かばせた「紅の火球」を眼下の彼らへと投げ出した】
【羽根のようにふわふわと落ちる火球はフランツ達の頭上で停滞し周囲数mを明るく照らす】
【下は墓場、だがしかし往生際の悪いモノも残っている可能性もあるならば先んじて危険を見つけられたならば対応する術もあるだろうという事で】

【当のカズネは他の仲間の様子を伺いつつ手段を持たないようなら周辺を探しロープ代わりの物を探すだろう】
250 :ワザワイ・エスパス[sage]:2015/05/24(日) 00:31:33.08 ID:qYuFZ8Su0
>>238

「あっ、あのさぁ…」

【この前の事もあってかややあって】

「ゆ、ユラおねぇちゃんの、その、能力ってどんなのなの?」
「この前お家に来た時も使ってたみたいだったけどぉ?」

【とりあえずはユラのことをより良く知りたいし今回の作戦にも関係すると思ってユラの能力について聞いてみる】
【姉からは人見知りと言われているがこの間の様にいきなり手を取ったりしなければいいはずと踏んでのことだ。】

>>239

【申し訳無さそうにするギアの服の裾をチョイチョイと引っ張る】

「け、けっかおーらいだからね…」

【自分の能力を頼もしいと言ってくれたのが余程嬉しいと見えてフォローを入れる】

「あの人たちを動けなくできたのはおにぃちゃんのおかげだからね?」

【この少年、こういうところは本当に歳相応である】

>>243

「しーっ」

【口に人差し指をくっつけてトレンチの後に続いていくと見えてくる圧巻の光景】

「!!!!!!!!!」

【口許は押さえているが目のキラキラがハンパ無い、無言でこそ居るもののもう大興奮だ】
【何故か男の子は小さい頃からこういうのが好きなのである】

「僕は二人くらいだったら…戟(これ)で刺して何んにも言わないうちにカチコチに凍らせられるよ(小声)」

【それにそうすればその凍り付いた死体がそのまま残るのでカメラに映っても暫くは異変に気付かれ難いだろう、声も出せないで腸(はらわた)から氷像にされるカノッサ機関の構成員には手を合わせるばかりだが。】
251 :森島 京 ◆ItbpQ6xKnU[sage]:2015/05/24(日) 00:35:34.31 ID:cFHEapl9o

>>245

……感覚は同期してるんでしょう。少なくとも、視覚ぐらいは。
なら、無駄じゃないですよ。 ──ゲームじゃないんですから。

【死体を見て、『気持ち悪い』と感じるのなら──、ある程度の同期はあるのか】
【或いは、別個の独立した人格なのか。 どちらにせよ、死の痛みを感じさせる≠フは、気持ちのいいことではない】
【──、少しむずかしい顔をして、そう返すと、彼は足を進める】


>>243

【──トレンチの指示通りに、足音を殺し、旧道を進む】
【すると現れたのは 、まるで出鱈目な、 距離感も遠近感もあったものではない、構造物=z


…… 、もうちょっと、「単純」な六罪王かと思ってたんですけど 、ね。


【口の端を引き攣らせて、呟く。──「ベクター」がこの地に現れたのが、3月。それから大凡、三月】
【研究施設自体は機関によるものでもおかしくないが、これはこれで面倒。 その点で、第一の想定外】

【── 更に面倒なのが、円柱≠フ方だ】
【これは恐らく、ベクター・ショック以前≠フモノと考えて間違いはない】
【機関が「掘り出した」とでも言うのなら別だが、自分達が通って来たのは、「鉄道工事道」だ】


……一応僕、「上」の指示で来てるんで。水の国には伝えますよ、これ。
マズいのなら、トレンチさんからフランツさんに伝えて、『止め』ておいてください。


【つまり── 地の国はこれを知っていた≠ニいうことに、なるのかも知れない】
【となると、地の国上層部は、ベクターの狙いに『感づいていた』ということにもなりかねない】
【──此れが何≠ネのか分からないが、自分の情報で国際問題が起きるのは、ゴメンだ】


……、で。 どう黙らせるか、ですか。
取り敢えず、僕の能力で兵器の方は何とか──、 そうですね。
兵器の方だけ、止める準備しちゃいましょうか。 ……ちょっと、待ってくださいね。


【そう、提案すると、今度は両手に矢≠フ様な形状の『固体熱』を生成】
【──、放てば、自らの後方を小爆発させて飛び出す、ペンシルロケット≠フ様なものだ】
【それを複数の兵器に向けて、放つ。 ……、それだけでは着弾したとしても、何の変化もないのだが】


…… 合図≠オてくれたら、熱を放り込めます。 兵士の方は、皆さんに任せました。


【彼の意思で、『熱』を機械に直接送り込むことができる。つまり、オーバーヒート≠フ誘発だ】
【──幾つ命中するのかは分からないが、兵器を止めることができるだろうか】
【もし兵器を止めることになれば、それが兵士たちへの陽動ともなるだろう、と考えての事だった】
252 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/24(日) 00:37:09.88 ID:zVS4aNP1o
>>244
機械ならば脚に痛みも無かろう?悲鳴を上げられたり、血が口に入らない分僕にとっては幸運だ
このまま左脚を噛み砕き、次いで右、腕、それから首といってやろう。素晴らしい残酷さだろう?

【万力のような力を機械の牙に込め、鋼鉄の脚ですらも噛み砕かんと語るのは、決して脅し文句などではない】
【それが出来るだけの力がある、と自負しているからこそ、やってやると語る事が出来る】

放す物かよ、獣が一度食らいついた獲物をおいそれと放すものか。僕は人間だが、今だけは獣だ

【『放せ』と言われて放すようなら、こんな事はしていない、語るに同じく正しく獣が如く、武牙の左脚に噛み付いたまま放さない】
【刹那、大地が悲鳴を上げた、地面から発生した力が武牙の体を伝わり、増幅し、自身の目と鼻の先に集まっていくのがわかる】
【しかし、尚も退かぬ怯まぬ、武牙が振り上げた左脚に、自身の体も持ち上げられようと、牙を放そうとはしない】

【このまま武牙は左脚を振り下ろす、そうすれば、紐に括り付けた羽虫が如くラインは地面に叩きつけられるだろう───しかし、それが出来ればの話だ】

恐ろしい力だよ全く、無能力者とは何かわからなくなるね
尤も君は特別な例か、こんなのが蔓延っていてはGIFTも形無しだろう

【武牙が脚を振り下ろす動作は、何かが引っかかるような感触で妨害されるだろう。見上げれば、ラインの体が空中で静止しているのが見える筈だ】
【否、ラインが空中で静止しているのではない、手品の種はラインの能力、腰から生えた巨腕が路地裏の建物の壁に爪を深く食い込ませ、繋がるラインの体を無理矢理固定している】
【そのまま、巨腕が振るわれる、しかしその支点の重量の差で、実質振るわれるのはラインの体、それと噛み付かれている武牙だ】
【巨腕の力を持って武牙ごと自身を持ち上げ、振り下ろす、武牙の体を地面に叩き付けようとしている。しかし、これまでの動作で噛み付く牙の食い込みが甘くなっており、動作を上手く合わせれば、その攻撃動作を空振りさせる事も出来るだろう】
253 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank)[sage saga]:2015/05/24(日) 00:44:55.33 ID:5JyvUNBU0
>>241-243

【トレンチに先ずは腕を認められて悪い気はしない、だがUNITED TRIGGERを素人集団と称している様子は余り気分は良くないらしく】
【仮に方向性は違っても同じ正義を掲げる組織だ、国を護るという使命があるエリーゼも同じ仲間だと考えている、口には出さねどトレンチは嫌味な人という印象が彼女の中でより濃くなったのだった】

(こういう状況で関係は崩したくない…………文句を言うなら終わってからね……)
(それに独自の技術も持ち合わせている、支援はあったほうが断然良い…………今は我慢 我慢)

…………ギア君、でいいのよね……?あんなこと言われて気になるかも知れないけど今は抑えて……ね?
ああいう人は言い返してたらキリがないわ、それに分かっていると思うけど今はそんなことをしている暇もないもの、どうか穏便にね……?

【次なる敵を素早く探知したトレンチのドローン、それを見て今は反論はやめた方がいいと考え】
【彼に聞こえないようギアに小声で今は抑えるように宥めておくだろう、彼も分かっているとは思うが 念のため、というやつだ】
【索敵が出来るというだけで現場は大分違う、今それを失うような事は避けなければならない、その技術力だけは今の奇襲で良く分かったのだから】

【音を立てず、静かに、しかし素早く旧道を進んでいくと、そこには衝撃の景色があって】

………………何よ、これ…………機関がいつの間にこんなものまで造っていたなんて…………

…………そうですね、ここからは慎重に進んだ方が良さそうです、ここはもう敵地、何があっても不思議ではありません。

【警備の様子から見て重要な施設の一部と考えるのが妥当だろうか】
【ここを潜っていく……、想像するだけで疲れるが ここまで来た以上 それしかなさそうだ】
【トレンチの提案を受けて エリーゼはそれに賛成のようだ、近くの物陰に隠れ、待機する】

【先程と同じように一人を確実に獲る、脚に力を込めてじっと指示を待つ】
【カメラを誤魔化してくれるのならと今度は止まらずにラリアットで首をへし折りつつ そのまま先の物陰まで跳ぼうとするだろう】
【トレンチからの指示があれば直後に飛び掛かる、エリーゼはその時を待っていた】
254 :ギア・ボックス ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/05/24(日) 00:58:17.19 ID:g/AF8yAoo
>>243
【全員の攻撃が、二人を打ち倒したのを確認してひとまずは胸をなでおろす】
【自分のミスで、初手から隠密に失敗したのではシャレにならない】

う……返す言葉もありません……

【容赦なく突き刺さるトレンチの言葉に、ギアが目を伏せる。UTまでもバカにするような言動には、不快感も覚えたが】
【自分は今、UTのメンバーとしてここにいるのだ。言われても仕方のないことだろう】
【幸いにして、任務の続行は可能だ。ここから挽回する、と気持ちを切り替えて先に進む】


>>250
【袖を引かれる感触に振り向けば、先ほどは心胆寒からしめる本性の片鱗を見せた少年が】
【自分に優しい言葉をかけてくれている。その光景に、かつて会った狐耳の少女のことを密かに想起しつつ】

ハハ……うん、ありがとう。取り返しのつかない事態にならなくて、本当に良かった
いや、ワザワイ君が凍らせてくれたおかげだよ……すごい能力だった

【やはり子供は子供なんだな、とわかると、ギアも屈託のない笑顔を向けた】


>>253
あ、ええ、ギア・ボックスです。貴女はエリーゼさん、でしたよね?
いえ、僕がしくじったのは事実ですから……わざわざありがとうございます。大丈夫、ですよ

失敗した分は、ここから挽回します

【ワザワイと同じく、言葉をかけてくれるエリーゼにもまだ意志を失わない笑顔で応える】
【人形とは思えないほどリアルな動きだ。そのうちの魂が成せる業】
【ともかく、この場は余計なことに意識を裂く余裕などない。言葉より行動。ギアは、彼女の言葉にも押されて、前を向いた】



>>243
【トレンチが警告を発すればすぐに停止し、ドローンの性能の高さに舌を巻く】
【トレンチの言葉には、無言でうなずいてみせ、魂の持てる集中力を総動員して足音を殺して進む】
【やがて、目に飛び込んでくる光景――――】

……これ、は……

【思わず言葉を失う。あまりに、あまりに巨大な円柱。ネオンと機械。鉄と光】
【これほどの施設、短期間で出来るものではない。ずっと前から、あったのだ。あろうことか、一国の首都直下に】

【地形から合流には通り抜ける必要があること、警備の厳重さからその困難さを思い知らされる】

……了解です。奇襲が成れば、一人なら確実に斃して見せます

【トレンチの言葉には、そう返した。右手を体内に差し込み、その中に仕込んだ凶器。自身の血族に伝わってきたサーベルの柄を握る】
【思えば、このような形で刃に血を吸わせるのは初めてだ。今度はしくじらないよう、ギアは魂を鎮めながらトレンチの合図を待った】
255 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/05/24(日) 01:08:04.57 ID:OBfm6KRwo
【深夜・UNITED TRIGGER】

【酒場としか思えないその事務所。其処に一人の来客があった】
【金髪、大きめの白いシャツ、そしてジーンズと言うラフな格好の若い男、なのだが】
【如何せん時間が遅い。閑散とした店内のカウンター席に勝手に腰を下ろしてしまい】

流石にこの時間じゃ、UTやその関係者も居ないか。
出来れば有名人のリーダーさんにも会ってみたかったんだけど……

……それにしても、今ってそもそも営業時間なのかな。
天下のUTにしては少し、人が少ないようにも思えるけれど。

【人もまばら――というか、そもそも聞こえる音が有線のラジオくらいなのが今だ】
【店員も見当たらなければ客も同様。開いていたから入ってきた】
【金髪の男の状態はそんな所だった。どうやらUTのメンバーに話があるようだが】
【正義の味方、という見た目ではない。少し、不思議な雰囲気の男だった】

/予約であります。
256 :フランツ・ヘンドリクセン&トレンチ・ミリオン・マクスウェル ◆/iCzTYjx0Y[!nasu_res]:2015/05/24(日) 01:14:01.28 ID:RBPMmeARo
>>245>>251>>252>>250

【トレンチの方は、と言えば―――そもそもこの男、黒い噂には枚挙に暇が無い。】
【やれ、武器を売る為なら自分で戦争を引き起こすだの、政界にも相当入れ込んでいる、だの】
【近々防衛省に召還されるのではないか、そんな話すらも耳に入ってくるほど、そんな男だからこそ。】


 「―――そうだな。これで地の国政府を強請る武器を手に入れた、という訳だ。」

 「連中は最初から、カノッサは愚かそれよりよっぽど危険な事を企てていたのか。若しくは―――」

 「カノッサと裏で繋がっていたか。まあ、どちらも考えられん話ではないな、この国はなんといっても巨大で、歴史が深い。」

 「繁栄と栄光の光が深ければ深いほど、その裏にある影はより一層の暗黒を湛える。まあ、国等所詮そんなモノだ。」

 「……だが、対策本部に情報を持ち帰らないワケには行かないだろう。有りの儘を伝えるべきだと、思うがね。」

 「どうせ、地の国政府はこれも全て"カノッサの仕業"だと言い張るに決まっている。政府のものだと言う、確固たる証拠もないしな。」

 「……大昔に閉鎖された、何らかの施設。それを、なぜ今カノッサが再び狙うのか。」

 「……悪いが、そこを含めて調査してきてくれ。頼んだよ、森島君。それにワザワイ君、ユラ君。エリーゼ君、そして―――ギア。」



【トレンチは、素早く手元の端末をチェック。カメラの動きを、タッチパネルで連動するように、動かし―――】


 「……成功した。映像の挿げ代えにはもう少し時間を要する。」

 「カメラの関節部分を私の方でハックした、君らの暴れる所を上手い事"死角"で隠しておく。」

 「だが―――特定の方向だけをカメラで追っていれば、監視システムが異常に気が付くはずだ。」

 「つまり、長い時間カメラで君らを死角に納めておく事は出来ない……もって、三十秒。」

 「―――その間に、抜けろ。全員を気付かれず、打倒してな。わかったか?」

 「―――よし。始めるぞ……いまだっ、行け。」

【トレンチはカメラの位置を固定、そのまま四人に"合図"を出すだろう。】
【カメラの備えられた入り口正面に配備された兵士は、三人。何れも銃火器で武装。】
【そして、その入り口に繋がる長い"ブリッジ"の中央を、機銃を備えた無人警戒機がふわふわと、飛翔。】
【更にはカメラよりも上の位置、見張り台のような場所からは二人の狙撃手の姿すらも見える―――難関だ。】


 「―――厄介なのは、敵の狙撃手だな。ユラ君、君のボウガンで素早くあの二人を鎮圧しろ。」

 「その間、ワザワイ君は無地員警戒機を氷で眠らせる、森島君は先ほどと同じ様にユラ君及びワザワイ君のサポートだ。」

 「―――残る三人の兵士を、ギア、そしてエリーゼ君で無力化。これを三十秒だ、急げ!」

【トレンチが小声で指示を飛ばし、カメラをハッキングする。制限時間は残り、28秒を切った―――ッ!!】
257 :フランツ・ヘンドリクセン&トレンチ・ミリオン・マクスウェル ◆/iCzTYjx0Y[!nasu_res]:2015/05/24(日) 01:14:40.90 ID:RBPMmeARo
>>246>>247>>248>>249

【正体不明の"混成生物"達―――そしてそれを培養する放置された機材。】
【更には、討ち捨てられた多量の死骸―――つまりは、"出来損ない"の、モノ達。】
【不気味。そんな言葉では表せ様のないおぞましい光景が、五人の前に広がっていた。】

【―――よく見れば、地面には幾つかの"書類"が転がって居るのも確認できるだろう。】
【その大半は焼かれてしまい、文字を細かく読み取る事は出来なかったが、しかし】
【"獣"―――"による"―――"行動"―――"戦"――"において"―――"森"】

【幾つかの単語は、黒く焦げた中でも主張を繰り返す。一体、何が起きていて】
【そしてここで、何が起きようとしているのか……だがしかし、それを考えるよりも先ず、】
【地面へと落下してしまった"ニグレド"、及び"フランツ"の救出が何よりの優先事項だった。】

 『―――グッ……くくっ、すまない、ね……ニグレド君、脚を引っ張る事になってしまって……っ、』

 『悪いが、脚を―――"やって"しまった、様なんだ。構わない、君だけでも上に―――頼む、上がってくれ。』

【フランツはどうやら、着地の衝撃で脚を骨折しているようだった。苦々しげな表情を浮かべる。】
【だがそのとき、二人の"足元"で蠢くのは何かの"鼓動"―――うねるような動きで、死体の山が、隆起する。】


 『―――ニグレド君、早く上に上がれ。何か……良くないものが、此処にいるぞ……ッ!!』

 『―――諸君ッ!! 私の事は良い、ニグレド君を優先して助けてやってくれ!!』

 『それから―――ッ、くっ、なるべく急いでくれ、どうやらこの死体の山だが、"死んでいる"者ばかりでは、ないらしくてね……!!』


【だがしかし、忠告は既に遅く―――死体の中を掻き分けるようにして、巨大な一本のツメが突き出ると】
【容赦なく、ニグレドの足元から彼の身体を貫こうとするだろう。相当に鋭く、刀や剣のように太い―――巨大な、ツメだ。】

 『……!! こ、の……!』

【ツメに向かって、フランツは銃撃を重ねる。そして上方にいる三人には、"銃声"と"焦った声"が聞こえる事だろう。】
【どうやら下では良くないことが起きている。そしてカズネの放った紅い光が、死体の中を照らした、その瞬間―――】


 〔グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!〕

【死体を貫き、飛び出してくるのは一匹の巨大な"生物"の影―――これは―――形状的に、蜘蛛か。】
【だがそうとは断言できないのは、蜘蛛のその腹から上に、生え揃っているのはなんと―――人間の、上半身。】
【体の表面や顔が赤ぶくれのようにぶくぶくにはれ上がり、彼方此方が焼け爛れた酷い様相の人間の半身が、生えているのだ。】

 『……おぞましい、化け物めッ!!』

【―――だが、下のことばかり気にしてはいられない。】
【上にいる三人にも同時に、危険が降りかかることとなった。】
【カプセルの中にいた生物の内、一体の目がギョロリ、と動くと―――】

 〔グルルルルルルッルルルルルッルルルルッルルルルルルル……ッ!!〕

【鋭いツメを立て、凄まじい勢いでカプセルを破砕―――!】
【培養液を大量に撒き散らしながら、その生き物は三人の前に"出現"する。】
【見かけには獅子、つまりはライオンによくにた生き物にも見えるが、その口はワニのそれによく似ており】
【もはや滅茶苦茶だ、ついでに言えば尾はまさに巨大な蠍の様なそれへと挿げ変っていて、先端には太く長い、毒針すら存在し。】

【―――その怪物がまずは一匹、ロープを探しているカズネめがけ飛び掛る。】
【そしてツメを立ててその身体を引き裂こうとするだろう。―――更に、そこに加わるのは別の攻撃。】
【三人の上部より、ポトリ、と落ちてくるのは毒液。滴らせた主は巨大な―――蛇。と言っても、此方もまた例によって滅茶苦茶で】
【まるで神話のヒュドラーの様に、長さの違う蛇が一本の尾から何匹も何十匹も繋がるように合成されており、うねうねと動き回って】

 〔シャァァァァァァァァァッ!!〕

【アコーディオン、そしてアルフレドにも襲い掛かるだろう。毒液を上空から次々と垂らし、そしてその内数匹の蛇は】
【アコーディオンの身体を絡め取ろうと襲い掛かる―――ッ!!】
258 : ◆VVURn/3wpI[sage saga]:2015/05/24(日) 01:24:07.34 ID:WnvWq8rK0
>>252


痛みだけじゃあ行動は語れないんだ、何度も失うのは精神衛生上よろしくないんだからね。 それと残念ながら首は生身だ
っ、まるで爬虫類だな……いったいそれはなんの力だい

【がくんと勁は中断される、否、正確にはそれ以上の力を以て遮断されたというべきか。股の間から仰ぎ見れば、逆さまになった相手を命綱の如く赤腕がぶら下げていた】
【ふわりと身体が浮けば苦い笑いを歯の隙間から浮かべる。振り払いを止めたばかりか機械と人間二つずつの体躯を軽々と持ち上げたのには目を瞠り】
【自分以外に身体を持ち上げられるのなど久方ぶり――――忘れていた、この力はまともに食らうと不味い】


GIFT――――街の噂だかで聞いた事があるぞ
酒の席のたわ言かと思っていたが、これは認識を改めなくてはいけないな……

【熱に浮かされた頭に単語の羅列が走馬灯のように駆け抜ける】
【頭上でみしみしと音をたて続けるのは己の左足。装甲の蝶番は最早その役目を殆ど放棄しており、幾数枚の鋼板を相手の口中に残して砕けるのはのは時間の問題か】
【それでも尚構えを捨てず、瞬間意志を帯びた目線が交錯する】

っ、壁が丈夫である事を祈っていろよッ!

【地に叩きつけられるのは重畳――――無事な右足が接地した刹那、一本の棒と化して天に伸びた左足が受けた力をそのまま反作用で返す】
【体重プラス叩きつけられた衝撃を、攻めの中心である歯に、一番脆くなっている足で迎撃】
【本来なら痛みでまともに働かせられない所を微塵も力が衰えないのは、やはり血の通わぬ機械の力。不安定な筈の蹴り上げの体勢は盤石な一本の柱となって】
【尤も力の逃げ場の少ない垂直の威力を、遠慮の欠片も無く真上に突き上げた】
259 :森島 京 ◆ItbpQ6xKnU[sage]:2015/05/24(日) 01:27:24.30 ID:cFHEapl9o
>>256

【森島も、トレンチには同意だ。──尤も、「強請る武器」などということを、意図していたわけではないが】
【この施設の詳細を調査し、ありのままに報告する。 それが今、一番に求められることだろう】


 ……オッケーです。

【合図に合わせ──先ほど、仕掛けておいた熱の矢≠起動。警戒機に一瞬、熱を送り込む】
【これで挙動がおかしくなって、ワザワイが狙いをつけやすくなれば儲けもの、という程度の支援だ】
【警戒機がブリッジに落下してくれれば一番だが ──、そこまで求めるのは、虫がよすぎる】


【それから、森島はユラの支援──つまりは先ほどと同じように、支えるだけなのだが──に移動】
【狙撃手が片付き次第、彼女とともに、扉へと駆けることになるのだろうか】
260 :ヒライ ◆8R7odKA9zA[sage]:2015/05/24(日) 01:28:32.00 ID:zxjAsYMMo
>>255

あれ?……まだやってる。……セリーナ帰ってきたのかな

【夜更けに何の躊躇いも遠慮も無く事務所のドアを開ける音。しゃがれた男の声がした】
【板張りの床に伸びる薄影と同じぐらい細長いシルエットは安い紙巻煙草の匂いを引き連れて】

【これからの時期には暑苦しい髪型(黒髪)でこの時間には相応しくない黒のレンズのサングラス】
【高級そうなのブラックスーツを着ていたが上着のボタンは開けて、シャツの襟元も開け、ネクタイは緩め】
【酔っぱらいが製図したような腕時計を右手につけていた。一見普通に見えても、サングラスと身長だけで】
【特徴は十分に事足りている。右手に寿司屋の包みを握っていて、足は真っ直ぐカウンタに向かう】

誰も居ない……?……まあ、割りと元々こういうトコだし…今更か

【金髪の男が居ても何ら気にしない。人の出入りも多いし、もとより細かいことを気にするような質でもない】
【彼はこれまた無遠慮にカウンタの中に躊躇なく入り込んで冷蔵庫を漁り、適当なビールの口を開ける】
【余談だがビールは緑の缶のラガー。何処にでもあるが美味い。飯を食う時はこれに限る。スタウトは重い】
【寿司の包みを開けて、立ったまま手で摘む。そんなヤツが居たら注目されるのも無理はないが彼は】

…あ、お兄さんも食べる?
261 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage]:2015/05/24(日) 01:36:33.70 ID:Xiue2jrm0
>>257

っく、下に落ちた面々は、私じゃどうする事も出来ない……!
とにかく、一騒動起こる前に、何とか引っ張り上げる手段を用意するしか……ッ!?

【残念ながら、アコーディオンの先ほどの術は、ほとんど攻撃や攪乱の為の手段で、救出と言う要素を孕んではいなかった】
【ならばこそ、彼女は周辺の警戒に専念し、他の面々が彼らを引っ張り上げる手段を模索するか、下の面々が自力で這い上がるのを待つ心算だったのだが】

ッッッ!!
不味い、この死体の山で、まだ生きてる化け物がいた……!!

【崖の下から聞こえてくる、地に轟く様な咆哮。思わず振り向きかけたアコーディオンだが、無理やりにその視線を吊り戻す】
【もしもこの状況で、何かの襲撃を受ければ、対応する人間がいなければ――――自分たちは総崩れになる】
【ましてや、これでは騒ぎになってしまう。先ほどの様な兵士が再びやって来る可能性は、決して否定できないのだ】

っっ、こっちもこっちで厄介な……! 『リスクスト――――――――』!?

【その懸念は、多少ずれた形で現実のモノになった。管理されているとばかり思っていた生物が1体、カプセルを割って飛び出してくる】
【明らかに自分たちに殺意を向けている。まずはこれを何とかしなければならないだろう】
【再び、両手から赤い光を仄かに輝かせて、相対しようとしていたアコーディオンだったが――――】

きゃっ…………し、しまった……!!

【頭上から現われたのは、何本もの首を一本にまとめた様な、巨大蛇】
【擡げた首を突き出してくるその蛇に巻きつかれ、引っ張り上げられる力が加わって来る】
【――――このまま手繰り寄せられれば、後はズタズタに食いちぎられる未来しかないだろう】

――――――――しょうがない、か……ここで使うつもりは無かったんだけど――――っぐ!!

【何かを自嘲する様なため息を漏らすと、アコーディオンは右手で握りこぶしを固め、そこに左手を添えると――――自らの下腹部を思いきり痛打した】

……ぅ、ぅあ、か、っぁ……ぅ…………ぅぁぁあああああんんッッ!!

【――――全身に高熱が走る。身体が解れ、解けていく。バラバラになりそうな感覚が走る。苦悶の叫びが響き渡ると――――その身体が、文字通り『溶けた』】

――――ゥゥゥォォォオオオオ…………甘いのよ、その程度で……毒蛇名乗ろうなんて…………!

【全身が緑色の、粘液状の液体で構成されている人型が、そこにはあった】
【人の姿を保ちながら、全身の輪郭や陰影は曖昧に崩れかかっており】
【身体を透かして微かに向こう側の光景を映すその姿には、内蔵も脳髄も見て取る事は出来ず、生物としてグロテスクな外観だった】

【掴みあげられたアコーディオンの身体は、もはや人間の体を成していなかった】
【その粘液の中に、人間として着用していた着衣が飲み込まれ、散逸を防いでいるが――――ともあれ、半液状の身体となった彼女は、蛇の絡みつきを脱した】

……自家毒は平気でも、あたしの……本当の毒はどうかしら!?

【デロリと腕を突き出すと、その身体がボコボコと泡立ち――――つぶてとなった飛沫が3発、蛇へと発射される】
【命中すれば、身体にめり込まんほどの勢いで発射されたそれは、もし身体に注入されてしまえば――――そこから腐食が始まるだろう】
262 :ワザワイ・エスパス[sage]:2015/05/24(日) 01:39:11.01 ID:qYuFZ8Su0
>>254

「ぼ、僕凄いの?」

【その一言が唯でさえ上がっていたテンションに拍車を掛ける】
【こういう場でなく戦闘中であったなら確実にシャウトしているレベルに、最早興奮し過ぎて能力がプチ暴走を起こして少年の周囲にダイヤモンドダストが降っている始末である】

>>257

「…う~ん」

【この歳の子供には難しい話だったようで首をかしげる】

「らじゃりましたー!(小声)」

【ひそひそ声で返事をすると足場を所定の機械の場所まで凍らせてその上を一筋の光線の様な速度で滑る】

「えい!」

【背中から引き抜いた戟、これを勢い良く風車の様に回して吹雪を機械に吹き付けようとする、もし邪魔が入らなければ短時間でも充分に機能を停止させられるだろう】
【しかし今の少年は興奮のあまりに周りがあまり見えてはいない】
263 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/05/24(日) 01:40:22.15 ID:OBfm6KRwo
>>260

【ぐるりと首を回してみても、誰かが視界に映ることはない】
【否、なかった。――背の高い彼が入店し、さも当然のようにカウンターの奥へ進み】
【そしてビールの缶を開けるのを見れば、嫌でも『関係者なのか』と思うもので】
【実際、金髪の男はそう感じたらしい。柔らかな表情のまま、提案に頷いて】

……ちょうど小腹が空いてきた所だったんだ、貰うよ。
といっても、実は"スシ"を食べるのは初めてで……どれが美味しいのかな?

出来れば、飲み物と一緒にオススメの物をくれると助かるんだけど…――。
あぁ、それと……君ってここの関係者か何か、なのかな。

【求めるのは適当な握りを一貫ばかり。飲み物は、きっと緑茶でもあればいいのだろうが】
【『これをくれ』と言わない以上、何を出してたって文句をいうタイプには見えなくて】
【それから重ねて尋ねるのは、随分と慣れた様子の男の素性だった】
264 :ユラ ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/05/24(日) 01:40:27.00 ID:8VPGhvZDO
>>251(森島)

【「……そりゃあね。同期はしてる。……ふん」ぼそぼそと、ユラは答える。無駄ではないという返事には、呆れたように目を細めた】
【「……無駄だよ。ゲームみたいなもんだし」反抗するように、小さくそう続けた。価値観の違いだろうか。説得は互いにとって、大変そうだ】


>>250(ワザワイ)

……さっき、あいつ(>>251森島)にも話した、けど……分身、能力
えぇ、と……本体は、私の部屋で寝てる。分身、は……ひとつしか出せない、けど……消しても、また出せる。分身が死んだ時も、ね
で……「私が行ったところ」なら、どこにでも、いける
だから……例えば、あの施設の中には、いけない。私が、認識……できていない、から


【ワザワイの考えは正しかったらしく、会話だけであればユラも応じてくれるらしい】
【分身能力。消しても現れる分身──それだけ聞けば、「死なない」ような能力に近いような気もするだろうか】
【なにせ本体はここから遥かに離れたエスパス家に在るのだ。しかし詳しく聞けば制約も多い能力だ】
【それにユラ自身、もやし体型というのもある。肉体的な強さなどないに等しい。作戦遂行のために彼女を利用するのは、なかなか難しいかもしれなかった】


>>256(主催)

【──ワザワイと森島との会話を進めているうちに、作戦自体も進んでいた。くるくると目まぐるしく、指示が飛ぶ】
【狙撃手の撃破。鎮圧。2人。──2人? そんなに? 無理だ、早い。30秒だなんて狙いを定めている間に過ぎる】
【難関なんて話じゃない。不可能だ。ボウガンの使い方は練習したけど、精密な高速射撃が可能なほど手練れじゃない】


…………む、無理、だよ……無理、無理、無理っ……!
あ、あんたバカだろ……お、お母さんは、傭兵だけ、ど……わ、私そんな……で、出来るわけ、っ……!
た、たてっ……たてるなら、も、も、もっと現実的な作戦…………!!


【ボウガンを構える。残り何秒だ? 30秒は残っていない。手が震える。照準なんて定められるわけがない】
【それでも森島>>259の手助けで、震えは止まる。ただそれだけ。狙いが緊張で定められない】
【誰か。誰か誰か誰か誰か誰か──「姉ちゃん……!」 目をぎゅっと瞑る。狙いもなにもあったものじゃない。かちん、引き金が引かれる】
【ボウが持ち主の意図と関係なく射出。こんなもの当たるわけがない。当たったとしても、急所に刺さるなどあり得ない。2撃目、3撃目も同じ調子だ】
【他のメンバーも時間と兵士の処理に追われている。サポートは可能か。可能だとして、果たして間に合うのか──!?】
265 :ニグレド・ユーリエフ ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/05/24(日) 01:40:39.38 ID:YKU5JctgO
>>247>>248>>249>>257

【上層から覗いてくる三人に向けて、無事であることを知らせるために手を振る】
【フランツの様子を伺っているところで、地面の文字がニグレドの目に入った】
【だがどうにも意味がわからない。それよりもフランツの状態が問題だった】

そうしたいのは山々だが、こっちも仕事でな……
依頼をもらう立場としては、依頼内容に明記されてなくとも同伴者の生命は守る義理がある
『あいつは書いていないことはしない“気の利かないヤツ”だ』と思われるのも癪なんでな……

【そう言ったニグレドの周囲で魔力の淡い燐光が灯る】
【その次の瞬間に、振動。フランツの怒号が響き、それをかき消すように更に揺れが強くなる】
【救出を一旦取りやめて、ニグレドは周辺を警戒する。大剣の柄が両手で握りしめられ、剣士に期待が過る】

【足元が膨れ上がり、巨大なツメが肉薄。足場の振動と崩壊でニグレドの足が取られる】
【だが無理やり剣を振り下ろしてツメを迎撃。取られた足を強引に振り上げてツメを蹴りつけ、反動で跳躍、着地】
【怪物を眼前にした剣士の口元に、獰猛な笑み】



…………くくっ、折角地下にまで来たんだ


            ──────“これぐらい”のことはなくてはなぁあああああっ!!



【怪物の出現に、歓喜の叫び】
【怒号と共に剣士は迷わず突撃。その巨大な足めがけて、大剣を振り払う!】
266 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2015/05/24(日) 01:41:08.64 ID:qz6dJRXzo
>>257

―――――ッ!?言わんこっちゃないじゃないの!早く探さなきゃ!!ッ!?

【醜きは歪な命の執着か、喩え如何様に姿を変えようとも生き物として根底にある物だけは】
【その己を存続させようとする本能だけは消え去らないらしい、叫びの後に命が散らぬ事を祈りながら辺りへと視界を這わせる】
【しかし、意地汚い生き物達はこちらにも居る――――――――】

ち、このっ……化獣ッ!!

【爪は死を運ぶ、刃が人の加工した物であるならば爪こそが原初の刃】
【一呼吸も無い内にその白刃は我が身を切り裂かんと迫る、元より近接はからっきし相手にするには少々不味い】
【だがだからとてここで死ぬ理由にしてなるものかと魔女は猛る】

収束火砲、斉射――――――!!

【背面に浮かばせていた火球を全面に配置し圧縮を解き放つ】
【溜め込んだ魔翌力を解けば現れるのは爆風、四方八方とその余波は広がる……無論術者であるカズネとて例外無く】
【ただ距離を取るという意味ではこの衝撃は丁度良い、身を丸ませて波を身体に受け後方へと飛ぶ】

……っ!映画じゃないんだからっ、なんでこんな事してんのかしらねッ!!

【爪、毒と避けしかしそれでも状況は変わらない】
【ならば反撃はここから、左手に形成する陣は連弾番える火球は無数】
【標的は蛇の毒その垂れる毒液を熱量を以って揮発させんとし、影ながらと仲間を救わんとす】

【右手には収束砲、狙うは異形の獅子その腹部】
【魔翌力の収束され掌に集まる姿は星の創成を思わせる、ひとつひとつと光を宿し熱を力を纏める】
【されどそれが放たれるには刻限が足らず、紅の瞳はただきっ、と獅子を睨み付けるのみ】
267 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank)[sage saga]:2015/05/24(日) 01:49:06.66 ID:5JyvUNBU0
>>256

国がこれを作った…………?この施設に一体何の目的があったのか…………
考察していたら日が暮れるわね、とにかく今の機関にとってもなかなか重要な意味を持つ施設になっている、ということだけは確かかしら。

…………三十秒、それだけあれば十分だわ、私の速度ならばやれるはず。
三人か、分担が大事ね、私は二人やれても最後の一人には反応されてしまう。
無線機を取り出すまでには間に合うとしても銃声なんて出されたら厄介だわ、ギア君、サポートを任せるわ、私もそれに応えて二人までなら何がなんでも無力化する。
UNITED TRIGGERは無能じゃないって、あの人に見せつけてやらないとねっ。

【監視カメラを止めていられる時間は三十秒、彼女の身体能力ならば二人までならやれる】
【問題は残ってしまう一人、ギアが仕留められるのならそれで万事OKだし、可能ならば彼の二人目への攻撃も許すだろう】
【先程のように動きを鈍らせたりしても大丈夫だ、それならどうにか三人目までフォローも出来る、彼女は動きをギアの動向次第で変えてくれるはずだ】

行くわよ…………ッ!!

【トレンチの指示に合わせ、物陰から一気に兵士の首を刈り取ろうとする】
【ラリアットでその身体ごと先の物陰へ拐って、カメラが動き出しても問題ないように狙う】
【そして成功したなら、捨てるように一人目の兵士を投げて 直後に二人目へと跳躍して首を捻り折ろうとするだろう】
【三人目はもしギアが仕留められなかった場合に限りフォローするつもりだ】
【一連の動作が終わったときの時間は二十秒と少し、残る数秒で先へと進めるか……?】
268 :アルフレド・フェリシアーノ ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/24(日) 01:49:52.51 ID:t8kggSEmo
>>257


【周囲を見渡す中で見えてくるいくつかの情報。――ここに長居するのは不味い、そんな予感が頭を過ぎった】
【その直後だ、下層からただならぬ声と銃声が響いたのは。アルフレドは何事かと声を掛けるため一歩踏み出しかけるが、】


………ッ!! コイツら、生きていたのか!!?


【振り返ったのはほとんど勘のようなものだった。そして悪い予感に限って当たるものだ――】
【アルフレドは『Kibrit』のマガジン側面部のスイッチと銃本体の側面にあるセレクターを素早くチェンジし、今度は左の銃を構えるだろう】
【下部にマガジンが填め込まれた、四つの砲身が連なる"回転式多砲身機関銃"――ハンドサイズのガトリングガン、銘は『Nara』】


(攻撃が二人に集中している――ここは僕が一網打尽にする!)


【カズネの元へ飛び掛る奇怪なキメラと、アコーディオンへ襲い掛かる蛇たち。……運良く、自分に来ている攻撃は寡少だ】
【アルフレドはそれを認識すると、『Nara』を落ちてくる毒液に向けて撃ち放つ。放たれるは秒間三十発にも及ぶ細かい"空圧弾"――!】

【『Nara』は一発一発の威力は低いものの、"弾幕"を張ることに特化した銃だ。加え、装填されているのは"風の魔弾"】
【着弾と同時に圧縮空気を開放する無数の弾丸は、狙い通りに行けば、その風圧によって毒液をまとめて吹き飛ばしてしまえるはずである】
【自分のみならず残る二人も防御する構えだ。そして――彼の得物は二丁拳銃。左だけではない、右の『Kibrit』も合わせて火を吹くだろう!!】


喰らえ――――ッ!!!


【『Kibrit』は現在、引き金を引き続けることでレーザー状の弾丸を撃ち放つモードに切り替わっている。属性も電撃から"風"へと変わっており】
【銃口から伸び上がるのは、細く鋭い"空気の鞭"。生物の肌程度の柔らかいものならば容易に切り裂いてしまう"斬れ味"を備えたレーザーだ】
【アルフレドが『Kibrit』を勢い良く振るえば――鋭利な風のレーザーは剣の一閃と同義となり、蛇たちの頭を一気に叩き落とそうと迫るだろう!!】

【また、それだけではない。蛇たちへ攻撃した後、アルフレドは引き金を引いたまま、右手の照準をカズネを襲った化物へも向ける――】
【当然、レーザーは彼の腕の動きに合わせ、化物の"口"へと向かう。今度は叩き付ける動きではなく直射、当たれば体を一直線に貫かれることになるか】
269 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/24(日) 01:57:45.75 ID:zVS4aNP1o
>>258
そうさ、僕達はGIFT───都市伝説や戯言ではない、実在する存在だ
君達みたいな無能力者を殺し、能力者だけの世界にする、なんて立派な思想を掲げた群れさ。尤も、僕はどうでもいいが

【ぐぉん、と二人の体が持ち上がる、赤い巨腕の力は人と機械の混合物二つを軽々持ち上げて支えている】
【隠そうともせず語る自分の群れの名前、半ば馬鹿にしているような表現をもって語るのは、自らが望んでそこにいない事の証明だ】
【いくら組織立った思想があったとしても、それに賛同したのは自分ではなく主人であって、付属品に過ぎない自分にその賛同は持ち得ない。ただ欲しいのは、人間の証明】

まあいいよ、冥土の土産に持って行くといい

【演劇じみた捨て台詞、振り上げられた二人の体が振り下ろされる。風を切り、ただ落ちるよりも更に早い加速度を持って】
【高さは実際の所そこまででもない、しかしこれだけの加速を付ければ、高所の問題など話にもならない衝撃を起こす、機械だろうと人だろうと一溜まりもない筈だ】
【筈だった、のだ】

【巻き起こるのは物理的衝撃の伝播、まさか叩き落とした衝撃がそのまま伝わり返されるとは、誰が思うだろうか】
【いや、予測する材料は確かにあった、武牙の攻撃の特性を見切れる筈であったのに、それが出来なかったのはラインのミスだ】
【凄まじい音がして、機械の牙が武牙の脚から離れる、巨腕が再びライン一人の体を振り上げ、その勢いを使ってラインは後ろに飛び距離を取った】

───っく……まさか……してやられたね……!
落下の衝撃をそのまま返す……?そんな事が、出来るとは……

【口輪のジョイントが破壊されて開いたまま閉じなくなり、ぶら下がった下顎部分から本来の口が覗く。吐き出した血で真っ赤になったその口は、確かに口角が上がっていた】
【鉄の爪で、口輪と頬の間を掻いて、着地した脚が覚束ない事を不安視する。このままでは、些か拙いか】

……殺す殺すと言っておいて恥ずかしい所なんだが、僕もやはり命は大事だ、それにここで本当に死ぬ訳にはいかない理由がある
そういう事で、ここは引く事にさせてもらおう。何、今日の出来事はしっかりと心に焼き付けて修練の糧にでもするよ、僕は修練なんかしないがね

【こういう時の判断は早く、単純にするに限る。殺しが伴う戦いを望んでいたとしても、拙いと思えば引く事を躊躇わない】
【その判断から行動は素早かった、機械の脚が地を蹴り、壁を蹴り、巨腕が建物を引っ掻いて路地裏の壁を登って行く。やがてラインの姿はネコ科動物が如く、建物の屋根へと消えて行くだろう】

/時間もいい所なのでこの辺りで、お疲れ様でした!
270 :ヒライ ◆8R7odKA9zA[sage]:2015/05/24(日) 01:57:46.36 ID:zxjAsYMMo
>>263

【サングラスの男は寿司をつまみ、ビールを飲み、煙草に火をつけてから灰皿を探す】

別に、どれも美味いよ。…偉そうな『美食家』ってやつはヒカリモノから食えだとかサーモンは
邪道だとかあーだこーだ言うけど何食ったって美味いよ。カキフライ乗っけても美味いもんは美味い
……まあ、ひとつ言うなら『1つ食うたびにガリは食っとけ』…そんなとこかな

【オススメの飲み物。また冷蔵庫を開けて同じビールを取り出して、ドアを蹴って閉めるに決まってる】
【ノンアルコールを飲まないワケじゃないが(コーヒーも同じぐらい小煩い)朝食でもミルクじゃなくてビールだ】

関係者の関係者…ってぐらいかな?知り合いは多い…ああ、でも俺にあれこれ聞かれても困るな。シゴトの事は
何も知ら無い。オファーはここのやつに頼んでくれ…面倒くさい。俺は偶にタダ酒飲みに来るぐらいなもんさ

【それにしてはふてぶてしいもんだが何処の情報を漁ってもこんな奴が在籍しているなんて書いてないだろうし】
【実際在籍してないんだから当たり前なのだが、それぐらいの関係でここまで出しゃばるメンタルも信じがたい】
271 :ギア・ボックス ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/05/24(日) 01:58:42.90 ID:g/AF8yAoo
>>262
うん、とってもすごいと思うよ。君がいてくれてよかった

【はしゃぐ少年に、努めて柔らかい声で言葉をかける】
【降り注ぐダイヤモンドダストを眺めながら、やはり彼は少年なのだと再認識した】
【同時に、その少年があそこまでの獣性を有するに至った運命を想像し、現状を間g萎えてすぐに打ち消す】


>>256
【耳に飛び込んでくるトレンチと森島の会話。脳裏に蘇る、トレンチの黒い噂】
【真っ先に出てくる発想が、政府相手の脅迫という辺り、火のないところに煙は立たないということか】
【政府を強請るなど、力のないものがやったところで消されるのみ。この男には、それが出来るだけの力があるのだろう】

【彼の言うことにも理はある。その推測もあり得ない話ではないし、国家のやることが綺麗事でないことくらいはわきまえている】
【それでも、トレンチに対してはよくない感情を抑えられずにいたが。今自分にできることは、眼前の任務を果たすことだけだ】

――――わかりました

【短く、そう返す。そう、自分にやれることなどそう多くない】
【自分だけが呼び捨てられていることには、軽んじられているという認識を禁じ得ないが、それは今はどうでもいいことだ】


>>267
了解です……やり遂げて見せます

【言葉は少なく、されど力強く彼女に向けて頷く。先ほどの失態にも関わらず、サポートを任せてくれた信頼に】
【そして、自身が傷つけてしまったUTの看板の名誉に誓って。必ず、やってみせる、と】


>>256
【やがて、トレンチから作戦と時間が提示される。猶予はわずかに30秒。その間に、これだけの障害を乗り越えねばならない】
【だが今更怖気づくこともない。ハッキングが完了したと知らせを受ければ、その目を人形本来の冷たいものに差し替える】
【今だけは、自分の人殺しの一族の血を呼び起こす。魂が、ドス黒い色に染まっていく】

【タイミングとしては、仲間たちに続く形になるだろうか。自分の仕留めるべき相手のみを見据え、人形は駆けた】

(――――殺す)

【心中での一言を合図に、ギアは姿勢を低くしながら、全力で三人の兵士のうち一人に走り寄り】
【接近に成功すれば、肩口に当てた右手を肩にめり込ませ、抜くと同時に両手で柄を握りこんで振り抜くだろう】

【その手に握られているのは、一本のサーベルだ。両刃の刀身は不気味な光を放っているようにも見える】
【柄の部分には、握っただけで手を怪我しそうな鱗の装飾。それを問題なく握りしめられるのは】
【以前参加した、山間の村での悪魔の残り香との戦い。その報酬として得た、小さな能力をもたらす妖精の力だ】

【狙うは、兵士の首。頸動脈めがけて、刃を振るう。ともすれば、そのまま首を撥ね飛ばさんばかりの勢いだ】


【その時。>>264のユラが放ったボウガンの矢が視界の隅に移った。震えていた彼女の姿が脳裏に交錯する】
【あれは、まずい。狙いがぶれている。遠距離攻撃が主体のギアには、直感的にそれが理解できた】

【残る兵士は、完全にエリーゼに任せることを咄嗟に判断し、ギアは左手を腹に突っ込んだ】
【引き出されるのはU字型の磁石。おもちゃにしか見えないそれは、『ミニマム・マグネッツ』と名付けたおもちゃ武器】
【ギアの意志を反映して、微弱ながら磁力を発する。もともとは、『サプライズ・キューブ』で飛ばした鉄球の操作などのために開発したもの】

【これを用いて、ユラの発射した2撃目、3撃目の矢の軌道をずらそうとしているのだ。確実に、狙撃手たちの急所をぶち抜くように】
【何せ、咄嗟の行動であるゆえ、間に合うかはわからない。二人の兵士たちは、エリーゼに任せきり。僅かの綻びで台無しになりかねない状況】
【それでも、ギアは行動した。左手に握った『ミニマム・マグネッツ』に、己の意志を流し込む。果たして、結果は――――】
272 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/05/24(日) 02:07:11.89 ID:OBfm6KRwo
>>270

【ふぅん、という聞いているのかどうか怪しいような返事をしてから】
【『貰っていいかな』と尋ね、OKを貰えれば手に取るのはタコの握り。】
【初めて食べるなら可もなく不可もなくだろうか。飲み物もまた然り】
【進められれば彼と同じようにビールを取りに行って、小気味よい音を立ててプルタブを開け】

関係者の関係者、か……いや、仕事は良いんだ。
生憎とボクの立場じゃ、彼らの仕事を増やすことはあっても依頼はしないからさ。

ただ……そうだ、知り合いが多いならある女性の事を知らないかな。
赤い髪をした、ベイゼっていう20歳くらいの人なんだけどね
彼女について伝えたいことがあって今日は来たわけで……知らなければ、それでいいんだけど。

【と、云う具合に尋ねるのは一人の女性の事。件の人物は、およそ一ヶ月かそれ以上前】
【ふらりと仕事中に姿を消して――それきり、だったりするのだが。】
273 :フランツ・ヘンドリクセン&トレンチ・ミリオン・マクスウェル ◆/iCzTYjx0Y[!nasu_res]:2015/05/24(日) 02:22:57.29 ID:RBPMmeARo
>>266>265>>261>>268

【獅子の鋭いツメはカズネの行った"爆撃翌離脱"により回避される―――成るほど。】
【"らしい"一手だ、遠距離攻撃を常とする魔術師ならではの回避法、だがしかしそれでは―――】

 『……っ、まずい……上の方で爆発音が……クッ!!』

【そう、あまり大きな音を立てれば増援がこちらに向かってくる事は必須。】
【情報収集として、この不思議な施設で"怪物"の研究を行っている、という所まではなんとか、嗅ぎ付けた。】
【この辺りが撤収の瀬戸際だろうか、少なくともここで応戦している以上、音を立てるな、という訳には行く筈もなく―――ッ!!】

 『……ニグレド君ッ!! 私の事はいい、はやく撤退するんだ!!』
 
 『他の全員もだ、コレではもう敵の増援が駆けつけるのは火を見るより明らかだ!!』

 『情報はある程度収集できた、連中が何らかの"化け物"を作り出そうとしていると言う事もな……!!』

 『いまならまだ、情報を持ち帰る事が出来る!! 全員無事で、それが任務だったろう!!』

【フランツは叫ぶ、此処まで来れば撤退をするほか無い、と。】
【交戦し、応戦し、一先ず怪物を撃退したら、直ぐにでも退避しろとフランツは怒鳴るだろう。】
【だが―――状況はそう、芳しくない。上空の天井に張り付いた蛇は、アコーディオンとアルフレドに襲い掛かる、が―――】
 
 〔シャァァァァァァァァッ……ッ!!〕

【大蛇の放った毒液はまず、カズネの爆発的な火力によって大半が揮発してしまい、そして】
【そこに重ねられたアルフレドの風の弾丸により残りの全てが消し飛ぶ形で無効化されてしまうだろう。】
【そして更に、アルフレドのもう一丁の銃から放たれるレーザー攻撃と、アコーディオンの毒攻撃が連続して蛇を直撃し】
【大蛇は天井から地面へとボチャリ―――と、落下してくるだろう。だが、依然としてその蛇達は、首を失って尚も、うねうねと動いており】

【―――そして、無数の蛇に"分裂"するッ!!】
【一匹一匹が別々の蛇へと引き千切られる事で、群生する第二形態へと姿を変え】
【足元を這いずり回るようにしてカズネ、アルフレド、そしてアコーディオンの三人に全方位から襲い掛かるだろう!】

【特にまずいのは、カズネだ。立った今、アルフレドから放たれた獅子への攻撃だが、】
【獅子はソレを見切ったかのように硬い尾で弾き、完全に無効化してしまう。その上、今度は蛇だ。】
【魔翌力をチャージするカズネに対し、足元からうねうねと大蛇たちが数引き、纏わりつこうとするだろう。】
【そして同時に襲い掛かるのはライオン、ワニの口を大きく開けてカズネをそのまま、丸呑みにしようとする―――!!】

【そこから下、地下地点ではニグレドの大剣を受け止めた巨大蜘蛛が唸り、】
【口から猛烈な糸をぶちまけて動きを絡めとろうとするだろう。その隙に、自身はまたも、巨大なツメを振り上げ―――】

 『……ニグレド君ッ!!』

【フランツが、蜘蛛の注意をひきつけ様と銃を撃ち放つ。一瞬だが、それに釣られ蜘蛛の反応は、確かに鈍った。】

【Bグループの激戦も、タイムリミットが近付いている。このままでは―――増援が、来てしまう……!!】
274 : ◆VVURn/3wpI[sage saga]:2015/05/24(日) 02:23:00.45 ID:WnvWq8rK0
>>269

んん……っ、会心と思ったが浅かったか

【顎が外れ、爪先から一人分の重みが消失する】
【それを体から通して感じ取り、視線を持ち上げれば血を溢して嗤う相手の姿】
【やはり頑丈さは折り紙つきか、見た目とは裏腹に些かもダメージを受けたように見えない】

何だ、これからが盛り上がるところじゃあないか――――っとと、

【にもかかわらずの離脱宣言、昂った精神に水を掛けられて不敬を零すが】
【それを後押しするかのようにがくんと目線が一段下がる。見下ろすと我知らず左足からはばちばちと火花を散っており】
【装甲と人工筋肉の一部を失った左足の駆動は不安定となり、後を追おうにも歩みさえ覚束無い状態】

ここまでやられていたとはね。 悪い癖だ……どうも傷みを顧みなさ過ぎた

【己への苦言は相手の言葉を借りれば修練不足が一因か、いやそれだけ相手の力量が上回っていたという事だろう】
【痛めつけられた順に左、右と膝を着いて、両足を揃えて地に座り込む】

半分は拙者と同じく機械なんだろうが……そうやって命を惜しむところは何より趣きに溢れているじゃあないか
GIFTのライン・アインツヴァイド、君は間違いなく拙者なんかより人間だよ

【残酷な口調ではあったが、その攻撃は酷薄ではなかった。無法者ではあったが、決して卑怯者ではなかった】
【世間一般では彼女は狂人と呼ばれるのだろうが、その矛盾が女にとっては最後まで親しみのもてるものであって】
【しなやかな獣が飛び去った先の夜空を見上げて、そこで初めて深々と頭を垂れた】


/絡みありがとうございました!
275 :ヒライ ◆8R7odKA9zA[sage]:2015/05/24(日) 02:23:20.57 ID:zxjAsYMMo
>>272

【彼もまた適当に寿司をつまむ。美味い店だが反応は薄い。嫌いじゃないが】
【好き好んで食べる程でもない。ワサビだけ食うわけに行かないから食ってる】
【そんなところもある。辛党の一員に言わせれば本わさびは超アリな刺激物だ】

そいつは結構。まあ、最近は多忙なようだから暫く待たされるかもな

【火が付いたまま灰皿に置いた煙草を手にとった時、その名前を聞いて思わず】
【指先が硬直し、眉が動く。観察眼に鋭けりゃわかる動きだ。0.1秒だけ固まって煙草を取り】

……ちょっと待ってくれ。それはちょっと話が変わってくる
確かに、俺はこことは何の関わりも無いが…そいつの事となったらそうも行かなくなる
何と言うか…………監督者というか保護者というか……………まあ、察してくれ
……何にせよ。俺にとっては割りと重要な話の可能性がある。バッドがグッドかは置いておいても

【そう言ってから吸う煙草はジリジリと長く焦げ、深く吸い込んだ。舌が焼けそうだが今は気がつかない】
【彼は余り此処には来ないし、件の理由でここの人間とも(というか殆ど誰とも)連絡をとりあうことはない】
【ニュースになったんならまだしも何があったかなんて知る由もない。最近見かけない。ぐらいは人づてに】
【聞いていたかもしれないが】
276 :フランツ・ヘンドリクセン&トレンチ・ミリオン・マクスウェル ◆/iCzTYjx0Y[!nasu_res]:2015/05/24(日) 02:23:38.07 ID:RBPMmeARo

>>264>>262>>259>>267

【予想通り、基本的には首尾よく計画は運んでいた。】
【森島が警戒機を最初の段階で無力化しておいたお陰で、ワザワイの攻撃は直ぐに通り】
【無人警戒機は高度を失い落下―――ブリッジの更に下、地下深くへと落ちていってしまうだろう。】

【そして、そこから畳み掛ける様にエリーゼの攻撃が開始された。狙撃手を完全に後方に任せ】
【彼女が凄まじい勢いで瞬時に二人の兵士を無力化、彼等は銃を構える暇すらなく、鎮圧させられる。】
【そして、残る独りが銃を構えようとした、その瞬間―――走り寄ったギアの一撃が悪意を貫き、首を跳ねた。】

【―――だが、問題はここからだ。狙撃手二人が侵入者に勘付き、攻撃を開始する。】
【すかさず、眼下にいるギア、そしてエリーゼめがけ弾丸が放たれる。もう独りの方は、無線で連絡を取ろうと、して―――】

 〔ぐっ、あっ―――!?〕

【矢が、当たった。トレンチも不安そうに見ていたが、どうやらこの奇跡には、ギアが一枚噛んでいる様だった。】
【ミニマム・マグネッツ。矢の軌道修正をはかるその能力のお陰で、独りは完全に矢によりノック・ダウン、そしてもう独りは―――】


 「―――おいおい、無線なんて使おうとするな。」


【慌てて銃を放り出し、無線に手を出そうとした最後の一人めがけ】
【無人警戒機すらも"ハック"したトレンチが、その無人機をふわふわと飛翔させ、なんと突撃―――!】
【兵士をそのまま壁に叩き付け、無人機で挟み込んで即死させるだろう。これで―――難関はなんとか、突破となった。】


 「……森島君、聞こえるか。此方トレンチ、カメラの映像差し替えに成功した。」

 「録画した通常時の画像を垂れ流しにしてる、これで監視の目は誤魔化せるだろう。」

 「だがとはいえ、もって数分だ。十分以上は誤魔化しきれんだろう、若しくは更に短いか。」

 「―――直ぐに侵入し、内部に何があるか一瞥し、カメラで画像を保存後撤退しろ。いいな?」


【―――見張りの兵士が全て倒された事で、四人は遂に、その円柱の建物内部へと侵入する事が可能になるだろう。】
【そして、そこで見たのはなんとも―――なんとも、膨大な量の"培養カプセル"の、数々だった。】
【まるで巨大な試験管が幾つも並んでいるかのような、目を疑うほどの光景―――】

【カプセルの中に入っているのは紛れも無く、"普通の人間"であり、】
【洋服こそ着ていないもののそれらは皆、成人男性や成人女性が殆ど、これは―――】
【一体、何か。正体はわからないが、全自動式の機械が幾つも並び、カプセルの状態を逐一確認していた。】

【視界の先、円柱施設のずーっと、奥のほうまで並んだカプセルの数は全部で、1000を雄に超えるほど。】
【この人間は、何か。どうしてここに閉じ込められているのか。どうしてこんなにたくさん、閉じ込められているのか。】

【疑問は尽きないだろう、だが書類のようなものは生憎見当たらず―――、】
277 :フランツ・ヘンドリクセン&トレンチ・ミリオン・マクスウェル ◆/iCzTYjx0Y[!nasu_res]:2015/05/24(日) 02:24:34.78 ID:RBPMmeARo


【―――ここで、緊急通信がトレンチより入る。言葉ではなく、暗号だ。】

【森島の下に送られてくるのは古式な"暗号通信"、諜報部の人間ならば即座に解読可能なもの。】

【その暗号メッセージに寄れば―――"いますぐ ひきかえせ "とのこと。】

【はて、まだ侵入から一分と立っていない筈だがなぜ、撤退をわざわざ音声ではなく暗号で―――――】



       










       あららららァ? なんでまた、侵入者がこーんなにたくさん、いちゃうワケ?










【―――四人の背後。入り口付近から感じる、圧倒的なまでの"凶悪"なオーラ。】
【膨大な熱量と、尊大な声。そして見るもの全てを圧倒する、巨躯。振り返れば、そこには―――】



                  つーか、おまえら何しに来たんだ? ん?

                   ここで全員―――完結、してくか?




               【―――ベクター・ザ・"フォビドゥン"―――!!】
  


「……最悪の、タイミングだ……クソッ……!!」

278 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/05/24(日) 02:30:38.68 ID:OBfm6KRwo
>>275

多忙……あぁ、らしいね。地の国のベクターだとか
怖い人達が多くて参っちゃうよ……見ての通り、荒事は苦手でさ。

【男の身体を見れば、線は確かに細い。柔らかな雰囲気からしても】
【いわゆる文系、芸術家タイプか。――ただ、それにしては肝が座っているようにも思える】
【話す相手の様子が変わっても、一切口調を変えないのがその一端で】

……それじゃあ、関係が深そうな君に対しては単刀直入に言おうか。

ベイゼ・べケンプフェンは、どうやら機関員と戦ったらしい
その結果として重傷を負い、現在は"こちら"の保護下でね。
生憎、今日に至るまで眠り姫でさ……延々と、死ぬまで面倒を見るわけにも行かない。

そこで、どうやら縁がありそうなUTに引き取りを願いたくてね。
……必要とあらば、すぐにでも彼女を連れてこれるけど。

【"こちら"とは何か、どういった義理で彼女を保護しているのか】
【それは言わない。言わないが、申し出る内容は非常に穏当な物だった】
【どう応えるかは自由だろう。少なくとも、申し出た人物は呑気に酒缶を仰ぐのだから】
279 :ニグレド・ユーリエフ ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/05/24(日) 02:37:39.44 ID:YKU5JctgO
>>273

……ふん、水を差す真似をしてくれる

【フランツの命令に忌々しげな表情を浮かべるニグレドだったが、依頼主の命令は絶対だ】
【口から吐き出される糸を横転で回避。すぐに体勢を整え、フランツが注意を引きつけた間に跳躍】
【それと同時に魔術を発動。青い燐光が弾けると、剣の刀身を覆うように水晶が発生。刀身が倍近く巨大になる】


────おぉおおおおおおっ!!


【咆哮と共に、巨大化した剣を怪物の頭部目掛けて全力で振り下ろす──!】
280 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage]:2015/05/24(日) 02:38:50.07 ID:Xiue2jrm0
>>273

…………っ、冗談!!
無事にとはいかないけど、長官を引き上げる手段くらいは、この身体なら!!

【撤退しろ――――フランツのその言葉自体は、正鵠を得ているだろう。こうなってしまった以上、これ以上先に踏み入って行くのは自殺行為でしかない】
【だが、負傷して自力で登って来れないフランツを見捨てる事になるのは明白だ。無論、恐らくフランツはそれを承知の上で逃げろと言っているのだろうが】
【――――隠していた己の姿を解放した今のアコーディオンなら、周囲の敵さえ掃討すれば、引き上げる事が出来ない訳でも無い】
【見捨てる事は、何が何でも避けたいと言うほどおめでたい考えをしている訳ではないが、明確な可能性があるならば、わざわざ人死にを増やす事もないだろう】

……全く、本当にグラトン並みに悪趣味な――――ッ!?
ま、まだ終わってないの……!?

【大蛇を仕留めに掛かったのが功を奏し、首を失った姿で落着する】
【残るは、真獣類の改造生物と思しき獣と、崖下の戦闘を繰り広げている、まだ彼女は姿も確認していない敵だけ】
【――――そう思っていた】

【その目算は、分裂した蛇たちによって脆くも崩れ去る事になる】
【『個』の脅威も侮りがたいものがあるが、その上に『数』を重ねられたら、万事休すだ】
【――――なりふり構っている場合ではない。すぐにでもこの敵達を殲滅しなければ】

……2人とも、当たらない様に気をつけて、当たっちゃったらごめんね!!

【ドロリとした半液状の身体のままで、アコーディオンは飛びかかって来る蛇たちをぐるりと見やる】
【そして次の瞬間、身体を前傾させて背を丸めると――――全身から、まるでハリネズミかの如く、鋭い突起が飛び出した】
【――――体組織を操る事が出来るのが、この姿の利点の1つである。それは、液体でありながら硬質化と言う、便利な真似をする事も出来るのだ】
【周囲を取り囲む蛇たちを、一網打尽に刺し貫くべく、体組織を変形させたのだ】
【もし刺し貫かれれば、その身体に宿っている毒性が効いて、例え速効とはいかなくとも、十分なだけのダメージを与えられるだろう】
【――――場合によっては、カズネとアルフレドの両名を巻き込んでしまいかねないのが難点であるが……】
281 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2015/05/24(日) 02:43:51.00 ID:qz6dJRXzo
>>273

――――――――……ふふふ

【ふつふつと己の中で沸き立つモノ、奔流の如き激しき何か】
【身を焦がすように焦がれるような流れに今更逆らう道理などある筈もない】
【逆境であればある程に風が吹けば吹く程に炎とは猛りより強く燃え上がるものと知れ】

【今やその右手は紅色を通り越し鮮烈な白光へと姿を変えている】
【熱量のその先、いっそその輝きは剣の刃にも似てならば魔女はこの時のみは騎士のそれ】

嫌ねえ、絡まって鬱陶しいけれど……でも私を縛って果たしてこの熱量に耐えられるのかしら?

【尽きぬ焔の魔女宿す力は熱量と、その体表は赤く燃えている】
【生物が触れたならば耐え難い苦痛を与える、しかし蛇とて矜持を持とう離れないとするならば】
【しかし魔女は別に構わないと誰へとでもなく囁く、避ける事さえしないが故の友よりの針の痛みとて今はひとつの起爆剤】

大食らいも構わない、それはそれで楽しそうだわ……
でもアンタ……熱を喰らうなんて事その一生で一度でも経験した事はあるのかしら―――――――ッ

【魔女に抵抗も無い動く事など一切無い、されどその瞳は焔であり照らす先があるならば尽きる事なし】
【やがて視界は暗く閉ざされる、或いはこのままでは消化され溶けて消えて無くなるだろう】
【だがそれはそれだけという話だ……過ぎたる物は毒となる】

(まさか体内までも硬く作る生き物なんていないでしょうよ……)
(尤も喩えいたとしても、内から爆ぜるこの猛威に果たしてどれだけ耐えられるのかしらねえッ!!)

【撃鉄が落ちる音、宿した魔翌力を一気呵成と解き放つ】
【抑えていた熱量の枷を外したならばそれは瞬時に最高の出力へと代わり】
【異形の腸で魔女は腕を一閃を横に薙ぎ、次いで頭上に当たる部分へと向け収束砲撃を放つ】

【熱を持つ魔翌力の奔流、生物としての体組織を持つのであればそれは毒にも等しい暴力】
【タンパク質を焦がし生体機能を滅ぼす告死の焔、それを受けて尚立つというのであれば魔女とてその命が危ういが……】
282 :アルフレド・フェリシアーノ ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/24(日) 02:47:22.35 ID:t8kggSEmo
>>273


(チィ――――ッ!!)


【闇の奥からフランツの声が木霊する。この怪生物の群れ、まともに相手取っていては時間を浪費するばかりだ】
【だが分断されたフランツとニグレドを、敵地のど真ん中に置き去りにしていくわけには行かない。アルフレドの表情に焦燥が張り付き始め】
【とにかく今は、この化物を一刻も早く始末すべきだ。赤紫色の鋭い視線が、まずは分裂した蛇の方へ向いた】


クソッ、これ以上好きにさせるか――――!!


【マガジンのスイッチを操作して属性を"雷"へと戻し、両手の拳銃の引き金を同時に引く。迫り来る蛇たちへ、電撃弾の掃射が襲い掛かる!】
【逃した数匹が飛び掛ってきて鋭い牙で肌を傷つけるが……紙一重の集中力で躱し続け、なんとかすべての蛇へ弾丸を叩き込もうとするだろう】

【一定量弾丸を浴びて電撃が蓄積し続ければ致命傷となるだろうし、この際倒しきれなくても、体が麻痺してくれるだけでもいい――】
【動きさえ止まれば、仲間による被害を増やせるはず。この状況、最悪の場合でも、時間稼ぎだけは完遂しなくてはマズい】
【――そして一通り撃ち終えたなら、読み通りアコーディオンの攻撃(>>280)を察知して、その場にしゃがみ込んで自身への被弾を避けるだろう】

【若干、アルフレドの顔が歪む。魔弾を使いすぎたせいか体が重くなり始めている、、こちらも限界が見え始めたか……】
283 :ワザワイ・エスパス[sage]:2015/05/24(日) 02:54:16.23 ID:qYuFZ8Su0
【機器を凍結させると共にクルクルと回って着地する少年】

>>264

【はっきいってこの少年、半分程しか理解していない】
【しかしながらほとんど無敵に等しい能力、それを自分の記憶と照らし合わせる、あの格好いい登場の際の謎】
【スピードなんて関係の無い次元での現象だと辛うじて理解する】

「それって今居るユラおねぇちゃんは何回叩いてもいないなら無いってこと!?」
「凄い!」

【『死』と言うものを理解していない少年からしてみたらそれこそ何よりも素晴らしい物に思えて絶賛する】

>>271

「ふひゅひゅ♪」

【建物へと歩きながらも人形の彼の言葉に小躍りしそうな程に気を良くする】
【手で覆った口許から笑いがついつい零れ、ほんの一瞬だけ和やかな空気が流れる】

「でもおにぃちゃんの刀もかっこよかったよ?」
「使い勝手だって僕のより使いやすい能力だと思うし…」

>>276-277

「おぉ〜!」

【思わず声を出してしまう程に圧巻な光景】
【我慢出来ずにライトに照らされる人達を覗き込み】
【ガラスにペタペタと手形をつけたり、若い女性の浸っている培養液の前で赤面しつつもおねぇちゃんの方がおっきい…等と言ったりしている、が】

「!」

【それは最早本能、その声を聞いた瞬間に振り向いて戟を構え臨戦状態に入る】
【それは最強、否、災強とすら表現しても誤字にならないであろう人物】
【いや、そもそも人かどうかすら怪しい『ソレ』】
【比喩では無く自然災害と同一視して問題が無い『ソレ』】

「りゃあー!」

【右手からはダイアモンドダストを含んで吹き荒ぶ極寒の吹雪を】
【左手からはいつも男の娘が使うドリルの様な形状の氷柱を】
【既に必殺と言い換えて遜色の無いそれらを牽制に撃ち放つ】
【一瞬で良い、隙を作れば周りの人間(人間じゃないのも居るが)が対応できる時間を稼げれば良い】
【愛しの姉の妹は死ぬ事は無いにせよそれ以外の人達の命の保証はできない】
【一度刃を交えた故の緊迫がフル回転する頭からこの行動(こたえ)を導きだした。】
284 :ヒライ ◆8R7odKA9zA[sage]:2015/05/24(日) 02:57:55.91 ID:zxjAsYMMo
>>278

お陰で世界は今日もアナーキーだ。結構なことじゃないか

【どう見てもまともな職についていそうにもない彼はそう言った。情勢が不安定なほど】
【国家は権力を持たないし、金は循環するし微々たる犯罪には目を向けない。自由とも言える】
【これが平和であるなら政治家の権力は肥大するし、世の中は硬直して、自由は失われてしまうだろう】

………ああ、クソッタレ

【話を聞いて、まず出てきた言葉はこれだけだった。いつかはこうなることも予測できた。クソッタレ】
【後悔の念が一瞬で体の内側に広がって一杯になる。馬鹿野郎、何をしてるんだ俺は】
【煙草をもみ消して、ビールを一口飲んだ。彼もまた冷静な方の人間だ。感情的になることはないが】
【今はその冷静さが憎らしかった。感情を爆発させるぐらいの情熱が無きゃダメだろうが馬鹿野郎】

…わかった。UTがどう言うかは知らないが、俺が面倒は見る。…ああ、クソ
悪い……少し混乱してるんだ。考えをまとめてる………取り敢えず、アンタは何なんだ?

【食いしばった歯から一つづつ疑問を解消していく。質問の範囲には全てが含まれる。解決するには】
【まだ情報が足りない。これだけ心が揺らぐのは久しぶりのことだ。仮面が外れそうになる。ロッソになりきれ、俺】
285 :森島 京 ◆ItbpQ6xKnU[sage]:2015/05/24(日) 03:03:48.85 ID:cFHEapl9o
>>276

【トレンチからの通信に、「了解」とだけ返して、音声はハンズフリーにしておく】
【──懐からカメラを取り出し、円柱≠フ内部へ。 そこで見た物は ── 、 】 


……これ、は──。


【その光景を見た瞬間、事態の『面倒さ』は、思っていた十倍ではくだらないと分かった】
【こんなもの、作ったのが機関だろうが、地の国だろうが、大問題になる】

【……全体像と、全自動の機械、──そして、培養カプセル=z
【それぞれを素早く、写真に収めていく。吐き気がするが、私情を挟んでいる暇はない】

【…、…と。 ハンズフリーにしていた筈の端末が、振動した】
【わざわざ『文章通信』とは、どういうことか。 その文面に目を通し、意味を理解した瞬間──】


……遅いですよ。


【後方に それ=@── 思わず、恨み節が口から溢れる。】


【── これでも、相当な数の恐ろしい手合≠ノは相対してきている】
【その中でも、最も恐ろしかったのは月輪悠楽≠ニ、その一党だった】
【シェン・ロンド≠ノも、同じような感情を抱いたことはある。 ──、だが、ベクター≠ヘ、違う種類だ】

【……彼等のような、『理知的な人間性から来る恐ろしさ』ではない】
【『プリミティブ』な ──、いわば、剥き出しの暴力≠ノ対して、人が本能的に感じる、恐ろしさだ】
【こういう手合に会う度に、自分が赤子に戻ったかのような錯覚に陥る ──、唇を噛んで、感覚を引き戻し】


別に規制線もなかったんで、入ってきちゃいました。
……記念写真撮りに来たんですよ。もう帰るんで、そこ、通して貰えますか。


【ユラ、ギア、ワザワイ、エリーゼ──そして、森島。これだけの人数差があっても、皮肉を言うのが精一杯だ】
【「逃げましょう」と仲間たちに口で示すが、唯一の入り口はベクターに塞がれている。他の出口はないか、と見回す──】
【──、が。ワザワイが先んじて(>>283)、攻撃を仕掛けた。 こうなっては、『突破』するしかないと判断】

【ありったけの熱≠身体に充填させ、勝ち目が限りなく薄い戦いを始めようと。 ──目の前の巨人を、睨み付けた】
286 :フランツ・ヘンドリクセン&トレンチ・ミリオン・マクスウェル ◆/iCzTYjx0Y[!nasu_res]:2015/05/24(日) 03:04:37.14 ID:RBPMmeARo
>>279>>280>>281>>282

【無数に沸いて出た蛇、その大半がカズネ、アコーディオン、そしてアルフレドへと襲い掛かる。】
【あるモノは足元から絡み付こうと。またあるモノは毒液を飛ばそうと。またあるモノは、牙を突きたてようと。】
【各々が一斉に襲い掛かるが―――彼らも誤算だったのは、全包囲攻撃を持った存在がいる事、だったのだろう。】

【―――まず、アコーディオンの全身全霊を使った"切り札"が、瞬時に炸裂した。】
【無数に群がっていた蛇達目掛け、彼女の全身を変化させて撃ち放つ棘は余りに強力無慈悲、】
【その破壊力で半数以上の蛇を串刺しにしてしまう―――ハリネズミ、いやヤマアラシか、とにかく恐ろしいワザだ。】

【そして次いで、アルフレドの誇る広範囲魔翌力弾、"雷撃"が二挺拳銃より同時に発射される。】
【その連射力と製圧力はまさに圧倒的という他なく、また精密な事も相まって蛇を次々と無力化し】
【雷の力によって毒を撃ち放つ神経系にまでダメージを及ぼし、遠距離攻撃をも不可能にさせるのだった。】

【そして、矢張りというか驚くべきは―――カズネの一撃だ。】
【もはや消音も何も関係無い、面倒なものは全て消し去れ、そう言わんばかりの勢いで】
【放たれた熱線は何と―――口の、内部。そう、丸呑みにされて尚、内部よりの発破で勝負をかけたのだ、そして―――!!】

〔ウ、ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォオォォォォオォッ!!〕

【破砕。顎から上が全て吹き飛び、半身が丸々焼け焦げた状態で獅子は―――完全に沈黙した。】
【同時に、警報が鳴り響く。どうやら、侵入がバレた様だ。本格的に脱出を考えるしか、ない―――ッ!!】


【―――その一方で、ニグレドの振り下ろした大剣は蜘蛛のツメを真っ二つに、叩き切る。】
【抵抗しようとした蜘蛛の牙が水晶によって肥大化した剣の餌食となり、口元から袈裟懸けに斬り降ろされ】
【トドメとばかりに斬撃が襲い掛かる、蜘蛛は最後の足掻きとばかりに体内から子蜘蛛を大量にぶちまけ、攻撃ッ!!】

 『……逃げろッ、ニグレド君。』

【―――フランツは、手榴弾を防弾服の中から取り出す。覚悟はもう、決めているようだった。】
【蜘蛛はそのニグレドの前にまだ立ち塞がり、切り裂かれた胴を引き摺りながら突進、巨大な口を明け、牙を突きたてようとする!!】


 『―――全員、撤退だ。元来た道を戻れ、まだ間に合う! ドローンに情報は全て記録させた!!』

 『だから……ドローンを、死守してくれ。頼んだぞ。』

【フランツはニヤリ、と笑うと無線を切る。どうやら、此処までのようだった。】
【ドローン部隊は危機を察知し、逸早くの撤退を開始する。元来た道を―――只管に、戻っていく。】
【―――同時に、奥にあるであろう施設より、兵隊達の駆けつけてくる足音が聞こえる。潮時だ、撤退するしか―――ない。】
287 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/05/24(日) 03:06:12.28 ID:OBfm6KRwo
>>284

面倒を見てくれるのなら、UTでもキミでも構わないさ
身の安全が保証されてさえいれば……ね。

それで、僕が何かって質問だけれど……言ってもきっと信じないさ
ただ僕の部下が彼女の"妹"でね。ちょっとした縁があるわけだ
紆余曲折あって今に至るわけで……あぁ、名前はダグラス。

【『ダグラス・マックスウッドって云うんだ』と、男は名を明かす】
【聞き覚えは有るかも知れない。先日、美術館の品を根こそぎ強奪した男も】
【かつて街一つを月落としで潰した男も、そんな名前だったから】

【ただ、だとしたら――少々、覇気だとか威圧感だとか】
【"悪党"に必要な様子は欠けているように見えるだろう。信じなくとも、それは自由であり】

……さあ、僕の事は話した。代わりに君のことを話せ、と云うつもりもない。
問題はいつ何処で彼女を受け取るかどうか……或いは、今すぐにでも?
288 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank)[sage saga]:2015/05/24(日) 03:14:02.56 ID:5JyvUNBU0
>>276-277

【予定通りに二人の兵士を無力化、残る一人もギアが確実にあの世へ送ってくれた】
【他も概ね狙った通りに動いてくれた、無線で連絡しようとした狙撃手の一人はユラの放った矢が突き刺さり 増援を呼ばれることはなかったし、もう一人もトレンチが対処してくれた】

【ただフラッシュに咄嗟に反応して跳んだからか、手で支えはするがエリーゼは勢い良く壁に衝突して】
【怪我はないが危なっかしい動きだった、そしてもう一つ異変もあって…………】
【彼女の頭部、二本のクリーム色をした長い"耳"がいつの間にか見えていた】
【この状況でコスプレグッズを着けたなんて考えられないことだ、それにそんな余裕もなかった筈】
【……つまり、これは本物の兎の耳で、彼女が普通ではないことを表していた】

…………え……?……あ……やだ、恥ずかしいし余り見せたくなかったのに………………
張り切り過ぎたのかしら…………嫌だわ………………

【噂には聞いたことがあるかも知れない、人工的に他種族とを合成した獣……キメラという存在】
【先程は耳が人間の形をしていたという点から純粋な獣人という線は薄くなる、となればその可能性があるのがキメラというわけで】
【異変に気づいて手で抑えつつしゅるしゅると人間の形に戻していく、成程、確かに本人にとってはなかなか恥ずかしい事だろう】


【気を取り直して指示通りに、ようやく円柱形の施設の内部へと足を踏み入れた】
【そして…………そこで見た光景は一同を驚愕させるには十分なものだった】

…………こ……これは人…………なのかしら…………?
現実離れした光景ばかりで頭が痛くなってくるわね…………取り合えず写真と………………

【ペンの形をした小型のカメラで、まずは辺りをぐるりと一通り写して】
【それから容器をまじまじと見つめる、果たして調べて出てくる情報か……】

【その時、突然トレンチから何か、警告を受ける、はて、わざわざ暗号化して送るとは】
【何、入ったばかりで引き返せ……?随分勝手な事を言うと考えていたが…………その考えは次の瞬間 撤回せざるを得なくなった】


…………な……に……ッ…………!!!


……くっ……!ここは逃げましょう!戦闘機も戦車もなく支援が期待できないこの状況で、あれとやり合うのは危険よ……!!
本能的にヤバイと感じる…………、ここでは圧倒的に不利………………

【こいつが…………六罪王ベクター、その姿を見た瞬間、エリーゼは逃げることを提案していた】
【彼女に合成された兎の 危機を察知する直感が戦うなと知らせている、万全でない状況で倒せる相手ではないと……】
289 :ユラ ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/05/24(日) 03:20:07.74 ID:8VPGhvZDO
>>283(ワザワイ)

【「……まぁ、ね」 そう、素っ気なくユラは答えた。きっと疲労のせいもあるだろうし、誉め言葉に慣れていないというのもある】
【その上輝いた瞳で見られてしまえば、ふいと目をそらすのだ。家族といえど、まだきっちり人見知りは発動するのである】


>>276-277

……っは、…………あ、れ────?
あたっ、た……、……、なん、で……


【ギアのミニマム・マグネッツによる援護と、森島の誘導。それらによりなんとか難関は突破できた】
【もう彼女の精神力はかなり限界に近い。なんといっても、姉と違いユラは気弱で戦闘能力もなきに等しいのだ】
【ただの潜入と聞いていたのに、予想を上回るシビアな戦闘。肉体的疲労はないが、精神的な疲労はかなりのものだった】
【それでも足を進める。そこで目にしたのは、膨大な数の……】


……、…………な、なに、これ…………、実験、台……的な、やつ……?


【実験台なのか。あるいは、人造人間なのか。想像なんていくらでも出来た】
【カプセルが割れて、中の人間が化け物に変質したりとか、その手の展開はゲームでよく目にしていた】
【ここまでくると、現実もゲームもあまり変わらないなと、ユラは思う。むしろ今ゲームの世界にいるんじゃ、という錯覚さえある】
【けれどそれを錯覚だとはっきりさせたのは──死を予感する気配と、腹にまで響いてくる声だった】


……っ、…………べ、ベク、ター……、……こ、これ、が…………


【振り返る。身体が動かない。表情が意識せずともひきつっていく。逃げようにもまず身体が動かないし、それに出口は塞がれている】
【どうにも対処なんて出来ない──、だが、義理の弟はその状況を打破するために動き出す】
【小さい身体、幼い思考にも関わらず強敵に向かう姿を見て、ユラはぎりりと歯を食い縛った】


……、…………ふん。時間稼ぎなら、私にだって、出来る
むしろ──多分、今は時間稼ぎしか、出来ない、けど、さ!
……今まで、足ひっぱっちゃったし。……逃げてよね、ちゃんと、さ


【声は震えていた。足も手も、多分震えていた。き、とベクターに夜色の目線を向ける】
【「……別に倒してしまっても、なんていうつもりは、ない、かな」 ふん、と笑う】
【笑って、数本のボウを纏めて持ち、──そのまま、ベクターに向けて特攻、体当たりをかまそうとする!】
【狙いは単純だ。わずかでもベクターの意識を他のメンバーから逸らし、その隙に逃げる算段をつけさせようというわけだ】
【握った数本のボウも、わずかでもダメージを与えようという意思の表れ。体当たりをした時に、あわよくば刺してやるつもりでもあった】
【このボウの先端には特殊な仕掛けがしてあり、刺激を与えれば爆発するが──果たして、どれだけ通用するか。そもそも隙が出来るか、どうかだって……!】
290 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage]:2015/05/24(日) 03:20:24.52 ID:Xiue2jrm0
>>286

全く……今度こそ、対象の沈黙を確認……って奴で、間違いないのよね?
こうまで手間を取らされるなんて……っ、もう時間が……!

【飛び出させた突起を体内に引っ込めつつ、アコーディオンは鼻白む】
【虚を突くやり方としては、確かに悪くは無かったのだろうが――――敵に回すと、ひたすらに鬱陶しかった】
【もしも、この姿で力を発揮できなければ、更に時間を取られ、場合によっては毒に消耗させられ、敗北していた事も考えられる】
【獣も吹き飛び、通路側の脅威は排除された――――だが、費やされた時間は少々多すぎた様だった】
【侵入を察知したらしい警報が、けたたましく鳴り響く――――タイムリミットだ】

――――2人とも!!
……っく……間に合わなかった――――ッ……自決は、するつもりよね…………?
――――行くわよ。もう……私たちにできる事は、情報を持ち帰る事しか、無い…………!

【――――全身の細胞が再び明確な形を成し、アコーディオンは元の姿に戻る】
【体内から吐き出され、バラバラに散らばってしまった衣服を、急いで着込みながら、崖下へと声を掛けるが】
【フランツの言葉は、今度こそ見捨てて逃げなければならない状況となってしまった事を、示唆していた】
【――――諜報部の人間としてここまで来たのだ。情報を渡さない為に、自ら死に臨む手段は、確保しているのだろう】

【口惜しそうに歯を食いしばると、アコーディオンはドローンを追いかけて元来た道を引き返す】
【例えドローンがダメになっても、自分のバイザーにも、ある程度の情報は保管した】
【とにかく、今は生きて帰る事をなにより考えなければならない。後ろ髪引かれる思いとはこういう事かと、心の中で吐き捨てながら、瓦礫の道を往く――――】
291 :ギア・ボックス ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/05/24(日) 03:26:07.05 ID:g/AF8yAoo
>>276
【両手に伝わる、人の命を絶つ感触。その重みは、ギアの魂に刻み込まれる】
【無論、この場で感傷に浸る暇などない。余計なことを考えるのは後だ。みんなで、生きて帰ってからだ】

【直後、銃声が響く。『ミニマム・マグネッツ』による矢の誘導は、完遂する。その代償に、弾丸はかわせない】

ぐ――――!!!

【脇腹を、銃弾が貫いた。人形の破片が砕け散り、散乱する】
【生身の身体ではないがゆえ、致命傷とはなり得ない。だが、内側に宿る魂は、確実にその痛みを、ダメージを受けている】

【どうにか悲鳴だけは殺したものの、痛みはごまかせない。サーベルと『ミニマム・マグネッツ』をどうにか身体にしまい込むと】
【眼前に目を向ける。トレンチのアシストもあって、どうにか連絡は防げたようだ】

>>283
ハハ、ありがとう。上手くいってよかったよ……
確かに使いやすさはあるかもしれないね。地味ではあるんだけど……

【彼の笑い声に、少しだけ張りつめた気持ちが和らいだ。しかし、油断はしない】
【行くべき場所を見据え、ギアは前進する】


>>288
【エリーゼが壁に激突した時は、思わず駆け寄りそうになったが、問題はなさそうだ】
【軍属たる彼女を、自分などが心配する方が失礼だったかもしれない。そう思いつつ】
【目に入ってしまった、兎の耳。彼女の反応と併せて、言及しないほうがいいと判断】
【咄嗟に目を逸らして見ていない風を装った】


>>276-277
【さて、ダメージに呻く暇もなく、状況は動いている。魂に鞭打って、人形は歩を進める】
【目指すは、中央を貫く巨大な円柱。中に足を踏み入れ――――そこにあるのは人の手で作り出された地獄だった】

……ひどい

【それ以外に言葉は出なかった。むごい光景は幾度か目の当たりにしてきたが、こういった倫理を無視した施設に踏み込んだのは初めてだった】
【培養液の中に浮かぶ人間たち。どこまでも、実験材料として扱われ、人間と思われていないことが一目でわかる】
【カノッサは、ベクターは、ここで一体何をしているのか。周囲を見回しても、その疑問の答えは見つからない】
【ひとまずは、トレンチからの指令を実行すべく、体内からカメラを取り出して周辺の様子を撮影していく】

【そうして見て行っても、施設の謎は深まるばかり。どころか、真相の代わりにもたらされたのは――――さらなる、絶望】

……――――――!!!!!

【ゆっくりと、振り返る。見なくともわかってはいたが、そうせざるを得なかった】
【そこに立つ、人の形をした絶望。その姿を見ないままでこの場にいる方がよほどの恐怖だった】

……ベク、ター……!! なん、で、クッ、ソォ……

【人形の身体が、魂そのものが、震えだす。どうしようもない、圧倒的な存在への恐怖】
【完結。ここで、終わってしまうというのか――――】

――――ッッオオォォオ!!

【自身を鼓舞する咆哮と共に、ギアは右手を胸に突き入れる。幾度も繰り返したこの行動だけは、この状況でも的確に出来た】
【取り出されたのは、ちゃちなおもちゃの拳銃。銃口にボクシンググローブが取り付けられたものだ】

【『パンチング・ガン改』。引き金を引けば、ワイヤーで銃と繋がれたグローブが射出され】
【ベクターの胸部めがけて飛んでいくだろう。命中すれば、成人男性の殴打程度の打撃、と同時に】
【グローブ内部の機構が作動し、着弾地点に追加の衝撃を叩き込む、二段構えの攻撃】

【森島やエリーゼの言う通り、逃げるしかない。しかし、この状況ではそれもままならない】
【ワザワイとユラはすでに攻撃に入っている。ならば、自分もそうするしかない。少しでも隙を創り出さねば】
【この圧倒的な力の前では、所詮蟷螂の斧であると、わかってはいても】
292 :ニグレド・ユーリエフ ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/05/24(日) 03:26:10.54 ID:YKU5JctgO
>>286

【蜘蛛を切断した剣から水晶が砕け散り、周囲に散乱】
【胴体の内部から飛び出す子蜘蛛をニグレドは後方跳躍しつつ、元の大きさに戻った大剣を水平に払って迎撃】
【全てを殺しきれないまでも、向かってきたうち避けきれないものを潰した】

……あまり、軍人は死なせたくなかったんだがな

【一瞬の迷いが過る。だがすぐに剣士は得物を構え直す】
【真正面から向かってくる蜘蛛に対して腕を引き、切っ先を真っ直ぐに向ける。刺突の構えだ】
【突進に合わせ、剣を巨大な口へと突き出す。腕に牙が突き刺されながら、魔術を発動】

【刀身から水晶が四方八方に生え出し、蜘蛛を内部から八つ裂きにする】
【即座に剣を引き抜き、後方へ跳躍。崖へと向かうが────】

…………………あんたのことは、国軍に会うことがあれば伝えておく

【フランツにそう一言だけ言い残して、魔術で水晶の翼を作り出して飛翔】
【三十メートルの崖を一気に登りきり、ドローン部隊の殿につきつつ撤退していく】
293 :アルフレド・フェリシアーノ ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/24(日) 03:27:04.96 ID:t8kggSEmo
>>286 >>290

【蛇は串刺しとなり、獅子は無惨にも爆散した。――が、アルフレドの表情は晴れない。今回に限っては、敵を倒して終わりではない】
【ここからが問題なのだ。予想していた通り、タイムリミットを告げる警報音が鳴り響く。もはや猶予は無かった】
【無線から聞こえてくる声。口調からしておそらくニグレドひとりなら撤退可能な術があるのだろうけれど、フランツはもう――】


――――クソがぁあぁぁあッッ!!!


【たったいま吹き飛んだ獅子の発していた、野蛮な咆哮にも匹敵しかねない――やりきれない憤怒を込めた、"砂漠の獅子"の咆哮が木霊した】
【怜悧さなど欠片もない。理性的に動くよう心がけてはいるが、実際には感情的で火が付き易い。アルフレドの本心と本性が、そこにはあった】
【つくづく平凡な彼ではあるけれど。……それでも、感情と理性を別々に動かすことはできる。刑事として、戦士として、基本的な"覚悟"だけは】
【心の芯にしっかり据えている――故に、その咆哮ですべてを出し切った後のアルフレドは、冷徹とも言えるほどの表情をしていた】


……僕は所詮、この銃がなければ何も出来ない無能力者だ。フランツさんを救う手など持ってはいない――。
僕も戻ります。あのドローンが記録した情報は貴重なものだ、絶対に守り通さなくては……。


【――魔術も使えない。特別な能力も無い。魂を込めて魔弾を撃つしか能の無い自分には、もはや何一つとして出来ることはない】
【激しい無力感を噛み殺しながら、アルフレドは宣言するように言い放つ。真っ先に踵を返してドローンへ追いつき、護衛しつつ撤退するだろう】
【もしも、この場の誰かが救出の手立てを持っていたとしても。それは自分ではない。自分が居たところで、かえって足手まといにしかならないのだから――】

【……迷わずフランツを見捨て、無事に情報を持ち帰る。これだけが、今のアルフレドに出来る精一杯のことだった】
294 :ヒライ ◆8R7odKA9zA[sage]:2015/05/24(日) 03:34:11.71 ID:zxjAsYMMo
>>287

【もう1本、煙草に火をつけてサングラスの男は考えなおす】
【スイッチが切れたかのように動きが固まるのが特徴だ。思考に全てシフトさせる】
【逆を言えばそうしないと考えられない不器用な人間だ。思考の渦から戻ってきて】

…取り敢えず、俺が預かる。UTには…アイツらのことだから嫌とは言わないだろうが
一応、確認してこっちに移すことにしたい。此処より安全な所は無さそうだしな

【本当は直ぐにUTに預けて任せてしまうのが最善なのだが、それだと自分が立ち入れなく】
【なってしまうような気がして、無意識に避けた。エゴイズムだが、それほど彼にとって重要だ】

機関の…人間だな。詳しいことは知らないが、格が上だってのはわかる。組織ってのは
何処も一枚岩じゃない。アンタのことはそれだけ知ってれば十分だろうし、なぜ保護してるのか
もそれだ聞けば十分だ。…知りたい事はあと一つだ。意識不明だって言ってたが、アンタの
力じゃ…その…治療だとかその辺ことは出来ないのか?アイツの素性を考えりゃ、それが最善だ

【煙草を吸って考える。無理なことだとわかってる。出来るならしていることだろう。だが、聞かずには居られない】

…俺はロッソって呼ばれてる。強盗やらなんやらで国際指名手配済みだ。ちょっとは名前が売れてると信じたい
大事なのは今まで捕まってないってことだ 襲うのよりか、逃げたり隠れたりするのには慣れてる。
……これが保証になれば御の字だ

……それにもう一人バックにつける。信頼できるし、俺より保証向きだ。そいつを呼ぶ猶予が欲しい
最短で……6時間。出来れば3日

【考えは固まった。後は動くだけだ。『ロッソ』の仮面を被ってスイッチを入れろ。そうじゃなきゃ潰れそうだった】
295 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2015/05/24(日) 03:35:20.44 ID:qz6dJRXzo
>>286

――――――――……シィ……ッ!!

【焦げた香りと爆ぜた血の色を受けてその影は現れる】
【愉悦、喜色満面……否、獰猛な表情を浮かべるが故の呼称は「魔女」】

どーせバレちゃってるしいっそ全部ぶっ壊した方が早いでしょ
つ、い、で、に……今からここに来る奴らも生き埋めにしちゃいたいのだけど―――――――

【凡そ一般人が経験したのならば精神に多大な損傷をもたらしかねない経験を経て尚】
【その焔は未だ衰えず、この後に現れるであろう者達への制裁へと意識を向ける】

小収束式、三門、両腕に配置……加え、収束散弾式、二門、腰部に配置

【テンプレートから術式を弾き出し組み替え配置、昂った魔翌力の流れは術の容量を満たすには十分】
【都合10となる砲門はこれから訪れるであろう者達にとっての断頭台、振り下ろす断罪人に躊躇いなどある筈もなく】

――――……加え……花道の1つくらいは手伝ってあげるわ色男さん……追従流体圧縮開放、爆ぜろ

【兼ねてよりフランツに追従させていた火球の圧縮を解く】
【それが意味する所はこの戦いの中で知っている筈だ、爆風に似た衝撃は子蜘蛛を散らすには十分以上】
【足掻きは足掻きでしかないとばかりにその紅色は有象無象を襲う】

【加えて、フランツへの衝撃は著しく少ないだろう】
【異形と彼らの各座標の計算、地形を利用すれば各威力の調整など閉鎖空間であれば容易いと】

(生き残るなら自分の性能だけで上手くやりなさい、余計な事だったらそれまでだけど……)
(そこから先の事なんて私、一々責任取るつもりなんかないから生きるも死ぬもお好きにどうぞ――――――――)

【魔女の判断を冷淡と言うならばそれも善し、否定するならばするが良い】
【何を言おうとも過去の事は変えられずだからこそ後の言葉に意味は無い】
【ただ成すべきを成さんとカズネは疾走を始める―――――――】

殿は任せなさい壁を砕きながら追従するわ、邪魔者が居たなら吹っ飛ばす……!

【ドローンの守護は他の者に痛委託し自身は守護する者の守護に徹する】
【元より番えた砲門はそれの為に展開し、駆けながら要所要所の壁を壊し追従する者達の妨害をしつつ後を追うだろう】
296 :フランツ・ヘンドリクセン&トレンチ・ミリオン・マクスウェル ◆/iCzTYjx0Y[!nasu_res]:2015/05/24(日) 03:38:14.65 ID:RBPMmeARo
>>283>>285>>288>>289>>291


 フッ……フ、フフフ、フフッハッハハハハハハハハ!!
 オイオイ、なんのつもりだよ!? 人様に家に勝手に入っておいて、挨拶も無しに逃げ帰っちまうのか!?
 挙句の果てになんだ、いきなり"冷房"ガン付けで御出迎えたァ、ちょっと気が利き過ぎててこえぇくらいだなァ、あァ?

 ―――ま、それで、だからなんだ、って話なんだけどよ。


【吹き付けるゼロの風。ダイヤモンド・ダストを孕む氷風。】
【氷のドリルが須らく、ベクターの肉体を貫き、穿ち、そして氷が身体を捉えて、尚も―――】
【バキリ、と罅が入っていく。彼を覆っていた氷が一瞬で砕け、熱で熔け、そして傷が再生していく―――言うまでもなく、異常だ。】

【そして更には、覚悟を決めたユラの突撃と、ギアのパンチング・ガンは―――】

  
  いいねェ、嫌いじゃないぜ、そういうの。弱者は弱者なりに努力すべきだ、強者に捻じ伏せられる為にな。


【―――おぞおましいことに、小指一本でその攻撃をスッ、と止めてしまう。】
【力の加え方。バランス。タイミング。どれをとっても、完璧なまでの"力"の操り方。】
【絶対的なまでの、王者としての戦闘感覚。それがベクターにおける最大の、武器だった。】
【だが、矢が爆発した事で煙が怒り、一瞬だがベクターの視界が遮られる―――これが、隙となる。】


 『―――撤退だ、森島ッ!! 写真を撮るのはお終いだ、とにかく逃げろッ!!』

 『とにかく一瞬で良い、時間稼ぎさえ出来れば……っ、ええいっ、こうなればヤケクソだ!!』


【無線から怒鳴るようなトレンチの声が聞こえてくる。と、同時に―――ガチャリ、という機械音も。】
【ソレは恐らく、彼が随伴してきた"ドローン"から"なんらか"の兵器を取り出したと言う合図であって】
【それに合わせて、無線機から響くのは"バシュッ"―――という、鋭い発射音。いや、むしろこれは―――】


 『下がっていろ、風の通りをよくしてやる。』

【―――炸裂音か。彼がドローンに装着していたリモート・コントロール用のミサイルで】
【正確に彼等のいる近くの壁を"破砕"し、建物の壁に大きな穴を穿ったのだった。瞬間、火花が散る。】

 『―――そこから脱出するんだ、"コイツ"に捕まってな!!』

【そして、円柱状の建物からトレンチのいる場所までを繋ぐブリッジがベクターに塞がれている以上、】
【脱出する手段は限られていたのだが―――ここで、ハッキングしていた無人警戒機を素早く、トレンチが飛ばし―――】
【そう、それを破壊した壁の付近に配置する、その無人機に捕まりさえすれば、全員を避難させることはギリギリ―――ギリギリ可能か!】


 アッハハハハハ!! そうだ、逃げろ逃げろ、逃げろォッ!!

 オレ様と戦えないやつは全員逃げればそれで良いんだ、そうすりゃオレ様が追っかけてやる。
 
 ほんでもって、まぁるい世界、ってワケだ!! だが安心しな、輪廻構造なんてのはオレ様の最も嫌いな価値観の一つだ。


 ―――どんなに逃げても、お前達は此処で一匹残らず " 完 結 " させてやっからよ。
297 :フランツ・ヘンドリクセン&トレンチ・ミリオン・マクスウェル ◆/iCzTYjx0Y[!nasu_res]:2015/05/24(日) 03:39:09.23 ID:RBPMmeARo
>>283>>285>>288>>289>>291


【トレンチはすぐさまドローンを撤退準備させると、ミサイル砲を投げ出し、自身も旧道を走って戻り始める。】
【道中『急げ!!』だの『速くしろ!!』『無事だろうな、後方確認はしていなから返事をしろ!!』だのと―――】
【先ほどまでとは少し違う、焦ったような声のトレンチの怒号が聞こえてくるはずだ。とにかく、逃げろ―――!】


 逃げろ、逃げろ逃げろ逃げろ! ッハハハハハハ、ウサギ狩りだ、ウサーギさ〜んど〜こだ〜?????

  ッ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ! ! 

【ベクターの拳が、旧道を穿つ。地面が波打ち、それだけで地震の様な振動が襲い掛かる。】
【圧倒的なまでの暴力。彼がただ歩き、叫び、歌うそれだけでプレッシャーがオーラとなり、全員に悪意となって圧し掛かる。】

【―――もはや、これまでか。撤退していく最中、旧道が次々と崩落してく、そのとき――――】




【―――異変が、起きた。】

【ベクターの声がぴたりとやみ、そのまま彼は後方遥か向こうで、脚を止めたのだ。】

【一体、なにが起きたのか―――わからないが、タダ一ついえる事は。】

【破壊され、崩落してきた旧道の一部は数十メートル上空の"地上"まで"突き抜ける"程の罅が入っている箇所もあり】

【その中からは―――丁度、沈み始めた太陽の木漏れ日が、地下へと差し込み始めていた、と言う事。】

【―――もう、地上はそう遠くない。ベクターの声は、"何故か"止んだ。】

【―――ならば、今はもう―――ただ、走るのみ!!】
298 :フランツ・ヘンドリクセン&トレンチ・ミリオン・マクスウェル ◆/iCzTYjx0Y[!nasu_res]:2015/05/24(日) 03:49:54.46 ID:RBPMmeARo
>>295>>293>>292>>290

【―――警報が鳴り響く。全員の撤退状況を彩るように、真っ赤なサイレンが灯る。】
【施設の方から走り出してくるのは、機関の兵士達。重武装をした彼等の弾丸が、一向に迫る。】
【だがそんな中で―――ニグレドは去り際、フランツに声をかけてくれた。フランツはそれに、笑顔で応じる。】


 『……おや。忘れたか、ニグレド君。これは極秘任務で、私は腐っても諜報部員だ。』

 『死に際に―――その姿も、影も、存在した事実も全て―――きえてこそ、ってね。まあ、それでも。』

 『君や、君の様な若者の脳裏に残っているのなら―――――――、』


【―――ドン。子蜘蛛を焼き払うように、カズネの"魔術"が炸裂し、そして】
【その音に重なるように、一発の手榴弾のピンが抜かれた。カチン、という乾いた音と共に―――】
【そこからは、静寂。殿を買って出たカズネの用意していた砲撃が、後続のカノッサ機関兵達を次々に穿っていく。】

【放たれる弾丸は全て焼かれ、やがて追っての数が減り、そして―――部隊は、いつのまにか首都を抜けていた。】

【―――時刻は丁度、夕刻を過ぎた辺りか。】

【グループB、生還。得た情報は大きく―――カノッサは"混成生物"の研究を地下で行っている、という事が判明したのだった。】

/以上にて、グループBの方のイベントは終了、となります!
遅くまで有難う御座いました、後ほど(明日になると思いますが)イベント全体の〆レスを用意しますので
其方のほうも見ていただければ幸いです、それでは長々とお付き合い&拙いイベントにご参加頂き、有難う御座いました!
299 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/05/24(日) 03:52:14.71 ID:OBfm6KRwo
>>294

キミが話しの分かる人で良かったよ。……治療についてだけど
彼女の傷自体はほぼ完治しているんだ、既にね。
傷は深かったけれど、"妹さん"の手厚い看護もあったからさ

……ただ、起きない。もしかすると精神面の問題かもしれないね
機関のヒットマンとは、大分激しくやりあったらしいから。

【その機関の人間にしては、随分と妙な選択をする男だった】
【そもそも『裏切ったから殺す』と派遣されるのがヒットマンだ】
【その仕事を台無しにするような行動、とも取れてしまうが――】
【或いは見た目通り、何も考えていないのか。『宜しくロッソ』と言葉を返し】

大丈夫、僕でも聞いたことのある名前だ……もう一人居るなら、尚更良い。
……彼女は機関に追われる身だからね。
一度裏切ったとされる相手を許すほど、機関全体は甘くないからさ

それじゃあ……明日だ。一日後に、ボクの指定する場所に来て欲しい
おびき寄せて攻撃しようなんて真似はしない…――良いかな。

【――ロッソが頷けば、ダグラスは国境に近いとある山荘を示す】
【避暑地の小さな家屋だ。そこでちょうど一日後、夜中に取引しようと告げる】
【ただし、当日ダグラスは来れない。代わりに部下である、"ベイゼの妹"を遣わすと言って。】

/っと申し訳ない、ここらで一度凍結をお願いします。
/路地裏でお伝えした通り、こちらは明日か、明後日の夜なら居りますので。
300 :ヒライ ◆8R7odKA9zA[sage]:2015/05/24(日) 03:55:12.54 ID:zxjAsYMMo
>>299
//了解しました。こちらも明日は昼間から居りますので!
301 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage]:2015/05/24(日) 03:56:20.03 ID:Xiue2jrm0
>>298

――――忘れないわよ。忘れてしまっても……この記録は、しっかりとあなたの事を映してる……フランツ長官

【瓦礫を退かせ、踏みしめながら、背後をいつまでも気にするアコーディオン】
【――――仕方のない事だと分かっている。別に今回が、こうした死別の初めての経験でもない】
【それでも――――やるせなさは、どうにもならなかった】

――――やっぱり、ベクターは許せないわね……この事は、トラ君も、同意してくれるでしょ……
……改造生物なんて……ま、ふざけるなって話よ…………
(……セリーナさんもそうだし、ベクターもそうだし、『RAGNAROK LABORATORY』も……みんな、殺すつもりなんでしょ、トラ君……)

【――――今はただ、情報を無事に持ち帰る事だけを考えよう】
【そして、自分なりに死んだ仲間を弔おう――――取り乱す様子を見せる事だけはせず、口元を噛みしめながら、アコーディオンは地上へと逃れていった】

/乙でしたー!
302 :ユラ ◆A3Dw.QYNcc2015/05/24(日) 03:56:41.84 ID:8VPGhvZDO
>>296

【小指一本。これが、力の差か。笑えてくる。だが、それでいい】
【陰鬱な表情を秘めた、夜色の瞳がベクターを見る。だがその口元は、確かに笑っていた】


(……ふん。……私に意識を向けた。それだけで、あいつらには十分な隙になる、さ)


【どぅ、と複数の矢が爆発する。その「爆心地」にいたユラは、ただではすまない】
【煙の狭間──まるでゲームのキャラクターが死亡した時のように、光の破片となり消滅していく彼女の姿が見えた】
【ユラを構成する破片。それすらも、煙に紛れて粒子と貸し、空気に溶けるかのように消えていく】
【がしゃ、と彼女の装備がその場に落ちた。ボウガンとアイテムポーチが、持ち主などいなかったようにその場にドロップする】
【──だがそのドロップアイテムすら、暴れるベクターの余波によって破壊された】
【トレンチが放った無人機に、ユラの姿はない。だが、事前に彼女の能力を聞いていた森島やワザワイであれば、ユラ自身は死んでいないと分かるだろうが──】
303 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/05/24(日) 03:56:59.93 ID:OBfm6KRwo
>>300
//ありがとうございます、でしたら明日の昼に改めて!
//では、一度失礼します。お疲れ様でしたっ!
304 :森島 京 ◆ItbpQ6xKnU[sage]:2015/05/24(日) 04:02:11.09 ID:cFHEapl9o
>>296>>297

【──大穴が空いた壁に、飛来した無人機。 ベクターから目を切ってそれに掴まり、離脱する】
【……ユラの姿は見えなかった。 さっき、彼女に大口を叩いておいて、これだ。情けない】

【腹いせに、一発、お見舞いしてやろうかと思ったが、まだ彼が追って来るかもしれない、と考えなおす】
【受け身をとって地面に降り立ち 、旧道をそのまま走りぬけ ──】


 ── …、…  止まった ?


【 ──肌に感じるのは日の暖かさ。 走りながら、呟くように、疑問符が飛び出す】
【油断させる策か? ……否、そんな「やわ」な手を使う相手ではない】
【なら、何か、追って来れない@摎Rでもあるのか ── 、今は、『何時』か 】
【いや、考えるべきは今≠ナはないのか。 3/28、 ……或いは、『その前』 ──タイムリミット=z


……考えるのは、後 っ──!!


【考えが纏まらないし、合っているのかも分からないし、何を考えているのかも分からなくなってきた】
【──、強引に思考を打ち切り、いつ崩れるとも知れない道を、走り続ける──!】
305 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2015/05/24(日) 04:06:01.90 ID:qz6dJRXzo
>>298

(―――――――良き散り様でした……)

【火葬が終わっているならば言葉も必要無い】
【深く沈む地下から抜ける寸前にされどその想いだけは置いて残して、この夜は明ける】

……っつー……疲れた、しー……血の臭いキッツイしー……
全砲門解除、余剰魔翌力はアイドリングで適当に散らし、終わった時点で燃料の供給をカット
ギア上げるのは簡単だけど下げるのが七面倒臭いったらないわー……

【躯体から白煙を巻き上がらせながら魔女はその場にへたり込み漸くと肩の力を抜く】
【異形の作成という機関の大罪、通常の生き物から離れたモノ……その先にあるのはかの六罪王なのだろうか】
【だとすればこちらが用意すべきは断頭台への道、ただ機関という闇は想像を遙かに越え深く】

【魔女の思考に靄を掛ける】

まあ、今は考えても仕方ないか……
情報とかは後で聞いて今はただ休む事が先決――――――――かあ

【倦怠感が身体を包めば重さが襲う】
【微睡みに身体を預けてしまって、しかし身体に染み付いた血の香だけは夢でも解けそうもなかった】


/お疲れ様でした!
306 :ギア・ボックス ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/05/24(日) 04:08:15.94 ID:g/AF8yAoo
>>296-297
【あまりに、圧倒的だった。あまりにも】
【ワザワイの氷も、ユラの決死の突撃も、そしてギア自身の蛮勇をふるった一撃も】
【十把一からげに、あしらわれた。それも、小指一本しか動かさずに】

【止められた『パンチング・ガン改』が地面に落ち、ワイヤーが引き戻される】
【まさに、巨象と蟻。自分など、存在すら感知されることなく、踏みつぶされるだろう】
【だが、そこへ一筋の光が差す】

トレンチ、さ――――!!
ドローン、のミサイル……!!

【途切れ途切れの言葉を漏らしながら、どうにか現状は把握する。後は、行動に移すだけ】
【ギアは、走った。無人機に躊躇なく捕まる。溺れる者が藁にすがるかのように】
【背後に迫るベクターの気配と、全てをあざ笑うかのような声。もはや振り向くことも出来ない】

【逃げる。逃げる。必死に、わき目もふらずに。ただひたすらに、光の下へと向かって】
【旧道が揺れる。ベクターの笑い声が響く。足元がぐらつき、頭に破片が落ちてくる】
【凄まじい揺れ。途方もない悪意を秘めたオーラ。死ぬ。殺される――――】

――――!!??

【止まった。すぐ背後に迫っていたはずの、絶望が】
【何が起きたのか。その疑問は、すぐに頭の片隅に追いやる。考えてもわかるはずもない】
【とにかく、この状況は僥倖だ。見れば、旧道に入った罅は外界の光を招き入れている】

【地上は近い。それならば、もう迷うこともない。ただ走る。走る。悲鳴を上げる魂を、無理矢理に制御して】
【ギアは、出口に向かって突っ走った】
307 :アルフレド・フェリシアーノ ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/24(日) 04:09:28.25 ID:t8kggSEmo
>>298

【――ただ一度も振り返ることなく。全力で走りながら、元々多くない魔力を限界まで振り絞った】
【仲間の攻撃を支援して弾幕を張り、頭を撃ち抜き、たった一つの"収穫"を守って破壊の雨を潜り抜ける】
【置いてきたモノの重さから逃げるように、あるいは逆にその罪へ突っ込んでいくように。死に物狂いで足を動かし続けた】
【そして、いつの間にか……安全な場所でぶっ倒れている。生還したのだという実感が沸いてきたのはしばらく経ってからだった】


―――貴様が何を企んでいようと………。
こんなところで"完結"させはしない。これ以上、誰も、何も…………。


【何か巨大なものを背負っているみたいに動いてくれない体を、それでも無理矢理動かして、アルフレドは上体を起こした】
【緊張を解くように二挺拳銃をホルスターにしまい込むと、逃げ出してきた首都の方を凄絶な瞳で睨み、誰に言うでもなく呟く】
【今日、あの不気味な地下で、自らの"執念"に火を付けた何かを。アルフレド・フェリシアーノは静かに回顧し、身を焦がす義憤を今はただ、抑えつける――】

【――その後彼は周囲の皆に軽く挨拶だけすると、また黙り込んで、結局最後までその場に残り続けるだろう】
【別ルートで潜入した者達は大丈夫だろうか。ベクターはあの化け物どもを使って何をするつもりなのだろうか。懸念と激情を胸に、青年は拳を握りしめた……】


/お疲れさまでしたー!
308 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank)[sage saga]:2015/05/24(日) 04:15:52.20 ID:5JyvUNBU0
>>296-297

【他の者達が本気で攻撃をぶつけている、なのにベクターは全てを簡単に受けきって】
【やはり勝てない、これでは足りない、本の一瞬だけ隙を作れたことが精一杯】

【だがその精一杯のお陰で、退路は開かれた……!トレンチが作ってくれたのだ】
【壁が砕け、出口となる穴が空いた、ここから出られる、助かるかも知れない】
【しかしエリーゼが無人機を掴むのは最後になる、理由は壁の近くで立ち止まったからだ】
【自分が出るのは皆があれに掴まってから、我先には彼女のポリシーが許さなかった】

【最後に全力を脚に込め、無人機へと跳躍した、ベクターから逃げるため、そして皆を逃すために機体に衝突するような形で速度を与える】
【腕に内出血の跡をちらちらと覗かせるが、気にしていられない、今は全員を逃がさなければ】
【それに、もしも誰かが掴み損ねたり届かない距離になってしまった場合にも 一番最後ならば手助けして乗せることが出来る、だから最後まで残ってからを選んだのだった】


【そこからは無我夢中という言葉が合うだろうか、振り返らずにひたすら走った】
【その時も本来出せる速度を落とし 足並みを揃えてだ、誰かが倒れたりしたら 大人である自分が助けなければという使命感もあったからだろう】
【疲労による汗よりも、動物の性質を受け取って敏感になっているエリーゼは冷や汗の方が割合としては多かったほど】

【これまでかと覚悟もした………………しかし、突然 ベクターの動きが止まった……?】
【何故かは分からない、分からないが きっとチャンスなのだ】

みんな…………!もうすぐだから頑張って…………!!

【後はただ、出口を求めてただ一秒でも早くと走った】
309 :ワザワイ・エスパス[sage]:2015/05/24(日) 04:16:10.82 ID:qYuFZ8Su0
>>296-297
【普通の生き物であったとしたらドリルの螺旋が肉を深く、複雑に抉ったところに超低温を浴びればかなりのダメージの筈だ、そうで無くとも回復には時間を要する…筈だと言うのに】

「やっぱり…ダメなんだね…」

【明らかに常識の枠を越えた再生能力】
【体が凍り付く歩の超低温に晒されて薄着で『冷房』等とうそぶく耐性】
【そして遠距離の武器を小指で止める圧巻の、悪漢の技術】
【撤退する以外に助かる方法は無いのだろう】
【そう悟った瞬間に未練も何も脇目も降らずに背を向けて逃走する】

>>289

「もう無理だよ!逃げようよユラおねぇちゃん!」

【ここで何もしなくともユラは分身体故に殆ど影響は無い、そのくらいなら理解している筈なのに】
【少年は無意味だと理解していた筈なのに】
【姉の妹に手を伸ばした】

>>291

「おにぃちゃんも早く!」
「僕達じゃ0.00000000000001秒だって時間なんて稼げないからいそいで!」

【既に崩壊しつつある施設の中から響く声、プレッシャー、それに叩き出された様に時間の足元を凍らせて加速をつけて逃げようとする】

【無人警戒機に向かって跳躍する紫色、歯痒い、一度目は全力でぶつかってもその牙は喉元へと届かなかった】
【そして今回は逃走、逃げることは恥では無い、姉も言っている】
【しかしそれではもしもこの場に姉が居たら『姉を護れない』と言う現実】
【けっして有り得なくは無い状況に歯を食い縛るしか無かった】
310 :怪盗コンフェイト ◆QdUgTofQJFfy[saga sage]:2015/05/24(日) 10:28:06.06 ID:Kkkh0I8+0

【太陽がさんさんと輝く時刻、街中がその輝きに照らされる中、光届かぬ路地裏に人影があった】


♪〜〜♪〜♪


【髪は白髪で僅かに赤いメッシュを入れている。白のシャツに赤いベストを羽織った、猫のように鋭くも
丸みのある目つきの青年で、首から交差したキャンディステッキのシルバーアクセサリーをかけている】
【棒付き飴玉を咥えており、時折咥えられた棒が跳ねるように動いていた】

【青年は鼻歌まじりに路地裏を歩いていた。この路地裏を近道にどこかへ向かうようだった】

311 :ヒライ ◆8R7odKA9zA[sage]:2015/05/24(日) 11:42:33.01 ID:zxjAsYMMo
>>299

機関の内輪ごとなんて興味ない…今はな
……そうか…いや……わかった。それだけわかりゃいい

【疲れたように椅子に深く腰掛けて、ビールを飲み干した。やけに喉が渇いた】
【彼の様子を見れば単なる知り合いの関係でないことは容易にわかる。深刻さが】
【わかりやすく見える。だが、頭は冷静だ。そう信じてる。行動でガス抜きをする】

【降って湧いた最悪をどうしても信じたくはない。コイツが偽物で全て嘘だとも思える】
【今はこの飄々としたヤツを信用するしか無い。疑う点は多いがその線は薄い】
【全てこれに乗っかるしか今は選択肢はないのだ。何かあるなら、その時考えればいい】

…もうひと『組織』ぐらいはある。単なる『ボニーアンドクライド』になるつもりはない
アイツらは最後は機関中の雨で死んじまったんだ。バッドエンドなんて…俺は好きじゃない

【明日、彼はその指定された山荘へとやって来た。高級なセダンに乗った『もう一人』と共に】

『――相手が相手なので余計な人員は省きました。が、電話一本で一個中隊を呼べるようにしておきました。』
『移送はまずは私のクルマで。途中、2度乗り換えて飛行場へ。何ならヘリも使えるようにしてあります。』
『後は自家用機で何処へでも。ですが、どうなるか予測がつきませんので後プランは5つ用意してあります。』

……相変わらずのようで

【もう一人というのは長い黒髪を後ろで一纏めにした切れ長の目のメガネを掛けた女性で、スーツ姿に刀を差していた】
【名前は霧崎舞衣。国際的な巨大マフィア組織『富嶽会』の会長秘書である。バックにするなら十分すぎるだろう】

『…貴方が頼み込んできたんでしょうが』

【会話も少なく途切れ途切れの中、2人はしきしりに時計を気にしながら時間を待った】
312 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/05/24(日) 12:11:24.20 ID:NLZUDyO4o
>>311

【時刻はちょうど24時間後。固く閉じられていた山荘の戸が不意に開く】
【不用心、とも思えるが――よくよく見れば、山荘には内外を問わず監視カメラが設置されており】

…――ロッソ殿、と……その『バック』の方でありますね?
ダグラス殿から話は聞いているであります。
さ、まずは中に。"お姉さま"もそちらに居らっしゃいますから。

【二人を出迎えるのは、修道服を来た少女だった。年の頃は16か、そこら】
【ライトブルーの髪に藤色の瞳。表情は乏しく、きっと本業のシスターではないのだろう】
【ともあれ彼女は二人を中へ招くと、やがて扉をぱたんと閉める】

【山荘はそう広くない。八角形の造りで他に部屋は無く、暖炉やテーブル】
【或いはちょっとしたキッチンがあるだけの、非常に雑然とした内部構造をしていた】
【その一角。唯一設置されているベッドでは、まさしく赤髪の女性が静かに横になっていて】

事情はおおよそ、ダグラス殿がお話したと伺っているであります。
必要であれば分かる範囲で追加のご説明を致しますが……
……直ぐに運び出して頂いても、構わんであります。お姉さまが無事であれば、それで。

【運び出すか、話を聞くか。少女が問いかけるのはそんなことだ】
【身代を用意しろだとか、そんな事は無く――"妹"だとかいう話も、態度からすると嘘には思えなかった】
313 :ニグレド・ユーリエフ ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/05/24(日) 12:52:19.20 ID:X+aOlRClO
>>298

【カズネのおかげもあり、部隊は無事に地上へ抜け出ることができた】
【夕日の下で、ニグレドの表情には深い翳りが差していた】

……俺の腕も緩い、か…………やはり、軍人は死なせたくなかったのだがな……

【敵が現れたときに愚直に向かっていったせいで彼を、フランツを死なせたのではないか】
【護衛についておきながら結果として守りきれなかったことを、ニグレドは悔いていた】
【例え相手が軍人で、作戦中の死に覚悟があったのだとしても──】

………………………戻る、か

【仕事はまだ継続中だった。彼と共に得た情報を持ち帰る。それが仕事だった】
【他の面々と一緒に、ニグレドは静かに任務へと戻ったのだった】

//先にダウンしておりました……
//お疲れ様でしたー
314 :ヒライ ◆8R7odKA9zA[sage]:2015/05/24(日) 13:07:38.97 ID:zxjAsYMMo
>>312

『霧崎です。どうぞよろしくお願いします。…ヒライさん』

あ……ああ、今行く

【物怖じせず、居の一番に中に入ったのはバックである霧崎の方であった。ヤクザの性格ということか】
【一方の男は少し遅れて、ゆっくりと歩きながら入る。サングラスの下の目はカメラや部屋の配置などを】
【見て執拗なまでに用心しているのは職業病の一種だ。常に遮蔽物や逃走経路を頭に入れてしまう】

………ベイゼ

【目を疑うようにサングラスを外すと、一目散に駆け寄った。名前を呼び、手をとって、膝をついて、悲しみがこみ上げる】
【何でこんなことになってしまったんだ。まだ死んだワケじゃないってのは分かってるが、言葉が出ない】
【妄言のように名前を呼んで、自分の力なさを責める。立ち上がれなくなるほどで涙もこみ上げそうになる】

『あの人、見た目より相当ナイーブなんで、しばらくああでしょうから。今後の話は私が引き継ぎます。』
『兎に角、ベイゼさんの身辺の保護はお任せ下さい。UTにすぐに移せるように国内に数カ所隠れ家を御用意しました。』
『見つかることは無いでしょうが定期的に移動します。状況によっては国外も視野に。秘密は厳守されています。』

【淡々と話を続ける彼女。計画に抜かりは無く、スピーディで感情的になる様子はない】

『私から伺いたいことがありますが構いませんね。まずひとつは何故、カノッサ機関であるあなた方が『裏切り者』を助けるのか。』
『機関内部の権力闘争の駆け引きの1つなのか、事情があるのかはわかりかねますが、聞いておくべき事項の1つです。』

【有無を言わせない言葉の『圧』を彼女は発する。マフィアの技というよりかはビジネスという戦場で身につけた技だ】

『もうひとつは今後のことです。ベイゼさんを保護して逃げまわったとしても、根本的な解決にはなりません。』
『例え刺客を排除してもまた次の人間が送られてくるだけです。…それについては如何お考えのことでしょう。』
『ダグラス氏が六罪王でらっしゃるなら、ひと一人逃がすぐらい可能なのでは。そうでなくとも、何かしらの案が必要かと』

【暗殺対象のリストから外すか、もう既に死んだことにするか。そういう策を講じないと永遠につづく事になる】
315 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/05/24(日) 13:25:15.78 ID:NLZUDyO4o
>>314

【ベッドに寝かされたその姿は、以前より幾らか痩せたように見えた】
【髪は梳かしてあるが伸びるがままで、肩にかかる程になり】
【同時に、もう傷は癒えているらしいことも分かるだろう。ただし、目を覚ます気配は無く】

【駆け寄るロッソの姿を、少女は何処か複雑そうな表情で眺めながらも】
【霧崎の方に向き直り、気圧される事無くジッと目を合わせ】

質問に答えさせて頂くであります。……『裏切り者』を助けるのは
簡単に言えば自分……ブランデン・ケミッシュのわがままであります。

私にとって、彼女を始めとした"お姉さまがた"は大事な存在です。
その一人が裏切り者として扱われ、あまつさえ命さえ狙われる……
……それを何とかならないかと、上司のダグラス殿に願いでたのであります。

平生、私はお願いなどしませんからダグラス殿も珍しがって……今に至るであります。
あの方は六罪王の中でも気紛れでありますから、遊びかもしれませんが。

【一つ目の質問には、非常に単調な答えを返した。しかし疑うとすれば】
【ケミッシュというこの少女とベイゼとは、名前も容姿も髪色も異なっていて】
【少なくとも、血縁に寄る姉妹という訳ではなく――という点が一つ。】

今後に関しては……ダグラス殿でも、機関全体に『見逃せ』とは言えないであります。
それを言えば、どうあっても『何故だ』という者が出てきますし
そういった者に対しては……六罪王という立場は、圧政の為の強権ではありませんので。

……ですから、既に死んだことにして、今後は別人として生きて頂くのが良いかと。
その程度の偽装報告はダグラス殿ならば容易であります。
問題があるとすれば目が覚めない事。……時間が解決してくれると、思いたいのでありますが。

【一呼吸挟んでから、『その方針で如何か。』と問い返す】
【修道服を来た少女という一人物にしては、やはり異様なほどに理路整然としていて】
【流石に六罪王の部下らしく、真っ直ぐに霧崎を見据えたのだった】
316 :Nero[saga sage]:2015/05/24(日) 13:57:07.91 ID:gI1qeIuHO
>>310
【人々が忙しなく行き来し、賑やかな街中とは対照的な裏路地に其は立っていた】
【全身を気崩した黒いスーツのような服装に身を包み、ビルの壁にへばりつくパイプの横に寄りかかりながら静かに瞑想している男】
【カノッサに所属する男、Neroはとある遊戯を行っていた。自分勝手で我儘な遊戯を】
【[選定ゲーム]彼が今脳内で決めているこの遊戯のルールは至って簡単、人通りが皆無に近いこの裏路地を通る酔狂者に声をかける】
【楽しい事に興味は無いか、と】
【然して食いついてきた者にはカノッサの概要を教え面接に入る、破落戸のように食って掛かって来た者には用は無い】
【然してカノッサの戦力増強と自分の暇を潰すのを同時に行う他愛もないくだらない遊戯だ】
【だが、彼が寄りかかる壁の裏の部屋の中には用済みとなった者達の残骸が押し込まれている】
【今裏路地を歩いてくる青年もこのまま進めば恐らくこの男に気付かれるだろう】

ふぅ.......楽しい奴はまるでいないな........無駄な労力ばかり食う
ループゲーは俺は嫌いだよ.......

【そう呟きながら彼は黒い軍棒を取り、空を見上げて溜め息をついた】
317 :ヒライ ◆8R7odKA9zA[sage]:2015/05/24(日) 14:00:05.30 ID:zxjAsYMMo
>>315

【霧崎も目を外すことはない。彼女からすればメンチの斬り合いだ。それに負けるなんてことは】
【富嶽会の名前を背負った人間がしていいはずがない。抜身の刃のような視線を構えつつも】

『…わかりました。義理のご姉妹ということですか。私も義理の兄弟を持つ身ですから』
『そういったことであるなら喜んでお引き受け出来ます。』

『では、斯様に事を進めましょう。戸籍等の身分証明書の用意はお任せ下さい。我々にできて』
『あなた方には出来ない数少ない仕事でしょうから。…となると『証拠』は必要となるのでは?』
『ホトケも用意はできますが、DNA鑑定されれば偽装がバレます。…必要なければ問題ないですが』

【彼女は手帳を取り出して、白紙のページに自身の電話番号を書く『覚えて下さい。』と言い、すぐに消した】

『では、彼女を預かります。……ヒライさん。ドアを開けますから連れてきて下さい。』

ああ……そうだな

『……白雪姫よろしくキスでもしてみたらどうですか?』

【彼女はケミッシュに一礼すると、興味が無さそうにさっさと車に乗り込んでエンジンを掛けた】
【無愛想な彼女なりの気遣いなのかもしれないし、早くこの場から出たかったのかもしれない】

……ベイゼ、すまない。

【憔悴した彼は彼女の頬を撫でる。抱きかかえる前に彼は唇を近づける。奇跡を信じたワケじゃない】
【そうしたかったってのもあるし、これは祈りだ。そして誓いでもある。俺は本当に愛さなくてはならない】

【彼は抱え上げて(少しふらつきながら)ケミッシュに挨拶をして、後部座席へ運び入れる】
318 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/05/24(日) 14:37:57.21 ID:NLZUDyO4o
>>317

"証拠"……そちらは問題ないであります。死体の容易は簡単でありますし
DNAに関しても、私にその手の知識が有りますので誤魔化せるかと。
……或いは、ダグラス殿に"作って"頂くという手も。

ともかく、その点はお任せ下さい。……連絡先も、把握致しました。

【提示された番号を見て一つ頷き、二人が山荘を出るとなれば扉を開ける】
【霧崎には同じように礼をして――視点を、もう一人の女性に向ける。】

【――ベイゼは口付けをされても、物語のように直ぐに目を覚ます事はない】
【ケミッシュも無言で彼と彼女を見送って。やがて後部座席に場が移り】
【車の微かな揺れがそうさせたのか、偶然か――ふと、その瞼が動いた様に見え】

【或いは、身動ぎすらしたような。いま着ているのはケミッシュが用意した上等な寝間着だが】
【その衣擦れの音がたしかに聞こえた。安らかな寝顔も、眉間に皺が寄って見えて―。】

/遅れて申し訳ないです、ちょっと電話がかかってきちゃいまして……
/今しばらく遅めの返信になってしまうかと……本当に申し訳ない。
319 :ヒライ ◆8R7odKA9zA[sage]:2015/05/24(日) 15:09:36.25 ID:zxjAsYMMo
>>318

『なら、そちらのご都合で。…尤も我々の流儀ならもっと単純です。』
『髪の毛だけ持って帰って後は「家畜の餌にした」と言うだけですから。…お任せします』

【ベイゼとロッソが後部座席に乗り込むと霧崎は発車させる。携帯電話を取り出して近くに待機させた】
【護衛の車と下の国道で合流するために連絡。続いて今後のことについての準備の段取りを決める】

――というわけで彼女には今後、別人としての人生を歩んで頂きます。UTに身柄の保護を頼むと
向こうには伝えていますが、一枚岩でないといえど向こうは機関の人間です。どこから漏れるかわからない。
それに元々、UTに居たのですから刺客が再度狙いにくことも考えられます。慎重に打合せましょう。

【ハンドルを握りながら彼女はミラーで後部座席を一瞬だけ見る。2人と、その後ろの窓に黒塗りの車が1台見えた】
【道は何もないカーブの連続する下りでヘッドライトだけが眩しく光って、中央の白い破線を舗装路に浮かび上がらせた】

………何から何まで、悪い

【彼はパワーウィンドウを少し開けて、いつもの安い紙巻煙草に火をつけた。乾いた煙が車内に広がって、外へ吸いだされる】

『……どうするんですか?…敵、取るんですか。私だったらすぐに探しだして殺しますよ』

………。

【彼は答えなかった。煙草をふかしながら、外を流れる暗闇の帳に目を向けていた。サングラスをかけ直して】

『新しい名前、どうします?なんか、すごい可愛いのにしちゃいましょうか。』

…………。

【沈黙を埋めるように、彼女は察して別の話へ話題を切り替えるが沈黙が続く。カーステレオでもつけようかと思った】


/諒解でございます。気にせずにゆっくりで大丈夫ですので
320 :怪盗コンフェイト ◆QdUgTofQJFfy[saga sage]:2015/05/24(日) 15:11:37.93 ID:Kkkh0I8+0
>>316


……おや?


【誰もいないだろうと思ってこの道を通っていたのだが、案外そうでもないらしい】
【それに気づいた青年の鼻歌が途切れると、男の呟きが耳に入ってきた】


…………


【楽しい奴】

【そういった存在を求めるこの男はきっと、”退屈”している】
【頭の中でとっさにその答えが出た青年は、性分か、ならば楽しませてあげようという考えに至った】


どうも!随分退屈そうにしていますが、こんな所にいても面白い事なんてありませんよ?


【にこやかに手を上げながら、青年は男に話しかけてきた】
【その青年を”どんな奴”と見るかは、男しだいだが……】

321 :Nero[sage saga]:2015/05/24(日) 15:32:58.93 ID:gI1qeIuHO
>>320
【目の前を通りすぎた青年が自分が話しかけるよりも早く此方へと話しかけてきた】
【その声色は不審感等全く無いと言った様子で些か不用意に見えた。だが話しかけられた以上此方も此方がしたい遊戯を行わない訳には行かない】
【彼は軍帽を右手に持ちながら、少々青年を見定めるように頭から顔、爪先へと目線を移していき、もう一度顔を見直すと静かに口を開いた】

やぁ、どうも、そうだな「こんな所」が退屈と君は考えているようだが俺は「こんな所」が楽しい性分でね。
特に君みたいな奴が通りかかるから大好きなんだけど……まぁまずは俺の話を聞いてもらおうか。
君は……"楽しいことに興味は無いか?"

【その声音は低く、頭の中に幾度も響くような卑しい声音。然して興味と狂気を孕んだ視線で彼は青年を見つめ続ける】
【返答がどうであれ、彼の頭の中には「こいつはそこそこ使えるか……」と言った下心が渦巻いていた】
【こんな所で黒服を着込み一人で佇むような者に警戒心も無く話しかける。このような性分の人間は上手く使えば多少の知恵者よりもずっとよく働く】
【これで能力者であれば機関に上手く誘い込めば上々なのだが、と思いながら彼は話を続ける】

もし、君が良ければとても楽しいことに繋がる仕事があるんだ。どうだろう?無論無理にとは言わない。君にだって選択権はある。
ただ、この仕事は少々特殊でね、あまり大人数を一辺に募集する訳にはいかない…そこでこんな所でしっかりと人を見定めているんだ。さて、君には"少々特殊"な事をしてでも愉悦を求める心はあるかい?
あると言うのなら俺は君に是非、この仕事を任せたいんだ。

【そう言うと彼は青年に一歩二歩と近づき、自然と追い詰める形にしながら青年の返答を待った】
【目線は一切逸らさず、しっかりと青年の目を見つめながら】
322 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/05/24(日) 15:55:07.99 ID:NLZUDyO4o
>>319

【夜の舗装路を数台の車が進む。タイヤから伝わる音と振動は定期的に繰り返し】
【時折刻まれる会話の音はすぐに静寂に支配されて――それを乱す音が立った】
【声にもならないような呻き。それは紛れも無く、赤髪の彼女から伝わる物で】

っ、あ……!ぉ…い……、…待てよ……。
ヒト様の名前……、……勝手に、決めんなっつーの……!

【肺腑の呼気を絞り出して話したような、久々に口を動かしたような。】
【そんな、何処か覚束ない口調で確かに"言葉"を発してみせる】

【見れば瞼はうっすらと開き、ここが何処かを確かめるように瞳が動く】
【やがてその視線は隣に座っているのだろう男性の元でふと止まり】
【ニヤ、と下手な笑いを作ってみせるのだった。ただ、身体は思うように動かないのか】

【長い髪をうっとしげに触れる手は、中々その用を成せずにいて】
【身体もしっかりと背凭れにかかったまま。起き上がる、というのは難しそうに見えた】

/そう言って頂けると……本当にすみません、ありがとうございます。
323 :怪盗コンフェイト ◆QdUgTofQJFfy[saga sage]:2015/05/24(日) 16:18:22.55 ID:Kkkh0I8+0
>>321

【目の前の男から醸しだされる普通とは違う雰囲気】
【しかし青年は、これまでにそういったものを経験したことが無いのか、そんな雰囲気にただ不思議そうに思うだけで】
【怪しさや危険さといったものを感じ取れなかった】


”楽しい事”ですか?もちろんありますとも!


【にっこりと、やはり疑いのない笑顔で青年は答えた】
【ただ、その言葉に秘められた意味には、まるで気づいていないようだ】


それに、特殊というなら、僕も少しばかり特殊な事をやってるんですよ。

あまり大きな声で言える事じゃ無いんですけどね……。


【軽く頭を掻きながら、照れくさそうに青年は男に語る】
【男が近づいてきても、それを不審に思う事もない。青年はまるで無防備だった】


自警団の人には嫌われますし……この前なんか、『SCARLET』の人に職務質問されちゃったんですよ〜


【そんな中、青年の口からこぼれたのは世界にその名を知られた正義の組織『SCARLET』】
【この青年はその組織に所属す人物と関わりがあるようだ】


で、その仕事っていうのは何ですか?”本業”に差し支えないなら力になりますよ?


【興味深そうに、青年は首を傾げて尋ねてきた】
324 :ヒライ ◆8R7odKA9zA[sage]:2015/05/24(日) 16:34:50.39 ID:zxjAsYMMo
>>322

【重い沈黙が流れ、それがこれからも続く予感がするような悪い空気に思い始めた時】
【事態は急に好転する。長い眠りについていた彼女が急に動いたのだから。男は慌てて顔を向け】
【勘違いだったんじゃないかと疑いながらもじっと彼女を見つめていた】

……ベイゼ?……いや……その……

【口を開いたまま固まって、事態が飲み込めずに居た。だって全く目を覚まさないなんて言うもんだから】
【これからどうしたらいいんだと頭がぶっ飛んでいた時にこれだ。古代の演劇だってもうちょっと展開考えるぜ】
【まあでもそれが機械仕掛けの神だろうとマジもんの神だろうとまた別の何かだろうと構いはしない】

【煙草を窓から投げ捨てて(普段はしないのだが今回は特例だ)、彼は彼女を衝動的に抱きしめる】

…すまない…本当に……守るだの言っといて…俺は…

【心底安心したぜマジで。たった一晩が全部悪い夢だったみたいだ。芝浜や鼠穴みたいな話だ】

【そこで1つ、咳払いする音が。運転席の霧崎。バックミラーに映る顔は…あえて描写は避けることとする】

『あのー、すみません。そういうのは付いてからゆっくりやってください。置いて帰りますよ。ヒライさん』
『取り敢えず、ベイゼさんはどこまでご存知なんでしょうか。良ければ一から全部説明させていただきますが』
『ああ、私、富嶽会の霧崎舞衣です。そこの奴の『元雇用主』です。以後、お見知り置きを』

…相変わらずだな

【サッと大人しくなってまた煙草に火を付ける男。舞衣の説明中は一切話さず。どちらが偉いかは一目瞭然だった】


/すみません、これから夜10時頃まで出かけなくてはならないので
/一旦、お休みかもしくはきりあげて貰えればと思います。
325 :Nero[sage saga]:2015/05/24(日) 16:37:41.66 ID:yjauGLPiO
>>323
【青年はやはり不審感とは天と地ほども離れた口調で明るく楽しげに答えてきた】
【だが、その話のなかに散りばめられた彼の特殊な仕事を見抜くヒントを彼は聞き逃さなかった】
【自警団に嫌われる、SCARLETに職務質問、最早この時点で青年が何かよろしくない仕事を本業としているのは明白だ】
【彼は青年を見つめながら「こいつは当たりだ」と内心で非常に喜んだ。機関にとってここまで有用な戦力はいないだろう】

へぇ、君も特殊な仕事をね。しかもあの"SCALRETの野郎共"にも目を………
そうだねぇ、君は自分の仕事を邪魔するそいつらを疎ましく思わないかい?奴等さえ居なければもっと自由に仕事が出来る。奴等さえ居なければ自分はもっと高みを目指せる……なんて一度でも思ったことはあるかい?
俺が今から君に持ちかける仕事はね、その願いを叶えるのに十分な仕事なんだ……君の仕事を更に充実した物にするために俺はこれを君に渡す……
……カノッサ機関、どうだい?とても狂おしくて楽しそうな響きだろう?君の仕事を邪魔する者達を寄せ付けない事も君の仕事をサポートする道具も幾らでもある……
さぁ、君も俺達と同じ景色を見てみたくは無いか?

【そう言うと彼はカノッサの印、逆五芒星の腕章を青年へと差し出した。その目付きは先程にも増して卑しさを増した光を携えている】
【彼は青年がカノッサに入って不利益となる要因は何一つ無いと確信していた。必要なのは青年の答えだけ、彼に腕章を差し出された青年は其を受けとるか否か】
【期待を込めて彼は最後の一言を呟いた】

君は幾らでも好きな事が出来る。君の思うままに……何でもだ。
326 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/05/24(日) 16:41:00.19 ID:NLZUDyO4o
>>324
//了解です。こちらの方が夜になるとちょっと来れないと思うので……
//このあと、こちらからまとめて切り上げる感じのお返事させてもらって〆、でどうでしょうか。
//何かと積もる点については舞台裏などで話したほうが早いかな、とも思いますし……いかがでしょう。
327 :ヒライ ◆8R7odKA9zA2015/05/24(日) 17:02:19.40 ID:PvyXY/u1O
>>326
/了解しました。ではその形でよろしくお願いします!
328 :怪盗コンフェイト ◆QdUgTofQJFfy[saga sage]:2015/05/24(日) 17:11:12.55 ID:Kkkh0I8+0
>>325

疎ましく……ですか?まぁ、そうですね。この前『SCALRET』の人に職務質問されちゃったせいで
欲しかった物が手に入らなかったし、あの時は惜しかったなぁ……まぁ、怪しい動きを見られちゃった僕が悪いんですけどね。

確かに、いなくなったら僕の本業もやり易くはなると思いますけど。

(でもさすがにほんとにいなくなっちゃったら困るんですけどね……怪盗は”追ってくれる人”がてこそ輝くんだから)


【そこまで言って、青年は差し出された腕章を見ると】


……へ?


【間の抜けた顔で、素っ頓狂な声を出した】
【その腕章に記された、逆五芒星。それは、自警団や『SCALRET』といった”正義”とは真逆の存在】
【『カノッサ機関』の印だった】


あ〜〜〜〜…………なるほど、特殊な事ってそういう……

(やっべぇ……)


【青年の笑顔が、ぎこちなくなった。ここに至って、青年はようやく男がいかに自分に取って危険な人物かを理解したのだった】
【背筋に冷たい物が走り、じわりと汗が浮かぶ。『逃げなくては』という思考が即座に浮かんだ】
【だが下手な逃げ方をすれば殺されるという事も、理解できる】


……あ、アハハハ!まさかあの有名なカノッサ機関からのお誘いだったとは!

いや〜……僕も随分評価されちゃってるみたいで……う、嬉しいなぁ〜。


【とりあえず、青年は答えを引き伸ばそうと、喜んでいるように振舞う事にした】
【とはいえ、動揺を隠そうとして逆に怪しいその態度は、男に何かを感じ取らせることになるだろう】
329 :アイン ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/05/24(日) 17:18:27.81 ID:X+aOlRClO
【風の国・首都エルジオ】

【水の国に並ぶほど自然豊かなこの国の首都は、やはり似たように様々な人々が行き交っている】
【あちらが混雑と呼べるのに対して、こちらはもう少し穏やかな賑わいを見せていた】
【気候が安定していて、夕方ともなるとさほど暑くないおかげか服装も様々だ】

【通りの端に観光用の大きい地図が掲示されている。その前に一人の男が立っていた】
【黒く短く揃った短髪に東洋人的な凹凸の少ない顔つき。長身に血のように赤黒い外套を羽織っている】
【顔からして年齢は三十代前半くらい。左耳につけている大きめのルビーのイヤリングがそよ風に揺れていた】

……田舎なんだか都会なんだか微妙だな
どうもこういう、若干牧歌的な国は好かん
住み心地は良さそうだが水の国の方が良かったな……

【男は地図の前で首を傾げていた。地図の道筋を目で追って、実際に通りの先を見て、また地図を見て──】
【そしてまた反対側に首を傾げる。まるで迷っているかのようだ】
【いくら様々な人種がいるとはいえ、こんな外套を羽織った男は他にはいない】
【目立つものの前にいることもあって、少しばかり目につくだろう】
330 :Nero[sage saga]:2015/05/24(日) 17:29:20.08 ID:yjauGLPiO
>>328
【青年のそのあまりにもわざとらしい答えに彼は少々苛つきを見せた】
【ここまでして引き受けないとなるとこれは最早期待外れを通り越して殺意が湧く程だ。だが、ここまで誘った所で躊躇うとなるともう考え直す期待はほとんど無いだろう】
【彼は項垂れたまま青年から距離を取ると、帽子を被り直し先程と同じ低い声音で彼は問いかけた】

そう……か。君は自分の力をより高めようと言う気持ちは無いのか……
そんな半端な気持ちで一人で戦い続ける等言語道断。長く続きはしないだろう……君はそれでも良いのか……
貴様は自分の愉悦を求めるのか、それとも半端な自分に酔うのか……どちらを選ぶ
これは最後忠告だよ……君は上を目指すか、それとも今のまま惰性で暮らし続けるか。どちらかを選べ、でなければ俺は貴様を用済みと判断してしまう。

【そう言いながら項垂れていた頭を青年へと向け、獣のように鋭い眼光で青年を睨みつけた】
【その目線は最早話し合いを拒否し、今すぐにでも目の前の相手を斬り伏せてしまおうかと言う狂気に満ち満ちていた】

さぁ、答えろ!貴様は俺達と同じ遊戯<ゲーム>を進めるか、それとも俺達に購い、矮小な愉悦で満足し続けるか。
今すぐにでも答えなければ俺は怒りを押さえきれない……

/申し訳ない。用事が出来たので一旦凍結で良いでしょうか
/八時頃には開始できると思います。
331 :怪盗コンフェイト ◆QdUgTofQJFfy[saga sage]:2015/05/24(日) 17:39:16.24 ID:Kkkh0I8+0
>>330
/了解です!とりあえず返しておきますので〜
332 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/24(日) 17:56:16.95 ID:zVS4aNP1o
【水の国、商業ビル街】

───風の国から不穏な匂いがするね、地の国からは未だに変わらず、か……
機関の連中もお盛んな事だ、見習いたくはないけどね

【立ち並ぶ高層ビルの森の中、組まれている途中のビルで、剥き出しの鉄骨の上に一人の人間がいた】
【その立ち方は……嫌、立ち方と言うには似合わない、動物のおすわり≠フような体制で、夕暮れに赤くなる街の空気を感じ取っているかのように佇んでいる】

【くぐもった声で呟くのは、掠れてはいるが女性のようで、赤い短髪を高所の風になびかせて】
【キシ、と鉄同士が擦れ合う音がした、鉄骨に付いている彼女の四肢は、黒鉄で出来た機械義肢となっていて、その口と鼻は同じ素材で出来た犬用の口輪で覆われている】

さて、それではうちの主殿はどこを攻めるのか……あの臆病風の事だから、きっと関わり合いの無い所にするのだろうが
───君はどう思う?

【女が見下ろす先に居たのは、ワイヤーに逆さ吊られた一人の男、振り子の様に揺れるそれは、抵抗一つ無くぶら下がっている】
【その様子は、はたから見れば拷問か何かが行われている様にしか見えず、それは下からでも遠くからでもよく目立つ】
【その上、建築途中であるにも関わらずこのビルへの進入は容易であって、もしそうしようとしたなら妨害無く女がいるフロアまで来る事が出来るだろう】

【……道中、倒れている警備員が数人いるが】

/予約です
333 : ◆SwXWg9i6yU[saga]:2015/05/24(日) 18:17:22.35 ID:v50iI4W0O
>>332

【────水の国・商業ビル街】


そうね────積極的に関わるべきだわ。
私ならそうする。


【ワイヤーに吊るされた男への問いを答えたのは全くの部外者である一人の女性だった】
【十代半ばの容姿を持ったその女性は目の前で繰り広げられている光景を見ても驚く様子も見せないし、止めようともしない】
【ただ背後から────不思議な座り方をする女性の背後から会話に割り込んできただけで────道中視界に入ってきた警備員の倒れている姿についても特に聞こうとはしない】
【少女ほどの容姿をした女性は口元に手を当てると吊るされている男性の姿を軽く確認すると不敵に微笑んだ】


こんな場所で、一体何をしているのかしら?
虐め────にしては結構マニアックな方法ね。


【下からこの光景を確認した女性は此処までやって来たわけだが────その時に見えた目の前の女性の服装を思い出すと、クスクスと笑った】
【女性の言動から察するに吊るされた男を助ける気は皆無なようで────寧ろ男を殺すものならそれを見届けるつもりだ】
334 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県)[sagesaga]:2015/05/24(日) 18:24:18.90 ID:s5l0BY37o
【海岸】
【といっても、一般的なビーチではない。防砂林はなく草原が茂り、海中には海藻が生え、多様な生き物が住む――手付かずな自然】

「しィかし、無ゥ限の様に流れ着ゥくなァ」

【海岸に一人立つもの、それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

【で、この者が何をしているかといえば――そう、砂浜に打ち上げられた死骸やゴミを回収しているのだ】
【確かに、立ち入るものがおらず(かと言ってアクセスが悪いわけではない)、こうやって回収されなければ悪臭が漂うのだろう】
【――ところで、この海岸付近にはこんな噂がある……"未知の魔物が現れる、魔の地帯"】

「……そォろそろ、魔ァ物狩りが始まりそうな気ィがすゥるな」 「経験則だァが……恐怖は最初回避対象だァが、すゥぐに排除対象となァる」

【……なぜ手付かずの自然なのか? そういうことだ】
335 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/24(日) 18:32:22.80 ID:zVS4aNP1o
>>333
そうだね、僕もそう思うよ。主殿は人を嫌い過ぎる
閉じた世界で特定の誰かとだけ関わって己を完結させようとしている。それと比べればあの地の国を破壊した六罪王の方がまだマシさ

【問い掛けに答えた者の存在は、確かに不意であったが、しかしそれを予測していたかの様に滑らかに会話を返すと、首を捻って振り向いた】
【左右で色の違う、色どころか形すら違う両眼だ、右眼だけが赤く、獣の様に瞳孔が縦に割れている】
【彼女は「やあ」と遅れた挨拶をすると、そのままの体制で体を背後の少女に向けた】

何をしているか、と聞かれれば、答え方に迷うかな。所謂『釣り』に近い者さ
そう、言うなれば彼は餌、誰かが僕の元に現れてくれるのを待つ餌だよ、そしてそれは成功した様だ

さて、じゃあ君は……正義感が強い方には見えないね、きっとこの哀れな男を地面に落としても君は何もしないのだろう?
素晴らしいよ、その残酷さ、素晴らしい。自分に関係が無ければどうなっても良いという感情、其れこそ僕の見たい人間性だ

【くつくつと喉を鳴らして嗤う、口輪に篭った笑いが低く響き、隈のある目が少女を低い位置から見遣る】
【手持ち無沙汰に、もう必要無くなった『餌』を女は捨てる。義肢の爪でワイヤーをプツンと切ると、吊られた男は悲鳴も上げずに落下していった】
【もしも少女が気紛れにでも男を助ける気になったなら、ワイヤーを掴むなどでその命を救う事が出来るだろう。そうで無ければ、死体がビルの下に出来上がるだけだ】

/申し訳ありません、次のレス遅れます!
336 : ◆SwXWg9i6yU[saga]:2015/05/24(日) 18:51:19.35 ID:v50iI4W0O
>>335


あら────地の国を崩壊させた六罪王って確か、"ベクター"だったわよね。
フフ……彼と比べられるなんて、貴女の主も随分と苦労してそうね────。


【此方を見た女性の瞳は奇妙なもので────左右対称という概念を覆す異質な瞳だった。自身の瞳も世間一般的に見れば不気味なものではあるが、彼女と比較すると些かマシに思えた】
【女性はそんな奇抜な瞳を同じく奇妙な瞳で見つめると口角を若干上げ目を細めた】
【目の前の女性が言った主殿という単語から察するに彼女のバックには何かしらの力が存在しているのは明白だ。しかも六罪王の一角と比較されるとなれば、只者ではないと安易に分かった】
【一体誰が背後にいるのか気になった女性だが、それは後で聞いてもいいだろうと思い────寧ろ今聞いても意味はないとさえ思えた】


何もしない────ねぇ。
残念だけどそれはないと思うわよ? 貴女が私に残酷さとか冷徹さとか……そんな人間性を求めているなら申し訳ないけど、期待に添えないわ。
私────食べ物を粗末にする人も、粗末にすることも嫌いなのよね。


【女性は吊るされた男を殺すものならそれを見届けるつもりだった。しかし、誰も男を死なせるとは言っていない】
【男を殺す意思を見たかった────ただそれを確認さえ出来れば正直良かった。仮に女性が男を殺すつもりがない場合、目の前の女性は初見殺しで終わりだったから────そうならば無駄足、無駄な興味────時間の無駄になってしまっていたから】
【落下する男、流れ落ちるワイヤー。女性はそれを冷めた目で見ながら、逆五芒星の刻印が刻まれた左手を翳して────赤黒い杭を生やすとワイヤーに突き刺し、男を自身の足元へと引っ張り上げた】

/了解ですっ
337 :アイゼルネ・ユングフラウ ◆4JxTYkzBfA[sage]:2015/05/24(日) 19:38:43.84 ID:Oq54qVCL0

【とある繁華街、路地裏】

「えっと…あの、困るっていうか…家に帰らないといけない、というかですね、その…」

【そこにはしどろもどろになった少女とそれを囲む複数の男達がいた】
【腰まで届いた美しい銀髪に月色の瞳を持っている少女であるが特筆すべきはその腹部であろう】
【黄色地に散りばめられた白い花模様が可愛らしいワンピース、それはマタニティドレスの類であり、腹部の大きさから察するに彼女が妊婦であるということは誰も目から見ても明白だった】
【そして彼女を取り囲んでいるのは、いずれも若くそれなりに身なりの整った──簡潔に言えばいかにも風俗店に勤めているといった風体の者達】
【どうやら帰路に着く途中で偶然絡まれてしまったらしい】

「あの…えっと…わ、わた……」

【それなりに夜の街の中でも目を引く髪色であったことと、それから少女の気弱な態度が仇となったのであろうか】
【男達は一向に諦めるそぶりを見せず、最早口論はどちらが先に折れるのが先かという泥沼と化していた】
【そして少女の方は既にもう根負けしそうになるまで怯えてしまっている】【彼等に乗せられてしまうのも時間の問題だろう】
【果たしてこの少女に救いの手を差し伸べる者はいるのだろうか───?】
338 :怪盗コンフェイト ◆QdUgTofQJFfy[saga sage]:2015/05/24(日) 19:47:28.46 ID:Kkkh0I8+0
>>330

【青年の生半可な誤魔化しは、男の怒りを買ってしまったようだ】
【マズイと思った時にはもう遅い。男の眼光に射抜かれたように、青年はその場から動けなくなる】
【だが】


……その言い方は、気に入りませんね。


【”半端”や”惰性”、”矮小”と評された瞬間、青年の足が一歩、動いた】


僕は貴方達のような大悪党から見れば、所詮小悪党。でも、そこで終わると思っているなら――”甘い”。


【ポケットに手を入れ、男に笑って返してみせる。ただし、それはさっきまでのぎこちない笑顔ではない】
【かと言って出会った時の様な、不信感のない純粋な物とも、違う】


僕は世界を股に掛ける”大怪盗”になる!あらゆる場所から、あらゆる物を盗んでみせる大怪盗に!
人の命を軽んじ、それをゲームなどと言う貴方達には理解出来ないでしょうが、これが僕の目指す物だ!


【カノッサ機関に身を置く男ならば、それは見覚えがあるかもしれない】
【己の内にある、何者にも曲げられぬ”信念”を宿した者が見せる、不敵な笑顔】
【正義の組織に属する多くの者達が見せてきた、不屈の笑顔】

【怪盗を名乗り、悪党の類に立っているはずの青年がそんな笑顔を見せるのは、男にとってきっと、不愉快極まりないだろうか】


答えが欲しいと言ったな”カノッサ機関”!ならば答えてやる!


【ゴリッと咥えていた飴を噛み砕き、飴の無くなった棒を男に向ける】


――――”怪盗”ってのは、”誰にも捕らえられない”から”怪盗”なんだぜ?――――


【挑発するかのように、音を立てながら飴をさらに噛み砕き、青年は狂気の瞳に立ち向かった】
339 :鳴子一颯 ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/24(日) 20:15:16.73 ID:t8kggSEmo
>>337

【繁華街の路地裏なんて、何の用もなしに立ち入るような場所じゃない。少女がどういう経緯でそこに居たのかはわからないが】
【冷酷なようだが、少年はまず、自業自得だと思った。しかも彼女のお腹は膨らんでいるように見える。ことは彼女一人の問題ではない】
【用事があってそこに居たにせよ、無理矢理連れ込まれたにせよ、そもそも身重の体で夜の繁華街なんかうろつくべきじゃなかったのだ】


――あの、すみません。そのぐらいにしてあげてもらえませんか。


【などとは思いつつも……見捨てて帰るのもなんだか後味が悪い。"仕方ない"なぁ、と少年は心の中で苦笑いを浮かべ】
【ためらわず路地裏へ踏み込んでいくと、少女を取り囲んでいる者たちへ軽く声を掛けるだろうか】
【――黒いブレザーに赤いネクタイ、学生鞄。人の事をいえたものじゃない、夜の繁華街なんかにいるには相応しくない姿の少年だ】
【制服姿の男子高校生である。前髪を上げた茶髪、制服が適度に着崩されていることも含め、いかにも"最近の若者"といった風情の外見】

【「やめてあげて」という意味合いの、なんとも軽い調子の言葉だが――少年の手には携帯があり、既に警察へコールが始まっているだろうか】
【口調だけは温和だがとんだ強硬手段である。突如現れた邪魔者に対して、男たちは果たして、どう動くか――】


/まだいらっしゃいましたらー
340 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/24(日) 20:23:22.90 ID:zVS4aNP1o
>>336
【吊られた男が落ちる、残ったワイヤーがするすると伸びて、支えも無く落下していく】
【少女が左手を翳す、その所属を表しているのであろう紋章が刻まれた手から生えた杭が、ワイヤーを貫いて】
【女は其れ等を興味深そうに眺めていた、止めようとも妨害しようともせず、声も発さない】
【ひき上げられた男はどうやら眠っているようだった、傷が一つも無いのを見ると薬を盛られたか】

───いや素晴らしい、いい物を見させてもらったよ、まさか機関の人間が人を救うとはね
……いや、救った訳では無いのかな?まあいいよ、それをどうしようが僕には与り知らぬ所だ、喰うも殺すも好きにするがいい

【ゆったりとした拍手、鉄を叩き合わせる音が緩やかに響く】
【それから、ゆらりと立ち上がると、元々の長身と今までの体制もあって遥かに大きく見えるシルエットを夕日の空に映し出して】

さて、と……どうするべきかな
別に機関と対立している訳でもないんだけど、仲良くする道理も無いよね?嫌いだと言われてしまったし───

取り敢えず、殺し合おうか?

【別にこの場面で敵対する確かな理由は無い、出会い方はどうあれ険悪な雰囲気では無いし、怒りを買ったのでもないのだから】
【だから、彼女の出した提案はどうしようも無く突拍子も無く、言って仕舞えば道筋を吹っ飛ばした狂人の思考其の物だ。細い鉄骨の上で立つ女は殺気も無く、少女を見据える】

/只今戻りました、遅れて申し訳ありません
341 :アイゼルネ・ユングフラウ ◆4JxTYkzBfA[sage]:2015/05/24(日) 20:30:33.20 ID:Oq54qVCL0
>>339

「……!」

【悪魔に魅入られてしまった哀れな少女】
【ここでのお話は悲劇として終いになるかと思われたその時】【なんとも絶妙なタイミングで救いの声が】
【若干驚いた様子で少女は顔を上げる。その目には既に涙が溜まっていた】
【少女にとっては最高の助っ人のように映る男子生徒、しかし彼女に絡んでいる男達にとってはそうもいかない】
【彼等にしてみれば自分たちより年下のガキがつっかかってきたのだ】【当然面白い筈もない】

「…あ、危ない!」

【少女が声を上げるのと同時、男の一人が少年へとつっかかるべく彼の方へと向かう】
【そしてチンピラの男が次に何をするのかと言えば───相手の少年の胸ぐらを掴んで、それから顔を思い切り殴ろうとするだろう】
【他の男達は特に加勢する素振りも見せず、それをにやつきながら傍観していることだろう】
【自分たちの仲間が少年を殴り飛ばす姿を想像しながら】

/それではよろしくお願いします!
342 :Nero[sage saga]:2015/05/24(日) 20:41:43.41 ID:f2u0eefqO
>>338
【青年の答えは大層かつ自信に満ちた物だった。そして堂々と見せつけてきた笑顔は先程とはうって変わって信念に満ちた、そう自らを"正義"と名乗る者達の見せる笑顔だった】
【彼は最早これまでかと諦めの感情で期待を圧し殺し、青年へと盛大な笑みを見せた。その笑みは彼が出来る最大限の殺意の笑顔。彼は既に戦闘となる準備も出来ているようだ】

もう良い……やるならその小五月蝿い音をたてる口からか……
さぁ、何処からでも来いよ……始まりはSTARTボタンを押せっていう指示があるんだぜ……?
いつでも掛かってこい、準備はもう出来ている。

【瞬間、彼の黒い服と周囲の建物の影が揺らめいた。彼の能力がその空間の暗闇へと行き渡った証拠だ】
【彼はそのまま腰に下がっている赤黒い歪な塊を右手で取り外すと青年から少々距離を取り、其を片手に青年へと叫んだ】

さぁ、やるなら早くしろ!
俺は別に何処から攻撃されたって問題は無い、後攻の方がゲームはやり応えがあるからな、チェスなんかはいつも後攻だ。
ほらぁ……早くしないとスリープモードに入っちまうぜ?再起動<リスタート>は面倒だろう……?

【そう言いながら彼の右手の塊は半身に構えた彼の身体に隠れて青年にとっては死角となる場所で少しずつその形を変え始めていた】
【歪な塊は細長く、鋭く湾曲して行き、最後に幾つもの小さな刃の付いた諸刃のサーベルとなった。その長さは凡そ五尺、サーベルとしてはかなり長い部類に入るだろう】
【同時に彼の背中にもある変化が訪れる。黒い上着の背中側、肩甲骨辺りが少しずつ波立ち、盛り上がりそこには黒い小さな炎のような物が出来上がっていた】
【其は彼の能力が既に発動寸前な証、彼は青年に先攻を取らせる気でいて既に反撃も騙し討ちも出来る態勢を整えていた。全ては遊戯完了<ゲームクリア>の為、その為には騙し討ち等どうと言う事は無い】
343 :鳴子一颯 ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/24(日) 20:45:52.19 ID:t8kggSEmo
>>341


ああ、もう……"仕方ない"な、本当に……。


【少女と男たちを交互に見やって、少年は今度こそ苦笑いを隠せなかった。……これで引いてくれればよかったのだけれど】
【やっぱりそうもいかないか。想定はしていたがそううまくは行かないものだ。この人数の男たちを一度に相手にするのは厳しいし面倒だ】
【特に抵抗もせず大人しく胸倉を掴まれながら、少年は振り被られた拳を見やる。次の瞬間――】

【――油断していれば、吹き飛ばされるのは男のほうとなるだろう】
【肌がひりつくような嫌な感覚を覚えるかもしれない。櫻の国では"妖気"なんて呼ばれる銀色の力が、少年の体から噴出し】
【拳が当たるより少し早く、少年と男との間に猛烈な"風圧"が発生する。直撃した場合は大きく後方へ吹き飛ばされることになるか】


もう警察も駆けつける頃合ですよ。
……お互いのために、このぐらいにしておきましょう。ね?


【一連の行動は、自身が"能力者"であることを示して男たちを脅かすのが狙いのデモンストレーションだ】
【追撃するように、少年は携帯の画面を男たちに突きつけ、警察へ電話したことを示す発信履歴を見せつけるだろう】

【不気味な銀色の風を体に纏わりつかせ、殊更におどろおどろしい感じを演出する。これが最後通告だと言わんばかりに】
【……これでも男たちがこの場に残るなら、流石にもう誤魔化しきれない。お互い血を見ることになる前に、少女を置いて立ち去ってくれ、と】
【獲物を見据える獣のような獰猛な表情を精一杯作りながら、少年は内心でそう願っていた――】
344 :アイゼルネ・ユングフラウ ◆4JxTYkzBfA[sage]:2015/05/24(日) 21:04:42.76 ID:Oq54qVCL0
>>343

【少年が胸倉を掴まれ殴られようとした瞬間少女は思わず目を瞑る】
【嗚呼ごめんなさい、私のせいでごめんなさい……いつものように暗い感情が湧き出る】
【自分のちょっとした間違いのせいでなんの関係もない少年を傷付けてしまうことに】【そう思っていたのだが】

「きゃ…!」

【不意に強風…否、烈風が殴りかかろうとしていた男を捉える】
【男は吹き飛ばされそのまま少女と男達のすぐ近くに倒れこむ】【どよめく男達、そして僅かながらこちらにも吹いた風に悲鳴をあげる少女】
【今の風、今の力、ひょっとしたらひょっとして…】

『の、能力者?』

【少女の考えていたことは吹き飛ばされた張本人が先に口に出してくれた】
【一瞬の間が空き、そのまま男達は慌てた様子で裏路地の奥の方へと逃げて行く】
【恐怖のあまり一目散に逃げ出すもの、悔し紛れに捨てゼリフを吐いて逃げる者など反応は人それぞれだが能力者に勝ち目がないと思っているのはよくわかる】
【そして最終的に危機から脱することができた少女】【裏路地で男達を追い払った少年と二人きり】

「…あ!ありがとう、ございます!え、ええと…あ、そうだ、警察呼んじゃったみたいですけど、もう解決して……えっと…」

【しばらくぽかーんとその様子を見守っていた少女なのだが、我に帰ると慌てて相手にお辞儀をしだす】
【まだ頭が混乱しているのか言動はなんどもつっかえていて些か容量を得ない】



345 : ◆SwXWg9i6yU[saga]:2015/05/24(日) 21:08:29.27 ID:v50iI4W0O
>>340


あら、随分な偏見ね。
私が機関の人間だから、手を出さないと思っていたのかしら? まあ、貴女の言う通り、此奴を助けた訳じゃないけど。
──────そうね……じゃあお言葉に甘えて頂きます……なんて言いたいのは山々なんだけれど、生憎私は薬品を使った生物は食さない主義なの。


【鉄を叩き合わせることにより辺りに響く甲高い音響────その音色は嫌な振動となって鼓膜を刺激する】
【不快な音を奏でる女性を一度見ると再び自身の足元で寝息を立てている男性に目線を落とした】
【目だったので外傷はない────吊るされていた時に抵抗をしなかったのは男性が寝ていたからだと理解すると同時に、薬辺りを盛られたのだと察する】
【食べ物を粗末にするのは好かないが────流石に得体の知れない薬を使われた男性を食べようとは思わない】
【足元で倒れている男性を跨ぐと、女性は左手から生やした杭に力を込め────】


丁度────同じことを考えていたわ。
私の名はラミア・ツェペシュ────カノッサ機関No.66の女吸血鬼。


【不気味な笑みを浮かべ、目の前の女性へと走り出す。奇抜なドレスを靡かせ鉄骨を強く踏み込み獲物を狩る眼光を向けながら────】
【生えた杭は禍々しい雰囲気を纏い、血の薫香を醸し出す。仮に女性へと接近できたならツェペシュはその杭を女性へと打ち込もうと突き出すだろう】

/お帰りなさいませー。


346 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/05/24(日) 21:16:30.21 ID:NLZUDyO4o
>>324

う、ぉ……。…お、おい…らしくねェぞ、お前……!
守るとか、そんな……そもそも、俺自身のミスで…オイ、って……。

【目覚めたのがお伽話のような理由なのか、それとも偶然かは分からない】
【ただ薄ぼんやりとした様子のままでも、急に抱き締められれば恥ずかしいらしく】
【髪色に同化するように頬はかぁっと赤らんで。抵抗するような力も今は無く】
【結局、しばらくは彼の腕の中で身動ぎするばかりとなり】

富嶽、会……あのオッサンが居る、D.R.U.G.S.のトコの……?

……ん、あぁ…。何となくだが、事情は分かってるつもりだ
アンタたちの会話がぼんやりと聞こえてたからな……別人に、なりゃいいんだろ。
迷惑ばっかかけちまうけど、その……宜しく、頼むよ…。

【半覚醒状態だったのか、事情は何となく――と答えるものの】
【やはりしっかりと事情を把握しておきたいのか、ひとまずの隠れ家に向かうまで】
【どういったやりとりがあったのかや、今後の事について話を聞く事になるだろう】

【例えば別人として生きる上でするべき事はなにか、どう暮らすべきか】
【或いは名前の候補だとか。ロッソが頼る相手なのだから、と霧崎の事も信頼している様子だった】

【やがて隠れ家に付けば、大人しくそこで匿われるのを選ぶ事となる】
【秘密裏に事を進めるのはそれからだ。死の偽装と、新たな他人としての門出は。】
【もっと、他にも話すことはあったが――まずは身の安全が最優先だった】

/遅くなってしまって、改めて申し訳ないです。
/とりあえずはこれで〆と云うことで、細かくは舞台裏で話し合えたらな、と。
/それではすみません、今夜はこれにて失礼します
/二日に渡ってお付き合い頂き、ありがとうございましたっ!
347 :鳴子一颯 ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/24(日) 21:21:47.53 ID:t8kggSEmo
>>344

【……行ってくれたか。少年が安堵の溜息を漏らすと同時、その体から威圧感のようなものが消えていくだろう】
【銀色の力は瞬く間に消え、少女だけが残された路地裏には、元のなんの変哲もなさそうな少年が立っていた】


まあ、ちょっと落ち着いて。
すぐ警察がくる、なんて行ったけどあれは嘘だからさ。もうちょっとかかるはずだよ。
ぼくも大事になるのはいやだし、騒ぎになる前に場所を移そう。


【慌てふためく少女へ、少年は苦笑しつつ声を掛ける。「歩ける?」と付け加え、一緒に路地裏から抜け出そうとするはずだ】
【……呼び出された警察からすると迷惑きわまりない話だが、少年にその辺りの容赦はないらしく。歩調にはいっさいの迷いがない】
【しかし大きなお腹を慮ってか、速度自体はゆっくりとしたものだ。怪我などがなければ付いていくのは容易であるはずで】

【――そのまま何事もなければ。5分ほど歩いて繁華街から遠ざかり、比較的人気の多い大通りに出られるだろう】
【近場のベンチへ移動し、ふぅ、と息を吐きながら腰掛ける。もちろん少女にも座るよう促すだろうか】


やれやれ、災難だったね。
……でもそんな体で、こんな時間に繁華街なんかうろつくのは危ないよ。
何か特別な用でもあったの?


【少女の年齢は同じか少し上ぐらいに見えるけれど、彼女があまりに弱気な態度なので、なんとなくタメ口で話してしまう】
【先ほどの不気味な雰囲気はどこへやら、少年の口調は気さくで温厚だ。あれはあくまで演技であって、こちらが素なのだろう】
【次いで、あまり厳しくなりすぎない程度に、少年は少女へ注意を促す。一応事情も聞いてみるけれど――もし嫌ならば、別に答える義務はない】
348 :怪盗コンフェイト ◆QdUgTofQJFfy[saga sage]:2015/05/24(日) 21:33:07.82 ID:Kkkh0I8+0
>>342


……かかって来いと言われてもね、僕は争うのは好きじゃな――


【青年が言い終わるよりも早く、男の能力は発動し、臨戦態勢を整えられた】
【周りを見渡し、呆れと諦めの溜息を吐いて、青年は改めて男を見る】


――まったく、ガチの戦いっていうのは”怪盗”のすることじゃないんだけどなぁ……


【そう言いつつ青年がポケットから2枚の板チョコを取り出した。2枚とも包みを破き、一口齧る】


まぁそれも、この世知辛い世の中じゃあ”甘い”考え、ですね。


【そして包みをすべて破くと、両手で潰す。手を開くと、チョコはどろりと溶けていた】
【それが徐々に形を変えていき、柄、鍔、刀身全てが黒いチョコレート色の小太刀となった】


”魔剣 チョコレー刀”


【片手をまたポケットに入れ、青年は小太刀を逆手に構える】


それじゃあ遠慮なく、行かせて貰いましょうか!


【男の背後に備えられた迎撃、反撃の用意に気づいていないのか、青年は駆け出した】


……なんてね♪


【しかし、青年は男が何らかのアクションを起こす寸前、手にした小太刀を後ろに無造作に投げた】
【自らの能力で作り出した武器を捨てるという行動が、男にとって予想外の行動になると思っての事だった】
【ならば、その”囮”に隠された本命は―――ポケットから抜かれた片手にあった】


”ポップ・ボム・コーン”!


【取り出したのは3粒のポップコーン。それを取り出してすぐに握りつぶして投げた】
【それは一瞬にしてエアバッグのようにふくらみ、互いの視界を覆うだろう】

【青年は男の騙まし討ちの備えに気づいていなかったわけではない。故に、こちらから攻撃するつもりはなかったのだ】
349 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/24(日) 21:39:18.71 ID:zVS4aNP1o
>>345
おやおや、健康思考な物だ、この世界に薬物が全く関与しない食物など、数えるほどしか無いと言うのに
でも、その気持ちは分かるよ、分かる……おかしな物を盛られていると知って喰う気なんて起きないものね

【そもそも、男に対して『食べる』だの何だの、何かおかしい表現を全く疑問ともせずに、それが普通であるかの様に会話ん続ける不思議な空間】
【拍手していた両手を止めて、ブラリと垂れる。それから訪れた沈黙の中で、赤い目がぐらりと揺らいだ】

───GIFTのライン=アインツヴァイド

【名乗りを上げて戦いに臨む姿は、まるで櫻の国に存在する武将の礼儀に似たそれ、実際とは全く違うのだろうが】
【駆け寄るラミアの動きをそのままの立ち姿で目で追い、右手をゆっくり上げると、突き出された杭を右の掌で受け止める】
【鋼鉄の掌を杭が貫く何て事はなかったが、ラミアの助走をつけた勢いをそのまま殺し切る事は出来ず、鉄骨の上を義足が削りながら押し付けられて滑って行く】
【完全に勢いを殺し切り、ラミアの動きを抑えた頃には、ラインの背後に鉄骨の距離は如何程にも残っていなかった】

……『ラミア』だなんて、良い名前を持っているじゃないか?
君がその名の通り吸血鬼であるなら、僕は人狼、実に外連味溢れる対決カードだね

【杭を片手で抑え込みながら、その名前に対する見解を冗談交じりに語るライン。喉を鳴らして嗤う彼女の姿が、次の瞬間に素早く動く】
【杭を掴む右手を跳ね上げ、弾く、そうすると同時に自身は素早く屈み込み、鉄骨に着いた両手を軸に体を回し、伸ばした右足を振るう】
【簡単に言えば、ただの足払いだ、だがここは細い鉄骨の上で、受け身を取るにもその面積は非常に狭い、ただの地面ならそうでもない行動が、この空間なら効果は上がる】
350 :アイゼルネ・ユングフラウ ◆4JxTYkzBfA[sage]:2015/05/24(日) 21:43:01.75 ID:Oq54qVCL0
>>347

「あ、あわわ……は、はい…!」

【う、嘘?と少年の言葉に戸惑う少女だが、よくよく考えてみればついさっき通報していた?のだからそこそこ時間は掛かるだろう】
【自分のことで頭がいっぱいいっぱいだったあの時、我ながら不甲斐ないと申し訳なさそうに少女は俯いてしまう…こともずっとはしていられないのだが】
【場所を変えようという少年に慌ててついていく】
【歩調は普通の妊婦よりもやや早め】【少年が予想していたよりも早く目的の地へ辿り着けるのではないだろうか】
【大通りに着けば相手に釣られて自分もベンチへと腰掛ける】
【安心したようにため息ひとつ、これで一先ずは安全確保といったところか】

「ハンカガ、イ?……ああ、あそこの道のことですか?
 一応、その、私、狭いスペースが好きで、散歩で昼間に通った時はとても人通りも少なくて落ち着いてて……で、でも今の時間になったらあんなに人が……」

【少年の問いに申し訳なさげにことの経緯を語り始める少女】
【相変わらず色々とつっかえたり、表現が不明瞭なところもあるが、そこまで深刻な理由だとかは一切ない】
【物凄く簡単に説明するならば、自分好みの散歩コース(裏路地)を見つけたと思ったら夜は風俗店の人達の溜まり場だったぜ!ということである】
【まあ自己責任であろう、どう考えても】

351 :鳴子一颯 ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/24(日) 22:00:06.91 ID:t8kggSEmo
>>350

【少女の足取りは思ったより安定していた。意外と体力があるのか、怪我もないようだしひとまず安心だ】
【隣に少女が座ったのを確認すると、少年は一度目を逸らす。これからどうしたものか、とりあえず話を聞いてから決めようと思っていたのだが――】


……え、っと。繁華街、わからないの?
あー……えっとね。とにかくさっきの場所にはもう近づいちゃだめだ。
あそこは夜になると、危ない人がたくさんくるから。さっきの諍いもあったし、目を付けられた可能性もあるからね。

狭い道が好きっていうのは、よくわからないけど……できるだけ路地裏にも近寄らない方がいいよ。
昼間ならまだいいけど、日が沈む前には絶対に引き上げた方がいい。どうしても行きたいときは、せめて誰かに付いてきてもらうとかさ。
きみもそうだけど、そのお腹の子だって、次は無事じゃあ済まないかもしれないし――。


【どうにも、お互いの認識にズレを感じる。常識が通じないというのか――そんな様子に、少年は戸惑ってしまったようだったけれど】
【――それも一瞬のことだった。異様に早い適応力であらかたの事情に当たりをつけ、もっと噛み砕いた言葉で改めて注意を促すだろう】

【本来は、学生の身であんな場所をうろついている自分が言えた義理ではないけれど。少年には一応"能力"という武器もあるし、いざというときのツテもある】
【逆にこの少女は―― 男たちに囲まれて無抵抗だったところをみても、そういう人種を捌ける力はなさそうだ。あったとしても根本的に戦い向きの精神ではない】
【彼女の自由を束縛するようでちょっと申し訳なかったが、少年はやや強めに言葉を掛けるだろう。……膨らんだお腹にも、軽く言及して】
352 :Nero[sage saga]:2015/05/24(日) 22:00:13.26 ID:f2u0eefqO
>>348
【青年は手にしたチョコレートの剣を持ち、此方へと駆け出す】
【恐らく繰り出されるのは直線的な剣による攻撃だろう。首か、胴か、はたまた脚か、青年が攻撃してきた瞬間に彼は手にした長大なサーベルで弾き返すよう右腕に力を入れた】
【だが―――青年が繰り出したのは剣による攻撃では無く、その得物を投げ捨てての謎の視界封鎖攻撃であった。其は瞬く間に広がり目の前を覆っていく】

意表を突こうと思った訳か……
F-22ラプター×2、1/2、形状支配<インペリウム>

【刹那、揺らめいていた彼の背中の暗がりが途端に形を持ち始めた。其は巨大な二対の戦闘機の形になり、そして"組み替え"を始めた】
【6枚×2、12枚の翼はそれぞれが鳥の翼のように広がりエンジンはその両端へと動き始める。機関砲や爆弾を積んだ本体は翼の中間へと動き操縦席は兵器収納庫<ウェポンベイ>へと形を変える】
【出来上がったのは二対の黒き鋼鉄の翼、それは三ヶ所の間接により自由に動き、まるで童話に登場する龍の翼の如き様相】
【彼は両端に付いたエンジンを自らの前方を塞ぐ"何か"を退けるため其に向けて、そして反動で吹き飛ばないよう自分の後方へ向けて起動させた】

さてと、軽ければ良いんだが、ボップコーン何て言うくらいだから軽そうなんだがな。
さぁぁ……遊戯開始だ<ゲームスタート>だ……

【翼のエンジンは途端に猛烈な勢いで風を巻き起こし始める。其はビルの裏路地に起こるビル風とはとても思えない程、急激で苛烈な物】
【だが、前方と後方、両方向から其ほどの衝撃の反動を受ければ彼の身体も無事では済まない。持って後一分といった所だろう】
353 :アイゼルネ・ユングフラウ ◆4JxTYkzBfA[sage]:2015/05/24(日) 22:16:41.33 ID:Oq54qVCL0
>>351

「は、はぁ……?」

【繁華街について知らないのか?という質問にはそもそもハンカガイってどう読むの?みたいな中途半端なお返事に】
【そういったものが皆無なとてつもなくど田舎から来たのかは不明だが少女はとにかく繁華街を知らない】
【見てくれが似たような街を見たことがあるかもしれないが、彼女は名前自体知らないのだから、おそらく今まではふわっとした雰囲気でそれらの街を見てきたのだろう】
【もちろん今回のような事象が起きるとも知らずに】

「ひえ…思っていたより危ないん、ですか……。はい…気を付けます……」

【懇切丁寧に繁華街と路地裏の危険性について語ってくれる少年】
【話の内容を呑み込んでゆくうちに段々と事の重大さを思い知ることとなる身重の少女】
【危険な人物、自分に害なす人物───自分の胎内にいる『ソレ』に危害を加える可能性のある人物】
【そんな者に会ってしまったら、と】【想像しただけで身体の芯まで凍りつく感覚】【先ほどの男達を少年が退けてくれていて良かったと心の底から思う】
【そんな尋常ではない怯えと恐怖が少女の表情から読み取ることができるだろう】

【さすがにそこまで言われてしまえば言い返すわけにもいかない(元よりそんな度胸はないのだが)】
【がっくしと頭を垂らして相手の少年に反省の意を示した】
354 :鳴子一颯 ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/24(日) 22:36:55.52 ID:t8kggSEmo
>>353


うん……わかってくれればいいよ。


【どうにも無知すぎるきらいのある少女に、不信感を覚えないでもなかったが――納得してもらえたらならそれに越したことはない】
【暗い表情をみる限りちゃんと実感してくれてもいるようで。少年はもうそれ以上追求することはないはずだ】
【表情を柔和な笑顔に変えて不安を払拭してやろうとしつつ、少年は彼女が落ち着くまで少し待った後、「さて」と仕切り直すような言葉を投げるだろう】


きみ、どこから来たんだい?
もうこんな時間だし、その様子だと、この辺の道にはあんまり詳しくないよね。
良ければ家の近くまで送っていくけど――。


【切り出したのは"これから"の話だ。正直いままでの様子からするに、帰る場所がないというパターンも想定しなくてはならない……】
【ツテを辿れば宿ぐらい用意できるが、連絡は早い方がいい。ちゃんと家があるにしたって、家族が心配している可能性もある】
【どちらにせよ早めに動いた方がいいだろうという判断。……ついでに、このまま放り出すのはあまりに心配すぎるので、途中まででも送っていくつもりだった】

【とはいえ、どう動くにしてもそちらの意見が第一である。少女には不明な部分が多いし、家を教えたくない事情があったっておかしくはない】
【その辺りを配慮して、少年はすぐにベンチから立ち上がることはなく、座ったまま黙って少女の返答を待つだろう】
355 :怪盗コンフェイト ◆QdUgTofQJFfy[saga sage]:2015/05/24(日) 22:50:18.41 ID:Kkkh0I8+0
>>352


おおっと、これはまた随分と文明的な物がご登場ですね!


【吹き荒れる突風に、青年の巨大化させたポップコーンは塵のように彼方へと飛ばされてしまった】


これじゃあ大した攻撃は……出来なくも無い!


【青年がまた両手を合わせると、握りこぶしほどの、宝石のように輝く飴玉が現れた】


セイッ!!


【それを地面に叩きつけると、飴玉は割れて、中から大量の飴玉が飛散するだろう】
【炸裂したキャンディ爆弾の殺傷能力は低い。例え男の至近距離での炸裂でも、悶絶までが限界だろう】

【それに加えてここは狭い路地裏。そんな場所での爆発は、青年本人にも被害が及んだ】


ッ!!


【そうまでして成し遂げたいのは、路地裏に突風を巻き起こす物体の破壊だった】
356 :アイゼルネ・ユングフラウ ◆4JxTYkzBfA[sage]:2015/05/24(日) 22:55:11.24 ID:Oq54qVCL0
>>354

「うぅ……」

【本当に面目ない本当に面目ない本当に面目ない】
【そして優しさが逆に心に突き刺さって痛いというなんとも絶妙な良心へのダメージコンボ】
【少し泣きそうになってしまうが、うじうじしていては始まらない】【ひとまず落ち着いて深呼吸でもしておこう】

「い、家…です、か。えっと、うーん……」

【家は何処だと聞かれれば少し少女の表情が曇る】
【それから難しそうなことを考えているかのように「うーん」と何かを迷っている様子】
【迷ってはいるものの、別に彼に教えたくないとか、そういう邪険な雰囲気でもない】
【ただ普通に】【言ってしまってもいいのかな?大丈夫かな?といった自己確認のようなものであり】
【少し悩んだ後少女は口を開く】

「で、では…」

【戸惑い気味に伝えた住所(…といっても大分アバウトなのだが)の場所がここからどのくらいの距離なのかは少女には見当もつかない】
【相手の少年がある程度分かってくれればいいのだが…これはちゃんと辿り着けた時には周辺の地理を教えてもらわないとな、とか思いつつ】
【とりあえずなんとなくで覚えている住所と一緒にそこの家の姓もぽろっと伝えてしまう】
【…大丈夫かどうかちょっと不安だ】


357 :鳴子一颯 ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/24(日) 23:14:21.14 ID:t8kggSEmo
>>356

【いろいろと配慮したつもりが、かえって表情を曇らせてしまった様子の少女に、少年の方も妙な罪悪感を感じる】
【かといってこちらまで謝り始めるとキリが無くなりそうだ……少年は困り顔はすれど口は開かず、黙って少女の台詞を聞き届け】
【絶対に教えてはいけない、という事情があるわけではなさそうなのは、取りあえず僥倖だ。若干の情報不足が不安ではあるが……】


ええっと……うん、わかったよ。任せて。
――もしかしてその家って、友達のお家か何かなのかな?


【本当はそこまで自信はなかったが、できるだけ顔に出さないよう努めて、少年はベンチから立ち上がるだろう】
【必要なら立ち上がる手助けもして、少女の様子を見つつ歩き出す。……見えないよう携帯の地図アプリを開いて必死に検索をかけているのは秘密だ】
【ゆっくり歩きつつ、ついでに少女へ事情を問うてみる。といっても、無言で歩くのも気まずいので、間を埋める程度のものだが】
358 :アイゼルネ・ユングフラウ ◆4JxTYkzBfA[sage]:2015/05/24(日) 23:31:38.15 ID:Oq54qVCL0
>>357

「えっと、お友達…というか、お世話になっているところというか……少し言葉で表現できない、かもです。
 …あ、でも、別に変な場所ってわけじゃないですよ…?そこの家の人達はとてもお優しいし…」

【相手が自分のアバウトさに苦労していることなんてつゆ知らず】
【少女は少年の問いにちょっとずつ言葉を選びつつ答える】
【その家についての説明だけはしっかりと要点を踏まえて話している辺り、少女がそこの住人を信頼していることがよく分かる】
【信頼出来ると断言できるあの人柄だからこそ、たまに後ろめたくもなるときもあるのだけど、と心の奥底で思いつつ】

「あ…、そういえば、私、貴方の名前を伺っていないような……あの、いつかお礼をできたらと思っているので…よろしければ、」

【残念ながら今の少女にはお礼に見合うものは何も持ち合わせていない】
【しかしここで助けられぱなしというのも忍びない…と、そんな発想に至ったのか相手の名前を尋ねてみる】
【もしかしたらここでおしまいな出会いかもしれないけれど、いずれ何か恩返しの機会があるようならば、少しその可能性に賭けてみたいなと】

359 :鳴子一颯 ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/24(日) 23:49:45.46 ID:t8kggSEmo
>>358


そっか……。
それにしても、"神谷"って――あのさ、そのお家って、神谷皐月さんと神谷衣織ちゃんの所だったりする?


【……いくつかの検索結果を照らし合わせる。影ながらの必死の探索の甲斐あって、どうにかアタリを付けられてきた】
【内心ほっとしつつ、少年は少女の返答を飲み込む。聞く限りではとても良い人たちのところで暮らしているのだろう】
【そういう人間が近くにいるなら、こちらも気を揉まずに済む。……そして、少女に教わった姓の"そういう人間"に、少年は心当たりがあった】
【人違いであればだいぶ気まずいので、少し自信なさげではあるけれど。少年は、とある家族の名前を出すだろうか――】


あ、ぼくは『鳴子一颯』っていいます。
……あはは、ホントに今更だね、お互い。きみは?


【そういえば、と。思い出したように少年は自身の名前を名乗るだろう。といっても別にお礼を期待しての事ではなく】
【半ば少年の職業病というか、ほとんど習性のようなもので。"知り合い(ツテ)"は多いに越したことがない、という若干黒い打算もあったりするけれど】
【軽く笑って誤魔化して、少女の名前を問い返すだろう。相変わらずの明るい調子、元々お人よしなのか、あまり恩を売ったような自覚はなさそうだ】

360 :アイゼルネ・ユングフラウ ◆4JxTYkzBfA[sage]:2015/05/25(月) 00:04:52.61 ID:6uV+0vnf0
>>359

「……え。え、えぇっ!?あ、あれ?なんで名前まで?えええ!?」

【まさしくナイスリアクション】
【yesかnoを答える前に伝えることもできるリアクション芸?手段は割と便利である】
【特にこの言葉足らずでコミュ障でもある少女なら尚更のこと】

「鳴子さん、ですか。お、覚えておきます…はい。
 あ、私は……えっと、アイゼルネ、です。アイゼルネ・ユングフラウ」

【相手の少年の名前をしっかり覚えておこうと心の中で反芻してみる】
【土地勘は若干危うい少女ことアイゼルネであるが大切なことは一度覚えたら忘れないように心がけている、多分今度出会う時があってもしっかりと覚えているはずだ】
【とまあ少し照れがちに自分の名前を名乗ったところで、ようやく彼女にも彼のナビゲートの恩恵が訪れたのではないだろうか】
【幸いなことに次第に周囲がアイゼルネの見慣れた景色になってきた】【これならもう大丈夫だと安堵の息を漏らす】

361 :鳴子一颯 ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/25(月) 00:24:28.39 ID:9nasXPUpo
>>360


あははっ、そんなに驚かないでよ。いやぁ、おかしな縁もあるもんだね。
衣織ちゃん、ぼくの学校の後輩なんだ。それとぼくの幼馴染が、皐月さんと衣織ちゃんにはすごいお世話になってるらしくてさ。
ぼく自身はまだ、長くお話したことはないけど――あの人たちならきっと大丈夫だね。


【少年はなんともおかしそうに笑った。少女のリアクションが面白かったのもあるし、この妙な偶然自体が面白くて】
【あそこで少女を助けたのも、どうやら悪い選択ではなかったようだ。こうして笑えるだけでも危険を冒した甲斐はあった】
【少年自身と深い面識があるわけではなさそうだが……その"幼馴染"がお世話になったことで、本人も彼女たちを信頼しているようだ】
【太鼓判を押す、というほど大げさなものでもないが、少年は安心したように笑いかけるだろう】


アイゼルネさんだね。ぼくも覚えておくよ。
……あ、その様子だと、そろそろ大丈夫そうかな? ちゃんと辿り着けて良かったよ……。


【お互いに名乗りあった頃には、もう一つの懸念も解消され始めていた。アイゼルネの表情を見るにナビゲートは成功したようだ】
【このままさ迷うことになったらどうしたものかと、最悪の事態も考えていただけに安堵も大きい。張っていた意地を緩めて、溜息をついた】
【――しばらく歩いて、神谷家が目視できるところまで来れば。頃合を見て、一颯は立ち止まるだろう】
【こんな時間だ、(一応)学生の身である一颯も流石に帰らなければならない。特別用事がなければ、今宵はお別れということになるか――?】
362 :リーべ・上 ロゼッタ・下 ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/05/25(月) 13:30:26.80 ID:4R+9cF5DO
 【公園】

【平日の真っ昼間。この時間の公園は、未就学児たちやその保護者で賑わいをみせている】
【そんな中、公園のベンチに座って考え込む1人の少女がいた。夜色の瞳と夜色の長髪の、18歳程の少女だ】


……ベクター。地の国の地下施設。大量の人造人間だか実験体たち、か──
しかし変だな。ユラが見たのだから本当のこと、なんだろうが……

────何故、「あの」ベクターがそんな施設にいたんだ?


【分からない、といったように少女は小さく首を振る。考えていたのは、先日秘密裏に行われた、とある「潜入ミッション」のことだ】
【「らしくない」だの「ベクターだけじゃないのか?」だのと彼女はぶつくさ独り言を発していた、が──】
【幼児たちが遊び回る公園で、なにやらぶつぶつと呟いている女が1人。これはある意味、不審者に見えなくもなかった】



 【街中】

【買い物客や勤め人たちで賑わう大通りに、1人の女が立っていた。長い黒髪に赤い瞳をした、長身の女だ】
【彼女が立っているのは大きなショウ・ウィンドウの前。随分と熱心に彼女はそこを覗きこんでいた、が──】


────やっぱり、似合ってないわね


【どうも、見ていたのはウィンドウの「中」ではなく「表面」……ウィンドウに写る自分を見ていたらしい】
【女は豊かな胸元を強調させる白いドレスを身に纏い、小指には小さなブラックダイヤの指輪をつけていたのだが】
【指輪はともかく、ドレスの方がお気に召さないらしい。なら違う服を、というわけにもいかないらしく】
【「似合わない」だの「でもこれくらいしか」だのと通りのど真ん中でウィンドウを見つつぶつぶつぶつぶつ】
【────早い話が、「邪魔」である。通行人たちの迷惑そうな視線もお構い無しだ】
363 :トレンチ・ミリオン・マクスウェル ◆/iCzTYjx0Y[!nasu_res]:2015/05/25(月) 15:27:28.59 ID:BXxshN8R0
>>302>>304>>306>>308>>309
【―――理由は不明。原因も分からず、ただただベクターの足は―――止まった。】
【全員が振り返る事無く走っていたのならば、その時気がつく事が出来なかったかもしれないが、】
【もし、もし―――たった1人でもその背後を"振り返った"者が居たならば―――いや、そうでなかったとしても】

【明らかな異常には気がつくだろう。暗いトンネルの中では、奴の声は確かに響いていた。】
【だがしかし、旧道の上がひび割れ、降り注いだ"太陽光"が差し込み始め、視界が明るくなってからは―――】
【途端に、彼の足音がとまったのだ。叫ぶ声も、嘲笑う唱も、何もかもが―――止んだ。ピタリと。そしてベクターは―――】


 ……あンだよ。忌々しいなァ、てめェ。

【たちどまり、木漏れ日の中、手を翳し―――指でファック・サインを作ると、太陽に突き付けた。】

 ―――興が削がれちまった。……チッ。厄介な"制約"だぜ。
 いつか"お前"も完結させてやる、オレ様には不必要な存在だ、"お前"は。


【1人、そう呟いて基地へと引き返していく。幸い、"何の施設"なのかまでは悟られていない。】
【ただ彼等はそこにある異常な光景を見て、それが元来より地の国に存在しているモノだったのではないか、と】
【そう勘付いているだけ―――あの施設を奪ったカノッサが、これから何をしようとしているのかまでは、まだ知らない筈。】

【―――ともあれ。潜入任務の幕はとじられた。】

【グループAの全員が無事に帰還し、侵入経路となった田舎町の駅で救出されるだろう。】
【―――全員、正確には1人だけ、姿を消していたが。事情を聞いていたマクスウェル他が、説明はするだろう。】
【保護された全員に対して、諜報部の人間や国軍の兵士たちが駆けより、手厚く傷のケアとエネルギー補給を施し始めていた。】

【持ちかえった情報は以下の4点。】


【―――地の国首都直下に、敵であるカノッサは大規模な研究施設を構えている、と言う事。】

【―――その施設内にある特定の"設備"に関しては、数か月の間で用意出来る様な物では無い、と言う事。】

【―――更に言えば、その施設はかなり昔に作られた物の様で、地の国自体が関わっている可能性もある、という事。】

【―――設備内には、おぞましい数の人間が試験管の様な巨大カプセルに入れられ、現在も"保管"されている―――という事。】


【そして―――もう一つ。メンバーからの情報を整理していたトレンチが、ゆっくりと口を開き】
【保護された軍車両の中で―――今作戦において得られた情報の中でも最大価値を持ったソレを、言葉にする。】


 「―――"木漏れ日"。奴<ベクター>はソレに怯えて、追跡を止めた。」




 「……フッ。考えれば当然のことだったな。奴は曲がりなりにも、"吸血鬼"なのだ。」



 「―――今直ぐ、この"情報"を対策本部に持ち帰るぞ。それから私の秘書に連絡を。」


 「……太陽を、"味方"につける武器を開発すると伝えろ。」



【―――物語は大きく、動き始めた。】
【後日、自警団やUT、そしてSCARLETに"ある情報"が届けられる事になるだろう。】
【その情報―――曰く。"ベクター・ザ・フォビドゥンを撃退出来る可能性を発見、現在大規模な攻略戦を計画中であり―――"。】

/以上で、イベント終了となります!遅くなりましたが、ご参加頂き有難うございました!
364 :?????????? ◆/iCzTYjx0Y[!nasu_res]:2015/05/25(月) 15:31:41.68 ID:BXxshN8R0
【SIDE:アズテリオス】

「―――どうやら、"アレ"の存在は感知されたようです。」

『馬鹿が……調査隊等編成すれば、ああなるのは当然だろうに!!』

「とはいえ、このまま政府としても対策を講じない訳には……」

『黙れ!! これで私の知事としての人生は終了だ、忌々しい"大昔の遺産"のせいでな……ッ!!』

[カノッサは……どこで"アレ"の存在を嗅ぎつけたのか。地の国切ってのトップ・シークレット、最重要極秘事項だと言うのに。]

『知れた事か……! 口封じはッ!?』

「―――無理でしょう。潜入部隊の森島は公安の諜報部所属。エリーゼは他国の軍属、他にUTメンバーまで存在しています。」

「そう簡単に謀殺出来る物とも思えません、なにより―――……」

『……マクスウェルか。成金め、公的発言力を持った奴にまで知られるとは……ッ!!』

[……カノッサに"目を付けられた"、その時点で我々の敗北だったのでしょうな。]

『……ベクター・インパクトの時、あれほど私は"絨毯爆撃"で地下まで焼き払えと、そう言ったのだぞ!!』

「実際、軍に無理を言ってかつてない規模の爆撃が"強行"されたのは事実です。ですが、考えても見てください。」

「そもそも……一国の"首都"に、"自国の兵士"が、"数百もの軍用機"で"爆撃"を行う等、―――それ自体が既に、歴史上類を見ない行為です。」

「その上地下まで破砕する、ともなれば……その後の経済効果は測り知れません。軍も無駄に弾薬を消費するのは納得しないでしょう。」

『……マクスウェルに連絡しろ。……議員のポジションを一つ、用意してやると。』

[―――彼は前々から政界への進出を考えていましたな。口封じにはそれが、ベストでしょう。]


『くそ……出来る事は、後片付けだけ、か。……もはや償うにも償いきれん罪だ、あの"施設"の存在は……』

「ずっと、秘匿しておく方がよかった、と?」

『……平和に暮らすこの国の民に、闇を知らずに暮らして貰う事が、私の職務の一つだった。―――これで結構、私はこの国が好きでね。』
『事実、"労働力"は資本主義においてどこの国にも必要な物だろう、地の国だけが特殊なわけではない。ただ、―――』
『ただ、この国はその"労働力"という概念を、―――根底から覆そうとした、それだけだった。』



『……本来、誰も"首輪"を嵌められる側には回りたくない。普通の人間は、そう考える。』

『―――……だから首輪を嵌める事の出来る人間を、我々はどうにか"用意"する必要があった。』

『……それだけなんだ。』



[……昔から何も、この国は変わっていないようだ。]

『嫌味のつもりか? ……国は変わらんよ。国とはつまり人間だ。人間が簡単には変わらない様に―――』
『……だから歴史は繰り返す。与太話は終わりだ、対策本部への"言い訳"を考えなくてはならん。』




『―――"奴隷"を製造する工場など存在し無かった、と。我々は我々の為に、否定しなくてはならないのだ。』


『……かつて、国際的に奴隷制度が批判されたあの時と同じ様に、な。』
365 :?????????? ◆/iCzTYjx0Y[!nasu_res]:2015/05/25(月) 15:34:05.67 ID:BXxshN8R0
【SIDE:ニュー・ドレファス】


 ≪……ベクター。ベクター、聞こえるかね?≫

 あァ? ……ンだよ。今機嫌わりィんだ、テメェも完結すっか?

 ≪ご勘弁願おう。……ネズミの連中は?≫

 さァな。中に入ってたのは精々一分かそこいらだ、全部が全部バレてるとは思えねェが。

 ≪……連中、どうやら二手に分かれていたらしくてね。"人造施設"と、もう一つ"廃棄場"も見られたそうだ。≫

 ……"獣"の方は?

 ≪幸い、と言う所だな。廃棄場で侵入を食い止めた。≫

 ……見られたのは廃棄場の失敗作共と、人間工場だけ、か。

 ≪……真相に辿り着く可能性は、あるかね。≫

 放っておけばな。何をしようとしてるか、バレる可能性は無きにしも非ず、ってトコロか?
 だが―――こうなりゃ、先手を仕掛けてやるのがアンタの役目だろ。

 ≪……ほう? と、いうと。≫

 元々、この国の嫌な部分を暴いて"あいつ等"を荒れさせるのが目的だ。
 なら、鼠どもが見たモノだって、その"嫌な物"の一部だろ?
 
 ≪……工場の情報を大々的に流させ、先ずは地の国政府に批判を集めさせる、と言う事か。≫

 ソッチに矢印が向いてりゃあ、俺たちの目的はカモフラージュ出来る。
 かつ、今後俺たちが"あいつ等"を蜂起させる時、荒れた国勢は革命の背を押す。

 ≪クリムゾンになると、脳の回転も上がるのかね?≫

 救世主様に対して気に入らねェ物言いだな。今から完結させてやる、そこで待ってろ。

 ≪冗談だよ、良い案だ。―――私の諜報部隊を使って情報を流させよう。世間は飛びつくぞ。≫

 ≪……ところで、ベクター。≫

 ≪―――"見られた"のかね、君の"弱点"を。≫


 おう。そうかもな。だが―――― 


 ―――――――ハンデにもならねェよ、なんなら俺の方からバラしてやろうか?


 ≪……聞いた私が間違っていた。だが、くれぐれも気を付けてくれたまえよ。≫ 

 ≪―――君は我々の計画の、主軸だ。≫



【―――悪意は連鎖していく。この世界において、邪悪とは即ち―――】
【連鎖したその"巨大な悪意"を―――俯瞰し、尚も笑みを零す物たちの事だろう。】


/ちょっとした伏線と説明を残し、これにて〆です。
投下ではありませんので、あしからず……!
366 :クリシュティナ・レールモントフ/森島 京 ◆ItbpQ6xKnU[sage]:2015/05/25(月) 17:05:03.86 ID:EMn6G5k1o

【水の国】


【ビルの窓に、日が反射する。──街のメインストリートに面するこの庁舎は、この地方の警察でも、一、二を争うほどに大きい】
【制服姿の警官に、スーツ姿の私服警官。或いはトラブルを抱えた一般人が、忙しなく正面ドアを通り抜ける中】
【── 腕の端末から映しだされるホログラムに向かって話しながら、一人の女性が中から出て来た】


……君を早く連れて来い、だとさ。── うん。それは分かってるさ。あれで全てなんだろう?
ただ、早めに帰って来た方がいいのは確かだね。話を知る関係者が増えるほど、無駄な審問は増える。
事実、地の国の件には何の関係もない私が呼ばれてるんだ。 ……夕飯でも奢ってもらわないと、割に合わないね。ふふっ。


【すらりとした女だ。──首元まで垂らされたプラチナブロンドと白い肌は、雪国の出であろうことを思わせる】
【胸元とへそ周りが開いたタンクトップに、スキニーのパンツ。それだけなら夏らしい、涼しげな格好なのだが】
【生地の厚いカーディガンを羽織っているのは、右肩から先が欠損しているからだろう。脚も悪いのか、左手では杖を突いていた】

【警備の警察官が、通り抜ける女に敬礼。──察するに、彼女も私服警官か何かなのだろうか】
【正面階段を器用に降りながら、「じゃあ」と会話を打ち切ると、ホログラムが消えた。階段を降り切り、通りに足を踏み出す】



 ──、おっと。



【──そのとき、ホログラムに隠されて気が付かなかった溝に足を取られて、バランスを崩した】
【何とかバランスを取るが、その拍子に左手の杖が、音を立てて地に落ちる。 ……女性は、大きなため息を吐いた】


 【 ── 】


【水の国、国境付近】


【国境沿いの山をようやっと越え、かと言って、次の街までは数十キロあろうか、という片田舎】
【二車線だけの、舗装も十分にされていない道。 そこに一件のガソリンスタンドが置かれていた】
【セルフ式で、やる気のなさそうな若い店員が建物の中で漫画を読んでいるだけ。──客も、一時間に一人来れば良い方だ】


……分かりました。取り敢えず、出来るだけ早く戻ります。
もう国境までは来たんで、明日の朝までには──。 ……はい。じゃあ。


【──そんなスタンドで、丁度、給油を終えた若者が、バイクに跨っていた】
【手にした端末で通話をしていたらしい。話し終えると、ポケットにしまい、バイクのキーを取り出す】
【キーを指し、ボタンを押すだけ。ある程度は電子化された車種なので、これでエンジンがかかる筈なのだが──】



…………。   【  うんとも。 】


……………………。    【  すんとも。 】



…… いや、ちょっと。  ── 、いやいやダメダメ、駄目だって。
こんな、【ガンッ=z とこでっ、【ガンッ=z 故障って【ガンッ=z ──!!


【バイクから跳び上がるように降り、何度もエンジンに蹴りを入れるが、まるで効果はない】
【──暫くそうしていたが、状況は変わらず。 諦めたのか、崩れ落ちるように腰を落とすと、大きなため息を吐いた】
367 :Nero[sage saga]:2015/05/25(月) 18:54:10.81 ID:eh5agAhWO
>>355
【視界を塞いでいた物体を吹き飛ばした事を確認し、彼は更に自分の身体の限界までエンジンを発動させる】
【残り三十秒と言った所だろうか。その時、不意に青年の両の手が合わされ、掌大の煌めく球体が現れた。青年が其を投げると途端に其は炸裂し、手榴弾の如く辺りに衝撃を撒き散らす】
【其は彼の前方に構えていたエンジンにも吸い込まれ、彼はその瞬間にエンジンを止めようとした。だが、時既に遅く、彼は後ろの翼で身体を守りエンジン内部は炸裂した】
【エンジン部分は所々が捲れ上がり、後少しの衝撃でエンジン自体が爆発を起こすだろうかという所。彼は其をどうするかほんの一瞬考え込み、右腕のサーベルを先程寄りかかっていた壁のパイプ目掛けて振り払った】
【パイプ内部の上水は勢い良く吹き出し、辺りを身震いする冷水で満たしていく、そこに彼は】

爆弾を使ったのは失敗だったかもな……折角だから利用させてもらうよ。
F-22ラプター、形状支配<インペリウム>

【その瞬間翼の中間に設置されていた兵器収納庫<ウェポンベイ>兼操縦席は彼の背中へと移動し、彼に覆い被さるように大盾のような様相となった】
【彼は壊れかけたエンジンを吹き出る上水へと分離し、それへと向けてウェポンベイから兵器を一つ取り出す、其はM61A2機関砲。F-22ラプターに搭載された六つの銃身を持つ機関砲】
【其を投げつけたエンジンへと数発放つ、エンジンは一瞬で内部の均衡が崩れ、爆裂する。同時に冷水は一瞬で熱され気化し水蒸気爆発を起こそうとする】
【彼が狙ったのはその爆発であった】

保てよ……フッ!
368 :アイゼルネ・ユングフラウ ◆4JxTYkzBfA[sage]:2015/05/25(月) 18:55:53.00 ID:6uV+0vnf0
>>361

「え?あ、それじゃあ…」

【彼は衣織の先輩にあたるということか、とようやく納得するアイゼルネ】
【相手はあまり直接的な接点はないと言うものの、それでもお互い共通の知り合いが居るというのはなかなかの偶然だ】
【少年の話し方からするに彼の幼馴染さんは衣織と仲良くやっているのだろう…】
【嬉しさ半分、ちょっと羨ましさ半分といった気分】

「は、はい…今日はありがとうございました…!またいつか会えたら…」

【ちゃんとしたお礼をできるようにしますから、と】
【神谷家の手前まで来るとぺこりと会釈をして、帰路につく相手をしばらくの間見送っているだろう】
【見送った後にその『お礼』を何にしてほしいかとか聞くのを忘れてしまったという重大なミスに気付いてしまうのだけれど】

( ……衣織ちゃんに聞いてもらおうかなぁ… 同じ学校の人っぽいし、多分 )

【そんなちょっとした考えを頭の中で巡らせつつ、アイゼルネは案内してもらった家のドアを開け、極力小さな声で玄関へと上がっていく】
【様々な偶然、出会いを経て、今日もまた星は巡る───】

//ではこれで〆という形で…
//絡みお疲れ様&ありがとうございました!

369 :怪盗コンフェイト ◆QdUgTofQJFfy[saga sage]:2015/05/25(月) 19:27:38.33 ID:A6TFQNqw0
>>367

【青年の狙い通り、突風巻き起こす機体の破壊は成功……する間際】


―――ちょッ!?


【熱に対する水分の干渉。多くは、熱を消滅させる現象しか起こらないと思われがちだが、そうでもない】

【水分は”水素”と”酸素”の結合によって生まれる物だ】
【だが、急激な”熱”によってその結合が断ち切られたとき、その結果は全く違うものになる】

【なぜならば、”水素”も”酸素”も”非常に良く燃える”のだから】


まっず!?


【青年は爆発に対して防ぐ術が無いのか、すぐさま背を向けて走り出した】
【しかし、時既に遅し。路地裏に爆発が轟き、空気に波を立て、辺りに熱と破片の炸裂が及ぶ】

【そして、爆発が終え、路地裏に静寂がもたらされる時。もし男が青年を探そうと思えば、すぐに見つかるはずだ】

【青年は地面にうつぶせになって倒れていた。黒くこげた物体が青年に大量に圧し掛かっている】
【わずかに、埋もれていなかった片手と顔が見えるだろう。しかし青年は指一本動かず、呻き声も上げることなく、苦痛に顔を歪める事もしていない】

【青年の静寂は、永遠に続く。なぜなら彼は……】


ハイ、死んだフリーーーー!!


【埋もれていたもう片方の手を引っ張り出し、その手に握った”チョコレート色の小太刀”を投げつけるタイミングを狙っていたのだから】

【青年はなんらかの方法で爆発を逃れていたのだ。背を向けたのは爆発への避難だけではない。捨てた小太刀を拾うためだったのだ】
370 :鳴子一颯 ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/25(月) 19:38:21.82 ID:9nasXPUpo
>>368


うん、それじゃあまたね、アイゼルネさん。
………、その子のためにも、体には気をつけて。


【あの元気な後輩とその母親が、アンネルゼと一緒に過ごしている絵面を想像しつつ――少年はアンネルゼへ軽く手を振ると踵を返すだろう】
【――なぜか一瞬言い淀んだのは、自覚のないなんとなくの勘だった。結局は膨らんだお腹を心配するような台詞を付け加えるけれど】
【"それ"がアンネルゼにとってどういう意味合いを持っているのか、一颯にはまだ読み取ることはできない】


(不思議な人だったな…………)


【こっちもこっちで、『お礼』のことなんかすっかり忘れている様子で、一颯はゆっくりアンネルゼから遠ざかっていく】
【どこか儚げで読めない少女だった。ああいうタイプには慣れているが――再会はどんな形になるのだろう。赤ん坊を抱いているのか、それとも、】
【――まぁ、それもそれで、一興か。予想できないというのもたまには面白い。そう思ってしまう自分をつくづく"仕方ない"奴だとは思いつつ】
【少年は、闇の中に帰って行く。家に着いた頃にはだいぶ遅くなっていて家族に叱られる羽目にはなったが、今宵の出会いを彼が後悔することはなかった……】


/お疲れさまでしたー!
371 :鳴子一颯 ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/25(月) 19:42:34.79 ID:9nasXPUpo
>>370
/申し訳ございません、「アンネルゼ」になってるところは「アイゼルネ」に読み替えてください……orz
372 :アイン ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/05/25(月) 19:48:50.07 ID:9KJ+67PVo
//>>329で再募集します
373 :Nero[sage saga]:2015/05/25(月) 20:02:16.35 ID:MPZ1uN9vO
>>369
【水蒸気爆発により双方の周りに高温で濃い蒸気が立ち込める。彼は戦闘機の操縦席による装甲を解き、青年の死を確認するため、少しずつ青年がいた方向へと歩みを進めて行く】
【蒸気が晴れ、少しずつ視界が明瞭になってきた時、其は起こった。まるで小学生のような叫び声と共に蒸気の中から一本の小太刀が飛び出してきたのだ】
【其は彼を狙い一直線に飛んでくる。咄嗟の判断としては上々だろうか、彼は空いている左腕を拳を握りしめて、盾のように自らをカバーした】
【結果、彼の左腕にはその小太刀が刺さり、鈍い痛みが彼の脳へと伝わった。彼は其に少々不愉快な表情を浮かべながら、青年へと向かって尚も歩みを進める】

中々やるじゃないか……HPゲージはどちらもまだ十分か。
まぁまぁ楽しいよ、御前。三下レベルの能力者かと思っていたが、どうやらフェアな遊戯<ゲーム>には出来そうだ……

【彼は右腕を後ろへ下げ、半身になって腰を落とす。其と同時に彼のエンジンの無い翼は陰る壁へと伸び、欠損部分が壁に張り付く】
【彼の翼は途端に蠢き、欠損部分が修復されて行く。そして彼は翼のエンジンを少しずつ起動し始め、青年へと向かい一直線に突進した】
【青年との距離を縮め、腰から身体を捻り、右腕を青年へと降り下ろす。彼のサーベルは諸刃かつ幾つも小さな刃の付いた肉を抉る刃。食らったとしたら一たまりもないだろう】
【彼の表情は尚も狂気に歪み、瞳の逆五芒星は不気味に煌めいている。其は最早悪鬼と称するに相応しい様相だろう】

去ね……!

/少々遅くなって申し訳ありません。
374 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/25(月) 20:20:33.15 ID:TuHsGUlq0
【水の国・とある公園】

【春は終わりを告げ、夏が顔を覗かせる。昼間はじわりと強い日差しが照り付け、じっとりと汗ばむようになってきたが】
【日が落ちる頃になると涼しいのも初夏の特徴の一つ。風薫る五月、心地よい夜風がふわりと通り過ぎる】
【昼間は幼い子供達やその母親、午後は放課後の小学生たちの歓声で賑わう此処も、日が落ちると静かな物で】
【誰にも使われていない遊具は、少し寂寥感がある。人の乗っていないブランコは風に揺れるだけ】
【そんな季節の初夏の新緑が鮮やかな公園を、一人の少女が通り過ぎる―――】

―――すっかり遅くなっちゃった……
……痛いなぁ……

【黒く流れる長髪はまるで上質の糸のような艶とさらりとした風合いを持ち、風が吹けばふわりと靡いて】
【くりっとした大きなブラウンの瞳、あどけない可愛らしさを持つ顔。白い肌に、ほんのり赤みがさす頬】
【成長期とはいえ、体つきはまだまだ華奢で幼さが残る。まだまだ大人と言うにはほど遠くて、年相応に小さい】
【纏う服はブレザー。彼女の通う学校の制服なのだろう、着崩すことも無くきちんと着ている】
【首には緑色のネクタイ。ネクタイを結ぶのも慣れたもので、よれていたりする事も無い】
【チェック柄のプリーツスカートから覗く足は――――足首が包帯とサポーターで固定されている。】
【右手には学生鞄。側面にはI.Kamiya≠ニ筆記体の刺繍が入っている。左手には松葉杖】

――――ッ!!

【尚も足を引き摺りながら公園の中を進む少女。―――と、路傍の石に松葉杖が引っかかり】
【体重を杖に預けていたせいでバランスを崩した彼女は、ドサリと大きな音を立てて転倒してしまう。】
【顔を顰める少女。起き上がろうにも片足が痛むせいで起き上がれないようで―――】
375 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/05/25(月) 20:32:23.66 ID:PtD8eSoio
>>329
【途切れることのない人通りに混じって、一つの人影がゆっくりと彼に近づいて来るだろう】
【彼と同じような外套、黒く長いそれですっぽりと身体を覆い、フードを深く被って顔を隠している】
【身長は、2メートルを軽く超えているであろう。人ごみの中で頭一つ抜ける高さと服装のため、その人影もまた目につくだろうか】

【足に履いた黒いゴム長靴で地面を踏みしめて歩き、止められることがなければ地図を眺める彼の横に立とうとする】
【彼の鼻が効けば、男から漂うほんのわずかな死臭のごとき臭いが感じ取れるかもしれない】

――――不躾に大変失礼ですが……アイン様、ですか?

【その人影は、地図に身体を向けたまま顔のみを彼に向けてそう問いかけるだろう】
【フードの下の顔がわずかに覗く。角ばった顔つきに、昏く黒い瞳の両目。そして、額に面積一杯を埋める巨大な一つ目】

No.29、カニバディールと申します。街中ゆえ、このような格好で申し訳ありません
連絡ツールを確認して、お探し申し上げていたのですが……

【このような格好の者が二人並び立っているとなっては、さらに目立つだろう。しかし、面識のないはずの新たな六罪王直々の用件】
【降ってわいたこの偶然を、見送ることはしづらく。ゆえに、彼にそう問いかけるに至った】

【彼の反応次第で、その後の行動は変わるだろう。何かを探しているというなら協力もするはずだ】
【異形のナンバーズは、密やかな緊張を内面に押し込めて、六罪王の横に立った】

>>372
/まだおられましたら、よろしければ
376 :怪盗コンフェイト ◆QdUgTofQJFfy[saga sage]:2015/05/25(月) 20:38:42.16 ID:A6TFQNqw0
>>373


楽しんでいただけてなにより。


【立ち上がって、服についた黒こげの物体を手で払っていく】
【両手を軽く握り締めると、今度はキャンディステッキが現れた】


”キャンディケイン”!


【2本のキャンディステッキは文字通り一瞬で杖ほどの大きさになり、1本は男のサーベルと打ち合うために】
【もう1本は伸ばした勢いで男の翼にあるエンジンを突きに狙う】


生憎ですが、怪盗が去るときは必ず何かを貰い受けてからだ!


//合間に晩御飯済ませてきたので丁度いいくらいですwww
377 :アイン ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/05/25(月) 20:48:18.45 ID:9KJ+67PVo
>>375

【掲示物の前に立つ男は後ろを振り返りはしなかった】
【だがその死臭に気づかないほど鈍くもなかった】
【その名を呼ばれれば、男の口元には余裕めいた笑みが浮かび上がり──そしてすぐに消えた】

……お前が、カニバディールか
ちょうどいい、個人的な用件と六罪王としての用件、両方を済ませるとしよう

【どこか緊張したような声が男から発せられる】
【彼──アインはカニバディールに何も言わないままに通りへと数歩進み】
【一度だけ立ち止まってカニバディールに振り返った】

お前に聞きたいことは一つ
ダグラスから聞いたが、お前はリリアを知っているらしいな
あの女について聞かせてもらいたい

立ち話というのもなんだからな……ついでに軍施設の観光でもしていこうじゃないか……

【そう言って、アインは人通りの中を歩き始めた。方角としては都市の中心部、か】

//おりますです。よろしくお願いします!
378 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/05/25(月) 21:05:57.87 ID:PtD8eSoio
>>377
は……お初にお目にかかります。機関最高幹部のお一人にお会い出来て光栄です
(個人的な用件……? どういうことだ……)

【通りへを歩を進めるアインの姿を追って、カニバディールの巨躯が振り向く】
【六罪王の一人からの直々の推薦を受けて、新たに六罪王になった男。最初にその名を知ったのは】
【国立図書館襲撃事件のニュースにて。その驚異的な力には目を見張ったものだった】

【その男が、突如カノッサ機関に最高幹部という待遇で迎え入れられ、さらには面識のない己に用があるという】
【カニバディールにとっては、訝しむのも当然の状況であった】
【さらには、予想していなかったその名前が投げかけられるに至り、動揺を表に出さないようにするのには苦労した】


――――ええ。確かに、存じております
お望みとあらば、知り得ることはすべてお話し致しましょう
(観光で軍施設とは……簡単にいってくれる。彼には、それが出来るということだ)

【「僭越ながら、お供させていただきます」と返すと、人通りの中を悠然と歩き出すアインについて歩き出す】
【見た目の異形に反して、最低限礼儀はわきまえているらしい、控えめな佇まいを見せていた】

さて、恐れながらまずは確認させていただきたいのですが……
アイン様は彼女について……リリアについてどの程度ご存じなのでしょうか?
すでにご存じの情報を繰り返すことは避けたいので

【歩きつつ、まずはそう問いかける。今も脳裏に思い浮かべるだけで虫唾が走る、一人の女】
【彼女についての知り得ることを、脳裏で整理し直しながら。巨体の歩みはブレることはなかった】
379 :Nero[sage saga]:2015/05/25(月) 21:15:34.59 ID:XG1vuLO0O
>>376
【青年は此方の攻撃に立ち向かうべく、又も青年の能力であろう武装を取りだし、果敢に立ち向かってくる】
【青年は両手に武器を構えた二刀流、此方は長大なサーベル一振り、不利に見えるのは常識で考えれば此方であろう。だが、彼は突進の勢いを緩めず、そのまま】
【――背後の"兵器収納庫<ウェポンベイ>"を開いた――】
【瞬間、取り出されるのはアームに繋がれた先程の機関砲。それも二つの機関砲を其々のウェポンベイから展開した。展開と同時に唸りを上げる二連の銃身】
【避けるか、もしくは何らかの方法で防御しなければ良くて蜂の巣、最悪深紅の肉片しか残らない】
【青年へと突き進むべく起動しているエンジンは既に一瞬で速度を上げるアフターバーナーの準備も出来ている。恐らくはこの一撃が青年にとっても彼にとっても命運を分ける一撃となるだろう】

そろそろ、遊戯終了<ゲームクリア>だ……あばよ、こんこんちき。
M61A2×2、&、アフターバーナー起動!

【同時に彼は左腕に翼の装甲を一部、組み換えながら装着した。そのまま斬りかかるサーベルの峰側に装甲を付けた手の甲を押し当て一撃の威力増大させる】
【神速の剣閃、無間の弾幕、それら全てを回避することは彼に可能だろうか】
【先に繰り出された青年のスティックの一撃、其とサーベルがぶつかり合い歪な音を発てる。その後の一瞬に青年の取る行動は回避か防御か、其とも想像の斜め上を行く能力か】
【何れにしてもこの速度への対応は不可欠だろう】
380 :アイン ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/05/25(月) 21:23:03.93 ID:9KJ+67PVo
>>378

……見た目はともかく、そのデカさは少し目立つな
このまま、というのも少し都合が悪いだろう

【そう呟いた魔術師から微量の魔力が生じる。それは水面に立つさざ波のように静かに広がり、そして収まった】

【それからは、通りを歩く巨躯と外套の男という目立つことが明らかな組み合わせだったが】
【道行く人々は不自然に目を逸らすこともなく、かといって注視することもなく】
【まるで何でもない人間が歩いているかのように周囲の反応は“あってないようなもの”へと変わった】

【カニバディールの言動は、他者を見下すアインの価値観に合致していた】
【いつもならばそれについて一言何かを発するところだったが、今日に限ってはそれより優先すべきことが多かった】
【この街とカニバディールへの用件。そちらの方が重要だったのだ】

知っていること、か
魔界の住人、機関を利用して魔界の征服が目的、風の国に塔を召喚した、今は魔界で囚人
それと、元六罪王……こんなところだな

【カニバディールの質問に対してアインは手短に答えた】
381 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/05/25(月) 21:23:17.80 ID:4R+9cF5DO
>>374

【昼と夜が入れ替わるこの時間帯。誰かが、この刻を逢魔ヶ時と呼んだ】
【日は薄くなり、闇はその濃さを増していく。賑やかさは消え、静けさのみがじわりと這い寄ってくる──善からぬモノ共が力を増す刻限】

【──ぐ、る、る、るるるる。公園の茂みの中から、獣の唸り声がした】
【冷え始めた空気に混じり、獣臭と腐臭が漂ってくる。声の大きさからして、ただの野良犬などではない。これはもっと、大型の……】


   【 ざ、ぁ────! 】


【木立が揺れた。闇の如き「影」が、声が聞こえた茂みから少女に向けて疾駆。風と自らの残像を置き去りにし、ソレは明確に嗤って彼女に迫る】
【暗闇と「影」との境目は曖昧だった。全貌は見えない。かろうじて、4つ足の大型動物らしい、と判断できる程度だった】
【加えて「影」の上層あたりに、ぎらつく2つの赤色があった。──目、か】
【だがきっと、起き上がれない彼女が化け物の姿について深く考えている余裕はない】
【ぐぐ、と化け物は喉を鳴らす。邪魔者が入らなければ、「影」はそのまま少女に肉薄。鋭き黒爪を少女の背に向けて振り下ろそうとするのだ──!】
382 :アイン ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/05/25(月) 21:28:28.68 ID:9KJ+67PVo
//風呂入るんで次ちょっと遅れます、すいません
383 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/05/25(月) 21:47:27.79 ID:kt431ea20
【街外れ――ヒトの住まなくなった廃墟群】
【空にはぴっかりと太い三日月が居座って、風はひんやりと冷たく――どこか寂しげな灰色と緑の景色】
【地面にはびこるのはスベリヒユやハルジオン、ハルジオンの薄いピンク色が、ぽんぽんと緑の中に浮いて見え】

……にゃーんー、ネコさん、見失っちゃったじゃない!
もう、こんなに草ぼーぼーじゃあ、わかんなくなっちゃうのっ。

【そんな中。時刻は夜、間違いなく夜、だのに、頭上から降り注ぐのは、春先の陽だまりのような、暖かな太陽光】
【ついでにあどけなくちっちゃな女の子の声がして、見上げようとでもするなら――ひらりと、眼前に羽根が落ちて来る】
【光を魔力で固めたらこうなるだろう暖かさと手触りの物体。つまるところ魔力の塊なのだが、どうにも柔らかく光を放ち】
【それがとっても太陽光に似ているから――ここが夜なのか昼なのか、一瞬分からなくなるようで】

【クリーム色の髪、くしゅっとした猫っけのくせっけは肩を通り過ぎる長さ、風のたびふうわり揺れて】
【瞳は真夏の青空の色。右目の下には、毒々しい紫で蝶の刺青がなされ――丸い垂れ目はきょとりとあたりをめぐる】
【服は黒白でゴシック調のワンピース。ひらり靡かすオーバースカートには、クロスのステッチが施され】
【靴は爪先の丸いパンプス――そんな格好をした、あどけない女の子だ。まだ、年齢も一桁だろう頃合の、】

【そんな彼女の背中には。さっきからちらほら落ちて来る光の羽根をかき集めたような翼があり、】
【それを音もなく羽ばたかせることで、彼女のちっちゃな体は空中にあった。2Mか、3Mか、その中間辺りに】

うーん。もうね、きっとね、見つからないのよっ。
だったらね、何をしようかな……――そうだ、流れ星を探すのなの!

【言葉通りならどこかからか猫を追いかけてやってきたらしい彼女は、ただ、そのターゲットを見失って】
【うんうん唸りながらしばらく周囲を旋回していたのだが、そのうち諦めたように地面に降り立ってみる】
【せなの翼は変わらずまばゆくあたりを照らしながら――非常に目立つというのを気にかけないまま、彼女は独り言を繰り返していた】
384 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/25(月) 21:50:53.54 ID:TuHsGUlq0
>>381

【前述の通り、少女は足を怪我している。転倒後立ち上がろうとしても出来なかったくらいに痛むらしく】
【どうやって家に帰ろうかと途方に暮れていたところで―――突如、何かが茂みを揺らす】

……?―――――!!!

【唸り声がする。気の立った野良犬だろうか?―――いや、違う。何か、もっと大きい影……!】
【―――「それ」が何か、判断する間は無かった。その影は、目にも留まらぬ速さで飛び出した!】
【そう、「目にも留まらぬ」のだ。真っ暗な闇の中で、体色が黒いのかその姿は全く見えず】
【避けようにもどこに居るか分からない。ただ暗闇の中で光る眼だけがあっという間に此方に近づいて】
【少女の負傷した足では、そんな目視出来ない上に風よりも速い「何か」を回避できるはずも無く―――】

きゃああああああぁぁぁぁぁぁ―――――!!!!!!

【―――皮膚を裂かれる痛みが走り、少女の背が真っ赤に染まる。血の臭いが辺りに満ちて】
【通い慣れた突然化け物に襲われた恐怖に、少女は慄き悲鳴を上げる。極度の緊張で、息が荒くなる】
【このままでは確実に蹂躙される。しかし、負傷した足では逃げる事も出来ない……!】

(―――誰か、助けて……!)

【どうしようもない絶望に、少女はたた怯えることしかできない。このままでは彼女は――――!】
385 :怪盗コンフェイト ◆QdUgTofQJFfy[saga sage]:2015/05/25(月) 22:09:27.68 ID:A6TFQNqw0
>>379


アッハハ!次から次へと……まるで手品だ!だったら貴方からは……


【二連の機関砲】
【鋼鉄の暴風雨を繰り出すその武器を前にしても、冷や汗を浮かべこそすれ、青年は笑顔を絶やさない】
【だが、ふとその笑顔を青年は止めた。口をムッとつぐむと、数度何かを租借した】


”フーインガム”!


【次の瞬間、青年の顔面を塞ぐように、ガムの風船が広がった】
【放たれた機関砲の弾丸がガムの風船触れると、弾丸は風船の中へ入り込み、内部で兆弾していた】
【風船は僅かの間(1レス分)割れないが、それで十分】

【そして、男が打撃によって威力を増大させたその剣撃と青年のステッキが触れる】
【同時に、青年のステッキが何の抵抗も無くグニャリとしなるだろう】

【鍔競りと見せかけた、力の受け流し。青年はガムを噛み千切って前へと進み、男の横を抜けて振り返る】
【急接近してきた男に、背後を取りに行ったのだ】


”ビスケット銃”!


【ステッキを捨て口に残ったガムを吐き捨て、両手を合わせて広げる】
【二枚の板に挟まれるように、一枚のビスケットがある。そこに撃鉄とグリップに引き金の付いたソレは、銃の形に見えるだろう】


手品の”タネ”を、いただこう!


【引き金を引くと、ビスケットが発射された。ビスケットには”刃”があり、弾丸というよりは手裏剣のように回転しながら飛んでいく】

【青年の狙いは男の背にある兵器収納庫】
【このビスケットが刺さるような事があれば、破壊こそ出来なくとも、以後の動作に支障をきたせるという狙いだ】
386 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/05/25(月) 22:22:30.96 ID:PtD8eSoio
>>380
は、おっしゃる通りですが……すぐに姿を変える、というわけにも……
――――!?

【異形の大男の言葉は、途中で途切れた。彼から感じ取れる、魔力の流れ】
【微量であったはずのそれが、瞬く間に周辺に広がっていったのを。さらには、その直後から周囲の視線を感じなくなったのを悟り】
【カニバディールは静かに息を吐き出し、「感服するばかりです」と声を漏らした】

(想像していた以上の力だ……一人の魔術師が、ここまでの力を持てるものなのか……)
ふむ……大まかなところはすでにご存じのようですな
ならば、私が彼女を初めて見た時のことから、かいつまんでお話するとしましょう――――

【歩きながら、カニバディールは語り出した。なるべく要点のみを抜き出しつつ、それでもそれなりに長い話になるだろう】
【最初、六罪王として名乗りを上げた彼女は「ガイスト・ウォレン」と名乗り、老人の姿をした人形を身代わりに立てていたこと】
【そのことを知った後、ガイストの名で機関員にヘルクラネウムの火山における古龍退治の任務が下されたこと】
【古龍退治にてリリアとしての正体を現し、六罪王として君臨するに至ったこと。その折、リリアが弟と呼ぶ潜水服に身を包んだ仲間の姿を見たこと】

【また、カニバディールはこの段階になって、それまでに起きていた交易都市レナールの初回の襲撃や、まさに今自分たちのいるエルジオ襲撃が】
【アインの言う『塔』が召喚するための、リリアの計略であったことを知ったという】

【その後、リリアが機関を利用しようとしたこと、それによって多くの敵を内外に作り、カニバディール自身もその中にいたこと】
【最後は機関への裏切り行為を暴露され、追い詰められたリリアと自分を含む敵対者たちが塔にて最終決戦を行ったこと】
【その時には、リリアは理性を失った怪物と化し、先に挙げた弟ともう一人の仲間の悪魔を殺して取り込んでいたこと】

【決戦には、リリアと同じ魔界から来た大悪魔、マモンも一枚噛んでいたこと。そのマモンの手により、一時魔界を訪れることになったこと】
【さらに語るのは、そのマモンから聞いた話。リリアの正体。魔界の僻地、『老海(ラオハイ)』出身の孤児。わずかに13歳の少女だったこと】
【淫魔の血を引いており、現地の悪魔の性奴隷とされていたこと。そのうちに能力に目覚め、老海を怨敵もろとも焼き払ったこと】
【その炎のすさまじさで、次元の壁すら破って見せたこと。その28重の瞳は、常人の28倍の動きをして膨大な知識を学べること】

【それだけの力を持ちながら、最後はアインも知っての通り敗北を喫して機関から追放され】
【マモンの監視の下、魔界に幽閉されることになったこと。しかし、外出が許可されることもあるらしく】
【宗教都市ゼン=カイマで起きた事件では、かつての敵と共闘して、事態解決に尽力していたこと――――】

……私が知り得るのは、こんなところでしょうな
ゼン=カイマの一件以降は、こちらに出現したという話は聞いておりませんので、外出は、特例だったのでしょう

【一度、息をついて見せる。忌まわしい記憶を掘り起こしたカニバディールの額には】
【わずかながら、汗がにじんでいた】

>>382
/大変申し訳ないです、当時の過去ログを探っていて遅くなりました……
387 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/05/25(月) 22:26:56.80 ID:4R+9cF5DO
>>384

【ざくりと、化け物の鋭爪が少女の背を抉った。彼女の血を吸うかのように、獣の爪もまた赤く染まる】
【「ぐ、る、る、る、る」──獣は愉しむかのように、唸り声をあげる。一撃を喰らわせたせいで油断しているのか、ソレはゆたりと少女の周りを歩み始める】
【緩慢な動きだ。自身の姿を敢えて少女に見せているかのような、そんな動き。──これで漸く、ソレの全貌が明らかになる】

【体長は2mを越える。狗と呼ぶには巨大だった。だが特筆すべきは、公園に棲んでいる生物にあるまじき巨体などでは、ない】
【──皮膚は漆黒の剛毛で覆われていた。ただし、身体の全てがそうではない。脚部。腕部。臀部。胸部。それら至る所の体毛が、ところどころ抜けていた】
【抜けていた、というよりは──「変質」しているのだ。その一部に毛は生えておらず、覗いているのは極め細やかなヒトの肌だった】
【脚も腕も、獣に相応しき太い筋肉を保有していたが、やはり途中の一部だけ、ヒトのように細くなっている。爪を持つ部位ですら、2、3本はヒトの指だ】
【胸部には、だらりとぶら下がったふたつの肉が。乳房──こいつは、雌なのか。だが、こんな生物など聞いたことも見たこともない】


【──頭部。狼の如く耳はぴんと立ち、口からは唸りが未だに漏れだししていた。顔面にはやはり、剛毛とヒト肌とが混雑】
【口。その口は、ヒトのように平坦な顔面に居座り、それでいて顔の中程まで裂けている。──歯列の間から、唾液がぬちゃりと見えた】
【化け物染みた見た目の「影」……。だがその目は、はっきりとヒトのもの。赤いヒトの瞳が、少女をみて嗤っていた】


【まるで、ヒトと狼を滅茶苦茶に練り混ぜた造形だった。腕一本、手首ひとつとったとしても、そこに純粋たるパーツはない】
【ぐ、る、る、る、る──化け物は嗤っていた。どうやらすぐに殺すつもりはないらしい】
【助けがこのままこなければ、化け物はまず少女の右腕に己の脚を乗せ……ゆっくりと、巨体の体重をかけ始める】
【折る、つもりか。そのまま放置しておけば、さらに獣は爪をも少女の右腕に食い込ませるのだ。折るばかりか、右腕を途中から千切る魂胆らしい】
【助けがくるとすれば、彼女の悲鳴が運よく誰かに届いていた時、だろうか……】
388 :アイン ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/05/25(月) 22:41:41.05 ID:9KJ+67PVo
>>386

【カニバディールの語る言葉を、アインは可能な限り黙って聞こうと努めた】
【だがそのあまりに長い──一つの戦争の話に、何ら反応せずにいることはこの男にとっても不可能だった】
【その策略には感嘆の声をあげ、敗北にはやはり落胆してみせた】

【特に彼が意識を傾けたのは二点──怪物と化したことと、彼女の生い立ちの話だった】
【理性を失ったと聞いてアインは驚愕すると共に何かを考え込む素振りを見せた。重要な、何かを】
【そしてまた生い立ちについても驚いていた。明らかに、彼はそのことについて同情の念を抱いていた】

そうか……こちらに来ることも、あったのだな

【カニバディールが語り終えると、彼は最後に伝えられた情報を復唱した】
【そこには何かを迷うような、そんな気配があった。彼の左手が、左耳のイヤリングに触れていた】
【それから手を離すと、彼から迷う気配が消えていった】

中々、長い話だったな。わざわざ悪かった
その様子と話に聞く限りでは、お前にとっては良い記憶ではないようだな?

【額に滲む汗は、ただ単に長い話をした疲労のせいだけには見えなかった】
【長い話をしている間に二人は人通りを、更に都市の中心部を過ぎていた。アインが向かったのは町外れの高台だった】
【そこから数キロメートル先には風の国の軍事施設が見えていた。安物の双眼鏡では、見えないほどの距離だ】

//いえいえ、こちらこそお手数おかけしまして申し訳ありません
389 :Nero[sage saga]:2015/05/25(月) 22:46:46.34 ID:XG1vuLO0O
>>385
【青年は数十発の弾丸を一度に吸収する物体を生み出す能力で此方の同時攻撃の一つを防御すると、次に彼の杖と身体を引き裂かんとする剣閃を風の如く受け流した】
【やはり、楽しい。自分が使えると思ったこの青年は自分が思うより戦闘センスがあるようだ。これ程に楽しい戦いは貴重な経験となる】
【此方の世界へ落ちた自分の経験を積み上げる事に、そして自らの愉悦を満たすことに大いに役に立つ。彼は其で既に満足だった】
【第一、あの武器は記録が出来ない。楽しさをより一層増させる材料になるかと思われたが其は出来ないようだ】

(スティックは囮か……ッ!速度が高まり過ぎたな、これはっ……)

【瞬間、前方の対象が消えた彼は即座にエンジンを停止し、自らの身体を止めようとするが如何せん掴める物が無い】
【仕方なく、彼は慣性の法則に身を任せ、ビルとビルの合間の長い路地を足裏で着地しながら一直線に滑り、十数mして止まった】
【後方の青年の状況はわからない。彼が振り向こうとした時、背後のウェポンベイの装甲に何かが刺さるような音がした】
【恐らくは此方の攻撃手段を狭めるべく行った行動だろう。其は彼の思考に少々のロードを与えるには十分だった】
【結果、彼が取った行動は】

F-22ラプター×2、再現終了<フィニーテ>
原子力空母カール・ヴィンソン、1/30、形状支配<インペリウム>

【彼は其までの翼を瞬時に消滅させ、彼が取り出したのは十mはあろうかと言う空母の甲板で出来た大盾だった。左右には迎撃用の機関銃が一個ずつ付いている】
【此を使い、防御に徹しながら様子を見る気だろうか。通常ならそう考えるだろう。だが、彼は】
【その甲板に寄りかかり、軍帽を弄りながら悠々と彼に話しかけた】

いやぁ、意外と楽しいな御前。気に入ったよ、満足したぁ……
此のまま正面から押し負けるようなら容赦なく頸動脈をなで斬りにしてやろうかと思ったんだが、何かもう良いや。
後は好きに攻撃してくると良い、こっちも一応この虎の子を出してある。さぁ、どうする……?

【彼は既に満足した故にどうでも良くなったのだ。楽しめれば其で良い。青年の意外なまでの大胆な回避方法に彼は楽しさを感じていた】

/そろそろ時間が厳しいので〆か凍結かはそちらにお任せします。途中遅くなって申し訳なかったです。
390 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/25(月) 23:03:08.84 ID:TuHsGUlq0
>>387

【見せつけるように近づかれて判明するその姿。それは、とても現実のものとは思えないようなものだった】
【一部の肌が獣の肌では無い。人肌のような……そんな質感。腕も足も至る所がアンバランスで】
【口は裂けて、唸り声と唾液と吐息が漏れている。獣のような姿なのに、口も、瞳も、人間の物】
【見た事も無いおぞましい姿をした化け物は、少女の恐怖心を限界まで掻き立てるのに十分過ぎた。】
【少女はあまりの恐怖と緊張で声を失う。身体が震えて身動きが出来ない……!】

―――ぎぃ……ッ……―――!

【動けない少女の右腕に怪物の足が乗る。徐々に、いたぶるように、ゆっくりとその巨体の重みを載せていく】
【拷問のような責めと痛みで、少女は思わず呻き声を上げる。じわじわと、骨が軋み悲鳴を上げる―――】


――――ぁ、ぁ……――――

―――

「―――衣織ッ!!!」

【――――その時だった。】
【一陣の風が―――いや、一人の女性が疾風のように現れ―――怪物の巨体を弾き飛ばさんと跳び蹴りを入れる】
【その女性は、脚に風を纏っていた。蹴りを入れた瞬間、同時に纏った暴風が化け物の体を吹き飛ばそうとする筈で】
【もし怪物を少女から吹き飛ばす事に成功したなら、その少女を自分の後ろに下がらせて】


「――――私の娘に、何をする―――――ッ!!!」


【――――獣をも殺す程の、猛烈な殺気を放つ。化け物を睨み付ける瞳には、明確な怒りの感情を孕んでいて】
【その表情は、まさしく鬼の形相だった。身体は、恐怖とは違う純然たる怒りに震えていて】
【少女に良く似た顔の鳶色の髪を持つ女性は、此処に明確な戦意を見せる。……尚も怪物が衣織を狙うのなら】
【この女性は、恐らく少女を護ろうとするだろう。―――果たして、怪物の様子はどうなっているのか】
391 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/05/25(月) 23:08:14.02 ID:PtD8eSoio
>>388
【語り続けながらも、カニバディールはフードの下からアインに密かな視線をたびたび送っていた】
【観察。その声、その仕草。戦争というものに惹きつけられていることは、読み取れた】

【しかし、会ったことのないだろう相手に、まるで我がことのような反応だ】
【特に、その境遇に同情するような様子に、六罪王にまでなった者が抱く感情には思えず】
【不可解な思いを拭い切れなかった。この場でその事情を探ろうとも思わなかったが】

(マックスウッドさんに彼奴のことを聞いた、となると……考えられるのは、ドラクレア島の過去のビジョンか)
(マックスウッドさんは、何を思って彼にあの半魔のことを……)

ええ……その時には、以前と同じ姿と理性を取り戻していたようです

【彼から感じ取れた迷うような気配、イヤリングに触れる仕草とその気配の消失】
【それの意味するところが何なのか、カニバディールには知る由もないが】
【ただ、そのイヤリングに強烈な忌避感を感じて密かに目を逸らした】

とんでもございません。お役に立てたなら、幸いです

……先ほどもお話したように、私は彼女と敵対しておりましたもので
彼女との争いでは、小さくない痛手を被りました。あまり、思い出したい記憶ではありませんな
とはいえ、今となっては過去の話です

【額の眼球を閉じて、その僅かな周辺部分に滲む汗が入らないようにしつつ、外套の袖で汗をぬぐった】
【やがて、高台に到着したころには、額の単眼もいつもの通りに戻っている。幸い、汗は入らなかったらしい】

【遥か向こうの軍事施設を三つの目玉で見やる。風が、異形の死臭を吹き散らしていく】
【アインの言う観光、の真意は? 口には出さなかったが、そんな疑問が宝条に現れていた】
392 :アイン ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/05/25(月) 23:15:58.93 ID:9KJ+67PVo
>>391

【高台に到着するなり、アインは片手を空へと上げた。そこから魔力が放出され舞い上がっていった】
【そんな姿勢を維持したまま、引き続き、彼は口を開いた】

何故、敵対を?
……いや、これを聞くより先にお前の思想を聞いた方がいいな
質問を変えよう。何故、カノッサに?

【アインの問いかけは、もしかすれば奇妙に聞こえるかもしれない。これでは敵対したのが不自然であるかのようだ】
【実際、彼は無意識にそう思っていた。あの半魔について、“敵対する方が不自然だ”と】
【そんな無意識の考えが引き起こした、奇妙な質問だった】
393 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/05/25(月) 23:16:24.28 ID:PtD8eSoio
>>391
/訂正です……
/宝条に→表情に
394 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/05/25(月) 23:25:38.07 ID:PtD8eSoio
>>392
【思わず、彼の掲げる手と、その先の魔力を見上げる】
【何をするつもりなのか。そう問う前に、質問が飛んできた】

――――私は盗賊です。欲しい物を手に入れ、力を蓄える
そのために、カノッサ機関は都合のいい場所なのですよ

それゆえ、彼女とは……機関を利用しようとしていたリリアとは、利害が対立した
それだけのことです

【彼の問いかけに、同じく手短に答えた。嘘は言っていない。詳しく話してもいないが】
【質問の意図は測り兼ねたが、相手は六罪王。下手に尋ね返すことは、それこそ自身の利益を阻害する】
【そう考え、嘘をつかず聞き返しもせず、最低限の答えだけを返した】
395 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/05/25(月) 23:29:37.72 ID:4R+9cF5DO
>>390

【少女の悲鳴と恐怖を見聞きし、獣は愉快そうに喉を震わせていた】
【ばたばた、と唾液が少女の身体に滴る。獣特有の臭気と、粘りけのあるソレ──捕食をも連想させる液体が身体を汚す感触は、如何なるものか】
【ぎし、と細い少女の腕が軋む。やはり簡単に折るつもりはないらしく、力のいれ方も非常に緩やか】
【まさに責め苦。拷問ですら、まだ生易しいか。──ぎ、し。また、怪物が嗤った】
【このままでは少女は怪物の玩具と化す。仮に生き延びたとしても、五体満足ではいられないことは明白だった】
【だが────】


   ──── 、ガ、…………


【吹き荒ぶ一陣の風。巨体に繰り出される疾風の一撃。これがただの獣相手ならば、無様な悲鳴をあげ獣は逃げ出していたことだろう】
【────だが、怪物はびくともしなかった。鋭き爪を地面に食い込ませ、その場に踏みとどまったのだ】
【ふ、と獣は嗤う。1人では、どうとも出来ないのか。さらには──先程地面に踏み留まった際、この獣は「爪を使って」踏み留まったのだ】
【──と、なれば。獣の片足により踏みつけられていた少女の右腕は……!】

/遅れました、シェンの方どうぞー
396 :アイン ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/05/25(月) 23:33:57.94 ID:9KJ+67PVo
>>394

……手段として、他の物を利用する
己に力がないことを、恥だと思わんのか?

【アインは更に質問を重ねたが、そこに批判めいた気配はなかった】
【ただ単純に、事実だけを確認するかのような淡々としたものだった】

【質問の直後に彼の腕が下げられる。二人の目の前の景色が歪み、灰色の風景へと変わる】
【細かく線の入ったそれはよく見れば床だということがわかるだろう。少しすれば、その中で人が横切るのも見える】
【横切った人物の服装はいわゆる軍服。銃器のようなものも肩に担いでいた】
397 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/05/25(月) 23:43:48.76 ID:O9rnn1sjo
>>390>>395

【黒き獣、その足下で悶える少女、そしてその少女を救わんとする母の姿】
【――そこにもう一つ。恐るべき早さで接近してくる者が居た】

【その者は獣の背後から、不意を突く形でただ一撃の蹴りを叩き込もうとするだろう】
【接近する速度も攻撃の速さも人のそれではない。"人外"という点では獣と同じであり】
【見た目もまた、似ているといえばそうだった。――それは、白毛の妖狼であった】

【ピンと立った鋭い耳に口元の牙、特別長い尻尾が特徴的であり】
【同様に長い髪は大きな三つ編みにしていて、衣服は非常に身軽なもの。】
【体格を見れば雌だと分かる。その匂いは、獣であれば数里先でも分かるかも知れず】


…――これはまたどういう状態かの、そこな母娘や。
久方ぶりに見知った匂いを辿ってみれば、妙な輩が居るようじゃが。


【一つ、彼女の蹴りについて特筆すべきことが有る。それは一撃の重さではなく】
【攻撃に成功した場合、獣の"体内"を大きく揺すぶるようなダメージを与える、ということだ】
【重さが浸透するような攻撃。――もっとも、避けるなり受けるなりされれば別であり】

【成否に関わらずすぐ側に着地すると、両手の爪をむき出しにしながら黒獣を睨みつける】
【その空色の瞳は、すぐ側に立つ少女の母と同じく、怒りに燃えて見えた】

/お言葉に甘えてお邪魔します、よろしくお願いいたしまする!
398 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/25(月) 23:46:13.11 ID:vcV8kS6P0

【路地裏。日々諍いが絶えることは無く、常に新しい血が古い血痕を上塗りしていると言い表しても良い其処】
【今宵も又罵声が飛び交って居るのだが――――奇しくも、その内の一つに女の声が混じって居るのが聞き取れるだろうか】
【もし覗いてみたならば、其処には修道女が一人居る事が知れる筈だ。攻撃的な赤色の髪――――その表情は、見るからに不機嫌である事を表していて】


「はァ?あんまり巫山戯た事ばかり言ってるとアンタの頭かち割るわよ
大体にしてね、アンタ等が束になって掛かってきたところでアタシには傷の一つも付けられない事位分からないの?

アタシがこうして優しく言っている間にさっさと――――チッ」

【大柄な男数人に対して、女が一人。多勢に無勢、所では無いのだが……女は勝ち気な態度を崩さず】
【それが癪に触れたのだろう。男の一人が殴りかかろうとするのだが――――展開はあっという間】
【殴りかかったはずの男が気付けば地面に顔を強く打ち付けていて、さらけ出した後頭部を思いっきり踏みつけられる、なんて状況】
【其れを見た残りの者達は恐れを成したか、慌てる様にしてその場から逃げ去ってしまい】


「ちょ、待ちなさ――――アアアアア!!もう!!アンタのせいで他の奴等全員逃がしちゃったじゃないの馬鹿!!」

【他の者達を取り逃がした苛立ちを気絶した男に全てぶつけることとなる】
【――――端から見たら異様な光景だ。何しろ、修道女が男を踏み続けているのだから】
【声を掛ければ鋭い視線が向けられるし、関わりたくないからと静かに通り抜けようとすれば肩を掴まれる】
【――――この場面に遭遇してしまったのが不幸。逃れる術は無く】











【路地裏――――少し奥まで入り込んだその場所】
【辺りに転がっているのは数人の男女の姿。然れど、呻きながらも皆息をしており】
【よく見れば出血も無く。更にはその者達全員が機関に所属する事を示す逆五芒星を手の甲に彫っている事が分かるか】


「――――一件落着、でありますか。少し手間取ったでありますが、大きな怪我を負う事も無く終えられて良かったであります
…………連絡も済んだ事でありますから、もう少しで自警団の方々が引き取りに来ると思うのですが……」

【その場に立つのは、軍服に身を包んだ少女だ。腰には軍刀を提げ、片目は眼帯で覆われ】
【藍色の髪を纏めるように被ったのは制帽。一切の乱れを見られない其れは、少女の気質を表している様であり】
【――――自警団の所属を示す腕章。そして、其処に着けられたバッヂ。この少女が紛れも無く正義の徒である事を示すのだが】


「最近はカノッサの動きも目立つようになって来たでありますね……。あまり気を抜く事も出来ないであります……」

【呟き共に漏らされた溜息は現状を憂うが故か】
【路地裏となれば悪事を働く者も多いだろうし――――逆に、其れを阻止しようと見回りをする者も多い】
【だからこそ、この現場をそのどちらが目撃をしたって可笑しくは無い話であって】
399 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/05/25(月) 23:49:45.98 ID:PtD8eSoio
>>396
――――力がないことを知っているからこそ、手段は選びません
それに力がないのならば、手に入れればいいだけの話です

【こちらもまた、抑揚のない声で応える。ただ事実のみを】
【力がないことも知っている。だが、恥を知るには汚れすぎている】
【何を利用しても構わない、やがては力を手に入れる、と。ただ、その邪悪だけを語った】

――――これは……

【本日何度目かの驚きを示した時には、すでに景色は変わっていた】
【足元の地面は人口の床に。そして、横切っていく軍服の人物】

……あの軍事施設の中、ですか……

【この男に、出来ないことはどれほどあるのか。カニバディールの背筋に密やかな悪寒が走った】
400 :アイン ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/05/26(火) 00:09:26.00 ID:6p+/7pojo
>>399

【カニバディールの答えに、アインは笑みをもって返した】

良い答えだ、気に入った
そうだ、何をしても力を手に入れてこその“我々”だ……

【小さな呟きであったが、そこには強い意志が込められていた。そうでなくてはならないという、確信があった】
【アインが両腕を広げると、それに応じる形で空間の歪みが調節される】
【何度かの縮小や拡大、移動を繰り返して軍人の装備や背格好などが順に映し出されていった】

わけあって、この首都に襲撃をかける。それが俺の、六罪王としての最初の仕事になるだろう
であれば、敵地視察はして当然だ。機関員を使ってもいいだろうが、信用していない
自分の目で確かめねば分析のしようもないだろうしな

【大まかな施設の状況を映し出した後は、外に出ている軍人たちの装備を拡大表示する】
【銃器にも見えたそれは、細かい部分が違っていた。一部の軍人は杖に似たものを携行している】

お前には“個人的な用件”の方を済ませてもらったからな……礼をしなくてはならんな
何がいい? お前にも欲するものや、成し遂げたいことがあるんだろう?

あぁそれと……もう敬語はよせ。立場の理解から来ているんだろうが、もう必要ない
敬意がないことがわかっている上でのその言葉遣いは、逆に腹が立つからな

【敵の装備を確認しながら、二つの提案をアインは述べた】
【六罪王という立場を利用してはいたものの、彼にとって重要な話をしたカニバディールに】
【アインは少なからず感謝の念を抱いていた。敬語をやめろと言ったのも、似たような理由で】

【つまるところ、心情として彼は六罪王としてカニバディールに会ったというより、単なる個人として会ったという感覚だった】
【そうであれば、敬語を受ける立場にない、というわけだ】
401 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/26(火) 00:11:56.83 ID:XSjgU3+c0
>>395

【腕の骨にひびが入る。もう幾ばくもせぬ内に、少女の細い腕は折れてしまうだろう】
【そんな時に、まず母親が助けに入る。―――しかし、怪物はびくともしないばかりか】

――――ぐ……ぁ――――!

「……っ、衣織―――!」

【―――とうとう、爪が少女の腕に食い込む。赤色が少女の白い肌をじわりと染めて】
【少女は苦悶と絶望の入り混じった表情を浮かべて涙を流す。そんな娘の表情を見た母は……】
【……少女よりも苦しそうな表情を浮かべている。娘が苦しむ姿が心を抉る―――】

【一人では敵わない。己の能力を以てしても、娘を助ける方法が見つからない。】
【「誰か、助けて――!!」そう願った、次の瞬間―――】
【―――まさに目にも留まらぬ速さで影が現れ、もう一撃蹴りが叩き込まれる。】

「―――銀狼さん……!」

【その陰の正体は、二人ともよく知っている者だった。】
【長い尾と銀色の毛並みが美しい、妖怪の狼――――間違いない、彼女≠ヘ長尾銀狼だ】

【銀狼が蹴りを叩き込んだ直後に、母親も怪物に向かって空気の弾丸を掌から打ち出す】
【圧縮された空気の弾丸は、怪物に当たれば炸裂して強烈な衝撃波と爆風を伴うだろう】
【今度こそ、怪物を娘から離すことが出来たか――――!】

【傍に着地した彼女に、状況を説明する。端的に言えば、衣織が危ないという事だ】

「……衣織の悲鳴を聞いて駆け付けたら、あの化け物が衣織を踏みつけていて……
 ―――詳しいことは分かりません。でも―――あの子を助けないと!」

【母―――皐月の声は震えている。娘が危うい状況である焦りと、酷い目に遭っている怒りで】
【彼女の心中は如何ばかりか―――】
402 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/05/26(火) 00:25:37.66 ID:Gr8z0XpDO
>>397>>401

【白き狼の臭い。確かにそれは、感知していた。だが、感知していただけなのだ。まさか狼が人間の味方につくなど、ソレは思っていなかった】
【──ず、と不意に体内が揺すぶられる。内臓がぐらりと振動し、脳がぎぃんとふらつく】
【それに加え、爆風を伴った衝撃波が漆黒の獣を襲う。圧縮されたモノが解放された時に放たれるエネルギーは莫大なもの……!】

【表層は頑丈であったとしても、体内はそうともいかない。更には追撃とばかりに風の炸裂弾が襲い来るのだ】
【流石に踏みとどまることは不可能。ざざざざ……!と獣は押し出されるよう数歩下がり、不愉快そうに呻いた】
【数分もしないうちに、敵対者が複数になっていた。「ぐ、るる、る……」唾液が垂れる。赤きヒトの瞳が、鬱陶しそうに彼女たちを睨んでいた】



    ────  、  、  ア"  、 ァ  …………


セ  、  折角、  ッ、ク、フ、    フ  、  ……

          タノ  、  楽 シ、 ンデ  フ、フ、  ──── グ、  、  …………



【雄とも雌ともつかない声が、獣から発された。唸り声が混じるせいで、妙にざらつき、それでいて響く声だった】
【自嘲するかのように、獣は嗤う。嗤い、喉を震わせる。──知能が、あるのだ。人言を理解し、発し、嗤えるだけの、知能が】


【獣は数m程後退した。ある程度痛め付けた少女にはまだ未練があったが──「続き」をするには2人の邪魔者をどうにかしなくては、と判断する力はあった】
【それに、今しがた喰らった妙な「蹴り」のせいで、身体の調子が悪い。──獣のクセに、と妙に腹がたった】


【──衣織、と呼ばれた少女は彼らの間に倒れていることだろう。唯でさえ脚を怪我しているのに、背中と右腕を血に染めて】
【ぐ、る、る、る、る。獣が唸る。まだ動かない。──姑息なことに、体内の異変が回復するのを待っているのだ】
【だが、衣織を回収するには少女自らが動くか、2人のどちらかがこの得体の知れない怪物に近付くしかない】
【彼女たちにその勇気があるならば──衣織回収は、敵が動かぬ今が好機。逃す時ではないのだ……!】
403 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/05/26(火) 00:37:49.82 ID:a32lSlMvo
>>401

……なるほど、のう。しかしちと妙な話じゃ
このような場所に、あのような"出来損ない"が居るとは、の。

見たところ世に言う人狼か、それとも別な存在か……。
儂のような妖かしの類ではあるまいて
それにしては随分と下品なカタチをしておるからな……ッ!

【怒りに震える皐月の言葉を聞き、直後に呻くような言葉が獣から届くと】
【半人半獣とも言い切れない、中途半端で歪な存在をキッと睨み】
【ちら、と倒れ伏す少女を見る。――傍に立つ皐月へと、彼女を回収するようアイコンタクトを送り】

>>402

【獣の体内で渦巻く不調は、そう長く続くものではない。数分じっとしていれば】
【或いは、回復力によってはもっと短く――大人しくすれば治癒するものだ】

【それが完全に言えてしまう前に、長い尾をした銀の妖狼が飛び出して】
【颯爽と繰り出すのは手刀。人ならざる速度で相手の懐に飛び込もうとし】
【その接近とほぼ同時に鋭利な刃物にも似た爪、それを備えた左腕を】
【獣の胸部――乳房の真中、急所へとねじ込もうとする】


【しかし今度は不意打ちではない。以下に早いとはいえ、獣もまた人外なのだ】
【攻撃の察知や動きの見極めは可能であろうし、手刀とはいえ】

【体格が違いすぎる事、という不利もある。単純なパワーバランスは圧倒的に獣が上】
【速度が勝るか、獣のバイタリティがそれを上回ってしまうか、という話であった】
【もっとも――銀狼の狙いは時間を稼ぐ事。皐月が衣織を助け出すだけの数秒が必要だった】
404 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/05/26(火) 00:43:52.40 ID:V7bZWc64o
>>400
【彼が笑みを持って応じれば、カニバディールは巨躯を僅かに折り曲げて見せる】
【彼の言葉に、無言の同意を示して見せつつも、心中ではその“我々”が何を指すのは測り兼ねてもいた】
【ただ、そこに垣間見える意志の強さのみが確かなものであった】

【眼前でより鮮明になっていく施設内部の光景を見ながら、それを記憶に焼き付けていく】
【彼が六罪王として行動するならば、自分にも無関係ではない】

なるほど……それでアイン様御自ら、この地に赴かれたのですか
確かに、標的が一国の首都となれば、綿密な準備は当然のことでしょう
こうして、ご自身の目で確かめる術を持たれているのなら、なおさらです

【軍人たちの装備もまた、同じくしっかりと観察しながらそう返す】
【機関員を信用していない、という点についても、当然のことと受け取ったようだ】

――――ふむ……ならば、お言葉に甘えるとしよう
まったく敬意がない、というわけではなかったのだがね。国立図書館の件で、貴方の実力の程は間接的にとはいえ知っている
立場に限らず、相応の力には一定の敬意を払うべきだろう?

さて、これはありがたい提案だ。無論、欲しいものも成したいことも尽きない。でなければ、盗賊などやってはいられないよ
ならば……その魔力、その力を貸してもらいたいな

私は今、廃の国に拠点を構えている。廃の国のことはご存じかね? 遠い昔に滅び、今は怪物や私のような悪党・異常者の巣窟となった土地だ
私と配下のものたちとで、廃の国における物資・研究資料の盗掘や怪物の密猟を行っている
が、先も述べた通り、あそこには数多くの障害がある。アインさんがそれに一度でも力を貸してくれれば、非常にありがたいね

【彼の言葉の通り、そこからは平素通りの横柄な言葉づかいとなるだろう】
【この場では、機関員としてではなく個人として。その姿勢をカニバディールは確かに理解した】

【そして、今一つの提案。彼の礼に対し、傍から見れば法外としか思えない要求を突きつけた】
【廃の国と言えば、世界でも指折りの危険地帯。そこでの盗掘・密猟に力を貸せ、などと】
【常人ならば、いくら大金を積まれても断るだろう。が、目の前にいる相手は、常人ではない】
【厚かましくも、己の目的に六罪王の力そのものを欲する異形の男。彼はどう反応するだろうか】
405 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/26(火) 01:06:43.42 ID:XSjgU3+c0
>>402

「……――――お前は………ッ!!……私の娘を、楽しむ為だけに……
 ……ッ、こんなに……こんなに傷だらけになるまで……傷付けたというのですか……!!」

【もしかしたら、銀狼をも驚かせてしまうかもしれない。普段あれほど温厚な皐月が、吐き捨てるように声を荒げたのだから】
【憎しみと怒りと共に睨み付けるその表情は、鬼気迫っていてあまりにも普段とはかけ離れていた―――】

【一瞬たりとも怪物から目を離さない。たった今の二人の攻撃であの怪物は愛娘から離れたのだから】
【今が娘を救い出す好機。少しでも隙を見せたら救い出そうと身構えていて】

>>403

「……この近辺に、あんな化け物が現れるなんてことはありませんでした。
 もし、あれが人工的に作られて放たれたものだとすれば……何か、裏がある筈です。

 ……今は、あの子を救い出すのが最優先ですが―――」

【―――目配せを受けると、銀狼から一拍遅れて皐月も飛び出す。向かう先はもちろん衣織の元で】
【腕と背中を傷付けられ血まみれになった娘を、服が血で汚れるのも構わず抱きかかえれば】
【銀狼が時間を稼いでくれている間に、出来るだけ後ろへ遠くへと下がるだろう】

――――おかあ……さん……、銀……ちゃん……

「……大丈夫。お母さんが、護るからね……!」

【―――衣織は出血も多く、恐怖による精神的ショックと激しい痛みで意識がもうろうとしている】
【すぐに命を落とすという事は無いだろうが、可及的速やかに処置を済まさねば危ないだろう……】
【ともあれ、衣織は救い出すことが出来た。―――時間を稼いでくれた銀狼は大丈夫だろうか】
406 :アイン ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/05/26(火) 01:10:59.93 ID:6p+/7pojo
>>404

【自分の意見に同意を示し、更に機関員への信用でさえ当然だと考える】
【そして、「相応の力には一定の敬意を払うべきだろう?」──その言葉に、思わずアインは笑い出してしまった】

クッハッハッ! 中々面白いやつだな、お前は!
いいな、考え方といい、何を重視するかといい、ますます気に入った
アーグのジジイに対して俺が思ったことを、まさか俺が言われる立場になるとは思ってもみなかった

【かつてあの異形、アーグと遭遇したときにアインは半ば振りとはいえ傅いてみせた】
【この男もまた、力を持つものに敬意を払う人間だった。力を欲するが故に】
【そういった点一つ一つに、アインはカニバディールに奇妙な共通点を見出していた】

さて、そうであってはお前の願いを聞き遂げないわけにはいかないな
何、俺は俺に敬意を払い、利益をもたらす人間には全力で応えると決めていてな……
一度と言わず二度だろうと三度だろうと、お前の目的に力を貸してやろうじゃないか……!

【一つの情報に対して、一つの国との闘争。本来であれば法外、考えるまでもない事案】
【しかし目の前の男は今まさに国を落とそうとしている。そうであれば、この要求に応えずして何ができようか】
【邪悪な笑みを携えて、魔術師アインはカニバディールの要求を快諾したのだった】

とはいえ、折角だ……お前も俺に力を貸さないか?
俺としてもお前がどの程度優秀なのか、知らねばならんからな……何せ、“あの女”と戦って生き残ったのだろう?
俺自身も、直接お前に対して俺の価値を示さねばなるまい。どうだ?

【それから更に、アインはもう一つ提案を重ねた。相互協力、というわけだ】
【勿論、その対象は今二人が立っている国であろう】
407 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/05/26(火) 01:20:53.40 ID:Gr8z0XpDO
>>403>>405

【公園に、母親の罵声が響き渡る。その怒りも当然だ。この化け物は──】
【そう、この化け物は、子供が蟲の羽を千切るかのような感覚で、衣織をいたぶっていたのだ】



   フ、  ──── グ、 ギ、 ギギ、 グッ  …… ガ、 ギ、ギ、ギ

   タ、 タス、
タ、ァ──、 …… 助ケ、 ニ、  ゴ ── ク、ァ ……レ、バ

   D、Ddddd ──、──── 達磨  、ニ、 フ、ガ、 ギィ ……グ、ググッ


【「助けに来なければ、達磨にでもしてやったのに」──化け物はそう言って、嗤ってみせた】
【鬼神すらも退けかねぬ皐月の言葉。だがこの獣は、それすら嘲嗤ってみせたのだ】


【しかし────「出来損ない」「下品な……」 聞こえてくる、侮蔑の言葉】
【「儂のような」……優位に立つかのような、見下したセリフ。ぐ、ぅ、ううう、と喉が熱くなる。ヒトの目が、明確に怒りでぎらついた】
【口元がぎちりと音をあげる。元より裂けた口角は、ぬめりのある歯茎すら容易に視認できる程つり上げられていき──】



   ────  ァ、 ガ、 ゥ、ウ、ゥ ………… ッ ッ


        …………    ォ、 ォ ォ オ オオ オ オオ ォ オオオオオン ────── ! !



【──咆哮。巨体から繰り出されるそれは大気を震わせ、公園の電灯がばちりと明滅する】
【その直後、颯天の如き妖狼の鋭爪がぎらりと闇の中に煌めいた。常人ならば斬られてから漸くそれと認識する程の攻撃】
【然れど獣もまたヒトの域を越えた存在。急所を貫かんとする一撃を、獣は右腕を振るい銀狼を凪ぎ払うことで対処しようとする──!】

【ヒトの腕の倍以上もある筋肉量。胴体からモロに受ければ、角度によっては勢いのみで引き千切られることもあり得る】
【銀狼の接近に合わせ、最小限の動きで防御と攻撃両方をこの獣は成そうとしているのだ】
【隙があるとするならば、獣が完全には銀狼の動作に合わせられていないこと。獣は銀狼よりも僅かに遅いのだ】
【──直撃は、免れることが出来るか。反応さえ出来れば、回避も、あるいは】

【そして確かに、この瞬間獣の意識は銀狼のみに向いていた。数秒の刻は確実に稼げる】
【衣織の救出は無事成功する。後は銀狼が化け物の一撃にどう対処するかだ】
【出血が多い衣織の状態を考えれば、このまま化け物の相手をするのは明らかにマズい。何らかの方法で動きを止め、逃げ出すことが出来れば……】
408 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/05/26(火) 01:39:43.30 ID:a32lSlMvo
>>405>>407

【背後で衣織が救出された事を察知する。――否、救けたとは言えないか】
【強い血臭が鼻を突き、弱々しい声がしっかりと耳に届いていて】

【その直後、耳をつんざくような轟音。咆哮とも思えぬ咆哮が耳を突き】
【にわかに頭が揺れるような錯覚すら覚える。『こいつはマズい』】
【そう本能的に察知するには十分なほどで、全神経が嫌が応でも研ぎ澄まされ】

【――自身の手刀に対する獣の振り払い。それを、銀狼はしっかりと目で捉えた】
【回避はまだ出来る。背後では既に少女が母の腕の中にある】

【だが、相手は異常な怪物だ。このまま見過ごしてくれるとも思えない】
【ならば。――銀狼は咄嗟に身体を右へ寄せて、相手の振り払いを"左腕で"受ける】
【元より細腕。圧倒的な筋力差に負けて、瑞々しい妖狼の肉が裂け、骨が砕けて】
【まるで玩具のように左腕は千切れていた。ボタッ、という重い水音が耳に届く――】


幼子を思えば、年寄りの腕など安いものよ。
まあ最も……貴様のような手合には、そんな考えは理解も出来なかろうが……


【理解出来なければ、それだけ攻撃の機会が増える。――水音が耳に届くより、なお先に】
【引き千切れた腕の事など歯牙にもかけず、銀狼は獣の左斜め前、手の届く位置へ。】

【そしてそこから、右手に寄る掌底を獣の腹部へと叩き込まんとする】
【膝の屈伸、重心の移動、肋骨や腹筋という"防御"の無い脇腹への狙い】

【なにより、この一撃には"気"が込められていた。先ほど獣の不調を招いたのは、この生命エネルギーだ】
【銀狼の能力はそれを操ること。全霊の"気"を込めて、渾身の掌底を獣に叩きこむ――。】
【極(キ)まれば、今度は不調では済まない。表皮を透過し、直接臓器へとダメージが通り】
【その具合によっては、内臓に致命的な一撃を与えることとなる可能性すらも秘めていた】


【――だが、銀狼の攻勢はそれまでだ。攻撃を終えればすぐさま飛び退り】
【肩から先の左腕を失ったことに寄る貧血と、大量の出血にぐらりと膝を付き】
【長い尻尾で傷口をぎゅっと締め付けながら、母娘と獣の様子を確かめようとした】
409 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/05/26(火) 01:39:44.38 ID:V7bZWc64o
>>406
それは嬉しいね……どうやら、貴方とは不思議と気が合うところがあるらしい

ほう、アーグさんとも知り合いだったとは……
私も、彼とは見知った間柄だ。そのうち、彼も大きな動きを起こすことだろうな……

【古の大司教、アーグとの面識という点でもまた、奇妙な縁の共通点がそこにあった】
【アインがその復活の手助けになったとまでは知らず、つまりアーグに救われたカニバディールにとって】
【アインは間接的な恩人ということになるのだが、それは知ることはなく】

【しかし、かの混沌の大司教もまた、自分たちと同じく大きな悪意の計画を練っているだろうことを想起して、邪悪に笑った】


ありがたい……!! これで廃の国の踏破に大きく近づくことになるだろう……

【さらにはっきりとした笑みを浮かべて、アインの答えに喜んでみせる。滅んだとはいえ、いや一度滅んだからこそ】
【ますますドス黒く渦巻く、廃の名を持つ国一つ。当然、落とすなど容易なことではない】
【だが、アインの協力があれば、その可能性は飛躍的に上昇するだろう。単眼の内に、昏い喜悦が宿る】

無論、断る理由などない。喜んで協力させていただこう
それが、互いの力を実際に示すことにも繋がるとなれば、願ったりだ
僥倖なことに、その機会もこうして目の前にある

(あの女……先の言動から直接会ってはいないだろう。となれば、やはりドラクレア島か……)

【同時に、彼の提案にもカニバディールは即座に承諾の意思を示す。自分にとっても、これは利になることだ】
【機関員としての働きにも繋がり、なおかつ廃の国で得た新たな力のテストにもなる】
【アインの言葉の端から、なおも情報をどん欲に求めつつも、この時ばかりはカニバディールの意識は、来るアインの計画実行の日に向いていた】
410 :アイン ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/05/26(火) 01:53:34.56 ID:6p+/7pojo
>>409

お前に、俺に、アーグに、ダグラスに、ベクター……
まだまだこの世界に平穏が訪れる日は遠そうだな……まぁもっとも
“我々”はこの世界の影のようなものだ。払拭される日など、来るはずもないのだが

そのことに気がつかないまま、正義を騙る奴らもよくも飽きずに無能でいられるものだ……

【聖都襲撃以来、動きを見せてはいなかったが、このままアーグがおとなしくしているわけがない】
【この世界からは未だに悪の魔の手が消える気配はない。だがアインはそれを当然だと語った】
【そしてそこには、“正義”と彼が呼んだモノへの、怒りにも似た感情が見え隠れしていた】

そういうことだな。何、安心しろ。雑兵と戦わせるなどというつまらんことは言わん
お前に当てがうのもそれなりのものになるだろう……この様子ならばな

【映し出されていた軍事施設にアインの視線が戻る。最後に縮小して、全体図を表示した】
【唐突にアインはそのまま黙り込んだ。少しして、彼はおもむろに口を開いた】

……世界の行き先とは全く関係がないんだが
あの女と戦った感想が聞きたい……どうだった?

【アインはまたしても、どこか緊張したかのような口調となっていた。半魔の話題では、いつもこうだった】
【彼がわざわざ言ったとおり、先のことに殆ど関係はない。自分たちの障害になる可能性は皆無だ】
【にも関わらず、アインはカニバディールに聞かずにはいられなかった。それほど、半魔は意識をする相手だった】
411 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/05/26(火) 02:19:38.23 ID:V7bZWc64o
>>410
まったく……この世界が存在する以上、影が消えることなどないだろう
今名前が挙がったメンツのみならず、表に出ていないだけという者もまだまだいるはずだ
にも関わらず、あの連中は本当に懲りないものだ……貴方も、“正義”には虫唾が走る口のようだな

【アーグやベクター、ダグラス。今、この世界で特に精力的に動いている者たち】
【だが、この世界の影はそれだけではない。カニバディールの知り得るだけでも、世界の脅威たる者たちは】
【未だどこかで息をひそめ、牙を研いでいる。そんな中で、なお正義を貫こうとする者たち】
【彼らに抱く負の感情もまた、カニバディールとアインが形は違えど同様に抱えるものなのだろう】

ふ、ふ……思う存分やれる、というわけだ。これは楽しみだな

【表向きは笑って見せつつも、眼前の軍事施設の持つだろう“力”には警戒の色をにじませる】
【一筋縄ではいかない。今は力が足りない以上、油断は禁物だ。そう考えているうち、この場に沈黙が降りていた】
【それを破ったのは、やはりあの半魔のこと。彼の最大の関心事】

――――最初に、ヘルクラネウムで対峙した時。正直に言って、生涯最大の恐怖に襲われた
彼女は、それだけの力を持っていた……膨大な魔力や驚異的な炎の力もさることながら
それらに裏打ちされた威圧感……否が応にも、その強大さを思い知らされたよ

ただ、最後に戦った時……理性を失った怪物となった時。最初に会った時以上の力を振るっていたにも関わらず
私は、最初ほどの恐怖を抱かなかった。ただ力のままに暴れまわる、怪物となったあの女を前にしても

彼奴は恐ろしかったよ。だが、それは弱冠13歳にして魔界一つ滅ぼすと決意するに至ったその精神と
次元に穴を開けるほどの力とが一体となって初めて発揮されるものだった
最後は、あの場に集った者たちに敗北して、その両方が膝をついた……

ゼン=カイマで会った折には、その力は未だ健在であったようだがね
もう一度戦えと言われるのは、御免だと思う程度には

総括すれば、恐ろしい子供だった、といったところだ。我侭で強大で、哀れな子供だ

【感想を聞かれて、語るのはやはり恐怖。あまりに大きく、あまりに絶望的な力】
【だがそれは、同時に彼女の境遇がもたらしたその精神に根差したものだった、と。カニバディールはそう答えた】
【蓋を開ければ、そこにいたのは幼い子供であったというのだから――――語りながら、三つの視線は】
【あの塔の頂上の光景、その追憶を虚空に見ていた】
412 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/26(火) 02:21:15.44 ID:XSjgU3+c0
>>407

【皐月は衣織を抱きかかえて後ろに引いた。数秒もあれば、充分に距離を取ることが出来て】
【……しかし、呼吸は浅い。傷は深く、小さく未熟な身体の衣織には出血量が命取りとなる】
【まずは止血を。皐月は着ていた服を脱いで破いて、衣織の右腕の付け根を締め付けて……】
【背中の傷にも、同じく服を破いた布で圧迫止血を行う。応急処置だがやらないよりはマシだろう】

【―――そうだ、こうしている間にも戦ってくれている銀狼は……!】
【背後から聞こえた空気を震わせるような咆哮に振り返れば、其処に見えた物は―――】

「銀狼さんっ!!――――ああ……――――」

【――――銀狼の腕が、化け物によって千切れ飛ぶところだった。】
【皐月はショックで眩暈がしそうだった。あんな化け物のせいで、自分の大切な娘が酷く傷つけられて】
【その上、娘を助けるために、身代わりに大切な人の腕が犠牲になるとは―――】

【銀狼は、腕を失ってもまだ戦い続ける。腕を犠牲にする事で出来た隙を利用して】
【渾身の一撃を、化け物目掛けて打ち込む……】

【そして攻撃を終えて退く銀狼。皐月は心配と申し訳なさとで思わず声を上げる】

「銀狼さん!大丈夫ですか!?
 ……っ……私の子を……助けて下さったばっかりに……銀狼さんに、こんな怪我を……!」

【尚も衣織の状態は危ういまま。うわ言のように弱弱しく母親や銀狼の名前を口にしていて】
【加えて銀狼の出血も夥しい。腕を失ったという点で、衣織よりも重症と言える傷を負っている】

【……今の自分に出来る事は何だ。これ以上大切な人を傷付けないようにする方法は何だ。】
【―――あの化け物の動きを止めて、逃げる事だ】



「……これ以上、あの子を……銀狼さんを――――傷付けるな!!」

【もし銀狼の攻撃によるダメージが入っていれば、しばらく動けないだろう。】
【皐月は、化け物の鼻先を目掛けて―――空気の過圧縮によりプラズマ化した弾丸を放つ】

【その弾丸は青白い閃光を放ち、避けられなければ鼻先で炸裂するだろう】
【先程とは比べ物ならない程の衝撃波が怪物の耳と鼻を襲う。強烈な閃光が怪物の目を瞑す。】
【耳と目を狙った攻撃。単純なダメージも大きいけれど、その上に五感が封じられれば逃げられる隙も生まれるか――――】
413 :アイン ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/05/26(火) 02:32:25.86 ID:6p+/7pojo
>>411

……力、頭脳、そして精神。この三つが完全に揃わねば、強者とはいえん、な
多くのいわゆる正義の連中はたいてい一つ、多くて二つしか持たない
俺たちの側でさえ、精神……渇望があったとしても、力か頭脳のどちらかは欠けている

戦略が完全だったとは言い切れないが、あの女は三つとも兼ね備えていた可能性があった……
そういうわけだな……

【カニバディールの答えに、アインは自論を重ねて展開した】
【隣にいるナンバーズはそこらの人間とはわけが違う。頭が働き、部下がいて、計画を練って実行できる】
【それほどの人間が根源的な恐怖を抱いたと語れば、如何に強大な存在であったかは容易に想像がつく】

【そしてアインからしてみても、その強さが精神から来るものだというのは納得がいく。それどころか、自身のことさえそう思っていた】
【“渇望があるからこそ力を手にする”──それがアインの考えだった】
【────だからこそ】

……最後の質問だ。本来であれば、これは聞くべきことではないが

────────何故、あの女は“負けた”と思う?

【アインの脳裏には、あの映像が浮かび上がっていた。あくまで虚像に過ぎない、敗北の瞬間が】
【それが未だにこの魔術師には信じられずにいた。その理由が、わからずにいた】
414 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/05/26(火) 02:34:32.37 ID:Gr8z0XpDO
>>408

【ごき、という確かな手応えがあった。腹から千切ることは出来ずとも、左腕を無様にも砕いてやった】
【──ォン、と獣は嗤う。相手に一撃を喰らわせてやったことが……正確には、相手に惨めな傷痕を遺せたことが、腹の底から嬉しかった】
【通常ならば悲鳴のひとつでも聞けることだろう。のたうち回る哀れな姿でも見れたことだろう】
【獣はそれを期待していた。しかし銀狼は常人とは違うのだ。その決定的差異を、獣は見落としていた】
【故に反応は遅れる。元より速さは銀狼に劣るのだ。彼女を近距離に置いておいたことが、獣の敗因となる】
【更には顔面近くで炸裂する衝撃波。閃光と爆風が、獣の身を焦がし視界を焼き払い────!!】


【ど、ぅ……獣が地に倒れた。長い尾をだらりと伸ばし、ヒトと狼の雑ざった醜き敗者の姿を、 彼女たちの前に晒していた】
【生命エネルギーの操作。それがこの獣にとっては、効果的な攻撃らしい。やはり内部への一撃は、生物である以上避けられぬ弱点なのだ】
【加えて、脳がある頭部及び五感への攻撃も響いたらしい。──元より獣だ。視力も聴力もヒトより優れている。そのことが仇となった】
【獣はぴくりとも動かない。銀狼も、掌底が直撃したことを感じ取ったはずだ。顔面は焼け焦げ、でろりと舌が溢れていた──死んだ、か】
【あまりにも呆気ない最期だ。幼子を虫ケラのように弄び、結局は己のことしか考えない畜生にはある意味相応しい──】


     ──── 、 ………… 、 …… 、 ………………


     【 ── 今 、 動い 、 た ? 】


【ど、く。どく……どくん。どくん。どくん。──確かに銀狼の攻撃は極り、獣に致命傷を与えたはずだ。内臓へのダメージはどんな生き物だって耐えられない】
【しかしこれは……、動いている。脈動している──異常な回復能力。一瞬で確実に生命を刈り取らねば、意味はない、のか】
【じく、じくと、顔面の火傷すら少しずつ治癒していっていた。この速度では立ち上がるまでにもかなりの時間を有する】

【けれど……ただの獣とは思えぬ動きだった。思考もあり、言語を理解し状況判断も可能。隠し玉を持っていても、不思議ではない】
【幸いなことに、獣の動きはしばらくない。下手な手出しをせず、衣織の手当てとこの場の離脱を考えた方がいいだろう】
【特に衣織の傷は、応急処置をしたとはいえ酷いものだ。近くの病院まで行こうにも、人の足では不安になる】
【銀狼──彼女が駆ければ、衣織の命を救うことが出来るはずだ】
415 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/05/26(火) 02:54:02.57 ID:a32lSlMvo
>>412>>414

ふっ、ッ……案ずるでない、儂は妖怪じゃ……!
五体を引き裂かれでもしない限り、しぶとく生き延びて見せる
……じゃが、分が悪い。あの獣、此処で相手にするには手に余るわ……!

【確かに自分の攻撃は手応えがあった。加えて皐月の連撃が炸裂し】
【どう、と倒れ伏す相手の姿が瞳に移り、やったかと小さく呟くも】

【――その肉体が確かに、再度脈動することも狼の瞳は捉えていた】
【大きな傷を負ったことに加えて、本能的な怖気から来る冷や汗が噴き出す】
【何かマズいものを相手にしている。少女は、放っておけば命に関わる出血で】

……皐月よ、儂は先に衣織を病院へ運ぶ。脚が早い故な。
お主はすぐに此処を離れて、自警団とやらに連絡をするのじゃ

あの獣は……このまま相手にしてはならん、儂の本能がそう言っておる
狼としての直感が、早く此処から逃げ出せとな……。
……理解したかや?3つ数えるぞ…――ひとつ、ふたつ…――。

【3つ――その声を引き金として銀狼は、そして皐月も駆け出すこととなるだろう】
【皐月が許せば銀狼は少女を右腕に抱えて駆け出すこととなり】
【またそれを追うようにして、母である彼女も場を後にするはずで】

【予想外の何か、が起きない限りはそれでこの一幕は集結する事となる筈だ】
【少女を黒い異形が襲い、それを迎え撃った白狼が片腕を失いはしたが】
【あくまで、全員が無事に露命を繋ぐ形になれば。きっとそれが最上のはずであった。】

/少々時間も遅めですし、ここらで締めというのは如何でしょう
/こちらと皐月さん方は病院へ、という形式で……かなりあっさりではありますが。
416 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/05/26(火) 03:07:51.37 ID:V7bZWc64o
>>413
そういう意味では、真の強者というものはそうそうお目にかかれる代物じゃあないな
今この世界に、その可能性も持つ者はいても、確かに強者として立っている者がいるか、と聞かれれば
答えに詰まることになるだろう……

ああ、その通りだ。彼女には確かにその可能性があった。極めて高い可能性が、な

【アインにもまた、強大な力のみならず、それを裏打ちする頭脳と精神があるのだろう】
【だが、彼ほどの男でもまだ、それらが完全とは言い難いのだろう】
【渇望。ともすればそれは、この世界に存在する力あるもの、正義も悪も関係なくすべてに】
【内側に宿っているものなのかもしれない。カニバディールの脳裏に、その目の奥にそれぞれの渇望を抱いた者たちが思い起こされる】

【そして。投げかけられた最後の問い。少しの間を空けてから、口を開いた】

――――結論から言えば。彼奴自身の幼さ≠ェ原因だったのではないかと、私は思う

彼奴には確かに力があった。魔界を攻め落とすに足る戦力を集めようという計略を実行する頭脳もあった
何より、悪魔に対する苛烈なまでの恨み、貴方の言葉を借りるなら渇望があった……

だが、私はそこにもう一つ。それら全てを己のものとして制御するだけの何かが必要だったと考えている
湧き上がる渇望を、時には抑え込めるだけの……そうだな、器とでもいえばいいのか
力と頭脳と精神とを、その内側に収めて制御できる器が、彼奴には足りなかったように思う

乗っ取るはずだった機関の構成員の多くから、強引なやり口で反感を買い
敵対する正義を掲げる者たちの意志を、戦いの中でかえって燃え上がらせ
最後には理性を失くして、自身の唯二の仲間だった者たちを殺して取り込んでしまった……

力の振るいどころや頭脳の使いどころを、あの女は間違えたのだろう
あれだけの力を持ちながら負けた、その綻びは彼奴自身が創り出したんだ

【当時を思い起こしながら、カニバディールはそう語った】
【半魔が屈したのは、彼女自身の幼さが作り出した綻びが故だと。そう饒舌に語るカニバディールの三つ目は】
【その幼い半魔相手に心を折られかけ、彼女を敵と定めて暗躍した日々の記憶を見つめていた】
417 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/26(火) 03:20:38.99 ID:XSjgU3+c0
>>414>>415

【確かに銀狼の拳は化け物の体を打ち据えた筈だ。確かに皐月の攻撃は五感を狂わせた筈だ】
【確かに二人の攻撃は決定打となった筈だ。確かに化け物の動きは完全に止まった筈だ】
【なのに。なのに―――なぜ、動いている。なぜ、回復しているのだ――――!】

【脈動する化け物に、何か見てはいけない物を見てしまったかのような恐怖を感じる】
【この化け物、おかしい。何かが決定的におかしい―――あまりにも、異常過ぎる】
【相手にしてはいけない物を相手にしている気がする……銀狼も同じ事を考えていたらしく】

【―――今は、此処を離脱する事を考えなくては。こうしている内にも娘の体力は摩耗している】
【あの化け物がまたいつ動き出すか分からない。今、逃げなくては―――】


―――分かりました。……銀狼さん、この子を宜しくお願いします。
……深手を負った貴女を頼らなくてはいけない私を、お許しください……!


【―――合図と共に、皐月も逃げるように駆け出す。化け物が追って来ない事を願い】
【そして、娘の命が救われることを願い……能力による空力アシストも使って全力で走る】
【逃げる事が叶えば―――走って、走って、自警団の詰所に駆け込んで起こったことを克明に伝える】
【「きっと今日は眠れないだろう。神様、どうか娘を助けて下さい―――」】


【衣織は、銀狼の腕の中でぐったりとしているだろう。あの元気な時の快活さは消え失せて】
【今はただ、彼女に抱えられて命を繋ぐことが精いっぱいだった―――】

//はい、ではこの後病院に向かう事にしておきます!
//とりあえず化物との戦いはここで〆ということで……
418 :アイン ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/05/26(火) 03:22:03.64 ID:6p+/7pojo
>>416

……器、か

【アインはカニバディールの答えに、少し呆気にとられたような表情となった】
【その一言は、アインにとって何か嵌るものがあり、同時に背筋が凍るような思いがした】
【器。確かに必要だ。そして果たしてそれは自分にあるのかどうか────】

【腕を振るい、アインは空間の歪みを消した。情報収集は既に十分だった】
【一つ息をついて、気弱な考えを振り払う。まだ自分は何もしていないのだから】

長話に付き合わせたな。あまり、お前には益がなかった
この借りはいずれ武力でもって返すとしよう
何か話はあるか? 何なら頼みごとの追加でも別にいいが────

【アインからの話はこれで全てだった。個人的なものも、六罪王としてのものも】
【後はカニバディールにあるかどうかだけだ。なければ、彼は帰路に向かうだろう】
419 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/05/26(火) 03:23:37.35 ID:Gr8z0XpDO
>>415>>417


     【 「 ふ、ふふ……ぁ、ああ、ぁ──── 」 】


【3人がその場から離れる際。獣から、そんな声が聞こえた。嗤って、いる】
【ふふ、ふふ、と──くつくつと、獣は嗤っていたのだ。瀕死の身体にも関わらず、愉悦を感じているかのように嗤っていた】
【だが暫し嗤えば、ふつと獣の声は途切れる。その後彼女たちを追跡し襲撃することもなければ、衣織をつけ回すということもなかった】
【本当に、遊びだったのだろう。故に、手酷く返り討ちにあえばあっさりと諦めるのだ。獣らしいといえば、獣らしい】
【今宵の襲撃事件はこうして幕を閉じた。衣織は病院に運ばれ一命を取り止めるだろうし、銀狼もそれ相応の手当てを受けるはずだ】


【一体獣の正体は何だったのか。人工生命体が秘密裏に解き放たれたのか、或いはどこぞかの実験体が逃げ出しでもしたのか】
【真相は分からず終い──自警団や民間警備組織に周囲の捜索をさせたところで、どこに消え失せたのか。あの漆黒の獣は見つからなかった】


【時に──獣の指は一部がヒトのものだった。この中の誰かは、果たして気付いただろうか】
【──獣の、左の小指。ヒトの小指と化していたそこに、小さな「漆黒のダイヤモンド」の指輪が嵌まっていたことに……】


/はい、この辺りで締める予定でしたのでむしろありがたい申し出です
/3人ロールを持ち出しておきながらあっさりな感じになってしまい、特に銀狼さんの方には申し訳なかったです……
/遅くまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。お疲れさまでした
420 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/05/26(火) 03:33:40.75 ID:V7bZWc64o
>>418
【それを言い放ったカニバディール自身にも、あまりに欠けている要素と言えるだろう】
【彼もまた、その言葉には思うところあったらしい。機関の最高幹部の一人たる彼ですら】
【この世界で生き足掻く、人間の一人ということか】

【だが、同時に彼の思った通り。まだ何も成し得ていない。全てはこれから。未来の話だ】

いや、そんなことはない。私にとっても、確かな利があったよ
たまには、長話もしてみるものだ……

ああ、その時を楽しみにしている

――――そうだな。ならば、連絡手段の交換を願えないか
お互い、力が必要になった折には、駆けつけられるようにしておきたい

後は……来るべき時を待つだけだ

【カニバディールの方も、不思議と話すべきことは話したように思えた】
【ならば、すべきことは先に目を向けることだ。カニバディールが追加した頼み事は、そのための布石だった】
【新たに得た六罪王との繋がりを、なるべく長く持たせようという打算も大いにあったが】
【それでも、彼が要請すればこの異形は可能な限りの力を尽くすことだろう】

……それではな、アインさん。いずれ、また会おう

【後は、彼に別れの挨拶を告げて、カニバディールも立ち去るだろう】
【現れた時と同じく、微かな腐臭をこの国に吹く風の中に散らしながら――――】

/このあたりで締めでよろしいでしょうか? 遅くまでのお付き合い、ありがとうございました!
421 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方)[sage]:2015/05/26(火) 03:37:02.80 ID:6p+/7pojo
>>420
//お疲れ様でしたー!
//なんか、アインからはメアドなり、機関支給のツールの連絡先なりを教えたということで一つ
//では、ありがとうございました。良かったらイベントにご参加くださいねー
422 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/05/26(火) 14:08:30.97 ID:7Maka1xYo
>>417

【――数時間後。結果から言えば、衣織は無事に一命を取り留め】
【集中医療室にて治療を受ける事となった。一方で、彼女を運び込んだ人物】
【長尾銀狼はといえば、『薬の臭いは好かん』と言って院内には留まらず】

【かといって神谷母娘を放って行くわけでもなく、院の中庭に姿があった】
【植え込みの芝生に座り込み、精神集中するように深く呼吸を繰り返し】

(あの獣……人のようでそうでなく、獣のようでやはり違った……。)
(殺した、とも思ったが……生きて居るのだろうな、あの様子では)

……ふぅ。年甲斐にもなく無理をする物ではないのう、まったく

【そうボヤく彼女の隣には、一頭の白狼が寄り添うように寝そべっていた】
【まだまだ小柄だが尻尾は銀狼と同じように長く、毛色も非常に似通っていて】
【何も知らない人物からすれば恐ろしい光景だが、事情を知っていれば微笑ましい光景にも思えた】
423 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/26(火) 14:27:04.38 ID:XSjgU3+c0
>>422

【銀狼の手によって病院に担ぎ込まれた衣織は、すぐに緊急治療を行われることになり】
【―――懸命な治療の結果、寸での所で失血死は免れた。あともう少し遅れていれば危うかったらしい】
【傷は深かったが、化け物の爪が鋭かった分背中の裂傷と腕の刺傷は縫合しやすかったという事で】

【結果的に、背中の深い裂傷および出血・腕の裂傷及び骨折・一時意識不明という重傷を負ったが】
【治療は成功し、今は容体も安定して病室に横たわっている。―――まだ、目は覚ましていない】

【たった今、皐月が中庭に降りてきた。普段の優しげな表情は、今は不安で埋め尽くされていて】
【中庭に銀狼の姿を認めると、酷く憔悴しきった様子で駆け寄る。顔も心なしかやつれていて……】

「銀狼さん……!―――その……腕の方は大丈夫ですか……?」

【心配するのは、銀狼の怪我の状態。―――きっと、今も痛みを我慢しているのだろう】
【……大切な人が自分の前で一度に二人も重傷を負ったのだ、心が苦しいのも無理はない】
【ともすれば、皐月の方も倒れてしまいそう。澄んでいた筈の瞳はどこか虚ろで……】
【銀狼も、母親という立場なら分かるだろう。子供が危機に瀕した折の、親の心痛を―――】
424 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/05/26(火) 14:39:30.81 ID:7Maka1xYo
>>423

む……おう、皐月か。なに、儂の腕などなんともないよ
ちと歩くときには不便じゃが、ヒトよりは頑丈なのでな
幸いにして、可愛い孫も駆け付けてくれたことじゃし…――。

【駆け寄る皐月に、銀狼の傍に寝そべる子狼が顔を上げるが】
【その頭を撫でれば再び横になり、銀狼もまた顔を皐月に向ける】

【少しやつれたようにも見える。血を失ったからか】
【それとも大量の気を消費したからかは――ともかくとして。】
【質問にはからからと笑って答えてみせるだけの気丈さがあった】

……皐月や、まあ座れ。人の心配をするより先に
お主自身が倒れてしまっては元も子もないであろうが。

儂も、衣織も死んではおらぬ。……今回のことは不幸な事故じゃ
まずは無事を祝った上で、早くあの娘が目覚めることを祈るよりあるまいて。
親の出来ることは、そうして娘に寄り添ってやること位なものよ。
425 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/26(火) 15:05:54.18 ID:XSjgU3+c0
>>424

【子狼が銀狼に寄り添っている。この子も、祖母を心配して駆けつけたのだろうか……】
【銀狼は、皐月の問いかけに笑って答える。……きっと彼女も辛い筈なのに―――気丈に、笑う。】

……銀狼さんは、強いですね。本当に、強い方です……

【―――銀狼の気丈さが、皐月には少し羨ましかった。こんな傷を負って、どうしてそんな風に笑っていられるのか】
【……皐月は、銀狼ほど強くない。我が子や銀狼が傷付いただけで、倒れてしまいそうな程に苦しい。】
【大切な人が傷付いて苦しんでいるのが、耐えられない程に辛い。心が、押しつぶされそうだ―――】

【座るように促されると、皐月は銀狼の隣にへたり込むようにして座る。】
【掛けられる言葉が、疲れ切った皐月の心に届く。―――皐月は、年甲斐も無く涙を流していた】

―――私は、あの子や貴女の傷付いた姿を見るのが……辛いです。
出来る事なら、私が貴女やあの子の代わりに―――苦しみや痛みを、負ってあげたい……
……ただ寄り添う事しかできないのが、辛い……!

【……暫く、銀狼の胸に顔をうずめて泣いている事だろう。まるで、娘が母に泣きついているかのように】
【耐え難い苦しみを、ただ耐える。その辛さに、助けを求めるかのように―――】
426 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/05/26(火) 15:30:00.63 ID:7Maka1xYo
>>425

なんの……歳を取るとな、何事も鈍く感じてしまうものよ
痛みも時の速さも、感情も嫌というほど鈍くなる。
……感情的な事が良いとは言わぬが、歳は取りたくないものよな

【気丈なのは持って生まれた特質だ。しかし、それだけではない】
【百年以上もの間色々な事を経験してきた。感性は次第に鈍化する】

【その結果が今だと彼女に返して――涙を流す皐月を片腕で抱き締め】
【彼女の涙が収まるまで、ただ優しく。自身の思いを堪えるように抱きとめる】
【長い尻尾を腕に添えれば、ふわりと暖かな感触が皐月を包み――】

……皐月や。辛い気持ちは分かる、肩代わりしてやりたい気持ちもじゃ。
だが、子供とて親の苦しむ姿など見たくはない……そうではないか?

子が弱っている時こそ、親はより頼りがいのある存在でなければならん。
いや、それ以上に……儂らには、やらねばならぬことがあるではないか
衣織のような被害者を、これ以上出さぬようにせねば…――。

【――やがて皐月が落ち着く頃に、静かな言葉をかけてやる】
【見た目は若いが、妖狼の歳は外見と一致するものではない。】

【故により気丈に、ある意味では非情に、合理的にするべき事を考えつく】
【あの獣の被害を広めぬこと。それが衣織のような弱い存在を守ることに繋がる】
【だから、対峙した自分たちこそが立ち上がらねばならない、と。】
427 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/26(火) 16:20:46.26 ID:XSjgU3+c0
>>426

【皐月の体を、銀狼の身体と腕が温かく包み込む。その優しさが、疲れ果てた心に響く】
【暫く、皐月は声を殺すようにして泣き続けた。こんなに泣いたのはいつ以来だろうか】
【涙は感情が心の器から零れた時に流れるもの。その涙を受け止めてくれる銀狼が、】
【今の疲れ果てた皐月にとっては、とても有難かった―――】

【そうやって、数十分の間泣き続けて。――漸く落ち着いたのか、その涙も涸れて】
【静かに掛けられる言葉に、耳を傾ける。歳を重ねた彼女だからこそ、その言葉は冷静な物で】

―――そう……ですね。
あの子が一番辛いのに、私が苦しんでいる姿なんて……見せられませんよね。

……あの子が一番辛い思いをしてるんだから……私がしっかりしなくちゃ。
衣織がこれ以上苦しまないように、私が頑張らないと。―――だって私は、あの子のお母さん≠ナすもの。

【女は弱し。されど、母は強し―――皐月は、苦しみを拭い去りもう一度元気を取り戻す】
【子が弱っているのだから、母親がしっかりしなくては。―――もう、泣いたりはしない】

【元気を取り戻した皐月は、同時に明晰さと冷静さも取り戻したようで、すぐに獣への対策を提案する】
【やつれていても疲れていても、そこは学者。頭の回転は速かった】

……あの獣は、一人ではどうにか出来るものではありません。
―――最も大切なのは、子供達のような対抗手段を持たない弱者を一人にしない事です。

……銀狼さんのような妖怪の皆さんは、嗅覚が強いでしょう?
あれだけ臭いの強かった獣ですから……きっと、詳細な場所もすぐに特定できる筈です。
妖怪でも狼でも、何でも構いません。この周辺のお知り合いに、協力を打診してくださいませんか?
「街中にあの特異な臭いがすれば、すぐに駆けつけるように」と……

……私も、学校の先生という立場から子供達に「遅くに一人で帰らない」よう呼びかけます。
同時に、自警団やSCALRETに通学路の巡回強化を要請しましょう。何かあっても直ぐに駆けつけられるように……
兎に角、子供達を一人にさせず、万が一があってもすぐに誰かに知らせられる状況を作るのがベストでしょう。

【あの化け物は、いつどこに現れて子供達を襲うか分からない。ならば、その対策は】
【弱者を一人にさせない。何があってもすぐに誰かが駆けつけるようにする―――それが肝要だと皐月は考えた】
【妖怪・狼サイドと人間サイドの二重警戒網。この提案は銀狼の協力も必要となるが―――】
428 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/26(火) 16:23:00.49 ID:XSjgU3+c0
//追記です!この後衣織の病室に向かうようにお願いしてよろしいでしょうか……?
429 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/05/26(火) 16:36:35.75 ID:7Maka1xYo
>>427

【苦しい気持ちを涙にして、全て流してしまったなら】
【その立ち直りは尚、早い。毅然とした皐月の表情を見て銀狼も気を引き締め】
【彼女の提案――特に妖怪や狼に寄る警戒網の件に耳を傾け】

そうじゃな、儂らに出来ることはその辺りじゃろう。
獣を撃退するのではなく、事前に策を練って子を守ること……

……じゃが、儂自身は協力できぬ。狼というのは本来、手足を失えば
死するものじゃ。餌をとれず、群れから脱落してしまうからのう。
もっとも、儂は時を重ねれば腕も戻るが……しばらくは役に立たぬ、そこで…――

【おもむろに立ち上がったのは、銀狼の傍に平伏していた子狼であった】
【大きさで言えば中型犬程度。その姿が不意に人の形状へと変化して】

【気付けば、立っているのは10歳がそこらの少年であった。キャスケット帽をかぶり】
【白シャツ短パンにサスペンダーという、何処か古めかしい格好をした彼は】
【白銀の髪をし、幼いながらも芯を持った表情で皐月に向かい合い】

……儂の孫を、代わりに手伝いに使ってほしい。名は虎千代。
孫、というには少々世代が離れておるが……なに、しっかり者の妖狼には違いない

『あの……僕、虎千代と言います。お話は今……それに、さっき大祖母様から。
 僕は動物ともある程度の会話が出来ますし、役に立てると思うんです
 何かあれば、直ぐに駆けつけて、それで…――、……あの、よろしくお願いします、皐月さん。』

【そういって、少々頼りなくも小さな手を皐月へと差し出すのだった】
【求めるものは握手。流石に銀狼の子孫というだけあって、躾はしっかりしているようだった】

/っと、申し訳ない。そろそろ用事の準備をせねばならず……
/良い所では有るのですが、一度区切りをお願いします。
/凍結・再開か、或いは締めて頂くかはお任せしますので!
430 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/05/26(火) 16:38:22.32 ID:7Maka1xYo
>>428
/申し訳ない、見逃しておりました……大丈夫ですよ、了解です!
/でしたら凍結の方向でお願いしますっ。
431 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/26(火) 16:42:12.44 ID:XSjgU3+c0
>>429-430
/了解です!となると、再開はいつにしましょうか?
/此方は今日も明日も午前1時までならいつでも大丈夫ですが……
432 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/05/26(火) 16:45:15.21 ID:7Maka1xYo
>>431
/今夜は戻ってこれるのが早くて24時なので、明日の昼(~16時迄)か
/木曜の夜辺りでお願いしたく。金曜日も時間帯によりますが大丈夫です
433 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/26(火) 16:48:48.89 ID:XSjgU3+c0
>>432
/でしたら木曜の夜でお願います!明日は帰って来れるのが16時くらいなので……
/それでは一旦凍結という事で、お疲れ様でした!
434 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/05/26(火) 16:50:55.15 ID:7Maka1xYo
>>433
/了解です、でしたらまた木曜夜に!
/それでは失礼しますね。お疲れ様でしたっ!
435 :怪盗コンフェイト ◆QdUgTofQJFfy[saga sage]:2015/05/26(火) 19:18:54.19 ID:mDbsGCTF0
>>389


参ったなぁ……こりゃ。


【損傷させればこれ以上の武装展開は無いかと思っていたが、アテが外れた】
【青年は次の一手を考えて、ニヤリと、笑う】


……ひとつ、貴方は勘違いしている。言い損なっていましたが、僕はガチの戦いはしない。


【青年は両手をポケットに入れながら、言いそびれていた言葉を紡ぐ】


なぜなら僕は”怪盗”。全ての道が”盗み”に通ずるのだから。戦いなんて盗みの手段のひとつでしかないんです。


【青年は始めから、この男を殺すつもりも、戦うつもりも無かった】
【虚を突いて視界を封じ、突風巻き起こす機体を封じ、わざわざ声を上げてから奇襲し、迫ってきた男を受け流していた】
【そして―――】


そして僕は見事、貴方から盗んでみせましたよ。


【青年は目的を果たした。―――――つまらないと呟いていた男を】


”退屈な時間”を、貴方からね。


【楽しませるという方法で】


”盗み”が終えたら、”怪盗”は”去る”のみ!


【両手をポケットから抜くと、大量のポップコーンが握られていた。青年はそれを握りつぶし、投げる】
【ポップコーンは次々と巨大化し、まるで波のように路地裏に溢れて押し寄せてくるだろう】

436 :Nero[sage saga]:2015/05/26(火) 20:05:01.53 ID:eI1spqyMO
>>435
【青年の言葉に彼は少々表情を変え、思案の世界に一時だけ身を移してから甲板へと身体の支えを任せる】
【彼の頭の中には充実感と一つの退屈感が未だに渦巻いていた。だが、最早其を追求する必要は無い。青年の言う通り自分は数十人の破落戸の屍を積み上げ、青年から愉悦を得ることが出来たのだから】

(怪盗ね……顔を見かけたのは初めてだが、まだ無名か?なら今の内に其を引き込んで起きたかったんだが……まぁいいな。俺が楽しめれば其で良い)

【彼がそんな風にもう一度思案に浸っていると、其は起こった。青年が恐らく先程発動した能力と同じであろう視界封鎖術を発動し、青年は瞬く間に姿を消す】
【彼は其を確認するとすぐさま右手のサーベルを強く握り、鋼鉄の黒き翼を発動した。彼は垂直に上空へと飛び立つと、飛行しながらビルの壁の上水パイプへと右腕をひらめかせた】
【上水パイプからは幾つもの水柱が上がり、路地裏のポップコーンを湿らせていく、だがそこには既に青年の姿を確認することは出来なかった。文字通り消え"去った"のだろう】
【彼は暫しの間滞空しながら、一つ静かに呟いた】

盗みを終えたら……か。戦いは楽しかったが盗まれるのは少し不愉快だな……
次に出会った時、御前から盗み返す遊戯<ゲーム>を行わないとな……去らば、洋菓子怪盗君。

其まで捕まるなよ……証拠も全て湿らせて隠滅してやったんだ……

【彼は徐に懐から機関への連絡ツールを取り出すと、機関本部へ連絡を取った】
【左腕の負傷と、其の治療のために本部へ向かって飛行中の旨を伝えると彼は直ぐに連絡を切った】
【青年の事は一切話さなかった。自分の愉悦のため、次の遊戯<ゲーム>のため彼は全てを隠蔽する。自分の楽しみしか興味が無い彼はただひたすらに漆黒の翼を羽ばたかせ、飛び去っていった】

(ま、其は当分お預けになるかな。他の"王"も行動を始めているようだしな……)

/キリが良いのでこれにて〆とさせて頂きます。
/三日間に渡るロールありがとうございました!最後のレスも遅くなったこと申し訳ありません……
437 :怪盗コンフェイト ◆QdUgTofQJFfy[saga sage]:2015/05/26(火) 20:30:38.16 ID:mDbsGCTF0
>>436


ハァ……ハァ……!


【走る】

【走って】

【走り続けた】

【やがて、近道をしてたどり着くつもりだった場所からはるか遠くのあたりまで来た時、青年は背後を振り返り】


……追ってきて……無いですね。そうですよね。実は追ってきて後ろからいきなりなんて……事も無いか……


【辺りを見回して、ようやく一息ついた】

【そして】


あーーーー…………怖かったああああああああああ!!!


【腹から爆発させるかのように、叫んだ】


なんだよもうなんなんだよもう”カノッサ機関”って!なんでそんなデンジャラス組織と出会っちゃってんだよ僕は!?


【青年は心底怖かったのだ】
【ガチの戦い……殺し合いをしない、盗みだけをしている青年にとって、世界の巨悪との遭遇は恐怖でしかなかったのだ】


いやだなぁ〜素性を洗いざらい調べれたりするのかなぁ〜。忘れた頃に現れて拉致られたりとかするのかなぁ〜


【怪盗としてのプライドか、軽んじられた事に腹を立て”盗”んでみせたものの、完全に存在を覚えられただろう】
【青年はこれからの生活に不安を覚えていた】


あーーー、もおっ!助けて『レラ』さーん!善良な一般市民がカノッサ機関の人に目を付けられちゃったよおおおおおお!!


【かつて職務質問してきた、『SCALRET』に所属している少女に、青年は助けを求めるように叫んでいた】


/こちらこそありがとうございましたー!レスの速さなんてお気になさらずにwww
438 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/05/26(火) 21:55:11.41 ID:Wfmyqt870
【近くに街明かりの見える広葉樹の森】
【光源といえば空の半月ばかり、だけれど不自由しない程度には、木漏れ日のように月光が落ちて】
【足元をざっくり見渡す程度には不便しないし、――ちらりと見えるのは人工的な明かりの揺らぐさま】

……兎穴かしらん、落っこちたら不思議の国だとか……――ま、ないか。

【炎でなくスイッチ式のランプが詰まったランタンもどき、地面に置く指先は細く、それなら、続く先も細い】
【よいしょと小さな声でしゃがみこむどころか膝と手までついて、覗き込むのは――深い、深い、穴ぼこ】
【呟きつつ明かりで照らせば、ただ、遠いが底が見えて――不思議の国までは行けなさそう、呟いて、“少女”は】
【体を起こして、土のついた手を軽く叩く。ふうと一息ついて見せたのは、まだあどけなさが残る年頃】

【くるりと癖のある金髪は、毛先に向かうにしたがってピンクの色素を持つ、不思議な色味で】
【勿忘草の花の色と同じ瞳の色合い、あどけなさを残る顔の中、ただ、やけに鋭い瞳が目立ち】
【生成りのワンピース、スカート丈は膝を越すほどで、ふんわりと布地が多く、ついでに身につけたエプロンは白く】
【薄手のソックスとパンプス――、付け袖の先はゆったりと広がって、その淵には僅かに土と枯葉が付着し】

降りたら……上がってこれない――かね。止めとくべきかしら。

【そんな少女はふと思い立ったように、穴の淵に腰掛けるようにして、足を暗がりの中に垂らす】
【百四十二センチの小柄では当然足は届くはずもなく、というか、穴は全身すっぽりなほどの高さがあり】
【まさか本気で降りてみるつもりもなく、戯れとして――梟の鳴く森の中、少女は独りぼっちを楽しんでいるようだった】
439 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/27(水) 00:24:44.31 ID:Rwlt0nXv0

【――――血腥い臭いに包まれた路地裏。臓物が飛び散る其処で、唯一傷も無く立つのは女一人】
【辺りに散乱する血に濡れた衣服を見れば、被害者は自警団の者達であると容易に想像出来ようか】
【それも、一人二人では済まない。全ての肉片を掻き集めれば、優に10人分は越える筈であり】


「言った筈よ…………?貴方達には興味が無い、と……
其れなのに着いてくるなんて馬鹿な子達ね……?」

【黒いドレスに、同じ色の髪と双眸。まるで“闇”が具現化したかのような存在】
【肉片に注ぐ視線は怒りも哀れみも、どんな感情が含まれる事も無く。簡単に表すならば、無関心】
【飛び回る五月蠅い蠅を叩き潰した、程度の認識。靴が汚れるのを気にすることも無く、ピチャリピチャリと路地裏の奥へ進んで】


「ふ、ふふ…………今日はどんな子を連れて帰ろうかしら……」

【――――血の臭い、と言うのは存外遠くまで届くモノであり】
【加えるならば、少し前まで激しい戦闘の音やら呻き声やらが聞こえて居たのたから場所の特定は容易だ】
【仮にこの場所に辿り着いた頃には女は背を向けて歩き出しているのだが――――……暗がりの中、手の甲にぼうっと浮き上がる“逆五芒星”から女の所属する組織も理解出来よう】
【誰かがこの場所を訪れたのだとしたならば……ピタリと足を止める事となる。振り返りもせず、声も掛ける事は無いのだが――――どの様なこうどうを起こすか。それは訪れた者次第であり】










【場所は数十年前に朽ちた街――――所謂ゴーストタウンと呼ばれる其処】
【夜の国に存在する其処は今宵も厚い雲に覆われ、一筋の光が差し込む事も無く。正しく闇夜と呼ぶに相応しい一夜】
【…………其処に濃い瘴気が漂えば、異界の入口にも思えるか】

【街の中に踏み入れば一人の少女が路上に居る事が分かるだろう】
【金色の髪に、朱色の双眸。纏うのは紅いドレスだけれど――――その少女こそ、瘴気を発している張本人であり】
【悪魔だとか、魔族だとか。様々な呼ばれ方をするが決して“善”の存在で無い事だけは確かで】


「――――……あら、こんな所に誰か来るなんて珍しいわね?

引っ越して来た人かしら。それなら歓迎するわよ?迷い人かしら。それなら闇に誘われない様に気を付けなさい?
それとも悪魔払いかしら。それなら――――――」

【くすり、と悪戯気に見せた笑みは精々十代のそこら。然れどその気配は確かに本物だ】
【「――――それなら、直ぐに回れ右をした方が良いわよ」なんて言葉。どうにも芝居がかった言葉だけれど】
【何であれ、急に害を為してくる様な存在でも無いらしく。ならばその先は出会った者の反応によって話も変わるのだろうけれど――――】
440 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/05/27(水) 19:08:57.93 ID:Noknwjnp0
【風の国――UNITED TRIGGERの店舗内】
【いつもならとうに開店を示す札が扉に掛けられる時間、けれど、今宵はまだ窺えず】
【その割には店内は明るく、誰かがごそごそと活動している気配があって――それなら、無人ではないよう】

…………う、ううんと。ピンクの薔薇はこっちのほうがいいかな――、……あっちかな?
でも、それだと、バランスが……、……あれ? 分からなくなってきちゃった……。

【誰かが扉を開けてみるなら、その店内には少女が一人。知ってさえいれば、彼女が店員だとは分かるし、】
【そうでなくても、初めてのひとだって――きっとそうだと分かるだろう。だって、そうじゃなければ、】
【どこの誰が自分と関係ない組織の経営する店で切り花を広げて花瓶の前で唸るのか。なにより、纏うのも私服でなく】

【腰まで届くような髪は一つに結わえたおさげ、服装と合わせた色柄のシュシュで飾って】
【瞳は左右で色が違っていて、左が黒の右が赤。ちらりと見える右耳には、片方だけのピアスがあり】
【着ているのはふわっと布地の多い――和装メイドとかそんな感じの服だ。きちりと真っ白のエプロンまでつけて】
【足元は少しかかとのあるパンプス。歩くたびに首元のチョーカーについた鈴がちりちりと鳴るのが聞こえ】
【――酒場には似つかわしくない、未成年にしか見えない少女が店番らしい。高く見積もって十六かそこら、だろうか】【

う、うーん……、……どうしよ、天音ちゃんに飾るところまでやってもらえばよかったかな……。
――あ、この薔薇きれい、……もらっちゃっていいかなぁ――。

【そんな彼女は客の使うはずのテーブルの上に切花を並べて、両手に薔薇やガーベラを持っては、右往左往して】
【これまたいくつか並べてある花瓶に入れたり出したり、どうにも優柔不断というか、思い切りがないというか】
【開店の札を出すことも忘れて――或いはまだ出す時間だと気付いていないほどに熱中しているのか、終わりそうもない】

【流石に誰かが扉を開ければ気付くだろうし、その場合――元から丸い目をもっとずっと丸くした、】
【とってもびっくりしたような視線を向けられることだろう。なぜって、だって、まだ】
【(時計の針は二時間くらい前を差していると思って生きているから。それくらい、ずっと、悩んでいるのだった)】
441 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank)[sage saga]:2015/05/27(水) 22:58:53.51 ID:qeU3nEPa0
>>440

【近づく足音が聞こえてくるだろうか、それも通常の入り口からではなく 店の奥からで】
【薄暗い廊下から姿を現せば、明かりに照らされて顔も服装も浮き出てくる】

【肩にかかるほど伸ばしたグレーの長髪に、第一ボタンを外した紺のカッターシャツと それに合わせたような灰色のスラックス】
【今まで何やらパソコンを弄っていたらしく、彼の部屋を通ることがあったなら誰かと電話していたりもしたらしい、どうやら調べものをしていたようだが もしも聞き耳を立てていたなら電話の主が女性だということだけは判るだろう】
【又、画面の光に疲れてベッドで寝転がったりもしたのか、彼のシャツはしわっとしていた】

【ふと時計を確認して開店時間だという事を思い出していたのか、にしては客の声が聞こえないなと思って顔を出したのだろう、結果 彼女一人だけしか確認できず】

…………何をしているんだ、もうとっくに開いてる時間だろう……?
まさか、活ける花を選んでいたらタイムスリップしていたとか…………そういうことか?

【時計を指差し とりあえず時間を教えてあげてから、何か手伝おうかと尋ねるのだった】
442 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/05/27(水) 23:12:58.41 ID:Noknwjnp0
>>441

【彼が店に入ってきて、ただ、彼女は、一発目では気付けなかったようだ】
【客が入ってくるほうの扉には意識を向けていても、身内――の使う扉のほうには気が向いておらず】
【それなら、彼が見ることになるのは、彼女がちょうど切った薔薇の中から、一輪――淡いピンク色のそれを選び取り】
【ちょっと髪に挿してみる現場だろう。それで、少し恥ずかしいように唇を甘噛みしながら振り返れば、――あ、】

…………――――。

【ぴしりと硬直、誰に見せるでもなかったはずの照れ笑いは、ただ、今ではがっちり凍りついたぎこちなさになり】
【とりあえず恐る恐る薔薇を髪から外して、後ろ手に、そっと机に戻す――それで、誤魔化したつもりなのか】
【「み、はえる、どしたの?」なんて、声が少し上ずっていた。――彼が時間について指摘したなら】
【でもまだ大丈夫だよねみたいな顔して、指差した先を追いかけて時計を見、あ゛、】

――!

【口元を両手で覆ってびっくりにまなこを丸くする、それで、脱兎みたいな勢いで店の外へと駆けていくのだろう】
【札をひっくり返すだけだから戻ってくるのはすぐだ。すぐなのだけど、戻ってくるときの彼女の様子は】
【なんとも百メートル走を全力疾走した後みたいで、そのうち、しゅんと小さくなってもとの位置に立つと】

ごめんなさい……、友達がお花をくれたから、その、綺麗に飾りたいなって……。
セリーナも戻ってきたみたいだし――、綺麗にしたら、いいなあって――……その。

【女性としては大きな身長、百六十センチにプラスして靴の十センチ。それも、こうしょぼくれると小さい錯覚】
【まさに彼の推測したとおりだった。幸いにも、開店の瞬間を待ちわびた客は居ないようで、誰も入ってこないけど】
【そんなくぅだらない失敗をしたのが比較的にショックだったらしい。丸い両眼は伏せられて、床をぐるぐる回り】

【少しだけ泣きそうになったのを堪えると、喉の奥がきゅううと小さく声のなり損ないみたいに鳴る。鈴がちり、と、鳴って】
【悪戯を咎められた後の猫みたいだ。ほんとうに、ねこって、――こんな顔をする。飼ったことがあれば、分かるだろうか】
443 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank)[sage saga]:2015/05/28(木) 00:04:12.90 ID:YZb9cavf0
>>442

【誰も見ていないと思ったら意外な人から見られていた、きっと誰にでもある失敗なのだろう、幸い彼は このぐらいの年頃の人とはそういうものなのだろうと納得してくれるタイプで】
【間違っても吹き出すなんてことはしない、が、そういうこともあるよねと言ってそうな顔だ】
【そこにはノックせずに部屋に入ってエ◯ゲの現場を見た親の残酷な優しさの様なものがあった】

【ごまかすような全力疾走で店先から店内までのコースを1周すると、戻ってきた彼女は随分と今の事を気にしている様子……】
【彼は別に言いふらすこともなければ茶化すこともしないのだが。といって隠すわけでもない】
【ミハエルは聞かれれば答える奴だ、しかし言うなと口止めしておけば言わない人でもあって】
【そこからはもう鈴音次第、約束すれば何も言わずにOKしてくれるだろうから】

……別に恥ずかしがる事もないんじゃないか、少なくとも俺は似合うと思うぞ?
いや、この場合似合うという言葉は正しくないのか…………可愛いと思う、うん。

【だからそんなにショックを受けなくてもとフォローなのか抉っているのか分からない事を言って】
【それでもならと気分転換に飲み物でも奨めるのだった、勿論気を遣ってかミハエルが用意する】
【店員が店員に休憩しないかと誘うようなもの、何か要望があれば受け付けるし、何もなければ白いマグカップに注いだアイスコーヒーとカフェオレを持ってきてくれるはずだ】

/すみません、席を外しておりました……!
444 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/05/28(木) 00:22:13.17 ID:nxO/ZZov0
>>443

【とりあえず。外で待っていた客が居ないことが、この場での唯一の救いだろう】
【或いは、ミハエルの性格も救いなのか。追求されたりしないのは、――きっと、救いなはずで】
【それでも気弱な彼女にとってみれば十分に生殺しの拷問のような苦しさがある。もう、泣き出してしまいそうで】

【だけれど。彼がやっと言葉を紡いでくれたなら、彼女は、なぜだか少しだけきょとんとした顔をして】
【伏せていた顔を少しだけ上げる、それで、彼のことを伺うようにしながら――「ちがくって、」と、小さな声での訂正】

……お店を開けてなかったことじゃ、ないの……?

【その言葉はその言葉である意味辛いのだけど。想定外だったせいか、あんまりダメージは感じなくて】
【むしろきょとんとしてしまう。店を空け忘れた不手際を怒られる場面だと、すっかり思い込んでいて】
【それどこか彼は思わず挿してみた花について触れていて――あれ、と。ある意味、気が抜けたようになってしまって】

あ――……でも、その、セリーナには。言わないで……。

【少し気が抜けたら、続くのは、そんな……ぎゅっと互いに握った両手を気まずいように弄りながら、最終的には元のように俯き】
【そんなところに飲み物を奨められれば、選べるなら――「冷たい麦茶がいい」なんて、そう呟いて】
【冷蔵庫を開ければ確かに彼女が自分で用意したらしい麦茶が入っているから。今から煮出すよなこともなく】

【用意してくれる間。彼女は机を空けようとしたのだろう、精一杯に両手に切花を包んでいた新聞紙ごと抱きしめていて】
【色とりどりのバラにガーベラ、カサブランカに、カスミソウ、――ずいぶんといろいろ種類はあるものの】
【メインはバラ。そして数もよっぽど多くはなく、彼女の両手に収まる程度の花束で。花瓶は、引っ張り出したものが三つ】

ミハエル、……お花、綺麗に飾れる?

【結局花の新しい置き場は見つけられる、というか、花のない机でお茶を飲めばいいとは思いつけないまま】
【自分では上手に出来なさそうだとお手上げの姿勢、せめて精一杯に落とさないようにと花を抱きかかえ】
【尋ねるのは華道の心得――というほどたいそうなものではないが、まあ、色彩センスくらいは問うているはずで】

【「綺麗にしてあげたいの」】
【そうやって見つめる視線は、まだ少し潤んでいたが――それなりに真っ直ぐで、真摯で、真剣だった】

/そして申し訳ないです、そろそろ眠気がって感じなので、明日に引き継いでいただきたく……
/明日も同じくらいの、7〜8時くらいから12時すぎくらいまでが居られる時間ですー
445 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank)[sage saga]:2015/05/28(木) 00:26:13.11 ID:YZb9cavf0
>>444
/了解です、此方もそれまでに返しておきますので!
/一先ず、お疲れさまでしたー!
446 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/05/28(木) 12:30:59.34 ID:9PjJoLFDO
【深夜──路地裏】

【血と、獣の臭気が漂っていた。耳を清ませれば、微かな水音と呻き声がしていることも分かるだろう】
【異臭と異音の元凶たる場所。そこは路地の奥、暗がりが満ちている処】
【居たのは、巨大な「獣の形をした影」と1人の少女だった。獣の影は2mを超す巨体。一方少女は、まだ思春期ほどの幼さで、仰向けにされている】

【「影」は通路に背を向け、少女に覆い被さっていた。よく見れば少女には右脚がない。何かに食い荒らされたかのような切断面が、剥き出しになっていた】
【ごり、ごり……ぴちゃん。水音がまた響く。それに合わせ、少女が嗚咽を漏らした。血の臭気が、また一段と強くなる】
【ぴちゃん。獣の口元から、赤い液体が滴った。時折、鈍い赤色の塊も零れ落ちる】
【ぐ、るる、る、る。獣が、嗤ったような気がした。さぁ、と月明かりが路地裏に射す。何が起きているのかが、露になる】


【────少女の左腕が、獣に喰われている最中だった】
【少女の頬には泣き叫んだ痕がくっきりと残っている。だが今はもう、獣の動きに合わせ嗚咽と呻き声を漏らすのみ。抵抗する気力すら、ないのだろう】
【生きたまま化け物に喰われていく。歴戦の騎士ですら味わったことのない感覚を、この少女は今、無理矢理与えられていた】
【──ごくん。獣が肉を嚥下する。ぐる、る。また、獣は嗤った】
447 : ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/28(木) 17:28:42.56 ID:uashH16rO
>>446
/まだ募集してますかね…?
448 : ◆A3Dw.QYNcc2015/05/28(木) 17:40:38.23 ID:9PjJoLFDO
>>447
/いるにはいます!
/ただ、今からちょっと1時間半ほど抜ける予定でして、次のレスがわりと遅めになると思います
/それでもよろしければ、是非
449 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/28(木) 17:43:36.94 ID:4wq6kjNro
>>448
/やったぜ。じゃあお願いします
>>446
【そこにいたのは一匹の獣、夜の闇を切り取ったようなエゲツない黒さで血を啜る、恐ろしい魔物】
【肉を噛み千切る音が、骨を噛み砕く音が、そして蒸せ返るような獣の臭いが充満する】
【嗚呼、何て臭いだ───と、彼女は思った】

酷い臭いがすると思えば、成る程これは頷ける
人の世界で人を狩るとはいい度胸の獣だよ、それだけは褒めてあげよう

【靴音、とも違う足音、鉄でアスファルトを引っ掻くようなある種不快なその音は紛れもなく今声を発した彼女によるものだ】
【獣がそれをどう認識するかはわからないが───彼女の脚の根元からすげ変わっている黒鉄の義肢からなる足音】
【何も義肢なのは脚だけでない、彼女には両脚も、両腕も根元から全く無くなっていて、その代わりに人には有らぬ機巧の四肢が付いていた】

……だが、人の住む場所で人を狩るという事がどういう事か、君は知っているのか?それはつまり、宣戦布告と言うものだよ
尤も、それを理解出来ないからやっているのだろうけど───それを免罪符にする権利は畜生には無いよ

【くぐもったハスキーボイスがつらつらと言葉を紡ぐ、鼻と口を覆った鉄の口輪をフィルターにして、悠々獣に歩み寄りながら人の言葉で語り続ける】
【無論、理解される筈もないと彼女は思っていた、獣に対する侮蔑の感情が、彼女の色も形も違う両眼に表れている】

慈悲は無い、尊敬も無い、獣にくれてやる感情なんて何一つ有りはしない───狩らせてもらうよ、淡々と

【人を喰らう獣に送るのは、ただ単純な不快感、言葉に反した負の感情を持って、彼女の赤い、獣じみた右眼が輝いた】
【それに続くのは機巧の駆動音、ガジャリと音がして、ギザギザの刃を称えた口輪が開く】

───■■■■■■■■───ッッッッッッッッ

【発せられたのは大砲のような咆哮、人ならざる音圧が、意味を持たないただの音の塊となって放たれる】
【魔力の乗った叫びはそれ自体が野生其の物かのように、聞いた物の捕食者に対する原初的恐怖を呼び覚ます。故にその効果は、野生に獣に近い程に効果を増して】
450 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県)[sagesaga]:2015/05/28(木) 18:59:08.34 ID:VQF29gjTo
【火の国――工業都市インフェルニア】
【ここは、隣の市"ブレイザーシティ"がカノッサ機関に占領された事をきっかけにして占領された都市である】
【一応隣市は開放されたものの、ここはまだ占領されたままであり……火の国にとっては痛手らしいが】
【この市を占領する機関員が労働力として雇った"貧困層"が味方に付いている為、なかなか解放に向かわないのが現状だ】

「俺様がオーナーであァる以上! 例え銭湯だァろうと、様ォ子を見ィずにはいィられねェな」

【そんな都市の近くに居たのは、一つの存在】
【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

「総ォ合的に儲かってるとォは聞ィいていィるが……」

【さて、一見ただの独り言をいうだけの者に見えるが……実は一人ではないのだ、この者が壁に何かを押し付けている】
【人。人間だ、この者が首を締めて、今まさに意識を失ったのは人間――自警団の証を持っている、人間である】
【絞め殺す勢いで首を両腕で掴むこの者、間違いなく只者ではない】

/あまり長くはいれませんので、長丁場になると持ち越しか打ち切り辺りになります
451 :アイゼルネ・ユングフラウ ◆4JxTYkzBfA[sage]:2015/05/28(木) 19:29:00.61 ID:oMtTrCFp0
>>450

「あ、あの……」

【異常な空気、恐ろしい邪気、そして───それらの根源たる長身の男】
【どうしてよりにもよってこんな場面に出くわしてしまったのだろう、と少女は震える身体を必死に支えながら考える】
【もし相手にそのか細い声が聞こえて、声のした方を向いたのならば少女を見つけるのは容易いことであろう】
【腰まで届いた美しい銀髪に月色の瞳、妊婦であるらしく黄色地に白い花が散りばめられたワンピースの腹部は大きく膨らんでいた】
【尤も、その表情は顔面蒼白】【その光景に対して完全に脅えてしまっているようだ】

「……そ、その人を……離してあげて、くれ、くれませんか……?」

【硬直している暇があったら逃げ出していればいいものを、身重の少女は男に絞め上げられている自警団を、どうにか殺されないようにしたかった】
【自分は死んでもいいけれど、自分以外の誰かが死ぬのはいやだ】
【その一心で少女はガチガチと歯を鳴らしながら、加害者の男に交渉を求める】
【もしも常識が一片も通じない者であるのなら───】
【その時は、その時だ】

//よろしくお願いしますー。
452 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/05/28(木) 19:38:06.85 ID:9PjJoLFDO
>>448

【──背後からした、ヒトの声。それを受けて、獣はゆっくり身体ごと、そちらを向いた】
【獣。漆黒の獣だった。近くで見ると、街中にいるはずのない異様な大きさだとはっきり分かるか】
【だが異質なのはそれだけではない。──獣の体毛は、所々変質したかのように抜けており、そこからヒトの如き白い肌が見えている】
【脱毛している部位のみが、白い。黒き剛毛のある根元は、獣のごわついた肌なのだ】
【そのような歪な箇所が、十幾つもある。更に、巨体に相応しい筋肉痛な四肢を獣は持っていた、が……そこも、何ヵ所もヒトのように細く変異していた】
【特に異質なのは左前肢の小指。闇のような脚にぽつんと、白きヒトの指が浮かんでおり──その指には、小さなブラックダイヤの指輪が嵌まっているのだ】

【胸部にはだらりと下がる2つの肉。乳房だろうか。ならばこの獣は雌だということになる──されど、どのような書物を見てもこんなモノは載っていないのだ】
【加えて頭部。顔面は、ヒトのように平らだった。だが中程まではやはり、黒毛に覆われており】
【本来ならば適度な大きさに収まるはずの口などは、顔の半分よりも鋭く裂けていた。そこから覗くのは、強靭な牙とぬるりとした唾液】
【そして──目。そこだけは、ヒトの目をしていた。赤い赤い、ヒトの目だった】
【ヒトと獣──いや、耳は狼のもの故に、ヒトと狼を練り混ぜたが如き存在。それが、この獣の正体だった】



   ────  、 グ、  クク ………… フ ── ヒュウ、ゥ …………

  ケ
     ケモ、────、

────フ、フ  、  オ、ォ、オ……  互 、ィ、 イィイ ィ、  ハ、 ギギ、ギ ……



【「獣なのは、お互い様だろう」──このようなことを、獣は言った。雌雄の判別も付かぬ程にざらつき、妙に響く声】
【何を言ったかすら聞き取れぬかもはしれないが、確かに獣は言葉を発したのだ。それも、女の言葉を理解して】

【言葉を紡ぎ、獣は嗤った。ぐぐ、と喉を鳴らし嗤った。──直後、路地裏に咆哮が響く。獣ではなく、女の咆哮】
【獣の精神がざわつく。だが、女が期待していた反応は得られない。獣は怯えもしなければ、逃げもしなかったのだ】
【──ヒトの世界に存在し、ヒトの言葉を理解し、ヒトの音を模倣する。そんな野生など存在しない。この獣は、獣ながらにして野生とは対極の位置にいたのだ】


   グ、グ ──── 、 獣、……カタ、 カ、カ、……ァ”……、形、ノ ヒト、ガ──獣、 ヲ、 狩、……カ



【「獣の形をしたヒトが、獣を狩るか」──獣はそう言って嗤った。赤きヒトの瞳が、侮蔑に染まった女の目を見ていた】
【直後。獣は動く。前肢を薙ぐ。足元の少女が、地面から女に向け弾き出される。勢いに負け、少女の骨がばきりと鳴いた】
【子供とはいえ体重30kgはあるのだ。それがヒトの倍以上もある獣の筋肉により放り出されれば、速さもそれなり】
【女に向けて投げられた少女。重さや速さが相まってか、当たれば痛いどころではすまない】
【──だが、反応はそれだけ。獣は、見ているのだ。女がこれ以上、攻撃してくるかどうかを】
【女が対話を望む様子を見せればそれでよし。狩りを続けるのであれば──獣もまた、それに応じるまでであった】

/遅くなりましたが、今戻りました!
/では改めて、よろしくお願いします!
453 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県)[sagesaga]:2015/05/28(木) 19:45:00.37 ID:VQF29gjTo
>>451

【――この者、耳はかなり良いようだ】 【いや、耳だけではなく、】
【纏う雰囲気が、彼女が近づいてきた時点で僅かに変わっていた、当然ここは無音ではない】
【音以外の何かで、接近を察知していた――そういうことになる】

「……何ァァ故離す必要があァる?」

【ゆーっくりと、顔を彼女の方に向ける。睨むようなその視線は、良く言えばヤクザ、悪く言えばチンピラ】
【意識を失った自警団員は当然抵抗を止める、この者がそれを自然と支える力が増える】
【――傍から見ると、更に強く首を締めているように見えなくもないか】

「俺様はこォいつに殺されそうになァったんだ、殺そうとする者が殺される――返り討ち、そォれの何が悪い?」
「……長居する気ィはねェんだよな、俺様も」 「24時間営業の銭湯が閉まっちまう、諦めな」

【意地悪そうに片方の口元をつり上げ、そして続けられる睨むような視線――】
【……挑発的だ。自分には傷ひとつないその者は、相手がどの様な状態であるかを把握した上で挑発をする】
454 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/28(木) 19:55:27.49 ID:Seg1kURk0
>>429

「この子が銀狼さんのお孫さん……ふふっ、通りで利発そうな子です。
 ええ、此方こそよろしくお願いしますね。貴方の事を頼りにしています!」

【利発そうな少年だ。見た目は我が子よりもなお幼いくらいだけれど、しっかり者のようで】
【真っ直ぐな瞳はこの小さな少年の人となりを示しているようだ。この少年なら、きっと大丈夫】
【信頼を以て、差し出された小さな手を微笑みを添えて優しく握りしめる―――】

【―――さて、対策案の件も話し終えれば、皐月は再び傍に居る銀狼に向かい合って】

「そうだ、銀狼さん。……衣織の病室に、来てくれませんか?
 まだ目が覚めてはいませんが……傍に居てあげて欲しいんです。
 貴女は、あの子にとっての命の恩人ですから。―――目が覚めた時に貴女が傍に居れば、きっと喜びます。」

【そんな事を銀狼に言うのだった。―――衣織を見舞いに来てほしい、と】
【了承してくれれば、皐月は銀狼を引き連れて衣織の居る病室に向かうだろう】
【虎千代も一緒に付いて行くと言うのなら拒むことは無い。被害者≠見るのも必要かもしれないから】



【病室の扉を開けると、衣織は傷だらけの小さな体をベッドに横たえて、静かに眠っていた】
【呼吸はすやすやと深く安定している。寝顔も安らかで、どうやらもう命の心配はなさそうだ】
【しかし、やはり傷は痛々しい。何の罪も無い少女が、どうしてこんな目に遭わなければならなかったのか……】

【皐月はそっと祈るように衣織の手を握る。―――その時、微かに呻き声が聞こえた気がした】
【見れば、衣織が瞼を薄く開いていて。何とか銀狼と皐月の姿をその狭い視界に捉えれば】

――――ん…――――…おかあ……―――さん、……ぎん……―――ちゃん……――――!

「―――いお……り……?……――――衣織―――!」

【弱々しく。本当に弱々しくだけれど、いつもの人懐っこい笑みが、その顔に帰ってきた】
【その瞬間、皐月の表情が不安と心配から喜びと安堵に埋め尽くされたのは言うまでもない】
【皐月の目の端には、涙がうっすらと浮かんでいて―――その涙は、きっとさっきの涙とは異質な物に違いない】


【けれど、その衣織の笑顔は銀狼の姿を見ると曇ってしまった。―――腕が無い事に、気付いてしまったようで】
【まだ喋るのもやっとの筈なのに、申し訳なさそうに銀狼に謝る。腕を失ったのを、自分のせいだと感じているらしい―――】

―――ごめんね……―――ぎんちゃん……―――わたしの……せいで――――……腕が……―――

【この親にしてこの子あり、と言うか。他人の痛みを自分のものと感じる心根が、皐月とに良く似ている】
【だからこそ、銀狼が傷付いたことに責任を感じてしまっているのだろう―――衣織だって、こんなに傷付いているというのに】

//お返ししておきます!
455 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/28(木) 20:07:11.91 ID:4wq6kjNro
>>452
【咆哮を発し終えた、口輪がバチンと勢い良く閉じる】
【ただの獣であったならこの咆哮で逃げ出すか発狂していてもおかしくはない筈、だがそうではないという事はただの獣では無いという事だ】
【耳障りなノイズの様な獣の声を、眉を顰めて聞き留める、その時からラインは気付き始めていた】

【刹那、投げつけられる肉の塊、岩を投げられるも同義のそれを、ラインは身動ぎ一つせずに掴んだ=z
【掴んだのは、その存在を主張する黒鉄の両腕では無い、むしろ其れよりも異端際立つ錆色の巨腕、ラインの腰から尾の様に生えた大きな手が、その剛力をもって少女の体を捕縛していた】

人の言葉を真似て皮肉を吐くとは、近頃の獣は随分と賢い
───だが、ただの獣よりは愉しめそうだ。言葉が通ずるというのなら

【ラインの足元で血飛沫が飛ぶ、投げ付けられ、巨腕にて掴んだ少女を、その巨腕が地面に勢い良く叩きつけたからだ】
【少女が特別頑丈で無ければ、トマトをそうしたように惨たらしく潰れているだろう───このまま放っておいても死んでいた、せめてもの情けだ、と考えれば多少は情のある行動だが、その真意はわからない】
【そして、その行為を特別どうとも思わずに、当然の事のように平行しながら言葉は続く】

獣がこんな腕を着けるか、獣がこんな脚をしているか、獣がこうも残酷な判断が出来るか
ただ本能のままに貪り、生きる為に殺すだけの獣と、一緒にするなよ

なあ、人の言葉を解せるのだろう?なら語ってやる、語りながら殺してやる
君は人間を、どんな存在だと思う?

【ずるりと音を這い寄らせ、巨腕が少女から手を離して天へと向く、まるで蛇が鎌首を擡げるように、ラインの頭上で待機する】
【言葉が通じると知ったからか、先程よりかは些か愉しそうに、言葉を吐き出すラインは、しかし大人しく立ち話をするでもなく、駆け出した】
【爆発的に疾走するラインは、獣に接近出来れば目の前で移動を止める、右脚を持ち上げ、残った慣性の勢いをつけて、頭部を踏み付ける様に右脚を蹴り出すだろう】

/おかえりなさいませ!
456 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県)[sagesaga]:2015/05/28(木) 20:11:02.54 ID:VQF29gjTo
>>453
/次少し遅れます
457 :アイゼルネ・ユングフラウ ◆4JxTYkzBfA[sage]:2015/05/28(木) 20:16:22.40 ID:oMtTrCFp0
>>453

「ひえっ…で、でも……っきゃああっ!自警団さん!」

【相手に見られた瞬間立ちすくむ少女】
【この少女、実は並大抵の人間よりも非常に臆病なのである】【当然の如くそこで恐怖のためか思考がフリーズ】
【しかも男は少女の制止を聞かずに更に自警団の者を蹂躙しつつある(そこに関しては見事なまでの勘違いなのだが)】
【だがこの人命を踏みにじるようなその態度は残念ながら仇となったようで───?】

「……な、ぅ…ッ〜〜〜〜っ!何バカなこと言ってるんですか……!」

【ぶっちん、と何かが切れてしまったような音が辺りに響く】
【さぞかし耳が良いであろう彼にはきちんとそれは聞こえたことだろう】
【他人の命を弄ばれた光景を目にした少女は、たとえ臆病でも、相手に怒りの念を抱く】
【少女が右腕を横に薙げば空中に複数の棘が現れる】【全長30cm程、ドリルのような形状をした太めの棘だ】
【そんなことができるのは───能力者と呼ばれる類だけ】
【瞳に涙を溜めたまま少女は相手を睨む】【そして自警団の者への侮辱を謝罪させるべく声をあげ────】

「何が24時間の銭湯が閉まるんですか…24時間営業なら!閉まる!ワケ!ないでしょーッッ!」

【…違うんだ、そうじゃない】
【相手が銭湯閉まるといった発言をしたのは相手の身分そのものが自警団に追われるようなものなのであろう】
【それゆえに自警団を返り討ちにしたのであろうが…まあ地の文でメタ推理はよくないからやめておこう】
【自警団の安否で頭がいっぱいな少女にはそれらのことは聞いてなかったのだろうよ】
【そんなこんなで「頭冷やしなさい!」と珍しく叫んでドリルを相手に飛ばす少女】【頭に穴が空きそうな攻撃なのだが、頭を冷やせとはこれ如何に】


458 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/05/28(木) 20:42:49.25 ID:9PjJoLFDO
>>455

【ばしゃ、という音を立て、悲鳴すら上げず少女は絶命した。彼女のことを思うのであれば、それが最善だったのだろう】
【このまま惨たらしくいたぶられるか、或いは放置され衰弱死するか】
【仮に生き延びたとしても、悲惨な身体を引きずりながら生きるはめになる。それらを考えれば、残酷ながらも彼女の行いはある意味正しかったのだ】


   否 ────、 楽シ、 カ、ラ  …………


【ぐるる、と嗤って獣は答えた。生きる為に殺すだけではない。楽しむために殺したのだと、そう言った】
【確かに、喰うためだけなら一思いに殺せばよかったのだ。しかし獣はそうはしなかった】
【腕に脚。死にそうにない場所を選んで、食んでいた。一般的な獣が好みそうな臓物には、一切手をつけていなかった】
【──やはり、只の獣ではない。思考も、ヒトの思考に近いことが窺い知れる】


   ヒ、ト ……、 ググッ。 ……気持チ、悪イ


   【 ──「ヒトは、気持ち悪い存在。醜さを認めず、異質を認めず、同一であろうとする」 】
   【 ──「それは、心底気味が悪い話だ。醜ければ罪なのか。異物であれば罪なのか。同じでなければ、罪なのか」 】


【そのようなことを、獣は言った。聞き取りにくい言葉ではあった。だが確かに、獣はヒトに感情を抱いていた】
【女が、駆けてくる。黒金の獣が駆けてくる。獣の反応は早かった。最初の方こそ動きはなかったものの──】
【右脚が持ち上げられたその刹那、女の胴体に潜り込むようにして身を屈め、全力で空中へ跳ねあげようとするのだ】
【金属製の、女の四肢。腰から生える手はあるものの、背から落ちれば身動きも一瞬は止まると判断したのだろう】
【だが、仮に相手の右脚の動きが止まっていなければ、獣にもダメージはくる】
【胴体に潜り込めていれば剥き出しの背中に、潜り込めずに何らかの対処をされていれば、頭部に踏みつけ攻撃を受ける可能性は高いのだ】

/申し訳ない発見が遅れました
459 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank)[sage saga]:2015/05/28(木) 21:07:10.85 ID:YZb9cavf0
>>444

む…………叱ったほうが良かったのか………………

……まあ、セリーナに聞かれても適当に誤魔化しておく。
それでもまだ問い詰められたら「お前だって今まで散々迷惑かけただろ」って言ってやればいいさ、それがあれば口出し出来なくなるだろうからな。
何、それくらいのミスは誰にでもあるさ、今度から注意すればいいことだ、俺はてっきりそれを髪飾りにして「にこぉっ」ってしている所を見られてそこまで慌てたのかと思ってな。

【何だか少し意地悪な言い方だ、わざわざにこぉっなんて擬音で表現する必要なんてないのに】
【とりあえず彼はちゃんとセリーナには言わないようにしてくれるだろう、もし尋ねられたら今まで心配させていた事を使えば逃げられるとも教えて】

【鈴音が麦茶を頼んだならわざわざ別々にするのも面倒だとミハエルも麦茶にする】
【透明なグラスにいくつか氷を入れて麦茶を割る、冷たくなって汗をかき始めたそれは格好だけならウイスキーにも似ていたのだった】

【カラン、と氷を鳴らしながら目の前に差し出すと、ようやく彼女の話を聞く番に】
【さてさて元軍人のミハエルにお菓子以上に可愛らしいことが出来るか…………】

うん……?そうだな、どこに置いたらいいかぐらいしか経験も知識もあるわけじゃないが…………
どれ、試しに一つやってみようか、バランス良くだな………………

【気に入らなかったら元に戻せる、頭の中でイメージしているよりもまずは作ってみよう、と】
【UTといえば何となく黄色やオレンジ、と連想しつつ 小さく唸りながら数分ほど花瓶と格闘】
【そしてとりあえずはと見せてみるのは太陽のように開いた数本のオレンジと白のバラをベースにしたもので、周りを白の方が強いオレンジ色(調べてみればミノウオレンジだとか)のガーベラを散らしてみたようなもの】
【アクセントに緑の葉物でもあれば単純ではなくなるのだが、どうにもこれとは決めかねて】
【一緒になって考えてみるのもいいだろう、彼はあと一歩、何かが欲しいと思っている所なのだ】

/遅くなりました…………そして実は1時間ほど席を外さねばならず…………
/今日も持ち越しならば以降は置きレスに移動ということにして頂ければと……!
460 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県)[sagesaga]:2015/05/28(木) 21:08:42.49 ID:VQF29gjTo
>>457

「いちいちキャーキャー騒ぐんじゃアねェぜ、人が集まるだァろう?」

【こう発言はしているものの、明らかに本気の口調ではない――別に集まられても構わない、そう暗に言っているようだ】
【カノッサ機関の力が強いこの辺りは治安があまり良くなく、当然騒ぎで集まる勢力もどちらが多いかと言われれば――】
【……まあ、今のところ誰かが来る様子はない。敵か味方か、ひとまず増えることはないだろう】

「――ククッ、棘か」 「弟ェ子の野ァ郎と違って近距離向けの身ァ体つきじゃアねェが……」

【相手にその気が有るのに抵抗しない、そんな事をする者なら素直に交渉に応じるだろうし、そもそも自警団員は無事だった】
【気絶した自警団員を壁に押し付けるようにしつつ手を離せば、それは壁伝いにずるずると下がり、やがては野垂れ死んでいるかの様な体勢になる】
【それと同時に、この者の足許に魔法陣が出現した――闇がいずる、形を成してゆく――】

「そォォオオーーれが閉ィまるんだなァァア!」
「"銭湯カオスフレイム"は24時間営業だァが、客が騒いで破ァ壊行為起ォこせば修ゥ繕で閉ィめるんだよ、店をなァッ!」
「あァ、どォーだ?」 「今、俺様を見ィ逃せば、護ォ衛付きで良ォい宿二泊三日、前述の銭湯入り放ォ題付きをやァろう」

【……冗談みたいな銭湯名が出てきたが、ここから真っすぐ20分弱歩けば本当にあったりする】
【と、それはともかくとして――棘により作られたドリルをこの者が確認すれば】
【手に魔力――"生命と変化の、混沌の魔力"を纏わせつつ、身体の向きを棘に対して平行にし――そしてそれを思いっきり左拳で横殴り】
【しかも"わざと"、自警団の近くに逸れるように弾いた形だ】 【但しその"わざと"の為に余計な負荷がかかってしまい、手から血が滲む】

【闇の作る形は完成し、それは――2匹の蜘蛛だった、体長は10cm前後で……その全身に赤色の棘を生やした、凶暴そうな蜘蛛】
【その者の両足の近くに居るその蜘蛛は、それぞれ臀部から己の体長程有るの棘の塊を発射】 【狙いは相手の両肩だ、棘の塊は強度も速度もそこまでではないが】
【棘を固めているのは"体液"――糸化する前の体液で固めた為、粘性が有る。当たった場合、棘が長く残り持続的なダメージを与える、あるいは行動を阻害する可能性がある】
461 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/05/28(木) 21:32:41.89 ID:nxO/ZZov0
>>459

【――だからと言って、そういわれると、彼女はしゅんと眉を下げてしまうのだろう】
【怒られるのはどうにも苦手だ。身体がぎゅっと硬くなってしまって、何も、聞こえなくなってしまう】
【怒られることがそれだけで彼女にとってはどうしようもない恐怖になる。声を荒げでもすれば、】
【それだけで彼女をどうようもない恐怖と混乱に叩き込めるくらい、――或いは、欠陥みたいな特性だけど】

…………ミハエルのいじわる。

【まあ、それは余談だった。ミハエルが怒鳴り散らすようなタイプじゃないのは分かりきっていることだし、】
【それどこかだまっておいてなんてお願いまで聞いてくれる。怒られないなら、彼女も、少しは気が楽になったのか】
【わざーとらしいことを言われたときには、少し拗ねたように視線を逸らして、そう呟くのだろう】

【それから後の彼女は、少し拗ねたみたいな顔をして椅子に座っていた。だけど、それは彼が悪いわけではなく】
【花を上手に活けられなかった自分への不満もあるし、失敗に対して凹んでもいるし、ついでにいえば恥ずかしいところも見られ】
【少し気分的にテンションが低いらしいのだった。麦茶の氷をからから言わせながら、いやにちびちびと飲んでいて】

【彼が使わなかったバラの花を手繰り寄せて束ねてみる。ピンクに咲いたオークランドに、不思議な色のシルバーミスト】
【明るい紫の色味のライラッククラシック、――と、名前を並べてはみたが、彼女はそれらを把握しておらず】
【友達にお店にお花を飾りたいと言ったら適当にざっくりと手渡されたので、なにがなんだか――という状態らしく】
【とりあえずある中から紫やピンクの系統のものを集めて、数本で纏めてみて、それから】
【多分彼女は希望しなかったのだ。相手が自主的に置いたのだろう、数本のアジアンタムのふわふわした枝】
【なんとなしにそれも加えて差してみて――、全体的に明るく柔らかな印象の花束――を作ったのだが、どうにも不満顔】
【数時間キンクリするくらい悩んで拗ねた後のことなので、どうにも気に食わないらしいのだった。ぽす、と、机に投げ出してしまい】

……ねえ、ミハエル、これかわいいね。

【今日は珍しく機嫌がよくない。……なんて思っていたら、彼女は、自ら投げ出しせいでばらけた花たちを引きずりよせ】
【さっき髪に挿していたバラ(オークランドピンク)を柔く突っついてから、あれも、これも、と、かわいがりだす】
【最終的にはアジタンタムのぽよっぽよの葉っぱを揺らして――その頃には機嫌が直っているらしいから、単純だ】
【(或いは子供っぽい。それが扱いやすいところでもあるし、扱いづらいところでもあるし――ただ、今日はいいほうに動いて)】

ミハエルって、黄色とか、オレンジ、好きなの?
わたしね、ピンク色が好き。あとね、水色――、紫も好きかなぁ。

【彼が見せてくれた花瓶。黄色やオレンジのビタミンカラーで纏められたそれを見て、彼女はそんな風に尋ねる】
【彼女が選んでいたバラも皆ピンクか紫か、そういう色だった。――それから、彼女は身を乗り出すようにして、腕を伸ばし】
【黄色とオレンジの花瓶の中に、少しだけ悪戯っぽく。アジアンタムの優しい緑色を、そっと混ぜ込んでみるのだった】

【元気いっぱいの色合いと、ぽよぽよした葉っぱの緑。少し雰囲気が違う気もするが、――ありかなしかを決めるのは、この二人のはずで】

/了解ですー、それで大丈夫ですっ
462 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/28(木) 21:33:06.16 ID:4wq6kjNro
>>458
【人の脚よりも強靭な黒鉄の脚が獣を踏み付ける、だがそれは想定よりも深く、獣の背中を捉えていた】
【否、狙いをずらされたのだ、背中にもダメージはあるだろうが、頭部へのそれと比べれば遥かに小さい】
【次の瞬間、ラインの体は空中に浮かんでいた、潜り込んだ獣に弾き飛ばされ、引っくり返る体制で落下する】

───く、ふふ……そうかそうか、君は人間をそう考えるか
いいよ、凄くいい、素晴らしい考えを持つじゃあないか

【だが、その背中が地面に着く事はなく、代わりに巨腕が素早く地面に爪を突き立てて、巨腕を一本柱のような支えとなって落下を阻止した】
【まともな声にならない獣の声を聞き分けているのか、ラインは喉を鳴らして笑った。まるで嘲笑うかのように】

罪である事を、蔑まれる事を、認められぬ事を恐れる、か
獣から見ればそうだろう、人はつまらぬ同調意識で縛りあって生きている愚か者だ

【ぐりん、と巨腕が手首を捻る、巨腕と繋がっているラインの体が前の方向へと回転し、タイミングを合わせて巨腕が地面から手を離すと、前方に回転しながら発射される形となる】
【回転するラインは四肢の爪を立てながら、獣へと再び向かっていく、相手を削り取る黒鉄の斬撃だ】

愚かだ、ああ愚かだよ、とても愚かで、美しい、それが人間だ、と僕は考えるよ
何故か聞きたいかい?

【だが、所詮は人の身一つ、いくら鋼鉄の四肢があろうとも、空中に浮いているのでは踏ん張りは効かず、また狙いを変更する事も出来ない】
【回避も、防御も容易いだろう】
463 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/05/28(木) 22:03:06.78 ID:9PjJoLFDO
>>462

【ざり、と背に鈍い感触が襲う。だが、踏まれる程度のダメージで怯む獣ではなかった】
【痛いといえば、確かに痛いのだ。だが、痛いだけならば、獣にとってどうということない】


────己ヲ、否定サレ、良シト……ソウ、思ウ。
ググ……フ、フ。ギィ……理解、シヨウトモ 思ワ、ナイ、ナ

ダガ、聞コウ──同族ニスラ石ヲ投ゲラレ、人里ニ逃ゲレバ怪物ト、罵ラレ
ソレデモ何故、ヒトヲ美シイト思ウノカ


【──それは、恨み節だった。獣とヒトが雑ざりあったような外見たる「獣」の、恨みだった】
【赤い視線が、憎らしげに女へと向かう。その言葉に、偽りがあるようには思えなかった】
【声色がより一層、低くなる。負の感情が混じりあい、赤い瞳が激しく揺らいでいた】


聞コウ────オ前ハ、…………!!


【ぐ、んと獣の形が歪む。あたかもそれは影そのものと化したかのように引き伸ばされ、形を変えて斬撃を潜り抜ける】
【これは魔術だ。それも、黒魔術の類い。形を変えた瞬間、魔力が確かに獣から迸った】
【そして女の突撃を回避ひた「獣」は彼女から距離を取り、魔術を行使し再び形を構成しはじめ……!】


     ──── あなたは何故、ヒトを肯定できるのかを


        【  女 ──── ?  】


【獣がいるべき場所に居たのは、1人の女だった。艶やかな黒い長髪に、赤い瞳をした、女】
【ボディラインを強調させた黒いドレスに、左手の小指に嵌まった黒きダイヤの指輪】
【先ほどの醜い獣からは想像も出来ないような見た目の女が、そこにいた】
【──ソレは果たして獣なのだろうか。それとも、ヒトなのだろうか】
【気付けば、路地に射していた月明かりは消えていた。暗闇と静寂の中、あの獣と同じ目をした女は静かに、ラインに問いかける】
464 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage]:2015/05/28(木) 22:09:29.01 ID:582MIQ3u0
【――――世界は、絶えず時の流れと共に移り変わっていき、今を生きる人の数だけ、物語もまた時の流れと共に紡がれていく】
【今を生きる人の数だけ紡がれる、幾百億編の物語――――】



【――――風の国 広場】

ふむ……嫌な話だが、世相の乱れも1つの商機か……
「……客たちの、この自衛の意識の高さは意外な程だねぇ……正直、僕には防犯程度の役にしか立たない様な気がするけど、それでもこれだけ売れるなんてね……」

【分厚い筋肉質の肉体を暗緑色の皮膚で覆い、赤茶けた髪をもっさりと生やしている】
【何かの獣の皮革を材料としたらしいと思しき頑丈な半ズボンに、両腰に巨大な短斧(柄の短い斧)をぶら下げた】
【素肌を晒している上半身の、その胸元に焼きごてらしきもので魔方陣の様なものを焼きいれている、身長220cm程の巨人と】

【華奢ながらも筋肉の浮き出た色白な上半身を晒す様に、ワイシャツだけをボタンも留めずに羽織り】
【下半身はジーンズとスニーカーで固め、腰回りに大量のチェーン装飾を巻き付けた】
【くすんだ水色の髪を前髪ばかり長くした、身長170cm前後の青年が】

【広場の片隅に広げられたテントの前で、何気なく雑談に興じている】
【露店として開かれていた場所の様だが、今は商品はあらかた仕舞いこまれ、店そのものを畳もうかと言う頃合いなのだろう】

……お前さんの移動能力には感謝するよ。おかげで安全かつ短時間で移動する事が出来た……
「ま、見返りが魅力的だからさ……こっちこそ、色々と見聞き出来てありがたいと思ってるよ。流石に魔海なんて、僕には入るのも無理だからねぇ……」
互いに利益があると言うのは、ありがたい話だな……

【ランタンの明かりの中、仕事終わりの雑談と言った趣の会話を楽しむ2人。広場の片隅で、その明かりだけが闇を照らして光っていた】



【――――所変わって、風の国 路地裏】

「――――二六の丁!」
あーあ! これですっからかんだぜ、畜生!

【くたびれた薄いスーツを右肩にひっかけ、Yシャツにスラックスとテンガロンハットにその身を包んでいる】
【やや無精髭の目立つ顎に、やや長めでだらしなく乱れ気味の金髪とは裏腹に、活力に満ちた瞳を光らせている】
【腰に、鞘に収まったごつい2本のナイフ、何本ものハードダーツ、そして一丁のリボルバーハンドガンをぶら下げている、身長170cm前後の男性が】
【路地裏に屯している連中の中で、悔しげに声を張り上げている】

【木箱の上で行われているのは、いわゆる「丁半」であり、上半身裸で胸にさらしを巻いただけの女性が振るサイコロに、参加者は一喜一憂する】
【取り仕切り役らしき3人の男たちが見守る中、テンガロンハットの男性は乱暴に立ち上がり、木箱の前を離れた】

「旦那、今日は随分具合が悪い様で……」
ったく、この30分で100000もパーだぜ? 久々に頭抱えたくなるくらい負けが込んじまった!
「御冗談を……旦那はむしろ勝ってる方ですよ。収支の成績良いじゃないですか」
そりゃまぁ、な。俺には女神がついてるからよ……とはいえ、流石に今日はお呼びじゃないらしいな。安いつまみでも買って、家で自棄食いしてやるよ……
「えぇ、次を待ってますよ。旦那……」

【賭けに夢中になっている一団を背に、男性は路地裏の一角を後にする】
【葉巻を加えて火をつける、歩き姿のその背中は、言い様の無い哀愁が漂っていた】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】
465 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/05/28(木) 22:21:54.47 ID:oEee106vo
>>454

【――見舞いに来てくれと言われれば、二つ返事でそれを快諾する】
【当然のことだ。衣織を思う気持ちは、その母である皐月を除けば】
【早々誰かに負ける物ではないのだから。虎千代もまた、不安げではあったが】
【銀狼の影に付き添うような形で後に従い――共に病室へ赴いて。】


【一命を取り留め、静かに眠る衣織。そして寄り添う皐月の姿】
【こうならなければ最上だったが、とひどく複雑な気持ちを銀狼は抱え】
【また一方で、同じ程度の年頃である虎千代もきゅっと銀狼の右手を握っており】

……っ、あ…衣織っ……! 目が覚めたかや……ん、む……。

……ふふ、儂の腕などなんて事は無い。
妖怪というのは丈夫での、時が経てば元に戻るのよ
それに、左腕などよりもお主の方が大事なのは言うまでもあるまいて。

のう、衣織……儂は大丈夫じゃ、お主が無事で本当に良かった

【目覚めた少女に対しては、あくまでも気丈に振る舞ってみせる】
【真実が半分、嘘も半分。如何に妖怪とはいえ、片腕を失って全く無事等ということはない】

【しかしけらけらと笑って見せる姿は、少なくとも今は元気なままに見えるはずで】
【残った右腕をそっと伸ばせば、安心させる様に額を撫でて】
【そのまま前髪を梳くようにしてやりながら、尻尾の先で頬を擽り―。】

/大変お待たせしました、今からは普通にお返し出来ますので……!
466 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/28(木) 22:38:25.03 ID:4wq6kjNro
>>463
【捉えた───いや、それにしては余りにも手応えが無さ過ぎる】
【これはすり抜けたのか、と理解するのは早かった。成る程人語を解する獣がただの獣な訳が無い、生意気にも異能を持っていても当然の事だ】
【重力に引かれ、落ちる体を広げ、四肢の爪を地面に突き立て勢いを殺す、火花を散らしてアスファルトを滑りながら、氷上のように振り向いた】

【犬のような四つん這いになって、振り向いた先にいたのは今まで相対していた獣ではなくなっていた、そこにいたのは一人の女性、人間だ】
【だが、それが今までそこにいた獣と同一の物だとすぐに気付いた、目を見ればすぐにわかった】

人に化けたか───いや、人『が』化けていたのかな?まあどちらでもいい
何にしろ、やはりただの獣ではなかったという事だ

【四つん這いの状態から立ち上がろうとはしないライン、すっかり最初と目線の高さが逆転してしまっている】
【「くふ」と小さく笑うと、目の前の女が問い掛けた言葉に頷いた。暗闇に赤い獣眼が輝く】

何故ならば、『だからこそ』だ
人は人を簡単に憎み、蔑み、嫉妬し、自身と違う物を恐れ、排除しようとする。なんと醜く、愚かなのだろうか
だが、だからこそ人は素晴らしい、獣のそれとは違う残酷さがある

例えば君があのいたいけな少女にしたように、遊びで他の生き物の命を弄ぶ行為、あれは残酷であるが、だがその程度はシャチや猿程度の知能でも出来ること
人間は違う、ただ命を弄ぶのではなく、それを自己の中で肯定し正当化し、罪とも思わぬ事が出来る
己らとは異なる歪を例えどんなに無害であろうとも恐れられる、慈悲深き優しさを送り他者を堕落させられる、正義と言う大義名分を掲げて人の夢をすり潰す事が出来る、仲間というコロニーでそれ以外を拒絶出来る
血生臭いだけではない、複雑なロジックとパターンで様々な残酷さを見せてくれる、かつ、それを残酷なのだと欠片にも思っていない

人間以外にこんな生物がいるか、こんなに素晴らしく残酷な生物は、他にはいない
己一人では犬畜生にも劣る力を隠す為、数と暴力と自論で武装して、他者と混ざり合わなければ生きていけない、なのに皆自分を突出した存在になりたいと願っている
残酷で、矛盾に塗れ、弱い存在。それが人間らしさだと僕は思う
従って、君の言う『気持ち悪い』理由こそが、僕が人間を愛する理由。人間らしさだ

須らくの存在を愛し抱き締め、醜さも異端も引っくるめて肯定する聖人君子なんて、それこそ気持ちが悪いよ
人とは汚く、醜いものだ、それも単純なテンプレートでは無く、もっと複雑に。だから素晴らしい

【嗤う、笑う、嘲笑う───語る言葉の途中途中で、噴き出すような笑いが混じる】
【顎を上げ、ウットリするような笑いと共に、人を好く理由を語る。『残酷で醜いからこそ人は人で、素晴らしい』と】
【綺麗な事を求めるのは邪道、性悪説こそ人を語る物差しなのだと、ライン=アインツヴァイドは考えている】
【故に、女性が人を気味悪がる理由がそのまま、ラインが人を好む理由だとも言えるもので】
467 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/28(木) 22:53:51.10 ID:Seg1kURk0
>>465

―――そっか……―――
――えへへ、……ぎんちゃん、って――――……やっぱり……やさしいね―――

【衣織は、まだ覚醒しきっていない意識の中で、母親や銀狼が隣に居る安心感を覚えていたが】
【同時に、大好きな銀狼の身体を傷付けてしまった事を悲しんでいて……―――でも】
【その悲しい感情は、銀狼の気丈な言葉に救われる。―――腕よりも大事だ、って……その一言で。】

【腕が無くなって無事なんて事はないかもしれない。でも……きっと、腕よりも大事に思ってくれたのは本当だから】
【腕を失くしてでも守ってくれて、無事を喜んでくれる……その心に、きっと嘘偽りなんて無いから】
【そんな優しくて強い「銀ちゃん」に、本当に言わなきゃいけないのは「ごめんなさい」じゃなくて―――】

―――それじゃ、……ごめんなさいより……―――ありがと、って……言わなきゃ、いけない……ね―――
……―――ぎん、ちゃん……―――たすけてくれて、ありがと―――

【―――銀狼の手で撫でられながら、今度こそ人懐っこい笑顔を見せて、感謝の気持ちを伝えるのだった。】
【「ありがとう。貴女が命懸けで助けてくれたから、私は今こうやって生きていられます―――」って。】
【その気持ちが、きっと命を張って助けてくれた銀狼への一番の報いになる筈だから―――】

//すみません、少し気付くのが遅れました……!
468 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage]:2015/05/28(木) 23:05:07.22 ID:582MIQ3u0
/>>464取り消しで
469 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank)[sage saga]:2015/05/28(木) 23:09:13.10 ID:YZb9cavf0
>>461

【彼にはどうにもかわいいという感性が少し足りていない気がする、尤も 背も高くて筋肉もしまっていて職業が軍人でしたという人が可愛い可愛いと言ってもそれはそれで似合わないもので】
【だからこそ鈴音よりも大きな手で普段からちまちまクッキーを形作っていたり、今こうして真面目に花を選んでいたりすると中々にシュールなのだが…………可愛いというのはそういったものとはまた別方向にあるのだろう】

かわいい、か…………やはり俺にそういったことは少々難しいようだ。
特に最近の女性は何にでもかわいいと言う癖があるのか……ポッチャリした流行りの芸人や奇抜なファッションのアイドルにまでそんな調子の会話が目立つな。
……まあ、だからといって分からないわけでもない、少なくともスズランやイチゴにはそういった言葉は正しいだろう。

………………それ、セリーナにプレゼントしてみれば良いんじゃないか……?
何、難しいことじゃない、ただ一言 おかえりとかありがとうとでも言って渡してみたらどうだ?
面と向かってが恥ずかしいならアイツの目につく所にでも置いておけばいいし、余ったならそれも良いと思うぞ。

【ちょっと花束の形にしてみたのなら、ついでに渡してみればなんて提案する】
【リボンでちょっと格好つけてみれば貰ってくれる、勤労感謝の意味を込めてそれも良いのではないかと鈴音に話すのだった】

俺は…………そうだな、青やエメラルドが好みかもな。
暖かい色を選んだのは店の雰囲気に合わせようとしたからだ、活発な印象というものだな。
鈴音は静かで落ち着いた色が好きなのか、それとかわいい色、だな?

【話しているうちに出来たのはイメージしたような活発で元気のある花瓶】
【ミハエルがアジアンタムの位置を調整して、その緑はまるで羽衣のように花を際立たせてくれて】
【とりあえず完成、ふーっと息を吐くとようやく麦茶に口をつけるのだった】

/ちょっと早いのですが中断をお願いしたく!
/ここから先は置きレスに移行でよろしいでしょうか?
470 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/05/28(木) 23:14:34.74 ID:oEee106vo
>>467

【少女の返事――ごめんなさいではなくありがとう、というそれに】
【銀狼は満足気に、そしてやさしく笑ってみせる】

【この場においては虎千代だけが知ることだが、気持ちを伝えるのなら】
【謝罪よりも感謝のほうがよほど良い物だ、というのが銀狼の考えで】
【実際にそうしてくれた少女の言葉が嬉しかったのだろう。やがて手を引くと】

さて、衣織や……こっちは儂の孫でな、虎千代と云う。
今は旅の途中での、ちょうど歳の頃はお主と同じじゃ。

【少々用があって、時々見舞いに来るだろうから――と続けると】
【先ほど皐月と交わしたような、ちょっとした自己紹介をすることになるだろう】
【流石に握手とは行かないが、言葉を交えるだけでも十分なはずで】

【――やがてそれも終われば、銀狼はふと視線を皐月に向ける】
【傷付いた少女をいつまでも付き合わせるわけにも行かないか、という意志確認のそれだった。】

/いえいえ、こちらこそ遅れてしまったわけですからお気になさらず!
471 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/05/28(木) 23:15:20.58 ID:nxO/ZZov0
>>469
/了解です、大丈夫ですよー、次のレスはこの後置きのほうに返しておきますね!
/明日明後日の夜は夜更かしできますので、その間だけ本スレに戻るとかも出来ますので
/何かご要望あったら後にでもどっかで教えてくださいなー、ひとまず今日はお疲れ様でした!
472 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/05/28(木) 23:17:02.36 ID:9PjJoLFDO
>>466

【──長い、長い理由だった。だが女はそれを、口を挟むことも頷くこともなく、聞いていた】
【ため息すらつかない。ただひたすらに長い文言を聞き、そして】


────呆れた。随分見下しているのね、人間のこと

醜さを愛し、汚れを好み、残酷さを笑う。……あなたのそれは、ペットのネズミが互いに噛み合う姿を見て笑う飼い主みたい

……ねぇ、私にはあなたが人間にしか見えないわ。だから、教えて頂戴
何故、たったそれっぽっちの力しか持たないのにそんなに人を下に見れるかを
ただ5本の丈夫な手足があるだけでしょう? なのに、どうしてそんな見下した笑みが浮かぶのかしら

……確かにヒトは、醜いわ。でも、それを肯定し愛するあなたは、もっと醜く見える
私にはわからない。……気持ち悪いわ、あなた。そうやって醜さを知って、それを笑い飛ばすかのように愛するだなんて
結構ヒトの気持ち悪さを知っているようだけれど……あなたの否定する聖人君子とあなた、何が違うのかしら
結局、聖人君子様もあなたも、ヒトの醜さも異端も肯定しているじゃない

──ねぇ。あなたは自分自身のことを、気持ち悪いだなんて思わないの?


【静かに、言葉を紡ぐ。獣からヒトの形になったのは、ただ会話を相手が求めており、たまたま応じる気になったから】
【それに加えて──見た目がどこか似ていたから、話そうとなんとなく思ったことも起因していたが】
【どうやらそれは、気のせいだったようだと女は思った。ヒトの醜さを肯定し、愛する──それは女が嫌いなタイプの人間なのだ】
【苛立ちが脳内できぃきぃと音を立てる。おおよそ彼女はヒトが嫌いだったが、目の前の女はその中でもトップクラスに嫌いなタイプだった】

/ごめんなさい、電話がかかってきて遅れました……
473 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/28(木) 23:38:14.48 ID:Seg1kURk0
>>465

―――そっか……―――
――えへへ、……ぎんちゃん、って――――……やっぱり……やさしいね―――

【衣織は、まだ覚醒しきっていない意識の中で、母親や銀狼が隣に居る安心感を覚えていたが】
【同時に、大好きな銀狼の身体を傷付けてしまった事を悲しんでいて……―――でも】
【その悲しい感情は、銀狼の気丈な言葉に救われる。―――腕よりも大事だ、って……その一言で。】

【腕が無くなって無事なんて事はないかもしれない。でも……きっと、腕よりも大事に思ってくれたのは本当だから】
【腕を失くしてでも守ってくれて、無事を喜んでくれる……その心に、きっと嘘偽りなんて無いから】
【そんな優しくて強い「銀ちゃん」に、本当に言わなきゃいけないのは「ごめんなさい」じゃなくて―――】

―――それじゃ、……ごめんなさいより……―――ありがと、って……言わなきゃ、いけない……ね―――
……―――ぎん、ちゃん……―――たすけてくれて、ありがと―――

【―――銀狼の手で撫でられながら、今度こそ人懐っこい笑顔を見せて、感謝の気持ちを伝えるのだった。】
【「ありがとう。貴女が命懸けで助けてくれたから、私は今こうやって生きていられます―――」って。】
【その気持ちが、きっと命を張って助けてくれた銀狼への一番の報いになる筈だから―――】

>>470

……虎千代くん、って……いうんだ。―――えっと、……―――とらちゃんって、……呼んで、いい?
―――えっと、―――……わたしは、衣織って、……いいます。えへへ……―――よろしくね。

【自分と(見た目は)歳の近しい少年と挨拶する。「銀ちゃんのお孫さんなら、この子もおおかみさんなのかな」とか】
【「可愛い男の子だな、仲良くなってくれるかな」とか、そんな事を考えながら……そして、それも終えれば】

【撫でてくれる手が心地かったのか、衣織は再び目を閉じる。無理もない、きっとまだ体力は回復していないだろうから】
【今は、大好きな二人に見守られながら安心して休むのが良いに違いない。―――休めば、きっとまた元気な笑顔を見せてくれる】


「―――今日は、私は衣織の傍にいてあげるつもりです。えへへ……少し、心配性かもしれませんね。
 銀狼さん。―――娘を護って下さって、本当に有難う御座いました。」 

【皐月は、今日は一晩中衣織に付き添うらしい。娘を一人にしたくないのは親の情というもので】
【となれば、銀狼たちとは今日は此処でお別れだろうか。流石に二人を一晩中付き合わせる訳にも行くまい】
【別れ際、皐月は銀狼たちに告げる。「ありがとう」―――母として、娘を守ってくれたことに感謝して】

【もう一つ付け加えるように「もし右腕が無くて困っている事があったら、いつでも家に来て」とも告げる】
【銀狼自身は気丈に振舞っているが、腕が無いハンデは想像以上の物だろう。だから、困った時は少しでも助けになりたい】

【かくして、一人の少女の命は救われた。―――きっとまた何時か、元気な姿を見せてくれるだろう】
474 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/28(木) 23:45:53.52 ID:Seg1kURk0
//すみません、なぜか前のレスが混ざってました……
475 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/28(木) 23:53:35.48 ID:4wq6kjNro
>>472
くふ

くふふふふふふ、ふふ、はは……なんだいその顔は、僕の口から感心するようなご高説が聞けると思っていたのかい?
期待するのは勝手だけど、勝手に呆れられるのもいい気分ではないなあ、まあいいけど

人を見下しているとは言うけれど、僕は一言足りとも人間をリスペクトしていると言った覚えは無いよ
愛でるように人間を愛する事の何が悪いと言うんだい?力が無ければ人を上から見てはならないだなんて、思想の自由に反するじゃないか

ああ、確かに言ったね、『聖人君子など気持ち悪い』と、だがそれは否定にならないと僕の話を聞いていれば分かるはずだ
全てを受け入れ、抱きしめる事は残酷だ、故にそれも素晴らしい
結局、人はみんな、何処かに残酷さを持っているのさ、それを自覚してるにしろしていないにしろ───だから僕は人間が好きなんだよ
でも、僕自身僕の考えが絶対だとは思っていない、だから考えて探している、『つまり人間の本質とは何か』と

……質問に答えようか、僕は自分をどう思うか───気持ち悪い、かもしれないし、好きかもしれないし、どうでもいいかもしれない
生憎と鏡は余り見ないものでね、自分に対して何か思う機会が少ないのさ、だから自分についてどう思うか自分でもわからない
質問を返すようになるけど、じゃあ君は君自身をどう思う?気持ち悪いと思うか?それとも別に何か?それは思い込みではなく本心からか?

【結局の所、彼女はただ人の性悪説を好きなだけであって、そこにちゃんとした理由や理屈なんてなく、それらしく取り繕っているだけだ】
【人の言葉を真似、人の考えを真似、矛盾や思考すらも飲み込んでしまう。こっちの方がよっぽど『人に化けた獣』かもしれない】
476 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/05/29(金) 00:15:01.59 ID:JfneUykto
>>473

なんの、寄り添ってやるのが今のお主の仕事だからの。
心配し過ぎて困るような事もあるまいて……今宵くらいは、一緒に居てやるが良い。

……されば、儂も虎千代も行くとしようか
また時折様子を見に来るからの、大人しく傷を癒やすように。
さて、と……たまには孫にご飯でも奢ってもらおうかのー

【そういって、銀狼は少年の手を引いて部屋を後にする事となる】
【もっともその直前、困ったら――と言われると笑って頷き】
【『またご飯でも食べさせてもらおうかの』と返事をして、戸を閉めるのだった】

【――後日、時には銀狼一人で。或いは虎千代だけで、衣織の元に見舞いに来るだろう】
【見舞いの品はあったりなかったり。もっとも、飽かすような事は無いのだが】
【獣については――すぐには何とも言えないが、街では時折狼の姿が見られるようになった、という。】

/っと、キリも良さそうですしこの辺でしょうか!
/最後でお待たせしてしまい申し訳ないっ、お疲れ様でしたー!
477 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/05/29(金) 00:25:14.43 ID:rNrX+vKDO
>>475

【──今度こそ、彼女はため息をついた。ひた、と裸足の足で地面を踏む】


……私自身? ────気持ち悪いと思うわ
誰だってそう思うでしょう? あんな見た目で、あんな姿で。気持ち悪くないわけがないでしょう

私は私のこと、嫌いよ。……今の姿の私は好き。でも、あの姿の私は嫌い
私はあなたほど気味悪く、自分の醜さを許容できないの


それに──絶対的なヒトの本質だなんて、探すのは無駄だと思うわ
あの六罪王ベクターとさっきの女の子に、共通解なんてない
これといったひとつの答えなんて、どこにもありはしないわ


【ひた、とまた地面を踏む。じわりと、女の周囲が影で満たされていく】
【影はぞろりと女に這い上がり、緩やかに黒く染め上げていく】


……つまらない夜になったわ。あの子はあっさりあなたに殺されてしまうし、
かといってあなたの言葉は霧を掴むようで頭に入ってこない
ヒトに話を聞かせたければ、もっと短く纏めるのを覚えるコトね、処女くさいお嬢さん
そんなふうにごてごてと取り繕ってばかりで煙に巻くような言い方ばかりだと、いずれ芯がないことがバレてしまうわ


【──ずるり。赤い瞳だけを残し、女が影に染まる。女は笑わず、赤色の視線をラインに向ける】
【浮かべる表情は、なかった。先ほど僅かに抱いたラインへの感情すら、もう残っていなかった】
【影に包まれた女の身体が、ゆるりとその場に沈みこんでいき──】


…………ヒトの真似がしたかったら、沈黙をこそ学びなさい


【とぷん。影の飛沫を僅かに残し、女はその場から姿を消した】
【残されたのは、ヒトを模した獣のみ。それすらきっと立ち去って、最後には静寂と、思い出したかのように再度射してきた月光のみが残るのだ】

/っと、そろそろ夜遅くなりましたし、この辺りで〆で!
/ありがとうございました、お疲れさまでしたー!
478 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県)[sagesaga]:2015/05/29(金) 00:31:01.48 ID:z1ODyPLbo
>>460
/すみません、今日は落ちます。明日は19〜20時辺りに帰ってくると思います
479 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/29(金) 00:31:31.03 ID:08qK7y1P0
>>476

【こちらも後日談。当然衣織はしばらく安静にして過ごす事になるが】
【見舞いに来る度に、日増しに体力を取り戻しているのが分かるだろう】

【衣織は見舞いに来てくれる銀狼たちを楽しみに待っているらしく】
【きっと、病室を訪れれば衣織の人懐っこい笑顔が待ち受けている筈だ】
【品物よりも、皆が来てくれるのが嬉しい。何せ病院は退屈だもの……】
【虎千代とも旅のお話を訊いてみたりして、他愛もない会話を楽しむ筈だ】
【持ち前の明るさと元気さも復活し、近い内にリハビリに移るのだとか……】

//はい、其方こそお疲れ様でした!
480 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/29(金) 00:39:14.27 ID:uYwSpNL/o
>>477
───相容れない、という奴かな。まあ肯定されるとも思ってないけど

……僕の思考と、その他ヒューマニストの思考、一体何処が違うと言うんだい?
同じだよ、受け入れられる許容範囲が広いか狭いかだけ、ただそれだけだ
やはり間を埋める為に爪でも向けるべきだったかい?
でも、先に爪を納めたのは君の方だ

だが、君の答えも覚えておこう、『人の本質など無い』という事を
最後の手段に、この答えを持っておくのもありかな

【一人残された人間モドキ、路地裏の闇に佇んで、誰にも聞こえぬ返答を返す。言い訳のようにも聞こえる言葉を飄々と】
【また再び月が雲に隠れて、また隙間から月光が射し込んだころには彼女の姿は消えていた】

【人の本質を知りたがるのは、それ自体自分が人間とは程遠いと知っているからかもしれなくて、しかし獣ともなり切れなくて】
【では一体自分は何なのか、それを知る事はきっと無い】

/お疲れ様でしたー!
481 : ◆ItbpQ6xKnU[sage]:2015/05/29(金) 20:49:42.57 ID:NbSUvrzoo
/>>366で再投下します
482 :リチャード・トラヴィス ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/29(金) 21:00:08.50 ID:9LcSYDnko
【酒場】

【そこは表通りの外れにあるけれど、かといって路地裏の奥深くというわけでもない、どこにでもあるような酒場だった】
【どこぞのゴロツキがたむろすることもあれば、日によっては自警団員がやってくることもある。おかげで治安もそこまで悪いわけではない】
【そんなわけで、あまり目立つ場所ではないけれど――表と裏、両方の情報が集まるという意味では、貴重な場所だ】


「おい、あれ…………」

「あぁ…………おい、どうするよ…………?」


【そのただ中。戸惑いと下卑た笑みの両方を交互に覗かせて、数箇所からひそひそと話し声が聞こえてくる】
【あいにくと、今日の客層はやや剣呑な方向に傾いていた。いま話しているのもちょっと柄の悪そうな男数名だ】
【とはいえ彼らも日常的に犯罪を行うような大物ではない。殊更に意地の悪い性格はしているけれど、理由もなく喧嘩を吹っ掛けることはない】
【しかし今日は、運悪く……まさにその理由≠ノなり得る要因が、ちょうど彼らの視線の先に存在していた】


………………。


【窓際の二人席。白いシャツに臙脂色のカーディガン、ジーンズというごく普通の格好に、茶色のハンチング帽と野暮ったい黒縁メガネを装着した少年がいる】
【帽子で無理矢理隠しているが、巻き気味の水色の髪は艶やかで、毛の一本一本にまでしっかりと手入れが行き届いており】
【ルビーをはめ込んだような赤色の双眸には年に不相応なほどの落ち着きがあって、なにげない挙措のひとつひとつから優雅さが滲み出ていた】
【……どこのお坊ちゃんか知らないが、まるで雰囲気を殺せていないヘタクソな変装だ。天然なのか狙ってやっているのか、どちらにしてもバカに違いない】

【――カモとしては上等すぎるほど上等に見える。やってしまうか?】
【そんな企みなどいざ知らず、少年はグラスを傾けながら――ノンアルコールドリンクのくせに妙に様になっている――熱心に読書に耽っている】
【男たちが浮き足立つように席を立ち、少年へと歩み寄っていく。どう考え、どう干渉していくのかは、それを見ている"誰か"の自由だ】
483 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/05/29(金) 21:32:32.64 ID:qNlUXjqX0
>>482

【がらりと、錆びたベルで鳴る入店音。誰かが来たことを知らすが、店内のざわめきの前には掻き消えて】
【入ってきたのは女だった。後ろで一つに結わえていた濃藍色の髪を鬱陶しげに解くと、ばらりと髪は解けて広がり】
【ざくざくと無造作に手櫛で整えながら空いた席を探す。その目もまた同じ色味をしていたが、少し疲れたようにも見え】

あら、――あんたたち、私の連れに何してるのかしら? ナンパなら悪いけど、他所でやってもらえる?
悪いわね、待たせちゃった。物分りの悪い客が閉店してんのに居座って退かなかったの。ひどい話よね。

【肩でも凝っているように軽く回しながら歩く、それは空席を探すためで、別に、争いのタネを探すつもりは、】
【なかったのだけれど、目に入ってしまって。ふと思考をよぎるのは青林檎と黒猫、口から出た言葉はそんなもので】
【連れでもなんでもない初対面。それどこか自分はこの店に来るのも始めてだが、まあ、どうにかなって欲しいもので】

【振り返ってみるなら、そこに居るのは少しノイジーな声の女。目つきは少し悪いが、それ以上では決してなく】
【少し日焼けした肌、黒のシャツにミニのスカートは、ただ、裾は破ったままのようにぎざぎざして、少しほつれてもいて】
【じゃらりとスカートの鎖飾りが揺れて。なんにもなければ、彼女は、そんな彼の向かいの席――言葉を証明するように】
【平然と座ろうとするのだ。それで、さも当然のような顔をして、適当にビールでも頼んで、机に頬杖でもつき】

なんだったかしら、庭に植えるつるばらを一緒に選んで欲しいのよね?
ちっちゃい図鑑を持ってきたわ、適当なのを見繕ったげるわよ。

【なんて、なんでもない顔で平然と嘘を吐けるのだから、これが彼女の固有スキルなのか、性別としてのスキルなのか】
【適当に背負っていた鞄から取り出すのは言葉通りに薔薇の図鑑、本当にたまたま持っていただけだけども――】
【男たちが諦めていたとしても、諦めていないとしても、ここまでは声を掛けてくる。その後は――彼次第だろうけれど】
484 :リチャード・トラヴィス ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/29(金) 22:06:31.30 ID:9LcSYDnko
>>483

【絡んで金をせびるなり、店外に連れ出してから脅すなり――どちらにしても楽な仕事だ。あと一歩でカモに手が届く、】
【その暗い気勢を絶妙のタイミングで遮る女の声。不愉快そうな目線とともに、低いうなり声が男たちの一人から漏れ出すだろう】
【警戒と脅迫の交じった声色。……それ以上のことをしない辺り、男たちは本当にプロでもなんでもないチンピラらしかった】

【……男たちはしばらく女を睨んでいたが、「けっ」と、つまらなそうにひとりが踵を返す。それに連れ立つように、やがて全員が席に戻るだろう】
【元々酔いとその場の勢いだけの行動だったのだ。それが出鼻を挫かれて、なけなしの度胸もあっという間に鎮火してしまったらしい】


…………はい? 

えっと――――あぁ、そうですね。
ちょうどうちの庭にも新しい彩りが欲しいと思っていたもので、相談に乗って頂けて本当に助かります――。


【――他方、危険な雰囲気の渦中にいた少年はというと。見知らぬ女が目の前に座った段階でやっと顔を上げ】
【未だに苛ついた顔でこちらを睨み続ける男たちにもようやく気付いて、とっさに惚けた言い訳を並べて彼女と話を合わせるだろうか】
【これで「あなたは誰ですか?」なんて言おうものなら男たちの怒りに火が付いていただろうけれど、幸いそのぐらいの機転は利くらしかった】
【……そのまま少しの間雑談を続けていれば、そのうち男たちの興味も薄れ、酒を煽って仲間内の会話に戻っていくはずだ】


いや、どなたかは存じませんがありがとうございました。
どうにも、まだこういう場の流儀には慣れていないものでして……。


【とりあえず危機は去ったといえるだろう。……折を見て、少年は申し訳なさそうに苦笑しつつ女性に話しかける】
【見れば見るほど、こんな酒場なんかより高級レストランで夜景でも眺めている方が似合いそうな面だ。それが何でこんな場所にいたのか】
【肝が据わっているのか単に自覚がないのか、そこそこの危機に瀕していた割に態度も呑気なものだ】
485 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/05/29(金) 22:21:03.29 ID:qNlUXjqX0
>>484

【はいはい散った散った。そんな風に声を掛けたのが、彼女が彼らへの最後の言葉だっただろう】
【本気で意味の分からないわけの分からない客よりもよっぽど物分りがいい。無駄な度胸ばかりついたと軽く考え】
【それでも。大事にならなくて良かったとも思うのだ、基本的には平和に暮らしたい。争いごとは――好きではない】

そうよね。薔薇は綺麗だもの、人気どころだとつるミミエデンなんてどうかしら?
でもアレはうどんこクイーンなの。こまめに消毒してやんないと、あっという間に粉吹き芋みたいになるわ。

【頼んだ酒がすぐに来て、それを軽く飲んでから、彼女はぱらぱらと文庫本サイズの図鑑を捲ってみせる、それで、】
【言ったとおりの品種のページを見せてやったりする、偽装工作。相手が上手くあわせてくれるなら、なんとも安泰】
【お互い殴られる危険が減るならイイコトだろう。それでしばらく、何の意味もない薔薇のレクチャーが続き】
【「色は何がいい?」とかそんなことを聞かれたなら答えれば、そのうち普通にその色の薔薇がオススメされるという寸法】
【いろいろなことが嘘の出会いだけど、そこばっかりはどうやら本当らしいなら、好きなのか。というか、好きそうだ】

……まあいいわよ。それで、あなた、こんなところで何してるの?
未成年みたいじゃない、いい子の坊やは来ちゃ駄目よ。それとも成人してるのかしら?

知り合いにも居るのよね。歳の割に若い子。

【そろそろ大丈夫そうかと見た頃、ちょうど彼がそんな風に話しかけてきて。気にしないでと言って、また酒を一口】
【そうしながら瞳は彼を見つめて、グラスから口を離せば――未成年よね、なんて、そう呟く】
【だけど見た目で判断できないのが知り合いに居る。「だったら悪いわね」と続けて、ふうとため息】
【こんな芝居ドラマだけかと思ってたわなんて言って、ぐうと身体を伸ばす――】

【未成年らしい彼がどうしてこんな酒場に居るのか。どうしても気になるというよりか、お姉さんぶって咎めるようにして】
【だけど過剰に怒鳴りつけたり叱るわけでもないのは、まあ――彼女もそこまでいい子ちゃんではない、ということで】
【なんとなく手持ちの薔薇図鑑をぺらぺらと捲りながら。「別に言わなくてもいいけどね」なんて、思い出したように呟くのだった】
486 :リチャード・トラヴィス ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/29(金) 22:47:42.89 ID:9LcSYDnko
>>485

【危険を避けるために話を合わせていただけだったけれど――どうやらこの少年、こういう分野には暗いらしい】
【途中から普通に、薔薇に関するレクチャーを興味深そうに聞き入り始めるだろう。真剣になったりおかしそうに笑ったりと表情を変えつつ】
【いよいよ本当に雑談になりつつあった。少年が我に返ったのは、色は紅が好きです、なんて答えた直後のことで――】


えぇ、お恥ずかしながらまだ成人はしていません。
……なんといいますか、社会勉強みたいなものですかね。色んな方の生活様式を知っておきたいというか……。
こういった場所では普段耳にできない市井の情報も入ってくるもので、なかなか楽しいですよ。
それに、粗暴な方も多いですけど、時々あなたみたいな素敵な方にも会えますし――。


【その真紅色の瞳をやや気まずそうに逸らして、少年は観念したように白状した。ほぼ見た目通りの年齢のようである】
【どこぞの大学生か――年不相応の落ち着きがある分大人びて見えるので、その辺りを加味すれば高校生ということもあり得るかもしれない】
【――そんな彼がここにいる理由。良く言えば見識を広める試みであり、悪く言えばお坊ちゃんの道楽といったところだ】

【しかも言葉からして初犯ではないようである。見るからに金を持っていそうな身形だし、相当危険な綱渡りのはずだが】
【……さりげなく女性へ口説き文句じみた台詞を放るあたり、抜け目ないというかなんというか、危機感の欠片も感じられない呑気さだ】
487 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/05/29(金) 23:10:53.75 ID:qNlUXjqX0
>>486

【この女は、どうやら赤い薔薇が好きなようだった。なぜ分かるかといえば、赤をオススメしたがるからで】
【というよりも、「薔薇って言ったらやっぱり赤よね」とか口走ったからだった。まあ、それはどうでもいい余談だけど】
【彼が紅薔薇を好きだと言ったなら、「話が分かるじゃない」なんて、少し嬉しげにしたのも、余談だろうか】

だったら我慢したほうがいいわ、酒も煙草もいいことないわよ。あなたみたいなお坊ちゃんには特にね。
……社会勉強なんて言葉、リアルに使う人始めて見たわ。これもある意味社会勉強よね、本当に言う人が居るのね。
私の周り、同郷ばっかだから……まあね、生活のレベルっていうの? 同じようなもんだから。

あらありがと、未成年に口説かれるのも初めてだわ。
どうしてもって言うなら真っ赤な薔薇の花束でも持ってきて、――うちの店で買って欲しいわ?

【酒も煙草も、なんて。言いながら彼女は酒を飲んでいた。煙草はやらないのか、たまたまなのか】
【そろそろ何かつまみでもとメニューを手に取ったところで、なんとも始めてな言葉の羅列。これまたドラマの中だけと】:
【思っていた――ほどでもないのだが。まあ、そう言う人とであったのは、始めてなような気がするから】
【「孤児院で育ったのよ」なんて言う。「それも、最高の孤児院でね」――最高に皮肉めいた声は、もちろん、真逆の意味を持ち】

【それでも。別にそこについて語りたいわけではないらしいし、ちゃっかり投げられた言葉は、ナンパなのか】
【真面目に取ってくれないからちょうどいいくらいだろう。真っ赤な薔薇を束でくれと、さらに言うなら――】
【自分の店で買え、と。なんて言うなら、彼女は、きっと、花屋なのだ。ただ、自分の店を持つには若いから】
【雇われなのは見て取れて。だからといって何か変わるでもないが、ひらりと手で店員を呼びつけると】

【適当に二人で摘めそうなポテトでも頼んでみて。残念なのか、どうなのか。彼は、話し相手としてロックオンされたらしい】

市井の話が聞きたいなら、私でよければ聞かせてあげるわよ。
まあ私が知ってるのなんて老人の井戸端会議程度のことなの、うちの店、客層高いから。
フラワーバレンタインってなんだったのかしら……ってくらいね。

【どうせ自分も庶民でしかない、それなら庶民らしい話を聞かせるくらいなら、出来るんじゃないか、なんて】
【なんてことなく深く考えもせず、彼女が提案するのはそんなことだ。聞かせてやるというほど、偉い顔も出来ない程度の】
【まあつまり、ただの雑談――みたいな。もとより、難しい話が出来るだけの地頭はないつもりだったし】

/申し訳ないです、一瞬席を外してて気付くのが遅れました……!
488 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2015/05/29(金) 23:27:21.47 ID:+SfuaNP9O
【南方・カスケードという名の海淵、いつまでも吹き荒れる暴風雨、息を潜め獲物を伺う数多の怪物】
【凡そ人理から外れた条件、それらの障害を越えた先にあるかの島の名をドラクレアという】
【曰く古き龍の背とさえ云われる地は「かつて」の記憶を呼び出す場とさえ伝わり】

【ならばそこに訪れる者は龍が由来となる宝を求める愚か者、或いは過去に未練のある惰弱な者】


(過去……か、もしかしたらなんて可能性に縋るのもきっと性分じゃないんだろうけど……)

【鬱蒼と茂る森の前、静かに佇む者は果たして】
【月明かりに照らされるは赤い髪に瞳、揺らめくローブは煮立たせた血の色のよう】
【仄かに漏れ出す魔翌力はやはり赤い光を宿しそれはまるで蜃気楼に佇む架空の太陽の姿】

【静かに揺れる胸、呼吸を整えるということはつまりは心を乱しているということにほかならない】
【遠い記憶、かつてその魔女が少女であった頃を語る者は本人を除いて居もしない、一切の出来事は幼き記憶に去っている】
【朧気な記憶はならばその正しい姿を思い出そうと奮い立たせ同時に恐れを抱かせる】
【過去とは何も全てが輝かしいものではなく、朧だったのならば思い出すべきではないのかもしれない】

(それでも……会いたいなんて思うのは悪いことなのかしら……)
(触れられないからこそ触れたい、それが出来る奇跡が目の前にあったのなら……)

【面影は遠く、ならばこの先に記憶がよみがえるというならばと思わずにはいられない】
【ただ踏み出した先に在るものが本当に自分が求めているものかさえも分からない】
【恐れとは歩みを止める物、こと1人の時には尚の事その感情は牙を向く】

【遠くに獣の叫びが響く頃になっても未だ魔女は踏み出せぬまま】
【ならば必要であるのは起爆剤、ないし劇薬の類なのだろう自分以外のまた別の要因】

【過去は巡り現在に蘇る、あり得ない筈の邂逅は今や近く……】

/予約であります
489 :リチャード・トラヴィス ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/29(金) 23:42:47.90 ID:9LcSYDnko
>>487


はは、良いですね。商魂たくましい方は見ていて楽しい――。
あなたはお花屋さんですか? 道理でお詳しいと思いました。今度伺った時にいろいろ教えてください。


【咎める言葉とは裏腹に酒を流し込む女性を、少年は気分を害した様子もなくにこにこと眺めるだろう】
【先ほどの台詞は少年としてもからかい半分だったのだが、返ってきた台詞に笑いを漏らす。顔を赤らめて恥じらわれるより好みの反応だ】
【少年はなんとも悪戯っぽい視線を女性に贈る。おかしそうな赤色の瞳――まぁ、花束の代わりにはなりそうにないけれど】

【――孤児院で育った、との軽い独白には、一瞬だけ興味を覚えた素振りがあったが】
【この気軽な雰囲気を壊したくなかったのか、カクテルのグラスを傾けて誤魔化す。格好だけは一人前、あとはノンアルコールでなければ完璧だった】


ああ――それはありがたい。
そういう等身大のお話は参考になります。上に立っているだけでは見えてこないものもありますから。

そうですね……あなたのお店に来るお客様は、幸せそうですか?


【薄く笑って、少年はお礼を述べる。元々の目的が市井の生活に触れることだったのだから、こちらから話し相手になってくれと頼みたいぐらいだ】
【上に立っているだけでは――と、そんな言葉からするに、少年は相当高い地位を有しているのだろう。テーブルに届けられたポテトを物珍しそうに摘んで】
【――それを口に運びながら彼が最初にした質問は、なんとも抽象的で不可思議なものだった】
490 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/29(金) 23:57:15.09 ID:9VwPr8NR0
>>488
【――――トン、とその近くに降り立つ“一人”】
【何も天高くから落下してきただとか、或いは其処等に生える木の頂きから落ちてきただとかでは無く】
【背に生やす純白の翼からして“降り立った”と言った表し方が適切なのだろう】
【其れが翼人種、又は其れに近い存在ならば何の違和感も無いのだけれど…………今宵降り立ったのは、修道女であり】


「全く……ダグラスも居るし気持ちの悪いお爺ちゃんも居るしでホントろくな島じゃ無いよね此処は
――――ま。記憶を再現させる、っていのは中々に使い道が有るだろうし、もしかすれば記憶喪失の人でも連れて来れば荒治療にでもなるのかな

とは言え。誘い水みたいにフラフラ寄ってきてその辺の魔物にでも殺されちゃ意味も無いんだろうけど」

【更に異質なのは腰に提げた金と銀の双銃だ。信仰を一とするはずの者が、人を殺める為の其れを持つ】
【見れば良く使い込まれている事も分かるだろうし、女本人も暢気に見えながら隙が無い事も知れる】
【視線が辺りを一巡。そうすれば、当然件の魔女が視界に収まり】
【敵では無い、と悟ったか。其れとも迷い人だとでも勘違いしたのか】
【銃へ手を伸ばす事も無く。そして気配を隠す風も無く近寄ったならば、その視線の先に何があるのかと確かめて――――小首を傾げた】


「…………捜し物、って感じでも無さそうだね
キミ、どうかしたのかな。迷ったなら家まで送ってあげし、怪我でもしてるなら治してあげるけど

――何て。なにも知らないで此処に居る様でも無いし、迷い事かな」

【ただ迷っていた訳でもあるまい。怪我をしている訳でも無い、ならば】
【この島の特性を理解して訪れた人物かと最終的に考えは落ち着いて】
【――――だが、問題は其処から先だ。大体の人物は此処に訪れれば嬉々として記憶に触れるかそうで無ければ怖じ気付いて逃げるか】
【そんな考えを抱いて居たからこそ、目の前の女性がただ“迷っている”様に見える事が疑問なのだろう】
【急かすわけでも無く理由を問い質す訳でも無く。然れど、屈託の無い笑みで「ボクに手伝える事があるなら手伝ってあげるよ」と】


/宜しくお願いしますですよー!
491 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/05/30(土) 00:07:10.20 ID:c5q0HX1B0
>>489

そう? でも花束なんて買ってくれる客は大歓迎よ、注文はいつでもお待ちしてます――と。
そうね、でもバイトよ。自分の店なんて持てないの、そもそもの資金はないし……。
……まあ、自分が経営者になるといろいろあるじゃない? 責任とか? そう言ったもの?

雇われてる分には楽よね。ほんと。

【「ラッピングしたげるわ」なんて彼女は冗談めかす。まあ、何か入用のときに花でも買ってやれば喜びそうだが、】
【別にそんなに必死に頼むでもないなら、ノルマがあるわけでもなさそうだ。きしっと椅子を軋ませ、僅かに体重を後ろに掛け」
【あっさりと頷く、雇われの花屋。それなら花屋なんて言うには大層で、現実には、花屋のバイトである】
【なんというか怠惰というかめんどうくさがりというか、向上心が足りない言葉をつらつら並べながら――】

ま、ね、もうちょっと大人だったら知ってたかもしれないわ。どこに居たかって名前だけで分かれるなんて。
ずいぶんと有名なところに居たものね、でも昔の話よ。――******ってところ。

【それは人によっては深刻な話題だろう。ただ、彼女にとっては、よっぽど重たい過去ではない】
【もう少し上の世代ならニュースで聞いたこともあるかもしれない。まあ、もう十年以上も前のこと】
【「後で検索してみたら?」なんて笑ってみせ、口にするのは、昔にあったとある孤児院の名前】

【身寄りのない子供を集め、人身売買を繰り返し、売れ残った少女らを虐待して、挙句に殺したという場所】
【けれど職員が確かに殺したと全員白状したはずの死体は、――その後、職員数人を縦真っ二つにして、行方不明】
【一時期ニュースを騒がせたのもあって、知っていてもおかしくない――が、彼は、それにしては少し若いか】

【(その死体が時々家に遊びに来たり、家に遊びに行ったりするとか、そういう肝心なところは、言わないのだけど)】

幸せなんじゃないかしら? 花を育てるだとか、野菜を育てるだとか、余裕がないと出来ないことじゃない。
それで今年も花が綺麗に咲いたとか野菜が綺麗にできたとか言いにくるの。幸せだと思うわ、趣味があるっていいじゃない。

【幸せだと思う。それが彼女の答えだった、それはもちろん、庭趣味なんて、余裕がなければ出来ない、というのもあるが】
【外に出て、身体を動かして、花なり実なりを愛でる。きっと楽しいだろう、それで、同じ趣味の人と出会って話して】
【孤立するよりはよっぽど幸せそうだと思う。――ポテトを一本二本摘んで食べて、】

あなたも何か育ててみたら? 植物はいいわよ、育てたとおりに育つもの。もちろん、邪魔が入ることもあるけどね。

【なんて、地味に布教してくるのだから、――なんというか】
492 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2015/05/30(土) 00:18:25.54 ID:UaopblsmO
>>490

――――――――あら、珍しい

【魔女は訝しげになることもなく平静のままに言葉を漏らす】
【出来過ぎた登場に感じ入るところもあったが或いはこれが摂理なのかと、ふと納得してしまう】
【どうにもこの朧な月明かりとその純白の翼に当てられたらしい】

もしかしてもう記憶の世界なのかしら、でも変ね私天使の知り合いなんていないのだけど……
ふうん……誘い水、か……確かに記憶を再生するなんてネームバリューは誘い水に相応しいわね

【お互いに敵意が無いのは数秒も立たぬうちに分かること、そも求める物が違うのだから戦いに発展する争いなどあり得ない】
【ただただざわめく森の木々の音だけが微かに耳に届く、そう認識させる程度の間を置いてから魔女は再びと語る】

捜し物といえば捜し物、なんだけど厳密には違う感じかしらね……
求める物は酷く曖昧で本当にあるのかさえも分からない、誰もゴールの無いスタートなんて踏みたくないのと同じよ
だから、まあなんとも情けない話なのだけど私はスタート地点のちょっと前で迷っているの、かな

【独りで黙々と考えたところで始まる物など数少ない、魔女のものもその類】
【されど契機があるのなら利発な彼女はそれを逃しはしない、踏ん切りさえ付けばそれこそ投げ売ってしまう事に躊躇いはない】
【揺れるローブの生地をパッパと両手で払い、ぴしりと頬を叩き気持ちを入れ替える】

でもそれもおしまい、キッカケには丁度良かったわ危うく自分を見失うところだった
礼なんか言わないけどね、ちょっとだけ助かったわ……それじゃ……?

【逃げ腰は勇み足に変わり魔女はその一歩を踏み出す、その手前】
【天使姿の修道女から零れた望外の言葉に思わず足を止めてまじまじと見つめてしまう】
【お人好しかそれともこちらの寝首をかくつもりか、前者はまだしも後者には思いつくところがあり過ぎる】
【はてさてどうしたものだろうかという沈黙もやはり数秒、じろじろと見つめる事に飽きたならば―――――――】

契機というなら、そうねそれもいいかもしれないわ……もしもの時の保険もあったほうがいいしね
私はカズネ、ただの魔術師……で、そちら天使さんは一体どこの教会の守護なのかしら?

【先ゆく道が不安という闇に閉ざされているならば白き翼の導きを欲しくなるのは必然】
【名前を告げそして訪ね差し出される手には傷が多く、女性というには少し険しいが握れば暖かさだけが残る】

【或いは修道女から感じたどこぞの熱の名残がその選択を迫ったのだろうか】
【だがやはり語る者は今代にはおらず……】
493 :リチャード・トラヴィス ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/30(土) 00:39:54.25 ID:2p4cdlmeo
>>491


あははっ、確かに。責任も人間関係も一気に面倒になりますよね、経営者って。
けれど、慣れれば結構楽しいものですよ? "目的"が一番近くに見える位置ですから――それが叶う瞬間の喜びを思えば、頑張れます。


【少年は他人を見た目の若さで判断するタイプではないらしく、どうやら女性を花屋の店主とでも勝手に勘違いしていたようだけれど】
【かといって、女性がしがないバイトだと知っても失望するような素振りもない。むしろ――雇われる側目線の所帯じみた言葉に、思わず笑ってしまう】
【外見でいえば大金持ちの息子かはたまた貴族かといったところだが、どうも実際は、どこぞの社長の御曹司とかそういう類らしい――】
【――"目的"。女性とは裏腹の、なにかに向かって走っているような台詞を吐いて、少年は愉悦を噛み締めるような顔で目を細める】


おや、そうなんですか。
――確かに知らない話ですが、その"有名"というのは良い意味ではないのでしょう?
それをそんな風に話してしまえるなんて、なんとも剛毅な方だ……。


【少年は黙っていたけれど、女性はあくまで軽い調子で自分の過去を語る。余計な気を回してしたかな、なんて少年は笑うだろう】
【それはどんな孤児院だったのか。さっき言っていた"最高の孤児院"というのが皮肉だったのはわかったし、"有名"になった経緯もなんとなく想像できた】
【でも、こんな気軽に話せるぐらいなのだ。とっくの昔に乗り越えたか、でなければ忘れた話か――いずれにせよ、少年はやや驚いた様子で】


なら、良いんですけどね――ほら、今は"六罪王"やらなんやらが蠢いている時世でしょう?
真っ先に巻き込まれるのは、そういう力の無い方たちだ。
"みんな"が好きなだけ花を愛でていられる世の中になるよう、ボクも努力はしているつもりなんですが……。


【――少年の質問の真意は、雑談というには少し重たすぎた。世界の枠組みそのものに言及するような途方もない話だ】
【年老いて抵抗する力を失った人々。もっとも危うい位置にいる彼らが、花や野菜を育てて、それを仲間内で語り合って一喜一憂して、笑い合っている】
【なんと、幸せな話だろう。ポテトを摘みつつ視線をさ迷わせ、少年の顔から一寸表情が消える。それが壊れる瞬間を思い浮かべてしまっているように、】

【けれど、それもすぐに元の柔和な表情に戻って。「そういうのはやったことないんですけど――何を育てればいいんでしょう」と】
【女性の布教活動に乗っかって話題を変える。興味がない訳ではないが、そもそも何から手をつけていいか分からない程度には未経験らしく】
494 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/30(土) 00:46:56.39 ID:9cHvS4IX0
>>492
「天使ねぇ……そんな高尚な存在だったら、ボクも街の人気者にでもなれたんだろうけど
――――怖いことを言わないで欲しいな?もしもボクがキミが何時か見た記憶の一つだとしても、ボク自身は“個”として自分を認識してるんだから
もしかしたら、キミも同じかもしれないし……もしかしたら、ボク達が誰かの記憶の中の存在で、その人が島から出れば消えちゃうのかもしれないけどさ」

【全てが曖昧にも思える。記憶の中の存在が意識を持つとしたら、本当に自分は自分なのだろうか】
【もしかしたら自分すらも記憶の断片、次の瞬間にはふと消えてしまうのでは無いだろうか】
【本当の自分は今頃島の外に居て、誰かの記憶としての自分が今――――だが。考えても意味が無い】
【仮に其れが事実だとしても、今は今なのだ。それ以上、深く考える事は良しとはせず】


「……きっとキミはそう思った時にはもうスタートしてたんだよ。もしかしたらゴールが見当たらないかも、じゃなくて
ゴールしたその先を考えたく無い、想像出来ないから一歩踏み出すのも怖く思えるんだ
なんて受け売りの言葉だけどさ。だけど、歩かなきゃ前には進めないし、怖がってたらきっと俯いてばっかりで何も見えなくなっちゃうよ
だから、少しずつでも進んだ方が――――……ボクの顔に何か付いてる?」

【認識したときから、歩みを始めて居た。無視を出来ず、ずっとその想いを抱いて居た時からきっと】
【人差し指を立てながら得意げに語るのは説教にも似た言葉だ。だが、其れもジロジロ見られていることに気付けば言葉に窮して】
【僅かにたじろいだ様子を見せるも、苦笑を浮かべつつ頬を掻いてその不審を問うたのだ】


「ん。それなら話も早い
善は急げって昔から言うし、この島自体そう穏やかでも無いからチャチャッとキミの悩みも解決させちゃおうか
人の記憶を見る、っていうのも何だかイケナイ事してるみたいで楽しそうだしね

――――ボクはグリース。グリース・イムリンパルス。まあ、適当にグリースなりで呼んでよ。天使、っていうのは何か……気恥ずかしいって言うかさ
教会は……前にゼン=カイマと争っていた所、って言えば分かるかな?嗚呼、別に後ろから撃ったりなんてしないから安心してよ
カズネは見た感じ機関とかとは関係なさそうだしさ」

【冗談を交えながらも別に気にすることでは無いと告げ】
【後に加えるのは、自身の事について。ゼン=カイマについては――――魔女も良く知る事だろう。そして、其処と敵対“していた”教会の一つ】
【差し出された手を握ったならば「宜しく」と付け加え、視線は女性から先へと移ることだろう】
【同行は決まった。なけば、次は記憶。鬼が出るか蛇が出るかも分からないが――――……兎にも角にも、“保険”としての務めは全うすることだけは確かで】
495 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/05/30(土) 00:56:44.44 ID:c5q0HX1B0
>>493

面倒ごとは嫌よ。平和なのが好きね、何かに頭を悩ませたくないの。
あなたはきっとそういうのが得意そうね。目的って――なんだったかしら。よく覚えてないわ、私。
そもそも目的があったのかしら? ……ああ、うん、お金が必要だったの。継続的にね。

それがなかったら、多分引きこもってたわ。そっちのほうが性に合ってるもの――ねえ。

【だなんて、彼女はさらりと全ての思考放棄宣言をする。考え事は嫌いだと、苦手だと、めんどうくさいと】
【その点、なんて、彼女はくすりと笑い、目的が叶うなんて言葉には――冗談なのだろうが、そんな言葉】
【結局のところではリアルに金が必要だという目的だったわけだが。夢も希望もない、花屋を選んだのだって】
【“せめて好きな仕事をしてやろう”という、少しでも面倒に思う瞬間を軽減するための、怠惰な案でもあったわけで】

【「何か目的があるのね」なんて呟く、自分の目的は――はて、金が欲しい先には、何があったのだっけ】

私はいいの、他の子はだいぶショック受けてたみたいだけど。
そこに居た子と暮らしてるの、ルームシェアって安く上がるものね、もう一人どこに居るか知ってるわ。

【そこに居るのが役割だったからと呟き、視線は一瞬店内を彷徨う。とはいえ、それは、壁掛けのメニューを見るためで】
【本当にどうでもよさそうだった。或いは興味がない。もしかしたら、それを考えることすら面倒くさいのか】
【最後に「それだけね」と付け足して、――まあ、それ以上に尋ねたいことがなければ、この話題はここで終わるのか】

あら、でも、あの人たちが気にしてるのは六罪王でもカノッサでもないわ。
今年はきちんと夏が暑いのか、暑すぎやしないか、秋はちゃんと来るのか、冬はどうか――。
虫は出ないか病気は出ないか、そういう話ばっかり聞かされるわね。私、預言者でもなんでもないのよ。

……まあ、そりゃあ。何か大きなことがあったあととかは、そんな話をしているのは聞くけどね。
自警団は頼りない、UTは……――あらごめんなさい、私、あそこの悪口はあんまり言えないの。

【「友達が働いているんですもの」】

そうね、外で育てるのか室内で育てるのかにもよるの。
花がいいかしら? それとも葉っぱが見たい? 変わったものが好き? それともありがちなものが好きかしら?

【カノッサのことも、あんまり気にしていない素振りだった。自分の世界には関係なさそうな、ありがちな、態度】
【強いて言えばUTに対してのみ態度は少し変わるのだが。それより、話題は変わって、植物のほうへ】
【そっちのほうが話していて楽しそうだ。それならやっぱり、これ“は”面倒くさくない――つまるところ、好きなのだろう】
496 :リチャード・トラヴィス ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/30(土) 01:26:49.74 ID:2p4cdlmeo
>>495


いえいえ、得意というわけではありませんよ。ボクも平和なのは好きですけどね――。
……とことんまで出不精なあなたが、わざわざ働いてお金を集めるのですから、そちらにも何か理由があるのでしょう?


【目的も何もなく、そもそも面倒だから思考ごと放棄する――つくづく剛毅というか、豪胆な女性だ。少年は思わず失笑してしまう】
【とことんまで出不精、なんて失礼な、冗談じみた悪態。もとい悪態じみた冗談。思わず、そんな正直で意地の悪い台詞を口に出して】
【興じるようにカクテルグラスを傾けつつ、彼女の涙ぐましい労働の"果て"を問うてみたりするのだ――本人も忘れているとは思いもよらず】

【……人生に消えない傷を付けられてなおこんな態度でいられるのだから、人というのはまったく逞しいものだ】
【素っ気無い女性の態度に、少年はそんな風に思う。――あなたは今幸せなのか、と言いかけたが、それも無粋と思ってか結局飲み込んで】


ああ……やっぱり、そんなものなんですね。
このご時勢、ボクとしては草花が健やかに育つかどうかの前に、ご自分が健やかに生きていけるかどうかを考えてほしいのですが。
自警団はもちろん、UTやSCARLETにだって限界はありますから。ちょっと心配になってしまいますね……。


【ふむ、と難しい顔をして少年は眉を顰めた。――残念がるような、諦めの台詞。続く言葉は半ば愚痴にも思える】
【どこまでも経営者目線というか、民草の思いに疎いというか。市井のちょっとした幸せより、世界全体の情勢を憂うかのような言葉】
【それはたぶん、市民たちにとって、なによりも目の前の女性にとって――身近だけれど、だからこそ果てしなく「面倒くさい」考えなのだろう】


うーん……できれば室内でお願いします。手ごろですし、うちに庭園みたいなものはないので。
葉っぱを見るよりは花を見ていたいですね。あとなにかと忙しい身なので、逞しくて手入れが簡単なものがいいかな……。


【……まあ、それはそれ、これはこれだ。少年だってひねもす世界だの正義だの悪だのとしんどい事ばかり考えているわけではない】
【ポテトを二つほどまとめて口に放り込むと、軽く悩むような素振り。結局はなんというか、素人丸出しの希望がはみ出してくるのだった……】
497 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2015/05/30(土) 01:27:21.80 ID:UaopblsmO
>>494

全てを知ろうとしてもその自分が一番曖昧、語る私も同じ事
確かに考える事自体この状況ならあまり意味はなさそうね、しっかし……
「天使サマ」はご高説が好きなのね、的を射ているのが少し癪に障るけど否定もできないのが痛いところ

【ここに来た、という事実自体が既にスタートを切った合図】
【ならば今立ち止まっていたのは一休みといったところか、ならば次にやるべきは……】

ああ、あの戦いの……そういう縁もあるのかしら

【ローブの下、腰に掛けた一つの魔銃がその重さを主張する】
【グリースが語るかの戦いの名残り、立ち並ぶ全ての障害を貫き通す槍】
【戦いが縁を結ぶのであればグリースと魔銃も同じ事、ならばと小さく頷いて】

グリース……それじゃよろしく頼むわ、戦いに身を費やす人ならそれなりには信用出来る
むう、覗き見るなんて言い方はやめて欲しいわね、もしかしたら見るのはあなたの物かもしれないんだから……

ま、結果も何も全部先にしかないから進むしかないのだけどね、ともかく―――――――

【ざ、と歩みを進めるそれこそが取るべき道】
【道は未来に進むだけに限らず、時として遥か昔に至ってこそ得られる物もあるだろう】
【進むべき道を照らす光があるならばその光を称える言葉をひとつ、言葉は音にやがて音は光に】

【鈍い光がふと視界を遮る、陰る月明かりは世界が巡る刻の声】



【旧き世にかつてない繁栄を誇った国がひとつあったと云う】
【ひとりの王に統治され精強不敗の騎士団に支えられ数多の民を抱えた大国はそれ故に「堕ちぬ太陽の国」とさえ呼ばれていた】
【ある程度の階級もその繁栄が齎す恩恵に比べれば小さき物、富という誘い水は広く広くに浸透し有象無象を抱え込む】

【上層と呼ばれる騎士を含む特権階級の住まう地区、その立ち並ぶ建物は豪奢という言葉をそのまま形にしたが如く】
【中央に位置する大理石の巨大な噴水はただそれだけで観光場所になりそうな街姿を作り出す……が、それはやはり「過去」の事】

【その空は赤かった、含む空気は水の清浄さなど微塵も感じさせない灰に満ちている】
【建物の数々は消え去る様子の無い焔に焼かれ落ち溶けて消えてゆく、ただそれだけでは無い都市に在るのは何も物だけではない】
【そこに住まう人々もまた等しく鮮烈なまでの紅に染まる、生のままに燃やされ遠くに響く苦悶の声は途切れがちながらも終わりが見える事はなく続くだろう】
【焦げた血肉は軍場にこそ在るべき物、であるならばもはやここは戦いの渦中であり無意味に命が消費されるだけの場】

……ちょっと、これ何よアンタの記憶なのグリース?

【予想の外の世界の光景に珍しくも魔女は狼狽え傍の修道女に語りかける】
【その合間にさえも血の香の熱風が尽きる事は無し、地獄がどこかにあるとするならば今こそここがそれに等しい】
【枯れた噴水の前、道の先には焼け始める王城へと続く道がただ伸びて……】

【尽きぬ焔、全ての積み上げた物を崩す災害のひとつ】
【遠くどこかで鎧の軋む音が聞こえるだろか、炎に焦がれる人影は修道女にとっては覚えがあるだろうか】
498 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/30(土) 01:54:25.88 ID:9cHvS4IX0
>>497
【行く先は未知、だと言うのに。まるで近場の自販機にでも飲み物を買いに行くかの様な気軽さ】
【それだけの力が在る、のでは無くて。例え命のやり取りであろうと「有り体」で居られる強み】
【緊張や恐怖でポテンシャルが下げられる事も無く、常に同じ実力を発揮できる力】
【――――だが。今宵入り込んだ記憶の中では、流石にその表情も少しばかり顰められる】


「いや、ボクも少し普通の人とは違う出生だけど……それでも、こんな事は何も無かったはず
見た覚えも聞いた覚えも無いし、本で読んだ事も無い
つまり、ボク等の後を誰かが着けていない限り――――……」

【「キミの記憶だ」と。熱は確かに熱さを伝え、本能には危険だと伝え】
【記憶の中であろうと、怪我を負えば自分に残る。命を落とせば死ぬ。――――自分の記憶では無い】
【ならば彼女の記憶であろう事は間違い無い。幼い頃の記憶か、其れともカズネ自身が人間に化けたナニカか】
【ふと見遣れば、その通りの表情。演じている風でも無い、と知れば】
【残りは彼女の知らない記憶だろうが……其れにしては、この国は自身も知らないのだ。加え、これだけの惨事】
【“現代に起きていたとすれば”噂となり耳に入っても良い筈なのだが】


「とは言っても、キミもよく分かってないみたいだしさ
何かを思い出す可能性も考えてボク等が危険に晒されない程度に観光でも――――……アレサ?
……ッッ!!」

【分からぬ事ならば仕方ない。もしかすれば一連の出来事を見ていれば記憶が呼び覚まされる可能性もあろう】
【何せ、此処は再現された場所だ。追体験すれば、その内には――――そんな事を思っていた最中の事】
【見覚えのある姿。否、そんな筈は無い、のだろうが。……だが、確かに見知った姿なのだ】
【生まれるのは僅かな戸惑い。何故、此処に?】
【考えるのは数秒。所詮此処は過去の出来事、干渉したところで現在にIFが起きる訳でも無い】

【――――そう割り切って捨てる程度に、心も失っては居ない】
【一瞬にして発現する翼。羽ばたきは辺りの焔を消すほどに強い風を巻き起こし】
【修道女が低く低く飛んだその後は、殆どの火も消したか或いは種火の位置を移動させたか。故、魔術師が後を追うのも容易となろう】
【其れ等が叶ったならば、丁度焦がさせるその人物の直ぐ側で止まるのだけれど】
499 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/05/30(土) 02:02:23.97 ID:c5q0HX1B0
>>496

【多分、そう言う意味では彼女はまともではないのだ。何もかも面倒くさい、きっと、この世の全てが面倒くさい】
【だからといって死んだりしないのはそれも面倒臭いからで、それならせめてめんどくさくなく生きるほうが簡単に思え】
【休日など、同居人にクズのように扱われているくらいだ。というか――実際、だいたい合っているので文句も言えない】

私の周りって、みんな両親が死んでるのよ。当然よね、孤児院で出会ってるんだもの。
……で、私の親って生きてるのよ。母親だけよ、父親は知らないわ、どっか行ってしまったの。

病弱な母親のために働いたお金は全額仕送り……素敵じゃない? 涙を誘うストーリーだと思うの。

【(覚えている限り、母親と言うのは、常に床に居るものだった。料理を作ってもらった記憶も特になく、)】
【(あるとき、特別具合が悪くなったことで、彼女は孤児院に預けられた。そこが、どんな地獄かを誰も知らずに)】
【(いろいろあって自分はここに居て、母親も生きていて、それなら、“こう”するのが“面倒くさくない”)】
【(母親が嫌いなわけじゃない。だけど、生きていて欲しいのかは、よく分からない――好き、だと思う。でも、自信はない)】

ああいう人たちって自分は死なないと思ってるんじゃないかしら?
でも元気よね、鍬やらなんやら担いで歩くんだもの、あんなことしてたら、嫌でも元気になりそうよね――。

【なんて溜息がちに呟くなら、多分、彼女にとってそういった農作業的なことは面倒くさめな分類なのだろう】
【でもまさか「死ぬ気あります?」みたいなことを聞くわけにもいかないから、推測でしかない、結果は分からないけど】
【とかく、彼女にとって、ああいう老人たちは――妙に元気で、生きる気力がある、そんなように見えて】

そうね、室内だと葉っぱのほうが多かったりするけど――花なら、セントポーリアとかかしら。
あれは日光に当てると駄目になるの、だから、カーテン越しの窓際か、蛍光灯でも平気ね。
後はカランコエとかも簡単よね。でもずっと光の当たる場所だと咲かないの、だから……そうねえ。
ブライダルベールとかも好きよ。葉の裏が赤いの、花は小さい白いのがたくさん咲いて、綺麗で――。
ベゴニア、デンマークカクタス、あとは蘭……とか。明るい窓際なら、置けるものも増えるんだけど。

【真っ先に室内が好きなので浮かぶのは一つ目、二つ目は外で管理して枯れたことがあるので、室内の印象があり】
【三つ目は普通に好みである。あれも室内は平気だったと思うけれど。なんて、ぼんやり思い返しながら】

水遣りが頻繁でないのはカランコエかしら。でも、花が細かいから花がらが多いけど――。
ああ、セントポーリアも水は控えめ。デンマークカクタスも、みんな多肉植物みたいなものね。

【なんて。花はやっぱり、咲き終わりの手入れもあるし、何より、お日様を欲しがるものが多い】
【そんな中で引きこもり体質なやつも確かに居るのだが。基本的には、窓際だったりするほうが嬉しい奴ばかりで】
【比較的室内でも耐えるとなると、数も結構減ってきて――ざっくり思い浮かぶのは、そんな辺りらしい】

/申し訳ないです、レス文ぶっとんで遅れました……
500 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2015/05/30(土) 02:16:05.07 ID:UaopblsmO
>>498

冗談言わないでよね、私は確かにこの手の魔術を扱うけどここまで派手なのは無理よ!
そもそも私の記憶にさえないわよこんな土地!ついでに燃やす理由だって無いっての!!

【焔、その現象には覚えがあるが自分の扱う物とは違う筈だと】
【掌に纏わせた魔翌力を加速させ熱を生み出す、熱にも上下があれどここまで大規模な物は生成できない】
【凡そ人の手によるものとさえ思えない、というのは言葉尻からも伝わるか】

……って、どっか行っちゃうし!待ちなさいよ、もう!!

【天使は翼を広げ空を飛ぶ、紅の背景にそれはとても栄える事だろう】
【炎を排し果たして進むべき先に何を求めてか】


「――――――――……」

【グリースに呼ばれたかの騎士に応えは無い】
【その身は既に焼かれた後、死に体でただ歩き否彷徨っている放浪の騎士】
【修道女の声さえも届く理由も無く、揺れ動く想いも無い】

【ただ敵を探し倒すべきを探し、やがて己の身さえも失う虚ろ】
【ならばそうした者が居る、火を焚き付け身を焦がし積み上げたものを崩す存在】

『人……貴方はまた別、かな……申し訳ないのだけどそちらを退いて欲しいのだけれど』

【煤けたローブを地面に垂らし素足で進む一つの影】
【近づけば近づく程に気温は高くなりグリースの手により消え去った火さえも活力を取り戻し始める】
【その様子を見ればこの混沌の主だという事を予測するのは十分だろう】

『そちらの騎士は少し外れてしまっているので、なんとかしなければならないの……』
『伝わるかしら……伝わらないと、その……あまりよろしくない事になるのだけど……ええと……』

【混沌の主はこの惨事を与えた者というのに声色に自信は無く、ただオロオロとした様子でグリースへと伝える】
【ただ「退いて欲しい」と、しかし彼女にとってその言葉がどう映るかなど予想するでもなく】
501 :リチャード・トラヴィス ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/30(土) 02:34:06.63 ID:2p4cdlmeo
>>499


ほう――自分ではなく誰かのために、お金が必要というわけですね。
親孝行、とても良いことじゃないですか。本当に素敵だと思いますよ?


【怠惰で無精という、今までの話で掴んだ女性の人となりからすると、彼女の"目的"は少々意外に思えたのだろう】
【「そんな捻くれた風に言わなくても」なんて少年は苦笑した。彼女と母親との間にはたぶん、彼が想像したより複雑な思いがあるのだろうけれど】
【聞いている限りでは立派な話だと思った。実際には、それが面倒くさいか面倒くさくないか、というところで判断しているにしても――】


まぁ、そうですね。ちょっと呑気ではありますけど……。
お年も召しているのに精力的で、見ているだけでわけもなく元気になるような――そういう生き方、むしろ羨ましいです。


【この少年に「呑気」とか言われる方は釈然としない気もするが――少し呆れたように頬杖をつき、少年は目を細めて中空を眺める】
【彼らは"明日"が変わらないものと思っている人たちだ。そして世界の大半はそういう人間で構成されている。仕方のないことではあった】
【それはそれで、十分に幸せなことなのだろう。やれやれと言いたげに少年は背もたれに体を預ける。……ちょっとだけ"面倒くさそうな"顔で】


えっと――はい。セントポーリア、カランコエ、デンマークカクタス……? ですか、候補は。
うーん、どれが良いでしょう。咲き終わった後の手入れとかもちょっとわからないんですが……。

……ふふっ、それにしても。本当にお好きなんですね、お花が――。


【――軽い気持ちでの質問だったのだが。女性の口から飛び出してくる情報の量と質に、少年は面食らったように瞠目する】
【一瞬置いていかれたようだが、慌ててその言葉に集中。挙がった花の名前を復唱して脳内に叩き込んでいく】
【だが何分知識が足りないので、挙げられた中からすぐにひとつ選ぶのは難しそうだ。なんならそちらで適当に決めてやってもいいかもしれない】
【ともあれ――そのうち、くすくすとおかしそうな笑いが零れるだろう。興味のあることであればここまで追求できるんだなと、なんとも楽しそうに】
502 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/30(土) 02:37:17.41 ID:9cHvS4IX0
>>500
【遅かった――――……?いや、遅いも早いも無い】
【過ぎた事なのだ。だが、その過ぎた事であっても後の者が何かを知れる事とて少なく無い】
【歴史を学ぶ、とでも言うべきか。事の原因を探る事が出来るのが今】
【金色の双眸。怒り、でも悲しみでも無くただ相手を認識するためだけに向けられる色】


「――――へえ。ボクの事を認識出来るんだ
記憶の中、にしては随分と融通が利いてくれる。ま、そうで無きゃ態々ボクが飛び出した意味も無くなるから好都合だけど」

【腰に提げていた双銃へと手を伸ばしたならば、二つの銃口がその者へと向けられる事だろう】
【引き金を引くことはせず、飽くまで自衛の手段だ。見境無く攻撃する相手ではないならば、ただ悦楽の為に惨事を起こしたとも思えない】
【何より仮に殺せたとしても、其れでは意味が無いのだ。言葉を聞くには生かさねばならない。“引っ掛かり”を知るには其れを知る者から聞かねば取れず】


「理由も分からずに退け、と言われて退く位にボクは臆病じゃ無いし
キミから見て未来の仲間が焼かれててはいそうですか、って傍観する程に悪魔じゃ無い

――――“少し外れてる”?其れだけじゃボクには分からない。況して何とかする、その意味も
言葉なら伝わってるよ。でも、その意味まではボクに伝わってない
何で此処までする必要があったのか。何をしたいのか。そして、キミは誰なのか

…………その言葉次第では考えるけど
ただ何となく、そんな下らない理由でボクの仲間を焼いたなら……“過ぎた事”でもお仕置きしなきゃいけなくなるけどね」

【考える、とは。退く事も含め当然戦闘に至る可能性も入って居るのだろう】
【つまり、修道女は障害になり得る人物でもある。仮に話したとしても、そのまま殺しに掛かる可能性とて否めず】
【――――説明するまでも無い、と焼く事も可能か。此処に現れた修道女とて、仲間を守るつもりで現れた事は確か】
【じ、と向けた視線は真意を探るように。言葉次第では直ぐにでも引き金が引かれるかの様な剣呑な雰囲気であって】
503 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/05/30(土) 02:53:53.61 ID:c5q0HX1B0
>>501

私は好きな薔薇の苗が買える程度にお金があればそれでいいわ、あと、肥料とか土もね。
あんまり欲しいものがないの、……そうね、ゲームくらいかしら。最近発売したイカの奴とか。
あれ欲しいわ、でもハードがないの、残念ね――残念だわ。やる時間、無さそうだけど。

【趣味はガーデニングとゲーム。なんというか両立しなさそうで違和感とも言えて、ただ、こうして両立している】
【家だと花を弄っているかゲームをしているかのほぼ二択。同居人にクズクズ言われても直すつもりはさらさらなく】
【「素敵ならいいわ」なんて言って、自分のことなのになんとも興味なさげだ。言葉通りに喜んだ様子もない】

私もそうやって生きたいわ、屋敷でも買って庭中にいろんな薔薇を植えるの。

【ちょっとしょっぱい、あんまりよくない油で揚げたようなポテト。摘んで、適当に酒を飲んで、まあ、酒場の正しい楽しみ方だ】
【相手が未成年なのがちょっと不思議だが、まあ――酒は飲んでいないようなのでいいのだろう。カフェ扱いするには、空気が悪いけど】
【ぼんやり口にした、唯一に近い目標めいたものは。……ただ、雇われで居る限りは難しそうな、それで】

そうね、ベゴニア……エラチオールベゴニアがオススメかもしれないわ。
デンマークカクタスもいいけど、この二つが特別に派手よ。ベゴニアなら色もたくさんあるし。
でも紅が好きならどっちの花も紅い花の品種はあるから、まあ、お好みよね。

ベゴニアは八重咲きのものが綺麗よ。花弁がたくさんあるの、薔薇みたいに咲いたりするのもあるし――。
アールなんとかって品種の奴は変わった色で咲くわ、濃いピンクだったり赤い花弁の中に、綺麗な緑色の花弁が混ざるの。
ちょっと変わった感じもするし、どうかしら? 

乾燥には比較的強いの、葉っぱが分厚い奴は、葉っぱに水分を溜め込んでいるのよ。
その分水は控えないと腐ってしまうけど……、あとは、そういうのは寒さも駄目。凍るの。真夏の直射日光も煮えたりね。
だから薄手のカーテンを掛けた窓辺が好きかしら。それで、寒くなってきたら、窓辺は寒いから移動させるの。

でも太陽は好きだから、昼間は当ててあげたほうが喜ぶわ。それで、クーラーと暖房の風は避けて……。
肥料は置くほうの肥料でもあげたげて。花は少し落ちることがあるけど、仕方ないの。枯れた花は摘んであげて――。

【結局、オススメするのは、彼が挙げなかったものだった。どうせ飾るなら映えるものがいいんじゃないかと、】
【せっかくなのだし――というのもある。紅いのは薔薇の趣味だが、赤が好きなら、と、この二つ】
【ただ気になるのは、よっぽど簡単な初心者向けのものではない――と思うこと】
【「でもお花が長いのはこっちよね」なんて呟いて、また頬杖をつく。癖なのか、それとも、手が暇なのか】

【実物の写真でも見せられたらいいのだけど――手元にあるのは薔薇の図鑑だけで、それなら、】
【やっとこ思い出したように携帯電話を取り出すと、簡単に画像検索して見せるだろうか。エラチオールベゴニアの花】
【とりあえずのオススメはこれらしい。それで、わざわざ名指しで挙げた品種の写真も、表示して】
【アール・デコ。全部じゃないにしろ、緑の花弁というのは――それなりに、珍しい色味のように思えた】

/そして申し訳ないのです、今度は眠気がアレな感じでして……
/明日でしたら夜から再開できますので、引継ぎと言う感じにしていただけたらありがたいのですがっ
504 :リチャード・トラヴィス ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/30(土) 02:57:25.23 ID:2p4cdlmeo
>>503
/了解です、こちらも明日夜に再開で構いません〜
/ひとまずお疲れさまでした!
505 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/05/30(土) 03:01:59.65 ID:c5q0HX1B0
>>504
/ありがとうございます、遅くっても8時ごろには待機できてられると思いますので
/そんな頃合でよろしくお願いします。ひとまずお疲れ様でした!
506 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2015/05/30(土) 03:14:37.76 ID:UaopblsmO
>>502

『あの……そういう危ない物は余り向けて欲しくはないのだけれど……
説明……しろと言われても、その言葉の方はあまり得意でなくて―――――――』

【隠れた紅色の瞳がその双銃を見つめ震える、遠く昔の者と云え武器の類だというのは分かるのだろう】
【現れた煤けた女に敵意は無いというのに向けられるのは明確な敵意、対処するには手はひとつというものの】
【饒舌でないのが見て取れる女にとってはそれは辛く遠く】

『あの、その鎧……駄目なんです……魂を、捉えて離さない物なんです
この国に住む人々も形は、刻印という形式……なのですけど皆そうなのです……
生きとし生けるもの全ては周り……巡るもの、だから留めるものはあってはいけない……と教わりました』

【その術式を「魂縛」と呼ぶ、人たる器に収まる魂を決して離しはしない祝福/呪言】
【堕ちぬ太陽とさえ云われた繁栄に不滅の騎士団、その根源が何たるか幾らか覗けるか】
【本来流転する筈の魂という代物を我が手に収め求めるがままに扱う者が居るという事を】

『普通の……刻印を持っている人達は問題無く燃やせました、多分貴方も見たと……
でも、その……鎧を纏っている人達は束縛が強くて……その中でも特にその人は強力で、一度逃してしまって……少し外れているというのはそれでして
だからこうして追いかけてなんとかきちんと燃やしてあげなきゃと……次に送ってあげなければ、と……』

【女は自分の所業を悪びれる様子さえなく辿々しくもただありのままに語る】
【例えるならば埃があったから掃除したと、それと全くの同列に語り果たしてそこから一体誰の共感が覚えられようか】

『あの、ご理解いただけましたか……?あ、ええと……もし貴方が外から来た人ならば逃げる事を願います
焔の制御は出来るとはいえ最期には丸ごと飲み込み焼却するつもりです……関わりの無い方を巻き込むのも、なんというか気が引けますし

あ……でもあの方のお仲間なのですか……ううん……おかしいですね、騎士団は基本外と関わりが無い筈なのですが……どういう事なのでしょう?』

【女に善も悪も無いのだろう、ただ例外に対して作用するだけの存在といったところ】
【たまたまこの国が今回の例外にあたりならばそれ故に現れて成すべき使命を果たす途中にこうして出会った】
【そしてそのあり得ない邂逅はひとつの歪を生み出す、騎士にある筈のない縁を語る修道女という例外の中の例外】
【尽く例外を処分してきた女とて舞台に唐突に現れた登場人物に困惑を示し、ついに「何故」と逆に問う】

【この舞台は物語より外れた時空、であるならばパラドックスさえ抱えようともそれはあり得なかった出来事に終わる】
【ただその「もしもの舞台」から或いは一縷が溢れる可能性もifであるが故に起こりえる】
507 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/30(土) 03:43:32.69 ID:9cHvS4IX0
>>506
「――――悪いけど、ボクは天国だとかは余り信じない質でさ
ボクなりに解釈してみれば、キミが言って居る其れは櫻の国の宗教で言う輪廻転生の理から外れているから、と言ってる様に思えるけど」

【死ねば魂は別な世界で歳月を経て、また別なモノへと生まれ変わる。だが、死ぬ事無く或いは行くべき魂が行けぬならば】
【理から外れた現象。其れを正そうとしているのならば、悪では無いのだろう】
【――――然れど。その行いは人の世から見れば悪。命を奪っている以外、何にも映るまい】
【もしもコレが“現在”ならば、相手の四肢を落としてでも止めていた事だろう。そうすれば、後の結果は変わるのだから】
【今は過去。奇しくも、己が知る者との繋がりのある昔】


「言いたい事は分かる。でも、分かってもボクは納得出来ない
そりゃまあ、此処の人達が極悪人の集団だからとかなら遠くで眺めてるだけにするけど――――そう言う訳でも無いんでしょ?
アレサを見てればとてもそんな集団の一人だった、なんて思えないからね」

【手は下げない。同時に、引き金も引かない】
【悪意、は無い事が分かった。悪意が無いから多くの人を殺したところで咎められる事が無いのか、と問われれば別だ】
【――――これからどうする。相手が、仲間の“身”を虚ろにした存在である事は知れた】
【それからどうする。敵討ち、と戦った所で戻った世界で何が変わる】
【歯痒い感覚。目の前に答えが合っても触れる事が出来ないような】


「逃げる気は無いよ。今の所は、ね
――――キミが理解出来るかは分からないけど、ボクは今からずっと先の未来から来たんだ。いや、“ボク達”かな
ただ傍観をするつもりだったけど、その中で知った人が居たからこうしてキミの前に出てきたんだ

キミがこうしたせいで、そこの人はずっと年月が経った後身体の無い鎧だけとして生きる事になってるんだよ
虚ろに彷徨っている所を教会の方で受け入れたんだ
もしかしたら治してあげる方法があるんじゃないかと思ったけど――――」

【其処で、ふと思い出すのは此処に至る前の遣り取りだ】
【カズネは、何を迷っていたか。そして――――もし、彼女とこの記憶に関わりが有るとすれば其れは何故か】
【『私は確かにこの手の魔術を扱うけど』…………もしかすれば。いや、断定は出来ない】
【だが、もしかすれば。逃げ惑う者でも無く、命を奪われた者でも無く。彼女が関わりのあるとすれば、目の前の――――】


「さて、どうしようか?未来ではキミは結局失敗でもしたのか、さっき言った通り“外れている”人は肉体を失っても生きてるんだ
――――そのまま放っておくつもり?」

【挑発、でも無いのだろう。ここまでしたならば何故その場で直ぐに終わらせてやらなかったのか、そんな批難の色合いの方が強いか】
【其処まで言えば溜息混じりに辺りを見回して。共に此処に入った彼女の姿を見つけようとするのだけれど】
508 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2015/05/30(土) 03:59:22.21 ID:UaopblsmO
>>507
/すいません、そろそろ眠気も危ういので明日に持ち越しさせていただいてもよろしいでしょうか?
509 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/30(土) 04:07:56.46 ID:9cHvS4IX0
>>508
了解であります!また適当な時間に声を掛けていただければっ
510 :リチャード・トラヴィス ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/30(土) 18:11:40.45 ID:2p4cdlmeo
>>503

【園芸はもちろん。ゲームだってほとんどやらない上に、同じくやる時間もまったく無いので、やっぱり微妙についていけてないけれども】
【それでも相槌を打ちながら、少年は女性の趣味の話を咀嚼する。……なんというか、なんとも「らしい」話だと笑ってしまって】

【――またグラスを傾けると、次に少年は押し黙る。本当にそんな風に、自由と安寧を享受して生きられたのなら、それは幸せだろう】
【女性でも酒場でもないどこかへ、真紅の視線は向けられる。やはりというか、彼はそんな風に考えて生きていくのは難しいみたいで】
【そこら辺に転がっている幸せをぜんぶ取りこぼして、ずっと難しい顔して生きていくのか。なんとも不幸な話だが――本人がどう思っているかは、】


なるほど―――。
目が覚めるような赤色だ。それに、他の色が混じっているのも面白い。……気に入りました。


【わずかに身を乗り出して瞠目し、羅列される情報の山を丸暗記する勢いで頭に叩き込む。初心者向けの花ではないのは雰囲気から察せられた】
【生育環境や道具に関してはなんとでも用意できるが、本人の手入れが必要な部分はちゃんと聞いておかないとすぐ枯らしてしまいそうだ】
【その傍ら、携帯の画面に表示された鮮やかな色合いを眺め、少年は大仰に感嘆の息を漏らす。……ふっ、という小さな笑いはなにゆえだったか】


――お店の場所をお教え下されば、本当に買いに伺いますよ。助けてくださったお礼もしたいですから。


【ふむ、と軽く考える素振りを見せた後で女性を見据え、少年は悪戯めいてウィンクしつつそんなことを言うだろう】
【話を聞いているうち、結構本気で育ててみる気になった様子。それにせっかくの縁だ、女性の店へ買いに行くのが一番楽しそうだと思った】
【さっきのように冗談で塗り固めた台詞ではなさそうで。ここで店の場所を教えた場合、この少年は後日本当に現れるはずである】
511 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2015/05/30(土) 18:22:51.66 ID:V3tEIdReO
>>507

『未来……?……なんでしょう、未来よりの人が現れるなんてことが、あるのでしょうか?』

【旅人、精々この国の外からの者だろうと女は考えていたがしかしどうやらその程度の枠に収まる者ではないらしい】
【唐突に夢物語めいた単語を聞き流石の灰被りの女も困惑と狼狽を隠せないまま、見ると周りの焔も少しばかり鳴りを潜めている】
【湧き上がる焔と女の心情はどうやら繋がりでもあるのだろう】

『はあ……私が失敗、ですか……きちんと処理できなかったという事でしょうか
でしたら今この場できちんと抹消してあげれば何の問題も無い、……―――――

【使命の成否、未来では失敗に傾いていると告げられならば今この場でその憂いを潰す】
【極々当たり前の心の動作、だがしかし相対する修道女の様子ではそれを成すことは難しく】
【少しの望みに賭けて表情を伺うも女の望むものは得られず、仮に強行したならば余計な血が流れるのは間違い無い】

【俯いて数瞬、やがて肩を落とし溜息を静かに零したならば】

――――――とは……そちらも納得しない、ですよね?』

『私は全部燃やしたい、そちらは未来にその方を助けたい……私には多々制約がありますので貴方を[ピーーー]事はしたくない
……あまり考えるのは苦手なのですけど、ううん……』

【躊躇いがちにローブの間より女の掌が現れる、掌……やはり灰に染まり指先は炎に煽られ罅割れ割れて】
【見ようによっては浮浪者の出で立ちであるがその実この災害の中心であるのは間違いなく、ならばその証明は次の間に――――――】

『考えると、すればです……きっと焔の威力が足らなくて、そしてきっとそちらの鎧の呪いが大きかった……
加えて、術にも物にも言えるのですが……長い年月を経たものは、その……宿す力を大きくなる、鎧自体の効果もあるのでしょう
貴方の言葉の通りに遠き未来で彼が生きているのであれば、要因はその全て……かと……』

『私の焔は……燃え広がる物さえあるのならほぼ永続的に燃え続けますので、つまり焔が続いているというのは……
「魂縛の呪い」が続いているという事でしょうか?……或いは「焔」と「魂縛」が年月を経て混じり合い別の術となった
実際、見てみなければ分かりませんが……使命故に私はここから離れるつもりもありませんし、何より燃やす対象でしかない者に直接手を差し伸べるつもりもありません』

【ふと掌に焔が上がる、天上さえも焦がさんとする火柱は高くそして見ればその中に影がひとつ長い棒状のそれは】
【灰被りの手に確りと握られやがてその姿の全てを顕とする、銀色の輝きを放つ魔術杖・澄んだ鈴のような音を零す杖はその頭の部分に月の象徴が刻まれる】
【女が猛き焔を恒星に似た力を用いるのであれば、月たる杖は制御棒のひとつ】
512 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2015/05/30(土) 18:23:03.71 ID:V3tEIdReO
>>507

『未来での責任は未来の私に任せましょう、ですので私が送るべきはひとつ……
物とは惹かれ合う物、同類にせよ異種にせよ運命や宿命という名の糸により繰られ引き寄せ合う、であるならば
同じ術者の焔であれば引き合う事は必定……弱き焔は強き焔の元に、纏まりより強くと勢威を増すもの……――――――――

【集うは光芒、高密度の魔翌力の収斂は周囲の空気さえも共に飲み込み一種の暴風を産みさえし】
【熱もあり息をする事さえも難しい空間を作り出す、ひとつひとつと数える度に集う魔翌力は焔となり焔は光と替りがて小さき一つの珠へと押し固められる】
【真珠にも似た白光の珠、杖の先にふうわりと浮きそして灰被りは杖を修道女へと差し出す】

拝領なさい、されどどう扱うかは貴方に任せましょう……私は現在に生きならば先の事など知った事ではない、ので』

【その珠を手にしたならばそれは仄かに温かく、されど伝わる振動は内包する焔の量を物語る】
【災厄の種とも云えるそれは一度使ってしまえば四方を容易く焼き払う、扱うのであれば焔を御す為の正当な場を整える事】
【それさえ成せば災厄の焔は騎士に燻る焔の誘い水となるだろう】

聞いていれば、無責任な女ね……アンタ!――――――あら、ごめんなさいグリース、背中が見えるところまでは追いついたのだけど途中で急に炎が増しちゃって遅れたわ
で、その見窄らしい格好はどこの誰かしら……こんな事してのがアンタだってのなら私にも考えが……えっ、その杖……うそ、なんで……
なんでアンタ、その杖を……その杖はそれはもう無い筈なのに、ずっと私の家系に伝わっていた杖の筈なのに……

【声は響く、1人の担い手の明朗な声】
【息を切らせながらもグリースの肩へと掌を下し、ずいっと前に出て臨戦態勢を整える】
【ギアをローからトップに不思議と魔翌力の回転が良いのはこの場の所為なのだろう、熱を宿す者にこの環境はいっそ心地よい】
【ならば如何なる敵が眼前にいようとも関係の無い事だ、据える視線の先……その先にかの杖さえなければ】

【狼狽える先には月の意匠の杖、古くカズネの家系より伝わりカズネの手により消費された術具】
【ここが記憶という過去ならば、それならば杖の持つ灰被りはカズネの幾つもの前の先代であるのやもしれず】
【同じような術を担うのであれば或いは「未来に責任を払う者」と灰被りが語る者か】

/先にレスしておきます!
513 :ルナ ◆/Pbzx9FKd22015/05/30(土) 19:19:08.44 ID:RG4mnPk60
【時刻は深夜である。海はどこまでも黒く、不気味に広がっている。】
【深い森にできる暗闇を「気体」と表現するならば、さながら夜の海は闇を液体にしたようだ。その密度は気体の闇よりも遥かに高い。】
【私が夜の海に惹かれるのは、その「不気味さ」の濃度の高さゆえだろうか。そんなことを思いながら、ルナは手に持つナイフで人の死体を解剖していた。】

【水の国、"双月の都"ラグナール。その港の一角、人の気配の無い船着き場において、明らかに波の音とは異なる不快な水音が響く。】
【死体は2つ、若い男女のものである。両者ともに、額には出来たばかりの銃創が刻まれていた。】
【ルナは慣れた手つきで二人の体から心臓を摘出すると、黒い携帯端末でその写真を撮る。何かの操作をしたのち端末を耳に当て、何者かと連絡を取った。】

…こちらカノッサ機関一般構成員。機関登録名はルナ。一般人2名の殺害に成功、累計殺害人数の更新を求める。詳細と証拠は付属の写真を参照されたし。

【早口かつ平坦な口調で連絡を終えると、彼女は心臓を抜き取られた死体に目を落とした。】
【ひどく不快な男女だった、そうルナは回想する。知性の欠片も感じられない会話、悩みの1つも持っていないであろう喋り方。】
【それでもきっとこの2人は『幸福』だったことだろう。ただ生まれ持った能天気さのお蔭で。何らの努力をすることも無く。】
【野蛮な服装だった。多分これまでに、他人を平気で傷つけるようなことも多くしてきたことだろう。それでも、彼らはそれを気に留めることすらせず…。】
【そこまで思い返して、ルナは2つの死体を思い切り蹴り飛ばした。それらは海へ落下し、月に照らされてぷかぷかと浮かんでいた。】
514 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん)[sage saga]:2015/05/30(土) 19:39:38.56 ID:9kWFyl200
>>510

【彼が視線をさまよわせる間、彼女も、また、どこを見るでもなく眺めて、ぼんやりと酒を飲む】
【彼女、ちびちびと飲むタイプなのか、それなりの回数グラスを傾けたはずだが、その割に中身は残っていて】
【それでもだいぶん少なくなりつつはあった。それなら、もうすぐ、この時間も終わるのか――酒豪、というようにはあんまり見えず】
【だからと言って、顔が全く赤くなってないのを見る限り、どうしようもなく弱い、という性質ではないのだろうことが見て取れ】

そう、なら良かったわ。でもね、あんまり難しくはないの。よっぽどほっといても育つほど丈夫じゃないけれど……。
あら、店に来てくれるの? それなら、その時までに紙にでもまとめておいてあげるわ。育て方とか、肥料のやりかたとかね。
いちおう他の色も仕入れてもらうようにしておくわね。実物を見て選べたほうがいいでしょう?

店は水にあるの。住所は***の――――。

【初心者向けではないと言ったが、別にそこまで難しい植物ではなかったように思う。実際に店に来てくれるというなら、】
【いろいろまとめた紙も作っておいてくれるらしい。くすりと笑って見せ、「いつ来てくれるの?」なんて尋ね】
【日付を教えておけば、それに合わせていろいろと準備してくれるだろう。その日に店に来れば、さっき教えた赤緑の花のものも、】
【他にもただ赤いものや黄色いもの、ピンクのもの、八重に一重に、と、いろいろ揃えられているのが確かなはずで――】

……そういえば、名前を教えていなかったわね。天音よ、相上天音。
天の音なんて書くけど、そんなに荘厳な人なつもりでもないのよね。だから適当に呼んでちょうだい。

あなたの名前は何かしら? よかったら教えてほしいわ。

【そして、簡単にでも日付が決まれば、彼女はそんな風に名乗って、彼の名前も尋ねるのだろう】
【櫻風の名前。けれど髪も瞳も青がかったものなら、純血ではなさそうで――だからと言って、何というわけでもないけれど】

【名前を告げれば、彼女は取り出した手帳のメモ欄に、日付と一緒に彼の名前を書き添えるのだろう。時間の指定があるなら、それも書いて――】
515 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/30(土) 20:14:25.49 ID:sSG2/QpOo
>>513
───ほぉう、カノッサ機関という物は殺人のスコアでも競っているのかい?

【寄せては返す漣に混ざり流れて来たそれは、誰が聞いても明らかに人の声だった。くぐもったハスキーボイスは、確かに人の言語の意味を持っている】
【深夜の月に晒されて影を作る其れは、逆光によるシルエットでルナの後ろに佇んでいて。だがそれは人にしては体制が低い、まるで四つ脚の獣のような、両手足をついた体制であった】

【カリ、とそれが爪を微かに動かして、ゆらりと立ち上がる。ルナに比べればかなり長身なその姿は、起伏は乏しいとはいえ女性的な形をしていた】
【ノースリーブのタートルネックに、ホットパンツ、錆色の髪はショートカットにした身軽な格好だ。だが、広く露出している筈の四肢に肉体の色は無く、根元から黒鉄の義肢となっている】
【何故か彼女は、小さく笑った、顎を上げて空を仰ぎ。口元は鉄で出来た犬用の口輪で覆われていて、人に着けるには異様なその形状のシルエットが浮かぶ】

……ああ、挨拶が遅れたね、こんばんは、カノッサのお嬢さん

【空を仰いだ視線を落とし、それをルナに真っ直ぐ合わせる。その目は左右で色が違い、右眼は真っ赤な野獣の眼のようで】
【隈のある気怠げな目線が、薄笑いを浮かべたように緩やかな弓形になっていた】

/まだいらっしゃれば
516 :リチャード・トラヴィス ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/30(土) 20:23:20.64 ID:2p4cdlmeo
>>514


ええ。あなたのような博識で親切な方に教われるなら、ボクも気が楽ですからね。
……はい、はい。わかりました。その時は、よろしくお願いします。


【楽しそうに笑いつつ、こちらも手帳を取り出して、女性の指定した場所をメモしていく】
【――場所が水の国ならばなおさら都合がよい。少年にとっても身近な土地だ。それこそ、場所によっては学校帰りにでも寄れそうである】
【手帳とにらめっこして空いていそうな時間に当たりをつけるとそれも教え、面白げな声色で柔らかく会釈するだろう】


天音さんですね。天の音、とは――とても綺麗な名前じゃないですか。
差し支えなければ、そのまま天音さんと呼ばせてください。
ボク、櫻風の名前って好きなんですよ。友達にも二人ほどいるので……。

……ボクは……そうですね。"リック"とでも呼んでもらえれば――、


【そろそろこちらのグラスも空になって、ポテトも品が尽きた頃合いか。少年は女性の名を聞くと相好を崩して、賞賛の言葉を贈る】
【――社交辞令なのか本音なのか。もしかしたら褒め殺しにして反応を楽しもうなんていう意地悪なのか。いちいち隙のない少年だ、何ともわかりづらい】

【たぶんハーフか何かか、なんて天音の外見と名前を比較して適当に考えていたところ、自分の名前を聞かれると少年は悩むような素振りを見せるだろう】
【少し考えたあと、リックと名乗る。本名というより愛称のような響きだ、お忍びでこんな場所に来た手前本名をバラすのは不味いのか、】
【と――そんな時。ギャハハハ、という下卑た笑い声が遠くのテーブルから聞こえてくるだろうか。最初に少年に絡もうとした男たちだ……】

【「なに考えてるかわかんねー」とか、「兄貴ブッ殺してのし上がったって話だぜ」とか、「キザったらしいツラだな」とか】
【何か妙な話題で盛り上がっている。見れば男たちの視線の先にはオンボロのテレビが置いてあり、会見らしきものが放映されていて】
【――少年と非常に似た、というかまったく同じ顔のスーツ姿の少年が、大人に囲まれて報道陣の前で報告書を読み上げている】
【テロップには「『TRAVIS』、新事業に着手か」という文字。天音が知っているかはわからないが、『TRAVIS』は水の国に本拠を置く大企業の名であって】


………あー、えっと。
今日は本当にありがとうございました、天音さん。ボク、そろそろ行きますね。
お店のこと、なんなら学校の友達にも紹介しておきますよ。


【少年の努力も虚しく、テレビに「リチャード・トラヴィス氏」という新しいテロップが現れ、スーツ姿の少年を紹介した――】
【……たぶん。こういうあまり"よろしくない"場所に来るとき、この少年は変な輩に狙われないよう"リック"という偽名と変装で身分を隠しているのだろう】
【少年をリックと呼ぶか、それともリチャードと呼ぶかは、天音次第だ。いずれにせよ、少年はかなり気まずそうに天音へ向き直ると】
【諦観混じりの苦笑を浮かべつつ立ち上がり、丁寧に一礼したあと店を出ていこうとする。……酔った女性を置いて一人で帰るのもなんだか気が咎めるけれど】
【彼女もそう強く酔ってはいないようだし、未成年風情が逆に生意気か、なんて内心で笑う。それでもさりげなく、天音の分の料金だけ払っていくだろう】
517 : ◆VVURn/3wpI[sage saga]:2015/05/30(土) 20:39:17.72 ID:v7eddH4e0

【夜の公園に影が一つ】
【夏も近付いているというのに頭からすっぽりと外套を被って、それが地につかないよう背筋を伸ばして歩く】
【重そうな足取りに加え足を動かす度に硬い音が響くのは、まるで金床でも引き摺っているかのようで】
【やや長身ながらも時折フードから覗く赤毛の房とハスキーな声が女性と認識させるのは十分な要素を持っていた】

折角歩き回れるようになった途端にこれか……

【そんな女が此処で何をしているかというと、対して広くも無い園内をうろうろと】
【速くもなく遅くもない速度で、目印である筈のこの近辺の地図の前をもう三度も通っている】
【季節に相応しい格好でもなく、夜の散歩というには些か部外者過ぎる。即ち】


――――何処なんだここは

【女には普通の身体の他にも方向感覚というものが絶望的に無かった】
【端的に言うならいわゆる迷子。途方に暮れたように立ち止まり、外套の下でごりごりと頭を掻いた】
518 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(田舎おでん)[sage saga]:2015/05/30(土) 20:55:23.04 ID:9kWFyl200
>>516

あら、私なんてまだまだよ。すごい人はもっとずっと覚えてるんですって。
凄いわよね、よくもまあ――どうしてそんなに覚えられるものなのかしら?

【なんて言って彼女は笑う。上を見れば化け物揃い、自分なんて、博識だなんて間違えても言えないくらい】
【親切かどうかはどうだろう――まあ、生ぬるい時があるのは自覚していた。目の前で殴られて泣いている女の子が居たとして、】
【それを放置してもっと泣かれたり、もっと手ひどく殴られるのを見るのは――だって、めんどくさい、じゃない? 

別に構わないわ、好きに呼んで。あなたのことはリックでいいかしら?
そうね、卵が好きそう。……ああ、なんでもないわよ。気にしないで、ちょっと思い出しただけなの。

【天音と呼んで構わないと軽く了承、彼のことも、名前で呼んでいいものなのかと尋ね】
【つぶやいているのはなんてことなくゲームのことだった。それも昔のゲームだ、反応しなくたっていい話題】
【なんてどうでもいいことを言っていたら、遠くから聞こえる、――お世辞にも品が良いとは言えない、笑い声】
【ちらりと横目で見れば、さっきのやつらだとすぐに分かった。さらにその視線の先を追いかけて、今にも壊れそうなテレビを見、】
【ということは、テレビに映っている“リック”を見たはずで。それなら、ついと視線を戻したとき、どんな顔をするのか】

あら、そう? じゃあ気をつけて帰るといいわ、またナンパされないように。
お店も紹介してもらえると嬉しいわね、花産業って、最近落ち込んでるの。入用のときはよろしくしてほしいわ?

【なんて笑う。それを追及するのは面倒だったし、テレビに出た名前、リチャード。そうやって呼ぶのも、面倒くさい】
【それなら名乗られた名前――変装した謎の少年、リックとして扱った方が、彼女が思うに、ずっと面倒でなかった。あるいは、】
【少し冷たいのかもしれないけど……彼が自分から名乗るその時まで、きっと、彼女は相手のことをリックという少年として扱うだろう】

【――そして、店から彼が居なくなって、数分。ついにビールも、ポテトも、なくなって。塩と油っぽい指を紙ナプキンで拭うと】
【もう少し飲みたい気持ちもあるのだが――のんびり喋っていたせいか、時計の針は思ったよりも遅い時間を示していて】
【それなら明日も仕事だ。寝坊なんてした日には面倒くさいことになるし、それなら、早めに寝たい。――帰ろう、と、立ち上がり】

【レジにて、彼が支払いを済ませていったことを知るのだろう。仕様がないのでそのまま店を出て、ほんの数秒、彼の姿を夜に探すけど】
【まあ、どうせ、店に来るらしいのだし――礼はそのときに済ませればいいだろう、と。彼女も、また、夜の人混みの中に姿を消していく】

【――彼が指定した日。その店は、訪れてみれば、純粋にきらびやかな花屋……切り花をメインにするより、根っこのついた植物がメインで】
【土や水を扱うからか、この前の飲み屋のときよりも適当な恰好をした彼女に会うだろう。髪はひとつまとめにされていて――エプロンをつけて】

【それで、ベゴニアについての説明をしたり、必要なら他の花についても説明して。それと、あの日の支払いについての礼をして】
【分からないことがあったら質問しにきて、と、告げたのだろう。――飲み屋のときよりいくらか態度が柔らかかったのは、営業用なのだろう】

/途中いろいろありましたがお疲れ様でしたっ、ありがとうございました!
519 :ルナ ◆/Pbzx9FKd2[sage]:2015/05/30(土) 21:06:15.42 ID:RG4mnPk60
>>515
/おります!申し訳ありません、返信を書いておりますのでもうしばらくお待ちください!
520 :リチャード・トラヴィス ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/30(土) 21:23:47.80 ID:2p4cdlmeo
>>518

【――どうしたものか、なんて困り顔。せっかく楽しく雑談していたところへ水を差すように、あっさり身元がバレてしまった】
【実を言えば、それに不安だとか恐怖だとかを感じたわけではない。むしろ天音がどう対応してくるのかを楽しみにしている面すらあって、】


――ええ。男性にナンパされるのは二度とごめんですよ、まったく。
それじゃあ、天音さん。今度は"リック"じゃない方で、会いに行きますね……。


【結局、予想通りというか、期待通りというか。リチャード・トラヴィスとしての自分など関係なく、彼女は接してくれる】
【リチャード――いや、今はリックか。彼は流し目で笑いかけるようにして天音へ軽口を飛ばすと、満足したように帰路につくだろう】
【酒場を出ると、また変な輩に絡まれないよう気をつけつつ路地を抜けて、携帯で連絡。……豪華なリムジンが裏通りに取り付く、怪しげな光景】
【そのまま天音が出てくる前に退散していく。せっかくカッコつけたのだから、最後まで見栄を張りたかったのか――】

【そして、また後日。宣言していたとおり、少年はリックではなくリチャードとして、天音の店を訪れるだろう】
【……高校の制服らしき姿、本当に学校帰りに寄ったような風情だ。立ち姿は様になってはいるが、学生にしてはちょっと大人び過ぎているか】
【レクチャーを受けると、最終的には予定通りエラチオールベゴニアを選ぶ。アール・デコの鮮やかな紅色と朧げな混色が決め手だったようだ】
【ついでに――こっちは社用に、なんて称して、天音に育て方を解説してもらった他の花もぜんぶまとめて買っていくだろう。とんでもない大人買いだ】
【あの日の奢りのことなどリチャードはまったく気にしていないようで、これが暴漢の魔の手から救ってもらったお礼ということらしい】

【――よりにもよって、"リチャード・トラヴィス"ともあろう者が。まさか花の手入れなぞに精を出すことになろうとは】
【なかなか奇妙で愉快な縁もあったものだな、と。その後帰宅したリチャードは、飾られた花を眺めながら、心底面白そうに笑うのだった――】


/お疲れさまでした!
521 :ルナ ◆/Pbzx9FKd2[sage]:2015/05/30(土) 21:43:28.60 ID:RG4mnPk60
>>515

【背後の気配に気づき振り返ったその先には、明らかな異形が逆光に照らされ立っていた。】
【見られた、一瞬その言葉がルナの頭をよぎる。しかし相手の姿の異様さから、ワンピースの内側に伸ばしかけた手の動きが止まった。】

(一見して只者じゃない。…まず、能力者のはず。問題は、この女がカノッサに属するのかどうかだ。)
(口振りはとぼけていても、何か理由があっての言動、ということも有りうる。ナンバーズのリストには載っていないから、可能性としては一般構成員。)
(とにかく、それを確認しないことには始まらない。)

【問いかけや挨拶に応じるような社交性を彼女は一切持ち合わせていない。彼女にとって大切なのは、目の前の人間が自分にとって益となるか否か、だけだ。】
【だからこの時ルナの口から発された言葉が、ラインの発言に対しての返答として機能していたことは、全くの偶然だった。】
【必要なこと以外を決して語ることのない閉ざされた口が開かれ、彼女は言う。】

貴方は、誰。

【ルナの視線はラインの瞳にまっすぐ合わせられている。その瞳が孕む、巨大すぎる負の感情にラインが気づくことはあるだろうか。】
【狂人のように鋭い目つきと有無を言わせぬその口調は、質問に対して極めて明確に回答することを強制していた。】


522 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/30(土) 21:56:02.39 ID:9cHvS4IX0
>>512

「知った事じゃない何て良く気軽に言えるモンだね
場所が場所だったら思いっきり殴りつけたい位だけど――――」

【突如の熱風。肺が焼かれぬ様に、と腕を口に当て瞼は半分に閉じられ】
【攻撃の前兆か、ならば相応の対応するまでと魔力を高めるのだが――――不意に現れた“珠”に対し、其れは中断され】
【言葉を聞けばある意味で依り代。或いは“餌”とも表せるか】
【触れる指先に伝わる熱感。なる程、確かに同じ術者が用いた者ならば質も同じ】
【同化させるには丁度良い。そんな考えだ。――――問題なのは、其れの使用方法】


「――――此処は“過去”だよ、カズネ。今無くたって、キミが無くしたって此処には在っても不思議じゃ無いんだ
……敵じゃ無い。でも、味方でも無い。それに“こんな事”が起きたのはもうずっと昔の話だ
真っ直ぐなのは良いけど、今はその気持ちを抑えてさ――、ね?」

【前に出る女性をクスリと小さな笑みを零しながら制したのは修道女の片腕】
【止めなければそのまま喧嘩でも吹っ掛けに行きそうな――――とも思ったけれど】
【それも杞憂か。見せたのは二度目の狼狽。似た術を用い、剰え相手の持つ其れが彼女の家系に伝わる物ならば】
【――――困惑するのも無理は無い。尤も、同じ血でありながらその性格はまるで反対か何て一人漏らし】


「……聞いた通り、今にもキミに食ってかかりそうな其処の人はキミの遠い未来の子孫だよ
ボク達が生きる時代にキミが居るかは知らない。でも、少なくてもキミの子孫はしっかり居る訳だ

キミが中途半端に残した清算はキミの子孫にも手伝わせる。文句は言わせる気は無いし許す気も無い
――――まあ、そもそもキミなら言いそうに無いけどね」

【二人の魔女を血縁関係と結びつけるにはまだ早い、が】
【ハッタリにも似た台詞。だが、同じ血の流れるであろう二人ならば理解出来るのだろうか】
【――――其れとも、家系に伝わる杖からのみ判断するか。連ねる言葉は滞る事無く、それでいて現代の魔女が口を挟むだけの時間も与えず】


「況してや対象はボクの仲間だ。その杖、ボクには扱えないけどキミのずっと先の子供であるカズネなら扱えるんじゃ無いかな
確立は少しでも上げるに越した事は無い。その杖、未来のキミの役割を担う人に譲って欲しいな」

【要約すれば、だ。その杖を扱えるのは恐らくは今目の前の灰被りを除きカズネのみ】
【その杖がある事で仲間の騎士の肉体を取り戻す可能性を少しでも上げる事が出来るならば、其れを子孫に託して欲しいと】
【無論、自分達からすれば“過去”の話であっても灰被りにとっては“今”の話だ。易々と手放すことが無いであろう事を理解した上での賭けにも似て】
523 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/30(土) 22:17:40.54 ID:sSG2/QpOo
>>521
そう警戒しないでおくれ、僕だって好きでこんな格好しているんじゃないんだ
……まあ、気に入っているけどね

【ルナが真っ直ぐ返してくる視線を見て、彼女は冗談めかして返す。その視線の中にある負の感情を認めて、ついつい笑いをあげそうになった】
【ルナのしていた行為に実感を持たせるような感情だ、それが素晴らしくラインの心をくすぐり、興味をもたせた】

ライン=アインツヴァイド、GIFTの一人、と言えば十分だろう?
いや何、カノッサと対立している訳じゃあないんだ、爪牙を剥くつもりは無いよ……今の所はね

ああそうだ、話題を出そう、会話には話題が必要だ
───何故、あの二人を殺した?

【目を逸らす事なくルナと視線を交わしたまま、その視線にはルナの感情を受けて尚、不快感といった物は宿しておらず、それが逆に気味が悪い】
【どこか飄々として、会話の主導権を握るように、思い付いたように話題を切り出した。それはたった今ルナが手に掛けた二人についてだ】
【勿論、彼女は正義の味方でも無ければUTやSCARLETの関係者でもない、どちらかといえばルナに近い立場の人間である筈で、それでも何故かと問うのは、単に気になったからか】
524 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage]:2015/05/30(土) 22:28:33.18 ID:7D/F8hLy0
【――――世界は、絶えず時の流れと共に移り変わっていき、今を生きる人の数だけ、物語もまた時の流れと共に紡がれていく】
【今を生きる人の数だけ紡がれる、幾百億編の物語――――】



【――――水の国 大衆食堂】

うぐー……も、もう食えねぇぜ……
肉に魚に卵に豆に……も、もう腹がパンパンだ……

【前面を開いたままで青いコートを羽織り、魔術師である事を如実に表す青のハットを被った】
【手には指輪と、グリップの部分に赤い石をあしらわれている、金属製の棍を握り締めている】
【ひょろっとした体格の、深い眼窩が鋭い視線を放っている、身長180cm前後の居丈夫が】
【一人掛けの座席に陣取り、苦しげな表情で腹をさすっている】
【――――テーブルの上には、3人分ほどはありそうな大皿が4枚、空になって並べられていた】
【どうもこの居丈夫、それだけの分量の食事を、1人で平らげてしまったらしい】

あー、酒が飲みてぇ……けど、まだ、身体が本調子じゃねぇからな……
せ、せめて8割方体格が戻るまでは……ちくしょう、プロテインでも買うか……?

【ジョッキに、ビールの代わりなのであろう炭酸ジュースを満たし、それをゆっくりと煽りながらぶつぶつと口中で何事かを呟いている】
【チラリと伝票に視線をやり、白けた様な表情を浮かべながら、ジョッキごと首を上方へと傾けた】



【――――所変わって、風の国 公園】

「……私、ラベンダーちゃんになんて言葉を掛けてあげたら良いんでしょう……?」
……あれから、ラベンダーは?
「……ずっと、お仕事に集中してて、もう顔を合わせるのも、少なくなっちゃいました……」

【銀色のウェーブがかったロングヘアーに、目元をサングラスで隠し、毒々しい赤い口紅が塗られた唇をしている】
【全身は、飾り気のない黒のライダースーツで固められており、スマートな印象を与える】
【両手足が、どこか不釣り合いな細さの、鋼鉄製のものに接ぎ変えられている、身長160cm前後の女性と】

【灰色のフード付きパーカーに、さっぱりした色合いのチェック柄の入ったスカートを履いた】
【額に、正三角形の形に、赤・青・緑の点が浮かび、それらを繋ぐ様にぼんやりと光の円環が浮かび上がっている】
【少し癖のあるオレンジ色のショートカットと、緑色の瞳が印象的な、身長140cm前後の少女が】

【共にベンチに腰掛け、やや陰鬱な雰囲気の中で、会話を交わしている】
【少女の方は、手に炭酸精製乳の缶を寄る辺の様にギュッと握り締めている。対する女性は、風に身を任せる様に背もたれに寄りかかっていた】

……心を頑迷にしちまった奴には、余計な言葉は逆効果さ。今はもう……見守って、側にいてやるぐらいの事しか、出来ないんじゃないかい?
「……でも、一緒にいさせて……くれないですから……」
だったら、ほっとくしかないよ。向こうの方で、何かが変わってくれるのを待つしか他に、出来る事なんて無いさ……せめて、祈ってやるぐらいしかね
「…………」

【――――吹き抜ける風は、妙に気だるげな感触を運んでいた】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】
525 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2015/05/30(土) 22:33:09.16 ID:V3tEIdReO
>>522

過去だっていうのは知ってるけど……でも……

【理解している事と実際に体験する事はまた別次元の話であり、今回こそが正にそれ】
【あらゆることが起きる可能性も勿論カズネは考慮していた、しかしそれでもこれは予想の範疇の外の事】
【目の前に災害を叩きつけられそしてその主は自身の遥か昔の姿、遠縁という事実】

【掴もうとしても残らない幻影のようにただその現実が歯痒く、強く強く握る拳からはいつの間にか血が流れている】
【痛み、痛みだけが生きている証左である事を無意識の内に意識して】

『少し狼狽えましたが、そういう縁もあるのですか……しかし血だけとは限らないでしょう
全てが巡るというのであれば、その身体もそしてその魂も……巡りいつか現世にと再び留まる物
もしそうであるならばそちらの私に相応しい時代であるよう、混迷極まる戦いの世界であるよう祈らずにはいられませんね―――――

【使命とは捉える物であり縛り付ける物、であるならばそれを果たす舞台がなければ役者はただの形骸】
【回らぬ歯車に果たしてどれだけの価値があるのだろうか、直接は伝えずとも灰被りは1人の魔女に呪いにもにた言葉を残す】

――――――なによりも、我々が我々である証明は戦いの元でしか得られないのですからね、そちらも薄くですが理解出来ているのでしょう』

【価値を問うそれが無ければ要らぬ、道具と呼ばれる物達とて壊れてしまえば当たり前のように捨てられる】
【そしてそれが人と同じでないと何故いえようか無価値とは罪である、与えられる罰とは虚ろ】

『……強請りですか、貴方……謂わばこれは私の仕事道具で、今回の件の成否は杖の有無も大きく関わるのですが……
いや、ううん……でも、どうしましょう……ああ、そうです良き事を思いつきました』

【杖の譲渡という申し出、まさかそんな言葉が飛び出すとは思わずやはりというか狼狽しならば炎の影響も弱まる】
【悩む事数秒、少し離れた場所でかの騎士のうめき声が響いた時に灰被りは妙案とばかりに手を叩きそして「くすり」と嗤う】
【ただ自分はやるべき事が成せればそれで良い、消費出来る手段があるならば躊躇いもない……その心の在り方は修道女の隣に居る者と酷く似ていて】

『そちらの彼、騎士を焼き尽くす事を邪魔しないのであれば喜んで差し上げましょう
どうでしょうかそちらにとっても私にとっても両方に得となる妙案かと思うのですが……?』

―――――――……っ、アンタ!それって一体どういうつもりなのよ!!

【双方ともに代償を払い双方ともに得のあるプラン】
【そこに誰かの命があろうともそれはそれというように、フードの下から覗く唇は確かな笑みを浮かべている】
【カズネの言葉の一切にもはや耳を傾ける様子なく、この契約は修道女と灰被りの間のみの事と語る如く】

アタシが母さんから譲り受けた杖を、なんでそんなふうに扱うのよ……っ
そんな、そんなふうになんか……絶対してほしくないのに……なんで……

【方やカズネにとっては杖は母の形見というべき物、遺された品であるが故に込められた想いも多く重く】
【拠り所であった物を天秤に掛けられまして反対側の錘として誰かの命が載せられているとなれば、心を砕く事など必定】
【幾ら泣かない女とは云え親類が関われば脆い箇所も現れる、その声も混迷に負けてか僅かに震え】
526 :ルナ ◆/Pbzx9FKd2[sage]:2015/05/30(土) 22:46:21.39 ID:RG4mnPk60
>>523

【「GIFTの一人」。彼女の耳に届いた言葉はたったそれ一つで、のちにラインが続けた言葉にルナが反応することは無かった。】
【それだけで充分過ぎたから。彼女は再びワンピースの内側に手を伸ばし、服の中で拳銃に触れた。】

(そう、あなたはカノッサの人間では無いのね。良かった。)
(いい加減、新しい戦闘スタイルの実験台になってくれる人が欲しかったのだから。出会う能力者は全員、上司ばかりだったもの。)

【安全装置を外し、引き金に指を掛ける。瞳をラインに合わせながらも、指先の動きに微塵も狂いは無い。】
【少女ルナに社交性は存在しない。他人とコミュニケーションをとることは、彼女が最も忌み嫌うことだ。】
【神経症患者の様に張りつめた精神は、他者と口を利いているだけで彼女の身体に影響を及ぼす。にぶい頭痛と、息苦しい動悸に襲われる。】
【そんな彼女が必要性の無い会話に応じることは決して無い。だから彼女は喋らない。ただ、心の中で思うだけだ。】

(何故殺したか?…妙なことを聞く女。それを見ず知らずのあなたに語って、一体どうなると言うの?)

【ルナの目つきが一層鋭くなる。込められた思いは鬱陶しさか、戦闘の覚悟か。】
【瞬間、構えられた両手に握られていたのは2丁の拳銃。それらは火を吹き、亜音速で発射された弾丸はラインの両肩を正確に貫かんとしていた。】
527 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage]:2015/05/30(土) 23:05:10.72 ID:7D/F8hLy0
/>>524取り消しでー
528 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/30(土) 23:05:34.57 ID:9cHvS4IX0
>>525
「――――――……」

【小さな溜息は、その案に対する素直な感想であろう】
【詰まりは、受け入れない。確かに過去は過去だ。此処で心を殺して焼かれているのを見ていれば一番簡単に済む話だろう】
【何よりの得策であり、最善の手。少なくとも、焼き尽くした魔女と此処に現れた修道女にとっては】

【然れど、隣に居る今の魔女にとっては其れは最悪の案と言い表しても良いか】
【偶々ドラクレアで会っただけの縁。彼女を考慮をする義理も無いのだが】
【――――其れで良いのか。否、良い筈も無い】
【ならば至る結論は一つだ。何時も通りの自分で居れば良い】
【果たして殺せるかも分からぬ相手。否、上手く事を運べたとしても現世に戻れば杖も珠も消えてしまうかも知れないけれど】


「歴史にも残らない戦い、か。何だかそう言うと凄くカッコイイ響きに聞こえない?ねえ、カズネ」

【言葉に出した事が全て。提案された契約を破棄】
【穏やかに済めば其れで良かった――――だが、そうも言って居られまい】
【ただ焼かれるのを見ていろ、とは無理な話だ。もしも其れが出来れば元よりこの場に現れる事も無い】
【そして、血が流れる程に拳を握る魔女を無視してまで自身の其れを通そうとも思わない】

【腹が立つ。ただ単純な理由だ】
【――――まるで冗談でも紡ぐかのような言葉。ただ、その言葉の意味は至って単純】
【『今から貴方を殺しに掛かります』それ以外の何にも取れず】


「――――一応、聞いて置くけど。今からキミのご先祖様を。もしかしたらずっと昔のキミ自身かもしれない相手をボクは今から殺すよ
何て言うか単純に腹が立つし…………上手く行けば、ボクのストレスも消せて一石二鳥になるかもしれない

絶対して欲しくない。なら、させなければ良いだけさ
それにボクは此処に来る前にキミに言った筈さ。『ボクに手伝える事があるなら手伝ってあげる』って
…………泣く事なんか何時だって出来る。別に泣いたっていいけど、それなら泣く前にキミの考えを教えて欲しいな
手伝った方が良いのか。それとも、彼が焼かれるのを見ていた方が良いのか」

【――――だが、仮にも相手はカズネの縁者。何より、カズネ自身がその契約を承諾すれば手出しもする事はあるまい】
【只問うたのは、目の前の人物を“殺しても良い”のか】
【此処で殺し、止める事が出来たとしても未来は変わらないだろう。それでも、彼女の形見である杖が人の理で謂う罪を背負わずに済む】
【手伝え、と。或いは良い、と頷くだけでも。小さな笑みを浮かべて反応を返すに留め、その銃口からは相手の額を目掛けて弾丸が放たれる事となる】
【尤も、元より警戒して居たならば避ける術も防ぐ術も無数に在る事だろう。ただ、開戦の合図とするには丁度良く】
529 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/30(土) 23:08:42.55 ID:sSG2/QpOo
>>526
【ルナが答えず、代わりに銃を構える、ポッカリと空いた銃口が深淵に続く奈落の穴の如く見つめて来て、ラインはゾクリとする感覚を覚えた】
【───無論それは恐怖からではない、その行動の狂気的な判断に魅せられたからで、ある種彼女は『興奮』していた】

【その動きに一切の淀みは無く、容赦も躊躇いも無い、鮮やかにそして静かに敵意を向けられた】
【対するラインは、その冷たい両腕で自分を抱き、「くふ」と笑い声を漏らす】

おいおい、僕は質問しているんだ、答えてくれたっていいじゃないか?
それとも何か気に障ったかい?なら謝るよ、僕としては君を馬鹿にしたつもりは無いんだが───

【銃を向けられているというのに、その調子が狂う事は無く、震える声で返ってこない質問の答えに不満を漏らす】
【だが無慈悲にもその言葉を発砲音が遮って、二つの銃弾がラインに迫る、しかしその時には既にラインの姿はそこには無かった】
【いや、ラインは一歩も動いてはいない、ただその場で姿勢を低くし、しゃがみ込み、両手足を地面に着いて、獣のような体制を取っていただけだ】
【立っていた状態のラインの肩を狙った銃弾は、四つ脚になったラインの頭上を通り過ぎて行く】

くふ、容赦が無いね、素晴らしいじゃあないか
さっきの二人も、そうやって殺したのかな?

【地面に着いた四肢全てに力を込め、大地をズラすイメージをもって蹴り出す、身体は四肢から地面に伝えられた力の反作用で打ち出され、ロケットの様に前へと飛び出していく】
【それを、二回三回繰り返しその度に加速しながら、真っ直ぐにルナへと接近する。獣のそれと全く同じ動きで駆けるラインは、ルナへと接近出来ればその勢いのまま、ルナへと飛び掛かり押し倒そうとするだろう】
530 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2015/05/30(土) 23:38:51.33 ID:V3tEIdReO
>>528

『はあ……理解しかねます、最も合理的な案だと思ったのですが……
判断を間違えてしまったのでしょうかもう少し、理知的で理性的な方だと思ったのに―――――――

【そうして静けさが現れる、嵐が訪れる前の世界は静寂であるようにこれは兆し】
【周囲の焔が消えたのは決して戦う意思を失ったという訳ではない】

しかし、仕方ありません……牙を向くというならば然り、教育して差し上げましょう
驕れる者に正しい鉄槌を与える役目、今回は例外ですが成すべきは成さねばなりませんので』

【爆縮、収束した魔翌力は焔を巻き上げ世界を紅色に染める】
【登り上がる火柱は四方に広がり壁を作り逃がしはしないと語る、半径にして凡そ20mも無い狭き世】
【ただ人を二人程埋めるには十分過ぎる土地であるのは云うまでも無く】

……分からない、そんなの分からないわよグリース
だって、アイツを否定してやりたいけど……心のどこかで納得しちゃってる自分がいるんだもの
「ああ、それは都合がいいな」なんて、一瞬でも思っちゃたんだもの……―――――――

【魔女と魔女、その根源は或いは同じかもしれない】
【なればこそ灰被りの提案にカズネの本能は然りと首を縦に振ってしまった】
【さすれば理性は直様それを否定するが一度でもあった事実は変わらない、嫌悪は自分に向いたまま】
【震える拳は緩む、自分の末路が目の前に物を言わずに立っている、ただそれだけで折れてしまいそうになる】

【……だが、だからとて歩みを止め自分の意志を折る理由にしていいのか】
【否、と心が叫ぶ――――――――ならば、世界は今一度紅色へと染まる】

だから……それを振り払わないと、私は私……他の誰でもないって
それを証明出来るのは今この時だけしか無い……

【同質の力が今宵夢物語の中でぶつかり合う】
【愚かな、と言うた魔女は迫る弾丸をぼんやりと見つめたまま避ける事もしない】
【灰被りの立つ地面から不意に伸びた火線に焼かれ溶けて地面へと下る】

『未来よりの人が過去で死んだならばどうなるのでしょう……』

【一振り灰被りが腕を振るえば焔の壁より巨大な腕が伸び修道女へとその拳を下ろす】
【渦巻く魔翌力による焔の一撃、質量的な要素は無くともその暴虐の嵐が形となった物に触れ無事で済む理由は無い】

―――――――じゃあ、過去の人間が死んだケースも見てみないとねッ!!

【迫る拳に毅然と向かう者、同質の力を持つ者がその合間に割って立つ】
【同質であるならば力の扱いを心得るという事、カズネの向ける掌は焔の暴虐を抑え強引に方向を換え弾き飛ばす】

っつ、なんて……馬鹿みたいな強度、ごめんなさいグリース……多分私じゃアイツには敵いそうにないわ
力が似ているとしてもその練度が違い過ぎる、例え私が攻撃しても私と同じように攻撃を捌くないし吸収されちゃう……
でも、蛇の道は蛇って事だからあっちの攻撃は幾らかなんとかして見せるから……だからごめんなさい、本当は私が行きたいのだけど

【灰被りの顔面を代わりに殴ってやって、と告げ目を配せをひとつ】
【カズネにとっての戦いは魔翌力による空間支配、この灰被りにより作られた空間をこちら側に傾けさせる】
【本音ならば今すぐにでも殴りに行きたいが、状況がそれを許さないだからこそ託す】

【世界は赤く、されどその瞳は尚も紅く燃えて彼女を見つめていた】
531 :ルナ ◆/Pbzx9FKd2[sage]:2015/05/30(土) 23:44:33.13 ID:RG4mnPk60
>>529

【銃口から放たれた2発の弾丸が空を切る。あろうことか銃弾を「しゃがんで」回避されたことについて、ルナは僅か動揺した。】

(…!私の最速の攻撃手段を、あっさり見切るなんて…。まずい、外見から予測はできたけれど、身体能力は獣以上か…!)

【彼女の持つ異能はもっぱら防御の為に存在し、攻撃性は持たない。ゆえに彼女の攻撃法は一般人のそれと何ら変わらない。】
【その中でスピードを持つ相手に最も対抗し得る武器、拳銃での攻撃が恐らくは通用しないであろうことは彼女にとって深刻な危険となる。】
【しかし次にラインが取った行動に、ルナは好機を見出した。「そういうふうに来てくれるなら」、目の前の敵は倒しうる。】
【彼女はそう考えた…その中に、ラインがその間に発した言葉へ応じようという考えはまるで無かった。】

【ラインはルナへ弾丸のごとく飛びかかる。常人ならば体ごと砕け散りそうなその体当たりを、なんと彼女は指一本で止めようとする。】
【自身の腕力に絶大の自信があるのか。否、そうでは無かった。もし宙に浮くラインの体の一部が、ルナの指先に触れたならば。】
【瞬間、ラインという人物に生じている全ての速度は消滅する。そうなった時、果たしてラインは自らの身に何が起こったのか気づくだろうか。】
【ルナの異能、『静止の境(アイドルストップ)』。ある物体に生じている「速度」を、自身の体に触れた瞬間ゼロにする能力。】
【決して自身の異能を彼女が語ることは無いし、ひけらかすことも無い。もしも相手が彼女の能力の正体を暴けなければ、それはルナにとって大きなアドバンテージとなる。】

…馬鹿ね。

【それは独り言に近いつぶやきだった。もしもラインが彼女の策にはまったならば、すかさずルナはいつの間にか手にしていた催涙スプレーを、顔面目がけ発射するだろう。】
【常人に使えば20分は咳と涙が止まらなくなるような代物だ。いくら人外の代謝能力を持つ者であっても、まともに喰らってはこの戦闘、非常に厳しいものとなる。】

532 :霧崎 ◆8R7odKA9zA[sage]:2015/05/30(土) 23:50:18.87 ID:ZCzLM4GEo
【公園】

【ここは企業の高層ビルなどが立ち並ぶダウンタウンにつくられた公園】
【広々とした園内には直輸入されたソメイヨシノが幾つも植えられて先日まで】
【美しい花を咲かせていた。他にも竹林や鯉泳ぐ池などもありコンセプトは固まっている】
【なんでも櫻の国のある企業の大規模な出資でつくった為にこの様になったらしい】

【街灯の薄明かりと周りのビルの窓明りの中、誰も居ない公園で1人、刀を振るう女性】
【長い黒髪は後ろで一纏めにし、切れ長の目は振るう刀と同じぐらいに鋭く、シルバーフレームのメガネを掛け】
【背は高く、ハイカットのスニーカー、タイトなジーンズに白いシャツを腕まくりしてというラフな格好で刀を振るう】
【風を斬る音が乱れなく聞こえ、太刀筋はプログラムされたかのように迷いなく正確無比、スピードも落ちない】

―――ッ!……ハァッ!!

【一心不乱に休みなく刀を振り続け、最後の仕上げとばかりに背後にあった雑木に刀の刃を叩き込んだ】
【非力な女性でありながらもその技術でザクリと深く切り込み、彼女は一息をついた。呼吸を落ち着ける】
【ちょっと盛り上がりすぎてぶっ刺してしまったのをハッとして気がついて、(管理人だの何だのに見つかると少々】
【面倒くさい)、慌てて突き刺さった刀を抜こうとしたのだが、うんともすんとも。樹の幹に足をかけて引っ張っても】

………抜けない
533 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/31(日) 00:09:39.82 ID:75n6mGRH0
>>530
「キミが出した答えならボクは否定しない。元々は、キミがゴールの目指す為に此処に来たんだ
――――ボクは約束を果たす。ただ其れだけの事

……だからね。カズネがカズネである、その証明の手伝いをしてあげるよ
合理的だとか、そんな判断だけで人を殺すような人じゃ無い事を確かめる意味も含めて」

【放った弾丸はただ煮える塊と化すのみ。それだけで火力の高さも容易に想像出来たか】
【相手はたった一人で此処までの事をしでかした存在。其れがたった二人だけに向けられれば、苦戦するのは必然】
【だが、それが死を意味する訳では無い。これまで何度も何度も同じ様な戦いを繰り広げていたのだ】
【――――今回も、その延長。死なず、目的を達成するだけ】


「未来の人が死んだ場合?さあ、そんなのは分からないしきっとこの先も分からないと思うよ
だってボクは過去なんかで死ぬ気は無いし――――この過去のキミは、こうしてボク等と話すのが最期なんだから知る事も出来ない

教会の徒としてじゃなく、ボク個人としてキミを殺める」

【振り下ろされる灼熱の鉄槌。対して、不意に高まったのは“水”の気配か】
【下水等々が地下に通っているならば、まるでその水が地中を突きながら徐々に地表に迫るかのような】
【まだ、其れが現れるまでには時間を要するであろう。先ずは回避に専念すべきか、と考えた時にその軌道も曲がり】


「安心して任せなよ。こう見えてもボクもそれなりに戦いの経験はあるから
そんな事より、ボクが気付かない内に焼かれちゃったりしないでよ?
無事に帰らなきゃ意味が無いんだから――――ッッ!!」

【雷、水の操作は出来ても火を操る事は出来ない。故、防ぐにはどうするかと思っていたがその心配も薄らぎ】
【――――攻めるのは得意だ。伊達に死神の名を冠している訳でも無いのだから】
【羽ばたく翼。走る事よりも数倍速い接近】
【次に装填される弾丸は鉛玉とは異なり、寄生虫を用いた“魔力を吸う”為の物だ】

【手を伸ばせば届く距離。体幹へと向けて、弾丸は放たれて】
【傷を負わせるのは勿論の事、態々弾を変えたもう一つの理由】
【其れは、この焔が魔力で造られた物か異能で造られた物かを判断する為だ】
【後者ならば厄介極まりない、が。もし前者であるならば――――切り札が、一つ】
534 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/31(日) 00:14:29.93 ID:FqJQkg17o
>>531
【地面を駆ける一瞬の間、ある程度の強者ならばその間にも迎撃か、防御の暇はあるだろう、だがルナにはそれをする様子は見えない】
【戦闘には慣れていないのか、とその一瞬でラインは考えた。良くある事だ、単純な暴力である銃は確かに強力であるが、しかしそれを超えてしまえば余りに脆弱】
【それは即ち、人間に有りがちな過信、銃という人類のみに齎された牙への末路】

【しかし───ルナの取った『防御』らしき体制に、ラインは違和感、嫌な予兆を感じ取った】
【ルナの指に身体が触れる、こんな細い指で止められる筈もなく、そのまま身体を押し倒せる筈であった】

───!?

【しかし、その勢いはピタリと止まり、慣性の法則により身体を動かしていた力が一瞬にして消えた、身体は前には動かず、空中で停止する】
【固まった身体は重力に引かれ落下する、が、落ち切る前にルナは攻撃の体制を取っていた。それはルナ自身の力で無いにしろ、確かに彼女の持つ『暴力』である】
【噴射された催涙スプレーは、分かりやすい様に色を付けられた毒ガスを噴射し、ラインの身体を包む、まともに顔面に受けては対処法は無いだろう】

【だが、ルナはそのスプレーのガスが不自然に広がるのを見る筈だ、顔面に吹き掛けたにしては余りにも不自然、まるで壁に吹き付けたかのように拡がっている】
【ガスの隙間から見えるのは、錆色の壁───いや、それは壁ではなく、壁のように大きく広げられた『掌』であった】
【ラインの腰から生えた、錆色の巨大な腕、尾のようにも見える部位から生えた腕は、人一人を掴めそうな掌を広げて壁となり、スプレーからラインの顔面を防ぐ盾となる】

やっと言葉を発してくれたね、そうでなくちゃあつまらない
獣とは違うんだろう?人間なんだろう?だったら、言葉を発するべきだ
罵詈雑言でもいい、好きなだけ僕を罵ったって構わない、君が人間である事を見せてくれ

【そして、ラインの身体が地面に落ちると、彼女は四肢を広げて地面に着地し、低い位置からルナの顔を見上げて言葉を紡ぐ】
【その状態のまま、ラインの腰から生えた巨腕が拳を握ると、ルナの胴体へと向かって巨大な拳が放たれる。その握力は人の物とは比べようも無い怪力で、岩のように硬い】
535 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2015/05/31(日) 00:37:46.74 ID:1K+Oed/zO
>>533

―――――――ありがと……

【声はそれだけ、思考を切り替えこの場の支配へと意識を注ぐ】

『……領域の支配、この私に競り合おうとするとは――――――――
いや、必然ですかならばこれも越えるべき物……』

【気配察知、戦場に於ける出来事を察知し灰被りの場合は特に魔翌力の機微に敏い】
【地中蠢く水の気配に僅か眉を潜めるが、しかしそれは嫌悪でしかない】
【熱せられた鉄板に僅かな水を零そうとそれは瑣末以外の何物でも無し】

【近くなろうと別段関わりの無い事】
【しかしそれが一つの機会となる、驕れる者】

『――――――ッ、あまり近寄らないで貰いたいのですけど……っ……

【魔術師の多くは遠距離からの攻撃ないし支援に特化している】
【クラスは違えど灰被りも元は同じ物、故にグリースの急激な接近には尽く弱い】
【振るわれる炎はグリースの身を完全に焼き払う事は叶わず、ならば防御としての炎も成し得ない】
【痛みに息を飲む声も無しに腹部から溢れるは紅色】

……これは、異物を植え付けたのですか……厄介な、魔術殺し
しかし小さき物がどれだけ迫る焔に打ち勝てましょうか、もって数分……焼き尽くすならば容易』

【蠢く感覚に魔翌力は解けてゆく、周りの炎が僅かと蠢き少しばかりと勢いを弱める】
【修道女の判断の通りこの焔は魔翌力を根源とした物、その繋がりは間違いではなく】
【しかし灰被りとて幾つかの戦場に投入された経験を持つ兵器、己の身さえ焼くことは造作もない】
【言葉の通りもって数分となる、これが契機になるかは修道女の手次第】

『人の身で翼を持つなど、地に伏せてこそ貴方の尊さがあるというのに……
それは邪魔です縛る鎖を用意しましょう――――――征きなさい』

【声と共に焔纏う八つ首の蛇が虚空より姿を現す】
【生物で無く魔翌力を媒介とした仮の生命が故に蛇の伸縮に限界は無い、この場に焔がある限りは】

【揺らめく炎の表皮を踊らせながら渦巻く双眸、都合16の目は修道女を捉え顎を開く】
【人など容易に飲み込む巨体をくねらせ、それは番えられた矢のように四方八方より迫るだろう】
【触れれば焼かれその胴体を滑りこませ縛り付け地に落とす、動きさえ止まってしまえば幾らでも出来るという事だろう】

【蛇としての生物の本能のまま、矢継ぎ早に迫る仮想生命に果たしてどう仇なすか】
536 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/31(日) 01:06:41.92 ID:75n6mGRH0
>>535
「近寄るな?それには頷けないね
近づいて欲しくなければ逃げれば良いさ。ボクはそれよりも速くキミに詰めるけど」

【根源は魔力。そう確信した時、同時に“切り札”をどう扱うかと思考は移り変わり】
【一度限りだ。相手とて案山子でも無いのだから、十分に警戒もしている筈】
【ならば虚を突くか、そうでなければ動きを封じてから解き放つのが道理だ】
【――――算段は立てた。其処に至までの痛みは甘んじて受け入れよう。必要なのは如何にダメージを少なく、では無く確実に相手を倒すことなのだから】


「人じゃ無ければどうだろうね。生憎、ボクは純粋な人間じゃ無いんだ
…………一つ、忠告しておこうか。キミは直ぐにでもボクを殺さなきゃ、最後は火も使えなくなって其処に“居るだけ”だ
当然逃げる事だって出来ないし、精々口を動かす事しか出来なくなるよ

――――ただの戯れ言に聞こえるかな。何だって良いさ
忠告はしておいた。後で泣いたって知らないからね」

【身を焼かん、として迫る八つ首。時には空を舞い、時には潜り抜けるも流石に何時かは捉えられる】
【最中に狙撃をしようにも流石に八つ全てから逃れつつ、というのは難しく――――】


「…………つぅ……ッッッ!!」

【焼かれるのは左の脚。斬られるよりも痛みは酷く、地に足を着いて歩かせる事も困難にして】
【思わずその場に膝を着くのだから良い的だ。だが、当然其れだけでは終わらない】
【地を割って吹き出すのは数本の細い水柱。細いが故に――――其れは、まるで刃物にも似た水圧だ】
【加えればその水自体“雷”を帯びている事も知れるだろう。まるで大蛇を八つ裂きにせんと其れは鞭の如く暴れ回り】

【灰被りが其れに斬られれば、斬撃と同時に雷撃も受ける事となろうか】
【なる程厄介。更には地中から大きな“水”が地表に向かって来ているのだ】
【――――“火も使えなくなって”とはこの事か。否、それにしては余りにも直接的すぎるが……何であれ、この修道女をどうにかせねば一体に水が吹き上がる事実】
【水を操る者が、辺りを水で囲ったならば。彼女ほどの火力ならば、多少水があった所で零にはなるまい。だが相性からして相対的に弱体化すると考えて】

【何であれ、この修道女だ。焼き殺せば、或いは水の進撃も止まるのだろうが】
537 :ルナ ◆/Pbzx9FKd2[sage]:2015/05/31(日) 01:35:14.83 ID:icwMp16Z0
>>534

【ほんの一瞬でも勝利を確信した自身をルナは呪った。催涙スプレーによる攻撃は、突如出現した巨腕によって防がれる。】
【彼女は戦慄を感じていた。それはついに正体を現した相手の異能に対してでは無く。】

(私の能力をまともに体感して、彼女は確かに動揺した。なのに、その動揺を一瞬で振り切っての瞬間芸!)
(…なんて判断力。これは、ちょっとやそっとで切り崩せる相手じゃ無い、か…。)

【彼女の表情は焦燥の色を浮かべる。しかし息をつく暇も無く繰り出されるのは、巨腕による渾身の一撃。】
【あれこれ考えている時間は無かった。飛びのいて避けることも不可能であった。その拳は、彼女の胴体を正確に捕らえる。】
【ところがルナの全身の骨が砕け、内臓の破裂する音が響くことは無かった。彼女の体に巨腕が触れた途端、ルナの異能に従い巨腕の速度は瞬間だけ0となる。】
【この時ラインがルナの異能の正体を見破っていたならば、力を失った腕に再び筋力を込め殴り抜けていただろう。そうすれば当初ほどの威力は出ずとも、彼女に血を吐かせるのに充分な一撃が炸裂していたはずだ。】
【ラインはまだルナの能力の全容に至ってはいなかった。ゆえにルナは速度を奪われた巨腕から瞬間的に身を離し、なんとか傷を負わず一撃をやり過ごすことに成功したのだった。】
【しかしルナは苦悶の表情を浮かべる。何故ならば、もう自身の能力を2度もわかりやすい形で披露してしまったからだ。】

(まずい、今の一撃は何とか完全に回避しなければいけなかったのに…!)
(流石にもう私の能力は感付かれる頃。相手が鈍感だというならまだしも、とてもそれは望めない。)
(能力の正体を暴かれれば、それ以上の防御手段を持たない私の敗北は必須…。どうすれば…!)

【ルナは考える。何とかしてこの戦闘に勝利する方法を。こんな所で負けるようでは、自身の「目的」はとても果たせないから。】

(彼女は何故か、私との会話をしつこく求めてくる。あえて話に応じ、隙を付いて催涙かスタンガンを…?)
(いや、彼女はそんな甘い相手じゃ無い。それに、能力が一人一つとは限らない。会話を誘導するのは、それが別の能力の発動条件という可能性もある。)
(…つまり、正攻法で隙を作り出す以外に無い!もしも、彼女の獣としての特性が人体部分に残っているなら…!)

【彼女は伸び切った巨腕に沿って、ラインへ近づくように駆け出す。そして服の中に手を入れ取り出したのは両手に2つずつ、系4発の手榴弾。】
【それらがラインの周囲を取り巻くよう、爆発点が分散するように投擲する。】

(…炸裂しろ!)

『木枯らしの榴弾(ウィンディ・グレネード)』‼

【そして「3つの」手榴弾は爆裂し、半径数十メートルに渡って鋭利な金属片を弾丸のごとき速度で射出する。】
【手榴弾に偽装して紛れ込ませたのは一発のスタングレネード。それは爆裂と共に凄まじい閃光と爆音で周囲一体を包み込む。】
【派手な金属片での攻撃は言わば偽装。それらに気を取られ巨腕を防御に用いるならば、無防備な目と耳を閃光弾が破壊せんとするだろう。】
【常人が喰らえば一時的な失明と失聴が起こる。ましてルナの仮説通りにラインが優れた視覚と聴覚を持っていようものならば。】
【これが彼女の今打てる最良にして最後の策。その成否は、天命に委ねられた。】

538 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2015/05/31(日) 01:48:06.97 ID:1K+Oed/zO
>>536

――――――解析、開始……
術式はやっぱり似てるのね、これなら支配権を握る事も出来るかしら……ッ
でも介入するとなると対抗術式がキツイ、あっちも魔術師って事ね――――――――

【地中に手を押し当て魔術を起動して数分、大小様々な円陣は瞳のように動き巡り敵の力を移し取る】
【魔術と魔術の深度の鍔迫り合いに障害は大きい、術とは魔術師の生命線であり生涯のひとつ】
【探ろうとする者が在るならば抵抗するのは当然でありその攻勢障壁はカズネの身を文字通り焼く】
【脳に直接と訴えかける光芒の嵐、膝を付くがしかし戦う者の背中は心を折ることを認めない】


『――――――焼却、開始……

【灰被りの身体の内が紅く輝き体内の異物を焼き尽くそうと猛々しく踊る】
【異物に声帯があるのならば苦悶の叫びさえ上げる奔流、時が経ってしまえば消えるは必定】
【そして異物の担い手も蛇に触れどうやら無事で無い、瑣末だったかと吐息を漏らし】

魔女の内、火力に関しては誇っていますので……避けなければ苦痛も無しに逝けるかと
ですので、その……抵抗しない方が合理的かと――――――――

【地中より漏れ出る水の鞭、焔と相対する属性を前にされど灰被りは小さく頷く】
【驕れる者の考えそうな事だ……と、ならば決定的な違いを見せるのみ―――――】
【水により裂かれ焼け落ちる蛇、どうという事はない生物を真似ようとその本質は炎だ例え地中より水が溢れようとも関係のない】
【蛇そのものに水を浴びせ消化したならば話は違うが切り裂いたならばまた繋げれば良いだけ】

【八つ首の蛇は裂かれては焔を飲み込み蘇る、健在だと示すように再びとその大顎を開き】
【地に伏す修道女を飲み込まんと迫る、痛みは無いそれは数瞬の出来事なのだから……】

――――ッ、所有権を取れるのは4つが限界みたい……だけど覆すなら十分っ
敵だけ見てなさいグリースッ!!蛇は私が対処するわッ!!

【迫る蛇、しかしその一つとて修道女へと猛威を振るうことはない】
【数えて4つの蛇が途端迫る敵を変え互いが互いに喰らい合いを始めたのだ】
【現代の魔女は術式を解析し、次に掌握権を盗み取る……ハッキングにも似た行為の果て焔の蛇は同族同士を潰し合う】

そっちのが練度が高いみたいだけど……術式で云えばこっちのが最新なのよッ!!

【時は待たずただ進むのみ、ならばその時を経て研鑽される物がある】
【連綿と継いだ魔術の礎、時を経た力こそが灰被りの術式を僅かと食らいつく】

―――――は、少し驚きましたがだからとて何だというのでしょう苦境を与えられたとて瑣末に代わりありません
……爆縮障壁、を一つ……―――――――

【灰被りに迫る鞭は収縮した焔の開放により弾いて飛ばす】
【千切れ飛ぶ水流にローブの端が切り裂かれど、痛みが奔れど問題などない】
【痛みは全ての起爆剤、苦しみが多い程に灰被りの有する物は強さを増す】

完全に水を呼ばれるのは厄介ですし、ここで閉演としたいところです……
主砲、一門……封縛圧縮より火力を集中し焼き払います、どうか無様に避けぬように痛くないようにお逝きませ』

【主砲と呼ばれる魔術式が呼び出され幾重にも重なり折り合いグリースへと向けられる】
【収束する魔翌力は高々度に圧縮され封じられ、宿す熱は番える灰被りの姿を蜃気楼へと隠す程】
【空間さえも歪にしかねない魔翌力の滾りは告死宣言と等しく、砲撃の時間が近づく度に術式が踊り噛み合う音を響かせる】

【一つ、二つ……重なれば七つ八つを経て砲門は赤く染まり、ならば九つを以って火線は迸る―――――――】

539 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2015/05/31(日) 01:48:17.79 ID:1K+Oed/zO
>>536
―――――――魔銃、アストレア……槍を放てッ!!

【――――筈であった、砲門が咆哮を放つその僅か前に極大の光芒が砲身に迫る】
【修道女にも心当たりがあるだろういつかの巨兵の欠片より導き出された能力、魔翌力の消失】
【担い手は1人ではない、組み上げられた術式の一切がその光の前に瓦解してゆき押しとどめた魔翌力が行き場を無くし荒れ狂う】

『何を……っ、加熱した炉心を無理矢理突き崩すなどと……!』

【極小の太陽の如く焔は制御を失い地面を溶かし暴風を撒き散らし周囲を侵す】
【砲台の直近である灰被りとて焦り再度掌握しようとするも未だ続くカズネの妨害により予想以上の時間を取られてしまう】
【ついぞ手に余ると判断したのか、状況を正そうと掌を掲げ焔を己の身の内に収め始める】

【兼ねてより高熱を宿す灰被りは更に焔を飲み煮え立つ、それだけを宿しながらも御するというのだから災害の母は恐ろしい物】
【だがしかしそれこそが契機、収めた熱は異物とカズネの侵食を受け不安定となっている】
【ひとつ突き崩せば連鎖的に反応さえ起こし兼ねない不安定な生体魔翌力炉、そしてその一矢は地中より蠢いている】

【膨大な熱量を前に僅かな水は消えてしまえど堰を崩すには十分足りえる】
540 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/31(日) 02:03:11.25 ID:FqJQkg17o
>>537
【捉えた───いや違う、たった今もそう思ったばかりだろう、まだ確信するには早い】
【通常であったなら決め手になっていたであろう攻撃が、矢張り止まる、自分の意志で止めた覚えは無い、ならばこれは───】

何らかの、能力か

【妙な手応えだ、まるで自分の時を一瞬止められたかのような不可思議な感覚、だがそれらは今感じた内では、『好きに発動できる』ようではないらしい】
【恐らく、身体に触れる事がトリガーか、だがまだ判断材料となる事例は二度、確信するにはまだ足り無い】

(だが……『身体に触れた物体の時を止める』のなら、こうして躱す必要があるか?)
(どのような攻撃も触れた瞬間に無効、回避も防御も必要無い、ただ歩くだけで全てが終わる筈だ)
(故に、そうではない@摎Rがあるんだな?)

【拳の脇をすり抜けたルナを見た瞬間、ラインは判断する。身体に触れた物を止められる能力なら、防御も回避行動も、そもそも攻撃に武器を使う必要すらない】
【つまりは、ルナがそうする必要がある理由がある訳で、それが糸口だ】

いい能力を持っているようじゃあないか、少し困っちゃうね、ヒントが欲しいかな
なあ、無視をしないでくれないかな?僕だって人の心があるんだ、寂しくなっちゃうよ

それとも───君は思考を放棄する≠フかい?

【ルナが全く答えずとも、ラインはつらつらと言葉を吐いて、話し続ける。元来彼女は人と意味のない会話をするのが好きなのもあるが、ルナの予測通りにそれがある能力の条件でもあった】
【だが、ルナの誤算はそれが『会話する事』だと思っている事、例え声で返答しなくとも、その言葉に対して思考するだけで半分程嵌っている】
【だが、その残り半分が中々に難しい、故にラインはまだ其れ≠出すには至らず、一先ずは防戦となる】

【ルナが手榴弾を放った瞬間、ラインは後ろに飛び退さりながら巨腕を身体に巻き付けるようにして防御体制を取る】
【結果、弾け飛ぶ手榴弾の欠片は殆どを防御し、ダメージは小さく抑える事が出来た、急所にも至っていない、だが───】
【眼と耳をやられた、防御の隙間から防ぐ事の出来ぬ光と爆音が襲い掛かり、視界と聴覚を刺し貫く】
【何とか四肢で着地はした物の、周囲の情報を知るのに使う感覚を二つとも封じられた今、動く事が出来なくなってしまった】
【巨腕で身体を包む様に防御体制を取るが、しかし落ち着いて狙えば十分肉体を狙える隙間は存在する】
541 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/31(日) 02:23:11.70 ID:75n6mGRH0
>>538
「抵抗しないで為されるがままだなんてボクの性に合わないね
それに――――ボクはキミが気にくわない。例え昔の存在だとしてもね」

【荒れ狂う蛇。此処が好機かと銃身に魔力を込めるのだが――――まだ、其れは先に延ばされる】
【これでより一層確立は上がった。相手の“魔力を零にする”確立が】
【警戒させてはならない。防がせてはならない。たた一度だけの可能性】

【蛇が喰らい合う姿を見て、更にその可能性は上がるのだ】
【何時もとは異なり、今は二人での戦い。一人が防ぐのに専念してくれているのならば――――自分は攻めに徹するのみだ】
【頷くよりも速く、翼は風を巻き起こし。水が地を割るのに後数秒】
【其処で、絶体絶命の危機。だが、止まる事はしないのだ】
【敵だけを見ろ。背を預けた者はそう言ったのだ。――――太陽にも似る灼熱の其れとて、どうにかしてくれると信じて】



「へぇ…………なる程ね。確かに奇妙な縁もあったもんだ
――――終わりだよ。キミの負けだ」

【術式の魔力が消失した事を認識し、ポツリと呟かれた言葉】
【カズネの放った“アレ”については良く知っているつもりだ。何せ、何せ――――……】

【大地を割って吹き出た水。其れ等は全て膨大な魔力を内に宿した者を叩き砕かんと降り注ぎ】
【視界が水で埋まる寸前、最後に見る事になるのはそのまま突っ込んでくる修道女の姿か】
【――――其れまでの行動は、全てフェイク。“次なる一手”の為の積み重ね】
【不意に水の壁を突き破ってくるのは、翼を生やした女だ。勢いをそのままに、まるで突き刺すかの如く銃口をその腹に突き立てる事だろう】

【其れが、叶ったならば。同時に触れている銃身には対象の魔力を全てロストする術式にも似た何かが発動している事も理解できる筈だ】



「キミは炎も出せなくなって、口を動かすのが精一杯
そう言ったはずだし、その約束も今果たすよ。――――有り得ない筈の歴史の一端
教科書に載ることも無いんだろうけど…………“もしかしたら”を多くの人が知っても詰まらないからね」

【クスリ、静かに笑いながらも引き金を引く音は小さく。だが、次の瞬間――――“ヴァルゴ”の装甲を用いたその銃の能力が発動される】
【魔術師殺し。きっと、その言葉は間違って居なかったのだろう。魔術を扱う者の生命線とも呼べる魔力を消し去るのだから】
【正に強力な魔術を操る者に対しての“切り札”。もし、その一発が身体を貫いたとするならば――――何より身体の変化については、本人がよく知る事となろう】

【或いは場所によっては動脈でも傷付けるか。何であれ、威力としては“弾丸と同程度に搾った”為身体を消し去る程は無い】
【魔術を扱う者から魔力を消せば殺したも同じ。後は嬲るなり出来るだろうし――――抵抗させる術も消せば他に口を割らせる事とて要求を突きつける事とて出来る】
【一発の代償として全ての魔力を消費した今、翼も無くただ静かに次の流れを待って】
542 :ルナ ◆/Pbzx9FKd22015/05/31(日) 02:39:43.22 ID:icwMp16Z0
>>540

【響く轟音。またたく白光。全ての榴弾が炸裂し終え静けさが戻った夜の港に、ルナは無傷で立っていた。】
【投擲と爆裂の間に装着した耳栓と対閃光ゴーグルを取り外し、彼女は五感のうち二つを奪われたラインへ向かって走る。】
【その間にもラインが発した言葉を思い返すことは無い。必要の無い会話には徹底的に応じない彼女の性格が、偶然にも功を奏していた。】
【ところで彼女が無傷であったのはその能力ゆえである。どれだけの速度で金属片が大量に飛んできても、あらゆる飛び道具は彼女にダメージを与えることができない。】
【自身がその射程距離内に存在しながら、手榴弾を何発も乱射するという荒業はまさに彼女の特性を活かしたものだった。】

(…思惑通り、決まった…!)
(ぬか喜びしている暇なんて無い、この一瞬の隙を付いてとどめを刺す…!)

【この段に至って、ラインの考察はかなり自身の能力の核心に迫っているだろうことを、ルナも確信している。】
【彼女にとってラインは決してこのまま逃がす訳にはいかない相手である。能力の正体を知られることは、ルナのような能力者にとって命取りであるからだ。】
【走りながら取り出したのは一本のサバイバルナイフ。当然ただのナイフでは無い。先端に塗られた神経毒は対象の筋肉を弛緩させ、体の自由を奪ったのちに死へと導くものだ。】
【もっともそれは常人に対して使用した場合であるが、彼女が強力な身体能力を持つ者との戦闘を予測しないはずがない。その毒は微量でも巨象すら昏倒させる代物である。】
【ほんの少しの切り傷を作るだけで良い。即死には至らずとも、もはやラインがまともな戦闘を続行することは不可能となるだろう。】
【腕の隙間、あるいは拳の隙間から彼女は慎重かつ迅速にラインの肉体部分を狙う。暗器はもはや出し尽くした、これが正真正銘、ルナにとってのラストチャンスであった。】


543 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2015/05/31(日) 02:53:26.53 ID:1K+Oed/zO
>>541

『――――――……こんな事が……!

【瀑布の如き水流は触れた先から蒸発してゆく、焼け石に水とはこの事であるが】
【しかし不安定が故にその巨石は内部より制御を失い解かれ始める、漸くとここで灰被りは焦りから汗を零し】
【それもやがて熱により揮発して消える……】

こんな事があって良い筈がない、というのに……』

【全周囲全てを灰燼と変える熱量、それが放たれてしまえばこの領域全ての地図は書き換えられる】
【されど、ひとつの光芒が灰被りの身体を貫く、音は酷く小さく聞こえる】

【驕れる者に魂の鉄槌を、今宵それは断罪人へと落とされる】

『き、消える……消えてしまう……?まさか、これ程……とは―――――――

【魔を食らう銃、蠢く焔は魔翌力を根源とした物なればその一撃は静かにしかし激しく響く】
【昇立つ焔はその勢いを潜めならば灰被りが抱えた熱量も不意に掻き消える、寂滅と音も無し】
【立つ力さえ失い、膝を落とし杖だけを頼りにかろうじてと身を立てる】

恐ろしい、迫る未来とはここまで恐ろしい物なのでしょうか……嬉しくもあり悲しくもあり……
どうやら私の使命は未来に残るのは確かと、あなた方のお陰で分かりました……何もその力は悪戯に持っているのではないでしょう
しかし、そこまでを持たなければならない未来に果たして人々は静かに眠れるのでしょうか……』

【身を貫いた光芒、それさえも必要とする未来を灰被りは幻視し恐れる】
【もはや祈りさえも届かぬ所にここよりも深く重い地獄がある、その地にどれだけの希望があるのだろうか】

『いえ、未来の責任は私のあずかり知らぬ事……全ては今代の者達に託すしかありません、か……
まさか焔を消し去られようとは私の予想の範疇を越える、……ああ、されど……寄り添う星はもうひとつ、あるでしょう……』

【焔は根源として太陽を持つ、されど傍らにある杖の意匠は月】
【焔を扱うならば相克に位置する物があると知れ、これはひとつの側面であり陽光と対を成す物】
【極光は唐突にかの杖より溢れ周囲を染める、万物の慈愛と狂気を宿す紫白の輝き】

『いつぶりでしょうか、こちら側に傾くというのは……故に恐るべき者達、ここで全ての芽を絶つべき者と判断します――――――

【灰被りの全ては紫白へと染まり断罪人は裁定者へと仮面を変える】
【焔が猛き力なれば月たる紫白は静かなる力、平定を以って万物を統べる者】
【湧く魔翌力は静かなれど深くに流れる深海、その潮流の如き早さを宿す】

見た所、代償でしょうか……あなた方は……その、満身創痍なので……
そうですね……丁度良いと私は判断致します、それでは皆様……未来にて良き終末を』

【月の如き平静の魔翌力はこの場に乱れる魔翌力の残滓の一切を切り払い安定を成す】
【予備動作など無しに形勢を正す、その埒外は……しかし旅人に振るわれる事は、この時代にはない】

『……二度目になりますが拝領なさい、そちらの時に杖がないのであれば恐らくは力が足らず朽ちるのみ
使命とは継ぐべき物、合理的な思考から必要であると私は思うのですが……本音を言えば嫌なのですが、合理的なればそれに従うまで』

【月の意匠の杖はそっと地面に立ち灰被りの元より離れ修道女の手にへと移る】
【全ては全体の利益の為に、成すべき行いの全てはそれを根源とする……グランドオーダー】
【ふと伺える灰被りの瞳は離れる杖を見てどこか寂しそうでもあるのは、灰被りのみにしかわからぬ事だろう】
544 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/31(日) 03:17:12.38 ID:FqJQkg17o
>>542
【閃光と音による神経の侵食はそう長く続く物ではない、やがては回復する、だが、今は時間が足り無い】
【相手の行動を感知する器官を二つ潰され、頼れるのは勘と感覚だけになる】
【鋼鉄の四肢を通して地面から伝わる微かな振動が、ルナが近寄って来ているのだけは分かる、だがその方向も、狙いも、得物も分からない】
【何をしてくるのか、何処から来るのか、何もかもが分からない、無力な相手に対して、人間はどんな事だってできる】

【嗚呼、なんて残酷なのか、まるで汚物を処理するかの様に、自分は殺されてしまうのか】
【何とも素晴らしい話だ、それをこの眼で見られないのが残念だ。故に、今ここで殺されるのは何とも惜しい】
【───なら、生き残ろう】

【刹那、空気が爆裂し、荒れ狂う振動が音となって響き渡る】
【さっきまでラインがいた場所のコンクリートが弾け飛んで、そこにいた筈の彼女の姿が、其処にいない】
【砕けたコンクリートの礫が、今まさに毒牙を刺し貫かんとしていたルナに降り注ぐ、だがルナの能力的にそれは大した問題ではないだろう、問題となるのは、其処にいた者が何処へ消えたか】

───やれやれ、恐ろしいね君は、容赦がないと言うか遊びがないと言うか
殺すという点に於いてだけは優秀かもしれないね、でもそれではつまらなくはないか?

【声が響くのはルナの頭上から、その時には既に、ラインは月に自らのシルエットを浮かび上がらせながら、真っ逆さまに落下していた】
【あの時、爆音が炸裂しコンクリートが砕けた時、何が起きたのか───それは単なる、気転であった】
【やった事は簡単、ラインは腰から生えた巨腕での防御体制を解き、それで地面を思い切り殴りつけ、その反動で自身を高く跳び上がらせたのだ。どんなに敵が見えなかろうと、人間ならば上空まで追ってこれまい、そう考えて】
【しかしこれは賭けでもあった、ルナが銃を持っていた事はラインも知っていた、ならばルナが銃を構えていたなら、これは的になるに等しい行為。しかし、銃を持つならわざわざ近寄っては来まいと、地面から伝わる振動から判断】
【故にこれは、経験と決断力が物を言ったのかもしれない、逆さまに、ルナに向けて落下するラインの目は耳は、殆どその感覚を取り戻していて】

人間なら人間らしく、言葉を返してみたまえ、恨み言の一つでもあげてみろ
そうでなければ、君は獣だ、ただ狩り、人に狩られるだけの畜生さ

【構えるは鋼鉄の爪、血の通わぬ腕、落下するラインはその腕に全体重と重力加速度を乗せて、十の爪(やいば)でルナに斬撃を見舞おうとする】
【例え、ルナがその能力でラインの動きを止めたとして───空中にある物には須らく重力による力が加わっている、故にその落下は止まらず、落下による攻撃もまた止まらない】
【───最初にルナに飛び掛かりを止められた時、確かに自分の動きは止まった、しかしそれは『前への勢い』だけであって、自分が重力に引かれ落下するのまでは止まらなかった】
【つまり、『ルナの能力は重力には逆らえない』と確信したが故の攻撃、大いなる星の力を利用した糸口だ】
545 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/31(日) 03:27:16.68 ID:75n6mGRH0
>>543
「――――力かある無い何て、今も昔も同じ事さ
機関が居て、無意味に人を殺す存在が在って。其れを止める為にボクは創られた

きっとこれからずっと先だって人が存在する限りは悪の概念だって消えないと思う、けど
その中でも守るだけの価値がある人が居るなら、ボクはこの力を使い続ける」

【人間とは欲望の塊だ。人間が世の中に存在する限りは、平和な世界など幻想でしか無い】
【だからと言って、戯れに奪われて良い命があるのか。否、そんな事があってはならないからこそ造られた存在】
【応える様に紡いだ言葉は、その未来についてだろう。今と同じ様に、争いの消える事が無い日々だと】

【静かに寄る杖を手にすれば、一振りして。まるで感触でも確かめるかのよう】
【後は、手に入れた二つが無事に現世へと形を保っていれば良いだけだ】
【行う事は全て行った。後はどうするかは、この記憶の主次第かと思い】
【――――……その感情を悟った訳でもあるまい。更に謂えば、中立者から敵となった相手だ。慈悲を掛ける必要も無いのだが】


「元々コレはボクの物じゃ無い。キミに返す事は出来ないけど――――“今”正当に継ぐべき人には返すよ
この杖だってその方が嬉しいだろうし、何より使い方を理解して居る人が持つのが一番だろうからね」

【騎士の肉体を戻すためのキーアイテム。だから、返す気は無いし返す筈も無い】
【然れど、未来の紡ぎ手には受けわたすつもりだ。古来より今に伝えられる物、其処に自分が介入すべきでは無いのだから】
【半ば強奪したような形、慰めるだけの資格は無し。だが、杖を突きながら横を通り過ぎる間際にそっと頭を撫でて】


「ほら、カズネ。キミのお母さんからじゃなくて、ボクからで悪いけど
――――元々コレはキミ達一族の物だから、返しておくよ

嗚呼、でも代わりに頼みが二つ。ボクの仲間がちょっとややこしい状況でさ
と言うのも、焼かれていたあの鎧の騎士の事なんだけど。その人を助けるときには貸して欲しいのと…………後、悪いんだけど肩貸してくれない?
ちょっと自分の二本脚で歩くのは苦労しそうでさ。まー……少し魔力が回復するまでで良いんだけど」

【正当な継承者が居るならば、その物の手に収まるべき。曾てカズネに受け継がせた其の人物では無く、自分からで悪いのだがと加えて】
【静かに差し出された杖。拒むも良し、拒まぬも良し。だが、仮に受け取ってやれば満足そうに頷く筈で】
【加えて、続けられるのは二つの願いだ。その杖を術で使う時には拝借したい、という旨と。流石に焼かれた脚のままで歩くのは痛むのか、肩かを貸して欲しいとの事】


「それと、キミがやり残した事があるなら……例えば彼処の人と少し話があるとかならボクはのんびりと待ってるよ
――――いや、もう記憶の世界も薄れてくる頃なのかな?そこら辺は分からないけど…………
折角来れたんだし、次に又来れるかも分からないんだ。“悔いの残らないように”ね」

【最後には、ここでやり残した事は無いかと問うて】
【彼女の記憶。もしかすれば、生涯で一度しか訪れる事の出来ない場所】
【何か思い残しがあるならば、全て終わらせておくべきだと】
546 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2015/05/31(日) 03:46:00.26 ID:1K+Oed/zO
>>545

『……ええ、お好きなようにどうぞ、もはや語る言葉もありませんので――――――――
そちらの未来にはどうやら中々に生き辛い様子、言の葉はそちらで自ら受けるべきでしょうし……』

【焔の世界を越え、今はただ静かな世界へと相成った】
【あらゆる勢威が鎮められるこの場に於いて、戦う術その全ては刃を曇らせる】

『敢えて、その……一つだけ口にするならば、人らしい惨めな末路をあなた方へ……と』

【その言葉の意味を灰被りは語らない、呪いか或いは祝福】
【そしてひとつだけ決定しているものがあるとすればそれは灰被りの末路】

【だから故に語らずに踵を返し裁定者はそちらを向かない】


……悪いのはこっちよ、私の攻撃はひとつだって通らない精々ジャミングするだけだもの
それにきっと1人じゃ無理だったわ、こっちが最新だったとしてもあっちは根本……良くて相打ちかしら……
だから、その……ありがと、グリース……その使命喜んで受けるわ

【頷き、手にする杖は酷く馴染む……もう手にすることはないと別離した物がこの手にある】
【思い出すのは母の事、いまや遠く触れられずとも杖があるならば名残りも尽きない】

いいえ、同じ魔女同士だもの会話したってどうせ没交渉の平行線よきっと
同族嫌悪かしらね、柔和な口調に見えて根本的には私と変わらないんだから……

【傷を受けて尚高ぶる魔翌力、逆境であればあるほどに高まる焔、容赦の無い判断】
【それら並ぶ物に心当たりがあり何かと考えればそれは自分、だからこその灰被りはカズネの一つの末路】
【好き好んでそれと話そうと思う者はそうそう居ないだろう、今はただ相棒の肩を支え歩き始める】

―――――――……行きましょう

【灰被りと旅人は互いに背を向けてそれぞれの先へと歩き出す、ただふとカズネが牛後ろを見やれば】
【遠くに佇む背中も同じくこちらを向いていて、そっと笑い「征きなさい」とだけ残す―――――――】
【その姿が遠くに埋もれる母の姿と重なって零れそうになる涙を唇を噛み締めて耐える、遠き母】

【そして雲間から覗く月光が辺りを照らし世界は寸断される、来た道を行くように次は行く道に戻るだけ】
【手元には拝領した物の二つが確りと残り夢幻ではないと語る】
547 :ルナ ◆/Pbzx9FKd22015/05/31(日) 03:50:33.69 ID:icwMp16Z0
>>544

【出せる力の全てを出し尽くした彼女に、もはや回避の方法は残っていなかった。】
【繰り出される鋼の刃、それはさながら巨狼の歯牙。最後の好機を活かすことのできなかったルナに、もはや運気が残っているはずも無く。】
【虚を突かれ、上空を見上げる機を逃す。舞い降りる影を捕らえる間も無く、彼女の体は切り裂かれた。】
【鮮血が狼を染める。ルナの右肩には深い斬撃の痕跡が刻まれている、どうやら肩と右腕を繋ぐ筋肉が切断されたようだった。】

…ッ!………!!

【彼女はそれでも眼光鋭く、ラインの瞳を見つめながら立っている。もはや勝機を完全に逃し、暗器を扱うに必須の利き腕を奪われたにも関わらず。】
【悲鳴は上げない。狼が笑うと思ったから。口は開かない。無意味なことをしたくなかったから。】
【多量の失血で揺れる膝を押さえながら、彼女はナイフを右手から左手へ持ち替える。もはや切れもスピードも失ったナイフの一振りが、ラインの体をかすめんとする。】
【もはやそれは攻撃とも呼べない動き。一般人ですら見切ることが可能だ。】
【その一撃が回避されたならば、彼女は最後の手段、逃走することを選ぶだろう。…たった一つ、目の前の女に「奇妙な質問」をしてから。】

548 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/31(日) 03:59:44.12 ID:FqJQkg17o
>>547
【今度こそ、捉えた。能力への予測は正解であったようだ、落下の勢いまでは止められないと、種が分かれば成る程大した事は無いと、そう思えるのはコロンブスのたまごと言う奴か】
【ルナを抉った両手で地面に着地し、腰と脚で勢いを付けて跳ね起きる、ルナから幾らか距離を取って、黙ったままのルナと視線を交わす】

【舐めているのかと思える程のナイフ捌き、傷に塗れて尚一矢報いようとするその姿に、同情して一撃くれてやろうとする程甘くは無い】
【右手でナイフの刃を掴み、捻って止める、鋼鉄の掌に刃は切り込まず、毒も筋肉が無ければ効きはすまい】

随分と、何か言いたげな目をしているね?いいよ、言ってごらん

【追撃はしない、彼女が何か言いたげだから、ならば聞いて見せよう、答えて見せよう。口輪の下から声を響かせて、ラインは言った】
549 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/31(日) 04:15:34.02 ID:75n6mGRH0
>>546
「文字通りの人で無しが惨めでも人と同じ末路を辿れるなら万々歳さ――――」

【人間では無い存在。外見こそ人と変わり無くとも、その根本は…………生まれは、人間とは大きく異なる】
【人の皮を被ったナニカが人と同じようにして生きる】
【人間として死ぬ事が出来る日が来たならば。それはきっと、終わりの時でありながらも自身にとって大きな喜びで】


「……ん?お礼を言われる様な事でも無いよ。ボクは約束を果たしただけで、特別な事もしてないし
それに、キミのお陰で大きな手掛かり――――というか、答えも見つける事が出来たんだからね

まー、でも。特に何も無いなら早く退散しちゃおうか
この世界から抜け出しても戻った所は危険な場所に変わりは無いんだしさ
変なのに見つかん無きゃ良いんだけど……」

【当然の事をしたまで、と。社交辞令の其れでも無く、本心からだろう】
【全ての過程は自分の為にも繋がったのだ。彼女の為だけに行っていたならばまだしも、コレは自身の為でもあったのだから】

【この世界から戻った所でその場所はドラクレア。気を抜くことが出来ず、ならば今の内に退散してしまおうと】
【左足を引き摺る様にして、それでも確かにこの場から遠ざかりつつあって】


「それにしても、キミも気難しい性格だねぇ……」

【道中、まるでからかう様に呟かれた言葉。或いは雰囲気の転換を図る為の言葉だったのか】
【小さくクスクスと笑い、何がと問われても適当にはぐらかすはずで】
【――――戻って来たであろう現在。辺りを見渡し、脅威となる存在が近場に居ない事を確かめたなら一息つき】


「さて、と。ボクはこれから教会に戻るけど……良かったらカズネもどう?
さっき言った仲間の騎士についての事もあるし――――何よりあの後だ。少し休んで魔力も回復させた方が良いんじゃ無いかな
何処で術をするにしても、先ずは休んでから……だね。アレサにも伝えないといけないしさ」

【背に翼を生やし、飛ぶ事が出来る程度にまで回復した魔力。どうするか、と問うのはこれから先の事】
【件の騎士も教会に居り、序でに其処ならば心身共に休める事も出来るが――――と】
【提案に頷くならばまるで魔女を抱える様な形で空を行き、場面は教会へと移行するだろうし】
【否、と答えるならば其れはまたその時の流れを確かめるか】
550 :ルナ ◆/Pbzx9FKd22015/05/31(日) 04:24:00.40 ID:icwMp16Z0
>>548

【彼女はけして死の覚悟をしていたわけでは無かった。自身の「目的」の為に絶対に死ぬわけにはいかない、生き延びる為ならば何でもすると心に決めていた。】
【しかし目の前の女は五体満足で立っており、自身はとっくに満身創痍というこの状況下。生存の為の策など何一つ思い浮かばないこの瞬間に、相手がとどめの一撃を刺さなかったのは偶然か、天の意思か。】
【握ったナイフから手を離し、よろよろと後ずさる。そうするうち、彼女の体はコンクリートの床の縁(ふち)まで来ていた。あと一歩足をひけば、荒れる海へと転落するだろう。】
【二人の視線が交錯する。黒髪の少女が瞳に宿す光はどこまでも暗く。憎悪も怒りも恨みも悔やみも、全ての負の感情を煮詰めたどろどろの瞳。】
【そして二人は、きっと初めて「話」をした。とても簡潔な、たった一言のやりとりだったけれど。】

…1つだけ聞くわ。

あなたは自分の命と引き換えに、この星を滅ぼしたいと思う?

【自分さえ含めて、この星に存在する全ての生命を殺害したいと思うか。彼女はそう問うていた。】
551 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2015/05/31(日) 04:32:11.37 ID:1K+Oed/zO
>>549

『騎士……という在り方も分からないではありませんが、貴方がたも難儀しますね……

【灰被りは傍らに佇むかの騎士を見下ろし呟く】
【属性転化、平静の魔翌力を業火の魔翌力へと形を変える……渦巻く焔、その掌を】
【しかし振り下ろす事はない】

遥か遠くの出来事を知る事も出来ましたし、今回ばかりは見逃す事としましょう……
例え正史で無くても、まあ……ご褒美のひとつという言い訳が丁度良いかもしれません……
ねえ、それが一番都合が良いでしょう?白銀殿?』

【城より降るは白銀の鎧を纏う剣の騎士は然り、と一度だけ頷き巨剣を構える】
【この後の戦いは語られない、何が敵で誰が戦うかなど遥か遠き世代には関わりのない事】


むう、何よ……アンタに言われなくても自分の性格くらいは分かってるわよ
じゃなかったらこんな風にはなってないもの、迷惑なら御免なさいねっ

【森は静けさに包まれている、焔の痕など一切無くしかし先行く未来が明るい証明にはならない】
【積まれた問題は幾つもと道を閉ざさんと立ち並ぶ、されどそれを越えてこそ意味がある】

……そうね、でも……きっと私だけじゃ足りないわ他の人の協力も必要となるでしょうし
一度顔だけ合わせる事にしましょう、縁というのもあるだろうから……
でも、私が行って大丈夫なのかしらね一度でも炎に焼かれたならトラウマにでもなってそうだけど……

【一度頷き、されどその場で解呪とはならないと半ば勘が告げたのか】
【翼に抱かれ遠くに飛び立つのだろう、加害者と被害者その顔合わせを果たす為】
【夜を越え遥か遠く、道を進むのは過去も未来も変わるまい】

/申し訳ありません一度この辺りで凍結をお願いできますでしょうか?
552 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/05/31(日) 04:38:14.98 ID:75n6mGRH0
>>551
/自分も危うかったので丁度良い頃合いであります
/ただ、今日は帰宅が遅くなってしまう故に再開するとすれば23時半辺りからの開始になってしまうかと……
/もしもあれでしたら、翌日は月曜日と言う事もありますし置きレスにてお返し致しますっ
553 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2015/05/31(日) 04:49:58.59 ID:MymT5XcPO
>>552
/ありがとうございます!であれば置きスレにて対応していただけると幸いであります
554 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/31(日) 05:06:42.61 ID:FqJQkg17o
>>550
───思う訳がなかろうさ

【今頃になって、ようやく交わされた二人の会話、とても短く簡素な問い掛け、それにラインは静かに、でもハッキリと答えを返す】

僕は人が好きなんだ、人を愛しているんだ、人をもっと知りたいんだ、だから滅ぼしたいなんて、天地がひっくり返っても思わないね
もし、君がそう思っているというのならば───いや、その答えはまたにしよう、会話の種は多い方がいい、そうだろう?

【『人間が好きだから、知りたいから』、滅ぼすなんてあり得ない、とラインは答える。嘘偽りのない、本当の事だ】
【その質問を、そっくりそのまま返そうか、としていたが、口を途中で噤み、首を振るライン】
【また今度、出会えた時にまた話そう、彼女の声はとても気持ちの良い声だから、また聞く為に】

最初に言ったけど、別に君と敵対している訳じゃあないんだ、それに下手に手を掛けて、カノッサに目を付けられては主殿が困ってしまう
だから、ここはお開きにしよう、君も早く傷を癒すといい、ここで戦った事は他言無用、それでいいね?

【ガチャ、とコンクリートを爪で掻き、ラインは地面を蹴ると、港のコンテナの上に飛び乗って、その上を飛び回りながら去って行く】

/すみません、一瞬落ちてしまってました…
/もう危ういのでこの辺りで、お疲れ様でした!
555 :ルナ ◆/Pbzx9FKd22015/05/31(日) 05:49:40.44 ID:icwMp16Z0
>>554

【『思う訳が無い』。その言葉を、ルナは静かに受け止めた。】

(…そう。あなたは、そちらを選ぶのね。)

【続く言葉が彼女の心に届くことは無い。人間に興味を持つというその意見も、ルナへ対して興味があるというその含みも、彼女にとってはどうでもいいことだった。】

(世界を滅ぼすのには、本当に敵が多いわ…。)

【ラインは自身の最終目標への「賛同者」ではない。ただそれだけが、彼女にとって大切であった。】
【ラインがどれほど彼女へ好意を持とうとも、理由が無い限り決して彼女はラインと口を利くことは無いだろう。】
【だからそれはきっと最初で最後の会話だった。心を病み切った少女の耳には、どんな言葉も届かない。】

【少女ルナは、自身の能力を進化させることを目的としている。そして時満ちたならば、その能力はこの星そのものを滅ぼせる、そう彼女は確信している。】
【彼女が齎す「全ての終わり」の時、考える獣(けだもの)は姿を現すだろうか。獣の説得は彼女の心を救うだろうか。】

【ルナは、少なくともラインから自身へ危害を加えられることは無いということと、自身の能力がGIFT内へ露見することが無いということのみを認識すると、糸が切れた様に後ろへ倒れこむ。】
【「次は絶対に息の根を止める。」ほんの一瞬そう呟いた声は、ラインの元へ届いただろうか。】
【瞬間、海に亀裂が走る。それは巨大な生物の口であった。全長10メートルはあろうかという大魚は彼女を飲み込み、体内へ「格納」した。】
【大魚の体には、至る所に機械的な装飾が施されている。サイボーグ、そんな表現が似つかわしい。】
【『カノッサ機関科学研究局Bブロック』。体にそう小さく刻まれている不可思議な魚は、大量の金属片と破壊痕が残された港を後ろに、ゆっくりと海底へ沈んでいった。】

/いえいえ、遅くまでお付き合いいただきありがとうございました!お疲れ様です!


556 :Nero[sage saga]:2015/05/31(日) 11:45:30.76 ID:A4CeYkLFO
暇だ。死ぬ。

【彼は独りの病室で唐突にそう呟いた】
【カノッサ機関の本部、其の中のとある医療区画。彼はそこで現在療養中の身にあった】
【数日前、とある能力者との戦闘で左腕に負った傷。其の左腕を無理矢理に戦闘に使い、尚且つ本部へ戻るための長時間の飛行で傷を受けた当初よりも状態が悪化し、本来なら二、三日で動ける所を彼は幾日も病室に拘束される事になっていた】
【生来の退屈嫌いの彼がそんな状態に耐えられる筈が無く、彼は度々病室を抜け出してはありとあらゆる娯楽雑誌や俗に言うゲームハードを何処からか(恐らく盗み出し)病室に持ち込んでいた】
【其でも尚、暇を持て余している彼は遂に誰もいない病室のベッドの上で独り言を呟くようになっていた】

あぁ〜〜!!暇!!
暇すぎる暇すぎる暇すぎる暇すぎる暇すぎる。誰か見舞いにでも来ないのかよぉぉ………独りで遊んでても限界って物はあるだろうが……
不味いぞ、このままじゃ俺は自宅を警備する仕事の奴らも真っ青な生活を送っちまうぞ、そうなったらもう遊戯<ゲーム>の幅に広がりが無くなっちまう……
お願いだ……暇を潰させてくれ……俺のtime killer<暇潰し相手>はよ来い……そろそろ暇潰しにこの医療区画吹き飛ばす事も考え始めてるぞこんちきしょぅ……

【彼はひたすらに恐らくこの世界で通じないであろうスラングを呟き続けながらベッドに寝転がり天井を見続けている】
【現在、六罪王アインの風の国襲撃作戦を控える緊張状態の中、No.sの見舞い来る者が果たして居るのだろうか。恐らく今現在の状況でここに居るのは相当な暇人か、相当な変人だろう】
【能力者の溢れる能力者の組織の中で「変人」と言うのも些かおかしな部分があるが、少なくとも彼の見舞いに来た所で得られる物は少ないだろう】
【其でも尚、彼の居る場所に来る者が居るのだろうか。会いに来る理由はどうであれ彼は自分が好き好んで所属している組織の構成員を無下に扱う気は無いようだが】
【然して彼は廊下を歩く「誰か」を見つけるべく、ベッドから立ち上がり病室の扉から顔を出した】

う〜〜っす。誰かいねぇのかぁ〜〜………

【果たしてこの区画に異様な彼の姿を見つける者は居るのだろうか。廊下を見回す限りでは少しの物音しか感じられないが……】

/キャラの身体の都合上絡みにくい状態ですがどうか宜しくお願いします……

557 :ガルマ=ハド=ラジャルード ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/31(日) 20:11:11.59 ID:/vp2KPiho
【某国】

【時刻は昼――とある山間の一角に、街というには小さく、村と言うには少し大きい、そんな集落が存在していた】
【長く農産物の交易で生計を立ててきた典型的な田舎町である。ときおり観光だとか旅だとか、仕事上の視察だとかで訪れるものはいるが】
【それでも、都心部と比べれば余計なしがらみは圧倒的に少ない。便利だが煩わしい都会の喧噪と拘うことなく平和に暮らす住民たちは、温厚で義に篤かった】
【自警団や警察の屯所はあるが、彼らの仕事もせいぜい家畜が逃げ出しただの子供が迷子になったとだのの些事が大半。そんな、退屈だが平和な集落――】


………、ふむ。やはり万全とはいかんが、まあ悪くはない。
この規模の"選定"であれば、さして労せず執り行えそうだな――――。


【――数分前までは、確かにそうだったのだ。それが今や見る影もなく、此処は悲鳴と炎が空まで焦がさんばかりの地獄だった】
【家は燃え、山は崩れて、生命が蒸発する。何の前触れも何の理由もなかった。そうであるのが当然であるかのように、不変の安寧は焼け落ちていく】
【すべての中心には、集落の中央を悠然と闊歩する、ひとりの男がいた。……いや、それを男などと呼んでいいものか。何かもっと、絶対的な何かのような――】

【それは、腰元までもある長い髪に褐色肌、丈の長い純白のローブを着込んで、徒手空拳に裸足という格好の"何か"だ】
【見た目だけなら確かに男――しかしその身に纏う厳粛な威圧感は、一般人なら睨まれるだけで気絶しかねないほど。およそ人間のソレではない】
【ゆったりとした白銀を身に纏う大柄な体躯は、雲に覆われた巨山を思わせた。燃え盛る炎のような朱色の長髪が巌のように険しい顔つきを照らす】
【火炎の髪が男の巨躯の上を流れ落ちていく様子は、さながら大自然が憤怒の声を上げ、灼熱の溶岩が山肌を焦がしていくさまを体現するかのようで――】
【そして何より。その瞳は炎天に座す陽光の如く。金色を宿す熾烈な双眸は、人を人とも思わぬ天からの視線で、遍くすべてを睥睨していた】


さて――――人間共よ。
今より我が、貴様等の"畏れ"を喰わせてもらう。過分なる栄誉に打ち震え、歓喜の中で朽ち果てよ。

だが、もしも……"神"にも抗う猛勇掲げる者が居るならば。その愚昧、今ばかりは赦そう。
此処はもはや腐った山猿の住処ではない、血湧き肉踊る"戦場"――共に屍山血河を築こうではないか。
さあ、我こそはという戦士よ! いざ剣を取れ、その強さを証明せよ!! この"戦神"に、有らん限りの光輝を見せるのだ―――!!


【男の背中には、放射状に光の線が描かれた巨大な火輪が顕れていた。まるで太陽の如く、灼熱の炎によって世界を照らす"後光"――】
【その火輪の内側から、とてつもない高熱を帯びた細い"光の手"が無数に伸び上がって、土地も建物も命ものべつ幕無しに破壊の限りを尽くしている】
【――自らを"神"などと称すこの男が、この地獄の創造主に間違いない。男は心胆を直接震わす荘厳な声色で、高らかに"開戦"を宣言する】

【集落の出入り口は大量の土砂に押し潰され、周囲を取り囲む山は炎に包まれてとても立ち入れない。住人の大半は、未だ地獄の釜の内を逃げ惑っている】
【誰かが、あの荒ぶるものを止めなければ。住人たちが積み上げてきた過去も、生きている現在も、輝かしい未来までも――すべてが焼失することになるだろう】
【一歩、また一歩と。男は集落の奥にある寺院を目指して歩いているようだ。その背は一見隙だらけのようであるが――】
558 :Nero[sage saga]:2015/05/31(日) 20:17:04.05 ID:A4CeYkLFO
>556
/絡み無いようなので取り下げておきます
559 :Nero[sage saga]:2015/05/31(日) 20:19:06.06 ID:A4CeYkLFO
>>558
アンカー付けれてないぃぃ
>>556です。申し訳ない……
560 :天野ソラ ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/31(日) 20:36:07.95 ID:FqJQkg17o
>>557
【悲鳴が聞こえる、空が燃える、街が崩れている、人々が叫んでいる───】
【焼けた大地を踏みしめながら、地獄のような風景を見て、思い出していた。あの凄惨な事件を、自分から全てを奪い去っていったあの者を】
【目の前に崩れ落ちた屍体を視界に収める、物言わぬ肉塊となった物に縋り付く子供がいた】

……ッッ!!

【自分の歯が砕けん程に歯を食いしばり、何時の間にか少年は駆け出していた。何処だ、何処にいる、ここをこんなにした奴は、何処にいる───?】
【真黒な目に数々の悲劇を映し出して、集落の中心に声を聞いた瞬間、すぐにそれがそうであると気付いた彼は、何も言わず向かっていた】
【そして見付けた、あいつだ、あいつがこの村をこんなにした張本人、燃え盛る巨山のようにも思える、邪悪な太陽の化身のような姿に、心が震える】

【だが───震えを上回る程に、その怒りは彼を包み込んでいて、男の背後に辿り着くと、叫んだ】

てめぇ……!何をやっている……!
何の為に、こんな事をしたァァッッッ!!

【焦げ付いたような黒いパーカーに黒い髪、黒いキャップに黒い目、その深淵のように光の無い目に怒りを燃やし、少年───天野ソラは、力の限り叫んでいた】
【その目に映る惨状に、かつての故郷を重ねていて、それがどうしても許せなくて、このままにしておく事は出来なくて】
561 :ガルマ=ハド=ラジャルード ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/31(日) 20:48:33.94 ID:/vp2KPiho
>>560

【まるでゴミでも処理するかのように、男は連続して光を放る。民草を救うべくして振るわれる筈の"神の光"が、人生を無情にも刈り取っていく】
【――闘争を忘れ、山に引きこもった腑抜けどもの集落だ。あまり期待してはいなかった。だがその時、背後から声が聞こえた気がして、】


………ほう、居るものだな。
"戦"を前に何をそう喚き散らしているのかは知らんが、まあ、そんな些事はよい――。

我が前に立つからには、楽しませてくれるのだろうな? そこな男子(おのこ)よ。


【人ならざる金色の瞳が少年を射抜くだろう。――とてつもない威容。自称はどうあれ、雰囲気だけなら本当に"神"にも迫るものがある】
【そして男は笑うのだ。「何を喚いているかわからない」、そう言って。何の為でもない、この地獄が在ることがこの世の理だと言わんばかりに】
【無論……子供だろうが何だろうが、男に容赦などなかった。立ち塞がる者はすべて"戦士"と見做す。"選定"の対象と見做すだけ】

【ゴウッ、と、炎の如き愉悦と闘志に反応したかのように、男の背後の"後光"がその威光を増すだろうか――次の瞬間】
【問答無用の素早さで、集落を焼いているのと同じ"光の手"が一本、少年の両脚を右から薙ぎ払うような軌道で放たれる……!】
【"光の手"は耐久力が低く攻撃すれば破壊できるが、威力は激烈。帯びた高熱は人肌など焦がすどころか溶かしてしまう、直撃すればただでは済まない――】
562 :天野ソラ ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/31(日) 21:00:51.59 ID:FqJQkg17o
>>561
テメェッッ───!!

【振り向いた男が投げ掛けた言葉に、言葉にならない怒りが溢れ出してくる】
【あいつは、この行動に何の感情も抱いちゃいない、人を殺す事に何の躊躇いも無く、人の人生を壊す事に何の躊躇いも無く】
【愉しんでいるとも取れるその表情に、喉が千切れそうなくらいに叫んだ。刹那、眩い光が輝いて】

【炎をあげる光の腕が一本、鞭のようにしなって襲い掛かってくる、天野は両手に豪≠ニ焔を燃え上がらせた───ただの炎とは違う、夜の様に黒い鉄紺色の冷たい焔だ】
【その両手の焔を、龍の爪を思わせる形状に変形させると、それを振るって光の腕を叩き砕く、燃えた焔の残滓が揺らめき、鋭い視線が真っ向から男に向けられて】

貴ィィィィ様ァァッッ!!何で、何でこんな事をしてやがるッッ!!答えろッッ!!
貴様も、アイツと……アーグと同じ様に、愉しんで≠竄ェんのかよォォォォッッ!!?

【魔物の咆哮───憎悪と怒りが入り混じった叫び声は、村中から聞こえるどの叫び声よりもよく響き】
【地面を何度も何度も激しく蹴りつけて、一気に男へと距離を詰めて行く、自分の人生を崩したあの大司教と、男の表情が重なっていた】
【接近出来たならば、天野は飛び上がりながら男に飛び込み、右の爪を袈裟懸けに振るって体を切り裂こうとするだろう】
563 :ガルマ=ハド=ラジャルード ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/31(日) 21:30:57.28 ID:/vp2KPiho
>>562

【鉄をも溶断する光の御手、並の戦士ならばこの時点で終わりだった。こんな寂れた集落だ、向かってくる者は居てもその程度と男は軽んじていた】
【――金色が見開かれる。この少年、能力者か。それもあの冷えた焔の破壊力たるや、心が震えるのを感じる。何よりも、】


―――クハッ、良い………! 斯様な地でこのような因果に巡り会えるとはな!!
良いぞ貴様、その剥き出しの"憎悪"ッ! 焼け滾る焔の如き闘志――――実に芳醇ではないか………!!


【神だろうが悪魔だろうが関係ない。全てを食い散らかさんばかりのその憤怒と憎しみに、男は見入られるように笑った】
【迫る鉄紺の焔爪に対し、男の両腕に眩い"金色の光"が宿り――金属同士がぶつかったかのような轟音と、硬い手応えが少年に返るはずだ】
【鋭利で強烈な一閃を、男は一歩も引くことなく、素手の右腕一本で受け止めていた。表皮に傷が付いて血が滲むが、猫にでも引っかかれた程度の傷だ】
【男の腕に宿った"金色の光"に何かカラクリがあると見るべきか。……少年の反応に関わらず、男の巌の如き体が真後ろへ、ふわりと浮き上がって】


アーグ――あぁ、話には聞いている。だが堕ちた司教程度と、本物の"神"たる我を同列にするな。
別段愉しんでなどおらぬさ。我は人間を愛しているからな。ただこれは、天上に立つ者の義務なのだ。

天意も忘れ、我が物顔でこの星に蔓延るサル共。――少し、ヒトは"多すぎる"とは思わんか?
生きる資格があるのは"強き人間"だけだ。強者に集り汚物をまき散らすだけの"弱者"は、疾く消えなければならぬ。


【――自らを神だと語るに何の忌憚もない。人間は自らより下等な生物だと盲信している。そんな、一切の迷いのない口調】
【それでいて人間を愛していると宣うのだから、途方もない阿呆か、それとも――本当に、この世総ての上に立つ神とでも言うのか】
【少なくとも……愉しんではいない、なんて言葉と裏腹に男は笑っていた。少年が自らへ向ける殺意を、その奥で炎に焼かれる弱者の断末魔を】

【男はそのまま、寺院へ続く階段の途中へ着地した。そして同時、背負った火輪が獄炎を引き連れて唸りを上げる――】
【数十本の光の手が顕れたかと思えば一つに纏め上げられ、より巨大な"光の腕"と化す。人一人など容易に握り潰せる大きさのそれは、しかし少年へは向かわない】
【伸び上がった腕は少年を大きく飛び越し、その奥……かつて誰かが住んでいたであろう家屋を、あろうことか丸ごと鷲掴みにし】


さぁ、貴様はどちらだ、少年よ? 我が下で生きるべき強者か、それとも――其処らで踊り狂っている雑魚共と同じか。


【男は腕を素早く手元へ引き寄せると、掴んだ家屋を少年に向かって放り投げるだろう――!!】
【家屋とは言うが、実際には"光の腕"に宿った高熱のせいで瞬時に着火して倒壊しており、燃え盛る木材の塊のような状態だ】
【炎を帯びた無数の瓦礫、それが弾丸のように飛翔していく。致死性のある攻撃ではないが、威力は決して低くなく、空中で拡散する分避けづらいか――】
564 :天野ソラ ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/31(日) 21:53:44.01 ID:FqJQkg17o
>>563
【まるで鉄を殴っている様な感覚だ、それが鎧を着た騎士や盾で防がれたと言うならば頷ける、だが、奴は素手でそれをやってのけた】
【反動を使って男から離れ、浮遊して離れる男を睨み付ける、その表情が更に怒りを湧きあがらせる】

神=H神だと?───巫山戯るな、神だからって、人を好きに殺して良い権限なんてある訳無いだろッ!!
減らす必要があるなら、それは貴様らの落度じゃねぇかッ!!それを棚に上げて、勝手に管理するつもりになってんじゃねぇよッッ!!今まで放ってた人の生き方に今更手を加えんなッッ!!
それが神のやる事だって言うなら───

【自らを神と語る男、その言葉を真実だとは思いたくは無いが、偽りだとも言い切れ無い威光がそこにはある】
【だから、神でも人間でも、どっちだっていい、やる事はただ一つだ、こんな風に人間を踏み躙るような奴は、例え神でも許せ無い】
【神と比べれば余りに自分は脆弱であろうとも、それでも、許せ無いから牙を剥く】

【巨大な光の腕が玩具のように家屋を掴み、その熱で焼き尽くしながら持ち上げる、その質量を簡単に持ち上げるなんて事を簡単に出来るなんて】
【いや、だからこそ怯むわけにはいかない、天野の背中から鉄紺の焔が噴き上がり、それが二つに分かたれて形を成す、飛翔出来ぬ巨大な翼が、背に携わる】

───神であろうと、俺はぶっ殺す!!!

【崩れながら燃え上がりながら迫り来る家屋を、その無数の瓦礫を向かい打つ、背に生えた翼の表面が毛羽立つ様に、無数の棘が生え、杭となって発射される、無数に打ち出される杭が、無数の瓦礫を貫き砕く】
【しかし、それでも全てを砕けるわけでは無い、漏れた瓦礫が天野の体を抉り、焼く、しかし天野はそれを苦にも思わず、その目は真っ直ぐ瓦礫の向こうにいる男を睨んでいて】
【瓦礫を貫いた杭が幾つも幾つも、その向こうにいる男にも向かって飛翔していく、狙いは無いに等しいがその数が多い、一つ一つ対処するなんて馬鹿らしくなる程の物量攻撃だ】
565 :ガルマ=ハド=ラジャルード ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/31(日) 22:26:45.70 ID:/vp2KPiho
>>564


――フ、愚かな。それは幼子故の傲慢か? それとも、性根に染み付いた邪悪か。
ある訳がないだと? 在るに決まっておろうが。だからこその"神"。だからこその"闘争"なのだ。

我が暫し眠っている間、我が愛した人間は腑抜けてしまった。……道を誤った我が子を矯正してやるのは、親の役割と思わんかね?


【吼える少年をぎろりと見下して、男は嘲笑した。――その"人を好きに殺す権限"が自分にはあるのだと、それが世界のルールだと、そう断言し】
【人間の命を尊び、失われた事に悲しみ怒る、その精神をあろうことか"邪悪"だと男は断じた。僅かに目を細めただけで、威圧感が倍増する】
【誰かが大切に守ってきた住処が宙を舞い、少年の決死の連撃と衝突して砕け散って。その光景をむしろ祝福するかのよう、"後光"も力を増す――】


其の覚悟や良し。だが如何せん脆弱だな――貴様の闘志に力が追い付いておらぬ。
貴様の力はその程度か? ふむ………。


【総てを一様に平伏させんと、神気を顕す黄金の輝きが場を支配した。火輪から飛び出すのはまたも"光の手"、だが】
【数が今までと段違いだ。数十、いや数百に達しようかという光の奔流が溢れ出し、洪水じみた勢いで少年の放った杭を飲み込み焼き払っていく!】
【……その目が潰れるほどの威光の中、少年は気づくか。放たれた瞬間に光の束の一部分だけが"減衰"し、杭の一本が男の右脚を掠めるのを】
【本人は意にも介していない様子だが、そこからは人間の同じ赤色の血が流れる。致命的な傷でこそないが、確実に一太刀入った――】


少年よ、貴様の憎悪は本物だ。だが……それは、この場の者共の為だけの憎悪ではないな。
――なんだ、よもやアーグに家族でも殺されたか。我を憎き仇と重ね、健気にはしゃいでいるという訳か?


【光の川が流れ終わると、そこに嘲弄するように嗤う"神"の姿がある。――より少年の憎悪を煽り、更なる闘争を愉しむ為の口撃】
【とても、人間を"我が子"などと称した者の顔ではない。愛する者だろうが何だろうが、この男は本気で"強者"以外の人権を認めていないのだ】
【そして同時――火輪から"光の手"が三本同時に伸び上がり、少年の上と左右の三方向から囲い込むようにして襲い掛かるだろう!】
【それだけではない、抱き込むような軌道で迫る左右の手は途中で階段横の林を薙ぎ払う。溶断された樹木が、一拍遅れて少年へ倒れ込む……!】
566 :天野ソラ ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/05/31(日) 23:04:52.92 ID:FqJQkg17o
>>565
【瓦礫を全て貫き、足元に落ちた瓦礫が黒煙を上げる、吸い込んだ煙に噎せて咳き込みながら、背中の翼が掻き消えた】
【この一度の攻防で、天野の体には大量の傷が出来ていた、体が焼け焦げ、燻っている】
【何も、無限大に能力を使えるわけでは無い、今の攻撃も体力と精神力を大きく削るもので、普通であるなら温存しておくべきものだ、だが、天野の心がそんな判断を取り払っていた】

巫山戯るな……巫山戯るなァァァッッ!!

【最早男の物言いに、返すべき言葉も浮かば無い、それだけ怒りは熱さを増して、憎悪は冷たく膨れ上がる】
【確かに、男の言う通り、天野はかつて見た景色を、仇の姿を男に重ねている、しかし、それだけでは無いのは確かだ】
【『人を愛する』などと言っておいて、やっていることは邪神其の物の男を、許せ無いと、自分のような存在をここから生み出したくは無いと思うから、だから力量の全く違う相手にも立ち向かえる】
【例えそれが無謀であろうとも、アリが象に噛み付くに等しい行為であろうとも、力量なんて引く理由にはならない】

うおおおおおおおおおおおおおおォォォォォォッッッッ!!!

【じゅう、と肉が焼ける臭いが鼻をくすぐる、自分の頬が右肩が焦げて、嫌な臭いが広がって】
【頭上から来た光の腕を回避して、左右から来た腕をそれぞれの爪で叩き砕く、しかしそれでもまだ不十分、両手を塞がってもまだ足りない】
【遅れて倒れ掛かる樹木が、炎を纏う棍棒が如く襲い掛かる、三本の腕相手でもギリギリだった天野に、それらを防ぐ手立ては無い】
【次々に将棋倒しになって、積み重なる樹木達、炎の雪崩に天野の体は飲み込まれ、黒煙が広がって辺りを包む】

【己の力量も計れぬ少年は、憎悪に任せた行動で己の人生の幕を閉じる結果となった───そうなるのが、世の常だ】
【だが、しかし、そんなのが世の常であるなら、そんな理すらも砕いてみせる、それが神にすら牙を剥く少年の求道】

【次の瞬間、砕けて折り重なった樹木が、焔に飲み込まれる。それは男の熱による赤い炎ではなく、鉄紺色の冷たい焔だ】
【燃え盛る焔柱が樹木と瓦礫と炎を飲み込み、砕き、やがてそれは収束する。嘘のように収まった焔の中心には、暗い色の影】

───殺ス……!!

【鉄紺色の鎧に包まれた、一人の人影、それは間違いようもなく変わり果てた天野の姿で、低いエコーの掛かった声は地獄から響くそれのように、ドス黒い悪意を孕んでいる】
【目は漆黒の奈落のように落ち窪み、剃刀のような爪が四肢に備わる、肘や肩には鋭い牙を称えて、その背中には鉄紺色を禍々しく鮮やかにしたオーラが、マント状に広がっている】
【まるで龍人のような、しかし正義のそれにしては禍々しいにも程がある鎧を纏い、天野ソラはそこに立っていた】

【───接近、駆け出すというには余りに動きぐ少なく、飛ぶというには余りに低い。地面すれすれを前傾姿勢で滑るように、ただのひと蹴りで体を前へと発射する】
【後ろに構えた右手が焔へと変化し、不定形を中継して太く長い槍状の形状となる、突進の勢いを一つ足りとも減衰させずに、男に向かって突き出して向かう】
567 :ガルマ=ハド=ラジャルード ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/05/31(日) 23:39:19.49 ID:/vp2KPiho
>>566

【奇跡のような破壊を齎す光の手が、少年の身体を焼き、樹木を砕き散らして、彼の身体を死が飲み込んでいく――】
【だが決して、男は油断しなかった。むしろ期待していた。こんなものでは終わらぬと。その前に見せた途轍もない闘気は、本物の筈だと】
【そして――――変わり果て飛び掛る、少年だったモノ】


ははッ――――良いぞ"戦士"よ! 此れでこそ戦、此れでこそ決闘よ!!


【此れまでとは段違いの攻撃が来る、そう身構えていて尚、神たる身にすら視認しかねる程のスピード。男は反射的に右脚を引いて半身の体勢になるも】
【やはり僅かに遅かった。槍へと変じた焔が脇腹を掠める……いや、もう"抉った"と形容すべきか。掠り傷どころではない、大量の鮮血が舞った】
【痛みを感じない訳ではないのだろう、さしもの"戦神"の相貌も歪む。が――その痛みすらも、男にとっては心の底から喜ばしく、愛おしい】


見てみよ戦士、あの光景を。誰かを助けよう等と驕り昂って死んでいく弱者の姿を。

嗚呼――お前のその姿こそが美しい。お前のその、憎悪と憤怒に穢れた瞳こそが、真に正しいモノだ!
助けなどと生温い、ただ迅速に眼前の敵を殺し尽くせ。然すれば総ても守れよう。故に闘え、闘い続けろ、戦士よ―――、


【振り返れば、遠く。天へも昇らんばかりの炎が、何の力も無い人々の命と生活を蝕み続けている――】
【老人を抱え上げ走る青年が、もろとも炎に飲み込まれる。死んだ子供を掻き抱いた母が、絶望の中瓦礫に押し潰される】
【火に煽られた家族を救おうと父が飛び込み、全身を焼かれて絶叫する。自警団員が、警察が、自らを助けろと取り囲まれ憎まれる】
【そんな中――助けを請う友人を、家族を、すべて見捨てて、その身一つで逃げていく者もいる。そんな者ほど、生きている】

【そしてそういう者こそ、男は"強者"だと言うのだ。この地獄は弱者を殺して強者を選び、同時に弱者を強者へ育て上げる為の釜なのだ】
【ここは、"脆弱"という罪を裁く煉獄。弱者を溶かして地を固め、その上に強者の住処を作る儀式場。戦司る神による、"選定"の場】

【――――少年もかつて見たのかもしれない、現世の最果てが其処にある】


よく感じろ、少年。お前の背にはかつてのお前と、お前の家族が居るぞ。
我を止めねば終わりはせぬ。我を殺さなければ――全ての敵を焼き滅ぼさねば、この地獄は決して尽きぬぞォッ!!


【少年に一欠片でも理性が残っていたのならば気づいたかもしれない。痛みに喘ぎ、赤い血を流す――神などと言っても、この男は全知全能ではない】
【見透かしたような台詞で煽りはするが、本当は少年の過去など何一つ知らない。ただ彼の言葉と憎悪から、推測で話しているに過ぎない】
【ただ、見開かれた金色の瞳が語っているモノだけは明白だ。"争え"と。"もっと闘え"と――その一つの概念が、少年に向けて男の右腕を駆動させた】

【金色を纏った右腕。鋼のように腕を"硬質化"させるだけがその力ではない――真の脅威は、付与される"膂力"だ】
【身の丈超える巨岩すら容易に粉砕する、その威力。人体など一瞬で肉塊に変えられる"鉄拳"が、少年の胸部へ恐るべき速さで放たれる――!!】
568 :天野ソラ ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/06/01(月) 00:08:56.81 ID:HfqX+/cIo
>>567
巫山戯ルナ……!!コンナノガ……コンナ物ガ正シイ訳ガアルカ!!
人ガ死ンデイルンダ!!沢山ノ人間ガ、全テヲ奪ワレテイルンダゾ!!ソレノドコガ正シイ!?

【今でこそ、彼はこんなにも憎悪に塗れて、怒りに任せて牙を剥くような人間だが、しかし、ある一瞬まで彼は人並みに平和を愛する、普通の人間の子供であった】
【いや、優しかったからこそ、タガが外れてこうなってしまったのかもしれない、だから自分でも、今の自分は正しくはないことはよく知っている、それでも、正しくないと知っていても、やらなければならない事があるのだ】
【だから、こんな今の自分を、こんな風に争いと諍いに飲まれる世界を『正しい』と語る男は天野からすれば間違っている】

【他者を捨てて、自分だけ生き残る奴が強者な筈が無い、そんな奴が強者であったとして、其れ等だけが生き残る世界なんてあり得ない】
【そんな世界に訪れるのは自分と同じ破滅だ、強者は弱者の手を取ってこそ、強者ではないのか?】

【叫ぶ男の言葉が胸に突き刺さる、自分の背後に在るのは、かつての地獄、自分が見て来た地獄がある】
【だが、振り向く訳にはいかない、振り向いて仕舞えば、この男を逃してしまえば、きっとこの地獄は終わらない】
【助けたくても、助けられない───犠牲が無ければ、救えない───それは、自分が憎んでいた者達へ言い放っていた言葉が、そのまま己に帰ってくる状況だ】
【『彼等』だって、あの時はこんな状況だったのかもしれない、助けたくても、振り向く事が出来ないジレンマの中で、苦しみ抜いていたのかもしれない】
【それを好きなだけ批判し、喚き、『何故助けなかった』と恨んでいた自分もまた、今同じ状況に立っている。救いたくても、救えない】

オオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォッッッッ!!!!

【力の限り、天野は叫んだ。どうしようも出来ない心が、泣き叫ぶ声を咆哮に変えて、心を締め付けるジレンマから、目に血涙を流させる】
【槍と化した右腕を引き抜きながら、元の手の形に戻し、男が放つ拳に左の拳を合わせる】
【自身の体も強化されてるとはいえ、それでも真正面から打ち合って耐え切れるものでは無い、腕の骨が砕け、避けた骨が中から肉を突き破った】
【だが、そんな痛み、心の痛みに比べれば大した問題では無い。砕けた骨を外骨格となった鎧で無理矢理に補強して、左の拳を引きながら右の拳を男の顔面へ向かって撃ち放つ】
【いや、それだけでは終わら無い、右を出せば直ぐに引き、今度は左の拳を、左を出せば直ぐに引き、今度はまた右……左右の拳の連打を、男の顔面へ向かって滅茶苦茶に振り回す】
【例え防御や迎撃で腕が砕けようと、左腕と同じように能力の鎧で無理矢理に補強して攻撃は続行する。嵐のような攻撃を、叫び声と共に男へと浴びせる】
569 :ガルマ=ハド=ラジャルード ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/01(月) 00:43:04.13 ID:71bX34iSo
>>568

【――バケモノじみた姿に堕ちてなお、ドス黒い感情を煽る男の言葉を受けてもなお、"心"を失わず必死で喰らい付いてくる少年】
【この少年は"こちら側"の人間だ。真の強者足り得る者だ。そう考えて愉悦に塗れていた男の顔に、ほんの少し――ヒビが入った】
【目付きが変わる。僅かな失望と落胆。忌まわしい者を見るように窄められる金色の瞳、その中に苛立ちと怒りの火が燻って】


チッ……事ここに至って、その"強さ"をまだ認めぬというのか! 聞き分けのない餓鬼めが――――!!


【自らの拳が少年の腕を打ち砕く確かな感触があった。だが――満たされない。こんな優しい拳では、この渇きは決して満たされない……】
【それでも打ち込んでくる少年の執念に対し、男は逃げなかった。顔面で真っ向から右拳を受け止め、続く左拳もまた甘んじて受ける】
【意識が飛ぶような激痛が次々身体を走り抜けるのが解る。だが其れすらも糧にして闘い続ける、無窮の闘志こそが我が身と言うのに、】
【やはり、満たされない。少年の叫びに、拳に、憎悪と憤怒以外のモノを感じてしまったのだ。……男は殴り飛ばされながら、強く歯噛みした】


――――温い! 何だこの拳は!! 何だその涙はッ!!
自分を害するモノは潰せ。大事な何かを傷つける者は滅ぼせ。其れで良い、貴様は優れているのだ、何も悲しむ事はない!!

認めよ戦士! 神すら殺すその憎悪こそ、憤怒こそが至上の誉れだ!! 弱者を助けるなぞ人の身に余る傲慢、蒙昧なる考えと知れぇッ!!


【そんなに悲しいのなら、もう放り出せ。自分を否定して苦しむことはない。敵を殺すことだけ考えて"鬼"と成り果てれば、それで楽になれる】
【戦神の台詞はそういう甘言だった。苦しまず自分を認めよと、少年を助けようとしていた。ある意味では、"愛"のある言葉】
【――その身に宿る闘争本能に身を委ね、抗わず神意を受け入れる。それが本当の救いの筈だ。その筈なのに、男には理解できなかった】

【何故泣く。何故吼える。そう言わんばかりに、男は自らも激情を剥き出しにして、耐えかねた様に両手を突き出し続く殴打を防御して】
【"後光"が燃え盛る。少年の意志を挫かんと、暴力的な威圧を振り撒く。ぞぶりと多量の光の手が湧き出して束ねられ、あの"光の腕"が再出現】
【素早く真後ろに後退して逃れると同時、火輪が背中から男の右腕に移動した。その巨大な光輝の拳が、憤怒を込めて固く握り込まれ――】
【―――"鉄槌"! 今度は投擲などと迂遠な手段ではない、全てを潰す灼熱の巨拳が、直接少年へと振り下ろされる―――!!】


【……その成否に関わらず、男は拳を撃ち放った反動で更に大きく飛び上がり、階段を登り切ってしまうだろう】
【これでも死なぬ、これでも折れぬなら――"最後の一撃"を叩き込むしかない。火輪を身体の前に展開し、光を溜め始めるのが見えるか】
570 :天野ソラ ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/06/01(月) 01:07:41.19 ID:HfqX+/cIo
>>569
【痛い───】 【痛い】 【痛い】 【痛い】 【痛い】
【痛い】 【痛い】 【痛い】 【痛い】 【痛い】

【心と体が悲鳴を上げている、痛くて苦しくて辛くて堪らない、或いは今直ぐ死んでしまえばいっそ楽になるのかもしれないと思える程に】
【男を殴る度に、悲鳴が聞こえる度に、男の声がする度に、苦しくなって、逃げ出したくなる】

【男の言葉は、ある意味甘美な物だった、こんな自分を、憎悪と怒りに塗れた自分を受け入れてくれる───そんな言葉を投げ掛けられれば、どれだけ救われるか】
【もし状況が違えば、男の言葉に頷いていたかもしれない、自己嫌悪を埋めてくれる愛≠ェ、彼は求めていたのだ】
【でも、しかし、だが───その言葉を、受け入れる事は出来ない、それは自分が守ろうとしたこの村の人々への裏切りになるから】

【だから、力の限り拳を突き出す、何度も何度も何度も、目の前の悪夢を必死で掻き消すが如く】
【だがそれは所詮破れかぶれの子供の駄々と変わらぬ物、技術も無ければそれを超越した力も無い】
【男が引いて、その拳の射程から逃れ、視線で追った時にはもう、遅かった】

【雷撃が落ちたかのような轟音、天地がひっくり返ったと見紛うほどの衝撃、頭部を強かというレベルではない強靭な一撃が見舞い、天野は地面に伏した】
【寺院への階段を上る背中を、最早視線ですら追えない、鎧が焔となって散り、骨が砕けた腕が痛々しく露わになる】

…………

【神に逆らおうと言うのが無謀であったのか、自分の力を正しいと信じられなかったのが間違いだったのか】
【男の言う通り、強者が弱者を虐げるのが正しい世界だと、自分は強者であると思えば、幸せになれたのか───いいや、それは違う】
【そんなのは間違っている、いくら心が砕かれようと、これだけは信じなくてはならない、何もないから、自分だけは、自分の想いだけは信じなくてはならない】

───……俺は……!

俺は……間違ってない=I!

【弱者を守れず悲しむ事が、強者になる事を拒む事が、間違ってはいないと言える、それが、それこそが心の叫び声】
【最後の力を振り絞った咆哮と共に、頭上に鉄紺色の焔を燃え上がらせる、杭となった焔が複数展開し、それはまるで巨大な華のように広がってから、一つに集まる】
【幾つもの杭をまとめ上げ、作ったのは巨大な槍、冷たい焔で出来た槍が、竜巻のように回転しながら、物凄い勢いで男への打ち出された】

【……だが、その攻撃は最後の力を振り絞ったイタチの最後っ屁、攻撃の正否を確かめる間も無く、天野は再び倒れ伏してしまうだろう】
571 :ガルマ=ハド=ラジャルード ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/01(月) 02:09:19.23 ID:71bX34iSo
>>570

【死に体で駄々を捏ねる様に拳を振り回し、あげく神の鉄槌から逃れられず無惨に地に伏す少年の姿。なんと、愚かしい――】
【何時からか人間は斯くも捻てしまった。戦こそが宿命、殺し合いこそが天命、それを享受し屍の山を踏み越えた彼らはどこへ行ってしまった?】
【闘争の為の闘争ではない、平和の為の闘い――そんなものの何処に価値がある。そんなものの何処に意味がある。戦神には、終に解らなかった】


……巫山戯るな―――間違っていないだと!? 何を以ってそう思う!?
弱者を守ろうと闘って、今まさに朽ちようとする有様で!! いったい何が正しいものか!!!

我が意、我が力を以って命ず―――愚かなる者よ、真なる強者と生まれ変われ!! でなければ、ここで灰に還るが良いッ!!!


【――最早相容れない。戦神の価値観と少年の価値観は、ここに決定的に違った。失望と共に目を剥いて叫び、戦神が吼える】
【火輪が鋭く回転を始め、どんどん肥大化する。光の線が幾何学的な紋様を刻んで展開し、おぞましいまでの神気が周囲を覆っていく】
【周囲一帯、丸ごと聖域に挿げ変わったような厳威。いや、其れすらも通り越して、ヒトの存在なぞ決して許さない"神域"が広がる】
【平伏せよ、屈服せよ、服従せよ――争え、闘え、死に絶えろ。男の総てが、彼の創り上げたこの地獄の総てが、少年の本能へそう命令するだろう】

【其れでも撃ち放たれる、少年の最後の一撃。持てる限りの意思と力を込めた渾身の一閃、その闘志は美麗である筈なのに、】
【何故か、戦神はそれに畏怖を覚えた。恐怖に駆られるように吼え立て、それごとその身を灼き滅ぼさんと、眼前に"太陽"を具現し――】


――――ぐ、ゥ、ッッッ!!!?
お、おのれェッ!! 小僧、貴様、貴様ァァァッッ――――!!!!


【――その、瞬間だった。男の全身に突如として"白い呪刻"の様なものが現れ、同時に男の動きが完全に停止してしまうだろう】
【不撓不屈の少年の意思が、男に"畏怖"を抱かせたことをトリガーに。何か戦神の力ではない、"神聖"で優しい力が少年に手を貸したよう】
【必死の抵抗で体を捩ろうとするが、蓄積したダメージが其れを許さない。脇腹を抉られた傷が激痛と出血を以って男を縫い止め、】
【左右の殴打を避けもせず浴びていたせいで体芯が揺らぎ始めている。――回避、不能。辛うじて両腕をクロスさせるが、それが限界だった】

【……耳を劈くような金属音。黄金の光による硬質化と膂力を以ってしても、流石にこの巨大な焔槍までは防ぎきれない】
【やがて憎しみの叫びを上げ、男はついに打ち負けた。体を引き裂かれながら、真後ろの寺院の中まで一気に吹き飛ばされる――!!】

【轟音の後、暫しの静寂。一緒に吹き飛んだ男の"後光"が着火したのだろう。寺院からは火の手が上がり、崩壊していく……】


/ごめんなさい、続きます……
572 :ガルマ=ハド=ラジャルード ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/01(月) 02:12:06.47 ID:71bX34iSo


………ぬ、ぐゥゥッ………。
この我がたった一人の人間相手に、何たる恥辱ッ――あの忌々しい白蛇め……!!


【――そして突如、瓦礫の内側から、莫大な光が漏れる。直後に残っていた屋根ごと瓦礫が根こそぎ吹き飛んで、血塗れの男が姿を現すだろう】
【あの攻撃を受けて生きていられるのは流石だが、既に満身創痍だ。例の白い呪刻も全身を蝕んでおり、うまく体を動かせない様子】
【いや……ひとつ奇異なことがあった。背後の火輪から伸びた光の手が、何か木の像のようなモノを掴んで手元へ引き寄せている】

【不思議なことに、光の手の高熱に晒されて、原形を保っている――後で生き残りに聞けば解るだろう。それはこの集落で代々崇められてきた御神体だ】
【人々の祈りと崇拝、"畏れ"を数百年もその身に受けて変質した神の拠り代。光の手に掴まれたそれは、そのまま火輪の円の内へ引きずり込まれる】
【同時――男の全身の白い呪刻が光を失い、溢れていた血が止まるのが見えるだろうか。再び全身に力が漲り始めたようにも見え】
【そういえば男は最初、"畏れ"を喰らうなどと言っていたか。恐らく元々この御神体を取り込み、力を増大させるのが目的だったのだろう】

【……つまり、男は"ついで"に集落一つ焼き落としたというのだから――とことんまでに悪辣。この神はどこまで、弱者を忌み嫌っているのか】


くっ――お互い、此処は引くしか無いらしいな、戦士よ。全く興醒めな結末だ……。

名を問うておこう、少年。そしてその身に刻むが良い――我が名は、ガルマ=ハド=ラジャルード。戦を司る神。
ゆめ、この名を忘るるな。この地獄を忘るるな。……覚えておけ、その胸に根ざす黒炎からは決して逃れられぬとな。

そしてその殺意を、狂気を。何れまた会うその時まで、決して燻らせるでないぞ――。


【いくらか回復したとはいえ、男ももう戦える状態ではないらしい。口惜しそうに少年を眺めると、左手を空へと翳し】
【紅蓮の雷光が散る黒雲のようなものが、その上空に出現する。そのまま、男の体は黒雲の中に吸い込まれていくだろう】
【――ガルマ。後で調べればすぐに名前が出てくる筈だ。カノッサ機関と共謀し、過去にも複数の国にこの地獄を創り上げようとした者の名】

【ガルマは少年を睥睨すると、最後に愉しそうに嗤って、そのまま黒雲の中へ消える。やがて雲も消えれば、其処に"神"の気配はもう無い】
【ただ―― 一面炎に包まれた、悲劇の坩堝だけが残される。遠くで響くサイレンが、ようやく集落の外から救援が駆けつけたことを示すけれど】
【燃え盛る灼熱は未だ、止まる気配を見せなかった。そしてこの光景は、あの"戦神"が在り続ける限り、世界の何処かで創られ続けるのだ――】


/長くなってしまって申し訳ない、お疲れさまでしたー!
573 :Nero[sage saga]:2015/06/01(月) 18:28:18.21 ID:AcbynpmbO
/>>556で再募集します。
574 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/01(月) 20:02:31.92 ID:ZLSrSybd0
【街外れ――川沿いのベンチ】
【遠くに夕焼け空の残滓が溶けていく、オレンジはだんだんと緑へ変わって、最後には藍色に染まり】
【夕焼け空のオレンジを住処で飛んでいた鷺や鴨の姿ももう見えない。ときおり、烏の影は見えたけれど――】

…………三十八羽。

【ぎしりっと古びたベンチが軋む音がして、出遅れたのろま鳥を見送るのは、そんな、なんてことない数字の羅列】
【見ればベンチの丸い背もたれに背中を預けて真っ直ぐ天を見上げる人影がある、ひどく華奢で小さなそれは、少女だと分かり】
【ただその声は凡そ少女らしい瑞々しさがない、古びた本の頁を捲ったようにどこか掠れた声質、しばらく経つ頃には】
【もう鳥は通りそうにないかと諦めて、視線をおろす――つんと鋭い勿忘草色の瞳が。久方ぶりに辺りを巡らせられ】

【毛先がくるっと丸まる癖毛は透き通るような金髪、ただ、毛先に向かうにしたがって、ピンクの色味を帯び】
【あどけなさを残す顔と、そこに違和感にも思えるほどに鋭い眼。けれど、表情も表情でひどく愛想のない拗ねたもので】
【白のワンピースは袖も裾も長くて素肌は見えないほど。足元はサンダルで、ちいさな足指が僅かに窺え】
【ベンチの傍に置いていた白い唾広帽子を思い出したように被ると、少し時期の早いような装いになって――】
【――その手元には、格好からは少し違った印象の、ごっついハードカバーの本。ぱっと見、凶器と見紛うほどで】

五十まで行ったら遠出しようかと思っていたのだけど……。

【なんて少女は一人ごちて、数十分ぶりに開いた本に視線を落とす、そうして数秒――小さな舌打ちをしてから】
【「電灯が切れてる」と今更ながら気付いたように呟く。実際、ベンチにもっとも近い明かりは、少しの明るさも持たなかった】
575 :Nero[sage saga]:2015/06/01(月) 20:14:54.47 ID:+xnKJ3MZO
>>573
人がいらっしゃらなようなので取り下げておきます。
576 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/06/01(月) 21:07:40.14 ID:H6oDkwmy0
【水の国・とある病院】
【総合病院として運営されている此処は、水の国内では最大級の規模を誇り】
【病気・怪我を軽重問わず様々な治療に対応できることもあり、多くの患者を抱えている】
【今日も院内は、入院中の患者や医師・看護師、そして見舞いの人々が多く行き交っている】
【今ロビーの椅子に座り込んでいる少女も、患者の一人だったりする―――】

(――――どうしよう、立てない……)

【目を惹くのは黒く流れる長髪。まるで上質の糸のような艶とさらりとした風合いを持ち】
【くりっとした大きなブラウンの瞳、あどけない可愛らしさを持つ顔。白い肌に、ほんのり赤みがさす頬】
【成長期とはいえ、体つきはまだまだ華奢で幼さが残る。まだまだ大人と言うにはほど遠くて、年相応に小さい】
【身に纏うのは薄緑色の病衣。シンプルで味気ないデザインだけれど、病衣だから仕方にと言えば仕方ない】
【その襟元から包帯が巻かれている胴が見えるだろうか。上半身に怪我でもしているのだろうか……】
【右足首はサポーターで固定されている。右腕にはギプスの上に三角巾で動かないようにしていて】
【一見しても体中に怪我を負っているのがよく分かる。……その割に元気そうだけれど】

【ただ、心は元気でも体は見ての通り怪我だらけ。歩く事一つとってもなかなか辛いようで】
【サポーターで固定された右足を引きずるようにして、一歩一歩ゆっくりと歩くのがやっと】
【そんな少女だから、廊下を歩くのはとても難しい事で……何とか途中まで歩いてこられたけれど】
【結局体力の限界が来てしまい、これ以上歩けず立ち往生してしまったらしい。咄嗟に椅子に座り込んだのは良いものの】
【不自由な足のせいで、立ち上がれない。少女はただ椅子に座ることしか出来ず……病室に帰れないのだ】
【ロビーに酷い怪我を負った少女がぽつりと一人。さて、こんな少女に救いの手は来るのだろうか】

【前述の通り、此処は総合病院。もしかしたら、通院や誰かの見舞いに訪れる人が通りかかるかもしれない……】
577 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)[sage]:2015/06/01(月) 21:13:56.78 ID:q7aUeay1O
何で新規騙りしたのかはっきり書いたら
578 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank)[sage saga]:2015/06/01(月) 22:06:41.89 ID:nOf5fnaH0
>>576

【ふと目の端で捉えた一人の少女の姿、ピクピクと、立ち上がりたくても立てないのか そんな少女の動きが視界に写る】
【自分の仕事は国民を守ることだ、そんな使命感に動かされた女性が少女の前に、しゃがんで目線を合わせようとするだろう】

【切り揃えた前髪の、カールがかった金髪のロングヘアーに、青い瞳と白い肌】
【服装は白いワイシャツとサスペンダーのついたスラックスという余り女性的ではないもの】
【襟元に巻かれたシルクのスカーフと少女より一つ上かという程度の幼さの残ってしまった外見から、どこかの貴族の娘かという印象を与えてしまいかねなかった】

こんにちは、もしかして何か困ってるのかな……?
もしよければお姉さんが手伝ってあげましょうか?遠慮は要らないわ、お姉さんだもの。

【金髪の女性はニコ、と微笑んで少女にそう声を掛けるのだった、遠慮しなくてもいいと言ったので支えてほしいと言えば肩を貸してくれるだろう】
【女性の方は目立った外傷はない、恐らく誰かの見舞いか何かだろう、急いでいる様子もないのできっと助けになる筈だ】
579 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/06/01(月) 22:34:19.26 ID:H6oDkwmy0
>>578

【途方に暮れながら座っていた少女。自力で立ち上がれないのに歩こうとしたのを今更後悔して】
【このまま病室に帰れなければどうしようかと、少し不安に駆られていたのだけれど……―――】

【―――そこに、金色の髪を持つ女性が近づいてくる。自分より、少しばかり年上だろうか】
【何だか自分よりも地位が高そうな、ご令嬢的な感じの子。そう見えるのは髪形のせい……かな?】
【とにかく、そんな感じの子が近づいて来た。その子はぐぐっとしゃがんで目線を合わせてくれて】
【微笑みを向けて、声を掛けてくる。困ってる?って……立ち上がれない自分を見て、助けに来てくれたいたい】
【……やたら、お姉さんを強調している気もするけれど】

……その、……無理して歩いてたら、立てなくなっちゃったんです。
それで、病室に戻れなくなっちゃって……――たぶん肩を借りても歩けないかも。

えっと、ちょっぴりわがままかもですが……車椅子に、乗っけてくれませんか?
病室は505号室で、そこに私の車椅子があるはずですから。……お願い、できますか?
すみません、初めましてのお姉さんにこんな事を頼んでしまって……

【……正直、肩を借りても歩けないだろう。足が体重を支えられないのだから、歩行動作はきっと辛い】
【だから、今はこの人に甘えることにする。初対面の人にこんな事を頼むのは申し訳ないけど……】
【と言う訳で、少女は善意に甘えつつ少し申し訳なさそうに頼むのだった。】
580 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank)[sage saga]:2015/06/01(月) 23:13:44.22 ID:nOf5fnaH0
>>579

【お姉さんを強調している辺りはもう想像通り、癖になっているのか無意識に近い形で声に出て】
【彼女はヒップサイズだけ無駄に大きいものの、その体格はコンプレックスのようだった、尤もこんなこと 察しの良い人でなければ今の段階では分からないことなのだろうが】
【それは知らなくても問題ない情報だ、今はとにかく困っている少女に手を貸してくれる、ただそれだけなのだから】

分かったわ、ええと…………あれかしら……?
別にこれくらい当然よ、そういう仕事をしているからもあるけど、困っているなら見過ごせないわ。

【少女に言われた通りに車椅子を近くまで滑らせてきて、それからひょいと彼女を乗せる】
【それはもう軽々と乗せてみせたのだ、女性は外見に見合わず力持ちなのか……と意外なことが分かるだろう、腕も足も細く見えるし本当に意外だ】
【それからは普通に車椅子を言われた病室まで押していくだろう、途中もしも階段を登らなければならない道があれば同じように車椅子ごと持ち上げて運んでくれる筈だ……まあエレベーターを使ったならそんな光景も見ることはないだろうが】

お待たせっ!ここで合ってるわよね?
……ああそうだ、ついでに自己紹介しておくわね、私はエリーゼ、エリーゼ・アルデリックよ。
友達からはエリックなんて呼ばれてるの、それじゃあ男の名前よねぇ?

…………ところで貴女、その怪我はどうしたの……?学校の屋上からでも落ちたのかしら?
だって、ね、普通じゃないから気になっちゃって……答えたくなければ答えなくても良いのよ?

【病室のベッドの前まで運んだなら自己紹介と共にそんな質問が出てくるだろう、とても学生の負う怪我には見えなかったし、何かあったと考えるのが当然なのだろうけど】
581 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/06/02(火) 00:04:00.63 ID:2mhFk+R80
>>580
【足が不自由なのだから、きっと車椅子に座るにもひと苦労だったはず。けれど】
【今回に限っては、そんな事は無かった。―――なんと、身体ごと持ち上げてくれたのだ】

【少女自身も小柄で軽い方だけれど、それでもたった一人で持ち上げるには重かった筈。】
【にも拘らず軽々と持ち上げられて、少女は驚いたような表情を見せる。つぶらな目をさらに丸くして】
【「すごーい……」なんて、感嘆の声を上げるのだった。……たぶん、自分には出来ない。】

【―――そして、結局病室まで運んでもらう事になる。腕も怪我をしているから、多分一人では戻れなかった】
【だからこそ、この親切な人に押してもらうのがとても有難くて……少女の顔にちょっぴり笑顔が零れる】
【ベッドに移る時も少女の手を借りる事になるが……手を貸してくれるだろうか】

【病室まで辿り着いてから、問われるのは怪我の事。こんなに酷い怪我だもの、不思議に思うのも無理は無い】
【此処まで連れて来てもらった恩もあるし、たぶんこの人なら伝えても問題ない筈……】
【と言う訳で、少女は静かに言葉を紡ぐ。……あの時の事を思い出すのは、ちょっぴり辛いけれど】

エリーゼさん、ですね?私は神谷衣織っていいます。えっと、此処まで連れてきて下さってありがとうございました!

あ、この怪我ですか……?―――えっと……学校の帰りに、突然黒い獣に襲われたんです。
真っ黒で、とっても大きくて、力が強くて……、……―――人の言葉を喋る、獣です。
……ヒトの皮膚みたいな皮と爪も持っていました。とにかく普通の動物じゃなさそうで……――――

……結局、お母さんと銀ちゃんに助けて貰って……―――あ、銀ちゃんってのは私のとっても大切な人です。
でも、その銀ちゃんが私を助ける為に大怪我を負って……

【―――此処まで喋った所で、少女は押し黙ってしまう。……辛かったのだろう、大切な人が傷付いたのが】
【この情報をどう捉えるか。そして、まだ深く追究するか。それはエリーゼ次第だ……】
582 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank)[sage saga]:2015/06/02(火) 00:41:10.01 ID:KjlrQMqw0
>>581

【少女にすごいと言われたら、お姉さんだしこれくらい当然よ なんて返す】
【しかしそのせいで、この辺りからコンプレックスに気付き始めてしまうかも知れなかった】
【そして少女に笑顔が見えた頃、女性もふふ、と小さな笑みを浮かべているのだった】

【理由は頼りにされたことと、お姉さんと呼ばれたこと、単純だがそれが嬉しいようで】
【上機嫌になりながら少女をベッドに寝かせてくれるだろう、そんなに嬉しいのか……】


衣織ちゃんね、初めまして、ちゃんとお礼出来る良い娘じゃないの…………ってごめんなさい、その年じゃあもう普通よね、子供扱いは良くないわよね、うんうん。

…………人の言葉を喋る獣……それに人の皮や爪…………単純に考えるなら獣人かしら。
でも……魔術か能力者の可能性もあるけれど…………黒い獣は知らないし…………

【エリーゼは何か引っ掛かったのか、しばらく小さな声でブツブツと独り言を吐き出して】
【やっぱり違うと答えを出すと、念のための質問?と共に話を続けるのだった】

一応聞くけれど…………それオスのゴリラじゃないでしょ……?
…………あ、何でこんな質問をしたのか説明しないといけないわよね……えーと…………

………………ごめんなさい、いきなりの事だけど驚いて叫んだりはしないでね……?

【そう言って少し顔を俯くと、エリーゼの頭の上の毛がもぞもぞとし始めて……】
【しゅるり、という音が聞こえたかと思うと 彼女にはいつの間にかクリーム色の何かが二本】
【……これは、そう、ウサギの耳だ、これは一体どういうことなのだろうか】

/すみません、そろそろ凍結をお願いしたく……!
/明日も同じ位の時間までには来られると思いますのでその時には舞台裏にてお知らせします!
583 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/06/02(火) 00:49:00.23 ID:2mhFk+R80
>>582
//了解です、私は20時くらいから居ますのでー!それでは一旦お疲れ様でした!
584 : ◆A3Dw.QYNcc2015/06/02(火) 13:58:19.32 ID:b8bJTJADO
/>>362で再募集します
585 :櫛灘自斎2015/06/02(火) 15:04:44.56 ID:xkJTP3O/O
【路地裏】



──(手は使わず……)



【黒い呉服にその巨躯を包み、腰に脇差と無銘の刀を差した、無精髭の男がいる。】
【彼の前方には、見てくれで全てが察せるヨタコウ達。】
【ナイフを突きつける彼らの間を、刀を抜かぬまま体の捌きだけで、縫うように通過。】



(これで──) ──いっちょあがりだ。



【最後方にいた男の背中を、軽くこづけば、ドミノ倒しのように崩れる男達】
【向き直り、鞘に収まったままの脇差を向ければ──】

【──その状況だけ見れば、威圧感溢れるお侍さんが、若者を脅しているように見える。】
586 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/06/02(火) 20:19:40.97 ID:2mhFk+R80
>>582

【病室のベッドに体を横たえるのまで手伝って貰えたのだから、きっとこのお姉さんは優しい人なのだろう】
【優しくて、ちょっぴり世話焼きで、頼られるのが嬉しくて……。それなら、やっぱりお姉さんみたいな人だ】
【衣織に姉は居ないけれど、姉が居たらこんな感じなのだろうか……そんな事を、ベッドに体を横たえながら思ってみたり】
【衣織は小さく微笑む。怪我で不自由な体を持つ身にとっては、このお姉さんの親切な心がとても有難く感じる……】

えへへ……私はもう子供じゃない、ですか?そう言われるとちょっぴり嬉しいです!
……感謝の気持ちを伝えるのはとっても大切な事ですから。だから、その気持ちを言葉にして贈るんです。―――「ありがとう」って。

【……子ども扱いは良くないとは言うが、衣織はまだ13歳。正真正銘まだまだ未熟な子供に違いなくて】
【子ども扱いされなったことを喜んでいる辺りが、まだまだ子供である証拠。きっと、大人にはまだまだ遠い】
【でも、礼儀はしっかりしていた。ちゃんとお礼も言うし、ぺこりとお辞儀なんかもしたりして……】
【ありがとうの気持ちを伝えるのはとっても大事なこと。お母さんがよく言い聞かせてくれた】
【だから、いつもそれを実践している。自分の心がちゃんと相手に伝わるように、言葉を贈っている】

【―――で、問われるのは襲われた黒い獣の事。黒くて、力が強くて、人のような皮膚を持ち、言葉を喋ることが出来る程知能が高い】
【そんな特徴を伝えると、……ゴリラ?なんて答えが返ってくる。なるほど確かに特徴だけ聞いたらゴリラだ……。でも、違うのだ】

……違うんです。獣人でもゴリラでも無くて……もっと怖い、化け物みたいな獣だったんです。
犬みたいに四足で立ってて、耳も狼みたいに立ってて、身体は黒い毛に覆われてて……
でも……目とか指とか口とか、パーツだけ人間の物だったんです―――

【衣織は首を横を振り、さらに詳細な説明をする。四足で、犬や狼のような姿―――しかし、至る所に人間のパーツが存在していて】
【皮膚・指・目は完全にヒトのものだった。明らかに普通の生き物ではない、まさに化け物という言葉が相応しいおぞましい物だった】

【……と、説明をし終えた所で唐突にエリーゼが何かを告げる。「驚かないでね」―――そう言った、次の瞬間】
【頭の上に、ぴょこんと生えた可愛らしい耳。それは、どう見ても人間の物じゃなくて……】

―――――えー!?

【驚かない方が無理だった。衣織はくりっと丸い目をさらに丸くして驚く。……もしかして、この人も銀ちゃんみたいな妖怪?】
【人間の体に狼の耳としっぽが生えているのは見慣れていたけれど……この人もその類なのだろうか】

587 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank)[sage saga]:2015/06/02(火) 22:31:16.19 ID:KjlrQMqw0
>>586

【なんて良く出来た子なのだろう、生まれ育った環境が関係しているのか、或いは 彼女への教育がとてもしっかりしているのか、何れにせよ衣織は優しい娘なのだ】
【お礼を言える、それは思っているよりもずっと大切な基本の一つで】
【彼女はそれが言える、それだけで衣織の心が少しだけでも見えそうだった、彼女の感謝にエリーゼはどういたしましてと返すのだった】

【そして話は衣織に怪我を負わせた元凶についての質問へと変わる、ゴリラじゃないと言われたらエリーゼは何だか少し安堵したような表情を見せるだろう】
【理由については直ぐ後に分かる、今は衣織から特徴を聴いて、やっぱり違うと頭をふるのだった】

そっかー、ゴリラじゃないかー、良かった 良かった…………あ、ごめんなさい。
それじゃあ…………良いかしら……………………

【いくら馴れているからと言っても衣織が驚くのは無理もない、人の頭から兎の耳が生えてくる、それはどう考えても普通ではないのだから】
【彼女に見せたのは自分が特異だという証拠、衣織の様子を伺ってからエリーゼは口を開いた】

驚かせてしまってごめんなさい…………こうした方がどうしても信じられるかなと思って。
ほら、百聞は一見に如かずだとか言うじゃない……ってそんな話じゃなくて…………

えーと…………実は私はヒトの肉体に別の生物の性質を取り入れたキメラっていう兵士なの。
そして水の国の軍人でもあるわ、まあ軍人だからこそこうなったわけだけど…………
あ、でも以前は普通の人間だったのよ?こうなったのは7年位は前の事かしら。
技術を手に入れたから造ったって理由みたいだけど、私以外にも数十体は造られたわね、まあ結構戦死しちゃって 残ったのは半分より下なんだけどね。

ゴリラじゃないかって質問したのもそれ、実は今 ここに私の同僚が入院していてね、黒くて大柄だって言うから疑ってみただけなの、そんなことをしない人だとは知っているけど念の為に。
その人以外に黒い毛を持つタイプの動物は知らないから疑いは晴れたんだけど、もし昔の仲間なら自分達がどうにかしなくっちゃって考えてたから。

【耳の形から察するに彼女は兎の性質を受け取っているキメラ、そしてこの病院に入院しているらしい同僚はゴリラらしく】
【ちなみに衣織の病室よりもう一つ上の階にある別の病室にて、こんな会話が展開されているのだった……】
【エリーゼも来るって聞いたんだが?もうすぐ来るだろ。あ、そこのバナナ取ってくれ】
【……それはともかく、耳を見せて驚く以上に 衣織はどんな感想を抱いただろうか……?】

/遅れましたがよろしくお願いします!
/それと恐らく今日も余り長くは出来ないと思いますので……予め伝えておきます
588 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/06/02(火) 23:06:13.20 ID:2mhFk+R80
>>567

え、エリーゼさんって軍人さんなんですか!?知らなかったです……
そっか、じゃあその耳も……もしかして、力持ちなのもそのせい?

―――半分以上が、戦死……じゃあ、エリーゼさんも死ぬかもしれないような場所に……?
……怖くはないんですか?たぶん、私は仲間が半分も死んでしまうなんて耐えられないです……

【彼女の口から告げられたのは、軍とか、兵士とか、改造人間とか……何だかシリアスな話題で】
【見た目はお嬢様な感じなのだけれど……可愛らしい見た目とは裏腹に、戦いに生きる厳しい生活を送っているらしい】
【中学生として平和に過ごす衣織にとっては、知らない世界。きっと、衣織の想像以上に過酷な環境なのだろう】
【仲間が半分以上死んでしまうなんて、たぶん耐えられない。大切な人が傷付いただけでも辛いのに……】
【彼女の気持ちを思えばこそ、衣織は少し表情が暗くなっていた。……軍人さんはそんなに軟じゃないとは分かっているけれど】

【で、耳への感想。】
【ぴょこんと生えたウサギの耳。勿論それは驚きを齎す物なのだけれど……同時に、驚きとは違った感情も抱いていたりする】

―――でも、やっぱり可愛いです……その、えっと……エリーゼさん、見た目が可愛いのに兎の耳まで付いてるから……
……兎さんの気持ちとかも、分かるんですか?ニンジンがおいしいとか……

【―――なんだかおとぎ話の登場人物みたいで可愛らしいなぁ、って……衣織はそんな感想を抱いていたのだった】
【幼さの残る顔立ちにウサギの耳だもの、可愛くない訳がない。軍人さんにその感想は失礼なのかもしれないけれど】
【……ウサギさんなら、にんじんとか好きなのかなぁ?なんて、無邪気な疑問も同時に抱えていたりして……】
【衣織のエリーゼを見る瞳が、少し輝いて見える。少女だもの、可愛いものには興味だって湧く】
589 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/06/02(火) 23:21:42.82 ID:g29/Rm4k0

【夜の公園。昼間は子供達の活気に包まれる其所だが、夜ともなれば流石に人は居ない――――筈、なのだが】
【今宵は其処に植えられた木の根元に一人の姿。学生服を纏った……大凡高等部と思われる女学生】
【手にしているのは木刀なのだが、まるで精神を統一するかの如く瞼を閉じて】


「――――――ハァッッッッ!!!」

【舞い落ちる一枚の葉。カッと目を見開けば、手にしていた得物を横に一閃】
【見事に木の葉は砕かれ――――……無かった。寧ろ、掠りもせず“惜しい”の“お”の字にすら届かない現実】
【虚しくも地面に落ちた葉を眺めながら、ポリポリと頭を掻いて】


「可笑しいなぁ……漫画とかだと簡単にしてるのに全然出来ないや…………
もっと、こう…………ズババァーン!!って感じにしなきゃ出来ないのかな?」

【曰く、修練の一環。然れど其れはどう見ても漫画やらアニメやらでしか見ないモノだ】
【再び瞼を閉じたならば、木刀を構えて――――】

【さて、こんな時間にそんな事をしているのだから端から見てもよく目立つ】
【何より路地裏から遠い場所。人通りは少ないとは言え、疎らには在るのだから何者かがこの奇妙な光景を目の当たりにする事も否めない】
【女学生がこの時間まで一人で居る事を咎める者か、ただ奇妙に思った者か。或いはまた別な何かを抱いた者か――――其処までは分からないけれど】












【深夜の墓場。――――ともなれば、不吉であり誰も近寄る者が居なかったのだけれど】
【今宵は其処に禍々しい気配が満ちていて。魔力だとかを感知出来る者ならば其れが所謂“瘴気”である事が知れるだろうし】
【そうで無い者だとしても本当的に“危険な何か”と感じ取る事が出来るだろうか】

【見遣れば、居るのは紅いドレスを纏った一人の少女】
【金色の髪に、朱色の双眸――――見てくれだけならば、本当にただの子供なのだけれど】
【瘴気は、紛う事無き少女本人から発せられていて】


「――――古い世界にさようなら。新しい世界にこんにちは
今宵私アリスが紡ぐお話しは希望絶望人間達の楽しいお話…………なの、だけれど」

【墓石に腰を掛けたならばブラリブラリと揺らされる脚】
【まるで暇を持て余した子供がする其れであり、悪魔の気配とはほど遠いのだが】
【――――不意に、土の中から突き出た一本の腕。肉が削げ、所々骨が露出して居る其れは、恐らくは埋められた者と考えて間違いは無く】
【其れを皮切りに、次々と墓の中から這い出てくる死者達。宛ら、一昔前のゾンビ映画のようで】


「みんなお話出来ないのね?それじゃあつまらないわ、つまらない
自分の好きだった人も自分の子供の頃も、きっと自分自身の事も忘れているのだもの。それじゃあ詰まらないわ」

【たった数分の内に、墓は死者の呻く声と這いずる音だけで支配される事となる】
【――――遠くからでも異変に気付く事が出来るのは、先ず間違い無いであろう】
【実際に現状を目の当たりにし、どの様な行動を取るのかは訪れた者次第】
【手当たり次第に抹殺するか、見つからないようにと逃げるか。それとも、中心で退屈そうに座る少女に話し掛けるか――――】
590 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2015/06/03(水) 00:06:36.60 ID:HbRQeR8do
659 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/06/02(火) 19:27:00.41 ID:WzG6GEwm0
アインとマリア消えてくれないかな

664 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/06/02(火) 22:29:54.12 ID:HUbjJ9gM0
お、マリアが何か怒ってるぞ

665 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/06/02(火) 22:36:38.69 ID:kS06XxBm0
普通に遅れる、ってだけで済むのをわざわざあんな風に書く辺りが

666 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/06/02(火) 22:38:46.04 ID:fkdKARWk0
どうしたのって心配されたいんだねあほくさ

667 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/06/02(火) 22:40:22.17 ID:A8F3qVR30
この後事情説明して取り巻きたちが一斉に「大丈夫だよ」「マリアの人は悪くないよ」ってフォローするのね

668 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/06/02(火) 22:48:09.85 ID:0dPFkh+K0
君は悪くない。

669 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/06/02(火) 23:09:43.66 ID:SQT0Nm/d0
あの言い方じゃロール再開を待つ相手が可哀想だろw
ほんっっと相手のことを考えない自己中女なんだな

670 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/06/02(火) 23:14:02.61 ID:K9mvIVtG0
あそこまでアホ晒す奴は久しぶりに見たな
ごみ溜めの存在を知れば、普通は大なり小なり自己を客観視する筈なんだが

671 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/06/02(火) 23:14:12.98 ID:A8F3qVR30
相手は筋金入りのマリア信者だからむしろご褒美だろ
確かいつもキモい絵描いてるやつじゃなかったっけあいつ?

672 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/06/02(火) 23:18:57.92 ID:Tk1dBmjr0
もう大丈夫らしいぞ
何があったのか聞いて来いよ
591 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank)[sage saga]:2015/06/03(水) 00:09:39.94 ID:F3j9dVym0
>>588

ええ…………まあそうね、耳を見せるのは恥ずかしいけれど力持ちなのは悪くはないわ。
力が生まれたからこそ貴女の手助けも出来たし、貴女みたいに困っている人を助けることも出来る。
それって良いことよ、自由にオンオフも利くから日常生活で困ることもないし…………

…………そうね……少なくとも私達キメラは現地への有用な戦力として造られたから。
キメラの試験的な製造から1年、6年前の事だけど泥の街のとある地区で紛争があったの。
作戦期間は約4ヶ月、お披露目の意味もあったのかしらね、そこに配備される事になったのよ。

私達は自分に相性のいい生物と合成されている、誰でもなれるわけではないから数十人だったの。
名前こそ把握していなくても全員の顔は分かっていたわ、だから辛くなかったと言えば嘘になるわね……
そうでなくてもひどい場所だったわ…………キメラだって元は動物と人間、銃に撃たれれば簡単に死んでしまうものよ…………

…………と、こんな話題するべきじゃないわよね!こんなの歴史のテストの役にも立たないわ……

【飛び交う弾丸、叫び声からうめき声、6年が過ぎても簡単に思い出せてしまう】
【当時適合しているというだけでキメラのチームにされ、まだピカピカの上等兵だったにも関わらず前線で戦ったのだ、慣れない悪夢は辛かったようで】
【エリーゼは苦い顔をしながら腕を擦っていた、きっと相当嫌だったのだろう】

【こんな話では駄目だと首を振って切り替えようとして、気を取り直して別の話題へと移った】
【ウサギ…………可愛いのだろうか、衣織が興味津々に質問してきて】

かっ……可愛いかしら………………そうかしら…………?
えっと、兎の気持ち……ですか…………?ま……まあニンジンは好きだけど………………

【というか大好き、セロリやブロッコリーなんかも好きで質問への回答は何だか兎の好みそのもの】
【その後にもう一言付け加えるのだが、エリーゼはどうやらベジタリアンのようだった】
【相性の良い動物というのも何となく分かったかも知れない、彼女は元々野菜好きなのだ】
【エリーゼは可愛いと言われたせいで 恥ずかしさとの境界の上でもじもじとするのだった】

/すみません、時間が来てしまいました……!
/明日は8時頃から来れると思いますので!
592 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/06/03(水) 00:41:57.43 ID:F5UvlOD/0
>>591

……そうですか……―――やっぱり、辛いですよね。……人が死ぬんですもんね、戦争って。
私がそんな知ったような口を聞くのは変かもしれませんが……

……ごめんなさい、こんな辛いお話をさせてしまって。

【語られるのは、彼女が置かれた戦場での生々しい事実。過酷な環境に置かれていた事を思わせる言葉が沢山出てきて】
【……多分、衣織にはその辛い過去を半分も理解できていないと思う。その辛さは、きっと体感した者にしか分からない筈だから】
【死と隣り合わせ、一つ間違えれば終わり……その恐怖は察するに余りある。……エリーゼの顔も、心なしか辛そうで】
【もうこのお話はお終いにした方が良いのかもしれない。辛い過去は、穿り返すものではない……】

【それまでの話題とは打って変わって、質問の内容は無邪気な物だった。兎の気持ちが分かる?とか】
【ニンジンは好き?とか……―――可愛いと言われて照れている姿が、これまたなんだか可愛らしい】

【で、質問の答えも兎っぽかった。やっぱりニンジンは好きらしくて、というか野菜全般が好きらしくて】
【衣織は感心するのだった。「おー……やっぱり心もウサギさんなんですねー……」なんて】

じゃあじゃあ、やっぱりぴょんぴょんって飛び跳ねたりできるんですか!?
あとは、寂しがりだったり耳が良かったり……
ね、ね、エリーゼさん!耳を触ってもいいですか?

【衣織はさらに好奇心を光らせて問う。生物学者の娘なだけあって生き物へは興味津々】
【……なんだか質問の内容が、ウサギのキメラと言うよりただのウサギに対する質問になってきている気がするけれど】
【終いには耳を触りたがったりして……子供の好奇心はとどまる所を知らない】

//了解です!それではまた明日!
593 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします2015/06/03(水) 01:16:59.21 ID:FwRCEUrg0
659 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/06/02(火) 19:27:00.41 ID:WzG6GEwm0
アインとマリア消えてくれないかな

664 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/06/02(火) 22:29:54.12 ID:HUbjJ9gM0
お、マリアが何か怒ってるぞ

665 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/06/02(火) 22:36:38.69 ID:kS06XxBm0
普通に遅れる、ってだけで済むのをわざわざあんな風に書く辺りが

666 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/06/02(火) 22:38:46.04 ID:fkdKARWk0
どうしたのって心配されたいんだねあほくさ

667 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/06/02(火) 22:40:22.17 ID:A8F3qVR30
この後事情説明して取り巻きたちが一斉に「大丈夫だよ」「マリアの人は悪くないよ」ってフォローするのね

668 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/06/02(火) 22:48:09.85 ID:0dPFkh+K0
君は悪くない。

669 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/06/02(火) 23:09:43.66 ID:SQT0Nm/d0
あの言い方じゃロール再開を待つ相手が可哀想だろw
ほんっっと相手のことを考えない自己中女なんだな

670 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/06/02(火) 23:14:02.61 ID:K9mvIVtG0
あそこまでアホ晒す奴は久しぶりに見たな
ごみ溜めの存在を知れば、普通は大なり小なり自己を客観視する筈なんだが

671 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/06/02(火) 23:14:12.98 ID:A8F3qVR30
相手は筋金入りのマリア信者だからむしろご褒美だろ
確かいつもキモい絵描いてるやつじゃなかったっけあいつ?

672 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/06/02(火) 23:18:57.92 ID:Tk1dBmjr0
もう大丈夫らしいぞ
何があったのか聞いて来いよ


ttp://yomogi.2ch.net/test/read.cgi/net/1432402588/
594 :霧崎 ◆8R7odKA9zA[sage]:2015/06/03(水) 20:34:33.62 ID:MoaYXU+Ao
【公園】

【ここは企業の高層ビルなどが立ち並ぶダウンタウンにつくられた公園】
【広々とした園内には直輸入されたソメイヨシノが幾つも植えられて先月ぐらいは】
【美しい花を咲かせていた。他にも竹林や鯉泳ぐ池などもありコンセプトは固まっている】
【なんでも櫻の国のある企業の大規模な出資でつくった為にこの様になったらしい】

【街灯の薄明かりと周りのビルの窓明りの中、誰も居ない公園で1人、刀を振るう女性】
【長い黒髪は後ろで一纏めにし、切れ長の目は振るう刀と同じぐらいに鋭く、シルバーフレームのメガネを掛け】
【背は高く、ハイカットのスニーカー、タイトなジーンズに白いシャツを腕まくりしてというラフな格好で刀を振るう】
【風を斬る音が乱れなく聞こえ、太刀筋はプログラムされたかのように迷いなく正確無比、スピードも落ちない】

―――ッ!……ハァッ!!

【一心不乱に休みなく刀を振り続け、最後の仕上げとばかりに背後にあった雑木に刀の刃を叩き込んだ】
【非力な女性でありながらもその技術でザクリと深く切り込み、彼女は一息をついた。呼吸を落ち着ける】
【ちょっと盛り上がりすぎてぶっ刺してしまったのをハッとして気がついて、(管理人だの何だのに見つかると少々】
【面倒くさい)、慌てて突き刺さった刀を抜こうとしたのだが、うんともすんとも。樹の幹に足をかけて引っ張っても】

………抜けない
         
595 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank)[sage saga]:2015/06/03(水) 20:37:00.95 ID:F3j9dVym0
>>592

いいのよ、そういう仕事だって分かってたんだから。
最初から知っていたのにこんなはずじゃなかったなんて言い訳する大人にはなりたくないもの。

【それは結局ただの通過点なのだ、エリーゼはそうやって納得して生きていた】
【想像と違うと逃げることも、こんなに辛いなんてと逃避することも したくなかったからか】
【或いは半ば諦めのようなもので、とっくにそれに慣れてしまったからだろうか】

【とにかく暗い話はここで終わり、それは打ち切ってもっと(衣織にとって)面白い話に切り替わる】
【野菜が好きだと答えてからも、ぐいぐいと質問されて困惑したのか耳も少しくたっとなっていた】

…………ま、まあね…………脚力は他のキメラよりも比較的高いと思うけど…………
私達って敵との交戦時には本当は全身を変化させるのがセオリーなの、でも私は見た目が変化するのがどうにもなれなくって……人型のウサギって所がちょっとね…………
だから今は服とかで隠れる部位にしか使ってないのよ、耳がこうなったりするのも恥ずかしいから………………

寂しがりは…………そうね、短い間だけど前は彼氏も居たわ、その人も軍人だったの、でも退職したから別れることになって。
まあお互い、本当に寂しいから寄り添い合っていただけで余り本気でもなかったから…………ふふ、でもそういう付き合いは大人になれば分かることよ。

…………耳、触るの……?構わないけど 特別面白いものではないと思うわよ…………?

【それでもエリーゼは衣織からの質問に律儀に答えていく、耳だって触らせてくれて】
【ちなみに触り心地はもふもふ ふかふかしていて、人間の耳とは違い、くねっと曲がるように柔らかい、それと少しくすぐったいのか 時折耳がピクリと反応することもあるだろう】
596 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2015/06/03(水) 21:05:27.52 ID:F5UvlOD/o
>>595

【犬のしっぽみたいに、ウサギの耳も感情によってぴんと立ったりぺたんと下がったりするらしくて】
【エリーゼの耳がぴこぴこ動くのがなんだか楽くて、つぶらな瞳はじいっと耳の動きを追っている】

【とにかく興味津々で色んな事を質問したりして、エリーゼを困らせてみたり。本人は困らせる意図はないのだけれど……】
【でも、エリーゼはそんな他愛ない質問に全部答えてくれる。それならやっぱり、この人はとっても優しい証拠】
【返ってきた答えに、衣織は目を輝かせる。思ってた通りだったのが嬉しかったのか、笑顔も見せて】

えー、恥ずかしいんですか?こんなに可愛いのに……
でも、やっぱり足は強いんですねっ!ウサギさんですもんね、そうじゃないかって思ってました!

うーん……恋人とかはまだよく分かんないです。エリーゼさんの言う通り、大人になれば分かるのかな……?
えへへ……私にもそのうち、好きな人が出来るかな……

【まだ初心な衣織には、恋とかはよく分からなくて。漠然と好きな人もそのうち出来るのかなー……なんて思っているだけ】
【大人になれば、分かるのだろうか。自分の事を好きになってくれるような人が、出来るのだろうか……なんて】
【もう中学二年生。純粋な少女も、そろそろ初恋を経験する頃なのかもしれない】

【それから、耳を触らせてもらったり。柔らかくふさふさの手触りが、なんだか心地よくて】
【きっと飽きるまで触っているだろう。触りつつ、他愛のない事をおしゃべりして】
【病院で退屈してた衣織にとっては、この時間は間違いなく楽しい時間になっている筈―――】

【さて。そんな風に楽しい時間を過ごしているけれど……エリーゼの予定は大丈夫なのだろうか?】
597 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/03(水) 21:35:26.08 ID:Xl5Hjg3J0
【大通り――から一本逸れた横道、薄暗く、路地裏なんて呼ばれる場所】
【とりあえず堅気には見えそうもないチンピラががやがやと騒ぐ、その集団の中を見れば】
【どうにも浮いた人影が一つあった。少女――というには大人、だけれど、大人と言い切るには。そんな、女】

――――では、また、?

【大通りに出る寸前で彼女は振り返って、チンピラたちにそんな声を掛ける、彼らも行儀悪くそれに答えて、】
【お行儀のいいようなふりをして手を振ってやる、それで、くるり振り返って、踏み出すのは人通りの道。明るく、雑多な通り】
【件の横道から離れるように少し歩いた後、緩く巻かれた髪束を手にとって、すんと臭いを確かめて――溜息ひとつ】

【「煙草臭い、」と、ぼんやり考えながら。一瞬伏せた瞳は、ただ、すぐに前へと戻り】

【黒猫のような毛色の髪は肩ほどまでのセミロング、毛先は緩く巻かれて、ただ、ほんの少し崩れて】
【青林檎の色味の瞳は猫のような釣り目。施された化粧は濃すぎない程度、――臭いを吸った髪を、右手でばさりと払い】
【黒布でこさえた、ミニ丈よりも少し短い丈のワンピースに、高いヒールのパンプス。せなにはリボン飾りを揺らして】

――まあ、お仕事も終わりましたし……どこかでお茶でも。
…………家で飲んだほうがいいですかしら? どうしましょう……。

【薄っぺらの携帯電話を起動して時間を確かめて、近くのカフェへ出しかけた足は、ただ、】
【一瞬迷うように止まって、元の位置に戻される。それを彼女は、しばらく、ぶちぶち呟きながら】
【お茶をしてから帰るか、しないで帰るか、結構真剣に迷いながら――立つ位置は、店の、入り口のほぼ前】
【これから入店しようという人間には邪魔でしかなく、そうでなくても、通行人にとっては邪魔な位置――だったりした】
598 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank)[sage saga]:2015/06/03(水) 21:50:00.93 ID:F3j9dVym0
>>596

恥ずかしいわよ…………可愛いからこそコスプレみたいで尚更だし………………

それは逆よ、それ以外はほとんど犬やその他の方が優れていたし、山猫をモデルにした人は脚力だって私に追い付いていたわ。
元々弱い動物だし仕方ないけど、誇れるものはそれぐらいなの、でも私は与えられたものに文句を言うんじゃなくて それで何が出来るかを考えるタイプだから不満はないわ。
普通の人より優れていることは分かっているし、人を守るなら立場くらいは知っておかないとね。

……男女の関係って恋人だけとは限らないわ、もっと単純で、それでいて複雑だったりするの。
先輩としてアドバイスするのなら、悪い男にだけは釣られないようにね、同じくらいに責任感のない人もダメ。
それ以上のことは成長すれば分かるわ、お父さんお母さんを心配させることは余りしないように。

【今はそれだけ知っていればいいわ、その先は大人になってからなんて焦らすような言葉】
【あくまで知っていたら良いかも程度の話だが、それでも経験者の話なら損はない筈……?】

…………さて、そろそろ行こうかしら、友達をあまり待たせるわけにもいかないものね。

可愛いって言ってくれてありがとう、正直 嬉しかったわ、それじゃあ元気でね。

【耳を元に戻し、扉に手をかけると 振り返ってもう片方でひらひらと衣織に手を振る】
【帰るのではなく別の病室に寄っていくのだが、一先ず今日はこれでさよなら】
【くるくるカールの金髪を靡かせながら、その足音は段々と遠くなっていった】

/それではここで!ありがとうございましたー
599 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/06/03(水) 22:07:22.84 ID:09r+YdZoo
【路地裏】

【昼でもなお薄暗いこの場所は、夜ともなると濃厚な闇にすっぽりと覆われる】
【充満する饐えた臭いと澱んだ空気を掻き分けて、蠢く者たちの足音がする】
【残飯を漁るネズミ、死体に群がる蟲。そして、悪意持つ者たち】

【その中に混じって、冷たいコンクリートの壁に背を預ける男が一人】
【身長は2メートルを軽く超えているであろう。薄汚れた灰色の作業着に黒いラバー地のエプロンを身に着け】
【黒いゴム長靴を履いた大男。角ばった顔つきに、短めに切り揃えられた黒髪をしている】


【黒い瞳の両目。額には、面積を埋める巨大な単眼。異形というべきその姿】
【その三つの視線は、右手に握られた携帯端末の画面へと注がれていた】

(マックスウッドさんのこの言葉……アーグさんとは協力関係とは聞いていたが)
(元より、彼ら二人とも簡単に読みきれる相手ではない、か……)

(私は、すでにマリア・シャリエールに手傷を負わせている。フレデリックが機関に敵対行動をとった以上は)
(言い訳は立つが……ただでさえ、ここ最近の行動で敵を増やしている状況だ)
(だが、これから必要になる物資をかき集めるには、まだ盗賊働きをせねばなるまい……)
(今後の方針を、見直さねばならないな――――)

【絶えず、周囲に警戒の念を発しながら、大男は思考を渦巻かせていた】
【誰かがやってくれば、佇む異形を目にすることになるだろう】
600 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2015/06/03(水) 22:25:13.94 ID:F5UvlOD/o
>>598
//はい、有難う御座いました!ちょっと用事が入りましたので、返信は後ほどにさせて頂きます……それではお疲れ様でした!
601 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県)[sage saga]:2015/06/03(水) 22:52:56.93 ID:4huKMQfC0
>>599
/まだいらっしゃいますか?
602 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/06/03(水) 22:54:02.25 ID:09r+YdZoo
>>601
/はい、おりますー!
603 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/03(水) 22:56:01.31 ID:Xl5Hjg3J0
>>599

【「あ――」】
【――と、そんな声が、聞こえた気がした。否、気のせいでなく、確かにその声は、少しだけ遠いけれど】
【夜の中で特別によく響く、“鈴の音”の声だから。すぐに気付かれるだろうし、誰なのかも、すぐにばれてしまう】

【彼がもしもこちらを向くなら、“彼女”は、いつもみたいに、「ごきげんよう」と小さく呟き】
【いちおうは見知った顔だ。変なところだとある程度の信用もしている。それでも、手放しのそれとは違うもの】
【それでも、姿を見せる程度はするし、なんなら、ある程度近づきもする――いつもみたいに、手も、足も、届かない距離】
【ただ声だけが互いに触れることが出来る距離で、なんにもなければ彼女はそうっと足を止め】

……久しぶり、だよね。こんなところで、なにしてるの?
ううん、こんなところだから、何してるのか、――かな?

【見上げる視線は黒と赤の色違い。丸いが少しだけ釣った造形、顔はあどけなさを多分に残すが、見た目どおりの年頃ではなく】
【まあまず路地裏(こんな場所)なんてうろつく時点で普通じゃないとはすぐに分かるのだけど。こつり、と、軽い足音】

…………怪我、治ったの。良かったね、――良かったのかな。
前より、……その、“ふつう”っぽいよ。……ええと。

【黒を基調にしたワンピース。おなかの少し下から裂けて、覗くのは深い赤色のフリルスカート】
【歩くたびにふうわりと尾っぽのように取り残された黒布が揺れて、リボンのついた靴下には、ついでに鈴でもついているらしい】
【靴はかかとが高いが彼には到底及ばない、それでも、性別としては高い身長を揺らして、――顔は、すこし、】
【驚いたように見えた。それは、出会ってしまったことに対してなのか、彼が、昔のような姿へ戻っているからか】

【長い髪をほんの少し取ってくるりと指に回す。左手の薬指、そこに嵌まる指輪のデザインが変わっていた以外は――】
【――彼女のほうに変わりはないようだった。ただ、それが、どうしようもなく大きな違和感で、差異で、異常なのだけど】

/まだいらっしゃいましたらー
604 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/03(水) 22:56:50.84 ID:Xl5Hjg3J0
>>599>>603
/申し訳ないです、リロードしてませんでした……気にしないでもらえましたら
605 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/06/03(水) 22:59:23.30 ID:09r+YdZoo
>>604
/私は複数でも大丈夫ですが、お二方はいかがでしょうか?
606 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県)[sage saga]:2015/06/03(水) 23:15:14.33 ID:4huKMQfC0
>>599
【不意に、蝿や蛾が群れたそれでも薄暗い電灯が、ある人影を照らし出した。】
【足音はそれほど健康的ではない。引きずっている様な、歩いている様な。まあ、徐々に浮かび上がる彼の表情とその様子をうかがえば明らかになる。】

【悪意が渦巻くこの場所には似つかわしくない、青を基調とした幾何学的な模様のヘアバンドと、青と白とオレンジの配色、複雑な模様の民族的な服装。】
【黒髪黒目の、身長や顔つきから推測するに16,17ぐらいの少年だ。しかし歩き方、また顔のやつれ具合から、相当な空腹状態にあると言えるだろう。】
【目を引くであろうものは、右頬に刻まれた絆創膏のようなタトゥーや、ネックレスのそれなりに大きい赤い宝珠。と言っても、対峙している彼の見た目とは比較にならないが。】

【人間はこんな声も出せるのか、と思える位の、何というか「獣」の呻き声の様な何かを発しながら、しかし少年は壁をつたって一歩ずつ歩いていく。】
【行くアテはあるのかどうかは分からないが、彼はゆっくり、少しずつを身体を前へ動かしていた。同じ道を来たのなら、40mか50mもの間、そうしていたことが分かるか。】

【しかしその足音も、やがてピタリ、と止まる。どちらが先かは分からないが、存在に「気づいてしまった」ということなのだろう。】
【「気味の悪い」では片付けられない風貌。正常な人間であれば得も言われぬ恐怖と憎悪を覚えるのだろうが、この少年も同じだった。】
【言ってしまえば、今は「それどころではない」。しかしそれでもこの少年が歩みを止めたのは、何かしらの理由があってのこと、】
【恐らくはその鋭い感受性の様なもので、彼もまた悪意に満ちた存在であるということを察したのだろう・・・だからと言って、何が出来るという訳でもなかったのだが。】

/よろしくおねがいします

607 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県)[sage saga]:2015/06/03(水) 23:18:41.34 ID:4huKMQfC0
/すみません、こちらもまたリロードしてませんでした。
/ロール自体あまり経験がないもので、複数は出来るか分かりませんので、
/先に文章を書かれていた>>603さんを優先されてください。申し訳ないです。
608 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/06/03(水) 23:24:45.84 ID:09r+YdZoo
>>607
/先にお呼びかけいただいていたのはアカマルさんの方なので、そういうことでしたら
/アカマルさんの方と絡ませて頂きたく思います。こちらこそ、余計なことを言ってしまい申し訳ありません
/今から返信書きにかかります

>>604
/鈴音さんの方、申し訳ないです……またの機会にぜひお願いできればと思います
609 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2015/06/03(水) 23:26:59.11 ID:F5UvlOD/o
>>598

【男女の関係は、恋だけとは限らない……その言葉の意味は、衣織にはまだよく分かっていないみたいで】
【でも、恋愛についてはよく分からなくても悪い人や責任感の無い人がダメって事は分かる気がする】
【心から信頼して自分の身を預けられる人が、きっと理想なのだろう。……そんな人、見つかるのだろうか】
【その先は、もうちょっと成長してから、って。そう言われれば、なんだか少しじれったい気分だけれど】
【まあ、最低でも親を心配させないようにしよう。大好きなお母さんが心配する顔は見たくないもの】
【「両親を心配させないように」と言われると、こくりと頷く。―――お父さんは、生まれた時から居ないのだけれど】

え、もう行っちゃうんですか……?……そっか、友達が待ってるなら仕方ないですよね……
いっぱいお喋りできて、楽しかったです!……独りの病室って、ちょっぴり寂しいですから。
えっと、それではまたいつか会いましょう!さようなら!

【……楽しい時間ももうそろそろ終わりを告げる。エリーゼも本来の訪問予定があるのだろう】
【本当はもっとお喋りしたかったし、一人になりたくなかったけど……友達が待っているなら仕方ない】
【衣織の病室を去るエリーゼに、小さな手を振り返して。……やがて、その姿も見えなくなれば】
【病室は再び衣織が独りぼっちで横たわる空間になるのだった。……やっぱり、一人はちょっぴり寂しい】

//改めて、お疲れ様でした!
610 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/03(水) 23:28:32.38 ID:Xl5Hjg3J0
>>607>>608
/一瞬だけ離席してました、お返事遅れちゃって申し訳ないです
/こちらが後からですし、そうしていただけたら助かりますっ
/ややこいことにしちゃってすいませんでした……!
611 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/06/03(水) 23:36:40.15 ID:09r+YdZoo
>>606
【ギョロリ、と三つの視線がそちらを向いた。携帯端末を素早くしまい込み、薄い光の中に浮かぶ彼を睨む】
【その服装、漂わせる気配から、路地裏の住人ではないだろうことをまずは見抜く】
【同時に、彼がひどく腹を空かせていることも。異形の男の無遠慮な視線が少年を眺めまわし】
【タトゥーや宝珠のネックレスをじっと見つめる。粘つく視線は、薄汚い盗賊のそれだ】

【だが、すぐに襲い掛かるようなことはしなかった。相手がどのように見えようと、油断ならないのがこの世界の鉄則】
【何より、その獣のごとき呻きが、そうなってもなお歩みを止めない姿勢が、異形の男を警戒するに至らせていた】

(この状態で路地裏を歩いていて、生きているとは……運がいいだけか、それとも……)
……なんだ? 何か用かね?

【立ち止まった少年にゆっくりと向き直り、まずはそう問いかけた。重苦しく、昏い声音だ】
【彼が自分の悪意を見抜いたとまでは知らないが、そも自分の異形を眼前にすれば】
【たいていの者が、凍り付くか悲鳴を上げる。ゆえに、その点への思考は向けず】

ここがどういう場所か、わかっているのか? その様で、よく無事でいられたな……?

【探りを入れるように、一歩少年へと踏み出して見せる大男。黒い瞳には、まだ悪意や殺意の色は浮かんでいなかった】

/改めて、お願いいたします

>>610
/いえいえ、こちらこそすみませんでした……
612 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県)[sage saga]:2015/06/04(木) 00:10:15.15 ID:2bz3zFCR0
>>611

にくのにおいが、した。だから、来た。

【一切老成もしていない声は、この路地裏にとって新鮮だったのかも知れない。】
【しかし少年が放った言葉は違和感に溢れていた。端的にあげるなら2つ、「嗅覚」と「語調」だ。】
【この表現しがたいムワッとした居心地悪い空気の中、はるか遠くから食い物の気配を嗅ぎとった、ということだろうか。もちろん、常人の成せる技ではない。】
【加えて、この話し方も変だった。何というか、言葉を勉強中だというよりは、話すこと自体に慣れていないという感じ。まるで、乳児期・幼児期に言語を習得し損ねたような・・・】

でも、にくじゃなかった。

【純粋な落胆もあった。この空腹を満たせる代物に、やっと辿り着いたと思ったのだから。】
【しかしその甲斐はなかった。むしろ、食らうつもりが食われる・・・そういう懸念が少年の中で渦巻く。】
【まだ、ナイフを突きつけたりとかそういうことをする様子は見られない。悪にも色々ある、もしかすると、このまま自分は逃してもらえるのかもしれない。】
【しかし、警戒するに越したことはない。だから、歩み寄られた一歩とまったく同じタイミングで、一歩退く。簡単な意思表示だった・・・が。】

・・・・・・

【沈黙。極限の空腹状態は、やがて彼を破壊し尽くす・・・そういうことだった。呼吸は荒くなり、唾液が分泌し溢れだす。】
【いや、何よりも視線だった・・・丸で、七面鳥のローストを目の前にしている時の、恍惚とした表情。】
【彼の視線はどこにむけられているのか。背後を確認しても、特に何も無いのは直ぐ分かる。そして今この場にいるのは、二人だけだ。】
【何をするという訳でもない。しかし、この少年がこれから何をしでかすのか・・・? 普通に考えれば、すぐに分かることだった。】



>>610
/申し訳ないです、また機会があればよろしくおねがいします

613 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/06/04(木) 00:41:56.19 ID:u1QnoMPro
>>612
ふむ……なるほど、わかりやすくていいじゃあないか
飢えを満たすためならば、生き物はどんな行動でもとる

(あの様子だと、それなりの距離を歩いてきたようだが……匂いを追ってきただと? 事実だとすれば、常人離れした嗅覚だ)
(それに、彼奴の言葉……捨て子であれば、ろくに言葉が話せない者も珍しいというほどもあるまいが)
(なら、あの宝珠が奪われていないというのも不自然だな……どうも、違和感が拭えん)

【生きることを悪事と直結させた価値観を持つ食人鬼たるこの男にとって、その答えはお気に召すものだったらしい】
【にたり、と気味の悪い笑みを浮かべて見せる。脳裏では、相変わらず思考を渦巻かせていたのだが】
【少年の服装、野生で生活していたかのような言葉のたどたどしさ、鋭敏な嗅覚】
【全てが未知。眼前の少年が何者なのか、異形には掴むことが出来ない】

――――肉の匂いを辿ったのだろう? 間違いなく、ここに肉があるじゃあないかね

【異形の男は、そう言い放つ。自分自身を、肉には違いないと。飢えに飢えた、只者でないだろう相手に向かって、である】
【そうするだけの自信があるということか。しかし、こちらの踏み込みに一歩下がって見せる少年に油断している様子もなかった】
【互いに距離を保ったまま、警戒し合う異様な状況。均衡を打ち破ったのは、少年の飢えであった】

……ふ、ふ、ふふふ……アド・チカチーロも私と会った時にこんな気持ちになったのだろうか
まさか、生きているうちに私がその目で……食欲を向けられることになろうとはな

運が良かったな、少年……私の肉は替えが効く
こういう時はなんというんだったか……ああ、そうだ

【ボコボコボコ――――排水管に詰まった汚水が逆流するような、異様な音が路地裏に響いた】
【見れば、異形の大男の頭部が――――正確には右頬の辺りの肉が急激に膨張している】
【見る間に、路地裏の地面スレスレに達するほどの、太く長い肉の塊が大男の顔から垂れ下がるかのように現れた】

僕の顔をお食べ=c…ふっふふふ!!
そら、遠慮はいらない。存分に食らいつくといい

【悪趣味な上に面白くもないジョークを口にしながら、大男は肉塊と化した右頬を手で掴み、少年の方に差し出すように向けるだろう】
【誘いのままに肉に食らいつき、飲み下したとしても少年の身体に悪影響はないはずだ。見た目と味は良くないだろうが】
【相変わらずにやついた笑みを浮かべたまま、大男は少年の行動を待った】
614 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県)[sage saga]:2015/06/04(木) 01:15:28.82 ID:2bz3zFCR0
>>613

【もちろん、普通のヒトであれば食おうとは思わない。それは、当然だ。】
【しかし目の前の彼は、ヒトでありながらヒトではない。肉片が集まってできたモノ、少年にはそう見えたのだ。】
【辺りは薄暗い。彼の見た目も、色彩的には半分も見えてなかった。そういう偶然も、少しは手伝った。】

【100人が100人、食うどころか視界に入ることさえ疎まれるであろう彼の肉塊。それも、出来たてホヤホヤだ。】
【少年は一旦は取った距離を、一歩また一歩と詰めていく。ゆっくりと近づいて、掴んだ。口へと運ぶ。】
【結果的に言えば、彼はかぶり付いた。飢えた狼かその辺りが、獲物に対してするそれと何ら変わらない。それは、歯の鋭さという意味でも。】

【しかしながら、咀嚼し、飲み込む・・・というところまでは行かなかった。正確に言えば、2,3回咀嚼した後のこと、】
【まだ理性が残っていたのか。口いっぱいに頬張った肉片を、少年はためらうこと無く思い切り吐き出した。】
【腐敗しきった物を食べた時と同じ反応。本能が、これらを身体の中に取り込んではいけないという指示を出したのだろう。】

・・・ま、ずい。ふざけんな、おまえ・・・

【食べ物らしき何かを提供してくれた彼に対して、礼儀のなっていない言葉。歯を強く噛みしめるその表情は、やはり獣に良く似ていた。】
【しかしそれもすぐに解ける。頭の上に電球が現れたような、何かを閃いた、と言わんばかりの顔。嬉しそうに、彼は口を開いた。】

やけば、まだ、食える・・・!

【今までの動きは何だったのか、少年はバックステップ、一瞬で7,8mの距離をとった。かと思えば、やがて両手に現れるのは、小さな赤い光。】
【小さくはあるが、光の量は凄まじい。魔力をこめているのだろうか、不安定に振動しながらも徐々にカサが増していく。やがて、ピンポン球くらいになる。】

【少年は放った。と言っても、速度はかなり遅い。ゆっくりゆっくりと進む方向は、当然肉を差し出してくれた張本人だ。】
【この明らかに危険な弾を、そのまま受けたというのなら話は別だが、例えば壁に着弾した時の威力は凄まじい。文字通り一面火の海、だ。】
【大きく魔力を使ったからか、少年には反動で隙が出来ている。しかし結果的に戦闘の意思を見せた。・・・互いに、本意ではないのかも知れないが。】

615 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/06/04(木) 01:51:50.88 ID:u1QnoMPro
>>614
【少年の認識は、中らずと雖も遠からず、と言ったところだろう】
【取り込んできた無数の魂を肉としてそのうちに取り込んでいるこの異形の男】
【肉片の集まり、というのは近いものがあると言えるだろう】

【己の奇怪な肉の膨張を見ても、彼は食欲に抗えなかったらしい。近寄ってくる彼を、三つの目が楽しげに見つめる】
【肉から伝わる痛みは、さほどではない。大男の能力がもらたす防御性能によるものだ】
【それでも、躊躇いのなさから牙の鋭さまで、その有様はまさに餓狼。突き立てられた牙の感触は、いいとは言えなかった】

【噛みちぎられる肉の感触はしかし、途中で外気にさらされる。肉が地面に落ちた。大男の頬からも、すでに切り離されている】

おや、お気に召さなかったかね? それは残念だ……ふ、ふ

【彼の見せる怒りにも、含み笑いをするばかり。噛み締められた歯が見せる獣性には、むしろ親近感すら覚えつつ】
【ひらめきを得たようなその表情に続いて、発せられた言葉に大男は初めて顔をしかめた】

――――いかんな。それはいけない。焼かれるのは嫌いだ。ろくな思い出がない
(あの身のこなし……本当に獣の血が入っているか、獣人か何かか……)

【かつて幾度となく相対した敵たち。そのうち何人かは、熱を以って己を攻撃した】
【火傷は、それらを思い起こさせる。大男の嫌うものの一つだった。それを引き金に、大男は】
【少年の見せた戦意に応えるように、確かな悪意を巨躯から立ち上らせた】

(魔力、か……? 彼奴の能力か、さもなくばあの宝珠の力か)

【思わず目が眩みそうになるほどの光。感じ取れる魔力の奔流】
【見て取れた赤い球体は、確かな熱量をそこに秘めているように見えた】

【やがて、放たれる。ゆっくりとこちらに接近してくるそれに、大男は余裕をもっての回避を選んだ】
【軌道から己の巨体を外し、両足の肉を膨張させて身長を一時的に伸ばし。球体の脇をまたぐようにして回避した】
【両足の肉が急速に収縮して元の大きさに戻った辺りで、球体がどこかに着弾するだろうか】

ぬ――――!!?

【予想をはるかに上回る威力。背後から感じられる、凄まじい勢力の火炎】
【その余波を受けて、大男がわずかに揺らいだ。回避直後に、攻撃を放つ機会はこれで失う】

チィ……!!!

【忌々し気に呻きながら、大男は右腕を膨張させる。少年の放った球体よりは速度が速く、攻撃範囲も広いが】
【単純な打撃。威力はそう高くないだろう。伸ばした腕を少年の身体に、真正面から叩きつけようとする、ただそれだけ】
【問題があるとすれば、路地裏の狭さだろうか。限定されたこの空間で、迫りくる肉に少年はどう対処するか】
616 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県)[sage saga]:2015/06/04(木) 02:31:45.76 ID:2bz3zFCR0
>>615

にげ、るな・・・焼けば、食え・・・!

【回避されてしまっては、ヤツを食うことが出来ない。ただそれだけの理由。もはやこれは、戦いではなく狩りであった。】
【もっとも、通常のそれと異なるのは、獲物が反撃をして来るということ。途切れた言葉は、少年の余裕の無さを表していた。】

【まだ反動に対応する事が出来ず、少し身体を右にズラしたがほとんど彼の思惑通り。そのまま少年は後ろへふっ飛ばされた。】
【壁に衝突して、ようやく静止。頭を打ったようで、朦朧としながらも何とか起き上がる、といった具合だ。】
【単純な軌道も避ける事が出来ず、こんな攻撃で大きなダメージを受けている、タフではあるが、何というか、「弱かった」。】

いて、え・・・くそ、おぼえ、とけよ・・・

【無理もない。そもそも少年は、戦える状態にないのだから。大人しく焼かれるどころか、反撃もして来る相手、】
【それ以上でもそれ以下でもない、状況を本当にそれだけギリギリ理解すれば、割にあわないと判断し、少年は先ほどと同じ様に赤い光を生み出す。】
【今度はそれをゆっくり飲み込んで、・・・爆発した。規模は小さいが、銃声に近い大きな音が狭い空間にこだまする。】

【自害した様にも見えるが、恐らくはそうではないのだろう。しかし、爆風と煙が止む頃には少年の姿はない。】
【その代わり、線香花火ぐらい明るく光っている、ビー玉のようなまるい物がある事に気づけるだろうか。まだほのかに温かい。】
【目が効く者であれば分かるかも知れないが、それはオモチャではなく歴とした宝珠のかけら。ちょうど少年が持っていたのと、同じものだ。】
【それをどうするかは、もちろん彼の自由。踏み潰すとガラスのように粉々になるし、あるいは記念に(?)持ち帰ってもいい。ただし、どちらにせよ魔力はやがて尽きてしまう。】

【爆煙が残す独特な臭いと、すっかり真っ黒になってしまった路地裏。宝珠のかけらが置き土産になって、それだけ。】
【この路地裏で起きた、本当に奇妙な奇妙な邂逅も、再び静寂を取り戻せば、結局、全て闇の中に包まれてしまうのかもしれない。】


/睡魔がきてしまったので、こんなかんじで・・・ありがとうございました!

617 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/06/04(木) 02:48:04.51 ID:u1QnoMPro
>>616
お断りだね……最初の肉で満足しなかったお前が悪いんだ

【少年の展開する狩りに、獲物たる異形は蠢きまわる】
【その高い能力を、空腹故か未熟故か、彼は扱い切れなかったらしい。腕に伝わる、確かな手応え】
【壁に強かに打ち付けられても、まだ立ち上がるそのしぶとさに、内心で舌を巻きながら腕を縮めて元の大きさに戻していく】

(強靭、だがこの手の荒事は慣れていないらしいな……)
ああ、よく覚えておくとも。お前こそ、私を忘れてくれるなよ

【彼の言葉に、最初と同じようににたりと笑ってそう返す。赤い光を飲み下す行為には、少しばかり面食らった様子を見せ】
【次の瞬間、路地裏に響き渡る爆発音に巨躯を震わせ顔をゆがめた。わずかに足元が揺れる】
【最後の意趣返しを食らい、目を向ければもう彼の姿はない。それを確認すると、大男は首を一回転させてコキリと鳴らした】

まったく……身の振りを考えていた矢先に、また敵を増やすことになるとは
今日は運がない――――とも、限らないか

【目ざとく見つけ出す、その光源。性能の高い額の目が、それがあの宝珠の欠片であると看破する】
【屈みこみ、指先でつまみ上げる。指先に感じる温もり。それを舐めるように見つめると】
【懐に欠片をしまい込む。踏みつぶしはしない。手に入るものは手放さないのが盗賊だ】

【最後に、変わり果てた路地裏の一角をぐるりと見回すと。大男も足早にそこから立ち去るだろう】
【音に引き寄せられて新たな誰かが現れる前に。今宵の奇妙な一幕は、闇の中に消えていく】
【結局は、いつものこと。路地裏ではよくあること。それがこの世界だ――――】

/了解です、遅くまでのお付き合いありがとうございました!!
618 :アイン ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/06/05(金) 15:13:19.09 ID:5U4w+Oogo
【火の国・山岳付近】
【ここは首都から離れた秘境。森林が生い茂った山の麓に小さな温泉が出来上がっていた】
【あまりのも都市から離れているせいか、人の手が入った様子がない。まさに天然というわけだ】
【白い濁り湯は、説明がなくとも何だか身体に良さそうに見える】

【もちろん、柵のようなものもない。だが今入ってる客はどうにも困りそうにもなかった】
【何せ温泉に入っているのは三十代前半ぐらいの男なのだ。視線などあっても気にはしない】
【男は黒く短い髪に平坦な顔つきを持つ東洋風の人物だった。温泉の端の岩に、少し細い両腕を広げてリラックスしていた】

────あ〜…………西洋文化は嫌いじゃないが、これがないのだけは信じられんな
一体、何をしたらあいつらはリラックスするのやら…………

しかし、静かな場所がいいと思って来たがずっと一人ってのも退屈だな……小人でも連れて来ればよかったか

【男はぼんやりと空を見上げながら独り言を呟いていた。たまに鳥が上を飛んでいく】
【街から離れていて、ガイドブックにもないこの場所に人が来ることはあまりない】
【温泉探しが趣味か、そうでなければ付近を探索中の冒険家や旅人ならばあるいは────】
619 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都)[saga]:2015/06/05(金) 15:22:01.13 ID:jIs8fCEQ0
>>618/絡んでも宜しいでしょうか!
620 :アイン ◆r0cnuegjy.[sage]:2015/06/05(金) 15:24:22.74 ID:5U4w+Oogo
>>619
//もちろんです!
621 :セリーナ・ザ・キッド ◆/iCzTYjx0Y[saga]:2015/06/05(金) 15:43:48.69 ID:jIs8fCEQ0
>>618
【―――15Lしか燃料の入らないタンクの中身は、既に空になりかけていた。】
【本当は馬で走れば良かったのだけれど、胸に悩みを、頭に苦悩を抱えたまま愛馬と走るのは】
【すこし気が引けるというか、可哀想な気がしてしまって、ついつい旧式のインディアンに彼女は跨っていた。】

【ネイビー・ブルーに彩られたボディ、スーサイド・クラッチ仕様特有のレバーシフトがガチャリ、と唸る。】
【時代錯誤も甚だしい、茶色の革張りシートに腰を下ろし、その女―――セリーナ・ザ・"キッド"は火の国を走っていた。】
【何処でも良い。何処か遠くへ。騒動から目覚めていきなり、新人の歓迎という仕事をこなしたが―――矢張り、どこか心が晴れず。】

 (……レインとは、なんとか分離できて―――問題は一つ、解決していたけれど。)
 (そもそもの"疑問"については―――まだ、何にもわかっちゃいない。)
 (……流石に、アレだけ熱心に"助けられ"ると、生きる気力は沸いてくる、けど―――……、)

  参ったなぁ……。

【彼女は跨った二輪車を田舎道の端で一旦止め、腰元に携えていた1挺の古式な回転弾装拳銃へと手を伸ばす。】
【ガン・ベルトに鎮座したそれは、彼女を乗せているオールド・ルックな自動二輪に勝るとも劣らない程古びた見た目のソレ。】
【"COLT NAVY"―――所謂、パーカッション式のリボルバー型拳銃。彼女の長年の相棒であり、そして今も信頼を寄せる愛銃だ。】

【―――愛銃。その筈だが、彼女が今、ソレを手にしようとした瞬間、その指は小刻みに震え始め】
【そして腕はガクガクと振動してしまう。なんとかグリップに指が辿りついた所で彼女は、握ろうとして取り零した。】
【―――乾き切った路面にどちゃり、と"愛銃"がその身を投げ出すのを、彼女はただ黙って見つめていた。】

 ……握り締める事すら……難しい、とはね。

【インディアン<自動二輪>から降りた彼女は、膝を着き、やっとの事で銃を拾うと】
【震える手を押さえながらガン・ベルトへと仕舞い込んだ。深いため息が漏れ、空を見上げる。】

 ―――戻って早々、お店を空けちゃったなあ。
 なんでだろう……荒零くんの前では……確かに握れたのに。
 今の今になって―――『よし、これから戦うんだ』、って思えば思うほど―――……。

 (……"アイツ"の声と、顔が浮かんで―――相棒が、握れなくなる。)
 
【呆れた表情で、ミラーに写った自分の顔を見つめる。】
【そのまま彼女は宛ても無くただ田舎道を奔り続け―――そうして、"其処"へとたどり着いてしまった。】
【本当は湯に浸かる予定なんて無かったのだけれど、ボーっと走っている内に何の因果か、隠れ家的な温泉まで来てしまった様だ。】

【ガン・ベルトを外す。人の少ない温泉で、人の少ない時間帯だ。】
【多分、自分以外に誰もいないだろう。独りになって、お湯に入って、悩んでみるのもいいかもしれない。】
【そんな風に考えながら彼女は、身に纏っていた土気色のベストを付近に放ると、特徴的なテンガロン・ハットを大事そうに脱いだ。】

【そして、純白のブラウスに手をかけ、一つ一つとボタンを外していく。サイズの小さいシャツから解放されて、】
【自由になった両胸が下着一枚に支えられていたが、それすらもゆっくりと、両手を後ろに回してプツり、とホックを外して地面へ。】

【火の国特有の暑さ加減と、長旅でどうやら少し身体も汗ばんでいる様だ。湯を見つけたのは丁度良かった。】
【白く透明な肌が、火照りと湯煙で少しだけ赤らみ、頬を朱色に染めていく。湯気で水分を孕んだ金髪は少しだけ広がる。】

 ……ふふっ。どうせ誰もいないのに、バスタオルなんてしても無駄、か。

【見たところ、誰もいなさそうだ。彼女はタオルを身体から剥がすと、近くの岩場にパサリ、と被せて。】
【産まれたままの格好になって、のんびりと両手を左右に広げ―――すうっ、と硫黄の混じった空気を飲み込む。】
【深呼吸するだけで、身体に溜まった疲れが取れていくような感じだ。豊満な二つの丘が、呼吸の度に"ゆん"、と揺れる。】

【そしてそのまま湯に脚を、入れて―――】

 ―――っ、ゎぁっ!?

【―――湯に自分以外の人がいる、という事に気が付いたのだった。】

 あっ、いや、その―――あれッ!? (お、おとこのひと!?)

【そういえば、"男湯"とか"女湯"といった区分けが見当たらなかったがまさか此処は―――……、】
622 :アイン ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/06/05(金) 15:56:11.13 ID:5U4w+Oogo
>>621

【まぁいいか、なんて男は考えて引き続き静寂を──いや、鳥や動物の鳴き声とかするが──静寂を楽しんでいた】
【そんな折、遠くの方から独特の振動音が聞こえてきた。続いて枝木が折れる乾いた音に、明確な駆動音】
【それがバイクの音で──つまり人が来たと気づくのに時間は要らなかった】

【とはいえ、彼はわざわざ来訪者を警戒するような男でもない。何となしにその方向を見てから、また空を見上げた】
【誰かが入ってきた気配は感じたが口から出るのはため息だった。何故ならこんな状況で入ってくるなんて、相手はおっさんに決まってる】
【どうせ二メートル近い身長の、赤い瞳とかしてる半人半魔のおっさんとかに決まって────】


 ────なに、女だと!?


【その声が聞こえてきたとき、男は勢いよく顔を真正面に戻した】
【そこにいたのはバイクを振り回す系のおっさんじゃなく、馬に乗る系のブロンド美女だった。今日はバイクだが】
【驚きに染まった男の表情が一転、喜びへと変わり、更に急降下して落胆に落ち着いた】

【入ってきたのは美女だった。それはいい。だが逆にいえば、向こうからすれば先に入っていたのはまさしく──おっさんだ】


 あーあー、いらっしゃい……見てのとおり、ここは天然の温泉だから男湯も女湯もねえよ
 生憎と俺が先に入っちまってるが、それでもいいなら入るんだな……


【自分で自分をおっさんだと思ったことに傷つきながら、とりあえず男は相手に声をかけてみることにした】
623 :セリーナ・ザ・キッド ◆/iCzTYjx0Y[saga]:2015/06/05(金) 16:10:51.46 ID:jIs8fCEQ0
>>622

【オイ、誰がオッサンだ。オレはピチピチの29歳で、永遠の20代だぞ。】
【なんなら今からオレも混ざりに行こうか、バイクがもう一台増えるだけだ―――なんて。】
【そんな言葉が何処か"遠く"の方から聞こえてくる気がするが、気のせいなので気にしないで頂きたい。】

【さて、冗談はさておき。セリーナ・ザ・"キッド"は驚いていた。】
【まず目の前に、"人"がいたこと。こんな時間帯でこんな場所なのに、まさか。】
【自分以外の、入浴者がいるなんて。余程の暇人かそれとも物好きか、或いはその両方か。】

【―――その上、第一声が"なに、女だと"。】
【一体、この男は何を期待していたのか。男が入ってくるのを期待していたのか。】
【もしかしてもしかすると、―――彼は"そっち"の趣味の方だろうか(驚愕)触れない方が良いだろうか。いやはや。】

 (……、天然の……ぁっ、ああそうか……火の国だもんね、温泉……天然……って!)

 い、いやそうじゃなくって! て、天然は良いんだけど、混浴―――!?

 だ、だったらせめて、その―――どっかにそう、書いて置くとか何かないと―――!?

【当たり前のように鎮座し、自分の姿に若干喜んで、その後すぐ落胆する様子を見せる男に対し】
【セリーナの方はといえばなんだか煮え切らない気分だった。なんだ、よく見たらブスだったと言う事か。】
【それともあれか、年齢か。いやいや、まだ20代前―――失礼、もう後半に脚を踏み入れつつあった。いや、違う。】

【そういう事ではなくて―――はて、何か忘れている気がする。】

【目の前にいるのは男。】

【ここは温泉。】

【自分は今びっくりして男のヒトと会話中。】



【―――そういえば、……バスタオルは?】


 ―――!!……/// ……あぁっ、もう……!!


【慌てて、タオルを取りに岩場の方に戻る。】
【勿論大事な所を右手と左手できちんと、隠してだ。】
【まあそうは言っても全部を隠せるわけではないし、抑えているのは前面だけで、】
【今ちょうど踵を返してタオルを取りに言って居るわけだから、男の目には彼女がちょっと大きい事を気にしているお尻が―――略。】
624 :アイン ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/06/05(金) 16:23:16.66 ID:5U4w+Oogo
>>623

【人がいることやら何やらに女──セリーナが驚くのと同時に、その相手を知った男もまた驚愕していた】


(──セリーナ・ザ・“キッド”……まさか、こんなところで出くわすとはな)


【相手はその名を知らぬ者が居ないほどの人間。ここで出会うことなど予期しようがない】
【対して自分はカノッサ機関の六罪王。肩書きだけならば知らぬ者がいないほどのものだが、アインという人間はまだそうではない】
【だがそういった立場的なことではなく、個人的なこととして彼はセリーナを意識せざるを得なかった】


(“あの女”のことを聞くチャンス、か……だがカニバディールから大半のことは聞いている)
(だとするならば、あと聞き出すことといえばセリーナ・ザ・キッド個人のことだが……計画のこともあるし、あまり俺のことを知られるのも面倒だな)

(となれば、ここは────)


【アインは思わず、意識を岩陰へと向けた──イヤリングは畳んだ服の中だから、勘ぐられることはないだろう】

【セリーナの狼狽っぷりにアインは呆れた顔をしてみせた。とりあえずは普通に接することとしたのだ】
【狼狽してしまう状況であることとか、その言い分も少しは理解できた方がいいのだろうが】
【残念なことにこの男は少しばかり頭でっかちな方で、理屈に合わないことは受け付けないタイプだった】


 天然というか手付かずなんだから書くも何もないだろ……それに、先に入ってる俺は何も困らねえんだからな


【そういうわけで、アインの反応は対照的に冷めたものとなっていた。混乱する相手に正論を言うとは意地が悪い】
【そして今度は状況に気がついてしまったセリーナが慌てた様子で戻っていく】
【当初の予想どおり居なくなるのか、とも考えたが、どうやら違うらしい】


 おいおい、なんだよ。温泉でタオルを巻くのはマナー違反なんだがな……だいたい、尻はいいのか、尻は?


【そう言ってアインは、歩くのに合わせて揺れる形の良い尻を指差してみせた】
【もっとも、背中を向けてるセリーナには指差してるまではわからないだろうが】
625 :セリーナ・ザ・キッド ◆/iCzTYjx0Y[saga]:2015/06/05(金) 16:38:13.00 ID:jIs8fCEQ0
>>624

【そう―――セリーナ。セリーナ・ザ・"キッド"。そして、男はアイン。六罪王・アインだ。】
【だが悲しいかな、UNITED TRIGGERの創設者である筈の彼女が、何故か新任六罪王の事は何一つ知らなかった。】
【それは、彼がまだ大々的に六罪王として動いていなかったから―――という、ワケではない。そもそも、アインは有名人だ。】

【数々の図書館を襲い、路地裏で魔術師を爆殺する事数十回。】
【いや、ひょっとすると数百回か、まあそんな細かい数字はこの際おいておくとして。】
【六罪王になる前から有名であった筈のアインを、セリーナは―――まるで、知らないのだ。それは何故か。】

【非常に単純な話だった。ここ数ヶ月、セリーナは大怪我を負って人格を乗っ取られていたから、だ。】
【アインは、自分の顔を見ても何も反応しないUTリーダーに対し、何らかの疑問を持つ"かも"しれないが】
【此処数ヶ月の間に起きた事件の情報を、後から追って調べている彼女はまだ、アインを知らないのだった。】


 (―――うぅぅ。傷心旅行のつもりで気軽に入ったのに、まさかこんな目に……とほほ。)

 (幸い、あの人は普通の男の人、って感じだし―――多分、アタシの事も知らないだろうから。)

 (うん、そうだよね。なんといってもこんな秘境に来る人だし、きっとそうに違いない。大丈夫、大丈夫……、)

  ……っ……、やっぱり恥ずかしい……!


【慌ててタオルで身体を隠すと、上手く見られない様にして湯へと浸かって行く。】
【幸い、湯の色は白濁色だ。一度入ってさえしまえば、身体の隅々まで見られる事は無い。】
【セリーナはアインの言葉に我に返って、これまた慌ててタオルを取り出し、近くの岩に放った。】

 ぁっ、ぅ……ご、ごめんなさい、マナー違反ですよね……っ、

 け、けど!! 手付かずにしても、なんていうか、その―――さ、サルだけが利用する温泉じゃないんだから!

 なにかしら、こう―――……あっても、良いのにな、って……、ごめんなさい……そうですよね、天然温泉ですもんね……ははは……。

【セリーナは恥ずかしそうに顔を赤らめると、そのまま顔の半分を湯へと沈めて、ブクブクとお湯の中で口ごもった。】
【反論しようにも、本当に此処はつくりっ放しの天然温泉だ。若い男女が遊びに来る様な立地でもないし、こんな物なのだろう。】
【相手の態度はなんというか、聊か冷たい物だったが。まあ、こんな場所に独りで来てこんな時間に湯に浸かってる男だ、変り者だろう。】


 (……はぁ。これじゃ、リラックスするどころかむしろなんだか緊張して―――へっ!?)

  ぶっ、くぁwせdrftgyふじ……げほっ、えほっ……―――!?

  お、お尻……って、あっ!!


【―――見ていたのか。なるほど、なかなか良い根性しているようだ。】
【セリーナは恥ずかしさのあまり思わずお湯から立ち上がって抗議しようとするが―――】

 ちょっ!! い、いくら混浴だからって、その、じっくり見つめて良い権利があるワケじゃ―――!!


【―――お湯から立ち上がる。と言う事は、色々丸出しになる、という訳であって―――。】
【本人は指を刺して抗議する気満々、「これ以上見るならお金取りますよ!」とか威勢良く吼えているが】
【その格好は何とも、大きな声を出すたびに、肉付きの良い二つの果実が"たゆん"、"たゆん"、と揺れて―――。】
626 :アイン ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/06/05(金) 16:52:07.71 ID:5U4w+Oogo
>>625

【確かに、この男は複数国に跨って強奪活動をしていて、何度か報道されたこともある】
【しかし当人はそのことにあまり気を配っていなかったがために、こういったときにも意識が向かなかった】
【特に人間の心理として、相手が有名人だと自分が相対的に無名に思えてしまうのだ。従って、アインは疑問には思わなかった】

【さて、指摘のとおりにセリーナはタオルを外したが、それは若干、アインにとって予想外だった】


 お、なんだ。マナー違反だと言われてすんなり従うとは意外だな
 見るからに西洋人だ、そのあたりのことが理解できないかと思ったが……これは好都合だな


【ニヤリ、とアインは愉しげな笑みを浮かべる。マナー違反は確かにそうだが、湯のせいでよく見えないとはいえ裸になったのだ】
【喜ばない男などどこにいようか、いやいない(反語)】
【しかも次の指摘に対しては顔を赤らめて慌てるのだ、これ以上ない遊び道具である──】


 ほう、それならお前の尻にいくら出せば見せてくれるんだ? それとも秒数計算か?
 何だったら、今威勢良く揺れているその胸にも払ってもいいんだがな?


【アインの視線は今度は胸へ。動けば動くほどよく揺れる】
【更に慌てさせるために、しっかりと指し示しておく。揺れるのに合わせて指先も上下に揺れる】
627 :セリーナ・ザ・キッド ◆/iCzTYjx0Y[saga]:2015/06/05(金) 17:08:57.25 ID:jIs8fCEQ0
>>626

【彼女を知っていて尚、敵になる可能性の高い、というかもう現在進行形で敵である女を】
【こうも弄べるのは矢張り六罪王としての圧倒的な余裕故か、それとも単に男として最低な部類だからか。】
【前者だとすれば敵に回した時厄介であるし、後者だとしたら―――いや、それでも矢張り厄介だろう。厄介な男だった。】

【セリーナは相手が妙な反応を見せるので、少しだけ困惑した。】
【西洋人はマナーを理解できない―――はて、確かに目の前のこの男、東洋の顔立ちだが】
【それにしても心外である。昨今、文化の共有が進んで温泉など地の国にだって存在しているのだ。彼女は反論した。】


 そ、そりゃぁ、まあ……! いくら人が少ない温泉だからって、目の前に1人いたらマナーくらい守りますとも。
 だ、だいたいそういうのに、西洋も東洋もあんまり関係ないと思いますけどね! それから、アタシは地の国の生まれです!
 西洋、とか東洋、っていうのは―――所謂、"別の世界"の区分けでしょう? 武器はお世話になってるけど、アタシは"こっち"の生まれ。

 ていうか、その口ぶりだと貴方は―――って、なっ―――!?

【―――威勢良く揺れている。いわれて初めて気が着いた、そういえば今、自分は全裸か。】
【セリーナは今度こそ湯気と熱気と恥ずかしさとで純白の肌を全身真っ赤に染めて、勢い良く身体を湯に沈める。】
【そのまま半分涙目で、アインの方をムッとした表情で睨みつけつつも―――ミスを犯したのは自分だ、と深く言い聞かせていた。】

 …・・・っ、い、いいかげんいしてください!

 あ、アタシはここに、その―――はだかを見られる為に来てるわけじゃな、ないんですからね!?

 いいですとも、秒数単位でバッチリ計算してみっちり請求してやりますとも! ―――UTを背負ってなければ、それくらいやりましたよ、ええ!



 ……あっ。


【―――もうバレてはいるのだけど。とうとう自分の方から正体までぽろっ、と漏らして。】
【これ以上会話を続けたらボロが出すぎて困る。セリーナは身体を抱えて後ろを向くと、アインを完全に無視し始めた。】

 ……ブクブクブク。

【再び、顔を半分お湯に埋めて。泡を生み出しながら、セリーナは―――ぼーっと、水面を眺めていた。】
【UTを背負っている―――そう、組織の長。それが、今では銃を握れないまでに心を折られ、ヘンな男と入浴中だ。】
【全く聞いて呆れるとはこの事。本当は、誰かに相談するべきなのだろうけど―――まだ、その勇気も覚悟もないし、何より。】


 ……正義の味方<みんな>に、"正義"を否定された、なんて相談……できるわけ、ないじゃん……。


【―――これはUTの面子に相談して、どうにかできる事とも思えない事案だった。】
【セリーナはそんな言葉を漏らしながら、木々の中に零れる鳥のさえずりに耳を傾け続けていた。】

/ごめんなさい!次からのレスは少し間が空きます!
628 :アイン ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/06/05(金) 17:18:21.69 ID:5U4w+Oogo
>>627

【セリーナの指摘に、アインははっとした表情となった】


 む、そうか……こっちじゃ東洋と西洋の区別はなかったな……
 こっちに来て随分と経つが、未だに昔の馴染みが抜けないな……


【慌てふためくセリーナをよそ目に、アインは昔を思い出しているようだった。要するに無視である】
【しかしUTのリーダーであることを仄めかされては反応せざるを得ない。ここで無反応も不自然だ】


 ん? UTだって?
 ということはお前、あのセリーナ・ザ・“キッド”か……こんなところで有名人と会えるとはな


【言葉の上では知らないフリをしてみせたが、アインの表情は曇っていた】
【軽い苛立ちがあったのだ、非常に退屈な演技をしなければならないことに。こういったことはあまり好きではなかった】
【だが後で驚くだろうと思えば、少し気分がマシになった】

【心を折られた正義の組織の長に、未だ活動が見えない悪の組織の幹部。実に奇妙な組み合わせだ】
【呆れられそうなことしかしていないのはこの男も同じだったが、おっさんと入浴中の彼女よりマシだろうか】
【そんなセリーナの小さな独白に、アインは興味深そうに笑みを浮かべた】


 ──ほう、なんだ、それは? 随分と面白いことになってるみたいだな、“あの”セリーナ・ザ・キッドが
 UTのリーダー、人類の守護者、正義の旗印が、こんな秘境に傷心旅行とはな……これは中々貴重な場面に出くわしたと見える
 一体全体、どういうことなのか教えてもらいたいもんだが?


【六罪王である彼にとってこれは千載一遇のチャンスであるから逃すわけにはいかない──というわけではなかった】
【確かに逃すわけにはいかないが、それは彼が六罪王だからではなく、その好奇心ゆえだ】
【セリーナをよく知らないアインにとって、正義の塊にしか思えない彼女が否定されたとなれば、知りたくなるのは仕方がなかった】

//了解です!
629 :セリーナ・ザ・キッド ◆/iCzTYjx0Y[saga]:2015/06/05(金) 17:40:15.87 ID:jIs8fCEQ0
>>628

【セリーナの方はといえば―――アインの気苦労など、知る由もなく。】
【自由奔放、天上天下唯我独尊、六罪王の持つ特徴を地で行く強大な術士であるアインからすれば】
【あたかも自分が"田舎者"の世間知らずで、相手の女がUTのリーダーである事実にも今気づいたかのように振舞うのは】
【何と言っても不服―――腹立たしいものであるのだろう。まして、彼は賢人だ。間抜けの振りをするのは、フリでも好ましくあるまい】

 っ、あ……ぇぇ、まぁ―――……その、……うぅ、そうです……。

【当のセリーナは、何やら自分の正体を悟られたことに関して、少々の恥じらいを持っているようだった。】
【まあ、それも考えてみれば無理のない話なのだろう。何と言っても、素性を知らぬ相手に裸を見られているのだ。】
【その上、向こうはこっちをよく知っている、と来ている。有名人である事のメリットと、デメリットが此処にはあった。】


 (……思いっきりバレてるし……、なんだよぅ、もう……。)

 ("こういうの"が嫌だったから、態々田舎まで走りに来たのに―――……)

 (裸は見られるわ、からかわれるわ、素性は知られてるわ……、なんて災難な旅。)

 ……あ、あのっ! で、出来ればさっきの事は誰にも―――、


【誰にも言わないで欲しい。精一杯、そう取り繕うとした、その時だった。】
【目の前の男から飛び出してきた言葉は、意外にも自分へと向けられた興味から来るものだった。】
【いや、意外ではないか。むしろ、此方の事を知っていればいるほど、こぼれ話のひとつくらい聞きたくなるもの。】
【セリーナは相手の反応に多少面食らって、どうして言いか暫く悩んでから―――やがてゆっくりと、口を開き始めるだろう。】


 ……条件。その一、ここでアタシから聞いたことは誰にも言わないこと。他言無用。

 条件、その二。……アタシの"いろいろ"を見てしまったことはあくまで事故であり―――これも、他言無用。

 そして条件その三。さっき見たものは"なるべく"、"可及的速やかに"、"可能なら未来永劫"―――頭から消し去り、忘れる事。

 ……この三つを守ってくれるなら……そうですね、折角の一人の時間を痴女染みた行動で邪魔した償いに、少しだけ話をしましょうか。


【セリーナはそんな風に言葉をつむぎながら、三本指を立てるとひとつずつ、折りながら条件を説明する。】
【曰く、これから話すことは誰にも言わないこと。さっき見たものも同様。そして、見た物に関しても早く忘れろ、と。】
【上記三つの条件を飲めるという場合に限り、謝罪も含めて(皮肉交じりに)会話を続けよう、と申し出るだろう。果たして―――。】
630 :アイン ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/06/05(金) 17:49:29.48 ID:5U4w+Oogo
>>629

【有名人のちょっとした話が聞きたい。アインからしてみても一般人を逸脱しない程度の好奇心】
【それをセリーナが汲み取ってくれるかは彼にとっても微妙なラインだった。悩みを聞かれるのを嫌がられても不思議ではない】
【セリーナの沈黙に誤ったかと考えたが────どうやら杞憂だったようだ】


 (さて、問題はここからだな……)


【気がつけば、彼の脳内には打算が浮かび上がっていた】
【好奇心から来る質問ではあったが、やはりいざ聞きだせる状況になると“利用”という二文字を思い浮かべてしまう】
【いずれにせよアインにとって重要な情報であろうことは間違いなかった】


 ……いいだろう。その三つの条件を飲もうじゃないか

 何、有名人から面白そうな話が聞けそうなんだ、“あの程度”のことならすぐにでも忘れてやろう


【そう言ってアインは皮肉めいた笑みを浮かべてみせる。演技などではなく本心だ】
【軽んじるような言葉選びもわざとで、そうすれば怒るだろうという淡い期待(?)がある】
【当然、機嫌を損ねられると不利益を被るのだが──こう、単純にいじめっ子気質なのだ】
631 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y[saga]:2015/06/05(金) 18:39:13.35 ID:FPTwc8Bi0
>>630

【―――"あの程度"、か。まあ、確かにあの程度と言ってしまえば、そうなのだろう。】
【このハイテク全盛時代に女の裸など、ブラウザに単語を一つ入れるだけで無数に閲覧出来るのだ。】
【一日掛かっても全部は見れないだろう量を、手軽に手早く誰でも、だ。それに、そうでなかったとして―――】
【このアインという男、それなりに歳を重ねているのだから、もうそんな物くらい"見慣れて"いて可笑しくない筈だった。】
【まあ、尤も当のセリーナとしては、あれだけの恥じらいを味わった挙句自分の体を"あの程度"扱いされて、"むっ"とするのだが。】


 ……、あの程度、だなんて言う割りに、さっき随分鼻の下が伸びてた様に見えましたけど、ね。
 気のせいならごめんなさい、アタシも―――"あの程度"のことだったんで、貴方に関しても"忘れる"事にします。


【アインがアインなら、セリーナもセリーナ、か。】
【もとより男の社会で育った彼女故、セクハラに対する反応はなかなか鋭い。】
【お返しとばかりに冷たい言葉で"ニヤついてた癖に。"と言い切ると、静かに水面へ視線を落とし。】


 ―――……、映画を、見ちゃって。


【そうして何か、思い出すようにそんなことを―――ぽつり、ぽつりと彼女は語り始めた。】


 ……結構、それがショッキングな映画だったんです。

 格好つけた正義の味方が、醜い見た目の悪の手先と戦って、
 火薬と血痕が画面狭しと飛び交う類の、手に汗握る超大作。

 そこまでなら―――普通のハリウッド・ムービーでお終いだったんだけど。

 なんでだろう……監督の趣味なのか、それとも脚本化が捻くれてたのか。
 何も考えてないで撮ってる映画と思わせて。最後の最後で、嫌などんでん返しが待っていた。
 
 
【指先が水面から浮かんで、白いお湯を書き分けて湯気の中に伸びる。】
【そのまま、しなやかな肌がしっとりと塗れた空気を裂いて、もう片方の腕を撫でた。】
【まるで、お湯を肌に塗りつけるかのように。温もりを感じ取る用に。震えを―――取り去る様に。】


 ……醜い悪の手先は……唯の悪人ではなくて、彼なりの吟じと覚悟を以って、この世界に悪意を振りまいていた。
 それに対して、正義の味方は―――ただ、悪いやつが許せないの、一点張り。結局、悪の手先を否定する事が、出来ない。
 言っていることも。やっていることも。うすっぺらだった事が最後の最後に判明して"正義の味方"サンは―――無様に、負けた。

 ―――レイト・ショー料金じゃなかったら、観客が食べてたポップ・コーンとスプライトの缶を
 スクリーンめがけてブン投げて"F○CK"連呼しても可笑しくない、そんなオチの映画を―――見たんだ。

 でもね……この映画の何が気に入らないって、映画の結末そのものよりも、
 こういうモノを見て当たり前のように憤慨する気持ちや価値観が、アタシやアタシを含めた社会の中に根付いている、って部分なんだ。

 正しい主張をしてる人間が、薄っぺらな人間を倒した。当たり前のことなのに、なんで―――……
 こういうことを嫌だと思ってしまうのだろう。この映画を、嫌いにカテゴライズしてしまったのだろう。
 そこのところがアタシにもよく―――よく、わからない。そんな、話。


【煮え切らない思いを、煮え立った湯煙の中に吐き出すように。】
【セリーナはそこでいったん言葉を区切ると、また同じように水面をじっ、と見つめた。】

/遅くなってしまい、すみません。
632 :アイン ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/06/05(金) 18:51:28.01 ID:5U4w+Oogo
>>631

【セリーナの鋭い切り返しには小さな笑い声をあげるに留まった。慌てる割にセクハラには強いというのは面白い】
【そこからはセリーナの話を黙って聞いていた。敵の、人の、正義を騙る者の悩み】
【その精神的弱点のようなものが聞けるとあっては、アインの表情から笑みが消えることはなかった】

【初め、それは“映画の話”だと語られた。だがその沈痛な面持ちと彼女が何者であるかを考えれば、それが違うことには誰だって気がつく】
【話が進むにつれて、その笑みは深くなっていった。徐々に、より強く】
【そして彼女が言葉を区切った瞬間、堪えていたものが溢れたかのように、アインは軽く吹き出していた】


 ────ククッ、そんなもの……何故かだと?
 “そんなこと”はお前も既に分かっているんじゃあないか?

 だからこそ、誰にも話せないままに、こんな秘境で偶然出会った男に話さざるを得ないのだろう?
 “何故か”などと…………クククッ……そんな簡単なことをわざわざ人に聞くなど……なぁ?


 さぁて、俺があえてその理由を推察してやってもいいが……既に分かっているであろうことを俺が言わされるというのもつまらんな
 どれ、ここに居るのはどうせ俺だけだ。他言しないという約束も交わしたことだし、自分でその理由を言ってはどうだ?
 何、それがどれほど醜悪なものであったとしても俺は気にはしない……それとも、まさか本当に気づいていない、などという妄言は言うまい?


【男は嗤っていた。おかしくてたまらないといった様子で】
【まるで焦らすように、セリーナが吐露したことをかき乱すように、彼はセリーナが分からないといった答えを口にしようとはしなかった】

//大丈夫ですよー
633 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y[saga]:2015/06/05(金) 19:40:43.48 ID:FPTwc8Bi0
>>632

【アインの笑みが、より暗く深い物になっていくのを、セリーナは何となく感じ取っていた。】
【自分が話している間、あまりアインの方は見つめていなかったのだが、それでも彼は笑っている、と】
【確かにそう感じさせるだけの何か―――邪悪で、けれども純粋な、そういう何かを感じ取ったのだった。】

【―――そう。邪悪な―――"邪悪"、か。】

【邪悪、とは何か。一体何を以て、今までセリーナは善と悪をより分けてきたのか。】
【アインの言葉が、挑む様にセリーナを挑発する。言ってみろ。誰も聞いていないぞ。さあ、本当の事を。】
【もうとっくに気が付いているのだろう。自分が、自分だからこそ、"アレ"に対峙した"お前"だからこそ―――もう、とっくに。】



 ……―――簡単なこと。

 認めたくないから。"認めさせたくない"から。

 だから、アタシは此処に逃げてきた。

 傷つきたくないから。"傷つかせたくない"から。

 だから―――アタシは此処に、逃げてきた。


 ―――本当はもう、分かってた。

 ……何時の間にか、"酔っぱらって"居たんだ、って事に。


【アインの瞳を、嘲笑する様な笑みを、見つめる。】
【呆れた様な顔で。どこか、自分に情けなさを感じている様な顔で。】


 ―――アタシも。アタシの仲間も。

 どこかで―――……"正義"って言葉の凶暴性に、酔ってるんだろうね。


【それに、薄々と勘付いていた。だから、銃も握れない。】
【だから、易々と誰かに相談する事だって、出来ない。】

【何時の間にやら、映画の話は映画を飛び越えて―――セリーナは、"自分"の事の様にそれを語っていた。】


 ……逆上せない様に、って。ずーっと、そう考えて戦ってた筈なのになぁ。
 でも……ずっとずっとぬるま湯に浸かってれば、そりゃあ逆上せて、酔うにきまってるよね。


【背後の岩場に、もたれかかる。冷たい岩肌が、少しだけ火照りをさましてくれた、気がした。】
634 :アイン ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/06/05(金) 19:55:08.29 ID:5U4w+Oogo
>>633

【ようやっと気がついたか──セリーナが落胆しながら呟いたその言葉はまさしくアインの答えそのものだった】
【あのセリーナ・ザ・“キッド”が、正義の代名詞が“正義の歪さ”に気がついたのだ】
【そう考えたアインの口角は────しかし上がらなかった。彼の予想と反して】


 (……何故だ。俺はこの瞬間を、正義を騙る者どもにその下らなさを叩きつける瞬間を待ち望んでいたはず……)

 (だというのに、何だこれは……これではまるで────)


【アインの胸中に到来していたのは、それは虚しさであり、落胆であり、また後味の悪さだった】
【“正義を騙る者”、と。一度たりとも彼はセリーナやカミナたちのことを『正義』とは呼ばなかった】
【そんなアインにとって、この瞬間こそは喜びを得なくてはならないはずだった】

【そうだというのに、喜びなど全くなかった。こんなことはあり得ない。あり得ていいはずがない】
【アインの思考はすぐにその理由を探しに走った────だが、それこそ“簡単”だったのだ】


 (……そうか。俺は……俺も大義名分を欲していたのか。この愚か者どもを、“愚かさ”を理由に罰したいと思っていたのか)

 (だが、いざこいつらが気がついてしまえば、それはただの間違いだ。10代や20代が他人の人生の重みを理解しないが故に起こした、子供の間違いに過ぎない)

 (それを俺のような人間が糾弾しながら罰するという構図も……今までと何ら変わりがないってことか)


【達成感が欠片もない理由に気がついたアインの表情は、打って変わって次第に曇っていった】
【そう、セリーナが自らの行いの“薄っぺらさ”に気がついたように、アインも気がついてしまったのだ】
【だが二人の間で違うものがあるとすればそれは──時間だった】


 (────たとえそうであったとしても、その“愚かさ”を俺は許すことができん)

 ────ふん、何を今更

 お前たちも民衆も、それこそ『映画を見るかのように』自分たちに向かってくる連中は完全な悪そのもので、それを罰するお前たちは完全な善だと思いたいんだろう?
 そう思い続けて、この下らない社会とふざけた世界を作り上げてきたんだ。今更お前一人が気づいたところで、何も変わらんよ……


【アインの口撃は続いた。そこには既に愉悦などなく、あったのは怒りと苛立ちだった】
【続いて出たのは感情を吐き出すような溜息に、舌打ち】
【それからアインは、バツが悪そうに視線をセリーナから逸らして、言った】


 言いたいことはそれで全てか? 吐き出したいことがあるなら先にやれ……話はそれからだ


【アインの中では、既に何かを伝えることと、その何かが決まっていた】
635 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/05(金) 20:04:46.85 ID:efhGNJXDO
【路地裏】

【夕刻。影が濃さを増してゆき、街中のネオンが目立ち始める刻限】
【だが路地裏はいつもながら暗いまま。雑居ビルから漏れ出す灯りが僅かな光源となるこの場所で】
【ぽつん、と白が浮かびあがっていた。白──白いドレスを着た、女だ】
【艶やかな黒髪に赤い瞳をした、長身の女。ボディラインを強調させたドレスはやけに露出が多く、脚は当然のことながら、胸元も大胆に見せていた】
【左手の小指には、小さいながらもブラックダイヤの指輪という希少な装飾。このような場所にしてはあまりにも明るすぎる格好ではあったが──】


(先週は散々だったわね……あんなミスを、2回も)
(……でも、深追いする程でもないし──次に会ったら、全員八つ裂きにするところだけれど)


──今は考えることではないわね
それにしたって……そろそろ、誰かが通りそうなところだけれど


【女はそう言って、退屈そうに壁にもたれ掛かる。少しぬるいコンクリートが、余計に女の退屈を煽る】
【ため息こそつかなかったが、ドレスを着ていない時なら確実にそうしていた。小人でもいれば潰してやりたいところだ】
【誰か通りかからないだろうか。出来れば、金持ちかつ客になってくれそうな、男──女はそう思い、心の中で何度目かのため息をついた】
636 :霧崎 ◆8R7odKA9zA[sage]:2015/06/05(金) 20:49:47.45 ID:9u+P2tFbo
【公園】

【ここは企業の高層ビルなどが立ち並ぶダウンタウンにつくられた公園】
【広々とした園内には直輸入されたソメイヨシノが幾つも植えられて先月ぐらいは】
【美しい花を咲かせていた。他にも竹林や鯉泳ぐ池などもありコンセプトは固まっている】
【なんでも櫻の国のある企業の大規模な出資でつくった為にこの様になったらしい】

【街灯の薄明かりと周りのビルの窓明りの中、誰も居ない公園で1人、刀を振るう女性】
【長い黒髪は後ろで一纏めにし、切れ長の目は振るう刀と同じぐらいに鋭く、シルバーフレームのメガネを掛け】
【背は高く、ハイカットのスニーカー、タイトなジーンズに白いシャツを腕まくりしてというラフな格好で刀を振るう】
【風を斬る音が乱れなく聞こえ、太刀筋はプログラムされたかのように迷いなく正確無比、スピードも落ちない】

―――ッ!……ハァッ!!

【一心不乱に休みなく刀を振り続け、最後の仕上げとばかりに背後にあった雑木に刀の刃を叩き込んだ】
【非力な女性でありながらもその技術でザクリと深く切り込み、彼女は一息をついた。呼吸を落ち着ける】
【ちょっと盛り上がりすぎてぶっ刺してしまったのをハッとして気がついて、(管理人だの何だのに見つかると少々】
【面倒くさい)、慌てて突き刺さった刀を抜こうとしたのだが、うんともすんとも。樹の幹に足をかけて引っ張っても】

………抜けない
637 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y[saga]:2015/06/05(金) 20:58:03.63 ID:FPTwc8Bio
>>634

【―――アインの様子が、少しずつ変わっていく。】
【初めは嬉しくて仕方が無い、と言う様な笑顔だった。してやったり、という顔だ。】
【しかしその後に―――セリーナが言葉を紡いだ後に訪れるのは、なんだか不服そうな、納得の行って居ない表情。】


【つまらなかっただろうか。いや、違う。そういう表情では無い。】
【むしろ何か―――そう、セリーナが気付いたのと同じ様に、彼もまた、"何か"に気付いた様な】
【そんな様子だ。苦虫を噛みしめる様な表情のアインと、どこか憂いを帯びた笑顔を湛えるセリーナ・ザ・"キッド"。】


【お互いがお互いに、―――善と悪の吟じを、その中心で、その最前線で、見つめて来た両者だからこそ。】


 ……うん。そう、かもね。


 レッテルを張って。自分は大丈夫だ、って思いこんで。

 そうやって―――必死に向かってくる敵を、撃ち倒し続けてる限りは―――、

 ……貴方の言う通り。愚か者の集まりでしかないんだろうね。



【善と言う概念。悪と言う概念。この二つは、本当は背合わせの似たモノではないのかもしれない。】
【表裏一体、という言葉がよくつかわれるが、セリーナは今、"この二つには決定的な違いがある"と気付いていた。】


 ……"善"って概念は、"悪"があってこそ産まれ得るモノ。

 悪を否定する為に、悪を撃ち倒す為に、"方便"として、"大義名分"として、

 自らが行い<戦い>を正当化しようと―――人が産み出した、嫌な文化。それが"正義"だ。


 でも悪は、善があって成り立つ物では、無いと思う。

 悪を規定するのに、善の概念は要らない。悪は悪で、最初から存在している物。

 それはつまり―――もっと本質的な部分の話なんだ。人間の、生き物の、命の持つ本質が―――そう。


 ……原初に、"悪"があった。と言う事に外ならない。


【只管に銃を握り。無辜の命を守り続けてきた彼女が、辿り着いたのは―――"性悪説"。】

 多かれ、少なかれ。人間は、悪を抱えて生きている。

 悪を秘めて生きている。それを隠して、抑えて、生きている。


 ……けど、アタシは取り繕ってた。

 正義の衣を身に纏い、善で武装し、他人を護る使命に酔いしれる―――……、

 ……悪い人達(普通の人間)から見た正義の味方(アタシ達)は……すごく、……。

【―――悪以上に。醜い、そこまでは流石に言葉に出来ず。】
【セリーナは目を閉じた。今までの光景が、乗り越えた苦難が、全て―――紅く染まっていくのを感じた。】
638 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw[sage]:2015/06/05(金) 21:06:51.13 ID:ZGYeiBRZo
>>636

【稽古の最中に大変困った状態に追い込まれた女性のその姿を、近くを通りかかった二人組、その内の片方が気付いていたらしく】
【ちょっと待ってて、と一緒に歩いていた人物に断りながら彼女の傍に駆け寄っていくと】


―――なあ、もしかしてそれ、抜けなくなっちゃったのか?すっぽり収まっちゃったみたいだけど


【その青年は、柑橘系の甘酸っぱい香りが漂う整髪料で整えた茶の短髪、真っ赤な瞳に整った鼻筋】
【水色の質素なシャツを白い柄シャツの上から羽織り、腿や脛にダメージがはいった青のジーンズに赤のスニーカー】
【首には常に彼の妹からプレゼントで貰った赤いマフラーを巻いているのが特徴的で……服の下に包帯を巻いているらしい事が襟元から見て取れた】


時々木を伐採する人とかも斧が抜けなくなっちゃったりって事たまーにあるよなー
そういう時抜けなくなっちまうと大の大人でも結構苦労するんだ、ハハハ

……あ、それはそうとちらりと稽古の様子を見てたけどスゲェいい腕してるな!ちょっと見惚れちゃったよ


【と、ずいぶんマイペースな様子で助け舟を出しに来たはずのその青年は、ちょっと目を輝かせながら女性に賞賛を送ってくる】
【ちなみに、まず助けを出す許可をもらいに行ったのは、刀が誰にも触らせたくないほど大事なモノだったり「いい!自分でできる!」と言ってくるかもと想定したからだ】
【許可を出せば彼はすぐにでもその剣を木から抜く作業に取り掛かるだろう】

/まだいらっしゃいますか?
639 :アイン ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/06/05(金) 21:15:21.25 ID:5U4w+Oogo
>>637

【性悪説──元来、人間は愚かで醜いものだとする説。彼女はそれを結論とした】
【そしてその上で、そのことから目を逸らし、人間本来の姿であり続ける人々を否定することこそが】
【何よりも醜悪なことなのだと、彼女は語った。正義などというものはありはしない、と】

【六罪王ならば、ここでこの女を仕留めるべきだろう】
【世界を敵に回して戦うのであれば、ここでこの女の心を折るべきだろう】
【だが────】


 …………違うな


【────そう、この魔術師の“矜持”がそれらを良しとしなかった】


 確かにお前は……お前たちは間違っている
 だがそれらは視点によるものだ。お前は多くの敵に絶望を与えながら、多くの仲間に希望を与えてきた
 今日、お前が知ったのは、その二つが同価値で絶望を与える先と希望を与える先が同じ人間だったってことだ
 たとえそうであったとしても、お前が希望も与えていたことに違いはない……それはそれで、単純な事実だ

 そしてお前たちが自分こそは正しいと思うように、彼らもまた心のどこかでそう思って戦っている
 つまり、お前たちと彼らは同じというだけで、どちらが醜いか、などということはない


【悪以上に醜い、と彼女は言外に匂わせた。それを、アインは否定した】
【このまま放っておけばアインにとって都合の良い状況のままだった。しかしそれは認められなかった】
【何故ならば、目の前の女はアインからして間違った結論を導いた。間違いは、正さなくてはならない】

【何より、目の前にいるのは道を見失った人間だ。“かつて自分がそうであったように”】
【ならば先人として、道標ぐらいは与えねばならない。これもまた、彼の矜持の一つだった】


 一つ聞くが……“誰かのために戦う”というのは、そんなに偉いことか?


【アインは苦々しい表情で、その短い質問を投げかけた】
640 :霧崎 ◆8R7odKA9zA[sage]:2015/06/05(金) 21:32:02.06 ID:9u+P2tFbo
>>638

……は?………え…ええ……まあ、はい。

【彼女は後ろからかけられた声に気がついて、そのままの姿勢で顔だけ向けた】
【それから慌てて(本人は自然にのつもりだが)手を放し、よれたシャツの裾を伸ばし、体裁を整える】
【今更クールを気取っても仕方ないのだが、はしたない姿を見せるのは礼儀にもかけるポリシーにも合わない】

「たまーにあるよなー」と仰られましても、生憎、林業を生業にする友人は居りませんから私は存じ上げませんが

…まあ、これだけが取り柄ですから

【感情の込められていないどこか機械的でドライな口調だが別に怒ったり訝しげに感じているわけではない】
【元々、感情も顔に出ないだけだ。尤もそのせいで余計な誤解を生むことも多いが】

【彼女は刀が刺さったままの木から、汗を拭いつつ離れる。何も言わないが手伝いを拒む様子は無かった】
【じゃあ、ここらで1つと刀に手をかけたりしたならば、そのタイミングで彼女はパチンと指を鳴らす】
【その瞬間、木に突き刺さった刀は瞬時に消え失せる。文字通り煙のように、煙すら立たずに消え、刀傷だけが残る】

……あ、抜かなくても結構ですよ。…能力なんで

【思い出したように振り返る。もしかしたら、時既に遅しかもしれない】
641 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y[saga]:2015/06/05(金) 21:44:46.42 ID:FPTwc8Bio
>>639

【―――彼女は何も知らない。目の前の男が、何を抱えているのかを。】
【―――彼女は何も知らない。目の前の男が、一体どんな立場にいるのかを。】
【だから 彼女は何も知らない。目の前の男が、どうして自分を励ましているのかを。】

【知っていれば、こんな事にはなっていなかったと考えれば、当然なのだが。】
【自分を否定し。傷つき。そして自らの抱く価値観をドン底へと落とした、その時―――】
【アインの口から発せられるのは、彼女の言った事への否定。と、同時に存在の、肯定でもあった】

 ……、え?

【"違う"、という言葉を切っ掛けにして、始まった彼の主張はセリーナの心に何かを齎す。】
【それが何なのかは、まだ分からない。だが、冷え切った心に温かさの様な物を、確かに感じ取った。】

 ……、"絶望"と……"希望"。

【正義と言う絶対の価値観から悪を見下ろす。だが、その行為が結局、何の為に行われていたか。】
【そこを突き詰めて考えれば―――彼女が"誰か"の為に今まで行動してきたのは、一つの事実だった。】
【単に悪辣で、軽薄で、陰湿な行動であったかと言えば、決してそれらだけに留まる物では、無かった筈だ。】

【結果として、やっていた事は第三者の視点で見れば同価値の物であったが。】
【逆に言えば、それ以上でも、それ以下でも無く―――"悪"、言い換えれば"意思"でもある"ソレ"。】
【その意思に、貴賎は存在してはいけない。むしろ、個々人の意思に上下優劣を付ける事こそ―――よっぽど、悪辣だ】

 ―――……そう、かも。しれないけど……、
 でも、悪を名乗る人達は、概ね自分たちの行為がどんな物で、
 そしてそれがどういった価値観を以て社会に受け止められているか、少なくとも
 アタシ達<正義>より、ずっと客観的に見れてたんじゃないか、とは―――……思う、かなあ。 

 その点で……やっとこさソレに気がついたアタシは、自覚の足りなさ加減、って部分では……、
 やっぱり、彼等に劣ってたのかもしれない。でも、それは結局の所、"主張"の優劣とは―――結びつかない、か。

【ただ、やっぱり"理解"という点に関しては、こうして傷つく羽目になっている以上】
【自らが行いへの自覚不足、と考えられるだろう。知っていたら、指摘を受けた所でこうはなるまい。】
【しかしそれでも、アインの言う通り"主張自体の価値観"に関して、それは関係ないのかもしれない、と彼女は呟いた。】

【―――ただ、訂正していけば、今度は自分でもミスを見つけられる様になる。】
【セリーナは自分の価値観が悪と同価値である事は理解できた。そして、それなら産み出していた"希望"という部分に関しても―――、】

 ……折角、やってきた事にも"意味"は在った、って思える様に成ってきたのに。
 意地悪だなあ、……そういう質問するんだもん。そりゃあ、"尊い事だと思う"っていう以外の返事なんて、アタシには用意出来ないよ。

 誰かの為に……、ある意味でそれだけだが、支えになってるかもしれないのに。
 けど貴方は……その表情から察するに、それを余り―――良い事だとは、思わない?

 実際、アタシはそれを誇りに思っているし……誰かが傷付くのを見るのなんて、大嫌いだ。
 無辜の人々が虐げられるのを見るのは、ツライ。耐えられない。だから……護りたいと、思う。
 自分の身を犠牲にしてもそれを成せる人が居るなら、アタシは……少なくとも、立派だって思うよ。

【セリーナは苦笑いを零した。そう、続くのはより深い部分の話だ。】
【誰かの為。自分以外の何かの為、動く事。正義を正義たらしめていた、一番重要な部分。】
【それに対し、"そんなに偉い事か"と聞かれては、セリーナにはこう返すしかなかった。そりゃ、そう思うよ、と。】

【だが―――なんとなく、何か大事な物を見落としている気がするのは、気のせいではなさそうだった。】
642 :アイン ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/06/05(金) 21:57:17.82 ID:5U4w+Oogo
>>641

【尊い事だと思う──セリーナの答えに、アインはただ首肯した】


 確かに、他人のために動く人間は良いとされる。社会において普遍的な価値観、倫理観だ
 お前にもそうやって助けたい人間がいるんだろう。それを否定する気はないし、わざわざそんなことをする必要もない
 ただ単純に、お前は“自覚”すればいい……

 そう、自覚だ
 お前は今言ったな。『無辜の人々が虐げられるのを見るのは辛い』、と。つまり、お前の動機はそれだ

 持論だが、この世に真の意味で“他人のため”なんて行動はない
 ただ、そいつを助けたいという欲求を持ち、それを己が解消する。それだけだ


【アインがその瞳をセリーナへと向ける。表情には、怒りも苦悶もない】
【ただ単純で純粋な事実だけを告げる、そんな退屈さだけがあった。そう、これは彼にとって当然のこと】
【今の今まで悪の側であったこの魔術師にとって、当然の────】


 悪と正義は同値。その真の意味はただ一つ。その、欲望の向く先が社会的か反社会的か、ただそれだけだ

 お前たちは……お前は誰かを助けたいという己の“欲求”を満たすために敵を殺す
 彼らは誰かを虐げたいという己の“欲求”を満たすために敵を殺す
 そこに何ら差はない。戦うという過程も、殺すという結果も、欲望に従うという根底でさえも!
 お前自身が今日悟ったようにな……

 そう、お前たち<正義>も彼ら<悪>も全く同じだ……ならば────



 ────ならばいい加減、“他人のため”という言い訳をやめろ。
     それを言い続ける限り、お前たちは『自分たちこそ正しい』という幻想から逃れられない



【セリーナが言った、悪と正義の共通点。アインは全てにおいてそうだと言い切った】
【そしてセリーナが支えとまで言ったそれを、この男は捨てろとまで言うのだ】
643 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw[sage]:2015/06/05(金) 22:03:36.62 ID:ZGYeiBRZo
>>640

……言われても見れば俺もムクくらいしか木を切り倒してる奴なんか見た事ないなぁ
俺の相棒が山で自給自足の暮らしをしててさ!薪を用意したり木工の工芸品とか作ったりする時にやってるのを
見たことがあるくらいしか心当たりないや……

……って、あれっ!?刀が消えちまったぞ!?


【抜かないでもいいと言われてはて?と首をかしげたのもつかの間、突然自分の目の前で抜こうとしていた刀がふ、と消えてしまう】
【助けになるつもりがその目的が突然消えてしまったのだからそりゃあ混乱もするというもの……しかし能力だ、という説明を受けたところで全てを察する】
【彼女は「刀を具現化させる」能力者らしい―――そのことに気が付いた剛太郎は「あ、ああ〜」と間の抜けた様子で納得の声を上げるだろう】

【同時、ひゅう、と口笛を吹きながらもう一人近づいて来る者がいる―――直前まで剛太郎と一緒に近くを歩いていた人物だ】


「刀の具現化―――シンプルだが使い勝手のいい能力じゃねえか
何がいいっていつでもどこでも手元に凶器を用意できるってのはそれだけで強みだろう。置き場所に困らねえし金属探知機で探られる恐れもない
だから飛行機とかパーティ会場の中だろうと問題なく斬り殺せる、暗殺にはうってつけだわなぁ

無論それを使いこなす技量を身に着けるべく鍛錬も必要になるが……クケッ、そこも問題ないって感じだねぇ、おたくもういっぱしの暗殺者じゃねえの」

お、おいフレッド!……ごめん俺のツレだ


【その人物はフードを目元まで被った灰色のパーカーを肩から羽織り、ボタンだけ赤い黒の短シャツに両手に白いバンテージを巻いていた】
【首からはそこそこ値の張った一眼レフのカメラを下げ、腰に数年前に流行った銀色の髑髏を模したチェーンアクセのついた青色のダメージジーンズに新品の赤茶色の革靴を履いた男性だ】
【顔の上半分を覆うフードの頭をぴしゃり!と張り手を叩き込む茶髪の青年、しばらくしたらややバツが悪そうに女性の方に頭を下げてくるだろう】
644 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2015/06/05(金) 22:23:25.86 ID:lkXXJNtso
【路地裏】

かっかっかーっとぉ!……んー、何か違う

【少しわざとらしいような笑い声を響かせ、首を捻る】

かーっはっはっは…ううん?豪快さが足りねえって?

【もう一度笑って今度は反対方向にもう一度首を捻る】
【より豪快に、含む様に、楽しげに、泣き笑い染みて】
【何度も何度も笑い声を上げるその人物は】

【祭りの出店で買えそうなデフォルメされたちゃちな黒猫のお面で顔を口元以外を隠し】
【藍色の作務衣と白で大きく「東」と書かれた黒鳶色の前掛けをした短い黒髪の男性である】
【男は捻っていた頭を立て直し、一度空を見上げてから……】

笑えど笑えど、「福」は来ねえなぁ…かー、っはっ

【吐き捨てる様な言葉と一緒に漏れたのは、ちょっと自嘲が入った笑いであった】
645 :霧崎 ◆8R7odKA9zA[sage]:2015/06/05(金) 22:38:12.54 ID:9u+P2tFbo
>>643

それはまた……その………伝統的で。

【イノシシの毛皮を着た大男の想像が浮かんだかそれだと見ず知らずの人に失礼だと頭を振って】
【竹を取りつつ籠を編む好々爺に切り替える。パッカーンと桃でも竹でも切っている方がまだいいかなと】
【その失礼な想像のせいで少しだけレスポンスが遅れる。取ってつけたような返事だった】

ええ、そうね。凶器もある、技量もある。…それでも私が暗殺者に見えますか?

【少しばかりニヤリと口元を動かして、眼鏡がキラッと光ったような気がする。正直なところイエスなのだが】
【そんなに自信ありげに言うところからNOなんだろうと普通は考えるはずだが、事実はイエスなのだ】
【路地、ホテルの一室、公園のトイレ、カジノ、パーティ会場、ファーストクラス…読み通り幾つも『任務』をこなした】

ま、そんなコソコソした生き方は好きじゃないし、そもそもの問題は能力は能力を相手にすることが多いですから。
刀をポンポン出すくらいじゃ、多くの能力には敵わないでしょう。正面切って相手するなら、拳銃だって分が悪い

そもそも暗殺者じゃなくて秘書ですから、私。暗算、速記の方が能力よりよっぽど役に立ってるわ。

【肩をすくめて、やれやれと溜息&ジェスチャ。見た目通りといったところだろう。至極まっとうな職業に見える】
646 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/05(金) 22:46:55.82 ID:+s8BxsPk0
>>644

【けろりと蹴っ飛ばす音は下駄のもの、それは闇夜によく響いて、時々不安定に止まったりする】
【――と思えばまた歩いて、止まって、音が近づいてきたなら、どうやら、そのたびに誰かと喋っているらしい】
【とはいえこの辺りに居るのなんて不良か浮浪者くらいで、――ねたばらしするなら、ほんとうの目当ては後者だった】

【背のうんと高い男だ。脱色したよりも白い、少しの色も持たない白の髪は、腰どころか尻を過ぎるほどまで伸び】
【瞳は血を集めて煮詰めたかのように赤い、瞳は切れ長で、目つきが悪いが、ただ、よほどきつくは見えず】
【服装は暗い色の和服、足元は音の通りの下駄で、それも入れてしまうと、身長はゆうに二メートルを超えて】

――これ。いま配ってるんだ。良かったら来てくれ、うちのが料理を作って……、

【たっぷりの時間をかけてようやく見えた人影はそんなもので、ただ、どこか水の気配を纏う】
【その手にはいやに似合わないかわいいデザインの籠が引っ掛けられて、中には紙の束が見える】
【彼は相手の姿を見とめると、籠から一枚ぺろりと紙を取り出し――そう声を掛けながら、差し出すのだろう】

【――どうやらチラシらしい。読んでみれば、孤児や浮浪者のために食事を無料で提供する、などと書かれ】
【じゃあどこでやるのかと言えば、相手も名前くらいは知っているだろうか。あの、UNITED TRIGGER】
【UTの店で決められた日付――月真ん中ごろの平日――に食事を配っているから来てね、と、そんな内容のもの】
【その無料食事処の名前は「たんぽぽ」なんてものらしく、それを意識してか、全体的に黄色く描かれた――少なくとも、】
【瞳の赤以外色素をどっかに落っことしてきたような無駄にでかい男が配るには違和感しかない仕上がりで】

…………ああ、悪い。いい夜だな、暑いのも寒いのも嫌いだ。

【ずいと突きつけてから思い出したように挨拶めいて口に出す。この間、彼はにこりともむすりとも表情を動かさず】
【ただ口角下がり気味の付き合いの悪い顔のまま――声もそれなりに低いので、なんとも無愛想に見え】

もらってくれ。全部配ると、あいつが喜ぶ。

【――孤児向け、浮浪者向け、そのサービスのチラシを、目の前の相手に配る理由】
【別にそれは相手を浮浪者だと思ったわけではなく。単に見境のない配布、――なのだけど】
【籠を示してから「ん」ともう一度差し出す仕草に悪気は見えない。ただ、――すこし、失礼ではあった】

【(チラシ配りのバイト。簡単に説明してしまえば、そんな状況の男――なのだった)】
647 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y[saga]:2015/06/05(金) 22:52:33.26 ID:FPTwc8Bio
>>642

【自覚。自分を知れ、己を知れ。それは、彼女が過去に聞いた事のある言葉だった。】
【銃を習い始めて間も無い頃だったか―――格好付けて、映画でよく見る"ガンスピン"を真似た時の事。】
【失敗して、足の上に"弾丸入り"のコルトを落っことし、泣いていた際―――"師匠"にそんな事を言われたのを思い出した。】

【"―――そういうのは、もっと上手くなってからだ。身の程を知れ"、と。】
【幼い子供に対しては聊か冷たい一言に思えたが、セリーナはその言葉をずっと覚えていた。】
【何故なら数年後、銃撃戦の最中、地面に"落ちた"銃が"暴発"し、自分の足を撃ち抜いた同僚を見たからだ。】

【知らなければ。自覚が無ければ。いつか必ず、身を滅ぼす。他者ではなく、自らの手によって。】
【―――セリーナはその、典型例。自分の成してきた事と、これから成そうとしている事がどういう意味を持つか】
【その意味と真の価値を、彼女は自覚していなかった。理解していなかった。だから、こうして身を"滅ぼしかけ"ていたのだ。】


 ……他者の為は―――……"自分の為"、……か。


【今日セリーナが知った事は、二つ。正義と悪は、同価値であり、つまり其処に差は無い、と言う事。】
【そしてもう一つは―――正義を語る人間の大半が掲げる"誰かの為"という理屈が―――】
【結局の所は、そうしたいと願う"自分の為"に存在しているのだ、という事だった。】


 今までの話を総合すると……自分たちこそ正しい、って思う事は―――

 "自分たちには相手を傷つける正当な理由がある"、と……そう、思い込む事に外ならないもんね。


 それは凄く傲慢だし……それに、とても危険な思想だ。

 アタシ達が……"ソレ"を手放さない限り、アタシ達はずっと、傲慢なまま……。


 安全な位置から一方的に、悪を見下す傲慢な―――……、"ズルい"人間の、まま。


【目の前の男は、何故こんなにも熱く"善悪"について語ってくれるのか。】
【相手が六罪王で、稀代の魔術師である事を知らないセリーナは少し不思議に思っていた。】
【だが、只の酔っ払いが場末の酒場で持論を振りかざしているだけでは生み出せない、説得力が彼にはある。】

【―――だから、セリーナは苦笑した。ああ、その通りだ―――と。】


 ……言い換えれば。戦うには、それだけの冗長な"正当性"が、必要だった、ってコトかもね。

 貴方が言っているのは、つまり―――そういった何かに、"縋る"な、という事だ。

 
 許されようとするな、という事だ。他者という盾を、捨てろと言う事だ。
 

 ―――つまり、そうなった時……そこに居るのは、"生身の人間"、それだけ。

 ……でも。アタシが戦ってきた"相手"<悪>はみんな……そうして、素の身で戦ってたんだもんね。


【―――言うまでも無く。セリーナは、完膚なきまでに"論破"されていた。】
【説得力と、納得に足る力説。それを後押す言葉の強さ。何もかもが、彼女の今までを突き崩す。】
【しかし―――しかしだ、アインは気がつくだろうか。セリーナの指先、湯に来てから一度も止まらなかった"震え"が―――】
【―――ピタリ、と収まった事に。論じられ、否定され、撃ち倒され、それでも何故か―――彼女の表情から、少しずつ曇りが消えていた。】
648 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw[sage]:2015/06/05(金) 23:08:15.72 ID:ZGYeiBRZo
>>645

【妙な想像をしてやや困惑してるっぽい女性の様子を気遣いながら苦笑交じりに言葉をはさんでくる】


いやいや、ただの偏屈ジジイなだけだよ!めったに人と会おうとしないから普段は犬を通して会話をしてくるし
負傷して1ヶ月入院することになっても山を下りる奴じゃないし。……けどその間このフレッドにいろいろ世話を焼いてもらってさ
リハビリとかにもいろいろ付き合ってもらったんだよな……ムクがなんかごめんな、フレッド

「昔馴染みの頼みとあっちゃあな……流石にむげに断る訳にもいかねえだろ、気にすんな剛太郎」


【フードの男フレッドに剛太郎、と呼ばれたそこそこ長身な青年】
【年は20代半ばほどだろうか―――屈託ない微笑みを浮かべる剛太郎は、口元に笑みを含ませる女性の様子をぽけーっと見ている事だろう】
【しかしその後、自分の役職は秘書だと主張してくることに関して剛太郎が口を尖らせながらフレッドの方を向き】


おいフレッド、この人秘書だったじゃないか……

「……まあそう名乗ってるんだったら秘書なんだろうよ、けどぜってー武官も兼任してるね!コイツは!
どこに雇われてる人間だか知らねえが見るからに腕が立つ、というのは先ほどすでに見てるじゃねえか……使わない理由がねえ」

まあどっかの偉い人の傍で文武二つの仕事をこなしそうな人には見えるよね、主人を守るために誰相手でも戦う術を身に着けてるって言うかさ
俺も一応図書館で重要書物とかを持ち出されないように警備する仕事してるし……あ、自己紹介が遅れたね、俺は剛田 剛太郎!よろしく


【ぺこり、と礼儀正しく女性にお辞儀してくるだろう剛太郎】
【マイペースだが気は優しく、礼儀正しい性格をした人間のようだ、初対面の人間相手ゆえにしっかりと弁える所は弁えるらしい】
【フレッドの方は特に言葉をはさむことなくバンテージに巻かれた手をひらひらさせながら挨拶代りに軽く会釈するだけだ】
649 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2015/06/05(金) 23:08:54.71 ID:lkXXJNtso
>>646

かー、かー、……うし、あと何回かは、と?

【ふと自分が居る場所に影がかかった】
【気配などにも疎いのだろう、影がかかってからようやくお面を付けた男は振り返って】

かー…はー
デッカイなぁお兄さんよォ!

【ちょっと呆気にとられる様に息を零すのも束の間】
【すぐに少し喧しい位の声量で思った通りの事を口にして】

ああっとコチラこそ失礼仕ったってぇ!
こんばんは!貰えるもんは有り難く頂戴するってぇもんよ!

【こちらも挨拶し返すと、突き付けられたチラシを両手で受け取って】
【片手で保持するとそれに目を通す】
【その様子に迷惑そうだとかそんな雰囲気は一切なく、チラシを寄越したアナタと対照的に男のお面で隠れて居ない口元は人懐っこい笑みが浮かんでいて】

えーと、茶店のチラシってぇもんか?
無料の飯屋…、UTってトコの――――――んん?

【と、チラシを読み進めていた男の視線が同じ場所をもう一度読み直して】

UT……んー、何だっけ?どっかで聞いたってもんなんだがなぁ
お兄さんお兄さん、UTってぇのはどんな組織だっけ?

【はて、はて、と揺らす様に何度か首を傾げて見せて、困っている事を身振りを加えてアピールし】
650 :アイン ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/06/05(金) 23:18:17.66 ID:5U4w+Oogo
>>647

【震えに気がついてはいなかったものの、セリーナから何かが消えていくのは十分にわかった】
【アインの口から、微かに安堵の息が吐き出される。本質的な部分は伝えた。あとは彼女次第だ】


 (────ダグラスはともかく、カニバディールあたりが聞いたら怒りそうだな)


【アインの脳裏には同僚二人の顔が浮かび上がっていた。涼しげに微笑する男と、怪訝な顔をする異形が】
【そのうちの片方が、まさにアインの一つの目的を達成して、目の前の女に現実を突きつけたということを彼は知らない】
【何とも奇妙な縁だったが、ここでセリーナと出会ったことも同じだった】


 必要なことは伝えた。あとはお前次第だ
 全てを理解した上で尚も力を翳すのか……それとも今まで歩んでいた道を諦めるのか
 どちらにせよ“世界”は変わらない。せいぜい、“お前の世界”が変わるだけだ……


【既に重要な事柄については終わっていた。アインは力を抜いた様子で言葉を付け足した】
【そう、一人の人間がどう選択しようとこの世界自体が変わることなどない。善悪について語った魔術師でさえ諦観を示した】
【だがきっと、同じ観点をセリーナは示さないだろう。頭のどこかで、アインもそれを理解していた──】
651 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/05(金) 23:27:56.69 ID:+s8BxsPk0
>>649

【デッカイだとか言われると彼は一瞬だけ僅かに瞳を丸くしたように見えた、それで、瞬き一つ挟み】
【「そうか」だなんて呟くのだが、それ以上にどう返してやればいいのか分からないような顔だった。少し――】
【人付き合いは苦手なのか。その割には圧倒的に人に触れる仕事を任された辺り、ショック療法に似た気配】

【(「へびさま、これ、配ってきてね」)】
【(「路地裏とかのひとに渡してくるの、別に、全部じゃなくってもいいけど――)】
【(「捨てたりしちゃ駄目だよ、そしたら、今夜一緒に寝てあげない」)】

【仕事着でそういいつけた少女のことを一瞬だけ思い出して。ただ、相手が受け取ってくれるというなら】
【まして、怒ったりもせずに受け取ってくれるなら――少し安堵がちに視線を相手へ向ける。ちなみに、彼、ここに来るまでに】
【同じように不良の群れにこのチラシを押し付けて、あわや喧嘩というところまで、行きかけていて――余談】

金のない奴のためにやってる。……俺も手伝うが、よく分からん。ただ――、

【あいつの飯は美味いぞなんて呟く。ただ、そのときばかしは、珍しくなんとも得意げな顔をするのだが、なんとも温度が低く見え】
【瞳もなんとなくのっぺらだ。なんと言えばいいのだろう――人間の瞳より、蛇の、爬虫類の瞳に似ていた】
【さっきも“うちの”だなんて言ったし、身内なのだろうか。にしては、】

……ペットの猫が居なくなったりした客が来るとか言ってたな。

【UTについて説明が出来ない。少し困った顔の後、言い終えれば、説明終わりときっぱりした顔をして】
【となれば関係者に頼まれた程度の関係者か。実際そうなのだけど、ときどき、手伝いに借り出される程度】
【それもUTとしてのほうではなく、たんぽぽの従業員として――なので、なかなか、知る機会もない】

金がなくなったら来てくれ。味の保障はする。……。

【とりあえず彼はそうして宣伝すると、ころりと下駄の音ひとつ、どこかへ立ち去ろうとするのだけど】
【ふと立ち止まって手元の籠の中を見る。まだチラシはたくさんある。夕方ごろからずっと配っていて、】
【別に全部配れとは言われていないのだけど、だけどそろそろ疲れてきて、――】

――もう一枚要るか?

【――少しずるかった。ぺらりと取り出すもう一枚、全く同じ内容のそれを、彼は再び差し出すと】
【これまた非常に真面目腐った顔で相手を見やる。受け取らなくても害はないが、受け取ってもメリットはない】
【強いて言えば裏側に絵やメモが描けるくらいだ。――これは、その、捨ててない】
652 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/06/05(金) 23:35:00.57 ID:3vcQlSFv0

【場所は数十年前に朽ちた街――――所謂ゴーストタウンと呼ばれる其処】
【夜の国に存在する其処は今宵も厚い雲に覆われ、一筋の光が差し込む事も無く。正しく闇夜と呼ぶに相応しい一夜】
【…………其処に濃い瘴気が漂えば、異界の入口にも思えるか】

【街の中に踏み入れば一人の少女が路上に居る事が分かるだろう】
【金色の髪に、朱色の双眸。纏うのは紅いドレスだけれど――――その少女こそ、瘴気を発している張本人であり】
【悪魔だとか、魔族だとか。様々な呼ばれ方をするが決して“善”の存在で無い事だけは確かで】


「――――……あら、こんな所に誰か来るなんて珍しいわね?

引っ越して来た人かしら。それなら歓迎するわよ?迷い人かしら。それなら闇に誘われない様に気を付けなさい?
それとも悪魔払いかしら。それなら――――――」

【くすり、と悪戯気に見せた笑みは精々十代のそこら。然れどその気配は確かに本物だ】
【「――――それなら、直ぐに回れ右をした方が良いわよ」なんて言葉。どうにも芝居がかった言葉だけれど】
【何であれ、急に害を為してくる様な存在でも無いらしく。ならばその先は出会った者の反応によって話も変わるのだろうけれど――――】
















【――――櫻の国。封魔城と呼ばれる其処の近辺。城からそう遠く離れていない雑木林】
【封魔城自体がが古来より悪しき妖怪を封ずる場所として活用されていたが故に近寄る妖も少ないのだけれど……】
【今宵は其処に一人の姿。巫女装束を纏った妖狐、か】
【首に下げた翡翠の首飾りから漂うのは“聖”。其れはこの妖怪が悪しき存在では無いと知る判断材料にもなるのだけれど】

【ぼう、と見上げるのは木々から覗くことが出来る月】
【……何をしている訳でも無い。否、だからこそどことなく“違和感”を覚えさせるだろうか】


【妖狐を中心に広がり行くのは強い妖気】
【やがて雑木林の全てを包んだならばゆっくりと濃度を増して行き――――】
【その気配、例え遠くで在っても感じ取る事が出来よう。果たしてその原因を見つけた者が悪と決めるか否かまでは分からないが】
653 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y[saga]:2015/06/05(金) 23:45:13.64 ID:FPTwc8Bio
>>650

【世界は変わらない。自覚しようと、しまいと。人一人の力では、何も変わらない。】
【アインの言葉がセリーナの中に溶け込んでいく。しかし、先程とはもう、反応が違ってくるだろう。】
【その言葉は―――初めて聞く類の言葉では無かった。むしろ、もう何度となく昔の"同僚"から、言われ続けたモノ。】

【―――やめておけ。金を稼ぐ、それ以外の何かを俺たちの"仕事"に求めるな。】

【暗い世の中に希望を齎したい。歪んだ社会の構造を正したい。】
【そこに生きる人々を変えていきたい。そんな使命感や目的は、持つだけ無駄だ。】
【翳すだけ無力だ。やってもやっても、壁にぶち当たって諦める事を、只繰り返していくだけだ。】

【―――どうせ、何も変わらないのだから。】

 ……うん。"変わらない"だろうね。
 世界は"いつでも"、"いつまでも"、きっと―――"LET IT BE ."(在るが儘)だ。

【セリーナも、それを認める。どうあれ、世界は変わらないだろう、と。】
【アインの言葉と、かつて自分にそう言い聞かせた賞金稼ぎの言葉、両方を肯定した。】
【肯定して、それから彼女は……その瞳を、震えの止まった自らの指先に向け、言葉を紡ぎ始めた。】

 ―――でも。……それでも、"それでも"、……"変わらない世界"だとしても。
 アタシ達が変えたいと思う気持ちや意思、変える為の行動、努力、そのどれもを"失くして"しまったら―――
 世の中はともかく、そこに生きるアタシ達が……"人間"が、ダメになってしまうと思う。"社会"も、"世界"も、変えられなかったとしても。

 ―――間違いに。過ちに。罪に。"気が付いていく"コトは、きっと出来るハズだから。
 そうやって、変わらない世界の中で、何かを諦めず生きていくことは……"神様"から見たら、馬鹿馬鹿しくって
 無駄の積み重ねや、只の悪あがきにも見えてしまうかもしれない。けど―――けど、アタシはそんな、見苦しい人間だからこそ。

【ブルーとも、翡翠とも見てとれる、独特の瞳に―――神秘的な輝きが、再び灯り始める。】
【彼女はもう一度、暗くなってきた空を見上げ、そして吐き出す様に―――それを宣言しただろう。】

 ―――そんな人間、だからこそ。心から護りたいと、そう思える。そんな気がする。
 だって、間違えている事に、アタシみたいな大馬鹿が気付けるんだから! 皆に無理な事なんて、きっと無い。
 少しずつでいい。それでも、"今日よりちょっとだけ良い明日の"為に―――皆に、これを気付いて貰う事が―――気付かせる事が、

 ―――アタシの、本当の仕事。

 ―――アタシのなりたい、本当の"ヒーロー"の姿。

 そしてアタシは―――それを、全部自分の意思で、やる。
 自分のわがままで、やる。批判も、否定も、罵倒も反論も、全部が全部、届く"位置"で―――やる!
 それで良いと思うんだ、だって―――"自分の為"にが、"誰かの為に"も成っているなら、それに越したことなんて、ないんだから!


【"憑き物が落ちた"。そんな晴れた表情で。彼女はそう、宣言した。勿論"晴れた"、とは言ってもソレは―――】
【ただ何処までも快晴が広がっている訳ではない、雨雲も、雷雲も、氷雪も干ばつも全てを味わった後の―――そんな"晴れ"だ。】

【認めてしまえば。なんて事は無い、人間は、どこまでいっても人間でしかないのだ。】
【でも、そんな人間だからこそ。悪を抱えた人間だからこそ。道を踏み外す人間ばかり、だからこそ。】
【救ってやりたいと思う。変えていきたいとも思う。変わっていきたいとも思う。それを、奪う物が居れば―――、】

【前に立ち、手を広げ。同じ"悪"の徒として。護ってやりたいと、そう思えた。】
【―――言葉が終われば、セリーナは"ハッ"とした表情で、アインを見つめ返すだろう。】
【なんということか。場末の温泉で会ったおじさんに、何を壮大な話を吹っ掛けて愚痴を吐きだしているのか。】
【色々語って、想いを吐き出して、それで見つけた新しい"何か"の中で―――セリーナは、恥ずかしそうに三度、顔をお湯の中に沈めた。】

【尤も愉快なのは―――彼女が、自分ではまだ、気が付いていないという事だろうか。】
【悪の大魔王を前に、これからも戦い続ける事を宣言しているという、重大な真実に……。】
654 :霧崎 ◆8R7odKA9zA[sage]:2015/06/05(金) 23:47:06.27 ID:9u+P2tFbo
>>648

それは……まあ……はい

【「貴方のお知り合いは熊かなんかですか」。なんて失礼なことを飲み込んだら言葉が出てこず】
【モヤモヤと想像が動いて前にテレビで見た白ひげのワイルドなオヤジがジャングルを】
【ナイフ一本でくぐり抜けていた。今浮かんでいるのはその映像だ。それで確定される】

…旭日建設ってご存知?銀行でもよろしいですけど。そちらの会長秘書ですが何か。
父の会社で働いているので、どちらかというと経営者です。

【出てきたのは大手ゼネコン。世界的企業で家よりもダムなんか建てるのに向いている会社だ】
【複合企業で金融、保険等々…どれも大きな企業である。ただしそれの創設者は黒い噂というか】
【敢えて口には出さない周知の事実として『富嶽会』と呼ばれるマフィアの会長であると知られている】
【とはいえ、他のマフィアとは違い目立った反社会的、犯罪的行為はしていないため誰も文句は言わない(言えない)】

ぶっちゃけ言っちゃうと、所謂ヤクザの一人娘ですから、その想像は微妙に当ってますよ。
ただ直参の警護がごまんと居るのでわざわざ私が出る幕なんて無いわけですけど
…富嶽会の霧崎です。どうぞよろしく

【隠す気もないのかめんどくさくなったのかぶっちゃけた。大企業の経営陣でなおかつ巨大マフィアの一人娘】
【挙句に能力まで持っていて結構なVIPが公園でブラブラしていた。それを暗殺者扱いしたわけであるもし機嫌でも】
【損ねたのなら夜な夜な黒服が……という想像を多くの一般時はしてしまう】
655 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2015/06/05(金) 23:48:28.64 ID:lkXXJNtso
>>651

おっと、気を悪くしたか?
だとしたら重ねて失礼ってな!悪気は無かったんだ

【チラシを持ってい無い方の手を拝む様に軽く上げて一応謝意を示し】

……かかっ!こんな所で惚気話を聞くとは思わなかったってえ!
今度、是非寄らせて貰うってぇもんさ! 飯処だってぇなら、俺っちも用事が有るしな!かーっ!

【冷たげな男の口から出てきた熱い家内自慢(?)に思わず吹き出して】
【惚気話に対して御馳走様でした。と手を合わせて見せると】

応々。年がら年中金欠だから入り浸らせて貰おうかってーの
…俺っちが行くまでに夫婦喧嘩なんかするんじゃねえぞ?

【そう言って、男を見送りかけてから―――】

……勿論。貰えるもんは貰うつったばっかだしな!訂正するにゃ早すぎるからなぁ!
だがその前に

【もう一度差し出されたチラシを受け取る前に…】

俺っちは今日、この時であった君の名前を知りたいってぇもんさ
ほら、袖触れ合うも多少の縁ってな

【それを聞いてから、チラシを受け取ろうとするだろう】
656 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/06(土) 00:00:28.38 ID:6LNLXVWb0
>>655

【「いや、」と、彼は呟くだろう。「別に」とも続くが、まあ、つまり、気にしていないのだ】
【ただそれを上手く親しげに伝える方法がよく分からないだけ。悪気はないのはこちらも同じ、なのだけど】
【無駄にでっかくて目つきが悪くて見下ろしているせいで、悪いものに見えてしまいそう。どれも、どうしようもなくったって】

いや、……――それでいい。誰か来ると喜ぶ、行ってやってくれ。

【――刹那、彼は何かを言おうとした。惚気だと言われて、きっと、否定しようとしたのだ】
【だけどそれは「もーちがうよー」みたいなノリではない、もっと、ずっと、――違うと言いたかった】
【だけれど言うための言葉は浮かばず、それなら、諦めてしまう。そもそも、言いふらしていいことでもない】
【墓すら超えて来世まで、その次の来世まで、永遠に抱え込まなければいけないことだ。――と、一人考え】

【「喧嘩?」と小さく呟いた。「人間同士じゃあるまいし」と続いた。――それなら、彼は、何だろう】
【ただその声は小さく低く、少し何かを思い出すようだったが――すぐに消える。表情の乏しさは、時々何かを隠して】
【最終的には「しない」というのが彼の答えだった。生真面目な顔でしない、と、宣言したなら】
【二十台後半――それくらいに見える彼。ただなんとも不器用な様子は、実際の年齢を、どうにも不思議にぼかし】

……白神朱音。

【告げる名前も、なんとも違和感だった。だって、どう聞いたって、それは女の名前なのだ】
【別にそれがいけないなんてことはないのだけど、朱音(あかね)――、ついと相手に向けた視線は】
【ただそこに違和感を見出さず。逆に「お前は?」と尋ね、立ち去るよりも、相手のほうに身体を向けなおす】

【白い髪と赤い目。ど律儀にかわいい籠を大事そうに持って、相手の言葉が返るのを待つ】
【ちょっと――というか、結構、面白い光景なのかもしれなかった】
657 :アイン ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/06/06(土) 00:12:25.69 ID:y1qEmJdIo
>>653



(……一体、何をやっているんだろうな、俺は)


【もう言葉は言い切ってしまった。少なくとも、目の前の女は立ち上がるための何かしらは掴んだだろう】
【今更すぎる自嘲めいた感情がアインに沸き起こった。悪の親玉が正義のヒロインを助けるなど聞いたことがない】
【若人を導く、などという老人めいた欲望が彼にそうさせてしまった】

【片や全てを“自分の欲望”として受け入れて、影を振り払った女】
【片やその“自分の欲望”同士が邪魔をしていて、全てを自覚しているにも関わらず矛盾している男】
【嘲笑が、彼の口から漏れ出た。そう、これは大望からすれば寄り道どころか逆走だ】

【だが、どうせ変わらない。どういう経路を辿って望みを果たしても、この“世界”はきっと変わらない】
【強大な魔術師になろうと、六罪王になろうと、“彼女”に届こうと────“神様”にでもならない限りは】
【きっと、何も変わらない。“あの日”に自分はそれを思い知ったのだから。この世界に“主人公”なんて居はしないのだと】

【だからいずれにせよ、全て瑣末事だ──────けど】



 ────“人間”が、ダメになる……?



【驚愕が、魔術師の顔に広がる。その一言が彼の目を少しだけ覚まさせた】
【そうだ、自分は何故こんなことをしているのか。自分は彼女に対して何を言ったのだったか】
【全ては自分の欲望だと。それを振りかざすことこそが目的。ならば、その結果が見えずとも】

【進むことそのものに、意味があるのではないか。自らが生きるために】



 ……ククッ、俺も老いたな。まさか、こんな簡単なことも見失っていたとは

 あぁ、そうだ。俺は魔術師だったな。だったら、“識る事”こそが、過程にこそ意味があったな



【蔑みも皮肉もなくアインは微笑んだ。道理を教えていたはずの老人が僅かながらに教えられていた】


 それでいい、セリーナ・ザ・“キッド”
 それでこそ、人間を相手取っている意味もあるだろうよ


【礼の意味も込めて、決意を新たにしたセリーナの言葉をアインは肯定した】
【正義と悪の意味、そして善を見出したセリーナならば、まず歩き出せるだろう。自分と同じように】
【恥ずかしがるセリーナにアインは微笑みかけてみせる──らしくないことした、と思った彼は悪どい笑みに変えてみせた】


 随分と壮大な話に強烈な決意を聞くはめになったな……俺も疲れた
 疲れを取るために来たというのにこれでは本末転倒だな
 タダで済ませるには惜しい時間だった…………と、いうわけで、お前には少し支払いをしてもらおうと思うが、どうか?


【アインが指を鳴らすと温泉の湯面がいくつも隆起。湯を魔力で触手状に固定。わざとらしく蠢かせている】
【あまりにも真面目な話を真面目なままに続けてしまっては恥ずかしいのはお互い様。いわば照れ隠しのようなもの】
【ついでに折角同じ湯に入っているのだから、悪戯なり何なりしようという魂胆だ】
658 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw[sage]:2015/06/06(土) 00:16:54.62 ID:DJ4tSbZvo
>>654

【霧崎の告げる企業の名前に対し大きな反応を見せたのはフレッドの方だった、目を見開いてフードの下から少しその目線をのぞかせている】
【しかし、目ざとい反応はそこで終わりだ―――しばらくすると何か納得したかのようにクスリと笑いながら剛太郎の方をちらりとだけ見て一歩足を引き始める】
【一方の剛太郎は、その名前にピンと来ていないらしく……うーん?と首を傾げて疑問を露わにする】


旭日建設……どっかで聞いたと思うけど……
結構大きな企業で……でも前にムクから話を聞いた時は、ちょっと失礼だけどクリーンな企業というわけじゃないとか……

―――ヤクザ?


【自己紹介を受けた剛太郎の表情が――――ぴしゃり、と固まる】
               ヤクザ
【ヤクザ?YAKUZA?"任侠者"?確かにそう名乗ったのかこの霧崎と名乗る女性は―――?】
【あきらかに次の言葉に困ったような、そんな困惑を感じさせる表情を浮かべながら彼は自分の両手を見始める】
【一方のフレッドの方はずいぶんと落ち着いたものであまりピンと来ていない剛太郎をフォローするかのように】


「あー、聞いたことあるわ『富嶽会』……D.R.U.G.S.の一席にいた組だったな
参加した組織の中では比較的穏健な一味で昔気質の気のいい任侠モンが率いてるってもっぱらの噂だが
クケッ、物騒な奴に親切焼いちまったな剛太郎……あん?」

―――――小指は許して!悪い事はしてないから小指は取ってかないで!


【やや気が動転した様子でなんか両手の小指を両脇に隠して庇い始めた】
【なんなのだろう、この『雷様にへそを持ってかれる』みたいな迷信を信じてる子供みたいな反応は……】
【まさかとは思われていたがこの剛太郎という男、天然めいた性格らしい。―――しゃがんで指を庇おうとするその姿はおおよそ大人らしくない】
659 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2015/06/06(土) 00:23:43.96 ID:8r3rhFFxo
>>656

かーっ!いけねえなお兄さんよ!

【チラシを前掛けの隙間に差して】
【両手をパンッと叩いて打ち鳴らす】

口数が少ないのはしゃーない。まー俺っちもお話はしたいが人には向き不向きも有るってぇもんさ
でもその顔は頂けないってな!……俺っちに次ぐ位のイケメンだがよ!
必要なのは――――

【両手の人差し指を自分の頬に当てて口元を上げ、笑みを作ると】

今日帰った時、「ただいま」の一言を言う時
ほんの少しだけ。待ってる人に向けて笑顔で言ってみな
少しだけかも知れないが、きっと楽しい事になるってーの

【折角袖触れ合って得た縁なのだ】
【人生が少し楽しくなるようなアドバイスをするのも悪くないだろうとの考え】
【…何だか小難しい事を考えている様だと言う風には察したらしい】


白神朱音!朱の音、夕暮れの響!かーっ!カッコイイ名前で羨ましいってぇもんさ!

【別にその名を女々しいと莫迦にしようとは思わない】
【名は体を表すと言うが何せ自分は相手の事をまだ何も知らないのだから】
【これから知り合いになるのだから―――今回の言葉以上の感想は、またいつか出せば良い】

かっ!んじゃ俺っちも名乗らせて貰うってーの!

【そう言って一度自身の前掛け…腰の辺りを掌で音を立てて叩くと】

飛鳥馬 東(あすま あずま) 包丁研ぎの東たぁ俺っちの事よ!こっちじゃ全然名は知られてねぇけどな!かーっ!

あ、気軽にアズにゃんとでも呼んでくれなー?

【そも相手の事を莫迦に出来ない位変な名前であるとか…そんな事は、あんまり東も想っては居ない。あんまり。】
660 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y[saga]:2015/06/06(土) 00:27:26.47 ID:eDuHELOvo
>>657

【彼女が何か、"答え"を見付けたのと同様に―――どうやら"彼"の方も、何かを見付けた様だ。】
【それがどういう理屈で、どういった物なのか、詳細こそセリーナには分からない。分からなかったが、しかし。】
【彼の笑みが、先程までの"それ"とは少し違う、自然な物になっているのは理解できた。それはつまり、素直なモノだ。】

【過程にこそ、意味を求める。術師としてアインが気がついた、一つの答え。】
【いや、気がついたというよりはむしろ―――忘れかけていた何かを、思い出した、という感じだろうか。】
【どちらにせよ、セリーナはその笑顔に対し自分も笑顔で答える。最初は変態だと思ったが、こうして話してみれば―――、】

【そう、話してみれば意外にも普通の、むしろ少し熱血なくらいの人の良い人間だと、そう思っていたの、だが……。】


 ―――ううん、こちらこそ。名前も知らない人に、こんな話しちゃって……
 オマケに励ましてまで貰っちゃって、それこそ本当に何かの形で感謝をs―――っ、えぇ!?

 いや、いやいやいや、いや! ちょ、ちょっとまってよ"おにーさん"!?

 ほんの少し前まで、ていうか今の今までなんかすっごく良い雰囲気だったじゃない!
 なんでまた"そっち"のノリに戻るのさ!? っていうか、この"感じ"はもしかして―――ま、魔法使い……!

 うわぁ、すっごい……水がまるで龍みたいに……、って感心してる場合じゃなくて! ああもう!
 た、たしかに感謝はしてますけどあの、"そういう形"での謝礼はなんていうか、男女の関係的に―――――――


【まともな人なのかと、そう思っていたのに。完全に裏切られる形となって、セリーナは狼狽した。】
【これでは数時間前に逆戻りだ。また、セクハラか。いや、これではもう殆ど痴漢だ。まだ未遂とは言え―――】
【止める雰囲気がある様にも見えない、本気さの伝わってくる魔術だ。雰囲気も何もあったもんじゃない、彼女は赤面して】
【慌てて岩場に置いていたタオルを引っつかむとガードの姿勢に入る。扉の方をチラ、と横目で見て逃走準備はバッチリだ、そして】


 ―――、よくないと、おもいます!


【―――体をタオルで隠しつつ、お湯の中で猛ダッシュ。】
【凄まじい勢いで湯を?き分け、バイクを停めてある方へと逃げ出そうとし始めた!】
661 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/06(土) 00:38:54.61 ID:6LNLXVWb0
>>659

【“彼女”に関してはいろんなことがあった。或いは、ありすぎた、と思うくらいに】
【だけどそれを不満だと思ったことはなかった。今まで生きてきて、たとえ一秒だって、そんなこと】
【意地でも見栄でもなく、本当に、心の底から――】

……やってる。

【それなら、答えも彼の中では決まりきったことだった。でも、それが本当だと信じてもらえる保障はどこにもなく】
【むしろデフォルトでこんな表情が固定されているようなので説得力なんてない。これで、笑うなんて、少し武器もでもある】
【――が。さっき一瞬だけ綻んだ表情を思うと、あながち嘘でもないのかも――なんて、思える余地がある】

【「当然だろ」と真っ直ぐに視線が相手を見つめた。嘘のない目。目つきは悪いけれど、ひどく真っ直ぐな感情を湛え】

ずっと昔に名付けてもらった。いい名だろう。

【――どうやら、彼、特定の話題になると表情が少し柔らかになるらしい】
【名前について褒められれば、なんとなしに嬉しそうだ。空いた手がゆるく胸元を撫で】
【少し誇るようでもある――、思ったより単純な性質なのか。人にもらった名なのだと、自慢(だろう)して】

…………――包丁が駄目になったらお前のところに行くように言っておく。

【名乗られれば、名前より先に彼の職業について興味を持ったようだった】
【それから少し遅れて「東か」なんて呟いて。そしてさらに、「包丁はよく使う」と続き、少しの間】

――これを全部配るんだ。じゃあな。

【少し急なようにも思えたが。相手の名前を聞けば、彼は、それで満足してしまったらしい】
【任務(おつかい)がないときならもう少し話しても良かったのだけど――あんまり遅くなっても、不都合だ】
【説明にしては少し足りない言葉を口にして、また、彼は歩いていこうとする。もちろん――引き止めることは、出来るのだろうが】
662 :アイン ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/06/06(土) 00:44:09.80 ID:y1qEmJdIo
>>660

【人の良い──まぁ間違ってはいないが、相手がおっさんであることを忘れてはいけない(戒め)】
【勿論、そして残念なことに止めるつもりもなければ魔術も無駄に大掛かり。あちこちで湯が龍?蛇?みたいな形状をとっている】
【セリーナの反応は人として当然だ。当然なんだが、人としてダメなおっさんの方は何でか首を傾げていた】


 は? 男女の関係的に当たり前だろ、お前は生娘か
 おっさん相手に謝礼をするっていうんならこれに決まってるだろ、それともお礼しないつもりかお前?


【おっさんが片手を挙げて、軽く振る。それだけで蛇のように持ち上がった湯が一斉にセリーナに飛びかかってきた!】
【更に温泉の中も操作できるらしく、走るセリーナの足元で妙に湯が纏わり付いてくる。下手をするとこけそうなぐらいに】
【幸いにもあと少しで温泉からは出られそうだ。少し耐えれば逃げ切れるだろう】

【勿論、追いつかれて捕まろうものなら──こう、身体中をまさぐられるだろう。湯に】
663 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2015/06/06(土) 00:55:29.95 ID:8r3rhFFxo
>>661

……かっ!いらねえ御節介だった様でってな!

【やっているの一言に、少し安堵した様な息を漏らす】
【目を見ただけで人の真意が分かる程長く生きてはいない…が】
【大事なモノを語る時に嘘なんて、無粋なだけと自分も想っているから…信じてみようとは思う】

言葉尻から察するに両親から貰った名前じゃないのか?
自意識が確立してから貰った名前なのか――――と、その辺の話はまた今度の楽しみにしておくか

【あまり遅くなっても朱音を待つ人に悪いだろうと】
【それに、此方もまだやるべき事が有った】

心配せずとも、こっちから入り浸るだろうよ!かーっ!
ま、いつでも最高の仕事は保障するってもんさぁ!

達者でな、夕暮れの人!
次会う時は…君の夢を語って貰いたい

【引き止めはせず、そう言うと手を振って彼を見送った】

//絡み有難う御座いました!
664 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/06(土) 01:01:04.11 ID:6LNLXVWb0
>>663

両親? 知らないな――。

【とだけ呟いて、その背中が少しずつでも遠くなっていくのだろう】
【からころと涼しげな下駄の音色、ひらりと戯れがてら手を振ってやると】
【その背中が闇の中に消えていく――刹那、ひゅうと狭い道を抜けていくのは、一羽の鳥】

【自然界にはきっと存在しない鳥だ。羽根は鮮やかな紫色、ほんのかすかに流れる緩い風の中を突っ切って】
【あの白い影を追いかけるように闇の中へ消えて、数秒か、十数秒か、あとのこと】
【急に聞こえるのは「手伝おうか?」と少女の声。返すのは、あの男の――「要らない」との一言】

【二つに増えた足音が遠くなっていって――そのうち、何も見えないし、何も聞こえない】
【はじめとおんなじ――東だけが、その場所に残ったのだろう】

/おつかれさまでした!
665 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y[saga]:2015/06/06(土) 01:08:12.45 ID:eDuHELOvo
>>662

【オッサンといえば、彼女の身近にはオッサンがすこぶる多い。】
【生まれと育ちが育ちなだけに、もっと言えば職のせいもあり仕方が無い事と言えばそうなのだろうが】
【それにしても、という感じだ。ここまでの流れで堂々と痴漢行為を働けるオッサンは、今までにも見た事が無い手合いだった。】

【口では達者な者も居たし、セクハラ発言くらいはしょっちゅう聞き流していたが】
【あろうことか直接手段で、かつそれを何の躊躇いも無く行える様な男の対応は、これまでにもない。】
【セリーナはうねうねとうねる水のクリーチャー達に賞賛の気を覚えつつ、「ひっ」と声を漏らして逃げようとした―――が。】


 お、オッサンって自分で言っちゃってるし!!
 アタシが気を遣って"おにーさん"呼ばわりしてあげたのにオッサンて!!
 いや、おにーさんまだ若いよ!! 若々しいよ、老け込む歳じゃないよ生き生きしてるよ!!

 だからね、こんなことせず健全に―――や、いぃ、ぃ―――ひいっ!?
 

【必死の弁明も届かず、まずは右足首を蛇のような水流に絡め取られる。】
【そのままバランスを崩し、前につんのめりそうになって左手を突いたが―――これがいけなかった。】
【伸びてきた二匹目の水流―――いや、"水龍"がソレをすばやく絡めとり、雁字搦めにしセリーナの左腕を捕縛してしまう。】

 ゃっ、なにこれっ……っ!? ん、なんっ―――か、き、きしょくわる―――っ!?

【無理やりにそれを剥ぎ取ろうとした、その行動も良くなかった。迷わず逃げに徹すれば良いものを】
【もがいて龍をどうにかしようとしたことで他の蛇達が殺到、自由だった筈の右腕にも絡みつき、締め上げる。】
【更にはもう片方の足にも蛇が巻き着いて、これでセリーナの両手両足はそれぞれ完全に"捕縛"されてしまい―――】

 っ―――!? うっ、わぁぁっ!? なに、これぇっ!?
 
 ひっついて、と、とれなっ―――うっ、うううん! こん、のぉぉぉ!!

【必死に抵抗する。両手足に力を入れ、なんとか水流から体を解き放とうと。】
【しかし、銃を握ってさえ居なければ彼女は所詮、非力な普通の女性に過ぎないのは事実。】
【もがけばもがく程、逆に締め付けは強くなり、両手を戒める蛇など左右からそれぞれ腕を"引っ張る"ので―――】


 ―――ぁっ!? ちょっ、やめっ……、!

【―――丁度磔にされるような形で、彼女は両腕を自分の意思とは裏腹に"広げられ"てしまい。】
【そこに、もがくようにして暴れたせいで身に着けたバスタオルが―――風で煽られひゅう、と飛ばされれれば―――。】



 ―――っ、……!?


 ―――……き、―――きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!


【―――そんな悲鳴、人生で一度でも揚げたことがあっただろうか。】
【まさにアインの言うとおり、生娘のような反応。だがセリーナは顔を真っ赤にして】
【あられもない姿となった自分の体を隠す事も出来ず、目を瞑って人生初の悲鳴を上げた。】
666 :霧崎 ◆8R7odKA9zA[sage]:2015/06/06(土) 01:15:14.96 ID:oWQhDBRmo
>>658

【財界、政治ともつながる大企業と言っても興味のない人間からすれば知らないのが普通だ】
【これが自動車メーカーとかだったら話は違うがゼネコンと金融だ。彼女は当たり前のように話す】

言わせてもらえば何処の企業だってバックが居て裏でコソコソやってますよ。商店街の八百屋さん
じゃないんですから、そうもしないと維持できない『下手くそ』が多いんです。その点ウチはバックも
フロントも自前でやって、公表してるんですからむしろクリーンですよ。有給消化率も高いですし。

【社員の待遇については相当いいんだと詳細に話す。クリーンじゃないってのが少し引っかかったようだった】
【表はいい顔して裏では私服を肥やすブラック企業なんて流行っている中でウチはヤクザの一族がやってる】
【以外は超ホワイトだと。それは事実であるんだろうけど、それでもヤクザは怖いし。そもそも話す彼女の顔が怖い】

D.R.U.G.S.なんてマフィアの潰し合いに巻き込まれないために嫌々参加しただけです。まあ、今となっては
マフィアという存在そのものごと形骸化してしまっていてこっちの気分は良いわけですけど。昔気質は彼らの方ですよ。
時代の並についていかずにしょうもないシノギで食っていこうとするから……

【非合法な商売と暴力をマフィアという連中はしている中、それらをぶっ潰してまとめ上げたヤクザはそもそもの根本が】
【違うのだろう。結局、攻勢に出たタカ派より穏健派が今まで生き残ったというのは皮肉な話だ】

はぁ?……今どき、小指なんか貰ってもドン引きですよ。ドン引き。…古い人は未だに思いつめちゃって勝手にやりますけど
まあ…抗争相手ならもっと『取った方が』脅しになりますし。…どっから出てきたんですかね。詰めるのって

でも、彫り物はありますよ。背中に……見ます?

【微笑みを湛えて、目元を細めて、ちょいとうなじから色気を出しながら言ってみたが、直ぐに「冗談です。」】
【と真顔に戻って腕の時計を確認した。武器はまだ持っているようである。女の武器というやつだ】

もうこんな時間……明日も仕事なので、失礼させていただきます。

【軽く会釈をして、その場から歩き出すことだろう。長い髪の毛を揺らして、その色は暗い夜にはすぐに消えてしまう】


/物凄く眠くなってしまったのでこの辺で…!お付き合いいただいてありがとうございました
667 :アイン ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/06/06(土) 01:28:00.65 ID:y1qEmJdIo
>>665

【残念ながら目の前のおっさんは犯罪者でもあったので、躊躇などないのだ】
【それにしてもあれだけ真面目な話をしていたことから考えると酷い落差】
【当人に何ら違和感も罪悪感もないのだから余計に酷い話だ】


 む、つい自分で言ってしまったな……いやいや、健全だろ。これも一つの……


【平然と術者が会話に応じながらも操作された“蛇”達は巧みに動く。まるで自意識があるかのようだ】
【それぞれが単一の目的のために蠢き、またセリーナの手伝いもあって容易に話が進み──】
【結果として、セリーナはなんだかえらいことになっていた】

【流石にこの絶叫はアインに残されたちっぽけな善意だか倫理観だかを刺激したのか】
【こう、ちょっと悪いことしたな、といった感じの微妙な顔になっていた】


 あー……わかったわかった、悪かった。だからそんなに叫ぶなよ
 全く、もうちょっとこの手のことに慣れてるかと思ったんだがな……敵にこういうことされないのか?


【セリーナを絡め取っている湯がしゅるしゅると縮んでいって彼女を湯の中へと戻していく】
【尚もアインの言い分はむちゃくちゃだった。敵にされていようが嫌がるのは当然だろう】
【なんだか不満げな顔もしていたが「まぁいいか」などと言う】


 今日のところはこれぐらいで勘弁してやるか……次はもうちょっと適切な謝礼を期待しよう。
 ぶら下がってるホルスタインのようなものも飾りじゃあるまい
 じゃ、“おにーさん”の気が変わらないうちにどっか行くんだな。タオル一枚で居ると、またいつ魔が差すかわからんぞ


【定番の暴言を吐いて悪魔めいた笑みを浮かべる自称おにーさん】
【口ではこう言っているものの、この場に留まったところでこれ以上は何もしてはこないだろう】
【その場合は、他愛ない世間話などを振ったりもするかもしれない。軽く話してから出るか、今出るかは自由だ】
668 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw[sage]:2015/06/06(土) 01:52:39.85 ID:DJ4tSbZvo
>>666

あ、ああごめん……気を悪くしたなら謝るよ、霧崎さん
そうだよな、ヤクザだからって悪い事をしているとは限らないよな……ごめんごめん

「いや素直すぎんだろお前さんよー、全く清廉潔白なヤクザなんて存在しないからな?
ま、世のため人のためにならねえ事を率先して行おうとしないだけこの世でもいくらかマシな存在なのは事実だろーよ」


【この剛太郎、えらく素直すぎる青年である】
【とはいえじきに落ち着いた剛太郎は特に恐ろしい存在では―――少なくとも突然襲い掛かってくる暴漢の類ではないし】
【ましてや雷様のへそのように小指を切り取っていく物の怪の類でもないと理解し、態度を改める事だろう】


「おう剛太郎、一応確認しておくがヤクザってのは人様の小指を取っていくバケモンの類とちがうからな?
しかし本職の連中のなかでもエンコ詰めるってのは時代遅れなんだな……時代は常に動いていくモンなんかね」

あーわわわわ!いい、大丈夫です!心の準備もできてないし!後女の子がそう簡単に肌を見せては……ああ冗談か
そうだね、あんまり遅くまで起きてるといい仕事の敵だって言うし休もうか、お肌にも悪いし―――じゃあ、ごきげんよう!


【こうして、偶然出くわした任侠者の女性との会話を終え、夜闇へと消えていく霧崎の背中を見届けたなら】
【彼らもまた、その場から立ち去っていくことだろう―――】

【To be continued…】

/あいです、遅くまでお疲れ様でしたー!ではまた!
669 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y[saga]:2015/06/06(土) 08:57:34.71 ID:eDuHELOvo
>>667

【"世界台無し選手権"とか、そういうグランプリって無いのだろうか。】
【あればこの二人は相当良い線を狙える気がする。いや、だから何だという話だが。】
【ともあれ、本当に台無しなのは確かだ。善悪、正義の境界線、それを深い位置まで語り合う二人】

【それが数分後にはこうなっているのだから、本当に救い様が無い。】
【セリーナは顔だけじゃなく身体も心も真っ赤っかに染めて、ようやく開放されると】
【信じられない、という様子でアインめがけ怒号を飛ばすだろう。半分涙目で、物凄く恥ずかしそうに。】


 ―――おやじ!! この、このオヤジ!!

 アンタなんかオッサンじゃなくてオヤジで十分だ、このセクハラオヤジ!!

 な、なにが『生娘でもあるまいし』だよ!! 生娘だろうがビッ○だろうが嫌なモンは嫌じゃい、このアホ!!


【水分をたっぷり吸い込んだバスタオルをぎゅーっと丸めておもっきり投擲。】
【セリーナはその後、舌をベーッと出しながらそそくさとお湯から上がってしまうだろう。】


 ―――……だ、だいたい敵に戦闘中にされるのとこういう場所でこういうタイミングでされるのとじゃ
 天と地ほどの差があるでしょうに……っ、そ、そいういう事わかりませんかねぇ。わからないでしょうねえ、ええ!
 ……はぁ。もうっ……ほんとがっかりですよ。もっと、やり方を考えてくれれば―――……その、考えてあげたのに……。


【後半、なんだかぶつぶつとつぶやきつつ。セリーナは乾いたタオルで身体を拭きながら】
【手早く服を身に着け始める。そして、着替えが終わってから再び、アインに言葉をかけるだろう。】


 ―――でも、その……、


 ……本当に。本当に―――ありがとう。

 
 感謝しているのだけは……それだけは、本当なので。


 ……また、いつか……、―――……。



【此処で会えますか。そう聞こうとして、セリーナは口篭った。】
【そして恥ずかしそうに顔を背けると、足早にバイクへとまたがり、エンジンに火を入れる。】
【特徴的なVツインの鼓動が唸り、振動で空気が震える。そのまま彼女は、何も言わずに去っていってしまった。】

【だが案ずることは無い、直ぐに二人は再会することになるだろう。】
【セリーナは紙面で、彼の顔を見ることになる。曰く―――"六罪王"アイン、風の国襲撃の声明を宣言―――。】



/遅くなりましたが、こちらはこれで〆、とさせて頂きます。
ありがとうございました!&大変申し訳ありませんでした。
670 :アイン ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/06/06(土) 13:00:38.43 ID:y1qEmJdIo
>>669
//お疲れ様でした!
671 :主催 ◆r0cnuegjy.[!nasu_res saga]:2015/06/06(土) 19:00:11.52 ID:ARPCLVodo

【────その日、風の国の首都エルジオは静寂に包まれていた】
【六罪王『ロード・ケイオス』が送りつけてきた書簡には、市民を避難させようとした場合は日時を変更して奇襲するとも書かれていたために】
【軍は市民を避難させないままに、家から出ないように警告。それ故に街から人影の全てが消えていた】

【風の国の軍部は書簡に記された箇所に事前に罠を設置。更に監視部隊や狙撃部隊も配置して来る六罪王に備えたが】
【ある時間に達した瞬間に配置した部隊の全てから連絡が途絶。罠が破壊されたことも確認】
【迎撃が失敗したことを受けて、軍事作戦は次の段階へと移行した。つまり、部隊を用いた直接戦闘だ】

【街の出入り口の一つ。広漠な草原へと繋がるその境界線に、有志と編成された部隊の、総勢五百六十超えが集められていた】
【時刻は夕暮れ時。地平線に広がる夕日が軍人たちの表情を照らし出していく。彼らの視線の全てが一点、指揮官へと向いていた】
【部隊のほぼ全ての軍人が銃器ではなく、それに似た形状の武器や、剣や槍といった古めかしい装備を身につけていた】
【彼らの殆どは魔術師だった。風の国の軍部は魔術師によって構成されているのだ】

【指揮官が部隊に向けて激励を始める──だが今日において重要なのはそれではない】
【部隊から少し離れた場所に有志の面々は集められるだろう。彼らの前に立つのは軍服姿の若い男だ】
【夕日に照らされて輝く金の髪に真っ直ぐに前を見つめる強い瞳。他の軍人とは少し違った服装に、地位の高さが表れていた】


 『初めまして。私はジェラルド・フェルディナント。今回の作戦において、君たちの説明役を仰せつかった』

 『集まってくれた君たちには感謝の念が絶えない。我々の国は我々自身の手で守らねばならないが、相手はあの六罪王だ。我々だけでは勝利を掴むのは難しいだろう』

 『そこで今回の作戦は君たちと我々本隊による協力が肝要だ』

 『偵察部隊によるとエルジオと敵陣地の中間に部隊が展開しているとの報告がある。それを真正面から撃破していては時間が足りない』

 『だが、無視もできない。よって君たちの一部には我々が敵部隊を足止めしている間に迂回して敵本陣に突入』

 『六罪王の撃破、あるいは長距離砲撃の阻止をしてもらいたい。つまり、君たちが主役だ』

 『敵に関する情報は少ない。新たに就任したとの噂があるばかりだ。そんな状況に君たちを巻き込んだことを申し訳なく思う』

 『だがどうか、我々の国を救うために力を貸してほしい』


【作戦の説明が終わるとジェラルドは軍隊式の敬礼をして、指揮官の元へ報告に走って行った】
【それからしばしの時間を置いてから、作戦が開始されて部隊が進軍を始めた】
【有志の一部の誘導は引き続きジェラルドが行い、彼らは戦線とは別の場所に送られるだろう──】


【程なくして戦火は切って落とされた】
【指揮官の号令によって暴風が草原をなぎ払っていく。種々様々な魔術が放たれて轟音を響かせていた】
【しかしそれは遠くの景色。迂回させられた突撃部隊は十分に戦場から離れていて、砲火に巻き込まれることはなかった】

【怒号、粉塵。迂回していて距離があっても、丘の上からは遠くに広がる戦場を見ることができた】
【風の国の精鋭が戦っているのは、夕日に照らされて尚暗い影の獣ども。様々な形をした怪物の群れだった】
【敵側に人の姿はただの一つたりともない。五百を超える軍勢と戦う群れの全ては──魔術による召喚物だった】


 『……すまないが私が案内できるのはここまでだ。ここを直進すれば、敵陣地のはずだ』

 『君たちの手助けをしたいのは山々だが、私も自分の部隊を率いねばならない』

 『どうか、死なずに全員帰ってきてほしい。君たちの勝利を願っている!』


【最後にもう一度だけ敬礼をして、戦線の方に向き変えるとジェラルドは空中に浮かび、飛び去っていった】
【遠くの戦場では魔術の発動と魔力の波濤が生じていた】

//続きます
672 :主催 ◆r0cnuegjy.[!nasu_res saga]:2015/06/06(土) 19:02:16.17 ID:ARPCLVodo

【ジェラルドが示した方角へ進めば、丘を登りきった先に小さな人影と巨大な光、そして暗い塔にも似た何かが見えるだろう】
【丘の先、緩やかな谷になっている場所に魔法陣が光り輝いていた。その中心に漆黒の砲塔】
【その正面の岩に、一人の男が座っていた】

【背後の砲塔よりも僅かに薄い色の黒の髪。髭がなく微かに皺の刻まれた顔つきは三十代前半といったところ】
【血のように赤黒い外套が身体を包み、脚まで伸びる裾がこの土地特有のそよ風になびいていた】
【左耳につけられたルビーのイヤリングが、夕日を受けて光り輝きながら、妖しい魔力を発していた】

【男は目を閉じたまま、ただ静かに微動だにしないでいた】
【だが不意に立ち上がると、丘の上にいる来訪者たちへとその鋭い瞳を向けた】


 ──────来た、か


【砲塔を背後に庇いながら、彼はゆっくりと魔法陣を回るように移動して、立ち塞がった】
【黒髪と外套の裾が風になびき、草原の草が舞い上がった。そよ風が、突風に変わる】


 見知った顔もいるじゃあないか……二度も俺と戦おうなんて無謀なやつだな
 確かお前は図書館で戦ったやつだったか、名前は残念ながら覚えていないな……ククッ

 残りの二人は知らんな。自己紹介をしておこう


【不敵な笑みと共に大仰な動きで男は両腕を広げた。賞賛を浴びるように。立ち塞がるように】

 我が名は六罪王『ロード・ケイオス』、またの名を『アイン』


 ──────お前たちへの


       “無辜の民”への


        “世界”への


        反逆者だ────!



【瞬間、『ロード・ケイオス』を中心に圧力にも似た風が吹き起こる。放出される膨大な魔力によって】
【同時に彼の背後の砲塔が獣のように唸り声をあげた。鈍く光り輝き、周囲の魔力を吸収し始める】


 名乗りも終えたことだし、そろそろ始めるとしよう
 何、安心しろ、退屈はさせん。六罪王とはいえ新入りだ、俺だけではお前らも面白くないだろうと思って

 今日は特別に、“もう一人”呼んでおいた


【ケイオスが手を前に翳すとその中に槍が生成される。二股の矛先を持つ儀式杖めいた槍だ】
【もう一人というのが誰か。それは彼の後ろを見ればすぐにわかるだろう────】

//ではイベントを開始します
//主催の組の方々はこちらへレスをお願いします
//ただし、次のレスはダグラスさんをお待ちください。残りの順番は初回は自由です。次からちょっと順番をお願いします
673 :ダグラス・マックスウッド ◆iBPkBgx72E[sage saga !red_res]:2015/06/06(土) 19:23:09.91 ID:96GN9wF2o
>>671-672

――フフッ。カッコイイじゃないか、アイン。
まさに"悪役らしい"口上だ、後はその言葉を力で裏付けするだけ…――。

うん、そうでなくちゃ……六罪王に推挙した僕の面子って物もあるからさ


【『ロード・ケイオス』――今回の襲撃作戦を企てた魔術師であり、新たな六罪王】
【その男の背後から姿を見せるのは、白いワイシャツにジーンズという】
【実にラフな出で立ちの若者だった。ふわりと柔らかな金髪が特徴的で】

【また、その手にはジョウロが握られており、周囲をふらりと歩きながら】
【透明な液体をはらはらと膝丈の草原に撒いていた。その姿は、とても大悪の徒とは見て取れず】

【――しかし、今こうしてアインに立ち向かうものの中でも彼を知るものは居るはずだ】
【特にある青年などは、先日矛を交えたばかりであり――彼はニヤリと笑って見せ】


というわけで、ご紹介に与ったダグラス・マックスウッドだ……これでも一応、六罪王だよ。
いつもなら傍観するタイプなんだけど、彼を機関に引き込んだのはまさに僕でさ

そのアインが、六罪王として初めての大仕事に掛かるって言うじゃないか
そうなれば手を貸さない訳にはいかない。結果的に、此処には二人の六罪王が並んだ訳だ

……さて、僕は剣を振ったり殴りあったりと云うのは苦手でね
どうしようか、と考えた結果、彼の後方支援に回ることにさせてもらったんだ
というわけで狙うなら是非、前衛のアインからよろしくね?…――フフッ


【液体を撒き終わると、ダグラスはジョウロを投げ捨てる。漂うのはツンとした油脂の臭い】
【ロード・ケイオスの風に合わせるようにして液体が発火すると、戦場は炎の壁に包まれる事となる】

【といっても、駆け抜けることは容易だ。広い範囲に燃え広がってはいたが、焼死の危険性は薄い】
【つまりこれはダグラス流の"演出"なのだった。複数名の能力者、という『役者』を引き立たせるための仕掛け】
【当の本人はアインの陣取って、武器も構えずに火の粉混じりの風を受けながら楽しげに笑っているのだった】

/お待たせしました、当方ダグラスでございます。皆様、本日はよろしくお願いします!
/また炎ですが、全員を大きな円状に包み込んでいるような状態です
/時間経過でどうということはないので、機会があれば利用する程度に思って頂ければっ。
674 :Nero[sage saga]:2015/06/06(土) 19:34:27.63 ID:G7Nw2NlsO
【草原は爽やかさの中に不穏な生温さを孕んだ風に包まれていた】
【そこは風の国近辺の広大な草原、今風の国は六罪王アインによる砲撃予告により混乱の最中にあった】
【そして来る戦の時、六罪王アインが砲撃の準備を行う谷から少し離れた小高い丘の上には其の戦火を見据える一人の人影があった】
【彼の者の名は機関No.2Nero。六罪王アインの風の国襲撃を支援するべく、そして自らの暇を満たすべく此処にやって来た一人の凶人】
【彼は丘から遠くの草原で鳴り響き、唸りを上げる戦火を眺めながら自らの服と周囲の少々の暗闇から歪なる凶器を取りだし始めた】

さて……と。ようやく始まったかぁ、あぁ暇だった……ぃよし、んじゃ俺も早速動きますか。
F22ラプター×2、1/2、形状支配<インペリウム>

【彼がそう呟くと漆黒の服の背中から同じく漆黒の翼のような物が競り上がって来る。それは次第に形を為し最後に巨大な戦闘機を模した鋼鉄の翼となった】
【彼は其のエンジンを点火させると瞬く間に戦場の空へと舞い上がった。そうして遥か上空から草原で唸りを上げる魔法を放つ軍隊目掛け、数発搭載したミサイルを放つ】
【彼は其が爆発する様子を見届けると空中で一回転し、戦場の中心へと落ちていく、彼の速度は徐々に上がり、着地と同時に草原の地面を捲り上げた】

よぅ〜し、第一波成功かね?んじゃま次行きましょ〜
へーぃ、刀カモン

【そう言うと彼は腰に下げた小さなサーベルを引き抜くと其を解放する。途端に刀身は倍近くまで伸び、彼は其を振り払う】
【そうして鋼鉄の翼を持った剣鬼は戦場を闊歩し始めた】
【其の男と対峙するは歴戦の古兵か、はたまた異能の申し子か……】
675 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y[saga]:2015/06/06(土) 19:39:21.82 ID:eDuHELOvo
>>671-673

【集った五百を超える魔法使いの兵達。国軍の誇る精鋭、真の英雄が彼等だ。】
【だがそんな"彼等"を以ってしても、多量に展開された"魔獣"達の相手をするので、精一杯。】
【風が吹く。強い強い風が吹く。その名を背負いし"疾風の大地"を、強風と暴風が薙ぎ払っていく―――。】

 ―――ったく。元気を取り戻したかと思えば、急用でこっちには手がまわらねえ、とはな。
 とはいえ、俺も俺で請け負っちまった仕事だから最後まで"リーダー代理"を勤めさせて貰うけどよ。
 ……貰うけどよ、にしたって間が悪いぜ。リーダー代理の仕事最終日に襲撃予告を入れて来やがるとは。

 ―――野郎、町を大砲で吹き飛ばそうたぁなかなか太ェ根性してやがるぜ。
 どれ、"オニーサン"がここいらでちょっとヤキ入れてやるかな。

【ブォン。並列四気筒エンジンのシルクの様な高回転音が舞台となった草原に鳴り響く。】
【背後に見える戦火を後に、"彼"は愛車であるリッター・スーパースポーツタイプのバイクに跨ると】
【ノーヘルメットのまま勢い良くスロットルを捻り―――そのまま、草地を爆走、一直線に戦場へと向かう。】

 ―――安心しろよジェラルド!
 街は絶対に吹き飛ばさせん、なんたって此処は風の国だからな!
 一発か二発、打たれたところで神風が吹いてぴゅーっと砲弾を―――、あいや、冗談だって。

【背後へ戻っていくジェラルドに軽快にジョークを飛ばすと、"彼"はさらにスロットルを開けフル加速。】
【イタリアン・レッドが風を切ってぐいぐいと進み、そして―――視界に"ソレ"が見えてくると、バイクを木々の間に止めた。】

【男の格好は変わっていた。この季節だというのに真っ黒のレザー製ライダース・ジャケットに身を包み】
【その下には、これまたギラギラとしたワイン・レッドのシャツをこれでもか、という位ボタンを『全開』にして着込み】
【下半身はオーソドックスなレザー・パンツで覆って、なんというか―――季節感が無い。暑そうだ、本人は涼しげだが。】

【手に持った端末―――"W-Phone"をポケットの中に放り込むところを見るに】
【彼もまた、UNITED TRIGGERの関係者であろうことは計り知れるだろう。】
【だがそんな風変わりな彼でも目の前の"威圧感"には流石に―――】

 ……うっひゃぁ。魔術師ってトコロか?
 それにしても大胆な仕掛け、魔術式の超巨大大砲にフィールドの術式……ひぇぇ〜。
 こいつは程々に高度だなぁ、素人にはとてもじゃねえが用意できねぇタイプの魔術だ。となると―――うおッ!?

【―――慄く。突風が吹き荒れ、現れた"アイン"に対して彼は―――ならば、と自己紹介を重ねた。】


 ―――ッハハハハ! 派手な歓迎だな、いかにも六罪王、って感じだ。
 嫌いじゃない、嫌いじゃないがそれにしても―――なんだ、反逆者だって?
 聞き捨てならねェな、俺は反骨精神バリバリの人間には興味がある、時間さえありゃ色々と語りてぇトコロ、だが―――、

 どうにも、こっちのお仲間さんとはもう既に知り合いみてぇだな。
 その上お仲間さんの表情をかんがみるに、お前さんどうやらロクでもねぇタイプだろ。
 つーことで……悪いがお話はブッ潰してから、って感じになりそうだな。ああ、紹介が遅れたな!

 俺の名はキング!苗字は知らん、ロード<君主>とキング<王様>じゃどっちが上かは―――言うまでも、ねぇよな?

【―――男は、何事も無かったかのように風に"耐え切った"。暴風を受け、その身で弾き】
【尚も君臨する―――なるほど、どうやらとてつもない身体能力を保有していそうだ、ニヤリと笑って】
【―――いたのだが。>>673の登場により、その表情にも変化が。】

 ……オイオイ、二人もかよ。六罪王が? なんだって? よりにもよって、俺の仕事の最終日に?

 冗談じゃねぇ!!おい、そこのナヨッとした六罪王らしくねぇのとオッサン魔術師! 
 悪いが俺にはこの後デートの予定が詰まっててな、―――五分で終わらせてやるぜ。


【引き抜いた二挺拳銃を構えると、その銃身に"魔力"をチャージしていき】
【景気づけ、最初の小手調べとして一斉に解き放つ―――レーザーの様な弾丸が、雨霰の様に両者へ襲い掛かった!】
/キングでーす! みなさんよろしくおねがいします!
676 :キング ◆/iCzTYjx0Y[saga]:2015/06/06(土) 19:40:42.54 ID:eDuHELOvo
/あ、すいません。名前がセリーナになってました、でもキングです!
677 :天辰 ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/06(土) 19:43:50.65 ID:9HINUzGDO
>>671-672

【六罪王撃破部隊の中にいるのは、1人の男だ。それも、まだ若い男だった。顔立ちは東洋人のソレ──櫻の国の出身者だろうか】
【腰には一振りの刀。剣士か。服の上からだと筋肉があるようには見えず、どちらかというと優男のよう】
【ワイシャツにズボンというやたら質素な服装だが、その素材はそれなりのもの】
【彼は天辰警備保障という民間警備会社の「若旦那」であり、会社PRのため時折雑誌の広告欄に顔写真が載っているのだが──この際、そんなことはどうだっていい】
【名乗りをあげたアインに対し、天辰もまた己の名を告げようとした時。彼は気付いた。気付いて、しまった】


   ──── 六罪王が、ふた、り…………、も…………?


【彼は元来気弱な性格。元より戦場には向かない気質。だがそれでもこの場に居るのは、それが仕事であり、彼の「立場」が「そういうもの」だからだ】
【──震える手で、刀を抜く。一族伝統のその刀。銘を≪天龍≫という】
【直後、炎に包まれる戦場。かたかたと鳴る歯を、ぐっと噛み締める。──ぶわりと、台風の直前の如し熱気と湿気が、炎に重なるようにして周囲に溢れ出す】


   ────天、断つ、龍よ…………!



     【 ざ、ぁ────!! 】


【天辰がそう呟いた瞬間。雲もなかったはずの戦場に突如、局地的な雨が降り始める……!】
【自然現象のはずがない。これが彼──天辰 櫻の、能力か。ひゅう、と天辰の周囲に、風が舞う。羽衣の如く風を纏い、天辰は視線を2人の六罪王からアインのみに絞った】


…………皆さん。僕は、前衛を担当します
この雨はしばらく続くでしょうが……気にしないで、ください──!


【──味方全員に、天辰は軽くそう告げた。そしてたぁんとその場を蹴り……急激に加速!】
【風を纏った天辰。その動きはただの疾駆よりも速い。疾風の如き速度でアインに肉薄しようとし……】
【それが叶えば、まずは初撃。速さはそのままに、アインの胴体中央部に刺突を繰り出す──!!】

/天辰です、よろしくお願いします!
678 :ベル ◆/Pbzx9FKd22015/06/06(土) 19:50:16.20 ID:qnyClSjb0
【時は夕刻。風の国、首都エルジオ付近の大草原において、集結した能力者と六罪王の戦いが始まろうとしている。】
【場所は少し変わって、そびえ立つ巨大な砲塔を臨める位置、規模は小さいが樹高の高い林の近くに一人の少女の姿があった。】
【濃紺の長髪に同じく濃紺のセーラー服を着用し、その上から大きな白衣を羽織った少女は砲身を見上げながら呟いた。】

ふぅん、アレが新六罪王サマの長距離射撃翌用大砲か…。まだ発射したって様子じゃあ無い、威力は高いがロードに時間がかかるってタイプかな?
まあとにかく間に合ったんだから御の字だね、…どうせ興味本位で見に来ただけなんだけどさ。

【呟く少女は何か黒い生物の背に乗っている。その生物の足元には、軍人達の無惨な死骸が転がっていた。】
【生物の名はシャーマン、櫻の名前で呼ぶならばテナガフクロザル。チンパンジーの両腕を2倍ほども長くしたような外見であり、喉元にある卵型の大きな半球が特徴的だ。】
【異様なのはその生物の巨大さだった。目測で体高は4mから5m、腕は伸ばせば一本で8mはあろうかという怪物である。】
【片腕で頭上の枝を掴みながら、もう片腕に掴んだ巨大な石で軍人の体を砕いている。食べやすいようにしているのだ。】
【少女は大猿の肩に腰掛けて、両手でその巨大な頭にしがみ付いている。】

それにしてもこの人達は聞き分けが無かったなぁ、僕はあのオジサンの味方をしに来たんじゃないって言ったのにさ。
「こいつ」を連れていると無条件で敵ってみなされるのかな。…まあ君、確かに凄い外見だもんね。って納得しちゃあ駄目かな?うふふ。

【楽しそうに一人けらけらと少女は笑う。ひとしきりそうしていた後、少女は何かを期待するように黒い巨塔を再度見上げる。】
【早く始まらないかなあ、そんなことを呟く少女を背負いながら、大猿は死骸から脳味噌を掬い取って食べた。】


/遅れてしまい申し訳ありません、アサドさんの方、よろしくお願いします!
679 :ベル ◆/Pbzx9FKd22015/06/06(土) 20:12:36.70 ID:qnyClSjb0
>>678
/すみません、テナガフクロザルではなくフクロテナガザルです!凡ミス申し訳ありません!
680 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw[sage]:2015/06/06(土) 20:13:21.49 ID:DJ4tSbZvo
>>671>>672

【―――説明を一通り受け、相方の子犬を引き連れて戦場へと歩みを進めていく者がいる】

【柑橘系の甘酸っぱい香りが漂う整髪料で整えた茶の短髪、真っ赤な瞳に整った鼻筋】
【水色の質素なシャツを白い柄シャツの上から羽織り、腿や脛にダメージがはいった青のジーンズに赤のスニーカー】
【首には常に彼の妹からプレゼントで貰った赤いマフラーを巻いているのが特徴的な長身の青年―――剛田 剛太郎だ】

【いつものように棺桶の形をした魔術礼装を引きずり、すでにその腰には棺型の魔術礼装と同じ装飾のベルトが巻かれている】
【その目は―――日頃の彼を知る者ならば目を疑うほどに鋭い目つきでアインを睨み、抜身の刀のような闘志を発揮しながら言葉を発するだろう】


―――そういえば、俺お前に名前を名乗った覚えがない……味方になにか言ったような気はするけど
よし、じゃあ改めて名乗ろう……俺は剛田 剛太郎。おまえが再び宣戦布告してきたと聞いて戦うために駆け付けた……
聞いたぞ、お前六罪王になったんだってな。ダグラスと同じ地位だ……お前くらいの力量なら……まあなれてもおかしくないな

お前が戦いを挑み続けるならば俺は受けて立つまで。それが……先の戦いで死んだみんなへの供養だ。
アイツらの無念こめてお前をぶん殴ってやる……構えろアイン!俺たちが倒れるか!おまえが倒れるかだ!―――コナゴナにしてやる!

「―――待てぃッ!剛の字!警戒を強めろ……本当に『もう一人』来ている!それも……お前さんにとってはよりにもよって、な奴がのう……!」


【相方の―――レッドカラーのトイプードルに身をやつした老人、ムクがその『嗅覚で魔翌力などを探知する技術』を使ってもう一人の接近を感知した】
【この反応は『前回すでに会っている人物』のモノだ……よりにもよって1ヶ月も入院生活をする羽目になった原因、その張本人―――ダグラス・マックスウッド!】
【流石の剛太郎も驚愕を隠せない―――目を見開いてその男の登場を確認する】


ダグラス……!なんてこったい、二人まとめてお出ましかよ……一人でもやばい所を二人一斉にとは……
―――いや、でも都合はいいね……揃って出てきてくれたなら二人まとめてぶん殴るまでだッ!美術館での借りを返してやる!

「火で囲まれた空間に雨……か。奇妙な空間じゃのう―――ひどく蒸し暑くなる気がしてならんわい
剛の字、『リキッド』で対抗する事を勧める……熱に体力を奪われず、雨を利用する事ができるかもしれん」

オッケー、あんがとムク!

/続きます
681 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw[sage]:2015/06/06(土) 20:13:53.22 ID:DJ4tSbZvo
>>680続き

――――変 身 ッ ! !


【手渡されたのは青い宝玉のついた鍵。剛太郎は錠前とカギを持った両手をクロスして前に威圧するように差し出して…次に肘を引いてカギを持つ右手を顔の横まで引く】
【そしてその錠前を持つ左手を右手へと持って行きそのままカギ穴に差し込んでガチャリとひねった】
【するともう一度錠前の外殻が凹凸状の溝にそって割れ、内側から青い輝きを放つ】
【そのまま引き抜いて錠前を前に威圧するように差し出すと、錠前の内側から吹きこまれたような声が響く】

「―――『liquid≪リキッド≫』 Lock-free』

【内側から青く開いた錠前をベルトの中央部に押しこむと金属を叩き割る様な甲高い音が鳴り響く】
【ブル、と空気が震え剛太郎の身体が銀色の、というか鉄の色をした何かのエネルギーに包まれる、そしてその同時に棺桶型の魔術礼装が彼の後ろに移動した】
【錠前に連動するかのように棺桶が開くと……そこから青い装飾がふんだんに飾られた白い杯のような物が姿を変えて行く剛太郎に接触する】

【バリン!と割れると…無機質でのっぺりしたシルエットの戦士が登場すると同時、杯が入ったエネルギーが肩や胸のプロテクター、仮面のパーツになる】
【胸と肩などでつなぎ合わせその顔の前面に仮面のパーツががっしりとはまれば…】

【顔の正中線を赤い刃が突き出した横縞の溝のついた防護の鉄仮面の下から青い複眼を覗かせた異形の顔立ち】
【肩や胸に肩衣半袴を思わせるデザインの堅いプロテクターで覆われた肘や膝に鮫肌のようにザラリとした手触りのサポート】
【手の淵や踵は鋭く尖った鉄となっており、そしてその左腰にはなにか―――青い紐状の装備が取り付けられている】

【鬼神鎧装『炎牙』リキッドフォーム!水の力を駆使して戦う形態への変身を遂げる!】


俺も近距離でやり合うのが得意なんでね!後衛は後ろの派手ジャケットのアンちゃんに任せて俺も行くぜ!―――葉隠流 『椿』!


【天辰が先んじて距離を詰めるのと同時、変身を完了させた剛太郎―――『炎牙』が左手を腰に溜め、右手を前に突き出す基本姿勢に】
【そして前進を開始―――ややジグザグした軌道で動き、相手に遠距離攻撃では狙い辛いであろう動きでかく乱を狙う】
【距離はお互い拳も武器も届く距離、ここまで近づいたところで―――】


葉隠流 『黒百合』!!


【コークスクリューブローの容量でインパクトの瞬間、威力を上げる拳を放つ!】
【狙いはいきなり顔面狙い―――強い感情の籠った拳だ、今なおこの男の怒りが収まっていない事を触れずとも感じ取れる―――!】
682 :アサド・アル=アーデル ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/06(土) 20:14:02.52 ID:y/AnSVCto
>>678

【遙か遠く、草原地帯で勃発する戦乱を睥睨するよう、背高な木々が林を成してそびえ立っている】
【その足下で公然と少女と化け物による殺戮が行われていようが、木々は何も思わない。何も言わない】
【戦域からも離れた場所だ。彼らが物言わぬ無機物である以上、その凶行を止め得る者はもはや居ないかと思われたが、】

【――――ドゴン!! という"砲撃音"が少女の耳に届くだろうか】
【発生源は六罪王アインの守護するあの巨大砲塔ではなかった。もっと別の砲塔から、橙色の"炎の魔弾"が大猿の顔面へ撃ち放たれたのだ】


――――おい、お嬢ちゃん。それにそこのデカいの。
そこで、何をしてやがる?


【狭い木々の間を正確に射抜いて飛ぶ魔弾は、まさに"砲撃"に相応しい威力を帯びている。もし着弾すれば爆発し、強い爆風と衝撃波をまき散らすだろう】
【……そして、それが当たるか当たらないかに関わらず。十五メートルほど先、木々の間に隠れていた"砲撃手"が姿を現す】
【鋭い銀色の双眸。肉質で背の高い体格に褐色肌、ボサボサで短い黒髪。少し睫毛の長いタレ気味の目に、鼻が高く彫りの深い顔立ち】
【黒いタンクトップの上に真っ白なジャケットを羽織り、ぶかぶかのズボンをポーチや無線のついたベルトで腰穿きして、首からはドッグタグを下げた男だ】
【――腰元のポーチの一つには、"SCARLET"を表す緋色の鷹のエンブレム。それだけで、男の身分は明らかだった】

【少女と彼との間にはやや距離が空いているが――それでも解るだろう。男の体から発せられる覇気と静かな怒りが】
【落ち着いた風な口調とは裏腹に、詰問の声は大きい。距離が遠いので声を張らなければならないというもあるが、何よりそれは男の激情の現れだ】


俺は向こうのでっけえ筒を破壊しに来たんだがよ――。
この状況、どうも俺の役割は別にあるのかも知れねぇな。……嬢ちゃん、あんた、カノッサの手の者か?


【黒色の特殊魔鋼をベースに要所を白い強化パーツで覆った、巨大な"大砲"。中腰でそれを構えて銃口を向けながら、男は更に問うだろう】
【よく見れば銃砲の側面には小さなモニターが取り付けられており、『Al-Hadi(アルハーディ)』という文字が浮かび上がっている。この大砲の名前か】
【まだ年端も行かない少女が、化け物を引き連れて無感動に人を殺している。男にはこの状況がそう見えた】
【……怒りとも悲しみともつかない複雑な感情が去来する。それでも――容赦はできない。答えによっては、すぐさまこの引き金を引く覚悟だ】


/アサドです、本日はよろしくお願いします!
683 :ワザワイ・エスパス[sage]:2015/06/06(土) 20:20:23.01 ID:CRfb7sgW0
>>674
「あひゃ♪」

【紫色の影が一陣の疾風となって人外の兵士達をその手にした長物の凶器である者は首を刃に引っかけられて、ある者は袈裟掛けに切り裂かれて赤い、時にはそれ以外の色彩を噴き出して動きを止める】

「?」

【空に風を切る音を感じて何事かと上空をその人物が見上げた瞬間、ミサイルによりその場所が爆音と共に土煙で覆われる】
【風の国の兵士や召喚獣達のバラバラになった亡骸の中、一つだけ原型を保ったオークのような怪物の死骸、その中からその何者かが糸を引く体液を伴って凶人の前に姿を表した】

「ねーねー、さっきのドッカーンってやつおにぃちゃんがやったのぉ?」

【どんな作用か体液が瞬く間に固まり、手でパキパキと払い落とされる】

「あのどっかーんってやつ名前はなんて言うの?教えてぇ!」

【その姿は意外な物で意外な者だった】
【腰まで届く紫の長髪に深紅の大きな垂れ目】
【純白の雪肌にそれを包むノースリーブかつ臍出しの水兵服】
【アームカバーと手には戟と呼ばれる長物】
【まだまだ幼く中性的な容姿は俗に男の娘と呼ばれるそれであり、一切の緊張感なく凶人に無垢な笑顔を向けて問う】
684 :主催 ◆r0cnuegjy.[!nasu_res saga]:2015/06/06(土) 20:22:08.54 ID:ARPCLVodo
>>673

【草原に広がる炎がケイオスの顔を照らし出す】
【熱風に煽られようとも、むしろ心地良いとばかりに魔術師は目を細めていた】

 ハハッ、粋な計らいじゃないか、ダグラス。炎とは景気がいい!
 俺だってお前に前衛などやらせるつもりはない……その分、後ろで砲撃でもしてろ

>>675

 ほう、UNITED TRIGGERということは、あの“小娘”か
 ちょうどいい、世界が優しくないことを示すならば知人を死体にしてやるのが丁度いいだろう

 ロード<君主>とキング<王様>のどちらが上か、その理さえ変えてやろう……!!


【槍が振り払われ魔力を放出。自身に向かってくる弾丸をその一振りだけで弾き飛ばしていく】
【だが防いだのは自分に向かう分だけ。当然だ、背後にいる男に対して小手先調べの攻撃程度が通るはずがない】
【ならば、わざわざ防いでやる道理などない──!】

>>677

【若い剣士が六罪王の瞳に映る。震えを抑えているかのようなその姿に、彼は獰猛な笑みを浮かべた】

 六罪王が“二人”で怯えてるとはおかしなやつだ……六罪王と戦うつもりできたのだろう?


 ────何故、“生き残れる”と思って来た?


【槍が旋回。疾風の如き刺突を、閃光の一打が弾き飛ばす】
【魔術師であれば近接戦は不利。それはほぼ確実な事実だったが】

 震えた足で踏みとどまれるか!!

【回転した槍の矛先が櫻へと向き、高速の刺突が三度襲いかかる】
【更にケイオスは即座に後退、距離を取っていった】
【迎撃、反撃、後退の動きに淀みがない。魔術師における常識はこの男には通じていなかった】


>>680>>681

 前回はお前に“してやられた”からな……同じ展開は避けたいところだ

【複雑な動きをする剛田をじっとして構えるケイオス】
【顔面を狙った打撃を屈みこんで回避しつつ、数歩分後退。距離を取った上で間に影の幕を形成】
【幕が槍状に隆起して剛田の全身を貫かんと迫り来る。その隙にケイオスは更に後退】

>>all

 ではそろそろ攻撃させてもらうとしよう
 巻き込まれるなよ、ダグラス?

【悪戯めいた笑みを味方へ浮かべると、ケイオスの槍の矛先が真正面に向けられる】
【前方に魔法陣が展開。瞬時に魔力が集中。中心に小さな光源が発生する】
【次の瞬間に、破裂。轟音と共に炎が噴出した】

【魔法陣から生じた膨大な火炎は草原を焼き払いながら瞬時に膨張、拡散】
【幅と高さが数十メートルにも及ぶ、巨大な焔の“津波”と化した】
【圧倒的な熱量の放射によって熱風さえも発生。広大な範囲を持つこの魔術は回避が難しいだろう】

【ならば全員の力を結集して防ぐか、凌ぎきるしかない──!】

//今日はよろしくお願いします
//レス順の指定をまたさせていただきますねー。主催→ダグラス→キング→剛田→天辰(敬称略)
//の順でお願いします!
685 :ヴェール=カタストルフ[saga sage]:2015/06/06(土) 20:27:37.88 ID:EC1ApS2NO
>>674

演出にしちゃあちょいと大袈裟が過ぎるんじゃねぇか

【ミサイルより発した爆風の余波、周りに広がる火炎、倒されていく兵士の中黒いローブの青年が標的と言える者に歩み寄っていく】
【倒されていく兵士とは異質、格好もさることながら雰囲気や空気が違う。守る為に戦う兵士のではなく殺す為に戦っている狂人なのだと思わせるほどに】

あいつが六罪王のアイン……ではねぇよな流石に、こんなところにひょいひょいと現れる奴が六罪王な訳がねぇ
つーことはアレか俺は貧乏クジ引かされたっつーことか

【兵士達を一掃した>>674を余所にローブで顔はよく見えないが怒りの表情を見えたであろう青年は舌打ちを零す】

せっかく六罪王様と殺り合えるっつーからわざわざ来てやったのにまた無駄足かよ、ゴミが
ダグラスの野郎、何が「他の六罪王に伝えておく」だ、ホラ吹かしやがったらぶっ殺すぞ

【そう言いながらも倒れて動かない兵士達を尻目に戦場を闊歩してくる男に対面する形で彼も歩いていく】
【お互いに見合う形で近づいて、彼は言葉を発する】

テメェもあまり調子こいてっと殺すぞクソが、とっと道空けて俺の目の前から消えろ
───斬首刑・乙───

【そう言うと男の手には両手斧を模したギロチンのようなものが出現しそれを握る。片手でギロチンを引きずり音を立てて地面を抉る】

てめーじゃ役者不足だ、とっと失せろ

【あくまで男の目的は六罪王。その目的の為には目の前のこの男は邪魔だ。片付けて進むかやり過ごすかのどちらかしかない。無論やり過ごす事など男にとっては皆無であり、何よりもそうすんなりと片付けられる人物なのかも男にとっては知り得ないこと】
【ただ一つ、お互い武器を手に向かい合ってる状態そしてお互い敵という状況、それは十分に理解たり得ることだ】
686 :ダグラス・マックスウッド ◆iBPkBgx72E[sage saga !red_res]:2015/06/06(土) 20:38:19.76 ID:96GN9wF2o
>>675>>677>>680-681

デートの予定?それは結構だけれど、五分と云うのは無理じゃないかな。
僕はともかくとして……アインはそれほど手緩くないと思うからね?
……それにしても危ないなぁ、そんな攻撃を受けたら死んじゃうだろう?


【魔力による銃撃に対して、ダグラス自身は回避行動を取ることは無い】
【しかし彼の周囲を取り囲むように分厚い石壁が出現し、弾丸を防御】

【更にその石壁は石棺の様な形状になり、正面に穴が空くと】
【そこから出現するのは、巨大な砲塔。――そう、これは戦場に於ける"トーチカ"だ】
【攻防一体の小要塞。砲首はキングへと向き、直後に轟音と共に射撃が実行されるのだが】

【――その攻撃力が桁違い。避けてもそうでなくても、足下の地面は抉れ、飛び散り】
【直撃を受ければ肉体がバラバラになるのは間違いないだろう。力の一端を示すには十分すぎる反撃であり】

>>684>>ALL

【直後、六罪王アインの巻き起こす火炎の津波、その熱風が周囲を舐め】
【当然それはダグラスの位置にも届くが、これをトーチカの中でやり過ごし、回避】
【もっとも凄まじい熱量にトーチカの砲台は半融して用を為さず】


風に火炎、オマケに雨……まるで映画の撮影だね、楽しくなってきたよ
どうやら主な相手はアインの方に行ってくれるようだし……僕は後方支援だね。

…――悪いけど、君らの敵は二人なんだ。
炎の津波だけでも悪くないけれど……そう、槍の雨でも振らせようか。
アイン、キミも気をつけて…――まあ、杞憂だろうけどさ


【バサッ、という音と共にトーチカの奥で傘が揺れる。石の要塞からふらりと身を表すと】
【三人の敵――キング、天辰、そして剛太郎と、加えて前列に立つアインを見やり】

【タイミングとしてはアインの放った火炎と熱波の直後。ダグラスが手を天に翳すと】
【僅かな間を置いて、一本の直槍が地面に深々と突き刺さる】
【それを端緒としてもう一本、続いて二本。雨と風と、火炎の闇に紛れて】

【まさしく"槍の雨"が、この戦場へと振り始めるのである。非現実的――だがリアルだ】
【直撃を受ければ胴体に穴が空くことは間違いなく、地面から引き抜けば武器にもなるだろう】
【数は凄まじく、回避に集中すれば良いものの――言葉の通り、敵は"二人"なのだ】

【槍の雨、そして火炎旋風。二人の六罪王による波状攻撃は、確かな殺意を持っていた】
【その攻撃が止むのは十数秒後。遮蔽物の無い草原では、非情な脅威と言えるだろう】
687 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/06/06(土) 20:41:19.57 ID:7mpKjhzUo
【風の国、首都エルジオの外れ】

───始まったね

【ひょう、と風が吹き、運んで来るのは戦火の薫り。エルジオの端の片隅であるこの丘には、戦いの音も獣の様な唸りも聞こえない】
【ここに建ち並ぶ古めかしい風車小屋は今や稼働しておらず、街の外観を飾るインテリアとして存在するのみ。幾つか壊れてレンガの壁と化しているだけの物も幾つかあって、その内の一つに座っている彼女は、エルジオの中心街を挟んで向こう側───その奥に微かに見える砲塔を眺めて呟いた】

【遠くから聞こえ出した戦の音色と、燻る硝煙の匂い、それを、ウットリとしたように目を閉じて感じ取る】
【彼女はカノッサ機関ではない、風の国を守る有志でもない、どちらでもなければ、この戦いの結果がどうであっても興味は無かった。ただ、戦い自体に興味がある】

……しかし、あの六罪王も良くやる物だ、風の国といえばUTの御膝元、それを敢えて攻めるとは、桁違いの目立ちたがり屋か自信家か───どちらにせよ、それくらいの器量が無ければ六罪王は成り立たないという事かな
内の主殿もあれくらいやってくれるなら良いんだけど、いつまで引きこもっているつもりなのか……おっと、愚痴はよくないね

【夕陽に染まる大地に影を落として、瓦礫となった風車小屋の残骸の上、イヌ科の獣のように四つん這いで座る女は、自分がまるで観測者になったかの如く、その非対称な眼で戦いを眺める】
【錆色の短い髪が風に揺れ、ノースリーブのタートルネックとホットパンツと言う衣装、そして大きく露出している筈の四肢は彼女には無く、代わりに黒鉄の義肢が備わっていた】
【口と鼻を覆う、義肢と同じ素材で出来た犬用の口輪を付けて、喉を鳴らして笑う。街に向けられた目は左右で色も形も違い、その右眼は真っ赤に染まった獣の眼のようであった】

さて、と───この戦いでどれだけの人間が死ぬのか、助かるのはどれ程か、どちらが勝利し、どれだけの犠牲が出るのか……
愉しみじゃあないか、ここに来て正解だった。巻き込まれないならの話だけど、ね

【まるで映画でも観ているかのように『愉しみだ』と呟く、人の死や不幸を傍観という形であれ愉しむ彼女は、方向性は違っても間違いなく悪≠ナあった】
【彼女がいる辺りは戦いの炎に呑まれてはいない、しかしやがてそうなる可能性が無いとも言えず、そうで無くとも避難民や関係者が訪れても不思議では無い。もしそんな人間が居れば、彼女の姿は目に付くだろう】
688 :キング ◆/iCzTYjx0Y[saga]:2015/06/06(土) 20:53:46.11 ID:eDuHELOvo
>>677
【横に居るのは―――どうやら剣士、か。それも、天候を操るという強大な能力もちだ。】
【見たところ相手の戦力は"魔術"による広範囲攻撃、となれば数々の"属性"攻撃が予想される。】
【キングは情報を整理すると、天辰の方へと向き直り、怒鳴るように大声でコンタクトを取ろうとするだろう。】


 ―――ヘイ、そこの若いの!
 俺の名前はキングだ、宜しくな!で、早速だがお前さんの能力、気に入った!
 見たところ"局所的な天候操作"ってのがお前さんの力みてぇだが―――他には、どんなことが出来るッ!?

 俺が思うに、あの魔術師相当に"高度"な使い手だ、恐らく操れる属性魔法は多岐に渡るッ!
 そこでだ、お前さんがこうやって広範囲に"鎮火"だの何だの出来ると"防御"の役割としちゃ最高なんだが―――どうだッ!

【共闘の申し出、その為にまずはお互いを知ることから、という事だろう。キングは能力を知ろうと質問を飛ばした。】

 ああそう、オレの能力は銃で―――のわっ!!

【色々と説明しようとしたトコロで―――言葉はいったん、ダグラスの攻撃によって途切れてしまう。】


>>686

【自身の身に降りかかる最初の攻撃は、現れた砲等による砲撃だ。】
【情け容赦の無いその攻撃に対し、キングはすかさず反応、構えた二挺拳銃を即時リロード・構えて―――!】

 ―――冗談じゃねぇぜ、どんなトリックだ? 今の砲等は……ッ!

【―――ドンピシャ。鋭いタイミングで射撃を重ね、砲撃を"弾丸"の雨霰で、撃ち落とすッ!!】
【セリーナ・ザ・"キッド"程とは言わないが、この男の弾丸を乱射する力技、なかなかに侮れなかった。】

 ―――なるほどな。御宅は後衛、ってワケだ。
 だが妙だな、魔術師のアインが前衛ってのは……チッ、考えても仕方ねえか。

【そして、弾丸をリロード。している間に―――今度は降り注ぐ、死の雨。】
【槍が一本、二本、三本と―――容赦なく、キングやその周囲にまで、降り注ぎッ!!】

 っ、と、わぁッ!?―――クソッ、オマケにアインの攻撃まで……ぐっ、あっ、クッ……!!

【そのうちの何本かは、的確にキングを貫き、肩口から身体を貫通する、も―――】

 こん、のォォォォッ!!

【恐ろしいことに、この男槍を無理くり引き抜いて―――来るアインの攻撃に対応、銃をリロードするッ!!】

/続きます
689 :キング ◆/iCzTYjx0Y[saga]:2015/06/06(土) 20:54:10.27 ID:eDuHELOvo


>>684

【―――弾丸が全て、防がれた。いや、一振りで弾かれた、というトコロか。】
【もちろん小手調べのつもりで放った一撃だったが、それにしても容易く―――なるほど。】


 ……ヒューッ。セリーナとも知り合いとはな、恐れ入ったぜ。
 だが残念、オレとアイツはこう見えて仲がよろしくなくてな!
 たぶん、オレが死んでもそんなには凹まねェ筈だ!
 
 ……ちょっとこう、セクハラし過ぎて……ほら、分かるだろ?
 男なら性格はともかく、あの身体には―――……オーライ、今のはナシだ。

 まあでも、お前さんみたいな腕っ節の強い奴は大歓迎だぜ?
 丁度此処にきて身体もナマっちまっててな―――全力ぶつけてもイケそうな奴は、久しぶりに見た!

【キングが両手に持った銃を構え、その掌に魔力を"集中"させていく―――ッ!!】


 "精霊よ―――"

    "氷の精霊・フェンリルよ―――"

     "我が導きに応え、我に加護を与えよ―――ッ!!"


             F U L L    B U R S T    F R O S T

【―――その瞬間、キングを含む周囲に吹き荒れるのは氷の魔力。】
【彼が過去に契約した精霊の内、氷雪を司るフェンリルの力を一時的に引き出すことで】
【弾丸にそれを纏わせ、強大な魔力弾として撃ちだすという高等技術―――通称・"FULL BURAST"】
【魔術に明るいアインならば分かるだろう、精霊の高等さも、それに加えそれを自在に引き出すこの男の"実力"も―――!】


 ―――アツイねぇ、でも今はまだ6月だ。
 あんまり暑苦しいのは、女から嫌われちまうぜ、色男サンよォ!!

【氷の魔力を纏ったブリザードの様な弾丸が、連続で数十発も殺到する―――】
【精霊の力、そしてそれを撃ち出す異常なまでの射撃・連射能力―――これが火炎の壁を、消し去ろうとするッ!!】

>>680-681>>677

【剛太郎の突撃に対し、"援護でブッ放すから避けろよ!"とかなり無責任な言葉を飛ばすだろう。】
【だが、実際の破壊力を鑑みるにこの男の"魔術"―――相応に強力なモノで、巻き込まれれば危険なのは確かだった。】


 ―――おいッ、お前等ッ!!

 あの炎の壁の方はオレがなんとかしてやるっ、だが槍だけはどうにもならん、自力で避けるか、グッ……!!

 もしくは防ぐか、どうにかしてくれッ!! 天辰、てめぇはオレと一緒に剛太郎の突撃をサポートだ!!

 剛太郎、お前はアインより前にダグラスをたたけ!! アインの魔術はまだしも、アイツの突飛な後方支援は早めに黙らせたい!!


 ―――ここからは、チームプレイで行くぜ! オーケイ!? 
690 :Nero[sage saga]:2015/06/06(土) 21:02:23.86 ID:G7Nw2NlsO
>>683
【草原の一部分をミサイルにて薙ぎ払った後、彼の目の前にいるのは正にエレメンタリースクールに通っていそうな容姿の少年だった】
【少年はどう言う訳か知らないが先程の此方の攻撃を避けると、此方へと笑顔を向けてくる。痴呆かそれともとち狂ったのかどちらにしても戦場に居るには異様な存在】
【それとも、この世界ではこんな少年が戦場へ出るのも案外珍しい事では無いのだろうか。そうだとしたら向こう側での中東と同じか、それ以上の凶悪な世界では無いのだろうか】

どっちにしても、俺には関係ないけどな〜……餓鬼ィ、さっきのが何か知りてぇか?なら、今すぐその場で多分持ってるスマホか風の国に回れ右してPCをパクって検索するんだな
天下のGoog……違った此方には先生無いんじゃん……まぁいいや、とにかく世界規模の検索エンジンがあるならそれで検索しろ
[今から自分を爆発四散させる兵器]ってな……
>>685
【その時、彼の側にもう一人の兵が現れる。其は今目の前にいる少年とは正反対のどこぞの極道の人間のような男】
【その男は此方に気付くと、瞬く間に得物を取りだし、此方へと殺気を飛ばしてくる。黒いローブをはためかすその姿はまるで黙示録の獣か魂をこそぎとって行く死神のようだ】
【彼はその男の存在に気付くと】

おや、もう一人居たのかぁ、お前も今のミサイルの名前を教えてほしい口か?いや、今普通にミサイルって言ったな。それでも聞いてくるんじゃもう其は脳外科か精神科受診した方がいいな
いょっし、其じゃあ大乱闘開始と行こうかぁ……
    3
    2
    1
――<遊戯開始>――

【そう言うと彼は翼に備えられた兵器収納庫<ウェポンベイ>から二丁の六連銃身機関砲を排出すると其を両翼にアームで固定したまま翼を解放し始めた】
【露出する幾つものミサイル、其らを点火すると彼の周囲には又も数本のミサイルが放たれる。蛇行しながら突き進む其は地面に接触した瞬間、轟音と共に爆発するだろう】
【其と同時に彼は機関砲を残った雑兵へと撒き散らしながら、二人の能力者へと突進する姿勢に入る。サーベルを抜刀術を放つ体勢で構え、翼のエンジンを極小規模で発動する】

ひゃっほうーぅ!
構えな、ボンクラ共ォ!
691 :ベル ◆/Pbzx9FKd22015/06/06(土) 21:08:45.56 ID:qnyClSjb0
>>682

【巨大な破壊音。撃ち出された炎の塊が並び立つ木々を爆砕した音だ。めりめりと音を立てながらそれらは倒れ、視界が開ける。】
【視界の先に少女と大猿の姿は無い。男が頭上を見上げるならば、間一髪で新たな枝に飛び移った大猿の姿が見えるはずだ。】
【フクロテナガザルと呼ばれる彼らは基本的に地上での活動を行わない。そんな彼らが身に付けた移動方法は「腕渡り(ブラキエーション)」と呼ばれるものだ。】
【足を用いてでなく手を用いての移動。大きく強く発達した腕、その指をフックのように枝先に引っかけ樹上を飛び回ることで、驚く程のスピードで彼らは林を跋扈する。】
【喰らえば大打撃だっただろう爆撃を回避できたのは野生の本能によるものか。ニンゲン同様に霊長類である彼らにとって頭部は急所であるし、またその近くに陣取る少女は生身の人間なのだ。】
【少女はひたすら驚いた、という様子で冷や汗を浮かべながら声と砲撃の方を向く。男の姿を認めたところで、「さらに」狼狽を強めたように少女は言った。】

これは…、いやびっくりだ。今避けてなかったら僕本当に死んでたな、いやマジに…。
それに、だ。君はかの「ヘイダル」の特務部隊長"アサド・アル=アーデル"、そうだね?いや噂は聞き及んでいる、僕の中では「SCARLET」の更なる上位組織って認識だよ。
こいつは厄介な御仁に目を付けられたな…。とても嘘を付いたところで意味が無い、そんな感じだ。
僕の名前はベル、お察しの通りカノッサに所属する者だ。と言ってもナンバーズなんかじゃあ無いし、一般構成員でも無いんだけどさ。
じゃあ何なんだってことだけど、…うぅん、別に僕の素性についての説明なんてどうでもいいことかな、今は。
ちなみに僕を背負ってるこの大猿の名前は「ギボン」。いちいち大猿って呼ぶのが面倒くさいからさ、覚えてくれると嬉しいな。
今日は、まあその、何だ、暇だったものだから。本当だよ?それで、まあ(研究上の)興味本位で偉大なる上司サマの動向を観察しに来たんだ。
だから君が例の砲撃を阻止しに行くって言うんなら、止めやしないさ。防衛任務に呼ばれたわけでも無いし。
この足元の人達も、事情も聞かずに僕に向かって発砲してきたんだよ?彼らが攻撃さえしなかったら、僕だってこんなことしやあしないさ。

【『嘘だけどね。』、その一言をベルが最後に付け足すことは無かった。彼女はもっぱら今日の砲撃事件を楽しみにしている、それが阻止されるなんて興ざめな事態は御免である。】
【雑兵の4、5人とはいえ戦力であることに変わりは無い、彼らが砲撃阻止に向かうところをベルが見逃すことはどちらにしろ無かったのだ。】

そういうわけで、今僕が語った通りさ。君みたいな大戦力の参戦を見逃したとあっては、後で責任を問われるかもしれないけどね。
僕は今日のところはもう帰るとするよ、こんな妙なのを相手にしている暇は君にも無いだろ?

【そこまでを一息に語ってから、さぞがっかりしたような風を装って彼女は退散しようとするだろう。】
【あーあ、ど派手なバトルを観戦できるかと思ったんだけどな…そんな台詞を吐きながら。】
【そしてアサドが砲台の元へ駆け出し、己に背中を向けようものならば、すかさず「ギボン」は手にした大石をアサド目がけて全力で投擲するだろう。】
【カノッサ機関科学研究Bブロック統括『ベル』は、自身の興が削がれることを最高に嫌うのだ。】

692 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/06/06(土) 21:10:18.01 ID:2rKrV0JC0
>>687

【激戦の火蓋がきられた首都、その近くで見学する女性、その姿は一人で目に付く】
【そのため見学のためにやってきた男はその姿に気がついた】

 おいおい、新六罪王の実力を拝見するためにきたら先客がいたか
 俺が言えたことじゃないが代わったやつもいるもんだな

【だるそうな雰囲気の男性で服装は長袖の灰色Tシャツに灰色パーカーのを着、下には長ズボンを着用している】
【髪は黒でショートカット、瞳は濃褐色で目つきはだるそうでサングラスをかけている】
【そしてパーカーの袖口にはカノッサとはまた違う悪の組織GIFTのシンボル金十字架のエンブレムがある 】

【彼は女性がいる場所の隣にスタスタと歩いて行って、見学している女性に声をかける】

 あー、あんたもあの戦闘が気になる口か?

【けだるそうに聞く男は何の警戒もしていなく自然体だ】
【このような場所に見学に来る変わり者ならたとえ自分が悪であってもすぐには攻撃してこないだろうと判断したのだ】 
693 :天辰 ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/06(土) 21:13:29.62 ID:9HINUzGDO
>>684(アイン)
>>686(ダグラス)
>>689(キング)

【雨と共に打ち付けられる魔弾。風の勢いに乗り繰り出した刺突。怒りと共に振るわれた拳】
【それらはすべて防御され、或いは回避されてしまった。魔術師であるにも関わらずこの動き──これが、六罪王か……!】


くっ……留まる、必要なんて──!


【ひゅう……風が踊る。天辰の周囲を風が駆け巡る。刺突が弾き跳ばされる。刃を通じてそれが分かる。ならば次に続くは反撃】
【くるりと天辰の身体が宙に浮く。纏った風の恩恵。直前に居た箇所を、槍が通過していく】
【だが安心している余裕などない。体勢を戻し、僅かに地面から足を離し浮遊。後退したアインを、再度「風」を駆って追おうとするが──】


(しまった……! 炎、が──それに、ダグラスの方まで……!)

     ──── ≪ 天 龍 ≫ …………!!


【火焔の渦に槍の嵐。片方を凌げば片方に穿たれ、片方を避ければ片方に焼かれる】
【この状況の中、天辰は≪天龍≫を握りしめる。彼を纏う風が、より一層力を増した】


僕の……僕の能力は、「嵐」を操る力──!!
「嵐」に関わることなら、ある程度は操れます……!
雨、風、あるいは水の竜巻を……それ、と────!


【キングの呼び掛けに、天辰はそう答えた。──嵐を操作する力。天候操作の中でも、かなり限定的な力だ】
【だがそれを自らに使えば、風を纏い動きを加速させ、水を纏い鎧代わりにすることもできる】
【事実、天辰は「嵐」の能力を自身の身体能力強化にも使っていた。彼自身は、さらに説明を続けようとしていたが──時間がない】
【キングを無視したわけではない。己の能力を素直に告げたことがその証……!】


────生き残ってみせる……! 僕にはまだ、やることがあるんです……!


【風は纏ったまま、懲りずに天辰はアインに向け突撃する。近距離にも対応できる魔術師だというのはわかった】
【だがだからと言って、ダグラスとアイン双方に距離を取らせたままの状況は明らかにマズい】
【近距離でも戦える魔術師だからと遠距離に行かれてしまっては、それこそ遠距離戦の得意な相手の思うツボ──明らかな愚策だ】

【天から降る槍を、速さを以てして避ける。1本。2本──3本目が風の加速器と防御機構を掠める。質量に負け、4本目がシャツを切り裂き左腕に僅か血が滲む】
【それでも天辰は止まらずアインに向かい続け──5本目。その槍が彼を脳天から貫こうとした直後、雷鳴が響いた】
【見れば5本目の槍は天辰の周囲を奔った紫電に穿たれ、矛先を地に向けられている──「嵐」の能力。これも、か】

【随分駆けた。アインは目前。再度アインに近付けば、そのまま天辰は彼に魔術を撃たせぬように近接戦を挑む】
【刺突は避けられた。ならば斬激。次は刃に風をも纏わせ、アインの右方向から薙ぐように彼は刀を振るう──!】

/50分たったので剛太郎さん飛ばします、ごめんなさい
694 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw[sage]:2015/06/06(土) 21:21:44.03 ID:DJ4tSbZvo
>>684

「あいつらまで連携を行ってくるとは……たまげたわい
こちらはワシらの他に二挺拳銃の半魔に……やや頼りない雨の力を使う侍か……前衛二人に後衛一人、バランスは悪くない
じゃが、奴らまで連携を行ってくるとなると……また綱渡りな戦いをする事になりそうじゃのう」

―――覚悟の上だ!


【その初撃はうまく決まらない―――前回での戦闘からアインも対策してきているか】
【相手の攻撃、その間合いなどを見切り影の幕で防御、そこから幕を変形させて槍での攻撃を行ってくる】
【攻防一体、変幻自在の戦闘―――まさに、魔術師ならではの戦いだ】

う、うまいッ!盾に使った影の幕が俺に迫ってくるか―――!葉隠流 『梅花』!

【仮面の下で苦い顔を浮かべながら剛太郎は梅の花を模した守式の型にスタイルを変更!】
【こちらに迫ってくる複数の槍に対して、驚くほど冷静に影の槍の攻撃をいなしていくことだろう】
【しかし続いて放ってきた大型の魔術―――火炎の旋風がこちらへと押し寄せてくる!】


で、デケェ……避けきれない!

「いいや!―――これは集団戦じゃと知っちょるはずじゃあ、奴に任せい
あの半魔……思った以上の手練れのようじゃのう、ええ精霊を従えちょる……!

『リキッドウィップ』に持ち替えろ!芸術家の若造が例の創造の能力で広範囲に仕掛けてくる!
その鞭のリーチならば槍をさばききれるはずじゃあ!」

OK!―――キング達もアインの方は頼んだよ!


【ムクの助言通り彼は左腰に携えた何重にも巻かれている紐状の―――いや、青色の鞭を手に取ると】
【特殊な呼吸で己の体のエネルギーを変質させ、操作―――力を水の鞭の中へと次々に溜めていくことだろう】
【この広範囲の槍のうち、自分へと降り注いでくる槍は数本、それがどれであるかをギリギリまで見極めたところで―――!】


―――せ い や ぁ ッ!!


【さながら居合抜きのように鋭く鞭を振りぬき、目的めがけ放たれる鞭の一撃】
【その振われた鞭から一点に集中された水の力が先端から勢いよく吹き出し、強力な飛沫が頭上の自分に降り注いでくる槍をさばき切る!】
【前方でどんどん地面に突き刺さっていく槍を縫うようにダグラスに接近、距離が5mほどの所まで接近した所で―――】


いくぜダグラス!ロングレンジ版―――葉隠流『柳』!!


【やや離れたところからダグラスの右肩めがけ振り下ろすように叩き込まれる水の鞭!】
【彼の技量からさながらカッターのように鋭くなった水圧の一撃が勢いよく飛び込んでくる―――これをどう防ぐ!?】
695 :ワザワイ・エスパス[sage]:2015/06/06(土) 21:24:59.02 ID:CRfb7sgW0
>>690
「・・・・・?」

【突然訳のわからない事をいい始めた青年にポカ〜ンとしながら首をかしげる】
【そもそもこの少年は姉の教育によってやって読み書きと足し算引き算そして一般常識を少し理解し始めたぐらいなのだから】

>>685
「って、あー!」

【そこに格好良く現れたのはかつてこの少年が迷子になった際に殺しあった青年】

「久しぶりっ!ヴェールおにぃちゃん!」
「えっ?この人がろくざいおーじゃないのー!?」

【何時もなら此処でこの青年とも刃を交えていただろう、しかしこの少年】
【先日姉に自分以外の人とも仲良くするように言われている、少年にとって全てである姉の言葉を思い出して一言】

「ねー、ヴェールおにぃちゃん」
「あの人ろくざいおーじゃ無いっていうし一緒に戦わない?」
「そーした方が楽に早く終わってヴェールおにぃちゃんも早くあっちの人達と戦えるよ、どうかな?」

【この青年とは求める物はおなじ六罪王の首、ならばこれは立派な取引で停戦と協戦を求める物】

「い、今ならなんと!おやつのラムレーズンも付いてくる!」

【そして飛来するミサイルがそんな事を言っている少年とヴェールに飛んでくるがその爆炎は全て突然ダイヤモンドダストの吹雪によって相殺される】

「楽しちゃわない?」

【そうヴェールに向かって笑いかけたかと戟を構えた】
696 :主催 ◆r0cnuegjy.[!nasu_res saga]:2015/06/06(土) 21:26:29.17 ID:ARPCLVodo
>>686

 俺が前衛である分、巻き込まれるのはどちらかと言えば俺の方だったな
 それにしても槍の雨とは小洒落てるな、俺にはできそうもない

【味方の支援にニヤリとほくそ笑むと、驟雨の如く降り注ぐ槍の一本を一回転して回避】
【地面に突き刺さる前に空中で掴み取る】

>>688>>689

【強力な氷の魔弾によって火炎の魔術に十分過ぎる穴が開けられる】
【それを見たアインの表情に驚愕が広がった。次に、苛立ち】

 なるほど、これほどの術者ならば一対一で相手をしたかったところだ……!!

【強力な攻撃手段に素早い判断。この戦いの要点がこの男にあるとアインは瞬時に理解した】

>>693

 さて、お前がどれだけ俺を抑えられるかだな……!

【槍の驟雨を強引に突破してきた天辰を槍を二本構えたアインが迎え撃つ】
【右から来る斬撃を左の槍で打ち払い、防いだところを右の槍の刺突が天辰の胴体を狙う】
【それに続き今度は左の槍を振り払いつつ後退。だがそれ以上は下がらない】

>>694>>all

 なるほど、二人で俺を抑えて近接戦闘ができないダグラスを狙う、か
 形としては悪くないが……まだ“六罪王”を舐めすぎだな

 ダグラス、あの小僧は任せた。暇になったらこっちに向けて範囲射撃をしろ、適当に避ける

【キングの的確な指示に対してアインもまたダグラスに要請を出す】
【それは前衛一人ぐらいは抑えろ、という押し付けと、援護は細かく考えずに自分ごと撃てという】
【自分とダグラスの力量を織り込んだ難度の高いものだった】

 それじゃ、まずはお前からだな

【前衛として立ちはだかる天辰に向けて二又の槍での刺突】
【矛先からは火炎が放出。後ろに回避したり防御したりすれば熱の直射が襲いかかる!】

//剛田さんのレスも含めておきます
697 :アサド・アル=アーデル ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/06(土) 21:36:49.32 ID:y/AnSVCto
>>691

【無言で『アルハーディ』を構えるアサドは表情を変えなかったが、内心僅かに驚愕した。あの巨体でなんという敏捷さか】
【故郷である砂の国で幾度も巨大生物を相手にしてきた経験のある彼だが、その経験を持ってしても厄介な相手】
【――しばしの思考。アサドは連続して引き金を引くだろう。だが「バシュッ」という小さな砲撃音は、少女と大猿に向けられたものではない】
【銃口から飛び出すは、水色と橙色の球体がそれぞれ二つずつ。球体は発射の後にゆっくり軌道を変え、アサドの背後まで行くと静止した】


そうかい。俺のことを知ってるなら話は早ぇな。
それにやる気が無いってんならそれも良い。今回はコトがコトだ、向こうもどうやら大混戦らしいし――。


【何らかの能力を持っているのは間違いなさそうだが、四つの球体は不動を貫いている。アサドはとりあえず少女の弁明を聞き入れることにしたらしい】
【彼が前線に赴かずこちらに戻ってきたのは補給と作戦確認のためで、全くの偶然だ。本人としても"あちら"に向かいたいのはやまやまだった】
【計り知れない巨悪、六罪王を狩るためなのだ。ここで少女を放置していくのも悪い手ではない。まして彼女はナンバーズですらない一般構成員だというし】

【アサドは溜息を付いて、構えを解いた。そして振り返り、一歩踏み出す。――その瞬間、非情な投石がその背後から襲ってくるのだろう】
【少女の言う"大戦力"は、遙か遠くの高みを見据えて進み、それ故に足下を掬われて果てる。そうなる筈であったが、】


――――せめてお前がそいつらを殺ってなきゃあ、そういう選択も考えたんだがな。
えぇ、嬢ちゃんよぉッ!!


【刹那。アサドの背後にあった橙色の球体が独りでに動き出し、飛来する巨石へ突撃。着弾と同時に爆発し、それを粉々に粉砕する――!】
【……アサドはその強襲に気付いた訳ではない。元より少女を見逃す気がなかったのだ。立ち去ると見せかけての攻撃、奇しくも考えることは同じだった】
【本人に「自分は大戦力である」なんて自覚はない。ただ、一時とはいえ背中を預けて戦うはずだった"仲間"の死体を見て黙っていられない、甘い男だっただけで】

【アサドは即座に振り返り、粉砕された石の粉末と爆炎による煙幕に紛れるようにして『アルハーディ』を構え直す】
【――直後、鋭い砲撃音。最初と同じ"炎の魔弾"が、今度はギボンの右腕めがけて高速で迫る!】
【あの素早さで木々の合間を逃げられ続けては面倒だ。まずは腕を潰し、機動力を落とそうという目算だろう】

【なお、その成否に関わらず――アサドは『アルハーディ』のサイドグリップを引き抜き、別の物に換装する。何か意味のある動作に違いない】
698 :アサド・アル=アーデル ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/06(土) 21:40:16.60 ID:y/AnSVCto
>>697
/すみません、誤字です……
/×「ナンバーズですらない一般構成員だというし」 ○「ナンバーズどころか一般構成員ですらないというし」
699 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/06/06(土) 21:42:58.39 ID:7mpKjhzUo
>>692
おや、君は───

【眺めている横から声を掛けられ、声を上げながら顔を向ける、男に対し警戒しているというよりは、『ここに来る奴がいたのか』と言った風で】
【顔を向けるもその場からは動かず、まるで狛犬のように高台から視線と声を向けるだけ】

【まず目を向けたのは顔、それから服の袖口の模様だ。模様……というよりはエンブレム、カノッサの逆五芒星のような、組織の所属を示す物】
【それを掲げていないにしろ、彼女はその内に入る者であった、言うなれば男と味方同士、かといって名前までは知ってはいない。知る事も出来たのだろうが、知ろうと思っていなかったからだ】

……そうだね、気になるかな、とは言っても勝敗とかじゃあないけど
いや寧ろ勝敗はどうだっていいのさ、僕がみたいのは戦いそのものであって、カノッサが勝とうが負けようがどうでもいい
君も、その口かい?

【戦いは気になるが、その勝ち負けやそこにある思惑なんかどうでもいい。その事実を隠しもしないで語り、また視線を戦いの場へと戻す】
【自分がそうであるなら、同じ場所に訪れた男もそうではないのかと、問い掛け返した】

/すみません、発見が遅れました…
700 :ダグラス・マックスウッド ◆iBPkBgx72E[sage saga !red_res]:2015/06/06(土) 21:44:24.96 ID:96GN9wF2o
>>688-689>>693

【キングの氷精を操る力、そして天辰の『嵐』を操るという能力】
【それぞれが炎の津波と己の放った槍を防ぐのを遠目に見て、ダグラスはニヤリと口角を上げた】

【どちらも強い。アインという、知謀とタフネスを兼ね備えた前衛が居なければ】
【きっと自分も『苦労するだろう』という直感があった。もっとも、現実は否であり】
【ダグラスには戦場を俯瞰する余裕があった。だからこそ、自身へ向く一撃も――】

>>694

やあ、ようやく来たね。確かにキミの一撃は驚異的だ、それはよく覚えてる。
生憎と僕は身体能力に優れているわけでもないし、経験も少ない

……けれど、これだけ距離があって見えていれば、予想は出来る。
"水の鞭"――避けるまでもない。僕の手元にはちょうど良い防具があるからね
それよりも問題なのは、キミをどうやってこの場から排除するかだと思わない?


【迫る『柳』に対して、ダグラスは手にしていた傘を振るうことでその軌道を逸し、回避。】
【といっても相手は水圧のカッターのようなものなのだ。傘は敢え無く両断され】
【ダグラス自身も動かなかったせいで、右腕に深い切り傷を負った】

【傘が無くなったせいで、全身が雨に濡れる。赤く染まったシャツの袖が】
【端から雨で上塗りされていって――おもむろに左手を翳したなら。――見覚えもあるだろう】

【無数の銃≠創りだして、それをただ一人。剛太郎に向けて構えさせるのだ】
【銃が発生するのはトーチカの上部から。まるで花壇から生い茂る草場のようにして出現すると】
【近代的な拳銃、初期のガトリング・ガン、或いは対空砲を強引に下向かせたものであったり】

【――人体をめちゃくちゃに破壊するには十分すぎるほどの火力が、青年を狙い】
【そして放たれる。耳をつんざく轟音を置き去りにして、剛太郎をバラバラにせんと無数の銃弾が撃ち放たれ――!】

>>696>>ALL


あぁ、大丈夫……すぐにそっちへ回せるようにするよ。
切り札があるからね。キミの方こそ、慢心して死なないでくれよ?
折角見付けた同僚なんだ、初戦で死なれちゃ後味が悪いからね…――ッ!


【腕の傷に笑顔は軽くひきつっていたが、まだまだ余裕がある。そんな言葉を返しつつ】
【濡れた金髪を右腕で掻き上げて、自身の獲物である剛太郎に向き直る】

【――なんにせよ、六罪王の攻勢は分散された。アインにはキング、天辰の二人】
【そしてダグラスは因縁もある剛太郎と。それぞれ対峙した相手を見定める】
【が…――ダグラスはやはり、何処か不穏であった。彼の背後では、目に見えない大きな力が渦巻いているように思えて。】
701 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)2015/06/06(土) 21:45:58.69 ID:GGmJFTK2O
919 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/06/06(土) 16:41:45.58 ID:c4N109jU0.net
アインの対戦表色々と露骨すぎるだろ
920 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/06/06(土) 17:24:46.86 ID:5o3Nhl1Qd
六罪王と一緒に自分が大人数と戦って六罪王SUGEEEEEしたいだけなんだろうな。やっぱアイン俺TUEEEのチンポ脳ですわ
927 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/06/06(土) 19:37:39.33 ID:MPwPGQ510.net
某所はこうやってイベントのメインをお気に入りで固めたりするから、どんどん内輪化していって衰退したんだよな
928 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/06/06(土) 19:43:32.08 ID:hHmjIMyU0.net[2/2]
衰退した(他より人が少ないとは言ってない)
929 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/06/06(土) 19:46:53.99 ID:uzxrBcur0.net
某所で衰退なら某所2とか厨ニとか俺能とか高校とか魔法少女なんかはどうなるの?廃墟?
930 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/06/06(土) 20:01:07.13 ID:ilYhjp5X0.net
お気に入りというかある程度の内輪持ってる奴かメイン張れる奴じゃないとある時いきなり消える可能性があるから
セリーナやシェンなら長期イベント終わるまでスレにいるだろうという確信はあるが魔王とかはいつ消えてもおかしく無いのでメインに据えにくい
931 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/06/06(土) 20:28:45.14 ID:X0HCtC/G0.net[2/2]
割りとガチでアインには某所から出ていって欲しい
932 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/06/06(土) 20:30:41.39 ID:q7bwntcZ0.net[2/3]
アwイwンw激wおwこwww.
933 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2015/06/06(土) 20:32:33.58 ID:V5xUJHSw0.net[2/2]
人間としてのやばさならジンジャーと犬山のツートップだな
702 :ヴェール=カタストルフ[saga sage]:2015/06/06(土) 21:51:22.12 ID:urCifZ96O
>>695

【戦場には似合わない様な子供の声が聞こえる。それはどこかで聞いたことのあるような声で、同じように自分を呼んでいたような】
【視線を落とすとそこには戟を構えた子供がいた。忘れもしない、いや覚えている様にしていた。お互いに殺しあって、殺されあって、殺りあった、その子供の名前は…】

生きてやがったか…ワザワイィ…

【思ったよりも愉快な声が出た。今の今まで殺されないでくれたことによるものだろうか?それらは男にも分からないが、次あったら殺すと約束した以上死んでないことは喜ばしい】
【だから…今は目の前の敵は『邪魔』だ】

あぁ、大抵偉い奴っつーのは拠点とか?本拠地見てーなところで踏ん反りかえってるもんだからな。つーことは居るとこはあそこしかねぇだろ

【ワザワイの問いに答えるかの様に草原の、砲塔の方を指差す】

>>690

【放たれる近距離のミサイルによる爆風、それはすでにワザワイの手によって冷たいものに変わっていきその風を受けヴェールは笑みで返す】

イイぜぇ…だが協力じゃねぇ、お互いがお互いの敵を殺すだけだ、だからよぉ

【お互いに目的が同じならばそれで結構、だから今は敵を殺す】

邪魔したらぶっ殺す!お互いそういこうぜ、そっちの方が好きだろ?

【そう言うと戟を構えたワザワイの横でギロチンを構える。そのまま一歩踏み出し突っ込んでくる標的目掛けてギロチンを振り上げようとせんとする】
703 :キング ◆/iCzTYjx0Y[saga]:2015/06/06(土) 21:53:58.91 ID:eDuHELOvo
>>693
【―――駆ける。翔る。まるで嵐のように。疾風のように。】
【風の国の戦闘に相応しい、疾風怒濤を極めたかのような高速移動。】
【なるほど、天候操作ではなく風の能力だったか。だが、風とは即ち自由の象徴】

 ―――風、風か!!
 オーケイオーケイ、そういう事ならさっきの風雨も納得だ!
 だがそれだと……いや、雷も扱えるのか、ハハッ……参ったなコイツは、万能じゃねえか坊主!

 (だが―――突撃か、ソイツはどうだろうな……)

 オイ、待て坊主!
 そんなに焦って凸るなよ、お前さんの能力はタイミングが命だ!!
 その魔術師には普通にやっても刃は届かん、多重攻撃でヤツの隙を作って、それから一気に叩き込むんだ!

 (―――ダグラスは剛太郎に抑えさせる、アインの隙を生み出すのは……オレの役目、ってワケだな!)

>>694
【唸る水の鞭、"リキッドウィップ"―――鞭か、有効な武器だ。】
【近接戦における剣の弱点である柔軟性をカバーし、攻撃力を落とした武装。】
【だが相手となるダグラスは遠距離形であり、本人自体の戦闘力はきわめて低い―――】

 (広範囲に渡る鞭の打撃で槍を一蹴、その後ダグラスめがけ一直線にブチ抜く……悪くねぇ!)

 ―――任せとけ、そっちもアブねえと思ったら直ぐに声掛けろよ!
 いつでも援護射撃はくれてやる、それからちょくちょくお前さんに向かう攻撃を"撃ち落す"事があるかもしれんが―――
 
 悪いな、セリーナほど精密射撃に秀でちゃいねえんだ。当たったらそん時は"ツイてた"と思ってくれ、ハハハッ!!

>>696
【アインとキングの視線が交差する―――司令塔、といえるほどではないが】
【連携において指示をだす係りとなったのは今回においてはキング、そしてアインの両名だった。】
【だが不思議なことに、片方では後衛が、そしてもう片方では前衛がそれぞれに指示を出すという事態―――面白い。】

 (……後ろから見渡して指示を出すか。それとも自分が先頭に立って後衛を引っ張るか。)
 (なるほどなあ、上司に欲しいのは後者の方<アイン>ってワケだ。……だが、ここは戦場だ。)

 ―――ハッ。指示を飛ばしたかと思ったら、なんとも。
 "適当にブッ放せ"とはな、恐れ入ったぜ……ワイルドさにじゃねえ、"的確"だからだ。
 それだけの指示で賄える、それくらいに俺達とお前さん達の間には確かに実力の開きがあるから、な……だがッ!!

 ―――前衛一人に夢中には、させねぇぜ。


【キングは弾丸を撃ちきりスライドがホールド・オープン状態になったオートマグ44を素早くリロード。】
【ジャケットの中に入れていたマガジンを、中空に放り投げると銃を『振り回して』強引にマガジンをキャッチ、装填。】
【それと同時に、再び"術式"を展開、高等魔術による精霊の力が再度、空間内にイン・ストールされていくのが分かるか―――!】

  "精霊よ―――"

     "炎の精霊・イフリートよ―――"

       "我が導きに応え、我に加護を与えよ―――ッ!!"


             F U L L    B U R S T    F R A M E !!

【次なる力は"火炎"、アインの業火を打ち消すように、銃口から放たれるのは強烈な魔力火炎弾ッ!】
【二対の砲口からアインの槍めがけ―――否、矛先から放たれた火炎めがけ、攻撃が殺到するだろうッ!!】

/続きますっ
704 :キング ◆/iCzTYjx0Y[saga]:2015/06/06(土) 21:54:21.96 ID:eDuHELOvo

>>693

 ―――今だッ!! 槍を火炎で弾き飛ばす、お前がそこを―――叩け、天辰ッ!!

>>700

【しかし―――状況は芳しい、とはいえない。】
【確かに戦力は分担出来た、だがアインの言うとおり―――】


 (分断……しない方が、良かったか……!?)

 冗談、じゃねぇぞアイツ……!? んだあの量の重火器はよ、此処はアラモか、ええおい!?

 >>694剛太郎、気をつけろッ!! ―――今、そっちを……カバー、してやるッ!!


【―――ダグラスは、強い。それも化け物染みた火力だ。】
【剛太郎を一人、抑えに使うにはあまりにも強大。ならば、手隙の自分が―――援護、するだけッ!!】


 ―――もう、いっ、ちょ―――喰らいやがれ、優男<ロメオ>ッ!!


【―――魔力をバースト、それだけで腕が焼ききれるような程の火炎を、身に纏いッ!】
【精霊の力を先程以上に引き出し、そして連続してイフリートの火炎を、二挺拳銃に送り込むッ!!】
【そのまま競り出た大量のガトリング・ガンや重火器類に対し、キングは自らの炎の弾丸を、連射、連射、連射―――ッ!!】


 っぐっ、アッ……、あっ、ちぃ、なオイ……ッ!!
 (くっ、魔力が強烈過ぎて……腕が、焼ききれちまう……だがッ!!)

 火薬、には―――火をぶつけて、暴発、させてやるッ!!

【鉛の弾丸を中空で"溶かし"、そしてガトリングガンの様な巨大銃器には炎をぶつけることで】
【弾槽を"暴発"させることで無力化しようとするだろう、これによって少しでも、剛太郎に向く火力を減らすのが目的……!!】


 いけ―――怯むな、男ならぶち込め、剛太郎ッ!!
705 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/06(土) 22:18:33.29 ID:6LNLXVWb0
【川辺――砂利石の川原】
【曖昧な形に膨れた月だけが光源の場所。影はいっせいに同じ向きに伸びて】
【動くものと言えば石粒の間から生えた雑草と、水面の煌きと――あと、人影が一つ】

冷た――、

【ざぶりと水を掻き分ける音。佇む影はどうやら少女で、背丈は小さく、百四十ほどしかなく】
【それなら子供とも見紛う。その割りに聞こえたきた声はどこかかすれてかわいげはいくらも足りず】
【見ればちょうど彼女は浅い浅い水に足を浸したところ。ぱしゃり、と、小さく水面を蹴飛ばすと】

……さて。

【なんて呟いて、もっと深い場所まで歩んでいこうとするのだから、或いは自殺志願者にも見える光景】
【髪は金髪の癖毛だが毛先のほうだけがピンク色を帯びて、瞳は鋭くつった勿忘草色の煌き】
【服は白いワンピースだが、すでにその裾は水に浸り始めて。あっという間、膝の辺りまでが水に沈む】
【砂利の上には彼女のものらしい靴と、それなりに膨らんだ鞄が置いてあるのだが――】

【ざぷじゃぷと水の音。草がしゃらしゃら鳴いて、静かな月明かりの夜のなかの、光景だった】
706 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2015/06/06(土) 22:18:46.92 ID:iZgg40gn0
【風の国 首都エルジオ】

【六罪王が起こした騒乱によって、市街は人っ子一人見当たらないゴーストタウンと化していた】
【寂れた様子を加速させるような風が吹き込む中、市街の中心部を歩いている人影が一つあったのだった】
【街の者だろうか、否、そんなはずはない…わざわざ危険に身を晒すような真似はしないだろう】

んだよ、着いたばっかだってのに糞寂れた場所だなここは………。
此処はどこもこんな感じなのかぁ?なら折角渡ってきた意味もねぇーなー

―――っお、あっちの方はちっと賑やかだな

【若干ウェーブのかかった赤髪をオールバックにして、淀んだ金色の瞳をした細身の少年】
【服装は丈の長い黒いコートを着て、両手の指には幾つもの高級感のある指輪を付けている】

【まるで現在の国の状態を知らないような言動と呆けた雰囲気で、欠伸をしながら街を歩いていたが】
【ふと立ち止まると、今まさに激戦が行われている戦場の方角へと視線を向けて、口元に笑みを浮かべて歩き出す】

【普通≠ネらば危険極まりないのだが………果たしてこの少年は―――】
707 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw[sage]:2015/06/06(土) 22:20:15.80 ID:DJ4tSbZvo
>>696>>700

「嵐の力を振るう多彩な技……これならばアインの手数にも対抗しきれるか……腹も座って来たようじゃしのう
剛の字、すでに知っておるじゃろうがダグラスは攻撃は強力だがアインに比べ体はタフじゃない、威力重視の直線的な技である必要はない!」

ああ!威力ではなくとにかく―――当てる事、これに尽きるって訳だ!


【手応え有り!クリンヒットとまではいかなかったが右肩に攻撃が命中するのを確認】
【だがダグラスを相手取るならばもう少し自分の距離で戦う事が望ましい、先の戦いで敵の火力のすさまじさは理解している】
【さらなる距離を詰める―――と、足を踏み込んだところで自分にめがけ向けられる無数の銃口に息をのむ】


や、やべっ―――!これは『炎牙』の装甲でも受けきれないし、どうよければ―――!


【―――しかし、何度でも言うがこれはチーム戦だ】
【離れたところから戦況を見るキングが剛太郎の避け切れぬ窮地を切り拓く!ありったけの魔翌力をこめたイフリートの火炎が剛太郎の背後から放たれ】
【彼を狙う無数の拳銃のうちのいくつかが次々に破壊されていく、これならば剛太郎にも十分凌ぎきれる!】


おおっ!サンキューキング!これでダグラスの猛攻を避けて通れる『道』が出来た!―――くらえダグラス!葉隠流 奥義! 『絢爛舞踏』!!


【その叫びと共に、剛太郎の足裁きが―――さらに複雑に、縦横無尽に変化を遂げる】
【以前鉄骨を避けきった『向日葵』でも、攪乱しながら前進を図る『椿』でもない、さながら舞踊のような、もっと軽やかで捉えきり辛いモノへと変わっていく】
【残った銃が剛太郎へと弾丸を発射し続ける、しかし当たらない、いや―――当たっているのに『すり抜けている』―――?そう見える】

【特殊な歩法によりダグラスの目を騙し、剛太郎の姿が何重にもブレて見え始める、さながら彼の姿が増えたような残像の『幻』を目にするか】
【そうして一時的に目の前で彼が増えたような錯覚を与えたところで―――】


アーンド、葉隠流 『桜花』!!


【4人ほどに増えたように見せかけた剛太郎が、弾丸を喰らいながらも同時にダグラスに手刀の槍を放ってくる!】
【本物はダグラスから見て左方向、そいつにだけは弾丸が当たっている、狙いは左肩、そこめがけて容赦なく貫こうとしてくるだろう!】
708 :天辰 ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/06(土) 22:22:15.39 ID:9HINUzGDO
>>696(アイン)
>>700(ダグラス)
>>(キング)

【炎の津波は、キングの力で防ぎきった。だが、次にもう一発強大な魔術を撃たれ、そこにダグラスの攻撃が重なればどうなるか分からない】
【アインに魔術を撃たせないこと──それが、この戦線における自らの役割であることを、天辰は早くも理解していた】
【剛太郎もアインに来るかと思っていたが、気配から察するにどうやら彼らはダグラスの方に向かったらしい】
【不穏な空気をも感じるが、それに反応し剛太郎に助太刀するのは絶対的に誤った判断であるのも分かる】
【キングの後方支援はあるものの、実質近距離戦闘において六罪王と1対1の状態──最早震えることすら惜しかった】


【斬撃は対処された。槍は2つ。右槍が天辰を穿とうとしたところでたんと脚に力を込め、ぐるりと反転。逆さになり宙に逃げる】
【先程と同様の回避方法──だがアインと同じく、天辰も今度は下がることなく彼と距離を取ることはしない】
【常に近くに居続ける。そうすることが、彼を抑える最も有効な手段だと天辰は考えていた】

【しかしそれを、UTの代理リーダー・キングが否定する。「多重攻撃」──】
【──恐れ入った。流石は、セリーナ不在のUTを任されただけある】
【天辰はアインに魔術を撃たせないことを目的としていたが、キングはその先……如何にアインに攻撃を叩き込むかまで考えていた】
【経験の差。或いは生きてきた年数の違い。若しくは、センスと気質の差違。この一瞬で、天辰はそれを思いしる】
【それでも彼は、キングの指示に卑屈になることもなければ、我を張って無視することもなかった】
【自分より実力も経験も上位の者の思考──無下にするには、男が廃る!】


(────雷、龍…………!!)


【偶然か、それとも。空中に逃れた天辰の真下を、アインを狙った火焔弾が次々に通過していく】
【逆さになったまま、アインに刃の先を向ける。攻防も回避も支援も、風の如く瞬く間に過ぎていく】

【狙うは首筋──頭部は頭蓋骨に邪魔され、刃は通らぬ。ならばこそ、骨の防御が薄い頚を取る】
【幸い相手は目の前。だが、念には念を。首筋にむけ≪天龍≫の刺突を繰り出すが同時、その刃から一気に雷流が迸り、アインの身体を焼かんとする──!】

【キングの魔力火焔弾に、空中からの刺突。それに次ぐ雷流】
【即席の連携ながらも、まさに嵐が如き攻撃──果たして、六罪王相手に通用するか……!?】
709 :リヒト・マグダウェル ◆jqCNtrazQE[sage saga]:2015/06/06(土) 22:34:20.47 ID:2rKrV0JC0
>>699

 いや、俺は新しくついた六罪王の実力が気になってな
 噂には聞いてたんだが、ここに現れると聞いて来た訳だ

【新たな六罪王の実力がいかほどなのか、彼もまた女性のように包み隠さず理由を話す】
【彼女の視線を感じ彼もまたけだるそうに女性に視線を向ける】
【その印象は犬、首輪を付けているのもそうだが四つん這いになっているのもまたその印象を助長させる】

【そのようにして観察を終え自分もまた彼女のように戦場に視線を戻す】
【派手な技が飛び交い有志の者と機関のものが戦っている、その様子をつぶさに観察する】

【そして彼は視線を戦場から話さずに女性になんとなく問うた】

 なあ、今どっちが優勢だ派手な技ばっかりで見えにくい
 あんたは目がよさそうだしなんかわかると思うが

【目がよさそうと思った理由は犬の印象が強かったと言う安直なものだ、無論そんなことはおくびも出さないが】
710 :ベル ◆/Pbzx9FKd22015/06/06(土) 22:34:29.81 ID:qnyClSjb0
>>697


【少女の卑劣な騙し討ちは失敗に終わり、アサドの体とその一帯は煙に包まれる。「やったのか?」、その期待を捨てきれず、不明瞭な視界の先を進んだベルのその行動は失策であった。】
【またも響く爆撃音。紅蓮の弾丸は結果としてギボンの胴体部に直撃した。巨大なる怪物の口から、大きなうめき声が漏れる。】
【一方、背中の少女の体に傷は無い。実験動物として完璧な調教を施されたギボンが第一に守るべき命令は、「いついかなる時もベルの生命を守ること」にある。】
【少女は微笑んでいた。何か決まりの悪そうな顔で、冗談が失敗したかのように。】

…僕の演技、下手だった?

【ベルの微笑みと同時に、ギボンの巨躯は後方へと飛び移る。うめき声は漏れ続けていたものの、その機動力はほとんど変わっていない。】
【無論ギボンにとって先の爆撃が直撃したことは大ダメージである。ランチャーによる必殺の一撃だ、いくら巨大な改造動物とは言え2発も3発もモロに喰らっていてはたまったものではない。】
【しかしその機動力の源がその両腕にあり、かつそれらはギボンの体の中で最も俊敏に動く部分である以上、遠距離からの射撃で機動力を削ぐことは難しいだろう。それはスロットで狙った目を当てることが難しいのと同様に。】
【ところで周囲を見渡せば、木々の端々が燃え上がっていることがわかるだろう。計3回に渡る爆撃は、この規模の小さい林そのものにもダメージを与えていたのだ。】
【アサドが大石をガードした地点の木が根本から燃え上がり、音を立てて崩れ落ちてゆく。もしもアサドが自身に有利な地形を築き上げたい、そう考えるのならば――?】

しかし理解できないね、ニンゲンの一人二人が殺(や)られたからって激昂するのはさ。
顔も名前も知らない人なんだろ?それに、目の前にもっと緊急の事態があるならそっちを優先すべきってのは、外野の僕でさえ思うことなんだけどな。
ま、いいや。もうその声も聞こえなくなるんだしね…。

【少女の言葉が意味するのは大胆なる勝利宣言か。否、少女が白衣のポケットから取り出したのは一対の耳栓であった。すなわち。】

「ヲヲヲヲヲヲォォォォ…――――――!!―――――――――!!!」

【響き続けていた大猿のうめき声が変質する。低い獣の唸り声から、金属を爪でひっかくような不協和音へ。】
【テナガフクロザル、その名の由来は腕と、喉元にある「共鳴袋」からなる。自身の頭ほども膨らんだ袋は、ギボンの発する大声をその内部で何度も反響させ、増幅させてゆく。】
【それらは声帯を通じて叫び声となり、凶器となる。超高音で発される音の爆弾は、アサドの戦力を削ぐためのものだった。】
【『科学研究局の特製モノさ。あげないよ?』。耳元を指さしながら、にやにやとベルはそう言った。】
711 :主催 ◆r0cnuegjy.[!nasu_res saga]:2015/06/06(土) 22:44:24.13 ID:ARPCLVodo
>>700

【ダグラスの“切り札”という言葉は気になったが、必要な指示は出した】
【流石のアインも背後に気を配る余裕などない。目の前に立つ二人の男は】
【そう簡単に倒れそうにはなかった】

>>703

【戦場においては指揮官の能力が及ぼす影響は大きい】
【個々の能力の高さがそれを補うが、六罪王たるアインからしてみてもこの三人は強い】
【その上で後衛が的確な指示を出せばその戦力は何倍にもなる。前回の戦いからわかりきったことだった】

 (実力差などと──よく言う。まさかこれほどの男がUTにいるとはな)
 (どうにも思ったより楽にはならなさそうだ……勝利することは)

 ────なにっ!?

【槍から噴出させた火炎がキングの放った火炎で相殺され、押し返される】
【片や精霊の加護を受けた一撃、片や近接戦故に速度を重視した魔術。威力では勝てるものではない】
【その勢いは槍そのものへと到達して、キングの思惑通り槍ははじき飛ばされていった】

 フォローにしては最上だな、キングッ!!


>>708

【得物を弾き飛ばされたアインには続く天辰の攻撃を防ぐ術はないように見えた】
【だが相手は魔術師。槍での攻防戦など補助にすぎない。その真価は魔術にこそある──!】

【刃に鏡合わせのように槍の矛先が向けられる。その先端から天辰が繰り出したのと同じような電撃が走り、相殺】
【続く刺突は振るわれた槍が正確に迎撃。弾きかえすことによって防御】
【天辰が能力でアインが魔術という違いはあったが、近接戦において二人の挙動は酷似していた】

 中々やるな、小僧……だがそう簡単に倒れてはやれん!


>>all

 (前衛のフォローにダグラスに向けたやつのフォローまでするとはな……!)

 ダグラス! 相手は思ったよりも強いらしい……気を抜くなよ!!

【事ここに至ってはプライドの高いこの魔術師といえども、敵が“強い”ということを認めざるを得なかった】
【はっきり言って屈辱以外の何物でもない判断だったが、彼の理性の全てがそう告げていた】


 お前たちの実力は認めてやるがな……!!
 俺も“この程度”の状況は乗り越えなくてはならんのだっ!!


【怒号。六罪王の気配から慢心や油断といったものが消える】
【左手の槍を放り投げ、右手を開くと弾き飛ばされた二又の槍が召喚される】


 キング、広範囲同時攻撃がお前にできて俺にできないと思うなよ……!


【アインの周囲に魔法陣が三つ展開。それぞれから火炎、電撃、岩塊がキングめがけて射出される】
【それと同時に着地しているであろう天辰に向けて槍で三連突きを繰り出しつつ、足元の影を伸縮】
【時間差を置いて影の槍が上から降り注いでくる。魔術の同時発動による連撃だ】

【一方で彼らの背後、漆黒の砲塔が淡く明滅し始めていた。周囲の魔力も減少し始めているが、これは──?】
712 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/06/06(土) 22:51:05.67 ID:7mpKjhzUo
>>709
成る程ね、カノッサ機関は敵ではないが味方でも無いし、六罪王ともなれば力量くらいは知っておきたいか
いやしかし、活動的だね彼等は、そしてやる事が派手だ。地の国を丸ごと破壊したり、あんなに巨大な砲を引き連れてきたり、それにその事をわざわざ予告すると言うんだから尚更だよ
……混沌を生み出さんが為の機関、か

【燃える、燃える、向こうの大地が、草原が燃えている。揺らめく炎と陽炎の中で尚戦う者達がいる】
【怖いだろうに、死にたくは無いだろうに、逃げもせず、屈しもせず、自分ではない誰かを守る為に身を削っている】
【なんとも愉快なのだろうか、理解は出来ないが、愉快という感情だけは湧き上がってくる】

【機関の方も、わざわざ破壊行動を予告するような事を何故するのか、首都を破壊したいのならば不意打ちで十分過ぎるほどの力を持っている筈なのに】
【きっとそれは、自分のような人間を愉しませる為だ、そうでない人間にとっては恐怖を植え付ける為だ、なんともサービス精神溢れる者達であろうかと、彼女は心の中で、六罪王に賞賛を送った】

……さて、どうだろうか、なにぶん炎のせいで見えずらくてね
六罪王の仲間さんはどうやら手傷を負っているようだけど……客観的に、端的に言えば六罪王側が押されている、かな?でも僅かだ
どうやら今から本気らしいし、ここから本領を見られるかもね

【『どちらが優勢か』と問われて、彼女は右手を目の上に当てて日差しにする。遠くで行われている戦闘を見るに容易い視力は自負しているが、その戦場を包む炎でハッキリとは見えにくい】
【その中で見えている情報をそのまま男に伝える、まるでスナックでも摘みながらスポーツ観戦をしているように】
713 :ダグラス・マックスウッド ◆iBPkBgx72E[sage saga !red_res]:2015/06/06(土) 22:52:03.77 ID:96GN9wF2o
>>703-704>>707

【キングの横槍による弾倉へのダメージ――つまるところ、誘爆】
【その威力は大きな物で、もとより密集していることもあってか】
【攻撃の手は比較するまでもなく減退。耐久性を兼ね備えた剛太郎であれば】
【十分に対応できる物へと変容する。そして、これはダグラスにとっては当然不利であり】

【一気に接近した剛太郎の手刀は――ドズっ≠ニいう音を立て】
【六罪王の左肩を、恐らくは骨ごと砕いて貫くこととなる。そのダメージは甚大で】
【破壊されかけた無数の銃口やトーチカが、水をかけた粘土のように崩れ始める】



【――しかしここでダグラスは、およそ"らしくない"行動に出るのである】

【それは『剛太郎の腕を掴む』というモノだった。自身の肩を貫いた相手の腕を】
【深く傷付いた右腕で。流血も痛みも構わないといったように、最初からそのつもりであった様に】
【ガシリと、力強く。絶対に逃さないという、これまでになく強い意識を持って掴み取り】


クっ……ふ、フフッ……。ボクにここまでの傷を与えたのは
恐らくキミが初めてだ。……確かに、ボクは体力もない。
アインに前衛を任せたのも、君ら三人の攻撃をもろに受ければ敵わないからさ

……だけど舐めてもらっちゃ困る。近づけば勝ちだと、そう"誤認"されちゃ困るんだ
言ったはずだよ、君らにも聞こえるように…――切り札が有るんだ≠ニ……ッ!


【大きな気配を感じるだろう。それはまるで特急の新幹線や大型のトラックにも似た圧迫感を持ち――。】

>>ALL

【――巨大な鉄拳が出現していた。炎の外――視界、意識の外側から一挙に迫るそれは】
【およそ5mほども有る、鉄の握りこぶしであった。凄まじい風音を立てながら振るわれる先は】

【まず、剛太郎であった。ダグラスの目の前、剛太郎から見て右側から。】
【大型車両が人を跳ね飛ばすように、無慈悲な鉄拳が青年を殴り飛ばそうとするのである】
【ダグラスの能力であることは間違いなかった。何故なら、拳は彼の鼻先をかすめる精密な動きをしており】

【かつ、この一撃を当てるために攻撃を敢えて受けたのだとしたら――。】
【威力は無数の銃撃と比べるのも難しい。蜂の巣にはならないが――肉塊になる可能性は、十分にあった】
【何よりこれは奇襲なのだ。強いて前兆があったとすれば、それは覚悟に満ちたダグラスの態度くらいであり】


【これとほぼ同じタイミングで、アイン、キング、天辰の三名を同時に襲う鉄拳がもう一つ、在った。】
【人型の存在にとって、腕が二本在るのは当然だ。だから、これはもう一方の腕なのだろう】

【避けなければ、それは即ち電車に轢かれるのと同じこと。巨大であり、何より雨と風と火の中なのだ】
【視界が遠い。感覚が鈍る。――そんな中で、5mほどもある鉄塊が迫る恐怖とは、如何程か。】
【――もっとも、回避さえすれば二撃目には備えられる。出血の多さに呼吸を深くしながら、ダグラスは笑い】

>>711


はぁ、ッ……ふふっ、気を抜くな、か……悪いね、アイン……。
キミの初舞台だったけれど、君よりも目立たせてもらう。
……それと、しっかり避けてくれるかな。ちょっと、加減が効かないサイズだからね……。


【鉄拳が天辰やキングを襲う以上、射程にはアインもまた含まれている】
【彼が回避するだろうことは想定に入れて――その上での攻撃なのだ】

【"気を抜くなはこっちのセリフ"と言わんばかりに、口元の血を拭い取れば】
【炎の壁の向こう側、六罪王二人の更に背後で、砲台よりもよほど大きな影を動かした】
【鋭角なフォルム、ギアの音。視界不良の中で立ち上がったソレは、小山ほども在るように見えた】
714 :アサド・アル=アーデル ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/06(土) 23:05:13.01 ID:y/AnSVCto
>>710


いんや………女ってのは怖ぇな、やっぱ。


【アサドが少女へ反撃したのは、最初から彼女を逃がすつもりが無かったからであって、彼女の演技を見抜いたからではない】
【無論、彼女が嘘を付いている可能性を考えていなかったわけではないが……嫣然と微笑してみせる少女へ、アサドは低く呻くように笑った】
【同時に、自らの攻撃が狙いを外したことも認識。ギボンの方もどうやら単なるデカブツではない……勝負はここからか】


は、そりゃあそうだ。大儀を見誤るなって部下にもよく言われる。
だが――俺は信じてんだよ。あの渦中へ向かった他の奴らをことを。この世界の"正義"って奴の強さをな。

……あと、強いて言うなら。単純に、俺や『ヘイダル』の連中は、SCARLETの上位組織なんぞじゃなく………。
………っぐッ、"獲物"を前にどうしても引き下がれねぇ、ただのバカの集まりだってこった――――!!


【歯を剥き出しにして不敵に笑うその姿。男は既に、ただ眼前の敵を喰らい尽くす"砂漠の獅子(ヘイダル)"へと変貌していた】
【言葉通り馬鹿みたいに自慢げに鼻を鳴らし、アサドは少女と大猿の一挙手一投足へ銀の双眸を向ける。……あれは、耳栓か?】

【――直後、耳をつんざく爆音。さしものアサドとて人間だ、こんなモノを真正面からぶつけられて平気でいられる訳がない】
【思わず耳を押さえてうずくまる。――が、男は確かに人間だが、ただの人間ではない。人一倍の馬鹿なのだ。だからこそ死地に飛び込めるし、】
【この状況で敢えて、攻勢に転じることもできる。アサドは意を決して両耳から手を離し、『アルハーディ』を構え直した】


(あの素早さも厄介だが、なるほど。こんなモンを隠し持ってたとは――。
 ギャーギャー喚かれながら攻撃されちゃあたまらねえ。ソイツは先に潰させてもらうぜ………!!)


【力強く引き金を引く。側面のモニターに『A-Frost』と表示され――砲撃音というより銃声じみた小さな爆音は、咆哮に掻き消える】
【もし、先ほどまでの砲撃と同じものと油断していると危ういだろう。射出されたのは巨大な矢の形をした"氷の弾丸"だ。しかも、】
【今までの砲撃より、輪をかけて"疾い"のだ――実弾銃と殆ど変わらない亜音速の氷矢が、ギボンの共鳴袋を突き破らんと喉元へ撃ち放たれた!】
【弾殻は魔力でコーティングされて鉄と変わらない硬度を得ており、特に"貫通力"に秀でる。弾丸は斜線上の木々を難なく貫通し、スピードを全く落とさず迫る!】

【ただし、この攻撃の後。あの大音声の中強引に反撃に出たツケだろう、アサドは軽い目眩を起こしたようで】
【意識を失うまでは行かないが、一瞬ふらりと体芯が揺らぐ。氷矢を凌げれば、そちらにとってはチャンスとなるか】
715 :キング ◆/iCzTYjx0Y[saga]:2015/06/06(土) 23:08:31.08 ID:eDuHELOvo
>>707

【剛太郎の分身能力―――これは初めて見るものだが、キングは思わず舌を巻いた。】
【上手い。相手の手数を封じるには、此方も"一人"ではなくなるのが最善手だ。複数人なら、受け切れる。】
【本体に弾丸を喰らいながら攻撃を撃ち込まんと突進する姿はまさに―――ヒーローの様だ。キングはリロードしつつ、笑む。】


 (―――上手い手だ。これで銃撃は幾つかかわせるし、何より向こうは戦闘に"不慣れ"な筈……ッ!)
 (たとえ弾丸の軌道から本体を見抜けたとしても、アレで完璧に攻撃を避けるのは相当難易度が高い……ッ!!)

 決めろよ……こっちは、痛ッ……つつ、ちょいとばかし"クール・ダウン"させて貰うぜ……。


>>708

【三重の攻撃―――もとより、アインは近接戦闘を得意としていない筈だ。】
【もしそうならば、もっと早くからキングを狙い打ちにして突撃をして来るはず、そう天辰を迂回して、だ。】

 (だが、それをしてこない……遠距離攻撃で賄うだけ、そもそも天辰につきっきり、って点を見ても……)

 ―――天辰ッ!! ソイツ、恐らくはダグラス程じゃなくとも、前衛向けの能力者じゃあねェ!!
 火力はまだしも機動力は程ほどってトコロの筈だ、お前さんのスピードならソイツを釘付けに出来る!!


 (―――……ここまで言えば、ヤツらも"オレ"にターゲットを絞らざるを得ない……筈。)
 (そしてその時こそ……司令塔のオレを潰しに来るときこそ、本当の、チャンスだ。)
 
>>711

【これだけの攻撃を重ねて、尚―――相殺されるのか。】
【キングは今度こそ乾いた笑いを零していた。圧倒的過ぎる。だが―――それでこそ。】

 (……単に攻撃を重ねるだけじゃ、ああやって魔術と槍術を組み合わせて弾かれる、ってワケか……クソッ!)
 (それに―――うっ、く……出血が止まらん、ダグラスの野郎が降らせた"雨"が、まだ痛むな……オマケに火傷だ。)

【―――戦うに値する。全力を出し切るに値する相手だ。キングはさらに、言葉を続けるだろう。】

 ハッ……実力を認めるだぁ? 寝ぼけたコト言ってんじゃねェ、
 テメェまだどっかで"この位どうにかできる"とタカ括ってんだろうがよ、アイン!!
 悪いがそうはさせねぇぜ、此処に居るのは半魔の捻くれ者に特撮オタクの剛太郎、そして接近戦大好きな天辰の三人だ!

 ―――相性ならこっちに分がある、テメェは天辰に叩っ斬られるサダメだ、覚悟しとけ!

 (そうだ……煽れ、もっと……こちらに注意を、むけさせr……ファッ!?)

 ―――ちょ、おまっ、おいおいおいおい! いくら注意をひきつけるったって、おま―――おわァッ!?

【 や り 過 ぎ た 。 】
【なんかすごく怒っている気がする。キングは此方に向かい来る三重攻撃を】
【まず一発、岩の塊を"跳躍"し鋭い蹴りで―――蹴飛ばし、サッカー・ボールの様にアインめがけ"蹴り返す"ッ!!】

【続く火炎をバックステップで回避、足元を炎で焼かれるも素早く後方へ下がる、が―――】

 ―――ガッ、はッ……くっ、うぁぁぁッ―――!!

【電撃が全身を襲う。避け切れなかった雷撃が身体を貫き、キングは膝を着く―――ダメージが、大きい。】

 (ちっくしょう……!!なんつう強引な―――ハハッ、笑っちまうくらい出鱈目な野郎だぜ……けどなッ!!)

 ……砲撃、だけは……防がない、とな……くっ、!!

【キングは感じ取っていた、確かに―――アインが、魔術によって砲撃を起動しているコトを。】
716 :キング ◆/iCzTYjx0Y[saga]:2015/06/06(土) 23:08:55.27 ID:eDuHELOvo

>>707-708

 ―――不味いッ!! 俺達の目的はこいつ等をブッ倒すことと、もう一つあるッ!!
 砲撃の阻止だ、聞こえるか二人とも、アインはそろそろ、充電を完了させ―――


【キングが二人に対し、またしても指示を飛ばそうとした、その瞬間だった。】

>>713

【―――切り札。確かに、そう呼んでも可笑しくない程の、超高火力のソレが、三人に遅いかかった。】
【巨大な鉄拳。いや、比喩ではなく本物の、鉄のこぶしが遅い来るのだ。キングはソレに対し、即座に反応―――ッ!!】


 ―――畜生ッ!! 剛太郎、下がれ!!
 天辰、お前は―――逃げろ、お前の速度、なら……ッ!!

 てめぇら(>>707-708)、そこを、動くなよ―――ッ!!



   "精霊よ―――"

     "風の精霊・シルフィードよ―――"

       "我が導きに応え、我に加護を与えよ―――ッ!!"


             F U L L    B U R S T    W I N D !!

【キングの両手に、三度精霊の加護による魔力の供給が開始される。】
【そしてソレは、即時に充填され先程の火炎、氷より素早く、瞬時に完了し―――放たれる!!】
【そう、剛太郎と天辰両名の"肉体"めがけ、放たれるのだ!!風の精霊による魔力が付与された弾丸が、直接!!】


 ―――二人とも、吹っ飛べッ!!


【―――そう、風の魔力。それを付加した弾丸には、強烈な"風圧"と"スピード"が重なっている。】
【この攻撃によりダグラスに捕まった剛太郎を"弾き飛ばし"、またアインと交戦中の天辰を"吹き飛ばす"コトで】
【両名を襲う鉄のコブシから強引に、非常に強引に"回避"させよう、というのがキングのとった行動だった、だがしかし―――】

【問題もある、当然、弾丸は弾丸だ、命中すればそれなりにダメージはある。】
【だが鉄拳よりは確実に低い威力だし、致命傷にはならない程度のもの。だが、真の問題は―――】


 ―――悪ィ、オレはちょっと"休憩"だ。 


【―――キング自身は、攻撃に専念したため鉄拳を回避できない、という事だ。】
【キングはグッ、と親指を立てていい笑顔のまま―――ゴツン。鉄拳に吹き飛ばされ、草原にめちゃくちゃに―――叩きつけられた。】
717 :リヒト・マグダウェル ◆jqCNtrazQE[sage saga]:2015/06/06(土) 23:28:20.70 ID:2rKrV0JC0
>>712

【敵ではないし味方でもない、彼女が言ったその言葉、彼女はどこかの組織にでも所属しているのかと疑問が生じる】
【チラリと彼女を見て、聞くかどうか逡巡した】

 ……そこらった辺は理解できないな、予告なんてだしたって相手に防御を強化させるだけだってのに
 と昔ならいったんだろうなぁ、こんだけ強ければ予告を出したところで問題ないんだな、六罪王は揃いも揃って我が強い
 混沌を生み出す、それが目的の連中なら適任だな

【燃えて、燃えて、燃えて行く、すべてが燃えて行くところでそれぞれの戦いを見続ける】
【誰かのために戦う、自分の欲のために戦う】
【愉快とか愉悦とかそのような感情などは湧き上がってこなかった、だが理解も出来なかった】
【だが、ただ一つ自分の中に湧き出た言葉をポツリとつぶやく】

 ――たとえどのような信念であっても最後まで貫き通せば本物だ

【その言葉が彼女に聞こえたかどうかはわからない、けれど彼にとってそのようなものなんだろう】
【悪も正義もまた彼にとっては等しいものだ、そこに差別はない】

 ――ん、ああそうか、流石の六罪王も数には押されるものだな
 とはいえこれで倒れないのが六罪王、どんな手を使ってくるか

【そして彼女が情報を伝えてきたことに少しばかりはっとして反応を返す】
【切り札、または六罪王の本気――それをしっかり目に焼き付けようという思いが優先し少しばかり体が前のめりになっている】
718 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw[sage]:2015/06/06(土) 23:39:32.64 ID:DJ4tSbZvo
>>711>>713

【再び、手応え有り―――能力以外は一般人並みに過ぎないダグラスならばこれでほぼ決まりか―――!】
【そう思われた矢先に、剛太郎の腕をその腕で掴もうとするダグラス―――ここにきてこの男、またしても執念を見せるか】
【ゾッと、背筋に戦慄が走る、右手側から感じ取れるその―――圧倒的な破壊の拳を見た彼は】


(ヤバい) (避けなきゃ)    (振りほどききれない!) (防御しかないか)
  (『梅花』か?)   (違う)   (大技には『雛菊』の方が)    (だめだ)
 (腕掴まれてんじゃん!)  (片腕の『雛菊』じゃとても無理!)    (やべぇ死んだ)
(来る前に味噌とんこつラーメンくっときゃよかった) (母ちゃんすまねえ)     (ごめんなムク)

(―――ダメだこれ、どうしようもない―――死ぬ―――!)


【ガチで死を覚悟したその瞬間、頭の中に複数の思考が巡る―――走馬灯のように】
【一目で威力を察した彼は、よけきれず、なおかつ横っ腹から防御の姿勢も取らずに受ければ命に係わるという事を察するあまり】
【自分に死が近づいている事を察し、最後に辞世の句すら口にしそうになるほどあきらめかけたその時―――】

【―――そのため、忠告通り『そこを動かなかった』ために、ドゴォ!とその風の弾丸が無理矢理剛太郎の体を跳ね飛ばしていくことだろう】
【いてぇ!と思わず口にしたかと思った、実際はそんな事すら口から飛び出す余裕すらない】
【ダグラスの攻撃の軌道から離れた事で少なくとも即死は免れた剛太郎が―――そんな自分をかばったばかりに】


―――……キングゥゥゥ―――――――ッ!!


【自分の代わりに味方がその一撃を喰らった―――防いだのか?それは見えなかった】
【だがその事実が彼の心を乱し、冷静さを失わせるには十分だった】
【わなわなと震えるような手で再び『リキッドウィップ』を手に取り、今の攻撃を行ったダグラスに向けて】


――――くそったれぇ――――――――――ッ!!!くらいやがれッ!!

「お、おい剛の字ッ!!冷静になれ!おいッ!」


【心が乱れ、上手く技を繰り出すことが出来ない剛太郎は―――その鞭をめちゃくちゃに振り回し】
【ダグラスめがけ上下左右、力任せに水の鞭で叩き込んでくるだろう―――しかし苦し紛れゆえに軌道は読みやすい、防ぐのは決して難しくはない】
【棺桶の中で操作を行うムクの忠告も聞こえていないらしい、隙は大きい!】
719 :ベル ◆/Pbzx9FKd22015/06/06(土) 23:44:28.86 ID:qnyClSjb0
>>714

【アサドが笑うと同時に、大猿の体が一瞬、震える。ギボンがその時耳にしたのは、獣の王の咆哮か。】
【それは一瞬のことで、すぐさま大猿の目から怯えは消える。しかし凄まじい速度で向かってくる氷の矢を認識すると同時に、避けることは不可能と「ギボンが」判断した。】
【人間同様の霊長類であり、ましてや本来持つ能力の全てが強化された改造生物。その思考能力は極めて高い。】
【即座に大猿の発する声調が変質する。超音波による妨害から、「音波そのもの」による物理攻撃へ。自身の共鳴袋が破壊され、もはや修復不可能となることを見据えての足掻きであった。】
【氷の矢が共鳴袋を貫く。それでもベルは動じない。何しろ自身が傷付く気などさらさら無いのだ、絶対の安全圏の中にしか、彼女が身を置くことは無い。】
【突き進む矢はそのままギボンの肋骨の前面部分を破壊。しかし体そのものの貫通には至らず、矢じりの部分が体後ろ側の肋骨に噛んだところで、矢の進行は止まった。】
【そして最後とばかりに放たれたその雄叫びは、音の塊となってアサドの肉体を襲う。常軌を逸する規模で起こる空気の振動は、衝撃波となり敵を穿(うが)つ。】
【アサドがギボンが、互いが互いの肉体を傷付け合い、生命を賭けての死闘を繰り広げるそのさ中に。】

あぁ、共鳴袋が!なんてことだ、君の生物としての特性が無くなってしまったじゃないか!
「音で攻撃」っていうテーマで作成した実験動物なのに、ただのテナガザルになってしまった…面白くも無い。一体、この音響指向性システムを作るのにどれだけ苦労したと思ってるんだ!
…まあ実際そんなに苦労してないけど。天才だからね、僕は。

【ただ一人、ベルだけが安全なところで笑っていた。】


720 :天辰 ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/06(土) 23:50:28.18 ID:9HINUzGDO
>>711(アイン)

(やっぱり……魔術師なのに、近接戦闘慣れしている──!)

くっ……倒れてくださいよ、そうもいかないでしょうけど……!


【弾かれる刺突。崩れるバランス。姿勢を立て直すため、一時的に着地。そこを狙われ、槍の突きが襲う】
【だが、仮にも天辰だって剣士。それも、このような死地に送り込まれた戦士だ】
【1度は受け流し、2度目は正面から食い止め、3度目はなんとか弾くも、槍の重みに耐えきれず更に体勢が崩れる】
【そこに、追撃と言わんばかりに影槍が殺到し────】


>>713(ダグラス)
>>715-716(キング)
>>718(剛太郎)

【──ざわ、と悪寒が走った。何かが、くる。とてつもなく巨大な、何かが】
【迫る影槍。だがそんなものがどうでもよくなるぐらいに、嫌な予感がした。もはやそれは直感だった】
【早くこの場を離脱しろと、本能が叫ぶ。だがそれは出来ないと、理性が身体を押し止める】
【ひゅう、と思わず呼吸が止まり──聞こえたのは、キングの叫び声だった】


   ────── え ?


【ずどん! と風の魔弾が天辰の身体に叩き込まれる。風鎧のダメージ軽減の恩恵はあったものの、それでも肺の中身を全部吐き出すぐらいには痛かった】
【一瞬意識が消失したような気がする。ふと下を見れば、天辰はアインも影の槍も置き去りにしてあの場所から吹き飛んでいた】
【身に纏わせた風の渦は健在。思い返すは、直前のキングの声。視界に入る、巨大な拳】
【──あれから自分たちを護るために、敢えてキングが魔弾を味方に対し撃ったのだと気付くのに、秒もかからなかった】
【そして、見えた。鉄拳に巻き込まれ、草原に叩きつけられるキングの姿も】

【駆け寄るか。だがそんなことをすれば、アインとダグラスの攻撃が降り注ぐのは目に見えている】
【そういえば、魔弾を撃つ前にキングはなんと言っていた? 「目的」「もう一つ」「砲撃」──砲、撃……!】
【見れば設置された砲塔は、妖しく明滅していた。──これは、マズい】



   キング、さん ──── ちょっと、自分でなんとかしててください



【それは、アインがダグラスを信頼して告げた言葉と、よく似ていた】
【──ひゅう。強く、強く、天辰の周囲を風が吹き荒れる。嵐の如き暴風が、天辰を取り巻く】
【ひゅう。あまりに軽やかに、風は動く。風の中では、地上のように重力に縛られることもない──ごう、と雨が風に巻き込まれ、出鱈目な動きをする】
【目標は、キングや剛太郎の支援でもなければアインとダグラスへの攻撃でもない──目標は、そんなものでは、ない……!】


     穿て、 ≪ 天 龍 ≫ ────── ッ ッ ! !


【「ソレ」が十分に届く場所まで、宙を駆けて移動する。手元の≪天龍≫に、力を込める】
【地上では剛太郎が、むちゃくちゃにその能力を奮っていたが──止める時間などありはしない】
【ぱり、と天辰の刃に紫電が奔る。もう、この場所ならば十分にコレは届くだろう】

【叫ぶ──己を奮い立たせるために、己が刃の名を。彼の刃は、主の声に応えるように一度だけ脈動し──】
【ばちん、とその場に閃光が瞬き、遅れて轟音が響く】
【そして、まさに天を裂く龍が如く、一筋の雷撃が大気を貫き、アインの護る砲塔へと────!!】
721 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/06/06(土) 23:53:24.04 ID:7mpKjhzUo
>>717
ほら、今度は六罪王の方が押し返してるみたいだよ、流石と言うべきか、当然と言うべきか
双眼鏡でも持って来たらどうだい?口頭じゃなく君もしっかりと見たいだろう?

【ジッと眺めるメインイベント、六罪王と対する者達の戦いは、刻一刻と戦況が裏返り、押しつ押されつのシーソーゲーム】
【見世物としてならば、これ程愉しいものはない、彼処で戦う者達の信念なんか知りもしない、どうだっていいんだ、この女は】
【「それとも、君も参戦して来たら?」などと冗談めかした事を言葉に付け加えながら、男の方に顔を向ける。その眼は明らかに笑っていた】

所で───突然だが、君はGIFTの人間だろう?初めて見る顔だね
ああ、失礼、挨拶が遅れたね、僕もGIFTの人間なんだ、君や他の人みたいにエンブレムは付けてないけどね
ライン=アインツヴァイドだ、よろしく

【不意に口にする台詞は、まるでこの状況と関係無いに等しい物で、何故このタイミングでと聞かれればきっと大した意味も無いのだろう】
【ラインと名乗った彼女は、言うだけ言ってしまうと、また視線を男から戦いへと戻す、だからと言って話を聞いて無いわけでは無いが】
722 :主催 ◆r0cnuegjy.[!nasu_res saga]:2015/06/07(日) 00:03:23.02 ID:0qyZgXQFo
>>713

【──その瞬間、アインの背筋に氷柱が入ってきたような悪寒が走る】
【圧倒的な存在感にアインは振り返る必要すらなかった。魔力による探知がなくともすぐにわかる】
【魔術師の足元から微風。風の力を借りられるのは天辰だけではない】

【鉄拳が通り過ぎる直後に跳躍。空中に飛び出したアインの足元を質量の塊が通過していく】
【奇しくも先ほどの天辰とは逆の形となった。だが、この後衛の援護攻撃はこの魔術師でさえ驚いた】

 ────かつては“どこが六罪王だ”なんて言ったもんだったがな

 いや、お前を呼んで正解だ……ここまでやってくれるとはな!!

【アインの口から歓喜の声。そびえ立つ小山ほどにも見えるその物体は、奮い立つには十分すぎるものだった】

>>715

【速度を重視しろというキングの指示は的確としか言いようがなかった】
【近接戦においても超高速の魔術を使い十分な火力を出すアインだが、唯一反応速度には難がある】
【それさえも魔力の探知によって補ってはいたが、本職に敵うほどのものではない】

【しかし、その弱点ぐらいはアインとて自覚がある。だからこそ、多重展開による範囲攻撃は速度による回避を許さない】
【近距離でさえも広範囲攻撃ができるという点が、アインなりの弱点の克服だった】

 ……あの男、まさか

【空中に静止しているアインは、苦々しい表情をしていた】
【魔弾で味方を救うという判断には当然、驚かされた。変わらず的確な指示だ】
【だがより“恐ろしい”のは、あの鉄拳を受けるという選択を取ったこと】

【この戦いにおいてキングを失えば敗北は必至。それは誰の目にも明らかだ】
【そんな中でその選択を取ったということはつまり──】

 ──“あれを受けても生きられる”ということかっ!!

【吹き飛んでいったキングめがけて追撃をかけようとするアインだったが】


>>720>>all

【振り返ったアインの眼前には、砲塔に接近する天辰の姿があった】

 しまった……っ!!

【撃ち落そうにも直線上に天辰がいては砲塔に影響が出る。アインの魔術はいずれも範囲が広すぎた】

【天辰の攻撃により、砲塔は軋むような轟音を響かせた────だが】

//続きます
723 :主催 ◆r0cnuegjy.[!nasu_res saga]:2015/06/07(日) 00:07:44.41 ID:0qyZgXQFo
>>all

【暗い光の明滅は収まらず、魔力の波濤が周囲にその存在を知らしめる。砲塔は健在だった】
【それどころか光は次第に強くなっていき、破裂。漆黒の光弾が上空へと放たれてしまった】

【数秒後に、轟音と衝撃。草原の全てを照らすような強烈な光が遥か彼方からキングたちを照らし出した】
【半円状となった巨大な光弾が遠くの──首都エルジオで広がっていくのが見えるだろう】
【エルジオまでは相当な距離があったはず。それにも関わらず爆音と光源が見えるということは──】

 ────……よくもやってくれたな

 中途半端な段階で暴発したおかげで、“たったあれっぽっち”だ

 あれでは都市の十分の一も破壊できていない……!

【忌々しげな表情でキングたちを睨みつけるアインだったが】
【そう、“あれっぽっち”だった。本来の威力はこれを遥かに超えるということだ──!】

【アインは槍を構えなおした。敵の陣形はダグラスのおかげで完全に崩れた。あとは──】


 あとは一人一人“狩っていく”だけだ……まずはお前からだ剛田


>>718

【ダグラスめがけて怒りの攻撃をしようとしている剛田に向けて、アインが槍を構える】
【剛田を先行させるというのは効果的だったが、陣形が崩れた瞬間に剛田は挟撃を受けることとなる】

 “あのとき”に誰か死んだようだが、今日こそ再会させてやろう……!

【矛先に魔法陣が展開、魔力が収束。放たれたのは直射状の火炎だった。人一人を焼き殺すには十分過ぎる熱量だ】
【背後からの攻撃を、果たしてどう防ぐか──】
724 :アサド・アル=アーデル ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/07(日) 00:23:17.35 ID:Qi35ApJfo
>>719

【超音波が三半器官を揺るがし、体が傾くのを感じた。普段から至近距離で爆音を聞いて慣れているアサドでも、この規模の咆哮には耐えきれず】
【がくりと片膝を付いたところへ、不可視の衝撃波が全身に叩きつけられた。「ぎ、ッ――」という短い悲鳴も一緒に掻き消され】
【砂塵と共に吹き飛ぶ最中、アサドは氷矢が確かに共鳴袋を破壊したのを見る。……全身が痛いが確かに戦果は上がった。まだ戦える――】


っち………嬢ちゃんよ、お前は安全圏で高みの見物って訳か。いいご身分だなおい。
ずっとそうやって、俺や他の奴らが足掻いてるのをそこで眺めてるつもりか?
……そいつは寂しいね。お前もちったあ参加してくれたっていいんだぜ、なぁ――――!!


【軋む体を立て直し、アサドは少女を見据えて苦しそうに笑う。……左は辛うじて無事だが、右耳はイカレたようだ。少女の声も聞き取り辛い】
【だが――余裕ぶって見下されているのような気がした。必死で戦って血を流す自分たちを、誰かが笑っているように感じた】
【皮肉めいて叫びを上げると、アサドは震える両手で『アルハーディ』を構え直し、その銃口を少女たちへと向けるだろう】

【――しかし、直後。動き出したのは銃口から発射された弾丸ではなく、今までアサドの背後で待機していた二つの水色の弾丸の方だった】
【二つの球体は少女の背後と真上の位置へそれぞれ回り込むように移動。側面モニタに『E-Hail』の文字が踊り、】
【少女の背後にある球体は少女の背中へ、真上に位置する球体は少女の左肩付近を狙い、それぞれ一本ずつ鋭い"氷の槍"を射出する!】
【『E-Hail』は自在に動き回りながら支援攻撃を行う"動く砲台"なのだ。氷槍の威力は他の砲撃と比較するとかなり見劣りするが】
【もし受けるのがギボンならば掠り傷程度のダメージで済むだろう。しかし狙いは生身の少女、直撃すれば危険なのは間違いない】


お前もなぁ、デカブツ! ギボンとか言ったか!!
そんないけすかねえご主人様守って楽しいか、おい!! 気にせず俺と遊ぼうぜ―――!!


【そして、それとは別に――アサド本人の砲撃の手もまだ残っているのだ。引き金が引かれれば、側面のモニターに『A-Spiral』と表示され】
【ひときわ大きい爆音に、何かモーター音じみた異音が混じった独特の砲撃音。"爆撃"ではない。途轍もない"回転"を加えられた灼熱の弾丸が飛翔する――!】
【『A-Spiral』は今までのように着弾時に爆発する効果が無いが、その回転力と高熱によって強力な貫通力と破壊力を付与された弾丸だ】
【『A-Spiral』は邪魔な木々を焼き払い粉砕しながら、ギボンの腹部めがけて突き進む。速度こそ先ほどの氷矢より遅く、どうにか目視で見切れる程度だが……】

【自身がギボンを、遠隔操作した『E-hail』が少女をそれぞれ狙うこの同時攻撃の布陣。ギボンは恐らく"主"たる少女を守るために動くだろうとアサドは踏んだ】
【ギボンが少女を守ろうとすれば、それだけ当人に向けられた攻撃は避け辛くなるだろうという狙いだ。果たしてどう対応するか――?】
725 :ダグラス・マックスウッド ◆iBPkBgx72E[sage saga !red_res]:2015/06/07(日) 00:25:49.71 ID:ST37V1vRo
>>715-716>>718>>720>>722-723

【吹き飛んだキングと、そのキングによって命を救われた剛太郎と、天辰と。】
【口内の鉄錆に似た味を吐き出しながら、ダグラスは彼らの姿を見ていた】

【直後に怒声と、その感情に任せた水の鞭が自身に迫るのも感じるが】
【巨大な人型――霞む視界の先から乗り出した、数十メートルはあろうかという機兵が手を前に出せば】
【それだけでも重厚極まる盾となってダグラスを防御し、指の隙間からは六罪王の瞳が覗く】


だから……言っているじゃないか、何度も。

僕は確かに弱い。……殴り合いじゃあ、間違いなく勝てないさ
だが能力には自信がある。……"絶対の自信"があると、言い切ったって良い…ッ!
……例えそれが古の髪が作った機兵であろうと、僕の手で創り出してやる。

オリジナルのヴァルゴ≠ヘ……もっと色彩も鮮やかだった。
これは僕の二次創作だ。色合いはホワイトとブラック……本家への引け目があるからね
けれど……改造も施してある。君たちを殺すには、十分すぎるだろう?


【――天辰の砲台への攻撃には、さしものダグラスも対処はできない】
【しかし問題はない。今の目的は残った敵を全て"殺す"だけであり】

>>ALL

【まず狙うのは剛太郎。ぬぅ、と出現した機兵の頭部に付属したモノアイが輝くと】
【其処から高熱のレーザーが一筋放たれ、青年の肉体を真っ二つに両断せんと迫ってゆく】
【動きは早く、鉄をも溶かす。強いて言えば一直線であるがゆえに回避は可能だが――。】

【――続いて、狙うのは天辰。彼にはもっと単純な攻撃が仕向けられる、ミサイルだ。】
【小型の爆発物を搭載した5発の円筒が、天辰の肉体を爆散せしめんとする】
【誘導型であり、強い衝撃を与えれば対応はできるだろう、か】


【また、キングへの追撃も忘れていない。驚くほど冷徹で徹底した動きをダグラスは見せていた】
【機兵の片腕はダグラスの防御に。ではもう一方はといえば、草原に叩き付けられたキングを探すように】
【雨空の中をまっすぐに動いて、死んでいるのであればその死体を叩き潰さんとまでするのだった】


【しかし――ダグラスの負傷も大きい。右腕に深いキズを負い、左肩は手刀が貫通して居るのだ】
【白いワイシャツは薄桃色に染まっていたし、呼吸も荒くなっているのが見えた】
【攻勢を強めるのは限界が近いからだ。強大な力をくぐり抜ければ、待っているのは常人なのだから――。】
726 :キング ◆/iCzTYjx0Y[saga]:2015/06/07(日) 00:39:18.85 ID:uYjjgD8ro
>>718>>720>>722-723>>725

【―――破壊の音が聞こえる。大砲か。撃たれた。仕方が無い。仕方ないで済むか。】
【ふざけやがって。剛太郎は。怒ってるな。我を忘れてる。ダグラスのそれは。存命か、忌々しい。】
【アインと天辰は。剛太郎が挟撃されるか。不味いな。ああ、まずい。天辰がフォローするか。するだろうな。】


【だが―――まかせっきりには、できねぇな。】


【―――ゆらり。立ち上がる。へし折れた腕を直す。ゴキリ。鈍い音がする。まだ動く。よし。】


【―――その、次の瞬間だった。キングの周囲に展開した魔力と炎が最大限の威力に達し、一瞬にして機兵の腕を弾き飛ばしたのは。】




 オイオイ……あまり調子に乗るなよ、ジジイ、優男。
 テメェらの目の前に居るのは―――悪魔と人間の、間に生まれた"禁忌"サマ、だぜ。


【―――ボウッ。火がつく。足元に。空気に。空間に。身体に。髪の毛に。銃に、全てに―――魔力と炎が、宿る。】
【そしてそこから―――驚異的な"反逆"行為が、開始された。】


    "精霊よ―――"


      "炎の精霊・イフリートよ―――"


        "我が声に応え、我が意を照らし、我に―――

                       我に真の力を、与えよ―――ッ!!"


【その瞬間、だった。】
【圧倒的なまでの魔力量。爆発的なまでの威圧感。決定的なまでの、力。】
【一瞬のことだ、だが瞬間的な観測量で言えばアインのそれをも凌駕する、凄まじいまでの"濃度"の魔力が、今】



                    < 猛る業火   魂すらも  焼き尽くす >  

                         "魔人化"―――"イフリート" 
727 :キング ◆/iCzTYjx0Y[saga]:2015/06/07(日) 00:39:41.97 ID:uYjjgD8ro



【―――解き放たれる。そこに居るのは、限定的とはいえ精霊の力を全開開放した、人型の悪魔だった。】
【全身を怪物の様な鱗で覆い、その上には古式な鎧と威風漂う炎のマントを棚引かせ、爆炎を周囲に撒き散らし―――】
【悪魔と、人の合いの子であるキングが、契約した精霊の魔力をその身に宿し、真の力を解放し、そう―――"魔人"、と化したのだ。】

【その姿はまさに、業炎を纏う地獄の使者―――暴力的な魔力を振りまきながら、キングはその場で―――猛るッ!!】


 う、おおおおおおおおオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!


【叫ぶ―――ただ、それだけで発せられる破壊の渦。全身から放たれた爆撃に近しい炎が、アイン、そしてダグラスに襲い掛かった。】
【まずはダグラスの駆る機兵が放ったモノアイ・レーザー。これを超高温の炎が鞭の様に撓り、正面から直撃、なんと"掻き消し"!!】
【続いて天辰を襲うミサイル攻撃、これを狙ってキングの両腕から放たれた紅の火炎弾が無数に飛来、爆発的火力で破砕する!!】

【その上、保有していた二挺拳銃が合体、魔力によって変形し―――巨大な擲榴銃<グレネード・ガン>と化していくではないか!】
【六連発のリボルバー・グレネードとなった巨砲を構え、キングはすかさずソレを地面めがけ"発砲"―――すると】
【凄まじい火力の炎が地面を叩き割り、まるでマグマのようにアイン、ダグラス両名の足元から大噴火を繰り貸し―――襲い掛かる!】


>>718>>720


 ―――聞こえるか、お前達。 
 オレがアインと"遊ぶ"間、そのクソ気に入らねェ大砲を破壊しろ。
 時間は数十秒、それ以上は―――保たない、そう思っておけ。

 ―――だがその間、オレがアインも、ダグラスの泥人形も全部ひきつけてやる。
 剛太郎ッ、テメェはダグラスの本体も攻撃しろ、大砲と同時にだ!

 天辰ッ!! テメェはとにかく砲台に集中しろ、もう一発は絶対に―――絶対に撃たせるなよ!!

 コイツは男と男の約束だ、いいか、テメェら!!


【魔人と化したキングは全身から炎をあふれさせると、>>722-723アイン、そして>>725機械兵へと猛スピードで、突撃―――ッ!!】

 ―――よう、派手に撃ち合いがしてェんだろ?
 遊んでやるぜ、木偶の坊と魔術師。

【フィールドを圧巻するほどの炎を生み出しながら、対面した―――ッ!!】 
728 :リヒト・マグダウェル ◆jqCNtrazQE[sage saga]:2015/06/07(日) 00:46:56.85 ID:2n/YqwL60
>>721

 ああ、そうらしいな、流石は六罪王機関の根幹を担う幹部だな
 まぁ、首領クラスがこれくらい出来なければ組織としてもたないだろうよ
 と言ってもカノッサと言う組織自体好き勝手するやつらが多いけどな、俺たちがいえたことじゃねーが
 

【素直な賞賛を送る、しかしその後に辛辣な言葉を口にする】 
【カノッサ機関という組織は混沌さえ引き起こせればそれでいいのか好き勝手するものたちが多い、事件などを起こすときは集まってくることもあるが】
【混沌を生み出す組織と言うこともあり組織自体も混沌になるのか】

【冗談めかしの付け加えられた言葉にわかりつつ「死にたくないからいかねーよ」とけだるそうな目を女性に向けた】

 ――んん、あーそうかあんたも俺と同じ組織か、リヒト・マグダウェルだよろしく

【不意打ちのように自己紹介された彼だが少し動じたもののすぐに挨拶を返してきた】
【彼女が先ほど言った言葉が自分と同じ組織に所属していると感じていたからだ】

 しかし、切り札を出すということは相当追い詰められてるな
 そろそろこの勝負も決着がつく頃合だな

【激戦から目を逸らさずに彼は言った、その手にはいつの間にか双眼鏡を持っていて】
729 :剛田剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw[sage]:2015/06/07(日) 01:07:53.63 ID:PNu9iZrWo
>>723>>725

「―――剛の字ィッ!!静まらんかァッ!!」

ぐうっ!!


【―――突如、見かねた相方がしびれを切らし棺桶からポンッ!と勢いよく犬が飛び出し】
【魔翌力のエネルギーに覆われた状態で剛太郎の横っ腹に体当たりを仕掛けるだろう―――】
【思わず息が漏れ、地面に尻餅つく羽目になるだろう―――その状態でしかしムクの一喝が響く】


「この戯けモンがァッ!!ちょっとばかり味方が大技を受けたからといって取り乱しおって!
……本当に奴の事を思うならば撃退なり!離脱なり!何かしらの手段でまず戦いを終わらせるのが最優先じゃろうがッ!!
そんなザマでカノッサ機関とやり合うなんざ片腹痛いわこのひよっ子ッ!」

ムク……

「チッ、世話が焼ける―――ええか、次は『フレア』じゃあ、今お前は狙われている、それはワシが何とかする
とりあえず連中の次の一手はワシがなんとかする、一発限りの奥の手でな―――ありったけを奏でろ剛の字!退くも進むも、まずは命の限り抗ってからじゃあ!

―――おまえは今にカノッサ機関を滅ぼす『妖刀』となる男!ワシが必ず引き上げるッ!!」


【その言葉に、剛太郎は立ち上がり―――再び戦闘態勢を取る事で無言のまま応える】
【相応のダメージもある、しかし萎えない闘志が体を動かし続ける。―――手には赤色の鍵、ベルトから錠前を取り出してそのカギを差し込むだろう】
【―――だが、その剛太郎めがけ背後からはアインの火炎、正面からはダグラスのレーザー!挟撃だ、逃げる隙はない!だが―――】


「―――舐めんじゃねえぞ若造共。コイツの命はまだまだ……テメェらにはやらねぇ……!―――――Anfang!
『Das Schliesen(準備)』『Neun(9)』『,Acht(8)』『Sieben(7)』『Es last frei(解放)』『verteidigen(この者に守りを)』――――!」


【―――突如、愛らしい子犬から、この場の誰もが胃を引き絞られるかのような『威圧感』と、ただならぬ『憎悪』が発せられた事が感じられるか】

【周りの空気が急激に張り詰めていく、同時、魔術に長けたものであれば見破れるかもしれないが―――今この犬の頭上ですさまじい高密度のエネルギーが生成されている】
【剛太郎の出力など比べ物にならない、さながら、攻城兵器が今まさに目の前で破裂するかのような、そんな危険なエネルギーが迸る】
【犬が詠唱する呪文と共にそれは形になり―――突如剛太郎の前と後にクリスタルを思わせる光の壁が現れ、両者の攻撃を受け止める事だろう】

【その壁が、火炎を、レーザーをこれ以上行かせんとばかりに食い止め―――いや、それどころか―――『押し戻して』いる!?】
【渾身の大技ではないとはいえ……六罪王の火力を防ぎきる事が出来るというのか?―――何者だ、この犬は?】

【突如、張り巡らされた光の壁がその攻撃を無理やり押し戻し―――でたらめな方向へと飛び交い始めた!】
【狙いは不正確、そのまま突っ立ってても大丈夫かもしれない、それでいい、本命は―――今姿を変えた剛太郎の次の一撃だ!】

「―――『Flare≪フレア≫』 Lock-free」

【赤い姿へと変わっていく剛太郎がダグラスの繰り出すヴァルゴを睨みつけながら、跳躍する】
【狙いはヴァルゴ、そして―――それに守られるダグラス、狙いを定め―――再びキーをひねる!】

『≪Open sesame≫!』

葉隠流 奥義!! 落花狼藉ッ!!   せいやぁ――――――――――ッ!!!!


【真っ向からヴァルゴめがけて、最大出力に引き上げた剛太郎の炎の魔翌力を込めた跳び蹴り!】
【おそらくは剛太郎もこれが最後の、渾身の一撃―――はたしてどうなる!?
730 :天辰 ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/07(日) 01:12:36.01 ID:jdmFpVxDO
>>722(アイン)
>>725(ダグラス)

【雷鳴とは違う轟音が、戦場に響く。「やった──」 一瞬、そう思った】
【身体から力が抜けそうになる。それでも、砲塔を破壊しただけで2人の六罪王を退けたわけでは──】
【──待て。確かに砲塔には雷撃を落とし、機能を停止させたはずだ。なのに、何故まだ砲塔は明滅している?】
【答えはすぐに分かった。光弾の軌跡が、スローモーションで見える。宙に浮いたまま、眺めていることしか出来なかった】
【何をする時間も、なかった。光弾を食い止めなければと思考することさえ、出来なかった】


【今の一発で、どれだけ死んだだろう。避難指示は出ていなかったはず】
【都市の十分の一も破壊できていないと、アインは言った。都市の十分の一近くは、破壊されたのか】
【はは、と乾いた笑いが思わず漏れる。砲撃は止められず、六罪王は未だ健在】
【もう一度だけ笑い──刀を構え直す。ここでせめて、六罪王たちを後退させなければまた街が破壊されるだけだ】
【そうなれば、今度こそ、十分の一だけではすまなくなる。最大出力まで力を溜め込んだその砲撃がどれほどの被害を及ぼすのか。想像もしたくなかった】


(……姉上があの街にいないことは、事前調査で分かっている)
(あれだけ静まり返った街と、戦場。確かに姉上は戦場をお好きではありますが──)
(聡明な姉上のことだ、戦場は兎も角、万が一旅をしておられてあの街にいたとしても、すぐに発たれたことでしょう)
(ならば────憂いることは、何ひとつだって、ない……!)


【死んだ者たちへの弔いと後悔は、後でいくらでも出来る。今は、そんなことより重要なことがある】
【持ち直した刀を、迫り来るミサイルへと向ける。軌道を変化させることなく飛来するそれらが、いつどのタイミングでどの地点にくるかは予想できた】
【そもそも、予測できなければ死ぬのだ。当然、死ぬのは嫌だった】
【風の弾丸と雷流。それらを使い分ければなんとかなる。問題は、ミサイルを見続けて冷静に攻撃が出来るかどうかだ】
【嗚呼、死を形にしたモノが来る。かた、と指が震え始める。嗚呼、もう、撃たなくては。風を、雷を、意思を、しっかり──】
【ダメだ、間に合わない。間に合うはずがない。予測出来ると一瞬思ったが、そんなものは机上の空論だ、空軍のパイロットにでもなったつもりか】
【は、と笑いが出る。また、乾いた笑みだ。どうしようもないこの状況に対し、彼は身体を凍りつかせるだけで──】


>>726-727(キング)
>>729(剛太郎)

【何度目かの、轟音が響いた。ふと眼前を見やれば、ミサイルの群れが跡形もなく無くなっていた】
【音源に目をやる。あれは──あれが、キング? ヒトでは、なかった、か】
【しかし今はそんなことに動揺している時間はない。そうだ、2度の砲撃を防がなくては】
【──呼吸を、整える。精神を、落ち着ける。確かな力を持つ見方が、いる。それだけで、ひどく安心できた】


────分かりました、キングさん
約束、です……あと一発は、絶対に、撃たせない────!!


【上空から、鎮座する砲台を見下ろす。雷の一撃では、破壊しきれなかった】
【ならば、どうするか。あの雷以上の一撃を以てして、砲台を砕けばいい】
【出来る。この≪天龍≫が、あれば出来る。──刃の切っ先を、漆黒の砲台へと向ける】


   ────天、断つ龍が、起つ如く…………


【風が、止む。雨が、弱まる。天辰の周囲が、静寂に包まれる】
【≪天龍≫の刃が淡く明滅。風と、水と、雷が、その刀身に纏わりついていく】
【それらはまるで生き物のように蠢き、切っ先を這いずりまわり、何かの形を成してゆく】
【与えられた時間は数十秒。それだけしかない。だがそれだけで十分だ。重要なのは、≪天龍≫の力を出しきる精神と集中力】
【もう少しで、砲台を「穿つ」準備が終わる。あと少し。だから、持ちこたえてくれ──キング、剛太郎】
731 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/06/07(日) 01:13:03.85 ID:sdSR6lmlo
>>728
そうだね、組織の幹部とも言う役割にいるなら数なんかで押されていては話にならない……まあ、それが本当に数≠セけの話だったら、だけど
……さて、じゃあこちらの幹部───GIFT RULERと言うんだっけ?───は、どうなるか……主殿はあれくらい出来そうにないかなあ

【リヒトの言う通り、カノッサ機関などと言う混沌の粘土のような組織の幹部を名乗るのであるならば、あれくらいでなくては困る、というのは機関員は当然、六罪王自身も思う事ではないだろうか】
【故に賞賛はするが、狂信はしない、良くも悪くもただ褒めるだけだ。それが当然なのだから、当然の事が出来るのに対しての台詞だけ】
【では、GIFTにおいての六罪王───GIFT RULERはどうだろうか?未だそれを名乗る人物は存在してはいないが───ラインは、何やらそれを知るかのような言葉を吐いて】

そうかな、そろそろ決着が───

【(>>723)戦いを眺めて実況する彼女の視界で、一つの光が空中に打ち上がる、放物線を描いて落ちるそれは、エルジオに落ちて───】
【エルジオで広がる、巨大な破壊の光、呑み込まれていく、壊れて行く街を見て、ラインは「くふ」と小さな声で嗤った】

【(>>725)それだけではない、また戦火に包まれる戦場に視線を移すと、遠くからでもよく見える、小山のような巨大な影───人のようだが、人ではない】
【実際に見たのではないが、過去の事件の話に出て来たのを聞いた事がある、それとは少し違うようだが……】

……ヴァルゴ=c…いや、その紛い物か、よくもあんな物を持ち出してくる……
そうだね、リヒト君の言う通りクライマックスは近いみたいだ、いいシチュエーションじゃあないか

いやしかし、あの六罪王のお付き、彼が誰かは知らないけれど、中々どうして、あの六罪王とタメを貼る程の力じゃあないか。もしかして彼も六罪王かもね
だとしたら、六罪王二人掛かりか、それはそれは、素晴らしく力を入れている事で、負けるなんて思えないけど

……それでも、結局勝つのは正義、ってのがこの世界の本質だと僕は思うんだよね

【エルジオに打ち出された砲弾が、こちらにまで被害の及ぶ物でなくて良かったと、口にはしないが安堵する】
【そんな考えも測れないほどに落ち着いた口調で、戦いに挑む者達の力量を分析するライン。あそこにいる六罪王と共に戦う金髪の男が誰なのかは知らないが、しかしその力は確かな者だと】
【あれほどの者二人掛かりならいくら正義が数を増やそうと信念を持とうと勝てはしまい───と、言いたいのだけれど】
【それでも、『正義は勝つ』なんて馬鹿らしい勧善懲悪がこれまで何度も為されてきた、今までどんな絶望が有っても。だから、此れからも、そして此れもきっとそうなのだ、と皮肉めいて付け加えた】
732 :主催 ◆r0cnuegjy.[!nasu_res saga]:2015/06/07(日) 01:27:15.27 ID:0qyZgXQFo
>>725
【剛田に向かって言い切るダグラスの姿は、まさしく誇りを持つ者。アインにはそう見えた】
【そしてそれでこそ、己が認めた人間だと。魔術と芸術。同じ目的を持つからこそ、彼はダグラスを呼び寄せたのだ】
【だが──それでも消耗が激しすぎる。あまりこの戦いに時間はかけてはいられない】

 (ダグラスも持ってあとどのぐらいか……そろそろ引き際を見つけないとな)

【一度放ってしまった砲撃をもう一度撃つには時間がかかる。であれば、この三人を倒しきるしかない】
【しかしそれが困難であることは明白だった。ダグラスが意識を保っている間にやりきれるかどうか、微妙なライン】


>>726>>727

 ────っ!?

【アインの瞳が驚愕で見開かれた。巨大な機兵の腕が弾き飛んだからではない】
【空間を支配するような圧倒的な魔力。純然な魔術師である自身をも凌駕するほどの量】
【眼前に姿を現したのは炎の悪魔そのもの。そう、彼は言っていた。人と悪魔との間に生まれた──】

【二度目の震えがアインの身体に走った。恐怖のせいではない。興奮からだ】
【彼は魔術に全てを捧げてきた魔術師。そして破壊を振りまく炎の魔術を最も得意としてきた】
【そんな男の目の前に、“こんなもの”が現れては自分を抑えることなどできるはずもない!】

 ────…………ダグラス、どうやら俺は悪魔のハーフというものに縁があるようだなっ!!


【叫びと共に風の障壁を展開。だがそれだけではキングから発せられた爆炎は防ぎきれなかった】
【肌を焼きながらも熱波を振り払い、続く攻撃に備える。砲弾は地面へと向かった】


 ふん、威力があろうとそんな使い方ではな!!


【噴火するマグマから逃れるようにアインは空中を飛翔】
【機動力のなさも空中においてはその限りではなかった】


 っ……ダグラス!!
 悪いな、俺はあいつと“撃ち合い”をしなくちゃ気が済まない……お前の身は自分で守れよ!!

 お前がその機兵に何かを込めたように、俺はこの手の相手と戦うことに生きがいがあるんだよ……!


【この状況において、アインは作戦というものを完全に捨て置いていた】
【身を守れ、とは言ったが砲塔については何もなし。もはや眼中にない】
【それほどまでにこの敵はアインが戦いたくなる相手だったが──恐らく、ダグラスならば理解できるだろう】


 来い、キング……その数十秒間、“試させてもらうぞ”


【向かいくる魔人に槍の矛先が向く。魔法陣は──なかった】
【火の魔力、そして土の魔力が集中。混ざり合っていく】

 (いけるか……!?)

【アインが槍を突き出すと、矛先で魔力が弾け飛び、魔術が発動した】
【槍から放出されるのは岩石混じりの熱線。キングが打ち出したマグマにも似た直射の火炎】
【高温のそれは高い威力を持つ上に物質が含まれているために防御しようにも衝撃が強い】

>>730

【アインはキングが、ダグラスは剛田が、それぞれ相手をしている】
【先ほどの一撃も効いているために、今ならば砲塔の破壊も容易だ】
【逆に言えば、これで破壊できなければ────】
733 :ベル ◆/Pbzx9FKd22015/06/07(日) 01:31:50.84 ID:RmDer4iH0
>>724

【大猿が最後に放った衝撃波を喰らいなおも起き上がるアサドに対し、ベルは興味無さげに視線をやった。】
【男の咆哮に対し、一体こいつは何を言っているんだろうと一蹴するような顔で。】

いやいや誤解しないで欲しいな、僕自体は非力なただの女の子なんだからさ、これは当然の戦略ってものだよ。
うおおと僕が両手を上げて駆けだしたところで、君の砲撃を喰らう間もなくすっ転んで頭でも打って気絶するのが関の山だよ。
それに僕運動神経無い、し…ッ!!

【即座、いつの間にか辺りを取り囲んでいた球体からの射撃に反応したのはまたもギボンであった。無駄口の途中で、ベルの体は大猿に抱きかかえられる。】
【高枝に座っていた体勢から、ベルを中心に丸まるように。さながら我が子を守る親のように。当然、射出される氷の矢(それはギボンにとっては爪楊枝程度のものだったが)は大猿の体へと突き刺さった。】
【抱きかかえる直前に、大猿は先の攻撃で突き刺さったままだった巨大な氷の矢を強引に引き抜いていた。その肢体の中で、とめどなく溢れ出る鮮血が少女の白衣を濡らす。】
【そしてそんな状態で次弾を避けられるはずも無く、『A-Spiral』は大猿の肉体を抉(えぐ)る。それは丸まった体の、腹部背中側から左肩前面にかけてを貫通した。】
【獣は声にならない苦悶の声をあげる。同時に、全体重が掛かったことでギボンの座っていた太い幹(みき)が折れる。バサバサと音を立てながら、幹と共に大猿は地上十数メートルのところから落下した。】
【度重なる爆発の影響により周った火の手は、既に木々の群れの全体に及んでいた。あちこちで樹木が根本から焼け落ち、大猿の支配するステージはもはや完全に崩壊していた。】
【燃え盛る木々の中で、未だなお死すこと無き黒色の巨躯が動き出す…その背に、無傷の少女を背負って。】
【大猿はついに地表面へ、アサドと同じステージへと立つ。狂い踊る炎を背に、体に開いた二つの穴から血を流し続けながらも立ち上がるその漆黒の姿は、悪魔にも似た威圧感を放っていた。】
【両腕を大きく左右へ広げた構え。その左腕はもはや肩からちぎれんばかりだ。されども負ったダメージを感じさせない執念の足取りで、ギボンはアサドへ向かい進撃する。】
【その背に乗る少女の白衣は獣の血で染まっている。林の焼失の影響で、濃紺の長髪の端々が焦げている。少女は男と出会ってから始めて感情を見せるように、極めて不快そうな表情で言った。】

…やってくれたね。まさか2方向からの同時攻撃なんて器用なことが出来るとは思ってなかったよ。
お陰で「こいつ」はもうボロボロだ。ふん、まあいいさ、どうせ代わりなんて幾らでもいるんだから。
…それでも、とことん気に障る人間だな、アサド・アル=アーデル。君みたいに動物愛護めいた台詞を吐く奴が僕は気に食わなくてね。
人間にいいように使われる動物が可哀想か?生き残るのに他の生命を利用するのは卑怯な行為か?
なら君は牛豚の肉を食べないって言うのか!?不快だからと血を吸う蚊を潰したことが無いと言うのか!?それらに疑問を感じたことが無いって言うのか!?
僕は、そうやって都合の良い時だけ生命(せいめい)に対して平等ぶる人間の傲慢さが…大っ嫌いなんだ!!

【少女の感情が爆発する。その言葉から感じ取れる感情に、果たして嘘は混じっているのだろうか…。】
【その瞳は怒りに燃えている。体は衝動で震えている。長髪を振り乱しながら叫ぶその姿に、少女が発した言葉の真意に、男は何をおもうのだろう。】
【ギボン、殺(や)れ!!少女が吠える。巨体が応じる。大きく広げられた、太さだけでアサドの身長ほどもあろうかという巨腕が、男の体を挟み潰さんと豪速で閉じられた。】



734 :ダグラス・マックスウッド ◆iBPkBgx72E[sage saga !red_res]:2015/06/07(日) 01:54:15.73 ID:ST37V1vRo
>>ALL

【機兵ヴァルゴによるレーザー、そしてミサイルの双方が無力化されるほどの火力】
【加えて大地に撃ち込まれたグレネード弾が、自身の直下で噴き上がると】
【あくまでも常人――人間以上でも以下でもないダグラスは、その火にまかれ】
【堪らず開いたヴァルゴの手のひらに飛び乗ると、機兵をすっくと立ち上がらせ】


魔人……。それにあの喋る犬……そう、かい……。
……ふ、フフフッ…。温存していたと、そういうわけだ。


【ヴァルゴの全高は60mを越す。その肩に下りると、傷の深さに膝を付くが】
【闘志は尽きていない。むしろ平常にはありえないほどに燃え上がっていた】
【自身の肉体がこれほど貧弱であることに苛立ちを覚えたことはない】
【いや、苛立ち自体、感じたのはいつぶりか。おかしな笑いがふわりと浮いて、やがて消える】

>>732


……あぁ、どうやらそうらしいね。リリアといい、そのキングと云い
君は厄介な相手と縁が有るようだ……困りモノだ。
その楽しそうな顔、鏡で見せてあげたいくらいだよ。

とはいえ……僕の方は、残念ながら限界も近い。やるだけやらせてもらう
けれど、それから先はきみに任せる。…――巻き添え食うなよ、アイン。

>>729

【立ち上がったヴァルゴのサイズでは、飛び蹴りが当たるのは膝の高さとなるだろうか】
【しかし、その手応えは薄いはずだ。飛び蹴り自体の物理的な威力が、死んでいる】

【――もしヴァルゴという存在について知識があれば、攻撃を無力化する】
【それも物理か魔力かを選べるという特性があったことを思い出せるはずだ】
【そして、今は物理。魔力の炎はじわりと機体を焦がすが、やはりパワーが足りておらず】


【直後に、ヴァルゴは猛烈な反撃に移る。右手に大盾を、左手にビル一棟程もある大剣を取ると】
【ただ単純に、大剣を足下に這い回る剛太郎を打ち砕く神の槌の如く、振り下ろす】
【切れ味は高い。しかしそれ以上に巨大過ぎて、相手を潰すようなそれに近く】

/続きます
735 :ダグラス・マックスウッド ◆iBPkBgx72E[sage saga !red_res]:2015/06/07(日) 01:54:51.07 ID:ST37V1vRo

>>727-728

【剣を振りぬいたヴァルゴは魔人と化したキングに向かい、巨大な盾を叩き付けんと腕を振るう】
【ヒトであれば、喰らえば一挙に骨が粉砕される。拳のそれとは面積も比ではない】
【純粋に重く、大きく、痛烈な物理攻撃。そして更に付随するのが、盾に仕込まれた爆装であった】

【盾には中央に開閉式の射出口が取り付けられている。それが開くと、短距離用の砲塔が姿を見せ】
【わずかに数十メートル程度の距離であろうが、キングそのものを焼滅させんとうち放たれるのである】

【その威力は、小さな集落であれば一撃で吹き飛ばす程。多量の爆薬と重みを込めた、非現実的な実用性を持った爆弾であった】
【直撃すればそれもよし。外れれば、それもまた周囲へのダメージに繋がるから、良し。】
【なりふり構わぬ攻撃だった。巨大な機兵はそれを放てば、ぎらりと光るモノアイを次なる獲物に向け――】

>>730


……さっきは邪魔が入ったね。見ての通り、アインはあの魔人にご執心だ
ところが僕も六罪王…――作戦の成功は、言うまでもなく願うところなんだよ。
今一度、邪魔が入るか……それとも、独力で凌いで見せてくれるのかな?


【言葉をかけた直後に、出力を上げた赤い光線をモノアイから放つ】
【先程よりも威力の高まったそれは、空間を震わせながら天辰だけを狙っており】

【更に追撃とばかりに、背面部の装甲が稼働。格納された残りのミサイルを射出し、追撃を試みる】
【ミサイルはこれもまた先程のソレと同様。しかし数が12に増えており、執念に呼応するように勢いも強い】
【喰らえば――言うまでもないか。しかし耐え切れば、機兵はその武装を一度使い尽くしたこととなり】

>>ALL

【ヴァルゴの縦横無尽な動きが止むと、その肩の上のダグラスは膝を付いたまま】
【それこそ正座のような格好で雨に打たれ、両腕を投げ出していた】
【右腕はひどく痛む。左腕は感覚が薄く、出血がワイシャツの半分を真赤に染めていて】

【――その微かな沈黙と隙を置いてから、ヴァルゴはジェットエンジンにも似た轟音を立てて】
【足下の草原を燃やしながら、浮揚。やがて一挙にその勢いを増して、上空へと逃げるだろう】
【それは六罪王ダグラスの限界でもあり――新たな力、切り札の披露でもあった】
【どちらにせよ、機体は一足先に戦場を離脱する。残るアインがどこまでやれるかは、攻撃の成果次第であった、が――。】

/っと、めちゃくちゃ良いところなのですが時間も押していますので、自分はこれで!
/折角の主催戦で先抜けになってしまい、本当に申し訳ない!
/それでは失礼致しますっ!皆様、お疲れ様でしたー!
736 :キング ◆/iCzTYjx0Y[saga]:2015/06/07(日) 02:03:28.14 ID:uYjjgD8ro
>>729-730>>732

【戦況は完全に分断されている、といっても過言ではないだろう。】
【アインを、その気にさせた。それで良い。魔術師の興味を引いた、それでいい。】
【一対一で打倒出来るとまでは、キングも思っていなかった。魔人化は強力だが、制限付だ】


 (―――地上<こっち>で使う分には制限時間が存在してる。)
 (それも超高火力形のイフリートともなれば……本当に保って数十秒、エコに使っても数分が限度だ。)
 (―――だが、この化け物染みた魔術師相手にエコ・ドライブで太刀打ち出来るとも、思えん。なら―――限界まで、突っ切る!!)

 ほう……"そんな遣い方"、か。
 だが悪くないぜ、何と言ってもこの"噴火"は―――
 お前に見えない位置から、幾重にも、何重にも、"立ち上がる"からなッ!!


【再び、キングはグレネード・ガンを地面めがけ発砲、榴弾が地面へと突き進み】
【その後何本もの巨大な火柱と化して、上空に浮遊するアインを撃ち落そうと一斉に解き放たれる。】
【左右から、前後から、あるものは上空まで延びてその後落下するように、またある者は散らばって隕石のように炎を撒き散らす。】

【そして―――砲口を直接、アインの杖から発せられる熱線めがけ、構え】


       B U R S T   C A N N O N   F I R E ! !


【直射―――地面ではなく、熱光線に直撃させるように、その大砲を連続で、一発、二発、三発と、連射ッ!!】
【もはやその衝撃は視界に納めることすら難しく、熱線と火炎弾は正面からぶつかり合い、周囲に爆風を撒き散らし、大地を震わす!】



>>735
【そこに続くのは―――ヴァルゴの規格外の攻撃だ。】
【さしもの魔人化と言えど、魔術師アインとのど派手な撃ち合いのおかげで】
【かなり消耗を強いられている。その中で、連なるようなこの、圧殺兵器の応酬―――!!】

 ぐ、う、――――アアアアアアアアアアアアアアアアッ!!

 (―――最後の、一発ッ!!)

【振りかざされた盾、巨大な其れに対し、なんと"その身一つ"を持って反撃!】
【向かい来た盾を炎を纏うコブシで迎撃、火炎の掌は肥大化、巨大な手と成り盾を押さえつけ】
【そして、その掌ごと、盾から迫り出てきた砲塔めがけ、至近距離で此方もグレネード・ガンの銃口を、"押し付け"ッ!!】


 ―――お気に入りのダイネーゼジャケットが、黒焦げだぜ。


【―――インパクト。大爆発が広がり、周囲に強大な衝撃波が広がる。】
【もはや破壊の渦―――衝撃波と余剰魔力が周囲にあふれ出し、巨大な爆破で何もかもが見えなくなる―――ッ!!】




 >>729-730

 (……しとめろよ、剛太郎、天辰……せめて、砲塔、だけでいい……頼む―――っ。)


【―――キングの魔人化は、そこで解ける。煙の中、膝をついたキングが息を吐き出しながら、戦況を見つめた。】
【果たして―――攻撃は、成功するのか…・・・。】
737 :リヒト・マグダウェル ◆jqCNtrazQE[sage saga]:2015/06/07(日) 02:03:47.07 ID:2n/YqwL60
>>731

 ふーん、あんたが言う主って言うのはどうにも動きが遅いらしいな
 おかげでちんまりとした任務が多いこと、まぁ、楽でいいんだが
 しかしGIFT RULERか初耳だなその名、俺たちが働いてるところでそういうのが決まってるとは

【彼女が言ったGIFT RULERと言う存在、彼にとっては初耳だった】
【正直なところ彼は中区に行くことは少ない、彼自身あまりそのようなところには近づかないからだ】
【そのため外や遠いところの任務を受けておりそのような情報はあまり届いてないのだ】

【(>>723)首都エルジオに向かって発射された放射物は綺麗に都市に落ちた】
【そして大量の破壊と死の連鎖が起きる彼はそれを無言で無表情で見た】

【(>>725)そして再び戦場に目を戻せば巨大な人型が見えた】
【彼もあれは知っている、過去の事件で現れた存在】

 ヴェルゴか、まがい物とはいえよく引っ張り出せたもんだ、ありゃ六罪王だろ
 まがい物でもあれを出せるんだ、アレが六罪王じゃないほうがおかしい
 
 ……気持ちじゃ勝てない力じゃ勝てない、勝負は戦いは常に戦術と鍛錬と運なのかもしれねぇ
 たとえどれだけ圧倒的な力を持ってようが相手もまた圧倒的な力を持ってないとはかぎらないんだぜ


【視線をかえず彼女の言葉を聞きそれをしっかりと返す】
【お付の男を六罪王だと彼はそのように断定する、ヴェルゴのまがい物とはいえ出したのだそれが六罪王でなければなんだというのだと彼は言うのだ】

 正義が勝つ、もう概念に足つっこんでるな、だとしても俺たちがやることは変わらない

【そして皮肉めいた言葉は彼にとってはどうでもよくそれに対する返答はそっけなかった】
738 :アサド・アル=アーデル ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/07(日) 02:21:56.71 ID:Qi35ApJfo
>>733

【――目論見はほぼ成功したと見ていいだろう。アサドは少々複雑そうに表情を歪めるが、すぐに表情を引き締める】
【全力で主を守り、結果として致命傷を負い落下していくギボン。燃え盛る炎の中で、男は相棒をきつく握りながらそれを見送った】
【それでもなお立ち上がってくる大猿の姿に、アサドは素直に感嘆する。――だが、当然負ける気もない。瞳を見開き、獅子の眼光でそれを射抜いて】


代わりはいくらでも居る、か。
動物とはいえ自分を必死で守ってくれた奴に、お前、何の感傷もねえのか?

……ああ、そいつは悪かった。気に障ったんなら謝るよ。
確かに俺は肉を食うし虫も殺す。ソイツを可哀想なんて言えたとても義理じゃねえよ。正論だ。

だが――それでも。
こうしてお互い命(タマ)張り合って、命懸けで闘って。下らない錯覚かもしれねぇが、そうすると見えるもんもある。
――そんな奴相手にちょびっと"敬意"を払うぐらい、してもいいだろ?


【喋りながらサイドグリップを引き抜く。ポーチに収納する時間も惜しいとばかりに放り捨て、新しいカートリッジへ換装】
【根底に≪A≫と書かれたものから≪L≫と書かれたものへ。そのままグリップを引いてコッキングを行うと、バレルのスリットから蒸気が噴出した】
【……例えそれが己への侮蔑であっても、酷薄だった少女が感情を剥き出しにしてくれたことに、アサドはにまりと笑う】
【少女の言うとおり。男とて生命を利用して生きる身だ、これは都合の良い言葉に過ぎなかった。けれど――男は獅子だが、同時に人間なのだ】

【加工された肉を食う時とは違う。逃げ惑う虫を振り払うときとも違う。――自分は今"攻撃"されている。お互いに敵視し、殺し合っている】
【――そこに憎しみ以外の何かを見出すところが、この男の弱さであり強さだった。この男は人一倍馬鹿で、甘ったれで、そして優しい】


さぁ、ようやく降りてきてくれたなギボン。それに嬢ちゃんも。
俺ぁ砲撃一本の馬鹿だが――こういう"殴り合い"も嫌いじゃねえ! お互い限界だろ、ケリ付けようぜエテ公ッ!!


【少女からすれば、アサドの凄絶な笑みも意味の無いものに映るのかもしれない。ただ少なくとも――敬意を払った相手に、男は全力だ】
【引き金を引く。側面のモニタに≪L-Javelin≫の文字が現れる。そして同時、左右から襲い来る単純かつ絶対的な暴力――】
【砲撃主体のスタイルを保つ男の戦法からすれば、ここは下がる所のはず。しかしアサドは、全力で地を蹴って前に跳んだ】

【――そこから先は、またも同時攻撃。まず『アルハーディ』の銃口から溢れ出た水色の魔力がバレルに巻き付き、氷で"穂先"を作り上げる】
【これが≪L-Javelin≫の効果だ。三角錐型の巨大な穂先を得た『アルハーディ』は、もはや銃砲ではなく"突撃槍"という称するのが正しいだろう】
【アサドは相棒を担いでそのまま突進。……この際グリップ部が挟み込まれる両腕に掠め、それだけで強烈な衝撃が銃を通じて体へ流れ込む】
【よほど硬質な素材で出来ているのか『アルハーディ』は何とも無いが、それを抱えていた脇腹からは"ゴキリ"と嫌な音が響き――】


うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ――――――!!!!


【獅子が咆哮を上げた。脇腹の激痛を強引に無視して『アルハーディ』を抱え上げ、跳躍の勢いと重量を総て乗せてギボンの胸部へ叩き付ける!!】
【ただただ単純な一撃だが、それだけではない。アサドの背後に残された最後の橙色の球体が、ここで動き出すのである】
【モニタには≪E-Bit≫の文字、その効果は最初に岩を粉砕して見せた通り。アサドの意思で自在に動かせる設置型の"爆撃"といったところだ】

【氷の突撃槍による刺突と同時に≪E-Bit≫が飛翔。速度はそう速くないが、飛び込むのはギボンの顔面――容赦の無い急所攻撃だ】
【着弾すれば爆発を起こす≪E-Bit≫が頭部へ。≪L-Javelin≫により突撃槍と化した『アルハーディ』による重たい刺突が胸部へ】
【――遠距離型のアサドがわざわざギボンの懐に飛び込んでまで犯した賭けだ。その甲斐あって威力は十分、アサドはここで決めるつもりだった】

【逆に言えば――これで決められなかった場合、無闇に近距離に飛び込んだ彼は一気に窮地に立たされるということだが】
739 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw[sage]:2015/06/07(日) 02:25:15.91 ID:PNu9iZrWo
>>732>>734

―――!?効かねえ……!

「あの効果……そうか、物理か魔翌力の無効化を行う機能が……
届かんか……剛の字では魔翌力攻撃の方が弱すぎる……お手上げじゃのう」


【今になって前にジンジャーが資料に目を通しながら説明してくれた事柄を頭の中で反芻し始める剛太郎】
【今こうして渾身の一撃を放ち、それが防がれたことで……このコピーのヴァルゴにもオリジナル同様の機能が搭載されていることを思い知る】
【どちらか片方しか秀でていない者では相性が悪すぎる……万策尽きた、どうやらまたしても一手ダグラスに及ばなかったらしい事を実感し始めていた】

【ズドォン!と、振り下ろされた大剣、すんでの所で回避姿勢を取ったため体を斬られたりぺしゃんこに潰されたりはしなかったが】
【地面に振り下ろされた余波だけでも十二分すぎるほどの破壊力を誇るヴァルゴの一撃がトドメとなり―――変身が解除され、剛太郎は地面に倒れ伏すこととなった】
【ムクが残りの魔翌力で、なんとか剛太郎の命をギリギリ守ったからよかったもののまたしても虫の息になるまで追い詰められたのだ】

【しかし、それでも彼の心は折れない―――最後に砲塔に向かって動いていた天辰の方向に目をやりながら】


―――ライドコフィン発進ッ!!天辰さん!そいつを使えッ!!


【追尾してくる12発のミサイルよりも早く、剛太郎の棺桶が勢いよく空中の天辰の傍らに飛び出してくる】
【自らが動けぬのならば今動ける者に託すしかない、かくなる上は愛機のその重装甲を使って砲塔を破壊しようとする天辰を守るしかない】
【これを盾に使うなり飛び乗って移動手段にするのは自由だ、これを使って準備が仕上がる瞬間まで味方を守りきる!執念の一手だ!】
740 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/06/07(日) 02:32:02.44 ID:sdSR6lmlo
>>737
立場上余り悪くは言えないが、引き篭もりだからね、彼は
でもそろそろやっと動く気になったらしい、だからこれから君も忙しくなるんじゃないかな、とは言っても期待しないほうがいいと言っておくけどね

【事は水面下で、ひっそりと進んでいる、カノッサ機関のような華々しさも無く、派手な戦火も起こさず、ひっそりと】
【夜の海、暗い海中に何がいるのか計り知れないように、何かがGIFTでも起ころうとしている。そう取れるような口振りで、ラインは語る】

意外と殊勝なんだね、君は。正直少し惚れそうになったよ
何故GIFTにいるのかが疑問なくらいな人間だ君は、『あっち側』の人間なんじゃないのかい?

【リヒトが語った、その言葉、意外だったようで、丸くした目をリヒトに向けて、それから冗談混じりに笑って返す】
【彼女の言う『あっち側』とは、すなわち自分達に対する立場───UTやSCARLET等の側の事、こんな言葉を言う人間がGIFTにいるのは些か不思議だと思うのは、彼女がGIFTについてよく知らないからだろうか】

まあ、そうだよね、正義が勝つからと言って、悪が負けるとも言ってない
『試合に負けて勝負に勝つ』だ、今回のだって半分くらいはそうじゃないか?エルジオは半壊、例えあの六罪王が負けたとしても都市へのダメージは計り知れないだろう
───彼等は多大なる犠牲で勝利を手にして、犠牲者の屍の上で勝利の祝杯を挙げる、素晴らしいね

【あの砲撃でどれだけの命が潰えたのだろうか、この戦いでどれだけの悲劇が産まれたのだろうか、それは最早取り返す事は出来ず、例え原因を取り払ったとしても意味がない】
【ならば、この戦いの勝敗に意味など無かろう、と皮肉めいた言葉を吐いて、獣(ケダモノ)は嗤った、それがとても愉快だとでも言うかのように喉を鳴らして嗤った】

……くふ、そろそろクライマックスだ、あとはどちらが倒れるか、というくらいか
とはいえ、あの砲撃を見ては何が起きるかわからないし、悪足掻きに何かとんでもない事をしてくるかもしれないね
巻き込まれるのはゴメンさ、という事で僕は一足早く逃げるとしよう

中々楽しかったよ、録画しなかったのが残念なくらいにね

【眺めている戦いもいよいよ佳境に入り、後はそれぞれの全力をぶつけ合う維持のぶつかり合い、しかしそれに掛けた信念や想いなど、彼女は興味を持たない】
【見たいのは戦い、それによる悲劇、それを引き起こす人間の残酷さ、それこそが人間の本質であり、人間の起こす愚かな部分。愛すべき人間の愛すべき場所】
【ならば戦いが終わるならその結果はどうでもよく、巻き込まれまいと早めの離脱をする事にした。さっさと支度を済ませると、挨拶も早々に草原を歩いてエルジオから離れて行く】

【カノッサとはまた違う悪≠ェ、小さな影を世界に落とす───】

/遅くまでお疲れ様でした!
741 :天辰 ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/07(日) 02:32:33.70 ID:jdmFpVxDO
>>732(アイン)
>>735(ダグラス)
>>736(キング)
>>739(剛太郎)

【多分、これが最後の一撃になる。六罪王には傷もつけられなかったが、それは自分も同じことだった】
【2人の六罪王を前にして、明確な負傷は腕のかすり傷と、魔弾を喰らった時の青アザぐらい──これだけで済んだのは、幸運を通りこして奇跡だろう】
【ダグラスが、再度ミサイルを向けてくる。だがそれに対処している余力も、時間もない】
【それに──キングは2人を引き付け、自分は砲台を破壊すると約束したのだ。精神を集中させる。意識を、刃と砲台のみに絞る。すべては、味方を、信じて──!】

【爆音。魔力の瀑布。火焔と熱線の渦。地獄とは、このような場所をいうのだろう】
【それでも──仲間が生み出した地獄なら、その熱さだって耐えられる。彼らは、キングと剛太郎は約束を守った】
【キングの火焔と、剛太郎の「ライドコフィン」──それらにより、ミサイルによる攻撃は愚か爆風によるダメージすら、天辰には届かない】
【彼らは自らの力を全力で出しきり、あの六罪王2人を引き付け攻撃を凌いでみせた──ならば、後は自分が彼の信頼に応えるのみ。……準備は、出来た】


【風と、水と、雷。刀身に這うそれらが、ゆっくりと混じりあい、鎌首をもたげる】
【蛇。うねり、蠢き、騒めくそれらは、蛇の形状と──違う。まだ、成長して、いる】
【鎌首が、刃の切っ先を離れる。ぐぐ、とまた一回り成長する。鱗は目に見える大きさとなり、牙は鋭く、背には独特の部位が生えはじめる】
【細い一対の髭が現れ、胴体には──対になった、脚? これ、は……】
【ばち、と大気中に小さく電流が迸る。風は再び動きだし、はたはたと雨の勢いも戻りつつあった】
【天辰の視線が、まっすぐに砲台を捕える。キングと剛太郎の援護のおかげで、邪魔なものは何ひとつなかった】
【ごう──大気が軋み、哭いた。雨脚がさらに強くなり、風が勢いを増していく】
【天辰の持つ刀に尾を巻き付かせたソレは、既に地上からもはっきりと視認できる巨大さにまでなっていた】
【≪天龍≫を、振り上げる。その動きに合わせ、ソレもまた僅かに姿勢を変えた】
【ごう。また、大気が哭いた。刃に憑いたソレもまた、主と同じく砲台を見据え──】


   我が仇敵を、龍よ、絶て────!!


   【 ────── ッッッ ! ! 】


【刃を振り下ろす。戦場に、また新たに轟音が響く。遂に彼はソレを、刃から解き放った】
【──「龍」 ソレはまさに、龍だった。水のように澄んでおり、身体に暴風と雷電を纏わせた、伝説上の生き物】
【≪天龍≫の遣い手のみが使役出来る、天辰家の護神。仮にそれが、ヒトと刃の能力により構成された紛い物の龍であろうとも──】
【──その場に出現したのは、龍の形をした嵐であることに、違いはなかった】

【古より櫻の国では、嵐の際に龍が出るという伝承があった。洪水、暴風、落雷──その何れにも、龍は関わっていた】
【ならば──偽りだろうが龍を顕現させることも……「嵐」を繰る天辰の、力なのだろう】


【能力により構成された龍が、咆哮する。狙うは漆黒の砲台、ただひとつ】
【鋭き牙を見せつけるよう慟哭し、逃げるダグラスにも戦うアインにも、或いは味方であるキングや剛太郎にすら目もくれず──】
【己の力を振るおうと、龍は真っ直ぐ、砲台に向け宙を駆る】

【──最後に一度、また龍は哭いた。それが、今宵の戦いの終止符となることを天辰は祈る】
【龍が砲台に突撃する。漆黒の砲に、巨大な質量が瀑布となって襲いかかり】
【次いで龍の身体に内包された「嵐」が弾け飛ぶように、風が暴れ雷が撒き散らされる──!】
【周囲に生えていた草は土ごと飛び散り、雷に穿たれ消し炭と化し消える。大質量の水はそれだけで大地を抉り、その下の岩盤を露出させる】
【嵐の中心に在る砲台──破壊のエネルギーの全てを受けて耐えきれるモノ、など……!!】
742 :リヒト・マグダウェル ◆jqCNtrazQE[sage saga]:2015/06/07(日) 02:36:38.54 ID:2n/YqwL60
>>740
/ お疲れ様でした
743 :主催 ◆r0cnuegjy.[!nasu_res saga]:2015/06/07(日) 02:39:54.08 ID:0qyZgXQFo
>>736

【既に攻撃は放ってしまった。その上でマグマが向かってくるならば、防ぐ術はない──!】

 ぐっ、うぉおおおおおおおお!!

【風の障壁を展開しようとも一時的にせき止めるのが限界。それでも攻撃を持続するためにアインはその場を動かなかった、が】
【熱線はキングの弾丸によって相殺。攻撃を続けようとしたが、障壁が崩壊】
【回避しようとするも間に合わず、膨大な炎に全身を焼かれる】

【そのまま火炎の勢いに弾き飛ばされ、地面に落下。倒れこむこととなった】
【キングの方も地面に膝をついていたが、アインもまた追撃の余力などない】

 く、くそ……まだ“あれ”には届かんか……!

【なんとか身体を引き起こしたが、全身に火傷、魔力は底が見えていて体力も残っていない状態だ】

>>734>>735

 流石にダグラスは退いたか……任せると言われた以上、出来れば作戦を完遂したいところだが、な

【ふふ、とアインは乾いた笑いを浮かべた。まさしく敵も温存していたとは、してやられたようなものだ】
【一方的ではあるが友人だと思っている男を引っ張り出しておいて、作戦が失敗したとあってはプライドが許さない】
【とはいえ、この状況下では流石に。キングに注意を“引きつけられた”のもまずかった】
 “また”要らん欲望が身を滅ぼす結果となったか……強欲だと生き辛いな、まったく……ふふ
 まぁだが、お前ならわかるだろう、ダグラス……?


>>739>>741

【ダグラスの最後の支援攻撃も、二人の連携によって防がれ】
【天辰の渾身の一撃が砲塔に降り注ぐ。龍の如き嵐が、瀑布が襲いかかり──】
【漆黒の塔は、崩壊していった】

【暴風と衝撃波に耐えて、アインは天辰や地に伏せる剛田、キングを見遣った】


 口惜しいな……今のお前たちならば殺すのなど容易だろうに……
 特に剛田剛太郎……俺と戦い、二度も生き残らせることになるとは、屈辱的だ……
 だがキングといい、今回はお前たちの“作戦勝ち”、というところだな……

 
【力を温存していた。そのたったひとつの事実に気がつかなかったために】
【また余計なことを優先したがために、ダグラスは撤退、アインは重傷を負い、砲塔も破壊された】
【誰がどう見たところで、この戦いは完全にアインの“負け”だった】


 …………今日の戦いは、お前たちの勝ちだ。次を楽しみにしている


【それだけ言うとアインは転移魔術を発動。その場から姿を消したのだった──】


【程なくして風の国の軍隊がキングたちの元へとやってくる】
【それぞれが砲塔を調べたり、周囲の損害を記録したりしている中で、近づいてくる人物がいた】
【金髪の軍人、ジェラルドだ】

 『……よくぞ我が国を守ってくれた。一発は放たれてしまったようだが、壊滅だけは防ぐことができた』

 『改めて礼を言わせてほしい。本当に、感謝する!』

【そう言って彼は初めと同じように敬礼をして、また部隊の元へと戻っていった】
【すぐにでも医療班がやってきて三人の治療を始めるだろう】
【こうして戦いは防衛側の勝利で終わった──少なくとも、この戦いは】

//以上で今日のイベントは終わりです。お疲れ様でした!
744 :ベル ◆/Pbzx9FKd22015/06/07(日) 03:22:49.70 ID:RmDer4iH0
>>738

【命を懸けて戦った相手に対して敬意を払うこと。それはきっと戦士としての矜持(プライド)。戦闘へ対しての祝杯。】
【そんな考え方を、このいびつな生命倫理を掲げる少女が持つことは決してないけれど。脳を改造された動物、その奥底で眠らされていた「本性」を呼び覚ますのに、獅子の咆哮は充分だった。】

いいや、駄目だね!!砕けて散れ!!!

【それが戦闘相手だから、そんな理由でギボンという「生命」を特別扱いすることをベルが許すことは無い。彼女の思考の根底には、一切の例外無く全ての生命は平等であるという信念があった。】
【対峙する「二匹の獣」。黒き大猿の両腕が閉じる、褐色の獅子が跳躍する。腕が獅子の脇腹を掠める、獅子の氷牙が胸を打つ。】
【爆ぜる空気。のたうつ炎。幾度目かの轟音が響き。大猿の体が、地に倒れた。】
【共鳴袋を貫通し肋骨を砕いたその傷跡へ、叩き込まれた一撃はどこまでも鋭く。人と同じく脆弱な脳髄を守るその頭部へ、炸裂した爆撃はどこまでも強く。】
【脳震盪(のうしんとう)と多量の出血で倒れこんだ大猿の体は、大地を震わすまでの重さを持っていた。】
【アサドが周囲を見渡したならば、少女の姿が遠くにあるのを認めるだろう。ギボンが最後の一撃が失敗に終わったのと同時に、彼女は一目散に逃走していたのだった。】
【いつの間にか少女の足元の地面から顔を覗かせていたのは巨大な土竜(もぐら)、しかし見るからに戦闘用では無い。少女は土竜の体に片手を付きながらアサドの目を見据えた。】

ふん、ここまでか。だけど得た収穫は大きいね、何せ「ヘイダル」のリーダー様を実験動物一体でここまで追い込めたんだから。
とは言え君の性格との相性ってのもあるだろうから、コトはそう簡単じゃあ無いだろうがね。
まあ良い、僕ら科学研究局の真価はこんなもんじゃ無い。生物の巨大化実験はただの前座さ。
いずれ作り上げるカノッサ機関科学研究局の最高傑作にして究極の殺戮兵器、"超獣"『GIGA(ギガ)』のね。
君みたいな不平等なセリフを吐く人間達を皆殺しにする生き物の名前さ、教えておいてあげるよ。
それじゃあね、隊長サン。ああ、それと、そこの「そいつ」だけど、見ての通りにもう長くは無いよ。
ただ、必死で救援でも何でも呼べば少しは可能性があるかもね、助けたいんなら動いてみな。

【そこまで吐き捨てるように言ったと同時に、土竜は凄まじい速度で地中を掘り進み、遥か彼方へと消えていった。少女の姿も無い。逃走したのだった。】
【そして後にはアサドとギボンのみが残された。大猿は、呼吸をすることすら苦しそうに、空を仰いで倒れ伏している。】
【アサドが駆け寄ろうと、もはや指一本動かす力も残ってはいない。本当に助かる余地があるのか疑問なほどに、ギボンは衰弱していた。】
【どこからか、時計の音が聞こえる。カチ、カチと秒針が動く音。まるで何かのスイッチがたった今作動し始めたかのような音。】
【戦闘中に誤爆することが決して無いように、起爆は衝撃翌由来ではなく雷管を用いた遠隔操作で。1つ「犠牲にする」と定めた生命を、徹底的に使い潰すために。】
【大猿の口が、アサドを見つめてゆっくりと動いた。それは獣にしか伝わらない音、人間に理解できようはずも無いのに。】

【『オレカラハナレロ』。】

【大爆発。周囲一体を包み込む、風の国の大地を震わせたもう一つの爆撃。】
【後には何も残らなかった。抉れた大地に巨大土竜の死体があろうはずも無く。大猿の姿があろうはずも無く。】
【運命はきっと男を活かすだろう。きっと紺色の少女と男を再び引き合わせるだろう。それでも、二匹の獣にとって、それは余りにも無情な結末だった。】


/こちらのレスはこれで締めとさせていただきます!
745 :アサド・アル=アーデル ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/07(日) 04:03:26.16 ID:Qi35ApJfo
>>744

【確かな手応えが両腕に伝わってくる。真上で広がる魔力と爆炎の奔流が微かに肌を焼き、この戦いの終わりをアサドに確信させた】
【鈍重な音を立てて崩れ去った巨体から『アルハーディ』を引き抜き、一度きつく目を閉じた後、アサドは少女の方へ視線を向ける】
【……やはりというか、少女は既に撤退の道を選んでいた。相手は地中を突き進む獣、ましてやこの体で追い付くのは不可能だろう】


やれやれ。……実験動物一体なんて簡単に言ってくれるが、相当の難敵だったぜコイツは。
――見ての通りだ。俺ぁ完璧なリーダーなんぞとはほど遠い、能力者とも言えねえハンパもんだが……。

"砂漠の獅子"は獲物を絶対に逃がさない。それだけは、真実だ。
何度逃がそうが打ちのめされようが必ずその首筋に噛み付いて、その高みから汚ぇ地面に引き摺り倒してやる。
……お前がどんなバケモンを作ろうとしてるか知らねえが、またゴミみてえに人を殺すなら。命って奴を使い潰すのなら――。
覚えておけよ、嬢ちゃん。……この血まみれで、ブザマで、不平等で大馬鹿なクソ野郎の顔を。


【少女の侮蔑に満ちた言葉に、アサドは深く溜息を吐きながら答えた。既に満身創痍、『アルハーディ』を杖代わりにやっと立っている状態】
【また次に、少女が新たな生物を創り出せば。まして"究極の殺戮兵器"なんてブツを持ち出されれば、また男が勝利できる確証はない】
【――が。燃え落ちる林の中、血を吹きながら剛毅に笑う男の背には野生があった。天焦がす炎すら焼き尽くす執念こそが、至らぬこの身が誇れるたった一つの"牙"】
【銀の双眸が去っていく少女を睨む。この臭いを絶対に忘れまいと鼻を利かせる。――今宵はそれで終わり。けれど決して、それは終幕ではない】

【……完全に少女が去った後、アサドは取り残されたギボンを苦笑しながら見下ろした。気を抜いた男の顔は、痛々しい】
【元より子供と戦うのは得意ではないのだ。殺し殺されのやり取りも、もちろん一度そうなれば容赦はしないが、別に好きなわけではない】
【少女の言った通り助けを求めにいくべきか。それともこの場で介錯して苦しみから解放してやるべきか。……それは確かに、男の甘さが齎した失策だった】


――――ギボン!? クソッタレがぁッ…………!!!


【もしギボンの口が動かなければ。それによってアサドの本能に火が付かなければ――少女との再開を待たず、ここで男の命は終わっていたはずだ】
【『アルハーディ』を中空に向けて構え、真後ろに飛びながら引き金を引く。≪L-Javelin≫は穂先を展開した状態でもう一度使用することで穂先を射出できるのだ】
【そしてその際、意図的に強烈な"反動"が生じる――近接攻撃だけではない、その後距離を取るところまでが≪L≫の弾種の本来の使用法】
【更に、林の中から二筋の光が飛来。水色の球体、≪E-Hail≫はまだ生きていたのだ。それを空中で無理矢理体にブチ当て、可能な限り後退、】

【――残った左耳までやられる程の爆音と衝撃が、アサドの全身へ迸った。醜い殺し合いの中、それでも"何か"を繋いだ獣が、その尊厳ごと消し飛んだ】
【爆風で吹き飛んで林から弾き出され、地面に叩きつけられて、アサドは動かなくなった。やがて救援が来るまで……男は敢えて、ずっと土の味を噛み締めていた】
【俺の顔を決して忘れるな。男が少女にそう言い放ったのと同様に、男もまた、少女の顔を忘れないだろう。何があろうと、決して――】


/お疲れさまでしたー!
746 :天辰 ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/07(日) 16:39:07.10 ID:jdmFpVxDO
>>743(アイン)

【漆黒の崩壊が、見える。水に潰され、風に砕かれ、雷に穿たれ──エルジオを破壊した脅威が、消えていく】
【崩れゆく塔がその原型を留め無くなるその時まで、彼は刀を構え、風と共に宙にいた】
【そして、完全に砲塔が消えれば──ふっ、と糸が切れたかのように地上へと落下した】
【幸いなことに、風を纏っていたため落下時の衝撃は緩和される】
【しかし彼の身体が地に降りれば、それを見届けたかのように周囲の風は霧散していった】


【──雨が、止んでいく。風が弱まり、元のそよ風になる。雷鳴が聞こえることも、もう無い。草原の炎も、じき消えることだろう】
【ぽつ。最後の雨粒が落ちる。その後には嵐などまるでなかったかのように、風の国本来の空が広がっていた】


…………勝っ、た────


【仰向けに倒れたまま、天辰はぽつりと、それだけを呟いた】
【勝てた。二人の六罪王を相手にして、誰が欠けるまでもなく、勝てた】
【キングの絶妙な指示と、剛太郎の熱意。ムクの冷静さ。すべてが合わさり、彼らを風の国の英雄へと導いた】
【──不思議と、喜びはなかった。勝利の愉悦はなく、あるのは死地を抜けた疲労だけ】

【「次」があるのか、と天辰は思う。そんなのは勘弁だとも思ったが、仕事がくれば「次」に応じざるをえない】
【ため息すら出なかった。身体が重く、地面に磔にでもされたかのように感じる】
【だが、いつまでもこうしているわけにもいかなかった。岩のように重い腕を無理矢理動かし、刃だけでも納刀】
【刀を杖代わりにして、立ち上がる。一歩一歩が、泥の中を進んでいるかのようだった】


>>(キング&剛太郎)

【──そうして、倒れているキングと剛太郎の元に時間をかけて辿り着けば、そこでようやく、彼はため息を漏らしたのだ】


……キング、さん。剛太郎、さん──本当に、ありがとう、ございました
キングさんの状況判断能力に、剛太郎さんの覇気……そのおかげで……こう、して──


【そこで彼は、一度言葉を切る。どうやら重く感じるのは、身体だけではないらしい】
【またため息をつく。遠くの方からジェラルドがやってくるのが見えた】
【ああ、そういえば──そう、彼は思い返す。この2人には、しっかりとした自己紹介をしていなかったような、気がする】


──へ、へ。名前、そういえば僕、ちゃんと、お伝えして、いませんでした、ね……
天辰……下の名前は、櫻、です。サクラの花の、難しい方の字を、書きます
上の名前は、天気の天に、十二支で使う辰……これで、アマタツと読みます

あの……また、別の場所でお会い、したら……よろしく、お願いしま、……す……


【それだけを言えば、彼は今度こそ精魂尽き果てたかのようにその場に崩れ落ちた】
【意識はあったが──身体の方が先に限界に達したようだ。味方と比べれば手傷は少ないはずなのに、情けないと自嘲する】
【寄ってきたジェラルドが何かを話していたが、まるで頭に入らない。だがとりあえず、返礼だけはしておいた】
【医療班の治療もおとなしく受けるだろうが、どちらかと言えば疲労で身体が動かないのだ】
【治療薬や包帯などは、キングや剛太郎に、と短く告げると、疲労が回復するまで彼は身体を横たえていることだろう】


【──しばらく何もしたくない。だが、会社に戻れば口煩い部下が報告書を押し付けてくる】
【有給なんて使おうものなら出社早々ヒステリックな叫びで精神を削られることは間違いない】
【あぁ、と今までで一番重いため息が出る。明日には、会社に戻らないと──】
【そっと目を閉じる。柔らかな風が、頬を撫でていく。少し、寝よう。そうした方がいい】
【今日はあまりに、疲れすぎた。会社のことは、明日考えれば──】

/遅くなりましたが、天辰はこれで〆です
/イベントお疲れさまでした、ありがとうございましたー!
747 :剛田 剛太郎 ◆LF1Ar7hXZw[sage]:2015/06/07(日) 20:26:33.84 ID:PNu9iZrWo
>>743

【―――某所、とある霊山の工房にて】
【薄暗い空間の中で―――紺色の作務衣に身を包んだ、屈強な体躯の白髪の老人が苦しそうに血を吐いた】
【無茶な大技を発動させてしまった負担がフィードバックしてしまい、相応のダメージを負ってしまったらしい】

「……ゼェッ、ゼェッ、ぐっ、……プーラとのリンクが……切れちまったわい、戦いは、剛の字はどうなった……?」

【懐から取り出すのは―――あの白衣のお気楽男がよこしてきた携帯端末だ】
【壁に背を預け苦しそうに息をしながら相棒に連絡を取り始める】


【一方、エルジオの戦場にて、天辰が最後の一撃で無事砲塔を破壊し被害を最小限に留めた事を確認していた】
【彼なりの『喧嘩』には敗北したが……無事任務完了したからには『戦い』は自分たちの勝ちだ】
【もう一歩も動けないほどに痛めつけられたが……不思議と心は落ち着いていた】

【地べたに腰を下ろし、傍らでわんっ、わんっ、と自分に向けて吠えてくる子犬の頭を撫でながら天辰が破壊し終わったその砲塔を見つめる】


情けないところを見せちまったが……へへ、どうやらうまくいったみたいだな
しかし……今日の俺恥ずかしいほど危なっかしかったなあ……みんながいてくれて本当に助かったよ……
ムクも、ちょっと無理し過ぎたみたいだな……。プーラに取りついてもいられない状態になっちまってるほど消耗するなんて……ん?もしもし?

「ワシじゃあ、剛の字……その様子じゃあうまくいったようじゃのう
……ったく、世話の焼ける野郎じゃあこの無鉄砲野郎、少しは味方を信じて戦わんかい、じゃから味方がダメージ受けただけで動揺するんじゃあ」

……ごめん、でもありがとう、助かったよ


【携帯端末の着信に答えると、たった今力を消耗して戦場から姿を消してしまった相棒が安否を確認しに来たらしい】
【強豪を二人も同時に相手取る事となり、誰もが深く傷ついた―――完璧な結果とまではいかなかったものの、目的を果たし勝利したことを今はまず喜んだ】
【しばらくして最初に説明を行ったジェラルドと見事砲塔を破壊した天辰>>746が傍まで来ている、剛太郎は屈託ない笑みを零しながら答えるだろう】


こっちこそありがとう……最後の見てたよ。あんたがラストきっちりシメてくれたからこその勝利だ……キマッてたぜ
あんなヤベー奴らを抑えるってのはマジにきつかったけど……目的を果たしたのは俺たち、勝利を決めたのは櫻さんだろ?胸張って誇ってくれよな
キングも大丈夫?最後結構ハードな大技使ってただろ、さっきの、ヴァルゴだっけ?あれのダメージもあっただろうし……大変だったな

……って、おおっと!この人もだいぶ消耗してる!……ジェラルドさん、早速だけど俺たちの後の事を頼むよ!……俺もへとへとだ


【はぁ〜、とため息をつきながら、そのまま地べたに背を倒し―――後は医療班のお世話になる事だろう、これにて戦いは終結を迎えたのである】

【To be continued…】
/昨日の戦闘のラストのレスになります、大変お疲れ様でした!では!
748 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/06/07(日) 20:36:35.52 ID:sdSR6lmlo
【風の国、首都エルジオ中心街】

【首都を巻き込んだ戦いは先日の事なれど、その爪痕は大きく残り、最早勝者がどちらかなど関係なくなっていた】
【足掻きで放たれた砲撃なれど、その威力は凄まじく、破壊の光に飲まれたこの地は瓦礫と煤に塗れている】
【亡骸等存在しない、これだけの威力でも予定された物ではないと言うのだから恐ろしい】

……なるほどね、凄まじいじゃあないか
六罪王というのはつくづく敵に回したくないと思う物だ、ああいう手合いは眺めるに限るね

【砕けた街を踏み付けて、手の中で崩れた灰を風に乗せる。女はゆるりと荒野を眺めて呟いた】
【錆色の短髪、ノースリーブのタートルネックにホットパンツといった軽装の彼女は、遠くの方に泣き崩れる人々を見た、無表情で瓦礫を掘り起こす人々を見た】
【───それから、愉快そうに小さな声で「くふ」と嗤うと、足元にあった焦げた縫いぐるみを拾い上げる】

素晴らしいね、嗚呼素晴らしい、筆舌に尽くしがたいよ
どなたかに意見を聞きたいくらいだ、自警団でもUTでも、これについてどう思うか

【彼女の四肢は、露出している筈の肉体は無く、その代わりに鋼鉄の四肢が備わっていて、同じような鋼鉄の犬用の口輪で鼻と口を覆っていた】
【側目から見ても異様な雰囲気、だと言うのに誰も気にしないのは、この辺りにいる人間はみんなそれどころではないからか】
【とはいえ、他にも事態の調査をしている者も少数はいるはずで───彼女は実際、そういった人間を探していた】
749 : ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/07(日) 21:47:06.75 ID:Qi35ApJfo
>>748
まだいらっしゃいますかー?
750 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/06/07(日) 21:54:14.06 ID:sdSR6lmlo
>>749
/いますよー
/ただ、明日早いので一時くらいになると切り上げか凍結になりそうですがそれでも良ければ…
751 : ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/07(日) 22:00:03.56 ID:Qi35ApJfo
>>748

【――崩れた家。砕けた日常。その下敷きとなったままの物言わぬモノたち】
【そんな凄惨な光景の中、女性が改めて周囲を見渡したなら。退廃を極める街には似つかわしくない、妙な集団が屯しているのがわかるだろうか】
【悲劇を偲ぶかのように喪服を着込んだビジネスマンのような一団である。彼らは住民達に支援の手を差し伸べつつ、被害状況を調査しているようだ】
【些か怪しい集団ではあったが、表情は沈痛極まりなく。悪意を持った者たちではない……どこぞの企業が支援に乗り出し、視察にやってきたというところか】


……まったく、ひどい有様ですね。これが"六罪王"のやり口というわけですか。
本当に恐ろしい――あなたもそう思いませんか?


【と――背後から、何食わぬ顔で女性に話しかける者がいた。あの集団と同じ喪服姿。……ただしそのシルエットは、他の者と比べて若い】
【毛の一本一本にまでしっかりと手入れが行き届いた、育ちの良さを伺わせる巻き気味の水色の髪。ルビーをはめ込んだような真紅の双眸】
【この惨劇を前にして悠然とした態度を崩さない、まったく年に不相応な落ち着き。――そんな特徴を持った、十代後半ぐらいの少年である】

【……少年が何者で、何故女性に話しかけたのかは不明だが、自分達以上に怪しい身形の彼女に対して怖じ気付くような素振りは一切無く】
【かといって、その瞳に敵意らしきものが浮かぶことも無い。世間話でもするみたいなごく軽い口調で、少年は笑いかけるのだ】


/>>750 了解しました、よろしくお願いしますー
752 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/06/07(日) 22:16:50.12 ID:sdSR6lmlo
>>751
【指に摘んだ縫いぐるみの片手、ぶら下げたそれをゆらゆらと揺らして、熊だか猫だか分からない顔を見る、それから視線を辺りに移した】
【ぐるりと見遣る崩壊の地、黒い眼と赤い野獣眼、非対称な両目が悲観なく見回して、その中にいる一団を遠くに見つけた】
【「ふむ」と声を漏らしていると、続いて背後から声が掛けられた、驚く振りもなくゆるりと振り向いて、その相手を見付ける】

……ああ、そうだね、真恐ろしい事に変わりない
いやあ、狙われたこの辺りの人々は不運だったという他無いよね、救いを求めて、助けを求めて震えていたのに、こんな結果になってしまうとは
それでも、全体で見れば『この程度の犠牲』で済んで良かったのかな?相手はあの六罪王なのだから、地の国の二の舞にならないだけ十分かな

【そこに居たのは、先ほど見た一団と同じ格好をした少年で、自分で言うのもなんだがやけに落ち着いている】
【この地形に合わない小綺麗な服装は、見ようによっては不謹慎なくらいで、しかしそれをどうこう言う権利は彼女にはない】
【だから、その事には全く言及せずに、問われたままに答える、『この惨状について』、端的に、思っていたままを】
【彼女の指に吊られた縫いぐるみが、プラプラと揺れながら少年を無機質な目で見つめていた】
753 :リチャード・トラヴィス ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/07(日) 22:37:00.35 ID:Qi35ApJfo
>>752

【女性の理性的な対応に、ふむ、と少年はちょっとばかり残念そうに眉を顰めるだろう。後ろからいきなり話しかけたというのに驚きもしないのだから】
【……どうも女性が動揺したり訝しんだりするのを期待していたらしい。瀟洒な見た目とは裏腹に、なかなか茶目っ気の多い性格らしい】
【「肝の据わった方ですね」なんて負け惜しみなのか賞賛なのか微妙な台詞を吐くと、微かに目を細めて女性の言葉を咀嚼する】


ええ。あの一発で、一体どれだけの命が失われたのか………。
ただ、そこは同意見です。もし首都が丸ごと破壊されてでもしていたら、風の国全体の経済が崩壊しかねませんでした。
冷たいようですが…………我が社の拠点もこの国に沢山ありますから、正直ほっとしていますよ。


【瓦礫の山を遠い目で眺めながら、少年は沈んだ声で唸る。黙祷するかのように軽く目を閉じる――完璧すぎる所作】
【けれど本人の正直な感想としては、エルジオ全体がやられなかっただけマシという見解の方が強いらしく、申し訳なさそうに苦笑する】


ところで……不躾なようですが、あなたはこの街の方ではありませんよね?
こちらへは何をしに? 当座の危機こそ去りましたが、女性がお一人で訪れる場所ではないですよ。


【そして少年が閉じていた目を開いた時、赤い光が鋭く瞬いたように思われた。一分の隙も感じられない、いっそ芸術品じみた笑み】
【女性が単なる一般人でないのは外見だけで明白。考えてみれば、少年からするとこの状況、支援に訪れた地で不審者を見つけた格好な訳であって】
【柔和な挙措に変わりはないが、これはちょっとした牽制の台詞だ。別に剣呑なことになるのを望んでいる風ではないが――】
754 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県)[sagesaga]:2015/06/07(日) 22:58:04.09 ID:LHtJQlG+o
【人里離れた森――そこに、獣でない何者かの声があった】

「……ちィッ、一旦戻ってくゥっつけた方が良ォいか……ァ?」

【それは全身真っ黒な毛に覆われている奥二重でコワモテ、エルフ耳で2mの身長の悪魔だ】
【頭部には二本の鋭く禍々しい赤い角を持っている】
【黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、首にはマフラーの様な長い紫色の毛を持ち、他にも所々に紫色や赤の模様や毛を持っている】
【鋭く赤い牙と同じく爪を持ち、手足や尻尾の先の方は紫色で、いかにも悪魔だと思わせる尻尾の先端には赤い棘がある】
【赤い棘は肩や手の甲、アキレス腱の位置にもあり、先端に赤い爪を持ち紫色の翼膜な黒い悪魔の翼を背から生やしていた】

「人間共、少しは褒めてやる……後でじィィーっくりねェェエエーーっとり嬲り倒そうじゃアねェーかッ! ……クククッ」

【……と、悪魔が居ることにツッコむのも良いだろうが】 【それよりも、常識ではない事実がもう一つ】
【この悪魔が抱えているのは何だ?】 【そもそもこの悪魔の首から上はどこに行った?】

「しィかし何故だか聞ィこえてくる、"ゆっくりしていってね!" ――という、幻聴がなァ」

【……まあ、つまりは】 【この悪魔の首から上は、己自身の腕で抱え込んでいるのだ】
【出血などはないし、そもそも原理はともかく喋ることだってできている。命に別条はない……のだろうか?】

「まァ良い、Gの名ァを持つ虫は餓ァ死するまで頭ォ部無しで生ィきる事がでェきる、問題はねェな」

/作業しながらになりますがそれでもよろしければ
755 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/06/07(日) 22:59:13.60 ID:sdSR6lmlo
>>753
【自分の言葉に対しての少年の返答、皮肉と嫌味たっぷりに、わざとらしいまでに悪辣な言葉を選んだつもりだが───】

……くふ、いや失礼───いや全くだ、被害を抑えてくれた人間には感謝、というべきかな

【喉を鳴らして、口輪の下で嗤う。どうやら彼は、好みのタイプな様だ、少なくとも揶揄い甲斐は無いだろうが、人として好きな人間】
【即ち、犠牲を肯定出来る、素晴らしい感性の持ち主。ついつい笑いが出てしまう】

おっと、これはすまない、挨拶が遅れていたね
僕はライン、ライン=アインツヴァイドという者で、君の言う通りこの街の人間ではないよ
多分、君も薄々勘付いているのだろう?僕は君の様に哀れな民に救いの手を差し伸べに来たんじゃあない

───GIFT、というのは知っているかな?所属を明かすとすれば僕はそれだ
ああ、そう、無能力者を狩り、能力者のみの世界を求める、あのGIFTさ、カノッサ機関ではないが、ある一方向から見れば同じ様な物だよ

【ぽい、と手に持っていた縫いぐるみを放り投げると、少年の笑みを見つめる。得体の知れぬ、底の知れぬ笑顔に、包み隠さず、名前も、所属組織も明かす】
【一種の挑発だ、つまらない牽制をするくらいなら、隠しはしないからはっきりと心を明かせと、少年の目を見つめ返す】
【確かに、この場では自分は不審で、不安要素でしかない存在、ならばそんな存在を、どんな感情と理由を持って、どうしようと彼は言うのか?それを知りたいから】
756 :キング ◆/iCzTYjx0Y[saga]:2015/06/07(日) 23:24:27.84 ID:uYjjgD8ro
>>743>>746>>747

【―――ようやっと、全てが終わった。】
【破壊の限りを尽くすキング、砲台を破砕した天辰、最後まで退かなかった剛太郎。】
【全てが折り重なり、そうして幾つかの計算違いと、天運に救われ勝ち取った勝利―――光明が見えた、キングは脱力していた。】


 ―――……あァ、、コイツは……、休養が必要だぜ、それも長期のなぁ……。


【―――魔人化が解ける。全身傷だらけ、ボロボロになったキングが現れ、そのまま草原に突っ伏した。】
【背中からバタリ、と倒れて、荒く息を吐き出しながら、全てが終わったことを悟ると、同じ様に倒れた天辰の方を見て微笑む。】


 ……よくやったよ、お前さんは。二発目が撃たれなかったのはお前さんのお陰だ、今日の救世主だよ。
 お疲れ様、坊主―――俺の指示が良かったんじゃねえ、お前さんが……その通りに動けたからこその、勝利さ。


【駆け寄ってきた剛太郎に対しては、"もう疲れた"という様子で、あきれた様に言葉を漏らすだろう。】


 大丈夫なモンかよ、キッツイ一撃ブチかまされた上に魔力を全開使用したんだ、もうヘトヘトさ。
 悪いが今夜のデートはキャンセルだな、こんな汗と傷に塗れた格好じゃ、カワイコちゃんに顔向け出来ん。

 ―――だが生きてる。何の幸運か、まだ、生きてる。
 あれだけの攻防で、だ。何でかは分かるよな、剛太郎、お前さんのお陰だ。
 お前さんがきっちりダグラスを抑えてくれたお陰で、俺も後方から周囲を見渡せるコトが出来た。

 
 ―――ま、天辰……じゃなかった、"櫻"の一撃と、お前さんの根性に救われたよ。
 オレ一人じゃとてもどうにかなる相手じゃなかった、UTのリーダー代理として、礼を言わせて貰うぜ。
 
 櫻―――、もう寝てるだろうが、まあいい。櫻、それに剛太郎。
 本当によくやった、ありがとうな。今度店に来てくれよ、"正規リーダー"さんには御宅らの活躍を伝えておく。
 なに、酒の一杯や二杯くらいタダで飲ませてくれるはずだ、運が良けりゃ飯なんかも。―――オレはちょいと、調べモノがあるけど、な。


【―――キングはズタボロの身体を無理やり起こすと、首をコキコキ、と鳴らして破壊された砲台の方へと近づいていった。】


 ―――あの野郎。就任早々、なんだって風の国を砲撃なんてしやがったんだ。
 
 (……目的が見えん。単なるテロ行為か? 意味も無く? あの魔術師が?)


 ……六罪王が雁首揃えて二人も来た挙句、一発撃ったら早々に撤退しやがった。
 コイツは……なんなんだろうな、いったい何が目的で―――野郎はこの国を狙った?

 (わからない。ただ―――そういやアイツ、なんかヘンテコな指輪つけてやがったな。)

【嫌な予感がする。たった一発の砲撃、用意された砲台、予告された襲撃。】
【敵の真意は何か―――探る必要があるだろう。キングは疑問を抱いたまま、痛む身体を堪え】
【足早にバイクへと近づいていくと、W−Phoneを見やる。"悪いが魔界に帰るぜ、少し調べモノがしたいんだ"】

【―――そんな内容の文章を打ち込むと、"リーダー"へと送信し。】
【彼はエンジンを掛け、闇世の中へと消えていった。そう、戦いは終わったのではない。】
【むしろここから―――あの魔術師との戦いが始まるのだ。キングは胸騒ぎを覚えつつ、バイクを奔らせた―――。】


/遅くなりましたがこれで〆とさせて頂きます。
お三方、本当にありがとうございましたー!
757 : ◆r0cnuegjy.[!nasu_res saga]:2015/06/07(日) 23:28:55.54 ID:0qyZgXQFo

【六罪王『ロード・ケイオス』の襲撃から数日後】

【風の国首都エルジオでは復興作業が進められていた。損害は都市の約十分の一が“消滅”するという恐ろしいものだったが】
【地の国の首都を全壊させたベクター、同じく一都市を蹂躙したサツキ、聖都そのものを水没させたアーグらと比べると】
【消滅という形はともかく、その規模はなんとか他の面々に並ぶのが精一杯、というところだった】

【だがそれはあくまで“悪側”から見たときの話。亡くなった犠牲者の影響は甚大という他なかった】
【街の至る所で泣き叫ぶ声や怨嗟の声、怒りの声があがっている。街全体が悲しみに暮れていた】
【犠牲者の数は約二万五千人と言われているが、一部は死体さえ残っていないために正確な数はわかっていない】

【一方で、それでも被害を最小限に留めたとする意見もあった】
【六罪王と直接戦った、UTのキング、天辰警備保障会社の天辰櫻、そして剛田剛太郎の三名は】
【軍部から表彰されることとなった。これもまた大々的に報じられて、UTや天辰警備保障会社の知名度に影響するだろう】

【また同じくUTのアサド・アル=アーデルも協力者として名を挙げられることとなる】
【計四人の有志には賞賛の声と報酬金が送られることだろう】


【結局、何故エルジオを狙ったのか、何故わざわざ襲撃を事前に知らせたのか理由は判明しなかった】
【軍部はそれらの理由を、六罪王とカノッサ機関であることから破壊を広げること以上の目的はないものと断定】
【目的と行動にズレがある、わざわざ風の国である必要がない、そもそも何故二人も六罪王が──と様々な意見も出たが】
【それ以上の調査が不可能なこともあって、目的の解明は一切行われないこととなった】

【風の国の軍部は戦地となった『ATLAS跡地』に調査隊を派遣。痕跡を解析して六罪王の特徴を掴もうとしたが】
【砲塔は完全に崩壊、残るのは下地となった魔法陣だけ。これからもまた情報が取れることはなく】
【その戦闘の激しさを記録するだけとなった】

【魔法陣は消滅することなくその場に残り続けていたが、解析結果として何ら効果を及ぼすものではないと判明】
【軍部はそれを害無しと判断して、早々に調査隊を引き上げることとした】


【────荒れ果てた草原の中心に残ったのはたったひとつの魔法陣。それは淡い光を放ち続けていた】

//お約束の後日談的なあれです
758 :リチャード・トラヴィス ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/07(日) 23:32:30.33 ID:Qi35ApJfo
>>755

【毒々しい女性の笑みに、少年もまたくすくすと微笑して応える。――こちらもこちらで、波長が合うようであった】
【あまつさえ、いっそ白々しくすらある態度で「"正義"の皆さんにはつくづく感謝ですね」なんて言ってみせる】
【最前線で必死に戦っていた者達を、高い場所から他人事のように俯瞰するのだ。労働者を見やる経営者のような目線……】


ラインさんですね。こちらこそご挨拶が遅れました、ボクたちはこういう者です――。


【足元に転がる無惨な姿のぬいぐるみに一瞥もくれることなく、少年は懐から名刺を取り出すと、丁重に礼をしつつそれを手渡すだろうか】
【――名刺の上段には『TRAVIS』のロゴマーク。よくCM等も打っている会社だ、女性も聞いた事があるかもしれない、水の国に本社を置く大企業】
【そして中央には、少年の簡素なプロフィール。リチャード・トラヴィスという名前で――この若さで、社長代理を務めていることが記されている】
【当人も当人で、たまに記者会見や雑誌のインタビューに顔を出すことがある。そこそこの著名人という訳だ】


……――――、フフッ、はははははっ!

なんと……よもや! 参りました。驚かすつもりが逆に驚かされてしまいましたね。
あの"GIFT"の方とは――いやはや、困った。実は我が社の施設も一度、この風の国でカノッサ機関に襲撃されたことがありましてね。
それ以降、うちは自警団や軍に出資しているんですよ。つまり、あなた方とは敵対する"正義"の企業ということになってしまうのですが……。


【そして――敢えてすべてを包み隠さず明かしたラインへ、リチャードは一瞬瞠目して、それから……心底可笑しそうに声を上げて笑うのだ】
【一本取られた、という風に頭を振った後、少年は腕組みしてわざとらしく唸る。口元は歪んだまま、相変わらず思考の読めない笑顔】
【『TRAVIS』の経営方針は、こうして支援事業等も行っている通り、GIFTやカノッサとは相反するものだ。さて、その上で、どう動いたものか】
【社長代理としての立場上、みすみす眼前の"悪"を見逃すのは社是に反する。しかし――リチャード・トラヴィスという個人としては――、】


そうですね。先ほどは「哀れな民に救いの手を差し伸べに来たんじゃあない」と仰いましたが。
しかしかといって、別にここへ暴れに来たわけでもないのですよね? もしそうならば、妙な争いになるのはこちらも避けたい。
むしろ、色々お話を聞かせて頂きたいぐらいです。何分まだ若いもので、社会勉強をしておくに越したことはないですから。


【猫被りな態度をあっさり脱ぎ捨てて、リチャードはラインへ挑発的な視線を投げ返す。……立場上は敵同士という関係を、楽しんでいるかのよう】
【「それに、昨日の今日でここを戦場にするのは申し訳ないですから」と、取って付けたような理由も加えて、軽くウィンクまでしてみせる――】
【……たとえ相手がGIFTの人間でも、戦意がないのならばこちらから仕掛ける気はないということだ。それだけ言うと、少年は視線を街へと移す】
【跡形もない街道、嘆き悲しむ人々。それを見て何を思うのか、やはり彼の表情からは何も伝わってこず――】
759 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/06/07(日) 23:59:05.96 ID:sdSR6lmlo
>>758
【笑い出す少年───リチャードを、表情を全く眉一つ動かさずに見つめるライン。そこには凡そ期待≠ニ興味∴モ外の感情は存在せず、笑い声を嫌とも思う事もない】
【手渡された名刺を眺めて、聞き覚えのある社名を見ると、そういえば何処かで見た事がある顔だったと、頭の片隅に引っかかっていた疑問が解けた、ただそれだけだが】

……いいや、驚いたのはこっちもだよ、リチャード社長?よもや一大企業のトップがこんな所に、しかもこんな人間に一人で接触して来るなんてね
いや、『だからこそ』なのかな?昨日も仲間と話していたんだが、六罪王にしろ君にしろ、それくらいの胆力が無くては上の立場は務まらないらしい

【『驚いた』とは言うが、それは社交辞令に近い言葉だ、その通り驚いた様子は表情にも声にも見られない】
【だが、その行動力には素直に感嘆しているのは事実、少し前に六罪王が予告してから襲撃する事について、同じ組織の人間と語った時の結論が、やはり理として当てはまるのだと納得し直す】

【───だが、続くリチャードの反応には良い返事を返す事は出来ない。彼等は『立場上敵同士』、そう、『立場上』だが、敵同士なのだ】
【些かそれを甘く見ているようだ、このリチャードという人間は。人を食ったようなふりをして、物事が自分の思う通りに行くと思ってはいないか?】
【それが、気に入らないという訳ではないが、少し突ついてみたくなった】

───君は何か勘違いしていないか?僕は君と取引をしにここに来た訳ではないんだよ?
君が困るから、避けたいから、なんで僕が行動を縛られなきゃならないんだい?僕と君はまるで何の関係も連携もない、『敵同士』だろう?
こちらとしては、実際問題争いを避けたい理由なんて無いんだ、だから何をやったって構わない

だから、嫌だよ。君が何と言おうと僕は従う気はないよ、それが嫌なら行動する前に芽を摘んでみたらどうだい?
例えば、そうだな───あそこにいる親子

【不穏な空気が漂い出す、リチャードの言葉に従い、このままこの惨状やら思想やら語るつもりはないと、天邪鬼になって言葉を返す】
【彼女が指を指したのは、遠くの方に瓦礫の前で崩れ落ちる母親と娘だ、恐らくは父親があの砲撃に巻き込まれたのか、無念を嘆いている】

5秒後に、彼等に家族の後を追わせてやろう、と僕は考えている───と言ったら、君はどうする?

【牽制としたただの冗談か、本気なのか、言葉のニュアンスと表情からは、どちらともとれる微妙な物、しかしリチャードが判断を間違えば、被害は免れないだろう】
【だとすれば、その正解がわかる前に行動を潰してしまえば、それが冗談にしろ本気にしろ妨害はなされるのだから被害は免れるのであるが……】
【『そんな事が君に出来るのか?』とでも言いたげに、挑発的な視線を意趣返しする】
760 :リチャード・トラヴィス ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/08(月) 00:34:46.44 ID:l/4EKkt/o
>>759

【リチャードの反応は、凡そ一般的なモノとはかけ離れていたが……ラインの方も流石というべきだろう。表情を変えず対応する胆力】
【少年は返答しなかったが、内心では女性を賞賛していた。胆力というならそちらも大概だ。"GIFT"の構成員――確かに相応しい人物に思える】


……ああ、申し訳ない。少し調子に乗りすぎてしまいましたね。今のは失言でした、謝ります。
確かにそうです。ボクとしては体面上、争いごとは避けたいのですが、あなたにしてみればそんな義理はない。

ただ……あなたはGIFT構成員と言っても、何の理由も無く暴れまわるようなタイプではないように思ったんです。単なる直感ですけどね。
ですから、社長代理としてではなく個人として、ぜひお話を伺いたいと思った。他意はありません。


【……少しばかり本音を出しすぎたか。しまったな、という顔をして、リチャードはばつが悪そうに謝罪するだろう】
【彼女の言うとおりである。少年の口車に乗っかる義理などラインには存在しない。何ならこの場で住人もリチャードも皆殺しにしたっていいのだ】
【ならば何故、そんな発言をしたのか――その根拠が自らの"勘"だというのだから、実に下らなさ過ぎる話。当然外れていればそれまでである】


ですが、まぁ――もしあなたが"やる気"なのであれば、止むを得ません。
その時は、非常に残念ですけれど、個人としてではなく社長代理として動かせて頂きますね。


【冷酷なテロリストなのか、それでも理性ある人間なのか、どれだけ見透かしたような台詞を吐こうが、少年はラインの事を何も知りはしない】
【そんな彼女が指差し、何も知らぬまま窮地に立たされる親子。冗談か本気かはわからないが――リチャードは仮面の笑顔を被って、そう答えた】

【……お互いに争いは避けたい、なんて趣旨の台詞がつい口を衝いてしまった理由は、単に勘がどうのというだけではない。言うなれば、慢心の表れだ】
【ここで争うことになったとしても、少年には勝つ自信があるのだ。例え負けるにしてもただでは済まさない――そういう危険な光が、瞳に宿る】
【思えば。そもそも女性のような不審者にわざわざ話しかけたのだって、仮に襲われたとしても返り討ちにする自信があるからだったのかもしれず】

【いずれにしても、ラインが"殺る気"なら戦いは避けられない。彼の態度が気に入らなければ、生意気な子供の鼻を明かしてやるのも手だ】
【――ただ。そのやり取りの間、リチャードはラインが指差した時にちらりと目線をやっただけで、それ以降一度たりとも親子を顧みることは無く】
【ラインが指定した5秒の間、軽く身構えただけで何もしない。ラインが動いてからでも対応できる程の策があるのか。あるいは、本心では……】


761 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/06/08(月) 01:05:24.04 ID:K5QgvVlLo
>>760
【『なんの理由も無く暴れたりはしないタイプ』 確かに、どちらかと言えば彼女は理性的な方で、やたらめったら行動を起こしたりはしない。こんな風に、周囲にリチャードの手の者がいる状況なら尚更大人しくしているべきなのもわかっている】
【……だが、彼女は理性的『過ぎた』、誰しもが持つ荒々しい本能を抑える理性が強過ぎて、それすらも凌駕する冷酷な感情が生まれていた】
【最早それは獣の感情と変わらず、しかし違う、表裏一体の残酷な面】

残念だけど、君は僕を惚れさせてしまったよリチャード、嗚呼なんという事か、僕は君と言う人間を知りたくなってしまった
その顔面の皮を引き剥がして、喉を潰して、着飾った服を脱がして、そうなった君が尚そんな風でいられるか、気になってしょうがない
だから、話をする、という点ではやぶさかでは無いんだ……しかし、どうやら僕の直感だが、それでは君を深くまで知れ無い気がする

【笑い声を隠す事もしなくなった、喉を鳴らして嗤いながら、鋼鉄の爪で額を抑え、恋文を読むかの如く言葉を紡ぐ】
【しかしそれは恋を語る言葉なんて生易しい物では決して無く、言って仕舞えば獣が標的に狙いを付けたという死刑宣告もかくやという物、そしてそれは周囲を巻き込む】
【リチャードの瞳に宿る眼光を、鉄の爪の隙間から赤い眼で見て、「くふ」とまた嗤う。それを同意と見た彼女は、躊躇い無く行動した】

───大した自信だよ、僕の動きに後手で追付けるつもりなのか、それとも策を張っている気なのか
どちらにせよ、その自信に甘えさせて頂こうかな

【ゆらりと両腕を下ろしたかと思えば、次の瞬間彼女のいた場所の瓦礫が大きく吹き飛ぶ、その時にはラインの姿は今まで立っていた場所からはいなくなっていた】
【機械化義肢の性能を引き出し、凄まじい脚力が足場の悪さを物ともせずに大地を蹴りつける、その度にラインの体は大きく加速して、妨害がなければあっさりと親子の元へと辿り着いてしまうだろう】

【そして───同じように、ラインの起こす行動に妨害がなければ、それから起こるのは悲劇だ】
【鉄で出来た爪は槍のように突き出され、母の胸を背中から貫くと、心の臓を潰して抉る、それが終われば、次に娘が同じ目に合う】
【一連の動作が最後まで妨害されず、中断されずに終わったなら、全てが終わった後でラインはリチャードに振り向いて、こう言うだろう。他人事めいて、嘲笑うように】

【「だから言ったのに」】

/申し訳ありません、そろそろ落ちなければ行けない時間でして…
/締めにするのなら、適当に行動を妨害して離脱という事にしてください。もし凍結するのなら、明日は18時くらいから再開可能です
762 :リチャード・トラヴィス ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/08(月) 01:12:51.77 ID:l/4EKkt/o
>>761
/了解です、では凍結という形でお願いします
/こちらもそのぐらいの時間で再開可能ですので、返信した際に舞台裏の方で呼びかけさせて頂きます!
/ひとまずお疲れさまでした、お休みなさいませー
763 :リチャード・トラヴィス ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/08(月) 18:20:37.36 ID:l/4EKkt/o
>>761

【不気味に笑って獲物を射抜く獣の眼光。それを目の前にしても、やはりリチャードは柔和に笑い返すだけなのだ】
【少年の分厚い仮面の下に隠れているモノが何なのか。それを見たいのならば、確かに、話すなんて迂遠な方法よりも適切なやり方が存在する】
【――彼女の台詞をそのように解釈して、リチャードもまた目を見開く。静かなる"開戦"の合図、】


――――ッッ!! あぁっ、なんてことを………!!


【余裕綽々の態度を取り続けていただけのことはある。ラインの姿が微かにブレた瞬間にはもう、リチャードも飛び出していた】
【母子の更に奥に何か"黒い球体"のようなものが出現。跳躍したリチャードの体は、それに吸い込まれるかのように急加速する!】
【義肢により人外じみた敏捷性を発揮するラインと空中で併走、速度はほぼ互角だ。――しかし、悲鳴を上げたのはリチャードの方だった】

【想定外だったのは、少年が見積もっていたよりラインの動きが機敏だったこと。間違いなく油断と慢心が齎した誤算で】
【素手のリチャードに対しラインは鋼鉄の爪を持っているのだ。つまり"互角"程度の速度では、最終的にリーチで負けるのは必定だった】
【ぞぶり、と。臓腑を抉り取る無情な音――リチャードはそれを聞きながら娘の方へ軌道を変え、少女を抱きかかえて離脱するだろう】
【……娘は守れたが、母親は死んだ。結果だけ見れば痛み分けだが、両方救えなくて何が"正義"か。嘲笑めいた表情が、リチャードの敗北を告げる】


皆さん! 逃げてください、ここに"GIFT"のエージェントが居ます!!
彼女の狙いはボクです、ボクが注意を引き付けます! あなたたちは街の人たちの避難を……!!


【リチャードは色濃い焦燥を伺わせる声色で、周囲に向かって大声を張り上げるだろう。街の人々に避難を、社員には避難誘導を呼びかける】
【妨害されなければ、近寄ってきた社員の一人に抱えていた娘を手渡し、ラインと完全に一対一の状況になるよう手配するはずだ】
【その手順の間、リチャードは一度もラインから目を離さなかった。守るべき者が失われてようやく、自らの慢心を恥じたということか、】


【――――、――……いや。答えは、否である】
【瀕死の街を更に痛めつけんとする悪魔から、若き社長が勇気を奮って街を守ろうとしている――少年の背中から、誰もがそんな美しい絵面を見せつけられる中】
【焦りと動揺が滲む情けない声色と、心底愉快そうな愉悦の笑顔を張り付けた表情との――あまりにも絶望的なコントラスト】
【その"本心"に気付くことのできる人間は、真正面でリチャードと対峙するラインだけだ。少年は何一つ焦ってなどいない。後悔などしてない……】


………ククッ、お見事です。これでも自信があったんですけどね、あなたの方が一枚上手でした。
惚れたのはこちらもですよ、ラインさん。力無き民間人をゴミのように殺すその精神、その実力。予想以上です。

だからこそ……こういう"対話"も悪くない! そう思いませんか―――?


【すべてリチャードの"演出"の通りに動いたなら、ラインとリチャードの周囲には誰もいなくなっている。邪魔者は、存在しなくなっているだろう】
【ラインにしか聞こえない音量で、ラインにしか見えない表情で、あっさりと平静に戻ったリチャードは双眸を細めながらそう告げる】

【……、結局。どちらでもよかったのだ。母子が死のうが死ぬまいが、少年にはちょっとしたゲームで勝つか負けるか程度の価値しかなかったのだ】
【何が――"正義"なものか。これがどの口で正義を語るのか。例え『TRAVIS』は正義の企業だったとしても、このリチャード・トラヴィスという個人は、】
【刹那。リチャードは懐から拳銃を取り出し、ラインの胸部へ向けて発砲するだろう。彼女の凶行は確かに少年の中の"何か"に火をつけた。義憤以外の、暗い何かに――】
764 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/06/08(月) 19:14:28.74 ID:K5QgvVlLo
>>763
───成る程、やはり君は素晴らしいよ、『人間』だ、君は

【黒に生える赤い鮮血、肉塊の混じった物を振るい落としながら、リチャードの方を振り向いた】
【周囲から消えた人影と、助け出された娘などどうでもいい、見えるのは、見たいのは目の前にいる人間だけ】
【これが強がりの演技なんかではないとしたら、本心からこうであるとしたら、なんとも『正義』の似合わない、人間らしい人間であろうか】
【こういうのを求めていたのだ、このような人間の汚さ、残酷さを煮詰めたような者こそが、求めていた人間性】

【乾いた破裂音、炸薬に押し出された鉛の弾頭が無感情に迫って来る、狙いは鋼鉄ではない生身の肉体部分】
【しかし、その銃弾は一つの壁に阻まれる、錆色に蠢く、不気味に枝分かれした形の壁…否、それは巨大な右手であった】
【ラインの腰からは一本の大きな右腕が生えており、人1人を掴めそうな程に大きな掌が、容易く銃弾を阻んでいた】

くふ、ふふふふ……!
素晴らしいよ、素晴らしいな君は、この短時間でどれだけ僕を期待させれば気がすむんだい?
ああ、試すようなフリをして悪かった……いや、君は『本物』だよ、本物の人間だ。非情の仮面を付けているような柔な悪漢でなく、本物だ!

『尊い犠牲』だなぁ、ああ全く、必要な犠牲だった、此れは

【悲鳴を上げる暇もなく事切れ、血塗れになった母親を踏み付けて、錆色の巨腕の指の間から見開いた目がリチャードを見る】
【喜び、ただただ嬉しくて、こんなにも自分の求めた人間そのままの人間がいるのが喜ばしくて、気分が高揚する】
【何が『正義』か、と通常ならばそう言われるはずの者、しかしそんな物はただの自称で、行動の在り方を単純なグループに分けただけのもの、そんな立場で人は計れない】

さあ───それではしようじゃないか、対話≠、僕が望み君の望む事をしよう
曝け出そう、人間の総てを、見せてくれ、君の人間を
それがつまらない虚勢でない事を願うよ!

【ギャリ、と土を蹴るには激し過ぎる音がして、また瓦礫が吹き飛ぶ。大地を乱暴に蹴りつけて、一気にラインの体がリチャードへと接近する】
【接近出来たならば、右手の手刀を矢じりのように突き出してリチャードの左肩を狙うだろう……だがこれはブラフだ、わざとに躱し易くわかり易く、直線的な攻撃をした】
【本命はその逆から、ラインの左脇腹を通って、錆色の巨腕が手刀とほぼ同時にリチャードに迫っていた、大蛇の口が如く掌を大きく開き、リチャードの体を乱暴に掴みかかろうとして】
765 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/08(月) 19:34:53.63 ID:jcJRrVdX0
【街外れ――人気の少ない場所にある公園】
【六時の鐘で子供たちは帰った静寂の場所、ごく遠くに夕焼けの残滓は見えても、太陽はもう見えず】
【ただぼんやりと曖昧に緑色か菫色かに染まった空がだんだんと暗くなっていく。ちかちかと、古びた街灯が点滅をして】

……――ふふ、へびさまとこうしてお話するの、久しぶりなの。
だって、ずっと、……普通のひとみたいだったんだもん。

……ちょっとね、寂しかったんだよ。――、うそなの。

【誰かが置き忘れて行った、少し空気の抜けたサッカーボールが。てんと壁に軽くぶつけられて、跳ね返っていく】
【足元に転がってきたのを“彼女”はもう一度蹴っ飛ばして、今度は、それがどこへ飛ぶかも確かめないまま】
【くすくすちっちゃく笑って、ふうらり歩いて――とすん、と、今度はブランコに座り込む】
【なぜだか上機嫌そうな少女だった。独りだというのに平気で声を出して、ときどき、楽しげに笑いながら】

【誰にでもなく悪戯っぽい声を出して――ぎぎいと古びたブランコを、揺らして】

【腰まで届く長さの黒髪は真っ直ぐに下ろしてブランコの揺れと風に任せて流す、毛先はひるりひらりと翻って踊り】
【少し釣った丸い瞳は左右で色が違って、黒と赤。露出した耳元には宝玉の欠片のピアスを身につける、それがきらきらと煌き】
【肩の出たデザインの黒いワンピース、おなかのところには暗めの赤でリボン飾りがあって】
【リボンの陰から伸びるスカートはついっと裂けて、中のフリルをあしらったペチコートが覗き】
【肩の白さがほんの少し透ける程度に羽織るボレロも黒、足元も、踵の分厚いパンプスで】

昔みたいな格好したら、もう、変かなあ……。

【どうにも上機嫌めいた少女は小さく呟く、呟いて――ふわり、と、掌を宙へ伸ばすと】
【桜に紫の混じった魔力が瞬いて、すぐに、ちりん、と、その手の中に銀色の鈴が一つ落ちる】

【鈴の音と似た彼女の声とよく似た音で鳴る鈴。手元でちりちりと弄んで、夜はどんどんと落ちて来る】
【森などひどく遠いはずだのにこの場所にはどこか森の中にある川辺のよな香りが満ちて――その源も、どうやら彼女のようだった】
766 :リチャード・トラヴィス ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/08(月) 19:38:07.76 ID:l/4EKkt/o
>>764

【悪に立ち向かう正義の少年――ハリボテの美談の裏に作られた真っ黒な静寂の中、二匹の獣が笑い合っていた】
【銃弾が防がれるのは予想済みだ。こんな単調な攻撃が当たるはずがない。こんなものはスタートを告げる合図でしかない】
【腰元から生える巨大な鉄の右腕を新たに勘定に入れた上で、リチャードは腰を落とした。「光栄です」なんて嬉しそうに告げ、刹那――】


ええ、では始めましょう。
この"仮面"の下を見たいのならば、その冷たい両手足でボクの腹をかっ捌いてナカミを引きずり出せば良い。
……フフッ、もっとも、そう簡単に終わらせる気はありませんけどね……!


【血のような真紅が弾ける。大きく見開かれた双眸が、猛スピードで接近するラインの体を一ミリのブレもなく完璧に捉える】
【――そうして見切ったはずであるのに、手刀に対する反応は鈍い。僅かに左半身を引くのみで完全には避けず、千切れた喪服と一緒に微量の鮮血が滴った】
【その理由は必然、続く"本命"をリチャードが想定していたからだ。手刀を喰らって後ろに倒れる体の勢いを逆に利用し、少年は大きく真後ろへ跳躍】

【かくして、巨大な右腕は空気を握る。フェイクを敢えて受けることで本命をかわした形だ。掠り傷と言うには大きな傷だが、まだ戦闘に支障はない――】
【そして着地と同時、リチャードは二連続で発砲した。照準はラインの顔面、先ほどより距離が近い分避け辛いとも言えるが、それでも単調な攻撃か】

【――否、今回は少し趣が違う。一発目の発砲とほぼ同時のこと、ラインは自らの後方の地面から"ぞぶり"という不気味な音を聞き取れるだろうか?】
【さっきリチャードの体を急加速させたのと同じ"黒球"がそこに出現しているのだ。一発目の弾丸は狙い通りラインの顔面へ真っ直ぐ飛ぶが――】
【問題は、黒球が展開された直後の二発目。顔に向かっていくはずの弾丸は、その黒球へ吸い込まれるようにして軌道を変える!】
【こちらも一発目の顔面狙いはフェイクというわけだ。二発目、奇妙にねじ曲がった軌跡を描いて右胸部へ向かう銃弾が本命――!!】
767 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/06/08(月) 20:19:12.16 ID:uWjRTf/Bo
>>765
【沈んでいく太陽からのわずかな光の中を、彼女が蹴ったボールが転がっていく】
【陽光の残滓と明滅する街灯混ざり合った光。それが照らし出す長い人影が、公園に差した】
【足元に転がってきたボールを、その影の主は右足で受け止めた。ゆっくりと、視線を前方に向ける】

【身長2メートルを超えているであろう大男だった。薄汚れた灰色の作業着の上に黒いラバー地のエプロンをつけている】
【足には黒いゴム長靴。角ばった顔つきに短く切り揃えられた黒髪。黒い瞳の昏い両目】
【その上、額には巨大な眼球が一つ埋まっている。異形。そういうべき存在がそこに立っていた】


【軋むブランコの音を聞き。その手の中でなる鈴の音を聞き。一人呟く彼女の鈴のような声を聞き】
【川辺のような香りを鼻孔に吸い込み。紫の魔力を肌身で感じ取り。ブランコに座る彼女の姿を、足元からゆっくりと視線を漂わせて】
【そこまでいってようやく、その男は三つの視線を彼女のオッドアイへと向けた。まるで、この場での出会いを望まなかったと言いたげに】

――――鈴音、か?

【酷く深刻な、重々しい声で。その男、カニバディールはそう声をかけた】

/まだいらっしゃいましたら、よろしければ
768 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/06/08(月) 20:23:39.10 ID:K5QgvVlLo
>>766
【突き出した右手がリチャードの肩を貫く、その瞬間にラインは策の失敗を悟った。実際、リチャードはその衝撃を利用して本命の巨腕から逃げ果せてみせたのだから】
【錆色の巨腕が空気を掴む、素早くリチャードの動きを目で追いながら、銃を構えると同時に銃口の先を見極めんとした】
【狙いは頭部か───ラインは素早く左手を顔の前に翳し、銃弾を防ぐ構えを取る】

【まず一発、発砲音とほぼ同時に着弾した銃弾は、義手に弾かれ火花を散らす───が、その瞬間にラインは背後に不審な音を聞く】
【だが、それを確かめる間も無く放たれる二発目の弾丸、やはり狙いは頭部かと、銃口の向きから読み取った、が】
【逸れる、銃弾が空中で軌道を変えて、予測した箇所とは違う部位に迫る】
【野獣の勘に近しい反応で、体幹をずらす、しかしそれでも銃弾は脇腹に潜り込み、肋骨の曲線をなぞって背後へ抜けた】

……く、成る程、中々の能力を使うじゃあないか

【ここでようやく、ラインは背後に聞いた音の正体を見て知る、背後に浮かぶ黒い球は、光すら吸い込みそうな程の漆黒でそれの詳しい実態までは知れずとも、知識の中からそれに一番近い物がすぐに当て嵌まった】
【ボタボタと流れ落ちる血を抑えもせずに、ラインは膝をつく───いや、体制を変えた、両脚と両手を地面について、四つん這いの体制となり、腰から生えた巨腕が尾のように鎌首を擡げる】

だが、能力だけが総てではない───GIFTの考えとは反するけどね、今の君も同じ様なものだろう?
国を守る軍に手を貸す者、君を見れば誰もが『正義』だと、君を評するだろう。しかし実態はこれだ
今の君の発言、それをこの国の人間に言えはしまい、いいやそれは間違ってはいないが、単純な正義感の観点からすれば間違っているよ

人の不幸を己の糧として喰らう、ヒトと言う名前の獣───僕が愛してやまない其れに君はピッタリ当て嵌まる
UTやSCARLETのような頭の狂った正義信者とは違う、人としての正義の正しい在り方だ
素晴らしいなあ、素晴らしいよ……君が正義を気取るなら、僕は悪を気取ってやる、好きなだけ贋作の正義を気取るがいい!僕はそれを心から歓迎しよう!

【四つ脚、其れに加えて、頭の前の地面に巨腕の爪を立てて五つ脚で、地面に爪を食い込ませて力を溜める。まるで星其の物をカタパルトとするかの如き構え】
【そしてそれは解き放たれる、溜めた力で大地を後ろに回す気力で蹴り、反作用が自身の体を打ち出す、その速さは今までのと比ではなく、リチャードが跳躍した距離をひと蹴りにて着地する事もなく縮めて行く】

【このまま勢いを込めた突進だけでもかなりの威力は見込めるだろう、しかしそれをするのは愚の骨頂、撃ち落としてくれと言うのと同じ】
【リチャードの目前まで迫ったラインは、そこで巨腕と四肢を地面についてスピードをガクンと落とす、狙い打つタイミングをズラすスピードダウンを作りながら、しかし殺し切れぬ勢いで地面をガリガリと削りながら尚も接近】
【そして、リチャードと更に一人分程度離れた距離でラインは後方に宙返り、それに遅れて振られた巨腕が爪を立て、下方からリチャードに襲い掛かった】

/ただいま戻りました
769 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/08(月) 20:29:44.39 ID:jcJRrVdX0
>>767
/居ます! 居ますが、ちょっと次レス遅れてしまいます……
/三十分しないと思いますが、それでもよろしければ、お待ちいただけたら嬉しいです!
770 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/06/08(月) 20:31:00.08 ID:uWjRTf/Bo
>>769
/了解です、こちらも途中で一度、遅くなるタイミングが来ると思いますが、よろしければお願いします
771 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/08(月) 20:47:36.26 ID:jcJRrVdX0
>>767

【掌の上で鈴は転がされて、楽しいのか、嬉しいのか、それとも違うのか。とかく、ちりちりちりと声を上げ続ける】
【そのうちにぽいと投げてキャッチしだすのはよっぽど暇なのか、機嫌がいいのか。どちらとものように見えたけど】
【どちらかと言えば後者の割合が多そうに見えた。だけれど――その鈴が、ちりりっと小さな音で、地面に落ち】

あ……、

【それは、ちょうど投げた鈴の向こう側に見間違うはずもない大きな姿を見つけたからだった。視線はそっちに移ろって】
【落ちて行く銀色のきらめきを追いかけもしない。ぱちくりと丸い瞳が彼を捉えて、じっと見つめ】
【視線だけは最後まで残しながら鈴を拾おうと身体を屈める――だけれど、それは叶わない】

【鈴は。銀色の鈴は、まるで彼の姿に驚いたように消えてしまったのだ。地面に落ちた刹那、ぱちんとはじけて】
【彼女はそれにいくらも遅れて気付くと、また、身体を元のように戻す。それで、ただ、上機嫌な笑顔は引っ込めて】

ごきげんよう、怪我は治ったの? そのほうが普通の人間みたい、――ううん、
普通のひとは、目。みっつもないね、――こんなところで、何してるの?

【それでも声はいつもより気持ち程度に高い気がした。地の機嫌はいいのだ、或いは、いつもより警戒心が薄く見栄】
【首を傾げ傾げ質問は二つ。それでも一つは程度の低い自己解決をして、――怪我がどうした、よりも、聞きたいのはきっと】
【街外れとはいえ、彼みたいなひとがこんな公園に何の用事なのか。それが気になるのだろう、だって、】
【さっきまで子供たちが遊んでいたような場所だ――それとも、どこかへ向かう途中だったのか】

【――公園に薄らと広がっていた、山中のような森中のような水の香りが、ぎゅ、と、濃縮していく】
【彼女を中心に広がっていたなら、彼女の元へと戻っていく。そうして、空気の匂いが少しずつ変わる】
【今日の彼女は、すこし、違って見えた。常より纏う水の香りも、今宵は俄然強く感じられ、なによりも】
【いつもよりずっとずっと清く、或いは神聖すら感じるほどで――身につけた宝玉の影響、を少し超えるよう】

【(彼女から話を聞いたことはあった。“自分”を源流とする水の力で、炎の傷を癒してやったことも)】
【(聞いたことはあったが、見るのは初めてだ。ひどく偶然に彼女の中に宿ってみた、この夜に)】
【(出会ったのは偶然でも、目の当たりにすると――あの機関の人間だと思えば、“彼”は、油断できなくて)】

【だけれど彼女自身は、自分の中の誰かの警戒なんてあんまり気にしていない素振り】
【次に会うときは、きっと――そんな言葉も忘れてしまったのか、それとも、いま、気にしないだけなのか】

/お待たせしました!よろしくおねがいしますー
772 :リチャード・トラヴィス ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/08(月) 20:59:18.86 ID:l/4EKkt/o
>>768

【不意打ちの二発目が脇腹を貫いたのをリチャードは確かに見た。だくだくと流れる血、咄嗟に回避して見せたのは流石だが軽傷ではあるまい】
【……鋼鉄の手足に異様な圧迫感を放つ巨尾を持つ野獣。リチャードの口元が歪む。こんなモノで狩り切れる獲物ではないのだ、やはり】


……ほう、GIFTでありながらそのような奥ゆかしい考えをお持ちとは、意外ですね。
無能力者を殲滅してその上に能力者の楽園を創り出すのがあなたがたの理想とばかり思っていましたが、どうも一枚岩では無いらしい。
さて、果たしてそんなあなたがどうしてGIFTにいるのか――気になりますね、とても。


【軽く目を見開いて、リチャードはラインの真意を問うた。意外そうではあるけれど、どこか覚悟していたような表情】
【興味のような敵意のような、よくわからない視線をラインの全身へ向けて放ちつつ、少年は獣の再来に備え、】
【刹那、疾走。今度は彼の直感を持ってしても完全には捉え切れぬスピードだ。野獣の勢いを持ちながら、急加速と急減速を織り交ぜた極めて理性的な"狩猟"――】
【これは読み切れない、と判断したリチャードは最も安全な策に出た。正面からの読み合いを放棄し"上空"へと逃れるのである】

【"ぞぶり"と、泥沼に手を突っ込むような音が二つ重なって聞こえるだろうか。出所は上空と足下。リチャードの体は真上の方の黒球へ引かれて浮遊するが、】
【――それでも僅かに、ラインの巨腕の到達が速い。下方から迫る爪がリチャードの右足の脛を引き裂いて大量の血が吹き出す】


いやはや、それにしても"正義"だの"悪"だの――まったく、世の中は度し難いですね。
ボクはその役割に合わせて踊るピエロのようだ。"正義"という型を越えた台詞を発せられない。本音を押し殺して踊り狂うしかない。
けれど……その役割も、嫌いではないと思うときがあります。まさに今がその時だ!
人前では口が裂けても言えませんけど、かの六罪王アインにも感謝しなければなりませんね、これは……!


【悠然と宙を舞いながら血を滴らせ、襲う激痛に微かに瞳を歪めつつも、リチャードは話を止めなかった。楽しくてしょうがない、といった風情】
【――それすらも本心なのか不明だが。少なくとも今リチャードが被っている"正義"は、誰かを助けるためのモノではなく"悪"を殺すためのモノなのだ】
【自らが正義であるから、ラインという悪と殺し合う機会を賜った。それを与えてくれた因果に対し、リチャードは感謝するように両腕を広げる】

【ラインへ"反撃"が襲い来るのはその瞬間だ。足下に残されたもう一つの"黒球"、それが不気味な音を発して周囲の空気を勢いよく吸い始める】
【いや、違う。吸っているのは空気だけではない。破壊の限りを尽くされたエルジオの街、その残滓たる大量の"瓦礫"が、一斉に黒球へと吸い込まれる――!!】
【黒球の近くにいるラインからすれば、全方位から無数のつぶてが襲ってくるのに等しい状態か。その場に立っていれば鋭い破片に全身を打ち据えられるだろう】
【……瓦礫だらけのこのフィールドは、少年の能力にとって非常に有利なのだ。『尊い犠牲』をありがとう、と――リチャードの表情はそう言わんばかりに歪む】
773 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/06/08(月) 21:31:01.30 ID:uWjRTf/Bo
>>771
【地面に落ちた鈴の音は、まるでこの後起きることを暗示しているように、異形の男には思えた】
【こちらを見つめるその目に、しかし自分が予想していたような敵意の色はない】
【注がれる視線から逃れるように、異形は一瞬目を逸らした。目を戻した時、ちょうど鈴が消滅した時だった】

【彼女が体勢を戻した時、笑顔が消えているのを見て、異形の三つ目は揺らぐのを止めた】

……ああ、ごきげんよう。幸いにして、この通り完治したよ。アーグ、という異形仲間と知り合ってね、彼に治してもらった
ふ、ふ。そうだな。この目は望んで残した。普通ではない、という戒めの意味もある

……何、単なる通りすがりだ。以前のように地下ばかり使っていれば安心というわけではなくなってね
時間と場所を選んで、表通りも使っている。公園を堂々と通る犯罪者がいるとは、あまり思わないだろうからな

【質問には、特に渋る様子も見せずに答える。彼女の薄い警戒心を感じ取りつつ】
【怪我に対しては、治療を施した者の名前すら添える。漏らしても問題ない、ということなのだろうが】
【彼女の関心事については、これもやはり真実を伝えるも。ここを通るに至った理由は経緯などは伏せた】


(――――? 先ほどまでの香りが、鈴音に……以前よりも、強力なものを感じるな)
(あの宝玉にも匹敵、いやそれ以上か? そうまで警戒されているように見えなかったが……)

【偶然がもたらしたもう一つの邂逅、彼女の中の誰かにはさすがに気が付くことはなく】
【凝縮していくその気配を訝しむのみにとどまった。彼≠フ懸念は、正解だろう。これから異形が放つつもりの言葉を思えば】

……しかし、その様子では……知らない、と思っていいのか? 私が、誰に、何をしたのか
出会った瞬間に、酸を浴びせかけられるかと思っていたのだがな

【昏い、重い、声が響く。高まり行く緊張感は、彼女に伝わっているだろうか】

ならば、伝えておこう。私は、UTに宣戦布告を行い、リーダーのセリーナ・ザ・"キッド"からの決闘の申し込みに応じ
彼女に銃弾を撃ち込んで負傷させた。そのために一時、彼女は六罪王ベクターに拉致された
仲間の活躍で救出されて以降、どうしているかは知らないがね

【そして、その事実を、ただ淡々と口にした】

/すみません、次レス遅れるかと思います……
774 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/08(月) 21:58:11.61 ID:jcJRrVdX0
>>773

【いつもと、彼の態度が違うような気がした。元から、よっぽど信用しあったわけではないけれど】
【彼女としても堂々と知り合いだとも言えない相手。相手からしても同じだろう、だけれど、】
【何度か会ってきたなら――少しだけ、いつもより、重たい……ような、そんな感じを覚えてしまう】

【「アーグ?」と小さな声の鸚鵡返し。一瞬だけ心当たりのないような顔をした彼女は、ただ、すぐに思い出す】
【何かのニュースで聞いたか、新聞で見た名か。ほんの僅かに眉をひそめて、健全なように戻った彼の身体を、改めて見る】
【綺麗に治っている――と思った。自分だって比較的怪我は治るほうだが、そうだとしても、とっても綺麗に】
【瞳だけ残したのは少しだけ分からない感情。だって“わたし”は普通に生きたい、それなら、そんなもの邪魔なのに】

もうちょっと早い時間だったらね、追い払ってたかな。わたしが来たときね、まだ遊んでる子、居たの。
いいなあ、帰ったらお母さんとか、待ってるんだよね――、暖かいご飯食べられて、それなら……いいよね。

【公園に彼が来たことも。少し前の時間なら――もっと、太陽の明るい頃合だったなら、許さなかったらしい】
【だからといってここは彼女の場所でないなら、ただの我侭みたいなものだけど。ふらりと足を揺らし、ちいさく呟くこと】

【もしかしたら彼も知っているかもしれない――というより、それなりに宣伝した。知っていてもおかしくないこと】
【彼女があの場所(UT)で始めたこと。身寄りのない孤児や何も持たない浮浪者のために、無償で食事を提供するというもの】
【名付けたのは花の名前。真心と言う言葉を持ち、冬の終わりに咲き、風によって種を撒く、そんな花】
【たんぽぽ――その活動は、セリーナが居なくなってからも、きちんと続いていたことも、知っているかもしれないけれど】

【(“へび”は、いま、身体を持たなかった。魔力とちょっぴしの信仰とで身体を繕う紛い物は、)】
【(たった今すぐにこの華奢さから飛び出して牙を剥くということも出来やしない。再び身体を作り出すのに、時間が掛かる)】
【(それなら彼女の中に言葉を響かせてやって、伝え――)】

……大丈夫だよ、へびさま。知ってるひとだもん、それに、……――、?
なんのこと? ――何か、したの? わたしの、知ってるひとに?

…………、――もしかして、

【――伝えたとて、それが無駄になることもままある。まして彼女はいま、機嫌がよくって】
【久しぶりに最愛の蛇とデートみたいな心境だったのだから、浮かれているのも仕方ない。それなら、なんてことなく】
【大丈夫だと根拠なく言ってみた表情が、翳って、首が傾げられて、ただ、すぐに意味は分からなくって】
【訝しげに瞳が細められて、言葉をもう一度、二度、三度、なぞる。――そのうちに、形が見えてくる、見えてしまう】

【最近、彼女の周りで異常があったのは二人居た。どちらもUTに関する人物で、彼女もよく知る、人物で】
【一人はセリーナ、ある日突然消えてしまって、見つかったと思ったら、大変なことになっていて――そのあとも、大変で】
【それでも最近やっと戻ってきた。まだあんまり話せてはいないのだけれど、戻ってきてくれた】
【もう一人は同僚でありながらの親友――ベイゼ。ベイゼも、ある日、突然、消えてしまって。それから、何も分からない】
【その寸前に機関がベイゼを狙っていると聞いていた。街中に姿を探しても、見出したことは、一度も、】

【(どちらかだと思った。そして、もしも彼が何かするなら――どちらでもおかしくないと、思った)】
【(どこか朗らかだった表情が褪めていく。或いは冴えていく。鈴の持つ銀色のように、つめたく)】

――あなたがやったの? セリーナのこと……ぜんぶ、あなたのせいなの?

【――元から、仲良くなんて出来るわけがないと分かっていた。分かっていた、はずだのに】
【決裂すべき場面が来ると、少しだけ、どんな顔をしていいのか分からなくなる。だから、彼女は、どうにも曖昧な顔をして】
【もしかしたらベイゼのことも知っているんじゃないかと期待してしまう気持ちもあって、頭の中がぐるぐるする】

【だけれど、彼女は、激昂して襲いかかってくるでもなかった。ぎきいと鎖を鳴らして、ブランコを揺らすのをやめただけ】
【じ、と、彼を見つめて。数秒ほど、だまってから――ちいさく、ちいさな、ちっちゃな声が。「――わたしね、」と、】
【そう言って、ほんの一瞬だけ、途切れる。悲しいのか、怒っているのか、それも、すこし、よく、分からない気がした】
775 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/08(月) 21:58:40.20 ID:jcJRrVdX0
>>773
/書き忘れましたっ、了解ですーっ
776 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/06/08(月) 21:59:54.56 ID:K5QgvVlLo
>>772
【サマーソルトによる攻撃、太く硬い爪が暗殺者のナイフのように、逃れようとするリチャードの脚を掠めて行く】
【掠めているのに、その爪自体の太さがそれだけでは済まさない、巨腕の動きに引かれる鮮血が、円月のように空中に描かれて】

くふ、どうしてかな、僕にしてみれば立場なんてどうでもいいのさ、人間を見れればね
そう、そうだね、言って仕舞えば『ついて来た結果』かな、我が主殿がそこにいたから、必然僕も此処にいる、それだけだ

【漆黒の暗黒天体を使用し空中へ逃れたリチャードを、地面に這い蹲る程に身を低くした体制で見上げながら】
【実際、GIFTにいる理由なんて無いのだ、無能力者だの能力者だので人間を分けるのは馬鹿らしい、それこそ正義と悪の簡単な二元論で人を分けるが如く】
【だが其れなのに何故GIFTにいるのか、それはやはり、彼女が口にした人物の為か。それがどんな人物で、どんな感情を持って従うのかはわからないが、『主殿』と呼ぶ何者かがGIFTにいるから、同じ組織にいるというだけの気薄な理由】

ならば踊ってみろよ道化師、好きなだけ、満足するまで正義の舞踏を舞うが良い
僕はそれを喝采して受け止めよう!それがどれだけ無様であろうと、狂っていようと構わないから!

【目の前にいる作り物の正義、しかしそれは何とも甘美で素晴らしく、心躍らせる。普段人を食ったような口振りをするラインもまた、鍍金が剥がれて声を高ぶらせていた】
【こんなにも心が高揚する事はそうそう無い、この男はどこまで自分を喜ばせてくれるのだ、嗚呼こんな人間を殺してしまうのは惜しい】
【ならば、愉しもう───行き着く先が死であろうとなかろうと、終わった時に後悔が無いように、ここで全力で愉しもう】

【空気が渦巻く、強い風に背中を押され、黒球が全てを飲み込む様に、ありとあらゆるものを引きつけて行く】
【吸い込まれた瓦礫が礫となって、目の前にある黒球を中心に集中し、それに巻き込まれる形となってラインの体を襲う、大小様々な塊が、義肢も肉体も関係なく打ち付けてくる】
【まるで酷い砂嵐の中にいるようだ、しかしそれで怯む所か更に愉快そうに喉を鳴らして、顔だけ見上げてリチャードを見遣った】

くふふ……はっはっはっはっは!!これしきで!これくらいで僕は死な無いよ!リチャード・トラヴィスゥゥ!!
悪は此処にいる!正義の君が全力で潰すべき存在は此処にいる!容赦も躊躇いも無く!轢き潰しに来いよォ!!

【使ったのは腰から生えた巨腕、ぐわんと振るわれたそれが掌を広げて、掴みかかるのは在ろう事かリチャードの呼び出した黒球だ】
【それがラインの予想通りなら、黒球は実体のほぼ存在し無い重力の塊、掴める所か触れる事すら出来る筈もない物で、しかしそうしようとするのはつまり、『自分になら出来る』という確信があるから】
【ラインの持つ異能、腰から生える異形の腕は、ただ硬いだけや力の強いだけとは違う、その掌は実体の無い物すらも内に収め、投げ返す事が出来る】

【もし、黒球がラインの巨腕で掴む事が出来たなら、ラインはそれを巨腕で持ち上げて、リチャードの元へと投げ付けようとするだろう】
【そうなれば、たった今ラインが置かれている状況がそのままリチャードにも牙を剥く事となる】
777 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/06/08(月) 22:16:19.04 ID:1yAjhIk0o
【夜の国】

【どんな時刻でも常に夜である、そんな国の中でも空気の澄んだ山の頂きに】
【一人の男が静かに佇んで居た。身に付けるのはスーツにも似た白の宣教師服であり】
【首から下げたロザリオや、黒羽のファーが高位の聖職者であることを感じさせる】

【背は180cm強。非情に大柄で、髪は艶やかな黒の長髪。面持ちは険しいが】
【彼は満点の星空を眺めて微笑んでいた。何とも、それはそれは楽しげで】

やはり最も天に近いのはこの位置か……悪くない。
ブリッツを失いはしたが、我が主のお考えを全うするのに支障も無し

……そろそろ事を起こす頃合いだな。
ダグラスの小僧めが怪我などせねば、すぐにでも動くのだが

【――此処は人里離れた土地だ。それ故に人工の明かりなどは存在しないはずである】
【しかし、今宵に限っては違った。山頂全体に緑色の光が満ちていたのである】

【それはホタルが大集合したかのようなものでもあったし、もっと不快なそれにも思えた】
【見るものが見れば魔術の発光だと分かるだろう。そうでなくとも】
【遠目で見れば目立つはずだ。不思議な光が山頂にあって、其処に一人の男が居るのだから】
778 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/08(月) 22:36:30.02 ID:T7aMhlRDO
>>777

【──ざわりと、男の背後で影が踊った。黒き魔力が、緩やかに溢れていた】
【男に対する害意は未だ、無い。揺らぐ影から聞こえるのは、くつくつという嗤い声だった】


──変な灯りが見えたから来てみたら……意外な人の名前が聞こえたわ
ねぇ……ダグラスって、「あの」ダグラスかしら?
私の知っているダグラスという人も、つい2日くらい前に多分大怪我していると思うの
ふふ……直接、彼の怪我を見たわけじゃないから何とも言えないのだけれど──


【──ずるりと、影が一度だけ膨張した。そしてそこから、1人の女が姿を現す】
【艶やかな黒髪に赤い瞳をもつ、長身の女。露出の高い黒のドレスを纏い、左手の小指には黒ダイヤの指輪がひとつあった】

【かつん。水面から浮かびあがるかのように、影から出てきた女。彼女はピン・ヒールの音を鳴らして一歩だけ、彼に近付いた】
【──「こんばんは、聖職者様」 そう言って、女は笑った。ただの野次馬なのか、それとも】
779 :リチャード・トラヴィス ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/08(月) 22:39:51.60 ID:l/4EKkt/o
>>776


へぇ――――それは興味深い! つまりGIFTには、あなたほどの人が仕えるに値する人物が居るのですね。
それは単に、あなた個人の意志で仕えているということでしょうか。
それとも――"君主"のような存在が。たとえば、カノッサで言う六罪王に匹敵するような人間が、GIFTにも居ると言うことでしょうか?


【『主殿』――その言葉を聞いた瞬間、ぎょろり、と。愉悦を抑えきれなくなったかのように、リチャードの"仮面"に一瞬だけヒビが入った】
【荒ぶる野生と冷徹な理性と同時に持ち合わせるこの女性が、主と仰ぐ者がいる。新たな"悪"の臭いに、仮初めの正義とその奥の何かが疼いた】
【単なる憶測にしては熱の篭もった台詞が、リチャードの喉奥からマグマのように沸き立つ――】

【その傍ら、暗黒の天体の直中へ放り込まれたラインを見据え、リチャードは次なる手を考える。今はただ"道化"として、もっと楽しいことができないかと】
【――が。その考えも一瞬にして吹き飛んだ。今更余裕ぶって趣向を選んでいられるような相手ではないのだ、この女は……!】


は――――はははははははははッ! 面白い!! その腕も単なる鉄クズのオモチャではないということですね!!
ぐっ、ははッ、異能すら掴み取る手とは! だが………気づいているはずだ!
ボクの力もまた、ただモノを吸い寄せるだけが能ではない――――!!


【強引に制御を奪われ、手元に戻ってくる黒球。空気と瓦礫を纏めて巻き上げるそれ――そして、更に間の悪いことに】
【リチャードは今まさに、空中から地面へ降り立とうとしていた所だ。咄嗟に回避することもできず、重力のしもべたちが主へと牙を剥く!】
【着地と同時に黒球の制御を取り返し、吸引を停止させることで身を守るが……重力により生まれた"慣性"はどうしようもなく】
【巨大な瓦礫は自重に負けて地面に落ちるが、細かく鋭い破片は勢いのままリチャードの体に突き刺さる。全身に負った裂傷、出血量は馬鹿にならない――】

【――が。それでも致命傷だけは回避する。まだだ、まだ話し足りない。あの獣を存分に挽き潰してはいない】
【ラインは気づくだろうか。既に吸引が止まっている筈の重力球から、ゴリゴリと凄絶な音が聞こえてくるのが】
【この能力はただ物を吸い寄せるだけのチャチなものではないのだ。ラインが今想像しているであろうモノと同じ】
【ブラックホールじみた"重力の球体"。吸い寄せた物を内側に取り込み、情け容赦なく"圧縮"し続けることこそがその真価】
【そして。空気を限界まで詰めた風船に針を突き刺せばどうなるか。空気と瓦礫を大量に吸い込み未だ猛烈に圧縮し続けている物体を、突然割ったらどうなるか……】

【リチャードがほくそ笑んで右手を振るうと、重力球はラインへ向かって一直線に投げ返される。無論、その気になれば掴み取ることもできよう。ただし、】
【ラインにぶつかる直前、リチャードは重力球に手を加えた。飛んでくる重力球が、空中で突如"透過"するのがラインにも解るだろうか――】


―――その鋼鉄の四肢と腕、なかなか楽しいですねぇ。
せっかく四本も五本もあるんですから。ボクにもひとつぐらい頂けませんか?


【そうして、意図して"構成を緩く"された重力球は―――――、直後、爆裂ッ――――――――!!】
【重力場の圧縮力を、その内側で圧縮され続けた空気と瓦礫の反発力が上回ったのだ。球体は炸裂し、圧力差で内容物がブチ撒けられる!!】

【その攻撃様式は"手榴弾"を想像すればほぼ間違いない。圧縮空気による爆撃じみた衝撃波と、それに伴って勢いよく飛び散る鋭い瓦礫の破片が襲いかかるのである】
【ただし黒球自体の巨大さと吸った内容物の多さ故、その規模は一般的な手榴弾とは比較にならない。生身の人間が至近距離で喰らえば確実に命はないだろう】
【いくら鋼鉄の四肢を持つラインでも危険な威力だ。――もし、ラインが重力球を掴み取る為に腕を伸ばしてしまったなら、尚のことか】
780 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/06/08(月) 22:52:59.59 ID:1yAjhIk0o
>>778

ぬゥ……? 女、か……ふン、ダグラスはダグラスよ。
つい先日、風の国で随分と楽しげな事をしておったようだが

あやつめ、大きな玩具を付き従えて帰ってきたと思えば
腕やら肩やら、それに全身にも火傷を負って来てな。
術で治してやろうかと問えば、『そんなものは要らない』などとほざきよるのよ。

【ギロリ。鷲のように鋭い眼光が、背後に出現した気配に向けられる】
【相当に鋭敏な感覚を持っているらしい。術者でもあり、体格も相応】
【不穏な男だった。そして、その口から語られる内容は先日の"エルジオ"の一件に他ならず】

……で? 貴様はあの小僧の何だと言うのだ、女。
まさか妾でもあるまい。あやつはその手の事には興味が無いようだからな

だとすれば部下か、それとも……まさか、友人だとでも?

【くるりと振り返って、正面から退治する。纏う雰囲気は暗く、しかし確かに聖職者なのだ】
【どこか"混沌"とした男であった。相手に敵意は持っていないが警戒はしている】
【だが、慢心もしている。――いつでも殺せる、そんな空気を放ちながら言葉を返した】
781 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/06/08(月) 23:04:13.01 ID:uWjRTf/Bo
>>774
【彼女にも、感じ取れているのだろう。それほどに強く、滲み出ていたのだろう】

ああ、その通り。アーグだ。ゼン=カイマの大司教、アーグのことだよ
仲間に聞いてみれば、きっとすぐにわかる

【彼女のおうむ返しにも、律儀に返して見せる。彼女が眉をひそめたのに気づけば、こちらもわずかに眉間にしわが寄る】
【彼女が治してくれた傷、その痕も含めて治癒を願ったのは、彼女との決別を覚悟するため】
【額の目を残したのは、彼女と違って普通に生きることを望まず、同時に不可能でもあるため】

……だろうな。公園で子供が遊ぶという光景に、私は間違いなく異物だ。誰だってそうするだろうさ
――――母親、か。そうだろうな。家路に着いて、家族と暖かい食卓を囲むのだろう

【我侭、とは言わないだろう。それこそ、ふつう≠フ人間であれば、それが当然の判断だ】
【ただ、母親という言葉に対しては、わずかに翳りを見せた。母親という存在には、何かしら嫌な思いがあるらしい】


【情報は逐一確認している。鈴音が始めた、食事の無料提供についても、当然ながら知っていた】
【あれだけインパクトのあるCMが流されれば、嫌でも目に入ったことだろう。それが今もまだ続いていることも知っていた】
【無償で、ただ与える。カニバディールにとっては、信じられないことだった】
【ともあれ、この異形は知っていた。ゆえに、鈴音とセリーナの間にある絆も推測出来た。だからこそ、殺し合いになる覚悟もしていたのだ】

(へびさま……? 他に誰か潜んでいるのか? だが、気配がない……)
……やはり、知らないか。そうだ、お前がよく知っているだろう相手だ

【彼女の久方ぶりのデートも、上機嫌も、その存在一つで踏みにじってしまったことになった】
【それほど、この異形の犯してきた罪は重く。これから犯す罪もまた同様に】
【図らずも、彼女が思い浮かべた二人、双方の情報を異形は握っている。片方は当事者でもあるが、それはまだこの場には出ない】

【この場の空気が、冷えていく。昼間とは打って変わって、闇の世界のそれへと】

――――そうだ。私がやった。彼女に起きたことは、私が原因だ

【彼女の、あまりに複雑な表情を見つめて、それでも声音を揺らすことなく異形は言い切った】
【ただ彼女を見つめる。いつ襲い掛かられてもいいように、心中では身構えながら】
【されど、その時はまだ来ない。ならば、こちらから襲うこともない。ブランコの鎖の音が、やけに重く聞こえた】

【彼女にとってのもう一人、ベイゼについても、もし聞くなら答えは返ってくるだろう。真実からは遠い答えとなるかもしれないが】

【ともあれ、距離を保ったまま、両者は視線をかわす。か細い声は、どうにか耳に届いた】
【「……なんだ」と、そのつぶやきの先を促す言葉を発し。異形は、彼女の返答を持った】

>>775
/戻りました、大変お待たせしました……
782 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/08(月) 23:16:30.63 ID:T7aMhlRDO
>>780

【男の返答を聞けば、女はまたくつくつと嗤った。彼と己が、同じ「ダグラス」を思い描いていることが、どことなく愉快だった】
【妙な景色が見えたから来てみれば、共通の知人を持つ男が1人いたのだ。──夜を過ごすには程好い相手だと、そう思った】


……あぁ、それなら間違いなく、私の知っているダグラスね
ふふ──彼、そんなに怪我をしていたの? なら、一緒にいたアインも、それなりに怪我をしてそうね


【鋭き目線を受け、女は大袈裟に身体を竦めてみせる。──畏怖のようなものを感じたが、今は、相手にそれを悟られたくなかった】
【「私?」一度だけ、女はそう聞き返す。そういえば、自分と彼との明確な関係性は、考えたこともなかった】
【返答までに、僅かな時間が空いた。部下ではないし、妾などでもない。友人と言えるほど、彼と会話を交わした覚えなどなく──】


──強いていえば、知人ね。少し、話をしてあげただけ
この指輪は、彼からもらったの……ふふ、よっぽど嬉しかったのね
彼のコレクションですって──


【知人。そのくらいが、彼と己を結びつけるのにちょうどいい距離感だと判断し、笑いながら女はそういった】
【そしてなんとなしに腕を伸ばし、指に嵌まる宝石を見せてみたのだ】
【「あなたは、彼とどういう関係?」──攻撃の気配もなく、ただただ女はそう問いかけた】
783 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/08(月) 23:27:34.21 ID:jcJRrVdX0
>>781

……前、言ったよね。わたしね、悪い子なの。悪い子だったの。
ずっと。ずっと、何がしたいとか、分からなかった。ただ、ね――普通に、生きたかったの。
帰るお家があって、おかえりって言ってくれる誰かが居て、暖かいご飯を食べて、お風呂に入って、お布団で眠る……そんな、普通。

でもね、わたし、そんな風にも生きられなかった。それがね、すごく、すごく――さびし、かったの。
寂しかったし、悲しかった。なんでってね、何度も思ったの。なんで、だめなのかなって――どうしてかな、って。

落ちてたお金の取り合いでナイフが出てくるの。お札の一枚でひとが死ぬの。そんなの、変だよ、……普通じゃないの。

【何人も、何十人も、殺した。それでも憧れたのはなんてことない普通で、ただ、それがほしくって】
【だけど自分の居る場所は違った。今なら“それっぽっち”と言えるものでひとが死ぬ瞬間も、見たことが、】

わたし。……わたし、きっと、運が良かったの。へびさまが居てくれて、*ちゃんにも会えて……。
お家も用意してもらえて、へびさまと暮らせたの、きっと、とっても、運がいいの。
ほしかったもの、全部手に入ったの。お家も、誰かも、ご飯も、お風呂も、お布団も、――いまのわたしには、全部あるの。

【――ところで、気付いただろうか。左手の薬指で煌くもの、それは変わらず指輪だが、デザインが違う】
【いつかの銀蛇から、桜を彫ったものへ変わっている。それに、もし、見ていたなら】
【彼女の持つ魔力は、“桜と黄緑”だったはずだ。“紫”なんて、どこから来たのか。それに、】
【大事なものが抜け落ちている。それも、どうしようもないぐらいにごっそりと。だけど、彼女は、――気付いていない?】

だから。……だからかな、わたし、いま……昔のわたしみたいに暮らしてる子に、少しでも、普通をあげたいの。
わたしにはお家を用意してあげることも、家族になってあげることも、きっと難しいけど――。
――ご飯を作ってあげることなら、きっと出来るって思ったの。だから、セリーナに、お願いした。

セリーナはね、いいよって言ってくれたの。お金が掛かることなのに、きっと、大変なことなのに。
すぐにね、いいよって言ってくれた。それがすっごく嬉しかった、嬉しかったし――いっぱい、頑張ろうって、思って。

……わたしね、いま、頑張ってるよ。やりたいこと、見つけたの。
いままで殺しただけ、ううん、殺したよりもたくさん、助けたいって思ったの。
助けてあげるなんて言えないかもしれないけど、そうじゃなくっても、暖かい、おいしいご飯、食べさせてあげたいの――。

【そんな違和感よりもずっと大きな異常をまぶして、ふらりと彼女は立ち上がる。それで、ぱたぱたとスカートの裾を整え】
【やっと見つけたのだという。やりたいこと、ずっと分からなかったものを、見つけ出せた】
【当たり前の衣食住を手に入れて、それと同じものを、たとえ少しだって誰かに分けてあげたくて、頑張るって、決めた】

…………だからね。頷いてくれたセリーナに非道いことをするのは、
わたし、ゆるせないの。わたしのやりたいことも――やるって決めたことも、駄目って言われてるみたいで、嫌なの。

聞きたいこともあるけど――、どうせ、もう、教えてくれないよね。きっと。

【一瞬だけ目を閉じて、開ける。きっとそのとき、瞳の色は変わっているだろう。物理的にではなく――やどす、色合いが】
【まるで鈴の銀のように冷たく冴えて。常よりいくらか低い声も、また、鈴より化けて、抜き身の刃のようになる】

言ったよね? わたしの水に触れるのは、あの時だけだって――?

【――ごぼり、と、音すらしそうな錯覚で、彼女の痩躯から魔力があふれ出す、色は桜に紫の混色、“やはり違う”】
【けれどまだ動かないのは――返す言葉を聞いてやろうと思ってしまう程度には、きっと、】
784 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/06/08(月) 23:27:59.64 ID:1yAjhIk0o
>>782

……"アイン"?ほう、貴様あの男の事も知っておるのか
さて、怪我を負ったかまでは聞いておらぬが……六罪王、だったか?
仮にも王を名乗るのだ、そうそう死ぬような事も無かろうが。

【女性の言葉に対して、鋭く反応したのはまた別な人物の名前だった】
【つまり、共通の知人は二人――いずれも六罪王なのだから、面白い】

【聖職者であろう男はニヤリと、これもまた面白そうに笑って見せた】
【愉快な縁だと感じたのだろう。攻撃的な雰囲気は些か鳴りを潜め】

ほう……あれに審美眼があることは知っておったが
まさか女に呉れてやるような甲斐性があったとは、初耳よな。

……私か。私は協力者だ、ダグラスと共に企み事をしておるのよ
ドラクレア島を拠点として、私は"主"に従わぬ異教徒を鏖殺せんとしておる。
当のダグラスは何を考えておるか知らぬが……まあ、そういった仲だ。

それで――貴様は何者だ? よもや我が力を測れぬ愚か者ではあるまい
物珍しいから来た、などという言い訳は聞かぬぞ、能力者。

【可笑しげに両手を後ろで組んで、ロザリオを強調するような格好で歩み寄ると】
【より威圧感を増しながら、女性の身分を尋ねる。近付けば、混沌とした雰囲気はより強まって】
【何か、壮健な肉体に悪霊でも宿っているかのような気配があった】
785 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/06/08(月) 23:31:03.12 ID:K5QgvVlLo
>>779
【ガラにもなく無茶をした───いや、此れこそが本能か、求めていた闘争か、獣の様に爪と牙を立てて争い合う事に、人の本性がある】
【血が沸騰するように熱い、脳が煮立つように泡を立てる、願わくばこの時間がずっと続いて欲しい】

ああそうさ……GIFT RULERと言うんだったかな?───まあ、どうでもいいよ、そんな事は
今は、僕≠ニ君≠フ時間だ

【戦いを続ける内、リチャードの人間性を求める内、ラインは戦いに飲まれ、本能に飲まれ、獣の如き性がその比率を増していく】
【言葉で語り合いながら殺し合う、そうする内に言葉は減り、単なる殺し合いこそが対話と摩り替わっていく、それは最早人を棄てているのと同じだ】
【その通り、ライン=アインツヴァイドという人狼≠ヘ所詮人を模ろうとしているだけの獣に他ならず、理性が薄れてくればこんな物】

ふはははははははは!!いいよ!来いよ!もっともっと全力を出せ!!
お互いの能を一つ一つ引き裂きあって、丸裸で語り合おうじゃないか!!

【声だけは威勢がいいようだが、しかしラインの体のダメージは馬鹿にはならず、その上義肢の駆動によるスタミナの減少が大きくなってくる】
【普段ならば既に退却している程のダメージ、しかしそれをさせないのは、彼女自身が死んだとしてもこの戦いを望んでいるからに他ならない】
【再び返される黒球を、四肢を踏ん張って待ち構える。リチャードの発言からして再び同じ事をするようには思えず、従って巨腕で掴みかかるのは悪手と見た】
【その為、巨腕を引き寄せて体に巻き付け、防御の体制を取った、万能ではないが、様子見には十分な物】

【しかし───予想以上に、起こる事は凄まじかった】

【例えるならば、土砂崩れがそのまま指向性を持って牙を剥いたような、瓦礫と風圧の波が、防御等関係なく襲い掛かる】
【衝撃は巨腕を義肢を伝わり骨に響くし、鋼鉄であろうともこの威力に、義肢へのダメージも凄まじい、ただ蹲って耐える事も出来ないくらいの至近距離でそれを受けたのだ】
【やがてラインは選択する、このまま地面に踏ん張って耐えるよりも、この衝撃を利用して離れながら防御すべきだと。決断から行動は早かった】
【大きく吹き飛ばされるラインの体、瓦礫まみれの地面を擦って、投げ出され】

……く、ふ……恐ろしいね、全く……!

【だが、生きている───体を震えさせながら、千切れる寸前の義肢と巨腕で、体制を立て直さんとする】
【限界なのは見て明らか、しかし、だから何だと言うのだ、限界だから退くなどと、そんなつまらない事で終わらせたくはないから】

/分割します
786 :ライン=アインツヴァイド ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/06/08(月) 23:31:26.60 ID:K5QgvVlLo
【───パン!パン!=z

【その瞬間、張り詰めた空気を割るように、二度手拍子の音が響いた】

「そこまでじゃ、お二人さん、お楽しみの所悪いがのう」

【投げ掛けられるのは、ラインでもリチャードでもない第三者の声、リチャードには聞き覚えは無いだろうが、ラインの方には有るようだ】
【ラインが振り向くと、その向こうに一人の少年が脚を組んで空中に″タっていた、古めかしい学生服と学制帽、足首までをすっぽりと覆い隠す外套と、高下駄を履いた姿だ】
【帽子の下から出た長い金髪には黒いストライプ模様が入っており、虎を模した面で目と鼻を覆っている】

───虎我
「遊び過ぎじゃ渾沌の、主はテンションが上がりよるとすーぐ前が見えんくなる、悪い癖じゃ」
「ワシら四人揃っての四凶じゃろうに、世間様に顔見せする前に数が減りよぅたら示しが付かんじゃろがい」

【虎我、と呼ばれた少年は、ラインを諭すように言葉を紡ぐ、また新たなワードが幾つか出て来たが、今はそれを気にしている暇がリチャードにはあるだろうか?】
【ラインが頷き、名残惜しそうだが大人しくリチャードから一歩引くのを見ると、少年はリチャードに視線を移した】

「のう、社長さんよ、ここはワシに免じて痛み分けっちゅーことにしてくれんかのう?」
「それに何じゃ、人払いしたゆーにも、上がなかなか戻ら無いとなりゃ己の部下も戻ってくるじゃろ?……部下にそんな面ァ見せる気はなかろう?」
「なぁに心配はいらん、其の内ちゃんとした場所で戦わせちゃるきに、ワシゃこー見えて義理堅いんじゃ」

【勝手に話を進める少年にリチャードが同意しようとしなかろうと、少年は空中から地面に降り立ちさっさと行動を進めてしまう】
【ラインの鋼鉄の義手に少年が触れると、糸につられたようにラインの両腕が上がり、それが更に持ち上がるに連れてライン自身の体も空中に浮かぶ、見え無い糸で吊られているようだ】

「大体のう渾沌の……己の術法とこういう手合いは相性が悪かろうに……全く理解に苦しむわ」
「ま、えぇじゃろ、そういう事で一つ頼むわ社長さんよ、か弱いワシらを見逃したってくれや」
「嫌じゃゆーても逃げるけどなぁ、かっかっか!逃げるが勝ちじゃ!」

【つい、と少年が右手を滑らせると、ラインの体も人形めいて空中を滑る、その事に不満一つ漏らさず従っているラインは、リチャードの方を見てこう言った】

たのしかったよ、だが、残念だがお預けだ

【カラン、という下駄の音、少年が跳躍すると、着地する先は空中で、引っ張られる様にラインも連れて行かれる】

「ま、すぐ近い内にまた会うじゃろ、その時までの辛抱じゃ、悪いのう」

【1度振り向いた少年がニヤリと笑い、リチャードに再びそう告げると、今度は振り向かずに空中を駆けて去って行く】
【着々と、物事は進み出していた───それに駆られる獣は、何を思うのか】

/お疲れ様でしたー!
787 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/08(月) 23:50:40.27 ID:T7aMhlRDO
>>784

そうね──アイン。知っているわ。この間六罪王になって、風の国が「お披露目」だったみたい
ダグラスよりはアインの方を知っているけれど……


【ふぅ、と息をついて一度言葉を切る。驚いた──眼前の男が、まさかアインまで知っているとは思いもしなかったのだ】
【楽しい夜になりそう。もしかしたら、今までで一番。さざ波のように、女は笑った】


ふふ──さすがに、近くまでこられるとゾクゾクするわね
最初は物珍しさで、次に、ダグラスの名前が聞こえたから──
今は……ふふ、あなたと今宵を過ごしてみたくなったから……

私は何者でもないわ。見ての通り、ただの娼婦
お客の中に、たまにアインなんていう六罪王が紛れ込むけれど──ふふ、それ以上の説明は、やりようがないわ

今度は、私が質問をしていいかしら? ねぇ────


【その気配からか、僅かに女の肌が泡立つ。ぞくりとしたものが腹の中を這っていく】
【影の中に逃げ込みたくなる理由は、その巨体だけが原因ではないことを女は悟る】
【むしろ身体が大きいだけでは、こんな寒気は感じないはずだ──威圧感。悪を煮詰めたが如き気配】
【それらが彼の中で渦巻いていることを感じれば、何故か女の口角は自然と上がっていた】
【「──もしかしたら、あなたが、アーグ?」 女は、そう訪ねる】
【アイン、ダグラスの共通の知り合いで、かつこのような気配を持つ聖職者。そんな者を、彼女は1人しか知らなかった】
788 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/06/08(月) 23:57:47.37 ID:uWjRTf/Bo
>>783
ああ、よく覚えているとも。お前が路地裏で過ごした日々の話を聞いた夜のことは、昨日のことのように思い出せる

普通、か。私にとっての普通とはまるで違うが、そうだな。それが本来の普通なのだろう
お前がそれが欲しかった。だが、許されなかった。その理不尽を呪いたかった。あの日、確かに聞いた通りだ

私の「普通」は、紙幣どころか硬貨一枚で人が死ぬことだったがな……

【汚泥の中にいてなお、頭上の光にあこがれ続け、彼女は手を伸ばすのを止めなかったのだろう】
【男は違った。その光に目を焼かれる思いをしながら、深く深く、闇の中に身を沈めた】

……だろうな。運がよかったのだろう。それも、前に言った通りだ。過去の罪を背負ってでも、その幸運から手を放すなと私は言った
その通りにしたのだな、お前は。その幸運の寄る辺がUTでなければ、私も素直に祝えたのだが、残念だ

――――だが、全部、と言ったか? その指輪……以前は、銀の蛇だったように思うが、私の記憶違いかね?
その魔力も……紫、だったか? 本当に、それで全てか? 以前のお前と、何かが……いや。今更語っても、詮無きことか

【違和感。そのうちに秘める、何かがなくなっている、そんな違和感】
【異形自身にも、どこか靄がかかったように思い出せない。何かが、おかしい】
【だが、そんな詮索も今は。両者の間に、埋まらない溝を自らの手で作ってしまった今となっては、無意味なことか】

それで、あの試みを始めたわけか。たんぽぽ、と言ったか? なかなかに盛況のようじゃあないか
派手な宣伝が功を奏したのかね……お前は、あがっていたようだがな

……そうか。彼女が、許したのか。金にうるさいことでも有名な、あのセリーナが
そして、お前はその期待に応えているわけだな。自分のやりたいことに、邁進していると。そうか……そうか

それならば。もはや、言うこともあるまい。最後に会った時に言った通り、というわけだ

【彼女が立ちあがれば、カニバディールが応じるように一歩前に出た】
【彼女が自ら見つけ出した、進むべき道。その前に、立ち塞がるかのように】

――――よくわかるとも。私も、同じだ。私の、我々の目的と利益を阻害する存在は許せない
私の前に立ちふさがる者は、排除する。相手が誰であっても

……その言葉も覚えている。あの日、あの星の下が最後の機会だった

【以前と違う魔力。拭えない強烈な違和感は、もう一度口に出すことはせず】
【彼女と同じく、異形もまた動かなかった。代わりに、言葉を向ける。今までと同じように。初めて会った日と同じように】

だが、聞きたいことがあるなら……教えない、ということはない
今ここが、境界線だ。今までと、これからの分水嶺だ
最初に会った時と同じことを言う。今、この時のみ、私が答えられることなら、答えよう。何が聞きたい?

ああ、それと……最初はお前に譲ろう。お前がその魔力を最初に私に浴びせるまで
私からは、手を出さないと約束する。……信じるかは、お前次第だが
789 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/06/09(火) 00:11:07.00 ID:NOw6QJjmo
>>787

……ほう? あの男、魔術に生を捧げていると思ったが
案外人間味のある所もあるのだな?……ククッ。まあ、良い

他人の情事など……まして娼婦との色ごとなど、私の興味の及ぶ所ではない
次に出会ったら感想を聞いてやらんでもないが……な?
…――さて、さて。その質問には、まったくもってその通りだと答えておこうか

【嫌な気配、というのが似合いの言葉だ。重ねられた質問――】
【『アーグというのは』という物には、不気味に微笑んだまま頷いてみせ】

まあもっとも、この肉体はフレデリックという若造のモノよ。
ゼン=カイマの前大司教の、な……便利故、使ってやっているのだ
如何に神に愛された我が身とはいえ、200を超える年月には耐えられぬのでな

……ところで、女。貴様は神を…――いや、"宇宙"というモノをどう思う?
何でも良いぞ、言ってみろ。恒星の煌き、遠き星々の脈動、暗黒。

普段、考えたことも無かろう。見上げて何か言ってみろ、素直にだ。

【――別段、ロマンティックな意味合いがあるとは思えない】
【空を見上げて感想を述べよ。高圧的なのは、恐らく生来のものなのだろう】

【さて、上を見れば満点の星空が広がっている。色鮮やかで、目が眩む】
【なんだって見えるだろう。銀河も、星雲も、近い星も、なんだって。】
790 :リチャード・トラヴィス ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/09(火) 00:11:44.20 ID:taV0SEjHo
>>785 >>786

【リチャードにとっては聞き慣れた、破滅を齎す炸裂音。重力球の圧力差を利用した"圧搾爆弾"は少年の最も得意とする攻撃だ】
【だが終わりではない。こんなところで終わりではないはずだ。"ぞぶり"という音が連続、両者の中間位置に新しい重力球が二つ設置される】
【――手の内は見せた。さぁ、これをどう超える。吹き飛ばされ地面に転がるラインに全く容赦せず、重力球が無慈悲に動き出す】
【瓦礫と空気を猛烈な勢いで吸いながら、そちらへゆっくりと迫っていく破滅の天体。暗黒の双つ星が、獲物を求めて鋭く唸り声を上げ――】


………、虎我さん、でしたか。あなたもGIFTの方ですか?
そして、今回はここで幕引きにしろ、と。やれやれ、お互い愉しくなってきた所だというのに……。


【ふっ、と重力球が消失する。まだ空気も瓦礫もそう吸っていなかった為に爆裂は微小。花火のような小さな音を立て、致命の圧縮物は地に落ちる】
【唐突に現れた闖入者へ、リチャードは柔らかい口調で確認を取るだろう。……無論、柔らかいのは口調だけで、表情は酷く険しい】
【興醒めだ、と言わんばかりに真紅の視線で少年を射抜くけれど、それ以上の事はしない。二体一では勝ち目がないからか? ――否】

【リチャードには相手が二体一だろうが四対一だろうが勝つ自信がある。それが事実なのか若さ故の妄信なのかは、現段階では明らかにはならないが……】
【――ライン個人ならばまだ良い。けれど"GIFT"全体と事を構える事態になるのはよろしくない。その"理由"が、道化たる己にはあったからだ】


"四凶"、そして≪GIFT RULER≫……ククッ、そちらでも随分と面白いことが動いているようですねぇ。
ライン=アインツヴァイド、虎我。――お二人の名前を心に刻んでおきましょう。今回はそれで、ボクも大人しく引きます。

けれどここで引くからには、また別の形でボクを楽しませてくださいね?
それに……ボクの方も、いずれこの世から"敵"を滅ぼすため動く時が来ます。そちらも楽しみにしていて下さい。

ではラインさん、さようなら。どんな形かはわかりませんが――必ず、またお会いしましょう。


【勿論それを口に出すことはない。それは今しばらく仮面の下に隠しておかなければならない。"その時"が来るまでは】
【互いの事情を尊重してここは引く。だが必ず、ボクを楽しませろ。いずれボクも最大級のお楽しみを用意して、あなた方の下へ現れよう――】
【そう告げて、リチャードは去っていく二人を見送る。手を振ったりすることは無かったが、燃え滾るような真紅色が、二人の帰路に焼き付いて】
【しばらく経った後、ぐぅっ、と全身の傷を庇うように――なんとも白々しい演技だ――崩れ落ち、救援部隊を連れて戻ってきた社員を迎えるのだった】

【――余談だが。「『TRAVIS』の若社長、エルジオにてテロリストを撃退!」なんて小さなニュースが、後日テレビや雑誌で騒がれることとなるだろう】
【けれど少年の本当の顔を知るラインからすれば、照れた笑顔で報道陣に手を振る滑稽な彼の姿は、なんとも笑いを誘うものであるかもしれない……】


/お疲れさまでした!
791 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/09(火) 00:23:34.15 ID:iHmx4DBx0
>>788

【何度も泣いた。泣いたし、嫉んだ。手を繋いで帰る親子を見て、結婚式の用品を扱う店の前で語らうカップルを見て、】
【どうしてあれが自分じゃないのかと。どうして、どうして、――自分が違うモノに変貌ってしまいそうなほどに、深くまで】

……何のこと? これはへびさまがくれたの、ずっとこうだし――、
へびさまが居なくなっちゃったとき、魔力は*ちゃんにもらうことにしたの。……これも、前からだよ。

【ひどく不愉快な音でノイズが掛かる。まるで世界が拒絶するように紡がれる名前は、聞き取れない】
【それでも彼女の中では“誰か”を指しているらしい。言葉通りなら、この紫色の、持ち主なのか】
【何を言っているのかと一瞬いぶかしんで向ける眼。けれど、すぐに、彼のことをうたぐって――そういう、ことなのかと】
【わざと適当なことでも言っているのだと思った。「蛇の指輪なんてもらったことない」と、いたって冷たく言い捨て】

【ごぽごぽとあふれ出す魔力が辺りを染めていく。桜色/紫色、あわく、そのうち強く、彼女の髪も服も照らし】
【けれど気付くだろうか。その魔力の一部が、地面に伏せられて――地面の下、じわり、じわり、動いている】
【向かう先は、水道だった。何にもなくてたどり着くなら、魔力がどんどんとそこに集まるのも分かるだろうか】
【――彼女は水を扱う。そしてここには水がない。水を欲しがるかもしれない。そこまで、きっと、分かりやすい】

そう、セリーナが。いいよって言ってくれたの、もちろん、やらなきゃいけないってこと、約束もしたけど――。

【ふわり、と、魔力の揺らぎが彼女の髪を撫でて、うねらせた。或いは持ち上がるようにして、長さは踊り】
【それなら黒蛇がうごめくよう――にも見えて、不気味でもある。それでも、魔力光の中、魔力の煌きの中、なら、】
【少しは幻想的にも見えるのか。……これからそれで以って人間を害すつもりなのだから、綺麗も何も、ないだろうけど】

…………ベイゼの居る場所。機関(あなたたち)が狙ってるって話を聞いたあと、居なくなった。
答えられるなら答えて、――……その話が終わったら、もう、わたしは、あなたのこと、敵だと思うことにする。

【だけれど――すぐに仕掛けないのは怖気づいているのか、それとも、情報を聞き出すに不利だと思ったのか】
【この件について話す間だけは、いままでの関係が続く。ほんの、あとがきよりも短い、僅かな時間だろうけれど】
【なんていいつつ地面の下では魔力を動かしているのだから少しだけ嘘吐き。――くれるという先手、もらったつもりで】
【ここは少し不利だった。一番いいのは水辺、だけど、ああ――深さのある水は、怖いんだった】

【一瞬だけ思考を過ぎらせて、ただ、視線は相手から逸れない。魔力に揺れる髪とスカートの裾が翻り】
【きらきらと湛える魔力以外はただの丸腰の少女のよう、見つめる視線は冴えて鋭く、ただ、】
【或いは言葉通り、だろうか。――敵と相対する顔にしては、まだ、弱い】

/そしてすいません、明日朝が早いので、凍結にしていただけますでしょうか?
/急用さえ入らなければ明日は遅くても8時ごろには待機していられると思いますです
792 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/06/09(火) 00:25:19.99 ID:lEyBYPOso
>>791
/了解しました、それでは明日に再開ということでお願いします
/ただ、こちらは明日の帰りはちょっと遅く、はっきりしませんが22時前後になる可能性が高いです
/それでも良ければ、また明日もよろしくお願いします!
793 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/09(火) 00:29:52.56 ID:iHmx4DBx0
>>792
/了解です、それで大丈夫ですー!
/ただお先にお伝えしておきますと、こちら、平日だと今日くらいの時間しか居られないのです
/なので途中で置き移行をお願いするかもです。ひとまず今日はおつかれさまでした!
794 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/06/09(火) 00:33:15.13 ID:lEyBYPOso
>>793
/了解しました、明日の時間によっては置きレス移行ということで
/ひとまず、お疲れ様でしたー!
795 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/09(火) 00:38:29.88 ID:fexQcS1DO
>>789

【「あぁ、やっぱり」──その答えに、女はただただ頷いた。驚きはない。当然の返答がきた故、特別何をするまでもなかった】
【続く肉体への説明にも、納得がいった。アインはアーグのことを「ジジイ」と評していたが、その割には見た目が若すぎると思っていたのだ】
【精神の移し替え。そのようなことまで出来るとは──アーグに反旗を翻す連中の正気を疑うところだ】

【「便利なのね」 ふふ、と女は笑い、言われたように空を見た】
【神も宇宙も、そんなことは今まで考えたことはなかった。そんなロマンチックなものは、産まれた時に捨ててきたのかもしれない】
【客との会話の中でそんな話題も出たかもしれないが──覚えているはずもなかった】

【赤い瞳に、鮮やかな星空が浮かぶ。瞬く銀河に、それを埋める暗闇、そして──】
【──一瞬、心臓が止まる思いがした。今、自分は何を見た? 星。夜。雲。それだけか?】
【慌てて目線を、地面に落とす。自分の身体を見て、ほっとため息をついた。──よかった。「アレ」は、見ていないらしい】


……夜空は、嫌いよ。イヤなものが、あるから
アレさえなければ、きっと楽しめるのでしょうね
宝石のような星に、吸い込まれるような闇──昼間よりも、夜の方が素敵よ

宇宙だってそう。こんな地上よりも……ずっと、素敵なのでしょうね
広くて、冷たくて……きっと、ヒトのことをどうとも思ってない。無慈悲で、気まぐれな──


【──心臓が脈打つ。呼吸が、乱れていた。思わず女は、自分を抱き締めていた】
【身体に影響が出る程に、嫌いなものがあるらしい。だがその嫌いなものがなければ、どちらかというと彼女は夜に好意的なようだった】
【「──まるで、神様みたい」 そう、女は言葉を紡ぎ終える】
【視線はもう空なんて見ていなかったが、脳裏には確かに、今しがた見た夜空のワンカットが刻まれていた】
796 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/06/09(火) 00:58:00.87 ID:NOw6QJjmo
>>795

【一瞬の事。そうは見せなくとも――女性が取り乱したような】
【その様子をアーグは見過ごさなかった。じい、と眉間に皺を寄せて視線を向け】
【しかし何か続けるでもなく、言葉を聞くのだった。言えと言ったのだから、まず聞くのだ】

【――そしてその答えが、およそ考えていたよりも"良かった"のだろう】
【女性を真っ直ぐに見据えたままであったが、白い歯が覗く程に笑みは大きくなって】

ふん……"アレ"が何か、というのは不問に付すとしよう。
良い答えだからな…――左様、宇宙というのは広大極まる物だ

人間のおよそ及ぶ所ではない。我々もその一部であるにもかかわらず
こうして眺めるのが精々で、手をのばそうと決して届くことはないし
ましてそれを理解しよう等というのは、ヒトの範疇を越えている。

フッ……私が言いたいのは、それは神の御業の最たるものであるということよ。

神とは、見えぬが存在する方だ。そして、ヒトなど歯牙にもかけておらぬ
それでありながら時折奇跡を起こし、我らを導かれることもある。
……宗教など信じぬといった顔だがな。宇宙を作ったのがその御方といえば、考えは変わらぬか?

【――どうしてその話をするのか。仮に女性が『否』と答えたとして、どう反応するのか】

【それは全く、宇宙に漂う暗黒星雲のごとく――黒に包まれて不明だった、が】
【なにか、光を放つ足下の魔法陣が胎動したように思えた。魔術の素養があっても、無くても】
【まるで宇宙の話に呼応したかのようなそれだったと感じるだろう。その事を訪ねても良いだろうし】
【いっそ、別なことを聞いても良さそうだった。アーグという男は今、ひどく機嫌が良さそうだった】
797 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/09(火) 01:23:55.91 ID:fexQcS1DO
>>796

【少しずつ、呼吸が落ち着いてくる。言葉を紡ぎ終え、アーグの言葉を聞き終える頃にはほぼいつものリズムに戻る】
【落ち着きが早いのは、アーグが笑みを見せたのも大きかったかもしれない】
【少なくとも、自分の答えは彼の機嫌を損ねなかった──それだけで、夜空に浮かぶ憎たらしいもののことを忘れることが出来た】


──宗教は、あまり信じていないわ。面倒事になるから、お客ともそんな話はしないの
けれど……ふふ、こんな宇宙をあなたの神様が創ったのなら。そうね……信じても、いいかもしれないわ

醜いものも、綺麗なものも……無情かつ気まぐれに創り導いた
すべては神様のおかげで、同時に神様のせい──なぁんて


【そっと、髪をかきあげる。社会から排斥されるべき自分が、宇宙と神のことを語る──お笑い草だ】
【アルコールなんて今日はいれていないし、嫌なことがあったわけでもない】
【ふっと、自嘲めいた笑みを浮かべた。らしくない。心の底から、そう思う。……そろそろ、娼婦に戻ろう】


……あなたは、女に興味があるのかしら──アーグ
聖職者でも、「そういうコト」が許される宗教と、許されない宗教があるらしいけれど?


【魔法陣が脈打ったかのように感じ、足でそっと陣をつつく】
【そして彼女は──仮にも聖職者である男に笑いかけるのだ。私を買わないか、と】
【「──お望みなら、子供だって」 悪戯っぽく女は微笑んだ。「次の依り代にでも、なるかしら」】
【それこそ、女の気まぐれだった。悪と評されようが、目の前の男は神の代弁者。──少し沸いた信仰心が、女にその言葉を言わせたのかもしれなかった】
798 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/06/09(火) 01:43:12.31 ID:NOw6QJjmo
>>797

信じずとも良い…――誰しも最初は、神を知らぬのだ。
しかしある日、ふと気付く。この世の超常たる存在が確かに在り
ともすれば、その奇跡があって今の自分があるのではないか、と。

……人間の作った教義や、神の偶像や、その性格などは紛い物よ。
答えなど無い。そも、神を人間の尺度で図れると思うのが誤りなのだから

【実に独自の――宗教観と云うよりは、神学観であろうか。】

【神は居る。しかし知覚は出来ず、気紛れで、人の限度では図り知れない】
【聖職者にしてはひどく大らかな考えであった。もっとも――】
【――彼の場合はその声を自身が受け取り、意志を代行せんと考えているから】

【言い方を変えれば、それは"狂信者"であった。――きっと、実際もそうなのだろうが】
【この話は一つ、此処で区切られる。次ぐ話題は、女性の申し出に応える事で】

教義次第ではあるが…――それもまた、言った通り人の作った偽善のルールだ。
世にこうして人が蔓延っておるのを、神が拒むとは私は思わぬ。

……ほう、気の強い女だ。我が子を孕むなどと、冗談では済まさぬぞ?
フッ……アインか。アレが貴様に入れ込むのも分からぬではない、な。
貴様の名を聞いていなかったな。名はなんというのだ、言ってみろ…――。

【す、と手を伸ばす。元は人のそれであろうが、爪は歪に尖っていて】
【近付けば近付くほど、まるで重力でも抱えているかのような感覚を与えるだろう】

【――そしてあくまでも契約を交わすのであれば、アーグは彼女を"使う"事となる】
【事前に拒絶し、逃げることもまた可能だ。選択権はギリギリまで、女性にあった】
799 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/09(火) 02:01:14.79 ID:fexQcS1DO
>>798

【──その言葉が、心に滲みてゆく。神の奇跡故に今の自分があるとの言葉が、酷く耳に残った】
【全ては神のせいなのだ。自分の産まれも、容姿も全ては神のせい】
【そう考えると、妙に落ち着くことが出来た。それが信仰心だと気付くのには暫し時間を要したが】
【一度気付けば、あぁそうなのかと、ため息すら出るのだ。むしろ何故今までそう思わなかったのかと感じるぐらいで──】

【ふふ、と笑みが零れる。囁くような、小さな笑みだった】
【アーグが近付いてくる。手が伸ばされ、女に触れようとしてくる】
【──それらを拒むことは、決してなかった。そもそも娼婦は消耗されるモノなのだ】
【労りも優しさもなくて好い。愛情こそ最も自分に相応しくないものだと、そう女は思っていた】


…………ロゼッタよ。ロゼッタ・ルゥ


【「ふふ、確かに偽善ね。本当に、そう思う」──それだけ言えば、後はアーグの思うがままに彼女は振る舞う】
【逃げもしなければ拒みもせず、客の意のままに声をあげる。そこに情など存在せず、契約という形で行為は紡がれる】
【終わりも間違いなく呆気ないもので、ただ女は笑って腹部に手をあてていた】
【──金をとろうかどうか。そのことについては、最後まで答えは出なかった】
800 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/06/09(火) 02:22:04.20 ID:NOw6QJjmo
>>799

【触れた指先から伝わる、よく手入れされた肌の心地】
【満足気に指を頬まで這わせれば、一層距離を縮めて――やがては、使うのだ】
【面白い女、資格を持つ者、或いは朧気な信仰を持った者として】

【そしてあくまでも道具として。醜悪な聖者は、一人の娼婦と契約を交わす】
【やがてその別れ際ともなれば、彼は幾つかの術をロゼッタに施す事となる】

【それこそ己の血脈を得るためのモノ。通常掛かるだけの時間を圧倒的に縮めるもの】
【どれほどかといえば――娼婦としての仕事に、支障が出ない程。】
【母体への負荷を和らげ、事を終えてもすぐに歩けるほどの高位魔術を執り行い】



【――やがて後日、"受け取り"に来た際には代金を置いてゆくことも忘れない】
【一夜のそれにしては破格の金額を置いてゆくのは、彼女を便利な道具と見たからか】
【或いは、気に入ったからなのか――それもまた、不明だ。】

【ただ一言、アーグは聖職者としてありがちな言葉を残してゆく】
【『よくやった、神もお喜びになるだろう』と。――ちょうど、その夜であった】
【邂逅した山頂で、宇宙(ソラ)に向かって巨大な魔法陣が打ち上げられた。そんなニュースが流れたのは。】

/と、キリも良さそうなのでこの辺りで如何でしょうかっ。
/それと展開的に不味そうな点があれば即時修正しますので、その時は言ってくださいませ
801 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/09(火) 02:24:04.54 ID:fexQcS1DO
>>800
/はーい、お疲れさまでした、ありがとうございましたー!
802 :森島 京 ◆ItbpQ6xKnU[sage]:2015/06/09(火) 19:30:59.20 ID:7SpIGo7uo

【 水の国/列車内 】



…… はぁ。



【扉とガラスで仕切られた、ボックス席を一人で使っていたのは、黒い髪に黒い瞳をした、スーツ姿の若者だ】
【──と、言ってもスーツの上着は鞄に突っ込まれ、ネクタイも付けていない。暑い、ということもあるのだろうが】
【何となく、気だるげな雰囲気だ。──頬杖をついて、日の暮れつつある窓の外を眺めている】


【──首都・フルーソに向かう列車の混雑率は、90%といったところだろうか】
【立っている者は居ないが、かと言って、簡単に席を見つけられる訳でもない。席を探す者が居れば、目を付けることもあるだろう】
803 : ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/09(火) 20:49:14.31 ID:taV0SEjHo
>>802
/まだいらっしゃいますでしょうか?
804 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/06/09(火) 20:59:08.17 ID:hAwxzCmoO
>>791
……へびさま、とは誰のことだ? 以前連れていた水の蛇か? それに、魔力は誰にもらったと言った?
私の耳がおかしくなったか……? お前の言葉の、その名を告げる部分だけがノイズにしか聞こえない

前から……そうか、前からか
いや、すまない。私の記憶違いだったらしい。何も適当なことを並べて煙に巻くつもりはなかったんだ

【ノイズ。まずは自らの耳を疑い、意識を疑い、それでもやはりそうとしか聞こえない】
【自身の記憶と眼前の少女との違い。聞き取れない名前。一人のはずなのに、誰かと言葉を交わす彼女】
【拭いきれない違和感を、異形の男は彼女の冷徹な否定を受けて無理矢理にかなぐり捨てた。どの道、今宵この時から敵となる相手なのだから、と】

【魔力そのものが、流れる水のように。この空間もろとも、取り囲まれるかのような錯覚すら覚えた。桜と紫、淡い色合いが、今は自身に牙を剥こうとしている】
【同時に、目ざとい盗賊の観察眼がその魔力の流れを見つけ出す。地面。地下。染み渡る水のような動き】
【水を操る彼女の力。周囲に水気の少ないこの場所。公園。水道、という仮説にたどり着くのに、さほどの時は要さなかった】
【そこまで思考を巡らせた上で、異形はやはり動かなかった。先の約束は、破るつもりはないらしい】

すべきことも含めて……やつらしいな
聞いていれば、まるで姉妹のようにも思える……ならばなおのこと、その怒りは私の想像以上だろう
……だからと言って、私も退く気はない。これも以前告げた通りだ

【眼前の幻想的な光景に三つ目を細めつつ、語る。まるで、この場がすでに水底のように、魔力の中に揺蕩う黒髪を睨む】
【まさに黒蛇そのもののように。彩りを添える魔力光も、今は彼女の害意を反映したかのように、不吉な色を湛えて】

【それに相対する異形の身体も、応えるように僅かに全体が膨張した。同時に、彼女の魔力を押し返さんとするかのように溢れ出す圧力と腐臭】
【ざわり、と異形の周辺の空気が揺らぐ。同時に、彼女ならわかるだろうか。今まで確かに一人で、いや今も孤独に佇む男の身から】
【漂ういくつもの気配。無数の何かが、男から溢れ出そうとしているような】


……ベケンプフェン様、いやベイゼさんのことか。ああ確かに、裏切り者を専門に狩機関員が彼女を襲ったという噂は聞いた

……私の知る限りのことは、答えよう。それが終われば約束通り、先手はお前のものだ
ただし、途中で動揺して攻撃を仕掛けたりはしてくれるなよ? 少々、刺激的な答えを返すことになるからな

【僅か、本当に僅かな、最後の時。決別の直前のこの時を引き延ばしたのは、誰あろう彼女の親友】
【今は自分とはもはや関わることのない、一人の女性を思い起こし、同時に自らが知り得る情報と、それに基づく推測を脳裏でまとめ直して】
【地下の魔力の動きは、朧げに察するに留まり。彼女の鋭い眼差しを見つめ返した】
【ただ、そこに未だ自分を敵と見定めるに足りないと見るや、僅かな感情の揺らぎが単眼の奥に現れ、されどすぐに消える】

/続きます
805 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/06/09(火) 20:59:31.27 ID:hAwxzCmoO
>>791
……ダグラス・マックスウッド。機関の最高幹部、六罪王の一人だ。先日は、同じく六罪王のアインと共に風の国を襲った男だよ
先月末、この男が機関に向けてある報告をした。ベイゼ・ベケンプフェンを始末した、と。……いいか、そのまま最後まで聞け
出会った時にはすでに瀕死であり、証拠として死体を機関に送った、と。彼はそう報告した。ここまでが私が知る事実だ

ここからは、私の持つ情報を組み合わせた推測だ。だが、全くの無根拠ではない
ダグラス・マックスウッドとは私も話したことがある。芸術家を自称し、美を追求するためだけに六罪王にまでなったという変り種だ。当然、機関に忠誠などありはしないだろう
そんな男が、わざわざ機関の裏切り者を始末など買って出るとは私には思えない。ベイゼさんから仕掛けたというなら別だが、彼女も今更そんな真似をするとも思えない

加えてだ。マックスウッドの部下に、ベイゼさんの姉妹がいる。同じ人体実験の被験者だったという女がな
つまり、マックスウッドとベイゼさんは間接的とはいえ繋がりがあったわけだ。先のマックスウッドの性質と合わせて考えれば……どうにも、彼の報告には疑問が残る

ああ、それともう一人。チンザノ=ロッソという銀行強盗を知っているか? この男は、ベイゼさん本人と浅からぬ中にあるらしい
ゼン=カイマで私がこの目で見たから確かだ。彼も、何か知っているかもしれないな。こちらは勘だがね

マックスウッドは、ドラクレア島という孤島を中心に、先に私が挙げたアーグと共に活動しているらしい。この世界の過去の姿を映し出す力を持った島だ。危険な場所だとは言っておこう
チンザノ=ロッソは、騒ぎを起こしてはよく路地裏に逃げ込んでいる。この二人のいずれかだ。探し出して、締め上げてみろ
彼女の手掛かりを握っているとしたら、この二人を置いて他にはいるまい
いずれにせよ、機関においてベイゼさんはもはや死人だ。関わることは今後あるまい

【「無論、私も関わる気はない」と。そう締め括り。後は、ただ待った。彼女がどう動こうと、そのまま】
【彼女の害意が、現実となって降りかかるまで。カニバディールはそのまま佇んでいるだろう】
806 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方)[sage]:2015/06/09(火) 21:17:46.24 ID:7SpIGo7uo
>>803
/ちょっと飯食ってましたが、今戻りました
807 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/09(火) 21:31:15.40 ID:taV0SEjHo
>>802

【――果たして、彼女はいつからそこに居たのか? 若者の座るボックス席を仕切る扉、】
【いつの間にか、その窓にぺったりと、薄ら蒼い瞳の"幽霊"が張り付いている。……その手の話が苦手なら即座に悲鳴を上げそうな光景だ】

【気配もなくボックス席を覗き込みつづける、幼い少女の幽霊。……いや、ちがう。よく見ればちゃんと人間である】
【けれど――いっそ不自然なほどに、少女には"存在感というものがなかった。透き通った幽霊じみた印象はそのせいだろう】


(………、席。あいてる……。)


【どうやら、空席を探してボックス席を覗き回っていたらしい。……幸いにも、ほかのボックス席にいた乗客は誰も気づかなかったようで】
【若者が騒がないかぎり、列車に女の子の幽霊が出た! なんて三文小説じみたパニックが起きることはない。からから、と小さな音を立て、少女は扉を開き】

【……そのまま、停止。じっと若者を見つめて、ドアに隠れるようにして半分だけ顔を出すだろうか】
【警戒の姿勢であった。「同席してもいいですか」と一言告げるだけでいいのに、スーツ姿に威圧感でも覚えたのかなにも喋らない】
【代わりに、顔色を伺うような目線が若者へ向けられるだろう。……声をかけてやるでも無視するでも、それは自由であるけれど】


/よろしくお願いしますー!
808 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/09(火) 21:40:29.49 ID:iHmx4DBx0
>>804

【「へびさまはへびさまなの、わたしの――」「ごせんぞさま」】
【普通に考えれば、信じられない話だ。まず、先祖なんてものに出会う機会といえば】
【盆の枕元にご先祖様が総立ちするくらいしか思い浮かばず。だのに、彼女は、ひどく普通のことのように言う】
【――いや、彼女にとってすればこれが普通なのだろう。先祖が傍に居るのが普通、――先祖と婚姻を契るのは、どうだか】

【魔力が、そっと、水道管に触れた。侍やその類なら柄に手を掛けるような、そんなぎりぎりさは、】
【けれど彼の言葉を信じて。まだ動かない――いつでも動き出せるのは確かなまま、ただ、髪がひらり、ふわり、】
【それこそ彼女だけが水底に沈んでしまったように――(或いはこれから相手を引きずりこもうとする、幻想の妖怪のような)】

――――っ、……早く教えて。わたしの蛇たちって、我慢が苦手なの。

【ぴくり、と、少しだけ肩が動いたように見えた。それは、ちょうど、彼から――ごわりと何かがあふれ出す錯覚を覚えたときから】
【何か嫌な気配がする。自分みたいに“何か”を中に入れているのか、一瞬だけ考えて、ただ、そんなの無駄だと切り捨てる】
【かつて一度だけ見せてもらった異能の力。思い返しながら、ただ、それよりも怖いものもある】
【最近はとんと話も名前も聞かないから、廃れた兵器なのかもしれないけれど――機関には、あの、悪意の卵が、】

【ひたひたと魔力が溢れる。溢れて、ある程度辺りを淡い色味で染め上げれば――広がらない代わり、濃度が増していく】
【始めの状態が薄霧だったなら、だんだんと、濃霧のようになっていく。それでもなお止まない魔力は、それだけ、】
【怒りなのか悲しみなのか。それとも、あの日の約束を果たそうとするのか――もう尋ねることは出来ないのかもしれないけど】

/ちょっと長くなっちゃったので続きますっ
809 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/09(火) 21:41:21.34 ID:iHmx4DBx0
>>804>>805>>808

【――彼がどう思ったとしても、彼女の反応は変わらない。声は出なかった、その代わりに、表情が、】
【ひどくショックなことを聞かされて、歪む。殺した? 殺された――、“あの男が”殺したのか。あいつが、】
【ごわりと魔力が今までが子供のお遊びだったかのように膨らんだ。膨らんで、瞬間、制御できないかのようにのたうつ】
【苦しかったのか痛かったのか彼女が反射的に身体を抱きしめるとそれは少し落ち着いて、ただ、指先が小さく震える】
【「ベイゼが、」と、小さく呟いて。呆然とした瞳が彼を見つめる、――けれど、彼の話には続きがあって】
【微かに震える身体を抱きしめて聞けば。――生きているのではないか、と、少し、思えて、――いや、きっと、生きて、】

……――ふふ、ふ、アーグ以外なら、知ってる。顔は分かるから……そっか、――探す、ね。
うん、ありがと――、……ベイゼ、きっと、生きてるよね? きっと……――。

【それなら会えるよね、と、小さな呟き声。心象風景を映し出すように乱れていた魔力も、いつか、落ち着いて】
【彼女がついと右腕を持ち上げると、薄らと満遍なく散っていた魔力が集まって、やがて、蛇の頭を描き出し】
【華奢な右腕の周りでぐるぐるとうねる。桜色から紫色のグラデーションで具現化して宙にあるのは、三匹の蛇で】
【三十は越すがメートルには届かない。そんな長さの蛇――くわ、と、牙を剥いてみせる、どこかからか鈴の音がして】

……ベイゼのことは、ありがとうだけど。セリーナのことは、――赦せない、から、……もらうね。

【もらうね、――その声が終わる瞬間、だった。三匹の蛇は待っていたとばかり、空中だというのに、地上のように飛び掛る】
【彼の身体のどこを狙ったものでもない。すばやい動きでどこかに噛み付こうとして、だけれど、もらったとしても、大したこともない】
【毒を持たないのだ。それなら傷は多くても牙六本分だけ――本気じゃない、本命じゃない、それにいつ気付いたとしても】

【――爆発のような音。ひどい破裂音がして、次の瞬間には、辺りには数え切れない水粒が落ちて来る】
【見れば水道から少し離れた地面が裂けて、配管工が泣き出しそうなほどに水が、溢れ出す――よりも、ずっとひどい】
【ざあざあ降りしきる水飛沫の中で彼女は髪をざっと払って、刹那――刹那だけ、少し、瞳を細めてから、】

【こちらが本命。地面にしみこんだ水に魔力を乗せて、即席ながらも支配下に――置けば、】
【水はたちまちにょろりと地面から鎌首をもたげる。頭の中に銀の鈴を抱いた水の蛇一匹、その姿になって】
【こちらも、また、飛び掛っていく。頭の中の鈴を「りん!」と鳴らして、ぐわりと牙を剥いて】
【今度はきちんと彼女によって狙いが付けられる――顔。思わず振り払いたくなるような、その場所】
【ただ魔力できた蛇よりも動きは少し鈍い。が、身体を水で構成している、というのが、なんとも怪しく】
【なんせ彼女の色である桜色に染まった水だ。――もしも思惑通り、手で振り払おう、なんてしようものなら】
【手は酸を浴びることになる。だけれどよほど強いものでもない。命に関わるものではない――それだけは確かで、】

【(ばしゃばしゃと降りしきる水は、どうにも、魔力を馴染ませづらかった)】
【(だから地面に落ちた後のものにしか干渉できそうもない、それも、魔力のなじみが浅い)】
【(あといくらも時間が経てば、空中の魔力が馴染んでいくだろうけれど――もとより、彼女は、“戦い”は得意では、)】

/遅くなりまして申し訳ないですっ
810 :森島 京 ◆ItbpQ6xKnU[sage]:2015/06/09(火) 21:45:50.10 ID:7SpIGo7uo
>>807

【──がらり、と、音とともに、窓ガラスに映った扉が開いた】


…… 、っ 。


【扉が開くまで、彼女の『存在』に気付かなかった。こんなことは、そうそうない】
【人の気配や動きには、昔から、相当に敏感だ。──ならざるを得なかった、と言ってもいいが、どちらでもいい】
【とにかく、驚きの表情とともに、振り向く。 そこには、ひどく希薄≠ネ少女が、顔を覗かせていた】


( ── 警戒しすぎ、か。 )


あぁ。ごめんなさい。──どうぞ。
混んでるのにここを一人で使うのは、ちょっと気が引けてたところなので。


【腕の立つ刺客≠ゥ、何かかと思って振り向いたのだが、まさか、そんな筈も有るまい】
【相好を崩すと、扉の傍に置いてあった荷物を、自分の足元に引き寄せた】
【──、声色も表情も、およそ警戒≠キべきそれには見えない筈だ。それほどに、スーツ姿の似合わない若者だった】
811 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/09(火) 22:08:22.81 ID:taV0SEjHo
>>810

【顔を半分だけ出して、微動だにせずそちらを伺う少女。こうして動かずにいると、本当に無機物じみた存在感だけれど】
【若者の浮かべた驚きの表情に、ほんの微かだけれど表情を歪めたように思われた。ばつが悪いような、申し訳ないような、そんな感じ】
【それすらも希薄だが、確かに感情らしきものはあるのだ。その証拠に、やがて優しい声をかけられれば、】


…………ほんと? ありがとう、お兄さん…………。


【水たまりにほんの一滴だけ黄色い絵の具を垂らしたような、些細だが確実な変化。年相応の、ちいさな喜びの笑顔が咲く】
【そうして少女は、ゆっくり扉を閉めると、若者の正面の席へちょこんと座るだろう。窓から景色が見たかったのか、視線は一時列車の外へ……】

【……こうして正面に座られると、改めて、少女の身なりが見えてくるはずである】
【天蚕糸を束ねたように透き通る髪。肌は雪のように白く、双眸すらもごく薄い青に染まるのみ。およそ"色素"というものが抜け落ちた外見】
【余りにも白すぎるがゆえ、いっそ透明にすら思えるほど――妙な存在感のなさはそこから来ているものだろうか】
【けれど妙な風体の割に、服飾の方はふつうだ。肩に垂れ下がるサイドの髪は丁寧に三つ編みに結われ、黒いレースリボンで留められており】
【空色のフリルワンピースにグラディエーターサンダルという服装からも、僅かだが年相応の洒落っ気が感じられる】

【異常ではあるけれども――少なくとも"刺客"という感じではない。害意も敵意もない、ただうっすらと"好奇心"が浮かんでいるのみで】


………ね、お兄さんはどこからきたの?


【しばし外の景色を楽しんでいた少女だったが、そのうち飽きたのか。……それとも、若者への興味が勝ったのか】
【唐突にそちらへ振り向いて、首を傾げながらそんな風に問うだろう。漠然とした、いかにも子供っぽい質問だ】
812 :森島 京 ◆ItbpQ6xKnU[sage]:2015/06/09(火) 22:24:55.34 ID:7SpIGo7uo
>>811

【目の前の白い少女──大枠では、ごく普通の、『少女』というカテゴリーに入るだろう】
【一瞬でも、それを抱いた自分がナマクラになったか、と疑うほどに、警戒すべきところはない】


(……疲れてるのかな。)


【──見つめていたら見つめていたで、何だか不審者に見られそうだ】
【仕方がないので、窓の外に目を遣る。……フルーソまで、あと一時間といったところか】
【既に日は西に沈み始め、夕焼けが遠くの山を、紅く染めていた】


……ん。僕、ですか?


【と。話しかければ、笑顔と共に、軽く首を傾げてみせる】
【──、どこから来たのか。 正直に言えば、地の国の首都の地下に潜った後、水国の地方警察本部に出頭し】
【そのまま、情報が出揃うまで軟禁されていた、ということになるのだが、そんなことを少女に言う訳にもいかない】


えーっと。──ちょっと、外国に行ってたんですけど、ね。
やっと仕事が終わったんで、フルーソに帰るところなんですよ。


【嘘は言っていない。本当でもないが。】
【そう濁して、次いで、「貴女は?」と訊く。──子供相手にも、丁寧な言葉づかいだった】
813 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/06/09(火) 22:38:28.26 ID:lEyBYPOso
>>808>>809
【「先祖、か……なるほど、これ以上ない守護者だな」と、異形の方もさして驚いた様子もなく返した】
【この世界の闇で生きる以上、これまでにもあらゆる驚くべきものを見てきた。先祖が蛇の姿で彼女の中にいて】
【その先祖と左手の指輪で契約していて。そんなことだって、在り得ないということもない】

【彼女の信頼の通り、異形は動かない。だが、その圧力は感じ取っていた。今にも、自分に向けて引き抜かれそうな刃の幻視】
【されど、無抵抗に水の中に引き込まれたとしても、そのまま死んでやるつもりまでは、異形にはなかった】

【先を急かされれば、即座に話し始める。己の中にいる者たちを、制御しながら】
【彼女が思う機関の兵器、彼女とは因縁深き卵に対する心配は、杞憂とわかるだろうか】
【異形から、かの卵の持つ力を感じ取ることはないだろう。卵よりは遥かに弱い。だが、代わりに漏れ出す気配は増えていく。続々と】

【彼女の魔力が、ますます濃くなっていくにつれて、異形の気配もさらに増殖していく】
【尋ねることはなかった。出来なかった。もう自らの手で、火蓋を切り落としてしまったのだから】


【彼女の表情の変化を前に、淡々と語り続ける。彼女の魔力が信じられないほどに膨れ上がっても、そのまま続ける】
【だが、心中ではその膨大な魔力を前に舌を巻いていた。あの水の力が激しい感情の元にあれば、これほどのものになるのか】
【自身の身体を抱き、それでも震える彼女の指先は、魔力とは対照的に弱弱しく。それを、己の言葉の続きが止める】

ほう、ロッソはともかく、マックスウッドも知っていたか。彼も、よく出歩いているようだからな
気にすることはない。決別を前に、最後の餞別だ

――――もっとも不確かで、かつ他の何よりも強い根拠として。お前も知っての通り、彼女は元No.3まで名乗ったほどの人物だ
そう簡単に殺されるとは、到底思えないね

【彼女のつぶやきを、そう肯定した。鎮まっていく魔力の奔流は、嵐の前の、というやつか】
【現れるは、蛇。剥き出される牙。そして、鈴の音。初めて会った日以来、いやあの日以上の、彼女からの敵意】
【異形はそれを目の前にして、なお変わらずに立っていた】

……約束は、守ろう

【彼女の言葉が終わり、その頃にはもう飛びかかっている蛇を見ながら、そう返答した】
【宙を這いずる蛇たちの牙を、カニバディールは避けなかった。六本の牙が両腕と右足に突き立ち、血が滲みだす】

【その牙には揺らがなかったものの、前触れなく響き渡る轟音にはさすがに僅かに顔をしかめた】
【降り注ぐ水滴は、この場所だけが雨に降られたと錯覚するほどに。水の向こうで髪を払う彼女の姿が、おぼろげに見えた】

【三つ目の視線が、下に落ちた。地面から現れる水の蛇は、彼女の名たる鈴を乗せて】
【頭に妙に長く響く鈴の音を聞きながら、顔面めがけて飛びかかるその蛇を】
【彼女の魔力を湛えたその蛇を、異形は避けなかった。手で払うこともしなかった。ただ、その三つの目を】
【顔に飛びかかられるその直前に閉じただけだった。必然、攻撃は通る。酸が、異形の顔を焼く】

【それは、かつて彼女が治療した、右顔面の辺りだった。肉の溶ける音。鮮血が垂れ落ちる】
【少しの間を置いて異形の顔面の肉が膨れ上がり、酸の残滓もろとも切り離した。焼けた肉が地面に落ちる】
【それでも、カニバディールの右顔面には、焼け爛れたような引き攣った傷跡が残った。以前会った時と、真逆の様相】

【その火傷を、ゆっくりと右手の指でなぞって見せた。彼女の治療した箇所を、彼女の酸で焼く】
【異形なりの、けじめのつけ方なのだろう。三つの目が再び開かれた時。その目に、揺らぎは消えていた】


――――いかにお前でも。私から取っていくのは少しばかり、骨が折れるぞ

【反撃。右手が伸ばされる。膨れ上がる。伸びる。伸びる。二人の間の距離を飛び越えて】
【充満する魔力を蹴散らすかのように、圧倒的質量で迫る肉塊。単純極まる広範囲打撃、カニバディールの十八番】
【動きは鈍い。対処はいくらでも可能なはず。だが、掠っただけでも、彼女の華奢な身には相応のダメージが入るだろうか】
814 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/09(火) 22:45:51.05 ID:taV0SEjHo
>>812


外国? ……いいなぁ。わたし、ほとんど水の国から出ないからわからないの。
ねぇ、外国ってどんなところ? おもしろいもの、ある?


【存外にこやかに、丁寧な口調で話を聞いてくれる若者に、少女もすっかり警戒を解いたようであった】
【……無遠慮なのはそのせいではなく、元々だ。若者の若干含みのある言葉に気づくことはなく、何の気なしに追求するのである】
【もちろん、そちらの事情に探りを入れるなんて高尚な目的はなく。まだ見ぬ外の国への興味が、瞳の奥でうっすらと星のように散っていた】


わたしはね……『マスター』と旅行なの!
アトラヴェルから出発して、これから首都まで観光に行くんだよ。こんなの初めてだから、なんだか体がうずうずする……。
フルーソに着いたらなに見ようかなあ? おいしいものとか、あるかなぁ……。


【そんな無邪気な子供が、自分の来た場所を隠す理由を持っているわけもなく。あっさりとこちらの事情も話してしまうけれど、】
【――やっぱり、どこかおかしいのだ。親でもなく友達でもなく、"ご主人様(マスター)"との観光旅行の途中だという】
【本人はつくづく楽しみにしているようすだが、どうにもキナ臭い雰囲気。それでいて何の疑問も抱いていないところが、特に】

【といっても……若者が重大な任務を終えて戻ってきたところならばなおさら、こんな明らかなトラブルの塊に首を突っ込むこともあるまい】
【子供の戯れ言と思ってさらりと流してしまうのも大人の対応か。あと一時間、夕暮れの景色を肴に世間話に興じるというのも手ではあった】
815 :森島 京 ◆ItbpQ6xKnU[sage]:2015/06/09(火) 22:58:44.41 ID:7SpIGo7uo
>>814


面白いもの……そうですね。色々ありますよ。
櫻の国なんて、水の国じゃ見かけない物ばっかりです。今でも侍が居て──

【そう、「外国」の風景を幾つか話、今度はフルーソの話でもしようか、と、考えたところで】
【──「マスター」という聞きなれない単語に、思考が巻き戻された】

【…… 正直言って、相当疲れがたまっている】
【フルーソに着いたなら、すぐに家に帰って、明日の朝まで寝てしまいたい気分だった】
【もし、仮に。「マスター」とやらを逮捕することに相成れば、──もう72時間は、休めないだろう】


……、 ちょっと、その『マスター』さんの所に、案内して貰えませんか?


【だが、見過ごせるはずもない。──今、一緒に居ないとすれば、車両の何処かで立ってでも居るのだろうか】
【少女に理由を問われれば、「少し挨拶したい」と返すだろう。内部的には少し変容した、変わらぬ笑顔で】

【──鞄に突っ込んでいたスーツを羽織ると、若者は、席から立ち上がった】
【もし、彼女が案内をするならば、着いて行く。──案内しないとすれば、それでも、扉から顔を出して、左右を眺めるぐらいはするだろうか】
816 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/09(火) 23:13:51.50 ID:taV0SEjHo
>>815

【「さむらい?」なんて首を傾け、少女は若者の言葉に食いつくだろう。僅かに身を乗り出して、興味津々と行った様子】
【……ではあったが、唐突に止まった彼のお話に、今度は逆側に首を傾げてみせる。どうしたの、と言わんばかりの、可愛げのある表情だったけれど――】


――――、だめ。ぜったいだめ。
誰にも、教えちゃいけないの。そういう"命令"なの。

"もし、それでも追求してくるようなら"……、…………。


【刹那、ソレは少女から人形へと逆戻りした。どこまでも透き通ったガラス細工の人形へ。その瞳は、あらゆる光を反射する鏡面のように】
【恐ろしいまでの拒絶意志だ。言いつけられた命令は絶対、必ず遂行しなければならない。秘密を追う者には、絶対に漏らしてはならない、と】

【――少女が続けた"もしも"の台詞は、誰かの受け売りのようだった。そのマスターとやらの台詞をそのまま反芻したのだろう】
【「追求してくるようであれば――」、けれど、その先は言えなかった。表情は微かに歪んでいる。その先の"処理"は出来ることならしたくない。そういう顔】
【少女は顔を俯けはすれど、決してその場を動かなかった。……若者が外の様子を確認してみても、そこには誰もいないはずだ】

【……若者が"本気"で追求しようとするならば、結局、手がかりはこの少女から引き出すしかなさそうだ】
【ただし――彼女の中には"命令"という名の地雷が仕込まれている。それを踏み抜けば次の瞬間、少女は"もしも"の行動に出るかもしれない……】
817 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/09(火) 23:19:21.27 ID:iHmx4DBx0
>>813

【ほんの少し。彼女は唇を噛むような仕草をした、まったく、避けなかった――避けようともしなかった姿を見て】
【本当に約束どおりにした/してくれた。それを見せ付けられて、それなら、自分はどんな誠意で返すべきだろう】
【だいすきなひとを傷つけられたのだ。そんなもの要らないと思う自分が居る。だけど、確かに契った約束がある】
【――少し考えて、決めた。それなら、この場で成就させるくらいに――しよう。少しの惜しさなんて、切り捨ててしまって】

……ううん、全部もらうよ。この子たち、いつだっておなかが空いてるの。
一番好きなのは、飴玉だと思うけど――なんだって食べちゃうの、ほんとに……なんだって。

【不思議と。そう決めたら落ち着いた気がした。ベイゼはきっと生きている、セリーナも、生きて帰ってきた】
【後に残るのは、セリーナにされたことへの敵討ちと、いつか星空の下で契った約束ごと。どれだけ叶うかは分からなくても】

【長い髪はあっという間に水を吸って、魔力ですら揺らせない重さになって、いつか、ぺたりと身体に張り付く】
【細い細い黒蛇を無数に身体に添わせるような幻視、――と、その眼前で、腕が膨らむという。ある意味それこそ幻視のような】
【普通ならばありえないはずの光景が見えて。とん、とん、と、数歩。後ろに下がってはみても、ここすら呑まれそうと見れば】
【どうしよう、なんて、一瞬考えてしまう。範囲攻撃、それは分かっても、すぐに対処法が浮かぶほど、慣れていない】

っ、でもね――……、わたしの蛇は、地面の上じゃなくたって、平気なんだから……!

【咄嗟に足をだんと踏みつける。駄々っ子みたいな仕草は、ただ、駄々を捏ねるような、あどけないものではなく】
【地面の中に魔力をぶち込めば、魔力は地中でぐるり渦巻いて踊る、――そして、そのうちに長い尾を見えないながらも伸ばし】
【魔力の察知さえ出来れば、もう一度の水蛇だと理解できる。出来ないとしても――また、地中から鈴の音がするのだ】
【大きさはさっきより大きい。年少の子供ほどはあるだろう、そいつは、地面の下をぐねぐねと泳ぎ回り】
【やがて彼の足元から飛び出すと――しかし、彼の姿がよく見えなかったのだろう。向かう先はずれて、彼の右足を】
【或いは轢いていくような軌跡。これも、また、酸はそれほど強くない。放っておけば痛むだろうが――すぐには、なんてことなく】

……邪魔っ――!

【頭の中の声をうるさいと思ったのは、もしかしたら始めてだったかもしれない。彼女は、首を乱暴に振ると】
【その水蛇の結末を見届けもせず、そのまま、膨らむ肉塊から離れるよう、距離を取ろうとするのだろう】
【足は速い――が、靴が走るためのものではない。水に濡れた服や髪も重たい、苛立ったような気持ちで、彼女は】
【乱暴に靴を履き捨てて――ついでに靴をそちらに投げつけながら、向かおうとするのは、肉塊の向かう範囲の外へ】
【けれど彼から離れすぎない位置へ――もちろん靴でどうにかできるなんて思わないけれど、ただ、分厚い底は当たれば痛いか】

【肉塊はそう器用に動けないという想定。もしもソレが彼女の思うよりも小回りが利くようなものだったなら】
【或いはすばしこく走る最中を捕まえることも、想定外の動きで驚かせることも、出来るかもしれなくて】

【自分より圧倒的に弱い人間を殺すことにしか慣れていない。よく動く瞳は、相手の挙動をなるだけ視界に入れようとし】
【ナイフくらいの抵抗なら溶かしてやったが、こうも派手なものは――そう、きっと、そんな経験はほとんどない】
【実戦慣れしている彼と、していない彼女と。そこに気付けてしまえば、――できることは、どこまでも増えていくようで】

/遅れました……申し訳ないです
818 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/06/09(火) 23:20:45.67 ID:xkyvMsO30


【路地裏。日々諍いが絶えることは無く、常に新しい血が古い血痕を上塗りしていると言い表しても良い其処】
【今宵も又罵声が飛び交って居るのだが――――奇しくも、その内の一つに女の声が混じって居るのが聞き取れるだろうか】
【もし覗いてみたならば、其処には修道女が一人居る事が知れる筈だ。攻撃的な赤色の髪――――その表情は、見るからに不機嫌である事を表していて】


「はァ?あんまり巫山戯た事ばかり言ってるとアンタの頭かち割るわよ
大体にしてね、アンタ等が束になって掛かってきたところでアタシには傷の一つも付けられない事位分からないの?

アタシがこうして優しく言っている間にさっさと――――チッ」

【大柄な男数人に対して、女が一人。多勢に無勢、所では無いのだが……女は勝ち気な態度を崩さず】
【それが癪に触れたのだろう。男の一人が殴りかかろうとするのだが――――展開はあっという間】
【殴りかかったはずの男が気付けば地面に顔を強く打ち付けていて、さらけ出した後頭部を思いっきり踏みつけられる、なんて状況】
【其れを見た残りの者達は恐れを成したか、慌てる様にしてその場から逃げ去ってしまい】


「ちょ、待ちなさ――――アアアアア!!もう!!アンタのせいで他の奴等全員逃がしちゃったじゃないの馬鹿!!」

【他の者達を取り逃がした苛立ちを気絶した男に全てぶつけることとなる】
【――――端から見たら異様な光景だ。何しろ、修道女が男を踏み続けているのだから】
【声を掛ければ鋭い視線が向けられるし、関わりたくないからと静かに通り抜けようとすれば肩を掴まれる】
【――――この場面に遭遇してしまったのが不幸。逃れる術は無く】












【とある病院。其処には日々数多くの患者が運び込まれ、常に病室に空きが無く】
【24時間体制で診療しているのだから昼夜問わずに人の出入りも激しい】
【――――そんな病院の中庭。普段ならばこの時間、患者も居ない筈なのだが……どう言う訳か、今宵は一人の子供の姿】


「そっか……もう外はそんなになってるんだね
僕も自分の足で外を歩いてみたいな……」

【ベンチに座り、指に止まらせた小鳥に語りかけ。歳は恐らく15歳前後であろうか】
【肌も透き通るように白く、髪も色素が抜け落ちたかのような純白。それなのに、瞳だけは血の様に紅く】
【――――アルビノ、と呼ばれる存在。実際、小鳥に言葉が通じている様な節も所々に見え】


「……うん。何時か一緒に色々見ようね
僕も、沢山友達を作って――…………」

【元より虚弱体質なのだろう。咳き込んでしまえば中々に止まらず、其れを見る小鳥は心配そうに小さな鳴き声を上げ】
【――――夜も遅い、と言う事もあり咳の音とて中々に響く。更にはこの病院、数多くのクスリも販売しているのだから旅の者達が愛用していたり、なんて事もある】
【少女の姿も闇に反して白なのだから、見つけやすいかもしれないけれど】

819 :森島 京 ◆ItbpQ6xKnU[sage]:2015/06/09(火) 23:36:54.19 ID:7SpIGo7uo
>>816


【少女の態度が、声音が、明らかに反転≠オた ──『当たり』だ。それも、相当に複雑な】
【通路に人影は見えない。 だが、少女は「マスターと首都まで行く」と言っていた】
【──ならば、この列車のどこかか、或いは、フルーソの駅に居るのか。とりあえず、もう一度席に腰を下ろした】


 …… 教えちゃダメ=@なんですね?


【「命令」とは穏便ではない。 だが、わざわざそんな単語が出て来るのは、「そういうこと」なのだろう】
【追求してもアウト、彼女が教えてもアウト。 なら、どうするべきか──は、何となく、思い至る】
【問題はそれ以上に、── 】


自己紹介が遅れました。……僕は、森島京といいます。これでも、警察です。
だから、何か貴女が、「イヤなこと」に巻き込まれてるのなら、助けることができます。
……、でも、貴女がその、『マスター』のことを本当に好きで、信頼しているのなら、僕の出る幕じゃありません。


【彼女の意思だ。 ──先ほど、彼女は楽しそうに、観光することを話していた】
【ならば別段、自分が関与すべきことではないのかも知れない。──少し、卑怯な話ではあるが】
【先ほどまでとは打って変わった、真剣な表情で、森島は彼女に問うと、あとは黙っていた】
820 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/06/10(水) 00:00:03.27 ID:lEyBYPOso
>>817
【彼女の噛み締められた唇を見て、また一つ。カニバディールは罪を背負った】
【今までのように、その身の内に溜め込むものとはまた別に。その心にのしかかる罪業】
【それすらも、飲み込む。飲み込んでなお、この道を進む。カニバディールは悪党なのだから】

ほう、そうか……こうなる前に、その蛇とも話しておけばよかったな
いつも腹を空かせているのは私も同じだ。きっと気が合っただろうに

【この状況でも、悪趣味な冗談を口にしつつ。異形もまた、密かに昂ぶっていた気を鎮めていく】
【真実を告げ、約束を果たし。顔に戒めを刻んだ今。互いに、もう躊躇うことはない】

【水を吸ってみるみる重量を増していく黒髪。這い回る蛇の幻視は、異形の目にも確かに届く】
【応えるは、現実にその存在を増していく質量。逡巡する彼女に対して、容赦なく迫る】

どうやらそうらしい……地に這いつくばっていない蛇が、こうも恐ろしいとは知らなかったよ

【地面に対する踏みつけは、足元で流れる魔力の流れを生み出し。魔力を操る者たちとの邂逅で知らず鍛えられた知覚が】
【かえって、その魔力の奔流を捉えてしまい、足元が揺れるような錯覚を覚える】
【それゆえに、体勢をわずかに崩しつつ、鈴の音より早く蛇の存在に気が付く。来る。異形が、身を引いた】

【それでも、蛇の奇襲は確かに無傷だった右脚を掠めた。また肉が溶ける音がする。先ほどよりは浅いようだが】
【水蛇をやり過ごせば、視線を前に戻す。肉塊に手ごたえはない。空振り。そう理解した次の瞬間、厚底の靴が向かってきていた】
【反射的に膨らませた首肉が、靴を弾く。痛みは感じるが、怯むほどではない。肉膨張の防御性能の成果】

【伸びきった肉塊は、地面に落ちる。しかし、戻そうとしない。肉の塊をぶら下げたまま、異形は鈴音を睨み続ける】

……私は今、廃の国に巣食っている。遥か昔に滅びた、見捨てられた国だ。我々には相応しい土地だ
そこで、私は手に入れた、新たな力を。お目にかけよう、鈴音。私は私であって……同時に、我々≠セ

【伸びきった肉塊から、何かが――――人間の手。痩せ細った、枯れ枝のような色の人間の手が】
【カニバディールの腕だった肉塊から飛び出した。それらが一斉に、鈴音と、蛇たちと、彼女の魔力に襲い掛かろうとする】
【あるいは掴みかかろうと。あるいは殴りつけようと。無数の手は、永く伸びて無差別に鈴音たちに向かうだろう】

【力はそう強くない。だが数が多い。全て振り払って、カニバディールへ向かうのはそう簡単ではないか】

/こちらこそお待たせしました……
821 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/10(水) 00:05:35.92 ID:BgCMmWk+o
>>819

【ゆっくりと確認するような言葉。少女はちいさく頷くと、微かに見開いた瞳で若者の目を見つめはじめるだろう】
【それが物言わぬ人形ならば何も不自然ではない。無機物が自分から動くことなどないのだから】
【けれど、少女はすこしばかり"人間"だった。それを加味して考えると――他に意識が行かないように、意識して目線を釘付けにしているような】


あ、っ………わたしは、イクス・ヴェーラだよ。

――――けい、さつ? 京は、警察のヒトなの………?


【ふと、唐突に身元を明かす若者。少女は反射的に、自らも名乗り返してしまう――人形には出来ない、ヒトとして自然に躾られた反応】
【――が。その先はほんの僅か、グレーゾーンだ。"警察"と聞いた瞬間、少女は目の色を変えて立ち上がるだろう】
【瞳に張った氷の奥底で、幾ばくか危険な光と逡巡とが折り混ざる。――白磁の肌から空気に漏れ出す"魔力"を感じるか】
【けれどそれは、まだ形を持って溢れ出すことはなかった。機械的に"処理"しようとする体を、わずかばかりの人間性が押し止めているように】


マスターのことは、好きだよ。いつも優しくしてくれるし、いろんなことを教えてくれるの。
だから――命令は絶対なの。わたしは『鍵』だから、誰の手にも渡らないよう身を守らなきゃいけないの。
もしも、わたしを連れて行こうとするヒトが現れたら――――こ、殺さなきゃいけない。

でも……それは、"イヤ"。
ねぇ京、わたしをどこにも連れて行かないって言って。でないと、わたし……。


【告げられる少女の意志――イクスの口から語られるマスターとの関係は、親愛に満ちたものであるだろうか】
【口調からも、整えられた服装からも、少なくとも奴隷のように使われている訳ではない。基本的な人権は守ってやっているようで】
【……しかし一方で、信じがたいほど冷酷な命令も、その人物は彼女の中に残している。"自分を連れて行こうとする者は殺せ"と】
【何かの人物、あるいは組織に追われているのか。そして口振りからするに、警察組織もその「連れて行こうとする者」に含まれているらしい】

【――ただ、ひとつだけ。互いにとって確実に幸いなのは、その"殺す"という行為に対し、少女が嫌悪感を覚えていることだ】
【"もしも"の先は考えたくない。あなたを、殺したくはない。そう告げて、イクスは身を乗り出すように京へ迫るだろうか】
822 :森島 京 ◆ItbpQ6xKnU[sage saga]:2015/06/10(水) 00:31:52.59 ID:mq5WCQBoo
>>821

【──彼女の答えからするに、即ち、「出る幕ではない」ということだ】
【否、もしかすれば、出るべきなのかも知れない。 だが、イクスの懸命な表情を見ていると】
【今、強行すれば、 ──それを歪めることになるだろうことは、想像に難くなかった】


…… 「連れて行きません」よ。


【そう、彼女に告げる。 それは『マスター』に向けての、敗北宣言でもあった】
【連れて行かずとも、ここに「留まり続ければ」、『マスター』も姿を現すだろうと思っていたのだが】
【彼女がその先を「望まない」以上は、八方塞がり。──再び、腰を上げると、鞄を持ち上げる】


(……殺せとか、殺すなとか。殺したいとか、殺したくないとか。)


【ここのところ、「厭なもの」ばかり見る。 らしくもないが、「やめてくれ」と思ってしまう程に】
【── 特に、「殺したくない」と、そう訴える少女の姿は、強烈に過去をフラッシュバックさせる】
【これ以上、見ていたくない。 ──どうでもいいから、早く帰って、眠りたい気分だった】


…… それじゃあ、動物≠ニ同じです。


【──「命令」に唯々諾々と従って、人を殺す、ということが、だろうか】
【或いはもっと抽象化された意味だろうか。 どちらにせよ、違いはない──、彼も彼で、強い拒絶の意思を含んだ、言葉だった】

【そう告げると、彼女に背を向け──彼は、ボックス席から去っていくだろう】


/すいません、ちょっと眠気が強くなってきたのでこの辺りで……
/お疲れ様でした!
823 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/10(水) 00:33:48.15 ID:xXkRTAbj0
>>820

【宙にばら撒かれた魔力は気付けば少し薄れているようだった。なぜ、この場の水に溶け込んでいる】
【術者の意識によってのものではないから、ゆっくりではあるが。この魔力は水と似通う、水を好む】
【ゆえにゆっくりと溶けていく――しかし、ごくゆっくりだ。そして、魔力が溶けた水を扱うにも、集中が要る】

廃の国……? ――知らない、そんな場所。どこにあるのかも……、……。
でも、あなたが行く場所なら。……どんな場所かはなんとなく分かるの、――説明しなくてもいいよ。

【それに、彼女はそのエリアから離れてしまった。水蛇を呼ぶには少し遠く、少しなりとも魔力を零しては】
【すぐに動けるようにはしているのだけど――僅かに弾んだ息を悟られないように言葉を返す、瞳を僅かに伏せ】
【冷たいような声で返事をするのだ。説明しなくていいと、――或いは、相手のペースに乗せられきらないように】

あ、――!?

【けれどもちろん警戒は止まない。視線はぎっと相手を見つめ、もちろん、肉塊の挙動も見つめながら】
【戦えば戦うほどに、人間の姿から離れていくのだろうと思った。――別に、今更、何も思わない。だって、敵なのだから】
【巻き戻したように過去から這い出たように刻まれた傷も、視線で撫でて。――我々、との言葉の意味を刹那考える】
【なまじ自分が中身入りな夜だったから、考え込みそうになった。だけど、すぐに、現実を知ることになる】

【これは神様みたいなものじゃない――もしもそうだったとして、きっと、自分の知るような美しいものじゃない】
【それを瞬間で理解する、半歩ほど、右足を引いてしまうけれど――今度は後退せず、踏みとどまって】
【変わりに喚ぶのは蛇じゃない。広義で言えば蛇だけど――それは、今は、関係ない】

【右手できらりと魔力が煌いて、現れるのは、一振りの刀だった。刀身に水を纏う以外は、ごく普通の】
【とはいえ、美しい刃に水面の複雑なきらめきが乗るのは不可思議で美しく、滴る水も、なんとも透き通り】
【その水が“桜色”を帯びていなければ、――まだ、綺麗で不思議な骨董品として扱えたかも、しれないのだけど】

【迫ってくる一波をなんとも言いがたい音で切り捨てる。纏う水はやはり酸の性質を持ち、そして、】
【彼女が今宵操った水蛇の酸よりも、いくらか強い。けれど太刀筋は素人のものだった。構えも、なってない】
【刀そのものの鋭さで切り落とし、付属する酸性で傷口を破壊するような得物。――とはいえ、無数の手には効果は薄いか】

【もう一度迫る腕たちを切り捨て、一歩だけ進む。近づきたかった、水蛇よりも、こちらのほうが確実性がある】
【蛇たちはどうにも気まぐれだし、そうでないなら指示してやらないといけない。それなら、たくさんの数は操れない】
【リアルタイムで操作を続けるのは精神力を使う。そして、消耗は、きっと――痛手になるなら】

もう……、何これ――っ、

【――彼女の元々の得物は刀だった。どちらかと言えば水蛇よりも馴染む、身体は疲れるけれど】
【身体と精神、どちらが消耗して楽なのかは、いまだによく分からない。――ただ、慣れていると言う理由で選んで】
【だけれど、きっと、もっと早くに気付くべきだったのだ。刃は鋭くても、どうしても、斬れない場所があること】

【カニバディールに近づこうともがいて、数度目かの腕たちを切り捨てて、残った残党を足元から縦に飛び出させた水蛇で溶かし尽くす、】
【一息吐いて、このまま切り抜けられるかを一瞬だけ考える。数度掴まれて、あんまり力が強くないのは、知ったけれど】

【――なんて、考えて、刀をぎゅっと握りなおした。そのとき、くん、と、髪を引かれる感覚】
【しまったと振り払ったときに今度は腕を掴まれて、それも払おうとした腕を掴まれて、足を取られて】
【そこでやっと彼女は切り損ねた腕の多さを思い知る――或いは、腕のリーチが存外に長いことを思い知る】
【「ぎ、」とか「ぐ、」とか、凡そ普段の彼女らしくない低い濁った声が漏れて、ただ、暴れれば暴れるほどに絡め取られる】
【こればっかりはと握り締めた刀も振るえないほどに掴まれて捕まる、渾身の力で腕たちを振り払ったとしても】
【すぐに別の腕に捕らえられる、無限ループ。当然捕らえるだけじゃ満足できない腕たちは、】
【とうに動けなくなった彼女の身体を殴りつけ、或いは締め上げ。苦しげな声が、腕の向こうで、微かに聞こえた】
824 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/10(水) 01:03:23.54 ID:BgCMmWk+o
>>822

【マスターのことは慕っているが――命令には逆らえない。そのいびつな二律背反が、今の少女の答えのすべてだ】
【青い瞳が、なけなしの感情をぜんぶ掻き集めて嘆願の色合いを作る。それは本来少女にはなかった色で、誰かから受け取った色だ】

【――結果。彼の選択はそれ以上立ち入らないことだった。この場で争えばどんな被害が出たことか、それは賢明な判断だったはずだ】
【イクスも一瞬静止していたけれど、ふぅー、と大きく息を吐いて、椅子に座りなおすだろう。……剣呑な空気はひとまず収まった】
【その姿を見ているとやっぱり子供なのだろう。安心しきったところで、もっと別な形で質問してみれば、何か情報も引き出せそうではあったけれど】


……えっ、と、動物………?


【未熟なイクスにはまだ、言外の意味なんて読み取れるはずもなかった。意味がわからない、といった風に首を傾げて】
【ただ――なんとなく。好意的な意味でないのはわかった。自分の態度が逆に、彼の中のなにか触れてはいけない場所に触れてしまったのではないかと】
【そのまま去っていこうとする背中へ、慌てて立ち上がると、「ご……ごめんなさい」と消え入るような声で謝罪するだろうか】

【何が「ごめんなさい」なのかはわかっていない。ただ今の少女には、それぐらいしかできることがなかったのだ】
【しばらくして、別の人物がボックス席に入ってくるまで。イクスは窓の外を見ることもなく、寂しげにそこに佇んでいるのだった――】


/お疲れさまでしたー!
825 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/06/10(水) 18:25:30.45 ID:gAeDBDG0o
【六罪王アインのエルジオ侵攻から、およそ五日後の事であった】

【宗教都市ゼン=カイマのとあるシスター――真名をケミッシュというが】
【彼女から当該都市の大司教、その妻であるマリアへと伝言があった】
【"誰から"は言うまでもないだろう。『場所が分かった』という内容であり】
【そしてソレに従って場を移せば、それは昨今話題に挙がる、ある土地へと変わる】


【――ドラクレア島。その砂浜に置かれたベンチに、一人の男が座っていた】

【名はダグラス・マックスウッド。その衣服や様相は普段とは少々異なり】
【まず上着は袖の長い、入院着のような物であった。開けた胸元を見れば】
【肩や腕にかけて包帯が幾重にもまかれているのが見えるはずで】

【またあまり手入れをしない頭髪も、今はうっとおしげに後ろへ流しており】
【両腕をベンチに投げ出す形でただ座って、波の打ち寄せるのを眺め続け】


……やあ、ごきげんよう。伝言はつたわったみたいだね
こんな格好なのは勘弁して貰えるかな。
珍しく仕事したら、案の定でね……まあ、それは良いんだ。

事情を聞いたのなら……覚悟はできてるんだろう?
流石に当人が居るとは思えないけれど、何らかのまもりは有るはずだ
無論、僕だって手は貸すさ。でも、自分の身は自分で……元騎士なら、言うまでもないかな?


【所々に火傷を負い、貼り付けたガーゼも痛々しいまま、笑ってみせると】
【ダグラスはゆっくりと立ち上がって、『行こうか』と告げる】
【向かう先はジャングルの中らしい。――その前に何かを聞くのなら、今だろうか。】

/こちら予約の投下文になります。
826 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/10(水) 19:23:10.37 ID:0iiGVb3DO
【風の国──首都エルジオ】

【六罪王アイン及びダグラスの手により、街の十分の一が破壊されていた】
【破壊の中心部あたりでは、もはや家屋の痕跡すら残らず黒い煤が在るのみ】
【──街は陰鬱な空気に満ちていた。数ヶ月前の、聖都スラウロット水没事件や地の国ニュー・ドレファス大震災と比べれば、確かに被害は少ないかもしれないが】
【それでも、死者がいないわけではない。むしろ、2万を越える被害者がいるのだ。新たな六罪王の脅威──それは確かに、この街に刻み込まれていた】

【街中では、あちらこちらで葬式が行われていた。啜り泣く声に狂い喚く悲鳴が、1ブロックごとに聞こえてくる】
【葬列が、また道を行く。棺が墓地に運ばれる。遺体すら残らなかった者も少なくないという──あの葬列もまた、空の棺を担いでいるのかもしれなかった】


……ふ、ふふ、ふ──すごいわね。「就任セレモニー」には十分すぎるわ
地の国やスラウロットと比べると……見劣りはするかもしれないけれど……
ふふ。……なんたって、更地がいきなり出来たのだもの。市民からしてみれば、復興自体はラクかもしれないわね

はぁ──残念なのは2人とも敗けてしまったことかしら
ダグラスは随分傷だらけになったらしいけれど……ふ、ふふ……


【──葬列を眺めながら、1人の女が嗤っていた。艶やかな黒髪に赤い瞳をした、長身の女だった】
【黒いドレスを着ているものの、喪に服す意図などない。陰惨な場所にしては、あまりに露出が多すぎた】
【左手の小指には小さな黒いダイヤの指輪がひとつ。これもまた、死者に逢うための衣装などではなかった】
【くつくつと、女は嗤う。赤い瞳の中で、澱んだ愉悦が確かに揺らぐ。──嗤いながら女は、僅かに膨らむ自らの下腹部をゆるりと撫でていた】
827 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2015/06/10(水) 19:23:21.62 ID:KojkmCq8o
>>825

……随分と大怪我を負われたようで……―――ええ、先程ケミッシュさんから伝えられました。

―――此処に、旦那様の魂が存在するのですね?

【笑いかけられれば、柔らかい笑顔を返す。今この島を訪れた彼女こそ、今日の物語のもう一人の登場人物】

【上質の絹糸のようなブロンドの長髪を時折吹く風にさらりと靡かせ、頭には白いキャスケットを被り】
【澄んだマリンブルーの瞳は重い覚悟を示す様に据わっている。右の目元には泣きぼくろ】
【纏うのは薄手の白いシャツ。季節に合わせ袖は短く、そこから白魚のような腕がすらっと伸びる】
【脚にフィットした黒いロングズボンは細身のラインを浮かび上がらせる。靴はトレッキング用のブーツ】
【首には十字架のネックレス、左手の薬指にはプラチナリングとダイヤモンドの指輪が煌めく】

……貴方の傷の事も、仕事≠フ事も、今は問いません。
覚悟など、とうに出来ておりますよ。―――大切な人を取り戻す為なら、傷付くことなど厭うものですか。
夫が窮地の時こそ、精一杯助けるのが伴侶の務め。……さあ――――参りましょう。

【ダグラスに微笑みかける。―――その微笑みの裏にある尋常ならざる覚悟は、きっと見て取れる筈】
【一ヶ月ほど前に彼が「雄弁な女性」と評した言葉通り、やはり纏う空気は彼女の心を克明に物語る】
【張りつめたような、凛とした空気―――その源は、きっと其処に映る愛する人への想いと覚悟】

【やがて、覚悟を帯びて澄んだ瞳はジャングルを見据える。その先にある困難と最愛の者の魂を想いながら】
【マリアはダグラスに従って付いて行く。今更彼の事を疑ったりはしない。――夫を救う道は、彼しか無いのだから】

【道中、彼女は一つだけ尋ねるだろう。「彼の魂は無事なのか」……やはり、安否は気になるようで】
【魂が長時間己の肉体を離れているのなら、不安定な状態なのは間違いあるまい……その辺りは、情報を得ているのだろうか】
828 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/06/10(水) 19:44:42.39 ID:gAeDBDG0o
>>827

……まあ、たまには怪我も良いものさ。
新しい経験が次の創作につながるんだ…――あぁ、恐らくね?
ある洞窟の奥に、ずいぶんと古い教会があってね……。

【その場に立つ女性が微笑めば、ダグラスも「良し」と笑って返す】
【傷は深いようだが足取りは確かで、ジャングルへも何度か立ち入ったことがあるのだろう】

【獣道程度の茂みを進み、猛獣やより強力な生物の遠吠えを聞きながら】
【やがて辿り着くのは地底に続く洞窟。その周辺は特に湿度が高くなっており】
【漂うのはヘドロのような、腐った匂い。その先に教会があるらしく】

魂が無事かどうか……それはフレデリック次第だろうね、僕は専門家じゃあない。
……でも、僕の知る騎士ならきっと大丈夫さ。強い男だから、さ。

さあ、て……ここから地下に降りるよ。
確か以前にも少年を一人案内したんだけれど……彼は無事かな。
……どうなってるかは未知なんだ、武器は出しておくことを勧めるよ

【質問に対しては、極めて軽妙に応えるのだった。マリアが夫を信ずるのと同様】
【ダグラスもまた唯一無二の親友を信じている。言葉にするまでもない、そんな様子で】

【やがて洞窟に踏み入ると、ひたすらに下方への道が続くこととなる】
【足元は泥濘。慎重に進めば、不意に開けた場所へ出ることとなるだろう】
【だが、真っ暗だ――明かりを点けるか、目が馴染むのを待つか】
【周囲から聞こえる音は、広い空洞特有の耳鳴り。足下の感触はやはり湿っていた】
829 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2015/06/10(水) 20:09:06.62 ID:KojkmCq8o
>>828

―――そうで御座いますね。きっと……必ず、あの人は耐えています。
……私の愛した人は、とても強い方ですもの―――!

【傍に寄り添ったからこそ、彼が強い人である事は知っている。身体だけではなく心も、だ】
【ならば、今は無事であると信じるのみ。約束したのだ「どんな事があっても、必ず帰ってくる」って】
【己の愛した人物は決して約束を違うような者ではないということは、自分が一番よく知っている】
【ダグラスが友を信じるのと同じく、マリアも夫を信じている。―――たとえ、どんな窮地でも】

【辿る道のりは、道なき道と言うべき草叢。ジャングル特有の蒸し暑さが体にまとわりつくようで】
【その道を抜ければ、次は洞窟。この一帯はさらに湿度が上がる上に、腐敗臭が漂っていて】
【空間としては不快極まりないが……この先にしか目的地が無いのなら、ただ前進あるのみ】

【ダグラスの勧める通りに、彼女の攻撃手段たる光の魔術をいつでも発動できる準備をしてから】
【洞窟に足を踏み入れれば、道を下り続けて……やがて、開けた個所に辿り着く】

【光の魔術はそのまま周囲を照らす光源にもなる筈。少しは空洞の貌も判明するか】
【マリアはまばゆい光を放つ球を手に生み出す。「この光を頼りに進んでいきましょう」と言葉を添えて】
830 :森島 京 ◆ItbpQ6xKnU[sage]:2015/06/10(水) 20:12:09.08 ID:mq5WCQBoo
>>826

【──葬列と葬列の間を縫うように、歩むほどの速さで進む、一台の車】
【個人営業のタクシーだろうか。 ……女の前を通り過ぎたところで、それは停車した】
【暫くして、中から一人の男が降りてくる。車は彼を置いて、走り去り ──】


……笑うような光景でも、ないと思うんですが。


【黒い髪に、黒い瞳。──加えて、喪に服するような黒いスーツ姿の若者が、女に声を掛けた】
【──少し前に、路地裏で彼女に助けを求めてきた彼であると、分かるだろうか】
【次いで、「どうしてこんな所に」、といった風な言葉を続ける。 その疑問は、彼についても同じなのだろうが】

/まだいらっしゃいましたら
831 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/10(水) 20:30:10.90 ID:0iiGVb3DO
>>830

【最初は、車のことなど気にも止めなかった。男が出てきたところで、なにか特別なことがあるわけでもない】
【彼女が男の方に視線を向けたのは、声をかけられてからだった】
【その言葉すら、今の自分に向けるにしては当然すぎて──くく、とまた彼女は喉を震わせた】


……ふふ。あら、そうかしら? 私は愉快な光景だと思うわ
だってあんなに──ヒトが悲しんでいるんだもの。ぞっとしない?


【赤い瞳が、愉悦で歪む。高らかに声を上げて笑うよりもタチの悪い表情かもしれなかった】
【くつくつと尚も女は嗤っていたが──次いでかけられた言葉を聞けば、その表情は怪訝そうなものへと変わる】
【「どこかで、お会いしたかしら?」──彼は特に特徴のある顔付きでも、服装でもないのだ】
【彼にとって、“あの日”のことは確かに印象的な出来事だったかもしれないが、彼女にとってはそうとも言えなかったらしい】
【──忘れているのだ。それも、事故や不運に見舞われたわけでもなく、極々自然な忘却の過程として】
【何かあの時あったことを言えば、或いは彼女だって彼のことを思い出すかもはしれないが】
【果たしてその手間をかける意味はあるのだろうか。それは、彼にしか分からないものだった】

/いますいます。よろしくお願いします!
832 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/06/10(水) 20:30:23.73 ID:gAeDBDG0o
>>829

【「この光を頼りに」と言われれば頷いて、まずは周囲を見回す】

【――広い。光球の明かりも相当なはずだが、空間の果ては見えず】
【およそ天井まででも数十メートル。今立っている場所は乾いた泥の大地だが】
【ほかは全て、地下水とでも混じっているのか沼と呼ぶに相応しい状態で】

【その泥沼から――ひたひたと、身を隠すつもりも無いような】
【原始的な生物が這い上がってくる。芋虫だ。丸々と太っていて、目は退化しており】

【しかし恐らく、光に敏感なのだろう。揃って身体を持ち上げれば光球を眺めてから】
【次に意識を向けるのは――平生で居ないもの。微かにでも動き、音を放つもの】
【すなわち二人の人間へと、一斉に振り返り――身をうねらせて、接近を図り】
【その足元に近付けば強靭な顎で靴を食い破り、或いは裾を這い上がって】
【この地下空間では絶品に値する、新鮮な血肉を食らおうとするだろう】

……なるほどね、アーグの好きそうな空間だよ。
大方、光と別の何か……温度とか、音かな。それを頼りに動いてるんだろうけど
広すぎてラチも開かない様な場所だ、一気に駆け抜けるよ?

【ダグラスはその状況に対して、ひどく冷静だった。能力で地表から短剣を出現させ】
【這い寄る芋虫を全て串刺しにするだけで良いのだから。とはいえ、やはり数が異様だ】

【駆け抜けるべき道は、ある。泥に塗れ、苔が生えてはいるものの】
【丸太を何本かまとめて作った浮木の道が見えるはず。其処をダグラスは先に進む】
【道幅は狭い。古いせいで軋みも酷く、芋虫に加えて――やがて低音の羽撃きまで聞こえて来て―。】
833 :森島 京 ◆ItbpQ6xKnU[sage]:2015/06/10(水) 20:50:53.85 ID:mq5WCQBoo
>>831

【人々の啜り泣きをバックグラウンドに、女の嗤い声が重なる】
【厭な気分だった。 ……何が、とは言えないが、この街を包む、鬱屈した雰囲気のせいだろうか】


……人の血を吸いたがる人に訊いた僕が、馬鹿でした。


【それは、彼女の嗤いと、疑問に対する二重の答えだろう】
【──尤も、彼女がそんな事を度々繰り返している、というのなら、それもまた「日常」なのだろうが】
【これで思い出さないのなら、それでいい、という事だろうか。それ以上、記憶を掘り返すこともせず】


六罪王が散々暴れた街で──、商売=Aですか?
……それはそれで、別に良いんですが、なら少し、機関の噂でも訊いてないか訊きた──。


【まだ、質問に答えてもらっていない。問いを重ねながら、──その瞳が、彼女の腹部に止まった】
【流石に少し、驚いたのか、表情が変わる。その意味する所は、彼女にも分かるだろう】
【尤も、彼のことを思い出さないままならば、何を驚いているのか、という疑問に帰着するのだろうが──】
834 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2015/06/10(水) 20:54:46.60 ID:KojkmCq8o
>>832

【一体この洞窟、どれ程までに広いのだろう。光は強く周囲を照らしているにも拘らず、壁面が見えない】
【地下に広がる空間がこれほどまでに広いとは思わなかった。洞窟はたいてい隘路なのだけれど……】
【そんな空間を光を頼りに進む内に、足元を襲う奇妙な感覚。下を見れば、其処に居たのは】
【―――芋虫、だった。それも、おぞましい程に夥しい数。気味の悪い光景に、思わず鳥肌が立つ】

【気味悪いだけで無害ならば良かったのだが……しかし、その芋虫は鈍い動きながら此方に這い】

―――い、ッ……!

【顎を、彼女のしなやかで柔らかい脹脛に突き立てた。ピリッと鋭く走る痛みに、少し顔を歪め】
【身体に付いた数匹を払い落とせば、あとは―――ダグラスの能力が、周囲の芋虫を沈黙させる】
【流石六罪王に連ねるだけある。……芋虫への対処一つとっても、非常に強力な能力である事が伺えて】
【敵に回せば恐ろしいが、味方に付ければこうも頼もしいとは。……とはいえ、芋虫も夥しい数が居てキリがない】
【ダグラスの提言に小さく頷くと、眼前に延びる細い道を駆け抜けようとするだろう】

【マリアもマリアでこの状況には冷静だった。無視の羽音が聞こえる事を察知した彼女は】
【既に手に生み出した光の球別に熱を放つ光球を生み出して、進行方向とは逆方向に投射する】
【熱と光を囮に、羽虫や芋虫をおびき寄せるのだ。時間稼ぎにはなるだろうか……】
835 : ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/10(水) 21:07:44.77 ID:BgCMmWk+o
【路地裏】

【繁華街の端の方に、寂れた細い路地が存在している。あまり知られていないが、裏通りへ抜ける近道として便利な場所だ】
【――昼間ならば、の話だけれど。路地の途中にやや開けたスペースがあり、夜になるとたびたび、後ろ暗い事情を抱える者が集まることがあった】
【広場の周囲は誰にも使われていない空きビルや商店跡に囲まれていて、人気が全くないのである。ならず者たちがコトを済ませるにはうってつけの場所だ】


さぁて――最近はオマエラみたいな輩が多くてよォ。悪ィがいい加減こっちも品切れ気味だ。
どうオトシマエ付けさせたもんか………。


【そして今宵も。赤色の汚物で穢れた地面に、拘束された三人の人間が転がっていた。……ひとりの男に見下ろされながら】
【下手人は、目を痛めそうに鮮やかな橙色の髪。長い前髪の隙間からは泥のように濁った青色の瞳を覗かせた、粗暴さの権化のような男だ】
【外見の方もライダースジャケットにダメージジーンズ、シルバーアクセサリーをいくつも身につけた服装。両耳には"金十字"のピアス――】

【かつて店の裏口として使われていた階段に座り込み、男はサバイバルナイフを弄りながら溜息をついた】
【――転がっている三人。壮年の男女と、まだ年端も行かぬ少年である。どうやら家族らしかった】
【全員両手両足を縛られ猿轡をされて、身動ぎどころか喋ることすらできない状態だ。男がひとたび凶行に走れば、彼らに為すすべはない】


ありがちだが、親にガキ殺させるってのはどうだ?
……イヤ、子供ほっぽってヤクの売り買いに熱中するような奴らだし、それじゃあんまり面白くねェか。

ふーむ――その"逆"なら、それなりにアリかもしれねえなァ。


【そんな中、何故男が何もせずにいるかと言えば――もちろん情けなどではない。"処刑方法"について悩んでいたせいだ】
【マンネリ気味の頭をこう、ビリッと痺れさせてくれるような冴えたやり方はないだろうか? ぶつぶつ呟きながら視線を泳がせ】
【――ニタリと、口が引き裂けんばかりに笑って、男は子供に目を付けた。立ち上がって歩み寄り、ナイフで拘束を解いてやるのだ】
【『親を殺せば助けてやる』、そう言ってナイフを持たせる。やはり新鮮さには欠けるが……まぁ、少年の発狂寸前の表情はギリギリ及第点といったところ】

【果たして――この場に現れるのは、それを止めようとする正義の使者か。それとも、男と同じ闇の住人か……】
836 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/10(水) 21:08:57.45 ID:0iiGVb3DO
>>833

【──その言葉で、僅かに彼のことを思い出す。彼は確かに、道端にいくらでもいそうな容姿の青年だったが】
【そんな青年の血を啜ったことは、あまりない。いや、あるにはあるが生かしておいたことは少ない。ふと、シャワールームでの光景が脳裏をよぎった】
【「あぁ、あの時の彼か」──言葉には出さないが、女はどこか納得した表情を浮かべ、また嗤うのだ】


機関の、噂──? ふふ。そんなことしてたらまた追われてしまうわよ、坊や


【「あの時、誰に追われていたかは知らないけれど」 そう言って、また女は無意識に腹部を撫でた】
【──彼の視線が腹部へ向かったことに気付くのには、時間はかからなかった。その驚きの表情さえ、受けて当然のもの】
【ふふ、とまた女は嗤う。それは少なくとも、命を宿した悦びを感じている笑みではなかったが】


──この子? そうね、その表情も当然ね
大切な子よ……ふふ。相手のこともこの子のことも、愛してなんかいないけれど……それでも、とっても、大切な子
特別な咒式を授けてもらったから、1ヶ月もしないうちに産まれるでしょうね──?


【「まだ、今はこんなに小さいのに」 また、腹を撫でる】
【本来は十月の間肚に居るべき子。それを一月にまで縮めるというのだから、相当な腕前の術師が「相手」ということになる】
【子にも相手にも、愛はないと彼女は言った。ならば何のために──金か。それとも単に、己が愉悦のためだけに、なのだろうか】
837 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/06/10(水) 21:15:35.53 ID:gAeDBDG0o
>>834

【道を駆け抜ける最中に背後へと、熱を持った光球を放ったのは正解だろう】
【直後にその球目掛けて、凄まじい速度で飛びかかる大型の羽虫が姿を見せるのだ】

【しかし、一瞬だけ。頭部は鋭く尖っていて、まるで飛ぶ鉄杭のよう】
【もしそのまま道を照らして進んでいれば、胴をその頭で貫かれていたかもしれない】
【熱を持たせたことも功を奏した。ジュウと音を立てて、虫はそのまま泥沼に落ち】
【其処に芋虫が集ってゆく。同類であろうが――共食いが彼らの食物連鎖には存在するらしく】


……これだけ広い洞窟だ、他に何が居るとも限らない。
行こう。出来るだけ音を立てず、彼らの注意を引かないように……あぁ、ほら…――。


【――食物連鎖というピラミッドには、何かしらの頂点が存在する】
【此処においては、新たに姿を表した巨大な――ナメクジ、であろうか】
【でっぷりと太った異常な白さの身体を引きずって、光に誘き寄せられるように這い寄ると】

【無数の触覚を蠢かせながら、身体と対照的に真っ赤な口を開くと】
【数本の、これもまた異様に長い舌を伸ばして芋虫ごと羽虫の死体を口へ運ぶ】
【バリバリという、およそ食事とは思えない音。光球一つで、洞窟は醜悪な生物の宴と化し】


【それを尻目に、ダグラスはマリアを先へ行くよう促す。今の隙になら抜けられる】
【古い木の足場は蛇行してこそいるが終わりも。入ってきたのと同じような洞窟があって】

【直前に一箇所、腐って抜けたらしい部分があるのだが――其処に落ちたりさえしなければ】
【洞窟の奥には螺旋階段が存在していて、登ってゆくことが出来るだろう】
【ひたすらに登れば明かりも見える。済んだ空気も、爽やかに吹き下ろしていた】
838 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2015/06/10(水) 21:20:01.46 ID:KojkmCq8o
>>837
//すみません、食事で30分ほど遅れます……!
839 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/06/10(水) 21:21:28.52 ID:gAeDBDG0o
>>838
//了解であります!のんびり待っていますから、どうぞごゆっくり〜
840 :森島 京 ◆ItbpQ6xKnU[sage]:2015/06/10(水) 21:29:18.19 ID:mq5WCQBoo
>>836

【女の言葉を聴き切ると──彼の顔からは驚きが消えた】
【代わりにそれを塗り潰したのは、明らかな「憤り」だ】


…… 、「愛してなんかいない」 、ですか。
なら、何ですか。 金ですか。 それとも、── 、


 【 機械染みた「人間達」 、 殺したくないと訴えかける、幼い「少女」 】
 【 啜り泣く「人々」に、 それを嗤う「女」  ──、そして 、終いが「これ」 だ  】

【── 厭なものばかり見て、かと言って、それをどうする事もできない】
【強烈な吐き気と、怒りと、嫌悪感が湧いて出る。それは自分に対しての物でもあるし、相手に対しても】
【続いて出そうになった、汚い言葉を喉元で押し留めると ──、一歩、彼女に歩み寄り】



……生まれたら、どうするつもりですか。


【これだけ人が惜しまれて死んでいて、それでいて、生まれてくる子は愛を受けない】
【自分には全く関係のない話だし、余計なお世話だろう。──それでも、その矛盾が、どうしても許せなかった】
【──「大切」と、彼女は言った。 ならば或いは、一抹でも愛はあるのではないか、と。わずかに希望を込めて、問うた】
841 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage]:2015/06/10(水) 21:29:30.87 ID:6WTA6cpg0
>>835

「――――やはりあなたと組むと、仕事が早く片付いて、助かりますわ……」
悪いものではないでしょう? まぁ今日は、私も早めに切り上げて来て助力させてもらいましたが……どうです、この後一緒に食事でも?
「以前からお断りしているはずですわ。節度を外れる道に往くつもりはありません――――ッ?」

【日の出ている内には裏道として重宝されるこの道。それでも、夜の帳が落ちて尚、そこへと足を踏み入れる人間がいる】
【それは、後ろ暗いものを抱えているか、己が身を守る事に確信を抱いているか――――あるいは、その両方を同時に抱えた人物である】
【何気ない会話を交わしながら進んでいく人物たちは、そこにあるモノに気付き、不意に足を止めた】

【こげ茶色の無地のスーツとスラックスを着込み、首元にはダークグリーンのネクタイを締めている】
【さっぱりした短めの暗い茶髪に、切れ長の目元にすっと引き締まった鼻梁が映える】
【全体的に細身の印象がありながら、どこか所作に重々しさの目立つ、身長170cm前後の青年と】

【白を基調とした修道服でほぼその全身を覆い隠し、ケープの付いた帽子の中に、明るい空色の髪が覗く】
【手には、頭部に幾つかの小さな鈴と、銀でメッキされたと思しき翼の装飾が施されている細長い杖を携えている】
【豊満と表現されるだろう胸部が目立つ、身長160cm前後の女性】

【――――男女の胸元には、共に金十字をあしらったネックレスが、静かに揺れている】
【そう、恐らくは橙色の髪の男が耳につけているピアスと同じデザインの、ネックレスを】

……ほぅ、これはこれは……
「…………」

【そこで繰り広げられているのが、残酷な見世物である事に気付いたのだろう――――もっとも、人目に晒された『見世物』ではないのだが――――】
【青年は興味深げに、そして女性は緊張感を伴って微かに息を詰めながら、その有様を前にして立ち止まる】

……差し支えなければ、顛末を少しばかり眺めさせてもらっても宜しいですか?
私としても、この状況は中々に興味深い……

【やや場違いな印象も与えるだろう、青年は慇懃な物腰で、場の支配者たる橙色の髪の男にそう問いかける】
【この場に対して、積極的に介入する腹積もりは持っていないようだ――――少なくとも、今は】
842 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/10(水) 21:45:50.10 ID:0iiGVb3DO
>>840

【──ふふ。ふふふ、ふ…………。女の嗤いが、濃くなる】
【彼が憤り、感情を沸き立たせれば沸き立たせる程に、彼女の嘲笑は深くなる】
【歩み寄られてもその表情は変わらず、ただ彼女はくつくつと喉を震わせるだけで──】


────あげるわ、この子の父親に
それを彼が望んでいて、そもそもそういう約束だもの


【然も可笑しそうに、彼女はそう言い切ってのけた。それの何が悪い、何がいけないのだと、そう言わんばかりに】
【「大切」というのは、そういう意味か。子を愛しているという意味ではなく、その先にある約束が大切なのだ】


彼がこの子をどう「使う」かは知らないわ……それは私の関わるべきところじゃないもの
それに……ふふ。愛の貰えない子なんて、そこら中にいるじゃない


【「違うかしら、坊や」 女は嗤う。生まれれば父親が引き取りにきて、後は知ったことではない──】
【──ここまで来れば、いっそ清々しい。父親が誰かは未だ明かさないが、女の性根が母親向きでないのは明確だった】
843 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2015/06/10(水) 21:47:33.98 ID:KojkmCq8o
>>837

【光に誘われるように集う羽虫。……一瞬照らし出されたその姿は、やはり恐ろしいの一言で】
【あの鋭い虫がもし自分達の方に襲い掛かって来たらと思うと、慄然としてしまう】
【だが、飛んで火にいる夏の虫とはこの事か。光に誘われた羽虫はそのまま焼け死んでいって】
【洞窟の中にも存在する自然の摂理に飲み込まれていく。死体もまた、彼らの食物なのだろう】
【願わくば、自分達よりも虫の方を食べるのに夢中になっていて欲しいものだ……】

……ええ、そうで御座いますね―――虫はもう沢山です……。―――!?

【さしもの元騎士も、虫はあまり好きではないらしい。夥しい芋虫や巨大な羽虫には辟易した様子】
【……まあ、得体の知れない芋虫が好きな女性などそうそう居ないだろう。小さくため息をついて―――】
【―――ため息をついたその瞬間、更に恐ろしい物が目に入る。あれは……ナメクジ?】
【その白くぬらりと光る生き物は、巨大な羽虫をさらに超える大きさ。差し詰めこの洞窟の主といった所か】
【……まあ、彼らも生きてるために食べているのだから仕方ないのかもしれないが……どうにも生理的に気味が悪すぎる】
【背後から聞こえてくるおぞましい音に、マリアの表情は苦々しいものになっていた。……一刻も早く、此処を抜けたい】

【堪らないといった表情で駆け抜けて、螺旋階段に辿り着く。洞窟の中の淀んだ空気とは違う、澄んだ空気が抜けていて】
【マリアはダグラスと共に螺旋階段を上るだろう。上り続ければ、洞窟とももうお別れか】

【階段や今まで来た道があるという事は、この道の先に人工物がある可能性も示唆していて……それが、行き先の教会なのだろうか】

//すみません、もう少し時間が必要だったようなので先にお返ししておきます……!
//ダグラスさんの方が返信される頃には戻って来れるかと思いますので!
844 : ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/10(水) 21:55:55.05 ID:BgCMmWk+o
>>841

【涙と鼻水に塗れた手で、暴行された父親の血を踏みつけながら、一歩一歩少年は両親へ近寄っていく】
【その瞳には危険な光が宿る――あらゆる想いがグチャグチャに撹拌される中に、確かに"憎悪"の色が伺えた】
【まさか子供が裏切るとは思っていなかったのだろう。驚愕と憤怒の表情で唸る男女。――善人ではない。それなりの"業"が彼らにもあるのだ】


あァ? ……んーだよ、ご同輩かよ。
それにそっちは――クヒャッ、なんだァオマエ、そりゃあコスプレか? ウチにこんな小綺麗な修道女サマが居たとは知らなかったぜ!


【一方、それを愉悦の表情で眺めつつも、まだ何か物足りなさそうな様子の男だったが――"誰か"が侵入してきたことを、むしろ喜ぶように振り返って】
【……しかし何故か、それが"同類"らしいと解ると露骨に落胆した。正義の味方の目の前で三人をオブジェに変えるのも悪くないと思っていたところで】
【ただ――男の方はともかく、女の方はこういう仕事に相応しいようには見えず。男はとりあえず、その"異常"を以て多少機嫌を直したようだった】


まァ、見たけりゃ好きにしな。ただ見ての通り、ド定番すぎてちとつまらねェ茶番だがよ……。
――おいガキィ、何止まってやがる? 早く済ませろや。


【やれやれ、と。皮肉めいて大げさな所作で首を振ると、男はあっさり二人の同席を許すだろう】
【といっても、あまり人に自慢できる見せ物でもない――無論手酷さが足りないという意味でだ――ので、若干投げ遣りな様子ではあったが】
【そして矢庭に銃を取り出して少年へ発砲。"助けて"と、潤んだ瞳を二人に向けていた少年だったが……肩口を掠めた銃弾に怯え、悲鳴を上げて】
【再び両親に向き直らざるを得なくなる。男の濁った瞳にもはや猶予はない。――両親の元へ辿り着くと、震える手でナイフを振り上げた】

【――二人が、何の干渉もしなければ。一寸の後、まずは父親が、実の子に心臓を穿たれることとなるはずである】
【大量の返り血がその場の全員へ降りかかるだろうか。そしてそれを、B級映画でも見ているように頬杖を付いて、男が後ろから眺めているのだ――】
845 :森島 京 ◆ItbpQ6xKnU[sage]:2015/06/10(水) 22:04:56.69 ID:mq5WCQBoo
>>842

【──女の言葉は、一つの明確な芯≠ェ通っている】
【そして、それ故に、ある意味で正しい。揺らぎ切った彼とは、正反対だった】
【だが、それでも。 …、…ここであっさりと認めてしまうと、自分の何かが砕け散りそうで】


……その通りだけど、それは違う。
愛の貰えない子が他に居るからって、「その子」が愛されないなんて、そんな事はない。


【ならば、どうすると言うのか。 ──彼の言葉には、その具体性が欠けていた】
【女が思いとどまることはないだろうし、仮令、思いとどまったとして、彼女は愛を与えるような人間ではない】
【──結局は彼も、第一には「子」のためではなく、自己の矛盾を解消するために、言葉を紡いでいるにすぎないのだろうか】


……貴女の両親も、そうだったんですか。


【「お前も愛を貰えなかったのか」、と。──幾分、低くなったトーンで、最後に問うた】
【彼女が、「そう」なってしまった理由を、「そこ」に求められれば。──安心できるから、だろうか】
846 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/06/10(水) 22:15:47.55 ID:gAeDBDG0o
>>843

【階段を駆け登った先に広がるのは、窪地に出来た洞窟と】
【それを掘り拡げたのであろう石造りの教会であった】

【洞窟から出てすぐは、広場。上を見れば高い場所まで壁が続くが】
【確かに"鷹"の舞う天に通じており、吹き抜けの壁面を無数の植物が彩っていた】
【その広場を抜ければ教会だ。周囲の壁と同化した造りで、鐘は無いらしく】

【そして何より、古いようだった。広場の舗装はされており】
【騒然ながら教会も人工物だったが、いずれも苔や蔓に埋もれていて】

【教会の奥には、棺が見える。真新しく、その前には一体の甲冑が鎮座していた】
【これもまた新しい――守護か。マリアがそれを視認するかどうか、というタイミングで】
【背後、ダグラスの方から爆音が響いて周囲を揺らす。高速の弾丸が彼女の脇をすり抜けて】


……というわけで、此処が疑惑のスポットさ。
あのお爺ちゃんらしい、自分だけは安泰の場所、人の来ない秘所。

ご丁寧に護衛までつけて居るけれど……あれを、倒すよ。
きっとふっ飛ばしたくらいじゃ死なないはずだからね
"半不死"の連中、知っているだろう?……君なら、殺す以外のやり方も知ってるはずだ



【――砲台であった。ダグラスがノーモーションでそれを創り出し】
【マリアにすら察知できない速度で先制攻撃に出た。結果、鎧は一見して爆散し】
【教会を、そして棺桶を守る者は居なくなった。かに、見えた】

【しかし飛び散った鎧は次第に集合を始め、"空っぽ"の状態で再度甲冑を形取ると】
【長剣を構え、ぎらりと瞳を光らせて。教会の外に立つ相手へと狙いを定めた】
【だが、まだ射程の利はこちらにある――本番は此処から、か。】

//了解です、とりあえず普通にお返ししておきますが
//本当に急ぐことありませんので、無理だけはなさらず……。
847 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage]:2015/06/10(水) 22:20:31.69 ID:6WTA6cpg0
>>844

……残念、だったのでしょうか?
……まぁ、それが分からないではありません。ただ今は……私としても、この幼子には興味があります。失礼させてもらいますよ

【同輩――――同じ『GIFT』の一員である事が、落胆を誘う理由は、青年としても察しはついたのだろう】
【世の秩序に縋る者、維持しようとする者。そうした面々に見せつけてやりたい――――そうすればこそ、興が乗ると言う事なのだろう】
【それを想えば、既に同じく秩序を乱すものである自分は、橙色の髪の男の期待には、答えられない事になる】
【それを軽い調子で詫びの言葉として返すも、青年の目はより一層、少年の姿に注がれていた】

「……確かに、信仰する対象がいないと言う意味では私(わたくし)は本来、こうしたものを身につける謂われは無い人間ですわ……
 ですが私は、己の身を修めるべき道を見据えています。それならば、さして見当違いとも言えないのではないでしょうか?」

【男の刺々しい様子は、女性には不愉快なものだったのだろう】
【すっと眉を潜めながら、丁寧な物腰の言葉を口にするその様は、あるいは見た目通りの印象を与えるかもしれない】

「……確かに、外部からスカウトされた口ですから、『GIFT』には馴染み切っていないのかもしれませんわね……
 ですが、既に焼き殺した有象無象の数は、100を下りませんわ。……尤も、数を云々するのも、愚かしい話かもしれませんね……」

【――――だが、彼女もまた、その金十字を身に纏うだけの理由のある人物であるらしく】
【ぐっと、慈悲の欠片も無さそうな冷たい瞳を持ちあげながら、その手を染める血の赤さを、滔々と口にして見せる】
【それこそ、殺める事をビジネスとでも受け取っている様な、冷徹さを思わず想起させる様な表情だ】

いえいえ、中々面白い趣向であると思いますよ。少なくとも、私の様な素人には、非常に刺激的だ……
「…………」

【そう口にする青年の表情は、期待の笑みに染まっている。単なる社交辞令と言う事でも無さそうだ】
【――――じっと冷徹にそれを睨みつけている女性の方には、そうした喜悦の色は感じられないが、異論をはさむ様な様子は見せない】

――――君の生きる道は、1つだけですよ。それが最終的に死に繋がる道であるとしても、君にはそれを貫徹する以外に無いのです……
せめて力一杯、生きようとして見せなさい……君は、怖がっているだけだ

【青年からも、少年へと殺しを促す言葉を口にする。じっと状況に視線を注ぎながら、何か監督する様な、指導する様な、そんな口調で】
【先ほどまでの愉悦の表情は一時奥へと押し込まれ、青年も女性と同じ様な真剣な表情に同化される】

…………ぉぉ…………「…………」

【そして、少年が父親の胸部にナイフを突き立てた瞬間、青年は感嘆のため息を漏らす】
【この見世物を、青年は半ば観客として楽しんでいる様だった】

――――ところで…………この少年、この後どうするつもりでしょう? 予定はあるのですか……?

【そっと、青年は男へと密やかな声で耳打ちする。このまま母親を切り裂くのか。そしてその後少年はどうなるのか。その先までも、青年は興味を傾けているらしい】
848 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/10(水) 22:22:12.78 ID:0iiGVb3DO
>>845

【「貴女の両親も──」 そう聞かれれば、少し口を閉ざす。だが、決して笑みは絶やされることなく】
【「どうだったかしら」「あぁ、そういえば」などという言葉を漏らすのだ】
【──実の両親のことすら、忘れていたのだ。今の、今まで。つい先ほどまで、彼女が彼に対してそうであったのと全く同様に】
【忘れて、いたのだ。それは精神的外傷や忘却術により為されたものではなく、やはり自然な過程での──】


……今思えば、普通のヒトたちだったわね
それなりに私を愛して、それなりに私を抱き締めて、それなりにキスをくれた
夜は一緒に寝た時もあったし、悪い夢を見れば慰めてもくれたかしら?

──ふふ。…………ふっ、ふふふ、ふふふふふ!
ねぇ、もしかしたら坊や……くく、ふふふっ──ま、っ……、まさかとは思うけれど……


   【 「 愛を貰えないから、 愛を与えないとでも思ったの? 」 】


【狂ったように、女は嗤いだした。彼の言葉が、酷く愉快だった。甲高い女の嗤いが、陰鬱な街に響く】
【──女の親は、忘れてしまうくらい普通だったのだ。普通の愛を与え、普通の情を教えた】
【なればこそ。彼女が「こう」なってしまったのは、彼女が生まれ持った気質にこそ原因があるのだろう】
【ゲラゲラと、滑稽なピエロでも見ているかのように女は嗤い続けた。醜悪な──聞くに耐えぬ響きだった】
849 : ◆A3Dw.QYNcc2015/06/10(水) 22:27:12.44 ID:0iiGVb3DO
>>845
/申し訳ない、次遅れます
850 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2015/06/10(水) 22:44:51.10 ID:KojkmCq8o
>>846

【洞窟を抜けた先には、やはり教会が存在した。広場を通り過ぎて、重ねた年月を思わせる道を行けば】
【―――目的の教会に辿り着いたらしい。此処が、彼の言う疑わしい場所か……成程、確かに人目にはつかない】

【その奥に棺と鎧が見え、た……―――!?鎧があると思ったその瞬間、弾丸が炸裂してバラバラになって】
【……バラバラになった筈の鎧が、ひとりでに元に戻る。これは―――】

―――なるほど、そう言う事で御座いますか。物理的手段で幾ら攻撃しても復活する鎧……

【生けるものではない存在が、意志を持つかのように動く。そうさせる方法があるとすれば、それは呪いの類】
【鎧に何かしらの呪術を付加させて、動かしているのだろう。だが―――呪いや魔術を解くのは、マリアの本分だ】
【そもそもマリアの光の魔翌力は、呪いや魔術に対して抗うような性質を持つのだから】


【物理的に破壊しても掛けられた魔術によって元に戻るのなら、その魔術の方を解いてやればいい】
【ただ、解呪には時間が掛かる。本来なら隙が出来るのだが……今は、ノーモーションで強力な攻撃を行えるうってつけの「囮」がいる】

【物理的な攻撃はダグラスの方が勝るだろう。なにせ何の予備動作も無く攻撃を行えるのだから】
【瞬時に大火力の攻撃を行えるのは、囮になって意識を引き付けるにはこれ以上ない条件だ】
【一方で掛けられた魔術を解くという作業は間違いなくマリアの方が得意だ。……ならば、作戦は一つ】

―――ええ、知っていますとも。
……ダグラスさん、貴方はあの鎧を手当たり次第攻撃して下さい。そう……私の事を気に留めなくなるくらいに。
私は、その間に鎧にかかった魔術を解く準備をします。―――5分程、持ちこたえて下さい。お願い出来ますか?

【ダグラスが承諾してくれた場合、鎧を能力による強力な攻撃で引き付けている間にマリアは呪文を紡ぐだろう】
【その間、実に5分。―――この5分が、勝敗を分ける。解呪の成否は、ダグラスに係っている……!】
851 :森島 京 ◆ItbpQ6xKnU[sage]:2015/06/10(水) 22:54:18.11 ID:mq5WCQBoo
>>848


 【  …………………… 「 愛を与えられるから、愛を貰えたわけではない 」 】



 ……それも、 違う。──もし、そうなら、僕は 、──。



【──、否。 彼も、女の言葉が、嗤いが、「現実」だというのは分かっている。】
【だけれども忘れたかった、と言っていい。 人に愛された者は、人を愛することができるのだと】
【そういうことにしていれば、安心だった。自分も、愛されていたのだと。 ──、その人格の前提を、崩された】


【嗤い声が通りに反響する。棺に、葬列の背にぶつかっては、蝸牛に吸い込まれる】
【強くなった吐き気が、抑え切れない。 ──、道端の側溝に駆けると、吐いた】
【その様すら、女にはピエロの玉乗りのように、滑稽なものとして映るのだろう。 ──ふらり、と、立ち上がる】



………… 僕が、何を言っても。……貴女の「それ」は、……変わらないん、でしょう。
だから、もう、止めはしません。 ──、だけど、将来。 何かの「間違い」で、また、別の子供が出来るかも、知れない。
貴女には。 ……人を育てる資格なんかない。 だから。 その時は──、


【蒼白な顔で、そう告げると──、彼は、懐から名刺を取り出し、彼女に差し出した】
【「森島京」という名前と、連絡先。それだけの簡素なものだった。 ──彼女を睨めつける彼の、言外の意図が分かるだろうか】
【その時は、「自分が引き取る」とでも言いたいのだろう。 …、…彼も、根の部分では彼女と同じ穴だというのに】

/こっちが遅くなってしまいました、ごめんなさい。遅れる件、了解しました。
852 : ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/10(水) 22:56:07.95 ID:BgCMmWk+o
>>847

【同じ組織の人間だろうが何だろうが、男に敬意というモノはないらしい。色濃い落胆はある意味、挑発的でもあり】
【「おーう」という気の抜けた返事もいちいち神経を煽る響きだ。……『GIFT』の中でもこの男、相当の過激派なのだろう】
【しかし、少なくとも。二人が現れたことで、男にとって嬉しい誤算だったこともある。不機嫌そうに言葉を紡ぐ女の方だ】


――ひゃはははッ! オイオイ旦那ァ、オマエの相棒なかなか面白ェなぁ!?
数えきれねえほどぶっ殺しておいて"己の身を修めるべき道を見据えている"ときた!
なんだァそりゃ、畜生道かなんかか? 信じるモノが無いってんならオマエ、一体どこへ向かってんだよ?


【女の口振りが何か琴線に触れたと見える。……そして同時に、その瞳の中にある氷河を見つけて、満足そうに笑うのだ】
【見た目は綺麗だがナカミは相応の殺戮者という訳だ。親殺しの子供なんて見慣れた光景よりかはよほど見ていて楽しかった】
【彼女が何故"そうなった"のかはわからないが――男は目を剥いて女の内面へ踏み込む。いずれにせよ彼女が『GIFT』の掲げる思想を解すのならばそれで良い】

【――そんなやり取りの傍ら。顔に飛び散った血に、男は"そういえば"とでも言いたげな表情で少年の方を振り返った】
【やはり素人の突きか、左胸にナイフは刺さったが即死はせず。呻く父親へ、少年はもう一度ナイフを振り上げ、今度こそトドメを刺した】
【その頭の中で青年から言い渡された台詞が反響する。――生き残るにはこれしかないのだと。"仕方ない"のだと。必死に言い聞かせ】


あァ、そうだな。そりゃあ勿論……。

……助かったと思わせたところで殺す、かと今の今まで思ってたんだが。ひひっ、ちっとは面白いことになったかな、こりゃあ?


【実の所、男はこの後どうするかまでは考えていなかった。いつも通りならば、望みを絶たれた絶望の表情を見ながらバラすところなのだけれど】
【――男の興味を惹いたのは、その後の少年の動き。もう誰に促されるでもなく、一分の迷いもない歩調で、母親に歩み寄り】
【誰の干渉もなければそのまま、全体重をかけてナイフを突き刺すのだ。父親の時のような躊躇いは感じない】

【元々の拙い手口に加え、女性は胸の脂肪のせいで男より心臓に届き辛く。繰り返し肉をかき分けるようにしてナイフを突き立てなければならなかった】
【――それだけ手こずりながら、母親が死に至るまでの時間が父親とほとんど変わらなかったのは、偏に容赦がなかったからだ】
【荒い息を吐きながら、少年はナイフを手放さないまま立ち尽くす。――男の瞳が見開かれた。"素質"があるかもしれない、この子には】
853 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/06/10(水) 23:11:35.73 ID:gAeDBDG0o
>>850

五分……フフッ、五分か。容易く言ってくれるね、キミもさ
まあ良いよ…――卑しくも六罪王なんだ、やってあげるよ。

【ニヤリと笑う。五分稼げというのは些か難しい話にも思えたが】
【流石に自信があるのか、前へ出た。鎧が凄まじい速度で踏み込み】
【マリアの前に立つダグラスに突っ込んでくるが――今度は横に吹き飛ばされる】

【生成されたのは古式な大砲。鉄球を飛ばすそれが鎧を歪め】
【また復活すれば、即座に頭上に巨岩を創りだして、叩き潰す。】

【――銃撃、砲撃、およそ銃火器と呼べる全てを頭上に伸びる高い壁面に生成し】
【生い茂る植物の代わりに壁を覆い尽くせば、続けて鎧を槍で串刺しにする】
【動かせない、反撃させない。――されれば手負いの一般人であるダグラスは、ひとたまりもないのだ】

【だから手加減はしなかった。暴風が吹き荒れるような能力の行使がひたすらに行われ】
【五分はあっという間に過ぎてゆく、が。だが――時間が来るほんの直前】


【詠唱を続けるマリアに向けて、苦し紛れの投擲が行われるのである】
【ダグラスを驚異的な相手と見ての判断か、本当に偶然かは分からない】

【しかし投げ放たれる長剣は、確かに呪文を紡ぐ彼女を狙っているのだ】
【幅広のソレは唐突には止まらない。ダグラスが壁を創りだすが、微かに間に合わず】
【ただ一撃、されど当たれば致命的なソレが、真っ直ぐにマリアの心臓を狙って飛来するのだった】
854 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage]:2015/06/10(水) 23:23:54.17 ID:6WTA6cpg0
>>852

……それくらいで無くては……あなたも『選ばれし者』ですからね……

【ポツリと、独り言を口中で漏らす青年。だがその『独り言』、やや声量が多めで、少年の残酷ショーに意識が向いてなければ、男の耳にも届くかもしれない】
【投げやりな男の態度に、肩をすくめるようにしながらも、青年はある種の『同胞感情』を、男に抱いたのだろう】
【少なくとも、完全な独り言として青年は呟いたつもりだったのだろう。当てつけの様な意志は、青年には無かったらしい】

……おやおや、気に入られてしまった様ですね。ローディアさん?
「……そう面と向かって奇異の目を向けられるのは、あまり気持ちの良いものではありませんが……お望みならお答えいたしますわ……」

【ローディアと呼ばれた女性は、男の興味を一身に引いた様で、青年からも軽い揶揄の言葉を向けられる】
【それに対して、やや硬骨な態度を見せる女性――――ローディアだが、ふぅと軽くため息を吐き出すと、前置きからゆっくりと語り始めた】

「……『節制』、ですわ。己が身の虚飾を削り、財を浪費せず、本質のあるがままを生きる……それが私にとっての修身……
 この世界は、どこどこまでも『有限』ですわ。幸せに生きていける人間の数も、また然り…………
 ……何事も節制し、克己して生きていくべき。少なくとも私は、そう思って今までを生きてきました
 そしてそれは、誰であっても同じと思うのです…………出来る限りのモノを削り、共有していくべきですわ
 ――――そう、『選ばれざる者』たちには、「生きていく事も『我慢』してもらわなければ」なりませんわね?」

【切迫した瞳の表情に、仄暗い光が宿り、ローディアはゆっくりと思う所を口にしていく】
【そしてその勢いは、さほど掛からずに力を増して行き、淀みなく流れていく。底冷えする様な冷たい雰囲気を纏いながら】
【――――そこには、外部から参加した人間であると言うローディアの思想が、『GIFT』の理念と緊密に一体化している事が見て取れるだろう】
【『選ばれざる者』の粛清。それをローディアは、この世界を本質へと切り詰め迫って行く道筋として、自分の理想と同一視しているのだ】

「……本来ならば、こうした趣の喜悦は私の望む所ではないのですが……」
ほぉ、これは……!

【遂に父親へとトドメを刺した少年の姿を見て、青年は改めて感嘆の様子を見せる】
【一方で、ローディアはそれをつまらなそうに見つめていた。こうした後ろ暗い喜びは、ローディアには好ましくないらしい】
【――――身の節度を保つ事を求め、それが嵩じて『GIFT』の理念に沿って人を殺すまでに至る彼女のストイックな様は、あるいは見かけの姿と同じ、身を修めるに相応しいものがあるのかもしれない】

……どうやらあなたも、私と同じ事を思っている様ですね……?
普通なら一時に殺し切れなければ、恐慌をきたして逃避しようとするでしょう……これが出来る子供ならば、特に面白い事になる…………
――――是非、『GIFT ACADEMIA』に拾い上げてみたい逸材…………そうでしょう?

【――――こうして殺しをできる子供、そして帰る場所を自らの手で潰えさせた子供】
【これは、『GIFT』の未来を担う人材を育成する『GIFT ACADEMIA』にぴったりの人間ではないか、と。青年はニヤリと笑みを浮かべながら男へと進言する】
【――――恐らく、青年はこの現場を見た時からそれを考えていたのだろう。そして、今その期待が確信に変わったのだ】

――――君を愛する者はもういない。君を苦しめる者ももういない…………でも、君には新しい居場所を求める事が出来る……!
その道を往く君には、我らの下での光を掴むに、相応しいでしょう……!
……我々と共に来ると良いでしょう。君を認めてくれる、君を必要としてくれる場所が、あるのですから……!

【母親をも刺殺し、一線を越えた少年に対して、青年は抑揚をつけ、強く、同時に優しく、少年を誘う様に語りかける】
【――――未来の『選ばれし者』候補生として、『GIFT ACADEMIA』に取り込む。これは『GIFT』の一員として、変わる事の無い共通の願望であるはずだ】
855 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/10(水) 23:28:46.50 ID:0iiGVb3DO
>>851

【くつくつと、嗤う。目の前の男がふらつき、嘔吐する。愉悦が抑えきれず、背筋から震え狂笑する】
【男が何かを言っていた。自身の声に紛れそれは途切れ途切れにしか聞こえなかった】
【男が何かを差し出す。名刺、名刺だ。連絡先──、嗚呼、ああ「そういう」ことか】


……っ、………………あ、は


【一瞬の静寂。どこかで葬式の鐘がなっていた。子供の声が、遠くでする】
【二人の間にある空気が、停滞したかのように澱む。女の答えなど、決まりきっていた】
【赤い瞳が激しく揺らめき、薄くルージュを塗った唇が三日月の形に歪んだ】


──あ、は……は、ははは、…………っ、は────ぁ、あ
はっ…………あ、は、は、はは、ははは、ははははははははははははははははは────ッ!!


そん、なっ……! そんなコト、するわけないじゃない
なぁんであなたみたいな人に……っふ、ふふふふふ!

それとも何かしら? あなたがその子に愛でも与えてやるつもり?
──ねぇ。ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ……!
あなた、さっき「私が」愛を与えられていなかった、なんて言ってたわよねぇ……?


     ──── それ 、 あなた自身のことじゃ ないのかしら ?


くくっ……くふふふふっ! あぁ、おかしい!
ねぇ、それが本当だとしたら、本当の愛情を知らない人が本当に人を愛せると思っているの?
あなたの愛情が本物だという確証でも? 愛を知らないのなら、それは……っふふ、ずいぶんと傲慢なことねぇ?

「愛されたことがないからその愛にすがり、赦しを求めるように人を愛する」────
ふ、ふふふ……違う? 違うかしら? 違ったらごめんなさいね?
────でも。もしそうだとするのなら


     【 「 あなたの“愛”は、エゴにしかすぎないわ 」 】


【名刺を受けとる。受け取って、それを握りつぶす。男の、森島の優しさや愛情と呼べるものを、彼女はエゴだと言ってのけた】
【──あの時よりも、彼女の心は歓喜に溢れていた。血は流れていないが、それよりも愉快なものがあると感じていた】
【嗤う。収まるところも知らず、ただ嗤う。──愛を知るのが上等なのか。知らぬ方が、マシなのか。それは最早、定かではない】

/ただいま戻りましたー
856 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2015/06/10(水) 23:38:54.35 ID:KojkmCq8o
>>853

【5分、そう5分必要だ。普通の人間が不死の相手に耐えるには、少しばかり長過ぎる時間。けれど】
【マリアは無茶な要求をした訳では無かった。―――彼なら其れが出来ると踏んで、頼んだのだ】
【彼の六罪王に名を連ねる実力なら出来る……そう思うのは、きっと買い被りではない筈】

【かくして、彼の実力を存分に使った囮作戦が始まる。囮に使うには失礼な程の火力を稼働させて】
【あらゆる攻撃が鎧を蹂躙していくさまは、驚異的の一言。これなら時間も稼げそうだ―――!】

Solve maledictio.Ego eodemque pupa a corpore.Ad res incedere...

【その間に、マリアは呪文を紡ぎ始める。ダグラスが攻撃しているお陰で此方は呪文に集中出来て】
【五分間はあっという間に過ぎていくだろう。長く紡がれた呪文も終わりが見えてきて】
【―――最後の一言を紡ぎあげた、その瞬間だった。】

Ratione soluta――――――ッ!!?

【飛来する剣。最後のその瞬間まで呪文を紡ぐことに集中していた彼女は、反応が遅れ】
【咄嗟の反射行動で重心をずらす事により、最悪の急所に剣が突き立つ事態は避けたものの】
【ドスッという鈍い音と共に、肩に剣が突き刺さる。みるみるうちに白いシャツが赤く染まり】
【マリアはその場に膝をつく。響くような痛みが脳を支配し、視界が微かにぼやける……!】
【けれど、彼女は直ぐに突き立った剣を肩から引き抜き立ち上がる。痛みを強引に押し留め、進もうとする!】

―――早く……!行き、ましょう……ッ!

【なお、その瞬間に解呪を終えたので鎧はその力を失っているだろう。もう動く事も無いか】
【……自分の傷などどうでも良い。はやく、最愛の人を助けに行かねば―――!】
857 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/06/10(水) 23:56:50.48 ID:gAeDBDG0o
>>856

【剣を投げはなった鎧は、ダグラスの創りだした無数の槍に貫かれ】
【まるで串刺し刑に処された者のようになりながら、その動きを止めていた】

【――先ほどまでの噴火のような戦いが嘘のようだ。土埃が収まると】
【周囲には無数の火砲と槍と剣と。おおよそ戦場の様な光景が広がっていて】
【その一つの砲塔に、空から舞い降りた鷹が足を留め】


……あぁ、そうだね。キミの傷は後にしよう
アーグのことだ、人形が動かなくなったのに気付かれるかもしれない
……ところであの鷹、君の? 随分と肝の座ったハンターだけれど。


【深々と負った傷は後回し。――無論、相手の強さを信じての言葉だ】
【気を紛らわせるためか、件の鷹を話に引き出したが、本題は別】

【真っ直ぐに教会へ進んでゆくと、棺桶をこじ開ける為に神像を創りだし】
【巨大な――二メートル半は有りそうな棺を、それが重々しく開け放つ】
【敷き詰められた白い花。対照的な黒のローブを纏った死体が、そこにはあった】

【――アーグの。元の肉体であった枯れた老人の遺骸が、そこに安置されていて】
【ダグラスからすれば、それ以上の何でもない。しかしマリアであれば分かるだろう】
【その肉体に残った微かな痕跡、不明瞭な意志の塊。弱いが、確かに脈動しているようなソレ】

【問題はその"魂"をどうやって確保し、または保護するかであろうか】
【アーグの肉体を蘇らせる、何か別の器に収める、または――六罪王でも、想像は付かないようだった】
858 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2015/06/11(木) 00:00:41.75 ID:9KU8ZLUko
>>857
/っと、すみません!前もって申していました通り、時間が来てしまいました……!
/明日の9時頃(もしかしたら8時頃に帰れるかもしれません!)再開という事でお願いします!
859 :森島 京 ◆ItbpQ6xKnU[sage]:2015/06/11(木) 00:01:51.17 ID:YQQGjoGmo
>>855

【 総て、正しい=@ ──そう、彼は思った】

【親も、兄弟姉妹も、何も居ない。 ──損得抜きの友人も消え去り、帰るところもない】
【『愛』と口には出しても、それが何≠ネのか、分からない。 分からないものなのかどうかも、分からない】
【そして、その事を突きつけられても、今更だ。 ずっと前から、分かっていた筈なのだから】
【──、彼女には、彼の内心が、思考が、手に取るように分かるだろう。 だって、それは見え透いた薄さなのだから】



…… 、は、っ。



【 もう、いいだろう。──愛/エゴイズム≠ヘ、これで満たされたのだから】

【これ以上、自分にできることはない。 だって、仕方がないじゃないか】
【仮令、この女がこれから先、どれほどの不幸を振りまこうとも、それは自分の関知するところではないのだから】
【あの「名刺」が握り潰された時点で、「自分の領分」は終わった。 ──、『自分の愛』、の、届く範囲は】

【──表情は変わらず、顔だけは白く。 彼はそのまま背を向けて、歩み去ってゆく】
【歩調が確りとしていることが、逆に、虚勢を張っている「子供」の様だった】
【…、…少し進んだところで、目の前に、棺が見えた。 周りで人が、泣いている。 ──、 】



…………。 ── なら、これ≠ヘ何だって言うんですか。
泣いてる人が居れば。死んだ人が居れば。困ってる人が居れば──、腹の底に淀んだナニかが、溜まるんです。
僕に優しくしてくれた人が居れば、守りたいと思う。 助けたいと思う。不幸な人は、一人でも少なければいいと思う。
愛っていうのは、そんなモノじゃないんですか。 もっと、良い物なんですか。 ──、そんなの、 僕は ──



【──、そこで、言葉が切れた。 「この女」に訊いても、仕方のない事だ】
【或いは、それは彼女に向けた言葉ではなかったのだろう。 ──そのまま、歩みを進め、葬列の間を抜ける】
【暫くして、彼の背が消えれば。 ──、そこは、彼女が嗤う、元の風景に戻っているはずだ】

/お帰りなさいませ&この辺りでしょうかー
/とりあえず、お疲れ様でした!
860 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/06/11(木) 00:02:25.13 ID:hMygQ1i1o
>>858
/了解です、でしたらまた明日の九時か、その辺りに呼んで頂ければっ!
/まず今日の所はお疲れ様でした、ということで!
861 :マリオン・リヴァーズ ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/11(木) 00:05:58.93 ID:oxDfi5Qio
>>854

【『選ばれし者』……その呟きは聞こえていたが、男は微かにそちらへ視線を向けただけで、当てつけのように受け取った様子はない】
【それは彼にとっても悪い言葉ではなかったし、むしろ的確だとさえ思ったからだ。自分は確かに『選ばれし者』だと男は確信している】
【慢心や傲慢ではない。――それが絶対的な事実だから。絶対にそうでなくてはならないのだ。"マリオン・リヴァーズ"という男は】


なァーるほど――ククッ、そういや他のメンバーに信念を聞いたのなんざ初めてか。
『節制』ねェ。オレとしちゃあ随分お堅い考え方に思えるが、そういう理由で金十字下げてる奴もいるわけか――。

ローディアつったか。スカウト組ってことだが……ひひッ、イイぜ。
馴れ合う気はねェが、少なくとも認めてやるよ。その"思想"は。ま、どの道行き着く先は同じなワケだしな。


【それまで単に"面白い見世物"ぐらいに女を見ていた男だったが――自らの背筋に走る冷たいモノを感じて、愉しげに嗤った】
【男は見た目通り、仲間だからと言って誰かと仲良く同じものを目指すようなタイプではい。その判断基準はもっと単純なものだ】
【その単純な物差しが今、ようやく彼女を"同胞"としてカテゴライズした。見ているモノは違うが、同じ"結末"を求める人間として】

【そして、この場のもう一人。血塗れの少年を自らと同じ目で見ている青年の方もまた、同様だ――】
【目を合わせて頷くまでもない。もちろん男も、青年と同じことを考えた。今はただのブタだが、研げば"牙"を持ち得るかもしれない】
【青年の演説を呆然と眺める少年へ、男もまた一歩近づく。頬を鷲掴みにして強引にこちらを向かせると……少年は逃げなかったが、戦いた】
【ローディアと青年にも見えたかもしれない。――男の瞳を汚泥のように濁らせるものの正体。男の内に渦巻いている、大海の如き"狂気"を】


坊主。オレがオマエの両親に目ェ付けたのは、連中がレイリスフィードの連中とつるんで『ヒュドラ』を売り捌いていたからだ。
連中は無能力者の分際で、『GIFT』に……能力者に楯突いて、ゴミみてェに踏み潰された。報いを受けたんだ。
だが、この件の"本質"はそんなモンとは違う。オマエの両親が死んだ本当の理由が、オマエが今こんな目に遭っている本当の理由が解るか? 

――――"力"だ! オマエの親もオマエ自身にも、力が無かったからこうなった!!
逆境を切り抜ける力も無い! かと思えば誰かに縋って足を引っ張る! 毎日糞尿垂れ流しながら助けてと叫ぶしか能のねェ羽虫だったからだ!!
だが喜べ。オマエは確かに薄汚ェ害虫共の息子だが"素質"がある。その"力"を得るための意思がある。だからチャンスをやるよ。

オレ達と一緒に来い。そして今やって見せたように、周りのクズ共を蹴散らして這い上がれ。
そうすれば――オマエも『選ばれし者』になれるかもしれねぇ。もう二度と、こんな恐怖は味わわなくて済む。
ククッ……楽しみだよなァ? 嬉しいよなァァ? 坊主よォ!!


【ローディアがそうしたように、男もまた自らの内面を曝け出した。――彼の中の単純な物差しの名前は、"力"】
【力無き者に生きる価値は無い。そしてその点、神様はとてもわかりやすい指標を用意してくれている。"能力"という指標を】
【少年の両親は『ヒュドラ』……能力者を壊すために作られたクスリを売り、男に粛清された。『GIFT』からすれば当然の報いだ】
【そんなゴミ同然の両親から生まれた少年、投薬を続けても実らない可能性もある。が――男の中の狂気は、それでも賭けることを選んだ】

【青年の優しく逞しい演説。男のある種恐喝じみた刷り込み。……両者の板挟みとなって、少年はやや黙り込んだ後、頷くだろう】
【そしてその場の全員に自らの名を名乗り、「あなたたちは?」と質問する。自らを"そちら"へ誘った使者達の名を、彼は知りたいのだ】
862 :ロゼッタ ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/11(木) 00:25:38.33 ID:6lbD66nDO
>>859

【──くく。去り行く背中に、また嗤いが投げつけられる。嗚咽を嘲るかのように、不幸を喜ぶかのように、彼女は嗤うのだ】


ふ、ふふ……それは確かに愛ね。でも──それに疑問を抱いているうちは……、…………え?


【去り際に、背中越しにかけられた言葉に、律儀に言葉を返す。彼のことはそれなりに気に入ったが、今日はこれで終いらしい】
【残念だとも思うが、これで好いとも思った。次に遭う時の言葉も、残しておいた方がいい】

【──と、そこで彼女は間の抜けた声を漏らした。何が起こっているのか、分からないといった声だった】
【もし彼が彼女の方を振り返れば、奇妙な光景が見れたことだろう。……ごわついた漆黒の獣毛が、彼女の腕から生えていた】
【最初は黒い汚れのように見えたソレも、次第に範囲を拡げ瞬く間に彼女の腕を覆っていく】
【──信じられない。そんな表情を、浮かべていた。一歩、二歩。その場から離れる】


……っあ、…………あぁあ、あ────、ま、待って、どう、して…………!!


【バキ、と細い指がおかしな方向に曲がり、皮膚を裂いてケモノの如し太い指が顕れる】
【歯が鋭く伸び、牙の形になってゆく。ヒトではあり得ぬ形に、脚が構成しなおされていく】
【ばりばりと衣服の裂ける音。丈夫なはずの靴が、一瞬で爆ぜた】
【「そんな、どうして」──先程とはまったく違う、悲痛な叫びを彼女はあげていた】
【口が歪みつつある。笑みの形にではなく、内部から何らかの力により強引に裂けて──】


どうして……な、なんでよ…………!
わ、私……私……っ! ────月なんて、見ていないのに…………!!


【──だん、と彼女は駆け出していた。異形になりつつある彼女が路地裏の闇に消えるのは、一瞬だった】
【後には何も残らない。彼女の嗤い声すら、どこかへと消えてしまった】
【──また、葬式の鐘がなる。それに紛れ、獣の咆哮が聞こえたような気がした】

/最後のは見ても見なくてもご自由に……
/というわけで、お疲れさまでした、ありがとうございましたー!
863 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage]:2015/06/11(木) 00:29:59.96 ID:tI1jxNz10
>>861

「……堅いと言われる事は、理解しているつもりです。この世はあまりにも、虚飾に満ち満ち過ぎている……
 ですが、この世界も船の様なもの……定員オーバーをしてしまえば、諸共沈んでしまいますわ……
 ……それを望む人間と言うのは、よほどの少数派でしょうね?」

【切り詰めに切り詰めて生きている――――ローディアは恐らくそう言うタイプの人間だ】
【その生き方を、ローディアは人の理想と見ている訳だが、同時にそれは余りに一般の人間の思う理想系からは離れ過ぎているだろう】
【だが、それを成さしめるための指標が、謂わば『GIFT』である。やや離れた立ち位置の、独特の信条ではあるが、『GIFT』以上に相応しい場と言うのも、彼女には無いだろう】

「……えぇ、行きつく先は、同じですわね……」

【男の言葉を受けて、ローディアも小さく頷き、ようやく愁眉を開く】
【――――強烈な思想で成立している『GIFT』の中では、こうした相互の意志の確認は小さくない意味を持つ】
【同じ目的意識を持てばこそ、こうした思想の場は成立するのだろう。互いが仲間である事を認識して初めて、集団として成立するのだ】

……その通りですね。自らの手で掴み取り、道を切り開く力…………それが無ければ、所詮この世は生きれません……
力ある者には『決定』の権利がある……!
あなたは両親を始末した事で、自らの道を選ぶ決定の権利を手にした訳です……!

【男の言葉に賛同しながら、更に畳みかける様に言葉を連ねる青年】
【――――外での居場所が無くなった事。そして自分たちの下に居場所がある事。それを印象付ける為に、繰り返し、平明に】
【――――力を拠り所とする男の言葉は、青年にとっても受け入れやすいものだったのだろう】
【尤も、青年は男ほどの強烈なエネルギーを――――狂気を、持ち合わせてはいない様だったが】

――――おめでとう。あなたは今、確かに未来に手を掛けたのです
ややもすれば、あなたは我々の仲間になれる……その時は、もう一度改めて、歓迎させてもらいますよ……!

――――私は、『GIFT』の工作員、そして『GIFT ACADEMIA』の戦技教導を担当する、ジルバール=ブランメルです
「……私は、ローディア=ページェント。破壊や殲滅などの実働任務を主にこなしております……
 ……あなたにおいても、己が本質を究める生き方を、期待しておりますわよ?」

【少年に促され、共に己の名前と簡単な自己紹介を口にする2人――――ジルバールとローディア】
【自然と、2人の視線が男へと注がれる。彼らも、男の自己紹介を気にしているのだろう】

/すみません、そろそろ限界です……持ち越しか、置きスレか、お願いします
864 :マリオン・リヴァーズ ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/11(木) 00:38:40.15 ID:oxDfi5Qio
>>863
/ちょうど話もキリが付いた感じですし、次で〆にすることも出来ますがどうしましょう?
/もちろんまだやりたいことがあればお付き合い致します、その場合は明日に持ち越しということで……
/明日は19時ぐらいから居るかと思います
865 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage]:2015/06/11(木) 00:41:44.38 ID:tI1jxNz10
>>864
/流れとしては、次で〆の方が綺麗かもですね
/その場合は、申し訳ないですが先に落ちさせてもらいます……改めて、後日挨拶させていただくと言う事で
866 :マリオン・リヴァーズ ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/11(木) 00:45:28.10 ID:oxDfi5Qio
>>865
/了解です、〆レス等は何時でもそちらの都合の良い時で結構ですので〜
/お疲れさまでした!
867 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage]:2015/06/11(木) 00:50:11.21 ID:tI1jxNz10
>>866
/はい、それではお先に失礼しますー!
868 :マリオン・リヴァーズ ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/11(木) 01:51:31.10 ID:oxDfi5Qio
>>863

【節制に節制を重ね、自分と世界を律し続ける果てに『GIFT』に行き着いた女。そう改めて認識すると、彼女の修道女姿も逆に"らしく"すらある】
【何より、その"異端"さが面白いのだ。彼女の経歴、そしてこれからを想像するのが。――悔しいが。『GIFT ACADEMIA』出の平凡な自分よりよほど】
【……果たしてこの狂気の塊のような男が、誰かを仲間と認識することがあるかどうか。そこは保障しかねる部分もあるけれど】
【少なくとも、この先ローディアと青年の邪魔することは無いはずだ。むしろ男にそれだけ譲歩させたことが二人の"格"の証明でもあった】


マリオン・リヴァーズ――――主な担当はそこの女と同じ実働任務だ。
最近はもっぱら、忌々しいレイリスフィードの連中をブッ潰す指揮をしてるがね……。
オマエに両親を殺させた男の名だ。しっかり覚えておけよ? ま、恨むか崇めるかは勝手にしていいがな――。


【そして男は、少年だけではなく、ローディアとジルバールにも向けて。口が裂けんばかりの凄絶な笑顔を浮かべて名乗りを上げる】
【もしかすると、過去の報道や組織内の報告書などで知っているかもしれない。既に何度か大々的な活動を行っている名前だ】

【憎悪と従順が織り交ざった、目の前の死体のようにグチャグチャな瞳で、少年はマリオンを見やる。だが見るだけで、何もしない】
【――彼は今宵、無能力者としての"身の程"を知った。自らの立ち位置を弁えたのだ。それがあれば『ACADEMIA』でもやっていけるだろう】
【気のせいかもしれない。けれど狂気に塗れた瞳の奥、マリオンの表情にほんの少しだけ、安堵と満足が浮かんだように見え】


じゃあな、ローディア、ジルバール。悪ィがオレはまだ仕事が残ってんだ、ソイツの事は任せる。『ACADEMIA』まで連れてってやれ。
――おいメリッサァ!! 仕事は終わった、掃除屋を手配しておけ!!!

ククッ、ひひ、ははははははははははッ!! しっかしたまにゃあ良いこともあるもんだ。日頃の行いって奴かね?
今日は楽しませてもらったぜェ、お二人さん! オマエラのことは覚えておく。お互いそれまでにくたばってなきゃあ、またどっかでな。


【マリオンは最後に少年を睥睨し、それから二人へ楽しげな視線を投げると、懐から通信機のようなものを取り出して部下へ指示を出す】
【……その直後。周囲のビルや商店の窓、それまで何も無かった筈の場所に突如、不気味な人形のようなものが数体現れるだろうか】
【右腕の機銃を構えた『GIFT』製の戦闘用ドローン、名は『クグツ』。広場をいつでも狙撃可能な位置に予め配置されていたようである】
【どういうトリックか、随分周到な手口。だがそれはあくまで仕事を邪魔する者が現れた際の保険だ。『クグツ』達は黙って窓の奥へ消え】

【狂ったような高笑いを残し、マリオンは去っていった。少年はその背を最後まで見つめていたが――最後は大人しく二人に付いて行く筈】
【自らが選んだ道へ、迷うことなく進んでいくのだ。あの男のソレが写ったかのように、濁っているが"執念"に満ち溢れた双眸で――】


/お返ししておきます、お付き合いありがとうございました!
869 :“獣”・上 天辰・下 ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/11(木) 17:13:07.37 ID:6lbD66nDO
 【路地裏】

【獣の臭気が漂っていた。耳を清ませれば、微かな呻き声がしていることも分かるだろう】
【異臭と異音の元凶たる場所。そこは路地の奥、暗がりが満ちている処】
【居たのは、巨大な獣だ。その大きさは2mをも超す。ヒトの棲む街に居てはならない巨体だった】

【獣は通路に背を向け蹲っていた。漆黒の剛毛を持つ獣は、時折唸り声をあげる】
【奇妙なことに、獣の体毛は均一には生えていなかった。背中だけで何ヵ所も漆黒は欠けている】
【その代わり、そこからヒトの肌らしきものが覗いていた──しかし、毛のある部位の表皮は紛れもなく獣のそれなのだ】

【ぐ、るる、る、る。また獣が唸った。何かに苛立っているかのような呻きだった】
【ばたり、と獣は長い尾を地面に叩きつける。狼のものとよく似た、やはり漆黒の尾だった】



 【路地裏】

【一人の男が、何やら困ったような顔つきで佇んでいた】
【櫻の国出身であろう顔立ちの彼。着ている服はシャツにズボンという簡素なものだが、腰には一振りの刀があった】
【剣士という割には随分と頼りなさそうな表情を浮かべているのだが──それは、さておき】


……あの。その……こ、こっちに来ては、いただけない、で、しょう、か



【彼の目線の先には、1匹の猫。首輪があることから、恐らくは飼い猫なのだろう】
【にゃあんと猫は小さく鳴いて、あくびをひとつ。彼の狙いは、この猫らしい】
【どうせ誰かに「逃げた猫を捕まえてこい」などと言われたのだろう。割りとよくある話なの、だが……】
【この男。先日のエルジオでの一件で六罪王と戦っていた男なのだ。風の国の軍部かどこかに表彰までされていた気がする】
【名前は確か、天辰 櫻──いやしかし。こんな、猫の前で困り顔をしている男が六罪王と戦えるとは、些か信じにくかった】
870 :鳴子一颯 ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/11(木) 19:05:53.15 ID:oxDfi5Qio
>>869

【"ばったり"――そういう擬音が似合いそうな、奇妙で間の抜けた出会いだと少年は思った】
【……間の抜けたというのはお互いにという意味だ。原因はいわゆる歩きスマホというやつ。警察が熱心に注意を呼びかける理由もわかる】
【注意散漫な状態で歩いていた少年がふと顔を上げると、目の前にはもう、気弱な態度で猫を見つめる男がいて。しばし呆然と立ち竦む羽目になった】


………あ、あのー。
きみ、こんなところで何してるの?


【そんな少年の正体だが――黒いブレザーに赤いネクタイ、学生鞄。剣道部か何かなのか、背中には竹刀袋を背負った制服姿の男子高校生だ】
【前髪を上げた茶髪に、軽く驚いたような黒色の瞳。……よく見ると髪の根本は黒い、染料で染めてはいるが元々は黒髪なのだろう】
【どこにでもいそうな平凡な少年で、どこにでもいそうな櫻の国出身らしき風体。不自然なことといえば路地裏の"奥"から歩いてきたぐらい】

【とはいっても、彼に害意のようなものはまったくなく。ただ戸惑いの表情で、とりあえず男に声をかけてみるのだった】
【……あれ、でもよく見ると、最近ニュースだったか雑誌の記事だったかで見た顔のような。そんな風に思ったのはしばらく後のことである】


/まだいらっしゃいましたら……
871 :天辰 ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/11(木) 19:42:34.33 ID:6lbD66nDO
>>870

【声をかけられ、そちらを向く。ずいぶんと気の抜けたような笑みを、彼はそっと浮かべた】
【それでも猫に意識を払うことは忘れていないらしい。あくまで少年に対し視線を向けつつも、そろそろと腕は猫にむけて伸ばす】
【──少年に集中してますよ、という猫へのアピールなのだろうが、悲しいかな。猫にはまったく効果がなく】
【ばりという音と共に、猫は彼の指先を引っ掻くのだ。予想外の攻撃に、男はびくりと腕を引っ込める】


〜〜〜〜〜ッッッ!! い……痛、た、た、た

あ、いえ、その……あの、こ、こう見えても、仕事中、でし、て……
この子を捕まえてきてという、そんなお仕事なんですよ……あ、ははは……
あまりうまくは、いっていませんけれど、ね?


【引っ掛かれた指先を、軽く吸う。猫に対して怒らないのは、彼自身がそういい性格だからだろう】
【むしろ怒るどころかますます困った表情を浮かべる始末。はっきり言えば、相当ダサかった】

【「そっちの方、危なくなかったですか?」 指先を吸いながら、彼は少年にそう問いかけた】
【路地裏の奥から出てきたのだ。それが学生であるならば、警戒より先に心配するのがある意味自然なこと】
【「猫さん、大人しくしていて下さりませんか」と猫にお願いしつつ、猫と少年とを交互に見る】
【どちらのことも気になるのだろうが……やはり、なんというか、ダサかった】

【ちなみにこの男。先日のニュースばかりでなく、たまに雑誌の広告欄にも写真が掲載されている】
【天辰警備会社の跡取りだとかなんとかで、会社のPRもしているのだが──】
【元より広告欄など読まない人は徹底的に読まないだろうし、仮にその写真を見たことがあったとしても、写真の中の「彼」はもっと凛々しく写っているのだ】
【猫を追いかけている彼=天辰だと気付かなくても、仕方ないといえば仕方ない。──ふぁ、とまた猫があくびをする】

/気付くの遅れましたがいます!
872 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage]:2015/06/11(木) 19:55:41.65 ID:tI1jxNz10
>>868

……ほぉ、あなたが……
「フロントに出ている名として、気にはなっていましたが……そういう、事ですか」

【男――――マリオンの名乗りに、2人はどこか感嘆した様子を見せる】
【過去の戦端で何度かその名を聞かれた、エースの一角を担う人物。期せずして邂逅の機会を得られた事に、共に思う所があったのだろう】

(……こういう心の持ち主は、遮眼帯をつけた馬車馬のように、淡々とひたむきに道を往くものです……
 この少年、『INFINITY』に適合さえすれば……恐ろしい程の力を持つに違いない……!)

【後輩たちの戦技教導担当として、ジルバールは少年の様子をつぶさに見つめ、そこにハッキリとした手ごたえを感じていた】
【こうした強烈な体験を以って価値観を書きかえられた人間と言うのは、とてつもない領域にまで先鋭化される】
【問題は、能力発現の鍵である『INFINTY』に上手く身体が馴染むかどうかであるが――――】

えぇ、任されましたよ。帰還ついでに、しっかりとこの子の環境を整えておきましょう……!
「あなたも息災で、マリオン。共に選ばれし者の世界を目指しましょう……」

【少年を預けられ、確かに頷いて見せるジルバールとローディア】
【方やジルバールは、正に主任務の中に関係する事柄なのだ。ここから先の事はご案内だろう】
【ローディアも、静かにマリオンに言葉を返す。杖の先端の鈴が、小さくシャランと音を立てた】

……これは。……随分と堅固に周囲を固めていた様ですね
「……敵対者を望んでいた様子も、これなら分かりますわね……完全な罠の巣ですわ」
あ、なるほど。そう言う事ですか……――――まぁ、良いでしょう。過ぎた事です……さあ、行きましょう……!

【周囲の窓のいくつかに垣間見えた狙撃手の姿に、思わずジルバールは唸る】
【ローディアの読みとった『意図』を聞いて更に、マリオンのやっていた今回の『見世物』には、見た目以上の意味があったのだと】
【ふと新たな感慨に耽りそうになるが、預けられた少年の事を忘れてもつまらない――――素直に、一行はその場を後にする】
【――――スイーパーも手配された以上、今宵1人の少年が血塗られた道に足を踏み入れた事は、夜の闇以外誰も知る由は無かった】

/遅くなりました。乙でしたー!
873 :鳴子一颯 ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/11(木) 20:07:43.64 ID:oxDfi5Qio
>>871

【……軽い気持ちで画面に熱中していたら路地裏のコワイヒトとぶつかってそのまま、なんてオチにはどうやらならなさそうだ】
【とりあえず悪意の感じられない男の笑みに、少年はひとまず嘆息した。歩き慣れた道とはいえ流石に油断が過ぎたか】
【なんてことを暢気に考えていると、小さな悲鳴が上がって。……あれはちょっと痛そうだ、肉体的にも精神的にも】


まぁ、この辺の道の人柄はだいたいわかってるから大丈夫だよ。
そういう意味じゃ、ここできみと会ったのはイレギュラーだったんだけど……良かったよ、悪い人じゃなさそうでさ。

えっと――それで。見間違いだったら申し訳ないけど。
きみって天辰警備会社の"天辰 櫻"さんじゃない? あー、それかその人の兄弟とか……。


【少年はこの辺の道に詳しい様子だ。それも道を指して人柄などと言えるほど、あるいはどういう人種が何時頃に通るかまで把握しているのか】
【こういう妙に情報通なタイプの学生、学園ドラマとかに一人はいそうな感じだ。……ただまぁ、少年も少年でややイレギュラーではあって】
【改めて男の顔を覗き込んでみると脳内に軽い"アタリ"があった。スマホで検索をかけて一応確認し、少年は男の素性を推察する】
【警備会社の情報なんて、ふつうの学生からは果てしなく縁遠い話である。よほど積極的に”そういう話”を収集しているのか】
【……まぁ、それでも若干自信なさげなのは、やっぱり写真の人物と男の印象があまりに違ったせいなのだけれど】

【それはともかくとして――話題に紛れるようにしつつ、少年がさりげなく立ち位置を変えるのが男には解るだろうか?】
【大っぴらに「手を貸すよ」と言わないのは猫にバレないようにするためか。そのまま行くと、最終的には少年が猫の逃げ道をひとつ塞ぐ形になる】
【少年をうまく利用しつつそちらも立ち位置を調整すれば、猫を挟み撃ちにできるかもしれない……】
874 :天辰 ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/11(木) 20:30:56.30 ID:6lbD66nDO
>>873

【大丈夫だと言われれば、やはり彼は情けない笑みを浮かべるのだ。「そうですか、ならいいんですが」──どうも、割とお人好しらしい】
【天辰 櫻かと聞かれれば、「あぁ、そうですよ」とあっさりした回答。兄弟かどうかを聞かれても、特に憤りはしなかった】


このあいだのエルジオの一件で、少し有名になってしまって──まぁでも、こんなこともしているんですよ
あ、ははは。あれ以前から、実際僕と初対面の人には本人かどうかよく疑われていましたが……


【「兄弟は、姉上しかいないんですよ」「印象と違いましたか? その、申し訳ありません」】
【「珍しいですね、学生さんでしょう?」「その……警備のお仕事に、興味おありなんですか?」】
【──そんな言葉を投げつつ、天辰もまた少しずつ動き始める。どうやら少年の意図に気付いたらしい】

【猫はヒトの言葉を理解できるというが……彼らの意思を敏感に察知したのか。ピンと耳をたてると、たんと大きく跳躍】
【その直後に天辰が猫へと飛びかかるも──「ふ、わぁ!?」 ぶに、と無様に頭を踏まれてしまう始末】
【とことん締まりのない男だ。或いはこの猫が、人をバカにしまくっているのか】
【天辰の頭を踏みつけた猫はそのまま彼の頭を蹴り飛ばし、敢えて少年によって塞がれた逃げ道へと向かう】
【こいつ……天辰の次は少年の頭も踏むつもりか。軽やかに駆ける猫。猫の脚に力が入る】
【そしてそのまま、跳躍が叶えば猫は少年の頭を踏みつけて逃げようとするのだ】
【猫の動きを見ていれば狙いは明確。路地裏の奥に逃げ込まれる前に、少年の頭を猫が踏む前に、猫を止められるか──!?】
875 :鳴子一颯 ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/11(木) 21:00:52.76 ID:oxDfi5Qio
>>874

【……今更過ぎるしあまり重要でもないが。会社の跡取りなんて言うからには、いよいよ年上の可能性が出てきたなぁなんてばくぜんと考えるも――】
【相手の年齢がわからなくて、かつ態度が気弱なタイプだと、つい中途半端なタメ口で話してしまう。悪い癖というかなんというか】


あぁ、やっぱり本人だったか。
……こっちが知ってるのにそっちが知らないのは不公平だよね。ぼくは鳴子一颯、レイリスフィード学園の生徒だよ。

えーっと、あはは……ゴメン。別にそういう仕事に興味があるわけじゃないんだ。
そのエルジオの一件で何人か表彰されてたじゃない? その人たちを軽く調べていったらきみがいたってわけでさ……。


【あからさまにほっとしたように、少年は息を吐いた。人違いだったら赤っ恥だ。……それでもこの男、天辰なら怒りはしなさそうだったけれど】
【少年は名乗りついでに彼の疑問に答える。レイリスフィード学園――大きな学校だが"能力"の扱いに関して妙な制約があると聞く、若干ワケありの場所】
【それから若干ばつが悪そうに、鳴子一颯は後頭部を掻くだろうか。何だかあれだけ情報通っぽい雰囲気を醸し出しておいて格好悪いのだが】
【彼の会社については、残念ながら、先日の風の国の事件で天辰が表彰されたことで初めて知ったクチらしい……】


無学でごめんよ。差し支えなければ教えてくれないかな?
天辰警備会社って―――ぐわっ!?


【――天辰の話に気を引かれていたのと、予想外に猫が狡猾だったのと。その辺りが重なって、一颯の方も猫に対応するのが遅れてしまって】
【無惨、同じく顔面を踏みつけられ。そして猫は自由へ向かって跳躍――する、のだけれど。やはりこの少年、色々とイレギュラーであった】
【一瞬の迷いはしたが"能力"を解き放つ。人をバカにするのは結構、だが曲がりなりにも妖怪が"バカし合い"に負けるわけには行かない――】

【刹那、路地の奥から突如として"銀色の突風"が吹き込むだろう。櫻の国出身の天辰なら解るか、風に乗った銀の力は"妖気"と呼ばれるモノだ】
【彼または彼女に抵抗の手だてがなければ、猫は空中で突風に煽られて失速し、一颯と天辰との間に不時着する羽目になるはずである】


いててて……それで、きみの会社ってどんな仕事してるの?
ペット探しから六罪王撃退までって、範囲が広すぎてちょっと想像付かないんだけ――どっ!!


【そして、その企みが成功した場合。さっき言い掛けた疑問を口にしつつ、一颯は着地間際を狙って素早く猫に両手を伸ばして、軽く押さえつけようとする】
【それで捕まえられればそれでよし。多少暴れられても天辰が加勢してくれれば、少々強引だが捕獲できるだろうという作戦だ】
876 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2015/06/11(木) 21:07:02.32 ID:9KU8ZLUko
>>857

いえ……此処に住む野生の鷹で御座いましょうか。……竜も出るような場所ですもの、自然と肝も据わるのでしょう。
……そんな事より、行きましょう。私もいつまで立っていられるか分かりません……!

【傷は深い。絶え間なく走る激しい痛みが心身を苛む。―――それでも、前に進まなければならない】
【最初にも言った通り、愛する人の為なら痛みや傷など覚悟の上。これしきの傷で、立ち止まる訳には行かないのだ】
【気を紛らせる余裕はない。痛みに気を取られる時間の猶予もない。傷を負った肩を庇うようにして教会に歩みを進め】

【棺に入った遺骸を前にして、マリアはそっと手を触れる。―――微かに感じる、親しい者の心の脈動】
【確信めいた感情が胸を満たす。微かに、弱々しく、それでも……彼は、其処にいる――――!】

(―――貴方。其処に居るのですね?……消えずに、居てくれたのですね。)
(……早く、此処から救い出さなくては。―――今、助けますからね……!)

【魂は生あるものに宿る。―――つまり、命を失った遺骸に残る魂はいつ消えても不思議ではないということでもあり】
【事実、意志の残渣はかろうじて残ってはいるものの不明瞭。一刻も早く命あるものに魂を移さねばならない……!】
【―――ここで、もう一度ダグラスの「想像した物を現実に引き出す」能力が大きな意味を持つことになる。】
【マリアはダグラスに向けて、自分の考えを告げる。この場を切り抜ける、恐らく最善の方法を―――】

―――ダグラスさん。……貴方は、「生命活動のある肉体」を創造する事は出来ますか?
意志を持った人格は必要ありません。ただ「魂の入っていない、生きている人間の形をした身体」だけで十分で御座います。
そう……魂を移す「器」が欲しいのです。仮初でも良いので、魂を安置できる器が……

もし可能でしたら、私はその肉体に魂を移します。―――限りなく禁術に近い、難しい魔術にはなりますが……

【今まで、瞬時に様々な物を創造する目の当たりにした。―――彼なら、器を作り出すことが出来るかもしれない】
【親友なら、恐らく姿形は良く知っているだろう。肉体だけならフレデリックに似せる事もできるか】
【その肉体に、魂を移す。―――アーグが自分自身の魂を使ってフレデリックの肉体に行った禁術に近い術式】
【魂のある肉体を強引に奪う訳では無い分、「禁術」の域ではないが……それでも、高次の魔術であることに変わりはない】
【だが、為さねばならぬ。己の持ちうる全ての魔翌力を使ってでも―――】

【ダグラスだけでは魂を移す事は出来ない。マリアだけでは肉体を創造する事は出来ない。二人が共に居て、漸く成し遂げられる】
【友と、妻と。フレデリック・シャリエールという男を強く想う二人だけが、この救出劇を成すことが出来るのだ】
【マリアの表情は引き締まっている。―――彼女の覚悟は、もう決まっているようだ】

【もし其れが不可能であるというのなら、次善策も用意してあるが……】
877 :天辰 ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/11(木) 21:28:11.74 ID:6lbD66nDO
>>875

【びょーんと顔面を踏みつけ、悠々と跳躍する猫。腹立たしいことに、その表情は明らかにドヤ顔だった】
【──しかし、突如ひゅうと妖気が路地裏に流れ込む。それに怯えてか、猫は目を大きく見開く】
【風に煽られ、猫らしからぬ無様な着地を披露。どうやら妖気にビビって腰でも抜かしたらしく、そのまま猫はあっさりと取り押さえられるのである】
【一颯の機転により猫は無事確保できたのだが、肝心の天辰はといえば──】


ふ、ふぇえ……ず、随分とお転婆な猫さん、です……、…………あ

……あはは、は、は……な、なんだか情けないところを見せてしまいました、ね……
それに、仕事の手伝いだって……いやぁ、ありがとうございますね? ごめんなさい……


【猫につけられた泥を払い落としつつ、ようやく姿勢を立て直して一颯に向き直る始末。確実に、一颯がいなければ猫に逃げられていたはずだ】
【へらりと笑い今一度少年に対して礼の言葉を告げれば、持っていた大きめの洗濯用ネットをポケットから取りだし猫をその中にいれるのだ】
【──猫用ケージはなかったのだろうか。いや、多分なかったのだろう】
【猫を無事洗濯用ネットに入れることが出来れば、一先ずは一件落着である。猫の方は、だいぶご機嫌ナナメであったが】


……はぁ、お陰様で助かりましたよ、一颯さん。本当に、ありがとうございます

それにしたって、どこかで見た制服だと思いましたが……レイリスフィードの方、だったんですね
あの学校はてっきり、無能力者の方ばかりと思っていましたが……そうでも、なかったのでしょうか?


【洗濯用ネット入り猫は、とりあえず地面に放置する。腕に抱えて、ネット越しに噛まれたくはないのだろう】
【そして天辰は、一颯の疑問やらに少しずつ答えていく。警備に興味がないとの言葉には、「それもそうですよね」と軽く返すだけであったが……】


僕の会社は割と、なんでもやるんですよ。基本的には、警備が主な仕事ですが
あぁ、だから街の外に化け物が出れば、チームを組んで応戦することもありますね……
広義で見れば、それだって街を護る警備のお仕事ですから

でもほら、毎日毎日そういうことがあるわけでもないでしょう?
なので暇な時はこうやって、猫探したり犬探したりするんです
あぁ、もちろんビルや要人の警護をする時もありますが……


【「なので、猫を探しているのは、街が平和な時なんです」 天辰は笑って、そう答えた】
【なるほど。警備の仕事だけでは会社は成り立たないから猫探しというわけか】
【いや、それにしても業務の幅が広すぎる。警備会社というよりもはや便利屋状態だが──それは天辰自身が一番感じていることなのだろう】
878 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/06/11(木) 21:31:03.55 ID:hMygQ1i1o
>>876

【『生命活動のある肉体を想像出来る』か――その質問を受けた時】
【ダグラスは意外そうな顔をした。言うなれば、『考えたことも無かった』ような。】

【当然といえば当然、なのだが。彼は芸術家であって、召喚士ではない】
【先ほどの戦いで創りだしたのも全ては無機物であったし】
【恐らくこれまでも試したことがないのだろう。けれど、ふと首をひねれば】


まあ……ここだけの話、僕の能力っていうのは想像や理解が深いほど
その生成物の出来が変わってくる所があってね。

だからこそ月はリアルに作れたし、逆に銃は適当なんだ。
……で、フレデリックの肉体だっけ。結果から言えば、"余裕"だね

彼は何かと問題のある人物だったけれど……僕の中の、いわゆる理想の男性像…――。
それがまさに、あんな人なのさ。愚直で、信じるものがあって、自分に厳しい。
……自分が細身だから、妙な憧れみたいなものもあってね?それで――


【椅子が創りだされる。やや大きめで剛健な角材が用いられた、玉座のようなそれ】
【会話をしながらそこに出現するのは、真っ白なローブを身にまとい】
【しかし項垂れた、筋骨隆々の男性の肉体。――集中など、するまでもない】

【自身の抱く男女の観念の、一方の根幹を成す存在を創りだすのだ】
【言葉が切れる頃には、そこにフレデリック・シャリエールの――その姿を模した人形が出来上がっていて】


……それで、この人形にキミが魂を移す訳だ。
失敗、しないでね。君が彼を好いているように、僕も彼が好きなんだ
同じ姿をしたのが歩きまわってると……フフッ、口汚くなるから、止めようか。


【『じゃあ頼むよ』と一言告げる。既にダグラスの成すべき事は終わったのだ】
【後は妻であるマリアの仕事。その背を押すように、鷹が甲高く鳴いて飛び上がった】
879 :鳴子一颯 ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/11(木) 22:02:32.29 ID:oxDfi5Qio
>>877

【柔らかい毛の感触と動物特有の温もりが手のひらに伝わる。とりあえず一件落着のようだが――】
【「だ、大丈夫?」と声をかけ、一颯は天辰を見やる。……これで六罪王と渡り合ったというのだから。相当オンオフの激しいタイプなのだろうか、それとも】
【……よりにもよって洗濯用ネットに詰め込まれる猫を見ているうち、そんな考えは流される。ちょっと可哀想だがまぁ、人をバカにした罰か】

【僅かに"妖怪"の片鱗を見せた一颯だったが――「仕方ないなぁ」、といって猫の頭を撫でようとした瞬間だった】
【空気をザラつかせていた妖気は一瞬にして跡形もなく霧散。そこにはもうただの人間にしか見えない少年がいる】


うちは無能力者の人も沢山居るけど、同じぐらい能力者の子も多いんだよ。
……ぼく個人としてはそんなに好きじゃないんだけど、"能力者を能力に頼らず自立できるよう教育する"っていうのが方針の一つなんだ。
むかし自分の能力のせいで酷い目にあった子とか、周りを酷い目に遭わせちゃった子とか、そういう子にとっては確かに最高の学園なんだけど。

そのせいで『GIFT』に目を付けられたりして、上の方はてんてこまいみたいだよ。色々手回しはしてるみたいだけど……。


【無能力者を普通に教育するのはもちろんのこと。能力者たちも、能力に頼らず"一般人"として生きる術を身につけて欲しい、というのが学園側の考えだ】
【まぁ、目の前の一颯が能力の使用を躊躇わなかったのを見ればわかるとおり。生徒も教師も、宗教じみた一枚岩でないのが幸いだが――】
【基本方針がそんな思想なので、母体である"レイリスフィード大学"共々、テロ組織――かの『GIFT』に目を付けられてしまっているという】
【元々面倒臭いのが、ここ最近はさらにキナ臭い雰囲気を漂わせている感じだ。……一颯の口調は軽いが、あまり笑える話ではない】


なるほど………チームを組んで出動することもあるってことは、そこそこ規模も大きいんでしょ?
その跡取りが、暇な時は先陣切って猫探しなんて―――ふふっ、面白い会社だ。

……あ、でも当然、天辰さんは会社で一番腕が立つんだよね? さっきもぼくの"妖気"を見て驚かなかったし。


【ペットの捜索から化け物退治まで、街の内外のあらゆる脅威から市民を守る仕事というわけか――】
【一颯は「面白い」なんて言ってクスクス笑い出すが、それが嘲りの意味でないのは明らかだ。自らもいち市民として、彼らの方針が気に入ったという意味での言葉】
【そしてさりげなく、一颯は天辰の腰元の刀へ目をやって、悪戯めいた台詞を吐くだろう。会社のトップが一番強い、というのも子供じみた発想だけれど】
【六罪王アインと対峙した天辰櫻と、天辰警備会社の跡取りの天辰櫻と、目の前の天辰櫻――なんとも謎は深まるばかりで、軽く探りを入れてみたりする】
880 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2015/06/11(木) 22:20:09.14 ID:9KU8ZLUko
>>878

―――凄い……―――!

【―――「余裕」。その一言に集約される、ダグラスの驚異的な能力の質。……生きた人間を作るのも、余裕とは】
【人間の体を作るなど、科学技術にしろ魔術にしろ考えられない程に高度な次元のものになる筈なのに】
【この男はいとも簡単にやってのける。片手間という言葉が似合いそうな程に、簡単に。】

【―――気が付けば、其処に見慣れた姿をした「体」が出来ていた。】
【魂が入っていない為か、身体ばかり大きくても圧倒的な存在感・威圧感は感じる事は無いけれど】
【完璧な肉体だ。さらに言えば、本来なら失った筈の手足も作られた肉体には繋がっている】

【彼の作る物は、想いが強ければ強い程完成度が増すという。ならば、これも友への想いの表れなのか】
【だとすれば……その想いが紛れも無く本物である事は、作られた肉体が証明している。―――本物と言って、差し支えない】
【素晴らしい。これなら、魂の受け皿として申し分ない。……あとは、己の腕次第】

―――失敗など、するものですか。貴方のように「余裕」という事は出来ませんが……
貴方と私の想いを背負っているのですもの―――失敗するわけには、参りませんよね。
さあ―――始めましょうか!

【マリアは微笑む。―――二人分の掛け替えの無い思いを背負って、掛け替えの無い者を救うべく】


【―――そして、静かに魔術を紡ぎ始める。魂の残る遺骸の左胸に手を触れながら、清水の如く澄んだ声色が響き渡り】
【教会がそのまま結界のような状態になる。ピンと張りつめた空気は、一切の揺るぎをも許さない程で】
【空間に彼女の魔翌力が充ちていくき―――やがて、マリアの体を薄く暖かい色合いの光が帯び】
【次の瞬間、彼女の背に現れるのは暁光の如き輝きを放つ翼。その姿はまるで天使が地上に降りたよう】
【呪われた禁術と言うより、むしろ祝福や聖なる儀式のような空気。ある種の美しさも感じられる程で】

【やがて、彼女は遺骸を離れ空の肉体の傍に寄り―――もう一度、先程のように左胸に手を触れて】
【そのまま数分経っただろうか。フッと彼女に帯びていた光と翼が消え―――】

―――……―――

【―――次の瞬間、空だった肉体には魂が宿っている事だろう】


【―――術の成功と同時に、彼女は力尽きたようにその場に倒れ込む。文字通り、力を尽くしたのだ】
【息はある。意識もまだ微かに残っている。傷を負った事と合わせて、体力を使いきっただけのようだ】
【覚醒したフレデリックが最初に目にするのは、目の前で倒れている自分の妻の姿になるだろうか―――】
881 :天辰 ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/11(木) 22:30:49.77 ID:6lbD66nDO
>>879

【心配そうな声をかけられれば、相変わらずなよっとした表情を天辰は浮かべるのだ】
【その姿は、六罪王と渡り合えるような戦士には到底見えない。むしろそこらのチンピラにすらビビりそうな優男であった】
【一方洗濯用ネットの中の猫は、最初の方こそ一颯を警戒していたが……妖気が消えれば大人しく撫でられるのだ】
【さすがは小さいといえども獣。その辺りの気配に関しては、人間以上に敏感なのかもしれなかった】


あぁ……そういう教育方針だったのですか
如何せん、僕は櫻の国で育ったもので、こちらの教育機関には詳しくないのですよ……

しかし、時折ニュースで見かけるところですが……なるほど、それならGIFTに狙われても仕方ないですね
話を聞いて納得ですよ。……はは。もしかしたら、いずれお仕事でそちらにお邪魔するかもしれませんね?


【「僕としては、そういうことにならない方が嬉しいですけれど」──笑えない話を、さらに笑えない話題で返す】
【天辰の会社は警備会社。ならば学生や教員たちの安全を護るために、レイリスフィードに派遣される可能性はゼロではないのだ】
【そうなってほしくない。そう思いはしているものの、安易な慰めを天辰は得意とはしていなかった】


まぁ……確かに規模はそこそこ、ですね。さすがに聖都や水の国のオフィス街に本社ビルを建てられるほどじゃ、ありませんけれど

それに……跡取りとはいえ、今のところそんな大きな権限は与えられていませんよ
せいぜい、チームリーダーになって皆さんを率いるくらいです
ほら、確かに僕は跡取りですが、まだトップではありませんし──若いですから、ね
父上なんかは本当に、お強いです。その周囲の方々も……あはは、年の功といいますか、なんといいますか


【「それに、若造が会社トップの実力なんて、マズいじゃないですか」 そう天辰は言った】
【謙虚な性格だった。跡取りである自覚はあるが、それを振りかざしているわけでもない】
【今こうやって猫探しをしているのも、将来会社を率いるための経験を積んでいるのだろう】
【ようやく、違って見えた複数の「天辰 櫻」が重なってみえてくるところ、だろうか】

/申し訳ないです、早いですが落ちなくてはいけなくなりました
/このまま続けるか締めるかはお任せします。続けるのであれば、明日は昼くらいから再開できるかと
/では一先ずはこれにて。お疲れさまでした、ありがとうございました!
882 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/06/11(木) 22:51:52.09 ID:hMygQ1i1o
>>880

【倒れこむ女性――その身を受け止めるのは、苔むした教会の床】
【では、無くて。些かひやりとしていたが確かに温度のある、柔らかくも力強い】
【そんな、覚えのあるだろう腕の感覚。膝を付き、両腕を差し出す形で】
【マリアが倒れるよりも早く抱き留める。まだ、満足に動けるはずもなかったが】


いやぁ……愛の力って奴かな? それとも、偶然身体が動いた、とか。
……フフ。僕からすれば、スケッチでしか知らなかった
人体の構造っていうのが間違っていなかったことを喜ぶばかりだけれど。

というわけで……おめでとう、ミセス・シャリエール。
君は無事に、最愛の人物をこの世に呼び戻せたというわけ、で…――ッ!


【――腕が動けば拍手をしただろうし、『さっきのは後で絵にしておくね』】
【なんて事ぐらいは言いそうなダグラスの言葉が、強引に途切れた】

【アーグの襲撃か、先の鎧が甦ったか。しかし、事実はそんなものではなく】
【マリアを抱き留めた片腕が、真っ直ぐにその減らず口を叩いたのであった】
【つまり、殴ったのだ。先の動きはともかく、今は"彼"の意志で、確実に】

【微かな意識の中で届くかは分からないが、じっと向ける瞳は】
【以前のような静かな力を感じさせ、肌の感触すら全く再現されていて】


……友として、次に会ったら殴ると決めていたのでな。
 状況は些か飲み込めておらんが…――マリア、お前はまた無茶をしたな?

……あぁ、そりゃどうも。両腕の上に口まで使えなくなるところだったよ。
彼女が喋れるなら良いけれど……今は、脱出するのが先じゃあないかな
というわけで、この言葉は聞こえるのかな。……あとその旦那様、本物だって確信は?


【魂の扱いは、ダグラスには分からない。果たしてこの言葉を発するのが】
【妙な邪霊でないのか。それだけ――恐らく分かりきったことではあろうが、確かめて】

【話すのも辛いようであれば、まずこの土地から脱出を図ろうとするだろう】
【大柄な身体で体力を喪失したマリアを抱えて、その後にダグラスが続き】
【広場の壁面に螺旋階段を作り上げて、外へ。山脈の中腹へと、出ることになるが――。】
883 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2015/06/11(木) 23:23:57.58 ID:9KU8ZLUko
>>882

【体に力が入らない。まるで別人の身体のように、感覚が無い。きっとそのまま倒れてしまうと思ったけれど】
【床に倒れる衝撃がその体を襲う事は無かった。―――誰かが、倒れる自分の体を受け止めてくれた】
【薄れゆく意識の中でも、その誰か≠ェ誰であるかは直ぐに分かった。少し懐かしい、抱き留めて貰う感覚】
【もうダグラスの軽口に応じる気力は残っていない。少し可笑しそうに微笑むけれど】
【フレデリックの言葉にはこれまた可笑しそうに笑って。浅い呼吸と共に、途切れ途切れながら応じる】

―――貴方を救う為なら……、……多少の無茶はする女だって…………ご存知でしょう……―――?
ふふっ……お帰りなさい、貴方―――

【―――その言葉がそのままダグラスへの問いかけの答えにもなろうか。少なくとも彼の妻は、本物だと確信している様子】
【無茶を窘められるけれど―――多少の無茶なんて、最愛の人の窮地を救う為なら厭うものか】
【夫の窮地を救う事こそ、妻の務め。いままでも、そしてきっとこれからも―――時には無茶をしてでも、彼を支える】

【さて。話すことさえままならぬ、と言う程では無いが……体力が尽きているのは変わりない事も確かで】
【体も動かぬのだから、此処から先は抱えられるまま共に行動をする事になるだろう――】
884 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/06/11(木) 23:39:56.40 ID:hMygQ1i1o
>>883

……あぁ、ただいま。未だに状況は掴めんが……まあ、良い。
 ダグラスが居る、それから魂という言葉でなんとなくの事情は掴めたよ
 まずは離脱するのが良いらしい…――少し休んでいろ、マリア。

【小さな笑いを見せる。その表情は、以前と同じく厳格で、仄かに優しく】
【両腕でしっかりと妻を抱きかかえれば――後は、脱出だ】

【壁面を登りきれば島に連なる山脈の、およそジャングルとの境目に出ることとなる】
【潮の混じった風が涼しい。燦々と降り注ぐ陽光が二人を照らしだし】
【またその背後で、ダグラスがまた何かを作り出していた。――マグマ、だったのだが】
【縦穴や、自分が来たという証拠ごと溶かして埋めてしまおうという腹積もりらしく】

【それも終われば、やがて最初に出会った砂浜へと戻ることになるだろう】
【此処なら獣も来ない。必要であれば休息所もあって、まずはベンチに彼女を下ろすと】
【自分のその隣に座り――しばし、物語り。ダグラスも交えた状況の把握、となるわけで】

【――ちなみに、どうやらフレデリックは現在だと魔術が使えない様子であった】
【身体が馴染んでいないせいか、魂に関係するのかは、まだ何とも言えなかった】

/っと、此処からの展開ですが……
/1、今後の方策を話し合う
/2、一度別れて、方策は話したこと(舞台裏で)にする
/3、そちらから提案があればそれで
/という辺りで考えているのですが、如何でしょう?
885 :鳴子一颯 ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/11(木) 23:52:16.74 ID:oxDfi5Qio
>>881

【陰鬱な話題からほんの少し逃れるため、しゃがみ込んで猫に構ってやりつつ、一颯は黙って天辰の台詞を聞く】
【天辰とその仲間たちが護りに来てくれるのならば心強い。それに自分のことは抜きにしても――レイリスフィードの生徒にも腕の立つ人間はいるのだ】
【連中とぶつかって簡単に押し負けるほど層の薄い場所に一颯はいない。"正義"は負けはしないと、信じるべきなのかもしれないけれど】

【すっ、と一颯はほんの少し瞳を細めた。――黒い瞳が黒く光る、そんな錯覚、】

【――通りすがりの学生らしからぬモノをほんの少しだけ覗かせて、「ぼくもそうならないことを祈るよ」と表情を見せず言った後、一颯は立ち上がる】
【さっきと同じように。それは刹那にして消え去り、鳴子一颯は元の人畜無害な少年に戻っているだろう】


………、そっか。うん、色々お話聞かせてもらってありがとう。
新鮮だったよ、天辰さん。自警団とか警察とかSCARLETとか、あとUTとか、そういうのは知ってたけど……。
天辰さんのところみたいな組織に触れたのは初めてだったから。いやぁ、やっぱり世の中、どこにどんな実力者がいるかわかんないもんだね……。


【――気づいたら話を聞いてばかりになっていた。なんだか自分が社会人にインタビューしに来た学生みたいで、少しだけ苦笑】
【天辰自身、現時点で六罪王とやり合って生還するだけの実力者なのだ。それと互角、またそれ以上の者がまだ居ると思うと、空恐ろしい思いもする】
【もちろん、それは同時に、守られる側としてはとてつもなく頼もしい事実だ。……敵対しなくて良かったと思う反面、少しだけ残念でもあり】

【ひとりの"刀使い"として、天辰の刀が抜かれる所を見てみたかった気もした。一颯は肩口の竹刀袋――鉄の音のするそれを背負い直すと】
【そんな思いを振り切って、彼へ背を向けるだろう。元々帰宅途中だったのだ、あんまり長居していると家の者に怒られてしまう】


それじゃあ、ぼくはそろそろ行くね、天辰さん。……あ、猫、逃がさないようにね?
天辰警備会社、今度こそ覚えておくよ。それから、もちろん"天辰 櫻"のことも。
街の平和を守るなんてのは、ぼくには無理かもしれないけど。猫探しぐらいだったらまたいつでも付き合うからさ―――じゃあ、またね。


【単なる偶然の出会いにしては、有意義すぎるほど有意義な出会いだったように思う。やや上機嫌な様子で、一颯は表通りへ抜けていくだろう】
【次会う場所は変わらぬ日常の直中なのか、あるいはそれを壊さんとする何者かの前であるのか。それはまだ不明瞭だし】
【鳴子一颯、なんて名前の妙に事情通な学生がこの辺りにいたことを、天辰が後々まで覚えているかもわからないけれど……】
【――少年の方は、忘れず覚えているはずだ。自らと同じ櫻の風情を漂わせた、ちょっとばかし気弱な戦士のことを】


/了解しました、そこそこキリもいいのでここで〆と言うことで……
/ひと足先に失礼します、お疲れさまでしたー!
886 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2015/06/12(金) 00:17:24.31 ID:F142Hmkco
>>884

【休むように言われれば、言葉通りにする。もとより一番安心できる人の傍に居るのだから】
【既に動く事が叶わなくなってしまった体を預け、その場を脱出する事になるだろう】

【―――そして、一行は山を抜け浜辺に出る。……尤も、歩いているのは自分ではないのだけれど】
【何かあった時はいつもこうして抱きかかえて貰うのが、嬉しくもあり少し申し訳なくもあり】
【……今は、最愛の人が帰って来た喜びで大方埋め尽くされているのだけれど。】

【砂浜のベンチに下ろされると、彼女は力なくもたれ掛るだろう。身体が動かない分、今は彼女の方が人形のようだ】
【とはいえ、話すくらいの力は残されているようで……ダグラスと共に彼に現況の説明をする事になる】

【本来のフレデリックの体がアーグの魂に乗っ取られている事、そのアーグがフレデリックを名乗り破壊活動を行っている事】
【現在の肉体はダグラスが作った事、その体に自分がフレデリックの魂を移した事―――事の顛末を、仔細に】

―――そういう事で、貴方は長い間行方不明となっていたので御座いますよ。
……心配したのですよ。突然私や子供達の前から姿を消して――――……体まで乗っ取られて――――!

【……安心して、それまで張りつめていた心の糸が緩んだからだろうか。最後の方は涙声になっていて】
【聡明な彼なら、事情も理解できるだろうか。―――そんな状況なら、心配してしまうのも当然だろう】

【それから、ある物を手に取る。アーグが捨てた指輪―――彼女の親友が、拾ってくれていたもの】

……こうして貴方の指に嵌めたのも、丁度一年前で御座いますね……
―――もう、外さないで下さいね?

【優しい微笑みを添えて。―――丁度一年前と同じように、僅かに回復した体力でそっと指に嵌める】
【仮初の肉体でも、この特別な指輪は愛する人に嵌めていて欲しいから―――】

【これからどう行動を起こすかも、その後語られる。ネックは、「フレデリック」を名乗る物が二人いる事か】

//では、時間も遅いですし一度別れる事にしましょうか!
887 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/06/12(金) 00:22:54.90 ID:43tWlb8mo
>>886
/了解です、でしたらそのように……少々明日が早いので
/お返事は申し訳ないのですが、また後日させて頂きたく。
/今後についてもその時にお話出来たらと思います。

/ともあれ、まず今日はここまでということで!
/二日間に渡りお付き合い頂き、ありがとうございましたー!
888 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2015/06/12(金) 00:28:12.21 ID:F142Hmkco
>>887
//了解です!此方こそ有難う御座いました!
889 :天辰 ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/12(金) 22:20:20.39 ID:wlfGDoTDO
>>885

【立ち上がる一颯を、目で追う。ネットに入れられた猫も一颯のことを視線だけで追いかけ、にゃあと小さく鳴いた】
【そして、ありがとうと言われればまたへらりと彼は笑うのだ。遂に最後まで、彼は覇気やら気迫の片鱗すら見せなかったが──】
【戦いになれば、また違うのだろう。少なくとも、こんなへらへらした表情で六罪王と闘ったとは考えにくかった】


いえいえ……ほら、僕のとこは組織というより会社ですからね。あはは……言ってしまえば僕、サラリーマンなんですよ
まぁ、あんまり僕がサラリーマンサラリーマンと言ったら気を悪くされる方もいるのでしょうが……

……っと、こちらこそ引き留めてしまってすみませんでした、一颯さん
出来れば次会うときも、猫を探している時だといいですね?


【「あぁ、そうそう。就職先に僕のとこ、ご一考下さい!」 そんな、冗談か本気か分からないことを最後に言い、彼は一颯を見送るのだ】
【人手不足なのだろうか。確かに猫探しから化け物退治までなんて、若干ブラック臭漂うが……その辺りの事情は、次の機会にでも聞けばいいだろう】

【──銀色の妖気に、咄嗟の判断力。それに加えて一介の学生らしからぬ気配】【天辰もまた、一颯のことをすぐには忘れないことだろう。気弱な天辰には持っていない要素を、一颯は学生ながらに多く持っていた】
【羨ましいと、少し思った。利発そうで、行動力は抜群にある。このままならきっと優秀な若者として社会に羽ばたいていくはずだ】


……ふわぁ、最近の学生さんはすごいですね。真剣みたいな音も竹刀袋からしましたし……僕も見習わないと
あ、それじゃあ行きましょうか猫さん。……次は逃げないでくださいよ?


【満足に身動きの出来ない猫を、ひょいと抱える。不満そうな唸り声をあげる猫を見て、困った表情になる】
【「帰ったら飼い主さんいますからねー」と猫を宥めすかし、貴重な出会いに感謝しながら彼もまた、会社に戻るのであった】

/お返事が遅くなって申し訳ないです
/では改めて、ありがとうございました、お疲れさまでした!
890 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/12(金) 22:28:03.51 ID:fXrFNrBk0
【海辺――遠浅の海の先にある入り江】
【水はエメラルドグリーンに澄んで、足元の真っ白な砂と、泳ぐ魚の模様までもがよく見えた】
【月明かりに照らされて砂面には複雑な模様が映る、――そして、それが、ゆらりと足先に乱されて】

……よいしょ。

【久しぶりに水でない地面を踏んだ足元、じゃりじゃりと纏わりつく砂粒を踏みしめて】
【たくし上げていた長い丈のスカートをふわりと落とす、数度、それでも地面につかないかと確かめていたのだけど】
【大丈夫そう――と見れば、“彼女”はふうと小さく息を吐いて、ざっと辺りを見渡した】

【透き通るような金色の髪。毛先が巻いた癖毛はそれだけでなく、毛先のほうだけがピンク色になっていて】
【あどけなさをいくらか残す顔と、いやに鋭い勿忘草色の瞳。肩ほどの髪を、ざっくりと手で後ろに流すと】
【服は白と生成りのワンピース。布地が多く、体のラインはどうにも分かりづらいが、ただ、華奢であることと】
【背丈が百四十センチほどしかないのがよく分かる。――少女だった。高校生ほどの、女の子】

少し遠出したけれど……、まあ、これくらいの景色ならいいかしらん。
それにしても遠かったけども。……今日はどこかで泊まりだろうかね。帰れるかしら。

【そんな彼女の横にはふうわりと魔力光を放つ靄が浮かぶ、キラキラと、ラメパウダーを振りかけたようなら】
【勿忘草色をした綿菓子のようでもある。きらきらの粉をまぶした綿菓子が浮いている――そんな、イメージ」 
【そしてその靄の中には、彼女のものらしい靴が包まれて浮いていて。何らかの異能なのだろう、かすかに魔力の気配がする】

……それとも、今時期ならここで野宿できるかね。――無理か。

【一人ごちながら、少女はとりあえず、手近な岩に腰掛ける――足を僅かに揺らして、景色を眺める】
【知る人ぞ知る的ポジションの絶景エリア。街の砂浜から歩いて来られるが、よっぽど近い場所ではない、けれど、】
【とっても綺麗な場所なので――訪れる人は少なくないらしい、とは、余談だろうか】
891 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage saga]:2015/06/13(土) 01:44:28.56 ID:6u+UzTaso
>>890
/だいぶ遅い時間帯ですが、まだいらっしゃいますかー?
892 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage !red_res]:2015/06/13(土) 20:04:14.51 ID:hjn2JPkM0
【――――風の国 『サーガイアシティ』】
【一時広まった流言も、微かな緊張を与えただけで、その影響も夕暮れの陽光の様に、徐々に薄れていっていた】
【そろそろ夏の熱気が気だるげに街を支配し始めようかと言う、カラッとした夕時】
【――――心穏やかとは到底行かない一部の人間たちが、新たなる戦いの狼煙を、空へと放とうとしていた――――】



【――――『サーガイアシティ』倉庫街】

〔積荷を急げ。『素材』の積み込みもあと20分で終わらせるぞ!〕
〔素直に従わない『戦闘獣』は殺して死体だけでも回収しろ! ともあれ余計なものは1つも残して行くんじゃないぞ……〕

【既に業務も終わり、人気の少なくなっていた倉庫街の中、異質な熱気を放っていた棟があった】
【大型のトレーラーが3台待機され、研究衣を着こんだ面々が、慌ただしく荷物を運びこむ。そしてそれを、プロテクターを着用した兵士の様な男たちが補助する】
【――――プロテクターに印されていたのは、逆五芒星の紋章。カノッサ機関の一員である事を示すマークだった】

〔……しかし、六罪王ともあろう方が、こんな警戒にわざわざお出でになるとはどういう事ですか?
 サツキ様は、ご自分からフロントの方に出向いていくだとおっしゃっていたと思うのですが……〕
――――えぇ、そうね……ただ、今回はちょっと気になった事があったのよ……
つい十数時間前に入った連絡……。もしかしたら、今回の『事』の仕掛け人は、これを待ってるのかもしれないわよ……?
だとしたら、こっちから手ぐすね引いて待ってみようって……そう思っただけよ

【――――作業の経過を見守りながら、兵長に当たると思しき人物は、横に立っていた人物に振り返る】
【微かな緊張と共にその表情が見据えた相手は、この場には意外と思われる人物だった】

【右袖に瑠璃溝隠(ロベリア)、左袖に池を伴った雪景色、そして背中に満月をそれぞれあしらった、派手な赤地の櫻の衣装を優雅に身に纏い】
【艶やかな光を纏った黒い長髪を、金の簪と共に複雑に頭上に編み上げて、丸みを残しながらも目鼻立ちのすっきりした顔に、紅の口紅が色を添える】
【首から、紐に通され、額に特殊な印の様なものを刻み込まれている、4つの頭蓋骨をぶら下げている、身長160cm前後の女性】

【――――5ヶ月前、1つの都市を混乱に陥れる事で、己の権勢を世界へと喧伝して見せた、新たなる世界の脅威の1人】
【カノッサ機関の最高幹部『六罪王』が一角――――首狩 殺鬼(くびかり さつき)】
【櫻の国の出身であることを端的に示す、豪奢な和服をその身に纏いながら、ごたごたした作業を見守るその姿は、あまりに場から浮いている】

【――――だが、彼女がいる事は、すなわちこの場が混乱の舞台と化す事を意味している】
【その時は、もうすぐそこまで迫っていた――――】

〔――――ぐぁッ!!〕
〔!? な、何事だ!?〕

【突如、作業に従事していた兵士の1人の頭が砕け散る。短い悲鳴を残して肉塊と成り果てたその姿は、場に居るほとんど全員に感知された】
【――――続いて、倉庫棟から――――ボグォンと言う、くぐもった2発の爆発音。場に、戦慄と緊張が張り詰めた】

――――本当に来たわね……ッ

【そっと腕組をしながら、殺鬼はぬるんと己の唇を舌でなぞっていた――――】

/続きます
893 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage !red_res]:2015/06/13(土) 20:04:37.27 ID:hjn2JPkM0
〔搬出中止! A班は作業員の安全確保! B班は事態の確認急げ!〕
〔りょ、了解し――――ぐあああああァ!!〕
「――――やっぱり尻尾を見せたな、このクズ共が……ッ!」

【訓練された一団はパニックに陥る事無く、すぐさま状況に対処しようとする】
【――――が、下手人は対処の間すら与えないと言わんばかりに、更に次の手を打ってきた】
【兵士の脚が、研究員の腕が、運び込まれる途中だった小型コンテナが、次々に打ち砕かれていく】
【待機していたトレーラーの1台の運転席が、いつの間にか血に塗れ、その屋根に1つの影が仁王立ちしていた】

【傍目にもまともに手入れをしていない事が分かるぼさぼさの赤髪が、険があるものの端正な顔立ちを小汚く彩り】
【デニム生地のベストと枯れ草色のミリタリーパンツ、安全靴と思しき重厚な靴で全身を固めている】
【まるで何かに苛立ちを感じている様な攻撃的な眼をしている、身長170cm前後の青年】

【両手を、空を掴む様にして構え、側に妖しく光る紅いラインで複雑な文様が描かれた、ハンドボールほどの大きさの、金属製と思われる3つの黒い球体を携え】
【憎悪にその目をたぎらせながら、一行を見下ろしている。間違いようもなく、この事態を引き起こした張本人だろう】

〔く……! そ、『素材』と『戦闘獣』、すぐに取り出せ!!〕
「……貴様だな。六罪王で『RAGNAROK LABORATORY』の復活に手を貸したって言うのは……首狩 殺鬼!!」
――――そう言うあなたこそ、報告にあったグラトンおじいちゃんの息子さんの、トライデント君ね……
良い顔してる子じゃない。流石あの天才老人の血をひいてるだけの事はあるかしら?
「……貴様らには、命乞いをする暇すら与えるつもりは無いぞ……!
 幾ら六罪王と言っても、俺たちと変わらぬ人間だろう…………だからこそ、貴様は人間である俺が殺してやる……!」
……面白い事を言うのね。私も初めからそのつもりよ……死ぬ覚悟があって、私たちの前に立ちはだかるのよね?
……死ねば終わり、なんて生易しい事を言ってあげるつもりは無いわ…………無限の苦しみに沈む、己の愚を悔やんで見せるのね……!

【爆発に伴う火の手が、徐々に倉庫棟の外からでも見え始める中で、2人は対峙する】
【――――忌むべき血筋を継承し、正義の為に全てを破壊しようとするトライデント=コーザー=ヴァーミリオン】
【――――忌むべき遺産を継承し、世界の混沌を願う悪徒の大幹部を務める首狩 殺鬼】

【戦乱の炎は、静かに、しかし確実に、夕闇を赤く染め上げ始めていた――――】

/これよりイベントを開始します。参加者の方々はこれにレスをお願いします!
894 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/13(土) 20:24:50.15 ID:q4KhXFXH0
>>891
/申し訳ないです、今気付きました……!
/えっと、今日これからでよければロールできるのですが……
895 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2015/06/13(土) 20:29:41.90 ID:R+eqdo7go
>>894
/いえいえ、お気になさらずー
 今からだと次のレスが遅れるかもしれませんが、それでもよろしければお願いいたしたく
896 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/13(土) 20:34:59.79 ID:q4KhXFXH0
>>895
/それでしたらよろしくお願いしますっ
/ただこちらこれからちょうど食事ですので、少し遅れるかもですが……
897 :夜凪レラ ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/13(土) 20:38:02.54 ID:NCJyPIrKo
>>893

【『サーガイアシティ』倉庫街――青年の憎悪が切り開いた戦端を、近場の倉庫の屋根の上に伏せて身を隠しながら眺めている女がいた】
【淡黄色の大きな瞳、濃鼠色の髪を黒い大きなリボンで縛ってポニーテール、肩口まで緩く流した髪型に】
【黒いベストの下に袖を七分で絞った丈の短い和服を着込み、残り三分の腕には包帯を何重にも巻いて肌を覆い隠した地味な服装】
【脚にはニーハイブーツと黒タイツ、首元には暗い赤色をしたロングマフラーと、やたら肌の露出も消した格好だ】
【背中には二本の刀を交差させるように装備している。ひとことで称するならばそれは、櫻伝来の暗殺者――"忍者"であろう】

【ただ、二つほど異端な点がある。ひとつは、彼女の自警団を示すバッジと"緋色の鷹"の紋章を彼女が身につけていること】
【そしてもうひとつ――決定的におかしいのは、その忍者が幼いことだ。およそ戦い向きには見えない、十代前半ぐらいの背の低い少女であった】


(………トライデント、といったか、あの男。"みかた"と取っていいのだろうか?
 それに、あっちの女は。――――あれが、"六罪王"………)


【事前に流布されたメッセージ通り、SCARLETとしてこの場にやってきた少女――夜凪レラではあったけれど】
【忍者じみた格好の通り、彼女の本来の本領は斥候と情報収集。だがその本懐を果たす前に、運悪く"中心"に出くわしてしまったようだ】
【どう動いたものか、少女はしばし迷う。ただ、少なくとも"逃げる"という選択肢はなかった。レラにとっても、カノッサ機関は憎い相手なのだ】

【――どのみちいつまでも隠れては居られない。音と気配を消して、レラは屋上から飛び降りた】
【トライデントによって人間が次々肉塊に変えられていく光景を必死で見ないようにしながら、障害物伝いに戦いの中心部を半周する】


(――、手かげんができる相手じゃない。………やるしか、ない!)


【すべて上手く行ったならば、レラは殺鬼の背後。五、六メートルほど背後のコンテナの陰に隠れることとなるだろう】
【一瞬の逡巡……けれどこの戦場はとうに、"正義"だからとか、"子供"だからとか、そういう理由で殺傷を躊躇える次元を越えていて】
【次の瞬間――レラは素早くコンテナから飛び出し、サツキへ三枚の"手裏剣"を勢いよく投擲するだろう!】

【手裏剣が向かうのは殺鬼の首元、背中、腰の三カ所。"忍"の本質たる暗殺の手管、多少の迷いはあってもその冷たさに変わりはない】
【殺鬼がただの人間であるならば、直撃した場合ただでは済むまい。特に首筋へ向かう一枚は確実に必殺の一手となるだろう】

【――だが。流石にレラもこれで仕留め切れると思うほど楽観的ではない。一気に三枚も投げたのは保険のためだ】
【攻撃の後、レラは今隠れていたコンテナの近くにある瓦礫の裏へ身を潜めて気配を殺すことになるだろうか】
【殺鬼がそれに気づくかはわからないが、正面にいるトライデントには見えるはずだ。――"緋色の鷹"が見えたならば、味方だと判別できるか】
【この場ではトライデントに助力するのが安全かつ手っ取り早い、と彼女も判断したのだろう。とりあえずは"不意打ち"のサポートに徹する気のようだ】


/主催者様&ダリアさんの方、本日はよろしくお願いします!
898 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage saga]:2015/06/13(土) 20:38:36.65 ID:R+eqdo7g0
>>896,890
/ではちょうどいい感じですかね、よろしくお願いしますー!
 ひょっとするとIDが変わっているかもしれませんが、お気になさらず


【暇と退屈を持て余していた】
【やることがない。やりたいこともない。事件の一つでも起こればいいが、しかし興味を惹かれなければただ面倒なだけでやる気は起きない】
【ゆえになにか丁度いい、無聊を慰める種を探しているが、そうは簡単に見つからない】
【夜の街、賑わう喧噪のなかではなにかしらトラブルが起こるものだし、実際いくつも起きてはいたが、いずれも面倒なだけで面白そうでもなく】

「…………」

【ため息にも似た吐息を漏らし、繁華街を離れて閑静な通りへ】
【歩き歩いて、しかし何もない。当然だ、人口密度で言えば彼が通り過ぎた繁華街のほうが遥かに高いのだから】
【まばらに人影はあるが、別段なにも感じない。彼らはみな一様に日常に生きる者で、自分と同種の――言うなれば“闇”や“異能”の気配はない】
【だからまた、先へ先へ。こうなったら意地だと、よりいっそう人気のない場所へと足を進める】

【――月と、星が静かに照らす空の下】
【彼は独り歩いている。紫の瞳に気だるげな色を宿して】
【百八十を軽く越す長身、外見から推察できる年齢は二十代半ば】
【黒いワイシャツを着崩し、同色のスラックスを履いたのみで、洒落っ気はない】
【その身に纏うほぼ一色の黒は夜闇にまぎれかねないが、男性にしては長めの髪がさながら燃え盛る炎のごとき赤色に染まっている】

【ふと、波の音が聞こえた】
【こんなところに海などあったのか――と思考を巡らすが、すぐにやめた】
【記憶を探ったところで無意味だ。そもそも自分はこの街に来たばかりだし、知らなくても不思議なことはない】

「へぇ――」

【しばし歩いて、見えた景色に感嘆の声を漏らした】
【これはいい。なかなかの景色だ。その方面にはさして興味もなかったが、それでもこれは良いと思う程度には人並みの感性もある】

「……ほぉ。こりゃまた、珍しいことは続くモンだな」

【しかしそれより彼の目を引いたのは、そこにいた一人の小柄な少女】
【岩に腰掛けて絶景を眺める姿はただの少女のそれだ。ただ、周囲を漂うモヤがなければの話だが】
【ほのかに煌めくモヤに包まれ浮いている、あれは靴か。おそらく彼女の物だろうか】

【面白いものに会った。そう言わんばかりの稚気を双眸に宿らせて、咥えた煙草から紫煙をくゆらせて歩きはじめる】

「――よォ。いきなりで悪いが、アンタ、“持って”やがるな?」

【彼女の前まで歩いてきて、出合い頭に直球の質問をぶつけた。何を指しているかは言うまでもないだろう】
【周囲に煙る、煌めくモヤ。物理的に説明のつく現象ではなく、彼はそれを根拠として、「お前は異能者だろう」と言っているに他ならなかった】
【端的に言って不躾な質問、それも初対面の相手となれば尚更だ。ただ少なくとも、現時点では彼の愉しげな顔に悪意や敵愾心といったものはない】
899 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空)[saga]:2015/06/13(土) 20:53:18.37 ID:PEHWQA4g0
>>892-893>>897


【防衛戦―――――不慣れとまではいわないが、鏖殺と攻城戦の如き侵攻を得意とするものには親しみのない戦い方。RL≠フ動揺と風の国の噂が、そんなモノに新たな戦場を与えた】



(……ああ、少し待ち侘びた。野放しにするのはひどく苛立たしかったんだ――――――……ようやく、おまえを此処で殺せる――――――!!)

【思考する。何が、この事態を招いたのか】

【――――――――――――これは、ツケの様なものだ。風の国の夜に、遺された残骸】
【殺すべきときに殺せないから、戯けた結末をその先に残す。それが、この魔物が見つめてきた過ちと結末】
【清算を乾きのごとく血が求める。疼く様に殺意が脈を打つ。カチリ、静かにスイッチが入る様に滅すべき姿を視界に認めて―――――――。】


【――――――――――――――――氷結、そして霰弾の如き“氷弾”の炸裂。大気が凍ててやがて粉微塵に削り砕かれる様は、木枯らしが枯葉を吹き散らすのに似て】
【そこに手裏剣の群れが巻き込まれたかどうか。何れ、六罪王たる者がこれだけで屠られることはないと判断して】


「満足に傷は癒えた様じゃないか、トライデント=コーザー=ヴァーミリオン――――――――そして、こんばんは不意打ちの得意な素敵な“誰か”。

 私が名乗る理由はないな?……おまえの命と血の断絶(おわり)を以て、今宵の“機関”としての戦端を開く

 そこの六罪王が標的らしいけど、私にとってはおまえが獲物=B
 あの女や隠れ潜んだ暗殺者めいたそこのが現われるのも一興かな―――――――……それよりも、まずはおまえを滅ぼすとしようかッ!!」

【まるでモノ扱いする様な台詞を上位者に当たるハズの六罪王――首狩り≠スるひとりの女に残して、またひとり戦場に赫き殺戮者が姿を現わすのだろう】

【榛色の勝気な双眸。ふわりとした深緋色の長髪は宙に軽やかに流れ、しなやかな躰に纏うのはカーマインのマキシ丈の上質なワンピース・ドレス、】 
【豊満な胸元に揺れるのは銀の逆十字―― 中心に“機関”の紋章が刻印された、装飾的なチェーンを特徴とする首飾りだった】
【覇者の如く悠然と、殺戮者として血の気配に濡れ満ちて。溢れ出す殺意が、赫く闇に満たされる様に】

【Numbers.12、ダリア・レオンフィールド。首狩 殺鬼を凍てた大気の薄壁で遮り、トライデントを攻撃せんとした、“世界の敵”】
【――――――グラトン=ブルーガー=ウルバヌスの作戦に際し、三度に渡る大破壊を齎した“機関”の一騎。重ねあわされた幾つもの因縁は、此処にまた一つ急転を迎える】

【四者がそれぞれの思惑を秘め、加速度を上げる戦場に生まれるモノは何か。この瞬間に、“それ”は起こる】

/それでは、よろしくお願いします……ッ!
900 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空)[sage saga]:2015/06/13(土) 21:02:36.01 ID:PEHWQA4g0
/っと、少し文を削りすぎたかも…


【Numbers.12、ダリア・レオンフィールド。首狩 殺鬼を凍てた大気の薄壁で遮り、トライデントを攻撃せんとした、“世界の敵”】
  ↓
【Numbers.12、ダリア・レオンフィールド。首狩 殺鬼を凍てた大気の薄壁で遮り、氷の霰弾にてトライデントを攻撃せんとした、“世界の敵”】

…と補足しときますっ
901 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage !red_res]:2015/06/13(土) 21:33:17.63 ID:hjn2JPkM0
>>897

「(……!)」

【コンテナの影。対峙する機関の面々の中に紛れて、それは確かにトライデントの目に映った】
【3つの球体――――『エターナルトライアングル』を手の内で操作しながら、トライデントは次の一手を模索する】

〔ッ、サツキ様!! っが……!〕
ッッ、奇襲!? ……どうやら、あなただけじゃ無かったようね、私たちの敵は……! 爆弾を仕掛けた『相棒』が、もう戻ってきたのかしら!?

【気付いたのは、殺鬼ではなく側に控えていた兵長。咄嗟に防御を固めながら、殺鬼を庇う姿勢で立ちはだかる】
【だが、2本はプロテクターで受け止めたものの――――残る1本。ヘッドギアの合間を縫って左目を割る様にして突き立った】
【脳へと至る、攻撃の最短コースである。兵長はそのままくず折れ、動かなくなった】
【殺鬼は、咄嗟に半身の姿勢になって背後へも意識を向ける――――これでは、油断がならない】

「(いや、違う……アイツは、こんな武器を使わない…………だが、好都合!)」
「……俺としても意外だ。もっと掛かると思っていたからな……!」

【そしてその事態は、トライデントにとっても予想外だった。だが、此方にとっては良いアクシデントだ】
【敵に、余所に神経を使わせると言う事は、より付け入る隙が増えると言う事である】
【球体操作の為に常に神経をすり減らす様な戦いをしているトライデントには、より一層その恩恵が分かっていた】
【ならば、順次攻撃をして揺さぶりを掛けていく――――その為にトライデントも第二撃を放とうとして――――】



>>899

「喰ら――――ぇ、ッく!?」

【放とうとした球体を、咄嗟に眼前で暴れさせる。飛来してきた氷弾を、寸での所で弾き飛ばす】
【わずかに、左の頬をかすった氷弾が、そこに赤い筋を一条引いていった――――ゆるりと、涙の様に流れる血】
【トライデントの表情が、一気に引きしめられた】

「――――また貴様か、≪No.12≫、ダリア!!」
――――あなたが報告者の≪No.12≫……なるほど、心強いわ……なら、この場はあなたの力を借りる。援護が必要になったらいつでも言いなさい……!

【トライデントは吼える。その介入者が何者か。その一撃だけで判断するに足りたからだ】
【――――このRL支部を特定するにあたって戦端を開いた≪No.12≫。再び彼女が自分の前に現われたのだ】
【ボロボロになり果てた肉体は、既に十全に回復している。そしてそれはダリアも同じ事の様で】
【今から始まるのは、あの夜の続きだろうか――――恐らく、両者ともに、そんな事に感慨を覚える様な儚さなど、この場では持ち合わせてはいないのだろう】

【一方で、殺鬼もまた、ダリアの出現には頬を緩める】
【背後の守りの不安は、これで1つ消えた事になる。専念できる領域が絞られる程に、裏を取られる危険は小さくなる】
【状況は、4人の戦士によって一気に混沌へと傾いていった――――】

/続きます
902 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage !red_res]:2015/06/13(土) 21:33:39.55 ID:hjn2JPkM0
>>897>>899

――――仕方が無い。分かったわ……あなた達の相手は、私がしてあげる……精々あがいて見せるのね……!
〔サツキ様、『戦闘獣』を出します! 援護の指示を!〕
無駄よ。このトライデントに、恐らくその手は通じないわッ
〔で、ですが、何もせずに見ている訳にもいきません! 出します!〕
……好きにしなさい!

【ゆらりと、殺鬼は姿勢を解いて身構える。六罪王として自ら、先頭に立って戦おうとしている】
【後方では、兵士たちが事態の収拾を急いでいる一方で、1台のトレーラーの荷台が開け放たれ、中から複数の影が飛び出してきた】

【爬虫類がそのまま馬へと進化した様な、全身を緑の粘膜で覆っている馬に似た体格の四足歩行の獣】
【身体の節々が銀色の装甲の様なもので固められた、ライオンに酷似した真獣類の獣】
【『セードムシティ』で幾度も確認された、巨大な熊を更に改造した『ウェンカムイ』】
【そして全身から細かい毛を生やした、体長2m程はあると思しき巨大な蜘蛛――――巨大タランチュラと表現するに相応しい怪物】

【それぞれに1つづつ、身体にドーム状のカプセルが埋め込まれており、液体に満たされた中に『脳』が沈んでおり、神経の束が身体へと繋がっている】

「……こいつらが、改造生物に人間の脳を埋め込んだ、貴様らの生物兵器か……!」
……えぇ、その通りよ。本当なら、このまま他の支部へと運んでしまいたかったんだけど……
〔お前達! 人間の身体に戻りたければ、その男を殺せ! 元の身体に埋め戻して欲しければな!〕

【4体の『戦闘獣』――――元は人間だったと称するそれを前にしてなお、トライデントは動揺しない――――どころか】

「――――退け。俺の邪魔をするなら、強制されていようと人質だろうと関係無い……!
 お前達程度に、俺をどうこう出来ると思うな!!」

【一喝と共に、トライデントは蜘蛛に向けて鉄球を発射し――――脳を収納していたカプセルを、的確に破壊する】
【頭を撃ち抜かれたに等しい蜘蛛は、不意打ちを受けて、わずかな身もだえと共にすぐさま動かなくなった】

〔ば、馬鹿な……!〕
――――だから言ったでしょう。この手合いに奴隷作戦は意味を成さないわ。士気の低下も望めない……!
だから、さっさと壊される前に運び出してしまいなさい!
「そうは行くか……このままお前達の手駒として使われるぐらいなら、諸共ここで殺し尽くしてやる……!」

【通常、敵はこうした場面では少なくとも攻撃を躊躇するものである。それは、明確な権限と攻撃意志を持った、軍隊でも例外ではない】
【しかし、トライデントは迷う事なく、戦奴と化していたその生物を撃ち殺した――――彼の正義は、狂気と紙一重である事を、殺鬼しか見抜いていなかったのだ】

「さぞ貴重な研究素材にして戦力なのだろう……だが、だからこそ貴様らに引き上げさせはしない!
 後顧の憂いとなるのなら、このまま殺し尽くす……!」
っ、あなたたちはトレーラーの積み荷の防衛! 出してしまった『戦闘獣』はもう仕方が無いから、そのまま展開!
敵への積極的な攻撃は、私と『戦闘獣』、そして≪No.12≫に任せなさい!
〔了解!〕

【一行の方針は、ここに定まった。いよいよ本格的に戦端は開かれる――――】

/更に続きます
903 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage !red_res]:2015/06/13(土) 21:34:01.12 ID:hjn2JPkM0
>>897>>899

――――さあ、まずは影に潜んでいるもう一人の敵に、姿を見せてもらいましょうか……!?

【殺鬼は、先ほど後方から飛んできた手裏剣の方角を見やる。コンテナがあるが、恐らく敵はその背後、あるいは隣接するコンテナのどこかに居るのだろう】
【そこに飛び込んでいくのは、流石に愚の骨頂である。敵の備えに身を晒す様なものだ】
【だが――――彼女は『六罪王』。その身に秘められた能力も、凡百の人間とは峻別されるものである】

――――『鉄の糸』……これなら、様々なものを切れるわよ……!

【構えた殺鬼の指先から、細いワイヤーの様なものが、親指を除いた指先から1本づつ、計8本飛び出す】
【そしてその指を、思いきりその場で振り下ろした――――指先から伸びた『鉄の糸』が、コンテナをすっぱりと切り裂いていく】
【裏に隠れている敵もろとも――――とは流石に行かないだろう。だが、少なくともコンテナに隠れるのが安全とは言えない様だ】



「ダリア……貴様に、化け物が3体…………精々此方の準備が整うまでの時間を稼がせてもらうぞ……!
 もう出し惜しみは無しだ……貴様らを殺す為の最善手を、打たせてもらう……!」

【トライデントは、因縁の相手とも言えるダリア。そして場に出された3体の『戦闘獣』と対峙する】
【相手の実力は、嫌と言うほど分かっている。ギリギリの、互いに命に王手が掛けられる様な状況まで拮抗して戦ったのだ】
【油断出来る相手でないと言う事は、根底から理解している。更に、相手には手駒と言うべき戦闘生物がいる】
【――――倉庫の内部で爆弾を仕掛けていた、トライデントの『相棒』――――それが到着するまで、如何に時間を稼ぐかが問題だ】

「――――六罪王を殺すまで、いつまでも掛けてはいられない……ッ、さっさと俺に殺されてもらうぞ!!」

【両腕を翳して、トライデントは叫ぶ。球体に魔力が伝播し、それぞれに複雑な軌道で動き始める】
【3つの球体から、それぞれに3発の魔力光。合計9発の射撃がダリア一行へと見舞われる】
【既に相手の実力を知っている故に、牽制からして既にある程度に力を込めているのが見て取れる。決して完全無力化はさせないと言う、トライデントの意志がそこには見えるだろう】

/以下、トライデントと殺鬼には、それぞれに自由に干渉してください
904 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/13(土) 21:38:32.95 ID:/wrVLJ8DO
【風の国──とある小さな村】


 【──「肉が食べたい」 その獣は、そう思ったのだ。肉なら、なんでもよかった】
 【店に並ぶ肉が理想的だったが、この姿で店に行けば厄介事になるのは明らかだ】
 【それでも肉が食べたかった。街中でヒトを手当たり次第食えば、やはり面倒事になる】

 【街を出て、森に入った。試しに他の獣を狩ってみたが、量が足りなかった。】
 【そんな獣の目に、ひとつの集落が写った。細々と森に生きる、小さな村だった】
 【都合の良いことに、街からは離れていた。この村を訪れる者は、そういないだろう】
 【獣は嗤った。──肉が食べたかった。肚の中の、赤子のためにも。肉が、欲しい】



【森の中にある小さな村。本来ならば村人が軒先で雑談を交わし、子供らが動物を小屋へ戻しにいくような】
【そんな、光景が広がっているはずの時間帯である。──日が沈む前の、のどかな空気があるべきであった】

【しかし、今日の村は酷く静かだった。怯えた鶏の声が、思い出したかのように響く程度】
【その原因──村に入れば分かるだろう。はっきりとした血肉と死の香りが、村中に漂っていたのだ】
【地面には至るところに血痕があった。ヒトの手首だけが、道端にひとつ転がっていた】
【或いは足の指が、或いは髪の残ったヒトの頭部の残骸が、ぽつぽつと落ちている】
【そのすべてが、何かに喰われたような断面を持っていた。──野生の獣の襲撃にでも、あったのだろうか】

【村にある畑もまた、獣らしき何かが食い荒らしたような痕跡があった】
【青い実にはまったく手をつけていない。熟れた果実や野菜ばかりが雑に囓られて地面に落ちていた】
【恐らくは村人を襲ったのと同種の獣だろう。人も作物も喰う獣──随分と食に関しては、節操がなさそうだ】

【ぐ、るる、る、る──村のどこかで、獣の唸り声がした。この村を襲った獣が、まだ村に潜んでいるのだ】
【獣を討伐するか。或いは獣の目を掻い潜り火事場泥棒の真似事をするか、それとも──】
【村はほぼ壊滅状態。生き残りがいる可能性は、一応ゼロではない。村を訪れた者がどのような行動をとるかは、彼/彼女次第であった】
905 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/13(土) 21:40:55.60 ID:q4KhXFXH0
>>898

【――ざ、ぁ、と。小さな波の音が入り江の中で反響する、それなら、どこか幻想的な音楽のようにも聞こえ】
【そうしてしばらく風景と音を楽しんでいたのだが――そのうち飽いてきたのだろう。僅かに瞳を細めると】
【件の紫色の靄が再び現れ、足元に落ちていた流木を拾い上げる――、そうして、水面にはちゃんと投げてやり】
【すっかりと乾いて軽い流木はまた戻ってくるのだけど。それをまた拾い上げ、投げ、しばらく繰り返していたところだ】

【――と、彼女がぼんやりと波を犬に見立てて遊んでいるのに夢中になっていたときだった。つんと、鼻に届くのは煙草の臭い】
【凡そこの場所にはふさわしくない臭いだ。もっとも、こんな場所に似合うのなんて、魚の腐った生臭さくらいだろうけれど】

……おや、こんばんは。何か私に用事かしらん、それとも夜の散歩かね?

【ついと鋭く釣った勿忘草色が彼を見上げる。けれど、そこに、睨むような色合いはなく】
【どちらかと言えば拗ねた子供のような目だ。それでいて、どこか疲れたような、僅かに冥さを宿し】
【持っている――何のことだろうと一瞬考えた後、何事もなかったかのように、勿忘草色の靄を消す、消せば】
【ぱたりと靴たちは地面に落ちて、僅かに砂を散らす。そして、「何か?」と尋ねるような目を向け――】

【――少しだけ、視線が鋭くなる。だいたい、能力に興味を示すのは、ろくなやつじゃない。……そんなイメージ】
【とりあえず荒事の類に興味はなかったし、お断りしたかった。だから、さもなんでもない顔をしてみせ】

ここはいいところだね。もっと子供だったらば、秘密基地でも作りたいくらい。

【なんて――にこりと笑いもしないまま、話題を、そんな方向へ流すのだった】

/そんな感じで戻ってきましたっ。よろしくお願いします!
906 :夜凪レラ ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/13(土) 22:11:12.61 ID:NCJyPIrKo
>>899

【――流れ来る氷気の風。背筋も凍らんばかりの氷弾と共に現れた新たな女性に、レラは思わず舌打ちした】
【ここは仮にも『RAGNAROK LABORATORY』の拠点だ、殺鬼以外の敵がいることぐらいは想定の範囲内だったけれど】
【自分も世界各地の闇を駆け抜けそこそこ実力を付けた自信はある。だからこそ、空気だけでわかる――アレは単なる兵士じゃない。もっと"別格"のモノだ】

【同時に頭を巡らせる。殺鬼とトライデントだけでなく、あの女性とトライデントの間にも何らかの確執があるようだ】
【"二対一"だけは避けなければなるまい。女性の意識がトライデントに向いてくれたなら、自分は殺鬼と……六罪王とやり合う形になるか――】


>>901 >>902 >>903

【――めちゃくちゃな奴だ、というのが、レラがトライデントに覚えた印象の正直なところだ】
【『戦闘獣』の体、カプセルに包まれたグロテスクな脳髄の意味を理解できないほど彼女も子供ではない。だからこそ、】
【アレをなんの躊躇いもなく破壊できる精神に、複雑な思いを禁じ得ない。戦闘能力は信頼できるが、その精神まで信頼するには、コンタクトが少なすぎて】


まったく、運がよいのかわるいのか……っ!!


【考えは中断せざるを得ない。眼前のコンテナが一気に引き裂かれる――崩れた破片で軽く右肩を打つがまだ支障はない、レラは構わず横合いへ飛び出した】
【そうなれば必然、少女の姿はダリアと殺鬼にも晒されるだろう。目が良ければ、砂の国自警団のバッジかSCARLETのエンブレムか、どちらかは読みとれるか】
【万が一、殺鬼が『ヘイダル』という部隊を知っていて、そこに夜凪レラという"忍"が所属していることを知っていたならば、話は早いし】
【そうでなくとも推測は出来るだろう。トライデントが発したメッセージの真偽と顛末を調査するために"正義"の組織からこの少女が遣わされ、巻き込まれたのだと】

【――そう。この場において、この少女は偶然紛れ込んだ鼠にすぎないわけだけれど】
【侮ってはならない。物陰から飛び出した少女の移動速度、そのまま"鼠"と形容できるほどに速い――!】


サツキといったか、六罪王っ!
"ていさつ"のつもりだったが、こうなった以上は――手を出させてもらうぞ!!


【レラは殺鬼の周囲を回るようにして、やや距離を詰めながら走る。そしてその途中、瞳が一瞬光を発したかと思えば、何かが投擲されるだろう!】
【飛来するのは真っ黒な"細い針"だ。手裏剣と比べて威力は低く、当たってもその部位に軽く突き刺さるのみで痛みも傷も小さい】
【だがその針に、なにか液体のようなものが塗布してあるのに気づくだろうか――この攻撃の"本命"はそちらだ】
【液体の正体は、砂の国に棲むとあるサソリから抽出した"麻痺毒"。針が刺さった場所から体内へ毒が浸透することとなる】
【致死性のものではないし、一発で全身が麻痺するほど強力でもないが、しばらくの間針が刺さった部位の周囲の筋肉の動きを阻害するはずだ】

【そう、一発当たっただけならその程度だが――放たれた針は六本。"毒針"が飛んでいく先は、四肢それぞれに一本づつと、胸と腹部に一本づつ】
【流石にすべて喰らってしまった場合は危険である。全身に毒が回り、動けなくなってしまう恐れもあるか】


おい、トライデントとやら! わたしは夜凪レラ、SCARLETの人間だ。
………この場ではあえて、手をかすとも、かしてくれともいわないが――――死ぬなよ。


【――それが成功するか否かに関わらず。殺鬼の周囲を回る途中、トライデントとの距離が一番近くなったときを見計らって、レラは彼にそう声をかける】
【所属組織とか軽い自己紹介。戦闘方法は見ての通りだ。――結局、協力して戦おう、とは言えなかった】
【それは、彼の"正義"が自分とは違う、もっと極端なモノなのだと直感で理解していたからか。ともかく、死ぬなとだけ言い残す】
【戦況は二対二。どちらかが死ねば一気に傾くかもしれない。足を引っ張るな、という冷徹な意味にも聞こえるし、単に心配しているようにも聞こえる台詞……】
907 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage saga]:2015/06/13(土) 22:12:52.35 ID:R+eqdo7go
>>905

【靴が落ちた。モヤが消えた】
【つまり、それはつい先ほどまで展開されていた異能力の解除を意味している】
【おやと思って彼女を見れば、少しだけ鋭い瞳】
【青色の――いや、これは何だったか?】

(……確か、何かの花……だったかな。こんな色をしてた気もするが)

【それ以上の知識はない。花や草だとか、その手の方面には疎いのだ】
【しかしこれは……睨んではいない。そこまで剣呑な気配ではないが、しかし友好的な雰囲気もない】
【言葉だけを聞けば世間話に興じようという気が窺える。だが見よ、この少女の顔を。まったく微笑みすらしていない】

「そう警戒するな、べつに獲って食おうとかそういう気はねえよ」

【だから察した、この娘は自分にいい印象を抱いていない。むしろ逆だ】
【悪印象――どの程度かは知らないが、そこからくる警戒、それに類する感情がある】
【――と、まあそんなことはちょっと空気の読める人間なら誰でもわかることだ。そして、分かったうえで彼はその顔に浮かべた愉しげな笑みを絶やさない】
【むしろより一層、面白そうに口角を上げる】

「とっつかまえて売り飛ばそうとも、殺(や)り合おうとも思ってねえ。相手が相手じゃねえと面白くもねぇし、面倒なだけだ」

【煙草を指に挟んで口から離し、眠たげにあくびをしながら頭を掻いた】
【その言葉は事実なのだろう。今もって彼からは殺意も戦意も、彼女をどうにかしてやろうという悪意も感じられない】
【一言でいえばダルそうな雰囲気で、あくびをかいた後は笑みも消えている。ただ、やはりどこか愉しげではあるが】

「……まぁ、質問に答えるなら、そうだよ。ただの散歩だ。
 どうにも暇なんで出てみたら、面白そうなのがいたってわけだ」

【それは彼女のことに他ならない】

「で、アンタは何してんだ? 俺と似たようなもんか?」

【つまり暇人か、と】
908 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/13(土) 22:25:53.54 ID:q4KhXFXH0
>>907

【――元より、彼女は他者を苦手とする傾向にあった。いや、正しく言えば、】
【他者に対する興味はあるのだが、どうして接していけばいいのかが、よく分からない――そんな欠陥】
【けれど風はそんなのを気にもせず彼女のピンクがかった金髪を揺らす、潮の香りのする風に、僅か瞳を細め】

……そうかい、ならいいのだけど。

【――なんて返事をする。だけれど、彼女の態度が分かりやすく軟化することは、きっとないはずだ】
【石に腰掛ける身体は華奢だし小柄。立てば、彼と比べて四十は違うだろう。百四十二センチしかない体では】
【よっぽど強く確かな異能でもない限り、彼に勝てる要素はない。――つまり、この態度は、それだけ】
【彼女の異能が戦闘向きじゃないとの証拠にもなる。かわいげが足りないのは確かでも、争う気概は、全くない】

【まだあどけなさを残すほどに若い少女である。それなら、それなりの価値はあるはずだけれど】
【どうにも細身で折れてしまいそうなほどなので、そういう方面で見れば、抱き心地も悪いだろうし、孕ませるにも難点】
【そういうところで自分を無価値と判断して、ついでに、戦うのも――ほとんど無理と言っていい】
【――というのを心中で考えたのだが、口には出さなかった。無駄に煽ってしまうのも、嫌だと思って】

そうさな、私も散歩だよ。……とある本でね、あの街を舞台にしたものがあって。
それにこの場所が書いてあった。本当にあるのかしらんと見に来たのだよ。

【裸足の足を畳んで岩の上に乗せる、体育座りのような姿勢になって、彼女は膝を抱え込み】
【ぱらぱらと乾いた足から砂粒が砂浜の上に落ちて、もう分からなくなる。ついと人差し指が入り江の向こうを指し】
【指した先にはちかちかと煌く街明かり。だが、そろそろ夜も遅くなってきたせいか――数時間前よりは、暗い】
909 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空)[saga]:2015/06/13(土) 22:44:59.72 ID:PEHWQA4g0

>>901-903


【六罪王の言葉、トライデントの言葉。予想の範疇の其れもあり、六罪王らしい響きのそれもあり。六罪王への返答は、やや険のない―――しかし痺れる様な殺意に満ちた声で紡いだ】


「……ふふっ、必要はないけど期待しとこうか。……私の望む報酬を寧ろ期待したい所だね――――
 それもまぁアイツらを仕留めた先の話かな―――――――さあ、始めようか“紛い物の正義”ッ!」

【くすっとナンバーズ・トウェルヴは軽く笑って、自らの意味を自覚し、標的を見る。積み重ねた思いとともに】
【―――――怒りのまま、殺意のまま荒れ狂う焔が兇気すら漂わせる熱となって榛色を染めた】

【理解しているのだろう――――これこそが、己でありそして彼なのだと。数多の骸を踏み越え歩き、なお留まらず己が敵を戮し続ける惨劇の具現】
【そして、それは自らの手によるものに限らないのだろう。だからこそ、この現状がある】

(……、――――――――――――――)


【追憶/遮断、“戦闘獣”の言葉の意味。無用なはずの思考を封じ、今は唯眼前の標的を見据えた】

【己が悪たることはこの上もなく再三理解して、それでなお自らの殺意がその認識に勝る。滅ぼすことを、己は望む―――――。】
【敵手もまたその殺意の激烈さに於いて、同様のものがあったことだろう。一切の躊躇なく迫る9発の光弾が、赫き長髪と衣をうっすらと照らした】
【くつ、と歪んだ音が響き、】

「――――――――――これだから、おまえは歯車なのさ。“敵を殺す”、容易く叶うと思いこみすぎなんだよ……ッ!!」


【極めて強大な、“氷壁”。火力特化型の能力者たるダリアがその破壊力を遮断するための、さらなる防御力を見せた防壁】
【それを幾重にも張り巡らせ、格段の防御性能と耐久性を得た。攻撃に回せるはずのリソースすらも割いて防ぎきったそれに、なんらかの意味を見出すことも出来たのだろうが】

【結界にも等しいその機能は、光弾の連射を一通り防げば幻の如く解け、崩れ去った。その間際に、獣たちに鋭い響きでの言葉を放つのだろう】


「ウェンカムイ≠ヘ前衛に立ちあの男を圧しろ、残る二体はその補佐と追撃!

 あの球体は射出された場合も“砲台”としても出力が高い、攻撃の芽を徹底して摘み取れ……!
 防御を含めた後衛と補助は私が担う―――――― 一気呵成に叩いて潰せっ!
 
 おまえたちが、望む未来があるのなら戦え――――――そのための勝利はくれてやる、そのための“力”はくれてやる!
 今夜、おまえたちの主は私ひとりだ。……アイツを餌食(エサ)に悦びを謳え、最上の勝利をその先に望めッ!
 総てを許す――――――――ただ、求めるままおまえたちの“敵”を食い殺せッ―――――――――――!!」
 

【三体のケモノの脇を潜り抜ける様に、三発の“氷槍”――――以前の交戦にて殺傷能力は身に覚えがあるであろう―――大型の攻撃形態を、トライデントに向けて撃ち放つ】
【しかし“戦闘獣”の巨体を避けた射線は、間違いなく大きく限定されたものとなるのだろう】
【……その制約を理解できるだけの冷静さと、ウェンカムイらの近接攻撃に対応できる戦闘技術があるならば。むしろダリア単体での攻撃より御しやすく、躱し易く、】

(……準備=Aさっきのやりとりからすれば爆弾か。なら、先ずなによりも狙うべきは―――――――、)

【そしてトライデントの言葉に含まれた不穏な響きを、敏感にダリアは感じ取っていた。ゆえに迅速なる殺害を意図し、また戦場にてその意識は鋭利さを怖気を揮うまでに尖鋭化されてゆく】
【――――「防御を含めた」と言った言葉は、けして嘘ではないのだろう。自らの異能を以て獣群を指揮する赫き女は、古の狩りの月の如く獣たちの総身に意を注ぐ様だった】

【それゆえに自らに割く意識は幾分ながら削がれ、単騎として以前の戦いと同様の動きがあるかは判じ得ない。ダリアにも、恐らくはトライデントにも。少なくとも防御面に於いて、自らへの守りは幾分薄れ――――。】
910 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage !red_res]:2015/06/13(土) 22:51:01.60 ID:hjn2JPkM0
>>906

子供……っ? ……いや
(……今、確かに見えた。アレは『SCARLET』の……。さながら、現代を生きる忍者と言ったところかしら?
 この状況じゃ、侮っている余裕なんて、無いのよね……!)

【切り裂いたコンテナの影から飛び出した影を、殺鬼は確かに認めた】
【その所属と身のこなし、そして出で立ち。全てをハッキリと確認するには至らなかったが、その素早さが逆に素性を明かしている様なものだ】
【――――櫻の、忍の技を習得している人間。子供の様にも見受けられたが、油断は禁物だ】
【下手な大人などより、ともすれば凡百の能力者よりも強い可能性は、決して否定できないのだから】

……面白い事を言うわね。そんな半端な腹積もりで、私を討てるとでも思ったの!?

【周囲を窺う様に飛び回る相手に、殺鬼は神経を張り詰めながら怒号を飛ばす】
【いつ、どの瞬間に攻撃を仕掛けてくるのか。相手のしぐさなどを読みとるのも難しいこの状況下では、計りかねた】
【諸共大振りに攻撃を仕掛ける事は出来なくもないが――――それを読まれた場合、致命的な隙を晒す事にもなる】
【まず、迂闊をしない事が、戦闘の大原則だ】

――――っ、『髪の糸』!!

【その中でも、殺鬼は放たれた攻撃に反応する事は出来た。もっとも、それが6本もの針の投擲と言うのは予想外だったが】
【だが、針と言う事は対処のしようはある。指先から飛び出させていたワイヤーを切り捨てて、殺鬼は次なる手段に出た】
【指先から、今度は人間の毛髪と思しき黒い糸が吐き出される。それも、何千本と、気持ち悪い程に】
【その糸が、織物の様に複雑に絡まり合っていくと、殺鬼はそれを大きく振りまわした】
【――――飛来した針が、髪の毛の布に絡み取られ、振り払われる。軽い質量の投擲武器だからこそ、こうして対処が出来たのだ】

……っ、く……流石に、全部と言う訳にはいかなかったようね……!

【だが、左手に1本。そして振り払いそこなった針が頬に1本、突き刺さる】
【それが何らかの薬品を塗布されている事も、殺鬼は気づいていたのだろう。その表情に、微かな苛立ちが混じった】

「っ、『SCARLET』……妙に縁があるな……!
 トライデント=コーザー=ヴァーミリオンだ……邪魔をしなければ、好きにしろ!」

【トライデントは名を名乗りながら、飛び込んできたSCARLETの少女――――レラに、端的な返事を返す】
【今は、互いに眼前の敵で精一杯である事を理解しているのだろう。そしてそれが、結局戦力の拮抗を維持しているのだ、とも】
【安易に互いの戦局を崩す事は出来ない。ただ、敵でないなら攻撃はしないとだけ伝えて】

/続きます
911 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage !red_res]:2015/06/13(土) 22:51:33.86 ID:hjn2JPkM0
>>906

……っく、やられたわね。でもまぁ、丁度良いといえるのかしら?
…………せっかくだから、あなたには見せてあげましょう……私が首狩 殺鬼……サツキ・ザ・ヘッドスラッシャーと名乗っている、その真髄を……!

【微かに痺れが走り、上手く動かせなくなってくる左腕と顔を意識しながら、殺鬼は尚も戦笑を見せる】
【両手の指を結ぶように、再び『鉄の糸』が結ばれ、それを眼前まで釣り上げると――――瞬時に、自らの首を切り落とした】

【――――ドスッと、首が地面に落着する音が響く。その直後、切り落とされた首が光の粒子となり、提げられていた頭蓋骨の一つに収束していく】
【それが再度光を放った瞬間――――その姿は一変していた】

……ハハハハ! 面白い……面白いぞ、レラとやら!!

【光が収まった時、その場に居たのはまるで違う人物だった】

【頭部に赤いバンダナを巻きつけ、長めの髪を前方だけ立てて、後は素のままに下ろしている】
【銀色の金属製パッドやプレートで要所を補強した、黒い戦闘服に全身を包んでいる】
【右手に大振りの剣を携えた、無精髭にごつごつした体つきの、身長180cm前後の男性】

【まるで、何かの奇術か何かで、入れ変わってしまった様な状況とも取れる】

俺のお気に入りの力を使う事になるのは意外だが……いっそ、お前も俺のコレクションに加えてやろう!
その首、叩き落としてやるぞ!!

【右手で、その大振りな剣を肩へと担ぎ上げ、男性は豪快な声を張り上げる】
【状況がどうなっているのか、レラには理解できただろうか。ともあれこの男性が敵である事は間違いないようだが――――】

――――そら、火がいくぞ!!
(……っく、やっぱり左手、少し痺れちゃってるわね……!)

【剣を肩へと担ぎ上げたまま、男性は左手をレラへと向けると、そこから2発の火球を発射した】
【――――異能による攻撃としては、実にオーソドックス。やや火力が高めだが、素直な一撃である】
【だが、その動きはどこかぎこちなかった。刺された針の影響は、やはりその左手に残っているらしい】
912 :天野ソラ ◆81It1xIT0A[sage saga]:2015/06/13(土) 22:52:56.42 ID:onA35EVlo
【嘗ての平和がそこには有った───笑顔の人々と、明るい太陽、美しい街の中の公園】
【聖都スラウロット、今はもうこんな景色は見れなくなった街、過去の世界】

【ここはドラクレア島、過去の記憶が集積する地】
【見ているのは自分の記憶、島の神秘によって呼び起こされた幸せの記憶】

───…………

【目の前に広がる平和な世界が、いつしか崩れる事を彼は知っている、予期せぬ破壊が全てを飲み込み壊してしまう事を覚えている】
【でもこれは過去の記憶の再現に過ぎない、ここで自分が何をしようと、ここで遊ぶ子供達を救う事は出来ないのだ】

……力が、必要だ

【決まってしまった未来(かこ)を今更変える事は出来ない、だから、自分にできる事は、せめて復讐する事だけ】
【この島の何処かにいる仇を殺す、ただそれだけが、スラウロットの人々の無念を晴らすと信じて】

【渦巻く憎悪を抑えるように、パーカーの上から自分の胸を握り締め、被った黒いキャップの鍔を下げる、幻想と言えども、この地を憎しみで汚したくはないから】
【だが、それでも抑えきれない憎悪は殺気となって溢れてきて───同じ記憶の世界を見ている人間がいたなら、彼の殺気を感じ取れるかもしれない、この平和な世界には似付かわしくない、濃い負の感情】
913 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage saga]:2015/06/13(土) 22:56:45.79 ID:R+eqdo7go
>>908

「へぇ……」

【なるほど、この景色なら確かに小説か何かの種になりそうだ】
【しかし本、本か。最後によんだのは何時だったか】
【あるとき今と同じく、いやそれ以上に暇で暇でしょうがなく、さして興味もないが、流行の小説を読んだ記憶がある】
【感想は……覚えていない。つまらなくはなかったが読み返すほど面白くはないと、その程度のものだった気はするが】
【要するに大したことはなかったのだろう。それを切っ掛けとして読書にハマっていれば憶えているし、今この時も当てのない散歩などせず本を読んでいるに違いないのだから】

「――しかしまあ、便利そうな力だな?」

【ゆえにその本については何も触れず、話題として持ってきたのは彼女の異能力について】
【現状、彼の興味が一等に向いているのはそれだ。彼女の瞳と同じ色をしたモヤ】
【それに包まれ、今は砂浜に落ちている靴が浮遊しているのを確かに見た】

「物を持つ手間が省けるってのは羨ましい話だ。なぁ、そいつはどれくらいの物まで浮かせられる?」

【他意はない。彼はただ単純に、気になったからという理由で訊いている】
【言い換えれば好奇心だ。どんな能力なのか、今はそこにしか興味がないからそれ以外に関心を示さない】

「……あぁ、そうか。そうだったな」

【しかしふと、唐突とも言えるタイミングで呟き、一人で納得したように頷いた】
【思い出したのだ。最初に水を向けたとき、彼女は自身の能力について話すのを避けたことを】
【つまりその方面については話したくない、そこまでいかなくとも躊躇われる話題なのだろう、彼女にとっては】

「……まぁ、話したくなけりゃ話さんでもいいさ。強要はしねぇ。
 ただの世間話でも、たまにはいいだろうよ」

【仮に彼女の異能力に対する彼の興味が一定のラインを越えていればここで退くことはなかったのだろうが】
【今はまだ、そこまで強烈に惹きつけられているわけでもない】
【彼とて基本的に面倒事は嫌いな性質だ。ここで藪蛇になっても、大して面白くはないだろうと判断するから】
【で、どうする? そう言わんばかりの表情で、紫煙をくゆらせていた】
914 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/13(土) 23:10:20.91 ID:q4KhXFXH0
>>913

【この場所なら、きっと、どんな時間でも綺麗だろう。お話の中では、朝焼けの時間だった】
【なんでも、空の鮮やかなグラデーションが水面に映りこんで、けれど水の碧い色は抜けず、】
【どうにも言葉に表し難い色になるのだという。――そして、主人公は、それを見て困難に立ち向かうことを、覚悟する】
【そんな景色を――見てみたかったのだ。ちょうど、家から、そう遠くもなかったのだし】

……キミのことは持ち上げられない。

【なんて返す声は、無愛想だった。年頃の少女にあるように自分の価値を過信した様子もなく、媚びる様子もなく】
【ただ嘘吐きでもなく本当のことを、それでもある程度ぼかして、告げる】
【本当のことを言えば生き物に触れないのだ。だけれど、生物にも触れられると思い込んでもらったほうが、いい】
【こうも掴み上げられるもののない場所だと。それを知られてしまえば、一気に――何も出来ないと、ばれてしまうから】

【けれど彼女はそれ以上は言おうとしないだろう。ただ、キミ――相手のことを持ち上げられないと教えただけ】
【あんまり力はないのだろう。持ち主の腕の細さを見れば、……納得できる気もしたけど】

【ぼうとした目で彼女は膝を抱える。それを見れば、基本的には、根暗――というか、そんな性質のように見え】
【世間話を積極的にする性格でもなさそうなのだった。そうして数秒、彼女はだまりこんだと思えば】

煙草は美味しいかね、私は未成年だから、吸ったことがなくって。
それに、家でやると本に臭いがつく――外だと捕まるだろう、興味がないわけじゃないのだけど。

【なんて。黙っていたのは話題を探していたのかもしれない、どうにも住む世界の違いそうな相手との】
【話しかけられそうなところといえば、くゆる紫煙の煙草くらいだった。それはおいしいのかと、いいものなのかと】
【さっきも本と言った。家にもあるというなら本が好きなのだろうか。――暗い部屋で読書の姿が似合いそうではある】
【――興味がないわけじゃない。けれど、誰も居ない言葉で、彼に煙草を強請ってみることはしない】
【その程度の興味なのだろう。ただ、視線は、彼のほうを向いて――ただ、目は見なかった】
915 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage !red_res]:2015/06/13(土) 23:28:22.35 ID:hjn2JPkM0
>>909

ふっ、強気ね……良いわ。話は後でゆっくりと聞かせてもらいましょうか!
「……これだけは言っておく。今回はあの時の様には行かんぞ……!」

【初めて顔を見るナンバーズだが、その剣呑な言葉は悪くない。そう言う素振りを見せて、殺鬼はクスッと笑んで見せる】
【先ほどのトライデントの感情を剥き出しにした姿から見るに、相当な力を持っているのだろう】
【期待しているとばかりに、殺鬼は己の戦いに集中する】

「――――――――容易いんだよ、今の俺にはな!!」

【猛攻に生きる様なダリアが、完全に防御に己のリソースを裂いている】
【それは、前回の様子とは異なった趣の立ち回りと言えるだろう――――だがそれは、トライデントもまた然り、であった】
【以前も、確信的な攻撃性を剥き出しにしていたが、今回は殊更にその勢いが強い――――強く強く前面に、速攻を掛ける意気込みがあった】
【――――六罪王がいると言う状況、そして仲間がいると言う状況。それらを勘案して、彼は立ち回りを変えているのだろう】

「…………ッ」
「(なるほど……こいつらを使って消耗戦を挑んでこようと言う事か……!
  ……それなら確かに、強気になるのも分かる…………だが……!)」

【そばにいる3体の生物兵器『戦闘獣』。その姿こそが、ダリアの確信に満ちた防御の成因】
【トライデントにも、状況は理解できた。数に対して個で挑めば、どの道『こうなる』のだ】
【『エターナルトライアングル』を前面で展開させながら、トライデントは一瞬だけ目を伏せ、そしてグイ、と持ちあげた】

「――――弱点剥き出しの素人であるお前らに、俺をどうこう出来るものか……ッ!
 ……そいつの言葉について、人殺しに加担するのであれば――――殺すぞ、情けなどなく、その脳髄打ち砕いてな……!」

【――――基本的に『戦闘獣』は、己の身体を『人質』に取られている。その事は、戦闘開始前の兵士の言葉でも明らかだ】
【となれば、彼らはそこまで現状に馴染んだ存在と言う事ではない。あくまでただの人間を、怪物の身体に乗せているだけに過ぎない】
【――――トライデントは、確信を持った威圧で、3体を牽制する。尤もそれは、そうした戦術効果ではなく、本心からの宣言だ】
【――――そんな『犠牲者』に、生存権を主張する権利は、無いのだから】

〔――――グアアアアア!!〕〔ギイイイイ!〕〔グゥゥゥ……!〕

【――――その判断は当たった。3体は微かに躊躇する様子を見せる。改めて、自分たちのやろうとしている事が『殺人』であると言う事も、認識させられたのかもしれない】
【だが――――それでも、彼らに選択肢などあるはずが無かった。意を決した――――そう表現出来るだろう間をおいて、ウェンカムイの身体に乗せられた脳が、トライデントに突進する】
【そしてその左右に馬蛙とライオンが展開し、トライデントを囲い込むべく、動き出す――――完全に、トライデントは囲まれる格好となった】

「……チィッ!! うおおおおお……!!」

【その舌打ちは、状況の難易度を呪っての事か、それとも我が身可愛さに修羅に身を落とす彼らの身勝手さを蔑んでの事か】
【ともあれ、ウェンカムイの突進とあれば、無視する訳にはいかない。踏まれれば一瞬で死ぬ事になる】
【真っ向から突進してくるウェンカムイに、トライデントは球体を1発突撃させる。素人である以上、これだけでも怯む。ウェンカムイである以上、致命傷は期待できないだろうが】
【その目論見どおりに、ウェンカムイは怯み、そして顔面に受けた打撃に、立ち止まる。だが、その体躯は結局トライデントを突き飛ばしていた】
【――――バコン、とコンテナに激突した空洞の金属音が響く。トライデントの頭部から流れる血。痛みに顰めたその表情が、次の瞬間殺意に塗り潰されていた】

「……攻め手に全力を注がなかったのは、貴様らの失策だ……! もう3分……そろそろ来る頃だ……!」

【顔を流れる血を忌々しげに拭い去りながら、トライデントは凄絶な笑みを浮かべる】
【――――彼が稼ぐべく思索していた時間は、無事に過ぎ去ったのだ】

/続きます
916 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage !red_res]:2015/06/13(土) 23:28:44.06 ID:hjn2JPkM0
>>909

{――――『リスクストレージ 落雷1/100』!!}

【場に響いたのは、それまでその場に居なかったはずの、女性の声――――トライデントの待っていた『相棒』のものだった】
【その声とほぼ同時に、上空から紫電が走り、一行へと撃ちつけられる。落雷――――だが、本物のそれには遠く及ばない電撃だ】
【それでも、決して軽視出来る様なものではない。一瞬ならいいような物の、金属に囲まれているこの場で下手に浴び続ければ――――黒焦げだ】
【『戦闘獣』達もそれは同じ。強固な肉体を持つ彼らとは言え、それぞれに膝をつき、ケダモノの呻き声を漏らしていた】

{トラ君! ……も、もうダメージ負ってるの!? 大丈夫!?}
「……遅いぞ、アコード…………まぁ、間には合っている…………さあ、こいつらを殺し尽くすぞ……!」

【走り寄って来る足音。幾らも待たないうちにそれはその場に姿を表し、トライデントのそばへと走り寄った】

【明るいピンク色の長髪を肩甲骨の辺りまで伸ばし、前髪をやや膨らませる様にセットしている】
【紫色に着色されたカジュアルジャケットと、レギンスとハーフパンツを組み合わせて着用している】
【――――目元にレンズ、両耳に円形のボディ、後頭部に装着用の調節器が一体化した、機械的なバイザーをつけている、身長160cm前後の女性】

【トライデントの負傷にショックを受ける様な様子を見せたが、当のトライデントから声を掛けられると、あっさりと切り替えた様子で向き直る】
【――――ダリアには、その声に聞きおぼえがあるだろう。かつてトライデントを救助した謎の粘液生命体――――その正体だろう】

「……アコード、情報は?」
{割と、ね! 良さそうなのも見つかったよ!}
「よし……行くぞ、俺たちの本気を見せてやる…………命を惜しむな!」
{……オーケー。あたしも頑張っちゃおうって、ね!}

【短い会話を交わすと、トライデントと増援の少女は、共に奇妙な動作を見せる】
【トライデントは、両手の親指をグッと突き出すと、それを己の喉元に突き立て、グリっと抉り込む】
【バイザーの少女は、右手に拳を握り、それを左手で添えると、思いきり自分の下腹部を殴りつけた】

「ぐぁ、あ、ぐ、はが、がぁ…………ガアアアアアアアアアッッ!!」
{う、っく、は、あっ、ぅ…………うああああああああッッッ!!}

【微かな、悶絶する様な動作と、それに続く絶叫。その瞬間、2人の姿は直視に堪えないモノへと変化していた】

【全身が紅色の鱗で覆われた、例えるなら半漁人の様な姿が、そこにあった】
【獣の様な頭部の両側面には、後方へとはみ出すほどの大きな鰭がピンと張られており】
【先端に矢尻状の刃のついた触手が両肩から1本ずつ飛び出しており、鋭い鉤爪状になった手指を始めとして、硬質で鋭角的な体躯をしている】

【全身が緑色の、粘液状の液体で構成されている人型が、そこにはあった】
【人の姿を保ちながら、全身の輪郭や陰影は曖昧に崩れかかっており】
【身体を透かして微かに向こう側の光景を映すその姿には、内蔵も脳髄も見て取る事は出来ず、生物としてグロテスクな外観だった】

【――――出し惜しみはしない。ダリアに向けたトライデントの言葉は、正に偽りなしと言ったところだろうか】
【グラトンの血が成せる技。彼らは人の範疇を超えた、化け物の力をその身に宿したのだ】
917 :夜凪レラ ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/13(土) 23:28:51.03 ID:NCJyPIrKo
>>905 >>906


やかましい! やるといったらやるのだ、わたしは………!!


【殺鬼の言葉への回答になっているのかいないのか微妙な言葉を吼え立て、レラは自らの放った針の行く末を見届ける】
【――努めて表情には出さないけれど、少女の背中には冷や汗が走っている。別に、自身の実力に自信がないわけでは決してない】
【けれど相手はさる"六罪王"なのだ。それに、未だ若く未熟な自分がと対峙している事実を、何も感じず受け流せるほど大人でもない】
【トライデントの返答が遠く響く。――さっきは彼に死ぬななどと宣ったが、生き残れるのか、自分は】

【そんな葛藤とは別に、レラの理性は殺鬼の能力を分析する。鍵は、"糸"だろうか。細く柔らかく、切れ味鋭いモノ】
【厄介だし非常に危険なのは間違いないが、元より夜に活動することが多く目が利き、かつスピード型のレラなら対応できない能力ではないはず】
【――そう、少しばかり楽観的になっていた。"六罪王"の本当の真価を目の当たりにするまでは、】


な、…………なんだ、とっ!!?
お、おまえはだれだ! サツキではないのか―――!?


【"首狩"殺鬼……六罪王が自らに下す斬首刑を、レラは呆然と見ているしかなく。ごとりと転がる生首に目を背けたのは、やはり子供故の甘さが残っているがゆえか】
【いくらなんでもこの場で自害など意味が分からない。"何か"ある――そうは思ったのだが、完全に別人となり果てた殺鬼の姿に動揺し――】

【続く火球。レラの瞳がまた光るのがわかるか、次の瞬間何の前触れもなく、背中の鞘に仕舞われていた筈の二本の刀が少女の手元に出現しているだろう】
【左手に持つのは"シャムシール"と呼ばれる曲刀。右手に持つのは直刀、いわゆる"忍者刀"。左右で刀の種類が異なる、奇妙な二刀流だ】
【……先ほど針をいきなり六本も投擲した時も、同じ"瞳の光"があった。彼女の異能が関わっているとみて間違いないだろう】


っぐ、…………ああッ!!?


【レラはそれを使って火球を切り払い防御するのだが――ここで、さっきの"首狩"に対する動揺が効いたか】
【一撃目への対応が遅れ、避けきれない炎の余波が少女の矮躯を襲う。右手に巻いていた包帯が焼け落ち、下の素肌に大きく火傷が刻まれた】
【小さくない傷だが――レラにとっては運が良かった方だ。もっと致命的な攻撃であれば本当に不味いタイミングであったし、】
【男の炎が、動揺して攻撃を受けてしまった自らの"無様"が、レラの中の"忍"に火を付けた。熱せられることで却って、少女は冷静になった】

【瞬転、レラは身を低くして、地を舐めるような素早い疾走。男が大剣を持っている事を知りつつ敢えて距離を詰めようとし、】
【接近に成功したならば、左のシャムシールで撫でるようにして胴体を斬ろうとするだろう!】
【スピードは一級品だが力はあまり籠もっていない、牽制の一撃だ。――この少女、男と至近距離で打ち合おうというのか】


(サツキ・ザ・スラッシャー………首狩。首を切り落とす。
 ―――"コレクションに加えてやる"?)


【そんな中、レラは別の考えも巡らせている。冷静になって思い返せば火球攻撃の際、僅かに動きが鈍かったような。アレは自らの毒か】
【少なくとも、首が入れ替わったからといって体まで完全な新品に入れ替わっているわけではないのか――加えて】
【首を切り落としたときの、あの"頭蓋骨の光"。もし、トリックの源泉があの提げられているモノにあるならば――】
918 :夜凪レラ ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/13(土) 23:31:11.91 ID:NCJyPIrKo
>>917
/安価ミスごめんなさい……>>910 >>911でした
919 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage saga]:2015/06/13(土) 23:38:43.35 ID:R+eqdo7go
>>914

【――ということは、重量に制限があるのか】
【自分のことを持ち上げることはできないと、その言葉から考えられるのはこれか】
【むろん別の可能性もある。物体の種類によってか、無機物有機物、科学で解明できない異能力であるからこそ、思い入れの有無などといった条件で分類されることもじゅうぶんに考えられる】
【いずれにせよ情報が少ない。これでは詳細な能力の解析は不可能だろう】

【と、戯れに思考を回している】
【彼にとってはこれも暇潰しにすぎない。退屈を紛らわせそうな物の種があったので、それを最大限活用してやろうという遊び】
【科学者ではないのだ。解析して、そこからどうこうしようという意図はまったくない。ただパズルを解いているような感覚で、思考のゲームに興じている】
【無意味で、彼にしてみれば無価値なもの。だがえてして暇潰しとはそんなものだろう】

「……あ? あぁ……」

【そこで、彼女が投げかけた言葉に思考を止める】
【煙草……煙草か。なるほど自分が咥えているコレが気になったのか】

「不味いもんじゃねぇよ。人によるがな。
 コレも、いつから吸い始めたんだったか……憶えちゃいねえが」

【茶色のフィルターから煙を口に吸い出して、そのまま呼吸をして、煙を吐く】
【たまに、無性に美味しそうに料理を食べる人がいる。彼もこのタイプで、しかし彼は料理に該当するものが煙草であった】
【ただ煙を吸って吐いているだけなのに、それがとても旨そうに映る。どこがどう美味しそうなのかはいまいち分からないが、なぜだか自分も、と思ってしまう、アレ】

【と、そこでふと思いついたように胸ポケットに手を伸ばし】

「どうだ、吸ってみるか?
 見てるヤツなんざ俺くらいしかいねぇさ。コイツはメンソールが入ってるやつだ、スッキリするぜ」

【表情に稚気を滲ませて、取り出した紙箱を差し出した】
【白と緑のパッケージ。特に銘柄にこだわりはないが、初めて吸うには悪くないものだったのは丁度いい偶然だ】
【それはまるで後輩を悪い道に誘う不良のような。本人も自覚しているのだろう、面白そうに笑っている】
920 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/13(土) 23:53:32.06 ID:q4KhXFXH0
>>919

【――もちろん、重量にも制限があった。彼女の靄が掴めるのは、それなりに軽くって、生きてないもの】
【となると。本体のか弱さも含め、やはりこの少女は弱い類だと分かる。もちろん、全部知られていなくたって】
【真っ先に能力を気にかけた相手に警戒の目を向けたりしたことから。――そういったことで、戦闘力は察することができ】

そうかい。……喫煙者を見る機会があんまりなくってね、両親も吸わなかったものだから。

【不味いものではないという。……昔興味で調べてみたことがあった、だけれど、】
【具体的にその人が始めての煙草でどう思ったとか、味について詳しく書いたものとか、あんまり見かけたことはなく】
【それなら煙草の味というのはよく分からない。体に悪く依存性もあって……と悪い場所ばかりは浮かぶのだけど】
【彼が吸う様子を見て、別段吸いたい、吸ってみたい、そんな気持ちにはならなかった。ただ、】
【――彼はきっと好きなのだろうなとぼんやり思って。酒も煙草も、きっと、自分はやらないだろうと】
【思っていたときだった。彼に煙草を薦められて、彼女は一瞬ぱちくりと目を丸くしてから――】

いや――、体に悪いだろう。それに、服に臭いがつく。

【――だなんて、断ろうとしだすのだ。興味はある、だけれど、いざやるかどうか、と聞かれるとなると】
【はいやりますとも思えなかった。やりたいのか、やりたくないのか、よく分からない、興味は、確かにあるけれど――】
【びびっているのか、どうなのか。自分でもそれは、よく分からなかった】

キミが吸っているのを見ているだけでいいよ、私は。

【そうやって呟いて、彼女はふらりと立ち上がる。それでも身長は小さく、或いは、座っていたときと対して変わらない】
【それなりに大きい岩だったものだから。そうして彼女は地面をさくさく鳴らせると、波打ち際のほうへと近づいていき】
【「悪いね」と、別段悪びれた風もなく、呟くのだった――視線はぼうと海の向こうを眺め】
921 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage saga]:2015/06/14(日) 00:26:40.29 ID:V620iVqoo
>>920

「そうかい。ま、別にどっちでもいいさ」

【断られはしたが、別段、機嫌を害した様子はなかった】
【言葉通りということだろう。どうなろうが構わないし、それで転んだ方向で愉快になれれば儲けもの】
【その程度の気まぐれだ。そしてこの展開は、まぁ面白いとは言えないが。しかし薄々気づいていたが、この少女自体がそこそこに面白い】

【彼女は小柄だ。線も細い。学生か何かにしか見えない彼女が、百八十を越す男と一対一で話して物怖じしないというのがまずなかなか珍しい】
【それは異能力者であることの自信から来るものかもしれない。――否、それは違う。ここまでの会話で、そんな素振りは感じられなかった】
【まあ、その可能性もなくはないが。つまり人が蟻を踏み潰すように、あまりに力の差がありすぎるゆえに、自信がどうとか以前の問題であり、だから無感でいられる】
【そういうものも、あるかもしれない。が、それはいったん置いておくとして】

(……何か、欠けている……いや、少し違うか。
 あのときコイツは俺を警戒していた。となると感情はあるか)

【であれば何だ】
【この少女が、異能力者ということを抜きにしても、どこか違うということは分かっている】
【その相違に言葉を当て嵌め、定義するとしたら……それは何に】

【そう、考えを進めようとして――やめた】

【コレは後でもできる。暇なときにじっくり考え、退屈しのぎにするとしよう】
【今は目の前に物の種が転がっている状態だ。ならばそちらを気にするべきだろう】

【思考を打ち切り、煙草を吸おうとして……いつのまにかフィルターの根本付近まで火が近づいているのに気が付いた】
【面倒そうに頭を掻き、咥えた煙草を放り投げて――】

【それが地に落ちる前に、灰も残さず燃え上がり消えた】
【さも当然のように、箱からもう一本タバコを取り出して……】
【立てた人差し指から小さな火種が上がり、先端に火をつけた】

【そうして紫煙を吸い、吐き出す】

「……何が見える?」

【何事もなかったかのように、問いを投げた】
【彼女の視界外で起きた一連の事態。彼女にしてみれば、この男がただ新たな煙草に火をつけただけのことであり、彼側の認識もそれとまったく変わらなかった】
922 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/14(日) 00:38:23.32 ID:Cq3ItzAs0
>>921

……死ぬ間際に同じことを尋ねられたなら、吸ってみようかしらん。
ああ、でも、そうまでなったらば。吸わずに死んだほうが面白いかも知らんね。

【誰だったか。それともお話の中の人物だったかもしれない、だけれど、実在しようと、しまいと、どうでもいい】
【処刑間際に煙草を勧められ、「身体に悪いから」と断った奴が居たという。その話を、なんとなしに彼女は思い出し】
【だけど些細な差異として、「吸ってみようかしら」なんて呟く――ものの、すぐに撤回するあたり】
【やはりその程度には煙草と言うものに興味はある……のかもしれなかった】

【彼女は最初の言葉に対して、争いを回避しようとした。だけれど、だからと言って、よほど恐怖におびえて】
【死にたくないと――生きることを強く渇望しての言葉でもないように見えた。聞こえた。それならば】
【積極的に逝きたくもないが、積極的に生きたくもない。どこか死に憧れて、ふらりふらりと揺れるような】
【そんな危うさがあるようにも見えるだろうか。ざんと波が砂粒を攫っていく、そのうち、その際に足を浸し】

…………そうさな、社畜たちが灯す残業の明かりだろうかしら。

【そろそろ夏も近いとはいえ、海の水は少し冷たかった。波が足元を攫って、僅かに体が沈みこむ感覚】
【ひどく華奢な彼女がぼうとしたままそうしていると波に流されてしまいそうでもある。どこか不吉にも見え】

キミも見るかい、あれらはみんなサービス残業だろうかと考えると、なかなかに面白いのだよ。

【振り返って首をかしげる。その頃には全て終わっていて、彼女の目には、ただ普通に新しい煙草がくゆるようにしか見えない】
【その割りにライターの着火音がしなかったとは思えど、そこをよほど気にして尋ねるわけでもない】

【恋人たちなら空の星を指差しあれは何だろう、と語らうのかもしれないけれど】
【彼女は遠くの街明かりを指差して、あれは――と、全く違うものについて、言及していた】
【もちろんこの二人はカップルではないから、それくらいでもいいのかもしれないけれど】
【流石にもう少し幻想的な言葉でも出なかったのだろうか、と思う。――だって、こんなに、綺麗な場所なのに】
923 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/06/14(日) 00:56:15.33 ID:63Qn5dtR0

【深夜の墓場。――――ともなれば、不吉であり誰も近寄る者が居なかったのだけれど】
【今宵は其処に禍々しい気配が満ちていて。魔力だとかを感知出来る者ならば其れが所謂“瘴気”である事が知れるだろうし】
【そうで無い者だとしても本当的に“危険な何か”と感じ取る事が出来るだろうか】

【見遣れば、居るのは紅いドレスを纏った一人の少女】
【金色の髪に、朱色の双眸――――見てくれだけならば、本当にただの子供なのだけれど】
【瘴気は、紛う事無き少女本人から発せられていて】


「――――古い世界にさようなら。新しい世界にこんにちは
今宵私アリスが紡ぐお話しは希望絶望人間達の楽しいお話…………なの、だけれど」

【墓石に腰を掛けたならばブラリブラリと揺らされる脚】
【まるで暇を持て余した子供がする其れであり、悪魔の気配とはほど遠いのだが】
【――――不意に、土の中から突き出た一本の腕。肉が削げ、所々骨が露出して居る其れは、恐らくは埋められた者と考えて間違いは無く】
【其れを皮切りに、次々と墓の中から這い出てくる死者達。宛ら、一昔前のゾンビ映画のようで】


「みんなお話出来ないのね?それじゃあつまらないわ、つまらない
自分の好きだった人も自分の子供の頃も、きっと自分自身の事も忘れているのだもの。それじゃあ詰まらないわ」

【たった数分の内に、墓は死者の呻く声と這いずる音だけで支配される事となる】
【――――遠くからでも異変に気付く事が出来るのは、先ず間違い無いであろう】
【実際に現状を目の当たりにし、どの様な行動を取るのかは訪れた者次第】
【手当たり次第に抹殺するか、見つからないようにと逃げるか。それとも、中心で退屈そうに座る少女に話し掛けるか――――】











【街と街を繋ぐ、長い坂道。上の街は商業が盛んであり、下の街は宿などが多く存在する何て特徴があり】
【――――道には多くの街灯が設置はされているものの、流石にこの時間ともなれば人通りは疎ら】
【そんな中、目立つ存在が一人。制服を纏う所から、女学生であると見て取れる】
【歳は恐らく高等部の1年生だとかが妥当。ポニーテールに纏められた明るい茶色の髪は、どことなく活発な印象を与え】


「はぁ〜……全くもう、一人暮らしは大変だよ……
いやいや、私はまだ寮に住めてるから良いのかもしれないけど

それでもやっぱりルームメイトは居ないし、なーんかテレビに話し掛ける人達の心境も分かる様な……っと」

【抱えているのは沢山の食材が入った紙袋。その一番上に置かれた林檎がグラグラと揺れていて】
【位置を正そう、としたのが最初の過ち。思わず屈んだ所で、其れは紙袋から落ち坂道をコロコロと転がり始め】


「あっちゃー……こんな時に拾うのもめんどくさ――――おっ……おオッ?!」

【次に、手を伸ばして重心を前にズラしたのが第二の過ち】
【当然、坂道なんかでそんな事をすれば前に前にと身体は進もうとするのだから――――結果として、転ばぬ様にと足は坂を駆けて下り】
【加えて重心は紙袋を持つが故に前に置かれたままなのだから、最早自力で止める事は不可能】


「ちょッ?!どいてどいてーっ!!!やっぱ退かないで、誰か止めてーっ!!!」

【勢い良く坂を下る少女。ぶつかれば怪我をせずとも痛い思いをする事は間違い無く】
【止めてやるか、不幸にも衝突してしまうか。或いはそのまま見送るだとか――――それは、この場面に出会したもの次第なのだろうけれど】
924 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage saga]:2015/06/14(日) 01:08:05.88 ID:V620iVqoo
>>922

【ああ、隠しているわけではないのだ】
【一連の出来事は他の何でもない、彼の異能によるものだった】
【火を生み出す。そしてその延長線上にあるもの】
【攻撃的であり、単純に破壊に直結する異能こそが彼の力】

【タイミングが悪かったという他ない。彼女が振り向くのがもう少しだけ早いか、あるいは遅ければ先ほど起きた事態を目にすることもできただろう】
【彼にとっては隠すまでもないことなのだから。鳥が空を駆け、魚が水に遊ぶことと同じ】
【ただ、ゆえに見せつける必要はないということでもある】
【だから彼は心底なにも思わず、片手をポケットに突っこんだまま、歩を進めて】

「あァ。……アレか」

【彼女のそば……波が来ないギリギリで足を止めた】
【曰く、残業の光。あそこで今も大量の人間が身を粉にして、または嫌々働いている】
【そう思うと、確かに少し可笑しくなった。嘲ってはいない。と思うが、口の端は面白そうに歪んでいた】

「アレもなぁ。一時期は、ああいうのもどうかと思ったことはあるが。
 まぁ、結局は人次第だな。夜の砂浜で暇を持て余しているか、毎日必死で働き続けるか、どっちがいいかはそいつによるだろうよ」

【そこで彼女に視線を向けた】
【少女の目を、じっと見据える。紫の双眸が逃がすまいと――そう、勿忘草色の瞳を捉えた】

「アンタはどうだ? 上から自分のやることなすことぜんぶ決められて、毎日それをアホみたいにこなし続けるって日常は。
 あっちへフラフラこっちへフラフラできねぇような、ガッチガチに縛り付けられた人生だ。良いと思うか?」

【特に確固たる意図があったわけではない】
【ただなんとなくの直感に近い判断で、こう言えば面白くなるのではないかと、問いを投げかけた】
【これが何がしかの琴線に触れるものが、この少女の本質か】
【それともまったくの見当はずれであるか。どちらでもいい。どちらでもいいのだ】
925 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage !red_res]:2015/06/14(日) 01:09:09.24 ID:Oelb12WO0
>>917

……そのプロ根性、見事に見せてみろ!
(……もし、ちょっとした物なら……本当に頂こうかしら……?)

【外見が、そのままその技能を表しているとは限らない。だが、もしも忍者であるならば、如何なる状況にも対処して見せるはずだ】
【子供と言っても、油断はしない。その一方で、品定めする様な心の動きも、確かにそこにはあった】
【――――どこまでも己の強さの為に精進する、と言ったタイプではないが、それでも強い相手と戦うのは、殺鬼にとっても悪い話ではない】

……いいや、俺様は変わらず殺鬼さ……
……尤も、『この身体』はガイラと名乗っていたがな……!

【驚愕に塗れたレラの言葉に、気を良くしたのだろうか。男性は己が姿を変えて尚、殺鬼である事を認めた】
【とは言え、その声色、その体躯。どう見ても殺鬼とは別人としか思えないのだが】
【この時、彼(彼女)は、その姿を差してガイラと言う別な名前があるとも口にした――――】

っ、な……ッ?
(仕舞っていたはずの小太刀が、いきなり抜刀された……!?
 いくら早くても、その動きを見逃すなんてあり得ないはず……その目…………そうか、それがあなたの異能と言う訳……!!)

【その中で、己の放った攻撃の行く末を見届けようと集中していた殺鬼だが、思わず目を見張る】
【何か、不思議な事が起こったとしか言いようがないままに、レラの手に太刀が握られていたのだ】
【――――それまでの出来事と付き合わせて、殺鬼はレラの能力に、大まかなアタリをつけた】

……その身に喰らえば、相応の痛手になるだろうな!
それでなお、お前は力を維持できるか!?

【炎の余波が、微かとは言えレラの腕を焼いたのを、殺鬼は確かに視認した】
【もとより小柄なレラにして見れば、ダメージの絶対値が低くとも、比率でみれば軽視はできないはずだと踏んで】
【大剣を右肩に担ぎあげたまま、わずかに足を広げてスタンスを低く取った――――付け入る隙を作る、その布石は打てたと】

うっ……!? ……っぐ、『髪の糸』!!
(面白い……ちょっと痛むけど、このまま捕えて見せようかしら!?)

【だが、流石にそのスピードは一級品だ。踏みこんできたレラに対処する事は出来ずに、胸元を一閃されてしまう】
【幸いにして当たりは浅く、殺鬼自身もすぐに反撃に転じる】
【――――左腕から、改めて毛髪の糸が飛び出し、踏みこんできたレラを絡め取ろうとする】
【数が多い上に、人の毛髪は数が増えると切断する事も難しくなる】
【それはさながら、飛び込んできた鳥に網を打つ様な格好となっていた】
926 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/14(日) 01:20:31.03 ID:Cq3ItzAs0
>>924

【たとえ隠されていたとしても、彼女は機嫌を損ねることはなかっただろう。自分だって、伏せている】
【だけど気付かなかったなら何を言うでもない。ただ、どこか――諦めたような、世界に失望したような、】
【そんな色を持つ瞳を彼に向けるのだ。別にそれは彼への特別じゃない、何に対しても、変わらない色で】

あそこに居る人たちは、どんな思いで居るのだろうね。
早く帰りたいのか、それとも、心底仕事が好きで居るのか。どちらだと思う?

……ま、大半の人間は早く帰りたがっているだろうけれどね。

【ひどい話だ。どうしてお金ももらえないのに働かなければならないのか、こんな時間まで】
【例えばあの会社からここまで歩いて三十分もしないだろう。それっぽち、歩けばこんなにも綺麗な場所なのに】
【波の音のかわりに空調の音、潮の香りのかわりにコーヒーの匂い。そんな場所に閉じ込められて】
【どんな気持ちなのだろう。自分はきっと――ああいう場所には縁がないから、お遊び程度、そう思考して】

私は。……私はそんな暮らしは御免だろうね。そんなことより、ひたすら本を読みたい、……。
そうさな、誰かに読む本を決め付けられることでさえ嫌だ。誰だってその日の気分があるだろう。
そこを縛り付けられるいわれはないし、他者を縛り付ける権利など誰も持たない。

【彼はきっとそれをあんまり面白くないと思ったのだろう。だけど、彼女にとっては、それが全てだった】
【本を読むこと。それこそ誰かが身を粉にして書いたものを読む、或いは、彼女も身を粉にして】
【それでのみ彼女は人の心に触れられる。――そう思い込んでいる節があった。自分は本でのみ、人と関われると】

【思い込みかもしれない。思い込みだろう。だけれど、それが、確かに少女にとっては真実で】

ところで、キミは?

【「どっちの生活がいいのだろう」】
【――なんて、分かりきった問いを投げ返す。視線はそこで始めて持ち上がり、彼の紫と交錯する】
【積極的な目ではない。若さに煌くわけでもない。ただ、確かにものを考えて、生きている――ぬいぐるみのような瞳とも違っていた】
927 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage saga]:2015/06/14(日) 01:45:33.21 ID:V620iVqoo
>>926

【やりたいことが分からない。やるべきことが定まらない】
【その類のものだろうかと思っていた。どうにもこの娘は意志薄弱の気があると見えたから】

(だが、どうも違ったみたいだなァ)

【彼女には確かな意志があった】
【本を読みたい。縛られたくはない。当然の考えだ。共感する人間は五万といるだろう】
【ただそうした当然のものすらも持ち合わせない者が、たまにいる。出会ったこともある】
【心理学者を気取って、彼女がそうであると分析してはみたものの】

(慣れないことはするもんじゃねぇな。いや、ああ、違うな。そうだ、だからこそ……)

【答えが出ない。決着が着かない】
【それはつまりこの遊びが続行することを意味しており、まだまだ楽しめることを意味しているに他ならない】
【他人の心理分析など初めてやったが、これはこれで。なかなかに面白い】

【だからこそ愉快なのだ。退屈は常に満ちているが、無聊を慰める種もまた、そこらに落ちている】
【それを育ててみる。観察する。どのような結末を迎えるか、迎えた先も、飽きるまで】
【そう、飽きるまで。飽きたら終わりだ。次の種を探しに行く。その自由がある】
【何をどうしようとも、自分にかかわることは自分の勝手だ。他人に指図される謂れはない】
【俺は俺のまま、あるがままに俺である。それを妨害などさせない。ああ、だからこそ――】

「――俺は、“こっち”の方がいいさ。“あれ”は、ゴメンだね」

【少女と同じ回答を返した】

「俺の人生は俺の物だ。誰にも渡さねえし、誰にも邪魔させねえ。邪魔するヤツは心底気に入らねぇ」

【彼女の瞳から微塵もそらさず、正面から見つめ返して言い切った】

「アンタと同じだよ」

【その口元は愉しげに歪んでいる】
【何がそんなに面白いのか。そう問えば、全部と答えるに違いなかった】
928 :夜凪レラ ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/14(日) 01:47:41.94 ID:a4XADojko
>>925

【――首狩殺鬼でありながら、ガイラという別の人間でもあるという彼、あるいは彼女】
【不可解ではあるがもう困惑はしない。殺鬼がレラの能力にアタリを付けたように、こちらも多少は"タネ"が推察できた】
【もちろん、それが当たっているかどうかはわからない。証明する方法は一つ、全力をもって試す、それだけだ――】


ちっ―――だが、まだ"おそい"っ!!


【レラの負ったダメージに関する殺鬼の推察は正しい。スピードと小回りは凄まじいが、そこは子供だ。パワーと体力には劣る】
【大人ならば耐え切れるものを耐え切れない可能性だって当然ある。まして相手は奇怪な技を持つ六罪王、いつ墜とされてもおかしくはない】
【だが――少なくともいまは、まだ。火傷は痛むが右腕の行動に支障はない。"忍者刀"を地面に突き立てるのに何の遅滞もないのだ】

【タイミング的には曲刀による一閃のすぐ後。レラは軽くバックステップ、今しがた突き刺した忍者刀の柄を部分を踏み台に、大きく跳躍!】
【上方向へ逃げることで『髪の糸』を回避すると同時、体を捻る。残された左手のシャムシールを、横薙ぎの一閃で叩き付けようとするだろうか】
【ただし、狙いは殺鬼本人ではない。さっき"ガイラ"と入れ替わった時に光り輝いていた、胸元に提げた四つの頭蓋骨――それを破壊するのが目的だ】
【それが殺鬼の能力に関係していると踏んだのだ。頭蓋骨の硬度が普通のモノと同じならばの話だけれど、破壊するに十分な威力はあり】


こんなところで、"これくしょん"などにされてたまるものか……!
サツキなのかガイラなのかは知らぬが、わたしはせいぎの"しのび"なのだ!! おまえたちと"同じ"になる気などない!!

――――これで、たおれろっ!!


【――更に。そこでレラは止まらない。一撃必殺の暗殺が叶わぬならば、周到に用意した罠、不意打ちこそが"忍"の本懐とばかり】
【シャムシールによる攻撃が当たるか当たらないかに関わらず、それと殆ど同時に、別の攻撃が殺鬼を襲う。予兆は二つ――気づくだろうか?】
【ひとつは、また輝くレラの瞳。そしてもう一つは、大振りな曲刀の一閃に紛れるように、そっと、"開いた右手"が殺鬼の左胸へ翳されたこと】

【刹那。レラの右掌の中、よく目を凝らさなければ見落としてしまうかもしれないが、そこに小さな暗器――いや、"銃器"が現れる】
【"デリンジャー"というモノを知っているだろうか、女性の手にも収まるほど小さな掌サイズの小型拳銃、それをレラは発砲する!!】
【そのサイズ故、本来威力はそれほど無い。だが心臓という急所、そしてこのゼロ距離射撃。――仮に直撃すれば、相当の深手となるかもしれない】


(これで、力をふうじられれば、多少は―――っ)


【なお、これら二つの攻撃がどういう結果に終わるかに関わらず――二つの攻め手を同時に駆使した代償に、レラには"防御の手"が残っていない】
【まして現在地は"空中"。それこそ『髪の糸』をその場に展開し続けておくだけでも、レラは自動的にその中へ墜落して絡め取られることになるだろう】
【総合的な体力では劣る為、短期決戦に持ち込もうと焦ったか。こちらの攻撃に怯むようなことがなければ、逆にそちらのチャンスともなり得る筈で】
929 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/14(日) 02:02:27.92 ID:Cq3ItzAs0
>>927

【本を読みたい――それは彼女にとって、大きな大きな欲だった。或いは、三大欲求と言うよりは】
【本を読みたいのが第一で。他は死なない程度に、というくらい。それでも、時折、こうして出てくるのはどうしてだろう】
【そんなに本が好きならずっとそうしていればいい。だけど彼女はたまにこうして外に出て、こうして誰かと会話して】

【(もしかしたら、彼女も退屈なのかもしれない。本を読んでも、読んでも、埋まらない何かがそこにはあって)】
【(それを探しに、外に出て来るのかもしれない。こうして、誰かと話したり、するのかもしれない)】

……でも、キミの人生のほうが自由だろうと私は思うよ。

【「私は縛り付けられているのだから」】
【と呟いて、彼女はまた、視線を海へと戻す。羨ましいわけじゃない、眩しいわけじゃない、でも、少しだけ】
【ねたましいような――ねたましくないような気持ちが湧いて。また、ほんの少し、足を海に進める】

私には本を読んでいいという自由しかないのだもの。
生きていなければいけない、死ぬという自由がない。

【ずっと燻っている。漠然とした死への憧れ、このまま海に沈んでしまえたら】
【そうしたら自分は“*(******)”に会えるのだろうかと、ずっと、ずっと、考えている】
【だけれど自分にはその自由がない。死んではいけない。もう一度逢いたいと願っても、許されない】
【その日が来るとしたら、それは、きっと、数十年後なのだ。この体が劣化しつくしたときに、ようやく許される】
【そんな風に縛り付けられている。――生きることを強いられていると思うだなんて、妙なことだけど】

【(誰かと関わるのは苦手だった。幼い頃は、快活な少女だったと自分でも思うけれど)】
【(*が死んでしまった日から、人間は死ぬのだと気付いてしまったときから、誰に対しても苦手意識がある)】
【(或いは*が死んだことで両親が家を離れるようになってしまったときからだろうか。とかく、人間は――苦手だ)】

だから――キミと私は、きっと、同じではないだろうね。

【最終的に彼女はそう結論付けて、水面を一度、蹴飛ばした】
930 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空)[saga]:2015/06/14(日) 02:08:02.62 ID:FQljzkad0
/2レスに分けますっ


>>915-916

「……ハッ、大した余裕だね! 数だけ脅威と見てるつもりなら死ぬよ――――……半死人じゃ済まなかったあの夜を、忘れた訳じゃないんだろ?」


【“容易い”、その言葉の真意は未だ掴みきれない。如何に戦術を換えたとて、それだけで決定的な差は生じ得ないと自問を終える】

(ッ―――――――)

【そして獣たちの襲撃が半ば以上無為に終わる様を、心胆に油を注ぎ込まれる様な面持ちをして見た】

【カプセル部の無い『ウェンカムイ』ならば、この攻撃も一度二度は耐え凌いで反撃に繋げる。肉体の圧倒的アドバンテージがある以上、そうなれば優位はもはや容易には揺らぐまい】
【歩兵に対する優位性は、その機動力と耐久性にこそあったのだろう。生半可な携行火器など問題にせず、市街地でも問題なく標的を追う走破性はヒトを追いつめる兇器として高い完成度を見せた】
【だが制御にあまりに難があった―――――それを補うための“戦闘獣”。しかし、肉体の効率的な運用すら失った“常人”など、ただの熊の一匹にも劣るのだと――――】

(……半端な真似を、してくれて――――――――――……)

【RL≠フ研究者への感情に、殺意にも近しい剣呑なものが混じる。瞳に映るのは、ただ宿敵】
【もっと、殺そう。“力”として期待できずヒトにも為りきれぬ獣たちにも、失望こそ覚えれど従わんとした忠はある】

【……そして、それ以上など何もないのだ。友などなく、絆はない。疾うに、殺し尽くすための兇気へとこの命と牙は為り果てたのだから】

【ゆえに兇器が己(さつい)を支え保たんとする様に、意志は自らを奮い立たせる唯一の“忘れざる『意味』を想う。失望などより余程強い、一つの、感情―――――――】

【―――――――それが、ほんの僅かな隙となったのかも知れない。トライデントが時を稼ぎ終えた瞬間、聞き覚えのある声と刺激が意識へと届いた】
931 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空)[saga]:2015/06/14(日) 02:10:09.72 ID:FQljzkad0
>>915-916

「――――……く、ぅぅうあッッ……――――――――――!!?」

【突如迸る紫電がその身を貫き、獣たち同様に雷電がその身を苛んだのだ。意に反して肉体が硬直し、灼かれる感覚が神経を苛む】
【肩で息をつき膝をつきかける肉体を、殺意で繋ぎ止め状況への対応を続ける。現われたのは、『アコード』、か―――――。】

【整え切らない呼吸を保ち、ダリアには胸の悪くなるやりとりを見届ける。きっと悍ましいであろう叫び/そして起こる、グラトンの犠牲者たちの変貌―――――――――。】

【報告にあった戦闘形態と、嘗て見た透ける異形の女性。獣たちなど問題にしない戦力が、トライデントの側に集ったことを直感する】

(………、―――――――――)

【息を継ぐ。言葉を紡げる様に。そして立ち、指令を下すのは、】

「……下がれ。おまえたちに、私の戦いで果たせる役目なんてない」

【冷え切った――――――否、温度すらない色なき声。獣たちを一瞥することもなくダリアは俯き、肢体を脱力させて二体の異形に向き合う】
【状況に不利を感じたのか? 想定されるあまりの戦力差に絶望したのか。静かに佇むだけの深緋が、立ちすくむ様にもみえて】

【そして、音もなく真っ直ぐに上げた面に――――――それは、歪みきった凄絶な笑みを浮かべていた】

/さ、3レスになりそうですっ
932 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空)[saga]:2015/06/14(日) 02:10:55.86 ID:FQljzkad0
>>915-916

「―――――――――――――――それが、どうした……!!」

【激昂する。ノイズの様な音をたてて赫怒がハウルする。絶叫の如き嗤笑の声が、憎悪を伴って鳴り響く】
【呼応する様に大気より噴出するは、魔族がその身に宿すという有毒の瘴気――――比喩抜きの魔性を以て、ここにひとつ地獄が顕現する。ヒトならぬ身に堕ちた殺戮者の声は、地の底より響くかの様で】


「虫ケラども――――――――――― 一度の死すら覚えた事のない分際で、嘗めきった夢想にひたる蠅以下の芥ども!!
 
 ……許さない。逃がさない。忘れること、見過ごしたこと、正義を騙ったその醜悪さすべてが悍ましい……!!
 死というものを刻んでやる―――――――絶望の味を骨身にこびり付くまで教えてやる!!
 
 終われ、塵(チリ)ども――――――――……容易く殺すことがどういうことか、その姿に刻んで熄えて死ね…………ッ!!」

【恒星の如く輝く“双つ”―――――ダリアの後方で渦巻くふたつの藍き竜巻は、殺鬼を巻き込む可能性など端から考慮に入れず、ただ絶対なる暴虐を意味して乱れ狂う】
【余程注意深く見抜かなければ、なにがそれらの言葉を繋ぐ事象かは測り難い】
【ただ、容易く屠れると彼らが心底から確信したその感覚が。吐き気を催した様に歪む、拒絶と憎悪を呼び起こしたのは事実の様で】

【“容易く殺せる”? “本気を出せば”? 数が多いから、グラトンの落とし児として苦しんだから、】
【“歯車の如く回る狂気とそれに縋る小さな夢想が、存在するハズもない“正義”の勝利を思ったから――――――――――、”】


「―――――――――――――――――――――――――――――その程度でッ!!
 私の氷空綺藍≠ノ繋いだ“ヒト”の意志を、嘲られるとでも思ったのかぁァアアアアアアアアッッッ―――――――――――――!!!」

【もっとも誇るものを侮辱された女帝の激情が、勝利をやろうとした者たちのない大地を蹂躙する。退避していないのならば獣とてそこで死ぬだけ――――】

【―――――――――――――――元よりあれらを慮る必要がないならば、思う存分にこの火力を揮えるのだ。彼らの挑発は、地獄の釜の蓋を開けたにすぎない】

【トライデントには一つひとつが“氷槍”を上回る破壊力の爆炎の連弾からなる獄炎の乱気流が、アコードには極低温の死の大渦が地を梳る様に這わされ襲う。】
【完全に激昂し殺意に染まりながらも、殺意が過熱すればするほどに冷徹に敵手の死を求める鏖殺の技法。これが――ダリア・レオンフィールドという殺人者の本領であった】

(殺す・殺す・殺す・殺す・殺す・殺す・殺す……―――――――――必ず、殺す…………!!)

【――――――しかし、その身に負った手傷は軽微なものでない。殺意は滾り赤光のごとく迸るが、肉体の運用に何らかの支障を生じていることは確かだろう】
【彼らに用いることのできる術ではないのだろうが、意識をズラすこともまた有効で――――――】

【それは、突如として完全に殺意一色に染まったこの急変に手掛かりを求めることが可能ではあるのかもしれない】
【彼らは、何を侮辱したのか。ダリアは、なにを重んじていたか。狂瀾に近い冷徹の果て、仮に真理を突いたならば短時間の停止すらも見込める状態に魔物はある】

【肉体の故障と各々の異能に期待するか、殺意の奔流に対処することを優先するか。判断は、彼らへと委ねられて】
【狂気のゆく先が見たいとしても、この状況は危険極まりない。望まぬ其れならば、猶更であった】
933 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage !red_res]:2015/06/14(日) 02:18:47.18 ID:Oelb12WO0
>>928

ッ、ぐ……!
(……ここで、腕の毒が大きく響く事になるなんて……!)

【動きを絡み取るべく放った『髪の糸』が、上方向への跳躍と言う形で回避される】
【本来であれば、十分に捕えるに足る状況だったと踏んでいたのだが、やはり思ったよりも腕の痺れは大きかった様だ】
【だが、失敗した攻撃にいつまでも拘泥するのは愚策でしかない。殺鬼はすぐさま思考を切り替えようとしてだ――――】

【ゾクリ】

(ま、まさか……!?)

【――――言うなればそれは、戦士としての直感だった。何らかの理由に裏打ちされたものではない、全く突飛な予感】
【だが、無視するにはあまりにも重い手応えのある感覚。いうなればそれは、長らく積んだ経験の齎す、気まぐれな未来予知の様なものだったのかもしれない】
【――――最も攻撃されてはならないものに、攻撃が及ぼうとしている。正にそれを直感で感じ取ったのだ】

――――っうおおおおおおッッ!!

【――――右肩に抱える様にして掲げていた大剣を、胸元へと伸びる斬撃を防ぐべく振り下ろす】
【ガキィッ、と剣と刀とがぶつかる耳障りな金属音が響く。刃を頭蓋骨に届かせる事は無かった】

――――良くもやってくれたわね! これは1つ1つが二度と手に入らないものだと言うのに!
こんな良い『戦士の首』を、そうそう簡単に壊されちゃたまらないわよ!!

【だが、殺鬼にとってはそれで安堵とは到底行かない、ギリギリも良い所の出来事だった様だ】
【思わず普段の彼女と思しき、女口調でまくし立てる。男性の肉体を借りてのその言葉は、うすら寒い気味の悪さを感じさせるかもしれない】
【――――だが、レラの推測は正しく正鵠を得ていたのだ。その頭蓋骨こそ、彼女の変身の要だったのだ】

【――――そうして、防御に気を取られ過ぎていた事で、先ほど掴んだはずのその兆候を見逃してしまっていた】
【そっと胸元に押し当てられたデリンジャー。冷静さを欠いていた殺鬼は、それが宛がわれた事にさえ反応できなかった】

ぐぁ、ぅ……ッ!!

【胸部に鋭い痛みが走る――――間違いなく銃弾がめり込んだ。心臓のそばにでも着弾しようものなら、冗談抜きで命が危ない】
【詳細は分からない。だが、それを思い悩んでいる暇は無い。勝つかどうか。正にこの局面を乗り切る為に必要なのは、それだけだ】

ぁ、ぁあ……ぉぉぉおおおオオオッッ!!

【乾いた息が吐き出される。それに続いて、あらん限りの力を振り絞り、咆哮する】
【次の瞬間、殺鬼の身体が諸共炎に包まれ、灼熱を帯びて――――そしてそれが爆ぜる】
【全身から灼熱を、ともかく無差別に周囲へと放った格好だ。動けないからこそ取った苦肉の策だが、その熱量は先ほどの炎の弾とは比較にならない】
【レラを撃退する為に、残された余力の全てを注ぎ込んだ咆哮だったのだろう】
934 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空)[saga]:2015/06/14(日) 02:19:55.69 ID:FQljzkad0
/…補足を追加。意味は変わらなくても、分かり辛そうな部分が…ッ…orz

【余程注意深く見抜かなければ、なにがそれらの言葉を繋ぐ事象かは測り難い】
 ↓
【余程注意深く見抜かなければ、なにがそれら“憎む”言葉を繋ぐ事象かは測り難い】
935 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage saga]:2015/06/14(日) 02:39:51.48 ID:V620iVqoo
>>929

「――――へぇ」

【なんだ】
【なんだ。なんだ。なんだ】
【なんだなんだなんだなんだなんだなんだなんだなんだなんだ面白いぞこの娘ェェッ――!】

【表情こそ大した変化はない。傍から見れば、ただ笑みが少し濃くなっただけ】
【だがその内心は歓喜、喝采、熱狂が渦を巻く大爆笑】
【今までさんざん考えた、この少女の本質を。その内に抱えるものの正体を】
【理論立て、筋道を通し、道理を弁え理屈理屈……そうして思考を回し、論をこねくり回した】
【だがそれは無意味に堕した。そもそも頭で考えて行動するタイプではなく、あくまで享楽的に、赴くままに行動するのがこの男だ】

【だからだ、獣じみた直感で嗅ぎ取った】
【この娘が抱えた“闇”の一端。核には至らないが、そこに届き得るだけの質量を有した欠片】
【間違いない。“こいつは死に憧れている”――――!】

「死を想え(メメント・モリ)、か」

【元の意味とは違う。だが字面だけを捉えれば、こいつは正しく死を想っている】
【ならばなぜ。どうして今に至るまで生を繋いでいる?】
【生きたいという願望、違う。生きねばならないという強迫観念――自分は生に縛り付けられていると、そういうことか?】
【だとすればなんて滑稽。人の人生はそいつ次第、生きるも死ぬもまったく自由だというのに】
【死にたければ死ねばいい。生きたいのなら生きればいい。本を読みたいなら読めばいいし、たまに他のことがやりたいならそれでいいというのに】
【それなのに、ありもしない鎖を感じて十字架を背負った気になっている……阿呆が過ぎるぞ、なんて妄想。生きるということの本質が分かっていない】

「――あァ」

【面白い。面白い。まったくもって面白すぎるぞどうしてくれる】
【ここまで盛大に勘違いした輩はそういない。ああ、少なくとも今までの人生では数えるほどしかいなかった】
【笑いを堪えるのに必死すぎて何も言えない。まだ表情には出ていまいが、時間の問題だ。くるりと後ろを向いて、悟らせないようにした】
【ここですべてをぶちまけてやってもいい。嘲り、嗤い、愚かな道化めと指さすのも面白いだろう】
【だがまだだ。まだそのときではない。熟成する必要があると直感は告げるのだ】

【ゆえに煙を深く吸い、諸々の感情をこめて吐き出した】
【そしてまた、彼女に向き直る。その様子は、先ほどと何も変わりない】

「……まぁ、そうみたいだな。アンタと俺は違う。よく分かったよ」

【貌には笑みが浮かんでいる、これも相変わらずだ】
【しかし。しかし、何かが。ほんのかすかな違和感としか認識できない何かが、先ほどとは違っている、ような――】

【と、唐突に踵を返した】

「――そろそろ行くわ。暇潰しにはなったぜ」

【端的にそう言って、歩き出し】

「コイツは礼代わりだ。吸いたきゃ吸いな」

【煙草の箱を後ろ手に放って、彼女へと投げ渡した】
936 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/14(日) 02:54:39.60 ID:Cq3ItzAs0
>>935

【遭いたい人が居る。だけれどその人は居なくなってしまった、十年以上も前に、死んだ】
【両親は泣きはらした目で自分に言った。決して死んではいけないと、*のようになってはいけないと】
【そして*を生き返らせる方法を探しに行ってしまった。そして、いつか、また、】
【*の生きていた頃のようにみんなで仲良く暮らそうと言うのだ。――どうかしてる、と、思う】

【(だけれど、独り取り残された家で、大人しく、今までずっと生きてきた)】
【(死ぬのが怖いのか、両親の言いつけを破れないだけの臆病者か、それとも、)】
【(どうしようもないほどいつかに焦がれて、またあの頃みたいに暮らしたい――そんな願望は、ただ、気付けない)】

【死にたいと焦がれるのも、あの頃に焦がれるのも、おんなじだった。もう一度、*に逢いたい――ただ、それだけ】
【彼の言葉に少しだけ考えるように目を伏せてから、彼女は、再びあの靄を呼び出す――が、数が多い】
【さっきは一つだったのに対して、今は二つ。それを腰元に纏わせると、そっと、スカートの裾を預けて】
【ざぷ、ざぶ、また深みまで歩く。今度は膝を通り過ぎるくらいまで水に沈むが、浅い海ではここで限度、限界なら】
【決して死ねる深さではない。もちろん、本気になれば出来るだろうけれど――そう言う話ではない】

そうかい、じゃあ、気をつけ――、

【「て」と言う前に、何かが飛んできた。僅かに瞳が丸くなって、少し慌てたように飛来物を掴む】
【それが煙草だと認識すれば、少しじとりと目を伏せながら、「未成年なのだけれど」と呟くものの】
【まあ――突っ返すわけでもない。相手の顔に浮かぶ、些細な違いには、触れないまま】

【自分はまだここに残るつもりらしい。小説の主人公のように朝焼けを拝むつもりだろうか】
【ふわふわと靄を従えて、彼女は気付けば相手のことをじっと見ていた。それで、ふと、気付いたような顔をする】
【――けれど、何も言わなかった。名前を聞いていないな、なんて、なんだか尋ねるのはどうでもいい気がして】
937 :夜凪レラ ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/14(日) 03:04:09.20 ID:a4XADojko
>>933


よめたぞ、サツキ――やはりそれが、おまえの力の"かなめ"か!!


【ほぼ予想通り。――あの首ひとつひとつに、ガイラのような戦士の魂が宿っているのか】
【例の『糸』を操る力に加え、自ら首を挿げ替えることによって様々な能力を使いこなすということか。なるほど確かに、脅威的な力だ】
【戦士の首を集めることで状況に合った力を拡張していけるというのも怖い。が――ここで倒してしまえば、もう何も恐れることはない!】

【頭蓋骨は破壊できなかったが、代わりにデリンジャーでの不意打ちは大きなダメージを齎した】
【――自分は六罪王相手にここまでやれるのだ、と。そう調子付いていた面が無かったとは、残念ながら言えないだろう】
【彼女がこんなやられっ放しで終わるはずもないというのに。それが一瞬、レラの判断を遅らせたのだ】


………ぐ、ぬぅ、あああああああああああああああああああああああッッ!!?


【派手な二連続攻撃、その着地後の隙を完全に狩られる形となった。あと一瞬早く動き出していれば、直撃だけは避けられたものを】
【短期決戦を焦った代償、そして慢心の代償。――殺鬼にも確かに見えるはずだ。幼さゆえの未熟な精神が、その両方を払わされる瞬間が】
【刀を背中に戻し、体を丸めて背を向ける。それは忍の本能が齎した最後の悪足掻きで。後は……悲鳴だけが残された】
【爆熱がレラの体を焼き、大きく弾き飛ばした。矮躯は簡単に宙を舞って、倉庫の壁に勢い良く叩きつけられるだろうか】

【……紛うことなき直撃。しばらくするとふらりと少女が立ち上がる姿が見えるだろうけれど】
【重ねて言うがレラは体力に劣る。これまでは賢しく攻撃を避けてきたが、それはどれほど危うい綱渡りであったことか】
【こうしてみれば一目瞭然。――"たったの一撃"。それだけで、夜凪レラは満身創痍の状態まで追い詰められていた】


く、ぅ――………ぐ………っ。


【ガシャガシャと、焼け焦げた服から無数の暗器が零れ落ちていく。攻撃に"炎"を選んだのは良い手だったかもしれない】
【――もう気づいているだろう。レラの神速の抜刀速度の正体、それはいわゆる"テレポーテーション"の能力で】
【彼女は忍であり、"暗器使い"でもある。体中に仕込んだ大量の暗器を、テレポート能力で次々手元に引き寄せて戦うのがレラのスタイルだった】
【が、いまそれも瓦解した。服がボロボロになって殆どの暗器が失われている。……残されたのは、背中に残された曲刀が一本だけ】


まだ――だ………。
わたしは、まだ……たたかえるぞ……、六罪王……っ!!


【仮にも"六罪王"を侮りかけた自らへの猛省。全身に走る激痛。それらが容赦なくレラの体を蝕むが――】
【それでもまだ動こうとするのは、偏に意地だったのか。それとも単に、生き延びたいという欲求がそうさせたのか】
【――だがいくら取り繕っても、こちらはもう限界だ。次が最後の一撃となるだろう。レラは大きく息を吸うと……"疾走"を開始する!】

【レラはもう放っておけば倒れるような状態だ。そんな中、殺鬼にとって唯一予想外かもしれないのは――この期に及んで、"疾走"ということ】
【流石に先ほどまで程ではないが、十分に速いのである。……体中に仕込んでいた暗器を失ったことで、少女はその重量から開放されていた】
【これが少女の、今の全力。それで殺鬼の不意を付けるかは運だが、とにかく懐に飛び込むことに成功したならば、左から曲刀を叩き付け――】


――――くら、ぇええええええええええええッッ!!!


【ここで、最後の策が講じられる。少女の走る軌道上に、先ほど地面に突き刺して、爆風で弾かれて転がっていた"忍者刀"があった】
【レラだけに注目していれば気づけないかもしれない。懐に飛び込む直前、地面に転がったそれをレラが踏んだ瞬間、その瞳が光る――】

【攻撃の直前、レラは"二刀流"に戻るのだ。左からの曲刀に、右からの直刀が加わって、両側からの鋭い斬撃が殺鬼の胴体に迫る――――!!】

【"騙し"も、威力も、夜凪レラの全力の一撃。――逆に言えば。近寄った分、カウンターを入れやすいとも言えるだろう】
【どちらの一撃が先に当たるか。それが勝負を決するキーになるのかもしれず。……あるいは――、】
938 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区)[sage]:2015/06/14(日) 03:20:33.87 ID:V620iVqoo
>>936

【そうだ、名前などはどうでもいい。また次の機会にでも、思いついたら名乗ればいい】
【願わくばそれまでにもっと、もっと、面白くなっていることを願う。心の底から楽しみでならない】
【あの娘の闇を明かすには“勇者”が必要だ。彼の少女の内に巣食うモノを過不足なく理解し、その上で救おうと奮起できる者】
【それは自分ではない。だからこそ時間と、そして出会いが必要なのだ。アレがより面白く育つまでは、まだまだかかるのだから】

「……くくっ」

【さてどうなる】
【“勇者”によって闇を晴らされ、正道へと立ち返るか?】
【誰とも会わずに時間だけが経ち、さらに「こじらせて」奇々怪々な変化を遂げるか?】
【あるいはまったく別の、予想だにしない未来……未知なる展望を見せてくれるのか?】

「くく、ははは……」

【どれでもいい。どれでもいいのだ。どう転ぼうが構わない】
【必ず面白くなる。どこかで野垂れ死ぬようなことがなければ、絶対に楽しませてくれる】
【だから待つ。今、この段階でできることはない】

「あァ、面白ェ! 愉しませてくれるじゃねぇかお嬢ちゃんよォ――!」

【まさかこんな面白そうなヤツに巡り合えるとは思わなかった。これは大収穫という他ない】
【比喩でなく腹を抱えて大笑する。それほどまでに愉しくて仕方ないのだ、彼にとっては】
【人間観察も捨てたものじゃない。あらゆる場所に面白いものは転がっている】
【ああ、愉しい。だから面白いのだ、人生は。俺ほど人生を謳歌しているヤツはそういないと断言できる】

「もっと、もっと! もっと面白くなってくれよ、なァ!
 お前は本当に、愉しいヤツなんだからよォ――ヒヒヒ、ヒァァッハハハハハハ――――!!」

【人気の絶えた路地に哄笑を響かせながら、彼は期待する】
【面白き、この世をもっと、面白く。彼女が更なる進化を遂げることを――ただひたすらに、期待する】


/これで終了……ですかね?
 お疲れ様でした、楽しかったです! 遅くてごめんなさいでした
939 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage !red_res]:2015/06/14(日) 03:22:19.79 ID:Oelb12WO0
>>930-932

〔……グウウゥゥ……〕〔…………〕〔…………〕

【唐突――――と言う程でも無いのだろう。自分たちの立ち回りは、お粗末だった事は理解している】
【だが、それでもなお――――ダリアの言葉の豹変ぶりには、『戦闘獣』達も思わず疑念を差しはさむ】
【――――このナンバーズ、キレてしまっている。このまま、自分たちの存在が無視されてしまえば、自分たちの『肉体』が危うい】
【とは言え、このまま言葉を無視して戦闘を継続すれば、更なる激昂をもたらしかねない――――】
【電撃からの回復こそ、その体力の高さを示すものだが、基本的に『戦う人質』である彼らに、命令系統の混乱は力を封じ込める方向に動いてしまっていた】

{……トラ君、こいつ……なんだか、様子が……}
「……気にするな。こいつは己の矛盾にすら気が付いていない、ただの狂人だ
 ……ただ殺せば良い。先の悲劇を防ぎ、起きてしまった悲劇は終わらせる……それだけだ」

【ゲル生命体と化したアコードと、悪魔の如き異形と化したトライデントもまた、ダリアの様子がおかしい事に気付く】
【例え素人であっても、戦力として幾らでも使い様があるだろう3体の『戦闘獣』を捨ておくのは、どうしてもトライデントの側からは理解できない】
【幾ら失望したとはいえ、ダリアほどの戦士が、そんな非合理な選択を選ぶだろうか?】
【そんな道理に合わない怒りを発するのは、戦場の機微を読めない凡愚のする事だ。ダリアは、その範疇には無いはず――――】

{……なッ――――!?}
「……っ、まだ底を隠し持っていたのか……貴様……!」

【地から噴き出し、荒れ狂う魔の奔流。明らかにダリアの引き起こした現象だ。そしてこんなものは、前回の戦闘では見ていない】
【さしものトライデントの表情にも、一瞬の戦慄が走る。かつての戦いで、まだ底を隠し持っていたと言う事になる】
【――――無論それは、トライデントとて同じ事なのだが――――】

「(ッ、そうか。そう言う事か……! 具体的な事はまるで分からんが……終着点は、式を飛ばして答えが見える様な、そんな気がした……!)」

【ダリアの言葉が脳に突き刺さる。その中でトライデントの脳裏に、1つの予感が浮かんでくる。バサッと、側頭部に備えられた鰭が一度はためいた】

{……トラ君、どうするか教えて。別々に戦う? それともここから『一つになる』?}
「……まだそれは早い。だが、覚えておけ……こいつ、どうやらそこまで恐れる存在でも無さそうだ……! 無論、下手に巻き込まれれば、容易く終わってしまうが……!」

【アコードがトライデントに問う。基本的に、この両者の力関係はトライデントが上になる形なのだろう】
【3つの球体をそばに控えさせながら、トライデントは異形の表情の口元を、微かに開いて見せた】

「――――その言葉、そっくりそのまま返してやろう……! 鏡にでも向かって言っているのだな!
 貴様の許しなど、なんの足しにもならんし、なんの意味もないし、なんの慰みにもならん!
 ――――自分が何でもできると思ったか? 今全てを吐きだし切っているお前は、もう既に『空っぽ』だ!
 無意味な悪人めが…………貴様の死肉を引き裂いて、慰みものとして無念の死に沈んだ者達の墓標に捧げてやるッッ!!」

【頭部から、変身して尚流れる血を、異形の手で拭い去りながら、トライデントは吼える】
【――――どこどこまでも互いを憎しみ合う、絶望的なまでの思想の噛み合いの悪さ。それがトライデントとダリアだった】
【互いを否定し合う事しか出来ない。だったら否定すれば良い――――トライデントの出来る事は、ただそれだけだ】
【そして、それだけで十分だったのだ――――それ以外の全てが『無駄』なのだと、トライデントはこの瞬間に悟ったのだ】

/続きます
940 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage !red_res]:2015/06/14(日) 03:22:54.94 ID:Oelb12WO0
>>930-932

〔グアアアアゥッ!!〕

【魔力の奔流に巻き込まれ、ライオンがバラバラに引き裂かれる。突如敵味方の別なく荒れ狂うその顛末は、流石に予想外だったのだろう】

〔グィィィィ!!〕〔ゴォゥガァァァ!!〕

【かろうじて難を逃れたのは、馬蛙とウェンカムイだった。そしてその瞬間、この2体は立ち回りを決めた】
【――――自分たち主体で動くから、まともな成果を上げられないのだ。ならば、あくまでダリア主体で動けば良い】
【どの道、退路など自分たちには無い。ならば、前へと踏みでて、活路を求めるより他ないのだ――――】

「アコード、覚えておけ! 奴は『単純存在』だ! 力そのものは圧倒的だが、避けたりいなしたりすればそれで済む災害の様なもの、それが答えのはずだ!
 奴には主体と言うものが恐らく存在しない、本当に『空っぽ』のはずなんだ!
 それを覚えておけ! そしてそれこそが、実戦的な意味での対処法にも繋がるはずだ!」
{ちょ、意味が分からないんだけどトラ君!?}

【一方的に、己の予感で捉えたものだけをまくしたてるトライデント。だが、アコードの抗議を聞きいれる余裕は無かった】
【――――正に、ダリアの放った獄炎と絶対零度の渦とが、その瞬間に襲いかかってきたのだから】

「(……いなせば良い、散らせば良いのだ……!)」
「ぐっ――――ゴゥァアアッッ!!」

【トライデントの球体が3つ、それぞれに発光して爆炎を押し広げ、熱量を散らして行く】
【そしてその中を、トライデントは進んでいく。無論、「散らして」と言っても、その熱量は凄まじい】
【人の身体より、遥かに強固になったはずの体表が、あっと言う間に赤く焼けただれ、熱によって組織が縮み、歪み、焦げていく】
【だが、その中を進んである程度距離を詰め――――トライデントは、口から大量の液体を吐きだした】
【それは、溶解液――――正に『生物としての』トライデントの異形が持つ、強力な武器の1つである】
【やや上向きに放たれた溶解液は、ダリアの立っている地点を大雑把に狙い、周囲に降り注ぐだろう】

{(……うぅん、この身体の弱点を見事に突いてるって……どう『空っぽ』なのよ!?
  ――――言っててもしょうがない、ちょっと賭けてやりますか……!)}
{が、っ…………『リスクストレージ ダウニー』!!}

【強烈な冷気――――半液状の身体と言う意味では、正に普遍的とも言える弱点を突かれ、アコードは焦った様子で倉庫の壁面へと逃れる】
【だが、ここまで強烈な冷気が、ある程度距離を離した所でどうにかなる訳ではない。その身体は徐々に、目に見えて凍りつき始めていた】
【その中で、アコードはダリアに向けて赤い光を放つ――――その光にこそ、アコードの『貯蔵』した『災厄』が封じ込められている】
【その『災厄』は――――麻薬症状、特に『ダウン系』と言われる、神経系の働きを阻害し、トランス状態に陥らせるものだった】
【多少なり浴びれば、肉体の動きは悪くなる事が間違いない。相手を心身ともに弱らせる事を、アコードは選んだのだ】

【――――地を這うように放たれたダリアの攻撃に対して、2人の反撃は空から降り注ぐ形となった】

〔グィィィ!!〕
「っぐ、……貴様、余計な事を!!」

【その中で、馬蛙がトライデントの腕を、その長い舌で捕える。トライデントはそれを振り払い、諸共切断してしまうべく腕を振るうが、馬蛙は適切なキャッチアンドリリースで、妨害に専心していた】
941 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[ [sage saga]:2015/06/14(日) 03:32:53.01 ID:Cq3ItzAs0
>>938

【そして、誰も居なくなった入り江。彼女はぼんやりと、砂浜で膝を抱える】
【本でも持ってくれば良かったと思う反面、持ってこなくて良かったとも思う。潮風で痛んでしまう】
【だから、ただ、脳内でお話を繰り返す。それは、昨日読んだ本だとか、いつか読んだ本だとか】

【そうして気付けば時間は過ぎ去り、空の向こうは、うっすらと赤らみだし】
【さらに数分後、彼女はお話の中にあった景色とまみえる。――だけれど、だからといって】
【お話の中のように何かを決意するわけじゃない。生きることも、死ぬことも、どちらも決めかねて】
【何も決まらないまま――空は青く澄んで、太陽は高く昇り、ただ、綺麗だったのは確か、と考えている】

【何かを覚悟するには十分な景色だった――と思う。ただ、それは、志が決まっている者の場合】
【何も決まらない、決まっていない、考えてもいない自分には、それで何かを決意するのはどうにも難しく】
【小さくあくびを噛み殺して、帰路に着く。――なぜだか煙草の箱は大事に持ったまま。捨てる気にもなれなくて】

【窓という窓を暗幕で覆った家。本だらけの机の上に、投げ渡された煙草を置いて】
【件の“お話”――本を取り出すと、それを読み出す。そして、やがて、あの朝焼けの頁にたどり着くと】
【同じ景色を共有したのだというある意味仄暗い感情で薄ら笑って――それから、眠りに就いたのだった】

/おつかれさまでしたー!
942 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[saga sage !red_res]:2015/06/14(日) 03:52:17.67 ID:Oelb12WO0
>>937

ッぐぅッ……!
(……やら、せない…………こいつらは、絶対に……私のもの、だから……!)

【――――かつて、世界に自らをデモンストレーションした時の言葉である。「死んだぐらいで、許されると思うな」】
【殺鬼のそれは、あの時流した映像の様に「死体を体内に吸収して、新たに繊維として使う」と言うだけの事ではなかったのだ】
【特に優秀と、気に入った敵の魂を「首狩」の形で己のモノとしてしまう。それもまた、殺鬼の力である「死んでも許さない」と言う意図だったのである】

っ……今の、内に……!
――――っう、ぁぁぁぁああーーーッッ!!

【焼けながら吹き飛んだレラの姿を認めると、殺鬼はそれに喜ぶよりも前に、やらなければならない事を実行に移した】
【――――指先から、『髪の糸』を出すと、それを己の左胸の傷口へと潜らせていく――――めり込んだ銃弾を、抜き取ってしまおうと言うのだ】
【心臓に到達してしまえば、そのまま死んでいたはずだから、今はまだ大丈夫。だが、ピストル弾は体内を抉って破壊する事を主眼に置かれている】
【身体に残ったままにしておくのは、非常に不味いのだ――――早く、慎重に、指先の糸を操り、弾丸を捉え――――抜きとった】

……この身体であって、助かったわ…………
この筋肉が無ければ、本当に心臓に達していたかも、分からなかっただろうぜ……

【抜きとった銃弾をグッと握り締めながら、殺鬼は思わず唸る】
【筋骨隆々な男の肉体。それが今、ギリギリのところで生死を分けた。やはり、このガイラと言う戦士は、自分に殺されるまでは、優れた人間だったのだろう】
【――――装備を散らせるレラの姿に、殺鬼はようやく人心地ついた気分だった。彼女もまた、己のハンデを存分にカバーして今まで自分を追い詰めたのだ】

なっ、馬鹿な……!?

【――――そうして見つめていた相手が、今まさにもう一度攻撃を加えようと疾走してくると言うのは、流石に予想外だった】
【まだ、首を取ろうと言う考えに至る前の、半ば放心状態だったからこそ、予断無く思考をスイッチ出来たのだが】
【頭が動いても、身体の方がそうもいかない――――能力の予兆が見えた。だが対処するに足る方法は――――】

うおおおおおッッ!!

【咄嗟に殺鬼に出来た事は、先ほどの様にガイラの能力を発動させる事だった】
【――――左右の斬撃を受け止めるべく構えた両腕が、凍っている。固く厚いその物体は、忍者刀の取り回しの良さを優先した刃を、何とか受け止めている】
【同時に――――指先に捕えていた銃弾を、熱量で小爆発を起こし、レラに向けて放っていた】
【――――尤も、正式な発射装置で発射した訳ではない以上、軌道も、弾の入射角も真っすぐにならない。これでは命中どころか『ぶつかる』だけで終わるかもしれない】

――――あなた、最高ね…………このガイラの能力が『熱量操作』じゃなきゃ、私は危なかったわ…………
――――夜凪レラ、と言ったわね…………あなたの首、是非とも欲しい…………また、必ず会いましょう…………

【刃を受け止め、ささやかな反撃も終わり――――殺鬼の姿は、元の和服の女性に戻っていた】
【その顔には、辛そうな笑み――――1人の相手にいなされた悔しさと、将来的に手に入るかもしれない新たな『獲物』の発見とで、微妙な感情が混在していた】
【――――そのまま、ぎこちなく腕を後ろに回すと、指先から放たれた糸が、殺鬼の身体を引っ張って行く。戦線離脱を選んだのだろう】

【――――六罪王の1人を、ギリギリの所まで追い詰めた。これはレラに取っては小さくない戦績だったのではないだろうか?】
【トレーラーが1台放棄され、その中にあった「保存された、頭を切り開かれた人間の身体」と、「戦闘獣数体」も、SCARLETの手に渡ったのだろう】

/乙でしたー!
943 :夜凪レラ ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/14(日) 04:39:29.25 ID:a4XADojko
>>942

【刹那の内、切り取られた一コマの中。レラは頭の中で、持ち得ていた情報のいくつかが繋がるのを感じた――】
【サツキ・ザ・ヘッドスラッシャー。魂を"首"という形で奪い、その体は繊維として取り込んで自らの力とする、その力】
【――放っておけば、この女性はどんどん強くなっていく恐れもある。ただでさえ『RAGNAROK LABORATORY』という強力な手駒も得ているのだ】
【なによりも速く、迅速に、倒さなければ。……殺さなければ。自然にそう思った。それは"忍"……いや、暗殺者としての思考か】


は、ぁあ――――、!!? そん、なっ…………ばかなっ――!!
…………がぁ、っ…………。


【この女を殺す。"六罪王"を殺す。ただそれだけが頭の中をぐるぐると回る。それだけが、今にも崩れそうなレラの両腕に力を込め続け】
【……"止められている"ことに気づいたのは、少し後。信じがたい光景だ。"ガイラ"の力はてっきり炎熱を操るモノだと思いこんでいたから】
【例の糸、繊維だって十分に厄介だというのに。『首狩 殺鬼』という六罪王の危険さを、レラは脳内に迸る危険信号と共に改めて実感し、】

【――どん、と。真後ろに倒れ込む。今度こそ完璧に、少女の体から力が失われるだろうか】
【撃ち返された弾丸にあとほんの少し、力があれば。あるいはレラの足腰にもう少しだけでも、力が残っていたのならば】
【その弾丸は確実に少女の命を侵していただろう。……力尽きたことで逆に、受けた衝撃に対して変に踏ん張ることなく体が崩れたのが幸いしたか】
【『ぶつかる』だけで済んだ弾丸は、レラが仰向けに地に臥すのとほとんど同時に地面に転げ落ちて金属音を上げ、戦いの終わりを告げた――】

【そこから先は覚えていない。レラの体は生きるのに精一杯で、意識を保つ余裕など無かった。撤退する殺鬼がなにを言い残したかすらわからず】
【当然ながら、まだ戦っているはずのトライデントとアコード、ダリアがどうなったかを見届けることもできなかった】


(う………っ、ううっ、う…………)


【――トライデント達に救助されるのか、レラが帰還しないことを危惧したSCARLETの仲間たちが踏み込んできて彼女を回収するのか。それはわからないが】
【どちらにせよ、目が覚めたのはすべてが終わった後。どこぞの病院のベッドの上で覚醒することとなるのだろう】
【ボロボロの体で、誰にも見られないように、レラは涙を流す。――六罪王と単騎でやり合って、勝てこそはしなかったものの追い詰めた】
【それを仲間にいくら誉められようが、しばらくの間、少女は自身の功績などまったく考えられなかった。嬉しかったし、怖かったのだ】

【ただ、こうしていま生きていることが。そして――ある種の極限状態だったとはいえ、敵を殺すことを一切躊躇わなかった自分の変化が、……】
【あの日……死の色をしたサーガイアシティ夕焼けを、少女はずっと忘れることはないのだろう。夜凪レラが忍として、"どちら"に傾いていくにせよ――】


/お疲れさまでしたー!!
944 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/14(日) 15:47:25.01 ID:+y95dodDO
/>>904で再募集します
945 :アイン ◆r0cnuegjy.[sage]:2015/06/14(日) 17:18:38.27 ID:aQEyDQVao
>>944

【清涼な風が吹いていたはずの村には、今では暗澹とした空気が覆いかぶさっていた】
【死肉の臭いに異常な光景。不気味な静寂の中に獣と鶏の声が唐突に響く】
【ただ獣に襲撃されたにしては、あまりにも奇妙。日常から切り離された歪な現実がそこには存在していた】


……これはどうにも、おかしな状態だな
偵察のつもりできたがこんな状況に出くわすとは、たまには散歩もしてみるもんだ


【村の入り口には一人の男がやってきていた】
【年齢は三十代前半程度。無造作なままの黒い短髪に、東洋人風の顔つき。長身に赤黒い外套を羽織っている】
【男は好奇のままに顔と目を動かす。その度に左耳にあるルビーのイヤリングが、動きに合わせて揺れていた】

【村にはまだ獣がいることは明白だった。その獣が人間では討伐できないことも】
【しかしその男はその事実に気がついていながら平然と村の中を歩き始めた。死体に検分するかのような目を向けようとも】
【その惨たらしい残骸に対しては、何ら感想を抱かなかった。ただ襲撃者の情報を頭に蓄積するばかりだった】


あまりここに用はないんだが……急ぎでもないし、寄り道も重要だろう
ただの獣にしては強いようだから、カノッサに持ち帰りでもすれば何かの役には立ちそうだ


【男の口元が邪悪に歪む。好奇心と打算が脳裏で展開していた】
【残念なことにこの場にきたのは正義の味方でなければ、火事場泥棒どころでもなかった】
【男は更に村の中へと進んでいく。生存者でもなく残り物でもなく、獣そのものを見つけるがために】

//まだいらっしゃいますか?
946 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/14(日) 18:20:36.68 ID:+y95dodDO
>>945

【──村人はそのほとんどが死に絶えていた。仮に生存者がいたところで、獣の気配がまだ残っている】
【そんな中で助けを求める声など、聞こえるはずもなかった】
【藁葺き屋根の家屋。そのほとんどは、さほど破壊されていなかった。扉や壁が強引にぶち破られた家が、精々いくつかある程度】
【家屋と家畜をそのまま残し、ヒトだけが綺麗さっぱり消えてしまった──廃墟のような不気味さが、そこにはあった】


【村の奥へと進んで行けば、聞こえる獣の声も強くなる。ボロ屋の壁──ヒトの頭ほどの位置に、鋭い爪で掻いたような痕があった】
【間違いなく、普通の獣ではない。育ち過ぎた熊か。しかしただの熊ならば、村人も何らかの抵抗はするはずだ】
【村の様子を見るに、抵抗をするまでもなく村人は蹂躙されたと考えられる】
【──ぐ、る、る、る、る。獣の声が更に強くなる。獣臭すら漂ってきたのが分かるだろうか。近くに、いる。それも、だいぶ近い】


【1つ先の角。──ぬぅとソレは姿を顕した。2mを越える巨体をした、二足歩行の獣だった】
【漆黒の剛毛を持つ、人狼と似た獣。だが奇妙なことに、獣の体毛は均一には生えていなかった。十以上の箇所の漆黒が、欠けていた】
【その代わり、欠けた漆黒の場所からはヒトの肌らしきものが覗いている──しかし、毛のある部位の表皮は紛れもなく獣のそれなのだ】
【それだけではない。太い腕や曲がった脚の一部はヒトのように細くなっており、指も何本かはヒトの細指】
【胸部にはぶら下がるふたつの大きな肉──乳房だろうか。それは獣が呼吸する毎に揺れるのだ】
【更に腹は、酷く膨らんでいた。犠牲者たる村人たちが収まっているにしては、妙に大きい】
【はたた、と胸の肉から白い汁が零れた。…………乳汁。ということは、この腹は──】


【ぐるる、るる……。獣が、男に気付いた。妙に響く唸り声を上げ、男に視線が向けられる】
【──身体同様、獣の頭部もまた歪だった。やはり獣毛とヒトの肌とが混在していたが】
【特別異質なのは、その目と口だろう。形状はイヌ科のような口ではなく、ヒトの如き平坦なもの】
【ただそれは、耳のあたりまで大きく裂けているのだ。裂けた口からは、鋭い牙と粘性の涎が見えた】
【──牙と牙の間に、赤い何かが詰まっていた。村人だったモノ、なのだろう。村の襲撃者がこの獣であることは、明らかだった】
【そして獣の目。2つの目は──完全に、ヒトの目をしていた。赤い、人間の瞳だった】
【ヒトと獣を無茶苦茶に練り混ぜたが如し風貌のソレ。このような生き物は、どのような学術書にも記載されてなどいないのだ】
【──ばたり、と獣は長い尾を家の壁に叩きつける。狼のものとよく似た、やはり漆黒の尾だった】

/気付くのが遅くなって申し訳ないです
/昨日宣言し忘れましたが占い師です。人狼じゃありません。あ、よろしくお願いします!
947 :アイン ◆r0cnuegjy.[sage]:2015/06/14(日) 19:11:21.43 ID:aQEyDQVao
>>946

【歩けど歩けど視界に入るのは破壊の痕跡ばかり。人の気配など欠片も感じられなかった】
【声を頼りに村の中を進んでいく。その声が強くなる毎に男の期待も大きくなっていった】
【小さいとはいえ村一つを壊滅させたのだ、一体どれ程の怪物なのか────】


……は?


【その獣が姿を現したとき、男は自分でも驚くほどに間抜けな声を出していた。そこにいたのはまさに“怪物”だった】
【継ぎ接ぎされたかのような歪な肉体。中途半端に人間の面影を持つその怪物は、それ故に余計に怪物じみていた】
【美とは真逆の造形。生物の醜悪さを詰め込んだような風貌には、この男でさえも思わず眉をひそめた】

【更に、不自然に膨らんだ腹に目が留まる。どう考えても村人たちが入っているとは考えにくかった】
【それがなんであるか気がつくのに時間など必要ない。胸部の肉と合わせて考えれば、この個体は雌ということになる】
【こんな生物はこの魔術師でも見たことがない。いつもであれば未知に対して愉悦を感じるところだったが、今回ばかりは違っていた】


……あまり物事の造形についてどうこう言えるほど、俺も立派な見た目はしちゃいないが
それにしたってこいつを“作った奴”の美的センスは疑うな。ここまで歪な造形を生み出せる奴なんてのは
俺でさえ数人しか知らない……可能であれば、ダグラスやらカニバディールあたりの感想でも聞いてみたいもんだ


【不愉快さに顔を歪めながら、彼は吐き捨てるように呟いた】
【ここまでの造形、自然に出来上がったものとは到底思えなかった。キメラの類だと考えるのが男の常識としては正しい結論だった】

【口にあがったのは芸術家に、異形の男。自分自身の感想なんてものは決まりきっているし、他の人間でも同じ感想だろう】
【まさしく吐き気を催すようなものが目の前にいた。しかし、“その程度”では男の目的が変わりはしない】
【むしろその醜さに好奇心はよりいっそう刺激された。顔をしかめながらも、男は獣へと歩き始めた】


そら、人間だが襲うか? 狩りになるかは知らんがな
それとも、大方の実験動物の例に漏れず、実は話せたりするのか?
“そんな見た目”じゃ知性があった方が悲劇的だろうがな……


【近づきながら、男は挑発めいた言葉を投げかける。話せるかどうかの確認のためだった】
【相手が襲い掛かってくる可能性を知りながらも、彼は得物を構えなかった。そんなことをせずともどうにでもなる、という傲慢さ故に】


//うそつけどう見ても人狼やんけ! 占い師(魔術師)はこっちやぞ!!
//あ、よろしくお願いします
948 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/14(日) 19:43:01.76 ID:+y95dodDO
>>947

【ずんと獣が一歩分だけ下がった。苛立つような唸り声が、大気に混ざる】
【ぐぐ、と獣の脚に力が籠った。彼の独り言を聞いて、唸り声に更なる苛立ちが紛れ──】



     【 『 ──── アイン 』 】



【確かに、獣はそう言ったのだ。雄か雌かも分からぬざらついた、妙に響く声ではあったが──】
【この、ヒトとも獣ともつかぬ生き物は確かにヒトの言葉を紡ぎ、男の名前を、口にしたのだ】

【男が獣に近付いてくる。獣はまだ、何もしない。何もせず、後退しそのまま逃げ出しそうな気配すらあったのだが】
【その気配は、挑発めいた言葉を彼が発したその瞬間に霧散した】
【赤いヒトの目が、怒りに染め上げられる。ぐうぅううう……! と呻き声が、涎と共に口からぼたぼた漏れ、零れ落ち、そして】


【────獣が、消えた。いや、本当に消えたわけではない。消えたように見えたのだ】
【その場に跳躍の痕跡が残る。獣は漆黒と赤い瞳のみを引き連れ、疾風すら置き去りにする】
【大気中に、黒と赤の軌跡が残る。残像──それが現れる速度で男に近付いたのならば】
【ヒトとは比較にならぬ、怪物の剛腕に相応しい力で彼を真正面から殴り飛ばそうとするのだ】
【まともに喰らえば、常人ではただではすまない。以前この獣が脚で薙ぎ払った者の腕は、折れるばかりか薙ぎ払われた箇所がそのまま引きちぎれたのだ】
【その剛力を正面から受ければ──軽く見積もっても、トラックに轢かれたような衝撃を受けるだろうか】
949 :アイン ◆r0cnuegjy.[sage]:2015/06/14(日) 20:50:30.77 ID:aQEyDQVao
>>948

【その一言は確かに男──アインに届いた。この怪物は今、自分の名を呼んだのか】

【名前を呼んだところで会話できるとは限らない。知性が低くとも単語ぐらいならば口にできる】
【しかし果たして、知性が低いものが有名になったとはいえ六罪王が識別できるのか。それとも自分に対する刺客か何かか】
【何故怪物が自分の名を知っているのか、アインには見当がつかなかった】


まぁ、いいか。六罪王になる前から人の恨みなんか買いすぎて覚えちゃいない
どっかのマッドサイエンティストか誰かが……


【意識が逸れたせいか。いや、あまりにも速過ぎたために、アインは怪物の姿を一瞬見失った】
【どこにいった、などという疑問が浮かぶ前にそれは目の前で腕を振りかぶっていた】


(速い────ッ!!)


【魔術により高速化された思考が何とかその姿を認識する。だが身体の動きは追いつけない】
【六罪王だろうとアインは魔術師だ。肉弾戦は本来苦手なもの】
【それ故に、これほどまでの被害をもたらした獣の一撃は、いくらアインといえど直撃すれば致命傷は免れない】

【空気を叩いたような鈍い音と共に、魔術師の身体が直線で吹き飛んでいく】
【民家の壁に衝突。勢いは止まらず、更にその奥の壁さえも破壊。更にその先にある民家の壁に激突したところで、ようやく止まった】
【激突音に遅れて穴の開いた民家の瓦礫がぼろぼろと落ち始める。男の身体は壁に突っ込んだ状態で倒れていた】

【数秒して、男の右腕がゆっくりと持ち上がり、手が壁の断面を掴んで上半身を持ち上げた】
【額からは血が流れ出して片目を塞いでいた。左腕と右脚はあり得ない方向に折れ曲がっている】
【服は衝突の影響で至る所が切り裂かれていて、血だらけではないが致命傷なのは明らかだった】

【────だが、男は生きていた。気だるげに周囲を見渡した後、自身の左腕に目を向ける】
【すぐに右手で腕を持ち上げると、強引に折り曲げて元の方向へと戻す。そうしてから、男の左手は動くようになった】
【同じように右脚も力づくで元に戻す。やはり動くようになった。何事もなかったかのように、男は立ち上がった】


……真正面からの攻撃が避けられなかったのは、最近じゃあの蟲娘のときか
やはりこれぐらいの速度になると反応するのが難しいな


【アインは分析するかのように感想を呟いた。手の甲で額の血を拭い、閉じていた片目を開いた】
【民家に出来上がった穴を戻っていって、表通りにいる怪物の前にアインは再び姿を現した】


流石にさっきのは驚いたな。あれだけの速度が出せるんなら、カノッサ機関でもやっていけるだろう
いや、相手が俺でなければ良かったんだが……お前も不運だな


【まるで本当に同情しているような口調でアインは言葉をかけた】
【魔術師には攻撃を直撃して生き残る術はない。肉体的には貧弱であることが多いからだ】
【だがこの男はただの魔術師ではない。特異な能力でも何でもない、魔術という技術で六罪王になったことは伊達ではないのだ】

【生きている理由は単純。回避できないのであれば防ぐしかない。攻撃が当たる直前に、魔術で障壁を形成していたのだ】
【僅かな時間だろうが必要な障壁を展開する。それが出来るからこそ、アインは急襲に対してさえ今まで生き残ってきた】


さて……流石に、多少はやる気を出す、か
まぁ五割か六割ぐらいでいいだろう……それでもすぐに終わりそうだが

【アインの右手に槍が召喚される。二又の矛先を持つ彼にとって唯一の武器】
【真正面に向けられた矛先から魔方陣が展開。魔翌力が集中していく。同時にアインの足元にも魔方陣】
【何かを撃とうとすれば速度を生かして先手を取ってくる。そう読んで、足元には捕縛用の魔術を展開しておく】

【もしも接近すれば、地面からいくつもの鎖が飛び出して動きを止めようと絡み付いてくるだろう】
【魔術の一種のため、通常の鎖からは考えられない強度を持つ。が、過剰な力をかければ破壊は可能だ】
【また接近さえしなければ、捕縛魔術は襲ってはこない。その代わり、槍から超高熱の熱線が照射されるだろう】
950 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/14(日) 21:21:58.27 ID:+y95dodDO
>>949

【殴り付ける際、妙な手応えがあった。それだけで、獣は彼が生きているだろうと予感した】
【そもそもあの一撃で仕留められるかどうか定かではなかったのだ】
【故に、彼が立ち上がりこちらに歩いてきたところで驚く素振りはまったく見せなかった】

【──アインの前方と足元に、魔法陣が展開されていく。彼の予測通り、獣はそれを見て再度彼へ疾走】
【魔術が放たれる前に。そう考えていたがための疾駆。その思考が読まれているなどとは、思いもせず】
【カウンターとして既に展開が完了していた捕縛術に、その漆黒の体躯は捕らえられることとなる】

【冷たい鎖が、幾重にも身体に巻き付いてくる。疾風すら置き去りにする獣の速度と言えど、鎖による拘束を引きちぎれるものではない】
【ぎしりと身体を軋ませ、獣は唸り声を上げた。速度で拘束を破ることが出来なければ、力で破ろうとしているのか】
【赤い瞳でアインを睨み付ける。腕の筋肉が異常に盛り上がり、鎖を破壊しようと力をかけ】


………ォ……、 オ、ォオオ………… オオォオォォォオオオオオ──────ンッッ!!


【獣が吼える。咆哮は大気を震わせ、遠くの森で鴉が群れをなして羽ばたいていく】
【それと同時。ばきりという異音と共に鎖が砕け散った。この獣、速度もパワーも並のものではない──!】

【鎖を砕けばそのまま、近くにいるであろうアインに腕を伸ばす。そして鋭き爪を露にして、彼を切り裂こうとするのだ】
【或いは鎖が砕かれてすぐに彼が獣から距離を取れば、獣もまた彼に接近しようと疾走するはずだ】
951 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方)[sage]:2015/06/14(日) 21:43:33.54 ID:aQEyDQVao
>>950

【予想通り獣は直進してきた。嘲るようにアインはほくそ笑んだ】
【魔方陣から飛び出す無数の鎖が獣へと絡みつく。ただ単に捕獲が可能ならばいくら速度があろうと関係はない】
【だが──咆哮と共にその捕縛は破壊される。粉々になった鎖が光と共に魔翌力へと戻っていった】


ほう、やはりこれぐらいでは捕まえられんか
折角だ、少しぐらいは遊んでからにするか……


【それでも魔術師の余裕は崩れなかった】
【攻撃に合わせて後方に跳躍。更に獣とその前方へ向けて火球をいくつも射出。爆発を引き起こす】
【目くらましに足止め、進路の破壊をしつつ着地。再度槍を構えて前方を見据える】

【続けて、爆煙と獣にめがけて高温の熱線を照射。人間相手ならば火傷では済まないような攻撃だ】
【後退、足止め、攻撃という簡単な魔術の組み合わせだが、超速度を持つ獣がどうでるか──】
952 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋)2015/06/14(日) 21:44:28.50 ID:xU0FFoxyO
/次スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1434285809/
953 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/14(日) 22:12:04.48 ID:+y95dodDO
>>951

【爪が宙を空振る。そのことを考えるより前に男にむけ追撃をしようとしたが、火球により視界が遮られる】
【だがこれが目眩ましであるのは明確。引き起こされる爆発に、獣は堪らず咆哮をあげた】

【──爆発に伴って発生した煙幕に、熱線が放たれる。普通の獣であれば、ここで灰と化し命が絶えていたことだろう】
【しかし煙の中からこの獣が逃げ出すこともなければ、熱により焼かれ倒れる音が聞こえたわけでもなかった】
【無音。獣の断末魔は聞こえず、ざあざあという森のざわめきが、その場に響いているだけ】
【あの攻撃を受け、音をたてることもなく熔け消えたか。──いや、違う】
【魔術師である彼なら、気付けるか。爆煙と熱線の下を這うように掻い潜り、近付くモノの存在に】


【──魔力が爆ぜる。男の足元の地面から、鋭く太い爪がにゅうと生えていた。それは彼の脚を裂き、身体を縦に千切ろうと振るわれるのだ】
【爪。これはあの獣の爪だった。だが、地中に潜り穴を掘る時間などとてもじゃないが無かった】
【……影だ。この獣……地中ではなく、影の中にいる……!】
【生み出された爆煙を、獣もまた目眩ましとしてしようし、熱線により出来た影を利用し男に接近したのだ】
【影に身体を溶かす──黒き魔術により為し得る事象だった。しかし相手はあの六罪王】
【獣が使用する魔術を感知出来れば、再度の捕縛も攻撃も、可能なはずだ】
954 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方)[sage]:2015/06/14(日) 22:32:02.73 ID:aQEyDQVao
>>953

【熱線を放ち、一瞬もすれば違和感が襲い掛かってくる。当たった感覚がなければ襲撃もない。妙だ】
【あれだけの速度が出せる獣。回避しているのならば、すぐにでも攻撃がきてもおかしくはない】
【その疑念の答えは────足元にあった】


獣の癖に魔術を使うのか!!


【驚愕と興奮の叫びと共に後退して回避。同じく影魔術を用いて己の影を伸縮。槍を形成して獣へと叩き込む】
【すぐにもう一度跳躍して距離を取る。いかにアインといえども接近状態で獣を倒す手段は多くない】
【後退しながら火球の連打。先ほどと同じ戦法だが今回はより距離が縮まっている状態だ】

【槍など容易に防がれる。後退するのであれば足止めの射撃は必須。それ故に取らざるを得なかったが】
【この距離であれば強引に耐え切って接近という最善手が存在してしまっていた】
955 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/14(日) 23:03:47.16 ID:+y95dodDO
>>954

【ごう、と獣が吼えた。生憎と爪による一撃は回避されてしまったが、距離はそれなりに詰めることが出来た】
【ずるりと蛇のように影から滑り出る。黒き影の軌跡が、尾を引くように残った】

【叩き込まれた影槍を、右腕を使い正面から受け止める。そのまま影槍を握り潰し、また吼えた】
【完全に影から身体を出し、地面を蹴る。火球が迫ってきていたが、やはり獣は男の予測通り、強引に耐え接近】
【じゅうと炎が表皮を焼き、獣毛を焦がしていく。しかしそれを気にしていては、更に強力な魔術が来るのを獣は知っていた】
【この状態なら、下手に魔術を使うよりも直接攻撃した方が速い。獣はそう判断したのか】
【正面から。今度は己のスピードを利用し、彼の腹を爪で抉ろうとしてくるのだ】
【まともに喰らえば、獣の爪は腹から背中まで貫通しかねない……!】

【先ほどから、獣は男に距離を取らせないような行動を取っていた。仮に距離が開いても、魔術を使わず必ず接近してくる】
【分かっているのだ。彼相手に遠距離での戦闘は不利であることに】
【不気味な獣だった。獣のくせにヒトの身体が混ざり、ヒトの言葉を使う。思考もあり、魔術すら使ってみせる──一体、この獣は、なんだ?】

/っと、申し訳ないです、そろそろ落ちなくてはいけない時間になりました
/継続か締めるかはお任せします。継続なら、明日は割と終日暇なのでそちらの都合のよい時間に返してくだされば、と
/では、一旦お疲れさまでした、ありがとうございました!
956 :アイン ◆r0cnuegjy.[sage]:2015/06/14(日) 23:24:00.74 ID:aQEyDQVao
>>955

【影の槍は防がれ、火球を強引に突破してくる。こうなることはアインにもわかっていたが】
【しかしそれはつまり、獣の知性は低くないことを示していた。そもそも魔術は技能、獣が使えるものではない】
【であればこの獣には知性がある。それも人間に近いほどの】


いちいち不気味な奴め……!
その正体を明かさねば本懐には戻れんな!!


【槍を構えた上に大気の障壁を重ねて爪を防御。あえて障壁を破裂させて衝撃を利用して更に後退】
【単純な攻撃は通じず、超火力は速度で回避される。となると動きを止めた上で火力攻撃をぶつけるのが良策に思えた】
【そうするためには、やはりまず距離を確保せねばならない。更にそのためには──】


話せる口があるならば語ってもらおうか! お前は何者だ!!


【後退の方向を変えて、アインは壁の崩れた民家の中へと逃げ込む】
【あえて狭いところへ入るのも策があるためだが、足止めなしではすぐにでも追いつかれるだろう】


//了解です。明日は夕方あたりからできるかと
//ではお疲れ様でした
957 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/15(月) 15:22:13.79 ID:wvP61jrDO
>>956

【大気の障壁により妨げられる鋭爪。それすら強引に突破しようと力を入れれば、突如障壁は消滅した】
【──消滅したのではなく、あえて破裂させたのだと気付く。アインとの距離が開く。獣の右腕は、大気破裂の衝撃でズタズタになっていた】
【漆黒の毛に紛れ、右腕に小さく1本だけ生えていたヒトの指。それは衝撃に耐えきれず、皮一枚を通じて本体にぶら下がっていた】

【ぐるる、る……不快そうに獣が呻く。──ぶつん。垂れていたヒトの指を、自ら引き千切り地面に投げ棄てる】
【ぱす、と小さな音を立て、指は乾いた地面に転がった。断面からは血が滲んでいる。丁寧に手入れのされた、細い女の指だった】
【彼が獣の右腕に注視しているのであれば、その後起こる事象に気付けるはずだ】

【千切り棄てられたヒトの指があった、場所。そこから新たに、小さな肌色が覗いている。……柔らかな爪と、細い指】
【今しがた無くしたはずの指先が、芽吹くように肉色の断面から見えていた。捨てた指は、何も知らぬかのように地面に転げている】
【──肉体の再生。知性を持つばかりでなく、そんな芸当までやってのけたのだ】
【一撃の下に焼き尽くすか、頚を落とすか。或いは心ノ臓を貫くか。そうでもしなければ、この獣はきっと──】


…………グ、 ググ、ゥ、……ッ ッ、ァ、アァ アァア、アア──

チ、チィ、ィイイ、イ"イ、──── 違、……ァ、アァア  違ゥ ────

ヒト…………
         同ジ────
    ワタ、ジッ……ィ、ア"ァァアア…………


【錆び付いた声で、獣は答えた。声帯は獣なのか、随分と聞き取りにくい言葉ではあったが】
【その声は絞り出すようにこう言っていたのだ──「私はヒトだ」「同じ、ヒトだ」と】

【オォン、と獣は哭いた。苛立ちと嘆きが混ざった咆哮だった。そのまま、ずずと地面をならして男を追う】
【彼にとっては幸いなことに、言葉そのものが時間稼ぎになった。家屋への逃亡は妨害を受けることなく成功する】
【問題はその後──如何にして狭所でこの化け物と闘うかだ】
【ずんと音を立て、獣もまた破れた壁から民家に侵入する。そして、男を探すのだ。先ずは視覚で。それが叶わねば、鋭き聴覚と嗅覚で、彼の居場所を探ろうとしていた】

/お返ししておきますねー
958 :アイン ◆r0cnuegjy.[sage]:2015/06/15(月) 20:50:48.02 ID:PTlR1e2fo
>>957

【民家の中に進入すればアインはその中にすぐ見つけることができる】
【これは策略でもなんでもなく、獣の速度に対しては家屋に入る以上の行動をする時間がなかったのだ】
【そう、そして問題は狭い所に逃げ込んだということ。獣の素早さを考えると空間を限定しなくては攻撃が当たらない】


ヒト……人間だと? お前がか?
それは哀れなことだな、何がお前をそんな姿にしたというんだ?


【アインは槍を盾代わりに前方に掲げ、更に魔術による障壁を重ねて待ち構えた】
【攻撃時に立ち止まるのは確認済み。突進などよりも引き裂いたり噛み付いたりを好んでいるのだろう】
【であれば、攻撃さえ防げば動きが一瞬だが止まる。そこを狙う必要があった】

【もしも真っ直ぐに攻撃すれば、攻撃した直後に鎖を生成して捕らえるつもりだ】
【もちろん、身構えているのを怪しいと感じて遠距離攻撃──魔術で攻撃してくればこの作戦は失敗だ】
【獰猛さを計算に入れた上での行動だったが、どう出るか】


//お待たせしました
959 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/15(月) 21:28:30.91 ID:wvP61jrDO
>>958

【ぐ、ぅうううと獣が唸る。呆気なく男の姿を見つけることが出来たためか、獣にとっては少々拍子抜けだった】
【長く黒い尾が、びたんと壁に当たる。脆くなっていたためか、がらりと僅かに壁が崩れた】
【ぎぎ。獣は声をあげる。言葉を発する時、いつも獣は呻いていた。──本来は、ヒトの言葉が紡げる声帯ではないのだろうか】


……違、ウ────違、ッ…… ガ、 ァ……グ、グgghggg……、


【「──────!!」 またしても獣は咆哮した。苛立ちの籠められた咆哮だった】
【獣の巨体に力が入る。筋肉が盛り上がり、踏みつけた床がべこりとへこんだ】
【男の予測通り、獣は攻撃性が非常に高かった。基本的には最短距離を一気に詰め、一撃を喰らわして獲物を狩るのだろう】
【そして更に獣は知っているのだ。魔術勝負に持ち込んでは、決して男に勝てないことを】
【獣の気質と、魔術の優劣。そこから考えれば、近接戦闘を挑むのは獣にとっては当然のことだった】

【男に向け接近。獣の俊脚に耐えきれず、床材が割れる。鋭爪を振りかぶる。次は引き裂くつもりだった】
【ごうと吼えた。赤いヒトの瞳が、アインを見ていた。怒りと苛立ちで、その瞳は酷く揺れていた】
【──すべては彼の作戦通りだ。獣の敗因は、彼を家の中に逃したことだろうか。或いは、彼に牙を向けたこと自体か】
【獣の爪が男に迫る。鎖の破壊には、屈強なこの化け物であれど手間取ることを彼は知っている】
【鎖の生成に対し、獣の反応は間に合わない。獣を捕えた次の一瞬が、反撃の好機であった】
960 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方)[sage]:2015/06/15(月) 21:51:45.68 ID:PTlR1e2fo
>>959

【空気を叩いたような鈍い音。障壁が獣の強烈な一撃で破壊され衝撃が貫通した】
【その衝撃を槍、更に腕が受け止める。当然、受け止めきれず魔術師の長身が吹き飛んでいく】
【その直後に魔術が時間差で発動して鎖を生成、獣の全身に絡み付いてその動きを僅かに足止め】

【──これで条件は揃った。一瞬の時間稼ぎに、必要な距離。その全てが整った】
【空中でアインは槍を構える。魔方陣が展開して周囲の魔翌力が吸収されていく。淡い燐光が輝き、魔方陣の中央に光球が生成】
【魔方陣が作用して魔翌力が炎へと変換され、光球が業火へと変わる】

【業火が伸縮し、熱線となって家屋の内部にいる獣へと直射される。超高温の熱に空気が膨張して熱風が吹きすさぶ】
【経路にあった草木が高熱で炭化。瓦礫さえも黒々と焦げていく。並の人間であれば直撃して生存する道理はない】
【だが超再生能力があり、かつ魔翌力を持つ獣であれば直撃しても致命傷とまではいかない程度に加減がしてあった】

【アインは射撃の勢いもあって隣の家屋まで吹き飛び、背中から床に着地】
【倒れたまま動向を見守っていた】
961 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/15(月) 22:30:35.22 ID:wvP61jrDO
>>960

【鎖が四肢どころか全身に纏わりつく。男の意図に気付いた時には、もう遅かった】
【赤い目が見開かれる。淡い輝きが火焔となり、熱線と化し撃ち出される。そのすべてが、酷くスロゥに見えた】
【ぎちりと鎖が軋む。鎖を破壊し、熱線を回避し──そこまで考えたところで、灼熱が視界を覆い尽くした】



   【 「 ────ッ! ──────ッッ!! 」 】



【切り裂くかのような咆哮が、あがった。アインからは、熱線が獣に当たるその瞬間に影が獣を包もうとしたのが見えたか】
【しかしその影も、熱のダメージを僅かに軽減したところで消えた。咄嗟に発動させた魔術。この程度が限界だったか】
【ばきばきと、周囲に出来た炭が薙ぎ倒される音がする。獣が地に伏し、ずんと大気が揺れた】

【獣の剛毛は焼け焦げていた。それどころか、その下にある皮膚も。だがそれでも、獣は生きていた】
【ひゅうひゅうと、微かではあるが呼吸をしている。腹にいる子も、どのような奇跡か無事なようだ】
【──ぼろりと焼けた皮膚が、獣から溢れ落ちる。その下からは、新たな肌が覗いていた】
【身体の修復に力を注いでいるせいか、獣は動かない。ぽろぽろと、黒い焦げが幾片も獣から落ち、毛とヒトの肌が再生される】

【そうしてしばらくすれば、少なくとも外見の修復だけは終わるのだ。それでも立ち上がらないのは、魔術によるダメージが大きかったことを意味していた】
【今なら獣を殺すも、或いは完全に捕縛してカノッサに持ち帰るも男の自由だろう。だが──】


────っ、ぁ、ああぁあ、……も、ど、……れ、る…………


【ざわりと、獣の周囲で影が蠢いた。攻撃か。──違う。ざわつき始めた影達は、男に向かうことなく獣を包み始めるのだ】
【漆黒の獣が、影で覆われていく。ずるずると蛇のように、影はしばらく獣の上を這い、うねり、蠢いていたが……やがて霧のように消えるのだ】
【そうして影達が消え、獣がいたはずの場所には、もう獣は居なかった】
【居たのは──黒い長髪の、女だった。影で構築された衣服を纏い、白い四肢をだらりと地面に投げ出していた】
【腹が膨らんではいるものの……それは男にとっては、よく、知っている女。────ロゼッタ・ルゥだった】
962 :アイン ◆r0cnuegjy.[sage]:2015/06/15(月) 22:50:22.04 ID:PTlR1e2fo
>>961

【ゆっくりとアインは身体を起こした。手からは槍が消滅。戦闘が終わりだという確信があった】
【両手を開閉させて感覚を確かめる。獣の攻撃を受けたのはたったの三度。障壁の上からだったが、ダメージは小さくなかった】
【通常であれば障壁を破られることさえない。その上からでも殴り飛ばせる獣の力だけは、アインも驚くものだった】


……近接戦を避ける羽目になったか。流石にこれだけの怪物と殴り合いはできんな
戦闘においてはそこが俺の弱点だが、これ以上伸ばすには発想を変える必要がある、か……

いや、本当に惜しかったな。相手が俺でなければどうにでもなったんだろうが


【壁の穴を越えて、隣の家屋へとアインは移動した。加減したとはいえ、直撃してはしばらく動けないだろう】
【予想通り、獣は再生を始めていた。似たようなことができるとはいえ、その部分にもアインは感心していた】
【だがあまり観察ばかりはしていられない。そうするのであれば機関に移してからだ】


さっき何か言っていたような気もするが……ともかく、あとは持ち帰るだけだな
そこでお前の正体についてじっくりと……?


【捕まえようとアインが歩み寄ったときだった。獣に変化が現れた】
【最後の悪あがきか、とアインは何もせずにその変化を見守った。しかしどうにも影魔術にも見えなかった】
【逃げるでも、攻撃でもない。何があるのかと待っていると────】


お前は────!!


【流石のアインも、目を見開いて驚いた。目の前に現れたのは歪な獣ではなく、よく見知った女だったのだ】
【思考が一時的に止まっていた。一体どういう事情でこの女がここにいるのか、全くわからなかった】
【ただ黙り込んだまま、アインは女を──ロゼッタを見つめていた】
963 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/15(月) 23:12:18.64 ID:wvP61jrDO
>>962

【ひくりと女の指が、小さく動いた。左手には黒きダイヤの指輪があった──誰かにもらったものだろう】
【細い声が呻き声をあげる。獣のものとはまるで違う、か細い声だった】
【白い肌にすらりとした手足。彼女のどこにも、あの醜悪な獣を思わせるものはなかった】
【……驚愕の声が彼女に届いたのか。ゆっくりと女は目を開ける。それだけはあの獣とまったく同じ、赤い、瞳だった】


……っ、…………ふ、ふふ、ふ。……あなた、が……悪い、のよ……
よりにも、よって……こんな所に、いる……なん、て────

……ん、……ふ、っ……ふふ、ふ。……それで、ご気分はどう、かしら……?
くっ……ふふふ、ふ……ね、ぇ────、「あんなモノ」と、あなたは……寝ていた、の、よ……?


【完全には回復が終わっていないのか。弱々しく、彼女は笑った。体力もまだ戻っておらず、焼け焦げた地面に横たわったままだった】
【ふふ、と女は笑う。普段の囁くようなそれではなく、自嘲めいた笑いだった。──口にしたのは、2人きりで過ごした時間のこと】
【お前が抱いた女の正体はあの化け物だと、彼女は笑って告げるのだ。……先程使われていた魔術は、変化の魔術だった】
【容を変え、身体を変え、内部の構造も自らの理想に創り変える黒魔術。彼女のこの姿は、創られたものだというのが理解できるか】
【──女の本来の姿は、「アレ」なのだ。如何なる努力の末か、魔術を獲得した獣の化けた姿がこの娼婦なのだ】
【「最悪ね……。いいお客だった、のに」 また女は笑う。獣と同じ赤い視線が、ゆるりとアインに向けられていた】
964 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方)[sage]:2015/06/15(月) 23:22:25.51 ID:PTlR1e2fo
>>963

【その身体はよく見知ったものだ。獣の面影などどこにもない。当然だ、当然であるはずだった】
【女の嘲笑など男には届いていなかった。一体何が起こっているのかがわからない、わからない】
【女の言葉はそれに対する答えなどには思えなかった。この場のどこにも答えは】


……いや、待てよ


【違う。答えはあるのだ。あのとき、獣を覆った影は魔術による産物。その効力はこの魔術師であれば看破できる】
【それが何であるか初めにわからなかったのは、アインにとって数少ない“苦手”な魔術だったからだ】
【身体に変化をもたらす魔術。変換作用を施された結果として、目の前の女があった。つまり元をたどればそれは──】


【────「あんなモノ」と、あなたは寝ていたのよ?】


【女はしっかりと、答えを言っていたのだ】


…………“アレ”が、お前の正体だと?


【捻り出すような声でアインは質問を投げかけた】
965 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/15(月) 23:45:10.92 ID:wvP61jrDO
>>964

【わざわざ聞き返してくるのが、妙に可笑しかった。くつくつと、また女は笑ってみせる】
【諦めにも似た感情が、女を侵食していく。獣の姿を他人に見られることは、これまでもあった】
【獣姿を見た者がどうなったかは──言うまでもないだろう。いくつかの例外を除き、引き裂かれ噛み砕かれ、悲惨な結末を迎えた】
【男がそうならなかったのは、単純に彼が強かったからだ。獣の駿足と剛腕を以てしても、魔術師を打倒することは出来なかった】
【近接戦闘が苦手であろうと踏んで、接近戦を挑んだ。だがそれでも、結果はこの始末だ】

【視線をアインから、なんとなく己の右腕に移す。どうせ返ってくる反応など分かりきっていた。嘲笑に罵倒、否定の言葉】
【ふふ、と笑う。反応が予想出来るからこそ、彼の言葉を肯定することに躊躇いはなかった】


……ふ、ふ。……っふふふ。…………あ、は……そう、よ──あの化け物が、私の正体……
今はこうして話しているけれど……魔術を解除してしまうか、体内の魔力が狂えばあの通り……
っふ……、ふふふ、……は……はは……。お生憎様ね、アイン。あなたは……もう一度、言うわよ……?


──────あなたは……あんな、化け物と……何度も、何度も……身体を、重ねていたのよ


【はっきりと女は告げた。あの化け物が自分だと。男が認めるまで、彼女は何度も口にするのだ。獣と自分は、同じ存在なのだ、と】
【そしてくつくつと女は笑うのだ。男を殺せない以上、こうすることがせめてもの抵抗だったのかもしれない】
966 :アイン ◆r0cnuegjy.[sage]:2015/06/16(火) 00:06:28.19 ID:yYQKVQCmo
>>965

【その一言に、アインの口から深い溜息が漏れ出した。続いて二度、三度と息を吐く】
【近くにあった破壊された台所に片手をついて体を支え、また溜息】
【誰だって人外の怪物と身体を重ねていたなどと知りたくはない。が、この男の反応はどちらかというと困惑だった】

【ロゼッタの方を見れば、彼女は笑っていた。何故笑っているのかアインにはわからなかった】
【だが少し考えてみれば当然だった。今ここにいるのは美女に扮した怪物にいいようにしてやられた】
【大間抜けな男だったのだから。そう考えると、アイン自身にさえ笑いがこみ上げてきた】


……ククッ……あっはっはっはっはっ!
いや、完全に騙されたな! 見た目どおりのいい女だと思っていたが、その正体があんな化け物だったとは!
我ながら大間抜けだな、あっはっはっはっはっはっ!!


【嘲笑でもなんでもなく、ただ単純にアインは笑っていた。自分の間抜けっぷりがおかしかった】
【あまりにも見事に騙されたせいでむしろ清清しささえあった。それに気がつけば、困惑など吹き飛んでいった】
【完全に、化かしあいではロゼッタの勝ちだった。その手腕にむしろ感心さえ覚えた】


いやぁ、やるじゃないか……ハニートラップにもう少し気を配る必要がありそうだが、男に生まれた以上無理そうだ
それにしたってお前、なんだあれは。一体何がどうなったらあんな造形になるんだ? どこの誰が作った?
まさかあれが自然の産物なんて言わないだろうな、だとしたらそれはそれで連れ回したいぐらいだが……


【適当に近くにあった椅子を引き寄せてそこに座ると、アインはロゼッタに話しかけ始めた】
【彼は妙に上機嫌だった。それもロゼッタの騙し方が完璧だったせいだろう】
967 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/16(火) 00:35:13.94 ID:3tzOxqODO
>>966

【アインの笑い声につられ、ロゼッタもまた少しだけ笑う。こちらは声すら出ない、静かな笑みだった】
【ここまで言われれば、むしろ本望だ。中途半端な同情や憐憫は、ただ彼女を苛立たせる音でしかない】
【仮に哀れむような言葉を彼が紡いでいれば、身体を無理矢理動かし頚を喰い千切りにでもいっていたところだ】


ふ、ふ……それも残念。……今日のあなたは、随分と勘が悪いの、ね……

──私は、自然の生まれよ。多分優しかった母親と、きっと厳しかった父親から生まれた生き物
実験体なんて……ふふ。とんでもないわね。私の身体を弄れるのは、私だけ──

そうね……強いて言えば、神様が創ったのかしら
あんな化け物。……ふふ、神様がふざけて創ったとしか、思えないもの。……あなたも、そう、思うでしょう?


【「だから、神様のせい」 化かすつもりも騙す意識もなかった。だがそれをわざわざ言う気にもなれなかった】
【すべては神のせいだと、己の容姿の責任を神に押し付ける。つい最近身に付けた思考だったが、便利なものだとまた小さく笑うのだ】

【体力が戻り始めたのか、ゆるゆると腕を動かし始める。それでも起き上がる余力はないのか、ただ腕をさ迷わせるだけだった】
【それも結局すぐに飽きたのか、細い腕を膨らんだ腹の上に乗せる。……ヒトに換算すれば、妊娠中期程の腹だった】
【しかし以前会った時は妊娠の片鱗もなかったのだ。計算が合わないが、正体が獣であれば、そういうこともあるのだろうか】
【「──安心したら? 多分、こんな娼婦2人もはいないでしょうから」 そう付け足し、疲れたように女はため息をついた】

/申し訳ないです、眠気ががが
/継続か締めるかはおまかせします。こちらの次レスは多分今日くらいの時間になるかと……
/連日ごめんなさい。とりあえず、お疲れさまでした
968 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方)[sage]:2015/06/16(火) 00:46:26.15 ID:yYQKVQCmo
>>967

【ロゼッタの答えにアインは更に笑い声をあげた】


確かにあの造形は神様の悪い冗談としか思えんな!
いや、アーグのジジイを最初に見たときも似た感想を持ったが、神とやらは不気味なものが好きらしい
まぁ、この世界を作ったんだから趣味が悪いことは自明か


【「“この世界”ってものに不満はないがな」、などと、変わらず上機嫌な様子でアインは喋っていた】
【この状況にまだ疑問は尽きなかった。その両親は一体何なのか、何故自分に襲いかかってきたのか】
【だがやはり、今最も気がかりな疑問は目の前に横たわっているものだった】


……あ? お前、その腹どうした?


【遭遇したときにも目についた不自然な腹部。そのときは単に子供でも入っているのだろうと考えたが】
【今の状況となってはロゼッタが妊娠しているなどとは考えられなかった。それしかなくとも、確信が持てなかった】


//了解です。また夕方か夜あたりに来られるかと
//では、お疲れ様でした
969 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/16(火) 15:39:00.24 ID:3tzOxqODO
>>968

…………? あら、アーグはそんなに不気味な見た目をしていたの?
私があった時はフレデリックとやらの身体を借りていたのだけれど


【「もっと、仲良くしておけばよかった」 ふふ、と笑って彼女はそう言った】
【残念ながら彼女はアーグの姿を知らない。知っているのは、フレデリックという入れ物に居るアーグなのだ】
【それでも、アインには彼女とアーグが知り合いであること自体が驚きだろうか】
【何せ娼婦と聖職者。住む世界も価値観も、一般的には正反対の2人なのだ】

【つう、と軽く腹を撫でる。何だか中から蹴ってくる感触がしたので、指で軽く押し返す】
【そして腹のことを聞かれると、浮かべていた笑みがやっと楽しげなものに変わるのだ】
【愛情だの母性だのが含まれた笑みではない。それは、悪戯の現場を見られたかのような、そんな笑みだった】


…………。…………あなたの子


【────。………………。】


…………なぁんて。冗談よ。嘘、ウソ
ふふ。お腹の中なのに、父親の名前に反応したのかしら? 今、蹴ってきた。生意気な子ね……

相手はその、アーグよ。これは冗談なんかじゃないわ?
もっとも……身体はフレデリックだったから、生物学上の父親はフレデリック、ということになりそう、だけれど──


【……どちらにしたって、一大事だ。娼婦が大司教の子を孕む。……冗談にしてはキツすぎる】
【だがここで彼女がウソをつく理由がない。そもそも、孕めば堕せばいいのに後生大事に子を抱えているのだ】
【しかしそれも、相手がアーグなら納得はいくかもしれない。相手は悪人とはいえ大司教なのだ】
【アーグもまた、アイン同様に利益を与える相手は害さぬ気質】
【この女がそこまで考えていたかどうかは不明だが……アーグの子を身に宿せば、得られるモノは少なくないのだ】
【それに──あの獣とアーグの子。血筋的には、獣の特性にフレデリックの肉体的性質、及びアーグの魔術性能を引き継いだ子ということになる】
【優秀な子になるだろう。万が一双子でも出てくれば、片方は手元においておくのも悪くないと彼女は考えていた】
970 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方)[sage]:2015/06/16(火) 18:12:12.79 ID:ccs6Th6To
>>969


は? あいつフレデリックの身体なんか持ってんのか?


【ロゼッタとは逆にアインはアーグの現状を知らなかった。意識を向ける相手ではあったが、長らく会っていないのだ】
【そういうわけで二人の会話は微妙にかみ合っていないのであるが】


…………。

………………………は?


【ロゼッタが続けた冗談は思いっきりアインの間抜けな顔を誘ったのだった】
【いや、確かにそういうことはしたし可能性がないではないが、それならどうして抱え込んでいるのか──】


って、冗談かよ! おどかしやがって!
……アーグ!? お前アーグとやって、しかも子供までできたのか!?
あ、いや、身体はフレデリックか……それでも筋肉達磨じゃねえか。大体なんでガキなんか……


【狼狽、完全に狼狽している。次から次へと驚きの連続で、なんだか混乱してきた様子だ】
【よく知ってる女が実は怪物で、しかも身ごもっていて、その相手はまた別の怪物だがそいつは違う身体を持っていて──】
【もう何が何やら。アインは頭を抱え始めてしまった!】
971 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/16(火) 18:47:12.36 ID:3tzOxqODO
>>970

【狼狽した様子の彼を見て、くつくつと女は声をたてて笑うのだ】
【つい先程まで殺しあいをしていた相手であり、正体を知られた故に恐らくもう会うことはない相手】
【そんな彼に対し、かつてと同じような笑みを向けることが出来たのは、単純に彼女がこの手の冗談を好んでいたからだ】


……く、くっ。ふふふふ、……あははははは!
本当、あなたって面白い人。洗面所に行って鏡でも見てくれば?
きっと今まで見たこともない大間抜けな表情が見れるから……ふ、ふふ、ふっ……!

ふふ、まぁあなたの言う通りね。身体がフレデリックのアーグと、ってわけ
何でって言われても……単に気紛れね。面白そうだったし……それに相手は大司教よ?
アーグ自身は楽な客そのもの。だって使うことしか考えていないんだもの……
無理に喘ぐ必要もフリをする意味もない。金払いって視点でも、相当上客ね


【「次があるかは、知らないけれど」 頭を抱える彼を見て、一層彼女は笑い声を強めた】
【彼の混乱ぶりが相当おかしかったのか、目には涙さえ浮かんでいる。この女、六罪王を笑い倒すのが趣味だったりするのだろうか】


ふふふ、後はそうね……ダグラスに対するちょっとした意地悪
別に彼に特別何かあるわけでもないけれど──ねぇ、知ってる?
ダグラスったら、アーグを倒そうとしているの。それをアーグは知らない

この間そのためのお手伝いをダグラスの邸宅でさせられて、ね……ふふ。でも、片方がこっそりってのもズルいじゃない
だから……隠し子でもいれば、お互い様になるかと思ったのよ
ふふ、ふふふふふっ……アーグの魔術のおかげで、子供は後1ヶ月もしないうちに生まれるでしょうね
獣の仔だもの。見た目はどうなるか分からないけれど……きっと、成長は早いわ


【「ダグラスの企みも、アーグの子供のことも、どっちも2人には内緒」──悪戯っぽく、ロゼッタは笑うのだ】
【どちらの秘密も、互いにとっては痛手となりかねない。その両方を知り、その要因となりながらも笑って結果を見ているだけのこの女は】
【やはり、娼婦たるに相応しい……ねじ曲がった性格の持ち主だった】
【これらの台詞で分かるだろうか。今までの彼女も、彼を騙そうとしてロゼッタという人格を演じてきたのではない】
【元から。最初から、このような……一般的には悪と呼ばれる性格だったのだ】
972 :アイン ◆r0cnuegjy.[sage]:2015/06/16(火) 19:06:22.02 ID:ccs6Th6To
>>971


もう何が何やらだ……お前は一体いくつわけわかんねえこと持ってくりゃ気が済む!
ジジイが娼婦受けがいいとか知りたくねえよ別に……


【ロゼッタの継ぎ足した情報はなんともいえないもので、アインはがくっと肩を落としてしまった】
【何はともあれ子の出所については概ね納得がいった。そんな様子で彼は顔を上げた】
【それでもまだ気がかりなことがいくつかあって口を開こうとしたが──】


……ダグラスが、アーグを?


【その情報に、アインは顔を引き締めた。これもまた彼の知らないことだったが、真剣にならざるを得ないような話だった】
【だがすぐにアインは思わず首をかしげてしまった。どうにもこの二人が対立する構図が思い浮かばない。利害が衝突しているとは思えなかった】
【両者が繋がっていることはアインも知っていたが、それ以上は何も知らない。ドラクレア島に関連しているのはわかるが未だに動きはない】


それは……あんまり楽しくない状況だな


【どちらに対してもアインには思うところがある相手。意外に思うかもしれないが、この二人の対立はアインにとって喜ばしくはなかった】


一体何故、あの二人が対立を……芸術品に対して弾圧をかけるのは宗教家のよくすることだが……


【手持ちの情報ではアインには状況が読めなかった。独り言のように考えが口から漏れ出していた】
973 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/16(火) 19:47:13.05 ID:3tzOxqODO
>>972

【笑いすぎて疲れたせいか、ロゼッタは大きく息をはいて身体の力を抜く】
【「違うのよ、“処理”が目的だけのお客がラクなだけ」ゆるりとした口調で、彼女はそう言うのだ】
【リップサービスであれ、好意の言葉を求められるのは面倒なのだ。演技もフリも、そういうことをする仕事ではあるのだが……】
【やらなくていいのであれば、楽な方を選択するのは当然のことであった】

【そしてダグラスとアーグの話題に移れば、また赤い視線を相手に向けるのだ】
【彼女の表情には、僅かだが疑問の色が滲んでいる。──てっきり、両者の対立を喜ぶかと思っていたからだ】
【しかしその疑問を口に出すことはない。彼女にとってその疑問は、さほど重要ではなかった】


……何で喧嘩したがるかは知らないわ。ただ──アーグはまだ、ダグラスの真意を知らない
私がアーグと会ったのは、あなたがエルジオで暴れた次の日くらいだったけれど……その時は、アーグはダグラスに好意的な姿勢だったもの

だからきっと、アーグを疎んでいるのはダグラスの方ね
私がダグラスのお手伝いをしたのは1ヶ月くらい前だったかしら……?
ふふ。まだ動きを見せないのは、時期を選んでいるのでしょうね


【ロゼッタにも、ダグラスとアーグが対立する理由は分からなかった】
【ダグラスの部下はアーグのことを危険人物だと評していたが──ただそれだけが原因とは考えにくい】
【ならばそれ以外に要因があるのだろうが……ダグラスから知らされていない以上、答えが出るはずもなかった】

/遅れて申し訳ない
974 :アイン ◆r0cnuegjy.[sage]:2015/06/16(火) 20:04:03.76 ID:ccs6Th6To
>>973


……そうか


【アインの返事はたった一言だった。ロゼッタが事情を知らないのであれば、これ以上進展させようがない】
【また敵対の意思があるのがダグラスなのであれば、アインにとっては比較的聞き出すのが簡単な方だ】
【であれば、この話に関してアインから続けることはなかった】


流石に、これだけ驚かされると疲れるな……あのままお前と戦っていた方がまだマシだ
……そうだ、お前。なんで襲ってきた? 死にたがりだったとは知らなかったが?


【少しばかり疲れた様子のアインだったが、まだ気がかりなことが残っているようだ】
【自分だと理解していながら襲い掛かってきたのは少しばかり納得がいかなかった】


//ええんやで
975 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/16(火) 20:27:49.04 ID:3tzOxqODO
>>974

【短く返ってきた言葉に、ロゼッタもまた「ん」と短く返す】
【彼女にとっては、ダグラスもアーグも1度会っただけの相手。片方は確かに肚にいる子の父親ではあったが】
【それでもどちらにも大した思い入れはないのだ。アインがこの話を終わらせるのであれば、彼女にもこれ以上続ける理由はなかった】

【──もっとも、ひとつの話題が終わっただけ。彼から声をかけられればまたゆるりと赤い瞳を揺らす】
【「そのこと」を聞かれれば、多少答えにくそうに表情を歪めるも……ため息をついてから話し出すのだ】


……最初はね、逃げるつもりだったのよ。だって、敵うわけないのはよく知っていたし
でも────あなたが、余計なこと言うから。その……頭にきて


【「挑発するのが悪いのよ」 不貞腐れたように答える。「手を出す気は、なかったのに」】
【──嘘を言っているようには見えない。事実、獣と遭遇した際確かにあの獣は一度下がったのだ】
【「アレになっていると、抑えが利きにくいのよ。イライラしちゃって」 気まずそうに、そう続ける】
【この話題になれば、急にロゼッタの饒舌さは成りを潜めた。言葉を紡ぐのは途切れ途切れであり、口調も普段のものとはどこか違う】
【彼女にとってはあまり触れてほしくない話題なのだろう。「別に、死にたいわけじゃないわ。だったらとっくに死んでるもの」】
【ふい、と顔を背ける。獣になっている状態に起きた出来事は、あまり思い出したくなかった】
976 :アイン ◆r0cnuegjy.[sage]:2015/06/16(火) 20:47:34.24 ID:ccs6Th6To
>>975


うん? あの身体の方が判断が鈍るって?
それは妙な話だな。あれがお前の本来の姿なんだろう?
だったらその姿の方が本来の能力が発揮できてるはずだが……


【そう言ってアインは首を傾げた】
【身体を変化させる魔術を用いて今の姿を取っているのは知っているが】
【ロゼッタの言い方では、今とあの姿では精神も違ってきているように聞こえた】


ふん、まぁいいさ
俺が知り合いで良かったな。そうでなければお前の人生はここで終わりだった
次からは同じ姿を取っていてももう少し頭が働くようにするんだな……もっとも、大抵の相手は殺せるだろうが

しかし、これで納得がいったぞ。お前のほどの魔術師がどうして娼婦なんて商売をやってるのか
皮肉のつもりもあるだろうし、あんな姿が本来なんじゃまともな暮らしをしようなんて発想にならなさそうだ


【口数の減ったロゼッタに、アインは遠慮なしにこの話題を続けた】
【大人しくなっているのには気がついているが、驚かされてばかりいたことへの仕返しだ】
977 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/16(火) 21:24:46.75 ID:3tzOxqODO
>>976

…………。…………そう。判断が、鈍るの。獣になると……より、野性的な感情に従いやすくなる

両親がね……片方は人狼、片方が吸血鬼だったの
ふふ。私は狼の血を濃く受け継いじゃったのね……あんな見た目になった
けれど──魔術を利用して、吸血鬼の力を優位にさせることも出来た
私の今の見た目は、吸血鬼の変化能力と魔術による変化を組み合わせているのよ

本来の姿は人狼の思考に。今の姿は吸血鬼の思考に近くなる……不思議ね、同じ「私」なのに


【「人狼の種族が違うのかしら。ベクターみたいな真似は出来ないけれど」 また小さく笑う】
【少し複雑な話だったが──要は2つの形態を取れるという、ただそれだけの話だった】
【吸血鬼の血を濃く受け継いでいれば、もしかすると本来の姿は「こっち」だったのかもしれない】
【だがそれは仮定の話。結局、本来の彼女があの獣であることに変わりはないのだ】

【そこまで話せば、再び大きなため息をつくのだ。もう少しだけこの話が続きそうな気配に、またため息が出る】
【「ふふ、本当。あなたが知り合いでよかった」 つい返事が投げやりになってしまう】
【相手が客という立場でないせいか、あるいは話題のせいなのか。恐らくは、両方だった】


……月。月を見たら、獣になってしまうの
それに……娼婦が限界だったわ。魔海で育った獣が、魔術を覚えて、ヒトになって──
まず衣服の感触に慣れるところから始まったわ。最初の靴が痛かったのは、よく覚えてる
……ヒトの社会を学んで。歌を覚えた。ピアノもヴァイオリンも、完璧に弾けるの


でも────月を見てしまえば、すべてがバレてしまう


月を見ながら会食なんて最悪よ。ダグラスは月が好きらしいけれど……私は大嫌い
結局……ふふ。人間社会に居ようと思えば、裏社会に溶け込むしかなかった
積極的に罪を犯せば、いずれ捕まり罰を受ける。治安維持と平和を掲げる連中に、殺されてしまうかもしれない
…………だから、娼婦になった。お金も稼げて、責任なんてなくて、罪にもならない数少ない仕事だもの
魔海に戻るのは論外ね。獣の暮らし、なん、て────


【そこまで言って、またため息をつく。話しすぎたと、そう思った。同情を求めたわけではなかったが】
【今の話を聞かせてしまえばそう思われても仕方ないだろう。ゆる、と赤い瞳でアインを見る】
【「どこかのお伽噺よ。……忘れて。いろんなものの、邪魔になるから」 静かにロゼッタは、そう告げた】
978 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方)[sage]:2015/06/16(火) 21:39:52.50 ID:ccs6Th6To
>>977

人狼に吸血鬼のハーフか……中々のハイブリッドっぷりだな
どうにもハーフってのは強くなる傾向にあるらしいな。平々凡々な人間としては羨ましくもあるが
それにしても、どうやらその姿を取るにはそれなりの苦労があるみたいだな


【静かに語るロゼッタに対して、アインはその特異性にしか興味がないようだった】
【ここ数ヶ月で三人もの様々なハーフと出会い、その度に能力の高さに驚かされてきた魔術師としては仕方のないことなのかもしれない】
【何より当人が口にした通り、生まれや出身といった意味ではこの男は平凡そのものだった。ロゼッタの苦労など想像もつかない】

【とはいえ、更にロゼッタが話を続ければそれが一種の苦労話だということぐらいはアインも気づいた】
【話を聞きながら彼はその情景を想像してみた。それでもなんとなく、苦労したんだろうな、という程度にしかならない】
【だが少なくともロゼッタという女が何者で、何故ここにいるのかは納得がいって、アインは満足げに頷いた】


ふーん……なんか苦労したんだな。いや、俺には全くわからんが
だがやはりというかなんというか、お前は賢い女だな。よくその見た目やらハンデやらでここまで生きてるもんだ


【結局アインの口から出たのは適当な言葉。あとは彼なりに感心した部分への感想だ】
【普通ならばもっと良い言葉をかけるのかもしれないが、この男では思いつかず、また大して考えもしなかった】
【彼が意識を向けたのはハンデを持ちつつもここまできたその手腕、そして頭脳。それだけだ】
979 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/16(火) 22:02:13.40 ID:3tzOxqODO
>>978

【「強いのが人の目につくだけよ」 アインの感想を、そっとロゼッタは否定する。「弱い者は、淘汰されるの」】
【口にするのは、弱肉強食という当たり前の事実だった。弱いハーフは、人の世に出るより先に命を落とすか、そもそも人に寄らない】
【少なくともそれがロゼッタの常識だった。彼女自身も、魔術を学び損ねれば魔海から出ることなく日々を生きていたはずだ】


……せっかくなら、楽しく生きたいじゃない
醜いままで終わるのはイヤだった。それだけで今まで生きてこれたの


【「これからも、それは変わらないわ」──そこで彼女は、話を終わらせた】
【褒められるのは悪い気はしなかった。だが、喜ぶ気になれないのはきっと、その生きる努力が彼女にとっては当然のことだったからだ】

【──少しだけ、沈黙する。もうすっかり日も暮れていた。「ねぇ」 そう、アインに言葉をかける】
【「獣のこと。誰にも言わないで。……お願い」 それは、彼女が口にするにはあまりにも珍しい言葉だった】
980 :アイン ◆r0cnuegjy.[sage]:2015/06/16(火) 22:17:13.94 ID:ccs6Th6To
>>979

【ロゼッタの否定にアインは何も言わなかった】
【弱肉強食なんてものはこの魔術師にとって口に出すまでもないようなこと】
【だがそれにしても、今まで見てきたその手の人種はあまりにも強すぎた。もっとも、個人的な感想に過ぎないので言いはしないが】


……“知”に“渇望”、お前は要件の二つを満たしていたようだな
まぁ、その渇望自体はあまりに平凡で、お前の生まれに対しては小さいからカウントするのは微妙だが


【これまで生きてきたこととその理由。それらはアインにロゼッタを強者に近いと認めさせるものだった】
【弱肉強食が原理だとするならば、今生きているロゼッタは間違いなく強者の部類に入るのだろう】
【少なくとも、アインはロゼッタを強さの一つの形だと、少しではあるが認めた】

【続けられたロゼッタの懇願に、アインは少し驚いた】
【「さて、どうしたものか」などと彼は答える。長引きはしなかったが、牙を向いてきた仕返しがしたかった】
【だがその懇願はあまりにも珍しく、それがどれほど彼女にとって重要なのかわからないほど、愚かでもなかった】


……仕方ない、も何もないな。そもそも言う相手などいないしな
お前の頼みだ、今更断る理由もない。今日歯向かってきたのはイラっとしたが、ぶちのめしたので良しとしよう


【そう言って、アインはあっさりとロゼッタの願いを聞き入れるのだった】
981 : ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/16(火) 22:41:10.82 ID:3tzOxqODO
>>980

【要件がどうとかいう言葉には、少しだけ彼女は首を傾げた。何を言われたのかの意味すら分からなかった】
【「どういうことか」と聞くことも妙な感じがして──結局、それはアインの独り言だったのだと勝手に納得させる】
【そんなものより彼女にとって重要なのは、その後に続くであろう言葉……懇願に対する返答なのだ】

【「どうしたものか」と言われ、ロゼッタは思わず息を呑む。そのまましばし、凍り付いたかのようにアインを見ていたが……】
【仕方ないという言葉を聞けば、深く深く息をつくのだ。──当然の反応ではあったが、やはり珍しいものであるのに変わりはなかった】


……ありがとう。そう言ってもらえて、よかった。……本当に


…………。ふふ。もう、話すことはないわ。言いたいことも言い尽くしたもの
あなたもいつまでもこんな村にいないことね。もっとも──村を壊滅させた犯人にされたいなら、話は別だけれど

それじゃあね、アイン。────さようなら


【ゆるりと、影がロゼッタを包み込んでいく。もうこの村に用はなかったし、彼と話すこともない】
【最後に彼女は笑ってみせた。化け物を抱きたがる男などいるはずもない──】
【彼が客としてこないという確信はあったが、それでもこの関係をいい印象で終わらせたかった】
【彼女の身体が、影の中に沈みこんでゆく。影を使った移動は、彼女が好んで使用する魔術だった】
【「さよなら、アイン」──最後にそう、呟いて彼女の姿は消えた。残されたのは、廃墟になった小さな村と魔術師の男だけだった】

/この辺りでしょうか
/長い間お付き合いいただき、ありがとうございました。お疲れさまでしたー!
982 :アイン ◆r0cnuegjy.[sage]:2015/06/16(火) 22:49:48.44 ID:ccs6Th6To
>>981
//お疲れ様でしたー
983 :メリッサ・ハーレイ ◆Oo..Ykgy2o[sage saga]:2015/06/17(水) 20:02:56.87 ID:PrY9iM4Mo
【大通り】

【もはや人気もまったく見られなくなった深夜のことである。夜間でも街灯に照らされ、いついかなる時もすべての市民のために開かれているはずの大通り――】
【その端っこの陰に隠れるように、いかにも肩身が狭そうに歩く少女がいた。どうせ誰もいないのだから道の中央を大手を振って歩けばよいものを】
【……なんとなく、申し訳ないというか、罪悪感というか。自分でも解せない妙な感覚に襲われて、街灯の光の陰に隠れるように、少女は俯きながら歩を進めている】


(な、何よ………なんで堂々と胸を張って歩けないのよ、私は………)


【――ぶつぶつと、自分に言い聞かせるかのような言い訳じみた独り言を口にする少女。端から見るとかなり不気味な様相だけれど】
【暗色で統一した特徴のない地味な私服に、癖っ気の強い紫色のショートヘアをヘアピンで留めて、赤縁の眼鏡を着用したその出で立ち】
【もうあと数時間で日も昇る時間帯だというのに、彼女はどう見ても未成年だ。かといって、不良の類にしてはあまりにも小心すぎる】
【目鼻立ちは整っているものの、白緑色の瞳は常に不安定に揺らぎ、目元には隈まであって、随分と神経質そうな印象があった】

【世間への不信感と自己嫌悪が綯い交ぜになった暗い感情の篭もった視線で、少女は時折きょろきょろとまわりを見渡し、何かに怯えるみたいに】
【背中を小さく丸めて、ひっそりと歩き続けるだろう――他の誰かから見て、自分が不審者に見えるのか危なっかしい女の子に見えるのかは、本人にはわからない】
984 : ◆iBPkBgx72E[sage saga]:2015/06/18(木) 01:40:14.69 ID:fJeHKlJho
>>886

【――事の顛末、自身の肉体を乗っ取られた上に、その存在が】
【アーグが同じ顔をして教会を襲い、殺戮を続けている】
【事実を聞けば聞くほど押し黙るのはいつもの事。それにしても、事態は重く】

【全て聞き終えても、フレデリックは容易く口を開くことは無かった】
【第一に自身への呆れ。至らなさの痛感、肥大化するアーグの悪意】

【言葉にしようにも、考えが巡って中々出てこない。そんな様子が見て取れて】
【更にはこの先の方策まで考えねばならないのだ、妻の言葉に時折頷きはするものの】
【指にはめ直された指輪を見れば、より深い思いが込み上げてならず――】


……君たちみたいな夫婦を見てるとさ、男女の仲も楽しそうではあるよね。
ほら、僕ってあんまりその手の事に興味が無いから。

で、感動の再開の所を悪いんだけど……まず、フレデリックは僕が預かるよ。
このまま大司教に返り咲いても、今のままじゃアーグにやられるだけだからね
僕の騎士にでもなって、顔は兜で隠せば良い。
魔術は禁止、魔力は封じて、アーグにも気取られないように"人形"を演じる。

……で、マリア。キミは旦那様は見つからないままのフリをする。
近々アーグはなにかアクションを起こす……それまでは、お芝居の時間さ

さて、と……今後の作戦は以上だよ。やり取りはこれまでどおり
ケミッシュを通して行えるし、フレデリックの身の安全は僕が保証する。
大丈夫、機関に勧誘したりもしないからさ…――さあ、送り届ける位は大丈夫かな。


【まず、策はそんな所。手短に伝えるとダグラスはフレデリックに目配せをし】
【やがて再びマリアを両腕で抱きかかえるようにして、転移の魔術を発動する】

【気付けばそこはゼン=カイマ。敵をだますにはまず味方から――ではないが】
【周りに気付かれないよう、ひと目のない内にマリアを手近な椅子に座らせて】
【その折に小さく『すまん』と告げながら――ダグラスが指をパチン、と鳴らす】

【するとフレデリックの顔や輪郭を隠すように、黒が基調かつ、金の意匠が凝らされた鎧が出現し】
【さながら"黒騎士"という単語が似合いの姿となって、フレデリックの姿を包み隠し】

【それから二人が姿を消すまでの僅かな瞬間、兜の奥から視線が向くが】
【ほんの、短な時間。再び転移の魔術が発動すると、その場には一人の修道女が残されることとなり】
【後日、改めて――ケミッシュから手紙が渡されることだろう。今後の方策、そして何より】
【謝罪と感謝を込めた内容の文が。加えて、仔細はまた後日、とも記してあった。】

/お返事が遅れに遅れて申し訳ないです。
/ひとまず此処で区切りとして、イベントなりで進展をと思いますので
/何か不明な点などがあれば舞台裏で聞いて頂ければ、と。
/では、改めて一度失礼します。お疲れ様でしたー!
985 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/06/19(金) 00:19:49.97 ID:ibqZJDm+0
【――――昼間は活気を見せる街も、夜ともなればひっそりと静まり返っていて】
【そんな中、暖かな光が窓から漏れる店が一つ。扉には『OPEN』の看板か下げられている事からまだ営業時間内であろう】

【スライド式の扉を開けて中に入ったなら、先ず視界に入るのは店の内装】
【落ち着いた雰囲気の喫茶とでも表すべきか、カウンター席が主で他にはテーブル席が幾つかある程度】
【店の少し奥に置かれた掲示板には様々な事が書かれて居るようだけれど】


「いらっしゃいませ。初めての方……ですよね。ご注文の方はまだお決まりではありませんでしたか?」

【僅かに遅れて入店の挨拶をしたのは一人の女性だ】
【恐らくは二十代の半ば。穏やかな愛想の良い笑みを浮かべ、取り敢えずはとカウンター席の方へ着席を促すのだろう】
【素直に従うも良し、でなければ先ずは話を聞くのも良いのだろうが】






【満月の夜――――人々からその存在を忘れ去られ、ただ朽ち行くだけの遺跡】
【嘗ては祈りを捧げるのであっただろうその場所も今となっては誰一人として訪れる事は無くなった……が】
【今宵は、無礼にも其処に座る女が居た。金色の髪に、同じ色の双眸。何よりも特筆すべきは背に生やした純白の翼】

【在りし日の其処を思い、思慮に耽っている訳でも無い様。ただ単純に単純に月光浴を楽しんでいるのか】



「――――今日は星も月も良く見える良い夜だ。風も心地良いし…………ボクだって偶にはこんな夜も、ね」

【漏らした言葉は誰に向けた物でも無い。ただ、何と無く慈しむ様に己の座る台座を掌で撫で】
【バサリ、と一度羽ばたかせた翼。純白の羽が月光を浴び銀色となって風に舞い】

【辺りに人気は無い。だからこそ、この女の存在も相対的に目立つというもの】
【もし、女の存在に気付いて近寄ったならば――――「ボクに何かご用かな」なんて言葉と共に、緩んだ笑みを向けるのだけれど】
986 :ユラ・上 ロゼッタ・下 ◆A3Dw.QYNcc[saga]:2015/06/19(金) 17:42:05.50 ID:MzBkCw1DO
 【公園】

【小雨が降っているせいか、普段は賑わいを見せる公園も今日ばかりは静かだった】
【そんな中、傘もささずにベンチに座っている少女がいるのだ。年は中学生か高校生くらい】
【短い金髪に、夜色の瞳をしたモヤシ体型の少女。着ているのは、Tシャツにズボンという簡素な服だった】


……。……雨。…………ふん、濡れないし


【雨を気にする様子もなく、少女はただぼんやりと風景を眺めていた。紫陽花が咲いていたが、その色を見るというわけでもなく、ただぼんやりと】
【誰かを待っているようでもなければ、何かを観察しているようでもない】
【不思議と雨に濡れた痕がない彼女は、流れる時間を漫然と消費していた】



 【路地裏】

【ネオンが灯りつつある大通りとは対称的な、薄暗い路地裏。陰惨な雰囲気が常に漂う場所を、1人の女が歩いていた】
【ゆるりとした衣服を着た、妊婦だ。妊娠期間も後半に差し掛かっているのか、腹は相当膨らんでいる】
【艶やかな黒髪に赤い瞳をした彼女は、慣れた様子で路地裏を歩いていた。元より路地裏に住まう人種なのか】


…………習慣というのは困ったものね。つい、来てしまうもの
かと言ってやることもなし……。ふふ。“こういう趣味のお客”を探すのも、悪くはないかしら


【重い腹を抱えているせいか、女はかなりゆっくりと歩いていた】
【武器も持たぬように見える妊婦だ。路地裏の住民にとっては格好の獲物に見えるだろうが、さて──】
987 :上・ディック 下・ニグレド ◆r0cnuegjy.[saga]:2015/06/19(金) 20:45:43.18 ID:8uG84FAUo
【路地裏】

 だから、二百万だってば!!

【鬱屈した空気が流れてるはずの路地裏に大声が響く】
【叫んでるのは一五◯センチ程度と背の低い青年だ。薄いブロンドの短髪で、カソックを着て十字架を身につけている】
【神父の前にはよっぼよぼの老人が立っている。なめくじみたいな遅さで動き、片手を耳に添えた】

 『へ……?』

 だーかーら!! にーひゃーくーまーん!!!!

【神父がもう一度叫びながらぶんぶんと片手を振る。手には荘厳な装飾の施された十字架】
【どうやら売りつけようとしているようだが────】

 『あ〜。うん、買ってあげよう……で、いくらじゃ……?』

 だーかーらー!!

【老人は耳が遠いらしく何度も神父の言うことを聞き逃していた。おまけに反応が遅いせいで神父のイライラはMAXだ】

 (えぇい、このくそじじいめ、買ってやるってのは何度も聞いたわとっとと買いやがれ!!)

【だが法外な値段の十字架を買う人間はほとんどいない。神父は格好の餌食である老人を逃すわけにはいかなかった】
【かくして路地裏には『二百万』という単語が何度も何度も響くこととなっていた──】




【酒場】

【路地裏の端にある店は男達の怒号や歓声といった騒音に包まれていた】
【適当に並べられた木製の椅子に机。酒や食事を楽しむガラの悪そうな客達が儲け話や噂話などの後ろ暗い話題をやり取りしていた】
【端にあるカウンター席で、細い照明に男が照らされていた】

【黒髪に東洋人の平坦な顔。太い首に広い肩、筋肉に覆われた腕。一八五センチ前後の長身。分厚い手が酒の入ったグラスを握っていた】
【鍛えられた筋肉の鎧に覆われた剣士の肉体を安物のシャツとジーンズが包んでいる】
【すぐ隣には全長が約一五二センチ、幅が一五センチある剣が立て掛けてある。鈍い銀色の剣身が燻んだ鏡のように照明を反射している】

【男の周囲には、まるで避けられているかのように誰も居なかった。氷の崩れる音がグラスの中で小さく響いた】

『なぁ、酔わないのに何で飲んでんだ?』

 ……昔の癖だ。客なんだから文句はないだろう?

【中年のマスターに声をかけられた男が、低く小さい声で返事をした】
【大して広くない店の中は大勢が押し詰めていて席の殆どが埋まっていた。空いているのはこの男の周囲ぐらいだった】
988 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage saga]:2015/06/19(金) 21:50:34.76 ID:qn7cua2O0
>>984

【―――事の仔細を語る間、フレデリックの表情から痛恨の念がひしひしと感じられた】
【きっと己の力が及ばなかったことを悔いているのだろう……黙っていても、その念が伝わる】
【彼は責任感の強い人であるという事を知っているからこそ、その心の内も察せてしまうのだ】

【様々な心が交錯して言葉にする事が出来ない様子の彼。今尚彼やアーグを巡る事態は深刻を極め】
【きっとまだ困難も立ちはだかるだろう―――そんな時、傍に居て支えるのが伴侶の務め】
【指輪はその証。また暫く離れる事になるけれど……押し黙る彼に「心はいつでも傍におりますから」と微笑んで】

【それに―――彼は、そんな無力感に押し潰される程、軟弱な人ではないことも知っている】
【力及ばなかった事に絶望するのではなく、力及ぶまで捲土重来を期す事の出来る人だと知っている】
【今はまだ雌伏の時だけれど―――きっと克つことが出来ると信じているし、確信している】
【だから、自分は己の出来る事全てを尽くして、その支えとなればいい―――】

【伝えられた作戦は、フレデリックの存在を隠し通すという事。その趣旨も理解したマリアは、静かに頷いて】
【同時に、夫の身柄も信頼を以て託す。また暫く離れる事になるのが寂しくないと言えば嘘になるが……】

ええ、解りました。……旦那様が此方側に戻っている事を気取られたら、全てが水の泡ですものね。
人を騙すのはあまり得意では御座いませんが……アーグが動くその時まで、一芝居打ちましょう。

旦那様のことは貴方にお任せします。
―――六罪王と言えど親友への想いに偽りは無いという事は、この目でしかと見せて貰いましたから。

【―――そして、転移魔術で故郷へと帰る。人目の付かぬ場に、こっそりと隠れるように】
【まだ十全に動かぬ体を椅子に座らせて貰えば、微笑みと目配せでありがとうを伝えて】
【……次の瞬間には夫の体を黒い鎧が包み、もうその姿は分からないようになっていた】

【視線を交わせば、それがお別れの合図。―――二人の姿は、もうこの場からは消えて】
【今日のお話は、これでおしまい。また、新しい戦いが紡がれる日まで―――】

//いえいえ、此方も1週間ほどお返しできなかった状況でしたし大丈夫ですよー!
//イベント楽しみにしてます!それではお疲れ様でした!
989 : ◆Oo..Ykgy2o[sage saga !蒼_res]:2015/06/20(土) 18:47:29.77 ID:TJYoW3Hjo
【水の国・郊外、夜――――】

【舞台は街の中心部を大きく外れ、とある路地の近場に止まった大型トレーラーの中。そこに三人は集められているはずだ】
【窓から外を見れば、路地の少し奥まった場所に小さな研究施設らしき建造物がある。そこが今回、"GIFT"の拠点と目されている場所だ】
【見た目には二階建て程度のごく小規模な建物にしか見えないけれど――各々に配布されているインカムに、若い男の声が響いてくるだろうか】


「皆さん、事件の経緯の方は既に説明があったとおりです。準備はよろしいでしょうか」


【水の国警察の刑事、アルフレド・フェリシアーノという名前の青年である】
【藤色の髪と赤紫色の瞳に眼鏡を掛けた彼はもう三人の目の前にいるのだが……これはインカムのテストを兼ねての発言であった】
【トレーラー内には三人とアルフレドの他に、"SCARLET"の紋章付きの白い略帽を被った女性と、水色の髪に赤い瞳の少年が同席している】

【――さて、今回の事件の経緯については、彼の言うとおりここに来る前に要旨は説明されているはずだ】
【『R.P.ラボトラリ第一支部』というレイリスフィード大学系列の研究所から機密データが盗まれ、その窃盗犯が逃げ込んだ場所があの建物というわけだ】
【既に一本奥の路地にある"表口"で陽動部隊が交戦中であり、彼らが注意をひきつけている間に、三人は"裏口"から内部へ侵入することになる】
【第一目標は奪われた端末の確保であるが、余裕があれば拠点内にあるであろうGIFTに関する情報を探索・収集することも推奨されている】


今回は我々『TRAVIS』もささやかながら協力させて頂いております。
建物の図面の入手と、簡易的ですが専用の機械による内部調査を行いました。その結果、地下に巨大な空間があることが判明していますが……。
どんな設備があって何が成されているのかまではわかりませんでした。申し訳ありません……。


【――赤い瞳の少年の名は、リチャード・トラヴィス。随分若く見えるが、世界的な大企業である『TRAVIS』の次期社長だ】
【ニュースで見かけたこともあるかもしれない。以前カノッサ機関の"戦神"によって自社に被害を受けて以降、彼はこうして各自治組織に協力している】
【また、リチャードはかの『レイリスフィード学園』の生徒でもあった。そういった意味でも、一連の事件と無関係ではない人物だ】
【少年は不甲斐なさそうな表情で三人へ軽く頭を下げる。自身の無力を噛みしめるような、やや大げさにも思えるような所作――】


「危険な任務になりますので、道中は我々が出来る限りナビゲートを行います。配布したインカムの電源を切らないようお願いしますね。
 担当は僕、アルフレド・フェリシアーノと………僕の同僚で"SCARLET"の一員、イスラ・シャルディです」

「えと、わ、私がイスラですっ、よろしくお願いします!
 そちらの状況は一応インカムに付属しているカメラでモニタリングしていますが、当然不測の事態も考えられます。
 もし何か質問があれば、いつでも私かアルフレドさんに仰ってくださいね!」


【と。そこで、真正面とインカムから同時に若い女性の声が聞こえてくるだろう。アルフレドの怜悧な声色と違って、些か緊張の滲んだそれ】
【最後の一人はイスラと名乗る。やや頼りなさそうだが……『ヘイダル』というSCARLET内の独立部隊の一員として、名を知っている者もいるか】


「例の端末のプロテクトも、大学側は一日二日で解けるものではないと仰っていますが、相手はGIFTです。いつまで保つかわかりません。
 現に発信器の方は一時間ほど前に反応が途絶えてしまっています……。各人、十分に注意しつつ端末を捜索してください。
 では、これより作戦を開始します。通信機越しではありますが、全力で皆さんのバックアップに努めますので!」

ボクも、これ以上のお手伝いは出来ませんが――どうか、くれぐれもお気をつけて。


【――今回は一応"制限時間"もある、これ以上長々と話してもいられない。アルフレドの宣言とリチャードの心配そうな声が、全員に作戦開始を告げる】
【トレーラーを降りて目の前の路地を少し進むと、例の"裏口"が見えてくる。鍵は掛かっていない、少々強引な方法を使って既に開通済みだ――】


/続きます!
990 : ◆Oo..Ykgy2o[sage saga !蒼_res]:2015/06/20(土) 18:49:47.47 ID:TJYoW3Hjo

【さて、裏口から入って右手側に二階への階段らしきものがあるだろうか。その階段横のスペースに不自然な穴があり、階段が続いているのが見える】
【そこが無防備に開け放たれているのは、表の襲撃に対応する為に地下の人員を呼び寄せて閉め忘れたのか、はたまた誘っているのか……】
【……何にしても。その階段を一同が降り切った後が、今宵の探索の本番となるだろう】
【階段を降り切った先は剥き出しのコンクリート壁が続く閉塞的な階層で、左、右、正面の三方向に細い通路が続いているはずだ】


「三叉路ですか……思ったより広い施設のようだ。手分けして探索したほうが良さそうですね。

 では――シュペアーさんは『左側』へ。フレッドさんとムクさんは『正面』へ。ワザワイさんは『右側』へ進んでください。
 シュペアーさんとワザワイさんはイスラが、フレッドさんとムクさんは僕、アルフレドがナビゲートします。敵の気配にご注意ください」


【シュペアーは『左側』、担当はイスラ。ワザワイは『右側』、担当は同じくイスラ。フレッドとムクは『正面』、担当はアルフレド――】
【あまり時間はない……アルフレドがそのように素早く人員を振り分けたなら、いよいよ探索が開始されることになるだろうか】


/こちらが今回のイベントの開始文となります! 次のレスから分岐開始となりますのでご注意ください〜
/それでは、本日はよろしくお願い致します!
991 : ◆Oo..Ykgy2o[sage saga !蒼_res]:2015/06/20(土) 19:00:51.85 ID:TJYoW3Hjo
>>990
/ちょっと分かり辛いかもしれないので補足……
/一行目にある"不自然な穴"の奥に、二階行きの階段とは別の「下へ続く階段」があり、そこから地下へ向かう感じです
992 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2015/06/20(土) 19:09:05.02 ID:sbskTTfB0
>>989-990

【緊張がはりつめたこの現場においてインカムに向かって「もしもーし?聞こえてますかー?」などといっている男の娘が約一名】
【最近のお気に入りであるヘソ出しの水兵服を着た男の娘ワザワイ・エスパス】
【リチャード少年の同じような深紅の瞳に紫の長髪をポニテに縛って細い通路を進んでいく】

「それじゃあ宜しくね!イスラちゃん!」

【そして今度はカメラマン宜しくに壁や床、天井までインカムを向けていく】

「僕難しいことはよくわかんないから頼りにしてるんだからね!」

【緊張感も何もあったものではない探索がこうして始まった】

//それでは今宵も宜しくお願いします
993 : ◆Oo..Ykgy2o[sage saga !蒼_res]:2015/06/20(土) 19:21:31.65 ID:TJYoW3Hjo
>>992


「い、イスラちゃん? あのぅ、一応私のほうがお姉ちゃんのはずなんだけど……。
 あっ、い、いや、そんな場合じゃないよね。こちらこそよろしくね、ワザワイちゃん! お姉ちゃんに任せなさい!」


【探索が開始されるなり――緊張感の欠如した声色が、イスラに戸惑いの声を漏らさせる。イスラもイスラでどうでも良いところに拘り始めて……】
【とはいえ状況が状況である。流石の彼女もすぐ正気に戻って、イスラは改めて気を引き締めるようにワザワイへ声を掛けるだろう】
【――彼女もやや過剰に緊張気味だったところだ。ワザワイぐらいの脱力感が今の彼女にはちょうどいいのかもしれない】

【また、彼女も一応SCARLETの隊員ということか。年齢が低いからといって実力まで低い、なんて偏見は持っていないようだけれど】
【ちょっとばかし心配そうではあったが、それはまあ仕方が無いか。どうでもいいが――イスラはワザワイを完全に女の子と勘違いしているようだった】




「………ぶ、不気味な場所、ですね………」


【さて――ワザワイが進む『右側』の通路の先だが、なぜかまったく人気が感じられない。敵に出会わないという点では僥倖なのだけれど……】
【空虚な通路を進んでいくと、そのうち大きな扉に突き当たるだろうか。カードキー式のようだが――無用心なことに鍵が開けっ放しになっており】
【特に問題なくその先へ進むことが出来るはずだ。そして扉の奥の通路は、今までとは少々趣が違う……】


「これは――工場? ……ちょっと簡易的だけど、どうやらGIFT製の人型兵器、『クグツ』の生産ラインみたい」


【扉の奥は細い廊下になっている。イスラの言のとおり、工場の中のような、無骨な金属製の通路――】
【そこから下を見渡せば、そこでは巨大な機械がいくつも動いている。ベルトコンベアの上のパーツを見る限り、GIFT製の兵器の製造工場のようだ】
【流石にここは地下空間、それほど土地を割けなかったのか、あまり広くは無い。時間をかけず探索できそうである】


「……ごめんね、カメラ越しではそっちの状況を正確に判断できないの。ここは現場の、ワザワイちゃんの判断に任せます。
 ただ、この先の≪管理室≫に進むのなら気をつけて! 戦闘になる可能性が高いはずだから……」


【ここで、ワザワイには大きく分けて二つの選択肢がある――】

【ひとつは、このまま廊下を道なりに進むと見えてくる、この工場の≪管理室≫へ入ってみるという方法】
【もうひとつは、廊下の途中にある梯子を伝って≪下層の工場区画≫に降り、周囲を調べ回ってみる方法だ】

【――ただし、どちらにしても警備の目がある。まず≪管理室≫の方だが、扉が微かに空いているので事前に中の様子を伺えるはずだ】
【中には白衣を着た非戦闘員の管理人が一人と、サブマシンガンを装備した護衛が二人。扉は一つしかないため、見つからず中に入るのは厳しいだろう】
【ワザワイの入室と同時、その二名が一気に銃撃を浴びせてくる筈。また、正四角形の部屋にコンソールを詰め込んだ管理室の内部は狭く逃げ場に乏しい】
【流石に管理室というだけあって、見事制圧できれば見入りは多いだろうけれど、危険を伴う選択肢だ……】

【一方。≪下層の工場区画≫には、同じくサブマシンガンを装備した戦闘員が一名、一定のルートをぐるぐると回って警備している】
【幸いこちらには気づいていない。見つからず梯子を下りることも可能だし、障害物が多いので隠れる場所にも事欠かないはずだ】
【戦闘員を無視して探索を進めるでも、背後から襲い掛かって予め倒しておくでも、戦況は圧倒的にこちらに優位である】
【なんなら、廊下の上から狙撃で仕留めることも可能か。――ワザワイは果たして、どう判断を下す?】
994 :カニバディール ◆EQBB9rCCt1P5[sage saga]:2015/06/20(土) 19:38:19.10 ID:NUbL3O9oo
>>989-990
【夜、街の郊外、大型トレーラー。まともな人間なら、これらの要素を前にすれば関わらないことを選ぶだろう】
【事実、その中にいたのはいわゆる闇の人間とは違ったものの、およそ穏やかと言える人種でもなかった】

はいはい、こっちは問題なしだ。インカムの調子も良好だよ
要は、盗まれたもんを取り返して、ついでに中の様子を探ってくるってことだろ?
死なない程度に、報酬分はきっちり働かせてもらうさ

【軽い調子で答えるのは、30代前半と思しき男だった。黒い髪をオールバックにし、黒いシューティンググラスをかけている】
【闇の中に溶ける黒い服の上に黒いタクティカルベストを着込み、黒い軍用ブーツを履いている】
【潜入用の黒づくめの装備に身を固めたその男は、努めて普段とは違う口調、声音で声を発していた】

(ヘイダルが出てくることはわかっちゃいたが、よりにもよってアルフレドの旦那とはねえぇ……こいつは思った以上に面倒になりそうだ)
(このカメラ付きインカムがある以上、監視されてるも同じ。下手に盗みは出来そうにねえな……)
(なら、狙うは情報だ。GIFTの連中が何企んでやがるのか、今回の件で"SCARLET"が何を得るのか)
(可能な限り調べ上げて、無事に帰る……。なあに、やってのけてやるよおぉ……)

【盗賊団『スクラップズ』首領代理、スカーベッジことシュペアーは心中で目的を再確認しつつ、眼前の三人に目をやる】
【自分たちの因縁の敵、アルフレドをシューティンググラスの下から盗み見る。彼には顔を見られていたはずだ】
【いつもつけていたピアスは外し、髪色を変え、シューティンググラスで目線を隠し、可能な限り下卑た気配は消している】
【それでも油断できる相手ではない。それに加えて、さらに二人。アルフレドの側の男女にも意識を向ける】

【一人は見覚えがなかったが、その紋章と自己紹介を受けてヘイダルの後方支援要員であると察する】
【いかにも緊張した様子の女性。しかし、その若さでヘイダルの一員として抜擢されているのである。到底、舐めてはかかれない】
【彼女の監視があることは、正体を隠してこの場にいる自分は常に意識せねばならないだろう】

【さらに、もう一人の少年。こちらはテレビで見た覚えがある。かの大企業、『TRAVIS』の御曹司】
【自身の無力を口惜しく思っているような態度、殊勝な言葉。いかにも好感が持てそうな青年だ】
【だが、盗賊の勘が告げていた。何か、その裏に隠されているような気配。彼もまた、ただものではない、という直感】

(加えて、またもレイリスフィールド学園の生徒……それにあの情報屋となんとなーく似た雰囲気を感じるぜえぇ……)
(こいつまでこの場で出る情報を手に入れるとなりゃあ、流れによっちゃまた厄介なことになるかもなあぁ……)

なあに、地下に何やらでかくて妙なとこがある、ってそれだけでも十分ですよ、トラヴィスの坊ちゃん
荒事は俺たちにお任せを、ってこった

で、インカムの向こうはフェリシアーノさんとシャルデイさんね……有名なヘイダルの皆さんとご一緒出来て光栄だ
俺みたいな賞金稼ぎが相手で申し訳ないが、ま、一つ宜しく頼むよ、お二人さん

【内心の思考はおくびにも出さず、いかにも名は知られていないが堅実な賞金稼ぎといった姿勢で】
【三人にスカーベッジ――――いや、シュペアーは挨拶をした】

【やがて目的地に到達すれば、他のメンバーと共に地面に降り立つ。眼前の裏口は、地獄への入り口かの如く】
【足音を殺しつつ内部へと入り込む。あまりに無防備な様子には眉を顰め、「罠って可能性もあるな」とインカムに向けてポツリと漏らしつつ】
【それでも臆する様子は見せずに、シュペアーは最初の分岐点の前に立った】

了解だ。じゃ、早速左の通路に進む。シャルディさん、カメラは見えてるかい? ナビは任せた

【通路全体をゆっくりとカメラに移しつつ、シュペアーは通路を進み始める。盗賊仕込の忍び足】
【さて、いったい何が潜むのか――――】

/遅くなりました、スカーベッジ中身です! よろしくお願いします!
995 :フレッド ◆LF1Ar7hXZw[sage]:2015/06/20(土) 19:39:25.55 ID:KwRdsvvdo
>>979>>990

【今回の"GIFT"絡みの事件の依頼を受けトレーラーに集まった3人の人物】
【そのうちの一人で犬を引き連れて現れた人物がトン、トン、と耳のインカムを叩きながら返事を返すだろう】


準備の方は構わないぜぇーポリ公の兄ちゃんに大社長のボーヤ……いや次期社長だっけかワリィワリィ
ここに来るまでにアップは済ませておいた、ちと荒事に参加したくなっちまってふらっと立ち寄っちまった見ての通りのスキモノだが
まあ信用してくれや、依頼を受けたからには全力でやらせてもらうからよぉ

……しかし、ムクにまで付き合わせたのは悪かったなぁ、クケッ、クケッ、また昔みてーにケツ持ち頼むわ。

「……ふん、別にええ。昔から……『あの手の奴ら』は気に食わん。知っちょるじゃろう
剛の字の治療が後数日早く終わる日程じゃったなら、あのバカをとっくに引きずって顔を出しとるわ……」


【その人物はフードを目元まで被った灰色のパーカーを肩から羽織り、ボタンだけ赤い黒の短シャツに両手に白いバンテージを巻いていた】
【首からはそこそこ値の張った一眼レフのカメラを下げ、腰に数年前に流行った銀色の髑髏を模したチェーンアクセのついた青色のダメージジーンズに新品の赤茶色の革靴を履いた男性だ】
【顔はよく見えない、しかし―――なるほど、そこそこ体を温めてから来たのかフードの下の顔、頬のあたりは赤く紅潮しており、やや汗をかいているのが分かる】
【戦闘準備はばっちりだ、と言わんばかりに現れた男―――フレッドは陽気な笑みを浮かべながら気さくに返事を返してくるだろう】

【足元には赤茶色の体毛をした小柄なトイプードル、ムクと呼ばれたその犬はぶっきらぼうに相槌を打ってくる、しかしやる気の方は十分のようだ】
【日頃行動を共にしている人物が不調のため一匹で情報を集めようとしていたようだが、その際"GIFT"に興味を持っていた旧友の事を思い出し彼の事を呼んだのがムクだった】
【戦闘はフレッド、サポートはムクというスタイルで進む予定であり、その際情報などを整理するのはムクがやるらしい】

【ともあれ、作戦開始と共に彼らは裏口から侵入を試みしばらくして三叉路に行き着くこととなった】
【三人をそれぞれの道へ振り分けるようアルフレドからの指示を受ける、傍にいたシュペアーとワザワイの顔をちらり、と見かけながら】


あいよ、んじゃあよろしくなポリ公……じゃなくてアルフレドだったな、頼んだぜ
……おう、そういう訳だから……ワザワイに、シュペアーっつったか?各自せいぜい足元救われねえようにしっかり生き延びてまた会おうぜぇ、クケックケッ
んじゃまあムク、早速だがオレの三歩前に出て自慢の『鼻』で探知しながら進んでもらおうか?ん?


【ムクはおう、と一言だけ返事をしたならば、フレッドの前に飛び出し、『魔翌力探知』の技能を発動する】
【長年鍛え上げた彼の特技の一つであり、己の五感を研ぎ澄まし魔翌力特有の反応を探し当てる技能だ、ムクの場合はそれが『鼻』を使用するモノ】
【人間を遥かに凌駕する匂い受容体を持つ犬の嗅覚をさらにムクの魔翌力で強化すれば、かすかな残り香すら感じ取れそうもない微細な反応すら探し当てて見せるだろう】

【ムクを警戒状態にする事を完了したならばそのまま彼らは正面のルートを進み始める事だろう】

/ではフレッドです、よろしくお願いします!
996 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2015/06/20(土) 19:45:45.21 ID:sbskTTfB0
>>993
「う〜ん、じゃあイスラおねぇちゃん!」

【と、完全に近所のお姉さんに接するノリである】
【そしてカードキー式の扉とその周囲を一通り撮したあとに潜入する】

「おー、なんか格好いい!」

【年頃の少年にロボットパーツを見せたらそうなるであろう反応を見せる、ていうか軽くはしゃぐ】

「『クグツ』?櫻の国の操り人形の事?」

【姉が教えてくれた知識の内の一つを持ち出しながらこれもマリオネットのような物かと考える】

「管理室、か」

【ご丁寧にそうプレートが掛かっている部屋が視界入る】

「昔…ご飯にするために動物を捕まえてた時の話なんだけどさ…」

【一瞬にしてそれこそ武術の鍛練と言うよりは野性の獣のように息を殺し、足音を絶って管理室の扉の横に張り付く】

「噛まれる前に噛む、これ絶対」

【瞬間、この少年の能力が発動するだろう】
【ドリル状の氷柱がそれこそマシンガンのように扉越しに部屋をブチ撒かれ、猛吹雪が視界を奪う】
【そうしたら少年は背中に背負った戟を引き抜いてマシンガンを持った一人の息の音を止めに掛かる筈だ】
997 : ◆Oo..Ykgy2o[sage saga !蒼_res]:2015/06/20(土) 19:52:31.98 ID:TJYoW3Hjo
>>994

【いよいよ探索開始、となるが――ついぞ、アルフレドが"シュペアー・ミュール"の正体に気付くことはなかった】
【例えば隣に座っていたとか、正面にいたとかなら不味かっただろう。けれど偶然――そう、偶然なのだろう。きっと】
【依頼主である『TRAVIS』の次期社長、リチャードが常にアルフレドとシュペアーの間に立つような位置取りで話を聞いていたのである】
【元々任務開始に際して余裕がなかった所。そのせいで、アルフレドは彼の顔や雰囲気を詳しく観察できなかったのだ――】


「はい、本日はよろしくお願いします、シュペアーさん。
 シュ、シュペアーさんは賞金稼ぎさんということですけど……足を引っ張らないよう頑張りますので!」


【そして探索開始と同時、イスラからシュペアーへ緊張気味の挨拶が成されるだろうか。『ヘイダル』の一員にしてはいまいち頼りなさげだが】
【アルフレドを差し置いて、別ルートの方のナビゲートも同時に任されるというのだから、この手のサポートに関しては一家言あるのだろう】
【――まあ、いずれにせよ。彼女もまた、今のところシュペアー・ミュールの正体に気づく様子はない……】



【閑話休題。シュペアーが進むであろう左側の道、その左右の壁にはドアが多数あり、やはり少々人の気配が感じられるが……】
【開け放たれたままの機械扉や、今さっき放り捨てられたかのような荷物の跡、室内の荒れ具合から推察するに】
【つい最近、大勢の人間がこの道の奥へ進んでいったようである。それも、侵入者に対して戦おうともせず逃げ出したことや、室内の設備を見る限り】
【この区画にいたのは"非戦闘員"――恐らくは研究者のような集団だ。着の身着のまま、最低限の機密を持ち出して避難したといったところか】


「………あっ、シュペアーさん。待ってください!
 そこの扉の奥、今までの部屋とはちょっと構造が違うみたいです……」


【流石に全ての部屋を探索している時間は無さそうで。その代わり、インカムのカメラ越しにこちらを見ているイスラが声を上げる】
【シュペアーがしばらく道なりに進んだ後、突き当たりにひときわ大きな部屋があるはずだ。――何か、実験室のような大きな場所】
【機械扉は開け放たれていて中の様子が伺える。この実験室の更に奥に施錠された大きな機械扉があり、次の区画まで続いているようだ】

【どのみち更に奥まで探索するならば、この実験室で『扉の鍵』を探す必要がある。ついでにいろいろと調べ回ってみるのが順当か……】


「言うまでもないかもしれませんが、気をつけてくださいね。まだ敵が残っているかもしれませんから……」


【さて、実験室内の様子だが――かなり広い。ドアから入って右手側には、手術台じみた不気味な器具が複数台設置されており】
【さらに右手側最奥部の巨大な棚の中には、何かの薬物のようなものが大量に保管されている。一番多いのは、袋詰めされた怪しげな白い粉末だ】

【そして左手側には、実験生物だろうか、カプセルの中で様々な動物が飼育されている。犬猫、鳥、魚、蛇……見境なしの様相で】
【その奥、左手側最奥部には大きなデスク。動物たちに与えていたものと思しき餌や水と一緒に、いくつか資料の束が放置されている】

【シュペアーがどこをどうやって調べるにせよ――イスラの言う通り、注意が必要なのだけは間違いない】
998 : ◆Oo..Ykgy2o[sage saga !蒼_res]:2015/06/20(土) 19:59:05.70 ID:TJYoW3Hjo
>>995


「ええ。改めまして、アルフレド・フェリシアーノです。本日はよろしくお願いします。

 ……えっと、それでですね、ムクさん、申し訳ありません。流石に犬用のインカムはご用意できませんでした。
 僕に質問や連絡事項がある場合は、フレッドさんを介してお話下さればお答えしますので……」


【二人が正面の道を歩き始めた直後、アルフレドがこんな風に挨拶するだろう。――緊張感溢れる探索任務の初めにしては、何とも間抜けな調子だ】
【ただ、ポリ公ポリ公と呼ばれても全く怒った調子がないところや、ムクという"喋る犬"の存在を認知し何の疑いもなく受け入れているあたり】
【彼も大分毒されているというか何というか。よく言えば経験豊富、悪く言えば苦労人といったところだ。まぁ、幾分かは話しやすいかもしれない……】
【――蛇足として付け加えるならば、別れる前のリチャードも、フレッドのやや軽薄そうな調子に一切表情を歪めることはなかった】


【それはともかく。――フレッドとムクが歩いていく正面の通路の先は、最初に見たとおり歩くごとにどんどん入り組んでいくように感じるはずだ】
【扉が開けっ放しになった小部屋などもちらほら見られる。その中はどこか生活感が見られ、GIFT構成員の私室であったのかもしれない】
【襲撃の方を受け、ここから慌てて出撃していったというところだろうか――? ともあれしばらく歩くと、大きなホールに突き当たるだろう】


「……、これは……作戦会議室でしょうか?」


【通信機からアルフレドの声が響く。彼の言うとおり、中央にテーブル、壁には地図らしきものや資料が張られており、奥には巨大なモニターもある】
【確かに作戦会議室というような風情だ。ただ、慌てて資料を持ち出したような跡があったり、モニターから伸びているケーブルが切断されていたりと、】
【多少隠蔽工作の跡もあるので、大収穫とは行かないかもしれないが――調べ回ってみればまだなにか見つかるかもしれない】

【主立って調べられそうなものといえば……まず、壁に貼られた地図、そして資料。この辺りが一番簡単で確実に情報を得られる選択肢か】
【モニターに表示されていたであろうデータを調べるには、高度なハッキング技術が必要になるが……その下に、何やらもの凄い量の紙の山がある】

【ムクの鼻があれば、人間の残り香を辿ることも出来るか。つい最近までここには多数の人がいて、今二人が来た方に出て行ったようだ】
【もう室内に人は見当たらないけれど――例の"紙の山"の付近に、何か異臭を感じるかもしれない。何らかの化学薬品の様な、鼻を突く臭いだ】
999 : ◆Oo..Ykgy2o[sage saga !蒼_res]:2015/06/20(土) 20:10:17.47 ID:TJYoW3Hjo
>>996

【……気のせいか。インカムの向こうのイスラが、「おねぇちゃん」という響きに若干頬を緩めたような感じがあったけれど】
【ともかく。『クグツ』については、イスラがGIFTが製造した人型兵器の名前だと改めて説明するだろう】
【最終的には、「要するに、敵のロボットです!」なんて簡素な言葉で締める。――開発者が聞いたら発憤しそうだが、間違いではない】


『――!! 侵入者か!! コイツ………がァッ!!?』


【そして――管理室への突入を選択したワザワイ。インカムの奥でイスラが息を呑むのが聞こえるかもしれない】
【さっきまでの調子が嘘のような、冷たく鍛えられた"戦士"の動き。敵も一応GIFTの構成員だ、内部の二名は攻撃を受けた時点で動き出すが、】

【――"手応え"を感じるだろう。命が消された手応えを。猛吹雪で目を潰され、戟が確実に戦闘員の息の根を止めた】
【もう一人の戦闘員も、ドリル状に成型された氷柱に腹を貫かれて沈黙する。――身を挺して非戦闘員を守ったのだけは、天晴れだったか】

【そうして――戦闘員二人は制圧された。残されたのはいかにも非力そうな、小太りな学者風の管理人がひとり、】


『ぎ………っ、GIFTに! 我らが楽園に、栄光あれ――――ッ!!!』


【……ただ、油断してはならない。ここはGIFTの拠点なのだ、非戦闘員にしたって何らかの"能力"を持っている可能性があることに、少年は気づいていたか】
【ブチッ、という音が響いたかと思えば、"念力"によって部屋の中にあったケーブルのいくつかが引き千切られてワザワイへと向かっていくだろう!】
【当たれば断面から電流を流されるのみならず、全身をぐるぐる巻きにされて動きを拘束されてしまうはずである】
【もしそうなった場合、彼は目の前の巨大なコンソールを破壊した後、一目散にドアから逃げていくだろう。……取り逃がせば増援を呼ばれる可能性もある】

【だが逆に、ケーブルを何とかして凌げたならば、戦闘の心得がない管理人にそれ以上抵抗の術はない。恐怖もあって軽く殴り飛ばすだけで気絶するはずだ】
【そうなってしまえばこちらのもの。目の前にある、いかにも何か出来そうなコンソールをいくらでも調査できるだろう……】


「………! ワザワイちゃん、あの人が首から提げてるの、たぶん"カードキー"だ……!! できれば回収してっ!!」


【そして。ワザワイが管理人をどう処理するかに関わらず、イスラがワザワイへ注意を呼びかけるのが聞こえるか】
【確かに、男は首元にカードキーらしきモノを提げている。管理人の持ち物となれば相当権限は高そうだ、できるならば回収しておいた方が良いか……?】
1000 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2015/06/20(土) 20:24:52.23 ID:sbskTTfB0
>>999
「敵のロボット…ってことはそれがこの辺に居ても可笑しくないってことだね!」

【等と楽しそうにおしゃべりしていると襲いかってくる触手と化したケーブルがスパークしながらのたうつ、が】

「怖いの?狙いがわかりやすいよ?」

【そしてたった今自分が刺し殺した男の遺体をあろうことか盾にして避ける】

「へぇ、あのちょっとメタボったおじさんの首の奴を取ればいいんだ〜」

【焦げた人肉と血の臭いの中で脂汗がダラダと流れる彼の額に向かって刃ではなく石突きで殴打しようとする】
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 ,.――――-、
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幼馴染「わたしの椅子になりなさいな」 @ 2015/06/20(土) 18:47:49.47 ID:qIea8M8vO
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風の谷の瑞鶴 【劇場版予告】 @ 2015/06/20(土) 17:16:39.86 ID:8vD8/95h0
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