13:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/08(日) 23:55:51.09 ID:tTAn3URP0
◇◇◇
翌日、手紙を頼りに街へ出ます。
明らかに怪しいとは思いました。でも、今の私が頼ることができる情報は、ちひろさんからの手紙だけです。
普段通らない道を進み、見知らぬ街へ出る。そうしてたどり着いた場所は、古びたビルでした。
「ここで……いいんですよね」
携帯端末のマップを確認しても、アドレスが表示されません。
「大丈夫ですよ」
「へっ!?」
気が付けば、後ろにちひろさんが立っていました。
「ごめんなさい。あんまり大手を振って出歩けない身分なんで、忍者みたいな動きが癖になっちゃったんです」
「あ、ははは」
なんだか、捉えどころのない人です。
「さあ、行きましょう」
「どこへですか?」
「卯月ちゃんが一番知りたい真実。そして、残酷な真実への道……ですよ」
ゴクリと、と思わず唾をのみます。
「あ、あの……私、真実なんてわからなくて……ただ、自分が不調な理由を知りたいんです」
「そうですね。その答えが、ここにあります」
それだけ言うと、ちひろさんはさっさと歩きだします。
ついていっていいのだろうか……この期に及んで、私の心の中には迷いがあります。
でも、私は私を知りたい。だから、勇気を振り絞ってその背中を追いかけます。
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